WdID PoSID MnID Order SoundFile Wd Wd2 WdIPA PoS Description 1 0 1 1 htmvoc_1.wav ア ⸣ア [ʔa] 語素 {Mn_1}遠称の指示語を作る。 ⸣アドー パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔadoː pa⸢rara⸣nu] (あんなに遠くへは行けない)。 ア⸢ダカ⸣ヌ ⸣ムノー ⸢カーラヌ [⸣ʔa⸢daka⸣nu ⸣munoː ⸢kaːranu] (あんなに高いものは買えない)。 1 0 2 2 htmvoc_1.wav ア ⸣ア [ʔa] 語素 {Mn_2}話題の事実を指し示す指示語を作る。 ⸣アイヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaijaː na⸢ra⸣nu] (そうは出来ない)。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸢アン [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ⸢ʔaŋ] (そんなことがあるものか) 2 0 0 3 htmvoc_2.wav アー ⸣アー [⸣ʔaː] 名 (植)粟。五穀の一つ。粘り気のある、ム⸢チアー[mu⸢ʧiʔaː](糯粟)と粘り気のない、サ⸢ク⸣アー[sḁ⸢ku⸣ʔaː](粳粟)があった。粟は水田耕作の出来ない島々でよく栽培された。 ⸢アーヌ⸣イー [⸢ʔaːnu⸣ʔiː] (粟のご飯、粟の飯) ⸢アー⸣ムチ [⸢ʔaː⸣muʧi] (粟餅))。 ム⸢チアー [mu⸢ʧiʔaː] (糯粟)。 サ⸢ク⸣アー [sḁ⸢ku⸣ʔaː] (粳粟)。 サ⸢ク⸣マイナー ム⸢チアー⸣ マ⸢ザー⸣シティ バ⸢カス⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [sḁ⸢ku⸣mainaː mu⸢ʧiʔaː⸣ ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ba⸢kasu⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (粳米に糯粟を混ぜて炊くと非常に美味しい) 3 0 0 4 htmvoc_3.wav アー ⸢アー [⸢ʔaː] 感 ああ。感動した時に発する声。 ⸢アー フントー⸣ヌシェー ウ⸢レー [⸢ʔaː ɸuntoː⸣nuʃeː ʔu⸢reː] (ああ、本当だよ、それは)。 ⸢アー⸣ ウ⸢ムッサリ⸣ブバン [⸢ʔaː⸣ ʔu⸢mussari⸣buban] (ああ、おもしろいよ)。 ⸢アー⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸢ʔaː⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (ああ、残念だ)。 ⸢アー キュー⸣ヌ シ⸢キ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤー⸢ヨー [⸢ʔaː kjuː⸣nu ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢kai⸣jaː⸢joː] (ああ、今日<今夜>の月の何と美しいことよ) 4 0 0 5 htmvoc_4.wav アー ⸢アー [⸢ʔaː] 副 人が口を大きく開けた様子。ああん。 ⸢アー⸣ティ フ⸢チ アキ⸣ミリ ⸢ミー [⸢ʔaː⸣ti ɸu̥⸢ʧi ʔaki⸣miri⸢miː] (ああんと口を開けてごらん) 5 0 0 6 htmvoc_5.wav アーアー ⸢アーアー [⸢ʔaːʔaː] 副 ああああ(嗚呼嗚呼)。嘆き悲しむさま。深く思い悩むさま。 ⸣アボーヤ ビ⸢コーンッふァバ ピー⸣タイ トゥ⸢ラ⸣リ イ⸢ク⸣サナ シ⸢ナシティル ピーズ アーアー⸣シ ⸢オー⸣ル [⸣ʔaboːja bi⸢koːnffaba piː⸣tai tu⸢ra⸣ri ʔi⸢ku⸣sana ʃi⸢naʃitiru piːʣu ʔaːʔaː⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ru] (お母さんは男の子を徴兵され、戦争で死なせてしまって毎日嘆き悲しんでおられる) 6 0 0 7 htmvoc_6.wav アーイ アー⸢イ [ʔaː⸢i] 感 いいえ。いや。いや、そうではない。いや、ちがう。村落内では目上、同等、目下の人にも使える。特に待遇表現上留意すべき外来の村長や校長、巡査などに対しては、ウー⸢ウー⸣ウー ア⸢ラ⸣ヌ⸢ユー[ʔuː⸢ʔuː⸣ʔuː ʔa⸢ra⸣nu⸢juː](いいえ、ちがいます)のようにいう。 アー⸢イ⸣ マ⸢ナ⸣マー パ⸢ラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ma⸢na⸣maː pa⸢ra⸣nu] (いや、今は行かない)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢レー⸣ アイヤ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔu⸢reː⸣ ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu] (いや、それはそうではない)。 アー⸢イ ワンマー⸣ ッ⸢ふィーラヌ [ʔaː⸢i wammaː⸣ f⸢fiːranu] (いや<否>、君には上げ<呉れ>ない) 7 0 0 8 htmvoc_7.wav アーガイ ⸢アー⸣ガイ [ʔaː⸣gai] 名 魚の名前。和名、ヒブダイ。ブダイ科の魚。体長30~40センチの成魚がよく漁獲される。肉は柔らかい。刺身にして、肝臓の味噌和えにして食すると美味しい。 ⸢アーガイ⸣ヌ キ⸢ム⸣バ ⸢ミー⸣スナ ⸣タリ カ⸢ケー⸣シティ ナ⸢マ⸣シ ⸢スー⸣カ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢ʔaːgai⸣nu ki⸢mu⸣ba ⸢miː⸣suna ⸣tari kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti na⸢ma⸣ʃi ⸢suː⸣ka ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (アーガイの肝臓を擂りつぶして溶かし、味噌に混ぜ合わせて刺身につけると非常に美味しい) 8 0 0 9 htmvoc_8.wav アーガチャー ⸢アーガ⸣チャー [⸢ʔaːga⸣ʧaː] 名  (動)魚の名。和名、イロブダイ(雄)。その雌魚は⸣ミーハガー[⸣miːhagaː]という。ブダイ科の魚。体長60~80センチに成長するものがいる。普通は体長40~50センチのものが多く網にかかる。白身の魚肉は淡白な味であるが、刺身にして、その肝を味噌和えにしてミカン(九年母)の汁をかけて食すると美味である。また、蒲鉾の素材としても重宝されている。 ⸢アーガチャー⸣ヌ ピ⸢サー⸣ ウ⸢コー⸣シティ ナ⸢マ⸣シ ⸣キシバ [⸢ʔaːgaʧaː⸣nu pi̥⸢saː⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi̥ti na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥ʃiba] (イロブダイを三枚おろしにして<平を起こして>刺身にしなさい) 9 0 0 10 htmvoc_9.wav アーガヤー アーガ⸢ヤー [ʔaːga⸢jaː] 感 ああ。ああ残念。ああ気の毒に。ああ、仕舞った。強調表現は、アーガ⸢ヤー[ʔaːga⸢jaː](ああ残念)という。 ア(ー)ガ⸢ヤー⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー ⸢ヌー⸣シター ⸣ウレー [ʔa(ː)ga⸢jaː⸣ ki⸢mui⸣ʦaː ⸢nuːʃi̥⸣taː ⸣ʔureː] (ああ可哀相に、どうしたのか、それは) 11 0 1 11 htmvoc_11.wav アーグル ⸢アー⸣グル [⸢ʔaː⸣guru] 名 {Mn_1}粟を脱穀した後の茎。 ⸢アー⸣グル ア⸢ツァ⸣ミキー ⸢モーシ⸣バ⸢ヨー [⸢ʔaː⸣guru ʔa⸢ʦa⸣mikiː ⸢moːʃi⸣ba⸢joː] (粟殻を集めて燃やしなさいよ)。 11 0 2 12 htmvoc_11.wav アーグル ⸢アー⸣グル [⸢ʔaː⸣guru] 名 {Mn_2}粟を収穫した後の畑。 ⸢アー⸣グル ⸢カイ⸣シティ ⸣ウン イ⸢バ⸣ナー [⸢ʔaː⸣guru ⸢kai⸣ʃi̥ti ⸣ʔuŋ ʔi⸢ba⸣naː] (粟を収穫した後の畑を耕して芋を植えようね) 12 1 0 13 htmvoc_12.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 自動 {PoS_1}いる(居る)。⸢ブンとも言う。あるく。ア⸢ラ⸣クン[ʔa⸢ra⸣kuŋ](歩く)の転訛した形。 ⸣ミサレーティ ⸢アー⸣クン [⸣misareːti ⸢ʔaː⸣kuŋ] (元気でいる<暮らしている>)。 ⸢ワー⸣ マナー ⸢アーク⸣ワ [⸢waː⸣ manaː ⸢ʔaːku⸣wa] (君は何処に居るのか)。 ⸣カナー ⸢アー⸣クンケン ⸢サンガリ パッ⸣タヤー [⸣kanaː ⸢ʔaː⸣kuŋken ⸢saŋgari pat⸣tajaː] (あそこに居るところを引っ張られていったよ)。 ⸣アイブ ⸣ントンナー ⸢アー⸣キ ⸣ミサカー ⸢アー⸣ク ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢アーカン⸣バル マ⸢シ⸠ナー [⸣ʔaibu ⸣tonnaː ⸢ʔaː⸣ki ⸣misakaː ⸢ʔaː⸣kuku̥toː na⸢run⸣du ⸢ʔaːkam⸣baru ma⸢ʃi⸠naː] (あんな所に居てよければ居ることは出来るが、居ないほうが良いよねえ)。 ⸣ウナー ⸢アー⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸣ʔunaː⸢ʔaː⸣keː ⸣misamunu] (そこに居れば良いのに)。 ⸢アー⸣キバ [⸢ʔaː⸣kiba] (居れよ)。 12 2 0 14 htmvoc_12.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 助動 {PoS_2}~ている。 ア⸢サビアー⸣クン [ʔa⸢sabiʔaː⸣kuŋ] (遊んでいる{EOS}遊びまわっている<遊びあるく>)。 ⸢ヨータビアー⸣クン [⸢joːtabiʔaː⸣kuŋ] (よたよたとふらついている<あるく>{EOS}千鳥足で歩く) 1279 1 0 15 htmvoc_1279.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 自動 {PoS_1}本動詞として用いられ、「ある状態で進行している」、「居る」、「存在する」、「働いている」、等の意味を表す。「歩く」の転訛したもの。 ⸣カナー ⸢アー⸣ク プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸣kanaː ⸢ʔaː⸣ku pu̥⸢soː taː⸣ja] (あそこにいる人は誰か)。 マー⸢ズン アー⸣クンティ [maː⸢ʣuŋ ʔaː⸣kunti] (一緒にいるさ、ほら)。 1279 2 0 16 htmvoc_1279.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 補動 {PoS_2}動詞の連用形に付いて、⸢~ている(現在進行形)」の意味を表す。本来は、ア⸢ラ⸣クン[ʔa⸢ra⸣kuŋ](歩く)であったのが、補助動詞として用いられるなかでアスペクト的意味表現を分担するようになって、r音が脱落したものと考えられる。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸣マナール ア⸢サビ アー⸣クカヤー [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸣manaːru ʔa⸢sabi ʔaː⸣kukajaː] (子供たちは何処に遊んで居る<遊んで歩く>のだろうか)。 1279 2 2 17 htmvoc_1279.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 補動 {Mn_2}シ⸢グトー シー アー⸣クンカヤー[ʃi⸢gutoː ʃiː ʔaː⸣kuŋkajaː](仕事はしている<してあるく>かねえ{EOS}<仕事をして生活していることが継続進行している意を表す>) 13 0 0 18 htmvoc_13.wav アーサ ⸢アー⸣サ [⸢ʔaː⸣sa] 名 (植)和名、あおさ(石蓴)。ヒトエグサ。緑藻類の海草の一種。海岸の珊瑚礁の岩に生える。干潮時に島の女性たちが採集し、天日乾燥して貯蔵する。日常の食事には、魚肉や豆腐のお汁に入れて食する。特に家造り共同作業の大量炊事には欠かせない食品で、豆腐や魚肉のお汁に入れて提供された。共同作業の際に提供される定番のスープの食材である。美味で忘れられない故郷の「味の素」である。⸣インアーサ[⸣ʔiŋʔaːsa]は形は似ているが食用に適さない。 ⸢ヤースクリヤー⸣ヌ ⸢アーサ⸣ヌ ⸢スー⸣ヌ ン⸢マー⸣ワ⸢レー⸣ プ⸢ソー⸣ フ⸢バリティル⸣ ッ⸢ふァーリ⸠ツォー [⸢jaːsukurijaː⸣nu ⸢ʔaːsa⸣nu ⸢suː⸣nu ʔm⸢maː⸣wa⸢reː⸣ pu̥⸢soː⸣ ɸu⸢baritiru⸣ f⸢faːri⸠ʦoː] (家造り普請の家のアーサ汁の美味しいことよ{EOS}他人には食わせてやれない<独占したい>ほど美味しい<他人は縛り付けておいてぞ食べられる>んだよ)。⸣インアーサ[⸣ʔiŋʔaːsa]参照 14 0 0 19 htmvoc_14.wav アーザ ⸢アー⸣ザ [⸢ʔaː⸣ʣa] 名 兄。総称。親族名称、呼称。「'u-ra sin-ca 'a-ri(汝兄あるか)」「語音翻訳」『海東諸国紀』と関係があるとする説『図説琉球語辞典』がある。 ⸢アー⸣ザー ⸣マナー ⸢オール⸣ワ [⸢ʔaː⸣ʣaː ⸣manaː ⸢ʔoːru⸣wa] (兄さんは何処に居られますか)。この語彙には、ウ⸢ボー⸣ザ[ʔu⸢boː⸣ʣa](長<大>兄)、⸣ナカザー[⸣nakaʣaː](中兄)、アー⸢ザ⸣マ[ʔaː⸢ʣa⸣ma](末<小>兄)の部分体系<序列>がある。上に固有名詞を付ける際には、⸢イシ⸣トザー[⸢ʔiʃi⸣toʣaː](石戸兄)⸢サン⸣ドーザー[⸢san⸣doːzaː](三郎兄)⸣タローザー[⸣taroːʣaː](太郎兄)のように~⸣ザ[~⸣ʣa]となる。 ⸢アー⸣ザー ⸢マー オーッ⸣タカヤー [⸢ʔaː⸣ʣaː ⸢maː ʔoːt⸣takajaː] (兄さんは何処へいらっしゃったかねえ) 15 0 0 20 htmvoc_15.wav アーサヌスー ⸢アーサ⸣ヌ ⸣スー [⸢ʔaːsa⸣nu ⸣suː] 連 アオサのお汁。アオサと豆腐のお汁は非常に美味で食も進むことから、家屋建築等の大勢の\ruby{賄}{マカナ}いには定番の賄い料理として調理された。 ⸢ヤースクリヤー⸣ヌ ⸢アーサ⸣ヌ ⸣スー ッ⸢ふァイン⸣ パラ⸢ディー [⸢jaːsu̥kurijaː⸣nu ⸢ʔaːsa⸣nu ⸣suː f⸢faim⸣ para⸢diː] (家屋を建築する家のアーサのお汁を食しに行こうよ) 16 0 0 21 htmvoc_16.wav アーザマ アー⸢ザ⸣マ [ʔaː⸢ʣa⸣ma] 名 三兄。「小兄」の義。⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄)に、-マ[-ma](小さいもの{EOS}指小辞)が付いて形成された語。親族名称、呼称。 ⸢バン⸣テヌ アー⸢ザ⸣マー イッ⸢ケン ウイゾー⸣ジ⸢ダー [⸢ban⸣tenu ʔaː⸢ʣa⸣maː ʔik⸢keŋ ʔuiʣoː⸣ʤi⸢daː] (私の家の三兄は非常に泳ぎ上手だよ)。 アー⸢ザ⸣マー ⸢ギューチ⸣ ナロー⸢ル⸣ワ [ʔaː⸢ʣa⸣maː ⸢gjuːʧi⸣ naroː⸢ru⸣wa] (三兄はいくつになられますか) 22 0 0 22 htmvoc_22.wav アーサラカーサラ ⸢アーサラカー⸣サラ [⸢ʔaːsarakaː⸣sara] 副 あれこれと。あれやこれやと。ヌー⸢サラクイサラ[nuː⸢sarakuisara](あれやこれやと)、⸢ヌー⸣ヤクイヤ[⸢nuː⸣jakuija](なんやかんや)もいう。 ⸢アーサラカー⸣サラ ム⸢ヌ⸣バウムイ ムシ⸢トゥ ニバラヌ [⸢ʔaːsarakaː⸣sara mu⸢nu⸣ba ʔumui muʃi̥⸢tu⸣ ni⸢baranu] (あれやこれやと心配して<物思いして>ちっとも眠れない) 17 0 0 23 htmvoc_17.wav アーシ ⸢アー⸣シ [⸢ʔaː⸣ʃi] 名 制裁。罰。厳格な躾。 ⸢アー⸣シ シ⸢キ⸣ルン [⸢ʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (制裁する、罰を与える)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カン ムノー アー⸣シ ⸣シキ トゥ⸢ラ⸣シ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kam munoː ʔaː⸣ʃi ⸣ʃi̥ki tu⸢ra⸣ʃi] (親の言うことを聞かない子は厳罰を与えてやれ) 18 0 0 24 htmvoc_18.wav アーシ アー⸢シ [ʔaː⸢ʃi] 接尾 たびに。ごとに(毎)。名詞や動詞の連体形、終止形に付いて、「そのたびに」の意味を表す。「~風に不令遇<アハセズ>つつみ無く~。万、1021」の、「合わす」の連用形「合わせて」が接尾語化したもの。 ⸢ウン⸣ネー タ⸢ジ⸣ナイ パルアー⸢シ ヤー⸣ナ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔun⸣neː ta⸢ʤi⸣nai paruʔaː⸢ʃi jaː⸣na bu⸢raːnu] (あの家に訪ねて行くたびに家にいない) 20 0 0 25 htmvoc_20.wav アーシキン ⸢アーシ⸣キン [⸢ʔaːʃi⸣kiŋ] 名 袷(あわせ)。「袷衣」の転訛したもの。 ⸢シンダイ ピー⸣ヤ ナリ⸢キー⸣バ ⸢アーシキン⸣ヌ ス⸢コールン サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʃindai piː⸣ja nari⸢kiː⸣ba ⸢ʔaːʃikiŋ⸣nu su⸢koːrun ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (次第に寒くなってくるので袷の準備もしないといけない)。 ⸢アーシキン⸣マー ⸢ギュックビ⸣ ア⸢ル⸣ワ [⸢ʔaːʃikim⸣maː ⸢gjukkubi⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (袷は何着あるか)。 ⸢アーシキン⸣バ カ⸢サビ⸣ キ⸢スタンティン ピー⸣ヤー ニ⸢ジララ⸣ヌ [⸢ʔaːʃikim⸣ba kḁ⸢sabi⸣ ki̥⸢sutantim piː⸣jaː ni⸢ʤirara⸣nu] (袷を重ねて着ても寒さは堪えられない)。裏地の付いた冬用の着物。平常は⸣バサキン[⸣basakiŋ](芭蕉布の単衣)か、⸣ブーキン[⸣buːkiŋ](麻布の単衣)を着て過ごした。 ク⸢トゥシヌ⸣ フ⸢ヨー アーシ⸣キン プ⸢スッ⸣クビシ ⸢コーシェー⸣チバン [ku̥⸢tuʃinu⸣ ɸu⸢joː ʔaːʃi⸣kim pu̥⸢suk⸣kubiʃi ⸢koːʃeː⸣ʧibaŋ] (今年の冬は袷一着で越して<過ごして>しまったよ) 36 0 0 26 htmvoc_36.wav アーシジ ⸢アー⸣シジ [⸢ʔaː⸣ʃidʒi] 名 粟粒。粟。 ⸢アー⸣シジェー ⸢ピッ⸣チンッツァン ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaː⸣ʃidʒeː ⸢pitʧinʦan ⸢naː⸣nu] (粟粒はたった一つ<一粒>さえもない)。 ⸢アーシジ⸣ヌ カタチニ ナ⸢チアシブヌ⸣ ンジ ⸢アーリ⸣キー ⸢ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaːʃidʒi⸣nu kḁtaʧini na⸢ʧiʔaʃibunu⸣ ʔndʒi ⸢ʔaːri⸣kiː ⸢biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (粟粒のような吹き出物<夏あせも>が吹き出てきて痒くてならない) 32 0 0 27 htmvoc_32.wav アーシシキルン ⸢アー⸣シ シ⸢キ⸣ルン [ʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 指導や教育のため、体罰を与える。懲らしめる。いじめ(苛)る。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ イッ⸢ケナ アー⸣シ シ⸢キラ⸣レーティル ⸢マイフナー⸣ マ⸢レー⸣ダー [ku⸢nu ffaː ⸣ʔik⸢kena ʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢kira⸣reːtiru ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢reː⸣daː] (この子はひどく懲らしめられて立派な人に育ったのだよ)。 ヤ⸢ナクトー シーティル アー⸣シ シ⸢キラ⸣リ⸢ベ⸣ー [ja⸢nakutoː ʃiːtiru ʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢kira⸣ri⸢be⸣ː] (悪事を働いてひどく懲らしめられている) 21 0 0 28 htmvoc_21.wav アーシックナー ⸢アーシッ⸣クナー [⸢ʔaːʃik⸣kunaː] 名 喧嘩をさせあうこと。「あわせくらべ」の義。 トゥ⸢ル アーシッ⸣クナー ⸢スン [tu⸢ru ʔaːʃik⸣kunaː ⸢suŋ] (闘鶏をする)。 シ⸢ダミ⸣ヌ ⸢グル アーシッ⸣クナー ⸢スン [ʃi⸢dami⸣nu gu⸢ru ʔaːʃik⸣kunaː ⸢suŋ] (蝸牛殻の尻の潰し合いをする子供の遊び) 23 0 0 29 htmvoc_23.wav アーシパウル ⸢アーシパウ⸣ル [⸢ʔaːʃipau⸣ru] 名 袷羽織。⸢アーシハウ⸣リ[⸢ʔaːʃihau⸣ri]ともいう。羽織は、ごく限られた家にあるだけで、一般の家庭にはなかった。 ⸢タッ⸣テナール ⸢アーシパウ⸣ロー ア⸢ロール⸣ワ [⸢tat⸣tenaːru ⸢ʔaːʃipau⸣roː ʔa⸢roːru⸣wa] (誰の家に<どこの家に>袷羽織はございますか<あられるのですか>)。 ク⸢レー ター アーシパウ⸣ルヤ [ku⸢reː taː ʔaːʃipau⸣ruja] (これは誰の袷羽織か) 24 0 0 30 htmvoc_24.wav アーシフチ ⸢アーシ⸣フチ [⸢ʔaːʃi⸣ɸu̥ʧi] 名 合わせ目。二つ、またはそれ以上のものを接着するところ。「合わせ口」の義。⸢アーシ⸣ミー[⸢ʔaːʃi⸣miː](合わせ目)ともいう。 ⸢アーシフチ⸣ヌ ガッ⸢ツリ アー⸣ン⸢ベーティ⸣ル ミ⸢ジェー⸣ ム⸢リ⸣ル [⸢ʔaːʃiɸu̥ʧi⸣nu gat⸢ʦuri ʔaː⸣m⸢beːti⸣ru mi⸢dʒeː⸣ mu⸢ri⸣ru] (合わせ目がぴったりと合っていないから<ぞ>水は漏れるのだ) 19 0 0 31 htmvoc_19.wav アーシムヌ ⸢アーシ⸣ムヌ [⸢ʔaːʃi⸣munu] 名 酢の漬物、酢漬け。野菜や魚などを塩や味噌で混ぜる。「調和、塩安不<しほあふ>」『新撰字鏡』に「もの」がついて形成されたものか。 ⸢ダイクニ⸣ヌ ⸢アーシ⸣ムヌ [⸢daikuni⸣nu ⸢ʔaːʃi⸣munu] (大根の酢漬け) 33 0 0 32 htmvoc_33.wav アーシラ ⸢アー⸣シラ [⸢ʔaː⸣ʃira] 名 粟を刈り取って、保存のため穂がついたまま稲叢のように積み上げもの。 ⸢アー⸣シラシ⸢ミ⸣ シケー [⸢ʔaː⸣ʃira ʃi⸢mi⸣ ʃi̥keː] (粟のシラ<稲叢>を積んで<置いて>ある)。シ⸢ラ参照 34 0 0 33 htmvoc_34.wav アースクブ ⸢アースク⸣ブ [⸢ʔaːsuku⸣bu] 名 粟殻。「あわすくも」の義。「粟・すくも(葦、茅の枯れたもの)」の転訛したもの。 ⸣アー ッサイ ⸢ソー⸣キナ イ⸢リティ ソーキ⸣バ ⸢アウ⸣リティル ⸢アースク⸣ブ トゥ⸢バソー⸣タ [⸣ʔaː ssai ⸢soː⸣kina ʔi⸢riti soːki⸣ba ⸢ʔau⸣ritiru ⸢ʔaːsuku⸣bu tu⸢basoːt⸣ta] (粟を精げ、ソーキに入れてソーキを煽って粟殻を飛ばされた) 25 0 0 34 htmvoc_25.wav アースクリジマ ⸢アースクリ⸣ジマ [⸢ʔaːsu̥kuri⸣dʒima] 名 粟を生産する島。水田がなく、米作の出来ない粟作の島。⸢アー⸣ジマ[⸢ʔaː⸣dʒima](粟島)ともいう。 タ⸢キ⸣ドゥン フ⸢シ⸣マーヤ ⸢アースクリ⸣ジマティ ア⸢ザリ アー⸣バ ム⸢トゥ⸣バシー ス⸢ク⸣ロール [tḁ⸢ki⸣duŋ ɸu̥⸢ʃi⸣maːja ⸢ʔaːsu̥kuri⸣dʒimati ʔa⸢ʣari ʔaː⸣ba mu⸢tu⸣baʃiː su̥⸢ku⸣roːru] (竹富、黒島は粟作り島といわれ、粟を中心に耕作しておられる) 27 0 1 35 htmvoc_27.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 {Mn_1}木を揺すって実を落とす。「~置きて枯らしみ安由流<アユル>實波~。万、4111」の他動詞化したもの。「Aye,uru,eta(アユル)、シモの地方では、果実、穀粒、麦などが自然に落ちたり、汗血などがしたたり落ちる」『邦訳日葡辞書』の他動詞化したもの。 フ⸢ナ⸣ブ ⸢アースン [ɸu⸢na⸣bu ⸢ʔaːsuŋ] (九年母<蜜柑、シークヮーサー>の実を揺すって落とす)。 ⸢ゴーナキ⸣ヌナロー マ⸢ダ ウーマン⸣バ ⸢アーサラヌ [⸢goːnaki⸣nunaroː ma⸢da ʔuːmam⸣ba ⸢ʔaːsaranu] (桑の実はまだ熟れないから揺すって落とすことが出来ない)。 フ⸢ナ⸣ブ ⸢アーシ⸣ミサン [ɸu⸢na⸣bu ⸢ʔaːʃi⸣misaŋ] (蜜柑の木を揺すって蜜柑を落としてよい)。 ⸢アース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (揺すって落とすことは、してはならない)。 ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (揺すって落とせばいいのに)。 ⸢アーシ⸣バ [⸢ʔaːʃi⸣ba] (揺すって落とせよ)。 ⸢ゴーナキー⸣ヌ ⸣ナル ⸢アースン [⸢goːnakiː⸣nu ⸣naru ⸢ʔaːsuŋ] (桑の実をゆすって落とす)。 ⸢アーサヌ [⸢ʔaːsanu] (落とさない)。 ⸢アーシ⸣プサン [⸢ʔaːʃi⸣ pu̥saŋ] (落としたい)。 ⸢アース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔaːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (落とす人はいない)。 ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (落とせば良いのに)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ナル ⸢アーシ [⸢kiː⸣nu ⸣naru ⸢ʔaːʃi] (木の実を落とせ)。 27 0 2 36 htmvoc_27.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 {Mn_2}乳を出す<流す>。 ⸣シー ⸢アーシ⸣バ [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃi⸣ba] (お乳を搾って出しなさい) 28 0 0 37 htmvoc_28.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 出来物や腫れ物の化膿したものを潰して膿を出す。 ア⸢シ⸣ブ ⸢アースン [ʔa⸢ʃi⸣bu ⸢ʔaːsuŋ] (できものを潰して膿を出す)。 ク⸢ヌ アシ⸣ボー マ⸢ナ⸣マー ⸢アーサラヌ [ku⸢nu ʔaʃi⸣boː ma⸢na⸣maː ⸢ʔaːsaranu] (この出来物は、今は潰されない)。 ⸢アーシ⸣ ミサカー ⸢アース⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔaːʃi⸣ misakaː ⸢ʔaːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (腫れ物を潰してよければ、潰すことはできる)。 ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (腫れ物を潰せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク アーシ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaːʃi] (早く潰せ) 29 0 0 38 htmvoc_29.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 乳を搾り出す(搾乳する)。 ⸢シー⸣バ ⸢アーシティ⸣ ッ⸢ふァン シーッふァー⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢シー⸣ヤ ⸢アーサラヌ [⸢ʃiː⸣ba ⸢ʔaːʃi̥ti⸣ f⸢faŋ ʃiː ffaː⸣sunti ⸢beː⸣nundu ⸢ʃiː⸣ja ⸢ʔaːsaranu] (母乳を絞り出して子どもに乳を与えようとするが、乳が絞り出せない)。 ⸣シー ⸢アーシ⸣ ミサンカヤー [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃi⸣ misaŋkajaː] (搾乳してよいかねえ)。 ⸣シー ⸢アース⸣ クトー ス⸢ナ [⸣ʃiː ⸢ʔaːsu⸣ ku̥toː su⸢na] (搾乳することはするな)。 ⸣シー ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (搾乳すればいいのに)。 ⸣シー ⸢アーシ [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃi] (搾乳しなさい) 30 0 0 39 htmvoc_30.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 脱穀する。 ⸢マイ アースン [⸢mai ʔaːsuŋ] (稲を脱穀する)。 ⸢キュー⸣ヤ オシキヌ カイ⸣ヤンダ ⸢マイ アーサバル⸣ ナル [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔoʃikinu kai⸣janda ⸢mai ʔaːsabaru⸣ naru] (今日は天気がよいから稲の脱穀をしないといけない)。 ⸢アーシ⸣ ミサカー ⸣キューズーナ ⸢アース⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ʔaːʃi⸣ misakaː ⸣kjuːʣuːna ⸢ʔaːsu⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (脱穀してよければ、今日中に脱穀することは出来る)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢アーサラヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔaːsaranu] (今日は脱穀できない)。 ⸢パー⸣ク ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (早く脱穀すればいいのに)。 ヤー⸢ディン アーシ⸣ダー [jaː⸢diŋ ʔaːʃi⸣daː] (必ず<きっと>脱穀しなさいよ) 31 0 1 40 htmvoc_31.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}合わせる。くっつける。一つにする。照合する。「~風に不令遇<アハセズ>~。万、1021」、沖縄古語「あはす」[オ・古・琉・組・混]。 ⸢ワー ジン⸣トゥ バー ジン ⸢アー⸣スカー ⸢ギュー⸣サ ナ⸢ル⸣ワ [⸢waː ʤin⸣tu baː ʤiŋ ⸢ʔaː⸣su̥kaː ⸢gjuːsa na⸢ru⸣wa] (君の金と私の金を合わせるといくらになるか)。 ⸢アー⸣スンティ ⸣ウムーカ ⸢アー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢アーサン⸣ツォー [⸢ʔaː⸣sunti ⸣ʔumuːka ⸢ʔaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢run⸣du ⸢ʔaːsan⸣ʦoː] (合わせようと思えば合わせることは出来るが、合わさないそうだ)。 ⸢アー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (合わせれば良いのに)。 ⸢アー⸣シバ [⸢ʔaː⸣ʃiba] (合わせなさいよ)。 31 0 2 41 htmvoc_31.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}喧嘩させる。戦わせる。 トゥ⸢ル アー⸣シティ ア⸢サビ ベー [tu⸢ru ʔaː⸣ʃi̥ti ʔa⸢sabi beː] (鶏を喧嘩させて<鶏闘させて>遊んでいる)。 31 0 3 42 htmvoc_31.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 {Mn_3}捏ね合わせる。混合させる。 ム⸢チ アー⸣スン [mu⸢ʧi ʔaːsu⸣ŋ] (餅<漆喰>を捏ね合わせる)。 31 0 4 43 htmvoc_31.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 {Mn_4}和える。酢や味噌で和える。 ナ⸢マ⸣シェー フ⸢ナブ⸣ヌ シ⸢ル⸣トゥ ⸢ミース⸣トゥシ ⸢アー⸣スカー ン⸢マー⸣ン [na⸢ma⸣ʃeː ɸu⸢nabu⸣nu ʃi⸢ru⸣tu ⸢miːsu⸣tuʃi ⸢ʔaː⸣su̥kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (刺身は九年母の汁と味噌で和えると美味しい) 244 0 0 44 htmvoc_244.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 和える。混ぜ合わせる。 フ⸢ナ⸣ブシ ⸣シー ス⸢ク⸣リティ ⸢ミース⸣トゥ ⸢アー⸣シティ ナ⸢マ⸣シ ッ⸢ふァイ⸣バ [ɸu⸢na⸣buʃi ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣riti ⸢miːsu⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi̥ti na⸢ma⸣ʃi f⸢fai⸣ba] (蜜柑<ヒラミレモン>の汁で酢を作って味噌と和えて刺身を食べなさい)。 ⸢ミース⸣トゥ ⸢アー⸣スン [⸢miːsu⸣tu ⸢ʔaː⸣suŋ] (味噌と和える)。 ⸢アーサ⸣ヌ [⸢ʔaːsa⸣nu] (和えない)。 ⸢アー⸣ス ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaː⸣su ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (和える物はない)。 ⸢シー⸣トゥ ⸢アー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʃiː⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (酢と和えればいいのに)。 ⸢ミース⸣トゥ ⸢アー⸣シ [⸢miːsu⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi] (味噌と和えよ) 35 0 0 45 htmvoc_35.wav アーダニ ⸢アー⸣ダニ [⸢ʔaː⸣dani] 名 粟の種子。 ⸢エン⸣ヌ ⸢アー⸣ダネー ⸣トゥリ ⸣シケーンカヤー [⸢jen⸣nu ⸢ʔaː⸣daneː ⸣turi ⸣ʃi̥keːŋkajaː] (来年の粟の種子<来年蒔く粟の種子>は取っておいてあるだろうかなあ) 37 0 0 46 htmvoc_37.wav アーダリー アーダ⸢リー [ʔaːda⸢riː] 感 まあ汚い。ああ嫌だ。ああつまらない。 アーダ⸢リー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ʔaːda⸢riː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (まあ汚い{EOS}何だこれは) 38 0 0 47 htmvoc_38.wav アーッスン ⸢アー⸣ッスン [⸢ʔaː⸣ssuŋ] 名 粟包み。脱穀した粟を袋に入れて包装したもの。 ⸢アー⸣ッスン ⸢ピー⸣ク [⸢ʔaː⸣ssum ⸢piː⸣ku] (粟包みを手に提げて持ってきなさい) 39 0 0 48 htmvoc_39.wav アーツベー ⸢アー⸣ツベー [⸢ʔaː⸣ʦubeː] 名 泡。粟粒。⸢アー⸣ツメー[⸢ʔaː⸣ʦumeː](粟粒)ともいう。 ミ⸢チ⸣スー ⸣ナルカー ス⸢ナカ⸣ナー ⸢アー⸣ツベーヌ ウ⸢ケールン [mi⸢ʧi⸣suː ⸣narukaː su⸢naka⸣naː ⸢ʔaː⸣ʦubeːnu ʔu⸢keːruŋ] (満ち潮になると海には泡が浮かぶ<浮く>) 40 0 0 49 htmvoc_40.wav アーツメー ⸢アー⸣ツメー [⸢ʔaː⸣ʦumeː] 名 泡。泡粒。⸢アー⸣ツベー[⸢ʔaː⸣ʦubeː](泡粒)ともいう。 ⸣アッツァサーリ ウ⸢シ⸣ シゥ⸢カウタール⸣ ウ⸢シェー アーフキティ⸣ フ⸢チヌマール⸣ナー ⸢アー⸣ツメー ⸣フキ ⸢ゴー⸣ダー ⸢シーベー [⸣ʔatʦasaːri ʔu⸢ʃi⸣ si̥⸢kautaːru⸣ ʔu⸢ʃeː ʔaːɸukiti⸣ ɸu̥⸢ʧinumaːru⸣naː ⸢ʔaː⸣ʦumeː ⸣ɸu̥ki ⸢goː⸣daː ⸢ʃiːbeː] (暑い最中に牛をこき使ったので、牛は泡を吹いて口の周りにいっぱい泡をつけている<泡だらけになっている>) 41 0 0 50 htmvoc_41.wav アーティンポー ⸢アーティン⸣ポー [⸢ʔaːtim⸣poː] 名 あわて者(慌て者)。そそっかしい人。粗忽もの。落ち着きが無く、物事を急ぎすぎて失敗しやすい人。 ⸢アーティンポー⸣ヤ ノー⸢ン シミリバン⸣ ヤ⸢ブリ⸣ル シ⸢ティル [⸢ʔaːtimpoː⸣ja noː⸢ŋ ʃimiribaŋ⸣ ja⸢buri⸣ru ʃi̥⸢tiru] (粗忽者は何事をさせても失敗する<壊して、やぶってしまう>) 43 0 0 51 htmvoc_43.wav アートートゥ ⸢アートートゥ [⸢ʔaːtoːtu] 感 あな尊と。ああ尊と。⸢アー[⸢ʔaː](ああ)は、「阿那於茂志呂<あなおもしろ>、古語事之甚切、皆阿那<あな>といふ」『古語拾遺』の転訛か。⸢トートゥ[⸢toːtu](尊い{EOS}畏敬すべきである{EOS}有り難い)の義。⸢アー⸣トートゥ ⸢ウー⸣トートゥ[⸢ʔaː⸣toːtu ⸢ʔuː⸣totu]のように重ねて用いられる。⸢ウー⸣トートゥ[⸢ʔuː⸣toːtu]も同じ意味。 ⸢アー⸣トートゥ ⸢ウー⸣トートゥ ⸢カンヌ⸣マイ ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ シカイ⸢トゥ⸣ ニ⸢ガイ⸣シキ⸢オーサバ⸣ ウ⸢キ⸣シキ タ⸢ボー⸣ローリ [⸢ʔaː⸣toːtu ⸢ʔuː⸣toːtu ⸢kannu⸣mai ʔu⸢japusu⸣numai ʃi̥kai⸢tu⸣ ni⸢gai⸣ʃi̥ki ⸢ʔoːsaba⸣ ʔu⸢ki⸣ʃi̥ki ta⸢boː⸣roːri] (あな尊と、神様ご先祖様、しかと祈り上げ願いあげますので、お聞き届け受つけ賜りますようにお願い致します) 1453 0 0 52 htmvoc_1453.wav アーニヤー ⸢アー⸣ニヤー [⸢ʔaː⸣nijaː] 名 固有名詞。花城英行氏宅の名称。屋敷名。 ⸢アー⸣ニヤーテー [⸢ʔaː⸣nijaːteː] (アーニヤー氏の家)。本来は、⸢アンヌ⸣ヤー[⸢ʔannu⸣jaː](分家した東の家)の意味であったのが、⸢花城家本家から分家した東の家」を確立した人名に変化したものであろう。 ⸢アー⸣ニヤーテーヤ パ⸢ナシケー⸣ラヌ ⸢ヤーバカ⸣リティバン ⸢ナー [⸢ʔaː⸣nijaːteːja pa⸢naʃi̥keː⸣ranu ⸢jaːbaka⸣ritiban ⸢naː] (アーニヤーという家は花城家からの分家<ということ>らしいいねえ) 45 0 0 53 htmvoc_45.wav アーヌイー ⸢アーヌ⸣イー [⸢ʔaːnu⸣ʔiː] 名 粟飯。 ⸢アーヌ⸣イーン ン⸢マー⸣ンドゥ ⸢マイヌイー⸣ヤ ウ⸢レー⸣ラン ⸢マービン⸣ドゥ ン⸢マー⸣ティ ⸣ムカーヤ [⸢ʔanu⸣ʔiːm ʔm⸢maː⸣ndu ⸢mainuʔiː⸣ja ʔu⸢reː⸣ram ⸢maːbin⸣du ʔm⸢maː⸣ti ⸣mukaːja] (粟飯も美味いが、米の飯はそれよりも更に<ぞ>美味しいというものだよ)。普段は粳(うるち)粟と芋の飯を炊き、祝祭日には糯(もち)粟と米の飯を炊いたりした。 サ⸢ク⸣マイナ ム⸢チアー⸣ イ⸢リティ アーヌ⸣イーバ⸢カス⸣カー ム⸢チミーン⸣ ンジティ ン⸢マー⸣タン [sḁ⸢ku⸣maina mu⸢ʧiʔaː⸣ ʔi⸢riti ʔaːnu⸣ʔiː ba⸢kasu⸣kaː mu⸢ʧimiːn⸣ ʔnʤiti ʔm⸢maː⸣taŋ] (粳米に糯粟を入れて粟飯を炊くと粘り気が出て美味しかった) 46 0 0 54 htmvoc_46.wav アーヌイバチ ⸢アー⸣ヌ イ⸢バ⸣チ [⸢ʔaː⸣nu ʔi⸢ba⸣ʧi] 連 糯粟で作ったイ⸢バ⸣チ[ʔi⸢ba⸣ʧi](飯初)。粟の新穀を煮て円錐形に握ったもの。 ⸢アー⸣ヌ イ⸢バ⸣チ トゥ⸢クニ⸣ナ マ⸢チオーシ [ʔaː⸣nu ʔi⸢ba⸣ʧi tu⸢kuni⸣na ma⸢ʧiʔoːʃi] (粟の飯初を仏壇にお供えしなさい) 47 0 0 55 htmvoc_47.wav アーヌカイ ⸢アー⸣ヌ ⸢カイ [⸢ʔaː⸣nu ⸢kai] 連 粟粥。粟のお粥。 ⸢アー⸣ヌ ⸢カイ⸣ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーサ⸠ナー [⸢ʔaː⸣nu ⸢kai⸣ tḁ⸢ki⸣ f⸢faːsa⸠naː] (粟の粥を炊いてあげよう<食べさせよう>ね) 49 0 0 56 htmvoc_49.wav アーヌシジ ⸢アー⸣ヌ ⸣シジ [⸢ʔaː⸣nu ⸣ʃiʤi] 連 粟の粒。粟粒。 ⸢アー⸣ヌ シ⸢ジ⸣ヌ ⸢ポッツァーリ ベー [⸢ʔaː⸣nu ʃi⸢ʤi⸣nu ⸢potʦaːri beː] (粟粒が散らばって<散乱して>いる) 48 0 0 57 htmvoc_48.wav アーヌパンビン ⸢アー⸣ヌ ⸢パン⸣ビン [⸢ʔaː⸣nu ⸢pam⸣biŋ] 連 粟の粉で作った芯のないてんぷら。「半片」の義か。 ⸢アー⸣ヌ ⸢パンビン⸣マー ン⸢マー⸣タン [⸢ʔaː⸣nu ⸢pambim⸣maː ʔm⸢maː⸣taŋ] (粟粉のてんぷら<はんぺん>はおいしかった) 50 0 0 58 htmvoc_50.wav アーヌピサシイー ⸢アー⸣ヌ ピ⸢サシ⸣イー [⸢ʔaː⸣nu pi̥⸢saʃi⸣ʔiː] 連 粟と米のこわいい(強飯)。米に粟を混ぜて炊き上げた御飯。 ⸢アー⸣ヌ ピ⸢サシ⸣イーン ン⸢マー⸣タン [⸢ʔaː⸣nu pi̥⸢saʃi⸣ʔiːm ʔm⸢maː⸣taŋ] (米と粟のこわいい<強飯>も美味しかった) 51 0 0 59 htmvoc_51.wav アーヌプー ⸢アー⸣ヌ ⸣プー [⸢ʔaː⸣nu ⸣puː] 連 粟の穂。粟穂。沖縄古語「あわほ」[琉]。 ⸢アー⸣ヌ ⸢プー⸣ヤ キン⸢キン⸣シ ⸢ミーリティ⸣ ダ⸢リッサー⸣リ ⸢ベー [⸢ʔaː⸣nu ⸢puː⸣ja kiŋ⸢kiŋ⸣ʃi ⸢miːriti⸣ da⸢rissaː⸣ri ⸢beː] (粟の穂は黄色く熟して<稔って>、垂れ下がっているよ) 52 0 0 60 htmvoc_52.wav アーヌミース ⸢アーヌミー⸣ス [⸢ʔaːnumiː⸣su] 名 粟味噌。 ⸢アーヌミー⸣ソーラン ⸢マイヌミース⸣ル ン⸢マー⸣タ [⸢ʔaːnumiː⸣soːram ⸢mainumiːsu⸣ru ʔm⸢maː⸣ta] (粟味噌よりも米味噌の方が美味しかった) 53 0 0 61 htmvoc_53.wav アーヌムチ ⸢アーヌ⸣ムチ [⸢ʔaːnu⸣muʧi] 名 粟餅。粟を碾いて粉にし、それを練って成形し、蒸籠で蒸して造った餅。鳩間島ではめったに作らなかった。 ⸢アーヌ⸣ムチ ス⸢ク⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン [⸢ʔaːnu⸣muʧi su̥⸢ku⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (粟餅を作る人もおられた) 57 0 0 62 htmvoc_57.wav アーヌン ⸢アー⸣ヌン [⸢ʔaː⸣nuŋ] 名  (動)南京虫。 ム⸢カ⸣シェー タ⸢タミヌ⸣ピルナーン ⸢キン⸣ヌ ⸢ヌイ⸣ミーナーン ⸢アーヌン⸣マー シ⸢ディ⸣シタ [mu⸢ka⸣ʃeː tḁ⸢taminu⸣pirunaːŋ ⸢kin⸣nu ⸢nui⸣miːnaːŋ ⸢ʔaːnum⸣maː ʃi⸢di⸣ʃi̥ta] (昔は畳の縁にも着物の縫い目にも南京虫は湧いた<孵化した>ものだよ) 54 0 0 63 htmvoc_54.wav アーネー ⸢アー⸣ネー [⸢ʔaː⸣neː] 名 東隣の家。 ⸢バン⸣テヌ ⸢アー⸣ネーヤ ア⸢ザテー イー⸣ネーヤ トゥ⸢ムシェー ヤッタ [⸢ban⸣tenu ⸢ʔaː⸣neːja ʔa⸢ʣateː ʔiː⸣neːja t⸢umuʃeː jatta] (我が家の東隣は東里家、西隣は宮良家<友寄家>であった) 59 0 0 64 htmvoc_59.wav アーパ ⸢アー⸣パ [⸢ʔaː⸣pa] 名 老婆。待遇価値の落ちた、卑しめた表現。相手を多少見下した言い方。卑語に近い。 ヤ⸢ナアーパ [ja⸢naʔaːpa] (いやな老婆、悪老婆) ウ⸢ヌ アー⸣パー プ⸢スヌ⸣ クーカー イ⸢シマコーバ シー⸣ ヤ⸢リフン シーソー⸣ル [ʔu⸢nu ʔaː⸣paː pu⸢sunu⸣ kuːkaː ʔi⸢ʃimakoːba ʃiː⸣ ja⸢riɸuŋ ʃiːsoː⸣ru] (その老婆は人が来ると石を投げたり、怒鳴りつけたりされる)) 60 0 0 65 htmvoc_60.wav アーパ ⸢アー⸣パ [⸢ʔaː⸣pa] 名 ⸢プーザン[⸢puːʣaŋ](帆桁)の最下段の桟の約四分の一上手に付けてある縄。サバニの帆桟やプーシンの帆桁を帆柱にしっかり結わえておくのに用いる縄。 ⸢プー⸣ ピ⸢ク⸣カー ⸢アー⸣パ ギッ⸢ティ⸣ フ⸢バリ [⸢puː⸣ pi̥⸢ku⸣kaː ⸢ʔaː⸣pa git⸢ti⸣ ɸu⸢bari] (帆を上げ<引い>たら、アーパ縄を帆柱にぎゅっと縛れ) 61 0 0 66 htmvoc_61.wav アーパーマ アー⸢パー⸣マ [ʔaː⸢paː⸣ma] 名 老婆。お婆さん。-マ[-ma]は指小辞。親愛の情を示す。親しみをこめた表現。 ⸢ウン⸣ネーナ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸢ʔun⸣neːna ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (その家にお婆さんがおられる)。 ⸢カン⸣ネナー ⸢コー⸣グマガリ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン [⸢kan⸣nenaː ⸢koː⸣gumagari ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔot⸣taŋ] (あの家には腰の曲がった老婆がおられた) 62 0 0 67 htmvoc_62.wav アーパーレー ⸣アーパーレー [⸣ʔaːpaːreː] 名 新室寿ぎ歌。正式の名称は、⸢ヤー⸣ヌ ⸢フンシキ⸣ アーパーレー[⸢jaː⸣nu ⸢ɸunʃi̥ki⸣ ʔaːpaːreː](新室の風水<基礎固め・鎮め>歌アーパーレー)という。歌は前半のナ⸢ガミ⸣ク[na⸢gami⸣ku](長め句)と後半のハ⸢ヤミ⸣ク[ha⸢jami⸣ku](早め句)からなる。ナ⸢ガミ⸣クでは新室の構造体を美辞麗句で歌い上げ(室誉めし)、後半のハヤミクでは新室の中の奇怪な形相の動物等を客観的に表現して「魔除け」とし、へんばい(反閇)して山の神、海の神、野の神々を鎮めて歌い終わる歌形構造を有する。新築の屋根が葺き上がる日没時になると、建築作業に従事した全員が作業着のまま新室の中に入って座り、儀式に参加した。先ず全員でアーパーレーの歌を歌う。鐘と銅鑼、太鼓に合わせて歌い終わる。そして村の道化役者をもって任ずる二人が出て家主の夫婦に扮し、新室が完成するまでの苦労話を面白おかしく語った後、抱いていた⸢ユイプス[⸢juipusu](藁人形)を家の中柱に結わえた後、⸢ワンヌン ビー⸣ティ ⸢バンヌン ビー⸣ティ シッ⸢トウイシットウイ(貴方も酔って、私も酔って、あな尊や)と叫んで神酒を棟桁に投げかけて終わる儀式 900 0 0 68 htmvoc_900.wav アーパーレー ⸣アーパーレー [⸣ʔaːpaːreː] 名 新築家屋の室褒め儀礼。新築落成の夜、⸢ユイプスガナシ[⸢juipu̥suganaʃi](新築家屋の守護神、茅で作った人形)を迎え、アーパーレー歌謡を歌いながら祓い清める儀式。新室の当主とその妻に扮した男二人が新築に至るまでの苦労を話し、村人の協力に感謝の辞を述べ、神々へ新室守護の祈願をしたのち、参加者全員でアーパーレーを歌い、両足で強く床板や土間を踏み鳴らし、反閉(へんばい)をして邪気を祓う。 ⸢アー⸣ザー ⸢ヤー⸣バ ス⸢ク⸣ローッタ ⸣ピンヌ ⸣アーパレーヤ ミリ⸢ミッ⸣タン [⸢ʔaː⸣ʣaː ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣roːtta ⸣pinnu ⸣ʔaːpaːreːja miri⸢mit⸣taŋ] (兄さんが家を作られた時のアーパーレーは見たことがある<見てみた>) 901 0 0 69 htmvoc_901.wav アーパーレーウタ ⸣アーパーレーウタ [⸣ʔaːpaːreːʔuta] 名 新室寿ぎの歌。新築家屋の邪気祓えの歌。ナ⸢ガミ⸣ク(長め声、第1連から第9連まで)とハ⸢ヤミ⸣ク(早め声、第10連から第37連まで)の二部構成になっている。アーパーレー(ナガミク){Sg_1}シルウチヌ メーヌウチニ ヤーバスクリ アンティス ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_2}シルウチヌ メーヌウチニ ヤーバスクリ アンティス ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_3}スブチダマ イシジバシ ヤーバスクリ アンティス ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_4}カクガニバ パラーバシー ヤーバスクリ アンティス ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_5}バンゾンガニバ ヌキギバシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_6}クルキカニバ キタバシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_7}ナンチャクガニ ウダティシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_8}カクガニバ ミニバシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_9}ヤーカラダキバ キチバシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ (ハヤミク){Sg_10}ヤー タマシダル ユチルバシー ヤーバスクリアンティスー{Sg_11}ヤー トゥルパニバ ガヤーバシー ヤーバスクリ アンティスー{Sg_12}ヤースルガニバ ティブクシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_13}ヤー イツピピルバ シミナーシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_14}ヤー ダディクダキバ アムヌバシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_15}ヤー ナンツァヨージバ マーリザシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_16}ヤー クンピピルバ カキナーシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_17}ヤー クヌヤーヌ ウチナカー テイダヌカタ アンティスー{Sg_18}ヤー ティダヌカタミリバ ティリユーナードゥシーユール {Sg_19}ヤー クヌヤーヌ ウチナカー シキヌカタ アンティス {Sg_20}ヤー シキヌカタミリバ ガリユーナードゥシーユール {Sg_21}ヤー クヌヤーヌ ウチナカー ピトゥヌカタアンティス {Sg_22}ヤー ピトゥヌカタミリバ バガウヤードゥシーユール {Sg_23}ヤー クヌヤーヌ ウチナカー ンーマヌカタ アンティス {Sg_24}ヤー ンーマヌカタミリバ キリユーナードゥ シーユール {Sg_25}ヤー クヌヤーヌウチナカー ウシヌカタ アンティス {Sg_26}ヤー ウシヌカタミリバ シキユーナードゥシーユール {Sg_27}ヤー クヌヤーヌウチナカー インヌカタ アンティス {Sg_28}ヤー インヌカタミリバ フイユナードゥシーユール {Sg_29}ヤー クヌヤーヌウチナカー マヤヌカタ アンテイス {Sg_30}ヤー マヤヌカタミリバ ガジユーナードゥシーユール {Sg_31}ウクダカエンヤー カニブーヤーヌ サイヤリ {Sg_32}ウクダカエンヤー ニヌブーヤーヌ サイヤリ {Sg_33}アーパレー キユーヌピーバ ムトゥバシ {Sg_34}アーパーレー クガニピーバ ニシキシ {Sg_35}アーパーレー イシカマーシ イワイス {Sg_36}アーパーレー ナンカマーシ イワイス {Sg_37}アーパーレー トゥズミヌ カイサヤ 63 0 0 70 htmvoc_63.wav アービ ⸢アー⸣ビ [⸢ʔaː⸣bi] 名  (動)貝の名。あわび。ミミガイ科の巻貝の一種。和名、イボアナゴウ。殻長5~7センチ。殻の表面にイボまたはコブ状の突起ができる。穴が数個あり、イノーの浅い岩礁に生息する。煮たり,茹でたりして食する。 ⸢アー⸣ベー ユディティ シ⸢タ⸣ディ ⸣シキティ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢マー⸣ン [⸢ʔaː⸣beː ⸣juditi ʃi⸢ta⸣di ⸣ʃikiti f⸢fuː⸣kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (あわびは茹でて醤油をつけて食べるとおいしい) 64 0 0 71 htmvoc_64.wav アーピキウシ ⸢アーピキ⸣ウシ [⸢ʔaːpiki⸣ʔuʃi] 名 粟碾き臼。粟を精白する石臼。イ⸢ソーシ[ʔi⸢soːʃi](大豆を碾く石臼)に似た形をしているが、臼に歯がない。 ⸢アーピキウシ⸣ヌ イ⸢ソーシ⸣ナー ⸢パー⸣ヤ タ⸢ティラ⸣ヌ [⸢ʔaːpikiʔuʃi⸣nu ʔi⸢soːʃi⸣naː ⸢paː⸣ja ta⸢tira⸣nu] (粟碾き臼には歯は立てない) 65 0 0 72 htmvoc_65.wav アープール ⸢アープー⸣ル [⸢ʔaːpuː⸣ru] 名 粟の豊作祈願祭。粟の豊年祭。対語は⸢マイプール[⸢maipuːru](稲の豊年祭)。鳩間島の豊年祭は稲の豊作祈願が主で、併せて五穀の豊作祈願もなされる。 フ⸢シマ⸣ヌ ⸢プー⸣ロー ⸢アープールー⸣バ ム⸢トゥ⸣シ ⸢ソー⸣ルティバン [ɸu⸢ʃima⸣nu ⸢puː⸣roː ⸢ʔaːpuːru⸣ba mu⸢tu⸣ʃi ⸢soː⸣rutibaŋ] (黒島の豊年祭は粟の豊年祈願を中心にしてなされるとのことだ) 67 0 0 73 htmvoc_67.wav アーフキカーフキ ⸢アーフキカー⸣フキ [⸢ʔaːɸukikaː⸣ɸu̥ki] 副 荒い息づかいをして。激しく呼吸をして。喘ぎあえぎ。 ⸢アーフキカー⸣フキ ⸢シェー⸣ティ ⸢ヤットゥ⸣シ ⸣パリ ⸢クー⸣タ [⸢ʔaːɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ⸣pari ⸢kuː⸣ta] (喘ぎ喘ぎしながらやっとのことで走ってきた) 68 0 0 74 htmvoc_68.wav アーブク ⸢アーブ⸣ク [⸢ʔaːbu⸣ku] 名 泡(あわ)。あぶく。気泡。豆腐を煮詰める際に沸きあがる泡。「沫蕩、此をば阿和那伎(アワなぎ)と云ふ」『日本書紀 神代上』。 サッ⸢フン⸣シ キン ア⸢ラシトゥンティ シター アーブク⸣ヌ ⸢イッ⸣パイ ⸣ンジケーン [saɸ⸢ɸuŋ⸣ʃi kiŋ ʔa⸢raʃi̥tuntiʃi̥taː ʔaːbuku⸣nu ⸢ʔip⸣pai ⸣ʔndʒikeːŋ] (石鹸で着物を洗おうとしたら泡がたくさん出てきた) 66 0 0 75 htmvoc_66.wav アーフクン ⸢アーフクン [⸢ʔaːɸukuŋ] 自動 あえぐ(喘ぐ)。激しく呼吸する。息切れする。「泡吹く」の転訛したものか。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣パルカー ⸢アーフクンドゥ キュー⸣ヤ ⸢アーフカンシェン [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣parukaː ⸢ʔaːɸu̥kundu kjuː⸣ja ⸢ʔaːɸu̥kaŋʃeŋ] (駆けて走ると激しくあえぐが、今日は喘がなかった)。 ヌー⸢スンティ⸣ アイニ ⸢アーフケー⸣ティ ⸢アーク⸣ワ [⸣nuː⸢sunti⸣ ʔaini ⸢ʔaːɸukeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣wa] (何故そんなに喘いでいるのか)。 ウ⸢ビッ⸣チン ⸣パリティ ⸢アーフクプソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢bit⸣ʦim ⸣pariti ⸢ʔaːɸu̥ku⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (これぽっち走って喘ぐ人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アーフケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaːɸu̥keː⸣ misamunu] (もっと喘げばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アーフキ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaːɸu̥ki⸣ba] (早く喘げよ) 111 0 0 76 htmvoc_111.wav アーミーボーサー ⸢アーミーボー⸣サー [⸢ʔaːmiːboː⸣saː] 名 雨宿り。 ア⸢タアミヌ フータ⸣ル ⸢ウン⸣ネーナ ⸢アーミーボー⸣サー ⸢シーティ クー⸣タ⸢ダー [ʔa⸢taʔamini ɸuːta⸣ru ⸢ʔun⸣nena ⸢ʔaːmiːboː⸣saː ⸢ʃiːti kuː⸣ta⸢daː] (にわか雨<驟雨>が降ったので、あの家に雨宿りをして来たのだよ) 55 0 0 77 htmvoc_55.wav アーミキ ⸢アー⸣ミキ [⸢ʔaː⸣miki] 名 粟で造った神酒。 ⸢アー⸣ミキ マ⸢ラソー⸣リ [⸢ʔaː⸣miki ma⸢rasoː⸣ri] (粟の神酒を醸造なさいませ) 56 0 0 78 htmvoc_56.wav アームチ ⸢アー⸣ムチ [⸢ʔaː⸣muʧi] 名 粟餅。糯粟を石臼で挽いた粉でつくった餅。 ⸢アー⸣ムチン ッ⸢ふァイミッ⸣タン [⸢ʔaː⸣muʧiŋ f⸢faimit⸣taŋ] (粟餅も食べてみたことがある)。 ム⸢チアーシ⸣ル ⸢アー⸣ムチェー ス⸢ク⸣ル [mu⸢ʧiʔaːʃi⸣ru ⸢ʔaː⸣muʧeː su̥⸢ku⸣ru] (糯粟で<ぞ>粟餅は作る) 113 0 0 79 htmvoc_113.wav アームル ⸢アー⸣ムル [⸢ʔaː⸣muru] 名 泡盛。島酒。 ⸢アー⸣ムルン ⸣ウンミサクン マ⸢ラソー⸣リ⸢ヨー [⸢ʔaː⸣muruŋ ʔummisakum ma⸢rasoː⸣ri⸢joː] (泡盛も芋神酒も醸造なされよ<生まらせなされよ>)。一般的には、サ⸢キ⸣ タルン[sḁ⸢ki⸣ tarunŋ](酒を醸造する)というが、⸢アー⸣ムル(泡盛の神酒)や、⸢アーミサ⸣ク(粟神酒)、⸣ウンミサク[⸣ʔummisaku](芋神酒)は、マ⸢ラスン[ma⸢rasuŋ](生まれさせる)という。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥ パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢アー⸣ムルサキ タ⸢ローッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatu pḁ⸢tu⸣manaːŋ ⸢ʔaː⸣murusaki ta⸢roːt⸣taŋ] (終戦後、鳩間島にも泡盛酒を醸造された) 70 0 0 80 htmvoc_70.wav アーメー ⸢アー メー [⸢ʔaː meː] 感 ああ、もう。もう大変だ。始末に負えない。 ⸢アー メー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ ク⸢ヌ⸣ イトー ア⸢ザー⸣リ ⸣クザーリ シ⸢ティ ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaː meː⸣ na⸢ra⸣nu ku⸢nu⸣ ʔitoː ʔa⸢ʣaː⸣ri ⸣kuʣaːri ʃi̥⸢ti juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (ああ、もう、だめだ{EOS}どうにもならない{EOS}この糸は散々に縺れて養生<手当て>出来ない{EOS}手がつけられない) 71 0 0 81 htmvoc_71.wav アーヤ ⸢アー⸣ヤ [⸢ʔaː⸣ja] 名 父。父親。親族名称。呼称。明治生まれの古老が用いる。[ʔa](吾)・[uja](親) → [⸢ʔaː⸣ja](父)、「~よし名は告らせ父母<オヤ>はしるとも。万、363」の転訛したものか。多くの若年層では、⸣アチャー[⸣ʔaʧaː](父{EOS}父親{EOS}親族名称、呼称)ともいう。これは、⸢ア(吾)・ヂ「知(父『古事記中、應神謡49』)・ア(*a<指小辞>)」によって形成されたものであろう。また、⸣イーヤ[⸣ʔiːja](父{EOS}名称、呼称{EOS}?i:ja)という家もあり、⸢チャー⸣チャー[⸢ʧaː⸣ʧaː](父{EOS}名称{EOS}⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸢チャー⸣チャー{SqBr}⸢joː⸣kajaːnu ⸢ʧaː⸣ʧaː{/SqBr}<西原家のお父さん>)という家もある。 ⸢バン⸣テヌ ⸢アー⸣ヤー サ⸢キゾーグ [⸢ban⸣tenu ⸢ʔaː⸣jaː sḁ⸢kiʣoːgu] (私の父は酒上戸だ)。 アー⸢ヤー ワー マー オール⸣ワ [ʔaː⸢jaː waː maː ʔoːru⸣wa] (お父さん、貴方は何処へいらっしゃい<行かれ>ますか)。 ク⸢レー バン⸣テヌ ⸢アー⸣ヤ [ku⸢reː ban⸣tenu ⸢ʔaː⸣ja] (これは私の家のお父さんです<名称>) アー⸢ヤー キュー⸣ヤ イ⸢ソー オールン [ʔaː⸢jaː kjuː⸣ja ʔi⸢soː ʔoːruŋ] (お父さん、今日は漁にいらっしゃいますか<呼称>)) 72 0 0 82 htmvoc_72.wav アーヤブイ ⸢アー⸣ヤブイ [⸢ʔaː⸣jabui] 名 海底地名。⸢アー⸣ヤ(お父さん{EOS}「吾親」の転訛したもの{EOS}寄合三戸氏)が立てられた、ブイ(航路標識{EOS}英語のbuoy<浮標>の転訛)のある曽根の意。タ⸢カビ⸣ヌ フ⸢チ[tḁ⸢kabi⸣nu ɸu̥⸢ʧi](高干瀬の津口)を回って鳩間港へ向かう途中にある 137 0 0 83 htmvoc_137.wav アーラ ⸢アーラ [⸢ʔaːra] 名 東。太陽の上がる方向。「上がる辺」の転訛したものか。⸢アーンタ[⸢ʔaːnta](東方、東の所)ともいう。⸢アーラキ[⸢ʔaːraki](東側、東の所)参照。 トゥ⸢ロー アーラー ンカイ⸣ トゥ⸢ビパッ⸣タツォー [tu⸢roː ʔaːraː ʔŋkai⸣ tu⸢bipat⸣taʦoː] (鳥は東の方へ向かって飛んでいったそうだ)。 ティダー ⸢アーラーラ⸣ル ⸢ヌール [⸣tidaː ⸢ʔaːraːra⸣ru ⸢nuːru] (太陽は東から<ぞ>昇る) 246 0 0 84 htmvoc_246.wav アーラーッサーケーン ⸢アーラー⸣ ッ⸢サー⸣ケーン [⸢ʔaːraː⸣ s⸢saː⸣keːŋ] 文 東の空は白んできた(夜が白白と明けてきた) 138 0 0 85 htmvoc_138.wav アーラキ ⸢アーラキ [⸢ʔaːraki] 名 東側。東の所。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢アーラキ⸣ナー ⸢バンスル⸣ヌ ムイ⸢ベー⸣ン [pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔaːraki⸣naː ⸢bansuru⸣nu mui⸢beː⸣ŋ] (畑の東側に蕃ざくろが生えている) 124 0 0 86 htmvoc_124.wav アーラシパク ⸢アーラシパク [⸢ʔaːraʃipaku] 名 蒸し器。蒸し箱。板で作った箱状の蒸篭で、二段重ねで用いる蒸し器。甑とは形が異なる。 ⸢アーラシパコー ベー⸣ナーン ⸢アッ⸣タン [⸢ʔaːraʃipakoː beː⸣naːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (蒸し箱は我が家にもあった) 73 0 0 87 htmvoc_73.wav アーラスン ⸢アーラ⸣スン [⸢ʔaːra⸣suŋ] 他動 配る。配分する。公平に分配する。沖縄古語「あらす(有らす)」[古・琉]。 ⸢コー⸣シェー ⸢ムール⸣ニ ⸢ミックナー アーラ⸣シバ [⸢koː⸣ʃeː ⸢muːru⸣ni ⸢mikkunaː ʔaːra⸣ʃiba] (菓子は皆に三個ずつ配りなさいよ)。 ⸢アーラ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ムール⸣ネー ⸢アーラサラ⸣ヌ [⸢ʔaːra⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢muːru⸣neː ⸢ʔaːrasara⸣nu] (配ろうと思うが、全員には配れない)。 ⸢ピーチ⸣ナー ⸢アーラ⸣シ ⸣ミサカー ⸢アーラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢piːʧi⸣naː ⸢ʔaːra⸣ʃi ⸣misakaː ⸢ʔaːra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (一つずつ配って良ければ配ることは出来る)。 ⸢アーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (配れば良いのに)。均等に配分する。 ク⸢ヌ⸣ ム⸢チェー ヤーニン⸣ズ マー⸢タキナー アーラ⸣シ [ku⸢nu⸣ mu⸢ʧeː jaːnin⸣ʣu maː⸢takinaː ʔaːra⸣ʃi] (この餅は家族全員に均等に配分しなさい)。 ⸢アーラサ⸣リン [⸢ʔaːrasa⸣rin] (均等に配分できる) 74 0 0 88 htmvoc_74.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 慌てさせる。騒がせる。急がせる。 ウ⸢リヌ⸣ クーカー プ⸢ス アーラスンダ⸣ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ kuːkaː pu̥⸢su ʔaːrasunda⸣ ʔu⸢tisi̥ka⸣nu] (彼が来ると人を騒がせるから、落ち着かない)。 プ⸢ス アーラス⸣ クトー ス⸢ナ [pu̥⸢su ʔaːrasu⸣ ku̥toː su⸢na] (人を慌てさせることはするな)。 ⸢アーラサンドー⸣シ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミリ [⸢ʔaːrasandoː⸣ʃi ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miri] (慌てさせないで仕事をさせなさい)。 ⸢アーラシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaːraʃeː⸣ misamunu] (慌てさせたら良いのに)。 ⸢アーラシ⸣バ [⸢ʔaːraʃi⸣ba] (慌てさせなさいよ) 75 0 0 89 htmvoc_75.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 沸騰させて吹きこぼれさせる。吹きあげさせる。「上がらす」の転訛したもの。 ⸣ドゥク ⸣ピー ⸢モース⸣カー ⸣スー ⸢アーラスン⸣ダー ⸢アーラサン⸣ヨーニ ⸢ピー⸣ヤ ピ⸢キ⸣バ [⸣duku ⸣piː ⸢moːsu⸣kaː ⸣suː ⸢ʔaːrasun⸣daː ⸢ʔaːrasaŋ⸣joːni ⸢piː⸣ja pi̥⸢ki⸣ba] (あまり火を焚くとお汁を吹き零れさせるぞ{EOS}吹き零れさせないように、火を引けよ)。 ⸢アーラシ⸣ ミサカー ⸢アーラス⸣クトゥン ⸣ナルン [⸢ʔaːraʃi⸣ misakaː ⸢ʔaːrasu⸣ ku̥tun ⸣naruŋ] (吹き零れさせて良ければ、吹き零れさせることもできる)。 ナー⸢イ アーラシェー⸣ ミサムヌ [naː⸢i ʔaːraʃeː ⸣misamunu] (ただ放置して吹き零れさせれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アーラシ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaːraʃi] (もっと吹き零させろ) 76 0 0 90 htmvoc_76.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 餅やカステラ等を蒸す。 ム⸢チ アーラスン [mu⸢ʧi ʔaːrasuŋ] (餅を蒸す<蒸して煮る>)。 ク⸢リ⸣シェー ⸢アーラサラヌ [ku⸢ri⸣ʃeː ⸢ʔaːrasaranu] (これでは蒸されない)。 ⸢クシ⸣キシェー ⸢アーラシ ヤッ⸣サン [⸢kuʃi̥⸣kiʃeː ⸢ʔaːraʃi jas⸣saŋ] (甑では蒸しやすい)。 ⸢アーラス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔaːrasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (蒸す人はいない)。 ⸢パー⸣ク ⸢アーラシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaːraʃeː⸣ misamunu] (早く蒸せば良いのに)。 ム⸢チ アーラシ⸣バ [mu⸢ʧi ʔaːraʃi⸣ba] (餅を蒸しなさい)。 ⸢ヨイ⸣ヌ ア⸢ラシコーシ アーラスンティ キッ⸣ス ⸢シーベー [⸢joi⸣nu ʔa⸢raʃikoːʃi ʔaːrasunti kis⸣su ⸢ʃiːbeː] (お祝いの蒸し餅<蒸し菓子>を蒸し上げようとして急いでいる)。 ⸣アブジェ ⸢ソーニヨイヌヨイヌ⸣ ア⸢ラシコーシ アーラスンティ ベー⸠ダー [ʔabudʒeː ⸢soːnijoinu⸣ ʔa⸢raʃikoːʃi ʔaːrasunti beː⸠daː] (おじいさんの生年祝いの蒸し菓子を作ろうと<蒸し上げよう>としているんだよ) 125 0 0 91 htmvoc_125.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 臼の歯をたてる。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸣パー ⸢アーラスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヌン⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ベーティ ⸢アーラサラヌ [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː ⸢ʔaːrasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢nun⸣nu ⸢naːm⸣ beːti ⸢ʔaːrasaranu] (臼の歯を立てようと思うが、鑿が無いので歯が立てられない)。 ⸣ドゥーシ ⸢アーラシ⸣ ミサカー ⸢アーラス⸣ クトー ⸣ナルン [⸣duːʃi ⸢ʔaːraʃi⸣ misakaː ⸢ʔaːrasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (自分で臼の歯を立てて良ければ立てることは出来る)。 ⸣ドゥーシ ⸢アーラシェー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ⸢ʔaːraʃeː⸣ misamunu] (自分で臼の歯を立てればいいのに)。 ウ⸢シ⸣ヌ パー アーラシ [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː ⸢ʔaːraʃi] (臼の歯をたてなさい{EOS}臼の歯を鑿で削ってたてなさい)。ウ⸢シ⸣ヌ ⸣パー ⸣タトゥン[ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː ⸣tḁtuŋ](臼の歯を立てる)ともいう 127 0 0 92 htmvoc_127.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 せき立てる。急がせる。慌てさせる。⸢アールン[⸢ʔaːruŋ](自動、急ぐ{EOS}暴れる)の他動詞。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢オーパ⸣ヤーラ ⸢ワン アーラサリティ⸣ ブ⸢ガ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢tumu⸣ti ⸢ʔoːpa⸣jaːra ⸢wan ʔaːrasariti⸣ bu⸢ga⸣ri ⸢naː⸣nu] (早朝から君にせかされて疲れてしまった) 129 0 0 93 htmvoc_129.wav アーラッパー ⸢アーラッパー [⸢ʔaːrappaː] 名 動作が荒々しいこと。荒っぽい人。粗雑な人。手荒に扱う人。手荒いこと。粗略に扱う人。 ウ⸢レー アーラッパー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミルバン ダーッ⸣サー ⸢シーユーサヌ [ʔu⸢reː ʔaːrappaː⸣ ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miruban daːs⸣saː ⸢ʃiːjuːsanu] (彼<あれ>は荒っぽい人だから、仕事をさせても立派に<上手に>できない) 130 0 0 94 htmvoc_130.wav アーラッパーシー ⸢アーラッパーシー [⸢ʔaːrappaːʃiː] 名 粗雑にすること。荒っぽくすること。乱暴に扱うこと。 ア⸢ラッパーシー スー⸣ プ⸢スンマー⸣ ク⸢レー⸣ シ⸢ミララヌ [ʔa⸢rappaːʃiː suː⸣ pu̥⸢summaː⸣ ku⸢reː⸣ ʃi⸢miraranu] (粗雑にする<乱暴に扱う>人には、これはさせられない) 131 0 0 95 htmvoc_131.wav アーラニバル ⸢アーラ⸣ニバル [⸢ʔaːra⸣nibaru] 名  (動)魚の名。和名、マハタ。スズキ科の魚。体長1メートル以上に成長する。鳩間島の⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)で、ノコギリダイを生餌にして、体長70~90センチのアーラニバルを釣り上げることができた。 ⸢アーラ⸣ニバロー ⸢マイ⸣ズニナーティ ム⸢チイズヌ⸣ イ⸢キムヌ⸣バ ⸢ムン⸣ダニ ⸢シェー⸣ティー ⸢ホー⸣ソーッタン [⸢ʔaːra⸣nibaroː ⸢mai⸣ʣuninaːti mu⸢ʧiʔiʣunu⸣ ʔi⸢kimunu⸣ba ⸢mun⸣dani ⸢ʃeː⸣ti ⸢hoː⸣soːttaŋ] (マハタの大物は、前曽根でノコギリダイを生餌にして釣り上げられたものだ) 117 0 0 96 htmvoc_117.wav アーラバカ ⸢アーラバカ [⸢ʔaːrabaka] 名 (地)西表島北岸伊武田地区の地名。同地区のウ⸢ブ⸣ミジ[ʔu⸢bu⸣miʣi](大見謝川)の西側の⸢ケーダタバ⸣ル[⸢keːdataba⸣ru](ケーダ田原)とトゥ⸢マダタバル[tu⸢madatabaru](トゥマダ田原)の中間にある水田地帯の名。トゥ⸢マダ田原に属するが、その中の「東の⸣パカ[⸣pḁka](ハカ<区域>)」の義。ニ⸢シムレー[ni⸢ʃimureː](米盛家)、ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː](小浜家)、イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː](西原家)、ア⸢ザテー[ʔa⸢ʣateː](東里家)、⸢ヨー⸣カヤー[⸢joːka⸣jaː](西原家)、ク⸢メー[ku⸢meː](小浜家)等の水田が広がっていた 133 0 0 97 htmvoc_133.wav アーラバカミナトゥ ⸢アーラバカミナトゥ [⸢ʔaːrabakaminatu] 名 地名。西表島伊武田地区トゥ⸢マダ[tu⸢mada]のアーラバカ(東区画)の小港。アーラバカ一帯の水田の⸢ター⸣ヌ シ⸢ビ[⸢taː⸣nu ʃi⸢bi](田の排水口<田尻>)が小さな港状になった舟の出入り口を形成していて、⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ,板舟)をそこから出入りさせて荷物の積み下ろしをしていた。 ニ⸢シムレーヌ⸣ イダフネー ⸢アーラバカミナトゥナー⸣ル フ⸢バリ⸣ ス⸢コー⸣レータ [ni⸢ʃimureːnu⸣ ʔidaɸuneː ⸢ʔaːrabakaminatunaː⸣ru ɸu⸢bari⸣ su̥⸢koː⸣reːta] (米盛家のサバニ<板舟>はアーラバカ港にもやって<舫って>おかれた) 139 0 0 98 htmvoc_139.wav アーラマイズニ ⸢アーラマイズニ [⸢ʔaːramaiʣuni] 名 (海底地名)。「東前曽根」の義。鳩間島の南面約500メートルの海中に発達した珊瑚礁の東側に分れて発達形成された曽根。この曽根は、ナ⸢カヌ⸣スニ[na⸢kanu⸣suni](中の曽根)へと続く。⸣スニ[⸣suni](曽根)とは、大潮の時にも珊瑚礁は海面に現れない所で、海底の珊瑚礁を言う。この曽根とタ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)の間に約60メートルのフ⸢チ[ɸu̥⸢ʧi](津口)がある 136 0 0 99 htmvoc_136.wav アーランカー アーランカー [⸢ʔaːraŋkaː] 名 慌て者。粗忽者。⸢アーリムヌ[⸢ʔaːrimunu](慌て者)ともいう。 マーン⸢ベー⸣マ ウ⸢ティ⸣シケーティ ア⸢ラキ⸣バ ⸣ミサムヌ ⸣アイニー ⸢アー⸣ランカー⸣ ナリティ ⸢ヌー⸣スワメー [maːʔm⸢beːma⸣ ʔu⸢ti⸣ʃi̥keːti ʔa⸢raki⸣ba misamunu ⸣ʔaini ⸢ʔaːraŋkaː⸣ nariti ⸢nuː⸣suwame] (もう少し落ち着いてあるけば<行動すれば>よいのに、あんな慌て者になってどうするのかね) 144 0 0 100 htmvoc_144.wav アーリバナ ⸢アーリバナ [⸢ʔaːribana] 名 上がり始めのころ。「上がり端」の義。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢アーリバナー⸣ アガーア⸢ガー⸣シ ス⸢マリティ⸣ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔaːribanaː⸣ ʔagaːʔa⸢gaː⸣ʃi su⸢marititi⸣ ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (太陽の上がり始めは真っ赤染まって非常に美しい) 1376 0 0 101 htmvoc_1376.wav アーリンーマ ⸢アーリンーマ [⸢ʔaːrimːma] 名 暴れ馬。気性の荒い馬。鳩間島には馬は育たないという伝承がある。神様が馬に跨って御嶽から御嶽へと回っておられるので、それに遭遇すると馬が暴れて⸢カンアタ⸣ル[⸢kanata⸣ru](神当り、神罰)するという。昔から現在に至るまで鳩間島で馬が飼われたことはないという 118 0 0 102 htmvoc_118.wav アール ⸢アール [⸢ʔaːru] 名 (動)蟻。 ア⸢ガアール [ʔa⸢gaʔaːru] (赤蟻) ッ⸢ふァー⸣ル [f⸢fuʔaː⸣ru] (黒蟻))。ッ⸢サー⸣ル[s⸢saː⸣ru](白蟻)等がいる 141 0 0 103 htmvoc_141.wav アールカジ ⸢アールカジ [⸢ʔaːrukadʒi] 名 東風。普通の東風はやわらかに、そよそよと吹く風である。⸢アンカジ[⸢ʔaŋkadʒi](東風)ともいう。 ⸢アールカジヌ <ア⸢ンカジヌ> フクン [⸢ʔaːrukadʒinu⸣ <⸢ʔaŋkaʤinu> ɸu̥kuŋ] (東風が吹く) 143 0 0 104 htmvoc_143.wav アールティダ ⸢アールティダ [⸢ʔaːrutida] 名 上がる太陽。⸢アーリティダ[⸢ʔaːritida](上がる太陽)ともいう。 ⸢アールティダル⸣ ウ⸢ガ⸣ム [⸢ʔaːrutidaru⸣ ʔu⸢ga⸣mu] (昇る太陽を拝む{EOS}神聖な太陽を拝む{EOS}転じて、勢力の大きな者に従う)。老年層には昇る太陽を神聖なものとして拝む習慣があった。⸢アールティダー⸣ フ⸢チ⸣ル ⸢イールティダー⸣ ドゥク[⸢ʔaːrutidaː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢ʔiːrutidaː⸣ duku](上がる太陽は薬、西日<午後の太陽>は毒)<諺>。 ⸢アールティダヌ ペー⸣ルンダ イッ⸢ケナ ヌッ⸣サン [⸢ʔaːrutidanu peː⸣runda ʔi⸢kkena nus⸣saŋ] (東から上る太陽光線が座敷に差し込むので非常に暖かい) 119 0 0 105 htmvoc_119.wav アールバユミ ⸢アールバ⸣ ユミ [⸢ʔaːruba⸣ jumi] 連 ⸢蟻を数えるように」の義。転じて動作ののろい意。 ⸢アールバ⸣ ユメーティ ア⸢ラカン⸣ドーシ ⸢ダンダン⸣シ ア⸢ラ⸣キパリ⸢ツォー [⸢ʔaːruba⸣ jumeːti ʔa⸢rakan⸣doːʃi ⸢dandaŋ⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kipari⸢ʦoː] (蟻を数えるようにのろのろ歩かないで、さっさと歩いて行きなさいよ<行きなさいってば>) 145 0 0 106 htmvoc_145.wav アールピサ ⸢アールピサ [⸢ʔaːrupisa] 名 屋根の東側の斜面。「上がり(東)ひら」の義。⸢アンタヌピサ[⸢ʔantanupi̥sa](東のひら)ともいう。 ⸢イールピサ [⸢ʔiːrupi̥sa] (西のひら) ⸢インタヌピサ [⸢ʔintanupi̥sa] (西のひら))。 ⸢マイ⸣ピサ [⸢mai⸣pi̥sa] (前のひら) ⸣マンタヌピサ [⸣mantanupi̥sa] (前のひら))。ニ⸢シピサ[ni⸢ʃipi̥sa](北のひら)、ニ⸢シンタヌピサ[ni⸢ʃintanupi̥sa](北側のひら)参照 146 0 0 107 htmvoc_146.wav アールビルティダ ⸢アールビルティダ [⸢ʔaːrubirutida] 名 東の方にある太陽。午前中の太陽。「東の方に居る太陽」の義。酷暑の夏には午前十一時ごろに仕事を終え、午後は三時以降日没まで野良仕事を続けた。 ⸢アールビルティダヌ⸣ アルンケンナー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シ クー⸢ディー [⸢ʔaːrubirutidanu⸣ ʔaruŋkennaː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi kuː⸢diː] (午前の太陽のあるうちに畑を耕して来ようよ) 147 0 0 108 htmvoc_147.wav アールムティ ⸢アールムティ [⸢ʔaːrumuti] 名 東の側、東側。⸢アーラムティ[⸢ʔaːramuti](東側)ともいう。⸢イールムティ[⸢ʔiːrumuti](西側)の対義語。 ガ⸢バナレーヌ アールムティナー⸣ル ユ⸢チン⸣マー ⸣アル [ga⸢banareːnu ʔaːrumutinaː⸣ru ju⸢ʧim⸣maː ʔaru] (赤離れの東側にユチン(地名)はある) 148 0 0 109 htmvoc_148.wav アールン ⸢アー⸣ルン [ʔaː⸣ruŋ] 自動 配分されて全体に行き渡る。 ムー⸢ルンナー⸣ニ ⸢アー⸣ルンユー ⸢ピーチ⸣ナー ⸢パイ⸣ミリバ [muː⸢runnaː⸣ni ⸢ʔaː⸣ruɲuː ⸢piːʧi⸣naː ⸢pai⸣miriba] (皆に行き渡るように配分できるのかどうか、一つずつ配ってごらんよ)。 ムー⸢ル⸣ネー ⸢アーラサラヌ [muː⸢ru⸣neː ⸢ʔaːrasara⸣nu] (皆には均等に配分出来ない)。 ムー⸢ル⸣ニ ⸢アー⸣ル ⸣ブン ⸢ナーン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [muː⸢ru⸣ni ⸢ʔaː⸣ru ⸣bun ⸢naːŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (全員に均等に配分出来る分ないと困る) 149 0 0 110 htmvoc_149.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 慌てる。急ぐ。騒ぐ。暴れる。 ウ⸢ヌ パナ⸣シ ス⸢クター⸣ キモー ⸢アーリティ⸣ ム⸢ヌウモーラ⸣ヌ [ʔu⸢nu pana⸣ʃi su̥⸢kutaː⸣ kimoː ⸢ʔaːriti⸣ mu⸢nu ʔumoːra⸣nu] (その話をきいたので胸騒ぎし<胸がどきどきし>て、落ち着いて考えることが出来ない<ものが思われない>)。 ウ⸢ダラク⸣タンティン ⸢アーラヌ [ʔu⸢daraku⸣tantiŋ ⸢ʔaːranu] (びっくりして<驚いても>も慌てない)。 ウ⸢ダラ⸣クカー ター⸢ン アールン [ʔu⸢dara⸣kukaː taː⸢ŋ ʔaːruŋ] (驚いたら誰でも慌てる)。 ウ⸢リン⸣ カタチニ ⸢アール⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢riŋ⸣ kḁtaʧini ⸢ʔaːru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼のように慌てる<騒ぐ>人はいない)。 ⸣アイニ ⸢アールナ [ʔaini ⸢ʔaːruna] (そんなに慌てるな<急ぐな>)。 ⸣アイニ ⸢アーレー⸣ラー ター⸢ン⸣ ム⸢ヌバシ⸣キ ⸢シース [⸣ʔaini ⸢ʔaːreː⸣raː taː⸢m⸣ mu⸢nubaʃi̥⸣ki ⸢ʃiːsu] (あんなに慌てたら誰でも物忘れするよ) 150 0 1 111 htmvoc_150.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_1}上がる。昇る。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢アールン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔaːruŋ] (太陽が昇る)。 ⸣ティダー マ⸢ダ アーラヌ [⸣tidaː ma⸢da ʔaːranu] (太陽はまだ昇らない) 150 0 2 112 htmvoc_150.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_2}蒸しあがる。 ム⸢チェー アーレーン⸣カヤー [mu⸢ʧeː ʔaːreːŋ⸣kajaː] (餅は蒸しあがったかなあ)。 ム⸢チヌ アールバドゥ⸣ ナベー ウ⸢タリル [mu⸢ʧinu ʔaːrubadu⸣ nabeː ʔu⸢tariru] (餅が蒸しあがってこそ<はじめて>鍋は竈よりはずされる)。 150 0 3 113 htmvoc_150.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_3}沸騰する。 ⸢スー⸣ヌ ⸢アール⸣カー ⸢ミー⸣ス イ⸢リ⸣ミサン [⸢suː⸣nu ⸢ʔaːru⸣kaː ⸢miː⸣su ʔi⸢ri⸣misaŋ] (お汁が沸騰したら味噌を入れてよい) 1374 0 1 114 htmvoc_1374.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_1}荒れる。思うままにふるまう。 ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ブ⸣リ ス⸢ナ⸣カン ⸢アーリティ⸣ フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bu⸣ri su⸢nakaŋ ⸢ʔaːriti⸣ ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (天気は崩れ、海も荒れて船は出されない)。 1374 0 2 115 htmvoc_1374.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_2}暴れる。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢アーリティ ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ⸢ʔaːriti joː⸣ʣoː ʃi⸢kirara⸣nu] (この子供は暴れて手がつけられない) 140 0 0 116 htmvoc_140.wav アールンカイ ⸢アールンカイ [ʔaːruŋkai] 名 東向き。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヤ ⸢アールンカイ シーブー [ku⸢nu jaː⸣ja ⸢ʔaːruŋkai ʃiːbuː] (この家は東向きになっている) 151 0 0 117 htmvoc_151.wav アーレー ⸢アーレー [⸢ʔaːreː] 名 あわて(慌て)者。はしゃぎったてる者。落着きのない者。⸢アールン[⸢ʔaːruŋ](慌てる)の連用形⸢アーリ[⸢ʔaːri]に、接尾辞-ア[-a](~者)が下接して連母音 [ia] → [eː] の音韻変化を起こしたもの。 ウ⸢ヌ ッふァー アーレー⸣ ナリティ ムシ⸢トゥ⸣ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [ʔu⸢nu ffaː ʔaːreː⸣ nariti muʃi̥⸢tu⸣ ʔu⸢tisi̥ka⸣nu] (その子は、はしゃぎまわる子になって、ちっとも落ち着かない)。 ウ⸢ヌ アーレーヤ⸣ マ⸢タ⸣ ニ⸢ム⸣チ ⸢バシキティ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu ʔaːreːja⸣ ma⸢ta⸣ ni⸢mu⸣ʧi ⸢baʃi̥kiti⸣ pari⸢naː⸣nu] (あの慌て者は、また荷物を忘れて行ってしまった) 1377 0 0 118 htmvoc_1377.wav アーレーキ ⸢アーレーキ [⸢ʔaːreːki] 名 東側。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢クヌ アーレーキ⸣ナ フ⸢クンキーバ⸣ イ⸢ビス⸣コーレーン [⸢jaː⸣nu ka⸢kunu ʔaːreːki⸣na ɸu̥⸢kuŋkiːba⸣ ʔi⸢bisu̥⸣koːreːŋ] (屋敷の東側に福木を植えてあられる) 77 1 0 119 htmvoc_77.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 副 {PoS_1}そう(然う)。 ⸢バン⸣ヌン ⸣アイ ⸢スン [⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔai ⸢suŋ] (私もそうする)。 ⸣アイヤー サ⸢ヌ [⸣ʔaijaː sa⸢nu] (そうはしない)。 アイ⸢スン⸣ケン パ⸢タラカン⸣カー ナ⸢ラヌ [ʔai⸢suŋ⸣kem pḁ⸢tarakaŋ⸣kaː na⸢ranu] (それほどまでに<そうするまで>働かないといけないのか)。 77 2 0 120 htmvoc_77.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 感 {PoS_2}そう。あれ!相手の言葉に対する同意、肯定判断、感動を表す。 ⸣アイ ウ⸢リル⸣ マ⸢シ [⸣ʔai ʔu⸢riru⸣ ma⸢ʃi] (そうだ、それが良い)。 ⸣アイ ウ⸢レー ヌー⸣ シター [⸣ʔai ʔu⸢reː ⸢nuː⸣ ʃi̥taː] (あれ{EOS!}これは一体どうしたのかい)。そう。そのように。その通り。 ⸣アイ ⸢スーバ⸣ マ⸢シ⸣ヨー [⸣ʔai ⸢suːba⸣ ma⸢ʃi⸣joː] (そうした方が良い<増しだ>よ)。 ⸣アイル ⸢スー⸣カメー [⸣ʔairu ⸢suː⸣kameː] (そうしようかなあ、もう)。 ⸣アイ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔai ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (そうしないといけない)。相手の意見を一旦受け止め<肯定し>て、おもむろに話し手の意見を述べる際に言うことば。 ⸣アイ ウ⸢レー ワー⸣ アズ ⸢トゥー⸣ル ⸢バー⸣ル ⸢ワッ⸣サタ [⸣ʔai ʔu⸢reː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuː⸣ru ⸢baː⸣ru ⸢was⸣sata] (そう、それは君が言う通りだ{EOS}私が悪かった)。 ⸣アイ ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔai ⸢ge⸣ra] (そうさ{EOS}そうだよ)。 アイ ⸢ダー ワー⸣ アズ ⸢トゥー⸣ル [ʔai ⸢daː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuː⸣ru] (そうだよ{EOS}君のいう通りだ)。動詞や助詞と結びついて、⸣アイニ[⸣ʔaini](そのように)、アイ⸢バー⸣キ[ʔai⸢baː⸣ki](そんなにまで)、⸣アイヤー[⸣ʔaijaː](そんなには)、⸣アイル[⸣ʔairu](そのように<ぞ>)、⸣アイニン[ʔainiŋ](そんなにも)、⸣アイヌ パ⸢ナ⸣シ[⸣ʔainu pa⸢na⸣ʃi](そのようであるとのこと)、⸣アイ ⸢スン⸣ケン[⸣ʔai ⸢suŋkeŋ](そうするうちに、そうするまで)のように用いられる 154 0 0 121 htmvoc_154.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 名 あわい(間)。あいま。あいだ。時間的、空間的あいだ(間)に用いる。 ⸢キュー⸣トゥ ア⸢ツァ⸣ヌ ⸣アイナー ⸣ムティパリ [⸢kjuː⸣tu ʔa⸢ʦa⸣nu ⸣ʔainaː ⸣mutipari] (今日と明日の間に持って行け)。 パ⸢トゥマ⸣トゥ フ⸢ノーラ⸣ヌ ⸣アイナール パ⸢トゥ⸣マレーヤ ⸣アル [pḁ⸢tuma⸣tu ɸu⸢noːra⸣nu ⸣ʔainaːru pḁ⸢tu⸣mareːja ⸣ʔaru] (鳩間島と船浦の間に鳩離島はある) 156 0 0 122 htmvoc_156.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 名 藍。 ⸢アイ⸣ヌ ⸣シル [⸢ʔai⸣nu ⸣ʃiru] (藍の汁)。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢アイ⸣ヤー ス⸢ク⸣ローランシェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʔai⸣jaː su̥⸢ku⸣roːranʃeŋ] (鳩間では藍は作られなかった)。 ⸣アイ シゥ⸢カウン [⸣ʔai si̥⸢kauŋ] (藍を使う{EOS}藍汁で糸を染める) 157 0 0 123 htmvoc_157.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 名 喧嘩。争い。動詞⸣アウン[⸣ʔauŋ](喧嘩する)の連用形から転成した名詞形。 ⸢アイ⸣ヌ パ⸢ジマレー⸣ パ⸢ナン⸣ギラティ ア⸢ザリ ブー [⸢ʔai⸣nu pa⸢ʤimareː⸣ pa⸢naŋ⸣girati ʔa⸢ʣari buː] (喧嘩の始まりは悪ふざけからだといわれている)。 ン⸢メーマヌ⸣ クトーラル ⸢アイ⸣ヤ パ⸢ジマルタ [ʔm⸢meːmanu⸣ ku̥toːraru ⸢ʔai⸣ja pa⸢ʤimaruta] (少しのことからが<ぞ>喧嘩は始まった) 159 0 0 124 htmvoc_159.wav アイ ⸢アイ [⸢ʔai] 名 口蓋。上歯の歯茎から硬口蓋にかけた部分。「腭、阿岐(あぎ)、口中上顎也」『和名抄』、「腭、アギ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢アイヌ⸣ パギ ⸣ヤミティ ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔainu⸣ pagi ⸣jamiti ⸢ʔiː⸣ja f⸢faːranu] (口蓋の皮膚がはがれて、痛くて飯が食べられない) 160 0 0 125 htmvoc_160.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 感 おや。まあ。あら。思いがけないことに驚いて発することば。 ⸣アイ ⸢ヌーシ⸣ターク⸢レー [⸣ʔai ⸢nuːʃi̥⸣taː ku⸢reː] (おや、いったいどうしたのか{EOS}これは)。 ⸣アイ ⸣ヌンティ ナ⸢クワ [⸣ʔai ⸣nunti na⸢kuwa] (あらまあ、どうして泣くの) 991 0 0 126 htmvoc_991.wav アイ ⸢ア⸣イ [⸢ʔa⸣i] 感 おや。まあ。あれっ。意外なとき、驚いたときに用いる語。 ⸢ア⸣イ ク⸢レー ヌー⸣シター [⸢ʔa⸣i ku⸢reː nuː⸣ʃi̥taː] (おや?、一体これはどうしたことだ) 168 0 0 127 htmvoc_168.wav アイーイー アイー⸢イー [ʔaiː⸢jiː] 感 そうか?その通りか?アイー⸢イー ワール⸣ カ⸢リン⸣ カ⸢ラシター[ʔaiː⸢jiː waːru⸣ ka⸢riŋ⸣ ka⸢raʃi̥taː](そうか?、君が彼に貸したのか?) 169 0 0 128 htmvoc_169.wav アイーイーアイルヤッター アイー⸢イー⸣ アイル ⸢ヤッター [ʔaiː⸢jiː⸣ ʔauru ⸢jattaː] 連 そうか?そうだったのか。 アイー⸢イー⸣ アイル ⸢ヤッター⸣ バー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サンシェン⸠ツォー [ʔaiː⸢jiː⸣ ʔairu ⸢jattaː⸣ baː noː⸢n⸣ s⸢saŋʃen⸠ʦoː] (そうだったのか{EOS}私は何も知らなかったのだよ) 79 0 0 129 htmvoc_79.wav アイアイ ⸣アイアイ [⸣ʔaiʔai] 感 あれあれ。あれまあ。驚いた時、予想外の出来事に逢着した時に発する声。 ⸣アイアイ ク⸢レー ヌー⸣シター [⸣ʔaiʔai ku⸢reː nuː⸣ʃi̥taː] (あれまあ、これはどうしたのだ) 80 0 0 130 htmvoc_80.wav アイイジカイイジ アイ⸢イジ⸣カイイジ [ʔai⸢ʔiʤi⸣kaiʔiʤi] 副 のらりくらり。あれこれと言い抜けるさま。「そう言い、ああ言い」の転訛したもの。 ⸢トゥイスクバン⸣ アイ⸢イジ⸣カイイジ ⸢シー⸣ イ⸢ザリヌンガール シー ベー [⸢tuisu̥kubaŋ⸣ ʔai⸢ʔiʤi⸣kaiʔiʤi ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢ʣarinuŋgaːru ʃiː beː] (詰問してものらりくらりして<そう言い、ああ言いして>、叱責逃れしている) 172 0 0 131 htmvoc_172.wav アイイズ ⸢アイイズ [⸢ʔaiʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、アミアイゴ。体長約15センチ。背びれに毒針を有し、刺されると痛い。上げ潮の波に乗って、干瀬のヤ⸢トゥ[ja⸢tu](リーフの割れ目{EOS}「やと(谷)」の義か)からリーフの上に群れて上がってくるところを、石を投げて脅すと沢山のアミアイゴが珊瑚礁の岩陰や干瀬の窪みにぴたっとくっ付いて動かなくなる。そこで、干瀬を走りながら小さな銛でそれを突いて漁獲したものである。 ⸢アイイゾー⸣ フ⸢ドゥブ⸣カー ⸢オン⸣デー ⸣ナルツォー [⸢ʔaiʔiʣoː⸣ ɸu⸢dubu⸣kaː ⸢ʔon⸣deː ⸣naruʦoː] (アミアイゴは成長するとオンデー<はなあいご>になるそうだ)。 ⸢アイイズ⸣ シ⸢キン パッ⸣タ [⸢ʔaiʔiʣu⸣ ʃi̥⸢kim pat⸣ta] (アイゴを突きに行った) 162 0 0 132 htmvoc_162.wav アイカーフンカー ⸢アイカーフン⸣カー [⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː] 名 喧嘩口論。 ⸢アイカーフン⸣カー ⸢スン [⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢suŋ] (喧嘩口論をする)。 ⸢クン⸣ネーヤ ⸢アイカーフンカー⸣ヌ キ⸢シラン⸣バン [⸢kun⸣neːja ⸢ʔaikaːɸuŋkaː⸣nu ki̥⸢ʃiram⸣baŋ] (この家は喧嘩口論が絶えないよ)。 ⸣ヌンティ ⸢アイカーフン⸣カー ⸢シー ベー⸣ワ [⸣nunti ⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢ʃiː beː⸣wa] (如何して喧嘩口論をしているのか)。 ⸢ウン⸣ネナー ⸢アイカーフンカー⸣ヌ ⸣キシテー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenaː ⸢ʔaikaːɸuŋkaː⸣nu ⸣ki̥ʃiteː ⸢naː⸣nu] (あの家では喧嘩口論の絶えることがない)。⸢フン⸣カー[⸢ɸuŋ⸣kaː]は石垣方言の⸢ヒ⸣ンカー[⸢çi⸣ŋkaː](反抗、抵抗、「返歌」の義)『石垣方言辞典』の転訛したものか 1400 1 0 133 htmvoc_1400.wav アイカイ ⸣アイカイ [⸣ʔaikai] 名 {PoS_1}ああこう。あれやこれや。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸣アイカイ ⸢シール⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ タ⸢ナ⸣ミ シ⸢ミ⸣シケー [ʔu⸢nu⸣ kutoː ⸣ʔaikai ⸢ʃiːru⸣ jat⸢tu⸣ʃi ta⸢na⸣miʃikeː] (そのことは、あれやこれややって、やっとのことで頼んでおいてある)。 1400 2 0 134 htmvoc_1400.wav アイカイ ⸣アイカイ [⸣ʔaikai] 副 {PoS_2}そうこう。ああこう。あんなにこんなに。 ⸣アイカイ ⸢シーミッタ⸣ヌ ⸢バン⸣マー ナ⸢ラン⸣シェン [⸣ʔaikai ⸢ʃiːmitta⸣nu ⸢bam⸣maː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (ああもこうもやってみたが、私には出来なかった)。 ⸣アイカイ シ⸢メーティ⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣キモートゥリ フ⸢ターロー⸣ マー⸢ズン⸣ ナシェー⸢ダー [⸣ʔaikai ʃi⸢meːti⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ʔu⸢ja⸣nu ⸣kimoːturi ɸu̥⸢taːroː⸣ maː⸢ʣun⸣ naʃeː⸢daː] (ああこうさせて、やっとのことで親なだめて納得を得て<心をつかんで>二人を一緒にさせたのだよ) 163 0 0 135 htmvoc_163.wav アイカミ ⸢アイ⸣カミ [⸢ʔai⸣kami] 名 あいかめ(藍甕)。藍を入れて醗酵させるための甕。 ム⸢カ⸣シェー ⸢アイ⸣カミン ⸢アッタン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔai⸣kamiŋ ⸢ʔattan⸣du ma⸢na⸣maː ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (昔は藍甕もあったが、今は見たこともない<見てみない>)。 ⸢アイ⸣カミナ カ⸢シ⸣トゥ ヌ⸢キ⸣ イ⸢リティ⸣ ス⸢ミ⸣バ [⸢ʔai⸣kamina kḁ⸢ʃi⸣tu nu⸢ki⸣ ʔi⸢riti⸣ su⸢mi⸣ba] (藍甕に\ruby{枷糸}{カセ|イト}と貫き糸を入れて染めなさいよ) 164 0 0 136 htmvoc_164.wav アイカン ⸢アイ⸣カン [⸢ʔai⸣kaŋ] 名 合鑑。あいふ(合符)。手荷物の預かり札。標準語からの借用語。運搬船で荷物を送る際に発行してもらい、石垣港や那覇港で合鑑と引き換えに荷物を受け取った。 ウ⸢キ⸣ナーヌ ニ⸢ム⸣チェー ⸢アイ⸣カンシ ウ⸢クルタ [ʔu⸢ki⸣naːnu ni⸢mu⸣ʧeː ⸢ʔai⸣kaŋʃi ʔu⸢kuruta] (沖縄への荷物は合鑑で送った) 173 0 0 137 htmvoc_173.wav アイク ⸢アイ⸣ク [⸢ʔai⸣ku] 名 担ぎ棒。アフゴ(朸)。「朸、和名阿布古(あふこ)、杖名也」『和名抄』の転訛したもの。荷を担う棒。 タ⸢キアイク [tḁ⸢kiaiku] (竹製の担ぎ棒) ⸢キーアイ⸣ク [⸢kiːai⸣ku] (木製の担ぎ棒))。ミ⸢ジカタミアイ⸣ク[mi⸢ʤikatamiai⸣ku](水担ぎ棒)等がある。木製のアイクは、直径約6センチの若木や木の枝を利用して作った。両端を尖らせて鉤状にし、紐が滑らないようにして両端に吊るして担ぐ棒。 ミ⸢ジタン⸣ゴー ⸢アイ⸣クシ カ⸢タ⸣ミ パ⸢ルバ⸣ル マ⸢シ [mi⸢ʤitaŋ⸣goː ⸢ʔai⸣kuʃi kḁ⸢ta⸣mi pa⸢ruba⸣ru ma⸢ʃi] (水桶<水担桶>は担ぎ棒で担いで行くほうがいい) 1420 0 0 138 htmvoc_1420.wav アイサバンカイサバン ⸣アイ⸢サバン⸣ カイ⸢サバン [⸣ʔai⸢sabaŋ⸣ kai⸢sabaŋ] 副 どんなにしても。いづれにしても。「ああしてもこうしても」の義。基本的にはABCDEFBCDE型の重言。 ⸣アイ⸢サバン⸣ カイ⸢サバン ノー⸣リサーギ ⸢スー⸣カー ミ⸢サ⸣ル [ʔai⸢sabaŋ⸣kai⸢saban noː⸣risaːgi ⸢suː⸣kaː mi⸢sa⸣ru] (どんなにしても、直りさえすればいいよ) 174 0 0 139 htmvoc_174.wav アイザムトゥ ⸢アイ⸣ザムトゥ [⸢ʔai⸣ʣamutu] 名 西村と東村の旗頭が出会う場所。小底家の東南(巳の方角)の十字路。「会い座元」の義か。西村と東村の境界線となる縦道と沿岸道路の横道が交差した所。そこは、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢na⸣ʔiugaŋ](鬚川御嶽)と⸣サンシキ[⸣saŋʃi̥ki](桟敷)を画する縦道に通ずる所でもある。友利御嶽から、朝の祈願を終えたサ⸢カサ、ティ⸢ジリ⸣ビーの神職者たちがカンシバを頭に巻いて、道歌を歌いながら下りて来られるのを、⸣サンシキで待機していたヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人)や⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代{EOS}部落会長)らがアイザムトゥで恭しく出迎えて、⸣サンシキヌウタ[⸣saŋʃi̥kinuʔuta](桟敷の歌)を歌い終える。それを合図に、アイザムトゥではドゥ⸢ラーン[du⸢raːŋ](銅鑼)が一段と強く打ち鳴らされ、東西の旗頭が合流し、東の旗頭を先頭にして⸣サンシキ(桟敷)へ入場し、余興が開始される。⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競漕)が済んで旗頭がトゥ⸢ニムトゥへ帰る際にも⸢アイ⸣ザムトゥで旗頭を揃え、⸢アイ⸣ザムトゥの歌を歌って来年の豊年豊作を予祝してそれぞれのトゥニムトゥへ帰る 175 0 0 140 htmvoc_175.wav アイザムトゥヌウタ ⸢アイ⸣ザムトゥヌ ⸣ウタ [⸢ʔai⸣ʣamutunu ⸣ʔuta] 連 「会い座元の歌」の義。神歌の一種。西村と東村の旗頭がトゥ⸢ニムトゥ[tu⸢nimutu](宗家)から出てきて出会う所、またトゥ⸢ニムトゥ(宗家)へと別れていく所の⸢アイ⸣ザムトゥ[⸢ʔai⸣ʣamutu](会い座元)で歌われる。⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta](豊年祭の歌)の項参照 685 0 0 141 htmvoc_685.wav アイシ ⸣アイシ [⸣ʔaiʃi] 連 ~の訳で。~の理由で。 ⸢ヌー⸣ヌ ⸣アイシ ⸣アイニ ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リ ⸢オー⸣ルワ [⸢nuː⸣nu ⸣ʔaiʃi ⸣ʔaini ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ri ⸢ʔoːru⸣wa] (どういう訳であんなに怒っていらっしゃるのか) 176 0 0 142 htmvoc_176.wav アイジ ⸢アイ⸣ジ [⸢ʔai⸣ʤi] 名 合図。連絡。案内。 ⸣ミーシ ⸢アイ⸣ジ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ミ⸢ラン⸣バン [⸣miːʃi ⸢ʔai⸣ʤii ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ mi⸢ram⸣baŋ] (目で合図をするのだが、ちっとも見ないよ)。 ⸢アイジ⸣ヌ ア⸢ラバ⸣ル パ⸢ラリ⸣ル、⸢アイ⸣ジェー ⸢ナー⸣ムヌ ⸢ヌー⸣シ パ⸢ラリ⸣ワ [⸢ʔaiʤi⸣nu ʔa⸢raba⸣ru pa⸢rari⸣ru、⸢ʔai⸣ʤeː ⸢naː⸣munu ⸢nuː⸣ʃi pa⸢rari⸣wa] (合図<案内>があってはじめて行ける<案内があらばこそ行かれる>のであって、案内は無いのにどうして行けようか) 165 0 0 143 htmvoc_165.wav アイシーカイシー アイ⸢シー⸣ カイシー [ʔai⸢ʃiː⸣ kaiʃiː] 連 そうこう(然う斯う)して。あれをしこれをして。あれこれと。何やかやと。「然うし斯うして」の転訛したもの。 アイ⸢シー⸣ カイシー ⸢シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ ス⸢ダ⸣ティ ケー⸢ダー [ʔai⸢ʃiː⸣ kaiʃiː ⸢ʃeː⸣tiruː jat⸢tu⸣ʃi su⸢da⸣ti keː⸢daː] (然う斯うして、やっとの事で育てあげてきたのだよ) 177 0 0 144 htmvoc_177.wav アイシーカイシー ⸣アイシーカイシー [⸣ʔaiʃiːkaiʃiː] 副 そうこうして。のらりくらりするさま。「ああし、こうし」の転訛したもの。 ⸣アイシーカイシー ⸢シェー⸣ティル ⸢バン⸣ター ヤッ⸢トゥ⸣シ ク⸢ラシ⸣ ケー⸢ダー [⸣ʔaiʃiːkaiʃiː ⸢ʃeː⸣tiru ⸢ban⸣taː jat⸢tu⸣ʃi ku⸢raʃi⸣ keː⸢daː] (そうこうしながら<ぞ>私らは、やっとのことで暮らしてきたのだよ) 3711 0 0 145 htmvoc_3711.wav アイシーカイシー アイ⸢シー⸣カイシー [ʔai⸢ʃiː⸣kaiʃiː] 副 そうこうして(然う斯うして)。そうし、こうし。あれし、これをしして。 アイ⸢シー⸣カイシー ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シル ⸣ウカー パ⸢ラウ⸣タ [ʔai⸢ʃiː⸣kaiʃiː ⸢ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃiru ⸣ʔukaː pa⸢rau⸣ta] (然う斯うしながら、やっとのことで<ぞ>借金を支払った) 179 0 0 146 htmvoc_179.wav アイシチ ⸢アイシチ [⸢ʔaiʃi̥ʧi] 名 挨拶(あいさつ)。標準語の「挨拶」が転訛したもの。普通は、⸣グリー[⸣guriː](御礼{EOS}頭を下げること)という。 ⸢アイシチ スン [⸢ʔaiʃi̥ʧi suŋ] (挨拶する)。 ミ⸢チェー⸣ラ ⸢ゲーサウバン アイシチンツァン サヌ [mi⸢ʧeː⸣ra ⸢geːsaubaŋ ʔaiʃi̥ʧinʦan sanu] (道で出会っても挨拶さえもしない) 180 0 0 147 htmvoc_180.wav アイシチユー ⸢アイシチユー [⸢ʔaiʃi̥ʧijuː] 名 挨拶用のもの。口実。形ばかりのもの。 ⸢アイシチユーヤンツァン⸣ ムティ パ⸢ラバ⸣ル ミ⸢チ ヤル [⸢ʔaiʃi̥ʧijuːjanʦam⸣ muti pa⸢raba⸣ru mi⸢ʧi jaru] (形ばかりのもの<挨拶用>だけでも持って行ったほうが常識<人の道というもの>だ) 166 0 0 148 htmvoc_166.wav アイシティ アイシ⸢ティ [ʔaiʃi̥⸢ti] 接 そして(然して{EOS}而して)。そうして(丁寧な言い方)。 アシ⸢ティ [ʔaʃi̥⸢ti] (そして)ともいう(ぞんざいな言い方)。 パ⸢ジメー ワー⸣ラ ⸢シー⸣ アイシ⸢ティ⸣ アトーラ カ⸢リン⸣ シ⸢ミリ [pa⸢ʤimeː waː⸣ra ⸢ʃiː⸣ ʔaiʃi̥⸢ti⸣ ʔatoːra ka⸢riŋ⸣ ʃi⸢miri] (最初は君からしなさい{EOS}そして後から彼にさせなさい) 184 0 0 149 htmvoc_184.wav アイジョー ⸢アイジョー [⸢ʔaiʤoː] 名 愛情。情愛。友愛。標準語からの借用語。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢アイジョーヌ⸣ タ⸢ラーン⸣カー ッ⸢ふァー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʔaiʤoːnu⸣ ta⸢raːŋ⸣kaː f⸢faː⸣ ja⸢bi⸣su] (親の愛情が足りないと子供はぐれる<性格がやぶれる>)。⸢ジョー[ʤoː](愛情)ともいう。普通はキム[⸣kimu](心、愛情、情)という。 キ⸢ム⸣ヌ ア⸢ツァー⸣ン [⸣kimu ʔa⸢ʦaː⸣ŋ] (心が篤い<情が篤い>)。 ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (愛情がない<心がない>) 167 0 0 150 htmvoc_167.wav アイシンカイシン ⸣アイシン ⸣カイシン [⸣ʔaiʃiŋ ⸣kaiʃiŋ] 連 どのみち(何の道)。いずれにしても。どっちみち。「ああしても、こうしても」の義。 ⸣アイシン ⸣カイシン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ムヌ [⸣ʔaiʃiŋ ⸣kaiʃin ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣ munu] (何の道<どっちみち>しなければならないこと) 178 0 1 151 htmvoc_178.wav アイシンカイシン ⸣アイシンカイシン [⸣ʔaiʃiŋkaiʃiŋ] 副 {Mn_1}いかようにしても~ない。「そうしても、こうしても~ない」の義。どうにもこうにも~ない。続く否定の条件句を誘導し、それと呼応して意味を強調する表現。「そうしても、ああしても」の転訛したもの。 ⸣アイシンカイシン ナ⸢ラン⸣ベーティ ⸢ワー⸣ラ ⸣ナラウンティ ⸢クー⸣タ [⸣ʔaiʃiŋkaiʃin na⸢ram⸣beːti ⸢waː⸣ra ⸣naraunti ⸢kuː⸣ta] (どうにもこうにもならなくて、貴方から習おうとやって来ました)。/ヘイヤー アンシン ナラナーキ ヘイヤー カンシン ナラナーキ/(ヘイヤー<囃子>そうしても<村建てが>出来ないので、ああしても<村建てが>できないので)「パトゥマ本ジラマ」『鳩間島古典民謡古謡集』。 178 0 2 152 htmvoc_178.wav アイシンカイシン ⸣アイシンカイシン [⸣ʔaiʃiŋkaiʃiŋ] 副 {Mn_2}どのみち。どっちみち。いずれにしても。結局。 アイ⸢シン⸣カイシン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ムヌ ⸢パー⸣ク ⸢シー⸣バ [ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃin ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣munu ⸢paː⸣ku ⸢ʃiː⸣ba] (どっちみちしなければならないおだから、早くしなさいよ) 1421 0 0 153 htmvoc_1421.wav アイシンカイシン ⸣アイ⸢シン⸣カイシン [⸣ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃiŋ] 副 ああもこうも。いづれにしても。どうにもこうにも。どのみち。「ああしてもこうしても」の義。基本的にはABCDEBCD型の重言。 アイ⸢シン⸣カイシン ⸢シーミラバ⸣ル ⸢フントー⸣ヌ ⸣クトー ワ⸢カ⸣ル ⸢サン⸣カー ワ⸢カラ⸣ヌ [ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃiŋ ⸢ʃiːmiraba⸣ru wa⸢ka⸣ru ⸢saŋ⸣kaː wa⸢kara⸣nu] (いづれにしても<ああしてもこうしても>してみてはじめて<してみたらばぞ>分かる{EOS}しないと分からない) 1440 0 0 154 htmvoc_1440.wav アイシンカイシン アイ⸢シン⸣カイシン [ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃiŋ] 副 どうでもこうでも。ああしてもこうしても。いづれにしても。 アイ⸢シン⸣カイシン サ⸢バドゥ⸣ ヤ⸢ル⸣カー ⸢パイ⸣サ ⸢スーモー マシ [ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃin sa⸢badu⸣ ja⸢ru⸣kaː ⸢pai⸣sa ⸢suːmoː⸣ ma⸢ʃi] (どうでもこうでも<どのみち>しなければならないのなら、早くしたほうがよい) 185 0 0 155 htmvoc_185.wav アイスーカー ⸣アイ ⸢スー⸣カー [⸣ʔai ⸢suː⸣kaː] 連 そう<然う>するのなら。そうしたら。丁寧な表現。前件の前提条件を受けて後件の判断が起きる意を表す。 ⸢ワー⸣ アイ ⸢スー⸣カー ⸣バー ⸢ワーットー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔai ⸢suː⸣kaː ⸣baː ⸢waːttoː⸣ pa⸢rara⸣nu] (君がそうするのなら、私は君とは行けない<行くことが出来ない>) 187 0 0 156 htmvoc_187.wav アイスヌ ⸣アイ ⸢スヌ [⸣ʔai ⸢sunu] 連 そうだが。だがしかし。だけれど。丁寧な言い方。普通は、ぞんざいに、ア⸢スヌ[ʔa⸢sunu](だが{EOS}だがしかし<接続詞>)という。前に述べたことと対立する事柄を逆説的に述べる際に用いる。 ⸢ダイヤー⸣ タ⸢カーン⸣ツォー アイ⸢スヌ⸣ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マーン⸣ティ⸢ダー [⸢daijaː⸣ tḁ⸢kaːn⸣ʦoː ʔai⸢sunu⸣ ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maːn⸣ti⸢daː] (値段は高いそうだ{EOS}だがしかし、非常に美味しいそうだ) 181 0 0 157 htmvoc_181.wav アイズミ ⸢アイ⸣ズミ [⸢ʔai⸣ʣumi] 名 藍染め。 ⸢アイ⸣ズミキンナー ム⸢シン⸣ シゥ⸢カ⸣ヌ [⸢ʔai⸣ʣumikinnaː mu⸢ʃin sï̥k⸣anu] (藍染めの着物には虫もつかない) 182 0 0 158 htmvoc_182.wav アイズミキン ⸢アイ⸣ズミキン [⸢ʔai⸣ʣumikiŋ] 名 藍染の着物。 ⸢アイ⸣ズミキン キ⸢ス⸣カー ム⸢シン⸣ ッ⸢サラン⸣ツォー [⸢ʔai⸣ʣumikiŋ ki̥⸢su⸣kaː mu⸢ʃin⸣ s⸢saran⸣ʦoː] (藍染めの着物を着ると虫に刺されないそうだ) 183 0 0 159 htmvoc_183.wav アイズミヤー ⸢アイ⸣ズミヤー [⸢ʔai⸣ʣumijaː] 名 藍染め屋。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢アイ⸣ズミヤーヤ ナーン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaːja ⸢ʔai⸣ʣumijaːja ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (鳩間には藍染め屋はなかった) 188 0 0 160 htmvoc_188.wav アイスンケン アイ⸢スン⸣ケン [ʔai⸢suŋ⸣keŋ] 副 それほど~ない。そんなに~ない(丁寧な表現)。ア⸢スン⸣ケン[ʔa⸢suŋ⸣keŋ](それほど~ない{EOS}そんなに~ない)(ぞんざいな表現)ともいう。打ち消しの表現と対応して用いられる陳述副詞。 ウ⸢レー⸣ アイ⸢スン⸣ケン タ⸢カー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔai⸢suŋ⸣ken tḁ⸢kaː naː⸣nu] (それは、そんなに高くない) 189 0 0 161 htmvoc_189.wav アイダー アイ⸢ダー [ʔai⸢daː] 連 そうである。そうだ。その通りだ。副詞⸣アイ[⸣ʔai](そう{EOS}そのように)に終助詞⸢ダー[⸢daː](~だよ{EOS}~よ)の付いた形。 ウ⸢レー⸣ アイ⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔai⸢daː] (それはそうだよ)。⸢ダー[⸢daː](~だよ{EOS}~よ)は名詞、動詞の終止形、命令形、形容詞の語幹、副詞などに付く。 ク⸢レー⸣ フニ⸢ダー [ku⸢reː⸣ ɸuni⸢daː] (これは舟だよ)。 ⸢バン⸣ヌン パルン⸢ダー [⸢ban⸣num parun⸢daː] (私も行くよ)。 ヤー⸢ディン⸣ パリ⸢ダー [jaː⸢dim⸣ pari⸢daː] (必ず行けよ)。 ク⸢リル ⸣ パ⸢ヤー⸠ダー [ku⸢riru⸣ pa⸢jaː⸠daː] (これが早いよ) 190 0 1 162 htmvoc_190.wav アイダチ ⸢アイダ⸣チ [⸢ʔaida⸣ʧi] 名 {Mn_1}木槌。大工作業などで用いる木槌。鑿を使って材木にほぞあな(枘穴)を開ける際に用いるのは、アイダ⸢チェー⸣マ[ʔaida⸢ʧeː⸣ma](小木槌)という。 ⸢サイ⸣コー ⸢アイダ⸣チシ ⸢ヌン⸣バ ⸢シッ⸣ケーティ パ⸢ラー⸣ヌ ⸣アナー プ⸢ローッ⸣タ [⸢sai⸣koː ⸢ʔaida⸣ʧiʃi ⸢num⸣ba ⸢ʃik⸣keːti pa⸢raː⸣nu ⸣ʔanaː pu⸢roːt⸣ta] (大工は小槌で鑿を打ち<突き>ながら柱の穴を掘られた)。米を搗く際に用いる大木槌状の横杵は、ウ⸢ブアイダ⸣チ[ʔu⸢buʔaida⸣ʧi](大槌)という。建築工事に用いる大槌はガ⸢バ⸣ラ[ga⸢ba⸣ra](大槌)という。 ⸢アイダ⸣チシ ⸢シッ⸣キティ ⸢ヤーラキ⸣バ [⸢ʔaida⸣ʧiʃi ⸢ʃik⸣kiti ⸢jaːraki⸣ba] (木槌で打って柔らかくしなさい)。 190 0 2 163 htmvoc_190.wav アイダチ ⸢アイダ⸣チ [⸢ʔaida⸣ʧi] 名 {Mn_2}横杵。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピンマー フ⸢タールナー⸣シ ウ⸢ブアイダチ⸣バ ⸣ムテーティル ⸢マイヤ⸣ ッサイ⸢ヨーッ⸣タ [⸢joi⸣nu ⸣pimmaː ɸu̥⸢taːrunaː⸣ʃi ʔu⸢buʔaidaʧi⸣ba ⸣muteːtiru ⸢maija⸣ ssai⸢joːt⸣ta] (お祝いの際には二人ずつで横杵を持って米を搗かれた<精げられた>)。バ⸢コーシン⸣カ[ba⸢koːʃiŋ⸣ka](大勢の共同作業人)の食事を賄うには、普通の杵では米搗きが間に合わない。それで、ウ⸢ブアイダ⸣チ[ʔu⸢buʔaida⸣ʧi](大きな木槌の杵)を使って、三人一組で一つの臼に向かい、臼を二つ並べて掛け声をかけながら米搗きをした。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸢アイダ⸣チシル ⸢マイヤー⸣ ッ⸢サウ⸣タ [ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸢ʔaida⸣ʧiʃiru ⸢maijaː⸣ s⸢sau⸣ta] (若者達はアイダチで米を搗い<精げ>た) 85 0 0 164 htmvoc_85.wav アイダチェーマ アイダ⸢チェー⸣マ [ʔaida⸢ʧeː⸣ma] 名 小槌。木工用の小槌。 アイダ⸢チェー⸣マ カ⸢リ⸣ クーバ [ʔaida⸢ʧeː⸣ma ka⸢ri⸣ kuːba] (小槌を借りてきなさい) 212 0 0 165 htmvoc_212.wav アイツァ ⸢アイ⸣ツァ [⸢ʔai⸣ʦa] 名 斑点。色の混ざったもの。まだら。転じて、いろいろなものが混じって明確でないもの。 ス⸢ミ⸣シケール ⸢キン⸣バ ア⸢ラウタ⸣ クトー イ⸢ル⸣ヌ ⸣パギティ ⸢アイ⸣ツァイル ⸣ナリ ⸢ベー [su⸢mi⸣ ʃi̥keːru ⸢kim⸣ba ʔa⸢rauta⸣ kutoː ʔi⸢ru⸣nu ⸣pagiti ⸢ʔai⸣ʦaʔiru ⸣nari ⸢beː] (染めてある着物を洗ったところ、色が脱色して<禿て>まだら色<斑色>になっている) 213 0 0 166 htmvoc_213.wav アイツァースン ⸢アイツァー⸣スン [⸢ʔaiʦaː⸣suŋ] 自動 喧嘩し合う。乱闘する。動詞⸣アウン[⸣ʔauŋ](喧嘩する)の連用形⸣アイ[⸣ʔai](喧嘩し)に、動作作用の程度の激しさを表す接尾語⸢ツァー⸣スン[⸢ʦaː⸣suŋ](~散らす{EOS}散々に~する)が付いて複合動詞を形成したもの。 ⸢ウッ⸣ツァー サ⸢キ⸣ ヌムカー シ⸢グ アイツァー⸣スン [⸢ʔut⸣ʦaː sḁ⸢ki⸣ numukaː ʃi⸢gu ʔaitʦaː⸣suŋ] (彼らは酒を飲むと、すぐ喧嘩する)。 ⸢アイツァーサン⸣ドーシ ⸣ヌミバ [⸢ʔaiʦaːsan⸣doːʃi ⸣numiba] (喧嘩しないで飲めよ)。 ⸢ピーズ アイツァー⸣シ ⸢ベー [⸢piːʣu ʔaiʦaː⸣ʃi ⸢beː] (いつも喧嘩している)。 ⸢アイツァー⸣ス ⸣クトゥン ⸣アン [⸢ʔaiʦaː⸣su ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (喧嘩し合うこともある)。 ⸢アイツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaiʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (喧嘩し合えば良いのに)。 ⸢アイツァー⸣シバ [⸢ʔaiʦaː⸣ʃiba] (喧嘩し合えよ) 214 0 0 167 htmvoc_214.wav アイツァウシ ⸢アイ⸣ツァウシ [⸢ʔai⸣ʦaʔuʃi] 名 まだら模様の牛。白黒赤毛の混じった牛。⸣アガマラーウシ[⸣ʔagamaraːʔuʃi](赤毛の混じった牛)と同じ。 ⸢ウン⸣ネナー ⸢アイ⸣ツァウシヌ マ⸢レーン⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenaː ⸢ʔai⸣ʦaʔuʃinu ma⸢reːn⸣ʦoː] (その<あの>家にまだら模様の牛が生まれたそうだ) 216 0 0 168 htmvoc_216.wav アイツァビーツァ ⸢アイ⸣ツァビーツァ [⸢ʔai⸣ʦabiːʦa] 副 点々と汚れがついている様子。 ⸣ヌンティ ⸢アイ⸣ツァビーツァ ⸢キン⸣バ ユ⸢グシ⸣ シケーワ [⸣nunti ⸢ʔai⸣ʦabiːʦa ⸢kim⸣ba ju⸢guʃi⸣ ʃi̥keːwa] (どうして点々と着物を汚してあるのか) 215 0 0 169 htmvoc_215.wav アイツァムニ ⸢アイ⸣ツァムニ [⸢ʔai⸣ʦamuni] 名 複数の言語が交じり合って、はっきり理解できない不完全な言葉。片言交じりの言葉。発音も不完全で、たどたどしい言葉。 ウ⸢ヌ プスヌ⸣ ムネー ⸢アイ⸣ツァムニ ⸣ナリティ シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢nu pu̥sunu⸣ muneː ⸢ʔai⸣ʦamuni ⸣nariti si̥⸢karanu] (彼<その人>の言葉は、不完全な片言交じりの言葉で分からない<理解できない>) 191 0 0 170 htmvoc_191.wav アイツォー アイ⸢ツォー [ʔai⸢ʦoː] 連 そうなんだよ。指示代名詞ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)の副詞的用法(副詞)⸣アイ[⸣ʔai](そう)に、強意の終助詞⸠ツォー[⸠ʦoː](~<だ>よ)が付いた形。 アイ⸢ツォー ワー⸣ アズ ⸢トゥー⸣ル⸢ツォー [ʔai⸢ʦoː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuː⸣ru⸢ʦoː] (そうなんだよ{EOS}君の言う通りなんだよ) 192 0 0 171 htmvoc_192.wav アイツォー ⸣アイツォー [⸣ʔaiʦoː] 連 そうなんだそうだ。その通りだそうだ。指示代名詞ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)の副詞的用法(副詞)⸣アイ[⸣ʔai](そう)に、伝聞の終助詞⸠ツォー[⸠ʦoː](~<だ>そうだ{EOS})が付いた形。 ⸣アイツォー ⸢ワー⸣ ドゥ⸢シヌ⸣ ア⸢ズタ トゥー⸣ルツォー [⸣ʔaiʦoː ⸢waː⸣ du⸢ʃinu⸣ ʔa⸢ʣuta tuː⸣ruʦoː] (そうなんだそうだ{EOS}君の友人の言った通りだそうだ) 193 0 0 172 htmvoc_193.wav アイツォーシェー アイ⸢ツォー⸣シェー [ʔai⸢ʦoː⸣ʃeː] 連 そうなんですってば。アイ⸢ツォー[ʔai⸢ʦoː](そうなんだよ)に、相手に同意し再確認・反省の意を表す終助詞⸣シェー[⸣ʃeː](~ってば)の付いた形。 アイ⸢ツォー⸣シェー ⸢マーズン カイブレー⸣バ ⸣ミサタ ⸣ムンヌ [ʔai⸢ʦoː⸣ʃeː ⸢maːʣuŋ kaibureː⸣baː ⸣misata ⸣munnu] (そうなんですってば、一緒に買っておれば良かったのに<買わなかったので損をした>) 217 0 0 173 htmvoc_217.wav アイッツァースン ⸢アイッツァー⸣スン [⸢ʔaiʦaː⸣suŋ] 自動 喧嘩いあう。 ⸢キョー⸣ダイザーンナリ ⸣ザイサンヌクトゥシ ⸢アイッツァー⸣シ ⸢ミーヌッ⸣サン [⸢kjoː⸣daiʣaːnnari ʣaisannu kutuʃi ⸢ʔaitʦaː⸣ʃi ⸢miːnus⸣saŋ] (兄弟どうし財産のことで喧嘩しあって見苦しい) 218 0 0 174 htmvoc_218.wav アイティー ⸢アイ⸣ティー [⸢ʔai⸣tiː] 名 相手。 ⸢ワー アイ⸣ティー ナル プ⸢ソー⸣ クナー ブ⸢ラーヌ [⸢waː ʔai⸣ti naru pu⸢soː⸣ kunaː bu⸢raːnu] (君の相手になる人は、ここにはいない)。 ⸢アイティ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢スー⸣ボー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaiti⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢suː⸣boː na⸢ra⸣nu] (相手がいないと競争<勝負>は出来ない) 155 0 0 175 htmvoc_155.wav アイナカ ⸢アイナ⸣カ [⸢ʔaina⸣ka] 名 あいだ。人と人の間。中間。時間的にも空間的にも用いる。 ⸢ウン⸣トゥ ⸢ウン⸣ヌ ⸢アイナ⸣カナー マ⸢ミ⸣バ イ⸢ビ⸣シケー [⸢ʔun⸣tu ⸢ʔun⸣nu ⸢ʔaina⸣kanaː ma⸢mi⸣ba ʔi⸢bi⸣ʃi̥keː] (芋と芋の間に豆を植えてある)。 ブ⸢ドゥルトゥ ブドゥルヌ アイナ⸣カナー ⸢キョン⸣ギン ⸢ピー⸣ーチェー イ⸢リリ [bu⸢durutu budurunu ʔaina⸣kanaː ⸢kjongim ⸢piː⸣ʧeː ʔi⸢riri] (踊りと踊りの間に狂言を一つ入れなさい)。 トゥ⸢ジブトゥヌ アイナ⸣カナー ッ⸢ふァー⸣ ギュ⸢タール⸣ ナシェーワ [tu⸢ʤibutunu ʔaina⸣kanaː f⸢faː⸣ gju⸢taːru⸣ naʃeːwa] (夫婦の間に子供は何人生んであるか)。 フ⸢タールヌ アイナ⸣カナ パ⸢サマ⸣リティ ⸢ウーカラン⸣シェン [ɸu̥⸢taːrunu ʔaina⸣kana pḁ⸢sama⸣riti ⸢ʔuːkaraŋ⸣ʃeŋ] (二人の間に挟まれて動けなかった) 220 0 0 176 htmvoc_220.wav アイナリカイナリ ⸣アイナリカイナリ [⸣ʔainarikainari] 副 そうこうして(然う斯うして)。「然う成り斯う成り」の義。 ⸣アイナリカイナリ ⸢シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ プ⸢スナミ⸣ ナリ ⸣ケー⸢ダー [⸣ʔainarikainari ⸢ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃi pu̥⸢sunami⸣ nari keː⸢daː] (然う斯うして<ああなり、斯うなりして>やっとのことで人並みになってきたのだよ) 78 0 1 177 htmvoc_78.wav アイニ ⸣アイニ [⸣ʔaini] 副 {Mn_1}そんなに。そのように。 ⸣アイニ ⸢スー⸣カー ヤー⸢ディン⸣ マ⸢チガイ⸣ス [⸣ʔaini ⸢suː⸣kaː jaː⸢dim⸣ ma⸢ʧigai⸣su] (そのようにしたら必ず間違える)。 78 0 2 178 htmvoc_78.wav アイニ ⸣アイニ [⸣ʔaini] 副 {Mn_2}あんなに。あのように。 ⸣アイニ ⸢マイ⸣ヤ ⸣フネー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢mai⸣ja ⸣ɸuneː ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (あのように大きな船は見たことがない)。あのように。 ウ⸢レー⸣ アイニ ⸢スー⸣カー イ⸢チンバー⸣キン トゥ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔaini ⸢suː⸣kaː ʔi⸢ʧimbaː⸣kin tu⸢rara⸣nu] (それは、そのようにするといつまでたっても取られない) 1401 0 0 179 htmvoc_1401.wav アイニカイニ ⸣アイニカイニ [⸣ʔainikaini] 名 ああもこうも。そうもこうも。ABCDBC型の重言。 ⸣アイニカイニ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジマーシ カシゥカー⸣シ ⸢サーパッ⸣タ [⸣ʔainikaini mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤimaːʃi kasïkaː⸣ʃi ⸢saːpat⸣ta] (そうもこうも言葉をいいまわして賺して連れて行った) 195 0 0 180 htmvoc_195.wav アイヌシェー ⸣アイヌシェー [⸣ʔainuʃeː] 感 そうだよ。なるほど、そうなんだよ。相手の判断に共鳴して相槌を打つ意。 ⸢アイ⸣ヌシェー ウ⸢レー ワー⸣ アズ ⸢トゥール⸣ユンシェー [⸢ʔai⸣nuʃeː ʔu⸢reː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuːru⸣juŋʃeː] (そうなのだよ{EOS}それは君が言う通りなんだよ) 856 0 0 181 htmvoc_856.wav アイヌシェー ⸢アイ⸣ヌシェー [⸢ʔainu⸣ʃeː] 感 なるほど、そうなんだ。相手の意見に賛同する際に発する言葉。 ⸣ユー ⸢カン⸣ガイ⸣ミルカー ⸢アイヌ⸣シェー [⸣juː ⸢kaŋ⸣gai ⸣mirukaː ⸢ʔai⸣nuʃeː] (よく考えてみるとそうなんだわい) 221 0 0 182 htmvoc_221.wav アイヌパナ ⸢アイ⸣ヌパナ [⸢ʔai⸣nupana] 名 打ち身。皮下出血して青黒くなっているもの。「藍の花」の義。 ⸢トー⸣リティ イ⸢シ⸣ナ ⸢パン⸣バ ⸣ウティシケータンドゥ ⸢アイ⸣ヌパナ ンジ⸢ベー⸣バン [⸢toː⸣riti ʔi⸢ʃi⸣naː ⸢pam⸣ba ⸣ʔutiʃikeːtandu ⸢ʔai⸣nupana ʔnʤi⸢beː⸣baŋ] (倒れて石に足を打ちつけてあったが、青黒い打ち身<藍の花>が出ているよ) 86 0 0 183 htmvoc_86.wav アイブ ⸣アイブ [⸣ʔaibu] 連体 あんな。あのような。単数を表す。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢カウナ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢kauna] (あんな物は買うな)。 ⸣アイブ ⸣ムヌ ⸢カーサリン⸠トゥー  [⸣ʔaibu ⸣munu ⸢kaːsarin⸠tuː] (そんな<あんな>もの売れるものか<売れるっと?>)。 ⸣アイブ サ⸢キヌミ⸣ プ⸢ス⸣バ ブ⸢トゥティ ソーラ⸣ ブ⸢トゥ⸣ ム⸢タン⸣モー マ⸢シ [⸣ʔaibu sḁ⸢kinumi⸣ pu̥⸢su⸣ba bu⸢tuti soːra⸣ bu⸢tu⸣ mu⸢tam⸣moː ma⸢ʃi] (あんな酒飲みを夫にするよりは結婚しない<夫を持たない>ほうが良い)。 ⸣アイブ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジアー⸣キ プ⸢スン⸣ バ⸢ラーリン⸣ダ [⸣ʔaibu mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤiʔaː⸣ki pu̥⸢sum⸣ ba⸢raːrin⸣da] (あのようなことを言いふらして<言葉を言い歩いて>人に笑われるぞ)。 ⸣アイブ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなことはない)。 ⸣アイブ ⸣クトー イッ⸢カ ナーン⸣シェン [⸣ʔaibu kutoː ʔik⸢ka naːŋ⸣ʃeŋ] (そのような事は決して<一向に>なかった) 224 0 0 184 htmvoc_224.wav アイブームヌ ⸣アイ ⸢ブー ムヌ [⸣ʔai ⸢buː munu] 連 あんなだもの。そのようにしているもの。そんなだもの。 ⸣アイ ⸢ブー ムヌ⸣ バーア⸢ズ⸣ ムニ ス⸢クン⸣カヤー [⸣ʔai ⸢buː munu⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muni su̥⸢kuŋ⸣kajaː] (そんなだもの、私の言うことなんか聞くかな) 158 0 0 185 htmvoc_158.wav アイプス ⸢アイ⸣プス [⸢ʔai⸣pu̥su] 名 喧嘩をする人。喧嘩売り。 サ⸢キヌ⸣ ザーナーテー ⸢アイプス⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルン [sḁ⸢kinu⸣ ʣaːnaːteː ⸢ʔaipusu⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (酒の座では喧嘩人が出る) 87 0 0 186 htmvoc_87.wav アイブツァ アイ⸢ブ⸣ツァ [ʔai⸢bu⸣ʦa] 連体 あんな。あのような。複数を表す。ア⸢ブ⸣ツァ[ʔa⸢bu⸣ʦa](あんな{EOS}あのような)ともいう。 アイ⸢ブ⸣ツァ ⸣ムヌバ ⸢カイティ ヌー⸣スワ [ʔai⸢bu⸣ʦa ⸣munuba ⸢kaiti nuː⸣suwa] (あんな物などを買ってどうするのか) 223 0 0 187 htmvoc_223.wav アイブムヌヌ ⸣アイブ ⸣ムヌヌ [⸣ʔaibu ⸣mununu] 連 あんな者<物>が。 ⸣アイブ ⸣ムヌヌ ⸣ヤク ⸣タトゥンカヤー [⸣ʔaibu ⸣mununu ⸣jaku ⸣tatuŋkajaː] (あんな者<物>が役に立つかなあ) 196 0 0 188 htmvoc_196.wav アイベーティ アイ⸢ベー⸣ティ [ʔai⸢beː⸣ti] 接 それで。それ故に。前件を受けて、それを理由とする後件<帰結>を述べる際に用いる。順態接続を表す。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ⸣ アイ⸢ベー⸣ティ ⸣ウヤン イ⸢ザリ アー⸣クンティ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu⸣ ʔai⸢beː⸣ti ⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣari ʔaː⸣kunti] (彼は一向に他人の言うこと<話>を聞かない{EOS}それで親に叱られている<叱られてあるく>さ) 238 0 0 189 htmvoc_238.wav アイマ ⸢アイ⸣マ [⸢ʔai⸣ma] 名 合間。連続した物事のとぎれた間。⸣マドゥ[⸣madu](間遠)ともいう。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢アイマアイ⸣マナール パ⸢タキシグ⸣トゥン ⸣ナル [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ʔaimaʔai⸣manaːru pḁ⸢takiʃigu⸣tuːn ⸣naru] (雨の合間合間にしか畑仕事はできない<合い間合間にこそ畑仕事も出来る>)。 シ⸢グトゥヌ アイ⸣マナー ⸢マーリ⸣キー ミリッ⸢ふィーリ [ʃi⸢gutunu ʔai⸣manaː ⸢maːri⸣kiː mirif⸢fiːri] (仕事の合間に回ってきて見てくれ) 197 0 0 190 htmvoc_197.wav アイマールン ⸢アイマー⸣ルン [⸢ʔaimaː⸣ruŋ] 他動 謝る。謝罪する。 ⸢ワー アイマー⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ⸢アイマー⸣ルン [⸢waː ʔaimaː⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔaimaː⸣ruŋ] (君が謝ったら私も謝る)。 ⸢アイマー⸣リ ⸣ミサカー ⸢アイマー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔaimaː⸣ri ⸣misakaː ⸢ʔaimaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (謝って良ければ謝ることはできる)。 ⸢ドーン⸣グ ヤ⸢ブ⸣リティ ⸢アイマー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ イ⸢ザリター アイマーラン⸣シェン [⸢doːŋ⸣gu ja⸢bu⸣riti ⸢ʔaimaː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ʔi⸢ʣaritaː ʔaimaːraŋ⸣ʃeŋ] (道具を壊して、謝ろうと思ったが、叱られたので謝らなかった)。 ⸣バーラ ⸢アイマー⸣リ ⸣ミサカー ⸢アイマー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣baːra ⸢ʔaimaː⸣ri ⸣misakaː ⸢ʔaimaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (私から謝ってよければ謝ることは出来る)。 ⸢アイマー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaimaː⸣reː ⸣misamunu] (謝ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アイマー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaimaː⸣ri] (早く謝れ) 198 1 0 191 htmvoc_198.wav アイマチ ⸢アイマ⸣チ [⸢ʔaima⸣ʧi] 名 {PoS_1}あやまち(過ち)。失敗。「誤錯、安夜末覩(あやまつ)」『華厳音義私記』の転訛したもの。 プ⸢ソー⸣ ター⸢ン アイマ⸣チ ⸢シース [pu̥⸢soː⸣ taː⸢ŋ ʔaima⸣ʧi ⸢ʃiːsu] (人は誰でも過ちを犯す<過ちをする>)。 198 2 0 192 htmvoc_198.wav アイマチ ⸢アイマ⸣チ [⸢ʔaima⸣ʧi] 感 {PoS_2}ごめん。 ⸢アイマ⸣チ⸢ナー アイマ⸣チ⸢ナー [⸢ʔaima⸣ʧi⸢naː ʔaima⸣ʧi⸢naː] (ごめんねえ、ごめんねえ)。 ⸢アイマ⸣チ ⸢ダー [⸢ʔaima⸣ʧi ⸢daː] (ごめんよ<あやまちだよ>)。本来は、⸢バー⸣ル ⸢ワッ⸣サ ⸢アイ⸣マチ⸢ナー ⸣ヌビ ッ⸢ふィーリ⸣ダー[⸢baː⸣ru ⸢was⸣sa ⸢ʔaima⸣ʧi⸢naː ⸣nubi f⸢fiːri⸣daː](私が悪い{EOS}ごめんよ{EOS}堪忍してくれよ)という 240 0 0 193 htmvoc_240.wav アイマチスン ⸢アイマ⸣チ ⸢スン [⸢ʔaima⸣ʧi ⸢suŋ] 連 謝る。「過ちする」の義。 ⸢パー⸣ク ⸢アイマ⸣チ ⸢シー⸣ クー [⸢paː⸣ku ⸢ʔaima⸣ʧi ⸢ʃiː⸣ kuː] (早く謝って<過ちして>こい) 199 0 0 194 htmvoc_199.wav アイマルン ⸢アイ⸣マルン [⸢ʔai⸣maruŋ] 他動 謝る。詫びる。謝罪する。老年層は⸣ワキ ⸢スン[⸣waki ⸢suŋ](謝る{EOS}詫びる)を多用する。 ⸢アイ⸣マルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー アイマラン⸣バン [⸢ʔai⸣maruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ku⸢nu⸣ f⸢faː ʔaimaram⸣baŋ] (謝るかと思ったが、この子は謝らないよ)。 ⸢アイ⸣マリ ⸣ミサカー ⸢アイ⸣マル⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔai⸣mari ⸣misakaː ⸢ʔai⸣maru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (謝って良ければ謝ることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢アイ⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔai⸣mareː ⸣misamunu] (早く謝れば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢アイ⸣マリバ [⸣duːʃi ⸢ʔai⸣mariba] (自分で謝れよ) 200 0 0 195 htmvoc_200.wav アイミー ⸣アイミー [⸣ʔaimiː] 連 そうだろう?そうだね。目下に対して確認する表現。⸣アイ ⸢ヤン⸣ミー[⸣ʔai ⸢jam⸣miː](そう・である・ね<確認のイ>?)の縮まった形。ク⸢レー ワー⸣ ムヌ。 ⸣アイミー [ku⸢reː waː⸣ munu ⸣ʔaimiː] (これは君のものだ{EOS}そうだろう?) 1415 0 0 196 htmvoc_1415.wav アイヤー ⸣アイヤー [⸣ʔaijaː] 副 そんなには。 ⸣アイヤー ⸢サンブリ⸣バ [⸣ʔaijaː ⸢samburi⸣ba] (そうはするなよ<そうはしないでおれよ>) 201 0 0 197 htmvoc_201.wav アイヤーアラヌ ⸣アイヤー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu] 連 そうではない。ク⸢ヌ ジーヤ⸣ カイル ⸣カクミー。⸢アーイ⸣ アイヤー ア⸢ラ⸣ヌ ⸣アイニ ⸣カクカー マ⸢チガイ⸣ス[ku⸢nu ʤiːja⸣ kairu ⸣kḁkumiː。⸢ʔaːi⸣ ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu ⸣ʔaini ⸣kḁkukaː ma⸢ʧigai⸣su](この文字は、このように<ぞ>書くんでしょう?いや<否>、そうではない{EOS}そのように書くと間違えるよ)。アー⸢イ⸣ アイヤー ア⸢ラ⸣ヌ。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢タラヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu ⸢waː⸣ muneː ʔa⸢taranu] (いや<否>、そうではない{EOS}君の言うこと<言葉>は間違っている<当たらない>) 202 0 0 198 htmvoc_202.wav アイヤーカー アイ⸢ヤー⸣カー [ʔai⸢jaː⸣kaː] 接 それなら。仮にそうであれば。それであるなら。前件の仮定条件的表現を受けて後件を述べる際に用いる。⸣アイ ヤ⸢ル⸣カー[⸣ʔai ja⸢ru⸣kaː](そうであるなら)の縮まった形。 アイ⸢ヤー⸣カー ⸣アイティ ア⸢ザン⸣カー ッ⸢サン⸠ダー [ʔai⸢jaː⸣kaː ⸣ʔaiti ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː s⸢san⸠daː] (それならそうと言わなければ分らないよ) 203 0 0 199 htmvoc_203.wav アイヤーティ アイ⸢ヤー⸣ティ [ʔai⸢jaː⸣ti] 接 それだから。それ故に。それで。⸣アイ ヤ⸢レー⸣ティ[⸣ʔai ja⸢reː⸣ti](そうであるから)の縮まった形。順態接続を表す。 アイ⸢ヤー⸣ティル キ⸢ノー⸣ヤ ⸢クーン⸣ ブ⸢レー⸣バン⸢ナー [ʔai⸢jaː⸣tiru ki⸢noː⸣ja ⸢kuːm⸣ bu⸢reː⸣ban⸢naː] (それだから<それで>昨日は来なかったんだね)。「それだから」の義。前件を受けて、それを原因・理由とする帰結を述べる接続表現。 ウ⸢レー⸣ ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティ ニ⸢ビベー⸣ツォー アイ⸢ヤー⸣ティル キ⸢ノー⸣ヤ キ⸢ララン⸣ ブ⸢レー⸣ル⸢ナー [ʔu⸢reː⸣ ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤiti ni⸢bibeː⸣ʦoː ʔai⸢jaː⸣tiru ki⸢noː⸣ja ki⸢raram⸣ bu⸢reː⸣ru⸢naː] (彼は熱が出て寝ているそうだ{EOS}それで昨日は来られなかったん<来られずにいたの>だねえ) 226 0 0 200 htmvoc_226.wav アイヤッタ ⸣アイ ⸢ヤッタ [⸣ʔai ⸢jatta] 連 そうだった。 ⸣アイ ⸢ヤッタル⸣シェー⸢ナー⸣ イ⸢クサ⸣ユーナー ムー⸢ル パイ⸣ター ヒ⸢ナン⸣ シ⸢ミラリティル⸣ マ⸢ラリ⸣ヤ カ⸢カ⸣レータルシェー [⸣ʔai ⸢jattaru⸣ʃeː⸢naː⸣ ʔi⸢kusa⸣juːna muː⸢ru pai⸣taː çi⸢naŋ⸣ ʃi⸢miraritiru⸣ ma⸢rari⸣ja kḁ⸢ka⸣reːtaruʃeː] (そうだったよねえ{EOS}戦争中に皆西表島へ強制避難させられて<ぞ>マラリアに罹ったものだよ) 229 0 0 201 htmvoc_229.wav アイヤラバン ⸣アイ ヤ⸢ラバン [⸣ʔai ja⸢rabaŋ] 連 (仮に)そうであっても。それでも。仮定的前提条件。⸣アイ ヤ⸢ルバン[⸣ʔai ja⸢rubaŋ](そうであっても{EOS}そうであるにしても<確定的前提条件>)ともいう。カ⸢ジヌ⸣ フキティル キ⸢ララン⸣シェンツォー。⸣アイ ヤ⸢ラバン⸣ キ⸢ム⸣ヌ ⸣アルカー キ⸢ラリ⸣シェール[ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kitiru ki⸢raraŋ⸣ʃenʦoː。⸣ʔai ja⸢rabaŋ⸣ ki⸢mu⸣nu ⸣ʔarukaː ki⸢rari⸣ʃeːru](風<台風>が吹いて<ぞ>来られなかったそうだ{EOS}それでも気持ち<肝・心・愛情>があれば来られた<来ることができた>ろうよ) 205 0 0 202 htmvoc_205.wav アイヤルカー ⸣アイ ヤ⸢ル⸣カー [⸣ʔai ja⸢ru⸣kaː] 連 それなら。そうであるなら。 ⸣アイ ヤ⸢ル⸣カー ⸣メー ⸣バー パ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔai ja⸢ru⸣kaː ⸣meː ⸣baː pa⸢ra⸣nu] (それなら、もう私は行かない) 227 0 0 203 htmvoc_227.wav アイヤルヌ ⸣アイ ⸢ヤルヌ [⸣ʔai ⸢jarunu] 連 そうだが。そうではあるが。 ク⸢トゥシェー イーシ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ ム⸢タン⸣ツォー ⸣アイ ⸢ヤルヌ カーサン⸣カー ⸢モーキララ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃeː ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ mu⸢tan⸣ʦoː ⸣ʔai ⸢jarunu kaːsaŋ⸣kaː ⸢moːkirara⸣nu] (今年はツノマタの値段は高値を持たないそうだ{EOS}そうだが、売らないと儲けることが出来ない) 206 0 0 204 htmvoc_206.wav アイヤルンダ ⸣アイ ヤ⸢ルンダ [⸣ʔai ja⸢runda] 連 それだから。それゆえに。だから。前に述べた事柄が、後に述べる事柄の原因・理由になることを表す。 ⸣アイ ヤ⸢ルンダル ワーヨー クー⸣ナティ ア⸢ズ⸣ダー [⸣ʔai ja⸢rundaru waːjoː kuː⸣nati ʔa⸢ʣu⸣daː] (それだから<それゆえに>君に来るなと言うんだよ) 228 0 0 205 htmvoc_228.wav アイヤレーティ ⸣アイ ヤ⸢レー⸣ティ [⸣ʔai ja⸢reː⸣ti] 連 そうであるから。それ故に。 ⸣アイ ヤ⸢レー⸣ティル ウ⸢レー クーン⸣ ブ⸢レー⸠ナー [⸣ʔai ja⸢reː⸣tiru ʔu⸢reː kuːm⸣ bu⸢reː⸠naː] (それ故に<そうであったのでぞ>彼は来なかったのだねえ) 1417 0 0 206 htmvoc_1417.wav アイヤンダ アイ⸢ヤンダ [ʔai⸢janda] 接 だから。そうだから。そういう訳だから。順態接続を表す。アイヤ⸢ルンダ[ʔaija⸢runda](そうであるから)の縮約形。 アイ⸢ヤンダル キュー⸣ヤ キ⸢ララン⸣ ブ⸢レー⸣ル [ʔai⸢jandaru kjuː⸣ja ki⸢raram⸣ bu⸢reː⸣ru] (だから<そういう訳だから>今日は来れなかった<来れずにいた>のだろう)。 アイ⸢ベー⸣ティ [ʔai⸢beː⸣ti] (それだから<そうしているから>) アイヤ⸢レー⸣ティ [ʔaija⸢reː⸣ti] (それで{EOS}それだから))。⸣アイ ヤ⸢リ⸣キー、⸣アイ ヤ⸢レー⸣キ[⸣ʔai ja⸢reː⸣ki](それだから、それで)参照 1441 0 0 207 htmvoc_1441.wav アイル ⸣アイル [ʔairu] 副 そのように。⸣アイニル[ʔainiru](そのようにぞ)の縮約形。 ⸢ワー⸣ ッ⸢ふァ⸣ ア⸢タルヌ⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸣アイニル ⸣ウヤニ ⸣ムネー イ⸢ズ [⸢waː⸣ f⸢fa⸣ ʔa⸢tarunu⸣ mu⸢nu⸣nu ⸣ʔainiru ⸣ʔuajani ⸣muneː ʔi⸢ʣu] (君はこどものくせに<子供程度の者が>、あのように<ぞ>親にものをいうのか) 230 0 0 208 htmvoc_230.wav アイルムヌ ⸣アイル ⸣ムヌ [⸣ʔairu ⸣munu] 連 そうであるのに。そうだのに。⸣アイ ヤ⸢ル⸣ ムヌ[⸣ʔai ja⸢ru⸣ munu](そうであるのに)の縮まった形。 ⸣アイル ⸣ムヌ ⸣ヌンティ ア⸢ザンワ [⸣ʔairu ⸣munu ⸣nunti ʔa⸢ʣaŋwa] (そうであるのに、何故言わないのか) 241 0 0 209 htmvoc_241.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 自動 木の実などが熟れて落ちる。あゆ(零ゆ)。「~置きて枯らしみ安由流<アユル>實は~。万、4111」の転訛したもの。 ⸢マンズイ⸣ヤ ⸢ウー⸣ムカー ⸢アイルン [⸢manʣui⸣ja ⸢ʔuː⸣mukaː ⸢ʔairuŋ] (パパイヤの実は熟れたら落ちる) 242 0 1 210 htmvoc_242.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 自動 {Mn_1}できものの膿がでる。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢アイル⸣カー ⸢ヤン⸣マー ピ⸢クン [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢airu⸣kaː ⸢jam⸣maː pi⸢kuŋ] (おできの膿が出たら痛みはひく)。 242 0 2 211 htmvoc_242.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 自動 {Mn_2}乳汁が流れ出る。「~置きて枯らしみ安由流<アユル>實波~。万、4111」の転訛したものか。 ⸢シー⸣ヌ ⸢アーン ベー⸣ティル ッ⸢ふァー ヨーガリ ブー [⸢ʃiː⸣nu ⸢ʔaːm beː⸣tiru f⸢faː joːgaribuː] (乳が出ないので<ぞ>子供は痩せているのだ)。 242 0 3 212 htmvoc_242.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 自動 {Mn_3}木の実が落ちる。 ⸢バンスル⸣ヌ ⸣ナロー ⸢ウー⸣ムカ ⸢アイルン [⸢bansuru⸣nu ⸣naroː ⸢ʔuːmu⸣kaː ⸢ʔairuŋ] (グアバ<蕃石榴>の実は熟れると落ちる) 243 0 0 213 htmvoc_243.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 他動 上げる。 ク⸢リ⸣ タ⸢ナヌ ウイ アイリ [ku⸢ri⸣ ta⸢nanu ʔui ʔairi] (これを棚の上に上げなさい)。 ⸣ドゥーシ ⸢アイルンティ スンドゥ アイララヌ [⸣duːʃi ⸢ʔairunti sundu ʔairaranu] (自分で上げようとするが、上げられない)。 ⸢ニーム⸣チ タ⸢ナ⸣ナ ⸢アイ⸣ ミサカー ⸢アイル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢niːmu⸣ʧi ta⸢na⸣na ⸢ʔai⸣ misakaː ⸢ʔairu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (荷物を棚に上げてよければ上げることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaijaː⸣ misamunu] (もっと上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アイリ [⸢paː⸣ku ⸢ʔairi] (早く上げろ) 208 0 0 214 htmvoc_208.wav アインドゥヤルカー ⸣アインドゥ ヤ⸢ル⸣カー [⸣ʔaindu ja⸢ru⸣kaː] 連 もしも<仮に>そうであるなら。 ⸢ワー⸣ アズニ ⸢フン⸣トー ⸣アインドゥ ヤ⸢ル⸣カー ⸣バー ⸢カーヌ [⸢waː⸣ ʔaʣuni ⸢ɸun⸣toː ⸣ʔaindu ja⸢ru⸣kaː ⸣baː ⸢kaːnu] (君が言うように、本当にそうであるならば私は買わない) 209 0 0 215 htmvoc_209.wav アウ ⸢アウ [⸢ʔau] 名 青い色。青(青{EOS}緑{EOS}紺)を含む色。 ⸢アウティン⸣ナー ⸣クモー ⸢ピッ⸣チン ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔautin⸣naː ⸣kumoː ⸢pit⸣ʧin ⸢naː⸣nu] (青空には雲は一つもない)。 ⸢ナーンパー⸣ヤ アウー⸢アウ⸣シ グ⸢ダランケー⸣リ サ⸢カリ ベー [⸢naːmpaː⸣ja ʔauː⸢ʔau⸣ʃi gu⸢daraŋkeː⸣ri sḁ⸢kari beː] (菜っ葉は青々と瑞々しく生い茂っている) 210 0 0 216 htmvoc_210.wav アウ ⸣アウ [⸣ʔau] 名 お供(御伴)。人に付き添うこと。 ⸢アウ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢タンガ⸣シェー ナ⸢クラー⸣ヌ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʔau⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢taŋga⸣ʃeː na⸢kuraː⸣nu pa⸢rara⸣nu] (お供<付き添い>がいないと、一人では怖くて行かれ<行け>ない)。 ヤ⸢マ⸣アウ [ja⸢ma⸣ʔau] (山仕事の仲間)。 イ⸢ソーアウ [ʔi⸢soːʔau] (潮干狩りに行く仲間)。 ⸢アウ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー ナ⸢クラー⸣ヌ ⸢タンガ⸣シェー イ⸢ソー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʔau⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː na⸢kuraː⸣nu ⸢taŋga⸣ʃeː ʔi⸢soː⸣pa⸢rara⸣nu] (仲間がいないと怖くて一人では潮干狩りに行けない) 253 0 0 217 htmvoc_253.wav アウアウシ ⸢アウアウ⸣シ [⸢ʔauau⸣ʃi] 副 青々と。強調すると、アウ⸢アウ⸣シ[ʔau⸢ʔau⸣ʃi](非常に青々と)のようにアクセントが変わる。 ⸢ウンヌパー⸣ヤ アウ⸢アウ⸣シ グ⸢ダランケー⸣リ ムイ⸢ベー [⸢ʔunnupaː⸣ja ʔau⸢au⸣ʃi gu⸢daraŋkeː⸣ri mui⸢beː] (芋かずらの葉は青々とみずみずしく生い茂っている) 250 0 0 218 htmvoc_250.wav アウイラブチ ⸢アウイラブチ [⸢ʔauirabuʧi] 名  (動)魚の名。和名、ハゲブダイ。オオモンハゲブダイ。の総称。ブダイ科の仲間。体長25~30センチの成魚がよく漁獲される。刺身や煮付けにしても美味で、蒲鉾の原料として重宝される。 ⸣アン ウ⸢ラ⸣スカー ⸢アウイラブチン⸣ ユー ガ⸢ラサリ⸣タン [⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣sukaː ⸢ʔauirabuʧiŋ⸣ juː ga⸢rasari⸣taŋ] (網を仕掛ける<下ろす>とハゲブダイもよく漁獲された) 251 0 0 219 htmvoc_251.wav アウイル ⸢アウイル [⸢ʔauiru] 名 青色。緑色、紺色などを含む。 ク⸢ヌ キン⸣マー ⸢アウイル⸣シ ス⸢ミリ [ku⸢nu kim⸣maː ⸢ʔauiru⸣ʃi su⸢miri] (この着物は青色で染めなさい) 254 0 0 220 htmvoc_254.wav アウカリ ⸢アウカリ [⸢ʔaukari] 名 青田刈り。⸢青刈り」の転訛。作物が十分に熟しないうちに刈り取ること。 ⸢マイヌ ウーミキサン⸣ケン ⸢アウカリ シェー⸣ティル ム⸢ミ⸣ナー ⸢アウシジヌ⸣ マ⸢ザー⸣リ ⸢ブー⸣パジ [⸢mainu ʔuːmiki̥saŋ⸣keŋ ⸢ʔaukari ʃeː⸣tiru mu⸢mi⸣naː ⸢ʔauʃiʤinu⸣ ma⸢ʣaː⸣ri ⸢buː⸣paʤi] (稲が完熟しないうちに青田刈りしたので、籾に青粒が混ざっているのだろうよ) 257 0 0 221 htmvoc_257.wav アウガン ⸢アウガン [⸢ʔaugaŋ] 名 顔色の青いこと。青ざめたもの。顔面蒼白のもの。 ヤ⸢ミ⸣ル シ⸢タ⸣ユー ⸢アウガン⸣ ナリ ⸢ガンドー⸣レーティ ⸢アー⸣ク [ja⸢mi⸣ru ʃi̥⸢ta⸣juː ⸢ʔaugan⸣nari ⸢gandoː⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (病気なのか顔面蒼白になって、うなだれている) 258 0 0 222 htmvoc_258.wav アウクー ⸢アウクー [⸢ʔaukuː] 名 食用の青色の染料。「青粉(あおこ)」の義。戦前は蓬(よもぎ)の葉を搗いて青汁を作り、餅粉に捏ね混ぜて緑色の青餅を作った。 ⸢アウクーヤ ナーン⸣バ フ⸢チン⸣パーシ ⸢アウムチ⸣ スクラ [⸢ʔaukuːja naːm⸣ba ɸu̥⸢ʧim⸣paːʃi ⸢ʔaumuʧi⸣ su̥⸢ku⸣ra] (青粉がないから蓬の葉で青餅を作ろうよ) 259 0 0 223 htmvoc_259.wav アウコージ ⸢アウコージ [⸢ʔaukoːdʒi] 名 米、麦、豆などを蒸して蓆などにねかせ、それに麹菌を繁殖させたもの。味噌や醤油、地酒を造る原料とした。 ⸢アウコージ⸣ タティティ ⸢ミー⸣ス スクルン [⸢ʔaukoːdʒi⸣ tḁtiti ⸢miː⸣su su̥⸢ku⸣ruŋ] (青麹をたてて味噌を作る) 260 0 0 224 htmvoc_260.wav アウサビ ア⸢ウサビ [⸢ʔausabi] 名 ろくしょう(緑青)。青い錆。銅の表面に生じる緑色のさび(錆)で有毒と言われていた。 ア⸢カガニヌ⸣ サ⸢ベー アウイル ヤッタ [ʔa⸢kaganinu⸣ sa⸢beː ʔauiru jatta] (銅<赤がね>の錆は青色だった) 261 0 0 225 htmvoc_261.wav アウザムン ⸢アウザムン [⸢ʔauʣamuŋ] 自動 青ばむ。青みを帯びる。 ⸣ドゥク ウ⸢ダラ⸣クカー ⸣シラー ⸢アウザムン [⸣duku ʔu⸢dara⸣kukaː ⸣ʃiraː ⸢ʔauʣamuŋ] (ひどく驚くと顔色は青ばむ)。 ⸢ヨーガリティ⸣ シラン ⸢アウザミ ベー [⸢joːgariti⸣ ʃiraŋ ⸢ʔauʣami beː] (痩せ細って顔色も青ばんでいる)。 ⸣イルヌギティ ⸢アウザム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔirunugiti ⸢ʔauʣamu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (顔面蒼白になって<顔色が抜けて>青ばむことはない) 263 0 0 226 htmvoc_263.wav アウシース ⸢アウシース [⸢ʔauʃiːsu] 名 (植)青紫蘇。 ⸢アウシースーヤ⸣ キ⸢ザミティ⸣ ナ⸢マ⸣シナ カ⸢ケー⸣シティ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢マー⸣ン [⸢ʔauʃiːsuːja⸣ ki⸢ʣamiti⸣ na⸢ma⸣ʃina ka⸢keː⸣ʃi̥ti f⸢fuː⸣kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (青紫蘇は刻んで刺身に混ぜて食べると美味しい) 264 0 0 227 htmvoc_264.wav アウシジ ⸢アウシジ [⸢ʔauʃiʤi] 名 静脈が膨らみ、浮き出たもの。青筋。⸢アウシル[⸢ʔauʃiru](静脈)ともいう。 ⸢パン⸣ヌ ⸢アウシジヌ⸣ フ⸢クリ⸣ ンジティ ナ⸢クラーン⸠ダー [⸢pan⸣nu ⸢ʔauʃiʤinu⸣ ɸu̥⸢kuri⸣ ʔuʤiti na⸢kuraːn⸠daː] (足の静脈が膨らんで浮き出て恐いよ) 265 0 0 228 htmvoc_265.wav アウシタダリ ⸢アウシタダリ [⸢ʔauʃitadari] 副 瑞々しくたわわに。たわわな、滴るような瑞々しい緑色。 フ⸢ナ⸣ボー ⸢アウシタダリ スン⸣ケン ⸣ナリ ッ⸢サー⸣リ⸢ベー [ɸu⸢na⸣boː ⸢ʔauʃitadari suŋ⸣ken ⸣nari s⸢saː⸣ri⸢beː] (蜜柑<九年母>は滴るような瑞々しい緑色をなして、たわわに実っている)。 ⸢ゴーヤー⸣ヤ ⸢アウシタダリ スン⸣ケン ⸣ナリ ッ⸢サー⸣リティ ⸣アイニ ン⸢マーン⸣ギサワレー [⸢goːjaː⸣ja ⸢ʔauʃitadari suŋ⸣ken ⸣nari s⸢saː⸣riti ⸣ʔaini ʔm⸢maːŋ⸣gisawareː] (ゴーヤー<苦瓜>は滴るような瑞々しい緑色をして、なんと<そんなに>美味しそうなことよ) 266 0 0 229 htmvoc_266.wav アウシタダル ⸢アウシタ⸣ダル [⸢ʔauʃita⸣daru] 副 生臭さを衣類や肌に染み込ませているさま。じめじめして汗臭く、鮮魚の生臭さが染み付いたさま。「青滴り」の転訛したものか。カツオ節製造工場の職人たちが持つ臭気。 コー⸢ネー⸣ アイニ ⸢アウシタ⸣ダル ⸢シェー⸣ティ ⸢アーカン⸣ドーシ ⸢キン⸣マー ア⸢ライ⸣ キ⸢シ⸣バ [koː⸢neː⸣ ʔaini ⸢ʔauʃi̥ta⸣daru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːkan⸣doːʃi ⸢kim⸣maː ʔa⸢rai⸣ ki̥⸢ʃi⸣ba] (坊ちゃん、あんなに薄汚れした、じめじめした格好をしていないで、着物は洗濯して着なさいよ) 352 0 0 230 htmvoc_352.wav アウジル ⸢アウジル [⸢ʔauʤiru] 名 静脈。血管。青筋。「青弦」の義。 パ⸢ダ⸣ヌ ッ⸢ソー ベー⸣ティ ⸢アウジロー⸣ ミ⸢ラリ⸣ブー [pa⸢da⸣nu s⸢soː beː⸣ti ⸢ʔaudʒiroː⸣ mi⸢rari⸣buː] (肌が白いので静脈が見えている) 270 0 0 231 htmvoc_270.wav アウタ ⸢アウ⸣タ [⸢ʔau⸣ta] 名 (動)カエル(蛙)。濃緑の体色をもつ小型の蛙もいるが名称は不明。⸢アウタ⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ア⸢ミ⸣ヌ フーン[⸢ʔauta⸣nu na⸢ku⸣kaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ](蛙が鳴いたら雨が降る)蛙を食べる習慣はなかったが、煎じ薬として食することはあった 268 0 0 232 htmvoc_268.wav アウダ ⸢アウ⸣ダ [⸢ʔau⸣da] 名 もっこ(畚)。藁縄を網状に編んで、その四隅に吊り紐をつけ、芋や大根、南瓜などの農産物 または肥料や土などを運搬するのに用いる農具。「あうだ(箯輿)」、「Auoda.アヲダ(箍).担架に似た一種の簡易寝台で~」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。⸢アイ⸣ク[⸢ʔai⸣ku](おふご{EOS}「朸、和名阿布古<あふこ>、杖名也」『和名抄』の転訛)の前方と後方に吊るして農産物を運ぶ農具。前後一対の畚に入れた荷を、プ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](一荷)という。一方だけでは、カ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手)といい、前方の荷が重いことを、⸢マイ⸣ニー[⸢mai⸣niː](前荷)という。 ⸢ウン⸣マー ⸢アウ⸣ダナ イ⸢リティル⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸢クー⸣タ [⸢ʔum⸣maː ⸢ʔau⸣dana ʔi⸢ritiru⸣ ka⸢ta⸣mi ⸢kuː⸣ta] (芋は、もっこに入れて担いで来た)。 シ⸢キゴイ アウ⸣ダナ イ⸢リティ⸣ カ⸢タ⸣ミ [ʃi̥⸢kigoi ʔau⸣danaː ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢ta⸣mi] (堆肥をもっこに入れて担げ) 269 0 0 233 htmvoc_269.wav アウター ⸢アウター [⸢ʔautaː] 名 青田。稲が青々と生い茂っている田圃。 ⸢アウター⸣ナ ⸢ペー⸣リ ⸢トーサ⸣ トゥルンティ ⸢ベー [⸢ʔautaː⸣na ⸢peː⸣ri ⸢toːsa⸣ turunti ⸢beː] (稲の生い茂った青田に入って田草を取ろう<除草しよう>といている) 271 0 0 234 htmvoc_271.wav アウダキ ⸢アウダキ [⸢ʔaudaki] 名 青竹。ナ⸢マ⸣タキ[na⸢ma⸣taki](生竹)ともいう。 ⸢アウダキバ⸣ バ⸢リティ⸣ バター ⸣サキティトゥリ カー⸢カーニ⸣シ ⸢バー⸣ケー ス⸢クル⸣タ [⸢ʔaudakiba⸣ ba⸢riti⸣ bataː ⸣sḁkituri kaː⸢kaːni⸣ʃi ⸢baː⸣keː su̥⸢kuru⸣ta] (青竹を割って内皮を裂き除き、表皮だけで竹笊は作った) 272 0 0 235 htmvoc_272.wav アウタヌッふァ ⸢アウタ⸣ヌ ッ⸢ふァ [⸢ʔauta⸣nu f⸢fa] 連 (動)オタマジャクシ。「蛙の子」の義。 ⸢ター⸣ナー ⸢アウタ⸣ヌ ッ⸢ふァヌ⸣ キ⸢モーッ⸣サ ウイ⸢ベー⸣ン [⸢taː⸣naː ⸢ʔauta⸣nu f⸢fanu⸣ ki⸢moːs⸣sa ʔui⸢beː⸣ŋ] (田圃にはオタマジャクシガ気持ちよさそうに泳いでいる) 273 0 0 236 htmvoc_273.wav アウタムヌ ⸢アウタムヌ [⸢ʔautamunu] 名 青い薪。生木の薪。生木を約30センチの長さに切って斧で割った薪。「青炊き物」の転訛したものか。サ⸢リタムヌ[sa⸢ritamunu](枯れた薪{EOS}枯れ木を割って薪としたもの)の対義語。ナ⸢マタム⸣ヌ[na⸢matamu⸣nu](生木の薪)ともいう。 ⸢アウタムノー⸣ タ⸢ム⸣ヌダナヌ ⸢ウイ⸣ナ ⸢ヌーシティ カン⸣ソー シ⸢ミリ⸣バ [⸢ʔautamunoː⸣ ta⸢mu⸣nudananu ⸢ʔui⸣na ⸢nuːʃi̥ti kan⸣soː ʃi⸢miri⸣ba] (生木の薪は薪棚の上に乗せて乾燥させなさい) 274 0 0 237 htmvoc_274.wav アウダン ⸢アウダン [⸢ʔaudaŋ] 名 おうだん(黄疸)。皮膚や粘膜その他の組織が黄色になる症状。 ⸣ドゥーパダ ムー⸢ル アウダン⸣ ナリ ⸢ベー⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ⸢ヤン⸣マイカヤー [⸣duːpada muː⸢ru ʔaudan⸣ nari ⸢beː⸣nu ⸢nuː⸣nu ⸢jam⸣maikajaː] (体全体黄疸になっているが、何の病気かね) 292 0 0 238 htmvoc_292.wav アウッサーン ⸢アウッサー⸣ン [⸢ʔaussaː⸣ŋ] 形 生臭い。「青臭い」の義。魚や豚などの肉の生臭さなどについていう。 カ⸢ツ⸣ バ⸢ザイティ⸣ キンナー ナ⸢マ⸣カザ ス⸢マリティ アウッサー⸣ヌ キ⸢サラヌ [ka⸢ʦu⸣ ba⸢ʣaiti⸣ kinnaː na⸢ma⸣kaʣa su⸢mariti ʔaussaː⸣nu ki⸢saranu] (鰹を捌いて着物に生臭さがしみ込んで<染まって>生臭くて着れない) 293 0 0 239 htmvoc_293.wav アウッサリカザ ⸢アウッサリ⸣カザ [⸢ʔaussari⸣kaʣa] 名 生臭い匂い。 ⸢シーゾー⸣ヤー ⸢ペー⸣ルカー カ⸢ツヌ アウッサリカザ⸣ヌ シ⸢タン⸠ダー [⸢ʃiːʣoː⸣jaː ⸢peː⸣rukaː kḁ⸢ʦunu ʔaussarikaʣa⸣nu ʃi̥⸢tan⸠daː] (鰹節製造工場に入るとカツオの生臭い匂いがしたものだよ)。 ナ⸢マイズ⸣ヌ ⸢アウッサリ⸣カザー ウ⸢ティラン⸣バン⸢ナー [na⸢maizu⸣nu ⸢ʔaussari⸣kaʣaː ʔu⸢tiram⸣ban⸢naː] (魚の生臭さは 消えないねえ<落ちないねえ>) 256 0 0 240 htmvoc_256.wav アウッサリムヌ ⸢アウッサリ⸣ムヌ [⸢ʔaussari⸣munu] 名 生臭いもの。魚などの生臭いもの。 トゥ⸢カ⸣ザーイゾー ⸣メー イ⸢チバン⸣ヌ ⸢アウッサリ⸣ムヌ [tu̥⸢ka⸣ʣaːʔiʣoː ⸣meː ʔi⸢ʧiban⸣nu ⸢ʔaussari⸣munu] (カンランハギは、もう、一番の生臭いもの<魚>だ) 275 0 0 241 htmvoc_275.wav アウティンゾー ⸢アウティンゾー [⸢ʔautinʣoː] 名 青空のみえる天井。「青天井」の転訛したもの。 ⸢タイ⸣フーナ ⸢カー⸣ラ トゥ⸢バサリティ アウティンゾー⸣ ナ⸢リ⸣ブー [⸢tai⸣ɸuːna ⸢kaː⸣ra tu⸢basariti ʔautinʣoː⸣ na⸢ri⸣buː] (台風で屋根瓦が飛ばされて青い空が見える天井<青天井>になっている)。 ⸢アウティン [⸢ʔautiŋ] (青空) 276 0 0 242 htmvoc_276.wav アウトゥー ⸢アウトゥー [⸢ʔautuː] 名 青い海。青海原。深海。外海。「青、緑、紺」を含む色合いの深海。 カ⸢ツシンマー アウトゥー⸣ フ⸢カ⸣トーラル カ⸢ツォー ⸢ホー⸣シクー [kḁ⸢ʦuʃimmaː ʔautuː⸣ ɸu̥⸢ka⸣toːraru kḁ⸢ʦoː hoː⸣ʃikuː] (鰹船は外海から<ぞ>鰹を釣ってくる) 278 0 0 243 htmvoc_278.wav アウナキ ⸢アウナキ [⸢ʔaunaki] 名 猫が薄気味悪い声で鳴くこと。何か悪いことの起こる予兆として嫌われた。 マ⸢ヤ⸣ヌ ⸢アウナキ シーベー⸣ヌ ⸣ヌーッカヤー [ma⸢ja⸣nu ⸢ʔaunaki ʃiːbeː⸣nu ⸣nuːkkajaː] (猫が気味悪い鳴き方をしているが、何だろうか) 277 0 0 244 htmvoc_277.wav アウナジ ⸢アウナ⸣ジ [⸢ʔauna⸣ʤi] 名 (動)サキシマアオヘビ。「青く長いもの」の義。青色をした体長約60センチの無毒の蛇。 ⸢アウナ⸣ジェー ⸢マーパブン⸣ カタチニ⸣ ドゥコー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔauna⸣ʤeː ⸢maːpabuŋ⸣kḁtaʧini ⸣dukoː ⸢naː⸣nu] (アウナジは毒蛇のように毒を持っていない{EOS}<毒はない>) 280 0 0 245 htmvoc_280.wav アウナスン ⸢アウナスン [⸢ʔaunasuŋ] 他動 容器を空にする。一つの容器から他の容器へ内容物を全部移してしまう。あける。 ⸣ティル ⸢アウナスンティ スンドゥ アウナサラヌ [⸣tiru ⸢ʔaunasunti sundu ʔaunasaranu] (笊を空にしようとするが、空に出来ない)。 ク⸢ヌ⸣ ティロー ⸢アウナシティ ウン⸣ナー ビ⸢チ⸣ヌ ウン ⸣フナイバ [ku⸢nu⸣ tiroː ⸢ʔaunaʃiti ʔun⸣naː bi⸢ʧi⸣nu ʔuŋ ⸣ɸunaiba] (この笊は空にして、それに別の芋を押し込んで入れなさい)。 ⸢アウナス⸣ ティロー ⸢パー⸣ク ⸢アウナシ⸣バ [⸢ʔaunasu⸣ tiroː ⸢paː⸣ku ⸢ʔaunaʃi⸣ba] (空にする笊は早く空にしなさいよ)。 ⸢アウナシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaunaʃeː⸣ misamunu] (容器を空にすれば良いのに)。 ミ⸢ジェー⸣ カミナー イ⸢リティ タン⸣グ ⸢アウナスンティ スンドゥ アウナサラヌ [mi⸢ʤeː⸣ kaminaː ʔi⸢riti taŋ⸣gu ⸢ʔaunasunti sundu ʔaunasaranu] (水は甕に入れて、たご<担桶>を空にしようとするが、担桶を空にでき<され>ない)。 ク⸢ヌ ウー⸣ケー ⸢アウナシ⸣ ミサカー ⸢アウナス⸣ クトー ⸣ナルン [ku⸢nu ʔuː⸣keː ⸢ʔaunaʃi⸣ misakaː ⸢ʔaunasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (この桶は空にしてよければ空にすることはできる)。 ⸢アウナシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaunaʃeː⸣ misamunu] (空にすればいいのに)。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢コー パー⸣ク ⸢アウナシ [ku⸢nu⸣ pḁ⸢koː paː⸣ku ⸢ʔaunaʃi] (この箱は早く空にしなさい) 279 0 0 246 htmvoc_279.wav アウナル ⸢アウナル [⸢ʔaunaru] 名 青い実。青い果実。未熟な実(果実)。 ⸢バンスル⸣ヌ ⸢アウナロー⸣ フ⸢チスボー⸣ン [⸢bansuru⸣nu ⸢ʔaunaroː⸣ ɸu̥⸢ʧisuboː⸣ŋ] (ばんじろう<蕃石榴・グアバ>の青い実<未熟な実>は渋い) 281 0 1 247 htmvoc_281.wav アウヌール ⸢アウヌール [⸢ʔaunuːru] 名 (植){Mn_1}アオノリ(青海苔)。アオゴケ(青苔)。 ミ⸢ナ⸣カー ⸢アウヌールバ⸣ フイ ア⸢ラカラ⸣ヌ [mi⸢na⸣kaː ⸢ʔaunuːruba⸣ ɸui ʔa⸢rakara⸣nu] (庭は青苔が生えて歩けない)。 281 0 2 248 htmvoc_281.wav アウヌール ⸢アウヌール [⸢ʔaunuːru] 名 {Mn_2}雨雲。 ⸢ティンマー⸣ ッふォーッ⸢ふォー⸣シ ⸢アウヌールヌ ⸣ カ⸢カ⸣リティ ⸢ウーアミヌ フイン⸣ギサーッサー [⸢timmaː⸣ ffoːf⸢foː⸣ʃi ⸢ʔaunuːrunu kḁ⸢ka⸣riti ⸢ʔuːʔaminu ɸuiŋ⸣gisaːssaː] (空は真っ黒に<黒々>雨雲がかかって大雨が降りそうだよ) 282 0 0 249 htmvoc_282.wav アウヌン ⸢アウヌン [⸢ʔaunuŋ] 自動 容器が空になる。手がすく(空く)。他の容器へ内容物が全部移されてしまう。 ミ⸢ジカメー アウネーン⸣カヤー [mi⸢ʤikameː ʔauneːŋ⸣kajaː] (水甕は空になったかなあ)。 ク⸢ヌ⸣ カメー マ⸢ダ アウナヌ [ku⸢nu⸣ kameː ma⸢da ʔaunanu] (この甕はまだ空にならない)。 プ⸢スッ⸣コー ⸢アウヌン⸣ パジ [pu̥⸢suk⸣koː ⸢ʔaunum⸣ paʤi] (水瓶一個は空くはずだ)。 プ⸢スッ⸣コー ⸢アウニナー⸣ヌ [pu⸢suk⸣koː ⸢ʔauninaː⸣nu] (一個は空になってしまった)。 ⸢ワー ティー⸣ヌ ⸢アウネー⸣カー ⸣バー ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣ヨー [⸢waː tiː⸣nu ⸢ʔauneː⸣kaː ⸣baː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣joː] (君は、手が空いたのなら私の手伝いをしろよ)。 ⸢ティー⸣ヤ ⸢アウネー⸣ ミサムヌ [⸢tiː⸣ja ⸢ʔauneː⸣ misamunu] (手が空けば良いのに) 295 0 1 250 htmvoc_295.wav アウヌン ⸢アウヌン [⸢ʔaunuŋ] 自動 {Mn_1}手が空く。暇になる。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢チナ⸣スカー ⸢ティー⸣ヤ ⸢アウヌンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢アウナヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢ʧina⸣sukaː ⸢tiː⸣ja ⸢ʔaunundu⸣ ma⸢na⸣maː ʔa⸢unanu] (この仕事を終えると手は空くが、今は手が空かない)。 ⸢ティー⸣ヤ ⸢アウニ ブー [⸢tiː⸣ja ⸢ʔauni buː] (手は空いている)。 ⸢ティー⸣ヌ ⸢アウヌ⸣ プ⸢ソー テー⸣ナイ ⸢シー⸣バ [⸢tiː⸣nu ⸢ʔaunu⸣ pu̥⸢soː teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ba] (手の空く人は手伝いしなさいよ)。 295 0 2 251 htmvoc_295.wav アウヌン ⸢アウヌン [⸢ʔaunuŋ] 自動 {Mn_2}懐妊していない(⸢腹が空の状態である」の比喩的表現)。 ⸣バター ⸢アウニ ブー [⸣bataː ⸢ʔauni buː] (お腹は空いている<妊娠していない>) 262 0 0 252 htmvoc_262.wav アウパー ⸢アウパー [⸢ʔaupaː] 名 青い葉。青葉。 ヤ⸢サイ⸣ヌ サ⸢リパーヤ⸣ シ⸢ティティ アウパータン⸣ガ ⸣トゥリクーバ [ja⸢sai⸣nu sa⸢ripaːja⸣ ʃi̥⸢titi ʔaupaː taŋ⸣gaː ⸣turikuːba] (野菜の枯れ葉は捨てて、青葉だけ持って来いよ) 283 0 0 253 htmvoc_283.wav アウパーオンギ ⸢アウパーオンギ [⸢ʔaupaːongi] 名 「青葉扇」の義。ビロウ(蒲葵)の生の葉で作った団扇。死人が出たときにのみ作って用いた。死人が出るとすぐビロウの葉を切って小さな団扇を作り、蝿や蚊を追い払ったり弔問客の用に供した。それ以外では、ビロウの葉を切るのは朝(午前中)と決まっていた。 ⸢アウパーオンギヌ⸣ フカー ク⸢バヌパーヤ⸣ ヤー⸢ディン⸣ シ⸢トゥムティ⸣ヌ ウ⸢チナー⸣ル キ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʔaupaːonginu⸣ ɸu̥kaː ku⸢banupaːja⸣ jaː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢tumuti⸣nu ʔu⸢ʧinaː⸣ru ki̥⸢soːt⸣ta] (青葉団扇の他は、クバの葉は必ず朝の内に切られた) 284 0 0 254 htmvoc_284.wav アウバイ ⸢アウバイ [⸢ʔaubai] 名 (動)「青蝿」の義。糞便や腐敗物に発生する大型の蝿。青黒い体色で、腹部に金色の光沢を有する。 イ⸢ズヌ⸣ ッサルター ⸢アウバイヌ⸣ シディティ ン⸢カーラヌ [ʔi⸢ʣunu⸣ ssarutaː ⸢ʔaubainu⸣ʃiditi ʔŋ⸢kaːranu] (魚が腐れたので、青蝿が孵化して見ることが出来ない<面と向かって正視できない>)。 ⸣ッサリイズナー ⸢アウバイヌ⸣ ダ⸢カーリ ベー [⸣ssariʔiʣunaː ⸢ʔaubainu⸣ da⸢kaːri beː] (腐れた魚に青蝿がたかっている) 285 0 0 255 htmvoc_285.wav アウバサ ⸢アウバサ [⸢ʔaubasa] 名 (植)「青芭蕉」の義。台湾原産芭蕉の一種で、樹高の高い品種。タ⸢カバ⸣サー[ta⸢kaba⸣saː](高芭蕉)ともいう。芭蕉布の繊維をとるのに用いる芭蕉。 ⸢アウバサー トー⸣シキー ⸣カーパギ ⸢ネーシティル⸣ イトゥ トゥ⸢ル⸣タ [⸢ʔaubasaː toː⸣ʃikiː ⸣kaːpagi ⸢neːʃitiru⸣ ʔitu tu⸢ru⸣ta] (青芭蕉は切り倒してきて皮を剥いで煮てから<ぞ>糸を取った) 286 0 0 256 htmvoc_286.wav アウバトゥ ⸢アウバトゥ [⸢ʔaubatu] 名 (動)アオバト(青鳩)。体は緑色。体長は家鳩と同じ大きさ。体は緑色を帯びている。家鳩に比して数は少なく限られた数しか飛来しなかった。 ⸢アウバトー ブー⸣クトー ブ⸢レーシタヌ ナン⸣ゾー ブ⸢ラーンシェン [⸢ʔaubatoː buː⸣ku̥toː bu⸢reːʃi̥tanu nan⸣ʣoː bu⸢raːŋʃeŋ] (青鳩は、いることはいたが、あまりいなかった) 287 0 0 257 htmvoc_287.wav アウパナダル ⸢アウパナダル [⸢ʔaupanadaru] 名 青洟(あおばな)。子供が垂らす青みを帯びた鼻汁。 ム⸢カ⸣シェー ⸢アウパナダル⸣ ッ⸢サーラ⸣ス ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラタヌ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔaupanadaru⸣ s⸢saːra⸣su ja⸢rabi⸣nu ⸢goː⸣ratanu ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣baŋ] (昔は青洟を垂らす子供が多かったが今は見られないよ) 288 0 0 258 htmvoc_288.wav アウパナリ ⸣アウパナリ [⸣ʔaupanari] 名 (地)西表島の東北、野原崎浜に近い海中にある大きな岩。「奥武離れ島」の転訛したもの。 ⸣アウパナリティ ア⸢ズン⸣トンマー ⸢ギー⸣ ミラン⸣シェン [⸣ʔaupanariti ʔa⸢ʣun⸣tommaː ⸢giː⸣ mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (アウ<奥武>離れ島という所には行ったことがない<行ってみなかった>) 211 0 0 259 htmvoc_211.wav アウパン ⸢アウパン [⸢ʔaupaŋ] 名 青斑(蒙古斑)。赤子の尻に青色の斑紋がついているものをいう。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ナ ⸢アウパンバ⸣ シ⸢キラ⸣リ マ⸢リ⸣キー ⸢ベー [ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢bi⸣na ⸢ʔaupamba⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ma⸢ri⸣kiː ⸢beː] (子供の尻に青斑をつけられて生まれてきている) 1230 0 0 260 htmvoc_1230.wav アウパン ア⸢ウパン [⸢ʔaupaŋ] 名 蒙古斑。子供の尻の青いこと。 ヤ⸢ラ⸣ベー マ⸢リ⸣クー ⸣ピンマー ムー⸢ル⸣ シ⸢ビ⸣ナー ⸢アウパン⸣ シ⸢キラリ⸣ブー [ja⸢ra⸣beː ma⸢ri⸣kuː pimmaː muː⸢ru⸣ ʃi⸢bi⸣naː ⸢ʔaupaŋ⸣ ʃi̥⸢kirari⸣buː] (子供は生まれてくる時には、みんな尻に蒙古斑<青斑>がついている<つけられている>) 289 0 0 261 htmvoc_289.wav アウピー ⸢アウピー [⸢ʔaupiː] 名 青い火。鬼火。「青火」の義。⸢ピー⸣ダマ[⸢piː⸣dama](火玉)ともいう。 シ⸢チ⸣ヌ ⸢ユー⸣ロー パ⸢カヌ⸣ マンタナー ⸢アウピーヌ⸣ ミ⸢ラ⸣リンツォー [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸢juː⸣roː pḁ⸢kanu⸣ mantanaː ⸢ʔaupiːnu⸣ mi⸢ra⸣rinʦoː] (節祭りの日の夜には墓の前に鬼火が見えるそうだ) 88 0 0 262 htmvoc_88.wav アウピキ ⸢アウピキ [⸢ʔaupiki] 名  (動)魚の名。和名、ルリスズメ。観賞用熱帯魚。枝珊瑚の中に棲息している。ノコギリダイを釣るときに釣り針に掛けた餌に群がり、餌を食いちぎる厄介な小魚である。 ⸢アウピキヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢ムン⸣ダニ ッ⸢ふァイ⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaupikinu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢mun⸣dani f⸢fai⸣naː na⸢ra⸣nu] (ルリスズメが集まって餌を食ってたまらない) 296 0 0 263 htmvoc_296.wav アウピナカン ⸢アウピナカン [⸢ʔaupinakaŋ] 名  (動)魚の名。和名、ナンヨウブダイ。⸢オーバ⸣チャー[⸢ʔoːba⸣ʧaː]という人もいるが、それは糸満方言だという。ブダイ科の魚。体型はグ⸢ジラ⸣フタイ[gu⸢ʣira⸣ɸu̥tai]に似るが、体長60~70センチと、グジラフタイより小型で、濃紺の上体部とスカイブルーの下腹部の体色を示す点は異なる。 ⸢アウピナカンヌン⸣ イ⸢ラブチ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ⸢ゲ⸣ラ [⸢ʔaupinakannuŋ⸣ ʔi⸢rabuʧi⸣tu ju⸢nu⸣munu⸢ge⸣ra] (アウピナカンもブダイと同じさ) 290 0 0 264 htmvoc_290.wav アウフキ ⸢アウフキ [⸢ʔauɸu̥ki] 名 顔色が青白くなること。青白いこと。顔色が抜けて白くなること。 ナ⸢ガヤン スー⸣ プ⸢ソー アウフキ⸣ ナ⸢リ⸣ス [na⸢gajan suː⸣ pu̥⸢soː ʔauɸu̥ki⸣ na⸢ri⸣su] (長期間病気すると<長病みすると>、人は青白い顔になる) 291 0 0 265 htmvoc_291.wav アウフクリ ⸢アウフクリ [⸢ʔauɸukuri] 名 青膨れ。顔全体が青くむくんだ様子。体が青くむくんだ様子。 ⸢ナーヤンバ シーティル ドゥー⸣ヤ ⸢アウフクリ シーベー⸣バン [⸢naːjamba ʃiːtiru duː⸣ja ⸢ʔauɸukuri ʃiːbeː⸣baŋ] (長患い<長病み>をして体は青膨れしているわい) 297 0 0 266 htmvoc_297.wav アウボーダ ⸢アウボーダ [⸢ʔauboːda] 名 (動)魚名。ブダイ科の魚。「青ぶだい」の義。和名、ナンヨウアオブダイ。 シ⸢ナカキ⸣ヤー ⸢シー アウボーダ⸣ ヤ⸢マシ⸣カ ガ⸢ラ⸣シェーン [ʃi⸢nakḁki⸣jaː ⸢ʃiː ʔauboːda⸣ ja⸢maʃi⸣ka ga⸢ra⸣ʃeːŋ] (追込み漁をしてアウボーダをたくさん漁獲した) 298 0 0 267 htmvoc_298.wav アウマミ ⸢アウマミ [⸢ʔaumami] 名 (植)青大豆。 ⸢アウマミ⸣ ブリキー バ⸢カシ ッふァー⸣ディー [⸢ʔaumami⸣ burikiː ba⸢kaʃi ffaː⸣diː] (青大豆を捥いできて炊いて食べようよ) 299 0 0 268 htmvoc_299.wav アウミー ⸢アウミー [⸢ʔaumiː] 名 青みを帯びたもの。 ク⸢レー アウミー⸣ シ⸢キ⸣ブンダ マ⸢ダ⸣ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː ʔaumiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣bunda ma⸢da⸣ f⸢faːranu] (これは青みがかっているから、まだ食べられない) 308 0 0 269 htmvoc_308.wav アウミツァ ⸢アウミツァ [⸢ʔaumiʦa] 名 青土。青い粘土。 ⸢パイ⸣タナー ⸢アウミツァー アッ⸣タン [⸢pai⸣tanaː ⸢ʔaumiʦaː ʔat⸣taŋ] (\ruby{南端}{ハイ|バタ}<西表島>には青土はあった)。ア⸢ガミツァ[ʔa⸢gamiʦa](赤土、赤粘土)の対語 301 0 0 270 htmvoc_301.wav アウムシ ⸢アウムシ [⸢ʔaumuʃi] 名 (動)青虫。芋虫など。芋の葉や菜っ葉などに発生して食害を起こす。 ⸢ナーヌ⸣パーナ ⸢アウムシヌ⸣ シディティ ッ⸢ふァイッツァリ⸣ シケー [⸢naːnu⸣paːna ⸢ʔaumuʃinu⸣ ʃiditi f⸢faitʦari⸣ ʃi̥keː] (菜っ葉に青虫が発生して食い散らしてある) 252 0 0 271 htmvoc_252.wav アウムヌ ⸢アウムヌ [⸢ʔaumunu] 名 青いもの。青物。生もの(未熟な物)。 ⸢ウーミ⸣ムノー ⸣ブリティ ⸢アウムヌノー⸣ ヌ⸢カ⸣シバ [⸢ʔuːmi⸣munoː ⸣buriti ⸢ʔaumunoː⸣ nu⸢ka⸣ʃiba] (熟れたものは捥いで、未熟のもの<青もの>は残しなさいよ) 300 0 0 272 htmvoc_300.wav アウムン ⸢アウムン [⸢ʔaumuŋ] 自動 青くなる。青む。 ウ⸢タ⸣リン ⸣トンマー ⸢アウムン [ʔu⸢ta⸣rin ⸣tommaː ⸢ʔaumuŋ] (打たれる所は青くなる<青む>)。 マ⸢ダ アウマヌ [ma⸢da ʔaumanu] (まだ青くならない)。 ⸢カイ⸣リティ ヤ⸢マシ⸣タ ス⸢ブシェー シンダイ アウミ⸣キー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kai⸣riti ja⸢maʃi̥⸣ta su⸢buʃeː ʃindai ʔaumi⸣kiː ⸢naː⸣nu] (転んで痛めた膝は次第に青みがかってきた) 302 0 0 273 htmvoc_302.wav アウヤサイ ⸢アウヤサイ [⸢ʔaujasai] 名 青野菜。 ナ⸢チ⸣ナルカー ⸢アウヤサイヌ ナーン⸣ナルンダ ⸢ウンヌパー⸣バル ⸢アウヤサイ ソーッ⸣タ [na⸢ʧi⸣ narukaː ⸢ʔaujasainu naːn⸣ narunda ⸢ʔunnupaːba⸣ru ⸢ʔaujasai soːt⸣ta] (夏になると青野菜が無くなるので、芋の葉を青野菜にされた) 303 0 1 274 htmvoc_303.wav アウリ ⸢アウ⸣リ [⸢ʔau⸣ri] 名 {Mn_1}難儀苦労。 ⸢アウ⸣リ ⸢スン [⸢ʔau⸣ri ⸢suŋ] (苦労をする)。 ⸢アウリ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ ⸢シーミッ⸣タン [⸢ʔauri⸣nu ⸢goː⸣kaʤi ⸢ʃiːmit⸣taŋ] (難儀苦労のありったけをしてみた<経験した>)。 303 0 2 275 htmvoc_303.wav アウリ ⸢アウ⸣リ [⸢ʔau⸣ri] 名 {Mn_2}気の毒なさま。かわいそうなさま。あわれな。/フンヌヨー アワリヌ ミチヤリバ ニシカイ ンカユティ キョーモンバ ユミ(誠に無常の道<あわれな人生>であるから 西に向かって経文を読み、)/「ニンブツァー(念仏歌)。シザヌクイ(兄の歌<声>)」 304 0 0 276 htmvoc_304.wav アウルン ⸢アウ⸣ルン [⸢ʔau⸣ruŋ] 他動 あおる(煽る)。団扇で風を起こす。煽ぐ。⸢オン⸣グンとも言う。 ⸢オン⸣ギシ ⸢アウ⸣ルン [⸢ʔoŋ⸣giʃi ⸢ʔau⸣ruŋ] (扇で煽る)。 ⸢アウラ⸣ヌ [⸢ʔaura⸣nu] (煽がない)。 ⸢アウリ⸣プサン [⸢ʔauri⸣pusaŋ] (煽ぎたい)。 ⸢アウ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔau⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (煽ぐ人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アウ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔau⸣reː ⸣misamunu] (もっと煽げば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢アウ⸣リバ [⸣duːʃi ⸢ʔau⸣riba] (自分で煽げ) 247 0 1 277 htmvoc_247.wav アウン ⸢アウン [⸢ʔauŋ] 自動 {Mn_1}実が完熟して落ちる。⸢アイルン[⸢ʔairuŋ](実が落ちる)の項参照。 フ⸢ナ⸣ブン ⸢バン⸣スルン ⸢ウーミ⸣タルカー ⸢アウンドゥ ウーマン⸣カー ⸢アーヌ [ɸu⸢na⸣bum ⸢ban⸣suruŋ ⸢ʔuːmi⸣tarukaː ⸢ʔaundu ʔuːmaŋ⸣kaː ⸢ʔaːnu] (九年母もグアバも完熟したら落ちるが、熟れないと落ちない)。⸢アイルン[⸢ʔairuŋ](木の実が熟れて落ちる)と同じ。 247 0 2 278 htmvoc_247.wav アウン ⸢アウン [⸢ʔauŋ] 自動 {Mn_2}乳が出る。 ⸢シー⸣ヤ イッ⸢ケン アウン [⸢ʃiː⸣ja ʔik⸢keŋ ʔauŋ] (お乳は非常によく出る)。 ン⸢マー⸣ムヌ ⸢ジーシキ⸣ムヌ ッ⸢ふァイティ⸣ シー ⸢アーシ [ʔm⸢maː⸣munu ⸢ʤiːʃi̥ki⸣munu f⸢faiti⸣ ʃiː ⸢ʔaːʃi] (美味しいもの、滋養のあるものを食べて母乳を出しなさい)。 247 0 3 279 htmvoc_247.wav アウン ⸢アウン [⸢ʔauŋ] 自動 {Mn_3}膿が出る。 ン⸢バイムヌ⸣ ッ⸢ふー⸣カー ア⸢シ⸣ボー ⸢ウー⸣ミティ ⸢アウン [ʔm⸢baimunu⸣ f⸢fuːkaː⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢uː⸣miti ⸢ʔauŋ] (傷に悪い物を食べるとがお出来は化膿して膿が出る) 305 0 0 280 htmvoc_305.wav アウン ⸢アウン [⸢ʔauŋ] 他動 上げる。挙げる。揚げる。「上ぐ(下二段)」の転訛したもの。⸢アイルン[⸢ʔairuŋ](上げる)ともいう。 ⸢タンガ⸣シ ⸣フニ ⸢アウンティ スンドゥ アイララヌ [⸢taŋga⸣ʃi ⸣ɸuni ⸢ʔaunti sundu ʔairaranu] (一人で舟を揚げようとするが揚げられない)。 ⸣フニ ⸢アイ⸣ ミサンティバ ⸢アウ⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸣クー [⸣ɸuni ⸢ʔai⸣ misantiba ⸢ʔau⸣ pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi ⸣kuː] (舟を陸揚げしてよいというから、揚げる人を頼んできなさい)。 ⸣バー ⸢アーヌ [⸣baː ⸢ʔaːnu] (私は揚げない)。 ⸣ティー ⸢アイヤー⸣ ミサムヌ [⸣tiː ⸢ʔaijaː⸣ misamunu] (手を上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アイ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢ʔai⸣ba] (早く上げなさい)。 ク⸢レー アウナ [ku⸢reː ʔauna] (これは上げるな)。 ⸢アウプス [⸢ʔaupusu] (上げる人) 306 0 0 281 htmvoc_306.wav アウン ⸣アウン [⸣ʔauŋ] 自動 喧嘩する。争う。「闘、タゝカフ・アフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸢キョーダイ⸣サ ⸢ザーン⸣ナリ ⸣ユー ⸢アウ⸣タン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸢kjoːdai⸣sa ⸢ʣaːn⸣nari ⸣juː ⸢ʔau⸣taŋ] (子供の頃は兄弟同士でよく喧嘩した) 307 0 1 282 htmvoc_307.wav アウン ⸣アウン [⸣ʔauŋ] 自動 {Mn_1}会う。二つのものが合致する。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ドゥ⸢シトゥ⸣ アウンティ ⸢パッタン⸣ドゥ ⸢アーラン⸣シェンツォー [ma⸢rukeːti⸣naː du⸢ʃitu⸣ ʔaunti ⸢pattan⸣du ⸢ʔaːraŋ⸣ʃenʦoː] (たまに<偶に>友人に会うといって出かけて行ったが会えなかったそうだ)。 ⸢アイ⸣ プサカー ⸣アウ ⸣クトー ナルン⸢ダー [⸢ʔai⸣ pu̥sakaː ⸣ʔau ⸣ku̥toː narun⸢daː] (会いたければ会うことは出来るよ)。 ⸢アイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢ʔai⸣jaː ⸣misamunu] (会えばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ アイ [jaː⸢diŋ⸣ ʔai] (必ず会え)。 307 0 2 283 htmvoc_307.wav アウン ⸣アウン [⸣ʔauŋ] 自動 {Mn_2}似合う。調和する。釣り合う。 ク⸢ヌ キン⸣マー ⸢ワー⸣ナー ⸢アー⸣ヌ [ku⸢nu kim⸣maː ⸢waː⸣naː ⸢ʔaː⸣nu] (この着物は君には似合わない) 309 0 0 284 htmvoc_309.wav アウンタールン ⸢アウンタールン [⸢ʔauntaːruŋ] 自動 青む。青くなる。青ざめる。青ばむ。青みをおびる。 ウ⸢ブミジ⸣ヌ ⸢カン⸣ヌ ク⸢ム⸣ロー フ⸢カー⸣ンダ アウー⸢アウー⸣シ ⸢アウンターリティ⸣ ナ⸢クラーン⸣ダー [ʔu⸢bumiʤi⸣nu ⸢kan⸣nu ku⸢mu⸣roː ɸu̥⸢kaː⸣nda ʔauː⸢ʔauː⸣ʃi ⸢ʔauntaːriti⸣ na⸢kuraːn⸣daː] (大見謝川の川上の池<籠り>は深いから水面は青々と青みがかって怖いよ)。 ⸢ナーヤン スー⸣カー ⸣シラー ⸢アウンタールンドゥ ワーヤ ピッ⸣チン ⸢アウンターランバン⸣ナー [⸢naːjan suː⸣kaː ⸣ʃiraː ⸢ʔauntaːrundu waːja pit⸣ʧiŋ ⸢ʔauntaːramban⸣naː] (長患い<長病み>すると顔は青むが、君はちっとも青まないんだねえ)。 ⸢アウンターリ ナー⸣ヌ [⸢ʔauntaːri naː⸣nu] (青ばんでしまった)。 シ⸢ラ⸣ヌ ⸢アウンタール⸣ バソー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʃi⸢ra⸣nu ⸢ʔauntaːru⸣ basoː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (顔が青ばむ時は気をつけなさい) 267 0 0 285 htmvoc_267.wav アオーン ⸢アオー⸣ン [⸢ʔaoː⸣ŋ] 形 青い。緑色である。紺色である。 ク⸢ヌ バン⸣スロー ⸢アオー⸣ンダー ブ⸢ラン⸣モー マ⸢シ [ku⸢nu ban⸣suroː ⸢ʔaoː⸣ndaː bu⸢ram⸣moː ma⸢ʃi] (この蕃ざくろは青いから捥がないほうがいい)。 ⸢アオー ナー⸣ヌ [⸢ʔaoː naː⸣nu] (青くない)。 ⸢アオー⸣ ナルン [⸢ʔaoː⸣ naruŋ] (青くなる)。 ⸢アオー⸣ ムヌ [⸢ʔaoː⸣ munu] (青い物) 310 0 0 286 htmvoc_310.wav アカ ⸣アカ [⸣ʔaka] 名 淦(あか)。船底に溜まった水。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカ ⸣トゥリ [ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka ⸣turi] (舟の淦を汲み取れ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー ⸢ビー⸣ラーンダ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカ フ⸢タイ⸣ナー マ⸢ミシミル⸣カー ⸣ミサナルンヨ [ku⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː ⸢biː⸣raːnda ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka ɸu̥⸢tai⸣naː ma⸢miʃimiru⸣kaː ⸣misanaruŋjo] (この子は非常に病弱だから船の淦を額に塗って貰うと良くなるよ) 311 0 0 287 htmvoc_311.wav アカ ⸣アカ [⸣ʔaka] 名 髪。頭。 ヤ⸢ナ⸣ムノー ⸣アカナーン ⸣ドゥ―ナーン シ⸢キ⸣シミ タ⸢ボーン⸣ナ [ja⸢na⸣munoː ⸣ʔakanaːn ⸣duːnaːŋ ʃi̥⸢ki⸣ʃimi ta⸢boːn⸣na] (悪いもの<魔物{EOS}妖怪>は髪にも体にも付けさせないでください<付けさせ賜るな>) 312 0 0 288 htmvoc_312.wav アガ ア⸢ガ [ʔa⸢ga] 接頭 まる~。素っ~。まったくの~。名詞に上接してそれを強調表現する。 ア⸢ガパダカ [ʔa⸢gapadaka] (素っ裸)。 ア⸢ガッふァー⸣マ [ʔa⸢gaffaː⸣ma] (赤子{EOS}まったくの子供)。 ア⸢ガプリムヌ [ʔa⸢gapurimunu] (おお馬鹿もの{EOS}全くの馬鹿者)。 ア⸢ガパジ [ʔa⸢gapadʒi] (赤恥、あかっぱじ)。 ウ⸢ヌ シー⸣ヨーシェー マッ⸢タキ⸣ ア⸢ガッふァー⸣マ ア⸢ラン⸣ノー [ʔu⸢nu ʃiː⸣joːʃeː mat⸢taki⸣ ʔa⸢gaffaː⸣ma ʔa⸢ran⸣noː] (この様子<仕方>では全くの赤子同然ではないか)。 ア⸢ガピッチンマーンツァン⸣ ッ⸢ふィーラヌ [ʔa⸢gapitʧimmaːnʦaŋ⸣ f⸢fiːranu] (たったの一つすら呉れない) 313 0 0 289 htmvoc_313.wav アガ ア⸢ガ [ʔa⸢ga] 接頭 赤色。 ア⸢ガキン [ʔa⸢gakiŋ] (赤い着物)。 ア⸢ガムノー⸣マ [ʔa⸢gamunoː⸣ma] (「火」の隠語)。 ア⸢ガキー [ʔa⸢gakiː] (赤毛)。 ア⸢ガキン⸣ キ⸢シティ⸣ ヨイ ⸢ソー⸣ルン [ʔa⸢gakiŋ⸣ ki̥⸢ʃiti⸣ joi ⸢soː⸣ruŋ] (赤い着物を着てお祝いをなさる) 314 0 0 290 htmvoc_314.wav アガー ア⸢ガ⸣ー [ʔa⸢ga⸣ː] 感 あいた。ああ痛い。痛い時、不意に発する声。 ア⸢ガ⸣ー ⸢ヌーンティ⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢タック⸣ワ [ʔa⸢ga⸣ː ⸢nuːnti⸣ pu̥⸢su⸣ tḁ⸢takku⸣wa] (あいた{EOS!}何故他人を叩くのか)。 ア⸢ガー⸣ プ⸢スヌ⸣ パン ⸢フンクナ [ʔa⸢gaː⸣ pu̥⸢sunu⸣ paŋ ⸢ɸuŋkuna] (あいた{EOS!}他人の足を踏みつけるな) 315 0 0 291 htmvoc_315.wav アガーアガーシ ア⸢ガーアガー⸣シ [ʔa⸢gaːʔagaː⸣ʃi] 副 真っ赤に。赤々と。赤いことの強調表現。ABCABC型の畳語。 ⸣キンナー ア⸢ガーアガーヌ シーヌ⸣ マ⸢マリ ベー [⸣kinnaː ʔa⸢gaːʔagaːnu ʃiːnu⸣ ma⸢mari beː] (着物に真っ赤な血が塗られている) 317 0 0 292 htmvoc_317.wav アガームイサン アガー⸢ムイ⸣サン [ʔagaː⸢mui⸣saŋ] 形 痛がりやである。痛がる。少しの傷みも大げさに痛がる。⸣アガー[⸣ʔagaː](痛い<感>)に接尾語⸢ムイ⸣サン[⸢mui⸣saŋ](~がる<「思いさ・アリ」で、話し手以外の人の状態を表す>)が付いて形成された派生形容詞。 ウ⸢レー サッ⸣コー アガー⸢ムイ⸣サンダ ン⸢メーマヌ⸣ クトゥシン ア⸢ガーアガー⸣ティ ウ⸢ヤー⸣ルン [ʔu⸢reː sak⸣koː ʔagaː⸢mui⸣sanda ʔm⸢meːmanu⸣ ku̥tuʃiŋ ʔa⸢gaːʔagaː⸣ti ʔu⸢jaː⸣ruŋ] (彼は非常な痛がりやだから、少しのことでも痛い痛いといってわめく<大声を出す>)。 ⸢ピッ⸣チン アガー⸢ムイサ ナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ʔagaː⸢muisa naː⸣nu] (ちっとも痛がりやではない) 340 0 0 293 htmvoc_340.wav アガーン ア⸢ガー⸣ン [ʔa⸢gaː⸣ŋ] 形 赤い。朱、だいだい、桃色、赤茶色も含めた色。形容詞の語幹ア⸢ガ[ʔa⸢ga](赤)に存在動詞⸣アン[⸣ʔaŋ](在る)が下接して形成された語。 ⸣グジキーヌ パナー ア⸢ガー⸣ン [⸣guʤikiːnu ⸣panaː ʔa⸢gaː⸣ŋ] (デイゴの花は赤い)。 ク⸢レー ナン⸣ゾー ア⸢ガーナー⸣ヌ [ku⸢reː nan⸣ʣoː ʔa⸢gaːnaː⸣nu] (これはあまり赤くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢ガー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢gaː⸣ naruŋ] (次第に赤くなる)。 ア⸢ガー⸣ ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリ [ʔa⸢gaː⸣ munoːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turi] (赤いものから選んで取れ)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ ア⸢ガー⸣カー シゥ⸢カーリン [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ ʔa⸢gaː⸣kaː si̥⸢kaːriŋ] (もう少し赤かったら使える) 316 0 0 294 htmvoc_316.wav アガアーガイ ア⸢ガアーガイ [ʔa⸢gaʔaːgai] 名 (動)魚の名。ひぶだいの一種。 ア⸢ガアーガイヤ⸣ ナ⸢マ⸣シ ⸢スーバン⸣ ン⸢マー⸣ン [ʔa⸢gaʔaːgaija⸣ na⸢ma⸣ʃi ⸢suːbam⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (アガアーガイは刺身にしても美味しい) 318 0 0 295 htmvoc_318.wav アガアール ア⸢ガアール [ʔa⸢gaʔaːru] 名 (動)アカアリ。 ⸣サタカミナー ア⸢ガアールヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー [⸣sḁtakaminaː ʔa⸢gaʔaːrunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː] (砂糖甕には赤蟻が集まっている) 319 0 0 296 htmvoc_319.wav アガイー ア⸢ガイー [ʔa⸢gaʔiː] 名 赤飯。「あかいひ(赤飯)」の転訛したもの。昔はア⸢ガマミ[ʔa⸢gamami](小豆)を加えて米飯を炊き、赤飯にしたが、戦後は食紅を入れて赤飯を炊いた。祝儀や正月には赤飯を炊いて祝った。女の子が初潮をみると赤飯を炊いて祝ってやった。 ⸣アツァー ⸢ニューガク⸣シキ ヤ⸢リバ⸣ ア⸢ガイー⸣ バ⸢カシ⸣ ッ⸢ふァーサ⸣ナー [⸣ʔaʦaː ⸢ɲuːgaku⸣ʃi̥ki ja⸢riba⸣ ʔa⸢gaʔiː⸣ ba⸢kaʃi⸣ f⸢faːsa⸣naː] (明日は入学式だから赤飯を炊いて食べさせようね)。 ア⸢ガイー⸣ バ⸢カシティ ゴーカクヨイ サー⸣ディー [ʔa⸢gaʔiː⸣ ba⸢kaʃi̥ti goːkakujoi saː⸣diː] (赤飯を炊いて合格祝いをしよう) 320 0 0 297 htmvoc_320.wav アガイカ ア⸢ガイカ [ʔa⸢gaʔika] 名 (動)赤烏賊。 イ⸢ガメー⸣ ン⸢ゾー⸣ルカー イ⸢ガバーキヌ ピッ⸣チン ア⸢ガイカ ホー⸣ソーッタン [ʔiga⸢meː⸣ ʔn⸢ʣoː⸣rukaː ʔi⸢gabaːkinu pit⸣ʧiŋ ʔa⸢gaʔika hoː⸣soːttaŋ] (烏賊釣り漁に出られると烏賊をを入れる竹笊の一杯烏賊を釣られた) 89 0 0 298 htmvoc_89.wav アガイズ ア⸢ガイズ [ʔa⸢gaʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ウケグチイットウダイ(体長約25センチ)。和名、ホシエビス(体長約25センチ)にもいう。 ア⸢ガイゾー⸣ ム⸢チイズ ニーブ [ʔa⸢gaiʣoː⸣ mu⸢ʧiʔiʣu niːbu] (アガイズはムチイズ<のこぎりだい>に似ている) 322 0 0 299 htmvoc_322.wav アガイトゥ ア⸢ガイトゥ [ʔa⸢gaitu] 名 赤糸。赤い糸。 ア⸢ガイトゥ⸣シ ⸣キンナ ⸢ナーフダ⸣ ヌイ ⸣シケー [ʔa⸢gaitu⸣ʃi ⸣kinna ⸢naːɸuda⸣ nui ⸣ʃi̥keː] (赤糸で着物に名札を縫い付けてある) 1097 0 0 300 htmvoc_1097.wav アガイヤ ⸣アガイヤ [⸣ʔagaija] 感 ああ残念。あらまあ。おやまあ。あれまあ。意外に感じた時に発する声。 ⸣アガヤー ⸢ワール ⸢クーター⸣ ア⸢ボー⸣ル ⸢オー⸣ルカヤーティ ⸣マティ ⸢ベー⸣タ ⸣ムヌ [⸣ʔagaijaː ⸢waːru kuːtaː⸣ ʔa⸢boː⸣ru ⸢ʔoː⸣rukajaːti ⸣mati ⸢beː⸣ta ⸣munu] (あらまあ{EOS}君が来たのか{EOS}お母さんが来られるのかと待っていたのに) 323 0 0 301 htmvoc_323.wav アガイラブチ ア⸢ガイラブチ [ʔa⸢gairabuʧi] 名  (動)魚の名。和名、イチモンジブダイ。体長25~30センチの成魚がよく漁獲された。刺身にしても、煮ても美味である。蒲鉾の原料として重宝された。別名、⸢ナー⸣ブイラブチ[⸢naː⸣buʔirabuʧi]ともいう。 ア⸢ガイラブチ⸣シ カ⸢マブク シッ⸣キバ [ʔa⸢gairabuʧi⸣ʃi ka⸢mabuku ʃik⸣kiba] (アガイラブチで蒲鉾を搗きなさいよ) 324 0 0 302 htmvoc_324.wav アガイル ア⸢ガイル [ʔa⸢gairu] 名 赤色。 フ⸢ニ⸣ヌ ス⸢コー⸣ ア⸢ガイルバ ヌーリ⸣シケー [ɸu⸢ni⸣nu su⸢koː⸣ʔa⸢gairuba nuːriʃikeː] (船の底は赤色を塗ってある)。 ⸢ガンダルゴーヤ⸣ ア⸢ガイル⸣ ッ⸢ふァーサリ(⸢ヌーラリ)ブタ [⸢gandarukoːja⸣ ʔa⸢gairu⸣ f⸢faːsari(⸢nuːrari)buta] (龕は、赤色を食わされ<塗装され>、<塗られ>ていた) 325 0 0 303 htmvoc_325.wav アガウムティ アガウムティ [ʔa⸢gaʔumuti] 名 赤い顔。赤ら顔。「あかおもて」の義。日焼けや発熱などで顔面が赤くなること。 ⸣ティダナ プ⸢サ⸣リティ ア⸢ガウムティ⸣ ナリ⸢ベーン⸣ティ [⸣tidana pu̥⸢sa⸣riti ʔa⸢gaʔumuti⸣ nari⸢beːn⸣ti] (太陽にほされて日焼けして赤い顔になっているさ) 326 0 0 304 htmvoc_326.wav アカガーラ ア⸢カガーラ [ʔa⸢kagaːra] 名 赤瓦。鳩間島の人は赤瓦を買うために、イ⸢ガガラス[ʔi⸢gagarasu](イカの塩辛<塩漬け>)やカ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス[kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣su](カツオの臓物の塩辛)などを沖縄本島へ輸出した。水産物を売って毎年少しずつ建材を購入した。 ア⸢カガーラン⸣ ヤ⸢キヌ ヨー⸣カー ⸣シディ パ⸢リ⸣ス [ʔa⸢kagaːraŋ⸣ ja⸢kinu joː⸣kaː ⸣ʃidi pa⸢ri⸣su] (赤瓦も焼成の弱いものは風化して朽ちてしまう) 327 0 0 305 htmvoc_327.wav アカガーラヤー ア⸢カガーラヤー [ʔa⸢kagaːrajaː] 名 赤瓦葺きの家。 パ⸢トゥ⸣マナー マ⸢ナ⸣マー ア⸢カガーラヤーヤ ギューキブル⸣ ヌ⸢カ⸣レーワ [pḁ⸢tu⸣manaː ma⸢na⸣maː ʔa⸢kagaːrajaːja gjuːkiburu⸣ nu⸢ka⸣reːwa] (鳩間島には赤瓦葺きの家は何軒残っているか) 329 0 0 306 htmvoc_329.wav アガカニ ア⸢ガカニ [ʔa⸢gakani] 名 銅。「銅、アカガネ」『類聚名義抄』の転訛したもの。「あかがね(赤金)」の義。 ア⸢ガカニヌ シン⸣ダ プ⸢ス⸣マキ ⸢カイ⸣キー ッ⸢ふィーリ [ʔa⸢gakaninu ʃin⸣da pu̥⸢su⸣maki ⸢kai⸣kiː f⸢fiːri] (銅の針金を一巻き買ってきてくれ) 330 0 0 307 htmvoc_330.wav アガカビ ア⸢ガカビ [ʔa⸢gakabi] 名 赤紙。正月に鏡餅の下に敷く、祝いを表す紅白の紙。慶事の神酒を入れる瓶の栓やその他に用いる赤い紙。 ア⸢ガカビバ⸣ ブリティ ク⸢ビン⸣ヌ ⸣ザウ ⸢シー⸣バ [ʔa⸢gakabiba⸣ buriti ku⸢bin⸣nu ⸣ʣau ⸢ʃiː⸣ba] (赤紙を折って神酒を入れる瓶の栓にしなさい) 331 0 0 308 htmvoc_331.wav アガガマジ ア⸢ガガマジ [ʔa⸢gagamadʒi] 名 赤い髪。頭髪の赤いもの。 カ⸢ムラーマ⸣ヌ ア⸢ガガマジェー⸣ ヌーシ ス⸢ク⸣ローッタカヤー [ka⸢muraːma⸣nu ʔa⸢gagamadʒeː⸣ nuːʃi su̥⸢ku⸣roːttakajaː] (カムラーマの赤い髪は何で作られたのかなあ) 332 0 0 309 htmvoc_332.wav アカカラジ ⸣アカカラジ [⸣ʔakakaraʤi] 名 民百姓。一般百姓。一種の文語。日常会話では用いられず、祭祀の場で、⸢カン⸣フチ[⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi](祈願の文句{EOS}祈祷文{EOS}「神口」の義)やニ⸢ガイ⸣フチ[ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi](祈願の言葉{EOS}唱え、がんもん<願文>)、歌謡語などで用いられる。/ウマンチュヌ ニガイヤヨー アカカラジヌ ニガイヤヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ(万民の願いはヨー、民百姓の願いはヨー ハーリ 雨を賜り給え竜神さま)/(雨乞い歌{EOS}早め句)『鳩間誌』 328 0 0 310 htmvoc_328.wav アガキー ア⸢ガキー [ʔa⸢gakiː] 名 頭髪などの赤くなったもの。「赤毛」の義。 イ⸢ツォーン⸣プソー ウ⸢ミシグ⸣トゥ ⸢シー⸣ ティダナ プ⸢サ⸣リ ⸢ブンダ⸣ ガ⸢マ⸣ジン ア⸢ガキー⸣ ナリ⸢ブー [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː ʔu⸢miʃigu⸣tu ⸢ʃiː⸣ tidana pu̥⸢sa⸣ri ⸢bunda⸣ ga⸢ma⸣dʒiŋ ʔa⸢gakiː⸣ nari⸢buː] (糸満の漁民は漁業をして太陽に干されているから、頭髪も赤毛になっている)。 ク⸢ヌ⸣グロー ガ⸢マ⸣ジ ア⸢ガキー⸣ ス⸢ミル⸣ プ⸢スン ブン⸣ダー [ku⸢nu⸣guroː ga⸢ma⸣ʤi ʔa⸢gakiː⸣ su⸢miru⸣ pu̥⸢sum bun⸣daː] (近頃は髪の毛を赤毛に染める人もいるよ) 336 0 0 311 htmvoc_336.wav アガキン ア⸢ガキン [ʔa⸢gakiŋ] 名 赤い着物。 ヤ⸢ラ⸣ベー ア⸢ガキンバ キシティ⸣ サ⸢ニンケーリ アー⸣ク [ja⸢ra⸣beː ʔa⸢gakimba⸣ ki̥ʃiti⸣ sa⸢niŋkeri ʔaː⸣ku] (子供は赤い着物を着て嬉しそうにして<喜んで>いる) 337 0 0 312 htmvoc_337.wav アガクン ア⸢ガ⸣クン [ʔa⸢ga⸣kuŋ] 自動 懸命に働く。肉体労働をする。 ヌ⸢チ⸣キシ ア⸢ガクン⸣ドゥ ⸢モーキララ⸣ヌ [nu⸢ʧi⸣ki̥ʃi ʔa⸢gakun⸣du ⸢moːkirara⸣nu] (一生懸命に働くが儲けられない)。 ウ⸢シンーマ⸣ヌ ⸣カタチニ ア⸢ガカン⸣タンティン イ⸢キラ⸣リン [ʔu⸢ʃiʔmːma⸣nu ⸣kḁtaʧini ʔa⸢gakan⸣tantiŋ ʔi⸢kira⸣riŋ] (牛馬のように働かなくても生きられる)。 ア⸢ガ⸣キ ⸣ミサカー ア⸢ガ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ga⸣ki ⸣misakaː ʔa⸢ga⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (働いて良ければ懸命に働くことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ga⸣keː ⸣misamunu] (もっと懸命に働けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガ⸣キバ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ga⸣kiba] (もっと懸命に働けよ) 10 0 0 313 htmvoc_10.wav アガゲー ア⸢ガゲー [ʔa⸢gageː] 名 和名(おきなわめぎす)、体長18~20センチに成長する。体表は赤みをおびる。島のイノー(礁内湖)の珊瑚礁内に棲息する。体の割りに口が大きく、食いつきがよいので子どもたちの釣りに好まれる。普通の⸣ゲーイズ[⸣geːiʣu](おきなわめぎす)は体長約16センチのものが多い。 ア⸢ガゲー ホー⸣シン パラ⸢ディー [ʔa⸢gageː hoː⸣ʃim para⸢diː] (アガゲーを釣りに行こうよ)。鳩間島方言では⸣ゲーイズ[⸣geːʔiʣu]の仲間である。和名、キツネダイの仲間(『原色沖縄の魚』)ともいう。ゲーイズの中でも大きめで、体長が約16センチ以上の赤紫色を帯びた魚。よく餌に食いつくので、子供たちは屋良の浜の礁内湖や島の後ろの礁内湖で釣り上げて楽しんだ。美味ではない。 ア⸢ガゲーヤ⸣ フ⸢チヌ マイ⸣ヤンダ ⸢ホーシヤッ⸣サタン [ʔa⸢gageːja⸣ ɸu̥⸢ʧinu mai⸣janda ⸢hoːʃijas⸣sataŋ] (アガゲーは口が大きいから釣りやすかった) 339 0 0 314 htmvoc_339.wav アガコージ ア⸢ガコージ [ʔa⸢gakoːʤi] 名 赤麹(あかこうじ)。 ア⸢ガコージ⸣ タティティ ⸢ミー⸣ス ス⸢ク⸣ラ [ʔa⸢gakoːʤi⸣ tatiti ⸢miː⸣su su̥⸢ku⸣ra] (赤麹をたてて味噌を作ろう) 334 0 0 315 htmvoc_334.wav アガサナイ ア⸢ガサナイ [ʔa⸢gasanai] 名 赤い褌。 ア⸢ガサナイバ⸣ キ⸢シティ ケン⸣グ ⸢シーティル⸣ ア⸢ザナー⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢オール [ʔa⸢gasaniba⸣ ki̥⸢ʃiti keŋ⸣gu ⸢ʃiːtiru⸣ ʔa⸢ʣanaː⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (赤い褌を着て村芝居<狂言>をして<ぞ>、渾名を付けられておられるのだ)。鱶(ふか)は人を襲うとき体長を比べ、鱶より小さいものを襲うといわれているので、難を避けるために赤褌をしめ、長く垂らして海に入ったという。 ア⸢ガサナイ⸣ キ⸢シ⸣バ [ʔa⸢gasanai⸣ ki̥⸢ʃi⸣ba] (赤褌を着なさい)。 ア⸢ガサナイバ⸣ キ⸢シティ⸣ ンジ ⸢オールン⸣ドゥ ウ⸢カヤ⸣ヌ バ⸢ライル⸣ シ⸢ラリタル [ʔa⸢gasanaiba⸣ ki̥⸢ʃiti⸣ ʔnʤi ⸢ʔoːrun⸣du ʔu⸢kaja⸣nu ba⸢rairu⸣ ʃi⸢raritaru] (赤い褌を着て出演して<出て>おられるんだが、おかしくて笑わざるを得ない<笑いぞされる>) 344 0 0 316 htmvoc_344.wav アガサビ ア⸢ガサビ [ʔa⸢gasabi] 名 赤錆(あかさび)。 カ⸢タ⸣ナー シゥ⸢カーンドー⸣シ シ⸢ティ⸣シケーンケンマー ア⸢ガサビ⸣ フイ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢ta⸣naː si̥⸢kaːndoː⸣ʃi ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥keːŋkemmaː ʔa⸢gasabi⸣ ɸui⸢naː⸣nu] (刀<包丁>は使わないで放置しておいたら、そのうちに赤錆がつい<赤錆くっ>てしまった) 335 0 0 317 htmvoc_335.wav アガサリ ア⸢ガサリ [ʔa⸢gasari] 名 赤枯れ。旱魃などで植物の葉や穂先が赤く枯れること。 ⸢ピーカジ⸣ヌ フキティ ス⸢クリ⸣ムヌン ⸢キーヌ⸣パーン ア⸢ガサリ シーナー⸣ヌ [⸢piːkadʒi⸣nu ɸu̥kiti su̥⸢kuri⸣munuŋ ⸢kiːnu⸣paːŋ ʔa⸢gasari ʃiːnaː⸣nu] (雨の降らない台風<火台風{EOS}潮風台風>が吹いて、作物も木の葉も赤く枯れてしまった)。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸢タイフー⸣ヤ カ⸢ラフキ ヤッタベー⸣ティ ⸢キーヌパー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ ア⸢ガサリ シー ベー [⸢kundu⸣nu ⸢taiɸuː⸣ja ka⸢raɸuki jattabeː⸣ti ⸢kiːnupaː⸣ja muː⸢ru⸣ ʔa⸢gasari ʃiːbeː] (今度の台風は雨の伴わない空吹き台風だったので木の葉は全部赤く枯れている<赤枯れしている>) 346 0 0 318 htmvoc_346.wav アカシ ア⸢カ⸣シ [ʔa⸢ka⸣ʃi] 名 あかし(灯)。松根の脂(やに)が多く含まれた部分を灯火に利用したもの。鉛筆の太さに割って利用した。または炊きつけにも利用した。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢トゥー⸣ロー ⸢ナーン⸣ユンダ ア⸢カシ⸣バ ⸢モーシェー⸣ティル ⸢トゥール⸣ヌ ⸢カール⸣ シ⸢タル [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣pimmaː ⸢tuː⸣roː ⸢naːŋ⸣junda ʔa⸢kaʃi⸣ba ⸢moːʃeː⸣tiru ⸢tuːru⸣nu ⸢kaːru⸣ ʃi̥⸢taru] (戦争<戦世>の時にはランプ<灯篭>がないから、アカシを燃やして灯篭の代わりにしたものだよ) 347 0 1 319 htmvoc_347.wav アガジー ア⸢ガジー [ʔa⸢gaʤiː] 名 {Mn_1}赤い血。鮮血。ア⸢ガシー[ʔa⸢gaʃiː](赤い血)ともいう。 ア⸢ガジー⸣ パリ⸢ベー [ʔa⸢gaʤiː⸣ pari ⸢beː] (赤い血が流れている)。 347 0 2 320 htmvoc_347.wav アガジー ア⸢ガジー [ʔa⸢gaʤiː] 名 {Mn_2}赤地。織物の地色の赤いもの。 ア⸢ガジー⸣ナ ⸢アウイル⸣ マ⸢ザー⸣シ ウ⸢ラリベー [ʔa⸢gaʤiː⸣na ⸢ʔauiru⸣ ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ʔu⸢raribeː] (赤地に青色を混ぜて織られている) 371 0 0 321 htmvoc_371.wav アガシーシ ア⸢ガシーシ [ʔa⸢gaʃiːʃi] 名 赤肉。赤身。「赤肉<あかしし>」の義。ア⸢ガニク[ʔa⸢ganiku](赤肉)、⸢マーニク[⸢maːniku](真肉)、⸢マーシーシ[⸢maːʃiːʃi](真肉<ましし>)ともいう。 ⸢オー⸣ヌ ⸣ニコー ア⸢ガシーシル⸣ ン⸢マー [⸢ʔoː⸣nu nikoː ʔa⸢gaʃiːʃiru⸣ ʔm⸢maː] (豚肉は赤身が美味しい) 348 0 0 322 htmvoc_348.wav アガシース ア⸢ガシース [ʔa⸢gaʃiːsu] 名 (植)赤紫蘇。 ア⸢ガシースヌ パーヤ スー⸣ヌ ⸢オンガキ シー⸣バ [ʔa⸢gaʃiːsunu paːja suː⸣nu ⸢ʔoŋgaki ʃiː⸣ba] (赤紫蘇の葉はおつゆの薬味にしなさいよ) 349 0 0 323 htmvoc_349.wav アカシキン ア⸢カ⸣シキン [ʔa⸢ka⸣ʃi̥kiŋ] 名 暁。夜が明けようとして、まだ暗いうち。「阿加等伎乃<アカトキノ>かはたれ時に~。万、4384」の転訛したもの。 カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢カ⸣シキンラ ⸣ザコー ⸣トゥリン パ⸢リ⸣シタ [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢ka⸣ʃi̥kinra ⸣ʣakoː ⸣turim pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (カツオ漁船は暁から餌<雑魚>取りに出かけたものだ) 350 0 0 324 htmvoc_350.wav アカシキンブシ ア⸢カシキン⸣ブシ [ʔa⸢kaʃi̥kim⸣buʃi] 名 明けの明星。明け方東の空に見える金星。 ナ⸢チェー⸣ ア⸢カシキンブシ⸣トゥ ⸢マーズン⸣ パ⸢タ⸣ケー パ⸢リ⸣シタ [na⸢ʧeː⸣ ʔa⸢kaʃi̥kimbuʃi⸣tu ⸢maːʣum⸣ pḁ⸢ta⸣keː pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (夏は明けの明星と共に畑へ行ったものだ)。 パ⸢トゥ⸣マナー パ⸢ボー⸣ ブ⸢ラーンダ⸣ ム⸢カ⸣シェー ア⸢カシキンブシ⸣トゥ ⸢マーズン⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢オーリ⸣ソーッタティ⸢ダー [pḁ⸢tu⸣manaː pa⸢boː⸣ bu⸢raːnda⸣ mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢kaʃikimbuʃi⸣tu ⸢maːʣum⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔoːri⸣soːttati⸢daː] (鳩間島にはハブ<毒蛇>がいないから昔は明けの明星とともに畑へ行かれたそうだよ) 353 0 0 325 htmvoc_353.wav アガシタダル ア⸢ガシタダル [ʔa⸢gaʃitadaru] 名 赤くただれたさま。真っ赤なさま。果実などが真っ赤に熟れて、今にも落下しそうなさま。 ⸢バン⸣スロー ア⸢ガシタダル スン⸣ケン ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー [⸢ban⸣suroː ʔa⸢gaʃi̥tadaru suŋ⸣keŋ ⸢ʔuː⸣mi⸢beː] (バンジロウは真っ赤に熟れて、今にも落下しそうになるほどに熟れている)。 ア⸢シ⸣ボー ア⸢ガシタダル スン⸣ケン ⸢アーサムティ⸣ シ⸢ティ⸣シケーバン [ʔa⸢ʃi⸣boː ʔa⸢gaʃi̥tadaru suŋ⸣keŋ ⸢ʔaːsamuti⸣ ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥keːbaŋ] (お出来<腫れ物>は真っ赤になるまで、潰さないで<化膿させて>おいてあるよ) 365 0 0 326 htmvoc_365.wav アカジナー ア⸢カジナー [ʔa⸢kaʤinaː] 名 (動)魚の名。和名、ニセスジハタ(体長約1メートル)。ハタの仲間(体長約45センチ)。ニセスジハタ(体長約70センチ{EOS}体色は薄い青黒色)などの総称。アカジナーの痩せたものは食中毒をおこすといわれている。 ⸢ヨーガリ⸣ ア⸢カジナーバ ファイティル⸣ ビー ⸢サン⸣ソー⸢マーリティ⸣ ウ⸢ガン⸣ツミ ⸢ミッ⸣タン [⸢joːgari⸣ ʔa⸢kaʤinaːba faitiru⸣ biː ⸢san⸣soː⸢maːriti⸣ ʔu⸢gan⸣ʦumi ⸢mit⸣taŋ] (痩せたスジハタを食べてひどい中毒をおこし、気を失ってすっかり参ったことがあった) 90 0 0 327 htmvoc_90.wav アガシヌマール ア⸢ガシヌマール [ʔa⸢gaʃinumaːru] 名 (動)魚の名。和名、みやこてんぐ。シ⸢ヌマー⸣ル(てんぐはぎ)の仲間で、尾びれの付け根部分に橙色の斑点がある。 ア⸢ガシヌマールン⸣ シ⸢ヌマール⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [ʔa⸢gaʃinumaːru⸣ ʃi⸢numaːru⸣tu ju⸢nu⸣ munu] (みやこてんぐも、てんぐはぎと同じものだ)。 ア⸢ガシヌマールン⸣ シ⸢ヌマール⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ トンナール ⸢ブー [ʔa⸢gaʃinumaːruŋ⸣ ʃi⸢numaːru⸣tu ju⸢nu⸣ tonnaːru ⸢buː] (ミヤコテングもテングハギと同じところにいる) 372 0 0 328 htmvoc_372.wav アカシマー ⸣アカシマー [⸣ʔakaʃimaː] 名 赤縞布。赤褐色の絣(かすり)の入った布。染料の⸢クール[⸢kuːru](ソメモノイモ{EOS}黄櫨)を用いて赤褐色の絣を染め、赤縞模様に織り上げた布。 ⸣アカシマーヌ ⸢グイ⸣フ ウ⸢リ⸣ ウ⸢サミ⸣ルカー ブ⸢ドゥルバ シー⸣ ヨイ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸣ʔakaʃimaːnu ⸢gui⸣ɸu ʔu⸢ri⸣ ʔu⸢sami⸣rukaː bu⸢duruba ʃiː⸣ joi ⸢soːt⸣taʦoː] (赤縞布の御用布を織って納めたら踊りをしてお祝いをされたそうだ) 363 0 0 329 htmvoc_363.wav アカジュー ア⸢カジュー [ʔa⸢kadjzuː] 名 (動)魚の名。和名、ウメイロモドキ(体長約27センチ)。古老はム⸢レー⸣ジ[mu⸢reː⸣ʤi](沖縄方言のグルクン)という。「群れ魚」の義であろう。若年層はグルクンというのが多い 351 0 0 330 htmvoc_351.wav アカジラー ア⸢カ⸣ジラー [ʔa⸢ka⸣ʤiraː] 名 赤面。恥をかくこと。恥ずかしくて顔をあからめること。「赤面<あかつら>」の義。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ナカナー ウ⸢リンマー⸣ ア⸢カ⸣ジラー ナ⸢サ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ nakanaː ʔu⸢rimmaː⸣ ʔa⸢ka⸣ʤiraː na⸢sa⸣ri⸢joː] (あれだけの人の前で、彼には恥をかかされてねえ) 355 0 0 331 htmvoc_355.wav アガジル ア⸢ガジル [ʔa⸢gadʒiru] 名 赤潮。⸣ユドゥン[⸣juduŋ](赤潮)ともいう。 ア⸢ガジルヌ <ユ⸢ドゥン⸣ヌ> ユール⸣カー イ⸢ズン⸣ ビーティ ウ⸢ケーリ キー⸣ス [ʔa⸢gaʤirunu juːru⸣kaː ʔi⸢ʣum⸣ biːti ʔu⸢keːri kiː⸣su] (赤潮が流れ寄ると魚も中毒して<酔って>浮いてくる) 357 0 0 332 htmvoc_357.wav アガジル ア⸢ガジル [ʔa⸢gaʤiru] 名 海底地名。タ⸢カ⸣ビー[ta⸢ka⸣biː](高干瀬)の鳩間津口から鳩間桟橋に向かって200メートルほど入港してくると右手(東北)方に現れる海草の生えた褐色の浅い海底。 ア⸢ガジロー⸣ ミ⸢ズヌカン⸣ヌ ⸣スバナール ⸣アル [ʔa⸢gaʤiroː⸣ mi⸢ʣunukan⸣nu ⸣subanaːru ⸣ʔaru] (アガジルはミズヌカン<澪の上>の側にある) 467 0 0 333 htmvoc_467.wav アガジル ア⸢ガジル [ʔa⸢gadʒiru] 名 地渋(ちしぶ)。水田などの水に金気(かなけ)や灰汁(あく)が浮き出して光っているもの。赤汁。西表島の炭鉱に近い水田などでよくみられた。これが出ると稲の発育不良を起こした。 ⸢ター⸣ナ ア⸢ガジルヌ⸣ ウ⸢リ⸣ル ⸣トンマー カ⸢ナジル⸣ ヤ⸢ルンダ マイヤー ムイラン⸣セン [⸢taː⸣na ʔa⸢gaʤirunu⸣ ʔu⸢ri⸣ru ⸣tommaː ⸣ka⸢naʤiru⸣ ja⸢runda maija muiraŋ⸣ʃeŋ] (田圃の水に赤い汁<地渋>がでると、それは金気だから稲は発育しなかった) 358 0 0 334 htmvoc_358.wav アガシルシ ア⸢ガシルシ [ʔa⸢gaʃiruʃi] 名 赤い痣(あざ)。「赤印」の義。 ⸣シラナ ア⸢ガシルシバ⸣ シ⸢キラリ⸣ル マ⸢リ⸣ケー [⸣ʃirana ʔa⸢gaʃiruʃiba⸣ ʃi̥⸢kirari⸣ru ma⸢ri⸣keː] (顔に赤い痣を付けられて生まれてきている) 364 0 0 335 htmvoc_364.wav アガジン ア⸢ガジン [ʔa⸢gaʤiŋ] 名 銅貨。「赤銭」の義。 シ⸢マ⸣ナテー ア⸢ガジンヌ⸣ フカー ミリ ミ⸢ラン⸣セン [ʃi⸢ma⸣nateː ʔa⸢gaʤinnu⸣ ɸukaː ⸣miri mi⸢ran⸣ʃeŋ] (島では銅貨以外は見たことがなかった)。 ア⸢ガジン⸣シ シ⸢ナムヌヌ ダイ⸣ パ⸢ラウ⸣タ [ʔa⸢gaʤiŋ⸣ʃi ʃi⸢namununu dai⸣ pa⸢rau⸣ta] (銅貨で品物の代金を支払った) 366 0 0 336 htmvoc_366.wav アガジン ア⸢ガジン [ʔa⸢gaʣiŋ] 名 (動)魚の名。和名、バラハタ(体長約60センチ{EOS}薄いオレンジ色に白の斑点が鰓の部分から尾びれにかけて、点々と縞状に並んでいる)。痩せたア⸢ガジンは食中毒を起こすことがあるといわれている。 ア⸢ガジンヌ ヨーガリムノー ビー⸣ルンティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [ʔa⸢gaʤinnu joːgarimunoː biː⸣runti ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (バラハタの痩せたのは食中毒<酔う>すると言われているよ) 375 0 0 337 htmvoc_375.wav アガジンナーマ ア⸢ガジンナー⸣マ [ʔa⸢gaʤinnaː⸣ma] 名 小額の赤銭。小額の銅貨。小銭。 ⸢ナー⸣マ [⸢naː⸣ma] (接尾指小辞)。鳩間方言の接尾指小辞は、上接語の末尾が-ン[-ŋ]で終わる場合、⸢-ナー⸣マ[⸢-naː⸣ma]となり、上接語の末尾母音が-イ[-i]の場合は、⸢-エー⸣マ[⸢-eː⸣ma]、例、フ⸢ネー⸣マ[ɸu⸢neː⸣ma](小さな舟)、上接語の末尾母音が-ウ[-u]の場合は、⸢-オー⸣マ[⸢-oː⸣ma]、例パ⸢コー⸣マ[pa⸢koː⸣ma](小さな箱)、上接語の末尾母音が-ア[-a]の場合は、⸢-アー⸣マ[⸢-aː⸣ma]となる。例、パ⸢ナー⸣マ[pa⸢naː⸣ma](小さな花)。また、上接語の末尾母音が連母音⸢-アイ[⸢-ai]の場合は、⸢-ヤー⸣マ[⸢-jaː⸣ma]となり、例、ガイ⸢ヤー⸣マ[gai⸢jaː⸣ma](小匙)、連母音⸢-アウ[⸢-au]の場合は⸢-ワー⸣マ[⸢-waː⸣ma]となる。例、バウ⸢ワー⸣マ[bau⸢waː⸣ma](小さな棒) 376 0 0 338 htmvoc_376.wav アカズミキー ア⸢カ⸣ズミキー [ʔa⸢ka⸣ʣumikiː] 名 (植)樹木の名。ヒルギ。マングローブ。ア⸢カ⸣ズミ[ʔa⸢ka⸣ʣumi]ともいう。西表島の河口の汽水域に密生している。満潮時には小魚が群れ寄る。ヒルギ林には、キ⸢ザ⸣ク[ki⸢ʣa⸣ku](殻の直径約10センチの二枚貝)も生息している。鳩間島の人はヒルギの皮を染料として用い、これを煎じて⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)の帆を染めた。 ア⸢カ⸣ズミキーヌ ⸣カー ⸣シジティ ⸣イダフニヌ ⸢プー⸣ ス⸢モーッ⸣タ [ʔa⸢ka⸣ʣumikiːnu ⸣kaː ⸣ʃiʤiti ⸣ʔidaɸuninu ⸢puː⸣ su⸢moːt⸣ta] (ヒルギの皮を煎じて⸣イダフニ<板船>の帆を染められた) 354 0 0 339 htmvoc_354.wav アカスリ ア⸢カ⸣スリ [ʔa⸢ka⸣suri] 名 垢(あか)すり。入浴の際に垢をすり落とすのに用いるもの。標準語からの借用語。完熟したナ⸢ベー⸣ラ[na⸢beː⸣ra](へちま)のスポンジ状の繊維を用いた 359 0 1 340 htmvoc_359.wav アカスン ア⸢カ⸣スン [ʔa⸢ka⸣suŋ] 他動 {Mn_1}離す。 ⸢オー⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣アヒャーオーラ ア⸢カサバ⸣ル マシ [⸢ʔoː⸣nu f⸢faː⸣ ma⸢na⸣ma ʔaçaːʔoːra ʔa⸢kasaba⸣ru ma⸢ʃi] (子豚は今母豚から離した方がいい) 359 0 2 341 htmvoc_359.wav アカスン ア⸢カ⸣スン [ʔa⸢ka⸣suŋ] 他動 {Mn_2}剥がす。 シ⸢ビシキ⸣ シケー ⸣イツァー ア⸢カサラ⸣ヌ [ʃi⸢biʃi̥ki⸣ ʃi̥keː ⸣ʔiʦaː ʔa⸢kasara⸣nu] (くっつけてある板は剥がされない) 360 0 0 342 htmvoc_360.wav アカスン ア⸢カ⸣スン [ʔa⸢ka⸣suŋ] 他動 明らかにする。 ム⸢ヌシリ⸣ヌ ⸣ヤーナーン ⸢ギー⸣ ミレーティ ⸢ヌー⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢カ⸣シ ⸣ミリバ [mu⸢nuʃiri⸣nu jaːnaːŋ ⸢giː⸣ mireːti ⸢nuː⸣ ja⸢ru⸣juː ʔa⸢ka⸣ʃi miriba] (占い師<物識り>の家にも行ってみて、何のことなのか明らかにしてみなさいよ) 367 0 0 343 htmvoc_367.wav アガダイクニ ア⸢ガダイクニ [ʔa⸢gadaikuni] 名 (植)大根の一種。和名、アカカブラ(赤蕪)。 ア⸢ガダイクネー⸣ ン⸢マー⸣タンドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ナン⸣ゾー ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔa⸢gadaikuneː⸣ ʔm⸢maː⸣tandu ma⸢na⸣maː ⸢nan⸣ʣoː mi⸢rara⸣nu] (赤蕪は美味しかったが、今はあまり見られない) 368 0 0 344 htmvoc_368.wav アガダン ⸣アガダン [⸣ʔagadaŋ] 名 (動)赤だに。牛に寄生するダニ。牛のいる原野の茅や雑草などについていて、人がそこへ行くと人の体にくっつくようになる。 ウ⸢シ⸣ バ⸢ツァ⸣ミ ⸣シケーン ⸣トンマー ⸣アガダンヌ ⸢ブン⸠ダー [ʔu⸢ʃi⸣ ba⸢ʦa⸣mi ʃi̥keːn ⸣tommaː ⸣ʔagadannu ⸢bun⸠daː] (牛の鼻綱を草木に括ってある所には赤だにがいるよ) 417 0 0 345 htmvoc_417.wav アガッスヒャー ア⸢ガッス⸣ヒャー [ʔa⸢gassu⸣çaː] 連 糞喰らえ。くそったれ。全然いやだ。「赤糞やろう」の義。接尾語の⸣ヒャー[⸣çaː](くそったれ)は卑語。聞き手を貶め、対立喧嘩し、叱りつける際に用いられる。 ア⸢ガッス⸣ヒャー ⸣ワンザー ⸣ムネー シゥ⸢カヌ [ʔa⸢gassu⸣çaː ⸣wanʣaː muneː si̥⸢kanu] (糞くらえ、貴様の言うことは聞かない) 378 0 0 346 htmvoc_378.wav アガッふァーマ ア⸢ガッふァー⸣マ [ʔa⸢gaffaː⸣ma] 名 赤子。赤ん坊。 ⸣アイニ ⸢ピー⸣ヤムヌ ア⸢ガッふァーマ⸣バ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ザ⸣スンティ ⸢アー⸣クツォー [⸣ʔaini ⸢piː⸣jamunu ʔa⸢gaffaːma⸣ba mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʣa⸣sunti ⸢ʔaː⸣kuʦoː] (あんなに寒いのに、赤ん坊を道に連れ出そうとしているそうだ) 412 0 0 347 htmvoc_412.wav アガッふァーマ ア⸢ガッふァー⸣マ [ʔa⸢gaffaː⸣ma] 名 赤子(あかご)。 ア⸢ブ⸣ジェー トゥ⸢シ⸣ トゥ⸢ローッ⸣ター ア⸢ガッふァーマ⸣ンカタチニ ⸢フンダイ シーオー⸣ル [ʔa⸢bu⸣dʒeː tu⸢ʃi⸣ tu⸢roːt⸣taː ʔa⸢gaffaːma⸣ŋ kḁtaʧini ⸢ɸundai ʃiː ʔoː⸣ru] (おじいさんは年をとられたので赤子のようにわがままなこと<したい放題>をしておれられる) 377 0 0 348 htmvoc_377.wav アガティダ ア⸢ガティダ [ʔa⸢gatida] 名 強力な太陽の直射光線。強烈な太陽光線。「赤太陽」の義。ア⸢ガ[ʔa⸢ga](赤い、真っ赤な)は強意の接頭語。 ア⸢ガティダサーリ⸣ パ⸢タキシグ⸣トゥ ⸢スンティ アー⸣キ フカイティ ⸢デー⸣ジ ⸢スンティ アーク⸣タ⸢ドー⸣スカーヤ [ʔa⸢gatidasaːri⸣ pa⸢takiʃigu⸣tu ⸢sunti ʔaː⸣ki ɸu̥kaiti ⸢deː⸣ʤi ⸢sunti ʔaːku⸣ta⸢doː⸣sukaːja] (炎天下で畑仕事をしようとしていて、熱射病になりかけて<体熱が上昇して>大変なことになるところだったってばよ) 379 0 0 349 htmvoc_379.wav アカトゥビ ア⸢カ⸣トゥビ [ʔa⸢ka⸣tubi] 名 (植)樹木の名。オオバギ。 ア⸢カトゥビ⸣ヌ ⸢パー⸣シ シ⸢ビ ヌシ⸣トゥカー シ⸢ビコー⸣ルンティ⸢ダー [ʔa⸢katubi⸣nu ⸢paː⸣ʃi ʃi⸢bi nuʃi̥⸣tukaː ʃi⸢bikoː⸣runti⸢daː] (オオバギの葉で尻を拭くと便秘になるってよ) 380 0 0 350 htmvoc_380.wav アカトゥル ア⸢カ⸣トゥル [ʔa⸢ka⸣turu] 名 船の中の淦(あか)を汲み取る道具。淦取り。淦汲み。⸢ユー⸣トゥル[⸢juː⸣turu](淦取り)ともいう。 ア⸢カ⸣トゥルシ ⸣イダフニヌ ⸣アカ ⸣トゥリ [ʔa⸢ka⸣turuʃi ⸣ʔidaɸuninu ⸣ʔaka ⸣turi] (淦取りでサバニの<板舟>の淦を取れ<汲め>) 381 0 0 351 htmvoc_381.wav アカナー ア⸢カナー [ʔa⸢kanaː] 名 (動)魚の名。和名、バラフエダイ。⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)あたりで一本釣りをすると、体長60~70センチメートルのものが釣れた。この魚も痩せたもの食すると食中毒を起こすこともあった。 ア⸢カナーン ヨーガリムヌ⸣ナー ⸣バスプソー ⸢ビー⸣ル ⸣ムヌン ブ⸢リブタ [ʔa⸢kanaːŋ joːgarimunu⸣naː ⸣basupu̥soː ⸢biː⸣ru ⸣munum bu⸢ributa] (アカナーも痩せたものには、時には食中毒を起こすものもいた<おりおった>) 382 0 0 352 htmvoc_382.wav アガナーサキ ア⸢ガナーサキ [ʔa⸢ganaːsaki] 名 海底地名。鳩間島の東南方、タ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)の干瀬沿いに北へ延びる、ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](澪の上)と呼ばれる水深約50メートルの澪がある。その側に⸢ウール[⸢ʔuːru](枝珊瑚)に被われた浅瀬で、魚がよく釣れるところをいう。 ア⸢ガナーサキ⸣ナーン ⸣ユー ⸣アン ウ⸢ラ⸣ソーッタン [ʔa⸢ganaːsaki⸣naːŋ ⸣juː ⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣soːttaŋ] (アガナーサキでも、よく追い込み漁をされた<網を降ろされた>) 383 0 0 353 htmvoc_383.wav アガニーバル ア⸢ガ⸣ニーバル [ʔa⸢ga⸣niːbaru] 名 (動)魚の名。和名、アカハタ(体長約25センチ{EOS}鮮やかな橙色に丸く小さな褐色の斑点が頭部に付いており、腹部から尾びれにかけて白い斑点が付いている)。磯釣りでも釣れる。魚肉は白色で、味は淡白。蒲鉾の素材となる。和名、ニジハタ(体長約20センチ)。和名、アザハタ(体長約25センチ)にもいう。 ア⸢ガ⸣ニーバロー イ⸢ル⸣イル ブ⸢リブンドゥ⸣ ユ⸢ヌナー⸣ル シ⸢キラ⸣リ ⸢ブー⸣ クティンクティンヌ ⸢ナーヤ ナー⸣ヌ [ʔa⸢ga⸣niːbaroː ʔi⸢ru⸣iru bu⸢ribundu⸣ ju⸢nunaː⸣ru ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢buː ⸣ kutiŋkutinnu ⸢naːja naː⸣nu] (アカハタは、色々いるが、同じ名が付けられている{EOS}別々<異異の>の名前はない) 384 0 0 354 htmvoc_384.wav アガニチ ア⸢ガニチ [ʔa⸢ganiʧi] 名 風疹(ふうしん)。「赤熱」の義。 ア⸢ガニチヌ⸣ パ⸢ヤー⸣リティル ヤ⸢ラ⸣ビンケン ムー⸢ル⸣ ア⸢ガニチバ⸣ カ⸢カ⸣リ ソ⸢ーバ シーベー⸠ツォー [ʔa⸢ganiʧinu⸣ pa⸢jaː⸣ritiru ja⸢ra⸣biŋkem muː⸢ru⸣ ʔa⸢ganiʧiba⸣ kḁ⸢ka⸣ri ⸢soːba ʃiːbeː⸠ʦoː] (風疹が流行って子供たちみんな風疹にかかって心配をしているんですよ) 386 0 0 355 htmvoc_386.wav アガヌーヌ ア⸢ガヌーヌ [ʔa⸢ganuːnu] 名 赤い布。赤色だけの布。「赤布」の義。 ア⸢ガヌーヌバ カイ⸣キー ⸢トーカキ⸣ヌ  ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣マク ス⸢ク⸣リ⸢ツォー [ʔa⸢ganuːnuba kai⸣kiː ⸢toːkaki⸣nu ⸢joi⸣nu ⸣maku su̥⸢ku⸣ri⸢ʦoː] (赤い布を買ってきて米寿の祝いの幕を作れよ) 385 0 0 356 htmvoc_385.wav アガヌール ア⸢ガヌール [ʔa⸢ganuːru] 名 朱塗り。「赤塗り」の義。 ア⸢ガジブコー⸣ ア⸢ガヌールバ⸣ カ⸢サビカサビ ヌーリティ⸣ ピ⸢カラ⸣シ シケー [ʔa⸢gadʒibukoː⸣ ʔa⸢ganuːruba⸣ kḁ⸢sabikasabi nuːriti⸣ pi̥⸢kara⸣ʃi ʃi̥keː] (赤重箱は、赤色<赤漆>を重ね重ねに塗って\ruby{艶}{ツヤ}を出してある<光らしてある>)。 ア⸢ガヌール⸣ ッ⸢ふァースン [ʔa⸢ganuːru⸣ f⸢faːsuŋ] (朱塗りをする<朱塗りを食らわす>) 387 0 0 357 htmvoc_387.wav アカバー ア⸢カバー [ʔa⸢kabaː] 名 膿痂疹性湿疹。頭部の湿疹が黄色か皮膿汁を伴う細菌性感染にある状態。小児に多い(『医学沖縄語辞典』)。皮膚病の一種。頭から顔にかけて赤くただれ、化膿してかさぶた状になる皮膚病で、なかなか完治しにくい。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢カバー⸣ ン⸢ジッふァ⸣ヌ ブ⸢リブタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン⸢ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢kabaː⸣ ʔn⸢ʤiffa⸣nu bu⸢ributanu⸣ ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣ban⸢naː] (昔は膿か疹性湿疹を患った子供がいたが<居りおった>が今は見られないわいねえ)。 ア⸢カバースブル [ʔa⸢kabaːsuburu] (膿か疹性湿疹の皮膚病がある頭)。 ア⸢カバー⸣ カクン [ʔa⸢kabaː⸣ kakuŋ] (膿か疹性湿疹の皮膚病を患う) 388 0 0 358 htmvoc_388.wav アガパー ア⸢ガパー [ʔa⸢gapaː] 名 赤い歯茎。歯が抜けて、歯茎だけで歯の代用をなしているもの。 ⸢パー⸣ユン イ⸢ラムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢ガパー タン⸣ガシ ム⸢ヌ⸣バ ッ⸢ふァイベー⸠ツォー [⸢paː⸣juŋ ʔi⸢ramuti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢gapaː taŋ⸣gaʃi mu⸢nu⸣ba f⸢faibeː⸠ʦoː] (歯をも入れないで、ただ赤歯<歯茎>だけでものを食べているんだよ) 389 0 0 359 htmvoc_389.wav アカバカ ア⸢カバカ [ʔa⸢kabaka] 名 おおばか(大馬鹿)。全くのふ<耄>れ者。石垣方言からの借用語。普通はア⸢ガプリムヌ[ʔa⸢gapurimunu](大馬鹿)という。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢マームニティ⸣ ス⸢ク⸣カー ⸢ワー⸣ メー ア⸢ガバカ⸣<プ⸢リムヌ⸣>ヨー [⸣ʔaibu ku⸢tu⸣ba ⸢maːmuniti⸣ su⸢ku⸣kaː ⸢waː⸣ meː ʔa⸢gabaka⸣joː] (あんなことを本当<真の言葉>と聞くのならば、君はおおばかだよ) 390 0 0 360 htmvoc_390.wav アガパギ ア⸢ガパギ [ʔa⸢gapagi] 名 赤はげ。赤く擦りむいてあること。 ク⸢ルビティ パン⸣マー ア⸢ガパギ シー⸣ シケー [ku⸢rubiti pam⸣maː ʔa⸢gapagi ʃiː⸣ ʃi̥keː] (転んで足は赤く擦りむいてある<赤はげしてある>) 393 0 0 361 htmvoc_393.wav アガバサ ア⸢ガバサ [ʔa⸢gabasa] 名 (植)小笠原種の芭蕉。「赤芭蕉」の義。地上茎の縁が赤いのでその名があるという。台湾種の⸢アウバサ[⸢ʔaubasa](青芭蕉)の対。 ア⸢ガバサ トー⸣シキー バ⸢サ⸣ムトゥ ⸢シッ⸣キティ ⸢マッ⸣ふァ ス⸢ク⸣リ シ⸢ミティ⸣ ニチ サ⸢マ⸣シバ [ʔa⸢gabasa toː⸣ʃikiː ba⸢sa⸣mutu ⸢ʃik⸣kiti ⸢maf⸣fa su̥⸢ku⸣ri ʃi⸢miti⸣ niʧi sa⸢ma⸣ʃi] (芭蕉を切り倒してきて幹を叩いて枕に作ってさせて<枕にさせ>熱を冷まさせなさいよ) 391 0 0 362 htmvoc_391.wav アガパジ ア⸢ガパジ [ʔa⸢gapaʤi] 名 赤恥。 プ⸢スヌ⸣ マン⸢タ⸣ナー ア⸢ガパジバ⸣ カ⸢カサ⸣リ イ⸢ナムヌ⸠ツォー [pu̥⸢sunu⸣ man⸢ta⸣naː ʔa⸢gapadʒiba⸣ kḁ⸢kasa⸣ri ʔi⸢namunu⸠ʦoː] (他人の前で恥をかかされて残念なんですよ) 392 0 0 363 htmvoc_392.wav アガパジン ア⸢ガパジン [ʔa⸢gapaʤiŋ] 名 昆虫。蜂の一種。茅の中に巣食っている赤い小さな蜂。⸣ガーパジン[⸣gaːpaʤiŋ](茅蜂)ともいう。 ア⸢ガパジン⸣ ッ⸢サリ⸣タンティン ⸢ナン⸣ゾー ヤ⸢マン⸣シェン [ʔa⸢gapaʤin⸣ s⸢sari⸣tantin ⸢nan⸣ʣoː ja⸢maŋ⸣ʃeŋ] (赤蜂に刺されても、あまり痛くなかった) 394 0 1 364 htmvoc_394.wav アカバタ ア⸢カバタ [ʔa⸢kabata] 名 (動)魚の名。{Mn_1}和名、アマクチビ。体長約70センチ。白身魚の最高級魚。 394 0 2 365 htmvoc_394.wav アカバタ ア⸢カバタ [ʔa⸢kabata] 名 {Mn_2}和名、タマメイチ(体長約50センチ)。 394 0 3 366 htmvoc_394.wav アカバタ ア⸢カバタ [ʔa⸢kabata] 名 {Mn_3}和名、ナガメイチ(体長50センチ)。 394 0 4 367 htmvoc_394.wav アカバタ ア⸢カバタ [ʔa⸢kabata] 名 {Mn_4}和名、タマメイチ(体長約50センチ)にもいう。⸢クー⸣シビー[⸢kuːʃi⸣biː](島の西側の干瀬)の⸢ピーヌ⸣クシ[piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外海)で、タ⸢ティ⸣ナー[tḁ⸢ti⸣naː](一本釣り<立て縄>)をして釣った 395 0 0 368 htmvoc_395.wav アガパタ ア⸢ガパタ [ʔa⸢gapata] 名 大漁旗の一種。幅約30センチ、長さ約2メートルの真っ赤に染めた旗。カツオの漁獲高が200~300斤ほどある時に、漁船はこの旗を立てて寄港した。 カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢ガパタ⸣ タティティ ⸢カイ⸣リ ⸣ケーン [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢gapata⸣ tḁti ti ⸢kai⸣ri ⸣keːŋ] (カツオ漁船は赤旗を立てて帰っててきた) 396 0 0 369 htmvoc_396.wav アガパダカ ア⸢ガパダカ [ʔa⸢gapadaka] 名 赤裸。丸裸。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ア⸢ガパダカ⸣ナリティ フカンター ン⸢ジ⸣ルンティ ⸢シーベー [ja⸢rabi⸣nu ʔa⸢gapadaka⸣nariti ɸu̥kaː ʔn⸢dʒi⸣runti ⸢ʃiːbeː] (子供が赤裸になって外へ出て行こうとしている) 397 0 0 370 htmvoc_397.wav アカハチ ア⸢カハチ [ʔa⸢kahaʧi] 名 人名。歴史上実在した大浜の豪族。1500年、首里王府に謀反したことで征討されたという。 ア⸢カハチェー⸣ ウ⸢ヤ⸣キアカハチティ ⸢シー⸣ パ⸢ティルマナー⸣ル マ⸢ローッ⸣タティ ア⸢ザリブー [ʔa⸢kahaʧeː⸣ ʔu⸢ja⸣kiʔakahaʧiti ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢tirumanaː⸣ru ma⸢roːt⸣tati ʔa⸢ʣaribuː] (アカハチは、ウヤキアカハチと言って波照間島に生まれたといわれている) 398 0 0 371 htmvoc_398.wav アガパナ ⸣アガパナ [⸣ʔagapana] 名 赤い花。赤花。仏桑華。 ⸣アガパナ、⸢キールパナ、ッ⸢ス⸣パナ、イ⸢ル⸣ジナ パ⸢ナ⸣ヌ サキ⸢ベー⸣ン [⸣ʔagapana ⸢kiːrupana s⸢su⸣pana ʔi⸢ru⸣ʤina pa⸢na⸣nu saki⸢beː⸣ŋ] (赤い花、黄色い花、白い花といろいろな花が咲いている)。 ⸣アガパナー ⸢ヤシキ⸣ウチナー イ⸢バンシェン [⸣ʔagapanaː ⸢jaʃi̥ki⸣ʔuʧinaː ʔi⸢baŋʃeŋ] (仏桑華は屋敷内には植えなかった) 399 0 0 372 htmvoc_399.wav アガパナ ア⸢ガパナ [ʔa⸢gapana] 名 赤い鼻。赤鼻。赤鼻の人。 ⸣アガパジン パ⸢ナ⸣ ッ⸢サ⸣リティ ア⸢ガパナ⸣ ナリ ⸢ベー [⸣ʔagapaʤim pa⸢na⸣ s⸢sa⸣riti ʔa⸢gapana⸣ nari ⸢beː] (赤い蜂<茅蜂>に鼻を刺されて赤鼻になっている) 400 0 0 373 htmvoc_400.wav アカバニカマサー ア⸢カバニカマサー [ʔa⸢kabanikamasaː] 名  (動)魚の名。和名、オオメカマス(体長約50センチ)の細長い魚。 パ⸢ニビキ⸣シン ア⸢カバニカマサー ホー⸣ソーッタン [pa⸢nibiki⸣ʃiŋ ʔa⸢kabanikamasaː hoː⸣soːttaŋ] (引縄釣でもオオメカマスを釣りあげられた) 401 0 0 374 htmvoc_401.wav アカバニブラ ア⸢カバニブラ [ʔa⸢kabanibura] 名 (動)魚の名。和名、フウライボラ(体長約60センチ{EOS}灰色がかった銀色の体色を有する)。別名、⸢キンバニ[kimbani]。群れを成して海岸に寄る。西表島の北岸一帯で、投網で漁獲した。肉質が柔らかく、あまり美味ではない。塩漬けにして保存食にした 404 0 0 375 htmvoc_404.wav アガパンタリ ア⸢ガパンタリ [ʔa⸢gapantari] 名 丸々と肥えていること。接頭語ア⸢ガ[ʔa⸢ga](真っ赤な{EOS}真の)は、程度の甚だしいさまを表す。 ⸢ワー ヌー⸣バ ッ⸢ふァイティ⸣ アイニ ア⸢ガパンタリ シーベー⸣ワ [⸢waː nuː⸣ba f⸢faiti⸣ ʔaini ʔa⸢gapantari ʃiːbeː⸣wa] (君は何を食べてそのように丸々と肥えているのか) 91 0 0 376 htmvoc_91.wav アガピーカー ア⸢ガピーカー [ʔa⸢gapiːkaː] 名 (動)魚の名。和名、ヒメアイゴ、マジリアイゴ、サンゴアイゴ、の総称。 イ⸢ツォン⸣プソー ア⸢ガピーカーヨ⸣ ア⸢ケー⸣ティン ア⸢ゾー⸣ルン⸢ダー [ʔi⸢ʦom⸣pu̥soː ʔa⸢gapiːkaːjoː⸣ ʔa⸢keː⸣tiŋ ʔa⸢ʣoː⸣run⸢daː] (糸満の人はアガピーカーをアケーともいわれるよ)。シ⸢ナカキ⸣ヤー漁でもよく漁獲されたし、⸣ティル[⸣tiru](漁獲用笊)漁でもよく漁獲された。ヒメアイゴの背びれには毒針があるので、刺されないように気を配って漁獲した。魚肉は引き締まって美味である 406 0 0 377 htmvoc_406.wav アガピール ア⸢ガピール [ʔa⸢gapiːru] 名 真昼間。昼日中。 ⸣マナール ア⸢ガピーローラ⸣ サ⸢キバ⸣ ヌム プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラー(⸢ブーワ) [⸣manaːru ʔa⸢gapiːroːra⸣ sḁ⸢kiba⸣ numu pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raː(⸢buːwa)] (何処に真昼間から酒を飲む人がいるものか)。 ア⸢ガピーローラ⸣ サ⸢キバ⸣ ヌメーティ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [ʔa⸢gapiːroːra⸣ sḁ⸢kiba⸣ numeːti ⸣nuːja ʔu⸢reː] (真っ昼間から酒を飲んで何事だねえ、これは) 92 0 0 378 htmvoc_92.wav アガピキ ア⸢ガピキ [ʔa⸢gapiki] 名 (動)魚の名。和名、レモンスズメ。スズメダイ科の仲間。枝珊瑚の中に棲息している。観賞用の熱帯魚。食用に適さない。ノコギリダイを釣る時に集まってきて、よく餌を横取りする。 ア⸢ガピケー サッ⸣コー ⸢ムン⸣ダニ ッ⸢ふン [ʔa⸢gapikeː sak⸣koː ⸢mun⸣dani f⸢fuŋ] (アガピキは、よく餌を横取りして食う) 411 0 0 379 htmvoc_411.wav アガピタ ア⸢ガピタ [ʔa⸢gapita] 名 全くの下手。へたくそ。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミリバン⸣ ア⸢ガピタ⸠ツォー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢miribaŋ⸣ ʔa⸢gapita⸠ʦoː] (その子は何をさせても全くの下手くそなんだよ<断定、確認>) 407 1 0 380 htmvoc_407.wav アガピッチン ア⸢ガピッチン [ʔa⸢gapitʧiŋ] 名 {PoS_1}たった一つ。 ⸢バン⸣マー ア⸢ガピッチンマーンツァン フィーラヌ [⸢bam⸣maː ʔa⸢gapitʧimmaːnʦaŋ fiːranu] (私にはたった一つすらくれない)。 407 2 0 381 htmvoc_407.wav アガピッチン ア⸢ガピッチン [ʔa⸢gapitʧiŋ] 副 {PoS_2}ちっとも。少しも。全く。文末の打ち消し表現と呼応して陳述副詞として用いられる。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸣クトー ⸣ビーティ ア⸢ガピッチン⸣ ウブイ ブ⸢ラーヌ [ju⸢bi⸣nu ⸣ku̥toː ⸣biːti ʔa⸢gapitʧiŋ⸣ ʔubui bu⸢raːnu] (昨夜のことは、酔っ払っていて、少しも覚えていない) 408 0 0 382 htmvoc_408.wav アガピニ ア⸢ガピニ [ʔa⸢gapini] 名 赤髭。赤い髭。赤髭の人。漁師が日焼けすると鬚は赤くなった。 ⸣カナー ア⸢ガピニ モーシプス⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸣kanaː ʔa⸢gapini moːʃipu̥su⸣nu ⸢ʔoːru⸣ŋ] (あそこに赤い髭を生やした人がいらっしゃる) 410 0 0 383 htmvoc_410.wav アガピンソー ア⸢ガピンソー [ʔa⸢gapinsoː] 名 赤貧。極貧。非常に貧しい状態。 ⸢クン⸣ネーヤ ム⸢カ⸣シェー ア⸢ガピンソー⸣ タ⸢タ⸣キ ア⸢ワ⸣リ ⸢ソー⸣レーティル マ⸢ナ⸣マー ⸢セイコー ソー⸣レーティ⸢ダー [⸢kun⸣neːja mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢gapinsoː⸣ tḁ⸢ta⸣ki ʔa⸢wa⸣ri ⸢soː⸣reːtiru ma⸢na⸣maː ⸢ʃeikoː soː⸣reːti ⸢daː] (この家は、昔は極貧にあえいで苦労をなされたので、今は成功されたそうだよ) 413 0 0 384 htmvoc_413.wav アガブー ア⸢ガブー [ʔa⸢gabuː] 名 赤い紐(紐)。「赤緒」の義。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ア⸢チ⸣ツァナー <アシツァナー> ア⸢ガブー⸣ シ⸢キ⸣リバ [ku⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffanu ʔa⸢ʧi⸣ʦanaː ʔa⸢gabuː⸣ ʃi̥⸢ki⸣riba] (この女の子の下駄には赤い緒をつけなさいよ) 414 0 0 385 htmvoc_414.wav アガフキ ア⸢ガフキ [ʔa⸢gaɸu̥ki] 名 植物の赤い芽。 ⸢ナーン⸣パー ア⸢ガフキヌ⸣ ンジキー ン⸢マーン⸣ギサワ ⸠ナー [⸢naːm⸣paː ʔa⸢gaɸu̥kinu⸣ ʔnʤikiː ʔm⸢maːŋ⸣gisawa ⸠naː] (菜っ葉は、赤い新芽が出てきて美味しそうだねえ) 415 0 0 386 htmvoc_415.wav アカブザ ⸣アカブザ [⸣ʔakabuʣa] 名 百姓。農民。平民。⸣アカ[⸣ʔaka]は強意の接頭語。 ム⸢カ⸣シェーラ ⸣アカブザヌ シ⸢グトー マイ⸣ ス⸢クリ⸣ル ⸣ムトゥ ヤ⸢ローッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeːra⸣ʔakabuʣanu ʃi⸢gutoː mai⸣ su̥⸢kuri⸣ru ⸣mutu ja⸢roːt⸣ta] (昔から百姓の仕事は稲作が中心<基本>であられた) 416 0 0 387 htmvoc_416.wav アカブザマイ ⸣アカブザマイ [⸣ʔakabuʣamai] 名 (植)稲の品種名。 ⸢ホーライマイ⸣トゥ ⸣アカブザマイトー ⸢ヌー⸣ル ン⸢マーッ⸣タカヤー [⸢hoːraimai⸣tu ⸣ʔakabuʣamaitoː ⸢nuː⸣ru ʔm⸢maːt⸣takajaː] (蓬莱米とアカブザ米とでは何が美味しかったかなあ) 409 0 0 388 htmvoc_409.wav アガプスマ ア⸢ガプスマ [ʔa⸢gapusuma] 名 真昼間。正午。かんかんと照りつける正午。⸢マープスマ[⸢maːpusuma](真昼間)ともいう。 ティ⸢ダ⸣ヌ ア⸢ガプスマ⸣ ナルンケン ⸢バー⸣ケー パ⸢タ⸣キ ⸢カイサバ⸣ル ⸣ティマー ⸢イーラ⸣リ [ti⸢da⸣nu ʔa⸢gapu̥suma⸣ naruŋkem ⸢baː⸣keː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kaisaba⸣ru ⸣timaː ⸢ʔiːra⸣ri] (太陽が真昼間になるまでは畑を耕してはじめて<耕せばぞ>手間賃はもらえる) 418 0 0 389 htmvoc_418.wav アガフダ ア⸢ガフダ [ʔa⸢gaɸuda] 名 赤札。召集令状。納税の督促状。 ア⸢ガフダヌ キー⸣ル ⸢ピー⸣タイ ⸢サンガリ⸣ パレール [ʔa⸢gaɸudanu kiː⸣ru ⸢piː⸣tai ⸢saŋgari⸣ pareːru] (赤札<召集令状>がきて、それで兵隊に引っ張られていったのだ)。 ⸢ゾー⸣ノー パ⸢ライマー⸣キ ⸢ベーン⸣ケンマー ア⸢ガフダヌ⸣ キー⸢ナー⸣ヌ [⸢ʣoː⸣noː pa⸢raimaː⸣ki ⸢beːŋ⸣kemmaː ʔa⸢gaɸudanu⸣ kiː⸢naː⸣nu] (税金を納めかねて<払いかねて>いるうちに赤札<差し押さえ状>が来てしまった) 419 0 0 390 htmvoc_419.wav アガフビ ア⸢ガフビ [ʔa⸢gaɸubi] 名 赤襟。フ⸢ビ[ɸu⸢bi]は⸢首」の転訛したもので、着物の襟の意。古典舞踊の衣装などで赤い襟をつけるコスチュームは宮廷舞踊、儀式舞踊を表している。日常の着物には赤襟はつけなかった。 ク⸢ヌ⸣ キンナー ア⸢ガフビ⸣ シ⸢キリバ⸣ル ⸢カイ⸣ヤヨー [ku⸢nu⸣ kinnaː ʔa⸢gaɸubi⸣ ʃi̥⸢kiriba⸣ru ⸢kai⸣jajoː] (この着物には赤襟を付けたほうが綺麗だよ) 420 0 0 391 htmvoc_420.wav アガプリムヌ ア⸢ガプリムヌ [ʔa⸢gapurimunu] 名 おお馬鹿もの。大たわけ。全くの気違い。プ⸢リムヌ[pu⸢rimunu](「狂れ者」の義{EOS}馬鹿者)に強意の接頭語ア⸢ガ[ʔa⸢ga](全くの{EOS}真の)が上接したもの。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー ワー フン⸣トー ア⸢ガプリムヌ ユン⸣シェー [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː waː ɸun⸣toː ʔa⸢gapurimunu juŋ⸣ʃeː] (あんなことをし出かして、君は本当に大馬鹿者だよ) 421 0 0 392 htmvoc_421.wav アガベール ア⸢ガベー⸣ル [ʔa⸢gabeː⸣ru] 感 いやだ。全く嫌だ。あかんべ。拒絶する時の卑語。⸢ベー⸣ル[⸢beː⸣ru](嫌だ)に強意の接頭語ア⸢ガ[ʔa⸢ga]の付いた形。 ア⸢ガベー⸣ルヒャー バー ⸢クン⸣ネーヤ イッ⸢カ⸣ナシ パ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢gabeː⸣ruçaː baː ⸢kun⸣neːja ʔik⸢kana⸣ʃi pa⸢ra⸣nu] (絶対に聞くものか、私はこの家には決して<いっかな>行かない) 422 0 0 393 htmvoc_422.wav アガボーダ ア⸢ガボーダ [ʔa⸢gaboːda] 名 (動)魚の名。和名、キツネブダイの仲間。 ア⸢ガボーダー パン⸣タリティ ナ⸢マ⸣シ キ⸢サ⸣バン ⸣スー バ⸢カサバン⸣ イ⸢カムス⸣ク ン⸢マー⸣ワ ⸢ツォー [ʔa⸢gaboːdaː pan⸣tariti na⸢ma⸣ʃi ki̥⸢sa⸣ban suː ba⸢kasabaŋ ʔi⸢kamusu⸣ku ʔm⸢maː⸣wa⸢ʦoː] (アガボーダは肥えていて、刺身にしてもお汁に炊いてもどんなに<いか程>美味しいことか) 423 0 0 394 htmvoc_423.wav アガマイ ア⸢ガマイ [ʔa⸢gamai] 名 (植)稲の品種名。赤米。ダ⸢ネー⸣ママイ[da⸢neː⸣mamai]ともいう。 ア⸢ガマイヤ⸣ イ⸢ル⸣ヌ ア⸢ガー ベー⸣ティル ⸣アイニ ⸢ナー⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢ブー⸣ツォー [ʔa⸢gamaija⸣ ʔi⸢ru⸣nu ʔa⸢gaː beː⸣tiru ⸣ʔaini ⸢naː⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢buː⸣ʦoːː] (赤米は色が赤いので、そのように名前が付けられているそうだ) 424 0 0 395 htmvoc_424.wav アガマイヌイー ア⸢ガマイヌ⸣ イー [ʔa⸢gamainu⸣ ʔiː] 連 赤米の御飯。赤米の飯。 ア⸢ガマイヌ イー⸣ヤ ⸣アバー ピ⸢キティ⸣ ン⸢マー⸣タン [ʔa⸢gamainu ʔiː⸣ja ⸣ʔabaː pi̥⸢kiti⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (赤米の御飯は油が出て<油を引いて>美味しかった) 438 0 0 396 htmvoc_438.wav アガマスン ア⸢ガマスン [ʔa⸢gamasuŋ] 他動 赤くする。 ⸣アブジェー ⸣ミーラ ⸢ピー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンケン ⸣シラー ア⸢ガマシティ クン⸣ゾー ⸣ンジ ⸢オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ⸣miːra ⸢piː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋkeŋ ⸣ʃiraː ʔa⸢gamaʃi̥ti kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤi ⸢ʔoː⸣ru] (おじいさんは目から火が出るほど顔は赤らませて怒って<根性をだして>おられる)。赤らめる。 サ⸢キ⸣ ヌ⸢マ⸣シティ ⸣シラー ア⸢ガマシ⸣ シケー [sḁ⸢ki⸣ nu⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣ʃiraː ʔa⸢gamaʃi⸣ ʃi̥keː] (酒を飲ませて顔を赤らめさせてある) 439 0 0 397 htmvoc_439.wav アカマター ⸣アカマター [⸣ʔakamataː] 名 古見村、小浜島、新城島、宮良村などで篤く信仰されている来訪神の名。毎年の豊年祭に出現して豊穣を予祝し、人々を寿いで帰る神。古見村では、このほかにクロマター、シロマターの二神が出現する。この祭祀は篤い信仰にもとずく秘密結社によって厳かに執行されている。 ⸢クン⸣ヌ ⸢プール⸣ナー ⸣アカマター ⸣クロマタ ⸣シロマターヌ ⸢カン⸣ヌ ヤ⸢マー⸣ラ ⸣ウリ ⸢オー⸣ルン [⸢kun⸣nu ⸢puːru⸣naː ⸣ʔakamataː ⸣kuromataː ⸣ʃiromataːnu ⸢kan⸣nu ja⸢maː⸣ra ⸣ʔuri ⸢ʔoː⸣ruŋ] (古見村の豊年祭には赤マター、黒マター、白マターの神が山から下りて来られる) 440 0 0 398 htmvoc_440.wav アカマチ ア⸢カマチ [ʔa⸢kamaʧi] 名 (動)魚の名。和名、ハマダイ(体長約1メートル)。白身魚の最高級魚。 ア⸢カマチェー⸣ タ⸢ティ⸣ナーシル ⸢クー⸣シビーヌ ⸢ピーヌ⸣クシナーティ ⸢ホー⸣ソーッタ [ʔa⸢kamaʧeː⸣ tḁ⸢ti⸣naːʃiru ⸢kuː⸣ʃibiːnu ⸢piːnu⸣kuʃinaːti ⸢hoː⸣soːtta] (アカマチは一本釣り<立て縄釣り>で、クーシビー干瀬の外海で釣られた) 441 0 0 399 htmvoc_441.wav アガマミ ア⸢ガマミ [ʔa⸢gamami] 名 (植)和名、アズキ(小豆)。「赤豆」の義。餡の原料、味噌の原料としてたくさん作付けされた。 ア⸢ガマミヌ⸣ イー バ⸢カスン [ʔa⸢gamaminu⸣ ʔiː ba⸢kasuŋ] (アズキご飯を炊く) 442 0 0 400 htmvoc_442.wav アガマミヌアン ア⸢ガマミヌ⸣ アン [ʔa⸢gamaminu⸣ ʔaŋ] 連 アズキの餡。 ア⸢ガマミヌ アンバ⸣ ム⸢チヌ⸣ バタ イ⸢リ⸣ シケーンダ ン⸢マー⸣ン  [ʔa⸢gamaminu ʔam⸣ba mu⸢ʧinu⸣ bata ʔi⸢ri⸣ ʃi̥keːnda ʔm⸢maː⸣ŋ] (小豆の餡を餅の腸<餡>に入れてあるので美味しい) 443 0 0 401 htmvoc_443.wav アガマミヌイー ア⸢ガマミヌ⸣イー [ʔa⸢gamaminu⸣ʔiː] 名 赤飯。「赤豆のご飯」の義。小豆と糯米を混ぜて炊いたご飯。食紅が出る以前は、小豆ご飯を赤飯といった。小豆を一晩<約15時間>水に浸けておいて、米と一緒に炊いた。赤褐色の小豆の色は奥行きのある色と味を演出し、糯米の粘性と小豆のさらさらした味が調和して美味であるが、子供はあまり好まなかった。 ア⸢ガマミヌイー⸣ヤ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ふァーンシェン [ʔa⸢gamaminuʔiː⸣ja ja⸢ra⸣beː ⸢nan⸣ʣoː f⸢faːŋʃeŋ] (小豆ご飯<赤飯>は、子供はあまり食べなかった) 444 0 0 402 htmvoc_444.wav アガマラー ⸣アガマラー [⸣ʔagamaraː] 名 (動)黄牛。黄褐色の毛を持つ牛。⸣アガマラーウシ[⸣ʔagamaraːʔusi](黄牛)ともいう。豊年の瑞兆とされ、古謡などに歌われる。「アカマワリ(赤味を帯びる)・ヤー(もの)」の転か。 ⸢ウン⸣ネナー ⸣アガマラーウシヌ プ⸢スッ⸣カラ ブ⸢タン⸠ダー [⸢ʔun⸣nenaː ⸣ʔagamaraːʔuʃinu pu̥⸢suk⸣kara bu⸢tan⸠daː] (その家には黄牛が一頭<一匹>いたよ) 445 0 0 403 htmvoc_445.wav アガマラーウシ ⸣アガマラーウシ [⸣ʔagamaraːʔuʃi] 名 黄牛。黄褐色の毛を持つ牛。 ⸣アガマラーウシェー サ⸢ニンガーリ⸣ムヌ ⸢ヤッタ⸣ユー ⸢ミッ⸣タニ ミ⸢ララン⸣シェン [⸣ʔagamaraːʔuʃeː sa⸢niŋgaːri⸣munu ⸢jatta⸣juː ⸢mit⸣tani mi⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (黄牛は突然変異<種変わり>によるものなのか、めったに見られなかった) 446 0 0 404 htmvoc_446.wav アガミー ア⸢ガミー [ʔa⸢gamiː] 名 疲れや病気などで結膜が充血して赤くなった目。眼球が刺激によって赤くなること(『医学沖縄語辞典』)。 ⸣アガヤー ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ティーシ ⸢ミー⸣バ ⸣ッシティル ア⸢ガミー⸣ ナシ ⸣シケーバン [⸣ʔagajaː ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ tiːʃi ⸢miː⸣ba ⸣ʃʃitiru ʔa⸢gamiː⸣ naʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (あらまあ、この子は、手で目をこすって<ぞ>充血させ<赤目になし>てあるわいな) 447 0 0 405 htmvoc_447.wav アガミー ア⸢ガミー [ʔa⸢gamiː] 名 赤身。肉の脂身を除いた赤い部分。若年層は、ア⸢ガニク[ʔa⸢ganiku](赤肉)ともいう。 ⸢オー⸣ヌ ⸣ニコー(⸢シー⸣シェー) ア⸢ガミーラ カイ⸣クーバ [⸢ʔoː⸣nu nikoː(⸢ʃiː⸣ʃeː) ʔa⸢gamiːra kai⸣kuːba] (豚の肉<「肉 之之」シシ{EOS}肌膚之肉也『和名抄』>は赤身の部分<赤肉>から選んで買ってきなさいよ) 448 0 0 406 htmvoc_448.wav アガミース ア⸢ガミース [ʔa⸢gamiːsu] 名 赤味噌。赤褐色に仕上げた味噌。原料として大豆や麦、小豆などの雑穀を用いる。米だけで作った⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)の上味噌に対して、中味噌、下味噌に属する。 ⸢スー⸣ヌ ア⸢ジェー⸣ ア⸢ガミース⸣シ シ⸢キバ⸣ル ン⸢マー [⸢suː⸣nu ʔa⸢ʤeː⸣ ʔa⸢gamiːsu⸣ʃi ʃi̥⸢kiba⸣ru ʔm⸢maː] (お汁の味は赤味噌でつけたほうがおいしい) 449 0 0 407 htmvoc_449.wav アガミツァ ア⸢ガミツァ [ʔa⸢gamiʦa] 名 赤い粘土。赤土。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢ガミツァ⸣ タリティ ウ⸢リ⸣シ ガ⸢マ⸣ジ ア⸢ラウタ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢gamiʦa⸣ tariti ʔu⸢ri⸣ʃi ga⸢ma⸣ʤi ʔa⸢rau⸣ta] (昔は赤い粘土を溶かして、それで髪を洗った)。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢ガミツァバ⸣ タリティ ウ⸢リ⸣シル ガ⸢マ⸣ジェー ア⸢ラシトーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢gamiʦaba⸣ tariti ʔu⸢ri⸣ʃiru ga⸢ma⸣ʤeː ʔa⸢raʃi̥toːt⸣ta] (昔は赤粘土を溶かして、それで髪を洗われたった) 450 0 0 408 htmvoc_450.wav アガミツァジー ア⸢ガミツァジー [ʔa⸢gamiʦaʤiː] 名 赤い粘土質の土地。赤粘土。 ⸣クマー ア⸢ガミツァジー⸣ ヤ⸢ルンダ ウン⸣マー ス⸢クララ⸣ヌ [⸣kumaː ʔa⸢gamiʦaʤiː⸣ ja⸢runda ʔum⸣maː su̥⸢kurara⸣nu] (ここは赤粘土質の土地だからイモは作られない)。 ⸣クマー ア⸢ガミツァジー ヤ⸢ルンダ シン⸣ザ カー⸢ニル⸣ ス⸢クラ⸣リ [⸣kumaː ʔa⸢gamiʦadʒiː jarunda ʃin⸣ʣa ka⸢niru⸣ su̥⸢kura⸣ri] (ここは赤粘土の土地だからサトウキビしか作れない<~だけが作られる>) 425 0 0 409 htmvoc_425.wav アガミルン ア⸢ガミ⸣ルン [ʔa⸢gami⸣ruŋ] 自動 敬う。尊敬する。崇める。ア⸢ガ⸣ムン[ʔa⸢ga⸣muŋ](崇める)のラ行四段化したもの。 プ⸢ス⸣ ア⸢ガミ⸣ルンティ ッ⸢サヌ [pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gami⸣runti s⸢sanu] (他人を崇めよう<敬おう>としない<知らない>)。 ムッ⸢トゥ⸣ プ⸢ス⸣ ア⸢ガミラ⸣ヌ [mut⸢tu⸣ pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gamira⸣nu] (ちっとも他人を崇め<敬わ>ない)。 プ⸢ス⸣ ア⸢ガミ⸣ル ⸣クトゥ [pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gami⸣ru ⸣ku̥tu] (他人を崇める<敬う>こと)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gami⸣reː ⸣misamunu] (もっと崇めれば<敬えば>良いのに)。 ア⸢ガミ⸣リバ [ʔa⸢gami⸣riba] (崇め<敬え>よ)。 ⸣ウヤパープジ ア⸢ガミ⸣ルン [⸣ʔujapaːpuʤi ʔa⸢gami⸣ruŋ] (先祖を崇める)。 イッ⸢ケナ⸣ トゥ⸢ク⸣ヌ ア⸢ロー⸣レーティル ムー⸢ルン⸣ ア⸢ガミラ⸣リ ⸢オー⸣ル [ʔik⸢kena⸣ tu̥⸢ku⸣nu ʔa⸢roː⸣reːtiru muː⸢ruŋ⸣ ʔa⸢gamira⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (たいそう徳があられたので、みんなに崇められておられる)。 プ⸢ス⸣ ア⸢ガミ⸣ル ⸣クトゥ [pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gami⸣ru ⸣ku̥tu] (他人を崇めること)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gami⸣reː ⸣misamunu] (もっと崇めれば良いのに)。 ア⸢ガミ⸣リ [ʔa⸢gami⸣ri] (崇めろ) 453 0 0 410 htmvoc_453.wav アガムージ ア⸢ガムージ [ʔa⸢gamuːʤi] 名 (植)里芋の一種。ア⸢ガムージェー⸣ ッ⸢ふァーリン⸣カヤー。マ⸢ダ⸣ ッ⸢ふァイミラン⸣サー[ʔa⸢gamuːdʒeː⸣ f⸢faːriŋ⸣kajaː。ma⸢da⸣ f⸢faimiran⸣saː](アガムージは食べられるかな{EOS}まだ食べたことない<食べてみない>さ) 454 0 0 411 htmvoc_454.wav アガムチ ア⸢ガムチ [ʔa⸢gamuʧi] 名 赤餅。糯米を一晩水に浸け、桶の上で水をかけながら石臼で挽き、その溶液をメリケン袋に入れて一晩水切りをすると真っ白なデンプンが残る。これに食紅を混ぜて揉み、捏ね、拳の大きさに成形してム⸢チカグ[mu⸢ʧikagu](餅籠{EOS}蒸籠)に入れて蒸し上げる。蒸しあがった餅は、メリケン粉か、米粉を広げた⸢ソー⸣キ[⸢soː⸣ki](箕)に取り移して粉をまぶし、成形して仕上げる。その際に餡を入れて餡餅にする。 ⸣ヨイナー ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ガムチ⸣ ス⸢ク⸣ローッタン [⸣joinaː jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢gamuʧi⸣ su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (お祝いには必ず赤餅を作られた) 455 0 0 412 htmvoc_455.wav アガムチ ア⸢ガムチ [ʔa⸢gamuʧi] 名 (動)魚の名。和名、ロクセンフエダイ(体長約25センチ)。 ア⸢ガムチン⸣ アミツァバ ⸢ムン⸣ダニ ⸢スー⸣カー ⸢ホーサリ⸣タン [ʔa⸢gamuʧiŋ⸣ ʔamiʦaba ⸢mun⸣dani ⸢suː⸣kaː ⸢hoːsari⸣taŋ] (クロセンフエダイもヤドカリ<アミツァ{EOS}やどかり{EOS}寄居虫>を餌にすると釣れた) 426 0 0 413 htmvoc_426.wav アガムノーマ ア⸢ガムノー⸣マ [ʔa⸢gamunoː⸣ma] 名 火の隠語。「火」を⸣ピー[⸣piː]と直接に表現することは「火事」を連想するのでタブーとされ、忌み嫌って⸢赤い、小さなもの」と婉曲に表現した。パ⸢マウリソー⸣ジ[pa⸢maʔurisoː⸣ʤi](浜下り精進)の前夜、村役人が各家を回り、裏声を使って「火の用心」を触れ回った。 ッ⸢サレー [s⸢sareː] (申し上げごと)。村人は、この滑稽な声色のメッセージを神の声と信じ、竈の前の火の用心に心がけた。それでも、可笑しな声色を堪えるのに苦労した。ッ⸢サレーが門口より立ち去った後、家族の婦女子らはどっと噴き出して、その良し悪しを評価しあったものである 427 0 0 414 htmvoc_427.wav アガムン ア⸢ガムン [ʔa⸢gamuŋ] 自動 赤くなる。赤みがつく。赤らむ。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣シラー ア⸢ガムン [ja⸢ra⸣beː ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣ʃiraː ʔa⸢gamuŋ] (子供は発熱すると<熱が出ると>顔が赤くなる)。 ア⸢ガミ ベー [ʔa⸢gami beː] (赤らんでいる)。 ノー⸢ン⸣ ア⸢ガマヌ [noː⸢ŋ⸣ ʔa⸢gamanu] (何にも赤くならない)。 ⸣バー ⸢トゥイスクタール⸣ シラー ア⸢ガミティ⸣ バ⸢カ⸣ヤンギサシ ⸢ピントー シーベー [⸣baː ⸢tuisu̥kutaːru⸣ ʃiraː ʔa⸢gamiti⸣ ba⸢ka⸣jaŋgisaʃi ⸢pintoː ʃiːbeː] (私がたずねたらば<問い聞くと>、顔を赤らめて恥ずかしそうにして答えて<返答して>いる)。 サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸣シラー ア⸢ガムンドゥ ワー⸣ ア⸢ガマンバン⸠ナー [sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸣ʃiraː ʔa⸢gamundu waː⸣ ʔa⸢gamamban⸠naː] (酒を飲むと顔が赤らむが、君は赤らまないね)。 シ⸢ラ⸣ヌ ア⸢ガム⸣ プ⸢スン ブン [ʃi⸢ra⸣nu ʔa⸢gamu⸣ pu̥⸢sum buŋ] (顔が赤らむ人もいる)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gameː⸣ misamunu] (もっと赤らめばいいのに)。 ⸣シラー ア⸢ガミティ クン⸣ゾー ンジ ⸢オー⸣ル [⸣ʃiraː ʔa⸢gamiti kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤi ⸢ʔoː⸣ru] (顔は赤くして怒っておられる) 428 0 0 415 htmvoc_428.wav アガムン ア⸢ガ⸣ムン [ʔa⸢ga⸣muŋ] 他動 敬う。崇める。尊いものとして敬う。「奉・寵、アガム」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢カンヌ⸣マイ ア⸢ガ⸣ムン [⸢kannu⸣mai ʔa⸢ga⸣muŋ] (神様を崇める)。 ⸢カンヌ⸣マイ ア⸢ガマン⸣カー ノー⸢ン セイコー サヌ [⸢kannu⸣mai ʔa⸢gamaŋ⸣kaː noː⸢ŋ ʃeikoː sanu] (神様を崇めないと何事も成功しない)。 ア⸢ガ⸣ミ ⸣ミサカー ⸢バン⸣ヌン ア⸢ガ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ga⸣mi ⸣misakaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢ga⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (崇めて良ければ私も崇めることができる)。 ア⸢ガ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ga⸣meː ⸣misamunu] (崇めれば良いのに)。 ア⸢ガ⸣ミバ [ʔa⸢ga⸣miba] (崇めよ)。 イッ⸢ケナ⸣ ウヤパープジ ア⸢ガ⸣ムン [ʔik⸢kena⸣ ʔujapaːpuʤi ʔa⸢ga⸣muŋ] (非常に先祖を崇める)。 ⸣ドゥク ⸣アイニ プ⸢スヨー⸣ ア⸢ガム⸣ナ⸢ツォー [⸣duku ʔaini pu̥⸢sujoː⸣ ʔa⸢gamu⸣na⸢ʦoː] (あんまり、そのように人を崇めるなってば)。 ⸢カンヌ⸣マイ ア⸢ガ⸣ミ ⸣ミサカー ア⸢ガ⸣ムクトー ⸣ナルン [⸢kannu⸣mai ʔa⸢ga⸣mi ⸣misakaː ʔa⸢ga⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (神様を崇めて良ければ崇めることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ga⸣meː ⸣misamunu] (もっと崇めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ガ⸣ミバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ga⸣miba] (早く崇めよ) 848 0 0 416 htmvoc_848.wav アガヤ アガ⸢ヤ [ʔaga⸢ja] 感 仕舞った!!ああ残念。失敗、失望、意外など、半ば自棄気味で言う時に発する言葉。 アガ⸢ヤー⸣ アン⸢デー⸣カ ウ⸢レー ワー シー [ʔaga⸢jaː⸣ ʔan⸢deː⸣ka ʔu⸢reː waː ⸢ʃiː] (ああ残念{EOS}それなら、それは君がやれ) 457 0 0 417 htmvoc_457.wav アガヤー アガ⸢ヤー [ʔaga⸢jaː] 感 ああしまった。ああ残念。ああ惜しい。ああ気の毒だ。しくじった時に発する語。強調する際は、アガヤ⸢ヘー[ʔagaja⸢heː](ああしまった{EOS!}至極残念)という。 アガ⸢ヤー⸣ フネー キ⸢サ⸣ ンジパリ ⸢ナーン⸣バンヨー [ʔaga⸢jaː⸣ ɸuneː ki̥⸢sa⸣ ʔnʤiipari ⸢naːm⸣baŋjoː] (ああ残念、船はとっくに出発して<出て行って>しまったよ)。 ⸣アガヤー ⸢ヌー⸣シター ウ⸢レー [⸣ʔagajaː ⸢nuːʃi̥⸣taː ʔu⸢reː] (ああ気の毒に、どうしたのだ{EOS}それは) 1057 0 1 418 htmvoc_1057.wav アガヤー ⸣アガヤー [⸣ʔagajaː] 感 {Mn_1}ああ。あれっ。まあ。 ⸣アガヤー ⸢ヌーシ⸣ター クレー [⸣ʔagajaː ⸢nuːʃi⸣taː kureː] (ああ、いったいどうしたのか、これは)。 1057 0 2 419 htmvoc_1057.wav アガヤー ⸣アガヤー [⸣ʔagajaː] 感 {Mn_2}ああ残念。ああ惜しい。 アガ⸢ヤー⸣ マーン⸢ベーマ⸣ ヤ⸢ルヌ⸠ナー [ʔaga⸢jaː⸣ maːʔm⸢beːma⸣ ja⸢runu⸠naː] (ああ残念、もう少しだがなあ) 458 0 0 420 htmvoc_458.wav アガヤーアガヤシ ア⸢ガヤーアガヤ⸣シ [ʔa⸢gajaːʔagaja⸣ʃi] 副 ああああと。悲嘆に暮れるさま。ああ、ああと悲痛な声を出して嘆くさま。 ⸢ウン⸣ネヌ アボー ッ⸢ふァバ⸣ シ⸢ナシティ ピントゥルピン⸣ ア⸢ガヤーアガヤ⸣シル ⸢オー⸣ル [⸢ʔun⸣nenu ʔaboː f⸢faba⸣ ʃi⸢naʃiti pinturupiŋ⸣ ʔa⸢gajaːʔagaja⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru] (その家のお母さんは、子供を失って<死なせて>毎日<日と言う日>悲嘆に暮れて、ああああと嘆き悲しんでおられる) 459 0 0 421 htmvoc_459.wav アガヤヘー アガヤ⸢ヘー [ʔagaja⸢heː] 感 ああしまった!ああ残念だ!何と惜しいことよ。しくじった時に発する語。 アガヤ⸢ヘー⸣ マー ン⸢ベーマ⸣ パ⸢ヤー⸣タカ⸢ナー⸣ フネー マ⸢ニヤイ⸣シタ ⸣ムヌ [ʔagaja⸢heː⸣ maː ʔm⸢beːma⸣ pa⸢jaː⸣taka⸢naː⸣ ɸuneː ma⸢nijai⸣ʃi̥ta ⸣munu] (ああ残念だ{EOS!}もう少し早かったらなあ、船には間に合ったのに) 460 0 0 422 htmvoc_460.wav アガヤラビ ア⸢ガヤラビ [ʔa⸢gajarabi] 名 全くの子供。全くの未熟者。 ⸣カイブ ⸣クトゥンツァン ッ⸢サヌ⸣ ア⸢ガヤラビル⸣ ヤ⸢ルタシキン⸣ドゥ ユ⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣ローリ [⸣kaibu ⸣ku̥tunʦan s⸢sanu⸣ ʔa⸢gajarabiru⸣ ja⸢rutaʃi̥kin⸣du ju⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣roːri] (このようなことさえも知らない全くの子供ですので、お許しください<賜れ>) 463 0 0 423 htmvoc_463.wav アガユクシ ア⸢ガユクシ [ʔa⸢gajukuʃi] 名 真っ赤な嘘。全くの嘘。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢ガユクシ⸣ ウ⸢レー⸣ シゥ⸢カラヌ [⸢waː⸣ muneː ʔa⸢gajukuʃi⸣ ʔu⸢reː⸣ si̥⸢karanu] (君の話<言葉>は真っ赤な嘘だ{EOS}それは聞けない<聞かれない>) 461 0 0 424 htmvoc_461.wav アガヨー ア⸢ガヨー [ʔa⸢gajoː] 感 ああ痛い。アガ⸢ユー[ʔaga⸢juː](ああ痛い)ともいう。ア⸢ガー[ʔa⸢gaː](痛い{EOS!})参照。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢カイ⸣リティ ス⸢ブシバ⸣ バ⸢リ⸣ ア⸢ガヨーアガヨー⸣シ ナ⸢キ ベー [ja⸢ra⸣beː ⸢kai⸣riti su⸢buʃiba⸣ ba⸢ri⸣ ʔa⸢gajoːʔagajoː⸣ʃi na⸢ki beː] (子供は転んで膝を強打して<割って>痛い痛いと泣いている) 462 0 0 425 htmvoc_462.wav アガヨームイサン ア⸢ガヨームイ⸣サン [ʔa⸢gajoːmui⸣saŋ] 形 痛がりである。 ア⸢ガヨームイ⸣サ(ン) プ⸢ソー⸣ ン⸢メーマ⸣ ヤ⸢ム⸣バン ア⸢ガヨー⸣ティ ナ⸢キス [ʔa⸢gajoːmui⸣sa(m) pu̥⸢soː⸣ ʔm⸢meːma⸣ ja⸢mu⸣baŋ ʔa⸢gajoː⸣ti na⸢kisu] (痛がり屋はちょっと痛くても、アイターといって泣く) 464 0 0 426 htmvoc_464.wav アカラー ア⸢カ⸣ラー [ʔa⸢ka⸣raː] 名 親から離されたばかりの子豚。 イ⸢サナケー⸣ラ ア⸢カ⸣ラー フ⸢タッカラ カイ⸣キー シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ベー [ʔi⸢sanakeː⸣ra ʔa⸢ka⸣raː ɸu̥⸢takkara kai⸣kiː si̥⸢ka⸣nai ⸢beː] (石垣から子豚を二頭<二匹>買ってきて飼っている) 466 0 0 427 htmvoc_466.wav アガラパタラ ア⸢ガラパタラ [ʔa⸢garapatara] 副 光り輝くさま。明るいさま。\ruby{耿耿}{コウ|コウ}と。松明がパチパチ音をたてて燃え輝くさま。ABCDEC型の重言。 ⸢タイ⸣ヌ ⸢ピー⸣バ ア⸢ガラパタラ⸣シ ⸢モーシェー⸣ティ イ⸢ソー ソーッ⸣タ [⸢tai⸣nu ⸢piː⸣ba ʔa⸢garapatara⸣ʃi ⸢moːʃeː⸣ti ʔi⸢soː soːt⸣ta] (松明の火をあかあかと灯して漁りをなさった) 471 0 0 428 htmvoc_471.wav アガリサガリ ア⸢ガリサガ⸣リ [ʔa⸢garisaga⸣ri] 名 上がり下がり。 ム⸢ヌ⸣ヌ ダ⸢イヤ⸣ ア⸢ガリサガリ⸣ヌ ⸣アルユンダ ⸢ヤッ⸣サ ⸣ピンナ ⸢カウバル⸣ トゥク [mu⸢nu⸣nu ⸢daija⸣ ʔa⸢garisagari⸣nu ⸣ʔarujunda ⸢jas⸣sa ⸣pinnaː ⸢kaubaru⸣ tu̥ku] (ものの値段は上がり下がりがあるから安い時に買った方が得だ) 475 0 0 429 htmvoc_475.wav アガリザトゥ ア⸢ガリ⸣ザトゥ [ʔa⸢gari⸣ʣatu] 名 (地)東里。竹富島にある集落の名。 タ⸢キ⸣ドゥンナール ア⸢ガリ⸣ザトゥムラ ナ⸢カ⸣スジムラティ アルティ⸢ダー [tḁ⸢ki⸣dunnaːru ʔa⸢gari⸣ʣatumura na⸢ka⸣suʤimurati ʔaruti⸢daː] (竹富島に東里村、仲筋村とあるそうだよ) 478 0 1 430 htmvoc_478.wav アカリルン ア⸢カリ⸣ルン [ʔa⸢kari⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}離れる。別れる。子豚が乳離れする。「分、アカル」『類聚名義抄』の転訛したものか。沖縄古語「あかれる」『混効験集』。 ⸢オー⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ フ⸢ドゥブ⸣カー ア⸢カリルン⸣ドゥ ク⸢レー⸣ マ⸢ダ⸣ ア⸢カリラ⸣ヌ [⸢ʔoː⸣nu f⸢faː⸣ ɸu⸢dubu⸣kaː ʔa⸢karirun⸣du ku⸢reː⸣ ma⸢da⸣ ʔa⸢karira⸣nu] (子豚は成長すると乳離れするが、これはまだ乳離れしない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ヤム⸣トーラ ア⸢カサ⸣リ ⸢パッ⸣タツォー [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢jamu⸣toːra ʔa⸢kasa⸣ri ⸢pat⸣taʦoː] (子供は親元から引き離されていったそうだ)。 478 0 2 431 htmvoc_478.wav アカリルン ア⸢カリ⸣ルン [ʔa⸢kari⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}剥がれる。 ⸣イツァー シ⸢ビシキ⸣ シケータンティン ミ⸢ジ⸣ナ ⸢ゾッふァス⸣カー ア⸢カリ⸣ルン [⸣ʔiʦaː ʃi⸢biʃi̥ki⸣ ʃi̥keːtantim mi⸢dʒi⸣na ⸢ʣoffasu⸣kaː ʔa⸢kari⸣ruŋ] (板は貼り付けてあっても水に濡らすと剥がれる) 468 0 0 432 htmvoc_468.wav アカル ア⸢カル [ʔakaru] 名 明かり。灯火。 ア⸢カル⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢karu⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (灯火を灯しなさい)。 ア⸢カルン⸣ シ⸢キラ⸣ムティ ⸢ヤーン⸣ナカー ⸣ピーリボール ⸢シー⸣ ス⸢ク⸣ナ [ʔa⸢karuŋ⸣ ʃi̥⸢kira⸣muti ⸢jaːn⸣nakaː ⸣piːriboːru ⸢ʃiː⸣ su̥⸢ku⸣na] (灯火も点けないで、家の中を人気がなく、冷え冷えとさせておくな) 469 0 0 433 htmvoc_469.wav アカル ア⸢カル [ʔa⸢karu] 名 障子。老年層の使用語彙。明治生まれ以外の人は、ほとんど使用しない。 ア⸢カル⸣ シミティ ⸢トゥー⸣ル シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢karu⸣ʃimiti ⸢tuː⸣ru ʃi̥⸢ki⸣ri] (障子を閉めて灯火<灯篭>を灯しなさい)。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢ソージバ⸣ ア⸢カルティ⸣ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢soːʤiba⸣ ʔa⸢karuti⸣ ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は障子をアカルと言われたよ) 480 0 1 434 htmvoc_480.wav アガルン ア⸢ガルン [ʔa⸢garuŋ] 自動 {Mn_1}上がる。上昇する。上方に向かう。「~ひばり安我里<アガリ> 情<こころ>悲しも~。万、4291」の転訛したもの。 ⸢オシキヌ⸣ ヤ⸢ブ⸣ルカー ム⸢ヌ⸣ヌ ダ⸢イヤー⸣ ア⸢ガルン [⸢ʔoʃi̥kinu⸣ ja⸢bu⸣rukaː mu⸢nu⸣nu ⸢daijaː⸣ ʔa⸢garuŋ] (天気が崩れると<破れると>ものの値段は上がる)。 ア⸢ガルティダル⸣ ウ⸢ガ⸣ム ⸢イールティダー⸣ ウ⸢ガマ⸣ヌ [ʔa⸢garutidaru⸣ ʔu⸢ga⸣mu ⸢ʔiːrutidaː⸣ ʔu⸢gama⸣nu] (昇る太陽を拝む{EOS}西日<落日>は拝まない<諺>)。 480 0 2 435 htmvoc_480.wav アガルン ア⸢ガルン [ʔa⸢garuŋ] 自動 {Mn_2}漁期が終了する。 パ⸢チング⸣チ ⸣ナルカー カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢ガルン [pḁ⸢ʧiŋgu⸣ʧi ⸣narukaː kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢garuŋ] (八月になったらカツオ漁は終了する) 481 0 0 436 htmvoc_481.wav アガローザ ア⸢ガロー⸣ザ [ʔa⸢garoː⸣ʣa] 名 歌謡の名。アガローザ節の節名。語源は「東里(あがりざと)」の義という説がある『石垣方言辞典』。ア⸢ザテー[ʔa⸢ʣateː](東里家)、イ⸢ザ⸣テー[ʔi⸢ʣa⸣teː](西花家<「西里家」の義>)参照。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢タンカーヨイ ソー⸣ル ⸣ピンマー ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ガロー⸣ザ イ⸢ゾーッ⸣タン [ja⸢rabi⸣nu ⸢taŋkaːjoi soː⸣ru ⸣pimmaː jaː⸢din⸣ ʔa⸢garoː⸣ʣa ʔi⸢ʣoːt⸣taŋ] (子供の誕生祝いをされる時は必ずアガローザ節を歌われた) 572 0 0 437 htmvoc_572.wav アガロールン ア⸢ガロー⸣ルン [ʔa⸢garoː⸣ruŋ] 自動 登られる。上がられる。ア⸢ガルン[ʔa⸢garuŋ](上がる)の尊敬語。 ⸢オー⸣リ ッ⸢ふォー⸣リ フ⸢コーラサ⸣ユー ⸢ト⸣ー⸢ト⸣ー ウ⸢チンター⸣ ア⸢ガロー⸣リ [⸢ʔoː⸣ri f⸢foː⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸣juː ⸢to⸣ː⸢to⸣ː ʔu⸢ʧintaː⸣ ʔa⸢garoː⸣ri] (おいでくださって有難うございます{EOS}さあさあ座敷へ<内の方へ>お上がりください<上がりおはれ>) 847 0 0 438 htmvoc_847.wav アカンキ ア⸢カンキ [ʔa⸢kaŋki] 名 赤木。和名、アカギ。高さ25メートルにも達する高木だが、建築用材には使用されない。豚の飼葉桶(⸢トー⸣ニ{SqBr}⸢toː⸣ni{/SqBr})を作るのに利用された。実は直径1~1.2センチで褐色の球形。お盆の供え物(ム⸢ルムル{SqBr}mu⸢rumuru{/SqBr})にさして先祖の供養に用いる。 ア⸢カンキーヌ⸣ ナル ⸣ブリキー ム⸢ルムルヌ シン⸣ザナ ⸣ッシ カ⸢ザリ⸣バ [ʔa⸢kaŋkiːnu⸣ naru ⸣burikiː mu⸢rumurunu ʃin⸣ʣana ⸣ʃʃi ka⸢ʣari⸣ba] (赤木の実をもいできて、ムルムルの砂糖きびに差して供えなさいよ) 488 0 0 439 htmvoc_488.wav アカンキー ア⸢カンキー [ʔa⸢kaŋkiː] 名 (植)赤木。赤木の幹を刳り抜いて⸢トー⸣ニ[⸢toː⸣ni](田舟{EOS}水田の地均しに用いた農具)を作ったり、豚の飼い葉おけを作ったりした。 ア⸢カンキーヌ⸣ ナロー ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムル⸣ナー イ⸢ローッ⸣タン [ʔa⸢kaŋkiːnu⸣ naroː ⸢soːran⸣nu mu⸢rumuru⸣naː ʔi⸢roːt⸣taŋ] (赤木の実はお盆のムルムルに入れられた) 483 0 0 440 htmvoc_483.wav アガンタールン ア⸢ガンタールン [ʔa⸢gantaːruŋ] 自動 赤くなる。赤らむ。赤む。赤みを帯びる。 ア⸢シ⸣ボー ア⸢ガンターリティ ウー⸣ミ ブ⸢リン⸣ギサバン [ʔa⸢ʃi⸣boː ʔa⸢gantaːriti ʔuː⸣mi bu⸢riŋ⸣gisabaŋ] (おでき<あせも>は赤らんで化膿しているらしい)。 ウ⸢ビ⸣ナー ア⸢ガンタールン⸣ケン ⸣イサン ミ⸢シラン⸣ シケーバン [ʔu⸢bi⸣naː ʔa⸢gantaːruŋ⸣keŋ ⸣ʔisam mi⸢ʃiraŋ⸣ʃi̥keːbaŋ] (これほど赤らむまで医者に診せないでおいてあるよ)。 ア⸢ガンターラヌ [ʔa⸢gantaːranu] (赤らまない)。 ⸣ドゥク ア⸢ガンタール⸣ ムノー シ⸢ティリ [⸣duku ʔa⸢gantaːru⸣ munoː ʃi̥⸢tiri] (余り赤らむものは捨てなさい) 489 0 0 441 htmvoc_489.wav アカンマーブシ ⸣アカンマーブシ [⸣ʔakammaːbuʃi] 名 歌謡名。赤馬節。単に⸣アカンマー[⸣ʔakammaː]ともいう。首里王府に献上された名馬の赤馬を讃えた節歌で、石垣島では宴席の座開きの歌として演奏される目出度い歌謡。 ⸣アカンマーブシバ ピ⸢キティ⸣ カルイ シ⸢キ⸣リバ [⸣ʔakammaːbuʃiba pi̥⸢kiti⸣ karui ʃi̥⸢ki⸣riba] (赤馬節を弾いて嘉例吉の縁起をつけなさい) 493 0 1 442 htmvoc_493.wav アキ ⸣アキ [⸣ʔaki] 名 {Mn_1}秋。 ア⸢キ⸣ヌ ⸣シチ [ʔa⸢ki⸣nu ⸣ʃi̥ʧi] (秋季、秋の季節)。 493 0 2 443 htmvoc_493.wav アキ ⸣アキ [⸣ʔaki] 名 {Mn_2}稲の収穫。収穫期。 ス⸢クリムヌ⸣ヌ ⸣アキーン ウ⸢チナ⸣ソーリ ウ⸢ミナーク ソー⸣レーン [su̥⸢kurimunu⸣nu ⸣ʔakiːŋ ʔu⸢ʧina⸣soːri ʔu⸢minaːku soː⸣reːŋ] (稲<作り物、作物>の収穫<秋>もすまされ、安心なされた) 494 0 0 444 htmvoc_494.wav アキ ⸣アキ [⸣ʔaki] 名 (動)魚の名。和名、クロカジキ(体長約3メートル)。終戦後まで鳩間島の突船は尖閣諸島の魚場へ行き、カジキを突いて漁獲していた 495 0 0 445 htmvoc_495.wav アキ ア⸢キ [ʔa⸢ki] 名 空き間。空席。 ヤ⸢ク⸣バナー ア⸢キヌ⸣ アンティバ ⸢ワー⸣ シケン ⸣ウキ ミ⸢ラン⸣ノーレー [ja⸢ku⸣banaː ʔa⸢kinu⸣ ʔantiba ⸢waː⸣ ʃikeŋ ⸣ʔuki mi⸢ran⸣noːreː] (役場に空席があるそうだから、君は試験を受けてみないか) 490 0 0 446 htmvoc_490.wav アギ ア⸢ギ [ʔa⸢gi] 名 丘。陸。海に対していう。 ア⸢ギヌ⸣ シ⸢グトゥル ワー⸣ ノー⸢ン⸣シタンテイン マ⸢シ⸣ヨー [ʔa⸢ginu⸣ ʃi⸢guturu waː⸣ no⸢ŋ⸣ʃi̥tantim ma⸢ʃi⸣joː] (陸上の仕事の方が、君、何と言っても良い<ましだ>よ) 492 0 0 447 htmvoc_492.wav アギアバ ア⸢ギアバ [ʔa⸢giaba] 名 揚げ油。揚げ物用の油。菜種油と豚の脂が主に使用された。 ⸢オー⸣ヌ ッ⸢ス⸣アバー ⸣ナビナ ⸣タリティル ⸢ティン⸣プラー ヤ⸢クタル [⸢ʔoː⸣nu s⸢su⸣ʔaba ⸣nabina ⸣taritiru ⸢tim⸣puraː ja⸢kutaru] (豚の白い脂を鍋に溶かしてテンプラを揚げた<焼いた>よ) 516 0 0 448 htmvoc_516.wav アギウラシ ア⸢ギウラ⸣シ [ʔa⸢giura⸣ʃi] 名 上げ下ろし。積み下ろし。 ⸢カイナ⸣ヌ ヤミティ ⸢ティー⸣ヌ ア⸢ギウラ⸣シンツァン ⸢シーユーサヌ [⸢kaina⸣nu jamiti ⸢tiː⸣nu ʔa⸢giura⸣ʃinʦaŋ ⸢ʃiːjuːsanu] (肩や腕が痛くて、手の上げ下ろしすら出来ない)。 フ⸢ニ⸣ヌ シ⸢キ⸣ルカー ⸢ニー⸣ヌ ア⸢ギウラシヌンドゥ⸣ ク⸢チ⸣サ ⸢ツォー [ɸu⸢ni⸣nu ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢niː⸣nu ʔa⸢giuraʃindu⸣ ku̥⸢ʧi⸣sa⸢ʦoː] (船が着いたら荷物の積み下ろし<揚げ降ろし>が苦しいんですよ)。 ⸣イダフニヌ ア⸢ギウラ⸣シェー ⸢タンガ⸣シン ⸣ナルン [⸣ʔidaɸuninu ʔa⸢giʔura⸣ʃeː ⸢taŋga⸣ʃin naruŋ] (板舟<サバニ>の陸揚げや海への降ろし<進水>は一人でも出来る) 497 0 0 449 htmvoc_497.wav アギカウ ア⸢ギカウ [ʔa⸢gikau] 名 供えの香。「上げ香」の義。⸢アギ[ʔa⸢gi]は、「Ague,ru,eta.アゲ、グル、ゲタ(上げ、ぐる、げた)~身分の高い人にさし上げる、奉る。」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。仏前に供えたウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](打ち紙{EOS}紙銭)を焼く際に、長男家の分、分家からの分、嫁いだ娘達からの分のように順次線香を焚き、フ⸢チカザル[ɸu̥⸢ʧikaʣaru](口で唱える)をして焼き上げる。紙銭などの案内のために焚く香。 ア⸢ギカウ⸣ シキ ⸣タティティ ウ⸢ティン⸣ガビ ⸣アビ ⸢オーシ⸣バ [ʔa⸢gikau⸣ ʃi̥ki ⸣tḁtiti ʔu⸢tiŋ⸣gabi ⸣ʔabi ⸢ʔoːʃi⸣ba] (上げ香を焚いて紙銭を炙って<焼いて>差し上げなさい) 498 0 0 450 htmvoc_498.wav アキカツ ア⸢キ⸣カツ [ʔa⸢ki⸣kḁʦu] 名 秋かつお。秋に釣れるかつお。 ア⸢キ⸣カツォー トゥ⸢ビダイル ゴー⸣ラーター [ʔa⸢ki⸣kḁʦoː tu⸢bidairu goː⸣raːta] (秋カツオは超大判のカツオが多かった) 518 0 0 451 htmvoc_518.wav アギサギ ア⸢ギ⸣サギ [ʔa⸢gi⸣sagi] 名 上げ下げ。上げ下ろし。 シ⸢ダル⸣ヌ ア⸢ギ⸣サゲー ⸣アブジェー ⸢シーソーラ⸣ヌ [ʃi⸢daru⸣nu ʔa⸢gi⸣sageː ʔabudʒeː ⸢ʃiːsoːra⸣nu] (簾の上げ下げは、おじいさんは、なさることができない)。 ⸢ジンヌ⸣ ア⸢ギ⸣サギ [⸢ʤinnu⸣ ʔa⸢gi⸣sagi] (お供えのお膳の上げ下ろし<上げ下げ>) 499 0 0 452 htmvoc_499.wav アキザマルン ア⸢キザマ⸣ルン [ʔa⸢kiʣama⸣ruŋ] 自動 飽きる。飽き果てる。飽き飽きする。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢チ⸣カサル ⸣ムノーラ パ⸢ジミル⸣カー ア⸢キザマ⸣ルンダ ア⸢キザマラサン⸣ヨーニ ⸢ヤッ⸣サル ⸣ムノーラ ナ⸢ラー⸣シバ [ja⸢ra⸣beː mu⸢ʧi⸣kḁsaru ⸣munoːra pa⸢ʣimiru⸣kaː ʔa⸢kiʣama⸣runda ʔa⸢kiʣamarasaŋ⸣joːni ⸢jas⸣saru ⸣munoːra na⸢raː⸣ʃiba] (子供は難しいものから教えると飽き果てるから、飽きさせないように易しいものから教えなさいよ)。 ア⸢キザマ⸣リティ [ʔa⸢kiʣama⸣riti] (すっかり飽き果てて)。 ア⸢キザマ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kiʣama⸣ri ⸢naː⸣nu] (飽き果ててしまった)。 ア⸢キザマ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kiʣama⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (飽き果てるることはない)。 ア⸢キザマ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢kiʣama⸣reː ⸣misamunu] (飽き果てればいいのに)。 ア⸢キザマ⸣リ [ʔa⸢kiʣama⸣ri] (飽きれよ) 500 0 1 453 htmvoc_500.wav アギザミヨー ⸣アギザミヨー [⸣ʔagiʣamijoː] 感 {Mn_1}ああ、しまった!ああ、大変だ。⸣アキサミヨー[⸣ʔakisamijoː]ともいう。沖縄本島方言からの借用語。 ⸣アギザミヨー ⸢デー⸣ジ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸣ʔagiʣamijoː ⸢deː⸣ʤi ⸢ʃiː naː⸣nu] (ああ、しまった{EOS}大変なことしてしまった)。 500 0 2 454 htmvoc_500.wav アギザミヨー ⸣アギザミヨー [⸣ʔagiʣamijoː] 感 {Mn_2}ああああ(嗚呼嗚呼)。何だこれぽっち。なにくそ(何糞)!⸣アギザミヨー ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルンツァン カ⸢タマラヌー[⸣ʔagiʣamijoː ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣runʦaŋ kḁ⸢tamaranuː](何だこれぽっち、それぐらいさえも担げないのか) 519 0 0 455 htmvoc_519.wav アギジェー ア⸢ギジェー [ʔa⸢giʤeː] 感 こんちくしょう。ええ、くそ。沖縄本島糸満方言からの借用語か。明治生まれの老年層は、ア⸢ガヤー[ʔa⸢gajaː](こんちくしょう)というのが普通である。事が成就困難なときに自暴自棄的に発する言葉。 ア⸢ギジェー⸣ ヌーンティ アイニ カ⸢カラン⸣ワレー [⸣ʔagiʤeː ⸣nuːnti ⸣ʔaini ka⸢karan⸣wareː] (こんちくしょう、どうしてこんなに書けないのか) 501 0 0 456 htmvoc_501.wav アギジマー ア⸢ギジマー [ʔa⸢giʤimaː] 名 陸の人。漁師でない、陸上で働く人。特に農夫。漁の出来ない人や泳げない人を嘲っていう語。 ウ⸢レー⸣ ア⸢ギジマー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウイ⸢サヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢giʤimaː⸣ ja⸢runda⸣ ʔui⸢sanu] (彼は陸の人だから泳げない) 430 0 0 457 htmvoc_430.wav アギゾー ア⸢ギゾー [ʔa⸢giʣoː] 名 「上げゾー」の義か。包み紙のこと。「上げる」とは、祈願などが「終了」することの意である。祈願が終わるごとに供物のお初を、神の苞として別に取っておくものの意味であろう。祈願が済んで、ウ⸢ツァナ⸣ク[ʔu⸢ʦana⸣ku](団子の供物)の上の⸢カンヌ⸣ク、ム⸢リクバンの上の⸣クバンとア⸢ライパナを一つまみずつ包んでおく紙のこと。大きさは約10センチ正方形の紙である。 ア⸢ギゾーヤ⸣ トゥリ ⸣シキバ [ʔa⸢giʣoːja⸣ turi ⸣ʃi̥kiba] (包み紙は取っておきなさいよ) 963 0 0 458 htmvoc_963.wav アギソッコー ア⸢ギソッコー [ʔa⸢gisokkoː] 名 三十三年忌の法事。「上げ焼香(終わり焼香)」の義か。ウ⸢ブソッ⸣コー[ʔu⸢busok⸣koː](三十三年忌の法事、「大焼香」の義)ともいう。 ア⸢ギソッコー シー オース⸣カー ⸣カン ナ⸢ロー⸣ルン⸢トゥ⸣ツォー [ʔa⸢gisokkoː ʃiː ʔoːsu⸣kaː ⸣kan na⸢roː⸣run⸢tu⸣ʦoː] (三十三年忌の法事が終わると神様になられるそうですよ) 502 0 0 459 htmvoc_502.wav アキタロー ア⸢キ⸣タロー [ʔa⸢ki⸣taroː] 名 (動)魚の名。和名、マカジキ(体長約2、5メートル)。終戦後、尖閣列島の漁場で体長約2,5メートルの大物カジキ(ア⸢キ⸣タロー)を鳩間島のツ⸢キシェン[ʦu̥⸢kiʃeŋ](突船)が漁獲していた。イカ釣り漁の時期にイカの生餌で漁獲されることもあった。 イ⸢ガメー⸣ラ ア⸢キ⸣タロー ⸢ホー⸣ソール プ⸢スン オーッ⸣タン [ʔi⸢gameː⸣ra ʔa⸢ki⸣taroː ⸢hoː⸣soːru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (烏賊釣り漁からマカジキを釣り上げられる人もおられた) 520 0 0 460 htmvoc_520.wav アキティンクリティン ア⸢キティン⸣ ク⸢リ⸣ティン [ʔa⸢kitiŋ⸣ ku⸢ri⸣tiŋ] 連 明けても暮れても。 ア⸢キティン⸣ ク⸢リ⸣ティン ユ⸢ヌ⸣ムニ カー⸢ニル⸣ ア⸢ズ [ʔa⸢kitiŋ⸣ ku⸢ri⸣tiŋ ju⸢nu⸣muni kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣu] (明けても暮れても同じ言葉ばかりを言う) 540 0 0 461 htmvoc_540.wav アキティンクリティン ア⸢キティンクリ⸣ティン [ʔa⸢kitiŋkuri⸣tiŋ] 連 明けても暮れても。年中。 ア⸢キティンクリ⸣ティン ブ⸢ラーン⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ パ⸢ナ⸣シカー⸢ニル ソー⸣ル [ʔa⸢kitiŋkuri⸣tim bu⸢raːŋ⸣ f⸢fanu⸣ pa⸢na⸣ʃi kaː⸢niru soː⸣ru] (明けても暮れても死んだ<居ない>子供のことだけ話される) 521 0 0 462 htmvoc_521.wav アギドーフ ア⸢ギドーフ [ʔa⸢gidoːɸu] 名 揚げ豆腐。油で揚げた豆腐。厚さ約1センチに切った豆腐を油で揚げたもの。 ⸢ソッ⸣コーナー ア⸢ギドーフ⸣ シ⸢キバル⸣ ナル [⸢sok⸣koːnaː ʔa⸢gidoːɸu⸣ ʃi⸢kibaru⸣ naru] (法事<焼香>には揚げ豆腐を供えないといけない<供えたほうがよい>)。 ア⸢ギドーホー⸣ サ⸢ギティー⸣グ(サ⸢ギソー⸣キ)ナ イ⸢リティ⸣ サイ シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢gidoːhoː⸣ sa⸢gitiː⸣guna(sa⸢gisoː⸣ki) ʔi⸢riti⸣ sai si̥⸢ki⸣ri] (揚げ豆腐は下げ籠<柄の付いた籠>に入れて吊るしておきなさい)。 ア⸢ギドーホー⸣ ヨイナーン ⸢ソッ⸣コーナーン ⸣ウサイ ス⸢ク⸣ローッタン [ʔa⸢gidoːhoː⸣ joinaːn ⸢sok⸣koːnaːŋ ⸣ʔusai su⸢ku⸣roːttaŋ] (揚げ豆腐はお祝いにも法事 <焼香>にも料理<お菜>として作られた) 503 0 0 463 htmvoc_503.wav アキナイ ア⸢キ⸣ナイ [ʔa⸢ki⸣nai] 名 商い。商売。「估、商也、交易也、阿支奈不<あきなふ>」『新撰字鏡』の転訛したもの。 イ⸢ズバ⸣ カ⸢ミアキ⸣ナイ ⸢シェー⸣ティル ッ⸢ふァー⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オーッ⸣タ [ʔi⸢ʣuba⸣ ka⸢miaki⸣nai ⸢ʃeː⸣tiru f⸢faː⸣ si̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːt⸣ta] (魚を頭に載せて売り歩く商売をしながら子供を養われた<育てられた>) 505 0 0 464 htmvoc_505.wav アキナイスン ア⸢キ⸣ナイ ⸢スン [ʔa⸢ki⸣nai ⸢suŋ] 連 商売する。売買する。 ガ⸢シ⸣イズン パ⸢リタクン⸣ ムティ⸢ギー⸣ ア⸢キ⸣ナイ ⸢シー⸣ クーバ [ga⸢ʃi⸣ʔiʣum pa⸢ritakum muti⸢giː ʔa⸢ki⸣nai ⸢ʃiː⸣kuːba] (燻製の魚も日干しの張り蛸も持っていって商売してきなさい) 504 0 0 465 htmvoc_504.wav アキナイプス ア⸢キナイ⸣プス [ʔa⸢kinai⸣pu̥su] 名 商売人。商人。あきんど。 イ⸢サナキヌ⸣ ア⸢キナイ⸣プソー ヤ⸢マトゥプス⸣ル ⸢ゴー⸣ラーター [ʔi⸢sanakinu⸣ ʔa⸢kinai⸣pu̥soː ja⸢matupusu⸣ru ⸢goː⸣raːtaː] (石垣島の商人は本土の人<大和人>が多かった) 506 0 0 466 htmvoc_506.wav アキナイムヌ ア⸢キナイ⸣ムヌ [ʔa⸢kinai⸣munu] 名 商品。商いもの。 ア⸢キナイ⸣ムノー ⸢カッティニ⸣ トゥ⸢ル⸣ナ⸢ヨー [ʔa⸢kinai⸣munoː ⸢kattini⸣ tu⸢ru⸣na⸢joː] (商品は勝手に取るなよ) 522 0 0 467 htmvoc_522.wav アギナビ ア⸢ギナビ [ʔa⸢ginabi] 名 油で揚げ物をする鍋。揚げ物用の鍋。「揚げ鍋」の義。 ア⸢ギナビ⸣ナ ピー ⸣シケーラ ⸣ミー パ⸢ナス⸣ナ⸢ヨー [ʔa⸢ginabi⸣na piː ⸣ʃi̥keːra ⸣miː pa⸢nasu⸣na⸢joː] (揚げ物鍋に火をつけたら目を離すなよ) 523 0 0 468 htmvoc_523.wav アギニー ア⸢ギニー [ʔa⸢giniː] 名 陸揚げする船荷。シ⸢ミニー[ʃi⸢miniː](積み荷)の対義語。 ⸢ウンパンシン⸣ヌ ⸢ペール⸣ター ⸢サンバ⸣シェー ア⸢ギニーヌ⸣ シ⸢マリティ⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ⸢peː⸣rutaː ⸢samba⸣ʃeː ʔa⸢giniːnu⸣ ʃi⸢mariti⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (運搬船が入ったので桟橋は陸揚げした船荷が積まれて歩かれない) 507 0 0 469 htmvoc_507.wav アギヌプス ア⸢ギヌ⸣ プ⸢ス [ʔa⸢ginu⸣ pu̥⸢su] 連 おか(陸)の人。陸上で働く人。農夫。 ア⸢ギヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢ミ⸣ワザ ⸢ソーラ⸣ヌ [ʔa⸢ginu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢mi⸣waʣa ⸢soːra⸣nu] (おかの人<農夫>は海の仕事<漁業>をなさらない) 508 0 0 470 htmvoc_508.wav アキパタックン ア⸢キパタックン [ʔa⸢kipatakkuŋ] 他動 すっかり開け広げる。家の戸を開け放つ。着物の裾を開け広げる。「あけはだけ<開け>る」の義。「開、ハダクル」『運歩色葉集』の転訛したもの。 ⸣ヤドゥ ア⸢キパタックン [⸣jadu ʔa⸢kipatakkuŋ] (戸を開け放つ)。 ⸢キン⸣ヌ ッ⸢ソー⸣ ア⸢キパタッカンドー⸣シ キ⸢シ⸣バ [⸢kin⸣nu s⸢soː⸣ ʔa⸢kipatakkandoː⸣ʃi ki̥⸢ʃi⸣ba] (着物の裾は開けはだけないで着なさいよ)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キパタッキティ⸣ カ⸢ジ トゥー⸣シ [⸣jadu ʔa⸢kipatakkiti⸣ ka⸢ʤi tuː⸣ʃi] (戸を開け放って風を通せ)。 ア⸢キパタック⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢kipatakku⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (開け放つことは出来ない)。 ア⸢キパタッケー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kipatakkeː⸣ misamunu] (開け放てばいいのに)。 ア⸢キパタッキ [ʔa⸢kipatakki] (開け放て) 542 0 0 471 htmvoc_542.wav アキパタティルン ア⸢キパタティルン [ʔa⸢kipatiruŋ] 自動 すっかり飽きてしまう。まったく嫌になる。 ム⸢チン⸣ ア⸢キパティルン⸣ケン ッ⸢ふァイ ミッ⸣タン [mu⸢ʧiŋ⸣ ʔa⸢kipatiruŋ⸣keŋ f⸢fai mit⸣taŋ] (餅も飽きるほど食べてみた)。 ア⸢キパティラヌ [ʔa⸢kipatiranu] (厭き果てない)。 ア⸢キパティナー⸣ヌ [ʔa⸢kipatinaː⸣nu] (すっかり厭き果ててしまった)。 ア⸢キパティル⸣ クトゥン ⸢アッ⸣タン [ʔa⸢kipatiru⸣ ku̥tuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (厭き果てることもあった)。 ア⸢キパティレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kipatireː⸣ misamunu] (すっかり飽きてしまえばいいのに)。 ア⸢キパティリ [ʔa⸢kipatiri] (厭き果ててしまえ) 541 0 0 472 htmvoc_541.wav アキパティッサーク ア⸢キパティッサーク [ʔa⸢kipatissaːku] 名 難儀で厭き果てる仕事。 ⸢ピントゥルピン⸣ ア⸢キパティッサークン オーリティ ユーコーラ⸣ヌ [⸢pinturupiŋ⸣ ʔa⸢kipatissaːkuŋ ʔoːriti juːkoːra⸣nu] (毎日毎日、難儀で厭き果てる仕事に追いまくられて休まれない) 509 0 0 473 htmvoc_509.wav アキパティムニ ア⸢キパティムニ [ʔa⸢kipatimuni] 名 聞くに堪えないような嫌な言葉。罵詈雑言。 プ⸢スニンギンヌ⸣ アイブ ア⸢キパティムニヌバ⸣ イ⸢ザリラー <イ⸢ザリワ> [pu̥⸢suniŋginnu⸣ ʔaibu ʔa⸢kipatimuniba⸣ ʔi⸢ʣariraː ] (人間として<人間が>あのような聞くに堪えない言葉を言うことが出来るものかねえ)。 イ⸢カーラ⸣ ノー⸢ンヤラバン⸣ アイブー ア⸢キパティムネー⸣ イ⸢ズナ [ʔi⸢kaːra⸣ noː⸢ŋjarabaŋ⸣ ʔaibu ʔa⸢kipatimuneː⸣ ʔi⸢ʣuna] (幾ら何でもあのような聞くに堪えないような言葉は言うものではない<言うな>) 510 0 0 474 htmvoc_510.wav アキパティルン ア⸢キパティルン [ʔa⸢kipatiruŋ] 自動 呆れはてる。呆れる。 ⸣アイブ ムニ ス⸢ク⸣カー ター⸢ンヤルバン⸣ ア⸢キパティルン⸣ヨー [⸣ʔaibu muni su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ɲjarubaŋ⸣ ʔa⸢kipatiruɲ⸣joː] (あのような言葉を聞くと誰でも呆れ果てる<興ざめする>よ)。 ア⸢キパティラヌ [ʔa⸢kipatiranu] (呆れ果てない)。 ア⸢キパティティ⸣ ウ⸢リヌ⸣ シラー ミ⸢リ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kipatiti⸣ ʔu⸢rinu⸣ ʃiraː mi⸢ri⸣pu̥saː ⸢naː⸣nu] (呆れ返って、あいつのつら<面>は見たくない)。 ア⸢キパティル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kipatiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (呆れ果てることはない)。 ア⸢キパティルン⸣ケン ユ⸢ヌシグトゥ⸣バ ⸢シー ベー⸣タ [ʔa⸢kipatiruŋ⸣keɲ ju⸢nuʃigutu⸣ba ⸢ʃiː beː⸣ta] (厭き果てるほど同じ仕事をしていた)。 ア⸢キパティランドー⸣シ シ⸢グトゥ シー⸣ヨー [ʔa⸢kipatirandoː⸣ʃi ʃi⸢gutu ʃiː⸣joː] (厭き果てないで仕事をしなさいよ)。 ア⸢キパティル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kipatiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (厭き果てることは無い)。 ア⸢キパティレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kipatireː⸣ misamunu] (厭き果てれば良いのに)。 ア⸢キパティリ [ʔa⸢kipatiri] (厭きはてろ) 511 0 0 475 htmvoc_511.wav アキパティワザ ア⸢キパティワザ [ʔa⸢kipatiwaʣa] 名 すっかり厭きてしまう仕事。うんざりする仕事。全く嫌になる仕事。 ⸣シンピーズ ユ⸢ヌシグ⸣トゥ ⸢シー⸣ ア⸢キパティワザ⸣ダー ウ⸢レー [⸣ʃimpiːʣu ju⸢nuʃigu⸣tu ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢kipatiwaʣa⸣daː ʔu⸢reː] (毎日毎日<千日中>同じ仕事をして、全く嫌になる仕事だよ、それは) 525 0 0 476 htmvoc_525.wav アギパニ ア⸢ギパニ [ʔa⸢gipani] 名 衣服に飛び散った泥。雨の日に下駄を履いて歩くと着物の後ろや裾に泥水が飛び跳ねて付着する。その泥。「Fane.ハネ(跳ね)日本の靴<下駄>や草履から着物の後ろの方に跳ねてついた泥」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ア⸢ミ⸣フイナー ア⸢チ⸣ツァ<ア⸢シ⸣ツァ> フ⸢ミティ⸣ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣キンナー ア⸢ギパニヌ⸣ スクン⸢ダー [ʔa⸢mi⸣ɸuinaː ʔa⸢ʧi⸣ʦa <ʔa⸢ʃi⸣ʦa> ɸu⸢miti⸣ mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣kinaː ʔa⸢gipaninu⸣ su̥kun⸢daː] (雨降りに下駄を履いて道に出ると着物に泥跳ねが付くよ) 512 0 0 477 htmvoc_512.wav アキパヤーン ア⸢キパヤー⸣ン [ʔa⸢kipajaː⸣ŋ] 形 飽きっぽい。飽きやすい。「飽き早い」の義。 ア⸢キパヤー⸣ンダ シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [ʔa⸢kipajaː⸣nda ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢tisi̥ka⸣nu] (飽きっぽいから仕事も落ち着かない<定着しない>) 527 0 0 478 htmvoc_527.wav アギフー ア⸢ギフー [ʔa⸢giɸuː] 名 揚げ麩(あげふ)。石垣方言からの借用語。終戦後から食品として導入されるようになった。 ア⸢ギフーヤ ナン⸣ゾー ッ⸢ふァイミラン⸣セン [ʔa⸢giɸuːja nan⸣ʣoː f⸢faimiraŋ⸣ʃeŋ] (揚げ麩はあんまり食べたことはなかった) 526 0 0 479 htmvoc_526.wav アキフイ ア⸢キフイ [ʔa⸢kiɸui] 名 開け閉め。開閉。 ヤ⸢ドゥ⸣ヌ ア⸢キフヤ⸣ ミス⸢コーミスコー⸣シ ⸢シー⸣バ [ja⸢du⸣nu ʔa⸢kiɸuija⸣ misu⸢koːmisukoː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ba] (戸<家戸>の開け閉めは静かに<慎重に、注意して丁寧に>しなさい) 529 0 0 480 htmvoc_529.wav アギマーサリン ア⸢ギマーサリン [ʔa⸢gimaːsariŋ] 自動 \ruby{急}{セ}き立てられる。ア⸢ギマースン[ʔa⸢gimaːsuŋ](急き立てる{EOS}責め立てる)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が下接して形成された受身・可能動詞。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー ア⸢ギマーサリン⸠ダー [⸣ʔunaː ⸢beː⸣rukaː ʔa⸢gimaːsarin⸠daː] (そこにいると急き立てられるよ)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァン⸣ ア⸢ギマーサリティル⸣ ア⸢ダカ⸣ヌ ム⸢ヌ⸣バ ⸢カイヤー⸣ダ ⸢レー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faŋ⸣ ʔa⸢gimaːsaritiru⸣ ʔa⸢daka⸣nu mu⸢nu⸣ba ⸢kaijaː⸣da ⸢reː] (その子に急き立てられ、責め立てられてあんな高価な物を買ったのだよ、それは)。 ウ⸢リンマー⸣ ア⸢ギマーサラヌ [ʔu⸢rimmaː⸣ ʔa⸢gimaːsaranu] (彼には急き立てられない) 528 0 0 481 htmvoc_528.wav アギマースン ア⸢ギマースン [ʔa⸢gimaːsuŋ] 他動 急き立てる。催促して急がせる。 ⸢サッ⸣コー プ⸢ス⸣ ア⸢ギマースン [⸢sak⸣koː pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gimaːsuŋ] (非常に人を急き立てる)。 ア⸢ギマーサンドー⸣シ パ⸢ナ⸣シバ [ʔa⸢gimaːsandoː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃiba] (急き立てないで話せよ)。 ア⸢ギマーシ⸣ ミサカー ア⸢ギマース⸣ クトー ナルン⸢ダー [ʔa⸢gimaːʃi⸣ misakaː ʔa⸢gimaːsu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (急き立てて良ければ急き立てることはできるよ)。 ア⸢ギマーシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢gimaːʃeː⸣ misamunu] (急き立てれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ギマーシ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gimaːʃi] (もっと急き立てろ) 513 0 0 482 htmvoc_513.wav アキミー ア⸢キミー [ʔa⸢kimiː] 名 隙間。「空き目」の義。⸢アーキ⸣ミー[⸢ʔaːki⸣miː](隙間{EOS}物と物の間の少し開いている所{EOS}⸢空き間」の義)、⸢ピッキ⸣ミー[⸢pikki⸣miː](穴、小孔)ともいう。 ニ⸢シクビ⸣ナ ア⸢キミーヌ⸣ アリティル ウ⸢レー⸣ラ ⸢ピーリカジ⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ⸢クー⸣バン [ni⸢ʃikubi⸣na ʔa⸢kimiːnu⸣ ʔaritiru ʔu⸢reː⸣ra ⸢piːrikadʒi⸣nu ⸢peː⸣ri ⸢kuː⸣ban] (北壁に隙間があって、それから冷たい風が入ってくるんだよ) 530 0 0 483 htmvoc_530.wav アキミックヮー ア⸢キミックヮー [ʔa⸢kimikkwaː] 名 文盲。「明き盲」の義。 シ⸢マ⸣ナー ⸢ガッ⸣コー ア⸢リ⸣ブンダ ア⸢キミックヮーヤ ブ⸢ラーヌ [ʃi⸢ma⸣naː ⸢gak⸣koː ʔa⸢ri⸣bunda ʔa⸢kimikkwaːja⸣ bu⸢raːnu] (島には学校があるから文盲はいない) 531 0 0 484 htmvoc_531.wav アギムスビ ア⸢ギムスビ [ʔa⸢gimusubi] 名 手拭の結び方の名。手拭などの両端を頭の後ろから額の前に廻して結び、その両端を立てる結び方。「上げ結び」の義。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ア⸢ギムスベー シティ⸣ ブ⸢ドゥルシーベー⸣ヌドゥ ⸢サッ⸣コー ⸢カイ⸣ヤ⸢ツォー [mi⸢dumu⸣nu ʔa⸢gimusubeː ʃiti⸣ bu⸢duru ʃiːbeː⸣nudu ⸢sak⸣koː ⸢kai⸣ja⸢ʦoː] (女が上げ結びをして踊っているが、非常に美しいんだよ) 532 0 0 485 htmvoc_532.wav アギムチ ア⸢ギムチ [ʔa⸢gimuʧi] 名 餅を油で揚げたもの。「揚げ餅」の義。 ア⸢ギムチェー ピーチ⸣ナー ⸢アーラ⸣シ [ʔa⸢gimuʧeː piːʧi⸣naː ⸢ʔaːra⸣ʃi] (揚げ餅はひとつずつ配り<配分し>なさい) 514 0 0 486 htmvoc_514.wav アギムヌ ア⸢ギムヌ [ʔa⸢gimunu] 名 揚げ物。てんぷら類。 ア⸢ギムヌ⸣ナー イ⸢ズティンプラ⸣ タクティンプラ ウンティンプラ、⸣ヤサイティンプラーラ イ⸢ズヌ⸣ マ⸢ルアギン アッ⸣タン [ʔa⸢gimunu⸣naː ʔi⸢ʣutimpura⸣ tḁkutimpura ⸣ʔuntimpura ⸣jasaitimpuraːra ʔi⸢ʣunu⸣ ma⸢ruagiːŋ ʔat⸣taŋ] (揚げ物には、魚芯てんぷら、蛸芯てんぷら、芋てんぷら、野菜てんぷらから魚の丸揚げもあった)。 ア⸢ギムノー⸣ ノー⸢ンヤラバン⸣ ス⸢コーリ⸣バ [ʔa⸢gimunoː⸣ noː⸢ŋjarabaŋ su̥⸢koːri⸣ba] (揚げ物は何か<何でもいいから>準備しなさいよ) 534 0 0 487 htmvoc_534.wav アギムヌパシ ア⸢ギムヌパシ [ʔa⸢gimunupaʃi] 名 揚げ物用の箸。さいばし(菜箸)。 ア⸢ギムヌパシェー⸣ ナー⸢ナー⸣シル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ʔa⸢gimunupaʃeː⸣ naː⸢naː⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (揚げ物用の菜箸は長く造られている) 535 0 0 488 htmvoc_535.wav アキヤー ア⸢キヤー [ʔa⸢kijaː] 名 空き屋。人の住んでいない家。若年層の言葉で、石垣方言からの借用語か。老年層は、⸢ンーナヤー[⸢ʔnːnajaː](空屋)というのが普通である。 イ⸢サンケー ヒッコス⸣ プ⸢スヌ ゴー⸣ラー ナ⸢ル⸣ター ア⸢キヤー⸣ カー⸢ニル⸣ ヌ⸢カ⸣レー [ʔi⸢saŋkeː çikkosu⸣ pu̥⸢sunu goː⸣raː na⸢ru⸣taː ʔa⸢kijaː⸣ kaː⸢niru⸣ nu⸢ka⸣reː] (石垣島へ引っ越す人が多くなったので空き屋だけが残っている) 536 0 0 489 htmvoc_536.wav アギヤー ア⸢ギ⸣ヤー [ʔa⸢gi⸣jaː] 名 追い込み漁。シ⸢ナカキ⸣ヤー[ʃi⸢nakaki⸣jaː](追い込み漁)と同じ。糸満方言イ⸢ツォーン⸣プスンケーヤ ア⸢ギ⸣ヤー ⸢シール⸣ イ⸢ゾー⸣ トゥ⸢ローッ⸣タ[ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥suŋkeːja ʔa⸢gi⸣jaː ⸢ʃiːru⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ tu⸢roːt⸣ta](糸満漁師たちは追い込み漁をして漁獲された) 515 0 0 490 htmvoc_515.wav アキヤシキ ア⸢キヤシキ [ʔa⸢kijaʃiki] 名 空き屋敷。無人の屋敷。石垣方言からの借用語か。明治生まれの老年層は、⸢ンーナカク[⸢nːnakaku](空き屋敷)。⸢ンーナヤシキ[⸢nːnajaʃiki](空き屋敷)というのが普通。 ⸢クン⸣ネーヤ ニードーリ ⸢シー⸣ ア⸢キヤシキ⸣ナリ ⸢ベー [⸢kun⸣neːja niːdoːri ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢kijaʃiki⸣ nari ⸢beː] (この家は断絶して<根倒れして>空き屋敷になっている) 537 0 0 491 htmvoc_537.wav アギヤドゥ ア⸢ギヤドゥ [ʔa⸢gijadu] 名 はね上げて開ける戸。釣戸。「上げ戸」の義。 ア⸢ギヤドー⸣ ア⸢ギティ⸣ ボーシ シゥ⸢カイリ [ʔa⸢gijadoː⸣ ʔa⸢giti⸣ boːʃi si̥⸢kairi] (釣戸は開けて棒で支えなさい) 538 0 0 492 htmvoc_538.wav アキラミルン ア⸢キラミ⸣ルン [ʔa⸢kirami⸣ruŋ] 自動 諦める。断念する。思い切る。新しい借用語。老年層は、ウ⸢ムイ⸣キスン[ʔu⸢mui⸣kisunŋ](思い切る)という。 シー⸢ティ⸣ ア⸢キラミ⸣ルンティ ⸣ウムーカー ア⸢キラミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʃiː⸢ti⸣ ʔa⸢kirami⸣runti ⸣ʔumuːkaː ʔa⸢kirami⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (無理に<強いて>諦めようと思えば諦めることは出来る)。 シ⸢ケン⸣マー ク⸢リ⸣シ ア⸢キラミラン⸣スコーシ ⸢マー⸣ プ⸢スム⸣シ ⸣ウキミリバ [ʃi⸢kem⸣maː ku⸢ri⸣ʃi ʔa⸢kiramiran⸣su̥koːʃi ⸢maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi ⸣ʔukimiriba] (試験はこれで諦めずにもう一度受けてみなさいよ)。 ア⸢キラミ パヤー⸣ン [ʔa⸢kirami pajaː⸣ŋ] (諦めやすい<早い>)。 ア⸢キラミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢kirami⸣reː ⸣misamunu] (諦めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キラミ⸣リ [⸢paː⸣ku ʔa⸢kirami⸣ri] (早く諦めろ) 539 0 0 493 htmvoc_539.wav アキラムン ア⸢キラ⸣ムン [ʔa⸢kira⸣muŋ] 自動 諦む。下一段、下二段系活用の四段活用化したもの。 ア⸢キラ⸣ムンティ ⸣ウムーカー ア⸢キラ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢kira⸣munti ⸣ʔumuːkaː ʔa⸢kira⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (諦めようと思えば諦めることは出来る)。 ア⸢キラミ パヤー⸣ン [ʔa⸢kirami pajaː⸣ŋ] (諦め易い<早い>)。 シ⸢キン⸣マー ア⸢キラマン⸣ドーシ ギュー⸢ムシン⸣ ウキミサン [ʃi̥⸢kim⸣maː ʔa⸢kiraman⸣doːʃi gjuː⸢muʃiŋ⸣ ʔukimisaŋ] (試験は諦めないで何度でも受けてよい)。 ⸣メー ア⸢キラ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸣meː ʔa⸢kira⸣meː ⸣misamunu] (もう、諦めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キラ⸣ミバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢kira⸣miba] (早く諦めよ) 491 0 0 494 htmvoc_491.wav アキルトゥアーシ ア⸢キルトゥアー⸣シ [ʔa⸢kirutuʔaː⸣ʃi] 副 明けるや否や。夜明けとともに。「明けると合わせて」の義。普通は、ガ⸢ルトゥアー⸣シ[ga⸢rutuʔaː⸣ʃi](明けるとともに)という。 ⸢ユー⸣ヌ ア⸢キルトゥアー⸣シ ⸣ンジ ⸢パッ⸣タ [⸢juː⸣nu ʔa⸢kirutuʔaː⸣ʃi ⸣ʔnʤi ⸢pat⸣ta] (夜明けとともに出て行った)。⸢ユー⸣ヌ ガ⸢ルトゥアー⸣シ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ[⸢juː⸣nu ga⸢rutuʔaː⸣ʃi pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta](夜明けとともに畑へ行った)ともいう 517 0 1 495 htmvoc_517.wav アキルン ア⸢キルン [ʔa⸢kiruŋ] 自動 {Mn_1}飽きる。飽食する。 パ⸢トゥ⸣マナテー カ⸢ツナマシン⸣ イ⸢ガナマシン⸣ ア⸢キルン⸣ケン ッ⸢ふァイミッ⸣タン [pa⸢tu⸣manateː ka⸢ʦunamaʃiŋ⸣ ʔi⸢ganamaʃiŋ ʔa⸢kiruŋ⸣keŋ f⸢faimit⸣taŋ] (鳩間では鰹の刺身も烏賊の刺身も飽きるほど食べてみた)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ア⸢キラヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ʔa⸢kiranu] (いくら食べても飽きない)。 ア⸢キリ ナー⸣ヌ [ʔa⸢kiri naː⸣nu] (飽きてしまった)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ア⸢キル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ʔa⸢kiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (いくら食べても飽きることはない)。 ア⸢キレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kireː⸣ misamunu] (飽きればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キリ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢kiri⸣ba] (早く飽きれよ)。 ユ⸢ヌ⸣ ムヌカー⸢ニ⸣ ッ⸢ふぅー⸣カー ア⸢キルンドゥ⸣ ク⸢レー⸣ ア⸢キラヌ [ju⸢nu⸣ munukaː⸢ni⸣ f⸢fuː⸣kaː ʔa⸢kirundu⸣ ku⸢reː⸣ ʔa⸢kiranu] (同じものだけ食べると飽きるが、これは飽きない)。 ア⸢キリナー⸣ヌ [ʔa⸢kirinaː⸣nu] (飽きてしまった)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ア⸢キル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ʔa⸢kiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (いくら食べても飽きることはない)。 ア⸢キレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kireː⸣ misamunu] (飽きれば良いのに)。 ア⸢キリ⸣バ [ʔa⸢kiri⸣ba] (飽きよ)。 517 0 2 496 htmvoc_517.wav アキルン ア⸢キルン [ʔa⸢kiruŋ] 自動 {Mn_2}呆れる。あまりのひどさに驚く。 ウ⸢リバ⸣ シ⸢キティ⸣ ア⸢キリティ⸣ ミ⸢リ⸣プサン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢riba⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢kiriti⸣ mi⸢ri⸣pu̥san ⸢naː⸣nu] (それを聞いて驚き呆れて<あっけにとられて>、見たくも無い) 544 0 0 497 htmvoc_544.wav アキルン ア⸢キルン [ʔa⸢kiruŋ] 自動 呆れる。あまりの酷さに驚く。あっけにとられる。 ア⸢マ⸣ヌ ム⸢ニ⸣ヌ ヤ⸢ニ⸣ヤティ ア⸢キリティ⸣ イ⸢ジカイシン⸣ ナ⸢ラン⸣シェン [ʔa⸢ma⸣nu mu⸢ni⸣nu ja⸢ni⸣jati ʔa⸢kiriti⸣ ʔi⸢ʤikaiʃin⸣ na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (あまりにも言葉が汚いので、呆れて言い返しも<反駁も>出来なかった) 545 0 0 498 htmvoc_545.wav アキルン ア⸢キルン [ʔa⸢kiruŋ] 他動 開ける。ア⸢クン[ʔa⸢kuŋ](開く)ともいう。 ⸣ヤドゥ ア⸢キルン [⸣jadu ʔa⸢kiruŋ] (戸を開ける)。 マ⸢ナ⸣マー ア⸢キラヌ [ma⸢na⸣maː ʔa⸢kiranu] (今は開けない)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キ⸣プサン [⸣jadu ʔa⸢ki⸣ pu̥saŋ] (戸を開けたい)。 ⸣ドゥーシ ア⸢キル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duːʃi ʔa⸢kiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (自分で開けることは出来ない)。 ⸣ドゥーシ ア⸢キレー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ʔa⸢kireː⸣ misamunu] (自分で開ければ良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キリ [⸢paː⸣ku ʔa⸢kiri] (早く開けろ) 546 0 1 499 htmvoc_546.wav アギルン ア⸢ギルン [ʔa⸢giruŋ] 他動 {Mn_1}上げる。高くする。「Ague,ru,eta.アゲ、グル、エタ(上げ、ぐる、げた)上へ持ち上げる~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣ティー ア⸢ギルンティ スンドゥ⸣ ア⸢ギララヌ [⸣tiː ʔa⸢girunti sundu⸣ ʔa⸢giraranu] (手を上げようとするが、上げられない)。 ⸣テイー ア⸢ギ⸣ ミサカー ア⸢ギル⸣ クトー ⸣ナルン [⸣tiː ʔa⸢gi⸣ misakaː ʔa⸢giru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (手を上げて良ければ上げることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ギレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gireː⸣ misamunu] (もっと上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ギリ [⸢paː⸣ku ʔa⸢giri] (早く上げろ)。 546 0 2 500 htmvoc_546.wav アギルン ア⸢ギルン [ʔa⸢giruŋ] 他動 {Mn_2}値段を高くする。 ⸢ダイ⸣ ア⸢ギル⸣カー ⸢カーサラヌ [⸢dai⸣ ʔa⸢giru⸣kaː ⸢kaːsaranu] (値段を上げたら<上げると>売れない) 547 0 0 501 htmvoc_547.wav アギルン ア⸢ギルン [ʔa⸢giruŋ] 他動 供物を供える。神前や仏前に供物を供える。 ⸢カンヌ⸣マイ パ⸢チ⸣ ア⸢ギティ⸣ ウサンダイヤー ⸣サギ ウ⸢ラ⸣ソーリバ [⸢kannu⸣mai pḁ⸢ʧi⸣ ʔa⸢giti⸣ ʔusandaijaː ⸣sagi ʔu⸢ra⸣soːriba] (神前にお初を供えて、供物のお下がりは引き下げなさいませ) 553 0 0 502 htmvoc_553.wav アク ア⸢ク [ʔa⸢ku] 名 植物に含まれる渋み、えぐみなどのある有毒成分。蘇鉄の実やキャッサバの芋などはあく抜きをし、その澱粉を加工して食品に利用した。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナロー ア⸢ク⸣ ヌ⸢ガン⸣カー ⸢ビー⸣シタ [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naroː ʔa⸢ku⸣ nu⸢gaŋ⸣kaː ⸢biː⸣ʃi̥ta] (蘇鉄の実は灰汁を抜き取らないと食中毒<酔い>を起こした) 554 0 1 503 htmvoc_554.wav アク ⸣アク [⸣ʔaku] 名 {Mn_1}悪。悪人。悪事。悪魔。 ア⸢ク⸣ヌ サ⸢カル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ku⸣nu sḁ⸢karu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (悪<悪事を働く者>が栄えることはない)。 554 0 2 504 htmvoc_554.wav アク ⸣アク [⸣ʔaku] 名 {Mn_2}悪口。ヤ⸢ナグ⸣チ[ja⸢nagu⸣ʧi](悪口)ともいう。 ⸢ウンザー⸣ ウマー カ⸢マ⸣ナーティ プ⸢スヌ⸣ アク カー⸢ニ⸣ ユメーティ ⸢アー⸣ク [⸢ʔunʣaː⸣ ʔumaː ka⸢ma⸣naːti pu̥⸢sunu⸣ ʔaku kaː⸢ni⸣ jumeːti ⸢ʔaː⸣ku] (彼奴は、あちらこちらで他人の悪口だけを言って<唱えて>いる<悪口を叩いてばかりいる>) 549 0 0 505 htmvoc_549.wav アクイン ア⸢ク⸣イン [ʔa⸢ku⸣iŋ] 名 悪縁。前世からの悪い因縁。沖縄方言からの借用語。 ア⸢クイン⸣ドゥ ⸢ヤッタ⸣ユー ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ムッ⸢トゥ ミー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢kuin⸣du ⸢jatta⸣juː ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː mut⸢tu miː⸣ na⸢ra⸣nu] (悪縁だったのか、その話はちっとも良い結果を齎さない<稔らない>) 555 0 0 506 htmvoc_555.wav アクザカリ ア⸢クザカ⸣リ [ʔa⸢kuʣaka⸣ri] 名 悪事をはたらいて栄えること。悪栄え。 イ⸢チンバー⸣キン ア⸢クザカリ⸣ヌ シ⸢ジクムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ʔa⸢kuʣakari⸣nu ʃi⸢dʒiku munoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (いつまでも悪栄が続くものではない) 556 0 0 507 htmvoc_556.wav アクスン ⸣アク ⸢スン [⸣ʔaku ⸢suŋ] 連 呪う。激しく恨み、悪く言う。人を悪しざまに言う。 プ⸢ストゥ⸣ アウカー プ⸢スン⸣ アク シ⸢ラリンダ アウ⸣ナ⸢ヨー [pu̥⸢sutu⸣ ʔaukaː pu̥⸢suŋ⸣ ʔaku ʃi⸢rarinda ʔau⸣na⸢joː] (他人と喧嘩したら、他人に呪われるから喧嘩するなよ) 557 0 0 508 htmvoc_557.wav アグダーマ アグ⸢ダー⸣マ [ʔagu⸢daː⸣ma] 名 駄々をこねること。わがままっ子。「あくだう(悪童)・マ(指小辞)」の転訛したものか。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ アグ⸢ダー⸣マ ⸢フシゥ⸣カリティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu ffaː⸣ ʔagu⸢daː⸣ma ⸢fusi̥⸣kariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (この子には悪童神がくっついて、駄々をこねてどうしようもない<養生できない>) 558 0 0 509 htmvoc_558.wav アクニン ア⸢ク⸣ニン [ʔa⸢ku⸣niŋ] 名 悪人。悪事をはたらく人。 ⸣アイブ ア⸢ク⸣ニンテー マ⸢ダ⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ʔa⸢ku⸣ninteː ma⸢da⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (あんな悪人とは、いまだに見たことがない)。 ウ⸢レー⸣ ア⸢ク⸣ニン ヤ⸢ルンダ⸣ ピ⸢ラーン⸣モー マ⸢シ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢ku⸣niŋ ja⸢runda⸣ pi⸢raːm⸣moː ma⸢ʃi] (そいつは悪人だから付き合わない方がよい) 559 0 0 510 htmvoc_559.wav アクヌカン ア⸢ク⸣ヌ ⸣カン [ʔa⸢ku⸣nu ⸣kaŋ] 連 悪神。悪い神。 カ⸢ン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ア⸢ク⸣ヌカン ン⸢マヌ⸣リ シ⸢ラリタムヌ⸣ユー ヤ⸢ナクトゥタンガー⸣ル ウ⸢クル⸣バン [⸢kan⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ku⸣nukam ʔm⸢manu⸣ri ʃi⸢raritamunu⸣juː ja⸢naku̥tutaŋga⸣ru ʔu⸢kuru⸣baŋ] (あの家の人は悪神に跨られた<馬乗りされた>のか、悪いことだけ次々に起きるよ) 560 0 0 511 htmvoc_560.wav アクヌキ ア⸢クヌキ [ʔa⸢kunuki] 名 植物の灰汁<毒気・渋み>を抜くこと。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナロー ミ⸢ジ⸣ナ グ⸢ルクニ⸣チ シ⸢キティ⸣ ア⸢クヌキ サン⸣カー ⸢ビー⸣シタ⸢ダー [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naroː mi⸢ʤi⸣na gu⸢rukuni⸣ʧi ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢kunuki saŋ⸣kaː ⸢biː⸣ʃi̥ta⸢daː] (ソテツの実は水に五六日浸けて灰汁抜きしないと中毒を起こしたよ) 561 0 0 512 htmvoc_561.wav アクビ ア⸢クビ [ʔa⸢kubi] 名 欠伸(あくび)。若年層が多く用いる。標準語からの借用語か。老年層は、⸣ヌビ[⸣nubi](欠伸)という。⸣ヌビ[⸣nubi]参照。 バ⸢カー⸣ムヌンケーヤ ⸢ユーキ⸣バ シ⸢ティル⸣ アイニ ア⸢クビ シーベー⸠ナー [ba⸢kaː⸣munuŋkeːja ⸢juːki⸣ba ʃi̥⸢tiru⸣ ʔaini ʔa⸢kubi ʃiːbeː⸠naː] (若者達は夜更かし<夜起き>をして、あんなに欠伸をしているんだねえ) 563 0 0 513 htmvoc_563.wav アクマ ア⸢ク⸣マ [ʔa⸢ku⸣ma] 名 悪魔。邪悪なもの。 ウ⸢リヌ シーワザー フン⸣トー ア⸢ク⸣マ ナ⸢クラー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu ʃiːwaʣaː ɸun⸣toː ʔa⸢ku⸣ma na⸢kuraː⸣nu mi⸢rara⸣nu] (そいつの仕業は本当に悪魔だ{EOS}怖くて見てはおれない) 565 0 0 514 htmvoc_565.wav アクユク ⸣アクユク [⸣ʔakujuku] 名 悪欲。悪心と欲心。 ウ⸢レー⸣ ア⸢マ⸣ヌ ⸣アクユクヌ ⸢スー⸣ワティ プ⸢スン⸣ ウ⸢ラマリ⸣ル ⸢ミー⸣ フ⸢ルバシェー⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢ma⸣nu ⸣ʔakujukunu ⸢suː⸣waiti pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ramari⸣ru ⸢miː⸣ ɸu⸢rubaʃeː⸠daː] (彼は、あまりにも悪欲が強いので他人に怨まれて身を滅ぼしたのだよ) 566 0 0 515 htmvoc_566.wav アクリルン ア⸢クリ⸣ルン [ʔa⸢kuri⸣ruŋ] 自動 剥がれる。 シ⸢ビシキ⸣ シケータンドゥ ミ⸢ジ⸣ナ ⸢ゾッふァシター⸣ ア⸢ク⸣リパリ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢biʃi̥ki⸣ ʃi̥keːtandu mi⸢dʒi⸣naː ⸢ʣoffaʃi̥taː⸣ ʔa⸢ku⸣ripari ⸢naː⸣nu] (貼り付けて<くっつけて>おいたけれど、水に濡らしたら剥がれて<行って>しまった) 550 0 0 516 htmvoc_550.wav アクン ア⸢クン [ʔa⸢kuŋ] 他動 開ける。開く。 フ⸢チ⸣ ア⸢クン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kuŋ] (口を開ける)。 ⸢ユー⸣ヌ ガ⸢ル⸣カー ⸣ヤドゥ ア⸢クン [⸢juː⸣nu ga⸢ru⸣kaː jadu ʔa⸢kuŋ] (夜が明けたら戸を開ける)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キ⸣ ミサン [⸣jadu ʔa⸢ki⸣ misaŋ] (戸を開けても良い)。 フ⸢チェー⸣ ア⸢カンドー⸣シ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʔa⸢kandoː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki] (口を開けない<喋らないで>で話を聞け)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キ⸣ ミサカー ア⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [⸣jadu ʔa⸢ki⸣ misakaː ʔa⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (戸を開けて良ければ開けることはできる)。 ⸣ヤドゥ ア⸢ク⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣jadu ʔa⸢ku⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢raːnu] (戸を開ける人もいない)。 ⸣ヤドー ア⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣jadoː ʔa⸢keː⸣ misamunu] (戸を開ければいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ki⸣ba] (早く開けなさいよ) 567 0 0 517 htmvoc_567.wav アクン ア⸢クン [ʔa⸢kuŋ] 自動 あく。ひらく。 ク⸢ヌ⸣ ク⸢ビン⸣ヌ フ⸢ター⸣ ア⸢クンティ シーバン⸣ ムッ⸢トゥ ア⸢カンバン [ku⸢nu⸣ ku⸢bin⸣nu ɸu⸢taː⸣ ʔa⸢kunti ʃiːbam⸣ mut⸢tu⸣ ʔa⸢kambaŋ] (この瓶の蓋は開けようとしても一向に開かない) 551 0 0 518 htmvoc_551.wav アグン ア⸢グン [ʔa⸢guŋ] 他動 上げる。 ⸢クイ⸣ヤー マー⸢ンベーマ⸣ ア⸢ギティ⸣ イ⸢ジ⸣バ [⸢kui⸣jaː maː⸢mbeːma⸣ ʔa⸢giti⸣ ʔi⸢ʤi⸣ba] (声はもう少し上げて歌えよ)。 シ⸢ナムヌヌ ダイヤ⸣ ア⸢ギ⸣ ミサカー ア⸢グ⸣クトー ナ⸢ル⸣ヌ ア⸢ガヌ [ʃi⸢namununu daija⸣ ʔa⸢gi⸣ misakaː ʔa⸢gu⸣ ku̥toː na⸢ru⸣nu ʔa⸢ganu] (品物の値段は上げて良ければ上げることは出来るが、上げない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢geː⸣ misamunu] (もっと上げればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ギ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢gi⸣ba] (早く上げなさいよ)。 551 0 2 519 htmvoc_551.wav アグン ア⸢グン [ʔa⸢guŋ] 他動 {Mn_2}吐く。嘔吐する。 ⸣ヌーナール ア⸢タルタ⸣ユー ⸢ファイムノー⸣ ムー⸢ル⸣ ア⸢ギ⸣ シケー [⸣nuːnaːru ʔa⸢taruta⸣juː f⸢faimunoː⸣ muː⸢ru⸣ ʔa⸢gi⸣ ʃi̥keː] (何に食あたりしたのか、食べ物は全部上げてある<嘔吐してある>) 552 0 0 520 htmvoc_552.wav アグン ア⸢グン [ʔa⸢guŋ] 他動 油で揚げる。豆腐はア⸢グン[ʔa⸢guŋ](揚げる)というのに対し、テンプラなどはヤ⸢クン[ja⸢kuŋ](焼く)というのが普通である。 ⸢トー⸣フーンノーン ⸣アバナー ア⸢ギティ⸣ ムティクーバ [⸢toː⸣ɸuːnnoːŋ ⸣ʔabanaː ʔa⸢giti⸣ mutikuːba] (<何でもいいが>豆腐でも油で揚げて持って来なさいよ) 568 0 0 521 htmvoc_568.wav アコーキー ア⸢コーキー [ʔa⸢koːkiː] 名 (植)樹木の名。和名、アコウ(赤秀)。オオバアコウ。⸣ウシキー[⸣ʔuʃikiː](あこう)ともいう。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸢ガッコー⸣ヌ ⸣マンタナー ウ⸢ブ⸣ ア⸢コーキー⸣ヌ ⸢ミームトゥ⸣ ムイ⸢ベー⸣タン [mu⸢kaʃi⸣nu ⸢gakkoː⸣nu man⸢ta⸣naː ʔu⸢bu⸣ ʔa⸢koːkiːnu miːmutu⸣ mui⸢beː⸣taŋ] (昔の学校の前に大きなアコウの木が三本生えていた) 573 0 0 522 htmvoc_573.wav アゴチキー ア⸢ゴ⸣チキー [ʔa⸢go⸣ʧikiː] 名 (植)樹木の名。西表島の北岸一帯に自生していた。伊武田地区に自生していたアゴチの葉には、白黒のグロテスクな毛を有する毛虫が付いていた。伐採して燃料用の薪にした。 ア⸢ゴ⸣チキー ⸣キシ ⸣キー タ⸢ム⸣ヌ バ⸢リ⸣バ [ʔa⸢go⸣ʧikiː ⸣ki̥ʃi ⸣kiː ta⸢mu⸣nu ba⸢ri⸣ba] (アゴチ木を伐ってきて、薪に割りなさいよ) 2566 0 0 523 htmvoc_2566.wav アゴッチェーマ ア⸢ゴッチェー⸣マ [ʔa⸢gotʧeː⸣ma] 名 (動)トンボ。古語「あきつ」に親愛の情を表す指小辞(diminutive)-マ[-ma]がついて転訛したもの。 カ⸢ジフキヌ⸣ アトー ア⸢ゴッチェーマ⸣ヌ ⸢アーリ キー⸣シタンドゥ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン [ka⸢ʤiɸu̥kinu⸣ ʔatoː ʔa⸢gotʧeːma⸣nu ⸢ʔaːri kiː⸣ʃi̥tandu ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣baŋ] (暴風の後にはトンボが湧いて出てきたが今は見られないわい) 574 0 0 524 htmvoc_574.wav アゴヤ ⸣アゴヤ [⸣ʔagoja] 名 (動)蟹の一種。海岸の岩陰に生息し、人が来るとすばやく穴や岩陰に逃げ隠れる。風土病マラリアの解熱用の煎じ薬として利用されたという。 ム⸢カ⸣シェー ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣リティ ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣アゴヤバ ⸣シジ ヌ⸢マ⸣ソーッタティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣ʔagojaba ⸣ʃiʤi nu⸢ma⸣soːttati⸢daː] (昔はマラリア<風気>に罹って熱が出るとアゴヤを煎じて飲まされたそうだよ) アサ 575 0 0 525 htmvoc_575.wav アサ ⸣アサ [⸣asa] 名 朝。複合語の語基として用いられ、単独用法はない。普通は、シ⸢トゥム⸣ティ[ʃi̥⸢tumu⸣ti](つとめて{EOS}「暾、日初出時也、明也、豆止女天<つとめて>」『新鮮字鏡』)という。ア⸢サパナ[ʔa⸢sapana](早朝{EOS}「朝端」の義)、ア⸢サ⸣ボン[ʔa⸢sa⸣boŋ](朝ご飯)、ア⸢サカイ[ʔa⸢sakai](朝影)、ア⸢サ⸣カイ[ʔa⸢sa⸣kai](朝粥)、ア⸢サ⸣キ[ʔa⸢sa⸣ki](朝餉{EOS}「朝食、アサケ」『鰻頭屋本節用集』)、ア⸢サ⸣ドゥリ[ʔa⸢sa⸣duri](朝凪)、ア⸢サ⸣ニビ[ʔa⸢sa⸣nibi](朝寝坊)等、複合語の語基 576 0 0 526 htmvoc_576.wav アザ ⸣アザ [⸣ʔaʣa] 名 畦。畦道。側。畑を仕切った境界。この部分に豆を植えたり、砂糖きびを植えたりした。 パ⸢タキ⸣ヌ アザナー ⸢キー⸣ウン イ⸢ビ⸣シケー [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢kiː⸣ʔuŋ ʔi⸢bi⸣ʃi̥keː] (畑の畦にキャッサバを植えてある) 577 0 0 527 htmvoc_577.wav アザ ア⸢ザ [ʔa⸢ʣa] 名 字。町村内の下位の行政単位、区画。大字、小字がある。鳩間島は一つの字に属する。 パ⸢トゥ⸣マナー ユ⸢クアザー⸣ラ ⸢オー⸣レー プ⸢ソー⸣ ギュ⸢タール オール⸣ワ [pḁ⸢tu⸣manaː ju⸢kuʔaʣaː⸣ra ⸢ʔoː⸣reː pu̥⸢soː⸣ gju⸢taːru ʔoːru⸣wa] (鳩間島には、他字から来られた人は何人<幾たり>居られるか) 578 0 0 528 htmvoc_578.wav アザ ア⸢ザ [ʔa⸢ʣa] 名 ほくろ(黒子)。 フ⸢チヌ⸣ シバナ ア⸢ザヌ⸣ アル ⸢プソー⸣ ウ⸢ヤ⸣キ ⸢スン⸣ツォー [ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʃibanaː ʔa⸢ʣanu⸣ ʔaru pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢ja⸣ki ⸢sun⸣ʦoː] (唇に黒子のある人は金持ちになるそうだ) 580 0 0 529 htmvoc_580.wav アザーラスン ア⸢ザーラ⸣スン [ʔa⸢ʣaːra⸣suŋ] 他動 もつれ(縺れ)させる。まつわりつかせる。からます。からみ(絡み)合わせる。ア⸢ザー⸣ルン[ʔa⸢ʣaː⸣ruŋ](縺れる)の未然形ア⸢ザーラ[ʔa⸢ʣaːra]に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いた形。 ⸣イトー ア⸢ザーラサン⸣ヨーニ ⸢トールタン⸣ドゥ ア⸢ザーラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔitoː ʔa⸢ʣaːrasaɲ⸣joːni ⸢toːrutan⸣du ʔa⸢ʣaːra⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (糸は絡まさないように手繰ったが、絡ましてしまった)。 ⸣アイニ ⸢トー⸣ルカー ア⸢ザーラ⸣スンダー ア⸢ザーラ⸣ス プ⸢スンマー トーラス⸣ナ [⸣ʔaini ⸢toː⸣rukaː ʔa⸢ʣaːra⸣sunda ʔa⸢ʣaːra⸣su pu̥⸢summaː toːrasu⸣na] (あんなに手繰ったら絡ませるから、からませる人には手繰らせるな)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ザーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ʣaːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと絡ませればいいのに)。 ア⸢ザーラ⸣シバ [ʔa⸢ʣaːra⸣ʃiba] (縺れさせなさいよ)。 ⸣ナー タ⸢クミカタ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカー ア⸢ザーラ⸣スン⸢ダー [⸣naː tḁ⸢kumikata⸣nu ⸢was⸣sakaː ʔa⸢ʣaːra⸣sun⸢daː] (縄のたたみかたが悪いともつれさせるよ)。 ア⸢ザーラサ⸣ヌ [ʔa⸢ʣaːrasa⸣nu] (絡ませない) 608 0 0 530 htmvoc_608.wav アザーリカザーリ ア⸢ザー⸣リカザーリ [ʔa⸢ʣaː⸣rikaʣaːri] 副 もつれ絡まるさま。 ⸣イトー ア⸢ザー⸣リカザーリ シ⸢ティ パンツァサラヌ [⸣ʔitoː ʔa⸢ʣaː⸣rikaʣaːri ʃi̥⸢ti panʦasaranu] (糸は絡まって解けない) 581 0 0 531 htmvoc_581.wav アザーリルン ア⸢ザーリ⸣ルン [ʔa⸢ʣaːri⸣ruŋ] 自動 もつれる(縺れる)。絡み合う。「糾、アザハレリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢ナー⸣バ ⸣アイニ タ⸢ク⸣ムカー ア⸢ザーリルン⸣ドゥ ク⸢レー ナイ⸣ロン ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ザーリラン⸣バン [⸢naː⸣ba ⸣ʔaini tḁ⸢ku⸣mukaː ʔa⸢ʣaːrirun⸣du ku⸢reː nairoŋ⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢ʣaːriram⸣baŋ] (縄をあのように手繰って畳むと縺れるが、これはナイロン製だから縺れないわい)。 ア⸢ザー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʣaː⸣ri ⸢naː⸣nu] (縺れてしまった)。 ア⸢ザーリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʣaːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (縺れることはない) 582 0 0 532 htmvoc_582.wav アザールン ア⸢ザー⸣ルン [ʔa⸢ʣaː⸣ruŋ] 自動 もつれる(縺れる)。絡み合う。「糾、アザハレリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢ユー⸣ロー ア⸢ザー⸣リティ ⸢パンツァサラヌ [⸢juː⸣roː ʔa⸢ʣaː⸣riti ⸢panʦasaranu] (細い紐は絡み合って解かれない<はずされない>)。 ⸣カイニ タ⸢ク⸣ムカー ⸢ナー⸣ヤ ア⸢ザーラ⸣ヌ [⸣kaini tḁ⸢ku⸣mukaː ⸢naː⸣ja ʔa⸢ʣaːra⸣nu] (このように手繰ると縄は縺れない)。 ア⸢ザー⸣ル ⸣イトー ⸢パンツァシグリ⸣サン [ʔa⸢ʣaː⸣ru ⸣ʔitoː ⸢panʦaʃiguri⸣saŋ] (縺れる糸は解きずらい)。 ⸣アイニ ア⸢ザー⸣レーラー プ⸢トゥカラ⸣ヌ [⸣ʔaini ʔa⸢ʣaː⸣reːraː pu̥⸢tukara⸣nu] (こんなに縺れたら解けないよ)。 ア⸢ザーリ⸣リ [ʔa⸢ʣaːri⸣ri] (縺れろ)。 ⸢ナー⸣ヤ ア⸢ザー⸣リティ ⸢パンツァサラヌ [⸢naː⸣ja ʔa⸢ʣaː⸣riti ⸢panʦasaranu] (縄は絡まりもつれて、解けない<外されない>)。 サ⸢バナー オー⸣ヌ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァース⸣カー ア⸢ザーラヌ [sa⸢banaː ʔoː⸣nu ⸢ʃiː⸣ f⸢faːsu⸣kaː ʔa⸢ʣaːra⸣nu] (鱶釣り縄は豚の血をつけて蒸し上げる<食わす>と絡まらない)。 ア⸢ザー⸣リティ ⸢パンツァサラヌ [ʔa⸢ʣaː⸣riti ⸢panʦasaranu] (縺れて<絡み合って>解け<外され>ない)。 ア⸢ザー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʣaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (絡まることはない)。 ⸣アイニ ア⸢ザー⸣レーラー ⸢パンツァサラヌ [⸣ʔaini ʔa⸢ʣaː⸣reːraː ⸢panʦasaranu] (あのようにもつれ<縺れ>たら解かれない<外されない>)。 ⸢コッタルムヌ⸣ ア⸢ザーリ⸣リ [⸢kottarumunu⸣ ʔa⸢ʣaːri⸣ri] (ちくしょう{EOS!}誰が知るものか、もつれて<縺れて>しまえ) 583 0 1 533 htmvoc_583.wav アサーン ア⸢サー⸣ン [ʔa⸢saː⸣ŋ] 形 {Mn_1}浅い。「~袖つくばかり淺乎也<アサキヲヤ>~。万、1381」の転訛か。 ⸣ウマー ア⸢サー⸣ンミー [⸣ʔumaː ʔa⸢saː⸣mmiː] (そこは浅いでしょうね)。 アー⸢イ⸣ ア⸢サー ナー⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔa⸢saː naː⸣nu] (いや、浅くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢サー⸣ ナリクーン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢saː⸣ narikuːŋ] (次第に浅くなってくる)。 ア⸢サー⸣ トンラ バ⸢タリ [ʔa⸢saː⸣ tonra ba⸢tari] (浅い所から渡れ)。 ⸣ドゥク ア⸢サー⸣カー ⸣フネー ⸢トゥーサラ⸣ヌ [⸣duku ʔa⸢saː⸣kaː ⸣ɸuneː ⸢tuːsara⸣nu] (あまり浅かったら舟は通されない)。 ⸣クマー ア⸢サー⸣ン [⸣kumaː ʔa⸢saː⸣ŋ] (ここは浅い)。 ピ⸢ザフチ⸣ヌ ア⸢サー⸣ トンナーティル ⸣ウイ ア⸢サブ⸣ダー [pi⸢ʣaɸuʧi⸣nu ʔa⸢saː⸣ tonnaːtiru ⸣ʔui ʔa⸢sabu⸣daː] (渚の浅いところで泳いで遊ぶのだよ)。 ク⸢マ⸣ル ア⸢サー(⸣ル) [ku⸢ma⸣ru ʔa⸢saː(⸣ru)] (ここが<ぞ>浅い)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢サー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢saː⸣kaː ⸣misamunu] (もっと浅ければ良いのに)。 583 0 2 534 htmvoc_583.wav アサーン ア⸢サー⸣ン [ʔa⸢saː⸣ŋ] 形 {Mn_2}色が薄い。 イ⸢ル⸣ヌ ア⸢サー⸣ユンダ ⸢ナン⸣ゾー ⸢カイヤーナー⸣ヌ [ʔi⸢ru⸣nu ʔa⸢saː⸣junda ⸢nan⸣ʣoː ⸢kaijaːnaː⸣nu] (色が薄いのであまり美しくない) 584 0 0 535 htmvoc_584.wav アサイミ ア⸢サ⸣イミ [ʔa⸢sa⸣ʔimi] 名 朝みる夢。明け方にみる夢。 ア⸢サ⸣イメー ⸢マーイミ⸣ティ ア⸢ズンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔa⸢sa⸣ʔimeː ⸢maːʔimi⸣ti ʔa⸢ʣunda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (朝夢は真実の夢<夢の通りにことが起こる>というから、気をつけなさいよ) 586 0 0 536 htmvoc_586.wav アサウキ ア⸢サ⸣ウキ [ʔa⸢sa⸣ʔuki] 名 早起き。「朝起き」の義。 ア⸢ツァー⸣ラ ⸢マイカリヌ⸣ パ⸢ジマリ パンタ⸣サンダ ア⸢サ⸣ウキ ⸢シー⸣ヨー [ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢maikarinu⸣ pa⸢dʒimari panta⸣sanda ʔa⸢sa⸣ʔuki ⸢ʃiː⸣joː] (明日から稲刈りが始まり、忙しいから早起きしなさいよ)。 ア⸢サ⸣ウキ ⸢スー⸣ ッ⸢ふァヌル マイフナー⸣ マ⸢リル [ʔa⸢sa⸣ʔuki ⸢suː⸣ f⸢fanuru maiɸunaː⸣ ma⸢riru] (早起きする子が立派な人に成長する)。 ⸣アツァー ア⸢サ⸣ウキ ⸢シー マイカリン⸣ パリ⸢ヨー [⸣ʔaʦaː ʔa⸢sa⸣uki ⸢ʃiː maikarim⸣ pari⸢joː] (明日は早起きして稲刈りに行きなさいよ) 588 0 0 537 htmvoc_588.wav アサカイ ア⸢サカイ [ʔa⸢sakai] 名 午前中。朝の涼しいうち。「~朝影尓<アサカゲニ>吾が身はなりぬ~。万、2664」の転訛したものか。 ナ⸢チェー⸣ ア⸢サカイヌ⸣ ウ⸢チ⸣ナー パ⸢タキシグ⸣トー ⸢シー⸣ヨー [na⸢ʧeː⸣ ʔa⸢sakainu⸣ ʔu⸢ʧi⸣naː pḁ⸢takiʃigu⸣toː ⸢ʃiː⸣joː] (夏は午前中に<朝影のうちに>畑仕事はしなさいね) 589 0 0 538 htmvoc_589.wav アサカイ ア⸢サ⸣カイ [ʔa⸢sa⸣kai] 名 朝粥(あさがゆ)。朝食べるお粥。老人が好んで食した。お盆の中日の朝食、⸢ナン⸣カ[⸢naŋ⸣ka](七日{EOS}七七忌の法事)、⸣シンズク[⸣ʃinʣuku](四十九日忌)、ユ⸢ノー⸣レー[ju⸢noː⸣reː](一周忌)、⸢サンニン⸣キ[⸢sanniŋ⸣ki](三年忌)、⸢ジュー⸣サンニンキ[⸢ʤuː⸣sanniŋki](十三年忌)、ニジューグ⸢ニンキ[niʤuːgu⸢niŋki](二十五年忌)、サンジュー⸢サンニン⸣キ[sanʤuː⸢sanniŋ⸣ki](三十三年忌)等の朝食には朝粥と味噌汁、ラッキョウの漬物を仏前に供えることが習慣である。 ⸢ソーラン⸣ヌ ナ⸢カヌ ピン⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テー ヤー⸢ディン⸣ ア⸢サ⸣カイ シ⸢キオーシ⸠ダー [⸢soːran⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣teː jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢sa⸣kai ʃi̥⸢kioːʃi⸠daː] (お盆の中日の朝食には必ず朝粥を供えてさしあげなさいよ) 342 0 0 539 htmvoc_342.wav アザカイ ア⸢ザ⸣カイ [ʔa⸢ʣa⸣kai] 名 (動)シャコガイ科の二枚貝の貝殻。しゃこ貝の貝殻。貝殻は扇形で殻長20~30センチメートル。大きいものは、殻長90センチに達するものがあった。殻の縁は波形の鋭い歯状を形成し、殻表も波形をなす。身は、⸣ギラ[⸣gira]といい、美味である。サ⸢ギフチ⸣ル[sa⸢giɸuʧi⸣ru](のぼせに利く食材{EOS}利尿薬)として重宝されている。大型の貝は豚の飼葉桶に利用された。 ウ⸢ブアザカイ⸣ヤ ⸢オー⸣ヌ ⸢イーッふァーシ⸣ムヌ ⸢ソーッ⸣タン [ʔu⸢buʔaʣakai⸣ja ⸢ʔoː⸣nu ⸢ʔiːffaːʃi⸣munu ⸢soːt⸣taŋ] (大きなシャコガイの貝殻<アザカイ>は豚の飼葉桶に使われた<された>)。大型の貝殻はミ⸢ジクブ⸣サー[mi⸢ʤikubu⸣saː](手水鉢{EOS}「水こぼし」の義か{EOS}下着洗い)や豚舎のかいばおけ<飼葉桶>に利用された。 ⸢グスク⸣ヌ ナ⸢カ⸣ナー ウ⸢ブアザカイ⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ブ⸢タン⸣ダー [⸢gusu̥ku⸣nu na⸢ka⸣naː ʔu⸢buʔaʣakai⸣nu ⸢peː⸣ri bu⸢tan⸣daː] (石垣の中に大きなシャコ貝の殻が入っていたよ) 591 0 0 540 htmvoc_591.wav アザカイヤーマ アザカイ⸢ヤー⸣マ [ʔaʣakai⸢jaː⸣ma] 名 小さなしゃこ貝。⸢ヤー⸣マ[⸢jaː⸣ma](小さいもの)は接尾指小辞。指小辞-マ[-ma](小さいもの)が連母音aiの末尾母音を有する語に付く場合、⸢-ヤー⸣マ[⸢-jaː⸣ma]となる 592 0 0 541 htmvoc_592.wav アザカザー ア⸢ザ⸣カザー [ʔa⸢ʣa⸣kaʣaː] 名 畦のほう。片隅。隅っこ。 パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザ⸣カザナー シ⸢ミ⸣シケール ⸣ッサー ⸢サンギ⸣キー ヤ⸢キティ⸣ コイ ⸣ナシバ [pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣa⸣kaʣanaːʃi⸢miʃi̥⸣keːru ⸣ssaː ⸢saŋgi⸣kiː ja⸢kiti⸣ koi ⸣naʃiba] (畑の畦の片隅に積んである草は引っ張ってきて、焼いて肥やしにしなさいよ) 593 0 0 542 htmvoc_593.wav アサカジ ア⸢サカジ [ʔa⸢sakaʤi] 名 朝風。朝の風。 ア⸢サカジヌ⸣ シ⸢ダーシダ⸣シ ⸢スイティ イー⸣ パ⸢ダム⸣チ⸣ ナリケーツバン [ʔa⸢sakadʒinu⸣ ʃi⸢daːʃidaː⸣ʃi ⸢suiti ʔiː⸣ pa⸢damu⸣ʧi ⸣narikeːʦubaŋ] (朝風が涼しく吹いて<そよいで>、良い肌触り<肌持ち>になってきたよ) 594 0 0 543 htmvoc_594.wav アサカンガイ ア⸢サカンガイ [ʔa⸢sakaŋgai] 名 浅い考え。浅慮。浅知恵。 ⸢ワー カンガイ⸣ヤ ⸢ダーッ⸣サ ⸢ナー⸣ヌ ウ⸢レー⸣ ア⸢サカンガイ [⸢waː kaŋgai⸣ja ⸢daːs⸣sa ⸢naː⸣nu ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢sakaŋgai] (君の考えはよろしくない{EOS}それは浅慮とうものだ) 595 0 0 544 htmvoc_595.wav アサカンナール ア⸢サカンナー⸣ル [ʔa⸢sakannaː⸣ru] 名 朝雷。朝方に鳴る雷。 ア⸢サカンナールヌ ナール⸣カー トゥ⸢ナロー⸣ ン⸢ジル⸣ナティル ア⸢ザリブー [ʔa⸢sakannaːrunu naːru⸣kaː tu⸢naroː⸣ ʔn⸢ʤiru⸣natiru ʔa⸢ʣaribuː] (朝雷が鳴ると隣家へ出かけるなと<ぞ>言われている) 596 0 0 545 htmvoc_596.wav アサキ ア⸢サ⸣キ [ʔa⸢sa⸣ki] 名 朝飯。「朝餉」、「あさけ(朝食)」の義。「キ」は「食、クヒモノ・ケ」『類聚名義抄』の転訛したもの。「Asaqe.あさけ(朝食・朝開).卑語」『邦訳日葡辞書』。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ア⸢サキ⸣ヌ ス⸢コーロー シーティル⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ʔa⸢saki⸣nu su̥⸢koːroː ʃiːtiru⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta] (朝早く朝食の準備をしてから畑へ行った) 597 0 0 546 htmvoc_597.wav アサキジ ア⸢サキジ [ʔa⸢sakiʤi] 名 浅い傷。「浅傷」の義。 フ⸢カキジェー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ア⸢サキジ⸣ ヤ⸢ルンダ ソーヤ ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢kakiʤeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ʔa⸢sakiʤi⸣ ja⸢runda soːja naː⸣nu] (ふかで<深傷>ではない{EOS}浅い傷だから心配はない) 599 0 0 547 htmvoc_599.wav アサクビン ア⸢サクビン [ʔa⸢sakubiŋ] 名 祭祀行事の際に酒を入れる錫製の瓶。口部は朝顔の形をしており、底はふかくない。瓶の裾が広がっていて台の部分に接着している。一対で用いられる。 ア⸢サクビン⸣ナ サ⸢ケー イリティ⸣ ザウ ⸣ッシ シ⸢キ⸣リバ [ʔa⸢sakubin⸣na sa⸢keː ʔiriti⸣ ʣau ⸣ʃʃi ʃi̥⸢ki⸣riba] (アサクビンに酒を入れて栓をしておきなさいよ) 598 0 0 548 htmvoc_598.wav アザケーン ア⸢ザ⸣ケーン [ʔa⸢ʣa⸣keːŋ] 形 清潔である。\ruby{清清}{スガ|スガ}しい。清らかである。衛生的である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ドゥー⸣ヌ ⸢ミーマールン⸣ ア⸢ザケーアザケー⸣シティ ア⸢タラ⸣サン⸢ツォー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː duː⸣nu ⸢miːmaruŋ⸣ ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃi̥ti ʔa⸢tara⸣san⸢ʦoː] (その子は身の回りも清潔で可愛いんだよ)。 イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ザ⸣ケーンティ ス⸢クタヌ⸣ ア⸢ザ⸣ケー ⸢ナーン⸣シェン [ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʣa⸣keːnti su̥⸢kutanu⸣ ʔa⸢ʣa⸣keː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (非常に清潔だと聞いたが清潔ではなかった)。 ⸣アイニ ア⸢ザ⸣ケー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ʔa⸢ʣa⸣keː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのように清潔な人はいない) 603 0 0 549 htmvoc_603.wav アササー ア⸢ササー [ʔa⸢sasaː] 名 朝茶。朝起きて飲む茶。老人は朝茶を飲むのが習慣であった。シ⸢トゥムティ⸣サー[ʃi̥⸢tumuti⸣saː](朝茶)というのが普通。 ⸢ピーリ⸣サー [⸢piːri⸣saː] (冷えたお茶{EOS}愛情のないお茶の義)。 ⸢ウイ⸣プソー ア⸢ササー⸣ ヌミティル ノー⸢ン ソー⸣ル [⸢ʔui⸣pu̥soː ʔa⸢sasaː⸣ numitiru noː⸢n soː⸣ru] (老人は朝茶を飲んでから何事もなさるのだ) 601 0 0 550 htmvoc_601.wav アサシ ア⸢サ⸣シ [ʔa⸢sa⸣ʃi] 名 (植)樹木の名。和名、モチノキ(『琉球列島植物方言集』)。ア⸢サ⸣シキー[a⸢sa⸣ʃikiː](モチノキ)ともいう。子供は、ム⸢チンキー[mu⸢ʧiŋkiː]ともいう。 ア⸢サ⸣シキーヌ ⸢カー⸣バ ⸢シッ⸣キティ ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣リティ メ⸢ジ⸣ロ シ⸢ビシキ⸣ クー⸢ディー [ʔa⸢sa⸣ʃikiːnu ⸢kaː⸣ba ⸢ʃ ik⸣kiti mu⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣riti me⸢dʒi⸣ro ʃi⸢biʃiki⸣ kuː⸢diː] (モチノキの皮を搗いてもちを作ってメジロをくっつけて獲ってこようよ) 602 0 0 551 htmvoc_602.wav アサシガキ ア⸢サシガ⸣キ [ʔa⸢saʃiga⸣ki] 名 早朝より畑仕事や出漁の準備をすること。先駆け(魁け)て仕事をすること。「朝仕掛け」の義か。夏季には早朝、薄暗いうちから畑に出て働くことを奨励したので、起床と同時に⸢ミーコー⸣ヤー[⸢miːkoː⸣jaː](お目覚め{EOS}昨夜のご飯の残り)を軽く食べて、朝露を踏んで野良仕事にでた。午前11時頃には帰宅して、⸣アシスコール[⸣ʔaʃisu̥koːru](昼食の準備)をした。 ア⸢サシガ⸣キ ⸢スー⸣ ッ⸢ふァー マイフナー ヤッタ [ʔa⸢saʃiga⸣ki ⸢suː⸣ f⸢faː maiɸunaː jatta] (早朝に畑仕事をする<朝先駆けする>子は働き者だった) 605 0 0 552 htmvoc_605.wav アサシュー ア⸢サ⸣シュー [ʔa⸢sa⸣ʃuː] 名 朝露。 ナ⸢チェー⸣ シ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸢カージ⸣ ア⸢サシュー⸣バ フ⸢メー⸣ティル パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ⸢ダー [na⸢ʧeː⸣ ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸢kaːdʒi⸣ ʔa⸢saʃuː⸣ba ɸu⸢meː⸣ti⸣ru pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta⸢daː] (夏は毎朝<朝のたびに>朝露を踏みながら畑へ行ったのだよ) 607 0 0 553 htmvoc_607.wav アザッカイパラッカイ ア⸢ザッカイパラッ⸣カイ [ʔa⸢ʣakkaiparak⸣kai] 副 いりみだれるさま。混雑するさま。雑踏するさま。 ⸢プール⸣ヌ シ⸢ナピキ⸣ヌ ピンマー ア⸢ザッカイパラッ⸣カイ ⸢スン⸣ケン プ⸢スヌ⸣ ンジキー ア⸢ラカラン⸣セン [⸢puːru⸣nu ʃi⸢napiki⸣nu pimmmaː ʔa⸢ʣakkaiparak⸣kai ⸢suŋ⸣kem pu̥⸢sunu⸣ ʔnʤikiː ʔa⸢rakaraŋ⸣ʃeŋ] (豊年祭の綱引きの日には雑踏するほど人が出てきて歩けなかった) 579 0 0 554 htmvoc_579.wav アザテー ア⸢ザテー [ʔa⸢ʣateː] 名 屋号。東里清光氏宅。⸢ヨー⸣カヤー[⸢joː⸣kajaː](西原松氏宅)の分家と言われている。鳩間島西村の旗頭を保管するトゥ⸢ニムトゥヤー[tu⸢nimutujaː](根家)といわれている。 ア⸢ザテーヌ⸣ イ⸢ゴー⸣ジザー ア⸢ラ⸣カーウガンヌ ティ⸢ジリ⸣ビー ヤ⸢ローッ⸣タ [ʔa⸢ʣateːnu⸣ ʔi⸢goː⸣ʤiʣaː ʔa⸢ra⸣kaːʔugannu ti⸢ʤiri⸣biː ja⸢roːt⸣ta] (東里家の清光氏は新川御嶽の男性神職者<ティジリビー>であられた) 609 0 0 555 htmvoc_609.wav アサティダ ア⸢サティダ [ʔa⸢satida] 名 朝の太陽。朝の陽光。 ア⸢サティダ⸣ ウ⸢ガ⸣ムン [ʔa⸢satida⸣ ʔu⸢ga⸣muŋ] (朝の太陽を拝む)。 ア⸢サティダー ヤーン⸣ナカー イ⸢リルバン イールティダー ヤーン⸣ナカー イ⸢リルナ [ʔa⸢satidaː jaːn⸣nakaː ʔi⸢rirubaŋ ʔiːrutidaː jaːn⸣nakaː ʔi⸢riruna] (朝の太陽<陽光>は室内に入れても、西日は室内に入れるな) 612 0 0 556 htmvoc_612.wav アサドーヤユンタ ア⸢サドー⸣ヤユンタ [ʔa⸢sadoː⸣jajunta] 名 安里家(あさどや)ユンタ。竹富島の古謡。 ⸢ワー⸣ タ⸢キドゥン⸣ヌ ア⸢サドー⸣ヤユンタ シ⸢キミッタン [⸢waː⸣ tḁ⸢kidun⸣nu ʔa⸢sadoː⸣jajunta ʃi̥⸢kimittaŋ] (君は竹富島のアサドーヤユンタを聞いたことがあるか) 610 0 0 557 htmvoc_610.wav アサトゥリ ア⸢サ⸣トゥリ [ʔa⸢sa⸣turi] 名 朝凪。若年層は、ア⸢サ⸣ドゥリ[ʔa⸢sa⸣duri](朝凪)ともいう。 ア⸢サ⸣トゥリ ⸢スー⸣ ピンマー ⸢パイ⸣ターヌ ⸢ギームドゥロー⸣ イッ⸢ケン ナン⸣ギ シ⸢タン⸣ダー [ʔa⸢sa⸣turi ⸢suː⸣ pimmaː ⸢pai⸣taːnu ⸢giːmuduroː⸣ ʔik⸢ken naŋ⸣gi ʃi̥⸢tan⸣daː] (朝凪する日は西表島<南端>への往来<行き戻り>はひどく難儀をしたものだ) 611 0 0 558 htmvoc_611.wav アサトゥル ア⸢サ⸣トゥル [ʔa⸢sa⸣turu] 名 早朝畑に出て朝食用の芋を掘ってくること。朝取り。ア⸢サ⸣ピキ[ʔa⸢sa⸣pi̥ki](朝引き)ともいう。嫁がアサトゥルすることを非常に嫌った。 ア⸢サ⸣トゥル ⸢シー⸣ ア⸢サ⸣ボン マ⸢ニアーシ⸣タ [ʔa⸢sa⸣turu ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sa⸣bom ma⸢niʔaːʃi̥⸣ta] (朝取りをして朝食を間に合わせた) 613 0 0 559 htmvoc_613.wav アザナー ア⸢ザナー [ʔa⸢ʣanaː] 名 あだ名。あざな。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン サ⸢キシギリバ⸣ シ⸢ティル⸣ ウスマイティ ア⸢ザナーバ⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢ベー⸣ダ⸢レ⸣ー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣ken sḁ⸢kiʃigiriba⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ʔusumaiti ʔa⸢ʣanaː⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢beː⸣da⸢re⸣ː] (子供の頃、急性アルコール中毒になって<失神して>ウスマイというあだ名を付けられているのだよ) 614 0 0 560 htmvoc_614.wav アザナーン ア⸢ザナー⸣ン [ʔa⸢ʣanaː⸣ŋ] 形 物が絡み合っているさま。複雑に\ruby{縺}{モツ}れて歩きづらい。ものが絡み合って歩きづらい。「摎、アザナハレリ」『類聚名義抄』が転訛、形容詞化したものか。 パ⸢タキ⸣ミチェー ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣シティ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ザナー⸣ン [pḁ⸢taki⸣miʧeː s⸢sa⸣nu ⸢muikaba⸣ʃi̥ti ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʣanaː⸣ŋ] (農道<畑道>は草が生えすぎて道に絡まって歩きにくい)。 ⸣ドゥク ア⸢ザナー⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣duku ʔa⸢ʣanaː⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (あまりに複雑に絡み合って歩けない)。 ⸣クマー ア⸢ザナー ナー⸣ヌ [⸣kumaː ʔa⸢ʣanaː naː⸣nu] (ここは絡まっていない)。 ク⸢ヌ⸣ ミチェー ア⸢ザナー⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ miʧeː ʔa⸢ʣanaː⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (この道は草が絡み合っていて歩かれない)。 ア⸢ザナー⸣ン ⸣トンマー パ⸢ル⸣ナ [ʔa⸢ʣanaː⸣n ⸣tommaː pa⸢ru⸣na] (歩きづらい所へは行くな)。 ⸣アイニ ア⸢ザナー⸣カー パ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ʔa⸢ʣanaː⸣kaː pa⸢ra⸣nu] (あのように絡み合いもつれて歩きづらければ行かない) 587 0 0 561 htmvoc_587.wav アサニビ ア⸢サ⸣ニビ [ʔa⸢sa⸣nibi] 名 朝寝坊。「朝寝」の義。農家は朝が早いので、嫁が朝寝坊をすると舅や姑に嫌われた。教訓歌の民謡⸢デンサー⸣ブシ[⸢densaː⸣buʃi](デンサー節)では/アサニビショール ミドゥム アサピキショール ミドゥム ウリカラドゥ キワミティ ムンドーヤ クヌミョール デンサー/(朝寝をされる女、朝畑から芋を掘られる女、これからが極めて喧嘩<問答>は始まる)と歌われている。 ア⸢サ⸣ニビ ⸢スー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢ムンドー⸣ヌ ⸣ムトゥ [ʔa⸢sa⸣nibi ⸢suː⸣ mi⸢du⸣moː ⸢mundoː⸣nu ⸣mutu] (朝寝坊をする女は家庭騒動<家庭問答、喧嘩>のもとだ) 628 0 0 562 htmvoc_628.wav アサノーリ ア⸢サノー⸣リ [ʔa⸢sanoː⸣ri] 名 朝の晴天。朝晴れ。「朝直り」の義。 ア⸢サノー⸣リ ⸢シーブーヌ⸣ プ⸢スマ⸣アトーラ ⸢ホー⸣ン ⸣ミサンカヤー [ʔa⸢sanoː⸣ri ⸢ʃiːbuːnu⸣ pu̥⸢suma⸣ʔatoːra ⸢hoːm⸣misaŋkajaː] (朝晴れしているが、昼あとから降らないかなあ) 651 0 0 563 htmvoc_651.wav アサバー ア⸢サバー [ʔa⸢sabaː] 名 遊び人。働かずに遊んでいる人。怠け者。若年層の言葉。ア⸢サベー[ʔa⸢sabeː](怠け者)と同じ。 ドゥ⸢シトゥ⸣ トゥ⸢レー⸣シ ア⸢サバー⸣ ナリティル ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢グトゥ サンバン [du⸢ʃitu⸣ tu⸢reː⸣ʃi ʔa⸢sabaː⸣ naritiru mut⸢tu⸣ ʃi⸢gutu sambaŋ] (友人と連れ立って遊び惚けて、ちっとも仕事をしないよ) 629 0 0 564 htmvoc_629.wav アサバスン ア⸢サバスン [ʔa⸢sabasuŋ] 他動 遊ばす。遊ばせる。遊ぶようにさせる。 ⸣クナーティ ア⸢サバスン [⸣kunaːti ʔa⸢sabasuŋ] (ここで遊ばせる)。 ア⸢サバサンドー⸣シ パ⸢タラカシ [ʔa⸢sabasandoː⸣ʃi pḁ⸢tarakaʃi] (遊ばさないで働かせ)。 ア⸢サバシ⸣ プサン [ʔa⸢sabaʃi⸣ pusaŋ] (遊ばしたい)。 ア⸢サバス⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔa⸢sabasu⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (遊ばせる人がいない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢サバシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢sabaʃeː⸣ misamunu] (もっと遊ばせば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢サバシ [⸢paː⸣ku ʔa⸢sabaʃi] (早く遊ばせ) 630 0 0 565 htmvoc_630.wav アサパナ ア⸢サ⸣パナ [ʔa⸢sa⸣pana] 名 早朝。「朝端」の義。 ア⸢サ⸣パナーラ ⸣ウキティ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ [ʔa⸢sa⸣panaːra ⸣ʔukiti pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta] (早朝から起きて畑へ行った)。「朝端(あさはな)」の義。 シ⸢トゥム⸣ティ ア⸢サ⸣パナーラ ⸣ウキティ シ⸢ガケー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ʃi̥⸢tumu⸣ti ʔa⸢sa⸣panaːra ⸣ʔukiti ʃi⸢gakeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (早朝から起きて人に先んじて仕事に励んでいる)。「ショングヮヂゥヌ シゥトゥムディ アラトゥシゥヌ アサパナ(正月の早旦、新年の朝端)」(鷲の鳥節)と古謡に歌われている『宮良当壮全集 12』 617 0 0 566 htmvoc_617.wav アザバライ ア⸢ザバライ [ʔa⸢ʣabarai] 名 嘲笑うこと。嘲笑い。 ⸢ウンザー⸣ カ⸢タ⸣フチェー ピ⸢キティル⸣ ア⸢ザ⸣バライ ⸢シーベー⸣バン [⸢ʔunʣaː⸣ kḁ⸢ta⸣ɸu̥ʧeː pi̥⸢kitiru⸣ ʔa⸢ʣa⸣barai ⸢ʃiːbeː⸣baŋ] (あの野郎は薄笑いをして<片口を引いて>嘲笑っているよ) 661 0 0 567 htmvoc_661.wav アザバライ ア⸢ザ⸣バライ [ʔa⸢ʣa⸣barai] 名 あざ笑い。嘲笑すること。 ⸣バー ⸢シーユーサンティ⸣ ウムイティ ⸢バイ⸣ヨー ア⸢ザ⸣バライ ⸢シーベー [⸣baː ⸢ʃiːjuːsanti⸣ ʔumuiti ⸢bai⸣joː ʔa⸢ʣa⸣barai ⸢ʃiːbeː] (私には出来ないと思って、私をあざ笑って<あざ笑いして>いる) 616 0 0 568 htmvoc_616.wav アザパライ ア⸢ザ⸣パライ [ʔa⸢ʣa⸣parai] 名 ⸢畦払い」の義。畦道の草刈り。田畑の畦の雑草を刈り取ること。 パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザパライ⸣ヤンツァン ⸢シー⸣バ [pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣaparai⸣janʦaŋ ⸢ʃiː⸣ba] (畑の畦道の草刈だけでもしなさいよ) 618 0 0 569 htmvoc_618.wav アザバンユーゾーナーヌ ア⸢ザバン ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʣabaŋ juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] 連 言っても詮無い。言っても無益である。ア⸢ザバン[ʔa⸢ʣabaŋ](言っても)は、ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の未然形、アザ[ʔaʣa]に仮定条件の接続助詞⸢-バン[⸢-baŋ](~ても)が付いた形。⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ[⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu]は、⸢ユー⸣ゾー[⸢juː⸣ʣoː](養生{EOS}病気の手当て)に⸢ナー⸣ヌ[⸢naː⸣nu](無い)が付いた形で、「手の施しようがない。どうにもならない。せんない(詮無い)」の意味 631 0 0 570 htmvoc_631.wav アサビ ア⸢サビ [ʔa⸢sabi] 名 遊び。 ア⸢サビヌ⸣ クトゥカー⸢ニ⸣ ウムイティ ⸢ピッ⸣チン シ⸢グトゥ⸣ナー ⸣ニン イ⸢ランバン [ʔa⸢sabinu⸣ ku̥tu kaː⸢ni⸣ ʔumuiti ⸢pit⸣ʧiŋ ʃi⸢gutu⸣naː ⸣niŋ ʔi⸢rambaŋ] (遊びのことだけ考えて<思って>、ちっとも仕事に念をいれないわい<ネンヲイルル『日葡辞書』>) 633 0 0 571 htmvoc_633.wav アサビカサビ ア⸢サビカサ⸣ビ [ʔa⸢sabikasa⸣bi] 名 遊んでばかりいること。ABCDBC型の重言。カサビ[kasabi](重ね)は強意用法。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢サビカサ⸣ビ カー⸢ニ シーアー⸣ク [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢sabikasa⸣bikaː⸢ni ʃiːʔaː⸣ku] (仕事はしないでただ遊んでばかりいる) 644 0 0 572 htmvoc_644.wav アサヒカマブク ア⸢サヒカマ⸣ブク [ʔa⸢saçikama⸣buku] 名 周囲を食紅で赤く染めた円形のかまぼこ。「朝日かまぼこ」の義。祝儀用のかまぼこ。石垣方言からの借用語。普通は、ア⸢ガカマブク[ʔa⸢gakamabuku](赤かまぼこ)という。法事用には、ッ⸢スカマ⸣ブク[s⸢sukama⸣buku](白かまぼこ)を用いた 635 0 0 573 htmvoc_635.wav アサピキ ア⸢サ⸣ピキ [ʔa⸢sa⸣pi̥ki] 名 朝になって、朝食用の甘藷を取りに畑へ行くこと。「朝引き」の義。家庭の主婦としてあるまじき行為とされていた。ア⸢サ⸣ニビ[ʔa⸢sa⸣nibi](朝寝)とア⸢サ⸣ピキ[ʔa⸢sa⸣pi̥ki](朝引き、朝取り)は家庭騒動のもとといわれていた。鳩間島で伝承されている教訓歌の⸢デンサー節」の一節に/アサニビ ショール ミドゥム アサピキ ショール ミドゥム ウリカラドゥ キワミティ ムンドーヤ クヌミョール デンサー/(朝寝をする女、朝に朝食用の芋堀りをする女、それから<ぞ>家庭騒動は起きるものだ)とある。 ア⸢サ⸣ピキ ⸢スー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢ムンドー⸣ヌ ⸣ムトゥ [ʔa⸢sa⸣pi̥ki ⸢suː⸣ mi⸢du⸣moː ⸢mundoː⸣nu ⸣mutu] (朝になって芋ほりする女は家庭騒動<問答>のもとになる) 636 0 0 574 htmvoc_636.wav アサビグトゥ ア⸢サビグトゥ [ʔsa⸢bigutu] 名 遊びごと。 ア⸢サビグトゥ⸣ シ⸢ミル⸣カー ウ⸢リヌ ウイ⸣ナー ⸣タトゥ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔa⸢sabigutu⸣ ʃi⸢miru⸣kaː ʔu⸢rinu ʔui⸣naː ⸣tḁtu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (遊びごとをさせると、その人の上に立つ人はいない) 632 0 0 575 htmvoc_632.wav アサビシグトゥ ア⸢サビシグトゥ [ʔa⸢sabiʃigutu] 名 楽な仕事。簡単な仕事。「遊び仕事」の義。 ⸢キュー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ア⸢サビシグトゥ⸣ ユネン⸢バー⸣キナー トゥ⸢ズミラ⸣リン [⸢kjuː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ ʔa⸢sabiʃigutu⸣ junem⸢baː⸣kinaː tu⸢ʣumira⸣riŋ] (今日の仕事は楽な仕事だ{EOS}夕方までには終了<片付け>出来る) 634 0 0 576 htmvoc_634.wav アサビッサーク ア⸢サビッサーク [ʔa⸢sabissaːku] 名 遊び仕事。楽な仕事。遊び半分に出来る仕事。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ア⸢サビッサーク⸣ティ ⸣ムカーヤ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ʔa⸢sabissaːku⸣ti ⸣mukaːja] (その程度は遊び仕事というものだ) 638 0 0 577 htmvoc_638.wav アサビッふァ ア⸢サビッふァ [ʔa⸢sabiffa] 名 婚前に遊び相手に生ませた子供。「遊び子」の義。 カ⸢ヌ プストゥヌ⸣ ナカナー ア⸢サビッふァヌ⸣ ブ⸢タン⸣ツォー [ka⸢nu⸣ pu̥⸢sutunu⸣ nakanaː ʔa⸢sabiffanu⸣ bu⸢tan⸣ʦoː] (あの人との間に婚前に生ませた子供がいたそうだよ) 637 0 0 578 htmvoc_637.wav アサビドゥシ ア⸢サビドゥシ [ʔa⸢sabiduʃi] 名 遊び友達。遊び仲間。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンラヌ ア⸢サビドゥシ⸣ティムカーヤ ッ⸢サンシェン [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenranu ʔa⸢sabiduʃi⸣timukaːja s⸢saŋʃeŋ] (あれら二人は子供の頃からの遊び友達というもんだ{EOS}知らなかったのか) 12188 0 0 579 htmvoc_12188.wav アサビナライ ア⸢サビナライ [ʔa⸢sabinarai] 名 遊び癖。⸢遊び習い」の義。 ア⸢サビナライ⸣ シ⸢キル⸣ナ [ʔa⸢sabinarai⸣ ʃi̥⸢kiru⸣na] (遊び習慣<遊び癖>をつけるな) 639 0 0 580 htmvoc_639.wav アサビパダ ア⸢サビパダ [ʔa⸢sabipada] 名 夜遊びを楽しむ年頃。青年時代。青春時代。 ア⸢サビパダ⸣ ヤ⸢リバ⸣ ドゥ⸢シヌ⸣ヤー ア⸢サビン⸣ パルンティ ⸣アイニ イ⸢ゾーン⸣ナ⸢ヨー [ʔa⸢sabipada ⸣ja⸢riba⸣ du⸢ʃinu⸣ jaː ʔa⸢sabim⸣ parunti ⸣ʔaini ʔi⸢ʣoːn⸣na⸢joː] (遊びを楽しむ年頃だから、友達の家に遊びに行くといって、あんなに怒りなさるなよ) 640 0 0 581 htmvoc_640.wav アサビバナ ア⸢サビバナ [ʔa⸢sabibana] 名 遊び盛り。遊び戯れる時期。 ビ⸢コーンッふァヌ⸣ ア⸢サビバナー⸣ ナ⸢マキジ⸣ヌ ⸣キシテー ⸢ナー⸣ヌ [bi⸢koːŋffanu⸣ ʔa⸢sabibanaː⸣ na⸢makiʤi⸣nu ⸣ki̥ʃiteː ⸢naː⸣nu] (男の子の遊び盛りは生傷が絶える<切れる>ことはない) 641 0 0 582 htmvoc_641.wav アサビブリ ア⸢サビブリ [ʔa⸢sabiburi] 名 遊び惚けること。遊びに夢中になること。「遊び惚れ」の義。子供が日の暮れるのを忘れて遊びに耽っている時にいう。仕事を忘れて遊び耽る者にもいう。また、肉体から遊離したマ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru](魂)が浮遊している際にもいう。 ⸢バン⸣テヌ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢サビブリバ シーティル⸣ ムサッ⸢トゥ ヤー⸣ナー カ⸢カラ⸣ヌ [⸢ban⸣tenu f⸢faː⸣ ʔa⸢sabiburiba ʃiːtiru⸣ musat⸢tu jaː⸣na kḁ⸢kara⸣nu] (私の家の子供は遊び惚けてちっとも家に留まらない<掛からない>) 642 0 0 583 htmvoc_642.wav アサビマーリ ア⸢サビマーリ [ʔa⸢sabimaːri] 名 遊びまわり。子供が友人の家を訪ねて遊びまわること。若い男女が仕事を疎かにして、異性の家に入り浸りになること。子供の魂は、叱られるのが怖くて肉体に戻ることができず、遊びまわるといわれている。それ故、マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠め)の際は、マ⸢ブ⸣ル(魂)の好物である「水」、「大豆のお汁」を用意して、特に子供が空腹になる夕刻に、マ⸢ブ⸣ルクミ(魂籠め)の祈願をした。家人を始め、祈願する人も、特に優しい声で、マ⸢ブロー⸣マ マ⸢ブロー⸣マと呼んで、ミ⸢ジーン トー⸣フマミヌ ⸣スーン ア⸢リ⸣バ ⸢ダンティ⸣ キー ッ⸢ふァイ⸣ ッ⸢ふァイ[mi⸢ʣiːn toː⸣ɸumaminu suːŋ ʔa⸢ri⸣ba ⸢danti⸣ kiː f⸢fai⸣ f⸢fai](水も大豆のお汁もあるから、早く来てお食べ)と宥めすかすように呼ぶのである 643 0 0 584 htmvoc_643.wav アサビリ ア⸢サ⸣ビリ [ʔa⸢sa⸣biri] 名 朝の排便。「朝座り」の義。 ア⸢サ⸣ビレー シ⸢マ⸣シテーラル ⸢トゥーサーヤ⸣ パル⸢ダー [ʔa⸢sa⸣bireː ʃi⸢ma⸣ʃiteːraru ⸢tuːsaːja⸣ paru⸢daː] (朝の排便は済ませてから遠くへは行くのだよ) 650 0 1 585 htmvoc_650.wav アサブン ア⸢サブン [ʔa⸢sabuŋ] 自動 {Mn_1}遊ぶ。「遊行女児、和名宇加礼女、又云阿曾比(あそび)」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢ワートゥ⸣ マー⸢ズン⸣ ア⸢サブン⸣ツォー [⸢waːtu⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ʔa⸢sabun⸣ʦoː] (君と一緒に遊ぶそうだよ)。 カ⸢リトゥ⸣カー⸢ニ⸣ ア⸢サバンドー⸣シ ⸢バン⸣トゥン ア⸢サビ⸣バ [ka⸢ritu⸣kaː⸢ni⸣ ʔa⸢sabandoː⸣ʃi ⸢ban⸣tuŋ ʔa⸢sabi⸣ba] (彼とだけ遊ばないで僕とも遊べよ)。 ア⸢サビ⸣ プサンドゥ ⸢ワットゥ⸣ ア⸢サブ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢sabi⸣ pu̥sandu ⸢wattu⸣ ʔa⸢sabu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (遊びたいが、君と遊ぶことはできない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢サベー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢sabeː⸣ misamunu] (もっと遊べばいいのに)。 650 0 2 586 htmvoc_650.wav アサブン ア⸢サブン [ʔa⸢sabuŋ] 自動 {Mn_2}器具の部分と部分が密着しないで隙間があって動く余裕が生じる。緩む。 ク⸢ビン⸣ヌ フ⸢ター⸣ シ⸢マラ⸣ヌ ア⸢サビブー [ku⸢bin⸣nu ɸu̥⸢taː⸣ ʃi⸢mara⸣nu ʔa⸢sabibuː] (瓶の蓋は閉まらない{EOS}緩んでいる<遊んでいる>) 645 0 0 587 htmvoc_645.wav アサベー ア⸢サベー [ʔa⸢sabeː] 名 遊び人。遊蕩児。定職が無くぶらぶら遊び暮らしているもの。老年層の使用語。 イ⸢チンバー⸣キン ア⸢サベー⸣ ナリ ⸢アーカン⸣ドーシ ⸢パイ⸣サ シ⸢グトゥ⸣ トゥミティ パ⸢タラキ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ʔa⸢sabeː⸣ nari ⸢ʔaːkan⸣doːʃi ⸢pai⸣sa ʃi⸢gutu⸣ tumiti pḁ⸢taraki] (いつまでも無職でぶらぶらしていないで、早く仕事を探して働きなさい) 652 0 0 588 htmvoc_652.wav アサベーカサベー ア⸢サベー⸣カサベー [ʔa⸢sabeː⸣kasabeː] 副 遊びに耽って。遊び惚けて。 シ⸢グトゥン⸣ サ⸢ムティ ピーズン⸣ ア⸢サベー⸣カサベー ⸢シー アー⸣ク [ʃi⸢gutun⸣ sa⸢muti piːʣuŋ⸣ ʔa⸢sabeː⸣kḁsabeː ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (仕事もしないで毎日遊び惚けている) 619 0 0 589 htmvoc_619.wav アサボン ア⸢サ⸣ボン [ʔa⸢sa⸣boŋ] 名 朝御飯。朝食。御飯を「飯、'om・par(n)i」『海東諸国紀・「語音翻訳」』、「飯、翁班尼」『琉球館訳語』とある。 ア⸢サ⸣ボン ッ⸢ふァイティ⸣ マー⸢ズン⸣ パ⸢タ⸣ケー パラ⸢ナー [ʔa⸢sa⸣boŋ f⸢faiti⸣ maː⸢ʣum⸣ pḁ⸢ta⸣keː para⸢naː] (朝御飯を食べて、一緒に畑へ行こうね)。ア⸢サ⸣ンボン[ʔa⸢sa⸣ʔmboŋ](朝ご飯)の縮約形。「おぼのがなし 食事の敬語」『混効験集』、とある。 ア⸢サボン⸣マー ッ⸢ふァイヤーン⸣カヤー [ʔa⸢sabom⸣maː f⸢faijaːŋ⸣kajaː] (朝ご飯は食べただろうかねえ) 654 0 0 590 htmvoc_654.wav アサボンジブン ア⸢サ⸣ボンジブン [ʔa⸢sa⸣bondʒibuŋ] 名 朝飯時。朝食時分。「朝・飯 翁班尼<ウバニ>」『琉球館訳語』、「おぼのがなし 食事の敬語」『混効験集』、⸢飯om-pa-r(n)i」『語音翻訳』・⸢時分」よりなる複合語。 ア⸢サ⸣ボンジブン ナ⸢リ⸣ブバ ディー⸢ディー ヤー⸣ パラ [ʔa⸢sa⸣bonʤiibun na⸢ri⸣buba diː⸢diː jaː⸣ para] (朝食時分になっているから、さあさあ家へ帰ろう) 655 0 0 591 htmvoc_655.wav アサマイリ ア⸢サマイ⸣リ [ʔa⸢samai⸣ri] 名 朝参り。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ユードゥーシ⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テー ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸢ヤー カイ⸣ローリティ マ⸢タ⸣ ア⸢サマイ⸣リ ⸢シー ソーッ⸣タ [⸢puːru⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢jaː kai⸣roːriti ma⸢ta⸣ ʔa⸢samai⸣ri ⸢ʃiː soːt⸣ta] (豊年祭の夜通しの朝は神人たちは家に帰られて、また朝参りをされた<しなさった>) 656 0 0 592 htmvoc_656.wav アサマシー ア⸢サマシー [ʔa⸢samaʃiː] 連体 浅ましい。惨めでいやしい。石垣方言からの借用語。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー フン⸣トー ア⸢サマシー⸣クトゥ [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː ɸun⸣toː ʔa⸢samaʃiː⸣ ku̥tu] (あんなことをして誠に浅ましいことだ) 620 0 0 593 htmvoc_620.wav アサマッサン ア⸢サマッ⸣サン [ʔa⸢samas⸣saŋ] 形 あまりの酷さに呆れかえる。興ざめである。見苦しい。あさましい。 ⸣アイブー ヤ⸢ナシムチバ⸣ ムティ ⸢ヤームン⸣ドー ウ⸢ク⸣シ ア⸢サマッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaibuː ja⸢naʃimuʧiba⸣ muti ⸢jaːmun⸣doː ʔu⸢ku⸣ʃi ʔa⸢samassa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (あのような悪い精神<気持ち>を持って家庭騒動を起こして、見苦しくて<呆れかえって>見ておれない)。 ⸣アイブー ⸢ヤームン⸣ドー ⸣ミルカー ア⸢サマッ⸣サンダ ⸣メー ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibuː ⸢jaːmun⸣doː ⸣mirukaː ʔa⸢samas⸣sanda ⸣meː mi⸢ra⸣nu] (あんなお家騒動を見るのは見苦しいので、もう見ない)。 ⸣カイニ ア⸢サマッ⸣サル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kaini ʔa⸢samas⸣saru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなにあさましいことはない) 657 0 0 594 htmvoc_657.wav アサマユーマ ア⸢サマユー⸣マ [ʔa⸢samajuː⸣ma] 名 朝夕。「朝間夕間」の義。 ア⸢サマユー⸣マ ⸢ター⸣ヌ ⸢ミーマール スンティ パンタ⸣サ ⸢シーオー⸣ル [ʔa⸢samajuː⸣ma ⸢taː⸣nu ⸢miːmaːru sunti panta⸣sa ⸢ʃiːoː⸣ru] (朝夕田圃の見回りをしようとして多忙を極めて<繁多さして>おられる) 658 0 0 595 htmvoc_658.wav アザミチ ア⸢ザ⸣ミチ [ʔa⸢ʣa⸣miʧi] 名 畦道。細道。 パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザミチ⸣バ ⸢トゥンクイトゥンクイ シェー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ ⸢クー⸣タ [pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣamiʧi⸣ba ⸢tuŋkuituŋkui ʃeː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuː⸣ta] (畑の畦道を跳び越え跳び越えしながら歩いて来た) 660 0 0 596 htmvoc_660.wav アザムクン ア⸢ザム⸣クン [ʔa⸢ʣamu⸣kuŋ] 他動 騙す。欺く。嘲笑する。 ッ⸢サンコーラ⸣シ ⸢シーベー⸣ティ プ⸢スバ⸣ ア⸢ザム⸣クン⸢ダー⸣ ウ⸢レー [s⸢saŋkoːra⸣ʃi ⸢ʃiːbeː⸣ti pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢ʣamu⸣kun⸢daː⸣ ʔu⸢reː] (そ知らぬふりして人を騙すんだよ、こいつは) 659 0 0 597 htmvoc_659.wav アサムヌ ア⸢サ⸣ムヌ [ʔa⸢sa⸣munu] 名 朝食。 ア⸢サ⸣ムヌ ッ⸢ふァーン⸣カー パ⸢タキシグ⸣トー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢sa⸣munu f⸢faːŋ⸣kaː pḁ⸢takiʃigu⸣toː na⸢ra⸣nu] (朝食を食べないと畑仕事は出来ない) 662 0 0 598 htmvoc_662.wav アサヤキ ア⸢サ⸣ヤキ [ʔa⸢sa⸣jaki] 名 朝焼け。標準語からの借用語。 ア⸢サ⸣ヤケー ⸢シー ティンマー⸣ ア⸢ガミベー⸣ヌ ⸢オシケー ヌー⸣シカヤー [ʔa⸢sa⸣jakeː ⸢ʃiː timmaː⸣ ʔa⸢gamibeː⸣nu ⸢ʔoʃi̥keː nuː⸣ʃikajaː] (朝焼けをして空は赤らんでいるが天気はどうだろうか) 663 0 0 599 htmvoc_663.wav アサユー ア⸢サ⸣ユー [ʔa⸢sa⸣juː] 名 朝夕。朝晩。いつも。朝な夕な。 ア⸢サユー⸣ヌ ウ⸢ヤプスン⸣マイヌ ⸢サーサー⸣ドー バ⸢シキルナ⸣ダー [ʔa⸢sajuː⸣nu ʔu⸢japu̥sum⸣mainu ⸢saːsaː⸣doː ⸢baʃi̥kiruna⸣daː] (朝夕の、ご先祖様の前へのおちゃとう<お茶湯>を忘れるなよ) 670 0 0 600 htmvoc_670.wav アザライシ ア⸢ザライシ [ʔa⸢ʣaraiʃi] 名 ごつごつした石。でこぼこの多い石。 ア⸢ザライシミチェー⸣ ア⸢ラキングリサ⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔa⸢ʣaraʔiʃimiʧeː⸣ ʔa⸢rakiŋgurisa⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (でこぼこの多い石道は歩きずらくて、歩けない) 665 0 1 601 htmvoc_665.wav アサラゴー ⸣アサラゴー [⸣ʔasaragoː] 名 {Mn_1}(動)貝の名。イガイ科。和名、リュウキュウヒバリガイ、ムラサキガイの仲間。明治生まれの老年層は、⸣アサルゴー[⸣ʔasarugoː]ともいう。長さ約4センチ、巾約1,5センチの細長い貝。浅い海の岩礁の上に棲息している。殻は薄くてもろい。ムラサキガイは光沢のある黒紫色を呈している。煮て食する。 ⸣アサラゴーンツァン ⸢コーシ⸣ クー⸢ディ⸣ー [⸣ʔasaragoːnʦaŋ ⸢koːʃi⸣ kuː⸢di⸣ː] (アサラゴー貝でも掻き剥がして漁獲してこようよ)。 665 0 2 602 htmvoc_665.wav アサラゴー ⸣アサラゴー [⸣ʔasaragoː] 名 {Mn_2}潮干狩り。 ⸣アサラゴー ⸢シン⸣ パラ⸢ディ⸣ー [⸣ʔasaragoː ⸢ʃim⸣ para⸢di⸣ː] (潮干狩りをしに行こうよ) 667 0 0 603 htmvoc_667.wav アザラスン ア⸢ザラスン [ʔa⸢ʣarasuŋ] 他動 米を搗いて少し糠の出た状態にする。表面をざらざらにする。臼で米搗きをする際に始めはゆっくり、力をいれずに搗く。四、五分経つと糠が出る。この状態になると力強く搗いても米粒は臼から飛び散らない。その状態にすることをいう。「肉習○、魚肉爛也、阿佐礼太利(あざれたり)」『新撰字鏡』、「鯘、アザル」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ⸢マイヤー⸣ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸣シキ ア⸢ザラシテーラ⸣ シ⸢キバ⸣ル トゥ⸢ビパラ⸣ヌ [⸢maijaː⸣ jaː⸢rama⸣ʃi ⸣ʃi̥ki ʔa⸢ʣaraʃi̥teːra⸣ ʃi̥⸢kiba⸣ru tu⸢bipara⸣nu] (米は弱く<柔らかく>搗いて糠を出してから強く搗いた方が飛び散らない)。 ⸣ウシナー ⸢マイ⸣ イ⸢リティ⸣ ア⸢ザラスン [⸣ʔuʃinaː ⸢mai⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢ʣarasuŋ] (臼に米を入れて、弱く搗いて糠の出た状態にする) 668 0 0 604 htmvoc_668.wav アザラミチ ア⸢ザラミチ [ʔa⸢ʣaramiʧi] 名 石ころだらけの道。でこぼこの多い道。 ア⸢ザラミチェー⸣ ア⸢ラキングリ⸣サン [ʔa⸢ʣaramiʧeː⸣ ʔa⸢rakiŋguri⸣saŋ] (石ころ道は歩きづらい) 669 0 0 605 htmvoc_669.wav アザランナカーラ ア⸢ザラン⸣ ナカーラ [ʔa⸢ʣaraŋ⸣ nakaːra] 連 言うにことかいて。言えないので。「~と言えないなかで」の義。 ウ⸢ナール ワッ⸣サティ ア⸢ザラン⸣ ナカーラ ⸣カイブ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢naːru was⸣sati ʔa⸢ʣaran⸣nakaːra ⸣kaibu mu⸢ni⸣ba ʔi⸢dʒeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (己が悪いと言えないので、言うに事欠いて、このようなことを言っている<言ってあるく>) 671 0 0 606 htmvoc_671.wav アザリルン ア⸢ザリルン [ʔa⸢ʣariruŋ] 自動 米の糠がでる。表面がざらざらになる。絡み合う。「糾、アザハレリ」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸢マイヤー⸣ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸣ッサウカー ア⸢ザリルン [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸢maijaː⸣ jaː⸢rama⸣ʃi ⸣ssaukaː ʔa⸢ʣariruŋ] (臼の中の米は軽く<柔らかく>搗くと糠が出て飛び散らない)。 ⸢マイヤー⸣ ッサウカー ア⸢ザリラン⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ ア⸢ザリル スー [⸢maijaː⸣ ssaukaː ʔa⸢ʣariraŋ⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu ʔa⸢ʣariru suː] (米は搗くと糠が出て絡まらないことはない{EOS}糠が出て絡まりあうことになる) 672 0 0 607 htmvoc_672.wav アザリン ア⸢ザリン [ʔa⸢ʣariŋ] 自動 言われる。動詞ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の未然形、ア⸢ザ[ʔa⸢ʣa]に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](~れる)が付いて形成された派生動詞(受身・可能動詞)。 ⸢マイフナー⸣ティ シ⸢キン⸣ヌ プ⸢ソーラ⸣ ア⸢ザリン [⸢maiɸunaː⸣ti ʃi̥⸢kin⸣nu pu̥⸢soːra⸣ ʔa⸢ʣariŋ] (働き者と世間の人から言われる) 673 0 0 608 htmvoc_673.wav アサルゴー ⸣アサルゴー [⸣ʔasarugoː] 名 (動)貝の名。和名、リュウキュウヒバリガイ。ムラサキガイの仲間。若年層は、⸣アサラゴー[⸣ʔasaragoː]ともいう。 ⸣アサルゴーバ ⸣シジ バ⸢カシ [⸣ʔasarugoːba ⸣ʃiʤi ba⸢kaʃi] (アサルゴーを煎じてお汁に炊き<沸かし>なさい) 646 0 0 609 htmvoc_646.wav アサルン ア⸢サ⸣ルン [ʔa⸢sa⸣ruŋ] 他動 あさる(漁る)。探しまわる。ほじくりまわす。「春の野に安佐留<アサル>\ruby{雉}{キジ}の~。万、1446」の転訛したものか。 カ⸢ティ⸣ムヌ ⸣トゥルンティ タ⸢ク⸣ヌヤー ア⸢サルン⸣ドゥ ブ⸢ラーンバン [kḁ⸢ti⸣munu ⸣turunti tḁ⸢ku⸣nu ⸣jaː ʔa⸢sarun⸣du bu⸢raːmbaŋ] (おかず<副食物{EOS}かてもの>を漁獲しようと蛸の巣をほじくりまわすがいないよ)。 ⸢ヤー⸣サティ ッ⸢ふァイムヌ⸣ ア⸢サ⸣リ ⸢ベー [⸢jaː⸣sati f⸢faimunu⸣ ʔa⸢sa⸣ri ⸢beː] (ひもじいので食い物を漁っている)。 ッ⸢ふァイムヌ⸣ ア⸢サラン⸣ドーシ ⸢イー⸣ヌ ⸢ニールン⸣ケン ⸣マティバ [f⸢faimunu⸣ ʔa⸢saran⸣doːʃi ⸢ʔiː⸣nu ⸢niːruŋ⸣kem ⸣matiba] (食い物を漁らないで御飯が炊ける<煮える>まで待てよ)。 ⸢ヌー⸣バ ⸢ミス⸣クユー ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ナカー ア⸢サ⸣リ ⸢ベー [⸢nuː⸣ba ⸢misu̥⸣kujuː ⸢jaː⸣nu nakaː ʔa⸢sa⸣ri ⸢beː] (何を探すのか家の中を探して<あさって>いる)。 ⸢ヤー⸣サカー ッ⸢ふァイムヌ⸣ ア⸢サ⸣ルンダ ア⸢サラン⸣ヨーニ ナ⸢ラー⸣シバ [⸢jaː⸣sakaː f⸢faimunu⸣ ʔa⸢sa⸣runda ʔa⸢saraŋ⸣joːni na⸢raː⸣ʃiba] (ひもじいと食い物を漁るので、漁らないように教えなさいよ)。 ッ⸢ふァイムヌ⸣ ア⸢サ⸣ル プ⸢ス [f⸢faimunu⸣ ʔa⸢sa⸣ru pu̥⸢su] (食い物を漁る人)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢サ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢sa⸣reː ⸣misamunu] (もっと漁ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢サ⸣リバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢sa⸣riba] (早く漁れよ) 674 0 0 610 htmvoc_674.wav アザルン ア⸢ザルン [ʔa⸢ʣaruŋ] 自動 搗臼に米を入れて軽く搗くと糠が出て縺れ合うようになるさま。絡み合う。米と糠がもつれあって飛び散らないようになる。「魚委、魚肉爛也、阿佐礼太利(あざれたり)」『新撰字鏡』の転訛か。 ⸢マイヤー⸣ ッサウカー ア⸢ザルン [⸢maijaː⸣ ssaukaː ʔa⸢ʣaruŋ] (米は搗く<精げる>と糠が出て絡まる)。 マ⸢ダ⸣ ア⸢ザラヌ [ma⸢da⸣ ʔa⸢ʣaranu] (まだ糠が出ない{EOS}絡まない)。 キ⸢サーティ⸣ ア⸢ザリ ブー [ki̥⸢saːti⸣ ʔa⸢ʣari buː] (既に糠が出ている{EOS}絡まっている)。 ⸢マイヌ⸣ ア⸢ザル⸣ ピンマー ⸣ウシェーラ ⸢トゥンジラヌ [⸢mainu⸣ ʔa⸢ʣaru⸣ pimmaː ⸣ʔuʃeːra ⸢tunʤiranu] (米の糠が出て絡まる時は臼から飛び散らない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ザレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʣareː⸣ misamunu] (早く糠が出て縺れあえばいいのに) 676 0 0 611 htmvoc_676.wav アサングル ア⸢サン⸣グル [ʔa⸢saŋ⸣guru] 名 (植)樹木の名。和名、フカノキ。軽くて火力が弱いので薪炭用としては軽視された。下駄を作るのに重用された。 ア⸢チ⸣ツァー <ア⸢シ⸣ツァー> ア⸢サン⸣グルシル ス⸢クル⸣タ [ʔa⸢ʧi⸣ʦaː <ʔa⸢ʃi⸣ʦaː> ʔa⸢saŋ⸣guruʃiru su̥⸢kuru⸣ta] (下駄はアサングルで作った) 677 0 0 612 htmvoc_677.wav アサングルキー ア⸢サン⸣グルキー [ʔa⸢saŋ⸣gurukiː] 名 ア⸢サン⸣グル[ʔa⸢saŋ⸣guru](フカノキ)に同じ 1402 0 0 613 htmvoc_1402.wav アザンタンティン ア⸢ザン⸣タンティン [ʔa⸢ʣan⸣tantiŋ] 連 言わなくても。もちろん。当然。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ア⸢ザン⸣タンティン ッ⸢シブーティ⸣ ウ⸢モー⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ʔa⸢ʣan⸣tantiŋ ʃ⸢ʃibuːti⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (それくらいのことは言わなくても知っていると思われる)。 ア⸢ザン⸣タンティン ⸣ミサン [ʔa⸢ʣan⸣tantim ⸣misaŋ] (言わなくてもよい) 678 0 0 614 htmvoc_678.wav アサンユサン ⸣アサンユサン [⸣ʔasaɲjusaŋ] 名 朝に夕に。朝も夕も。 ⸣アボーヤ ⸣アサンユサン タ⸢ビヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥカー⸢ニル ソーバ シーオー⸣ル [⸣ʔaboːja ⸣ʔasaɲjusan ta⸢binu⸣ f⸢fanu⸣ku̥tukaː⸢niru soːba ʃiːʔoː⸣ru] (お母さんは朝に夕に、旅の子供のことだけを心配しておられる) 679 0 0 615 htmvoc_679.wav アシ ⸣アシ [⸣ʔaʃi] 名 汗。 ⸣アシ ⸣パルン [⸣ʔaʃi ⸣paruŋ] (汗が流れ出る)。 ⸣アツァサーリ ヤ⸢マシゥ⸣カ ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢ム⸣ター ウ⸢ム⸣テーラ ア⸢シ⸣ヌ フ⸢キ⸣ンジ ⸣ケーン [⸣ʔaʦasaːri ja⸢masï̥⸣ka mi⸢ʤi⸣ nu⸢mu⸣taː ʔu⸢mu⸣teːra a⸢ʃi⸣nu ɸu̥⸢ki⸣ ʔnʤikeːŋ] (暑い中で水をたくさん飲んだら顔<面(おもて)>から汗が噴き出てきた)。 ア⸢シ⸣ヌ ⸣パルカー ⸣ニチェー ピ⸢クン [ʔa⸢ʃi⸣nu ⸣parukaː ⸣niʧeː pi̥⸢kuŋ] (汗が出たら<走ると>熱は引く<下がる>)。 ⸣アシ ⸣カクン [⸣ʔaʃi ⸣kḁkuŋ] (汗をかく) 680 0 0 616 htmvoc_680.wav アシ ⸣アシ [⸣ʔaʃi] 名 昼食。「朝飯(あさ・いひ)」→ 「アシ」のように転訛したものか。⸣アシ[⸣ʔaʃi]は本来「朝食」の意であった。後に、⸢オ・ハン(お飯)」系統の沖縄方言「'om/-pa-r(n)i」(御飯)「語音翻訳」『海東諸国紀』、「飯、翁班尼」『琉球館訳語』、「みおばに おはに 美飯の事なり」『混効験集』が新しく導入されて、時を表す⸣アサ[⸣ʔasa](朝)と結びつき、ア⸢サ⸣ボン[ʔa⸢sa⸣boŋ](朝飯)となり、それが朝食の位置に定まると、古い「アシ」が「昼食」の意味を担うようになって、ア⸢サ⸣ボン(朝食)・アシ(昼食)・⸢ユー⸣ボン(夕食)の一日三食制度が確立したものと考えられる。 ア⸢シ⸣ヌ ⸣スコール ⸢シー⸣ヨー [ʔa⸢ʃi⸣nu ⸣su̥koːru ⸢ʃiː⸣joː] (昼食の準備をしなさいよ) 683 0 1 617 htmvoc_683.wav アシ ⸣アシ [ʔaʃi] 名 {Mn_1}足。足の意味での独立用法は限られた場合にのみ用いられる。 ⸣アシ ハ⸢ヤミ⸣リ [⸣ʔaʃi ha⸢jami⸣ri] (足を早めなさい)。 ⸣アシェー ⸢サーラヌ [⸣ʔaʃeː ⸢saːranu] (足を前に運ぶことが出来ない) 683 0 2 618 htmvoc_683.wav アシ ⸣アシ [ʔaʃi] 名 {Mn_2}背丈。 ⸣クマー フ⸢カー⸣ヌ ⸣アシ シゥ⸢カ⸣ヌ [⸣kumaː ɸu̥⸢kaː⸣nu ʔaʃi si̥⸢ka⸣nu] (ここは深くて、背が届かない<着かない>)。 683 0 3 619 htmvoc_683.wav アシ ⸣アシ [ʔaʃi] 名 {Mn_3}山麓。 ⸣クンダキヌ ⸣アシ ビ⸢ラスン⸣ケン フ⸢カ⸣ウメー ン⸢ジ⸣ル カ⸢ツォー ホーシ⸣タ [⸣kundakinu ⸣ʔaʃi bi⸢rasuŋ⸣keŋ ɸu̥⸢ka⸣ʔumeː ʔn⸢ʤi⸣ru kḁ⸢ʦoː hoːʃi̥⸣ta] (古見岳の山麓がすっかり水平線に没するまで外海へ出て鰹は釣った)。 683 0 4 620 htmvoc_683.wav アシ ⸣アシ [ʔaʃi] 名 {Mn_4}喫水線。 ⸣フネー ⸣アシ ビ⸢ルン [⸣ɸuneː ⸣ʔaʃi bi⸢ruŋ] (船は喫水線が深く沈む) 681 0 0 621 htmvoc_681.wav アジ ⸣アジ [⸣ʔaʤi] 名 機織の道具。綜棒(あぜ竹ともいう)。経糸の中に入れて糸の乱れを調える道具。布幅より長く平たい竹、木で作った二本の棒 684 0 1 622 htmvoc_684.wav アジ ア⸢ジ [ʔa⸢ʤi] 名 {Mn_1}味。感情。情味。 ア⸢マアジ [ʔa⸢maʔaʤi] (甘味{EOS}水っぽい味)。 サ⸢クラアジ [sḁ⸢kuraʔaʤi] (塩辛い味)。 サ⸢クラフチ [sḁ⸢kuraɸu̥ʧi] (塩っぱい味を好む味付け)。 ク⸢ヌ スー⸣ヌ ア⸢ジェー タール⸣ ス⸢ク⸣ター [ku⸢nu suː⸣nu ʔa⸢ʤeː taːru⸣ su̥⸢ku⸣taː] (このお汁の味は誰がつけたか)。 684 0 2 623 htmvoc_684.wav アジ ア⸢ジ [ʔa⸢ʤi] 名 {Mn_2}含蓄。深い意味。おもしろみ。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムネー ⸢ピッ⸣チン ア⸢ジェー ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢ʤeː naː⸣nu] (あれ<彼>の言うことはちっとも含蓄がない<深い意味や面白みがない>) 207 0 0 624 htmvoc_207.wav アシ⸠ミー ア⸢シ⸠ミー [ʔa⸢ʃi⸠miː] 連 そうしてごらん。そうやってみろよ。⸠ミーのアクセントは中低「⸠」、半分だけ下がる。 ⸣ドゥーシ ⸣ナルンユー ア⸢シ⸠ミー [⸣duːʃi ⸣naruŋjuː ʔa⸢ʃi⸣⸠miː] (自分で出来るかどうか、そうして<やって>ごらんよ) 682 0 0 625 htmvoc_682.wav アシー ⸣アシー [⸣ʔaʃiː] 感 嫌だ。とんでもない。誰が聞くものか。糞~ものか。卑語。相手をののしっ(罵っ)て、嫌だと言う時にもちいる(老年層)。 ⸣アシェーヒャー [⸣ʔaʃeːçaː] (糞、嫌だ、この野郎)ともいう(若年層)。 ⸣アシー ⸣ワンザヌ ア⸢ズ⸣ムネー シゥ⸢カヌ [⸣ʔaʃiː ⸣wanʣanu ʔa⸢ʣu⸣muneː sï̥⸢kanu] (糞、嫌だ{EOS}とんでもない{EOS}お前野郎の言うことなんか聞かない) 810 0 0 626 htmvoc_810.wav アシゥカイ ⸢アシゥカイ [⸢ʔasi̥kai] 名 扱い。扱うこと。扱い方。介抱。動詞⸢アシゥカウン[⸢ʔasi̥kauŋ](扱う)の連用形の転成名詞。 ⸢アシゥカイヌ ワッ⸣サン [⸢ʔasi̥kainu was⸣saŋ] (扱い方が悪い)。 ク⸢ヌ⸣ キ⸢カイ⸣ヌ ア⸢シゥカイミチェー⸣ ッ⸢サン⸣サー [ku⸢nu⸣ ki̥⸢kai⸣nu ⸢ʔasi̥kaimiʧeː⸣ s⸢san⸣saː] (この機械の扱い方は知らないよ)。 ヤ⸢ミプス⸣バ ヤ⸢ナアシゥカイ シェー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [ja⸢mipusu⸣ba ja⸢naʔasi̥kai ʃeː⸣ na⸢ran⸣daː] (病人を酷い扱い方<悪扱い>をしてはならないよ) 811 0 0 627 htmvoc_811.wav アシゥカイグリサン ⸢アシゥカイグリ⸣サン [⸢ʔasi̥kaiguri⸣saŋ] 形 扱いにくい。扱いづらい。操作しにくい。動詞⸢アシカウン[⸢ʔasi̥kauŋ](扱う)の連用形に形容詞グ⸢リ⸣サン[gu⸢ri⸣saŋ](辛い)が下接して形成された派生形容詞。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ピ⸢ニッ⸣クリティ ⸢アシゥカイグリ⸣サン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pi⸢nik⸣kuriti ⸢ʔasi̥kaiguri⸣saŋ] (この子は捻くれていて扱いにくい) 812 0 0 628 htmvoc_812.wav アシゥカイヤッサン ⸢アシゥカイヤッ⸣サン [⸢ʔasi̥kaijas⸣saŋ] 形 扱いやすい。操作しやすい。動詞⸢アシゥカウン[⸢ʔasi̥kauŋ](扱う)の連用形に形容詞⸢ヤッ⸣サン[⸢jas⸣saŋ](易い)が下接して形成された派生形容詞。 ク⸢ヌ⸣ キ⸢カイ⸣ヤー ⸢アシゥカイヤッ⸣サン [ku⸢nu⸣ ki̥⸢kai⸣jaː ⸢ʔasi̥kaijas⸣saŋ] (この機械は扱いやすい<操作しやすい>) 813 0 1 629 htmvoc_813.wav アシゥカウン ⸢アシゥカウン [⸢ʔasï̥kauŋ] 他動 {Mn_1}扱う。操作する。あやつる。 ク⸢ヌ⸣ キカイ ⸢アシゥカイシェー⸣ プ⸢ソー ブン⸣カヤー [ku⸢nu⸣ ki̥kai ⸢ʔasï̥kaiʃeː⸣ pu̥⸢soː buŋ⸣kajaː] (この機械を操作<扱う>できる人はいるかね)。 カ⸢リンデー⸣カー ⸢アシゥカウン⸣ パジ⸢ダー [ka⸢rindeː⸣kaː ⸢ʔasï̥kaum⸣ paʤi⸢daː] (彼なら操作できる<扱う>はずだよ)。 ⸢アシゥカイ⸣ ミサカー ⸢バン⸣ヌン ⸢アシゥカウ⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸢ʔasi̥kai⸣ misakaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔasi̥kau⸣ ku̥toː narun⸢daː] (操作してよければ私も操作することは出来るよ)。 ⸣ドゥーシ ⸢アシゥカイヤー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ⸢ʔasi̥kaijaː⸣ misamunu] (自分で操作すればいいのに)。 ⸢ワー⸣ ドゥーシ ⸢アシゥカイ⸣バ [⸢waː⸣ duːʃi ⸢ʔasi̥kai⸣ba] (君自身で操作しなさいよ)。 813 0 2 630 htmvoc_813.wav アシゥカウン ⸢アシゥカウン [⸢ʔasï̥kauŋ] 他動 {Mn_2}あしざまに使う。酷使する。扱き使う。いじめる。「あつかう」の転訛したもの。 ⸣ウカ パ⸢ライユーサ⸣ン ⸢ベー⸣ティ ⸢ウン⸣ネナー ウ⸢カ⸣ヌ ⸣ミーティ ⸢シー⸣ スズー⸢コ アシゥカーレン⸠ダー [⸣ʔuka pa⸢raijuːsa⸣m ⸢beː⸣ti ⸢ʔun⸣nenaː ʔu⸢ka⸣nu ⸣miːti ⸢ʃiː⸣ suʣuː⸢ko ʔasï̥kaːreːn⸠daː] (借金を払えないので、その家で借金の形にひどく扱き使われたのだよ) 743 0 0 631 htmvoc_743.wav アシゥカリムヌ ⸢アシゥカリ⸣ムヌ [⸢ʔasï̥kari⸣munu] 名 預かり物。頼まれて保管している物。 ⸢アシゥカリ⸣ムノー ⸢バシキランドー⸣シ シゥカイ⸢トゥ⸣ トゥ⸢ドゥキ⸣リ⸢ダー [⸢ʔasï̥kari⸣munoː ⸢baʃi̥kirandoː⸣ʃi sï̥kai⸢tu⸣ tu⸢duki⸣ri⸢daː] (預かり物は忘れずにしっかり届けなさいよ)。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ ⸢アシゥカリ⸣ムヌ トゥ⸢ドゥ⸣キティ ⸢クイ [ʔu⸢ki⸣naːranu ⸢ʔasï̥kari⸣munu tu⸢du⸣kiti ⸢kui] (沖縄からの預かり物を届けて来ようね) 815 0 0 632 htmvoc_815.wav アシゥカルン ⸢アシゥ⸣カルン [⸢ʔasï̥⸣karuŋ] 他動 預かる。 ⸣バー ウ⸢キ⸣ナーナ ⸢ギーッティ⸣ クンケン ク⸢リ⸣ ⸢アシゥ⸣カリ ッ⸢ふィーラン⸣カヤー [⸣baː ʔu⸢ki⸣naːna ⸢giːtti⸣ kuŋkeŋ ku⸢ri⸣ ⸢ʔasï̥⸣kari f⸢fiːraŋ⸣kajaː] (私が沖縄に行って来る間これを預かってくれないかねえ)。 ク⸢レー⸣ バー ⸢アシゥ⸣カルン [ku⸢reː⸣ baː ⸢ʔasï̥⸣karuŋ] (これは私が預かる)。 ⸢バン⸣マー ⸢アシゥカララ⸣ヌ [⸢bam⸣maː ⸢ʔasi̥karara⸣nu] (私には預かれない)。 ⸢アシゥ⸣カル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔasi̥⸣karu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (預かることは出来る)。 ⸢アシゥ⸣カレー ⸣ミサムヌ [⸢ʔasi̥⸣kareː ⸣misamunu] (預かれば良いのに)。 ヤー⸢ディン アシゥ⸣カリ [jaː⸢diŋ ʔasi̥⸣kari] (必ず預かれ) 686 0 0 633 htmvoc_686.wav アシウトゥ ア⸢シ⸣ウトゥ [ʔa⸢ʃi⸣utu] 名 足音。 ⸣カマーラ ア⸢シウトゥ⸣ヌ シゥ⸢カリ ブーヌ タール⸣ クーカヤー [⸣kamaːra ʔa⸢ʃiutu⸣nu si̥⸢karibuːnu taːru⸣ kuːkajaː] (あそこから足音が聞こえているが誰がくるのかなあ) 726 0 0 634 htmvoc_726.wav アシェー ⸣アシェー [⸣ʔaʃeː] 感 怒って、「否」と答える際にいうことば。相手を罵倒したり、答えるに値しないもの意をこめて「否」と発することば。 ⸢ワー⸣ アツァー シ⸢グトゥ スン [⸢waː⸣ ʔaʦaː ʃi⸢gutu suŋ] (君は明日仕事をするか) {Break}の問いに対して、{Break} ⸣アシェーヒャー シ⸢グトゥナー⸣トー ⸢スン⸠トゥー [⸣ʔaʃeːçaː ʃi⸢gutunaː⸣toː ⸢sun⸠tuː] (嫌だ{EOS}とんでもない<アシェー>{EOS}仕事なんかするものか) 727 0 0 635 htmvoc_727.wav アシェーヒャー ⸣アシェーヒャー [⸣ʔaʃeːçaː] 感 くそ野郎、とんでもない。アシェー[ʔaʃeː](野郎、嫌だ)を強めて言うことば。 ⸣アセーヒャー ⸣ワンザン⸢ナー⸣ト ッ⸢ふィールン⸠トゥー  [⸣ʔaʃeːçaː ⸣wanʣan ⸢naː⸣to f⸢fiːrun⸠tuː] (とんでもないことだ{EOS}お前になどくれてやるものか) 757 0 0 636 htmvoc_757.wav アジェーン ア⸢ジェー⸣ン [ʔa⸢ʤeː⸣ŋ] 他動 <今>言った。既に言ってある。 ⸣バー ア⸢ジェーン⸠ダー [⸣baː ʔa⸢ʤeːn⸠daː] (私は<今>言ったよ)。 ⸢バン⸣ヌン キサー⸢ティ⸣ ア⸢ジェーン⸠ダー [⸢ban⸣nuŋ ki̥saː⸢ti⸣ ʔa⸢ʤeːn⸠daː] (私も既に言ってあるよ)。 ⸢ワーヤ⸣ マ⸢ダ⸣ ア⸢ジェー ナー⸣ヌ [⸢waːja⸣ ma⸢da⸣ ʔa⸢ʤeː naː⸣nu] (君は、まだ言ってない)。 ⸢バー⸣ル シ⸢ダキ⸣ ア⸢ジェー⸣ クトー ⸢バスクナ⸠ヨー [⸢baː⸣ru ʃi⸢daki⸣ ʔa⸢ʤeː⸣ ku̥toː ⸢basu̥kuna⸠joː] (私が<他人より>先に言ったことは忘れるなよ)。 ア⸢ジェー⸣タンティン [ʔa⸢ʤeː⸣tantiŋ] (言ってあったとしても)。 ア⸢ジェー⸣カー [ʔa⸢ʤeː⸣kaː] (言った<言ってある>なら)。 ア⸢ジェー⸣バ [ʔa⸢ʤeː⸣ba] (言った<言ってある>ので) 687 0 0 637 htmvoc_687.wav アシカカー ⸣アシカカー [⸣ʔaʃikakaː] 名 あせかき(汗掻き)。多汗症。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸣アシカカー ヤ⸢ルンダ⸣ ス⸢バ⸣ナー ブ⸢ララヌ [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸣ʔaʃikakaː ja⸢runda⸣ su⸢ba⸣naː bu⸢raranu] (あれ<彼>は非常に汗かきだから、側に居れない)。ア⸢シパリ⸣ムヌ[ʔa⸢ʃipari⸣munu](汗かき)と同じ。 ウ⸢レー⸣ アシカカー ヤ⸢ルンダ⸣ サジェー ク⸢シ⸣ナ ⸢クシキトゥーシル ブー [ʔu⸢reː⸣ ʔaʃikḁkaː ja⸢runda⸣ saʤeː ku̥⸢ʃi⸣na ⸢kuʃi̥kituːʃiru buː] (彼<その人>は汗かきだから、いつも手拭を腰にさしている) 688 0 0 638 htmvoc_688.wav アシカザ ア⸢シ⸣カザ [ʔa⸢ʃi⸣kaʣa] 名 汗のにおい(臭い)。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ア⸢シ⸣カザー ッ⸢サー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ba⸢kaː⸣mununu ʔa⸢ʃi⸣kaʣaː s⸢saː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (若者の汗の臭いは臭くて堪らない<とても向き合えない>) 730 0 0 639 htmvoc_730.wav アジガナシ ⸣アジガナシ [ʔaʤiganaʃi] 名 国王様。首里の王様。アジ[ʔaʤi]は「按司」と表記されている。ガナシ[ganaʃi]は接尾辞。文献資料では「加那志」と表記されているが、古辞書では「国王 倭王嗑吶尸<カナシ>」『音韻字海』(周鐘等、1572)とある。 ウ⸢キ⸣ナーナール アジガ⸢ナ⸣シェーマイヤ ⸢オーッ⸣タ [ʔu⸢ki⸣naːnaːru ʔaʤiga⸢na⸣ʃeːmaija ⸢ʔoːt⸣ta] (沖縄に<が>国王様はいらっしゃった) 689 0 0 640 htmvoc_689.wav アシカラーン ア⸢シカラー⸣ン [ʔa⸢ʃikaraː⸣ŋ] 形 足が軽い。足どりが軽い。軽快な足どりである。嬉しいとき、楽しいときの足どりを表す。 ⸢アー⸣ネーヤ パ⸢リングリ⸣サヌンドゥ ⸢イー⸣ネーネーヤ ア⸢シカラ⸣サ パ⸢ラ⸣リン⸢ダー [⸢ʔaː⸣neːja pa⸢riŋguri⸣sanundu ⸢ʔiː⸣neːneːja ʔa⸢ʃikara⸣sa pa⸢ra⸣rin⸢daː] (東隣の家には行きずらいが、西隣の家には足どりも軽く、気楽に行ける<行きやすい>よ) 690 0 0 641 htmvoc_690.wav アジキシムニ ア⸢ジキシ⸣ムニ [ʔa⸢ʤikiʃi⸣muni] 名 味も素っ気もない言葉。趣きや潤いのない、理詰めで話す言葉。 ⸢ワーン⸣ カタチニ ア⸢ジキシ⸣ムニ カー⸢ニ⸣ ア⸢ズ⸣カー ター⸢ン⸣ ス⸢ク⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢waːŋ⸣ kḁtaʧini ʔa⸢ʤiki̥ʃi⸣muni kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː taː⸢n⸣ su̥⸢ku⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (君のように味も素っ気もない話だけ言っていたら誰も聞く人はいない) 691 0 0 642 htmvoc_691.wav アシキルン ⸢アシキ⸣ルン [⸢ʔaʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 預ける。荷物を預ける。金品を保管させる。 ⸣シトー ⸢シン⸣ドゥーン ⸢アシキル⸣バ トゥリバ⸢ヨー [⸣ʃi̥toː ⸢ʃin⸣duːŋ ⸢ʔaʃi̥kiru⸣ba turiba⸢joː] (お土産<苞>は船長に預けるから受け取りなさいね)。 ク⸢トゥケン⸣マー ⸢シン⸣ドゥーン ⸢アシキルン⸣ドゥ ⸢クン⸣ドー ⸢アシキラン⸣シェン [ku̥⸢tukem⸣maː ⸢ʃin⸣duːŋ ⸢ʔaʃi̥kirun⸣du ⸢kun⸣doː ⸢ʔaʃi̥kiraŋ⸣ʃeŋ] (いつもは<別の時は>船長に預けるが、今度は預けなかった)。 ⸢アシ⸣キ ⸣シケー [⸢ʔaʃi̥⸣ki ⸣ʃi̥keː] (預けてある)。 ⸢アシキ⸣ル ⸣クトゥ [⸢ʔaʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥tu] (預けること)。 ⸢アシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (預ければ良いのに)。 ⸢アシキ⸣リ [⸢ʔaʃi̥ki⸣ri] (預けろ)。 ⸢ウンパン⸣シンナー ニ⸢ム⸣チ ⸢アシキ⸣ルンティ ⸢クー⸣タ [⸢ʔumpaŋ⸣ʃinnaː ni⸢mu⸣ʧi ⸢ʔaʃi̥ki⸣runti ⸢kuː⸣ta] (運搬船に荷物を預けようとして来た)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢アシキラ⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔaʃi̥kira⸣nu] (今日は預けない)。 ⸢アシ⸣キ ⸣ミサカー ⸢アシキ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔaʃi̥⸣ki ⸣misakaː ⸢ʔaʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (預けてよければ預けることは出来る)。 ⸢シン⸣ドゥーン ⸢アシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʃin⸣duːŋ ⸢ʔaʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (船長に預ければいいのに)。 ヤー⸢ディン アシキ⸣リ⸢ダー [jaː⸢diŋ ʔaʃi̥ki⸣ri⸢daː] (必ず預けなさいよ) 692 0 0 643 htmvoc_692.wav アシクシ ア⸢シ⸣クシ [ʔa⸢ʃi⸣ku̥ʃi] 名 足腰。 ⸢ウイ⸣プソー ア⸢シ⸣クシェーラル ⸢ヨー⸣ルティ ア⸢ザリブー [⸢ʔui⸣pu̥soː ʔa⸢ʃi⸣ku̥ʃeːraru ⸢joː⸣ruti ʔa⸢ʣaribuː] (老人は足腰から<ぞ>弱るといわれている) 693 0 0 644 htmvoc_693.wav アシクバーン ア⸢シクバー⸣ン [ʔa⸢ʃikubaː⸣ŋ] 形 歩くのが下手である。歩くのが頼りない。「足強し」の義。 ナ⸢ガヤン スー⸣カー ア⸢シクバー⸣ ナルンティ⸢ダー [na⸢gajan suː⸣kaː ʔa⸢ʃikubaː⸣ narunti⸢daː] (長患いすると足どりが怪しくなる<歩くのが頼りなくなる>そうだよ) 695 0 0 645 htmvoc_695.wav アジシゥカスン ア⸢ジシゥカスン [ʔa⸢ʤisi̥kasuŋ] 他動 言い聞かせる。理由を話して教え諭す。⸣バーラ シカイ⸢トゥ⸣ ア⸢ジシゥカスン。ワー⸣ ア⸢ジシゥカサンダル⸣ ウ⸢レー⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ[⸣baːra si̥kai⸢tu⸣ ʔa⸢ʤisi̥kasuŋ。waː⸣ ʔa⸢ʤisi̥kasandaru⸣ ʔu⸢reː⸣ wa⸢kara⸣nu](私からしかと言い聞かせる<話して教え諭す>{EOS}君が言い聞かさない<教え諭さない>から、彼は分らないのだ)。 ア⸢ジシゥカシ⸣ ミサカー ア⸢ジシゥカス⸣ クトー ナルン⸢ダー [ʔa⸢ʤisi̥kaʃi⸣ misakaː ʔa⸢ʤisi̥kasu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (言い聞かせて<教え諭して>良ければ、言い聞かせる<教え諭す>ことは出来るよ)。 ア⸢ジシゥカシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʤisi̥kaʃeː⸣ misamunu] (言い聞かせれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ジシゥカシ [jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢ʤisi̥kaʃi] (必ず言い聞かせ<教え諭せ>) 704 0 0 646 htmvoc_704.wav アジシキ ア⸢ジ⸣シキ [ʔa⸢ʤi⸣ʃi̥ki] 名 味付け。調味。 ア⸢ジシキ⸣ヌ ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス⸣ スー ⸣ヌムカー ビ⸢チ⸣ヌ ⸢スー⸣ヤ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔa⸢ʤiʃi̥ki⸣nu ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu⸣ suː ⸣numukaː bi⸢ʧi⸣nu ⸢suː⸣ja nu⸢mara⸣nu] (味付けが上手だからその人が炊くお汁を飲んだら別のお汁は飲めない) 705 0 0 647 htmvoc_705.wav アジシキムヌ ア⸢ジシキ⸣ムヌ [ʔa⸢ʤiʃiki⸣munu] 名 調味料。塩、味噌、醤油、酢など。「味付け物」の義。 ア⸢ジシキ⸣ムノー キ⸢ササン⸣ヨーシ ス⸢ロー⸣シ シ⸢キ⸣リ [a⸢ʤiʃiki⸣munoː ki̥⸢sasaɲ⸣joːʃi su⸢roː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (調味料は切らさないように、揃えておきなさいよ) 696 0 0 648 htmvoc_696.wav アジシキルン ア⸢ジ⸣ シ⸢キ⸣ルン [ʔa⸢ʤi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 言っておく。話しておく。 ⸢ワー⸣ クトー ⸣バーラ カ⸢リンナー⸣ニ ア⸢ジ⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢waː⸣ ku̥toː ⸣baːra ka⸢rinnaː⸣ni ʔa⸢ʤi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (君のことは私からあの人<彼>に言っておく) 697 0 0 649 htmvoc_697.wav アシジブン ⸣アシジブン [⸣ʔaʃiʤibuŋ] 名 昼食の時分。昼食の頃合。 ⸣アシジブン ナ⸢リ⸣ブーバ ⸢パー⸣ク ⸣アシスコール ⸢シー⸣バ [⸣ʔaʃiʤibun na⸢ri⸣buːba ⸢paː⸣ku ⸣ʔaʃisu̥koːru ⸢ʃiː⸣ba] (昼食の頃合になっているので、早く昼食の準備をしなさいよ) 699 0 0 650 htmvoc_699.wav アシスクン ⸣アシ ス⸢クン [⸣ʔaʃi su̥⸢ku] 連 背が海中に届く。 ⸣クマー ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー アシ ス⸢クン [⸣kumaː ⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ʔaʃi su̥kuŋ] (此処は潮が引いたら背が届く) 700 0 1 651 htmvoc_700.wav アジスクン ア⸢ジスクン [ʔa⸢ʤisu̥kuŋ] 連 {Mn_1}味がよく効く。 ク⸢ヌ スー⸣ヤ ⸢マー⸣ス イ⸢ル⸣カー ア⸢ジスクン [ku⸢nu suː⸣ja ⸢maː⸣su ʔi⸢ru⸣kaː ʔa⸢ʤisukuŋ] (このお汁は塩を入れると味が効く)。 700 0 2 652 htmvoc_700.wav アジスクン ア⸢ジスクン [ʔa⸢ʤisu̥kuŋ] 連 {Mn_2}薬が効く。効能がある。効き目がある。効果がある。 ⸢ワー⸣ ア⸢ゾーッ⸣タ ム⸢ニヌ⸣ドゥ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ジ⸣シキ ブ⸢レー⸠ツォー ⸢ウンダー⸣ メー サ⸢ケー⸣ ヌ⸢マン⸣バン [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣoːt⸣ta mu⸢ninu⸣du ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʤi⸣ʃi̥ki bu⸢reː⸠ʦoː ⸢ʔundaː⸣ meː sḁ⸢keː⸣ nu⸢mam⸣baŋ] (あなたの言われた言葉がたいそう効き目があったのでしょう{EOS}あれからはもう酒は飲まないよ<飲まないわい>) 701 0 0 653 htmvoc_701.wav アジスン ア⸢ジ スン [ʔa⸢ʤi suŋ] 連 味わう。味を見る。味見する。「味をする」の義。 ⸣バー ⸢スー⸣ヤ サ⸢クラー ナーン⸣ユー ア⸢ジ シー⸣ ミリ⸢ミー [⸣baː ⸢suː⸣ja sḁ⸢kuraː naːɲ⸣juː ʔa⸢ʤi ʃiː⸣ miri⸢miː] (私のお汁は塩っぱくないか、味見してみてくれ<みてみれ>) 702 0 0 654 htmvoc_702.wav アシダイ ア⸢シ⸣ダイ [ʔa⸢ʃi⸣dai] 名 足の力。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ア⸢シダイ⸣ヌ ⸢ナーン⸠ツォー シ⸢グ⸣ ク⸢ルビス [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ʔa⸢ʃidai⸣nu ⸢naːn⸠ʦoː ʃi⸢gu⸣ ku⸢rubisu] (年を取ったので足の力がないんだよ{EOS}すぐ転ぶよ) 703 0 1 655 htmvoc_703.wav アシダヤー ア⸢シ⸣ダヤー [ʔa⸢ʃi⸣dajaː] 名 {Mn_1}足の力。⸢脚力」の義。⸣ダヤー[⸣dajaː]は、⸣タイ[⸣tai](体力{EOS}持ち堪える力)が⸣アシ[⸣ʔaʃi](足)に下接して複合語を形成する際に、その頭子音が濁音化したもので、それに、更に接尾語⸣ヤー[⸣jaː](~する者)が下接したもの。⸣タイ[⸣tai]の語源は、「~戀に不勝而<タヘズテ>~。万、738」の転訛したものか。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ア⸢シダヤ⸣ヌ ⸢ナー⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ʔa⸢ʃidaja⸣nu ⸢naː⸣nu] (年を取ったので足の力がない)。 703 0 2 656 htmvoc_703.wav アシダヤー ア⸢シ⸣ダヤー [ʔa⸢ʃi⸣dajaː] 名 {Mn_2}足の力の衰えた者。 ⸣ヤミティ ア⸢シ⸣ダヤー ⸣ナリティル ⸢サッ⸣コー ク⸢ルブ⸣ツォー [⸣jamiti ʔa⸢ʃi⸣dajaː ⸣naritiru ⸢sak⸣koː ku⸢rubu⸣ʦoː] (病気して足の力が衰えた者になって<ぞ>よく転ぶんですよ) 1439 0 0 657 htmvoc_1439.wav アシタンティン アシ⸢タンティン [ʔaʃi̥⸢taintiŋ] 接 それでも。そうしても。⸣アイ シ⸢タンティン[⸣ʔai ʃi̥⸢tantiŋ](そう しても)の縮約形。⸢ワー⸣ ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ フー⸣コー マ⸢ナマー⸣キ ⸢シー⸣ケーンダ ⸣ウビシ ミ⸢サ⸣ルヨ。アシ⸢タンティン⸣ バー ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ ブン⸣ゲー ⸢カイシユーサ⸣ヌ[⸢waː⸣ ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu ɸuː⸣koː ma⸢namaː⸣ki ⸢ʃiː⸣keːnda ⸣ʔubiʃi mi⸢sa⸣rujoː。ʔaʃi̥⸢tantim⸣ baː ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu buŋ⸣geː ⸢kaiʃijuːsa⸣nu](君はその人への奉公は今までしてきたのだから、それで十分だ<いい>よ{EOS}それでも私はその人の恩義は返すことが出来ない) 698 0 0 658 htmvoc_698.wav アシツァ ア⸢シ⸣ツァ [ʔa⸢ʃi⸣ʦa] 名 下駄。「屐、アシダ」『類聚名義抄』の転訛したもの。「みやしぢや」『混効験集』。 ア⸢シツァ⸣ヌ パ⸢ナブーヌ⸣ キシ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʃiʦa⸣nu pa⸢nabuːnu⸣ ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (下駄の鼻緒が切れてしまった)。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ソンガチアシツァン ア⸢サン⸣グルキーバ ⸣キシキー ⸣ドゥーシル ス⸢ク⸣ローッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣soŋgaʧiʔaʃiʦŋ ʔa⸢saŋ⸣gurukiːba ⸣ki̥ʃikiː ⸣duːʃiru su̥⸢ku⸣roːtta] (昔は正月下駄もアサングル木を切ってきて自分で作られて) 706 0 0 659 htmvoc_706.wav アジッカールン ア⸢ジッカー⸣ルン [ʔa⸢ʤikkaː⸣ruŋ] 自動 交差する。からまる。 ⸢サウ⸣バ ⸣アイニ ⸣タティ シ⸢キ⸣ルカー ア⸢ジッカー⸣リティ シ⸢グトゥ⸣ サ⸢ラヌ [⸢sau⸣ba ⸣ʔaini ⸣tḁti ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʔa⸢ʤikkaː⸣riti ʃi⸢gutu⸣ sa⸢ranu] (棹をあのように立てておくと絡まって仕事が出来ない) 728 0 0 660 htmvoc_728.wav アシッサーン ア⸢シッサー⸣ン [ʔa⸢ʃissaː⸣ŋ] 形 汗臭い。 ⸢ワー キン⸣マー ア⸢シッサー⸣ヌ キ⸢サラヌ [⸢waː kim⸣maː ʔa⸢ʃissaː⸣nu ki̥⸢saranu] (君の着物は汗臭くて着られない)。 ア⸢シッサー ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʃissaː naː⸣nu] (汗臭くない)。 ア⸢シッサー⸣ クトー ア⸢シッサー⸣ンドゥ ア⸢ライヤッ⸣サン [ʔa⸢ʃissaː⸣ ku̥toː ʔa⸢ʃissaː⸣ndu ʔa⸢raijas⸣saŋ] (汗臭いことは汗臭いが、洗いやすい) 729 0 0 661 htmvoc_729.wav アシッスル ア⸢シッス⸣ル [ʔa⸢ʃissu⸣ru] 名 汗拭き。手ぬぐい。 ク⸢リ⸣シ ア⸢シッス⸣ル ⸢シー⸣バ [ku⸢ri⸣ʃi ʔa⸢ʃissu⸣ru ⸢ʃiː⸣ba] (これで汗拭きにしなさいよ)。ッ⸢スル[s⸢suru]は、「こする」の転訛したものか。[kosuru] → [kusuru] → [fusuru] → [ssuru] のように逆行同化したもの 707 0 0 662 htmvoc_707.wav アシティ アシ⸢ティ [ʔaʃi̥⸢ti] 接 そして。⸣アイ シ⸢ティ[⸣ʔai ʃi̥⸢ti](そうして{EOS}そうやって)の約言。 アシ⸢ティ ウンダ ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣ター [ʔaʃi̥⸢ti ʔunda nuː⸣ʃi ⸢nat⸣taː] (そして、それからどうなったのか)。 ⸢キュー⸣ヤ シ⸢グトー⸣ メー ウ⸢ワーリ ユー⸣クイ アシ⸢ティ⸣ アツァー シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸣クーバ [⸢kjuː⸣ja ʃi⸢gutoː⸣ meː ʔu⸢waːri juː⸣kui ʔaʃi̥⸢ti⸣ ʔaʦaː ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸣kuːba] (今日は仕事は終わりだ{EOS}休め{EOS}そして明日は朝早く来いよ)。 アシ⸢ティル ユンマー⸣レーティ ⸢アーク⸣バン⸢ナー [ʔaʃi̥⸢tiru jummaː⸣reːti ⸢ʔaːku⸣ban⸢naː] (それで断っているんだねえ<断ってあるくのだねえ>) 708 0 0 663 htmvoc_708.wav アシトゥ ⸢アシ⸣トゥ [⸢ʔaʃi⸣tu] 名 あさって。明後日。 ⸢アシ⸣トー ⸢バン⸣テヌ ⸢ヤースクリ⸣ バコー ⸢テー⸣ナイ ⸢シー フォーララン⸣カヤー [⸢ʔaʃi̥⸣toː ⸢ban⸣tenu ⸢jaːsu̥kuri⸣ bakoː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː ffoːraraŋ⸣kajaː] (あさっては私の家の家造り共同作業の手伝いをしていただけませんか<下さいませんか>)。 ⸢アシトゥ⸣ヌ ⸣ユネン [⸢ʔaʃi̥tu⸣nu ⸣juneŋ] (あさっての晩)。 ⸢アシ⸣トーラ [⸢ʔaʃi̥⸣toːra] (あさってから) 710 0 0 664 htmvoc_710.wav アジトゥースン ア⸢ジトゥースン [ʔa⸢ʤituːsuŋ] 他動 言い通す。どこまでも言い張る。最後まで言い続ける。 ⸣バー ユ⸢ヌムニ⸣バ ア⸢ジトゥースン⸣ ア⸢ジトゥーサン⸣カー ター⸢ン⸣ シ⸢キ⸣ ッ⸢ふィーラヌ [⸣baː ju⸢numuni⸣ba ʔa⸢ʤituːsuŋ⸣ ʔa⸢ʤituːsaŋ⸣kaː taː⸢n⸣ ʃi̥⸢ki⸣ f⸢fiːranu] (私は同じ意見を最後まで言い続ける{EOS}言い続けないと誰も聞いてくれない)。 ア⸢ジトゥーシ⸣ ミサカー ア⸢ジトゥース⸣ クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʤituːʃi⸣ misakaː ʔa⸢ʤituːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (言い張って良ければ、言い張ることはできる)。 ア⸢ジトゥーシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʤituːʃeː⸣ misamunu] (言い張れば良いのに)。 ア⸢ジトゥーシ [ʔa⸢ʤituːʃi] (言い張れ<言い通せ>) 709 0 0 665 htmvoc_709.wav アシトゥヌユー ⸢アシトゥ⸣ヌ ⸣ユー [⸢ʔaʃitu⸣nu ⸣juː] 連 あさっての夜。明後日の夜。 ⸢アシトゥ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤー ⸢バン⸣テナーティ ⸣ユライ ヌ⸢カーシ⸣ム ヌ⸢ソー⸣ラ⸢ナー [⸢ʔaʃi̥tu⸣nu ⸢juː⸣jaː ⸢ban⸣tenaːti ⸣jurai nu⸢kaːʃi⸣munu ⸢soː⸣raː⸢naː] (あさっての夜<晩>は私の家に会合<寄り合い>をして、小金を出し合って料理を作って食べることをしましょうね) 711 0 0 666 htmvoc_711.wav アシドゥミ ア⸢シ⸣ドゥミ [ʔa⸢ʃi⸣dumi] 名 足止め。禁足。 ユ⸢ルシ⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルンケンマー ⸣フネー シ⸢マー⸣ラ ン⸢ジル⸣ナティ ア⸢シ⸣ドゥミ シ⸢ラリ ベー⸣ツォー [ju⸢ruʃi⸣nu ʔu⸢ri⸣ruŋkemmaː ⸣ɸuneː ʃi⸢maː⸣ra ʔn⸢ʤiru⸣nati ʔa⸢ʃi⸣dumi ʃi⸢rari beː⸣ʦoː] (許可がおりるまで船は島から出るなと足止めされているそうだ) 735 0 0 667 htmvoc_735.wav アシヌパダマールン ア⸢シ⸣ヌ パ⸢ダマー⸣ルン [ʔa⸢ʃi⸣nu pa⸢damaː⸣ruŋ] 文 汗ばむ。しっとりと汗が出る。汗が全身に滲み出る。パ⸢ダマー⸣ルンは「肌まわる」の義。 ⸢グンガ⸣チシキ ⸢ペール⸣ター ⸢ピントゥルピン⸣ アツァナリ ア⸢シ⸣ヌ パ⸢ダマー⸣リ ⸢キー⸣スバン [⸢guŋga⸣ʧiʃi̥ki ⸢peːru⸣taː ⸢pinturupiŋ⸣ ʔaʦanari ʔa⸢ʃi⸣nu pa⸢damaː⸣ri ⸢kiː⸣subaŋ] (五月<の月>に入ったので日ごとに暑くなり、汗ばんで<汗が肌に滲み出て>来るわい) 731 0 0 668 htmvoc_731.wav アシバ ア⸢シ⸣バ [ʔa⸢ʃi⸣ba] 連 そうしなさいよ。⸣アイ ⸢シー⸣バ[⸣ʔai ⸢ʃiː⸣ba](そうしなさいよ)の縮まった形。ア⸢スン[ʔa⸢suŋ](そうする)参照。 ⸣ナルカー ア⸢シ⸣バ [⸣narukaː ʔa⸢ʃi⸣ba] (出来たらそうしなさい) 713 0 0 669 htmvoc_713.wav アジパジミルン ア⸢ジパジミルン [ʔa⸢ʤipaʤimiruŋ] 他動 言い始める。意見を言い始める。ア⸢ジパジムン[ʔa⸢ʤipaʤimuŋ]ともいう。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢カンガイ⸣バ ア⸢ジパジミルンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ ア⸢ザンシェン [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢duː⸣nu ⸢kaŋgai⸣ba ʔa⸢ʤipaʤimirunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ʔa⸢ʣaŋʃeŋ] (彼らは自分の考えを言い始めると思ったが、言わなかった)。 ア⸢ジパジミ⸣ ミサカー ア⸢ジパジミル⸣ クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʤipaʤimi⸣ misakaː ʔa⸢ʤipaʤimiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (言い始めて良ければ言い始めることはできる)。 ア⸢ジパジミレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʤipaʤimireː⸣ misamunu] (言い始めれば良いのに)。 ⸢ワー⸣ラ ア⸢ジパジミリ [⸢waː⸣ra ʔa⸢ʤipaʤimiri] (君から言い始めなさい) 714 0 0 670 htmvoc_714.wav アシパヤーン ア⸢シパヤー⸣ン [ʔa⸢ʃipajaː⸣ŋ] 形 歩くのが早い。「足早い」の義。ア⸢シフコー⸣ン[ʔa⸢ʃiɸu̥koːŋ](足が遅い)の対義語。 マー⸢ズン ヤー⸣ラ ン⸢ズタヌン⸣ドゥ バ⸢カー⸣ムノー ア⸢シパヤー⸣ンダ ⸢パイ⸣サ シ⸢キブ⸣タ [maː⸢ʣuɲ jaː⸣ra ʔn⸢ʣutanun⸣du ba⸢kaː⸣munoː ʔa⸢ʃipajaː⸣nda ⸢pai⸣sa ʃi̥⸢ki⸣buta] (一緒に家から出たんだが、若者は歩くのが早いから、早くに着いていた) 715 0 0 671 htmvoc_715.wav アシパヤミ ア⸢シパヤ⸣ミ [ʔa⸢ʃipaja⸣mi] 副 早足で。足を早めて。急いで。 ⸢マー⸣ビン ア⸢シパヤ⸣ミ ア⸢ラ⸣キバ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ʃipaja⸣mi ʔa⸢ra⸣kiba] (もっと早足で<足を早めて>歩きなさいよ) 732 0 0 672 htmvoc_732.wav アシパリムヌ ア⸢シパリ⸣ムヌ [ʔa⸢ʃipari⸣munu] 名 汗かき。よく汗をかく人。「汗走り者」の義。目下の者に対していう。⸣アシパラー[⸣ʔaʃiparaː](汗かき)ともいう。 ア⸢シパリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ナ⸢ツェー⸣ ン⸢メーマ ウーク⸣バン シ⸢グ⸣ アシ パ⸢リ⸣ス [ʔa⸢ʃipari⸣munu ja⸢runda⸣ na⸢ʧeː⸣ ʔm⸢meːma ʔuːku⸣baŋ ʃi⸢gu⸣ ʔaʃi pa⸢ri⸣su] (汗かきだから夏は少し動いてもすぐ汗をかく<汗が流れる>) 733 0 0 673 htmvoc_733.wav アシパルン ⸣アシ パルン [⸣ʔaʃi paruŋ] 連 汗が流れる。汗が出る。 ア⸢ラ⸣クカー ⸣アシ ⸣パルン [ʔa⸢ra⸣kukaː ʔaʃi ⸣paruŋ] (歩いたら汗が出る<流れる>)。 ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ パ⸢タラクタンティン ⸣アシェー パ⸢ラ⸣ヌ [⸢kis⸣su ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢tarakutantiŋ⸣ ʔaʃeː pa⸢ra⸣nu] (一所懸命に<競争して>働いても汗は出ない<流れない>) 736 0 0 674 htmvoc_736.wav アシブ ア⸢シ⸣ブ [ʔa⸢ʃi⸣bu] 名 おでき。できもの。腫れ物。「Axebo.アセボ(熱沸瘡・汗瘡)あせも、または、水疱」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。小さいのは、ナ⸢チアシブ[na⸢ʧiaʃibu](夏汗疹{EOS}夏皮膚にできる粟粒ほどの、赤色の小水疱性発疹で、小児に多くできる)という。 ア⸢シ⸣ブ ⸢アースン [ʔa⸢ʃi⸣bu ⸢ʔaːsuŋ] (できものを潰す)。 ナ⸢チアシブヌ アーリティ ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [na⸢ʧiaʃibunu ʔaːriti biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (夏あせもが出て<暴れて>痒くてたまらない<ならない>) 717 0 0 675 htmvoc_717.wav アジフクマスン ア⸢ジ⸣ フ⸢クマ⸣スン [ʔa⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢kuma⸣suŋ] 連 味を十分にしみ込ませる。 ⸢ダイ⸣クネー イ⸢ズダシ⸣ナー ⸢ネーシティ⸣ ア⸢ジフクマ⸣シ [⸢dai⸣kuneː ʔi⸢ʣudaʃi⸣naː ⸢neːʃi̥ti⸣ ʔa⸢ʤiɸu̥kuma⸣ʃi] (大根は魚出しで煮て、味を十分にしみ込ませなさい) 718 0 0 676 htmvoc_718.wav アジフクムン ア⸢ジ⸣ フ⸢ク⸣ムン [ʔa⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢ku⸣muŋ] 連 味が十分にしみ込む。味を含む。 ク⸢ヌ ダイ⸣クネー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ジ フク⸣ミティ ン⸢マーン⸠ダー [ku⸢nu dai⸣kuneː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʤiɸu̥ku⸣miti ʔm⸢maːn⸠daː] (この大根は非常に味がしみ込んでいて美味しいよ) 716 0 0 677 htmvoc_716.wav アシフコーン ア⸢シフコー⸣ン [ʔa⸢ʃiɸu̥koː⸣ŋ] 形 足が遅い。歩く動作がのろい。 ビ⸢キドゥムッタルムヌ⸣ ア⸢シフコー⸣ヌ ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣スコーンツァン ア⸢ラキユーサ⸣ヌ [bi⸢kidumuttarumunu⸣ ʔa⸢ʃiɸu̥koː⸣nu mi⸢dumu⸣nu ⸣su̥koːnʦaŋ ʔa⸢rakijuːsa⸣nu] (男のくせに<男たるものが>足が遅くて<どうにもならない>、女の程度にさえも歩けない) 719 0 0 678 htmvoc_719.wav アシフン ア⸢シ⸣フン [ʔa⸢ʃi⸣ɸuŋ] 名 地団駄。「足踏み」の義。激怒して足を踏み鳴らすこと。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ シ⸢キティ⸣ アブジェー ⸢ティスクン⸣ドゥル ⸢シー⸣ ア⸢シ⸣フン ⸢シー クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ローッタ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢naʃi⸣ba ʃi̥⸢kiti⸣ ʔabuʤeː ⸢tisu̥kun⸣duru ⸢ʃiː⸣ a⸢ʃi⸣ɸuŋ ⸢ʃiː kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣roːtta] (その話を聞いておじいさんは拳を叩き、地団駄踏んで激怒された) 720 0 0 679 htmvoc_720.wav アシフンピサフン ア⸢シフンピサ⸣フン [ʔa⸢ʃiɸumpisa⸣ɸuŋ] 名 足を踏み鳴らして激怒するさま。地団駄踏むこと。重言。 ⸣アブジェー ア⸢シフンピサ⸣フン ⸢シェーティ⸣ル イ⸢ゾーッ⸣タ [⸣ʔabuʤeː ʔa⸢ʃiɸumpisa⸣ɸun ⸢ʃeːti⸣ru ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (おじいさんは足を踏み鳴らしながら激怒して叱られた) 737 0 1 680 htmvoc_737.wav アジマー ア⸢ジ⸣マー [ʔa⸢ʤi⸣maː] 名 {Mn_1}桟を十文字に交差させたもの。豆腐や餅を作るための大豆や糯米を挽く際、桶の上に石臼を載せるのに用いる道具。縦横約5センチ、長さ約50センチ(桶の直径に合わせた長さ)の桟を、その中央の切込みに填め込んで交叉させて用いる道具。 ⸢ウー⸣キナ ア⸢ジ⸣マー ⸣シキティ イ⸢ソーシバ⸣ ビ⸢シティ⸣ クー ピ⸢キ⸣バ [⸢ʔuː⸣kina ʔa⸢ʤi⸣maː ⸣ʃi̥kiti ʔi⸢soːʃiba⸣ bi⸢ʃiti⸣ kuː pi̥⸢ki⸣ba] (桶にアジマーを置いて石臼を据えて餅粉を挽きなさいよ)。 737 0 2 681 htmvoc_737.wav アジマー ア⸢ジ⸣マー [ʔa⸢ʤi⸣maː] 名 {Mn_2}交差点。十字路。 ミ⸢チ⸣ヌ ア⸢ジ⸣マー [mi⸢ʧi⸣nu ʔa⸢ʤi⸣maː] (十字路{EOS}道の交差点) 721 0 0 682 htmvoc_721.wav アジマーン ア⸢ジマー⸣ン [ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ] 形 甘い。「味甘<うま>し」の義。 ア⸢ジマー⸣ムヌ [ʔa⸢ʤimaː⸣munu] (甘いもの)。 ア⸢ガシンザー⸣ラ ク⸢ヌ タイケイシュー⸣ル ア⸢ジマー [ʔa⸢gaʃinʣaː⸣ra ku⸢nu taikeiʃuː⸣ru ʔa⸢ʤimaː] (赤い甘蔗よりも、このタイケイ種の甘蔗が甘い)。 ア⸢ジマーナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤimaːnaː⸣nu] (甘くない)。 ⸣ドゥク ア⸢ジマー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸣duku ʔa⸢ʤimaː⸣nu f⸢faːranu] (あまりにも甘くて食べられない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢ジマー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢ʤimaː⸣ naruŋ] (次第に甘くなる)。 ア⸢ジマー⸣ ムノー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤimaː⸣ munoː noː⸢n naː⸣nu] (甘いものは何もない)。 ⸢シン⸣ザー ア⸢ジマー⸣ン [⸢ʃin⸣ʣaː ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ] (砂糖きびは甘い)。 ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ジマーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢ʤimaːnaː⸣nu] (あまり甘くない)。 ク⸢ヌ シン⸣ザー ア⸢ジマー⸣ン [ku⸢nu sin⸣ʣaː ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ] (この砂糖きびは甘い<味甘し>)。 フ⸢チン⸣パージルナ ッ⸢ふ⸣サタ イルカー ア⸢ジマー⸣ ナリクンダ ヌ⸢ミヤッ⸣サ ⸣ナルン [ɸu⸢ʧim⸣paːʤiruna f⸢fu⸣sata ʔi⸢ru⸣kaː ʔa⸢ʤimaː⸣ narikunda nu⸢mijas⸣sa ⸣naruŋ] (蓬汁<風邪薬>に黒砂糖を入れると甘くなってくるので飲みやすくなる) 739 0 0 683 htmvoc_739.wav アジマキ ア⸢ジマ⸣キ [ʔa⸢ʤima⸣ki] 名 たすき(襷)。着物の袖をたくし上げるために肩から脇にかけて結ぶひも。ス⸢ディン⸣ガラ[su⸢diŋ⸣gara](襷{EOS}袖からげ)ともいう。 ⸣キサー ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ア⸢ジマ⸣キ ⸢シェー⸣ティル ⸢マイヤー⸣ ッ⸢サウ⸣タ [⸣ki̥saː mi⸢dumuŋkeː⸣ja ʔa⸢ʤima⸣ki ⸢ʃeː⸣tiru ⸢maijaː⸣ s⸢sau⸣ta] (以前は、女性たちは\ruby{襷}{タスキ}をかけて稲搗きをした<米を精げた>)。 ア⸢ジマ⸣キ シ⸢ティ キン⸣ヌ ス⸢ディ⸣ カライバ [ʔa⸢ʤima⸣ki ʃi̥⸢ti kin⸣nu su⸢di⸣ karaiba] (\ruby{襷}{タスキ}をかけて着物の袖をたくしあげなさい) 817 0 0 684 htmvoc_817.wav アジミー ア⸢ジミー [ʔa⸢ʤimiː] 名 味見。味の加減をすること。 ク⸢ヌ スー⸣ヤ サ⸢クラー⸣ルユー ア⸢ジミー シー⸠ミー [ku⸢nu suː⸣ja sḁ⸢kuraː⸣rujuː ʔa⸢ʤimiː ʃiː⸠miː] (このお汁は塩辛いのか、味見をしてごらんよ) 722 0 0 685 htmvoc_722.wav アシミジ ア⸢シ⸣ミジ [ʔa⸢ʃi⸣miʤi] 名 汗。汗水。 ア⸢シ⸣ミジ パ⸢ラ⸣シ パ⸢タラキバル マイフナーヤ⸣ マ⸢リル [ʔa⸢ʃi⸣miʤi pa⸢ra⸣ʃi pḁ⸢tarakibaru maiɸunaːja⸣ ma⸢riru] (汗水を流して働いてこそ<働けばぞ>立派な人間になれる<立派な人間は生まれる>のだ)。 ア⸢シ⸣ミジ パ⸢ラ⸣シ パ⸢タラキル ジン⸣カネー ⸢モーキ⸣ル [ʔa⸢ʃi⸣miʤi pa⸢ra⸣ʃi pḁ⸢tarakiru ʤiŋ⸣kaneː ⸢moːki⸣ru] (汗水を流して働いて<ぞ>金は儲けるものだ) 723 0 0 686 htmvoc_723.wav アシムトゥ ア⸢シム⸣トゥ [ʔa⸢ʃimu⸣tu] 名 足元。立っている足の下。身の回り。標準語から新しく借用された語。 ⸢ドゥー⸣ヌ ア⸢シム⸣トーラ カ⸢タミティル⸣ プ⸢スン⸣ヤン プ⸢スン⸣ タ⸢ナマ⸣リ⸢ダー [⸢duː⸣nu ʔa⸢ʃimu⸣toːra kḁ⸢tamitiru⸣ pu̥⸢suŋ⸣jam pu̥⸢sun⸣ ta⸢nama⸣ri⸢daː] (足元を固めてから<ぞ>余所の家の人にも頼まれるものだぞ) 724 0 0 687 htmvoc_724.wav アシユーチムヌ ア⸢シユー⸣チムヌ [ʔa⸢ʃijuː⸣ʧimunu] 名 四つ足動物。「足四つもの」の義。牛、馬、豚、山羊などの動物。猪などの獣害を防ぐ呪文などで、直接に獣の名を言わずに間接的に表現するときに「アシユチャ」といって用いられる。 ア⸢シユー⸣チムヌヌ ⸢シー⸣シェー ⸢カンニン⸣ガイナー シゥ⸢カイヨーラン⸣セン [ʔa⸢ʃijuː⸣ʧimununu ⸢ʃiː⸣ʃeː ⸢kanniŋ⸣gainaː sï̥⸢kaijoːraŋ⸣ʃeŋ] (四つ足動物の肉は神事祭祀<神祈願の祭り>には使われなかった) 585 0 0 688 htmvoc_585.wav アジルン ア⸢ジ⸣ルン [ʔa⸢ʤi⸣ruŋ] 他動 十字に交差させる。交差する。絡まる。 ⸢サンガマ⸣チェー ク⸢マン⸣トンナ アジティ ⸢フン⸣ ウティシキ [⸢saŋgama⸣ʧeː ku⸢man⸣tonna ʔadʒiti ⸢ɸuŋ⸣ ʔutiʃi̥ki] (桟はここのところで十字に交差させて釘を打ち付けておきなさい)。 ⸣イトー ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァーサン⸣カー ア⸢ジ⸣ルンダ ア⸢ジラサン⸣ タ⸢ミ⸣シル ⸢ヌー⸣ロー ッ⸢ふァース⸣ダー [⸣ʔitoː ⸢nuː⸣ru f⸢faːsaŋ⸣kaː ʔa⸢ʤi⸣runda ʔa⸢ʤirasan⸣ ta⸢mi⸣ʃiru ⸢nuː⸣roː f⸢faːsu⸣daː] (糸は糊付けしないと交叉して絡まるから、からまさないために糊付けをするのだよ) 725 0 0 689 htmvoc_725.wav アジンカシンナーヌ ア⸢ジン⸣カシン ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤiŋ⸣kaʃin ⸢naː⸣nu] 連 味も素っ気もない。 ア⸢ジン⸣カシン ⸢ナーン⸣ ムニカー⸢ニ⸣ イ⸢ズナ [ʔa⸢ʤiŋ⸣kaʃin ⸢naːm⸣ munikaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʣuna] (意味のない言葉<味も素っ気もない言葉>だけ言うな) 694 0 0 690 htmvoc_694.wav アジングリサン ア⸢ジングリ⸣サン [ʔa⸢ʤiŋguri⸣saŋ] 形 意見を言いにくい。言いづらい。忠告しづらい。言うことが困難である。若年層は、ア⸢ジグリ⸣サン[ʔa⸢ʤiguri⸣saŋ](言いづらい)ともいう。 シ⸢ザン⸣ナーネー ア⸢ジングリ⸣サンドゥ ア⸢ジングリ⸣サ ⸢ナーン⸣ プ⸢スン オー⸣ルン [ʃi⸢ʣan⸣naːneː ʔa⸢ʤiŋguri⸣sandu ʔa⸢ʤiŋguri⸣sa ⸢naːm⸣ pu̥⸢suŋ ʔoː⸣ruŋ] (年上の人には意見を言いにくいが、言いにくくない人もおられる)。 ア⸢ジングリ⸣サ ナリ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤiŋguri⸣sa nari⸢naː⸣nu] (言いづらくなってしまった)。 ア⸢ジングリ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤiŋguri⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (言いづらいことはない) 186 0 0 691 htmvoc_186.wav アスカー ア⸢ス⸣カー [ʔa⸢su⸣kaː] 接 そしたら。すると。それなら。ぞんざいな表現。前件と後件を繋ぐ接続詞。 ア⸢ス⸣カー ⸢ヌー⸣ スワ ⸣メー [ʔa⸢su⸣kaː ⸢nuː⸣suwa ⸣meː] (そしたら如何しようか、もう) 1425 0 0 692 htmvoc_1425.wav アスカー ア⸢ス⸣カー [ʔa⸢su⸣kaː] 接 そうしたら。そうすると(順接)。⸣アイ ⸢スー⸣カー[⸣ʔai ⸢suː⸣kaː](そうしたら)の縮約形。 ⸢ワー⸣ ヤー⸢ディン⸣ パ⸢リ⸣ス⸢ー⸣ ア⸢ス⸣カー ⸢タン⸣ガ ヌ⸢カ⸣ル ⸣ウヤー ⸢ヌー⸣スワ [⸢waː⸣ jaː⸢dim⸣ pa⸢ri⸣su⸢ː⸣ ʔa⸢su⸣kaː ⸢taŋ⸣ga nu⸢ka⸣ru ⸣ʔujaː ⸢nuː⸣suwa] (君はどうしても<必ず>行くのか?そうしたら一人残される親はどうするのか)。 ⸢ワー⸣ パ⸢ラ⸣ヌ⸢ー⸣ ア⸢ス⸣カー ⸢ヌー⸣スワメー [⸢waː⸣ pa⸢ra⸣nu⸢ː⸣ ʔa⸢su⸣kaː ⸢nuː⸣suwameː] (君は行かないの?そしたら、如何しようか) 745 0 0 693 htmvoc_745.wav アズカー ア⸢ズ⸣カー [ʔa⸢ʣu⸣kaː] 副 いわば(言わば)。言うならば。例えば。ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の連体形に仮定の接続助詞⸣-カー[⸣-kaː](~たら{EOS}~なら)の付いた形。 ア⸢ズ⸣カー ⸣メー チョーン⸢ドゥ バン⸣ター ウヤ⸢ゲ⸣ラ [ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸣meː ʧoːn⸢du ban⸣taː ʔuja⸢ge⸣ra] (いわば<例えば>、もう、丁度<正に>僕たちの親だよ<親さ>)。 ア⸢ズ⸣カー ⸢ワートゥ バン⸣トー マ⸢タイチフ⸣ ナルシジ [ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢waːtu ban⸣toː ma⸢taiʧiɸu⸣ naruʃiʤi] (言わば君と私とは又従兄弟にあたる<又従兄弟になる>訳だ{EOS}⸢ゲンソン⸣ティ ス⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣カー メー パ⸢トゥ⸣マムニシェー ピ⸢チマー ゲ⸣ラ{SqBr}⸢genson⸣ti su⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː meː pa⸢tu⸣mamuniʃeː pi⸢ʧimaː ge⸣ra{/SqBr}(玄孫というのは言わば、もう鳩間方言ではピ⸢チマーさ<だよ>) 746 0 0 694 htmvoc_746.wav アズクトゥ ア⸢ズ⸣ クトゥ [ʔa⸢ʣu⸣ ku̥tu] 連 言うこと。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ クトー ⸢フン⸣トー ヤ⸢ル⸣ユー ⸢タシカミラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ ku̥toː ⸢ɸun⸣toː ja⸢ru⸣juː ⸢taʃi̥kamiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (彼の言うことは本当なのか、確かめないといけない) 818 0 0 695 htmvoc_818.wav アスクン ⸢アス⸣クン [⸢ʔasu̥⸣kuŋ] 他動 預ける。「あづく(預く)下二段」の四段化したもの。「Azzuqe,uru,eta.アヅケ,クル,ケタ(預け,くる,けた)保管を人に委託する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣シトゥ ⸢アス⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢アシゥカラン⸣ティ ⸢スンダ アシキ⸣プサタンティン ⸢アス⸣ク ⸣クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʃi̥tu ⸢ʔasu̥⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʔasi̥karan⸣ti ⸢sunda ʔaʃi̥ki⸣ pu̥satantiŋ ⸢ʔasu̥⸣ku ⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (お土産<苞>を預けようと思うが、預からないといういうから、預けたくても預けることも出来ない)。 ク⸢レー⸣ プ⸢スンナー⸣ニ ⸢アスク⸣ナ ⸣ドゥーシ ⸣ムティ ⸣パリ [ku⸢reː⸣ pu̥⸢sunnaː⸣ni ⸢ʔasu̥ku⸣na ⸣duːʃi ⸣muti ⸣pari] (これは他人に預けるな{EOS}自分で持って行け)。 ⸢アス⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢アシゥカラン⸣ツォー [⸢ʔasu̥⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʔasi̥karan⸣ʦoː] (預けようと思うが、預からないそうだ)。 ⸢アシ⸣キ ⸣ミサカー ⸢アス⸣ ククトー ⸣ナルン [⸢ʔaʃi̥⸣ki ⸣misakaː ⸢ʔasu̥⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (預けてよければ、預けることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢アシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (早く預ければいいのに)。 ヤー⸢ディン アシ⸣キ⸢ヨー [jaː⸢diŋ ʔaʃi̥⸣ki⸢joː] (必ず<きっと>預けなさいよ) 748 0 0 696 htmvoc_748.wav アスコーアスコーシ アス⸢コーアスコー⸣シ [ʔasu̥⸢koːʔasu̥koː⸣ʃi] 副 ほやほや熱々で。出来立ての湯気を立てたさまで。熱々と。ぬくぬく(温温)と。 アス⸢コーアスコー⸣シ ⸢サー⸣ヤ ⸣ヌミティ ⸣パリバ [ʔasu̥⸢koːʔasu̥koː⸣ʃi ⸢saː⸣ja ⸣numiti ⸣pariba] (たて<点て>たばかりのお茶は湯気を立てて温温<熱々>と飲んでから行きなさい) 1406 0 0 697 htmvoc_1406.wav アズシジンドゥヤルカー ア⸢ズ⸣シジンドゥ ヤ⸢ル⸣カー [ʔa⸢ʣu⸣ʃiʤindu ja⸢ru⸣kaː] 連 言うならば。言うとおりなら。「言う筋(訳、道理)でもあれば」の義。 ⸢ワー⸣ アイ ア⸢ズ⸣シジンドゥ ヤ⸢ルッ⸣カー ⸣バー メー ノー⸢ン⸣ ア⸢ザヌ [⸢waː⸣ ʔai ʔa⸢ʣu⸣ʃiʤindu ja⸢ruk⸣kaː ⸣baː ⸣meː noː⸢ŋ⸣ ʔa⸢ʣanu] (君がそのように言うの<言うとおり>であるならば、私はもう何もいわない) 749 0 0 698 htmvoc_749.wav アズトゥール ア⸢ズトゥー⸣ル [ʔa⸢ʣutuː⸣ru] 連 言う通りに。 シ⸢ザ⸣ヌ ア⸢ズトゥー⸣ル ⸢スー⸣カー マ⸢チガイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢ʣa⸣nu ʔa⸢ʣutuː⸣ru ⸢suː⸣kaː ma⸢ʧigai⸣jaː ⸢naː⸣nu] (兄の言う通りにすれば間違いはないよ) 750 0 0 699 htmvoc_750.wav アズニ ⸣アズニ [⸣ʔaʣuni] 連 言うように。 ウ⸢リヌ⸣ アズニ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔaʣuni ⸢saŋ⸣kaː na⸢ranu] (彼が言うよう<言う通り>にしなければならないのか?) 751 0 0 700 htmvoc_751.wav アスヌ ア⸢スヌ [ʔa⸢sunu] 接続 だが。しかし。けれども。そうではあるが。ア⸢スン[ʔa⸢suŋ](そうする)の連体形に逆接の接続助詞ヌ[nu](が、だが)が付いたもの。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケン⸣ ウ⸢トゥナッ⸣サン ア⸢スヌ⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー プ⸢ソー カウリス [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢tunas⸣saŋ ʔa⸢sunu⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː pu̥⸢soː kaurisu] (彼は非常に大人しい{EOS}しかし酒を飲むと人が変わる)。 ウ⸢レー ワー⸣ ア⸢ズ トゥー⸣ル ア⸢スヌ⸣ バー ア⸢ズ⸣ ムニン シ⸢キ⸣バ [ʔu⸢reː waː⸣ ʔa⸢ʣu tuː⸣ru ʔa⸢sunu⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muniːŋ ʃi̥⸢ki⸣ba] (それは君の言う通りだ{EOS}だが、私の言うことも聞けよ)。⸢ターシグ⸣トー ⸢バン⸣ヌン ⸣ナルン。 ア⸢スヌ⸣ヨー ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸣バー ⸢タンガ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taːʃigu⸣toː ⸢ban⸣nun ⸣naruŋ⸣ ʔa⸢sunu⸣joː ku⸢nu taː⸣ja ⸣baː ⸢taŋga⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (田仕事は私にも出来る{EOS}だがしかしねえ、この田圃は私一人では出来ない) 752 0 0 701 htmvoc_752.wav アズムティ ア⸢ズ⸣ムティ [ʔa⸢ʣu⸣muti] 連 言うだけ。言う分。 ア⸢ズ⸣カー ア⸢ズ⸣ムティ シ⸢キ⸣ニン ⸣ムティ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢ʣu⸣kaː ʔa⸢ʣu⸣muti ʃi̥⸢ki⸣nim ⸣muti ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (言ったら言うだけ<言った分>責任を持ってしなければならない) 820 0 0 702 htmvoc_820.wav アスン ア⸢スン [ʔa⸢suŋ] 自動 そうする。⸣アイ ⸢スン[⸣ʔai ⸢suŋ](そうする)の縮まった形。副詞の⸣アイ[⸣ʔai](そう{EOS}そのように)に、⸢スン[⸢suŋ](する)が下接して、そ形成された動詞。「そのような行為を行う」の意味を表す。 ア⸢スン⸣ ア⸢サヌー ヌー⸣シヤー [ʔa⸢suŋ⸣ ʔa⸢sanuː nuː⸣ʃijaː] (そうするか?、しないか?、どうするのか<如何なんだ>)。 ⸣アイヤー ア⸢サンドー⸣シ ドゥ⸢シトゥ⸣ マー⸢ズン⸣シ ア⸢シ⸣バ [⸣ʔaijaː ʔa⸢sandoː⸣ʃi du⸢ʃitu⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ʔa⸢ʃi⸣ba] (そうはしないで、友人と一緒にしなさいよ)。 ア⸢シッふィーリ [ʔa⸢ʃiffiːri] (そうしてくれ)。 ア⸢シ⸣プサン [ʔa⸢ʃi⸣pusaŋ] (そうしたい)。 ⸢ワーンドゥ⸣ ッ⸢ふァ⸣マー ア⸢タラ⸣サ ⸢スー⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢スン⸣ダー [⸢waːndu⸣ f⸢fa⸣maː ʔa⸢tara⸣sa ⸢suː⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢sun⸣daː] (君が子孫を可愛がったら私もそうするよ)。 ア⸢サ⸣ディー [ʔa⸢sa⸣diː] (そうしようよ) ⸢ワー⸣ ア⸢ス⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢スン [⸢waː⸣ ʔa⸢su⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢suŋ] (君がそうするなら僕もそうする) ア⸢ス⸣クトー ア⸢スヌ⸣ アトー ッ⸢サン⸠ダ [ʔa⸢su⸣kutoː ʔa⸢sunu⸣ atoː s⸢san⸠daː] (そうすることはするが、知らないよ<後は>))。 ⸣ドゥーシ ア⸢シ⸣ ミサカー ア⸢ス⸣ クトゥン ナルン⸢ダー [⸣duːʃi ʔa⸢ʃi⸣ misakaː ʔa⸢su⸣ ku̥tun narun⸢daː] (自分でそうしてよければ、そうすることも出来るよ)。 ア⸢シェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʃeː⸣ misamunu] (そうすれば良いのに) 754 0 0 703 htmvoc_754.wav アズン ア⸢ズン [ʔa⸢ʣuŋ] 他動 言う。話す。「叱る」の意味はない。 ⸢パー⸣ク ア⸢ズンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ア⸢ザヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʣunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢na⸣maː ʔa⸢ʣanu] (早く言おうと思ったが、今は言わない)。 ⸣バーラ ア⸢ジ⸣ ミサカー ア⸢ズ⸣ クトー ⸣ナルン [⸣baːra ʔa⸢ʤi⸣ misakaː ʔa⸢ʣu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (私から言って良ければ言うことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ジェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ʤeː⸣ misamunu] (もっと言えばいいのに)。イ⸢ズン[ʔi⸢ʣuŋ](言う{EOS}叱る)ともいう。 ⸣バーラ ア⸢ズンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ア⸢ザランシェン [⸣baːra ʔa⸢ʣunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʔa⸢ʣaraŋʃeŋ] (私から言おうとしたが、言われなかった)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ジ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʤi⸣ba] (早く言えよ)。 イ⸢カス⸣ク ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カシタンティン⸣ バー ア⸢ズ⸣ムネー シゥ⸢カヌ [ʔi⸢kasu̥⸣ku ʔa⸢ʤi⸣ sï̥⸢kaʃi̥tantim⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muneː sï̥⸢kanu] (いくら私が言って聞かしても、私の言うことは聞かない)。 ⸣バー ア⸢ザヌ [⸣baː ʔa⸢ʣanu] (私は言わない) マー⸢ズン⸣ ア⸢ザ⸣ディー [maː⸢ʣuŋ⸣ ʔa⸢ʣa⸣diː] (一緒に言おうよ) ⸢バン⸣ヌン ア⸢ジ⸣プサン [⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢ʤi⸣pusaŋ] (私も言いたい) カ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ズ⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢ズン [ka⸢nu⸣ pu⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢ʣuŋ] (あの人が言うなら私も言う) ク⸢リンナー⸣ニ ア⸢ズ⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢rinnaː⸣ni ʔa⸢ʣupusoː⸣ bu⸢raːnu] (この人に<これに>言う人はいない) ⸢マー⸣ビン ア⸢ジシゥカシェー⸣ ミサムヌ  [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ʤisïkaʃeː⸣ misamunu] (もっと言って聞かせたらいいのに) ⸣バーン ア⸢ジ⸣バ [⸣baːŋ ʔa⸢ʤi⸣ba] (私に言えよ))。 ア⸢ザスン [ʔa⸢ʣasuŋ] (いわせる)。 ア⸢ザサヌ [ʔa⸢ʣasanu] (言わせない) ア⸢ザバン [ʔa⸢ʣaban] (言っても)) 756 0 0 704 htmvoc_756.wav アスンケン ア⸢スン⸣ケン [ʔa⸢suŋ⸣keŋ] 接 すると。そうすると。そのとき。⸣キノー パ⸢マ⸣ナーティ パ⸢モー⸣ル カキ⸢ベー⸣タツォー。ア⸢スン⸣ケン イ⸢ノンヌ⸣ ミーラ ヤ⸢メーマヌ⸣ ンジケータツォー[⸣kinoː pa⸢ma⸣naːti pa⸢moː⸣ru kḁki⸢beː⸣taʦoː。ʔa⸢suŋkeŋ ʔi⸢nonnu⸣ miːra ja⸢meːmanu⸣ ʔnʤikeːtaʦoː](昨日、浜で蛤を掻いていたそうだ{EOS}すると砂の中から小さな亀が出てきたそうだ) 755 0 0 705 htmvoc_755.wav アスンドゥ ア⸢スンドゥ [ʔa⸢sundu] 接 だが。であるが。逆接の接続詞。⸣アイ・⸢スンドゥ[⸣ʔai-⸢sundu](そう・するが)の縮略形。カ⸢リンヌン⸣ シ⸢ミルン⸣ツォー。 ア⸢スンドゥ ワンヌン⸣ マー⸢タキ サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ツォー [ka⸢rinnuŋ⸣ ʃi⸢mirun⸣ʦoː ʔa⸢sundu wannum⸣ maː⸢taki saŋ⸣kaː na⸢ran⸣ʦoː] (彼にもさせるそうだ{EOS}だが、君も同じようにしなければならないそうだ) 758 0 0 706 htmvoc_758.wav アゾールン ア⸢ゾー⸣ルン [ʔa⸢ʣoː⸣ruŋ] 他動 おっしゃる(仰る)。ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の尊敬語。ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の連用形、ア⸢ジ[ʔaʤi]に、「Vouaxi,su.ヲワシ,ス(おはし)~高貴な方が・・・にいらっしゃる」『邦訳日葡辞書』の転訛した⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](いらっしゃる)が付いて転訛した尊敬動詞。 イ⸢チンマー⸣ パリティ ア⸢ゾールン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ ア⸢ゾーラ⸣ヌ [ʔi⸢ʧimmaː⸣ pariti ʔa⸢ʣoːrun⸣du ⸢kjuː⸣ja ʔa⸢ʣoːra⸣nu] (いつもは行けとおっしゃるが、今日はおっしゃらない)。 ア⸢ゾー⸣リ ⸣ミサン [ʔa⸢ʣoː⸣ri ⸣misaŋ] (おっしゃってよい)。 ⸢ワー⸣ ア⸢ゾー⸣ル ⸣クトー ⸢バシキラヌ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢baʃi̥kiranu] (貴方がおっしゃることは忘れない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ゾー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʣoː⸣reː ⸣misamunu] (早くおっしゃれば良いのに)。 ⸢キュー⸣ヤ ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ゾー⸣リ [⸢kjuː⸣ja jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ri] (今日は必ずおっしゃい<仰せください>)。 ウ⸢レー ワー⸣ ア⸢ゾー⸣ル ⸢トゥー⸣ル⸢ユー [ʔu⸢reː waː⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸢tuː⸣ru⸢juː] (それはあなたがおっしゃる通りです)。 ⸣アッパーラ ア⸢ゾー⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ ア⸢ゾーラン⸣シェン [⸣ʔappaːra ʔa⸢ʣoː⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ʔa⸢ʣoːraŋ⸣ʃeŋ] (おばあさんからおっしゃると聞いたが、おっしゃらなかった)。 ア⸢ゾー⸣リ ミサン [ʔa⸢ʣoː⸣ri ⸣misaŋ] (おっしゃって良い)。 ア⸢ゾー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʣoː⸣reː ⸣misamunu] (おっしゃれば良いのに)。 ア⸢ゾー⸣リバ [ʔa⸢ʣoː⸣riba] (おっしゃいよ)。 ⸢ウイ⸣プソー ユ⸢ヌムニバ⸣ル ア⸢ゾー⸣ルティ ス⸢クタヌ バン⸣テヌ ⸣アブジェー ユ⸢ヌ⸣ムネー ア⸢ゾーラ⸣ヌ [⸢ʔui⸣pusoː ju⸢numuniba⸣ru ʔa⸢ʣoː⸣ruti su⸢kutanu ban⸣tenu⸣ʔabuʤeː ju⸢nu⸣muneː ʔa⸢ʣoːra⸣nu] (老人は同じ言葉を繰り返し言われると聞いたが、私の家のおじいさんは同じ言葉は言われない) 759 0 0 707 htmvoc_759.wav アタ ア⸢タ- [ʔa⸢ta-] 接頭 突然。にわか。急な。 ア⸢ミ⸣ヌ ア⸢タフイ シー キン⸣マー ⸢ゾッふァシ ナー⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ʔa⸢taɸui ʃiː kim⸣maː ⸢ʣoffaʃi naː⸣nu] (雨が急に降って<にわか降りして>着物を濡らしてしまった)。 ア⸢タシニ [ʔa⸢taʃini] (突然死)。 ア⸢タシー [ʔa⸢taʃiː] (急にすること)。 ア⸢タニチ [ʔa⸢taniʧi] (突然の発熱)。⸢アッ⸣タニ[⸢ʔat⸣tani](急に、にわかに)の縮約形。 ア⸢タファイ [ʔa⸢tafai] (急に食べること) 857 0 0 708 htmvoc_857.wav アタ ア⸢タ [ʔa⸢ta] 接頭 急な。だしぬけの。突然の。名詞や動詞の連用形に上接して予期しない急な動作や突然に起きる状態を表す接頭語。ア⸢タアミ[ʔa⸢taʔami](にわか雨)、ア⸢タカジ[ʔa⸢takaʤi](俄か台風)、ア⸢タナキ[ʔa⸢tanaki](突然に泣き出すこと)、ア⸢タバライ[ʔa⸢tabarai](突然に笑うこと)など、ア⸢タヤン[ʔa⸢tajaŋ](急病)など 760 0 0 709 htmvoc_760.wav アダ ア⸢ダ [ʔa⸢da] 名 あだ(徒)。いたずら。無駄。徒労。「Adana.アダナ.または、アダノ(徒な,または,徒の)ちょうっとした、空しい、無益な」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ワー⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイティル ⸢シェー⸣ クトゥ ヤ⸢ルヌ⸣ ア⸢ダ⸣ ナリ ⸢ナーン⸣バン⸢ナー [⸢waː⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸣ʔumuitiru ⸢ʃeː⸣ ku̥tu ja⸢runu⸣ ʔa⸢da⸣ nari ⸢naːm⸣ban⸢naː] (君のことを思ってしたことではあるが、無駄になってしまったねえ) 762 0 0 710 htmvoc_762.wav アダーシカダーシ ア⸢ダーシカダーシ [ʔa⸢daːʃikadaːʃi] 名 怒鳴りつけること。ア⸢ダースン[ʔa⸢daːsuŋ](どやしつける、強く叱る)の重言。ABCDEBCD型。 ⸢ピントゥルピン⸣ ア⸢ダーシカダーシ⸣ シ⸢ラレー⸣ティ パ⸢タラカサリ ベー⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [⸢pinturupiŋ⸣ ʔa⸢daːʃikadaːʃi⸣ ʃi⸢rareː⸣ti pḁ⸢tarakasari beː⸣munu ⸣mirukaː ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (毎日毎日どやされて働かされているのを見ると可哀そうなんだよ) 763 0 0 711 htmvoc_763.wav アダースン ア⸢ダースン [ʔa⸢daːsuŋ] 他動 どやす。怒鳴りつける。大声で叱りつける。 ウ⸢レー⸣ プ⸢ス⸣ ア⸢ダースンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢su⸣ ʔa⸢daːsunda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (彼は他人をどやすから気をつけなさいよ)。 ア⸢ダーサンドー⸣シ ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カシ⸣バ [ʔa⸢daːsandoː⸣ʃi ʔa⸢ʤi⸣ si̥⸢kaʃi⸣ba] (どやさないで話して教え<聞かせ>なさいよ) 764 0 0 712 htmvoc_764.wav アターチマ ア⸢ターチマ [ʔa⸢taːʧima] 副 暫時。しばらく。ちょっと。いっとき。 アブ⸢ジェー⸣ ク⸢マー オー⸣リティ ア⸢ターチマ⸣ ク⸢ヌ ッふァ⸣ ミリ ッ⸢ふォー⸣リ [ʔabu⸢ʤeː⸣ ku⸢maː ʔoː⸣riti ʔa⸢taːʧa⸣ ku⸢nu ffa⸣ miri f⸢foː⸣ri] (おじいさん、ここへいらっしゃって、しばらくこの子を見てください)。 ア⸢ターチマ⸣ マティ ッ⸢ふィーリ⸠ヨー [ʔa⸢taːʧima⸣ mati f⸢fiːri⸠joː] (ちょっと待ってくれよね) 761 0 0 713 htmvoc_761.wav アタアミ ア⸢タアミ [ʔa⸢taʔami] 名 にわか雨。驟雨。 ア⸢タアミヌ⸣ フイティル ン⸢ジマー⸣キ ⸢ベー⸠ツォー [ʔa⸢taʔaminu⸣ɸuitiru ʔn⸢ʤimaː⸣ki ⸢beː⸠ʦoː] (にわか雨が降って出かねているんだよ)。 ア⸢タアミヌ⸣ フイティル ⸢キン⸣バ ⸢ゾーラシ⸣ シケー [ʔa⸢taʔaminu⸣ ɸuitiru ⸢kim⸣ba ⸢ʣoːraʃi⸣ ʃi̥keː] (にわか雨が降って着物を濡らしてある) 765 0 0 714 htmvoc_765.wav アタウダラキ ア⸢タウダラキ [ʔa⸢taʔudaraki] 名 急に驚くこと。びっくり仰天すること。 ア⸢タウダラキ スー⸣カー ブ⸢チ⸣クン ⸢スン⸠ダー [ʔa⸢taʔudaraki suː⸣kaː bu⸢ʧi⸣kun ⸢sun⸠daː] (急に驚くと失神するよ) 766 0 0 715 htmvoc_766.wav アダウチ ア⸢ダウチ [ʔa⸢dauʧi] 名 仇討ち。村芝居などで演じられる仇討ちもの。 イ⸢サナキヌ⸣ シ⸢バヤー⸣ナ ア⸢ダウチムヌ⸣バ ス⸢クミティ シーベーン⸣ドゥ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サタン [ʔi⸢sanakinu⸣ ʃi⸢bajaː⸣na ʔa⸢dauʧimunu⸣ba su̥⸢kumiti ʃiːbeːn⸣du ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣sataŋ] (石垣の芝居小屋で仇討ち物を仕組んで上演しているが非常に面白かった) 767 0 0 716 htmvoc_767.wav アタウヤキ ア⸢タウヤキ [ʔa⸢taujaki] 名 にわか分限者。成金。 ク⸢ヌ プソー ヌー⸣シ ⸢モーク⸣タユー ア⸢タウヤキ シー⸣ ユ⸢チ⸣クニ ク⸢ラシ ベー [ku⸢nu pu̥soː nuː⸣ʃi ⸢moːku⸣tajuː ʔa⸢taujaki ʃiː⸣ ju⸢ʧi⸣kuni ku⸢raʃi beː] (この人はどうやって儲けたのか成金になって裕福に暮らしている) 768 0 0 717 htmvoc_768.wav アダカ ア⸢ダ⸣カ [ʔa⸢da⸣ka] 名 あれほどの高さ。 ア⸢ダカ⸣ナー ⸢スー⸣ シ⸢ナムヌバ ヌー⸣シ ⸢シー カイ キラリ⸣ター [ʔa⸢daka⸣na ⸢suː⸣ ʃi⸢namunuba nuː⸣ʃi ⸢ʃiː kai kirari⸣taː] (あんなに高い品物<高くする品物>をどうやって買って来れたのか)。 ア⸢ダカ⸣ヌ シ⸢ナムヌ [ʔa⸢daka⸣nu ʃi⸢namunu] (あれほど高い<高価な>品物) 859 0 0 718 htmvoc_859.wav アタカジ ア⸢タカジ [ʔa⸢takaʤi] 名 急に吹きだす台風。 ⸢ニンガチ⸣ カ⸢ジマー⸣ロー ア⸢タカジヌ⸣ フクンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢niŋgaʧi⸣ ka⸢ʤimaː⸣roː ʔa⸢takaʤinu⸣ ɸu̥kunda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (旧暦二月の時化は、突然の台風が吹くから気をつけろよ) 769 0 0 719 htmvoc_769.wav アタキシ ア⸢タキシ [ʔa⸢takiʃi] 名 断崖。絶壁。切岸。「急に切れているもの」の義。⸢キン⸣タ[⸢kin⸣ta](断崖)、キ⸢ダバナ[ki⸢dabana](断崖、絶壁の先端)ともいう。 ヤ⸢マ⸣ヌ ア⸢タキシ⸣ ナリ ⸢ブー⸣トンラ ⸢キー⸣バ ⸣キシ ウ⸢タ⸣シティ カ⸢タ⸣ミ ⸢クー⸣タ [ja⸢ma⸣nu ʔa⸢takiʃi⸣ nari ⸢buː⸣tonra ⸢kiː⸣ba ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ta⸣ʃi̥tiru kḁ⸢ta⸣mi ⸢kuː⸣ta] (山が断崖になっている所から木を伐り落として担いで来た)。野や山が急に切り立った絶壁になっているところ。「急な切れ」の義。 キ⸢ダバナー⸣ タ⸢カスク⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ア⸢タキシ⸣ ナリ ⸢ブー⸣ トン⸢ダー [ki⸢dabanaː⸣ tḁ⸢kasu̥ku⸣nu ⸢nuː⸣nu ʔa⸢taki̥ʃi⸣ nari ⸢buー⸣ ton⸢daː] (キダバナの断崖はタカスクの野が急に切り立って絶壁になった所だよ) 770 0 0 720 htmvoc_770.wav アタシニ ア⸢タシニ [ʔa⸢taʃini] 名 急死。頓死。 キ⸢ノーバー⸣ケー ノー⸢ン サンシェンヌ⸣ ア⸢タシニバ シー⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢バーシ⸣ <ウ⸢ダラカ⸣シ> シケー⸢ツォー [ki⸢noːbaː⸣keː noː⸢n saŋʃennu⸣ ʔa⸢taʃiniba ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥ke⸢ʦoː] (昨日まではなんでもなかったが<何もしなかったが>急死して人を驚かせている<驚かせておいてある>) 861 0 0 721 htmvoc_861.wav アタジンブン ア⸢タジンブン [ʔa⸢taʤimbuŋ] 名 気転。機知。とっさの場合の分別。「咄嗟の存分(気転)」の義。 トゥ⸢ジヌ⸣ ア⸢タジンブンバ⸣ ン⸢ザシ⸣ル ⸢ヌンガーラサ⸣レータツォー [tu⸢ʤinu⸣ ʔa⸢taʤimbumba⸣ ʔn⸢ʣaʃi⸣ru ⸢nuŋgaːrasa⸣reːtaʦoː] (妻が咄嗟に気転を利かしたので<急に智恵を出したので>許されたそうだ) 773 0 0 722 htmvoc_773.wav アタスクリ ア⸢タスクリ [ʔa⸢tasu̥kuri] 名 にわか作り。急ごしらえ。 バ⸢ラフ⸣タシ シ⸢トゥ⸣バ ア⸢タスクリ シティ コー⸣マ イ⸢リティ⸣ イ⸢サナケー⸣ ム⸢タシ⸣タ [ba⸢raɸu̥⸣taʃi ʃi̥⸢tu⸣ba ʔa⸢tasu̥kuri ʃi̥ti koː⸣ma ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ mu⸢taʃi̥⸣ta] (藁で苞<藁苞>を急ごしらえして卵を入れて石垣へ送った<持たせた>) 771 0 0 723 htmvoc_771.wav アタタクマ ア⸢タタクマ [ʔa⸢tatakuma] 名 急な才知。頓知。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ア⸢タタクマ⸣ティ ア⸢ズ⸣ ム⸢カ⸣シムニヌ ⸣アン [mi⸢dumu⸣nu ʔa⸢tatakuma⸣ti ʔa⸢ʣu⸣ mu⸢ka⸣ʃimuninu ʔaŋ] (「女は急場凌ぎの機知に富む(が深慮に欠ける)」という先人の言葉<諺>がある) 862 0 0 724 htmvoc_862.wav アタナキ ア⸢タナキ [ʔa⸢tanaki] 名 突然に泣き出すこと。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ア⸢タナキ スー⸣カ ニチ⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu ʔa⸢tanaki suː⸣kaː niʧi⸢daː] (幼児が突然に泣き出すと発熱だよ) 621 0 0 725 htmvoc_621.wav アダナシ ア⸢ダナ⸣シ [ʔa⸢dana⸣ʃi] 名 アダン(阿檀)の気根。「アザニヌ サーラ[ʔaʣaninu saːra](刺木の下がっているもの)の略転という説(『八重山語彙』)」がある。 ア⸢ダナ⸣シ ⸣キシキー ⸣カー ⸣パギティ ⸣サキ ティダナ ⸣プシ グ⸢マーグマ⸣シ ⸣サキティ ア⸢ダナ⸣シジナ ⸢ナウ⸣タヨー [ʔa⸢dana⸣ʃi ⸣ki̥ʃikiː ⸣kaː ⸣pagiti ⸣sḁki ⸣tidana ⸣pu̥ʃi gu⸢maːguma⸣ʃi ⸣sḁkiti ʔa⸢dana⸣ʃidʒina ⸢nau⸣tajoː] (阿檀の気根を切ってきて皮を剥いで裂き、太陽に干し、更に小さく裂いて阿檀の綱を綯ったよ)。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸢ニーバ⸣ル ア⸢ダナ⸣シティ ア⸢ズ⸣ダー [ʔa⸢dambura⸣nu ⸢niːba⸣ru ʔa⸢dana⸣ʃi̥ti ʔa⸢ʣu⸣daː] (あだん<阿檀>の気根をアダナシというのだよ) 776 0 0 726 htmvoc_776.wav アダナシジナ ア⸢ダナ⸣シジナ [ʔa⸢dana⸣ʃiʤina] 名 アダンの気根の繊維で綯った縄<綱>。 ア⸢ダナ⸣シジナー ⸢スー⸣ワン [ʔa⸢dana⸣ʃiʤinaː ⸢suː⸣waŋ] (アダンの気根の繊維で綯った綱は強い)。アダンの気根(直径3~4センチ、長さ60~80センチ)の皮を剥ぎ、約2ミリの厚さに切り割り、乾燥させたものを細かく裂いて直径約2ミリの太さに綯った縄を⸢ユー⸣ル[⸢juː⸣ru](細い縄{EOS}「撚り」の義か)といい、直径約1センチ以上の太さに綯ったものを、ア⸢ダナシ⸣ジナ[ʔa⸢dana⸣ʃiʤina](アダナシ綱)という。ア⸢ダナ⸣シジナ[ʔa⸢dana⸣ʃiʤina](アダナシ綱)は強いので、サバニのアンカーロープ⸣や⸢アウダ[⸢ʔau⸣da](もっこ)を造るのに用いられた。⸢ユー⸣ル[⸢juː⸣ru](アダナシの細縄)は、民具の⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku]を造るのに有用な素材であった 623 0 0 727 htmvoc_623.wav アダナシユール ア⸢ダナ⸣シユール [ʔa⸢dana⸣ʃijuːru] 名 アダン(阿檀)の気根の繊維を細かく裂いて綯った細い縄。「アダナシ・\ruby{縒}{ヨ}り」の転訛したもの。これで⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku](約20センチ立方に編んだ網袋{EOS}野外用手提げ{EOS}網びく<網魚籠>)。 ⸣ソンガチヌ ピ⸢キダマー⸣ ア⸢ダナ⸣シユールシル トゥ⸢バシタル [⸣soŋgaʧinu pi̥⸢kidamaː⸣ ʔa⸢dana⸣ʃijuːruʃiru tu⸢baʃi̥taru] (正月の凧はアダナシの紐<アダナシ紙縒り>で飛ばし<揚げ>たものだ) 777 0 0 728 htmvoc_777.wav アダニ ア⸢ダ⸣ニ [ʔa⸢da⸣ni] 名 アダン(阿檀)の実。若年層はア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ナル[ʔa⸢dambura⸣nu ⸣naru](アダンの実)ともいう。 ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムル⸣ナー ア⸢ダニ⸣バ ⸣ブリキー マ⸢ツォーッ⸣タン [⸢soːran⸣nu mu⸢rumuru⸣naː ʔa⸢dani⸣ba ⸣burikiː ma⸢ʦoːt⸣taŋ] (お盆の供物のムルムルに阿檀の実を捥いできて供えられた) 778 0 0 729 htmvoc_778.wav アタニチ ア⸢タニチ [ʔa⸢taniʧi] 名 急な発熱。 ア⸢タニチヌ⸣ ンジティ ウ⸢キユーサ⸣ヌ ニ⸢ビベー [ʔa⸢taniʧinu⸣ʔnʤiti ʔu⸢kijuːsa⸣nu ni⸢bibeː] (急に発熱して<突然の熱が出て>起きることが出来ない<起き得ない>{EOS}寝ている) 774 0 0 730 htmvoc_774.wav アタバシキ ア⸢タバシキ [ʔa⸢tabaʃi̥ki] 名 ど忘れ。うっかり忘れること。 ウ⸢レー⸣ ッ⸢シブンドゥ⸣ヨー ア⸢タバシキ シー⸣ ウ⸢ムイ ンザサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃ⸢ʃibundu⸣joː ʔa⸢tabaʃi̥ki ʃiː⸣ ʔu⸢mui ʔnʣasara⸣nu] (それは知っているが、ど忘れして思い出されない) 863 0 0 731 htmvoc_863.wav アタバライ ア⸢タバライ [ʔa⸢tabarai] 名 突然に笑い出すこと。 トゥ⸢シグル⸣ヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ア⸢タバライ スンダ⸣ プ⸢ス⸣ ウ⸢バースン [tu⸢ʃiguru⸣nu mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔa⸢tabarai sunda⸣ pu̥⸢su⸣ ʔu⸢baːsuŋ] (年頃の女の子は突然に笑い出すから人を驚かす) 864 0 0 732 htmvoc_864.wav アタパリ ア⸢タパリ [ʔa⸢tapari] 名 急に駆け出すこと。突然走り出すこと。 ナー⸢イ ベータン⸣ドゥ ア⸢タパリ⸣ シ⸢ティル⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢ダラカ⸣シ ⸣シケーバン [naː⸢i beːtan⸣du ʔa⸢tapari⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢daraka⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (じいっとしていたが、突然駆け出して<ぞ>人を驚かせている<びっくりさせておいてある>わい) 865 0 0 733 htmvoc_865.wav アタフイ ア⸢タフイ [ʔa⸢taɸui] 名 雨が急に降るさま。雨が俄かに降ること。にわかあめ<俄雨>。驟雨。 ア⸢ミ⸣ヌ ア⸢タフイ⸣ シ⸢ティ⸣ キン ⸢ゾーラシ ナー⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ʔa⸢taɸui⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ⸣kin ⸢ʣoːraʃi naː⸣nu] (雨が俄か降りして着物を濡らしてしまった) 779 0 0 734 htmvoc_779.wav アタヤン ア⸢タヤン [ʔa⸢tajaŋ] 名 急病。 ⸣アイニ ⸢ガン⸣ゾー ア⸢ローッ⸣タ プ⸢スヌ⸣ ア⸢タヤンバ シー マーラソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢gan⸣ʣoː ⸣ʔaroːtta pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢tajamba ʃiː maːrasoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (あんなに元気<頑丈>であられた方<人>が急病で<急病をして>お亡くなりになってしまった)。 ア⸢タヤンバ シール マーラシタ⸣ツォー [ʔa⸢tajamba ʃiːru maːraʃi̥ta⸣ʦoː] (急病をして亡くなったそうだ) 781 0 0 735 htmvoc_781.wav アダラー アダ⸢ラー [ʔada⸢raː] 感 ああ汚い。ああ汚らしい。 アダ⸢ラー⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤワレー [ʔada⸢raː⸣ ja⸢ni⸣jawa reː] (ああ汚い{EOS}なんと汚いことよ<それは>) 783 0 1 736 htmvoc_783.wav アタラサスン ア⸢タラ⸣サ ⸢スン [ʔa⸢tara⸣sa ⸢suŋ] 連 {Mn_1}可愛がる。 ⸣マーッふァー ア⸢タラ⸣サ ⸢スン [⸣maːffaː ʔa⸢tara⸣sa ⸢suŋ] (孫を可愛がる)。 783 0 2 737 htmvoc_783.wav アタラサスン ア⸢タラ⸣サ ⸢スン [ʔa⸢tara⸣sa ⸢suŋ] 連 {Mn_2}大切にする。 ノー⸢ンヤラバン ドーン⸣ゴー ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ シゥ⸢カーン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー [noː⸢ɲjaraban doːŋ⸣goː ʔa⸢tara⸣sa ʃiː⸣ sï̥⸢kaːŋ⸣kaː na⸢ran⸠daː] (何でも<あっても>道具は大切にして使わないといけないよ) 784 0 0 738 htmvoc_784.wav アタラサマリ ア⸢タラサマリ [ʔa⸢tarasamari] 名 人に好かれ、可愛がられるように生まれついた人。 カ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イ⸢カムス⸣ク ア⸢タラサマリ シー ブワ⸠ツォー [ka⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔa⸢tarasamari ʃiː buwa⸠ʦoː] (あの子は、なんと人に好かれる生まれつきをしていることよ) 786 0 0 739 htmvoc_786.wav アタラサワレー ア⸢タラ⸣サワレー [ʔa⸢tara⸣sawareː] 連 何と可愛いことよ。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ア⸢タラ⸣サワレー [ku⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ ʔa⸢tara⸣sawareː] (この子の何と可愛いことよ) 782 0 1 740 htmvoc_782.wav アタラサン ア⸢タラ⸣サン [ʔa⸢tara⸣saŋ] 形 {Mn_1}可愛い。可憐である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢タラ⸣サン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢tara⸣saŋ] (その子は非常に可愛い)。 ター⸢ン ヤラバン⸣ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢タラサ⸣ル ⸣アル [taː⸢ɲ jaraban⸣ f⸢faː⸣ ʔa⸢tarasa⸣ru ⸣ʔaru] (誰でも子供は可愛い<可愛いくぞある>)。 ア⸢タラサ ナー⸣ヌ [ʔa⸢tarasa naː⸣nu] (可愛くない)。 782 0 2 741 htmvoc_782.wav アタラサン ア⸢タラ⸣サン [ʔa⸢tara⸣saŋ] 形 {Mn_2}惜しい。もったいない。「あたらし(可惜し)」の義から派生転訛したもの。 ク⸢レー⸣ ア⸢タラサ⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢reː⸣ ʔa⸢tarasa⸣nu si̥⸢kaːranu] (これは惜しくて使えない) 785 0 0 742 htmvoc_785.wav アタラシェーマ ア⸢タラシェー⸣マ [ʔa⸢taraʃeː⸣ma] 名 いとし子。かわいい子。愛児。⸢アッタラシェー⸣マ[⸢ʔattaraʃeː⸣ma](愛児)ともいう。 ア⸢タラシェーマー ガン⸣ズーシ ⸢アークタン [ʔa⸢taraʃeːmaː gan⸣ʣuːʃi ⸢ʔaːkutaŋ] (いとし子よ、元気にしていたか) 787 0 0 743 htmvoc_787.wav アタラマイ ア⸢タラ⸣マイ [ʔa⸢tara⸣mai] 名 当たり前。当然、もちろん。 ⸢ワー⸣ サ⸢クシ⸣ッふァ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣アトゥシギ ⸢スー ムノー⸣ ア⸢タラ⸣マイティ ⸣ムカーヤ [⸢waː⸣ sḁ⸢kuʃi⸣ffa ja⸢runda⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔatuʃigi ⸢suː munoː⸣ ʔa⸢tara⸣maiti mukaja] (君は長男だから親の跡継ぎをすることは当たり前というものだ) 789 0 0 744 htmvoc_789.wav アタリ ア⸢タリ [ʔa⸢tari] 名 当たること。正解であること。命中すること。正鵠を射ること。 ⸢クン⸣ドー ⸢ワール⸣ ア⸢タリ [⸢kun⸣doː ⸢waːru⸣ ʔa⸢tari] (今度は君が当たりだ) 790 0 0 745 htmvoc_790.wav アダリー アダ⸢リー [ʔada⸢riː] 感 ああ汚い。汚いなあ。相手を軽蔑したり、嫌悪したりする感情を表す。アダ⸢ラー[ʔada⸢raː]に同じ。 アダ⸢リー⸣ カイブ ム⸢ヌ⸣バ ⸣ムティ ⸢クーター [ʔada⸢riː⸣ kaibu mu⸢nu⸣ba ⸣muti ⸢kuːtaː] (ああ汚い{EOS}こんなものを持ってきたのか) 791 0 0 746 htmvoc_791.wav アタリクジ ア⸢タリクジ [ʔa⸢tarikuʤi] 名 当たり籤。当たった籤。 ⸢イットー⸣ヌ ア⸢タリクジバ⸣ ピ⸢ケーン⸣ツォー [⸢ʔittoː⸣nu ʔa⸢tarikuʤiba⸣ pi̥⸢keːn⸣ʦoː] (一等の当たり籤を引き当てたそうだ) 792 0 0 747 htmvoc_792.wav アタリドゥシ ア⸢タリドゥシ [ʔa⸢tariduʃi] 名 当たり年。農作物の収穫や漁獲の多い年。縁起のよい年。良いことの多い年。 ⸢マイン ノー⸣リ カ⸢ツシンヌン タイロー シー⸣ ク⸢トゥシェー⸣ ア⸢タリドゥシユン [⸢main noː⸣ri kḁ⸢ʦuʃinnun tairoː ʃiː⸣ ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔa⸢tariduʃijuŋ] (稲も実り、カツオ漁船も大漁して、今年は当たり年だ) 795 0 0 748 htmvoc_795.wav アタリマイ ア⸢タリ⸣マイ [ʔa⸢tari⸣mai] 名 当たり前。もちろん。当然。若年層の言葉。老年層は、ア⸢タラ⸣マイ[ʔa⸢tara⸣mai](当たり前)という。 ウ⸢リヌ⸣ アイ ア⸢ズ⸣クトー ア⸢タリ⸣マイ <ア⸢タラ⸣マイ> [ʔu⸢rinu⸣ ʔai ʔa⸢ʣu⸣ku̥toː ʔa⸢tari⸣mai ] (その人がそう言うことは至極当たり前だ)。 ア⸢タリマイ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸢セー⸣ヌンドゥ ⸣アイニ フ⸢コーラサ⸣ シ⸢ラリ カイ⸣テー ⸢ドゥーグリサ⸣リバン [ʔa⸢tarimai⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃeː⸣nundu ⸣ʔaini ɸu̥⸢koːrasa⸣ ʃi⸢rari kai⸣teː ⸢duːgurisa⸣ribaŋ] (当然のことをしたまでだが、あんなに感謝されて、かえって恐縮している<心苦しい>) 797 0 0 749 htmvoc_797.wav アタリョーヤー ア⸢タリョー⸣ヤー [ʔa⸢tarjoː⸣jaː] 名 村を支配するお役人様。歌謡語。「目差主<めざししゅ>」の対語(『沖縄古語大辞典』)。担当の上司(歌謡語、琉球王国時代の言語)。「当たり親」の義(『石垣方言辞典』) 793 0 0 750 htmvoc_793.wav アタル ア⸢タル [ʔa⸢taru] 名 係り。担当。「当たり」の義。 ⸢ザーアタ⸣ル [⸢ʣaːʔata⸣ru] (座敷係)。 ヤ⸢マアタ⸣ル [ja⸢maʔata⸣ru] (山林担当)。 ⸢ワー⸣ ク⸢トゥシェー ザーアタ⸣ル ア⸢タリブタ⸣ シ⸢キン⸣ドゥ サ⸢カサンケー⸣トゥン ⸣ユー ⸣ウチソーダン ⸢シー⸣ヨー [⸢waː⸣ ku̥⸢tuʃeː ʣaːʔata⸣ru ʔa⸢taributa⸣ ʃi̥⸢kin⸣du sḁ⸢kasaŋkeː⸣tun ⸣juː ⸣ʔuʧisoːdaŋ ⸢ʃiː⸣joː] (君は今年は座敷担当に当たっているので、神司の皆さんともよく相談しなさいよ) 794 0 0 751 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 ~ぐらい。~ほど。おおよその程度を表す。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー バー⸢ヤラバン⸣ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː baː ja⸢raban⸣ na⸢ri⸣su] (この程度<これぐらい>は私でも出来る)。 794 0 0 752 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 {Exp_1}さらに係助詞⸣-ル[⸣-ru](~ぞ)が下接して限定強意を表す。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヌアタル⸣ル ア⸢ル [⸢waː⸣ ʔu⸢nuʔataru⸣ru ʔa⸢ru] (君はその程度しかない<その程度ぞある>のか)。 794 0 0 753 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 {Exp_2}さらに格助詞⸣-ヌ[⸣-nu](~の)が付いて体言化する。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ ⸣クトー ⸢バン⸣ヌン ッ⸢シェー⸣ン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ⸣ku̥toː ⸢ban⸣nuŋ ʃ⸢ʃeː⸣ŋ] (その程度のことは私も知っている)。 794 0 0 754 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 {Exp_3}さらに格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](~で)が付いて手段格を表す。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルシェー プ⸢スヌ⸣ マイヤー ナ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣ruʃeː pu̥⸢sunu⸣ maijaː na⸢rara⸣nu] (その程度では他人より先んじることに<他人の前に>はなれない)。 794 0 0 755 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 {Exp_4}さらに係助詞⸣-ツァン[⸣-ʦaŋ](~すら、~さえ{EOS}~だに)が付いて、最低程度の条件を表す。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルンツァン ⸢シーサン⸣カー シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣runʦaŋ ⸢ʃiːsaŋ⸣kaː si̥⸢kaːranu] (その程度さえも出来なかったら<成し得なかったら>使えない<使われない>) 867 0 1 756 htmvoc_867.wav アタル ア⸢タル [ʔa⸢taru] 接尾 {Mn_1}~に対して。~当たり。 グ⸢サークマイ⸣ヤー プ⸢スルアタ⸣ル グ⸢サーク⸣ナー ン⸢ザ⸣ソーッタ [gu⸢saːkumai⸣jaː pu̥⸢suruʔata⸣ru gu⸢saːku⸣naː ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (五勺米は一人当たり五勺ずつ出された)。 867 0 2 757 htmvoc_867.wav アタル ア⸢タル [ʔa⸢taru] 接尾 {Mn_2}~担当。 ⸢ザーアタ⸣ロー フ⸢タールナー⸣ イ⸢ラ⸣ボーッタン [⸢ʣaːʔata⸣roː ɸu̥⸢taːrunaː⸣ ʔi⸢ra⸣boːttaŋ] (座席作り<桟敷>担当は二人ずつ選出さ<選ば>れた) 796 0 0 758 htmvoc_796.wav アタルマカシ ア⸢タルマカシ [ʔa⸢tarumakaʃi] 副 手当たり次第に。あれこれかまわず。ところかまわず。 ア⸢タルマカシニ イッソー⸣ラ ⸣ムティクー [ʔa⸢tarumakaʃini ʔissoː⸣ra ⸣mutikuː] (手当たり次第にすべて持って来い)。 ア⸢タルマカシニ⸣ プ⸢スヨー⸣ イ⸢ズナ [ʔa⸢tarumakaʃini⸣ pu̥⸢susujoː⸣ ʔi⸢ʣuna] (だれかれかまわず他人を叱るな) 798 0 1 759 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動  {Mn_1}当たる。的中する(正鵠を射る)。他人にきつく当たる。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢タラヌ [⸢waː⸣ muneː ʔa⸢taranu] (君の言うことは当らない<正しくない>)。 ⸣クジ ア⸢タルン [⸣kuʤi ʔa⸢taruŋ] (\ruby{籤}{クジ}が当たる)。 ⸢ワ⸣ー ア⸢ズタ トゥー⸣ル ア⸢タリ オシケー ノー⸣レーツバン [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣuta tuː⸣ru ʔa⸢tari ʔoʃi̥keː noː⸣reːʦubaŋ] (君が言った通り<予言が>的中して、天気は良くなったよ<天気は直ったわい>)。 ア⸢タレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢tareː⸣ misamunu] (当たれば良いのに)。 ア⸢タリ⸣バ [ʔa⸢tari⸣ba] (当たれよ)。 798 0 2 760 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 {Mn_2}照合して確認する。 シ⸢キン⸣マー ⸢ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣タユー ⸢シンシン⸣ナーニン ア⸢タリ⸣ミリバ [ʃi̥⸢kim⸣maː ⸢nuː⸣ʃi ⸢nat⸣tajuː ⸢ʃiŋʃin⸣naːniŋ ʔa⸢tari⸣miriba] (試験はどうなったのか先生に当ってみなさいよ)。 798 0 3 761 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 {Mn_3}毒気を身に受ける。 ヤ⸢ナ⸣カジナ ア⸢タリティ⸣ シラー ア⸢ガミベー [ja⸢na⸣kaʤina ʔa⸢tariti⸣ ʃiraː ʔa⸢gamibeː] (悪い風<邪気>に当って顔が赤らんでいる)。 798 0 4 762 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 {Mn_4}相応しい。似合う。 ウ⸢ヌ キン⸣マー ⸢ワー⸣ナー ガッ⸢ツッティ⸣ ア⸢タリ ブー [ʔu⸢nu kim⸣maː ⸢waː⸣naː gat⸢ʦuti⸣ ʔa⸢tari buː] (その着物は君にぴったり合っている)。 798 0 5 763 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 {Mn_5}配分を受ける。⸢ピーチ⸣ナー ア⸢タルン[⸢piːʧi⸣naː ʔa⸢taruŋ](一個ずつ当たる)   799 0 0 764 htmvoc_799.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 他人の言葉が身に応える。他人の発言に内心忸怩たる<恥じ入る>ものを覚える。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズタ⸣ ムニナー ア⸢タリティル⸣ バ⸢カ⸣ヤ ⸢シー ベー [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣuta⸣ muninaː ʔa⸢taritiru⸣ ba⸢ka⸣ja ⸢ʃiː beː] (君が言った言葉が身に応えて<言葉に当って>、恥ずかしがっている) 800 0 0 765 htmvoc_800.wav アダンパー ア⸢ダン⸣パー [ʔa⸢dam⸣paː] 名 アダンの葉。 ア⸢ダン⸣パーシ カ⸢ジグル⸣マ ス⸢ク⸣リ ⸢フィーラ⸣ナー [ʔa⸢dam⸣paːʃi ka⸢ʤiguru⸣ma su̥⸢ku⸣ri f⸢fiːra⸣naː] (アダンの葉で風車を作ってやろう<くれよう>ね) 801 0 0 766 htmvoc_801.wav アダンパーサバ ア⸢ダン⸣パーサバ [ʔa⸢dam⸣paːsaba] 名 アダン葉で作った草履。アダン葉の刺を取り除き、幅約一センチに裂いて陰干し乾燥して草履に編んで作る。若年層は、ア⸢ダン⸣パーゾーリ[ʔa⸢dam⸣paːʣoːri](阿檀葉草履)という。 ム⸢カ⸣シェー ⸣グムゾーレー ⸢ナーン⸣ ブ⸢レー⸣ンダ ムー⸢ル⸣ ア⸢ダン⸣パーサババ ス⸢ク⸣リ フ⸢モーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣gumuʣoːreː ⸢naːm⸣ bu⸢reː⸣nda muː⸢ru⸣ ʔa⸢dam⸣paːsababa su⸢ku⸣ri ɸu⸢moːt⸣ta] (昔はゴム草履はなかったので、みんなアダン葉草履を作って履かれた) 802 0 0 767 htmvoc_802.wav アダンパームス ア⸢ダン⸣パームス [ʔa⸢dam⸣paːmusu] 名 アダン葉で作った蓆。アダン葉の中央と両側の刺を取り除いて乾燥し、⸣ムス フ⸢ミ⸣ヤマ[⸣musu ɸu⸢mi⸣jama](蓆編み機)で編んだもの。編み目の粗い筵であるから座敷用には用いず、夏の暑い時期に庭先や縁側に敷いて、その上に寝たり座ったりするのに用いた。 ア⸢ダン⸣パームス シ⸢キティ⸣ プ⸢スマニビ⸣ シ⸢ミリ [ʔa⸢dam⸣paːmusu ʃi̥⸢kiti⸣ pu̥⸢sumanibi⸣ ʃi⸢miri] (アダン葉蓆を敷いて昼寝をさせなさい) 624 0 0 768 htmvoc_624.wav アダンブラ ア⸢ダン⸣ブラ [ʔa⸢dam⸣bura] 名 (植)和名、タコノキ(蛸の木)。アダン(阿檀)。「清人は阿坦尼と記したり。・・アンザ・ギ(刺木)の転。海浜瘠土にもよく成長繁茂し、(『八重山語彙』)」との説がある。海岸に自生していて防風林、防砂林の機能を果たしている。葉には鋭い刺があり、それを除去してア⸢ダン⸣パーサバ[ʔa⸢dam⸣paːsaba](アダン葉草履)、ア⸢ダン⸣パームス[ʔa⸢dam⸣paːmusu](アダン葉筵)を編んだ。 ア⸢ダン⸣ブラー イ⸢スヌ⸣ パ⸢タ⸣ナーン マー⸢ン⸣ナーン ムイ⸢ブタン [ʔa⸢dam⸣buraː ʔi⸢sunu⸣ pḁ⸢ta⸣naːm maː⸢n⸣naːm mui⸢butaŋ] (阿檀は海岸<磯端>にも何処にも生えていた)。幹の下部から多数の気根を出す。この気根を切り取り、裂いて乾燥し、細かく裂いて縄を綯い、舟の綱にしたり、もっこ(畚)を編むのに利用した。実はパインの形状をしており、熟れると赤みを呈し、甘味が出て食べられる。それを食いにヤシガニが阿檀の木に登ってくる。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ナ⸢ル⸣ヌ ⸢ウー⸣ムカー ⸣マコヤー ウ⸢リ⸣ ッ⸢ふンティ ヌーリキー⸣シタ [ʔa⸢dambura⸣nu na⸢ru⸣nu ⸢ʔuː⸣mukaː ⸣makojaː ʔu⸢ri⸣ f⸢funti nuːri kiː⸣ʃi̥ta] (あだんの実が熟れるとヤシガニがそれを食べに登ってきたものだ) 625 0 0 769 htmvoc_625.wav アダンブラヌナル ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ナル [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣naru] 連 アダン(阿檀)の実。直径約15センチ、長さ約25センチの楕円形パインナップルの実に似た果実。実の中心部果肉の周り全体に約3センチ五角形の角果が付いている。8~9月に黄赤色に熟し芳香を発する。⸣マコヤ[⸣makoja](ヤシガニ)の好物。旧暦のお盆には、ム⸢ルムル[mu⸢rumuru](盛物供物)として仏壇に供えた。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ナロー ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムル⸣ティ ⸢シー⸣ カ⸢ザローッ⸣タン [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣naroː ⸢soːran⸣nu mu⸢rumuru⸣ti ⸢ʃiː⸣ ka⸢ʣaroːt⸣taŋ] (アダンの実はお盆の盛物供物として仏壇に飾られた) 648 0 0 770 htmvoc_648.wav アダンブラヌフキ ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣フキ [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣ɸu̥ki] 連 あだん(阿檀)の茎。あだんの芽。石垣島では、阿檀の茎を⸣ユディティ[⸣juditi](茹でて)、精進料理の食材として利用されていたが、鳩間島では食しなかった。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣フケー ッ⸢ふァーンシェン [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣ɸu̥keː f⸢faːŋʃeŋ] (アダンノ茎は食べなかった)。 パ⸢トゥ⸣マプソー ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣フケー ン⸢コーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ʔa⸢dambura⸣nu ⸣ɸu̥keː ʔŋ⸢koːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間人は阿檀の若芽は食され<召し上がら>なかった) 649 0 0 771 htmvoc_649.wav アダンブラヤマ ア⸢ダン⸣ブラヤマ [ʔa⸢dam⸣burajama] 名 阿檀の林。阿檀の群生しているところ。海岸にはアダン(阿檀)が密生して防風林、防潮林の機能を果たした。 ア⸢ダン⸣ブラヤマナー ⸣マコヤー ⸣ユー トゥ⸢ラリ⸣タン [ʔa⸢dam⸣burajamanaː ⸣makojaː ⸣juː tu⸢rari⸣taŋ] (阿檀林にはヤシガニがよく捕獲できた<獲られた>) 807 0 0 772 htmvoc_807.wav アチーアチーシ ア⸢チーアチー⸣シ [ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi] 副 熱く。熱々と。蒸かしたての熱いさま。ピー⸢リピーリ⸣シ[piː⸢ripiːri⸣ʃi](冷え冷えと{EOS}冷たく)の対義語。熱そうに。更に強調する際は、アチー⸢アチー⸣シ[ʔaʧiː⸢ʔaʧiː⸣ʃi]とアクセントを後方へずらす。 ⸢ピーリイー⸣ヤ ⸢ファーンドー⸣シ ア⸢チーアチー⸣シ ア⸢ツァ⸣シティ <ア⸢チラ⸣シティ> ⸢ファイ⸣バ [⸢piːriʔiː⸣ja ⸢faːndoː⸣ʃi ⸣ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi ʔa⸢ʦa⸣ʃi̥ti ⸢fai⸣ba] (冷や飯は食べないで、熱く温めて食べなさい) 808 0 0 773 htmvoc_808.wav アチーアチーシ ア⸢チーアチー⸣シ [ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi] 副 厚く。肉厚に。厚々と。ピ⸢シーピシー⸣シ[pi̥⸢ʃiːpiʃiː⸣ʃi](薄く)の対義語。 カ⸢ツシン⸣ナーテー カ⸢ツナマシェー⸣ ア⸢チーアチー⸣シル キ⸢ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃin⸣naːteː kḁ⸢ʦunamaʃeː⸣ ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃiru ki̥⸢soːt⸣ta] (カツオ漁船では、カツオの刺身は厚く<肉厚に>切られた) 809 0 0 774 htmvoc_809.wav アチーアチーシ アチー⸢アチー⸣シ [ʔaʧiː⸢ʔaʧiː⸣ʃi] 副 非常に親しく。非常に親しそうに。非常に仲睦まじく。ABCABCD型の重言。⸢篤し」の転訛したものか。「支離、アヅシ」『類聚名義抄』と関係ある語か。 ⸢ナン⸣ゾー ⸣ピライ ミ⸢ラン⸣ヌンドゥ ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ アチー⸢アチー⸣シ パ⸢ナ⸣ス⸢ツォー [⸢nan⸣ʣoː ⸣pirai mi⸢ran⸣nundu ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔaʧiː⸢ʔaʧiː⸣ʃi pa⸢na⸣su⸢ʦoː] (あんまり付き合ったことはないのに、その人は非常に親しそうに話すんだよ) 843 0 0 775 htmvoc_843.wav アチイー ア⸢チ⸣イー [ʔa⸢ʧi⸣ʔiː] 名 熱いご飯。 ⸢ピーリイー⸣ヤ ッ⸢ふァーンドー⸣シ ア⸢チ⸣イーラ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢piːriʔiː⸣ja f⸢faːndoː⸣ʃi ʔa⸢ʧi⸣ʔiːra f⸢fai⸣ba] (冷や飯は食べないで熱いご飯から食べなさいよ) 806 0 0 776 htmvoc_806.wav アチウン ア⸢チ⸣ウン [ʔa⸢ʧi⸣uŋ] 名 蒸かしたての熱いサツマイモ。 アチー⸢アチーヌ クーフキウン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [ʔaʧiː⸢ʔaʧiːnu kuːɸu̥kiʔum⸣maː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (蒸かしたての熱い、澱粉の多いサツマイモ<粉噴きイモ>は非常に美味しかった)。 ⸢キールウン⸣ ア⸢ガウンマー⸣ ア⸢ジマー⸣ン ⸣アリティ プ⸢ソー⸣ フ⸢バリテイル⸣ ッ⸢ふァーリタル [⸢kiːruʔuŋ⸣ ʔa⸢gaʔummaː⸣ ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ ʔariti pu̥⸢soː⸣ ɸu⸢baritiru⸣ f⸢faːritaru] (黄色イモ、赤イモは甘味があって他人には食べさせられないほど美味しかった<人を縛っておいてぞ食べられた>) 906 0 0 777 htmvoc_906.wav アチェーン ⸣アチェーン [⸣ʔaʧeːŋ] 連 熱くなった。温くなった。⸣アツン[⸣ʔaʦuŋ](熱くなる{EOS}温まる)の完了形。 ⸢スー⸣ヤ ⸣アチェーンカヤー [⸢suː⸣ja ⸣ʔaʧeːŋkajaː] (お汁は熱くなったかねえ)。 ⸣アチェー ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [⸣ʔaʧeː ⸣munoː ⸣nuːja] (熱くなったものは何か) 822 0 0 778 htmvoc_822.wav アチカビ ア⸢チカビ [ʔa⸢ʧikabi] 名 厚紙。 ア⸢チカビ⸣シ カ⸢ビパク⸣ ス⸢ク⸣リバ [ʔa⸢ʧikabi⸣ʃi ka⸢bipaku⸣ su̥⸢ku⸣riba] (厚紙で紙箱を作りなさいよ) 844 0 0 779 htmvoc_844.wav アチキ ア⸢チ⸣キ [ʔa⸢ʧi⸣ki] 名 湯気。 ヤ⸢コン⸣ヌ ア⸢チ⸣キナ ユ⸢ダ⸣リティ ミ⸢ジフク⸣ル ⸢シー ベー [ja⸢kon⸣nu ʔa⸢ʧi⸣kina ju⸢da⸣riti mi⸢ʤiɸu̥ku⸣ru ⸢ʃiː beː] (湯沸し<薬缶>の湯気で火傷して<茹って>水ぶくれ<みずばれ>している) 604 0 0 780 htmvoc_604.wav アチサー ア⸢チ⸣サー [ʔa⸢ʧi⸣saː] 名 熱いお茶。茶をたてて湯気の立つ、ほやほやのお茶。心のこもった接待のお茶。 ア⸢チ⸣サー アス⸢コーアスコー⸣シ ⸣ヌミティ ⸣パリバ [ʔa⸢ʧi⸣saː ʔasu̥⸢koːʔasukoː⸣ʃi ⸣numiti ⸣pariba] (熱い茶を、湯気の立つ熱いうちに<熱々{f}ァッァッ{/f}と湯気を立てながら{EOS}\ruby{温温}{ヌク|ヌク}と{EOS}アチコーコー>飲んで行きなさいよ) 823 0 0 781 htmvoc_823.wav アチチ ア⸢チチ [ʔa⸢ʧiʧi] 感 熱い!!熱いものに触れた時に発することば。熱いものに触れた際の痛さを表すことば。 ア⸢チチ⸣ ク⸢ヌ サー⸣ヤ イ⸢ツァー⸣ヌ フ⸢チ⸣ ヤ⸢キンギサ⸣ル [ʔa⸢ʧiʧi⸣ ku⸢nu saː⸣ja ʔi⸢ʦaː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ ja⸢kiŋgisa⸣ru] (熱い{EOS!}{EOS!}<あちち>、このお茶は熱くて、口をやけど<火傷>しそうだ) 824 0 0 782 htmvoc_824.wav アチッサールン ア⸢チッサー⸣ルン [ʔa⸢ʧissaː⸣ruŋ] 自動 ほろ酔い加減になる。酒がまわって上機嫌になる。 サ⸢キ⸣ イ⸢チン⸣ゴー ⸣ヌムカー ア⸢チッサー⸣ルン [sḁ⸢ki⸣ ʔi⸢ʧiŋ⸣goː ⸣numukaː ʔa⸢ʧissaː⸣ruŋ] (酒を一合飲むとほろ酔い加減になる<すっかり出来あがって上機嫌になる>)。 ⸣アブジェー キ⸢サーティ⸣ ア⸢チッサー⸣リ ⸢オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ki̥⸢saːti⸣ ʔa⸢ʧissaː⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (お祖父さんは、すでにほろ酔い加減になっておられる) 829 0 0 783 htmvoc_829.wav アチッス ア⸢チ⸣ッス [ʔa⸢ʧi⸣ssu] 名 排泄されたばかりの熱い糞便。 ウ⸢シヌ⸣ ア⸢チ⸣ッス ⸢フンキティ⸣ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ ʔa⸢ʧi⸣ssu ⸢ɸuŋkiti⸣ ja⸢nija⸣nu na⸢ra⸣nu] (牛の排泄したばかりの熱い糞を踏んで、汚くて仕方がない) 825 0 0 784 htmvoc_825.wav アチバイ ア⸢チ⸣バイ [ʔa⸢ʧi⸣bai] 名 熱い灰。温灰(ぬくばい)。「あつばい」の転訛したもの。 ⸣ドゥク ム⸢ニ⸣ ユムカー ア⸢チ⸣バイ ⸢ファーサリン⸣ダー [⸣duku mu⸢ni⸣ jumukaː ʔa⸢ʧi⸣bai f⸢faːsarin⸣daː] (あんまり文句をいうと熱い灰を食わされるぞ) 826 0 0 785 htmvoc_826.wav アチビー ア⸢チ⸣ビー [ʔa⸢ʧi⸣biː] 名 ご飯とお粥の中間程度の柔らかさに炊いた粥。固めの粥。 バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤムカー ア⸢チ⸣ビ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーシ [ba⸢ta⸣nu ⸣jamukaː ʔa⸢ʧi⸣bi tḁ⸢ki⸣ f⸢faːʃi] (おなかが痛かったらアチビー粥を炊いて食べさせなさい) 827 0 0 786 htmvoc_827.wav アチビーカイ ア⸢チ⸣ビーカイ [ʔa⸢ʧi⸣biːkai] 名 やや硬めのお粥。ア⸢チ⸣ビー[ʔa⸢ʧi⸣biː](硬めの粥)に同じ。歯のない老人達が好んで食した。病み上がりの人もア⸢チ⸣ビーカイを食べながら、徐々に⸢コー⸣イー[⸢koː⸣ʔiː](普通のご飯{EOS}「強飯」の転訛)へと移した。 ア⸢チ⸣ビーカイ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァース⸣カー ⸣バター ⸢ノー⸣ルン [ʔa⸢ʧi⸣biːkai tḁ⸢ki⸣ f⸢faːsu⸣kaː ⸣bataː ⸢noː⸣ruŋ] (固めの粥を炊いて食べさせると腹痛が治る)。 バ⸢タグヮイ⸣ヌ ⸣マサーカサー ⸢ナーン⸣ベーティ ア⸢チ⸣ビーカイ ッ⸢ふァイベー [ba⸢tagwai⸣nu ⸣masaːkasaː ⸢naːm⸣beːti ʔa⸢ʧi⸣biːkai f⸢faibeː] (腹具合がおもわしくない<調子が悪い>ので、アチビー粥を食べている) 828 0 0 787 htmvoc_828.wav アチビライ ア⸢チビライ [ʔa⸢ʧibirai] 名 親交。深交。 ⸢ウン⸣ネートー ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢チビライ シー オー⸣ル [⸢ʔun⸣neːtoː mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʧibirai ʃiː ʔoː⸣ru] (その家とは昔から親交を続けておられる<篤い交際をしておられる>) 830 0 0 788 htmvoc_830.wav アチブッター ア⸢チブッター [ʔa⸢ʧibuttaː] 名 厚ぼったいもの。 ク⸢ヌ キン⸣マー ア⸢チブッター⸣ ナリティ キ⸢シングリ⸣サン [ku⸢nu kim⸣maː ʔa⸢ʧibuttaː⸣ nariti ki̥⸢ʃiŋguri⸣saŋ] (この着物は厚ぼったくなって着ずらい) 877 0 0 789 htmvoc_877.wav アチミ ア⸢チミ [ʔa⸢ʧimi] 名 厚み。厚さ<厚い薄いの程度>。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ツァ⸣ヌ ア⸢チミ⸣ パ⸢カ⸣リ⸢ミー [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʦa⸣nu ʔa⸢ʧimi⸣ pḁ⸢ka⸣ri⸢miː] (この板の厚みを計ってごらんよ)。 ⸢コンクリー⸣ヌ ア⸢チミヌ⸣ ピサティ ⸢トゥッ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [⸢koŋkuriː⸣nu ʔa⸢ʧiminu⸣ pi̥sati ⸢tuk⸣ki ⸢naː⸣nu] (コンクリートの厚みが薄いので、陥没してしまった)。ク⸢ビイツァヌ⸣ ア⸢チメー ヌー⸣シヤー。ピ⸢サーピサーヌ サンブイツァバ⸣ル シゥ⸢カイヨーッ⸣タ⸢ダー[ku⸢biʔiʦanu⸣ ʔa⸢ʧimeː nuː⸣ʃijaː。pi̥⸢saːpisaːnu sambuʔiʦaba⸣ru si̥⸢kaijoːt⸣ta⸢daː](壁板の厚みはどうかね{EOS}薄い三分板を<ぞ>使われたよ) 831 0 0 790 htmvoc_831.wav アチムヌ ア⸢チ⸣ムヌ [ʔa⸢ʧi⸣munu] 名 熱いもの。炊き立ての熱い御飯、食物。 ア⸢チ⸣ムノー ⸢ピーラシ⸣ティ ッ⸢ふァイ⸣バ [ʔa⸢ʧi⸣munoː ⸢piːraʃi̥⸣ti f⸢fai⸣ba] (熱いものは冷まして食べなさい) 871 0 0 791 htmvoc_871.wav アチャー ⸣アチャー [⸣ʔaʧaː] 名 父。名称、呼称ともに用いる。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャー ⸣キノー ウ⸢キ⸣ナー ⸢オーッ⸣タ [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaː ⸣kinoː ʔu⸢ki⸣naː ⸢ʔoːt⸣ta] (私の家のお父さんは昨日沖縄へ行かれた)。 ア⸢チャー キュー⸣ヤ ⸢パイ⸣サ ユクイ⸢オー⸣リ [ʔa⸢ʧaː kjuː⸣ja ⸢pai⸣sa jukui⸢oː⸣ri] (お父さん、今日は早くお休みなさい)。おもろ語の「あさ」(「親」の同義語、集落の長老)と同じことばであろう、との説がある 837 0 0 792 htmvoc_837.wav アチユー ア⸢チ⸣ユー [ʔa⸢ʧi⸣juː] 名 熱い湯。熱湯。 ア⸢チユー⸣ヤ ン⸢メーマ ピーラ⸣シティ ⸣サー ⸢サウバル⸣ ン⸢マー⸠ダー [ʔa⸢ʧijuː⸣ja ʔm⸢meːma piːra⸣ʃi̥ti ⸣saː ⸢saubaru⸣ ʔm⸢maː⸠daː] (熱湯は少し冷ましてから茶を入れた<注いだ>ほうが美味しいよ) 838 0 0 793 htmvoc_838.wav アチライ ア⸢チ⸣ライ [ʔa⸢ʧi⸣rai] 名 誂え。注文。 シ⸢ナムノー⸣ トゥ⸢カ⸣グヮーアンマー マ⸢チヤー⸣ナ ア⸢チ⸣ライ⸣シケーバ ⸣ムティキー ⸢フィーリ⸣ヨー [ʃi⸢namunoː⸣ tu̥⸢ka⸣gwaːʔammaː ma⸢ʧijaː⸣na ʔa⸢ʧi⸣rai ⸣ʃi̥keːba ⸣mutikiː f⸢fiːri⸣joː] (品物はトゥカグヮー姉さんのお店に注文してあるから持ってきてくれよ) 839 0 0 794 htmvoc_839.wav アチライルン ア⸢チライ⸣ルン [ʔa⸢ʧirai⸣ruŋ] 他動 誂える。発注する。「嘱・勧、アツラフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 シ⸢ナムノー⸣ イ⸢サナケー⸣ ア⸢チライ⸣ルンティ タ⸢ナ⸣ミ ⸢ベー [ʃi⸢namunoː⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ ʔa⸢ʧirai⸣runti ta⸢na⸣mi ⸢beː] (品物は石垣へ注文<誂えようと>しようと頼んでいる)。 ⸣ドゥー ⸢カッティニ⸣ ア⸢チラーラ⸣ヌ [⸣duː ⸢kattini⸣ ʔa⸢ʧiraːra⸣nu] (自分勝手に誂えられない)。 シ⸢ナムノー⸣ ア⸢チライ⸣ル <ア⸢チ⸣ラウ> ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi⸢namunoː⸣ ʔa⸢ʧirai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (品物は誂えることは出来る)。 ア⸢チライ⸣レー <ア⸢チライ⸣ヤー> ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʧirai⸣reː ⸣misamunu] (誂えば良いのに)。 ア⸢チライ⸣リ [ʔa⸢ʧirai⸣ri] (誂えよ) 832 0 0 795 htmvoc_832.wav アチラウン ア⸢チ⸣ラウン [ʔa⸢ʧi⸣rauŋ] 他動 注文する。注文して作らせる。あつらえる(誂える)。「嘱・勧、アツラフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 シ⸢ナムヌ⸣ ア⸢チ⸣ラウンティ ⸢スンドゥ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢クー⸣ンダ ア⸢チラーラ⸣ヌ [ʃi⸢namunu⸣ ʔa⸢ʧi⸣raunti ⸢sundu⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢kuː⸣nda ʔa⸢ʧiraːra⸣nu] (品物を注文しよう<誂えよう>とするが、船が来ないので誂えられない)。 ⸢カッティニ⸣ ア⸢チ⸣ライ ⸣ミサカー ア⸢チ⸣ラウ ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kattini⸣ ʔa⸢ʧi⸣rai ⸣misakaː ʔa⸢ʧi⸣rau ⸣ku̥toː⸣ naruŋ] (勝手に誂えて良ければ誂えるることは出来る)。 ⸣ドゥーシ ア⸢チ⸣ライ [⸣duːʃi ʔa⸢ʧi⸣rai] (自分で注文しろ<誂えろ>)。ア⸢チライ⸣ルン[ʔa⸢ʧirai⸣ruŋ](誂える)と同じ。 ヤー⸢ディンティ⸣ ア⸢ズ⸣スクン ⸢デー⸣カ バー ア⸢チ⸣ラウン⸢ダー [jaː⸢dinti⸣ ʔa⸢ʣu⸣su̥kun ⸢deː⸣kaː ⸣baː ʔa⸢ʧi⸣raun⸢daː] (是非にというのであれば、私は注文するよ)。 ア⸢チラー⸣ヌ [ʔa⸢ʧiraː⸣nu] (誂えない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢チライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʧirai⸣jaː ⸣misamunu] (早く注文すれば良いのに)。 ア⸢チ⸣ライバ [ʔa⸢ʧi⸣raiba] (注文しなさい<誂え>よ)。 シ⸢ナムヌ⸣ ア⸢チ⸣ラウン [ʃi⸢namunu⸣ ʔa⸢ʧi⸣rauŋ] (品物を誂える)。 ア⸢チライ⸣ プサン [ʔa⸢ʧirai⸣ pu̥saŋ] (誂えたい)。 ⸣プサカー ⸢パー⸣ク ア⸢チ⸣ラウ ⸣クトゥ [⸣pusakaː ⸢paː⸣ku ʔa⸢ʧi⸣rau ⸣ku̥tu] (欲しければ早く誂えることだ) 841 0 0 796 htmvoc_841.wav アチラスン ア⸢チラ⸣スン [ʔa⸢ʧira⸣suŋ] 他動 温める。冷めたお汁などを温める。賑やかにする。お汁を温める場合はア⸢ツァ⸣スンとも言う。 ⸣スー ア⸢チラ⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ア⸢チラサラ⸣ヌ [⸣suː ʔa⸢ʧira⸣sunti ⸢beː⸣nundu mut⸢tu⸣ ʔa⸢ʧirasara⸣nu] (お汁を温めようとしているが、ちっとも温められない)。 ア⸢チラ⸣シ ⸣ミサカー ア⸢チラ⸣ス <アツァス> ⸣クトー ナルン⸢ダー [ʔa⸢ʧira⸣ʃi ⸣misakaː ʔa⸢ʧira⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (温めて良ければ温めることはできるよ)。 ア⸢チラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʧira⸣ʃeː ⸣misamunu] (温めれば良いのに)。 ア⸢チラ⸣シバ [ʔa⸢ʧira⸣ʃiba] (温めなさいよ) 842 0 0 797 htmvoc_842.wav アチルン ア⸢チ⸣ルン [ʔa⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 熱くなる。お汁等が温まる。 ⸣ピー ⸢タスク⸣カー ⸢スー⸣ヤ ⸢ナンク⸣ル ア⸢チ⸣ルン [⸣piː ⸢tasu̥ku⸣kaː ⸢suː⸣ja ⸢naŋku⸣ru ʔa⸢ʧi⸣ruŋ] (火を焚き付けるとお汁は自然に熱くなる)。 ⸢スー⸣ヤ マ⸢ダ⸣ ア⸢チラ⸣ヌ [⸢suː⸣ja ma⸢da⸣ ʔa⸢ʧira⸣nu] (お汁はまだ温まらない)。 キ⸢サーティ⸣ ア⸢チ⸣レーン <⸣アチェーン> [ki̥⸢saːti⸣ ʔa⸢ʧi⸣reːŋ <⸣ʔaʧeːŋ>] (既に熱くなった)。 ア⸢チ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʧi⸣ri ⸢naː⸣nu] (熱くなってしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ア⸢チ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ʔa⸢ʧi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く温まることはない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢チ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʧi⸣reː ⸣misamunu] (早く温まれば<熱くなれば>いいのに) 845 0 0 798 htmvoc_845.wav アッ アッ [ʔaʔ] 感 あッ!!突然の事態に応じて発する驚きの声。 ⸢アッ デー⸣ジ ⸢シーナー⸣ヌ ⸢キッ⸣プ ⸢バシキ⸣ キー⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaʔ deː⸣ʤi ⸢ʃiːnaː⸣nu ⸢kip⸣pu ⸢baʃi̥ki⸣ kiː⸢naː⸣nu] (あっ{EOS!} 大変だ{EOS}切符を忘れて来てしまった) 872 0 0 799 htmvoc_872.wav アツァ ⸣アツァ [⸣ʔaʦa] 名 明日。「~安志多<アシタ>には門に出で立ち~。万、4209」の転訛したもの。 ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣ティ クー⸢ナー [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣ti kuː⸢naː] (明日の朝、来ようねえ)。 ア⸢ツァ⸣ヌ クトー ッ⸢サヌ [ʔa⸢ʦa⸣nu ku̥toː s⸢sanu] (明日 のことは知らない)。 ア⸢ツァ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣マリ⸢ヨー [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸢juː⸣ja muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari⸢joː] (明晩<明日の夜>はみんな集まれよ)。 ⸣アツァー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーンツォー [⸣ʔaʦaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːnʦoː] (明日は雨が降るそうだ)。 ア⸢ツァ⸣ヌ ⸣クトゥ [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸣ku̥tu] (明日のこと)。 ア⸢ツァー⸣ラ ⸢ガッ⸣コー パ⸢ジマルン [ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢gak⸣koː pa⸢ʤimaruŋ] (明日から学校が始まる) 873 0 0 800 htmvoc_873.wav アツァー ⸣アツァー [⸣ʔaʦaː] 名 暑さ。熱気。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣アッツァー ⸢デー⸣ジ⸢ダー⸣ ミ⸢ナ⸣カー ⸢ナー⸣ト ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢kjuː⸣nu ⸣ʔatʦaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː⸣ mi⸢na⸣kaː ⸢naː⸣to ʔn⸢ʤirara⸣nu] (今日の暑さは大変だぞ、庭へなど出ることは出来ない) 881 0 0 801 htmvoc_881.wav アツァーン ア⸢ツァー⸣ン [ʔa⸢ʦaː⸣ŋ] 形 熱い。イ⸢ツァー⸣ン[ʔi⸢ʦaː⸣ŋ](熱い{EOS}痛い)ともいう。 ア⸢チ ⸢ユー⸣ヤ ア⸢ツァー⸣ンダ ヌ⸢マラ⸣ヌ [a⸢ʧi ⸢juː⸣ja ʔa⸢ʦaː⸣nda nu⸢mara⸣nu] (お湯は熱いから飲めない)。 ⸣ドゥク ア⸢ツァー⸣ムノー ヌ⸢ム⸣ナ ン⸢メーマ⸣ ミ⸢ジ バイティ⸣ ヌミ [⸣duku ʔa⸢ʦaː⸣munoː nu⸢mu⸣na ʔm⸢meːma⸣ mi⸢ʤi baiti⸣ numi] (あんまり熱いものは飲むな{EOS}少し水で割って<薄めて>飲みなさい)。 ア⸢ツァー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔa⸢ʦaː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (熱くて飲めない<飲まれない>)。 ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ツァー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢ʦaː naː⸣nu] (あまり熱くない) 880 0 0 802 htmvoc_880.wav アツァアシトゥ アツァ⸢アシ⸣トゥ [ʔaʦa⸢ʔaʃi̥⸣tu] 名 明日、明後日。この一両日。 アツァ⸢アシ⸣トー イ⸢サナケーラヌ⸣ フニーン ⸢ペー⸣リ ⸢キー⸣ス ⸣パジ [ʔaʦa⸢ʔaʃi̥⸣toː ʔi⸢sanakeːranu⸣ ɸuniːm ⸢peː⸣ri ⸢kiː⸣su ⸣paʤi] (明日明後日は石垣からの船も入港する<入ってくる>はずだ) 884 0 0 803 htmvoc_884.wav アツァキクッツァーン ア⸢ツァキクッ⸣ツァーン [ʔa⸢ʦakikut⸣ʦaːŋ] 形 暑苦しい。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢スー⸣ワサーリ カ⸢ジン⸣ トゥ⸢リティ キュー⸣ヌ ⸣アツァキ⸢クッ⸣ツァー ム⸢ヌ ウモーラ⸣ヌ [ti⸢da⸣nu ⸢suː⸣wasaːri ka⸢ʤin⸣ tu⸢riti kjuː⸣nu ⸣ʔaʦaki⸢kut⸣ʦaː mu⸢nu⸣ ʔu⸢moːra⸣nu] (太陽の熱が強く、風も凪ぎ、無風状態で、今日の暑苦しさはとてもやりきれない<ものごとが考えられない、思考停止の状態だ>) 874 0 0 804 htmvoc_874.wav アツァシトゥムティ ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣ティ [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣ti] 連 明日の朝。明朝。 ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣テー ⸢トゥンナキン⸣ラ ウ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢tunnakin⸣ra ʔu⸢ki⸣ri⸢joː] (明朝<明日の朝>は暁から<鶏鳴時刻から>に起きなさい<起きれ>よ)。⸣アツァは、「あした」の第2音節[ʃi]の前舌狭母音[i]によって第3音節の[t]が口蓋化され、破擦音化して[ʦa]となったもの。シ⸢トゥム⸣ティ[ʃi̥⸢tumu⸣ti]は、「つとめて」の転訛したもの。 ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣テー ⸢トゥンナキンラ⸣ ウキティ ⸢パイ⸣ター ⸣パル ス⸢コール シー⸣ヨー [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢tunnakinra⸣ ʔukiti ⸢pai⸣taː ⸣paru su̥⸢koːru ʃiː⸣joː] (明日の朝は早朝<鶏鳴の時刻>より起きて西表島<南端>へ行く準備をしなさいよ) 846 0 1 805 htmvoc_846.wav アツァスン ア⸢ツァ⸣スン [ʔa⸢ʦa⸣suŋ] 他動 {Mn_1}お汁を温める。熱くする。 カ⸢ティ⸣ムノー ア⸢ツァ⸣シティ ン⸢ザ⸣シバ [ka⸢ti⸣munoː ʔa⸢ʦa⸣ʃi̥ti ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (おかずは温めて出しなさいよ)。 ⸣スー ア⸢ツァ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ア⸢ツァサラ⸣ヌ [⸣suː ʔa⸢ʦa⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔa⸢ʦasara⸣nu] (お汁を温めようとするが、温められない)。 ア⸢ツァ⸣シ ⸣ミサカー ア⸢ツァ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦa⸣ʃi ⸣misakaː ʔa⸢ʦa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (温めてよければ、温めることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く温めれば良いのに)。 ア⸢ツァ⸣シバ [ʔa⸢ʦa⸣ʃiba] (温めよ)。 846 0 2 806 htmvoc_846.wav アツァスン ア⸢ツァ⸣スン [ʔa⸢ʦa⸣suŋ] 他動 {Mn_2}賑やかにする。 ⸢ヤー⸣ヤ ピールボール ナ⸢ラ⸣シ シ⸢キラン⸣ドーシ ⸢サンシン⸣ ピ⸢キティ⸣ ア⸢ツァ⸣シバ [⸢jaː⸣ja ⸣piːruboːru na⸢sa⸣ʃi ʃi⸢kiran⸣doːʃi ⸢saŋʃim⸣ pi⸢kiti⸣ ʔa⸢ʦa⸣ʃiba] (家は冷え冷えとしておかないで、三味線を弾いて賑やかにしなさい<温めなさい>よ) 875 0 0 807 htmvoc_875.wav アツァヌユー ア⸢ツァ⸣ヌ ⸣ユー [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸣juː] 連 明日の夜。明晩。 ア⸢ツァ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ ⸢ユードゥー⸣シ ⸢ソー⸣ルン [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸢juː⸣ja ⸢ʔuinu⸣ʔugananːti ⸢juːduː⸣ʃi ⸢soː⸣ruŋ] (明晩<明日の夜>は友利御嶽<上の御嶽>でユードゥーシの祈願をされる) 833 0 0 808 htmvoc_833.wav アツァマルン ア⸢ツァ⸣マルン [ʔa⸢ʦa⸣maruŋ] 自動 集まる。むらがる。 サ⸢タムラ⸣シナー ⸢アールヌ⸣ ヤ⸢マシ⸣カ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー [sḁ⸢tamura⸣ʃinaː ⸢ʔaːrunu⸣ ja⸢maʃi̥⸣ka ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː] (黒砂糖の塊に蟻がたくさん集まっている)。 ⸢アールヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マルン [⸢ʔaːrunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣maruŋ] (蟻が集まる)。 フ⸢チ⸣ル ⸣マクカー ア⸢ツァマラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣makukaː ʔa⸢ʦamara⸣nu] (薬品を撒いたら集まらない)。 ア⸢ツァ⸣マル⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʦa⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (集まることはない)。 ⸣クナー ア⸢ツァ⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸣kunaː ʔa⸢ʦa⸣mareː ⸣misamunu] (ここに集まれば良いのに)。 プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マルンティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ダ⸣ ア⸢ツァマラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣marunti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢da⸣ ʔa⸢ʦamara⸣nu] (人が集まると聞いたが、まだ集まらない)。 ア⸢ツァ⸣マリ ⸣ミサカー ア⸢ツァ⸣マル ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦa⸣mari ⸣misakaː ʔa⸢ʦa⸣maru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (集まって良ければ集まることは出来る)。 ア⸢ツァ⸣マレー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦa⸣mareː ⸣misamunu] (集まれば良いのに)。 ア⸢ツァ⸣マリバ [ʔa⸢ʦa⸣mariba] (集まれよ)。 ア⸢ツァ⸣マリ [ʔa⸢ʦa⸣mari] (集まれ) 834 0 0 809 htmvoc_834.wav アツァミカツァミ ア⸢ツァ⸣ミカツァミ [ʔa⸢ʦa⸣mikaʦami] 副 掻き集めて。寄せ集めて。ABCDBC型の重言。 ⸢ヤー⸣ナ ⸣アル ⸢ジン⸣バ ア⸢ツァ⸣ミカツァミ ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ タ⸢ラーシ クー⸣タ [⸢jaː⸣na ⸣ʔaru ⸢ʤim⸣ba ʔa⸢ʦa⸣mikaʦami ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ta⸢raːʃi kuː⸣ta] (家にあるお金を掻き集めて、やっとのことで必要額に満たして<足らして>きたよ) 835 0 0 810 htmvoc_835.wav アツァミルン ア⸢ツァミ⸣ルン [ʔa⸢ʦami⸣ruŋ] 他動 集める。 バ⸢コーシン⸣カ ア⸢ツァミ⸣ルンティ ⸢マーリアーク⸣ヌ ⸢マー⸣ フ⸢ター⸣ロー タ⸢ラーンバン [ba⸢koːʃiŋ⸣ka ʔa⸢ʦami⸣runti ⸢maːriʔaːku⸣nu ⸢maː⸣ ɸu̥⸢taː⸣roː ta⸢raːmbaŋ] (共同作業の人員を集めようと回っているが、あと二人は足りないよ)。 ア⸢ツァミラ⸣ヌ [ʔa⸢ʦamira⸣nu] (集めない)。 ア⸢ツァミ⸣ル ⸣クトゥ [ʔa⸢ʦami⸣ru ⸣ku̥tu] (集めること)。 ア⸢ツァミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦami⸣reː ⸣misamunu] (集めれば良いのに)。 ア⸢ツァミ⸣リ [ʔa⸢ʦami⸣ri] (集めろ)。 シ⸢ナムヌ⸣ ア⸢ツァミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ア⸢ツァミララ⸣ヌ [ʃi⸢namunu⸣ ʔa⸢ʦami⸣runti ⸢sundu⸣ ʔa⸢ʦamirara⸣nu] (品物を集めようとするが、集められない)。 ア⸢ツァミ⸣ル プ⸢ソー パー⸣ク ア⸢ツァミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦami⸣ru pu̥⸢soː paː⸣ku ʔa⸢ʦami⸣reː ⸣misamunu] (集める人は、早く集めれば良いのに)。 ⸢ワー⸣ ア⸢ツァミ⸣リバ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʦami⸣riba] (君は集めなさいよ) 887 0 0 811 htmvoc_887.wav アツァムイサン ⸣アツァムイサン [⸣ʔaʦamuisaŋ] 形 暑がりである。普通以上に暑さを感じがちである。「暑さ・思いさあり」の義で、その融合変化した形。⸢ムイ⸣サン[⸢mui⸣saŋ](~がり)は接尾語。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァ ⸢プーマキサーリ⸣ アツァムイサ ⸢スー⸣ ッ⸢ふァバ ユードゥー⸣シ ⸢オンギ⸣ドゥル ⸢シー⸣ ニ⸢バソーッ⸣タ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦa ⸢puːmakisaːri⸣ ʔaʦamuisa ⸢suː⸣ f⸢faba juːdu⸣ʃi ⸢ʔoŋgi⸣duru ⸢ʃiː⸣ ni⸢basoːt⸣ta] (あまりの蒸し暑さと、ほめく<熱く{EOS}熱気をおびる>ように暑がる子供を夜通し扇いで<扇取りをして>寝かされた)。 ウ⸢レー⸣ アツァムイサ ⸢スー ⸣クトー ⸣アツァムイサ ⸢スンドゥ ⸣ニジーン ⸢スン⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔaʦamuisa ⸢suː⸣ ku̥toː ⸣ʔaʦamuisa ⸢sundu⸣ niʤiːn ⸢sun⸠daː] (あれは暑がることは暑がりはするが、我慢もするよ)。 ウ⸢レー ナン⸣ゾー ⸣アツァムイサ サ⸢ヌ [ʔu⸢reː nan⸣ʣoː ⸣ʔaʦamuisa sa⸢nu] (彼はあまり暑がらない) 836 0 0 812 htmvoc_836.wav アツァムン ア⸢ツァ⸣ムン [ʔa⸢ʦa⸣muŋ] 他動 集める。「あつむ(下二段)」の四段化したもの。ア⸢ツァミ⸣ルン[ʔa⸢ʦami⸣ruŋ]と同じ。 ⸢プール⸣ヌ グ⸢サーク⸣マイ ア⸢ツァ⸣ムン [⸢puːru⸣nu gu⸢saːku⸣mai ʔa⸢ʦa⸣muŋ] (豊年祭の五勺米を集める)。 ア⸢ツァマ⸣ヌ [ʔa⸢ʦama⸣nu] (集めない)。 ⸣キュー ア⸢ツァ⸣ミ ⸣ミサカー ア⸢ツァ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kjuː ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣misakaː ʔa⸢ʦa⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (今日集めて良ければ集めることは出来る)。 ア⸢ツァ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦa⸣meː ⸣misamunu] (集めれば良いのに)。 ア⸢ツァ⸣ミバ [ʔa⸢ʦa⸣miba] (集めろよ)。 カ⸢ツシンシンカ⸣ ア⸢ツァ⸣ムンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ア⸢ツァマ⸣ヌ [kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋka⸣ ʔa⸢ʦa⸣munti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢na⸣maː ʔa⸢ʦama⸣nu] (カツオ漁船の船員を集めようと思ったが、今は集めない)。 ア⸢ツァ⸣ミ ⸣ミサカー ア⸢ツァ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣misakaː ʔa⸢ʦa⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (集めてよければ集めることは出来る)。 ア⸢ツァ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦa⸣meː ⸣misamunu] (集めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ツァ⸣ミバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʦa⸣miba] (早く集めろよ) 876 0 0 813 htmvoc_876.wav アツァユネン ⸣アツァユネン [⸣ʔaʦajuneŋ] 名 明日の夕方。みょうせき(明夕)。「明日のゆうべ」の義。 ⸣アツァユネンラー ⸢ユードゥーシ⸣ヌ ⸣グシパナヌ ス⸢コール シーソー⸣ル [⸣ʔaʦajunenra ⸢juːduːʃi⸣nu ⸣guʃipananu su̥⸢koːru ʃiːsoː⸣ru] (明日の夕方<名夕>からユードゥーシの供物の神酒、花米の準備をされる<しなさる>)。 ⸣アツァユネン マー⸢ズン ユー⸣シゥカイ ⸢シン⸣ パラ⸢ナー [⸣ʔaʦajunem maː⸢ʣuŋ ⸢juː⸣si̥kai ⸢ʃim⸣ para⸢naː] (明晩は一緒に夜の追い込み漁<夜の網使い>に行こうね) 882 0 0 814 htmvoc_882.wav アツァン ⸣アツァン [⸣ʔaʦaŋ] 形 暑い。 ⸣ティダナカー ⸣アツァンダ ⸣カサ カ⸢バン⸣カー ⸣フカー ン⸢ジララ⸣ヌ [⸣tidanakaː ⸣aʦanda ⸣kḁsa ka⸢baŋ⸣kaː ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (ひなた<日向>は暑いからクバ笠を被らないと外へは出られない)。 ⸣ドゥク アツァ ⸢ナー⸣ヌ [⸣duku ⸣ʔaʦa ⸢naː⸣nu] (あまり暑くない)。 ⸢シンダイ⸣ アツァ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔaʦa ⸣naruŋ] (次第に暑くなる)。 ⸣アツァ ⸣ピンマー ⸢ユー⸣クイバ [⸣ʔaʦa ⸣pimmaː ⸢juː⸣kuiba] (暑い時は休み<憩い>なさいよ) 883 0 1 815 htmvoc_883.wav アツァン ア⸢ツァ⸣ン [ʔa⸢ʦa⸣ŋ] 形 {Mn_1}厚い。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ベー⸣ ア⸢ツァ⸣ンダ キ⸢サラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ka⸢beː⸣ ʔa⸢ʦa⸣nda ki̥⸢sara⸣nu] (この紙は厚いから切ることが出来ない<切られない>)。 ア⸢チミヌ⸣ ア⸢ツァ⸣ヌ サ⸢カラ⸣ヌ [ʔa⸢ʧiminu⸣ ʔa⸢ʦaː⸣nu sḁ⸢kara⸣nu] (厚みが暑くて裂かれない)。 ア⸢ツァ⸣ ムノーラ イ⸢ラ⸣ビバ [ʔa⸢ʦa⸣munoːra ʔi⸢ra⸣bi] (厚いものから選べ)。 ア⸢ツァ⸣カー シゥ⸢カーリン [ʔa⸢ʦa⸣kaː si̥⸢kaːriŋ] (厚かったら使える)。 883 0 2 816 htmvoc_883.wav アツァン ア⸢ツァ⸣ン [ʔa⸢ʦa⸣ŋ] 形 {Mn_2}篤い。親しい。 ⸢カン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ウ⸢トゥザマリ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ツァー⸣ ア⸢ロー⸣ルン [⸢kan⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢tuʣamari⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʦaː⸣ ʔa⸢roː⸣ruŋ] (あの家の人は親戚一同大変親しくしておられる<親類意識が篤い>)。 キ⸢ム⸣ヌ ア⸢ツァー⸣ クトー ア⸢ツァー⸣ンドゥ ⸢ジン⸣ヌル ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mu⸣nu ʔa⸢ʦaː⸣ ku̥toː ʔa⸢ʦaː⸣ndu ⸢ʤin⸣nuru ⸢naː⸣nu] (情が篤いことは篤いのだが、お金がない) 891 0 0 817 htmvoc_891.wav アツァンギサン ⸣アツァン ⸣ギサン [⸣ʔaʦaŋ ⸣gisaŋ] 連 暑そうだ。 カ⸢マン⸣ トンマー イッ⸢ケン⸣ アツァン ⸣ギサン [ka⸢man⸣tommaː ʔik⸢keŋ⸣ ʔaʦaŋgisaŋ] (あそこは非常に暑そうだ) 849 0 0 818 htmvoc_849.wav アック ⸣アック [⸣ʔakku] 名 悪口。他人を悪し様にいうこと。 ウ⸢リン⸣ アック シ⸢ラリティ⸣ ドゥーヨーリ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔu⸢riŋ⸣ ʔakku ʃi⸢rariti⸣ duːjoːri ⸢ʃiːnaː⸣nu] (そいつに呪われて<悪口されて>病弱になってしまった<胴弱りしていまった>) 562 0 0 819 htmvoc_562.wav アックー ⸢アックー [⸢ʔakkuː] 名 悪口、悪罵。他人を罵り、あしざまにいうこと。沖縄本島糸満方言からの借用語か。普通は、ヤ⸢ナ⸣グチ ⸢ゴー⸣グチ[ja⸢na⸣guʧi ⸢goː⸣guʧi](悪口、罵詈雑言)という。 ウ⸢リンマ⸣ヨー イッ⸢ケナ⸣ アックー シ⸢ラリ ミッ⸣タン [ʔu⸢rimma⸣joː ʔik⸢kena⸣ ʔakkuː ʃi⸢rari mit⸣taŋ] (そいつにはひどく罵られた<悪口された>ことがある) 564 0 0 820 htmvoc_564.wav アックームックー ⸢アックームックー [⸢ʔakkuːmukkuː] 名 悪口。罵詈雑言。⸢アッコームッコー[⸢ʔakkoːmukkoː](悪口、罵詈雑言)ともいう。 プ⸢スンナー⸣ニ ⸣アックームックー サ⸢リティ⸣ カー⸢ネー ブンナ⸣ヨー [pu⸢sunnaː⸣ni ⸣ʔakkuːmukkuː sa⸢riti⸣ kaː⸢neː bunna⸣joː] (他人に罵詈雑言をあびせられて<悪口されて>ばかりいるなよ) 850 0 0 821 htmvoc_850.wav アックームックー ⸣アックームックー [⸣ʔakkuːmukkuː] 名 悪口雑言。罵詈雑言。ABCDEBCD型の重言。 ⸢ウンヌ マーラー⸣ ナカー ⸢ワッ⸣サリ ブ⸢レー⸣ンダ イ⸢カス⸣ク ⸣アックームックー シ⸢ラレー⸣ワ⸢ツォー [⸢unnu maːraː⸣ nakaː ⸢was⸣sari bu⸢reː⸣nda ʔi⸢kasu̥⸣ku ⸣ʔakkuːmukkuː ʃi⸢rareː⸣wa⸢ʦoː] (その頃は、仲が悪かったからどれほど罵詈雑言<悪口雑言>を言われたことか) 1360 0 0 822 htmvoc_1360.wav アッタターナ ⸢アッ⸣タ ⸢ター⸣ナ [⸢ʔat⸣ta ⸢taː⸣na] 連 もとのままに。もとの通りに。もとあった通りに。ヨー⸢ヨー キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ダー⸣ ク⸢レー アッ⸣タ ⸢ター⸣ナ シ⸢キ⸣リ。⸢ウーカ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ[joː⸢joː kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri ku⸢reː ⸢ʔat⸣ta ⸢taː⸣na ʃi̥⸢ki⸣ri。⸢ʔuːka⸣ʃeː na⸢ra⸣nu](よくよく気をつけろよ{EOS}これはもと在ったとおりにしておきなさい{EOS}動かしてはならないよ) 868 0 0 823 htmvoc_868.wav アッタニ ⸢アッ⸣タニ [⸢ʔat⸣tani] 副 急に。不意に。にわかに。だしぬけに。突然に。 ⸢アッ⸣タニ ⸢オ(ー)シケー⸣ ヤ⸢ブ⸣リ ニ⸢シカジヌ⸣ ウティキー ⸢ナーン⸣バン [⸢ʔat⸣tani ⸢ʔo(ː)ʃi̥keː⸣ ja⸢bu⸣ri ni⸢ʃikaʤinu⸣ ʔutikiː ⸢naːm⸣baŋ] (急に天気が崩れて<破れて>北風が吹き降ろしてきて<落ちてきて>しまった)。 ⸢アッ⸣タニ ⸢トゥンジ⸣ キーティ プ⸢ス⸣ ウ⸢バースナ [⸢ʔat⸣tani ⸢tunʤi⸣ kiːti pu̥⸢su⸣ ʔu⸢baːsuna] (急に飛び出してきて人を驚かせるな)。 ⸣カイブ シ⸢グトゥバ アッ⸣タニ ⸢スー⸣カー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン [⸣kaibu ʃi⸢gutuba ʔat⸣tani suː⸣kaː ⸣duː ja⸢ma⸣suŋ] (こんな仕事を急にやると体を損ねる<病ます>) 780 0 0 824 htmvoc_780.wav アッタラ ⸢アッ⸣タラ [⸢ʔat⸣tara] 副 あたら。惜しくも。もったいないことに。 バ⸢カー⸣ムンヌ ⸢アッ⸣タラ ヌ⸢チ⸣バ イ⸢ク⸣サナ シ⸢ティ⸠ナー キ⸢ムイ⸣ツァー [ba⸢kaː⸣munnu ⸢ʔat⸣tara nu⸢ʧi⸣ba ʔi⸢ku⸣sana ʃi̥⸢ti⸠naː ki⸢mui⸣ʦaː] (若者が、あたら命を戦争で落として<捨てて>しまってねえ{EOS}可哀そうに) 869 0 0 825 htmvoc_869.wav アッタラシェーマ アッタラ⸢シェー⸣マ [ʔattara⸢ʃeː⸣ma] 名 可愛い子。いとし子。 アッタラ⸢シェーマー⸣ ミサナリ ⸢アークタン [ʔattara⸢ʃeːmaː⸣ misanari ⸢ʔaːkutaŋ] (可愛い子よ、元気だったか<元気でいたか>) 788 0 0 826 htmvoc_788.wav アッタルムヌ ⸢アッ⸣タルムヌ [⸢ʔat⸣tarumunu] 名 大切なもの。大事なもの。「可惜(あたら)もの」から転訛したもの。 ⸢アッ⸣タルムヌバ ッ⸢ふァイヤー⸣ サ⸢ムティ⸣ ヌンティ シ⸢ティッツァーシ⸣ シケーワ [⸢ʔat⸣tarumunuba f⸢faijaː⸣ sa⸢muti⸣ nunti ʃi̥⸢titʦaːʃi⸣ ʃi̥keːwa] (折角の大事な<勿体ない>ものを食べはしないで、何ゆえに捨てちらかしてあるのか)。「あたらもの(可惜もの)」「~木に伐り行きつ安多良<アタラ>船木を。万、391」の転訛。 ⸢アッ⸣タル ⸣ムヌバ ミシー⸢ミシ⸣ シ⸢ティル⸣ シ⸢ター [⸢ʔat⸣taru ⸣munuba miʃiː⸢miʃi⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ʃi̥⸢taː] (あたら大事なものを、みすみす紛失したのか<捨ててしまったのか>) 892 0 0 827 htmvoc_892.wav アッパ ⸣アッパ [⸣ʔappa] 名 祖母。お祖母さん。親族名称、呼称。他家の祖母に対してもアッパ[⸣ʔappa]という。 アッ⸢パー⸣ ミサナリ ⸢オーッタン [ʔap⸢paː⸣ misanari ⸢oːttaŋ] (お祖母さん、お元気でいらっしゃいましたか)。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アッパー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣レーン⸢ダー [⸢ban⸣tenu ⸣ʔappaː ⸢toːkaki⸣nu joi ⸢soː⸣reːn⸢daː] (私の家の祖母は米寿の祝いをされましたよ) 902 0 0 828 htmvoc_902.wav アッパンガナー ⸢アッパン⸣ガナー [⸢ʔappaŋ⸣ganaː] 名 わがままな女。したい放題に振舞う女。放埒な女。自暴自棄。 ⸣アイブ ⸢アッパンガナー⸣バ トゥ⸢ジ⸣ティ ⸢シー サーリ⸣キ ⸢ベー⸣ヌ ウ⸢ティ⸣スクンカヤー [⸣ʔaibu ⸢ʔappaŋganaː⸣ba tu⸢ʤiti ʃiː saːri⸣kiː ⸢beː⸣nu ʔu⸢tisu̥⸣kuŋkajaː] (あんなわがまま女を妻に迎えて<妻として連れてきて>いるが落ち着くかなあ) 904 0 0 829 htmvoc_904.wav アッピャー ⸢アッピャー [⸢ʔappjaː] 感 あれっ。なんとまあ。意外なことに驚いて発することば。 ⸢アッピャー⸣ <⸣アガイヤー> タンザヌ ⸢シーワザ⸣ヤ ク⸢レー [⸢ʔappjaː⸣ <⸣ʔagaijaː> tanʣanu ⸢ʃiːwaʣa⸣ja ku⸢reː] (何とまあ、どいつの仕業か、これは) 893 0 0 830 htmvoc_893.wav アップアップ ⸢アップアッ⸣プ [⸢ʔappuʔap⸣pu] 副 擬態語。溺れてもがき苦しむさま。水に溺れて両手両足をばたつかせて苦しむさま。 ス⸢ナカ⸣ナー ⸢ウッふィティ アップアッ⸣プ ⸢シー ベー⸣タ [su⸢naka⸣na ⸢ʔuffiti ʔappuʔap⸣pu ⸢ʃiː beː⸣ta] (海に溺れてアップアップしていた) 905 0 0 831 htmvoc_905.wav アツン ⸣アツン [⸣ʔaʦuŋ] 自動 熱くなる。温くなる。ア⸢チ⸣ルン[ʔa⸢ʧi⸣ruŋ](熱くなる)ともいう。 ⸣ピー ⸢タシキ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢スー⸣ヤ ⸢ナンク⸣ル ⸣アツン <ア⸢チ⸣ルン> [⸣piː ⸢taʃi̥ki⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢suː⸣ja ⸢naŋku⸣ru ⸣ʔaʦuŋ ] (火を焚き付けておけば、お汁は自然に熱くなる)。 ⸢スー⸣ヤ マ⸢ダ⸣ ア⸢ツァ⸣ヌ <ア⸢チラ⸣マ> [⸢suː⸣ja ma⸢da⸣ ʔa⸢ʦa⸣nu ] (お汁はまだ温まらない)。 マ⸢ナ⸣マーラ ア⸢チパジミ⸣ルン [ma⸢na⸣maːra ʔa⸢ʧipaʤimi⸣ruŋ] (今から熱くなり始める)。 ⸢パー⸣ク ⸣アチェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ʔaʧeː ⸣misamunu] (早く熱くなれば良いのに) 935 0 0 832 htmvoc_935.wav アテーアン ア⸢テー⸣ アン [ʔa⸢teː⸣ ʔaŋ] 連 覚えている。意識はある。「当てはある」の転訛したもの。 ⸣ユベー ⸢ワッ⸣テナ ヌ⸢ム⸣タ クトゥ⸢バー⸣ケー ア⸢テー⸣ アン [⸣jubeː ⸢wat⸣tena nu⸢mu⸣ta ku̥tu⸢baː⸣keː ʔa⸢teː⸣ ʔaŋ] (昨夜は貴方の家で飲んだことまでは記憶がある) 913 0 0 833 htmvoc_913.wav アテーナーヌ ア⸢テー ナー⸣ヌ [ʔa⸢teː naː⸣nu] 連 正気がない。無意識である。気付かない。意識がない。 ウ⸢リヌ トー⸣リ ⸢クーター⸣ル ア⸢テー ナー⸣ン カ⸢サムタ⸣ダー [ʔu⸢rinu toː⸣ri ⸢kuːtaː⸣ru ʔa⸢teː naː⸣ŋ kḁ⸢samuta⸣daː] (彼が倒れてきたので無意識に掴んだのだよ)。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸣クトー ⸢ピッ⸣チン ア⸢テー ナー⸣ヌ [ju⸢bi⸣nu ⸣ku̥toː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢teː naː⸣nu] (昨夜のことは何も意識がない)。 ⸣ユビ ⸢ワー オー⸣レータンティ ア⸢ズヌ⸣ バー ⸢ピッ⸣チン ア⸢テー ナーン⸠ツォー [⸣jubi ⸢waː ʔoː⸣reːtanti ʔa⸢ʣunu⸣ baː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢teː naːn⸠ʦoː] (昨夜あなたが来られたというが、私は全く気付かなかったんですよ) 919 0 0 834 htmvoc_919.wav アテーナーン ア⸢テーナー⸣ン [ʔa⸢teːnaː⸣ŋ] 連・副 気付かず。無意識に。覚えず。 ア⸢テーナー⸣ン ウ⸢ヤー⸣リティ プ⸢ス⸣ ウ⸢バーシ⸣ シケー [ʔa⸢teːnaː⸣ŋ ʔu⸢jaː⸣riti pu̥⸢su⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥keː] (覚えず大声をだして<わめいて>人をびっくりさせてある)。 シ⸢グトゥブリバ シーベー⸣ティ ア⸢テーナーン⸣ケン ンジパリ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutuburiba ʃiːbeː⸣ti ʔa⸢teːnaːŋ⸣ken ⸣ʔnʤipari ⸢naː⸣nu] (仕事に夢中になって<仕事惚れして>気付かないうちに出て行ってしまった)。 ヨー⸢ンナー⸣ ムティ ⸢クータ⸣ヌ イ⸢シ⸣ナ シ⸢キッ⸣クミティ ア⸢テーナー⸣ン ク⸢バ⸣シ シ⸢ティナー⸣ヌ [joː⸢nnaː⸣ muti ⸢kuːta⸣nu ʔi⸢ʃi⸣na ʃi̥⸢kik⸣kumiti ʔa⸢teːnaː⸣ŋ ku⸢ba⸣ʃi ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (ゆっくり持ってきたが石に蹴躓いてついうっかりこぼしてしまった) 907 0 1 835 htmvoc_907.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 {Mn_1}当て。頼りになるもの。心積もり。予定。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァバ⸣ ア⸢ティ シール⸣ シ⸢マー⸣ラ ンジケー⸢ダー [ku⸢nu⸣ f⸢faba⸣ ʔa⸢ti ʃiːru⸣ ʃi⸢maː⸣ra ʔnʤikeː⸢daː] (この子を当てにして島から出てきたのだよ)。 907 0 2 836 htmvoc_907.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 {Mn_2}消息。 ⸢パッ⸣タ⸢ターナ⸣ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [⸢pat⸣ta⸢taːna⸣ ʔa⸢tiŋ⸣ku̥tin ⸢naː⸣nu] (行ったきり音沙汰もない)。 907 0 3 837 htmvoc_907.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 {Mn_3}補強のためにあてがうもの。 ⸣ブリ ⸢ベーン⸣ トンナー イ⸢ツァ⸣ヌ ア⸢ティバ⸣ ア⸢ティティ⸣ フ⸢バリ⸣ シキバ [⸣buri ⸢beːn⸣tonna ʔi⸢ʦa⸣nu ʔa⸢tiba⸣ ʔa⸢titi⸣ ɸu⸢bari⸣ ʃi̥kiba] (折れている所に板の当て<添え木>を当てて縛っておきなさいよ)。 907 0 4 838 htmvoc_907.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 {Mn_4}宛て。 ⸣バー ア⸢ティヌ⸣ ティ⸢ガ⸣メー ⸣ケーンカヤー [⸣baː ʔa⸢tinu⸣ ti⸢ga⸣meː ⸣keːŋkajaː] (私宛の手紙は来たか<届いているか>ねえ) 908 0 0 839 htmvoc_908.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 当て木。薪割りの際に用いる当て木。一種の枕木。 タ⸢ム⸣ヌ バ⸢ル⸣ ピンマー ア⸢ティ⸣ シ⸢キラン⸣カー ⸢ブーヌ⸣ヌ ⸣パー カ⸢カウン⸣ダー [ta⸢mu⸣nu ba⸢ru⸣ pimmaː ʔa⸢ti⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ⸢buːnu⸣nu ⸣paː kḁ⸢kaun⸣daː] (薪を割る時は当て木<枕木>を置かないと斧の刃は、はこぼれ<刃毀れ>するぞ) 915 0 0 840 htmvoc_915.wav アティカールン ア⸢ティカールン [ʔa⸢tikaːruŋ] 自動 予想が変わる。見込みや期待がはずれる。当てが外れる。 シ⸢ダキヌ⸣ パ⸢ナシ⸣トー ア⸢ティカーリ イーシ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ ム⸢タン⸣ツォー [ʃi⸢dakinu⸣ pa⸢naʃi⸣toː ʔa⸢tikaːri ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ mu⸢tan⸣ʦoː] (最初の話とは見当がはずれて<見込み違いで>、角又の値段は上がら<持た>ないそうだ)。ア⸢キナイ⸣ヤー ⸢チャー⸣ ア⸢ティカールン⸣。ア⸢ティカーラン⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ[ʔa⸢kinai⸣jaː ⸢ʧaː⸣ ʔa⸢tikaːruŋ⸣。ʔa⸢tikaːram⸣ munoː ⸢naː⸣nu](商いは常に当てがはずれる{EOS}見込みがはずれない<見込み違いのない>ものはない) 910 0 0 841 htmvoc_910.wav アティガキ ア⸢ティガキ [ʔa⸢tigaki] 名 あてがき(宛書)。宛名書き。標準語からの借用語の転訛したもの。 ティ⸢ガミ⸣ヌ ア⸢ティナーガキ⸣ カキ ッ⸢ふィーリ [ti⸢gami⸣nu ʔa⸢tinaːgaki⸣ kḁki f⸢fiːri] (手紙の宛名を書いてくれ) 911 0 0 842 htmvoc_911.wav アティサキ ア⸢ティサキ [ʔa⸢tisaki] 名 あて先。標準語からの借用語の転訛したもの。 ティ⸢ガミ⸣ヌ ア⸢ティサケー⸣ カ⸢カ⸣リ ブ⸢ラーヌ [ti⸢gami⸣nu ʔa⸢tisakeː⸣ kḁ⸢ka⸣ri bu⸢raːnu] (手紙の宛先は書かれていない) 912 0 1 843 htmvoc_912.wav アティソー ア⸢ティ⸣ソー [ʔa⸢ti⸣soː] 名 {Mn_1}意識。しょうき(正気)。正常な精神。 ア⸢ティソー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ナルンケン ⸣ビータリ ⸢ベー [ʔa⸢tisoː⸣nu ⸢naːn⸣ naruŋkem ⸣biːtari ⸢beː] (正気を失う<正気が無くなる>まで酔いつぶれている)。 912 0 2 844 htmvoc_912.wav アティソー ア⸢ティ⸣ソー [ʔa⸢ti⸣soː] 名 {Mn_2}思慮分別。 ア⸢ティソー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ [ʔa⸢ti⸣soːnu ⸢naːŋ⸣ ja⸢ra⸣bi] (思慮分別のない子供) 916 0 0 845 htmvoc_916.wav アティチガイ ア⸢ティチガイ [ʔa⸢tiʧigai] 名 見込み違い。当て外れ。「当て違い」の義。目論見が狂う。 ⸢キュー⸣ヌ ヤ⸢クスクバ シー⸣ マティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢クー⸣ヌ ア⸢ティチガイ シーナーン⸣バン [⸢kjuː⸣nu ja⸢kusu̥kuba ʃiː⸣ mati ⸢beːn⸣du ⸢kuː⸣nu ʔa⸢tiʧigai ʃiːnaːm⸣baŋ] (今日の約束をして待っているが来ない{EOS}見込み違いをしてしまった) 917 0 0 846 htmvoc_917.wav アティックナー ア⸢ティックナー [ʔa⸢tikkunaː] 名 子供の遊戯。隠されたものを推量して言い当て競争をする遊び。「当てくらべ」の義。 ア⸢ティックナーバ シー⸣ ア⸢サビベータン⸣ドゥ ア⸢タラヌ⸣ティ ⸢シー⸣ ナ⸢キベー [ʔa⸢tikkunaːba ʃiː⸣ ʔa⸢sabibeːtan⸣du ʔa⸢taranu⸣ti ⸢ʃiː⸣ na⸢kibeː] (言い当てっこをして遊んでいたが、当らないといって泣いている) 920 0 0 847 htmvoc_920.wav アティナーンムヌ ア⸢ティナーン⸣ムヌ [ʔa⸢tinaːm⸣munu] 名 思慮分別のない者(幼児)。ア⸢ティナシ[ʔa⸢tinaʃi](思慮分別のない幼児)ともいう。 ア⸢ティナーン⸣ムヌヌ ⸢アーキ⸣バ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔa⸢tinaːm⸣mununu ⸢ʔaːki⸣ba ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (分別のない者<幼児>が歩き回っているから、気をつけなさいよ) 918 0 0 848 htmvoc_918.wav アティナシ ア⸢ティナシ [ʔa⸢tinaʃi] 名 無分別なもの。幼稚なもの。善悪の判断のつかないもの。神口、祈願文のことば。「当て無し」の義。 ア⸢ティナシヌ⸣ ヤ⸢ラビ⸣ドゥ ヤ⸢リバ カンヌ⸣マイシ カ⸢ルイマー⸣シ ピ⸢キマーシ サーロー⸣リ ウ⸢ヤ⸣ヌ ティー ダ⸢カシミ⸣ タ⸢ブ⸣ローリ [ʔa⸢tinaʃinu⸣ ja⸢rabi⸣du ja⸢riba kannu⸣maiʃi ka⸢ruimaː⸣ʃi pi⸢kimaːʃi saːroː⸣ri ʔu⸢ja⸣nu ⸣tiː da⸢kaʃimi⸣ ta⸢bu⸣roːri] (思慮分別のない子供ですから神様でお助け下さって<嘉例回し>引きつれなされて<引き回して>家へ連れて来られて親の手に抱かせて下さい<賜れ>)。 ヤ⸢ラビアティナ⸣シ [ja⸢rabiʔatina⸣ʃi] (無分別な子供<童当てなし>) 921 0 0 849 htmvoc_921.wav アティナルン ア⸢ティ⸣ ナルン [ʔa⸢ti⸣ naruŋ] 連 当てになる。頼りになる。信頼できる。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ティ⸣ ナルン [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ti⸣ naruŋ] (この人は当てになる<信頼できる>) 923 0 0 850 htmvoc_923.wav アティパジリ ア⸢ティパジリ [ʔa⸢tipaʤiri] 名 当て外れ。 ウ⸢ヌシゥ⸣ク ウ⸢キ⸣ナーラヌ シ⸢トゥ⸣バ ウ⸢ヤーンチ⸣ジ ⸢ベータ⸣ヌ ア⸢ティパジリ シーナー⸣ヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ʔu⸢ki⸣naːranu ʃi⸢tu⸣ba ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤi ⸢beːta⸣nu ʔa⸢tipaʤiri ʃiːnaː⸣nu] (あれほど沖縄からのお土産<つと>を期待<念願>していたのに当て外れになってしまった) 928 0 0 851 htmvoc_928.wav アティハマルン ア⸢ティハマルン [ʔa⸢tihamaraŋ] 自動 あてはまる(当て嵌まる)。適合する。合う。合致する。うまくはまる。 ク⸢ビン⸣ヌ フ⸢ター⸣ ギャン⸢ティ⸣ ア⸢ティハマルン [ku⸢bin⸣nu ɸu̥⸢taː⸣ gjan⸢ti⸣ ʔa⸢tihamaruŋ] (瓶の蓋はきっちりと合う{EOS}合致する)。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ター⸣ ア⸢ティハマラヌ [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢taː⸣ ʔa⸢tihamaranu] (この蓋は合わない)。 ⸢クン⸣ナー ア⸢ティハマル⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kun⸣naː ʔa⸢tihamaru⸣ munoː ⸢naː⸣nu] (これに適合するものはない) 929 0 0 852 htmvoc_929.wav アティハミルン ア⸢ティハミルン [ʔa⸢tihamiruŋ] 他動 あてはめる(当て嵌める)。合致させる。合わせる。老年層は、ア⸢ティパミルン[ʔa⸢tipamiruŋ](当て嵌める)という。 パ⸢クヌ⸣ フ⸢ター⸣ ギャン⸢ティ⸣ ア⸢ティハミティ⸣ ス⸢ク⸣リ [pḁ⸢kunu⸣ ɸu̥⸢taː⸣ gjan⸢ti⸣ ʔa⸢tihamiti⸣ su̥⸢ku⸣ri] (箱の蓋はきっちり当て嵌めて作れ)。 ア⸢ティハミル⸣ クトー ア⸢ティハミルンドゥ⸣ ムー⸢ル⸣ ア⸢ティハミラン⸣タンティン ミ⸢サ⸣ル [ʔa⸢tihamiru⸣ ku̥toː ʔa⸢tihamirundu⸣ muː⸢ru⸣ ʔa⸢tihamiran⸣tantim mi⸢sa⸣ru] (当て嵌めることは当て嵌めるが、総て当て嵌めなくても良いよ)。 ア⸢ティハミレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢tihamireː⸣ misamunu] (当て嵌めれば良いのに)。 ア⸢ティハミリ [ʔa⸢tihamiri⸣ba] (当て嵌めろよ) 925 0 0 853 htmvoc_925.wav アティブチニ ア⸢ティブチニ [ʔa⸢tibuʧini] 副 咄嗟(とっさ)に。突然に、出し抜けに。急に。いきなり。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ティブチニ⸣ プ⸢スンナー⸣ニ ⸢ティー ナールター⸣ル ベー⸢シティ⸣ ウ⸢ダラ⸣キティ キ⸢ム⸣ウティ ⸢シーベー⸣ダー [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢tibuʧini⸣ pu̥⸢sunnaː⸣ni ⸢tiː naːrutaː⸣ru beː⸢ʃiti⸣ ʔu⸢dara⸣ki̥ti ki⸢mu⸣ʔuti ⸢ʃiːbeː⸣daː] (出し抜けに人<私>の前に手を突き出してきたので、びっくり仰天して鼓動が収まらないで<心臓がどきどきして>いるよ) 926 0 0 854 htmvoc_926.wav アティルン ア⸢ティルン [ʔa⸢tiruŋ] 他動 当てる。的中させる。ア⸢トゥン[ʔa⸢tuŋ](当てる{EOS}「当つ」<下二>の転訛)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ヌー ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢ティルンティ スンドゥ⸣ ア⸢ティララヌ [ʔu⸢reː⸣ nuː ja⸢ru⸣juː ʔa⸢tirunti sundu⸣ ʔa⸢tiraranu] (それは何なのか、当てようとするが当てられない)。 ア⸢ティ⸣ ミサカー ア⸢ティル⸣ クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ti⸣ misakaː ʔa⸢tiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (当てて良ければ当てることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ティレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢tireː⸣ misamunu] (早く当てれば良いのに)。 ア⸢ティリ⸣バ [ʔa⸢tiri⸣ba] (当てなさいよ) 924 0 0 855 htmvoc_924.wav アディンガー ア⸢ディン⸣ガー [ʔa⸢diŋ⸣gaː] 名 (植)和名、オキナワウラジロガシ(ヤエヤマガシ)。⸣カシンキー[⸣kaʃiŋkiː](椎の木)ともう。椎の木は西表島に産し、高木で20mに達する。材質は硬く、建築用材、船の櫓や櫂などを作るのに用いる。長さ3cm、径2.5cmの卵状球形の堅果は食用、豚の飼料に適する(『図鑑琉球列島有用樹木誌』)。 フ⸢ノーラピトゥ⸣ヌ パリ⸢クー⸣バ ア⸢ディンガー⸣ヌ グ⸢ル⸣シ ミ⸢キ⸣ ヌ⸢マ⸣シ [ɸu⸢noːra pitu⸣nu pari⸢kuː⸣ba ʔa⸢diŋgaː⸣nu gu⸢ru⸣ʃi mi⸢ki⸣ nu⸢ma⸣ʃi] (船浦人が走ってきたら、樫の実の殻で神酒を飲ませ「鳩間中岡<鳩間節>」第13連)。 ア⸢ディンガー⸣ヌ ナ⸢ル⸣ヌ ⸣アル ⸢アイ⸣ヤー カ⸢マイ⸣ヤー ⸢パン⸣タルン [ʔa⸢diŋgaː⸣nu na⸢ru⸣nu ⸣ʔaru ⸢ʔai⸣jaː ka⸢mai⸣jaː ⸢pan⸣taruŋ] (椎の実がある間は、猪は肥える) 933 0 0 856 htmvoc_933.wav アティンガーリン ア⸢ティンガーリン [ʔa⸢tiŋgaːriŋ] 自動 考えられる。判断できる。見当がつく。 ⸣クナーティ ⸣アイブー ク⸢トゥ⸣ヌ ⸢アッ⸣タンテー ア⸢ティンガーランセン [⸣kunaːti ⸣ʔaibuː ku⸢tu⸣nu ⸢ʔat⸣tanteː ʔa⸢tiŋgaːraŋʃeŋ] (ここであんな事があったとは見当もつかなかった)。 ⸢タイガイ⸣ヤー ア⸢ティンガーリン [⸢taigai⸣jaː ʔa⸢tiŋgaːriŋ] (大概は見当がつく)。 ア⸢ティンガーリ ブー [ʔa⸢tiŋgaːri buː] (大凡見当がついている)。 ⸣ドゥーシ ア⸢ティンガーリル⸣ クトゥ ⸢ナー⸣ト ア⸢ラ⸣ヌ [⸣duːʃi ʔa⸢tiŋgaːriru⸣ ku̥tu⸢naː⸣to ʔa⸢ra⸣nu] (自力で見当がつくことなどではない) 932 0 0 857 htmvoc_932.wav アティンガイカティンガイシララヌ ア⸢ティンガイ⸣ カ⸢ティン⸣ガイ シ⸢ララヌ [ʔa⸢tiŋgai⸣ ka⸢tiŋ⸣gai ʃi⸢raranu] 連 考えられない。思慮判断が出来ない。見当がつかない。ア⸢ティンガイカティン⸣ガイはABCDEFBCDE型の重言。 プ⸢ス⸣ケンナー ⸣ヌーンクイン ウ⸢ク⸣リティ ⸢ヌー⸣ル ⸣ヌーユー ア⸢ティンガイ⸣ カティン⸣ガイ シ⸢ララヌ [pu̥⸢su⸣kennaː nuːŋkuiŋ ʔu⸢ku⸣riti ⸢nuː⸣ru ⸣nuːjuː ʔa⸢tiŋgai⸣ ka⸢tiŋgai⸣ ʃi⸢raranu] (一度に何もかも起こって、何がなにやら判断出来ない<見当つけられない>) 909 0 0 858 htmvoc_909.wav アティンガウン ア⸢ティンガウン [ʔa⸢tiŋgauŋ] 他動 あてがう(宛がう)。ぴったりと当てる。標準語からの借用語の転訛したものか。 ⸣ミンナ ア⸢ティンガイティ⸣ <ア⸢ティティ⸣> シ⸢キ⸣バ [⸣minna ʔa⸢tiŋgaiti⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba ] (耳に当てて聞きなさいよ)。 ⸣ミンナ ア⸢ティンガウンドゥ⸣ <アトゥンドゥ> シゥ⸢カラン⸣サー [⸣minna ʔa⸢tiŋgaundu⸣ si̥⸢karan⸣saː] (耳に当てる<宛がう>が聞こえないさ) 922 0 0 859 htmvoc_922.wav アティングインナーヌ ア⸢ティングイン ナー⸣ヌ [ʔa⸢tiŋguin naː⸣nu] 連 音沙汰がない。音信不通である。 タ⸢ベー パッ⸣タ ⸢ターナ⸣ ア⸢ティングイン ナー⸣ヌ [ta⸢beː pat⸣ta ⸢taːna⸣ ʔa⸢tiŋguin naː⸣nu] (旅へ行ったきり<まま>音沙汰がない) 927 0 0 860 htmvoc_927.wav アティンクティンナーヌ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] 連 音沙汰なし。何の消息のない。無関心である。何とも思わない。言いっ放しで責任を取らない。 ウ⸢レー⸣ ンジ ⸢パッ⸣タ ⸢ターナ⸣ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔnʤi ⸢pat⸣ta ⸢taːna⸣ ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] (彼は出て行ったまま音沙汰なしだ)。 ⸣ドゥーシ ア⸢ジティ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢ナッタ⸣クトゥ ⸢バシキティ⸣ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [⸣duːʃi ʔa⸢ʤiti⸣ ma⸢na⸣ma ⸢nat⸣taku̥tu ⸢baʃi̥kiti⸣ ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] (自分で言ったのに、今になって忘れて知らんぷりである<言いっ放しで責任を取らない>)。うんともすんともない。なんの音沙汰もない。平気である。無頓着である。感心がない。下に否定の語を伴って用いられる。 シ⸢マー⸣ラ ンジ⸢パッ⸣タ ⸢ター⸣ナ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナーヌ⸣ヌ イ⸢カ⸣シタ ⸣ムヌカヤー [ʃi⸢maː⸣ra ʔnʤi⸢pat⸣ta ⸢taː⸣na ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naːnu⸣nu ʔi⸢ka⸣ʃi̥ta ⸣munukajaː] (島から出て行ったきり音沙汰もないがどうしたことかねえ)。 ウ⸢ヌス⸣ク ⸣プサ ⸢シーブタヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァ ⸢ヤッタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸣pu̥sa ⸢ʃiːbutanu⸣ mi⸢doːŋ⸣ ffa ⸢jattanu⸣ ma⸢na⸣maː ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] (あれほど欲しがっていた娘<女の子>だったのに、今では全く無関心だ<無頓着である>) 914 0 0 861 htmvoc_914.wav アティンソーンナーヌ ア⸢ティン⸣ソーン ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢tin⸣soːn ⸢naː⸣nu] 連 正気を失っている。記憶をすっかり失っている。物忘れしている。 ア⸢ティン⸣ソーン ⸢ナーン⸣スク サ⸢キバ⸣ ヌミ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [ʔa⸢tin⸣soːn ⸢naːn⸣su̥ku sḁ⸢kiba⸣ numi ⸣nuːja ʔu⸢reː] (前後不覚になる<記憶をすっかり失う>ほど酒を飲んで、一体どうしたのだ<何だね、これは>) 938 0 0 862 htmvoc_938.wav アテンマテー ⸣アテンマテー [⸣ʔatemmateː] 名 屋号。小浜源助氏宅。⸣アテンマー[⸣ʔatemmaː](源助氏の母親)は、⸣アティ・⸣アンマ[⸣ʔamma](姉さん)→ [ʔateːmmaː] → [⸣ʔatemmaː] と音韻変化したもの。 ⸣テー [teː] (~宅)は接尾語()。 985 0 2 865 htmvoc_985.wav アドー ⸣アドー [⸣ʔadoː] 副 {Mn_2}あれほどの長期間。 ⸣アドー ナルンケン ⸢バシキティ⸣ ノー⸢ン⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ シ⸢ティシ⸣ケー [⸣ʔadoː ⸣naruŋkem ⸢baʃi̥kiti⸣ noː⸢n⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʃi̥⸢tiʃi⸣keː] (あれほど長期間になるまで忘れて、何もしないで、ただほったらかして<捨ておいて>ある) 986 0 0 866 htmvoc_986.wav アトーキー ⸣アトーキー [⸣ʔatoːkiː] 連 終には。結局は。最後には。「後へきて」の義。 ⸣ウヤーヤ ッ⸢ふィーランティ コー⸣リ ⸢オーッタン⸣ドゥ ⸣アトーケー フ⸢ターロー⸣ キサー⸢ティ ミートゥン⸣ダ ナ⸢リ⸣ブタツォー [⸣ʔujaːja f⸢fiːranti koː⸣ri ⸢ʔoːttan⸣du ⸣ʔatoːkeː ɸu̥⸢taːroː⸣ ki̥saː⸢ti miːtun⸣da na⸢ri⸣butaʦoː] (親は嫁にやらないと頑なに断っておられたが、終には二人は既に夫婦になっていたそうだ) 988 0 0 867 htmvoc_988.wav アドーナリ ⸣アドーナリ [⸣ʔadoːnari] 副 そんなに長く。あれほどの長期間に。 ⸣アドーナリ ⸣ヤミティ ニ⸢ビル⸣ ブ⸢レーン⸣ギサール [⸣ʔadoːnari ⸣jamiti ni⸢biru⸣ bu⸢reːŋ⸣gisaːru] (あんなに長く病気で<やみて>寝ていたようだよ)。 ⸣アドーナリ ミ⸢ララン⸣ワー ⸢ヌー⸣シタカヤー [⸣ʔadoːnari mi⸢raran⸣wa ⸢nuː⸣ʃi̥takajaː] (あれほどの長期間にわたって姿を現さないが<見られないが>どうしたことだろうか) 989 0 0 868 htmvoc_989.wav アドーヌ ア⸢ドー⸣ヌ [ʔa⸢doː⸣nu] 連体 あんなに遠いところ。 ア⸢ドー⸣ヌ ⸣トンラ ⸢タンガ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢クーター [ʔa⸢doː⸣nu ⸣tonra ⸢taŋga⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuːtaː] (あんな遠い所から一人で歩いて来たのか) 990 0 0 869 htmvoc_990.wav アトーラ ⸣アトーラ [⸣ʔatoːra] 連 後から。⸣アトゥ[ʔatu](後)・⸣カラ[kara](~から)→ [ʔatuhara] → [ʔatuara] → [ʔatoːra] のように音韻変化したもの。 ⸢ワー⸣ アトーラ クーバ⸢ヨー [⸢waː⸣ ʔatoːra kuːba⸢joː] (君は後から来なさいね) 939 1 1 870 htmvoc_939.wav アトゥ ⸣アトゥ [⸣ʔatu] 名 {PoS_1}{Mn_1}後。空間的な背後、後方。 ⸣マイナリ ⸣アトゥナリ ⸢シー⸣ パルン [⸣mainari ⸣ʔatunari ⸢ʃiː⸣ paruŋ] (前になり後になりして行く)。 プ⸢スヌ⸣ アトゥナ ナ⸢ラブナ [pu̥⸢sunu⸣ ʔatuna na⸢rabuna] (人の後ろに並ぶな<人後に落ちるな>)。時間的な後方。 ⸢プール⸣ヌ ⸣アトー ⸢ソーラン⸣ヌ ⸢オー⸣ル⸢ナー⸣ メー [⸢puːru⸣nu ⸣ʔatoː ⸢soːran⸣nu ⸢ʔoː⸣ru⸢naː⸣ meː] (豊年祭の後にはお盆がいらしゃるねえ、もう)。 939 1 2 871 htmvoc_939.wav アトゥ ⸣アトゥ [⸣ʔatu] 名 {Mn_2}後継者。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アトゥ ⸢シープソー ター ヤッタ⸣ メー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔatu ⸢ʃiːpu̥soː taː jatta⸣ meː] (その家の後継者<後をする人>は誰であったかねえ)。 939 2 0 872 htmvoc_939.wav アトゥ ⸣アトゥ [⸣ʔatu] 接頭 {PoS_2}後接要素を修飾し、それに「後」の意味を表す。 ⸣アトゥピュール [⸣ʔatupjuːru] (干支の上で、後にくる吉日)。 ⸣アトゥトゥジ [⸣ʔatutuʤi] (後妻)。 ⸣アトゥマサリ [⸣ʔatumasari] (後の幸運)。 ⸣アトゥフール ⸢マーフー [⸣ʔatuɸuːru ⸢maːɸuː] (後の幸運が真の幸運である)(諺) 940 0 0 873 htmvoc_940.wav アトゥ ⸣アトゥ [⸣ʔatu] 名 跡。痕跡。跡形。⸢パン⸣ヌ ⸣ペー[⸢pan⸣nu ⸣peː](人間の足跡)ともいう。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸢パン⸣ヌ ア⸢トゥ⸣バ ⸣ミレーティル ⸣カマイヤマー ⸢アウ [ka⸢mai⸣nu ⸢pan⸣nu ʔa⸢tu⸣ba ⸣mireːtiru ⸣kamaijamaː ⸢ʔau] (猪の足跡を見ながら猪の罠を仕掛ける<猪を捕獲する仕掛けをあげる>) 941 0 0 874 htmvoc_941.wav アドゥ ⸣アドゥ [⸣ʔadu] 名 踵(かかと)。 ⸢パン⸣ヌ ⸣アドゥ ⸣フダナ ⸢ピッ⸣キティ <ッ⸢サ⸣リティ> ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ⸣ʔadu ⸣ɸudana ⸢pik⸣kiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (足の踵をフダに刺されて痛くてたまらない) 942 0 0 875 htmvoc_942.wav アドゥ ⸣アドゥ [⸣ʔadu] 連体 あんな(に)遠方。あんな(に)長時間。⸣アドゥ[⸣ʔadu]に格助詞⸣-ラ[⸣-ra](から{EOS}ra [⸣ʔatuʔatunu ku̥⸢tu⸣ba ⸢kaŋ⸣gaiti ʔu⸢ja⸣nu ⸢gan⸣ʣoːru ʔu⸢ʧi⸣na ⸢ʔuinu gak⸣koː ⸣pari ] (後々<将来>の事を考えて、親が元気な<頑丈な>内に上級学校へ行きなさい) 943 0 0 877 htmvoc_943.wav アトゥウイ ⸣アトゥウイ [⸣ʔatuʔui] 名 後追い。子供が母親の後を追うこと。シ⸢ビウイ[ʃi⸢biui](尻追い、後追い)ともいう。 パ⸢タ⸣ケー ⸣パルンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ッ⸢ふァヌ⸣ アトゥウイ <シ⸢ビウイ> ⸢シー ウーカラ⸣ヌ [pḁ⸢ta⸣keː⸣parunti ⸢beː⸣nundu f⸢fanu⸣ ʔatuui <ʃi⸢biui> ⸢ʃiː ʔuːkara⸣nu] (畑へ行こうとしているんだが、子供が後追いをして動けない) 945 0 1 878 htmvoc_945.wav アトゥウシ ⸣アトゥウシ [⸣ʔatuʔuʃi] 名 {Mn_1}後押し。荷車などを後から押すこと。⸢ウシゥカラシ[⸢ʔusï̥karaʃi](後押し)ともいう。 ⸢ニーグルマ⸣ヌ ⸣アトゥウシ ⸢スン [⸢niːguruma⸣nu ⸣ʔatuʔuʃi ⸢suŋ] (荷車の後押しをする)。 945 0 2 879 htmvoc_945.wav アトゥウシ ⸣アトゥウシ [⸣ʔatuʔuʃi] 名 {Mn_2}応援。後援。 ッ⸢ふァヌ⸣ アトゥウシ ⸢スール⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ス⸢クブン [f⸢fanu⸣ ʔatuʔuʃi ⸢suːru⸣ ʔu⸢ja⸣nu su̥⸢kubuŋ] (子供の後押し<応援>をするのが親の役目<職分>である)。 ムー⸢ルヌ⸣ アトゥウシ ⸢シーふィーッタ⸣ ウ⸢カ⸣ギシル ⸣カチェー⸢ダー [muː⸢runu⸣ ʔatuʔuʃi ⸢ʃiːfiːtta⸣ ʔu⸢ka⸣giʃiru ⸣kaʧeː⸢daː] (皆が後押ししてくれたお陰で勝ったのだよ<勝ってあるのだよ>) 946 0 0 880 htmvoc_946.wav アトゥカタ ⸣アトゥカタ [⸣ʔatukḁta] 名 跡形。痕跡。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣フキティ ⸢ヤー⸣ヤ ⸣アトゥカタヌ ⸢ナーン⸣スコー トゥ⸢バサリ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kiti ⸢jaː⸣ja ⸣ʔatukatanu ⸢naːn⸣su̥koː tu⸢basari⸣ pari ⸢naː⸣nu] (台風が吹いて家は跡形もないほど吹き飛ばされてしまった)。 イ⸢ク⸣サナー バ⸢ク⸣ダンシ シ⸢ラリティ⸣ アトゥカタン ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ku⸣sanaː ba⸢ku⸣daŋʃi ʃi⸢rariti⸣ ʔatukatan ⸢naː⸣nu] (戦争で、爆弾で破壊されて<やられて>跡形もない) 947 0 0 881 htmvoc_947.wav アトゥカタジキ ⸣アトゥカタジキ [⸣ʔatukataʤiki] 名 後片付け。 キ⸢チゴンヌ⸣ アトゥカタジキ ⸢シン パッ⸣タ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ ʔatukataʤiki ⸢ʃim pat⸣ta] (結願祭の後片付けをしに行った)。 ⸣ムノー ⸢フー⸣カー ⸣アトゥカタジケー シ⸢ティル⸣ ア⸢サビンマー⸣ パル⸢ダー [⸣munoː ⸢fuː⸣kaː ⸣ʔatukataʤikeː ʃi⸢tiru⸣ ʔa⸢sabimmaː⸣ paru⸢daː] (ものを食べたら後片付けをしてから遊びには行くのだよ) 948 0 0 882 htmvoc_948.wav アトゥサキ ⸣アトゥサキ [⸣ʔatusaki] 名 後先。前後。前後の事情。 ⸣アトゥサキ ッ⸢サン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ アー⸣ク [⸣ʔatusḁki s⸢sam⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (後先を知らない<前後の事情をわきまえない>物言い<発言>をしている)。 ⸣アトゥサケー ⸢カンガイ⸣ヤーティル ⸣ムネー イ⸢ズ⸣ダー [⸣ʔatusḁkeː ⸢kaŋgai⸣jaːtiru ⸣muneː ʔi⸢ʣu⸣daː] (前後のことを考えて<ぞ>ものは言うものだぞ) 962 0 0 883 htmvoc_962.wav アトゥザン ⸣アトゥザン [⸣ʔatuʣaŋ] 名 後産(あとざん)。胎児分娩後、胎盤が出ること。胎盤のことをイ⸢ヤ[ʔi⸢ja](胎盤)という。 ⸣アトゥザンヌ ⸣ウレーカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣ʔatuʣannu ⸣ʔureːkaː ⸢soːja naː⸣nu] (後産が出た<下りた>のなら心配はない) 965 0 0 884 htmvoc_965.wav アトゥシキ ⸣アトゥシキ [⸣ʔatuʃi̥ki] 名 後の月。翌月。 ⸣ソンガチヌ ⸣アトゥシキナール ⸢ピューロー⸣ トゥリ ⸣シケーバ ⸢ウン⸣ナー ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢シー⸣ ミ⸢サ⸣ル [⸣soŋgaʧinu ⸣ʔatuʃi̥kinaːru ⸢pjuːroː⸣ turi ⸣ʃi̥keːba ⸢ʔun⸣naː ⸢joi⸣jaː ⸢ʃiː⸣ mi⸢sa⸣ru] (正月の翌月に日和を取ってあるから、それに<その日に>お祝いをしてよかろう) 949 0 0 885 htmvoc_949.wav アトゥシギ ⸣アトゥシギ [⸣ʔatuʃigi] 名 跡継ぎ。家督相続。 ⸢クン⸣ネヌ ⸣アトゥシゲー ⸢タール スーワ [⸢kun⸣nenu ⸣ʔatuʃigeː ⸢taːru suːwa] (この家の跡継ぎは誰がするのか)。 ⸣アトゥシギヌ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢ヤードー⸣リ ⸢シース [⸣ʔatuʃiginu bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢jaːdoː⸣ri ⸢ʃiːsu] (後継ぎがいないと家が断絶する<家倒れする{EOS}絶家となる>) 950 0 0 886 htmvoc_950.wav アトゥシグン ⸣アトゥ シ⸢グン [⸣ʔatu ʃi⸢guŋ] 連 跡を継ぐ。相続する。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣アトゥ シ⸢グン [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔatu ʃi⸢guŋ] (親の跡を継ぐ) 951 0 0 887 htmvoc_951.wav アトゥシマチ ⸣アトゥシマチ [⸣ʔatuʃimaʧi] 名 後始末。後片付け。後処理。 ク⸢ヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アトゥシマチェー ⸢ヌー⸣シ シ⸢キ⸣ル ⸢カン⸣ガイヤ [ku⸢nu⸣ ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔatuʃimaʧeː ⸢nuː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ru ⸢kaŋ⸣gaija] (このことの後始末はどうつけるつもり<考え>か)。 シ⸢グトゥヌ⸣ アトゥシマチン シ⸢キラ⸣ムティ ア⸢サビン⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutunu⸣ ʔatuʃimaʧiŋ ʃi̥⸢kira⸣muti ʔa⸢sabim⸣ pari⸢naː⸣nu] (仕事の後始末もつけないで遊びに行ってしまった) 952 0 0 888 htmvoc_952.wav アトゥシンカー ⸣アトゥシンカー [⸣ʔatuʃiŋkaː] 名 あとずさり(後退り)。 カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣グシ オッ⸢ティ⸣ カミティ ⸣アトゥシンカー ⸢シール⸣ ピ⸢キ⸣ パル⸢ダー [ka⸢rui⸣nu ⸣guʃi ʔot⸢ti⸣ kamiti ⸣ʔatuʃiŋkaː ⸢ʃiːru⸣ pi̥⸢ki⸣ paru⸢daː] (嘉例の神酒<御酒>を恭しく頂いて、後退りして<ぞ>退出<引き去る>するのだよ) 964 0 0 889 htmvoc_964.wav アトゥスクリムヌ ⸣アトゥスクリムヌ [⸣ʔatusukurimunu] 名 遅れて作付けする作物。「後作り物」の義。 ⸣アトゥスクリムヌヌ ⸢ウン⸣ヌ イッ⸢ケナ ミーリティ⸣ イ⸢カス⸣ク サ⸢ニ⸣ヤワ⸢ツォー [⸣ʔatusu̥kurimununu ⸢ʔun⸣nu ʔik⸢kena miːriti⸣ ʔi⸢kasu̥⸣ku sa⸢ni⸣jawa⸢ʦoː] (後作付けの芋がたいそう稔ってなんと嬉しいことか) 966 0 0 890 htmvoc_966.wav アトゥトゥシ ⸣アトゥトゥシ [⸣ʔatutu̥ʃi] 名 翌年。後の年。「後年」の義。 イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥトゥシ⸢バー⸣キ ⸢フイヤケー⸣ ア⸢リ⸣ブタ ッ⸢ふァイムヌヌ ナー⸣ン ブ⸢レー⸣ンダ ウ⸢リ⸣シ ヤ⸢マシゥ⸣カ プ⸢ソー マーラシェーン⸠ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatutu̥ʃi⸢baː⸣keː ⸢ɸuijakeː⸣ʔa⸢ri⸣buta f⸢faimununu naː⸣m bu⸢reː⸣nda ʔu⸢ri⸣ʃi ja⸢masï̥⸣ka pu̥⸢soː maːraʃeːn⸠daː] (戦争の翌年までマラリヤ<震え焼け>はあった<ありおった>{EOS}食べ物がなかったので、マラリヤで多くの人が亡くなったよ) 953 0 0 891 htmvoc_953.wav アトゥトゥジ ⸣アトゥトゥジ [⸣ʔatutuʤi] 名 後妻。 ⸣アトゥトゥジ ヤ⸢ルヌ⸣ マ⸢マッふァトゥヌ⸣ ナカー ⸢カイ⸣ヤン⸢ダー [⸣ʔatutuʤi ja⸢runu⸣ ma⸢maffatunu⸣ nakaː ⸢kai⸣jan⸢daː] (後妻ではあるが継子との仲はきれい<美しい>ですよ)。 サ⸢キトゥジヌ マーラシティ⸣ ヤー⸢タ⸣ シティル ⸣アトゥトゥジェー ⸢サーロー⸣レー⸢ダー [sḁ⸢kituʤinu maːriti⸣ jaː⸢ta⸣ ʃi̥tiru ⸣ʔatutuʤeː ⸢saːroː⸣reː⸢daː] (先妻が亡くなられて、しばらく経って後妻をつれられたのだよ) 968 0 0 892 htmvoc_968.wav アトゥドゥミ ⸣アトゥドゥミ [⸣ʔatudumi] 名 後妻。「後求め」の義か。先妻の死後に探し求めた妻の意。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ アトゥドゥミトゥヌ ⸣ナカナー マ⸢レー⸣ ッ⸢ふァ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔatudumitunu ⸣nakanaː ma⸢reː⸣ f⸢fa] (この子は、後妻とのなかに生まれた子だ) 969 0 0 893 htmvoc_969.wav アトゥトゥリ ⸣アトゥトゥリ [⸣ʔatuturi] 名 跡取り。後継者。相続人。 サ⸢クシ⸣ッふァー ⸢ヤー⸣ヌ ⸣アトゥトゥリティ キ⸢マリブー [sḁ⸢kuʃi⸣ffaː ⸢jaː⸣nu ⸣ʔatuturiti ki⸢maribuː] (長男は家の相続人<跡取り>と決まっている) 987 0 0 894 htmvoc_987.wav アドゥナー ア⸢ドゥ⸣ナー [ʔa⸢du⸣naː] 副 あれほど長く。あれほど遠く。 ア⸢ドゥ⸣ナー ⸣ナルンケン シ⸢グトゥン⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢サビベー [ʔa⸢du⸣naː ⸣naruŋkeŋ ʃi⸢gutun⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢sabibeː] (あれほど長期間になるまで仕事もしないでただ遊んでいるのか) 626 0 0 895 htmvoc_626.wav アトゥナイ ⸣アトゥナイ [⸣ʔatunai] 名 遅苗。後苗。遅植え用の苗。 ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸣アトゥナイ ウ⸢ラ⸣シティ イ⸢ブバル⸣ マ⸢シ [ku⸢nu taː⸣ja ⸣ʔatunai ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ʔi⸢bubaru⸣ ma⸢ʃi] (この水田は後苗をおろして<播種して>植えたほうがよい) 970 0 0 896 htmvoc_970.wav アドゥナイ ア⸢ドゥ⸣ナイ [ʔa⸢du⸣nai] 副 あんなに長い間。ア⸢ドゥ⸣ヌ ⸣アイ[ʔa⸢du⸣nu ⸣ʔai](あんなに長い間{EOS}長期間)の縮約形。 ⸢ワー⸣ ア⸢ドゥ⸣ナイ ⸣ウナール シ⸢トゥ⸣ミ ベー⸢ター [⸢waː⸣ ʔaduːnai ⸣ʔunaːru ʃi̥⸢tu⸣mi beː⸢taː] (君はあんなに長い間そこに勤めていたのか) 971 0 1 897 htmvoc_971.wav アトゥナリサキナリ ⸣アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ [⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari] 連・副 {Mn_1}後になり、先になりして。 ウ⸢ヤッ⸣ふァシ アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸢オーッ⸣タ [ʔu⸢jaf⸣faʃi ⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari ⸢kis⸣su ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔoːt⸣ta] (親子して後になり先になりして競争して歩いて行かれた)。 971 0 2 898 htmvoc_971.wav アトゥナリサキナリ ⸣アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ [⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari] 連・副 {Mn_2}遅かれ早かれ。結局。どのみち。 ⸣アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ ノー⸢シン⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ムヌバ ナー⸢イ⸣ シ⸢ヌッ⸣クリ ⸢ベー [⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari noː⸢ʃim⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ram⸣munuba naː⸢i⸣ ʃi⸢nuk⸣kuri ⸢beː] (結局{EOS}<遅かれ早かれ>行かなければならないものを、ただぐずぐずと決めかねている<迷い、思いあぐねている>) 972 0 0 899 htmvoc_972.wav アトゥニー ア⸢トゥ⸣ニー [ʔa⸢tu⸣niː] 名 後の方に荷の重さがかかりすぎること。「後荷」の義。 ア⸢トゥ⸣ニー ⸣ナリティ ⸢グッ⸣ふァンダ ン⸢ベーマ⸣ マイ ⸢ユーシ [ʔa⸢tu⸣niː ⸣nariti ⸢guf⸣fanda ʔm⸢beːma⸣ mai ⸢juːʃi] (後荷になって重いから、少し前方に寄せなさい)。 ア⸢トゥ⸣ニー ス⸢ク⸣カー ⸣フネー パ⸢ラサラ⸣ヌ [ʔa⸢tu⸣niː su̥⸢ku⸣kaː ⸣ɸuneː pa⸢rasara⸣nu] (艫の荷が重いと船は帆走できない<走らされない>) 973 0 1 900 htmvoc_973.wav アトゥバタ ⸣アトゥバタ [⸣ʔatubata] 名 {Mn_1}後腹(あとばら)。産後の腹痛(しりはら)。 ⸣アトゥバタヌ ウ⸢ク⸣リテイ ウ⸢キユーサン⸣バン [⸣ʔatubatanu ʔu⸢ku⸣riti ʔu⸢kijuːsam⸣baŋ] (産後の腹痛がおこって起きることが出来ないわい<起き得ない>)。 973 0 2 901 htmvoc_973.wav アトゥバタ ⸣アトゥバタ [⸣ʔatubata] 名 {Mn_2}後妻の子。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ アトゥバタ ヤ⸢ルンダ⸣ アトゥトゥレー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu ffaː⸣ ʔatubata ja⸢runda⸣ ʔatutureː na⸢ra⸣nu] (この子は後妻の子だから跡取りには出来ない) 974 0 0 902 htmvoc_974.wav アトゥバライ ⸣アトゥバライ [⸣ʔatubarai] 名 後払い。掛買いにすること。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ジン⸣マー ⸢ナーン⸣ベーティ ⸢ダイヤー⸣ アトゥバライ ⸢シーフォー⸣リ [⸢kjuː⸣ja ⸢ʤim⸣maː ⸢naːm⸣beːti ⸢daijaː⸣ ʔatubarai ⸢ʃiː⸣ f⸢foː⸣ri] (今日はお金がないから代金は後払いさせて下さい) 954 0 0 903 htmvoc_954.wav アトゥパン ⸣アトゥパン [⸣ʔatupaŋ] 名 後ろ足。 ウ⸢シェー⸣ アトゥパンシ プ⸢ス⸣ キルン [ʔu⸢ʃeː⸣ ʔatupaŋʃi pu̥⸢su⸣ kiruŋ] (牛は後ろ足で人を蹴る)。 ⸢キー⸣ シ⸢キラン⸣カー ウ⸢リンマー⸣ アトゥパンシ キ⸢ラ⸣リン⸢ダー [⸢kiː⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ʔu⸢rimmaː⸣ ʔatupaŋʃi ki⸢ra⸣rin⸢daː] (気を付けないと彼には後足で蹴られる<裏切られる>ぞ)。 ⸢ンー⸣マー ⸣アトゥパンシ プ⸢ス⸣ キルン [⸢ʔmː⸣maː ⸣ʔatupaŋʃi pu̥⸢su⸣ kiruŋ] (馬は後脚で人を蹴る) 930 0 0 904 htmvoc_930.wav アトゥピュール ⸣アトゥピュール [⸣ʔatupjuːru] 名 後日和。祭祀・行事を行う日和が干支の上で後期に当たる日和。⸢マイピュー⸣ル[⸢maipjuː⸣ru](前日和{EOS}干支の前期に当たる日和)に支障がある場合に、祭祀・行事を後日和で執り行う。現在は学校の夏休みに合わせて後日和が多い。 ⸣アトゥピュールナール ク⸢トゥシヌ プー⸣ロー ⸢ソー⸣ルツォー [⸣ʔatupjuːrunaːru ku̥⸢tuʃinu puː⸣roː ⸢soː⸣ruʦoː] (後日和で<ぞ>今年の豊年祭はされるそうだ)。農作物の生育状況や、その他の事情によって前後の吉日が決められる。 ク⸢トゥシェー ガッコー⸣ヌ ヤ⸢スミ⸣ヌ ア⸢タリベー⸣ティ ⸣アトゥピュールナ ⸢プー⸣ロー ⸢ソー⸣ルツォー [ku̥⸢tuʃeː gakkoː⸣nu ja⸢sumi⸣nu ʔa⸢taribeː⸣ti ⸣ʔatupjuːruna ⸢puː⸣roː ⸢soː⸣ruʦoː] (今年は学校の休みが当っているので後の吉日<日和>に豊年祭をされるそうです) 955 0 0 905 htmvoc_955.wav アトゥフー ⸣アトゥフー [⸣ʔatuɸuː] 名 後の幸運。幸運は最期に回ってくる。 ⸣アトゥフーヤ ⸢マーフーティ⸣ ア⸢ザリブーユンダ⸣ マ⸢タ エン⸣ヌン ⸣シキン ⸣ウキミリバ [⸣ʔatuɸuːja ⸢maːɸuːti⸣ ʔa⸢ʣaribuːjunda⸣ ma⸢ta jen⸣nun ⸣ʃi̥kiŋ ⸣ʔukimiriba] (後の幸運が真の幸運といわれているから、また来年も試験を受けてみなさいよ) 977 0 0 906 htmvoc_977.wav アトゥフニ ⸣アトゥフニ [⸣ʔatuɸuni] 名 後船(あとふね)。後から出港する船。⸣アトゥフネー サ⸢キ⸣ナリ[⸣ʔatuɸuneː sḁ⸢ki⸣nari](後から出港した船が先になって)は「後の雁が先になる(油断するれば後から来るものに追い越される)」の意で用いられる。 ⸢ワー⸣ マ⸢ニアーン⸣バ アトゥフネーラ クー⸢ヨー [⸢waː⸣ ma⸢niʔaːm⸣ba ⸣ʔatuɸuneːra kuː⸢joː] (君は間に合わないから後船で<後船から>来いよね) 956 0 0 907 htmvoc_956.wav アトゥマーシ ⸣アトゥマーシ [⸣ʔatumaːʃi] 名 後回し。順番をかえて後の方に回すこと。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトー ⸣アトゥマーシ シ⸢ティ⸣ プ⸢スヌ⸣ クトゥ カー⸢ニ⸣ シ⸢ダキ スー [⸢duː⸣nu ⸣ku̥toː ⸣ʔatumaːʃi ʃi̥⸢ti⸣ pu̥⸢sunu⸣ ku̥tu kaː⸢ni⸣ ʃi⸢daki suː] (自分のことは後回しにして、他人のことだけ先にする)。 ク⸢レー⸣ ア⸢バティル ムノー⸣ ア⸢ラン⸣バ ⸣アトゥマーシ ⸢サー⸠ナー [ku⸢reː⸣ ʔa⸢batiru muno⸣ ʔa⸢ram⸣ba ⸣ʔatumaːʃi ⸢saː⸠naː] (これは急ぐもの<急用品>ではないから後回しにしようねえ)。 ⸣アトゥマーシ ス⸢ナ [⸣ʔatumaːʃi su⸢na] (後回しにするな) 979 0 0 908 htmvoc_979.wav アトゥマイ ⸣アトゥマイ [⸣ʔatumai] 名 晩稲。晩生(おくて)。「後米」の義。 ⸣クマー ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣ユー ア⸢タルユンダ ⸣アトゥマイ ヤ⸢ラバン⸣ マー⸢ズン⸣ カ⸢ラリン [⸣kumaː ti⸢da⸣nu ⸣juː ʔa⸢tarujunda⸣ ʔatumai ja⸢rabam⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ka⸢rariŋ] (ここは太陽がよく当たる所だから晩稲でも一緒に刈り取ることが出来る) 957 0 0 909 htmvoc_957.wav アトゥマサリ ⸣アトゥマサリ [⸣ʔatumasari] 名 後になるにつれて良い結果がもたらされること。「後勝り」の義。 ⸣アトゥマサリティ ア⸢リ⸣ブンダ ア⸢バティラン⸣ティン ⸣ミサン [⸣ʔatumasariti ʔa⸢ri⸣bunda ʔa⸢batiran⸣tim ⸣misaŋ] (後の幸運というのもあるから急がなくてもいい) 627 0 0 910 htmvoc_627.wav アトゥマリ ⸣アトゥマリ [⸣ʔatumari] 名 後に生まれること。遅く生まれること。 ウ⸢レー⸣ アトゥマリ ヤ⸢ルンダ⸣ バーラ ⸢ミーシケー ウシ⸣トゥ [ʔu⸢reː⸣ ʔatumari ja⸢runda⸣ baːra ⸢miːʃi̥keː ʔuʃi̥⸣tu] (あれは遅く生まれたほうだから私より三月は弟である) 983 0 0 911 htmvoc_983.wav アトゥムティ ⸣アトゥムティ [ʔatumuti] 連 後になって。将来に。 カ⸢クシ⸣タンティン ⸣アトゥムテー ⸢ナンクク⸣ル ワ⸢カリ⸣ス [kḁ⸢kuʃi̥⸣tantiŋ ⸣ʔatumuteː ⸢naŋkuku⸣ru wa⸢kari⸣su] (隠しても後になれば自然に分かるものだ) 980 0 0 912 htmvoc_980.wav アトゥムドゥル ⸣アトゥムドゥル [⸣ʔatumuduru] 名 後戻り。若年層は、⸣アトゥムドゥリ[⸣ʔatumuduri]ともいう。 ク⸢マーバー⸣キ ⸣ケーラ ⸣アトゥムドゥロー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢maːbaː⸣ki ⸣keːra ⸣ʔatumuduroː na⸢ra⸣nu] (ここまで来たら後戻りは出来ない) 981 0 0 913 htmvoc_981.wav アトゥヤフ ⸣アトゥヤフ [⸣ʔatujaɸu] 名 あとやく(後厄)。厄年の翌年。パ⸢リ⸣ヤフ[pa⸢ri⸣jaɸu](晴れ厄)ともいう。対義語は、⸢マイ⸣ヤフ[⸢mai⸣jaɸu](前厄)。 ク⸢トゥシェー⸣ アトゥヤフ ア⸢タリブーバ⸣ タ⸢ベー⸣ パ⸢ラ⸣バン ⸣ユー ⸢キー⸣ シケーティ ミス⸢コーミスコー⸣シ ⸢アー⸣キ⸢ヨー [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔatujaɸu ʔa⸢taribuːba⸣ ta⸢beː⸣ pa⸢ra⸣baɲ ⸣juː ⸢kiː⸣ ʃi̥keːti misu̥⸢koːmisu̥koː⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ki⸢joː] (今年は後厄に当っているから、旅へ行くにしてもよく気をつけて、用心深く行動しなさいよ) 931 0 0 914 htmvoc_931.wav アトゥン ア⸢トゥン [ʔa⸢tuŋ] 他動 当てる。的中させる。ア⸢ティルン[ʔa⸢tiruŋ](当てる)と同じ。「あつ(当つ)」(下ニ段活用)の四段活用化したもの。 ⸢ソームヌ⸣ ア⸢トゥン [⸢soːmunu⸣ ʔa⸢tuŋ] (いいものを当てる)。 イ⸢キムヌ⸣バ イ⸢シ ナン⸣ギ ア⸢トゥナ [ʔi⸢kimunu⸣ba ʔi⸢ʃi naŋ⸣gi ʔa⸢tuna] (動物<生き物>を石を投げて当てるな) 982 0 0 915 htmvoc_982.wav アトゥンサキン ⸣アトゥン サ⸢キン [⸣ʔatun sḁ⸢kiŋ] 連 後も先も。総体的に考えて。 ⸣アトゥン サ⸢キン カンガイ⸣ヤーティル ⸣ムネー イ⸢ズ⸠ダー [⸣ʔatun sḁ⸢kiŋ kaŋgai⸣jaːtiru muneː ʔi⸢ʣu⸠daː] (後も先も考えてものは言うのだよ) 44 0 1 916 htmvoc_44.wav アナ ⸣アナ [⸣ʔana] 名 {Mn_1}穴。地面のくぼんだ所。山や物体の向こう側へ突き抜けた所。地下へほぼ垂直に出来た自然の穴はア⸢ブ[ʔa⸢bu]という。 ミ⸢ナトゥガサミヌ ター⸣ヌ ⸣アザナ ⸣アナ ⸣プリティ ⸢ター⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ フ⸢カシナー⸣ヌ [mi⸢natugasaminu taː⸣nu ⸣ʔaʣana ⸣ʔana ⸣puriti mi⸢dʒi⸣ ɸu̥⸢kaʃi naː⸣nu] (港蟹が田の畦に穴を掘って、田の水を落として涸れさせてしまった)。 ⸣アナ ⸣プルカー フ⸢ターチ⸣ プリ [⸣ʔana ⸣purukaː ɸu̥⸢taːʧi⸣ puri] (穴を掘るなら二つ掘れ<諺>、他人を落としいれようと思うなら、自分の落ちる穴まで掘れ)。 ユ⸢クアナ [ju⸢kuana] (横穴)。 ⸣アナ ⸣プルン [⸣ʔana ⸣puruŋ] (穴を掘る)。 ⸢ヤー⸣ヌ ク⸢ビ⸣ナ ⸣アナ ⸢ピッ⸣キ ⸣シケー [⸢jaː⸣nu ku⸢bi⸣na ⸣ʔana ⸢pik⸣ki ⸣ʃi̥keː] (家の壁に孔を開けて<ほがして>ある)。 44 0 2 917 htmvoc_44.wav アナ ⸣アナ [⸣ʔana] 名 {Mn_2}地面にほぼ垂直に掘ったところ。ア⸢ブ[ʔa⸢bu](自然に出来た竪穴)と意味的に対立する。 ア⸢ナ⸣プリヤー [ʔa⸢na⸣purijaː] (掘っ立て小屋<穴堀屋>)。 ⸣アナ ⸢トゥッ⸣クン [⸣ʔana ⸢tuk⸣kuŋ] (<隠れた>穴が陥没する{EOS}竪穴に落ちる) 994 0 0 918 htmvoc_994.wav アナプリヤー ア⸢ナ⸣プリヤー [ʔa⸢na⸣purijaː] 名 掘建て小屋。「穴堀屋」の義。地面に穴を掘り、柱を埋めて建てた粗末な家。イ⸢シジ[ʔi⸢ʃiʤi](礎石)を置かない家。 ア⸢ナ⸣プリヤーナ マ⸢レー⸣ラバン イ⸢ジン⸣ジ パ⸢タラキ マイフナー マリ パイ⸣サ ヌ⸢キヤー⸣ ス⸢ク⸣リ⸢ヨー [ʔa⸢na⸣purijaːna ma⸢reː⸣rabaŋ ʔi⸢ʤin⸣ʤi pḁ⸢taraki maiɸunaː mari pai⸣sa nu⸢kijaː⸣ su̥⸢ku⸣ri⸢joː] (掘建て小屋で生まれたにしても頑張って働いて、立派な人になって本建築の家<貫き木造りの家屋>を作りなさいよ) 995 0 0 919 htmvoc_995.wav アナプレー ア⸢ナ⸣プレー [ʔa⸢na⸣pureː] 名  (動)魚の名。和名、タレクチベラ。体長約30センチ。ベラ科の魚で、体表はぬるぬるしている。食用となるが、あまり美味ではない。 ア⸢ナ⸣プレーヤ ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マーナーン⸣シェン [ʔa⸢na⸣pureːja ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maːnaːnʃe⸣ŋ] (アナプレー<タレクチベラ>は、あまり美味しくなかった) 996 0 0 920 htmvoc_996.wav アナミルン ア⸢ナミ⸣ルン [ʔa⸢nami⸣ruŋ] 他動 捜し求める。尋ね探す。 ム⸢ヌシリ⸣ヌ ⸣ヤーナーン ⸢ギー⸣ ナライ ッ⸢ソー⸣レー プ⸢スンナー⸣ニン ⸢トゥイ⸣ シ⸢ケー⸣ティル ⸢ヤーム⸣トゥ ア⸢ナ⸣ミ ケー⸢ダー [mu⸢nuʃiri⸣nu ⸣jaːnaːŋ ⸢giː⸣ narai s⸢soː⸣reː pu̥⸢sunnaː⸣nin ⸢tuiʃi̥keː⸣tiru ⸢jaːmu⸣tu ʔa⸢na⸣mi keː⸢daː] (易者の家にも行って習い、知っておられる人にも問い聞きして、元祖の家<家元>を探し求めてきたのだよ) 997 0 0 921 htmvoc_997.wav アナムン ア⸢ナ⸣ムン [ʔa⸢na⸣muŋ] 他動 訪ね探す。ア⸢ナミ⸣ルン[ʔa⸢nami⸣ruŋ]と同じ。 トゥ⸢ミララン⸣カー トゥ⸢ナルン⸣ プ⸢ス⸣ニン ア⸢ナ⸣ミ ⸣ミリバ [tu⸢miraraŋ⸣kaː tu⸢narum⸣ pu̥⸢su⸣niŋ ʔa⸢na⸣mi ⸣miriba] (探せなかったら隣の人にも尋ね探してみなさいよ) 993 0 0 922 htmvoc_993.wav アナンドゥルン ア⸢ナンドゥルン [ʔa⸢nanduruŋ] 他動 あなどる(侮る)。相手を軽く見てばかにする。見くびる。「Anadori,ru,otta.アナドリ,ル,ッタ(侮り,る,った)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ウ⸢ムイナ⸣スン[ʔu⸢muina⸣suŋ](馬鹿にする{EOS}貶める)ともいう。 プ⸢スバ⸣ ア⸢ナンドゥリ⸣ バ⸢ライ ベー [pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢nanduri⸣ ba⸢rai beː] (人を侮って笑っている)。 ア⸢ナンドゥラヌ [ʔa⸢nanduranu] (侮らない)。 ⸢ウンザー⸣ プ⸢ス⸣ ア⸢ナンドゥルンダル⸣ マイ ⸢ユージユーサヌ [⸢ʔunʣaː⸣ pu̥⸢su⸣ ʔa⸢nandurundaru⸣ mai ⸢juːʤijuːsanu] (あいつ<彼奴>は人を侮るから進歩できない<前に寄れない>)。 ヨー⸢ヨー⸣ ス⸢ナ⸣カー イッ⸢カナ⸣シ ア⸢ナンドゥレー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [joː⸢joː⸣ su⸢na⸣kaː ʔik⸢kana⸣ʃi ʔa⸢nandureː⸣ na⸢ran⸣daː] (よくよく気をつけろよ{EOS}海はけっして侮ってはならないぞ)。 プ⸢スバ⸣ ア⸢ナンドゥリベー [pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢nanduri beː] (他人を侮っている) 998 0 0 923 htmvoc_998.wav アヌ ア⸢ヌ [ʔa⸢nu] 連体 あの(彼の)。話し手、聞き手の双方から遠く離れたものを指す。歌謡語。話し言葉では、カ⸢ヌ[ka⸢nu](あの)という。アヌ ヤマティラニ ヨー マイラシバ(あの山寺に参らすと)「念仏歌」 999 0 0 924 htmvoc_999.wav アヌユー ア⸢ヌユー [ʔa⸢nujuː] 名 来世。あの世。⸣グソー[⸣gusoː](後生)のこと。 ⸢イークトゥ スー⸣カー ア⸢ヌユー⸣ナテー グ⸢クラ⸣ク シ⸢ラリン⸣ツォー [⸢ʔiːkutu suː⸣kaː ʔa⸢nujuː⸣nateː gu⸢kura⸣ku ʃi⸢rarin⸣ʦoː] (良いことをするとあの世では極楽できるそうだ) 1000 0 0 925 htmvoc_1000.wav アヌヨーヌムヌ ⸣アヌヨーヌ ⸣ムヌ [⸣ʔanujoːnu ⸣munu] 連 あのような者。年端のいかない者。意に満たないもの。 ⸣アヌヨーヌ ム⸢ヌ⸣バ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢カール⸣ティ シゥ⸢カイ⸣ ヤ⸢ラシ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー [⸣ʔanujoːnu mu⸢nu⸣ba ʔu⸢ja⸣nu ⸢kaːru⸣ti si̥⸢kai⸣ ja⸢raʃi⸣ ki⸢mui⸣ʦaː] (あのような年端のいかない者を親の代わりとして使って寄越して、可哀相<気の毒>に) 1004 0 0 926 htmvoc_1004.wav アバ ⸣アバ [ʔaba] 名 油。脂。石油。油脂類の総称。 ⸢オー⸣ヌ アバ [⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔaba] (豚の脂)。 シ⸢キ⸣アバ [ʃi̥⸢ki⸣aba] (つけあぶら{EOS}頭髪用の油)。 ⸢ティン⸣プラアバ [⸢tim⸣puraʔaba] (てんぷら油)。 タ⸢ニ⸣ユー [ta⸢ni⸣juː] (種油{EOS}菜種油)。 シ⸢キ⸣ユー [ʃi̥⸢ki⸣juː] (石油)。 ⸣マチアバ [⸣maʧiaba] (松根油)。 サ⸢バ⸣アバ [sa⸢ba⸣ʔaba] (鱶油{EOS}鱶の肝臓を炒って搾油したもの)。⸢オー⸣ヌアバ[⸢ʔoː⸣nuʔaba](豚の脂)など。 ⸢トゥール⸣ヌ ⸣アバ ⸢カイ⸣クー [⸢tuːru⸣nu ⸣ʔaba ⸢kai⸣kuː] (ランプ<灯籠>の油<石油>を買って来い) 1005 0 0 927 htmvoc_1005.wav アハー ⸣アハー [⸣ʔahaː] 感 なるほど(成程)。なるほど、いかにも、と合点がいった時にいう。 ⸣アハー ク⸢レー⸣ カイ サ⸢バル⸣ ナ⸢ル⸣バン⸢ナー [⸣ʔahaː ku⸢reː⸣ kai sa⸢baru⸣ na⸢ru⸣ban⸢naː] (成程、これはこうしないといけないのだ<こうすればこそできるのだ>なあ) 1006 0 0 928 htmvoc_1006.wav アバーアバー ア⸢バーアバー [ʔa⸢baːʔabaː] 感 あわわ。幼児語。乳幼児をあやす際に、開いた口に手をあてて軽く叩きながら、ア⸢バーアバーと声を出すこと 1019 0 0 929 htmvoc_1019.wav アバースン ア⸢バースン [ʔa⸢baːsuŋ] 他動 溢れさせる。 サ⸢カシキ⸣ナ ア⸢バースン⸣ケン サ⸢キ サウナ⸣ ア⸢バーサンドー⸣シ ⸢サイ⸣バ [sḁ⸢kaʃi̥ki⸣na ʔa⸢baːsuŋ⸣ken sḁ⸢ki sauna⸣ ʔa⸢baːsandoː⸣ʃi ⸢sai⸣ba] (杯に溢れさせるほど酒を注ぐな{EOS}溢れさせないで注ぎなさいよ)。 ア⸢バーシ ナー⸣ヌ [ʔa⸢baːʃi naː⸣nu] (溢れさせてしまった)。 ア⸢バース⸣ クトー ス⸢ナ [ʔa⸢baːsu⸣ ku̥toː su⸢na] (溢れさせることはするな)。 ア⸢バーシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢baːʃeː⸣ misamunu] (溢れさせればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ア⸢バーシ [jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢baːʃi] (必ず溢れさせよ) 1060 0 0 930 htmvoc_1060.wav アバイカバイ ア⸢バイ⸣カバイ [ʔa⸢bai⸣kabai] 副 溢れるさま。溢れ零れるさま。ア⸢バッカイ⸣カバッカイ[ʔa⸢bakkai⸣kabakkai](溢れるさま)ともいう。 ⸢スーン⸣シロー マ⸢カ⸣ルナ ア⸢バイ⸣カバイ ⸢スン⸣ケン イ⸢リルナ⸣ヨ [⸢suːŋ⸣ʃiroː ma⸢ka⸣runa ʔa⸢bai⸣kabai ⸢suŋ⸣keŋ ʔi⸢riruna⸣joː] (お汁は汁碗に溢れこぼれるほど入れるなよ) 1008 0 0 931 htmvoc_1008.wav アバイシ ア⸢バ⸣イシ [ʔa⸢ba⸣iʃi] 名 けいがん(珪岩)。「脂石」の義。乳白色で、表面が滑らかな石。豚の脂に似ていることからの命名という。 ⸢オー⸣ヌ ア⸢バ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢ブー⸣ ア⸢バイシ⸣バ ミリ⸢ミッ⸣タン [⸢ʔoː⸣nu ʔa⸢ba⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢buː⸣ ʔa⸢baiʃi⸣ba miri⸢mit⸣taŋ] (豚の脂のような脂石(珪岩)を見たことがある<見てみた>) 1002 0 0 932 htmvoc_1002.wav アバイズ ⸣アバイズ [⸣ʔabaiʣu] 名 (動)魚の名。和名、オニダルマオコゼ。全長約20cmの硬骨魚。形は鬼瓦に似て、珊瑚礁に擬態する。顔面は醜悪で背びれの刺に猛毒がある。刺されると激痛を伴い、腫れ上がる。時には死ぬこともある。海岸の岩礁に棲息している。美味といわれているが、鳩間島の人はこれを食しない。 ⸣アバイゾー イ⸢シヌ⸣ イ⸢ル⸣トゥ ⸢ニーブンダ⸣ ユー⸢サン⸣カー ッ⸢サムティ フンスク⸣ バスン ア⸢リ⸣ブタ [⸣ʔabaiʣoː ʔi⸢ʃinu⸣ ʔi⸢ru⸣tu ⸢niːbunda⸣ juː⸢saŋ⸣kaː s⸢samuti ɸuŋku⸣ basuŋ ʔa⸢ri⸣buta] (オニオコゼは石の色と似ているので、注意しないと知らずに踏みつけることもあった<ありおった>)。鳩間島では食する人はいない。 ⸣アバイズ ッ⸢ふー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔabaiʣu f⸢fuː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (オニオコゼを食べる人はいない) 895 0 0 933 htmvoc_895.wav アバイルン ア⸢バイルン [ʔa⸢bairuŋ] 自動 溢れる。余ってこぼれる。いっぱいになって外に流失する。「Afure,ruru,eta.アフレ、ルル、レタ(溢れ、るる、れた)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 サ⸢バン⸣ヌ ア⸢バイルン⸣ケン ⸢サウナ [sa⸢ban⸣nu ʔa⸢bairuŋ⸣ken ⸢sauna] (茶碗があふれるほど<まで>茶を注ぐな)。 サ⸢カシケー⸣ラ サ⸢キヌ⸣ ア⸢バイルン⸣ケン ⸢サウナ⸠ツォー [sa⸢kaʃi̥keː⸣ra sḁ⸢kinu⸣ ʔa⸢bairuŋ⸣ken sauna⸠ʦoː] (杯から酒が溢れるまで注ぐなってよ)。 ギュー⸢サ サーバン⸣ ア⸢バイラヌ [gjuː⸢sa saːbaŋ⸣ ʔa⸢bairanu] (いくら注いでも溢れない)。 ア⸢バイ ナー⸣ヌ [ʔa⸢bai naː⸣nu] (溢れてしまった)。 ア⸢バイル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢bairu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溢れることはない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢バイレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢baireː⸣ misamunu] (早く溢れればいいのに)。ア⸢バッカイルン[ʔa⸢bakkairuŋ](満ち溢れる)ともいう。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸣アミシェー ⸢ター⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ ア⸢ブ⸣シェーラ ア⸢バイラヌ [ju⸢bi⸣nu ⸣ʔamiʃeː ⸢taː⸣nu mi⸢ʤeː⸣ ʔa⸢bu⸣ʃeːra ʔa⸢bairanu] (昨夜の雨では田の水は田の畦を越えて溢れ出ることはない<溢れない>)。 カ⸢ミ⸣ヌ ア⸢バイルン⸣ケン ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ミ [ka⸢mi⸣nu ʔa⸢bairuŋ⸣kem mi⸢ʤi⸣ ka⸢ta⸣mi] (甕が溢れるまで水を担いで甕に入れなさい<水を担げ>) 896 0 0 934 htmvoc_896.wav アバウン ア⸢バウン [ʔa⸢bauŋ] 自動 溢れる。余ってこぼれる。「溢、アブル」『類聚名義抄』、「~すだく池水雖溢<アフルトモ>~。万、2833」の転訛したもの。 サ⸢カシキヌ⸣ ア⸢バウン⸣ケン サ⸢キ サウナ [sḁ⸢kaʃi̥kinu⸣ ʔa⸢bauŋ⸣ken sḁ⸢ki sauna] (盃が溢れるまで酒を注ぐな)。 ギュー⸢サ サーバン(⸢サウバン)⸣ ア⸢バーヌ [gjuː⸢sa saːbaŋ<⸢saubaŋ>⸣ ʔa⸢baːnu] (幾ら注いでも溢れない)。 ア⸢バイ ナー⸣ヌ [ʔa⸢bai naː⸣nu] (溢れてしまった)。 ア⸢バウ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢bau⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溢れることはない)。 ア⸢バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢baijaː⸣ misamunu] (溢れたらいいのに)。 ⸣サバンナ ア⸢バウン⸣ケン ⸢サウンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ア⸢バーヌ [⸣sabannaː ʔa⸢bauŋ⸣ken ⸢saundu⸣ mut⸢tu⸣ ʔa⸢baːnu] (茶碗に溢れるほど注ぐが、ちっとも溢れない)。 ア⸢バイ ナー⸣ヌ [ʔa⸢bai naː⸣nu] (溢れてしまった)。 ア⸢バウ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢bau⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溢れることはない)。 ア⸢バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢baijaː⸣ misamunu] (溢れればいいのに) 1011 0 0 935 htmvoc_1011.wav アバカシ ア⸢バ⸣カシ [ʔa⸢ba⸣kaʃi] 名 あぶらかす(油粕)。豚の脂身を煎じて搾油した残滓。これを保存してお汁の出汁にしたり、油粕を米味噌と和えて油味噌にした。 ア⸢バ⸣カシェー ⸢ミース⸣トゥ ⸢アー⸣シティ ⸢アンダミー⸣ス ス⸢ク⸣リバ [ʔa⸢ba⸣kḁʃeː ⸢miːsu⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi̥ti ⸢ʔandamiː⸣su su̥⸢ku⸣riba] (豚の脂粕は味噌と和えて油味噌を作りなさいよ)。 ア⸢バ⸣カシェー ⸢マイヌミー⸣スナ カ⸢ケー⸣シティ イ⸢ラ⸣クカー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ʔa⸢ba⸣kaʃeː ⸢mainumiː⸣suna kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ʔi⸢ra⸣kukaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (脂身の炒り滓を米味噌に和えて炒ると非常に美味しい)。 ア⸢バ⸣カシ ⸣トゥリティ ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢キ⸣バ [ʔa⸢ba⸣kaʃi ⸣turiti ⸢tim⸣pura ja⸢ki⸣ba] (揚げ糟を除去してテンプラを揚げなさい) 1022 0 0 936 htmvoc_1022.wav アバカビ ア⸢バ⸣カビ [ʔa⸢ba⸣kabi] 名 えのあぶら(荏油)やとうゆ(桐油)をひいた和紙。防水用に用いた。 ⸣サナー ア⸢バ⸣カビシ パ⸢ラリブンダ⸣ アミナー ⸢ゾッふァスバン⸣ ム⸢リラ⸣ヌ [⸣sanaː ʔa⸢ba⸣kabiʃi pa⸢raribunda⸣ ʔaminaː ⸢ʣoffasubam⸣ mu⸢rira⸣nu] (雨傘は油紙で張られているから雨に濡らしても漏れない)。 ア⸢バ⸣カビシ ッ⸢ス⸣ムカー ⸢ゾーリラヌ [ʔa⸢ba⸣kabiʃi s⸢su⸣mukaː ⸢ʣoːriranu] (油紙で包んだら濡れない) 1013 0 0 937 htmvoc_1013.wav アバカミ ア⸢バ⸣カミ [ʔa⸢ba⸣kami] 名 食油を保存する甕。「脂かめ」の義。豚の脂肉を空揚げして油を搾り出し、保存するために使用する甕。 ア⸢バ⸣カメーラ ⸢オー⸣ヌ ⸣アバ ス⸢クイティ スー⸣ヌ ダシ ⸢シー⸣バ [ʔa⸢ba⸣kameːra ⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔaba su̥⸢kuiti suː⸣nu ⸣daʃi ⸢ʃiː⸣ba] (脂甕から豚の脂をすくい取ってお汁の出しにしなさいよ) 1014 0 0 938 htmvoc_1014.wav アバキー ア⸢バ⸣キー [ʔa⸢ba⸣kiː] 名 薄い柔らかい毛。産毛(うぶげ)。にこげ(和毛)。 マ⸢リットーラヌ⸣ ア⸢バ⸣キー ⸣スリシケー [ma⸢rittoːranu⸣ ʔa⸢ba⸣kiː ⸣suriʃi̥keː] (生まれたときから生えている毛を<産毛を>剃ってある) 1015 0 0 939 htmvoc_1015.wav アバゴーダー ア⸢バゴー⸣ダー [ʔa⸢bagoː⸣daː] 名 油まみれ。油脂類が体や衣服類にべっとりと付着すること。カ⸢ツシン[kḁ⸢ʦuʃiŋ](カツオ漁船)が発動汽船になって、キ⸢カン⸣バ[ki̥⸢kam⸣ba](機関室{EOS}「機関場」の義)で働く人は、いつもア⸢バゴー⸣ダー[ʔa⸢bagoː⸣daː](油まみれ)していた。 ア⸢バゴー⸣ダー シ⸢ティ⸣ ア⸢ラウバン⸣ ウ⸢ティラ⸣ヌ [ʔa⸢bagoː⸣daː ʃi̥⸢ti⸣ ʔa⸢raubaŋ⸣ ʔu⸢tira⸣nu] (油まみれになって、洗っても落ちない) 1023 0 0 940 htmvoc_1023.wav アバゴーダー ⸣アバゴーダー [⸣ʔabagoːdaː] 名 油まみれ。 カ⸢ツシンヌ⸣ キ⸢カンチョー⸣ヌ ⸢キン⸣マー ⸣アバゴーダー シ⸢ティ⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤタン [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ki̥⸢kanʧoː⸣nu ⸢kim⸣maː ⸣ʔabagoːdaː ʃi̥⸢ti⸣ ja⸢ni⸣jataŋ] (カツオ漁船の機関長の着物は油まみれになって汚かった) 1016 0 1 941 htmvoc_1016.wav アバサ ア⸢バ⸣サ [ʔa⸢ba⸣sa] 名 (動)魚の名。ハリセンボン科。{Mn_1}和名、イシガキフグ(体長約30センチ)、和名、ネズミフグ(体長約40センチ)。体表面は鋭く長い刺で覆われている。普段は刺を収めて泳ぐが、体に触れると風船のように膨らみ、刺を立て外敵からの防御体勢に入る。身は「のぼせに効く」といわれ、重宝されている。 ア⸢バ⸣サー ム⸢カ⸣シェーラ サ⸢ギフチ⸣ルティ ア⸢ザリ⸣ ア⸢バサ⸣ヌ ⸣シル ⸣ユー ⸣シジ ヌ⸢マ⸣ソッタン⸢ダー [ʔa⸢ba⸣saː mu⸢ka⸣ʃeːra sa⸢giɸuʧi⸣ruti ʔa⸢ʣari⸣ ʔa⸢basa⸣nu ⸣ʃiru ⸣juː ⸣ʃiʣi nu⸢ma⸣soːttan⸢daː] (ハリセンボンは昔からのぼせに効く<さげ薬>といわれて、アバサ汁をよく煎じて飲まされたよ)。 1016 0 2 942 htmvoc_1016.wav アバサ ア⸢バ⸣サ [ʔa⸢ba⸣sa] 名 {Mn_2}転じておしゃべり女。お転婆娘。お喋り。 ⸢ウンザー⸣ ア⸢バ⸣サー ⸣ナリティ ウ⸢マー ⸣カマーナ ムニカー⸢ニ⸣ ユム [⸢ʔunʣaː⸣ ʔa⸢ba⸣saː ⸣nariti ʔu⸢maː⸣kamaːna munikaː⸢ni⸣ jumu] (あいつはアバサー<おしゃべり>になって、あちらこちらで喋り捲る<物言いだけ読みまくる{EOS}声を立てて唱える>) 1017 0 0 943 htmvoc_1017.wav アバサシ ア⸢バ⸣サシ [ʔa⸢ba⸣saʃi] 名 あぶらさし(油差し)。機械などに油を注す道具で、コーヒーポットのような形をしたもの。カツオ漁船の焼玉エンジンにオイルを注すのに用いた。 ア⸢バ⸣サシナ ⸢ジュー⸣ユ イ⸢リ⸣バ [ʔa⸢ba⸣saʃina ⸢ʤuː⸣ju ʔi⸢ri⸣ba] (油差しに重油を入れなさい) 1018 0 0 944 htmvoc_1018.wav アバサックヤー ア⸢バサッ⸣クヤー [ʔa⸢basak⸣kujaː] 名 お喋り女め。あばずれ女。卑称。 ア⸢バサッ⸣クヤー ⸣ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢basak⸣kujaː ⸣nariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (あばずれ女<お喋り女>になって、どうにも始末に負えない<養生できない{EOS}手当てができない>) 1024 0 0 945 htmvoc_1024.wav アバズーヤン ア⸢バズー⸣ヤン [ʔa⸢baʣuː⸣jaŋ] 形 脂っこい。 ク⸢レー⸣ ドゥク ア⸢バズーヤ⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː⸣ duku ʔa⸢baʣuːja⸣nu f⸢faːranu] (これはあまりにも脂っこくて食べられない) 1029 0 0 946 htmvoc_1029.wav アバスブ ア⸢バ⸣スブ [ʔa⸢ba⸣subu] 名 油壺。豚の脂を保存する小型の壷で、壺の肩に四つの耳が付いていた。⸣ミンスブ[⸣minsubu](耳壺)ともいう。豚脂<ラード>を入れて保存し、調理の際に少量ずつ掬い取ってお汁に入れた。 ア⸢バ⸣スボーラ ⸣ガイシ ⸣アバ ス⸢クイ⸣トゥリティ ⸣スーナ イ⸢リ⸣バ [ʔa⸢ba⸣suboːra ⸣gaiʃi ⸣ʔaba su̥⸢kui⸣turiti ⸣suːna ʔi⸢ri⸣ba] (油壺から匙で掬い取ってお汁に入れなさい) 1025 0 0 947 htmvoc_1025.wav アバダリムヌ ア⸢バダリ⸣ムヌ [ʔa⸢badari⸣munu] 名 だらしない者。しまりのない者。節度のない者。裸で外出する者。 ⸢キン⸣マー キ⸢サムティ⸣ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ア⸢バダリ⸣ムヌ ナルン⸢ダー [⸢kim⸣maː ki̥⸢samuti⸣ mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ʔa⸢badari⸣munu narun⸢daː] (着物を着ないで道へ出るとだらしない者になるぞ) 1031 0 0 948 htmvoc_1031.wav アバッカースン ア⸢バッカースン [ʔabakkaːsuŋ] 他動 溢れさせる。 ⸣サバンナ ア⸢バッカースン⸣ケン ⸢サーン⸣ ブ⸢リ ⸣バ [⸣sabanna ʔa⸢bakkaːsuŋ⸣ken ⸢saːm⸣ bu⸢ri⸣ba] (茶碗に溢れるほど注ぐな<注がないでおれ>よ)。 ッ⸢サン⸣ケン ア⸢バッカーシ ナー⸣ヌ [s⸢saŋ⸣keŋ ʔa⸢bakkaːʃi naː⸣nu] (気づかない<知らぬ>うちに溢れさせてしまった) 1030 0 0 949 htmvoc_1030.wav アバッカイルン ア⸢バッカイルン [ʔa⸢bakkairuŋ] 自動 液体が容器から溢れる。液体が溢れかえる。液体が溢れ出る。 ⸣サバンナ ア⸢バッカイルン⸣ケン ⸣サー ⸢サウン [⸣sabanna ʔa⸢bakkairuŋ⸣ken ⸣saː ⸢sauŋ] (茶碗に溢れるほど茶を注ぐ)。 ギュー⸢サ サウバン⸣ ア⸢バッカイラヌ [gjuː⸢sa saubaŋ⸣ ʔa⸢bakkairanu] (いくら注いでも溢れない)。 ⸣サー ⸢サウター⸣ ア⸢バッカイナー⸣ヌ [⸣saː ⸢sautaː⸣ ʔa⸢bakkai naː⸣nu] (お茶を注いだら溢れてしまった)。 ア⸢バッカイル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢bakkairu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溢れることは無い)。 ア⸢バッカイヤー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢bakkaijaː⸣ misamunu] (溢れればよいのに)。 ア⸢バッカイリ [ʔa⸢bakkairi] (溢れろ) 1032 0 0 950 htmvoc_1032.wav アバッカウン ア⸢バッカウン [ʔa⸢bakkauŋ] 自動 溢れる。「あふる(溢る)、下二」の転訛したもの。老年層は、ア⸢バウン[ʔa⸢bauŋ](溢る)ともいう。 ア⸢ザン⸣カー サ⸢バン⸣ヌ ア⸢バッカウン⸣ケン ⸣サー ⸢サウンダ⸣ ア⸢バッカーン⸣ヨーニ ⸢サーシ⸣バ [ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː sa⸢ban⸣nu ʔa⸢bakkauŋ⸣ken ⸣saː ⸢saunda⸣ ʔa⸢bakkaːsaŋ⸣joːni ⸢saːʃi⸣ba] (言わないと茶碗が溢れるほど茶を注ぐから、溢れさせないように注がせなさいよ) 1033 0 0 951 htmvoc_1033.wav アバッタラ ア⸢バッ⸣タラ [ʔa⸢bat⸣tara] 名 脂身。脂肉。 ク⸢ヌ オー⸣ヤ ⸢パン⸣タリティ ア⸢バッタラン⸣ドゥ ⸢ゴー⸣ラール [ku⸢nu ʔoː⸣ja ⸢pan⸣tariti ʔa⸢battaran⸣du ⸢goː⸣raːru] (この豚は肥えて脂身が多い)。 ア⸢バッ⸣タラー ビ⸢トゥラー⸣ヌ ⸣ドゥク ッふァーラヌ [ʔa⸢bat⸣taraː bi⸢turaː⸣nu ⸣duku f⸢faːranu] (脂身は脂っこくてあまり食べられない) 1075 0 0 952 htmvoc_1075.wav アバッツァー ア⸢バッ⸣ツァー [ʔa⸢bat⸣ʦaː] 名 下品で多弁な人。他人の噂話や悪口をあちらこちらで言いふらす女。ア⸢バ⸣フチ[ʔa⸢ba⸣ɸu̥ʧi](お喋り)に、接尾辞⸣ヤー[jaː](~する人)が付いて、[ʔa⸢ba⸣ɸu̥ʧi+jaː] → [ʔa⸢baɸu̥⸣ʧaː] → [ʔa⸢bat⸣ʦaː] と転訛したもの。 ⸢ウンザー⸣ ア⸢バッ⸣ツァー ナリ ⸣マーカマーティ ⸢ナー⸣ン ヤ⸢ナムニ⸣バ カー⸢ニ⸣ イ⸢ジアー⸣ク [⸢ʔunʣaː⸣ ʔa⸢bat⸣ʦaːnari ⸣maːkamaːti ⸢naː⸣m pu⸢sunu⸣ ja⸢namuni⸣ba kaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (こいつめは質の悪いおしゃべりで所かまわず他人の悪口だけを言っている)。 ア⸢バッ⸣ツァー ⸢ウンザ⸣ フ⸢チ⸣ ⸢バリ⸣ トゥ⸢ラ⸣シ [ʔa⸢bat⸣ʦaː ⸢ʔunʣa⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ba⸢ri⸣ tu⸢ra⸣ʃi] (おしゃべり女め、この野郎、口を割ってやれ) 1035 0 0 953 htmvoc_1035.wav アバッティムヌ ア⸢バッティムヌ [ʔa⸢battimunu] 名 慌てもの。粗忽もの。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢バッティムノー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムネー シゥ⸢カムティ⸣ キ⸢サ⸣ パリ⸢ナーン⸣バン [ku⸢nu⸣ ʔa⸢battimunoː⸣ pu̥⸢sunu⸣ muneː sï̥⸢kamuti⸣ ki̥⸢sa⸣ pari⸢naːm⸣baŋ] (この粗忽者めが、人の言うこと<言葉>は聞かないで、もうすでに行ってしまったわい) 1038 0 0 954 htmvoc_1038.wav アバティー ア⸢バ⸣ティー [ʔa⸢ba⸣tiː] 名 料理上手な女の手。豚を飼育するのが上手な女。⸢脂手」の義。 ウ⸢リヌ ティー⸣ヤ ア⸢バ⸣ティー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ス⸢ク⸣ル ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢サッ⸣コー ン⸢マー⸠ツォー [ʔu⸢rinu tiː⸣ja ʔa⸢ba⸣tiː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ su⸢ku⸣ru ʔu⸢sai⸣jaː ⸢sak⸣koː ʔm⸢maː⸠ʦoː] (これ<この人>の手は料理上手な手<脂手>であるから、これの作る肴<お采>は非常に美味しいんだよ)。 ⸢ヌー⸣シル ア⸢バ⸣ティー ヤ⸢ル⸣ユー ⸣アイニ ⸣オー シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ゾー⸣ジ⸢ツォー [⸢nuː⸣ʃiru ʔa⸢ba⸣tiː ja⸢ru⸣juː ⸣ʔaini ⸣ʔoː sï̥⸢ka⸣nai ⸢ʣoː⸣ʤi⸢ʦoː] (どんな料理上手の女なのか、こんなにも豚飼育が上手なんだよ) 42 0 0 955 htmvoc_42.wav アバティカーティ ア⸢バティカー⸣ティ [ʔa⸢batikaː⸣ti] 副 慌てふためいて。急いで。うろたえて。 プ⸢スヌ クー⸣タ ア⸢バティカー⸣ティ パリ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu kuː⸣ta ʔa⸢batikaː⸣ti pari⸢naː⸣nu] (人が来たので慌てふためいて行ってしまった)。 ア⸢バティカー⸣ティ ムニ イ⸢ズナ [ʔa⸢batikaː⸣ti muni ʔi⸢ʣuna] (急いでものを言うな)。 ヤ⸢ラバリター⸣ ア⸢バティカー⸣ティ ⸣パルンケン ⸢カイ⸣リティ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ja⸢rabaritaː⸣ ʔa⸢batikaː⸣ti ⸣paruŋkeŋ ⸢kai⸣riti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (呼ばれたので急いで行くと、転倒して体を傷めて<病まして>ある) 1027 0 0 956 htmvoc_1027.wav アバティカバティ ア⸢バティカバ⸣ティ [ʔa⸢batikaba⸣ti] 副 あわてふためいて。ABCDBC型の重言。老年層の言葉。 ア⸢タアミヌ フータ⸣ル ア⸢バティカバ⸣ティ ⸣シー ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣プシシケータ ⸢キン⸣バ ⸣トゥリ ⸢ペーラシ⸣タ [ʔa⸢taʔaminu ɸuːtar⸣u ʔa⸢batikaba⸣ti ⸣ʃiː jat⸢tu⸣ʃi ⸣pu̥ʃiʃi̥keːta ⸢kim⸣ba ⸣turi ⸢peːraʃi⸣ta] (にわか雨が降ったので慌てふためいて干してあった着物を取り入れた) 1028 0 0 957 htmvoc_1028.wav アバティカバティスン ア⸢バティカバ⸣ティ ⸢スン [ʔa⸢batikaba⸣ti ⸢suŋ] 連 大慌てする。慌てふためいてする。「慌てふためき・する」の義。 ア⸢バティカバ⸣ティ ⸢サンドー⸣シ ⸢ヨーンナ シー⸣バ [ʔa⸢batikaba⸣ti ⸢sandoː⸣ʃi ⸢joːnna ʃiː⸣ba] (大慌てしないでゆっくりしなさい)。 ア⸢バティカバ⸣ティ ⸢スンティ アー⸣キ ⸣ヤリ シ⸢ティナー⸣ヌ [ʔa⸢batikaba⸣ti ⸢sunti ʔaː⸣ki ⸣jari ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (慌てふためいてしようとして破ってしまった) 1036 0 0 958 htmvoc_1036.wav アバティルン ア⸢バティルン [ʔa⸢batiruŋ] 自動 慌てる。うろたえて急ぐ。ア⸢バティラン⸣タンティン ミサン⸢ダー⸣。ヨー⸢ンナー サン⸣ミン ⸢シーバル⸣ マ⸢チガー⸣ヌ[ʔa⸢batiran⸣tantim misan⸢daː⸣。 joː⸢nnaː sam⸣miŋ ⸢ʃiːbaru⸣ ma⸢ʧigaː⸣nu](急がなくてもいいよ{EOS}ゆっくり計算したほうが間違わない)。 ア⸢バティルナ [ʔa⸢batiruna] (急ぐな{EOS}慌てるな)。 ア⸢バティラヌ [ʔa⸢batiranu] (急がない)。 イ⸢ザリ⸣カー ア⸢バティルン [ʔi⸢ʣari⸣kaː ʔa⸢batiruŋ] (叱られたら慌てる<急ぐ>)。 ア⸢バティレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢batireː⸣ misamunu] (慌てれば<急げば>良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢バティリ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢batiri] (もっと急げ<慌てろ>)。 ア⸢バティル⸣ ナカー ⸢チャー ヨーンナー [ʔa⸢batiru ⸣nakaː ⸢ʧaː joːnnaː] (急ぐときは常に落ち着いてゆっくり<急がばまわれ>) 1037 0 0 959 htmvoc_1037.wav アバトゥン ア⸢バトゥン [ʔa⸢batuŋ] 自動 慌てる。急ぐ。うろたえる。「あわつ(慌てる、下二段)」の四段へ転訛したもの。 ⸢ワー⸣ ア⸢バトゥ⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢バトゥン⸣ダー [⸢waː⸣ ʔa⸢batu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢batun⸣daː] (君が慌てると私も慌てるぞ)。 ア⸢バトゥナ⸣ ピ⸢ニチェー⸣ ア⸢リ⸣ブンダ ア⸢バタンティン⸣ ミサン [ʔa⸢batuna⸣ pi⸢niʧeː⸣ ʔa⸢ri⸣bunda ʔa⸢batamtim⸣ misaŋ] (慌てるな<急ぐな>{EOS}日時はまだあるから慌てなくても<急がなくても>よい)。 ア⸢バティ ナー⸣ヌ [ʔa⸢bati naː⸣nu] (慌ててしまった)。 ア⸢バトゥ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢batu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (慌てる<急ぐ>ことは無い)。 ア⸢バテー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢bateː⸣ misamunu] (急げばいいのに)。 ア⸢バティ⸣バ [ʔa⸢bati⸣ba] (急げよ) 1039 0 0 960 htmvoc_1039.wav アバナキニビ ア⸢バナキニビ [ʔa⸢banakinibi] 名 仰向けに寝ること。仰臥すること。大の字になって寝ること。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣クナー ア⸢バナキニビ シーベー⸣バン [mi⸢dumu⸣nu ⸣kunaː ʔa⸢banakinibi ʃiːbeː⸣baŋ] (女が<女のくせに>ここで仰臥しているわい) 1040 0 0 961 htmvoc_1040.wav アバナクン ア⸢バナクン [ʔa⸢banakuŋ] 自動 仰向けに寝やがる。仰臥しやがる。寝腐る。寝転がる。「寝る」を罵っていう語。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ア⸢バナキ ベー [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔa⸢banaki beː] (仕事はしないで寝くさっている)。 ⸣アイニ ア⸢バナカンドー⸣シ シ⸢グトゥン シー⸣バ [⸣ʔaini ʔa⸢banakandoː⸣ʃi ʃi⸢gutuŋ ʃiː⸣ba] (あんなに寝腐らずに仕事もしろよ)。 イ⸢ザン⸣カー ナー⸢イ⸣ ア⸢バナクン⸠ダー [ʔi⸢ʣaŋ⸣kaː naː⸢i⸣ ʔa⸢banakun⸠daː] (叱らないと、ずっと寝くさるぞ)。 ア⸢バナク⸣ ム⸢ヌンマー⸣ イー ッ⸢ふァースナ [ʔa⸢banaku⸣ mu⸢nummaː⸣ ʔiː f⸢faːsuna] (無為徒食して寝腐る者には飯を食わせるな)。 ア⸢バナケー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢banakeː⸣ misamunu] (寝やがればいいのに)。 ⸣ワンザー ⸣ウナーティ ア⸢バナキ⸣バ [⸣wanʣaː ⸣ʔunaːti ʔa⸢banaki⸣ba] (お前野郎はここで寝やがれ) 1041 0 0 962 htmvoc_1041.wav アバナビ ア⸢バ⸣ナビ [ʔa⸢ba⸣nabi] 名 揚げ物をする鍋。「揚げ物鍋」の義。油鍋。揚げ物、炒め物の用いる浅い鍋。フライパン。 ア⸢バ⸣ナビ シ⸢ケー⸣ラ ⸢ミー⸣ヤ パ⸢ナス⸣ナ⸢ヨー [ʔa⸢ba⸣nabi ʃi̥⸢keː⸣ra ⸢miː⸣ja pa⸢nasu⸣na⸢joː] (油鍋に油を入れて火にかけたら、それから目を離すなよ) 1042 0 0 963 htmvoc_1042.wav アバヌカシ ア⸢バ⸣ヌ ⸣カシ [ʔa⸢ba⸣nu ⸣kaʃi] 連 豚の脂肉を油鍋で炒って油を抽出したあとの滓。炒り滓。塩を振りかけて食したり、お汁に入れて出汁にするのに用いた。 ⸢ミー⸣スナ ア⸢バ⸣ヌ ⸣カシ カ⸢ケー⸣シティ ⸢アンダミー⸣ス ス⸢ク⸣ローッタ [⸢miː⸣suna ʔa⸢ba⸣nukaʃi kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ⸢ʔandamiː⸣su su̥⸢ku⸣roːtta] (味噌に炒り滓をかき混ぜて油味噌を作られた) 1043 0 0 964 htmvoc_1043.wav アバヌシジグル ア⸢バ⸣ヌ シ⸢ジ⸣グル [ʔa⸢ba⸣nu ʃi⸢ʤi⸣guru] 連 豚の脂身を油鍋で炒って油を抽出した後の滓。炒り滓。「脂の煎じ殻」の義。 ア⸢バ⸣ヌ シ⸢ジ⸣グロー シ⸢トゥナ⸣ヨー [ʔa⸢ba⸣nu ʃi⸢ʤi⸣guroː ʃi̥⸢tuna⸣joː] (脂身の炒り滓は捨てるなよ) 1045 0 0 965 htmvoc_1045.wav アハハー ア⸢ハハー [ʔa⸢hahaː] 感 あはは。声高に笑う声。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ア⸢ハハー⸣シ タ⸢カ⸣バライ ⸢シー ミーヌッサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢dumu⸣nu ʔa⸢hahaː⸣ʃi tḁ⸢ka⸣barai ⸢ʃiː miːnussa⸣nu na⸢ra⸣nu] (女がアハハーと高笑いして、見苦しくて仕方がない) 1007 0 0 966 htmvoc_1007.wav アババー ア⸢ババー [ʔa⸢babaː⸣] 名 唖者。口のきけない人。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ マ⸢リットーラ⸣ ア⸢ババー ヤ⸢ロー⸣レーティ ブ⸢ネーヌ⸣ ウヤ ⸢タンガ⸣ル ウ⸢リトゥ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢ソー⸣ル [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ma⸢rittoːra⸣ ʔa⸢babaː ja⸢roː⸣reːti bu⸢neːnu⸣ ʔuja ⸢taŋga⸣ru ʔu⸢ritu⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢soː⸣ru] (この人は生まれつきの唖者であられるので、母親一人しかその人と話されない<母親一人が話される>) 1046 0 0 967 htmvoc_1046.wav アバパク ア⸢バ⸣パク [ʔa⸢ba⸣pḁku] 名 油を入れる箱。なたねあぶら(菜種油)を入れるブリキ缶。「油箱」の義。 ア⸢バ⸣パコーラ タ⸢ニ⸣ユー ス⸢クイ⸣ パ⸢カ⸣レーティル ⸢カーソーッ⸣タ [ʔa⸢ba⸣pḁkoːra ta⸢ni⸣juː su̥⸢kui⸣ pḁ⸢ka⸣reːtiru ⸢kaːsoːt⸣ta] (菜種油<なたねあぶら>を入れる缶から種油を掬い、量ってからお売りなさった)。ア⸢バ⸣カン[ʔa⸢ba⸣kaŋ](油缶)ともいう 1047 0 0 968 htmvoc_1047.wav アバピカリ ア⸢バピカ⸣リ [ʔa⸢bapika⸣ri] 名 脂ぎって顔がテカテカ光っているさま。 ⸢ヌー⸣バ ッ⸢ふァイル パンタル⸣タユー ウ⸢ム⸣テー ア⸢バピカ⸣リ ⸢シーベー [⸢nuː⸣ba f⸢fairu pantaru⸣tajuː ʔu⸢mu⸣teː ʔa⸢bapika⸣ri ⸢ʃiːbeː] (何を食べて肥えたのか、顔<面>はテカテカ光っているよ) 1048 0 0 969 htmvoc_1048.wav アバピキマールン ⸣アバ ピ⸢キマールン [⸣ʔaba pi̥⸢kimaːruŋ] 連 脂ぎる。油が一面に拡散する。全体的に油がひろがる。油がお汁の表面一様に浮く。 ア⸢バ⸣ムヌ ッ⸢ふァイティル⸣ フ⸢チヌ マーラー⸣ アバ ピ⸢キマーリ ベー [ʔa⸢ba⸣munu f⸢faitiru⸣ ɸu̥⸢ʧinumaːraː⸣ ʔaba pi̥⸢kimaːri beː] (油ものを食べて口の周囲は脂ぎっている<油が一面についている>) 1049 0 0 970 htmvoc_1049.wav アバフチ ア⸢バ⸣フチ [ʔa⸢ba⸣ɸu̥ʧi] 名 おべっか。ごますり。へつらい。お喋り。「油口」の義。 ⸢ヌー⸣ヌ シ⸢ジ⸣ル ヤ⸢ル⸣ユー ナー⸢イ⸣ ア⸢バ⸣フチ ⸣ナリ プ⸢スバ⸣ フミ⸢ベー [⸢nuː⸣nu ʃi⸢ʤi⸣ru ja⸢ru⸣juː naː⸢i⸣ ʔa⸢ba⸣ɸu̥ʧinari pu̥⸢suba⸣ ɸumi⸢beː] (どういう積もりなのか、低劣でお喋りな胡麻すりになって、ただ人を褒めている) 1050 0 0 971 htmvoc_1050.wav アバフツァー ア⸢バフ⸣ツァー [ʔa⸢baɸu̥⸣ʦaː] 名 よくおべっかを言う人。へつらいもの。 ⸢ヌー⸣ヌ タ⸢クマ⸣ヌ ⸣アルユー ア⸢バフ⸣ツァー ⸣ナリ ⸢ベー⸣サー [⸢nuː⸣nu tḁ⸢kuma⸣nu ⸣ʔarujuː ʔa⸢baɸu̥⸣ʦaː ⸣nari⸢beː⸣saː] (なんの企みがあるのか、へつらいものになっているよ) 1051 0 0 972 htmvoc_1051.wav アバマチ ⸣アバマチ [⸣ʔabamaʧi] 名 松の油分の多い根株や幹の部分。ア⸢カ⸣シ[ʔa⸢ka⸣ʃi](灯)に用いた。 イ⸢クサ⸣ユーナーヤ ア⸢バ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ベーティ ⸣アバマチバ キ⸢ジティ⸣ ア⸢カ⸣シ ス⸢ク⸣リティ ウ⸢リバ モーシル⸣ ガ⸢ラソーッタ⸣ル [ʔi⸢kusa⸣juːnaːja ʔa⸢ba⸣nu ⸢naːm⸣beːti ⸣ʔabamaʧiba ki⸢ʤiti⸣ ʔa⸢ka⸣ʃi su̥⸢ku⸣riti ʔu⸢riba moːʃiru⸣ ga⸢rasoːtta⸣ru] (戦争中は油がないので、松の根株を削って灯<あかし>を作ってそれを燃やして明るくされた) 1052 0 0 973 htmvoc_1052.wav アバムシ ア⸢バ⸣ムシ [ʔa⸢ba⸣muʃi] 名 (動)アブラムシ。泡粒のように小さく野菜の葉について樹液をすう害虫。 ⸢ナーン⸣パーナ ア⸢バムシ⸣ヌ ⸢イッ⸣パイ ⸣シキティ ⸢ナー⸣ヤ サ⸢リナー⸣ヌ [⸢naːm⸣paːna ʔa⸢bamuʃi⸣nu ⸢ʔip⸣pai ⸣ʃi̥kiti ⸢naː⸣ja sa⸢rinaː⸣nu] (菜っ葉にアブラムシが沢山<いっぱい>ついて菜っ葉は枯れてしまった{EOS}) 1053 0 0 974 htmvoc_1053.wav アバムヌ ア⸢バ⸣ムヌ [ʔa⸢ba⸣munu] 名 油気の多い食べ物。 ア⸢バムヌ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ⸢イー⸣ヤ ン⸢マーナーン⸣バン [ʔa⸢bamunu⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸢ʔiː⸣ja ʔm⸢maːnaːm⸣baŋ] (油気のものがないとご飯は美味しくないわい) 1064 0 0 975 htmvoc_1064.wav アバラブニ ア⸢バラ⸣ブニ [ʔa⸢bara⸣buni] 名 あばらぼね(肋骨)。若年層の言葉。「客亭、無壁之屋也、客人屋。阿波良(あはら)」『新撰字鏡』、「骼、アバラホネ」『天正十八年本節用集』の転訛したもの。老年層は、⸢ソーキ⸣ブニ[⸢soːki⸣buni](主に豚や牛等の家畜の肋骨を指す{EOS}稀に人間の肋骨にもいう)、ヤ⸢カタ⸣ブニ[ja⸢kata⸣buni](人間の肋骨)という 898 0 0 976 htmvoc_898.wav アバリマリ ア⸢バリマリ [ʔa⸢barimari] 名 生まれつきの美人。天性の美人。 ブ⸢ネーヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢シーバ⸣ ピ⸢キル⸣ ア⸢バリマリバ シーブー [bu⸢neːnu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʃiːba⸣ pi̥⸢kiru⸣ ʔa⸢barimariba ʃiːbuː] (母親の血筋を引いて天性の美人に生まれついてきている) 1054 0 0 977 htmvoc_1054.wav アバリムヌ ア⸢バリムヌ [ʔa⸢barimunu] 名 暴れ者。乱暴者。 サ⸢マネー⸣ ウ⸢トゥナッ⸣サンドゥ ⸣ヌムカー ア⸢バリムヌ⸣ ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [sa⸢maneː⸣ ʔu⸢tunas⸣sandu ⸣numukaː ʔa⸢barimunu⸣ nariti ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (しらふ<素面>では大人しいが、飲むと乱暴物になって手がつけられない<養生できない>) 1055 0 0 978 htmvoc_1055.wav アバリルン ア⸢バリルン [ʔa⸢bariruŋ] 自動 暴れる。標準語からの借用語。老年層は、大人が暴れる場合は⸢ヤー⸣バリ ⸢スン[⸢jaː⸣bari ⸢suŋ](家具をぶち壊す{EOS}暴れる)、子供の場合は、⸢アールン[⸢ʔaːruŋ](暴れる)、⸢キン⸣ダン ⸢スン[⸢kin⸣dan ⸢suŋ](地団駄踏んで暴れる)と表現する。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ア⸢バリル⸣ フ⸢シヌ⸣ アルンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢ʔunʣaː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ʔa⸢bariru⸣ ɸu̥⸢ʃinu⸣ ʔarunda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (此奴は酒を飲むと暴れる癖があるから気をつけよ) 899 0 0 979 htmvoc_899.wav アバレープス ア⸢バ⸣レー プ⸢ス [ʔa⸢ba⸣reː pu⸢su] 名 美しい人。美人。 ア⸢バ⸣レー プ⸢スヌ⸣ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ナカー ス⸢ク⸣ブティ ア⸢ザリブー [ʔa⸢ba⸣reː pu̥⸢sunu⸣ ba⸢ta⸣nu na⸢kaː⸣ su̥⸢ku⸣buti ʔa⸢ʣaribuː] (美人の腹の中はすくも<\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}{EOS}腹黒>といわれている) 1065 0 0 980 htmvoc_1065.wav アバレーミドゥム ア⸢バ⸣レー ミ⸢ドゥ⸣ム [ʔa⸢ba⸣reː mi⸢du⸣mu] 連 美しい女。 ⸣カナー ア⸢バ⸣レー ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣タティ ⸢ベー⸣ン [⸣kanaː ʔa⸢ba⸣reː mi⸢dumu⸣nu ⸣tati ⸢beː⸣ŋ] (あそこに美しい女が立っている) 1066 0 0 981 htmvoc_1066.wav アバレーワレー ア⸢バ⸣レーワ⸢レー [ʔa⸢ba⸣reːwa⸢reː] 感 何と美しいことよ。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ア⸢バ⸣レーワ⸢レー [ʔu⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffanu ʔa⸢ba⸣reːwa⸢reː] (この女の子の何と美しいことよ) 897 0 0 982 htmvoc_897.wav アバレーン ア⸢バ⸣レーン [ʔa⸢ba⸣reːŋ] 形 美しい。きれいである。特に女性の美しさを表す。平安時代語の「あはれ」と同系統の言葉。日本諸方言の「あっぱい」(美しい)島根県、徳島県、高知市、福岡県、(『日本方言大辞典』)と同系統の語。美人である。女性の美しさに対していう。「~門ささず あはれ吾妹子~。万2594」の転訛したものか。 ⸢マイ⸣ネヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー シザ⸢ウシ⸣トゥナリ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢バ⸣レーン [⸢mai⸣nenu mi⸢doːŋ⸣ffaː ʃiʣa⸢ʔuʃi̥⸣tunari ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ba⸣reːŋ] (前隣の家の娘<女の子>さんは姉妹揃って非常に美しい)。 カ⸢ヌ ッふァヌ⸣ ア⸢バ⸣レー⸢ワー [ka⸢nu ffanu⸣ ʔa⸢ba⸣reː⸢waː] (あの子のなんと美しいことよ)。 ⸢ナン⸣ゾー ア⸢バレー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢bareː naː⸣nu] (あまり美しくない)。 フ⸢ドゥブ⸣ アー⸢シ⸣ ア⸢バ⸣レー ⸣ナルン [ɸu⸢dubu⸣ ʔaː⸢ʃi⸣ ʔa⸢ba⸣reː ⸣naruŋ] (成長するにつれて美しくなる)。 ア⸢バ⸣レー ッ⸢ふァー⸣ラ ⸢イー⸣リバ [ʔa⸢ba⸣reː f⸢faː⸣ra ⸢ʔiː⸣riba] (美しい娘から貰えよ)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ア⸢バ⸣レーンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ア⸢バ⸣レー ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢doːn⸣ffaː ʔa⸢ba⸣reːnti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ʔa⸢ba⸣reː ⸢naː⸣nu] (女の子は美しいと聞いたが、あまり美しくない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢バ⸣レー ⸣ナリケーン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢ba⸣reː ⸣narikeːŋ] (次第に美しくなってきた)。 ウ⸢リヌ⸣ スコー ア⸢バ⸣レー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥koː ʔa⸢ba⸣reː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あの人ほど美しい人はいない)。 ア⸢バ⸣レーカー ⸢イー⸣ルン [ʔa⸢ba⸣reːkaː ⸢ʔiː⸣ruŋ] (美しかったらもらう<嫁にする>) 1056 0 0 983 htmvoc_1056.wav アビャー ⸣アビャー [⸣ʔabjaː] 感 あれあれ。あらまあ。驚いたり、意外な時に発する言葉。老年層の言葉。 ⸣アビャー ⸢ウンパン⸣シン ⸢ヌーリパザキ ナーン⸣バン [⸣ʔabjaː ⸢ʔumpaŋ⸣ʃin ⸢nuːripaʣaki naːm⸣baŋ] (あれまあ、運搬船に乗船し損なったよ) 1058 0 0 984 htmvoc_1058.wav アヒャーオー ⸣アヒャーオー [⸣ʔaçaːʔoː] 名 母豚。繁殖用母豚。⸣アヒャー[⸣ʔaçaː](母豚)ともいう。 ⸣アヒャーオーバ シゥ⸢カ⸣ナイティ サ⸢カラシ カースン [⸣ʔaçaːʔoːba si̥⸢ka⸣naiti sḁ⸢karaʃi kaːsuŋ] (繁殖用母豚を飼って、繁殖させて<盛らせて>売る) 1059 0 0 985 htmvoc_1059.wav アヒャーヌギ ⸣アヒャーヌギ [⸣ʔaçaːnugi] 名 繁殖用の雌豚を仕立てるために多くの子豚の中から母豚に適するものを選び出すこと。 ⸢トゥッカラヌ⸣ ナ⸢カー⸣ラ ⸣アヒャーヌギ ⸢シー⸣ケーンダ フ⸢ドゥン⸣ カ⸢タチン ⸢カイ⸣ヤンティ⸢ゲ⸣ラ [⸢tukkaranu⸣ na⸢kaː⸣ra ⸣ʔaçaːnugi ⸢ʃiː⸣keːnda ɸu⸢duŋ kḁ⸢taʧiŋ ⸢kai⸣janti⸢ge⸣ra] (十匹の中から繁殖用の母豚に仕立てる子豚を選んできたのだから、大きさも姿形も立派で美しいさ、ほら) 903 0 0 986 htmvoc_903.wav アピラ ア⸢ピ⸣ラ [ʔa⸢pi⸣ra] 名 (動)家鴨(アヒル)。 ア⸢ピラ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸣マター パ⸢タッキ⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸣ヌーヤ ウ⸢ヌ⸣ カ⸢タッチェー [ʔa⸢pira⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸣mataː pḁ⸢takki⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸣nuːja ʔu⸢nu⸣ kḁ⸢taʧeː] (アヒルのように股を開いて歩いて、何だあの格好は)。 パ⸢トゥ⸣マナー ア⸢ピ⸣ラー ⸢ナン⸣ゾー ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaː ʔa⸢pi⸣raː ⸢nan⸣ʣoː bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島には家鴨はあまりいなかった) 1069 0 0 987 htmvoc_1069.wav アフ ア⸢フ [ʔa⸢ɸu] 名 あく(灰汁)。「灰汁、阿久(あく)」『和名抄』の転訛したもの。[ku] → [fu] → [ɸu]の音韻変の化法則によって形成された語。木灰に水を入れて汲み取った上澄みの水。洗濯や髪洗い、染色等に用いた。 ⸢キン⸣マー ア⸢フ⸣ナ シ⸢キティ⸣ ア⸢ラウ⸣カー ⸣ガバー ウ⸢タシヤッ⸣サン⸢ダー [⸢kim⸣maː ʔa⸢ɸu⸣na ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢rau⸣kaː ⸣gabaː ʔu⸢taʃijas⸣san⸢daː] (着物は灰汁につけて洗うと垢は落としやすいよ)。 カ⸢マチヌ パイバ⸣ ミ⸢ジ⸣ナ トゥ⸢カ⸣シティ ア⸢フバ⸣ トゥリティ ウ⸢リ⸣シル ガ⸢マ⸣ジ ア⸢ラウタ [ka⸢maʧinu paiba⸣ mi⸢ʤi⸣na tu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ʔu⸢ri⸣ʃiru ga⸢ma⸣ʤi ʔa⸢rauta] (竈の灰を水に溶かして灰汁を取って、それで髪を洗った) 1070 0 0 988 htmvoc_1070.wav アブ ⸣アブ [⸣ʔabu] 名 お母さん。母。「母」の名称。「あむ」(百姓の妻)『混効験集』。呼称は、ア⸢ボー[ʔa⸢boː](母、お母さん{EOS}{SqBr}abu・ja{/SqBr}<は>の融合変化したもの)という。 ⸢バン⸣テヌ アボー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シン ⸢オーッ⸣タ [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaboː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (私の家のお母さんは畑を耕しに行かれた)。 ⸣クマー ア⸢ブ⸣トゥ ⸢アーヤ⸣トゥ フ⸢タール⸣シ ス⸢ク⸣ローレール ⸢ジー⸣マシ [⸣kumaː ʔa⸢bu⸣tu ⸢ʔaːja⸣tu ɸu̥⸢taːru⸣ʃi su̥⸢ku⸣roːreːru ⸢ʤiː⸣maʃi] (ここは父と母が二人で耕作された土地です)。明治、大正生まれの古老の言葉。昭和生まれの若年層は、⸣アンマ[⸣ʔamma](母{EOS}親族名称)、アン⸢マー[ʔam⸢maː](お母さん{EOS!}親族呼称)という人が多い。これは、弟妹たちが兄嫁を⸣アンマ[ʔamma](姉さん)と呼んだのを、子や孫が母親の名称と誤解して伝承したことによるものであろう。 ⸢バン⸣テヌ ア⸢ブ⸣トゥ ⸢ワッ⸣テヌ ⸣アボー ⸢キョー⸣ダイ⸢ダー [⸢ban⸣tenu ʔa⸢bu⸣tu ⸢wat⸣tenu ⸣ʔaboː ⸢kjoː⸣dai⸢daː] (私の家のお母さんと貴方の家のお母さんは姉妹だよ) 1071 0 0 989 htmvoc_1071.wav アブ ア⸢ブ [ʔa⸢bu] 名 穴。自然の竪穴。縦穴洞穴。特に地下へ落ち込むように出来た天然の竪穴洞穴をいう。 シ⸢マナカミチ⸣ヌ ⸢アンタヌ⸣ ナ⸢カシ⸣ケーヌ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣スバナー ア⸢ブヌ⸣ アンティ⸢ダー [ʃi⸢manakamiʧi⸣nu ⸢ʔantanu⸣ na⸢kaʃi̥⸣keːnu pḁ⸢taki⸣nu ⸣subanaː ʔa⸢bunu⸣ ʔanti⸢daː] (島中道の東の、仲底家の畑の側に天然の竪穴洞穴があるそうだよ)。竪穴の自然洞穴。 パ⸢チンガカーヤ⸣ ア⸢ブ⸣ ナリ ⸢ブー⸣ダー [pḁ⸢ʧiŋgakaːja⸣ ʔa⸢bu⸣ nari ⸢buː⸣daː] (パチンガカー<井戸>は竪穴の自然洞穴になっているよ)。 ア⸢ブ トゥッ⸣クン [ʔa⸢bu tuk⸣kuŋ] (竪穴が陥没する) 1081 0 0 990 htmvoc_1081.wav アブアブスン ア⸢ブアブ スン [ʔa⸢buʔabu suŋ] 連 あっぷあっぷする。溺れそうになってあっぷあっぷする。 ウイ⸢サンダ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢フンナクター⸣ ア⸢ブアブ シーベー⸣タ [ʔui⸢sanda⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢ɸunnakutaː⸣ ʔa⸢buʔabu ʃiːbeː⸣ta] (泳げないから、船が転覆したのであっぷあっぷしていた<溺れそうになっていた>) 1077 0 0 991 htmvoc_1077.wav アファリルン ア⸢ファリルン [ʔa⸢ɸariruŋ] 自動 酒や酢などの気が抜ける。酒や酢などが水っぽくなる。 サ⸢キン⸣ ナ⸢ガタブイ スー⸣カー ア⸢ファリルン⸠ダー [sḁ⸢kin⸣ na⸢gatabui suː⸣kaː ʔa⸢ɸa⸢rirun⸠daː] (酒も長期保存すると気が抜けるよ)。 ギャン⸢ティ⸣ ザウ スーカー ア⸢ファリラヌ [gjan⸢ti⸣ ʣau suːkaː ʔa⸢ɸariranu] (ぎゅっと強く栓をすると気が抜けない) 1078 0 0 992 htmvoc_1078.wav アファルン ア⸢ファルン [ʔa⸢ɸaruŋ] 自動 酒や酢などの気が抜ける。酒や酢が水っぽくなる。 サ⸢ケー⸣ カミナー イ⸢リティ⸣ タ⸢ブイ⸣シケーター ア⸢ファリナー⸣ヌ [sḁ⸢keː⸣ kaminaː ʔi⸢riti⸣ ta⸢bui⸣ʃi̥keːtaː ʔa⸢ɸarinaː⸣nu] (酒を甕に入れて貯えておいたらば、水っぽくなってしまった)。 ナ⸢ガタブイ スー⸣カー ア⸢ファルン <ア⸢ファリルン> [na⸢gatabui suː⸣kaː ʔa⸢ɸaruŋ ] (長期保存すると気が抜ける)。 ⸢ピッ⸣チン ア⸢ファラヌ⸣ ア⸢ファル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢ɸaranu⸣ ʔa⸢ɸaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (すこしも水っぽくならない{EOS}気が抜けることはない) 1082 0 0 993 htmvoc_1082.wav アフカミ ア⸢フカミ [ʔa⸢ɸukami] 名 灰汁(あく)を入れた甕。「灰汁・甕」の義。 ⸢パイヤー⸣ シ⸢ティランドー⸣シ ア⸢フカミ⸣ナー イ⸢リティ オージル⸣ トゥリバ [⸢paijaː⸣ ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ʔa⸢ɸukami⸣naː ʔi⸢riti ʔoːʤiru⸣ turiba] (灰は捨てないで灰汁甕に入れて、その上澄み液<上汁>を取りなさいよ) 1084 0 0 994 htmvoc_1084.wav アブシ ア⸢ブ⸣シ [ʔa⸢bu⸣ʃi] 名 田の畦。田と田を仕切った境界の、土を盛り上げた部分。 ア⸢ブ⸣シ ⸣パラウンティ ⸢ベーン⸣ケン パ⸢ブン ホー⸣リティ ⸣ヤミナ⸢ラ⸣ヌ シ⸢ヌンティ アーク⸣タ⸢ドー⸣スカーヤ [ʔa⸢bu⸣ʃi ⸣paraunti ⸢beːŋ⸣kem pa⸢buŋ hoː⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu ʃi⸢nunti ʔaːku⸣ta ⸢doː⸣su̥kaːja] (田の畦を草刈しよう<払おう>としていると、ハブに咬まれて、痛くて我慢できず、やがて死ぬところだった<死のうとしていた>ってば) 1083 0 0 995 htmvoc_1083.wav アブジ ア⸢ブ⸣ジ [ʔa⸢bu⸣ʤi] 名 おじいさん。祖父の名称。[ʔabuʤi] + [ja](は)→ [ʔabuʤeː](お祖父さんは)。 ⸣アブジェー パ⸢ナ⸣シ  [⸣ʔabuʤeː pa⸢na⸣ʃi] (御祖父さんの話)。 ア⸢ブジ⸣バ シゥ⸢カシ⸣ クー  [ʔa⸢buʤi⸣ba si̥⸢kaʃi⸣ kuː] (御祖父さんをお連れして<ご案内して>きなさい)。 ア⸢ブ⸣ジン ⸢オーシ  [ʔa⸢bu⸣ʤiŋ ⸢ʔoːʃi] (御祖父さんに差し上げなさい)。語源として、「ア(吾)・ウプ(大)・ヂ(父)」の転訛との説がある(『日本語の系譜』)。 ⸢バン⸣テヌ ア⸢ブ⸣ジェー ⸢ヤーザイ⸣ク ヤ⸢ロー⸣レティ ユ⸢ネン⸣ヌ ⸢カージ⸣ ク⸢シクイヌ⸣ サ⸢キバ⸣ ン⸢キシギシギティル⸣ パ⸢ヤマーラ⸣シ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢ban⸣tenu ⸣ʔabuʤeː ⸢jaːʣai⸣ku ja⸢roː⸣reːti ju⸢nen⸣nu ⸢kaːʤi⸣ ku⸢ʃikuinu⸣ sa⸢kiba⸣ ŋ⸢kiʃigitiru⸣ pa⸢jamaːra⸣ʃi ⸢soːt⸣taʦoː] (私の家の祖父は建築家<家大工の棟梁>であられたので毎晩<夜の数>骨休めの酒を召しあがり過ぎて、それで早死にされたそうな) 1085 0 0 996 htmvoc_1085.wav アブジェーマ ア⸢ブジェー⸣マ [ʔa⸢buʤeː⸣ma] 名 小さな御祖父さん。高齢の御祖父さん。貧相なおじいさん。男の老人を親しみを込めていう語。 ム⸢カ⸣シ ⸣アルントンナー アブ⸢ジェーマ⸣トゥ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン⸢トゥ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔaruntonnaː ʔabu⸢ʤeːma⸣tu ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔoːt⸣tan⸢tu⸣ʦoː] (昔ある所におじいさん<御祖父さん>とおばあさん<お祖母さん>がおられたそうな)。 ⸢ウン⸣ネナー ア⸢ブジェーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenaː ʔa⸢buʤeːma⸣nu ⸢ʔoːt⸣tan⸢daː] (その家にはおじいさんがおられたよ) 1088 0 0 997 htmvoc_1088.wav アブシガサミ ア⸢ブシガサ⸣ミ [ʔa⸢buʃigasa⸣mi] 名 (動)アシハラガニ。「アブシ・ガサミ」(畦蟹)の義。田の畦や沼沢などに棲息して穴を作り、田の水を流出させて稲の生育に害を及ぼす蟹。 ア⸢ブシガサミ⸣ヌ ⸢ター⸣ヌ ⸣アザナ ⸣アナ ⸣プリティ ミ⸢ジ サーラシナー⸣ヌ [ʔa⸢buʃigasami⸣nu ⸢taː⸣nu ⸣ʔaʣana ⸣ʔana ⸣puriti mi⸢ʤi saːraʃinaː⸣nu] (アシハラガニが田圃の畦に穴を掘って水を流出させてしまった) 1087 0 0 998 htmvoc_1087.wav アブシバライ ア⸢ブシ⸣バライ [ʔa⸢buʃi⸣barai] 名 田の畦の草を刈り払うこと。「畦・払い」の義。 ⸢トー⸣サ トゥ⸢リンテー⸣ナ ア⸢ブシ⸣バライ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢toː⸣sa tu⸢rinteː⸣na ʔa⸢buʃi⸣barai ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (田草を取りながら田の畦の雑草を刈り取らないといけない)。沖縄本島のアブ(ー)⸢シバレ⸣ー[ʔabu(ː)⸢ʃibare⸣ː](畦祓い・田の畦をはらう行事<虫よけの祈願>)(『沖縄今帰仁方言辞典』)という民俗行事はないが、類似の民俗行事としては⸢ユーニガイ[⸢juːnigai](「世願い」の義)がある 1086 0 0 999 htmvoc_1086.wav アブシマッふァ ア⸢ブシマッ⸣ふァ [ʔa⸢buʃimaf⸣fa] 名 ⸢畦枕」の義。⸢畦枕」は稲がよく稔って稲穂が畦に垂れかかっているさま。「穂花咲き出ればちりひぢもつかぬ白ちやねやなびきあぶしまくら」(『琉歌全集』149)のように豊年を予祝したもので、歌謡語として用いられることが多い。 ク⸢トゥシン⸣ ア⸢ブシマッ⸣ふァ ⸢スン⸣ケン ⸢マイヤー ノー⸣レーン [ku̥⸢tuʃiŋ⸣ ʔa⸢buʃimaf⸣fa ⸢suŋ⸣kem ⸢maijaː noː⸣reːŋ] (今年も稲穂が畦に垂れかかるほど稔った) 1089 0 0 1000 htmvoc_1089.wav アブタテー ⸣アブタテー [⸣ʔabutateː] 名 屋号。吉川喜屋氏宅。喜屋氏の奥さんが与那国出身だったことから、与那国方言の⸣アブター[⸣ʔabutaː](お母さん)を屋号としたもの 9023 0 0 1001 htmvoc_9023.wav アブツァ ア⸢ブ⸣ツァ [ʔa⸢bu⸣ʦa] 連体 あんな。 ア⸢ブ⸣ツァ ⸣ムニ ス⸢クナ [ʔa⸢bu⸣ʦa ⸣muni su̥⸢kuna] (あんな言葉は聞くな) 1090 0 0 1002 htmvoc_1090.wav アブナーッサン ア⸢ブナーッ⸣サン [ʔa⸢bunaːs⸣saŋ] 形 危なっかしい。危ない。頼り無くて不安である。ア⸢ヤッ⸣サーンとも言う。 ウ⸢レー⸣ ア⸢ブナーッ⸣サンダ ア⸢ブナーッサ ナーン⸣ ムヌバ イ⸢ラ⸣ビ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢bunaːs⸣sanda ʔa⸢bunaːssa naːm⸣ munuba ʔi⸢ra⸣bi] (それは危なっかしいから、危なっかしくないものを選べ)。 ア⸢ブナーッサ⸣ヌ ⸣ミリ ブ⸢ララヌ [ʔa⸢bunaːssa⸣nu ⸣miri bu⸢raranu] (危なっかしくて見ておれない)。 ア⸢ブナーッ⸣サー ⸣クトー ス⸠ナ⸣ヨー [ʔa⸢bunaːs⸣saː ⸣ku̥toː su⸠na⸣joː] (危なっかしいことはするなよ) 1091 1 0 1003 htmvoc_1091.wav アブネーム ア⸢ブネーム [ʔa⸢buneːmu] 名 {PoS_1}危険。大変。危ないこと。「アブネー・ムヌ」[ʔabuneː-munu](危ないもの)の縮まった形。 カ⸢ジヌ マー⸣ビン ⸢スー⸣ルカー ア⸢ブネーム シース <⸢デー⸣ジ ナ⸢リ⸣ス> [ka⸢ʤinu maː⸣bin ⸢suː⸣rukaː ʔa⸢buneːmu ʃiːsu <⸢deːʤ⸣i na⸢ri⸣su>] (風がもっと強くなったら危険なことになる)。 ク⸢ヌ アシ⸣ボー マ⸢ナ⸣マ ⸢ヨー⸣ゾー サン⸣カー ア⸢ブネーム⸣ シース <⸢デー⸣ジ ナ⸢リ⸣ス> [ku⸢nu ʔaʃi⸣boː ma⸢na⸣ma ⸢joː⸣ʣoː ⸢saŋ⸣kaː ʔa⸢buneːmu ʃiːsu <⸢deːʤ⸣i na⸢ri⸣su>] (この御出来は今治療<養生・手当>しないと大変なことになる)。 1091 2 0 1004 htmvoc_1091.wav アブネーム ア⸢ブネーム [ʔa⸢buneːmu] 感 {PoS_2}ああ怖い。ああ大変。 ア⸢ブネーム⸣ <⸢デー⸣ジ> アン⸢デー⸣カー ⸣バー パ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢buneːmu⸣ <⸢deːʤ⸣i> ʔan⸢deː⸣kaː ⸣baː pa⸢ra⸣nu] (ああ大変、それなら私は行かない) 1092 0 0 1005 htmvoc_1092.wav アブバタ ア⸢ブバタ [ʔa⸢bubata] 名 大食い。「穴腹」の義。「底なしの腹」の意味で、いくら食べても満足しないことから命名さらたもの。ア⸢ブ[ʔa⸢bu](洞穴{EOS}竪穴)は竪穴の自然洞穴で、雨水はそこへ流入して溢れることはない。 ⸢ウンザー⸣ ア⸢ブバタ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ メー⸢ティ⸣ ア⸢ザヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ʔa⸢bubata⸣ ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ f⸢faːsabam⸣ meː⸢ti⸣ ʔa⸢ʣanu] (あいつの腹は穴腹<底なしの腹>だから、いくら食わせても「もう十分{EOS}もう結構」とは言わない)。ア⸢ブバタ マーシ⸣ノ[ʔa⸢bubata maːʃi⸣no](穴腹野郎めが)、卑罵表現 1093 0 0 1006 htmvoc_1093.wav アブル ア⸢ブル [ʔa⸢buru] 名 (動)魚の名。和名、ヨコシマフエフキ(体長約70センチ)。白身魚の最高級魚。⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː](島の西側の干瀬)の⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外海<腰>)で、タ⸢ティ⸣ナー[tḁ⸢ti⸣naː](一本釣り)をして釣った 1094 0 1 1007 htmvoc_1094.wav アブン ⸣アブン [⸣ʔabuŋ] 他動 {Mn_1}炙る(あぶる)。火に当たって温める。 ⸢ピー⸣ヤンダ ク⸢マー⸣ キー ピ⸢バ⸣チナ ⸣ティー ⸣アビ ⸣ピー ヌ⸢ク⸣ミ [⸢piː⸣janda ku⸢maː⸣ kiː pi⸢ba⸣ʧina ⸣tiː ⸣ʔabi ⸣piː nu⸢ku⸣mi] (寒いからここへ来て火鉢に手を当てて<炙って、火に当たって>火で温まりなさい)。 1094 0 2 1008 htmvoc_1094.wav アブン ⸣アブン [⸣ʔabuŋ] 他動 {Mn_2}焼網等で焼く。網焼きする。炙り焼きする。ローストする。 ウ⸢ティン⸣ガビ ⸣アビ ⸢オーシ [ʔu⸢tiŋ⸣gabi ⸣ʔabi ⸢ʔoːʃi] (紙銭を焼いてお供えしなさい<差し上げなさい>) 1095 0 1 1009 htmvoc_1095.wav アボー ⸣アボー [⸣ʔaboː] 名 {Mn_1}母。母親(親族名称)。老年層は、⸣アブ[⸣ʔabu](母{EOS}母親<親族名称>)という。若年層において、[ʔabu](母)+ [ja](は)→ [ʔaboː](母{EOS}<名称{EOS}呼称>)と変化したもの。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アボー ⸢ワッ⸣テヌ ⸣アボー ⸢ウシ⸣トゥ⸢ダー [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaboː ⸢wat⸣tenu ⸣ʔaboː ⸢ʔuʃi̥⸣tu⸢daː] (私の<家の>母は貴方の<家の>お母さんの妹だよ)。 1095 0 2 1010 htmvoc_1095.wav アボー ⸣アボー [⸣ʔaboː] 名 {Mn_2}親族呼称。 ア⸢ボー ワー⸣ マナー ⸢オール⸣ワ [ʔa⸢boː waː⸣ manaː ⸢ʔoːru⸣wa] (お母さん、貴方は何処に居られるのですか) アマ 1113 0 0 1011 htmvoc_1113.wav アマークマー ア⸢マー⸣クマー [ʔa⸢maː⸣kumaː] 代 あちらこちら。あっちこっち。「あ(彼)・ま(間)・こ(此)・ま(間)」の転訛したもの。 ⸢ドン⸣ゴー カ⸢タジキラ⸣ムティ ア⸢マー⸣クマーナ ⸢ポーリ⸣シケー [⸢doŋ⸣goː kḁ⸢taʤikira⸣muti ʔa⸢maː⸣kumaːna ⸢poːri⸣ ʃi̥keː] (道具を片付けないであちらこちらに散らかしてある) 1072 0 1 1012 htmvoc_1072.wav アマーン ア⸢マー⸣ン [ʔa⸢maː⸣ŋ] 形 {Mn_1}甘い<糖度が高い>。ア⸢ジマー⸣ン[ʔa⸢ʤimaː⸣n](甘い{EOS}味甘し)ともいう。 ⸣サター ア⸢マー⸣ン [⸣sataː ʔa⸢maː⸣ŋ] (砂糖は甘い)。 ⸢ピッ⸣チン ア⸢マーナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢maːnaː⸣nu] (ちっとも甘くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢マー⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢maː⸣ naruŋ] (次第に甘くなる)。 ⸣ドゥク ア⸢マー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸣duku ʔa⸢maː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (あまりにも甘くて飲めない)。 ア⸢マー⸣ ムヌル ⸣プサ [ʔa⸢maː⸣ munuru ⸣pu̥sa] (甘いものが欲しい)。 ア⸢マー⸣ ムノー ッ⸢ふーナ [ʔa⸢maː⸣ munoː f⸢fuːna] (甘いものは喰うな)。 ⸣マー ン⸢メーマ⸣ ア⸢マー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢meːma⸣ ʔa⸢maː⸣kaː ⸣misamunu] (もう少し甘ければ良いのに)。 1072 0 2 1013 htmvoc_1072.wav アマーン ア⸢マー⸣ン [ʔa⸢maː⸣ŋ] 形 {Mn_2}塩気が少ない。みずっぽい。水分が多くて味が薄い。ク⸢ヌ スー⸣ヤ ア⸢マー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ。ン⸢メーマ マー⸣ス イ⸢リリ[ku⸢nu suː⸣ja ʔa⸢maː⸣nu nu⸢mara⸣nu。ʔm⸢meːma maː⸣su ʔi⸢riri](この汁は水っぽくて飲めない{EOS}少し塩を入れなさい) 1096 0 1 1014 htmvoc_1096.wav アマアジ ア⸢マアジ [ʔa⸢maʔaʤi] 名 {Mn_1}甘味。 サ⸢タ⸣バ イ⸢リティ⸣ ア⸢マアジ⸣ シ⸢キ⸣リ [sḁ⸢ta⸣ba ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢maʔaʤi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (砂糖を入れて甘味をつけよ)。 1096 0 2 1015 htmvoc_1096.wav アマアジ ア⸢マアジ [ʔa⸢maʔaʤi] 名 {Mn_2}うす味。塩加減の薄い味。 ウ⸢リヌ⸣ フ⸢チェー⸣ ア⸢マアジ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢ベーマー マー⸣ス イ⸢リリ [ʔu⸢rinu⸣ ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʔa⸢maʔaʤi⸣ ja⸢runda⸣ ʔm⸢beːma maː⸣su ʔi⸢riri] (彼の味覚<口>は薄味だから、少し塩を足せ<入れろ>) 1105 0 0 1016 htmvoc_1105.wav アマイ ア⸢マイ [ʔa⸢mai] 名 神遊び。神職者たちが神歌を歌って神遊びすること。/カムラーマヌ アマイヤー ヌーフサティル アマイル/(カムラーマの神遊びは何が欲しくて神遊びするのか) 1101 0 0 1017 htmvoc_1101.wav アマイシミルン ア⸢マイシミルン [ʔa⸢maiʃimiruŋ] 他動 甘えさせる。 ⸣マーッふァー ア⸢マイシミルンダ⸣ パーンケーンマ ⸢アシキララン⸣ツォー [⸣maːffa ʔa⸢maiʃimirunda⸣ paːŋkemmaː ⸢ʔaʃi̥kiraran⸣ʦoː] (孫を甘えさせるから祖父母達には預けられないそうだ) 1099 0 0 1018 htmvoc_1099.wav アマイパダ ア⸢マイパダ [ʔa⸢maipada] 名 赤ちゃんがンゴーンゴー[ʔŋ⸢goː⸣ŋ⸢goː]と微笑みながら甘える時期。「甘え時期」の儀。⸣パダ[⸣pada]は、「時期、頃、年頃」の意。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ア⸢マイパダー ヌシ⸣トゥルン バ⸢ラースン [ja⸢rabi⸣nu ʔa⸢maipadaː nuʃi̥⸣turum ba⸢raːsuŋ] (乳児の甘える時期<無邪気な笑顔>は、泥棒をも真人間にする<笑わせる>) 1100 0 0 1019 htmvoc_1100.wav アマイビー ア⸢マイビー [ʔa⸢maibiː] 名 二つの火の玉が一つになったり分かれたりして、踊り楽しんでいるように見える火の玉。鬼火。「歓え火<あまえび>」の義。 シ⸢チ⸣ヌ ⸢ユー⸣ロー ア⸢マイビーン⸣ ミラリンティ⸢ダー [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸢juː⸣roː ʔa⸢maibiːm⸣ mi⸢ra⸣rinti⸢daː] (節祭りの夜には歓え火<鬼火>が見られるそうだよ) 1102 0 0 1020 htmvoc_1102.wav アマイヨールン ア⸢マイヨー⸣ルン [ʔa⸢maijoː⸣ruŋ] 自動 神仏が喜び楽しむ。「あまえ<歓え>・おはる<御座す>」の転訛したもの。サ⸢カサ(司)やティ⸢ジリ⸣ビ(男性神職者)たちが祭祀の終了後に、神職者の家に持ちまわりで集まり、酒食を用意して神歌を歌い習ったという。昔から神職(サカサ・ティジリビー)を継ぐ際にも、司や男性神職者の家に集まって神歌の練習をしたという。⸢ユーニンガイ[⸢juːniŋgai](旧暦三月の世願いの祭祀)の後に、神職者の家を回って飲食しながら神歌の練習をする習慣は1965年頃まで続いていた。 ⸢カン⸣プスンケーヤ ム⸢カ⸣シェー キ⸢チゴン ユーニンガイヌ⸣ アトー ⸣ウマー ⸣カマー ユ⸢ライヨー⸣リ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢マイヨーッ⸣タン [⸢kam⸣pu̥suŋkeːja mu⸢ka⸣ʃeː ki̥⸢ʧigoŋ juːniŋgainu⸣ ʔatoː ⸣ʔumaː ⸣kamaː ju⸢raijoː⸣ri ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢maijoːt⸣taŋ] (神職者<神人>たちは、昔は結願祭、世願いの祭祀の後は、あちらこちらに集まられて<寄り合われて>神遊びをなされ、非常に楽しまれたものだ) 1103 0 0 1021 htmvoc_1103.wav アマイルン ア⸢マイルン [ʔa⸢mairuŋ] 自動 嬉しがる。喜ぶ。踊り楽しむ。神遊びをする。神が喜び楽しむ。「あまえる(歓える)」。歌謡語。「あまへて」『混効験集』。/カムラマーヌ アマイヤ/(カムラーマの神遊びは)/ヌーフサティル アマイル/(何が欲しくて楽しむのか)/カムラマーヌ アマイヤ アカカラジ フサティル アマイル/(カムラーマの神遊びは民百姓が欲しくて神遊びするのだ)/カムラマーヌ アマイヤ /(カムラーマの神遊びは)/ウヤキユーバ タボラリ/(カムラーマの神遊びは豊年満作を賜ることです)『鳩間島古典民謡古謡集』。鳩間島の神職者たちは祈願の後に神々と共に踊り遊んだ。 ⸢カン⸣プスンケール ア⸢マイヨール [⸢kam⸣pu̥suŋkeːru ʔa⸢maijoː⸣ru] (神職者たちが神遊びをされる) 1104 0 0 1022 htmvoc_1104.wav アマイルン ア⸢マイルン [ʔa⸢mairuŋ] 自動 甘える。人の好意にべったり頼る。やりたい放題にする。 ⸢タンガッふァ⸣トゥ ⸢ウシトゥ⸣ッふァー ア⸢マイルンダ⸣ ア⸢マイル⸣ フ⸢シ⸣ シ⸢キシミル⸣ナ [⸢taŋgaffa⸣tu ⸢ʔuʃi̥tu⸣ffaː ʔa⸢mairunda⸣ ʔa⸢mairu⸣ ɸu̥⸢ʃi⸣ ʃi̥⸢kiʃimiru⸣na] (一人っ子と末っ子は甘えるから、甘える癖をつけさせるな)。 シ⸢ザッ⸣ふァー ア⸢マイラヌ [ʃi⸢ʣaf⸣faː ʔa⸢mairanu] (年上の子は甘えない) 1106 0 0 1023 htmvoc_1106.wav アマウン ア⸢マウン [ʔa⸢mauŋ] 自動 嬉しがる。喜ぶ。踊り楽しむ。神遊びをする。歌謡語。「歓える<あまえる>」の義。「あまへて」(おもろ)、「あまへて」(『混効験集』)。特に神仏が喜び、楽しむことにいう。ア⸢マイルン[ʔa⸢mairuŋ](歓える)の項参照 1108 0 0 1024 htmvoc_1108.wav アマカザ ア⸢マカザ [ʔa⸢makaʣa] 名 甘い匂い。甘く香ばしい匂い。 ⸣サタヤーヌ ⸢マーラー シン⸣ザ ス⸢ブ⸣リティ サタ タ⸢コー⸣ル ア⸢マカザヌ シー⸣ フ⸢チジルヌ⸣ ン⸢ジ⸣スバン [⸣sḁtajaːnu ⸢maːraː ʃin⸣ʣa su⸢bu⸣riti ⸣sḁta tḁ⸢koː⸣ru ʔa⸢makaʣanu ʃiː⸣ ɸu̥⸢ʧiʤirunu⸣ ʔn⸢ʤi⸣subaŋ] (砂糖小屋の辺りは、砂糖きびを搾って黒糖を作る<砂糖を炊く>甘い匂いがして、よだれ<口汁>が出るよ) 1109 0 0 1025 htmvoc_1109.wav アマガサ ア⸢マガ⸣サ [ʔa⸢maga⸣sa] 名 かさ(暈)。日や月の回りをまるく取り巻いた輪。ひがさ(日暈)。 ⸣シキナー ア⸢マガサ⸣ヌ カ⸢カ⸣リ ⸢ブンダ⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー ⸣パジ [⸣ʃi̥kinaː ʔa⸢magasa⸣nu kḁ⸢ka⸣ri ⸢bunda⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuː ⸣paʤi] (月にかさ<暈>が懸かっているので雨が降る筈だ) 1110 0 0 1026 htmvoc_1110.wav アマキー ⸣アマキー [⸣ʔamakiː] 名 植物の一種。えぎ(餌木)を作るのに用いる木。 ⸣アマキーシル イ⸢ガジーヤ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸣ʔamakiːʃiru ʔi⸢gaʤiːja⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (アマキーで<ぞ>餌木は作られた) 1112 0 0 1027 htmvoc_1112.wav アマグ ア⸢マ⸣グ [ʔa⸢ma⸣gu] 名 雨具。学校教育を通じて標準語から入った借用語。昭和三十年代まで、雨降りの日には南京袋を折り込んで被り、雨具代用に利用していた。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢シガーフクル⸣バ ⸣カベーティル ア⸢マグ⸣ヌ ⸢カール⸣ シ⸢タル [mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢ʃigaːɸukuru⸣ba ⸣kabeːtiru ʔa⸢magu⸣nu ⸢kaːru⸣ ʃi̥⸢taru] (昔は南京袋を被って雨具の代わりにしたよ) 1114 0 0 1028 htmvoc_1114.wav アマクマ ⸣アマクマ [⸣ʔamakuma] 代 あちこち。 ⸣アマクマヌ ウ⸢カ⸣ヌ パ⸢ライ⸣ミーン シ⸢マ⸣シェーンカヤー [⸣ʔamakumanu ʔu⸢ka⸣nu pa⸢rai⸣miːŋ ʃi⸢ma⸣ʃeːŋkajaː] (あちこちの借金の支払いも済ませたかね) 1115 0 0 1029 htmvoc_1115.wav アマクマシー ア⸢マクマシー [ʔa⸢makumaʃiː] 名 生半可に仕事をすること。中途半端な仕事振り。なまなか仕事。「あちらこちら仕」の転訛したもの。 フ⸢ユニン⸣マー カ⸢シーカシー⸣ シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ア⸢マクマシー シー⸣シケー [ɸu⸢junim⸣maː kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔa⸢makumaʃiː ʃiː⸣ʃi̥keː] (怠け者は、きちんと<しっかりと>仕事をしないで生半可仕事をしてある) 1116 0 0 1030 htmvoc_1116.wav アマグム ア⸢マ⸣グム [ʔa⸢ma⸣gumu] 名 雨雲。ヌ⸢リグム[nu⸢rigumu](積乱雲)ともいう。 ニ⸢シクベー⸣ラ ア⸢マグム⸣ヌ カ⸢バ⸣シ クン⸢ドー [ni⸢ʃikubeː⸣ra ʔa⸢magumu⸣nu ka⸢ba⸣ʃi kun⸢doː] (北の大空<北壁>から雨雲が覆い被せてくるぞ) 1117 0 0 1031 htmvoc_1117.wav アマグル ア⸢マ⸣グル [ʔa⸢ma⸣guru] 名 にわか雨。しゅうう(驟雨)。 ア⸢マグル⸣ヌ ⸢ニーヌ⸣パーラ ⸢ユーシ⸣ クーン [ʔa⸢maguru⸣nu ⸢niːnu⸣paːra ⸢juːʃi⸣ kuːŋ] (驟雨が北から寄せてくる) 1073 0 0 1032 htmvoc_1073.wav アマザキ ア⸢マザキ [ʔa⸢maʣaki] 名 酢。老年層は⸢パイル[⸢pairu](酢)という。古典民謡(お盆の「獅子舞の道歌」)にも⸢パイル[⸢pairu](酢)といっている。 ア⸢マザケー ピッ⸣チン キ⸢シラン⸣バン [ʔa⸢maʣakeː pit⸣ʧiŋ ki̥⸢ʃiram⸣baŋ] (酢はちっとも効かない<切れない>)。 ア⸢マザキヌ⸣ッふァ [ʔa⸢maʣakinu⸣ffa] (酢のたね{EOS}「酢の子」の義{EOS}酢の容器の底に白濁した粘液が沈殿しているもの{EOS}これを種にし、弱い酒や芋の煮汁などを足して酢を自家製造していた)。 ア⸢マザケー ヤーカー⸣ジナ ⸣ドゥーシル マ⸢ラシオーッタ⸣ル [ʔa⸢maʣakeː jaːkaː⸣ʤina ⸣duːʃiru ma⸢raʃioːtta⸣ru] (酢は各家庭で、自分で醸造して<生まらせて>おられたものだよ)。 ナ⸢マ⸣シナー ア⸢マザキ⸣ カ⸢キバ⸣ル ン⸢マー⸠ダー [na⸢ma⸣ʃinaː ʔa⸢maʣaki⸣ kḁ⸢kiba⸣ru ʔm⸢maː⸠daː] (刺身には酢をかけたほうが美味しいよ) 1126 0 0 1033 htmvoc_1126.wav アマザラシ ア⸢マザラ⸣シ [ʔa⸢maʣara⸣ʃi] 名 雨ざらし。 ⸢アッ⸣タル ⸢ヤーザイギ⸣バ ナー⸢イ⸣ ア⸢マザラ⸣シ ⸢シー⸣ ス⸢ク⸣ナ [⸢ʔat⸣taru ⸢jaːʣaigi⸣ba naː⸢i⸣ ʔa⸢maʣara⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ su̥ku⸣na] (折角の建築用材を雨ざらしにしておくな) 1118 0 0 1034 htmvoc_1118.wav アマシェー ア⸢マシェー [ʔa⸢maʃeː] 名 屋号。小浜真敏氏宅。東村のシ⸢ナカキ⸣ヤー[ʃi⸢nakaki⸣jaː](追い込み漁)の網元家であった。戦後はカツオ釣り漁船の初栄丸、眞福丸、晃徳丸によるカツオ節製造業を経営された。太平洋戦争中、鳩間島のような小さな島にも米軍戦闘機は爆撃を加えた。昭和20年2月16日の爆撃で、ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː](小浜家)と寄合家は完全に破壊されたという『鳩間島追想』。 ⸢マイ⸣ヌ イ⸢ク⸣サナー パ⸢トゥ⸣マナーテー ア⸢マシェートゥ⸣ ユ⸢レーヌ⸣ ヌ⸢バ⸣ルブザマテーナ バ⸢ク⸣ダン ウ⸢タサ⸣レータン [⸢mai⸣nu ʔi⸢ku⸣sanaː pḁ⸢tu⸣manateː ʔa⸢maʃeːtu⸣ ju⸢reːnu⸣ nu⸢ba⸣rubuʣamateːna ba⸢ku⸣daŋ ʔu⸢tasa⸣reːtaŋ] (先の戦争で、鳩間島では小浜家と寄合徹氏宅<野原叔父さんの家>に爆弾が落とされた)。ア⸢マシェーヌ⸣ イ⸢ゴー⸣ザザーテー[ʔa⸢maʃeːnu⸣ ʔi⸢goː⸣ʣaʣaːteː]ともいう。古老は⸢パイ⸣ネー[⸢pai⸣neː](屋敷名)ともいう。 ア⸢マシェーヌ ヤシ⸣ケー ム⸢カ⸣シェー ⸢パイ⸣ネーティル ア⸢ゾーッ⸣タツォー [ʔa⸢maʃeːnu jaʃi̥⸣keː mu⸢ka⸣ʃeː ⸢pai⸣neːtiru ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (小浜真敏氏宅の屋敷は、昔はパイネーと<ぞ>言われたそうだ) 1120 0 0 1035 htmvoc_1120.wav アマシェーヌアカヤンマーテー ア⸢マシェーヌ⸣ ア⸢カ⸣ヤンマーテー [ʔa⸢maʃeːnu⸣ ʔa⸢ka⸣jammaːteː] 連 屋号。小浜清氏宅。ア⸢カ⸣ヤンマー[ʔa⸢ka⸣jammaː](アカヤ姉さん{EOS}小浜清氏の母親)に接尾語⸣テー[⸣teː](~の家)が下接したもの 1121 0 0 1036 htmvoc_1121.wav アマシェーヌタローザーテー ア⸢マシェーヌ⸣ タローザーテー [ʔa⸢maʃeːnu⸣ taroːʣaːteː] 連 屋号。小浜太郎氏宅。⸣タローザー[⸣taroːʣaː](太郎兄さん)は、名前の⸣タロー[⸣taroː](太郎)に、⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄さん)が下接し、更に接尾語⸣テー[⸣teː](~の家)が付いて生成された合成語 1143 0 0 1037 htmvoc_1143.wav アマシェーヌフチマチル ア⸢マシェーヌ⸣ フ⸢チマチル [ʔa⸢maʃeːnu⸣ ɸu̥⸢ʧimaʧiru] 連 海底地名。ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː](小浜家)の先祖がフ⸢チマチル[ɸu̥⸢ʧimaʧiru](漁法の一種{EOS}巻き取り漁法)をしたと伝える地点。⸢トン⸣グヮー[⸢toŋ⸣gwaː](⸢クー⸣シビー{SqBr}⸢kuː⸣ʃibiː{/SqBr}<干瀬の名>)の南側にある 1119 0 0 1038 htmvoc_1119.wav アマシェーヌヤマザーテー ア⸢マシェーヌ⸣ ヤマザーテー [ʔa⸢maʃeːnu⸣ jamaʣaːteː] 連 屋号。小浜屋真氏宅。⸣ヤマザー[⸣jamaʣaː](屋真兄さん)は、名前の⸣ヤマー[⸣jamaː](屋真)に、⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄さん)が下接して生成された合成語 1130 0 0 1039 htmvoc_1130.wav アマシムヌ ア⸢マシ⸣ムヌ [ʔa⸢maʃi⸣munu] 名 不品行者。暴れ者。もてあまし者。 ⸣アイブ ヤ⸢ナクトゥバ シー⸣ シ⸢キン⸣ヌ ア⸢マシ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢アーク⸣ナ [⸣ʔaibu ja⸢nakutuba ʃiː⸣ ʃi̥⸢kin⸣nu ʔa⸢maʃi⸣munu ⸣nari ⸢ʔaːku⸣na] (あんな悪事をして世間のもてあまし者になっているな) 1122 0 0 1040 htmvoc_1122.wav アマシュー ア⸢マ⸣シュー [ʔa⸢ma⸣ʃuː] 名 あめつゆ(雨露)。雨や露。 サ⸢キバ⸣ ヌミティ ア⸢マ⸣シューン ウ⸢タ⸣リカー ⸣ドゥーヨーリ ⸢スン⸣ダー [sḁ⸢kiba⸣ numiti ʔa⸢ma⸣ʃuːŋ ʔu⸢ta⸣rikaː ⸣duːjoːri ⸢sun⸣daː] (酒を飲んで雨や夜露に打たれて道端に寝ると健康を害する<胴弱りする>よ) 1131 0 0 1041 htmvoc_1131.wav アマスー ア⸢マスー [ʔa⸢masuː] 名 薄塩(うすじお)。魚や野菜などに塩を軽く振りかけ、薄い塩加減にすること。 ⸣ドゥク ⸢マー⸣ス ッ⸢ふァーサンドー⸣シ ア⸢マスー⸣ ウティ シゥ⸢カイ⸣バ [⸣duku ⸢maː⸣su f⸢faːsandoː⸣ʃi ʔa⸢masuː⸣ ʔuti sï̥⸢kai⸣ba] (あんまり塩を入れないで薄塩を振りかけて使いなさいよ)。 ピ⸢ロー⸣ ア⸢マスー⸣ シゥ⸢クバル⸣ン⸢マー [pi⸢roː⸣ ʔa⸢masuː⸣ su̥⸢kubaru⸣ ʔm⸢maː] (大蒜は薄塩で塩漬けした方が美味しい) 93 0 0 1042 htmvoc_93.wav アマスン ア⸢マスン [ʔa⸢masuŋ] 他動 浴びせる。水などを頭からかける。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ピンピン⸣ ミ⸢ジ⸣ ア⸢マサン⸣カー ア⸢シブ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルン [ja⸢ra⸣beː ⸢pimpim⸣ mi⸢dʒi⸣ ʔa⸢masaŋ⸣kaː ʔa⸢ʃibu⸣nu ʔn⸢dʒi⸣ruŋ] (子供は毎日水を浴びせないと汗疹<あせも>が出る)。 ユ⸢ナラン⸣ケン ミ⸢ジ⸣ ア⸢マシ [ju⸢naraŋ⸣kem mi⸢dʒi⸣ ʔa⸢maʃi] (日が暮れないうちに水を浴びせなさい<入浴させなさい>)。動詞ア⸢ムン[ʔa⸢muŋ](浴びる)の未然形に、使役の助動詞⸢スン[⸢suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いて形成された使役動詞。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢マスン [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢masuŋ] (入浴させる<水を浴びせる>)。 ⸢ピー⸣ヤンダ ア⸢マサヌ [⸢piː⸣janda ʔa⸢masanu] (寒いから浴びせない<入浴させない>)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢マシ⸣ プサカー ア⸢マス⸣ クトー ⸣ナルン [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢maʃi⸣ pu̥sakaː ʔa⸢masu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (入浴させたければ<水を浴びせたければ>入浴させる<浴びせる>ことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢マシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢maʃeː⸣ misamunu] (もっと浴びせれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢マシ [⸢paː⸣ku ʔa⸢maʃi] (早く浴びせろ<入浴させろ>) 1128 0 1 1043 htmvoc_1128.wav アマスン ア⸢マ⸣スン [ʔa⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_1}余す。余りあるところを残す。余力を残す。老年層の言葉。 ⸢イー⸣ヤ ア⸢マサン⸣ヨーシ ⸢ッふァイ [⸢ʔiː⸣ja ʔa⸢masaɲ⸣joːʃi f⸢fai] (ご飯は<飯は>残さ<余さ>ないように食べよ)。 ⸣ムヌ ア⸢マ⸣スン [⸣munu ʔa⸢ma⸣suŋ] (ものを余す)。 ン⸢メーマー⸣ ア⸢マ⸣シ ⸣ミサン [ʔm⸢meːmaː⸣ ʔa⸢ma⸣ʃi ⸣misaŋ] (少しは余して<残して>も良い)。 ン⸢マー⸣ムヌ ア⸢マ⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔm⸢maː⸣munu ʔa⸢ma⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (美味しいものを余す<残す>人はいない)。 ア⸢マ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ma⸣ʃeː ⸣misamunu] (余せば良いのに)。 ⸢ピー⸣チェー ア⸢マ⸣シバ [⸢piː⸣ʧeː ʔa⸢ma⸣ʃiba] (一つは余しなさい)。若年層は、ア⸢マラ⸣スン[ʔa⸢mara⸣suŋ](余す)ともいう。 1128 0 2 1044 htmvoc_1128.wav アマスン ア⸢マ⸣スン [ʔa⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_2}持て余す。手に負えなくなって困る。 ク⸢レー  バン⸣マー ⸢アシゥカーラヌ⸣ バー ⸣ティーナ ア⸢マシ⸣ス [ku⸢reː bam⸣maː ⸢ʔasi̥kaːranu⸣ baː ⸣tiːna ʔa⸢maʃi⸣su] (これは私には扱えない{EOS}私の手に余る) 1132 0 0 1045 htmvoc_1132.wav アマダ ア⸢マ⸣ダ [ʔa⸢ma⸣da] 名 あぶりこ(炙り子)。炙り焼き用の金網。焼き魚や焼き肉用に鉄線で約5センチ四方の網目を作り、全体的に縦横約50センチ大の金網に作ったもの。生の竹や生のススキ、生木の小枝を竈の上に縦横に渡して金網代用にすることがあった。⸣タク[⸣taku](蛸)やイ⸢ズ[ʔi⸢ʣu](魚)をア⸢マ⸣ダに載せて焙乾し保存食にしたのが ガ⸢シ⸣タク[ga⸢ʃi⸣taku](焙乾したタコ)、ガ⸢シ⸣イズ[ga⸢ʃi⸣iʣu](焙乾した魚)である。ガシイズやガシタクは、焙乾することによってうま味が出るといわれている。 カ⸢マチヌ ウイ⸣ナ ア⸢マ⸣ダ ⸣カキティ ユ⸢ディ⸣タク ウ⸢サッ⸣キ シ⸣キティ ⸣ガスカー ン⸢マー⸣ン [ka⸢maʧinu ʔui⸣naː ʔa⸢ma⸣da ⸣kakiti ju⸢di⸣taku ʔu⸢sak⸣kiti ⸣ʃikiti ⸣gasukaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (竈の上にアマダを掛けておいて茹でタコを載せて置いて焙乾すると美味しいよ) 1134 0 0 1046 htmvoc_1134.wav アマダラ ア⸢マ⸣ダラ [ʔa⸢ma⸣dara] 名 軒。ひさし。「雨だれ」の義から転じて「軒、庇」の意となる。農耕や漁労の作業着を掛けておいたり、網や釣具などを掛けておいたりしたところ。ハ⸢ギバラー[ha⸢gibaraː](軒柱)とハ⸢ギバラーの間に約六尺の棒を渡してあり、これに作業着類を掛けておいた。 ア⸢マ⸣ダラナー ⸣キンカー ⸣サイ ⸣シキティ ⸢カーラカシタ [ʔa⸢ma⸣daranaː ⸣kiŋkaː ⸣sai ⸣ʃi̥kiti ⸢kaːrakaʃi̥ta] (軒に衣類を掛けておいて乾かした)。 ア⸢マダラン⸣ ッサーラナ ⸣サイ シ⸢キ⸣ルカー ⸢イールティダ⸣ナ プ⸢サ⸣リン [ʔa⸢madaran⸣ ssaːrana ⸣sai ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢ʔiːrutida⸣naː pu̥⸢sa⸣riŋ] (軒下に掛けて<下げて>おくと、西日に干される) 1133 0 0 1047 htmvoc_1133.wav アマダラスン ア⸢マダラ⸣スン [ʔa⸢madara⸣suŋ] 他動 滴らせる。水切りする。 ク⸢ヌ キン⸣マー ア⸢ラシティティ⸣ ブ⸢ナシトゥ⸣カー ス⸢ブ⸣レー サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢マダラ⸣シ シゥ⸢ク⸣ナ [ku⸢nu kim⸣maː ʔa⸢raʃi̥titi⸣ bu⸢naʃi̥tu⸣kaː su⸢bu⸣reː sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢madara⸣ʃi su̥⸢ku⸣na] (この着物は洗ってゆすいだら絞って水切りはしないで<どうするつもりか>、ただ<そのまま>水を滴らせておくなよ) 1135 0 0 1048 htmvoc_1135.wav アマダラミジ ア⸢マダラ⸣ミジ [ʔa⸢madara⸣miʤi] 名 雨垂れ水。雨垂れ。 ア⸢マダラ⸣ミジェー シ⸢トゥントー⸣シ ⸣ビーナ ⸣ウキティ タ⸢ミシキ⸣リ [ʔa⸢madara⸣miʤeː ʃi̥tuntoː⸣ʃi ⸣biːna ⸣ʔukiti ta⸢miʃi̥ki⸣ri] (雨垂れは捨てないで、樋に受けて溜めておけ) 1137 0 1 1049 htmvoc_1137.wav アマダルカーダル ア⸢マダルカー⸣ダル [ʔa⸢madarukaː⸣daru] 副 {Mn_1}濡れそぼつ。濡れてびしょびしょになる。衣類が濡れて垂れ下がっているさま。 ⸣アミナー ⸢ゾッふァーリティ⸣ ア⸢マダルカー⸣ダル ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸣ʔaminaː ⸢ʣoffaːriti⸣ ʔa⸢madarukaː⸣daru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (雨に濡れてびしょびしょになっている)。 1137 0 2 1050 htmvoc_1137.wav アマダルカーダル ア⸢マダルカー⸣ダル [ʔa⸢madarukaː⸣daru] 副 {Mn_2}肥えて皮膚が垂れ下がるさま。 ⸢パン⸣タリティ ウ⸢ム⸣ティン ア⸢マダルカー⸣ダル ⸢シーベー [⸢pan⸣tariti ʔu⸢mu⸣tiŋ ʔa⸢madarukaː⸣daru ⸢ʃiːbeː] (肥って顔も垂れ下がっている) 1136 0 0 1051 htmvoc_1136.wav アマダルン ア⸢マ⸣ダルン [ʔa⸢ma⸣daruŋ] 自動 滴る。水が垂れ落ちる。 シ⸢ル⸣ヌ ア⸢マ⸣ダルン [ʃi⸢ru⸣nu ʔa⸢ma⸣daruŋ] (汁が滴る)。 ア⸢マダラ⸣ヌ [ʔa⸢madara⸣nu] (滴らない)。 シ⸢ル⸣ヌ ア⸢マ⸣ダリ ⸢ベー [ʃi⸢ru⸣nu ʔa⸢ma⸣dari ⸢beː] (汁が滴っている)。 ッ⸢ふァナシプス⸣ヌ ⸢シー⸣ヤ ア⸢マ⸣ダル ⸣スコー ⸢アウバル⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ゾー⸣ブンニ フ⸢ドゥバサリ⸣ダー [f⸢fanaʃipusu⸣nu ⸢ʃiː⸣ja ʔa⸢ma⸣daru ⸣su̥koː ⸢ʔaubaru⸣ ja⸢ra⸣beː ⸢ʣoː⸣bunni ɸu⸢dubasari⸣daː] (産婦の乳は滴るほど出たほうが子供は十分に成長させられるよ)。 1136 0 2 1052 htmvoc_1136.wav アマダルン ア⸢マ⸣ダルン [ʔa⸢ma⸣daruŋ] 自動 {Mn_2}垂れ下がる。 ⸣カナー ア⸢マ⸣ダリ ⸢ベー⸣ シナー ⸢ウイ⸣ ピ⸢キ アイシキ⸣リ [⸣kanaː ʔa⸢ma⸣dari ⸢beː⸣ ʃinaː ⸢ʔui⸣ pi⸢ki ʔaiʃi̥ki⸣ri] (あそこに垂れ下がっている綱は上に引き揚げておきなさい) 1138 0 0 1053 htmvoc_1138.wav アマチ ア⸢マ⸣チ [ʔa⸢ma⸣ʧi] 名 樹木の下枝。庭木や畑の畦の樹木の下枝のこと。畑や庭に垂れ下がって、日光が遮られると作物に悪影響を及ぼす。また、庭木の枝が屋根に架かることは家運に悪いとして嫌われ、適当に枝打ちされた。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢アンタヌ キー⸣ヌ ア⸢マ⸣チ ウ⸢タ⸣シ [⸢jaː⸣nu ⸢ʔantanu ⸢kiː⸣nu ʔa⸢ma⸣ʧi ʔu⸢ta⸣ʃi] (家の東の木の下枝を枝打ちしなさい) 1139 0 0 1054 htmvoc_1139.wav アマチウタシ ア⸢マ⸣チ ウ⸢タ⸣シ [ʔa⸢ma⸣ʧi ʔu⸢ta⸣ʃi] 連 下枝を枝打ちしなさい。 ⸢キーヌユダ⸣ヌ ヤ⸢マ⸣カビ サ⸢カリティ ヤー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ ア⸢ミカビン⸣ギサティル ア⸢マ⸣チ ウ⸢タ⸣スンティ ⸢ベー [⸢kiːnujuda⸣nu ja⸢ma⸣kabi sḁ⸢kariti jaː⸣nu ⸢ʔui⸣ ʔa⸢mikabiŋ⸣gisatiru ʔa⸢ma⸣ʧi ʔu⸢ta⸣sunti ⸢beː] (木の枝が鬱蒼と生い茂って屋根の上に伸し掛かりそうなので、下枝打ちをしようとしている)。ア⸢マ⸣チバライ[ʔa⸢ma⸣ʧibarai](下枝払い)ともいう 1144 0 0 1055 htmvoc_1144.wav アマッタビーッタ ア⸢マッ⸣タビーッタ [ʔa⸢mat⸣tabiːtta] 副 贅沢に。ふんだんに。裕福に。豊かに。ユ⸢チ⸣クニ[ju⸢ʧi⸣kuni](裕福に)ともいう。 ア⸢マッ⸣タビーッタ ⸢ファイル⸣ ス⸢ダティラ⸣レー ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ フンダイ シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢mat⸣tabiːtta ⸢fairu⸣ su⸢datira⸣reː f⸢fa ⸣ja⸢runda ɸundai ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (贅沢に食べて育てられた子であるから我儘、好き放題な子になって困っている<しようがない>) 1145 0 0 1056 htmvoc_1145.wav アマティンキ ア⸢マティン⸣キ [ʔa⸢matiŋ⸣ki] 名 雨天。「雨天気」の義。雨降りの天気。 ア⸢マティンキ⸣ヌ シ⸢ジキティ⸣ シ⸢グトー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [ʔa⸢matiŋki⸣nu ʃi⸢ʤikiti⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (雨天が続いて仕事に出られない) 1146 0 0 1057 htmvoc_1146.wav アマドゥ ア⸢マドゥ [ʔa⸢madu] 名  「雨戸」の義。ヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き木造りの家)の戸。板張りの外戸。巾三尺、長さ6尺に作るのが普通である。⸣ヤドゥ[⸣jadu](戸{EOS}家戸)ともいう。窓枠の外側に、シ⸢キー[ʃi̥⸢kiː](敷居)とカ⸢ムイ[ka⸢mui](鴨居)を設置して、それにア⸢マドゥ[ʔa⸢madu](雨戸)を立てて、ヤ⸢ドゥパシ⸣ル[ja⸢dupaʃi⸣ru](引き戸)に作り、窓を開けたり締めたりした。 シ⸢キートゥ⸣ カ⸢ムイ⸣ シキティ ア⸢マドゥ⸣ シキタ⸢ティ⸣ルカー ⸣ヤドー ア⸢キフイ⸣ ナルン [ʃi̥⸢kiːtu⸣ ka⸢mui⸣ ʃi̥kiti ʔa⸢madu⸣ ʃi̥ki tḁ⸢ti⸣rukaː ⸣jadoː ʔa⸢kiɸui⸣ naruŋ] (戸の敷居と鴨居をつけて雨戸を立てると、戸は開け閉めは出来る) 1147 0 0 1058 htmvoc_1147.wav アマドゥヌサン ア⸢マドゥヌ⸣ サン [ʔa⸢madu⸣nu ⸣saŋ] 連 雨戸の桟。雨戸の枠。三尺と六尺の枠の内側に三尺の桟を二段に渡したもの。 ア⸢マドゥヌ サン⸣マー シ⸢ギキー⸣シル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ʔa⸢madunu sam⸣maː ʃi⸢gikiː⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (雨戸の桟は杉木で作られている) 1148 0 0 1059 htmvoc_1148.wav アマナシクマナシ ア⸢マナシ⸣ ク⸢マ⸣ナシ [ʔa⸢manaʃi⸣ ku⸢ma⸣naʃi] 連 あちらになし<置い>たり、こちらになし<置い>たりすること。 ア⸢マナシ⸣ ク⸢マ⸣ナシ ⸢シー⸣シケーンケン ⸣マナール ス⸢ク⸣タユー ⸢バシキ ナーン⸣シェン [ʔa⸢manaʃi⸣ ku⸢ma⸣naʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːŋkem ⸣manaːru su̥⸢ku⸣tajuː ⸢baʃi̥ki naːŋ⸣ʃeŋ] (あちらに置いたり、こちらに置いたりしているうちに、何処に置いたのか忘れてしまった) 1149 0 0 1060 htmvoc_1149.wav アマナラーシ ア⸢マナラーシ [ʔa⸢manaraːʃi] 名 甘やかした育て方<躾>。主に祖父母が孫を育てる際の育て方にいう。「甘・習わせ」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ バ⸢カ⸣ジニ シ⸢タール⸣ パーブジーン ス⸢ダティラ⸣リ ア⸢マナラーシ サリティル フンダヤー⸣ ナリ⸢ベー [ʔu⸢ja⸣nu ba⸢ka⸣ʤini ʃi⸢taːru⸣ paːbuʤiːn su⸢datira⸣ri ʔa⸢manaraːʃi saritiru ɸundajaː⸣ nari⸢beː] (親が若死にしたので祖父母に育てられ、甘やかされて育てられたので我儘者<(すき)放題者>になっている) 1150 0 0 1061 htmvoc_1150.wav アマナライ ア⸢マナライ [ʔa⸢manarai] 名 我儘な性格。甘やかされて育てられた性格。「甘・習い」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビ⸢シェーン⸣ケンラ ア⸢マナライ シー⸣ ケーンダ マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ⸢フンダイヤ ノーラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenra ʔa⸢manarai ʃiː⸣keːnda ma⸢na⸣ma ʃi⸢ki⸣tiŋ ⸢ɸundaija noːra⸣nu] (子供の頃から我儘に育ってきたから今になっても好き放題の我儘な性格は直らない) 1074 0 0 1062 htmvoc_1074.wav アマヌ ア⸢マ⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣nu] 副 余りにも~ので。あんまり~ので。過度に~ので、のように条件句を導き、原因、理由を述べる。 ア⸢マ⸣ヌ ⸣アツァティ ⸢ピーリ⸣ミジ ⸣カビティ ⸢クー⸣タ [ʔa⸢ma⸣nu ⸣ʔaʦati ⸢piːri⸣miʤi ⸣kabiti ⸢kuː⸣ta] (あんまり暑いので冷や水をかぶってきた)。 ア⸢マ⸣ヌ タ⸢カー⸣ティ ⸢カーランシェン [ʔa⸢ma⸣nu tḁ⸢kaː⸣ti ⸢kaːraŋʃeŋ] (あまりにも値段が高いので買えなかった)。 ⸣ユベー ⸣ヌンティ ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢マ⸣ヌ ⸣アツァティ プ⸢ス⸣ミーンツァン ニ⸢バランシェン [⸣jubeː ⸣nunti ja⸢ru⸣juː ʔa⸢ma⸣nu ⸣ʔaʦati pu⸢su⸣miːnʦan ni⸢baraŋʃeŋ] (昨夜はなぜか<何故であろうか>暑くて一睡もできなかった<一目も眠れなかった>) 1152 0 0 1063 htmvoc_1152.wav アマフチ ア⸢マフチ [ʔa⸢maɸu̥ʧi] 名 甘口。塩気の少ない味を好むこと。御汁の味付けで薄味を好むこと。 ウ⸢レー⸣ ア⸢マフチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス スー⸣ヤ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢maɸuʧi⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu suː⸣ja nu⸢mara⸣nu] (彼は甘口だから、彼の煮る<炊く>御汁は飲めない)。味付けをする際に、塩気の少ない味を好む人。薄味。サ⸢クラフチ[sḁ⸢kuraɸuʧi](塩辛い味を好む人)の対義語。「甘口」の義。「甘味を好む人」の意に用いることもある。 ア⸢マフチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス スー⸣ヤ ア⸢マー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔa⸢maɸu̥ʧi⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu suː⸣ja ʔa⸢maː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (薄味好みだから、彼が炊くお汁は薄味すぎて<甘くて>飲めない) 1153 0 0 1064 htmvoc_1153.wav アマミー ア⸢マミー [ʔa⸢mamiː] 名 甘味。 ⸢バン⸣スロー ⸢ウー⸣ムカー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢マミーン⸣ ンジ カ⸢ザン⸣ カ⸢バッ⸣サ ⸣ナルン [⸢ban⸣suroː ⸢ʔuː⸣mukaː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢mamiːn⸣ ʔnʤi ka⸢ʣaŋ⸣ ka⸢bas⸣sa ⸣naruŋ] (ばんざくろ<蕃石榴>は熟すると非常に甘味も出てきて、匂いも香ばしくなる) 1154 0 0 1065 htmvoc_1154.wav アマミークマミー ア⸢マミー クマ⸣ミー [ʔa⸢mamiː kuma⸣miː] 副 あちらを見たり、こちらを見たりするさま。せわしくあたりを見回すさま。きょろきょろするさま。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢マミー クマ⸣ミー ⸢シー ピッ⸣チン ウ⸢ティシゥカン⸣バン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔa⸢mamiː kuma⸣miː ⸢ʃiː pit⸣ʧiŋ ʔu⸢tisi̥kam⸣baŋ] (あの子はあっち見たりこっち見たりして<きょろきょろして>ちっとも落ち着かないよ) 1155 0 0 1066 htmvoc_1155.wav アマミース ア⸢マミース [ʔa⸢mamiːsu] 名 甘味噌。⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)ともいう。上質の米味噌で、黒糖で多少味付けされていた。⸢サー⸣フキ[⸢saː⸣ɸu̥ki](茶請け{EOS}茶の子)として来客に出された。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ア⸢マミースン⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [ma⸢rukeːti⸣naː ʔa⸢mamiːsuŋ⸣ f⸢faːsoːt⸣taŋ] (たまさか<偶>には甘味噌も食べさせてくださった) 1156 0 0 1067 htmvoc_1156.wav アマミジ ア⸢マミジ [ʔa⸢mamiʤi] 名 真水。雨水。「甘水」の転訛したものか。老年層は、⸢マーミジ[⸢maːmiʤi](真水)という。⸢スー⸣ミジ[⸢suː⸣miʤi](潮水)の対義語。 ア⸢マミジヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルン ⸣トンマー ⸣マナー ア⸢ル⸣ワ [ʔa⸢mamiʤinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣run ⸣tommaː ⸣manaː ʔa⸢ru⸣wa] (真水の出る所は何処にあるか)。⸢スー⸣ミジ[⸢suː⸣miʤi](塩水)の対義語。 フ⸢カ⸣ヌ ⸣シマ シ⸢キ⸣ルカー パ⸢トゥ⸣マー ア⸢マミジェー ゴー⸣ラー ウ⸢チ⸣ヨー [ɸu̥⸢ka⸣nu ⸣ʃima ʃi̥⸢ki⸣rukaː pḁ⸢tu⸣maː ʔa⸢mamiʤeː goː⸣raː ʔu⸢ʧi⸣joː] (他の島に比べると鳩間島は、淡水<真水>は多い方<内に入る>だよ) 1157 0 0 1068 htmvoc_1157.wav アマミジ ア⸢マ⸣ミジ [ʔa⸢ma⸣miʤi] 名 雨水。⸢ティンシー[⸢tiŋʃiː](天水{EOS}「Tensui.テンスイ(天水)雨水」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの)ともいう。 ア⸢マ⸣ミジシ ⸣ユー フ⸢カ⸣シティ ⸣サー イ⸢ル⸣カー ン⸢マー⸣ンドゥ ⸢カーヌ ミジ⸣シェー ン⸢マー ナー⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣miʤiʃi ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ⸣saː ʔi⸢ru⸣kaː ʔm⸢maː⸣ndu ⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤi⸣ʃeː ʔm⸢maː naː⸣nu] (天水で湯を沸かしてお茶を入れると美味しいが、井戸水では美味しくない)。天水は湯茶用水として重宝された。屋根に降った雨水を樋で受け、タンクや水がめに貯えた。 ア⸢マ⸣ミジェー シ⸢ティランドー⸣シ ⸣カミナー タ⸢ブイシキ⸣リ [ʔa⸢ma⸣miʤeː ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ⸣kaminaː ta⸢bui ʃi̥ki⸣ri] (天水は捨てないで水甕に貯えておきなさい) 1158 0 0 1069 htmvoc_1158.wav アマミジカー ア⸢マミジカー [ʔa⸢mamiʤikaː] 名 真水の出る井戸。「真水井戸」の義。 パ⸢トゥマ⸣ナー ⸢インヌカー アンヌカー ウイヌカー パチンガカーヌ ユートンヌ⸣ ア⸢マミジカーヌ アッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʔinnukaː ʔannukaː ʔuinukaː⸣ pḁ⸢ʧiŋgakaːnu juːtonnu⸣ ʔa⸢mamiʤikaːnu ʔat⸣taŋ] (鳩間島には西の井戸、東の井戸、上の井戸、初の井戸の四箇所の真水の出る井戸があった)。鳩間島で利用されたほとんどの井戸はア⸢マミジカー[ʔa⸢mamiʤikaː](淡水の出る井戸)であるが、タ⸢チ⸣バル[ta⸢ʧi⸣baru](立原)の⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)の畑の側にあったサ⸢クラ⸣カー[sḁ⸢kura⸣kaː](塩辛い井戸)は塩分の多い水のでる小さな井戸であった。現在は埋められているという。 ⸢インヌカートゥ アンヌカーヤ⸣ ア⸢マミジ⸣ ヤ⸢ルヌ マー⸣ヌ ミ⸢ジル⸣ ア⸢マー⸣カヤー [⸢ʔinnukaːtu ʔannukaːja⸣ ʔa⸢mamiʤi⸣ ja⸢runu maː⸣nu mi⸢ʤiru⸣ ʔa⸢maː⸣kajaː] (西井戸と東井戸は淡水の出る井戸であるが、どこの水が甘いかなあ) 1177 0 0 1070 htmvoc_1177.wav アマミン ア⸢マミン [ʔa⸢mamiŋ] 名 健康な耳。乾いた、健康な耳。「甘耳」の義。ン⸢ガ⸣ミン[ʔŋ⸢ga⸣miŋ](苦耳、耳垂れの出る耳、耳漏)の対語。 ⸢ミン⸣ヌン サリー⸢ザリー⸣シティ ア⸢マミン⸣ナリ ⸢カイ⸣ヤン [⸢min⸣nun sariː⸢ʣariː⸣ʃiti ʔa⸢mamin⸣ nari ⸢kai⸣jaŋ] (耳も乾燥して<枯れ枯れとして>乾いた健康耳になり、きれいだ) 1178 0 0 1071 htmvoc_1178.wav アマムヌ ア⸢マムヌ [ʔa⸢mamunu] 名 甘い物。甘味のあるもの。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ター⸢ン⸣ ア⸢マムヌル⸣ プサ ⸢スー [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː taː⸢ŋ⸣ ʔa⸢mamunuru⸣ pu̥sa ⸢suː] (年をとったら誰でもで甘い物を欲しがる) 1159 0 0 1072 htmvoc_1159.wav アマムヨー ア⸢マ⸣ムヨー [ʔa⸢ma⸣mujoː] 名 雨模様。あまもよい。雨の降りそうな空模様。 シ⸢トゥム⸣テーラ ア⸢マ⸣ムヨー ⸢シー⸣ ブ⸢タンドゥ ウーアミ⸣ ナリ⸢ナーン⸣バンヨー [ʃi̥⸢tumu⸣teːra ʔa⸢ma⸣mujoː ⸢ʃiː⸣ bu⸢tandu ʔuːʔami⸣ nari⸢naːm⸣baɲjoː] (朝から雨模様だった<していた>が、大雨になってしまったわいな)。 ア⸢マ⸣ムヨー ⸢シーブバ⸣ ア⸢マシタ⸣ホー ⸢シー⸣ パ⸢ラバ⸣ドゥ ヤ⸢ル [ʔa⸢ma⸣mujoː ⸢ʃiːbuba⸣ ʔa⸢maʃi̥ta⸣hoː ⸢ʃiː⸣ pa⸢raba⸣du ja⸢ru] (雨模様しているので雨支度はして行った方がよい) 1160 0 0 1073 htmvoc_1160.wav アマムリ ア⸢マ⸣ムリ [ʔa⸢ma⸣muri] 名 雨漏り。 ⸢カーラ⸣ヌ ム⸢チヌ⸣ キシティル ア⸢マ⸣ムリ ⸢スー⸣サー [⸢kaːra⸣nu mu⸢ʧinu⸣ ki̥ʃitiru ʔa⸢ma⸣muri ⸢suː⸣saː] (瓦の漆喰が切れているので、雨漏りするよ)。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ⸣シンタヌ ピ⸢サー⸣ ア⸢マ⸣ムリ ⸢シース [ku⸢nu jaː⸣nu ⸣ʃintanu pi⸢saː⸣ ʔa⸢ma⸣muri ⸢ʃiːsu] (この家の後ろの屋根<屋根の後方斜面{EOS}後ろの平>は雨漏りするよ) 1181 0 0 1074 htmvoc_1181.wav アマユー ア⸢マユー [ʔa⸢majuː] 名 豊年。ア⸢マ-[ʔa⸢ma]は、ア⸢マイオー⸣ルン[ʔa⸢maioː⸣ruŋ](神が喜び祝福される)の「喜び舞う」の意。⸢ユー[⸢juː]は、「世、代、年」の意。全体で「豊年」の意味。対語は、ン⸢ガ⸣ユー[ŋ⸢ga⸣juː](苦世、凶年、凶作の年)。「あまよ」『おもろさうし』。 ア⸢マユー ニン⸣ガイ ⸢オー⸣ラ [ʔa⸢majuː niŋ⸣gai ⸢ʔoː⸣ra] (豊年を祈願しましょう<祈願なされましょう>) 1161 0 0 1075 htmvoc_1161.wav アマヨーン ア⸢マヨーン [ʔa⸢majoːŋ] 名 雨の降る夜の暗闇。雨夜の暗闇。 ア⸢マヨーン⸣ ナリ ⸢ミー⸣ヌ ⸣マイ ノー⸢ン⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔa⸢majoːn⸣ nari ⸢miː⸣nu ⸣mai noː⸢m⸣ mi⸢rara⸣nu] (雨の降る真っ暗闇になって、目の前は何にも見えない)。雨のために暗闇になること。「雨闇」の義。 ア⸢マヨーンヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣サー ⸢トゥー⸣ル ⸣シケーティ ア⸢ラン⸣カー ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔa⸢majoːnnu⸣ f⸢fa⸣saː ⸢tuː⸣ru ⸣ʃi̥keːti ʔa⸢raŋ⸣kaː ʔa⸢rakara⸣nu] (雨夜の闇の暗さはランプ<灯篭>を点けてでなければ歩くことができない) 1164 0 0 1076 htmvoc_1164.wav アマラスン ア⸢マラ⸣スン [ʔa⸢mara⸣suŋ] 他動 余す。余るようにする。 ムー⸢ル⸣ シゥ⸢カーンドー⸣シ ン⸢メーマ⸣ ア⸢マラ⸣シ [muː⸢ru⸣ si̥⸢kaːndoː⸣ʃi ʔm⸢meːma⸣ ʔa⸢mara⸣ʃi] (全部使わないで、少し余るようにしなさい<残しなさい>)。 ク⸢ヌ ジン⸣マー ア⸢マラサン⸣スコーニ ムー⸢ル⸣ シゥ⸢カイシティリ [ku⸢nu ʤim⸣maː ʔa⸢marasan⸣su̥koːni muː⸢ru sï̥⸢kaiʃitiri] (このお金は余すことのないように全部使いきりなさい) 1162 0 0 1077 htmvoc_1162.wav アマリ ア⸢マ⸣リ [ʔa⸢ma⸣ri] 名 余り。残り。余分。 イ⸢ゾー⸣ ムー⸢ル⸣ニ ⸢ミッカラナー パイティ⸣ ア⸢マ⸣レー ⸢カーシ⸣バ [ʔi⸢ʣoː⸣ muː⸢ru⸣ni ⸢mikkaranaː paiti⸣ ʔa⸢ma⸣reː ⸢kaːʃi⸣ba] (魚は皆に三匹ずつ配って余り<残余>は売りなさいよ)。 ア⸢マリ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サ ⸣バラサテー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢mari⸣nu ⸢was⸣sa ⸣barasateː ⸢naː⸣nu] (余るのが悪いということはない<諺>)。 ア⸢マ⸣レー ⸢ワー イー⸣リバ [ʔa⸢ma⸣reː ⸢waː ʔiː⸣riba] (余りは君がもらいなさい) 1163 0 0 1078 htmvoc_1163.wav アマリカジ ア⸢マリ⸣カジ [ʔa⸢mari⸣kaʤi] 名 「余り風」の義。不要な風。御しがたい風。悪霊。成仏できないで暗闇の中をさ迷い、人に危害を加えるといわれる悪霊。目には見えないが、総身に鳥肌がたつことによって、それに遭遇したことがわかるという。ヤ⸢ナ⸣カジ ア⸢マリ⸣カジ[ja⸢na⸣kaʤi ʔa⸢mari⸣kaʤi](悪い風、余り風)と対句で用いることが多い 1185 0 0 1079 htmvoc_1185.wav アマリプス ア⸢マリ⸣プス [ʔa⸢mari⸣pusu] 名 居候。いかず小母。昔は、出戻りなどで実家にいると、家族にとって余計な人とされていた。 ⸢バン⸣テナー ア⸢マリプスヌン⸣ドゥ ⸢ブー⸣ツォー ⸢イー⸣リ ッ⸢ふォー⸣ル プ⸢ソー オーラン⸣カヤー [⸢ban⸣tenaː ʔa⸢maripusunun⸣du ⸢buː⸣ʦoː ⸢ʔiː⸣ri f⸢foː⸣ru pu̥⸢soː ⸢ʔoːraŋ⸣kajaː] (我が家にはいかず小母がいるんです{EOS}貰って下さる人は居られないかねえ) 1186 0 0 1080 htmvoc_1186.wav アマリムニ ア⸢マリ⸣ムニ [ʔa⸢mari⸣muni] 名 余計なお喋り。余計な言葉。 ⸢ワー⸣ヨー、 ⸣ドゥク ア⸢マリムニ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー⸢ツォー⸣ フ⸢チェー⸣ チ⸢チシミリ [⸢waː⸣joː ⸣duku ʔa⸢marimuni⸣nu ⸢goː⸣raː⸢ʦoː⸣ ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʧi̥⸢ʧiʃimiri] (君はね、あんまりにも余計なお喋りが多すぎるのだよ{EOS}口は慎めよ) 1165 0 1 1081 htmvoc_1165.wav アマリムヌ ア⸢マリ⸣ムヌ [ʔa⸢mari⸣munu] 名 {Mn_1}余ったもの。余分の物。 ⸢マータキナー⸣ バキティ ア⸢マリムヌ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢ワー イー⸣リバ [⸢maːtakinaː⸣ bakiti ʔa⸢marimunu⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢waː ʔiː⸣riba] (同じ分量に分けて、余り物があれば君が貰いなさいよ)。 1165 0 2 1082 htmvoc_1165.wav アマリムヌ ア⸢マリ⸣ムヌ [ʔa⸢mari⸣munu] 名 {Mn_2}「余り者」の義。世間から爪弾きされた者。死者の霊が成仏できないで、さ迷って人に危害を及ぼすもの。対語は、ス⸢バヌ⸣ムヌ[su⸢banu⸣munu](側のもの)ともいう。 ⸢ソーラン⸣ヌ ⸣ピンマー ア⸢マリムヌ⸣ヌ ⸢アーキ⸣バ ミ⸢ジヌ⸣クー ⸢パン⸣キ [⸢soːran⸣nu ⸣pimmaː ʔa⸢marimunu⸣nu ⸢ʔaːki⸣ba mi⸢ʣinu⸣kuː ⸢paŋ⸣ki] (お盆の時には成仏できない霊<余りもの>が徘徊しているので、ミジヌクーを外に向かってはね飛ばしなさい<お布施を施せ>) 1166 0 0 1083 htmvoc_1166.wav アマルン ア⸢マ⸣ルン [ʔa⸢ma⸣ruŋ] 自動 余る。分量などが必要とする数量を越えて残りが出る。 ⸢ピーチ⸣ナー ク⸢バ⸣ルカー フ⸢ターチ⸣ ア⸢マ⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ア⸢マラン⸣バン [⸢piːʧi⸣naː ku⸢ba⸣rukaː ɸu̥⸢taːʧi⸣ ʔa⸢ma⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu ʔa⸢maram⸣baŋ] (一つずつ配ると二つ余ると思ったが、余らないよ)。 ウ⸢ビ⸣ナー ア⸢マ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣naː ʔa⸢ma⸣ri ⸢naː⸣nu] (こんなにも余ってしまった)。 ア⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (余ることはない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (もっと余れば良いのに)。 ⸢ピーチ⸣ナー ⸢パウ⸣カー ア⸢マ⸣ルン [⸢piːʧi⸣naː ⸢pau⸣kaː ʔa⸢ma⸣ruŋ] (一つずつ配ると余る)。 タ⸢ラーン⸣カヤーッティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ア⸢マ⸣ル ⸣スコー ア⸢リ⸣ブワー⸢ン⸣ノー [ta⸢raːŋ⸣kajaːtti ʔu⸢muːtan⸣du ʔa⸢ma⸣ru ⸣su̥koː ʔa⸢ri⸣buwaː⸢n⸣noː] (足りないかと思ったが余るほど有りおるではないか)。 ⸢ミーチナ パウ⸣カー ア⸢マラ⸣ヌ [⸢miːʧina pau⸣kaː ʔa⸢mara⸣nu] (三つずつ配ると余らない)。 ア⸢マ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣ri ⸢naː⸣nu] (余ってしまった)。 ア⸢マ⸣ル ⸣ムノー ア⸢ツァ⸣ミ [ʔa⸢ma⸣ru ⸣munoː ʔa⸢ʦa⸣mi] (余る物は集めよ) 1187 0 0 1084 htmvoc_1187.wav アマルン ア⸢マルン [ʔa⸢maruŋ] 自動 肉などが腐りかかる。食物などが腐敗にまでは至っていない状態。 ク⸢レー⸣ ア⸢マリ⸣ドゥ ブ⸢リン⸣ギサバ ⸣バー ッ⸢ふァーヌ [ku⸢reː⸣ ʔa⸢mari⸣du bu⸢riŋ⸣gisaba ⸣baː f⸢faːnu] (これは腐りかけていそうだから私は食べない) 1189 0 0 1085 htmvoc_1189.wav アマンガサ ア⸢マン⸣ガサ [ʔa⸢maŋ⸣gasa] 名 月にかかるかさ(暈<カサ>)。あまがさ。月の周囲に見える光の輪。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣シケー ア⸢マンガサ⸣ヌ カ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ヌ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカヤー [⸢kjuː⸣nu ⸣ʃikeː ʔa⸢maŋgasa⸣nu ka⸢ka⸣ri ⸢beː⸣nu ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkajaː] (今日の月には暈がかかっているが、雨が降るのかなあ) 108 0 0 1086 htmvoc_108.wav アマングイ ア⸢マン⸣グイ [ʔa⸢maŋ⸣gui] 名 雨乞い。旱魃が続くときア⸢マン⸣グイウタ[ʔa⸢maŋ⸣guiuta](雨乞い歌)を歌って降雨を神に祈願する祭祀。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)、ニ⸢シ⸣ドーウガン[ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ](西堂御嶽)、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢naiʔugaŋ](鬚川<ピナイ>御嶽)、ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽)の神々と⸣マイパマ[⸣maipama](前浜)の神々に対する祈願の神歌を歌って雨乞いをした。 ナ⸢チヌ ペーレーヌ⸣ シ⸢ジク⸣カー サ⸢カサンケー⸣ヤ ム⸢トゥ⸣ウガンナ スルイ⸢ヨー⸣リティ ア⸢マングイ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [na⸢ʧinu peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤiku⸣kaː sa⸢kasaŋkeː⸣ja mu⸢tu⸣ʔugannaː surui⸢joː⸣riti ʔa⸢mangui⸣nu ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (夏の旱が続くと司<神女>方が友利御嶽にお揃いになって雨乞いの祈願をなされた)。雨乞い歌。旱魃が続いて農作物に被害が出ると、島のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʣiri⸣biː](手摺り部{EOS}男性神職者)、それにヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人{EOS}祭祀係り)らが集まって協議し、サ⸢カサに⸢ピュール[⸢pjuːru](日和)を取ってもらって雨乞いの祭祀を実施した。友利御嶽で「雨乞い」の祈願をし、雨乞いの歌を歌って五箇所の御嶽を回り、井戸から汲んできた桶の水を道中柄杓で汲み、それを掛け合いながら歩いた。雨乞いの歌は神歌としてサカサやティジリビーだけに歌い継がれ、一般の人には知られていなかった。1960年ごろまでは一般の人に教えることを禁じられていた。「雨乞い歌」は、ナ⸢ガミ⸣ク[na⸢gami⸣ku](長め句)とハ⸢ヤミ⸣ク[ha⸢jami⸣ku](早め句)から構成されている。 ⸢ペーレイヌ⸣ シ⸢ジキティ⸣ ス⸢クリ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ サ⸢リナー⸣ヌ ⸢パイ⸣サ ア⸢マン⸣グイ ⸣ニンガイ ⸢ソーラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢peːreinu⸣ ʃi⸢ʤikiti⸣ su⸢kuri⸣munoː muː⸢ru⸣ sa⸢rinaː⸣nu ⸢pai⸣sa ʔa⸢maŋ⸣gui ⸣niŋgai ⸢soːraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (旱魃が続いて作物はみな枯れてしまった{EOS}早く雨乞いの祈願をなさらないといけません) 109 0 0 1087 htmvoc_109.wav アマングイウタ ア⸢マン⸣グイウタ [ʔa⸢maŋ⸣guiʔuta] 名 雨乞いの神歌。○トゥムルウガン(ナガミ)/ウブシクヌ マブルシュ アミブシャヌ/ウブトゥムル カミガナシ アミブシャヌ/ウマンチュヌ ニガイヤ アミブシャヌ/アカカラジヌ ニガイヤ アミブシャヌ/タンディトートゥ マブルシュ アミブシャヌ/ガラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/。○ハヤミク(雨乞い歌)/ウマンチュヌ ニガイヤヨー アカカラジヌ ニガイヤヨー ハーリ アミタボリリューガナシ/タンディトートゥ マブルシュヨー ガラクトートゥ カミガナシ ハーリ アミタボリリューガナシ/ユスヌカミガナシ キムピティチ ムスビョーリ ハーリアミタボリ リューガナシ/アジルカタ ネーナー オーリヨー ムディルカタ ネーナー オーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/パトゥマティル シマヤヨー バケナーネーヌ シマヤヨ ハーリアミタボリ リューガナシ/ウティミジヌ ママヤリヨー カキミジヌ ママヤリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウラダダイドーヌ ヤリヨーリ カンヤヌシ ヤリヨーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウフヤマトゥ ハズミヨーリヨー カンヤマトゥ ハズミヨーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニ ピキパラショーリヨー トゥパニピキ パラショーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウフウキナ クダリョーリヨー スイウキナー クダリョーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニ ピキパラショーリヨー トゥーパニ ピキパラショーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウフミヤク クダリョリヨー シマジリニ クダリョーリヨー ハーリアニタボリ リューガナシ/カンヤシキ フマルヌヨー ヌシヤシキ フマルヌヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニピキ パラショーリヨー トゥ―パニピキ パラショーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/タラマムラ オーラカラヨー ミンナムラ オーラカラヨー ハーリアミタタボリ リューガナシ/ヤイマシマ クダリヨーリヨー ウフイサナキ クダリヨーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/カンヤシキ フマルヌヨー ヌシヤシキフマルヌヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニ ピキパラショーリヨー トゥーパニ ピキパラショーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/タキドゥンヌ オーラカラヨー ナカダキヌ オーラカラヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/クルシマニ クダリヨーリヨー ヌバンバマ フナシキヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/カンヤシキ フマルヌヨー ヌシヤシキフマルヌヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニ ピキパラショーリ トゥーパニ ピキパラショーリ ハーリアミタボリ リューガナシ/バガパトゥマ クダリヨーリヨー フナバマニ フナシキヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/フナヤギサ イチヌマリ ギシャマシュヤ ハチヌマリ ハーリアミタボリ リューガナシ/カミヤシキ フミオーリヨー ヌシヤシキ フミオーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ミジヌフキ サシヒョーラヨー カヤヌフキ サシヒョーラヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヌバルティジ ヌキダキヨー ミジヌムトゥ ヤリオーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/バガパトゥマ ピキユシオーリヨー クリトゥムリ トゥリユシヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/イチブプリ タボラリヨー ニヌブプリ タボラリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウムルミジ タボラリヨー フダルミジ タボラリヨー ハーリアミタボリ リュガナシ/。○<ニシドーウガン>/クニムトゥヌ マブルシュ アミブシャヌ/ウヤムトゥヌ カミガナシ アミブシャヌ/ウマンチュヌ ニガイ アミブシャヌ/アカカラジヌ ニガイ アミブシャヌ/タンディトートゥ マブルシュ アミブシャヌ/アラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/。○<マイヌウガン、ピナイウガン>/ピナイバナ マブルシュ アミブシャヌ/カンバナヌ カミガナシ アミブシャヌ/ピナイサーラ ミジムトゥヌ アミブシャヌ/マイナショール マブルシュ アミブシャヌ/ウマンチュヌ ニガイ アミブシャヌ/タンディトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/アラクトートゥ マブルシュ アミブシャヌ/。○<アラカワウガン>/ウフイラカ カミガナシ アミブシャヌ/カミイラカ タケバル アミブシャヌ/ミジムトゥヌ マブルシュ アミブシャヌ/ウブガーラヌ シキフチ アミブシャヌ/ウムルミジ タラショーリ アミブシャヌ/フダルミジバ タボラリヨー アミブシャヌ/。○<マイパマヌ ウタ>/マイパマヌマブルシュ アミブシャヌ/ シルパマヌ カミガナシ アミブシャヌ/インスクヌ リューガナシ アミブシャヌ/テンシンマディ アガリヨーリ アミブシャヌ/。○<パマザキパマウタ>/ユニサキヌ マブルシュ アミブシャヌ/シラパマヌ カミガナシ アミブシャヌ/ウフガーラ シキフチ アミブシャヌ/。○<ハヤミブシ>/インスクヌ リューガナシヨー テンシマディ アガリヨーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/アンノーマヌ シマカラヨー クルミオール クルアミヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/シルクムバ アミナシヨー ヌリクムバ ミジナシヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/バガパトゥマ ピキユシオーリヨー/クリトゥムリ トゥリユシオーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ニカヌユヌ ユナカニヨー/ユサヌユヌ ユナカニヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ドールドールシ タボラリヨー/ザールザールシ タボラリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ムリムリヌ タウナルケー タウタウヌ イキナルケー ハーリアミタボリ リューガナシ/パマカヤバ ウシウルシヨー イソスリバ ピキウルシヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/マイヌトゥーヌ ヤノールケヨー インヌトゥーヌ ヤノールケヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウマンチュヌ イヌチヤヨー ウンカザドゥ イヌチヤル ハーリアミタボリ リューガナシ/マミカザヌ イヌチヤヨー ウティミジドゥ イヌチヤル ハーリアミタボリ リューガナシ/ウティミジヌ ネーナブリヨー カキミジヌネーナヲリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/マミカザン ナイドゥシユル ウンカザン ナイドゥシユヨー ハーリアミタボリ リューガナシ 1076 0 0 1088 htmvoc_1076.wav アマンベールン ア⸢マンベールン [ʔa⸢mambeːruŋ] 自動 甘くなる。甘ったるくなる。食物などが甘みをおびる。 サ⸢タ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーカー  ム⸢チェー⸣ ア⸢マベールン [sa⸢ta⸣nu ⸢goː⸣raːkaː mu⸢ʧeː⸣ ʔa⸢mambeːruŋ] (砂糖が多いと餅は甘ったるくなる)。 ク⸢ヌ ムチェー⸣ ア⸢マンベーリティ⸣ ン⸢マーナー⸣ヌ [ku⸢nu muʧeː⸣ ʔa⸢mambeːriti⸣ ʔm⸢maːnaː⸣nu] (この餅は甘みをおびていて美味しくない)。食物全体が異常に甘ったるくなる。 ⸢アンムチ⸣バ ッ⸢ふァイシギル⸣カー フ⸢チンマーラー⸣ ア⸢マンベーリティ⸣ ム⸢ヌパキッ⸣ツァー ナルン⸢ダー [⸢ʔammuʧi⸣ba f⸢faiʃigiru⸣kaː ɸu̥⸢ʧimmaːraː⸣ ʔa⸢mambeːriti⸣ mu⸢nupakit⸣ʦaː narun⸢daː] (餡餅を食べ過ぎると口の周りは甘ったるくなって、嘔吐しそうに<嘔吐したく>なる)。 ア⸢マンベールン⸣ティ ス⸢クタヌ⸣ ア⸢マンベーランワン⸣ノー [ʔa⸢mambeːrun⸣ti su̥⸢kutanu⸣ ʔa⸢mambeːraŋwan⸣noː] (甘ったるくなると聞いたが、甘ったるくならないではないか)。 イ⸢コーラ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ア⸢マンベール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢koːra⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ʔa⸢mambeːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (いくら食べても甘ったるくなることはない)。 ア⸢マンベーレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢mambeːreː⸣ misamunu] (甘ったるくなればいいのに) 1191 0 0 1089 htmvoc_1191.wav アミ ⸣アミ [⸣ʔami] 名 雨。「吾には告げず との曇り安米能布流<アメノフル>日を~。万、4011」の転訛したもの。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ] (雨が降る)。ア⸢ミ⸣ フーン[ʔa⸢mi⸣ ɸuːŋ](雨<が>降る)ともいう。 ⸣アメー ⸢ホー⸣ヌ [⸣ʔameː ⸢hoː⸣nu] (雨は降らない)。 ア⸢ミ⸣バ ⸢ホー⸣シ タ⸢ボー⸣リ [ʔa⸢mi⸣ba ⸢hoː⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (雨を降らしてください)。 アミ⸢カーニル⸣ フー [ʔami⸢kaːniru⸣ ɸuː] (雨だけ<ばかり>が降る)。 ⸣アミナー ⸢ゾッふァーリティ ヤーン⸣ナカー ⸢ペーリマー⸣キ ⸢ベー [⸣ʔaminaː ⸢ʣoffaːriti jaːn⸣nakaː ⸢peːrimaː⸣ki ⸢beː] (雨に降られて<濡れて>家の中に入りかねている) 1192 0 0 1090 htmvoc_1192.wav アミ ア⸢ミ [ʔa⸢mi] 名 あめ(飴)。飴玉。 ア⸢ミヌ⸣ アン [ʔa⸢minu⸣ ʔaŋ] (飴がある)。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ア⸢ミ ピーチ⸣ナー ッ⸢ふァーシ⸣バ [ja⸢ra⸣biŋkeŋ ʔa⸢mi piːʧi⸣naː f⸢faːʃi⸣ba] (子供たちに飴を一つずつ食べさせなさい) 1107 0 0 1091 htmvoc_1107.wav アミオシキ ア⸢ミオシ⸣キ [ʔa⸢mioʃi⸣ki] 名 雨天。「雨・天気」の義。 ク⸢ヌ⸣ シケー ア⸢ミオシキ⸣ヌ シ⸢ジキティ⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイサラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi̥keː ʔa⸢miʔoʃi̥ki⸣nu ʃi⸢ʤikiti⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kaisara⸣nu] (今月は雨天が続いて畑を耕すことが出来ない)。ア⸢ミフイオシ⸣キ[ʔa⸢miɸuiʔoʃi̥⸣ki](雨降り天気)ともいう。 ア⸢ミオシキ⸣ヌ シ⸢ジキン⸣ギササー [ʔa⸢miʔoʃiki⸣nu ʃi⸢ʤikiŋ⸣gisasaː] (雨天<雨降り天気>が続きそうだよ) 1194 0 0 1092 htmvoc_1194.wav アミガサ ア⸢ミ⸣ガサ [ʔa⸢mi⸣gasa] 名 あみがさ(編笠)。藺草で編んだ笠。芝居や舞踊の小道具として用いられるもの。 ア⸢ミガサ⸣バ ⸣カビ ⸣シラー カ⸢ク⸣シティ ⸢パッ⸣タ [ʔa⸢migasa⸣ba ⸣kabi ⸣ʃiraː kḁ⸢ku⸣ʃi̥ti ⸢pat⸣ta] (編笠を被り顔を隠して行った) 1111 0 0 1093 htmvoc_1111.wav アミカジ ア⸢ミ⸣カジ [ʔa⸢mi⸣kaʤi] 名 風雨。雨と風。雨につれて吹く風。「雨風(あめかぜ)」の義。 ⸣カイブ ア⸢ミカジ⸣ヌ ナ⸢カー⸣ラ ⸢ヌー⸣シ ⸢シー⸣ キ⸢ラリ⸣ター [⸣kaibu ʔa⸢mikaʤi⸣nu na⸢kaː⸣ra ⸢nuː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ki⸢rari⸣taː] (こんな風雨の中をどうやって来れたのか<来られたか>)。 ア⸢ミカジ⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ʔa⸢mikaʤi⸣nu ⸢suːwa⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (風雨が強くてどうにもならない{EOS}<風に向かって出て行くことが出来ない>)。 ア⸢ミカジ⸣ヌ ⸢スー⸣ワティ ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ʔa⸢mikaʤi⸣nu ⸢suː⸣wati ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (雨風が強くて船は出せない) 1196 0 0 1094 htmvoc_1196.wav アミカビ ア⸢ミカビ [ʔa⸢mikabi] 副 押し被さってくるさま。伸し掛かるさま。 ウ⸢スマ⸣サール シ⸢グトゥヌ⸣ ア⸢ミカビ⸣キー ⸢デー⸣ジ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔu⸢suma⸣saːru ʃi⸢gutunu⸣ ʔa⸢mikabi⸣kiː ⸢deː⸣ʤi ⸢ʃiːnaː⸣nu] (おそろしく大変な仕事が伸し掛かってきて大変なことになってしまった) 114 0 0 1095 htmvoc_114.wav アミカブン ア⸢ミカブン [ʔa⸢mikabuŋ] 自動 水を頭から浴びるように他人が怒鳴り込む。ひどい剣幕で襲い掛かるように怒鳴り込む。 ク⸢ビッチン⸣ ヌ クトシン プ⸢スンナー⸣ニ ア⸢ミカブン [ku⸢bitʧin⸣nu ku̥tuʃim pu̥⸢sunnaː⸣ni ʔa⸢mikabuŋ] (これぽっちのことでも人に怒鳴り込む)。他人が伸し掛かってくる。他人が恐ろしい剣幕でなじってくる。強く問責してくる。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ク⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトゥシン ア⸢ミカビ⸣クンダー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ku⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥tuʃiŋ ʔa⸢mikabi⸣kundaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (その人はこれぽっちのことでも激しくなじってくるから気をつけなさいよ)。 ア⸢ミカブ⸣ クトー ア⸢ミカブンドゥ⸣ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カス⸣カー ア⸢ミカバヌ [ʔa⸢mikabu⸣ ku̥toː ʔa⸢mikabundu⸣ pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢kasu⸣kaː ʔa⸢mikabanu] (激しく伸し掛かることは伸し掛かってくるが、話して聞かせると伸し掛からない)。 ア⸢ミカベー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢mikabeː⸣ misamunu] (厳しくなじれば良いのに)。 ア⸢ミカビ⸣バ [ʔa⸢mikabi⸣ba] (伸し掛かれ) 97 0 0 1096 htmvoc_97.wav アミグマリ ア⸢ミグマ⸣リ [ʔa⸢miguma⸣ri] 名 雨籠もり。長雨のために仕事が出来ない状態。ア⸢ミマー⸣チ[ʔa⸢mimaː⸣ʧi](雨が止むのを待つ{EOS}雨宿り)ともいう。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ナーフイ シティ⸣ ア⸢ミグマ⸣リ ⸢シーベー [ʔa⸢mi⸣nu ⸢naːɸui ʃiti⸣ ʔa⸢miguma⸣ri ⸢ʃiːbeː] (雨が長く降って<長降りして>雨籠もりをしている) 1171 0 0 1097 htmvoc_1171.wav アミグル ア⸢ミ⸣グル [ʔa⸢mi⸣guru] 名 雨雲。 ッふォーッ⸢ふォーヌ⸣ ア⸢ミグル⸣ヌ マナ⸢マンチン ユーシ⸣キー ウ⸢ブアミ⸣ヌ タ⸢タッ⸣キ ⸣フイケーン [ffoːf⸢foːnu⸣ ʔa⸢miguru⸣nu mana⸢manʧiɲ juːʃi⸣kiː ʔu⸢buami⸣nu tḁ⸢tak⸣ki ⸣ɸuikeːŋ] (真っ黒の<黒々の>雲が急に寄せてきて大雨が叩きつけて降ってきた) 99 0 0 1098 htmvoc_99.wav アミシジ ア⸢ミ⸣シジ [ʔa⸢mi⸣ʃiji] 名 雨粒。 ア⸢ミシジ⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤン [ʔa⸢miʃidʒi⸣nu ⸢mai⸣jaŋ] (雨粒が大きい)。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣アメー ⸣ヌーティ ⸢スー⸣ アミ ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢ミ⸣シジーン ク⸢ビ⸣ナー ⸣アリティ タ⸢タキシティ⸣ルン ⸣カタチニル フー⸢ツォー [⸢kjuː⸣nu ⸣ʔameː ⸣nuːti ⸢suː⸣ ʔami ja⸢ru⸣juː ʔa⸢mi⸣ʃiʤiːŋ ku⸢bi⸣naː ⸣ʔariti tḁ⸢takiʃiti⸣ruŋ ⸣kḁtaʧini ɸuː⸢ʦoː] (今日の雨は何という雨だろうか{EOS}雨粒もこんなに大きくて<あって>、叩きつけるように<叩き捨てるように>降るんだよ) 1141 0 0 1099 htmvoc_1141.wav アミシジキ ア⸢ミシジ⸣キ [ʔa⸢miʃiʤi⸣ki] 名 雨続き。 ア⸢ミシジキ⸣ヌ ⸣アトゥ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢トゥレー⸣ヌ パ⸢タ⸣ケー ⸢ペーララ⸣ヌ [ʔa⸢miʃiʤiki⸣nu ⸣ʔatu ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢tureː⸣nu pa⸢ta⸣keː ⸢peːrara⸣nu] (雨続きの後だから、畑地がぬかるんで<ビチャビチャぬかるんで>畑には入れない)。 ⸢トゥッカナー⸣ ア⸢ミチジキ⸣ヌ ⸢スー⸣カー シ⸢グトゥン⸣ シ⸢ララヌ [⸢tukkanaː⸣ ʔa⸢miʧiʤiki⸣nu ⸢suː⸣kaː ʃi⸢gutuŋ⸣ ʃi⸢raranu] (十日も雨続きがすると、仕事もできない) 1127 0 0 1100 htmvoc_1127.wav アミシタフ ア⸢ミシタ⸣フ [ʔa⸢miʃita⸣ɸu] 名 雨支度。雨に濡れないための支度。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ユネンガターラ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギサバ ア⸢ミシタ⸣フ ⸢シー⸣ パリ⸢ヨー [⸢kjuː⸣ja ⸣juneŋgataːra ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisaba ʔa⸢miʃita⸣ɸu ⸢ʃiː⸣ pari⸢joː] (今日は夕方から雨が降りそうだから雨支度をして行きなさいよ) 1201 0 0 1101 htmvoc_1201.wav アミダプトゥキ ア⸢ミダプトゥ⸣キ [ʔa⸢midaputu⸣ki] 名 阿弥陀仏。⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)に歌って親に孝養を尽くす⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](無蔵<無常>念仏歌)の中で歌われている仏。○シ⸢ザ⸣ヌ ⸣クイ(兄の声<歌>)/ナムアミダブチ ヨー アミダプトゥキ(南無阿弥陀仏 ヨー 阿弥陀仏)/イマジヨーヌ サンナル シキダイス(今十三歳になる年月です)/アヌヤマティラニ ヨー マイラシバ(あの山寺に ヨー 参ると)/アヌヤマティラニ ヨー マイラサヌ(あの山寺に ヨー 参詣できない)/フンヌヨー アワリヌミチヤリバ(誠に ヨー 哀れな<無常な>道であるから)/ニシカインカユティ キョーモンバユミ(西方へ向かって経文を読み)/ヒガシニンカユティ キョームンバカキ(東に向かって経文を書き<写経し>)/ユムタル キョームンヤ ウヤヌタミ(読んだ経文は父親のため)/カキタル キョームンヤ ハハヌタミ(書いた<写経した>経文は母のため)/ウキトゥリタマワリ ヨー チチヌウヤ(受け取ってください ヨー 父の親)/ウキサシタマワリ ヨー ハハヌウヤ(受け取ってください ヨー 母の親)/ナムアミダブチヨー ウクリンデームヌ(南無阿弥陀仏 ヨー 供養でありますから)。○ウシトゥヌクイ(弟の声<歌>)/ワリンダカ ユニンナル イヤシングヮヌ(頭数<兄弟>四人いる中で 貧乏な子が)/ムチュタルタカラヤ ネーナヤブリ(持てる宝<お金>は無くて)/ムチュタルタカラヤ アリバクリ(持てる宝があればこそ)/スリトゥム ヨー ウヤニヨー マイラサヌ(それでも親に参らさむ<親の仏前に参上しよう>)/ソーローユーヤ イチガユーティ タジナリバ(精霊会の夜はいつの日かと尋ねると)/ソーローユーヤ シチガチヌ ナカヌソロー(お盆の日は七月の中旬のお盆)/ナチカシ ナチングヮチヌ ナカヌソーロー(懐かしい夏の月の中<中旬>のお盆)/ナチカシ ナチングヮチヌ ナチヌヤマ(懐かしい夏の月の夏の山の)/キーヌナル パチパチバ トゥリカザリ(木の実の初生り物を取り供えて)/ナリキーヌ シナジナバ トゥリカザリ(実のなる木々<生り木>の種々を取り供えて)/ムスビティウヤニ ヨー マイラシバ(結んで親の仏前に参ると)/スリトゥムウヤヌ タミドゥナル(それだけでも親のためになる)/ウキトゥリタマワリ ヨー チチヌウヤ(受け取ってください ヨー 父の親)/ウキサシタマワリヨー ハハヌウヤ(受け取ってください ヨー 母の親)/ナムアミダブチ ヨー ウクリンデームヌ(南無阿弥陀仏 ヨー 孝養の饗饌でありますから)/ウーギヌスラ ウリナスビ キザンムヌ(甘蔗の茎、瓜、茄子を刻んだもの)/シースイヌ ウハンギヌ ミジスイティ(メドハギ<蓍萩・マヤーブー>で撥ねる水を添えて)/イキョーヌ ハナガレヌ ミジスイティ(易行の花殻の水を添えて)/ヌクタル サーミジヤ クバスユカ(残った茶水は零すより)/フカヤーヌ ソーロソーローヌ タミドゥナル(あの世<霊界・墓>の精霊のためになる)/ソーンソーン ユムタルキョームンヤ ウヤヌ タミドゥナル(そもそも読んだ経文は親のためになる)/ 1202 0 0 1102 htmvoc_1202.wav アミダマ ア⸢ミダマ [ʔa⸢midama] 名 飴玉。砂糖を煮詰めて球形、菱形等に作った菓子。戦後は鳩間島にも小売店ができて、飴玉等の駄菓子類が売られるようになった。広口のガラス瓶に、赤、白、黄色などのカラフルな菓子が詰まっていて、それを買ってもらうのが子供にとって楽しみであった。 イ⸢サナケーラヌ⸣ シトー ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ミダマバル カイヨーッ⸣タ [ʔi⸢sanakeːranu⸣ ʃi̥toː jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢midamabaru kaijoːt⸣ta] (石垣からのお土産<つと{EOS}苞>は、必ず飴玉を買われた) 100 0 0 1103 htmvoc_100.wav アミチヂキ ア⸢ミチヂ⸣キ [ʔa⸢miʧidʒi⸣ki] 名 雨続き。雨天が続くこと。ア⸢ミシジ⸣キ[ʔa⸢miʃid Zi⸣ki]ともいう。 ユ⸢ドゥン⸣ヌ ⸣シチ ナ⸢ル⸣ター ア⸢ミチジ⸣キ ⸢シー⸣ シ⸢グトゥン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ju⸢dun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi na⸢ru⸣taː ʔa⸢miʧidʒi⸣ki ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢gutun⸣ na⸢ra⸣nu] (梅雨の季節になったので、雨続きして仕事も出来ない) 94 0 0 1104 htmvoc_94.wav アミツァ ⸣アミツァ [⸣ʔamiʦa] 名 (動)ヤドカリ。⸣アマンツァ[ʔamanʦa]ともいう。 ⸣アミツァヌ フ⸢ルバ ムン⸣ダニ シ⸢ティ⸣ イ⸢ズ ホースン [ʔamiʦanu ɸu⸢ruba mu⸣ndani ʃi̥⸢ti⸣ ʔi⸢ʣu hoː⸣suŋ] (ヤドカリの胴体を餌さにして魚を釣る)。 ⸣アミツァヌ グ⸢ル [⸣ʔamiʦanu gu⸢ru] (アドカリの殻、転じて男児の頭髪を刈りそこねたものにいう) 1199 0 1 1105 htmvoc_1199.wav アミツァ ⸣アミツァ [ʔamiʦa] 名 {Mn_1}(動)和名、ヤドカリ(宿借り)。巻貝の空殻にはいっていて成長するに伴い空殻を取り替える。陸上に棲息するものと、海中に棲息するものがいるが、魚の餌に利用されるものとしては陸上のヤドカリの方が最適である。餌の食いつきがよい。若年層では、⸣アミンツァ[⸣ʔaminʦa](ヤドカリ)ともいう。 ⸣アミツァ プ⸢サイティ⸣ ム⸢チイズ ホー⸣シン ⸣パラ ⸢ディー [⸣ʔamiʦa pu̥⸢saiti⸣ mu⸢ʧiiʣu hoː⸣ʃim ⸣para ⸢diː] (ヤドカリを拾ってム⸢チイズ<ノコギリダイ>を釣りに行こうよ)。 1199 0 2 1106 htmvoc_1199.wav アミツァ ⸣アミツァ [ʔamiʦa] 名 {Mn_2}あちこち歩き回って、落ち着きのない者。 ウ⸢レー⸣ アミツァトゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ プ⸢ス⸣カタナ トゥ⸢クットゥ⸣シ ブ⸢リユーサヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔamiʦatu ju⸢nu⸣munu pu̥⸢su⸣katanaː tu̥⸢kuttu⸣ʃi bu⸢rijuːsanu] (彼はヤドカリと同じで、一箇所に落ち着いていることが出来ない) 1200 0 0 1107 htmvoc_1200.wav アミツァヌグル ⸣アミツァヌ グ⸢ル [⸣ʔamiʦanu gu⸢ru] 連 ヤドカリの殻。転じて「虎刈り」の意。鋏で頭髪刈り、散髪した髪の高低が揃わない形状を揶揄して言う場合に用いる。 ⸢ワー⸣ ガ⸢マ⸣ジェー ⸣アミツァヌ グ⸢ル⸣ ナリ ⸢ベー [⸢waː⸣ ga⸢ma⸣ʤeː ⸣ʔamiʦanu gu⸢ru⸣ nari ⸢beː] (君の髪の毛はヤドカリの殻<ヤドカリの食い残し{EOS}虎刈り>になっているよ) 95 0 0 1108 htmvoc_95.wav アミツァパーシ ⸣アミツァ ⸢パー⸣シ [⸣ʔamiʦa ⸢paː⸣ʃi] 名 ヤドカリ這わせ遊び。 ⸢キーヌ⸣ユダナ アミツァ ⸢パー⸣シ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [⸢kiːnu⸣ judana ʔmiʦa ⸢paː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (木の枝にヤドカリを這わせてする遊びをして遊んだものだ) 1203 0 0 1109 htmvoc_1203.wav アミドゥシ ア⸢ミ⸣ドゥシ [ʔa⸢mi⸣duʃi] 名 雨の多い年。降雨の多い年。「雨年」の義。 ア⸢ミドゥ⸣シ ン⸢カイシミ⸣ ユ⸢ガフ⸣ マ⸢ラシミ⸣ タ⸢ボー⸣リティル ⸣ニガイ ッ⸢サリル⸣ユー [ʔa⸢midu⸣ʃi ʔŋ⸢kaiʃimi⸣ ju⸢gaɸu⸣ ma⸢raʃimi⸣ ta⸢boː⸣ritiru ⸣nigai s⸢sariru⸣juː] (降雨の多い年を迎えさせ、豊年満作<世果報>の年を誕生させてくださいと祈願し申し上げます) 1204 0 0 1110 htmvoc_1204.wav アミニンガイ ア⸢ミニン⸣ガイ [ʔa⸢miniŋ⸣gai] 名 雨願い。降雨の祈願。農作物の順調な育成に必要な十日越しの夜雨の降雨を祈願する祭祀。この祭祀は、⸢ニンガチニン⸣ガイ[⸢ningaʧiniŋ⸣gai](二月願い)で行われた。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ニンガチニン⸣ガイナール ア⸢ミニンガイ⸣ユン ⸢ソーッ⸣タ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢niŋgaʧiniŋ⸣gainaːru ʔa⸢miniŋgai⸣jun ⸢soːt⸣ta⸢daː] (昔は二月願いの祭祀において雨願いの祈願もなされたものだよ) 101 0 0 1111 htmvoc_101.wav アミヌカタカ ア⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ [ʔa⸢mi⸣nu ka⸢ta⸣ka] 連 あまよけ。雨覆い。雨に濡れるのを防ぐための覆い。雨の防護壁。トゥ⸢マー[tu⸢maː](茅を編んで作った苫)などをかけて覆い、雨に濡れるのを防ぐもの。 ノー⸢ンナ⸣カシー ア⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ ス⸢ク⸣リバ [⸣noː⸢nna⸣kaʃi ʔa⸢mi⸣nu kḁ⸢ta⸣ka su̥⸢ku⸣riba] (何かで雨よけを作りなさいよ) 1167 0 0 1112 htmvoc_1167.wav アミパラシ ア⸢ミパラ⸣シ [ʔa⸢mipara⸣ʃi] 名 雨宿り。「雨晴らし」の義。 ⸣クナーティ ⸢イットゥ⸣キ ア⸢ミパラ⸣シ シ⸢ティ⸣ パリバ [⸣kunaːti ⸢ʔittu⸣ki ʔa⸢mipara⸣ʃi ʃi̥⸢ti⸣ pariba] (ここでちょっと<いっとき>雨宿り<雨晴らし>して行きなさいよ) 1168 0 0 1113 htmvoc_1168.wav アミパリ ア⸢ミ⸣パリ [ʔa⸢mi⸣pari] 名 雨上がり。雨晴れ。雨が止んで空が晴れること。 ア⸢ミ⸣パリ ⸢シェーツバ⸣ マ⸢ナマン⸣チンナー パ⸢ルバ⸣ル マ⸢シ [ʔa⸢mi⸣pari ⸢ʃeːʦuba⸣ ma⸢naman⸣ʧinnaː pa⸢ruba⸣ru ma⸢ʃi] (雨上がりしたので今のうちに行くのがよい) 102 0 0 1114 htmvoc_102.wav アミフイ ア⸢ミ⸣フイ [ʔa⸢mi⸣ɸui] 名 雨降り。雨続き。 ⸣カイブ ア⸢ミ⸣フイナー ⸣マナール パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣ス プ⸢スヌ ブーワ [⸣kaibu ʔa⸢mi⸣ɸuinaː ⸣manaːru pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣su pu̥⸢sunu buːwa] (こんな雨降りに、どこに畑を耕す人がいるものか)。 ア⸢ミフイ⸣ヌ シ⸢ジキティ⸣ ッ⸢サークン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢miɸui⸣nu ʃi⸢ʤikiti⸣ s⸢saːkun⸣ na⸢ra⸣nu] (雨降りが続いて仕事も出来ない)。 ア⸢ミフイ⸣ヌ シ⸢ジクター⸣ シ⸢トゥレー⸣ヌ パ⸢タ⸣ケー ⸢ペーララ⸣ヌ [ʔa⸢miɸui⸣nu ʃi⸢ʤikutaː⸣ ʃi̥⸢tureː⸣nu pḁ⸢ta⸣keː ⸢peːrara⸣nu] (雨降りが続いたので土が粘っこくなって畑に入れない)。シ⸢トゥ⸣レーン[ʃi̥⸢tu⸣reːŋ]参照 1173 0 0 1115 htmvoc_1173.wav アミフイカザ ア⸢ミフイ⸣カザ [ʔa⸢miɸui⸣kaʣa] 名 (植)ノアサガオ。「雨降り蔓」の義。 ピ⸢ビザー ナン⸣ゾー ア⸢ミフイ⸣カザー ッ⸢ふァーンセン [pi⸢biʣaː nan⸣ʣoː ʔa⸢miɸui⸣kaʣaː f⸢faːŋʃeŋ] (山羊はノアサガオをあまり食べなかった) 1209 0 0 1116 htmvoc_1209.wav アミフイシタフ ア⸢ミフイシタ⸣フ [ʔa⸢miɸuiʃi̥ta⸣ɸu] 名 あまじたく(雨支度)。外出の際に雨に濡れない用意をすること。雨具の用意をすること。⸢雨降り支度」の義。 プ⸢スマー⸣ラー ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギサバ ア⸢ミフイシタ⸣フ シ⸢ティ⸣ パリ⸢ヨー [pu̥⸢sumaː⸣raː ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisaba ʔa⸢miɸuiʃi̥ta⸣ɸu ʃi̥⸢ti⸣ pari⸢joː] (正午からは雨が降りそうだから雨支度<雨具の用意>をして行きなさいよ) 103 0 0 1117 htmvoc_103.wav アミボーサ ア⸢ミボー⸣サ [ʔa⸢miboː⸣sa] 名 雨宿り。 ⸢アッ⸣タニ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フータ⸣ル ア⸢ミボー⸣サ ス⸢ンティ⸣ ア⸢マ⸣ダラナー カ⸢ク⸣リ ⸢ベー⸠ダー [⸢ʔat⸣tani ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuːta⸣ru ʔa⸢miboː⸣sa ⸢sunti⸣ ʔa⸢ma⸣daranaː kḁ⸢ku⸣ri ⸢beː⸠daː] (急に雨が降ったので雨宿りをしようとして軒下に隠れているのだよ) 98 0 0 1118 htmvoc_98.wav アミマーチ ア⸢ミマー⸣チ [ʔa⸢mimaː⸣ʧi] 名 雨宿り。雨が降り止むのを待つこと。 マーン⸢ベーマ⸣ ア⸢ミマー⸣チ シ⸢ティ⸣ パリバ [maːm⸢beːma⸣ ʔa⸢mimaː⸣ʧi ʃi̥⸢ti⸣ pariba] (もう少し雨宿りをしてからいきなさい)。「雨待ち」の転訛か。 ア⸢マ⸣ダラナー ナー⸢イ⸣ ア⸢ミマー⸣チ シーベー [ʔa⸢ma⸣daranaː naː⸢i⸣ʔa⸢mimaː⸣ʧi ⸢ʃiːbeː] (軒下でじっと雨宿りをしている) 1205 0 0 1119 htmvoc_1205.wav アミムヌ ア⸢ミ⸣ムヌ [ʔa⸢mi⸣munu] 名 編み物。 ア⸢ミ⸣ムヌ ⸢シーシェー⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢タン [ʔa⸢mi⸣munu ⸢ʃiːʃeː⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢taŋ] (編み物をすることの出来る<し得る>人もいた)。 ア⸢ミムヌ⸣ヌ フ⸢ミ⸣カター イ⸢サンケーラル⸣ ケー⸢ナー [ʔa⸢mimunu⸣nu ɸu⸢mi⸣kataː ʔi⸢saŋkeːra⸣ru keː⸢naː] (編み物の編み方は石垣島から伝えられてきたのだねえ) 104 0 0 1120 htmvoc_104.wav アミムヨー ア⸢ミ⸣ムヨー [ʔa⸢mi⸣mujoː] 名 雨模様。あまもよい。雨が降りそうな空の様子。 ⸢オーシケー⸣ ア⸢ミ⸣ムヨー ⸢シーブンダ⸣ プ⸢シ⸣ムノー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ʔa⸢mi⸣mujoː ⸢ʃiːbunda⸣ pu̥⸢ʃi⸣munoː na⸢ra⸣nu] (天気は雨模様をしているから、干し物は出来ない) 106 0 0 1121 htmvoc_106.wav アミルン ア⸢ミルン [ʔa⸢miruŋ] 他動 浴びる。湯や水などをかぶる。体にかける。 ⸢ビールバ⸣ ア⸢ミルン⸣ケン ヌミ⸢ミッ⸣タン [⸢biːruba⸣ ʔa⸢miruŋ⸣ken numi⸢mit⸣taŋ] (ビールを浴びるほど飲んでみた)。 ⸢ワー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢ユー⸣フル ア⸢ミルナ⸠ヨー [⸢waː⸣ ma⸢na⸣ma ⸢juː⸣huru ʔa⸢miruna⸠joː] (君は今、風呂を浴びるなよ)。 ⸣クナーティ ア⸢ミリ⸣バ [⸣kunaːti ʔa⸢miri⸣ba] (ここで風呂を浴びなさい<入浴しなさい>)。 ア⸢ミラヌ [ʔa⸢miranu] (浴びない)。 ⸢ユー⸣フル ア⸢ミル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢juː⸣ɸuru ʔa⸢miru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (風呂に入る<風呂を浴びる>人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ミレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢mireː⸣ misamunu] (もっと浴びれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ミリ [jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢miri] (必ず浴びよ)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢ミルンティ スンドゥ⸣ ア⸢ミララヌ [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢mirunti sundu⸣ ʔa⸢miraranu] (水を浴びようとするが、浴びられない)。 ア⸢ミル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌヌ ア⸢ミ⸣ プサカー ア⸢ミ⸣バ [ʔa⸢miru⸣ kutoː na⸢ra⸣nunu ʔa⸢mi⸣ pu̥sakaː ʔa⸢mi⸣ba] (浴びることは出来ないが、浴びたければ浴びなさいよ)。 ア⸢ミレー⸣ <ア⸢メー⸣> ミサムヌ [ʔa⸢mireː⸣ misamunu] (浴びればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ミリ [⸢paː⸣ku ʔa⸢miri] (早く浴びよ) 110 0 0 1122 htmvoc_110.wav アミンシタッカリン ⸣アミン シ⸢タッカ⸣リン [⸣ʔamiŋ ʃi̥⸢tak⸣kariŋ] 連 大雨に濡れる。ずぶ濡れになる。びしょ濡れになる。「雨に打たれる」の義。 ⸣アミンシ⸢タッカ⸣リティ ダッ⸢カティ ゾーリナー⸣ヌ [⸣ʔamiŋ ʃi̥⸢takka⸣riti dak⸢kati ʣoːrinaː⸣nu] (雨に打たれてびっしょ濡れになってしまった) 1213 0 0 1123 htmvoc_1213.wav アムサムイサン ア⸢ム⸣サムイサン [ʔa⸢mu⸣samuisaŋ] 形 よく頭痛がする。よく気分が悪くなる。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ア⸢ム⸣サムイサンドゥ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [du⸢ku⸣nu ʔa⸢mu⸣samuisandu noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (あまりにも頻繁に頭痛がするので何にも出来ない)。 ⸣ドゥク ア⸢ム⸣サムイサー サ⸢ヌヌ⸣ ウ⸢キグリサ⸣ル <ウ⸢キングリサ⸣ル> ⸣アルティバーヤ [⸣duku ʔa⸢mu⸣samuisaː sa⸢nunu⸣ ʔu⸢kigurisa⸣ru <ʔu⸢kiŋgurisa⸣ru> ⸣ʔarutibaːja] (あまり頭痛はしないが、起き辛いんだよ)。 ⸣アイニ ア⸢ム⸣サムイサー⸢スー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ʔa⸢mu⸣samuisaː⸢suː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのようによく頭痛のおこる人は他にいない) 1206 0 1 1124 htmvoc_1206.wav アムサン ア⸢ム⸣サン [ʔa⸢mu⸣saŋ] 形 {Mn_1}気分が悪い。頭が重く気分が優れない。 ⸢キュー⸣ヤ ア⸢ムサ⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ナラヌ [⸢kjuː⸣ja ʔa⸢musa⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (今日は気分が悪く仕事は出来ない)。 ア⸢ム⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢mu⸣saː ⸢naː⸣nu] (気分は悪くない)。 ア⸢ムサ⸣ヌ ウ⸢キララ⸣ヌ [ʔa⸢musa⸣nu ʔu⸢kirara⸣nu] (頭が重く、頭痛がして起きられない)。 ア⸢ム⸣サンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ア⸢ムサナーン⸣ツォー [ʔa⸢mu⸣saŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʔa⸢musanaːn⸣ʦoː] (頭痛がして気分が悪いかと思ったが、気分悪くないそうだ)。 ア⸢ム⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢mu⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (気分の悪いことはない)。 ア⸢ム⸣サカー ニ⸢ビ⸣バ [ʔa⸢mu⸣sakaː ni⸢bi⸣ba] (気分が悪かったら寝なさい)。 1206 0 2 1125 htmvoc_1206.wav アムサン ア⸢ム⸣サン [ʔa⸢mu⸣saŋ] 形 {Mn_2}頭が痛い。心痛である。 ヤ⸢ミプス⸣ヌ ⸢ソートゥ ジン⸣ヌ ⸢ソーバ シー⸣ ア⸢ムサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢mipu̥su⸣nu ⸢soːtu ʤin⸣nu ⸢soːba ʃiː⸣ ʔa⸢musa⸣nu na⸢ra⸣nu] (病人の心配とお金の心配で頭が痛くて堪らない) 1207 0 0 1126 htmvoc_1207.wav アムヌ ア⸢ム⸣ヌ [ʔa⸢mu⸣nu] 名 茅葺家の甍を覆い被せる竹簾。「編み物」の義。歌謡語。茅の甍が飛散しないようにア⸢ム⸣ヌ(竹簾)を被せ、黒い棕櫚縄をマーリザ(竹矛)に掛けて引き締め、固定させた。 ダ⸢ディ⸣クダキバ ア⸢ムヌ⸣バ ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー [da⸢di⸣kudakiba ʔa⸢munu⸣ba ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (ダディク山産のダディク竹を簾にして甍を被せ、家を作ってあるという)(「鳩間島古謡の一つ・新室寿歌『アーパーレー』について」{EOS}『沖縄文化 26・27』) 1215 0 0 1127 htmvoc_1215.wav アムリバナ ア⸢ムリ⸣バナ [ʔa⸢muri⸣bana] 名 醸造した泡盛酒が泡を盛り上げる時。フ⸢カイ⸣バナ[ɸu̥⸢kai⸣bana](発酵する時)の対語として用いられる。古典民謡「鳩間中岡」に歌いこまれている 107 0 0 1128 htmvoc_107.wav アムン ア⸢ムン [ʔa⸢muŋ] 他動 ア⸢ミルン[ʔa⸢miruŋ](浴びる)と同義。 ⸢ピーリ⸣ミジ ア⸢ミティ⸣ ドゥー ⸢ピー⸣ラシ [⸢piːri⸣midʒi ʔa⸢miti⸣ duː ⸢piːra⸣ʃi] (冷水を浴びて体を冷やしなさい)。 ⸢ワー⸣ ア⸢ム⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢ムン [⸢waː⸣ ʔa⸢mu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢muŋ] (君が浴びたら私も浴びる)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢ム プスヌ⸣ ブ⸢ラーンバ ワー⸣ラ ⸢パイ⸣サ ア⸢ミ⸣バ [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢mu pu̥sunu⸣ bu⸢raːmba waː⸣ra ⸢pai⸣sa ʔa⸢mi⸣ba] (水を浴びる人がいないから、君から早く浴びなさい)。 ⸢ワンヌン⸣ ア⸢メー⸣ ミサムヌ [⸢wannuŋ⸣ ʔa⸢meː⸣ misamunu] (君も浴びたら<浴びれば>いいのに)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢ムンティ スンドゥ⸣ ア⸢マラヌ [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢munti sundu⸣ ʔa⸢maranu] (水を浴びようとするが、浴びられない)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢ミ⸣ プサカー ⸣クナーティ ア⸢ム⸣ クトー ⸣ナルン [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢mi⸣ pu̥sakaː ⸣kunaːti ʔa⸢mu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (水を浴びたければ、ここで浴びることは出来る)。 ア⸢メー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢meː⸣ misamunu] (浴びればいいのに)。 ア⸢ミ⸣バ [ʔa⸢mi⸣ba] (浴びよ) 1216 0 0 1129 htmvoc_1216.wav アムン ⸣アムン [⸣ʔamuŋ] 他動 編む。標準語からの借用語の転訛したもの。老年層は、⸣フムン[⸣ɸumuŋ](編む)という。 ア⸢ミ⸣ムヌ [ʔa⸢mi⸣munu] (編み物)。 ⸢キー⸣トゥシ ティ⸢ブク⸣ル ⸣アムン [⸢kiː⸣tuʃi ti⸢buku⸣ru ⸣ʔamuŋ] (毛糸で手袋を編む)。 ⸣バー ア⸢マ⸣ヌ [⸣baː ʔa⸢ma⸣nu] (私は編まない)。 ア⸢ミ⸣ プサカー ク⸢リ⸣シン ⸣アム ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢mi⸣ pu̥sakaː ku⸢ri⸣ʃiŋ ⸣ʔamu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (編みたければ、これででも編むことは出来る)。 ⸣ドゥーシ ⸣アメー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸣ʔameː ⸣misamunu] (自分で編めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣アミバ [⸢paː⸣ku ⸣ʔamiba] (早く編めよ) 105 0 0 1130 htmvoc_105.wav アメーマ ア⸢メー⸣マ [ʔa⸢meː⸣ma] 名 小雨。⸢アーメーマー[⸢ʔaːmeːmaː](小雨)は幼児語。 ア⸢メー⸣マ ヤ⸢ルンダ⸣ ユ⸢ドゥマ⸣ナー ア⸢ガリス [ʔa⸢meː⸣ma ja⸢runda ju⸢duma⸣naː ʔa⸢garisu] (小雨だからすぐ止むよ)。 ⸢アーメーマーヤ フイ⸣タボンナー [⸢ʔaːmeːmaːja ɸui⸣tabon⸢naː] (小雨は降ってくださるな)(童謡)。 ア⸢メーマ⸣ヌ ⸣フーン [ʔa⸢meːma⸣nu ⸣ɸuːŋ] (小雨が降る) 1219 0 0 1131 htmvoc_1219.wav アモーリ ア⸢モー⸣リ [ʔa⸢moː⸣ri] 名 にわか雨。夕立。「あまぐれ」(『おもろさうし』)の [amagure] → [amaure](g音脱落)→ [amoːri]({SqBr}au{/SqBr} → {SqBr}oː{/SqBr}、{SqBr}e{/SqBr} → {SqBr}i{/SqBr} の母音融合変化)による音韻変化に基づくものと解釈される。 ナ⸢チ アモーリヌ アッ⸣タニ ⸢キー⸣ル ⸢ゾッふァシナーン⸣バン [na⸢ʧiʔamoːrinu ʔat⸣tani ⸢kiː⸣ru ⸢ʣoffaʃinaːm⸣baŋ] (夏のにわか雨が突然やってきて<ぞ>濡らしてしまったわい) 1220 0 0 1132 htmvoc_1220.wav アモーリソールン ア⸢モー⸣リ ⸢ソー⸣ルン [ʔa⸢moː⸣ri ⸢soː⸣ruŋ] 連 神々が降臨される。天下りされる。 ⸢ウイヌウガン⸣ヌ ⸢カンヌマイ⸣ヤー ⸢パイディン⸣ヌ ス⸢バ⸣ヌ ク⸢バムトー⸣ラル ア⸢モー⸣リ ⸢ソー⸣ルツォー [⸢ʔuinuʔugan⸣nu ⸢kannumai⸣jaː ⸢paidin⸣nu su⸢ba⸣nu ku⸢bamutoː⸣raru ʔa⸢moː⸣ri ⸢soː⸣ruʦoː] (友利御嶽の神様は拝殿の側のクバ<蒲葵>の幹を伝って降臨されるそうだ) 1221 0 0 1133 htmvoc_1221.wav アモールン ア⸢モー⸣ルン [ʔa⸢moː⸣ruŋ] 他動 湯を浴びなさる。湯浴みなさる。 ア⸢ムン [ʔa⸢muŋ] (浴びる)の敬譲形(敬語)。[ʔa⸢mi](浴び<連用形>)・[ʔoː⸣ruŋ](おわす<御座す>)→ ア⸢モー⸣ルン[ʔa⸢moː⸣ruŋ]と音韻変化したもの。 ア⸢モーラ⸣ヌ [ʔa⸢moːra⸣nu] (湯浴みなさらない)。 ⸢ユー⸣フル ア⸢モーリ⸣ プサカー ア⸢モー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢juː⸣ɸuru ʔa⸢moːri⸣ pu̥sakaː ʔa⸢moː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (風呂をお浴びになりたければ、お浴びになることは出来る)。 ア⸢モー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢moː⸣reː ⸣misamunu] (お浴びになればいいですのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢モー⸣リ [⸢paː⸣ku ʔa⸢moː⸣ri] (早くお浴びなさいませ) 1223 0 0 1134 htmvoc_1223.wav アヤ ⸣アヤ [⸣ʔaja] 名 綾。模様。紋様。「AYA.ア(非常に柔らかで手ざわりのよい、日本の布の一種.また絹織物などについている木の葉や花などの模様.~)」『邦訳日葡辞書』の義。「肉咼、掌内文理也、手乃阿也(てのあや)」『新撰字鏡』の「阿也」が転訛したもの。 ウ⸢ブ⸣アヤキン [ʔu⸢bu⸣ajakiŋ] (大柄模様の派手な着物) バ⸢カ⸣アヤキン [ba⸢ka⸣ʔajakiŋ] (小柄模様の地味な着物))。 ク⸢ヌ キン⸣ヌ ア⸢ヤ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤワ⸢ナー [ku⸢nu kin⸣nu ʔa⸢ja⸣nu ⸢kai⸣jawa⸢naː] (この着物の模様が美しいねえ) 1224 0 0 1135 htmvoc_1224.wav アヤーマキン ア⸢ヤー⸣マキン [ʔa⸢jaː⸣makiŋ] 名 小柄模様の着物、老人用の着物。 ア⸢ヤー⸣マキンマー ⸢ワー⸣ナ ウ⸢チラ⸣ヌ [ʔa⸢jaːma⸣kimmaː ⸢waː⸣na ʔu⸢ʧira⸣nu] (小柄模様の着物は貴方には似合わない<移らない>) 1227 0 0 1136 htmvoc_1227.wav アヤーン ア⸢ヤー⸣ン [ʔa⸢jaː⸣ŋ] 形 ふくれやすい。気分を害しやすい。不機嫌になりやすい。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ ア⸢ヤーン⸣ダ ⸢キー⸣ シキティ ⸣ムネー イ⸢ジ⸣ヨー ウ⸢カットゥ⸣シェー ⸣ムネー イ⸢ザラン⸣ダー [ʔu⸢nu ffaː⸣ ʔa⸢jaː⸣nda ⸢kiː⸣ ʃikiti muneː ʔi⸢ʤi⸣joː ʔu⸢kattu⸣ʃeː ⸣muneː ʔi⸢ʣaran⸣da] (この子はふくれやすい気性だから気をつけて話をしなさい<ものはいいなさい>よ{EOS}うかつにものはいえないよ)。 ⸣キサー ア⸢ヤーナーン⸣センドゥ ⸢シンダイ⸣ ア⸢ヤー⸣ ナリケーン [⸣kisaː ʔa⸢jaːnaːŋ⸣ʃendu ⸢ʃindai⸣ ʔa⸢jaː⸣ narikeːŋ] (以前はふくれやすくなかったが、次第にふくれやすくなってきた) 1225 0 0 1137 htmvoc_1225.wav アヤカーリムヌ ア⸢ヤカーリ⸣ムヌ [ʔa⸢jakaːri⸣munu] 名 肖りもの。長寿や健康に肖る印として頂いた物。 ウ⸢レー⸣ アッパー ⸢チョーミガフヌ⸣ ア⸢ヤカリ⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ シ⸢ティララヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔappaː ⸢ʧoːmigaɸunu⸣ ʔa⸢jakari⸣munu ja⸢riba⸣ ʃi̥⸢tiraranu] (それはお祖母さんの長寿の肖りに頂いた物<肖り物>だから、捨てられない) 1226 0 0 1138 htmvoc_1226.wav アヤカールン ア⸢ヤカー⸣ルン [ʔa⸢jakaː⸣ruŋ] 他動 肖る。ものに感じて、それに似て幸せになるように願う。⸢アイカー⸣ルン[⸢ʔaikaː⸣ruŋ](肖る)ともいう。 ⸢チョーミガフ⸣ ア⸢ヤカー⸣ルンティ ⸢クー⸣タ [⸢ʧoːmigaɸu⸣ ʔa⸢jakaː⸣runti ⸢kuː⸣ta] (長寿を肖りに来た)。 ア⸢ヤカー⸣リ ⸣ミサカー ア⸢ヤカー⸣ル プ⸢ソー⸣ ミ⸢チ⸣ ブー [ʔa⸢jakaː⸣ri ⸣misakaː ʔa⸢jakaː⸣ru pu̥⸢soː⸣ mi⸢ʧi⸣ buː] (肖ってよければ肖る人は多い<満ちている>)。 ア⸢ヤカー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢jakaː⸣reː ⸣misamunu] (肖れば良いのに)。 ⸢ワンヌン⸣ ア⸢ヤカー⸣リバ [⸢wannuŋ⸣ ʔa⸢jakaː⸣riba] (君も肖れよ)。 ⸣アッパー ⸢チョーミー⸣ ア⸢ヤカーラ⸣シ タ⸢ボー⸣レーティ ウ⸢ヤ⸣キパンジョーン ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [⸣ʔappaː ⸢ʧoːmiː⸣ ʔa⸢jakaːra⸣ʃi ta⸢boː⸣reːti ʔu⸢ja⸣ki panʤoː ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (お祖母さんの長命に肖らせていただいて<賜って>富貴繁盛あらしめてください) 1228 0 0 1139 htmvoc_1228.wav アヤキン ⸣アヤキン [⸣ʔajakiŋ] 名 縞模様のある着物。 ウ⸢ヌ⸣ アヤキンヌ ⸢カイ⸣ヤワ⸢ナー [ʔu⸢nu⸣ ʔajakinnu ⸢kai⸣jawa⸢naː] (この縞模様の着物が美しいねえ) 1229 0 0 1140 htmvoc_1229.wav アヤサピダラサーン ア⸢ヤ⸣サピダラサーン [ʔa⸢ja⸣sapidarasaːŋ] 形 ふくれやすい。機嫌ををそこねやすい。不機嫌になりやすい。「アヤサ」と「ピダラサ」の重言(畳語)が形容詞化したもの。「ピダラ」は「左・ア」の融合した形で、<頭の働きが少しおかしな人>の義。正常な人の性格と異なる「ふくれやすい性格」の意。 ⸢ウン⸣ネヌ ウ⸢ブ⸣アッパー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ヤ⸣サピダラサー ア⸢ローッ⸣タン [⸢ʔun⸣nenu ʔu⸢bu⸣ʔappaː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ja⸣sapidarasaː ʔa⸢roːt⸣taŋ] (その家のひいばあさん<曾祖母>は大変ふくれやすい方であられた) 1231 0 1 1141 htmvoc_1231.wav アヤッサーン ア⸢ヤッ⸣サーン [ʔa⸢jas⸣saːŋ] 形 {Mn_1}怪しい。危うい。危ない。危なっかしい。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー キーヌ パン⸣タナー ⸢ヌーリ ベー⸣ティ ウ⸢ティラン⸣ユー ア⸢ヤッサ⸣ヌ ⸣ミリ ⸢ベーララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː kiːnu pan⸣tanaː ⸢nuːri beː⸣ti ʔu⸢tiraɲ⸣juː ʔa⸢jassa⸣nu ⸣miri ⸢beːrara⸣nu] (この子は、木の先端に登っているので、落ちないのか、危なっかしくて見ておれない)。 1231 0 2 1142 htmvoc_1231.wav アヤッサーン ア⸢ヤッ⸣サーン [ʔa⸢jas⸣saːŋ] 形 {Mn_2}疑わしい。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ヤーッ⸣サンダー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ダー [ku⸢nu⸣ pu⸢soː⸣ ʔa⸢jaːs⸣sandaː ⸢kiː⸣ ʃi⸢ki⸣ri⸢daː] (この人は怪しいから気をつけなさいよ) 1232 0 0 1143 htmvoc_1232.wav アヤトゥリ ア⸢ヤ⸣トゥリ [ʔa⸢ja⸣turi] 名 あやとり(綾取り)。輪にした糸を左右の手首や指にかけて取り合う女児の遊戯。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣ユー ア⸢ヤ⸣トゥリ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣juː ʔa⸢ja⸣turi ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (女の子はよく綾取りをして遊んだ) 1233 0 0 1144 htmvoc_1233.wav アヤナキ ア⸢ヤ⸣ナキ [ʔa⸢ja⸣naki] 名 犬や猫などが不吉な鳴き方をすること。ヤ⸢ナナキ[ja⸢nanaki](悪いなき方、不正常な鳴き方)ともいう。犬や猫がア⸢ヤ⸣ナキ[ʔa⸢ja⸣naki]すると、その動物の向いて鳴く方角に不吉なことが起きるといわれて、忌み嫌われている。 ⸢イン⸣ヌ ア⸢ヤ⸣ナキ ⸢シーベー⸣ヌ ⸢ヌー⸣シタカヤー [⸢ʔin⸣nu ʔa⸢ja⸣naki ⸢ʃiːbeː⸣nu ⸢nuː⸣ʃitakajaː] (犬が不吉な鳴き方をしているが、どうしたことだろうか) 1234 0 0 1145 htmvoc_1234.wav アヤパニ ア⸢ヤ⸣パニ [ʔa⸢ja⸣pani] 名 美しい羽。綾なす羽。「綾羽」の義。「アヤ」は、『おもろさうし』では「霊妙である、ふしぎでる、の意を原義にし、美しい、りっぱな、の意の美称となる・・・」(『沖縄古語大辞典』)とあり、「あやざはね(綾差羽)」の項では「美しい差し羽」とある。八重山民謡の最高峰といわれる「バシゥヌトゥリゥ ブシゥ(鷲の鳥節)」では、「アヤバニバ マラシヨウリ ビゥルパニバ シゥダシヨウリ/ (綾羽バ生ラシヨウリ ビゥルパニバ産ダシヨウリ)」(『宮良当壮全集12』)とある。鳩間島で歌われている「鷲の鳥節」では、ア⸢ヤ⸣パニ[ʔa⸢ja⸣pani](綾羽、立派な羽)と歌われている 1235 0 0 1146 htmvoc_1235.wav アヤマールン ア⸢ヤマー⸣ルン [ʔa⸢jamaː⸣ruŋ] 自動 すねる。機嫌悪くなる。 ウ⸢ビッ⸣チン イ⸢ザリタンドゥ⸣ キ⸢サーティ⸣ ア⸢ヤマー⸣リ⸢べー [ku⸢bit⸣ʧiŋ ʔi⸢ʣaritandu⸣ ki⸢saːti⸣ ʔa⸢jamaː⸣ri ⸢beː] (これぽっち叱られただけなのに、すでに機嫌を悪くしている) 1236 0 0 1147 htmvoc_1236.wav アヤマサ ア⸢ヤマ⸣サ [ʔa⸢jama⸣sa] 名 (動)魚の名。和名、ユトヒキ。頭部から尾びれにかけて黒い横ストライプが4本走る。⸢アヤ(模様)のある魚」の義。えら(鰓)のところに棘があり、刺されると痛い。礒釣りでも釣れる。 ア⸢ヤマ⸣サー ⸣マンタヌ パ⸢マ⸣ナーティン ⸢ホーサリ⸣タン [ʔa⸢jama⸣saː ⸣mantanu pa⸢ma⸣naːtiŋ ⸢hoːsari⸣taŋ] (コトヒキは島の前の浜でも釣れた) 1238 0 0 1148 htmvoc_1238.wav アヤミルン ア⸢ヤミ⸣ルン [ʔa⸢jami⸣ruŋ] 他動 傷つける。損なう。殺す。 ⸣アイティ プ⸢スン⸣ヤヌ ッ⸢ふァ⸣ ア⸢ヤミル⸣ナ [⸣ʔaiti pu⸢suɲ⸣janu f⸢fa⸣ ʔa⸢jamiru⸣na] (喧嘩してよその家の子供を怪我させるな<危めるな>) 1240 0 0 1149 htmvoc_1240.wav アヤムニ ア⸢ヤ⸣ムニ [ʔa⸢ja⸣muni] 名 不機嫌なものいい。感情を害して不機嫌な表情で発することば。ふてくされた物言い。 ⸣アイニ ナー⸢イ⸣ ア⸢ヤ⸣ムニ ⸢タン⸣ガー ア⸢ザンブリ⸣バ [⸣ʔaini naː⸢i⸣ ʔa⸢ja⸣muni ⸢taŋ⸣gaː ʔa⸢ʣamburi⸣ba] (そんなに感情をがいした不機嫌なことば<ものいい>だけするなよ<しないでおれよ>) 1239 0 0 1150 htmvoc_1239.wav アヤムン ア⸢ヤ⸣ムン [ʔa⸢ja⸣muŋ] 他動 傷つける。「あやめる(下二段)」の四段活用化したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ラバン⸣ アイティ プ⸢ス⸣ ア⸢ヤ⸣メー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bi ja⸢rabaŋ⸣ ʔaiti pu⸢su⸣ ʔa⸢ja⸣meː na⸢ra⸣nu] (子供でも喧嘩して他人を傷つけてはならない) 1241 0 0 1151 htmvoc_1241.wav アヤメー ⸣アヤメー [⸣ʔajameː] 名 (人)女性の名前。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣アヤメーティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タンミー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣ʔajameːti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣tammiː] (鳩間島にアヤメーという人がおられたねえ) 1243 0 0 1152 htmvoc_1243.wav アヤンマー ア⸢ヤン⸣マー [ʔa⸢jam⸣maː] 名 ふくれやすい人。ひねくれやすい人。子供や女性に多いといわれている。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ヤン⸣マー ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グ⸣ ア⸢ヤンマーリ⸣ス ⸣ムネー イ⸢ザラヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢jam⸣maː ja⸢runda⸣ ʃi⸢gu⸣ ʔa⸢jammaːri⸣su ⸣muneː ʔi⸢ʣaranu] (その人はふくれやすい人だからすぐに不機嫌になる{EOS}<すこしも>叱ることが出来ない<ものがいわれない>) 1242 0 0 1153 htmvoc_1242.wav アヤンマールン ア⸢ヤンマー⸣ルン [ʔa⸢jammaː⸣ruŋ] 自動 すねる。不機嫌になる。捻くれる。 ン⸢メーマヤラバン⸣ イ⸢ズ⸣カー シ⸢グ⸣ ア⸢ヤンマーリ⸣ス [ʔm⸢meːmajarabaŋ⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ʔa⸢jammaːri⸣su] (少しでも叱ると、すぐひねくれて不機嫌になる) 1244 0 0 1154 htmvoc_1244.wav アヨー ⸣アヨー [⸣ʔajoː] 名 八重山の古い神歌。呪詞カンフチゥ、ニガイフチゥの予祝機能を受け継ぐ叙事的歌謡。鳩間島ではタ⸢ナ⸣ドゥル ⸣アヨー[ta⸢na⸣duru ⸣ʔajoː](種取りのアヨー)が終戦直後まで伝承されていたが現在では伝承者はいない 1245 0 0 1155 htmvoc_1245.wav アラ ア⸢ラ- [ʔa⸢ra-] 接頭 粗雑である。きつい。「粗い」の意。 ア⸢ラシグトウ [ʔa⸢raʃigutu] (力仕事{EOS}きつい仕事)。 ア⸢ラトゥ [ʔa⸢ratu] (粗い砥石)。 ⸣アイブ ア⸢ラシグトー⸣ ミ⸢ドゥムン⸣マー シ⸢ミララヌ [⸣ʔaibu ʔa⸢raʃigutoː⸣ mi⸢dumum⸣maː ʃi⸢miraranu] (あんな力仕事は女にはさせられない)。 シ⸢ダケー⸣ ア⸢ラトゥ⸣ナ ⸣トゥイティ ク⸢マトゥ⸣ナ ⸢トゥーバ⸣ル カ⸢タ⸣ナー キ⸢シ⸣ル⸢ダー [ʃi⸢dakeː⸣ ʔa⸢ratu⸣na ⸣tuiti ku⸢matu⸣na ⸢tuːba⸣ru kḁ⸢ta⸣naː ki̥⸢ʃi⸣ru⸢daː] (最初は粗い砥石で研いで、次に細かい砥石で研いだほうが包丁は切れるんだよ) 1246 0 0 1156 htmvoc_1246.wav アラ ア⸢ラ- [ʔa⸢ra-] 接頭 新-。名詞を修飾して「新しい~」の意を表す。 ア⸢ラヤー [ʔa⸢rajaː] (新築の家{EOS}新家屋{EOS}新しい家)。 ア⸢ラキン [ʔa⸢rakiŋ] (新しい着物)。 ⸣ソンガチナー ア⸢ラキン カイ ッふォー⸣ルンツォー [⸣soŋgaʧinaː ʔa⸢rakiŋ kai ffoː⸣runʦoː] (正月に新しい着物を買ってくださるそうだ) 1251 0 0 1157 htmvoc_1251.wav アラーシミルン ア⸢ラーシミルン [ʔa⸢raːʃimiruŋ] 他動 洗わさせる(使役)。洗濯させる(使役)。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャー ⸣ヤミティ ニ⸢ビオールン⸣ドゥ ウ⸢ナー⸣ ッス ⸣シバルヌ ⸣アトゥ ア⸢ラーシミルンティ シーバン⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァンケンバ ⸣パンシ キ⸢リ⸣ソーッタヌ ⸣バー ア⸢ライオース⸣カー ナー⸢イ⸣ ア⸢ラーシモーッ⸣タン [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaː ⸣jamiti ni⸢bioːrun⸣du ʔu⸢naː ⸣ssuʃibarunu ⸣ʔatu ʔa⸢raːʃimirunti ʃiːbam⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaŋkemba ⸣paŋʃi ki⸢ri⸣soːttanu ⸣baː ʔa⸢raioːsu⸣kaː naː⸢i⸣ ʔa⸢raːʃimoːt⸣taŋ] (私の家のお父さんは病んで臥しておられるが、自分の<己の>便や尿の跡を洗わせようとしても、娘達(女の子達)がしようとするのを足で蹴られたが、私が洗ってあげると、何もしないで洗わさせられた) 1253 0 0 1158 htmvoc_1253.wav アラースン ア⸢ラースン [ʔa⸢raːsuŋ] 他動 洗わせる。洗濯させる。消毒させる。ア⸢ラウン[ʔa⸢rauŋ](洗う)の未然形、ア⸢ラー[ʔa⸢raː]に、使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いて形成された動詞。 ⸢キン⸣マー ⸢ワン⸣ ア⸢ラースンティ⸣ ヌ⸢カ⸣シ ⸣シケー [⸢kim⸣maː ⸢waŋ⸣ ʔa⸢raːsunti⸣ nu⸢ka⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (着物は君に洗わせようと残して<おいて>ある) 1254 0 0 1159 htmvoc_1254.wav アラースン ア⸢ラー⸣スン [ʔa⸢raː⸣suŋ] 他動 表す。現す。霊験を示す。 ア⸢ラー⸣リン [ʔa⸢raː⸣riŋ] (現れる)。 ⸣ウムー ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アルカー ⸣ムニナ イ⸢ジ⸣ ア⸢ラー⸣シバ [⸣ʔumuː ku⸢tu⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣muninaː ʔi⸢ʤi⸣ ʔa⸢raː⸣ʃiba] (思うことがあるならば言葉で言って表しなさいよ)。 ⸢カンプトゥ⸣ケー ⸢フン⸣トー シ⸢ガ⸣タ ア⸢ラー⸣ソールンティ⸢ダー [⸢kamputu⸣keː ⸢ɸun⸣toː ʃi⸢ga⸣ta ʔa⸢raː⸣soːrunti⸢daː] (神仏は本当に姿を顕現<現される>されるそうだ) 1255 0 0 1160 htmvoc_1255.wav アラーリン ア⸢ラー⸣リン [ʔa⸢raː⸣riŋ] 自動 現れる。 ⸣ウブシキンガ⸢ナ⸣シェー ッ⸢ふクム⸣ヌ ⸣ミーラ ア⸢ラー⸣リ ⸢オー⸣レーン [ʔubuʃikiŋga⸢na⸣ʃeː f⸢fukumu⸣nu ⸣miːra ʔa⸢raː⸣ri ⸢ʔoː⸣reːŋ] (お月様は黒雲の中から現れてこられた) 1256 0 0 1161 htmvoc_1256.wav アラーリン ア⸢ラーリン [ʔa⸢raːriŋ] 自動 洗われる。洗うことができる。{ア⸢ラウン[ʔa⸢rauŋ](洗う)の未然形ア⸢ラー[ʔa⸢raː]に可能の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](~れる)が付いて形成された派生動詞(可能動詞)}。 ク⸢レー バン⸣ヌン ア⸢ラーリン [ku⸢reː ban⸣nuŋ ʔa⸢raːriŋ] (これは私にも洗われる)。 ⸢バン⸣マー ア⸢ラーラヌ [⸢bam⸣maː ʔa⸢raːranu] (私には洗えない) 1280 0 1 1162 htmvoc_1280.wav アラーン ア⸢ラー⸣ン [ʔa⸢raː⸣ŋ] 形 {Mn_1}荒い。風雨が激しく海が荒い。 カ⸢ジヌ スーリ⸣ティ ⸢ナン⸣ヌ ア⸢ラー⸣ンダ フネー ⸢ンザサラ⸣ヌ [ka⸢ʤinu suː⸣riti ⸢nan⸣nu ʔa⸢raː⸣nda ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (風が強くなって波が荒いから舟は出されない)。 ア⸢ラー⸣クトー ア⸢ラー⸣ンドゥ ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ラー ナー⸣ヌ [ʔa⸢raː⸣ ku̥toː ʔa⸢raː⸣ndu ⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢raː naː⸣nu] (荒いことは荒いが、あまり荒くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢ラー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢raː⸣ naruŋ] (次第に荒くなる)。 1280 0 2 1163 htmvoc_1280.wav アラーン ア⸢ラー⸣ン [ʔa⸢raː⸣ŋ] 形 {Mn_2}言動が乱暴である。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢ラー⸣リバ マーン⸢ベーマ⸣ ヤー⸢ラヤーラ⸣シ ムネー イ⸢ジ [⸢waː⸣ muneː ʔa⸢raː⸣riba maːm⸢beːma⸣ jaː⸢rajaːra⸣ʃi ⸣muneː ʔi⸢ʤi] (君の言葉<物言い>は荒いから、もう少し柔らかく話しなさい)。 1280 0 3 1164 htmvoc_1280.wav アラーン ア⸢ラー⸣ン [ʔa⸢raː⸣ŋ] 形 {Mn_3}粗い(太い)。 ク⸢ヌ ブー⸣ヤ ア⸢ラー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ マー⸣ビン バカー⸢バカー⸣シ ⸢ウーミ [ku⸢nu buː⸣ja ʔa⸢raː⸣nu sï⸢kaːranu maː⸣bim bakaː⸢bakaː⸣ʃi ⸢ʔuː⸣mi] (この麻糸は粗くて使えない{EOS}もっと細かく績みなさい) 1257 0 0 1165 htmvoc_1257.wav アライガマジ ア⸢ライガマジ [ʔa⸢raigamaʤi] 名 洗い髪。女が髪を洗って解き下げたままの髪。 サ⸢カサンケー⸣ヤ ⸣ウガン ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー ア⸢ライガマジ⸣ シ⸢ティ ユイオーラン⸣シェン [sḁ⸢kasaŋkeː⸣ja ⸣ʔugaŋ ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ʔa⸢raigamaʤi⸣ ʃi̥⸢ti juiʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (司の方々は御嶽<お願>へ行かれる時は洗い髪にして、髪を結われなかった) 1247 0 0 1166 htmvoc_1247.wav アライクサイ ア⸢ライクサイ [ʔa⸢raikusai] 名 洗骨。洗骨の法事。いったん土葬して葬った遺骸を三年以後に掘り出して洗骨し、火葬して骨壺に収め、本墓に納骨すること。⸢シン⸣クチ[⸢ʃiŋ⸣kuʧi](洗骨)ともいうが、沖縄方言からの借用語であろう。「あらいこしらえ(洗い拵え)」の義。ク⸢サイ[ku̥⸢sai]は、「Coxiraye,uru,eta.コシラエ、ユル、エタ(拵・刷・調へる、ゆる、へた)整える、または、用意する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。鳩間島では、昭和60年ごろまでは火葬をしなかったので、人が死ぬと⸢フインチバカ[⸢ɸuinʧibaka](岩を掘り抜いた墓)での風葬や埋葬にするのが一般的であった。そして埋葬後三年以上経つと骨を洗い清めて甕に納める洗骨の法事を執り行った。 ⸣アッパター ⸣アブジター ⸢バー⸣ケー シ⸢マ⸣ナーティ ア⸢ライクサイヤー ソー⸣レーン [⸣ʔappataː ⸣ʔabuʤitaː ⸢baː⸣keː ʃi⸢ma⸣naːti ʔa⸢raikusaijaː soː⸣reːŋ] (お祖母さんやお祖父さんたちまでは、島で洗骨を済まされてある)。 ⸣アッパー ア⸢ライクサイヤー⸣ イ⸢チ ソーッ⸣タカヤー [⸣ʔappaː ʔa⸢raikusaijaː⸣ ʔi⸢ʧi soːt⸣takajaː] (お祖母さんの洗骨の法事は何時されたのかねえ) 1261 0 0 1167 htmvoc_1261.wav アライグリサン ア⸢ライグリ⸣サン [ʔa⸢raiguri⸣saŋ] 連 洗いづらい。洗いにくい。動詞ア⸢ラウン[ʔa⸢rauŋ](洗う)の連用形ア⸢ライ[ʔa⸢rai]に、形容詞型助動詞グ⸢リ⸣サン[gu⸢ri⸣saŋ](~づらい{EOS}~にくい)が付いて形成されたもの。 ク⸢ヌ キン⸣マー ア⸢バゴー⸣ダー シ⸢ティ⸣ ア⸢ライグリ⸣サン [ku⸢nu kim⸣maː ʔa⸢bagoː⸣daː ʃi̥⸢ti⸣ ʔa⸢raiguri⸣saŋ] (この着物は油だらけで洗いにくい) 1258 0 0 1168 htmvoc_1258.wav アライノン ア⸢ライノン [ʔa⸢raʔinoŋ] 名 新しい砂。新鮮な砂。人の足跡のない海岸の砂浜から運び上げた砂。正月の時には庭や門前に砂を敷きつめて祝った。これは子供らの仕事であった。 ⸣ソンガチナーヤ ア⸢ライノンバ⸣ カ⸢タ⸣ミ ア⸢ギティ⸣ ミ⸢ナ⸣カナー シ⸢キティ ポーキ⸣ヌ ⸣ミー イ⸢ルタ⸠ダー [⸣soŋgaʧinaːja ʔa⸢raʔinomba⸣ kḁ⸢ta⸣mi ʔa⸢giti ⸣ mi⸢na⸣kana ʃi̥⸢kiti poːki⸣nu ⸣miː ʔi⸢ruta⸠daː] (正月には新しい砂を担ぎ揚げて、庭に敷き詰めて箒の目<箒で掃いて筋目>を入れたよ) 1259 0 0 1169 htmvoc_1259.wav アライパナ ア⸢ライパナ [ʔa⸢raipana] 名 神祈願の際の供物のひとつ。せんまい<洗米>。かしよね。あらいよね。「洗い花米」の義。神に供えるために洗い清めた米で、イ⸢ツァン⸣パイキー[ʔi⸢ʦam⸣paikiː](榊)の葉を三枚茶碗の内縁に立て、せんまいを盛って供える。 カ⸢ミニン⸣ガイナー ア⸢ライパナ イッ⸣チー シ⸢キオーサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢miniŋ⸣gainaː ʔa⸢raipana ʔit⸣ʧiː ʃi̥⸢kioːsaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (神事<神願い>には、「洗い米」を一対お供えしないといけない)。 ⸣ドゥーパダニンガイナーン ⸢ウンキニン⸣ガイナーン ア⸢ライパナー⸣ ス⸢コー⸣ルン [⸣duːpadaniŋgainaːŋ ⸢ʔuŋkiniŋ⸣gainaːŋ ʔa⸢raipanaː⸣ su̥⸢koː⸣ruŋ] (健康<胴肌>祈願にも、運気の祈願にもアライパナ<洗米>は供えられる) 120 0 0 1170 htmvoc_120.wav アライムヌ ア⸢ライムヌ [ʔa⸢raimunu] 名 洗濯物。「洗い物」の義。 ア⸢ライムノー⸣ ティ⸢ダ⸣ヌ アルケンナー プシバ [ʔa⸢raimunoː⸣ ti⸢da⸣nu ʔarukennaː ⸣puʃiba] (洗濯物は太陽のあるうちに干せ)。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ア⸢ライムヌン ゴー⸣ラーン [⸢jaːniʣuː⸣nu ⸢goː⸣raːnda ʔa⸢raimunuŋ goː⸣raːŋ] (家族が多いから洗濯物も多い) 152 0 0 1171 htmvoc_152.wav アラウン ア⸢ラウン [ʔa⸢rauŋ] 他動 洗う。 ⸣キン ア⸢ラウン [⸣kiŋ ʔa⸢rauŋ] (着物を洗う{EOS}洗濯する)。 ⸢キュー⸣ヤ ア⸢ラーヌ [⸢kjuː⸣ja ʔa⸢raːnu] (今日は洗わない)。 ⸢ウン⸣マー ス⸢ナ⸣カナー ア⸢ライ⸣クー [⸢ʔum⸣maː su⸢na⸣kanaː ʔa⸢rai⸣kuː] (芋は海で洗ってきなさい)。 ア⸢ラウ ムノー⸣ ヌーヤ [ʔa⸢rau munoː⸣ nuːja] (洗うものは何か)。 クナーテー アラウナ [⸣kunaːteː ʔa⸢rauna] (ここでは洗うな)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢raijaː⸣ misamunu] (もっと洗えば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ライ [⸢paː⸣ku ʔa⸢rai] (早く洗え)。 ⸣キン ア⸢ラウンティ スンドゥ⸣ ウ⸢ディ⸣ヌ ⸣ヤミティ ア⸢ラーラヌ [⸣kiŋ ʔa⸢raunti sundu⸣ ʔu⸢di⸣nu ⸣jamiti ʔa⸢raːranu] (着物を洗おうとするが、腕が痛く<病み>て洗われない)。 ⸣バー ア⸢ライ⸣ ミサカー ア⸢ラウ⸣ クトー ⸣ナルン [⸣baː ʔa⸢rai⸣ misakaː ʔa⸢rau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (私が洗ってよければ洗うことは出来る)。 ⸣ドゥーシ ア⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ʔa⸢raijaː⸣ misamunu] (自分で洗えば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ライ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢rai⸣ba] (早く洗えよ) 1263 0 0 1172 htmvoc_1263.wav アラカー ア⸢ラ⸣カー [ʔa⸢ra⸣kaː] 固 (地)新川。中森の西のパ⸢カヤマ[pa⸢kajama](墓山)に連続した森の東端部にある地名。ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御願)という拝所がある。直径約1メートルのヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](テリハボク)の大木が鬱蒼と生い茂っている。 ア⸢ラ⸣カーヤ ナ⸢カンブレー⸣ヌ ⸢インタカタ⸣ナール アル⸢ダー [ʔa⸢ra⸣kaːja na⸢kambureː⸣nu ⸢ʔintakatanaː⸣ru ʔaru⸢daː] (新川は中岡の西側にあるのだよ) 1264 0 0 1173 htmvoc_1264.wav アラカー ア⸢ラカー [ʔa⸢rakaː] 固 (地)石垣市の四箇字中西端にある新川集落。 ア⸢ラカー⸣ナー ウ⸢トゥザ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [ʔa⸢rakaː⸣naː ʔu⸢tuʣa⸣nu ʔoː⸣ruŋ] (字新川には、親戚がおられる) 1265 0 0 1174 htmvoc_1265.wav アラカーウガン ア⸢ラ⸣カーウガン [ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ] 固 鳩間島の水の神を祀る拝所(御願、お嶽)。ミ⸢ジムトゥ[mi⸢ʤimutu](水源)といわれている。ウ⸢ブ⸣マイ[ʔu⸢bu⸣mai](大前)とパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山<林>)の境にある。ヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](テリハボク)の巨木やフ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)の大木が鬱蒼と生い茂る中に瓦葺の拝殿がある。拝殿の奥には、⸣ウボー[⸣ʔuboː](威部{EOS}香炉のある聖域)がある。ア⸢ザテーは⸢ヨー⸣カヤーから養子入って継いだ家である。⸢ヨー⸣カヤーの屋敷の東庭は大変セジ高い所で、ビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](神霊の高い霊石の庭)がある。昔は、⸢ウイヌ⸣ウガン(友利御嶽)で祈願があった後、サカサ(司{EOS}神女)やティ⸢ジリ⸣ビー(男性神職者)たちが、⸢カンヌ⸣ミチ[⸢kannu⸣miʧi](神の道)を通って⸢ヨー⸣カヤーの東庭のビ⸢チ⸣ルに集まり、⸢カンアサ⸣ビ[⸢kaŋʔasa⸣bi](神遊び)をして、ア⸢マイヨーッ⸣タ[ʔa⸢maijoːt⸣ta](歓え誇られた)と伝えられている。現在の東里家は西村のトゥ⸢ニムトゥ[tu⸢nimutu](根家{EOS}根元)で、豊年祭のカ⸢シ⸣ラ<旗頭。雌>を保管する家である。東里家から分与されたと伝えられるカシラ<旗頭>を東村のカシラ<旗頭。雄>として、東村のトゥ⸢ニムトゥ(根家{EOS}友利家)に保管されている。新川御願の最後のティ⸢ジリ⸣ビー[t⸢iʤiri⸣biː](手摩り部{EOS}男性神職者)は東里清光氏であった。/ウフイラカ カミガナシ アミブシャヌ/カミイラカ タケバル アミブシャヌ/ミジムトゥヌ マブルシュー アミブシャヌ/ウブガーラヌ シキフチ アミブシャヌ/ウムルミジ タラショーリ アミブシャヌ/フダルミジバ タボラリヨー アミブシャヌ/(ア⸢マン⸣グイ<雨乞い歌>)と歌われている。 サ⸢カサ [sa⸢kasa] (司{EOS}神女)は米盛クヤ氏(1960年代) ティ⸢ジリ⸣ビ [ti⸢ʤiri⸣bi] (てずりべ{EOS}男の神人)は東里清光氏が勤めておられた(平成10年頃))。伝承によると、ム⸢カ⸣シナー ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジキティ⸣ ス⸢クリ⸣ムヌン サ⸢リティ⸣ トゥ⸢ララン⸣シェンドゥ ⸢ヨー⸣カヤートゥ ア⸢ザテーヌ ターパタ⸣キナー カー⸢ニ⸣ ア⸢ミ⸣ヌ フイ⸢キー⸣ル パ⸢トゥ⸣マー ガ⸢シ⸣ ナ⸢ラン⸣シェンツォー ⸣アイ ヤ⸢レー⸣キ ⸢ウン⸣ネヌ ウ⸢ガンバ⸣ ブ⸢ラクヌ⸣ プ⸢スン⸣ ウ⸢ガ⸣モーリ ⸢ウン⸣ネナー ⸢アッ⸣タ カ⸢シ⸣ラン ⸣バキティ ⸢アンヌムラヌ⸣ トゥ⸢ムレー⸣ ム⸢タ⸣ソーッタ⸣ツォー[mu⸢ka⸣ʃinaː ⸢peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤikiti⸣ su̥⸢kuri⸣munun tu⸢raraŋ⸣ʃendu ⸢joː⸣kajaːtu ʔa⸢ʣatenu taːpata⸣kina kaː⸢ni⸣ ʔa⸢mi⸣nu ɸui⸢kiː⸣ru pḁ⸢tu⸣maː ga⸢ʃi⸣ na⸢raŋ⸣ʃenʦoː ⸣ʔai ja⸢reː⸣ki ⸢ʔun⸣nenu ʔu⸢gam⸣ba bu⸢rakunu⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ga⸣moːri ⸢ʔun⸣nena ⸢ʔat⸣ta kḁ⸢ʃi⸣ram ⸣bakiti ⸢ʔannumuranu⸣ tu⸢mureːm⸣ mu⸢ta⸣soːttaʦoː](昔に旱魃が続いて作物も枯れて収穫出来なかったが、西原家と東里家の田畑にだけ雨が降ったので、鳩間島は餓死しなかったそうだ{EOS}それで、その家の御嶽を村の人も拝まれ、その家にあった旗頭も分けて東村の友利家に分与され<持たされ>たそうだ)(鳩間真吉氏談) 1266 0 0 1175 htmvoc_1266.wav アラキグリサン ア⸢ラキグリ⸣サン [ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] 連 歩きにくい。歩きづらい。 ク⸢ヌ⸣ ミチェー ア⸢ラキグリ⸣サン [ku⸢nu⸣ miʧeː ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] (この道は歩きにくい) 1270 0 0 1176 htmvoc_1270.wav アラキザル ア⸢ラキザ⸣ル [ʔa⸢rakiʣa⸣ru] 名 死後にあたる季節の最初の先祖供養行事。旧暦1月16日のジ⸢ル⸣クニチ[ʤi⸢ru⸣kuniʧi](十六日祭)、旧暦月の7月の⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆<精霊祭り>)など。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アッパー ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸢ソーラン⸣ドゥ ア⸢ラキザ⸣ル ア⸢タロー⸣ル⸢ナー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢kundu⸣nu ⸢soːran⸣du ʔa⸢rakiʣa⸣ru ʔa⸢taroː⸣ru⸢naː] (その家のお祖母さんは今年のお盆が最初の先祖供養の行事に当っておられるねえ) 1271 0 0 1177 htmvoc_1271.wav アラキジ ア⸢ラ⸣キジ [ʔa⸢ra⸣kiʤi] 名 荒削り。材木などを山で荒削りして牛などに引かせて山出しをした。 ヤ⸢マ⸣バコー ⸢スー⸣カー ⸣ウナー ア⸢ラ⸣キゼー ⸢シーティル⸣ パ⸢マー⸣ ン⸢ザ⸣シ パ⸢トゥ⸣マー トゥ⸢ゴーッ⸣タ [ja⸢ma⸣bakoː ⸢suː⸣kaː ⸣ʔunaː ʔa⸢ra⸣kiʤeː ⸢ʃiːtiru⸣ pa⸢maː⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi pa⸢tu⸣maː tu⸢goːt⸣ta] (山での共同作業をすると、そこで材木の荒削りをして<ぞ>浜へだし、鳩間島へ持ってこられた) 1272 0 0 1178 htmvoc_1272.wav アラキシェーン ア⸢ラ⸣キ ⸢シェー⸣ン [ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʃeː⸣ŋ] 連 歩くことができる。「歩き・し得る」の義。「歩ききれる」の転訛したもの。「歩き・切れる」に対応する形。 ア⸢ラ⸣キ ⸢サヌ [ʔa⸢ra⸣ki ⸢sanu] (歩けない)。 ア⸢ラ⸣キ ⸢シェー⸣カー⸢ツォー [ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʃeː⸣kaː⸢ʦoː] (歩けたらなあ)。 ア⸢ラ⸣キ ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (歩ける人はいない) 1273 0 0 1179 htmvoc_1273.wav アラキスーブ ア⸢ラキスー⸣ブ [ʔa⸢rakisuː⸣bu] 名 歩き勝負。歩き競争。 ⸢バン⸣トゥ ア⸢ラキスー⸣ブ ⸢スー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーン⸣カヤー [⸢ban⸣tu ʔa⸢rakisuː⸣bu ⸢suː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋ⸣kajaː] (私と歩き勝負をする人はいないかねえ) 1267 0 0 1180 htmvoc_1267.wav アラキナライ ア⸢ラキ⸣ナライ [ʔa⸢raki⸣narai] 名 伝い歩き。幼児が歩き出すこと。歩き習うこと。病後の歩行訓練をすること。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢トゥーシケーラ⸣ ア⸢ラキ⸣ナライ ⸢シース [ja⸢ra⸣beː ⸢tuːʃi̥keːra⸣ ʔa⸢raki⸣nari ⸢ʃiːsu] (子供は十ヶ月から歩き始める<伝い歩きする>) 712 0 0 1181 htmvoc_712.wav アラキニーバン ア⸢ラキニー⸣バン [ʔa⸢rakiniː⸣baŋ] 連 足が遅い。「歩き遅い」の義。ア⸢シフコー⸣ン[ʔa⸢ʃiɸu̥koː⸣ŋ](足が遅い)ともいう。 ⸣ヌーンティ ⸣アイニ ア⸢ラキニー⸣バワ マーン⸢ベーマ⸣ パ⸢ヤー⸣ ア⸢ラ⸣キバ [⸣nuːnti ⸣ʔaini ʔa⸢rakiniː⸣bawa maːm⸢beːma⸣ pa⸢jaː⸣ ʔa⸢ra⸣kiba] (どうしてそんなに足が遅いのか、もう少し早く歩きなさいよ) 1268 0 0 1182 htmvoc_1268.wav アラキパジミ ア⸢ラキパジ⸣ミ [ʔa⸢rakipaʤi⸣mi] 名 歩き始め。 ヤ⸢ラ⸣ベー ア⸢ラキパジ⸣ミ ⸢シェー⸣チバ ユ⸢ドゥマ⸣ナー ⸢タンガ⸣シン ア⸢ラ⸣クンヨー [ja⸢ra⸣beː ʔa⸢rakipaʤi⸣mi ⸢ʃeː⸣ʧiba ju⸢duma⸣naː ⸢taŋga⸣ʃiŋ ʔa⸢ra⸣kuŋjoː] (子供は伝い歩き<歩き始め>をしたから、間もなく一人でも歩くよ) 1269 0 0 1183 htmvoc_1269.wav アラキミチ ア⸢ラキ⸣ミチ [ʔa⸢raki⸣miʧi] 名 通路。道路。「歩き道」の義。 ⸣マンタヌ ア⸢ラキ⸣ミチェーラ ウ⸢シン サンガシ パッ⸣タ [⸣mantanu ʔa⸢raki⸣miʧeːre ʔu⸢ʃin saŋgaʃipat⸣ta] (前の道路から牛に引かせて<引張らせて>行った) 121 0 0 1184 htmvoc_121.wav アラキン ア⸢ラキン [ʔa⸢rakiŋ] 名 新しい着物。「新衣」の義。 ⸣ソンガチヌ ア⸢ラキンバ サースンティ オー⸣ル [⸣soŋgaʧinu ʔa⸢rakimba saːsunti ʔoː⸣ru] (正月の新しい着物を仕立てようとしておられる)。 ⸣ソンガチナー ア⸢ラキン カイ⸣ ッ⸢ふォー⸣ルンツォー [⸣soŋgaʧinaː ʔa⸢rakiŋ kai⸣ f⸢foː⸣runʦoː] (正月には新しい着物を買ってくださるそうだ) 1275 0 0 1185 htmvoc_1275.wav アラクー ア⸢ラクー [ʔa⸢rakuː] 名 粗い粉。「粗粉」の義。米を一晩水に浸けたものを搗き臼に入れて杵で搗いて粉にした。餅を作る際に⸢ソー⸣キ[⸢soː⸣ki](箕)に広げ くっつかぬように塗(まぶ)して使用した。 ⸢マイバ⸣ ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キティ⸣ ウシナー イ⸢リティ⸣ ア⸢ラクー⸣ バ⸢リ⸣バ [⸢maiba⸣ mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiti⸣ ʔuʃinaː ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢rakuː⸣ ba⸢ri⸣ba] (米を水に浸けて臼に入れて粗粉を搗き<割り>なさい) 1276 0 0 1186 htmvoc_1276.wav アラグスク ア⸢ラグス⸣ク [ʔa⸢ragusu̥⸣ku] 名 (固有)。新城島。老年層は、⸣パナリ[pa⸢na⸣ri](新城島)という。 ア⸢ラグス⸣ク プソー ム⸢カ⸣シェー ⸢ザン⸣バ トゥ⸢リ⸣ル ⸢ゾー⸣ノー ン⸢ザ⸣ソオーッタツォー [ʔa⸢ragusu̥⸣kupu̥soː mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʣam⸣ba tu⸢ri⸣ru ⸢ʣoː⸣noː ʔn⸢ʣa⸣soːttaʦoː] (新城島の人は、昔はジュゴン<儒艮>を獲って王府へ上納に出された<貢納>されたそうだ) 1248 0 0 1187 htmvoc_1248.wav アラグスクテー ア⸢ラグスク⸣テー [ʔa⸢ragusu̥ku⸣teː] 名 屋号。新城ミダ氏宅。 ア⸢ラグスク⸣テーヤ ⸢ショーザンマル⸣ヌ ⸢シーゾーヤー⸣ヌ ⸣シンタナール ⸢アッ⸣タ [ʔa⸢ragusuku⸣teːja ⸢ʃoːʣammaru⸣nu ⸢ʃiːʣoːjaː⸣nu ⸣ʃintanaːru ⸢ʔat⸣ta] (新城家は正山丸のカツオ節製造工場の後ろに<ぞ>あった) 1277 0 0 1188 htmvoc_1277.wav アラクナシ ア⸢ラクナシ [ʔa⸢rakunaʃi] 名 芋などを煮て簡単に捏ねること。⸢荒ごなし」、「粗捏」の義。 ⸢マイトゥ ウン⸣トゥ マ⸢ザー⸣シ バ⸢カシティ⸣ ア⸢ラクナシ シティ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [⸢maitu ʔun⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi ba⸢kaʃiti⸣ ʔa⸢rakunaʃi ʃiti⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (米と芋を混ぜて煮て、簡単に捏ねて出しなさいよ) 1278 0 0 1189 htmvoc_1278.wav アラクン ア⸢ラ⸣クン [ʔa⸢ra⸣kuŋ] 自動 歩く。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢タンカー⸣ クーカー ア⸢ラ⸣クン [ja⸢ra⸣beː ⸢taŋkaː⸣ kuːkaː ʔa⸢ra⸣kuŋ] (子供は誕生日がきたら歩くよ)。 ミ⸢チ⸣ヌ ⸢マンナカー⸣ラ ア⸢ラカン⸣ドーシ ス⸢バー⸣ナリ ア⸢ラ⸣キ [mi⸢ʧi⸣nu ⸢mannakaː⸣ra ʔa⸢rakan⸣doːʃi su⸢baː⸣nari ʔa⸢ra⸣ki] (道の真ん中を歩かないで側になって歩きなさい)。 ア⸢マ⸣ヌ サ⸢ニ⸣ヤティ ブ⸢ダッカレー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ ⸢パッ⸣タ [ʔa⸢ma⸣nu sa⸢ni⸣jati bu⸢dakkareː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki ⸢pat⸣ta] (あまりの嬉しさで飛び跳ねながら歩いて行った)。 ア⸢ラ⸣ク ⸣クトー ナ⸢リ⸣スンダ ⸢パー⸣ク ア⸢ラ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ra⸣ku ⸣ku̥toː na⸢ri⸣sunda ⸢paː⸣ku ʔa⸢ra⸣keː ⸣misamunu] (歩くことは出来るのだから、早く歩けばいいのに) 1281 0 0 1190 htmvoc_1281.wav アラザラン ア⸢ラザラ⸣ン [ʔa⸢raʣara⸣ŋ] 連体 あるべくもない。でたらめな。とんでもない。 ア⸢ラザラン⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸢ヌー⸣ヤクイヤ イ⸢ジッツァーシ ムン⸣ドー ウ⸢ク⸣シ ヌーヤ ウ⸢レー [ʔa⸢raʣara⸣ŋ ku⸢tu⸣ba ⸢nuː⸣jakuija ʔi⸢ʤitʦaːʃi mun⸣doː ʔu⸢ku⸣ʃi nuːja ʔu⸢reː] (あるべくもない<ありもしない>ことを、あれこれと言いふらして喧嘩を起こして<問答を起こして>何たることだ、これは) 1249 0 0 1191 htmvoc_1249.wav アラシ ア⸢ラシ [ʔa⸢raʃi] 名 新しく開墾した土地。掘り起こした大きな土塊が転がる開墾地。「畄、アラキハリ」『類聚名義抄』、「荒城田乃<アラキタノ>~。万、3848」の転訛したものか。「新仕明け地」の義。 ア⸢ラシ カイ⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢タンガ⸣シェー ⸢キー⸣ヌ ⸣ニー ⸢コーサラヌ [ʔa⸢raʃi kai⸣sunti ⸢beː⸣nundu ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢kiː⸣nu ⸣niː ⸢koːsaranu] (開墾地を耕そうとしているが一人では木の根っこを抜き取ることは出来ない)。 ア⸢ラシー⸣ ア⸢クン [ʔa⸢raʃiː⸣ ʔa⸢kuŋ] (開墾して田畑を新た切り開く<新田、新畑を開ける>) 1282 0 0 1192 htmvoc_1282.wav アラシアキ ア⸢ラシアキ [ʔa⸢raʃiʔaki] 名 新しく開墾すること。「新仕開け地」の義か。 パ⸢タキ⸣ヌ タ⸢ラーンベー⸣ティ ア⸢ラシアキ サン⸣カー ⸢サンナン⸣ヌ バ⸢キ⸣ダマー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢taki⸣nu ta⸢raːmbeː⸣ti ʔa⸢raʃiʔaki saŋ⸣kaː ⸢sannan⸣nu ba⸢ki⸣damaː ⸢naː⸣nu] (畑が足りないので新しく開墾しないと三男の財産配分はない) 1303 0 0 1193 htmvoc_1303.wav アラシゥカイ ア⸢ラシゥカイ [ʔa⸢rasïkai] 名 乱暴な使い方。「荒使い」の義。無鉄砲につかうこと。 ⸢ジン⸣マー ア⸢リ⸣バティ ⸢シー⸣ アイニ ア⸢ラシゥカイ⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [⸢ʤim⸣maː ʔa⸢ri⸣bati ⸢ʃiː⸣ ʔaini ʔa⸢rasï̥kai⸣ su⸢na⸣joː] (お金はあるからといって、あんなに荒く使うなよ<荒使いするなよ>)。シ⸢トゥム⸣テーラ ユネン⸢バー⸣キ ⸢ユーコー⸣シン サ⸢ムティ⸣ プ⸢スバ⸣ ア⸢ラシゥカイ⸣ ス⸢ナ⸣。 ウ⸢ラマ⸣リン⸢ダー [ʃi̥⸢tumu⸣teːra junem⸢baː⸣ki ⸢juːkoː⸣ʃin sa⸢muti⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢rasï̥kai⸣ su⸢na⸣ ʔu⸢rama⸣rin⸢daː] (朝から晩まで休息<憩い>もさせないで人を乱暴に使う<荒使いする>な{EOS}他人恨まれるぞ) 1283 0 0 1194 htmvoc_1283.wav アラシゥカシ ア⸢ラシゥカ⸣シ [ʔa⸢rasi̥ka⸣ʃi] 名 鋤を牛に曳かせて最初に田畑を鋤くこと。⸢粗鋤き」の義か。 ⸢ター⸣ヤ ア⸢ラシゥカ⸣シ シ⸢ティル⸣ マ⸢トーナーヤ キー⸣パイシ ⸢カイ⸣ソーッタル [⸢taː⸣ja ʔa⸢rasi̥ka⸣ʃi ⸢ʃiːtiru⸣ ma⸢toːnaːja kiː⸣paiʃi ⸢kai⸣soːttaru] (田圃は鋤きで粗鋤きしてから、二度打ちは木鍬で耕されたものだよ) 1250 0 0 1195 htmvoc_1250.wav アラシカイスン ア⸢ラシ カイ⸣スン [ʔa⸢raʃi kai⸣suŋ] 連 開墾地を耕す。 ナ⸢チヌ⸣ ティダサーリ ア⸢ラシ カイ⸣スンティ ⸢シーッ⸣パイ ⸢シーベー [na⸢ʧinu⸣ tidasaːri ʔa⸢raʃi kai⸣sunti ⸢ʃiːp⸣pai ⸢ʃiːbeː] (夏の炎天下で<夏の太陽のもと>開墾地を耕そうと精一杯頑張っている<している>) 1284 0 0 1196 htmvoc_1284.wav アラシグトゥ ア⸢ラシグトゥ [ʔa⸢raʃigutu] 名 荒仕事。きつい肉体労働。 ヤ⸢マシグ⸣トー ア⸢ラシグトゥ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ユー ⸢キー⸣ シケーティ ⸢サン⸣カー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー [ja⸢maʃigu⸣toː ʔa⸢raʃigutu⸣ ja⸢runda⸣ juː ⸢kiː⸣ ʃi̥keːti ⸢saŋ⸣kaː ⸣duː ja⸢ma⸣sun⸢daː] (山仕事は荒仕事だから、よく気をつけてしないと体を損ねるよ)。 バ⸢カー⸣タケンマー ア⸢ラシグトゥン⸣ ナ⸢リ⸣シタンドゥ ⸣トゥシ ⸢トゥッ⸣ター ⸣アイブ シ⸢グトー⸣ ドゥーヨーリ ⸢シース [ba⸢kaː⸣takemmaː ʔa⸢raʃigutun⸣ na⸢ri⸣ʃi̥tandu ⸣tu̥ʃi ⸢tut⸣taː ⸣ʔaibu ʃi⸢gutoː⸣ duːjori ⸢ʃiːsu] (若かった頃は荒仕事も出来たが年を取ったのであんな仕事は体を損ねる<胴弱りする>) 1292 0 0 1197 htmvoc_1292.wav アラシコーシ ア⸢ラシコーシ [ʔa⸢raʃikoːʃi] 名 蒸し餅菓子。「あがらし<蒸し>菓子」の転訛したもの。糯米と粳米を半々に混ぜ、五分搗きにして洗い、暫く水に浸ける。水切りをして半乾きになったところを臼に入れ、搗いて米粉にする。これを⸢クー⸣バリ[⸢kuː⸣bari](製粉{EOS}「粉割」の義)という。それに黒糖を削って混ぜ、よく揉んでア⸢ラシパク[ʔa⸢raʃipaku](蒸し箱{EOS}蒸し器)に入れて、カステラのように蒸し上げて作った菓子。四角い食パンの大きさに切って食した。米寿の祝いや三十三年忌の法事の際にもつくられた。 ア⸢ラシコーシェー トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイラー ⸣サンジュー⸢サンニンキ⸣ヌ ⸢ソッ⸣コーン ドー⸢レー⸣ナー ⸢アーラソーッ⸣タン [ʔa⸢raʃikoːʃeː toːkaki⸣nu ⸣joira ⸣sanʣuː⸢sanniŋki⸣nu ⸢sok⸣koːn doreːnaː ⸢ʔaːrasoːt⸣taŋ] (蒸し餅菓子は米寿の祝いから三十三年忌の法事などの際に蒸し上げて作られた)。二十五年忌以後の法事には、この菓子を供えるものとされていた。⸢アーラシコーシ[⸢ʔaːraʃikoːʃi]ともいう 1289 0 0 1198 htmvoc_1289.wav アラスーン ア⸢ラ⸣スーン [ʔa⸢ra⸣suːŋ] 自動 争う。相手を押しのけて勝とうとする。 ⸢キョーダイ⸣サザーン ⸣ナリ ⸣ザイサンヌクトゥシ ア⸢ラ⸣スーン [⸢kjoːdai⸣saʣaːn ⸣nari ⸣ʣaisannu ⸣ku̥tuʃi ʔa⸢ra⸣suːŋ] (兄弟同士で財産のことで争う)。 ア⸢ラソー⸣ヌ [ʔa⸢rasoː⸣nu] (争わない)。 ア⸢ラ⸣スイ ⸣ミサカー ア⸢ラ⸣スー ⸣クトゥン ⸢スン [ʔa⸢ra⸣sui ⸣misakaː ʔa⸢ra⸣suː ⸣ku̥tun ⸢suŋ] (争って良ければ争うこともする)。 ア⸢ラスイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢rasui⸣jaː ⸣misamunu] (争えば良いのに)。 ア⸢ラ⸣スイバ [ʔa⸢ra⸣suiba] (争えよ) 128 0 0 1199 htmvoc_128.wav アラスイ ア⸢ラ⸣スイ [ʔa⸢ra⸣sui] 名 争い。競争。喧嘩。 ⸢ウン⸣ネナー ザイサンヌ ⸢ユン⸣シ ア⸢ラスイ⸣ヌ ウ⸢ク⸣リティ ナ⸢クラー⸣ン [⸢ʔun⸣nenaː ʣaisannu ⸢juŋ⸣ʃi ʔa⸢rasui⸣nu ʔu⸢ku⸣riti na⸢kuraː⸣ŋ] (その家には財産の件で争いごとがおきて怖い)。 ⸣ザイサンヌ ⸣クトゥシ ウ⸢トゥ⸣ザザーン ⸣ナリ ア⸢ラ⸣スイ ウ⸢クサン⸣ヨーニ ⸢シー⸣ダー [⸣ʣaisannu ⸣ku̥tuʃi ʔu⸢tu⸣ʣaʣaːnnari ʔa⸢ra⸣sui ʔu⸢kusaŋ⸣joːni ⸢ʃiː⸣daː] (財産のことで親戚同士で争いを起こさないようにしなさいよ)。 ⸢イー⸣ネ ⸢アー⸣ネ トゥ⸢ナルザーン⸣ナリ ⸢ベー⸣ティ ア⸢ラスイ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ピンマー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ne ⸢ʔaː⸣ne tu⸢naruʣaːn⸣nari ⸢beː⸣ti ʔa⸢rasui⸣nu ⸢naːm⸣ pimmaː ⸢naː⸣nu] (西の家、東の家と隣近所同士でありながら喧嘩のない日とては無い) 1287 0 0 1200 htmvoc_1287.wav アラスイ ア⸢ラスイ [ʔa⸢rasui] 名 風が荒く激しく吹くこと。風が吹き荒れること。 カ⸢ジヌ⸣ ア⸢ラスイ シーティル⸣ フネー ⸣ウケー ン⸢ザサラン⸣サー [ka⸢ʤinu⸣ ʔa⸢rasui ʃiːtiru⸣ ɸuneː ⸣ʔukeː ʔn⸢ʣasaran⸣saː] (風が吹き荒れて舟は沖へ出されないよ)。「荒そよぎ」の義。 ウ⸢ヌスク⸣ナー カ⸢ジヌ⸣ ア⸢ラスイ スー⸣カー ⸣ガヤヤーヤ ム⸢タ⸣ヌ [ʔu⸢nusuku⸣naː ka⸢ʤinu⸣ ʔa⸢rasui suː⸣kaː ⸣gajajaːja mu⸢ta⸣nu] (あれほどに風が強く吹くと茅葺の家は耐えられない) 1286 0 0 1201 htmvoc_1286.wav アラスイグトゥ ア⸢ラスイ⸣グトゥ [ʔa⸢rasui⸣gutu] 名 争いごと。喧嘩。 ⸢プール⸣ヌ ⸢パーレー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸣ヌンティ ヤ⸢ル⸣ユー ⸢チャー インタアンタヌ⸣ ア⸢ラスイグトゥ⸣ヌ ウ⸢クル⸣タン [⸢puːru⸣nu ⸢paːreː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸣nunti ja⸢ru⸣juː ⸢ʧaː ʔintaʔantanu⸣ ʔa⸢rasuigutu⸣nu ʔu⸢kuru⸣taŋ] (豊年祭の爬竜船漕ぎの後には、如何なるわけか、いつも西村、東村の争いごとが起こったものだよ) 1304 0 1 1202 htmvoc_1304.wav アラスクリ ア⸢ラスクリ [ʔa⸢rasu̥kuri] 名 {Mn_1}粗作り。粗削りのさま。粗削りで頑健なさま。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ ドゥースクリヨー⸣ヤ ア⸢ラスクリサリティ⸣ イ⸢カムス⸣ク ⸢ガン⸣ゾーン ギサワ⸢ツォー [ku⸢nu pusunu duːsukurijoː⸣ja ʔa⸢rasukurisariti⸣ ʔi⸢kamusu⸣ku ⸢gan⸣ʣoːŋ gisawa⸢ʦoː] (この人の体格<体作り様>は粗削りされていて、なんと頑健そうなことよ) 1304 0 2 1203 htmvoc_1304.wav アラスクリ ア⸢ラスクリ [ʔa⸢rasu̥kuri] 名 {Mn_2}粗雑な作り方。粗末な作り方。ク⸢ヌ バー⸣ケー ア⸢ラスクリ サリティ ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ。マー⸢ンベーマ⸣ ク⸢メーキ⸣ ス⸢ク⸣レー ⸣ミサムヌ[ku⸢nu baː⸣keː ʔa⸢rasukuri sariti daːs⸣saː ⸢naː⸣nu。maː⸢mbeːma⸣ ku⸢meːki⸣ su̥⸢ku⸣reː ⸣misamunu](この竹笊は粗雑な作り方で良くない<本来の笊らしくない>{EOS}もう少し細やかに、入念に作ればよいものを) 1288 0 0 1204 htmvoc_1288.wav アラスン ア⸢ラスン [ʔa⸢rasuŋ] 他動 荒らす。 カ⸢マイ⸣ヌ カ⸢キ⸣ ヤ⸢ブ⸣リ ⸢ペー⸣リ ⸢キー⸣ル ⸣ター ア⸢ラシ⸣ シケーバン [ka⸢mai⸣nu kḁ⸢ki⸣ ja⸢bu⸣ri ⸢peː⸣ri ⸢kiː⸣ru ⸣taː ʔa⸢raʃi⸣ʃi̥keːbaŋ] (猪が防護の垣を破って入ってきて田を荒らしてある) 1290 0 0 1205 htmvoc_1290.wav アラスン ア⸢ラ⸣スン [ʔa⸢ra⸣suŋ] 他動 有るようにする。作る。貯蓄する。儲ける。入手する。産む。 ⸢マイフナーユン ワー オーパ⸣ヤー ⸢ヤー⸣キナイティン ア⸢ラサ⸣リ トゥ⸢クットゥ⸣ ナ⸢リ⸣ス メー [⸢maiɸunaːjuŋ waː ʔoːpa⸣jaː ⸢jaː⸣kinaitiŋ ʔa⸢rasa⸣ri tu̥⸢kuttu nari⸣su ⸣meː] (本当に利口者<働き者>だよ君は{EOS}こんなに早く家を新築し、家庭をもつことが出来て{EOS}もう、ゆっくりできるよ)。 ⸢シーッ⸣パイ パ⸢タラク⸣カー ⸢ナンクク⸣ル ⸢ジン⸣カニン ア⸢ラサ⸣リン [⸢ʃiːp⸣pai pa⸢taraku⸣kaː ⸢naŋkuku⸣ru ⸢ʤiŋ⸣kaniŋ ʔa⸢rasa⸣riɲjoː] (精一杯働くと自然にお金は儲かる<あるようにされる>よ)。 ⸢ジン⸣カニン ア⸢ラ⸣シティル シ⸢マー⸣ヤ パ⸢ラ⸣リ [⸢ʤiŋ⸣kaniŋ ʔa⸢ra⸣ʃi̥tiru ʃi⸢maː⸣ja pa⸢ra⸣ri] (お金を儲けてから島には帰ら<行か>れる)。 ⸢ジン⸣カニ ア⸢ラサ⸣リ ⸣シチン ⸣アンカヤー [⸢ʤiŋ⸣kani ʔa⸢rasa⸣ri ⸣ʃi̥ʧiŋ ⸣ʔaŋkajaː] (お金を儲けて蓄えることのできる時節がある<来る>ものかねえ) 1295 0 0 1206 htmvoc_1295.wav アラソーリ ア⸢ラソーリ [ʔa⸢rasoːri] 名 最初の畑の草取り。おおまかな畑の草取り。「粗・さくり<渫>」の転訛したものか。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサー ア⸢ラソーリ シー⸣シケーバ ⸣アトーラ ク⸢マークマー⸣シ ⸢ソーリ⸣バ [pa⸢taki⸣nu ⸣ssaː ʔa⸢rasoː⸣ri ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːba ⸣ʔatoːra ku⸢maːkumaː⸣ʃi ⸢soːri⸣ba] (畑の草はおおまかに除草してあるから、後から細かく<入念に>除草しなさい) 1329 0 0 1207 htmvoc_1329.wav アラダティ ア⸢ラダ⸣ティ [ʔa⸢rada⸣ti] 名 新所帯。新世帯。独立。分家して新しく所帯をかまえること。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ア⸢ラダ⸣ティ シ⸢ミルンティ⸣ キ⸢ナイヌ ドングペン⸣グ シゥ⸢コールンティ べー [ja⸢ra⸣biŋkeŋ ʔa⸢rada⸣ti ʃi⸢mirunti⸣ ki⸢nainu doŋgupeŋ⸣gu su̥⸢koːrunti beː] (子供たちに独立させよう<新所帯を持たせよう>と所帯道具類<家庭道具類>を準備しようとしているところだ) 1296 0 0 1208 htmvoc_1296.wav アラダティルン ア⸢ラダティ⸣ルン [ʔa⸢radati⸣ruŋ] 他動 荒立てる。もつれ(縺れ)させて問題化する。面倒にする。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸣ドゥク ア⸢ラダティラン⸣ドーシ ⸣ユー パ⸢ナシアー⸣シェーティ ⸣クトー ウ⸢サミ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸣duku ʔa⸢radatiran⸣doːʃi ⸣juː pa⸢naʃiʔaː⸣ʃeːti ⸣ku̥toː ʔu⸢sami⸣ri] (そのことはあまり荒立てないで、よく話し合って事を収拾しなさい<収めなさい>)。 ⸣バーヤ ア⸢ラダティラ⸣ヌ [⸣baːja ʔa⸢radatira⸣nu] (私は荒立てない)。 ア⸢ラダ⸣ティ ⸣ミサカー ア⸢ラダティ⸣ル ⸣クトゥン ⸣ナルン [ʔa⸢rada⸣ti ⸣misakaː ʔa⸢radati⸣ru ⸣ku̥tun ⸣naruŋ] (荒立てて良ければ荒立てることも出来る)。 ア⸢ラダティ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢radati⸣reː ⸣misamunu] (荒立てれば良いのに)。 ア⸢ラダティ⸣リ [ʔa⸢radati⸣ri] (荒立てろ) 1297 0 0 1209 htmvoc_1297.wav アラダトゥン ア⸢ラダ⸣トゥン [ʔa⸢rada⸣tuŋ] 他動 荒立てる。「あらだつ(下二段)」の四段活用化したもの。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢バー⸣キ ⸢シェー⸣ティ ク⸢トゥ⸣バ ア⸢ラダ⸣ティティ ⸢ヌー⸣スワ ア⸢ラダトゥ⸣ナ [⸣ʔaibu ku̥tu⸢baː⸣ki ⸢ʃeː⸣ti ku̥⸢tu⸣ba ʔa⸢rada⸣titi ⸢nuː⸣suwa ʔa⸢radatu⸣na] (あんな事までしてことを荒立ててどうするのか{EOS}荒立てるなよ) 1298 0 0 1210 htmvoc_1298.wav アラタビ ア⸢ラ⸣タビ [ʔa⸢ra⸣tabi] 名 新しい旅。初旅。⸢ウイ⸣タビ[⸢ʔui⸣tabi](初旅)、パ⸢チタビ[pḁ⸢ʧitabi](初旅)ともいう。 ⸣マーッふァヌ ヤ⸢マ⸣トーヌ ア⸢ラ⸣タビ シ⸢ミル⸣ ス⸢コール シーベー [⸣maːffanu ja⸢ma⸣toːnu ʔa⸢ra⸣tabi ʃi⸢miru⸣ su̥⸢koːru ʃiːbeː] (孫の本土<大和>への初旅の準備をしている) 1299 0 0 1211 htmvoc_1299.wav アラタマルトゥシ ア⸢ラタマ⸣ル ⸣トゥシ [ʔa⸢ratama⸣ru ⸣tuʃi] 連 新年。「改まる年」の義。⸣クー トゥシ[⸣kuː tuʃi](来る年)、ン⸢カイル⸣ トゥシ[ŋ⸢kairu⸣ tuʃi](迎える年)ともいう。 ア⸢ラタマ⸣ル ⸣トゥシェー ユ⸢ガフドゥシ⸣ ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [ʔa⸢ratama⸣ru ⸣tuʃeː ju⸢gaɸuduʃi⸣ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (新年は豊年満作の年に<あらしめ賜れ>してください) 1300 0 0 1212 htmvoc_1300.wav アラタマルン ア⸢ラタマ⸣ルン [ʔa⸢ratama⸣ruŋ] 自動 改まる。新しくなる。 マ⸢ナ⸣マーラ ⸣アトー キ⸢ムクク⸣ルーン ア⸢ラタマ⸣リ ⸢マイフナー⸣ マ⸢リキー⸣ス ⸣パジェー ア⸢ラン⸣カヤー [ma⸢na⸣maːra ⸣ʔatoː ki⸢mukuku⸣ruːŋ ʔa⸢ratama⸣ri ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢rikiː⸣su ⸣paʤeː ʔa⸢raŋ⸣kajaː] (今から後は心も改まって利口者、働き者になってくれるでしょう<くれるはずではないかなあ>)。 ア⸢ラタマラ⸣ヌ [ʔa⸢ratamaranu] (改まらない)。 ア⸢ラタマリ ヤッ⸣サン [ʔa⸢ratamari jas⸣saŋ] (改まりやすい)。 ア⸢ラタマ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ratama⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (改まることはない)。 ア⸢ラタマ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ratama⸣reː ⸣misamunu] (改まれば良いのに) 1301 0 0 1213 htmvoc_1301.wav アラタミルン ア⸢ラタミ⸣ルン [ʔa⸢ratami⸣ruŋ] 他動 改める。改善する。直す。 ク⸢レー ワー⸣ ヤ⸢ナフシ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ラタミ⸣リ⸢ヨー [ku⸢reː waː⸣ ja⸢naɸuʃi⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢ratami⸣ri⸢joː] (これは君の悪い癖だから改めなさいよ)。 ⸢ワーンドゥ⸣ ア⸢ラタミ⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ア⸢ラタミ⸣ルン [⸢waːndu⸣ ʔa⸢ratami⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢ratami⸣ruŋ] (君が改めるなら私も改める)。 ⸣ドゥーシ ア⸢ラタミ⸣ル ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ア⸢ラタミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ʔa⸢ratami⸣ru ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ʔa⸢ratami⸣reː ⸣misamunu] (自分で改めることが出来たら、改めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ラタミ⸣リ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ratami⸣ri] (早く改めろ) 1302 0 0 1214 htmvoc_1302.wav アラタムン ア⸢ラ⸣タムン [ʔa⸢ra⸣tamuŋ] 他動 改める。「改む」の義。「あらたむ(下二段)」の四段活用化したもの。 ア⸢ラ⸣タミ ⸣ミサカー ア⸢ラ⸣タムン [ʔa⸢ratami⸣ misakaː ʔa⸢ra⸣tamuŋ] (改めて良ければ改める)。 ア⸢ラタマン⸣タンティン ⸣ミサン [ʔa⸢rataman⸣tantim ⸣misaŋ] (改めなくても良い)。ム⸢カ⸣シェーラ ⸢シー⸣ケー ⸢トゥー⸣ル ⸢シー⸣バ。ア⸢ラタム⸣ナ[mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢ʃiː⸣keː ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiː⸣ba。ʔa⸢ratamu⸣na](昔からしてきた通りにしなさい{EOS}改めるな)。 ン⸢メーマー⸣ ア⸢ラ⸣タメー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ ʔa⸢ra⸣tameː ⸣misamunu] (少しは改めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ラ⸣タミバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ra⸣tamiba] (早く改めよ) 1305 0 0 1215 htmvoc_1305.wav アラッサーク ア⸢ラッサーク [ʔa⸢rassaːku] 名 厳しい仕事。荒業。体力の要る力仕事。 ヤ⸢マシグ⸣トー ア⸢ラッサーク⸣ ヤ⸢ルンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ja⸢maʃigu⸣toː ʔa⸢rassaːku⸣ ja⸢runda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (山仕事は荒業だから気をつけなさいよ) 1306 0 0 1216 htmvoc_1306.wav アラッパー ア⸢ラッパー [ʔa⸢rappaː] 名 行動の荒っぽい人。⸢アーラッパー[⸢ʔaːrappaː](行動の荒っぽい人)ともいう。 ビ⸢コーンッふァー⸣ フ⸢ドゥビクー⸣タ ア⸢ラッパー⸣ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [bi⸢koːnffaː⸣ fu⸢dubikuː⸣taː ʔa⸢rappaː⸣ nariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (男の子は成長してきたので荒っぽくなって手がつけられない<養生できない>) 1335 0 0 1217 htmvoc_1335.wav アラッパームニ ア⸢ラッパームニ [ʔa⸢rappaːmuni] 名 荒っぽい言葉。荒々しい言葉遣い。暴言ではないが、聞いていてなんとなく喧嘩しているように思えるような口調の言葉。 ウ⸢リヌ⸣ ムネー ア⸢ラッパームニ⸣ ナリティ ナ⸢クラー⸣ヌ シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢rinu⸣ muneː ʔa⸢rappaːmuni⸣ nariti na⸢kuraː⸣nu sï̥⸢karanu] (あれの言葉は荒っぽい言葉になっていて怖くて聞けない) 1307 0 1 1218 htmvoc_1307.wav アラテイー ア⸢ラ⸣テイー [ʔa⸢ra⸣tiː] 名 {Mn_1}新しい手法。新しい方法。 ク⸢ヌ ヌーヌヌ⸣ アヤー ア⸢ラ⸣ティーシル ウ⸢レー⸣ヌンドゥ ⸢ゾー⸣ブンニ ウ⸢ラリブーバン [ku⸢nu nuːnunu⸣ ʔajaː ʔa⸢ra⸣tiːʃiru ʔu⸢reː⸣nundu ⸢ʣoː⸣bunni ʔu⸢raribuːbaŋ] (この布の模様<柄>は新しい手法で織ったのだが、立派に<上分に>織られているわい)。 1307 0 2 1219 htmvoc_1307.wav アラテイー ア⸢ラ⸣テイー [ʔa⸢ra⸣tiː] 名 {Mn_2}初めての作品。 ⸣バー ス⸢ク⸣レール ⸢サンシンヌ⸣ ア⸢ラティー⸣ヤ ノ⸢ボール⸣ ムティ⸢ベー [⸣baː su⸢ku⸣reːru ⸢saŋʃinnu⸣ ʔa⸢ratiː⸣ja no⸢boːru⸣ muti⸢beː] (私が製作した三味線の最初の作品は昇君<大城昇氏>が持っているよ) 1310 0 0 1220 htmvoc_1310.wav アラトゥ ア⸢ラトゥ [ʔa⸢ratu] 名 粗い砥石(粗砥)。あらとぎに用いる質の粗い砥石。 ヤ⸢マンガラ⸣シェー ア⸢ラトゥ⸣ナ ⸣トゥイバ [ja⸢maŋgara⸣ʃeː ʔa⸢ratu⸣na ⸣tuiba] (やまがたな<山刀>は粗砥で研ぎなさい) 1309 0 0 1221 htmvoc_1309.wav アラトゥー ア⸢ラトゥー [ʔa⸢ratuː] 名 荒海。時化の荒海。波の高い荒海の海峡。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣フクカー ⸢マイ⸣ヌ ⸢トゥーン⸣ ア⸢ラトゥー⸣ ナリティ ナ⸢クラー⸣ン [⸢taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kukaː ⸢mai⸣nu ⸢tuːŋ⸣ ʔa⸢ratuː⸣ nariti na⸢kuraː⸣ŋ] (台風になると前の海峡も荒海になって怖い) 1308 0 0 1222 htmvoc_1308.wav アラドゥー ア⸢ラ⸣ドゥー [ʔa⸢ra⸣duː] 名 初婚(女性)。初めて結婚して新家庭を作ること。 ミ⸢ドーン⸣ッふァーン ア⸢ラ⸣ドゥー ムティ ⸢パッ⸣ター トゥ⸢クットゥ シェー⸣チバン [mi⸢doːn⸣ffaːŋ ʔa⸢ra⸣duː ⸣muti ⸢pat⸣taː tu̥⸢kuttu ʃeː⸣ʧibaŋ] (女の子も初婚で家庭を作って行ったので一安心したよ<ゆっくりして落ち着いたよ>) 1311 0 0 1223 htmvoc_1311.wav アラトゥイ ア⸢ラトゥイ [ʔa⸢ratui] 名 荒研ぎ。粗研ぎ。荒い砥石で刃物を研ぐこと。刃物を大まかに研ぐこと。 カ⸢タ⸣ナー シ⸢ダケー⸣ ア⸢ラトゥ⸣ナ ア⸢ラトゥイ シー⸣バ [kḁ⸢ta⸣naː ʃi⸢dakeː⸣ ʔa⸢ratu⸣naː ʔa⸢ratui ʃiː⸣ba] (包丁は先に粗い砥石<粗砥>で粗研ぎしなさい) 1312 0 0 1224 htmvoc_1312.wav アラトゥシ ア⸢ラトゥシ [ʔa⸢ratuʃi] 名 粗い砥石。粗めの砥石。ア⸢ラトゥ[ʔa⸢ratu](粗い砥石)ともいう。対語はク⸢マトゥ[ku⸢matu](細かいめの砥石)。大工道具を研ぐ際に用いる。先ずア⸢ラトゥで刃を研ぎ、次にクマトゥで研ぎあげる。農耕用の刃物はア⸢ラトゥで研ぎ、ク⸢マトゥは使わない。 ヤ⸢マンガラ⸣シェー ア⸢ラトゥシ⸣ナ ⸣トゥイ [ja⸢maŋgara⸣ʃeː ʔa⸢ratuʃi⸣na ⸣tui] (山刀は粗い砥石で研ぎなさい) 1313 0 0 1225 htmvoc_1313.wav アラナー ア⸢ラ⸣ナー [ʔa⸢ra⸣naː] 連 ~でなくて。指定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の未然形に打ち消しの助動詞-ヌ[-nu](ない)の連用形⸣ナー[⸣naː](~ずに)が下接した形。「~でなくて、~でないのに、~でないにもかかわらず」の意味。 ウ⸢ヤッ⸣ふァーンツァン ア⸢ラ⸣ナー アイ⸢バー⸣キ ⸢サン⸣タンティン ミサン [ʔu⸢jaf⸣faːnʦaŋ ʔa⸢ra⸣naː ʔai⸢baː⸣ki ⸢san⸣tantim ⸣misaŋ] (親子でもないのにあんなにまでしなくてもよい) 1314 0 0 1226 htmvoc_1314.wav アラナン ア⸢ラナン [ʔa⸢ranaŋ] 名 荒波。若年層は、ア⸢ラナミ[ʔa⸢ranami](荒波)ともいう。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤビティ ア⸢ラナン⸣ヌ ⸣ブリ⸢クー⸣ター ⸣フネー ⸢フンナキ ナーン⸣シェン [⸢ʔoːʃikinu⸣ jabiti ʔa⸢ranan⸣nu buri⸢kuː⸣taː ⸣ɸuneː ⸢ɸunnaki naːŋ⸣ʃeŋ] (天気が崩れて荒波が群れ寄せてきたので舟は沈没してしまった) 1315 0 0 1227 htmvoc_1315.wav アラナンカ ア⸢ラナン⸣カ [ʔa⸢ranaŋ⸣ka] 名 初七日忌。死後七日目に執り行われる法事。「新七日」の義。 ア⸢ラナン⸣カー シ⸢マ⸣シェーン [ʔa⸢ranaŋ⸣kaː ʃi⸢ma⸣ʃeːŋ] (初七日忌は済ませた) 1316 0 0 1228 htmvoc_1316.wav アラニシ ア⸢ラニシ [ʔa⸢raniʃi] 名 秋の終わり(十一月)ごろ吹き始める季節風の北風。「新北風」の義。⸣ミーニシ[⸣miːniʃi](初北風)ともいう。 ア⸢ラニシヌ⸣ フクカー タ⸢カヌ⸣ バ⸢タルン [ʔa⸢raniʃinu⸣ ɸu̥kukaː tḁ⸢kanu⸣ ba⸢taruŋ] (初北風が吹くと鷹が渡る) 1317 0 0 1229 htmvoc_1317.wav アラヌ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔaranu] 連 ~でない。指定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の未然形に打ち消しの助動詞ヌ[nu](ない)が下接した形。「否、アラズ・イナヤ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣アイヤー ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣ ムネー ア⸢タラヌ [⸣ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu ⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː ʔa⸢taranu] (そうではない{EOS}君の言うことは間違っている<あたらない>)。 ノー⸢ン⸣ ア⸢ラン⸣クトゥ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ユ⸢クシムニ⸣バ ⸢シー⸣  ウ⸢バーシ⸣ シケーバン ⸣ヌヤー [noː⸢ŋ⸣ ʔa⸢raŋ⸣ku̥tu ja⸢rundu⸣ ju⸢kuʃimuni⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥keːban ⸣nujaː] (何でもないことだが、嘘をついて驚かせてあるんだよ{EOS}何かと思ったら) 1318 0 0 1230 htmvoc_1318.wav アラヌーヌ ア⸢ラヌーヌ [ʔa⸢ranuːnu] 名 粗布(あらぬの{EOS}そふ)。太目の糸で織り目を粗く織った平織りの布。 ア⸢ラヌーヌバ⸣ シ⸢ギアーシティ⸣ ア⸢カ⸣ズミキーヌ ⸣カーシ ア⸢ガイル⸣ ス⸢ミティ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢プー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [ʔa⸢ranuːnuba⸣ ʃi⸢giʔaːʃi̥ti⸣ ʔa⸢ka⸣ʣumikiːnu ⸣kaːʃi ʔa⸢gairuba⸣ su⸢miti⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢puː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (粗布を継ぎ合わせ、ヒルギの皮で赤く染めて舟の帆を作られた) 1330 0 0 1231 htmvoc_1330.wav アラヌール ア⸢ラヌー⸣ル [ʔa⸢ranuː⸣ru] 名 粗塗り。下塗り。壁や家具類の塗装で最初にざっと塗ること。 カ⸢ツシンヌ ペン⸣キーン ア⸢ラヌー⸣ル ⸢シーティル オーヌーロー ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃinnu peŋ⸣kiːŋ ʔa⸢ranuː⸣ru ⸢ʃiːtiru ʔoːnuːroː soːt⸣ta] (カツオ漁船のペンキも粗塗り<下塗り>をしてから上塗りをされた) 1331 0 0 1232 htmvoc_1331.wav アラバー ア⸢ラバー [ʔa⸢rabaː] 名 風の吹き荒ぶ場所。吹き荒れる所。「荒場」の義。 ⸣クマー カ⸢タカ⸣ヌ ⸢ナー⸣ンダ ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー ア⸢ラバー⸣ ナリティ ン⸢カーラヌ [⸣kumaː kḁ⸢taka⸣nu ⸢naː⸣nda ⸢taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː ʔa⸢rabaː⸣ nariti ʔŋ⸢kaːranu] (ここはかざよけ<風除け{EOS}防風林>がないから、台風の時は風の吹き荒れる所となって、とても対処<立ち向かい>できない) 1319 0 0 1233 htmvoc_1319.wav アラパカ ア⸢ラパカ [ʔa⸢rapaka] 名 新しく作った墓。新しく死者を葬った墓は⸢ミーパカ[⸢miːpaka]という。 ⸢バン⸣ター ッ⸢シェーラ⸣ パ⸢トゥ⸣マナテー ア⸢ラパカ⸣ ス⸢ク⸣ロール プ⸢ソー オーラン⸣シェン [⸢ban⸣taː ʃ⸢ʃeːra⸣ pa⸢tu⸣manateː ʔa⸢rapaka⸣ su⸢ku⸣roːru pu⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (私達が物心ついてからは、鳩間島で新しい墓を作られる人はおられなかった)。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ナ⸢カンブレ⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナ ア⸢ラパカ⸣ ス⸢ク⸣ローッタツォー [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ na⸢kambure⸣nu s⸢saːn⸣na ʔa⸢rapaka⸣ su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (あの家の人は中岡<ナカモリ>の下に新しい墓を作られたそうだ) 1320 0 0 1234 htmvoc_1320.wav アラパジミ ア⸢ラパジ⸣ミ [ʔa⸢rapaʤi⸣mi] 名 最初。一等はじめ。「新初め」の義。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢ラパジ⸣メー ⸢プーシン⸣シ ⸣ハッチョーリューバ ⸢クイ⸣ヤーティル カ⸢ツォー ホー⸣ソーッタツォー [pḁ⸢tuma⸣nu kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢rapaʤi⸣meː ⸢puːʃiŋ⸣ʃi ⸣hatʧoːrjuːba ⸢kui⸣jaːtiru kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːttaʦoː] (鳩間島の鰹船は、最初は帆船で八丁櫓を漕ぎながら鰹を釣られたそうだ) 1322 0 0 1235 htmvoc_1322.wav アラブシケー ア⸢ラブシケー [ʔa⸢rabuʃi̥keː] 名 屋号。⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城博氏宅)の東隣の大工修氏宅(「東大城家」の儀)や大工新吉氏宅。⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工定市氏宅)の前隣。 ア⸢ラブシケーヌ⸣ アー⸢パー⸣マー ユ⸢ナ⸣デーヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァ ヤ⸢ロー⸣リ ⸢マイトゥブ⸣レーヌ ⸢モー⸣シェンマーヌ ブ⸢ネーヌ⸣ ウヤ ヤ⸢ローッ⸣タ [ʔa⸢rabuʃi̥keːnu⸣ ʔaː⸢paː⸣maː ju⸢na⸣deːnu mi⸢doːŋ⸣ffa ja⸢roː⸣ri ⸢maitubu⸣reːnu ⸢moː⸣ʃemmaːnu bu⸢neːnu⸣ ʔuja ja⸢roːt⸣ta] (大工新吉氏宅のお祖母さんは与那田家の娘であられ、吉川家の森子氏の母親であられた)。ア⸢ラブシケーヌ⸣ ウ⸢キ⸣ナザーテー[ʔa⸢rabuʃi̥keːnu⸣ ʔu⸢ki⸣naʣaːteː](大工修氏宅<東大城家の宇慶那氏宅>)ともいう。⸢アーラ⸣・⸣ウブシケー[⸢ʔaːra⸣・⸣ʔubuʃi̥keː](東・大城家)が音韻変化して生成された合成語。大工修氏らは戦前に鳩間島漁業組合の設立に貢献され、鳩間島漁業組合のコンクリート建て冷蔵庫をカ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の前海岸に建設された 1323 0 0 1236 htmvoc_1323.wav アラフニ ア⸢ラ⸣フニ [ʔa⸢ra⸣ɸuni] 名 新造船。若年層は⸢シンゾー⸣シン[⸢ʃinʣoː⸣ʃiŋ](新造船)ともいう。カツオ漁船を石垣島の造船場で新造した。ス⸢ラウラ⸣シ[su⸢raʔura⸣ʃi](進水式)には餅を撒いて祝う習慣があった。 ア⸢ラフニ⸣ヌ ス⸢ラウラシ⸣ヌ ⸣ピンマー コー⸢シェー⸣マーン ム⸢チン ポーローッ⸣タン [ʔa⸢raɸuni⸣nu su⸢rauraʃi⸣nu ⸣pimmaː koː⸢ʃeː⸣maːm mu⸢ʧim poːroːt⸣taŋ] (新造船の進水式の日には菓子も餅も撒かれた) 1324 0 0 1237 htmvoc_1324.wav アラフルマイ ア⸢ラフル⸣マイ [ʔa⸢raɸuru⸣mai] 名 元日の朝の料理。新しいご馳走。 ⸣ソンガチ ⸢グヮンタン⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テー ⸢ザートゥク⸣ヌ ⸣マイナーティ ⸢ヤーニン⸣ズ ⸣スルイ ⸢ニントゥー⸣ シ⸢ティ⸣ ア⸢ラフル⸣マィ ⸢オーソーッ⸣タ [⸣soŋgaʧinu ⸢gwantan⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢ʣaːtuku⸣nu ⸣mainaːti ⸢jaːnin⸣ʣu ⸣surui ⸢nintuː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔa⸢raɸuru⸣mai ⸢ʔoːsoːt⸣ta] (正月元旦の朝は床神の前で家族揃って年頭の挨拶をして新年のご馳走<振舞い>を召し上がられた) 1325 0 0 1238 htmvoc_1325.wav アラマース ア⸢ラマース [ʔa⸢ramaːsu] 名 粗塩(あらしお)。精製してない結晶の粗い塩。塩焼きして取り出したばかりの粗塩。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ニ⸢チ⸣ヌ サ⸢マラン⸣ ピンマー ピ⸢ルバ シッ⸣キ ア⸢ラマーストゥ⸣ カ⸢ケー⸣シティ ⸢ブッツ⸣ナー ⸣ッシ カ⸢バ⸣シ ピ⸢ルキ⸣ナーン ッ⸢シットー⸣シ シ⸢キ⸣ルカー サ⸢マル⸣タン [ja⸢rabi⸣nu ni⸢ʧi⸣nu sa⸢maram⸣ pimmaː pi⸢ruba ʃik⸣ki ʔa⸢ramaːsutu⸣ ka⸢keː⸣ʃiti ⸢butʦu⸣naː ⸣ʃʃi ka⸢ba⸣ʃi pi⸢ruki⸣naːŋ ʃ⸢ʃittoː⸣ʃi ʃi⸢ki⸣rukaː sa⸢maru⸣taŋ] (子供の熱が下がらない<冷めない>ときは大蒜を搗いて潰し、粗塩をかき混ぜて臍にすり込みおおい被せ、頭のひよめきにもすり込んでおくと熱は冷めたよ) 1333 0 0 1239 htmvoc_1333.wav アラマイ ア⸢ラマイ [ʔa⸢ramai] 名 新米。新しく収穫した米。⸢ミーマイ[⸢miːmai](新米)ともいう。 ア⸢ラマイヌ⸣ イー バ⸢カシ⸣バ [ʔa⸢ramainu⸣ ʔiː ba⸢kaʃi⸣ba] (新米の御飯を炊きなさい) 1326 0 0 1240 htmvoc_1326.wav アラミチ ア⸢ラ⸣ミチ [ʔa⸢ra⸣miʧi] 名 新しい道。「新道(あらみち)」の義。 ア⸢ラ⸣ミチ ス⸢ク⸣リ ⸢トゥー⸣ソーッター ユ⸢カラスコー⸣ シ⸢カ⸣ミチ ナ⸢リ⸣ブヨー [ʔa⸢ra⸣miʧi su⸢ku⸣ri ⸢tuː⸣soːttaː ju⸢karasukoː⸣ ʃi⸢ka⸣miʧi na⸢ri⸣bujoː] (新しい道を作って通されたので相当に<よかるほど>近道になっているよ) 1327 0 0 1241 アラムス ア⸢ラムス [ʔa⸢ramusu] 名 新しい筵。⸢ミームス[⸢miːmusu](新品の筵)ともいう。 ア⸢ラムス⸣ シ⸢キティ⸣ ビ⸢リ オーラ⸣シバ [ʔa⸢ramusu⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ bi⸢ri ʔoːra⸣ʃiba] (新しい筵を敷いてお座りいただき<お座り御座させ>なさいよ) 115 0 0 1242 htmvoc_115.wav アラムトゥ ア⸢ラム⸣トゥ [ʔa⸢ramu⸣tu] 名 玄米または精白した米の中に混じっている籾。あらもと(粡)。「粒 阿良本」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ⸢マイ⸣ ッサイティ ア⸢ラム⸣トゥ プ⸢サイ⸣バ [⸢mai⸣ ssaiti ʔa⸢ramu⸣tu pu̥⸢sai⸣ba] (米を精白して、中の籾を拾いなさいよ)。 ⸢マイ⸣ ピ⸢キ⸣ シケーバ ユ⸢ラシ⸣シ ユ⸢ラシティ⸣ ア⸢ラム⸣トゥ プ⸢サイ [⸢mai⸣ pi̥⸢ki⸣ ʃi̥keːba ju⸢raʃi⸣ʃi ju⸢raʃi̥ti⸣ ʔa⸢ramu⸣tu pu̥⸢sai] (籾摺り臼<碾き臼>で籾摺りをして<米を挽いて>あるから、篩で篩って<揺らして>混在する籾を拾って取り除きなさい)。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸢パー⸣ヌ ⸢ムイランベー⸣ティル ア⸢ラム⸣トー ⸢ゴー⸣ラー [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸢paː⸣nu ⸢muirambeː⸣tiru ʔa⸢ramu⸣toː ⸢goː⸣raː] (碾き臼の歯が磨り減っている<萌え立たない>からアラモト<粡>が多いのだ) 1334 0 0 1243 htmvoc_1334.wav アラムニ ア⸢ラ⸣ムニ [ʔa⸢ra⸣muni] 名 荒っぽい言葉遣い。暴言。喧嘩口論。 ⸣アイヤー ア⸢ラ⸣ムニ イ⸢ズムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ マーン⸢ベーマ⸣ ヤー⸢ラヤーラ⸣シ ⸣ムネー イ⸢ジ [⸣ʔaijaː ʔa⸢ra⸣muni ʔi⸢ʣumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu maːm⸢beːma⸣ jaː⸢rajaːra⸣ʃi ⸣muneː ʔiʤi] (あんなに∂喧嘩口調で言う<荒い言葉をいう>のではない{EOS}もう少し柔らかくものはいいなさい)。ア⸢ラッパームニ[ʔa⸢rappaːmuni](荒っぽい言葉)ともいう 134 0 0 1244 htmvoc_134.wav アラムヌ ア⸢ラムヌ [ʔa⸢ramunu] 名 新しいもの。新品。⸢ミームヌ[⸢miːmunu](新品)ともいう。 ク⸢レー⸣ シゥ⸢カーラヌ⸣ ア⸢ラムヌトゥ <⸢ミームヌトゥ> カイリ [ku⸢reː⸣ si̥⸢kaːranu⸣ ʔa⸢ramunutu <⸢miːmunutu> kairi] (これは使えない{EOS}新品<新しいもの>と取り換えなさい)。 ア⸢ラムヌバ⸣ イ⸢ラ⸣ビ ⸣クー [ʔa⸢ramunuba⸣ ʔi⸢ra⸣bi ⸣kuː] (新品<新しいもの>を選んでこい)。⸢ミームヌ[⸢miːmunu](新品)ともいう。 ア⸢ラムノー⸣ <⸢ミームノ⸣ー> プサ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ramunoː⸣ <⸢miːmuno⸣ː> pu̥sa ⸢naː⸣nu] (新品は欲しくない) 1337 0 0 1245 htmvoc_1337.wav アラムヌ ア⸢ラ⸣ムヌ [ʔa⸢ra⸣munu] 名 大きなもの。粗大なもの。粗くて大まかなもの。 ア⸢ラ⸣ムノー ナン⸣ゾー プサ⸢ナー⸣ヌ ク⸢マムヌ⸣ル ⸣プサ [ʔa⸢ra⸣munoː nan⸣ʣoː pu̥sa⸢naː⸣nu ku⸢mamunu⸣ru ⸣pu̥sa] (大きなもの<粗大なもの>はあんまり欲しくない{EOS}小さなもの<細かいもの>が<ぞ>欲しい) 1338 0 0 1246 htmvoc_1338.wav アラモーキ ア⸢ラモーキ [ʔa⸢ramoːki] 名 荒儲け。荒稼ぎ。大儲け。 ア⸢ラモーキ スンティ アー⸣クンケン ⸢スンカブ⸣リ ⸢シーナン⸣ツォー [ʔa⸢ramoːki sunti ʔaː⸣kuŋken ⸢suŋkabu⸣ri ⸢ʃiːnan⸣ʦoː] (荒儲けしようとしているうちに大損をして<損を被って>しまったそうだ)。 ア⸢ラモーキ シェー⸣ル ⸣ジン ヤ⸢レー⸣ティル ア⸢ラシゥカイ シェー⸣ル⸢ナー [ʔa⸢ramoːki ʃeː⸣ru ⸣ʤiɲ ja⸢reː⸣tiru ʔa⸢rasï̥kai ʃeː⸣ru⸢naː] (荒儲けした金だから湯水のように浪費<荒使い>したのだろうよ) 135 0 1 1247 htmvoc_135.wav アラヤー ア⸢ラヤー [ʔa⸢rajaː] 名 {Mn_1}新しい家。新築の家。⸢ミーヤー[⸢miːjaː](新築の家)ともいう。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ア⸢ラヤーバ⸣ ス⸢ク⸣ローレーンツォー [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢rajaːba⸣ su̥⸢ku⸣roːreːnʦoː] (その家の人は新しい家を造られたそうだ)。 ア⸢ラヤー⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸣ウヤ サ⸢ニヤ⸣ シ⸢ミ オーラ⸣シ [ʔa⸢rajaː⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔuja sa⸢nija⸣ ʃi⸢mi ʔoːra⸣ʃi] (新しい家を造って親を喜ばせて差し上げなさい)。 135 0 2 1248 htmvoc_135.wav アラヤー ア⸢ラヤー [ʔa⸢rajaː] 名 {Mn_2}屋号。故吉川米三氏宅。 イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥ パ⸢トゥ⸣マナー ア⸢ラヤーナ⸣ル ミ⸢シン⸣マー ⸢アッ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔatu pḁ⸢tu⸣manaː ʔa⸢rajaːna⸣ru mi⸢ʃim⸣maː ⸢ʔat⸣ta⸢daː] (戦後、鳩間では吉川家だけにミシンがあったのだよ)。吉川米三氏宅。 ア⸢ラヤー⸣ナー ⸢コンクリ⸣ヌ ウ⸢ブミジタン⸣クーン ス⸢ク⸣ローレータン [ʔa⸢rajaː⸣naː ⸢koŋkuri⸣nu ʔu⸢bumiʤitaŋ⸣kuːn su̥⸢ku⸣roːreːtaŋ] (吉川家ではコンクリート造りの大きな水タンクも造られてあった) 1341 0 0 1249 htmvoc_1341.wav アラワリルン ア⸢ラワリ⸣ルン [ʔa⸢rawari⸣ruŋ] 自動 現われる。 ク⸢クル⸣ヌ ウ⸢ムイ⸣ヤー シ⸢ラカタ⸣チナ ア⸢ラワリルン⸣ドゥ ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢ピッ⸣チン ア⸢ラワリラン⸣バン [ku̥⸢kuru⸣nu ʔu⸢mui⸣jaː ʃi⸢rakata⸣ʧina ʔa⸢rawarirun⸣du ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢rawariram⸣baŋ] (心の思いは顔貌に現われるが、このことはちっとも現れない) 1343 0 0 1250 htmvoc_1343.wav アラン⸠ユー ア⸢ラン⸠ユー [ʔa⸢raŋ⸠juː] 連 ~ではありませんよ。ア⸢ラ⸣ヌ[ʔa⸢ra⸣nu](~でない)の丁寧な表現。助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の未然形に打ち消しの助動詞ヌ[nu](~ない)の終止形が付き、丁寧の終助詞⸢ユー[juː]が下接した形 1342 0 0 1251 htmvoc_1342.wav アランカー ア⸢ラン⸣カー [ʔa⸢raŋ⸣kaː] 連 でなかったら。助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の未然形に打ち消しの助動詞ヌ[nu](~ない)の連体形が付き、更に接続助詞⸣カー[⸣kaː](もし~なら<~たら>)が付いて仮定条件を導く。 ⸢ワー⸣ ア⸢ラン⸣カー ⸢タール⸣ ク⸢ヌ⸣ ヤー シ⸢グワ [⸢waː⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸢taːru⸣ ku⸢nu⸣ jaː ʃi⸢guwa] (君でなければ誰がこの家を継ぐのか)。 ⸣バー ク⸢リバ ドゥー⸣ヌ ⸣ムヌティ ア⸢ズタヌ フントー⸣ ア⸢ラン⸣カー ⸢ヌー⸣スワメー [⸣baː ku⸢riba duː⸣nu ⸣munuti ʔa⸢ʣutanu ɸuntoː⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸢nuː⸣suwameː] (私は、これを自分のものだと言ったが、正しくなければ<本当でなければ>どうしようか) 1344 0 0 1252 htmvoc_1344.wav アリ ⸢ア⸣リ [⸢ʔa⸣ri] 感 ほら。そら。それ。あら。 ⸣アリヒャー ⸣カマーラ ⸢ズンサ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン⸢ドー パー⸣ク ナ⸢キヤミリ [⸣ʔariçaː ⸣kamaːra ⸢ʣunsa⸣nu ⸢ʔoː⸣run⸢doː paː⸣ku na⸢kijamiri] (そら、たいへんだぞ{EOS}あそこから巡査がいらっしゃるぞ{EOS}早く泣くのを止めなさい) 1346 0 0 1253 htmvoc_1346.wav アリー ⸣アリー [⸣ʔariː] 名 あらい(洗膾)。お汁の実となる魚肉や豚肉、野菜類など。[ʔarai] → [ʔareː] → [ʔariː] の音韻変化による。 ⸢スー⸣ヌ ⸣アレー カ⸢ツヌ⸣ ハ⸢ラゴー⸣トゥ シ⸢ビラ⸣ イ⸢リリ⸣バ [⸢suː⸣nu ⸣ʔareː kḁ⸢ʦunu⸣ ha⸢ragoː⸣tu ʃi⸢bira⸣ ʔi⸢riri⸣ba] (お汁のあらい<洗膾>にはカツオの腹皮とわけぎ<分葱>を入れなさいよ) 1345 0 0 1254 htmvoc_1345.wav アリアリ ⸣アリアリ [⸣ʔariʔari] 感 それそれ。ほらほら。⸣ウリウリ[⸣ʔuriuri](それそれ)ともいう。 ⸣アリアリ ⸣カマーラ ⸢ビープス⸣ヌ クーン⸢ドー パー⸣ク ⸢ピン⸣ギパリ [⸣ʔariʔari ⸣kamaːra ⸢biːpu̥su⸣nu kuːn⸢doː paː⸣ku ⸢piŋ⸣gipari] (ほらほら、むこうから酔っ払いが来るぞ{EOS}早く逃げていきなさい) 1347 0 0 1255 htmvoc_1347.wav アリガタイクトゥ ア⸢リガタイ⸣ クトゥ [ʔa⸢rigatai⸣ ku̥tu] 連 有り難いこと。若年層の言葉で、標準語からの借用語。老年層は、フ⸢コーラサー⸣ル ⸣クトゥ[ɸu̥⸢koːrasaː⸣ru ⸣ku̥tu](有り難いこと<感謝したいこと、気持ち{EOS}身にしみて嬉しいこと>)という 1351 0 0 1256 htmvoc_1351.wav アリズー ア⸢リ⸣ズー [ʔa⸢ri⸣ʣuː] 名 在り所。在り処。家、建物、田畑などのあるところ。存在する所。⸣アルントン[⸣ʔaruntoŋ](在り処)、⸣アントン[ʔantoŋ](在り処)ともいう。 ⸢ウン⸣ネヌ ア⸢リ⸣ゾー サ⸢バキグリ⸣サン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu ʔa⸢ri⸣ʣoː sa⸢bakiguri⸣san⸢daː] (その家の在り処は探し求めることが難しい<捌きずらい>よ)。 ⸢ダイ⸣チョーナー ⸢ヌーリブヌンドゥ⸣ ク⸢ヌ⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢リズヌン⸣ドゥ ッ⸢サン⸣ツォー [⸢dai⸣ʧoːnaː ⸢nuːribunundu⸣ ku⸢nu⸣ pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢riʣunun⸣du s⸢san⸣ʦoː] (台帳には登載されて<載って>いるが、この畑の在り処が<ぞ>わからない<知らない>のだよ) 1352 0 0 1257 htmvoc_1352.wav アリタボーリ ⸣アリ タ⸢ボー⸣リ [⸣ʔari ⸢taboː⸣ri] 連 ~であってください。~でいらっしゃって下さい。~でおわしませ。「あり賜われ」の転訛したもの。 ⸢ピャー⸣クパタチ⸢バー⸣キ ⸢ガン⸣ゾー ⸣アリ タ⸢ボー⸣リ [⸢pjaː⸣kupḁtaʧi ⸢baː⸣ki ⸢gan⸣ʣoː ⸣ʔari ta⸢boː⸣ri] (百二十歳まで健康でいらっしゃって<頑丈であって>下さい) 1355 0 0 1258 htmvoc_1355.wav アリッサルン ⸣アリッサルン [⸣ʔarissaruŋ] 自動 常に有り余るほど沢山ある。満ち溢れている。十二分にある。卑語。「有り・腐れる」の義。 ⸣ヌーンクイン ⸣アリッサルンケン ア⸢リ⸣ルブー ⸢ナーン⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸣nuːŋkuiŋ ⸣ʔarissaruŋkeŋ ʔa⸢ri⸣rubuː ⸢naːm⸣munoː ⸢naː⸣nu] (なにもかも有り余るほど満ち溢れて<ぞ>ある{EOS}ないものはない) 1369 0 0 1259 htmvoc_1369.wav アリドゥー ア⸢リドゥー [ʔa⸢riduː] 名 荒海。灘。沖の荒海。 パ⸢トゥ⸣マプソー フ⸢ユヌ⸣ シチェー ア⸢リドゥーバ クイヤー⸣ティ ニ⸢シェー パ⸣ヤー バ⸢タリドゥ タースク⸣ル ⸢ソーッ⸣タ [pa⸢tu⸣mapusoː ɸu⸢junu⸣ʃi̥ʧeː ʔa⸢riduːba kuijaː⸣ti ni⸢ʃeː pa⸣jaː ba⸢taridu taːsï̥ku⸣ru soːt⸣ta] (鳩間人は冬の季節には荒海<荒れた鳩間水道>を越えて北へ南へ渡り水田耕作<田圃作り>をなされた) 1370 0 0 1260 htmvoc_1370.wav アリヒャー ⸣アリヒャー [⸣ʔariçaː] 感 そら大変。それ大変。それ見ろ。他人を驚かす際に言うことば。⸣ヒャー[çaː](~野郎{EOS}~やつ)は人を罵り、悪しざまにいう意味の接尾語。⸣ウリヒャー[⸣ʔuriçaː](そら大変、それ見ろ)と同じ。 ⸣アリヒャー ⸣カマーラ プ⸢スファイ サバヌ⸣ クン⸢ドー ⸢ピンギ⸣リ [⸣ʔariçaː ⸣kamaːra pu̥⸢suffai sabanu⸣ kun⸢doː piŋgi⸣ri] (それ<大変だ>{EOS}あそこから人食い鮫が来るぞ、逃げろ) 1354 0 0 1261 htmvoc_1354.wav アリフクリ ア⸢リフク⸣リ [ʔa⸢riɸu̥ku⸣ri] 名 ものが有り余って、もののありがたさを知らないこと。 ⸣ヌーンクイン ⸣スルイティ ア⸢リフク⸣リ ⸢シー ブンダル⸣ ム⸢ヌアタラ⸣サティ ⸢スームノー⸣ ッ⸢サヌ [⸣nuːŋkuin ⸣suruiti ʔa⸢riɸu̥ku⸣ri ⸢ʃiː bundaru⸣ mu⸢nuʔatara⸣sati ⸢suːmunoː⸣ s⸢sanu] (何もかも揃って有り余っているので、ものを大切にすること<ものを惜しむべきこと>を知らない) 1353 0 0 1262 htmvoc_1353.wav アリプサン ア⸢リ⸣プサン [ʔa⸢ri⸣pusaŋ] 連 ありたい。存在詞⸣アン[ʔaŋ](在る{EOS}有る)の連用形に形容詞型助動詞⸣プサン[pu̥saŋ](~たい{EOS}~欲しい)が下接した形。 ⸢ジン⸣マー ア⸢リ⸣プサン [⸢ʤim⸣maː ʔa⸢ri⸣pusaŋ] (金は欲しい<有りたい>)。 プ⸢スヌ⸣ ムノー ア⸢リ⸣プサ ス⸢ナ⸣ヨー [pu̥⸢sunu⸣ munoː ʔa⸢ri⸣pu̥sa su⸢na⸣joː] (他人のものを欲しがるな<有りたくするな>よ{EOS}他人のものを欲しがるでないぞ) 1371 0 0 1263 htmvoc_1371.wav アリヨーアリヨー ア⸢リヨーアリヨー [ʔa⸢rijoːʔarijoː] 感 あれよあれよ。ああっ!助けてー!驚きうろたえて人を呼ぶときに発することば。乳児が縁側から落ちそうになったとき等、危機一髪のところを母親が見つけて絶叫することば。 ⸢アリヨーアリヨー⸣ ウ⸢ティ⸣ルン⸢ドー [⸢ʔarijoːʔarijoː⸣ ʔu⸢ti⸣run⸢doː] (あれよあれよ{EOS!}落ちるぞ{EOS!}) 1372 0 0 1264 htmvoc_1372.wav アリヨークリヨー ア⸢リヨークリ⸣ヨー [ʔa⸢rijoːkuri⸣joː] 名 あれこれと苦労すること。 ア⸢リヨークリ⸣ヨー ⸢シェーテイ⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァバ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシタル [ʔa⸢rijoːkuri⸣joː ⸢ʃeːti⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ʔu⸢bi⸣nu f⸢faba⸣ sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃitaru] (あれやこれやと苦労をして、やっとであれだけの子供を養い育てた<成長させた>のだ) 1356 0 0 1265 htmvoc_1356.wav アリルン ア⸢リルン [ʔa⸢riruŋ] 自動 荒れる。天候が悪化して海が荒れる。強風が吹いて大波が立つ。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤ⸢ブ⸣ルカー ⸢マイ⸣ヌ ⸢トゥーヤ⸣ ア⸢リルンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ア⸢リランバン [⸢ʔoːʃi̥kinu⸣ ja⸢bu⸣rukaː ⸢mai⸣nu ⸢tuːja⸣ ʔa⸢rirunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢rirambaŋ] (天候が崩れ<破れ>ると前の海峡<渡>は荒れると思ったが、あまり荒れないわい)。 ユ⸢カラスコー⸣ ア⸢リブーバン [ju⸢karasu̥koː⸣ ʔa⸢ribuːbaŋ] (相当荒れているわい)。 ア⸢リル⸣ ピンヌン ⸣アン [ʔa⸢riru⸣ pinnuŋ ⸣ʔaŋ] (荒れる時<日>もある) 1375 0 0 1266 htmvoc_1375.wav アリンナーン ⸣アリン ⸢ナー⸣ン [⸣ʔarin ⸢naː⸣ŋ] 連 あってもなくても。 ⸣アリン ⸢ナー⸣ン プ⸢スピライヤ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔarin ⸢naː⸣m pu̥⸢supiraija saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (金があろうとなかろうと人<世間>との交際はしなくてはならない) 1357 0 0 1267 htmvoc_1357.wav アル ⸣アル [⸣ʔaru] 連体 或る。どれと具体的に示さず、漠然とその存在を示して叙述する時に使う語。 ム⸢カ⸣シ ⸣アル ⸢トン⸣ナー ア⸢ブジェーマ⸣トゥ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔaru ⸢ton⸣naː ʔa⸢buʤeːma⸣tu ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔoːttan⸣ʦoː] (昔、或る所におじいさんとおばあさんがいらっしゃったそうな) 1361 0 0 1268 htmvoc_1361.wav アルウビ ⸣アル ⸣ウビ [⸣ʔaru ⸣ʔubi] 連 あるだけ。 ⸣クナー ⸣アル ウ⸢ビ⸣ル ⸣アル ⸢マービン⸣マー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kunaː ⸣ʔaru ʔu⸢bi⸣ru ⸣ʔaru ⸢maːbim⸣maː ⸢naː⸣nu] (ここにあるだけしかない<ここにあるだけがある>{EOS}それ以上<もっと>はない) 1348 0 0 1269 htmvoc_1348.wav アルカカラー アル⸢カカ⸣ラー [ʔaru⸢kaka⸣raː] 副 悉く。総て。あるものは総て。ありったけ。アルカ⸢カ⸣ジラー[ʔarukḁ⸢ka⸣ʤiraː](悉く{EOS}あるもの総て)ともいう。 ⸢ジン⸣ヌ アル⸢カカ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ミ ⸢クータン⸣ドゥ タ⸢ラーサラヌ [⸢ʤin⸣nu ʔaru⸢kaka⸣raː muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢kuːtan⸣du ta⸢raːsaranu] (お金の総てを集めてきたが足りない<足らされない>)。 ⸢ドング⸣ヌ アル⸢カカ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ミ ⸢クーバ⸣ル タ⸢ラーサリル [⸢doŋgu⸣nu ʔaru⸢kaka⸣raː muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢kuːba⸣ru ta⸢raːsariru] (道具のありったけを総て集めてこないと足りない<~集めてくればぞ足らされる>) 1349 0 0 1270 htmvoc_1349.wav アルクトゥナーンクトゥ ⸣アルクトゥ ⸢ナーン⸣クトゥ [⸣ʔarukutu ⸢naːŋ⸣kutu] 連 本当のことと嘘。実際にあることと実在しないこと。本当のことから嘘まで総て。「あること・ないこと」の義。 ア⸢バッ⸣ツァー ⸢マーシ⸣ノ ⸣アルクトゥ ⸢ナーン⸣クトゥ イ⸢ジッツァーシ⸣ シケーンティ [ʔa⸢bat⸣ʦaː ⸢maːʃi⸣no ⸣ʔaruku̥tu ⸢naːŋ⸣ku̥tu ʔi⸢ʤitʦaːʃi⸣ ʃi̥keːnti] (お喋りやつめが、本当のことも嘘のこともまぜこぜにして言いふらして<言い散らして>あるよ) 1359 0 0 1271 htmvoc_1359.wav アルシゥカイ ⸣アルシゥカイ [⸣ʔarusï̥kai] 名 金が有るからといって湯水のように使うこと。乱費すること。無駄遣い。 ⸢ジン⸣ヌ ⸣アルカー ⸣アルシゥカイ ⸢シー⸣ キ⸢ナイヤー⸣ マイ ⸢ユーザラヌ [⸢ʤin⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣ʔarusï̥kai ⸢ʃiː⸣ ki⸢naijaː⸣ mai ⸢juːʣaranu] (金があればあったで乱費して、家庭生活は前へ進めない) 1362 0 0 1272 htmvoc_1362.wav アルトゥール ⸣アル⸢トゥー⸣ル [⸣ʔaru ⸢tuː⸣ru] 連 ありのまま。そのとおり。あるとおり。「在る・通り」の義。⸣ウヌ ⸣トゥール[⸣ʔunu ⸣tuːru](その通り、そのまま)ともいう。 ス⸢コー⸣ルカー ⸣アル ⸢トゥー⸣ル ⸣アジ ッ⸢サリリ [su̥⸢koː⸣rukaː ⸣ʔaru ⸢tuː⸣ru ⸣ʔaʤi s⸢sariri] (お尋ねになったら<聞かれたら>ありにまま申し上げなさい<言ってしられれ>) 1358 0 0 1273 htmvoc_1358.wav アルピン ⸣アル ⸣ピン [⸣ʔaru ⸣piŋ] 連 ある時。ある日。 ム⸢カ⸣シ ⸣アルピン ウ⸢ランタシン⸣ヌ ⸢ナー⸣リ ⸣ケータンツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔarupiŋ ʔu⸢rantaʃin⸣nu ⸢naː⸣ri ⸣keːtanʦoː] (昔ある日、オランダ船が流れてきたそうだ) 1350 0 0 1274 htmvoc_1350.wav アルムヌナーンムヌ ⸣アルムヌ ⸢ナーン⸣ムヌ [⸣ʔarumunu ⸢naːm⸣munu] 連 ある物総て。ありったけ。「ある物・無い物」の義。 ⸣アルムヌ ⸢ナーン⸣ムヌ ムー⸢ル⸣ ン⸢ザ⸣シ ミ⸢ラ⸣シバ [⸣ʔarumunu ⸢naːm⸣munu muː⸢ru⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi mi⸢ra⸣ʃiba] (ある物無い物総て出して見せなさいよ)。 ⸢ヤー⸣ナ ⸣アルムノー ⸣アルムヌ ⸢ナーン⸣ムヌ ムー⸢ル⸣ ン⸢ザ⸣シクー [⸢jaː⸣na ⸣ʔarumunoː ⸣ʔarumunu ⸢naːm⸣munu muː⸢ru⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃikuː] (家にあるものは総て出してきなさい)。 ⸣アル ⸢リー⸣ヤ ⸢トーサラ⸣ヌ ⸢ナー⸣ン ⸢リー⸣ヤ タ⸢ティララ⸣ヌ [⸣ʔaru ⸢riː⸣ja ⸢toːsara⸣nu ⸢naː⸣n ⸢riː⸣ja tḁ⸢tirara⸣nu] (ある事例<伝統的な先例>は廃止できない<倒されない>{EOS}無い例<先例の無い事例>は立てられない) 1364 0 0 1275 htmvoc_1364.wav アレークトゥ ⸣アレー ⸣クトゥ [⸣ʔareː ⸣ku̥tu] 連 あったこと。動詞⸣アン[⸣ʔaŋ](在る)の已然形に動詞⸣アン[⸣ʔaŋ](有る)の連体形が付いて、[ari] + [aru] → [ariaru] → [areːru] が形成され、ru語尾が弱化して脱落した形。 ウ⸢レー フン⸣トー ム⸢カ⸣シナ ⸣アレー ⸣クトゥ ヤ⸢ルンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢reː ɸun⸣toː mu⸢ka⸣ʃina ⸣ʔareː ⸣ku̥tu ja⸢runda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (それは本当に昔にあったことだから、気をつけなさいよ) 1378 0 0 1276 htmvoc_1378.wav アローナ ア⸢ロー⸣ナ [ʔa⸢roː⸣na] 名 初耕。最初の田打ち。荒打ち。「荒熟し(あら・こなし)」の義。[ara・konaʃi] → [arakunaʃi] → [arafunaʃi] → [arauna] → [aroːna] と音韻変化したもの。初耕は田の水を落とし、犂を牛に引かせて犂の先で土を切り、箆状の部分で土塊を反転させて耕す。これによって稲の刈り株を土中に埋めた。耕牛を持たない人は⸢キー⸣パイ[⸢kiː⸣pai](木製の鍬)を使ってス⸢リ⸣バイ[su⸢ri⸣bai](刈り株)を反転させて土中に埋めるように耕した。 カ⸢ツシントゥ⸣ イ⸢ガウミン(イ⸢ガメーン)⸣ ウ⸢ワーリ ズング⸣ヤーン ウ⸢チナ⸣スカー ⸣イダフネーラ ⸢パイ⸣ター バ⸢タリ⸣ ア⸢ロー⸣ナ ソーッタ [kḁ⸢ʦuʃintu⸣ ʔi⸢gaumiŋ<ʔi⸢gameːŋ>⸣ ʔu⸢waːri ʣuŋgu⸣jaːŋ ʔu⸢ʧina⸣su̥kaː ⸣ʔidaɸuneːra ⸢pai⸣taː ba⸢tari⸣ ʔa⸢roː⸣na ⸢soːt⸣ta] (鰹漁業<鰹船>と烏賊釣り漁<烏賊海>も終わり、十五夜祭りも済ませるとサバニ<板舟>でパイター<南方、鳩間島の南方{EOS}対岸の水田地帯{EOS}西表島の北岸>へ渡り、田圃の荒打ち<初耕>をなされた)。マ⸢トーナ[ma⸢toːna](二度打ち{EOS}二度耕し{EOS}「またこなし」の義)、⸢サン⸣トゥ[⸢san⸣tu](三度打ち{EOS}三度耕し)の対義語 1379 0 0 1277 htmvoc_1379.wav アロールン ア⸢ロー⸣ルン [ʔa⸢roː⸣ruŋ] 自動 おありになる。あられる。⸣アン[⸣ʔaŋ](ある)の敬語動詞。「有り・おわす<在す>」の転訛したもの。対象となる存在者、動作主に対する高い敬意を表す。 ⸢ワー⸣ ウヤー ⸣ザイサンヌ ア⸢ロー⸣ルンダ ア⸢ローラン⸣ プ⸢ス⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔujaː ⸣ʣaisannu ʔa⸢roː⸣runda ʔa⸢roːram⸣ pu̥⸢su⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢soːja naː⸣nu] (君の親は財産がおありになるから、おありにならない人に比べると心配はない) 1380 0 0 1278 htmvoc_1380.wav アワイシ ア⸢ワ⸣イシ [ʔa⸢wa⸣iʃi] 名 堆積砂岩。砂が堆積して固まって形成されたといわれる岩石。石垣島の資産家ではこれを削り整形して石垣を積むのに利用したり、壁用に利用されたが鳩間島では、そのような家はない。 パ⸢トゥ⸣マナーテー ア⸢ワ⸣イシシ ⸢グス⸣ク シ⸢モー⸣レー ⸢ヤー⸣ヤ ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢tu⸣manaːteː ʔa⸢wa⸣iʃiʃi ⸢gusu⸣ku ʃi⸢moː⸣reː ⸢jaː⸣ja ⸢naː⸣nu] (鳩間島ではアワイシ<砂岩>で石垣を積まれた家はない) 1365 0 0 1279 htmvoc_1365.wav アワザキ ア⸢ワザ⸣キ [ʔa⸢waʣa⸣ki] 名 粟酒。粟で醸造した酒。歌謡語。古典民謡パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)で歌われている 1366 0 0 1280 htmvoc_1366.wav アワミサク ア⸢ワミサ⸣ク [ʔa⸢wamisa⸣ku] 名 粟で醸造した神酒。歌謡語。古典民謡パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)で歌われている。ウ⸢ミサ⸣ク[ʔu⸢misa⸣ku](お神酒)の項参照 1381 0 0 1281 htmvoc_1381.wav アワリ ア⸢ワ⸣リ [ʔa⸢wa⸣ri] 名 難儀苦労。苦しみ。悲哀。「哀れ」の転訛したもの。歌謡語。/フンヌヨー アワリヌ ミチヤリバ/(誠に哀れ<悲哀・憐憫>な道だから~)『念仏歌・<兄の声>』。会話では、⸢アウ⸣リ[⸢ʔau⸣ri](難儀{EOS}苦労)というのが普通。 ⸣ウスマイヤー ウ⸢ナター⸣ トゥ⸢ジブトゥ タンガシ⸣シ ピ⸢ラ⸣クサーリ ク⸢バシター⸣ヌ ター カ⸢クンティ⸣ ア⸢ワリ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ ⸢ソー⸣レーン [⸣ʔusumaijaː ʔu⸢nataː⸣ tu⸢ʤibutu taŋga⸣ʃi pi⸢ra⸣kusaːri ku⸢baʃi̥taː⸣nu ⸣taː kḁ⸢kunti⸣ ʔa⸢wari⸣nu ⸢goː⸣kaʤi ⸢soː⸣reːŋ] (ウスマイは自分たち夫婦だけで<おのがじし>極寒のなかをク⸢バシ⸣ター{SqBr}ku⸢baʃi̥⸣taː{/SqBr}の新田を開墾しようとして大変厳しい苦労をなされた) 1383 0 0 1282 htmvoc_1383.wav アワリクチサ ア⸢ワ⸣リクチサ [ʔa⸢wa⸣rikuʧisa] 名 艱難辛苦。難儀苦労。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ッ⸢ふームン ナー⸣ン ⸢ウイ⸣ナー ⸢プーキバー⸣キ ⸢フシゥ⸣カリ ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティ イ⸢カムス⸣ク ア⸢ワ⸣リクチサ ⸢シェー⸣ワ⸢ツォー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː f⸢fuːmun naː⸣ŋ ⸢ʔui⸣naː ⸢puːkibaː⸣ki ⸢ɸusï̥⸣kari ʔu⸢bi⸣nu f⸢fa⸣ sï̥⸢ka⸣naunti ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔa⸢wa⸣riku̥ʧisa ⸢ʃeː⸣wa⸢ʦoː] (太平洋戦争の後は食料もない上にマラリア<風気{EOS}風土病>まで罹患<取り付き>し、あれだけの子供を養い育てようとどれほど難儀苦労をしたことか) 1382 0 0 1283 htmvoc_1382.wav アワリヌゴーカジ ア⸢ワリ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ [ʔa⸢wari⸣nu ⸢goːka⸣ʤi] 連 哀れ(難儀苦労)の数々。あらゆる難儀苦労。厳しい難儀苦労。 ア⸢ワリ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ ⸢シー ミッ⸣タン [ʔa⸢wari⸣nu ⸢goː⸣kaʤi ⸢ʃiː mit⸣taŋ] (難儀苦労の限りをしてみた<経験してみた>) 1384 0 0 1284 htmvoc_1384.wav アワリヨーリ ア⸢ワ⸣リヨーリ [ʔa⸢wa⸣rijoːri] 名 難儀苦労。体を悪くするほどの苦労。 カ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ バ⸢カー⸣ンケン ア⸢ワ⸣リヨーリ ⸢スン⸣ケン パ⸢タラキティル⸣ パ⸢ヤ⸣ジニ ⸢シェー⸣ル キ⸢ムイ⸣ツァー [ka⸢nu⸣ pu⸢soː⸣ ba⸢kaː⸣ŋkeŋ ʔa⸢wa⸣rijoːri ⸢suŋ⸣kem pa⸢tarakitiru⸣ pa⸢ja⸣ʤini ⸢ʃeː⸣ru ki⸢mui⸣ʦaː] (あの人は若い時に体を痛めるほどの苦しい仕事をして<ぞ>早死にしてしまったのだ{EOS}気の毒に<肝痛さよ>) 1386 0 0 1285 htmvoc_1386.wav アヲーン ア⸢ヲー⸣ン [ʔa⸢woː⸣ŋ] 形 青い。 ⸢ティンマー⸣ ア⸢ヲー⸣ン [⸢timmaː⸣ ʔa⸢woː⸣ŋ] (空<天>は青い)。 ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ヲー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢woː naː⸣nu] (あまり青くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢ヲー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢woː⸣ naruŋ] (次第に青くなる)。 ア⸢ヲー⸣ ムノー <⸢アウムノー⸣> トゥ⸢ル⸣ナ [ʔa⸢woː⸣ munoː <⸢ʔaumunoː⸣> tu⸢ru⸣na] (青いものは取るな)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ヲー⸣カー ⸣ミサ ムヌ⸢ナー [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢woː⸣kaː ⸣misa munu⸢naː] (もっと青ければ良いのになあ) 1387 0 0 1286 htmvoc_1387.wav アン ⸣アン [⸣ʔaŋ] 名 網。ム⸢ジ⸣アン[mu⸢ʤi⸣ʔaŋ](極細目の網)、ス⸢クアン[su⸢kuʔaŋ](底網)、⸣キタアン[⸣kitaʔaŋ](桁網)、パ⸢リアン[pa⸢riʔaŋ](張り網)などがある。 ⸣アン ウ⸢ラ⸣スン [⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣suŋ] (網を下ろす{EOS}追い込み漁をする)。 ⸣アン ス⸢クン [⸣ʔan su̥⸢kuŋ] (網を編む{EOS}網の破れを繕う)。 ⸣アン ⸣プスン [⸣ʔam ⸣pusuŋ] (網を干す)。 ⸣ガヤヤーヌ ティ⸢ジ⸣ナー ⸣アン カ⸢バ⸣シティ カ⸢ジフキヌ⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ヨー [⸣gajajaːnu ti⸢ʤi⸣naː ⸣ʔaŋ ka⸢ba⸣ʃi̥ti ka⸢ʤiɸu̥kinu⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣joː] (茅葺き屋根の甍<\ruby{頂}{イタダキ}>に網を被せて台風<風吹き>の対策<格護>をしなさい) 1388 0 0 1287 htmvoc_1388.wav アン ⸣アン [ʔan] 名 餡(あん)。ア⸢ガマミヌ⸣ アン[ʔa⸢gamaminu⸣ʔaŋ](小豆の餡)、ク⸢マミヌ⸣ アン[ku⸢maminu⸣ʔaŋ](緑豆、<ヤエナリ>の餡)、⸢ミー⸣スアン[⸢miː⸣suʔaŋ](味噌餡)などがある。 ア⸢ガマミバ ネーシティ⸣ ッ⸢ふサタ⸣トゥ マ⸢ザー⸣シティ ⸣アン ス⸢ク⸣リ [ʔa⸢gamamiba neːʃiti⸣ f⸢fusata⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ⸣ʔan su̥⸢ku⸣ri] (小豆を煮て黒砂糖と混ぜて餡をを作りなさい) 1389 0 1 1288 htmvoc_1389.wav アン ⸣アン [ʔaŋ] 自動 {Mn_1}ある(有る、在る)。対義語は、⸢ナー⸣ヌ[⸢naː⸣nu](無い)。 カ⸢レー ジン⸣マー ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸣アン [ka⸢reː ʤim⸣maː ja⸢masï̥⸣ka ⸣ʔaŋ] (彼は、金はたくさんある<有>)。 ⸢ジンフク⸣ルナー ⸢ジン⸣マー ⸣アン [⸢ʤiŋɸu̥ku⸣runaː ⸢ʤim⸣maː ʔaŋ] (財布<金袋>には金はある<在>)。 ⸢ジン⸣マー ⸣ウナーン ⸣カナーン ⸣アン [⸢ʤim⸣maː ⸣ʔunaːŋ ⸣kanaːŋ ⸣ʔaŋ] (金は、ここにもあそこにもある)。 ⸣アイブ ⸣クトゥーン ⸣アン [⸣ʔaibu ⸣kutuːŋ ʔaŋ] (そんなこともある)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣アルンケンナー ⸢ギーッティ⸣ クー⸢ディー [ti⸢da⸣nu ⸣ʔaruŋkennaː ⸢giːtti⸣ kuː⸢diː] (日があるうちに<太陽が照っているうちに>行ってこようよ)。 ⸢ジン⸣マー ⸣アリティ ⸢ナーン⸣ティ ア⸢ジ アー⸣ク [⸢ʤim⸣maː ⸣ʔariti ⸢naːn⸣ti ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (お金はあるのに<有って>無いといっている)。 ⸢ジン⸣ヌ ⸣アル ⸣ピンマー サ⸢ニ⸣ヤン [⸢ʤin⸣nu ⸣ʔaru ⸣pimmaː sa⸢ni⸣jaŋ] (金のある時は嬉しい)。 ⸢マー⸣ビン ⸣アレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣ʔareː ⸣misamunu] (もっと有れば良いのに)。⸣アン[⸣ʔaŋ](ある)は、動詞としてのはたらきのほか、次のように用いられる。 1389 0 2 1289 htmvoc_1389.wav アン ⸣アン [ʔaŋ] 自動 {Mn_2}形容詞語幹に接尾辞「サ」をつけて、それと結合して活用形をつくるが、この例は少ない。 ⸢ヌッ⸣サン [⸢nus⸣saŋ] (温い)。 ピ⸢ルマ⸣サン [pi⸢ruma⸣saŋ] (珍しい)。鳩間方言形容詞の多くは、形容詞語幹に直接に「有り・ム」がついて形成されるものが多い。タ⸢カー⸣ン[ta⸢kaː⸣ŋ](高い)、ピ⸢コー⸣ン[pi⸢koː⸣ŋ](低い)、⸢トゥー⸣ワン[⸢tuː⸣wan](遠い)、ウ⸢カ⸣ヤン[ʔu⸢ka⸣jaŋ](おかしい)、バ⸢カ⸣ヤン[ba⸢ka⸣jan](恥ずかしい)など。【活用形と用例】。(i)未然形。 ア⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢ra⸣nu] (~でない)。 ウ⸢レー バー⸣モー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː ⸢baː⸣ moː ʔa⸢ra⸣nu] (それは私のではない) ク⸢レー ワー⸣ ア⸢ラン⸣カー ⸢ター⸣ヤ [ku⸢reː waː⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸢taː⸣ja] (これは君でなければ誰か) ミ⸢ク⸣ミ ア⸢ラ⸣スン [mi⸢ku⸣mi ʔa⸢ra⸣suŋ] (見込みあらせる、見込みあるようにする))。(ii)連用形。 ギュー⸢サン⸣ ア⸢リン⸣ギサン [gjuː⸢saŋ⸣ ʔa⸢riŋ⸣gisaŋ] (いくらでも有りそうだ) ウ⸢ヌアタ⸣ロー ア⸢リ⸣ル ⸢スー [ʔu⸢nuata⸣roː ʔa⸢ri⸣ru ⸢suː] (それくらいは有りぞする))。(iii) 終止形。 ⸣カマナー ⸣ヌーンクイン ⸣アン [⸣kamanaː ⸣nuːŋkuiŋ ⸣ʔaŋ] (あそこには何もかも有る)。{シルウチヌ メーヌウチ ヤーバシゥクリ アンティスー ウリユ ミューナーキャームイ(「ヤーヌフンシキ アーパーレー」歌)}、⸣ウナー アンティ⸢ゲ⸣ラ[ʔunaː ʔanti⸢ge⸣ra](そこに有るさ)、⸣ウナー ス⸢ムチ⸣ヌ ⸣アン[⸣ʔunaː su⸢muʧi⸣nu ʔaŋ](そこに書物がある)。(iv)連体形1。 ⸣カナー ⸣アルムノー ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ミクー [⸣kanaː ⸣ʔarumunoː muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mikuː] (あそこにあるものは全部集めてこい) ウ⸢ビ⸣ル ⸣アル ⸢マービン⸣マー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣ru ⸣ʔaru ⸢maːbim⸣maː ⸢naː⸣nu] (これだけしかない<これだけぞある>、もっと多く<他に>はない))。(v) 連体形2。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣アルンケンナー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シ [ti⸢da⸣nu ⸣ʔaruŋkennaː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi] (太陽があるうちに畑を耕せ)。(vi) 已然形。 ⸢マー⸣ビン ⸣アレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣ʔareː ⸣misamunu] (もっと有れば良いのに) 1429 0 0 1290 htmvoc_1429.wav アン ⸢アン [⸢ʔaŋ] 名 東。 ⸢アンタ [⸢ʔanta] (東の方)。 ⸢アンヌ ホー ホーラ⸣ カ⸢ジヌ⸣ フキ ⸣クン [⸢ʔannu hoːra⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ki ⸣kuŋ] (東の方から風が吹いてくる) 1430 0 0 1291 htmvoc_1430.wav アン ⸣アン [⸣ʔaŋ] 名 網。 ⸣アンシ イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣シ クー⸢ディー [⸣ʔaŋʃi ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣ʃi kuː⸢diː] (網で魚を漁獲して<繋らせて>こようよ) 1431 0 0 1292 htmvoc_1431.wav アン ⸣アン [⸣ʔaŋ] 名 餡。茹でた小豆などに砂糖を混ぜ、さらに煮て練ったもの。餅の中に包みいれるもの。 ム⸢チ⸣ナー ⸣アン イ⸢リティ アン⸣ムチ ス⸢ク⸣リバ [mu⸢ʧi⸣na ⸣ʔaŋ ʔi⸢riti ʔammu⸣ʧi su̥⸢ku⸣riba] (餅に餡を入れて餡餅を作りなさいよ) 1390 0 0 1293 htmvoc_1390.wav アンカー ⸢アン⸣カー [⸢ʔaŋ⸣kaː] 名 錨(いかり)。英語からの借用語。日露戦争で海軍に入隊した兵隊から広がったといわれている。鳩間島出身の海軍兵士が一年間の兵役を務めて除隊後島に帰り、「鳩間方言は忘れた」といって話題になったという伝説がある。同じ頃に英語から借用された語に、ゴーヘー[⸢goːheː](前進せよ)、ゴーシタン[⸢goːʃitaŋ](後退せよ)、ブ⸢リッ⸣ジ[bu⸢rid⸣ʤi](船室)、和語からの借用語に、⸢ヨー⸣ソロー[⸢joː⸣soroː](宜候、直進せよ)、ウ⸢ム⸣カージ[ʔu⸢mu⸣kaːʤi](面舵、右舷方向)、トゥ⸢リ⸣カージ[tu⸢ri⸣kaːʤi](取り舵、左舷方向)などがある。今では八十歳台の古老も、これらを伝統的な鳩間方言と信じて疑わない 1367 0 0 1294 htmvoc_1367.wav アンカージナ ⸢アン⸣カージナ [⸢ʔaŋ⸣kaːʤina] 名 碇に繋ぐ綱。英語からの借用語⸢アン⸣カー(anchor)に、⸣シナ[⸣ʃina](綱)が下接して生成された合成語(複合語)。複合の際に、後接語の頭子音が濁音化したもの。⸢アン⸣カーは明治後期に帝国海軍を除隊した兵士が流行らせたという。今では老年層の人までがアンカーを伝統的方言と信じて疑わない。カ⸢ラグ[ka⸢ragu](碇{EOS}「金具」の転訛したものか)が伝統的鳩間方言であるという。アンカージナには (i) 普通の碇綱(アンカーロープ)の意味と、(ii) イカ釣り漁の際に、潮の流れに舟が流されるのを防ぐために40~50尋の藁縄に重石をつけて深海に投入するもの、の意味がある 1391 0 0 1295 htmvoc_1391.wav アンカージナ ⸢アンカー⸣ジナ [⸢ʔaŋ⸣kaːʤina] 名 アンカーロープ。錨綱。アンカーは外来語。明治時代に帝国海軍から伝播したという 142 0 0 1296 htmvoc_142.wav アンカジ ⸢アンカジ [⸢ʔaŋkadʒi] 名 東風。涼風。 ⸢アンカジヌ スー⸣カー ⸢オーシケー ノー⸣ルン [⸢ʔaŋkadʒinu suː⸣kaː ⸢ʔoːʃi̥keː noː⸣ruŋ] (東風が吹く<そよぐと>と天気がよくなる) 1393 0 0 1297 htmvoc_1393.wav アンガマ ⸢アン⸣ガマ [⸢ʔaŋ⸣gama] 名 お盆のナ⸢カヌ⸣ ピー[na⸢kanu⸣ piː](中日)とウ⸢クリ[ʔu⸢kuri](お送り、精霊送り)の夜に祖霊を慰めもてなすために獅子舞をするが、獅子舞の前に仏間の庭先で歌い舞われる念仏踊り(「姉さん踊り」の義)。クバの葉扇を片手に持った翁と媼が右へ左へと手を振りつつ現れると、木の葉で仮面を作って被り、タオルで頬被りしてクバ笠を目深くかぶり、変装した青年男女が踊る仮面仮装の入子型の舞踊集団。男女とも裏声をつかいながら曲目をリクエストしたり、問答を交わしたりする。ナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu⸣ku](ヒンプン)と軒先の中庭で⸣ジーシンカ[⸣ʤiːsiŋka](地謡組)が三味線を弾き太鼓や銅鑼を打ち鳴らしてム⸢ヌン⸣グイウタ[mu⸢nuŋ⸣guiuta](物乞い歌)を歌う。それに合わせて筵を出して敷き、煙草盆を出し、煙管、酒、ウサイ(お菜)を出す。獅子舞いを出すようにと歌いだす頃から仮面仮装のアンガマ一団が裏声でアンガマ踊りを要求する。地謡がそれに応えて、⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)を弾くとクバ扇を持った翁、おうなに続いてアンガマ踊りの一団が「ヒヤリクヨイサー、サーサー」と掛け声を出して躍り出す。これが済むと歌のテンポが急変し、様々な曲目が演奏され、アンガマーたちの飛び入りの踊りが始まる。これが済むと獅子舞の曲に変わって獅子舞が演舞される。獅子舞の途中にジーシンカ(地謡組)が「イーヨーイーヨー」という囃子をいれると、獅子舞が終了することになり、次の家へと移動する。道中でイ⸢リクヌ⸣ティー[ʔi⸢rikunu⸣tiː](入れ子の笛)の曲が二回吹奏され、「シーシェーマヌ オールンドー」(獅子舞いがいらっしゃるぞ)の合奏曲とミ⸢チウタ[mi⸢ʧiuta](道歌)が歌われると次の家では受け入れの準備が始まる。こうしてお盆の中の日は夜通しアンガマが踊られた 1394 0 1 1298 htmvoc_1394.wav アンガマカブン ⸢アン⸣ガマ ⸣カブン [⸢ʔaŋ⸣gama ⸣kabuŋ] 連 {Mn_1}アンガマの面を被る。アンガマ踊りをする。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸢アン⸣ガマ ⸣カビ ⸢シェー⸣ティル ウ⸢ヤ⸣プスンケー トゥ⸢ル⸣ムチ ⸢ソーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸢ʔaŋ⸣gama ⸣kabi ⸢ʃeːti⸣ru ʔu⸢ja⸣pu̥suŋkeː tu⸢ru⸣muʧi ⸢soːtta⸣ru] (昔は若者達はアンガマ面被りの踊りをして先祖を取り持ち歓待されたものだよ)。 1394 0 2 1299 htmvoc_1394.wav アンガマカブン ⸢アン⸣ガマ ⸣カブン [⸢ʔaŋ⸣gama ⸣kabuŋ] 連 {Mn_2}転じて、子供が拗ねたり、男が酒を飲んで常軌を逸した行動をとることにもいう。 ⸢キュー⸣ヤータ キ⸢サーティ⸣ ビータリ ⸢アン⸣ガマ カ⸢ビ⸣ル ⸢オール⸣バン [⸢kjuː⸣jaːta ki̥⸢saːti⸣ biːtariti ⸢ʔaŋ⸣gama ka⸢bi⸣ru ⸢oːru⸣ban] (今日はまたすでに酔いつぶれて常軌を逸したことをして<アンガマを被って>おられるわい) 1395 0 0 1300 htmvoc_1395.wav アンガマクイ ⸢アン⸣ガマクイ [⸢ʔaŋ⸣gamakui] 名 裏声。不自然な甲高い声。 ⸣ビーティル ⸣アイブ ⸢アン⸣ガマクイ ン⸢ザ⸣シティ ⸢グンダン⸣ タ⸢キベー [⸣biːtiru ⸣ʔaibu ⸢ʔaŋ⸣gamakui ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢gundan⸣ ta⸢kibeː] (酔っ払って、あんなアンガマ声を出してくだを巻いている) 1396 0 0 1301 htmvoc_1396.wav アンガマムニ ⸢アン⸣ガマムニ [⸢ʔaŋ⸣gamamuni] 名 アンガマことば。アンガマで使うような裏声のことば。通常は使わない裏声で話す言葉。奇妙な言葉遣い。酔っ払いの使う正常でない言葉遣い。 ⸣アイブ ⸢アン⸣ガマムニ イ⸢ズナ⸠ツォー [⸣ʔaibu ⸢ʔaŋ⸣gamamuni ʔi⸢ʣuna⸠ʦoː] (あんな奇妙なアンガマことばを使うなよ) 1397 0 1 1302 htmvoc_1397.wav アンガラスン ⸢アンガラスン [⸢ʔaŋgarasuŋ] 他動 {Mn_1}あげる。上方へあげる。持ち上げる。 ⸢ヨイ⸣サークイ ⸢マー⸣ビン ⸢ウンター アンガラシ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuntaː ʔaŋgaraʃi] (ぶらんこを漕いでもっと上に揺り上げなさい)。 1397 0 2 1303 htmvoc_1397.wav アンガラスン ⸢アンガラスン [⸢ʔaŋgarasuŋ] 他動 {Mn_2}座礁させる。船を浅瀬に乗り上げる。 ⸢ハー⸣ガイナ ⸣フネー ⸢アンガラシティ ウーカサラ⸣ヌ [⸢haː⸣gaina ⸣ɸuneː ⸢ʔaŋgaraʃiti ʔuːkasara⸣nu] (暗礁に船を座礁させて<乗り上げて>動かされない)。 1397 0 3 1304 htmvoc_1397.wav アンガラスン ⸢アンガラスン [⸢ʔaŋgarasuŋ] 他動 {Mn_3}舞い上がらせる。有頂天にする。 ヤ⸢ラ⸣ベー フ⸢ミ⸣ルカー マー⸢ンバー⸣キン ⸢アンガルンダー⸣ ドゥク ⸢アンガラスナ [ja⸢ra⸣beː ɸu⸢mi⸣rukaː maː⸢mbaː⸣kiŋ ⸢ʔaŋgarundaː⸣ duku ⸢ʔaŋgarasuna] (子供は褒めると何処までもつけ上がるから、あまりつけあがらせるな) 1398 0 0 1305 htmvoc_1398.wav アンガリピャーンガリ ⸢アンガリピャーン⸣ガリ [⸢ʔaŋgaripjaːŋ⸣gari] 名 跳ね上がること。飛んだり跳ねたりすること。 イ⸢カムス⸣ク サ⸢ニ⸣ヤタユー ⸢アンガリピャーン⸣ガリ ⸢シーベー [ʔi⸢kamusu⸣ku sa⸢ni⸣jatajuː ⸢ʔaŋgaripjaːŋ⸣gari ⸢ʃiːbeː] (どんなに<如何程>嬉しかったのか、飛んだり跳ねたりしている) 1399 0 0 1306 htmvoc_1399.wav アンガルン ⸢アンガルン [⸢ʔaŋgaruŋ] 自動 上がる。「~ひばり安我里~。万、4292」の転訛したもの。濁音の前の音節を表す万葉仮名に陽類韻尾を持つ「安」が用いられていることから、古代日本語のガ行音はガ行鼻濁音であったと推定される。ア⸢ガルン[ʔa⸢garuŋ](上がる)ともいう。 ⸢イン⸣ヌ ッ⸢ス⸣ヌ タ⸢カアン⸣ガリ [⸢ʔin⸣nu s⸢su⸣nu tḁ⸢kaʔaŋ⸣gari] (犬の糞の高上り<身分の低い者や能力のない者が高い位置に座りたがること>諺)。 ミ⸢ドゥ⸣モー フ⸢ミ⸣ルカー マー⸢ンバー⸣キン ⸢アンガルン [mi⸢du⸣moː ɸu⸢mi⸣rukaː maː⸢mbaː⸣kiŋ ⸢ʔaŋgaruŋ] (女は褒めるとどこまでも舞い上がる)。 ⸣フネー ⸢グッふァ⸣ヌ ⸢アンガラヌ [⸣ɸuneː ⸢guffa⸣nu ⸢ʔaŋgaranu] (船は重くて陸揚げ出来ない)。 ⸣フネー ⸢ハー⸣ガイナ ⸢アンガリ ベー [⸣ɸuneː ⸢haː⸣gaina ⸢ʔaŋgaribeː] (船は浅瀬に座礁して<乗り上げて>いる)。 ⸢アンガル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaŋgaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (座礁することはない) 1404 0 0 1307 htmvoc_1404.wav アンギルン ⸢アンギルン [⸢ʔaŋgiruŋ] 他動 持ち上げる。陸揚げする。漁船やイダフニを陸揚げする。 ⸣マー ン⸢ベーマ ウイ アンギリ [⸣maː ʔm⸢beːma ʔui ʔaŋgiri] (もう少し上の方に持ち上げなさい)。 カ⸢ツシンヌ⸣ シ⸢マウター⸣ フ⸢ニ⸣バ パ⸢マ⸣ナー ⸢アンギルンティ オー⸣ル [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʃi⸢mautaː⸣ ɸu⸢ni⸣ba pa⸢ma⸣naː ⸢ʔaŋgirunti ʔoː⸣ru] (鰹漁の漁期が終わったので漁船を浜に陸揚げしようとしておられる) 1433 0 1 1308 htmvoc_1433.wav アングン ⸢アングン [⸢ʔaŋguŋ] 他動 {Mn_1}上げる。挙げる。揚げる。「~うなゐはなりに髪擧都良武<アゲツラム>か。万、3823」の「上ぐ(下二段)」の四段活用化したもの。⸢アンギルン[⸢ʔangiruŋ](上げる)と同じ。 ⸣ティー アングン [⸣tiː ⸢ʔaŋguŋ] (手を上げる)。 ⸣バー ⸢アンガヌ [⸣baː ⸢ʔaŋganu] (わたしは上げない)。 ⸣イダフニ ⸢アンギ⸣ ミサカー ⸢アング⸣ クトー ⸣ナルン [⸣ʔidaɸuni ⸢ʔaŋgi⸣ misakaː ⸢ʔaŋgu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (サバニ<板舟>を陸揚げしてよければ、陸揚げすることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アンゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaŋgeː⸣ misamunu] (もっと揚げればいいのに)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢アングナ [ma⸢na⸣maː ⸢ʔaŋguna] (今は上げるな)。 ⸢パー⸣ク ⸢アンギ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaŋgi] (早く揚げろ)。 ⸣フニ ⸢アングン [⸣ɸuni ⸢ʔaŋguŋ] (舟を陸揚げする)。 ⸢アンガヌ [⸢ʔaŋganu] (揚げない)。 ッ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ティー ⸢アンギ⸣ <ア⸢ギ⸣> ミサン [ʃ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ tiː ⸢ʔaŋgi⸣ misaŋ] (分る人は手を挙げても良い)。 ⸣ティー ⸢アンガヌ [⸣tiː ⸢ʔaŋganu] (手を上げない)。 ⸢アング⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaŋgu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (上げることはできない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アンゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaŋgeː⸣ misamunu] (もっと上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アンギ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaŋgi] (早く上げろ)。 1433 0 2 1309 htmvoc_1433.wav アングン ⸢アングン [⸢ʔaŋguŋ] 他動 {Mn_2}揚げる。掲げる。 カ⸢ツシンマー ミールパタ アンギティ⸣ ケー⸢ツォー [kḁ⸢ʦuʃimmaː miːrupata ʔaŋgi⸣ti⸣ keː⸢ʦoː] (カツオ漁船は三色の大漁旗を揚げて帰港してきたんだよ) 1411 0 0 1310 htmvoc_1411.wav アンサン ⸢アンサン [⸢ʔansaŋ] 名 安産。 ⸢ソー シートー⸣ ア⸢タラン アンザンバ シー⸣ マ⸢ギーマギー⸣シ ビ⸢コーンッふァ⸣ ナシェーンツォー [⸢soː ʃiːtoː⸣ ʔa⸢taraŋ ʔanzamba ʃiː⸣ ma⸢giːmagiː⸣ʃi bi⸢koːŋffa⸣ naʃeːnʦoː] (心配したのとは反対に<当らず>安産をして、大きな男の子を産んだそうだ) 1412 0 0 1311 htmvoc_1412.wav アンシキイトゥ ⸢アンシキ⸣イトゥ [⸢ʔaŋʃi̥ki⸣ʔitu] 名 網を繕う糸。「網突き糸」の義か。一度網を海に入れると珊瑚や海石に引っかけて網目を破損することがある。漁が終わると網を干した後に破れを繕うが、その際に用いる糸のこと。 ⸢アンシキ⸣イトゥ ⸢カイ⸣キー ッ⸢ふィーリ [⸢ʔaŋʃiki⸣ʔitu ⸢kai⸣kiː f⸢fiːri] (網繕い糸を買ってきてくれ) 1413 0 0 1312 htmvoc_1413.wav アンシキパル ⸢アンシキ⸣パル [⸢ʔaŋʃiki⸣paru] 名 網を繕う針。「網突き針」の義か。幅約3センチ、長さ約15センチの竹の板の中央に突起を作りその両側を刳り抜いて糸が巻けるようにした網を編む器具。 ⸢アンシキ⸣パルシ ⸣アン ス⸢クン [⸢ʔaŋʃi̥ki⸣paruʃi ⸣ʔan su̥⸢kuŋ] (網繕い針で網を編む) 1414 0 0 1313 htmvoc_1414.wav アンシン ⸢アンシン [⸢ʔaŋʃiŋ] 名 安心。共通語からの借用語。伝統方言では、キ⸢ムユラ⸣スン[ki⸢mujura⸣suŋ](心を許す{EOS}安心する{EOS})という。 ⸣シラソージン ウ⸢チナ⸣シ ⸣シラプスヌ ⸢シー⸣ヌン イッ⸢ケナ アイブバ アンシン⸣ ヤ⸢ロー⸣ルメー [⸣ʃirasoːʤiŋ ʔu⸢ʧina⸣ʃi ⸣ʃirapu̥sunu ⸢ʃiː⸣nuŋ ʔik⸢kena ʔaibuba ⸢ʔaŋʃiɲ⸣ ja⸢roː⸣ru meː] (産室の精進祈願もうち済ませ、産婦の乳も大変よく出ている<滴り出ている、滲み出ている>ので安心であられますよ、もう) 1436 0 0 1314 htmvoc_1436.wav アンスク ⸢アン⸣スク [⸢ʔan⸣suku] 名 網袋。ア⸢ダナ⸣シ[ʔa⸢dana⸣ʃi](アダンの気根)の繊維で綯った縄で箱型の網袋に編み、手提げ用の紐を付けた野外用手提げ網袋。弁当やマッチ、煙草、その他の小物類を入れたり、潮干狩りの獲物を入れたりして運ぶのに用いる小型の運搬用網袋。アダナシ縄製野外用ハンドバッグ。 パ⸢トゥ⸣マプソー ミ⸢ドゥ⸣ム ⸣ビキドゥムティ ⸢ナー⸣ン ⸢アンスク⸣バ ⸣ムテーティル パ⸢タ⸣ケーン イ⸢ソーン オーッ⸣タヨー [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː mi⸢du⸣mu ⸣bikidumuti ⸢naː⸣ŋ ⸢ʔansu̥ku⸣ba ⸣muteːtiru pḁ⸢ta⸣keːŋ ʔi⸢soːŋ ʔoːt⸣tajoː] (鳩間人は男女の区別はなくアンスクを持ちながら畑にも潮干狩り<磯>にも行かれたよ) 1437 0 0 1315 htmvoc_1437.wav アンスクライ ⸢アンスク⸣ライ [⸢ʔansu̥ku⸣rai] 名 網の破れを繕うこと。⸢網繕い」の義。 ⸢アンウラシ⸣ヌ ⸣アトー ⸢アン⸣マー ⸣プシティ ヤー⸢ディン アンスク⸣ライ ⸢シーソーッ⸣タ [⸢ʔaŋʔuraʃi⸣nu ⸣ʔatoː ⸢ʔam⸣maː ⸣pu̥ʃiti jaː⸢diŋ ʔansu̥ku⸣rai ⸢ʃiːsoːt⸣ta] (網下し<追い込み漁>の後は、網は天日干しをして、必ず網繕い<網の修理>をされたものだ) 153 0 0 1316 htmvoc_153.wav アンタ ⸢アンタ [⸢ʔanta] 名 東の方。 ⸣フネー ⸢アンター⸣ イ⸢サナケー パッ⸣タ [⸣ɸuneː ⸢ʔaːtaː⸣ ʔi⸢sanakeː pat⸣ta] (船は東の方へ、石垣島へ行った)。東。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢アンタ⸣ナ フ⸢クンキーヌ⸣ ムイ⸢ベー⸣ン [⸢jaː⸣nu ⸢ʔanta⸣na ɸu̥⸢kuŋkiːnu⸣ mui⸢beː⸣ŋ] (家の東に福木が生えている)。 ⸢ワー アンター⸣ラ ンジクー [⸢waː ʔantaː⸣ra ʔndʒikuː] (君は東の方から出てきなさい)。 ⸢アンタヌ⸣ ヤー [⸢ʔantanu⸣ jaː] (東の家{EOS}東の方の家) 1448 0 0 1317 htmvoc_1448.wav アンタヌズンズンヌフチ ⸢アンタヌ ズンズンヌ⸣ フ⸢チ [⸢ʔantanu ʣunʣunnu⸣ ɸu̥⸢ʧi] 連 海底地名。鳩間島の東北東の海岸にある、⸢ズンズン[⸢ʣunʣuŋ](干瀬の珊瑚礁が一段高く、引き潮に差し掛かると干瀬の海水が澪(ミズヌカン)の方へと勢いよく流れ落る。また満ち潮になると、海水は外洋部から干瀬の礁池の方へ流れ込む所)と澪の部分へと続く所 13884 0 0 1318 htmvoc_13884.wav アンタハンタグヮーテー ⸢アンタハンタグヮー⸣テー [⸢ʔantahantagwaː⸣teː] 名 屋号。旧姓通事太郎氏(現小泉太郎氏)宅。鳩間村二班、フ⸢ク⸣マレー[ɸu̥⸢ku⸣mareː](友利家)の東にあった。長男の小泉勝氏は鳩間島出身の、最初の沖縄県行政書士会会長を勤め、那覇在鳩間郷友会会長として活躍した。 ⸢ウン⸣ネーヤ マ⸢ナ⸣マー ⸢コイ⸣ズミティ ア⸢ゾール⸣ヌ ⸣キサー ⸢ハンタグヮー⸣テーティル ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸢ʔun⸣neːja ma⸢na⸣maː ⸢koi⸣ʣumiti ʔa⸢ʣoːru⸣nu ⸣ki̥saː ⸢hantagwaː⸣teːtiru ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (その家は、今は小泉と言われるが、以前は⸢ハンタグヮー⸣テーといわれていたよ) 1435 0 0 1319 htmvoc_1435.wav アンダミース ⸢アンダミー⸣ス [⸢ʔandamiː⸣su] 名 油味噌(あぶらみそ)。伝統的な保存食。豚三枚肉を約1センチ程度の角切りにして油で炒め、脂を抽出した油粕に味噌、砂糖を入れて混ぜ、焦げないように炒め合わせたもの。茶請け等に供される。石垣方言からの借用語。旧盆や旧正月用に豚を\ruby{屠}{ホフ}り、その三枚肉を利用して脂味噌を作った。 ⸢アンダミー⸣ソー ⸢オー⸣ヌ ア⸢バッ⸣タラ グ⸢マーグマー⸣シ ⸣キシティ ア⸢バ⸣ナビナ ヤ⸢キ⸣ アバ ⸣シジタリティ ウ⸢ヌ⸣ ア⸢バカシ⸣バ ⸢ミース⸣トゥ ⸣サタ カ⸢ケー⸣シティ ウ⸢リバ⸣ イ⸢ラ⸣キティル ス⸢ク⸣ローッタ [⸢ʔandamiː⸣soː ⸢ʔoː⸣nu ʔa⸢bat⸣tara gu⸢maːgumaː⸣ʃi ⸣ki̥ʃiti ʔa⸢ba⸣nabina ja⸢ki⸣ ʔaba ⸣ʃiʤitariti ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢bakaʃi⸣ba ⸢miːsu⸣tu ⸣sata kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ʔu⸢riba⸣ ʔi⸢ra⸣kitiru su⸢ku⸣roːtta] (脂味噌は豚の脂肉を小さく切って油鍋で焼いて油を抽出し<煎じて>、その油粕を味噌と砂糖を混ぜ合わせ、それを炒って<ぞ>作られた) 1438 0 0 1320 htmvoc_1438.wav アンツォー ⸢アンツォー [⸢ʔanʦoː] 名 ソーダ(曹達)。ふくらし粉用に用いる重曹のこと。テンプラを揚げる際に用いていた。 ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢ク⸣ ピンマ ⸢アンツォー⸣ イ⸢リル⸣カー フ⸢クリティ⸣ ン⸢マーン⸠ダー [⸢tim⸣pura ja⸢ku⸣pimmaː ⸢ʔanʦoː⸣ ʔi⸢riru⸣kaː ɸu̥⸢kuriti⸣ ʔm⸢maːn⸠daː] (テンプラを揚げる際は、アンツォーを入れるとふっくらと膨れて美味しいよ)。フ⸢クラシクー[ɸu̥⸢kuraʃikuː](ふくらし粉)ともいう 1392 0 0 1321 htmvoc_1392.wav アンデーカー アン⸢デー⸣カー [ʔan⸢deː⸣kaː] 接 それなら。それでは。⸢アン⸣ドゥ ヤ⸢ルッ⸣カー[⸢ʔan⸣du ja⸢ruk⸣kaː](それであるならば)の縮約形。 アン⸢デー⸣カー ⸢ワー⸣ ウムー ⸢トゥー⸣ル ⸢シー⸣バ [ʔan⸢deː⸣kaː ⸢waː⸣ ʔumuː ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiː⸣ba] (それなら君が考える<思う>通りにしなしよ) アン⸢デー⸣カー ウ⸢レーッテ⸣ アイル ア⸢ザバル⸣ ナ⸢ル [ʔan⸢deː⸣kaː ʔu⸢reːtte⸣ ʔairu ʔa⸢ʣabaru⸣ na⸢ru] (そんなら、それはそのように言わないといけないのか<いわばぞ なるのか>))。[ʔandu・jarukaː] → [ʔandujakaː] → [andeːkaː] と音韻変化したもの。前件の確定条件的表現を受けて後件の表現を述べる順態接続。 アン⸢デー⸣カー ⸣バー ⸢カーヌ [ʔan⸢deː⸣kaː ⸣baː ⸢kaːnu] (それなら私は買わない)。 アン⸢デー⸣カー ⸢ワー シー [ʔan⸢deː⸣kaː ⸢waː ʃiː] (それなら君がやれ) 1444 0 0 1322 htmvoc_1444.wav アントゥル ⸢アン⸣トゥル [⸢ʔan⸣turu] 名 地名。西表島西部にあった村落名。網取湾に面した所に開けた小さな農村。現在は廃村となっている。 ⸢アン⸣トゥルナー ⸢ガッ⸣コーン ⸣アリ カ⸢ナ⸣ケーヌ ⸣ウトゥザン ⸢オーッ⸣タン [⸢ʔan⸣turunaː ⸢gak⸣koːŋ ⸣ʔari ka⸢na⸣keːnu ⸣ʔutuʣaŋ ⸢ʔoːt⸣taŋ] (網取村には学校もあり、兼久家の親戚もおられた) 1443 0 0 1323 htmvoc_1443.wav アンドゥル ⸢アン⸣ドゥル [⸢ʔan⸣duru] 名 ぼろぼろの状態。網の目のようにあちこちに穴が開いている状態。 ⸢ワー キン⸣マー ⸢アン⸣ドゥル ナ⸢リ⸣ブバー メー キ⸢スナ⸣ シ⸢ティリ [⸢waː kim⸣maː ⸢ʔan⸣duru na⸢ri⸣bubaː meː ki̥⸢suna⸣ ʃi̥⸢tiri] (君の着物は網の目のように穴が開いてボロボロの状態になっているから、もう着るな{EOS}捨てなさい)。 ⸢アン⸣ドゥル ⸣ナルンケン キ⸢シス [⸢ʔan⸣duru ⸣naruŋkeŋ ki̥⸢ʃisu] (網目のようにあちらこちら穴が開いた状態になるまで着る<着ぞする>) 1449 0 0 1324 htmvoc_1449.wav アントン ⸣アン ⸣トン [⸣ʔan ⸣toŋ] 連 ある所。⸣アルン ⸣トン[⸣ʔarun ⸣toŋ](ある<在る>所)の縮まった形。 マ⸢チヤーヌ⸣ アントン ⸢バー⸣キ ⸢サーリ⸣パリ ッ⸢ふィーリ [ma⸢ʧijaːnu⸣ ʔantom ⸢baː⸣ki ⸢saːri⸣pari f⸢fiːri] (店のあるところまで連れて行ってくれ) 231 0 0 1325 htmvoc_231.wav アンナーマ アン⸢ナー⸣マ [ʔan⸢naː⸣ma] 名 花嫁。「姉・ガマ」の転訛。「アニ」に指小辞「ガマ」の「ガ」が融合脱落して形成されたもの。 ⸢マイ⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ アン⸢ナー⸣マ ⸢サーロー⸣ルンツォ [⸢mai⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔan⸢naː⸣ma ⸢saːroː⸣runʦoː] (前の家の人は花嫁を迎えられるそうだ)。指小辞⸢ナー⸣マ[⸢naː⸣ma](小)は指小辞⸣マ[⸣ma](小)の異形態で、上接語の語末がNで終わる時に法則的に現れる。従って上接語の⸣アン[ʔaŋ]は「姉」の義で、義弟妹からの愛称であったことが帰納される 232 0 0 1326 htmvoc_232.wav アンナーマクーン アン⸢ナー⸣マ ⸣クーン [ʔan⸢naː⸣ma ⸣kuːŋ] 連 花嫁を娶る。花嫁をもらう。「花嫁を乞う」の義。 マ⸢ダ⸣ アン⸢ナー⸣マ ⸢コー⸣ヌ [ma⸢da⸣ ʔan⸢naː⸣ma ⸢koː⸣nu] (まだ花嫁を貰ってない)。 アン⸢ナー⸣マ ⸣クイン ⸣パルン [ʔan⸢naː⸣ma ⸣kuim ⸣paruŋ] (花嫁を貰いに行く)。ユ⸢ミ⸣ クーン[ju⸢mi⸣ kuːŋ](嫁を貰う<乞う>)、トゥ⸢ジ⸣ トゥムン[tu⸢dʒi⸣ tumuŋ](妻を娶る<妻を探す>)ともいう 233 0 0 1327 htmvoc_233.wav アンナーマサーリヨイ アン⸢ナー⸣マ ⸢サーリ⸣ヨイ [ʔan⸢naː⸣ma ⸢saːri⸣joi] 連 結婚祝い。⸣ニービキヨイ[⸣niːbikijoi](結婚祝い)ともいう。 アン⸢ナー⸣マヨイ ⸢スー⸣ピンマ イ⸢チ⸣ ヤ⸢ルン⸣サ [ʔan⸢naː⸣majoi ⸢suː⸣ pimmaː ʔi⸢ʧi⸣ ja⸢run⸣sa] (花嫁をもらう日<結婚式>はいつの日のことか) 234 0 0 1328 htmvoc_234.wav アンナーマサールン アン⸢ナー⸣マ ⸢サールン [ʔan⸢naː⸣ma ⸢saːruŋ] 連 花嫁を娶る。結婚する。「花嫁を連れる」の義。ユ⸢ミ サールン[ju⸢mi saːruŋ](<嫁を連れる>結婚する)、トゥ⸢ジ サールン[tu⸢dʒi saːruŋ](結婚する<妻を連れる>)ともいう。 アン⸢ナー⸣マ ⸢サールンティ⸣ サ⸢ニンケーリ オー⸣ル [ʔan⸢naː⸣ma ⸢saːrunti⸣ sa⸢niŋkeːri ʔoː⸣ru] (花嫁を迎えるといって喜んでおられる) 235 0 0 1329 htmvoc_235.wav アンナーマナルン アン⸢ナー⸣マ ナルン [ʔan⸢naː⸣ma naruŋ] 連 花嫁になる。嫁ぐ。 ⸣マーッふァヌ アン⸢ナー⸣マ ナルンケン⸢バー⸣キ イ⸢キラ⸣リンカヤー [⸣maːffanu ʔan⸢naː⸣ma naruŋkem⸢baː⸣ki ʔi⸢kira⸣riŋkajaː] (孫娘が嫁ぐ<花嫁になる>まで生きられるかなあ) 236 0 0 1330 htmvoc_236.wav アンナーマヌアウ アン⸢ナーマ⸣ヌ ⸣アウ [ʔan⸢naːma⸣nu ⸣ʔau] 連 花嫁の供。八、九歳頃の少女が二人花嫁のそばに付き添っていて走り使いの用に供した。 アン⸢ナーマ⸣ヌ ⸢アウ⸣ワ ⸢タール スワ [ʔan⸢naːma⸣nu ⸢ʔau⸣wa ⸢taːru suwa] (花嫁の供は誰がするのか) 237 0 0 1331 htmvoc_237.wav アンナーマヨイ アン⸢ナー⸣マヨイ [ʔan⸢naː⸣majoi] 名 結婚祝い。「花嫁祝い」の義。⸣ニービキヨイ[⸣niːbikijoi](結婚祝い)ともいう。 ⸢エン⸣マー ⸢バン⸣テナーン アン⸢ナー⸣マヨイヌ ⸣アルパジ [⸢jem⸣maː ⸢ban⸣tenaːŋ ʔan⸢naː⸣majoinu ʔarupadʒi] (来年は私の家にも結婚祝いがあるはずだ) 1368 0 0 1332 htmvoc_1368.wav アンナーンッサヌ ⸣アン ⸢ナー⸣ン ッ⸢サヌ [⸣ʔan ⸢naː⸣n s⸢sanu] 連 金銭や食料の貯えがどれほどあるか知らないで浪費する。「有る無しも知らぬ」の義。 ウ⸢レー⸣ アン ⸢ナー⸣ン ッ⸢サン ムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢テー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔan ⸢naː⸣n s⸢sammunu⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢teː⸣ na⸢ra⸣nu] (あれは家庭の貯蓄がどれほどあるか分からず浪費する人だから、当てにならない) 1451 0 0 1333 htmvoc_1451.wav アンナイヌカウ ⸢アンナイ⸣ヌ ⸢カウ [⸢ʔannai⸣nu ⸢kau] 連 「案内の香」の義。祈願の始めに神様にお取次ぎを願うための線香。先ず3本、12本の線香を焚いて、神様へお取次ぎの⸢カン⸣フチ ニ⸢ガイ⸣フチ[⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧini⸢gai⸣ɸu̥ʧi](神口、願い口)を唱える際に焚く線香。 ⸢カンヌ⸣マイ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソー⸣ル ⸣バソー ヤー⸢ディン アンナイ⸣ヌ ⸢カウヤー⸣ タ⸢ティ⸣ソーッタ [⸢kannu⸣mai ⸢niŋ⸣gai ⸢soː⸣ru ⸣basoː jaː⸢diŋ ʔannai⸣nu ⸢kaujaː⸣ tḁ⸢ti⸣soːtta] (神前に祈願をされる場合は、必ず案内の香を焚いて立てられた) 1454 0 0 1334 htmvoc_1454.wav アンヌカー ⸢アンヌカー [⸢ʔannukaː] 名 東村のムラ井戸。東村の東北方の村はずれに位置する、鍾乳洞のウ⸢リ⸣カー[ʔu⸢ri⸣kaː](降り井戸)。入り口は高さ約3メートル、幅約5メートルの自然鍾乳洞が斜め下方に地下約20メートル掘り下げられ、石畳で階段が作られている。底部に湧水が溜まる池がある。湧水をウ⸢ム⸣ル[ʔu⸢mu⸣ru](クバの葉で作った柄杓)やフ⸢ダ⸣ル[ɸu⸢da⸣ru](熟した瓢箪を二つに切り割り、のなかご<中子>を刳りぬいて作った柄杓)で汲み、水桶に入れて地上へ運び上げ、家へ運んで飲料用水として利用した。水質は西村の村井戸の水よりも甘く、水量も多いといわれている。 ⸢アンヌカーヤ⸣ ウ⸢リ⸣カー ⸣ナリ ⸢ブンダ⸣ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ムンティル ⸢ナン⸣ギアワリ シ⸢タ⸣ツォー [⸢ʔannukaːja⸣ ʔu⸢ri⸣kaː nari ⸢bunda⸣ mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣muntiru ⸢naŋ⸣giawari ʃi̥⸢ta⸣ʦoː] (東ムラ井戸は下へ降りて汲み上げる井戸になっているので、水汲みするのに難儀苦労をしたそうだ) 1452 0 0 1335 htmvoc_1452.wav アンヌムラ ⸢アンヌムラ [⸢ʔannumura] 名 東村。⸢インヌムラ[⸢ʔinnumura](西村)の対語。鳩間村は伝統的な祭政の単位として、西村と東村から成立している。一年間の祭祀を執行するために西、東のムラよりム⸢ラヤクサ[mu⸢rajakusa](ムラの役人)を選出し、それを統括する⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代)がサ⸢カサ[sa⸢kasa](司、神女、巫女)の助言を得て祭祀を執行していた。豊年祭のカ⸢シ⸣ラ[kḁ⸢ʃi⸣ra](旗頭)、シ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)の綱、⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競漕)の船、⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆、精霊祭り)の⸢シー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi](獅子舞の獅子頭)も西村(雌)、東村(雄)のような双分法に基づいて対立している。 ⸢アンヌムラプソー キーパチ⸣ムヌ ⸢インヌムラプソー ミンダリ⸣ムヌティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリブー [⸢ʔannumurapusoː kiːpaʧi⸣munu ⸢ʔinnumurapusoː mindari⸣munuti mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣaribuː] (東村人は気質が荒く、西村人は耳垂れ者<温和な気質>と昔から言われている) 1455 0 1 1336 htmvoc_1455.wav アンバイ ⸢アンバイ [⸢ʔambai] 名 {Mn_1}塩梅。味加減。標準語からの借用語。 ⸢キュー⸣ヌ カ⸢ティ⸣ムノー ⸢イー アンバイユン⸣ナー [⸢kjuː⸣nu kḁ⸢ti⸣munoː ⸢ʔiː ʔambaijun⸣naː] (今日のおかずは良い味加減だねえ)。 1455 0 2 1337 htmvoc_1455.wav アンバイ ⸢アンバイ [⸢ʔambai] 名 {Mn_2}具合。都合。 ⸢イー アンバイニ ワンヌン⸣ キ⸢ラ⸣リ ⸣アッパーン サ⸢ニヤ シー オー⸣ルンティ [⸢ʔiː ʔambaini wannuŋ⸣ ki⸢ra⸣ri ⸣ʔappaːn sa⸢nija ʃiː ʔoː⸣runti] (丁度いい具合に君も来ることができて、お祖母さんは喜んでおられるさ、ほら見てごらんよ) 1456 0 0 1338 htmvoc_1456.wav アンパカスン ⸢アンパカスン [⸢ʔampakasuŋ] 他動 すっかり任せる。おっかぶせる。全責任を負わせる。 ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥバ アンパカサリティ⸣ ウ⸢リバ シートゥズミルンティル⸣ ア⸢ワ⸣リ ⸢シーベー [ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutuba ʔampakasariti⸣ ʔu⸢riba ʃiːtuʣumiruntiru⸣ ʔa⸢wa⸣ri ⸢ʃiːbeː] (あれだけの仕事の全責任を負わされて、それを完結させようと<し終えようと>して<ぞ>難儀苦労をしている) 1457 0 0 1339 htmvoc_1457.wav アンパクン ⸢アンパクン [⸢ʔampakuŋ] 他動 ひっかぶる。全責任を負う。 プ⸢スヌ⸣ ウ⸢カ⸣バ ⸢アンパキティ⸣ キ⸢ナイヤー⸣ シ⸢ルッ⸣コー ⸣ナリ ⸢ベーン⸣ティ [pu̥⸢sunu⸣ ʔu⸢ka⸣ba ⸢ʔampakiti⸣ ki⸢naijaː⸣ ʃi⸢ruk⸣koː ⸣nari ⸢beːn⸣ti] (他人の負債を引っ被って家庭はぶち壊しになっているさ、ほら見てごらん) 1458 0 0 1340 htmvoc_1458.wav アンバタ ⸣アンバタ [⸣ʔambata] 名 餅の中に入れる餡。 ク⸢ヌ⸣ ム⸢チェー⸣ アンバタカヤー [ku⸢nu⸣ mu⸢ʧeː⸣ ʔambatakajaː] (この餅は餡いりの餅かね) アー⸢イ⸣ バタムチェー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ batamuʧeː ʔa⸢ra⸣nu] (いや、餡入りの餅ではない)) 1459 0 0 1341 htmvoc_1459.wav アンパル ⸣アンパル [⸣ʔamparu] 固 地名。名蔵湾に流入する名蔵川海域の干潟地帯。古謡「アンパルヌミダガーマユンタ」に詠われた地名。 ⸣アンパルティ ア⸢ズン⸣トンマー ⸣バー ⸢ギーミッ⸣タン [⸣ʔamparuti ʔa⸢ʣun⸣tommaː ⸣baː ⸢giːmit⸣taŋ] (アンパルという所は私は行ってみたことがある) 1169 0 0 1342 htmvoc_1169.wav アンピター ⸣アンピター [⸣ʔampitaː] 名 (動)貝の名。和名、クロカラマツ(『原色沖縄海中動物生態図鑑』)、潮間帯の岩礁に付着している。直径約1cmの六角~八角状円錐形の貝。 ⸣アンピター ⸣トウリ ッ⸢ふー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [⸣ʔampitaː ⸣turi f⸢fuː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (アンピターは取って食べる人はいなかった) 1461 0 0 1343 htmvoc_1461.wav アンブシ ⸢アンブ⸣シ [⸢ʔambu⸣ʃi] 名 漁法の一つ。糸満漁師から伝えられた漁法という。西表島のカ⸢タバル[kḁ⸢tabaru](干潟{EOS}「潟原」の義)に竹や木串を河口や魚道の砂浜に差し込んでおき、満潮時にその竹や木串に網を吊るして張り巡らし、漁獲する漁法。 ⸢アンブ⸣シェー イ⸢ツォーン⸣プソーラ ナライ⸢ヨーッ⸣タティ⸢ダー [⸢ʔambu⸣ʃeː ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soːra narai⸢joːt⸣tati⸢daː] (アンブシ漁は糸満漁師から<ぞ>習われたそうだよ) 1462 0 0 1344 htmvoc_1462.wav アンポーティンポー ⸢アンポーティン⸣ポー [⸢ʔampoːtim⸣poː] 名 何の心配もしないで呑気に行動する人。思慮分別のないことをする人。ABCDEFCD型の重言。 ⸢ウンザー アンポーティン⸣ポー ⸣ナリティ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣クトー イ⸢カシタ⸣ダラティン ッ⸢サヌ [⸢ʔunʣaː ʔampoːtim⸣poː ⸣nariti ⸢jaː⸣nu ⸣ku̥toː ʔi⸢kaʃita⸣daratin s⸢sanu] (こいつは思慮分別のない人間になってしまって家庭のことは、どうなっていることか、それさえも分からない) 1463 0 1 1345 htmvoc_1463.wav アンマ ⸣アンマ [⸣ʔamma] 名 {Mn_1}姉。名称、呼称とも同じ。この語彙には、⸣ウボンマー[⸣ʔubommaː](一番上の姉)、⸢ホン⸣マ[⸢hom⸣ma](長姉)、⸣ナカンマー[⸣nakammaː](中の姉)、アン⸢マー⸣マ[ʔam⸢maː⸣ma](一番下の姉)などのような部分体系がある。「'u-ra 'a-r(n)ai 'ari<汝姉あるか>」「語音翻訳」『海東諸国紀』と関係があるとの説『図説琉球語辞典』がある。 ⸣アンマール ⸢バイ⸣ヨー カ⸢サ⸣ナイ フ⸢ドゥバソーッ⸣タ [⸣ʔammaːru ⸢bai⸣joː kḁ⸢sa⸣nai ɸu⸢dubasoːt⸣ta] (姉さんが私を負ぶって成長させてくださった)。 ア⸢ンマー⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢オールー [ʔam⸢maː⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔoːruː] (姉さん、畑へ行かれるのですか)。 1463 0 2 1346 htmvoc_1463.wav アンマ ⸣アンマ [⸣ʔamma] 名 {Mn_2}お母さん。名称、呼称(若年層の言葉)。本来は兄嫁に対して弟妹が⸣アンマ[⸣ʔamma](姉さん)と呼ぶのを聞いて、兄嫁の子供(甥、姪)達が自分の「母」を⸣アンマ[⸣ʔamma](母)と誤認するようになり、今では若年層において「母」のことを⸣アンマ[⸣ʔamma]と思って、そう呼ぶ人が相当数いる。 1463 0 3 1347 htmvoc_1463.wav アンマ ⸣アンマ [⸣ʔamma] 名 {Mn_3}固有名詞に下接して用いられる。 ⸣ナベンマ [⸣nabemma] (ナベ姉さん) ⸣カマンマ [⸣kamamma] (カマ姉さん) サ⸢カ⸣ヤンマー [sa⸢ka⸣jammaː] (サカヤ姉さん) ⸢モー⸣サンマ [⸢moː⸣samma] (モウシ姉さん) マ⸢ナ⸣サンマ [ma⸢na⸣samma] (マナサ姉さん))。⸢マー⸣サンマ[⸢maː⸣samma](マーサ姉さん)、⸢マー⸣チェンマ[⸢maː⸣ʧemma](マーチ姉さん)、⸣クヤンマー[⸣kujammaː](クヤ姉さん)、ユ⸢ブ⸣サンマー[ju⸢bu⸣sammaː](ユブサ姉さん)などといわれる。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アンマター ムー⸢ル⸣ ハチジュー⸢ゴーヌ ヨイ⸣ヤー ⸢シーティル マーラシタ [⸢ban⸣tenu ⸣ʔammataː muː⸢ru⸣ hḁʧiʤuː⸢goːnu joi⸣jaː ⸢ʃiːtiru maːraʃi̥ta] (私の姉さん達はみんな八十五の誕生祝をしてから<ぞ>亡くなられた) 1464 0 0 1348 htmvoc_1464.wav アンマ ⸢アン⸣マ [⸢ʔam⸣ma] 名 あんま(按摩)。もみりょうじ。 ⸣アブジェー ⸢アン⸣マ ⸣トゥリ ⸢オース⸣カー イッ⸢ケン⸣ サ⸢ニヤ ソーッ⸣タン [⸣ʔabuʤeː ⸢ʔam⸣ma ⸣turi ⸢ʔoːsu⸣kaː ʔik⸢ken⸣ sa⸢ni⸣ja ⸢soːt⸣taŋ] (お祖父さんは按摩をして差し上げると非常に喜ばれた<嬉しくされた>) 1465 0 0 1349 htmvoc_1465.wav アンマーイカ ⸢アンマー⸣イカ [⸢ʔammaː⸣ʔika] 名 烏賊の中で特大級のスルメイカ。「母烏賊」の義。糸満方言からの借用語か。 ナ⸢カディ⸣イガ [na⸢kadi⸣ʔiga] (中級の烏賊{EOS}「中手イカ」の義)。イ⸢ガー⸣マ[ʔi⸢gaː⸣ma](小烏賊{EOS}小さな烏賊)などの語彙がある。イカ漁は明治以後、沖縄本島の糸満系漁民の進出によって始まったといわれている。鳩間島の女性と結婚して、島に根を下ろした糸満出身の漁師もいる。 ⸢アンマ⸣イカー ⸢ダイ⸣ ム⸢トゥン⸣ドゥ イ⸢ガー⸣マー ⸢カーサラヌ [⸢ʔamma⸣ʔikaː ⸢dai⸣ mu⸢tun⸣du ʔi⸢gaː⸣maː ⸢kaːsaranu] (大きなスルメイカは値段がつくが、小さなスルメイカは売れない) 1098 0 0 1350 htmvoc_1098.wav アンマーマ アン⸢マー⸣マ [ʔam⸢maː⸣ma] 名 三番目の姉。語尾の「-マ[-ma](ちゃん)」は美称、愛称の接尾指小辞。 ミ⸢ドゥムキョーダイ⸣ヤ ⸢ウンターラ⸣ ア⸢ズ⸣カー ⸣ウボーマー ⸣ナカンマー アン⸢マー⸣マティル ア⸢ゾーッ⸣タ [mi⸢dumukjoːdai⸣jaː ⸢ʔuntaːra⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸣ʔuboːmaː ⸣nakammaː ʔam⸢maː⸣matiru ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (女兄弟は、上から言うとウボーマー<長女>、ナカンマー<中の姉>、アンマーマ<三番目の姉ちゃん{EOS}小さな姉>といわれた)。 ⸢ダイ⸣ケヌ ユ⸢ブ⸣サアッパー ッ⸢ふァヌ⸣ アロー⸢ラン⸣タ ⸢ベー⸣テイ アン⸢ママー⸣ヨ ⸢イー⸣ローリティル ウ⸢ナー ナーバ⸣ シキ ス⸢コー⸣レーティ⸢ダー [⸢ʔdai⸣kenu ju⸢bu⸣saʔappaː f⸢fanu⸣ ʔaroː⸢ran⸣ta ⸢beː⸣ti ʔam⸢mːma⸣jo ⸢ʔiː⸣roːritiru ʔu⸢naː naːba⸣ ʃi̥ki su̥⸢koː⸣reːti⸢daː] (大工家のユブサお祖母さんは子供がおありでなかったので、私の三番目の姉さん<大工良>を貰われて<ぞ>自分の名前を付けておかれてあるそうだよ) 1467 0 0 1351 htmvoc_1467.wav アンマカー ⸢アンマ⸣カー [⸢ʔamma⸣kaː] 名 歌謡の名(天川節)。また、天川節の舞踊。石垣の芝居小屋から伝播してきたといわれている。テンポの速い曲調で歌い踊られる。 ⸢アンマ⸣カーヤ シ⸢バヤーブドゥル ヤッタ⸣ツォー [⸢ʔamma⸣kaːja ʃi⸢bajaːbuduru jatta⸣ʦoː] (天川踊りは芝居踊りであったそうだ) 1468 0 0 1352 htmvoc_1468.wav アンマヌ ⸢アンマ⸣ヌ [⸢ʔamma⸣nu] 副 あまりに。あまりの。あまりにも。法外に。ア⸢マ⸣ヌ[ʔa⸢ma⸣nu](あまりの)ともいう。強調すると、アン⸢マ⸣ヌ[ʔam⸢ma⸣nu]という。 アン⸢マ⸣ヌ ユ⸢ミシゥカイヌ⸣ ビ⸢ナ⸣サ ク⸢チ⸣サティル ⸢ウン⸣ネーラ ⸢ピン⸣ギ ⸣ケーツォー [ʔam⸢ma⸣nu ju⸢misï̥kainu⸣ bi⸢na⸣sa ku̥⸢ʧi⸣satiru ⸢ʔun⸣neːra ⸢piŋ⸣gi ⸣keːʦoː] (あまりにも嫁いびり<嫁扱い>が汚くて、苦しくて、あの家から逃げてきたそうだ<嫁いびりの厳しさに耐えかねて逃げ帰ったそうだ>) 1469 0 0 1353 htmvoc_1469.wav アンムチ ⸢アン⸣ムチ [⸢ʔam⸣muʧi] 名 餡餅(あんもち)。⸣バタムチ[⸣batamuʧi](餡餅、「腸餅」の義か)ともいう。餅の中に餡を入れたもの。⸣アン[ʔaŋ](餡)には、小豆を煮て潰し、黒砂糖を混ぜたものや、ユ⸢ナ⸣ク[ju⸢na⸣ku](はったいこ、麦焦がし)、⸣グマ[⸣guma](煎り胡麻に黒砂糖を混ぜたもの)などが使われた。ア⸢ガマミヌ⸣バタ ⸣アンムチ[ʔa⸢gamaminu⸣bata ⸣ʔammuʧi](小豆餡の餡餅)、グ⸢マ⸣ヌバタ アンムチ[gu⸢ma⸣nubata ⸣ʔammuʧi](胡麻餡の餡餅)、ユ⸢ナ⸣クバタ ⸣アンムチ[ju⸢na⸣kubata ⸣ʔammuʧi](はったいこ餡の餡餅)などがある。 ユ⸢ナ⸣クバタ ⸣アンムチェー カ⸢ザン⸣ カ⸢バッ⸣サーリ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン ア⸢リ⸣ブタル [ju⸢na⸣kubata ⸣ʔammuʧeː ka⸢ʣaŋ⸣ ka⸢bas⸣saːri ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ ʔa⸢ri⸣butaru] (はったいこ餡入りの餡餅はかおりも香ばしく、そのうえたいそう美味しくもあった<ありおった>) 1470 0 0 1354 htmvoc_1470.wav アンムトゥ ⸢アンム⸣トゥ [⸢ʔammu⸣tu] 名 網元。 ⸢インヌムラヌ アンム⸣トー ⸢クシケー アンヌムラヌ アンム⸣トー ア⸢マシェー ヤッタ⸣ナー [⸢ʔinnumuranu ʔammu⸣toː ⸢kuʃi̥keː ʔannumuranu ʔammu⸣toː ʔa⸢maʃeː jatta⸣naː] (西村の網元は小底家、東村の網元は小濱家だったねえ) 1471 0 0 1355 htmvoc_1471.wav アンムヌ ⸢アン⸣ムヌ [⸢ʔam⸣munu] 名 竹で編んだもの。竹でえつり(桟)のように編んだもの。「編み物」の義。茅葺屋根の甍を押さえるのに用いる。 ⸢ヤー⸣ ダ⸢ディ⸣クダキバ ⸢アン⸣ムヌ ⸣シー ⸢ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティスー [⸢jaː⸣ da⸢di⸣kudakiba ⸢ʔam⸣munu ⸣ʃiː ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔantisuː] (ヤー<囃子>ダディク竹を編み物<竹のえつり>にして家を造ってあるという)(鳩間島古謡『ヤーヌフンシキアーパーレー』第14連参照) 1472 0 0 1356 htmvoc_1472.wav アンユーティ ⸣アンユーティ [⸣ʔaŋjuːti] 連 有るだろうかと。有るかと。 マ⸢チヤー⸣ナ ニ⸢チサマシ⸣ヌ ⸣アンユーティ ⸢カイン⸣ パ⸢ラシ⸣タ [ma⸢ʧijaː⸣na ni⸢ʧisamaʃi⸣nu ⸣ʔaŋjuːti ⸢kaim⸣ pa⸢raʃi̥⸣ta] (お店に熱冷まし<解熱剤>があるだろうかと買いに行かせた) 1473 0 0 1357 htmvoc_1473.wav アンユーナーンユー ⸣アンユー ⸢ナーン⸣ユー [⸣ʔaŋjuː ⸢naːŋ⸣juː] 連 有るか、無いか。 ⸣ウナー ⸣バー ⸢キン⸣ヌ ⸣アンユー ⸢ナーン⸣ユー ⸢ミシ⸣キ⸢ミー [⸣ʔunaː ⸣baː ⸢kin⸣nu ⸣ʔaŋjuː ⸢naːŋ⸣juː ⸢miʃi̥⸣ki⸢miː] (そこに私の着物が有るか、無いか、捜してごらんよ) 1474 0 0 1358 htmvoc_1474.wav アンラク ⸢アンラク [⸢ʔanraku] 名 安楽。標準語からの借用語。 ウ⸢ビ⸣ナーヌ ッ⸢ふァンケー⸣バ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバスンティ⸣ ア⸢ワ⸣リナンギ ⸢ソー⸣レーユンダ ⸣トゥシ トゥ⸢ロー⸣ルカー ⸢アンラク ソーラリ⸣ス [ʔu⸢bi⸣naːnu f⸢faŋkeː⸣ba sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubasunti⸣ ʔa⸢wa⸣rinaŋgi ⸢soː⸣reːjunda ⸣tu̥ʃi tu⸢roː⸣rukaː ⸢ʔanraku soːrari⸣su] (あれだけ多くの子供達を養育するのに難儀苦労をなされたのだから、年をとられたら安楽なされるよ) 1475 0 0 1359 htmvoc_1475.wav イ =イ [-i] 終助 動詞の未然形に下接し、自分の意志について相手の同意を求める。 ⸣バー パ⸢ライ [⸣baː pa⸢rai] (私は行こうねえ) カ⸢カイ [ka⸢kai] (書こうねえ) パ⸢ガイ [pa⸢gai] (剥ごうねえ) トゥ⸢バイ [tu⸢bai] (飛ぼうねえ) ⸣バー ⸣クナーティ マ⸢タイ [⸣baː ⸣kunaːti ma⸢tai] (私はここで待とうねえ)) 1476 0 0 1360 htmvoc_1476.wav イ ⸣イ [i] 助数 日を表す助数詞。 ⸣プスイ [⸣pu̥sui] (1日)。 プ⸢スイ⸣ナー ア⸢サビ⸣ ミ⸢サ⸣ル [pu̥⸢sui⸣naː ʔa⸢sabi⸣ mi⸢sa⸣ru] (一日ずつぐらいは遊んでもよかろう) 1477 0 0 1361 htmvoc_1477.wav イー ⸣イー [ʔiː] 名 絵。⸢イーカタ[⸢ʔiːkata](絵)、または単にカ⸢タ[ka⸢ta](絵)ともいう。 ク⸢ヌ イー⸣ヤ ⸢タール⸣ カ⸢コーッ⸣タカヤー ⸣アイ ⸢カイ⸣ヤワレー [ku⸢nu ʔiː⸣ja ⸢taːru⸣ kḁ⸢koːt⸣takajaː ⸣ʔai ⸢kai⸣jawareː] (この絵は誰が描かれたのかなあ、なんと美しいことよ) ク⸢ヌ イーカター タール⸣ カ⸢ク⸣タ [ku⸢nu ʔiːkḁtaː taːru⸣ kḁ⸢ku⸣taː] (この絵は誰が描いたか)) 1478 0 0 1362 htmvoc_1478.wav イー ⸣イー [⸣ʔiː] 名 食べ物。食事。「~笥に盛る飯<イヒ>を~。万、142」、「伊比<イヒ>」『日本書紀 推古二一年歌謡』、「飯 イヒ」『色葉字類抄』の転訛したもの。⸢マイヌ⸣イー[⸢mainu⸣ʔiː](米飯)、⸢コー⸣イー[⸢koː⸣ʔiː](硬い米飯{EOS}「強飯」<コハイヒ>)『色葉字類抄』、⸢ウンヌ⸣イー[⸢ʔunnu⸣ʔiː](芋のご飯)、イ⸢バ⸣チ[ʔi⸢ba⸣ʧi](飯初)、⸢タイラー⸣イー[⸢tiaraː⸣ʔiː](稲の初穂祭に作るお握り{EOS}飯初)等がある。 プ⸢スマヌ イー⸣ヤ ⸢タール⸣ バ⸢カスワ [pu̥⸢sumanu ʔiː⸣ja ⸢taːru⸣ ba⸢kasuwa] (昼ご飯<昼間の飯>は誰が炊くのか) 1479 0 0 1363 htmvoc_1479.wav イー ⸢イー [ʔiː] 名 胃。胃袋。標準語からの借用語。牛や豚、猪の胃袋はウ⸢ブン⸣ガイ[ʔu⸢buŋ⸣gai]という。 ⸢イーヌ⸣ ヤムカー ン⸢ガ⸣ナー ⸢シッ⸣キティ ⸣シル ⸣タリティ ⸣ヌミバ [⸢ʔiːnu⸣ jamukaː ŋ⸢ga⸣naː ⸢ʃik⸣kiti ⸣ʃiru ⸣tariti ⸣numiba] (胃が痛かったら<病むなら>苦菜を搗いて汁を絞って飲みなさい) 1480 0 0 1364 htmvoc_1480.wav イー ⸢イー [⸢ʔiː] 連体 よい。 ⸢イー ピュール [⸢ʔiː pjuːru] (よい日和{EOS}よい日) ⸢イー オシキ [⸢ʔiː ʔoʃi̥ki] (よい天気))。 ⸢イー⸣ ソンガチ [⸢ʔiː⸣ soŋgaʧi] (よい正月)。 ウ⸢レー イー カンガイ⸣ ユン [ʔu⸢reː ʔiː kaŋgai⸣ juŋ] (それはいい考えだ)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢イー オシキ ヤリバ⸣ フネー ン⸢ザサ⸣リン [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔiː ʔoʃi̥ki jariba⸣ ɸuneː ʔn⸢ʣasa⸣riŋ] (今日はいい天気だから船は出せる) ⸢イー クトゥ⸠ユー [⸢ʔiː kutu⸠juː] (よいことでございます)) 1481 0 0 1365 htmvoc_1481.wav イー ⸢イ⸣ー [⸢ʔi⸣ː] 感 うん。承知。不快感を持つ目下の者に対して用いる。立腹して答える場合には、⸢イ⸣ーヒャー[⸢ʔi⸣ːçaː](くそっ、うんだ)。 ⸢ワー フン⸣トー ウイ⸢シェーン [⸢waː ɸun⸣toː ʔui⸢ʃeːŋ] (君は本当に泳げるか) {Break}の不快感を伴う問いに対して、{Break} ⸢イ⸣ー ウイ⸢ゲ⸣ラ [⸢ʔi⸣ː ʔui⸢ge⸣ra] (当然だ<当たり前だ>{EOS}泳げるさ) 1482 0 0 1366 htmvoc_1482.wav イーー イー⸢ー [ʔiː⸢iː] 感 ええっ。まあ。驚いた時や意外なときに発することば。 イー⸢ー⸣ アイル ⸢ヤッター⸣ バー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サムティ⸣ ブリー ⸢シーナーン⸣バン ⸢ナー [ʔiː⸢iː⸣ ʔairu ⸢jattaː⸣ baː noː⸢n⸣ s⸢samuti⸣ buriː ⸢ʃiːnaːm⸣ban⸢naː] (ええっ そうだったのか{EOS}私は何も知らないで無礼を働いてしまったなあ) 1485 0 0 1367 htmvoc_1485.wav イーガイ ⸢イー⸣ガイ [⸢ʔiː⸣gai] 名 杓文字(しゃもじ)。飯をよそう道具。ご飯を掬い取るために木や竹で作った匙状の用具。ミ⸢シ⸣ガイ[mi⸢ʃi⸣gai](飯・杓文字)ともいう。「飯匙(いひがい)」(伊勢物語)の義。 ⸢イー⸣ガイシ ⸣イー ス⸢クイティ イーマカ⸣ルナ ム⸢リ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢ʔiː⸣gaiʃi ⸣ʔiː su̥⸢kuiti ʔiːmaka⸣runa mu⸢ri⸣ f⸢fiːri] (杓文字<飯匙>で飯を掬って飯碗に盛りつけてくれ) 1484 0 0 1368 htmvoc_1484.wav イーカキプス ⸢イーカキ⸣プス [⸢ʔiːkaki⸣pu̥su] 名 絵を描くことの上手な人。画家<絵描き>。「絵描き人」の義。 カ⸢ヌ プソー ズンニ イーカキプス⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢ネーシ⸣ カクン⸢ダー [ka⸢nu pu̥soː ʣunni ʔiːkakipu̥su⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢neːʃi⸣ kḁkun⸢daː] (あの人は本当に、画家<絵描き人>のように似せて描くよ) 1486 0 0 1369 htmvoc_1486.wav イーカコーニ ⸢イーカコーニ [⸢ʔiːkakoːni] 副 いい具合に。ぴったりと。 ⸢クーン⸣カヤーティ ⸢ソー シーベータン⸣ドゥ ⸢イーカコーニ ワー⸣ キー ッ⸢ふィーティ⸣ サ⸢ニヤ シーベー⸠ダー [⸢kuːŋ⸣kajaːti ⸢soː ʃiːbeːtan⸣du ⸢ʔiːkakoːni waː⸣ kiː f⸢fiːti⸣ sa⸢nija ⸢ʃiːbeː⸠daː] (来ないかと心配していたが、いい具合に君が来てくれて喜んでいるよ<嬉しさしているよ>) 1487 0 0 1370 htmvoc_1487.wav イーカンガイ ⸢イーカンガイ [⸢ʔiːkaŋgai] 名 いい考え。よい着想。 ⸣キノーラ ⸢シッ⸣パイ ⸢カン⸣ガイ ⸢ベーヌン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ イーカンガイヌ⸣ ンジ ⸢クーン⸠ツォー [⸣kinoːra ⸢ʃip⸣pai ⸢kaŋ⸣gai ⸢beːnun⸣du mut⸢tu ʔiːkaŋgainu⸣ ʔnʤi ⸢kuːn⸠ʦoː] (昨日から一所懸命に<精一杯>考えているが、ちっともいい考えが出てこないのだよ) 1488 0 0 1371 htmvoc_1488.wav イーククチ ⸢イーククチ [⸢ʔiːkukuʧi] 名 いい心地。心地よいさま。 ⸣アボー ⸣カタ ⸢ムーミ オーシタ イーククチ⸣ ヤ⸢ローリン⸣ギサルユー ニ⸢ボー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaboː ⸣kḁta ⸢muːmi ʔoːʃi̥ta ʔiːku̥kuʧi⸣ ja⸢roːriŋ⸣gisarujuː ni⸢boː⸣ri ⸢naː⸣nu] (お母さんは、肩を揉んで差し上げたら、いい心地でいらっしゃるのか、眠ってしまわれた) 1489 0 0 1372 htmvoc_1489.wav イークトゥ ⸢イークトゥ [⸢ʔiːkutu] 名 よいこと。慶事。おめでた。 ⸢ワッ⸣テナーヤ ク⸢トゥシン イークトゥヌ⸣ ア⸢ロー⸣ルンティ シ⸢キティル⸣ メー ⸢バン⸣タン サ⸢ニヤ シーベー⸠ダー [⸢wat⸣tenaːja ku̥⸢tuʃiŋ ʔiːkutunu⸣ ʔa⸢roː⸣runti ʃi̥⸢kitiru⸣ meː ⸢ban⸣tan sa⸢nija ʃiːbeː⸠daː] (おたくには<貴方の家には>今年も慶事がおありと聞いて<ぞ>、もう私達も喜んで<嬉しくして>おりますよ) 1490 0 0 1373 htmvoc_1490.wav イークトゥユー ⸢イークトゥ⸣ ユー [⸢ʔiːkutu⸣ juː] 成 おめでとうございます。 ⸢ミードゥシ⸣ ン⸢カイオー⸣リ ⸢イークトゥ⸠ユー [⸢miːduʃi⸣ ŋ⸢kaioː⸣ri ⸢ʔiːkutu⸠juː] (新年おめでとうございます<新年を迎えなされてよいことでございます>) 1483 0 0 1374 htmvoc_1483.wav イーグユー イーグ⸢ユー [ʔiːgu⸢juː] 感 ええっ。なんとまあ。驚いた時や意外なときに発することば。イー⸢イー[ʔiː⸢iː]より驚いたりする程度が大きいことを表す 1491 0 0 1375 htmvoc_1491.wav イークル ⸢イークル [⸢ʔiːkuru] 名 良いころ。良い頃合。潮時<干潮>。ちょうど良い時期。 ⸢イークル⸣ <⸢イーシトゥキ⸣> ナ⸢リ⸣ ブーバ タ⸢ク⸣ トゥリン ⸣パラ [⸢ʔiːkuru⸣ <⸢ʔiːʃituki⸣> na⸢ri⸣ buːba tḁ⸢ku⸣ turim ⸣para] (良い潮時<干潮>になったから蛸を獲りに行こう) 1492 0 0 1376 htmvoc_1492.wav イーシ ⸢イー⸣シ [⸢ʔiː⸣ʃi] 名 (植)海藻の名。ツノマタ(角叉)。「いぎす(海髪)。海産紅藻類の一種~。乾燥漂白して糊の材料、また刺身のつまとする。~」『広辞苑』の転訛したものか。西表島の⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)、⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)の北にあるウ⸢ブ⸣ビー[ʔu⸢bu⸣biː]、⸢ダイ⸣クビー[⸢dai⸣kubiː]、⸢イーリジマ[⸢ʔiːriʤima]の干瀬に鳩間漁業組合員が大正年間に養殖したという海藻。毎年夏に採取して乾燥し、寒天の材料として輸出された。 ⸢イー⸣シトゥリヌ ⸣ピンマー ⸣シマズーヌ ⸣イダフネー ムー⸢ル イー⸣シ ⸣トゥルンティ ⸢イー⸣シビーナ ア⸢ツァ⸣マリ ミ⸢グトゥ ヤッタ [⸢ʔiː⸣ʃiturinu ⸣pimmaː ⸣ʃimaʣuːnu ⸣ʔidaɸuneː muː⸢ru ʔiː⸣ʃi ⸣turunti ⸢ʔiː⸣ʃibiːna ʔa⸢ʦa⸣mari mi⸢gutu jatta] (角叉採集の時は島中のサバニはみんな角叉を採取するためにイーシビー<角叉干瀬>に集まって見事だった) 1493 0 0 1377 htmvoc_1493.wav イーシキ ⸢イーシキ [⸢ʔiːʃi̥ki] 名 言い付け。指示。命令。指導。⸢イシキ[⸢ʔiʃi̥ki](言い付け)ともいう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢イーシキ⸣ マ⸢ム⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʔiːʃi̥ki⸣ ma⸢mu⸣ri⸢joː] (親の言い付け<指示・指導>を守れよ) 1912 0 0 1378 htmvoc_1912.wav イーシキルン ⸢イーシキルン [⸢ʔiːʃikiruŋ] 他動 告げる。知らせる。告げ口する。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸢イーシキルン⸠ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː ʔu⸢jan⸣naːni ⸢ʔiːʃikirun⸠daː] (悪事をはたらくと親に知らせるぞ<言いつけるぞ>) 1494 0 0 1379 htmvoc_1494.wav イーシヌコーマ ⸢イーシ⸣ヌ ⸢コー⸣マ [⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢koː⸣ma] 連 角叉の寒天。⸢イー⸣シを日干し乾燥した後、再度水に浸けると脱色して白くなる。それをナベに入れて煮ると溶解し、ゼリー状になる。それを薄く切って醤油や黒砂糖で味付けして食した。 ⸢イーシ⸣ヌ ⸢コー⸣マー ⸢ソー⸣ユ ⸣カキティ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢マー⸣タン [⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢koː⸣maː ⸢soː⸣ju ⸣kḁkiti f⸢fuː⸣kaː ʔm⸢maː⸣taŋ] (角叉の寒天は醤油をかけて食べると美味しかった) 1495 0 0 1380 htmvoc_1495.wav イーシビー ⸢イー⸣シビー [⸢ʔiː⸣ʃibiː] 名 海底地名。角叉を養殖した干瀬の名。「角又干瀬」の義。西表島北岸の⸣インダ[ʔinda](伊武田)、⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)の北にある干瀬。約二万坪の広さがあるという⸢イー⸣シビーは中央部にフ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma](小津口)を有し、鳩間島からの⸣イダフニ[⸣ʔidahuni](サバニ、帆船)は、そこを通って⸢クーラ[⸢kuːra]、⸣インダ[⸣ʔinda]、トゥ⸢マダ[tu⸢mada]、⸢ケー⸣ダ[⸢keː⸣da]、⸢ユシ⸣キダ[⸢juʃi̥⸣kida]、サ⸢キンダ[sḁ⸢kinda]の各耕作地のタ⸢バ⸣ル[ta⸢ba⸣ru](田袋{EOS}田原)に通った。この津口の西側の干瀬を⸢イーリジマ[⸢ʔiːriʤima]という。東の干瀬には⸢ダイ⸣クビー[⸢dai⸣kubiː]とウ⸢ブ⸣ビー[ʔu⸢bu⸣biː]がある。そこの角叉は鳩間島の漁業組合の組合員が石垣島の川平と小浜島のクバサキから、大正年間に角又の種を採取してきて移植したものだという(この移植事業に従事した一人、加治工伊佐氏の直話による記録)。 ⸢イー⸣シビーヌ ⸢イーシ⸣ヌ ⸣タネー カ⸢ビラ⸣トゥ ク⸢モーマラ⸣ル ⸣トゥギ イ⸢ボーッ⸣タ⸢ダー [⸢ʔiː⸣ʃibiːnu ⸢ʔiːʃi⸣nu ⸣taneː ka⸢bira⸣tu ku⸢moːmara⸣ru ⸣tugi ʔi⸢boːt⸣ta⸢daː] (イーシ干瀬の角叉の種苗は川平と小浜島から採取してきて<取ってきて>移植されたのだよ) 1496 0 0 1381 htmvoc_1496.wav イーシプシ ⸢イー⸣シプシ [⸢ʔiː⸣ʃipu̥ʃi] 名 ツノマタ干し。収穫した海藻のツノマタ(角又)を炎天下の桟橋や広場に広げ干して乾燥させるが、正午過ぎに裏返して干すきつい作業。その際に小さな枝珊瑚を取り除く作業をした。 ⸢イー⸣シプシェー ⸢ナンギ⸣ヌ シ⸢グトゥ ヤッタ [⸢ʔiː⸣ʃipu̥ʃeː ⸢naŋgi⸣nu ʃi⸢gutu jatta] (ツノマタ干しは難儀な仕事であった) 1498 0 0 1382 htmvoc_1498.wav イージブン ⸢イージブン [⸢ʔiːʤibuŋ] 連 いい時分。適当な頃合。 ⸢イージブン⸣ ナ⸢リ⸣ブバ ⸣メー イ⸢ソー⸣ パル ス⸢コール シー⸣バ [⸢ʔiːʤibun⸣ na⸢ri⸣buba ⸣meː ʔi⸢soː⸣ paru su̥ ⸢koːru ʃiː⸣ba] (いい時分<いい潮時>になっているから潮干狩りに行く準備をしなさい) 1503 0 0 1383 htmvoc_1503.wav イージョーミー ⸢イージョーミー [⸢ʔiːʤoːmiː] 名 遊戯の名<魚の目>。乳幼児をあやす遊び。⸢イーズヌミー[⸢ʔiːʣunumiː](魚の目)ともいう。右手を握って人差し指を出し、最初にそれを左の手のひらに当て、⸢イージョーミー、イー⸣ジョー⸢ミー、ピー⸣ジン⸢トー、ピー⸣ジン⸢トー、ミン⸣ミン⸢ミー、ミン⸣ミン⸢ミー、ガーバラ、ガーバラ[⸢ʔiːʤoːmiː ʔiː⸣ʤo⸢miː ⸢piːʤintoː piː⸣ʤin⸢toː mim⸣mim⸢miː mim⸣mim⸢miː ⸢gaːbaragaːbara](魚の目、魚の目、肘頭、肘頭、お耳、お耳、かぶりかぶり<頭頭>)と唱え、順次体の部位を触り、最期に頭を左右に揺すって終わる遊び 1497 0 0 1384 htmvoc_1497.wav イーズ ⸢イーズ [⸢ʔiːʣu] 名 図面。設計図。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢イーズ⸣ ピ⸢クン [⸢jaː⸣nu ⸢ʔiːʣu⸣ pi̥⸢kuŋ] (家の設計図を描く<引く>) ヤ⸢ク⸣バーラ ⸢イーズ⸣ カ⸢リ⸣キー ウ⸢ツァ⸣シ [ja⸢ku⸣baːra ⸢ʔiːʣu⸣ ka⸢ri⸣kiː ʔu⸢ʦa⸣ʃi] (役場から田畑の図面を借りてきて写しなさい)) 1499 0 0 1385 htmvoc_1499.wav イースーブ ⸢イー スーブ [⸢ʔiː suːbu] 連 勝敗を決することが難しい勝負。優劣つけがたい勝負。ちょうど良い勝負。力が拮抗した状態。 ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢リスー⸣ボー ⸢タール⸣ パ⸢ヤー⸣ユー ワ⸢カラ⸣ヌ ⸢イー スーブーユン [⸢kundu⸣nu pa⸢risuː⸣boː ⸢taːru⸣ pa⸢jaː⸣juː wa⸢kara⸣nu ⸢ʔiː suːbuːjuŋ] (今度の走り競争は誰が早いか分からない{EOS}いい勝負だ<力が拮抗している>)。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン イー スーブユン [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirubaŋ ʔiː suːbujuŋ] (彼ら二人は何をさせても実力伯仲している<いい勝負だ>) 1501 0 1 1386 htmvoc_1501.wav イースク ⸢イースク [⸢ʔiːsu̥ku] 名 {Mn_1}ちょうどよい具合。適度。ほどよいこと。 サ⸢ケー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣ブカラ ヌ⸢ムバ⸣ル ⸢イースク [sḁ⸢keː⸣ ma⸢na⸣ma bukara nu⸢muba⸣ru ⸢ʔiːsu̥ku] (酒は今の程度に飲んだほうが丁度よい具合だ<適当だ>)。 1501 0 2 1387 htmvoc_1501.wav イースク ⸢イースク [⸢ʔiːsu̥ku] 名 {Mn_2}相当。かなり。 ⸢イースクヌ ジン⸣バ シゥ⸢カイティル⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ タ⸢ナ⸣ミケー [⸢ʔiːsu̥kunu ʤim⸣ba sï̥⸢kaitiru⸣ jat⸢tu⸣ʃi ta⸢na⸣mikeː] (それ相当の金を使って、やっとのことで頼んできてある)。 ⸢クン⸣ドー ⸢イースコー モー⸣ケーンティ⸢ダー [⸢kun⸣doː ⸢ʔiːsu̥koː moː⸣keːnti⸢daː] (今度は相当に<かなり>儲けたそうだよ) 1500 0 0 1388 htmvoc_1500.wav イースブルン ⸣イー ス⸢ブ⸣ルン [⸣ʔiː su⸢bu⸣ruŋ] 連 握り飯をつくる。お結びを結ぶ。「飯・絞る」の転訛したもの。 ⸢イー⸣バ ス⸢ブ⸣リティ ⸢ビントー⸣ ム⸢タ⸣シバ [⸢ʔiː⸣ba su⸢bu⸣riti ⸢bintoː⸣ mu⸢ta⸣ʃiba] (お握りをつくって<飯を絞って>、弁当に持たせなさい) 1504 0 0 1389 htmvoc_1504.wav イーソンガチ ⸢イー⸣ ソンガチ [⸢ʔiː⸣ soŋgaʧi] 連 いい正月。年頭の挨拶に用いる言葉。 ⸢イー⸣ ソンガチ ン⸢カイオー⸣リ ⸢イークトゥ⸠ (フ⸢コーラサ⸠) ユー [⸢ʔiː⸣ soŋgaʧi ŋ⸢kaiʔoː⸣ri ⸢ʔiːku̥tu⸣(ɸu̥⸢koːrasa⸣)⸢juː] (いい正月をお迎えになり、おめでとうございます<いいことで>、<有り難いことで>ございます) 1526 0 0 1390 htmvoc_1526.wav イーッふァイダーラ ⸢イーッふァイダー⸣ラ [⸢ʔiːffaidaː⸣ra] 名 無為徒食の輩。無芸大食の者。「飯食い俵」の義。 シ⸢グトー⸣ ノー⸢ン サムティ⸣ ナー⸢イ イーッふァイダー⸣ラ ⸣ナリ ⸢ベーン⸣ティ [ʃi⸢gutoː⸣ noː⸢n samuti⸣ naː⸢i ʔiːffaidaː⸣ra ⸣nari ⸢beːn⸣ti] (仕事は何もしないで無為徒食の輩<無駄食い>になっているよ) 1508 0 1 1391 htmvoc_1508.wav イートゥシ ⸢イートゥシ [⸢ʔiːtuʃi] 名 {Mn_1}よい年。新年。 ⸢イートゥシ⸣ ン⸢カイオー⸣リ シ⸢ディガ⸣フーン タ⸢ボーラ⸣リ フ⸢コーラサ⸠ユー [⸢ʔiːtuʃi⸣ ʔŋ⸢kaioː⸣ri ʃi⸢diga⸣ɸuːn ta⸢boːra⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸠juː] (新年をお迎えになって幸せなことも賜り、おめでとうごさいます<ありがとうございます>)。 1508 0 2 1392 htmvoc_1508.wav イートゥシ ⸢イートゥシ [⸢ʔiːtuʃi] 名 {Mn_2}年頃。適齢期。 ミ⸢ドーン⸣ッふァーン ⸢イートゥシ⸣ ナ⸢リ⸣ブバ ⸣メー ⸢パイ⸣サ ブ⸢トゥ⸣ ム⸢タサバ⸣ル ヤ⸢ル⸣ヨー [mi⸢doːn⸣ffaːŋ ⸢ʔiːtuʃi⸣ na⸢ri⸣buba ⸣meː bu⸢tu⸣ mu⸢tasaba⸣ru ja⸢ru⸣joː] (女の子も適齢期<いい年頃>になっているから、もう、早く嫁がせる<夫を持たせる>ほうがいいよ) 1509 0 0 1393 htmvoc_1509.wav イードゥシ ⸢イードゥシ [⸢ʔiːduʃi] 名 いい友達。「善友」の義。「悪友」の対義語。 ア⸢サブ⸣カー ⸢イードゥシバ⸣ トゥ⸢ミ⸣ル ア⸢サブ⸣ ヤ⸢ナドゥシトー⸣ トゥ⸢レース⸣ナ [ʔa⸢sabu⸣kaː ⸢ʔiːduʃiba⸣ tu⸢mi⸣ru ʔa⸢sabu⸣ ja⸢naduʃitoː⸣ tu⸢reːsu⸣na] (遊ぶならいい友達をもとめて遊ぶのであって、悪友と連れ立って遊ぶな<睦ぶな>) 1510 0 0 1394 htmvoc_1510.wav イーナカ ⸢イー ナカ [⸢ʔiː naka] 連 いい仲。いい間柄。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー イーナカ⸣ ナ⸢リ⸣ブタンドゥ イ⸢チヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣ル ヤ⸢ビル⸣タユー ⸢パン⸣クリ ⸢ナーン⸣バン [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː ʔiːnaka⸣ na⸢ri⸣butandu ʔi⸢ʧinu⸣ ma⸢du⸣ru ja⸢biru⸣tajuː ⸢paŋ⸣kuri ⸢naːm⸣baŋ] (あの二人はいい仲になっていたが、いつの間に仲たがいしたのか<破れたのか>婚約解消<跳ね返って>してしまった) 1511 0 0 1395 htmvoc_1511.wav イーナジキ ⸢イーナジキ [⸢ʔiːnaʤiki] 名 いいなずけ(許婚)。双方の親の合意で幼少の頃から婚約を結んであること。 ⸢イーナジキヌ⸣ イ⸢ク⸣サナ ⸢マーラソーッ⸣タツォー [⸢ʔiːnaʤikinu⸣ ʔi⸢ku⸣sana ⸢maːrasoːt⸣taʦoː] (許婚が戦争で亡くなられたそうだ) 1512 0 0 1396 htmvoc_1512.wav イーナビ ⸢イー⸣ナビ [⸢ʔiː⸣nabi] 名 ご飯を炊く鍋。⸢飯鍋」の義。⸢スー⸣ナビ[⸢suː⸣nabi](汁鍋)の対義語。 ⸢イー⸣ナビナール ⸢マイヌイー⸣ヤ バ⸢カス⸣ダー [⸢ʔiː⸣nabinaːru ⸢mainuʔiː⸣ja ba⸢kasu⸣daː] (飯鍋で<ぞ>米のご飯は炊くのだよ) 2311 0 0 1397 htmvoc_2311.wav イーネー ⸢イー⸣ネー [⸢ʔiː⸣neː] 名 西隣。西側の隣家。 ⸢イー⸣ネーン ⸢アー⸣ネーン ムー⸢ル⸣ ウ⸢トゥザ⸣ル ⸣ナリ ⸢ブー [⸢ʔiː⸣neːŋ ⸢ʔaː⸣neːm muː⸢ru⸣ ʔu⸢tuʣa⸣ru ⸣nari ⸢buː] (西隣も東隣も皆親戚に<ぞ>なっている)。 ⸢イー⸣ネヌ ⸣アッパー シゥ⸢カシ⸣キー ⸢ニン⸣ガイ シ⸢ミオーラ⸣シ [⸢ʔiː⸣nenu ⸣ʔappaː sï̥⸢kaʃi⸣kiː ⸢niŋ⸣gai ʃi⸢miʔoːra⸣ʃi] (西隣のおばあさんをお連れ<ご案内して>してきて祈願して頂きなさい) 1515 0 0 1398 htmvoc_1515.wav イーパイ ⸢イーパイ [⸢ʔiːpai] 名 位牌。ウ⸢ブイー⸣パイ[ʔu⸢buʔiː⸣pai](大きな位牌、伝統的な二段作りの位牌)やッ⸢スイー⸣パイ[s⸢suʔiː⸣pai](白位牌、没後四十九日忌までの位牌)、⸢イーパイヤー⸣マ[⸢ʔiːpaijaː⸣ma](小さな位牌)などがある。伝統的な大きな位牌は、先祖の個人の木牌を奇数枚横列に並べて安置する木製の木枠に填めた位牌をいう。黒塗りの木枠に朱塗りの木牌が嵌め込んであるが、巾約2センチ、長さ約10センチの木牌の正中には、通常「帰真霊位」と金粉のエナメルで書かれ、裏面には氏名と享年が墨書されている。個人用の位牌を⸢イーパイヤー⸣マ[⸢ʔiːpaijaː⸣ma]という。 トゥ⸢クニ⸣ナ ⸢イーパイヌ⸣ ア⸢リ⸣バ ⸢カウヤーンツァン⸣ シキタティティ ⸣ティー ウ⸢サーシ⸣バ [tu̥⸢kuni⸣na ⸢ʔiːpainu⸣ ʔa⸢ri⸣ba ⸢kaujaːnʦaŋ⸣ ʃi̥kitatiti ⸣tiː ʔu⸢saːʃi⸣ba] (仏壇に位牌があるから線香だけでも点け立てて合掌しなさい<手を合わせなさい>) 1516 0 0 1399 htmvoc_1516.wav イーパイサバ ⸢イーパイサバ [⸢ʔiːpaisaba] 名 (動)魚の名。和名、シュモクザメ(体長約3メートルに達するものがいる)。 ⸢イーパイサバー⸣ パ⸢トゥ⸣マナテー ⸢ナン⸣ゾー ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [⸢ʔiːpaisabaː⸣ pḁ⸢tu⸣manateː ⸢nan⸣ʣoː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (シュモクザメは鳩間島ではあまり見たことはなかった<見てみなかった>) 1517 0 0 1400 htmvoc_1517.wav イーパイムティプス ⸢イーパイ⸣ ム⸢ティ⸣プス [⸢ʔiːpai⸣ mu⸢ti⸣pu̥su] 連 位牌継承者。「位牌持ち人」の義。先祖代々の位牌を持つ人の意で、家督を相続する人のこと。直系の長男が位牌を受け継ぐ。長男をさしおいて次男が家督を継ぐのは、サ⸢クシウシ⸣クミ[sḁ⸢kuʃiʔuʃi̥⸣kumi](嫡子押し込め{EOS}廃嫡)といって嫌われている。 ⸢クン⸣ネヌ ⸢イーパイ⸣ ム⸢ティ⸣プソー ⸢ター⸣カヤー [⸢kun⸣nenu ⸢ʔiːpai⸣ mu⸢ti⸣pu̥soː ⸢taː⸣kajaː] (この家の位牌を持つ<家督を継ぐ>人は誰かね) 1514 1 0 1401 htmvoc_1514.wav イーバス ⸢イーバス [⸢ʔiːbasu] 名 {PoS_1}いい折。いい場合。良い機会。 ⸢ワー イーバス⸣ ケール イッ⸢ケン ッふァイフーヤ⸣ ア⸢リ⸣ブーバン [⸢waː ʔiːbasu⸣ keːru ʔik⸢ken ffaiɸuːja⸣ ʔa⸢ri⸣buːbaŋ] (君はいい時に来たよ{EOS}非常に食べる幸運に恵まれているわい) 1514 2 0 1402 htmvoc_1514.wav イーバス ⸢イーバス [⸢ʔiːbasu] 副 {PoS_2}幸いに。ちょうど良い具合に。 ⸢イーバス ウンヌ⸣ ピンマー ⸢ボークー⸣ゴーナー カ⸢ク⸣リ ⸢ベー⸣タ⸢ベー⸣ティ ⸣ヌチェー ⸢ムイ⸣ヤー⸢ダー [⸢ʔiːbasu ʔunnu⸣ pimmaː ⸢boːkuː⸣goːnaː kḁ⸢ku⸣ri ⸢beː⸣ta⸢beː⸣ti ⸣nuʧeː ⸢mui⸣jaː⸢daː] (幸いにその時は防空壕に隠れていたので命は助かった<命は生えた>のだよ) 1518 0 0 1403 htmvoc_1518.wav イーピュール ⸢イーピュール [⸢ʔiːpjuːru] 名 いい日。吉日。⸢カイピュー⸣ル[⸢kaipjuː⸣ru](吉日{EOS}きれいな日より)は対語。祭祀をはじめ、行事を執り行うのに差障りのない日より。 ⸢イーピュールバ⸣ ク⸢ラ⸣シ ⸣キーティル ⸢ウンキニン⸣ガイ シ⸢ミルンティ ベー [⸢ʔiː pjuːruba⸣ ku⸢ra⸣ʃi ⸣kiːtiru ⸢ʔuŋkiniŋ⸣gai ʃi⸢mirunti beː] (いい日和を選んで<繰って>もらって来て<ぞ>健康祈願<運気の祈願>をさせようとしているところだ) 1520 0 0 1404 htmvoc_1520.wav イーピョーシ ⸢イー ピョーシ [⸢ʔiː pjoːʃi] 連 いい拍子。いい機会。幸運。 ⸢イー ピョーシヌ マーリ⸣クーカー トゥ⸢ルマキーン⸣ ア⸢タリ タイロー スン⸣ツォー [⸢ʔiː pjoːʃinu maːri⸣ kuːkaː tu⸢rumakiːŋ⸣ ʔa⸢tari tairoː sun⸣ʦoː] (幸運<いい拍子>がめぐってきたらカツオ鳥の群<鳥巻>にも当たることができて大漁するそうだよ) 1519 0 0 1405 htmvoc_1519.wav イープス ⸢イープス [⸢ʔiːpusu] 名 いい人。善人。ヤ⸢ナプス[ja⸢napusu](悪い人、悪人)の対義語。 ⸣シキンナー ⸢イープスカーネー オーラン⸠ダー ⸢キー⸣ シケーティ ア⸢ラ⸣キ [⸣ʃi̥kinnaː ⸢ʔiːpu̥sukaːneː ʔoːran⸠daː ⸢kiː⸣ ʃi̥keːti ʔa⸢ra⸣ki] (世間にはいい人だけおられないぞ{EOS}気をつけなさい<気をつけておれ{EOS}あるけ>) 1521 0 0 1406 htmvoc_1521.wav イーマカル ⸢イーマカ⸣ル [⸢ʔiːmaka⸣ru] 名 ご飯茶碗。「イヒ・マガリ(飯・鋺)」の義か。「椀 麻加立」『琉球館訳語』、「梡子 makari」『語音翻訳』、「飯碗 麥介衣」『中山伝信録』、「椀、杯也、万利<まり>」『新撰字鏡』の転訛したものか。 ア⸢ラマカル [ʔa⸢ramakaru] (陶器の大碗{EOS}「荒焼碗」の義か)。 ⸣スンカンマカル [⸣suŋkammakaru] (筍干{EOS}ソバ用の陶器の碗{EOS}⸢笋羹碗」の義)。 ⸢イーマカ⸣ルナ ⸢マイヌ⸣イー ム⸢リティ⸣ ン⸢カシ⸣バ [⸢ʔiːmaka⸣runa ⸢mainu⸣ʔiː mu⸢riti⸣ ʔŋ⸢kaʃi⸣ba] (飯碗に米飯を盛って差し上げ<召し上がらせ>なさいよ) 1522 0 0 1407 htmvoc_1522.wav イーヤサッサ ⸢イーヤサッサ [⸢ʔiːjasassa] 感 囃子。重いものを担ぐ時の掛け声。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢グッ⸣ふァムヌ カ⸢タ⸣モール ⸣ピンマ ⸢イーヤサッサ⸣ティ ⸢ヤングイバ⸣ カケーティル カ⸢タ⸣モーッタル [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢guf⸣famunu kḁ⸢ta⸣moːru ⸣pimmaː ⸢ʔiːjasassa⸣ti ⸢jaŋguiba⸣ kḁkeːtiru kḁ⸢ta⸣moːttaru] (昔の人は重いものを担がれる時は、イーヤサッサと掛け声をかけて<ぞ>担がれたものだ) 1535 0 0 1408 htmvoc_1535.wav イーラー ⸢イーラー [⸢ʔiːraː] 名 西方。西の方。⸢アーラー[⸢ʔaːraː](東方{EOS}東の方)の対義語。 ⸣フネー ⸢マー⸣ビン ⸢イーラー⸣ パ⸢ラー⸣イ [⸣ɸuneː ⸢maː⸣biŋ ⸢ʔiːraː⸣ pa⸢raː⸣i] (船はもっと西の方へ操船しなさい<走らせなさい>) 1538 0 0 1409 htmvoc_1538.wav イーラアーラ ⸢イーラアーラ [⸢ʔiːraʔaːra] 名 西と東。東西。 ⸢プール⸣ヌ シ⸢ナ⸣ピキン ⸢パー⸣レーン ⸢イーラアーラ⸣ バ⸢カ⸣レーティル ⸢スー⸣ブ ⸢ソーッ⸣タ [⸢puːru⸣nu ʃi⸢na⸣pi̥kim ⸢paː⸣reːŋ ⸢ʔiːraʔaːra⸣ ba⸢ka⸣reːtiru ⸢suː⸣bu ⸢soːt⸣ta] (豊年祭の綱引きも爬竜船競漕も西と東に分かれて競争<勝負>された)。 ⸢イーラアーラヌ ゾーラキン⸣ ムー⸢ル スー⸣ブ ⸢ヤッタ [⸢ʔiːraʔaːranu ʣoːrakim⸣ muː⸢ru suː⸣bu ⸢jatta] (西村東村の奉納舞踊⸢ゾーラキ{SqBr}⸢ʣoːraki{/SqBr}<入子型常楽踊りの舞踊>や棒術もみんな部落対抗の競争<勝負>であった) 1539 0 1 1410 htmvoc_1539.wav イーラマーリ ⸢イーラマーリ [⸢ʔiːramaːri] 名 {Mn_1}風向(風向き)が急に西に回ること。鳩間島では天候が崩れる前兆といわれている。 カ⸢ジヌ イーラマーリ スー⸣カー ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ブリ⸣ス(ヤ⸢ビ⸣ス) [ka⸢ʤinu ʔiːramaːri suː⸣kaː ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢buri⸣su(ja⸢bi⸣su)] (風向きが急に西に回ると天候が崩れ<破れ>る)。 1539 0 2 1411 htmvoc_1539.wav イーラマーリ ⸢イーラマーリ [⸢ʔiːramaːri] 名 {Mn_2}西側から回って。西回りに回って。 カ⸢ジヌ スー⸣ワンダ シ⸢マ⸣ヌ カ⸢タ⸣カーラ ⸢イーラマーリ シー⸣ パリバ [ka⸢ʤinu suː⸣wanda ʃi⸢ma⸣nu kḁ⸢ta⸣kaːra ⸢ʔiːramaːru ʃiː⸣ pariba] (風が強いので、風除けの島陰<片陰>を通って西回りして行きなさいよ) 1531 0 1 1412 htmvoc_1531.wav イーラリン ⸢イーラ⸣リン [⸢ʔiːra⸣riŋ] 自動 {Mn_1}貰われる。貰うことができる。他動詞⸢イー⸣ルン[⸢ʔiː⸣ruŋ](貰う)の未然形に助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる<可能、受身>)がついて派生した可能(受身)動詞。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ ⸢ホーベー バン⸣ヌン ⸢イーラ⸣リン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢tarunu⸣nu ⸢hoːbeː ban⸣nuŋ ⸢ʔiːra⸣riŋ] (この程度の褒美は私にも貰える)。 ⸢ミーチヌ⸣ バス ブ⸢バー⸣マン ⸢イーラ⸣リティル フ⸢ドゥバサレー⸠ダー [⸢miːʧinu⸣ basu bu⸢baː⸣man ⸢ʔiːra⸣ritiru ɸu⸢dubasareː⸠daː] (三歳の時に叔母さんに貰われて育てられた<成長させられた>のだよ)。 ⸢バン⸣マー ⸢イーララ⸣ヌ [⸢bam⸣maː⸢ʔiːrara⸣nu] (私には貰えない)。 ⸢イーラ⸣リ ⸣ムノー ⸢アン [⸢ʔiːra⸣ri ⸣munoː ⸢ʔaŋ] (貰えるものはあるか)。 1531 0 2 1413 htmvoc_1531.wav イーラリン ⸢イーラ⸣リン [⸢ʔiːra⸣riŋ] 自動 {Mn_2}嫁に貰うことができる。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー バン⸣テヌ ユ⸢ミ イーラ⸣リンツォー [ku⸢nu⸣ f⸢faː ban⸣tenu ju⸢mi ʔiːra⸣rinʦoː] (この子は我が家の嫁に貰えるそうだ) 1533 0 0 1414 htmvoc_1533.wav イーリ ⸢イーリ [⸢ʔiːri] 名 西。「太陽の入る方向」の義。⸢アーリ[⸢ʔaːri](東、太陽の上がる方向の義)の対義語。⸢イーリキー[⸢ʔiːrikiː](西側)に対して⸢アーリキ[⸢ʔaːrikiː](東の方)があり、⸢イーラー[⸢ʔiːraː](西方)に対して⸢アーラー[⸢ʔaːraː](東方)、⸢イー⸣ル[⸢ʔiː⸣ru](西)対して⸢アー⸣ル[⸢ʔaː⸣ru](東)がある 1534 0 0 1415 htmvoc_1534.wav イーリキ ⸢イーリキ [⸢ʔiːriki] 名 西側。⸢アーリキ[⸢ʔaːriki](東側)の対義語。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢イーリキ⸣ナー シ⸢トゥッ⸣チムルシヌ ⸢アッ⸣タン [pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔiːriki⸣naː ʃi̥⸢tut⸣ʧimuruʃinu ⸢ʔat⸣taŋ] (畑の西側に蘇鉄の叢林があった)。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢イーリキヌ⸣ アザナー ガ⸢ジマル⸣ヌ ムイ⸢ベー⸣ン [pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔiːrikinu⸣ ʔaʣanaː ga⸢ʤimaru⸣nu mui⸢beːŋ] (畑の西側の畦にガジマルの木が生えている) 1523 0 0 1416 htmvoc_1523.wav イーリジブン ⸢イーリジブン [⸢ʔiːriʤibuŋ] 名 日没の頃。日暮れ時。太陽の入り時分。「入り時分」の義。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリジブンマー⸣ パ⸢タ⸣ケーラ ⸢カイ⸣リ ⸣クン ⸣パジ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːriʤibummaː⸣ pḁ⸢ta⸣keːra ⸢kai⸣ri ⸣kum ⸣paʤi] (日没頃に畑から帰って来るはず) 1524 0 0 1417 htmvoc_1524.wav イーリジマ ⸢イーリジマ [⸢ʔiːriʤima] 名 海底地名。西表島の北岸の⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)、⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)の北にある⸢イー⸣シビー[⸢ʔiː⸣ʃibiː](角又を養殖した干瀬)の一つで、フ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma](小津口)の西に面した干瀬の名。 ⸢イーリジマ⸣ナーン ⸢イー⸣シェー ア⸢リ⸣ブタンドゥ ウ⸢ブビー⸣ヌ ⸣スコー ⸢ナーン⸣シェン [⸢ʔiːriʤima⸣naːŋ ⸢ʔiː⸣ʃeː ʔa⸢ri⸣butandu ʔu⸢bubiː⸣nu ⸣su̥koː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (イーリジマ干瀬にも角又はあったがウブビーの程はなかった) 1525 0 0 1418 htmvoc_1525.wav イーリッふァ ⸢イーリ⸣ッふァ [⸢ʔiːri⸣ffa] 名 貰い子。生まれつき母親との相性が悪い子は病弱であるので、相性のいい人を探して仮にその人の子にしてもらう子のこと。特定の日に道で遭遇した人や、定期航海船の船長に仮の親を頼むことがある。仮の親には子供が成長した後も進物を欠かさない。ヤ⸢シナイッふァ[ja⸢ʃinaiffa](養い子)ともいう。 ⸢ソーッふァー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢イーリ⸣ッふァ ヤ⸢ルヌヌンドゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ツァー⸣ ピライ ⸢ブン⸣ダー [⸢soːffaː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢ʔiːri⸣ffa ja⸢runundu⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʦaː⸣ pirai ⸢bun⸣daː] (本当の子ではない{EOS}貰い子であるが非常に親密に<篤く>交際しているよ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢マ⸣ヌ ⸢ビョー⸣ザーッタ ⸢ベー⸣ティ ⸢ウンパンシン⸣ヌ ⸢シンドゥ⸣バ タ⸢ナ⸣ミ ⸢イーリ⸣ッふァ ⸣ナシ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカ ア⸢マシター⸣ パ⸢シットゥ⸣ ナリ⸢ベー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔa⸢ma⸣nu ⸢bjoː⸣ʣaːtta ⸢beː⸣ti ⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ⸢ʃindu⸣ba ta⸢na⸣mi ⸢ʔiːri⸣ffa ⸣naʃi ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka ʔa⸢maʃi̥taː⸣ pḁ⸢ʃittu⸣ nari ⸢beː] (この子はあまりにも病弱であったので運搬船の船頭に頼んで貰い子にして船の淦を浴びせておいたら元気になって<すっきりして>いる) 1536 0 0 1419 htmvoc_1536.wav イーリティダ ⸢イーリティダ [⸢ʔiːritida] 名 西日。太陽が西に傾いて入り日すること。 ⸢イーリティダ⸣ ナリ ティ⸢ダ⸣ヌ イ⸢キブイン ヨー⸣レーチバ ダン⸢ティ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢ギーティ⸣ クー [⸢ʔiːritida⸣ nari ti⸢da⸣nu ʔi⸢kibuiŋ joː⸣reːʧiba dan⸢ti⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢giːti⸣ kuː] (西日になって太陽の勢いも弱ってきたので、さっさと畑に行ってきなさい) 1527 0 0 1420 htmvoc_1527.wav イーリバナ ⸢イーリバナ [⸢ʔiːribana] 名 日没時。太陽の入り際。⸢バナ[⸢bana]は、パ⸢ナ[pa⸢na](先端{EOS}~の初め)の頭子音が複合語形成の際に有声化したもの。 ⸢オーシキヌ カイ⸣ヤ ⸣ピンマー ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリバナー インタヌ ティンマー⸣ アガー⸢アガー⸣シ ス⸢マリティ カイ⸣ヤタン [⸢ʔoːʃi̥kinu kai⸣ja ⸣pimmaː ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːribanaː ʔintanu timmaː⸣ ʔagaː⸢ʔagaː⸣ʃi su⸢mariti kai⸣jataŋ] (天気が良いときは西の空は真っ赤に染まって美しかった) 1528 0 0 1421 htmvoc_1528.wav イーリマイズニ ⸢イーリマイズニ [⸢ʔiːrimaiʣuni] 名 (海底地名)。鳩間島の南に発達した三つの曽根(⸢マイ⸣ズニ{SqBr}⸢mai⸣ʣuni{/SqBr}<前曽根>)の中の西側の大きな曽根の名。西表島の⸢ウイバル[⸢ʔuibaru](上原)や、フ⸢ノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦)方面より鳩間島へ真っ直ぐに向かう時、この曽根に当たる。この曽根には、⸢トゥーラン⸣フチ[⸢tuːraŋ⸣ɸu̥ʧi](通過できない津口)というところがあるので注意を要する。そこはまた、ム⸢チイズ[mu⸢ʧiʔiʣu](ノコギリダイ)の巣でもある。ム⸢チイズを釣って、それを生餌にして⸢アーラ⸣ニーバル[⸢ʔaːra⸣niːbaru](マハタ)やユ⸢ダヤ⸣ニーバル[ju⸢daja⸣niːbaru](マダラハタ)等を釣り上げた 1547 0 0 1422 htmvoc_1547.wav イーリムティ ⸢イーリムティ [⸢ʔiːrimuti] 名 西の方。西の方面。西の辺り。⸢アールムティ[⸢ʔaːrumuti](東の方、東の方面)の対義語。 ⸢クーラヌ イーリムティヌ⸣ シ⸢ヌ⸣ヌ ⸢マーリカドー⸣ シザバナリ⸢ゲ⸣ラ [⸢kuːranu ʔiːrimutinu⸣ ʃi⸢nu⸣nu ⸢maːrikadoː⸣ ʃiʣabanari⸢ge⸣ra] (久浦の西方の角の曲がり角はシザバナリ<下離>さ) 1548 0 0 1423 htmvoc_1548.wav イーリムヌ ⸢イーリ⸣ムヌ [⸢ʔiːri⸣munu] 名 貰い物。到来者。頂き物。 ク⸢レー イーリ⸣ムヌ ヤ⸢ルヌ⸣ ン⸢マー⸣ンダ ⸣バキ ⸣ムティパリバ [ku⸢reː ʔiːri⸣munu ja⸢runu⸣ ʔm⸢maː⸣nda ⸣baki ⸣mutipariba] (これは到来物だが、美味しいから分けて持っていきなさいよ)。 ⸣ウマーカマーラヌ ⸢イーリムヌ⸣ヌ ⸣ヌーンクイン ⸣ミツンケン ア⸢リ⸣ブバ ⸢カーン⸣タンティン ⸣ミサン [⸣ʔumaːkamaːranu ⸢ʔiːrimunu⸣nu ⸣nuːŋkuim ⸣miʦuŋkeŋ ʔa⸢ri⸣buba ⸢kaːn⸣tantim ⸣misaŋ] (あちらこちらからの貰い物がいっぱい<満ちるほど>あるから<有り居るから>買わなくてもよい) 1532 0 0 1424 htmvoc_1532.wav イール ⸢イー⸣ル [⸢ʔiː⸣ru] 名 錐(きり)。直径約1、5センチ、長さ約20センチの柄に、直径約2ミリ、長さ約10センチの鉄線を打ち込み、先端部を三角錐に研いで尖らせたもの。両手でもんで板や家具などに穴をあける工具。この穴にタ⸢キフン[ta⸢kiɸuŋ](竹製の釘)を打ち付けた。 ⸣イダフネー カ⸢ニフン⸣ シゥ⸢カーランダ イー⸣ルシ ⸣アナー ⸢ピッ⸣キティ ⸢ウン⸣ナー タ⸢キフンバ ウイヨーッ⸣タ [⸣ʔidaɸuneː ka⸢niɸun⸣ si̥⸢kaːranda ʔiː⸣ruʃi ⸣ʔanaː ⸢pik⸣kiti ⸢ʔun⸣naː tḁ⸢kiɸumba ʔuijoːt⸣ta] (板舟<サバニ>には鉄釘が使えないから手もみ錐で穴をあけてそれに竹釘を打ち込まれた<植えられた>)。板を接ぎ合わせた部分に⸢フン⸣ドゥ[⸢ɸun⸣du](ちぎりじめ<滕締め>に填め込むもの{EOS}両端が広く中がくびれているもの)を填め込んで竹釘の弱さを補い、船板が離れないように固定した 1537 0 0 1425 htmvoc_1537.wav イール ⸢イール [⸢ʔiːru] 名 西。西村。豊年祭の三日目に行われるシ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)の前段に西村と東村に別れた婦人特別舞踊隊による村自慢の歌を掛け合う儀式がある。その歌をイ⸢ジックナー[ʔi⸢ʤikkunaː](言い合い競争、自慢勝負、土地誉め)という。それが済むと東西の大綱が⸣サンシキ[⸣saŋʃiki](桟敷)の中央までシ⸢ナヌ⸣ミン[ʃi⸢nanu⸣miŋ](綱の耳)をよせる儀式が執り行われる。この儀式は婦人特別舞踊隊が歌う⸢ガーリ⸣ウタ[⸢gaːri⸣ʔuta](応援の歌)に合わせて進行する。/イールプール(西村の豊年祭)イールプール(西村の豊年祭)/シナヌミンバ(綱の耳を)ユシクバ(寄せ来れば)シナンギス(綱つなぎ<綱結び>をする)/サーサー ユシクバ シナンギス(さあさあ寄せ来れば綱つなぎ<綱結び>をする)/ 1540 0 0 1426 htmvoc_1540.wav イールカジ ⸢イールカジ [⸢ʔiːrukaʤi] 名 西風。西から吹く風。 ⸢イールカジヌ⸣ フクカー ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ブ⸣ルン [⸢ʔiːrukaʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bu⸣ruŋ] (西風が吹くと天気は崩れる) 1543 0 0 1427 htmvoc_1543.wav イールティダ ⸢イールティダ [⸢ʔiːrutida] 名 西日。入り日。入り日の当たる日向。⸢イーリティダ[⸢ʔiːritida]ともいう。 ⸢イールティダ⸣ ナレーチバ ティ⸢ダ⸣ヌ イ⸢キブイン ⸢ヨーリ⸣ス ⸣パジ ダン⸢ティ ギー⸣ ウン ⸢カイ⸣シ クー⸢ディー [⸢ʔiːritida⸣ nareːʧiba ti⸢da⸣nu ʔi⸢kibuiɲ joːri⸣su ⸣paʤi dan⸢ti giː⸣ ʔuŋ ⸢kai⸣ʃi kuː⸢diː] (西日になっているから太陽の勢いも弱まるはず{EOS}さっと行って芋を掘って<耕して>来ようよ) 1544 0 0 1428 htmvoc_1544.wav イールピサ ⸢イールピサ [⸢ʔiːrupi̥sa] 名 寄棟屋根の西側斜面。「イリ(西)・ヒラ(坂)」の義。⸢アールピサ[⸢ʔaːrupi̥sa](屋根の東側斜面)の対義語。⸢マイ⸣ピサ[⸢mai⸣pi̥sa](屋根の前側斜面)、⸣シンタピサ[⸣ʃintapi̥sa](屋根の後方斜面)がある。 ⸢イーリピサヌ カーラシキ⸣ヌ ⸢ヨー⸣リ ⸢ナーン⸣バ ⸢ノーサン⸣カ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔiːripisanu kaːraʃi̥ki⸣nu ⸢joː⸣ri ⸢naːm⸣ba ⸢noːsaŋ⸣ka na⸢ra⸣nu] (屋根の西側斜面の瓦敷きの板が弱ってしまったので修理しないと<直さないと>いけない) 1550 0 0 1429 htmvoc_1550.wav イールン ⸢イールン [⸢ʔiːruŋ] 自動 入る。太陽が没する。若年層は、イ⸢ルン[ʔi⸢ruŋ](入る)ともいう。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリジブンマー⸣ キサー⸢ティ ダイ⸣ケヌ ⸢アー⸣ヤプシェー ン⸢ジ⸣ブタ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːriʤibummaː⸣ ki̥saː⸢ti dai⸣kenu ʔaː⸣japu̥ʃeː ʔn⸢ʤi⸣buta] (太陽が没する頃<日没時>には、すでに金星<大工家のお父さん星>は輝いていた<出ていた>)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イールン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːruŋ] (太陽が没する)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーラン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パリ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːraŋ⸣keŋ ⸢jaː⸣ pari] (日が暮れないうちに家に帰りなさい)。 ⸣ティダー ⸢イーリ ナー⸣ヌ [⸣tidaː ⸢ʔiːri naː⸣nu] (日は暮れて<日は没して>しまった)。 ⸢イール ティダー⸣ ウ⸢ガマ⸣ヌ [⸢ʔiːrutidaː⸣ ʔu⸢gama⸣nu] (没する太陽は拝まない)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーレーラー⸣ ッ⸢ふァガマリティ⸣ ムヌン ミ⸢ララ⸣ヌ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːreːraː⸣ f⸢fagamariti⸣ munum mi⸢rara⸣nu] (日が暮れたら暗くなってものも見えない) 1555 0 0 1430 htmvoc_1555.wav イールン ⸢イー⸣ルン [⸢ʔiː⸣ruŋ] 他動 貰う。嫁に貰う。娶る。 ク⸢レー⸣ バー ⸢イー⸣ルン [ku⸢reː⸣ baː ⸢ʔiː⸣ruŋ] (これは私が貰う) ⸣アイブ ⸣ムノー ター⸢ン イーラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː taː⸢ŋ ʔiːra⸣nu] (こんなものは誰も貰わない))。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ウン⸣ネヌ ユ⸢ミ⸣ティ ⸢シー イー⸣リ ⸢オー⸣レーツォー [ku⸢nu⸣ f⸢faː ʔun⸣nenu ju⸢mi⸣ti ⸢ʃiː ʔiː⸣ri ⸢ʔoː⸣reːʦoː] (この子はその家の嫁として貰って来られたそうだ) 1541 0 0 1431 htmvoc_1541.wav イールンカイ ⸢イールンカイ [⸢ʔiːruŋkai] 名 西向き。屋敷の門などが西向きになっていること。⸢アールンカイ[⸢ʔaːruŋkai](東向き)の対義語。 パ⸢トゥ⸣マナー ム⸢トゥ⸣ヌ ⸢ヤシ⸣ケー ⸢イールンカイ⸣ ナリ ⸢ベー⸣ティ ⸣アトーラ ビ⸢チン⸣トン ム⸢チ⸣ナローッタ ⸣ヤーン⸢アッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː mu⸢tu⸣nu ⸢jaʃi̥⸣keː ⸢ʔiːruŋkai⸣ nari ⸢beː⸣ti ⸣ʔatoːra bi⸢ʧin⸣ton mu⸢ʧi⸣narotta ⸣jaːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (鳩間には、元の屋敷は西向きになっているので、後から別の所に移られた家もあった) 2243 0 0 1432 htmvoc_2243.wav イーレーキ ⸢イーレーキ [⸢ʔiːreːki] 名 西側。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢イーレー⸣キナ ⸢バンスル⸣ヌ ムイ⸢ベー⸣ン [pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔiːreːki⸣na ⸢bansuru⸣nu mui⸢beː⸣ŋ] (畑の西側にバンジロウ<蕃石榴>の木が生えている)。 ⸢アーレーキ [⸢ʔaːreːki] (東側)。 ニ⸢シェーキ [ni⸢ʃeːki] (北側)。 パ⸢ヤー⸣キ [pa⸢jaː⸣ki] (南側) 1561 0 0 1433 htmvoc_1561.wav イーローマ イー⸢ロー⸣マ [ʔiː⸢roː⸣ma] 名 小さな錐。⸢イー⸣ル[⸢ʔiː⸣ru](錐)に、指小辞-マ[-ma](小さいもの)が下接したもの。沖縄本島方言のグヮー[gwaː](小)、宮古方言の、-ガマ[-gama](小)に対応する語形。鳩間方言の指小辞は、宮古方言の、ガマ[gama](小)が、[gama] → [ŋgama] → [nnaːma](石垣方言)→ [ma](鳩間方言)のように音韻変化して形成されたものである。 イー⸢ロー⸣マ ⸢イー⸣ネーラ カ⸢リ⸣クー [ʔiː⸢roː⸣ma ⸢ʔiː⸣neːra ka⸢ri⸣kuː] (小さな錐を西隣の家から借りてこい) 1556 0 0 1434 htmvoc_1556.wav イーロールン ⸢イー⸣ロールン [⸢ʔiː⸣roːruŋ] 他動 お貰いになる。貰われる。⸢イー⸣ルン[⸢ʔiː⸣ruŋ](貰う)の尊敬語。 ク⸢レー イー⸣ロールンカヤー [ku⸢reː ʔiː⸣roːruŋkajaː] (これはお貰いになるかなあ)。 アー⸢イ イー⸣ローランツォー [ʔaː⸢i ʔiː⸣roːranʦoː] (いや<否>、お貰いにならぬそうだ)。 ⸢イー⸣ローリ ⸣プサカー ⸢イー⸣ロール ⸣ムヌ イ⸢ラ⸣ボーリバ [⸢ʔiː⸣roːri ⸣pu̥sakaː ⸢ʔiː⸣roːru ⸣munu ʔi⸢ra⸣boːriba] (お貰いになりたければ、お貰いになる物をお選びください)。 ⸢イー⸣ローレー ⸣ミサムヌ [⸢ʔiː⸣roːreː ⸣misamunu] (お貰いになれば良いのに)。 ク⸢レー ワー イー⸣ローリ [ku⸢reː waː ʔiː⸣roːri] (これは貴方がお貰いなされ) 1551 0 0 1435 htmvoc_1551.wav イーワキ ⸢イーワキ [⸢ʔiːwaki] 名 言い訳。弁解。謝罪すること。 ヤ⸢ラ⸣ビザーン ⸣アイティ ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァヌ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーティ ワキ ⸢シン ギーティ クー⸣タ [ja⸢ra⸣biʣaːŋ ⸣ʔaiti ⸢ʔun⸣nenu f⸢fanu⸣ duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːti waki ⸢ʃiŋ giːti kuː⸣ta] (子供同士で喧嘩して、その家の子供に怪我をさせてあるので謝罪しに行ってきた) 1552 0 0 1436 htmvoc_1552.wav イェー ⸢イェ⸣ー [⸢je⸣ː] 感 おい。同輩、目下の者に対して呼びかける声。若年層は、⸢エ⸣ー[⸢ʔe⸣ː](おい)ともいう。 ⸢イェ⸣ー ⸢ワー ター⸣ヤ [⸢je⸣ː ⸢waː taː⸣ja] (おい、君は誰か)。 ⸢イェ⸣ー ク⸢レー⸣ ヌーヤ⸢ツォー [⸢je⸣ː ku⸢reː⸣ nuːja⸢ʦoː] (おい{EOS!}これは何かよ<何かってば>) 1603 0 0 1437 htmvoc_1603.wav イェー イェ⸢ー [je⸢ː] 感 ええ!意外な時や感激した時に発する声。 イェ⸢ー⸣ ヌーシター ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [je⸢ː⸣ nuːʃi̥taː ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (ええ?、なんだって、そんなことがあるものか)。 イェ⸢ー⸣ ミ⸢ジラ⸣シ ⸣クトゥヌン ア⸢リ⸣ブバン⸢ナー [je⸢ː⸣ mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣ku̥tunuŋ ʔa⸢ri⸣buban⸢naː] (ええ?珍しいこともあるものだねえ<珍しいことも有りをるわいねえ>) 1557 0 0 1438 htmvoc_1557.wav イエイ ⸣イエイ [⸣ʔijei] 名 伝言。ことづて(言伝)。「いいやる<言遣る>。道守の問はむ答えを言將遣<イヒヤラム>すべを知らにと~。万、543」の転訛したものか。 ウ⸢キナー⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ビントン ⸣イエイ トゥ⸢ドゥ⸣キ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [ʔu⸢kinaː⸣nu ja⸢ra⸣bintoŋ ⸣ʔijei tu⸢du⸣ki f⸢fiːri⸣joː] (沖縄の子供への言伝を届けてくれよねえ)。 ウ⸢キ⸣ナーナティ ⸢バン⸣テヌ ヤ⸢ラ⸣ビンケー ミ⸢ラ⸣リカー ⸣イエイ ⸢シー ッふィーリ⸣ヨー [ʔu⸢ki⸣naːnati ⸢ban⸣tenu ja⸢ra⸣biŋkeː mi⸢ra⸣rikaː ⸣ʔijei ⸢ʃiː ffiːri⸣joː] (沖縄で私の家の子供たちに会ったら<子供たちが見られたら>伝言をしてくれよなあ) 1609 0 0 1439 htmvoc_1609.wav イガ イ⸢ガ [ʔi⸢ga] 名 烏賊(イカ)。ツツイカの総称。鳩間島で漁獲されるツツイカには、ア⸢ガイカ[ʔa⸢gaika](アカイカ)とシ⸢ル⸣イカ[ʃi⸢ru⸣ika](シロイカ、和名・アオリイカ)がある。コウイカにはク⸢ル⸣スメー[ku⸢ru⸣sumeː](コウイカ、和名・コブシメ)があり、コブシメは島の珊瑚礁で産卵しているので、海岸から餌木を投げて釣ることができる。 ム⸢カ⸣セー ⸣シンニン イ⸢ガ ホー⸣スンティ イ⸢ツォーンプス⸣ヌ パ⸢トゥ⸣マー ⸢オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʃinniŋ ʔi⸢ga hoː⸣sunti ʔi⸢ʦoːmpu̥su⸣nu pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔoːt⸣tanʦoː] (昔はもっぱら烏賊を釣るために糸満漁師の人が鳩間島へいらっしゃったそうだ) 1615 0 0 1440 htmvoc_1615.wav イカーラ ⸣イカーラ [⸣ʔikaːra] 連体 いかなる。「如何あらむ」の「む」の脱落した形。 ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アンティ ア⸢ズヌ⸣ ク⸢レー⸣ イカーラ ⸣クトゥヤ [⸣kaibu ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔanti ʔa⸢ʣunu⸣ ku⸢reː⸣ ʔikaːra ⸣ku̥tuja] (あんなことがあるというが、これは一体如何なることか) 1616 0 0 1441 htmvoc_1616.wav イカーラ イ⸢カーラ [ʔi⸢kaːra] 副 幾ら~でも。幾ら~とも。一歩譲歩して、数量や程度の甚だしさを前提条件として認めつつも、それと反対のことを述べる意を表す。 イ⸢カーラ⸣ <イ⸢コーラ⸣> ウ⸢カ⸣ヌ ⸣アンティ ア⸢ザバン⸣ ッ⸢ふァバ カース⸣ クトー ⸢ナーン⸣パジ [ʔi⸢kaːra⸣ <ʔi⸢koːra⸣> ʔu⸢ka⸣nu ⸣ʔanti ʔa⸢ʣabaŋ⸣ f⸢faba kaːsu⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (幾ら借金があるといっても、子供を売ることは無いはずだ) 1617 0 0 1442 htmvoc_1617.wav イカーラカコーニ ⸣イカーラカコーニ [⸣ʔikaːrakakoːni] 副 いかようにして。どのようにして。どんなふうに。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢コー⸣ イカーラカコーニ ス⸢クル⸣タ ム⸢ヌ⸣ユー ミ⸢ジラサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ pḁ⸢poː⸣ ʔikaːrakakoːni su̥⸢kuru⸣ta mu⸢nu⸣juː mi⸢ʤirasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (この箱はどのようにして作ったものなのか、珍しくて仕方がない) 1618 0 0 1443 htmvoc_1618.wav イカーラカコーヌ ⸣イカーラカコーヌ [⸣ʔikaːrakakoːnu] 連 いかなる程度の。どのような風体の。どんなふうの。 ⸣イカーラカコーヌ ム⸢ヌヌン⸣ドゥ ⸢ワー イー⸣ルンティ ⸣ケーワ [⸣ʔikaːrakḁkoːnu mu⸢nunun⸣du ⸢waː ʔiː⸣runti ⸣keːwa] (いかなる程の者が君を嫁にもらいに来ているのか) 1619 0 0 1444 htmvoc_1619.wav イカーラコーラシ ⸣イカーラコー⸢ラ⸣シ [⸣ʔikaːrakoː⸢ra⸣ʃi] 副 どんなふうにして。どのようにして。相手の技量を低くみた表現。 ⸣イカーラコー⸢ラ⸣シ ス⸢クル⸣タ ム⸢ヌ⸣ユー ⸢タンガ⸣シ ⸢ヤー⸣バ ス⸢クル⸣タツォー [⸣ʔikaːrakoː⸢ra⸣ʃi su̥⸢kuru⸣ta mu⸢nu⸣juː ⸢taŋga⸣ʃi ⸢jaː⸣ba su̥⸢kuru⸣taʦoː] (どんなふうにして作ったものやら、一人で家を造ったそうだよ) 1669 0 0 1445 htmvoc_1669.wav イカーラシジ ⸣イカーラ ⸣シジ [⸣ʔikaːra ⸣ʃiʤi] 連 如何なるわけ。どういうわけ。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ズ⸣ ムニン シゥ⸢カムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ピン ⸢シーベー⸣ヌ ⸣イカーラ ⸣シジヤ [ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣu⸣ munin sï̥⸢kamuti⸣ naː⸢i⸣ piŋ ⸢ʃiːbeː⸣nu ⸣ʔikaːraʃiʤija] (親のいうこと<ことば>も聞かないで、ただ拗<す>ねて反抗しているが、如何なるわけがあるのか) 1558 0 0 1446 htmvoc_1558.wav イカール ⸣イカール [⸣ʔikaːru] 連体 如何なる。どのような。⸣イカーラ[⸣ʔikaːra](いかなる)ともいう。下に疑問の終助詞ヤ[ja](か)、ワ[wa](か)を伴って詰問を表す。 ク⸢レー⸣ イカール(⸣イカーラ)⸣シジヤ [ku⸢reː⸣ ʔikaːru(⸣ʔikaːra)⸣ʃiʤija] (これは如何なる<どういう>訳か)。 ⸣イカーラ ク⸢トゥ⸣ヌ ウ⸢クル⸣ワ [⸣ʔikaːra ku̥⸢tu⸣nu ʔu⸢kuru⸣wa] (如何なることが起きるのか) 1623 0 0 1447 htmvoc_1623.wav イカーンナランドゥ イ⸢カーン⸣ ナ⸢ラン⸣ドゥ [ʔi⸢kaːn⸣ na⸢ran⸣du] 連 仕方なく。やむを得ず。万策尽きて。 イカー⸢ン⸣ ナ⸢ラン⸣ドゥ プ⸢スン⸣ シゥ⸢カーレー⸣ティ アー⸣ク ⸢ジン⸣ヌサーギ ⸣アルカー ⸣ドゥーシ ⸢シーゲ⸣ラ [ʔi⸢kaːn⸣ na⸢ran⸣du pu̥⸢sun⸣ sï̥⸢kaːreː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku ⸢ʤin⸣nusaːgi ⸣ʔarukaː ⸣duːʃi ⸢ʃiːge⸣ra] (仕方がなくて他人に使われているのであって、金がさえあれば自分でするさ) 1604 0 0 1448 htmvoc_1604.wav イガイズ イ⸢ガイズ [ʔi⸢gaiʣu] 名 餌木(えぎ)。老年層のことば。若年層は、イ⸢ガジー[ʔi⸢gaʤiː](えぎ<餌木>)ともいう。烏賊を釣るのに用いる擬餌の木片。鳩間島では杉などの木片で魚の形を作り、腹部に鉛を嵌めこんで水中に浮くようにし、尾部に鉤状の針を8本ほど丸く束ねて付けたもの。その餌木の口に細い縄を結わえて、島の浜辺から約30メートル沖の方へ投入しては手繰り寄せながらク⸢ル⸣スメー[ku⸢ru⸣sumeː](甲いか{EOS}もんごいか)やシ⸢ライ⸣カ[ʃi⸢rai⸣ka](白烏賊)等を釣った。 ⸣マンタヌ パ⸢マー⸣ラ イ⸢ガイズ<イガジー>バ ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティル ク⸢ル⸣スメーン シ⸢ライ⸣カーン ⸢ホーシ⸣タ⸢ダー [⸣mantanu pa⸢maː⸣ra ʔi⸢gaiʣuba naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeː⸣tiru ku⸢ru⸣sumeːŋ ʃi⸢rai⸣kaːŋ ⸢hoːʃi̥⸣ta⸢daː] (前の浜から餌木を投げては手繰り手繰りしてコブシメも白烏賊も釣ったものだよ) 1606 0 0 1449 htmvoc_1606.wav イガガラス イ⸢ガガラス [ʔi⸢gagarasu] 名 烏賊の塩辛。烏賊の内臓を除去し、巾約1センチに切って樽に入れ、塩漬けにしたもの。塩の量を多めにまぶして密封し、2~3ヶ月寝かせておくと美味しい塩漬けが出来上がる。戦後の一時期まで輸出品として製造された。一部は自家消費された。冬期の時化が続く時などに食した。ご飯のおかずにすると食が進むといわれていた。 イ⸢ガメージブン⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー ⸣ピンマー イ⸢ガー⸣ プ⸢サラン⸣ベーティ イ⸢ガガラス⸣ ス⸢コーッ⸣タ [ʔi⸢gameːʤibuŋ⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːpimmaː ʔi⸢gaː⸣ pu̥⸢saram⸣beːti ʔi⸢gagarasu⸣ su̥⸢koːt⸣ta] (烏賊漁の時期に雨が降る時は烏賊は干されないから、烏賊の塩漬けに漬けられた) 1559 0 0 1450 htmvoc_1559.wav イカサル イ⸢カ⸣サル [ʔi⸢ka⸣saru] 連体 如何なる。どのような。 イ⸢カ⸣サル ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢リ⸣ル ⸣カイ ⸢ナッ⸣ター [ʔi⸢ka⸣saru ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ri⸣ru ⸣kai ⸢nat⸣taː] (如何なることがあって、こうなったのか) 1624 0 0 1451 htmvoc_1624.wav イカシ イ⸢カ⸣シ [ʔi⸢ka⸣ʃi] 副 いかが。どう。疑問の意味を表す。 ウ⸢ヌ ギンシェー⸣ ノー⸢ンティン ナーヌ⸣ヌ イ⸢カ⸣シカヤー [ʔu⸢nu giŋ⸣ʃeː noː⸢ntin naːnu⸣nu ʔi⸢ka⸣ʃikajaː] (その件では何とも言ってこないが<何ともないが>、如何だろうか) 1605 0 0 1452 htmvoc_1605.wav イガジー イ⸢ガジー [ʔi⸢gaʤiː] 名 餌木。若年層のことば。明治生まれの老年層はイ⸢ガイズ[ʔi⸢gaiʣu](餌木)という。 ⸢シンダ⸣ヌ サ⸢キバ⸣ フ⸢タントン⸣ トゥイティ ⸢マンナカー⸣ラ フ⸢タブリ⸣ ナシティ ⸢シーヌ⸣ カタチニ  マ⸢ギティ⸣ タ⸢キフン⸣ナ フ⸢バリティ⸣ ウ⸢リバ⸣ イ⸢ズヌ⸣ カ⸢タヌ⸣ シ⸢ビ⸣ナ ⸢ウイティル⸣ イ⸢ガジェー⸣ ス⸢ク⸣ル [⸢ʃinda⸣nu sḁ⸢kiba⸣ ɸu̥⸢tanton⸣ tuiti ⸢mannakaː⸣ra ɸu̥⸢taburi⸣ naʃi̥ti ⸢ʃiːnu⸣ kḁtaʧini ma⸢giti⸣ tḁ⸢kiɸun⸣na ɸu⸢bariti⸣ ʔu⸢riba⸣ ʔi⸢ʣunu⸣ kḁ⸢tanu⸣ ʃi⸢bi⸣na ⸢ʔuitiru⸣ ʔi⸢gaʤeː⸣ su̥⸢ku⸣ru] (針金の先を両方研いで真ん中から二つ折りにし、釣り針のように曲げて竹釘に縛りつけ、それを魚型の尻尾に差し込んで餌木は作るのだ)。 イ⸢ガジーバ ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティル シ⸢ライ⸣カン ク⸢ル⸣スメーン ⸢ホーシタ⸣ル [ʔi⸢gaʤiːba naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeː⸣tiru ʃi⸢rai⸣kaŋ ku⸢ru⸣sumeːŋ ⸢hoːʃi̥ta⸣ru] (餌木を投げては手繰り手繰りしながら槍烏賊やクブシメ<モンゴイカ>を釣った) 1628 0 0 1453 htmvoc_1628.wav イカシカーシ イ⸢カ⸣シカーシ [ʔi⸢ka⸣ʃi̥kaːʃi] 副 いかに。どんなに。いかように。イ⸢カ⸣シ[ʔi⸢ka⸣ʃi](いかように)の重言。 ⸢ワー マイフナー ユン⸣ イ⸢カ⸣シカーシ ⸢シー⸣ ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ヤー ス⸢クル⸣タ [⸢waː maiɸunaː juŋ⸣ ʔi⸢ka⸣ʃi̥kaːʃi ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢bi⸣nu ⸣jaː su̥⸢kuru⸣taː] (君はしっかりものだ{EOS}どのようにしてあれだけの家を造ったのか) 1625 0 0 1454 htmvoc_1625.wav イカシタ イ⸢カ⸣シタ [ʔi⸢ka⸣ʃita] 連体 如何なる。如何な。どんな。「如何・した」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トゥシゥ⸣コーレー ⸢トゥー⸣ル ⸢サンティスワー⸣ イ⸢カシ⸣タ ⸣クトゥヤ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tusï̥⸣koːreː ⸢tuː⸣ru ⸢santi suwaː⸣ ʔi⸢kaʃi̥⸣ta ⸣ku̥tuja] (親が言い付けた通りにしないということは如何なることか)。 ⸣ドゥー ⸣パジミ ウ⸢ブムニ⸣バ ン⸢ザ⸣シティ ⸢ウンダ⸣ イ⸢カシタ⸣ティン ⸢ナー⸣ヌ [⸣duː ⸣paʤimi ʔu⸢bumuni⸣ba ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢ʔunda⸣ ʔi⸢kaʃi̥ta⸣tin ⸢naː⸣nu] (自分から先に大言壮語して<大きなことを言って>おきながら、それっきり何ともない<どうしたともない>) 1626 0 0 1455 htmvoc_1626.wav イカシタカーシタ イ⸢カシタカー⸣シタ  [ʔi⸢kaʃi̥takaː⸣ʃi̥ta] 連体 如何した、こうした。イ⸢カ⸣シタ[ʔi⸢ka⸣ʃi̥ta](如何した)の重言。「一体全体どうしたこと、こうしたこと。全くの無関心であるさま」の意。 シ⸢グトゥン⸣ サ⸢ムティ⸣ トゥ⸢ジッふァヌ⸣ クトゥン イ⸢カシタカーシタ⸣ティン ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutun⸣ sa⸢muti⸣ tu⸢ʤiffanu⸣ ku̥tuŋ ʔi⸢kaʃi̥takaː⸣ʃi̥tatin ⸢naː⸣nu] (仕事もしないで、妻子のこともどうなるかについて、全く無関心な様子<どうした、こうしたということもない>) 1560 1 0 1456 htmvoc_1560.wav イカスク イ⸢カ⸣スク [ʔi⸢ka⸣suku] 名 {PoS_1}どれほど。どんなに。如何ほど。 ウ⸢ナー⸣ イ⸢カスク⸣ヌ プ⸢ス⸣ ヤ⸢リバル⸣ アイブ ⸣ムニ イ⸢ジ オール⸣ワ⸢ツォー [ʔu⸢naː⸣ ʔi⸢kasu̥ku⸣nu pu̥⸢su⸣ ja⸢ribaru⸣ ʔaibu ⸣muni ʔi⸢ʤi ʔoːru⸣wa⸢ʦoː] (己は如何ほど<どれほど>人物だから、あのような物言いをしていらっしゃるのかってばよ)。 1560 2 0 1457 htmvoc_1560.wav イカスク イ⸢カ⸣スク [ʔi⸢ka⸣suku] 副 {PoS_2}どんなに。どれほどに。 ウ⸢ヌ イー⸣ヤ イ⸢カス⸣ク ン⸢マー⸣タユー イ⸢チマカ⸣ル ッ⸢ふァイナーン⸣シェン [ʔu⸢nu ʔiː⸣ja ʔi⸢kasu̥⸣ku ʔm⸢maː⸣tajuː ʔi⸢ʧimaka⸣ru f⸢fainaːŋ⸣ʃeŋ] (そのご飯はどんなに美味しかったのか、五杯もお代わりして食べてしまった)。 サ⸢クシ⸣ヌ マ⸢ルター⸣ イ⸢カ⸣スク サ⸢ニ⸣ヤ ア⸢ローッ⸣タユー ブ⸢ダッカロー⸣リ ⸢ナーン⸣セン [sḁ⸢kuʃi⸣nu ma⸢rutaː⸣ ʔi⸢ka⸣su̥ku sa⸢ni⸣ja ʔa⸢roːt⸣tajuː bu⸢dakkaroː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (嫡子が生まれたので、どんなに嬉しくあられたのか、飛び上がってしまわれた)。イ⸢カス⸣ク[ʔi⸢kasu̥⸣ku]は強調アクセント 1627 0 0 1458 htmvoc_1627.wav イカスン イ⸢カ⸣スン [ʔi⸢ka⸣suŋ] 他動 生かす。蘇生させる。 キ⸢ムイ⸣ツァー ウ⸢ヌ イン⸣マー フ⸢チ⸣ル トゥ⸢ヤー⸣シ ヌ⸢マ⸣シティ イ⸢カ⸣シバ [ki⸢mui⸣ʦaː ʔu⸢nu ʔim⸣maː ɸu̥⸢ʧi⸣ru tu⸢jaː⸣ʃi nu⸢ma⸣ʃi̥ti ʔi⸢ka⸣ʃiba] (可哀相に、その犬は薬を調合し<取り合わせ>、飲ませてなんとか生かしなさいよ) 1630 0 0 1459 htmvoc_1630.wav イカダキ ⸣イカダキ [⸣ʔikadaki] 名・副 どれほど。どれだけ。文語的表現。 ⸣ウナンザー ⸣イカダキヌ プ⸢ス⸣ ヤ⸢リバドゥ⸣ アイニ プ⸢スバ⸣ イ⸢ザリラー <イ⸢ザリワ> [⸣ʔunanʣaː ⸣ʔikadakinu pu̥⸢su⸣ ja⸢ribadu⸣ ʔaini pu̥⸢suba ʔi⸢ʣariraː ] (おのれはいかほどの人間だから、あんなにも他人を叱れるものか)。 ⸣イカダキ イ⸢ザラバン⸣ フ⸢チウタイヤ⸣ サ⸢ラヌ [⸣ʔikadaki ʔi⸢ʣarabaŋ⸣ ɸu̥⸢ʧiʔutaija⸣ sa⸢ranu] (どれほど叱られても口答えはできない) 1631 0 0 1460 htmvoc_1631.wav イカナ イ⸢カナ [ʔi⸢kana] 連体 いかなる。どんな。どのような。「如何な」の義。仮定表現の条件句を導き、下に逆接を表す助詞⸢バン[⸢baŋ](~でも)を伴って全面譲歩を表す。 イ⸢カナ ワー⸣ ヤ⸢ラバン⸣ ク⸢ヌ⸣ クトー ユ⸢ルサラ⸣ヌ [ʔi⸢kana waː⸣ ja⸢rabaŋ⸣ ku⸢nu⸣ ku̥toː ju⸢rusara⸣nu] (如何に君であろうとも、このことは許されない)。 イ⸢カナ ワー ヤラバン⸣ ク⸢ヌ オシキ⸣ナー ⸣ウイ バ⸢タララヌ [ʔi⸢kana waː⸣ ja⸢rabaŋ⸣ ku⸢nu ʔoʃi̥ki⸣naː ⸣ʔui ba⸢tararanu] (いかな君でもこの天気では泳いで渡れない)。 イ⸢カナ⸣ ムヌ ッ⸢サンムヌ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ カイブ ⸣ムネー イ⸢ジェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢kana⸣ munu s⸢sammunu⸣ ja⸢rabaŋ⸣ kaibu ⸣muneː ʔi⸢ʤeː⸣ na⸢ra⸣nu] (いかな非常識<もの知らず>であっても、こんな言葉を言ってはならない) 1607 0 0 1461 htmvoc_1607.wav イガナー イ⸢ガナー [ʔi⸢ganaː] 名 イカ釣り用の縄。20~30メートルの深海にいるイカを釣るための釣り縄。直径約2ミリ、長さ約20センチの針金の両端を研ぎ、針金の中央部から折り曲げ、更にそれらを折り曲げて釣り針状の鉤を造る。それらを長さ約20センチの一本の針金に数個円く束ねて半田付けして固定し、それに縄を結わえてイカ釣り縄としたもの。針金部分に餌を結わえて沈め、餌に群がるイカを引っ掛けて釣り上げる縄 1563 0 0 1462 htmvoc_1563.wav イカナシ イ⸢カナ⸣シ [ʔi⸢kana⸣ʃi] 副 けっして(決して)~ない、どうしても~ない、絶対に~ない、のように否定表現を誘導する陳述副詞の働きをする。感情的になって強調する時は、イッ⸢カナ⸣シ[ʔik⸢kana⸣ʃi]ともいう。 ⸣バー イ⸢カナ⸣シ パ⸢ラ⸣ヌ [⸣baː ʔi⸢kana⸣ʃi pa⸢ra⸣nu] (私は決して行かない)。 マ⸢タマー⸣ ミルンケンマー ⸣バー イッ⸢カナ⸣シ シ⸢ナヌ [ma⸢tamaː⸣ miruŋkemmaː ⸣baː ʔik⸢kana⸣ʃi ʃi⸢nanu] (曾孫を見るまでは、私は決して死なない) 1610 0 0 1463 htmvoc_1610.wav イガヌティー イ⸢ガヌ⸣ティー [ʔi⸢ganu⸣tiː] 名 烏賊の2本の長い触手。「烏賊の手」の義。烏賊には6本の短い手と2本の長い触手がある。手には吸盤があり、餌に吸い付いて捕食する。天日干しした烏賊から、この長い触手を抜き取って、火に焙って食すると美味であった。 イ⸢ガヌ ナー⸣ティー ⸣ヌイティ ヤ⸢キ⸣クー [ʔi⸢ganu naː⸣tiː ⸣nuiti ja⸢ki⸣kuː] (烏賊の長い触手を抜いて焙って<焼いて>来なさい) 1611 0 0 1464 htmvoc_1611.wav イガヌバタガラス イ⸢ガヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス [ʔi⸢ganu⸣ ba⸢tagara⸣su] 連 烏賊の内臓の塩辛。 イ⸢ガヌ⸣ バ⸢タガラ⸣スン ⸢カーサリタン⸣ダー [ʔi⸢ganu⸣ ba⸢tagara⸣suŋ ⸢kaːsaritan⸣daː] (烏賊の内臓の塩辛も売れたよ) 1612 0 0 1465 htmvoc_1612.wav イガバーキ イ⸢ガバーキ [ʔi⸢gabaːki] 名 イカ(烏賊)を入れるのに用いる竹製の大きな籠。烏賊釣り漁が糸満や久高島、奥武島から導入された時に借用された語であろう。笊の一種。漁業に用いる笊で、常に海水がかかるから柔らかくなって型崩れせぬよう、竹の皮で硬くしっかりと編み上げてある。⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʣi](トウヅルモドキ)の皮で編んだ笊は水に濡れると柔らかくなり、扱いにくい。 イ⸢ガバーキヌ ピッ⸣チン イ⸢ガ ホー⸣ソーレーン [ʔi⸢gabaːkinu pit⸣ʧiŋ ʔi⸢ga hoː⸣soːreːŋ] (竹籠の一杯イカを釣ってこられた) 1682 0 0 1466 htmvoc_1682.wav イカバカラ ⸣イカバカラ [⸣ʔikabakara] 副 いかほど。いかばかり。どれほど。 ⸢ヨイヌ⸣ ムノー ⸣イカバカラナー ッ⸢スマバ⸣ル ⸣ナルカヤー [⸢joinu⸣ munoː ⸣ʔikabakaranaː s⸢sumaba⸣ru ⸣narukajaː] (御祝儀のお金<お祝いのもの>は如何程包まなければならないのかね) 1636 0 0 1467 htmvoc_1636.wav イカフドゥ ⸣イカフドゥ [⸣ʔikaɸudu] 副 いかほど。どれだけ。どれほど。 ⸣イカフドゥヌ ⸢ジンカニ⸣バ シゥ⸢カイル⸣ ク⸢ヌ⸣ ヤー ス⸢クル⸣タティ ッ⸢シェーン [⸣ʔikaɸudunu ⸢ʤiŋkani⸣ba sï̥⸢kairu⸣ ku⸢nu⸣ jaː su̥⸢kuru⸣tati ʃ⸢ʃeːŋ] (どれほどの金銭を使って<ぞ>この家を作ったか、わかるか<知っているか>) 1633 0 0 1468 htmvoc_1633.wav イカムスク イ⸢カムス⸣ク [ʔi⸢kamusu̥⸣ku] 副 いかほど(如何程)か~。どれほど(多く)~。下に続く疑問の句と呼応して用いられる。イ⸢カン[ʔi⸢kan](如何に)・⸣スク[⸣su̥ku](程)→ イ⸢カムス⸣ク[ʔi⸢kamusu̥⸣ku](如何程か)と音韻変化したものであろう。 ⸢ワー クーン⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸣アボー イ⸢カムス⸣ク イ⸢ナムヌ ソーッ⸣タワ⸢ツォー [⸢waː kuːn⸣ta ⸢beː⸣ti ⸣ʔaboː ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔi⸢namunu soːt⸣tawa⸢ʦoː] (君が来なかったので、お母さんはどれほど残念に思われたことか<お前わかるか?>)。 ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢キ⸣ ウ⸢タ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ イ⸢カムス⸣ク ウ⸢ムッ⸣サタワ⸢ツォー [⸢sanʃimba⸣ pi̥⸢ki⸣ ʔu⸢ta⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔu⸢mus⸣satawa⸢ʦoː] (三味線を弾き、歌を歌いながらどんなに楽しかったことか)。 ⸢ワー⸣ イ⸢カムスク⸣ヌ プ⸢ス⸣ヤー [⸢waː⸣ ʔi⸢kamusu̥ku⸣nu pu̥⸢su⸣ja] (君は如何程の偉い人か) 1608 0 0 1469 htmvoc_1608.wav イガメー イ⸢ガメー [ʔi⸢gameː] 名 烏賊釣り漁。鳩間島の烏賊釣り漁は、古くは明治中期頃に沖縄本島南部の糸満や久高島、奥武島より漁師が導入したものという。烏賊釣り漁の漁業語彙の中に糸満方言や久高方言などからの影響が多く認められる。烏賊釣り漁は鰹漁の終わる旧暦8月~9月にかけて行われる。二人一組で⸣イダフニ[ʔidaɸuni](サバニ、杉板で接いで作った板船)に乗り込み、出漁する。出漁の際には鰹船に引かれて出漁する場合と帆をかけて出漁する場合があった。漁場は、島の西北~東北に広がる、島より10~20キロの沖合いであった。夜間操業であるのでイ⸢ガ⸣ランプ[ʔi⸢ga⸣rampu](烏賊ランプ{EOS}集魚灯)を灯して漁をした。島のナ⸢カン⸣ムリ[na⸢kam⸣muri](中岡)には、灯台に火を点灯して漁船に島の位置を知らせた。 イ⸢ガメーヌ⸣ フネー ゴ⸢ジブカラー⸣ラ ⸣ンジティ テ⸢ダ⸣ヌ イ⸢リルトゥ アー⸣シ イ⸢ガ⸣ランプー ⸣シキティ イ⸢ガ ホー⸣ソーリ ⸢タイロー⸣ シ⸢ティ ナーツァ⸣ シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸢カイ⸣ローッタ [ʔi⸢gameːnu⸣ ɸuneː go⸢ʤibukaraː⸣ra ⸣ʔnʤiti ti⸢da⸣nu ʔi⸢rirutu ʔaː⸣ʃi ʔi⸢ga⸣rampuː ⸣ʃi̥kiti ʔi⸢ga hoː⸣soːri ⸢tairoː⸣ ʃi̥⸢ti naːʦa⸣ ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸢kai⸣roːtta] (烏賊漁の舟は午後五時頃から出漁して日没と同時にイ⸢ガ⸣ランプ{SqBr}ʔi⸢ga⸣rampu{/SqBr}<烏賊ランプ{EOS}集魚灯>を灯して烏賊を釣り、大漁して翌日朝早く島に帰られた) 1634 0 0 1470 htmvoc_1634.wav イガメードング イ⸢ガメードング [ʔi⸢gameːdoŋgu] 名 イカ釣り漁具。 イ⸢ガメードンゴー⸣ ス⸢コーレー⸣ン [ʔi⸢gameːdoŋgoː⸣ su̥⸢koːreː⸣ŋ] (イカ釣りの漁具は準備できた) 1637 0 0 1471 htmvoc_1637.wav イガヤマ イ⸢ガヤマ [ʔi⸢gajama] 名 イカを天日乾燥する装置。烏賊干し棚綱。砂浜に高さ約2メートルの垂木を約1、5メートル間隔に数本打ち込み、それに約25センチ間隔に縄を数本張ってイカを掛け吊るして干す綱の棚を作ったもの。 イ⸢ガー⸣ バ⸢ザイティ⸣ イ⸢ガヤマ⸣ナ ⸣プシティ プ⸢スマ⸣ ナルカー イ⸢ガ カイ⸣シ ⸣プシバ [ʔi⸢gaː⸣ ba⸢ʣaiti⸣ ʔi⸢gajama⸣na ⸣pu̥ʃiti pu̥⸢suma⸣ narukaː ʔi⸢ga kai⸣ʃi ⸣pu̥ʃiba] (イカは 捌いて烏賊干し棚綱に干して、正午にはそれを裏返して干しなさいよ)。 パ⸢マ⸣ナーティ イ⸢ガー⸣ バ⸢ザイ⸣ バター ⸣トゥリティ イ⸢ガヤマ⸣ナー ⸣ガキティ プ⸢ス⸣タ [pa⸢ma⸣naːti ʔi⸢gaː⸣ ba⸢ʣai⸣ bataː ⸣turiti ʔi⸢gajama⸣naː ⸣gakiti pu̥⸢su⸣ta] (浜で烏賊を割いて内臓を取って、烏賊干し場の縄に掛け吊るして干した) 1638 0 0 1472 htmvoc_1638.wav イカヨーニ ⸣イカヨーニ [⸣ʔikajoːni] 副 どのように。どんなふうに。「如何様に」の義。 ⸢ワー⸣ カベール ⸣ウカー ⸣イカヨーニ シ⸢マチェー⸣ シ⸢キル⸣ワ [⸢waː⸣ kabeːru ⸣ʔukaː ⸣ʔikajoːni ʃi⸢maʧeː⸣ ʃi̥⸢kiru⸣wa] (君が被った借金はどのように始末をつけるか) 1639 0 0 1473 htmvoc_1639.wav イカラーイカラー イ⸢カラーイカラー [ʔi⸢karaːʔikaraː] 副 気分が変である。胸が締め付けられそう。違和感を覚える体調で、おかしな状態である。 ッ⸢ふァイムヌナー⸣ル ア⸢タルタ⸣ユー ⸣キムン イ⸢カラーイカラー⸣ シテイ ム⸢ヌカン⸣ガイン シ⸢ララヌ [f⸢faimununaː⸣ru ʔa⸢taruta⸣juː ⸣kimuŋ ʔi⸢karaːʔikaraː⸣ ʃi̥ti mu⸢nukaŋ⸣gaiŋ ʃi⸢raranu] (食べ物にが<ぞ>当ったのか気分が変になって、どうしたらいいのかも分からない<ものごとを考えることもできない>)。 イ⸢カラーイカラーヌ⸣ プ⸢ス [ʔi⸢karaːʔikaraːnu⸣ pu̥⸢su] (様子が普通でない人{EOS}立ち居ふるまいが正常でない人) 1621 0 0 1474 htmvoc_1621.wav イカラーイカラーシ イ⸢カラーイカラー⸣シ [ʔi⸢karaːʔikaraː⸣ʃi] 副 怪しげに。頼りなく。いかがわしく。妙におかしく。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イ⸢カラーイカラー⸣シル ⸣ムニン イ⸢ゾー⸣ル⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢karaːʔikaraː⸣ʃiru ⸣muniŋ ʔi⸢ʣoː⸣ru⸢daː] (その人はいかにも頼りなさそうにしか話されない<頼りなさそうに、怪しげにぞものも言われる>) 1620 0 0 1475 htmvoc_1620.wav イカラーサン イ⸢カラー⸣サン [ʔi⸢karaː⸣saŋ] 形 怪しい。疑わしい。いかがわしい。気分がおかしい。 ウ⸢リヌ⸣ ム⸢ニイジヨー⸣ヤ イ⸢カラー⸣サン [ʔu⸢rinu⸣ mu⸢niʔiʤijoː⸣ja ʔi⸢karaː⸣saŋ] (その人の話し振りは<もの言いようは>どうも疑わしい) 1622 0 0 1476 htmvoc_1622.wav イカラーン イ⸢カラー⸣ン [ʔi⸢karaː⸣ŋ] 形 気分が変である。心状や体調が正常でなく、妙におかしい。 キ⸢ム⸣ヌ イ⸢カラー⸣ヌ ウ⸢ティ⸣シキ ブ⸢ララヌ [ki⸢mu⸣nu ʔi⸢karaː⸣nu ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki bu⸢raranu] (気持ち<気分>がどことなく変で、心配で落ち着いておられない) 1614 0 0 1477 htmvoc_1614.wav イガランプ イ⸢ガ⸣ランプ [ʔi⸢ga⸣rampu] 名 イカ漁に用いるランプ(集魚灯)。直径約10センチの底が広く、長さ40~50センチのブリキ板製の油タンクに、直径約5センチの⸢トゥー⸣ジン[tuːʤiŋ](灯心)をつけたもの。炎に雨水や海水がかからぬように笠<カバー>をつけ、タンク部に柄を付け、舟の舷側に取り付けた針金製のM字型のランプ掛けにランプの首を掛けて固定する。 イ⸢ガ⸣ランプ ⸣シケーティル イ⸢ガー ホー⸣ソーッタ [ʔi⸢ga⸣rampu ⸣ʃi̥keːtiru ʔi⸢gaː hoː⸣soːtta] (烏賊釣り用ランプを点けてイカを釣られた)。 イ⸢ガ⸣ランプヌ ⸢ピー⸣ヤ ナ⸢カン⸣ブレーラン ⸣ユー ミ⸢ラリ⸣タン [ʔi⸢ga⸣rampunu ⸢piː⸣ja na⸢kam⸣bureːraŋ ⸣juː mi⸢rari⸣taŋ] (イカ釣り漁のイカランプ<集魚灯>の火は鳩間中岡からもよく見えた) 1564 0 1 1478 htmvoc_1564.wav イキ ⸣イキ [ʔiki] 名 {Mn_1}1息。呼吸。 ク⸢ヌ イン⸣マー ⸣イケー ⸢シーブン [ku⸢nu ʔim⸣maː ⸣ʔikeː ⸢ʃiːbuŋ] (この犬は呼吸をしている<息をしている>)。 ⸣ウズ ⸣カブカー ⸣イキ サ⸢ラヌ [⸣ʔuʣu ⸣kabukaː ⸣ʔiki sa⸢ranu] (布団を被ると息が出来ない)。 ⸣イキ ⸢スン [⸣ʔiki ⸢suŋ] (息をする{EOS}呼吸する)。 イ⸢キ⸣ヌ ナ⸢ガー⸣ン [ʔi⸢ki⸣nu na⸢gaː⸣ŋ] (息が長い)。 イ⸢キ⸣ヌ トゥ⸢マル⸣カー シ⸢ヌン⸠ダー [ʔi⸢ki⸣nu tu⸢maru⸣kaː ʃi⸢nun⸠daː] (息が止まったら死ぬよ)。 1564 0 2 1479 htmvoc_1564.wav イキ ⸣イキ [ʔiki] 名 {Mn_2}一休み。 プ⸢ス⸣イキ ⸢シーテーラ⸣ パ⸢タ⸣ケーヤ ⸣パリ [pu̥⸢su⸣iki ⸢ʃiːteːra⸣ pḁ⸢ta⸣keːja ⸣pari] (一休みしてから畑へは行きなさい) 1641 0 0 1480 htmvoc_1641.wav イキ ⸣イキ [⸣ʔiki] 名 池。水溜り。人工の池。自然の水溜りは、ク⸢ム⸣ル[ku⸢mu⸣ru]という。 パ⸢トゥ⸣マナティ イ⸢キ⸣ヌ プ⸢ラ⸣レー ⸢ヤー⸣ヤ シン⸢トゥ ミーキブルル アッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manati ʔi⸢ki⸣nu pu⸢ra⸣reː ⸢jaː⸣ja ʃin⸢tu miːkibururu ʔat⸣ta] (鳩間島で池の掘られた家はたった三軒しかなかった<三軒が(ぞ)あった>) 1574 0 0 1481 htmvoc_1574.wav イキアサーン イ⸢キアサー⸣ン [ʔi⸢kiʔasaː⸣ŋ] 形 呼吸が困難である。息苦しい<息が浅い>。深く呼吸できないさま。 ウ⸢ブヤミ⸣ シ⸢タール⸣ ヤ⸢ル⸣ユー イ⸢キアサー⸣ヌ カ⸢シーカシ⸣ ムニーン イ⸢ザラヌ [ʔu⸢bujami⸣ ʃi̥⸢taːru⸣ ja⸢ru⸣juː ʔi⸢kiʔasaː⸣nu kḁ⸢ʃiːkaʃi⸣ muniːŋ ʔi⸢ʣaranu] (大病したからだろうか深く呼吸をすることもできず<息が浅く>、はっきり<しっかり>と言葉を話す<言う>ことが出来ない)。 ア⸢ラ⸣クカー イ⸢キアサーン⸣ドゥ ニ⸢ブ⸣カー ⸢ナン⸣ゾー イ⸢キアサー ナー⸣ヌ [ʔa⸢ra⸣kukaː ʔi⸢kiʔasaːn⸣du ni⸢bu⸣kaː ⸢nan⸣ʣoː ʔi⸢kiʔasaː naː⸣nu] (歩くと息苦しいが、寝るとあまり息苦しくない)。 ⸢シンダイ⸣ イ⸢キアサー⸣ ナリ ⸣クン [⸢ʃindai⸣ ʔi⸢kiʔasaː⸣ nari ⸣kuŋ] (次第に息苦しくなってくる)。 イ⸢キアサー⸣ ピンマー ウ⸢ブ⸣イキ シゥ⸢カイ⸣バ [ʔi⸢kiʔasaː⸣ pimmaː ʔu⸢bu⸣ʔiki sï̥⸢kai⸣ba] (息苦しい時は深呼吸をしなさいよ) 1642 0 0 1482 htmvoc_1642.wav イキウイ イ⸢キ⸣ウイ [ʔi⸢ki⸣ui] 名 勢い。威勢。気勢。 ⸢アンヌムラー⸣ プ⸢スヌ ゴー⸣ラーンダ シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣ピンマー イ⸢キウイ⸣ヌ ⸢スー⸣ワタン [⸢ʔannumuraː⸣ pu̥⸢sunu goː⸣raːnda ʃi⸢napiki⸣nu ⸣pimmaː ʔi⸢kiui⸣nu ⸢suː⸣wataŋ] (東村は人が多いので、綱引きの時は勢いが強かった) 1909 0 0 1483 htmvoc_1909.wav イキガイラスン イ⸢キガイラ⸣スン [ʔi⸢kigaira⸣suŋ] 他動 生き返らせる。蘇生させる。 ウ⸢ヌ イン⸣マー ⸢パンブン⸣シニ ⸢シーベーン⸣ドゥ イ⸢キガイラ⸣スンティ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢シーベー [ʔu⸢nu ʔim⸣maː ⸢pambuŋ⸣ʃini ⸢ʃiːbeːn⸣du ʔi⸢kigaira⸣sunti ⸢tunʣa⸣ku ⸢ʃiːbeː] (その犬は仮死状態である<半死している>が生き返らせようと手当て<看病・養生>している) 1566 0 0 1484 htmvoc_1566.wav イキカイリ イ⸢キカイリ [ʔi⸢kikairi] 名 行き帰り。⸢ギームドゥル[⸢giːmuduru](行き戻り)、⸢ギーカイリ[⸢giːkairi](行き帰り)というのが普通。 イ⸢サンケーヌ⸣ イ⸢キカイ⸣リナー ピ⸢マー⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢ヤーム⸣トゥ サ⸢バ⸣キ ⸣クーバ [ʔi⸢saŋkeːnu⸣ ʔi⸢kikai⸣rinaː pi⸢maː⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢jaːmu⸣tu sa⸢ba⸣ki kuːba] (石垣への行き帰りに時間を<暇を>つくって元祖の家<家元>を探し求めてきなさい) 1567 0 0 1485 htmvoc_1567.wav イキカイルン イ⸢キカイ⸣ルン [ʔi⸢kikai⸣ruŋ] 自動 生き返る。蘇生する。 ス⸢ナカ⸣ナ ⸢ウッふィティ パンブン⸣シニ ⸢シーベータン⸣ドゥ ⸣スー パ⸢カシ⸣ター イ⸢キカイ⸣レーン [su⸢naka⸣na ⸢ʔuffiti pambuŋ⸣ʃini ⸢ʃiːbeːtan⸣du ⸣suː pḁ⸢kaʃi̥⸣taː ʔi⸢kikai⸣reːŋ] (海で溺れて半死の状態だった<半分死にしていた>が潮水を吐かせたら生き返ったよ)。 ブ⸢チ⸣クン シ⸢ティ⸣ イキ トゥ⸢マリ ベータン⸣ドゥ イ⸢キカイ⸣レーン [bu⸢ʧi⸣kuŋ ʃi̥⸢ti⸣ ʔiki tu⸢mari beːtan⸣du ʔi⸢kika⸣ireːŋ] (気絶して息が止まっていたが、生き返った)。 ピ⸢ルケーラ⸣ ミ⸢ジ⸣ フ⸢キカキ⸣ルカー イ⸢キカイ⸣ルン [pi⸢rukeːra⸣ mi⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢kikaki⸣rukaː ʔi⸢kikai⸣ruŋ] (ひよめき<泉門>から水を吹きかけると生き返る)。 イ⸢キカイラ⸣ヌ [ʔi⸢kikaira⸣nu] (生き返らない)。 イ⸢キカイ⸣ル クトゥ [ʔi⸢kikai⸣ru ⸣kutu] (生き返ること)。 イ⸢キカイ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔi⸢kikai⸣reː ⸣misamunu] (生き返れば良いのに)。 イ⸢キカイ⸣リ [ʔi⸢kikai⸣ri] (生き返れ) 1644 0 0 1486 htmvoc_1644.wav イキキシルン イ⸢キキシ⸣ルン [ʔi⸢kiki̥ʃi⸣ruŋ] 自動 息切れる。激しく喘ぐ。 ⸣パリクーカー イ⸢キキシ⸣ルン [⸣parikuːkaː ʔi⸢kiki̥ʃi⸣ruŋ] (走ってきたら息切れる<激しく喘ぐ>)。 カ⸢キッツァー⸣シ パ⸢ル⸣バン イ⸢キキシラ⸣ヌ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi pa⸢ru⸣baŋ ʔi⸢kiki̥ʃira⸣nu] (駆けて行っても息切れな<喘がない>)。 イ⸢キキシ⸣ルカー ⸢ユー⸣クイバ [ʔi⸢kiki̥ʃi⸣rukaː ⸢juː⸣kuiba] (息切れしたら休みなさい) 1646 0 0 1487 htmvoc_1646.wav イキキシンギサル ⸣イキ キ⸢シンギサ⸣ル [⸣ʔiki ki̥⸢ʃiŋgisa⸣ru] 連 息絶えそうだ<息切れそうだ>。死にそうだ。 ク⸢ヌ ブン⸣シェー ⸣イキ キ⸢シンギサ⸣ル ⸢ナームテー サン⸣パジ [ku⸢nu buŋ⸣ʃeː ⸣ʔiki ki̥⸢ʃiŋgisa⸣ru ⸢naːmuteː sam⸣paʤi] (この様子では息絶え<死に>そうだ{EOS}長持ち<長く活きること>はしない<だろう>はずだ) 1645 0 1 1488 htmvoc_1645.wav イキキスン イ⸢キ⸣キスン [ʔi⸢ki⸣ki̥suŋ] 自動 {Mn_1}息切れる。呼吸が苦しく激しく喘ぐ。苦しそうに息をする。 ⸣アドーラ ⸣パリクーカー イ⸢キ⸣キスン [⸣ʔadoːra ⸣parikuːkaː ʔi⸢ki⸣ki̥suŋ] (あんなに遠い所から走ってくると息切れる<呼吸が苦しくなって喘ぐ>)。 ⸢パッツァー⸣シ ⸢パッ⸣タンティン イ⸢キキサ⸣ヌ [⸢patʦaː⸣ʃi ⸢pat⸣tantiŋ ʔi⸢kiki̥sa⸣nu] (駆けて行っても息切れない)。 1645 0 2 1489 htmvoc_1645.wav イキキスン イ⸢キ⸣キスン [ʔi⸢ki⸣ki̥suŋ] 自動 {Mn_2}息絶える。死ぬ。 イ⸢キザー⸣サティ ク⸢チ⸣サ ⸢シー ベータン⸣ドゥ ⸣アトーケー イ⸢キ⸣キシ ⸢ナーン⸣シェンツォー [ʔi⸢kiʣaː⸣sati ku̥⸢ʧi⸣sa ⸢ʃiː beːtan⸣du ⸣ʔatoːkeː ʔi⸢ki⸣ki̥ʃi ⸢naːŋ⸣ʃenʦoː] (息苦しいので、苦しんでいた<苦しくしていた>が、とうとう<後になって>息絶えて<死んで>しまったそうだ) 1571 0 0 1490 htmvoc_1571.wav イキグリサン イ⸢キグリ⸣サン [ʔi⸢kiguri⸣saŋ] 形 息苦しい。呼吸することが苦しい。息が詰まるように苦しい。 ⸣アイブ シ⸢バーン⸣トンナー イ⸢キグリサ⸣ヌ ナ⸢ガラコー ベーララ⸣ヌ [⸣ʔaibu ʃi⸢baːn⸣tonnaː ʔi⸢kigurisa⸣nu na⸢garakoː beːrara⸣nu] (あんな狭いところには息苦しくて、長らくは居れない)。 ⸢ピーマキ⸣ ウ⸢ク⸣ルカー イ⸢キグリ⸣サン [⸢piːmaki⸣nu ʔu⸢ku⸣rukaː ʔi⸢kiguri⸣saŋ] (喘息の発作が起きると息苦しい)。 イ⸢キグリサー ナー⸣ヌ [ʔi⸢kigurisaː naː⸣nu] (息苦しくない)。 ⸢シンダイ⸣ イ⸢キグリ⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔi⸢kiguri⸣sa ⸣naruŋ] (次第に息苦しくなる)。 イ⸢キグリ⸣サ ⸣ピンマー フ⸢チ⸣ル ⸣ヌミバ [ʔi⸢kiguri⸣sa ⸣pimmaː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numiba] (息苦しい時は薬を飲みなさいよ) 1569 0 0 1491 htmvoc_1569.wav イキザーサン イ⸢キザー⸣サン [ʔi⸢kiʣaː⸣saŋ] 形 息苦しい。「息・障え(~うつせみの人か禁良武<サフラム>~{EOS}万、619)・さ・あり」の転訛したものか。呼吸することが苦しい。息をすることが難しい。息づまるように苦しい。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スバ ヤー⸣ンナカナ ⸢ペーラ⸣シティ ⸣ヤドゥ フ⸢ジックミティ⸣ シケーンダー イ⸢キザーサ⸣ヌ ⸣ムノー ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢suba jaːn⸣nakana ⸢peːra⸣ʃi̥ti ⸣jadu ɸu⸢ʤikkumiti⸣ ʃi̥keːndaː ʔi⸢kiʣaːsa⸣nu ⸣munoː ʔu⸢moːra⸣nu] (あれだけの数の人を家の中に入れて、戸を閉め切ってあるのだから、息苦しくて何も考えられないほどだ<堪らない>)。 ウ⸢ビッチン⸣ トンナー ユ⸢タールナー⸣ ク⸢ミラ⸣リカー イ⸢キザー⸣サンドゥ ⸢タン⸣ガン ⸢デー⸣カー イ⸢キザーサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢bitʧin⸣ tonnaː ju⸢taːrunaː⸣ ku⸢mira⸣rikaː ʔi⸢kiʣaː⸣sandu ⸢taŋ⸣gan ⸢deː⸣kaː ʔi⸢kiʣaːsaː naː⸣nu] (これぽっちの所に四人も籠められると息苦しいが、一人なら息苦しくない)。 ⸣ドゥク イ⸢キザー⸣サティル ⸣ンジ ⸢パッ⸣タ [⸣duku ʔi⸢kiʣaː⸣satiru ʔnʤi ⸢pat⸣ta] (あまりにも息苦しいので出て行った)。 イ⸢キザーサ⸣ヌ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [ʔi⸢kiʣaːsa⸣nu ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (息苦しくて、そこにはおれない)。 イ⸢キザー⸣サ プ⸢ソー⸣ ンジ ⸣ミサン [ʔi⸢kiʣaː⸣sa pu̥⸢soː⸣ ʔnʤi ⸣misaŋ] (息苦しい人は出てもいい)。 ⸣ヤドゥ フ⸢ジックム⸣カー イ⸢キザー⸣サン [⸣jadu ɸu⸢ʤikkumu⸣kaː ʔi⸢kiʣaː⸣saŋ] (戸を閉め切ると息苦しい)。 イ⸢キザーサ⸣ヌ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [ʔi⸢kiʣaːsa⸣nu ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (息苦しくて、そこには居れない)。 イ⸢キザーサ ナー⸣ヌ [ʔi⸢kiʣaːsa naː⸣nu] (息苦しくない)。 ⸢シンダイ⸣ イ⸢キザー⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔi⸢kiʣaː⸣sa ⸣naruŋ] (次第に息苦しくなる)。 イ⸢キザー⸣サ ⸣ピンマー ⸣ヤドゥ ア⸢キ⸣バ [ʔi⸢kiʣaː⸣sa ⸣pimmaː ⸣jadu ʔa⸢ki⸣ba] (息苦しい時は戸を開けなさい) 1568 0 0 1492 htmvoc_1568.wav イキザイ イ⸢キザイ [ʔi⸢kiʣai] 名 呼吸困難。「息・障え」の義か。胸が締め付けられるように苦しくなり、呼吸することが苦しくなること。喘息などで呼吸困難となり苦しむこと。発作的に呼吸が苦しくなること。 ⸣イキ ⸢スー⸣カー イ⸢キ⸣ザイ シ⸢ティ⸣ イキ サ⸢ラヌ [⸣ʔiki ⸢suː⸣kaː ʔi⸢ki⸣ʣai ʃi̥⸢ti⸣ ʔiki sa⸢ranu] (呼吸をすると胸が締め付けられて苦しくなり、息ができない<呼吸できない>) 1573 0 0 1493 htmvoc_1573.wav イキサラーン イ⸢キサラー⸣ン [ʔi⸢kisaraː⸣ŋ] 形 息が絶え絶えになるさま。息がとぎれとぎれになるさま。 ⸣ヤミ ⸢ヨーガリティ⸣ イ⸢キサラーン⸣ギサリ グ⸢マーグマー⸣シル ⸣イキーン ⸢シーオー⸣ル [⸣jami ⸢joːgariti⸣ ʔi⸢kisaraːŋ⸣gisari gu⸢maːgumaː⸣ʃiru ⸣ʔikiːŋ ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (病気をして<病みて>痩せこけて息も絶え絶えのようで、小さく息もしておられる) 1649 0 0 1494 htmvoc_1649.wav イキシーマーキ ⸣イキ ⸢シーマーキ [⸣ʔiki ⸢ʃiːmaːki] 連 息をし兼ねて。⸢~マーキ[⸢-maːki]は「~できない」意を表す接尾語。 ⸢ピーマキ⸣ ウ⸢クル⸣ター ⸣イキ ⸢シーマーキ ベー [⸢piːmaki⸣ ʔu⸢kuru⸣taː ⸣ʔiki ⸢ʃiːmaːki beː] (喘息の発作が起きたので息をし兼ねている) 1580 0 0 1495 htmvoc_1580.wav イキシチ イ⸢キシチ [ʔi⸢kiʃi̥ʧi] 名 ⸢いきさつ」の転訛したもの。経緯。成り行き。事情。 ⸢ヌー⸣シル イ⸢キシチヌ⸣ <ワ⸢キ⸣ヌ> アリティル ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ シ⸢タ⸣ユー キ⸢ムイツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nuː⸣ʃiru ʔi⸢kiʃi̥ʧinu⸣ ʔaritiru ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ʃi̥⸢ta⸣juː ki⸢muiʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (如何なるいきさつ <訳> があって、あのようなことをしたのか、不憫で<肝痛くて>ならない)。 イ⸢キシチェー⸣ ッ⸢サヌンドゥ⸣ ユー パ⸢ナシアー⸣シ ミ⸢ルバ⸣ル マ⸢シェー⸣ ア⸢ラヌ [ʔi⸢kiʃi̥ʧeː⸣ s⸢sanundu⸣ juː pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi mi⸢ruba⸣ru ma⸢ʃeː⸣ ʔa⸢ranu] (事情<経緯>は知らないが、よく話し合ってみたほうがよい<まし>ではないか) 1650 0 0 1496 htmvoc_1650.wav イキシニ ⸣イキシニ [⸣ʔikiʃini] 名 生き死に。生死。生きるか死ぬかの問題。 プ⸢スヌ⸣ イキシニナ カ⸢カ⸣ル ク⸢トゥ⸣ル ヤ⸢ルムヌ⸣ ナー⸢イヤ⸣ シ⸢キララ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʔikiʃinina kḁ⸢ka⸣ru ku̥⸢tu⸣ru ja⸢rumunu⸣ naː⸢ija⸣ ʃi̥⸢kirara⸣nu] (人の生死にかかわることだから、放置しておけない) 1579 0 0 1497 htmvoc_1579.wav イキシマルン ⸣イキ シ⸢マ⸣ルン [⸣ʔiki ʃi⸢ma⸣ruŋ] 連 息が詰まる。息詰まる。呼吸ができなくなる。 ウ⸢ブ⸣フチシ ム⸢チバ⸣ ッ⸢ふァイティ⸣ ヌドゥナ カ⸢カラ⸣スカー ⸣イキ シ⸢マ⸣ルン⸢ダー [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧiʃi mu⸢ʧiba⸣ f⸢faiti⸣ nuduna kḁ⸢kara⸣su̥kaː ⸣ʔiki ʃi⸢ma⸣run⸢daː] (大口で餅を食べて喉に引っかけると息が詰まるよ) 1570 0 0 1498 htmvoc_1570.wav イキシラリン ⸣イキ シ⸢ラリン [⸣ʔiki ʃi⸢rariŋ] 連 一息つける。一休みできる。安心できる。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ムー⸢ル⸣ フ⸢ドゥビ⸣ ドゥームティ ⸢パッ⸣ター マ⸢ナ⸣マー ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣イキ シ⸢ラリン⸣ダー [ja⸢ra⸣biŋkeːm muː⸢ru⸣ ɸu⸢dubi⸣ duːmuti ⸢pat⸣taː ma⸢na⸣maː jat⸢tu⸣ʃi ʔiki ʃi⸢rarin⸣daː] (子供たちもみんな成長して独立していったので、今はやっとで一息つくことが出来る<一休みできる>よ) 1651 0 0 1499 htmvoc_1651.wav イキスーマドゥンナーヌ ⸣イキ ⸢スー⸣ マドゥン ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔiki ⸢suː⸣ madun ⸢naː⸣nu] 成 多忙で息をする暇(まどお<間遠>)もない。 ⸢マイカリヌ パンタ⸣サー ⸣イキ ⸢スー⸣ マドゥン ⸢ナー⸣ヌ [⸢maikarinu panta⸣saː ⸣ʔiki ⸢suː⸣ madun ⸢naː⸣nu] (稲刈りの忙しさ<繁多さ>は、息をする暇も無いくらいだ) 1578 0 0 1500 htmvoc_1578.wav イキスクン ⸣イキ ス⸢クン [⸣ʔiki su̥⸢kuŋ] 連 息をするとちくちく痛む。息をすると胸の奥が突かれるように痛む。「息突く」の義か。 ⸣ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー ⸣イキ シ⸢キティ⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣nuntiru ja⸢ru⸣juː ⸣ʔiki ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (なぜなのか、息をすると