本研究は、助詞と動詞を組み合わせた問題文における学習者の助詞選択と動詞選択の傾向を自動詞他動詞の比較を中心に分析し、日本語学習者の回答特徴を把握することを目的とする。使用した言語資源は、松下(2011)「日本語を読むための語彙データベース(VDRJ)」と日本語学習辞書支援グループ (2015)「日本語教育語彙表 Ver 1.0」である。この言語資源から動詞を抽出しテストを作成し、初級前半終了〜中級後半終了の日本語学習者から延べ137名の回答データを収集した。回答データ分析の結果、各テストの平均正答率では大きな差は見られなかった。また、初級レベルはひらがなのみで出題したため、非漢字圏学習者の平均点が高い問題があり、中級レベルは漢字を使用し出題したため、全体的に漢字圏学習者の平均点が高かった。なお、対のある自他動詞の問題において、「を」を「が」と誤回答する率が高く、同様に、全ての動詞において自動詞より他動詞の方が回答において正答率が高かったことが分かった。日本語学習者の回答傾向を分析することで、特に自他動詞の教育実践への応用が期待できる。