1 ~間 0029-003 期間 4 ~の期間中ずっと、ある状態や継続的動作・出来事が続くと言いたいときに使う。「〜」には、継続的な動作・状態を表す文や期間を表す言葉がくる。後には、継続的な動作・状態を表す文がくる。 158 パスポートは旅行の{間}、常時持っていてください。 Nの間 2 ~間に 0029-003 期間 4 ~の期間のある時点で、ある動作・出来事が起こると言いたいときに使う。「〜」には、継続的な動作・状態を表す文や期間を表す言葉がくる。後には、瞬間的な動作や出来事を表す文がくる。 167 木村さんは、出張の{間に}お子さんがけがをしてしまったそうだ。幸い大けがではなかったようだが。 Nの間に 3 ~後 0029-001 5 二つの動作・出来事の時間的前後関係を表す。「~」よりも遅く、ある動作・出来事が起こると言いたいときに使う。「〜後で」は後の文が動きを表す場合、「〜後」は後の文が状態を表す場合に多く使われる。 77 杉山先生は、講演の{後}しばらく残って、参加者の質問に丁寧に答えてくれた。 Nの後 4 ~後で 0029-001 5 二つの動作・出来事の時間的前後関係を表す。「~」よりも遅く、ある動作・出来事が起こると言いたいときに使う。「〜後で」は後の文が動きを表す場合、「〜後」は後の文が状態を表す場合に多く使われる。 88 父は終戦のずっと{後で}生まれた。だから、戦争中のことを父から聞いたことはない。 Nの後で 5 いたします 0013-002 敬語 謙譲|丁寧 4 「する」の意味で、聞き手との心的距離を取る場面で丁寧に言うときに使う。表記:いたします・致します 3692 オリンピックは現地に行って応援を{いたし}たいと思っております。 する 7 いただきます 0013-001 敬語 謙譲 4 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「食べる・飲む・もらう」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者と関わる動作を表す。表記:いただきます・頂きます 3682 「部長、こちらの資料{を頂いて}よろしいでしょうか」 もらう 8 いただきます 0013-002 敬語 謙譲|丁寧 4 「食べる・飲む」の意味で、聞き手との心的距離を取る場面で丁寧に言うときに使う。表記:いただきます・頂きます 3685 若いころは好き嫌いなく何でもいただきましたが、最近は年のせいか、お肉はあまり{いただけなく}なりました。 食べる 9 いらっしゃいます 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語で、「行く・来る・いる」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す。辞書形は「いらっしゃる」で、マス形は例外的な活用形になる。「おいでになります」とほぼ同じ意味機能。同じ尊敬語の「行かれる・来られる・おられる」より敬意の程度が高い。 3592 「裕美さんのお母さんは、今日はお宅に{いらっしゃらない}ようですよ」 いる 10 ~う・~よう 0026-001 提案 誘い 4 話し手自身と同じことを一緒にするように誘うときに使う。聞き手の意向を尋ねないで、積極的に誘う言い方。また、誘いや提案を受け入れるときも使う。その場合、「〜」を繰り返さない言い方として「そうしよう」がよく使われる。また、聞き手や聞き手を含む多数の人に呼びかけるときにも使う。「〜ましょう」の普通体で、友達や家族など心理的に近い人に言ったり、丁寧さが重要でない場面で使ったりする。「一緒に」などの表現をよく一緒に使う。 1315 皆で環境問題について考え{よう}。 V(よ)う 11 ~う・~よう 0026-004 提案 提案|申し出 4 聞き手の利益になる行為を話し手がすることを申し出るときに使う。聞き手の意向を尋ねないで、積極的に申し出る言い方。「〜ましょう」の普通体で、友達や家族など心理的に近い人に言ったり、丁寧さが重要でない場面で使ったりする。 1319 「うーん。びんのふたが開かない」「どれ、僕がやってみ{よう}」 V(よ)う 12 ~う・~よう 0001-001 意志 意志 4 話し手の意志を表す。「~」は意志動詞。話し手が心の中で思ったり、ひとりごとのようにつぶやいたり、日記に書いたりするときに使う。主語は一人称だが、ふつう、文中に現れない。 2309 「海はいいなあ。来年もまたここに来{よう}ね」 V(よ)う 13 ~うか・~ようか 0026-003 提案 提案 4 話し手自身と同じことを一緒にするように聞き手に提案するときに使う。「〜ましょうか」の普通体として、友達・家族など心理的に近い人に言う。 1295 「この後、どうし{ようか}」「そうだね。海のほうにでも行ってみ{ようか}」 V(よ)うか 14 ~うか・~ようか 0026-004 提案 提案|申し出 4 聞き手の利益になる行為を話し手がすることを申し出るときに使う。「〜ましょうか」の普通体として、友達・家族など心理的に近い人に言う。 1300 父「今度の日曜日、水族館に連れてってあげ{ようか}」子「うん!行きたい!」 \\ V(よ)うか 15 うかがいます 0013-001 敬語 謙譲 4 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「聞く・訪問する」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者と関わる動作を表す。表記:うかがいます・伺います 3719 「さっきお留守でしたけど、どこに行かれたんですか?」「田中さんのお宅に{うかがって}いたんですよ」 訪問する 16 ~うっと・~ようっと 0001-001 意志 意志 3 話し手の意志を表す。その場で決心したことに使い、独り言の場合が多い。「〜うと思う・〜ようと思う」のくだけた言い方。「~」は意志動詞。主語は一人称だが、文中に現れないことが多い。 2325 あしたは暇だから一日中DVDを見{ようっと}。 V(よ)うっと 17 ~うと思う・~ようと思う 0001-001 意志 意志 4 話し手の意志を表す。その場で決心したことに使う。「~」は意志動詞。主語は一人称だが、文中に現れないことが多い。他者の意志を表す場合は「~らしい・~そうだ・~と言っている」などの言葉を文末につけて使う。「~つもりだ」と意味機能が似ているが、「~つもりだ」より具体的な想定が弱い。くだけた言い方として「~ようっと」もある。 2315 小学生料理コンテストで優勝した木山めいさん。忙しいお母さんを助けるために、自分で料理を作れるようになろ{うと思った}のだそうだ。 V(よ)うと思う 18 ~うと思っている・~ようと思っている 0001-001 意志 意志 4 話し手の意志を表す。ある意志をずっと持ち続けているときに使う。「~」は意志動詞。主語は一人称だが、文中に現れないことが多い。他者の意志を表す場合は「~らしい・~そうだ・~と言っている」などの言葉を文末につけて使う。「~つもりだ」と意味機能が似ているが、「~つもりだ」より具体的な想定が弱い。くだけた言い方として「~ようっと」もある。 2320 ケン君は音楽の道に進も{うと思っている}らしい。 V(よ)うと思っている 19 ~うとしない・~ようとしない 0001-001 意志 意志 3 話し手以外の人が期待されている~の行為をする意志が全くない様子を表す。「~」は意志動詞。 2340 何か隠し事があるようだったが、彼女は話そ{うとしなかった}。わたしも聞かなかった。 V(よ)うとしない 20 ~うとする・~ようとする 0001-001 意志 意志 3 ~の動作の実現を試みることを表す。実現を試みるがうまくいかないという意味で使うことが多い。「~」は意志動詞。 2330 彼女に本当のことを言お{うとした}が、結局言えなかった。 V(よ)うとする 21 ~うとする・~ようとする 0029-009 直前 3 ~の行為を始める直前であることを表す。行為の直前に何か予期しないことが起こったという意味で使うことが多い。「~」は意志動詞。 2335 さあ、出発し{ようとした}瞬間、自転車がパンクした。 V(よ)うとする 22 お~ 0013-004 敬語 丁寧 4 名詞・形容詞・副詞について、聞き手や第三者を高めていうときに使う。「〜」は聞き手や第三者に関係がある事柄を表す言葉の場合も、聞き手や第三者に関係がある話し手の動作を表す言葉の場合もある。また、物事を上品に言おうとするときにも使う。この場合は「〜」は聞き手や第三者に関係ない事柄。ふつう和語(「水・家・忙しい・早い」など)につくことが多いが、日常的によく使う漢語(「電話・元気・得意」など)にもつく。また、和語でも「ゆっくり・もっとも」などの副詞は例外として「ご~」の形をとる。 3769 当資料館はどなたでも無料でご覧いただけます。{お}気軽にお立ち寄りください。 おna-A 23 お~いたします 0013-001 敬語 謙譲 3 話し手の動作を低めて言うことで、聞き手を高めるための謙譲語。話し手が聞き手や目上の人として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。「~」は、話し手が聞き手のためにする動作や、聞き手と関わる動作の和語動詞(「作る・話す」など)。日常的によく使う漢語動詞では、例外として「お〜します」を使うものもある(「電話する・約束する」など)。「ます」の前が1音節の動詞(「見る・いる」など)はこの形をとらない。「お~します」より改まった言い方。表記:お~いたします・お~致します 3656 「今日は今から用事で出かけなくてはいけませんので、また明日{お}電話{いたします}ね」「はい、お待ちしております」 お+する動詞のNいたします 24 お~いただけませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 3 聞き手に対する依頼・指示を表す。「~てください」の尊敬語で、話し手が聞き手を目上として扱うことによって、聞き手との心的距離を取る方法として使われるが、聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「お~ください」より丁寧。また、聞き手を主語にしないで頼むので、「お〜くださいませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。「~」は聞き手(客・目上の人・心理的に遠い人など)の動作を表す動詞で、基本的には「話す・聞く」などの和語動詞だが、日常的によく使う漢語動詞では、例外的に使うものもある(「電話する・約束する」など)」。「ます」の前が1音節の動詞(「ねます・います」など)はこの形をとらない。 1180 市民「市長、どうかこの問題について、今後きちんと議論の場を設けていくと{お}約束{いただけませんか}」 (市民会議で) お+する動詞のNいただけませんか 25 お~ください 0003-001 依頼・命令 依頼 4 聞き手に対する依頼・指示・勧めを表す。「~てください」の尊敬語。話し手が聞き手を目上として扱うことによって、聞き手との心的距離を取る方法として使われる。聞き手(客・目上の人・心理的に遠い人など)の動作を表す動詞につく。当然要求してもいいと考えられる場面で、聞き手の意向を尋ねないで要求する言い方で、レストラン・デパートなどのサービス業などで客に対してよく使われる。「~」は基本的には「話す・聞く」などの和語動詞だが、日常的によく使う漢語動詞では、例外として「お〜します」を使うものもある(「電話する・約束する」など)」。「ます」の前が1音節の動詞(「ねます・います」など)はこの形をとらない。「お〜くださいませ」の形でも使われる。「お〜いただけませんか・お〜くださいませんか」は、より丁寧な依頼・指示の形。 1173 「お名前が呼ばれましたら、隣の会計窓口で{お}支払い{ください}。お大事に」 (病院で) お+する動詞のNください 27 お~くださいませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 3 聞き手に対する依頼・指示を表す。「~てください」の尊敬語で、話し手が聞き手を目上として扱うことによって、聞き手との心的距離を取る方法として使われるが、聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「ご~ください」より丁寧。しかし、聞き手を主語にして頼むので、「お〜いただけませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。「~」は聞き手(客・目上の人・心理的に遠い人など)の動作を表す動詞で、基本的には「話す・聞く」などの和語動詞だが、日常的によく使う漢語動詞では、例外的に使うものもある(「電話する・約束する」など)」。「ます」の前が1音節の動詞(「ねます・います」など)はこの形をとらない。 1185 「お聞きしたいことがございますので、今日中に{お}電話{くださいませんか}。よろしくお願いいたします」 (留守番電話メッセージ) お+する動詞のNくださいませんか 28 お~します 0013-001 敬語 謙譲 4 話し手の動作を低めて言うことで、聞き手や第三者を高めるための謙譲語。話し手が聞き手や第三者を目上の人として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。「~」は、話し手が聞き手・第三者のためにする動作や、聞き手・第三者と関わる動作の和語動詞(「作る・話す」など)。日常的によく使う漢語動詞では、例外として「お〜します」を使うものもある(「電話する・約束する」など)。「ます」の前が1音節の動詞(「見る・いる)など)はこの形をとらない。 3646 「宅配便の不在票が入っていましたが、今日届けていただけますか」「この後ご在宅でしたら、6時までに{お}届け{します}」 おVします 29 お~です 0013-003 敬語 尊敬 3 現在進行中の動作や完了前後の動作を表す。話し手が聞き手や第三者を目上の人として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す動詞につけて使う。一般的に、レストラン・デパートなどのサービス業で客に対してよく使われる表現。 3642 「小松さん、もう{お}帰り{です}か」「ええ、今日は子どもの誕生日なので…」 おVです 30 お~になる 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・親しくない人などの動作を表す動詞につけて使う。 基本的には「話す・聞く」などの和語動詞につく。「ます」の前が1音節の動詞(「見る・いる」など)にはこの形は使えない。同じ尊敬語の「~(ら)れる」より敬意の程度が高い。 3570 「もしよろしかったら、コーヒーでも{お}飲み{になりません}か」 おVになる 31 おいでになります 0013-003 敬語 尊敬 3 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語で、「行く・来る・いる」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す。「いらっしゃいます」とほぼ同じ意味機能。同じ尊敬語の「行かれる」より敬意の程度が高い。 3603 「今日は中山先生は研究室に{おいでにならない}ようですね」 いる 32 おっしゃいます 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語で、「言う」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す。辞書形は「おっしゃる」で、マス形は例外的な活用形になる。同じ尊敬語の「言われる」より敬意の程度が高い。 3615 マッサージ師「力が強すぎたら{おっしゃって}ください」 言う 33 お目にかかります 0013-001 敬語 謙譲 3 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「会う」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者と関わる動作を表す。 3703 「今日は奥様に{お目にかかれなく}て残念ですが、よろしくお伝えください。それでは、失礼致します」 会う 34 お目にかけます 0013-001 敬語 謙譲 3 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「見せる」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者のためにする動作を表す。「ご覧に入れます」とほぼ同じ意味機能。 3892 ただ今から、今世紀最大のマジックショーを{お目にかけ}ましょう。 見せる 36 おります 0013-002 敬語 謙譲|丁寧 4 「いる」の意味で、聞き手との心的距離を取る場面で丁寧に言うときに使う。 3679 娘はイギリスの大学で勉強しておりましたが、今は卒業して日本に{おります}。 いる 37 ~おわる 0028-011 出来事の局面 終了 4 始まりと終わりがある継続している動作・作用・自然現象・習慣などが終わるという意味。ふつう、継続動詞(「読む・食べる・掃除する」など)につくが、多くの主体が瞬間的な動作や出来事を継続している場合は瞬間動詞(「乗る・座る・置く」など)も使う。表記:おわる・終わる 2506 乗客が搭乗し{おわった}ころに、天候不良のため出発が遅れるという機内アナウンスが流れた。 Vおわる 38 ~が 0010-002 逆接 対比 5 〜が他の事柄と対立的であると言いたいときに使う。やや硬い言い方で、くだけた話し言葉では「〜けど」が使われる。 721 姉は専業主婦ではありません{が}、わたしは専業主婦です。 N普通形+が/N丁寧形+が 39 ~が 0010-001 逆接 逆接 5 〜から予想されることと結果が異なると言いたいときに使う。やや硬い言い方で、くだけた話し言葉では「〜けど」が使われる。 742 昨日はいい天気ではなかったです{が}、思い切って山に行ってきました。 N普通形+が/N丁寧形+が 40 ~が 0021-001 状況 前置き 4 質問や依頼、説明などの本題に入る前に、説明するべきことを前もって述べるときに使う。やや硬い言い方で、くだけた話し言葉では「〜けど」が使われる。話し言葉では「〜が。」のように文末に使い、次に続く依頼や質問をはっきり言い切ることを避けて、やわらげを表すこともある。 755 「田舎に帰ってきたんです{が}、これ、お土産です」 その他 41 ~がする 0035-001 様子 感覚 3 五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)で受ける感覚を表す言い方。「~」には「音・声・味・におい・香り・手触り・感じ」など五感で受ける感覚を表す名詞がくるが、「変なにおい・いい香り」のように、何らかの説明語句を伴うのがふつうである。 2932 バスに酔ったのか、吐き気{がした}。 Nがする 42 ~がっている 0035-002 様子 傾向 3 第三者の言動から〜という感情や欲求が推測できる様子であることを表す。「〜」には感情を表す形容詞や欲求・願望を表す「〜たい・〜ほしい」がくる。「〜たい・〜ほしい」と違って欲求の対象を「を」で示す。欲求や感情が他者から観察できるものであることを暗に示すため、場合によっては子供っぽい印象を与え、目上の人について使うと失礼になることがある。 837 課長はよく仕事もできるし気がつくので、部長に重宝{がられている}。 na-Aがっている 43 ~ができる 0006-005 可能 能力 4 能力による実現の可能性を示す。「〜」には、動作を表す言葉やうまく行うために技術が必要な事柄を表す言葉(外国語・楽器・スポーツなど)がくる。 965 「うわさによると部長はテニス{が}かなりお{でき}になるそうだよ」 Nができる 44 ~ができる 0006-001 可能 可能 4 状況による実現の可能性を示す。「〜」には、動作を表す言葉がくる。 971 眠くて、今日はこれ以上勉強{ができない}。 Nができる 45 可能の形 (~れる・~られる) 0006-005 可能 能力 4 人の能力による実現の可能性を表す。動作の対象を「〜を」ではなく「〜が」で表すことが多い。 992 水泳選手だった父は、若いころは30キロ以上{泳げた}と言っていました。 46 可能の形 (~れる・~られる) 0006-002 可能 可能|可能性 4 状況による実現の可能性を表す。動作の対象を「〜を」ではなく「〜が」で表すことが多い。 999 バーゲン商品の返品は{受け付けられません}のでご了承ください。 (デパートの掲示) 47 可能の形 (~れる・~られる) 0006-003 可能 可能|性質 3 人が〜することが可能なものであることを示す。 1006 「昨日、山田が言っていた例の話、あれって{笑えない}話だったよな」 48 可能の形 (~れる・~られる) 0006-004 可能 可能|動作の完了 3 ある作業が完了する・ある仕事が完成することを表す。「最後まで・全部」などの言葉と一緒に使うことが多い。 1011 「このガラス窓が{拭けた}ら、次はあっちをお願いします」 49 ~がほしい 0008-002 希望 欲求 5 話し手が〜を自分のものにしたいという欲求や願望を持っていることを表す。三人称の欲求を表すには「〜と言っている・〜そうだ・〜がっている・〜ようだ」など、伝聞や判断を表す表現を使う。具体物だけでなく、抽象物にも使えるが、「泳ぐこと」など動詞を名詞化したものや、「勉強・運転」などの動作を表す名詞に使うことはできない。イ形容詞として扱う。表記:~がほしい・~が欲しい 802 「お母さん、新しいゲーム買って!」「そんなに{欲しかった}ら、自分のお小遣いを貯めて買いなさいよ」 Nがほしい 50 ~かも 0016-001 根拠に基づく判断 可能性 4 ~の可能性があるというときの推量の言い方。「〜かもしれない」の「しれない」を省略した形で、くだけた言い方。可能性の度合いはいろいろであり、高い場合も低い場合もある。特に根拠がなくても可能性があれば使える。その可能性を恐れたり、期待したりするときに使う。「もしかすると・もしかしたら」などを一緒に使うこともある。はっきり断定するのを避けて、自己主張を強くしない言い方をするときにも使われることがある。 2885 「ずいぶん人が集まってるね」「ほんとだ。何かイベントをやってるの{かも}ね」 その他 51 ~かもしれない 0016-001 根拠に基づく判断 可能性 4 ~の可能性があるというときの推量の言い方。可能性の度合いはいろいろであり、高い場合も低い場合もある。特に根拠がなくても可能性があれば使える。その可能性を恐れたり、期待したりするときに使う。「もしかすると・もしかしたら」などを一緒に使うこともある。はっきり断定するのを避けて、自己主張を強くしない言い方をするときにも使われることがある。「〜かも」は「しれない」を省略した形で、くだけた言い方。 2866 あれ、ネットで注文したのはこの品物じゃなかった{かもしれない}。確認しなければ。 N普通形+かもしれない(例外:Nかもしれない) 52 ~から 0029-004 起点 5 ある状態や継続的な動作・出来事の時間的な起点を表す。「〜」には、時間を表す言葉がくる。後には、状態や動作・出来事の継続のほか、変化、時間の経過を表す文もくる。ある状態や継続的な動作・出来事の時間的な終点を表す「〜まで」とともに使うことも多い。 120 宇宙を飛びたいという子供のころ{から}の夢を今も見続けている。 Nから 53 ~から 0030-001 範囲 起点|空間的起点 5 ある範囲や、動作・出来事の空間的な始点を表す。範囲や動作・出来事の空間的な終点を表す「まで」とともに使うことも多い。 3860 大きい家だなあ。門{から}玄関までの距離も40メートルぐらいありそうだ。 Nから 54 ~から 0030-002 範囲 起点|範囲の起点 4 ある範囲の始点を表す。範囲の終点を表す「〜まで」とともに使うことが多い。 3864 そろそろ就職活動の準備をしなければならないが、何{から}始めたらいいのだろうか。 Nから 55 ~から 0030-003 範囲 起点|変化の起点 3 ある変化の始点を表す。変化の終点を表す「〜に」とともに使われることも多い。 3868 「ここ、本屋さん{から}パン屋さんに変わったんだよ」「本屋さん、なくなっちゃったんだ。残念」 Nから 56 ~から 0015-001 原因・理由 原因・理由 5 物事の原因・理由・根拠を表す。普通形にも丁寧形にも接続する。「(〜のは)〜からだ。」の形でも使う。話し言葉的。話し言葉では、後の文のない「〜から。」の形で使うこともある。 474 「ママ、今日どこかのおばさんに『名前は?』って聞かれたんだけど、知らない人だった{から}答えなかったよ」 N普通形+から/N丁寧形+から 57 ~から 0015-002 原因・理由 原因・理由|前提条件 5 依頼・命令・勧誘の文で、その前提になる条件を提示する。普通形にも丁寧形にも接続する。話し言葉的。話し言葉では、後の文のない「〜から。」の形で使うこともある。 485 「ほら、頂上はもうすぐそこだ{から}、がんばって」 (山登りで) N普通形+から/N丁寧形+から 58 ~がる 0035-002 様子 傾向 4 第三者の言動から〜という感情や欲求が推測できる様子であることを、一般的な性質や特徴として述べる言い方。「〜」には感情を表す形容詞や欲求・願望を表す「〜たい・〜ほしい」がくる。「〜たい・〜ほしい」と違って欲求の対象を「を」で示す。欲求や感情が他者から観察できるものであることを暗に示すため、場合によっては子供っぽい印象を与え、目上の人について使うと失礼になることがある。 824 退社するときはみんなから残念{がられて}辞めたい。 na-Aがる 59 ~くする 0034-001 変化 変化 5 人が意図的に物事を〜の状態に変えることを表すときに使う。イ形容詞で表される状態に変えることを言う場合の形。 1762 姿勢をよ{くする}と、疲れにくくなるし、腰痛や肩こりも治る。 i-Aくする 60 ~くなる 0034-001 変化 変化 5 人や物事が〜の状態に変わることを表すときに使う。人が意図的に引き起こした変化を表すこともできるが、人の意志には注目しないで結果だけを述べる言い方になる。イ形容詞で表される状態に変わることを言う場合の形。 1742 お元気ですか。こちらでは少しずつ暖かい日が多{くなり}、春の足音が聞こえてきました。 (手紙) i-Aくなる 61 ご~ 0013-004 敬語 丁寧 4 名詞・形容詞・副詞について、聞き手や第三者を高めていうときに使う。「〜」は聞き手や第三者に関係がある事柄を表す言葉の場合も、聞き手や第三者に関係がある話し手の動作を表す言葉の場合もある。また、物事を上品に言おうとするときにも使う。この場合は「〜」は聞き手や第三者に関係ない事柄。ふつう漢語(「要望・利用・住所」など)につくが、日常的によく使う漢語では、「お〜」がつくものもある(「電話・元気・得意」など)。また、和語でも「ゆっくり・もっとも」などの副詞は例外として「ご~」の形をとる。表記:ご・御 3779 「よろしければ、ランチでも{ご}一緒にいかがですか?」 副詞 62 ご~いたします 0013-001 敬語 謙譲 3 話し手の動作を低めて言うことで、聞き手を高めるための謙譲語。話し手が聞き手を目上の人として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。「~」は、話し手が聞き手のためにする動作や、聞き手と関わる動作の漢語動詞(「説明する・利用する」など)。日常的によく使う漢語動詞では、例外として「お〜いたします」を使うものもある(「電話する・約束する」など)。「ご~します」より改まった言い方。表記:ご~いたします・ご~致します 3662 「社長、お車は{ご}用意{致さなくて}もかまいませんか」 ご+する動詞のNいたします 63 ご~いただけませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 3 聞き手に対する依頼・指示を表す。「~てください」の尊敬語で、話し手が聞き手を目上として扱うことによって、聞き手との心的距離を取る方法として使われるが、聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「ご~ください」より丁寧。また、聞き手を主語にしないで頼むので、「ご〜くださいませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。「~」は聞き手(客・目上の人・心理的に遠い人など)の動作を表す動詞で、基本的には「説明する・利用する」など漢語動詞の「する」以外の部分だが、日常的によく使う漢語動詞では、例外として「お〜します」を使うものもある(「電話する・約束する」など)」。 3897 保存してあるデータファイルを開こうとすると、エラーが出て開けません。解決方法をご存じでしたら、ご教示いただけませんか。 ご+する動詞のNいただけませんか 64 ご~ください 0003-001 依頼・命令 依頼 4 聞き手に対する依頼・指示・勧めを表す。「~てください」の尊敬語で、話し手が聞き手を目上として扱うことによって、聞き手との心的距離を取る方法として使われるが、「~」は聞き手(客・目上の人・心理的に遠い人など)の動作を表す動詞で、基本的には「説明する・利用する」など漢語動詞の「する」以外の部分だが、日常的によく使う漢語動詞では、例外として「お〜します」を使うものもある(「電話する・約束する」など)」。「ご〜くださいませ」の形でも使われる。「ご〜いただけませんか・ご〜くださいませんか」は、より丁寧な依頼・指示の形。 1191 2階フロントまでは、エスカレーターまたはエレベーターを{ご}利用{ください}ませ。 (ホテル内の掲示) ご+する動詞のNください 66 ご~くださいませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 3 聞き手に対する依頼・指示を表す。「~てください」の尊敬語で、話し手が聞き手を目上として扱うことによって、聞き手との心的距離を取る方法として使われるが、聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「ご~ください」より丁寧。しかし、聞き手を主語にして頼むので、「ご〜いただけませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。「~」は聞き手(客・目上の人・心理的に遠い人など)の動作を表す動詞で、基本的には「説明する・利用する」など漢語動詞の「する」以外の部分だが、日常的によく使う漢語動詞では、例外として「お〜します」を使うものもある(「電話する・約束する」など)」。 1194 ただいまご紹介キャンペーン中!ABCイングリッシュスクールにご家族、お友達を{ご}紹介{くださいませんか}。ご紹介くださった方に1レッスン無料とさせていただきます。 (広告) ご+する動詞のNくださいませんか 67 ご~します 0013-001 敬語 謙譲 4 話し手の動作を低めて言うことで、聞き手や第三者を高めるための謙譲語。話し手が聞き手や第三者を目上の人として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。「~」は、話し手が聞き手・第三者のためにする動作や、聞き手・第三者と関わる動作の漢語動詞(「説明する・利用する」など)。日常的によく使う漢語動詞では、例外として「お〜します」を使うものもある(「電話する・約束する」など)。 3651 「6時に2名で予約した井上ですが」「井上様ですね。すぐにお席に{ご}案内{します}ので、こちらにおかけになってお待ちください」 (レストランで) ご+する動詞のNします 68 ご~になる 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す動詞につけて使う。基本的には「説明する・利用する」などの漢語動詞の「する」以外の部分につくが、「電話する・約束する」などの例外もある。同じ尊敬語の「~(ら)れる」より敬意の程度が高い。 3575 万葉集について、先生が{ご}説明{になった}後でご質問を受け付けます。 ご+する動詞のNになる 69 ございます 0013-004 敬語 丁寧 4 「あります」の丁寧な言い方。聞き手との心的距離を取るために使う。一般的に、レストラン・デパートなどのサービス業で客に対してよく使われる表現。 3756 昔、このあたりに公園が{ございました}が、今は宅地になっております。 ある 70 ご存じです 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の状態を高めて言うための尊敬語で、「知っている」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの状態を表す。表記:ご存じです・ご存知です 3623 課長は、そのスケジュール変更については{ご存知ではありませんでした}。 知っている 71 ~ことがある 0012-001 経験 経験 4 発話時までの経験を表す。過去の時点での動作・出来事を説明するのではなく、発話の時点で経験として自覚していることを言う。「一度・一回・何度か・何度も」など、回数を表す表現とよく一緒に使われるが、「よく・いつも」など日常的にしていることには使わない。ふつう「昨日・先月」など近い過去を表す言葉とは一緒に使わない。否定形は「〜ことがない」または「〜ことはない」。 324 この歌手は、まだ売れていなかったころ、ライブの客が5、6人だった{ことがある}そうだ。 Nだったことがある/Nではなかったことがある 72 ~ことがある 0012-002 経験 時々 3 日常的にではないが、時にはある動作や出来事が起こることを表す。「たまに・ときどき」など少ない頻度を表す表現と一緒に使うことができるが、よく起こることには使えない。否定形の「〜ことはない」は、その動作や出来事がまったく起こらないことを表す。「〜こともある」の形も似た意味機能を持つ。 426 我が家では朝食はたいていご飯を食べるが、家族が起きる時間によっては、時々ご飯じゃ{ないことがある} Nのことがある/Nであることがある/Nで (は)ないことがある 73 ~ことができる 0006-005 可能 能力 4 能力による実現の可能性を表す。「〜れる・〜られる」よりもやや硬い言い方。否定の場合は「〜ことはできない」が使われることが多い。 977 料理を習い始めたころは、とても簡単な料理しか作る{ことができなかった}が、今はだいぶレパートリーが増えた。 Vることができる 74 ~ことができる 0006-001 可能 可能 4 状況による実現の可能性を表す。「〜れる・〜られる」よりもやや硬い言い方に聞こえる。否定の場合は「〜ことはできない」が使われることが多い。 983 幼なじみのわたしたちは、近くに住んでいたころはいつでも会う{ことができた}が、わたしが外国にいる今は、そうはいかない。 Vることができる 75 ~ことがない 0012-004 経験 未経験 4 これまで経験がないことを表す。「〜ことがある」の否定の形。過去の時点での動作・出来事を説明するのではなく、発話の時点で経験として自覚していることを言う。「一度も・全く」などの表現と一緒に使われる。ふつう過去のある時点を表す言葉とは一緒に使わないが、「昔・子どもの頃」のように幅のある期間は使える。「〜ことはない」とほぼ同じ意味機能。 365 彼にはみんなをまとめる力があるので、グループ活動するとき彼がリーダーじゃなかった{ことがない}。 Nだったことがない/Nで(は)なかったことがない 76 ~ことにしている 0014-002 決定 決意|習慣 4 すでにそう意志決定してその状態を保っていると言いたいときに使う。話し手が自分で決めた習慣などを言うときに使う。主語は基本的に一人称。他者の意志を表す場合は「~らしい・~そうだ・~と言っている」などの言葉を文末につけて使う。 2441 A社はすでにこの製品は生産しない{ことにしている}らしい。最近見かけなくなった。 Vることにしている/Vないことにしている 78 ~ことにする 0014-001 決定 決意 4 話し手の意志で、~をすると決める・決めたと言いたいときに使う。話し手の積極的な姿勢を表す。主語は基本的に一人称。他者の意志を表す場合は「~らしい・~そうだ・~と言っている」などの言葉を文末につけて使う。 3889 みなさん、このボランティア活動の運営資金が少なくなってきて心細いですけど、行政には頼らない{ことにしません}か。 Vることにする/Vないことにする 79 ~ことになる 0014-003 決定 決定 4 自分の意志で決めることではなく、周囲の事情によって、または複数の人の合意で〜という行為・動きが決まるということを表す言い方。ただし、話し手の意志だけで決める場合でも、自分の積極的な姿勢を表面に出さないで言うときには使うことがある。 2426 検討した結果、本校は今年度、運動会は行わない{ことになりました}。 Vることになる/Vないことになる 80 ~ことはない 0012-004 経験 未経験 4 これまで経験がないことを表す。「〜ことがある」の否定の形。過去の時点での動作・出来事を説明するのではなく、発話の時点で経験として自覚していることを言う。「一度も・全く」などの表現と一緒に使われる。ふつう過去のある時点を表す言葉とは一緒に使わないが、「昔・子どもの頃」のように幅のある期間は使える。「〜ことがない」とほぼ同じ意味機能だが、「〜ことがない」よりも否定の意味が強い。 379 大人になってから、体重が60キロ以上でなかっ{たことはない}。 Nだったことはない/Nで(は)なかったことはない 81 ~ことはない 0012-003 経験 非実現 4 ある動作や出来事が全く起こらないことを表す。「決して・絶対に」などの言葉と一緒に使われることが多い。 392 夕暮れ時の空は一瞬も同じ景色である{ことはない}。 Nのことはない/Nであることはない 82 ~こともある 0012-002 経験 時々 4 通常起こらない動作や出来事が、予想に反してときどき起こることを表す。「最近・この頃」や「たまに・時々」などの言葉と一緒に使うことが多い。「〜ことがある」と似た意味機能で、ある動作や出来事が起こる可能性があるが、より頻度が低いときに使われる。 445 バッグなどの製品で「本革」と宣伝されていても、一部しか本革で{ないこともある}。   Nのこともある/Nであることもある/Nで(は)ないこともある 83 ご覧に入れます 0013-001 敬語 謙譲 3 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「見せる」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者のためにする動作を表す。「お目にかけます」とほぼ同じ意味機能。 3706 「社長、お客様に新商品を{ご覧に入れました}ところ、大変好評でした」 見せる 84 ご覧になります 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語で、「見る」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す。同じ尊敬語の「見られる」より敬意の程度が高い。 3619 藤田先生は若いとき、奥様のお写真を{ご覧になって}一目惚れされたようです。 見る 85 ~される・~せられる・~させられる 0005-002 受身 使役受身 3 話し手や心理的に話し手に話し手に近い人がある人の命令や指示を受けて、仕方なくある行為をするときに使う。行為をさせる人(使役者)は「~に」で示す(「被使役者」は/が「使役者」に(~を)~される)。Iグループの動詞は「~せられる」より「~される」を使うことが多い。 3560 いくつになっても、息子には心配{させられて}います。 Vされる/Vせられる/Vさせられる 86 ~される・~せられる・~させられる 0005-003 受身 使役受身|感情誘発 3 ある人や物や出来事などが原因で、何かの感情が起こることを表すときに使う。「〜」は感情を表す自動詞(「驚く・感心する・笑う・心配する」など)。感情の原因となる人・物・出来事(使役者)は「~に」で示す(「被使役者」は/が「使役者」に~される)。Iグループの動詞は「~せられる」より「~される」を使うことが多い。 3565 なかなか料理が出てこなくて、1時間も待た{された}。 Vされる/Vせられる/Vさせられる 87 ~し 0033-004 並列・列挙 累加 4 同じ性質の二つの事柄を並べて言うときに使う。二つの事柄は、話し手が関連があると考えていることで、プラスかマイナスかの同じ評価をしている事柄。話題に対する話し手の評価または数や種類の多さなどを強調する。「〜」が「名詞+助詞」が入る文のとき、助詞「が・を」は「も」で入れ替え、他の助詞の場合は、「でも・にも・へも・からも」のように、助詞の後に「も」がつく形になる。「〜し」は三つ以上の場合もある。話し言葉的。 299 久しぶりの旅行でした{し}、天候にも恵まれました。いい週末でした。 N普通形+し/N丁寧形+し 88 ~し 0033-001 並列・列挙 原因・理由 4 物事の理由を表す。「〜」は後にくる判断・主張・評価・過去の出来事の理由として特に代表的なものを表し、文中に述べた以外にも理由があると暗示する。「〜」が「名詞+助詞」が入る文のとき、助詞「が・を」は「も」で入れ替え、他の助詞の場合は、「でも・にも・へも・からも」のように、助詞の後に「も」がつく形になる。「〜し」は一つでも二つ以上でもよい。話し言葉的。話し言葉では、後の文のない「〜し。」の形で使うこともある。 658 「先生、編集のことで明後日、お宅にうかがってもいいでしょうか」「いや~、ここは交通が不便なところです{し}、わざわざおいでいただくのは恐縮です。電話でも…」 N普通形+し/N丁寧形+し 89 ~じゃいけない 0003-003 依頼・命令 禁止 4 〜の状態が望ましくないことや、一般的な規則として可能ではないことを表すときに使う。「〜」がナ形容詞、名詞の場合に使われる。「〜ではいけない」のくだけた言い方。ふつう、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。 1561 最近だんだん太ってきて、このまま{じゃいけない}と思ったので、ジョギングを始めた。 Nじゃいけない 90 ~すぎ 0027-001 程度 過度 4 通常の程度や頻度を超えて、不都合が生じる状態であることを表す。名詞として扱う。表記:〜すぎ・〜過ぎ 3826 「あの場所は危険{過ぎ}だ。近づかないほうがいいよ」 na-Aすぎ 91 ~すぎる 0027-001 程度 過度 4 通常の程度や頻度を超えて、不都合が生じる状態になることを表す。表記:〜すぎる・〜過ぎる 3814 僕の恋人がきれい{すぎて}、他の男に取られないかと心配しています。 na-Aすぎる 92 ~せて・~させて 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて、聞き手に許可を求めるときに使う。「〜せてください・〜させてください」を短く省略した形。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。当然許可を求めてもいいと考えられる場面で、許可を与えることができる立場の人に対して、意向を尋ねないで要求する。くだけた言い方で、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。 1204 子「お母さん、僕もお手伝いしたいな。僕にも何か{させて}」母「じゃ、このトマトを洗ってね」 V(さ)せて 93 ~せていただけますか・~させていただけますか 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて聞き手に許可を求める時に使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。「〜せてもらえませんか・〜させてもらえませんか」の敬語の形で、許可することができる立場の、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜せてください・〜させてください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜せていただけませんか・〜させていただけませんか」より丁寧度が低い。 1223 「10日の6時に4人で予約した山田ですが、時間を6時半に変更{させていただけますか}」「6時半に変更ですね。承知しました」 (レストランに電話で) V(さ)せていただけますか 94 ~せていただけませんか・~させていただけませんか 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて聞き手に許可を求める時に使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。「〜せてもらえませんか・〜させてもらえませんか」の敬語の形で、許可することができる立場の、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜せてください・〜させてください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜せていただけますか・〜させていただけますか」より丁寧度が高い。また、許可する人を主語にしないで要望するので、「〜せてくださいませんか・〜させてくださいませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。「〜せていただけないでしょうか・〜させていただけないでしょうか」は柔らかい言い方で、丁寧度が高い。 1219 学生「大変申し訳ありませんが、病気で受けられなかった試験を、今からでも受け{させていただけないでしょうか}」 V(さ)せていただけませんか 95 ~せてください・~させてください 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて、聞き手に許可を求めるときに使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。当然許可を求めてもいいと考えられる場面で、許可を与えることができる立場の人に対して、意向を尋ねないで要求する。「ください」がない「〜せて・〜させて」の形は、友達や家族など心理的に近い人に言うときに使う。 1199 「今日はわたしが無理に誘ったんですから、わたしに払わ{せてください}」 V(さ)せてください 96 ~せてくださいますか・~させてくださいますか 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて聞き手に許可を求めるときに使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。「〜させてくれませんか」の敬語の形で、許可することができる立場の、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜せてください・〜させてください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜せてくださいませんか・〜させてくださいませんか」より丁寧度が低い。 1240 今後のスケジュールについては改めて調整{させてくださいますか}。よろしくお願いいたします。 V(さ)せてくださいますか 97 ~せてくださいませんか・~させてくださいませんか 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて聞き手に許可を求めるときに使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。「〜させてくれませんか」の敬語の形で、許可することができる立場の、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜(さ)せてください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜せてくださいますか・させてくださいますか」より、丁寧度が高い。しかし、許可する人を主語にして要望するので、「〜せていただけませんか・〜させていただけませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。 1237 「すみません、少しだけ車をここに止め{させてくださいませんか}。荷物を下ろしたら、すぐ動きますので」 V(さ)せてくださいませんか 98 ~せてくれますか・~させてくれますか 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて聞き手に許可を求めるときに使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。許可を与えることができる立場の人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜せてください・〜させてください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜せてくれませんか・〜させてくれませんか」より丁寧度が低い。 1232 子「お母さん、ゲーム、やりたい。宿題終わったら、{させてくれる}?」母「いいよ。宿題終わったらね」 V(さ)せてくれますか 99 ~せてくれませんか・~させてくれませんか 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて聞き手に許可を求めるときに使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。許可を与えることができる立場の人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜せてください・〜させてください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜せてくれますか・〜させてくれますか」より丁寧度が高い。しかし、許可する人を主語にして要望するので、「〜せてもらえませんか・〜させてもらえませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。 1228 「そういえば、この間の旅行はどうだった?話、聞か{せてくれない}?」 V(さ)せてくれませんか 100 ~せてもらえますか・~させてもらえますか 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて聞き手に許可を求めるときに使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。許可を与えることができる立場の人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜せてください・〜させてください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜せてもらえませんか・〜させてもらえませんか」より丁寧度が低い。 1214 「その漫画、あとでわたしにも読ま{せてもらえる}?」「いいよ。読み終わったらね」 V(さ)せてもらえますか 101 ~せてもらえませんか・~させてもらえませんか 0003-002 依頼・命令 許可の依頼 3 話し手自身がしたいことについて聞き手に許可を求めるときに使う。聞き手の利益になる行為の場合、申し出の意味になる。「〜」の行為をする人を文中に示さないことも多いが、特に明確にしたいときは、「〜」が他動詞の場合は「〜に」、自動詞の場合は「〜を」か「〜に」で示すことができる。許可を与えることができる立場の人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜せてください・〜させてください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜せてもらえますか・〜させてもらえますか」より、丁寧度が高い。また、許可する人を主語にしないで要望するので、「〜せてくれませんか・〜させてくれませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。 1209 「ファッション雑誌なんだけど、ちょっと写真を撮ら{せてもらえない}?」「え、わたしですか」 (街頭で) V(さ)せてもらえませんか 102 ~せる・~させる 0017-002 使役 強制 4 ほかの人にある行為をすることを強制することを表す。一般的には、目上から目下への行為の強制。ふつう、「〜」が自動詞の場合、実際にある行為をする人(被使役者)は「~を」で示す(「使役者」は/が「被使役者」を~(さ)せる)。「〜」が他動詞の場合は、実際にある行為をする人(被使役者)は「~に」で示す(「使役者」は/が「被使役者」に~を~(さ)せる)。 3488 運転者には同乗者にもシートベルトを着用{させる}義務があります。もしシートベルトを{させなかった}場合は警察に注意されると思います。 Vせる/Vさせる 103 ~せる・~させる 0017-001 使役 感情誘発 4 ある人の行為やある出来事が原因で、ほかの人が何かの感情を持つことを表す。「〜」は感情を表す自動詞(「驚く・感心する・笑う・心配する」など)を表す自動詞。実際に感情を持つ人や変化する物事(被使役者)は「~を」で示す。原因を「〜て」で示すことも多い。 3494 わたしは自分の心ない発言で、友達を不快に{させて}しまったことを後悔している。 Vせる/Vさせる 104 ~せる・~させる 0017-004 使役 原因 2 ある人の行為や出来事が原因で、ある事態が起こることを表す。「〜」は結果として起こる事態を表す自動詞。変化する物事(被使役者)は「~を」で示す。(「使役者」は/が「被使役者」を~(さ)せる)。硬い言い方。 3497 言語の獲得は人類の思考能力を飛躍的に発達{させた}。 Vせる/Vさせる 105 ~せる・~させる 0017-003 使役 許可 4 ほかの人がある行為をすることを許可・容認することを表す。また、ほかの人の行動を妨げないで、そのままの状態にしておくことを表す。基本的には、「〜」が自動詞の場合は、許可・容認してもらう人(被使役者)は「~を」で示す(「使役者」は/が「被使役者」を~(さ)せる)。「〜」が他動詞の場合は、許可・容認してもらう人は「~に」で示す(「使役者」は/が「被使役者」に~を~(さ)せる)。「〜てあげる・〜てもらう・〜てくれる」や「〜ておく」などと組み合わせて使うことが多い。 3505 目が悪くなるといけないので、子供たちには、まだインターネットをやら{せて}いません。 Vせる/Vさせる 106 ~せる・~させる 0017-005 使役 責任 3 好ましくない出来事が起こったことに責任があることを表す。話し手自身に責任があるときは後悔、聞き手や第三者に責任があるときは非難を表す。「〜てしまう」と組み合わせて使うことが多い。基本的には、「〜」が自動詞の場合は、出来事の主体(被使役者)は「~を」で示す(「使役者」は/が「被使役者」を~(さ)せる)。「〜」が他動詞の場合は、出来事の主体は「~に」で示す(「使役者」は/が「被使役者」に~を~(さ)せる)。 3510 肥料のやり方を間違え、草木を弱ら{せて}しまった。 Vせる/Vさせる 107 ~せる・~させる 0017-007 使役 補助 3 ほかの人の動作を手助けすることを表す。その人の意志だけでは動作ができない場合に言う。基本的には、「〜」が自動詞の場合は、動作をする人(被使役者)は「~を」で示す(「使役者」は/が「被使役者」を~(さ)せる)。「〜」が他動詞の場合は、動作をする人は「~に」で示す(「使役者」は/が「被使役者」に~を~(さ)せる)。 3513 「子供に靴を履か{せる}のを手伝って」「5歳になるのにまだ一人で履けないの?」 Vせる/Vさせる 108 ~せる・~させる 0017-006 使役 他動詞化 2 自動詞を他動詞のように使う言い方。「〜」は自動詞で、それに対応する他動詞がない場合に使う。また、人や物の動作や変化を、その人や物の部分に対する作用のように表現する用法もある。この用法では「〜」の自動詞に対応する他動詞があり、それを使った場合とほぼ同じ意味機能になる。慣用的な表現が多い。 3519 子どもがケガをしないように、常に目を光ら{せて}います。 Vせる/Vさせる 109 ~そうだ 0016-005 根拠に基づく判断 伝聞 4 聞いたり読んだりして得た情報を伝える伝聞の言い方。「〜らしい」よりも情報源がはっきりしている。情報源は「~によると・~の話では・ ~では・~から聞いたが」などを使って表す。普通形に接続するが「~だろう・~らしい・~ようだ」などには接続しない。過去や否定や疑問の形はない。 2654 「げんと君のお父さんは昔、力士だった{そうだ}よ。あまり強い力士じゃなかったそうだけど…」 N普通形+そうだ 110 ~そうだ 0016-007 根拠に基づく判断 様子 4 外見の様子を表す言い方。外見そのものについて言うのではなく、外見からいかにもそのように感じられると想像したことを表す。したがって、客観的に見てすぐわかるような予測や推測の余地のないことには使えない。主として形容詞につく。「金を持っている・何か知っている」など、動詞でも状態を表す形容詞的なものは様子を表す言い方ができる。 また、楽しい・うれしい・くやしい・痛いなど感情を表す形容詞は三人称には直接使わないので、「~そうだ」を使って様子を表す。「~そうな・~そうで・~そうに」のようにナ形容詞と同じ活用をする。 2672 美幸は外国で家庭をもった。先月訪ねていったら、幸せ{そうに}暮らしていた。 na-Aそうだ 111 ~そうだ 0016-004 根拠に基づく判断 直前の様子 4 様子から判断して、もうすぐ何かが起こる、または、変化の寸前であると言いたいときに使う。「~」は基本的に切れる・壊れるなどの瞬間動詞。「今にも・もうすぐ」などの言葉と一緒に使われることが多い。「~そうな・~そうで・~そうに」のようにナ形容詞と同じ活用をする。 2698 あしたは早く帰れ{そうで}よかった。見たいテレビがあるんだ。 Vそうだ 112 ~そうだ 0016-008 根拠に基づく判断 予想 4 いろいろな状況から話し手が総合判断した推量・予感・可能性などを言うときに使う。「~そうな・~そうで・~そうに」のようにナ形容詞と同じ活用をする。  2706 どうしてわざわざ危険{そうな}道を選ぶんですか。自分を試すためですか。 na-Aそうだ 113 ~そうにない 0016-008 根拠に基づく判断 予想 4 すぐには変化がない・すぐに何かが起こることはないと話し手が判断したときに使う。また、外見の様子から判断して、また、いろいろな状況から総合判断して、実現の可能性はないと言いたいときにも使う。「~そうもない・〜そうにもない」とほぼ同じ意味機能。 2711 友達から旅行のお土産のシャツをもらった。自分では選び{そうにない}色だった。 Vそうにない 114 ~そうにもない 0016-008 根拠に基づく判断 予想 4 すぐには変化がない・すぐに何かが起こることはないと話し手が判断したときに使う。また、外見の様子やいろいろな状況から総合判断して、実現の可能性はないと言いたいときにも使う。「~そうもない・〜そうにない」とほぼ同じ意味機能。 2716 実現性の低い事業は成功し{そうにもない}ので、潔く撤退したほうがいい。 Vそうにもない 115 ~そうもない 0016-008 根拠に基づく判断 予想 4 すぐには変化がない・すぐに何かが起こることはないと話し手が判断したときに使う。また、外見の様子やいろいろな状況から総合判断して、実現の可能性はないと言いたいときにも使う。「〜そうにない・~そうにもない」はほぼ同じ意味機能。 2721 「すみません。明後日からの2泊の予約、キャンセルします。風邪が治り{そうもない}んです」 (ホテルに電話で) Vそうもない 116 存じております 0013-001 敬語 謙譲 3 話し手の状態を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「知っている」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者と関わる状態を表す。 3713 先生の論文の内容についてはよく{存じ上げて}おります。 知る 117 存じます 0013-001 敬語 謙譲 3 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「思う」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者と関わる動作を表す。 3711 その件については何も{存じません}ので、お答えすることができません。 知る 118 ~たい 0008-002 希望 欲求 5 話し手が〜を実現する欲求や願望を持っていることを表す。三人称の欲求を表すには「〜と言っている・〜そうだ・〜がっている・〜ようだ」など、伝聞や判断を表す表現を使う。目的語は、短い文で強調して言う場合は「が」で示すが、構造がやや複雑な文の場合「を」で示すことが多い。イ形容詞として扱う。 809 「本当のことを言うと、恋人とは別れ{たくなかった}んですが…」 Vたい 119 ~だす 0028-001 出来事の局面 開始 3 ~の動作や出来事が始まることを表す。人の意志で抑えにくい動きについて言うことが多い。意外感のある動きに使われることが多い。その感じを表すために「突然・急に・だしぬけに・いきなり」などをよく一緒に使う。話し手の意志を表す文の中では使えない。 表記:だす・出す 2457 今月に入って、ビールの売り上げが急に伸び{だした}。 Vだす 120 ~たところだ 0028-012 出来事の局面 終了直後 4 始まりと終わりがある一連の動作・出来事の流れにおいて、今の時点でその動作・出来事が完了直後だということを特に言いたいときに使う。発話の主目的は「時点」であるから、実際に直後でなければ使えない。「たった今」と一緒に使われることが多い。 2511 岩下さんが慌てて入ってきたが、もう会議は終わって、後片づけを始め{たところだった}。 Vたところだ 121 ~たばかりだ 0028-012 出来事の局面 終了直後 4 ある動作・作用の完了後からまだ時間がわずかしか経過していないということを特に言いたいときに使う。「~から・~ので・~だが・~のに」などと一緒に使い、あることを言うために前置き的に使われることが多い。「~」の動作の完了直後でなくても、話し手が時間経過が短いと判断した場合は使える。「~たばかりの」の形で名詞につながる例もある。 2516 日本に来{たばかり}の頃は、毎日寂しかった。 Vたばかりだ 122 ~ため 0015-001 原因・理由 原因・理由 3 物事の因果関係を論理的に説明するときに使う。後には、話し手の意志や希望を表す表現はこない。あまり一般的ではないマイナスイメージの事柄に使われることが多い。「〜ために」とほぼ同じ意味機能。「(〜のは)〜ためだ。」の形でも使う。書き言葉的で、少し硬い言い方。 702 ツアーの1日目は晴天ではなかった{ため}、期待していた景色は見られなかった。   N普通形+ため(例外:Nのため) 123 ~ため 0015-003 原因・理由 目的 4 行為の目的を表す。「〜」は意志動詞か意志動作を表す名詞。後にも意志動詞の表現がくる。「〜」と後の文の主語は同じ。「(〜のは)〜ためだ。」の形でも使う。名詞を説明する形は「〜ためのN」。「〜ために」とほぼ同じ意味機能だが、より硬い言い方。 942 研究の{ため}の資金がどうしても足りない。これではいい研究ができない。 Nのため 124 ~ため 0015-004 原因・理由 目的|利益の対象 4 行為の利益の対象を表す。「〜」は人や団体などを表す名詞。後には、意志動詞を使った表現がくる。名詞を説明する形は「〜ためのN」。「〜ために」とほぼ同じ意味機能だが、より硬い言い方。 946 ここはひまわり園という高齢者と幼児の{ため}の施設です。 Nのため 125 ~ために 0015-001 原因・理由 原因・理由 3 物事の因果関係を論理的に説明するときに使う。後には、話し手の意志や希望を表す表現はこない。あまり一般的ではないマイナスイメージの事柄に使われることが多い。「〜ため」とほぼ同じ意味機能。書き言葉的で、少し硬い言い方。 678 学生の頃、成績優秀者ではなかった{ために}、奨学金をもらうことができなかった。 N普通形+ために(例外:Nのために) 126 ~ために 0015-003 原因・理由 目的 4 行為の目的を表す。「〜」は意志動詞か意志動作を表す名詞。後にも意志動詞の表現がくる。「〜」と後の文の主語は同じ。「〜ため」とほぼ同じ意味機能。             930 これは、今度の旅行の{ために}買ったスーツケースです。 Nのために 127 ~ために 0015-004 原因・理由 目的|利益の対象 4 行為の利益の対象を表す。「〜」は人や団体などを表す名詞。後には、意志動詞を使った表現がくる。名詞を説明する形は「〜ためのN」。「〜ため」とほぼ同じ意味機能。 935 「お母さんの{ために}、かわいいお土産を買ったよ。待っていてね」 (電話で) Nのために 128 ~たら 0029-001 4 これから必ず実現することがわかっている~が実現した後で、あることをする・あることが起こると言いたいときに使う。後には、話し手の意志を表す文や働きかけの文がよく使われる。 93 「その本、面白そうだね」「面白いよ。読み終わっ{たら}貸してあげる」 Vたら 129 ~たら 0022-001 条件 仮定 4 もし~が成立した場合には、ある事柄が成立すると言いたいときに使う。「〜」の後のことに注目して述べる言い方。後の文には制限はない。「もし」と一緒に使われることが多い。話し言葉的。 3043 「納涼会はいつがいい?」「月曜日じゃなかっ{たら}、わたしはいつでもいいよ」 Nだったら/Nで(は)なかったら 130 ~たら 0022-002 条件 仮定|前置き 4 ~の後に続く内容(発言・判断・考えなど)が、どのような条件・立場・観点から行われるのかを前もって予告するときに使う。慣用的な表現が多い。 3048 「日本料理に興味があるんですか。もし、よかっ{たら}この本読んでみませんか」 i-Aかったら 131 ~たら? 0026-002 提案 勧め 4 助言として、聞き手が〜することを提案するときに使う。「〜たらどうですか」を短く省略した形。〜しないのはよくないと忠告する意味で使うこともある。友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。 1354 「今日はもう遅いから、出かけるのは明日にし{たら}?」「そうだね」 Vたら 132 ~たら~た 0022-006 条件 時|きっかけ 3 〜の動作・出来事をきっかけに、あることが起こったことを表す。後の文は話し手の意志が入らない文。「~と~た」と同じ意味機能だが、話し言葉的。 3390 夕立が降っ{たら}、しおれていた植木の花がたちまち元気になっ{た}。 Vたら~た 133 ~たら~た 0022-003 条件 気づき 3 ~の動作をすることによって、既に起こっていた事実に気づいたことを述べるときに使う。話し手が新たに認識したり、偶然に発見したりしたことを言うときの言い方。「たら」の前後の文の主語は異なる。後には、少し意外感のある状態を表す文がくる。話し手の意志的動作を表す文はこない。「~と~た」と同じ意味機能だが、話し言葉的。文末には「~ていた・~てあった・~だった・~あった」などの形が多い。 3384 深夜に家に帰っ{たら}、食卓に「パパ、おかえり」というメモが置いてあっ{た}。 Vたら~た 134 ~たらいい 0008-001 希望 願望 3 確認できていない状況について、話し手が〜を希望することを表す。話し手の意志だけではその状況にならない場合に使われる。「〜」には無意志動詞・可能の表現・話し手以外が主語になる表現がくる。文末に「〜な・〜ね」などをつけて使うことが多い。「〜(のだ)が・〜(んだ)けど」などをつけて使う場合は、そうなるかどうかを不安に思う気持ちがある。「〜といい・〜ばいい」と似た意味機能。  881 「今度の会長、あまり変な人でなかっ{たらいい}ね」「そうね、前の会長、ほんとに変だったね」 Nだったらいい/Nで(は)なかったらいい 135 ~たらいい 0026-002 提案 勧め 3 聞き手に〜するように勧めるときに使う。一般的に〜することが適当だという意味になり、知識のある人や、助言をすることができる立場の人が言う。「〜よ・〜と思う」などを文末につけて言うことが多い。疑問文では使わない。 1364 「パソコンにメールが届かなくなったみたいなんだけど、どうし{たらいい}?」「サポートセンターに電話してみたら?」 Vたらいい 136 ~たらいかがですか 0026-002 提案 勧め 3 助言として、聞き手が〜することを提案するときに使う。〜しないのはよくないと忠告する意味で使うこともある。「〜たらどうですか」と同じ意味機能だが、より丁寧な形。「〜たらいかがでしょうか・〜たらいかがでしょう」は柔らかい言い方で、丁寧度が高い。 1349 「いつもは全体で意見を出し合ってきましたが、今日は3、4人の小さいグループで話し合いをしてみ{たらいかがでしょうか}」 Vたらいかがですか 137 ~たらどうですか 0026-002 提案 勧め 4 助言として、聞き手が〜することを提案するときに使う。「〜しないのはよくない」と忠告する意味で使うこともある。「〜たらいかがですか」は丁寧な形。「〜たらどうでしょうか・〜たらどうでしょう」は柔らかい言い方で、丁寧度が高い。文末を省略した「〜たら?・〜たらどう?」の形は、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。 1344 「穴の空いた靴下なんか、こんなに取っておいてどうするの?捨て{たらどう}?」 Vたらどうですか 138 ~たり~たり 0033-006 並列・列挙 例示|複数動作 5 複数の動作を行うことや複数の出来事が起こることを表す。いくつかの動作や出来事の中で、時間的な順序は問わず代表的なものを並べて例示したいときに使う。基本的に「~たり~たりする」の形となる。話し言葉的。「〜たり」は一文中にふつう二つだが、三つ以上でも使える。一つだけのときはくだけた言い方になる。 252 「先週はパソコンが壊れ{たり}して、いろいろと大変だったんだよ」 V₁たり+V₂たり 139 ~たり~たり 0033-005 並列・列挙 例示 4 ある物事に対照的な側面があることや、さまざまな種類があることを代表的な例を挙げて示すときに使う。対照的な側面を表す場合、「〜」には「ある・ない」「暑い・寒い」などの対義的な表現が使われる。基本的には「〜たり〜たりする」の形だが、そのほか「〜たり〜たりだ・〜たり〜たりのN・〜たり〜たり(と)(いろいろ・さまざま・まちまち)だ」などの形もある。 272 救急車を要請する人はかなりの重傷だっ{たり}、あまり重傷でなかっ{たり}、さまざまです。 N₁だったり+N₂だったり(「Nで(は)なかったり」の形や他の品詞になることもある) 140 ~たり~たり 0033-002 並列・列挙 反復 4 二つの動作・出来事が繰り返し起こることを表す。「行く・来る」「つく・消える」など対義的な動詞が使われる。「〜たり〜たりする」の形のほか、繰り返し起こる状態を表す場合、「〜たり〜たりだ」も使える。 305 「ちょっと、そこの人、立っ{たり}座っ{たり}しないでよ」 (野球場の観客席で) V₁たり+V₂たり 141 ~だろう 0016-002 根拠に基づく判断 推量 4 根拠はあるが、話し手がはっきり断定できないことを推量したり、未来の予想をしたり、過去のことを推測したりするときなどに使われる。「~でしょう」の普通体。主として男性の普通体の会話や普通体の文章の中で使われる。「たぶん・きっと・おそらく」などと一緒に使われることが多い。話し手自身の意志的行為の判断・推量には使わない。また、「~だろうか・~でしょうか」という質問の形もよく使われる。 「~だろうと思う」のように文中に使い、推量を表す文もある。 2842 「おい、シロ、ご飯もらっていなかったん{だろう}。今、ご飯をやるからな」 その他 142 ~ちゃいけない 0003-003 依頼・命令 禁止 4 聞き手や第三者に〜することを禁止するときに使う。「〜てはいけない」のくだけた言い方。「〜」が動詞、イ形容詞の場合に使われる。ふつう、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。また、〜の状態が望ましくないことや、一般的な規則として可能ではないことを表すときにも使う。 1542 料理の味付けがこんなに濃く{ちゃいけません}ね。もっと薄味にしてもらいたいです。 i-Aくちゃいけない 143 ~ちゃう 0028-003 出来事の局面 完了 4 あることを早く・完全に・全部終わらせると言いたいときに使う。「〜てしまう」のくだけた言い方。心理的に残っているものがなく、気になることがないと感じるとき、または空虚感があるときに使われる。あることをする前に早く処理したい動作などを表す場合にも使われる。「早く・全部・さっさと」などと一緒に使うことが多い。この言い方は完了を表すもので、過去の時点を表すものではない。したがって、現在の文にも未来の文にも使える。文末が話し手の意志や聞き手への働きかけを表す形でもよい。 2528 「この靴、いいな」「今セール中だから安いよ。買っ{ちゃえば}?」 Vて+ちゃう 144 ~ちゃう 0028-010 出来事の局面 後悔・残念 4 話し手自身が残念な出来事を引き起こす、または、ある事柄が話し手の不快感情を引き起こすと言いたいときに使う。「〜てしまう」のくだけた言い方。 2635 「今日もお母さんに怒られ{ちゃった}よ」「何悪いことしたの」 Vて+ちゃう 145 ~つづける 0028-005 出来事の局面 継続 4 行為や習慣をずっと続けたり、ある現象がずっと続いたりすることを、特に継続を強調して言いたいときに使う。 継続動詞(「読む・働く・歩く」など)につけて使うことが多いが、瞬間的な動作や出来事でもその動作や出来事が中断することなく回数を重ねて続いている場合にはこの言い方ができる。 表記:つづける・続ける 2471 あの方は、核兵器廃絶を生涯訴え{つづけました}。 Vつづける 146 ~って 0004-003 引用 引用|直接話法 4 発話・伝達・思考などの内容を引用して、一文の中に入れるときに使う。「〜と」のくだけた言い方。発話を「  」でくくり、「~って」をつけてそのまま引用する。くだけた会話のときは「~って」の後の動詞を省略することもある。 1910 となりのうちから「こら、シロ!」{って}犬を叱っている声が聞こえる。 「…」って 147 ~って 0004-002 引用 引用|間接話法 4 発話・伝達・思考などの内容を引用して、一文の中に入れるときに使う。「〜と」のくだけた言い方。文の普通形に「~って」をつけて引用する。 また、命令形・禁止形などに「~って」をつけて、指示・命令・禁止などの内容を表す使い方もある。くだけた会話のときは「~って」の後の動詞を省略することもある。 1935 かずみさんの住所は3丁目6番地じゃなかった{って}。この間の郵便物が戻ってきたって。 N普通形+って(「Nって」の形になることもある) 148 ~ってN 0004-005 引用 引用|名前 4 物事の名前を言うときに使う。「〜というN」のくだけた言い方。話し手または聞き手がよく知らない人・もの・場所などの名前を言うときに使う。初めての顔合わせや初めてのものの紹介などの時によく使われる。疑問の場合は「何て」の形になる。 1940 「あの店のきみしぐれ{って}お菓子がおいしいから食べてみて」 N1ってN2 149 ~ってN 0004-004 引用 引用|内容 4 発話・伝達・思考に関係する物事の内容を表す。「〜というN」のくだけた言い方。後には「話・うわさ・報告・回答・伝言・メール・知らせ・手紙・考え・意味」などの言葉がくる。 1963 「今日の会は5時から{って}伝言、聞いた?」「うん、聞いたよ」 その他 150 ~っていうN 0004-005 引用 引用|名前 4 物事の名前を言うときに使う。「〜というN」のくだけた言い方。話し手または聞き手がよく知らない人・もの・場所などの名前を言うときに使う。初めての顔合わせや初めてのものの紹介などの時によく使われる。「〜ってN」と同じ意味機能。 1999 わたしは子供のころ、群馬県の川場[かわば]{っていう}小さい農村に住んでいた。 N1っていうN2 151 ~っていうN 0004-004 引用 引用|内容 4 発話・伝達・思考に関係する物事の内容を表す。「〜というN」のくだけた言い方。Nは「話・うわさ・報告・回答・伝言・メール・知らせ・手紙・考え・意味」などの言葉。「〜ってN」と同じ意味機能。 2024 「その推理小説、どこまで読んだ?」「山木は実は犯人じゃなかった{っていう}ところまで。これからが面白そうだよ」 N1普通形+っていうN2(「N1っていうN2」の形になることもある) 152 ~つもりだ 0001-001 意志 意志 4 話し手の意志を表す。「~」は意志動詞で、~の行為は実現の可能性が高いので、ほとんど「予定している」という意味で使われる。その場で決心してすぐに行動に移るような場合に使うと不自然である。三人称の意志を表す場合は「~らしい・~そうだ・~と言っている」などの言葉を文末につけて使う。聞き手の意志を聞くときは「~つもりですか」の形になるが、聞き手の意志を非難しているように聞こえるので、目上の人に使うときは注意が必要である。予定の確認の質問に答えるとき、「そのつもりです」と答えることもある。 意志が実現しなかったときは「~つもりだった」の形になる。 2356 「そんなにたくさんチョコレート買ってどうするの?みんなに配るの?」「そんな{つもりで}買ったんじゃないよ。ただ、すごく安かったから」 その他 153 ~つもりだ 0031-001 判断 自己判断 3 他者には事実と違うように思えるかもしれないが、本人は〜と思い込んでいる、と言いたいときに使う。話者以外の人について言うときには、事実との食い違いを非難する文になることがある。 2386 もともとは暗い性格ではなかった{つもりだ}が、いつの間にかわたしは性格が変わってしまった。 N普通形+つもりだ(例外:Nのつもりだ) 154 ~つもりだ 0025-001 たとえ 仮想|自認 3 事実とは違うことを想定し、〜という気持ちになってあることをするというときに使う。「~つもりで」の形で使い、後には意志的な行為を表す文がくることが多い。 2395 この前、林先輩がわたしのことを好きらしいという話を聞いてしまった。でも、わたしは何も聞か{なかったつもりで}、林先輩と普通に接している。 V普通形+つもりだ 155 ~つもりはない 0001-004 意志 否定の意志 4 全く~する意志はないと強く言う言い方。話し手が~の行為をする意志をもっていないという意味で使う。「~」は意志動詞。「~ないつもりだ」と意味的には同じだが、「~つもりはない」の方が否定の意志が強い。三人称の否定の意志を表す場合は「~そうだ・~らしい・~ようだ・~と言っている」などの形で言う。実現したことだが、その意志はなかったときは「~つもりはなかった」の形になる。 2400 僕が悪かったのだ。彼女はもう僕のことを許す{つもりはない}だろう。 Vるつもりはない 156 ~て 0029-002 後|連続動作 5 ある連続した動作を順に行うことを表す。前後の文を緩やかに関係付けるときに使う。三つ以上の動作をつなぐこともできる。 568 「これ、切手を貼っ{て}ポストに入れてね」 Vて 157 ~て 0033-003 並列・列挙 並列・列挙 5 動作・出来事や状態の並列関係を表す。前後の文を緩やかに関係付けるときに使う。前後の文の主語が違う場合は、対比的な関係ととらえられる。前後の文の主語が同じで形容詞が並ぶ場合は、プラスかマイナスかの同じ評価のものが並び、意味の広いものが後にくる。三つ以上の動作・出来事や状態をつなぐこともできる。 577 こんなに庭が広く{て}花がいっぱいのお宅は、このあたりではめずらしいです。 i-Aくて 158 ~て 0029-011 同時|状態 4 ある動作を行うときの状態を表す。前後の文の主語は同じ。 583 迷惑をかけた叔父に手をつい{て}謝ったが、許してもらえなかった。 Vて 159 ~て 0020-001 手段・方法 手段・方法 4 ある動作を行うときの手段・方法を表す。前後の文の主語は同じ。 588 わたしは毎晩、子守歌を歌っ{て}子供を寝かしつけています。 Vて 160 ~て 0015-001 原因・理由 原因・理由 4 物事の原因・理由を表す。深い思考過程を経ない、直感的、感覚的に判断した因果関係を表す。後には、感情・感謝・謝罪や不可能・身体の状態を表す表現など、意図せず起こった結果を表す文がくる。働きかけや話し手の意志や希望を表す表現は使えない。前後の文の主語は同じでも異なってもよい。 562 「すみません、子供たちがうるさく{て}」「大丈夫、大丈夫。元気があっていいわよ」 i-Aくて 161 ~て 0003-007 依頼・命令 要求 5 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したり、勧めたりするときに使う。「〜てください」を短く省略した形。当然要求してもいいと考えられる場面で、聞き手の意向を尋ねないで要求する言い方。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげて・〜てやって」の形をよく使う。くだけた言い方で、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。 1058 先生「先に作業が終わった人は、隣の人のを手伝ってあげ{て}」 Vて 162 ~で 0033-003 並列・列挙 並列・列挙 5 状態の並列関係を表す。前後の文を緩やかに関係付けるときに使う。「〜」がナ形容詞・名詞の場合の形。前後の文の主語が違う場合は、対比的な関係ととらえられる。前後の文の主語が同じで形容詞が並ぶ場合は、プラスかマイナスかの同じ評価のものが並び、意味の広いものが後にくる。 608 わたしは朝はパン{で}、昼はうどんかラーメン{で}、夜はご飯です。 Nで 163 ~で 0015-001 原因・理由 原因・理由 4 物事の原因・理由を表す。深い思考過程を経ない、直感的、感覚的に判断した因果関係を表す。「〜」がナ形容詞・名詞(現在肯定形)の場合の形。後には、感情・感謝・謝罪や不可能・身体の状態を表す表現など、意図せず起こった結果を表す文がくる。働きかけや話し手の意志や希望を表す表現は使えない。前後の文の主語は同じでも異なってもよい。 598 以上、取り急ぎご報告申し上げます。乱筆{で}失礼しました。 (手紙) Nで 164 (~の中)で(~が)いちばん 0032-001 比較 最大 4 他の全てのものと比べて、〜の程度が高いと言いたいときに使う。比べるものは「〜」を含む同種のもの三つ以上からなり、その総称の場合が多いが、含まれるひとつひとつのものを「と」でつないで並べたり、文脈からわかる範囲を示して言ったりすることもある。また、それが存在する場所を表す言葉の場合もあるが、その場合は、「〜で」を使う。疑問文の場合は、「どれ・何・だれ・いつ・どこ」などの疑問詞を選んで使う。後には、程度を表す形容詞や副詞を含む文がくる。主語のときは「〜は」ではなく「〜が」を使う。表記:(〜の中で~が)いちばん・(〜の中で~が)一番 246 「この課{で}{いちばん}早く出社する人は誰?」「山口さんかな?」 N1(の中)で(N2が)いちばん 165 ~てあげる 0019-001 授受 あげる 4 行為の授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。与え手は話し手か心理的に話し手に近い人。受け手は同等か目下の人で、「~に」か「〜を」で示す(「与え手」は/が「受け手」に/を~てあげる)。与える行為は、主に与え手が親切だととらえている行為。そのため、自分の行為に使うと、恩着せがましく聞こえる場合もある。与え手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。 3414 私の所属するボランティア団体では、恵まれない人たちに支援をし{てあげる}という気持ちではなく、共に協力して助け合うという精神を大切にしている。 Vてあげる 166 ~てある 0028-009 出来事の局面 結果の状態 4 人が何かの目的をもって対象に働きかけ、その動作の結果が存続している状態を表す言い方。人の働きを受けた対象を主語にして、それがどういう状態になっているかを言う文なので、使われる動詞は意志性のある他動詞に限られる。働きかけた動作主は文中には現れないが、自然現象ではないので動作主がいること・ある意図があることは意識される。働きかけた対象に注目して結果の存続状態を言う場合はその対象を「〜が」、ある目的で準備した行為に注目して言うときは「〜を」で示す。 2580 「ドアも窓も開いていますね。寒くないですか。閉めませんか」「あ、空気の入れ替えのために開け{てある}んです」 Vてある 167 ~ていい 0011-001 許可 許可 4 〜することを許可するときや、支障がないことを表すとき、あるいは選択可能な方法であることを表すときに使う。「〜てよい」は改まった形。より丁寧な形として「〜てよろしい」もある。「〜てもいい」に似た意味機能だが、より積極的に許可を表す言い方になる。聞き手の行為について聞き手に直接言うときは指示のような意味になるので、目上の人の行為については直接言わない。 1388 今回の調査では、選択的夫婦別姓を認め{てよい}と考える人は、4割を超えている。 Vていい 168 ~ていい 0011-002 許可 許容 4 最も望ましい状況ではないが、許容できるということを表すときに使う。「〜てもいい」に似た意味機能だが、より積極的に許容を表す言い方になる。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜ていいから・〜ていいので」の形もよく使う。 1424 給料は安く{ていい}ので、時間が自由になる仕事がしたいんです。 i-Aくていい 169 ~でいい 0011-002 許可 許容 4 最も望ましい状況ではないが、許容できるということを表すときに使う。「〜」がナ形容詞と名詞の場合に使う。「〜でもいい」に似た意味機能だが、より積極的に許容を表す言い方になる。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜でいいから」「〜でいいので」の形もよく使う。 1433 「そのプリン、おいしそう。ちょっと{でいい}から、味見させてくれない?」 副詞 170 ~ていく 0002-003 移動 様子|その状態での移動 4 行く手段や行くときの状態・動作を表す。表記:〜て行く・〜ていく 1844 「せきが出るなら、マスクをし{ていった}方がいいよ」 Vていく 171 ~ていく 0002-001 移動 後|動作の後の移動 4 ある場所で〜の動作をしてから、行くことを表す。動作をする場所は、今いる場所の場合も別の場所の場合もある。表記:〜ていく・〜て行く 1850 誰かがうちの前にごみを捨て{て行って}しまって、迷惑だ。 Vていく 172 ~ていく 0002-002 移動 様子|移動の方向 4 話し手から遠ざかる方向へ移動する動作であることを表す。「〜」には移動を表す動詞がくる。表記:〜ていく・〜て行く 1855 みんなが次々に帰っ{ていって}、部屋は私ひとりだけになった。 Vていく 173 ~ていく 0034-005 変化 変化|変化の進行 4 基準時(多くは現在)から基準時以後への一方向への変化を表す。突然の変化ではなく、徐々に変化することを言う。「〜」には変化を表す動詞(「〜になる・増える」など)がくる。 1860 「夕方から雨と風が次第に強くなっ{ていく}でしょう。お出かけの方は傘をお持ちください」 (天気予報で) Vていく 174 ~ていく 0028-005 出来事の局面 継続 4 基準時から基準時以後への行為の継続を表す。「〜」には継続的行為を表す動詞(「働く・考える・頑張る」などがくる。 1865 学生の時始めたテニスを卒業してからも続け{ていこ}うと思っていたが、仕事が忙しくなってやめてしまった。 Vていく 175 ~ていく 0034-004 変化 変化|消滅 3 それまで存在していたものがなくなったり、話し手から見えなくなったりすることを表す。 1870 機械化が進んだために失われ{ていった}手仕事の技術を復活させようとしている人たちがいる。 Vていく 176 ~ていただく 0019-003 授受 もらう 4 行為の授受を、受け手側を主語にして述べる言い方。「~てもらう」と授受関係は同じだが、与え手が目上の人の場合にのみ使われる。受け手は話し手か心理的に話し手に近い人。受けるものは、主に受け手が親切だととらえている行為。与え手は、「~に」か「~から」(組織・団体などの場合は「~から」)で示す。(「受け手」は/が「与え手(目上の人)」に/から~ていただく」)。受け手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。 3461 お忙しいことと存じますので、書類は送っ{ていただかなくて}も、こちらから取りに伺います。 Vていただく 177 ~ていただけますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげていただけますか・〜てやっていただけますか」の形をよく使う。「〜てもらえますか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜てください」より丁寧。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜ていただけませんか」より丁寧度が低い。 1125 駅員「恐れ入ります。ご乗車できないお客様がいらっしゃいますので、奥の方へ少し詰め{ていただけますか}」 Vていただけますか 178 ~ていただけませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげていただけませんか・〜てやっていただけませんか」の形をよく使う。「〜てもらえませんか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜てください」より丁寧。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜ていただけますか」より丁寧度が高い。また、聞き手を主語にしないで頼むので、「〜てくださいませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。「〜ていただけないでしょうか」は柔らかい言い方で、丁寧度が高い。 1120 「あのー、この靴下、サイズを間違えて買ってしまったんですが、交換し{ていただけないでしょうか}」 (店で) Vていただけませんか 179 ~ていたところだ 0028-017 出来事の局面 進行 4 始まりと終わりがある一連の動作・出来事の流れにおいて、それまで動作が進行中であったことを表す言い方で、ちょうどそのタイミングだったということを表す。「~」は継続性の動作を表す動詞。「今・ちょうど」などと一緒に使われることが多いが、いつか動作の終わりが来ることを暗示している。 2466 小川さんから電話がかかってきた。ちょうど小川さんに手紙を書い{ていたところだった}。 Vていたところだ 180 ~ていたら~た 0022-003 条件 気づき 3 ~していたとき、また、~の状態のときに、予期していなかった出来事が起こったことを述べるときに使う。後には少し意外感のある出来事を表す文がくることが多く、話し手の意志的動作を表す文はこない。「~ていると~た」と同じ意味機能だが、話し言葉的。 3401 「昨日の夜ね、空を見{てたら}、流れ星がすーっと流れて消え{た}んだ」「へー、なんか、願い事した?」 Vていたら~た 181 ~ていらっしゃいます 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の状態を高めて言うための尊敬語で、「〜ている」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの状態を表す。 3628 教授はヨーロッパ経済を研究し{ておいでになります}。 Vておいでになります ている 182 ~でいらっしゃいます 0013-003 敬語 尊敬 3 聞き手や第三者の状態を高めて言うための尊敬語で、「〜だ」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの状態を表す。 3637 「部長は大阪のお生まれ{ではいらっしゃらない}そうですね」 Nでいらっしゃいます 183 ~ている 0028-018 出来事の局面 進行|進行中の動作 5 動作や出来事が現時点で進行中、またはある時点まで進行中であったことを表す。「~」は継続動詞。「~てる」は、くだけた言い方。 2533 では、また来週水曜日にお会いしましょう。お待ちし{ています}。 Vている 184 ~ている 0028-006 出来事の局面 継続|継続・反復 5 ある動作や出来事が長期間習慣的に継続することを表す。「~」は瞬間動詞でも継続動詞でもよい。「~てる」は、くだけた言い方。 2538 若いころ、銀行で働い{ていた}ので、銀行のことは少しわかる。 Vている 185 ~ている 0028-004 出来事の局面 経験|経験・完了 2 過去に経験したこと、完了したことを表す。そのことが現在の状況に何らかの影響を及ぼしている場合に使う。「~てる」は、くだけた言い方。 2542 わたしは若いころ一度大病をし{ています}。それ以来健康には特に気をつけています。 Vている 186 ~ている 0028-009 出来事の局面 結果の状態 4 ~の動作・出来事の結果がそのまま存続している状態を表す。対象の状態だけに注目して述べる言い方。その変化が人為的なものか自然的なものかは意識していない。主体が変化し、結果が残ることを表す動詞につく。瞬間的な動きを表す自動詞が使われることが多いが、「目を開ける・手を上げる」など、主体の変化を表す他動詞も使われることがある。また、服装などの着脱を表す動詞も使われる。「~てる」は、くだけた言い方。 2548 「おばあさんはどこ?」「あそこにいる、和服を着{ている}のが祖母です」 Vている 187 ~ている 0035-003 様子 状態 3 もともと備わっている外見・様子・状態などを表す。「~てる」は、くだけた言い方。 2553 あの教会の屋根はとがっ{ている}。 Vている 188 ~ていると~た 0022-003 条件 気づき 3 ~しているとき、または、~の状態のときに、予期していなかった出来事が起こったことを述べるときに使う。後には少し意外感のある出来事を表す文がくることが多く、話し手の意志的動作を表す文はこない。「~ていたら~た」と同じ意味機能だが、やや書き言葉。 3396 外でサッカーをし{ていると}、急に雷が鳴りはじめ{た}。 Vていると~た 189 ~ているところだ 0028-017 出来事の局面 進行 4 始まりと終わりがある一連の動作・出来事の流れにおいて、その時点で~の動作・出来事が進行中であることを特に言いたいときに使う。「~」は継続性の動作を表す動詞。「今・ちょうど」などと一緒に使われることが多いが、いつか動作の終わりが来ることを暗示している。 2462 まもなく全国野球大会の開会式が始まります。選手たちは今、入場行進の準備をし{ているところ}のようです。 Vているところだ 190 ~ておいでになります 0013-003 敬語 尊敬 3 聞き手や第三者の状態を高めて言うための尊敬語で、「〜ている」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの状態を表す。 3631 「先ほど加藤様とお話ししましたけど、納期の遅れについては怒っ{ておいでになりませんでした}よ」 Vておいでになります ている 191 ~ておく 0028-014 出来事の局面 準備・放置|準備 4 先のことを考えて、そのときうまくいくように、あるいは困らないように、あらかじめ~すると言いたいときに使う。行った行為の結果が残る場合に使う。「〜」は意志動詞。「~とく」は、くだけた言い方。 2586 テレビで通信販売の宣伝をしていた。注文先の電話番号をメモし{ておいた}。注文してみようかな。 Vておく 192 ~ておく 0028-016 出来事の局面 準備・放置|放置 4 ある意図があって、今の状態のままに放置・放任すると言いたいときに使う。「~」は~意志動詞や使役の形。「そのまま・しばらく」などの言葉といっしょに使うことが多い。「~とく」は、くだけた言い方。 2591 子供たちは楽しそうに遊んでいるから、もうしばらくこのまま遊ばせ{ておき}ましょう。 Vておく 193 ~ておく 0028-015 出来事の局面 準備・放置|処置 4 ある意図があって今の状態のままに放置・放任せず、何らかの処置・処理をすると言いたいときに使う。「〜」は意志動詞。「~とく」は、くだけた言い方。 2596 授業で習ったことはその日のうちにしっかり復習し{ておいた}ほうがいい。 Vておく 195 ~ております 0013-002 敬語 謙譲|丁寧 4 「〜ている」の意味で、聞き手との心的距離を取る場面で丁寧に言うときに使う。 3727 わたしは今は東京には住ん{でおりません}。大阪の実家の方に戻っ{ております}。 Vております ている 196 ~てかまわない 0011-001 許可 許可 3 〜することを許可するときや、支障がないことを表すとき、あるいは選択可能な方法であることを表すときに使う。「〜てもいい」に似た意味機能だが、話し手側の都合から見て問題がないことに焦点を当てており、相手に対する配慮をより強く示す言い方としても使われる。また、「〜てもかまわない」より積極的に許可を表す言い方になる。聞き手の行為について聞き手に直接言うときは指示のような意味になるので、目上の人の行為については直接言わない。表記:〜てかまわない・〜て構わない 1398 台風10号は、日本列島には上陸しないとみ{てかまわない}だろう。 Vてかまわない 197 ~てかまわない 0011-002 許可 許容 3 最も望ましい状況ではないが、許容できるということを表すときに使う。「〜」が動詞とイ形容詞の場合の形。「〜てもいい」に似た意味機能だが、話し手側の都合から見て問題がないことに焦点を当てており、相手に対する配慮をより強く示す言い方としても使われる。また、「〜てもかまわない」より積極的な許容を表す。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜てかまわないから」「〜てかまわないので」の形もよく使う。表記:〜てかまわない・〜て構わない 1456 駅から遠く{てかまわない}から、広くて家賃の安い部屋を借りたい。 i-Aくてかまわない 198 ~でかまわない 0011-002 許可 許容 3 最も望ましい状況ではないが、許容できるということを表すときに使う。「〜が」ナ形容詞と名詞の場合の形。「〜でもいい」に似た意味機能だが、話し手側の都合から見て問題がないことに焦点を当てており、相手に対する配慮をより強く示す言い方としても使われる。また、「〜でもかまわない」より積極的な許容を表す。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜でかまわないから・〜でかまわないので」の形もよく使う。表記:〜でかまわない・〜で構わない 1467 できれば{で構いません}が、お友達にもこのイベントのことをご紹介いただけるとありがたいです。 その他 199 ~てから 0029-001 4 〜がほかの動作・出来事よりも先に起こると強調して言いたいときに使う。「〜」を特に強調しない場合や、順序が決まっている場合には、「〜て」を使う。 114 「そろそろ乾杯しようか」「佐々木さんが来てからのほうがいいんじゃない?」 Vてから 200 ~てから 0029-004 起点 3 ある状態や継続的な動作・出来事の時間的な起点を表す。「〜」は始まりの動作・出来事を表す文、後には状態や動作・出来事の継続のほか、変化や時間の経過を表す文もくる。 126 この道路は交通量が増えてから事故が多くなっている。 Vてから 201 ~てください 0003-007 依頼・命令 要求 5 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したり、勧めたりするときに使う。当然要求してもいいと考えられる場面で、聞き手の意向を尋ねないで要求する言い方。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげてください・〜てやってください」の形をよく使う。「ください」のない「〜て」の形はくだけた言い方で、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。 1053 ご両親は、お子さんの学校での様子をよく聞いてあげ{てください}。コミュニケーションが子どもの能力を育てます。 Vてください 202 ~てくださいますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげてくださいますか・〜てやってくださいますか」の形をよく使う。「〜てくれますか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜てください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜てくださいますか」より丁寧度が低い。 1087 「この先は水道工事で通行止めなので、ここを右に回って裏の道を行っ{てくださいますか}」 Vてくださいますか 203 ~てくださいませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 5 話し手が聞き手に〜することを頼んだり指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげてくださいませんか・〜てやってくださいませんか」の形をよく使う。「〜てくれませんか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜てください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜てくださいますか」より丁寧度が高い。しかし、聞き手を主語にして頼むので、「〜ていただけませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。 1082 「すみません、どなたか手が空いていたら、ちょっと手伝っ{てくださいませんか}」 (会社で) Vてくださいませんか 204 ~てくださる 0019-002 授受 くれる 4 行為の授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。「~てくれる」と授受関係は同じだが、与え手が受け手より目上の人(家族を含まない)の場合にのみ使われる。受け手は話し手か心理的に話し手に近い人。与えるものは、主に受け手が親切だととらえている行為。受け手は「~に」で示すことができるが、話し手自身の場合は示さないことが多い。(「与え手」は/が「受け手」に/を~てくださる)。 3482 「いろいろ親切にし{てくださった}お礼です。少しですが、どうぞ」「そんなことおっしゃらないでください。お互い様ですから…」 Vてくださる 205 ~てくる 0002-003 移動 様子|その状態での移動 4 来る手段や来るときの状態・動作を表す。表記:〜て来る・〜てくる 1807 「来週のパーティーには、ご家族を連れ{て来て}もいいですよ」 Vてくる 206 ~てくる 0002-001 移動 後|動作の後の移動 4 別の場所で〜の動作を行ってから今いる場所へ来ることを表す。今の場所を離れてある場所へ行って、そこで〜の動作をしてから今の場所へ戻る場合と、ある場所で〜の動作をしてから今いる場所へ来る場合がある。表記:〜てくる・〜て来る 1812 「お昼ですけど、おなか、空いてませんか」「昼ご飯は食べ{てきた}ので、大丈夫です」 Vてくる 207 ~てくる 0002-002 移動 様子|移動の方向 4 話し手に近づく方向への動きであることを表す。「〜」には方向性をもつ動きを表す動詞がくる。表記:〜てくる・〜て来る 1817 夏休みが近づい{てきた}。何をしようかと楽しみだ。 Vてくる 208 ~てくる 0034-005 変化 変化|変化の進行 4 基準時(多くは現在)以前から基準時までの一方向への変化を表す。突然の変化ではなく、徐々に変化することを言う。「〜」には変化を表す動詞(「〜になる・増える」など)がくる。 1822 免許を取って半年、運転にはだんだん慣れ{てきて}いたが、高速道路には乗ったことがなかった。 Vてくる 209 ~てくる 0028-005 出来事の局面 継続 4 基準時(多くは現在)以前から基準時までの行為の継続を表す。「〜」には継続的行為を表す動詞(「働く・考える・頑張る」などがくる。 1827 進学のため、子どものころから暮らし{てきた}家を離れて一人暮らしをすることになった。 Vてくる 210 ~てくる 0034-003 変化 変化|出現 3 それまで存在しなかったものが現れたり、話し手に見えるようになったりすることを表す。 1832 少子化は、女性が安心して働ける環境が整っていないことから起こっ{てきた}問題であるとも言える。 Vてくる 211 ~てくる 0034-002 変化 変化|開始 3 心理的、感覚的な現象など、自然発生的な変化が生じることを表す。 1837 「あ、雨が降っ{てきた}。洗濯物を取り込まないと」 Vてくる 212 ~てくれ 0003-007 依頼・命令 要求 4 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てやってくれ」の形をよく使う。「〜てくれる」の命令形で、主に男性が、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言う。また、「〜てください」の普通形として、「〜と言う・〜と頼む」などの引用の文の中で使うこともある。 1068 親友の山口君から電話で、結婚式に出{てくれ}と言われた。 Vてくれ 213 ~てくれますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげてくれますか・〜てやってくれますか」の形をよく使う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜てください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜てくれませんか」より丁寧度が低い。心理的に近い人とのくだけた会話では「〜てくれる?」の形で使われることが多い。「〜てくれるか」の形は主に男性が使う。 1105 父「買い物に行くなら、ついでにこの手紙、出しとい{てくれるか}」子「いいよ」 Vてくれますか 214 ~てくれませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 5 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげてくれませんか・〜てやってくれませんか」の形をよく使う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜てください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜てくれますか」の形より丁寧度が高い。しかし、聞き手を主語にして頼むので、「〜てもらえませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。心理的に近い人とのくだけた会話では「〜てくれない?」の形で使われることが多い。「〜てくれないか」の形は主に男性が使う。 1100 「おい、俺のこと、変なあだ名で呼ぶのやめ{てくれないか}」 Vてくれませんか 215 ~てくれる 0019-002 授受 くれる 4 行為の授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。「~てあげる」と授受関係は同じだが、受け手は話し手か心理的に話し手に近い人。与え手は同等か目下の人。与えるものは、主に受け手が親切だととらえている行為。受け手は「~に」か「〜を」で示すことができるが、話し手自身の場合は示さないことが多い(「与え手」は/が「受け手」に/を~てくれる)。 3474 「ごめん、財布忘れちゃったんで1000円貸し{てくれる}?」「いいけど、1000円だけでいいの?」 Vてくれる 216 ~でございます 0013-004 敬語 丁寧 4 「〜です」の丁寧な言い方。聞き手との心的距離を取るために使う。一般的に、レストラン・デパートなどのサービス業で客に対してよく使われる表現。 3757 「こちらが本日のシェフのおすすめのランチで{ございます}」 (レストランで) 217 ~てさしあげる 0019-001 授受 あげる 4 行為の授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。「~てあげる」と授受関係は同じだが、受け手が目上の人(家族を含まない)の場合にのみ使われる。与え手は話し手か心理的に話し手に近い人。受け手は「~に」か「〜を」で示す(「与え手」は/が「受け手」に/を~てさしあげる)。与える行為は、主に与え手が親切だととらえている行為。そのため、自分の行為に使うと、恩着せがましく聞こえる場合もある。与え手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。表記:~てさしあげる・~て差し上げる 3424 「お客様のお荷物が重そうだったら、進んで持っ{てさしあげない}と…」「すみません。次から気を付けます」 Vてさしあげる 218 ~てしまう 0028-003 出来事の局面 完了 4 あることを早く・完全に・全部終わらせると言いたいときに使う。心理的に残っているものがなく、気になることがないと感じるとき、または空虚感があるときに使われる。あることをする前に早く処理したい動作などを表す場合にも使われる。「早く・すっかり・完全に・全部・さっさと」などと一緒に使うことが多い。この言い方は完了を表すもので、過去の時点を表すものではない。したがって、現在の文にも未来の文にも使える。文末が話し手の意志や聞き手への働きかけを表す形でもよい。「~ちゃう」は、くだけた言い方。 2522 あの学生は問題を解くのが早い。試験のときもあっという間にやり終わっ{てしまって}、ひまそうにしていた。 Vてしまう 219 ~てしまう 0028-010 出来事の局面 後悔・残念 4 話し手自身が残念な出来事を引き起こす、または、ある事柄が話し手の不快感情を引き起こすと言いたいときに使う。「~ちゃう」は、くだけた言い方。 2630 いつも買っていた豆腐屋が閉店し{てしまって}、とても残念だ。 Vてしまう 220 ~です 0013-004 敬語 丁寧 5 名詞文や形容詞文の文末に使い、丁寧さを表す。聞き手との心的距離を取るために使う。主に、客・目上の人・心理的に遠い人に使われるが、スピーチや発表などの改まった場面でも使われる。現在否定形、過去肯定形、過去否定形は、名詞とナ形容詞の場合「~ではありません」「~でした」「~ではありませんでした」、イ形容詞の場合「〜くないです・〜くありません」「〜かったです」「〜くなかったです・〜くありませんでした」。 3739 先生「今の説明で問題はありませんでしたか」学生「はい、大丈夫{です}」 na-Aです 221 ~てはいけない 0003-003 依頼・命令 禁止 4 聞き手や第三者に〜することを禁止するときに使う。「〜」が動詞、イ形容詞の場合に使われる。ふつう、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。また、〜の状態が望ましくないことや、一般的な規則として可能ではないことを表すときにも使う。「〜ちゃいけない」は、くだけた言い方。 1535 先生「スカートはそんなに短く{てはいけない}って言ったでしょう?わかってるの?」生徒「すみません…」 (中学校で) i-Aくてはいけない 222 ~ではいけない 0003-003 依頼・命令 禁止 4 〜の状態が望ましくないことや、一般的な規則として可能ではないことを表すときに使う。「〜」がナ形容詞、名詞の場合に使われる。ふつう、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。「〜じゃいけない」はくだけた言い方。 1552 仕事が見つからず、このまま{ではいけない}とは思うが、どうすればいいかわからない。 Nではいけない 223 ~てみる 0001-002 意志 試み 4 成功するかどうかわからないとき・今まで経験がないことをするとき・何かの実態や結果を確かめたいときなどに、~の動作を試みるという意味で使う。「~」は意志動詞。「~かどうか・どんな~か」などの形で知りたいことを表して文を作ることが多い。 2415 「同じ日本酒なのにそんなに味が違うんですか」「ええ、ぜひ飲み比べ{てみて}ください。味の違いがわかりますよ」 Vてみる 224 ~ても 0022-005 条件 逆接仮定 4 ~という条件が成立した場合には当然ある事柄も成立するはずなのに、それが成立しないと言いたいときに使う。「~」にはまだ起こっていない未定の事柄が、後の文には、「~」から予想されることと異なる事柄がくる。「何・どこ・だれ」などの疑問詞を「~」に使うと、どのような条件の場合もある結果になるということを表す。「たとえ・いくら・どんなに」などの言葉と一緒に使われることが多い。また、同じ動詞を繰り返す「~ても~ても」は、「いくら~ても・どんなに〜ても」と同様、程度や頻度が高い場合もその条件に影響されないで、ある結果になると言いたいときに使う。 3274 「今日は入場料無料って書いてある。よかった。今日だけは子供じゃなく{ても}無料なんだ」 Nでなくても 225 ~ても 0022-004 条件 逆接確定 4 ~という条件が成立した場合には当然ある事柄も成立するはずなのに、それが成立しないと言いたいときに使う。「~」には事実、後の文には、「~」から予想されることと異なる事柄がくる。「何・どこ・だれ」などの疑問詞を「~」に使うと、どのような条件の場合もある結果になるということを表す。「たとえ・いくら・どんなに」などの言葉と一緒に使われることが多い。また、同じ動詞を繰り返す「~ても~ても」は、「いくら~ても・どんなに〜ても」と同様、程度や頻度が高い場合もその条件に影響されないで、ある結果になると言いたいときに使う。 3252 辛く{ても}苦しく{ても}、家族のために朝から晩まで働いている。 i-Aくても/i-Aくなくても 226 ~でも 0022-005 条件 逆接仮定 4 ~という条件が成立した場合には当然ある事柄も成立するはずなのに、それが成立しないと言いたいときに使う。「~ても」と同じ意味機能だが、「〜」がナ形容詞・名詞の場合に使われる。「~」にはまだ起こっていない未定の事柄が、後の文には、「~」から予想されることと異なる事柄がくる。「何・どこ・だれ」などの疑問詞を「~」に使うと、どのような条件の場合もある結果になるということを表す。「たとえ・いくら・どんなに」などの言葉と一緒に使われることが多い。 3261 推理小説を読んでいる。今のところ、登場人物のだれが犯人{でも}おかしくない状況だ。 Nでも 227 ~でも 0022-004 条件 逆接確定 4 ~という条件が成立した場合には当然ある事柄も成立するはずなのに、それが成立しないと言いたいときに使う。「~ても」と同じ意味機能だが、「~」がナ形容詞と名詞の場合は「~でも」の形になる。「~」には事実、後の文には、「~」から予想されることと異なる事柄がくる。「何・どこ・だれ」などの疑問詞を「~」に使うと、どのような条件の場合もある結果になるということを表す。「たとえ・いくら・どんなに」などの言葉と一緒に使われることが多い。 3275 どんなに有能な経営者{でも}、挫折を経験したことのない者は少ないだろう。 Nでも 228 ~てもいい 0011-001 許可 許可 4 〜することを許可するときや、支障がないことを表すとき、あるいは選択可能な方法であることを表すときに使う。「〜てもよい」は改まった形。より丁寧な形として「〜てもよろしい」もある。聞き手の行為について聞き手に直接言うときは指示のような意味になるので、目上の人の行為については直接言わない。「〜ていい」の形は、より積極的に許可を表す言い方になる。 1383 「空いたお皿をお下げし{てもよろしいでしょう}か」「はい、お願いします」 (レストランで) Vてもいい 229 ~てもいい 0011-002 許可 許容 4 最も望ましい状況ではないが、許容できるということを表すときに使う。話し手自身の行為について言うときは、申し出の意味になる。文中に「何・いつ・どんな」などの疑問詞を使うこともでき、その場合はすべての状況が許容できることを表す。「〜てもよい」は改まった形。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜てもいいから・〜てもよいから」の形もよく使う。「〜ていい」の形は、より積極的に許容を表す言い方になる。 1407 多少高{くてもいい}から、質の良いものを買って、長く使いたい。 i-Aくてもいい 230 ~でもいい 0011-002 許可 許容 4 最も望ましい状況ではないが、許容できるということを表すときに使う。「〜」がナ形容詞と名詞の場合に使われる。文中に「何・いつ・どんな」などの疑問詞を使うこともでき、その場合はすべての状況が許容できることを表す。「〜でもよい」は改まった形。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜てもいいから・〜てもいいので」の形もよく使う。「〜でいい」の形は、より積極的に許容を表す言い方になる。 1417 ときどき{でもいいです}から、顔を見せに来てください。 副詞 231 ~てもかまわない 0011-001 許可 許可 3 〜することを許可するときや、支障がないことを表すとき、あるいは選択可能な方法であることを表すときに使う。「〜てもいい」に似た意味機能だが、話し手側の都合から見て問題がないことに焦点を当てており、相手に対する配慮をより強く示す言い方としても使われる。聞き手の行為について聞き手に直接言うときは指示のような意味になるので、目上の人の行為については直接言わない。「〜てかまわない」の形は、より積極的な許可を表す。表記:〜てもかまわない・〜ても構わない 1393 このカフェには、犬を連れて入っ{てもかまわない}ようだ。 Vてもかまわない 232 ~てもかまわない 0011-002 許可 許容 3 最も望ましい状況ではないが、許容できるということを表すときに使う。「〜」が動詞とイ形容詞の場合の形。話し手自身の行為について言うときは、申し出の意味になることもある。「〜てもいい」に似た意味機能だが、話し手側の都合から見て問題がないことに焦点を当てており、相手に対する配慮をより強く示す言い方としても使われる。文中に「何・いつ・どんな」などの疑問詞を使うこともでき、その場合はすべての状況が許容できることを表す。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜てもかまわないから・〜てもかまわないので」の形もよく使う。「〜てかまわない」の形は、より積極的に許可を表す言い方になる。表記:〜てもかまわない・〜ても構わない 1442 「誕生日は何がほしい?」「安く{てもかまわない}から、あなたが選んでくれたものがほしいな」 i-Aくてもかまわない 233 ~でもかまわない 0011-002 許可 許容 4 最も望ましい状況ではないが、許容できるということを表すときに使う。「〜」がナ形容詞と名詞の場合の形。「〜でもいい」に近い意味機能だが、話し手側の都合から見て問題がないことに焦点を当てており、相手に対する配慮をより強く示す言い方としても使われる。文中に「何・いつ・どんな」などの疑問詞を使うこともでき、その場合はすべての状況が許容できることを表す。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜でもかまわないから・〜でもかまわないので」の形もよく使う。「〜てかまわない」の形は、より積極的に許可を表す言い方になる。表記:〜でもかまわない・〜でも構わない 1450 アンケートの締め切り日が過ぎましたが、あまり多くの方にお答えいただいておりません。今から{でもかまいません}ので、ぜひご協力ください。 その他 234 ~てもらう 0019-003 授受 もらう 4 行為の授受を、受け手側を主語にして述べる言い方。与え手は同等か目下の人。受け手は話し手か心理的に話し手に近い人。受けるものは、主に受け手が親切だととらえている行為。与え手は「~に」か「~から」(組織・団体などの場合は「~から」)で示す(「受け手」は/が「与え手」に/から~てもらう)。受け手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。 3448 昨日は私の誕生日だったのに、誰からも何もし{てもらえませんでした}。 Vてもらう 235 ~てもらえますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげてもらえますか・〜てやってもらえますか」の形をよく使う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜てください」より丁寧。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜てもらえませんか」より丁寧度が低い。心理的に近い人とのくだけた会話では、「〜てもらえる?」の形で使われることが多い。「〜てもらえるか」の形は主に男性が使う。 1155 母「よし君、はなちゃんと遊んであげ{てもらえる}?」子「わかった」 Vてもらえますか 236 ~てもらえませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜することを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜てあげてもらえませんか・〜てやってもらえませんか」の形をよく使う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜てください」より丁寧。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜ないでもらえますか」より、丁寧度が高い。また、聞き手を主語にしないで頼むので、「〜てくれませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。心理的に近い人とのくだけた会話では、「〜てもらえない?」の形で使われることが多い。「〜てもらえないか」の形は主に男性が使う。 1150 「ちょっと用事を済ませてから行くから、先に行って{てもらえないか}」「わかった。じゃ、先に行ってるね」 Vてもらえませんか 237 ~てやる 0019-001 授受 あげる 4 行為の授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。「~てあげる」と授受関係は同じだが、受け手が目下の人や動植物の場合にのみ使われる。与え手は話し手か心理的に話し手に近い人。受け手は「~に」か「〜を」で示す(「与え手」は/が「受け手」に/を~てやる)。与えるものは、主に与え手が親切だととらえている行為。そのため、自分の行為に使うと、恩着せがましく聞こえる場合もある。与え手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。最近では、受け手が目下の人や動植物の場合でも「~てあげる」がよく使われる。 3436 「あんまりわがまま言うと、もうどこにも連れていっ{てやらない}ぞ」 Vてやる 238 ~てる 0028-018 出来事の局面 進行|進行中の動作 5 動作や出来事が現時点で進行中、またはある時点まで進行中であったことを表す。「〜ている」のくだけた言い方。~は継続動詞。 2557 「ね、さやか、テレビ見てないで、ここ片づけて。ねえ、聞い{てる}の?」 Vてる 239 ~てる 0028-006 出来事の局面 継続|継続・反復 5 長期間ある動作や出来事が習慣的に継続することを表す。「〜ている」のくだけた言い方。~は瞬間動詞でも継続動詞でもよい。 2562 毎日夜遅くまでアルバイトし{てる}から、勉強する時間がない。 Vてる 240 ~てる 0028-004 出来事の局面 経験|経験・完了 2 過去に経験したこと、完了したことを表す。「〜ている」のくだけた言い方。そのことが現在の状況に何らかの影響を及ぼしている場合に使う。 2565 「今度の試合の相手校は10年前に全国優勝し{てる}んだよ。今でも強いかもしれないよ」 Vてる 241 ~てる 0028-009 出来事の局面 結果の状態 4 ~の動作・出来事の結果がそのまま存続している状態を表す。「ている」のくだけた言い方。対象の状態だけに注目して述べる言い方。その変化が人為的なものか自然的なものかは意識していない。主体が変化し、結果が残ることを表す動詞につく。瞬間的な動きを表す自動詞が使われることが多いが、「目を開ける・手を上げる」など、主体の変化を表す他動詞も使われることがある。また、服装などの着脱を表す動詞も使われる。 2570 穴があい{てる}靴下をはいてきちゃった。  Vてる 242 ~てる 0035-003 様子 状態 3 もともと備わっている外見・様子・状態などを表す。「〜ている」のくだけた言い方。 2573 「あの山頂がとんがっ{てる}山は、何ていう山?」「ああ、あれは剣岳だよ」 Vてる 243 ~と 0022-008 条件 必然 4 ~という条件が成立した場合には、必ずあることが成立すると言いたいときに使う。後には「~」の条件で必ず起こる事柄がくる。話し手の意志を表す文や働きかけの文はこない。 3312 今度のパーティーは、フォーマルドレスじゃない{と}入れないのかな。 Nだと/Nで(は)ないと 244 ~と 0022-009 条件 必然|反復・習慣 3 ~が成立する場合、決まってあることを行う・ある事態になるという繰り返しの動作、習慣や出来事を表す。過去の反復・習慣についても言うことができる。 3331 父は野球番組が好きだった。家族で見ていた番組が野球番組でない{と}、すぐ勝手にチャンネルを変えてしまったものだ。 Nだと/Nで(は)ないと 245 ~と 0022-010 条件 前置き 3 後に続く内容(発言・判断・考えなど)が、どのような条件・立場・観点から行われるのかを前もって予告するときに使う。この前置きの用法には慣用的な表現が多い。 3338 経済的な観点からみる{と}、企業にとってAIは救世主だ。 Vると 246 ~と 0004-003 引用 引用|直接話法 4 発話・伝達・思考などの内容を引用して、一文の中に入れるときに使う。発話を「  」でくくり、「~と」をつけてそのまま引用する。 1875 容疑者の男は「先週の火曜日の午後10時には、ホテルに戻って寝ていました」{と}言っていたが、それは事実と違っていた。 「…」と 247 ~と 0004-002 引用 引用|間接話法 4 発話・伝達・思考などの内容を引用して、一文の中に入れるときに使う。文の普通形に「~と」をつけて引用する。 また、命令形・禁止形などに「~と」をつけて、指示・命令・禁止などの内容を表す使い方もある。 1897 この川は今はほとんど水がない状態だが、以前はとても水量の多い川だった{と}聞いている。    N普通形+と(「Nと)の形になることもある) 248 ~と~た 0029-007 直後|きっかけ 3 〜の動作・出来事をきっかけに、あることが起こったことを表す。後には話し手の意志が入らない文がくる。「~たら~た」と同じ意味機能だが、書き言葉的。 98 ガラス戸が汚れていたが、このクリーナーをかけてひと拭きする{と}たちまちきれいになっ{た}。 Vると~た 249 ~と~た 0029-008 直後|連続動作 3 話し手以外の人が、〜の後に、続けてほかの動作をしたことを観察して、描写的に言うときに使う。「〜と」の前後の主語は同じ。書き言葉的。 103 父はその晩はかなり酔っていた。家に帰る{と}、ベッドにもぐりこんでしまっ{た}。 Vると~た 250 ~と~た 0022-003 条件 気づき 3 ~の動作をすることによって、すでに起こっていた事実に気づいたと言いたいときに使う。話し手が新たに認識したり、偶然に発見したりしたことを言うときの言い方。「と」の前後の文の主語は異なる。後には、少し意外感のあることを表す文がくる。文末は「~ていた・~てあった・~だった・~あった」などの形になることが多い。「~たら~た」と同じ意味機能だが、書き言葉的。 3376 2週間ぶりにパソコンのメールボックスを開く{と}、未読メールがたくさんたまってい{た}。 Vると~た 251 ~といい 0008-001 希望 願望 3 確認できていない状況について、 話し手が〜と希望することを表す。話し手の意志だけではその状況にならない場合に使われ、「〜」には無意志動詞・可能の表現・話し手以外が主語になる表現がくる。文末に「〜な・〜ね」などをつけて使うことが多い。「〜(のだ)が・〜(んだ)けど」などをつけて使う場合は、そうなるかどうかを不安に思う気持ちがある。「〜たらいい・〜ばいい」と似た意味機能。  858 あ、バスが来た。満員でない{といい}なあ。 Nだといい/Nで(は)ないといい 252 ~といい 0026-002 提案 勧め 3 聞き手に〜するように勧めるときに使う。一般的に〜することが適当だという意味になり、知識のある人や、助言をすることができる立場の人が言う。「〜よ・〜と思う」などを文末につけて言うことが多い。疑問文では使わない。 1359 「わたし、漢字がすごく苦手なんだけど、何かいい問題集ないかな」「それなら、この問題集で勉強する{といい}と思うよ」 Vるといい 253 ~というN 0004-005 引用 引用|名前 4 物事の名前を言うときに使う。Nは話し手または聞き手がよく知らない人・もの・場所など。初めての顔合わせや初めてのものの紹介などの時によく使われる。くだけた言い方として、「〜ってN・〜っていうN」がある。 1968 「わあ、おいしそう。これ、何{という}料理ですか」「サムゲタンっていう韓国の伝統料理です」 N1というN2 254 ~というN 0004-004 引用 引用|内容 4 発話・伝達・思考に関係する物事の内容を表す。Nは「話・うわさ・報告・回答・伝言・メール・知らせ・手紙・考え・意味」などの言葉。くだけた言い方として、「〜ってN・〜っていうN」がある。 1994 戦争をしてはいけない{という}考えに反対する人はいないはずだ。 その他 255 ~とき 0029-005 時点 5 ある動き・状態がいつ生じるのかを示すときに使う。「~」が動詞の場合、「〜」の時点と同じかそれよりも前に後の文のことが終わる場合「〜」は辞書形、「〜」の後に後の文のことが終わる場合「〜」はタ形になる。「~」が形容詞・名詞の場合、「~」の時制は後の文の時制に制限されない。 23 信号が青じゃない{とき}は渡ってはいけません。 N普通形+とき(例外:Nのとき) 256 ~ときに 0029-005 時点 5 ある動き・状態がいつ生じるのかを示す時に使う。「~」が動詞の場合、「〜」の時点と同じかそれよりも前に後の文のことが終わる場合「〜」は辞書形、「〜」の後に後の文のことが終わる場合「〜」はタ形になる。「~」が形容詞・名詞の場合、「~」の時制は後の文の時制には制限されない。「〜とき」とほぼ同じ意味機能だが、「~ときに」はどの時点でのことかをはっきり言いたい場合によく使われる。 47 「今日の3時ごろ、お宅に行ってみたけど、いなかったわね」「そうなの、ちょっと用事があって出かけてたの。また留守じゃない{ときに}、遊びに来て」 N普通形+ときに(例外:Nのときに) 257 ~とく 0028-014 出来事の局面 準備・放置|準備 4 先のことを考えて、そのときうまくいくように、あるいは困らないように、あらかじめ~すると言いたいときに使う。「〜ておく」のくだけた言い方。行った行為の結果が残る場合に使う。「〜」は意志動詞。 2600 「あした、東京駅に8時集合だよ。早いよ」「うん、もう着る服も出し{といた}」 Vて+とく 258 ~とく 0028-016 出来事の局面 準備・放置|放置 4 ある意図があって、今の状態のままに放置・放任すると言いたいときに使う「〜ておく」の、くだけた言い方。「〜」は意志動詞や使役の形。「そのまま・しばらく」などの言葉といっしょに使うことが多い。 2606 悪口なんか気にしない。言いたい人には言わせ{とけば}いい。 Vて+とく 259 ~とく 0028-015 出来事の局面 準備・放置|処置 4 ある意図があって今の状態のままに放置・放任せず、何らかの処置・処理をすると言いたいときに使う「~ておく」の、くだけた言い方。「〜」は意志動詞。 2611 「自転車がパンクしました。後で取りに来ますから、修理し{といて}くれませんか」 (自転車屋で) Vて+とく 260 ~ところだ 0028-002 出来事の局面 開始直前 4 始まりと終わりがある一連の動作・変化の流れにおいて、~の動作・変化の直前の時点であることを特にはっきり示す言い方。まもなく~が始まる・~になるというタイミングなのでちょうどいい、あるいは悪いということを伝えたいときに使う。そうする・そうなることが確かにわかっている場合にのみ使われ、不確実に予想されることには使われない。 「今から・これから・ちょうど」などの言葉と一緒に使われることが多い。 2445 「あ、お母さん、今から飛行機に乗る{ところ}。元気で行ってきます」 (電話で) Vるところだ 261 (~と~と)どちら 0032-002 比較 選択 4 〜の二つを比べて、程度の高いものを聞くときに使う。後には、程度を表す形容詞や副詞などを含む文がくる。答えの文は、一方を選ぶ場合は「〜のほう」を使うことが多い。また、両方を選ぶ場合は「(〜も〜も)どちらも」となる。「〜」が動詞のときは、後に「の」や「こと」をつけて、名詞として使う。「(〜と〜)、どちら」を使うこともある。また、話し言葉では「どっち」を使うこともある。 228 「今度の講演は松井先生{と}井上先生{と}{どちら}にお願いしましょうか」 N₁とN₂とどちら 262 (~と~と)どっち 0032-002 比較 選択 4 〜の二つを比べて、程度の高いものを聞くときに使う。「(〜と〜と)どちら」のくだけた言い方。後には、程度を表す形容詞や副詞などを含む文がくる。答えの文は、一方を選ぶ場合は「〜のほう」を使うことが多い。また、両方を選ぶ場合は「(〜も〜も)どちらも」となる。「〜」が動詞のときは、後に「の」や「こと」をつけて、名詞として使う。「(〜と〜)、どっち」を使うこともある。 232 もうけんかやめなさい。健くん{と}順くん、{どっち}が悪いかなんて言えないでしょ!」    N1とN2とどっち 263 ~な 0003-003 依頼・命令 禁止 4 聞き手に〜しないように命令するときに使う。話し言葉では緊急時やスポーツの応援、書き言葉では交通標識、張り紙など、丁寧さが重要でない場面で使う。また、主に男性が、友達・家族など心理的に近い人に頼んだり、指示したり、勧めたりするときにも使う。さらに、「〜と言う・〜という意味だ」などの引用の文の中で使うこともある。 1566 「鉄は熱いうちに打て」ということわざは、適切な時機を逃す{な}という意味だ。 Vるな 273 ~ないで 0003-005 依頼・命令 禁止の要求 5 聞き手に〜しないように頼んだり、指示したり、勧めたりするときに使う。「〜ないでください」を短く省略した形。当然要求してもいいと考えられる場面で、聞き手の意向を尋ねないで要求する。「〜」の行為を受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあるが、その場合は「〜ないであげて・〜ないでやって」の形をよく使う。くだけた言い方で、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。 3884 「あれ、ずいぶん髪、切ったんだね」「うーん。美容院の人にはあんまり短くし{ないで}って言ったんだけどね」 Vないで 274 ~ないでいただけますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜しないことを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜ないであげていただけますか・〜ないでやっていただけますか」の形も使う。「〜ないでもらえますか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜ないでください」より丁寧。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜ないでいただけませんか」より丁寧度が低い。 1135 社員「会議が長引いているので、ここはまだ鍵をかけ{ないでいただけますか}」警備員「わかりました。では、終わりましたら、警備員室にご連絡ください」 Vないでいただけますか 275 ~ないでいただけませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜しないことを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜ないであげていただけませんか・〜ないでやっていただけませんか」の形も使う。「〜ないでもらえませんか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜ないでください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜ないでいただけますか」より丁寧度が高い。また、聞き手を主語にしないで頼むので、「〜ないでくださいませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。「〜ないでいただけないでしょうか」は柔らかい言い方で、丁寧度が高い。 1130 「ここのレイアウトなんですが、できればこのページには写真は入れ{ないでいただけないでしょうか}。次のページに移動できればそのようにお願いいたします」「承知しました」 Vないでいただけませんか 276 ~ないでおく 0028-013 出来事の局面 準備・放置 4 何らかの意図があって、~しないままの状態に保つと言うときに使う。「〜」は意志動詞。「~ないどく」は、くだけた言い方。 2619 「熱がすぐ下がるかもしれませんから、今日は注射をし{ないでおき}ましょう。一日様子を見てみましょう」 Vないでおく 277 ~ないでください 0003-005 依頼・命令 禁止の要求 5 聞き手に〜しないように頼んだり、指示したり、勧めたりするときに使う。当然要求してもいいと考えられる場面で、聞き手の意向を尋ねないで要求する。「〜」の行為を受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあるが、その場合は「〜ないであげてください・〜ないでやってください」の形をよく使う。「ください」のない「〜ないで」はくだけた言い方で、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。表記:〜ないでください・〜ないで下さい 1258 「お約束の時間に遅れてしまって、大変申し訳ありませんでした」「いえいえ、お気になさら{ないでください}」 Vないでください 278 ~ないでくださいますか 0003-004 依頼・命令 禁止の依頼 4 聞き手に〜しないように頼んだり、指示したりするときに使う。「〜」の行為を受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあるが、その場合は「〜ないであげてくださいますか・〜ないでやってくださいますか」の形をよく使う。「〜ないでくれますか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜ないでください」より丁寧。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜ないでくださいませんか」より丁寧度が低い。 1265 「あの、すみません。前が見えなくなるので立た{ないでくださいますか}」「あ、ごめんなさい」 (コンサート会場で) Vないでくださいますか 279 ~ないでくださいませんか 0003-004 依頼・命令 禁止の依頼 4 聞き手に〜しないように頼んだり、指示したりするときに使う。「〜」の行為を受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあるが、その場合は「〜ないであげてくださいませんか・〜ないでやってくださいませんか」の形をよく使う。「〜ないでくれませんか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜ないでください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜ないでくださいますか」より丁寧度が高い。しかし、聞き手を主語にして頼むので、「〜ないでいただけませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。 1261 「あの、お客様、このパネルに寄りかから{ないでくださいませんか}。倒れる恐れがありますから」「すみません。気をつけます」 Vないでくださいませんか 280 ~ないでくれ 0003-004 依頼・命令 禁止の依頼 4 聞き手に〜しないように頼んだり、指示したりするときに使う。「〜」の行為を受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあるが、その場合は「〜ないでやってくれ」の形をよく使う。「〜ないでくれる」の命令形で、主に男性が、目下や同等の立場の人に言う。また、「〜ないでください」の普通形として、「〜と言う・〜と頼む」などの引用の文の中で使うこともある。 1270 いいと言うまで部屋に入ら{ないでくれ}と言われたので、部屋の前でしばらく待っていた。 Vないでくれ 281 ~ないでくれますか 0003-004 依頼・命令 禁止の依頼 4 聞き手に〜をしないように頼んだり、指示したりするときに使う。「〜」の行為を受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあるが、その場合は「〜ないであげてくれますか・〜ないでやってくれますか」の形をよく使う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜ないでください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜ないでくれませんか」より丁寧度が低い。 1280 「おい、早くしろよ!」「ちょっと、大きい声で怒鳴ら{ないでくれる}?」 Vないでくれますか 282 ~ないでくれませんか 0003-004 依頼・命令 禁止の依頼 4 聞き手に〜をしないように頼んだり、指示したりするときに使う。「〜」の行為を受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあるが、その場合は「〜ないであげてくれませんか・〜ないでやってくれませんか」の形をよく使う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜ないでください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜ないでくれますか」より丁寧度が高い。しかし、「〜」の行為をする人を主語にして頼むので、「〜ないでもらえませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。 1275 「じゃ、Aコース2つで。飲み物はこれね」「えっ、僕、まだ何も言ってないのに。勝手に決め{ないでくれないか}な」 (レストランで) Vないでくれませんか 283 ~ないでもらえますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜しないことを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜ないであげてもらえますか・〜ないでやってもらえますか」の形も使う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜ないでください」より丁寧。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜ないでくれますか」より、丁寧度が低い。心理的に近い人とのくだけた会話では、「〜ないでもらえる?」の形で使われることが多い。「〜ないでもらえるか」の形は主に男性が使う。 1164 「それは違うと思うけど」「君には関係ないことだから、口をはさま{ないでもらえるか}」 Vないでもらえますか 284 ~ないでもらえませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手に〜しないことを頼んだり、指示したりするときに使う。話し手以外に心理的に話し手に近い人が「〜」の行為を受けることもあり、その場合は「〜ないであげてもらえませんか・〜ないでやってもらえませんか」の形も使う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜ないでください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜ないでもらえますか」より、丁寧度が高い。また、聞き手を主語にしないで頼むので、「〜ないでくれませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。心理的に近い人とのくだけた会話では、「〜ないでもらえない?」の形で使われることが多い。「〜ないでもらえないか」の形は主に男性が使う。 1159 「ねえ、わたしの写真、勝手にSNSに載せ{ないでもらえない}?」「ごめん。今度から気をつけるね」 Vないでもらえませんか 285 ~ないどく 0028-013 出来事の局面 準備・放置 4 何らかの意図があって、~しないままの状態に保つと言うときに使う。「〜」は意志動詞。「~ないでおく」のくだけた言い方。 2625 「今わたしが言ったことはだれにも言わ{ないどいて}ね。時が来たら自分で言うから」 Vないどく 288 ~ながら 0029-010 同時 5 同一の主体が継続的な二つの異なる動作を同時に行うことを表すときに使う。ふつう「~」には副次的な動作、後には中心的な動作がくる。「~」はふつう継続動詞。また、時間幅はいろいろで、長期にわたる同時進行の行為にも使える。 173 小倉さんは銀行で働き{ながら}音楽活動をしていたが、ついに銀行は辞めたらしい。 Vながら 290 ~なきゃ 0009-001 義務 義務 4 義務・不可避であること、必要があることを表すときに使う。「〜なければならない」のくだけた言い方「〜なきゃならない」、または「〜なければいけない」のくだけた言い方「〜なきゃいけない」を短く省略した形。社会的常識や規則、法律などによる一般的な判断を表す場合も、話し手の個人的な判断を表す場合もある。聞き手の行為について直接言及する場合は、諭す意味になる。この場合は、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。 1652 家族旅行をするなら、学校が休みのときで{なきゃ}。学校を休んで行くのはよくないでしょう。 Nでなきゃ 291 ~なきゃいけない 0009-001 義務 義務 4 義務であること、必要があることを表すときに使う。「〜なければいけない」のくだけた言い方。話し手の個人的な判断を表す場合が多い。聞き手の行為について直接言及する場合は、諭す意味になる。この場合は、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。「いけない」を省略した「〜なきゃ」の形もある。 1625 絵の描き方は、絶対こうで「なきゃいけない}というのはない。好きなように描けばいいんだ。 その他 292 ~なきゃならない 0009-001 義務 義務 4 義務・不可避であること、必要があることを表すときに使う「〜なければならない」のくだけた言い方。社会的常識や規則、法律などによる一般的な判断を表す場合が多い。「ならない」を省略した「〜なきゃ」の形もある。 1598 履歴書は、以前は手書きで{なきゃならなかった}んですが、今はそんなことないらしいです。 Nでなきゃならない 293 ~なくちゃ 0009-001 義務 義務 4 義務・不可避であること、必要があることを表すときに使う。「〜なくてはならない」のくだけた言い方「〜なくちゃならない」、または「〜なくてはいけない」のくだけた言い方「〜なくちゃいけない」を短く省略した形。社会的常識や規則、法律などによる一般的な判断を表す場合も、話し手の個人的な判断を表す場合も多い。聞き手の行為について直接言及する場合は、諭す意味になる。この場合は、ふつう、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。 1737 子「友達と遊園地に行ってもいい?」父「子どもだけではだめだよ。大人と一緒で{なくちゃ}」 Nでなくちゃ 294 ~なくちゃいけない 0009-001 義務 義務 4 義務であること、必要があることを表すときに使う。「〜なくてはいけない」のくだけた言い方。話し手の個人的な判断を表す場合が多い。聞き手の行為について直接言及する場合は、諭す意味になる。この場合は、ふつう、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。「いけない」を省略した「〜なくちゃ」の形もある。 1706 「わー、大きな家。こんな立派な家に住むには、きっとお金持ちで{なくちゃいけない}よね」 Nでなくちゃいけない 295 ~なくちゃならない 0009-001 義務 義務 4 義務・不可避であること、必要があることを表すときに使う。社会的常識や規則、法律などによる一般的な判断を表す場合が多い。「〜なくてはならない」は「〜なければならない」より話し言葉的。「〜なくちゃならない」は、さらにくだけた言い方で、「ならない」を省略した「〜なくちゃ」の形もある。 1676 この会社は海外とのやりとりが多いので、社員は英語ができる人で{なくちゃならない}。 Nでなくちゃならない 296 ~なくて 0015-001 原因・理由 原因・理由 4 物事の原因・理由を表す。深い思考過程を経ない、直感的、感覚的に判断した因果関係を表す。「〜て」の否定の形。後には、感情・感謝・謝罪や不可能・身体の状態を表す表現など、意図せず起こった結果を表す文がくる。働きかけや話し手の意志や希望を表す表現は使えない。前の文と後の文の主語は同一でも異なってもよい。 630 退院はしたがまだ本調子では{なくて}、あまり外出はできない。 Nでなくて 297 ~なくていい 0011-002 許可 許容 4 〜する必要がないことや、〜である必要がないことを表すときに使う。「〜なくてもいい」に似た意味機能だが、より積極的に不必要性を表す言い方になる。「〜なくてよい」は改まった形。より丁寧な形として「〜なくてよろしい」も使う。聞き手の行為について聞き手に直接言うときは指示のような意味になるので、目上の人の行為の必要性については直接言わない。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜なくていいから・〜なくていいので」の形もよく使う。 1500 「みきさん、僕とお付き合いしてくれませんか。返事は今すぐ{でなくていいです}から」 副詞 298 ~なくてかまわない 0011-002 許可 許容 3 〜する必要がないことや、〜である必要がないことを表すときに使う。「〜なくていい」に近い意味機能だが、話し手側の都合から見て問題がないことに焦点を当てており、相手に対する配慮をより強く示す言い方としても使われる。また、「〜なくてもかまわない」より積極的に不必要性を表す言い方になる。聞き手の行為について聞き手に直接言うときは指示のような意味になるので、目上の人の行為の必要性については直接言わない。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜なくてもかまわないから・〜なくてもかまわないので」の形もよく使う。表記:〜なくてかまわない・〜なくても構わない 1526 「だれか知り合いにいない?うちの店の仕事、手伝ってくれる人。特に優秀な人で{なくて構わない}んだけど」 Nでなくてかまわない 299 ~なくては 0009-001 義務 義務 4 義務・不可避であること、必要があることを表すときに使う。「〜なくてはならない」または「〜なくてはいけない」を短く省略した形。社会的常識や規則、法律などによる一般的な判断を表す場合も、個人的な判断を表す場合もある。聞き手の行為について直接言及する場合は、諭す意味になる。この場合は、ふつう、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。「〜なくちゃ」はくだけた言い方。 1723 今日の演奏、本当に素晴らしかったです。「ショパンはこうで{なくては}」と思わせる音色でした。 その他 300 ~なくてはいけない 0009-001 義務 義務 4 義務であること、必要があることを表すときに使う。話し手の個人的な判断を表す場合が多い。聞き手の行為について直接言及する場合は、諭す意味になる。この場合は、ふつう、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。「〜なくてはいけない」は「〜なければいけない」より話し言葉的。「〜なくちゃいけない」はさらにくだけた言い方で、「いけない」を省略した「〜なくちゃ」の形もある。 1690 あの人は、自分が何でも一番で{なくてはいけない}と思っているので、付き合いにくい。 Nでなくてはいけない 301 ~なくてはならない 0009-001 義務 義務 4 義務・不可避であること、必要があることを表すときに使う。社会的常識や規則、法律などによる一般的な判断を表す場合が多い。「〜なくてはならない」は「〜なければならない」より話し言葉的。「〜なくちゃならない」は、さらにくだけた言い方で、「ならない」を省略した「〜なくちゃ」の形もある。 1665 裁判官は、人の意見をきちんと聞いて、冷静に判断を下すことができる人物{でなくてはならない}。 Nでなくてはならない 302 ~なくてもいい 0011-002 許可 許容 4 〜する必要がないことや、〜である必要がないことを表すときに使う。「〜なくてもよい」は改まった形。より丁寧な形として「〜なくてもよろしい」も使う。聞き手の行為について聞き手に直接言うときは指示のような意味になるので、目上の人の行為の必要性については直接言わない。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜なくてもいいから・〜なくてもいいので」の形もよく使う。「〜なくていい」の形は、より積極的に不必要性を表す言い方になる。 1484 今すぐで{なくてもいい}から、いつか機会があったら外国で働きたいと思っている。 副詞 303 ~なくてもかまわない 0011-002 許可 許容 3 〜する必要がないことや、〜である必要がないことを表すときに使う。「〜なくてもいい」に似た意味機能だが、話し手側の都合から見て問題がないことに焦点を当てており、相手に対する配慮をより強く示す言い方としても使われる。聞き手の行為について聞き手に直接言うときは指示のような意味になるので、目上の人の行為の必要性については直接言わない。話し手の意志・希望を表す文や働きかけの文で、許容できる条件を示す「〜なくてもかまわないから・〜なくてもかまわないので」の形もよく使う。「〜なくてかまわない」の形は、より積極的に不必要性を表す言い方になる。表記:〜なくてもかまわない・〜なくても構わない 1513 フランス旅行で素敵な絵を買った。それほど立派なもので{なくてもかまわない}から、額に入れたい。 Nでなくてもかまわない 304 ~なくなる 0034-001 変化 変化 4 人や物事が〜しない・〜ではない状態に変わることを表すときに使う。 1802 最近、化粧は女性だけのものでは{なくなった}らしく、男性用の化粧品もたくさん売られている。 Nで(は)なくなる 305 ~なければ 0009-001 義務 義務 4 義務・不可避であること、必要があることを表すときに使う。「〜なければならない」または「〜なければいけない」を短く省略した形。社会的常識や規則、法律などによる一般的な判断を表す場合も、話し手の個人的な判断を表す場合もある。聞き手の行為について直接言及する場合は、諭す意味になる。この場合は、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。「〜なきゃ」はくだけた言い方。 1639 難しい言葉遣いをする必要はない。文章は、誰が読んでも理解できるもので{なければ}。 Nでなければ 306 ~なければいけない 0009-001 義務 義務 4 義務であること、必要があることを表すときに使う。話し手の個人的な判断を表す場合が多い。聞き手の行為について直接言及する場合は、諭す意味になる。この場合は、教師や親など、行動を規制できる立場の人が、学生・生徒・子どもなどに対して言う。「〜なきゃいけない」は、くだけた言い方で、「いけない」を省略した「〜なきゃ」の形もある。 1612 どんなことでも「必ずこうで{なければいけない}」と思いすぎないで、もっと柔軟に考えたほうがいい。 その他 307 ~なければならない 0009-001 義務 義務 4 義務・不可避であること、必要があることを表すときに使う。社会的常識や規則、法律などによる一般的な判断を表す場合が多い。「〜なきゃならない」は、くだけた言い方で、「ならない」を省略した「〜なきゃ」の形もある。 1583 議会クオータ制というのは、女性議員の割合が一定以上で{なければならない}とあらかじめ決めておく制度のことだ。 Nでなければならない 308 ~なさい 0003-006 依頼・命令 命令 4 聞き手に〜するように指示するときに使う。親・教師・上司など、指示できる立場の人が、子ども・生徒・部下に言う。また、書き言葉で試験の指示文などでも使う。 1253 勉強した慣用句を使って、文を1つ作り{なさい}。 (試験問題の指示文) Vなさい 309 なさいます 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語で、「する」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す。辞書形は「なさる」で、マス形は例外的な活用形になる。同じ尊敬語の「される」より敬意の程度が高い。 3610 「お客様、ご朝食は和食と洋食、どちらに{なさいます}か」「和食でお願いします」 (旅館で) する 310 ~なさすぎ 0027-001 程度 過度 4 通常の程度や頻度を超えて、不都合が生じる状態であることを表す。名詞として扱う。「〜すぎ」の否定の形で、否定の状況が過度であることを言う。「〜」が形容詞の場合「〜なさすぎ」の形、「〜」が動詞の場合「〜なすぎ」の形になることが多い。表記:〜なさすぎ・〜なさ過ぎ 3852 もっと面接の練習をしたほうがいいです。受け答えがスムーズじゃ{なさすぎです}。 na-Aで(は)なさすぎ 311 ~なさすぎる 0027-001 程度 過度 4 通常の程度や頻度を超えて、不都合が生じる状態になることを表す。「〜すぎる」の否定の形で、否定の状況が過度であることを言う。「〜」が動詞の場合「〜なすぎる」の形、「〜」が形容詞の場合「〜なさすぎる」の形になることが多い。表記:〜なさすぎる・〜なさ過ぎる 3839 「あなたは素直じゃ{なさすぎる}。もっと自分の気持ちに正直になったらどう?」 na-Aで(は)なさすぎる 312 ~なさそうだ 0016-007 根拠に基づく判断 様子 4 外見の様子を表す言い方。外見そのものについて言うのではなく、外見からいかにも~ではないように感じられると想像したことを表す。客観的に見てすぐわかるような予測や推測の余地のないことには使えない。「~なさそうな・~なさそうで・~なさそうに」のようにナ形容詞と同じ活用をする。 2692 台風でりんごがやられてしまった。傷ものでは{なさそうな}ものだけ選んでお菓子を作った。 Nではなさそうだ 313 ~なさそうだ 0016-008 根拠に基づく判断 予想 4 いろいろな状況から話し手が総合判断した推量・予感・可能性などを言うときに使う。「~そうな・~そうで・~そうに」のようにナ形容詞と同じ活用をする。  2736 医者の話を聞くと、どうやら悪い病気では{なさそうで}、よかった。 Nではなさそうだ 314 ~なすぎ 0027-001 程度 過度 4 通常の程度や頻度を超えて、不都合が生じる状態であることを表す。名詞として扱う。「〜すぎ」の否定の形で、否定の状況が過度であることを言う。「〜」が動詞の場合「〜なすぎ」の形、「〜」が形容詞の場合「〜なさすぎ」の形になることが多い。表記:〜なすぎる・〜な過ぎる 3855 夫は、休みの日はごろごろ寝てるか、テレビ見ているかで、本当に家のことを何もし{なすぎ}です}。 Vなすぎ  315 ~なすぎる 0027-001 程度 過度 4 通常の程度や頻度を超えて、不都合が生じる状態になることを表す。「〜すぎる」の否定の形で、否定の状況が過度であることを言う。「〜」が動詞の場合「〜なすぎる」の形、「〜」が形容詞の場合「〜なさすぎる」の形になることが多い。表記:〜なすぎる・〜な過ぎる 3829 久しぶりにドライブに行こうとしたが、運転し{なすぎて}バッテリーがあがってしまっていた。 Vなすぎる 316 ~なら 0022-001 条件 仮定 4 ~がある事柄の成立に必要な条件であると言いたいときに使う。「〜ぱ」とほぼ同じ意味機能。「〜ならば」も同じ意味機能だが、「〜なら」より硬い言い方。 3126 大学の専門は慎重に選んだほうがいい。自分の興味のあることでなかった{なら}、やる気は持続しないだろう。 N普通形+なら(例外:Nなら) 317 ~なら 0022-011 条件 話題 4 話の現場で出てきたこと、または相手の態度などから推測されることを話題として取り上げ、それに関連した何かを述べるときに使う。「~」には取り上げられている話題が、後には、その話題に対する話し手の意見・情報提供・相手への働きかけを表す文がくる。また、「〜」が名詞以外の場合は「〜のなら」の形も使われ、ほぼ同じ意味機能。「~ならば」も同じ意味機能で、「〜なら」より硬い言い方。 3370 「明日は雨らしいよ」「それ{なら}キャンプは中止だね」 その他 318 ~ならいい 0008-001 希望 願望 3 確認できていない状況について、話し手が〜を希望することを表す。話し手の意志だけではその状況にならない場合に使われる。「〜ばいい」と同じ意味機能で、「〜」がナ形容詞か名詞の場合に使われる。「〜ならばいい」はより硬い言い方。文末に「〜な・〜ね」などをつけて使うことが多い。「〜(のだ)が・〜(んだ)けど」などをつけて使う場合は、そうなるかどうかを不安に思う気持ちがある。「〜といい・〜たらいい」も似た意味機能。 907 運動会って、いつ?秋{ならいい}なあ。雨が降って蒸し暑いから6月は嫌だよ。 Nならいい 319 ~ならば 0022-001 条件 仮定 3 ~がある事柄の成立に必要な条件であると言いたいときに使う。「〜なら」も同じ意味機能だが、それより硬い言い方。 3149 この授業では、学期中の出席率が3分の2以上でなかった{ならば}、期末試験を受けることができず、不合格になる。 N普通形+ならば(例外:Nならば) 320 ~ならば 0022-011 条件 話題 3 話の現場で出てきたこと、または相手の態度などから推測されることを話題として取り上げ、それに関連した何かを述べるときに使う。「~」には取り上げられている話題が、後には、その話題に対する話し手の意見・情報提供・相手への働きかけを表す文がくる。「〜なら」と同じ意味機能だが、それより硬い言い方。 3158 「マラソンのオリンピック代表は小林選手でしょうかね。このところいい調子だから」「いい調子{ならば}、期待に応えてくれそうですね」 N普通形+ならば  (例外:Nならば) 321 ~ならばいい 0008-001 希望 願望 3 確認できていない状況について、話し手が〜を希望することを表す。話し手の意志だけではその状況にならない場合に使われる。「〜ばいい」と同じ意味機能で、「〜」がナ形容詞か名詞の場合に使われ、「〜ならいい」より硬い言い方。文末に「〜な・〜ね」などをつけて使うことが多い。「〜(のだ)が・〜(んだ)けど」などをつけて使う場合は、そうなるかどうかを不安に思う気持ちがある。「〜といい・〜たらいい」も似た意味機能。 912 警察から父が事故にあったと連絡が来た。何かの間違い{ならばいい}が。 Nならばいい 322 ~に 0015-003 原因・理由 目的 5 移動の目的を表す。行った先で目的の行為が完結するときに使う。「〜」には、意志動詞か意志的動作を表す名詞がくる。後には、「行く・くる・帰る・戻る」などの移動動詞がくる。「〜」の動作と後の文の動作の主語は同じ。 922 出先からそのまま帰宅しようと思ったが、明日の会議の書類のチェック{に}会社に戻ることにした。 Nに 323 ~に 0015-005 原因・理由 用途・目的 4 用途・目的を表す。「〜」は動作を表す名詞で、後には「使う・(時間・お金)がかかる・便利だ・必要だ」などの言葉がくる。 959 夫は通勤{に}は電車を利用しています。 Nに 324 ~にくい 0007-001 可能性 困難 4 〜することが困難であることを表す。「〜」は主に意志動詞。悪い意味で使われることが多い。主に意志動詞を使う。 1033 新しく買ったパソコンは使い{にくかった}。 Vにくい 325 ~にくい 0007-002 可能性 困難|性質 4 なかなか〜しない性質があることを表す。「〜」は主に無意志動詞。いい意味でも悪い意味でも使う。イ形容詞として扱う。「〜やすい」と対立する言い方。 1043 このカーテンは光や熱を通し{にくくて}、夏に最適だ。 Vにくい 326 ~にする 0034-001 変化 変化 5 人が意図的に物事を〜の状態に変えることを表すときに使う。ナ形容詞・名詞で表される状態に変えることを言う場合の形。 1772 「今日はどんな髪型になさいますか」「この写真みたいなショート{にして}ください」 (美容室で) Nにする 327 ~にする 0014-001 決定 決意 4 話し手の意志で積極的に選択し、~を決める・決めたと言いたいときに使う。主語は基本的に一人称。「~にしましょう・~にしませんか」などの形で選択や決定を呼びかける場面でも使われる。 1782 論文のテーマを女性問題{にする}なら、この本を読んだほうがいい。 Nにする 328 ~になる 0034-001 変化 変化 5 人や物事が〜の状態に変わることを表すときに使う。人が意図的に引き起こした変化を表すこともできるが、人の意志には注目しないで結果だけを述べる言い方になる。ナ形容詞・名詞で表される状態に変わることを言う場合の形。 1752 信号が黄色{になった}ら、道を渡り始めてはいけません。 Nになる 329 ~になる 0014-003 決定 決定 4 話し手の意志で決めることではなく、周囲の事情によって、または複数の人の合意で~に決まるということを表す言い方。ただし、話し手の意志だけで決める場合でも、自分の積極的な姿勢を表面に出さないで言うときは使うことがある。 1757 本の発売が延期{になった}理由について、現在さまざまな憶測が飛んでいる。 Nになる 330 ~の 0023-005 説明 説明 4 ある事柄の前提となる事実や、状況の背後にある理由・原因・事情などを説明したり、説明を求めたりする場合や、相手の様子から解釈してその行為を確かめたりする場合に使う。「〜のだ」の話し言葉で使うくだけた形。 2201 「あれ、ゆき、あしたの会、欠席?」「そうな{の}。急用ができちゃって」 その他 331 ~の 0023-004 説明 主張・命令 3 聞き手に言い聞かせたり、説得したり命令したりするときに使う。また、自分自身に言い聞かせるときにも使う。「〜のだ」の話し言葉で使うくだけた形。 2206 子「もっとゲーム、やりたかったなあ。もう少しで最後まで行くところだったんだけどなあ」母「いつまでもぐずぐず言わない{の}。もう諦めなさい」 Vるの/Vないの 332 ~のだ 0023-005 説明 説明 4 ある事柄の前提となる事実や、状況の背後にある理由・原因・事情などを説明する場合に使う。話し言葉では「~んだ・〜の」をよく使う。「~のだが・〜のですが」の形で話の前置きとしても使われる。 2065 駅の近くでいいマンションを見つけたが、結局、買わなかった。ペットが飼えるマンションじゃなかった{のだ}。 N普通形+のだ(例外:Nなのだ) 333 ~のだ 0023-007 説明 納得・発見 3 ある事態に気がついた、または気がついて納得したと言いたいときに使う。納得を表す場合は「だから」「それで」などと一緒に使うことが多い。形容詞・名詞に接続する場合、気がついた時点、納得した時点は発話時だが、前から続いていた事態に今、気がついた、今、納得したと強調するときにはタ形に接続することもある。話し言葉では「~んだ」を使う。 2091 ああ、もう9時だった{のか}。帰らなければ。 N普通形+のだ(例外:Nなのだ) 334 ~のだ 0023-004 説明 主張・命令 3 聞き手に言い聞かせたり、説得したり命令したりするときに使う。また、自分自身に言い聞かせるときにも使う。 2093 はじめは寂しくても我慢する{のだ}。じきに一人の生活にも慣れるだろう。 (日記) Vる+のだ 335 ~のだ 0023-008 説明 まとめ・言い換え 3 それまで述べてきた内容の要点をまとめたり、端的に言い換えたりするときに使う。「つまり・要するに・言い換えれば」などの言葉と一緒に使われることが多い。話し言葉では「~んだ・〜の」を使う。 2112 裁判で彼は自ら罪を認め、有罪の判決を受けた。つまり、無実ではなかった{のだ}。 N普通形+のだ(例外:Nなのだ) 337 ~のだった 0023-003 説明 再確認 2 忘れていたことを、なんらかのきっかけで急に思い出したと言いたいときに使う。話し言葉では「~んだった」を使う。形容詞・名詞に接続する場合、再認識した時点は発話時だが、前から続いていた事態を今、再認識したと強調するときにはタ形に接続することもある。 2126 今日は祝日だが、大学は休みではなかった{のだった}。すぐ行かなければ。 N普通形+のだった(例外:Nなのだった) 338 ~ので 0015-001 原因・理由 原因・理由 4 物事の原因・理由・根拠を表す。「〜から」よりも客観的に論理関係を説明するときに使われ、丁寧に聞こえる。命令・意志・普通体での勧誘の文には使いにくい。ふつう普通形に接続するが、ビジネスなどでは丁寧形に接続する形でも使われる。話し言葉では、後の文のない「〜ので。」の形も使われる。「〜んで」はよりくだけた言い方。 521 本日全品10%オフです{ので}、ぜひご利用ください。 N普通形+ので/N丁寧形+ので(例外:Nなので) 339 ~ので 0015-002 原因・理由 原因・理由|前提条件 3 依頼・勧誘の文で、その前提になる条件を提示する。ふつう普通形に接続するが、ビジネスなどでは丁寧形に接続する形でも使われる。話し言葉では、後の文のない「〜ので。」の形も使われる。「〜んで」はよりくだけた言い方。 520 「これ、国のお土産です{ので}、どうぞ」 N普通形+ので/N丁寧形+ので(例外:Nなので) 340 ~のではない 0023-006 説明 説明|部分否定 3 ~の部分だけを否定する言い方。状況から考えて、ふつう~と想像されるかもしれないが、実は~ではないと言いたいときに使う。この後に続けて正しい説明が対比的に述べられることが多い。「~んじゃない」はくだけた言い方。 2255 今度の地方選挙では投票権がありませんでした。東京都民じゃなかった{のではありません}。都民でしたが、地方都市から引っ越してきたばかりだったんです。 N普通形+のではない(例外:Nなのではない) 341 ~のなら 0022-011 条件 話題 3 話の現場で出てきたこと、または相手の態度などから推測されることを話題として取り上げ、それに関連した何かを述べるときに使う。「~」には取り上げられている話題が、後には、その話題に対する話し手の意見・情報提供・相手への働きかけを表す文がくる。「〜なら」とほぼ同じ意味機能。「〜んなら」はくだけた言い方。「〜のならば」も同じ意味機能だが、「〜のなら」より硬い言い方。 3179 「あれ?ここは昔、こんな公園じゃなかったよ」「公園じゃなかった{のなら}、ここは何だったの?」 N普通形+のなら(例外:Nなのなら) 「なのなら」はあまり使われない 342 ~のならば 0022-011 条件 話題 3 話の現場で出てきたこと、または相手の態度などから推測されることを話題として取り上げ、それに関連した何かを述べるときに使う。「~」には取り上げられている話題が、後には、その話題に対する話し手の意見・情報提供・相手への働きかけを表す文がくる。「〜なら・〜のなら」とほぼ同じ意味機能だが、より硬い言い方。 3213 「明日九州まで出張なんですが、台風の影響で飛行機が飛ばないようです。新幹線の切符は一応確保しましたが」「飛行機でない{のならば}だいぶ時間がかかりそうですね」 N普通形+のならば(例外:Nなのならば) 「〜なのならば」はあまり使われない 343 ~のに 0010-003 逆接 予想外 4 〜から予想されることと結果が異なることへの驚き・不満・非難などを表すときに使う。「〜」の事柄と後の事柄はすでに成立していることで、後には、働きかけの文や話し手の希望・意向・判断を表す文、「〜のか」の形以外の疑問文はこない。話し言葉では、後の文のない「〜のに。」の形で使うこともある。 794 あの日は休日ではなかった{のに}、公園はにぎやかだった。 N普通形+のに(例外:Nなのに) 344 ~のに 0015-005 原因・理由 用途・目的 4 用途・目的を表す。「〜」は動詞で、「の」はその名詞化のために入れる。後には「使う・(時間・お金)がかかる・必要だ」などの言葉がくる。 953 ビザを申請する{のに}はパスポートが必要です。 Vるのに 345 ~のは~だ 0023-005 説明 説明 4 ある話題についての情報(日付・人物・もの・ことなど)をはっきりさせたり、原因・理由・目的などを強調したりするときに使う。話題になることを「~の」で受けて、述語に「~だ」を使い、情報を際立たせるときの言い方。 2304 その日お弁当持参じゃなかった{のは}わたしだけ{で}、他の人はみんな持っていた。 N普通形+のは~だ(例外:Nなのは~だ) 346 ~のようなN 0025-005 たとえ 4 Nの代表的な具体例を示すときに使う。Nは「〜」やそれに類似した言葉を含むグループを表す言葉。 2962 日本国籍の人は、フランスやスペイン{のような}EU加盟国に旅行するときは、観光ビザを取る必要がない。 N₁のようなN₂ 347 ~のように 0025-005 たとえ 4 後に続く事柄の代表的な具体例を示すときに使う。「〜のようなN」の形容詞・動詞を説明する形。後にくる事柄は、「〜」やそれに類似した言葉を含むグループを表す言葉。 2977 繁華街や満員列車{のように}混雑しているところでは、スリに気をつけてください。 Nのように 348 ~ば 0022-001 条件 仮定 4 ~がある事柄の成立に必要な条件であると言いたいときに使う。「~」が動きを表す動詞を伴う場合は、後には話し手の意志を表す文や働きかけの文はこない。「~」が状態動詞や形容詞の場合には、後の文に使われる文の種類には制限はない。 3077 田中さんは、口を開け{ば}文句ばっかり言っている。 Vば/Vなければ 349 ~ば 0022-007 条件 反復・習慣 3 ~が成立する場合、決まってあることを行う・ある事態になるという繰り返しの動作、習慣や出来事を表す。ある事柄の成立に必要な条件として「〜」に注目して述べる言い方。過去の反復・習慣についても言うことができる。 3088 父は会社からの帰りが遅くなけれ{ば}、いつもわたしと遊んでくれていた。 i-Aければ/i-Aくなければ 350 ~ば 0022-010 条件 前置き 3 後に続く内容(発言・判断・考えなど)が、どのような条件・立場・観点から行われるのかを前もって予告したり注釈したりするときに使う。慣用的な表現が多い。 3097 「もし、差し支えなけれ{ば}、名刺を交換させてください」「ええ、是非交換しましょう」 i-Aければ/i-Aくなければ 351 ~ば? 0026-002 提案 勧め 4 聞き手に〜するように勧めるときに使う。「〜ばいい」を短く省略した形。「〜たら?」も似た意味機能を持つが、「〜たら?」と違って、〜以外は必要がないという意味を持つ。そのため、〜しようとしないことを悪く言っているような、突き放したような意味を持つ場合がある。友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。 1376 「何なの?黙ってないで、言いたいことあるなら言え{ば}?」 Vば 352 ~は~が、~は 0024-001 対比 対比 4 ある二つの事柄を対比して説明するときに使う。二つの事柄は同類のもので、その違いを強調して述べる言い方。文中の要素のいずれも取り立てることができるが、助詞「が・を」は「は」で入れ替え、他の助詞の場合は、「では・には・へは・からは・までは」のように、助詞の後に「は」がつく形になる。 3798 「かさとハンカチのお忘れ物、田中さんのですか」「このかさ{は}わたしのではありません{が}、このハンカチ{は}わたしのです」 N1(+助詞)はN普通形/丁寧形+が、N2(+助詞)~は 353 ~ばいい 0008-001 希望 願望 3 確認できていない状況について、話し手が〜を希望することを表す。話し手の意志だけではその状況にならない場合に使われる。「〜」には無意志動詞・可能の表現・話し手以外が主語になる表現がくる。文末に「〜な・〜ね」などをつけて使うことが多い。「〜(のだ)が・〜(んだ)けど」などをつけて使う場合は、そうなるかどうかを不安に思う気持ちがある。「〜といい・〜たらいい」と似た意味機能。 899 明日こそ病院へ行ってちゃんと検査を受けよう。悪い病気じゃなけれ{ばいい}けど。 Nでなければいい 354 ~ばいい 0026-002 提案 勧め 4 聞き手に〜するように勧めるときに使う。「〜よ・〜と思う」などを文末につけて言うことが多い。「〜たらいい」も似た意味機能を持つが、「〜たらいい」と違って、〜以外は必要がないという意味を持つ。そのため、〜しようとしないことや、〜以上を求めることを悪く思っているような、突き放したような意味を持つ場合がある。疑問文でも使う。「どうすればいい(ですか)」の形は、自分ではまったく判断のつかないときに、聞き手に指示を求める言い方。 1371 「明日のバザーの準備、何時に来れ{ばいい}?」「8時に来てもらえる?」 Vばいい/Vなければいい 355 拝見します 0013-001 敬語 謙譲 4 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「見る」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者と関わる動作を表す。 3699 昨日、部長のお見舞いに行ってまいりました。お顔を{拝見しまし}たら、だいぶお元気そうでした。 見る 356 ~はじめる 0028-001 出来事の局面 開始 4 始まりと終わりがある継続動作や習慣などの開始(始める・始まる)を表す。また、ある継続的な変化や自然現象が始まるという意味でも使う。ふつうは継続動詞(「読む・食べる・歩く」など)につくが、多くの主体が瞬間的な動作や動きを継続する場合は瞬間動詞(「乗る・座る・開ける」など)にも使う:。表記:はじめる・始める 2452 この会社で働き{はじめて}2か月。今日、重要なプロジェクトを任された。 Vはじめる 357 ~はずだ 0016-003 根拠に基づく判断 高い可能性 4 話し手が何らかの客観的・具体的な根拠をもとに自らの判断や予測を確信的に述べる場合に使われる。予定などを言う場合にも使われる。話し手自身の意志的行為の判断・推量には使わない。「きっと・確か」などを一緒に使うことも多い。 2908 小林先生は当時まだこの学校の校長ではなかった{はずです}。職員録を見ればわかりますが。 N普通形+はずだ(例外:Nのはずだ) 358 ~はずだ 0016-006 根拠に基づく判断 当然|道理 4 事実や状況から考えて~という事実は当然だ・納得できると言いたいときに使う。「道理で・これでは・それでは」などとよく一緒に使う。 2927 ああ、今日は全品10%オフの日だったのか。道理でいつもの値段じゃなかった{はずだ}。 N普通形+はずだ(例外:Nのはずだ) 359 (~より)~ほう 0032-003 比較 比較 4 (他のものと比べて)〜の程度が高いと言いたいときに使う。比較対象である「〜より」がつくこともある。主語になるときは、「〜は」ではなく「〜が」を使う。「〜のほう(が)(〜より)〜」という使い方もできる。後には、程度を表す形容詞や副詞などを含む文がくる。ふつう、否定文では使わない。程度の大きさを表す「ずっと・少し」などもよく一緒に使われる。表記:(〜より)〜ほう・(〜より)〜方 223 「旅行カバン、ある?あまり大型じゃないほうがいいんだけど」 Nのほう/Nで(は)ないほう 360 ~ほうがいい 0026-002 提案 勧め 4 聞き手に〜をするように勧めたり、忠告したりするときに使う。〜しなければ悪い結果になるかもしれないという意味で言うことが多い。文末を言い切る形は忠告の意味合いが強くなるので目上の人に使うと失礼に感じられるが、「〜と思います・〜かもしれません・〜そうですよ」などの和らげの表現を使えば、目上の人にも使える。表記:〜ほうがいい・〜方がいい 1339 「このヨーグルト、賞味期限が1週間前なんだけど、食べても大丈夫かな」「悪くなっているかもしれないから食べない{ほうがいい}んじゃない?」 Vたほうがいい/Vないほうがいい 361 ~ほど~ない 0032-003 比較 比較 4 〜と比べて話題となっている物事の程度が高くないと言いたいときに使う。話題として取り上げたものの程度の高さもある程度認めるが、より程度の高い〜があるという意味になる。後の「〜」には、程度を表す形容詞や副詞などを含む否定文がくる。 241 専門用語を使って説明するのは、誰にでもわかる言葉で説明する{ほど}難しくは{ない}。 V普通形+ほど~ない 362 まいります 0013-001 敬語 謙譲 4 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「行く・来る」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者と関わる動作を表す。表記:まいります・参ります   3669 「お待たせしております。まだ、係の者が{参りません}か」 来る 363 まいります 0013-002 敬語 謙譲|丁寧 4 「行く・来る」の意味で、聞き手との心的距離を取る場面で丁寧に言うときに使う。動作に関わる相手がいない場合の意味。表記:まいります・参ります 3676 先日、ニューヨークに留学している息子に会って{参りました}。 来る 366 ~前 0029-012 5 二つの動作・出来事の時間的前後関係を表す。「~」よりも早く、ある動作・出来事が起こると言いたいときに使う。「〜前」は後の文が状態を表す場合、「〜前に」は後の文が動きを表す場合に多く使われる。 66 からりと晴れた日でも、夕立の{前}は、空が暗くなってくる。 Nの前 367 ~前に 0029-012 5 二つの動作・出来事の時間的前後関係を表す。「~」よりも早く、ある動作・出来事が起こると言いたいときに使う。「〜前に」は後の文が動きを表す場合、「〜前」は後の文が状態を表す場合に多く使われる。 57 兄は夕食の{前に}は帰ってくると言って出て行ったが、まだ帰ってこない。 Nの前に 368 ~ましょう 0026-001 提案 誘い 5 話し手自身と同じことを一緒にするように誘うときに使う。聞き手の意向を尋ねないで、積極的に誘う言い方。また、誘いや提案を受け入れるときも使う。その場合、「〜」を繰り返さない言い方として「そうしましょう」がよく使われる。さらに、聞き手や聞き手を含む多数の人に呼びかけるときにも使う。普通体の会話では「〜う・〜よう」を使う。「一緒に」などの表現をよく一緒に使う。 1305 電気を大切にし{ましょう}。 (ポスター) Vましょう 369 ~ましょう 0026-004 提案 提案|申し出 5 聞き手の利益になる行為を話し手がすることを申し出るときに使う。聞き手の意向を尋ねないで、積極的に申し出る言い方。 1310 「大田さんに会ったら、時間があるときにわたしに連絡するように伝えてもらえませんか」「わかりました。伝えておき{ましょう}」 Vましょう 370 ~ましょうか 0026-003 提案 提案 4 話し手自身と同じことをするように聞き手に提案するときに使う。心理的に近い人とのくだけた会話では「〜うか・〜ようか」を使う。 1285 「何を手土産に買っていき{ましょうか}」「このケーキはどうですか」 Vましょうか 371 ~ましょうか 0026-004 提案 提案|申し出 4 聞き手の利益になる行為を話し手がすることを申し出るときに使う。心理的に近い人とのくだけた会話では「〜うか・ようか」を使う。 1290 「バス停の場所はわかりますか。案内し{ましょうか}」「いえ、結構です。行ってみます」 Vましょうか 372 ~ます 0013-004 敬語 丁寧 5 動詞文の文末に使い、丁寧さを表す。聞き手との心的距離を取るために使う。主に、客・目上の人・心理的に遠い人に使われるが、スピーチや発表などの改まった場面でも使われる。現在否定形、過去肯定形、過去否定形は「~ません」「~ました」「~ませんでした」。 3744 風邪を引いてしまって、期限までにレポートが終わり{ませんでした}。 Vます 373 ~ませんか 0026-001 提案 誘い 5 話し手自身と同じことをするように誘うときに使う。否定的な返答をしやすい形で、聞き手の意向を尋ねる言い方。心理的に近い人とのくだけた会話では「〜ない?」の形で使われることが多い。「〜ないか」の形は主に男性が使う。 1324 「よかったら明日一緒に映画でも見{ない}?」「明日はちょっと…」 Vませんか 374 ~ませんか 0026-002 提案 勧め 5 聞き手に〜するように勧めるときに使う。否定的な返答をしやすい形で、聞き手の意向を尋ねる言い方。心理的に近い人とのくだけた会話では「〜ない?」の形で使われることが多い。「〜ないか」の形は主に男性が使う。 1329 先生「この本、読んでみ{ないか}。君の研究の参考になると思うよ」学生「ありがとうございます。ぜひ読んでみます」 Vませんか 375 ~まで 0029-006 終点 5 ある状態や継続的な動作・出来事の時間的な終点を表す。「〜」には、時間を表す言葉や動作・出来事を表す文がくる。後には、状態や継続的な動作・出来事を表す文がくる。ある状態や継続的な動作・出来事の時間的な起点を表す「から」とともに使うことも多い。 138 この港は昭和の初め{まで}、漁港として栄えていた。 Nまで 376 ~まで 0030-004 範囲 終点|空間的終点 5 ある範囲や、動作・出来事の空間的な終点を表す。範囲や動作・出来事の空間的な起点を表す「から」とともに使うことも多い。 3874 月{まで}の距離は約38万キロです。 Nまで 377 ~まで 0030-005 範囲 終点|範囲の終点 4 ある範囲の終点を表す。範囲の始点を表す「〜から」とともに使うことが多い。 3879 科学はどこ{まで}進歩し続けるのか。 Nまで 378 ~までに 0029-006 終点 4 ある動作・出来事が完了する期限を表す。「〜」には、時間を表す言葉や動作・出来事を表す文がくる。後には、瞬間的な動作や出来事を表す文がくる。 148 「このツアーに参加したいんですが、申込金はいつ{までに}振り込めばいいですか」 Nまでに 379 ~まま 0028-007 出来事の局面 継続|状態の継続 4 ~という同じ状態が変わらないでずっと続いていると言いたいときに使う。「〜」には状態を表す言葉がくる。 2490 僕は独身の{まま}今年還暦を迎えましたが、悔いはありません。 Nのまま 380 ~まま 0028-008 出来事の局面 継続|動作後の状態の継続 4 初めの動作の後、何も手を加えないで、続けて次の動作をすると言いたいときに使う。したがって、通常とは違う事態を表す意味合いになることも多い。「〜」には動詞がくる。 2500 「こら、はだしの{まま}外に出ちゃだめだ。靴を履きなさい」 Nのまま 381 ~みたいだ 0016-002 根拠に基づく判断 推量 4 話し手が今の時点で判断・推量したことを言いたいとき使う。「~らしい」と意味機能が似ているが、「~らしい」と違って、特に客観的な根拠があって判断・推量したことでなくてもいい。話し手自身の主観的観察や直感でそう感じた場合などに使うことが多い。話し手の意志的行為の判断・推量には使わない。また、はっきり断定するのを避けて、遠慮した言い方をするときにも使う。改まった場面では使わず、日常的なくだけた場面で使う。 2817 「え、みか、会社やめたんだ」「そうらしいよ。なんか、思ったような仕事じゃなかった{みたいで}、すごく悩んでたの」 N普通形+みたいだ(例外:Nみたいだ) 382 ~みたいだ 0025-003 たとえ 比喩 3 物事の形・性質・様子などがイメージしやすいように、その物事によく似たあるものにたとえて表現するときに使う。「~」には、たとえがくる。「まるで」と一緒に使われることが多い。「~のようだ」と意味機能は同じだが、話し言葉的。 2955 結婚式での父の燕尾服[えんびふく]姿、燕[つばめ]じゃなくて、太ったペンギン{みたいだった}。 Nみたいだ 383 ~みたいなN 0025-005 たとえ 3 Nの代表的な具体例を示すときに使う。Nは「〜」やそれに類似した言葉を含むグループを表す言葉。「~のようなN」と意味機能は同じだが、話し言葉的。 2995 「どうしてあいつ{みたいな}いい加減な男にお金を貸してしまったの?きっと返してくれないと思うよ」 N₁みたいなN₂ 384 ~みたいなN 0025-003 たとえ 比喩 3 後に続く言葉の状態・性質・様子などがイメージしやすいように、それをあるものにたとえて表現するときに使う。「〜みたいだ」の名詞を説明する形。「~」には、たとえが入る。「まるで・ちょうど」などの言葉と一緒に使われることが多い。「~のような」と意味機能は同じだが、話し言葉的。 3000 「赤ちゃん、今寝てるわよ」「どれどれ、かわいいね。まるで天使{みたいな}寝顔だね」 N1みたいなN2 385 ~みたいに 0025-005 たとえ 3 後に続く事柄の代表的な具体例を示すときに使う。「〜みたいだ」の形容詞・動詞を説明する形。「〜」やそれに類似した物が共通してもっている性質を表す。「~のように」と意味機能は同じだが、話し言葉的。 3006 僕もこの本の主人公{みたいに}一流のパイロットになって、大空を自由に飛び回りたい。 Nみたいに 386 ~みたいに 0025-003 たとえ 比喩 3 後の文で述べる動作・状態・様子などがイメージしやすいように、それをあるものにたとえて表現するときに使う。「〜みたいだ」の動詞・形容詞を説明する形。「~」には、たとえがくる。「まるで・ちょうど」などの言葉と一緒に使われることが多い。「~のように」と意味機能は同じだが、話し言葉的。 3015 うちの子は、お客さんが来ると、借りてきた猫{みたいに}おとなしくなる。 Nみたいに 387 命令形 0003-006 依頼・命令 命令 4 聞き手に〜するように命令したり指示したりするときに使う。話し言葉では緊急時やスポーツの応援、書き言葉では交通標識、張り紙、試験の指示文など、丁寧さが重要でない場面で使う。また、主に男性が、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に頼んだり勧めたりするときにも使う。さらに、「〜と言う・〜という意味だ」などの引用の文の中で使うこともある。 1248 「時間厳守」というのは、必ず時間を{守れ}という意味だ。 388 召し上がります 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語で、「食べる」「飲む」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す。同じ尊敬語の「食べられる」より敬意の程度が高い。 3607 「吉田さんは甘い物は{召し上がらない}そうですね」 食べる 389 申し上げます 0013-001 敬語 謙譲 4 話し手の動作を低めて言うことで聞き手や第三者を高める謙譲語で、「言う」の意味。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。話し手が聞き手・第三者と関わる動作を表す。 3694 暑中{お見舞い申し上げます}。 (葉書) 言う 390 申します 0013-002 敬語 謙譲|丁寧 4 「言う」の意味で、聞き手との心的距離を取る場面で丁寧に言うときに使う。 3697 上司には何も{申しませんでした}が、わたしが退社したいことをわかっていただけたと思います。 言う 391 ~やすい 0007-003 可能性 容易 4 〜することが容易であることを表す。「〜」は主に意志動詞。いい意味で使われることが多い。イ形容詞として扱う。「〜にくい」と対立する言い方。 1018 この靴は履き{やすくて}疲れにくい。 Vやすい 392 ~やすい 0007-004 可能性 容易|性質 4 簡単に〜する性質があることを表す。「〜」は主に無意志動詞。いい意味でも悪い意味でも使う。イ形容詞として扱う。「〜にくい」と対立する言い方。 1027 梅雨の時期は食べ物が腐り{やすく}なります。 Vやすい 393 ~よう 0004-001 引用 依頼 3 直接的な命令・指示や依頼などの内容を間接話法の引用部分として言うときに使う。目上の人が下の人に発話した内容を言う場合に使われることが多い。伝達内容はやや強制感があるので、目上の人に頼んだ内容などを言う場合はあまり使われない。後には「言う・頼む・伝える」などの動詞がくる。「〜ように・〜ようにと」と同じ意味機能だが、より硬い言い方。 2041 上演中は、大声を出す、身を乗り出すなど、周りのお客様のご迷惑となる行為はお控えくださいます{よう}お願いいたします。 (劇場内のアナウンス) その他 394 ~ようだ 0016-002 根拠に基づく判断 推量 4 話し手が今の時点で判断・推量したことを言いたいときに使う。「~らしい」と意味機能が似ているが、「~らしい」と違って特に客観的な根拠があって判断・推量したことでなくてもいい。話し手自身の主観的観察や直感でそう感じた場合などに使うことが多い。話し手の意志的行為の判断・推量には使わない。また、はっきり断定するのを避けて、遠慮した言い方をするときにも使う。 2795 「あれ、鍵が入らない。この鍵じゃない{ようです}よ」 N普通形+ようだ(例外:Nのようだ) 395 ~ようだ 0025-003 たとえ 比喩 3 物事の形・性質・様子などがイメージしやすいように、その物事によく似たあるものにたとえて表現するときに使う。「~」には、たとえがくる。「まるで」と一緒に使われることが多い。 2948 「あの子、足が速いねえ。まるでシカの{ようだ}ね」 Nのようだ 396 ~ようなN 0025-003 たとえ 比喩 3 後に続く言葉の状態・性質・様子などがイメージしやすいように、それをあるものにたとえて表現するときに使う。「~ようだ」の名詞を説明する形。「~」には、たとえがくる。「まるで・ちょうど」などの言葉と一緒に使われることが多い。 2971 「あら、かわいい赤ちゃん。まるで紅葉[もみじ]{のような}手ね」 N₁のようなN₂ 397 ~ように 0004-001 引用 依頼 3 直接的な命令・指示や依頼などの内容を間接話法の引用部分として言うときに使う。目上の人が下の人に発話した内容を言う場合に使われることが多い。伝達内容はやや強制感があるので、目上の人に頼んだ内容などを言う場合はあまり使われない。後には「言う・頼む・伝える」などの動詞がくる。「~ようにと・〜よう」とほぼ同じ意味機能。 2029 出張の夫に薬を飲み忘れない{ように}言って、見送った。 Vるように/Vないように 399 ~ように 0025-003 たとえ 比喩 3 後の文で述べる動作・状態・様子などがイメージしやすいように、それをあるものにたとえて表現するときに使う。「〜のようだ」の形容詞・動詞を説明する形。「~」には、たとえがくる。「まるで・ちょうど」などの言葉と一緒に使われることが多い。慣用的表現もある。 2989 宝くじで当たったお金を湯水{のように}使ってしまって後悔している。  Nのように 400 ~ようにする 0001-003 意志 習慣 4 話し手の意志で~の行為を習慣的に心がけることを表したり、聞き手に呼びかけたりするときに使う。「~」は意志動詞。一人称を主語にして「~ようにしています」の形で、続けて努力していると言いたいときや、また、「~ようにしてください・~ようにしましょう」の形で、聞き手に努力目標を呼びかけたり柔らかい指示を出したりするときに使われる。「なるべく・できるだけ」などと一緒に使うことが多い。 2409 過ぎてしまったことを後悔してもしょうがない。 もう思い出さない{ようにし}よう。 Vるようにする/Vないようにする 401 ~ようにと 0004-001 引用 依頼 3 直接的な命令・指示や依頼などの内容を間接話法の引用部分として言うときに使う。目上の人が下の人に発話した内容を言う場合に使われることが多い。伝達内容はやや強制感があるので、目上の人に頼んだ内容などを言う場合はあまり使われない。後には「言う・頼む・伝える」などの動詞がくる。「〜ように・〜よう」と同じ意味機能だが、伝達内容をはっきり示したいときに使う。 2035 この池で釣りをしない{ようにと}注意された。 Vるようにと/Vないようにと 402 ~ようになる 0034-001 変化 変化 4 人や物事が〜する・〜である状態に変わることを表すときに使う。「〜」には変化を表す動詞(「変わる・増える・やせる・慣れる・直る」など)は使わない。 1777 近い将来、人の仕事の多くをロボットやAIがする{ようになって}いくと言われる。 Vるようになる 403 ~より 0032-003 比較 比較 4 〜に比べて程度が高いと言いたいときに使う。「〜」に疑問詞「何・だれ・どこ」などが入っている場合、「いちばん〜」という意味になる。後には、程度を表す形容詞や副詞などを含む文がくる。否定文では使わない。その場合は、「〜ほど〜ない」の形になる。「〜よりも」とほぼ同じ意味機能。程度の大きさを表す「ずっと・少し」などもよく一緒に使われる。 187 父は家族のだれ{より}早く起きて、まず、新聞を読みます。 Nより 404 ~よりも 0032-003 比較 比較 4 〜に比べて程度が高いと言いたいときに使う。「〜」に疑問詞「何・だれ・どこ」などが入っている場合、「いちばん〜」という意味になる。後には、程度を表す形容詞や副詞などを含む文がくる。否定文では使わない。その場合は、「〜ほど〜ない」の形になる。「〜より」とほぼ同じ意味機能。程度の大きさを表す「ずっと・少し」などもよく一緒に使われる。 201 「あ、田中さん、震災後だれ{よりも}あなたに会いたかった!」 Nよりも 405 ~らしい 0016-002 根拠に基づく判断 推量 4 あることがらについてはっきり断定せずに、話し手が見たり聞いたり調べたりした根拠から判断・推量したことを言いたいとき使う。ただの直感・主観ではなくそのように推測した客観的な根拠(状況・証拠・情報など)がある場合に使うことが多い。話し手自身の意志的行為の判断・推量には使わない。イ形容詞と同じ活用をするが、ふつう、過去形や否定形で使うことはない。 2755 トマトは壮ちゃんの大好物{らしく}、あっと言う間に食べてしまう。 N普通形+らしい(例外:Nらしい) 406 ~らしい 0016-005 根拠に基づく判断 伝聞 4 他から得た情報を伝える言い方。「〜そうだ」ほど情報源や情報の内容がはっきりしていないときに使う。イ形容詞と同じ活用をするが、ふつう、過去形や否定形で使うことはない。 2775 「これは秘密なんですが、河合さんが昨日休んだ理由は、本当は風邪じゃなかった{らしいです}よ。見合いだった{らしいです}」 N普通形+らしい(例外:Nらしい) 407 ~らしい 0025-002 たとえ 典型 3 ~の典型的な特徴や性質がよく表れていることを表す。「いかにも・まさしく」などの言葉と一緒に使われることが多い。イ形容詞として扱う。 3023 このお正月は、家族と初詣に行ったり、おせち料理やおもちを食べたり、ごろごろしたりとまさしくお正月{らしい}過ごし方だった。 Nらしい 408 ~れる・~られる 0005-005 受身 直接受身 4 話し手(または心理的に話し手に近い人)が、ほかの人の行為や出来事の影響を直接的に受けることを表す。行為の与え手は「~に」で示す(「受け手」は/が「与え手」に~(ら)れる)。行為の受け手が話し手自身のときはふつう、主語は示さない。 3526 「今日、デパートに行ったから、 頼ま{れて}いたお茶を買ってきたよ」 Vれる/Vられる 409 ~れる・~られる 0005-001 受身 間接受身 4 話し手(または心理的に話し手に近い人)が、他の人の行為や出来事の影響を間接的に受け、それによって迷惑だと感じていることを表す。行為の与え手は「〜に」で示す(「受け手」は/が「与え手」に~(ら)れる)。「〜」は他動詞で表される行為でも、自動詞で表される行為・出来事でもよい。 3534 「仕事が忙しくてデートする暇もないよ。こんなんじゃ、恋人に逃げ{られて}しまうかもしれないね」 Vれる/Vられる 410 ~れる・~られる 0005-004 受身 所有者の受身 4 話し手(または心理的に話し手に近い人)の体の一部や持ち物が、ほかの人の行為や出来事の影響を受け、それによって話し手(または心理的に話し手に近い人)が迷惑などの感情を持つことを表す。この場合、行為を受けたものの所有者を主語にして言う。行為の与え手は「〜に」で示す(「受け手」は/が「与え手」に「体の一部や持ち物」を~(ら)れる)。 3541 警官が強盗に頭を撃た{れて}病院に搬送されている。 Vれる/Vられる 411 ~れる・~られる 0005-006 受身 非情の受身 4 ある物が人の行為や出来事の影響を直接的に受けることを表す。「〜」が新たに何かが出現することを表す動詞(「作る・書く・建てる」など)のとき、行為の与え手は「~によって」で示すことが多い(「受け手」は/が「与え手」によって~(ら)れる)。 3549 この歌は私の国でもよく歌わ{れて}いる。 Vれる/Vられる 412 ~れる・~られる 0018-001 自発 自発 3 無意識のうちに自然に~という感情や思考になることを表す。「~」には「思う・感じる・案じる」など、心の働きを表す動詞がくる。感情や思考の主体は示さないことが多いが、特に示す場合は「〜には」を使う。感情・思考の対象は「〜を」ではなく「〜が」で示す。 3554 社会人になって活躍しているわが子を見ていると、たのもしく感じ{られます}。 Vれる/Vられる 413 ~れる・~られる 0013-003 敬語 尊敬 4 聞き手や第三者の動作を高めて言うための尊敬語。話し手が聞き手や第三者を目上として扱うことによって、その人との心的距離を取る方法として使われる。客・目上の人・心理的に遠い人などの動作を表す動詞につけて使う。同じ尊敬語の「特別な動詞」や「お(ご)〜になる」より敬意の程度が低い。 3580 「山本さんは、この本、読ま{れました}か」「ああ、読んだよ。面白かったね」 Vれる/Vられる 414 ~をあげる 0019-001 授受 あげる 5 ものの授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。与え手は話し手か心理的に話し手に近い人。受け手は同等か目下の人。与えるものは、主に与え手がプラスイメージだととらえているもの(「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も含む)。受け手は「~に」で示す(「与え手」は/が「受け手」に「もの」をあげる)。与え手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。 3409 お正月には孫たちにお年玉{をあげ}なきゃね。 Nをあげる 415 ~をいただく 0019-003 授受 もらう 4 ものの授受を、受け手側を主語にして述べる言い方。「~をもらう」と授受関係は同じだが、与え手が目上の人の場合にのみ使われる。受け手は話し手か心理的に話し手に近い人。受けるものは主に受け手がプラスイメージだととらえているもの(「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も含む)。与え手は「~に」か「~から」(組織・団体などの場合は「~から」)で示す(「受け手」は/が「与え手」に/から「もの」をいただく)。受け手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。表記:~をいただく・~を頂く 3454 父は国から勲章{を頂いた}ことをうれしそうに孫に話していた。 Nをいただく 416 ~をいただけますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。「〜をもらえますか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜をください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜をいただけませんか」より丁寧度が低い。表記:~をいただけますか・〜を頂けますか 1115 「田中さん、お荷物です。こちらにお受け取りのサイン{をいただけますか}」 Nをいただけますか 417 ~をいただけませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。「〜をもらえませんか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜をください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜をいただけますか」より丁寧度が高い。また、聞き手を主語にしないで頼むので、「〜をくださいませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。「〜をいただけないでしょうか」は柔らかい言い方で、丁寧度が高い。表記:~をいただけませんか・〜を頂けませんか 1110 「生活習慣病に関するアンケートを行っているのですが、少しだけお時間{をいただけないでしょうか}」 (街頭で) Nをいただけませんか 418 ~をください 0003-007 依頼・命令 要求 5 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。当然要求してもいいと考えられる場面で、聞き手の意向を尋ねないで要求する言い方。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。表記:〜をください・〜を下さい 1048 「すみません、子どもにスプーン{をください}」「はい、少々お待ちください」 (レストランで) Nをください 419 ~をくださいますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。「〜をくれますか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜をください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜をくださいませんか」より丁寧度が低い。また、聞き手を主語にして頼むので、「〜をいただけますか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。表記:〜をくださいますか・〜を下さいますか 1076 「お尋ねの件、社内で検討してみますので、少々お時間{をくださいますか}」 Nをくださいますか 420 ~をくださいませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 5 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。「〜をくれませんか」の敬語の形で、目上の人や心理的に遠い人に言う。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜をください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、J107「〜をくださいますか」より丁寧度が高い。しかし、聞き手を主語にして頼むので、「〜をいただけませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。表記:〜をくださいませんか・〜を下さいませんか 1073 子どもが食べ物の好き嫌いがひどくて、困っています。先輩ママの方、何かアドバイス{をくださいませんか}。 (インターネットの掲示板) Nをくださいませんか 421 ~をくださる 0019-002 授受 くれる 4 ものの授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。「~をくれる」と授受関係は同じだが、与え手が受け手より目上の人(家族を含まない)の場合にのみ使われる。受け手は話し手か心理的に話し手に近い人。与えるものは、主に受け手がプラスイメージだととらえているもの(「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も含む)。受け手は「~に」で示すことができるが、話し手自身の場合は示さないことが多い。(「与え手(目上の人)」は/が「受け手」に「もの」をくださる)。表記:~をくださる・~を下さる 3479 有権者の皆様には選挙期間中、たくさんの励ましの言葉{をくださった}こと、感謝申し上げます。 Nをくださる 422 ~をくれ 0003-007 依頼・命令 要求 4 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。「〜をくれる」の命令形で、主に男性が、友達・家族など心理的に近い人や目下の人に言うときに使う。また、「〜をください」の普通形として、「〜と言う・〜と頼む」などの引用の文の中で使うこともある。 1063 頭が痛いから痛み止め{をくれ}と言う患者さんがいますが、いつも強い痛み止めを飲んでいると効かなくなることもあるので、注意しなければなりません。 Nをくれ 423 ~をくれますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜をください」より丁寧度が高い。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜をくれませんか」より丁寧度が低い。心理的に近い人とのくだけた会話では「〜をくれる?」の形が使われることが多い。「〜をくれるか」の形は主に男性が使う。 1095 「駅に着いたら電話{をくれる}?迎えに行くから」「わかった。電話するね」 Nをくれますか 424 ~をくれませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 5 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜をください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜をくれますか」より丁寧度が高い。しかし、聞き手を主語にして頼むので、「〜をもらえませんか」より直接的な言い方になり、丁寧度が低い。心理的に近い人とのくだけた会話では「〜をくれない?」の形が使われることが多い。「〜をくれないか」の形は主に男性が使う。 1092 「頼まれてたデザインの案、もう少し考えてみるから、時間{をくれない}か」 Nをくれませんか 425 ~をくれる 0019-002 授受 くれる 4 ものの授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。「~をあげる」と授受関係は同じだが、受け手は話し手か心理的に話し手に近い人。与え手は同等か目下の人。与えるものは、主に受け手がプラスイメージだととらえているもの(「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も含む)。受け手は「~に」で示すことができるが、話し手自身の場合は示さないことが多い(「与え手」は/が「受け手」に「もの」をくれる」。 3468 「誕生日だったのに、彼氏が何も{くれなかった}の。彼女の誕生日に何もあげない恋人っている?」 Nをくれる 426 ~をさしあげる 0019-001 授受 あげる 4 ものの授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。「~をあげる」と授受関係は同じだが、受け手が目上の人(家族を含まない)の場合にのみ使われる。与え手は話し手か心理的に話し手に近い人。与えるものは、主に与え手がプラスイメージだととらえているもの(「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も含む)。受け手は「~に」で示す(「与え手」は/が「受け手」に「もの」をさしあげる)。与え手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。表記:~をさしあげる・~を差し上げる 3419 「お客様、ただいま、こちらのシャンプーの試供品{をさしあげて}います。どうぞお使いください」 Nをさしあげる 427 ~をしたN 0035-004 様子 特徴 3 あるものに特徴的な形や様子が備わっていることを表す。「~をしている」の名詞を説明する言い方。「~」には「色・形・様子」を表す説明の言葉を伴う名詞がくる。 2942 クリオネは、天使のような姿{をした}貝の仲間の生物である。 N₁をしたN₂ 428 ~をしている 0035-004 様子 特徴 3 人や物を取り上げ、それがどんな形状や様子であるのか、またはその部分・その色・それが発する音などがどうであるかを表す言い方。「~」には特徴的な色・形・様子を表す説明の言葉を伴う名詞がくる。話し手自身の様子を言う場合には使わない。 2937 「由美子さんはほんとうにいい声、{してる}ね。上品で、魅力的な声だね」 Nをしている 429 ~をもらう 0019-003 授受 もらう 5 ものの授受を、受け手側を主語にして述べる言い方。与え手は同等か目下の人。受け手は話し手か心理的に話し手に近い人。受けるものは、主に受け手がプラスイメージだととらえているもの(「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も含む)。与え手は「~に」か「~から」(組織・団体などの場合は「~から」)で示す(「受け手」は/が「与え手」に/から「もの」をもらう」)。受け手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。 3442 「次は、ワインにするけど、佐藤は?」「僕は、生ビール{を}もう一杯{もらおう}かな」 (居酒屋で) Nをもらう 430 ~をもらえますか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜をください」より丁寧。しかし、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねている「〜をもらえませんか」より丁寧度が低い。心理的に近い人とのくだけた会話では、「〜をもらえる?」の形で使われることが多い。「〜をもらえるか」の形は主に男性が使う。 1145 先生「練習問題はもうできましたか。そろそろ答え合わせしましょう」学生「先生、まだです。あと5分{もらえますか}」 Nをもらえますか 431 ~をもらえませんか 0003-001 依頼・命令 依頼 4 話し手が聞き手にものを要求するときに使う。具体物のほか、「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も対象となる。ものを受ける人は話し手以外に心理的に話し手に近い人のこともあり、「〜に」で示すことができる。聞き手の意向を尋ねる言い方なので、「〜をください」より丁寧度が高い。さらに、聞き手が否定的な返答をしやすい形で尋ねているため、肯定表現の「〜をもらえますか」より、丁寧度が高い。また、聞き手を主語にしないで頼むので、「〜をくれませんか」より間接的な言い方になり、丁寧度が高い。心理的に近い人とのくだけた会話では、「〜をもらえない?」の形で使われることが多い。「〜をもらえないか」の形は主に男性が使う。 1140 「この前作ってくれた料理、すごくおいしかったから、うちでも作りたいと思ってるんだけど、レシピ{をもらえないか}な?」 Nをもらえませんか 432 ~をやる 0019-001 授受 あげる 4 ものの授受を、与え手側を主語にして述べる言い方。「~をあげる」と授受関係は同じだが、受け手が目下の人や動植物の場合にのみ使われる。与え手は話し手か心理的に話し手に近い人。与えるものは、主に与え手がプラスイメージだととらえているもの(「時間・連絡・チャンス」などの抽象物も含む)。受け手は「~に」で示す(「与え手」は/が「受け手」に「もの」をやる)。与え手が話し手自身の場合は、主語を示さないことが多い。最近では、受け手が目下の人や動植物の場合でも「~をあげる」がよく使われる。 3428 「孫たちは今年から社会人だから、もうお年玉{をやらなくて}もいいよね」 Nをやる 433 ~んじゃない 0023-006 説明 説明|部分否定 3 ~の部分だけを否定する「〜のではない」のくだけた言い方。状況から考えて、ふつう~と想像されるかもしれないが、実は~ではないと言いたいときに使う。この後に続けて正しい説明が対比的に述べられることが多い。 2275 「リー君、今の言い方、敬語が間違いだった{んじゃなくて}、言い方に丁寧さがなかったんだと思うよ」 N普通形+んじゃない(例外:Nなんじゃない) 434 ~んじゃない 0023-001 説明 禁止 2 聞き手や第三者に〜することを禁止したり、〜したことに対して非難したりするときに使う。くだけた言い方。 2282 いつまでもくよくよする{んじゃない}と自分に言い聞かせた。 Vるんじゃない 435 ~んじゃなかった 0023-002 説明 後悔 2 ある行為を実行したことに対する後悔を表すときに使う。 2233 あんなに天気が悪い日に山に行く{んじゃなかった}。足はどろどろだし、きれいな景色も全然見られなかったし… Vるんじゃなかった 436 ~んだ 0023-005 説明 説明 4 ある事柄の前提となる事実や、状況の背後にある理由・原因・事情などを説明したり、説明を求めたりする場合や、相手の様子から判断したことが妥当かどうか確かめたりする場合に使う。「〜のだ」の話し言葉で使う形。「〜んだけど・〜んですけど・~んですが」の形で話の前置きとしても使われる。 2150 あの人はほんとうに好きな人ではなかった{んです}。ほんとうに好きな人はほかにいます。 N普通形+んだ(例外:Nなんだ) 437 ~んだ 0023-007 説明 納得・発見 3 ある事態に気がついた、または気がついて納得したと言いたいときに使う。「〜のだ」の話し言葉で使う形。納得を表す場合は「だから」「それで」などと一緒に使うことが多い。形容詞・名詞に接続する場合、気がついた時点、納得した時点は発話時だが、前から続いていた事態に今、気がついた、今、納得したと強調するときにはタ形に接続することもある。 2175 「お母さん、ユミちゃんが遊びに来てるからおやつ出して」「あら、サキちゃんじゃない{んだ}。声がよく似てたから…」 N普通形+んだ(例外:Nなんだ) 438 ~んだ 0023-004 説明 主張・命令 3 聞き手に言い聞かせたり、説得したり命令したりするときに使う。また、自分自身に言い聞かせるときにも使う。「〜のだ」の話し言葉で使うくだけた形。 2181 美香、留学生活を楽しむ{んです}よ。でも、正月には帰ってきなさい。 (手紙) Vるんだ 439 ~んだった 0023-002 説明 後悔 2 ある行為を実行しなかったことに対する後悔を表すときに使う。 2211 若い時、もっと勉強する{んだった}と後悔している。 Vるんだった 440 ~んだった 0023-003 説明 再確認 2 忘れていたことを、なんらかのきっかけで急に思い出したと言いたいときに使う。「〜のだった」の話し言葉で使う形。 2229 しまった。文化会館に行くのはこのバスじゃなかった{んだった}。次で降りなきゃ。 N普通形+んだった(例外:Nなんだった) 441 ~んで 0015-001 原因・理由 原因・理由 4 物事の原因・理由・根拠を表す。「〜ので」のくだけた言い方。「〜から」よりも客観的に論理関係を説明するときに使われ、丁寧に聞こえる。命令・意志・普通体での勧誘の文には使いにくい。ふつう普通形に接続するが、ビジネスなどでは丁寧形に接続する形で使われることもある。話し言葉では、後の文のない「〜んで。」の形も使われる。 540 「もうちょっと安くなりませんか」「いやー、これ以上は…うちも商売です{んで}ね」 N普通形+んで/N丁寧形+んで(例外:Nなんで) 442 ~んで 0015-002 原因・理由 原因・理由|前提条件 3 依頼・勧誘の文で、その前提になる条件を提示する。「〜ので」のくだけた言い方。ふつう普通形に接続するが、ビジネスなどでは丁寧形に接続する形で使われることもある。話し言葉では、後の文のない「〜んで。」の形も使われる。 549 「これ、新しい化粧品のサンプルな{んで}、お使いになってみてください」 N普通形+んで/N丁寧形+んで(例外:Nなんで) 443 ~んなら 0022-011 条件 話題 3 話の現場で出てきたこと、または相手の態度などから推測されることを話題として取り上げ、それに関連した何かを述べるときに使う。「~」には取り上げられている話題が、後には、その話題に対する話し手の意見・情報提供・相手への働きかけを表す文がくる。「〜のなら」のくだけた言い方で、「〜なら」とほぼ同じ意味機能。 3201 「間違えて、南駅行きじゃなくて、別のバスに乗っちゃって」「南駅行きじゃなかった{んなら}、上町行きだったのかな?」 N普通形+んなら (例外:Nなんなら) 「〜なんなら」はあまり使われない