WdID PoSID MnID Order SoundFile Wd Wd2 WdIPA PoS Description 1 0 1 1 htmvoc_1.wav ア ⸣ア [ʔa] 語素 {Mn_1}遠称の指示語を作る。 ⸣アドー パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔadoː pa⸢rara⸣nu] (あんなに遠くへは行けない)。 ア⸢ダカ⸣ヌ ⸣ムノー ⸢カーラヌ [⸣ʔa⸢daka⸣nu ⸣munoː ⸢kaːranu] (あんなに高いものは買えない)。 1 0 2 2 htmvoc_1.wav ア ⸣ア [ʔa] 語素 {Mn_2}話題の事実を指し示す指示語を作る。 ⸣アイヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaijaː na⸢ra⸣nu] (そうは出来ない)。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸢アン [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ⸢ʔaŋ] (そんなことがあるものか) 2 0 0 3 htmvoc_2.wav アー ⸣アー [⸣ʔaː] 名 (植)粟。五穀の一つ。粘り気のある、ム⸢チアー[mu⸢ʧiʔaː](糯粟)と粘り気のない、サ⸢ク⸣アー[sḁ⸢ku⸣ʔaː](粳粟)があった。粟は水田耕作の出来ない島々でよく栽培された。 ⸢アーヌ⸣イー [⸢ʔaːnu⸣ʔiː] (粟のご飯、粟の飯) ⸢アー⸣ムチ [⸢ʔaː⸣muʧi] (粟餅))。 ム⸢チアー [mu⸢ʧiʔaː] (糯粟)。 サ⸢ク⸣アー [sḁ⸢ku⸣ʔaː] (粳粟)。 サ⸢ク⸣マイナー ム⸢チアー⸣ マ⸢ザー⸣シティ バ⸢カス⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [sḁ⸢ku⸣mainaː mu⸢ʧiʔaː⸣ ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ba⸢kasu⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (粳米に糯粟を混ぜて炊くと非常に美味しい) 3 0 0 4 htmvoc_3.wav アー ⸢アー [⸢ʔaː] 感 ああ。感動した時に発する声。 ⸢アー フントー⸣ヌシェー ウ⸢レー [⸢ʔaː ɸuntoː⸣nuʃeː ʔu⸢reː] (ああ、本当だよ、それは)。 ⸢アー⸣ ウ⸢ムッサリ⸣ブバン [⸢ʔaː⸣ ʔu⸢mussari⸣buban] (ああ、おもしろいよ)。 ⸢アー⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸢ʔaː⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (ああ、残念だ)。 ⸢アー キュー⸣ヌ シ⸢キ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤー⸢ヨー [⸢ʔaː kjuː⸣nu ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢kai⸣jaː⸢joː] (ああ、今日<今夜>の月の何と美しいことよ) 4 0 0 5 htmvoc_4.wav アー ⸢アー [⸢ʔaː] 副 人が口を大きく開けた様子。ああん。 ⸢アー⸣ティ フ⸢チ アキ⸣ミリ ⸢ミー [⸢ʔaː⸣ti ɸu̥⸢ʧi ʔaki⸣miri⸢miː] (ああんと口を開けてごらん) 5 0 0 6 htmvoc_5.wav アーアー ⸢アーアー [⸢ʔaːʔaː] 副 ああああ(嗚呼嗚呼)。嘆き悲しむさま。深く思い悩むさま。 ⸣アボーヤ ビ⸢コーンッふァバ ピー⸣タイ トゥ⸢ラ⸣リ イ⸢ク⸣サナ シ⸢ナシティル ピーズ アーアー⸣シ ⸢オー⸣ル [⸣ʔaboːja bi⸢koːnffaba piː⸣tai tu⸢ra⸣ri ʔi⸢ku⸣sana ʃi⸢naʃitiru piːʣu ʔaːʔaː⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ru] (お母さんは男の子を徴兵され、戦争で死なせてしまって毎日嘆き悲しんでおられる) 6 0 0 7 htmvoc_6.wav アーイ アー⸢イ [ʔaː⸢i] 感 いいえ。いや。いや、そうではない。いや、ちがう。村落内では目上、同等、目下の人にも使える。特に待遇表現上留意すべき外来の村長や校長、巡査などに対しては、ウー⸢ウー⸣ウー ア⸢ラ⸣ヌ⸢ユー[ʔuː⸢ʔuː⸣ʔuː ʔa⸢ra⸣nu⸢juː](いいえ、ちがいます)のようにいう。 アー⸢イ⸣ マ⸢ナ⸣マー パ⸢ラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ma⸢na⸣maː pa⸢ra⸣nu] (いや、今は行かない)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢レー⸣ アイヤ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔu⸢reː⸣ ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu] (いや、それはそうではない)。 アー⸢イ ワンマー⸣ ッ⸢ふィーラヌ [ʔaː⸢i wammaː⸣ f⸢fiːranu] (いや<否>、君には上げ<呉れ>ない) 7 0 0 8 htmvoc_7.wav アーガイ ⸢アー⸣ガイ [ʔaː⸣gai] 名 魚の名前。和名、ヒブダイ。ブダイ科の魚。体長30~40センチの成魚がよく漁獲される。肉は柔らかい。刺身にして、肝臓の味噌和えにして食すると美味しい。 ⸢アーガイ⸣ヌ キ⸢ム⸣バ ⸢ミー⸣スナ ⸣タリ カ⸢ケー⸣シティ ナ⸢マ⸣シ ⸢スー⸣カ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢ʔaːgai⸣nu ki⸢mu⸣ba ⸢miː⸣suna ⸣tari kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti na⸢ma⸣ʃi ⸢suː⸣ka ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (アーガイの肝臓を擂りつぶして溶かし、味噌に混ぜ合わせて刺身につけると非常に美味しい) 8 0 0 9 htmvoc_8.wav アーガチャー ⸢アーガ⸣チャー [⸢ʔaːga⸣ʧaː] 名  (動)魚の名。和名、イロブダイ(雄)。その雌魚は⸣ミーハガー[⸣miːhagaː]という。ブダイ科の魚。体長60~80センチに成長するものがいる。普通は体長40~50センチのものが多く網にかかる。白身の魚肉は淡白な味であるが、刺身にして、その肝を味噌和えにしてミカン(九年母)の汁をかけて食すると美味である。また、蒲鉾の素材としても重宝されている。 ⸢アーガチャー⸣ヌ ピ⸢サー⸣ ウ⸢コー⸣シティ ナ⸢マ⸣シ ⸣キシバ [⸢ʔaːgaʧaː⸣nu pi̥⸢saː⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi̥ti na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥ʃiba] (イロブダイを三枚おろしにして<平を起こして>刺身にしなさい) 9 0 0 10 htmvoc_9.wav アーガヤー アーガ⸢ヤー [ʔaːga⸢jaː] 感 ああ。ああ残念。ああ気の毒に。ああ、仕舞った。強調表現は、アーガ⸢ヤー[ʔaːga⸢jaː](ああ残念)という。 ア(ー)ガ⸢ヤー⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー ⸢ヌー⸣シター ⸣ウレー [ʔa(ː)ga⸢jaː⸣ ki⸢mui⸣ʦaː ⸢nuːʃi̥⸣taː ⸣ʔureː] (ああ可哀相に、どうしたのか、それは) 11 0 1 11 htmvoc_11.wav アーグル ⸢アー⸣グル [⸢ʔaː⸣guru] 名 {Mn_1}粟を脱穀した後の茎。 ⸢アー⸣グル ア⸢ツァ⸣ミキー ⸢モーシ⸣バ⸢ヨー [⸢ʔaː⸣guru ʔa⸢ʦa⸣mikiː ⸢moːʃi⸣ba⸢joː] (粟殻を集めて燃やしなさいよ)。 11 0 2 12 htmvoc_11.wav アーグル ⸢アー⸣グル [⸢ʔaː⸣guru] 名 {Mn_2}粟を収穫した後の畑。 ⸢アー⸣グル ⸢カイ⸣シティ ⸣ウン イ⸢バ⸣ナー [⸢ʔaː⸣guru ⸢kai⸣ʃi̥ti ⸣ʔuŋ ʔi⸢ba⸣naː] (粟を収穫した後の畑を耕して芋を植えようね) 12 1 0 13 htmvoc_12.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 自動 {PoS_1}いる(居る)。⸢ブンとも言う。あるく。ア⸢ラ⸣クン[ʔa⸢ra⸣kuŋ](歩く)の転訛した形。 ⸣ミサレーティ ⸢アー⸣クン [⸣misareːti ⸢ʔaː⸣kuŋ] (元気でいる<暮らしている>)。 ⸢ワー⸣ マナー ⸢アーク⸣ワ [⸢waː⸣ manaː ⸢ʔaːku⸣wa] (君は何処に居るのか)。 ⸣カナー ⸢アー⸣クンケン ⸢サンガリ パッ⸣タヤー [⸣kanaː ⸢ʔaː⸣kuŋken ⸢saŋgari pat⸣tajaː] (あそこに居るところを引っ張られていったよ)。 ⸣アイブ ⸣ントンナー ⸢アー⸣キ ⸣ミサカー ⸢アー⸣ク ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢アーカン⸣バル マ⸢シ⸠ナー [⸣ʔaibu ⸣tonnaː ⸢ʔaː⸣ki ⸣misakaː ⸢ʔaː⸣kuku̥toː na⸢run⸣du ⸢ʔaːkam⸣baru ma⸢ʃi⸠naː] (あんな所に居てよければ居ることは出来るが、居ないほうが良いよねえ)。 ⸣ウナー ⸢アー⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸣ʔunaː⸢ʔaː⸣keː ⸣misamunu] (そこに居れば良いのに)。 ⸢アー⸣キバ [⸢ʔaː⸣kiba] (居れよ)。 12 2 0 14 htmvoc_12.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 助動 {PoS_2}~ている。 ア⸢サビアー⸣クン [ʔa⸢sabiʔaː⸣kuŋ] (遊んでいる{EOS}遊びまわっている<遊びあるく>)。 ⸢ヨータビアー⸣クン [⸢joːtabiʔaː⸣kuŋ] (よたよたとふらついている<あるく>{EOS}千鳥足で歩く) 1279 1 0 15 htmvoc_1279.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 自動 {PoS_1}本動詞として用いられ、「ある状態で進行している」、「居る」、「存在する」、「働いている」、等の意味を表す。「歩く」の転訛したもの。 ⸣カナー ⸢アー⸣ク プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸣kanaː ⸢ʔaː⸣ku pu̥⸢soː taː⸣ja] (あそこにいる人は誰か)。 マー⸢ズン アー⸣クンティ [maː⸢ʣuŋ ʔaː⸣kunti] (一緒にいるさ、ほら)。 1279 2 0 16 htmvoc_1279.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 補動 {PoS_2}動詞の連用形に付いて、⸢~ている(現在進行形)」の意味を表す。本来は、ア⸢ラ⸣クン[ʔa⸢ra⸣kuŋ](歩く)であったのが、補助動詞として用いられるなかでアスペクト的意味表現を分担するようになって、r音が脱落したものと考えられる。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸣マナール ア⸢サビ アー⸣クカヤー [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸣manaːru ʔa⸢sabi ʔaː⸣kukajaː] (子供たちは何処に遊んで居る<遊んで歩く>のだろうか)。 1279 2 2 17 htmvoc_1279.wav アークン ⸢アー⸣クン [⸢ʔaː⸣kuŋ] 補動 {Mn_2}シ⸢グトー シー アー⸣クンカヤー[ʃi⸢gutoː ʃiː ʔaː⸣kuŋkajaː](仕事はしている<してあるく>かねえ{EOS}<仕事をして生活していることが継続進行している意を表す>) 13 0 0 18 htmvoc_13.wav アーサ ⸢アー⸣サ [⸢ʔaː⸣sa] 名 (植)和名、あおさ(石蓴)。ヒトエグサ。緑藻類の海草の一種。海岸の珊瑚礁の岩に生える。干潮時に島の女性たちが採集し、天日乾燥して貯蔵する。日常の食事には、魚肉や豆腐のお汁に入れて食する。特に家造り共同作業の大量炊事には欠かせない食品で、豆腐や魚肉のお汁に入れて提供された。共同作業の際に提供される定番のスープの食材である。美味で忘れられない故郷の「味の素」である。⸣インアーサ[⸣ʔiŋʔaːsa]は形は似ているが食用に適さない。 ⸢ヤースクリヤー⸣ヌ ⸢アーサ⸣ヌ ⸢スー⸣ヌ ン⸢マー⸣ワ⸢レー⸣ プ⸢ソー⸣ フ⸢バリティル⸣ ッ⸢ふァーリ⸠ツォー [⸢jaːsukurijaː⸣nu ⸢ʔaːsa⸣nu ⸢suː⸣nu ʔm⸢maː⸣wa⸢reː⸣ pu̥⸢soː⸣ ɸu⸢baritiru⸣ f⸢faːri⸠ʦoː] (家造り普請の家のアーサ汁の美味しいことよ{EOS}他人には食わせてやれない<独占したい>ほど美味しい<他人は縛り付けておいてぞ食べられる>んだよ)。⸣インアーサ[⸣ʔiŋʔaːsa]参照 14 0 0 19 htmvoc_14.wav アーザ ⸢アー⸣ザ [⸢ʔaː⸣ʣa] 名 兄。総称。親族名称、呼称。「'u-ra sin-ca 'a-ri(汝兄あるか)」「語音翻訳」『海東諸国紀』と関係があるとする説『図説琉球語辞典』がある。 ⸢アー⸣ザー ⸣マナー ⸢オール⸣ワ [⸢ʔaː⸣ʣaː ⸣manaː ⸢ʔoːru⸣wa] (兄さんは何処に居られますか)。この語彙には、ウ⸢ボー⸣ザ[ʔu⸢boː⸣ʣa](長<大>兄)、⸣ナカザー[⸣nakaʣaː](中兄)、アー⸢ザ⸣マ[ʔaː⸢ʣa⸣ma](末<小>兄)の部分体系<序列>がある。上に固有名詞を付ける際には、⸢イシ⸣トザー[⸢ʔiʃi⸣toʣaː](石戸兄)⸢サン⸣ドーザー[⸢san⸣doːzaː](三郎兄)⸣タローザー[⸣taroːʣaː](太郎兄)のように~⸣ザ[~⸣ʣa]となる。 ⸢アー⸣ザー ⸢マー オーッ⸣タカヤー [⸢ʔaː⸣ʣaː ⸢maː ʔoːt⸣takajaː] (兄さんは何処へいらっしゃったかねえ) 15 0 0 20 htmvoc_15.wav アーサヌスー ⸢アーサ⸣ヌ ⸣スー [⸢ʔaːsa⸣nu ⸣suː] 連 アオサのお汁。アオサと豆腐のお汁は非常に美味で食も進むことから、家屋建築等の大勢の\ruby{賄}{マカナ}いには定番の賄い料理として調理された。 ⸢ヤースクリヤー⸣ヌ ⸢アーサ⸣ヌ ⸣スー ッ⸢ふァイン⸣ パラ⸢ディー [⸢jaːsu̥kurijaː⸣nu ⸢ʔaːsa⸣nu ⸣suː f⸢faim⸣ para⸢diː] (家屋を建築する家のアーサのお汁を食しに行こうよ) 16 0 0 21 htmvoc_16.wav アーザマ アー⸢ザ⸣マ [ʔaː⸢ʣa⸣ma] 名 三兄。「小兄」の義。⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄)に、-マ[-ma](小さいもの{EOS}指小辞)が付いて形成された語。親族名称、呼称。 ⸢バン⸣テヌ アー⸢ザ⸣マー イッ⸢ケン ウイゾー⸣ジ⸢ダー [⸢ban⸣tenu ʔaː⸢ʣa⸣maː ʔik⸢keŋ ʔuiʣoː⸣ʤi⸢daː] (私の家の三兄は非常に泳ぎ上手だよ)。 アー⸢ザ⸣マー ⸢ギューチ⸣ ナロー⸢ル⸣ワ [ʔaː⸢ʣa⸣maː ⸢gjuːʧi⸣ naroː⸢ru⸣wa] (三兄はいくつになられますか) 22 0 0 22 htmvoc_22.wav アーサラカーサラ ⸢アーサラカー⸣サラ [⸢ʔaːsarakaː⸣sara] 副 あれこれと。あれやこれやと。ヌー⸢サラクイサラ[nuː⸢sarakuisara](あれやこれやと)、⸢ヌー⸣ヤクイヤ[⸢nuː⸣jakuija](なんやかんや)もいう。 ⸢アーサラカー⸣サラ ム⸢ヌ⸣バウムイ ムシ⸢トゥ ニバラヌ [⸢ʔaːsarakaː⸣sara mu⸢nu⸣ba ʔumui muʃi̥⸢tu⸣ ni⸢baranu] (あれやこれやと心配して<物思いして>ちっとも眠れない) 17 0 0 23 htmvoc_17.wav アーシ ⸢アー⸣シ [⸢ʔaː⸣ʃi] 名 制裁。罰。厳格な躾。 ⸢アー⸣シ シ⸢キ⸣ルン [⸢ʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (制裁する、罰を与える)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カン ムノー アー⸣シ ⸣シキ トゥ⸢ラ⸣シ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kam munoː ʔaː⸣ʃi ⸣ʃi̥ki tu⸢ra⸣ʃi] (親の言うことを聞かない子は厳罰を与えてやれ) 18 0 0 24 htmvoc_18.wav アーシ アー⸢シ [ʔaː⸢ʃi] 接尾 たびに。ごとに(毎)。名詞や動詞の連体形、終止形に付いて、「そのたびに」の意味を表す。「~風に不令遇<アハセズ>つつみ無く~。万、1021」の、「合わす」の連用形「合わせて」が接尾語化したもの。 ⸢ウン⸣ネー タ⸢ジ⸣ナイ パルアー⸢シ ヤー⸣ナ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔun⸣neː ta⸢ʤi⸣nai paruʔaː⸢ʃi jaː⸣na bu⸢raːnu] (あの家に訪ねて行くたびに家にいない) 20 0 0 25 htmvoc_20.wav アーシキン ⸢アーシ⸣キン [⸢ʔaːʃi⸣kiŋ] 名 袷(あわせ)。「袷衣」の転訛したもの。 ⸢シンダイ ピー⸣ヤ ナリ⸢キー⸣バ ⸢アーシキン⸣ヌ ス⸢コールン サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʃindai piː⸣ja nari⸢kiː⸣ba ⸢ʔaːʃikiŋ⸣nu su⸢koːrun ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (次第に寒くなってくるので袷の準備もしないといけない)。 ⸢アーシキン⸣マー ⸢ギュックビ⸣ ア⸢ル⸣ワ [⸢ʔaːʃikim⸣maː ⸢gjukkubi⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (袷は何着あるか)。 ⸢アーシキン⸣バ カ⸢サビ⸣ キ⸢スタンティン ピー⸣ヤー ニ⸢ジララ⸣ヌ [⸢ʔaːʃikim⸣ba kḁ⸢sabi⸣ ki̥⸢sutantim piː⸣jaː ni⸢ʤirara⸣nu] (袷を重ねて着ても寒さは堪えられない)。裏地の付いた冬用の着物。平常は⸣バサキン[⸣basakiŋ](芭蕉布の単衣)か、⸣ブーキン[⸣buːkiŋ](麻布の単衣)を着て過ごした。 ク⸢トゥシヌ⸣ フ⸢ヨー アーシ⸣キン プ⸢スッ⸣クビシ ⸢コーシェー⸣チバン [ku̥⸢tuʃinu⸣ ɸu⸢joː ʔaːʃi⸣kim pu̥⸢suk⸣kubiʃi ⸢koːʃeː⸣ʧibaŋ] (今年の冬は袷一着で越して<過ごして>しまったよ) 36 0 0 26 htmvoc_36.wav アーシジ ⸢アー⸣シジ [⸢ʔaː⸣ʃidʒi] 名 粟粒。粟。 ⸢アー⸣シジェー ⸢ピッ⸣チンッツァン ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaː⸣ʃidʒeː ⸢pitʧinʦan ⸢naː⸣nu] (粟粒はたった一つ<一粒>さえもない)。 ⸢アーシジ⸣ヌ カタチニ ナ⸢チアシブヌ⸣ ンジ ⸢アーリ⸣キー ⸢ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaːʃidʒi⸣nu kḁtaʧini na⸢ʧiʔaʃibunu⸣ ʔndʒi ⸢ʔaːri⸣kiː ⸢biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (粟粒のような吹き出物<夏あせも>が吹き出てきて痒くてならない) 32 0 0 27 htmvoc_32.wav アーシシキルン ⸢アー⸣シ シ⸢キ⸣ルン [ʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 指導や教育のため、体罰を与える。懲らしめる。いじめ(苛)る。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ イッ⸢ケナ アー⸣シ シ⸢キラ⸣レーティル ⸢マイフナー⸣ マ⸢レー⸣ダー [ku⸢nu ffaː ⸣ʔik⸢kena ʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢kira⸣reːtiru ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢reː⸣daː] (この子はひどく懲らしめられて立派な人に育ったのだよ)。 ヤ⸢ナクトー シーティル アー⸣シ シ⸢キラ⸣リ⸢ベ⸣ー [ja⸢nakutoː ʃiːtiru ʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢kira⸣ri⸢be⸣ː] (悪事を働いてひどく懲らしめられている) 21 0 0 28 htmvoc_21.wav アーシックナー ⸢アーシッ⸣クナー [⸢ʔaːʃik⸣kunaː] 名 喧嘩をさせあうこと。「あわせくらべ」の義。 トゥ⸢ル アーシッ⸣クナー ⸢スン [tu⸢ru ʔaːʃik⸣kunaː ⸢suŋ] (闘鶏をする)。 シ⸢ダミ⸣ヌ ⸢グル アーシッ⸣クナー ⸢スン [ʃi⸢dami⸣nu gu⸢ru ʔaːʃik⸣kunaː ⸢suŋ] (蝸牛殻の尻の潰し合いをする子供の遊び) 23 0 0 29 htmvoc_23.wav アーシパウル ⸢アーシパウ⸣ル [⸢ʔaːʃipau⸣ru] 名 袷羽織。⸢アーシハウ⸣リ[⸢ʔaːʃihau⸣ri]ともいう。羽織は、ごく限られた家にあるだけで、一般の家庭にはなかった。 ⸢タッ⸣テナール ⸢アーシパウ⸣ロー ア⸢ロール⸣ワ [⸢tat⸣tenaːru ⸢ʔaːʃipau⸣roː ʔa⸢roːru⸣wa] (誰の家に<どこの家に>袷羽織はございますか<あられるのですか>)。 ク⸢レー ター アーシパウ⸣ルヤ [ku⸢reː taː ʔaːʃipau⸣ruja] (これは誰の袷羽織か) 24 0 0 30 htmvoc_24.wav アーシフチ ⸢アーシ⸣フチ [⸢ʔaːʃi⸣ɸu̥ʧi] 名 合わせ目。二つ、またはそれ以上のものを接着するところ。「合わせ口」の義。⸢アーシ⸣ミー[⸢ʔaːʃi⸣miː](合わせ目)ともいう。 ⸢アーシフチ⸣ヌ ガッ⸢ツリ アー⸣ン⸢ベーティ⸣ル ミ⸢ジェー⸣ ム⸢リ⸣ル [⸢ʔaːʃiɸu̥ʧi⸣nu gat⸢ʦuri ʔaː⸣m⸢beːti⸣ru mi⸢dʒeː⸣ mu⸢ri⸣ru] (合わせ目がぴったりと合っていないから<ぞ>水は漏れるのだ) 19 0 0 31 htmvoc_19.wav アーシムヌ ⸢アーシ⸣ムヌ [⸢ʔaːʃi⸣munu] 名 酢の漬物、酢漬け。野菜や魚などを塩や味噌で混ぜる。「調和、塩安不<しほあふ>」『新撰字鏡』に「もの」がついて形成されたものか。 ⸢ダイクニ⸣ヌ ⸢アーシ⸣ムヌ [⸢daikuni⸣nu ⸢ʔaːʃi⸣munu] (大根の酢漬け) 33 0 0 32 htmvoc_33.wav アーシラ ⸢アー⸣シラ [⸢ʔaː⸣ʃira] 名 粟を刈り取って、保存のため穂がついたまま稲叢のように積み上げもの。 ⸢アー⸣シラシ⸢ミ⸣ シケー [⸢ʔaː⸣ʃira ʃi⸢mi⸣ ʃi̥keː] (粟のシラ<稲叢>を積んで<置いて>ある)。シ⸢ラ参照 34 0 0 33 htmvoc_34.wav アースクブ ⸢アースク⸣ブ [⸢ʔaːsuku⸣bu] 名 粟殻。「あわすくも」の義。「粟・すくも(葦、茅の枯れたもの)」の転訛したもの。 ⸣アー ッサイ ⸢ソー⸣キナ イ⸢リティ ソーキ⸣バ ⸢アウ⸣リティル ⸢アースク⸣ブ トゥ⸢バソー⸣タ [⸣ʔaː ssai ⸢soː⸣kina ʔi⸢riti soːki⸣ba ⸢ʔau⸣ritiru ⸢ʔaːsuku⸣bu tu⸢basoːt⸣ta] (粟を精げ、ソーキに入れてソーキを煽って粟殻を飛ばされた) 25 0 0 34 htmvoc_25.wav アースクリジマ ⸢アースクリ⸣ジマ [⸢ʔaːsu̥kuri⸣dʒima] 名 粟を生産する島。水田がなく、米作の出来ない粟作の島。⸢アー⸣ジマ[⸢ʔaː⸣dʒima](粟島)ともいう。 タ⸢キ⸣ドゥン フ⸢シ⸣マーヤ ⸢アースクリ⸣ジマティ ア⸢ザリ アー⸣バ ム⸢トゥ⸣バシー ス⸢ク⸣ロール [tḁ⸢ki⸣duŋ ɸu̥⸢ʃi⸣maːja ⸢ʔaːsu̥kuri⸣dʒimati ʔa⸢ʣari ʔaː⸣ba mu⸢tu⸣baʃiː su̥⸢ku⸣roːru] (竹富、黒島は粟作り島といわれ、粟を中心に耕作しておられる) 27 0 1 35 htmvoc_27.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 {Mn_1}木を揺すって実を落とす。「~置きて枯らしみ安由流<アユル>實波~。万、4111」の他動詞化したもの。「Aye,uru,eta(アユル)、シモの地方では、果実、穀粒、麦などが自然に落ちたり、汗血などがしたたり落ちる」『邦訳日葡辞書』の他動詞化したもの。 フ⸢ナ⸣ブ ⸢アースン [ɸu⸢na⸣bu ⸢ʔaːsuŋ] (九年母<蜜柑、シークヮーサー>の実を揺すって落とす)。 ⸢ゴーナキ⸣ヌナロー マ⸢ダ ウーマン⸣バ ⸢アーサラヌ [⸢goːnaki⸣nunaroː ma⸢da ʔuːmam⸣ba ⸢ʔaːsaranu] (桑の実はまだ熟れないから揺すって落とすことが出来ない)。 フ⸢ナ⸣ブ ⸢アーシ⸣ミサン [ɸu⸢na⸣bu ⸢ʔaːʃi⸣misaŋ] (蜜柑の木を揺すって蜜柑を落としてよい)。 ⸢アース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (揺すって落とすことは、してはならない)。 ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (揺すって落とせばいいのに)。 ⸢アーシ⸣バ [⸢ʔaːʃi⸣ba] (揺すって落とせよ)。 ⸢ゴーナキー⸣ヌ ⸣ナル ⸢アースン [⸢goːnakiː⸣nu ⸣naru ⸢ʔaːsuŋ] (桑の実をゆすって落とす)。 ⸢アーサヌ [⸢ʔaːsanu] (落とさない)。 ⸢アーシ⸣プサン [⸢ʔaːʃi⸣ pu̥saŋ] (落としたい)。 ⸢アース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔaːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (落とす人はいない)。 ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (落とせば良いのに)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ナル ⸢アーシ [⸢kiː⸣nu ⸣naru ⸢ʔaːʃi] (木の実を落とせ)。 27 0 2 36 htmvoc_27.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 {Mn_2}乳を出す<流す>。 ⸣シー ⸢アーシ⸣バ [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃi⸣ba] (お乳を搾って出しなさい) 28 0 0 37 htmvoc_28.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 出来物や腫れ物の化膿したものを潰して膿を出す。 ア⸢シ⸣ブ ⸢アースン [ʔa⸢ʃi⸣bu ⸢ʔaːsuŋ] (できものを潰して膿を出す)。 ク⸢ヌ アシ⸣ボー マ⸢ナ⸣マー ⸢アーサラヌ [ku⸢nu ʔaʃi⸣boː ma⸢na⸣maː ⸢ʔaːsaranu] (この出来物は、今は潰されない)。 ⸢アーシ⸣ ミサカー ⸢アース⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔaːʃi⸣ misakaː ⸢ʔaːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (腫れ物を潰してよければ、潰すことはできる)。 ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (腫れ物を潰せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク アーシ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaːʃi] (早く潰せ) 29 0 0 38 htmvoc_29.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 乳を搾り出す(搾乳する)。 ⸢シー⸣バ ⸢アーシティ⸣ ッ⸢ふァン シーッふァー⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢シー⸣ヤ ⸢アーサラヌ [⸢ʃiː⸣ba ⸢ʔaːʃi̥ti⸣ f⸢faŋ ʃiː ffaː⸣sunti ⸢beː⸣nundu ⸢ʃiː⸣ja ⸢ʔaːsaranu] (母乳を絞り出して子どもに乳を与えようとするが、乳が絞り出せない)。 ⸣シー ⸢アーシ⸣ ミサンカヤー [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃi⸣ misaŋkajaː] (搾乳してよいかねえ)。 ⸣シー ⸢アース⸣ クトー ス⸢ナ [⸣ʃiː ⸢ʔaːsu⸣ ku̥toː su⸢na] (搾乳することはするな)。 ⸣シー ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (搾乳すればいいのに)。 ⸣シー ⸢アーシ [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃi] (搾乳しなさい) 30 0 0 39 htmvoc_30.wav アースン ⸢アースン [⸢ʔaːsuŋ] 他動 脱穀する。 ⸢マイ アースン [⸢mai ʔaːsuŋ] (稲を脱穀する)。 ⸢キュー⸣ヤ オシキヌ カイ⸣ヤンダ ⸢マイ アーサバル⸣ ナル [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔoʃikinu kai⸣janda ⸢mai ʔaːsabaru⸣ naru] (今日は天気がよいから稲の脱穀をしないといけない)。 ⸢アーシ⸣ ミサカー ⸣キューズーナ ⸢アース⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ʔaːʃi⸣ misakaː ⸣kjuːʣuːna ⸢ʔaːsu⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (脱穀してよければ、今日中に脱穀することは出来る)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢アーサラヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔaːsaranu] (今日は脱穀できない)。 ⸢パー⸣ク ⸢アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaːʃeː⸣ misamunu] (早く脱穀すればいいのに)。 ヤー⸢ディン アーシ⸣ダー [jaː⸢diŋ ʔaːʃi⸣daː] (必ず<きっと>脱穀しなさいよ) 31 0 1 40 htmvoc_31.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}合わせる。くっつける。一つにする。照合する。「~風に不令遇<アハセズ>~。万、1021」、沖縄古語「あはす」[オ・古・琉・組・混]。 ⸢ワー ジン⸣トゥ バー ジン ⸢アー⸣スカー ⸢ギュー⸣サ ナ⸢ル⸣ワ [⸢waː ʤin⸣tu baː ʤiŋ ⸢ʔaː⸣su̥kaː ⸢gjuːsa na⸢ru⸣wa] (君の金と私の金を合わせるといくらになるか)。 ⸢アー⸣スンティ ⸣ウムーカ ⸢アー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢アーサン⸣ツォー [⸢ʔaː⸣sunti ⸣ʔumuːka ⸢ʔaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢run⸣du ⸢ʔaːsan⸣ʦoː] (合わせようと思えば合わせることは出来るが、合わさないそうだ)。 ⸢アー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (合わせれば良いのに)。 ⸢アー⸣シバ [⸢ʔaː⸣ʃiba] (合わせなさいよ)。 31 0 2 41 htmvoc_31.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}喧嘩させる。戦わせる。 トゥ⸢ル アー⸣シティ ア⸢サビ ベー [tu⸢ru ʔaː⸣ʃi̥ti ʔa⸢sabi beː] (鶏を喧嘩させて<鶏闘させて>遊んでいる)。 31 0 3 42 htmvoc_31.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 {Mn_3}捏ね合わせる。混合させる。 ム⸢チ アー⸣スン [mu⸢ʧi ʔaːsu⸣ŋ] (餅<漆喰>を捏ね合わせる)。 31 0 4 43 htmvoc_31.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 {Mn_4}和える。酢や味噌で和える。 ナ⸢マ⸣シェー フ⸢ナブ⸣ヌ シ⸢ル⸣トゥ ⸢ミース⸣トゥシ ⸢アー⸣スカー ン⸢マー⸣ン [na⸢ma⸣ʃeː ɸu⸢nabu⸣nu ʃi⸢ru⸣tu ⸢miːsu⸣tuʃi ⸢ʔaː⸣su̥kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (刺身は九年母の汁と味噌で和えると美味しい) 244 0 0 44 htmvoc_244.wav アースン ⸢アー⸣スン [⸢ʔaː⸣suŋ] 他動 和える。混ぜ合わせる。 フ⸢ナ⸣ブシ ⸣シー ス⸢ク⸣リティ ⸢ミース⸣トゥ ⸢アー⸣シティ ナ⸢マ⸣シ ッ⸢ふァイ⸣バ [ɸu⸢na⸣buʃi ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣riti ⸢miːsu⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi̥ti na⸢ma⸣ʃi f⸢fai⸣ba] (蜜柑<ヒラミレモン>の汁で酢を作って味噌と和えて刺身を食べなさい)。 ⸢ミース⸣トゥ ⸢アー⸣スン [⸢miːsu⸣tu ⸢ʔaː⸣suŋ] (味噌と和える)。 ⸢アーサ⸣ヌ [⸢ʔaːsa⸣nu] (和えない)。 ⸢アー⸣ス ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaː⸣su ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (和える物はない)。 ⸢シー⸣トゥ ⸢アー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʃiː⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (酢と和えればいいのに)。 ⸢ミース⸣トゥ ⸢アー⸣シ [⸢miːsu⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi] (味噌と和えよ) 35 0 0 45 htmvoc_35.wav アーダニ ⸢アー⸣ダニ [⸢ʔaː⸣dani] 名 粟の種子。 ⸢エン⸣ヌ ⸢アー⸣ダネー ⸣トゥリ ⸣シケーンカヤー [⸢jen⸣nu ⸢ʔaː⸣daneː ⸣turi ⸣ʃi̥keːŋkajaː] (来年の粟の種子<来年蒔く粟の種子>は取っておいてあるだろうかなあ) 37 0 0 46 htmvoc_37.wav アーダリー アーダ⸢リー [ʔaːda⸢riː] 感 まあ汚い。ああ嫌だ。ああつまらない。 アーダ⸢リー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ʔaːda⸢riː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (まあ汚い{EOS}何だこれは) 38 0 0 47 htmvoc_38.wav アーッスン ⸢アー⸣ッスン [⸢ʔaː⸣ssuŋ] 名 粟包み。脱穀した粟を袋に入れて包装したもの。 ⸢アー⸣ッスン ⸢ピー⸣ク [⸢ʔaː⸣ssum ⸢piː⸣ku] (粟包みを手に提げて持ってきなさい) 39 0 0 48 htmvoc_39.wav アーツベー ⸢アー⸣ツベー [⸢ʔaː⸣ʦubeː] 名 泡。粟粒。⸢アー⸣ツメー[⸢ʔaː⸣ʦumeː](粟粒)ともいう。 ミ⸢チ⸣スー ⸣ナルカー ス⸢ナカ⸣ナー ⸢アー⸣ツベーヌ ウ⸢ケールン [mi⸢ʧi⸣suː ⸣narukaː su⸢naka⸣naː ⸢ʔaː⸣ʦubeːnu ʔu⸢keːruŋ] (満ち潮になると海には泡が浮かぶ<浮く>) 40 0 0 49 htmvoc_40.wav アーツメー ⸢アー⸣ツメー [⸢ʔaː⸣ʦumeː] 名 泡。泡粒。⸢アー⸣ツベー[⸢ʔaː⸣ʦubeː](泡粒)ともいう。 ⸣アッツァサーリ ウ⸢シ⸣ シゥ⸢カウタール⸣ ウ⸢シェー アーフキティ⸣ フ⸢チヌマール⸣ナー ⸢アー⸣ツメー ⸣フキ ⸢ゴー⸣ダー ⸢シーベー [⸣ʔatʦasaːri ʔu⸢ʃi⸣ si̥⸢kautaːru⸣ ʔu⸢ʃeː ʔaːɸukiti⸣ ɸu̥⸢ʧinumaːru⸣naː ⸢ʔaː⸣ʦumeː ⸣ɸu̥ki ⸢goː⸣daː ⸢ʃiːbeː] (暑い最中に牛をこき使ったので、牛は泡を吹いて口の周りにいっぱい泡をつけている<泡だらけになっている>) 41 0 0 50 htmvoc_41.wav アーティンポー ⸢アーティン⸣ポー [⸢ʔaːtim⸣poː] 名 あわて者(慌て者)。そそっかしい人。粗忽もの。落ち着きが無く、物事を急ぎすぎて失敗しやすい人。 ⸢アーティンポー⸣ヤ ノー⸢ン シミリバン⸣ ヤ⸢ブリ⸣ル シ⸢ティル [⸢ʔaːtimpoː⸣ja noː⸢ŋ ʃimiribaŋ⸣ ja⸢buri⸣ru ʃi̥⸢tiru] (粗忽者は何事をさせても失敗する<壊して、やぶってしまう>) 43 0 0 51 htmvoc_43.wav アートートゥ ⸢アートートゥ [⸢ʔaːtoːtu] 感 あな尊と。ああ尊と。⸢アー[⸢ʔaː](ああ)は、「阿那於茂志呂<あなおもしろ>、古語事之甚切、皆阿那<あな>といふ」『古語拾遺』の転訛か。⸢トートゥ[⸢toːtu](尊い{EOS}畏敬すべきである{EOS}有り難い)の義。⸢アー⸣トートゥ ⸢ウー⸣トートゥ[⸢ʔaː⸣toːtu ⸢ʔuː⸣totu]のように重ねて用いられる。⸢ウー⸣トートゥ[⸢ʔuː⸣toːtu]も同じ意味。 ⸢アー⸣トートゥ ⸢ウー⸣トートゥ ⸢カンヌ⸣マイ ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ シカイ⸢トゥ⸣ ニ⸢ガイ⸣シキ⸢オーサバ⸣ ウ⸢キ⸣シキ タ⸢ボー⸣ローリ [⸢ʔaː⸣toːtu ⸢ʔuː⸣toːtu ⸢kannu⸣mai ʔu⸢japusu⸣numai ʃi̥kai⸢tu⸣ ni⸢gai⸣ʃi̥ki ⸢ʔoːsaba⸣ ʔu⸢ki⸣ʃi̥ki ta⸢boː⸣roːri] (あな尊と、神様ご先祖様、しかと祈り上げ願いあげますので、お聞き届け受つけ賜りますようにお願い致します) 1453 0 0 52 htmvoc_1453.wav アーニヤー ⸢アー⸣ニヤー [⸢ʔaː⸣nijaː] 名 固有名詞。花城英行氏宅の名称。屋敷名。 ⸢アー⸣ニヤーテー [⸢ʔaː⸣nijaːteː] (アーニヤー氏の家)。本来は、⸢アンヌ⸣ヤー[⸢ʔannu⸣jaː](分家した東の家)の意味であったのが、⸢花城家本家から分家した東の家」を確立した人名に変化したものであろう。 ⸢アー⸣ニヤーテーヤ パ⸢ナシケー⸣ラヌ ⸢ヤーバカ⸣リティバン ⸢ナー [⸢ʔaː⸣nijaːteːja pa⸢naʃi̥keː⸣ranu ⸢jaːbaka⸣ritiban ⸢naː] (アーニヤーという家は花城家からの分家<ということ>らしいいねえ) 45 0 0 53 htmvoc_45.wav アーヌイー ⸢アーヌ⸣イー [⸢ʔaːnu⸣ʔiː] 名 粟飯。 ⸢アーヌ⸣イーン ン⸢マー⸣ンドゥ ⸢マイヌイー⸣ヤ ウ⸢レー⸣ラン ⸢マービン⸣ドゥ ン⸢マー⸣ティ ⸣ムカーヤ [⸢ʔanu⸣ʔiːm ʔm⸢maː⸣ndu ⸢mainuʔiː⸣ja ʔu⸢reː⸣ram ⸢maːbin⸣du ʔm⸢maː⸣ti ⸣mukaːja] (粟飯も美味いが、米の飯はそれよりも更に<ぞ>美味しいというものだよ)。普段は粳(うるち)粟と芋の飯を炊き、祝祭日には糯(もち)粟と米の飯を炊いたりした。 サ⸢ク⸣マイナ ム⸢チアー⸣ イ⸢リティ アーヌ⸣イーバ⸢カス⸣カー ム⸢チミーン⸣ ンジティ ン⸢マー⸣タン [sḁ⸢ku⸣maina mu⸢ʧiʔaː⸣ ʔi⸢riti ʔaːnu⸣ʔiː ba⸢kasu⸣kaː mu⸢ʧimiːn⸣ ʔnʤiti ʔm⸢maː⸣taŋ] (粳米に糯粟を入れて粟飯を炊くと粘り気が出て美味しかった) 46 0 0 54 htmvoc_46.wav アーヌイバチ ⸢アー⸣ヌ イ⸢バ⸣チ [⸢ʔaː⸣nu ʔi⸢ba⸣ʧi] 連 糯粟で作ったイ⸢バ⸣チ[ʔi⸢ba⸣ʧi](飯初)。粟の新穀を煮て円錐形に握ったもの。 ⸢アー⸣ヌ イ⸢バ⸣チ トゥ⸢クニ⸣ナ マ⸢チオーシ [ʔaː⸣nu ʔi⸢ba⸣ʧi tu⸢kuni⸣na ma⸢ʧiʔoːʃi] (粟の飯初を仏壇にお供えしなさい) 47 0 0 55 htmvoc_47.wav アーヌカイ ⸢アー⸣ヌ ⸢カイ [⸢ʔaː⸣nu ⸢kai] 連 粟粥。粟のお粥。 ⸢アー⸣ヌ ⸢カイ⸣ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーサ⸠ナー [⸢ʔaː⸣nu ⸢kai⸣ tḁ⸢ki⸣ f⸢faːsa⸠naː] (粟の粥を炊いてあげよう<食べさせよう>ね) 49 0 0 56 htmvoc_49.wav アーヌシジ ⸢アー⸣ヌ ⸣シジ [⸢ʔaː⸣nu ⸣ʃiʤi] 連 粟の粒。粟粒。 ⸢アー⸣ヌ シ⸢ジ⸣ヌ ⸢ポッツァーリ ベー [⸢ʔaː⸣nu ʃi⸢ʤi⸣nu ⸢potʦaːri beː] (粟粒が散らばって<散乱して>いる) 48 0 0 57 htmvoc_48.wav アーヌパンビン ⸢アー⸣ヌ ⸢パン⸣ビン [⸢ʔaː⸣nu ⸢pam⸣biŋ] 連 粟の粉で作った芯のないてんぷら。「半片」の義か。 ⸢アー⸣ヌ ⸢パンビン⸣マー ン⸢マー⸣タン [⸢ʔaː⸣nu ⸢pambim⸣maː ʔm⸢maː⸣taŋ] (粟粉のてんぷら<はんぺん>はおいしかった) 50 0 0 58 htmvoc_50.wav アーヌピサシイー ⸢アー⸣ヌ ピ⸢サシ⸣イー [⸢ʔaː⸣nu pi̥⸢saʃi⸣ʔiː] 連 粟と米のこわいい(強飯)。米に粟を混ぜて炊き上げた御飯。 ⸢アー⸣ヌ ピ⸢サシ⸣イーン ン⸢マー⸣タン [⸢ʔaː⸣nu pi̥⸢saʃi⸣ʔiːm ʔm⸢maː⸣taŋ] (米と粟のこわいい<強飯>も美味しかった) 51 0 0 59 htmvoc_51.wav アーヌプー ⸢アー⸣ヌ ⸣プー [⸢ʔaː⸣nu ⸣puː] 連 粟の穂。粟穂。沖縄古語「あわほ」[琉]。 ⸢アー⸣ヌ ⸢プー⸣ヤ キン⸢キン⸣シ ⸢ミーリティ⸣ ダ⸢リッサー⸣リ ⸢ベー [⸢ʔaː⸣nu ⸢puː⸣ja kiŋ⸢kiŋ⸣ʃi ⸢miːriti⸣ da⸢rissaː⸣ri ⸢beː] (粟の穂は黄色く熟して<稔って>、垂れ下がっているよ) 52 0 0 60 htmvoc_52.wav アーヌミース ⸢アーヌミー⸣ス [⸢ʔaːnumiː⸣su] 名 粟味噌。 ⸢アーヌミー⸣ソーラン ⸢マイヌミース⸣ル ン⸢マー⸣タ [⸢ʔaːnumiː⸣soːram ⸢mainumiːsu⸣ru ʔm⸢maː⸣ta] (粟味噌よりも米味噌の方が美味しかった) 53 0 0 61 htmvoc_53.wav アーヌムチ ⸢アーヌ⸣ムチ [⸢ʔaːnu⸣muʧi] 名 粟餅。粟を碾いて粉にし、それを練って成形し、蒸籠で蒸して造った餅。鳩間島ではめったに作らなかった。 ⸢アーヌ⸣ムチ ス⸢ク⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン [⸢ʔaːnu⸣muʧi su̥⸢ku⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (粟餅を作る人もおられた) 57 0 0 62 htmvoc_57.wav アーヌン ⸢アー⸣ヌン [⸢ʔaː⸣nuŋ] 名  (動)南京虫。 ム⸢カ⸣シェー タ⸢タミヌ⸣ピルナーン ⸢キン⸣ヌ ⸢ヌイ⸣ミーナーン ⸢アーヌン⸣マー シ⸢ディ⸣シタ [mu⸢ka⸣ʃeː tḁ⸢taminu⸣pirunaːŋ ⸢kin⸣nu ⸢nui⸣miːnaːŋ ⸢ʔaːnum⸣maː ʃi⸢di⸣ʃi̥ta] (昔は畳の縁にも着物の縫い目にも南京虫は湧いた<孵化した>ものだよ) 54 0 0 63 htmvoc_54.wav アーネー ⸢アー⸣ネー [⸢ʔaː⸣neː] 名 東隣の家。 ⸢バン⸣テヌ ⸢アー⸣ネーヤ ア⸢ザテー イー⸣ネーヤ トゥ⸢ムシェー ヤッタ [⸢ban⸣tenu ⸢ʔaː⸣neːja ʔa⸢ʣateː ʔiː⸣neːja t⸢umuʃeː jatta] (我が家の東隣は東里家、西隣は宮良家<友寄家>であった) 59 0 0 64 htmvoc_59.wav アーパ ⸢アー⸣パ [⸢ʔaː⸣pa] 名 老婆。待遇価値の落ちた、卑しめた表現。相手を多少見下した言い方。卑語に近い。 ヤ⸢ナアーパ [ja⸢naʔaːpa] (いやな老婆、悪老婆) ウ⸢ヌ アー⸣パー プ⸢スヌ⸣ クーカー イ⸢シマコーバ シー⸣ ヤ⸢リフン シーソー⸣ル [ʔu⸢nu ʔaː⸣paː pu⸢sunu⸣ kuːkaː ʔi⸢ʃimakoːba ʃiː⸣ ja⸢riɸuŋ ʃiːsoː⸣ru] (その老婆は人が来ると石を投げたり、怒鳴りつけたりされる)) 60 0 0 65 htmvoc_60.wav アーパ ⸢アー⸣パ [⸢ʔaː⸣pa] 名 ⸢プーザン[⸢puːʣaŋ](帆桁)の最下段の桟の約四分の一上手に付けてある縄。サバニの帆桟やプーシンの帆桁を帆柱にしっかり結わえておくのに用いる縄。 ⸢プー⸣ ピ⸢ク⸣カー ⸢アー⸣パ ギッ⸢ティ⸣ フ⸢バリ [⸢puː⸣ pi̥⸢ku⸣kaː ⸢ʔaː⸣pa git⸢ti⸣ ɸu⸢bari] (帆を上げ<引い>たら、アーパ縄を帆柱にぎゅっと縛れ) 61 0 0 66 htmvoc_61.wav アーパーマ アー⸢パー⸣マ [ʔaː⸢paː⸣ma] 名 老婆。お婆さん。-マ[-ma]は指小辞。親愛の情を示す。親しみをこめた表現。 ⸢ウン⸣ネーナ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸢ʔun⸣neːna ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (その家にお婆さんがおられる)。 ⸢カン⸣ネナー ⸢コー⸣グマガリ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン [⸢kan⸣nenaː ⸢koː⸣gumagari ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔot⸣taŋ] (あの家には腰の曲がった老婆がおられた) 62 0 0 67 htmvoc_62.wav アーパーレー ⸣アーパーレー [⸣ʔaːpaːreː] 名 新室寿ぎ歌。正式の名称は、⸢ヤー⸣ヌ ⸢フンシキ⸣ アーパーレー[⸢jaː⸣nu ⸢ɸunʃi̥ki⸣ ʔaːpaːreː](新室の風水<基礎固め・鎮め>歌アーパーレー)という。歌は前半のナ⸢ガミ⸣ク[na⸢gami⸣ku](長め句)と後半のハ⸢ヤミ⸣ク[ha⸢jami⸣ku](早め句)からなる。ナ⸢ガミ⸣クでは新室の構造体を美辞麗句で歌い上げ(室誉めし)、後半のハヤミクでは新室の中の奇怪な形相の動物等を客観的に表現して「魔除け」とし、へんばい(反閇)して山の神、海の神、野の神々を鎮めて歌い終わる歌形構造を有する。新築の屋根が葺き上がる日没時になると、建築作業に従事した全員が作業着のまま新室の中に入って座り、儀式に参加した。先ず全員でアーパーレーの歌を歌う。鐘と銅鑼、太鼓に合わせて歌い終わる。そして村の道化役者をもって任ずる二人が出て家主の夫婦に扮し、新室が完成するまでの苦労話を面白おかしく語った後、抱いていた⸢ユイプス[⸢juipusu](藁人形)を家の中柱に結わえた後、⸢ワンヌン ビー⸣ティ ⸢バンヌン ビー⸣ティ シッ⸢トウイシットウイ(貴方も酔って、私も酔って、あな尊や)と叫んで神酒を棟桁に投げかけて終わる儀式 900 0 0 68 htmvoc_900.wav アーパーレー ⸣アーパーレー [⸣ʔaːpaːreː] 名 新築家屋の室褒め儀礼。新築落成の夜、⸢ユイプスガナシ[⸢juipu̥suganaʃi](新築家屋の守護神、茅で作った人形)を迎え、アーパーレー歌謡を歌いながら祓い清める儀式。新室の当主とその妻に扮した男二人が新築に至るまでの苦労を話し、村人の協力に感謝の辞を述べ、神々へ新室守護の祈願をしたのち、参加者全員でアーパーレーを歌い、両足で強く床板や土間を踏み鳴らし、反閉(へんばい)をして邪気を祓う。 ⸢アー⸣ザー ⸢ヤー⸣バ ス⸢ク⸣ローッタ ⸣ピンヌ ⸣アーパレーヤ ミリ⸢ミッ⸣タン [⸢ʔaː⸣ʣaː ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣roːtta ⸣pinnu ⸣ʔaːpaːreːja miri⸢mit⸣taŋ] (兄さんが家を作られた時のアーパーレーは見たことがある<見てみた>) 901 0 0 69 htmvoc_901.wav アーパーレーウタ ⸣アーパーレーウタ [⸣ʔaːpaːreːʔuta] 名 新室寿ぎの歌。新築家屋の邪気祓えの歌。ナ⸢ガミ⸣ク(長め声、第1連から第9連まで)とハ⸢ヤミ⸣ク(早め声、第10連から第37連まで)の二部構成になっている。アーパーレー(ナガミク){Sg_1}シルウチヌ メーヌウチニ ヤーバスクリ アンティス ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_2}シルウチヌ メーヌウチニ ヤーバスクリ アンティス ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_3}スブチダマ イシジバシ ヤーバスクリ アンティス ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_4}カクガニバ パラーバシー ヤーバスクリ アンティス ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_5}バンゾンガニバ ヌキギバシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_6}クルキカニバ キタバシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_7}ナンチャクガニ ウダティシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_8}カクガニバ ミニバシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ{Sg_9}ヤーカラダキバ キチバシー ヤーバスクリ アンティスー ウリユー ミユナーキャームイ (ハヤミク){Sg_10}ヤー タマシダル ユチルバシー ヤーバスクリアンティスー{Sg_11}ヤー トゥルパニバ ガヤーバシー ヤーバスクリ アンティスー{Sg_12}ヤースルガニバ ティブクシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_13}ヤー イツピピルバ シミナーシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_14}ヤー ダディクダキバ アムヌバシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_15}ヤー ナンツァヨージバ マーリザシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_16}ヤー クンピピルバ カキナーシー ヤーバスクリ アンティスー {Sg_17}ヤー クヌヤーヌ ウチナカー テイダヌカタ アンティスー{Sg_18}ヤー ティダヌカタミリバ ティリユーナードゥシーユール {Sg_19}ヤー クヌヤーヌ ウチナカー シキヌカタ アンティス {Sg_20}ヤー シキヌカタミリバ ガリユーナードゥシーユール {Sg_21}ヤー クヌヤーヌ ウチナカー ピトゥヌカタアンティス {Sg_22}ヤー ピトゥヌカタミリバ バガウヤードゥシーユール {Sg_23}ヤー クヌヤーヌ ウチナカー ンーマヌカタ アンティス {Sg_24}ヤー ンーマヌカタミリバ キリユーナードゥ シーユール {Sg_25}ヤー クヌヤーヌウチナカー ウシヌカタ アンティス {Sg_26}ヤー ウシヌカタミリバ シキユーナードゥシーユール {Sg_27}ヤー クヌヤーヌウチナカー インヌカタ アンティス {Sg_28}ヤー インヌカタミリバ フイユナードゥシーユール {Sg_29}ヤー クヌヤーヌウチナカー マヤヌカタ アンテイス {Sg_30}ヤー マヤヌカタミリバ ガジユーナードゥシーユール {Sg_31}ウクダカエンヤー カニブーヤーヌ サイヤリ {Sg_32}ウクダカエンヤー ニヌブーヤーヌ サイヤリ {Sg_33}アーパレー キユーヌピーバ ムトゥバシ {Sg_34}アーパーレー クガニピーバ ニシキシ {Sg_35}アーパーレー イシカマーシ イワイス {Sg_36}アーパーレー ナンカマーシ イワイス {Sg_37}アーパーレー トゥズミヌ カイサヤ 63 0 0 70 htmvoc_63.wav アービ ⸢アー⸣ビ [⸢ʔaː⸣bi] 名  (動)貝の名。あわび。ミミガイ科の巻貝の一種。和名、イボアナゴウ。殻長5~7センチ。殻の表面にイボまたはコブ状の突起ができる。穴が数個あり、イノーの浅い岩礁に生息する。煮たり,茹でたりして食する。 ⸢アー⸣ベー ユディティ シ⸢タ⸣ディ ⸣シキティ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢マー⸣ン [⸢ʔaː⸣beː ⸣juditi ʃi⸢ta⸣di ⸣ʃikiti f⸢fuː⸣kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (あわびは茹でて醤油をつけて食べるとおいしい) 64 0 0 71 htmvoc_64.wav アーピキウシ ⸢アーピキ⸣ウシ [⸢ʔaːpiki⸣ʔuʃi] 名 粟碾き臼。粟を精白する石臼。イ⸢ソーシ[ʔi⸢soːʃi](大豆を碾く石臼)に似た形をしているが、臼に歯がない。 ⸢アーピキウシ⸣ヌ イ⸢ソーシ⸣ナー ⸢パー⸣ヤ タ⸢ティラ⸣ヌ [⸢ʔaːpikiʔuʃi⸣nu ʔi⸢soːʃi⸣naː ⸢paː⸣ja ta⸢tira⸣nu] (粟碾き臼には歯は立てない) 65 0 0 72 htmvoc_65.wav アープール ⸢アープー⸣ル [⸢ʔaːpuː⸣ru] 名 粟の豊作祈願祭。粟の豊年祭。対語は⸢マイプール[⸢maipuːru](稲の豊年祭)。鳩間島の豊年祭は稲の豊作祈願が主で、併せて五穀の豊作祈願もなされる。 フ⸢シマ⸣ヌ ⸢プー⸣ロー ⸢アープールー⸣バ ム⸢トゥ⸣シ ⸢ソー⸣ルティバン [ɸu⸢ʃima⸣nu ⸢puː⸣roː ⸢ʔaːpuːru⸣ba mu⸢tu⸣ʃi ⸢soː⸣rutibaŋ] (黒島の豊年祭は粟の豊年祈願を中心にしてなされるとのことだ) 67 0 0 73 htmvoc_67.wav アーフキカーフキ ⸢アーフキカー⸣フキ [⸢ʔaːɸukikaː⸣ɸu̥ki] 副 荒い息づかいをして。激しく呼吸をして。喘ぎあえぎ。 ⸢アーフキカー⸣フキ ⸢シェー⸣ティ ⸢ヤットゥ⸣シ ⸣パリ ⸢クー⸣タ [⸢ʔaːɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ⸣pari ⸢kuː⸣ta] (喘ぎ喘ぎしながらやっとのことで走ってきた) 68 0 0 74 htmvoc_68.wav アーブク ⸢アーブ⸣ク [⸢ʔaːbu⸣ku] 名 泡(あわ)。あぶく。気泡。豆腐を煮詰める際に沸きあがる泡。「沫蕩、此をば阿和那伎(アワなぎ)と云ふ」『日本書紀 神代上』。 サッ⸢フン⸣シ キン ア⸢ラシトゥンティ シター アーブク⸣ヌ ⸢イッ⸣パイ ⸣ンジケーン [saɸ⸢ɸuŋ⸣ʃi kiŋ ʔa⸢raʃi̥tuntiʃi̥taː ʔaːbuku⸣nu ⸢ʔip⸣pai ⸣ʔndʒikeːŋ] (石鹸で着物を洗おうとしたら泡がたくさん出てきた) 66 0 0 75 htmvoc_66.wav アーフクン ⸢アーフクン [⸢ʔaːɸukuŋ] 自動 あえぐ(喘ぐ)。激しく呼吸する。息切れする。「泡吹く」の転訛したものか。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣パルカー ⸢アーフクンドゥ キュー⸣ヤ ⸢アーフカンシェン [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣parukaː ⸢ʔaːɸu̥kundu kjuː⸣ja ⸢ʔaːɸu̥kaŋʃeŋ] (駆けて走ると激しくあえぐが、今日は喘がなかった)。 ヌー⸢スンティ⸣ アイニ ⸢アーフケー⸣ティ ⸢アーク⸣ワ [⸣nuː⸢sunti⸣ ʔaini ⸢ʔaːɸukeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣wa] (何故そんなに喘いでいるのか)。 ウ⸢ビッ⸣チン ⸣パリティ ⸢アーフクプソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢bit⸣ʦim ⸣pariti ⸢ʔaːɸu̥ku⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (これぽっち走って喘ぐ人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アーフケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaːɸu̥keː⸣ misamunu] (もっと喘げばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アーフキ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaːɸu̥ki⸣ba] (早く喘げよ) 111 0 0 76 htmvoc_111.wav アーミーボーサー ⸢アーミーボー⸣サー [⸢ʔaːmiːboː⸣saː] 名 雨宿り。 ア⸢タアミヌ フータ⸣ル ⸢ウン⸣ネーナ ⸢アーミーボー⸣サー ⸢シーティ クー⸣タ⸢ダー [ʔa⸢taʔamini ɸuːta⸣ru ⸢ʔun⸣nena ⸢ʔaːmiːboː⸣saː ⸢ʃiːti kuː⸣ta⸢daː] (にわか雨<驟雨>が降ったので、あの家に雨宿りをして来たのだよ) 55 0 0 77 htmvoc_55.wav アーミキ ⸢アー⸣ミキ [⸢ʔaː⸣miki] 名 粟で造った神酒。 ⸢アー⸣ミキ マ⸢ラソー⸣リ [⸢ʔaː⸣miki ma⸢rasoː⸣ri] (粟の神酒を醸造なさいませ) 56 0 0 78 htmvoc_56.wav アームチ ⸢アー⸣ムチ [⸢ʔaː⸣muʧi] 名 粟餅。糯粟を石臼で挽いた粉でつくった餅。 ⸢アー⸣ムチン ッ⸢ふァイミッ⸣タン [⸢ʔaː⸣muʧiŋ f⸢faimit⸣taŋ] (粟餅も食べてみたことがある)。 ム⸢チアーシ⸣ル ⸢アー⸣ムチェー ス⸢ク⸣ル [mu⸢ʧiʔaːʃi⸣ru ⸢ʔaː⸣muʧeː su̥⸢ku⸣ru] (糯粟で<ぞ>粟餅は作る) 113 0 0 79 htmvoc_113.wav アームル ⸢アー⸣ムル [⸢ʔaː⸣muru] 名 泡盛。島酒。 ⸢アー⸣ムルン ⸣ウンミサクン マ⸢ラソー⸣リ⸢ヨー [⸢ʔaː⸣muruŋ ʔummisakum ma⸢rasoː⸣ri⸢joː] (泡盛も芋神酒も醸造なされよ<生まらせなされよ>)。一般的には、サ⸢キ⸣ タルン[sḁ⸢ki⸣ tarunŋ](酒を醸造する)というが、⸢アー⸣ムル(泡盛の神酒)や、⸢アーミサ⸣ク(粟神酒)、⸣ウンミサク[⸣ʔummisaku](芋神酒)は、マ⸢ラスン[ma⸢rasuŋ](生まれさせる)という。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥ パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢アー⸣ムルサキ タ⸢ローッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatu pḁ⸢tu⸣manaːŋ ⸢ʔaː⸣murusaki ta⸢roːt⸣taŋ] (終戦後、鳩間島にも泡盛酒を醸造された) 70 0 0 80 htmvoc_70.wav アーメー ⸢アー メー [⸢ʔaː meː] 感 ああ、もう。もう大変だ。始末に負えない。 ⸢アー メー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ ク⸢ヌ⸣ イトー ア⸢ザー⸣リ ⸣クザーリ シ⸢ティ ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaː meː⸣ na⸢ra⸣nu ku⸢nu⸣ ʔitoː ʔa⸢ʣaː⸣ri ⸣kuʣaːri ʃi̥⸢ti juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (ああ、もう、だめだ{EOS}どうにもならない{EOS}この糸は散々に縺れて養生<手当て>出来ない{EOS}手がつけられない) 71 0 0 81 htmvoc_71.wav アーヤ ⸢アー⸣ヤ [⸢ʔaː⸣ja] 名 父。父親。親族名称。呼称。明治生まれの古老が用いる。[ʔa](吾)・[uja](親) → [⸢ʔaː⸣ja](父)、「~よし名は告らせ父母<オヤ>はしるとも。万、363」の転訛したものか。多くの若年層では、⸣アチャー[⸣ʔaʧaː](父{EOS}父親{EOS}親族名称、呼称)ともいう。これは、⸢ア(吾)・ヂ「知(父『古事記中、應神謡49』)・ア(*a<指小辞>)」によって形成されたものであろう。また、⸣イーヤ[⸣ʔiːja](父{EOS}名称、呼称{EOS}?i:ja)という家もあり、⸢チャー⸣チャー[⸢ʧaː⸣ʧaː](父{EOS}名称{EOS}⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸢チャー⸣チャー{SqBr}⸢joː⸣kajaːnu ⸢ʧaː⸣ʧaː{/SqBr}<西原家のお父さん>)という家もある。 ⸢バン⸣テヌ ⸢アー⸣ヤー サ⸢キゾーグ [⸢ban⸣tenu ⸢ʔaː⸣jaː sḁ⸢kiʣoːgu] (私の父は酒上戸だ)。 アー⸢ヤー ワー マー オール⸣ワ [ʔaː⸢jaː waː maː ʔoːru⸣wa] (お父さん、貴方は何処へいらっしゃい<行かれ>ますか)。 ク⸢レー バン⸣テヌ ⸢アー⸣ヤ [ku⸢reː ban⸣tenu ⸢ʔaː⸣ja] (これは私の家のお父さんです<名称>) アー⸢ヤー キュー⸣ヤ イ⸢ソー オールン [ʔaː⸢jaː kjuː⸣ja ʔi⸢soː ʔoːruŋ] (お父さん、今日は漁にいらっしゃいますか<呼称>)) 72 0 0 82 htmvoc_72.wav アーヤブイ ⸢アー⸣ヤブイ [⸢ʔaː⸣jabui] 名 海底地名。⸢アー⸣ヤ(お父さん{EOS}「吾親」の転訛したもの{EOS}寄合三戸氏)が立てられた、ブイ(航路標識{EOS}英語のbuoy<浮標>の転訛)のある曽根の意。タ⸢カビ⸣ヌ フ⸢チ[tḁ⸢kabi⸣nu ɸu̥⸢ʧi](高干瀬の津口)を回って鳩間港へ向かう途中にある 137 0 0 83 htmvoc_137.wav アーラ ⸢アーラ [⸢ʔaːra] 名 東。太陽の上がる方向。「上がる辺」の転訛したものか。⸢アーンタ[⸢ʔaːnta](東方、東の所)ともいう。⸢アーラキ[⸢ʔaːraki](東側、東の所)参照。 トゥ⸢ロー アーラー ンカイ⸣ トゥ⸢ビパッ⸣タツォー [tu⸢roː ʔaːraː ʔŋkai⸣ tu⸢bipat⸣taʦoː] (鳥は東の方へ向かって飛んでいったそうだ)。 ティダー ⸢アーラーラ⸣ル ⸢ヌール [⸣tidaː ⸢ʔaːraːra⸣ru ⸢nuːru] (太陽は東から<ぞ>昇る) 246 0 0 84 htmvoc_246.wav アーラーッサーケーン ⸢アーラー⸣ ッ⸢サー⸣ケーン [⸢ʔaːraː⸣ s⸢saː⸣keːŋ] 文 東の空は白んできた(夜が白白と明けてきた) 138 0 0 85 htmvoc_138.wav アーラキ ⸢アーラキ [⸢ʔaːraki] 名 東側。東の所。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢アーラキ⸣ナー ⸢バンスル⸣ヌ ムイ⸢ベー⸣ン [pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔaːraki⸣naː ⸢bansuru⸣nu mui⸢beː⸣ŋ] (畑の東側に蕃ざくろが生えている) 124 0 0 86 htmvoc_124.wav アーラシパク ⸢アーラシパク [⸢ʔaːraʃipaku] 名 蒸し器。蒸し箱。板で作った箱状の蒸篭で、二段重ねで用いる蒸し器。甑とは形が異なる。 ⸢アーラシパコー ベー⸣ナーン ⸢アッ⸣タン [⸢ʔaːraʃipakoː beː⸣naːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (蒸し箱は我が家にもあった) 73 0 0 87 htmvoc_73.wav アーラスン ⸢アーラ⸣スン [⸢ʔaːra⸣suŋ] 他動 配る。配分する。公平に分配する。沖縄古語「あらす(有らす)」[古・琉]。 ⸢コー⸣シェー ⸢ムール⸣ニ ⸢ミックナー アーラ⸣シバ [⸢koː⸣ʃeː ⸢muːru⸣ni ⸢mikkunaː ʔaːra⸣ʃiba] (菓子は皆に三個ずつ配りなさいよ)。 ⸢アーラ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ムール⸣ネー ⸢アーラサラ⸣ヌ [⸢ʔaːra⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢muːru⸣neː ⸢ʔaːrasara⸣nu] (配ろうと思うが、全員には配れない)。 ⸢ピーチ⸣ナー ⸢アーラ⸣シ ⸣ミサカー ⸢アーラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢piːʧi⸣naː ⸢ʔaːra⸣ʃi ⸣misakaː ⸢ʔaːra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (一つずつ配って良ければ配ることは出来る)。 ⸢アーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (配れば良いのに)。均等に配分する。 ク⸢ヌ⸣ ム⸢チェー ヤーニン⸣ズ マー⸢タキナー アーラ⸣シ [ku⸢nu⸣ mu⸢ʧeː jaːnin⸣ʣu maː⸢takinaː ʔaːra⸣ʃi] (この餅は家族全員に均等に配分しなさい)。 ⸢アーラサ⸣リン [⸢ʔaːrasa⸣rin] (均等に配分できる) 74 0 0 88 htmvoc_74.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 慌てさせる。騒がせる。急がせる。 ウ⸢リヌ⸣ クーカー プ⸢ス アーラスンダ⸣ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ kuːkaː pu̥⸢su ʔaːrasunda⸣ ʔu⸢tisi̥ka⸣nu] (彼が来ると人を騒がせるから、落ち着かない)。 プ⸢ス アーラス⸣ クトー ス⸢ナ [pu̥⸢su ʔaːrasu⸣ ku̥toː su⸢na] (人を慌てさせることはするな)。 ⸢アーラサンドー⸣シ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミリ [⸢ʔaːrasandoː⸣ʃi ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miri] (慌てさせないで仕事をさせなさい)。 ⸢アーラシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaːraʃeː⸣ misamunu] (慌てさせたら良いのに)。 ⸢アーラシ⸣バ [⸢ʔaːraʃi⸣ba] (慌てさせなさいよ) 75 0 0 89 htmvoc_75.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 沸騰させて吹きこぼれさせる。吹きあげさせる。「上がらす」の転訛したもの。 ⸣ドゥク ⸣ピー ⸢モース⸣カー ⸣スー ⸢アーラスン⸣ダー ⸢アーラサン⸣ヨーニ ⸢ピー⸣ヤ ピ⸢キ⸣バ [⸣duku ⸣piː ⸢moːsu⸣kaː ⸣suː ⸢ʔaːrasun⸣daː ⸢ʔaːrasaŋ⸣joːni ⸢piː⸣ja pi̥⸢ki⸣ba] (あまり火を焚くとお汁を吹き零れさせるぞ{EOS}吹き零れさせないように、火を引けよ)。 ⸢アーラシ⸣ ミサカー ⸢アーラス⸣クトゥン ⸣ナルン [⸢ʔaːraʃi⸣ misakaː ⸢ʔaːrasu⸣ ku̥tun ⸣naruŋ] (吹き零れさせて良ければ、吹き零れさせることもできる)。 ナー⸢イ アーラシェー⸣ ミサムヌ [naː⸢i ʔaːraʃeː ⸣misamunu] (ただ放置して吹き零れさせれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アーラシ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaːraʃi] (もっと吹き零させろ) 76 0 0 90 htmvoc_76.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 餅やカステラ等を蒸す。 ム⸢チ アーラスン [mu⸢ʧi ʔaːrasuŋ] (餅を蒸す<蒸して煮る>)。 ク⸢リ⸣シェー ⸢アーラサラヌ [ku⸢ri⸣ʃeː ⸢ʔaːrasaranu] (これでは蒸されない)。 ⸢クシ⸣キシェー ⸢アーラシ ヤッ⸣サン [⸢kuʃi̥⸣kiʃeː ⸢ʔaːraʃi jas⸣saŋ] (甑では蒸しやすい)。 ⸢アーラス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔaːrasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (蒸す人はいない)。 ⸢パー⸣ク ⸢アーラシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaːraʃeː⸣ misamunu] (早く蒸せば良いのに)。 ム⸢チ アーラシ⸣バ [mu⸢ʧi ʔaːraʃi⸣ba] (餅を蒸しなさい)。 ⸢ヨイ⸣ヌ ア⸢ラシコーシ アーラスンティ キッ⸣ス ⸢シーベー [⸢joi⸣nu ʔa⸢raʃikoːʃi ʔaːrasunti kis⸣su ⸢ʃiːbeː] (お祝いの蒸し餅<蒸し菓子>を蒸し上げようとして急いでいる)。 ⸣アブジェ ⸢ソーニヨイヌヨイヌ⸣ ア⸢ラシコーシ アーラスンティ ベー⸠ダー [ʔabudʒeː ⸢soːnijoinu⸣ ʔa⸢raʃikoːʃi ʔaːrasunti beː⸠daː] (おじいさんの生年祝いの蒸し菓子を作ろうと<蒸し上げよう>としているんだよ) 125 0 0 91 htmvoc_125.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 臼の歯をたてる。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸣パー ⸢アーラスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヌン⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ベーティ ⸢アーラサラヌ [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː ⸢ʔaːrasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢nun⸣nu ⸢naːm⸣ beːti ⸢ʔaːrasaranu] (臼の歯を立てようと思うが、鑿が無いので歯が立てられない)。 ⸣ドゥーシ ⸢アーラシ⸣ ミサカー ⸢アーラス⸣ クトー ⸣ナルン [⸣duːʃi ⸢ʔaːraʃi⸣ misakaː ⸢ʔaːrasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (自分で臼の歯を立てて良ければ立てることは出来る)。 ⸣ドゥーシ ⸢アーラシェー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ⸢ʔaːraʃeː⸣ misamunu] (自分で臼の歯を立てればいいのに)。 ウ⸢シ⸣ヌ パー アーラシ [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː ⸢ʔaːraʃi] (臼の歯をたてなさい{EOS}臼の歯を鑿で削ってたてなさい)。ウ⸢シ⸣ヌ ⸣パー ⸣タトゥン[ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː ⸣tḁtuŋ](臼の歯を立てる)ともいう 127 0 0 92 htmvoc_127.wav アーラスン ⸢アーラスン [⸢ʔaːrasuŋ] 他動 せき立てる。急がせる。慌てさせる。⸢アールン[⸢ʔaːruŋ](自動、急ぐ{EOS}暴れる)の他動詞。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢オーパ⸣ヤーラ ⸢ワン アーラサリティ⸣ ブ⸢ガ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢tumu⸣ti ⸢ʔoːpa⸣jaːra ⸢wan ʔaːrasariti⸣ bu⸢ga⸣ri ⸢naː⸣nu] (早朝から君にせかされて疲れてしまった) 129 0 0 93 htmvoc_129.wav アーラッパー ⸢アーラッパー [⸢ʔaːrappaː] 名 動作が荒々しいこと。荒っぽい人。粗雑な人。手荒に扱う人。手荒いこと。粗略に扱う人。 ウ⸢レー アーラッパー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミルバン ダーッ⸣サー ⸢シーユーサヌ [ʔu⸢reː ʔaːrappaː⸣ ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miruban daːs⸣saː ⸢ʃiːjuːsanu] (彼<あれ>は荒っぽい人だから、仕事をさせても立派に<上手に>できない) 130 0 0 94 htmvoc_130.wav アーラッパーシー ⸢アーラッパーシー [⸢ʔaːrappaːʃiː] 名 粗雑にすること。荒っぽくすること。乱暴に扱うこと。 ア⸢ラッパーシー スー⸣ プ⸢スンマー⸣ ク⸢レー⸣ シ⸢ミララヌ [ʔa⸢rappaːʃiː suː⸣ pu̥⸢summaː⸣ ku⸢reː⸣ ʃi⸢miraranu] (粗雑にする<乱暴に扱う>人には、これはさせられない) 131 0 0 95 htmvoc_131.wav アーラニバル ⸢アーラ⸣ニバル [⸢ʔaːra⸣nibaru] 名  (動)魚の名。和名、マハタ。スズキ科の魚。体長1メートル以上に成長する。鳩間島の⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)で、ノコギリダイを生餌にして、体長70~90センチのアーラニバルを釣り上げることができた。 ⸢アーラ⸣ニバロー ⸢マイ⸣ズニナーティ ム⸢チイズヌ⸣ イ⸢キムヌ⸣バ ⸢ムン⸣ダニ ⸢シェー⸣ティー ⸢ホー⸣ソーッタン [⸢ʔaːra⸣nibaroː ⸢mai⸣ʣuninaːti mu⸢ʧiʔiʣunu⸣ ʔi⸢kimunu⸣ba ⸢mun⸣dani ⸢ʃeː⸣ti ⸢hoː⸣soːttaŋ] (マハタの大物は、前曽根でノコギリダイを生餌にして釣り上げられたものだ) 117 0 0 96 htmvoc_117.wav アーラバカ ⸢アーラバカ [⸢ʔaːrabaka] 名 (地)西表島北岸伊武田地区の地名。同地区のウ⸢ブ⸣ミジ[ʔu⸢bu⸣miʣi](大見謝川)の西側の⸢ケーダタバ⸣ル[⸢keːdataba⸣ru](ケーダ田原)とトゥ⸢マダタバル[tu⸢madatabaru](トゥマダ田原)の中間にある水田地帯の名。トゥ⸢マダ田原に属するが、その中の「東の⸣パカ[⸣pḁka](ハカ<区域>)」の義。ニ⸢シムレー[ni⸢ʃimureː](米盛家)、ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː](小浜家)、イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː](西原家)、ア⸢ザテー[ʔa⸢ʣateː](東里家)、⸢ヨー⸣カヤー[⸢joːka⸣jaː](西原家)、ク⸢メー[ku⸢meː](小浜家)等の水田が広がっていた 133 0 0 97 htmvoc_133.wav アーラバカミナトゥ ⸢アーラバカミナトゥ [⸢ʔaːrabakaminatu] 名 地名。西表島伊武田地区トゥ⸢マダ[tu⸢mada]のアーラバカ(東区画)の小港。アーラバカ一帯の水田の⸢ター⸣ヌ シ⸢ビ[⸢taː⸣nu ʃi⸢bi](田の排水口<田尻>)が小さな港状になった舟の出入り口を形成していて、⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ,板舟)をそこから出入りさせて荷物の積み下ろしをしていた。 ニ⸢シムレーヌ⸣ イダフネー ⸢アーラバカミナトゥナー⸣ル フ⸢バリ⸣ ス⸢コー⸣レータ [ni⸢ʃimureːnu⸣ ʔidaɸuneː ⸢ʔaːrabakaminatunaː⸣ru ɸu⸢bari⸣ su̥⸢koː⸣reːta] (米盛家のサバニ<板舟>はアーラバカ港にもやって<舫って>おかれた) 139 0 0 98 htmvoc_139.wav アーラマイズニ ⸢アーラマイズニ [⸢ʔaːramaiʣuni] 名 (海底地名)。「東前曽根」の義。鳩間島の南面約500メートルの海中に発達した珊瑚礁の東側に分れて発達形成された曽根。この曽根は、ナ⸢カヌ⸣スニ[na⸢kanu⸣suni](中の曽根)へと続く。⸣スニ[⸣suni](曽根)とは、大潮の時にも珊瑚礁は海面に現れない所で、海底の珊瑚礁を言う。この曽根とタ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)の間に約60メートルのフ⸢チ[ɸu̥⸢ʧi](津口)がある 136 0 0 99 htmvoc_136.wav アーランカー アーランカー [⸢ʔaːraŋkaː] 名 慌て者。粗忽者。⸢アーリムヌ[⸢ʔaːrimunu](慌て者)ともいう。 マーン⸢ベー⸣マ ウ⸢ティ⸣シケーティ ア⸢ラキ⸣バ ⸣ミサムヌ ⸣アイニー ⸢アー⸣ランカー⸣ ナリティ ⸢ヌー⸣スワメー [maːʔm⸢beːma⸣ ʔu⸢ti⸣ʃi̥keːti ʔa⸢raki⸣ba misamunu ⸣ʔaini ⸢ʔaːraŋkaː⸣ nariti ⸢nuː⸣suwame] (もう少し落ち着いてあるけば<行動すれば>よいのに、あんな慌て者になってどうするのかね) 144 0 0 100 htmvoc_144.wav アーリバナ ⸢アーリバナ [⸢ʔaːribana] 名 上がり始めのころ。「上がり端」の義。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢アーリバナー⸣ アガーア⸢ガー⸣シ ス⸢マリティ⸣ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔaːribanaː⸣ ʔagaːʔa⸢gaː⸣ʃi su⸢marititi⸣ ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (太陽の上がり始めは真っ赤染まって非常に美しい) 1376 0 0 101 htmvoc_1376.wav アーリンーマ ⸢アーリンーマ [⸢ʔaːrimːma] 名 暴れ馬。気性の荒い馬。鳩間島には馬は育たないという伝承がある。神様が馬に跨って御嶽から御嶽へと回っておられるので、それに遭遇すると馬が暴れて⸢カンアタ⸣ル[⸢kanata⸣ru](神当り、神罰)するという。昔から現在に至るまで鳩間島で馬が飼われたことはないという 118 0 0 102 htmvoc_118.wav アール ⸢アール [⸢ʔaːru] 名 (動)蟻。 ア⸢ガアール [ʔa⸢gaʔaːru] (赤蟻) ッ⸢ふァー⸣ル [f⸢fuʔaː⸣ru] (黒蟻))。ッ⸢サー⸣ル[s⸢saː⸣ru](白蟻)等がいる 141 0 0 103 htmvoc_141.wav アールカジ ⸢アールカジ [⸢ʔaːrukadʒi] 名 東風。普通の東風はやわらかに、そよそよと吹く風である。⸢アンカジ[⸢ʔaŋkadʒi](東風)ともいう。 ⸢アールカジヌ <ア⸢ンカジヌ> フクン [⸢ʔaːrukadʒinu⸣ <⸢ʔaŋkaʤinu> ɸu̥kuŋ] (東風が吹く) 143 0 0 104 htmvoc_143.wav アールティダ ⸢アールティダ [⸢ʔaːrutida] 名 上がる太陽。⸢アーリティダ[⸢ʔaːritida](上がる太陽)ともいう。 ⸢アールティダル⸣ ウ⸢ガ⸣ム [⸢ʔaːrutidaru⸣ ʔu⸢ga⸣mu] (昇る太陽を拝む{EOS}神聖な太陽を拝む{EOS}転じて、勢力の大きな者に従う)。老年層には昇る太陽を神聖なものとして拝む習慣があった。⸢アールティダー⸣ フ⸢チ⸣ル ⸢イールティダー⸣ ドゥク[⸢ʔaːrutidaː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢ʔiːrutidaː⸣ duku](上がる太陽は薬、西日<午後の太陽>は毒)<諺>。 ⸢アールティダヌ ペー⸣ルンダ イッ⸢ケナ ヌッ⸣サン [⸢ʔaːrutidanu peː⸣runda ʔi⸢kkena nus⸣saŋ] (東から上る太陽光線が座敷に差し込むので非常に暖かい) 119 0 0 105 htmvoc_119.wav アールバユミ ⸢アールバ⸣ ユミ [⸢ʔaːruba⸣ jumi] 連 ⸢蟻を数えるように」の義。転じて動作ののろい意。 ⸢アールバ⸣ ユメーティ ア⸢ラカン⸣ドーシ ⸢ダンダン⸣シ ア⸢ラ⸣キパリ⸢ツォー [⸢ʔaːruba⸣ jumeːti ʔa⸢rakan⸣doːʃi ⸢dandaŋ⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kipari⸢ʦoː] (蟻を数えるようにのろのろ歩かないで、さっさと歩いて行きなさいよ<行きなさいってば>) 145 0 0 106 htmvoc_145.wav アールピサ ⸢アールピサ [⸢ʔaːrupisa] 名 屋根の東側の斜面。「上がり(東)ひら」の義。⸢アンタヌピサ[⸢ʔantanupi̥sa](東のひら)ともいう。 ⸢イールピサ [⸢ʔiːrupi̥sa] (西のひら) ⸢インタヌピサ [⸢ʔintanupi̥sa] (西のひら))。 ⸢マイ⸣ピサ [⸢mai⸣pi̥sa] (前のひら) ⸣マンタヌピサ [⸣mantanupi̥sa] (前のひら))。ニ⸢シピサ[ni⸢ʃipi̥sa](北のひら)、ニ⸢シンタヌピサ[ni⸢ʃintanupi̥sa](北側のひら)参照 146 0 0 107 htmvoc_146.wav アールビルティダ ⸢アールビルティダ [⸢ʔaːrubirutida] 名 東の方にある太陽。午前中の太陽。「東の方に居る太陽」の義。酷暑の夏には午前十一時ごろに仕事を終え、午後は三時以降日没まで野良仕事を続けた。 ⸢アールビルティダヌ⸣ アルンケンナー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シ クー⸢ディー [⸢ʔaːrubirutidanu⸣ ʔaruŋkennaː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi kuː⸢diː] (午前の太陽のあるうちに畑を耕して来ようよ) 147 0 0 108 htmvoc_147.wav アールムティ ⸢アールムティ [⸢ʔaːrumuti] 名 東の側、東側。⸢アーラムティ[⸢ʔaːramuti](東側)ともいう。⸢イールムティ[⸢ʔiːrumuti](西側)の対義語。 ガ⸢バナレーヌ アールムティナー⸣ル ユ⸢チン⸣マー ⸣アル [ga⸢banareːnu ʔaːrumutinaː⸣ru ju⸢ʧim⸣maː ʔaru] (赤離れの東側にユチン(地名)はある) 148 0 0 109 htmvoc_148.wav アールン ⸢アー⸣ルン [ʔaː⸣ruŋ] 自動 配分されて全体に行き渡る。 ムー⸢ルンナー⸣ニ ⸢アー⸣ルンユー ⸢ピーチ⸣ナー ⸢パイ⸣ミリバ [muː⸢runnaː⸣ni ⸢ʔaː⸣ruɲuː ⸢piːʧi⸣naː ⸢pai⸣miriba] (皆に行き渡るように配分できるのかどうか、一つずつ配ってごらんよ)。 ムー⸢ル⸣ネー ⸢アーラサラヌ [muː⸢ru⸣neː ⸢ʔaːrasara⸣nu] (皆には均等に配分出来ない)。 ムー⸢ル⸣ニ ⸢アー⸣ル ⸣ブン ⸢ナーン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [muː⸢ru⸣ni ⸢ʔaː⸣ru ⸣bun ⸢naːŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (全員に均等に配分出来る分ないと困る) 149 0 0 110 htmvoc_149.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 慌てる。急ぐ。騒ぐ。暴れる。 ウ⸢ヌ パナ⸣シ ス⸢クター⸣ キモー ⸢アーリティ⸣ ム⸢ヌウモーラ⸣ヌ [ʔu⸢nu pana⸣ʃi su̥⸢kutaː⸣ kimoː ⸢ʔaːriti⸣ mu⸢nu ʔumoːra⸣nu] (その話をきいたので胸騒ぎし<胸がどきどきし>て、落ち着いて考えることが出来ない<ものが思われない>)。 ウ⸢ダラク⸣タンティン ⸢アーラヌ [ʔu⸢daraku⸣tantiŋ ⸢ʔaːranu] (びっくりして<驚いても>も慌てない)。 ウ⸢ダラ⸣クカー ター⸢ン アールン [ʔu⸢dara⸣kukaː taː⸢ŋ ʔaːruŋ] (驚いたら誰でも慌てる)。 ウ⸢リン⸣ カタチニ ⸢アール⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢riŋ⸣ kḁtaʧini ⸢ʔaːru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼のように慌てる<騒ぐ>人はいない)。 ⸣アイニ ⸢アールナ [ʔaini ⸢ʔaːruna] (そんなに慌てるな<急ぐな>)。 ⸣アイニ ⸢アーレー⸣ラー ター⸢ン⸣ ム⸢ヌバシ⸣キ ⸢シース [⸣ʔaini ⸢ʔaːreː⸣raː taː⸢m⸣ mu⸢nubaʃi̥⸣ki ⸢ʃiːsu] (あんなに慌てたら誰でも物忘れするよ) 150 0 1 111 htmvoc_150.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_1}上がる。昇る。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢アールン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔaːruŋ] (太陽が昇る)。 ⸣ティダー マ⸢ダ アーラヌ [⸣tidaː ma⸢da ʔaːranu] (太陽はまだ昇らない) 150 0 2 112 htmvoc_150.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_2}蒸しあがる。 ム⸢チェー アーレーン⸣カヤー [mu⸢ʧeː ʔaːreːŋ⸣kajaː] (餅は蒸しあがったかなあ)。 ム⸢チヌ アールバドゥ⸣ ナベー ウ⸢タリル [mu⸢ʧinu ʔaːrubadu⸣ nabeː ʔu⸢tariru] (餅が蒸しあがってこそ<はじめて>鍋は竈よりはずされる)。 150 0 3 113 htmvoc_150.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_3}沸騰する。 ⸢スー⸣ヌ ⸢アール⸣カー ⸢ミー⸣ス イ⸢リ⸣ミサン [⸢suː⸣nu ⸢ʔaːru⸣kaː ⸢miː⸣su ʔi⸢ri⸣misaŋ] (お汁が沸騰したら味噌を入れてよい) 1374 0 1 114 htmvoc_1374.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_1}荒れる。思うままにふるまう。 ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ブ⸣リ ス⸢ナ⸣カン ⸢アーリティ⸣ フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bu⸣ri su⸢nakaŋ ⸢ʔaːriti⸣ ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (天気は崩れ、海も荒れて船は出されない)。 1374 0 2 115 htmvoc_1374.wav アールン ⸢アールン [⸢ʔaːruŋ] 自動 {Mn_2}暴れる。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢アーリティ ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ⸢ʔaːriti joː⸣ʣoː ʃi⸢kirara⸣nu] (この子供は暴れて手がつけられない) 140 0 0 116 htmvoc_140.wav アールンカイ ⸢アールンカイ [ʔaːruŋkai] 名 東向き。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヤ ⸢アールンカイ シーブー [ku⸢nu jaː⸣ja ⸢ʔaːruŋkai ʃiːbuː] (この家は東向きになっている) 151 0 0 117 htmvoc_151.wav アーレー ⸢アーレー [⸢ʔaːreː] 名 あわて(慌て)者。はしゃぎったてる者。落着きのない者。⸢アールン[⸢ʔaːruŋ](慌てる)の連用形⸢アーリ[⸢ʔaːri]に、接尾辞-ア[-a](~者)が下接して連母音 [ia] → [eː] の音韻変化を起こしたもの。 ウ⸢ヌ ッふァー アーレー⸣ ナリティ ムシ⸢トゥ⸣ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [ʔu⸢nu ffaː ʔaːreː⸣ nariti muʃi̥⸢tu⸣ ʔu⸢tisi̥ka⸣nu] (その子は、はしゃぎまわる子になって、ちっとも落ち着かない)。 ウ⸢ヌ アーレーヤ⸣ マ⸢タ⸣ ニ⸢ム⸣チ ⸢バシキティ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu ʔaːreːja⸣ ma⸢ta⸣ ni⸢mu⸣ʧi ⸢baʃi̥kiti⸣ pari⸢naː⸣nu] (あの慌て者は、また荷物を忘れて行ってしまった) 1377 0 0 118 htmvoc_1377.wav アーレーキ ⸢アーレーキ [⸢ʔaːreːki] 名 東側。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢クヌ アーレーキ⸣ナ フ⸢クンキーバ⸣ イ⸢ビス⸣コーレーン [⸢jaː⸣nu ka⸢kunu ʔaːreːki⸣na ɸu̥⸢kuŋkiːba⸣ ʔi⸢bisu̥⸣koːreːŋ] (屋敷の東側に福木を植えてあられる) 77 1 0 119 htmvoc_77.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 副 {PoS_1}そう(然う)。 ⸢バン⸣ヌン ⸣アイ ⸢スン [⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔai ⸢suŋ] (私もそうする)。 ⸣アイヤー サ⸢ヌ [⸣ʔaijaː sa⸢nu] (そうはしない)。 アイ⸢スン⸣ケン パ⸢タラカン⸣カー ナ⸢ラヌ [ʔai⸢suŋ⸣kem pḁ⸢tarakaŋ⸣kaː na⸢ranu] (それほどまでに<そうするまで>働かないといけないのか)。 77 2 0 120 htmvoc_77.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 感 {PoS_2}そう。あれ!相手の言葉に対する同意、肯定判断、感動を表す。 ⸣アイ ウ⸢リル⸣ マ⸢シ [⸣ʔai ʔu⸢riru⸣ ma⸢ʃi] (そうだ、それが良い)。 ⸣アイ ウ⸢レー ヌー⸣ シター [⸣ʔai ʔu⸢reː ⸢nuː⸣ ʃi̥taː] (あれ{EOS!}これは一体どうしたのかい)。そう。そのように。その通り。 ⸣アイ ⸢スーバ⸣ マ⸢シ⸣ヨー [⸣ʔai ⸢suːba⸣ ma⸢ʃi⸣joː] (そうした方が良い<増しだ>よ)。 ⸣アイル ⸢スー⸣カメー [⸣ʔairu ⸢suː⸣kameː] (そうしようかなあ、もう)。 ⸣アイ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔai ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (そうしないといけない)。相手の意見を一旦受け止め<肯定し>て、おもむろに話し手の意見を述べる際に言うことば。 ⸣アイ ウ⸢レー ワー⸣ アズ ⸢トゥー⸣ル ⸢バー⸣ル ⸢ワッ⸣サタ [⸣ʔai ʔu⸢reː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuː⸣ru ⸢baː⸣ru ⸢was⸣sata] (そう、それは君が言う通りだ{EOS}私が悪かった)。 ⸣アイ ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔai ⸢ge⸣ra] (そうさ{EOS}そうだよ)。 アイ ⸢ダー ワー⸣ アズ ⸢トゥー⸣ル [ʔai ⸢daː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuː⸣ru] (そうだよ{EOS}君のいう通りだ)。動詞や助詞と結びついて、⸣アイニ[⸣ʔaini](そのように)、アイ⸢バー⸣キ[ʔai⸢baː⸣ki](そんなにまで)、⸣アイヤー[⸣ʔaijaː](そんなには)、⸣アイル[⸣ʔairu](そのように<ぞ>)、⸣アイニン[ʔainiŋ](そんなにも)、⸣アイヌ パ⸢ナ⸣シ[⸣ʔainu pa⸢na⸣ʃi](そのようであるとのこと)、⸣アイ ⸢スン⸣ケン[⸣ʔai ⸢suŋkeŋ](そうするうちに、そうするまで)のように用いられる 154 0 0 121 htmvoc_154.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 名 あわい(間)。あいま。あいだ。時間的、空間的あいだ(間)に用いる。 ⸢キュー⸣トゥ ア⸢ツァ⸣ヌ ⸣アイナー ⸣ムティパリ [⸢kjuː⸣tu ʔa⸢ʦa⸣nu ⸣ʔainaː ⸣mutipari] (今日と明日の間に持って行け)。 パ⸢トゥマ⸣トゥ フ⸢ノーラ⸣ヌ ⸣アイナール パ⸢トゥ⸣マレーヤ ⸣アル [pḁ⸢tuma⸣tu ɸu⸢noːra⸣nu ⸣ʔainaːru pḁ⸢tu⸣mareːja ⸣ʔaru] (鳩間島と船浦の間に鳩離島はある) 156 0 0 122 htmvoc_156.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 名 藍。 ⸢アイ⸣ヌ ⸣シル [⸢ʔai⸣nu ⸣ʃiru] (藍の汁)。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢アイ⸣ヤー ス⸢ク⸣ローランシェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʔai⸣jaː su̥⸢ku⸣roːranʃeŋ] (鳩間では藍は作られなかった)。 ⸣アイ シゥ⸢カウン [⸣ʔai si̥⸢kauŋ] (藍を使う{EOS}藍汁で糸を染める) 157 0 0 123 htmvoc_157.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 名 喧嘩。争い。動詞⸣アウン[⸣ʔauŋ](喧嘩する)の連用形から転成した名詞形。 ⸢アイ⸣ヌ パ⸢ジマレー⸣ パ⸢ナン⸣ギラティ ア⸢ザリ ブー [⸢ʔai⸣nu pa⸢ʤimareː⸣ pa⸢naŋ⸣girati ʔa⸢ʣari buː] (喧嘩の始まりは悪ふざけからだといわれている)。 ン⸢メーマヌ⸣ クトーラル ⸢アイ⸣ヤ パ⸢ジマルタ [ʔm⸢meːmanu⸣ ku̥toːraru ⸢ʔai⸣ja pa⸢ʤimaruta] (少しのことからが<ぞ>喧嘩は始まった) 159 0 0 124 htmvoc_159.wav アイ ⸢アイ [⸢ʔai] 名 口蓋。上歯の歯茎から硬口蓋にかけた部分。「腭、阿岐(あぎ)、口中上顎也」『和名抄』、「腭、アギ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢アイヌ⸣ パギ ⸣ヤミティ ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔainu⸣ pagi ⸣jamiti ⸢ʔiː⸣ja f⸢faːranu] (口蓋の皮膚がはがれて、痛くて飯が食べられない) 160 0 0 125 htmvoc_160.wav アイ ⸣アイ [⸣ʔai] 感 おや。まあ。あら。思いがけないことに驚いて発することば。 ⸣アイ ⸢ヌーシ⸣ターク⸢レー [⸣ʔai ⸢nuːʃi̥⸣taː ku⸢reː] (おや、いったいどうしたのか{EOS}これは)。 ⸣アイ ⸣ヌンティ ナ⸢クワ [⸣ʔai ⸣nunti na⸢kuwa] (あらまあ、どうして泣くの) 991 0 0 126 htmvoc_991.wav アイ ⸢ア⸣イ [⸢ʔa⸣i] 感 おや。まあ。あれっ。意外なとき、驚いたときに用いる語。 ⸢ア⸣イ ク⸢レー ヌー⸣シター [⸢ʔa⸣i ku⸢reː nuː⸣ʃi̥taː] (おや?、一体これはどうしたことだ) 168 0 0 127 htmvoc_168.wav アイーイー アイー⸢イー [ʔaiː⸢jiː] 感 そうか?その通りか?アイー⸢イー ワール⸣ カ⸢リン⸣ カ⸢ラシター[ʔaiː⸢jiː waːru⸣ ka⸢riŋ⸣ ka⸢raʃi̥taː](そうか?、君が彼に貸したのか?) 169 0 0 128 htmvoc_169.wav アイーイーアイルヤッター アイー⸢イー⸣ アイル ⸢ヤッター [ʔaiː⸢jiː⸣ ʔauru ⸢jattaː] 連 そうか?そうだったのか。 アイー⸢イー⸣ アイル ⸢ヤッター⸣ バー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サンシェン⸠ツォー [ʔaiː⸢jiː⸣ ʔairu ⸢jattaː⸣ baː noː⸢n⸣ s⸢saŋʃen⸠ʦoː] (そうだったのか{EOS}私は何も知らなかったのだよ) 79 0 0 129 htmvoc_79.wav アイアイ ⸣アイアイ [⸣ʔaiʔai] 感 あれあれ。あれまあ。驚いた時、予想外の出来事に逢着した時に発する声。 ⸣アイアイ ク⸢レー ヌー⸣シター [⸣ʔaiʔai ku⸢reː nuː⸣ʃi̥taː] (あれまあ、これはどうしたのだ) 80 0 0 130 htmvoc_80.wav アイイジカイイジ アイ⸢イジ⸣カイイジ [ʔai⸢ʔiʤi⸣kaiʔiʤi] 副 のらりくらり。あれこれと言い抜けるさま。「そう言い、ああ言い」の転訛したもの。 ⸢トゥイスクバン⸣ アイ⸢イジ⸣カイイジ ⸢シー⸣ イ⸢ザリヌンガール シー ベー [⸢tuisu̥kubaŋ⸣ ʔai⸢ʔiʤi⸣kaiʔiʤi ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢ʣarinuŋgaːru ʃiː beː] (詰問してものらりくらりして<そう言い、ああ言いして>、叱責逃れしている) 172 0 0 131 htmvoc_172.wav アイイズ ⸢アイイズ [⸢ʔaiʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、アミアイゴ。体長約15センチ。背びれに毒針を有し、刺されると痛い。上げ潮の波に乗って、干瀬のヤ⸢トゥ[ja⸢tu](リーフの割れ目{EOS}「やと(谷)」の義か)からリーフの上に群れて上がってくるところを、石を投げて脅すと沢山のアミアイゴが珊瑚礁の岩陰や干瀬の窪みにぴたっとくっ付いて動かなくなる。そこで、干瀬を走りながら小さな銛でそれを突いて漁獲したものである。 ⸢アイイゾー⸣ フ⸢ドゥブ⸣カー ⸢オン⸣デー ⸣ナルツォー [⸢ʔaiʔiʣoː⸣ ɸu⸢dubu⸣kaː ⸢ʔon⸣deː ⸣naruʦoː] (アミアイゴは成長するとオンデー<はなあいご>になるそうだ)。 ⸢アイイズ⸣ シ⸢キン パッ⸣タ [⸢ʔaiʔiʣu⸣ ʃi̥⸢kim pat⸣ta] (アイゴを突きに行った) 162 0 0 132 htmvoc_162.wav アイカーフンカー ⸢アイカーフン⸣カー [⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː] 名 喧嘩口論。 ⸢アイカーフン⸣カー ⸢スン [⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢suŋ] (喧嘩口論をする)。 ⸢クン⸣ネーヤ ⸢アイカーフンカー⸣ヌ キ⸢シラン⸣バン [⸢kun⸣neːja ⸢ʔaikaːɸuŋkaː⸣nu ki̥⸢ʃiram⸣baŋ] (この家は喧嘩口論が絶えないよ)。 ⸣ヌンティ ⸢アイカーフン⸣カー ⸢シー ベー⸣ワ [⸣nunti ⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢ʃiː beː⸣wa] (如何して喧嘩口論をしているのか)。 ⸢ウン⸣ネナー ⸢アイカーフンカー⸣ヌ ⸣キシテー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenaː ⸢ʔaikaːɸuŋkaː⸣nu ⸣ki̥ʃiteː ⸢naː⸣nu] (あの家では喧嘩口論の絶えることがない)。⸢フン⸣カー[⸢ɸuŋ⸣kaː]は石垣方言の⸢ヒ⸣ンカー[⸢çi⸣ŋkaː](反抗、抵抗、「返歌」の義)『石垣方言辞典』の転訛したものか 1400 1 0 133 htmvoc_1400.wav アイカイ ⸣アイカイ [⸣ʔaikai] 名 {PoS_1}ああこう。あれやこれや。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸣アイカイ ⸢シール⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ タ⸢ナ⸣ミ シ⸢ミ⸣シケー [ʔu⸢nu⸣ kutoː ⸣ʔaikai ⸢ʃiːru⸣ jat⸢tu⸣ʃi ta⸢na⸣miʃikeː] (そのことは、あれやこれややって、やっとのことで頼んでおいてある)。 1400 2 0 134 htmvoc_1400.wav アイカイ ⸣アイカイ [⸣ʔaikai] 副 {PoS_2}そうこう。ああこう。あんなにこんなに。 ⸣アイカイ ⸢シーミッタ⸣ヌ ⸢バン⸣マー ナ⸢ラン⸣シェン [⸣ʔaikai ⸢ʃiːmitta⸣nu ⸢bam⸣maː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (ああもこうもやってみたが、私には出来なかった)。 ⸣アイカイ シ⸢メーティ⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣キモートゥリ フ⸢ターロー⸣ マー⸢ズン⸣ ナシェー⸢ダー [⸣ʔaikai ʃi⸢meːti⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ʔu⸢ja⸣nu ⸣kimoːturi ɸu̥⸢taːroː⸣ maː⸢ʣun⸣ naʃeː⸢daː] (ああこうさせて、やっとのことで親なだめて納得を得て<心をつかんで>二人を一緒にさせたのだよ) 163 0 0 135 htmvoc_163.wav アイカミ ⸢アイ⸣カミ [⸢ʔai⸣kami] 名 あいかめ(藍甕)。藍を入れて醗酵させるための甕。 ム⸢カ⸣シェー ⸢アイ⸣カミン ⸢アッタン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔai⸣kamiŋ ⸢ʔattan⸣du ma⸢na⸣maː ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (昔は藍甕もあったが、今は見たこともない<見てみない>)。 ⸢アイ⸣カミナ カ⸢シ⸣トゥ ヌ⸢キ⸣ イ⸢リティ⸣ ス⸢ミ⸣バ [⸢ʔai⸣kamina kḁ⸢ʃi⸣tu nu⸢ki⸣ ʔi⸢riti⸣ su⸢mi⸣ba] (藍甕に\ruby{枷糸}{カセ|イト}と貫き糸を入れて染めなさいよ) 164 0 0 136 htmvoc_164.wav アイカン ⸢アイ⸣カン [⸢ʔai⸣kaŋ] 名 合鑑。あいふ(合符)。手荷物の預かり札。標準語からの借用語。運搬船で荷物を送る際に発行してもらい、石垣港や那覇港で合鑑と引き換えに荷物を受け取った。 ウ⸢キ⸣ナーヌ ニ⸢ム⸣チェー ⸢アイ⸣カンシ ウ⸢クルタ [ʔu⸢ki⸣naːnu ni⸢mu⸣ʧeː ⸢ʔai⸣kaŋʃi ʔu⸢kuruta] (沖縄への荷物は合鑑で送った) 173 0 0 137 htmvoc_173.wav アイク ⸢アイ⸣ク [⸢ʔai⸣ku] 名 担ぎ棒。アフゴ(朸)。「朸、和名阿布古(あふこ)、杖名也」『和名抄』の転訛したもの。荷を担う棒。 タ⸢キアイク [tḁ⸢kiaiku] (竹製の担ぎ棒) ⸢キーアイ⸣ク [⸢kiːai⸣ku] (木製の担ぎ棒))。ミ⸢ジカタミアイ⸣ク[mi⸢ʤikatamiai⸣ku](水担ぎ棒)等がある。木製のアイクは、直径約6センチの若木や木の枝を利用して作った。両端を尖らせて鉤状にし、紐が滑らないようにして両端に吊るして担ぐ棒。 ミ⸢ジタン⸣ゴー ⸢アイ⸣クシ カ⸢タ⸣ミ パ⸢ルバ⸣ル マ⸢シ [mi⸢ʤitaŋ⸣goː ⸢ʔai⸣kuʃi kḁ⸢ta⸣mi pa⸢ruba⸣ru ma⸢ʃi] (水桶<水担桶>は担ぎ棒で担いで行くほうがいい) 1420 0 0 138 htmvoc_1420.wav アイサバンカイサバン ⸣アイ⸢サバン⸣ カイ⸢サバン [⸣ʔai⸢sabaŋ⸣ kai⸢sabaŋ] 副 どんなにしても。いづれにしても。「ああしてもこうしても」の義。基本的にはABCDEFBCDE型の重言。 ⸣アイ⸢サバン⸣ カイ⸢サバン ノー⸣リサーギ ⸢スー⸣カー ミ⸢サ⸣ル [ʔai⸢sabaŋ⸣kai⸢saban noː⸣risaːgi ⸢suː⸣kaː mi⸢sa⸣ru] (どんなにしても、直りさえすればいいよ) 174 0 0 139 htmvoc_174.wav アイザムトゥ ⸢アイ⸣ザムトゥ [⸢ʔai⸣ʣamutu] 名 西村と東村の旗頭が出会う場所。小底家の東南(巳の方角)の十字路。「会い座元」の義か。西村と東村の境界線となる縦道と沿岸道路の横道が交差した所。そこは、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢na⸣ʔiugaŋ](鬚川御嶽)と⸣サンシキ[⸣saŋʃi̥ki](桟敷)を画する縦道に通ずる所でもある。友利御嶽から、朝の祈願を終えたサ⸢カサ、ティ⸢ジリ⸣ビーの神職者たちがカンシバを頭に巻いて、道歌を歌いながら下りて来られるのを、⸣サンシキで待機していたヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人)や⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代{EOS}部落会長)らがアイザムトゥで恭しく出迎えて、⸣サンシキヌウタ[⸣saŋʃi̥kinuʔuta](桟敷の歌)を歌い終える。それを合図に、アイザムトゥではドゥ⸢ラーン[du⸢raːŋ](銅鑼)が一段と強く打ち鳴らされ、東西の旗頭が合流し、東の旗頭を先頭にして⸣サンシキ(桟敷)へ入場し、余興が開始される。⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競漕)が済んで旗頭がトゥ⸢ニムトゥへ帰る際にも⸢アイ⸣ザムトゥで旗頭を揃え、⸢アイ⸣ザムトゥの歌を歌って来年の豊年豊作を予祝してそれぞれのトゥニムトゥへ帰る 175 0 0 140 htmvoc_175.wav アイザムトゥヌウタ ⸢アイ⸣ザムトゥヌ ⸣ウタ [⸢ʔai⸣ʣamutunu ⸣ʔuta] 連 「会い座元の歌」の義。神歌の一種。西村と東村の旗頭がトゥ⸢ニムトゥ[tu⸢nimutu](宗家)から出てきて出会う所、またトゥ⸢ニムトゥ(宗家)へと別れていく所の⸢アイ⸣ザムトゥ[⸢ʔai⸣ʣamutu](会い座元)で歌われる。⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta](豊年祭の歌)の項参照 685 0 0 141 htmvoc_685.wav アイシ ⸣アイシ [⸣ʔaiʃi] 連 ~の訳で。~の理由で。 ⸢ヌー⸣ヌ ⸣アイシ ⸣アイニ ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リ ⸢オー⸣ルワ [⸢nuː⸣nu ⸣ʔaiʃi ⸣ʔaini ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ri ⸢ʔoːru⸣wa] (どういう訳であんなに怒っていらっしゃるのか) 176 0 0 142 htmvoc_176.wav アイジ ⸢アイ⸣ジ [⸢ʔai⸣ʤi] 名 合図。連絡。案内。 ⸣ミーシ ⸢アイ⸣ジ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ミ⸢ラン⸣バン [⸣miːʃi ⸢ʔai⸣ʤii ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ mi⸢ram⸣baŋ] (目で合図をするのだが、ちっとも見ないよ)。 ⸢アイジ⸣ヌ ア⸢ラバ⸣ル パ⸢ラリ⸣ル、⸢アイ⸣ジェー ⸢ナー⸣ムヌ ⸢ヌー⸣シ パ⸢ラリ⸣ワ [⸢ʔaiʤi⸣nu ʔa⸢raba⸣ru pa⸢rari⸣ru、⸢ʔai⸣ʤeː ⸢naː⸣munu ⸢nuː⸣ʃi pa⸢rari⸣wa] (合図<案内>があってはじめて行ける<案内があらばこそ行かれる>のであって、案内は無いのにどうして行けようか) 165 0 0 143 htmvoc_165.wav アイシーカイシー アイ⸢シー⸣ カイシー [ʔai⸢ʃiː⸣ kaiʃiː] 連 そうこう(然う斯う)して。あれをしこれをして。あれこれと。何やかやと。「然うし斯うして」の転訛したもの。 アイ⸢シー⸣ カイシー ⸢シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ ス⸢ダ⸣ティ ケー⸢ダー [ʔai⸢ʃiː⸣ kaiʃiː ⸢ʃeː⸣tiruː jat⸢tu⸣ʃi su⸢da⸣ti keː⸢daː] (然う斯うして、やっとの事で育てあげてきたのだよ) 177 0 0 144 htmvoc_177.wav アイシーカイシー ⸣アイシーカイシー [⸣ʔaiʃiːkaiʃiː] 副 そうこうして。のらりくらりするさま。「ああし、こうし」の転訛したもの。 ⸣アイシーカイシー ⸢シェー⸣ティル ⸢バン⸣ター ヤッ⸢トゥ⸣シ ク⸢ラシ⸣ ケー⸢ダー [⸣ʔaiʃiːkaiʃiː ⸢ʃeː⸣tiru ⸢ban⸣taː jat⸢tu⸣ʃi ku⸢raʃi⸣ keː⸢daː] (そうこうしながら<ぞ>私らは、やっとのことで暮らしてきたのだよ) 3711 0 0 145 htmvoc_3711.wav アイシーカイシー アイ⸢シー⸣カイシー [ʔai⸢ʃiː⸣kaiʃiː] 副 そうこうして(然う斯うして)。そうし、こうし。あれし、これをしして。 アイ⸢シー⸣カイシー ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シル ⸣ウカー パ⸢ラウ⸣タ [ʔai⸢ʃiː⸣kaiʃiː ⸢ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃiru ⸣ʔukaː pa⸢rau⸣ta] (然う斯うしながら、やっとのことで<ぞ>借金を支払った) 179 0 0 146 htmvoc_179.wav アイシチ ⸢アイシチ [⸢ʔaiʃi̥ʧi] 名 挨拶(あいさつ)。標準語の「挨拶」が転訛したもの。普通は、⸣グリー[⸣guriː](御礼{EOS}頭を下げること)という。 ⸢アイシチ スン [⸢ʔaiʃi̥ʧi suŋ] (挨拶する)。 ミ⸢チェー⸣ラ ⸢ゲーサウバン アイシチンツァン サヌ [mi⸢ʧeː⸣ra ⸢geːsaubaŋ ʔaiʃi̥ʧinʦan sanu] (道で出会っても挨拶さえもしない) 180 0 0 147 htmvoc_180.wav アイシチユー ⸢アイシチユー [⸢ʔaiʃi̥ʧijuː] 名 挨拶用のもの。口実。形ばかりのもの。 ⸢アイシチユーヤンツァン⸣ ムティ パ⸢ラバ⸣ル ミ⸢チ ヤル [⸢ʔaiʃi̥ʧijuːjanʦam⸣ muti pa⸢raba⸣ru mi⸢ʧi jaru] (形ばかりのもの<挨拶用>だけでも持って行ったほうが常識<人の道というもの>だ) 166 0 0 148 htmvoc_166.wav アイシティ アイシ⸢ティ [ʔaiʃi̥⸢ti] 接 そして(然して{EOS}而して)。そうして(丁寧な言い方)。 アシ⸢ティ [ʔaʃi̥⸢ti] (そして)ともいう(ぞんざいな言い方)。 パ⸢ジメー ワー⸣ラ ⸢シー⸣ アイシ⸢ティ⸣ アトーラ カ⸢リン⸣ シ⸢ミリ [pa⸢ʤimeː waː⸣ra ⸢ʃiː⸣ ʔaiʃi̥⸢ti⸣ ʔatoːra ka⸢riŋ⸣ ʃi⸢miri] (最初は君からしなさい{EOS}そして後から彼にさせなさい) 184 0 0 149 htmvoc_184.wav アイジョー ⸢アイジョー [⸢ʔaiʤoː] 名 愛情。情愛。友愛。標準語からの借用語。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢アイジョーヌ⸣ タ⸢ラーン⸣カー ッ⸢ふァー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʔaiʤoːnu⸣ ta⸢raːŋ⸣kaː f⸢faː⸣ ja⸢bi⸣su] (親の愛情が足りないと子供はぐれる<性格がやぶれる>)。⸢ジョー[ʤoː](愛情)ともいう。普通はキム[⸣kimu](心、愛情、情)という。 キ⸢ム⸣ヌ ア⸢ツァー⸣ン [⸣kimu ʔa⸢ʦaː⸣ŋ] (心が篤い<情が篤い>)。 ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (愛情がない<心がない>) 167 0 0 150 htmvoc_167.wav アイシンカイシン ⸣アイシン ⸣カイシン [⸣ʔaiʃiŋ ⸣kaiʃiŋ] 連 どのみち(何の道)。いずれにしても。どっちみち。「ああしても、こうしても」の義。 ⸣アイシン ⸣カイシン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ムヌ [⸣ʔaiʃiŋ ⸣kaiʃin ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣ munu] (何の道<どっちみち>しなければならないこと) 178 0 1 151 htmvoc_178.wav アイシンカイシン ⸣アイシンカイシン [⸣ʔaiʃiŋkaiʃiŋ] 副 {Mn_1}いかようにしても~ない。「そうしても、こうしても~ない」の義。どうにもこうにも~ない。続く否定の条件句を誘導し、それと呼応して意味を強調する表現。「そうしても、ああしても」の転訛したもの。 ⸣アイシンカイシン ナ⸢ラン⸣ベーティ ⸢ワー⸣ラ ⸣ナラウンティ ⸢クー⸣タ [⸣ʔaiʃiŋkaiʃin na⸢ram⸣beːti ⸢waː⸣ra ⸣naraunti ⸢kuː⸣ta] (どうにもこうにもならなくて、貴方から習おうとやって来ました)。/ヘイヤー アンシン ナラナーキ ヘイヤー カンシン ナラナーキ/(ヘイヤー<囃子>そうしても<村建てが>出来ないので、ああしても<村建てが>できないので)「パトゥマ本ジラマ」『鳩間島古典民謡古謡集』。 178 0 2 152 htmvoc_178.wav アイシンカイシン ⸣アイシンカイシン [⸣ʔaiʃiŋkaiʃiŋ] 副 {Mn_2}どのみち。どっちみち。いずれにしても。結局。 アイ⸢シン⸣カイシン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ムヌ ⸢パー⸣ク ⸢シー⸣バ [ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃin ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣munu ⸢paː⸣ku ⸢ʃiː⸣ba] (どっちみちしなければならないおだから、早くしなさいよ) 1421 0 0 153 htmvoc_1421.wav アイシンカイシン ⸣アイ⸢シン⸣カイシン [⸣ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃiŋ] 副 ああもこうも。いづれにしても。どうにもこうにも。どのみち。「ああしてもこうしても」の義。基本的にはABCDEBCD型の重言。 アイ⸢シン⸣カイシン ⸢シーミラバ⸣ル ⸢フントー⸣ヌ ⸣クトー ワ⸢カ⸣ル ⸢サン⸣カー ワ⸢カラ⸣ヌ [ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃiŋ ⸢ʃiːmiraba⸣ru wa⸢ka⸣ru ⸢saŋ⸣kaː wa⸢kara⸣nu] (いづれにしても<ああしてもこうしても>してみてはじめて<してみたらばぞ>分かる{EOS}しないと分からない) 1440 0 0 154 htmvoc_1440.wav アイシンカイシン アイ⸢シン⸣カイシン [ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃiŋ] 副 どうでもこうでも。ああしてもこうしても。いづれにしても。 アイ⸢シン⸣カイシン サ⸢バドゥ⸣ ヤ⸢ル⸣カー ⸢パイ⸣サ ⸢スーモー マシ [ʔai⸢ʃiŋ⸣kaiʃin sa⸢badu⸣ ja⸢ru⸣kaː ⸢pai⸣sa ⸢suːmoː⸣ ma⸢ʃi] (どうでもこうでも<どのみち>しなければならないのなら、早くしたほうがよい) 185 0 0 155 htmvoc_185.wav アイスーカー ⸣アイ ⸢スー⸣カー [⸣ʔai ⸢suː⸣kaː] 連 そう<然う>するのなら。そうしたら。丁寧な表現。前件の前提条件を受けて後件の判断が起きる意を表す。 ⸢ワー⸣ アイ ⸢スー⸣カー ⸣バー ⸢ワーットー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔai ⸢suː⸣kaː ⸣baː ⸢waːttoː⸣ pa⸢rara⸣nu] (君がそうするのなら、私は君とは行けない<行くことが出来ない>) 187 0 0 156 htmvoc_187.wav アイスヌ ⸣アイ ⸢スヌ [⸣ʔai ⸢sunu] 連 そうだが。だがしかし。だけれど。丁寧な言い方。普通は、ぞんざいに、ア⸢スヌ[ʔa⸢sunu](だが{EOS}だがしかし<接続詞>)という。前に述べたことと対立する事柄を逆説的に述べる際に用いる。 ⸢ダイヤー⸣ タ⸢カーン⸣ツォー アイ⸢スヌ⸣ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マーン⸣ティ⸢ダー [⸢daijaː⸣ tḁ⸢kaːn⸣ʦoː ʔai⸢sunu⸣ ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maːn⸣ti⸢daː] (値段は高いそうだ{EOS}だがしかし、非常に美味しいそうだ) 181 0 0 157 htmvoc_181.wav アイズミ ⸢アイ⸣ズミ [⸢ʔai⸣ʣumi] 名 藍染め。 ⸢アイ⸣ズミキンナー ム⸢シン⸣ シゥ⸢カ⸣ヌ [⸢ʔai⸣ʣumikinnaː mu⸢ʃin sï̥k⸣anu] (藍染めの着物には虫もつかない) 182 0 0 158 htmvoc_182.wav アイズミキン ⸢アイ⸣ズミキン [⸢ʔai⸣ʣumikiŋ] 名 藍染の着物。 ⸢アイ⸣ズミキン キ⸢ス⸣カー ム⸢シン⸣ ッ⸢サラン⸣ツォー [⸢ʔai⸣ʣumikiŋ ki̥⸢su⸣kaː mu⸢ʃin⸣ s⸢saran⸣ʦoː] (藍染めの着物を着ると虫に刺されないそうだ) 183 0 0 159 htmvoc_183.wav アイズミヤー ⸢アイ⸣ズミヤー [⸢ʔai⸣ʣumijaː] 名 藍染め屋。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢アイ⸣ズミヤーヤ ナーン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaːja ⸢ʔai⸣ʣumijaːja ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (鳩間には藍染め屋はなかった) 188 0 0 160 htmvoc_188.wav アイスンケン アイ⸢スン⸣ケン [ʔai⸢suŋ⸣keŋ] 副 それほど~ない。そんなに~ない(丁寧な表現)。ア⸢スン⸣ケン[ʔa⸢suŋ⸣keŋ](それほど~ない{EOS}そんなに~ない)(ぞんざいな表現)ともいう。打ち消しの表現と対応して用いられる陳述副詞。 ウ⸢レー⸣ アイ⸢スン⸣ケン タ⸢カー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔai⸢suŋ⸣ken tḁ⸢kaː naː⸣nu] (それは、そんなに高くない) 189 0 0 161 htmvoc_189.wav アイダー アイ⸢ダー [ʔai⸢daː] 連 そうである。そうだ。その通りだ。副詞⸣アイ[⸣ʔai](そう{EOS}そのように)に終助詞⸢ダー[⸢daː](~だよ{EOS}~よ)の付いた形。 ウ⸢レー⸣ アイ⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔai⸢daː] (それはそうだよ)。⸢ダー[⸢daː](~だよ{EOS}~よ)は名詞、動詞の終止形、命令形、形容詞の語幹、副詞などに付く。 ク⸢レー⸣ フニ⸢ダー [ku⸢reː⸣ ɸuni⸢daː] (これは舟だよ)。 ⸢バン⸣ヌン パルン⸢ダー [⸢ban⸣num parun⸢daː] (私も行くよ)。 ヤー⸢ディン⸣ パリ⸢ダー [jaː⸢dim⸣ pari⸢daː] (必ず行けよ)。 ク⸢リル ⸣ パ⸢ヤー⸠ダー [ku⸢riru⸣ pa⸢jaː⸠daː] (これが早いよ) 190 0 1 162 htmvoc_190.wav アイダチ ⸢アイダ⸣チ [⸢ʔaida⸣ʧi] 名 {Mn_1}木槌。大工作業などで用いる木槌。鑿を使って材木にほぞあな(枘穴)を開ける際に用いるのは、アイダ⸢チェー⸣マ[ʔaida⸢ʧeː⸣ma](小木槌)という。 ⸢サイ⸣コー ⸢アイダ⸣チシ ⸢ヌン⸣バ ⸢シッ⸣ケーティ パ⸢ラー⸣ヌ ⸣アナー プ⸢ローッ⸣タ [⸢sai⸣koː ⸢ʔaida⸣ʧiʃi ⸢num⸣ba ⸢ʃik⸣keːti pa⸢raː⸣nu ⸣ʔanaː pu⸢roːt⸣ta] (大工は小槌で鑿を打ち<突き>ながら柱の穴を掘られた)。米を搗く際に用いる大木槌状の横杵は、ウ⸢ブアイダ⸣チ[ʔu⸢buʔaida⸣ʧi](大槌)という。建築工事に用いる大槌はガ⸢バ⸣ラ[ga⸢ba⸣ra](大槌)という。 ⸢アイダ⸣チシ ⸢シッ⸣キティ ⸢ヤーラキ⸣バ [⸢ʔaida⸣ʧiʃi ⸢ʃik⸣kiti ⸢jaːraki⸣ba] (木槌で打って柔らかくしなさい)。 190 0 2 163 htmvoc_190.wav アイダチ ⸢アイダ⸣チ [⸢ʔaida⸣ʧi] 名 {Mn_2}横杵。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピンマー フ⸢タールナー⸣シ ウ⸢ブアイダチ⸣バ ⸣ムテーティル ⸢マイヤ⸣ ッサイ⸢ヨーッ⸣タ [⸢joi⸣nu ⸣pimmaː ɸu̥⸢taːrunaː⸣ʃi ʔu⸢buʔaidaʧi⸣ba ⸣muteːtiru ⸢maija⸣ ssai⸢joːt⸣ta] (お祝いの際には二人ずつで横杵を持って米を搗かれた<精げられた>)。バ⸢コーシン⸣カ[ba⸢koːʃiŋ⸣ka](大勢の共同作業人)の食事を賄うには、普通の杵では米搗きが間に合わない。それで、ウ⸢ブアイダ⸣チ[ʔu⸢buʔaida⸣ʧi](大きな木槌の杵)を使って、三人一組で一つの臼に向かい、臼を二つ並べて掛け声をかけながら米搗きをした。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸢アイダ⸣チシル ⸢マイヤー⸣ ッ⸢サウ⸣タ [ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸢ʔaida⸣ʧiʃiru ⸢maijaː⸣ s⸢sau⸣ta] (若者達はアイダチで米を搗い<精げ>た) 85 0 0 164 htmvoc_85.wav アイダチェーマ アイダ⸢チェー⸣マ [ʔaida⸢ʧeː⸣ma] 名 小槌。木工用の小槌。 アイダ⸢チェー⸣マ カ⸢リ⸣ クーバ [ʔaida⸢ʧeː⸣ma ka⸢ri⸣ kuːba] (小槌を借りてきなさい) 212 0 0 165 htmvoc_212.wav アイツァ ⸢アイ⸣ツァ [⸢ʔai⸣ʦa] 名 斑点。色の混ざったもの。まだら。転じて、いろいろなものが混じって明確でないもの。 ス⸢ミ⸣シケール ⸢キン⸣バ ア⸢ラウタ⸣ クトー イ⸢ル⸣ヌ ⸣パギティ ⸢アイ⸣ツァイル ⸣ナリ ⸢ベー [su⸢mi⸣ ʃi̥keːru ⸢kim⸣ba ʔa⸢rauta⸣ kutoː ʔi⸢ru⸣nu ⸣pagiti ⸢ʔai⸣ʦaʔiru ⸣nari ⸢beː] (染めてある着物を洗ったところ、色が脱色して<禿て>まだら色<斑色>になっている) 213 0 0 166 htmvoc_213.wav アイツァースン ⸢アイツァー⸣スン [⸢ʔaiʦaː⸣suŋ] 自動 喧嘩し合う。乱闘する。動詞⸣アウン[⸣ʔauŋ](喧嘩する)の連用形⸣アイ[⸣ʔai](喧嘩し)に、動作作用の程度の激しさを表す接尾語⸢ツァー⸣スン[⸢ʦaː⸣suŋ](~散らす{EOS}散々に~する)が付いて複合動詞を形成したもの。 ⸢ウッ⸣ツァー サ⸢キ⸣ ヌムカー シ⸢グ アイツァー⸣スン [⸢ʔut⸣ʦaː sḁ⸢ki⸣ numukaː ʃi⸢gu ʔaitʦaː⸣suŋ] (彼らは酒を飲むと、すぐ喧嘩する)。 ⸢アイツァーサン⸣ドーシ ⸣ヌミバ [⸢ʔaiʦaːsan⸣doːʃi ⸣numiba] (喧嘩しないで飲めよ)。 ⸢ピーズ アイツァー⸣シ ⸢ベー [⸢piːʣu ʔaiʦaː⸣ʃi ⸢beː] (いつも喧嘩している)。 ⸢アイツァー⸣ス ⸣クトゥン ⸣アン [⸢ʔaiʦaː⸣su ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (喧嘩し合うこともある)。 ⸢アイツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaiʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (喧嘩し合えば良いのに)。 ⸢アイツァー⸣シバ [⸢ʔaiʦaː⸣ʃiba] (喧嘩し合えよ) 214 0 0 167 htmvoc_214.wav アイツァウシ ⸢アイ⸣ツァウシ [⸢ʔai⸣ʦaʔuʃi] 名 まだら模様の牛。白黒赤毛の混じった牛。⸣アガマラーウシ[⸣ʔagamaraːʔuʃi](赤毛の混じった牛)と同じ。 ⸢ウン⸣ネナー ⸢アイ⸣ツァウシヌ マ⸢レーン⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenaː ⸢ʔai⸣ʦaʔuʃinu ma⸢reːn⸣ʦoː] (その<あの>家にまだら模様の牛が生まれたそうだ) 216 0 0 168 htmvoc_216.wav アイツァビーツァ ⸢アイ⸣ツァビーツァ [⸢ʔai⸣ʦabiːʦa] 副 点々と汚れがついている様子。 ⸣ヌンティ ⸢アイ⸣ツァビーツァ ⸢キン⸣バ ユ⸢グシ⸣ シケーワ [⸣nunti ⸢ʔai⸣ʦabiːʦa ⸢kim⸣ba ju⸢guʃi⸣ ʃi̥keːwa] (どうして点々と着物を汚してあるのか) 215 0 0 169 htmvoc_215.wav アイツァムニ ⸢アイ⸣ツァムニ [⸢ʔai⸣ʦamuni] 名 複数の言語が交じり合って、はっきり理解できない不完全な言葉。片言交じりの言葉。発音も不完全で、たどたどしい言葉。 ウ⸢ヌ プスヌ⸣ ムネー ⸢アイ⸣ツァムニ ⸣ナリティ シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢nu pu̥sunu⸣ muneː ⸢ʔai⸣ʦamuni ⸣nariti si̥⸢karanu] (彼<その人>の言葉は、不完全な片言交じりの言葉で分からない<理解できない>) 191 0 0 170 htmvoc_191.wav アイツォー アイ⸢ツォー [ʔai⸢ʦoː] 連 そうなんだよ。指示代名詞ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)の副詞的用法(副詞)⸣アイ[⸣ʔai](そう)に、強意の終助詞⸠ツォー[⸠ʦoː](~<だ>よ)が付いた形。 アイ⸢ツォー ワー⸣ アズ ⸢トゥー⸣ル⸢ツォー [ʔai⸢ʦoː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuː⸣ru⸢ʦoː] (そうなんだよ{EOS}君の言う通りなんだよ) 192 0 0 171 htmvoc_192.wav アイツォー ⸣アイツォー [⸣ʔaiʦoː] 連 そうなんだそうだ。その通りだそうだ。指示代名詞ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)の副詞的用法(副詞)⸣アイ[⸣ʔai](そう)に、伝聞の終助詞⸠ツォー[⸠ʦoː](~<だ>そうだ{EOS})が付いた形。 ⸣アイツォー ⸢ワー⸣ ドゥ⸢シヌ⸣ ア⸢ズタ トゥー⸣ルツォー [⸣ʔaiʦoː ⸢waː⸣ du⸢ʃinu⸣ ʔa⸢ʣuta tuː⸣ruʦoː] (そうなんだそうだ{EOS}君の友人の言った通りだそうだ) 193 0 0 172 htmvoc_193.wav アイツォーシェー アイ⸢ツォー⸣シェー [ʔai⸢ʦoː⸣ʃeː] 連 そうなんですってば。アイ⸢ツォー[ʔai⸢ʦoː](そうなんだよ)に、相手に同意し再確認・反省の意を表す終助詞⸣シェー[⸣ʃeː](~ってば)の付いた形。 アイ⸢ツォー⸣シェー ⸢マーズン カイブレー⸣バ ⸣ミサタ ⸣ムンヌ [ʔai⸢ʦoː⸣ʃeː ⸢maːʣuŋ kaibureː⸣baː ⸣misata ⸣munnu] (そうなんですってば、一緒に買っておれば良かったのに<買わなかったので損をした>) 217 0 0 173 htmvoc_217.wav アイッツァースン ⸢アイッツァー⸣スン [⸢ʔaiʦaː⸣suŋ] 自動 喧嘩いあう。 ⸢キョー⸣ダイザーンナリ ⸣ザイサンヌクトゥシ ⸢アイッツァー⸣シ ⸢ミーヌッ⸣サン [⸢kjoː⸣daiʣaːnnari ʣaisannu kutuʃi ⸢ʔaitʦaː⸣ʃi ⸢miːnus⸣saŋ] (兄弟どうし財産のことで喧嘩しあって見苦しい) 218 0 0 174 htmvoc_218.wav アイティー ⸢アイ⸣ティー [⸢ʔai⸣tiː] 名 相手。 ⸢ワー アイ⸣ティー ナル プ⸢ソー⸣ クナー ブ⸢ラーヌ [⸢waː ʔai⸣ti naru pu⸢soː⸣ kunaː bu⸢raːnu] (君の相手になる人は、ここにはいない)。 ⸢アイティ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢スー⸣ボー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaiti⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢suː⸣boː na⸢ra⸣nu] (相手がいないと競争<勝負>は出来ない) 155 0 0 175 htmvoc_155.wav アイナカ ⸢アイナ⸣カ [⸢ʔaina⸣ka] 名 あいだ。人と人の間。中間。時間的にも空間的にも用いる。 ⸢ウン⸣トゥ ⸢ウン⸣ヌ ⸢アイナ⸣カナー マ⸢ミ⸣バ イ⸢ビ⸣シケー [⸢ʔun⸣tu ⸢ʔun⸣nu ⸢ʔaina⸣kanaː ma⸢mi⸣ba ʔi⸢bi⸣ʃi̥keː] (芋と芋の間に豆を植えてある)。 ブ⸢ドゥルトゥ ブドゥルヌ アイナ⸣カナー ⸢キョン⸣ギン ⸢ピー⸣ーチェー イ⸢リリ [bu⸢durutu budurunu ʔaina⸣kanaː ⸢kjongim ⸢piː⸣ʧeː ʔi⸢riri] (踊りと踊りの間に狂言を一つ入れなさい)。 トゥ⸢ジブトゥヌ アイナ⸣カナー ッ⸢ふァー⸣ ギュ⸢タール⸣ ナシェーワ [tu⸢ʤibutunu ʔaina⸣kanaː f⸢faː⸣ gju⸢taːru⸣ naʃeːwa] (夫婦の間に子供は何人生んであるか)。 フ⸢タールヌ アイナ⸣カナ パ⸢サマ⸣リティ ⸢ウーカラン⸣シェン [ɸu̥⸢taːrunu ʔaina⸣kana pḁ⸢sama⸣riti ⸢ʔuːkaraŋ⸣ʃeŋ] (二人の間に挟まれて動けなかった) 220 0 0 176 htmvoc_220.wav アイナリカイナリ ⸣アイナリカイナリ [⸣ʔainarikainari] 副 そうこうして(然う斯うして)。「然う成り斯う成り」の義。 ⸣アイナリカイナリ ⸢シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ プ⸢スナミ⸣ ナリ ⸣ケー⸢ダー [⸣ʔainarikainari ⸢ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃi pu̥⸢sunami⸣ nari keː⸢daː] (然う斯うして<ああなり、斯うなりして>やっとのことで人並みになってきたのだよ) 78 0 1 177 htmvoc_78.wav アイニ ⸣アイニ [⸣ʔaini] 副 {Mn_1}そんなに。そのように。 ⸣アイニ ⸢スー⸣カー ヤー⸢ディン⸣ マ⸢チガイ⸣ス [⸣ʔaini ⸢suː⸣kaː jaː⸢dim⸣ ma⸢ʧigai⸣su] (そのようにしたら必ず間違える)。 78 0 2 178 htmvoc_78.wav アイニ ⸣アイニ [⸣ʔaini] 副 {Mn_2}あんなに。あのように。 ⸣アイニ ⸢マイ⸣ヤ ⸣フネー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢mai⸣ja ⸣ɸuneː ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (あのように大きな船は見たことがない)。あのように。 ウ⸢レー⸣ アイニ ⸢スー⸣カー イ⸢チンバー⸣キン トゥ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔaini ⸢suː⸣kaː ʔi⸢ʧimbaː⸣kin tu⸢rara⸣nu] (それは、そのようにするといつまでたっても取られない) 1401 0 0 179 htmvoc_1401.wav アイニカイニ ⸣アイニカイニ [⸣ʔainikaini] 名 ああもこうも。そうもこうも。ABCDBC型の重言。 ⸣アイニカイニ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジマーシ カシゥカー⸣シ ⸢サーパッ⸣タ [⸣ʔainikaini mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤimaːʃi kasïkaː⸣ʃi ⸢saːpat⸣ta] (そうもこうも言葉をいいまわして賺して連れて行った) 195 0 0 180 htmvoc_195.wav アイヌシェー ⸣アイヌシェー [⸣ʔainuʃeː] 感 そうだよ。なるほど、そうなんだよ。相手の判断に共鳴して相槌を打つ意。 ⸢アイ⸣ヌシェー ウ⸢レー ワー⸣ アズ ⸢トゥール⸣ユンシェー [⸢ʔai⸣nuʃeː ʔu⸢reː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuːru⸣juŋʃeː] (そうなのだよ{EOS}それは君が言う通りなんだよ) 856 0 0 181 htmvoc_856.wav アイヌシェー ⸢アイ⸣ヌシェー [⸢ʔainu⸣ʃeː] 感 なるほど、そうなんだ。相手の意見に賛同する際に発する言葉。 ⸣ユー ⸢カン⸣ガイ⸣ミルカー ⸢アイヌ⸣シェー [⸣juː ⸢kaŋ⸣gai ⸣mirukaː ⸢ʔai⸣nuʃeː] (よく考えてみるとそうなんだわい) 221 0 0 182 htmvoc_221.wav アイヌパナ ⸢アイ⸣ヌパナ [⸢ʔai⸣nupana] 名 打ち身。皮下出血して青黒くなっているもの。「藍の花」の義。 ⸢トー⸣リティ イ⸢シ⸣ナ ⸢パン⸣バ ⸣ウティシケータンドゥ ⸢アイ⸣ヌパナ ンジ⸢ベー⸣バン [⸢toː⸣riti ʔi⸢ʃi⸣naː ⸢pam⸣ba ⸣ʔutiʃikeːtandu ⸢ʔai⸣nupana ʔnʤi⸢beː⸣baŋ] (倒れて石に足を打ちつけてあったが、青黒い打ち身<藍の花>が出ているよ) 86 0 0 183 htmvoc_86.wav アイブ ⸣アイブ [⸣ʔaibu] 連体 あんな。あのような。単数を表す。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢カウナ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢kauna] (あんな物は買うな)。 ⸣アイブ ⸣ムヌ ⸢カーサリン⸠トゥー  [⸣ʔaibu ⸣munu ⸢kaːsarin⸠tuː] (そんな<あんな>もの売れるものか<売れるっと?>)。 ⸣アイブ サ⸢キヌミ⸣ プ⸢ス⸣バ ブ⸢トゥティ ソーラ⸣ ブ⸢トゥ⸣ ム⸢タン⸣モー マ⸢シ [⸣ʔaibu sḁ⸢kinumi⸣ pu̥⸢su⸣ba bu⸢tuti soːra⸣ bu⸢tu⸣ mu⸢tam⸣moː ma⸢ʃi] (あんな酒飲みを夫にするよりは結婚しない<夫を持たない>ほうが良い)。 ⸣アイブ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジアー⸣キ プ⸢スン⸣ バ⸢ラーリン⸣ダ [⸣ʔaibu mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤiʔaː⸣ki pu̥⸢sum⸣ ba⸢raːrin⸣da] (あのようなことを言いふらして<言葉を言い歩いて>人に笑われるぞ)。 ⸣アイブ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなことはない)。 ⸣アイブ ⸣クトー イッ⸢カ ナーン⸣シェン [⸣ʔaibu kutoː ʔik⸢ka naːŋ⸣ʃeŋ] (そのような事は決して<一向に>なかった) 224 0 0 184 htmvoc_224.wav アイブームヌ ⸣アイ ⸢ブー ムヌ [⸣ʔai ⸢buː munu] 連 あんなだもの。そのようにしているもの。そんなだもの。 ⸣アイ ⸢ブー ムヌ⸣ バーア⸢ズ⸣ ムニ ス⸢クン⸣カヤー [⸣ʔai ⸢buː munu⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muni su̥⸢kuŋ⸣kajaː] (そんなだもの、私の言うことなんか聞くかな) 158 0 0 185 htmvoc_158.wav アイプス ⸢アイ⸣プス [⸢ʔai⸣pu̥su] 名 喧嘩をする人。喧嘩売り。 サ⸢キヌ⸣ ザーナーテー ⸢アイプス⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルン [sḁ⸢kinu⸣ ʣaːnaːteː ⸢ʔaipusu⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (酒の座では喧嘩人が出る) 87 0 0 186 htmvoc_87.wav アイブツァ アイ⸢ブ⸣ツァ [ʔai⸢bu⸣ʦa] 連体 あんな。あのような。複数を表す。ア⸢ブ⸣ツァ[ʔa⸢bu⸣ʦa](あんな{EOS}あのような)ともいう。 アイ⸢ブ⸣ツァ ⸣ムヌバ ⸢カイティ ヌー⸣スワ [ʔai⸢bu⸣ʦa ⸣munuba ⸢kaiti nuː⸣suwa] (あんな物などを買ってどうするのか) 223 0 0 187 htmvoc_223.wav アイブムヌヌ ⸣アイブ ⸣ムヌヌ [⸣ʔaibu ⸣mununu] 連 あんな者<物>が。 ⸣アイブ ⸣ムヌヌ ⸣ヤク ⸣タトゥンカヤー [⸣ʔaibu ⸣mununu ⸣jaku ⸣tatuŋkajaː] (あんな者<物>が役に立つかなあ) 196 0 0 188 htmvoc_196.wav アイベーティ アイ⸢ベー⸣ティ [ʔai⸢beː⸣ti] 接 それで。それ故に。前件を受けて、それを理由とする後件<帰結>を述べる際に用いる。順態接続を表す。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ⸣ アイ⸢ベー⸣ティ ⸣ウヤン イ⸢ザリ アー⸣クンティ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu⸣ ʔai⸢beː⸣ti ⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣari ʔaː⸣kunti] (彼は一向に他人の言うこと<話>を聞かない{EOS}それで親に叱られている<叱られてあるく>さ) 238 0 0 189 htmvoc_238.wav アイマ ⸢アイ⸣マ [⸢ʔai⸣ma] 名 合間。連続した物事のとぎれた間。⸣マドゥ[⸣madu](間遠)ともいう。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢アイマアイ⸣マナール パ⸢タキシグ⸣トゥン ⸣ナル [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ʔaimaʔai⸣manaːru pḁ⸢takiʃigu⸣tuːn ⸣naru] (雨の合間合間にしか畑仕事はできない<合い間合間にこそ畑仕事も出来る>)。 シ⸢グトゥヌ アイ⸣マナー ⸢マーリ⸣キー ミリッ⸢ふィーリ [ʃi⸢gutunu ʔai⸣manaː ⸢maːri⸣kiː mirif⸢fiːri] (仕事の合間に回ってきて見てくれ) 197 0 0 190 htmvoc_197.wav アイマールン ⸢アイマー⸣ルン [⸢ʔaimaː⸣ruŋ] 他動 謝る。謝罪する。 ⸢ワー アイマー⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ⸢アイマー⸣ルン [⸢waː ʔaimaː⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔaimaː⸣ruŋ] (君が謝ったら私も謝る)。 ⸢アイマー⸣リ ⸣ミサカー ⸢アイマー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔaimaː⸣ri ⸣misakaː ⸢ʔaimaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (謝って良ければ謝ることはできる)。 ⸢ドーン⸣グ ヤ⸢ブ⸣リティ ⸢アイマー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ イ⸢ザリター アイマーラン⸣シェン [⸢doːŋ⸣gu ja⸢bu⸣riti ⸢ʔaimaː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ʔi⸢ʣaritaː ʔaimaːraŋ⸣ʃeŋ] (道具を壊して、謝ろうと思ったが、叱られたので謝らなかった)。 ⸣バーラ ⸢アイマー⸣リ ⸣ミサカー ⸢アイマー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣baːra ⸢ʔaimaː⸣ri ⸣misakaː ⸢ʔaimaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (私から謝ってよければ謝ることは出来る)。 ⸢アイマー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaimaː⸣reː ⸣misamunu] (謝ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アイマー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaimaː⸣ri] (早く謝れ) 198 1 0 191 htmvoc_198.wav アイマチ ⸢アイマ⸣チ [⸢ʔaima⸣ʧi] 名 {PoS_1}あやまち(過ち)。失敗。「誤錯、安夜末覩(あやまつ)」『華厳音義私記』の転訛したもの。 プ⸢ソー⸣ ター⸢ン アイマ⸣チ ⸢シース [pu̥⸢soː⸣ taː⸢ŋ ʔaima⸣ʧi ⸢ʃiːsu] (人は誰でも過ちを犯す<過ちをする>)。 198 2 0 192 htmvoc_198.wav アイマチ ⸢アイマ⸣チ [⸢ʔaima⸣ʧi] 感 {PoS_2}ごめん。 ⸢アイマ⸣チ⸢ナー アイマ⸣チ⸢ナー [⸢ʔaima⸣ʧi⸢naː ʔaima⸣ʧi⸢naː] (ごめんねえ、ごめんねえ)。 ⸢アイマ⸣チ ⸢ダー [⸢ʔaima⸣ʧi ⸢daː] (ごめんよ<あやまちだよ>)。本来は、⸢バー⸣ル ⸢ワッ⸣サ ⸢アイ⸣マチ⸢ナー ⸣ヌビ ッ⸢ふィーリ⸣ダー[⸢baː⸣ru ⸢was⸣sa ⸢ʔaima⸣ʧi⸢naː ⸣nubi f⸢fiːri⸣daː](私が悪い{EOS}ごめんよ{EOS}堪忍してくれよ)という 240 0 0 193 htmvoc_240.wav アイマチスン ⸢アイマ⸣チ ⸢スン [⸢ʔaima⸣ʧi ⸢suŋ] 連 謝る。「過ちする」の義。 ⸢パー⸣ク ⸢アイマ⸣チ ⸢シー⸣ クー [⸢paː⸣ku ⸢ʔaima⸣ʧi ⸢ʃiː⸣ kuː] (早く謝って<過ちして>こい) 199 0 0 194 htmvoc_199.wav アイマルン ⸢アイ⸣マルン [⸢ʔai⸣maruŋ] 他動 謝る。詫びる。謝罪する。老年層は⸣ワキ ⸢スン[⸣waki ⸢suŋ](謝る{EOS}詫びる)を多用する。 ⸢アイ⸣マルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー アイマラン⸣バン [⸢ʔai⸣maruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ku⸢nu⸣ f⸢faː ʔaimaram⸣baŋ] (謝るかと思ったが、この子は謝らないよ)。 ⸢アイ⸣マリ ⸣ミサカー ⸢アイ⸣マル⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔai⸣mari ⸣misakaː ⸢ʔai⸣maru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (謝って良ければ謝ることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢アイ⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔai⸣mareː ⸣misamunu] (早く謝れば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢アイ⸣マリバ [⸣duːʃi ⸢ʔai⸣mariba] (自分で謝れよ) 200 0 0 195 htmvoc_200.wav アイミー ⸣アイミー [⸣ʔaimiː] 連 そうだろう?そうだね。目下に対して確認する表現。⸣アイ ⸢ヤン⸣ミー[⸣ʔai ⸢jam⸣miː](そう・である・ね<確認のイ>?)の縮まった形。ク⸢レー ワー⸣ ムヌ。 ⸣アイミー [ku⸢reː waː⸣ munu ⸣ʔaimiː] (これは君のものだ{EOS}そうだろう?) 1415 0 0 196 htmvoc_1415.wav アイヤー ⸣アイヤー [⸣ʔaijaː] 副 そんなには。 ⸣アイヤー ⸢サンブリ⸣バ [⸣ʔaijaː ⸢samburi⸣ba] (そうはするなよ<そうはしないでおれよ>) 201 0 0 197 htmvoc_201.wav アイヤーアラヌ ⸣アイヤー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu] 連 そうではない。ク⸢ヌ ジーヤ⸣ カイル ⸣カクミー。⸢アーイ⸣ アイヤー ア⸢ラ⸣ヌ ⸣アイニ ⸣カクカー マ⸢チガイ⸣ス[ku⸢nu ʤiːja⸣ kairu ⸣kḁkumiː。⸢ʔaːi⸣ ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu ⸣ʔaini ⸣kḁkukaː ma⸢ʧigai⸣su](この文字は、このように<ぞ>書くんでしょう?いや<否>、そうではない{EOS}そのように書くと間違えるよ)。アー⸢イ⸣ アイヤー ア⸢ラ⸣ヌ。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢タラヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu ⸢waː⸣ muneː ʔa⸢taranu] (いや<否>、そうではない{EOS}君の言うこと<言葉>は間違っている<当たらない>) 202 0 0 198 htmvoc_202.wav アイヤーカー アイ⸢ヤー⸣カー [ʔai⸢jaː⸣kaː] 接 それなら。仮にそうであれば。それであるなら。前件の仮定条件的表現を受けて後件を述べる際に用いる。⸣アイ ヤ⸢ル⸣カー[⸣ʔai ja⸢ru⸣kaː](そうであるなら)の縮まった形。 アイ⸢ヤー⸣カー ⸣アイティ ア⸢ザン⸣カー ッ⸢サン⸠ダー [ʔai⸢jaː⸣kaː ⸣ʔaiti ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː s⸢san⸠daː] (それならそうと言わなければ分らないよ) 203 0 0 199 htmvoc_203.wav アイヤーティ アイ⸢ヤー⸣ティ [ʔai⸢jaː⸣ti] 接 それだから。それ故に。それで。⸣アイ ヤ⸢レー⸣ティ[⸣ʔai ja⸢reː⸣ti](そうであるから)の縮まった形。順態接続を表す。 アイ⸢ヤー⸣ティル キ⸢ノー⸣ヤ ⸢クーン⸣ ブ⸢レー⸣バン⸢ナー [ʔai⸢jaː⸣tiru ki⸢noː⸣ja ⸢kuːm⸣ bu⸢reː⸣ban⸢naː] (それだから<それで>昨日は来なかったんだね)。「それだから」の義。前件を受けて、それを原因・理由とする帰結を述べる接続表現。 ウ⸢レー⸣ ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティ ニ⸢ビベー⸣ツォー アイ⸢ヤー⸣ティル キ⸢ノー⸣ヤ キ⸢ララン⸣ ブ⸢レー⸣ル⸢ナー [ʔu⸢reː⸣ ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤiti ni⸢bibeː⸣ʦoː ʔai⸢jaː⸣tiru ki⸢noː⸣ja ki⸢raram⸣ bu⸢reː⸣ru⸢naː] (彼は熱が出て寝ているそうだ{EOS}それで昨日は来られなかったん<来られずにいたの>だねえ) 226 0 0 200 htmvoc_226.wav アイヤッタ ⸣アイ ⸢ヤッタ [⸣ʔai ⸢jatta] 連 そうだった。 ⸣アイ ⸢ヤッタル⸣シェー⸢ナー⸣ イ⸢クサ⸣ユーナー ムー⸢ル パイ⸣ター ヒ⸢ナン⸣ シ⸢ミラリティル⸣ マ⸢ラリ⸣ヤ カ⸢カ⸣レータルシェー [⸣ʔai ⸢jattaru⸣ʃeː⸢naː⸣ ʔi⸢kusa⸣juːna muː⸢ru pai⸣taː çi⸢naŋ⸣ ʃi⸢miraritiru⸣ ma⸢rari⸣ja kḁ⸢ka⸣reːtaruʃeː] (そうだったよねえ{EOS}戦争中に皆西表島へ強制避難させられて<ぞ>マラリアに罹ったものだよ) 229 0 0 201 htmvoc_229.wav アイヤラバン ⸣アイ ヤ⸢ラバン [⸣ʔai ja⸢rabaŋ] 連 (仮に)そうであっても。それでも。仮定的前提条件。⸣アイ ヤ⸢ルバン[⸣ʔai ja⸢rubaŋ](そうであっても{EOS}そうであるにしても<確定的前提条件>)ともいう。カ⸢ジヌ⸣ フキティル キ⸢ララン⸣シェンツォー。⸣アイ ヤ⸢ラバン⸣ キ⸢ム⸣ヌ ⸣アルカー キ⸢ラリ⸣シェール[ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kitiru ki⸢raraŋ⸣ʃenʦoː。⸣ʔai ja⸢rabaŋ⸣ ki⸢mu⸣nu ⸣ʔarukaː ki⸢rari⸣ʃeːru](風<台風>が吹いて<ぞ>来られなかったそうだ{EOS}それでも気持ち<肝・心・愛情>があれば来られた<来ることができた>ろうよ) 205 0 0 202 htmvoc_205.wav アイヤルカー ⸣アイ ヤ⸢ル⸣カー [⸣ʔai ja⸢ru⸣kaː] 連 それなら。そうであるなら。 ⸣アイ ヤ⸢ル⸣カー ⸣メー ⸣バー パ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔai ja⸢ru⸣kaː ⸣meː ⸣baː pa⸢ra⸣nu] (それなら、もう私は行かない) 227 0 0 203 htmvoc_227.wav アイヤルヌ ⸣アイ ⸢ヤルヌ [⸣ʔai ⸢jarunu] 連 そうだが。そうではあるが。 ク⸢トゥシェー イーシ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ ム⸢タン⸣ツォー ⸣アイ ⸢ヤルヌ カーサン⸣カー ⸢モーキララ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃeː ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ mu⸢tan⸣ʦoː ⸣ʔai ⸢jarunu kaːsaŋ⸣kaː ⸢moːkirara⸣nu] (今年はツノマタの値段は高値を持たないそうだ{EOS}そうだが、売らないと儲けることが出来ない) 206 0 0 204 htmvoc_206.wav アイヤルンダ ⸣アイ ヤ⸢ルンダ [⸣ʔai ja⸢runda] 連 それだから。それゆえに。だから。前に述べた事柄が、後に述べる事柄の原因・理由になることを表す。 ⸣アイ ヤ⸢ルンダル ワーヨー クー⸣ナティ ア⸢ズ⸣ダー [⸣ʔai ja⸢rundaru waːjoː kuː⸣nati ʔa⸢ʣu⸣daː] (それだから<それゆえに>君に来るなと言うんだよ) 228 0 0 205 htmvoc_228.wav アイヤレーティ ⸣アイ ヤ⸢レー⸣ティ [⸣ʔai ja⸢reː⸣ti] 連 そうであるから。それ故に。 ⸣アイ ヤ⸢レー⸣ティル ウ⸢レー クーン⸣ ブ⸢レー⸠ナー [⸣ʔai ja⸢reː⸣tiru ʔu⸢reː kuːm⸣ bu⸢reː⸠naː] (それ故に<そうであったのでぞ>彼は来なかったのだねえ) 1417 0 0 206 htmvoc_1417.wav アイヤンダ アイ⸢ヤンダ [ʔai⸢janda] 接 だから。そうだから。そういう訳だから。順態接続を表す。アイヤ⸢ルンダ[ʔaija⸢runda](そうであるから)の縮約形。 アイ⸢ヤンダル キュー⸣ヤ キ⸢ララン⸣ ブ⸢レー⸣ル [ʔai⸢jandaru kjuː⸣ja ki⸢raram⸣ bu⸢reː⸣ru] (だから<そういう訳だから>今日は来れなかった<来れずにいた>のだろう)。 アイ⸢ベー⸣ティ [ʔai⸢beː⸣ti] (それだから<そうしているから>) アイヤ⸢レー⸣ティ [ʔaija⸢reː⸣ti] (それで{EOS}それだから))。⸣アイ ヤ⸢リ⸣キー、⸣アイ ヤ⸢レー⸣キ[⸣ʔai ja⸢reː⸣ki](それだから、それで)参照 1441 0 0 207 htmvoc_1441.wav アイル ⸣アイル [ʔairu] 副 そのように。⸣アイニル[ʔainiru](そのようにぞ)の縮約形。 ⸢ワー⸣ ッ⸢ふァ⸣ ア⸢タルヌ⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸣アイニル ⸣ウヤニ ⸣ムネー イ⸢ズ [⸢waː⸣ f⸢fa⸣ ʔa⸢tarunu⸣ mu⸢nu⸣nu ⸣ʔainiru ⸣ʔuajani ⸣muneː ʔi⸢ʣu] (君はこどものくせに<子供程度の者が>、あのように<ぞ>親にものをいうのか) 230 0 0 208 htmvoc_230.wav アイルムヌ ⸣アイル ⸣ムヌ [⸣ʔairu ⸣munu] 連 そうであるのに。そうだのに。⸣アイ ヤ⸢ル⸣ ムヌ[⸣ʔai ja⸢ru⸣ munu](そうであるのに)の縮まった形。 ⸣アイル ⸣ムヌ ⸣ヌンティ ア⸢ザンワ [⸣ʔairu ⸣munu ⸣nunti ʔa⸢ʣaŋwa] (そうであるのに、何故言わないのか) 241 0 0 209 htmvoc_241.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 自動 木の実などが熟れて落ちる。あゆ(零ゆ)。「~置きて枯らしみ安由流<アユル>實は~。万、4111」の転訛したもの。 ⸢マンズイ⸣ヤ ⸢ウー⸣ムカー ⸢アイルン [⸢manʣui⸣ja ⸢ʔuː⸣mukaː ⸢ʔairuŋ] (パパイヤの実は熟れたら落ちる) 242 0 1 210 htmvoc_242.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 自動 {Mn_1}できものの膿がでる。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢アイル⸣カー ⸢ヤン⸣マー ピ⸢クン [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢airu⸣kaː ⸢jam⸣maː pi⸢kuŋ] (おできの膿が出たら痛みはひく)。 242 0 2 211 htmvoc_242.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 自動 {Mn_2}乳汁が流れ出る。「~置きて枯らしみ安由流<アユル>實波~。万、4111」の転訛したものか。 ⸢シー⸣ヌ ⸢アーン ベー⸣ティル ッ⸢ふァー ヨーガリ ブー [⸢ʃiː⸣nu ⸢ʔaːm beː⸣tiru f⸢faː joːgaribuː] (乳が出ないので<ぞ>子供は痩せているのだ)。 242 0 3 212 htmvoc_242.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 自動 {Mn_3}木の実が落ちる。 ⸢バンスル⸣ヌ ⸣ナロー ⸢ウー⸣ムカ ⸢アイルン [⸢bansuru⸣nu ⸣naroː ⸢ʔuːmu⸣kaː ⸢ʔairuŋ] (グアバ<蕃石榴>の実は熟れると落ちる) 243 0 0 213 htmvoc_243.wav アイルン ⸢アイルン [⸢ʔairuŋ] 他動 上げる。 ク⸢リ⸣ タ⸢ナヌ ウイ アイリ [ku⸢ri⸣ ta⸢nanu ʔui ʔairi] (これを棚の上に上げなさい)。 ⸣ドゥーシ ⸢アイルンティ スンドゥ アイララヌ [⸣duːʃi ⸢ʔairunti sundu ʔairaranu] (自分で上げようとするが、上げられない)。 ⸢ニーム⸣チ タ⸢ナ⸣ナ ⸢アイ⸣ ミサカー ⸢アイル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢niːmu⸣ʧi ta⸢na⸣na ⸢ʔai⸣ misakaː ⸢ʔairu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (荷物を棚に上げてよければ上げることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaijaː⸣ misamunu] (もっと上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アイリ [⸢paː⸣ku ⸢ʔairi] (早く上げろ) 208 0 0 214 htmvoc_208.wav アインドゥヤルカー ⸣アインドゥ ヤ⸢ル⸣カー [⸣ʔaindu ja⸢ru⸣kaː] 連 もしも<仮に>そうであるなら。 ⸢ワー⸣ アズニ ⸢フン⸣トー ⸣アインドゥ ヤ⸢ル⸣カー ⸣バー ⸢カーヌ [⸢waː⸣ ʔaʣuni ⸢ɸun⸣toː ⸣ʔaindu ja⸢ru⸣kaː ⸣baː ⸢kaːnu] (君が言うように、本当にそうであるならば私は買わない) 209 0 0 215 htmvoc_209.wav アウ ⸢アウ [⸢ʔau] 名 青い色。青(青{EOS}緑{EOS}紺)を含む色。 ⸢アウティン⸣ナー ⸣クモー ⸢ピッ⸣チン ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔautin⸣naː ⸣kumoː ⸢pit⸣ʧin ⸢naː⸣nu] (青空には雲は一つもない)。 ⸢ナーンパー⸣ヤ アウー⸢アウ⸣シ グ⸢ダランケー⸣リ サ⸢カリ ベー [⸢naːmpaː⸣ja ʔauː⸢ʔau⸣ʃi gu⸢daraŋkeː⸣ri sḁ⸢kari beː] (菜っ葉は青々と瑞々しく生い茂っている) 210 0 0 216 htmvoc_210.wav アウ ⸣アウ [⸣ʔau] 名 お供(御伴)。人に付き添うこと。 ⸢アウ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢タンガ⸣シェー ナ⸢クラー⸣ヌ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʔau⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢taŋga⸣ʃeː na⸢kuraː⸣nu pa⸢rara⸣nu] (お供<付き添い>がいないと、一人では怖くて行かれ<行け>ない)。 ヤ⸢マ⸣アウ [ja⸢ma⸣ʔau] (山仕事の仲間)。 イ⸢ソーアウ [ʔi⸢soːʔau] (潮干狩りに行く仲間)。 ⸢アウ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー ナ⸢クラー⸣ヌ ⸢タンガ⸣シェー イ⸢ソー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʔau⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː na⸢kuraː⸣nu ⸢taŋga⸣ʃeː ʔi⸢soː⸣pa⸢rara⸣nu] (仲間がいないと怖くて一人では潮干狩りに行けない) 253 0 0 217 htmvoc_253.wav アウアウシ ⸢アウアウ⸣シ [⸢ʔauau⸣ʃi] 副 青々と。強調すると、アウ⸢アウ⸣シ[ʔau⸢ʔau⸣ʃi](非常に青々と)のようにアクセントが変わる。 ⸢ウンヌパー⸣ヤ アウ⸢アウ⸣シ グ⸢ダランケー⸣リ ムイ⸢ベー [⸢ʔunnupaː⸣ja ʔau⸢au⸣ʃi gu⸢daraŋkeː⸣ri mui⸢beː] (芋かずらの葉は青々とみずみずしく生い茂っている) 250 0 0 218 htmvoc_250.wav アウイラブチ ⸢アウイラブチ [⸢ʔauirabuʧi] 名  (動)魚の名。和名、ハゲブダイ。オオモンハゲブダイ。の総称。ブダイ科の仲間。体長25~30センチの成魚がよく漁獲される。刺身や煮付けにしても美味で、蒲鉾の原料として重宝される。 ⸣アン ウ⸢ラ⸣スカー ⸢アウイラブチン⸣ ユー ガ⸢ラサリ⸣タン [⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣sukaː ⸢ʔauirabuʧiŋ⸣ juː ga⸢rasari⸣taŋ] (網を仕掛ける<下ろす>とハゲブダイもよく漁獲された) 251 0 0 219 htmvoc_251.wav アウイル ⸢アウイル [⸢ʔauiru] 名 青色。緑色、紺色などを含む。 ク⸢ヌ キン⸣マー ⸢アウイル⸣シ ス⸢ミリ [ku⸢nu kim⸣maː ⸢ʔauiru⸣ʃi su⸢miri] (この着物は青色で染めなさい) 254 0 0 220 htmvoc_254.wav アウカリ ⸢アウカリ [⸢ʔaukari] 名 青田刈り。⸢青刈り」の転訛。作物が十分に熟しないうちに刈り取ること。 ⸢マイヌ ウーミキサン⸣ケン ⸢アウカリ シェー⸣ティル ム⸢ミ⸣ナー ⸢アウシジヌ⸣ マ⸢ザー⸣リ ⸢ブー⸣パジ [⸢mainu ʔuːmiki̥saŋ⸣keŋ ⸢ʔaukari ʃeː⸣tiru mu⸢mi⸣naː ⸢ʔauʃiʤinu⸣ ma⸢ʣaː⸣ri ⸢buː⸣paʤi] (稲が完熟しないうちに青田刈りしたので、籾に青粒が混ざっているのだろうよ) 257 0 0 221 htmvoc_257.wav アウガン ⸢アウガン [⸢ʔaugaŋ] 名 顔色の青いこと。青ざめたもの。顔面蒼白のもの。 ヤ⸢ミ⸣ル シ⸢タ⸣ユー ⸢アウガン⸣ ナリ ⸢ガンドー⸣レーティ ⸢アー⸣ク [ja⸢mi⸣ru ʃi̥⸢ta⸣juː ⸢ʔaugan⸣nari ⸢gandoː⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (病気なのか顔面蒼白になって、うなだれている) 258 0 0 222 htmvoc_258.wav アウクー ⸢アウクー [⸢ʔaukuː] 名 食用の青色の染料。「青粉(あおこ)」の義。戦前は蓬(よもぎ)の葉を搗いて青汁を作り、餅粉に捏ね混ぜて緑色の青餅を作った。 ⸢アウクーヤ ナーン⸣バ フ⸢チン⸣パーシ ⸢アウムチ⸣ スクラ [⸢ʔaukuːja naːm⸣ba ɸu̥⸢ʧim⸣paːʃi ⸢ʔaumuʧi⸣ su̥⸢ku⸣ra] (青粉がないから蓬の葉で青餅を作ろうよ) 259 0 0 223 htmvoc_259.wav アウコージ ⸢アウコージ [⸢ʔaukoːdʒi] 名 米、麦、豆などを蒸して蓆などにねかせ、それに麹菌を繁殖させたもの。味噌や醤油、地酒を造る原料とした。 ⸢アウコージ⸣ タティティ ⸢ミー⸣ス スクルン [⸢ʔaukoːdʒi⸣ tḁtiti ⸢miː⸣su su̥⸢ku⸣ruŋ] (青麹をたてて味噌を作る) 260 0 0 224 htmvoc_260.wav アウサビ ア⸢ウサビ [⸢ʔausabi] 名 ろくしょう(緑青)。青い錆。銅の表面に生じる緑色のさび(錆)で有毒と言われていた。 ア⸢カガニヌ⸣ サ⸢ベー アウイル ヤッタ [ʔa⸢kaganinu⸣ sa⸢beː ʔauiru jatta] (銅<赤がね>の錆は青色だった) 261 0 0 225 htmvoc_261.wav アウザムン ⸢アウザムン [⸢ʔauʣamuŋ] 自動 青ばむ。青みを帯びる。 ⸣ドゥク ウ⸢ダラ⸣クカー ⸣シラー ⸢アウザムン [⸣duku ʔu⸢dara⸣kukaː ⸣ʃiraː ⸢ʔauʣamuŋ] (ひどく驚くと顔色は青ばむ)。 ⸢ヨーガリティ⸣ シラン ⸢アウザミ ベー [⸢joːgariti⸣ ʃiraŋ ⸢ʔauʣami beː] (痩せ細って顔色も青ばんでいる)。 ⸣イルヌギティ ⸢アウザム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔirunugiti ⸢ʔauʣamu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (顔面蒼白になって<顔色が抜けて>青ばむことはない) 263 0 0 226 htmvoc_263.wav アウシース ⸢アウシース [⸢ʔauʃiːsu] 名 (植)青紫蘇。 ⸢アウシースーヤ⸣ キ⸢ザミティ⸣ ナ⸢マ⸣シナ カ⸢ケー⸣シティ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢マー⸣ン [⸢ʔauʃiːsuːja⸣ ki⸢ʣamiti⸣ na⸢ma⸣ʃina ka⸢keː⸣ʃi̥ti f⸢fuː⸣kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (青紫蘇は刻んで刺身に混ぜて食べると美味しい) 264 0 0 227 htmvoc_264.wav アウシジ ⸢アウシジ [⸢ʔauʃiʤi] 名 静脈が膨らみ、浮き出たもの。青筋。⸢アウシル[⸢ʔauʃiru](静脈)ともいう。 ⸢パン⸣ヌ ⸢アウシジヌ⸣ フ⸢クリ⸣ ンジティ ナ⸢クラーン⸠ダー [⸢pan⸣nu ⸢ʔauʃiʤinu⸣ ɸu̥⸢kuri⸣ ʔuʤiti na⸢kuraːn⸠daː] (足の静脈が膨らんで浮き出て恐いよ) 265 0 0 228 htmvoc_265.wav アウシタダリ ⸢アウシタダリ [⸢ʔauʃitadari] 副 瑞々しくたわわに。たわわな、滴るような瑞々しい緑色。 フ⸢ナ⸣ボー ⸢アウシタダリ スン⸣ケン ⸣ナリ ッ⸢サー⸣リ⸢ベー [ɸu⸢na⸣boː ⸢ʔauʃitadari suŋ⸣ken ⸣nari s⸢saː⸣ri⸢beː] (蜜柑<九年母>は滴るような瑞々しい緑色をなして、たわわに実っている)。 ⸢ゴーヤー⸣ヤ ⸢アウシタダリ スン⸣ケン ⸣ナリ ッ⸢サー⸣リティ ⸣アイニ ン⸢マーン⸣ギサワレー [⸢goːjaː⸣ja ⸢ʔauʃitadari suŋ⸣ken ⸣nari s⸢saː⸣riti ⸣ʔaini ʔm⸢maːŋ⸣gisawareː] (ゴーヤー<苦瓜>は滴るような瑞々しい緑色をして、なんと<そんなに>美味しそうなことよ) 266 0 0 229 htmvoc_266.wav アウシタダル ⸢アウシタ⸣ダル [⸢ʔauʃita⸣daru] 副 生臭さを衣類や肌に染み込ませているさま。じめじめして汗臭く、鮮魚の生臭さが染み付いたさま。「青滴り」の転訛したものか。カツオ節製造工場の職人たちが持つ臭気。 コー⸢ネー⸣ アイニ ⸢アウシタ⸣ダル ⸢シェー⸣ティ ⸢アーカン⸣ドーシ ⸢キン⸣マー ア⸢ライ⸣ キ⸢シ⸣バ [koː⸢neː⸣ ʔaini ⸢ʔauʃi̥ta⸣daru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːkan⸣doːʃi ⸢kim⸣maː ʔa⸢rai⸣ ki̥⸢ʃi⸣ba] (坊ちゃん、あんなに薄汚れした、じめじめした格好をしていないで、着物は洗濯して着なさいよ) 352 0 0 230 htmvoc_352.wav アウジル ⸢アウジル [⸢ʔauʤiru] 名 静脈。血管。青筋。「青弦」の義。 パ⸢ダ⸣ヌ ッ⸢ソー ベー⸣ティ ⸢アウジロー⸣ ミ⸢ラリ⸣ブー [pa⸢da⸣nu s⸢soː beː⸣ti ⸢ʔaudʒiroː⸣ mi⸢rari⸣buː] (肌が白いので静脈が見えている) 270 0 0 231 htmvoc_270.wav アウタ ⸢アウ⸣タ [⸢ʔau⸣ta] 名 (動)カエル(蛙)。濃緑の体色をもつ小型の蛙もいるが名称は不明。⸢アウタ⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ア⸢ミ⸣ヌ フーン[⸢ʔauta⸣nu na⸢ku⸣kaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ](蛙が鳴いたら雨が降る)蛙を食べる習慣はなかったが、煎じ薬として食することはあった 268 0 0 232 htmvoc_268.wav アウダ ⸢アウ⸣ダ [⸢ʔau⸣da] 名 もっこ(畚)。藁縄を網状に編んで、その四隅に吊り紐をつけ、芋や大根、南瓜などの農産物 または肥料や土などを運搬するのに用いる農具。「あうだ(箯輿)」、「Auoda.アヲダ(箍).担架に似た一種の簡易寝台で~」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。⸢アイ⸣ク[⸢ʔai⸣ku](おふご{EOS}「朸、和名阿布古<あふこ>、杖名也」『和名抄』の転訛)の前方と後方に吊るして農産物を運ぶ農具。前後一対の畚に入れた荷を、プ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](一荷)という。一方だけでは、カ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手)といい、前方の荷が重いことを、⸢マイ⸣ニー[⸢mai⸣niː](前荷)という。 ⸢ウン⸣マー ⸢アウ⸣ダナ イ⸢リティル⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸢クー⸣タ [⸢ʔum⸣maː ⸢ʔau⸣dana ʔi⸢ritiru⸣ ka⸢ta⸣mi ⸢kuː⸣ta] (芋は、もっこに入れて担いで来た)。 シ⸢キゴイ アウ⸣ダナ イ⸢リティ⸣ カ⸢タ⸣ミ [ʃi̥⸢kigoi ʔau⸣danaː ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢ta⸣mi] (堆肥をもっこに入れて担げ) 269 0 0 233 htmvoc_269.wav アウター ⸢アウター [⸢ʔautaː] 名 青田。稲が青々と生い茂っている田圃。 ⸢アウター⸣ナ ⸢ペー⸣リ ⸢トーサ⸣ トゥルンティ ⸢ベー [⸢ʔautaː⸣na ⸢peː⸣ri ⸢toːsa⸣ turunti ⸢beː] (稲の生い茂った青田に入って田草を取ろう<除草しよう>といている) 271 0 0 234 htmvoc_271.wav アウダキ ⸢アウダキ [⸢ʔaudaki] 名 青竹。ナ⸢マ⸣タキ[na⸢ma⸣taki](生竹)ともいう。 ⸢アウダキバ⸣ バ⸢リティ⸣ バター ⸣サキティトゥリ カー⸢カーニ⸣シ ⸢バー⸣ケー ス⸢クル⸣タ [⸢ʔaudakiba⸣ ba⸢riti⸣ bataː ⸣sḁkituri kaː⸢kaːni⸣ʃi ⸢baː⸣keː su̥⸢kuru⸣ta] (青竹を割って内皮を裂き除き、表皮だけで竹笊は作った) 272 0 0 235 htmvoc_272.wav アウタヌッふァ ⸢アウタ⸣ヌ ッ⸢ふァ [⸢ʔauta⸣nu f⸢fa] 連 (動)オタマジャクシ。「蛙の子」の義。 ⸢ター⸣ナー ⸢アウタ⸣ヌ ッ⸢ふァヌ⸣ キ⸢モーッ⸣サ ウイ⸢ベー⸣ン [⸢taː⸣naː ⸢ʔauta⸣nu f⸢fanu⸣ ki⸢moːs⸣sa ʔui⸢beː⸣ŋ] (田圃にはオタマジャクシガ気持ちよさそうに泳いでいる) 273 0 0 236 htmvoc_273.wav アウタムヌ ⸢アウタムヌ [⸢ʔautamunu] 名 青い薪。生木の薪。生木を約30センチの長さに切って斧で割った薪。「青炊き物」の転訛したものか。サ⸢リタムヌ[sa⸢ritamunu](枯れた薪{EOS}枯れ木を割って薪としたもの)の対義語。ナ⸢マタム⸣ヌ[na⸢matamu⸣nu](生木の薪)ともいう。 ⸢アウタムノー⸣ タ⸢ム⸣ヌダナヌ ⸢ウイ⸣ナ ⸢ヌーシティ カン⸣ソー シ⸢ミリ⸣バ [⸢ʔautamunoː⸣ ta⸢mu⸣nudananu ⸢ʔui⸣na ⸢nuːʃi̥ti kan⸣soː ʃi⸢miri⸣ba] (生木の薪は薪棚の上に乗せて乾燥させなさい) 274 0 0 237 htmvoc_274.wav アウダン ⸢アウダン [⸢ʔaudaŋ] 名 おうだん(黄疸)。皮膚や粘膜その他の組織が黄色になる症状。 ⸣ドゥーパダ ムー⸢ル アウダン⸣ ナリ ⸢ベー⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ⸢ヤン⸣マイカヤー [⸣duːpada muː⸢ru ʔaudan⸣ nari ⸢beː⸣nu ⸢nuː⸣nu ⸢jam⸣maikajaː] (体全体黄疸になっているが、何の病気かね) 292 0 0 238 htmvoc_292.wav アウッサーン ⸢アウッサー⸣ン [⸢ʔaussaː⸣ŋ] 形 生臭い。「青臭い」の義。魚や豚などの肉の生臭さなどについていう。 カ⸢ツ⸣ バ⸢ザイティ⸣ キンナー ナ⸢マ⸣カザ ス⸢マリティ アウッサー⸣ヌ キ⸢サラヌ [ka⸢ʦu⸣ ba⸢ʣaiti⸣ kinnaː na⸢ma⸣kaʣa su⸢mariti ʔaussaː⸣nu ki⸢saranu] (鰹を捌いて着物に生臭さがしみ込んで<染まって>生臭くて着れない) 293 0 0 239 htmvoc_293.wav アウッサリカザ ⸢アウッサリ⸣カザ [⸢ʔaussari⸣kaʣa] 名 生臭い匂い。 ⸢シーゾー⸣ヤー ⸢ペー⸣ルカー カ⸢ツヌ アウッサリカザ⸣ヌ シ⸢タン⸠ダー [⸢ʃiːʣoː⸣jaː ⸢peː⸣rukaː kḁ⸢ʦunu ʔaussarikaʣa⸣nu ʃi̥⸢tan⸠daː] (鰹節製造工場に入るとカツオの生臭い匂いがしたものだよ)。 ナ⸢マイズ⸣ヌ ⸢アウッサリ⸣カザー ウ⸢ティラン⸣バン⸢ナー [na⸢maizu⸣nu ⸢ʔaussari⸣kaʣaː ʔu⸢tiram⸣ban⸢naː] (魚の生臭さは 消えないねえ<落ちないねえ>) 256 0 0 240 htmvoc_256.wav アウッサリムヌ ⸢アウッサリ⸣ムヌ [⸢ʔaussari⸣munu] 名 生臭いもの。魚などの生臭いもの。 トゥ⸢カ⸣ザーイゾー ⸣メー イ⸢チバン⸣ヌ ⸢アウッサリ⸣ムヌ [tu̥⸢ka⸣ʣaːʔiʣoː ⸣meː ʔi⸢ʧiban⸣nu ⸢ʔaussari⸣munu] (カンランハギは、もう、一番の生臭いもの<魚>だ) 275 0 0 241 htmvoc_275.wav アウティンゾー ⸢アウティンゾー [⸢ʔautinʣoː] 名 青空のみえる天井。「青天井」の転訛したもの。 ⸢タイ⸣フーナ ⸢カー⸣ラ トゥ⸢バサリティ アウティンゾー⸣ ナ⸢リ⸣ブー [⸢tai⸣ɸuːna ⸢kaː⸣ra tu⸢basariti ʔautinʣoː⸣ na⸢ri⸣buː] (台風で屋根瓦が飛ばされて青い空が見える天井<青天井>になっている)。 ⸢アウティン [⸢ʔautiŋ] (青空) 276 0 0 242 htmvoc_276.wav アウトゥー ⸢アウトゥー [⸢ʔautuː] 名 青い海。青海原。深海。外海。「青、緑、紺」を含む色合いの深海。 カ⸢ツシンマー アウトゥー⸣ フ⸢カ⸣トーラル カ⸢ツォー ⸢ホー⸣シクー [kḁ⸢ʦuʃimmaː ʔautuː⸣ ɸu̥⸢ka⸣toːraru kḁ⸢ʦoː hoː⸣ʃikuː] (鰹船は外海から<ぞ>鰹を釣ってくる) 278 0 0 243 htmvoc_278.wav アウナキ ⸢アウナキ [⸢ʔaunaki] 名 猫が薄気味悪い声で鳴くこと。何か悪いことの起こる予兆として嫌われた。 マ⸢ヤ⸣ヌ ⸢アウナキ シーベー⸣ヌ ⸣ヌーッカヤー [ma⸢ja⸣nu ⸢ʔaunaki ʃiːbeː⸣nu ⸣nuːkkajaː] (猫が気味悪い鳴き方をしているが、何だろうか) 277 0 0 244 htmvoc_277.wav アウナジ ⸢アウナ⸣ジ [⸢ʔauna⸣ʤi] 名 (動)サキシマアオヘビ。「青く長いもの」の義。青色をした体長約60センチの無毒の蛇。 ⸢アウナ⸣ジェー ⸢マーパブン⸣ カタチニ⸣ ドゥコー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔauna⸣ʤeː ⸢maːpabuŋ⸣kḁtaʧini ⸣dukoː ⸢naː⸣nu] (アウナジは毒蛇のように毒を持っていない{EOS}<毒はない>) 280 0 0 245 htmvoc_280.wav アウナスン ⸢アウナスン [⸢ʔaunasuŋ] 他動 容器を空にする。一つの容器から他の容器へ内容物を全部移してしまう。あける。 ⸣ティル ⸢アウナスンティ スンドゥ アウナサラヌ [⸣tiru ⸢ʔaunasunti sundu ʔaunasaranu] (笊を空にしようとするが、空に出来ない)。 ク⸢ヌ⸣ ティロー ⸢アウナシティ ウン⸣ナー ビ⸢チ⸣ヌ ウン ⸣フナイバ [ku⸢nu⸣ tiroː ⸢ʔaunaʃiti ʔun⸣naː bi⸢ʧi⸣nu ʔuŋ ⸣ɸunaiba] (この笊は空にして、それに別の芋を押し込んで入れなさい)。 ⸢アウナス⸣ ティロー ⸢パー⸣ク ⸢アウナシ⸣バ [⸢ʔaunasu⸣ tiroː ⸢paː⸣ku ⸢ʔaunaʃi⸣ba] (空にする笊は早く空にしなさいよ)。 ⸢アウナシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaunaʃeː⸣ misamunu] (容器を空にすれば良いのに)。 ミ⸢ジェー⸣ カミナー イ⸢リティ タン⸣グ ⸢アウナスンティ スンドゥ アウナサラヌ [mi⸢ʤeː⸣ kaminaː ʔi⸢riti taŋ⸣gu ⸢ʔaunasunti sundu ʔaunasaranu] (水は甕に入れて、たご<担桶>を空にしようとするが、担桶を空にでき<され>ない)。 ク⸢ヌ ウー⸣ケー ⸢アウナシ⸣ ミサカー ⸢アウナス⸣ クトー ⸣ナルン [ku⸢nu ʔuː⸣keː ⸢ʔaunaʃi⸣ misakaː ⸢ʔaunasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (この桶は空にしてよければ空にすることはできる)。 ⸢アウナシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔaunaʃeː⸣ misamunu] (空にすればいいのに)。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢コー パー⸣ク ⸢アウナシ [ku⸢nu⸣ pḁ⸢koː paː⸣ku ⸢ʔaunaʃi] (この箱は早く空にしなさい) 279 0 0 246 htmvoc_279.wav アウナル ⸢アウナル [⸢ʔaunaru] 名 青い実。青い果実。未熟な実(果実)。 ⸢バンスル⸣ヌ ⸢アウナロー⸣ フ⸢チスボー⸣ン [⸢bansuru⸣nu ⸢ʔaunaroː⸣ ɸu̥⸢ʧisuboː⸣ŋ] (ばんじろう<蕃石榴・グアバ>の青い実<未熟な実>は渋い) 281 0 1 247 htmvoc_281.wav アウヌール ⸢アウヌール [⸢ʔaunuːru] 名 (植){Mn_1}アオノリ(青海苔)。アオゴケ(青苔)。 ミ⸢ナ⸣カー ⸢アウヌールバ⸣ フイ ア⸢ラカラ⸣ヌ [mi⸢na⸣kaː ⸢ʔaunuːruba⸣ ɸui ʔa⸢rakara⸣nu] (庭は青苔が生えて歩けない)。 281 0 2 248 htmvoc_281.wav アウヌール ⸢アウヌール [⸢ʔaunuːru] 名 {Mn_2}雨雲。 ⸢ティンマー⸣ ッふォーッ⸢ふォー⸣シ ⸢アウヌールヌ ⸣ カ⸢カ⸣リティ ⸢ウーアミヌ フイン⸣ギサーッサー [⸢timmaː⸣ ffoːf⸢foː⸣ʃi ⸢ʔaunuːrunu kḁ⸢ka⸣riti ⸢ʔuːʔaminu ɸuiŋ⸣gisaːssaː] (空は真っ黒に<黒々>雨雲がかかって大雨が降りそうだよ) 282 0 0 249 htmvoc_282.wav アウヌン ⸢アウヌン [⸢ʔaunuŋ] 自動 容器が空になる。手がすく(空く)。他の容器へ内容物が全部移されてしまう。 ミ⸢ジカメー アウネーン⸣カヤー [mi⸢ʤikameː ʔauneːŋ⸣kajaː] (水甕は空になったかなあ)。 ク⸢ヌ⸣ カメー マ⸢ダ アウナヌ [ku⸢nu⸣ kameː ma⸢da ʔaunanu] (この甕はまだ空にならない)。 プ⸢スッ⸣コー ⸢アウヌン⸣ パジ [pu̥⸢suk⸣koː ⸢ʔaunum⸣ paʤi] (水瓶一個は空くはずだ)。 プ⸢スッ⸣コー ⸢アウニナー⸣ヌ [pu⸢suk⸣koː ⸢ʔauninaː⸣nu] (一個は空になってしまった)。 ⸢ワー ティー⸣ヌ ⸢アウネー⸣カー ⸣バー ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣ヨー [⸢waː tiː⸣nu ⸢ʔauneː⸣kaː ⸣baː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣joː] (君は、手が空いたのなら私の手伝いをしろよ)。 ⸢ティー⸣ヤ ⸢アウネー⸣ ミサムヌ [⸢tiː⸣ja ⸢ʔauneː⸣ misamunu] (手が空けば良いのに) 295 0 1 250 htmvoc_295.wav アウヌン ⸢アウヌン [⸢ʔaunuŋ] 自動 {Mn_1}手が空く。暇になる。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢チナ⸣スカー ⸢ティー⸣ヤ ⸢アウヌンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢アウナヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢ʧina⸣sukaː ⸢tiː⸣ja ⸢ʔaunundu⸣ ma⸢na⸣maː ʔa⸢unanu] (この仕事を終えると手は空くが、今は手が空かない)。 ⸢ティー⸣ヤ ⸢アウニ ブー [⸢tiː⸣ja ⸢ʔauni buː] (手は空いている)。 ⸢ティー⸣ヌ ⸢アウヌ⸣ プ⸢ソー テー⸣ナイ ⸢シー⸣バ [⸢tiː⸣nu ⸢ʔaunu⸣ pu̥⸢soː teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ba] (手の空く人は手伝いしなさいよ)。 295 0 2 251 htmvoc_295.wav アウヌン ⸢アウヌン [⸢ʔaunuŋ] 自動 {Mn_2}懐妊していない(⸢腹が空の状態である」の比喩的表現)。 ⸣バター ⸢アウニ ブー [⸣bataː ⸢ʔauni buː] (お腹は空いている<妊娠していない>) 262 0 0 252 htmvoc_262.wav アウパー ⸢アウパー [⸢ʔaupaː] 名 青い葉。青葉。 ヤ⸢サイ⸣ヌ サ⸢リパーヤ⸣ シ⸢ティティ アウパータン⸣ガ ⸣トゥリクーバ [ja⸢sai⸣nu sa⸢ripaːja⸣ ʃi̥⸢titi ʔaupaː taŋ⸣gaː ⸣turikuːba] (野菜の枯れ葉は捨てて、青葉だけ持って来いよ) 283 0 0 253 htmvoc_283.wav アウパーオンギ ⸢アウパーオンギ [⸢ʔaupaːongi] 名 「青葉扇」の義。ビロウ(蒲葵)の生の葉で作った団扇。死人が出たときにのみ作って用いた。死人が出るとすぐビロウの葉を切って小さな団扇を作り、蝿や蚊を追い払ったり弔問客の用に供した。それ以外では、ビロウの葉を切るのは朝(午前中)と決まっていた。 ⸢アウパーオンギヌ⸣ フカー ク⸢バヌパーヤ⸣ ヤー⸢ディン⸣ シ⸢トゥムティ⸣ヌ ウ⸢チナー⸣ル キ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʔaupaːonginu⸣ ɸu̥kaː ku⸢banupaːja⸣ jaː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢tumuti⸣nu ʔu⸢ʧinaː⸣ru ki̥⸢soːt⸣ta] (青葉団扇の他は、クバの葉は必ず朝の内に切られた) 284 0 0 254 htmvoc_284.wav アウバイ ⸢アウバイ [⸢ʔaubai] 名 (動)「青蝿」の義。糞便や腐敗物に発生する大型の蝿。青黒い体色で、腹部に金色の光沢を有する。 イ⸢ズヌ⸣ ッサルター ⸢アウバイヌ⸣ シディティ ン⸢カーラヌ [ʔi⸢ʣunu⸣ ssarutaː ⸢ʔaubainu⸣ʃiditi ʔŋ⸢kaːranu] (魚が腐れたので、青蝿が孵化して見ることが出来ない<面と向かって正視できない>)。 ⸣ッサリイズナー ⸢アウバイヌ⸣ ダ⸢カーリ ベー [⸣ssariʔiʣunaː ⸢ʔaubainu⸣ da⸢kaːri beː] (腐れた魚に青蝿がたかっている) 285 0 0 255 htmvoc_285.wav アウバサ ⸢アウバサ [⸢ʔaubasa] 名 (植)「青芭蕉」の義。台湾原産芭蕉の一種で、樹高の高い品種。タ⸢カバ⸣サー[ta⸢kaba⸣saː](高芭蕉)ともいう。芭蕉布の繊維をとるのに用いる芭蕉。 ⸢アウバサー トー⸣シキー ⸣カーパギ ⸢ネーシティル⸣ イトゥ トゥ⸢ル⸣タ [⸢ʔaubasaː toː⸣ʃikiː ⸣kaːpagi ⸢neːʃitiru⸣ ʔitu tu⸢ru⸣ta] (青芭蕉は切り倒してきて皮を剥いで煮てから<ぞ>糸を取った) 286 0 0 256 htmvoc_286.wav アウバトゥ ⸢アウバトゥ [⸢ʔaubatu] 名 (動)アオバト(青鳩)。体は緑色。体長は家鳩と同じ大きさ。体は緑色を帯びている。家鳩に比して数は少なく限られた数しか飛来しなかった。 ⸢アウバトー ブー⸣クトー ブ⸢レーシタヌ ナン⸣ゾー ブ⸢ラーンシェン [⸢ʔaubatoː buː⸣ku̥toː bu⸢reːʃi̥tanu nan⸣ʣoː bu⸢raːŋʃeŋ] (青鳩は、いることはいたが、あまりいなかった) 287 0 0 257 htmvoc_287.wav アウパナダル ⸢アウパナダル [⸢ʔaupanadaru] 名 青洟(あおばな)。子供が垂らす青みを帯びた鼻汁。 ム⸢カ⸣シェー ⸢アウパナダル⸣ ッ⸢サーラ⸣ス ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラタヌ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔaupanadaru⸣ s⸢saːra⸣su ja⸢rabi⸣nu ⸢goː⸣ratanu ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣baŋ] (昔は青洟を垂らす子供が多かったが今は見られないよ) 288 0 0 258 htmvoc_288.wav アウパナリ ⸣アウパナリ [⸣ʔaupanari] 名 (地)西表島の東北、野原崎浜に近い海中にある大きな岩。「奥武離れ島」の転訛したもの。 ⸣アウパナリティ ア⸢ズン⸣トンマー ⸢ギー⸣ ミラン⸣シェン [⸣ʔaupanariti ʔa⸢ʣun⸣tommaː ⸢giː⸣ mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (アウ<奥武>離れ島という所には行ったことがない<行ってみなかった>) 211 0 0 259 htmvoc_211.wav アウパン ⸢アウパン [⸢ʔaupaŋ] 名 青斑(蒙古斑)。赤子の尻に青色の斑紋がついているものをいう。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ナ ⸢アウパンバ⸣ シ⸢キラ⸣リ マ⸢リ⸣キー ⸢ベー [ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢bi⸣na ⸢ʔaupamba⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ma⸢ri⸣kiː ⸢beː] (子供の尻に青斑をつけられて生まれてきている) 1230 0 0 260 htmvoc_1230.wav アウパン ア⸢ウパン [⸢ʔaupaŋ] 名 蒙古斑。子供の尻の青いこと。 ヤ⸢ラ⸣ベー マ⸢リ⸣クー ⸣ピンマー ムー⸢ル⸣ シ⸢ビ⸣ナー ⸢アウパン⸣ シ⸢キラリ⸣ブー [ja⸢ra⸣beː ma⸢ri⸣kuː pimmaː muː⸢ru⸣ ʃi⸢bi⸣naː ⸢ʔaupaŋ⸣ ʃi̥⸢kirari⸣buː] (子供は生まれてくる時には、みんな尻に蒙古斑<青斑>がついている<つけられている>) 289 0 0 261 htmvoc_289.wav アウピー ⸢アウピー [⸢ʔaupiː] 名 青い火。鬼火。「青火」の義。⸢ピー⸣ダマ[⸢piː⸣dama](火玉)ともいう。 シ⸢チ⸣ヌ ⸢ユー⸣ロー パ⸢カヌ⸣ マンタナー ⸢アウピーヌ⸣ ミ⸢ラ⸣リンツォー [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸢juː⸣roː pḁ⸢kanu⸣ mantanaː ⸢ʔaupiːnu⸣ mi⸢ra⸣rinʦoː] (節祭りの日の夜には墓の前に鬼火が見えるそうだ) 88 0 0 262 htmvoc_88.wav アウピキ ⸢アウピキ [⸢ʔaupiki] 名  (動)魚の名。和名、ルリスズメ。観賞用熱帯魚。枝珊瑚の中に棲息している。ノコギリダイを釣るときに釣り針に掛けた餌に群がり、餌を食いちぎる厄介な小魚である。 ⸢アウピキヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢ムン⸣ダニ ッ⸢ふァイ⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaupikinu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢mun⸣dani f⸢fai⸣naː na⸢ra⸣nu] (ルリスズメが集まって餌を食ってたまらない) 296 0 0 263 htmvoc_296.wav アウピナカン ⸢アウピナカン [⸢ʔaupinakaŋ] 名  (動)魚の名。和名、ナンヨウブダイ。⸢オーバ⸣チャー[⸢ʔoːba⸣ʧaː]という人もいるが、それは糸満方言だという。ブダイ科の魚。体型はグ⸢ジラ⸣フタイ[gu⸢ʣira⸣ɸu̥tai]に似るが、体長60~70センチと、グジラフタイより小型で、濃紺の上体部とスカイブルーの下腹部の体色を示す点は異なる。 ⸢アウピナカンヌン⸣ イ⸢ラブチ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ⸢ゲ⸣ラ [⸢ʔaupinakannuŋ⸣ ʔi⸢rabuʧi⸣tu ju⸢nu⸣munu⸢ge⸣ra] (アウピナカンもブダイと同じさ) 290 0 0 264 htmvoc_290.wav アウフキ ⸢アウフキ [⸢ʔauɸu̥ki] 名 顔色が青白くなること。青白いこと。顔色が抜けて白くなること。 ナ⸢ガヤン スー⸣ プ⸢ソー アウフキ⸣ ナ⸢リ⸣ス [na⸢gajan suː⸣ pu̥⸢soː ʔauɸu̥ki⸣ na⸢ri⸣su] (長期間病気すると<長病みすると>、人は青白い顔になる) 291 0 0 265 htmvoc_291.wav アウフクリ ⸢アウフクリ [⸢ʔauɸukuri] 名 青膨れ。顔全体が青くむくんだ様子。体が青くむくんだ様子。 ⸢ナーヤンバ シーティル ドゥー⸣ヤ ⸢アウフクリ シーベー⸣バン [⸢naːjamba ʃiːtiru duː⸣ja ⸢ʔauɸukuri ʃiːbeː⸣baŋ] (長患い<長病み>をして体は青膨れしているわい) 297 0 0 266 htmvoc_297.wav アウボーダ ⸢アウボーダ [⸢ʔauboːda] 名 (動)魚名。ブダイ科の魚。「青ぶだい」の義。和名、ナンヨウアオブダイ。 シ⸢ナカキ⸣ヤー ⸢シー アウボーダ⸣ ヤ⸢マシ⸣カ ガ⸢ラ⸣シェーン [ʃi⸢nakḁki⸣jaː ⸢ʃiː ʔauboːda⸣ ja⸢maʃi⸣ka ga⸢ra⸣ʃeːŋ] (追込み漁をしてアウボーダをたくさん漁獲した) 298 0 0 267 htmvoc_298.wav アウマミ ⸢アウマミ [⸢ʔaumami] 名 (植)青大豆。 ⸢アウマミ⸣ ブリキー バ⸢カシ ッふァー⸣ディー [⸢ʔaumami⸣ burikiː ba⸢kaʃi ffaː⸣diː] (青大豆を捥いできて炊いて食べようよ) 299 0 0 268 htmvoc_299.wav アウミー ⸢アウミー [⸢ʔaumiː] 名 青みを帯びたもの。 ク⸢レー アウミー⸣ シ⸢キ⸣ブンダ マ⸢ダ⸣ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː ʔaumiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣bunda ma⸢da⸣ f⸢faːranu] (これは青みがかっているから、まだ食べられない) 308 0 0 269 htmvoc_308.wav アウミツァ ⸢アウミツァ [⸢ʔaumiʦa] 名 青土。青い粘土。 ⸢パイ⸣タナー ⸢アウミツァー アッ⸣タン [⸢pai⸣tanaː ⸢ʔaumiʦaː ʔat⸣taŋ] (\ruby{南端}{ハイ|バタ}<西表島>には青土はあった)。ア⸢ガミツァ[ʔa⸢gamiʦa](赤土、赤粘土)の対語 301 0 0 270 htmvoc_301.wav アウムシ ⸢アウムシ [⸢ʔaumuʃi] 名 (動)青虫。芋虫など。芋の葉や菜っ葉などに発生して食害を起こす。 ⸢ナーヌ⸣パーナ ⸢アウムシヌ⸣ シディティ ッ⸢ふァイッツァリ⸣ シケー [⸢naːnu⸣paːna ⸢ʔaumuʃinu⸣ ʃiditi f⸢faitʦari⸣ ʃi̥keː] (菜っ葉に青虫が発生して食い散らしてある) 252 0 0 271 htmvoc_252.wav アウムヌ ⸢アウムヌ [⸢ʔaumunu] 名 青いもの。青物。生もの(未熟な物)。 ⸢ウーミ⸣ムノー ⸣ブリティ ⸢アウムヌノー⸣ ヌ⸢カ⸣シバ [⸢ʔuːmi⸣munoː ⸣buriti ⸢ʔaumunoː⸣ nu⸢ka⸣ʃiba] (熟れたものは捥いで、未熟のもの<青もの>は残しなさいよ) 300 0 0 272 htmvoc_300.wav アウムン ⸢アウムン [⸢ʔaumuŋ] 自動 青くなる。青む。 ウ⸢タ⸣リン ⸣トンマー ⸢アウムン [ʔu⸢ta⸣rin ⸣tommaː ⸢ʔaumuŋ] (打たれる所は青くなる<青む>)。 マ⸢ダ アウマヌ [ma⸢da ʔaumanu] (まだ青くならない)。 ⸢カイ⸣リティ ヤ⸢マシ⸣タ ス⸢ブシェー シンダイ アウミ⸣キー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kai⸣riti ja⸢maʃi̥⸣ta su⸢buʃeː ʃindai ʔaumi⸣kiː ⸢naː⸣nu] (転んで痛めた膝は次第に青みがかってきた) 302 0 0 273 htmvoc_302.wav アウヤサイ ⸢アウヤサイ [⸢ʔaujasai] 名 青野菜。 ナ⸢チ⸣ナルカー ⸢アウヤサイヌ ナーン⸣ナルンダ ⸢ウンヌパー⸣バル ⸢アウヤサイ ソーッ⸣タ [na⸢ʧi⸣ narukaː ⸢ʔaujasainu naːn⸣ narunda ⸢ʔunnupaːba⸣ru ⸢ʔaujasai soːt⸣ta] (夏になると青野菜が無くなるので、芋の葉を青野菜にされた) 303 0 1 274 htmvoc_303.wav アウリ ⸢アウ⸣リ [⸢ʔau⸣ri] 名 {Mn_1}難儀苦労。 ⸢アウ⸣リ ⸢スン [⸢ʔau⸣ri ⸢suŋ] (苦労をする)。 ⸢アウリ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ ⸢シーミッ⸣タン [⸢ʔauri⸣nu ⸢goː⸣kaʤi ⸢ʃiːmit⸣taŋ] (難儀苦労のありったけをしてみた<経験した>)。 303 0 2 275 htmvoc_303.wav アウリ ⸢アウ⸣リ [⸢ʔau⸣ri] 名 {Mn_2}気の毒なさま。かわいそうなさま。あわれな。/フンヌヨー アワリヌ ミチヤリバ ニシカイ ンカユティ キョーモンバ ユミ(誠に無常の道<あわれな人生>であるから 西に向かって経文を読み、)/「ニンブツァー(念仏歌)。シザヌクイ(兄の歌<声>)」 304 0 0 276 htmvoc_304.wav アウルン ⸢アウ⸣ルン [⸢ʔau⸣ruŋ] 他動 あおる(煽る)。団扇で風を起こす。煽ぐ。⸢オン⸣グンとも言う。 ⸢オン⸣ギシ ⸢アウ⸣ルン [⸢ʔoŋ⸣giʃi ⸢ʔau⸣ruŋ] (扇で煽る)。 ⸢アウラ⸣ヌ [⸢ʔaura⸣nu] (煽がない)。 ⸢アウリ⸣プサン [⸢ʔauri⸣pusaŋ] (煽ぎたい)。 ⸢アウ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔau⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (煽ぐ人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アウ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔau⸣reː ⸣misamunu] (もっと煽げば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢アウ⸣リバ [⸣duːʃi ⸢ʔau⸣riba] (自分で煽げ) 247 0 1 277 htmvoc_247.wav アウン ⸢アウン [⸢ʔauŋ] 自動 {Mn_1}実が完熟して落ちる。⸢アイルン[⸢ʔairuŋ](実が落ちる)の項参照。 フ⸢ナ⸣ブン ⸢バン⸣スルン ⸢ウーミ⸣タルカー ⸢アウンドゥ ウーマン⸣カー ⸢アーヌ [ɸu⸢na⸣bum ⸢ban⸣suruŋ ⸢ʔuːmi⸣tarukaː ⸢ʔaundu ʔuːmaŋ⸣kaː ⸢ʔaːnu] (九年母もグアバも完熟したら落ちるが、熟れないと落ちない)。⸢アイルン[⸢ʔairuŋ](木の実が熟れて落ちる)と同じ。 247 0 2 278 htmvoc_247.wav アウン ⸢アウン [⸢ʔauŋ] 自動 {Mn_2}乳が出る。 ⸢シー⸣ヤ イッ⸢ケン アウン [⸢ʃiː⸣ja ʔik⸢keŋ ʔauŋ] (お乳は非常によく出る)。 ン⸢マー⸣ムヌ ⸢ジーシキ⸣ムヌ ッ⸢ふァイティ⸣ シー ⸢アーシ [ʔm⸢maː⸣munu ⸢ʤiːʃi̥ki⸣munu f⸢faiti⸣ ʃiː ⸢ʔaːʃi] (美味しいもの、滋養のあるものを食べて母乳を出しなさい)。 247 0 3 279 htmvoc_247.wav アウン ⸢アウン [⸢ʔauŋ] 自動 {Mn_3}膿が出る。 ン⸢バイムヌ⸣ ッ⸢ふー⸣カー ア⸢シ⸣ボー ⸢ウー⸣ミティ ⸢アウン [ʔm⸢baimunu⸣ f⸢fuːkaː⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢uː⸣miti ⸢ʔauŋ] (傷に悪い物を食べるとがお出来は化膿して膿が出る) 305 0 0 280 htmvoc_305.wav アウン ⸢アウン [⸢ʔauŋ] 他動 上げる。挙げる。揚げる。「上ぐ(下二段)」の転訛したもの。⸢アイルン[⸢ʔairuŋ](上げる)ともいう。 ⸢タンガ⸣シ ⸣フニ ⸢アウンティ スンドゥ アイララヌ [⸢taŋga⸣ʃi ⸣ɸuni ⸢ʔaunti sundu ʔairaranu] (一人で舟を揚げようとするが揚げられない)。 ⸣フニ ⸢アイ⸣ ミサンティバ ⸢アウ⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸣クー [⸣ɸuni ⸢ʔai⸣ misantiba ⸢ʔau⸣ pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi ⸣kuː] (舟を陸揚げしてよいというから、揚げる人を頼んできなさい)。 ⸣バー ⸢アーヌ [⸣baː ⸢ʔaːnu] (私は揚げない)。 ⸣ティー ⸢アイヤー⸣ ミサムヌ [⸣tiː ⸢ʔaijaː⸣ misamunu] (手を上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アイ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢ʔai⸣ba] (早く上げなさい)。 ク⸢レー アウナ [ku⸢reː ʔauna] (これは上げるな)。 ⸢アウプス [⸢ʔaupusu] (上げる人) 306 0 0 281 htmvoc_306.wav アウン ⸣アウン [⸣ʔauŋ] 自動 喧嘩する。争う。「闘、タゝカフ・アフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸢キョーダイ⸣サ ⸢ザーン⸣ナリ ⸣ユー ⸢アウ⸣タン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸢kjoːdai⸣sa ⸢ʣaːn⸣nari ⸣juː ⸢ʔau⸣taŋ] (子供の頃は兄弟同士でよく喧嘩した) 307 0 1 282 htmvoc_307.wav アウン ⸣アウン [⸣ʔauŋ] 自動 {Mn_1}会う。二つのものが合致する。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ドゥ⸢シトゥ⸣ アウンティ ⸢パッタン⸣ドゥ ⸢アーラン⸣シェンツォー [ma⸢rukeːti⸣naː du⸢ʃitu⸣ ʔaunti ⸢pattan⸣du ⸢ʔaːraŋ⸣ʃenʦoː] (たまに<偶に>友人に会うといって出かけて行ったが会えなかったそうだ)。 ⸢アイ⸣ プサカー ⸣アウ ⸣クトー ナルン⸢ダー [⸢ʔai⸣ pu̥sakaː ⸣ʔau ⸣ku̥toː narun⸢daː] (会いたければ会うことは出来るよ)。 ⸢アイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢ʔai⸣jaː ⸣misamunu] (会えばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ アイ [jaː⸢diŋ⸣ ʔai] (必ず会え)。 307 0 2 283 htmvoc_307.wav アウン ⸣アウン [⸣ʔauŋ] 自動 {Mn_2}似合う。調和する。釣り合う。 ク⸢ヌ キン⸣マー ⸢ワー⸣ナー ⸢アー⸣ヌ [ku⸢nu kim⸣maː ⸢waː⸣naː ⸢ʔaː⸣nu] (この着物は君には似合わない) 309 0 0 284 htmvoc_309.wav アウンタールン ⸢アウンタールン [⸢ʔauntaːruŋ] 自動 青む。青くなる。青ざめる。青ばむ。青みをおびる。 ウ⸢ブミジ⸣ヌ ⸢カン⸣ヌ ク⸢ム⸣ロー フ⸢カー⸣ンダ アウー⸢アウー⸣シ ⸢アウンターリティ⸣ ナ⸢クラーン⸣ダー [ʔu⸢bumiʤi⸣nu ⸢kan⸣nu ku⸢mu⸣roː ɸu̥⸢kaː⸣nda ʔauː⸢ʔauː⸣ʃi ⸢ʔauntaːriti⸣ na⸢kuraːn⸣daː] (大見謝川の川上の池<籠り>は深いから水面は青々と青みがかって怖いよ)。 ⸢ナーヤン スー⸣カー ⸣シラー ⸢アウンタールンドゥ ワーヤ ピッ⸣チン ⸢アウンターランバン⸣ナー [⸢naːjan suː⸣kaː ⸣ʃiraː ⸢ʔauntaːrundu waːja pit⸣ʧiŋ ⸢ʔauntaːramban⸣naː] (長患い<長病み>すると顔は青むが、君はちっとも青まないんだねえ)。 ⸢アウンターリ ナー⸣ヌ [⸢ʔauntaːri naː⸣nu] (青ばんでしまった)。 シ⸢ラ⸣ヌ ⸢アウンタール⸣ バソー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʃi⸢ra⸣nu ⸢ʔauntaːru⸣ basoː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (顔が青ばむ時は気をつけなさい) 267 0 0 285 htmvoc_267.wav アオーン ⸢アオー⸣ン [⸢ʔaoː⸣ŋ] 形 青い。緑色である。紺色である。 ク⸢ヌ バン⸣スロー ⸢アオー⸣ンダー ブ⸢ラン⸣モー マ⸢シ [ku⸢nu ban⸣suroː ⸢ʔaoː⸣ndaː bu⸢ram⸣moː ma⸢ʃi] (この蕃ざくろは青いから捥がないほうがいい)。 ⸢アオー ナー⸣ヌ [⸢ʔaoː naː⸣nu] (青くない)。 ⸢アオー⸣ ナルン [⸢ʔaoː⸣ naruŋ] (青くなる)。 ⸢アオー⸣ ムヌ [⸢ʔaoː⸣ munu] (青い物) 310 0 0 286 htmvoc_310.wav アカ ⸣アカ [⸣ʔaka] 名 淦(あか)。船底に溜まった水。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカ ⸣トゥリ [ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka ⸣turi] (舟の淦を汲み取れ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー ⸢ビー⸣ラーンダ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカ フ⸢タイ⸣ナー マ⸢ミシミル⸣カー ⸣ミサナルンヨ [ku⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː ⸢biː⸣raːnda ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka ɸu̥⸢tai⸣naː ma⸢miʃimiru⸣kaː ⸣misanaruŋjo] (この子は非常に病弱だから船の淦を額に塗って貰うと良くなるよ) 311 0 0 287 htmvoc_311.wav アカ ⸣アカ [⸣ʔaka] 名 髪。頭。 ヤ⸢ナ⸣ムノー ⸣アカナーン ⸣ドゥ―ナーン シ⸢キ⸣シミ タ⸢ボーン⸣ナ [ja⸢na⸣munoː ⸣ʔakanaːn ⸣duːnaːŋ ʃi̥⸢ki⸣ʃimi ta⸢boːn⸣na] (悪いもの<魔物{EOS}妖怪>は髪にも体にも付けさせないでください<付けさせ賜るな>) 312 0 0 288 htmvoc_312.wav アガ ア⸢ガ [ʔa⸢ga] 接頭 まる~。素っ~。まったくの~。名詞に上接してそれを強調表現する。 ア⸢ガパダカ [ʔa⸢gapadaka] (素っ裸)。 ア⸢ガッふァー⸣マ [ʔa⸢gaffaː⸣ma] (赤子{EOS}まったくの子供)。 ア⸢ガプリムヌ [ʔa⸢gapurimunu] (おお馬鹿もの{EOS}全くの馬鹿者)。 ア⸢ガパジ [ʔa⸢gapadʒi] (赤恥、あかっぱじ)。 ウ⸢ヌ シー⸣ヨーシェー マッ⸢タキ⸣ ア⸢ガッふァー⸣マ ア⸢ラン⸣ノー [ʔu⸢nu ʃiː⸣joːʃeː mat⸢taki⸣ ʔa⸢gaffaː⸣ma ʔa⸢ran⸣noː] (この様子<仕方>では全くの赤子同然ではないか)。 ア⸢ガピッチンマーンツァン⸣ ッ⸢ふィーラヌ [ʔa⸢gapitʧimmaːnʦaŋ⸣ f⸢fiːranu] (たったの一つすら呉れない) 313 0 0 289 htmvoc_313.wav アガ ア⸢ガ [ʔa⸢ga] 接頭 赤色。 ア⸢ガキン [ʔa⸢gakiŋ] (赤い着物)。 ア⸢ガムノー⸣マ [ʔa⸢gamunoː⸣ma] (「火」の隠語)。 ア⸢ガキー [ʔa⸢gakiː] (赤毛)。 ア⸢ガキン⸣ キ⸢シティ⸣ ヨイ ⸢ソー⸣ルン [ʔa⸢gakiŋ⸣ ki̥⸢ʃiti⸣ joi ⸢soː⸣ruŋ] (赤い着物を着てお祝いをなさる) 314 0 0 290 htmvoc_314.wav アガー ア⸢ガ⸣ー [ʔa⸢ga⸣ː] 感 あいた。ああ痛い。痛い時、不意に発する声。 ア⸢ガ⸣ー ⸢ヌーンティ⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢タック⸣ワ [ʔa⸢ga⸣ː ⸢nuːnti⸣ pu̥⸢su⸣ tḁ⸢takku⸣wa] (あいた{EOS!}何故他人を叩くのか)。 ア⸢ガー⸣ プ⸢スヌ⸣ パン ⸢フンクナ [ʔa⸢gaː⸣ pu̥⸢sunu⸣ paŋ ⸢ɸuŋkuna] (あいた{EOS!}他人の足を踏みつけるな) 315 0 0 291 htmvoc_315.wav アガーアガーシ ア⸢ガーアガー⸣シ [ʔa⸢gaːʔagaː⸣ʃi] 副 真っ赤に。赤々と。赤いことの強調表現。ABCABC型の畳語。 ⸣キンナー ア⸢ガーアガーヌ シーヌ⸣ マ⸢マリ ベー [⸣kinnaː ʔa⸢gaːʔagaːnu ʃiːnu⸣ ma⸢mari beː] (着物に真っ赤な血が塗られている) 317 0 0 292 htmvoc_317.wav アガームイサン アガー⸢ムイ⸣サン [ʔagaː⸢mui⸣saŋ] 形 痛がりやである。痛がる。少しの傷みも大げさに痛がる。⸣アガー[⸣ʔagaː](痛い<感>)に接尾語⸢ムイ⸣サン[⸢mui⸣saŋ](~がる<「思いさ・アリ」で、話し手以外の人の状態を表す>)が付いて形成された派生形容詞。 ウ⸢レー サッ⸣コー アガー⸢ムイ⸣サンダ ン⸢メーマヌ⸣ クトゥシン ア⸢ガーアガー⸣ティ ウ⸢ヤー⸣ルン [ʔu⸢reː sak⸣koː ʔagaː⸢mui⸣sanda ʔm⸢meːmanu⸣ ku̥tuʃiŋ ʔa⸢gaːʔagaː⸣ti ʔu⸢jaː⸣ruŋ] (彼は非常な痛がりやだから、少しのことでも痛い痛いといってわめく<大声を出す>)。 ⸢ピッ⸣チン アガー⸢ムイサ ナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ʔagaː⸢muisa naː⸣nu] (ちっとも痛がりやではない) 340 0 0 293 htmvoc_340.wav アガーン ア⸢ガー⸣ン [ʔa⸢gaː⸣ŋ] 形 赤い。朱、だいだい、桃色、赤茶色も含めた色。形容詞の語幹ア⸢ガ[ʔa⸢ga](赤)に存在動詞⸣アン[⸣ʔaŋ](在る)が下接して形成された語。 ⸣グジキーヌ パナー ア⸢ガー⸣ン [⸣guʤikiːnu ⸣panaː ʔa⸢gaː⸣ŋ] (デイゴの花は赤い)。 ク⸢レー ナン⸣ゾー ア⸢ガーナー⸣ヌ [ku⸢reː nan⸣ʣoː ʔa⸢gaːnaː⸣nu] (これはあまり赤くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢ガー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢gaː⸣ naruŋ] (次第に赤くなる)。 ア⸢ガー⸣ ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリ [ʔa⸢gaː⸣ munoːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turi] (赤いものから選んで取れ)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ ア⸢ガー⸣カー シゥ⸢カーリン [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ ʔa⸢gaː⸣kaː si̥⸢kaːriŋ] (もう少し赤かったら使える) 316 0 0 294 htmvoc_316.wav アガアーガイ ア⸢ガアーガイ [ʔa⸢gaʔaːgai] 名 (動)魚の名。ひぶだいの一種。 ア⸢ガアーガイヤ⸣ ナ⸢マ⸣シ ⸢スーバン⸣ ン⸢マー⸣ン [ʔa⸢gaʔaːgaija⸣ na⸢ma⸣ʃi ⸢suːbam⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (アガアーガイは刺身にしても美味しい) 318 0 0 295 htmvoc_318.wav アガアール ア⸢ガアール [ʔa⸢gaʔaːru] 名 (動)アカアリ。 ⸣サタカミナー ア⸢ガアールヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー [⸣sḁtakaminaː ʔa⸢gaʔaːrunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː] (砂糖甕には赤蟻が集まっている) 319 0 0 296 htmvoc_319.wav アガイー ア⸢ガイー [ʔa⸢gaʔiː] 名 赤飯。「あかいひ(赤飯)」の転訛したもの。昔はア⸢ガマミ[ʔa⸢gamami](小豆)を加えて米飯を炊き、赤飯にしたが、戦後は食紅を入れて赤飯を炊いた。祝儀や正月には赤飯を炊いて祝った。女の子が初潮をみると赤飯を炊いて祝ってやった。 ⸣アツァー ⸢ニューガク⸣シキ ヤ⸢リバ⸣ ア⸢ガイー⸣ バ⸢カシ⸣ ッ⸢ふァーサ⸣ナー [⸣ʔaʦaː ⸢ɲuːgaku⸣ʃi̥ki ja⸢riba⸣ ʔa⸢gaʔiː⸣ ba⸢kaʃi⸣ f⸢faːsa⸣naː] (明日は入学式だから赤飯を炊いて食べさせようね)。 ア⸢ガイー⸣ バ⸢カシティ ゴーカクヨイ サー⸣ディー [ʔa⸢gaʔiː⸣ ba⸢kaʃi̥ti goːkakujoi saː⸣diː] (赤飯を炊いて合格祝いをしよう) 320 0 0 297 htmvoc_320.wav アガイカ ア⸢ガイカ [ʔa⸢gaʔika] 名 (動)赤烏賊。 イ⸢ガメー⸣ ン⸢ゾー⸣ルカー イ⸢ガバーキヌ ピッ⸣チン ア⸢ガイカ ホー⸣ソーッタン [ʔiga⸢meː⸣ ʔn⸢ʣoː⸣rukaː ʔi⸢gabaːkinu pit⸣ʧiŋ ʔa⸢gaʔika hoː⸣soːttaŋ] (烏賊釣り漁に出られると烏賊をを入れる竹笊の一杯烏賊を釣られた) 89 0 0 298 htmvoc_89.wav アガイズ ア⸢ガイズ [ʔa⸢gaʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ウケグチイットウダイ(体長約25センチ)。和名、ホシエビス(体長約25センチ)にもいう。 ア⸢ガイゾー⸣ ム⸢チイズ ニーブ [ʔa⸢gaiʣoː⸣ mu⸢ʧiʔiʣu niːbu] (アガイズはムチイズ<のこぎりだい>に似ている) 322 0 0 299 htmvoc_322.wav アガイトゥ ア⸢ガイトゥ [ʔa⸢gaitu] 名 赤糸。赤い糸。 ア⸢ガイトゥ⸣シ ⸣キンナ ⸢ナーフダ⸣ ヌイ ⸣シケー [ʔa⸢gaitu⸣ʃi ⸣kinna ⸢naːɸuda⸣ nui ⸣ʃi̥keː] (赤糸で着物に名札を縫い付けてある) 1097 0 0 300 htmvoc_1097.wav アガイヤ ⸣アガイヤ [⸣ʔagaija] 感 ああ残念。あらまあ。おやまあ。あれまあ。意外に感じた時に発する声。 ⸣アガヤー ⸢ワール ⸢クーター⸣ ア⸢ボー⸣ル ⸢オー⸣ルカヤーティ ⸣マティ ⸢ベー⸣タ ⸣ムヌ [⸣ʔagaijaː ⸢waːru kuːtaː⸣ ʔa⸢boː⸣ru ⸢ʔoː⸣rukajaːti ⸣mati ⸢beː⸣ta ⸣munu] (あらまあ{EOS}君が来たのか{EOS}お母さんが来られるのかと待っていたのに) 323 0 0 301 htmvoc_323.wav アガイラブチ ア⸢ガイラブチ [ʔa⸢gairabuʧi] 名  (動)魚の名。和名、イチモンジブダイ。体長25~30センチの成魚がよく漁獲された。刺身にしても、煮ても美味である。蒲鉾の原料として重宝された。別名、⸢ナー⸣ブイラブチ[⸢naː⸣buʔirabuʧi]ともいう。 ア⸢ガイラブチ⸣シ カ⸢マブク シッ⸣キバ [ʔa⸢gairabuʧi⸣ʃi ka⸢mabuku ʃik⸣kiba] (アガイラブチで蒲鉾を搗きなさいよ) 324 0 0 302 htmvoc_324.wav アガイル ア⸢ガイル [ʔa⸢gairu] 名 赤色。 フ⸢ニ⸣ヌ ス⸢コー⸣ ア⸢ガイルバ ヌーリ⸣シケー [ɸu⸢ni⸣nu su⸢koː⸣ʔa⸢gairuba nuːriʃikeː] (船の底は赤色を塗ってある)。 ⸢ガンダルゴーヤ⸣ ア⸢ガイル⸣ ッ⸢ふァーサリ(⸢ヌーラリ)ブタ [⸢gandarukoːja⸣ ʔa⸢gairu⸣ f⸢faːsari(⸢nuːrari)buta] (龕は、赤色を食わされ<塗装され>、<塗られ>ていた) 325 0 0 303 htmvoc_325.wav アガウムティ アガウムティ [ʔa⸢gaʔumuti] 名 赤い顔。赤ら顔。「あかおもて」の義。日焼けや発熱などで顔面が赤くなること。 ⸣ティダナ プ⸢サ⸣リティ ア⸢ガウムティ⸣ ナリ⸢ベーン⸣ティ [⸣tidana pu̥⸢sa⸣riti ʔa⸢gaʔumuti⸣ nari⸢beːn⸣ti] (太陽にほされて日焼けして赤い顔になっているさ) 326 0 0 304 htmvoc_326.wav アカガーラ ア⸢カガーラ [ʔa⸢kagaːra] 名 赤瓦。鳩間島の人は赤瓦を買うために、イ⸢ガガラス[ʔi⸢gagarasu](イカの塩辛<塩漬け>)やカ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス[kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣su](カツオの臓物の塩辛)などを沖縄本島へ輸出した。水産物を売って毎年少しずつ建材を購入した。 ア⸢カガーラン⸣ ヤ⸢キヌ ヨー⸣カー ⸣シディ パ⸢リ⸣ス [ʔa⸢kagaːraŋ⸣ ja⸢kinu joː⸣kaː ⸣ʃidi pa⸢ri⸣su] (赤瓦も焼成の弱いものは風化して朽ちてしまう) 327 0 0 305 htmvoc_327.wav アカガーラヤー ア⸢カガーラヤー [ʔa⸢kagaːrajaː] 名 赤瓦葺きの家。 パ⸢トゥ⸣マナー マ⸢ナ⸣マー ア⸢カガーラヤーヤ ギューキブル⸣ ヌ⸢カ⸣レーワ [pḁ⸢tu⸣manaː ma⸢na⸣maː ʔa⸢kagaːrajaːja gjuːkiburu⸣ nu⸢ka⸣reːwa] (鳩間島には赤瓦葺きの家は何軒残っているか) 329 0 0 306 htmvoc_329.wav アガカニ ア⸢ガカニ [ʔa⸢gakani] 名 銅。「銅、アカガネ」『類聚名義抄』の転訛したもの。「あかがね(赤金)」の義。 ア⸢ガカニヌ シン⸣ダ プ⸢ス⸣マキ ⸢カイ⸣キー ッ⸢ふィーリ [ʔa⸢gakaninu ʃin⸣da pu̥⸢su⸣maki ⸢kai⸣kiː f⸢fiːri] (銅の針金を一巻き買ってきてくれ) 330 0 0 307 htmvoc_330.wav アガカビ ア⸢ガカビ [ʔa⸢gakabi] 名 赤紙。正月に鏡餅の下に敷く、祝いを表す紅白の紙。慶事の神酒を入れる瓶の栓やその他に用いる赤い紙。 ア⸢ガカビバ⸣ ブリティ ク⸢ビン⸣ヌ ⸣ザウ ⸢シー⸣バ [ʔa⸢gakabiba⸣ buriti ku⸢bin⸣nu ⸣ʣau ⸢ʃiː⸣ba] (赤紙を折って神酒を入れる瓶の栓にしなさい) 331 0 0 308 htmvoc_331.wav アガガマジ ア⸢ガガマジ [ʔa⸢gagamadʒi] 名 赤い髪。頭髪の赤いもの。 カ⸢ムラーマ⸣ヌ ア⸢ガガマジェー⸣ ヌーシ ス⸢ク⸣ローッタカヤー [ka⸢muraːma⸣nu ʔa⸢gagamadʒeː⸣ nuːʃi su̥⸢ku⸣roːttakajaː] (カムラーマの赤い髪は何で作られたのかなあ) 332 0 0 309 htmvoc_332.wav アカカラジ ⸣アカカラジ [⸣ʔakakaraʤi] 名 民百姓。一般百姓。一種の文語。日常会話では用いられず、祭祀の場で、⸢カン⸣フチ[⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi](祈願の文句{EOS}祈祷文{EOS}「神口」の義)やニ⸢ガイ⸣フチ[ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi](祈願の言葉{EOS}唱え、がんもん<願文>)、歌謡語などで用いられる。/ウマンチュヌ ニガイヤヨー アカカラジヌ ニガイヤヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ(万民の願いはヨー、民百姓の願いはヨー ハーリ 雨を賜り給え竜神さま)/(雨乞い歌{EOS}早め句)『鳩間誌』 328 0 0 310 htmvoc_328.wav アガキー ア⸢ガキー [ʔa⸢gakiː] 名 頭髪などの赤くなったもの。「赤毛」の義。 イ⸢ツォーン⸣プソー ウ⸢ミシグ⸣トゥ ⸢シー⸣ ティダナ プ⸢サ⸣リ ⸢ブンダ⸣ ガ⸢マ⸣ジン ア⸢ガキー⸣ ナリ⸢ブー [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː ʔu⸢miʃigu⸣tu ⸢ʃiː⸣ tidana pu̥⸢sa⸣ri ⸢bunda⸣ ga⸢ma⸣dʒiŋ ʔa⸢gakiː⸣ nari⸢buː] (糸満の漁民は漁業をして太陽に干されているから、頭髪も赤毛になっている)。 ク⸢ヌ⸣グロー ガ⸢マ⸣ジ ア⸢ガキー⸣ ス⸢ミル⸣ プ⸢スン ブン⸣ダー [ku⸢nu⸣guroː ga⸢ma⸣ʤi ʔa⸢gakiː⸣ su⸢miru⸣ pu̥⸢sum bun⸣daː] (近頃は髪の毛を赤毛に染める人もいるよ) 336 0 0 311 htmvoc_336.wav アガキン ア⸢ガキン [ʔa⸢gakiŋ] 名 赤い着物。 ヤ⸢ラ⸣ベー ア⸢ガキンバ キシティ⸣ サ⸢ニンケーリ アー⸣ク [ja⸢ra⸣beː ʔa⸢gakimba⸣ ki̥ʃiti⸣ sa⸢niŋkeri ʔaː⸣ku] (子供は赤い着物を着て嬉しそうにして<喜んで>いる) 337 0 0 312 htmvoc_337.wav アガクン ア⸢ガ⸣クン [ʔa⸢ga⸣kuŋ] 自動 懸命に働く。肉体労働をする。 ヌ⸢チ⸣キシ ア⸢ガクン⸣ドゥ ⸢モーキララ⸣ヌ [nu⸢ʧi⸣ki̥ʃi ʔa⸢gakun⸣du ⸢moːkirara⸣nu] (一生懸命に働くが儲けられない)。 ウ⸢シンーマ⸣ヌ ⸣カタチニ ア⸢ガカン⸣タンティン イ⸢キラ⸣リン [ʔu⸢ʃiʔmːma⸣nu ⸣kḁtaʧini ʔa⸢gakan⸣tantiŋ ʔi⸢kira⸣riŋ] (牛馬のように働かなくても生きられる)。 ア⸢ガ⸣キ ⸣ミサカー ア⸢ガ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ga⸣ki ⸣misakaː ʔa⸢ga⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (働いて良ければ懸命に働くことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ga⸣keː ⸣misamunu] (もっと懸命に働けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガ⸣キバ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ga⸣kiba] (もっと懸命に働けよ) 10 0 0 313 htmvoc_10.wav アガゲー ア⸢ガゲー [ʔa⸢gageː] 名 和名(おきなわめぎす)、体長18~20センチに成長する。体表は赤みをおびる。島のイノー(礁内湖)の珊瑚礁内に棲息する。体の割りに口が大きく、食いつきがよいので子どもたちの釣りに好まれる。普通の⸣ゲーイズ[⸣geːiʣu](おきなわめぎす)は体長約16センチのものが多い。 ア⸢ガゲー ホー⸣シン パラ⸢ディー [ʔa⸢gageː hoː⸣ʃim para⸢diː] (アガゲーを釣りに行こうよ)。鳩間島方言では⸣ゲーイズ[⸣geːʔiʣu]の仲間である。和名、キツネダイの仲間(『原色沖縄の魚』)ともいう。ゲーイズの中でも大きめで、体長が約16センチ以上の赤紫色を帯びた魚。よく餌に食いつくので、子供たちは屋良の浜の礁内湖や島の後ろの礁内湖で釣り上げて楽しんだ。美味ではない。 ア⸢ガゲーヤ⸣ フ⸢チヌ マイ⸣ヤンダ ⸢ホーシヤッ⸣サタン [ʔa⸢gageːja⸣ ɸu̥⸢ʧinu mai⸣janda ⸢hoːʃijas⸣sataŋ] (アガゲーは口が大きいから釣りやすかった) 339 0 0 314 htmvoc_339.wav アガコージ ア⸢ガコージ [ʔa⸢gakoːʤi] 名 赤麹(あかこうじ)。 ア⸢ガコージ⸣ タティティ ⸢ミー⸣ス ス⸢ク⸣ラ [ʔa⸢gakoːʤi⸣ tatiti ⸢miː⸣su su̥⸢ku⸣ra] (赤麹をたてて味噌を作ろう) 334 0 0 315 htmvoc_334.wav アガサナイ ア⸢ガサナイ [ʔa⸢gasanai] 名 赤い褌。 ア⸢ガサナイバ⸣ キ⸢シティ ケン⸣グ ⸢シーティル⸣ ア⸢ザナー⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢オール [ʔa⸢gasaniba⸣ ki̥⸢ʃiti keŋ⸣gu ⸢ʃiːtiru⸣ ʔa⸢ʣanaː⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (赤い褌を着て村芝居<狂言>をして<ぞ>、渾名を付けられておられるのだ)。鱶(ふか)は人を襲うとき体長を比べ、鱶より小さいものを襲うといわれているので、難を避けるために赤褌をしめ、長く垂らして海に入ったという。 ア⸢ガサナイ⸣ キ⸢シ⸣バ [ʔa⸢gasanai⸣ ki̥⸢ʃi⸣ba] (赤褌を着なさい)。 ア⸢ガサナイバ⸣ キ⸢シティ⸣ ンジ ⸢オールン⸣ドゥ ウ⸢カヤ⸣ヌ バ⸢ライル⸣ シ⸢ラリタル [ʔa⸢gasanaiba⸣ ki̥⸢ʃiti⸣ ʔnʤi ⸢ʔoːrun⸣du ʔu⸢kaja⸣nu ba⸢rairu⸣ ʃi⸢raritaru] (赤い褌を着て出演して<出て>おられるんだが、おかしくて笑わざるを得ない<笑いぞされる>) 344 0 0 316 htmvoc_344.wav アガサビ ア⸢ガサビ [ʔa⸢gasabi] 名 赤錆(あかさび)。 カ⸢タ⸣ナー シゥ⸢カーンドー⸣シ シ⸢ティ⸣シケーンケンマー ア⸢ガサビ⸣ フイ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢ta⸣naː si̥⸢kaːndoː⸣ʃi ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥keːŋkemmaː ʔa⸢gasabi⸣ ɸui⸢naː⸣nu] (刀<包丁>は使わないで放置しておいたら、そのうちに赤錆がつい<赤錆くっ>てしまった) 335 0 0 317 htmvoc_335.wav アガサリ ア⸢ガサリ [ʔa⸢gasari] 名 赤枯れ。旱魃などで植物の葉や穂先が赤く枯れること。 ⸢ピーカジ⸣ヌ フキティ ス⸢クリ⸣ムヌン ⸢キーヌ⸣パーン ア⸢ガサリ シーナー⸣ヌ [⸢piːkadʒi⸣nu ɸu̥kiti su̥⸢kuri⸣munuŋ ⸢kiːnu⸣paːŋ ʔa⸢gasari ʃiːnaː⸣nu] (雨の降らない台風<火台風{EOS}潮風台風>が吹いて、作物も木の葉も赤く枯れてしまった)。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸢タイフー⸣ヤ カ⸢ラフキ ヤッタベー⸣ティ ⸢キーヌパー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ ア⸢ガサリ シー ベー [⸢kundu⸣nu ⸢taiɸuː⸣ja ka⸢raɸuki jattabeː⸣ti ⸢kiːnupaː⸣ja muː⸢ru⸣ ʔa⸢gasari ʃiːbeː] (今度の台風は雨の伴わない空吹き台風だったので木の葉は全部赤く枯れている<赤枯れしている>) 346 0 0 318 htmvoc_346.wav アカシ ア⸢カ⸣シ [ʔa⸢ka⸣ʃi] 名 あかし(灯)。松根の脂(やに)が多く含まれた部分を灯火に利用したもの。鉛筆の太さに割って利用した。または炊きつけにも利用した。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢トゥー⸣ロー ⸢ナーン⸣ユンダ ア⸢カシ⸣バ ⸢モーシェー⸣ティル ⸢トゥール⸣ヌ ⸢カール⸣ シ⸢タル [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣pimmaː ⸢tuː⸣roː ⸢naːŋ⸣junda ʔa⸢kaʃi⸣ba ⸢moːʃeː⸣tiru ⸢tuːru⸣nu ⸢kaːru⸣ ʃi̥⸢taru] (戦争<戦世>の時にはランプ<灯篭>がないから、アカシを燃やして灯篭の代わりにしたものだよ) 347 0 1 319 htmvoc_347.wav アガジー ア⸢ガジー [ʔa⸢gaʤiː] 名 {Mn_1}赤い血。鮮血。ア⸢ガシー[ʔa⸢gaʃiː](赤い血)ともいう。 ア⸢ガジー⸣ パリ⸢ベー [ʔa⸢gaʤiː⸣ pari ⸢beː] (赤い血が流れている)。 347 0 2 320 htmvoc_347.wav アガジー ア⸢ガジー [ʔa⸢gaʤiː] 名 {Mn_2}赤地。織物の地色の赤いもの。 ア⸢ガジー⸣ナ ⸢アウイル⸣ マ⸢ザー⸣シ ウ⸢ラリベー [ʔa⸢gaʤiː⸣na ⸢ʔauiru⸣ ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ʔu⸢raribeː] (赤地に青色を混ぜて織られている) 371 0 0 321 htmvoc_371.wav アガシーシ ア⸢ガシーシ [ʔa⸢gaʃiːʃi] 名 赤肉。赤身。「赤肉<あかしし>」の義。ア⸢ガニク[ʔa⸢ganiku](赤肉)、⸢マーニク[⸢maːniku](真肉)、⸢マーシーシ[⸢maːʃiːʃi](真肉<ましし>)ともいう。 ⸢オー⸣ヌ ⸣ニコー ア⸢ガシーシル⸣ ン⸢マー [⸢ʔoː⸣nu nikoː ʔa⸢gaʃiːʃiru⸣ ʔm⸢maː] (豚肉は赤身が美味しい) 348 0 0 322 htmvoc_348.wav アガシース ア⸢ガシース [ʔa⸢gaʃiːsu] 名 (植)赤紫蘇。 ア⸢ガシースヌ パーヤ スー⸣ヌ ⸢オンガキ シー⸣バ [ʔa⸢gaʃiːsunu paːja suː⸣nu ⸢ʔoŋgaki ʃiː⸣ba] (赤紫蘇の葉はおつゆの薬味にしなさいよ) 349 0 0 323 htmvoc_349.wav アカシキン ア⸢カ⸣シキン [ʔa⸢ka⸣ʃi̥kiŋ] 名 暁。夜が明けようとして、まだ暗いうち。「阿加等伎乃<アカトキノ>かはたれ時に~。万、4384」の転訛したもの。 カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢カ⸣シキンラ ⸣ザコー ⸣トゥリン パ⸢リ⸣シタ [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢ka⸣ʃi̥kinra ⸣ʣakoː ⸣turim pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (カツオ漁船は暁から餌<雑魚>取りに出かけたものだ) 350 0 0 324 htmvoc_350.wav アカシキンブシ ア⸢カシキン⸣ブシ [ʔa⸢kaʃi̥kim⸣buʃi] 名 明けの明星。明け方東の空に見える金星。 ナ⸢チェー⸣ ア⸢カシキンブシ⸣トゥ ⸢マーズン⸣ パ⸢タ⸣ケー パ⸢リ⸣シタ [na⸢ʧeː⸣ ʔa⸢kaʃi̥kimbuʃi⸣tu ⸢maːʣum⸣ pḁ⸢ta⸣keː pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (夏は明けの明星と共に畑へ行ったものだ)。 パ⸢トゥ⸣マナー パ⸢ボー⸣ ブ⸢ラーンダ⸣ ム⸢カ⸣シェー ア⸢カシキンブシ⸣トゥ ⸢マーズン⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢オーリ⸣ソーッタティ⸢ダー [pḁ⸢tu⸣manaː pa⸢boː⸣ bu⸢raːnda⸣ mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢kaʃikimbuʃi⸣tu ⸢maːʣum⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔoːri⸣soːttati⸢daː] (鳩間島にはハブ<毒蛇>がいないから昔は明けの明星とともに畑へ行かれたそうだよ) 353 0 0 325 htmvoc_353.wav アガシタダル ア⸢ガシタダル [ʔa⸢gaʃitadaru] 名 赤くただれたさま。真っ赤なさま。果実などが真っ赤に熟れて、今にも落下しそうなさま。 ⸢バン⸣スロー ア⸢ガシタダル スン⸣ケン ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー [⸢ban⸣suroː ʔa⸢gaʃi̥tadaru suŋ⸣keŋ ⸢ʔuː⸣mi⸢beː] (バンジロウは真っ赤に熟れて、今にも落下しそうになるほどに熟れている)。 ア⸢シ⸣ボー ア⸢ガシタダル スン⸣ケン ⸢アーサムティ⸣ シ⸢ティ⸣シケーバン [ʔa⸢ʃi⸣boː ʔa⸢gaʃi̥tadaru suŋ⸣keŋ ⸢ʔaːsamuti⸣ ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥keːbaŋ] (お出来<腫れ物>は真っ赤になるまで、潰さないで<化膿させて>おいてあるよ) 365 0 0 326 htmvoc_365.wav アカジナー ア⸢カジナー [ʔa⸢kaʤinaː] 名 (動)魚の名。和名、ニセスジハタ(体長約1メートル)。ハタの仲間(体長約45センチ)。ニセスジハタ(体長約70センチ{EOS}体色は薄い青黒色)などの総称。アカジナーの痩せたものは食中毒をおこすといわれている。 ⸢ヨーガリ⸣ ア⸢カジナーバ ファイティル⸣ ビー ⸢サン⸣ソー⸢マーリティ⸣ ウ⸢ガン⸣ツミ ⸢ミッ⸣タン [⸢joːgari⸣ ʔa⸢kaʤinaːba faitiru⸣ biː ⸢san⸣soː⸢maːriti⸣ ʔu⸢gan⸣ʦumi ⸢mit⸣taŋ] (痩せたスジハタを食べてひどい中毒をおこし、気を失ってすっかり参ったことがあった) 90 0 0 327 htmvoc_90.wav アガシヌマール ア⸢ガシヌマール [ʔa⸢gaʃinumaːru] 名 (動)魚の名。和名、みやこてんぐ。シ⸢ヌマー⸣ル(てんぐはぎ)の仲間で、尾びれの付け根部分に橙色の斑点がある。 ア⸢ガシヌマールン⸣ シ⸢ヌマール⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [ʔa⸢gaʃinumaːru⸣ ʃi⸢numaːru⸣tu ju⸢nu⸣ munu] (みやこてんぐも、てんぐはぎと同じものだ)。 ア⸢ガシヌマールン⸣ シ⸢ヌマール⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ トンナール ⸢ブー [ʔa⸢gaʃinumaːruŋ⸣ ʃi⸢numaːru⸣tu ju⸢nu⸣ tonnaːru ⸢buː] (ミヤコテングもテングハギと同じところにいる) 372 0 0 328 htmvoc_372.wav アカシマー ⸣アカシマー [⸣ʔakaʃimaː] 名 赤縞布。赤褐色の絣(かすり)の入った布。染料の⸢クール[⸢kuːru](ソメモノイモ{EOS}黄櫨)を用いて赤褐色の絣を染め、赤縞模様に織り上げた布。 ⸣アカシマーヌ ⸢グイ⸣フ ウ⸢リ⸣ ウ⸢サミ⸣ルカー ブ⸢ドゥルバ シー⸣ ヨイ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸣ʔakaʃimaːnu ⸢gui⸣ɸu ʔu⸢ri⸣ ʔu⸢sami⸣rukaː bu⸢duruba ʃiː⸣ joi ⸢soːt⸣taʦoː] (赤縞布の御用布を織って納めたら踊りをしてお祝いをされたそうだ) 363 0 0 329 htmvoc_363.wav アカジュー ア⸢カジュー [ʔa⸢kadjzuː] 名 (動)魚の名。和名、ウメイロモドキ(体長約27センチ)。古老はム⸢レー⸣ジ[mu⸢reː⸣ʤi](沖縄方言のグルクン)という。「群れ魚」の義であろう。若年層はグルクンというのが多い 351 0 0 330 htmvoc_351.wav アカジラー ア⸢カ⸣ジラー [ʔa⸢ka⸣ʤiraː] 名 赤面。恥をかくこと。恥ずかしくて顔をあからめること。「赤面<あかつら>」の義。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ナカナー ウ⸢リンマー⸣ ア⸢カ⸣ジラー ナ⸢サ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ nakanaː ʔu⸢rimmaː⸣ ʔa⸢ka⸣ʤiraː na⸢sa⸣ri⸢joː] (あれだけの人の前で、彼には恥をかかされてねえ) 355 0 0 331 htmvoc_355.wav アガジル ア⸢ガジル [ʔa⸢gadʒiru] 名 赤潮。⸣ユドゥン[⸣juduŋ](赤潮)ともいう。 ア⸢ガジルヌ <ユ⸢ドゥン⸣ヌ> ユール⸣カー イ⸢ズン⸣ ビーティ ウ⸢ケーリ キー⸣ス [ʔa⸢gaʤirunu juːru⸣kaː ʔi⸢ʣum⸣ biːti ʔu⸢keːri kiː⸣su] (赤潮が流れ寄ると魚も中毒して<酔って>浮いてくる) 357 0 0 332 htmvoc_357.wav アガジル ア⸢ガジル [ʔa⸢gaʤiru] 名 海底地名。タ⸢カ⸣ビー[ta⸢ka⸣biː](高干瀬)の鳩間津口から鳩間桟橋に向かって200メートルほど入港してくると右手(東北)方に現れる海草の生えた褐色の浅い海底。 ア⸢ガジロー⸣ ミ⸢ズヌカン⸣ヌ ⸣スバナール ⸣アル [ʔa⸢gaʤiroː⸣ mi⸢ʣunukan⸣nu ⸣subanaːru ⸣ʔaru] (アガジルはミズヌカン<澪の上>の側にある) 467 0 0 333 htmvoc_467.wav アガジル ア⸢ガジル [ʔa⸢gadʒiru] 名 地渋(ちしぶ)。水田などの水に金気(かなけ)や灰汁(あく)が浮き出して光っているもの。赤汁。西表島の炭鉱に近い水田などでよくみられた。これが出ると稲の発育不良を起こした。 ⸢ター⸣ナ ア⸢ガジルヌ⸣ ウ⸢リ⸣ル ⸣トンマー カ⸢ナジル⸣ ヤ⸢ルンダ マイヤー ムイラン⸣セン [⸢taː⸣na ʔa⸢gaʤirunu⸣ ʔu⸢ri⸣ru ⸣tommaː ⸣ka⸢naʤiru⸣ ja⸢runda maija muiraŋ⸣ʃeŋ] (田圃の水に赤い汁<地渋>がでると、それは金気だから稲は発育しなかった) 358 0 0 334 htmvoc_358.wav アガシルシ ア⸢ガシルシ [ʔa⸢gaʃiruʃi] 名 赤い痣(あざ)。「赤印」の義。 ⸣シラナ ア⸢ガシルシバ⸣ シ⸢キラリ⸣ル マ⸢リ⸣ケー [⸣ʃirana ʔa⸢gaʃiruʃiba⸣ ʃi̥⸢kirari⸣ru ma⸢ri⸣keː] (顔に赤い痣を付けられて生まれてきている) 364 0 0 335 htmvoc_364.wav アガジン ア⸢ガジン [ʔa⸢gaʤiŋ] 名 銅貨。「赤銭」の義。 シ⸢マ⸣ナテー ア⸢ガジンヌ⸣ フカー ミリ ミ⸢ラン⸣セン [ʃi⸢ma⸣nateː ʔa⸢gaʤinnu⸣ ɸukaː ⸣miri mi⸢ran⸣ʃeŋ] (島では銅貨以外は見たことがなかった)。 ア⸢ガジン⸣シ シ⸢ナムヌヌ ダイ⸣ パ⸢ラウ⸣タ [ʔa⸢gaʤiŋ⸣ʃi ʃi⸢namununu dai⸣ pa⸢rau⸣ta] (銅貨で品物の代金を支払った) 366 0 0 336 htmvoc_366.wav アガジン ア⸢ガジン [ʔa⸢gaʣiŋ] 名 (動)魚の名。和名、バラハタ(体長約60センチ{EOS}薄いオレンジ色に白の斑点が鰓の部分から尾びれにかけて、点々と縞状に並んでいる)。痩せたア⸢ガジンは食中毒を起こすことがあるといわれている。 ア⸢ガジンヌ ヨーガリムノー ビー⸣ルンティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [ʔa⸢gaʤinnu joːgarimunoː biː⸣runti ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (バラハタの痩せたのは食中毒<酔う>すると言われているよ) 375 0 0 337 htmvoc_375.wav アガジンナーマ ア⸢ガジンナー⸣マ [ʔa⸢gaʤinnaː⸣ma] 名 小額の赤銭。小額の銅貨。小銭。 ⸢ナー⸣マ [⸢naː⸣ma] (接尾指小辞)。鳩間方言の接尾指小辞は、上接語の末尾が-ン[-ŋ]で終わる場合、⸢-ナー⸣マ[⸢-naː⸣ma]となり、上接語の末尾母音が-イ[-i]の場合は、⸢-エー⸣マ[⸢-eː⸣ma]、例、フ⸢ネー⸣マ[ɸu⸢neː⸣ma](小さな舟)、上接語の末尾母音が-ウ[-u]の場合は、⸢-オー⸣マ[⸢-oː⸣ma]、例パ⸢コー⸣マ[pa⸢koː⸣ma](小さな箱)、上接語の末尾母音が-ア[-a]の場合は、⸢-アー⸣マ[⸢-aː⸣ma]となる。例、パ⸢ナー⸣マ[pa⸢naː⸣ma](小さな花)。また、上接語の末尾母音が連母音⸢-アイ[⸢-ai]の場合は、⸢-ヤー⸣マ[⸢-jaː⸣ma]となり、例、ガイ⸢ヤー⸣マ[gai⸢jaː⸣ma](小匙)、連母音⸢-アウ[⸢-au]の場合は⸢-ワー⸣マ[⸢-waː⸣ma]となる。例、バウ⸢ワー⸣マ[bau⸢waː⸣ma](小さな棒) 376 0 0 338 htmvoc_376.wav アカズミキー ア⸢カ⸣ズミキー [ʔa⸢ka⸣ʣumikiː] 名 (植)樹木の名。ヒルギ。マングローブ。ア⸢カ⸣ズミ[ʔa⸢ka⸣ʣumi]ともいう。西表島の河口の汽水域に密生している。満潮時には小魚が群れ寄る。ヒルギ林には、キ⸢ザ⸣ク[ki⸢ʣa⸣ku](殻の直径約10センチの二枚貝)も生息している。鳩間島の人はヒルギの皮を染料として用い、これを煎じて⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)の帆を染めた。 ア⸢カ⸣ズミキーヌ ⸣カー ⸣シジティ ⸣イダフニヌ ⸢プー⸣ ス⸢モーッ⸣タ [ʔa⸢ka⸣ʣumikiːnu ⸣kaː ⸣ʃiʤiti ⸣ʔidaɸuninu ⸢puː⸣ su⸢moːt⸣ta] (ヒルギの皮を煎じて⸣イダフニ<板船>の帆を染められた) 354 0 0 339 htmvoc_354.wav アカスリ ア⸢カ⸣スリ [ʔa⸢ka⸣suri] 名 垢(あか)すり。入浴の際に垢をすり落とすのに用いるもの。標準語からの借用語。完熟したナ⸢ベー⸣ラ[na⸢beː⸣ra](へちま)のスポンジ状の繊維を用いた 359 0 1 340 htmvoc_359.wav アカスン ア⸢カ⸣スン [ʔa⸢ka⸣suŋ] 他動 {Mn_1}離す。 ⸢オー⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣アヒャーオーラ ア⸢カサバ⸣ル マシ [⸢ʔoː⸣nu f⸢faː⸣ ma⸢na⸣ma ʔaçaːʔoːra ʔa⸢kasaba⸣ru ma⸢ʃi] (子豚は今母豚から離した方がいい) 359 0 2 341 htmvoc_359.wav アカスン ア⸢カ⸣スン [ʔa⸢ka⸣suŋ] 他動 {Mn_2}剥がす。 シ⸢ビシキ⸣ シケー ⸣イツァー ア⸢カサラ⸣ヌ [ʃi⸢biʃi̥ki⸣ ʃi̥keː ⸣ʔiʦaː ʔa⸢kasara⸣nu] (くっつけてある板は剥がされない) 360 0 0 342 htmvoc_360.wav アカスン ア⸢カ⸣スン [ʔa⸢ka⸣suŋ] 他動 明らかにする。 ム⸢ヌシリ⸣ヌ ⸣ヤーナーン ⸢ギー⸣ ミレーティ ⸢ヌー⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢カ⸣シ ⸣ミリバ [mu⸢nuʃiri⸣nu jaːnaːŋ ⸢giː⸣ mireːti ⸢nuː⸣ ja⸢ru⸣juː ʔa⸢ka⸣ʃi miriba] (占い師<物識り>の家にも行ってみて、何のことなのか明らかにしてみなさいよ) 367 0 0 343 htmvoc_367.wav アガダイクニ ア⸢ガダイクニ [ʔa⸢gadaikuni] 名 (植)大根の一種。和名、アカカブラ(赤蕪)。 ア⸢ガダイクネー⸣ ン⸢マー⸣タンドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ナン⸣ゾー ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔa⸢gadaikuneː⸣ ʔm⸢maː⸣tandu ma⸢na⸣maː ⸢nan⸣ʣoː mi⸢rara⸣nu] (赤蕪は美味しかったが、今はあまり見られない) 368 0 0 344 htmvoc_368.wav アガダン ⸣アガダン [⸣ʔagadaŋ] 名 (動)赤だに。牛に寄生するダニ。牛のいる原野の茅や雑草などについていて、人がそこへ行くと人の体にくっつくようになる。 ウ⸢シ⸣ バ⸢ツァ⸣ミ ⸣シケーン ⸣トンマー ⸣アガダンヌ ⸢ブン⸠ダー [ʔu⸢ʃi⸣ ba⸢ʦa⸣mi ʃi̥keːn ⸣tommaː ⸣ʔagadannu ⸢bun⸠daː] (牛の鼻綱を草木に括ってある所には赤だにがいるよ) 417 0 0 345 htmvoc_417.wav アガッスヒャー ア⸢ガッス⸣ヒャー [ʔa⸢gassu⸣çaː] 連 糞喰らえ。くそったれ。全然いやだ。「赤糞やろう」の義。接尾語の⸣ヒャー[⸣çaː](くそったれ)は卑語。聞き手を貶め、対立喧嘩し、叱りつける際に用いられる。 ア⸢ガッス⸣ヒャー ⸣ワンザー ⸣ムネー シゥ⸢カヌ [ʔa⸢gassu⸣çaː ⸣wanʣaː muneː si̥⸢kanu] (糞くらえ、貴様の言うことは聞かない) 378 0 0 346 htmvoc_378.wav アガッふァーマ ア⸢ガッふァー⸣マ [ʔa⸢gaffaː⸣ma] 名 赤子。赤ん坊。 ⸣アイニ ⸢ピー⸣ヤムヌ ア⸢ガッふァーマ⸣バ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ザ⸣スンティ ⸢アー⸣クツォー [⸣ʔaini ⸢piː⸣jamunu ʔa⸢gaffaːma⸣ba mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʣa⸣sunti ⸢ʔaː⸣kuʦoː] (あんなに寒いのに、赤ん坊を道に連れ出そうとしているそうだ) 412 0 0 347 htmvoc_412.wav アガッふァーマ ア⸢ガッふァー⸣マ [ʔa⸢gaffaː⸣ma] 名 赤子(あかご)。 ア⸢ブ⸣ジェー トゥ⸢シ⸣ トゥ⸢ローッ⸣ター ア⸢ガッふァーマ⸣ンカタチニ ⸢フンダイ シーオー⸣ル [ʔa⸢bu⸣dʒeː tu⸢ʃi⸣ tu⸢roːt⸣taː ʔa⸢gaffaːma⸣ŋ kḁtaʧini ⸢ɸundai ʃiː ʔoː⸣ru] (おじいさんは年をとられたので赤子のようにわがままなこと<したい放題>をしておれられる) 377 0 0 348 htmvoc_377.wav アガティダ ア⸢ガティダ [ʔa⸢gatida] 名 強力な太陽の直射光線。強烈な太陽光線。「赤太陽」の義。ア⸢ガ[ʔa⸢ga](赤い、真っ赤な)は強意の接頭語。 ア⸢ガティダサーリ⸣ パ⸢タキシグ⸣トゥ ⸢スンティ アー⸣キ フカイティ ⸢デー⸣ジ ⸢スンティ アーク⸣タ⸢ドー⸣スカーヤ [ʔa⸢gatidasaːri⸣ pa⸢takiʃigu⸣tu ⸢sunti ʔaː⸣ki ɸu̥kaiti ⸢deː⸣ʤi ⸢sunti ʔaːku⸣ta⸢doː⸣sukaːja] (炎天下で畑仕事をしようとしていて、熱射病になりかけて<体熱が上昇して>大変なことになるところだったってばよ) 379 0 0 349 htmvoc_379.wav アカトゥビ ア⸢カ⸣トゥビ [ʔa⸢ka⸣tubi] 名 (植)樹木の名。オオバギ。 ア⸢カトゥビ⸣ヌ ⸢パー⸣シ シ⸢ビ ヌシ⸣トゥカー シ⸢ビコー⸣ルンティ⸢ダー [ʔa⸢katubi⸣nu ⸢paː⸣ʃi ʃi⸢bi nuʃi̥⸣tukaː ʃi⸢bikoː⸣runti⸢daː] (オオバギの葉で尻を拭くと便秘になるってよ) 380 0 0 350 htmvoc_380.wav アカトゥル ア⸢カ⸣トゥル [ʔa⸢ka⸣turu] 名 船の中の淦(あか)を汲み取る道具。淦取り。淦汲み。⸢ユー⸣トゥル[⸢juː⸣turu](淦取り)ともいう。 ア⸢カ⸣トゥルシ ⸣イダフニヌ ⸣アカ ⸣トゥリ [ʔa⸢ka⸣turuʃi ⸣ʔidaɸuninu ⸣ʔaka ⸣turi] (淦取りでサバニの<板舟>の淦を取れ<汲め>) 381 0 0 351 htmvoc_381.wav アカナー ア⸢カナー [ʔa⸢kanaː] 名 (動)魚の名。和名、バラフエダイ。⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)あたりで一本釣りをすると、体長60~70センチメートルのものが釣れた。この魚も痩せたもの食すると食中毒を起こすこともあった。 ア⸢カナーン ヨーガリムヌ⸣ナー ⸣バスプソー ⸢ビー⸣ル ⸣ムヌン ブ⸢リブタ [ʔa⸢kanaːŋ joːgarimunu⸣naː ⸣basupu̥soː ⸢biː⸣ru ⸣munum bu⸢ributa] (アカナーも痩せたものには、時には食中毒を起こすものもいた<おりおった>) 382 0 0 352 htmvoc_382.wav アガナーサキ ア⸢ガナーサキ [ʔa⸢ganaːsaki] 名 海底地名。鳩間島の東南方、タ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)の干瀬沿いに北へ延びる、ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](澪の上)と呼ばれる水深約50メートルの澪がある。その側に⸢ウール[⸢ʔuːru](枝珊瑚)に被われた浅瀬で、魚がよく釣れるところをいう。 ア⸢ガナーサキ⸣ナーン ⸣ユー ⸣アン ウ⸢ラ⸣ソーッタン [ʔa⸢ganaːsaki⸣naːŋ ⸣juː ⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣soːttaŋ] (アガナーサキでも、よく追い込み漁をされた<網を降ろされた>) 383 0 0 353 htmvoc_383.wav アガニーバル ア⸢ガ⸣ニーバル [ʔa⸢ga⸣niːbaru] 名 (動)魚の名。和名、アカハタ(体長約25センチ{EOS}鮮やかな橙色に丸く小さな褐色の斑点が頭部に付いており、腹部から尾びれにかけて白い斑点が付いている)。磯釣りでも釣れる。魚肉は白色で、味は淡白。蒲鉾の素材となる。和名、ニジハタ(体長約20センチ)。和名、アザハタ(体長約25センチ)にもいう。 ア⸢ガ⸣ニーバロー イ⸢ル⸣イル ブ⸢リブンドゥ⸣ ユ⸢ヌナー⸣ル シ⸢キラ⸣リ ⸢ブー⸣ クティンクティンヌ ⸢ナーヤ ナー⸣ヌ [ʔa⸢ga⸣niːbaroː ʔi⸢ru⸣iru bu⸢ribundu⸣ ju⸢nunaː⸣ru ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢buː ⸣ kutiŋkutinnu ⸢naːja naː⸣nu] (アカハタは、色々いるが、同じ名が付けられている{EOS}別々<異異の>の名前はない) 384 0 0 354 htmvoc_384.wav アガニチ ア⸢ガニチ [ʔa⸢ganiʧi] 名 風疹(ふうしん)。「赤熱」の義。 ア⸢ガニチヌ⸣ パ⸢ヤー⸣リティル ヤ⸢ラ⸣ビンケン ムー⸢ル⸣ ア⸢ガニチバ⸣ カ⸢カ⸣リ ソ⸢ーバ シーベー⸠ツォー [ʔa⸢ganiʧinu⸣ pa⸢jaː⸣ritiru ja⸢ra⸣biŋkem muː⸢ru⸣ ʔa⸢ganiʧiba⸣ kḁ⸢ka⸣ri ⸢soːba ʃiːbeː⸠ʦoː] (風疹が流行って子供たちみんな風疹にかかって心配をしているんですよ) 386 0 0 355 htmvoc_386.wav アガヌーヌ ア⸢ガヌーヌ [ʔa⸢ganuːnu] 名 赤い布。赤色だけの布。「赤布」の義。 ア⸢ガヌーヌバ カイ⸣キー ⸢トーカキ⸣ヌ  ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣マク ス⸢ク⸣リ⸢ツォー [ʔa⸢ganuːnuba kai⸣kiː ⸢toːkaki⸣nu ⸢joi⸣nu ⸣maku su̥⸢ku⸣ri⸢ʦoː] (赤い布を買ってきて米寿の祝いの幕を作れよ) 385 0 0 356 htmvoc_385.wav アガヌール ア⸢ガヌール [ʔa⸢ganuːru] 名 朱塗り。「赤塗り」の義。 ア⸢ガジブコー⸣ ア⸢ガヌールバ⸣ カ⸢サビカサビ ヌーリティ⸣ ピ⸢カラ⸣シ シケー [ʔa⸢gadʒibukoː⸣ ʔa⸢ganuːruba⸣ kḁ⸢sabikasabi nuːriti⸣ pi̥⸢kara⸣ʃi ʃi̥keː] (赤重箱は、赤色<赤漆>を重ね重ねに塗って\ruby{艶}{ツヤ}を出してある<光らしてある>)。 ア⸢ガヌール⸣ ッ⸢ふァースン [ʔa⸢ganuːru⸣ f⸢faːsuŋ] (朱塗りをする<朱塗りを食らわす>) 387 0 0 357 htmvoc_387.wav アカバー ア⸢カバー [ʔa⸢kabaː] 名 膿痂疹性湿疹。頭部の湿疹が黄色か皮膿汁を伴う細菌性感染にある状態。小児に多い(『医学沖縄語辞典』)。皮膚病の一種。頭から顔にかけて赤くただれ、化膿してかさぶた状になる皮膚病で、なかなか完治しにくい。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢カバー⸣ ン⸢ジッふァ⸣ヌ ブ⸢リブタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン⸢ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢kabaː⸣ ʔn⸢ʤiffa⸣nu bu⸢ributanu⸣ ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣ban⸢naː] (昔は膿か疹性湿疹を患った子供がいたが<居りおった>が今は見られないわいねえ)。 ア⸢カバースブル [ʔa⸢kabaːsuburu] (膿か疹性湿疹の皮膚病がある頭)。 ア⸢カバー⸣ カクン [ʔa⸢kabaː⸣ kakuŋ] (膿か疹性湿疹の皮膚病を患う) 388 0 0 358 htmvoc_388.wav アガパー ア⸢ガパー [ʔa⸢gapaː] 名 赤い歯茎。歯が抜けて、歯茎だけで歯の代用をなしているもの。 ⸢パー⸣ユン イ⸢ラムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢ガパー タン⸣ガシ ム⸢ヌ⸣バ ッ⸢ふァイベー⸠ツォー [⸢paː⸣juŋ ʔi⸢ramuti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢gapaː taŋ⸣gaʃi mu⸢nu⸣ba f⸢faibeː⸠ʦoː] (歯をも入れないで、ただ赤歯<歯茎>だけでものを食べているんだよ) 389 0 0 359 htmvoc_389.wav アカバカ ア⸢カバカ [ʔa⸢kabaka] 名 おおばか(大馬鹿)。全くのふ<耄>れ者。石垣方言からの借用語。普通はア⸢ガプリムヌ[ʔa⸢gapurimunu](大馬鹿)という。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢マームニティ⸣ ス⸢ク⸣カー ⸢ワー⸣ メー ア⸢ガバカ⸣<プ⸢リムヌ⸣>ヨー [⸣ʔaibu ku⸢tu⸣ba ⸢maːmuniti⸣ su⸢ku⸣kaː ⸢waː⸣ meː ʔa⸢gabaka⸣joː] (あんなことを本当<真の言葉>と聞くのならば、君はおおばかだよ) 390 0 0 360 htmvoc_390.wav アガパギ ア⸢ガパギ [ʔa⸢gapagi] 名 赤はげ。赤く擦りむいてあること。 ク⸢ルビティ パン⸣マー ア⸢ガパギ シー⸣ シケー [ku⸢rubiti pam⸣maː ʔa⸢gapagi ʃiː⸣ ʃi̥keː] (転んで足は赤く擦りむいてある<赤はげしてある>) 393 0 0 361 htmvoc_393.wav アガバサ ア⸢ガバサ [ʔa⸢gabasa] 名 (植)小笠原種の芭蕉。「赤芭蕉」の義。地上茎の縁が赤いのでその名があるという。台湾種の⸢アウバサ[⸢ʔaubasa](青芭蕉)の対。 ア⸢ガバサ トー⸣シキー バ⸢サ⸣ムトゥ ⸢シッ⸣キティ ⸢マッ⸣ふァ ス⸢ク⸣リ シ⸢ミティ⸣ ニチ サ⸢マ⸣シバ [ʔa⸢gabasa toː⸣ʃikiː ba⸢sa⸣mutu ⸢ʃik⸣kiti ⸢maf⸣fa su̥⸢ku⸣ri ʃi⸢miti⸣ niʧi sa⸢ma⸣ʃi] (芭蕉を切り倒してきて幹を叩いて枕に作ってさせて<枕にさせ>熱を冷まさせなさいよ) 391 0 0 362 htmvoc_391.wav アガパジ ア⸢ガパジ [ʔa⸢gapaʤi] 名 赤恥。 プ⸢スヌ⸣ マン⸢タ⸣ナー ア⸢ガパジバ⸣ カ⸢カサ⸣リ イ⸢ナムヌ⸠ツォー [pu̥⸢sunu⸣ man⸢ta⸣naː ʔa⸢gapadʒiba⸣ kḁ⸢kasa⸣ri ʔi⸢namunu⸠ʦoː] (他人の前で恥をかかされて残念なんですよ) 392 0 0 363 htmvoc_392.wav アガパジン ア⸢ガパジン [ʔa⸢gapaʤiŋ] 名 昆虫。蜂の一種。茅の中に巣食っている赤い小さな蜂。⸣ガーパジン[⸣gaːpaʤiŋ](茅蜂)ともいう。 ア⸢ガパジン⸣ ッ⸢サリ⸣タンティン ⸢ナン⸣ゾー ヤ⸢マン⸣シェン [ʔa⸢gapaʤin⸣ s⸢sari⸣tantin ⸢nan⸣ʣoː ja⸢maŋ⸣ʃeŋ] (赤蜂に刺されても、あまり痛くなかった) 394 0 1 364 htmvoc_394.wav アカバタ ア⸢カバタ [ʔa⸢kabata] 名 (動)魚の名。{Mn_1}和名、アマクチビ。体長約70センチ。白身魚の最高級魚。 394 0 2 365 htmvoc_394.wav アカバタ ア⸢カバタ [ʔa⸢kabata] 名 {Mn_2}和名、タマメイチ(体長約50センチ)。 394 0 3 366 htmvoc_394.wav アカバタ ア⸢カバタ [ʔa⸢kabata] 名 {Mn_3}和名、ナガメイチ(体長50センチ)。 394 0 4 367 htmvoc_394.wav アカバタ ア⸢カバタ [ʔa⸢kabata] 名 {Mn_4}和名、タマメイチ(体長約50センチ)にもいう。⸢クー⸣シビー[⸢kuːʃi⸣biː](島の西側の干瀬)の⸢ピーヌ⸣クシ[piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外海)で、タ⸢ティ⸣ナー[tḁ⸢ti⸣naː](一本釣り<立て縄>)をして釣った 395 0 0 368 htmvoc_395.wav アガパタ ア⸢ガパタ [ʔa⸢gapata] 名 大漁旗の一種。幅約30センチ、長さ約2メートルの真っ赤に染めた旗。カツオの漁獲高が200~300斤ほどある時に、漁船はこの旗を立てて寄港した。 カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢ガパタ⸣ タティティ ⸢カイ⸣リ ⸣ケーン [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢gapata⸣ tḁti ti ⸢kai⸣ri ⸣keːŋ] (カツオ漁船は赤旗を立てて帰っててきた) 396 0 0 369 htmvoc_396.wav アガパダカ ア⸢ガパダカ [ʔa⸢gapadaka] 名 赤裸。丸裸。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ア⸢ガパダカ⸣ナリティ フカンター ン⸢ジ⸣ルンティ ⸢シーベー [ja⸢rabi⸣nu ʔa⸢gapadaka⸣nariti ɸu̥kaː ʔn⸢dʒi⸣runti ⸢ʃiːbeː] (子供が赤裸になって外へ出て行こうとしている) 397 0 0 370 htmvoc_397.wav アカハチ ア⸢カハチ [ʔa⸢kahaʧi] 名 人名。歴史上実在した大浜の豪族。1500年、首里王府に謀反したことで征討されたという。 ア⸢カハチェー⸣ ウ⸢ヤ⸣キアカハチティ ⸢シー⸣ パ⸢ティルマナー⸣ル マ⸢ローッ⸣タティ ア⸢ザリブー [ʔa⸢kahaʧeː⸣ ʔu⸢ja⸣kiʔakahaʧiti ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢tirumanaː⸣ru ma⸢roːt⸣tati ʔa⸢ʣaribuː] (アカハチは、ウヤキアカハチと言って波照間島に生まれたといわれている) 398 0 0 371 htmvoc_398.wav アガパナ ⸣アガパナ [⸣ʔagapana] 名 赤い花。赤花。仏桑華。 ⸣アガパナ、⸢キールパナ、ッ⸢ス⸣パナ、イ⸢ル⸣ジナ パ⸢ナ⸣ヌ サキ⸢ベー⸣ン [⸣ʔagapana ⸢kiːrupana s⸢su⸣pana ʔi⸢ru⸣ʤina pa⸢na⸣nu saki⸢beː⸣ŋ] (赤い花、黄色い花、白い花といろいろな花が咲いている)。 ⸣アガパナー ⸢ヤシキ⸣ウチナー イ⸢バンシェン [⸣ʔagapanaː ⸢jaʃi̥ki⸣ʔuʧinaː ʔi⸢baŋʃeŋ] (仏桑華は屋敷内には植えなかった) 399 0 0 372 htmvoc_399.wav アガパナ ア⸢ガパナ [ʔa⸢gapana] 名 赤い鼻。赤鼻。赤鼻の人。 ⸣アガパジン パ⸢ナ⸣ ッ⸢サ⸣リティ ア⸢ガパナ⸣ ナリ ⸢ベー [⸣ʔagapaʤim pa⸢na⸣ s⸢sa⸣riti ʔa⸢gapana⸣ nari ⸢beː] (赤い蜂<茅蜂>に鼻を刺されて赤鼻になっている) 400 0 0 373 htmvoc_400.wav アカバニカマサー ア⸢カバニカマサー [ʔa⸢kabanikamasaː] 名  (動)魚の名。和名、オオメカマス(体長約50センチ)の細長い魚。 パ⸢ニビキ⸣シン ア⸢カバニカマサー ホー⸣ソーッタン [pa⸢nibiki⸣ʃiŋ ʔa⸢kabanikamasaː hoː⸣soːttaŋ] (引縄釣でもオオメカマスを釣りあげられた) 401 0 0 374 htmvoc_401.wav アカバニブラ ア⸢カバニブラ [ʔa⸢kabanibura] 名 (動)魚の名。和名、フウライボラ(体長約60センチ{EOS}灰色がかった銀色の体色を有する)。別名、⸢キンバニ[kimbani]。群れを成して海岸に寄る。西表島の北岸一帯で、投網で漁獲した。肉質が柔らかく、あまり美味ではない。塩漬けにして保存食にした 404 0 0 375 htmvoc_404.wav アガパンタリ ア⸢ガパンタリ [ʔa⸢gapantari] 名 丸々と肥えていること。接頭語ア⸢ガ[ʔa⸢ga](真っ赤な{EOS}真の)は、程度の甚だしいさまを表す。 ⸢ワー ヌー⸣バ ッ⸢ふァイティ⸣ アイニ ア⸢ガパンタリ シーベー⸣ワ [⸢waː nuː⸣ba f⸢faiti⸣ ʔaini ʔa⸢gapantari ʃiːbeː⸣wa] (君は何を食べてそのように丸々と肥えているのか) 91 0 0 376 htmvoc_91.wav アガピーカー ア⸢ガピーカー [ʔa⸢gapiːkaː] 名 (動)魚の名。和名、ヒメアイゴ、マジリアイゴ、サンゴアイゴ、の総称。 イ⸢ツォン⸣プソー ア⸢ガピーカーヨ⸣ ア⸢ケー⸣ティン ア⸢ゾー⸣ルン⸢ダー [ʔi⸢ʦom⸣pu̥soː ʔa⸢gapiːkaːjoː⸣ ʔa⸢keː⸣tiŋ ʔa⸢ʣoː⸣run⸢daː] (糸満の人はアガピーカーをアケーともいわれるよ)。シ⸢ナカキ⸣ヤー漁でもよく漁獲されたし、⸣ティル[⸣tiru](漁獲用笊)漁でもよく漁獲された。ヒメアイゴの背びれには毒針があるので、刺されないように気を配って漁獲した。魚肉は引き締まって美味である 406 0 0 377 htmvoc_406.wav アガピール ア⸢ガピール [ʔa⸢gapiːru] 名 真昼間。昼日中。 ⸣マナール ア⸢ガピーローラ⸣ サ⸢キバ⸣ ヌム プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラー(⸢ブーワ) [⸣manaːru ʔa⸢gapiːroːra⸣ sḁ⸢kiba⸣ numu pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raː(⸢buːwa)] (何処に真昼間から酒を飲む人がいるものか)。 ア⸢ガピーローラ⸣ サ⸢キバ⸣ ヌメーティ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [ʔa⸢gapiːroːra⸣ sḁ⸢kiba⸣ numeːti ⸣nuːja ʔu⸢reː] (真っ昼間から酒を飲んで何事だねえ、これは) 92 0 0 378 htmvoc_92.wav アガピキ ア⸢ガピキ [ʔa⸢gapiki] 名 (動)魚の名。和名、レモンスズメ。スズメダイ科の仲間。枝珊瑚の中に棲息している。観賞用の熱帯魚。食用に適さない。ノコギリダイを釣る時に集まってきて、よく餌を横取りする。 ア⸢ガピケー サッ⸣コー ⸢ムン⸣ダニ ッ⸢ふン [ʔa⸢gapikeː sak⸣koː ⸢mun⸣dani f⸢fuŋ] (アガピキは、よく餌を横取りして食う) 411 0 0 379 htmvoc_411.wav アガピタ ア⸢ガピタ [ʔa⸢gapita] 名 全くの下手。へたくそ。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミリバン⸣ ア⸢ガピタ⸠ツォー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢miribaŋ⸣ ʔa⸢gapita⸠ʦoː] (その子は何をさせても全くの下手くそなんだよ<断定、確認>) 407 1 0 380 htmvoc_407.wav アガピッチン ア⸢ガピッチン [ʔa⸢gapitʧiŋ] 名 {PoS_1}たった一つ。 ⸢バン⸣マー ア⸢ガピッチンマーンツァン フィーラヌ [⸢bam⸣maː ʔa⸢gapitʧimmaːnʦaŋ fiːranu] (私にはたった一つすらくれない)。 407 2 0 381 htmvoc_407.wav アガピッチン ア⸢ガピッチン [ʔa⸢gapitʧiŋ] 副 {PoS_2}ちっとも。少しも。全く。文末の打ち消し表現と呼応して陳述副詞として用いられる。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸣クトー ⸣ビーティ ア⸢ガピッチン⸣ ウブイ ブ⸢ラーヌ [ju⸢bi⸣nu ⸣ku̥toː ⸣biːti ʔa⸢gapitʧiŋ⸣ ʔubui bu⸢raːnu] (昨夜のことは、酔っ払っていて、少しも覚えていない) 408 0 0 382 htmvoc_408.wav アガピニ ア⸢ガピニ [ʔa⸢gapini] 名 赤髭。赤い髭。赤髭の人。漁師が日焼けすると鬚は赤くなった。 ⸣カナー ア⸢ガピニ モーシプス⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸣kanaː ʔa⸢gapini moːʃipu̥su⸣nu ⸢ʔoːru⸣ŋ] (あそこに赤い髭を生やした人がいらっしゃる) 410 0 0 383 htmvoc_410.wav アガピンソー ア⸢ガピンソー [ʔa⸢gapinsoː] 名 赤貧。極貧。非常に貧しい状態。 ⸢クン⸣ネーヤ ム⸢カ⸣シェー ア⸢ガピンソー⸣ タ⸢タ⸣キ ア⸢ワ⸣リ ⸢ソー⸣レーティル マ⸢ナ⸣マー ⸢セイコー ソー⸣レーティ⸢ダー [⸢kun⸣neːja mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢gapinsoː⸣ tḁ⸢ta⸣ki ʔa⸢wa⸣ri ⸢soː⸣reːtiru ma⸢na⸣maː ⸢ʃeikoː soː⸣reːti ⸢daː] (この家は、昔は極貧にあえいで苦労をなされたので、今は成功されたそうだよ) 413 0 0 384 htmvoc_413.wav アガブー ア⸢ガブー [ʔa⸢gabuː] 名 赤い紐(紐)。「赤緒」の義。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ア⸢チ⸣ツァナー <アシツァナー> ア⸢ガブー⸣ シ⸢キ⸣リバ [ku⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffanu ʔa⸢ʧi⸣ʦanaː ʔa⸢gabuː⸣ ʃi̥⸢ki⸣riba] (この女の子の下駄には赤い緒をつけなさいよ) 414 0 0 385 htmvoc_414.wav アガフキ ア⸢ガフキ [ʔa⸢gaɸu̥ki] 名 植物の赤い芽。 ⸢ナーン⸣パー ア⸢ガフキヌ⸣ ンジキー ン⸢マーン⸣ギサワ ⸠ナー [⸢naːm⸣paː ʔa⸢gaɸu̥kinu⸣ ʔnʤikiː ʔm⸢maːŋ⸣gisawa ⸠naː] (菜っ葉は、赤い新芽が出てきて美味しそうだねえ) 415 0 0 386 htmvoc_415.wav アカブザ ⸣アカブザ [⸣ʔakabuʣa] 名 百姓。農民。平民。⸣アカ[⸣ʔaka]は強意の接頭語。 ム⸢カ⸣シェーラ ⸣アカブザヌ シ⸢グトー マイ⸣ ス⸢クリ⸣ル ⸣ムトゥ ヤ⸢ローッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeːra⸣ʔakabuʣanu ʃi⸢gutoː mai⸣ su̥⸢kuri⸣ru ⸣mutu ja⸢roːt⸣ta] (昔から百姓の仕事は稲作が中心<基本>であられた) 416 0 0 387 htmvoc_416.wav アカブザマイ ⸣アカブザマイ [⸣ʔakabuʣamai] 名 (植)稲の品種名。 ⸢ホーライマイ⸣トゥ ⸣アカブザマイトー ⸢ヌー⸣ル ン⸢マーッ⸣タカヤー [⸢hoːraimai⸣tu ⸣ʔakabuʣamaitoː ⸢nuː⸣ru ʔm⸢maːt⸣takajaː] (蓬莱米とアカブザ米とでは何が美味しかったかなあ) 409 0 0 388 htmvoc_409.wav アガプスマ ア⸢ガプスマ [ʔa⸢gapusuma] 名 真昼間。正午。かんかんと照りつける正午。⸢マープスマ[⸢maːpusuma](真昼間)ともいう。 ティ⸢ダ⸣ヌ ア⸢ガプスマ⸣ ナルンケン ⸢バー⸣ケー パ⸢タ⸣キ ⸢カイサバ⸣ル ⸣ティマー ⸢イーラ⸣リ [ti⸢da⸣nu ʔa⸢gapu̥suma⸣ naruŋkem ⸢baː⸣keː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kaisaba⸣ru ⸣timaː ⸢ʔiːra⸣ri] (太陽が真昼間になるまでは畑を耕してはじめて<耕せばぞ>手間賃はもらえる) 418 0 0 389 htmvoc_418.wav アガフダ ア⸢ガフダ [ʔa⸢gaɸuda] 名 赤札。召集令状。納税の督促状。 ア⸢ガフダヌ キー⸣ル ⸢ピー⸣タイ ⸢サンガリ⸣ パレール [ʔa⸢gaɸudanu kiː⸣ru ⸢piː⸣tai ⸢saŋgari⸣ pareːru] (赤札<召集令状>がきて、それで兵隊に引っ張られていったのだ)。 ⸢ゾー⸣ノー パ⸢ライマー⸣キ ⸢ベーン⸣ケンマー ア⸢ガフダヌ⸣ キー⸢ナー⸣ヌ [⸢ʣoː⸣noː pa⸢raimaː⸣ki ⸢beːŋ⸣kemmaː ʔa⸢gaɸudanu⸣ kiː⸢naː⸣nu] (税金を納めかねて<払いかねて>いるうちに赤札<差し押さえ状>が来てしまった) 419 0 0 390 htmvoc_419.wav アガフビ ア⸢ガフビ [ʔa⸢gaɸubi] 名 赤襟。フ⸢ビ[ɸu⸢bi]は⸢首」の転訛したもので、着物の襟の意。古典舞踊の衣装などで赤い襟をつけるコスチュームは宮廷舞踊、儀式舞踊を表している。日常の着物には赤襟はつけなかった。 ク⸢ヌ⸣ キンナー ア⸢ガフビ⸣ シ⸢キリバ⸣ル ⸢カイ⸣ヤヨー [ku⸢nu⸣ kinnaː ʔa⸢gaɸubi⸣ ʃi̥⸢kiriba⸣ru ⸢kai⸣jajoː] (この着物には赤襟を付けたほうが綺麗だよ) 420 0 0 391 htmvoc_420.wav アガプリムヌ ア⸢ガプリムヌ [ʔa⸢gapurimunu] 名 おお馬鹿もの。大たわけ。全くの気違い。プ⸢リムヌ[pu⸢rimunu](「狂れ者」の義{EOS}馬鹿者)に強意の接頭語ア⸢ガ[ʔa⸢ga](全くの{EOS}真の)が上接したもの。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー ワー フン⸣トー ア⸢ガプリムヌ ユン⸣シェー [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː waː ɸun⸣toː ʔa⸢gapurimunu juŋ⸣ʃeː] (あんなことをし出かして、君は本当に大馬鹿者だよ) 421 0 0 392 htmvoc_421.wav アガベール ア⸢ガベー⸣ル [ʔa⸢gabeː⸣ru] 感 いやだ。全く嫌だ。あかんべ。拒絶する時の卑語。⸢ベー⸣ル[⸢beː⸣ru](嫌だ)に強意の接頭語ア⸢ガ[ʔa⸢ga]の付いた形。 ア⸢ガベー⸣ルヒャー バー ⸢クン⸣ネーヤ イッ⸢カ⸣ナシ パ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢gabeː⸣ruçaː baː ⸢kun⸣neːja ʔik⸢kana⸣ʃi pa⸢ra⸣nu] (絶対に聞くものか、私はこの家には決して<いっかな>行かない) 422 0 0 393 htmvoc_422.wav アガボーダ ア⸢ガボーダ [ʔa⸢gaboːda] 名 (動)魚の名。和名、キツネブダイの仲間。 ア⸢ガボーダー パン⸣タリティ ナ⸢マ⸣シ キ⸢サ⸣バン ⸣スー バ⸢カサバン⸣ イ⸢カムス⸣ク ン⸢マー⸣ワ ⸢ツォー [ʔa⸢gaboːdaː pan⸣tariti na⸢ma⸣ʃi ki̥⸢sa⸣ban suː ba⸢kasabaŋ ʔi⸢kamusu⸣ku ʔm⸢maː⸣wa⸢ʦoː] (アガボーダは肥えていて、刺身にしてもお汁に炊いてもどんなに<いか程>美味しいことか) 423 0 0 394 htmvoc_423.wav アガマイ ア⸢ガマイ [ʔa⸢gamai] 名 (植)稲の品種名。赤米。ダ⸢ネー⸣ママイ[da⸢neː⸣mamai]ともいう。 ア⸢ガマイヤ⸣ イ⸢ル⸣ヌ ア⸢ガー ベー⸣ティル ⸣アイニ ⸢ナー⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢ブー⸣ツォー [ʔa⸢gamaija⸣ ʔi⸢ru⸣nu ʔa⸢gaː beː⸣tiru ⸣ʔaini ⸢naː⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢buː⸣ʦoːː] (赤米は色が赤いので、そのように名前が付けられているそうだ) 424 0 0 395 htmvoc_424.wav アガマイヌイー ア⸢ガマイヌ⸣ イー [ʔa⸢gamainu⸣ ʔiː] 連 赤米の御飯。赤米の飯。 ア⸢ガマイヌ イー⸣ヤ ⸣アバー ピ⸢キティ⸣ ン⸢マー⸣タン [ʔa⸢gamainu ʔiː⸣ja ⸣ʔabaː pi̥⸢kiti⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (赤米の御飯は油が出て<油を引いて>美味しかった) 438 0 0 396 htmvoc_438.wav アガマスン ア⸢ガマスン [ʔa⸢gamasuŋ] 他動 赤くする。 ⸣アブジェー ⸣ミーラ ⸢ピー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンケン ⸣シラー ア⸢ガマシティ クン⸣ゾー ⸣ンジ ⸢オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ⸣miːra ⸢piː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋkeŋ ⸣ʃiraː ʔa⸢gamaʃi̥ti kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤi ⸢ʔoː⸣ru] (おじいさんは目から火が出るほど顔は赤らませて怒って<根性をだして>おられる)。赤らめる。 サ⸢キ⸣ ヌ⸢マ⸣シティ ⸣シラー ア⸢ガマシ⸣ シケー [sḁ⸢ki⸣ nu⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣ʃiraː ʔa⸢gamaʃi⸣ ʃi̥keː] (酒を飲ませて顔を赤らめさせてある) 439 0 0 397 htmvoc_439.wav アカマター ⸣アカマター [⸣ʔakamataː] 名 古見村、小浜島、新城島、宮良村などで篤く信仰されている来訪神の名。毎年の豊年祭に出現して豊穣を予祝し、人々を寿いで帰る神。古見村では、このほかにクロマター、シロマターの二神が出現する。この祭祀は篤い信仰にもとずく秘密結社によって厳かに執行されている。 ⸢クン⸣ヌ ⸢プール⸣ナー ⸣アカマター ⸣クロマタ ⸣シロマターヌ ⸢カン⸣ヌ ヤ⸢マー⸣ラ ⸣ウリ ⸢オー⸣ルン [⸢kun⸣nu ⸢puːru⸣naː ⸣ʔakamataː ⸣kuromataː ⸣ʃiromataːnu ⸢kan⸣nu ja⸢maː⸣ra ⸣ʔuri ⸢ʔoː⸣ruŋ] (古見村の豊年祭には赤マター、黒マター、白マターの神が山から下りて来られる) 440 0 0 398 htmvoc_440.wav アカマチ ア⸢カマチ [ʔa⸢kamaʧi] 名 (動)魚の名。和名、ハマダイ(体長約1メートル)。白身魚の最高級魚。 ア⸢カマチェー⸣ タ⸢ティ⸣ナーシル ⸢クー⸣シビーヌ ⸢ピーヌ⸣クシナーティ ⸢ホー⸣ソーッタ [ʔa⸢kamaʧeː⸣ tḁ⸢ti⸣naːʃiru ⸢kuː⸣ʃibiːnu ⸢piːnu⸣kuʃinaːti ⸢hoː⸣soːtta] (アカマチは一本釣り<立て縄釣り>で、クーシビー干瀬の外海で釣られた) 441 0 0 399 htmvoc_441.wav アガマミ ア⸢ガマミ [ʔa⸢gamami] 名 (植)和名、アズキ(小豆)。「赤豆」の義。餡の原料、味噌の原料としてたくさん作付けされた。 ア⸢ガマミヌ⸣ イー バ⸢カスン [ʔa⸢gamaminu⸣ ʔiː ba⸢kasuŋ] (アズキご飯を炊く) 442 0 0 400 htmvoc_442.wav アガマミヌアン ア⸢ガマミヌ⸣ アン [ʔa⸢gamaminu⸣ ʔaŋ] 連 アズキの餡。 ア⸢ガマミヌ アンバ⸣ ム⸢チヌ⸣ バタ イ⸢リ⸣ シケーンダ ン⸢マー⸣ン  [ʔa⸢gamaminu ʔam⸣ba mu⸢ʧinu⸣ bata ʔi⸢ri⸣ ʃi̥keːnda ʔm⸢maː⸣ŋ] (小豆の餡を餅の腸<餡>に入れてあるので美味しい) 443 0 0 401 htmvoc_443.wav アガマミヌイー ア⸢ガマミヌ⸣イー [ʔa⸢gamaminu⸣ʔiː] 名 赤飯。「赤豆のご飯」の義。小豆と糯米を混ぜて炊いたご飯。食紅が出る以前は、小豆ご飯を赤飯といった。小豆を一晩<約15時間>水に浸けておいて、米と一緒に炊いた。赤褐色の小豆の色は奥行きのある色と味を演出し、糯米の粘性と小豆のさらさらした味が調和して美味であるが、子供はあまり好まなかった。 ア⸢ガマミヌイー⸣ヤ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ふァーンシェン [ʔa⸢gamaminuʔiː⸣ja ja⸢ra⸣beː ⸢nan⸣ʣoː f⸢faːŋʃeŋ] (小豆ご飯<赤飯>は、子供はあまり食べなかった) 444 0 0 402 htmvoc_444.wav アガマラー ⸣アガマラー [⸣ʔagamaraː] 名 (動)黄牛。黄褐色の毛を持つ牛。⸣アガマラーウシ[⸣ʔagamaraːʔusi](黄牛)ともいう。豊年の瑞兆とされ、古謡などに歌われる。「アカマワリ(赤味を帯びる)・ヤー(もの)」の転か。 ⸢ウン⸣ネナー ⸣アガマラーウシヌ プ⸢スッ⸣カラ ブ⸢タン⸠ダー [⸢ʔun⸣nenaː ⸣ʔagamaraːʔuʃinu pu̥⸢suk⸣kara bu⸢tan⸠daː] (その家には黄牛が一頭<一匹>いたよ) 445 0 0 403 htmvoc_445.wav アガマラーウシ ⸣アガマラーウシ [⸣ʔagamaraːʔuʃi] 名 黄牛。黄褐色の毛を持つ牛。 ⸣アガマラーウシェー サ⸢ニンガーリ⸣ムヌ ⸢ヤッタ⸣ユー ⸢ミッ⸣タニ ミ⸢ララン⸣シェン [⸣ʔagamaraːʔuʃeː sa⸢niŋgaːri⸣munu ⸢jatta⸣juː ⸢mit⸣tani mi⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (黄牛は突然変異<種変わり>によるものなのか、めったに見られなかった) 446 0 0 404 htmvoc_446.wav アガミー ア⸢ガミー [ʔa⸢gamiː] 名 疲れや病気などで結膜が充血して赤くなった目。眼球が刺激によって赤くなること(『医学沖縄語辞典』)。 ⸣アガヤー ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ティーシ ⸢ミー⸣バ ⸣ッシティル ア⸢ガミー⸣ ナシ ⸣シケーバン [⸣ʔagajaː ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ tiːʃi ⸢miː⸣ba ⸣ʃʃitiru ʔa⸢gamiː⸣ naʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (あらまあ、この子は、手で目をこすって<ぞ>充血させ<赤目になし>てあるわいな) 447 0 0 405 htmvoc_447.wav アガミー ア⸢ガミー [ʔa⸢gamiː] 名 赤身。肉の脂身を除いた赤い部分。若年層は、ア⸢ガニク[ʔa⸢ganiku](赤肉)ともいう。 ⸢オー⸣ヌ ⸣ニコー(⸢シー⸣シェー) ア⸢ガミーラ カイ⸣クーバ [⸢ʔoː⸣nu nikoː(⸢ʃiː⸣ʃeː) ʔa⸢gamiːra kai⸣kuːba] (豚の肉<「肉 之之」シシ{EOS}肌膚之肉也『和名抄』>は赤身の部分<赤肉>から選んで買ってきなさいよ) 448 0 0 406 htmvoc_448.wav アガミース ア⸢ガミース [ʔa⸢gamiːsu] 名 赤味噌。赤褐色に仕上げた味噌。原料として大豆や麦、小豆などの雑穀を用いる。米だけで作った⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)の上味噌に対して、中味噌、下味噌に属する。 ⸢スー⸣ヌ ア⸢ジェー⸣ ア⸢ガミース⸣シ シ⸢キバ⸣ル ン⸢マー [⸢suː⸣nu ʔa⸢ʤeː⸣ ʔa⸢gamiːsu⸣ʃi ʃi̥⸢kiba⸣ru ʔm⸢maː] (お汁の味は赤味噌でつけたほうがおいしい) 449 0 0 407 htmvoc_449.wav アガミツァ ア⸢ガミツァ [ʔa⸢gamiʦa] 名 赤い粘土。赤土。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢ガミツァ⸣ タリティ ウ⸢リ⸣シ ガ⸢マ⸣ジ ア⸢ラウタ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢gamiʦa⸣ tariti ʔu⸢ri⸣ʃi ga⸢ma⸣ʤi ʔa⸢rau⸣ta] (昔は赤い粘土を溶かして、それで髪を洗った)。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢ガミツァバ⸣ タリティ ウ⸢リ⸣シル ガ⸢マ⸣ジェー ア⸢ラシトーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢gamiʦaba⸣ tariti ʔu⸢ri⸣ʃiru ga⸢ma⸣ʤeː ʔa⸢raʃi̥toːt⸣ta] (昔は赤粘土を溶かして、それで髪を洗われたった) 450 0 0 408 htmvoc_450.wav アガミツァジー ア⸢ガミツァジー [ʔa⸢gamiʦaʤiː] 名 赤い粘土質の土地。赤粘土。 ⸣クマー ア⸢ガミツァジー⸣ ヤ⸢ルンダ ウン⸣マー ス⸢クララ⸣ヌ [⸣kumaː ʔa⸢gamiʦaʤiː⸣ ja⸢runda ʔum⸣maː su̥⸢kurara⸣nu] (ここは赤粘土質の土地だからイモは作られない)。 ⸣クマー ア⸢ガミツァジー ヤ⸢ルンダ シン⸣ザ カー⸢ニル⸣ ス⸢クラ⸣リ [⸣kumaː ʔa⸢gamiʦadʒiː jarunda ʃin⸣ʣa ka⸢niru⸣ su̥⸢kura⸣ri] (ここは赤粘土の土地だからサトウキビしか作れない<~だけが作られる>) 425 0 0 409 htmvoc_425.wav アガミルン ア⸢ガミ⸣ルン [ʔa⸢gami⸣ruŋ] 自動 敬う。尊敬する。崇める。ア⸢ガ⸣ムン[ʔa⸢ga⸣muŋ](崇める)のラ行四段化したもの。 プ⸢ス⸣ ア⸢ガミ⸣ルンティ ッ⸢サヌ [pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gami⸣runti s⸢sanu] (他人を崇めよう<敬おう>としない<知らない>)。 ムッ⸢トゥ⸣ プ⸢ス⸣ ア⸢ガミラ⸣ヌ [mut⸢tu⸣ pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gamira⸣nu] (ちっとも他人を崇め<敬わ>ない)。 プ⸢ス⸣ ア⸢ガミ⸣ル ⸣クトゥ [pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gami⸣ru ⸣ku̥tu] (他人を崇める<敬う>こと)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gami⸣reː ⸣misamunu] (もっと崇めれば<敬えば>良いのに)。 ア⸢ガミ⸣リバ [ʔa⸢gami⸣riba] (崇め<敬え>よ)。 ⸣ウヤパープジ ア⸢ガミ⸣ルン [⸣ʔujapaːpuʤi ʔa⸢gami⸣ruŋ] (先祖を崇める)。 イッ⸢ケナ⸣ トゥ⸢ク⸣ヌ ア⸢ロー⸣レーティル ムー⸢ルン⸣ ア⸢ガミラ⸣リ ⸢オー⸣ル [ʔik⸢kena⸣ tu̥⸢ku⸣nu ʔa⸢roː⸣reːtiru muː⸢ruŋ⸣ ʔa⸢gamira⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (たいそう徳があられたので、みんなに崇められておられる)。 プ⸢ス⸣ ア⸢ガミ⸣ル ⸣クトゥ [pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gami⸣ru ⸣ku̥tu] (他人を崇めること)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gami⸣reː ⸣misamunu] (もっと崇めれば良いのに)。 ア⸢ガミ⸣リ [ʔa⸢gami⸣ri] (崇めろ) 453 0 0 410 htmvoc_453.wav アガムージ ア⸢ガムージ [ʔa⸢gamuːʤi] 名 (植)里芋の一種。ア⸢ガムージェー⸣ ッ⸢ふァーリン⸣カヤー。マ⸢ダ⸣ ッ⸢ふァイミラン⸣サー[ʔa⸢gamuːdʒeː⸣ f⸢faːriŋ⸣kajaː。ma⸢da⸣ f⸢faimiran⸣saː](アガムージは食べられるかな{EOS}まだ食べたことない<食べてみない>さ) 454 0 0 411 htmvoc_454.wav アガムチ ア⸢ガムチ [ʔa⸢gamuʧi] 名 赤餅。糯米を一晩水に浸け、桶の上で水をかけながら石臼で挽き、その溶液をメリケン袋に入れて一晩水切りをすると真っ白なデンプンが残る。これに食紅を混ぜて揉み、捏ね、拳の大きさに成形してム⸢チカグ[mu⸢ʧikagu](餅籠{EOS}蒸籠)に入れて蒸し上げる。蒸しあがった餅は、メリケン粉か、米粉を広げた⸢ソー⸣キ[⸢soː⸣ki](箕)に取り移して粉をまぶし、成形して仕上げる。その際に餡を入れて餡餅にする。 ⸣ヨイナー ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ガムチ⸣ ス⸢ク⸣ローッタン [⸣joinaː jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢gamuʧi⸣ su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (お祝いには必ず赤餅を作られた) 455 0 0 412 htmvoc_455.wav アガムチ ア⸢ガムチ [ʔa⸢gamuʧi] 名 (動)魚の名。和名、ロクセンフエダイ(体長約25センチ)。 ア⸢ガムチン⸣ アミツァバ ⸢ムン⸣ダニ ⸢スー⸣カー ⸢ホーサリ⸣タン [ʔa⸢gamuʧiŋ⸣ ʔamiʦaba ⸢mun⸣dani ⸢suː⸣kaː ⸢hoːsari⸣taŋ] (クロセンフエダイもヤドカリ<アミツァ{EOS}やどかり{EOS}寄居虫>を餌にすると釣れた) 426 0 0 413 htmvoc_426.wav アガムノーマ ア⸢ガムノー⸣マ [ʔa⸢gamunoː⸣ma] 名 火の隠語。「火」を⸣ピー[⸣piː]と直接に表現することは「火事」を連想するのでタブーとされ、忌み嫌って⸢赤い、小さなもの」と婉曲に表現した。パ⸢マウリソー⸣ジ[pa⸢maʔurisoː⸣ʤi](浜下り精進)の前夜、村役人が各家を回り、裏声を使って「火の用心」を触れ回った。 ッ⸢サレー [s⸢sareː] (申し上げごと)。村人は、この滑稽な声色のメッセージを神の声と信じ、竈の前の火の用心に心がけた。それでも、可笑しな声色を堪えるのに苦労した。ッ⸢サレーが門口より立ち去った後、家族の婦女子らはどっと噴き出して、その良し悪しを評価しあったものである 427 0 0 414 htmvoc_427.wav アガムン ア⸢ガムン [ʔa⸢gamuŋ] 自動 赤くなる。赤みがつく。赤らむ。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣シラー ア⸢ガムン [ja⸢ra⸣beː ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣ʃiraː ʔa⸢gamuŋ] (子供は発熱すると<熱が出ると>顔が赤くなる)。 ア⸢ガミ ベー [ʔa⸢gami beː] (赤らんでいる)。 ノー⸢ン⸣ ア⸢ガマヌ [noː⸢ŋ⸣ ʔa⸢gamanu] (何にも赤くならない)。 ⸣バー ⸢トゥイスクタール⸣ シラー ア⸢ガミティ⸣ バ⸢カ⸣ヤンギサシ ⸢ピントー シーベー [⸣baː ⸢tuisu̥kutaːru⸣ ʃiraː ʔa⸢gamiti⸣ ba⸢ka⸣jaŋgisaʃi ⸢pintoː ʃiːbeː] (私がたずねたらば<問い聞くと>、顔を赤らめて恥ずかしそうにして答えて<返答して>いる)。 サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸣シラー ア⸢ガムンドゥ ワー⸣ ア⸢ガマンバン⸠ナー [sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸣ʃiraː ʔa⸢gamundu waː⸣ ʔa⸢gamamban⸠naː] (酒を飲むと顔が赤らむが、君は赤らまないね)。 シ⸢ラ⸣ヌ ア⸢ガム⸣ プ⸢スン ブン [ʃi⸢ra⸣nu ʔa⸢gamu⸣ pu̥⸢sum buŋ] (顔が赤らむ人もいる)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gameː⸣ misamunu] (もっと赤らめばいいのに)。 ⸣シラー ア⸢ガミティ クン⸣ゾー ンジ ⸢オー⸣ル [⸣ʃiraː ʔa⸢gamiti kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤi ⸢ʔoː⸣ru] (顔は赤くして怒っておられる) 428 0 0 415 htmvoc_428.wav アガムン ア⸢ガ⸣ムン [ʔa⸢ga⸣muŋ] 他動 敬う。崇める。尊いものとして敬う。「奉・寵、アガム」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢カンヌ⸣マイ ア⸢ガ⸣ムン [⸢kannu⸣mai ʔa⸢ga⸣muŋ] (神様を崇める)。 ⸢カンヌ⸣マイ ア⸢ガマン⸣カー ノー⸢ン セイコー サヌ [⸢kannu⸣mai ʔa⸢gamaŋ⸣kaː noː⸢ŋ ʃeikoː sanu] (神様を崇めないと何事も成功しない)。 ア⸢ガ⸣ミ ⸣ミサカー ⸢バン⸣ヌン ア⸢ガ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ga⸣mi ⸣misakaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢ga⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (崇めて良ければ私も崇めることができる)。 ア⸢ガ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ga⸣meː ⸣misamunu] (崇めれば良いのに)。 ア⸢ガ⸣ミバ [ʔa⸢ga⸣miba] (崇めよ)。 イッ⸢ケナ⸣ ウヤパープジ ア⸢ガ⸣ムン [ʔik⸢kena⸣ ʔujapaːpuʤi ʔa⸢ga⸣muŋ] (非常に先祖を崇める)。 ⸣ドゥク ⸣アイニ プ⸢スヨー⸣ ア⸢ガム⸣ナ⸢ツォー [⸣duku ʔaini pu̥⸢sujoː⸣ ʔa⸢gamu⸣na⸢ʦoː] (あんまり、そのように人を崇めるなってば)。 ⸢カンヌ⸣マイ ア⸢ガ⸣ミ ⸣ミサカー ア⸢ガ⸣ムクトー ⸣ナルン [⸢kannu⸣mai ʔa⸢ga⸣mi ⸣misakaː ʔa⸢ga⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (神様を崇めて良ければ崇めることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ガ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ga⸣meː ⸣misamunu] (もっと崇めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ガ⸣ミバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ga⸣miba] (早く崇めよ) 848 0 0 416 htmvoc_848.wav アガヤ アガ⸢ヤ [ʔaga⸢ja] 感 仕舞った!!ああ残念。失敗、失望、意外など、半ば自棄気味で言う時に発する言葉。 アガ⸢ヤー⸣ アン⸢デー⸣カ ウ⸢レー ワー シー [ʔaga⸢jaː⸣ ʔan⸢deː⸣ka ʔu⸢reː waː ⸢ʃiː] (ああ残念{EOS}それなら、それは君がやれ) 457 0 0 417 htmvoc_457.wav アガヤー アガ⸢ヤー [ʔaga⸢jaː] 感 ああしまった。ああ残念。ああ惜しい。ああ気の毒だ。しくじった時に発する語。強調する際は、アガヤ⸢ヘー[ʔagaja⸢heː](ああしまった{EOS!}至極残念)という。 アガ⸢ヤー⸣ フネー キ⸢サ⸣ ンジパリ ⸢ナーン⸣バンヨー [ʔaga⸢jaː⸣ ɸuneː ki̥⸢sa⸣ ʔnʤiipari ⸢naːm⸣baŋjoː] (ああ残念、船はとっくに出発して<出て行って>しまったよ)。 ⸣アガヤー ⸢ヌー⸣シター ウ⸢レー [⸣ʔagajaː ⸢nuːʃi̥⸣taː ʔu⸢reː] (ああ気の毒に、どうしたのだ{EOS}それは) 1057 0 1 418 htmvoc_1057.wav アガヤー ⸣アガヤー [⸣ʔagajaː] 感 {Mn_1}ああ。あれっ。まあ。 ⸣アガヤー ⸢ヌーシ⸣ター クレー [⸣ʔagajaː ⸢nuːʃi⸣taː kureː] (ああ、いったいどうしたのか、これは)。 1057 0 2 419 htmvoc_1057.wav アガヤー ⸣アガヤー [⸣ʔagajaː] 感 {Mn_2}ああ残念。ああ惜しい。 アガ⸢ヤー⸣ マーン⸢ベーマ⸣ ヤ⸢ルヌ⸠ナー [ʔaga⸢jaː⸣ maːʔm⸢beːma⸣ ja⸢runu⸠naː] (ああ残念、もう少しだがなあ) 458 0 0 420 htmvoc_458.wav アガヤーアガヤシ ア⸢ガヤーアガヤ⸣シ [ʔa⸢gajaːʔagaja⸣ʃi] 副 ああああと。悲嘆に暮れるさま。ああ、ああと悲痛な声を出して嘆くさま。 ⸢ウン⸣ネヌ アボー ッ⸢ふァバ⸣ シ⸢ナシティ ピントゥルピン⸣ ア⸢ガヤーアガヤ⸣シル ⸢オー⸣ル [⸢ʔun⸣nenu ʔaboː f⸢faba⸣ ʃi⸢naʃiti pinturupiŋ⸣ ʔa⸢gajaːʔagaja⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru] (その家のお母さんは、子供を失って<死なせて>毎日<日と言う日>悲嘆に暮れて、ああああと嘆き悲しんでおられる) 459 0 0 421 htmvoc_459.wav アガヤヘー アガヤ⸢ヘー [ʔagaja⸢heː] 感 ああしまった!ああ残念だ!何と惜しいことよ。しくじった時に発する語。 アガヤ⸢ヘー⸣ マー ン⸢ベーマ⸣ パ⸢ヤー⸣タカ⸢ナー⸣ フネー マ⸢ニヤイ⸣シタ ⸣ムヌ [ʔagaja⸢heː⸣ maː ʔm⸢beːma⸣ pa⸢jaː⸣taka⸢naː⸣ ɸuneː ma⸢nijai⸣ʃi̥ta ⸣munu] (ああ残念だ{EOS!}もう少し早かったらなあ、船には間に合ったのに) 460 0 0 422 htmvoc_460.wav アガヤラビ ア⸢ガヤラビ [ʔa⸢gajarabi] 名 全くの子供。全くの未熟者。 ⸣カイブ ⸣クトゥンツァン ッ⸢サヌ⸣ ア⸢ガヤラビル⸣ ヤ⸢ルタシキン⸣ドゥ ユ⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣ローリ [⸣kaibu ⸣ku̥tunʦan s⸢sanu⸣ ʔa⸢gajarabiru⸣ ja⸢rutaʃi̥kin⸣du ju⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣roːri] (このようなことさえも知らない全くの子供ですので、お許しください<賜れ>) 463 0 0 423 htmvoc_463.wav アガユクシ ア⸢ガユクシ [ʔa⸢gajukuʃi] 名 真っ赤な嘘。全くの嘘。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢ガユクシ⸣ ウ⸢レー⸣ シゥ⸢カラヌ [⸢waː⸣ muneː ʔa⸢gajukuʃi⸣ ʔu⸢reː⸣ si̥⸢karanu] (君の話<言葉>は真っ赤な嘘だ{EOS}それは聞けない<聞かれない>) 461 0 0 424 htmvoc_461.wav アガヨー ア⸢ガヨー [ʔa⸢gajoː] 感 ああ痛い。アガ⸢ユー[ʔaga⸢juː](ああ痛い)ともいう。ア⸢ガー[ʔa⸢gaː](痛い{EOS!})参照。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢カイ⸣リティ ス⸢ブシバ⸣ バ⸢リ⸣ ア⸢ガヨーアガヨー⸣シ ナ⸢キ ベー [ja⸢ra⸣beː ⸢kai⸣riti su⸢buʃiba⸣ ba⸢ri⸣ ʔa⸢gajoːʔagajoː⸣ʃi na⸢ki beː] (子供は転んで膝を強打して<割って>痛い痛いと泣いている) 462 0 0 425 htmvoc_462.wav アガヨームイサン ア⸢ガヨームイ⸣サン [ʔa⸢gajoːmui⸣saŋ] 形 痛がりである。 ア⸢ガヨームイ⸣サ(ン) プ⸢ソー⸣ ン⸢メーマ⸣ ヤ⸢ム⸣バン ア⸢ガヨー⸣ティ ナ⸢キス [ʔa⸢gajoːmui⸣sa(m) pu̥⸢soː⸣ ʔm⸢meːma⸣ ja⸢mu⸣baŋ ʔa⸢gajoː⸣ti na⸢kisu] (痛がり屋はちょっと痛くても、アイターといって泣く) 464 0 0 426 htmvoc_464.wav アカラー ア⸢カ⸣ラー [ʔa⸢ka⸣raː] 名 親から離されたばかりの子豚。 イ⸢サナケー⸣ラ ア⸢カ⸣ラー フ⸢タッカラ カイ⸣キー シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ベー [ʔi⸢sanakeː⸣ra ʔa⸢ka⸣raː ɸu̥⸢takkara kai⸣kiː si̥⸢ka⸣nai ⸢beː] (石垣から子豚を二頭<二匹>買ってきて飼っている) 466 0 0 427 htmvoc_466.wav アガラパタラ ア⸢ガラパタラ [ʔa⸢garapatara] 副 光り輝くさま。明るいさま。\ruby{耿耿}{コウ|コウ}と。松明がパチパチ音をたてて燃え輝くさま。ABCDEC型の重言。 ⸢タイ⸣ヌ ⸢ピー⸣バ ア⸢ガラパタラ⸣シ ⸢モーシェー⸣ティ イ⸢ソー ソーッ⸣タ [⸢tai⸣nu ⸢piː⸣ba ʔa⸢garapatara⸣ʃi ⸢moːʃeː⸣ti ʔi⸢soː soːt⸣ta] (松明の火をあかあかと灯して漁りをなさった) 471 0 0 428 htmvoc_471.wav アガリサガリ ア⸢ガリサガ⸣リ [ʔa⸢garisaga⸣ri] 名 上がり下がり。 ム⸢ヌ⸣ヌ ダ⸢イヤ⸣ ア⸢ガリサガリ⸣ヌ ⸣アルユンダ ⸢ヤッ⸣サ ⸣ピンナ ⸢カウバル⸣ トゥク [mu⸢nu⸣nu ⸢daija⸣ ʔa⸢garisagari⸣nu ⸣ʔarujunda ⸢jas⸣sa ⸣pinnaː ⸢kaubaru⸣ tu̥ku] (ものの値段は上がり下がりがあるから安い時に買った方が得だ) 475 0 0 429 htmvoc_475.wav アガリザトゥ ア⸢ガリ⸣ザトゥ [ʔa⸢gari⸣ʣatu] 名 (地)東里。竹富島にある集落の名。 タ⸢キ⸣ドゥンナール ア⸢ガリ⸣ザトゥムラ ナ⸢カ⸣スジムラティ アルティ⸢ダー [tḁ⸢ki⸣dunnaːru ʔa⸢gari⸣ʣatumura na⸢ka⸣suʤimurati ʔaruti⸢daː] (竹富島に東里村、仲筋村とあるそうだよ) 478 0 1 430 htmvoc_478.wav アカリルン ア⸢カリ⸣ルン [ʔa⸢kari⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}離れる。別れる。子豚が乳離れする。「分、アカル」『類聚名義抄』の転訛したものか。沖縄古語「あかれる」『混効験集』。 ⸢オー⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ フ⸢ドゥブ⸣カー ア⸢カリルン⸣ドゥ ク⸢レー⸣ マ⸢ダ⸣ ア⸢カリラ⸣ヌ [⸢ʔoː⸣nu f⸢faː⸣ ɸu⸢dubu⸣kaː ʔa⸢karirun⸣du ku⸢reː⸣ ma⸢da⸣ ʔa⸢karira⸣nu] (子豚は成長すると乳離れするが、これはまだ乳離れしない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ヤム⸣トーラ ア⸢カサ⸣リ ⸢パッ⸣タツォー [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢jamu⸣toːra ʔa⸢kasa⸣ri ⸢pat⸣taʦoː] (子供は親元から引き離されていったそうだ)。 478 0 2 431 htmvoc_478.wav アカリルン ア⸢カリ⸣ルン [ʔa⸢kari⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}剥がれる。 ⸣イツァー シ⸢ビシキ⸣ シケータンティン ミ⸢ジ⸣ナ ⸢ゾッふァス⸣カー ア⸢カリ⸣ルン [⸣ʔiʦaː ʃi⸢biʃi̥ki⸣ ʃi̥keːtantim mi⸢dʒi⸣na ⸢ʣoffasu⸣kaː ʔa⸢kari⸣ruŋ] (板は貼り付けてあっても水に濡らすと剥がれる) 468 0 0 432 htmvoc_468.wav アカル ア⸢カル [ʔakaru] 名 明かり。灯火。 ア⸢カル⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢karu⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (灯火を灯しなさい)。 ア⸢カルン⸣ シ⸢キラ⸣ムティ ⸢ヤーン⸣ナカー ⸣ピーリボール ⸢シー⸣ ス⸢ク⸣ナ [ʔa⸢karuŋ⸣ ʃi̥⸢kira⸣muti ⸢jaːn⸣nakaː ⸣piːriboːru ⸢ʃiː⸣ su̥⸢ku⸣na] (灯火も点けないで、家の中を人気がなく、冷え冷えとさせておくな) 469 0 0 433 htmvoc_469.wav アカル ア⸢カル [ʔa⸢karu] 名 障子。老年層の使用語彙。明治生まれ以外の人は、ほとんど使用しない。 ア⸢カル⸣ シミティ ⸢トゥー⸣ル シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢karu⸣ʃimiti ⸢tuː⸣ru ʃi̥⸢ki⸣ri] (障子を閉めて灯火<灯篭>を灯しなさい)。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢ソージバ⸣ ア⸢カルティ⸣ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢soːʤiba⸣ ʔa⸢karuti⸣ ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は障子をアカルと言われたよ) 480 0 1 434 htmvoc_480.wav アガルン ア⸢ガルン [ʔa⸢garuŋ] 自動 {Mn_1}上がる。上昇する。上方に向かう。「~ひばり安我里<アガリ> 情<こころ>悲しも~。万、4291」の転訛したもの。 ⸢オシキヌ⸣ ヤ⸢ブ⸣ルカー ム⸢ヌ⸣ヌ ダ⸢イヤー⸣ ア⸢ガルン [⸢ʔoʃi̥kinu⸣ ja⸢bu⸣rukaː mu⸢nu⸣nu ⸢daijaː⸣ ʔa⸢garuŋ] (天気が崩れると<破れると>ものの値段は上がる)。 ア⸢ガルティダル⸣ ウ⸢ガ⸣ム ⸢イールティダー⸣ ウ⸢ガマ⸣ヌ [ʔa⸢garutidaru⸣ ʔu⸢ga⸣mu ⸢ʔiːrutidaː⸣ ʔu⸢gama⸣nu] (昇る太陽を拝む{EOS}西日<落日>は拝まない<諺>)。 480 0 2 435 htmvoc_480.wav アガルン ア⸢ガルン [ʔa⸢garuŋ] 自動 {Mn_2}漁期が終了する。 パ⸢チング⸣チ ⸣ナルカー カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢ガルン [pḁ⸢ʧiŋgu⸣ʧi ⸣narukaː kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢garuŋ] (八月になったらカツオ漁は終了する) 481 0 0 436 htmvoc_481.wav アガローザ ア⸢ガロー⸣ザ [ʔa⸢garoː⸣ʣa] 名 歌謡の名。アガローザ節の節名。語源は「東里(あがりざと)」の義という説がある『石垣方言辞典』。ア⸢ザテー[ʔa⸢ʣateː](東里家)、イ⸢ザ⸣テー[ʔi⸢ʣa⸣teː](西花家<「西里家」の義>)参照。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢タンカーヨイ ソー⸣ル ⸣ピンマー ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ガロー⸣ザ イ⸢ゾーッ⸣タン [ja⸢rabi⸣nu ⸢taŋkaːjoi soː⸣ru ⸣pimmaː jaː⸢din⸣ ʔa⸢garoː⸣ʣa ʔi⸢ʣoːt⸣taŋ] (子供の誕生祝いをされる時は必ずアガローザ節を歌われた) 572 0 0 437 htmvoc_572.wav アガロールン ア⸢ガロー⸣ルン [ʔa⸢garoː⸣ruŋ] 自動 登られる。上がられる。ア⸢ガルン[ʔa⸢garuŋ](上がる)の尊敬語。 ⸢オー⸣リ ッ⸢ふォー⸣リ フ⸢コーラサ⸣ユー ⸢ト⸣ー⸢ト⸣ー ウ⸢チンター⸣ ア⸢ガロー⸣リ [⸢ʔoː⸣ri f⸢foː⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸣juː ⸢to⸣ː⸢to⸣ː ʔu⸢ʧintaː⸣ ʔa⸢garoː⸣ri] (おいでくださって有難うございます{EOS}さあさあ座敷へ<内の方へ>お上がりください<上がりおはれ>) 847 0 0 438 htmvoc_847.wav アカンキ ア⸢カンキ [ʔa⸢kaŋki] 名 赤木。和名、アカギ。高さ25メートルにも達する高木だが、建築用材には使用されない。豚の飼葉桶(⸢トー⸣ニ{SqBr}⸢toː⸣ni{/SqBr})を作るのに利用された。実は直径1~1.2センチで褐色の球形。お盆の供え物(ム⸢ルムル{SqBr}mu⸢rumuru{/SqBr})にさして先祖の供養に用いる。 ア⸢カンキーヌ⸣ ナル ⸣ブリキー ム⸢ルムルヌ シン⸣ザナ ⸣ッシ カ⸢ザリ⸣バ [ʔa⸢kaŋkiːnu⸣ naru ⸣burikiː mu⸢rumurunu ʃin⸣ʣana ⸣ʃʃi ka⸢ʣari⸣ba] (赤木の実をもいできて、ムルムルの砂糖きびに差して供えなさいよ) 488 0 0 439 htmvoc_488.wav アカンキー ア⸢カンキー [ʔa⸢kaŋkiː] 名 (植)赤木。赤木の幹を刳り抜いて⸢トー⸣ニ[⸢toː⸣ni](田舟{EOS}水田の地均しに用いた農具)を作ったり、豚の飼い葉おけを作ったりした。 ア⸢カンキーヌ⸣ ナロー ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムル⸣ナー イ⸢ローッ⸣タン [ʔa⸢kaŋkiːnu⸣ naroː ⸢soːran⸣nu mu⸢rumuru⸣naː ʔi⸢roːt⸣taŋ] (赤木の実はお盆のムルムルに入れられた) 483 0 0 440 htmvoc_483.wav アガンタールン ア⸢ガンタールン [ʔa⸢gantaːruŋ] 自動 赤くなる。赤らむ。赤む。赤みを帯びる。 ア⸢シ⸣ボー ア⸢ガンターリティ ウー⸣ミ ブ⸢リン⸣ギサバン [ʔa⸢ʃi⸣boː ʔa⸢gantaːriti ʔuː⸣mi bu⸢riŋ⸣gisabaŋ] (おでき<あせも>は赤らんで化膿しているらしい)。 ウ⸢ビ⸣ナー ア⸢ガンタールン⸣ケン ⸣イサン ミ⸢シラン⸣ シケーバン [ʔu⸢bi⸣naː ʔa⸢gantaːruŋ⸣keŋ ⸣ʔisam mi⸢ʃiraŋ⸣ʃi̥keːbaŋ] (これほど赤らむまで医者に診せないでおいてあるよ)。 ア⸢ガンターラヌ [ʔa⸢gantaːranu] (赤らまない)。 ⸣ドゥク ア⸢ガンタール⸣ ムノー シ⸢ティリ [⸣duku ʔa⸢gantaːru⸣ munoː ʃi̥⸢tiri] (余り赤らむものは捨てなさい) 489 0 0 441 htmvoc_489.wav アカンマーブシ ⸣アカンマーブシ [⸣ʔakammaːbuʃi] 名 歌謡名。赤馬節。単に⸣アカンマー[⸣ʔakammaː]ともいう。首里王府に献上された名馬の赤馬を讃えた節歌で、石垣島では宴席の座開きの歌として演奏される目出度い歌謡。 ⸣アカンマーブシバ ピ⸢キティ⸣ カルイ シ⸢キ⸣リバ [⸣ʔakammaːbuʃiba pi̥⸢kiti⸣ karui ʃi̥⸢ki⸣riba] (赤馬節を弾いて嘉例吉の縁起をつけなさい) 493 0 1 442 htmvoc_493.wav アキ ⸣アキ [⸣ʔaki] 名 {Mn_1}秋。 ア⸢キ⸣ヌ ⸣シチ [ʔa⸢ki⸣nu ⸣ʃi̥ʧi] (秋季、秋の季節)。 493 0 2 443 htmvoc_493.wav アキ ⸣アキ [⸣ʔaki] 名 {Mn_2}稲の収穫。収穫期。 ス⸢クリムヌ⸣ヌ ⸣アキーン ウ⸢チナ⸣ソーリ ウ⸢ミナーク ソー⸣レーン [su̥⸢kurimunu⸣nu ⸣ʔakiːŋ ʔu⸢ʧina⸣soːri ʔu⸢minaːku soː⸣reːŋ] (稲<作り物、作物>の収穫<秋>もすまされ、安心なされた) 494 0 0 444 htmvoc_494.wav アキ ⸣アキ [⸣ʔaki] 名 (動)魚の名。和名、クロカジキ(体長約3メートル)。終戦後まで鳩間島の突船は尖閣諸島の魚場へ行き、カジキを突いて漁獲していた 495 0 0 445 htmvoc_495.wav アキ ア⸢キ [ʔa⸢ki] 名 空き間。空席。 ヤ⸢ク⸣バナー ア⸢キヌ⸣ アンティバ ⸢ワー⸣ シケン ⸣ウキ ミ⸢ラン⸣ノーレー [ja⸢ku⸣banaː ʔa⸢kinu⸣ ʔantiba ⸢waː⸣ ʃikeŋ ⸣ʔuki mi⸢ran⸣noːreː] (役場に空席があるそうだから、君は試験を受けてみないか) 490 0 0 446 htmvoc_490.wav アギ ア⸢ギ [ʔa⸢gi] 名 丘。陸。海に対していう。 ア⸢ギヌ⸣ シ⸢グトゥル ワー⸣ ノー⸢ン⸣シタンテイン マ⸢シ⸣ヨー [ʔa⸢ginu⸣ ʃi⸢guturu waː⸣ no⸢ŋ⸣ʃi̥tantim ma⸢ʃi⸣joː] (陸上の仕事の方が、君、何と言っても良い<ましだ>よ) 492 0 0 447 htmvoc_492.wav アギアバ ア⸢ギアバ [ʔa⸢giaba] 名 揚げ油。揚げ物用の油。菜種油と豚の脂が主に使用された。 ⸢オー⸣ヌ ッ⸢ス⸣アバー ⸣ナビナ ⸣タリティル ⸢ティン⸣プラー ヤ⸢クタル [⸢ʔoː⸣nu s⸢su⸣ʔaba ⸣nabina ⸣taritiru ⸢tim⸣puraː ja⸢kutaru] (豚の白い脂を鍋に溶かしてテンプラを揚げた<焼いた>よ) 516 0 0 448 htmvoc_516.wav アギウラシ ア⸢ギウラ⸣シ [ʔa⸢giura⸣ʃi] 名 上げ下ろし。積み下ろし。 ⸢カイナ⸣ヌ ヤミティ ⸢ティー⸣ヌ ア⸢ギウラ⸣シンツァン ⸢シーユーサヌ [⸢kaina⸣nu jamiti ⸢tiː⸣nu ʔa⸢giura⸣ʃinʦaŋ ⸢ʃiːjuːsanu] (肩や腕が痛くて、手の上げ下ろしすら出来ない)。 フ⸢ニ⸣ヌ シ⸢キ⸣ルカー ⸢ニー⸣ヌ ア⸢ギウラシヌンドゥ⸣ ク⸢チ⸣サ ⸢ツォー [ɸu⸢ni⸣nu ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢niː⸣nu ʔa⸢giuraʃindu⸣ ku̥⸢ʧi⸣sa⸢ʦoː] (船が着いたら荷物の積み下ろし<揚げ降ろし>が苦しいんですよ)。 ⸣イダフニヌ ア⸢ギウラ⸣シェー ⸢タンガ⸣シン ⸣ナルン [⸣ʔidaɸuninu ʔa⸢giʔura⸣ʃeː ⸢taŋga⸣ʃin naruŋ] (板舟<サバニ>の陸揚げや海への降ろし<進水>は一人でも出来る) 497 0 0 449 htmvoc_497.wav アギカウ ア⸢ギカウ [ʔa⸢gikau] 名 供えの香。「上げ香」の義。⸢アギ[ʔa⸢gi]は、「Ague,ru,eta.アゲ、グル、ゲタ(上げ、ぐる、げた)~身分の高い人にさし上げる、奉る。」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。仏前に供えたウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](打ち紙{EOS}紙銭)を焼く際に、長男家の分、分家からの分、嫁いだ娘達からの分のように順次線香を焚き、フ⸢チカザル[ɸu̥⸢ʧikaʣaru](口で唱える)をして焼き上げる。紙銭などの案内のために焚く香。 ア⸢ギカウ⸣ シキ ⸣タティティ ウ⸢ティン⸣ガビ ⸣アビ ⸢オーシ⸣バ [ʔa⸢gikau⸣ ʃi̥ki ⸣tḁtiti ʔu⸢tiŋ⸣gabi ⸣ʔabi ⸢ʔoːʃi⸣ba] (上げ香を焚いて紙銭を炙って<焼いて>差し上げなさい) 498 0 0 450 htmvoc_498.wav アキカツ ア⸢キ⸣カツ [ʔa⸢ki⸣kḁʦu] 名 秋かつお。秋に釣れるかつお。 ア⸢キ⸣カツォー トゥ⸢ビダイル ゴー⸣ラーター [ʔa⸢ki⸣kḁʦoː tu⸢bidairu goː⸣raːta] (秋カツオは超大判のカツオが多かった) 518 0 0 451 htmvoc_518.wav アギサギ ア⸢ギ⸣サギ [ʔa⸢gi⸣sagi] 名 上げ下げ。上げ下ろし。 シ⸢ダル⸣ヌ ア⸢ギ⸣サゲー ⸣アブジェー ⸢シーソーラ⸣ヌ [ʃi⸢daru⸣nu ʔa⸢gi⸣sageː ʔabudʒeː ⸢ʃiːsoːra⸣nu] (簾の上げ下げは、おじいさんは、なさることができない)。 ⸢ジンヌ⸣ ア⸢ギ⸣サギ [⸢ʤinnu⸣ ʔa⸢gi⸣sagi] (お供えのお膳の上げ下ろし<上げ下げ>) 499 0 0 452 htmvoc_499.wav アキザマルン ア⸢キザマ⸣ルン [ʔa⸢kiʣama⸣ruŋ] 自動 飽きる。飽き果てる。飽き飽きする。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢チ⸣カサル ⸣ムノーラ パ⸢ジミル⸣カー ア⸢キザマ⸣ルンダ ア⸢キザマラサン⸣ヨーニ ⸢ヤッ⸣サル ⸣ムノーラ ナ⸢ラー⸣シバ [ja⸢ra⸣beː mu⸢ʧi⸣kḁsaru ⸣munoːra pa⸢ʣimiru⸣kaː ʔa⸢kiʣama⸣runda ʔa⸢kiʣamarasaŋ⸣joːni ⸢jas⸣saru ⸣munoːra na⸢raː⸣ʃiba] (子供は難しいものから教えると飽き果てるから、飽きさせないように易しいものから教えなさいよ)。 ア⸢キザマ⸣リティ [ʔa⸢kiʣama⸣riti] (すっかり飽き果てて)。 ア⸢キザマ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kiʣama⸣ri ⸢naː⸣nu] (飽き果ててしまった)。 ア⸢キザマ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kiʣama⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (飽き果てるることはない)。 ア⸢キザマ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢kiʣama⸣reː ⸣misamunu] (飽き果てればいいのに)。 ア⸢キザマ⸣リ [ʔa⸢kiʣama⸣ri] (飽きれよ) 500 0 1 453 htmvoc_500.wav アギザミヨー ⸣アギザミヨー [⸣ʔagiʣamijoː] 感 {Mn_1}ああ、しまった!ああ、大変だ。⸣アキサミヨー[⸣ʔakisamijoː]ともいう。沖縄本島方言からの借用語。 ⸣アギザミヨー ⸢デー⸣ジ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸣ʔagiʣamijoː ⸢deː⸣ʤi ⸢ʃiː naː⸣nu] (ああ、しまった{EOS}大変なことしてしまった)。 500 0 2 454 htmvoc_500.wav アギザミヨー ⸣アギザミヨー [⸣ʔagiʣamijoː] 感 {Mn_2}ああああ(嗚呼嗚呼)。何だこれぽっち。なにくそ(何糞)!⸣アギザミヨー ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルンツァン カ⸢タマラヌー[⸣ʔagiʣamijoː ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣runʦaŋ kḁ⸢tamaranuː](何だこれぽっち、それぐらいさえも担げないのか) 519 0 0 455 htmvoc_519.wav アギジェー ア⸢ギジェー [ʔa⸢giʤeː] 感 こんちくしょう。ええ、くそ。沖縄本島糸満方言からの借用語か。明治生まれの老年層は、ア⸢ガヤー[ʔa⸢gajaː](こんちくしょう)というのが普通である。事が成就困難なときに自暴自棄的に発する言葉。 ア⸢ギジェー⸣ ヌーンティ アイニ カ⸢カラン⸣ワレー [⸣ʔagiʤeː ⸣nuːnti ⸣ʔaini ka⸢karan⸣wareː] (こんちくしょう、どうしてこんなに書けないのか) 501 0 0 456 htmvoc_501.wav アギジマー ア⸢ギジマー [ʔa⸢giʤimaː] 名 陸の人。漁師でない、陸上で働く人。特に農夫。漁の出来ない人や泳げない人を嘲っていう語。 ウ⸢レー⸣ ア⸢ギジマー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウイ⸢サヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢giʤimaː⸣ ja⸢runda⸣ ʔui⸢sanu] (彼は陸の人だから泳げない) 430 0 0 457 htmvoc_430.wav アギゾー ア⸢ギゾー [ʔa⸢giʣoː] 名 「上げゾー」の義か。包み紙のこと。「上げる」とは、祈願などが「終了」することの意である。祈願が終わるごとに供物のお初を、神の苞として別に取っておくものの意味であろう。祈願が済んで、ウ⸢ツァナ⸣ク[ʔu⸢ʦana⸣ku](団子の供物)の上の⸢カンヌ⸣ク、ム⸢リクバンの上の⸣クバンとア⸢ライパナを一つまみずつ包んでおく紙のこと。大きさは約10センチ正方形の紙である。 ア⸢ギゾーヤ⸣ トゥリ ⸣シキバ [ʔa⸢giʣoːja⸣ turi ⸣ʃi̥kiba] (包み紙は取っておきなさいよ) 963 0 0 458 htmvoc_963.wav アギソッコー ア⸢ギソッコー [ʔa⸢gisokkoː] 名 三十三年忌の法事。「上げ焼香(終わり焼香)」の義か。ウ⸢ブソッ⸣コー[ʔu⸢busok⸣koː](三十三年忌の法事、「大焼香」の義)ともいう。 ア⸢ギソッコー シー オース⸣カー ⸣カン ナ⸢ロー⸣ルン⸢トゥ⸣ツォー [ʔa⸢gisokkoː ʃiː ʔoːsu⸣kaː ⸣kan na⸢roː⸣run⸢tu⸣ʦoː] (三十三年忌の法事が終わると神様になられるそうですよ) 502 0 0 459 htmvoc_502.wav アキタロー ア⸢キ⸣タロー [ʔa⸢ki⸣taroː] 名 (動)魚の名。和名、マカジキ(体長約2、5メートル)。終戦後、尖閣列島の漁場で体長約2,5メートルの大物カジキ(ア⸢キ⸣タロー)を鳩間島のツ⸢キシェン[ʦu̥⸢kiʃeŋ](突船)が漁獲していた。イカ釣り漁の時期にイカの生餌で漁獲されることもあった。 イ⸢ガメー⸣ラ ア⸢キ⸣タロー ⸢ホー⸣ソール プ⸢スン オーッ⸣タン [ʔi⸢gameː⸣ra ʔa⸢ki⸣taroː ⸢hoː⸣soːru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (烏賊釣り漁からマカジキを釣り上げられる人もおられた) 520 0 0 460 htmvoc_520.wav アキティンクリティン ア⸢キティン⸣ ク⸢リ⸣ティン [ʔa⸢kitiŋ⸣ ku⸢ri⸣tiŋ] 連 明けても暮れても。 ア⸢キティン⸣ ク⸢リ⸣ティン ユ⸢ヌ⸣ムニ カー⸢ニル⸣ ア⸢ズ [ʔa⸢kitiŋ⸣ ku⸢ri⸣tiŋ ju⸢nu⸣muni kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣu] (明けても暮れても同じ言葉ばかりを言う) 540 0 0 461 htmvoc_540.wav アキティンクリティン ア⸢キティンクリ⸣ティン [ʔa⸢kitiŋkuri⸣tiŋ] 連 明けても暮れても。年中。 ア⸢キティンクリ⸣ティン ブ⸢ラーン⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ パ⸢ナ⸣シカー⸢ニル ソー⸣ル [ʔa⸢kitiŋkuri⸣tim bu⸢raːŋ⸣ f⸢fanu⸣ pa⸢na⸣ʃi kaː⸢niru soː⸣ru] (明けても暮れても死んだ<居ない>子供のことだけ話される) 521 0 0 462 htmvoc_521.wav アギドーフ ア⸢ギドーフ [ʔa⸢gidoːɸu] 名 揚げ豆腐。油で揚げた豆腐。厚さ約1センチに切った豆腐を油で揚げたもの。 ⸢ソッ⸣コーナー ア⸢ギドーフ⸣ シ⸢キバル⸣ ナル [⸢sok⸣koːnaː ʔa⸢gidoːɸu⸣ ʃi⸢kibaru⸣ naru] (法事<焼香>には揚げ豆腐を供えないといけない<供えたほうがよい>)。 ア⸢ギドーホー⸣ サ⸢ギティー⸣グ(サ⸢ギソー⸣キ)ナ イ⸢リティ⸣ サイ シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢gidoːhoː⸣ sa⸢gitiː⸣guna(sa⸢gisoː⸣ki) ʔi⸢riti⸣ sai si̥⸢ki⸣ri] (揚げ豆腐は下げ籠<柄の付いた籠>に入れて吊るしておきなさい)。 ア⸢ギドーホー⸣ ヨイナーン ⸢ソッ⸣コーナーン ⸣ウサイ ス⸢ク⸣ローッタン [ʔa⸢gidoːhoː⸣ joinaːn ⸢sok⸣koːnaːŋ ⸣ʔusai su⸢ku⸣roːttaŋ] (揚げ豆腐はお祝いにも法事 <焼香>にも料理<お菜>として作られた) 503 0 0 463 htmvoc_503.wav アキナイ ア⸢キ⸣ナイ [ʔa⸢ki⸣nai] 名 商い。商売。「估、商也、交易也、阿支奈不<あきなふ>」『新撰字鏡』の転訛したもの。 イ⸢ズバ⸣ カ⸢ミアキ⸣ナイ ⸢シェー⸣ティル ッ⸢ふァー⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オーッ⸣タ [ʔi⸢ʣuba⸣ ka⸢miaki⸣nai ⸢ʃeː⸣tiru f⸢faː⸣ si̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːt⸣ta] (魚を頭に載せて売り歩く商売をしながら子供を養われた<育てられた>) 505 0 0 464 htmvoc_505.wav アキナイスン ア⸢キ⸣ナイ ⸢スン [ʔa⸢ki⸣nai ⸢suŋ] 連 商売する。売買する。 ガ⸢シ⸣イズン パ⸢リタクン⸣ ムティ⸢ギー⸣ ア⸢キ⸣ナイ ⸢シー⸣ クーバ [ga⸢ʃi⸣ʔiʣum pa⸢ritakum muti⸢giː ʔa⸢ki⸣nai ⸢ʃiː⸣kuːba] (燻製の魚も日干しの張り蛸も持っていって商売してきなさい) 504 0 0 465 htmvoc_504.wav アキナイプス ア⸢キナイ⸣プス [ʔa⸢kinai⸣pu̥su] 名 商売人。商人。あきんど。 イ⸢サナキヌ⸣ ア⸢キナイ⸣プソー ヤ⸢マトゥプス⸣ル ⸢ゴー⸣ラーター [ʔi⸢sanakinu⸣ ʔa⸢kinai⸣pu̥soː ja⸢matupusu⸣ru ⸢goː⸣raːtaː] (石垣島の商人は本土の人<大和人>が多かった) 506 0 0 466 htmvoc_506.wav アキナイムヌ ア⸢キナイ⸣ムヌ [ʔa⸢kinai⸣munu] 名 商品。商いもの。 ア⸢キナイ⸣ムノー ⸢カッティニ⸣ トゥ⸢ル⸣ナ⸢ヨー [ʔa⸢kinai⸣munoː ⸢kattini⸣ tu⸢ru⸣na⸢joː] (商品は勝手に取るなよ) 522 0 0 467 htmvoc_522.wav アギナビ ア⸢ギナビ [ʔa⸢ginabi] 名 油で揚げ物をする鍋。揚げ物用の鍋。「揚げ鍋」の義。 ア⸢ギナビ⸣ナ ピー ⸣シケーラ ⸣ミー パ⸢ナス⸣ナ⸢ヨー [ʔa⸢ginabi⸣na piː ⸣ʃi̥keːra ⸣miː pa⸢nasu⸣na⸢joː] (揚げ物鍋に火をつけたら目を離すなよ) 523 0 0 468 htmvoc_523.wav アギニー ア⸢ギニー [ʔa⸢giniː] 名 陸揚げする船荷。シ⸢ミニー[ʃi⸢miniː](積み荷)の対義語。 ⸢ウンパンシン⸣ヌ ⸢ペール⸣ター ⸢サンバ⸣シェー ア⸢ギニーヌ⸣ シ⸢マリティ⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ⸢peː⸣rutaː ⸢samba⸣ʃeː ʔa⸢giniːnu⸣ ʃi⸢mariti⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (運搬船が入ったので桟橋は陸揚げした船荷が積まれて歩かれない) 507 0 0 469 htmvoc_507.wav アギヌプス ア⸢ギヌ⸣ プ⸢ス [ʔa⸢ginu⸣ pu̥⸢su] 連 おか(陸)の人。陸上で働く人。農夫。 ア⸢ギヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢ミ⸣ワザ ⸢ソーラ⸣ヌ [ʔa⸢ginu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢mi⸣waʣa ⸢soːra⸣nu] (おかの人<農夫>は海の仕事<漁業>をなさらない) 508 0 0 470 htmvoc_508.wav アキパタックン ア⸢キパタックン [ʔa⸢kipatakkuŋ] 他動 すっかり開け広げる。家の戸を開け放つ。着物の裾を開け広げる。「あけはだけ<開け>る」の義。「開、ハダクル」『運歩色葉集』の転訛したもの。 ⸣ヤドゥ ア⸢キパタックン [⸣jadu ʔa⸢kipatakkuŋ] (戸を開け放つ)。 ⸢キン⸣ヌ ッ⸢ソー⸣ ア⸢キパタッカンドー⸣シ キ⸢シ⸣バ [⸢kin⸣nu s⸢soː⸣ ʔa⸢kipatakkandoː⸣ʃi ki̥⸢ʃi⸣ba] (着物の裾は開けはだけないで着なさいよ)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キパタッキティ⸣ カ⸢ジ トゥー⸣シ [⸣jadu ʔa⸢kipatakkiti⸣ ka⸢ʤi tuː⸣ʃi] (戸を開け放って風を通せ)。 ア⸢キパタック⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢kipatakku⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (開け放つことは出来ない)。 ア⸢キパタッケー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kipatakkeː⸣ misamunu] (開け放てばいいのに)。 ア⸢キパタッキ [ʔa⸢kipatakki] (開け放て) 542 0 0 471 htmvoc_542.wav アキパタティルン ア⸢キパタティルン [ʔa⸢kipatiruŋ] 自動 すっかり飽きてしまう。まったく嫌になる。 ム⸢チン⸣ ア⸢キパティルン⸣ケン ッ⸢ふァイ ミッ⸣タン [mu⸢ʧiŋ⸣ ʔa⸢kipatiruŋ⸣keŋ f⸢fai mit⸣taŋ] (餅も飽きるほど食べてみた)。 ア⸢キパティラヌ [ʔa⸢kipatiranu] (厭き果てない)。 ア⸢キパティナー⸣ヌ [ʔa⸢kipatinaː⸣nu] (すっかり厭き果ててしまった)。 ア⸢キパティル⸣ クトゥン ⸢アッ⸣タン [ʔa⸢kipatiru⸣ ku̥tuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (厭き果てることもあった)。 ア⸢キパティレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kipatireː⸣ misamunu] (すっかり飽きてしまえばいいのに)。 ア⸢キパティリ [ʔa⸢kipatiri] (厭き果ててしまえ) 541 0 0 472 htmvoc_541.wav アキパティッサーク ア⸢キパティッサーク [ʔa⸢kipatissaːku] 名 難儀で厭き果てる仕事。 ⸢ピントゥルピン⸣ ア⸢キパティッサークン オーリティ ユーコーラ⸣ヌ [⸢pinturupiŋ⸣ ʔa⸢kipatissaːkuŋ ʔoːriti juːkoːra⸣nu] (毎日毎日、難儀で厭き果てる仕事に追いまくられて休まれない) 509 0 0 473 htmvoc_509.wav アキパティムニ ア⸢キパティムニ [ʔa⸢kipatimuni] 名 聞くに堪えないような嫌な言葉。罵詈雑言。 プ⸢スニンギンヌ⸣ アイブ ア⸢キパティムニヌバ⸣ イ⸢ザリラー <イ⸢ザリワ> [pu̥⸢suniŋginnu⸣ ʔaibu ʔa⸢kipatimuniba⸣ ʔi⸢ʣariraː ] (人間として<人間が>あのような聞くに堪えない言葉を言うことが出来るものかねえ)。 イ⸢カーラ⸣ ノー⸢ンヤラバン⸣ アイブー ア⸢キパティムネー⸣ イ⸢ズナ [ʔi⸢kaːra⸣ noː⸢ŋjarabaŋ⸣ ʔaibu ʔa⸢kipatimuneː⸣ ʔi⸢ʣuna] (幾ら何でもあのような聞くに堪えないような言葉は言うものではない<言うな>) 510 0 0 474 htmvoc_510.wav アキパティルン ア⸢キパティルン [ʔa⸢kipatiruŋ] 自動 呆れはてる。呆れる。 ⸣アイブ ムニ ス⸢ク⸣カー ター⸢ンヤルバン⸣ ア⸢キパティルン⸣ヨー [⸣ʔaibu muni su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ɲjarubaŋ⸣ ʔa⸢kipatiruɲ⸣joː] (あのような言葉を聞くと誰でも呆れ果てる<興ざめする>よ)。 ア⸢キパティラヌ [ʔa⸢kipatiranu] (呆れ果てない)。 ア⸢キパティティ⸣ ウ⸢リヌ⸣ シラー ミ⸢リ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kipatiti⸣ ʔu⸢rinu⸣ ʃiraː mi⸢ri⸣pu̥saː ⸢naː⸣nu] (呆れ返って、あいつのつら<面>は見たくない)。 ア⸢キパティル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kipatiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (呆れ果てることはない)。 ア⸢キパティルン⸣ケン ユ⸢ヌシグトゥ⸣バ ⸢シー ベー⸣タ [ʔa⸢kipatiruŋ⸣keɲ ju⸢nuʃigutu⸣ba ⸢ʃiː beː⸣ta] (厭き果てるほど同じ仕事をしていた)。 ア⸢キパティランドー⸣シ シ⸢グトゥ シー⸣ヨー [ʔa⸢kipatirandoː⸣ʃi ʃi⸢gutu ʃiː⸣joː] (厭き果てないで仕事をしなさいよ)。 ア⸢キパティル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢kipatiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (厭き果てることは無い)。 ア⸢キパティレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kipatireː⸣ misamunu] (厭き果てれば良いのに)。 ア⸢キパティリ [ʔa⸢kipatiri] (厭きはてろ) 511 0 0 475 htmvoc_511.wav アキパティワザ ア⸢キパティワザ [ʔa⸢kipatiwaʣa] 名 すっかり厭きてしまう仕事。うんざりする仕事。全く嫌になる仕事。 ⸣シンピーズ ユ⸢ヌシグ⸣トゥ ⸢シー⸣ ア⸢キパティワザ⸣ダー ウ⸢レー [⸣ʃimpiːʣu ju⸢nuʃigu⸣tu ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢kipatiwaʣa⸣daː ʔu⸢reː] (毎日毎日<千日中>同じ仕事をして、全く嫌になる仕事だよ、それは) 525 0 0 476 htmvoc_525.wav アギパニ ア⸢ギパニ [ʔa⸢gipani] 名 衣服に飛び散った泥。雨の日に下駄を履いて歩くと着物の後ろや裾に泥水が飛び跳ねて付着する。その泥。「Fane.ハネ(跳ね)日本の靴<下駄>や草履から着物の後ろの方に跳ねてついた泥」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ア⸢ミ⸣フイナー ア⸢チ⸣ツァ<ア⸢シ⸣ツァ> フ⸢ミティ⸣ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣キンナー ア⸢ギパニヌ⸣ スクン⸢ダー [ʔa⸢mi⸣ɸuinaː ʔa⸢ʧi⸣ʦa <ʔa⸢ʃi⸣ʦa> ɸu⸢miti⸣ mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣kinaː ʔa⸢gipaninu⸣ su̥kun⸢daː] (雨降りに下駄を履いて道に出ると着物に泥跳ねが付くよ) 512 0 0 477 htmvoc_512.wav アキパヤーン ア⸢キパヤー⸣ン [ʔa⸢kipajaː⸣ŋ] 形 飽きっぽい。飽きやすい。「飽き早い」の義。 ア⸢キパヤー⸣ンダ シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [ʔa⸢kipajaː⸣nda ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢tisi̥ka⸣nu] (飽きっぽいから仕事も落ち着かない<定着しない>) 527 0 0 478 htmvoc_527.wav アギフー ア⸢ギフー [ʔa⸢giɸuː] 名 揚げ麩(あげふ)。石垣方言からの借用語。終戦後から食品として導入されるようになった。 ア⸢ギフーヤ ナン⸣ゾー ッ⸢ふァイミラン⸣セン [ʔa⸢giɸuːja nan⸣ʣoː f⸢faimiraŋ⸣ʃeŋ] (揚げ麩はあんまり食べたことはなかった) 526 0 0 479 htmvoc_526.wav アキフイ ア⸢キフイ [ʔa⸢kiɸui] 名 開け閉め。開閉。 ヤ⸢ドゥ⸣ヌ ア⸢キフヤ⸣ ミス⸢コーミスコー⸣シ ⸢シー⸣バ [ja⸢du⸣nu ʔa⸢kiɸuija⸣ misu⸢koːmisukoː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ba] (戸<家戸>の開け閉めは静かに<慎重に、注意して丁寧に>しなさい) 529 0 0 480 htmvoc_529.wav アギマーサリン ア⸢ギマーサリン [ʔa⸢gimaːsariŋ] 自動 \ruby{急}{セ}き立てられる。ア⸢ギマースン[ʔa⸢gimaːsuŋ](急き立てる{EOS}責め立てる)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が下接して形成された受身・可能動詞。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー ア⸢ギマーサリン⸠ダー [⸣ʔunaː ⸢beː⸣rukaː ʔa⸢gimaːsarin⸠daː] (そこにいると急き立てられるよ)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァン⸣ ア⸢ギマーサリティル⸣ ア⸢ダカ⸣ヌ ム⸢ヌ⸣バ ⸢カイヤー⸣ダ ⸢レー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faŋ⸣ ʔa⸢gimaːsaritiru⸣ ʔa⸢daka⸣nu mu⸢nu⸣ba ⸢kaijaː⸣da ⸢reː] (その子に急き立てられ、責め立てられてあんな高価な物を買ったのだよ、それは)。 ウ⸢リンマー⸣ ア⸢ギマーサラヌ [ʔu⸢rimmaː⸣ ʔa⸢gimaːsaranu] (彼には急き立てられない) 528 0 0 481 htmvoc_528.wav アギマースン ア⸢ギマースン [ʔa⸢gimaːsuŋ] 他動 急き立てる。催促して急がせる。 ⸢サッ⸣コー プ⸢ス⸣ ア⸢ギマースン [⸢sak⸣koː pu̥⸢su⸣ ʔa⸢gimaːsuŋ] (非常に人を急き立てる)。 ア⸢ギマーサンドー⸣シ パ⸢ナ⸣シバ [ʔa⸢gimaːsandoː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃiba] (急き立てないで話せよ)。 ア⸢ギマーシ⸣ ミサカー ア⸢ギマース⸣ クトー ナルン⸢ダー [ʔa⸢gimaːʃi⸣ misakaː ʔa⸢gimaːsu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (急き立てて良ければ急き立てることはできるよ)。 ア⸢ギマーシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢gimaːʃeː⸣ misamunu] (急き立てれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ギマーシ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gimaːʃi] (もっと急き立てろ) 513 0 0 482 htmvoc_513.wav アキミー ア⸢キミー [ʔa⸢kimiː] 名 隙間。「空き目」の義。⸢アーキ⸣ミー[⸢ʔaːki⸣miː](隙間{EOS}物と物の間の少し開いている所{EOS}⸢空き間」の義)、⸢ピッキ⸣ミー[⸢pikki⸣miː](穴、小孔)ともいう。 ニ⸢シクビ⸣ナ ア⸢キミーヌ⸣ アリティル ウ⸢レー⸣ラ ⸢ピーリカジ⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ⸢クー⸣バン [ni⸢ʃikubi⸣na ʔa⸢kimiːnu⸣ ʔaritiru ʔu⸢reː⸣ra ⸢piːrikadʒi⸣nu ⸢peː⸣ri ⸢kuː⸣ban] (北壁に隙間があって、それから冷たい風が入ってくるんだよ) 530 0 0 483 htmvoc_530.wav アキミックヮー ア⸢キミックヮー [ʔa⸢kimikkwaː] 名 文盲。「明き盲」の義。 シ⸢マ⸣ナー ⸢ガッ⸣コー ア⸢リ⸣ブンダ ア⸢キミックヮーヤ ブ⸢ラーヌ [ʃi⸢ma⸣naː ⸢gak⸣koː ʔa⸢ri⸣bunda ʔa⸢kimikkwaːja⸣ bu⸢raːnu] (島には学校があるから文盲はいない) 531 0 0 484 htmvoc_531.wav アギムスビ ア⸢ギムスビ [ʔa⸢gimusubi] 名 手拭の結び方の名。手拭などの両端を頭の後ろから額の前に廻して結び、その両端を立てる結び方。「上げ結び」の義。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ア⸢ギムスベー シティ⸣ ブ⸢ドゥルシーベー⸣ヌドゥ ⸢サッ⸣コー ⸢カイ⸣ヤ⸢ツォー [mi⸢dumu⸣nu ʔa⸢gimusubeː ʃiti⸣ bu⸢duru ʃiːbeː⸣nudu ⸢sak⸣koː ⸢kai⸣ja⸢ʦoː] (女が上げ結びをして踊っているが、非常に美しいんだよ) 532 0 0 485 htmvoc_532.wav アギムチ ア⸢ギムチ [ʔa⸢gimuʧi] 名 餅を油で揚げたもの。「揚げ餅」の義。 ア⸢ギムチェー ピーチ⸣ナー ⸢アーラ⸣シ [ʔa⸢gimuʧeː piːʧi⸣naː ⸢ʔaːra⸣ʃi] (揚げ餅はひとつずつ配り<配分し>なさい) 514 0 0 486 htmvoc_514.wav アギムヌ ア⸢ギムヌ [ʔa⸢gimunu] 名 揚げ物。てんぷら類。 ア⸢ギムヌ⸣ナー イ⸢ズティンプラ⸣ タクティンプラ ウンティンプラ、⸣ヤサイティンプラーラ イ⸢ズヌ⸣ マ⸢ルアギン アッ⸣タン [ʔa⸢gimunu⸣naː ʔi⸢ʣutimpura⸣ tḁkutimpura ⸣ʔuntimpura ⸣jasaitimpuraːra ʔi⸢ʣunu⸣ ma⸢ruagiːŋ ʔat⸣taŋ] (揚げ物には、魚芯てんぷら、蛸芯てんぷら、芋てんぷら、野菜てんぷらから魚の丸揚げもあった)。 ア⸢ギムノー⸣ ノー⸢ンヤラバン⸣ ス⸢コーリ⸣バ [ʔa⸢gimunoː⸣ noː⸢ŋjarabaŋ su̥⸢koːri⸣ba] (揚げ物は何か<何でもいいから>準備しなさいよ) 534 0 0 487 htmvoc_534.wav アギムヌパシ ア⸢ギムヌパシ [ʔa⸢gimunupaʃi] 名 揚げ物用の箸。さいばし(菜箸)。 ア⸢ギムヌパシェー⸣ ナー⸢ナー⸣シル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ʔa⸢gimunupaʃeː⸣ naː⸢naː⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (揚げ物用の菜箸は長く造られている) 535 0 0 488 htmvoc_535.wav アキヤー ア⸢キヤー [ʔa⸢kijaː] 名 空き屋。人の住んでいない家。若年層の言葉で、石垣方言からの借用語か。老年層は、⸢ンーナヤー[⸢ʔnːnajaː](空屋)というのが普通である。 イ⸢サンケー ヒッコス⸣ プ⸢スヌ ゴー⸣ラー ナ⸢ル⸣ター ア⸢キヤー⸣ カー⸢ニル⸣ ヌ⸢カ⸣レー [ʔi⸢saŋkeː çikkosu⸣ pu̥⸢sunu goː⸣raː na⸢ru⸣taː ʔa⸢kijaː⸣ kaː⸢niru⸣ nu⸢ka⸣reː] (石垣島へ引っ越す人が多くなったので空き屋だけが残っている) 536 0 0 489 htmvoc_536.wav アギヤー ア⸢ギ⸣ヤー [ʔa⸢gi⸣jaː] 名 追い込み漁。シ⸢ナカキ⸣ヤー[ʃi⸢nakaki⸣jaː](追い込み漁)と同じ。糸満方言イ⸢ツォーン⸣プスンケーヤ ア⸢ギ⸣ヤー ⸢シール⸣ イ⸢ゾー⸣ トゥ⸢ローッ⸣タ[ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥suŋkeːja ʔa⸢gi⸣jaː ⸢ʃiːru⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ tu⸢roːt⸣ta](糸満漁師たちは追い込み漁をして漁獲された) 515 0 0 490 htmvoc_515.wav アキヤシキ ア⸢キヤシキ [ʔa⸢kijaʃiki] 名 空き屋敷。無人の屋敷。石垣方言からの借用語か。明治生まれの老年層は、⸢ンーナカク[⸢nːnakaku](空き屋敷)。⸢ンーナヤシキ[⸢nːnajaʃiki](空き屋敷)というのが普通。 ⸢クン⸣ネーヤ ニードーリ ⸢シー⸣ ア⸢キヤシキ⸣ナリ ⸢ベー [⸢kun⸣neːja niːdoːri ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢kijaʃiki⸣ nari ⸢beː] (この家は断絶して<根倒れして>空き屋敷になっている) 537 0 0 491 htmvoc_537.wav アギヤドゥ ア⸢ギヤドゥ [ʔa⸢gijadu] 名 はね上げて開ける戸。釣戸。「上げ戸」の義。 ア⸢ギヤドー⸣ ア⸢ギティ⸣ ボーシ シゥ⸢カイリ [ʔa⸢gijadoː⸣ ʔa⸢giti⸣ boːʃi si̥⸢kairi] (釣戸は開けて棒で支えなさい) 538 0 0 492 htmvoc_538.wav アキラミルン ア⸢キラミ⸣ルン [ʔa⸢kirami⸣ruŋ] 自動 諦める。断念する。思い切る。新しい借用語。老年層は、ウ⸢ムイ⸣キスン[ʔu⸢mui⸣kisunŋ](思い切る)という。 シー⸢ティ⸣ ア⸢キラミ⸣ルンティ ⸣ウムーカー ア⸢キラミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʃiː⸢ti⸣ ʔa⸢kirami⸣runti ⸣ʔumuːkaː ʔa⸢kirami⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (無理に<強いて>諦めようと思えば諦めることは出来る)。 シ⸢ケン⸣マー ク⸢リ⸣シ ア⸢キラミラン⸣スコーシ ⸢マー⸣ プ⸢スム⸣シ ⸣ウキミリバ [ʃi⸢kem⸣maː ku⸢ri⸣ʃi ʔa⸢kiramiran⸣su̥koːʃi ⸢maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi ⸣ʔukimiriba] (試験はこれで諦めずにもう一度受けてみなさいよ)。 ア⸢キラミ パヤー⸣ン [ʔa⸢kirami pajaː⸣ŋ] (諦めやすい<早い>)。 ア⸢キラミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢kirami⸣reː ⸣misamunu] (諦めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キラミ⸣リ [⸢paː⸣ku ʔa⸢kirami⸣ri] (早く諦めろ) 539 0 0 493 htmvoc_539.wav アキラムン ア⸢キラ⸣ムン [ʔa⸢kira⸣muŋ] 自動 諦む。下一段、下二段系活用の四段活用化したもの。 ア⸢キラ⸣ムンティ ⸣ウムーカー ア⸢キラ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢kira⸣munti ⸣ʔumuːkaː ʔa⸢kira⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (諦めようと思えば諦めることは出来る)。 ア⸢キラミ パヤー⸣ン [ʔa⸢kirami pajaː⸣ŋ] (諦め易い<早い>)。 シ⸢キン⸣マー ア⸢キラマン⸣ドーシ ギュー⸢ムシン⸣ ウキミサン [ʃi̥⸢kim⸣maː ʔa⸢kiraman⸣doːʃi gjuː⸢muʃiŋ⸣ ʔukimisaŋ] (試験は諦めないで何度でも受けてよい)。 ⸣メー ア⸢キラ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸣meː ʔa⸢kira⸣meː ⸣misamunu] (もう、諦めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キラ⸣ミバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢kira⸣miba] (早く諦めよ) 491 0 0 494 htmvoc_491.wav アキルトゥアーシ ア⸢キルトゥアー⸣シ [ʔa⸢kirutuʔaː⸣ʃi] 副 明けるや否や。夜明けとともに。「明けると合わせて」の義。普通は、ガ⸢ルトゥアー⸣シ[ga⸢rutuʔaː⸣ʃi](明けるとともに)という。 ⸢ユー⸣ヌ ア⸢キルトゥアー⸣シ ⸣ンジ ⸢パッ⸣タ [⸢juː⸣nu ʔa⸢kirutuʔaː⸣ʃi ⸣ʔnʤi ⸢pat⸣ta] (夜明けとともに出て行った)。⸢ユー⸣ヌ ガ⸢ルトゥアー⸣シ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ[⸢juː⸣nu ga⸢rutuʔaː⸣ʃi pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta](夜明けとともに畑へ行った)ともいう 517 0 1 495 htmvoc_517.wav アキルン ア⸢キルン [ʔa⸢kiruŋ] 自動 {Mn_1}飽きる。飽食する。 パ⸢トゥ⸣マナテー カ⸢ツナマシン⸣ イ⸢ガナマシン⸣ ア⸢キルン⸣ケン ッ⸢ふァイミッ⸣タン [pa⸢tu⸣manateː ka⸢ʦunamaʃiŋ⸣ ʔi⸢ganamaʃiŋ ʔa⸢kiruŋ⸣keŋ f⸢faimit⸣taŋ] (鳩間では鰹の刺身も烏賊の刺身も飽きるほど食べてみた)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ア⸢キラヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ʔa⸢kiranu] (いくら食べても飽きない)。 ア⸢キリ ナー⸣ヌ [ʔa⸢kiri naː⸣nu] (飽きてしまった)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ア⸢キル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ʔa⸢kiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (いくら食べても飽きることはない)。 ア⸢キレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kireː⸣ misamunu] (飽きればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キリ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢kiri⸣ba] (早く飽きれよ)。 ユ⸢ヌ⸣ ムヌカー⸢ニ⸣ ッ⸢ふぅー⸣カー ア⸢キルンドゥ⸣ ク⸢レー⸣ ア⸢キラヌ [ju⸢nu⸣ munukaː⸢ni⸣ f⸢fuː⸣kaː ʔa⸢kirundu⸣ ku⸢reː⸣ ʔa⸢kiranu] (同じものだけ食べると飽きるが、これは飽きない)。 ア⸢キリナー⸣ヌ [ʔa⸢kirinaː⸣nu] (飽きてしまった)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ア⸢キル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ʔa⸢kiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (いくら食べても飽きることはない)。 ア⸢キレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢kireː⸣ misamunu] (飽きれば良いのに)。 ア⸢キリ⸣バ [ʔa⸢kiri⸣ba] (飽きよ)。 517 0 2 496 htmvoc_517.wav アキルン ア⸢キルン [ʔa⸢kiruŋ] 自動 {Mn_2}呆れる。あまりのひどさに驚く。 ウ⸢リバ⸣ シ⸢キティ⸣ ア⸢キリティ⸣ ミ⸢リ⸣プサン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢riba⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢kiriti⸣ mi⸢ri⸣pu̥san ⸢naː⸣nu] (それを聞いて驚き呆れて<あっけにとられて>、見たくも無い) 544 0 0 497 htmvoc_544.wav アキルン ア⸢キルン [ʔa⸢kiruŋ] 自動 呆れる。あまりの酷さに驚く。あっけにとられる。 ア⸢マ⸣ヌ ム⸢ニ⸣ヌ ヤ⸢ニ⸣ヤティ ア⸢キリティ⸣ イ⸢ジカイシン⸣ ナ⸢ラン⸣シェン [ʔa⸢ma⸣nu mu⸢ni⸣nu ja⸢ni⸣jati ʔa⸢kiriti⸣ ʔi⸢ʤikaiʃin⸣ na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (あまりにも言葉が汚いので、呆れて言い返しも<反駁も>出来なかった) 545 0 0 498 htmvoc_545.wav アキルン ア⸢キルン [ʔa⸢kiruŋ] 他動 開ける。ア⸢クン[ʔa⸢kuŋ](開く)ともいう。 ⸣ヤドゥ ア⸢キルン [⸣jadu ʔa⸢kiruŋ] (戸を開ける)。 マ⸢ナ⸣マー ア⸢キラヌ [ma⸢na⸣maː ʔa⸢kiranu] (今は開けない)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キ⸣プサン [⸣jadu ʔa⸢ki⸣ pu̥saŋ] (戸を開けたい)。 ⸣ドゥーシ ア⸢キル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duːʃi ʔa⸢kiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (自分で開けることは出来ない)。 ⸣ドゥーシ ア⸢キレー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ʔa⸢kireː⸣ misamunu] (自分で開ければ良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キリ [⸢paː⸣ku ʔa⸢kiri] (早く開けろ) 546 0 1 499 htmvoc_546.wav アギルン ア⸢ギルン [ʔa⸢giruŋ] 他動 {Mn_1}上げる。高くする。「Ague,ru,eta.アゲ、グル、エタ(上げ、ぐる、げた)上へ持ち上げる~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣ティー ア⸢ギルンティ スンドゥ⸣ ア⸢ギララヌ [⸣tiː ʔa⸢girunti sundu⸣ ʔa⸢giraranu] (手を上げようとするが、上げられない)。 ⸣テイー ア⸢ギ⸣ ミサカー ア⸢ギル⸣ クトー ⸣ナルン [⸣tiː ʔa⸢gi⸣ misakaː ʔa⸢giru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (手を上げて良ければ上げることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ギレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢gireː⸣ misamunu] (もっと上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ギリ [⸢paː⸣ku ʔa⸢giri] (早く上げろ)。 546 0 2 500 htmvoc_546.wav アギルン ア⸢ギルン [ʔa⸢giruŋ] 他動 {Mn_2}値段を高くする。 ⸢ダイ⸣ ア⸢ギル⸣カー ⸢カーサラヌ [⸢dai⸣ ʔa⸢giru⸣kaː ⸢kaːsaranu] (値段を上げたら<上げると>売れない) 547 0 0 501 htmvoc_547.wav アギルン ア⸢ギルン [ʔa⸢giruŋ] 他動 供物を供える。神前や仏前に供物を供える。 ⸢カンヌ⸣マイ パ⸢チ⸣ ア⸢ギティ⸣ ウサンダイヤー ⸣サギ ウ⸢ラ⸣ソーリバ [⸢kannu⸣mai pḁ⸢ʧi⸣ ʔa⸢giti⸣ ʔusandaijaː ⸣sagi ʔu⸢ra⸣soːriba] (神前にお初を供えて、供物のお下がりは引き下げなさいませ) 553 0 0 502 htmvoc_553.wav アク ア⸢ク [ʔa⸢ku] 名 植物に含まれる渋み、えぐみなどのある有毒成分。蘇鉄の実やキャッサバの芋などはあく抜きをし、その澱粉を加工して食品に利用した。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナロー ア⸢ク⸣ ヌ⸢ガン⸣カー ⸢ビー⸣シタ [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naroː ʔa⸢ku⸣ nu⸢gaŋ⸣kaː ⸢biː⸣ʃi̥ta] (蘇鉄の実は灰汁を抜き取らないと食中毒<酔い>を起こした) 554 0 1 503 htmvoc_554.wav アク ⸣アク [⸣ʔaku] 名 {Mn_1}悪。悪人。悪事。悪魔。 ア⸢ク⸣ヌ サ⸢カル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ku⸣nu sḁ⸢karu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (悪<悪事を働く者>が栄えることはない)。 554 0 2 504 htmvoc_554.wav アク ⸣アク [⸣ʔaku] 名 {Mn_2}悪口。ヤ⸢ナグ⸣チ[ja⸢nagu⸣ʧi](悪口)ともいう。 ⸢ウンザー⸣ ウマー カ⸢マ⸣ナーティ プ⸢スヌ⸣ アク カー⸢ニ⸣ ユメーティ ⸢アー⸣ク [⸢ʔunʣaː⸣ ʔumaː ka⸢ma⸣naːti pu̥⸢sunu⸣ ʔaku kaː⸢ni⸣ jumeːti ⸢ʔaː⸣ku] (彼奴は、あちらこちらで他人の悪口だけを言って<唱えて>いる<悪口を叩いてばかりいる>) 549 0 0 505 htmvoc_549.wav アクイン ア⸢ク⸣イン [ʔa⸢ku⸣iŋ] 名 悪縁。前世からの悪い因縁。沖縄方言からの借用語。 ア⸢クイン⸣ドゥ ⸢ヤッタ⸣ユー ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ムッ⸢トゥ ミー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢kuin⸣du ⸢jatta⸣juː ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː mut⸢tu miː⸣ na⸢ra⸣nu] (悪縁だったのか、その話はちっとも良い結果を齎さない<稔らない>) 555 0 0 506 htmvoc_555.wav アクザカリ ア⸢クザカ⸣リ [ʔa⸢kuʣaka⸣ri] 名 悪事をはたらいて栄えること。悪栄え。 イ⸢チンバー⸣キン ア⸢クザカリ⸣ヌ シ⸢ジクムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ʔa⸢kuʣakari⸣nu ʃi⸢dʒiku munoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (いつまでも悪栄が続くものではない) 556 0 0 507 htmvoc_556.wav アクスン ⸣アク ⸢スン [⸣ʔaku ⸢suŋ] 連 呪う。激しく恨み、悪く言う。人を悪しざまに言う。 プ⸢ストゥ⸣ アウカー プ⸢スン⸣ アク シ⸢ラリンダ アウ⸣ナ⸢ヨー [pu̥⸢sutu⸣ ʔaukaː pu̥⸢suŋ⸣ ʔaku ʃi⸢rarinda ʔau⸣na⸢joː] (他人と喧嘩したら、他人に呪われるから喧嘩するなよ) 557 0 0 508 htmvoc_557.wav アグダーマ アグ⸢ダー⸣マ [ʔagu⸢daː⸣ma] 名 駄々をこねること。わがままっ子。「あくだう(悪童)・マ(指小辞)」の転訛したものか。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ アグ⸢ダー⸣マ ⸢フシゥ⸣カリティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu ffaː⸣ ʔagu⸢daː⸣ma ⸢fusi̥⸣kariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (この子には悪童神がくっついて、駄々をこねてどうしようもない<養生できない>) 558 0 0 509 htmvoc_558.wav アクニン ア⸢ク⸣ニン [ʔa⸢ku⸣niŋ] 名 悪人。悪事をはたらく人。 ⸣アイブ ア⸢ク⸣ニンテー マ⸢ダ⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ʔa⸢ku⸣ninteː ma⸢da⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (あんな悪人とは、いまだに見たことがない)。 ウ⸢レー⸣ ア⸢ク⸣ニン ヤ⸢ルンダ⸣ ピ⸢ラーン⸣モー マ⸢シ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢ku⸣niŋ ja⸢runda⸣ pi⸢raːm⸣moː ma⸢ʃi] (そいつは悪人だから付き合わない方がよい) 559 0 0 510 htmvoc_559.wav アクヌカン ア⸢ク⸣ヌ ⸣カン [ʔa⸢ku⸣nu ⸣kaŋ] 連 悪神。悪い神。 カ⸢ン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ア⸢ク⸣ヌカン ン⸢マヌ⸣リ シ⸢ラリタムヌ⸣ユー ヤ⸢ナクトゥタンガー⸣ル ウ⸢クル⸣バン [⸢kan⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ku⸣nukam ʔm⸢manu⸣ri ʃi⸢raritamunu⸣juː ja⸢naku̥tutaŋga⸣ru ʔu⸢kuru⸣baŋ] (あの家の人は悪神に跨られた<馬乗りされた>のか、悪いことだけ次々に起きるよ) 560 0 0 511 htmvoc_560.wav アクヌキ ア⸢クヌキ [ʔa⸢kunuki] 名 植物の灰汁<毒気・渋み>を抜くこと。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナロー ミ⸢ジ⸣ナ グ⸢ルクニ⸣チ シ⸢キティ⸣ ア⸢クヌキ サン⸣カー ⸢ビー⸣シタ⸢ダー [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naroː mi⸢ʤi⸣na gu⸢rukuni⸣ʧi ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢kunuki saŋ⸣kaː ⸢biː⸣ʃi̥ta⸢daː] (ソテツの実は水に五六日浸けて灰汁抜きしないと中毒を起こしたよ) 561 0 0 512 htmvoc_561.wav アクビ ア⸢クビ [ʔa⸢kubi] 名 欠伸(あくび)。若年層が多く用いる。標準語からの借用語か。老年層は、⸣ヌビ[⸣nubi](欠伸)という。⸣ヌビ[⸣nubi]参照。 バ⸢カー⸣ムヌンケーヤ ⸢ユーキ⸣バ シ⸢ティル⸣ アイニ ア⸢クビ シーベー⸠ナー [ba⸢kaː⸣munuŋkeːja ⸢juːki⸣ba ʃi̥⸢tiru⸣ ʔaini ʔa⸢kubi ʃiːbeː⸠naː] (若者達は夜更かし<夜起き>をして、あんなに欠伸をしているんだねえ) 563 0 0 513 htmvoc_563.wav アクマ ア⸢ク⸣マ [ʔa⸢ku⸣ma] 名 悪魔。邪悪なもの。 ウ⸢リヌ シーワザー フン⸣トー ア⸢ク⸣マ ナ⸢クラー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu ʃiːwaʣaː ɸun⸣toː ʔa⸢ku⸣ma na⸢kuraː⸣nu mi⸢rara⸣nu] (そいつの仕業は本当に悪魔だ{EOS}怖くて見てはおれない) 565 0 0 514 htmvoc_565.wav アクユク ⸣アクユク [⸣ʔakujuku] 名 悪欲。悪心と欲心。 ウ⸢レー⸣ ア⸢マ⸣ヌ ⸣アクユクヌ ⸢スー⸣ワティ プ⸢スン⸣ ウ⸢ラマリ⸣ル ⸢ミー⸣ フ⸢ルバシェー⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢ma⸣nu ⸣ʔakujukunu ⸢suː⸣waiti pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ramari⸣ru ⸢miː⸣ ɸu⸢rubaʃeː⸠daː] (彼は、あまりにも悪欲が強いので他人に怨まれて身を滅ぼしたのだよ) 566 0 0 515 htmvoc_566.wav アクリルン ア⸢クリ⸣ルン [ʔa⸢kuri⸣ruŋ] 自動 剥がれる。 シ⸢ビシキ⸣ シケータンドゥ ミ⸢ジ⸣ナ ⸢ゾッふァシター⸣ ア⸢ク⸣リパリ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢biʃi̥ki⸣ ʃi̥keːtandu mi⸢dʒi⸣naː ⸢ʣoffaʃi̥taː⸣ ʔa⸢ku⸣ripari ⸢naː⸣nu] (貼り付けて<くっつけて>おいたけれど、水に濡らしたら剥がれて<行って>しまった) 550 0 0 516 htmvoc_550.wav アクン ア⸢クン [ʔa⸢kuŋ] 他動 開ける。開く。 フ⸢チ⸣ ア⸢クン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kuŋ] (口を開ける)。 ⸢ユー⸣ヌ ガ⸢ル⸣カー ⸣ヤドゥ ア⸢クン [⸢juː⸣nu ga⸢ru⸣kaː jadu ʔa⸢kuŋ] (夜が明けたら戸を開ける)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キ⸣ ミサン [⸣jadu ʔa⸢ki⸣ misaŋ] (戸を開けても良い)。 フ⸢チェー⸣ ア⸢カンドー⸣シ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʔa⸢kandoː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki] (口を開けない<喋らないで>で話を聞け)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キ⸣ ミサカー ア⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [⸣jadu ʔa⸢ki⸣ misakaː ʔa⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (戸を開けて良ければ開けることはできる)。 ⸣ヤドゥ ア⸢ク⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣jadu ʔa⸢ku⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢raːnu] (戸を開ける人もいない)。 ⸣ヤドー ア⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣jadoː ʔa⸢keː⸣ misamunu] (戸を開ければいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢キ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ki⸣ba] (早く開けなさいよ) 567 0 0 517 htmvoc_567.wav アクン ア⸢クン [ʔa⸢kuŋ] 自動 あく。ひらく。 ク⸢ヌ⸣ ク⸢ビン⸣ヌ フ⸢ター⸣ ア⸢クンティ シーバン⸣ ムッ⸢トゥ ア⸢カンバン [ku⸢nu⸣ ku⸢bin⸣nu ɸu⸢taː⸣ ʔa⸢kunti ʃiːbam⸣ mut⸢tu⸣ ʔa⸢kambaŋ] (この瓶の蓋は開けようとしても一向に開かない) 551 0 0 518 htmvoc_551.wav アグン ア⸢グン [ʔa⸢guŋ] 他動 上げる。 ⸢クイ⸣ヤー マー⸢ンベーマ⸣ ア⸢ギティ⸣ イ⸢ジ⸣バ [⸢kui⸣jaː maː⸢mbeːma⸣ ʔa⸢giti⸣ ʔi⸢ʤi⸣ba] (声はもう少し上げて歌えよ)。 シ⸢ナムヌヌ ダイヤ⸣ ア⸢ギ⸣ ミサカー ア⸢グ⸣クトー ナ⸢ル⸣ヌ ア⸢ガヌ [ʃi⸢namununu daija⸣ ʔa⸢gi⸣ misakaː ʔa⸢gu⸣ ku̥toː na⸢ru⸣nu ʔa⸢ganu] (品物の値段は上げて良ければ上げることは出来るが、上げない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢geː⸣ misamunu] (もっと上げればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ギ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢gi⸣ba] (早く上げなさいよ)。 551 0 2 519 htmvoc_551.wav アグン ア⸢グン [ʔa⸢guŋ] 他動 {Mn_2}吐く。嘔吐する。 ⸣ヌーナール ア⸢タルタ⸣ユー ⸢ファイムノー⸣ ムー⸢ル⸣ ア⸢ギ⸣ シケー [⸣nuːnaːru ʔa⸢taruta⸣juː f⸢faimunoː⸣ muː⸢ru⸣ ʔa⸢gi⸣ ʃi̥keː] (何に食あたりしたのか、食べ物は全部上げてある<嘔吐してある>) 552 0 0 520 htmvoc_552.wav アグン ア⸢グン [ʔa⸢guŋ] 他動 油で揚げる。豆腐はア⸢グン[ʔa⸢guŋ](揚げる)というのに対し、テンプラなどはヤ⸢クン[ja⸢kuŋ](焼く)というのが普通である。 ⸢トー⸣フーンノーン ⸣アバナー ア⸢ギティ⸣ ムティクーバ [⸢toː⸣ɸuːnnoːŋ ⸣ʔabanaː ʔa⸢giti⸣ mutikuːba] (<何でもいいが>豆腐でも油で揚げて持って来なさいよ) 568 0 0 521 htmvoc_568.wav アコーキー ア⸢コーキー [ʔa⸢koːkiː] 名 (植)樹木の名。和名、アコウ(赤秀)。オオバアコウ。⸣ウシキー[⸣ʔuʃikiː](あこう)ともいう。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸢ガッコー⸣ヌ ⸣マンタナー ウ⸢ブ⸣ ア⸢コーキー⸣ヌ ⸢ミームトゥ⸣ ムイ⸢ベー⸣タン [mu⸢kaʃi⸣nu ⸢gakkoː⸣nu man⸢ta⸣naː ʔu⸢bu⸣ ʔa⸢koːkiːnu miːmutu⸣ mui⸢beː⸣taŋ] (昔の学校の前に大きなアコウの木が三本生えていた) 573 0 0 522 htmvoc_573.wav アゴチキー ア⸢ゴ⸣チキー [ʔa⸢go⸣ʧikiː] 名 (植)樹木の名。西表島の北岸一帯に自生していた。伊武田地区に自生していたアゴチの葉には、白黒のグロテスクな毛を有する毛虫が付いていた。伐採して燃料用の薪にした。 ア⸢ゴ⸣チキー ⸣キシ ⸣キー タ⸢ム⸣ヌ バ⸢リ⸣バ [ʔa⸢go⸣ʧikiː ⸣ki̥ʃi ⸣kiː ta⸢mu⸣nu ba⸢ri⸣ba] (アゴチ木を伐ってきて、薪に割りなさいよ) 2566 0 0 523 htmvoc_2566.wav アゴッチェーマ ア⸢ゴッチェー⸣マ [ʔa⸢gotʧeː⸣ma] 名 (動)トンボ。古語「あきつ」に親愛の情を表す指小辞(diminutive)-マ[-ma]がついて転訛したもの。 カ⸢ジフキヌ⸣ アトー ア⸢ゴッチェーマ⸣ヌ ⸢アーリ キー⸣シタンドゥ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン [ka⸢ʤiɸu̥kinu⸣ ʔatoː ʔa⸢gotʧeːma⸣nu ⸢ʔaːri kiː⸣ʃi̥tandu ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣baŋ] (暴風の後にはトンボが湧いて出てきたが今は見られないわい) 574 0 0 524 htmvoc_574.wav アゴヤ ⸣アゴヤ [⸣ʔagoja] 名 (動)蟹の一種。海岸の岩陰に生息し、人が来るとすばやく穴や岩陰に逃げ隠れる。風土病マラリアの解熱用の煎じ薬として利用されたという。 ム⸢カ⸣シェー ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣リティ ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣アゴヤバ ⸣シジ ヌ⸢マ⸣ソーッタティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣ʔagojaba ⸣ʃiʤi nu⸢ma⸣soːttati⸢daː] (昔はマラリア<風気>に罹って熱が出るとアゴヤを煎じて飲まされたそうだよ) アサ 575 0 0 525 htmvoc_575.wav アサ ⸣アサ [⸣asa] 名 朝。複合語の語基として用いられ、単独用法はない。普通は、シ⸢トゥム⸣ティ[ʃi̥⸢tumu⸣ti](つとめて{EOS}「暾、日初出時也、明也、豆止女天<つとめて>」『新鮮字鏡』)という。ア⸢サパナ[ʔa⸢sapana](早朝{EOS}「朝端」の義)、ア⸢サ⸣ボン[ʔa⸢sa⸣boŋ](朝ご飯)、ア⸢サカイ[ʔa⸢sakai](朝影)、ア⸢サ⸣カイ[ʔa⸢sa⸣kai](朝粥)、ア⸢サ⸣キ[ʔa⸢sa⸣ki](朝餉{EOS}「朝食、アサケ」『鰻頭屋本節用集』)、ア⸢サ⸣ドゥリ[ʔa⸢sa⸣duri](朝凪)、ア⸢サ⸣ニビ[ʔa⸢sa⸣nibi](朝寝坊)等、複合語の語基 576 0 0 526 htmvoc_576.wav アザ ⸣アザ [⸣ʔaʣa] 名 畦。畦道。側。畑を仕切った境界。この部分に豆を植えたり、砂糖きびを植えたりした。 パ⸢タキ⸣ヌ アザナー ⸢キー⸣ウン イ⸢ビ⸣シケー [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢kiː⸣ʔuŋ ʔi⸢bi⸣ʃi̥keː] (畑の畦にキャッサバを植えてある) 577 0 0 527 htmvoc_577.wav アザ ア⸢ザ [ʔa⸢ʣa] 名 字。町村内の下位の行政単位、区画。大字、小字がある。鳩間島は一つの字に属する。 パ⸢トゥ⸣マナー ユ⸢クアザー⸣ラ ⸢オー⸣レー プ⸢ソー⸣ ギュ⸢タール オール⸣ワ [pḁ⸢tu⸣manaː ju⸢kuʔaʣaː⸣ra ⸢ʔoː⸣reː pu̥⸢soː⸣ gju⸢taːru ʔoːru⸣wa] (鳩間島には、他字から来られた人は何人<幾たり>居られるか) 578 0 0 528 htmvoc_578.wav アザ ア⸢ザ [ʔa⸢ʣa] 名 ほくろ(黒子)。 フ⸢チヌ⸣ シバナ ア⸢ザヌ⸣ アル ⸢プソー⸣ ウ⸢ヤ⸣キ ⸢スン⸣ツォー [ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʃibanaː ʔa⸢ʣanu⸣ ʔaru pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢ja⸣ki ⸢sun⸣ʦoː] (唇に黒子のある人は金持ちになるそうだ) 580 0 0 529 htmvoc_580.wav アザーラスン ア⸢ザーラ⸣スン [ʔa⸢ʣaːra⸣suŋ] 他動 もつれ(縺れ)させる。まつわりつかせる。からます。からみ(絡み)合わせる。ア⸢ザー⸣ルン[ʔa⸢ʣaː⸣ruŋ](縺れる)の未然形ア⸢ザーラ[ʔa⸢ʣaːra]に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いた形。 ⸣イトー ア⸢ザーラサン⸣ヨーニ ⸢トールタン⸣ドゥ ア⸢ザーラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔitoː ʔa⸢ʣaːrasaɲ⸣joːni ⸢toːrutan⸣du ʔa⸢ʣaːra⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (糸は絡まさないように手繰ったが、絡ましてしまった)。 ⸣アイニ ⸢トー⸣ルカー ア⸢ザーラ⸣スンダー ア⸢ザーラ⸣ス プ⸢スンマー トーラス⸣ナ [⸣ʔaini ⸢toː⸣rukaː ʔa⸢ʣaːra⸣sunda ʔa⸢ʣaːra⸣su pu̥⸢summaː toːrasu⸣na] (あんなに手繰ったら絡ませるから、からませる人には手繰らせるな)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ザーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ʣaːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと絡ませればいいのに)。 ア⸢ザーラ⸣シバ [ʔa⸢ʣaːra⸣ʃiba] (縺れさせなさいよ)。 ⸣ナー タ⸢クミカタ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカー ア⸢ザーラ⸣スン⸢ダー [⸣naː tḁ⸢kumikata⸣nu ⸢was⸣sakaː ʔa⸢ʣaːra⸣sun⸢daː] (縄のたたみかたが悪いともつれさせるよ)。 ア⸢ザーラサ⸣ヌ [ʔa⸢ʣaːrasa⸣nu] (絡ませない) 608 0 0 530 htmvoc_608.wav アザーリカザーリ ア⸢ザー⸣リカザーリ [ʔa⸢ʣaː⸣rikaʣaːri] 副 もつれ絡まるさま。 ⸣イトー ア⸢ザー⸣リカザーリ シ⸢ティ パンツァサラヌ [⸣ʔitoː ʔa⸢ʣaː⸣rikaʣaːri ʃi̥⸢ti panʦasaranu] (糸は絡まって解けない) 581 0 0 531 htmvoc_581.wav アザーリルン ア⸢ザーリ⸣ルン [ʔa⸢ʣaːri⸣ruŋ] 自動 もつれる(縺れる)。絡み合う。「糾、アザハレリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢ナー⸣バ ⸣アイニ タ⸢ク⸣ムカー ア⸢ザーリルン⸣ドゥ ク⸢レー ナイ⸣ロン ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ザーリラン⸣バン [⸢naː⸣ba ⸣ʔaini tḁ⸢ku⸣mukaː ʔa⸢ʣaːrirun⸣du ku⸢reː nairoŋ⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢ʣaːriram⸣baŋ] (縄をあのように手繰って畳むと縺れるが、これはナイロン製だから縺れないわい)。 ア⸢ザー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʣaː⸣ri ⸢naː⸣nu] (縺れてしまった)。 ア⸢ザーリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʣaːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (縺れることはない) 582 0 0 532 htmvoc_582.wav アザールン ア⸢ザー⸣ルン [ʔa⸢ʣaː⸣ruŋ] 自動 もつれる(縺れる)。絡み合う。「糾、アザハレリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢ユー⸣ロー ア⸢ザー⸣リティ ⸢パンツァサラヌ [⸢juː⸣roː ʔa⸢ʣaː⸣riti ⸢panʦasaranu] (細い紐は絡み合って解かれない<はずされない>)。 ⸣カイニ タ⸢ク⸣ムカー ⸢ナー⸣ヤ ア⸢ザーラ⸣ヌ [⸣kaini tḁ⸢ku⸣mukaː ⸢naː⸣ja ʔa⸢ʣaːra⸣nu] (このように手繰ると縄は縺れない)。 ア⸢ザー⸣ル ⸣イトー ⸢パンツァシグリ⸣サン [ʔa⸢ʣaː⸣ru ⸣ʔitoː ⸢panʦaʃiguri⸣saŋ] (縺れる糸は解きずらい)。 ⸣アイニ ア⸢ザー⸣レーラー プ⸢トゥカラ⸣ヌ [⸣ʔaini ʔa⸢ʣaː⸣reːraː pu̥⸢tukara⸣nu] (こんなに縺れたら解けないよ)。 ア⸢ザーリ⸣リ [ʔa⸢ʣaːri⸣ri] (縺れろ)。 ⸢ナー⸣ヤ ア⸢ザー⸣リティ ⸢パンツァサラヌ [⸢naː⸣ja ʔa⸢ʣaː⸣riti ⸢panʦasaranu] (縄は絡まりもつれて、解けない<外されない>)。 サ⸢バナー オー⸣ヌ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァース⸣カー ア⸢ザーラヌ [sa⸢banaː ʔoː⸣nu ⸢ʃiː⸣ f⸢faːsu⸣kaː ʔa⸢ʣaːra⸣nu] (鱶釣り縄は豚の血をつけて蒸し上げる<食わす>と絡まらない)。 ア⸢ザー⸣リティ ⸢パンツァサラヌ [ʔa⸢ʣaː⸣riti ⸢panʦasaranu] (縺れて<絡み合って>解け<外され>ない)。 ア⸢ザー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʣaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (絡まることはない)。 ⸣アイニ ア⸢ザー⸣レーラー ⸢パンツァサラヌ [⸣ʔaini ʔa⸢ʣaː⸣reːraː ⸢panʦasaranu] (あのようにもつれ<縺れ>たら解かれない<外されない>)。 ⸢コッタルムヌ⸣ ア⸢ザーリ⸣リ [⸢kottarumunu⸣ ʔa⸢ʣaːri⸣ri] (ちくしょう{EOS!}誰が知るものか、もつれて<縺れて>しまえ) 583 0 1 533 htmvoc_583.wav アサーン ア⸢サー⸣ン [ʔa⸢saː⸣ŋ] 形 {Mn_1}浅い。「~袖つくばかり淺乎也<アサキヲヤ>~。万、1381」の転訛か。 ⸣ウマー ア⸢サー⸣ンミー [⸣ʔumaː ʔa⸢saː⸣mmiː] (そこは浅いでしょうね)。 アー⸢イ⸣ ア⸢サー ナー⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔa⸢saː naː⸣nu] (いや、浅くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢サー⸣ ナリクーン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢saː⸣ narikuːŋ] (次第に浅くなってくる)。 ア⸢サー⸣ トンラ バ⸢タリ [ʔa⸢saː⸣ tonra ba⸢tari] (浅い所から渡れ)。 ⸣ドゥク ア⸢サー⸣カー ⸣フネー ⸢トゥーサラ⸣ヌ [⸣duku ʔa⸢saː⸣kaː ⸣ɸuneː ⸢tuːsara⸣nu] (あまり浅かったら舟は通されない)。 ⸣クマー ア⸢サー⸣ン [⸣kumaː ʔa⸢saː⸣ŋ] (ここは浅い)。 ピ⸢ザフチ⸣ヌ ア⸢サー⸣ トンナーティル ⸣ウイ ア⸢サブ⸣ダー [pi⸢ʣaɸuʧi⸣nu ʔa⸢saː⸣ tonnaːtiru ⸣ʔui ʔa⸢sabu⸣daː] (渚の浅いところで泳いで遊ぶのだよ)。 ク⸢マ⸣ル ア⸢サー(⸣ル) [ku⸢ma⸣ru ʔa⸢saː(⸣ru)] (ここが<ぞ>浅い)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢サー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢saː⸣kaː ⸣misamunu] (もっと浅ければ良いのに)。 583 0 2 534 htmvoc_583.wav アサーン ア⸢サー⸣ン [ʔa⸢saː⸣ŋ] 形 {Mn_2}色が薄い。 イ⸢ル⸣ヌ ア⸢サー⸣ユンダ ⸢ナン⸣ゾー ⸢カイヤーナー⸣ヌ [ʔi⸢ru⸣nu ʔa⸢saː⸣junda ⸢nan⸣ʣoː ⸢kaijaːnaː⸣nu] (色が薄いのであまり美しくない) 584 0 0 535 htmvoc_584.wav アサイミ ア⸢サ⸣イミ [ʔa⸢sa⸣ʔimi] 名 朝みる夢。明け方にみる夢。 ア⸢サ⸣イメー ⸢マーイミ⸣ティ ア⸢ズンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔa⸢sa⸣ʔimeː ⸢maːʔimi⸣ti ʔa⸢ʣunda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (朝夢は真実の夢<夢の通りにことが起こる>というから、気をつけなさいよ) 586 0 0 536 htmvoc_586.wav アサウキ ア⸢サ⸣ウキ [ʔa⸢sa⸣ʔuki] 名 早起き。「朝起き」の義。 ア⸢ツァー⸣ラ ⸢マイカリヌ⸣ パ⸢ジマリ パンタ⸣サンダ ア⸢サ⸣ウキ ⸢シー⸣ヨー [ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢maikarinu⸣ pa⸢dʒimari panta⸣sanda ʔa⸢sa⸣ʔuki ⸢ʃiː⸣joː] (明日から稲刈りが始まり、忙しいから早起きしなさいよ)。 ア⸢サ⸣ウキ ⸢スー⸣ ッ⸢ふァヌル マイフナー⸣ マ⸢リル [ʔa⸢sa⸣ʔuki ⸢suː⸣ f⸢fanuru maiɸunaː⸣ ma⸢riru] (早起きする子が立派な人に成長する)。 ⸣アツァー ア⸢サ⸣ウキ ⸢シー マイカリン⸣ パリ⸢ヨー [⸣ʔaʦaː ʔa⸢sa⸣uki ⸢ʃiː maikarim⸣ pari⸢joː] (明日は早起きして稲刈りに行きなさいよ) 588 0 0 537 htmvoc_588.wav アサカイ ア⸢サカイ [ʔa⸢sakai] 名 午前中。朝の涼しいうち。「~朝影尓<アサカゲニ>吾が身はなりぬ~。万、2664」の転訛したものか。 ナ⸢チェー⸣ ア⸢サカイヌ⸣ ウ⸢チ⸣ナー パ⸢タキシグ⸣トー ⸢シー⸣ヨー [na⸢ʧeː⸣ ʔa⸢sakainu⸣ ʔu⸢ʧi⸣naː pḁ⸢takiʃigu⸣toː ⸢ʃiː⸣joː] (夏は午前中に<朝影のうちに>畑仕事はしなさいね) 589 0 0 538 htmvoc_589.wav アサカイ ア⸢サ⸣カイ [ʔa⸢sa⸣kai] 名 朝粥(あさがゆ)。朝食べるお粥。老人が好んで食した。お盆の中日の朝食、⸢ナン⸣カ[⸢naŋ⸣ka](七日{EOS}七七忌の法事)、⸣シンズク[⸣ʃinʣuku](四十九日忌)、ユ⸢ノー⸣レー[ju⸢noː⸣reː](一周忌)、⸢サンニン⸣キ[⸢sanniŋ⸣ki](三年忌)、⸢ジュー⸣サンニンキ[⸢ʤuː⸣sanniŋki](十三年忌)、ニジューグ⸢ニンキ[niʤuːgu⸢niŋki](二十五年忌)、サンジュー⸢サンニン⸣キ[sanʤuː⸢sanniŋ⸣ki](三十三年忌)等の朝食には朝粥と味噌汁、ラッキョウの漬物を仏前に供えることが習慣である。 ⸢ソーラン⸣ヌ ナ⸢カヌ ピン⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テー ヤー⸢ディン⸣ ア⸢サ⸣カイ シ⸢キオーシ⸠ダー [⸢soːran⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣teː jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢sa⸣kai ʃi̥⸢kioːʃi⸠daː] (お盆の中日の朝食には必ず朝粥を供えてさしあげなさいよ) 342 0 0 539 htmvoc_342.wav アザカイ ア⸢ザ⸣カイ [ʔa⸢ʣa⸣kai] 名 (動)シャコガイ科の二枚貝の貝殻。しゃこ貝の貝殻。貝殻は扇形で殻長20~30センチメートル。大きいものは、殻長90センチに達するものがあった。殻の縁は波形の鋭い歯状を形成し、殻表も波形をなす。身は、⸣ギラ[⸣gira]といい、美味である。サ⸢ギフチ⸣ル[sa⸢giɸuʧi⸣ru](のぼせに利く食材{EOS}利尿薬)として重宝されている。大型の貝は豚の飼葉桶に利用された。 ウ⸢ブアザカイ⸣ヤ ⸢オー⸣ヌ ⸢イーッふァーシ⸣ムヌ ⸢ソーッ⸣タン [ʔu⸢buʔaʣakai⸣ja ⸢ʔoː⸣nu ⸢ʔiːffaːʃi⸣munu ⸢soːt⸣taŋ] (大きなシャコガイの貝殻<アザカイ>は豚の飼葉桶に使われた<された>)。大型の貝殻はミ⸢ジクブ⸣サー[mi⸢ʤikubu⸣saː](手水鉢{EOS}「水こぼし」の義か{EOS}下着洗い)や豚舎のかいばおけ<飼葉桶>に利用された。 ⸢グスク⸣ヌ ナ⸢カ⸣ナー ウ⸢ブアザカイ⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ブ⸢タン⸣ダー [⸢gusu̥ku⸣nu na⸢ka⸣naː ʔu⸢buʔaʣakai⸣nu ⸢peː⸣ri bu⸢tan⸣daː] (石垣の中に大きなシャコ貝の殻が入っていたよ) 591 0 0 540 htmvoc_591.wav アザカイヤーマ アザカイ⸢ヤー⸣マ [ʔaʣakai⸢jaː⸣ma] 名 小さなしゃこ貝。⸢ヤー⸣マ[⸢jaː⸣ma](小さいもの)は接尾指小辞。指小辞-マ[-ma](小さいもの)が連母音aiの末尾母音を有する語に付く場合、⸢-ヤー⸣マ[⸢-jaː⸣ma]となる 592 0 0 541 htmvoc_592.wav アザカザー ア⸢ザ⸣カザー [ʔa⸢ʣa⸣kaʣaː] 名 畦のほう。片隅。隅っこ。 パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザ⸣カザナー シ⸢ミ⸣シケール ⸣ッサー ⸢サンギ⸣キー ヤ⸢キティ⸣ コイ ⸣ナシバ [pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣa⸣kaʣanaːʃi⸢miʃi̥⸣keːru ⸣ssaː ⸢saŋgi⸣kiː ja⸢kiti⸣ koi ⸣naʃiba] (畑の畦の片隅に積んである草は引っ張ってきて、焼いて肥やしにしなさいよ) 593 0 0 542 htmvoc_593.wav アサカジ ア⸢サカジ [ʔa⸢sakaʤi] 名 朝風。朝の風。 ア⸢サカジヌ⸣ シ⸢ダーシダ⸣シ ⸢スイティ イー⸣ パ⸢ダム⸣チ⸣ ナリケーツバン [ʔa⸢sakadʒinu⸣ ʃi⸢daːʃidaː⸣ʃi ⸢suiti ʔiː⸣ pa⸢damu⸣ʧi ⸣narikeːʦubaŋ] (朝風が涼しく吹いて<そよいで>、良い肌触り<肌持ち>になってきたよ) 594 0 0 543 htmvoc_594.wav アサカンガイ ア⸢サカンガイ [ʔa⸢sakaŋgai] 名 浅い考え。浅慮。浅知恵。 ⸢ワー カンガイ⸣ヤ ⸢ダーッ⸣サ ⸢ナー⸣ヌ ウ⸢レー⸣ ア⸢サカンガイ [⸢waː kaŋgai⸣ja ⸢daːs⸣sa ⸢naː⸣nu ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢sakaŋgai] (君の考えはよろしくない{EOS}それは浅慮とうものだ) 595 0 0 544 htmvoc_595.wav アサカンナール ア⸢サカンナー⸣ル [ʔa⸢sakannaː⸣ru] 名 朝雷。朝方に鳴る雷。 ア⸢サカンナールヌ ナール⸣カー トゥ⸢ナロー⸣ ン⸢ジル⸣ナティル ア⸢ザリブー [ʔa⸢sakannaːrunu naːru⸣kaː tu⸢naroː⸣ ʔn⸢ʤiru⸣natiru ʔa⸢ʣaribuː] (朝雷が鳴ると隣家へ出かけるなと<ぞ>言われている) 596 0 0 545 htmvoc_596.wav アサキ ア⸢サ⸣キ [ʔa⸢sa⸣ki] 名 朝飯。「朝餉」、「あさけ(朝食)」の義。「キ」は「食、クヒモノ・ケ」『類聚名義抄』の転訛したもの。「Asaqe.あさけ(朝食・朝開).卑語」『邦訳日葡辞書』。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ア⸢サキ⸣ヌ ス⸢コーロー シーティル⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ʔa⸢saki⸣nu su̥⸢koːroː ʃiːtiru⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta] (朝早く朝食の準備をしてから畑へ行った) 597 0 0 546 htmvoc_597.wav アサキジ ア⸢サキジ [ʔa⸢sakiʤi] 名 浅い傷。「浅傷」の義。 フ⸢カキジェー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ア⸢サキジ⸣ ヤ⸢ルンダ ソーヤ ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢kakiʤeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ʔa⸢sakiʤi⸣ ja⸢runda soːja naː⸣nu] (ふかで<深傷>ではない{EOS}浅い傷だから心配はない) 599 0 0 547 htmvoc_599.wav アサクビン ア⸢サクビン [ʔa⸢sakubiŋ] 名 祭祀行事の際に酒を入れる錫製の瓶。口部は朝顔の形をしており、底はふかくない。瓶の裾が広がっていて台の部分に接着している。一対で用いられる。 ア⸢サクビン⸣ナ サ⸢ケー イリティ⸣ ザウ ⸣ッシ シ⸢キ⸣リバ [ʔa⸢sakubin⸣na sa⸢keː ʔiriti⸣ ʣau ⸣ʃʃi ʃi̥⸢ki⸣riba] (アサクビンに酒を入れて栓をしておきなさいよ) 598 0 0 548 htmvoc_598.wav アザケーン ア⸢ザ⸣ケーン [ʔa⸢ʣa⸣keːŋ] 形 清潔である。\ruby{清清}{スガ|スガ}しい。清らかである。衛生的である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ドゥー⸣ヌ ⸢ミーマールン⸣ ア⸢ザケーアザケー⸣シティ ア⸢タラ⸣サン⸢ツォー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː duː⸣nu ⸢miːmaruŋ⸣ ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃi̥ti ʔa⸢tara⸣san⸢ʦoː] (その子は身の回りも清潔で可愛いんだよ)。 イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ザ⸣ケーンティ ス⸢クタヌ⸣ ア⸢ザ⸣ケー ⸢ナーン⸣シェン [ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʣa⸣keːnti su̥⸢kutanu⸣ ʔa⸢ʣa⸣keː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (非常に清潔だと聞いたが清潔ではなかった)。 ⸣アイニ ア⸢ザ⸣ケー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ʔa⸢ʣa⸣keː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのように清潔な人はいない) 603 0 0 549 htmvoc_603.wav アササー ア⸢ササー [ʔa⸢sasaː] 名 朝茶。朝起きて飲む茶。老人は朝茶を飲むのが習慣であった。シ⸢トゥムティ⸣サー[ʃi̥⸢tumuti⸣saː](朝茶)というのが普通。 ⸢ピーリ⸣サー [⸢piːri⸣saː] (冷えたお茶{EOS}愛情のないお茶の義)。 ⸢ウイ⸣プソー ア⸢ササー⸣ ヌミティル ノー⸢ン ソー⸣ル [⸢ʔui⸣pu̥soː ʔa⸢sasaː⸣ numitiru noː⸢n soː⸣ru] (老人は朝茶を飲んでから何事もなさるのだ) 601 0 0 550 htmvoc_601.wav アサシ ア⸢サ⸣シ [ʔa⸢sa⸣ʃi] 名 (植)樹木の名。和名、モチノキ(『琉球列島植物方言集』)。ア⸢サ⸣シキー[a⸢sa⸣ʃikiː](モチノキ)ともいう。子供は、ム⸢チンキー[mu⸢ʧiŋkiː]ともいう。 ア⸢サ⸣シキーヌ ⸢カー⸣バ ⸢シッ⸣キティ ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣リティ メ⸢ジ⸣ロ シ⸢ビシキ⸣ クー⸢ディー [ʔa⸢sa⸣ʃikiːnu ⸢kaː⸣ba ⸢ʃ ik⸣kiti mu⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣riti me⸢dʒi⸣ro ʃi⸢biʃiki⸣ kuː⸢diː] (モチノキの皮を搗いてもちを作ってメジロをくっつけて獲ってこようよ) 602 0 0 551 htmvoc_602.wav アサシガキ ア⸢サシガ⸣キ [ʔa⸢saʃiga⸣ki] 名 早朝より畑仕事や出漁の準備をすること。先駆け(魁け)て仕事をすること。「朝仕掛け」の義か。夏季には早朝、薄暗いうちから畑に出て働くことを奨励したので、起床と同時に⸢ミーコー⸣ヤー[⸢miːkoː⸣jaː](お目覚め{EOS}昨夜のご飯の残り)を軽く食べて、朝露を踏んで野良仕事にでた。午前11時頃には帰宅して、⸣アシスコール[⸣ʔaʃisu̥koːru](昼食の準備)をした。 ア⸢サシガ⸣キ ⸢スー⸣ ッ⸢ふァー マイフナー ヤッタ [ʔa⸢saʃiga⸣ki ⸢suː⸣ f⸢faː maiɸunaː jatta] (早朝に畑仕事をする<朝先駆けする>子は働き者だった) 605 0 0 552 htmvoc_605.wav アサシュー ア⸢サ⸣シュー [ʔa⸢sa⸣ʃuː] 名 朝露。 ナ⸢チェー⸣ シ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸢カージ⸣ ア⸢サシュー⸣バ フ⸢メー⸣ティル パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ⸢ダー [na⸢ʧeː⸣ ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸢kaːdʒi⸣ ʔa⸢saʃuː⸣ba ɸu⸢meː⸣ti⸣ru pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta⸢daː] (夏は毎朝<朝のたびに>朝露を踏みながら畑へ行ったのだよ) 607 0 0 553 htmvoc_607.wav アザッカイパラッカイ ア⸢ザッカイパラッ⸣カイ [ʔa⸢ʣakkaiparak⸣kai] 副 いりみだれるさま。混雑するさま。雑踏するさま。 ⸢プール⸣ヌ シ⸢ナピキ⸣ヌ ピンマー ア⸢ザッカイパラッ⸣カイ ⸢スン⸣ケン プ⸢スヌ⸣ ンジキー ア⸢ラカラン⸣セン [⸢puːru⸣nu ʃi⸢napiki⸣nu pimmmaː ʔa⸢ʣakkaiparak⸣kai ⸢suŋ⸣kem pu̥⸢sunu⸣ ʔnʤikiː ʔa⸢rakaraŋ⸣ʃeŋ] (豊年祭の綱引きの日には雑踏するほど人が出てきて歩けなかった) 579 0 0 554 htmvoc_579.wav アザテー ア⸢ザテー [ʔa⸢ʣateː] 名 屋号。東里清光氏宅。⸢ヨー⸣カヤー[⸢joː⸣kajaː](西原松氏宅)の分家と言われている。鳩間島西村の旗頭を保管するトゥ⸢ニムトゥヤー[tu⸢nimutujaː](根家)といわれている。 ア⸢ザテーヌ⸣ イ⸢ゴー⸣ジザー ア⸢ラ⸣カーウガンヌ ティ⸢ジリ⸣ビー ヤ⸢ローッ⸣タ [ʔa⸢ʣateːnu⸣ ʔi⸢goː⸣ʤiʣaː ʔa⸢ra⸣kaːʔugannu ti⸢ʤiri⸣biː ja⸢roːt⸣ta] (東里家の清光氏は新川御嶽の男性神職者<ティジリビー>であられた) 609 0 0 555 htmvoc_609.wav アサティダ ア⸢サティダ [ʔa⸢satida] 名 朝の太陽。朝の陽光。 ア⸢サティダ⸣ ウ⸢ガ⸣ムン [ʔa⸢satida⸣ ʔu⸢ga⸣muŋ] (朝の太陽を拝む)。 ア⸢サティダー ヤーン⸣ナカー イ⸢リルバン イールティダー ヤーン⸣ナカー イ⸢リルナ [ʔa⸢satidaː jaːn⸣nakaː ʔi⸢rirubaŋ ʔiːrutidaː jaːn⸣nakaː ʔi⸢riruna] (朝の太陽<陽光>は室内に入れても、西日は室内に入れるな) 612 0 0 556 htmvoc_612.wav アサドーヤユンタ ア⸢サドー⸣ヤユンタ [ʔa⸢sadoː⸣jajunta] 名 安里家(あさどや)ユンタ。竹富島の古謡。 ⸢ワー⸣ タ⸢キドゥン⸣ヌ ア⸢サドー⸣ヤユンタ シ⸢キミッタン [⸢waː⸣ tḁ⸢kidun⸣nu ʔa⸢sadoː⸣jajunta ʃi̥⸢kimittaŋ] (君は竹富島のアサドーヤユンタを聞いたことがあるか) 610 0 0 557 htmvoc_610.wav アサトゥリ ア⸢サ⸣トゥリ [ʔa⸢sa⸣turi] 名 朝凪。若年層は、ア⸢サ⸣ドゥリ[ʔa⸢sa⸣duri](朝凪)ともいう。 ア⸢サ⸣トゥリ ⸢スー⸣ ピンマー ⸢パイ⸣ターヌ ⸢ギームドゥロー⸣ イッ⸢ケン ナン⸣ギ シ⸢タン⸣ダー [ʔa⸢sa⸣turi ⸢suː⸣ pimmaː ⸢pai⸣taːnu ⸢giːmuduroː⸣ ʔik⸢ken naŋ⸣gi ʃi̥⸢tan⸣daː] (朝凪する日は西表島<南端>への往来<行き戻り>はひどく難儀をしたものだ) 611 0 0 558 htmvoc_611.wav アサトゥル ア⸢サ⸣トゥル [ʔa⸢sa⸣turu] 名 早朝畑に出て朝食用の芋を掘ってくること。朝取り。ア⸢サ⸣ピキ[ʔa⸢sa⸣pi̥ki](朝引き)ともいう。嫁がアサトゥルすることを非常に嫌った。 ア⸢サ⸣トゥル ⸢シー⸣ ア⸢サ⸣ボン マ⸢ニアーシ⸣タ [ʔa⸢sa⸣turu ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sa⸣bom ma⸢niʔaːʃi̥⸣ta] (朝取りをして朝食を間に合わせた) 613 0 0 559 htmvoc_613.wav アザナー ア⸢ザナー [ʔa⸢ʣanaː] 名 あだ名。あざな。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン サ⸢キシギリバ⸣ シ⸢ティル⸣ ウスマイティ ア⸢ザナーバ⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢ベー⸣ダ⸢レ⸣ー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣ken sḁ⸢kiʃigiriba⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ʔusumaiti ʔa⸢ʣanaː⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢beː⸣da⸢re⸣ː] (子供の頃、急性アルコール中毒になって<失神して>ウスマイというあだ名を付けられているのだよ) 614 0 0 560 htmvoc_614.wav アザナーン ア⸢ザナー⸣ン [ʔa⸢ʣanaː⸣ŋ] 形 物が絡み合っているさま。複雑に\ruby{縺}{モツ}れて歩きづらい。ものが絡み合って歩きづらい。「摎、アザナハレリ」『類聚名義抄』が転訛、形容詞化したものか。 パ⸢タキ⸣ミチェー ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣シティ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ザナー⸣ン [pḁ⸢taki⸣miʧeː s⸢sa⸣nu ⸢muikaba⸣ʃi̥ti ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʣanaː⸣ŋ] (農道<畑道>は草が生えすぎて道に絡まって歩きにくい)。 ⸣ドゥク ア⸢ザナー⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣duku ʔa⸢ʣanaː⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (あまりに複雑に絡み合って歩けない)。 ⸣クマー ア⸢ザナー ナー⸣ヌ [⸣kumaː ʔa⸢ʣanaː naː⸣nu] (ここは絡まっていない)。 ク⸢ヌ⸣ ミチェー ア⸢ザナー⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ miʧeː ʔa⸢ʣanaː⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (この道は草が絡み合っていて歩かれない)。 ア⸢ザナー⸣ン ⸣トンマー パ⸢ル⸣ナ [ʔa⸢ʣanaː⸣n ⸣tommaː pa⸢ru⸣na] (歩きづらい所へは行くな)。 ⸣アイニ ア⸢ザナー⸣カー パ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ʔa⸢ʣanaː⸣kaː pa⸢ra⸣nu] (あのように絡み合いもつれて歩きづらければ行かない) 587 0 0 561 htmvoc_587.wav アサニビ ア⸢サ⸣ニビ [ʔa⸢sa⸣nibi] 名 朝寝坊。「朝寝」の義。農家は朝が早いので、嫁が朝寝坊をすると舅や姑に嫌われた。教訓歌の民謡⸢デンサー⸣ブシ[⸢densaː⸣buʃi](デンサー節)では/アサニビショール ミドゥム アサピキショール ミドゥム ウリカラドゥ キワミティ ムンドーヤ クヌミョール デンサー/(朝寝をされる女、朝畑から芋を掘られる女、これからが極めて喧嘩<問答>は始まる)と歌われている。 ア⸢サ⸣ニビ ⸢スー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢ムンドー⸣ヌ ⸣ムトゥ [ʔa⸢sa⸣nibi ⸢suː⸣ mi⸢du⸣moː ⸢mundoː⸣nu ⸣mutu] (朝寝坊をする女は家庭騒動<家庭問答、喧嘩>のもとだ) 628 0 0 562 htmvoc_628.wav アサノーリ ア⸢サノー⸣リ [ʔa⸢sanoː⸣ri] 名 朝の晴天。朝晴れ。「朝直り」の義。 ア⸢サノー⸣リ ⸢シーブーヌ⸣ プ⸢スマ⸣アトーラ ⸢ホー⸣ン ⸣ミサンカヤー [ʔa⸢sanoː⸣ri ⸢ʃiːbuːnu⸣ pu̥⸢suma⸣ʔatoːra ⸢hoːm⸣misaŋkajaː] (朝晴れしているが、昼あとから降らないかなあ) 651 0 0 563 htmvoc_651.wav アサバー ア⸢サバー [ʔa⸢sabaː] 名 遊び人。働かずに遊んでいる人。怠け者。若年層の言葉。ア⸢サベー[ʔa⸢sabeː](怠け者)と同じ。 ドゥ⸢シトゥ⸣ トゥ⸢レー⸣シ ア⸢サバー⸣ ナリティル ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢グトゥ サンバン [du⸢ʃitu⸣ tu⸢reː⸣ʃi ʔa⸢sabaː⸣ naritiru mut⸢tu⸣ ʃi⸢gutu sambaŋ] (友人と連れ立って遊び惚けて、ちっとも仕事をしないよ) 629 0 0 564 htmvoc_629.wav アサバスン ア⸢サバスン [ʔa⸢sabasuŋ] 他動 遊ばす。遊ばせる。遊ぶようにさせる。 ⸣クナーティ ア⸢サバスン [⸣kunaːti ʔa⸢sabasuŋ] (ここで遊ばせる)。 ア⸢サバサンドー⸣シ パ⸢タラカシ [ʔa⸢sabasandoː⸣ʃi pḁ⸢tarakaʃi] (遊ばさないで働かせ)。 ア⸢サバシ⸣ プサン [ʔa⸢sabaʃi⸣ pusaŋ] (遊ばしたい)。 ア⸢サバス⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔa⸢sabasu⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (遊ばせる人がいない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢サバシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢sabaʃeː⸣ misamunu] (もっと遊ばせば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢サバシ [⸢paː⸣ku ʔa⸢sabaʃi] (早く遊ばせ) 630 0 0 565 htmvoc_630.wav アサパナ ア⸢サ⸣パナ [ʔa⸢sa⸣pana] 名 早朝。「朝端」の義。 ア⸢サ⸣パナーラ ⸣ウキティ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ [ʔa⸢sa⸣panaːra ⸣ʔukiti pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta] (早朝から起きて畑へ行った)。「朝端(あさはな)」の義。 シ⸢トゥム⸣ティ ア⸢サ⸣パナーラ ⸣ウキティ シ⸢ガケー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ʃi̥⸢tumu⸣ti ʔa⸢sa⸣panaːra ⸣ʔukiti ʃi⸢gakeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (早朝から起きて人に先んじて仕事に励んでいる)。「ショングヮヂゥヌ シゥトゥムディ アラトゥシゥヌ アサパナ(正月の早旦、新年の朝端)」(鷲の鳥節)と古謡に歌われている『宮良当壮全集 12』 617 0 0 566 htmvoc_617.wav アザバライ ア⸢ザバライ [ʔa⸢ʣabarai] 名 嘲笑うこと。嘲笑い。 ⸢ウンザー⸣ カ⸢タ⸣フチェー ピ⸢キティル⸣ ア⸢ザ⸣バライ ⸢シーベー⸣バン [⸢ʔunʣaː⸣ kḁ⸢ta⸣ɸu̥ʧeː pi̥⸢kitiru⸣ ʔa⸢ʣa⸣barai ⸢ʃiːbeː⸣baŋ] (あの野郎は薄笑いをして<片口を引いて>嘲笑っているよ) 661 0 0 567 htmvoc_661.wav アザバライ ア⸢ザ⸣バライ [ʔa⸢ʣa⸣barai] 名 あざ笑い。嘲笑すること。 ⸣バー ⸢シーユーサンティ⸣ ウムイティ ⸢バイ⸣ヨー ア⸢ザ⸣バライ ⸢シーベー [⸣baː ⸢ʃiːjuːsanti⸣ ʔumuiti ⸢bai⸣joː ʔa⸢ʣa⸣barai ⸢ʃiːbeː] (私には出来ないと思って、私をあざ笑って<あざ笑いして>いる) 616 0 0 568 htmvoc_616.wav アザパライ ア⸢ザ⸣パライ [ʔa⸢ʣa⸣parai] 名 ⸢畦払い」の義。畦道の草刈り。田畑の畦の雑草を刈り取ること。 パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザパライ⸣ヤンツァン ⸢シー⸣バ [pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣaparai⸣janʦaŋ ⸢ʃiː⸣ba] (畑の畦道の草刈だけでもしなさいよ) 618 0 0 569 htmvoc_618.wav アザバンユーゾーナーヌ ア⸢ザバン ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʣabaŋ juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] 連 言っても詮無い。言っても無益である。ア⸢ザバン[ʔa⸢ʣabaŋ](言っても)は、ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の未然形、アザ[ʔaʣa]に仮定条件の接続助詞⸢-バン[⸢-baŋ](~ても)が付いた形。⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ[⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu]は、⸢ユー⸣ゾー[⸢juː⸣ʣoː](養生{EOS}病気の手当て)に⸢ナー⸣ヌ[⸢naː⸣nu](無い)が付いた形で、「手の施しようがない。どうにもならない。せんない(詮無い)」の意味 631 0 0 570 htmvoc_631.wav アサビ ア⸢サビ [ʔa⸢sabi] 名 遊び。 ア⸢サビヌ⸣ クトゥカー⸢ニ⸣ ウムイティ ⸢ピッ⸣チン シ⸢グトゥ⸣ナー ⸣ニン イ⸢ランバン [ʔa⸢sabinu⸣ ku̥tu kaː⸢ni⸣ ʔumuiti ⸢pit⸣ʧiŋ ʃi⸢gutu⸣naː ⸣niŋ ʔi⸢rambaŋ] (遊びのことだけ考えて<思って>、ちっとも仕事に念をいれないわい<ネンヲイルル『日葡辞書』>) 633 0 0 571 htmvoc_633.wav アサビカサビ ア⸢サビカサ⸣ビ [ʔa⸢sabikasa⸣bi] 名 遊んでばかりいること。ABCDBC型の重言。カサビ[kasabi](重ね)は強意用法。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢サビカサ⸣ビ カー⸢ニ シーアー⸣ク [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢sabikasa⸣bikaː⸢ni ʃiːʔaː⸣ku] (仕事はしないでただ遊んでばかりいる) 644 0 0 572 htmvoc_644.wav アサヒカマブク ア⸢サヒカマ⸣ブク [ʔa⸢saçikama⸣buku] 名 周囲を食紅で赤く染めた円形のかまぼこ。「朝日かまぼこ」の義。祝儀用のかまぼこ。石垣方言からの借用語。普通は、ア⸢ガカマブク[ʔa⸢gakamabuku](赤かまぼこ)という。法事用には、ッ⸢スカマ⸣ブク[s⸢sukama⸣buku](白かまぼこ)を用いた 635 0 0 573 htmvoc_635.wav アサピキ ア⸢サ⸣ピキ [ʔa⸢sa⸣pi̥ki] 名 朝になって、朝食用の甘藷を取りに畑へ行くこと。「朝引き」の義。家庭の主婦としてあるまじき行為とされていた。ア⸢サ⸣ニビ[ʔa⸢sa⸣nibi](朝寝)とア⸢サ⸣ピキ[ʔa⸢sa⸣pi̥ki](朝引き、朝取り)は家庭騒動のもとといわれていた。鳩間島で伝承されている教訓歌の⸢デンサー節」の一節に/アサニビ ショール ミドゥム アサピキ ショール ミドゥム ウリカラドゥ キワミティ ムンドーヤ クヌミョール デンサー/(朝寝をする女、朝に朝食用の芋堀りをする女、それから<ぞ>家庭騒動は起きるものだ)とある。 ア⸢サ⸣ピキ ⸢スー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢ムンドー⸣ヌ ⸣ムトゥ [ʔa⸢sa⸣pi̥ki ⸢suː⸣ mi⸢du⸣moː ⸢mundoː⸣nu ⸣mutu] (朝になって芋ほりする女は家庭騒動<問答>のもとになる) 636 0 0 574 htmvoc_636.wav アサビグトゥ ア⸢サビグトゥ [ʔsa⸢bigutu] 名 遊びごと。 ア⸢サビグトゥ⸣ シ⸢ミル⸣カー ウ⸢リヌ ウイ⸣ナー ⸣タトゥ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔa⸢sabigutu⸣ ʃi⸢miru⸣kaː ʔu⸢rinu ʔui⸣naː ⸣tḁtu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (遊びごとをさせると、その人の上に立つ人はいない) 632 0 0 575 htmvoc_632.wav アサビシグトゥ ア⸢サビシグトゥ [ʔa⸢sabiʃigutu] 名 楽な仕事。簡単な仕事。「遊び仕事」の義。 ⸢キュー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ア⸢サビシグトゥ⸣ ユネン⸢バー⸣キナー トゥ⸢ズミラ⸣リン [⸢kjuː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ ʔa⸢sabiʃigutu⸣ junem⸢baː⸣kinaː tu⸢ʣumira⸣riŋ] (今日の仕事は楽な仕事だ{EOS}夕方までには終了<片付け>出来る) 634 0 0 576 htmvoc_634.wav アサビッサーク ア⸢サビッサーク [ʔa⸢sabissaːku] 名 遊び仕事。楽な仕事。遊び半分に出来る仕事。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ア⸢サビッサーク⸣ティ ⸣ムカーヤ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ʔa⸢sabissaːku⸣ti ⸣mukaːja] (その程度は遊び仕事というものだ) 638 0 0 577 htmvoc_638.wav アサビッふァ ア⸢サビッふァ [ʔa⸢sabiffa] 名 婚前に遊び相手に生ませた子供。「遊び子」の義。 カ⸢ヌ プストゥヌ⸣ ナカナー ア⸢サビッふァヌ⸣ ブ⸢タン⸣ツォー [ka⸢nu⸣ pu̥⸢sutunu⸣ nakanaː ʔa⸢sabiffanu⸣ bu⸢tan⸣ʦoː] (あの人との間に婚前に生ませた子供がいたそうだよ) 637 0 0 578 htmvoc_637.wav アサビドゥシ ア⸢サビドゥシ [ʔa⸢sabiduʃi] 名 遊び友達。遊び仲間。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンラヌ ア⸢サビドゥシ⸣ティムカーヤ ッ⸢サンシェン [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenranu ʔa⸢sabiduʃi⸣timukaːja s⸢saŋʃeŋ] (あれら二人は子供の頃からの遊び友達というもんだ{EOS}知らなかったのか) 12188 0 0 579 htmvoc_12188.wav アサビナライ ア⸢サビナライ [ʔa⸢sabinarai] 名 遊び癖。⸢遊び習い」の義。 ア⸢サビナライ⸣ シ⸢キル⸣ナ [ʔa⸢sabinarai⸣ ʃi̥⸢kiru⸣na] (遊び習慣<遊び癖>をつけるな) 639 0 0 580 htmvoc_639.wav アサビパダ ア⸢サビパダ [ʔa⸢sabipada] 名 夜遊びを楽しむ年頃。青年時代。青春時代。 ア⸢サビパダ⸣ ヤ⸢リバ⸣ ドゥ⸢シヌ⸣ヤー ア⸢サビン⸣ パルンティ ⸣アイニ イ⸢ゾーン⸣ナ⸢ヨー [ʔa⸢sabipada ⸣ja⸢riba⸣ du⸢ʃinu⸣ jaː ʔa⸢sabim⸣ parunti ⸣ʔaini ʔi⸢ʣoːn⸣na⸢joː] (遊びを楽しむ年頃だから、友達の家に遊びに行くといって、あんなに怒りなさるなよ) 640 0 0 581 htmvoc_640.wav アサビバナ ア⸢サビバナ [ʔa⸢sabibana] 名 遊び盛り。遊び戯れる時期。 ビ⸢コーンッふァヌ⸣ ア⸢サビバナー⸣ ナ⸢マキジ⸣ヌ ⸣キシテー ⸢ナー⸣ヌ [bi⸢koːŋffanu⸣ ʔa⸢sabibanaː⸣ na⸢makiʤi⸣nu ⸣ki̥ʃiteː ⸢naː⸣nu] (男の子の遊び盛りは生傷が絶える<切れる>ことはない) 641 0 0 582 htmvoc_641.wav アサビブリ ア⸢サビブリ [ʔa⸢sabiburi] 名 遊び惚けること。遊びに夢中になること。「遊び惚れ」の義。子供が日の暮れるのを忘れて遊びに耽っている時にいう。仕事を忘れて遊び耽る者にもいう。また、肉体から遊離したマ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru](魂)が浮遊している際にもいう。 ⸢バン⸣テヌ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢サビブリバ シーティル⸣ ムサッ⸢トゥ ヤー⸣ナー カ⸢カラ⸣ヌ [⸢ban⸣tenu f⸢faː⸣ ʔa⸢sabiburiba ʃiːtiru⸣ musat⸢tu jaː⸣na kḁ⸢kara⸣nu] (私の家の子供は遊び惚けてちっとも家に留まらない<掛からない>) 642 0 0 583 htmvoc_642.wav アサビマーリ ア⸢サビマーリ [ʔa⸢sabimaːri] 名 遊びまわり。子供が友人の家を訪ねて遊びまわること。若い男女が仕事を疎かにして、異性の家に入り浸りになること。子供の魂は、叱られるのが怖くて肉体に戻ることができず、遊びまわるといわれている。それ故、マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠め)の際は、マ⸢ブ⸣ル(魂)の好物である「水」、「大豆のお汁」を用意して、特に子供が空腹になる夕刻に、マ⸢ブ⸣ルクミ(魂籠め)の祈願をした。家人を始め、祈願する人も、特に優しい声で、マ⸢ブロー⸣マ マ⸢ブロー⸣マと呼んで、ミ⸢ジーン トー⸣フマミヌ ⸣スーン ア⸢リ⸣バ ⸢ダンティ⸣ キー ッ⸢ふァイ⸣ ッ⸢ふァイ[mi⸢ʣiːn toː⸣ɸumaminu suːŋ ʔa⸢ri⸣ba ⸢danti⸣ kiː f⸢fai⸣ f⸢fai](水も大豆のお汁もあるから、早く来てお食べ)と宥めすかすように呼ぶのである 643 0 0 584 htmvoc_643.wav アサビリ ア⸢サ⸣ビリ [ʔa⸢sa⸣biri] 名 朝の排便。「朝座り」の義。 ア⸢サ⸣ビレー シ⸢マ⸣シテーラル ⸢トゥーサーヤ⸣ パル⸢ダー [ʔa⸢sa⸣bireː ʃi⸢ma⸣ʃiteːraru ⸢tuːsaːja⸣ paru⸢daː] (朝の排便は済ませてから遠くへは行くのだよ) 650 0 1 585 htmvoc_650.wav アサブン ア⸢サブン [ʔa⸢sabuŋ] 自動 {Mn_1}遊ぶ。「遊行女児、和名宇加礼女、又云阿曾比(あそび)」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢ワートゥ⸣ マー⸢ズン⸣ ア⸢サブン⸣ツォー [⸢waːtu⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ʔa⸢sabun⸣ʦoː] (君と一緒に遊ぶそうだよ)。 カ⸢リトゥ⸣カー⸢ニ⸣ ア⸢サバンドー⸣シ ⸢バン⸣トゥン ア⸢サビ⸣バ [ka⸢ritu⸣kaː⸢ni⸣ ʔa⸢sabandoː⸣ʃi ⸢ban⸣tuŋ ʔa⸢sabi⸣ba] (彼とだけ遊ばないで僕とも遊べよ)。 ア⸢サビ⸣ プサンドゥ ⸢ワットゥ⸣ ア⸢サブ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢sabi⸣ pu̥sandu ⸢wattu⸣ ʔa⸢sabu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (遊びたいが、君と遊ぶことはできない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢サベー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢sabeː⸣ misamunu] (もっと遊べばいいのに)。 650 0 2 586 htmvoc_650.wav アサブン ア⸢サブン [ʔa⸢sabuŋ] 自動 {Mn_2}器具の部分と部分が密着しないで隙間があって動く余裕が生じる。緩む。 ク⸢ビン⸣ヌ フ⸢ター⸣ シ⸢マラ⸣ヌ ア⸢サビブー [ku⸢bin⸣nu ɸu̥⸢taː⸣ ʃi⸢mara⸣nu ʔa⸢sabibuː] (瓶の蓋は閉まらない{EOS}緩んでいる<遊んでいる>) 645 0 0 587 htmvoc_645.wav アサベー ア⸢サベー [ʔa⸢sabeː] 名 遊び人。遊蕩児。定職が無くぶらぶら遊び暮らしているもの。老年層の使用語。 イ⸢チンバー⸣キン ア⸢サベー⸣ ナリ ⸢アーカン⸣ドーシ ⸢パイ⸣サ シ⸢グトゥ⸣ トゥミティ パ⸢タラキ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ʔa⸢sabeː⸣ nari ⸢ʔaːkan⸣doːʃi ⸢pai⸣sa ʃi⸢gutu⸣ tumiti pḁ⸢taraki] (いつまでも無職でぶらぶらしていないで、早く仕事を探して働きなさい) 652 0 0 588 htmvoc_652.wav アサベーカサベー ア⸢サベー⸣カサベー [ʔa⸢sabeː⸣kasabeː] 副 遊びに耽って。遊び惚けて。 シ⸢グトゥン⸣ サ⸢ムティ ピーズン⸣ ア⸢サベー⸣カサベー ⸢シー アー⸣ク [ʃi⸢gutun⸣ sa⸢muti piːʣuŋ⸣ ʔa⸢sabeː⸣kḁsabeː ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (仕事もしないで毎日遊び惚けている) 619 0 0 589 htmvoc_619.wav アサボン ア⸢サ⸣ボン [ʔa⸢sa⸣boŋ] 名 朝御飯。朝食。御飯を「飯、'om・par(n)i」『海東諸国紀・「語音翻訳」』、「飯、翁班尼」『琉球館訳語』とある。 ア⸢サ⸣ボン ッ⸢ふァイティ⸣ マー⸢ズン⸣ パ⸢タ⸣ケー パラ⸢ナー [ʔa⸢sa⸣boŋ f⸢faiti⸣ maː⸢ʣum⸣ pḁ⸢ta⸣keː para⸢naː] (朝御飯を食べて、一緒に畑へ行こうね)。ア⸢サ⸣ンボン[ʔa⸢sa⸣ʔmboŋ](朝ご飯)の縮約形。「おぼのがなし 食事の敬語」『混効験集』、とある。 ア⸢サボン⸣マー ッ⸢ふァイヤーン⸣カヤー [ʔa⸢sabom⸣maː f⸢faijaːŋ⸣kajaː] (朝ご飯は食べただろうかねえ) 654 0 0 590 htmvoc_654.wav アサボンジブン ア⸢サ⸣ボンジブン [ʔa⸢sa⸣bondʒibuŋ] 名 朝飯時。朝食時分。「朝・飯 翁班尼<ウバニ>」『琉球館訳語』、「おぼのがなし 食事の敬語」『混効験集』、⸢飯om-pa-r(n)i」『語音翻訳』・⸢時分」よりなる複合語。 ア⸢サ⸣ボンジブン ナ⸢リ⸣ブバ ディー⸢ディー ヤー⸣ パラ [ʔa⸢sa⸣bonʤiibun na⸢ri⸣buba diː⸢diː jaː⸣ para] (朝食時分になっているから、さあさあ家へ帰ろう) 655 0 0 591 htmvoc_655.wav アサマイリ ア⸢サマイ⸣リ [ʔa⸢samai⸣ri] 名 朝参り。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ユードゥーシ⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テー ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸢ヤー カイ⸣ローリティ マ⸢タ⸣ ア⸢サマイ⸣リ ⸢シー ソーッ⸣タ [⸢puːru⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢jaː kai⸣roːriti ma⸢ta⸣ ʔa⸢samai⸣ri ⸢ʃiː soːt⸣ta] (豊年祭の夜通しの朝は神人たちは家に帰られて、また朝参りをされた<しなさった>) 656 0 0 592 htmvoc_656.wav アサマシー ア⸢サマシー [ʔa⸢samaʃiː] 連体 浅ましい。惨めでいやしい。石垣方言からの借用語。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー フン⸣トー ア⸢サマシー⸣クトゥ [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː ɸun⸣toː ʔa⸢samaʃiː⸣ ku̥tu] (あんなことをして誠に浅ましいことだ) 620 0 0 593 htmvoc_620.wav アサマッサン ア⸢サマッ⸣サン [ʔa⸢samas⸣saŋ] 形 あまりの酷さに呆れかえる。興ざめである。見苦しい。あさましい。 ⸣アイブー ヤ⸢ナシムチバ⸣ ムティ ⸢ヤームン⸣ドー ウ⸢ク⸣シ ア⸢サマッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaibuː ja⸢naʃimuʧiba⸣ muti ⸢jaːmun⸣doː ʔu⸢ku⸣ʃi ʔa⸢samassa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (あのような悪い精神<気持ち>を持って家庭騒動を起こして、見苦しくて<呆れかえって>見ておれない)。 ⸣アイブー ⸢ヤームン⸣ドー ⸣ミルカー ア⸢サマッ⸣サンダ ⸣メー ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibuː ⸢jaːmun⸣doː ⸣mirukaː ʔa⸢samas⸣sanda ⸣meː mi⸢ra⸣nu] (あんなお家騒動を見るのは見苦しいので、もう見ない)。 ⸣カイニ ア⸢サマッ⸣サル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kaini ʔa⸢samas⸣saru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなにあさましいことはない) 657 0 0 594 htmvoc_657.wav アサマユーマ ア⸢サマユー⸣マ [ʔa⸢samajuː⸣ma] 名 朝夕。「朝間夕間」の義。 ア⸢サマユー⸣マ ⸢ター⸣ヌ ⸢ミーマール スンティ パンタ⸣サ ⸢シーオー⸣ル [ʔa⸢samajuː⸣ma ⸢taː⸣nu ⸢miːmaːru sunti panta⸣sa ⸢ʃiːoː⸣ru] (朝夕田圃の見回りをしようとして多忙を極めて<繁多さして>おられる) 658 0 0 595 htmvoc_658.wav アザミチ ア⸢ザ⸣ミチ [ʔa⸢ʣa⸣miʧi] 名 畦道。細道。 パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザミチ⸣バ ⸢トゥンクイトゥンクイ シェー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ ⸢クー⸣タ [pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣamiʧi⸣ba ⸢tuŋkuituŋkui ʃeː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuː⸣ta] (畑の畦道を跳び越え跳び越えしながら歩いて来た) 660 0 0 596 htmvoc_660.wav アザムクン ア⸢ザム⸣クン [ʔa⸢ʣamu⸣kuŋ] 他動 騙す。欺く。嘲笑する。 ッ⸢サンコーラ⸣シ ⸢シーベー⸣ティ プ⸢スバ⸣ ア⸢ザム⸣クン⸢ダー⸣ ウ⸢レー [s⸢saŋkoːra⸣ʃi ⸢ʃiːbeː⸣ti pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢ʣamu⸣kun⸢daː⸣ ʔu⸢reː] (そ知らぬふりして人を騙すんだよ、こいつは) 659 0 0 597 htmvoc_659.wav アサムヌ ア⸢サ⸣ムヌ [ʔa⸢sa⸣munu] 名 朝食。 ア⸢サ⸣ムヌ ッ⸢ふァーン⸣カー パ⸢タキシグ⸣トー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢sa⸣munu f⸢faːŋ⸣kaː pḁ⸢takiʃigu⸣toː na⸢ra⸣nu] (朝食を食べないと畑仕事は出来ない) 662 0 0 598 htmvoc_662.wav アサヤキ ア⸢サ⸣ヤキ [ʔa⸢sa⸣jaki] 名 朝焼け。標準語からの借用語。 ア⸢サ⸣ヤケー ⸢シー ティンマー⸣ ア⸢ガミベー⸣ヌ ⸢オシケー ヌー⸣シカヤー [ʔa⸢sa⸣jakeː ⸢ʃiː timmaː⸣ ʔa⸢gamibeː⸣nu ⸢ʔoʃi̥keː nuː⸣ʃikajaː] (朝焼けをして空は赤らんでいるが天気はどうだろうか) 663 0 0 599 htmvoc_663.wav アサユー ア⸢サ⸣ユー [ʔa⸢sa⸣juː] 名 朝夕。朝晩。いつも。朝な夕な。 ア⸢サユー⸣ヌ ウ⸢ヤプスン⸣マイヌ ⸢サーサー⸣ドー バ⸢シキルナ⸣ダー [ʔa⸢sajuː⸣nu ʔu⸢japu̥sum⸣mainu ⸢saːsaː⸣doː ⸢baʃi̥kiruna⸣daː] (朝夕の、ご先祖様の前へのおちゃとう<お茶湯>を忘れるなよ) 670 0 0 600 htmvoc_670.wav アザライシ ア⸢ザライシ [ʔa⸢ʣaraiʃi] 名 ごつごつした石。でこぼこの多い石。 ア⸢ザライシミチェー⸣ ア⸢ラキングリサ⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔa⸢ʣaraʔiʃimiʧeː⸣ ʔa⸢rakiŋgurisa⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (でこぼこの多い石道は歩きずらくて、歩けない) 665 0 1 601 htmvoc_665.wav アサラゴー ⸣アサラゴー [⸣ʔasaragoː] 名 {Mn_1}(動)貝の名。イガイ科。和名、リュウキュウヒバリガイ、ムラサキガイの仲間。明治生まれの老年層は、⸣アサルゴー[⸣ʔasarugoː]ともいう。長さ約4センチ、巾約1,5センチの細長い貝。浅い海の岩礁の上に棲息している。殻は薄くてもろい。ムラサキガイは光沢のある黒紫色を呈している。煮て食する。 ⸣アサラゴーンツァン ⸢コーシ⸣ クー⸢ディ⸣ー [⸣ʔasaragoːnʦaŋ ⸢koːʃi⸣ kuː⸢di⸣ː] (アサラゴー貝でも掻き剥がして漁獲してこようよ)。 665 0 2 602 htmvoc_665.wav アサラゴー ⸣アサラゴー [⸣ʔasaragoː] 名 {Mn_2}潮干狩り。 ⸣アサラゴー ⸢シン⸣ パラ⸢ディ⸣ー [⸣ʔasaragoː ⸢ʃim⸣ para⸢di⸣ː] (潮干狩りをしに行こうよ) 667 0 0 603 htmvoc_667.wav アザラスン ア⸢ザラスン [ʔa⸢ʣarasuŋ] 他動 米を搗いて少し糠の出た状態にする。表面をざらざらにする。臼で米搗きをする際に始めはゆっくり、力をいれずに搗く。四、五分経つと糠が出る。この状態になると力強く搗いても米粒は臼から飛び散らない。その状態にすることをいう。「肉習○、魚肉爛也、阿佐礼太利(あざれたり)」『新撰字鏡』、「鯘、アザル」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ⸢マイヤー⸣ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸣シキ ア⸢ザラシテーラ⸣ シ⸢キバ⸣ル トゥ⸢ビパラ⸣ヌ [⸢maijaː⸣ jaː⸢rama⸣ʃi ⸣ʃi̥ki ʔa⸢ʣaraʃi̥teːra⸣ ʃi̥⸢kiba⸣ru tu⸢bipara⸣nu] (米は弱く<柔らかく>搗いて糠を出してから強く搗いた方が飛び散らない)。 ⸣ウシナー ⸢マイ⸣ イ⸢リティ⸣ ア⸢ザラスン [⸣ʔuʃinaː ⸢mai⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢ʣarasuŋ] (臼に米を入れて、弱く搗いて糠の出た状態にする) 668 0 0 604 htmvoc_668.wav アザラミチ ア⸢ザラミチ [ʔa⸢ʣaramiʧi] 名 石ころだらけの道。でこぼこの多い道。 ア⸢ザラミチェー⸣ ア⸢ラキングリ⸣サン [ʔa⸢ʣaramiʧeː⸣ ʔa⸢rakiŋguri⸣saŋ] (石ころ道は歩きづらい) 669 0 0 605 htmvoc_669.wav アザランナカーラ ア⸢ザラン⸣ ナカーラ [ʔa⸢ʣaraŋ⸣ nakaːra] 連 言うにことかいて。言えないので。「~と言えないなかで」の義。 ウ⸢ナール ワッ⸣サティ ア⸢ザラン⸣ ナカーラ ⸣カイブ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢naːru was⸣sati ʔa⸢ʣaran⸣nakaːra ⸣kaibu mu⸢ni⸣ba ʔi⸢dʒeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (己が悪いと言えないので、言うに事欠いて、このようなことを言っている<言ってあるく>) 671 0 0 606 htmvoc_671.wav アザリルン ア⸢ザリルン [ʔa⸢ʣariruŋ] 自動 米の糠がでる。表面がざらざらになる。絡み合う。「糾、アザハレリ」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸢マイヤー⸣ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸣ッサウカー ア⸢ザリルン [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸢maijaː⸣ jaː⸢rama⸣ʃi ⸣ssaukaː ʔa⸢ʣariruŋ] (臼の中の米は軽く<柔らかく>搗くと糠が出て飛び散らない)。 ⸢マイヤー⸣ ッサウカー ア⸢ザリラン⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ ア⸢ザリル スー [⸢maijaː⸣ ssaukaː ʔa⸢ʣariraŋ⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu ʔa⸢ʣariru suː] (米は搗くと糠が出て絡まらないことはない{EOS}糠が出て絡まりあうことになる) 672 0 0 607 htmvoc_672.wav アザリン ア⸢ザリン [ʔa⸢ʣariŋ] 自動 言われる。動詞ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の未然形、ア⸢ザ[ʔa⸢ʣa]に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](~れる)が付いて形成された派生動詞(受身・可能動詞)。 ⸢マイフナー⸣ティ シ⸢キン⸣ヌ プ⸢ソーラ⸣ ア⸢ザリン [⸢maiɸunaː⸣ti ʃi̥⸢kin⸣nu pu̥⸢soːra⸣ ʔa⸢ʣariŋ] (働き者と世間の人から言われる) 673 0 0 608 htmvoc_673.wav アサルゴー ⸣アサルゴー [⸣ʔasarugoː] 名 (動)貝の名。和名、リュウキュウヒバリガイ。ムラサキガイの仲間。若年層は、⸣アサラゴー[⸣ʔasaragoː]ともいう。 ⸣アサルゴーバ ⸣シジ バ⸢カシ [⸣ʔasarugoːba ⸣ʃiʤi ba⸢kaʃi] (アサルゴーを煎じてお汁に炊き<沸かし>なさい) 646 0 0 609 htmvoc_646.wav アサルン ア⸢サ⸣ルン [ʔa⸢sa⸣ruŋ] 他動 あさる(漁る)。探しまわる。ほじくりまわす。「春の野に安佐留<アサル>\ruby{雉}{キジ}の~。万、1446」の転訛したものか。 カ⸢ティ⸣ムヌ ⸣トゥルンティ タ⸢ク⸣ヌヤー ア⸢サルン⸣ドゥ ブ⸢ラーンバン [kḁ⸢ti⸣munu ⸣turunti tḁ⸢ku⸣nu ⸣jaː ʔa⸢sarun⸣du bu⸢raːmbaŋ] (おかず<副食物{EOS}かてもの>を漁獲しようと蛸の巣をほじくりまわすがいないよ)。 ⸢ヤー⸣サティ ッ⸢ふァイムヌ⸣ ア⸢サ⸣リ ⸢ベー [⸢jaː⸣sati f⸢faimunu⸣ ʔa⸢sa⸣ri ⸢beː] (ひもじいので食い物を漁っている)。 ッ⸢ふァイムヌ⸣ ア⸢サラン⸣ドーシ ⸢イー⸣ヌ ⸢ニールン⸣ケン ⸣マティバ [f⸢faimunu⸣ ʔa⸢saran⸣doːʃi ⸢ʔiː⸣nu ⸢niːruŋ⸣kem ⸣matiba] (食い物を漁らないで御飯が炊ける<煮える>まで待てよ)。 ⸢ヌー⸣バ ⸢ミス⸣クユー ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ナカー ア⸢サ⸣リ ⸢ベー [⸢nuː⸣ba ⸢misu̥⸣kujuː ⸢jaː⸣nu nakaː ʔa⸢sa⸣ri ⸢beː] (何を探すのか家の中を探して<あさって>いる)。 ⸢ヤー⸣サカー ッ⸢ふァイムヌ⸣ ア⸢サ⸣ルンダ ア⸢サラン⸣ヨーニ ナ⸢ラー⸣シバ [⸢jaː⸣sakaː f⸢faimunu⸣ ʔa⸢sa⸣runda ʔa⸢saraŋ⸣joːni na⸢raː⸣ʃiba] (ひもじいと食い物を漁るので、漁らないように教えなさいよ)。 ッ⸢ふァイムヌ⸣ ア⸢サ⸣ル プ⸢ス [f⸢faimunu⸣ ʔa⸢sa⸣ru pu̥⸢su] (食い物を漁る人)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢サ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢sa⸣reː ⸣misamunu] (もっと漁ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢サ⸣リバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢sa⸣riba] (早く漁れよ) 674 0 0 610 htmvoc_674.wav アザルン ア⸢ザルン [ʔa⸢ʣaruŋ] 自動 搗臼に米を入れて軽く搗くと糠が出て縺れ合うようになるさま。絡み合う。米と糠がもつれあって飛び散らないようになる。「魚委、魚肉爛也、阿佐礼太利(あざれたり)」『新撰字鏡』の転訛か。 ⸢マイヤー⸣ ッサウカー ア⸢ザルン [⸢maijaː⸣ ssaukaː ʔa⸢ʣaruŋ] (米は搗く<精げる>と糠が出て絡まる)。 マ⸢ダ⸣ ア⸢ザラヌ [ma⸢da⸣ ʔa⸢ʣaranu] (まだ糠が出ない{EOS}絡まない)。 キ⸢サーティ⸣ ア⸢ザリ ブー [ki̥⸢saːti⸣ ʔa⸢ʣari buː] (既に糠が出ている{EOS}絡まっている)。 ⸢マイヌ⸣ ア⸢ザル⸣ ピンマー ⸣ウシェーラ ⸢トゥンジラヌ [⸢mainu⸣ ʔa⸢ʣaru⸣ pimmaː ⸣ʔuʃeːra ⸢tunʤiranu] (米の糠が出て絡まる時は臼から飛び散らない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ザレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʣareː⸣ misamunu] (早く糠が出て縺れあえばいいのに) 676 0 0 611 htmvoc_676.wav アサングル ア⸢サン⸣グル [ʔa⸢saŋ⸣guru] 名 (植)樹木の名。和名、フカノキ。軽くて火力が弱いので薪炭用としては軽視された。下駄を作るのに重用された。 ア⸢チ⸣ツァー <ア⸢シ⸣ツァー> ア⸢サン⸣グルシル ス⸢クル⸣タ [ʔa⸢ʧi⸣ʦaː <ʔa⸢ʃi⸣ʦaː> ʔa⸢saŋ⸣guruʃiru su̥⸢kuru⸣ta] (下駄はアサングルで作った) 677 0 0 612 htmvoc_677.wav アサングルキー ア⸢サン⸣グルキー [ʔa⸢saŋ⸣gurukiː] 名 ア⸢サン⸣グル[ʔa⸢saŋ⸣guru](フカノキ)に同じ 1402 0 0 613 htmvoc_1402.wav アザンタンティン ア⸢ザン⸣タンティン [ʔa⸢ʣan⸣tantiŋ] 連 言わなくても。もちろん。当然。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ア⸢ザン⸣タンティン ッ⸢シブーティ⸣ ウ⸢モー⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ʔa⸢ʣan⸣tantiŋ ʃ⸢ʃibuːti⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (それくらいのことは言わなくても知っていると思われる)。 ア⸢ザン⸣タンティン ⸣ミサン [ʔa⸢ʣan⸣tantim ⸣misaŋ] (言わなくてもよい) 678 0 0 614 htmvoc_678.wav アサンユサン ⸣アサンユサン [⸣ʔasaɲjusaŋ] 名 朝に夕に。朝も夕も。 ⸣アボーヤ ⸣アサンユサン タ⸢ビヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥカー⸢ニル ソーバ シーオー⸣ル [⸣ʔaboːja ⸣ʔasaɲjusan ta⸢binu⸣ f⸢fanu⸣ku̥tukaː⸢niru soːba ʃiːʔoː⸣ru] (お母さんは朝に夕に、旅の子供のことだけを心配しておられる) 679 0 0 615 htmvoc_679.wav アシ ⸣アシ [⸣ʔaʃi] 名 汗。 ⸣アシ ⸣パルン [⸣ʔaʃi ⸣paruŋ] (汗が流れ出る)。 ⸣アツァサーリ ヤ⸢マシゥ⸣カ ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢ム⸣ター ウ⸢ム⸣テーラ ア⸢シ⸣ヌ フ⸢キ⸣ンジ ⸣ケーン [⸣ʔaʦasaːri ja⸢masï̥⸣ka mi⸢ʤi⸣ nu⸢mu⸣taː ʔu⸢mu⸣teːra a⸢ʃi⸣nu ɸu̥⸢ki⸣ ʔnʤikeːŋ] (暑い中で水をたくさん飲んだら顔<面(おもて)>から汗が噴き出てきた)。 ア⸢シ⸣ヌ ⸣パルカー ⸣ニチェー ピ⸢クン [ʔa⸢ʃi⸣nu ⸣parukaː ⸣niʧeː pi̥⸢kuŋ] (汗が出たら<走ると>熱は引く<下がる>)。 ⸣アシ ⸣カクン [⸣ʔaʃi ⸣kḁkuŋ] (汗をかく) 680 0 0 616 htmvoc_680.wav アシ ⸣アシ [⸣ʔaʃi] 名 昼食。「朝飯(あさ・いひ)」→ 「アシ」のように転訛したものか。⸣アシ[⸣ʔaʃi]は本来「朝食」の意であった。後に、⸢オ・ハン(お飯)」系統の沖縄方言「'om/-pa-r(n)i」(御飯)「語音翻訳」『海東諸国紀』、「飯、翁班尼」『琉球館訳語』、「みおばに おはに 美飯の事なり」『混効験集』が新しく導入されて、時を表す⸣アサ[⸣ʔasa](朝)と結びつき、ア⸢サ⸣ボン[ʔa⸢sa⸣boŋ](朝飯)となり、それが朝食の位置に定まると、古い「アシ」が「昼食」の意味を担うようになって、ア⸢サ⸣ボン(朝食)・アシ(昼食)・⸢ユー⸣ボン(夕食)の一日三食制度が確立したものと考えられる。 ア⸢シ⸣ヌ ⸣スコール ⸢シー⸣ヨー [ʔa⸢ʃi⸣nu ⸣su̥koːru ⸢ʃiː⸣joː] (昼食の準備をしなさいよ) 683 0 1 617 htmvoc_683.wav アシ ⸣アシ [ʔaʃi] 名 {Mn_1}足。足の意味での独立用法は限られた場合にのみ用いられる。 ⸣アシ ハ⸢ヤミ⸣リ [⸣ʔaʃi ha⸢jami⸣ri] (足を早めなさい)。 ⸣アシェー ⸢サーラヌ [⸣ʔaʃeː ⸢saːranu] (足を前に運ぶことが出来ない) 683 0 2 618 htmvoc_683.wav アシ ⸣アシ [ʔaʃi] 名 {Mn_2}背丈。 ⸣クマー フ⸢カー⸣ヌ ⸣アシ シゥ⸢カ⸣ヌ [⸣kumaː ɸu̥⸢kaː⸣nu ʔaʃi si̥⸢ka⸣nu] (ここは深くて、背が届かない<着かない>)。 683 0 3 619 htmvoc_683.wav アシ ⸣アシ [ʔaʃi] 名 {Mn_3}山麓。 ⸣クンダキヌ ⸣アシ ビ⸢ラスン⸣ケン フ⸢カ⸣ウメー ン⸢ジ⸣ル カ⸢ツォー ホーシ⸣タ [⸣kundakinu ⸣ʔaʃi bi⸢rasuŋ⸣keŋ ɸu̥⸢ka⸣ʔumeː ʔn⸢ʤi⸣ru kḁ⸢ʦoː hoːʃi̥⸣ta] (古見岳の山麓がすっかり水平線に没するまで外海へ出て鰹は釣った)。 683 0 4 620 htmvoc_683.wav アシ ⸣アシ [ʔaʃi] 名 {Mn_4}喫水線。 ⸣フネー ⸣アシ ビ⸢ルン [⸣ɸuneː ⸣ʔaʃi bi⸢ruŋ] (船は喫水線が深く沈む) 681 0 0 621 htmvoc_681.wav アジ ⸣アジ [⸣ʔaʤi] 名 機織の道具。綜棒(あぜ竹ともいう)。経糸の中に入れて糸の乱れを調える道具。布幅より長く平たい竹、木で作った二本の棒 684 0 1 622 htmvoc_684.wav アジ ア⸢ジ [ʔa⸢ʤi] 名 {Mn_1}味。感情。情味。 ア⸢マアジ [ʔa⸢maʔaʤi] (甘味{EOS}水っぽい味)。 サ⸢クラアジ [sḁ⸢kuraʔaʤi] (塩辛い味)。 サ⸢クラフチ [sḁ⸢kuraɸu̥ʧi] (塩っぱい味を好む味付け)。 ク⸢ヌ スー⸣ヌ ア⸢ジェー タール⸣ ス⸢ク⸣ター [ku⸢nu suː⸣nu ʔa⸢ʤeː taːru⸣ su̥⸢ku⸣taː] (このお汁の味は誰がつけたか)。 684 0 2 623 htmvoc_684.wav アジ ア⸢ジ [ʔa⸢ʤi] 名 {Mn_2}含蓄。深い意味。おもしろみ。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムネー ⸢ピッ⸣チン ア⸢ジェー ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢ʤeː naː⸣nu] (あれ<彼>の言うことはちっとも含蓄がない<深い意味や面白みがない>) 207 0 0 624 htmvoc_207.wav アシ⸠ミー ア⸢シ⸠ミー [ʔa⸢ʃi⸠miː] 連 そうしてごらん。そうやってみろよ。⸠ミーのアクセントは中低「⸠」、半分だけ下がる。 ⸣ドゥーシ ⸣ナルンユー ア⸢シ⸠ミー [⸣duːʃi ⸣naruŋjuː ʔa⸢ʃi⸣⸠miː] (自分で出来るかどうか、そうして<やって>ごらんよ) 682 0 0 625 htmvoc_682.wav アシー ⸣アシー [⸣ʔaʃiː] 感 嫌だ。とんでもない。誰が聞くものか。糞~ものか。卑語。相手をののしっ(罵っ)て、嫌だと言う時にもちいる(老年層)。 ⸣アシェーヒャー [⸣ʔaʃeːçaː] (糞、嫌だ、この野郎)ともいう(若年層)。 ⸣アシー ⸣ワンザヌ ア⸢ズ⸣ムネー シゥ⸢カヌ [⸣ʔaʃiː ⸣wanʣanu ʔa⸢ʣu⸣muneː sï̥⸢kanu] (糞、嫌だ{EOS}とんでもない{EOS}お前野郎の言うことなんか聞かない) 810 0 0 626 htmvoc_810.wav アシゥカイ ⸢アシゥカイ [⸢ʔasi̥kai] 名 扱い。扱うこと。扱い方。介抱。動詞⸢アシゥカウン[⸢ʔasi̥kauŋ](扱う)の連用形の転成名詞。 ⸢アシゥカイヌ ワッ⸣サン [⸢ʔasi̥kainu was⸣saŋ] (扱い方が悪い)。 ク⸢ヌ⸣ キ⸢カイ⸣ヌ ア⸢シゥカイミチェー⸣ ッ⸢サン⸣サー [ku⸢nu⸣ ki̥⸢kai⸣nu ⸢ʔasi̥kaimiʧeː⸣ s⸢san⸣saː] (この機械の扱い方は知らないよ)。 ヤ⸢ミプス⸣バ ヤ⸢ナアシゥカイ シェー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [ja⸢mipusu⸣ba ja⸢naʔasi̥kai ʃeː⸣ na⸢ran⸣daː] (病人を酷い扱い方<悪扱い>をしてはならないよ) 811 0 0 627 htmvoc_811.wav アシゥカイグリサン ⸢アシゥカイグリ⸣サン [⸢ʔasi̥kaiguri⸣saŋ] 形 扱いにくい。扱いづらい。操作しにくい。動詞⸢アシカウン[⸢ʔasi̥kauŋ](扱う)の連用形に形容詞グ⸢リ⸣サン[gu⸢ri⸣saŋ](辛い)が下接して形成された派生形容詞。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ピ⸢ニッ⸣クリティ ⸢アシゥカイグリ⸣サン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pi⸢nik⸣kuriti ⸢ʔasi̥kaiguri⸣saŋ] (この子は捻くれていて扱いにくい) 812 0 0 628 htmvoc_812.wav アシゥカイヤッサン ⸢アシゥカイヤッ⸣サン [⸢ʔasi̥kaijas⸣saŋ] 形 扱いやすい。操作しやすい。動詞⸢アシゥカウン[⸢ʔasi̥kauŋ](扱う)の連用形に形容詞⸢ヤッ⸣サン[⸢jas⸣saŋ](易い)が下接して形成された派生形容詞。 ク⸢ヌ⸣ キ⸢カイ⸣ヤー ⸢アシゥカイヤッ⸣サン [ku⸢nu⸣ ki̥⸢kai⸣jaː ⸢ʔasi̥kaijas⸣saŋ] (この機械は扱いやすい<操作しやすい>) 813 0 1 629 htmvoc_813.wav アシゥカウン ⸢アシゥカウン [⸢ʔasï̥kauŋ] 他動 {Mn_1}扱う。操作する。あやつる。 ク⸢ヌ⸣ キカイ ⸢アシゥカイシェー⸣ プ⸢ソー ブン⸣カヤー [ku⸢nu⸣ ki̥kai ⸢ʔasï̥kaiʃeː⸣ pu̥⸢soː buŋ⸣kajaː] (この機械を操作<扱う>できる人はいるかね)。 カ⸢リンデー⸣カー ⸢アシゥカウン⸣ パジ⸢ダー [ka⸢rindeː⸣kaː ⸢ʔasï̥kaum⸣ paʤi⸢daː] (彼なら操作できる<扱う>はずだよ)。 ⸢アシゥカイ⸣ ミサカー ⸢バン⸣ヌン ⸢アシゥカウ⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸢ʔasi̥kai⸣ misakaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔasi̥kau⸣ ku̥toː narun⸢daː] (操作してよければ私も操作することは出来るよ)。 ⸣ドゥーシ ⸢アシゥカイヤー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ⸢ʔasi̥kaijaː⸣ misamunu] (自分で操作すればいいのに)。 ⸢ワー⸣ ドゥーシ ⸢アシゥカイ⸣バ [⸢waː⸣ duːʃi ⸢ʔasi̥kai⸣ba] (君自身で操作しなさいよ)。 813 0 2 630 htmvoc_813.wav アシゥカウン ⸢アシゥカウン [⸢ʔasï̥kauŋ] 他動 {Mn_2}あしざまに使う。酷使する。扱き使う。いじめる。「あつかう」の転訛したもの。 ⸣ウカ パ⸢ライユーサ⸣ン ⸢ベー⸣ティ ⸢ウン⸣ネナー ウ⸢カ⸣ヌ ⸣ミーティ ⸢シー⸣ スズー⸢コ アシゥカーレン⸠ダー [⸣ʔuka pa⸢raijuːsa⸣m ⸢beː⸣ti ⸢ʔun⸣nenaː ʔu⸢ka⸣nu ⸣miːti ⸢ʃiː⸣ suʣuː⸢ko ʔasï̥kaːreːn⸠daː] (借金を払えないので、その家で借金の形にひどく扱き使われたのだよ) 743 0 0 631 htmvoc_743.wav アシゥカリムヌ ⸢アシゥカリ⸣ムヌ [⸢ʔasï̥kari⸣munu] 名 預かり物。頼まれて保管している物。 ⸢アシゥカリ⸣ムノー ⸢バシキランドー⸣シ シゥカイ⸢トゥ⸣ トゥ⸢ドゥキ⸣リ⸢ダー [⸢ʔasï̥kari⸣munoː ⸢baʃi̥kirandoː⸣ʃi sï̥kai⸢tu⸣ tu⸢duki⸣ri⸢daː] (預かり物は忘れずにしっかり届けなさいよ)。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ ⸢アシゥカリ⸣ムヌ トゥ⸢ドゥ⸣キティ ⸢クイ [ʔu⸢ki⸣naːranu ⸢ʔasï̥kari⸣munu tu⸢du⸣kiti ⸢kui] (沖縄からの預かり物を届けて来ようね) 815 0 0 632 htmvoc_815.wav アシゥカルン ⸢アシゥ⸣カルン [⸢ʔasï̥⸣karuŋ] 他動 預かる。 ⸣バー ウ⸢キ⸣ナーナ ⸢ギーッティ⸣ クンケン ク⸢リ⸣ ⸢アシゥ⸣カリ ッ⸢ふィーラン⸣カヤー [⸣baː ʔu⸢ki⸣naːna ⸢giːtti⸣ kuŋkeŋ ku⸢ri⸣ ⸢ʔasï̥⸣kari f⸢fiːraŋ⸣kajaː] (私が沖縄に行って来る間これを預かってくれないかねえ)。 ク⸢レー⸣ バー ⸢アシゥ⸣カルン [ku⸢reː⸣ baː ⸢ʔasï̥⸣karuŋ] (これは私が預かる)。 ⸢バン⸣マー ⸢アシゥカララ⸣ヌ [⸢bam⸣maː ⸢ʔasi̥karara⸣nu] (私には預かれない)。 ⸢アシゥ⸣カル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔasi̥⸣karu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (預かることは出来る)。 ⸢アシゥ⸣カレー ⸣ミサムヌ [⸢ʔasi̥⸣kareː ⸣misamunu] (預かれば良いのに)。 ヤー⸢ディン アシゥ⸣カリ [jaː⸢diŋ ʔasi̥⸣kari] (必ず預かれ) 686 0 0 633 htmvoc_686.wav アシウトゥ ア⸢シ⸣ウトゥ [ʔa⸢ʃi⸣utu] 名 足音。 ⸣カマーラ ア⸢シウトゥ⸣ヌ シゥ⸢カリ ブーヌ タール⸣ クーカヤー [⸣kamaːra ʔa⸢ʃiutu⸣nu si̥⸢karibuːnu taːru⸣ kuːkajaː] (あそこから足音が聞こえているが誰がくるのかなあ) 726 0 0 634 htmvoc_726.wav アシェー ⸣アシェー [⸣ʔaʃeː] 感 怒って、「否」と答える際にいうことば。相手を罵倒したり、答えるに値しないもの意をこめて「否」と発することば。 ⸢ワー⸣ アツァー シ⸢グトゥ スン [⸢waː⸣ ʔaʦaː ʃi⸢gutu suŋ] (君は明日仕事をするか) {Break}の問いに対して、{Break} ⸣アシェーヒャー シ⸢グトゥナー⸣トー ⸢スン⸠トゥー [⸣ʔaʃeːçaː ʃi⸢gutunaː⸣toː ⸢sun⸠tuː] (嫌だ{EOS}とんでもない<アシェー>{EOS}仕事なんかするものか) 727 0 0 635 htmvoc_727.wav アシェーヒャー ⸣アシェーヒャー [⸣ʔaʃeːçaː] 感 くそ野郎、とんでもない。アシェー[ʔaʃeː](野郎、嫌だ)を強めて言うことば。 ⸣アセーヒャー ⸣ワンザン⸢ナー⸣ト ッ⸢ふィールン⸠トゥー  [⸣ʔaʃeːçaː ⸣wanʣan ⸢naː⸣to f⸢fiːrun⸠tuː] (とんでもないことだ{EOS}お前になどくれてやるものか) 757 0 0 636 htmvoc_757.wav アジェーン ア⸢ジェー⸣ン [ʔa⸢ʤeː⸣ŋ] 他動 <今>言った。既に言ってある。 ⸣バー ア⸢ジェーン⸠ダー [⸣baː ʔa⸢ʤeːn⸠daː] (私は<今>言ったよ)。 ⸢バン⸣ヌン キサー⸢ティ⸣ ア⸢ジェーン⸠ダー [⸢ban⸣nuŋ ki̥saː⸢ti⸣ ʔa⸢ʤeːn⸠daː] (私も既に言ってあるよ)。 ⸢ワーヤ⸣ マ⸢ダ⸣ ア⸢ジェー ナー⸣ヌ [⸢waːja⸣ ma⸢da⸣ ʔa⸢ʤeː naː⸣nu] (君は、まだ言ってない)。 ⸢バー⸣ル シ⸢ダキ⸣ ア⸢ジェー⸣ クトー ⸢バスクナ⸠ヨー [⸢baː⸣ru ʃi⸢daki⸣ ʔa⸢ʤeː⸣ ku̥toː ⸢basu̥kuna⸠joː] (私が<他人より>先に言ったことは忘れるなよ)。 ア⸢ジェー⸣タンティン [ʔa⸢ʤeː⸣tantiŋ] (言ってあったとしても)。 ア⸢ジェー⸣カー [ʔa⸢ʤeː⸣kaː] (言った<言ってある>なら)。 ア⸢ジェー⸣バ [ʔa⸢ʤeː⸣ba] (言った<言ってある>ので) 687 0 0 637 htmvoc_687.wav アシカカー ⸣アシカカー [⸣ʔaʃikakaː] 名 あせかき(汗掻き)。多汗症。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸣アシカカー ヤ⸢ルンダ⸣ ス⸢バ⸣ナー ブ⸢ララヌ [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸣ʔaʃikakaː ja⸢runda⸣ su⸢ba⸣naː bu⸢raranu] (あれ<彼>は非常に汗かきだから、側に居れない)。ア⸢シパリ⸣ムヌ[ʔa⸢ʃipari⸣munu](汗かき)と同じ。 ウ⸢レー⸣ アシカカー ヤ⸢ルンダ⸣ サジェー ク⸢シ⸣ナ ⸢クシキトゥーシル ブー [ʔu⸢reː⸣ ʔaʃikḁkaː ja⸢runda⸣ saʤeː ku̥⸢ʃi⸣na ⸢kuʃi̥kituːʃiru buː] (彼<その人>は汗かきだから、いつも手拭を腰にさしている) 688 0 0 638 htmvoc_688.wav アシカザ ア⸢シ⸣カザ [ʔa⸢ʃi⸣kaʣa] 名 汗のにおい(臭い)。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ア⸢シ⸣カザー ッ⸢サー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ba⸢kaː⸣mununu ʔa⸢ʃi⸣kaʣaː s⸢saː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (若者の汗の臭いは臭くて堪らない<とても向き合えない>) 730 0 0 639 htmvoc_730.wav アジガナシ ⸣アジガナシ [ʔaʤiganaʃi] 名 国王様。首里の王様。アジ[ʔaʤi]は「按司」と表記されている。ガナシ[ganaʃi]は接尾辞。文献資料では「加那志」と表記されているが、古辞書では「国王 倭王嗑吶尸<カナシ>」『音韻字海』(周鐘等、1572)とある。 ウ⸢キ⸣ナーナール アジガ⸢ナ⸣シェーマイヤ ⸢オーッ⸣タ [ʔu⸢ki⸣naːnaːru ʔaʤiga⸢na⸣ʃeːmaija ⸢ʔoːt⸣ta] (沖縄に<が>国王様はいらっしゃった) 689 0 0 640 htmvoc_689.wav アシカラーン ア⸢シカラー⸣ン [ʔa⸢ʃikaraː⸣ŋ] 形 足が軽い。足どりが軽い。軽快な足どりである。嬉しいとき、楽しいときの足どりを表す。 ⸢アー⸣ネーヤ パ⸢リングリ⸣サヌンドゥ ⸢イー⸣ネーネーヤ ア⸢シカラ⸣サ パ⸢ラ⸣リン⸢ダー [⸢ʔaː⸣neːja pa⸢riŋguri⸣sanundu ⸢ʔiː⸣neːneːja ʔa⸢ʃikara⸣sa pa⸢ra⸣rin⸢daː] (東隣の家には行きずらいが、西隣の家には足どりも軽く、気楽に行ける<行きやすい>よ) 690 0 0 641 htmvoc_690.wav アジキシムニ ア⸢ジキシ⸣ムニ [ʔa⸢ʤikiʃi⸣muni] 名 味も素っ気もない言葉。趣きや潤いのない、理詰めで話す言葉。 ⸢ワーン⸣ カタチニ ア⸢ジキシ⸣ムニ カー⸢ニ⸣ ア⸢ズ⸣カー ター⸢ン⸣ ス⸢ク⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢waːŋ⸣ kḁtaʧini ʔa⸢ʤiki̥ʃi⸣muni kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː taː⸢n⸣ su̥⸢ku⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (君のように味も素っ気もない話だけ言っていたら誰も聞く人はいない) 691 0 0 642 htmvoc_691.wav アシキルン ⸢アシキ⸣ルン [⸢ʔaʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 預ける。荷物を預ける。金品を保管させる。 ⸣シトー ⸢シン⸣ドゥーン ⸢アシキル⸣バ トゥリバ⸢ヨー [⸣ʃi̥toː ⸢ʃin⸣duːŋ ⸢ʔaʃi̥kiru⸣ba turiba⸢joː] (お土産<苞>は船長に預けるから受け取りなさいね)。 ク⸢トゥケン⸣マー ⸢シン⸣ドゥーン ⸢アシキルン⸣ドゥ ⸢クン⸣ドー ⸢アシキラン⸣シェン [ku̥⸢tukem⸣maː ⸢ʃin⸣duːŋ ⸢ʔaʃi̥kirun⸣du ⸢kun⸣doː ⸢ʔaʃi̥kiraŋ⸣ʃeŋ] (いつもは<別の時は>船長に預けるが、今度は預けなかった)。 ⸢アシ⸣キ ⸣シケー [⸢ʔaʃi̥⸣ki ⸣ʃi̥keː] (預けてある)。 ⸢アシキ⸣ル ⸣クトゥ [⸢ʔaʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥tu] (預けること)。 ⸢アシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (預ければ良いのに)。 ⸢アシキ⸣リ [⸢ʔaʃi̥ki⸣ri] (預けろ)。 ⸢ウンパン⸣シンナー ニ⸢ム⸣チ ⸢アシキ⸣ルンティ ⸢クー⸣タ [⸢ʔumpaŋ⸣ʃinnaː ni⸢mu⸣ʧi ⸢ʔaʃi̥ki⸣runti ⸢kuː⸣ta] (運搬船に荷物を預けようとして来た)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢アシキラ⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔaʃi̥kira⸣nu] (今日は預けない)。 ⸢アシ⸣キ ⸣ミサカー ⸢アシキ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔaʃi̥⸣ki ⸣misakaː ⸢ʔaʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (預けてよければ預けることは出来る)。 ⸢シン⸣ドゥーン ⸢アシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʃin⸣duːŋ ⸢ʔaʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (船長に預ければいいのに)。 ヤー⸢ディン アシキ⸣リ⸢ダー [jaː⸢diŋ ʔaʃi̥ki⸣ri⸢daː] (必ず預けなさいよ) 692 0 0 643 htmvoc_692.wav アシクシ ア⸢シ⸣クシ [ʔa⸢ʃi⸣ku̥ʃi] 名 足腰。 ⸢ウイ⸣プソー ア⸢シ⸣クシェーラル ⸢ヨー⸣ルティ ア⸢ザリブー [⸢ʔui⸣pu̥soː ʔa⸢ʃi⸣ku̥ʃeːraru ⸢joː⸣ruti ʔa⸢ʣaribuː] (老人は足腰から<ぞ>弱るといわれている) 693 0 0 644 htmvoc_693.wav アシクバーン ア⸢シクバー⸣ン [ʔa⸢ʃikubaː⸣ŋ] 形 歩くのが下手である。歩くのが頼りない。「足強し」の義。 ナ⸢ガヤン スー⸣カー ア⸢シクバー⸣ ナルンティ⸢ダー [na⸢gajan suː⸣kaː ʔa⸢ʃikubaː⸣ narunti⸢daː] (長患いすると足どりが怪しくなる<歩くのが頼りなくなる>そうだよ) 695 0 0 645 htmvoc_695.wav アジシゥカスン ア⸢ジシゥカスン [ʔa⸢ʤisi̥kasuŋ] 他動 言い聞かせる。理由を話して教え諭す。⸣バーラ シカイ⸢トゥ⸣ ア⸢ジシゥカスン。ワー⸣ ア⸢ジシゥカサンダル⸣ ウ⸢レー⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ[⸣baːra si̥kai⸢tu⸣ ʔa⸢ʤisi̥kasuŋ。waː⸣ ʔa⸢ʤisi̥kasandaru⸣ ʔu⸢reː⸣ wa⸢kara⸣nu](私からしかと言い聞かせる<話して教え諭す>{EOS}君が言い聞かさない<教え諭さない>から、彼は分らないのだ)。 ア⸢ジシゥカシ⸣ ミサカー ア⸢ジシゥカス⸣ クトー ナルン⸢ダー [ʔa⸢ʤisi̥kaʃi⸣ misakaː ʔa⸢ʤisi̥kasu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (言い聞かせて<教え諭して>良ければ、言い聞かせる<教え諭す>ことは出来るよ)。 ア⸢ジシゥカシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʤisi̥kaʃeː⸣ misamunu] (言い聞かせれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ジシゥカシ [jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢ʤisi̥kaʃi] (必ず言い聞かせ<教え諭せ>) 704 0 0 646 htmvoc_704.wav アジシキ ア⸢ジ⸣シキ [ʔa⸢ʤi⸣ʃi̥ki] 名 味付け。調味。 ア⸢ジシキ⸣ヌ ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス⸣ スー ⸣ヌムカー ビ⸢チ⸣ヌ ⸢スー⸣ヤ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔa⸢ʤiʃi̥ki⸣nu ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu⸣ suː ⸣numukaː bi⸢ʧi⸣nu ⸢suː⸣ja nu⸢mara⸣nu] (味付けが上手だからその人が炊くお汁を飲んだら別のお汁は飲めない) 705 0 0 647 htmvoc_705.wav アジシキムヌ ア⸢ジシキ⸣ムヌ [ʔa⸢ʤiʃiki⸣munu] 名 調味料。塩、味噌、醤油、酢など。「味付け物」の義。 ア⸢ジシキ⸣ムノー キ⸢ササン⸣ヨーシ ス⸢ロー⸣シ シ⸢キ⸣リ [a⸢ʤiʃiki⸣munoː ki̥⸢sasaɲ⸣joːʃi su⸢roː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (調味料は切らさないように、揃えておきなさいよ) 696 0 0 648 htmvoc_696.wav アジシキルン ア⸢ジ⸣ シ⸢キ⸣ルン [ʔa⸢ʤi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 言っておく。話しておく。 ⸢ワー⸣ クトー ⸣バーラ カ⸢リンナー⸣ニ ア⸢ジ⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢waː⸣ ku̥toː ⸣baːra ka⸢rinnaː⸣ni ʔa⸢ʤi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (君のことは私からあの人<彼>に言っておく) 697 0 0 649 htmvoc_697.wav アシジブン ⸣アシジブン [⸣ʔaʃiʤibuŋ] 名 昼食の時分。昼食の頃合。 ⸣アシジブン ナ⸢リ⸣ブーバ ⸢パー⸣ク ⸣アシスコール ⸢シー⸣バ [⸣ʔaʃiʤibun na⸢ri⸣buːba ⸢paː⸣ku ⸣ʔaʃisu̥koːru ⸢ʃiː⸣ba] (昼食の頃合になっているので、早く昼食の準備をしなさいよ) 699 0 0 650 htmvoc_699.wav アシスクン ⸣アシ ス⸢クン [⸣ʔaʃi su̥⸢ku] 連 背が海中に届く。 ⸣クマー ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー アシ ス⸢クン [⸣kumaː ⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ʔaʃi su̥kuŋ] (此処は潮が引いたら背が届く) 700 0 1 651 htmvoc_700.wav アジスクン ア⸢ジスクン [ʔa⸢ʤisu̥kuŋ] 連 {Mn_1}味がよく効く。 ク⸢ヌ スー⸣ヤ ⸢マー⸣ス イ⸢ル⸣カー ア⸢ジスクン [ku⸢nu suː⸣ja ⸢maː⸣su ʔi⸢ru⸣kaː ʔa⸢ʤisukuŋ] (このお汁は塩を入れると味が効く)。 700 0 2 652 htmvoc_700.wav アジスクン ア⸢ジスクン [ʔa⸢ʤisu̥kuŋ] 連 {Mn_2}薬が効く。効能がある。効き目がある。効果がある。 ⸢ワー⸣ ア⸢ゾーッ⸣タ ム⸢ニヌ⸣ドゥ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ジ⸣シキ ブ⸢レー⸠ツォー ⸢ウンダー⸣ メー サ⸢ケー⸣ ヌ⸢マン⸣バン [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣoːt⸣ta mu⸢ninu⸣du ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʤi⸣ʃi̥ki bu⸢reː⸠ʦoː ⸢ʔundaː⸣ meː sḁ⸢keː⸣ nu⸢mam⸣baŋ] (あなたの言われた言葉がたいそう効き目があったのでしょう{EOS}あれからはもう酒は飲まないよ<飲まないわい>) 701 0 0 653 htmvoc_701.wav アジスン ア⸢ジ スン [ʔa⸢ʤi suŋ] 連 味わう。味を見る。味見する。「味をする」の義。 ⸣バー ⸢スー⸣ヤ サ⸢クラー ナーン⸣ユー ア⸢ジ シー⸣ ミリ⸢ミー [⸣baː ⸢suː⸣ja sḁ⸢kuraː naːɲ⸣juː ʔa⸢ʤi ʃiː⸣ miri⸢miː] (私のお汁は塩っぱくないか、味見してみてくれ<みてみれ>) 702 0 0 654 htmvoc_702.wav アシダイ ア⸢シ⸣ダイ [ʔa⸢ʃi⸣dai] 名 足の力。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ア⸢シダイ⸣ヌ ⸢ナーン⸠ツォー シ⸢グ⸣ ク⸢ルビス [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ʔa⸢ʃidai⸣nu ⸢naːn⸠ʦoː ʃi⸢gu⸣ ku⸢rubisu] (年を取ったので足の力がないんだよ{EOS}すぐ転ぶよ) 703 0 1 655 htmvoc_703.wav アシダヤー ア⸢シ⸣ダヤー [ʔa⸢ʃi⸣dajaː] 名 {Mn_1}足の力。⸢脚力」の義。⸣ダヤー[⸣dajaː]は、⸣タイ[⸣tai](体力{EOS}持ち堪える力)が⸣アシ[⸣ʔaʃi](足)に下接して複合語を形成する際に、その頭子音が濁音化したもので、それに、更に接尾語⸣ヤー[⸣jaː](~する者)が下接したもの。⸣タイ[⸣tai]の語源は、「~戀に不勝而<タヘズテ>~。万、738」の転訛したものか。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ア⸢シダヤ⸣ヌ ⸢ナー⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ʔa⸢ʃidaja⸣nu ⸢naː⸣nu] (年を取ったので足の力がない)。 703 0 2 656 htmvoc_703.wav アシダヤー ア⸢シ⸣ダヤー [ʔa⸢ʃi⸣dajaː] 名 {Mn_2}足の力の衰えた者。 ⸣ヤミティ ア⸢シ⸣ダヤー ⸣ナリティル ⸢サッ⸣コー ク⸢ルブ⸣ツォー [⸣jamiti ʔa⸢ʃi⸣dajaː ⸣naritiru ⸢sak⸣koː ku⸢rubu⸣ʦoː] (病気して足の力が衰えた者になって<ぞ>よく転ぶんですよ) 1439 0 0 657 htmvoc_1439.wav アシタンティン アシ⸢タンティン [ʔaʃi̥⸢taintiŋ] 接 それでも。そうしても。⸣アイ シ⸢タンティン[⸣ʔai ʃi̥⸢tantiŋ](そう しても)の縮約形。⸢ワー⸣ ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ フー⸣コー マ⸢ナマー⸣キ ⸢シー⸣ケーンダ ⸣ウビシ ミ⸢サ⸣ルヨ。アシ⸢タンティン⸣ バー ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ ブン⸣ゲー ⸢カイシユーサ⸣ヌ[⸢waː⸣ ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu ɸuː⸣koː ma⸢namaː⸣ki ⸢ʃiː⸣keːnda ⸣ʔubiʃi mi⸢sa⸣rujoː。ʔaʃi̥⸢tantim⸣ baː ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu buŋ⸣geː ⸢kaiʃijuːsa⸣nu](君はその人への奉公は今までしてきたのだから、それで十分だ<いい>よ{EOS}それでも私はその人の恩義は返すことが出来ない) 698 0 0 658 htmvoc_698.wav アシツァ ア⸢シ⸣ツァ [ʔa⸢ʃi⸣ʦa] 名 下駄。「屐、アシダ」『類聚名義抄』の転訛したもの。「みやしぢや」『混効験集』。 ア⸢シツァ⸣ヌ パ⸢ナブーヌ⸣ キシ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʃiʦa⸣nu pa⸢nabuːnu⸣ ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (下駄の鼻緒が切れてしまった)。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ソンガチアシツァン ア⸢サン⸣グルキーバ ⸣キシキー ⸣ドゥーシル ス⸢ク⸣ローッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣soŋgaʧiʔaʃiʦŋ ʔa⸢saŋ⸣gurukiːba ⸣ki̥ʃikiː ⸣duːʃiru su̥⸢ku⸣roːtta] (昔は正月下駄もアサングル木を切ってきて自分で作られて) 706 0 0 659 htmvoc_706.wav アジッカールン ア⸢ジッカー⸣ルン [ʔa⸢ʤikkaː⸣ruŋ] 自動 交差する。からまる。 ⸢サウ⸣バ ⸣アイニ ⸣タティ シ⸢キ⸣ルカー ア⸢ジッカー⸣リティ シ⸢グトゥ⸣ サ⸢ラヌ [⸢sau⸣ba ⸣ʔaini ⸣tḁti ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʔa⸢ʤikkaː⸣riti ʃi⸢gutu⸣ sa⸢ranu] (棹をあのように立てておくと絡まって仕事が出来ない) 728 0 0 660 htmvoc_728.wav アシッサーン ア⸢シッサー⸣ン [ʔa⸢ʃissaː⸣ŋ] 形 汗臭い。 ⸢ワー キン⸣マー ア⸢シッサー⸣ヌ キ⸢サラヌ [⸢waː kim⸣maː ʔa⸢ʃissaː⸣nu ki̥⸢saranu] (君の着物は汗臭くて着られない)。 ア⸢シッサー ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʃissaː naː⸣nu] (汗臭くない)。 ア⸢シッサー⸣ クトー ア⸢シッサー⸣ンドゥ ア⸢ライヤッ⸣サン [ʔa⸢ʃissaː⸣ ku̥toː ʔa⸢ʃissaː⸣ndu ʔa⸢raijas⸣saŋ] (汗臭いことは汗臭いが、洗いやすい) 729 0 0 661 htmvoc_729.wav アシッスル ア⸢シッス⸣ル [ʔa⸢ʃissu⸣ru] 名 汗拭き。手ぬぐい。 ク⸢リ⸣シ ア⸢シッス⸣ル ⸢シー⸣バ [ku⸢ri⸣ʃi ʔa⸢ʃissu⸣ru ⸢ʃiː⸣ba] (これで汗拭きにしなさいよ)。ッ⸢スル[s⸢suru]は、「こする」の転訛したものか。[kosuru] → [kusuru] → [fusuru] → [ssuru] のように逆行同化したもの 707 0 0 662 htmvoc_707.wav アシティ アシ⸢ティ [ʔaʃi̥⸢ti] 接 そして。⸣アイ シ⸢ティ[⸣ʔai ʃi̥⸢ti](そうして{EOS}そうやって)の約言。 アシ⸢ティ ウンダ ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣ター [ʔaʃi̥⸢ti ʔunda nuː⸣ʃi ⸢nat⸣taː] (そして、それからどうなったのか)。 ⸢キュー⸣ヤ シ⸢グトー⸣ メー ウ⸢ワーリ ユー⸣クイ アシ⸢ティ⸣ アツァー シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸣クーバ [⸢kjuː⸣ja ʃi⸢gutoː⸣ meː ʔu⸢waːri juː⸣kui ʔaʃi̥⸢ti⸣ ʔaʦaː ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸣kuːba] (今日は仕事は終わりだ{EOS}休め{EOS}そして明日は朝早く来いよ)。 アシ⸢ティル ユンマー⸣レーティ ⸢アーク⸣バン⸢ナー [ʔaʃi̥⸢tiru jummaː⸣reːti ⸢ʔaːku⸣ban⸢naː] (それで断っているんだねえ<断ってあるくのだねえ>) 708 0 0 663 htmvoc_708.wav アシトゥ ⸢アシ⸣トゥ [⸢ʔaʃi⸣tu] 名 あさって。明後日。 ⸢アシ⸣トー ⸢バン⸣テヌ ⸢ヤースクリ⸣ バコー ⸢テー⸣ナイ ⸢シー フォーララン⸣カヤー [⸢ʔaʃi̥⸣toː ⸢ban⸣tenu ⸢jaːsu̥kuri⸣ bakoː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː ffoːraraŋ⸣kajaː] (あさっては私の家の家造り共同作業の手伝いをしていただけませんか<下さいませんか>)。 ⸢アシトゥ⸣ヌ ⸣ユネン [⸢ʔaʃi̥tu⸣nu ⸣juneŋ] (あさっての晩)。 ⸢アシ⸣トーラ [⸢ʔaʃi̥⸣toːra] (あさってから) 710 0 0 664 htmvoc_710.wav アジトゥースン ア⸢ジトゥースン [ʔa⸢ʤituːsuŋ] 他動 言い通す。どこまでも言い張る。最後まで言い続ける。 ⸣バー ユ⸢ヌムニ⸣バ ア⸢ジトゥースン⸣ ア⸢ジトゥーサン⸣カー ター⸢ン⸣ シ⸢キ⸣ ッ⸢ふィーラヌ [⸣baː ju⸢numuni⸣ba ʔa⸢ʤituːsuŋ⸣ ʔa⸢ʤituːsaŋ⸣kaː taː⸢n⸣ ʃi̥⸢ki⸣ f⸢fiːranu] (私は同じ意見を最後まで言い続ける{EOS}言い続けないと誰も聞いてくれない)。 ア⸢ジトゥーシ⸣ ミサカー ア⸢ジトゥース⸣ クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʤituːʃi⸣ misakaː ʔa⸢ʤituːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (言い張って良ければ、言い張ることはできる)。 ア⸢ジトゥーシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʤituːʃeː⸣ misamunu] (言い張れば良いのに)。 ア⸢ジトゥーシ [ʔa⸢ʤituːʃi] (言い張れ<言い通せ>) 709 0 0 665 htmvoc_709.wav アシトゥヌユー ⸢アシトゥ⸣ヌ ⸣ユー [⸢ʔaʃitu⸣nu ⸣juː] 連 あさっての夜。明後日の夜。 ⸢アシトゥ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤー ⸢バン⸣テナーティ ⸣ユライ ヌ⸢カーシ⸣ム ヌ⸢ソー⸣ラ⸢ナー [⸢ʔaʃi̥tu⸣nu ⸢juː⸣jaː ⸢ban⸣tenaːti ⸣jurai nu⸢kaːʃi⸣munu ⸢soː⸣raː⸢naː] (あさっての夜<晩>は私の家に会合<寄り合い>をして、小金を出し合って料理を作って食べることをしましょうね) 711 0 0 666 htmvoc_711.wav アシドゥミ ア⸢シ⸣ドゥミ [ʔa⸢ʃi⸣dumi] 名 足止め。禁足。 ユ⸢ルシ⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルンケンマー ⸣フネー シ⸢マー⸣ラ ン⸢ジル⸣ナティ ア⸢シ⸣ドゥミ シ⸢ラリ ベー⸣ツォー [ju⸢ruʃi⸣nu ʔu⸢ri⸣ruŋkemmaː ⸣ɸuneː ʃi⸢maː⸣ra ʔn⸢ʤiru⸣nati ʔa⸢ʃi⸣dumi ʃi⸢rari beː⸣ʦoː] (許可がおりるまで船は島から出るなと足止めされているそうだ) 735 0 0 667 htmvoc_735.wav アシヌパダマールン ア⸢シ⸣ヌ パ⸢ダマー⸣ルン [ʔa⸢ʃi⸣nu pa⸢damaː⸣ruŋ] 文 汗ばむ。しっとりと汗が出る。汗が全身に滲み出る。パ⸢ダマー⸣ルンは「肌まわる」の義。 ⸢グンガ⸣チシキ ⸢ペール⸣ター ⸢ピントゥルピン⸣ アツァナリ ア⸢シ⸣ヌ パ⸢ダマー⸣リ ⸢キー⸣スバン [⸢guŋga⸣ʧiʃi̥ki ⸢peːru⸣taː ⸢pinturupiŋ⸣ ʔaʦanari ʔa⸢ʃi⸣nu pa⸢damaː⸣ri ⸢kiː⸣subaŋ] (五月<の月>に入ったので日ごとに暑くなり、汗ばんで<汗が肌に滲み出て>来るわい) 731 0 0 668 htmvoc_731.wav アシバ ア⸢シ⸣バ [ʔa⸢ʃi⸣ba] 連 そうしなさいよ。⸣アイ ⸢シー⸣バ[⸣ʔai ⸢ʃiː⸣ba](そうしなさいよ)の縮まった形。ア⸢スン[ʔa⸢suŋ](そうする)参照。 ⸣ナルカー ア⸢シ⸣バ [⸣narukaː ʔa⸢ʃi⸣ba] (出来たらそうしなさい) 713 0 0 669 htmvoc_713.wav アジパジミルン ア⸢ジパジミルン [ʔa⸢ʤipaʤimiruŋ] 他動 言い始める。意見を言い始める。ア⸢ジパジムン[ʔa⸢ʤipaʤimuŋ]ともいう。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢カンガイ⸣バ ア⸢ジパジミルンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ ア⸢ザンシェン [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢duː⸣nu ⸢kaŋgai⸣ba ʔa⸢ʤipaʤimirunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ʔa⸢ʣaŋʃeŋ] (彼らは自分の考えを言い始めると思ったが、言わなかった)。 ア⸢ジパジミ⸣ ミサカー ア⸢ジパジミル⸣ クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʤipaʤimi⸣ misakaː ʔa⸢ʤipaʤimiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (言い始めて良ければ言い始めることはできる)。 ア⸢ジパジミレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʤipaʤimireː⸣ misamunu] (言い始めれば良いのに)。 ⸢ワー⸣ラ ア⸢ジパジミリ [⸢waː⸣ra ʔa⸢ʤipaʤimiri] (君から言い始めなさい) 714 0 0 670 htmvoc_714.wav アシパヤーン ア⸢シパヤー⸣ン [ʔa⸢ʃipajaː⸣ŋ] 形 歩くのが早い。「足早い」の義。ア⸢シフコー⸣ン[ʔa⸢ʃiɸu̥koːŋ](足が遅い)の対義語。 マー⸢ズン ヤー⸣ラ ン⸢ズタヌン⸣ドゥ バ⸢カー⸣ムノー ア⸢シパヤー⸣ンダ ⸢パイ⸣サ シ⸢キブ⸣タ [maː⸢ʣuɲ jaː⸣ra ʔn⸢ʣutanun⸣du ba⸢kaː⸣munoː ʔa⸢ʃipajaː⸣nda ⸢pai⸣sa ʃi̥⸢ki⸣buta] (一緒に家から出たんだが、若者は歩くのが早いから、早くに着いていた) 715 0 0 671 htmvoc_715.wav アシパヤミ ア⸢シパヤ⸣ミ [ʔa⸢ʃipaja⸣mi] 副 早足で。足を早めて。急いで。 ⸢マー⸣ビン ア⸢シパヤ⸣ミ ア⸢ラ⸣キバ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ʃipaja⸣mi ʔa⸢ra⸣kiba] (もっと早足で<足を早めて>歩きなさいよ) 732 0 0 672 htmvoc_732.wav アシパリムヌ ア⸢シパリ⸣ムヌ [ʔa⸢ʃipari⸣munu] 名 汗かき。よく汗をかく人。「汗走り者」の義。目下の者に対していう。⸣アシパラー[⸣ʔaʃiparaː](汗かき)ともいう。 ア⸢シパリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ナ⸢ツェー⸣ ン⸢メーマ ウーク⸣バン シ⸢グ⸣ アシ パ⸢リ⸣ス [ʔa⸢ʃipari⸣munu ja⸢runda⸣ na⸢ʧeː⸣ ʔm⸢meːma ʔuːku⸣baŋ ʃi⸢gu⸣ ʔaʃi pa⸢ri⸣su] (汗かきだから夏は少し動いてもすぐ汗をかく<汗が流れる>) 733 0 0 673 htmvoc_733.wav アシパルン ⸣アシ パルン [⸣ʔaʃi paruŋ] 連 汗が流れる。汗が出る。 ア⸢ラ⸣クカー ⸣アシ ⸣パルン [ʔa⸢ra⸣kukaː ʔaʃi ⸣paruŋ] (歩いたら汗が出る<流れる>)。 ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ パ⸢タラクタンティン ⸣アシェー パ⸢ラ⸣ヌ [⸢kis⸣su ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢tarakutantiŋ⸣ ʔaʃeː pa⸢ra⸣nu] (一所懸命に<競争して>働いても汗は出ない<流れない>) 736 0 0 674 htmvoc_736.wav アシブ ア⸢シ⸣ブ [ʔa⸢ʃi⸣bu] 名 おでき。できもの。腫れ物。「Axebo.アセボ(熱沸瘡・汗瘡)あせも、または、水疱」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。小さいのは、ナ⸢チアシブ[na⸢ʧiaʃibu](夏汗疹{EOS}夏皮膚にできる粟粒ほどの、赤色の小水疱性発疹で、小児に多くできる)という。 ア⸢シ⸣ブ ⸢アースン [ʔa⸢ʃi⸣bu ⸢ʔaːsuŋ] (できものを潰す)。 ナ⸢チアシブヌ アーリティ ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [na⸢ʧiaʃibunu ʔaːriti biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (夏あせもが出て<暴れて>痒くてたまらない<ならない>) 717 0 0 675 htmvoc_717.wav アジフクマスン ア⸢ジ⸣ フ⸢クマ⸣スン [ʔa⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢kuma⸣suŋ] 連 味を十分にしみ込ませる。 ⸢ダイ⸣クネー イ⸢ズダシ⸣ナー ⸢ネーシティ⸣ ア⸢ジフクマ⸣シ [⸢dai⸣kuneː ʔi⸢ʣudaʃi⸣naː ⸢neːʃi̥ti⸣ ʔa⸢ʤiɸu̥kuma⸣ʃi] (大根は魚出しで煮て、味を十分にしみ込ませなさい) 718 0 0 676 htmvoc_718.wav アジフクムン ア⸢ジ⸣ フ⸢ク⸣ムン [ʔa⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢ku⸣muŋ] 連 味が十分にしみ込む。味を含む。 ク⸢ヌ ダイ⸣クネー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ジ フク⸣ミティ ン⸢マーン⸠ダー [ku⸢nu dai⸣kuneː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʤiɸu̥ku⸣miti ʔm⸢maːn⸠daː] (この大根は非常に味がしみ込んでいて美味しいよ) 716 0 0 677 htmvoc_716.wav アシフコーン ア⸢シフコー⸣ン [ʔa⸢ʃiɸu̥koː⸣ŋ] 形 足が遅い。歩く動作がのろい。 ビ⸢キドゥムッタルムヌ⸣ ア⸢シフコー⸣ヌ ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣スコーンツァン ア⸢ラキユーサ⸣ヌ [bi⸢kidumuttarumunu⸣ ʔa⸢ʃiɸu̥koː⸣nu mi⸢dumu⸣nu ⸣su̥koːnʦaŋ ʔa⸢rakijuːsa⸣nu] (男のくせに<男たるものが>足が遅くて<どうにもならない>、女の程度にさえも歩けない) 719 0 0 678 htmvoc_719.wav アシフン ア⸢シ⸣フン [ʔa⸢ʃi⸣ɸuŋ] 名 地団駄。「足踏み」の義。激怒して足を踏み鳴らすこと。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ シ⸢キティ⸣ アブジェー ⸢ティスクン⸣ドゥル ⸢シー⸣ ア⸢シ⸣フン ⸢シー クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ローッタ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢naʃi⸣ba ʃi̥⸢kiti⸣ ʔabuʤeː ⸢tisu̥kun⸣duru ⸢ʃiː⸣ a⸢ʃi⸣ɸuŋ ⸢ʃiː kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣roːtta] (その話を聞いておじいさんは拳を叩き、地団駄踏んで激怒された) 720 0 0 679 htmvoc_720.wav アシフンピサフン ア⸢シフンピサ⸣フン [ʔa⸢ʃiɸumpisa⸣ɸuŋ] 名 足を踏み鳴らして激怒するさま。地団駄踏むこと。重言。 ⸣アブジェー ア⸢シフンピサ⸣フン ⸢シェーティ⸣ル イ⸢ゾーッ⸣タ [⸣ʔabuʤeː ʔa⸢ʃiɸumpisa⸣ɸun ⸢ʃeːti⸣ru ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (おじいさんは足を踏み鳴らしながら激怒して叱られた) 737 0 1 680 htmvoc_737.wav アジマー ア⸢ジ⸣マー [ʔa⸢ʤi⸣maː] 名 {Mn_1}桟を十文字に交差させたもの。豆腐や餅を作るための大豆や糯米を挽く際、桶の上に石臼を載せるのに用いる道具。縦横約5センチ、長さ約50センチ(桶の直径に合わせた長さ)の桟を、その中央の切込みに填め込んで交叉させて用いる道具。 ⸢ウー⸣キナ ア⸢ジ⸣マー ⸣シキティ イ⸢ソーシバ⸣ ビ⸢シティ⸣ クー ピ⸢キ⸣バ [⸢ʔuː⸣kina ʔa⸢ʤi⸣maː ⸣ʃi̥kiti ʔi⸢soːʃiba⸣ bi⸢ʃiti⸣ kuː pi̥⸢ki⸣ba] (桶にアジマーを置いて石臼を据えて餅粉を挽きなさいよ)。 737 0 2 681 htmvoc_737.wav アジマー ア⸢ジ⸣マー [ʔa⸢ʤi⸣maː] 名 {Mn_2}交差点。十字路。 ミ⸢チ⸣ヌ ア⸢ジ⸣マー [mi⸢ʧi⸣nu ʔa⸢ʤi⸣maː] (十字路{EOS}道の交差点) 721 0 0 682 htmvoc_721.wav アジマーン ア⸢ジマー⸣ン [ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ] 形 甘い。「味甘<うま>し」の義。 ア⸢ジマー⸣ムヌ [ʔa⸢ʤimaː⸣munu] (甘いもの)。 ア⸢ガシンザー⸣ラ ク⸢ヌ タイケイシュー⸣ル ア⸢ジマー [ʔa⸢gaʃinʣaː⸣ra ku⸢nu taikeiʃuː⸣ru ʔa⸢ʤimaː] (赤い甘蔗よりも、このタイケイ種の甘蔗が甘い)。 ア⸢ジマーナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤimaːnaː⸣nu] (甘くない)。 ⸣ドゥク ア⸢ジマー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸣duku ʔa⸢ʤimaː⸣nu f⸢faːranu] (あまりにも甘くて食べられない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢ジマー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢ʤimaː⸣ naruŋ] (次第に甘くなる)。 ア⸢ジマー⸣ ムノー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤimaː⸣ munoː noː⸢n naː⸣nu] (甘いものは何もない)。 ⸢シン⸣ザー ア⸢ジマー⸣ン [⸢ʃin⸣ʣaː ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ] (砂糖きびは甘い)。 ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ジマーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢ʤimaːnaː⸣nu] (あまり甘くない)。 ク⸢ヌ シン⸣ザー ア⸢ジマー⸣ン [ku⸢nu sin⸣ʣaː ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ] (この砂糖きびは甘い<味甘し>)。 フ⸢チン⸣パージルナ ッ⸢ふ⸣サタ イルカー ア⸢ジマー⸣ ナリクンダ ヌ⸢ミヤッ⸣サ ⸣ナルン [ɸu⸢ʧim⸣paːʤiruna f⸢fu⸣sata ʔi⸢ru⸣kaː ʔa⸢ʤimaː⸣ narikunda nu⸢mijas⸣sa ⸣naruŋ] (蓬汁<風邪薬>に黒砂糖を入れると甘くなってくるので飲みやすくなる) 739 0 0 683 htmvoc_739.wav アジマキ ア⸢ジマ⸣キ [ʔa⸢ʤima⸣ki] 名 たすき(襷)。着物の袖をたくし上げるために肩から脇にかけて結ぶひも。ス⸢ディン⸣ガラ[su⸢diŋ⸣gara](襷{EOS}袖からげ)ともいう。 ⸣キサー ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ア⸢ジマ⸣キ ⸢シェー⸣ティル ⸢マイヤー⸣ ッ⸢サウ⸣タ [⸣ki̥saː mi⸢dumuŋkeː⸣ja ʔa⸢ʤima⸣ki ⸢ʃeː⸣tiru ⸢maijaː⸣ s⸢sau⸣ta] (以前は、女性たちは\ruby{襷}{タスキ}をかけて稲搗きをした<米を精げた>)。 ア⸢ジマ⸣キ シ⸢ティ キン⸣ヌ ス⸢ディ⸣ カライバ [ʔa⸢ʤima⸣ki ʃi̥⸢ti kin⸣nu su⸢di⸣ karaiba] (\ruby{襷}{タスキ}をかけて着物の袖をたくしあげなさい) 817 0 0 684 htmvoc_817.wav アジミー ア⸢ジミー [ʔa⸢ʤimiː] 名 味見。味の加減をすること。 ク⸢ヌ スー⸣ヤ サ⸢クラー⸣ルユー ア⸢ジミー シー⸠ミー [ku⸢nu suː⸣ja sḁ⸢kuraː⸣rujuː ʔa⸢ʤimiː ʃiː⸠miː] (このお汁は塩辛いのか、味見をしてごらんよ) 722 0 0 685 htmvoc_722.wav アシミジ ア⸢シ⸣ミジ [ʔa⸢ʃi⸣miʤi] 名 汗。汗水。 ア⸢シ⸣ミジ パ⸢ラ⸣シ パ⸢タラキバル マイフナーヤ⸣ マ⸢リル [ʔa⸢ʃi⸣miʤi pa⸢ra⸣ʃi pḁ⸢tarakibaru maiɸunaːja⸣ ma⸢riru] (汗水を流して働いてこそ<働けばぞ>立派な人間になれる<立派な人間は生まれる>のだ)。 ア⸢シ⸣ミジ パ⸢ラ⸣シ パ⸢タラキル ジン⸣カネー ⸢モーキ⸣ル [ʔa⸢ʃi⸣miʤi pa⸢ra⸣ʃi pḁ⸢tarakiru ʤiŋ⸣kaneː ⸢moːki⸣ru] (汗水を流して働いて<ぞ>金は儲けるものだ) 723 0 0 686 htmvoc_723.wav アシムトゥ ア⸢シム⸣トゥ [ʔa⸢ʃimu⸣tu] 名 足元。立っている足の下。身の回り。標準語から新しく借用された語。 ⸢ドゥー⸣ヌ ア⸢シム⸣トーラ カ⸢タミティル⸣ プ⸢スン⸣ヤン プ⸢スン⸣ タ⸢ナマ⸣リ⸢ダー [⸢duː⸣nu ʔa⸢ʃimu⸣toːra kḁ⸢tamitiru⸣ pu̥⸢suŋ⸣jam pu̥⸢sun⸣ ta⸢nama⸣ri⸢daː] (足元を固めてから<ぞ>余所の家の人にも頼まれるものだぞ) 724 0 0 687 htmvoc_724.wav アシユーチムヌ ア⸢シユー⸣チムヌ [ʔa⸢ʃijuː⸣ʧimunu] 名 四つ足動物。「足四つもの」の義。牛、馬、豚、山羊などの動物。猪などの獣害を防ぐ呪文などで、直接に獣の名を言わずに間接的に表現するときに「アシユチャ」といって用いられる。 ア⸢シユー⸣チムヌヌ ⸢シー⸣シェー ⸢カンニン⸣ガイナー シゥ⸢カイヨーラン⸣セン [ʔa⸢ʃijuː⸣ʧimununu ⸢ʃiː⸣ʃeː ⸢kanniŋ⸣gainaː sï̥⸢kaijoːraŋ⸣ʃeŋ] (四つ足動物の肉は神事祭祀<神祈願の祭り>には使われなかった) 585 0 0 688 htmvoc_585.wav アジルン ア⸢ジ⸣ルン [ʔa⸢ʤi⸣ruŋ] 他動 十字に交差させる。交差する。絡まる。 ⸢サンガマ⸣チェー ク⸢マン⸣トンナ アジティ ⸢フン⸣ ウティシキ [⸢saŋgama⸣ʧeː ku⸢man⸣tonna ʔadʒiti ⸢ɸuŋ⸣ ʔutiʃi̥ki] (桟はここのところで十字に交差させて釘を打ち付けておきなさい)。 ⸣イトー ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァーサン⸣カー ア⸢ジ⸣ルンダ ア⸢ジラサン⸣ タ⸢ミ⸣シル ⸢ヌー⸣ロー ッ⸢ふァース⸣ダー [⸣ʔitoː ⸢nuː⸣ru f⸢faːsaŋ⸣kaː ʔa⸢ʤi⸣runda ʔa⸢ʤirasan⸣ ta⸢mi⸣ʃiru ⸢nuː⸣roː f⸢faːsu⸣daː] (糸は糊付けしないと交叉して絡まるから、からまさないために糊付けをするのだよ) 725 0 0 689 htmvoc_725.wav アジンカシンナーヌ ア⸢ジン⸣カシン ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤiŋ⸣kaʃin ⸢naː⸣nu] 連 味も素っ気もない。 ア⸢ジン⸣カシン ⸢ナーン⸣ ムニカー⸢ニ⸣ イ⸢ズナ [ʔa⸢ʤiŋ⸣kaʃin ⸢naːm⸣ munikaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʣuna] (意味のない言葉<味も素っ気もない言葉>だけ言うな) 694 0 0 690 htmvoc_694.wav アジングリサン ア⸢ジングリ⸣サン [ʔa⸢ʤiŋguri⸣saŋ] 形 意見を言いにくい。言いづらい。忠告しづらい。言うことが困難である。若年層は、ア⸢ジグリ⸣サン[ʔa⸢ʤiguri⸣saŋ](言いづらい)ともいう。 シ⸢ザン⸣ナーネー ア⸢ジングリ⸣サンドゥ ア⸢ジングリ⸣サ ⸢ナーン⸣ プ⸢スン オー⸣ルン [ʃi⸢ʣan⸣naːneː ʔa⸢ʤiŋguri⸣sandu ʔa⸢ʤiŋguri⸣sa ⸢naːm⸣ pu̥⸢suŋ ʔoː⸣ruŋ] (年上の人には意見を言いにくいが、言いにくくない人もおられる)。 ア⸢ジングリ⸣サ ナリ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤiŋguri⸣sa nari⸢naː⸣nu] (言いづらくなってしまった)。 ア⸢ジングリ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤiŋguri⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (言いづらいことはない) 186 0 0 691 htmvoc_186.wav アスカー ア⸢ス⸣カー [ʔa⸢su⸣kaː] 接 そしたら。すると。それなら。ぞんざいな表現。前件と後件を繋ぐ接続詞。 ア⸢ス⸣カー ⸢ヌー⸣ スワ ⸣メー [ʔa⸢su⸣kaː ⸢nuː⸣suwa ⸣meː] (そしたら如何しようか、もう) 1425 0 0 692 htmvoc_1425.wav アスカー ア⸢ス⸣カー [ʔa⸢su⸣kaː] 接 そうしたら。そうすると(順接)。⸣アイ ⸢スー⸣カー[⸣ʔai ⸢suː⸣kaː](そうしたら)の縮約形。 ⸢ワー⸣ ヤー⸢ディン⸣ パ⸢リ⸣ス⸢ー⸣ ア⸢ス⸣カー ⸢タン⸣ガ ヌ⸢カ⸣ル ⸣ウヤー ⸢ヌー⸣スワ [⸢waː⸣ jaː⸢dim⸣ pa⸢ri⸣su⸢ː⸣ ʔa⸢su⸣kaː ⸢taŋ⸣ga nu⸢ka⸣ru ⸣ʔujaː ⸢nuː⸣suwa] (君はどうしても<必ず>行くのか?そうしたら一人残される親はどうするのか)。 ⸢ワー⸣ パ⸢ラ⸣ヌ⸢ー⸣ ア⸢ス⸣カー ⸢ヌー⸣スワメー [⸢waː⸣ pa⸢ra⸣nu⸢ː⸣ ʔa⸢su⸣kaː ⸢nuː⸣suwameː] (君は行かないの?そしたら、如何しようか) 745 0 0 693 htmvoc_745.wav アズカー ア⸢ズ⸣カー [ʔa⸢ʣu⸣kaː] 副 いわば(言わば)。言うならば。例えば。ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の連体形に仮定の接続助詞⸣-カー[⸣-kaː](~たら{EOS}~なら)の付いた形。 ア⸢ズ⸣カー ⸣メー チョーン⸢ドゥ バン⸣ター ウヤ⸢ゲ⸣ラ [ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸣meː ʧoːn⸢du ban⸣taː ʔuja⸢ge⸣ra] (いわば<例えば>、もう、丁度<正に>僕たちの親だよ<親さ>)。 ア⸢ズ⸣カー ⸢ワートゥ バン⸣トー マ⸢タイチフ⸣ ナルシジ [ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢waːtu ban⸣toː ma⸢taiʧiɸu⸣ naruʃiʤi] (言わば君と私とは又従兄弟にあたる<又従兄弟になる>訳だ{EOS}⸢ゲンソン⸣ティ ス⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣カー メー パ⸢トゥ⸣マムニシェー ピ⸢チマー ゲ⸣ラ{SqBr}⸢genson⸣ti su⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː meː pa⸢tu⸣mamuniʃeː pi⸢ʧimaː ge⸣ra{/SqBr}(玄孫というのは言わば、もう鳩間方言ではピ⸢チマーさ<だよ>) 746 0 0 694 htmvoc_746.wav アズクトゥ ア⸢ズ⸣ クトゥ [ʔa⸢ʣu⸣ ku̥tu] 連 言うこと。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ クトー ⸢フン⸣トー ヤ⸢ル⸣ユー ⸢タシカミラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ ku̥toː ⸢ɸun⸣toː ja⸢ru⸣juː ⸢taʃi̥kamiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (彼の言うことは本当なのか、確かめないといけない) 818 0 0 695 htmvoc_818.wav アスクン ⸢アス⸣クン [⸢ʔasu̥⸣kuŋ] 他動 預ける。「あづく(預く)下二段」の四段化したもの。「Azzuqe,uru,eta.アヅケ,クル,ケタ(預け,くる,けた)保管を人に委託する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣シトゥ ⸢アス⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢アシゥカラン⸣ティ ⸢スンダ アシキ⸣プサタンティン ⸢アス⸣ク ⸣クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʃi̥tu ⸢ʔasu̥⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʔasi̥karan⸣ti ⸢sunda ʔaʃi̥ki⸣ pu̥satantiŋ ⸢ʔasu̥⸣ku ⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (お土産<苞>を預けようと思うが、預からないといういうから、預けたくても預けることも出来ない)。 ク⸢レー⸣ プ⸢スンナー⸣ニ ⸢アスク⸣ナ ⸣ドゥーシ ⸣ムティ ⸣パリ [ku⸢reː⸣ pu̥⸢sunnaː⸣ni ⸢ʔasu̥ku⸣na ⸣duːʃi ⸣muti ⸣pari] (これは他人に預けるな{EOS}自分で持って行け)。 ⸢アス⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢アシゥカラン⸣ツォー [⸢ʔasu̥⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʔasi̥karan⸣ʦoː] (預けようと思うが、預からないそうだ)。 ⸢アシ⸣キ ⸣ミサカー ⸢アス⸣ ククトー ⸣ナルン [⸢ʔaʃi̥⸣ki ⸣misakaː ⸢ʔasu̥⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (預けてよければ、預けることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢アシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (早く預ければいいのに)。 ヤー⸢ディン アシ⸣キ⸢ヨー [jaː⸢diŋ ʔaʃi̥⸣ki⸢joː] (必ず<きっと>預けなさいよ) 748 0 0 696 htmvoc_748.wav アスコーアスコーシ アス⸢コーアスコー⸣シ [ʔasu̥⸢koːʔasu̥koː⸣ʃi] 副 ほやほや熱々で。出来立ての湯気を立てたさまで。熱々と。ぬくぬく(温温)と。 アス⸢コーアスコー⸣シ ⸢サー⸣ヤ ⸣ヌミティ ⸣パリバ [ʔasu̥⸢koːʔasu̥koː⸣ʃi ⸢saː⸣ja ⸣numiti ⸣pariba] (たて<点て>たばかりのお茶は湯気を立てて温温<熱々>と飲んでから行きなさい) 1406 0 0 697 htmvoc_1406.wav アズシジンドゥヤルカー ア⸢ズ⸣シジンドゥ ヤ⸢ル⸣カー [ʔa⸢ʣu⸣ʃiʤindu ja⸢ru⸣kaː] 連 言うならば。言うとおりなら。「言う筋(訳、道理)でもあれば」の義。 ⸢ワー⸣ アイ ア⸢ズ⸣シジンドゥ ヤ⸢ルッ⸣カー ⸣バー メー ノー⸢ン⸣ ア⸢ザヌ [⸢waː⸣ ʔai ʔa⸢ʣu⸣ʃiʤindu ja⸢ruk⸣kaː ⸣baː ⸣meː noː⸢ŋ⸣ ʔa⸢ʣanu] (君がそのように言うの<言うとおり>であるならば、私はもう何もいわない) 749 0 0 698 htmvoc_749.wav アズトゥール ア⸢ズトゥー⸣ル [ʔa⸢ʣutuː⸣ru] 連 言う通りに。 シ⸢ザ⸣ヌ ア⸢ズトゥー⸣ル ⸢スー⸣カー マ⸢チガイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢ʣa⸣nu ʔa⸢ʣutuː⸣ru ⸢suː⸣kaː ma⸢ʧigai⸣jaː ⸢naː⸣nu] (兄の言う通りにすれば間違いはないよ) 750 0 0 699 htmvoc_750.wav アズニ ⸣アズニ [⸣ʔaʣuni] 連 言うように。 ウ⸢リヌ⸣ アズニ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔaʣuni ⸢saŋ⸣kaː na⸢ranu] (彼が言うよう<言う通り>にしなければならないのか?) 751 0 0 700 htmvoc_751.wav アスヌ ア⸢スヌ [ʔa⸢sunu] 接続 だが。しかし。けれども。そうではあるが。ア⸢スン[ʔa⸢suŋ](そうする)の連体形に逆接の接続助詞ヌ[nu](が、だが)が付いたもの。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケン⸣ ウ⸢トゥナッ⸣サン ア⸢スヌ⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー プ⸢ソー カウリス [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢tunas⸣saŋ ʔa⸢sunu⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː pu̥⸢soː kaurisu] (彼は非常に大人しい{EOS}しかし酒を飲むと人が変わる)。 ウ⸢レー ワー⸣ ア⸢ズ トゥー⸣ル ア⸢スヌ⸣ バー ア⸢ズ⸣ ムニン シ⸢キ⸣バ [ʔu⸢reː waː⸣ ʔa⸢ʣu tuː⸣ru ʔa⸢sunu⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muniːŋ ʃi̥⸢ki⸣ba] (それは君の言う通りだ{EOS}だが、私の言うことも聞けよ)。⸢ターシグ⸣トー ⸢バン⸣ヌン ⸣ナルン。 ア⸢スヌ⸣ヨー ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸣バー ⸢タンガ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taːʃigu⸣toː ⸢ban⸣nun ⸣naruŋ⸣ ʔa⸢sunu⸣joː ku⸢nu taː⸣ja ⸣baː ⸢taŋga⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (田仕事は私にも出来る{EOS}だがしかしねえ、この田圃は私一人では出来ない) 752 0 0 701 htmvoc_752.wav アズムティ ア⸢ズ⸣ムティ [ʔa⸢ʣu⸣muti] 連 言うだけ。言う分。 ア⸢ズ⸣カー ア⸢ズ⸣ムティ シ⸢キ⸣ニン ⸣ムティ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢ʣu⸣kaː ʔa⸢ʣu⸣muti ʃi̥⸢ki⸣nim ⸣muti ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (言ったら言うだけ<言った分>責任を持ってしなければならない) 820 0 0 702 htmvoc_820.wav アスン ア⸢スン [ʔa⸢suŋ] 自動 そうする。⸣アイ ⸢スン[⸣ʔai ⸢suŋ](そうする)の縮まった形。副詞の⸣アイ[⸣ʔai](そう{EOS}そのように)に、⸢スン[⸢suŋ](する)が下接して、そ形成された動詞。「そのような行為を行う」の意味を表す。 ア⸢スン⸣ ア⸢サヌー ヌー⸣シヤー [ʔa⸢suŋ⸣ ʔa⸢sanuː nuː⸣ʃijaː] (そうするか?、しないか?、どうするのか<如何なんだ>)。 ⸣アイヤー ア⸢サンドー⸣シ ドゥ⸢シトゥ⸣ マー⸢ズン⸣シ ア⸢シ⸣バ [⸣ʔaijaː ʔa⸢sandoː⸣ʃi du⸢ʃitu⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ʔa⸢ʃi⸣ba] (そうはしないで、友人と一緒にしなさいよ)。 ア⸢シッふィーリ [ʔa⸢ʃiffiːri] (そうしてくれ)。 ア⸢シ⸣プサン [ʔa⸢ʃi⸣pusaŋ] (そうしたい)。 ⸢ワーンドゥ⸣ ッ⸢ふァ⸣マー ア⸢タラ⸣サ ⸢スー⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢スン⸣ダー [⸢waːndu⸣ f⸢fa⸣maː ʔa⸢tara⸣sa ⸢suː⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢sun⸣daː] (君が子孫を可愛がったら私もそうするよ)。 ア⸢サ⸣ディー [ʔa⸢sa⸣diː] (そうしようよ) ⸢ワー⸣ ア⸢ス⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢スン [⸢waː⸣ ʔa⸢su⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢suŋ] (君がそうするなら僕もそうする) ア⸢ス⸣クトー ア⸢スヌ⸣ アトー ッ⸢サン⸠ダ [ʔa⸢su⸣kutoː ʔa⸢sunu⸣ atoː s⸢san⸠daː] (そうすることはするが、知らないよ<後は>))。 ⸣ドゥーシ ア⸢シ⸣ ミサカー ア⸢ス⸣ クトゥン ナルン⸢ダー [⸣duːʃi ʔa⸢ʃi⸣ misakaː ʔa⸢su⸣ ku̥tun narun⸢daː] (自分でそうしてよければ、そうすることも出来るよ)。 ア⸢シェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʃeː⸣ misamunu] (そうすれば良いのに) 754 0 0 703 htmvoc_754.wav アズン ア⸢ズン [ʔa⸢ʣuŋ] 他動 言う。話す。「叱る」の意味はない。 ⸢パー⸣ク ア⸢ズンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ア⸢ザヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʣunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢na⸣maː ʔa⸢ʣanu] (早く言おうと思ったが、今は言わない)。 ⸣バーラ ア⸢ジ⸣ ミサカー ア⸢ズ⸣ クトー ⸣ナルン [⸣baːra ʔa⸢ʤi⸣ misakaː ʔa⸢ʣu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (私から言って良ければ言うことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ジェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ʤeː⸣ misamunu] (もっと言えばいいのに)。イ⸢ズン[ʔi⸢ʣuŋ](言う{EOS}叱る)ともいう。 ⸣バーラ ア⸢ズンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ア⸢ザランシェン [⸣baːra ʔa⸢ʣunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʔa⸢ʣaraŋʃeŋ] (私から言おうとしたが、言われなかった)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ジ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʤi⸣ba] (早く言えよ)。 イ⸢カス⸣ク ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カシタンティン⸣ バー ア⸢ズ⸣ムネー シゥ⸢カヌ [ʔi⸢kasu̥⸣ku ʔa⸢ʤi⸣ sï̥⸢kaʃi̥tantim⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muneː sï̥⸢kanu] (いくら私が言って聞かしても、私の言うことは聞かない)。 ⸣バー ア⸢ザヌ [⸣baː ʔa⸢ʣanu] (私は言わない) マー⸢ズン⸣ ア⸢ザ⸣ディー [maː⸢ʣuŋ⸣ ʔa⸢ʣa⸣diː] (一緒に言おうよ) ⸢バン⸣ヌン ア⸢ジ⸣プサン [⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢ʤi⸣pusaŋ] (私も言いたい) カ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ズ⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢ズン [ka⸢nu⸣ pu⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢ʣuŋ] (あの人が言うなら私も言う) ク⸢リンナー⸣ニ ア⸢ズ⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢rinnaː⸣ni ʔa⸢ʣupusoː⸣ bu⸢raːnu] (この人に<これに>言う人はいない) ⸢マー⸣ビン ア⸢ジシゥカシェー⸣ ミサムヌ  [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ʤisïkaʃeː⸣ misamunu] (もっと言って聞かせたらいいのに) ⸣バーン ア⸢ジ⸣バ [⸣baːŋ ʔa⸢ʤi⸣ba] (私に言えよ))。 ア⸢ザスン [ʔa⸢ʣasuŋ] (いわせる)。 ア⸢ザサヌ [ʔa⸢ʣasanu] (言わせない) ア⸢ザバン [ʔa⸢ʣaban] (言っても)) 756 0 0 704 htmvoc_756.wav アスンケン ア⸢スン⸣ケン [ʔa⸢suŋ⸣keŋ] 接 すると。そうすると。そのとき。⸣キノー パ⸢マ⸣ナーティ パ⸢モー⸣ル カキ⸢ベー⸣タツォー。ア⸢スン⸣ケン イ⸢ノンヌ⸣ ミーラ ヤ⸢メーマヌ⸣ ンジケータツォー[⸣kinoː pa⸢ma⸣naːti pa⸢moː⸣ru kḁki⸢beː⸣taʦoː。ʔa⸢suŋkeŋ ʔi⸢nonnu⸣ miːra ja⸢meːmanu⸣ ʔnʤikeːtaʦoː](昨日、浜で蛤を掻いていたそうだ{EOS}すると砂の中から小さな亀が出てきたそうだ) 755 0 0 705 htmvoc_755.wav アスンドゥ ア⸢スンドゥ [ʔa⸢sundu] 接 だが。であるが。逆接の接続詞。⸣アイ・⸢スンドゥ[⸣ʔai-⸢sundu](そう・するが)の縮略形。カ⸢リンヌン⸣ シ⸢ミルン⸣ツォー。 ア⸢スンドゥ ワンヌン⸣ マー⸢タキ サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ツォー [ka⸢rinnuŋ⸣ ʃi⸢mirun⸣ʦoː ʔa⸢sundu wannum⸣ maː⸢taki saŋ⸣kaː na⸢ran⸣ʦoː] (彼にもさせるそうだ{EOS}だが、君も同じようにしなければならないそうだ) 758 0 0 706 htmvoc_758.wav アゾールン ア⸢ゾー⸣ルン [ʔa⸢ʣoː⸣ruŋ] 他動 おっしゃる(仰る)。ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の尊敬語。ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ](言う)の連用形、ア⸢ジ[ʔaʤi]に、「Vouaxi,su.ヲワシ,ス(おはし)~高貴な方が・・・にいらっしゃる」『邦訳日葡辞書』の転訛した⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](いらっしゃる)が付いて転訛した尊敬動詞。 イ⸢チンマー⸣ パリティ ア⸢ゾールン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ ア⸢ゾーラ⸣ヌ [ʔi⸢ʧimmaː⸣ pariti ʔa⸢ʣoːrun⸣du ⸢kjuː⸣ja ʔa⸢ʣoːra⸣nu] (いつもは行けとおっしゃるが、今日はおっしゃらない)。 ア⸢ゾー⸣リ ⸣ミサン [ʔa⸢ʣoː⸣ri ⸣misaŋ] (おっしゃってよい)。 ⸢ワー⸣ ア⸢ゾー⸣ル ⸣クトー ⸢バシキラヌ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢baʃi̥kiranu] (貴方がおっしゃることは忘れない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ゾー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʣoː⸣reː ⸣misamunu] (早くおっしゃれば良いのに)。 ⸢キュー⸣ヤ ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ゾー⸣リ [⸢kjuː⸣ja jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ri] (今日は必ずおっしゃい<仰せください>)。 ウ⸢レー ワー⸣ ア⸢ゾー⸣ル ⸢トゥー⸣ル⸢ユー [ʔu⸢reː waː⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸢tuː⸣ru⸢juː] (それはあなたがおっしゃる通りです)。 ⸣アッパーラ ア⸢ゾー⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ ア⸢ゾーラン⸣シェン [⸣ʔappaːra ʔa⸢ʣoː⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ʔa⸢ʣoːraŋ⸣ʃeŋ] (おばあさんからおっしゃると聞いたが、おっしゃらなかった)。 ア⸢ゾー⸣リ ミサン [ʔa⸢ʣoː⸣ri ⸣misaŋ] (おっしゃって良い)。 ア⸢ゾー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʣoː⸣reː ⸣misamunu] (おっしゃれば良いのに)。 ア⸢ゾー⸣リバ [ʔa⸢ʣoː⸣riba] (おっしゃいよ)。 ⸢ウイ⸣プソー ユ⸢ヌムニバ⸣ル ア⸢ゾー⸣ルティ ス⸢クタヌ バン⸣テヌ ⸣アブジェー ユ⸢ヌ⸣ムネー ア⸢ゾーラ⸣ヌ [⸢ʔui⸣pusoː ju⸢numuniba⸣ru ʔa⸢ʣoː⸣ruti su⸢kutanu ban⸣tenu⸣ʔabuʤeː ju⸢nu⸣muneː ʔa⸢ʣoːra⸣nu] (老人は同じ言葉を繰り返し言われると聞いたが、私の家のおじいさんは同じ言葉は言われない) 759 0 0 707 htmvoc_759.wav アタ ア⸢タ- [ʔa⸢ta-] 接頭 突然。にわか。急な。 ア⸢ミ⸣ヌ ア⸢タフイ シー キン⸣マー ⸢ゾッふァシ ナー⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ʔa⸢taɸui ʃiː kim⸣maː ⸢ʣoffaʃi naː⸣nu] (雨が急に降って<にわか降りして>着物を濡らしてしまった)。 ア⸢タシニ [ʔa⸢taʃini] (突然死)。 ア⸢タシー [ʔa⸢taʃiː] (急にすること)。 ア⸢タニチ [ʔa⸢taniʧi] (突然の発熱)。⸢アッ⸣タニ[⸢ʔat⸣tani](急に、にわかに)の縮約形。 ア⸢タファイ [ʔa⸢tafai] (急に食べること) 857 0 0 708 htmvoc_857.wav アタ ア⸢タ [ʔa⸢ta] 接頭 急な。だしぬけの。突然の。名詞や動詞の連用形に上接して予期しない急な動作や突然に起きる状態を表す接頭語。ア⸢タアミ[ʔa⸢taʔami](にわか雨)、ア⸢タカジ[ʔa⸢takaʤi](俄か台風)、ア⸢タナキ[ʔa⸢tanaki](突然に泣き出すこと)、ア⸢タバライ[ʔa⸢tabarai](突然に笑うこと)など、ア⸢タヤン[ʔa⸢tajaŋ](急病)など 760 0 0 709 htmvoc_760.wav アダ ア⸢ダ [ʔa⸢da] 名 あだ(徒)。いたずら。無駄。徒労。「Adana.アダナ.または、アダノ(徒な,または,徒の)ちょうっとした、空しい、無益な」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ワー⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイティル ⸢シェー⸣ クトゥ ヤ⸢ルヌ⸣ ア⸢ダ⸣ ナリ ⸢ナーン⸣バン⸢ナー [⸢waː⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸣ʔumuitiru ⸢ʃeː⸣ ku̥tu ja⸢runu⸣ ʔa⸢da⸣ nari ⸢naːm⸣ban⸢naː] (君のことを思ってしたことではあるが、無駄になってしまったねえ) 762 0 0 710 htmvoc_762.wav アダーシカダーシ ア⸢ダーシカダーシ [ʔa⸢daːʃikadaːʃi] 名 怒鳴りつけること。ア⸢ダースン[ʔa⸢daːsuŋ](どやしつける、強く叱る)の重言。ABCDEBCD型。 ⸢ピントゥルピン⸣ ア⸢ダーシカダーシ⸣ シ⸢ラレー⸣ティ パ⸢タラカサリ ベー⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [⸢pinturupiŋ⸣ ʔa⸢daːʃikadaːʃi⸣ ʃi⸢rareː⸣ti pḁ⸢tarakasari beː⸣munu ⸣mirukaː ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (毎日毎日どやされて働かされているのを見ると可哀そうなんだよ) 763 0 0 711 htmvoc_763.wav アダースン ア⸢ダースン [ʔa⸢daːsuŋ] 他動 どやす。怒鳴りつける。大声で叱りつける。 ウ⸢レー⸣ プ⸢ス⸣ ア⸢ダースンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢su⸣ ʔa⸢daːsunda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (彼は他人をどやすから気をつけなさいよ)。 ア⸢ダーサンドー⸣シ ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カシ⸣バ [ʔa⸢daːsandoː⸣ʃi ʔa⸢ʤi⸣ si̥⸢kaʃi⸣ba] (どやさないで話して教え<聞かせ>なさいよ) 764 0 0 712 htmvoc_764.wav アターチマ ア⸢ターチマ [ʔa⸢taːʧima] 副 暫時。しばらく。ちょっと。いっとき。 アブ⸢ジェー⸣ ク⸢マー オー⸣リティ ア⸢ターチマ⸣ ク⸢ヌ ッふァ⸣ ミリ ッ⸢ふォー⸣リ [ʔabu⸢ʤeː⸣ ku⸢maː ʔoː⸣riti ʔa⸢taːʧa⸣ ku⸢nu ffa⸣ miri f⸢foː⸣ri] (おじいさん、ここへいらっしゃって、しばらくこの子を見てください)。 ア⸢ターチマ⸣ マティ ッ⸢ふィーリ⸠ヨー [ʔa⸢taːʧima⸣ mati f⸢fiːri⸠joː] (ちょっと待ってくれよね) 761 0 0 713 htmvoc_761.wav アタアミ ア⸢タアミ [ʔa⸢taʔami] 名 にわか雨。驟雨。 ア⸢タアミヌ⸣ フイティル ン⸢ジマー⸣キ ⸢ベー⸠ツォー [ʔa⸢taʔaminu⸣ɸuitiru ʔn⸢ʤimaː⸣ki ⸢beː⸠ʦoː] (にわか雨が降って出かねているんだよ)。 ア⸢タアミヌ⸣ フイティル ⸢キン⸣バ ⸢ゾーラシ⸣ シケー [ʔa⸢taʔaminu⸣ ɸuitiru ⸢kim⸣ba ⸢ʣoːraʃi⸣ ʃi̥keː] (にわか雨が降って着物を濡らしてある) 765 0 0 714 htmvoc_765.wav アタウダラキ ア⸢タウダラキ [ʔa⸢taʔudaraki] 名 急に驚くこと。びっくり仰天すること。 ア⸢タウダラキ スー⸣カー ブ⸢チ⸣クン ⸢スン⸠ダー [ʔa⸢taʔudaraki suː⸣kaː bu⸢ʧi⸣kun ⸢sun⸠daː] (急に驚くと失神するよ) 766 0 0 715 htmvoc_766.wav アダウチ ア⸢ダウチ [ʔa⸢dauʧi] 名 仇討ち。村芝居などで演じられる仇討ちもの。 イ⸢サナキヌ⸣ シ⸢バヤー⸣ナ ア⸢ダウチムヌ⸣バ ス⸢クミティ シーベーン⸣ドゥ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サタン [ʔi⸢sanakinu⸣ ʃi⸢bajaː⸣na ʔa⸢dauʧimunu⸣ba su̥⸢kumiti ʃiːbeːn⸣du ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣sataŋ] (石垣の芝居小屋で仇討ち物を仕組んで上演しているが非常に面白かった) 767 0 0 716 htmvoc_767.wav アタウヤキ ア⸢タウヤキ [ʔa⸢taujaki] 名 にわか分限者。成金。 ク⸢ヌ プソー ヌー⸣シ ⸢モーク⸣タユー ア⸢タウヤキ シー⸣ ユ⸢チ⸣クニ ク⸢ラシ ベー [ku⸢nu pu̥soː nuː⸣ʃi ⸢moːku⸣tajuː ʔa⸢taujaki ʃiː⸣ ju⸢ʧi⸣kuni ku⸢raʃi beː] (この人はどうやって儲けたのか成金になって裕福に暮らしている) 768 0 0 717 htmvoc_768.wav アダカ ア⸢ダ⸣カ [ʔa⸢da⸣ka] 名 あれほどの高さ。 ア⸢ダカ⸣ナー ⸢スー⸣ シ⸢ナムヌバ ヌー⸣シ ⸢シー カイ キラリ⸣ター [ʔa⸢daka⸣na ⸢suː⸣ ʃi⸢namunuba nuː⸣ʃi ⸢ʃiː kai kirari⸣taː] (あんなに高い品物<高くする品物>をどうやって買って来れたのか)。 ア⸢ダカ⸣ヌ シ⸢ナムヌ [ʔa⸢daka⸣nu ʃi⸢namunu] (あれほど高い<高価な>品物) 859 0 0 718 htmvoc_859.wav アタカジ ア⸢タカジ [ʔa⸢takaʤi] 名 急に吹きだす台風。 ⸢ニンガチ⸣ カ⸢ジマー⸣ロー ア⸢タカジヌ⸣ フクンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢niŋgaʧi⸣ ka⸢ʤimaː⸣roː ʔa⸢takaʤinu⸣ ɸu̥kunda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (旧暦二月の時化は、突然の台風が吹くから気をつけろよ) 769 0 0 719 htmvoc_769.wav アタキシ ア⸢タキシ [ʔa⸢takiʃi] 名 断崖。絶壁。切岸。「急に切れているもの」の義。⸢キン⸣タ[⸢kin⸣ta](断崖)、キ⸢ダバナ[ki⸢dabana](断崖、絶壁の先端)ともいう。 ヤ⸢マ⸣ヌ ア⸢タキシ⸣ ナリ ⸢ブー⸣トンラ ⸢キー⸣バ ⸣キシ ウ⸢タ⸣シティ カ⸢タ⸣ミ ⸢クー⸣タ [ja⸢ma⸣nu ʔa⸢takiʃi⸣ nari ⸢buː⸣tonra ⸢kiː⸣ba ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ta⸣ʃi̥tiru kḁ⸢ta⸣mi ⸢kuː⸣ta] (山が断崖になっている所から木を伐り落として担いで来た)。野や山が急に切り立った絶壁になっているところ。「急な切れ」の義。 キ⸢ダバナー⸣ タ⸢カスク⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ア⸢タキシ⸣ ナリ ⸢ブー⸣ トン⸢ダー [ki⸢dabanaː⸣ tḁ⸢kasu̥ku⸣nu ⸢nuː⸣nu ʔa⸢taki̥ʃi⸣ nari ⸢buー⸣ ton⸢daː] (キダバナの断崖はタカスクの野が急に切り立って絶壁になった所だよ) 770 0 0 720 htmvoc_770.wav アタシニ ア⸢タシニ [ʔa⸢taʃini] 名 急死。頓死。 キ⸢ノーバー⸣ケー ノー⸢ン サンシェンヌ⸣ ア⸢タシニバ シー⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢バーシ⸣ <ウ⸢ダラカ⸣シ> シケー⸢ツォー [ki⸢noːbaː⸣keː noː⸢n saŋʃennu⸣ ʔa⸢taʃiniba ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥ke⸢ʦoː] (昨日まではなんでもなかったが<何もしなかったが>急死して人を驚かせている<驚かせておいてある>) 861 0 0 721 htmvoc_861.wav アタジンブン ア⸢タジンブン [ʔa⸢taʤimbuŋ] 名 気転。機知。とっさの場合の分別。「咄嗟の存分(気転)」の義。 トゥ⸢ジヌ⸣ ア⸢タジンブンバ⸣ ン⸢ザシ⸣ル ⸢ヌンガーラサ⸣レータツォー [tu⸢ʤinu⸣ ʔa⸢taʤimbumba⸣ ʔn⸢ʣaʃi⸣ru ⸢nuŋgaːrasa⸣reːtaʦoː] (妻が咄嗟に気転を利かしたので<急に智恵を出したので>許されたそうだ) 773 0 0 722 htmvoc_773.wav アタスクリ ア⸢タスクリ [ʔa⸢tasu̥kuri] 名 にわか作り。急ごしらえ。 バ⸢ラフ⸣タシ シ⸢トゥ⸣バ ア⸢タスクリ シティ コー⸣マ イ⸢リティ⸣ イ⸢サナケー⸣ ム⸢タシ⸣タ [ba⸢raɸu̥⸣taʃi ʃi̥⸢tu⸣ba ʔa⸢tasu̥kuri ʃi̥ti koː⸣ma ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ mu⸢taʃi̥⸣ta] (藁で苞<藁苞>を急ごしらえして卵を入れて石垣へ送った<持たせた>) 771 0 0 723 htmvoc_771.wav アタタクマ ア⸢タタクマ [ʔa⸢tatakuma] 名 急な才知。頓知。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ア⸢タタクマ⸣ティ ア⸢ズ⸣ ム⸢カ⸣シムニヌ ⸣アン [mi⸢dumu⸣nu ʔa⸢tatakuma⸣ti ʔa⸢ʣu⸣ mu⸢ka⸣ʃimuninu ʔaŋ] (「女は急場凌ぎの機知に富む(が深慮に欠ける)」という先人の言葉<諺>がある) 862 0 0 724 htmvoc_862.wav アタナキ ア⸢タナキ [ʔa⸢tanaki] 名 突然に泣き出すこと。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ア⸢タナキ スー⸣カ ニチ⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu ʔa⸢tanaki suː⸣kaː niʧi⸢daː] (幼児が突然に泣き出すと発熱だよ) 621 0 0 725 htmvoc_621.wav アダナシ ア⸢ダナ⸣シ [ʔa⸢dana⸣ʃi] 名 アダン(阿檀)の気根。「アザニヌ サーラ[ʔaʣaninu saːra](刺木の下がっているもの)の略転という説(『八重山語彙』)」がある。 ア⸢ダナ⸣シ ⸣キシキー ⸣カー ⸣パギティ ⸣サキ ティダナ ⸣プシ グ⸢マーグマ⸣シ ⸣サキティ ア⸢ダナ⸣シジナ ⸢ナウ⸣タヨー [ʔa⸢dana⸣ʃi ⸣ki̥ʃikiː ⸣kaː ⸣pagiti ⸣sḁki ⸣tidana ⸣pu̥ʃi gu⸢maːguma⸣ʃi ⸣sḁkiti ʔa⸢dana⸣ʃidʒina ⸢nau⸣tajoː] (阿檀の気根を切ってきて皮を剥いで裂き、太陽に干し、更に小さく裂いて阿檀の綱を綯ったよ)。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸢ニーバ⸣ル ア⸢ダナ⸣シティ ア⸢ズ⸣ダー [ʔa⸢dambura⸣nu ⸢niːba⸣ru ʔa⸢dana⸣ʃi̥ti ʔa⸢ʣu⸣daː] (あだん<阿檀>の気根をアダナシというのだよ) 776 0 0 726 htmvoc_776.wav アダナシジナ ア⸢ダナ⸣シジナ [ʔa⸢dana⸣ʃiʤina] 名 アダンの気根の繊維で綯った縄<綱>。 ア⸢ダナ⸣シジナー ⸢スー⸣ワン [ʔa⸢dana⸣ʃiʤinaː ⸢suː⸣waŋ] (アダンの気根の繊維で綯った綱は強い)。アダンの気根(直径3~4センチ、長さ60~80センチ)の皮を剥ぎ、約2ミリの厚さに切り割り、乾燥させたものを細かく裂いて直径約2ミリの太さに綯った縄を⸢ユー⸣ル[⸢juː⸣ru](細い縄{EOS}「撚り」の義か)といい、直径約1センチ以上の太さに綯ったものを、ア⸢ダナシ⸣ジナ[ʔa⸢dana⸣ʃiʤina](アダナシ綱)という。ア⸢ダナ⸣シジナ[ʔa⸢dana⸣ʃiʤina](アダナシ綱)は強いので、サバニのアンカーロープ⸣や⸢アウダ[⸢ʔau⸣da](もっこ)を造るのに用いられた。⸢ユー⸣ル[⸢juː⸣ru](アダナシの細縄)は、民具の⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku]を造るのに有用な素材であった 623 0 0 727 htmvoc_623.wav アダナシユール ア⸢ダナ⸣シユール [ʔa⸢dana⸣ʃijuːru] 名 アダン(阿檀)の気根の繊維を細かく裂いて綯った細い縄。「アダナシ・\ruby{縒}{ヨ}り」の転訛したもの。これで⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku](約20センチ立方に編んだ網袋{EOS}野外用手提げ{EOS}網びく<網魚籠>)。 ⸣ソンガチヌ ピ⸢キダマー⸣ ア⸢ダナ⸣シユールシル トゥ⸢バシタル [⸣soŋgaʧinu pi̥⸢kidamaː⸣ ʔa⸢dana⸣ʃijuːruʃiru tu⸢baʃi̥taru] (正月の凧はアダナシの紐<アダナシ紙縒り>で飛ばし<揚げ>たものだ) 777 0 0 728 htmvoc_777.wav アダニ ア⸢ダ⸣ニ [ʔa⸢da⸣ni] 名 アダン(阿檀)の実。若年層はア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ナル[ʔa⸢dambura⸣nu ⸣naru](アダンの実)ともいう。 ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムル⸣ナー ア⸢ダニ⸣バ ⸣ブリキー マ⸢ツォーッ⸣タン [⸢soːran⸣nu mu⸢rumuru⸣naː ʔa⸢dani⸣ba ⸣burikiː ma⸢ʦoːt⸣taŋ] (お盆の供物のムルムルに阿檀の実を捥いできて供えられた) 778 0 0 729 htmvoc_778.wav アタニチ ア⸢タニチ [ʔa⸢taniʧi] 名 急な発熱。 ア⸢タニチヌ⸣ ンジティ ウ⸢キユーサ⸣ヌ ニ⸢ビベー [ʔa⸢taniʧinu⸣ʔnʤiti ʔu⸢kijuːsa⸣nu ni⸢bibeː] (急に発熱して<突然の熱が出て>起きることが出来ない<起き得ない>{EOS}寝ている) 774 0 0 730 htmvoc_774.wav アタバシキ ア⸢タバシキ [ʔa⸢tabaʃi̥ki] 名 ど忘れ。うっかり忘れること。 ウ⸢レー⸣ ッ⸢シブンドゥ⸣ヨー ア⸢タバシキ シー⸣ ウ⸢ムイ ンザサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃ⸢ʃibundu⸣joː ʔa⸢tabaʃi̥ki ʃiː⸣ ʔu⸢mui ʔnʣasara⸣nu] (それは知っているが、ど忘れして思い出されない) 863 0 0 731 htmvoc_863.wav アタバライ ア⸢タバライ [ʔa⸢tabarai] 名 突然に笑い出すこと。 トゥ⸢シグル⸣ヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ア⸢タバライ スンダ⸣ プ⸢ス⸣ ウ⸢バースン [tu⸢ʃiguru⸣nu mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔa⸢tabarai sunda⸣ pu̥⸢su⸣ ʔu⸢baːsuŋ] (年頃の女の子は突然に笑い出すから人を驚かす) 864 0 0 732 htmvoc_864.wav アタパリ ア⸢タパリ [ʔa⸢tapari] 名 急に駆け出すこと。突然走り出すこと。 ナー⸢イ ベータン⸣ドゥ ア⸢タパリ⸣ シ⸢ティル⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢ダラカ⸣シ ⸣シケーバン [naː⸢i beːtan⸣du ʔa⸢tapari⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢daraka⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (じいっとしていたが、突然駆け出して<ぞ>人を驚かせている<びっくりさせておいてある>わい) 865 0 0 733 htmvoc_865.wav アタフイ ア⸢タフイ [ʔa⸢taɸui] 名 雨が急に降るさま。雨が俄かに降ること。にわかあめ<俄雨>。驟雨。 ア⸢ミ⸣ヌ ア⸢タフイ⸣ シ⸢ティ⸣ キン ⸢ゾーラシ ナー⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ʔa⸢taɸui⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ⸣kin ⸢ʣoːraʃi naː⸣nu] (雨が俄か降りして着物を濡らしてしまった) 779 0 0 734 htmvoc_779.wav アタヤン ア⸢タヤン [ʔa⸢tajaŋ] 名 急病。 ⸣アイニ ⸢ガン⸣ゾー ア⸢ローッ⸣タ プ⸢スヌ⸣ ア⸢タヤンバ シー マーラソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢gan⸣ʣoː ⸣ʔaroːtta pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢tajamba ʃiː maːrasoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (あんなに元気<頑丈>であられた方<人>が急病で<急病をして>お亡くなりになってしまった)。 ア⸢タヤンバ シール マーラシタ⸣ツォー [ʔa⸢tajamba ʃiːru maːraʃi̥ta⸣ʦoː] (急病をして亡くなったそうだ) 781 0 0 735 htmvoc_781.wav アダラー アダ⸢ラー [ʔada⸢raː] 感 ああ汚い。ああ汚らしい。 アダ⸢ラー⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤワレー [ʔada⸢raː⸣ ja⸢ni⸣jawa reː] (ああ汚い{EOS}なんと汚いことよ<それは>) 783 0 1 736 htmvoc_783.wav アタラサスン ア⸢タラ⸣サ ⸢スン [ʔa⸢tara⸣sa ⸢suŋ] 連 {Mn_1}可愛がる。 ⸣マーッふァー ア⸢タラ⸣サ ⸢スン [⸣maːffaː ʔa⸢tara⸣sa ⸢suŋ] (孫を可愛がる)。 783 0 2 737 htmvoc_783.wav アタラサスン ア⸢タラ⸣サ ⸢スン [ʔa⸢tara⸣sa ⸢suŋ] 連 {Mn_2}大切にする。 ノー⸢ンヤラバン ドーン⸣ゴー ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ シゥ⸢カーン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー [noː⸢ɲjaraban doːŋ⸣goː ʔa⸢tara⸣sa ʃiː⸣ sï̥⸢kaːŋ⸣kaː na⸢ran⸠daː] (何でも<あっても>道具は大切にして使わないといけないよ) 784 0 0 738 htmvoc_784.wav アタラサマリ ア⸢タラサマリ [ʔa⸢tarasamari] 名 人に好かれ、可愛がられるように生まれついた人。 カ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イ⸢カムス⸣ク ア⸢タラサマリ シー ブワ⸠ツォー [ka⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔa⸢tarasamari ʃiː buwa⸠ʦoː] (あの子は、なんと人に好かれる生まれつきをしていることよ) 786 0 0 739 htmvoc_786.wav アタラサワレー ア⸢タラ⸣サワレー [ʔa⸢tara⸣sawareː] 連 何と可愛いことよ。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ア⸢タラ⸣サワレー [ku⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ ʔa⸢tara⸣sawareː] (この子の何と可愛いことよ) 782 0 1 740 htmvoc_782.wav アタラサン ア⸢タラ⸣サン [ʔa⸢tara⸣saŋ] 形 {Mn_1}可愛い。可憐である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢タラ⸣サン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢tara⸣saŋ] (その子は非常に可愛い)。 ター⸢ン ヤラバン⸣ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢タラサ⸣ル ⸣アル [taː⸢ɲ jaraban⸣ f⸢faː⸣ ʔa⸢tarasa⸣ru ⸣ʔaru] (誰でも子供は可愛い<可愛いくぞある>)。 ア⸢タラサ ナー⸣ヌ [ʔa⸢tarasa naː⸣nu] (可愛くない)。 782 0 2 741 htmvoc_782.wav アタラサン ア⸢タラ⸣サン [ʔa⸢tara⸣saŋ] 形 {Mn_2}惜しい。もったいない。「あたらし(可惜し)」の義から派生転訛したもの。 ク⸢レー⸣ ア⸢タラサ⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢reː⸣ ʔa⸢tarasa⸣nu si̥⸢kaːranu] (これは惜しくて使えない) 785 0 0 742 htmvoc_785.wav アタラシェーマ ア⸢タラシェー⸣マ [ʔa⸢taraʃeː⸣ma] 名 いとし子。かわいい子。愛児。⸢アッタラシェー⸣マ[⸢ʔattaraʃeː⸣ma](愛児)ともいう。 ア⸢タラシェーマー ガン⸣ズーシ ⸢アークタン [ʔa⸢taraʃeːmaː gan⸣ʣuːʃi ⸢ʔaːkutaŋ] (いとし子よ、元気にしていたか) 787 0 0 743 htmvoc_787.wav アタラマイ ア⸢タラ⸣マイ [ʔa⸢tara⸣mai] 名 当たり前。当然、もちろん。 ⸢ワー⸣ サ⸢クシ⸣ッふァ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣アトゥシギ ⸢スー ムノー⸣ ア⸢タラ⸣マイティ ⸣ムカーヤ [⸢waː⸣ sḁ⸢kuʃi⸣ffa ja⸢runda⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔatuʃigi ⸢suː munoː⸣ ʔa⸢tara⸣maiti mukaja] (君は長男だから親の跡継ぎをすることは当たり前というものだ) 789 0 0 744 htmvoc_789.wav アタリ ア⸢タリ [ʔa⸢tari] 名 当たること。正解であること。命中すること。正鵠を射ること。 ⸢クン⸣ドー ⸢ワール⸣ ア⸢タリ [⸢kun⸣doː ⸢waːru⸣ ʔa⸢tari] (今度は君が当たりだ) 790 0 0 745 htmvoc_790.wav アダリー アダ⸢リー [ʔada⸢riː] 感 ああ汚い。汚いなあ。相手を軽蔑したり、嫌悪したりする感情を表す。アダ⸢ラー[ʔada⸢raː]に同じ。 アダ⸢リー⸣ カイブ ム⸢ヌ⸣バ ⸣ムティ ⸢クーター [ʔada⸢riː⸣ kaibu mu⸢nu⸣ba ⸣muti ⸢kuːtaː] (ああ汚い{EOS}こんなものを持ってきたのか) 791 0 0 746 htmvoc_791.wav アタリクジ ア⸢タリクジ [ʔa⸢tarikuʤi] 名 当たり籤。当たった籤。 ⸢イットー⸣ヌ ア⸢タリクジバ⸣ ピ⸢ケーン⸣ツォー [⸢ʔittoː⸣nu ʔa⸢tarikuʤiba⸣ pi̥⸢keːn⸣ʦoː] (一等の当たり籤を引き当てたそうだ) 792 0 0 747 htmvoc_792.wav アタリドゥシ ア⸢タリドゥシ [ʔa⸢tariduʃi] 名 当たり年。農作物の収穫や漁獲の多い年。縁起のよい年。良いことの多い年。 ⸢マイン ノー⸣リ カ⸢ツシンヌン タイロー シー⸣ ク⸢トゥシェー⸣ ア⸢タリドゥシユン [⸢main noː⸣ri kḁ⸢ʦuʃinnun tairoː ʃiː⸣ ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔa⸢tariduʃijuŋ] (稲も実り、カツオ漁船も大漁して、今年は当たり年だ) 795 0 0 748 htmvoc_795.wav アタリマイ ア⸢タリ⸣マイ [ʔa⸢tari⸣mai] 名 当たり前。もちろん。当然。若年層の言葉。老年層は、ア⸢タラ⸣マイ[ʔa⸢tara⸣mai](当たり前)という。 ウ⸢リヌ⸣ アイ ア⸢ズ⸣クトー ア⸢タリ⸣マイ <ア⸢タラ⸣マイ> [ʔu⸢rinu⸣ ʔai ʔa⸢ʣu⸣ku̥toː ʔa⸢tari⸣mai ] (その人がそう言うことは至極当たり前だ)。 ア⸢タリマイ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸢セー⸣ヌンドゥ ⸣アイニ フ⸢コーラサ⸣ シ⸢ラリ カイ⸣テー ⸢ドゥーグリサ⸣リバン [ʔa⸢tarimai⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃeː⸣nundu ⸣ʔaini ɸu̥⸢koːrasa⸣ ʃi⸢rari kai⸣teː ⸢duːgurisa⸣ribaŋ] (当然のことをしたまでだが、あんなに感謝されて、かえって恐縮している<心苦しい>) 797 0 0 749 htmvoc_797.wav アタリョーヤー ア⸢タリョー⸣ヤー [ʔa⸢tarjoː⸣jaː] 名 村を支配するお役人様。歌謡語。「目差主<めざししゅ>」の対語(『沖縄古語大辞典』)。担当の上司(歌謡語、琉球王国時代の言語)。「当たり親」の義(『石垣方言辞典』) 793 0 0 750 htmvoc_793.wav アタル ア⸢タル [ʔa⸢taru] 名 係り。担当。「当たり」の義。 ⸢ザーアタ⸣ル [⸢ʣaːʔata⸣ru] (座敷係)。 ヤ⸢マアタ⸣ル [ja⸢maʔata⸣ru] (山林担当)。 ⸢ワー⸣ ク⸢トゥシェー ザーアタ⸣ル ア⸢タリブタ⸣ シ⸢キン⸣ドゥ サ⸢カサンケー⸣トゥン ⸣ユー ⸣ウチソーダン ⸢シー⸣ヨー [⸢waː⸣ ku̥⸢tuʃeː ʣaːʔata⸣ru ʔa⸢taributa⸣ ʃi̥⸢kin⸣du sḁ⸢kasaŋkeː⸣tun ⸣juː ⸣ʔuʧisoːdaŋ ⸢ʃiː⸣joː] (君は今年は座敷担当に当たっているので、神司の皆さんともよく相談しなさいよ) 794 0 0 751 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 ~ぐらい。~ほど。おおよその程度を表す。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー バー⸢ヤラバン⸣ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː baː ja⸢raban⸣ na⸢ri⸣su] (この程度<これぐらい>は私でも出来る)。 794 0 0 752 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 {Exp_1}さらに係助詞⸣-ル[⸣-ru](~ぞ)が下接して限定強意を表す。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヌアタル⸣ル ア⸢ル [⸢waː⸣ ʔu⸢nuʔataru⸣ru ʔa⸢ru] (君はその程度しかない<その程度ぞある>のか)。 794 0 0 753 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 {Exp_2}さらに格助詞⸣-ヌ[⸣-nu](~の)が付いて体言化する。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ ⸣クトー ⸢バン⸣ヌン ッ⸢シェー⸣ン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ⸣ku̥toː ⸢ban⸣nuŋ ʃ⸢ʃeː⸣ŋ] (その程度のことは私も知っている)。 794 0 0 754 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 {Exp_3}さらに格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](~で)が付いて手段格を表す。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルシェー プ⸢スヌ⸣ マイヤー ナ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣ruʃeː pu̥⸢sunu⸣ maijaː na⸢rara⸣nu] (その程度では他人より先んじることに<他人の前に>はなれない)。 794 0 0 755 htmvoc_794.wav アタル ア⸢タ⸣ル [ʔa⸢ta⸣ru] 副助 {Exp_4}さらに係助詞⸣-ツァン[⸣-ʦaŋ](~すら、~さえ{EOS}~だに)が付いて、最低程度の条件を表す。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルンツァン ⸢シーサン⸣カー シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣runʦaŋ ⸢ʃiːsaŋ⸣kaː si̥⸢kaːranu] (その程度さえも出来なかったら<成し得なかったら>使えない<使われない>) 867 0 1 756 htmvoc_867.wav アタル ア⸢タル [ʔa⸢taru] 接尾 {Mn_1}~に対して。~当たり。 グ⸢サークマイ⸣ヤー プ⸢スルアタ⸣ル グ⸢サーク⸣ナー ン⸢ザ⸣ソーッタ [gu⸢saːkumai⸣jaː pu̥⸢suruʔata⸣ru gu⸢saːku⸣naː ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (五勺米は一人当たり五勺ずつ出された)。 867 0 2 757 htmvoc_867.wav アタル ア⸢タル [ʔa⸢taru] 接尾 {Mn_2}~担当。 ⸢ザーアタ⸣ロー フ⸢タールナー⸣ イ⸢ラ⸣ボーッタン [⸢ʣaːʔata⸣roː ɸu̥⸢taːrunaː⸣ ʔi⸢ra⸣boːttaŋ] (座席作り<桟敷>担当は二人ずつ選出さ<選ば>れた) 796 0 0 758 htmvoc_796.wav アタルマカシ ア⸢タルマカシ [ʔa⸢tarumakaʃi] 副 手当たり次第に。あれこれかまわず。ところかまわず。 ア⸢タルマカシニ イッソー⸣ラ ⸣ムティクー [ʔa⸢tarumakaʃini ʔissoː⸣ra ⸣mutikuː] (手当たり次第にすべて持って来い)。 ア⸢タルマカシニ⸣ プ⸢スヨー⸣ イ⸢ズナ [ʔa⸢tarumakaʃini⸣ pu̥⸢susujoː⸣ ʔi⸢ʣuna] (だれかれかまわず他人を叱るな) 798 0 1 759 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動  {Mn_1}当たる。的中する(正鵠を射る)。他人にきつく当たる。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢タラヌ [⸢waː⸣ muneː ʔa⸢taranu] (君の言うことは当らない<正しくない>)。 ⸣クジ ア⸢タルン [⸣kuʤi ʔa⸢taruŋ] (\ruby{籤}{クジ}が当たる)。 ⸢ワ⸣ー ア⸢ズタ トゥー⸣ル ア⸢タリ オシケー ノー⸣レーツバン [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣuta tuː⸣ru ʔa⸢tari ʔoʃi̥keː noː⸣reːʦubaŋ] (君が言った通り<予言が>的中して、天気は良くなったよ<天気は直ったわい>)。 ア⸢タレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢tareː⸣ misamunu] (当たれば良いのに)。 ア⸢タリ⸣バ [ʔa⸢tari⸣ba] (当たれよ)。 798 0 2 760 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 {Mn_2}照合して確認する。 シ⸢キン⸣マー ⸢ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣タユー ⸢シンシン⸣ナーニン ア⸢タリ⸣ミリバ [ʃi̥⸢kim⸣maː ⸢nuː⸣ʃi ⸢nat⸣tajuː ⸢ʃiŋʃin⸣naːniŋ ʔa⸢tari⸣miriba] (試験はどうなったのか先生に当ってみなさいよ)。 798 0 3 761 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 {Mn_3}毒気を身に受ける。 ヤ⸢ナ⸣カジナ ア⸢タリティ⸣ シラー ア⸢ガミベー [ja⸢na⸣kaʤina ʔa⸢tariti⸣ ʃiraː ʔa⸢gamibeː] (悪い風<邪気>に当って顔が赤らんでいる)。 798 0 4 762 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 {Mn_4}相応しい。似合う。 ウ⸢ヌ キン⸣マー ⸢ワー⸣ナー ガッ⸢ツッティ⸣ ア⸢タリ ブー [ʔu⸢nu kim⸣maː ⸢waː⸣naː gat⸢ʦuti⸣ ʔa⸢tari buː] (その着物は君にぴったり合っている)。 798 0 5 763 htmvoc_798.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 {Mn_5}配分を受ける。⸢ピーチ⸣ナー ア⸢タルン[⸢piːʧi⸣naː ʔa⸢taruŋ](一個ずつ当たる)   799 0 0 764 htmvoc_799.wav アタルン ア⸢タルン [ʔa⸢taruŋ] 自動 他人の言葉が身に応える。他人の発言に内心忸怩たる<恥じ入る>ものを覚える。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズタ⸣ ムニナー ア⸢タリティル⸣ バ⸢カ⸣ヤ ⸢シー ベー [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣuta⸣ muninaː ʔa⸢taritiru⸣ ba⸢ka⸣ja ⸢ʃiː beː] (君が言った言葉が身に応えて<言葉に当って>、恥ずかしがっている) 800 0 0 765 htmvoc_800.wav アダンパー ア⸢ダン⸣パー [ʔa⸢dam⸣paː] 名 アダンの葉。 ア⸢ダン⸣パーシ カ⸢ジグル⸣マ ス⸢ク⸣リ ⸢フィーラ⸣ナー [ʔa⸢dam⸣paːʃi ka⸢ʤiguru⸣ma su̥⸢ku⸣ri f⸢fiːra⸣naː] (アダンの葉で風車を作ってやろう<くれよう>ね) 801 0 0 766 htmvoc_801.wav アダンパーサバ ア⸢ダン⸣パーサバ [ʔa⸢dam⸣paːsaba] 名 アダン葉で作った草履。アダン葉の刺を取り除き、幅約一センチに裂いて陰干し乾燥して草履に編んで作る。若年層は、ア⸢ダン⸣パーゾーリ[ʔa⸢dam⸣paːʣoːri](阿檀葉草履)という。 ム⸢カ⸣シェー ⸣グムゾーレー ⸢ナーン⸣ ブ⸢レー⸣ンダ ムー⸢ル⸣ ア⸢ダン⸣パーサババ ス⸢ク⸣リ フ⸢モーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣gumuʣoːreː ⸢naːm⸣ bu⸢reː⸣nda muː⸢ru⸣ ʔa⸢dam⸣paːsababa su⸢ku⸣ri ɸu⸢moːt⸣ta] (昔はゴム草履はなかったので、みんなアダン葉草履を作って履かれた) 802 0 0 767 htmvoc_802.wav アダンパームス ア⸢ダン⸣パームス [ʔa⸢dam⸣paːmusu] 名 アダン葉で作った蓆。アダン葉の中央と両側の刺を取り除いて乾燥し、⸣ムス フ⸢ミ⸣ヤマ[⸣musu ɸu⸢mi⸣jama](蓆編み機)で編んだもの。編み目の粗い筵であるから座敷用には用いず、夏の暑い時期に庭先や縁側に敷いて、その上に寝たり座ったりするのに用いた。 ア⸢ダン⸣パームス シ⸢キティ⸣ プ⸢スマニビ⸣ シ⸢ミリ [ʔa⸢dam⸣paːmusu ʃi̥⸢kiti⸣ pu̥⸢sumanibi⸣ ʃi⸢miri] (アダン葉蓆を敷いて昼寝をさせなさい) 624 0 0 768 htmvoc_624.wav アダンブラ ア⸢ダン⸣ブラ [ʔa⸢dam⸣bura] 名 (植)和名、タコノキ(蛸の木)。アダン(阿檀)。「清人は阿坦尼と記したり。・・アンザ・ギ(刺木)の転。海浜瘠土にもよく成長繁茂し、(『八重山語彙』)」との説がある。海岸に自生していて防風林、防砂林の機能を果たしている。葉には鋭い刺があり、それを除去してア⸢ダン⸣パーサバ[ʔa⸢dam⸣paːsaba](アダン葉草履)、ア⸢ダン⸣パームス[ʔa⸢dam⸣paːmusu](アダン葉筵)を編んだ。 ア⸢ダン⸣ブラー イ⸢スヌ⸣ パ⸢タ⸣ナーン マー⸢ン⸣ナーン ムイ⸢ブタン [ʔa⸢dam⸣buraː ʔi⸢sunu⸣ pḁ⸢ta⸣naːm maː⸢n⸣naːm mui⸢butaŋ] (阿檀は海岸<磯端>にも何処にも生えていた)。幹の下部から多数の気根を出す。この気根を切り取り、裂いて乾燥し、細かく裂いて縄を綯い、舟の綱にしたり、もっこ(畚)を編むのに利用した。実はパインの形状をしており、熟れると赤みを呈し、甘味が出て食べられる。それを食いにヤシガニが阿檀の木に登ってくる。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ナ⸢ル⸣ヌ ⸢ウー⸣ムカー ⸣マコヤー ウ⸢リ⸣ ッ⸢ふンティ ヌーリキー⸣シタ [ʔa⸢dambura⸣nu na⸢ru⸣nu ⸢ʔuː⸣mukaː ⸣makojaː ʔu⸢ri⸣ f⸢funti nuːri kiː⸣ʃi̥ta] (あだんの実が熟れるとヤシガニがそれを食べに登ってきたものだ) 625 0 0 769 htmvoc_625.wav アダンブラヌナル ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ナル [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣naru] 連 アダン(阿檀)の実。直径約15センチ、長さ約25センチの楕円形パインナップルの実に似た果実。実の中心部果肉の周り全体に約3センチ五角形の角果が付いている。8~9月に黄赤色に熟し芳香を発する。⸣マコヤ[⸣makoja](ヤシガニ)の好物。旧暦のお盆には、ム⸢ルムル[mu⸢rumuru](盛物供物)として仏壇に供えた。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ナロー ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムル⸣ティ ⸢シー⸣ カ⸢ザローッ⸣タン [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣naroː ⸢soːran⸣nu mu⸢rumuru⸣ti ⸢ʃiː⸣ ka⸢ʣaroːt⸣taŋ] (アダンの実はお盆の盛物供物として仏壇に飾られた) 648 0 0 770 htmvoc_648.wav アダンブラヌフキ ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣フキ [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣ɸu̥ki] 連 あだん(阿檀)の茎。あだんの芽。石垣島では、阿檀の茎を⸣ユディティ[⸣juditi](茹でて)、精進料理の食材として利用されていたが、鳩間島では食しなかった。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣フケー ッ⸢ふァーンシェン [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣ɸu̥keː f⸢faːŋʃeŋ] (アダンノ茎は食べなかった)。 パ⸢トゥ⸣マプソー ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣フケー ン⸢コーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ʔa⸢dambura⸣nu ⸣ɸu̥keː ʔŋ⸢koːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間人は阿檀の若芽は食され<召し上がら>なかった) 649 0 0 771 htmvoc_649.wav アダンブラヤマ ア⸢ダン⸣ブラヤマ [ʔa⸢dam⸣burajama] 名 阿檀の林。阿檀の群生しているところ。海岸にはアダン(阿檀)が密生して防風林、防潮林の機能を果たした。 ア⸢ダン⸣ブラヤマナー ⸣マコヤー ⸣ユー トゥ⸢ラリ⸣タン [ʔa⸢dam⸣burajamanaː ⸣makojaː ⸣juː tu⸢rari⸣taŋ] (阿檀林にはヤシガニがよく捕獲できた<獲られた>) 807 0 0 772 htmvoc_807.wav アチーアチーシ ア⸢チーアチー⸣シ [ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi] 副 熱く。熱々と。蒸かしたての熱いさま。ピー⸢リピーリ⸣シ[piː⸢ripiːri⸣ʃi](冷え冷えと{EOS}冷たく)の対義語。熱そうに。更に強調する際は、アチー⸢アチー⸣シ[ʔaʧiː⸢ʔaʧiː⸣ʃi]とアクセントを後方へずらす。 ⸢ピーリイー⸣ヤ ⸢ファーンドー⸣シ ア⸢チーアチー⸣シ ア⸢ツァ⸣シティ <ア⸢チラ⸣シティ> ⸢ファイ⸣バ [⸢piːriʔiː⸣ja ⸢faːndoː⸣ʃi ⸣ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi ʔa⸢ʦa⸣ʃi̥ti ⸢fai⸣ba] (冷や飯は食べないで、熱く温めて食べなさい) 808 0 0 773 htmvoc_808.wav アチーアチーシ ア⸢チーアチー⸣シ [ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi] 副 厚く。肉厚に。厚々と。ピ⸢シーピシー⸣シ[pi̥⸢ʃiːpiʃiː⸣ʃi](薄く)の対義語。 カ⸢ツシン⸣ナーテー カ⸢ツナマシェー⸣ ア⸢チーアチー⸣シル キ⸢ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃin⸣naːteː kḁ⸢ʦunamaʃeː⸣ ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃiru ki̥⸢soːt⸣ta] (カツオ漁船では、カツオの刺身は厚く<肉厚に>切られた) 809 0 0 774 htmvoc_809.wav アチーアチーシ アチー⸢アチー⸣シ [ʔaʧiː⸢ʔaʧiː⸣ʃi] 副 非常に親しく。非常に親しそうに。非常に仲睦まじく。ABCABCD型の重言。⸢篤し」の転訛したものか。「支離、アヅシ」『類聚名義抄』と関係ある語か。 ⸢ナン⸣ゾー ⸣ピライ ミ⸢ラン⸣ヌンドゥ ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ アチー⸢アチー⸣シ パ⸢ナ⸣ス⸢ツォー [⸢nan⸣ʣoː ⸣pirai mi⸢ran⸣nundu ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔaʧiː⸢ʔaʧiː⸣ʃi pa⸢na⸣su⸢ʦoː] (あんまり付き合ったことはないのに、その人は非常に親しそうに話すんだよ) 843 0 0 775 htmvoc_843.wav アチイー ア⸢チ⸣イー [ʔa⸢ʧi⸣ʔiː] 名 熱いご飯。 ⸢ピーリイー⸣ヤ ッ⸢ふァーンドー⸣シ ア⸢チ⸣イーラ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢piːriʔiː⸣ja f⸢faːndoː⸣ʃi ʔa⸢ʧi⸣ʔiːra f⸢fai⸣ba] (冷や飯は食べないで熱いご飯から食べなさいよ) 806 0 0 776 htmvoc_806.wav アチウン ア⸢チ⸣ウン [ʔa⸢ʧi⸣uŋ] 名 蒸かしたての熱いサツマイモ。 アチー⸢アチーヌ クーフキウン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [ʔaʧiː⸢ʔaʧiːnu kuːɸu̥kiʔum⸣maː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (蒸かしたての熱い、澱粉の多いサツマイモ<粉噴きイモ>は非常に美味しかった)。 ⸢キールウン⸣ ア⸢ガウンマー⸣ ア⸢ジマー⸣ン ⸣アリティ プ⸢ソー⸣ フ⸢バリテイル⸣ ッ⸢ふァーリタル [⸢kiːruʔuŋ⸣ ʔa⸢gaʔummaː⸣ ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ ʔariti pu̥⸢soː⸣ ɸu⸢baritiru⸣ f⸢faːritaru] (黄色イモ、赤イモは甘味があって他人には食べさせられないほど美味しかった<人を縛っておいてぞ食べられた>) 906 0 0 777 htmvoc_906.wav アチェーン ⸣アチェーン [⸣ʔaʧeːŋ] 連 熱くなった。温くなった。⸣アツン[⸣ʔaʦuŋ](熱くなる{EOS}温まる)の完了形。 ⸢スー⸣ヤ ⸣アチェーンカヤー [⸢suː⸣ja ⸣ʔaʧeːŋkajaː] (お汁は熱くなったかねえ)。 ⸣アチェー ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [⸣ʔaʧeː ⸣munoː ⸣nuːja] (熱くなったものは何か) 822 0 0 778 htmvoc_822.wav アチカビ ア⸢チカビ [ʔa⸢ʧikabi] 名 厚紙。 ア⸢チカビ⸣シ カ⸢ビパク⸣ ス⸢ク⸣リバ [ʔa⸢ʧikabi⸣ʃi ka⸢bipaku⸣ su̥⸢ku⸣riba] (厚紙で紙箱を作りなさいよ) 844 0 0 779 htmvoc_844.wav アチキ ア⸢チ⸣キ [ʔa⸢ʧi⸣ki] 名 湯気。 ヤ⸢コン⸣ヌ ア⸢チ⸣キナ ユ⸢ダ⸣リティ ミ⸢ジフク⸣ル ⸢シー ベー [ja⸢kon⸣nu ʔa⸢ʧi⸣kina ju⸢da⸣riti mi⸢ʤiɸu̥ku⸣ru ⸢ʃiː beː] (湯沸し<薬缶>の湯気で火傷して<茹って>水ぶくれ<みずばれ>している) 604 0 0 780 htmvoc_604.wav アチサー ア⸢チ⸣サー [ʔa⸢ʧi⸣saː] 名 熱いお茶。茶をたてて湯気の立つ、ほやほやのお茶。心のこもった接待のお茶。 ア⸢チ⸣サー アス⸢コーアスコー⸣シ ⸣ヌミティ ⸣パリバ [ʔa⸢ʧi⸣saː ʔasu̥⸢koːʔasukoː⸣ʃi ⸣numiti ⸣pariba] (熱い茶を、湯気の立つ熱いうちに<熱々{f}ァッァッ{/f}と湯気を立てながら{EOS}\ruby{温温}{ヌク|ヌク}と{EOS}アチコーコー>飲んで行きなさいよ) 823 0 0 781 htmvoc_823.wav アチチ ア⸢チチ [ʔa⸢ʧiʧi] 感 熱い!!熱いものに触れた時に発することば。熱いものに触れた際の痛さを表すことば。 ア⸢チチ⸣ ク⸢ヌ サー⸣ヤ イ⸢ツァー⸣ヌ フ⸢チ⸣ ヤ⸢キンギサ⸣ル [ʔa⸢ʧiʧi⸣ ku⸢nu saː⸣ja ʔi⸢ʦaː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ ja⸢kiŋgisa⸣ru] (熱い{EOS!}{EOS!}<あちち>、このお茶は熱くて、口をやけど<火傷>しそうだ) 824 0 0 782 htmvoc_824.wav アチッサールン ア⸢チッサー⸣ルン [ʔa⸢ʧissaː⸣ruŋ] 自動 ほろ酔い加減になる。酒がまわって上機嫌になる。 サ⸢キ⸣ イ⸢チン⸣ゴー ⸣ヌムカー ア⸢チッサー⸣ルン [sḁ⸢ki⸣ ʔi⸢ʧiŋ⸣goː ⸣numukaː ʔa⸢ʧissaː⸣ruŋ] (酒を一合飲むとほろ酔い加減になる<すっかり出来あがって上機嫌になる>)。 ⸣アブジェー キ⸢サーティ⸣ ア⸢チッサー⸣リ ⸢オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ki̥⸢saːti⸣ ʔa⸢ʧissaː⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (お祖父さんは、すでにほろ酔い加減になっておられる) 829 0 0 783 htmvoc_829.wav アチッス ア⸢チ⸣ッス [ʔa⸢ʧi⸣ssu] 名 排泄されたばかりの熱い糞便。 ウ⸢シヌ⸣ ア⸢チ⸣ッス ⸢フンキティ⸣ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ ʔa⸢ʧi⸣ssu ⸢ɸuŋkiti⸣ ja⸢nija⸣nu na⸢ra⸣nu] (牛の排泄したばかりの熱い糞を踏んで、汚くて仕方がない) 825 0 0 784 htmvoc_825.wav アチバイ ア⸢チ⸣バイ [ʔa⸢ʧi⸣bai] 名 熱い灰。温灰(ぬくばい)。「あつばい」の転訛したもの。 ⸣ドゥク ム⸢ニ⸣ ユムカー ア⸢チ⸣バイ ⸢ファーサリン⸣ダー [⸣duku mu⸢ni⸣ jumukaː ʔa⸢ʧi⸣bai f⸢faːsarin⸣daː] (あんまり文句をいうと熱い灰を食わされるぞ) 826 0 0 785 htmvoc_826.wav アチビー ア⸢チ⸣ビー [ʔa⸢ʧi⸣biː] 名 ご飯とお粥の中間程度の柔らかさに炊いた粥。固めの粥。 バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤムカー ア⸢チ⸣ビ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーシ [ba⸢ta⸣nu ⸣jamukaː ʔa⸢ʧi⸣bi tḁ⸢ki⸣ f⸢faːʃi] (おなかが痛かったらアチビー粥を炊いて食べさせなさい) 827 0 0 786 htmvoc_827.wav アチビーカイ ア⸢チ⸣ビーカイ [ʔa⸢ʧi⸣biːkai] 名 やや硬めのお粥。ア⸢チ⸣ビー[ʔa⸢ʧi⸣biː](硬めの粥)に同じ。歯のない老人達が好んで食した。病み上がりの人もア⸢チ⸣ビーカイを食べながら、徐々に⸢コー⸣イー[⸢koː⸣ʔiː](普通のご飯{EOS}「強飯」の転訛)へと移した。 ア⸢チ⸣ビーカイ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァース⸣カー ⸣バター ⸢ノー⸣ルン [ʔa⸢ʧi⸣biːkai tḁ⸢ki⸣ f⸢faːsu⸣kaː ⸣bataː ⸢noː⸣ruŋ] (固めの粥を炊いて食べさせると腹痛が治る)。 バ⸢タグヮイ⸣ヌ ⸣マサーカサー ⸢ナーン⸣ベーティ ア⸢チ⸣ビーカイ ッ⸢ふァイベー [ba⸢tagwai⸣nu ⸣masaːkasaː ⸢naːm⸣beːti ʔa⸢ʧi⸣biːkai f⸢faibeː] (腹具合がおもわしくない<調子が悪い>ので、アチビー粥を食べている) 828 0 0 787 htmvoc_828.wav アチビライ ア⸢チビライ [ʔa⸢ʧibirai] 名 親交。深交。 ⸢ウン⸣ネートー ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢チビライ シー オー⸣ル [⸢ʔun⸣neːtoː mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʧibirai ʃiː ʔoː⸣ru] (その家とは昔から親交を続けておられる<篤い交際をしておられる>) 830 0 0 788 htmvoc_830.wav アチブッター ア⸢チブッター [ʔa⸢ʧibuttaː] 名 厚ぼったいもの。 ク⸢ヌ キン⸣マー ア⸢チブッター⸣ ナリティ キ⸢シングリ⸣サン [ku⸢nu kim⸣maː ʔa⸢ʧibuttaː⸣ nariti ki̥⸢ʃiŋguri⸣saŋ] (この着物は厚ぼったくなって着ずらい) 877 0 0 789 htmvoc_877.wav アチミ ア⸢チミ [ʔa⸢ʧimi] 名 厚み。厚さ<厚い薄いの程度>。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ツァ⸣ヌ ア⸢チミ⸣ パ⸢カ⸣リ⸢ミー [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʦa⸣nu ʔa⸢ʧimi⸣ pḁ⸢ka⸣ri⸢miː] (この板の厚みを計ってごらんよ)。 ⸢コンクリー⸣ヌ ア⸢チミヌ⸣ ピサティ ⸢トゥッ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [⸢koŋkuriː⸣nu ʔa⸢ʧiminu⸣ pi̥sati ⸢tuk⸣ki ⸢naː⸣nu] (コンクリートの厚みが薄いので、陥没してしまった)。ク⸢ビイツァヌ⸣ ア⸢チメー ヌー⸣シヤー。ピ⸢サーピサーヌ サンブイツァバ⸣ル シゥ⸢カイヨーッ⸣タ⸢ダー[ku⸢biʔiʦanu⸣ ʔa⸢ʧimeː nuː⸣ʃijaː。pi̥⸢saːpisaːnu sambuʔiʦaba⸣ru si̥⸢kaijoːt⸣ta⸢daː](壁板の厚みはどうかね{EOS}薄い三分板を<ぞ>使われたよ) 831 0 0 790 htmvoc_831.wav アチムヌ ア⸢チ⸣ムヌ [ʔa⸢ʧi⸣munu] 名 熱いもの。炊き立ての熱い御飯、食物。 ア⸢チ⸣ムノー ⸢ピーラシ⸣ティ ッ⸢ふァイ⸣バ [ʔa⸢ʧi⸣munoː ⸢piːraʃi̥⸣ti f⸢fai⸣ba] (熱いものは冷まして食べなさい) 871 0 0 791 htmvoc_871.wav アチャー ⸣アチャー [⸣ʔaʧaː] 名 父。名称、呼称ともに用いる。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャー ⸣キノー ウ⸢キ⸣ナー ⸢オーッ⸣タ [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaː ⸣kinoː ʔu⸢ki⸣naː ⸢ʔoːt⸣ta] (私の家のお父さんは昨日沖縄へ行かれた)。 ア⸢チャー キュー⸣ヤ ⸢パイ⸣サ ユクイ⸢オー⸣リ [ʔa⸢ʧaː kjuː⸣ja ⸢pai⸣sa jukui⸢oː⸣ri] (お父さん、今日は早くお休みなさい)。おもろ語の「あさ」(「親」の同義語、集落の長老)と同じことばであろう、との説がある 837 0 0 792 htmvoc_837.wav アチユー ア⸢チ⸣ユー [ʔa⸢ʧi⸣juː] 名 熱い湯。熱湯。 ア⸢チユー⸣ヤ ン⸢メーマ ピーラ⸣シティ ⸣サー ⸢サウバル⸣ ン⸢マー⸠ダー [ʔa⸢ʧijuː⸣ja ʔm⸢meːma piːra⸣ʃi̥ti ⸣saː ⸢saubaru⸣ ʔm⸢maː⸠daː] (熱湯は少し冷ましてから茶を入れた<注いだ>ほうが美味しいよ) 838 0 0 793 htmvoc_838.wav アチライ ア⸢チ⸣ライ [ʔa⸢ʧi⸣rai] 名 誂え。注文。 シ⸢ナムノー⸣ トゥ⸢カ⸣グヮーアンマー マ⸢チヤー⸣ナ ア⸢チ⸣ライ⸣シケーバ ⸣ムティキー ⸢フィーリ⸣ヨー [ʃi⸢namunoː⸣ tu̥⸢ka⸣gwaːʔammaː ma⸢ʧijaː⸣na ʔa⸢ʧi⸣rai ⸣ʃi̥keːba ⸣mutikiː f⸢fiːri⸣joː] (品物はトゥカグヮー姉さんのお店に注文してあるから持ってきてくれよ) 839 0 0 794 htmvoc_839.wav アチライルン ア⸢チライ⸣ルン [ʔa⸢ʧirai⸣ruŋ] 他動 誂える。発注する。「嘱・勧、アツラフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 シ⸢ナムノー⸣ イ⸢サナケー⸣ ア⸢チライ⸣ルンティ タ⸢ナ⸣ミ ⸢ベー [ʃi⸢namunoː⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ ʔa⸢ʧirai⸣runti ta⸢na⸣mi ⸢beː] (品物は石垣へ注文<誂えようと>しようと頼んでいる)。 ⸣ドゥー ⸢カッティニ⸣ ア⸢チラーラ⸣ヌ [⸣duː ⸢kattini⸣ ʔa⸢ʧiraːra⸣nu] (自分勝手に誂えられない)。 シ⸢ナムノー⸣ ア⸢チライ⸣ル <ア⸢チ⸣ラウ> ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi⸢namunoː⸣ ʔa⸢ʧirai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (品物は誂えることは出来る)。 ア⸢チライ⸣レー <ア⸢チライ⸣ヤー> ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʧirai⸣reː ⸣misamunu] (誂えば良いのに)。 ア⸢チライ⸣リ [ʔa⸢ʧirai⸣ri] (誂えよ) 832 0 0 795 htmvoc_832.wav アチラウン ア⸢チ⸣ラウン [ʔa⸢ʧi⸣rauŋ] 他動 注文する。注文して作らせる。あつらえる(誂える)。「嘱・勧、アツラフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 シ⸢ナムヌ⸣ ア⸢チ⸣ラウンティ ⸢スンドゥ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢クー⸣ンダ ア⸢チラーラ⸣ヌ [ʃi⸢namunu⸣ ʔa⸢ʧi⸣raunti ⸢sundu⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢kuː⸣nda ʔa⸢ʧiraːra⸣nu] (品物を注文しよう<誂えよう>とするが、船が来ないので誂えられない)。 ⸢カッティニ⸣ ア⸢チ⸣ライ ⸣ミサカー ア⸢チ⸣ラウ ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kattini⸣ ʔa⸢ʧi⸣rai ⸣misakaː ʔa⸢ʧi⸣rau ⸣ku̥toː⸣ naruŋ] (勝手に誂えて良ければ誂えるることは出来る)。 ⸣ドゥーシ ア⸢チ⸣ライ [⸣duːʃi ʔa⸢ʧi⸣rai] (自分で注文しろ<誂えろ>)。ア⸢チライ⸣ルン[ʔa⸢ʧirai⸣ruŋ](誂える)と同じ。 ヤー⸢ディンティ⸣ ア⸢ズ⸣スクン ⸢デー⸣カ バー ア⸢チ⸣ラウン⸢ダー [jaː⸢dinti⸣ ʔa⸢ʣu⸣su̥kun ⸢deː⸣kaː ⸣baː ʔa⸢ʧi⸣raun⸢daː] (是非にというのであれば、私は注文するよ)。 ア⸢チラー⸣ヌ [ʔa⸢ʧiraː⸣nu] (誂えない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢チライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʧirai⸣jaː ⸣misamunu] (早く注文すれば良いのに)。 ア⸢チ⸣ライバ [ʔa⸢ʧi⸣raiba] (注文しなさい<誂え>よ)。 シ⸢ナムヌ⸣ ア⸢チ⸣ラウン [ʃi⸢namunu⸣ ʔa⸢ʧi⸣rauŋ] (品物を誂える)。 ア⸢チライ⸣ プサン [ʔa⸢ʧirai⸣ pu̥saŋ] (誂えたい)。 ⸣プサカー ⸢パー⸣ク ア⸢チ⸣ラウ ⸣クトゥ [⸣pusakaː ⸢paː⸣ku ʔa⸢ʧi⸣rau ⸣ku̥tu] (欲しければ早く誂えることだ) 841 0 0 796 htmvoc_841.wav アチラスン ア⸢チラ⸣スン [ʔa⸢ʧira⸣suŋ] 他動 温める。冷めたお汁などを温める。賑やかにする。お汁を温める場合はア⸢ツァ⸣スンとも言う。 ⸣スー ア⸢チラ⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ア⸢チラサラ⸣ヌ [⸣suː ʔa⸢ʧira⸣sunti ⸢beː⸣nundu mut⸢tu⸣ ʔa⸢ʧirasara⸣nu] (お汁を温めようとしているが、ちっとも温められない)。 ア⸢チラ⸣シ ⸣ミサカー ア⸢チラ⸣ス <アツァス> ⸣クトー ナルン⸢ダー [ʔa⸢ʧira⸣ʃi ⸣misakaː ʔa⸢ʧira⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (温めて良ければ温めることはできるよ)。 ア⸢チラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʧira⸣ʃeː ⸣misamunu] (温めれば良いのに)。 ア⸢チラ⸣シバ [ʔa⸢ʧira⸣ʃiba] (温めなさいよ) 842 0 0 797 htmvoc_842.wav アチルン ア⸢チ⸣ルン [ʔa⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 熱くなる。お汁等が温まる。 ⸣ピー ⸢タスク⸣カー ⸢スー⸣ヤ ⸢ナンク⸣ル ア⸢チ⸣ルン [⸣piː ⸢tasu̥ku⸣kaː ⸢suː⸣ja ⸢naŋku⸣ru ʔa⸢ʧi⸣ruŋ] (火を焚き付けるとお汁は自然に熱くなる)。 ⸢スー⸣ヤ マ⸢ダ⸣ ア⸢チラ⸣ヌ [⸢suː⸣ja ma⸢da⸣ ʔa⸢ʧira⸣nu] (お汁はまだ温まらない)。 キ⸢サーティ⸣ ア⸢チ⸣レーン <⸣アチェーン> [ki̥⸢saːti⸣ ʔa⸢ʧi⸣reːŋ <⸣ʔaʧeːŋ>] (既に熱くなった)。 ア⸢チ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʧi⸣ri ⸢naː⸣nu] (熱くなってしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ア⸢チ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ʔa⸢ʧi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く温まることはない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢チ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʧi⸣reː ⸣misamunu] (早く温まれば<熱くなれば>いいのに) 845 0 0 798 htmvoc_845.wav アッ アッ [ʔaʔ] 感 あッ!!突然の事態に応じて発する驚きの声。 ⸢アッ デー⸣ジ ⸢シーナー⸣ヌ ⸢キッ⸣プ ⸢バシキ⸣ キー⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaʔ deː⸣ʤi ⸢ʃiːnaː⸣nu ⸢kip⸣pu ⸢baʃi̥ki⸣ kiː⸢naː⸣nu] (あっ{EOS!} 大変だ{EOS}切符を忘れて来てしまった) 872 0 0 799 htmvoc_872.wav アツァ ⸣アツァ [⸣ʔaʦa] 名 明日。「~安志多<アシタ>には門に出で立ち~。万、4209」の転訛したもの。 ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣ティ クー⸢ナー [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣ti kuː⸢naː] (明日の朝、来ようねえ)。 ア⸢ツァ⸣ヌ クトー ッ⸢サヌ [ʔa⸢ʦa⸣nu ku̥toː s⸢sanu] (明日 のことは知らない)。 ア⸢ツァ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣マリ⸢ヨー [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸢juː⸣ja muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari⸢joː] (明晩<明日の夜>はみんな集まれよ)。 ⸣アツァー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーンツォー [⸣ʔaʦaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːnʦoː] (明日は雨が降るそうだ)。 ア⸢ツァ⸣ヌ ⸣クトゥ [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸣ku̥tu] (明日のこと)。 ア⸢ツァー⸣ラ ⸢ガッ⸣コー パ⸢ジマルン [ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢gak⸣koː pa⸢ʤimaruŋ] (明日から学校が始まる) 873 0 0 800 htmvoc_873.wav アツァー ⸣アツァー [⸣ʔaʦaː] 名 暑さ。熱気。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣アッツァー ⸢デー⸣ジ⸢ダー⸣ ミ⸢ナ⸣カー ⸢ナー⸣ト ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢kjuː⸣nu ⸣ʔatʦaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː⸣ mi⸢na⸣kaː ⸢naː⸣to ʔn⸢ʤirara⸣nu] (今日の暑さは大変だぞ、庭へなど出ることは出来ない) 881 0 0 801 htmvoc_881.wav アツァーン ア⸢ツァー⸣ン [ʔa⸢ʦaː⸣ŋ] 形 熱い。イ⸢ツァー⸣ン[ʔi⸢ʦaː⸣ŋ](熱い{EOS}痛い)ともいう。 ア⸢チ ⸢ユー⸣ヤ ア⸢ツァー⸣ンダ ヌ⸢マラ⸣ヌ [a⸢ʧi ⸢juː⸣ja ʔa⸢ʦaː⸣nda nu⸢mara⸣nu] (お湯は熱いから飲めない)。 ⸣ドゥク ア⸢ツァー⸣ムノー ヌ⸢ム⸣ナ ン⸢メーマ⸣ ミ⸢ジ バイティ⸣ ヌミ [⸣duku ʔa⸢ʦaː⸣munoː nu⸢mu⸣na ʔm⸢meːma⸣ mi⸢ʤi baiti⸣ numi] (あんまり熱いものは飲むな{EOS}少し水で割って<薄めて>飲みなさい)。 ア⸢ツァー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔa⸢ʦaː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (熱くて飲めない<飲まれない>)。 ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ツァー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢ʦaː naː⸣nu] (あまり熱くない) 880 0 0 802 htmvoc_880.wav アツァアシトゥ アツァ⸢アシ⸣トゥ [ʔaʦa⸢ʔaʃi̥⸣tu] 名 明日、明後日。この一両日。 アツァ⸢アシ⸣トー イ⸢サナケーラヌ⸣ フニーン ⸢ペー⸣リ ⸢キー⸣ス ⸣パジ [ʔaʦa⸢ʔaʃi̥⸣toː ʔi⸢sanakeːranu⸣ ɸuniːm ⸢peː⸣ri ⸢kiː⸣su ⸣paʤi] (明日明後日は石垣からの船も入港する<入ってくる>はずだ) 884 0 0 803 htmvoc_884.wav アツァキクッツァーン ア⸢ツァキクッ⸣ツァーン [ʔa⸢ʦakikut⸣ʦaːŋ] 形 暑苦しい。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢スー⸣ワサーリ カ⸢ジン⸣ トゥ⸢リティ キュー⸣ヌ ⸣アツァキ⸢クッ⸣ツァー ム⸢ヌ ウモーラ⸣ヌ [ti⸢da⸣nu ⸢suː⸣wasaːri ka⸢ʤin⸣ tu⸢riti kjuː⸣nu ⸣ʔaʦaki⸢kut⸣ʦaː mu⸢nu⸣ ʔu⸢moːra⸣nu] (太陽の熱が強く、風も凪ぎ、無風状態で、今日の暑苦しさはとてもやりきれない<ものごとが考えられない、思考停止の状態だ>) 874 0 0 804 htmvoc_874.wav アツァシトゥムティ ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣ティ [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣ti] 連 明日の朝。明朝。 ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣テー ⸢トゥンナキン⸣ラ ウ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢tunnakin⸣ra ʔu⸢ki⸣ri⸢joː] (明朝<明日の朝>は暁から<鶏鳴時刻から>に起きなさい<起きれ>よ)。⸣アツァは、「あした」の第2音節[ʃi]の前舌狭母音[i]によって第3音節の[t]が口蓋化され、破擦音化して[ʦa]となったもの。シ⸢トゥム⸣ティ[ʃi̥⸢tumu⸣ti]は、「つとめて」の転訛したもの。 ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣テー ⸢トゥンナキンラ⸣ ウキティ ⸢パイ⸣ター ⸣パル ス⸢コール シー⸣ヨー [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢tunnakinra⸣ ʔukiti ⸢pai⸣taː ⸣paru su̥⸢koːru ʃiː⸣joː] (明日の朝は早朝<鶏鳴の時刻>より起きて西表島<南端>へ行く準備をしなさいよ) 846 0 1 805 htmvoc_846.wav アツァスン ア⸢ツァ⸣スン [ʔa⸢ʦa⸣suŋ] 他動 {Mn_1}お汁を温める。熱くする。 カ⸢ティ⸣ムノー ア⸢ツァ⸣シティ ン⸢ザ⸣シバ [ka⸢ti⸣munoː ʔa⸢ʦa⸣ʃi̥ti ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (おかずは温めて出しなさいよ)。 ⸣スー ア⸢ツァ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ア⸢ツァサラ⸣ヌ [⸣suː ʔa⸢ʦa⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔa⸢ʦasara⸣nu] (お汁を温めようとするが、温められない)。 ア⸢ツァ⸣シ ⸣ミサカー ア⸢ツァ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦa⸣ʃi ⸣misakaː ʔa⸢ʦa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (温めてよければ、温めることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く温めれば良いのに)。 ア⸢ツァ⸣シバ [ʔa⸢ʦa⸣ʃiba] (温めよ)。 846 0 2 806 htmvoc_846.wav アツァスン ア⸢ツァ⸣スン [ʔa⸢ʦa⸣suŋ] 他動 {Mn_2}賑やかにする。 ⸢ヤー⸣ヤ ピールボール ナ⸢ラ⸣シ シ⸢キラン⸣ドーシ ⸢サンシン⸣ ピ⸢キティ⸣ ア⸢ツァ⸣シバ [⸢jaː⸣ja ⸣piːruboːru na⸢sa⸣ʃi ʃi⸢kiran⸣doːʃi ⸢saŋʃim⸣ pi⸢kiti⸣ ʔa⸢ʦa⸣ʃiba] (家は冷え冷えとしておかないで、三味線を弾いて賑やかにしなさい<温めなさい>よ) 875 0 0 807 htmvoc_875.wav アツァヌユー ア⸢ツァ⸣ヌ ⸣ユー [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸣juː] 連 明日の夜。明晩。 ア⸢ツァ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ ⸢ユードゥー⸣シ ⸢ソー⸣ルン [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸢juː⸣ja ⸢ʔuinu⸣ʔugananːti ⸢juːduː⸣ʃi ⸢soː⸣ruŋ] (明晩<明日の夜>は友利御嶽<上の御嶽>でユードゥーシの祈願をされる) 833 0 0 808 htmvoc_833.wav アツァマルン ア⸢ツァ⸣マルン [ʔa⸢ʦa⸣maruŋ] 自動 集まる。むらがる。 サ⸢タムラ⸣シナー ⸢アールヌ⸣ ヤ⸢マシ⸣カ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー [sḁ⸢tamura⸣ʃinaː ⸢ʔaːrunu⸣ ja⸢maʃi̥⸣ka ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː] (黒砂糖の塊に蟻がたくさん集まっている)。 ⸢アールヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マルン [⸢ʔaːrunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣maruŋ] (蟻が集まる)。 フ⸢チ⸣ル ⸣マクカー ア⸢ツァマラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣makukaː ʔa⸢ʦamara⸣nu] (薬品を撒いたら集まらない)。 ア⸢ツァ⸣マル⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʦa⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (集まることはない)。 ⸣クナー ア⸢ツァ⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸣kunaː ʔa⸢ʦa⸣mareː ⸣misamunu] (ここに集まれば良いのに)。 プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マルンティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ダ⸣ ア⸢ツァマラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣marunti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢da⸣ ʔa⸢ʦamara⸣nu] (人が集まると聞いたが、まだ集まらない)。 ア⸢ツァ⸣マリ ⸣ミサカー ア⸢ツァ⸣マル ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦa⸣mari ⸣misakaː ʔa⸢ʦa⸣maru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (集まって良ければ集まることは出来る)。 ア⸢ツァ⸣マレー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦa⸣mareː ⸣misamunu] (集まれば良いのに)。 ア⸢ツァ⸣マリバ [ʔa⸢ʦa⸣mariba] (集まれよ)。 ア⸢ツァ⸣マリ [ʔa⸢ʦa⸣mari] (集まれ) 834 0 0 809 htmvoc_834.wav アツァミカツァミ ア⸢ツァ⸣ミカツァミ [ʔa⸢ʦa⸣mikaʦami] 副 掻き集めて。寄せ集めて。ABCDBC型の重言。 ⸢ヤー⸣ナ ⸣アル ⸢ジン⸣バ ア⸢ツァ⸣ミカツァミ ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ タ⸢ラーシ クー⸣タ [⸢jaː⸣na ⸣ʔaru ⸢ʤim⸣ba ʔa⸢ʦa⸣mikaʦami ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ta⸢raːʃi kuː⸣ta] (家にあるお金を掻き集めて、やっとのことで必要額に満たして<足らして>きたよ) 835 0 0 810 htmvoc_835.wav アツァミルン ア⸢ツァミ⸣ルン [ʔa⸢ʦami⸣ruŋ] 他動 集める。 バ⸢コーシン⸣カ ア⸢ツァミ⸣ルンティ ⸢マーリアーク⸣ヌ ⸢マー⸣ フ⸢ター⸣ロー タ⸢ラーンバン [ba⸢koːʃiŋ⸣ka ʔa⸢ʦami⸣runti ⸢maːriʔaːku⸣nu ⸢maː⸣ ɸu̥⸢taː⸣roː ta⸢raːmbaŋ] (共同作業の人員を集めようと回っているが、あと二人は足りないよ)。 ア⸢ツァミラ⸣ヌ [ʔa⸢ʦamira⸣nu] (集めない)。 ア⸢ツァミ⸣ル ⸣クトゥ [ʔa⸢ʦami⸣ru ⸣ku̥tu] (集めること)。 ア⸢ツァミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦami⸣reː ⸣misamunu] (集めれば良いのに)。 ア⸢ツァミ⸣リ [ʔa⸢ʦami⸣ri] (集めろ)。 シ⸢ナムヌ⸣ ア⸢ツァミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ア⸢ツァミララ⸣ヌ [ʃi⸢namunu⸣ ʔa⸢ʦami⸣runti ⸢sundu⸣ ʔa⸢ʦamirara⸣nu] (品物を集めようとするが、集められない)。 ア⸢ツァミ⸣ル プ⸢ソー パー⸣ク ア⸢ツァミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦami⸣ru pu̥⸢soː paː⸣ku ʔa⸢ʦami⸣reː ⸣misamunu] (集める人は、早く集めれば良いのに)。 ⸢ワー⸣ ア⸢ツァミ⸣リバ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʦami⸣riba] (君は集めなさいよ) 887 0 0 811 htmvoc_887.wav アツァムイサン ⸣アツァムイサン [⸣ʔaʦamuisaŋ] 形 暑がりである。普通以上に暑さを感じがちである。「暑さ・思いさあり」の義で、その融合変化した形。⸢ムイ⸣サン[⸢mui⸣saŋ](~がり)は接尾語。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァ ⸢プーマキサーリ⸣ アツァムイサ ⸢スー⸣ ッ⸢ふァバ ユードゥー⸣シ ⸢オンギ⸣ドゥル ⸢シー⸣ ニ⸢バソーッ⸣タ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦa ⸢puːmakisaːri⸣ ʔaʦamuisa ⸢suː⸣ f⸢faba juːdu⸣ʃi ⸢ʔoŋgi⸣duru ⸢ʃiː⸣ ni⸢basoːt⸣ta] (あまりの蒸し暑さと、ほめく<熱く{EOS}熱気をおびる>ように暑がる子供を夜通し扇いで<扇取りをして>寝かされた)。 ウ⸢レー⸣ アツァムイサ ⸢スー ⸣クトー ⸣アツァムイサ ⸢スンドゥ ⸣ニジーン ⸢スン⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔaʦamuisa ⸢suː⸣ ku̥toː ⸣ʔaʦamuisa ⸢sundu⸣ niʤiːn ⸢sun⸠daː] (あれは暑がることは暑がりはするが、我慢もするよ)。 ウ⸢レー ナン⸣ゾー ⸣アツァムイサ サ⸢ヌ [ʔu⸢reː nan⸣ʣoː ⸣ʔaʦamuisa sa⸢nu] (彼はあまり暑がらない) 836 0 0 812 htmvoc_836.wav アツァムン ア⸢ツァ⸣ムン [ʔa⸢ʦa⸣muŋ] 他動 集める。「あつむ(下二段)」の四段化したもの。ア⸢ツァミ⸣ルン[ʔa⸢ʦami⸣ruŋ]と同じ。 ⸢プール⸣ヌ グ⸢サーク⸣マイ ア⸢ツァ⸣ムン [⸢puːru⸣nu gu⸢saːku⸣mai ʔa⸢ʦa⸣muŋ] (豊年祭の五勺米を集める)。 ア⸢ツァマ⸣ヌ [ʔa⸢ʦama⸣nu] (集めない)。 ⸣キュー ア⸢ツァ⸣ミ ⸣ミサカー ア⸢ツァ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kjuː ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣misakaː ʔa⸢ʦa⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (今日集めて良ければ集めることは出来る)。 ア⸢ツァ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦa⸣meː ⸣misamunu] (集めれば良いのに)。 ア⸢ツァ⸣ミバ [ʔa⸢ʦa⸣miba] (集めろよ)。 カ⸢ツシンシンカ⸣ ア⸢ツァ⸣ムンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ア⸢ツァマ⸣ヌ [kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋka⸣ ʔa⸢ʦa⸣munti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢na⸣maː ʔa⸢ʦama⸣nu] (カツオ漁船の船員を集めようと思ったが、今は集めない)。 ア⸢ツァ⸣ミ ⸣ミサカー ア⸢ツァ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣misakaː ʔa⸢ʦa⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (集めてよければ集めることは出来る)。 ア⸢ツァ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ʦa⸣meː ⸣misamunu] (集めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ツァ⸣ミバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ʦa⸣miba] (早く集めろよ) 876 0 0 813 htmvoc_876.wav アツァユネン ⸣アツァユネン [⸣ʔaʦajuneŋ] 名 明日の夕方。みょうせき(明夕)。「明日のゆうべ」の義。 ⸣アツァユネンラー ⸢ユードゥーシ⸣ヌ ⸣グシパナヌ ス⸢コール シーソー⸣ル [⸣ʔaʦajunenra ⸢juːduːʃi⸣nu ⸣guʃipananu su̥⸢koːru ʃiːsoː⸣ru] (明日の夕方<名夕>からユードゥーシの供物の神酒、花米の準備をされる<しなさる>)。 ⸣アツァユネン マー⸢ズン ユー⸣シゥカイ ⸢シン⸣ パラ⸢ナー [⸣ʔaʦajunem maː⸢ʣuŋ ⸢juː⸣si̥kai ⸢ʃim⸣ para⸢naː] (明晩は一緒に夜の追い込み漁<夜の網使い>に行こうね) 882 0 0 814 htmvoc_882.wav アツァン ⸣アツァン [⸣ʔaʦaŋ] 形 暑い。 ⸣ティダナカー ⸣アツァンダ ⸣カサ カ⸢バン⸣カー ⸣フカー ン⸢ジララ⸣ヌ [⸣tidanakaː ⸣aʦanda ⸣kḁsa ka⸢baŋ⸣kaː ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (ひなた<日向>は暑いからクバ笠を被らないと外へは出られない)。 ⸣ドゥク アツァ ⸢ナー⸣ヌ [⸣duku ⸣ʔaʦa ⸢naː⸣nu] (あまり暑くない)。 ⸢シンダイ⸣ アツァ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔaʦa ⸣naruŋ] (次第に暑くなる)。 ⸣アツァ ⸣ピンマー ⸢ユー⸣クイバ [⸣ʔaʦa ⸣pimmaː ⸢juː⸣kuiba] (暑い時は休み<憩い>なさいよ) 883 0 1 815 htmvoc_883.wav アツァン ア⸢ツァ⸣ン [ʔa⸢ʦa⸣ŋ] 形 {Mn_1}厚い。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ベー⸣ ア⸢ツァ⸣ンダ キ⸢サラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ka⸢beː⸣ ʔa⸢ʦa⸣nda ki̥⸢sara⸣nu] (この紙は厚いから切ることが出来ない<切られない>)。 ア⸢チミヌ⸣ ア⸢ツァ⸣ヌ サ⸢カラ⸣ヌ [ʔa⸢ʧiminu⸣ ʔa⸢ʦaː⸣nu sḁ⸢kara⸣nu] (厚みが暑くて裂かれない)。 ア⸢ツァ⸣ ムノーラ イ⸢ラ⸣ビバ [ʔa⸢ʦa⸣munoːra ʔi⸢ra⸣bi] (厚いものから選べ)。 ア⸢ツァ⸣カー シゥ⸢カーリン [ʔa⸢ʦa⸣kaː si̥⸢kaːriŋ] (厚かったら使える)。 883 0 2 816 htmvoc_883.wav アツァン ア⸢ツァ⸣ン [ʔa⸢ʦa⸣ŋ] 形 {Mn_2}篤い。親しい。 ⸢カン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ウ⸢トゥザマリ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ツァー⸣ ア⸢ロー⸣ルン [⸢kan⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢tuʣamari⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʦaː⸣ ʔa⸢roː⸣ruŋ] (あの家の人は親戚一同大変親しくしておられる<親類意識が篤い>)。 キ⸢ム⸣ヌ ア⸢ツァー⸣ クトー ア⸢ツァー⸣ンドゥ ⸢ジン⸣ヌル ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mu⸣nu ʔa⸢ʦaː⸣ ku̥toː ʔa⸢ʦaː⸣ndu ⸢ʤin⸣nuru ⸢naː⸣nu] (情が篤いことは篤いのだが、お金がない) 891 0 0 817 htmvoc_891.wav アツァンギサン ⸣アツァン ⸣ギサン [⸣ʔaʦaŋ ⸣gisaŋ] 連 暑そうだ。 カ⸢マン⸣ トンマー イッ⸢ケン⸣ アツァン ⸣ギサン [ka⸢man⸣tommaː ʔik⸢keŋ⸣ ʔaʦaŋgisaŋ] (あそこは非常に暑そうだ) 849 0 0 818 htmvoc_849.wav アック ⸣アック [⸣ʔakku] 名 悪口。他人を悪し様にいうこと。 ウ⸢リン⸣ アック シ⸢ラリティ⸣ ドゥーヨーリ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔu⸢riŋ⸣ ʔakku ʃi⸢rariti⸣ duːjoːri ⸢ʃiːnaː⸣nu] (そいつに呪われて<悪口されて>病弱になってしまった<胴弱りしていまった>) 562 0 0 819 htmvoc_562.wav アックー ⸢アックー [⸢ʔakkuː] 名 悪口、悪罵。他人を罵り、あしざまにいうこと。沖縄本島糸満方言からの借用語か。普通は、ヤ⸢ナ⸣グチ ⸢ゴー⸣グチ[ja⸢na⸣guʧi ⸢goː⸣guʧi](悪口、罵詈雑言)という。 ウ⸢リンマ⸣ヨー イッ⸢ケナ⸣ アックー シ⸢ラリ ミッ⸣タン [ʔu⸢rimma⸣joː ʔik⸢kena⸣ ʔakkuː ʃi⸢rari mit⸣taŋ] (そいつにはひどく罵られた<悪口された>ことがある) 564 0 0 820 htmvoc_564.wav アックームックー ⸢アックームックー [⸢ʔakkuːmukkuː] 名 悪口。罵詈雑言。⸢アッコームッコー[⸢ʔakkoːmukkoː](悪口、罵詈雑言)ともいう。 プ⸢スンナー⸣ニ ⸣アックームックー サ⸢リティ⸣ カー⸢ネー ブンナ⸣ヨー [pu⸢sunnaː⸣ni ⸣ʔakkuːmukkuː sa⸢riti⸣ kaː⸢neː bunna⸣joː] (他人に罵詈雑言をあびせられて<悪口されて>ばかりいるなよ) 850 0 0 821 htmvoc_850.wav アックームックー ⸣アックームックー [⸣ʔakkuːmukkuː] 名 悪口雑言。罵詈雑言。ABCDEBCD型の重言。 ⸢ウンヌ マーラー⸣ ナカー ⸢ワッ⸣サリ ブ⸢レー⸣ンダ イ⸢カス⸣ク ⸣アックームックー シ⸢ラレー⸣ワ⸢ツォー [⸢unnu maːraː⸣ nakaː ⸢was⸣sari bu⸢reː⸣nda ʔi⸢kasu̥⸣ku ⸣ʔakkuːmukkuː ʃi⸢rareː⸣wa⸢ʦoː] (その頃は、仲が悪かったからどれほど罵詈雑言<悪口雑言>を言われたことか) 1360 0 0 822 htmvoc_1360.wav アッタターナ ⸢アッ⸣タ ⸢ター⸣ナ [⸢ʔat⸣ta ⸢taː⸣na] 連 もとのままに。もとの通りに。もとあった通りに。ヨー⸢ヨー キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ダー⸣ ク⸢レー アッ⸣タ ⸢ター⸣ナ シ⸢キ⸣リ。⸢ウーカ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ[joː⸢joː kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri ku⸢reː ⸢ʔat⸣ta ⸢taː⸣na ʃi̥⸢ki⸣ri。⸢ʔuːka⸣ʃeː na⸢ra⸣nu](よくよく気をつけろよ{EOS}これはもと在ったとおりにしておきなさい{EOS}動かしてはならないよ) 868 0 0 823 htmvoc_868.wav アッタニ ⸢アッ⸣タニ [⸢ʔat⸣tani] 副 急に。不意に。にわかに。だしぬけに。突然に。 ⸢アッ⸣タニ ⸢オ(ー)シケー⸣ ヤ⸢ブ⸣リ ニ⸢シカジヌ⸣ ウティキー ⸢ナーン⸣バン [⸢ʔat⸣tani ⸢ʔo(ː)ʃi̥keː⸣ ja⸢bu⸣ri ni⸢ʃikaʤinu⸣ ʔutikiː ⸢naːm⸣baŋ] (急に天気が崩れて<破れて>北風が吹き降ろしてきて<落ちてきて>しまった)。 ⸢アッ⸣タニ ⸢トゥンジ⸣ キーティ プ⸢ス⸣ ウ⸢バースナ [⸢ʔat⸣tani ⸢tunʤi⸣ kiːti pu̥⸢su⸣ ʔu⸢baːsuna] (急に飛び出してきて人を驚かせるな)。 ⸣カイブ シ⸢グトゥバ アッ⸣タニ ⸢スー⸣カー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン [⸣kaibu ʃi⸢gutuba ʔat⸣tani suː⸣kaː ⸣duː ja⸢ma⸣suŋ] (こんな仕事を急にやると体を損ねる<病ます>) 780 0 0 824 htmvoc_780.wav アッタラ ⸢アッ⸣タラ [⸢ʔat⸣tara] 副 あたら。惜しくも。もったいないことに。 バ⸢カー⸣ムンヌ ⸢アッ⸣タラ ヌ⸢チ⸣バ イ⸢ク⸣サナ シ⸢ティ⸠ナー キ⸢ムイ⸣ツァー [ba⸢kaː⸣munnu ⸢ʔat⸣tara nu⸢ʧi⸣ba ʔi⸢ku⸣sana ʃi̥⸢ti⸠naː ki⸢mui⸣ʦaː] (若者が、あたら命を戦争で落として<捨てて>しまってねえ{EOS}可哀そうに) 869 0 0 825 htmvoc_869.wav アッタラシェーマ アッタラ⸢シェー⸣マ [ʔattara⸢ʃeː⸣ma] 名 可愛い子。いとし子。 アッタラ⸢シェーマー⸣ ミサナリ ⸢アークタン [ʔattara⸢ʃeːmaː⸣ misanari ⸢ʔaːkutaŋ] (可愛い子よ、元気だったか<元気でいたか>) 788 0 0 826 htmvoc_788.wav アッタルムヌ ⸢アッ⸣タルムヌ [⸢ʔat⸣tarumunu] 名 大切なもの。大事なもの。「可惜(あたら)もの」から転訛したもの。 ⸢アッ⸣タルムヌバ ッ⸢ふァイヤー⸣ サ⸢ムティ⸣ ヌンティ シ⸢ティッツァーシ⸣ シケーワ [⸢ʔat⸣tarumunuba f⸢faijaː⸣ sa⸢muti⸣ nunti ʃi̥⸢titʦaːʃi⸣ ʃi̥keːwa] (折角の大事な<勿体ない>ものを食べはしないで、何ゆえに捨てちらかしてあるのか)。「あたらもの(可惜もの)」「~木に伐り行きつ安多良<アタラ>船木を。万、391」の転訛。 ⸢アッ⸣タル ⸣ムヌバ ミシー⸢ミシ⸣ シ⸢ティル⸣ シ⸢ター [⸢ʔat⸣taru ⸣munuba miʃiː⸢miʃi⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ʃi̥⸢taː] (あたら大事なものを、みすみす紛失したのか<捨ててしまったのか>) 892 0 0 827 htmvoc_892.wav アッパ ⸣アッパ [⸣ʔappa] 名 祖母。お祖母さん。親族名称、呼称。他家の祖母に対してもアッパ[⸣ʔappa]という。 アッ⸢パー⸣ ミサナリ ⸢オーッタン [ʔap⸢paː⸣ misanari ⸢oːttaŋ] (お祖母さん、お元気でいらっしゃいましたか)。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アッパー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣レーン⸢ダー [⸢ban⸣tenu ⸣ʔappaː ⸢toːkaki⸣nu joi ⸢soː⸣reːn⸢daː] (私の家の祖母は米寿の祝いをされましたよ) 902 0 0 828 htmvoc_902.wav アッパンガナー ⸢アッパン⸣ガナー [⸢ʔappaŋ⸣ganaː] 名 わがままな女。したい放題に振舞う女。放埒な女。自暴自棄。 ⸣アイブ ⸢アッパンガナー⸣バ トゥ⸢ジ⸣ティ ⸢シー サーリ⸣キ ⸢ベー⸣ヌ ウ⸢ティ⸣スクンカヤー [⸣ʔaibu ⸢ʔappaŋganaː⸣ba tu⸢ʤiti ʃiː saːri⸣kiː ⸢beː⸣nu ʔu⸢tisu̥⸣kuŋkajaː] (あんなわがまま女を妻に迎えて<妻として連れてきて>いるが落ち着くかなあ) 904 0 0 829 htmvoc_904.wav アッピャー ⸢アッピャー [⸢ʔappjaː] 感 あれっ。なんとまあ。意外なことに驚いて発することば。 ⸢アッピャー⸣ <⸣アガイヤー> タンザヌ ⸢シーワザ⸣ヤ ク⸢レー [⸢ʔappjaː⸣ <⸣ʔagaijaː> tanʣanu ⸢ʃiːwaʣa⸣ja ku⸢reː] (何とまあ、どいつの仕業か、これは) 893 0 0 830 htmvoc_893.wav アップアップ ⸢アップアッ⸣プ [⸢ʔappuʔap⸣pu] 副 擬態語。溺れてもがき苦しむさま。水に溺れて両手両足をばたつかせて苦しむさま。 ス⸢ナカ⸣ナー ⸢ウッふィティ アップアッ⸣プ ⸢シー ベー⸣タ [su⸢naka⸣na ⸢ʔuffiti ʔappuʔap⸣pu ⸢ʃiː beː⸣ta] (海に溺れてアップアップしていた) 905 0 0 831 htmvoc_905.wav アツン ⸣アツン [⸣ʔaʦuŋ] 自動 熱くなる。温くなる。ア⸢チ⸣ルン[ʔa⸢ʧi⸣ruŋ](熱くなる)ともいう。 ⸣ピー ⸢タシキ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢スー⸣ヤ ⸢ナンク⸣ル ⸣アツン <ア⸢チ⸣ルン> [⸣piː ⸢taʃi̥ki⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢suː⸣ja ⸢naŋku⸣ru ⸣ʔaʦuŋ ] (火を焚き付けておけば、お汁は自然に熱くなる)。 ⸢スー⸣ヤ マ⸢ダ⸣ ア⸢ツァ⸣ヌ <ア⸢チラ⸣マ> [⸢suː⸣ja ma⸢da⸣ ʔa⸢ʦa⸣nu ] (お汁はまだ温まらない)。 マ⸢ナ⸣マーラ ア⸢チパジミ⸣ルン [ma⸢na⸣maːra ʔa⸢ʧipaʤimi⸣ruŋ] (今から熱くなり始める)。 ⸢パー⸣ク ⸣アチェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ʔaʧeː ⸣misamunu] (早く熱くなれば良いのに) 935 0 0 832 htmvoc_935.wav アテーアン ア⸢テー⸣ アン [ʔa⸢teː⸣ ʔaŋ] 連 覚えている。意識はある。「当てはある」の転訛したもの。 ⸣ユベー ⸢ワッ⸣テナ ヌ⸢ム⸣タ クトゥ⸢バー⸣ケー ア⸢テー⸣ アン [⸣jubeː ⸢wat⸣tena nu⸢mu⸣ta ku̥tu⸢baː⸣keː ʔa⸢teː⸣ ʔaŋ] (昨夜は貴方の家で飲んだことまでは記憶がある) 913 0 0 833 htmvoc_913.wav アテーナーヌ ア⸢テー ナー⸣ヌ [ʔa⸢teː naː⸣nu] 連 正気がない。無意識である。気付かない。意識がない。 ウ⸢リヌ トー⸣リ ⸢クーター⸣ル ア⸢テー ナー⸣ン カ⸢サムタ⸣ダー [ʔu⸢rinu toː⸣ri ⸢kuːtaː⸣ru ʔa⸢teː naː⸣ŋ kḁ⸢samuta⸣daː] (彼が倒れてきたので無意識に掴んだのだよ)。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸣クトー ⸢ピッ⸣チン ア⸢テー ナー⸣ヌ [ju⸢bi⸣nu ⸣ku̥toː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢teː naː⸣nu] (昨夜のことは何も意識がない)。 ⸣ユビ ⸢ワー オー⸣レータンティ ア⸢ズヌ⸣ バー ⸢ピッ⸣チン ア⸢テー ナーン⸠ツォー [⸣jubi ⸢waː ʔoː⸣reːtanti ʔa⸢ʣunu⸣ baː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢teː naːn⸠ʦoː] (昨夜あなたが来られたというが、私は全く気付かなかったんですよ) 919 0 0 834 htmvoc_919.wav アテーナーン ア⸢テーナー⸣ン [ʔa⸢teːnaː⸣ŋ] 連・副 気付かず。無意識に。覚えず。 ア⸢テーナー⸣ン ウ⸢ヤー⸣リティ プ⸢ス⸣ ウ⸢バーシ⸣ シケー [ʔa⸢teːnaː⸣ŋ ʔu⸢jaː⸣riti pu̥⸢su⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥keː] (覚えず大声をだして<わめいて>人をびっくりさせてある)。 シ⸢グトゥブリバ シーベー⸣ティ ア⸢テーナーン⸣ケン ンジパリ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutuburiba ʃiːbeː⸣ti ʔa⸢teːnaːŋ⸣ken ⸣ʔnʤipari ⸢naː⸣nu] (仕事に夢中になって<仕事惚れして>気付かないうちに出て行ってしまった)。 ヨー⸢ンナー⸣ ムティ ⸢クータ⸣ヌ イ⸢シ⸣ナ シ⸢キッ⸣クミティ ア⸢テーナー⸣ン ク⸢バ⸣シ シ⸢ティナー⸣ヌ [joː⸢nnaː⸣ muti ⸢kuːta⸣nu ʔi⸢ʃi⸣na ʃi̥⸢kik⸣kumiti ʔa⸢teːnaː⸣ŋ ku⸢ba⸣ʃi ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (ゆっくり持ってきたが石に蹴躓いてついうっかりこぼしてしまった) 907 0 1 835 htmvoc_907.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 {Mn_1}当て。頼りになるもの。心積もり。予定。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァバ⸣ ア⸢ティ シール⸣ シ⸢マー⸣ラ ンジケー⸢ダー [ku⸢nu⸣ f⸢faba⸣ ʔa⸢ti ʃiːru⸣ ʃi⸢maː⸣ra ʔnʤikeː⸢daː] (この子を当てにして島から出てきたのだよ)。 907 0 2 836 htmvoc_907.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 {Mn_2}消息。 ⸢パッ⸣タ⸢ターナ⸣ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [⸢pat⸣ta⸢taːna⸣ ʔa⸢tiŋ⸣ku̥tin ⸢naː⸣nu] (行ったきり音沙汰もない)。 907 0 3 837 htmvoc_907.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 {Mn_3}補強のためにあてがうもの。 ⸣ブリ ⸢ベーン⸣ トンナー イ⸢ツァ⸣ヌ ア⸢ティバ⸣ ア⸢ティティ⸣ フ⸢バリ⸣ シキバ [⸣buri ⸢beːn⸣tonna ʔi⸢ʦa⸣nu ʔa⸢tiba⸣ ʔa⸢titi⸣ ɸu⸢bari⸣ ʃi̥kiba] (折れている所に板の当て<添え木>を当てて縛っておきなさいよ)。 907 0 4 838 htmvoc_907.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 {Mn_4}宛て。 ⸣バー ア⸢ティヌ⸣ ティ⸢ガ⸣メー ⸣ケーンカヤー [⸣baː ʔa⸢tinu⸣ ti⸢ga⸣meː ⸣keːŋkajaː] (私宛の手紙は来たか<届いているか>ねえ) 908 0 0 839 htmvoc_908.wav アティ ア⸢ティ [ʔa⸢ti] 名 当て木。薪割りの際に用いる当て木。一種の枕木。 タ⸢ム⸣ヌ バ⸢ル⸣ ピンマー ア⸢ティ⸣ シ⸢キラン⸣カー ⸢ブーヌ⸣ヌ ⸣パー カ⸢カウン⸣ダー [ta⸢mu⸣nu ba⸢ru⸣ pimmaː ʔa⸢ti⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ⸢buːnu⸣nu ⸣paː kḁ⸢kaun⸣daː] (薪を割る時は当て木<枕木>を置かないと斧の刃は、はこぼれ<刃毀れ>するぞ) 915 0 0 840 htmvoc_915.wav アティカールン ア⸢ティカールン [ʔa⸢tikaːruŋ] 自動 予想が変わる。見込みや期待がはずれる。当てが外れる。 シ⸢ダキヌ⸣ パ⸢ナシ⸣トー ア⸢ティカーリ イーシ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ ム⸢タン⸣ツォー [ʃi⸢dakinu⸣ pa⸢naʃi⸣toː ʔa⸢tikaːri ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ mu⸢tan⸣ʦoː] (最初の話とは見当がはずれて<見込み違いで>、角又の値段は上がら<持た>ないそうだ)。ア⸢キナイ⸣ヤー ⸢チャー⸣ ア⸢ティカールン⸣。ア⸢ティカーラン⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ[ʔa⸢kinai⸣jaː ⸢ʧaː⸣ ʔa⸢tikaːruŋ⸣。ʔa⸢tikaːram⸣ munoː ⸢naː⸣nu](商いは常に当てがはずれる{EOS}見込みがはずれない<見込み違いのない>ものはない) 910 0 0 841 htmvoc_910.wav アティガキ ア⸢ティガキ [ʔa⸢tigaki] 名 あてがき(宛書)。宛名書き。標準語からの借用語の転訛したもの。 ティ⸢ガミ⸣ヌ ア⸢ティナーガキ⸣ カキ ッ⸢ふィーリ [ti⸢gami⸣nu ʔa⸢tinaːgaki⸣ kḁki f⸢fiːri] (手紙の宛名を書いてくれ) 911 0 0 842 htmvoc_911.wav アティサキ ア⸢ティサキ [ʔa⸢tisaki] 名 あて先。標準語からの借用語の転訛したもの。 ティ⸢ガミ⸣ヌ ア⸢ティサケー⸣ カ⸢カ⸣リ ブ⸢ラーヌ [ti⸢gami⸣nu ʔa⸢tisakeː⸣ kḁ⸢ka⸣ri bu⸢raːnu] (手紙の宛先は書かれていない) 912 0 1 843 htmvoc_912.wav アティソー ア⸢ティ⸣ソー [ʔa⸢ti⸣soː] 名 {Mn_1}意識。しょうき(正気)。正常な精神。 ア⸢ティソー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ナルンケン ⸣ビータリ ⸢ベー [ʔa⸢tisoː⸣nu ⸢naːn⸣ naruŋkem ⸣biːtari ⸢beː] (正気を失う<正気が無くなる>まで酔いつぶれている)。 912 0 2 844 htmvoc_912.wav アティソー ア⸢ティ⸣ソー [ʔa⸢ti⸣soː] 名 {Mn_2}思慮分別。 ア⸢ティソー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ [ʔa⸢ti⸣soːnu ⸢naːŋ⸣ ja⸢ra⸣bi] (思慮分別のない子供) 916 0 0 845 htmvoc_916.wav アティチガイ ア⸢ティチガイ [ʔa⸢tiʧigai] 名 見込み違い。当て外れ。「当て違い」の義。目論見が狂う。 ⸢キュー⸣ヌ ヤ⸢クスクバ シー⸣ マティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢クー⸣ヌ ア⸢ティチガイ シーナーン⸣バン [⸢kjuː⸣nu ja⸢kusu̥kuba ʃiː⸣ mati ⸢beːn⸣du ⸢kuː⸣nu ʔa⸢tiʧigai ʃiːnaːm⸣baŋ] (今日の約束をして待っているが来ない{EOS}見込み違いをしてしまった) 917 0 0 846 htmvoc_917.wav アティックナー ア⸢ティックナー [ʔa⸢tikkunaː] 名 子供の遊戯。隠されたものを推量して言い当て競争をする遊び。「当てくらべ」の義。 ア⸢ティックナーバ シー⸣ ア⸢サビベータン⸣ドゥ ア⸢タラヌ⸣ティ ⸢シー⸣ ナ⸢キベー [ʔa⸢tikkunaːba ʃiː⸣ ʔa⸢sabibeːtan⸣du ʔa⸢taranu⸣ti ⸢ʃiː⸣ na⸢kibeː] (言い当てっこをして遊んでいたが、当らないといって泣いている) 920 0 0 847 htmvoc_920.wav アティナーンムヌ ア⸢ティナーン⸣ムヌ [ʔa⸢tinaːm⸣munu] 名 思慮分別のない者(幼児)。ア⸢ティナシ[ʔa⸢tinaʃi](思慮分別のない幼児)ともいう。 ア⸢ティナーン⸣ムヌヌ ⸢アーキ⸣バ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔa⸢tinaːm⸣mununu ⸢ʔaːki⸣ba ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (分別のない者<幼児>が歩き回っているから、気をつけなさいよ) 918 0 0 848 htmvoc_918.wav アティナシ ア⸢ティナシ [ʔa⸢tinaʃi] 名 無分別なもの。幼稚なもの。善悪の判断のつかないもの。神口、祈願文のことば。「当て無し」の義。 ア⸢ティナシヌ⸣ ヤ⸢ラビ⸣ドゥ ヤ⸢リバ カンヌ⸣マイシ カ⸢ルイマー⸣シ ピ⸢キマーシ サーロー⸣リ ウ⸢ヤ⸣ヌ ティー ダ⸢カシミ⸣ タ⸢ブ⸣ローリ [ʔa⸢tinaʃinu⸣ ja⸢rabi⸣du ja⸢riba kannu⸣maiʃi ka⸢ruimaː⸣ʃi pi⸢kimaːʃi saːroː⸣ri ʔu⸢ja⸣nu ⸣tiː da⸢kaʃimi⸣ ta⸢bu⸣roːri] (思慮分別のない子供ですから神様でお助け下さって<嘉例回し>引きつれなされて<引き回して>家へ連れて来られて親の手に抱かせて下さい<賜れ>)。 ヤ⸢ラビアティナ⸣シ [ja⸢rabiʔatina⸣ʃi] (無分別な子供<童当てなし>) 921 0 0 849 htmvoc_921.wav アティナルン ア⸢ティ⸣ ナルン [ʔa⸢ti⸣ naruŋ] 連 当てになる。頼りになる。信頼できる。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ティ⸣ ナルン [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ti⸣ naruŋ] (この人は当てになる<信頼できる>) 923 0 0 850 htmvoc_923.wav アティパジリ ア⸢ティパジリ [ʔa⸢tipaʤiri] 名 当て外れ。 ウ⸢ヌシゥ⸣ク ウ⸢キ⸣ナーラヌ シ⸢トゥ⸣バ ウ⸢ヤーンチ⸣ジ ⸢ベータ⸣ヌ ア⸢ティパジリ シーナー⸣ヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ʔu⸢ki⸣naːranu ʃi⸢tu⸣ba ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤi ⸢beːta⸣nu ʔa⸢tipaʤiri ʃiːnaː⸣nu] (あれほど沖縄からのお土産<つと>を期待<念願>していたのに当て外れになってしまった) 928 0 0 851 htmvoc_928.wav アティハマルン ア⸢ティハマルン [ʔa⸢tihamaraŋ] 自動 あてはまる(当て嵌まる)。適合する。合う。合致する。うまくはまる。 ク⸢ビン⸣ヌ フ⸢ター⸣ ギャン⸢ティ⸣ ア⸢ティハマルン [ku⸢bin⸣nu ɸu̥⸢taː⸣ gjan⸢ti⸣ ʔa⸢tihamaruŋ] (瓶の蓋はきっちりと合う{EOS}合致する)。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ター⸣ ア⸢ティハマラヌ [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢taː⸣ ʔa⸢tihamaranu] (この蓋は合わない)。 ⸢クン⸣ナー ア⸢ティハマル⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kun⸣naː ʔa⸢tihamaru⸣ munoː ⸢naː⸣nu] (これに適合するものはない) 929 0 0 852 htmvoc_929.wav アティハミルン ア⸢ティハミルン [ʔa⸢tihamiruŋ] 他動 あてはめる(当て嵌める)。合致させる。合わせる。老年層は、ア⸢ティパミルン[ʔa⸢tipamiruŋ](当て嵌める)という。 パ⸢クヌ⸣ フ⸢ター⸣ ギャン⸢ティ⸣ ア⸢ティハミティ⸣ ス⸢ク⸣リ [pḁ⸢kunu⸣ ɸu̥⸢taː⸣ gjan⸢ti⸣ ʔa⸢tihamiti⸣ su̥⸢ku⸣ri] (箱の蓋はきっちり当て嵌めて作れ)。 ア⸢ティハミル⸣ クトー ア⸢ティハミルンドゥ⸣ ムー⸢ル⸣ ア⸢ティハミラン⸣タンティン ミ⸢サ⸣ル [ʔa⸢tihamiru⸣ ku̥toː ʔa⸢tihamirundu⸣ muː⸢ru⸣ ʔa⸢tihamiran⸣tantim mi⸢sa⸣ru] (当て嵌めることは当て嵌めるが、総て当て嵌めなくても良いよ)。 ア⸢ティハミレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢tihamireː⸣ misamunu] (当て嵌めれば良いのに)。 ア⸢ティハミリ [ʔa⸢tihamiri⸣ba] (当て嵌めろよ) 925 0 0 853 htmvoc_925.wav アティブチニ ア⸢ティブチニ [ʔa⸢tibuʧini] 副 咄嗟(とっさ)に。突然に、出し抜けに。急に。いきなり。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ティブチニ⸣ プ⸢スンナー⸣ニ ⸢ティー ナールター⸣ル ベー⸢シティ⸣ ウ⸢ダラ⸣キティ キ⸢ム⸣ウティ ⸢シーベー⸣ダー [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢tibuʧini⸣ pu̥⸢sunnaː⸣ni ⸢tiː naːrutaː⸣ru beː⸢ʃiti⸣ ʔu⸢dara⸣ki̥ti ki⸢mu⸣ʔuti ⸢ʃiːbeː⸣daː] (出し抜けに人<私>の前に手を突き出してきたので、びっくり仰天して鼓動が収まらないで<心臓がどきどきして>いるよ) 926 0 0 854 htmvoc_926.wav アティルン ア⸢ティルン [ʔa⸢tiruŋ] 他動 当てる。的中させる。ア⸢トゥン[ʔa⸢tuŋ](当てる{EOS}「当つ」<下二>の転訛)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ヌー ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢ティルンティ スンドゥ⸣ ア⸢ティララヌ [ʔu⸢reː⸣ nuː ja⸢ru⸣juː ʔa⸢tirunti sundu⸣ ʔa⸢tiraranu] (それは何なのか、当てようとするが当てられない)。 ア⸢ティ⸣ ミサカー ア⸢ティル⸣ クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ti⸣ misakaː ʔa⸢tiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (当てて良ければ当てることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ティレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢tireː⸣ misamunu] (早く当てれば良いのに)。 ア⸢ティリ⸣バ [ʔa⸢tiri⸣ba] (当てなさいよ) 924 0 0 855 htmvoc_924.wav アディンガー ア⸢ディン⸣ガー [ʔa⸢diŋ⸣gaː] 名 (植)和名、オキナワウラジロガシ(ヤエヤマガシ)。⸣カシンキー[⸣kaʃiŋkiː](椎の木)ともう。椎の木は西表島に産し、高木で20mに達する。材質は硬く、建築用材、船の櫓や櫂などを作るのに用いる。長さ3cm、径2.5cmの卵状球形の堅果は食用、豚の飼料に適する(『図鑑琉球列島有用樹木誌』)。 フ⸢ノーラピトゥ⸣ヌ パリ⸢クー⸣バ ア⸢ディンガー⸣ヌ グ⸢ル⸣シ ミ⸢キ⸣ ヌ⸢マ⸣シ [ɸu⸢noːra pitu⸣nu pari⸢kuː⸣ba ʔa⸢diŋgaː⸣nu gu⸢ru⸣ʃi mi⸢ki⸣ nu⸢ma⸣ʃi] (船浦人が走ってきたら、樫の実の殻で神酒を飲ませ「鳩間中岡<鳩間節>」第13連)。 ア⸢ディンガー⸣ヌ ナ⸢ル⸣ヌ ⸣アル ⸢アイ⸣ヤー カ⸢マイ⸣ヤー ⸢パン⸣タルン [ʔa⸢diŋgaː⸣nu na⸢ru⸣nu ⸣ʔaru ⸢ʔai⸣jaː ka⸢mai⸣jaː ⸢pan⸣taruŋ] (椎の実がある間は、猪は肥える) 933 0 0 856 htmvoc_933.wav アティンガーリン ア⸢ティンガーリン [ʔa⸢tiŋgaːriŋ] 自動 考えられる。判断できる。見当がつく。 ⸣クナーティ ⸣アイブー ク⸢トゥ⸣ヌ ⸢アッ⸣タンテー ア⸢ティンガーランセン [⸣kunaːti ⸣ʔaibuː ku⸢tu⸣nu ⸢ʔat⸣tanteː ʔa⸢tiŋgaːraŋʃeŋ] (ここであんな事があったとは見当もつかなかった)。 ⸢タイガイ⸣ヤー ア⸢ティンガーリン [⸢taigai⸣jaː ʔa⸢tiŋgaːriŋ] (大概は見当がつく)。 ア⸢ティンガーリ ブー [ʔa⸢tiŋgaːri buː] (大凡見当がついている)。 ⸣ドゥーシ ア⸢ティンガーリル⸣ クトゥ ⸢ナー⸣ト ア⸢ラ⸣ヌ [⸣duːʃi ʔa⸢tiŋgaːriru⸣ ku̥tu⸢naː⸣to ʔa⸢ra⸣nu] (自力で見当がつくことなどではない) 932 0 0 857 htmvoc_932.wav アティンガイカティンガイシララヌ ア⸢ティンガイ⸣ カ⸢ティン⸣ガイ シ⸢ララヌ [ʔa⸢tiŋgai⸣ ka⸢tiŋ⸣gai ʃi⸢raranu] 連 考えられない。思慮判断が出来ない。見当がつかない。ア⸢ティンガイカティン⸣ガイはABCDEFBCDE型の重言。 プ⸢ス⸣ケンナー ⸣ヌーンクイン ウ⸢ク⸣リティ ⸢ヌー⸣ル ⸣ヌーユー ア⸢ティンガイ⸣ カティン⸣ガイ シ⸢ララヌ [pu̥⸢su⸣kennaː nuːŋkuiŋ ʔu⸢ku⸣riti ⸢nuː⸣ru ⸣nuːjuː ʔa⸢tiŋgai⸣ ka⸢tiŋgai⸣ ʃi⸢raranu] (一度に何もかも起こって、何がなにやら判断出来ない<見当つけられない>) 909 0 0 858 htmvoc_909.wav アティンガウン ア⸢ティンガウン [ʔa⸢tiŋgauŋ] 他動 あてがう(宛がう)。ぴったりと当てる。標準語からの借用語の転訛したものか。 ⸣ミンナ ア⸢ティンガイティ⸣ <ア⸢ティティ⸣> シ⸢キ⸣バ [⸣minna ʔa⸢tiŋgaiti⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba ] (耳に当てて聞きなさいよ)。 ⸣ミンナ ア⸢ティンガウンドゥ⸣ <アトゥンドゥ> シゥ⸢カラン⸣サー [⸣minna ʔa⸢tiŋgaundu⸣ si̥⸢karan⸣saː] (耳に当てる<宛がう>が聞こえないさ) 922 0 0 859 htmvoc_922.wav アティングインナーヌ ア⸢ティングイン ナー⸣ヌ [ʔa⸢tiŋguin naː⸣nu] 連 音沙汰がない。音信不通である。 タ⸢ベー パッ⸣タ ⸢ターナ⸣ ア⸢ティングイン ナー⸣ヌ [ta⸢beː pat⸣ta ⸢taːna⸣ ʔa⸢tiŋguin naː⸣nu] (旅へ行ったきり<まま>音沙汰がない) 927 0 0 860 htmvoc_927.wav アティンクティンナーヌ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] 連 音沙汰なし。何の消息のない。無関心である。何とも思わない。言いっ放しで責任を取らない。 ウ⸢レー⸣ ンジ ⸢パッ⸣タ ⸢ターナ⸣ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔnʤi ⸢pat⸣ta ⸢taːna⸣ ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] (彼は出て行ったまま音沙汰なしだ)。 ⸣ドゥーシ ア⸢ジティ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢ナッタ⸣クトゥ ⸢バシキティ⸣ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [⸣duːʃi ʔa⸢ʤiti⸣ ma⸢na⸣ma ⸢nat⸣taku̥tu ⸢baʃi̥kiti⸣ ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] (自分で言ったのに、今になって忘れて知らんぷりである<言いっ放しで責任を取らない>)。うんともすんともない。なんの音沙汰もない。平気である。無頓着である。感心がない。下に否定の語を伴って用いられる。 シ⸢マー⸣ラ ンジ⸢パッ⸣タ ⸢ター⸣ナ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナーヌ⸣ヌ イ⸢カ⸣シタ ⸣ムヌカヤー [ʃi⸢maː⸣ra ʔnʤi⸢pat⸣ta ⸢taː⸣na ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naːnu⸣nu ʔi⸢ka⸣ʃi̥ta ⸣munukajaː] (島から出て行ったきり音沙汰もないがどうしたことかねえ)。 ウ⸢ヌス⸣ク ⸣プサ ⸢シーブタヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァ ⸢ヤッタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸣pu̥sa ⸢ʃiːbutanu⸣ mi⸢doːŋ⸣ ffa ⸢jattanu⸣ ma⸢na⸣maː ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] (あれほど欲しがっていた娘<女の子>だったのに、今では全く無関心だ<無頓着である>) 914 0 0 861 htmvoc_914.wav アティンソーンナーヌ ア⸢ティン⸣ソーン ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢tin⸣soːn ⸢naː⸣nu] 連 正気を失っている。記憶をすっかり失っている。物忘れしている。 ア⸢ティン⸣ソーン ⸢ナーン⸣スク サ⸢キバ⸣ ヌミ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [ʔa⸢tin⸣soːn ⸢naːn⸣su̥ku sḁ⸢kiba⸣ numi ⸣nuːja ʔu⸢reː] (前後不覚になる<記憶をすっかり失う>ほど酒を飲んで、一体どうしたのだ<何だね、これは>) 938 0 0 862 htmvoc_938.wav アテンマテー ⸣アテンマテー [⸣ʔatemmateː] 名 屋号。小浜源助氏宅。⸣アテンマー[⸣ʔatemmaː](源助氏の母親)は、⸣アティ・⸣アンマ[⸣ʔamma](姉さん)→ [ʔateːmmaː] → [⸣ʔatemmaː] と音韻変化したもの。 ⸣テー [teː] (~宅)は接尾語()。 985 0 2 865 htmvoc_985.wav アドー ⸣アドー [⸣ʔadoː] 副 {Mn_2}あれほどの長期間。 ⸣アドー ナルンケン ⸢バシキティ⸣ ノー⸢ン⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ シ⸢ティシ⸣ケー [⸣ʔadoː ⸣naruŋkem ⸢baʃi̥kiti⸣ noː⸢n⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʃi̥⸢tiʃi⸣keː] (あれほど長期間になるまで忘れて、何もしないで、ただほったらかして<捨ておいて>ある) 986 0 0 866 htmvoc_986.wav アトーキー ⸣アトーキー [⸣ʔatoːkiː] 連 終には。結局は。最後には。「後へきて」の義。 ⸣ウヤーヤ ッ⸢ふィーランティ コー⸣リ ⸢オーッタン⸣ドゥ ⸣アトーケー フ⸢ターロー⸣ キサー⸢ティ ミートゥン⸣ダ ナ⸢リ⸣ブタツォー [⸣ʔujaːja f⸢fiːranti koː⸣ri ⸢ʔoːttan⸣du ⸣ʔatoːkeː ɸu̥⸢taːroː⸣ ki̥saː⸢ti miːtun⸣da na⸢ri⸣butaʦoː] (親は嫁にやらないと頑なに断っておられたが、終には二人は既に夫婦になっていたそうだ) 988 0 0 867 htmvoc_988.wav アドーナリ ⸣アドーナリ [⸣ʔadoːnari] 副 そんなに長く。あれほどの長期間に。 ⸣アドーナリ ⸣ヤミティ ニ⸢ビル⸣ ブ⸢レーン⸣ギサール [⸣ʔadoːnari ⸣jamiti ni⸢biru⸣ bu⸢reːŋ⸣gisaːru] (あんなに長く病気で<やみて>寝ていたようだよ)。 ⸣アドーナリ ミ⸢ララン⸣ワー ⸢ヌー⸣シタカヤー [⸣ʔadoːnari mi⸢raran⸣wa ⸢nuː⸣ʃi̥takajaː] (あれほどの長期間にわたって姿を現さないが<見られないが>どうしたことだろうか) 989 0 0 868 htmvoc_989.wav アドーヌ ア⸢ドー⸣ヌ [ʔa⸢doː⸣nu] 連体 あんなに遠いところ。 ア⸢ドー⸣ヌ ⸣トンラ ⸢タンガ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢クーター [ʔa⸢doː⸣nu ⸣tonra ⸢taŋga⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuːtaː] (あんな遠い所から一人で歩いて来たのか) 990 0 0 869 htmvoc_990.wav アトーラ ⸣アトーラ [⸣ʔatoːra] 連 後から。⸣アトゥ[ʔatu](後)・⸣カラ[kara](~から)→ [ʔatuhara] → [ʔatuara] → [ʔatoːra] のように音韻変化したもの。 ⸢ワー⸣ アトーラ クーバ⸢ヨー [⸢waː⸣ ʔatoːra kuːba⸢joː] (君は後から来なさいね) 939 1 1 870 htmvoc_939.wav アトゥ ⸣アトゥ [⸣ʔatu] 名 {PoS_1}{Mn_1}後。空間的な背後、後方。 ⸣マイナリ ⸣アトゥナリ ⸢シー⸣ パルン [⸣mainari ⸣ʔatunari ⸢ʃiː⸣ paruŋ] (前になり後になりして行く)。 プ⸢スヌ⸣ アトゥナ ナ⸢ラブナ [pu̥⸢sunu⸣ ʔatuna na⸢rabuna] (人の後ろに並ぶな<人後に落ちるな>)。時間的な後方。 ⸢プール⸣ヌ ⸣アトー ⸢ソーラン⸣ヌ ⸢オー⸣ル⸢ナー⸣ メー [⸢puːru⸣nu ⸣ʔatoː ⸢soːran⸣nu ⸢ʔoː⸣ru⸢naː⸣ meː] (豊年祭の後にはお盆がいらしゃるねえ、もう)。 939 1 2 871 htmvoc_939.wav アトゥ ⸣アトゥ [⸣ʔatu] 名 {Mn_2}後継者。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アトゥ ⸢シープソー ター ヤッタ⸣ メー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔatu ⸢ʃiːpu̥soː taː jatta⸣ meː] (その家の後継者<後をする人>は誰であったかねえ)。 939 2 0 872 htmvoc_939.wav アトゥ ⸣アトゥ [⸣ʔatu] 接頭 {PoS_2}後接要素を修飾し、それに「後」の意味を表す。 ⸣アトゥピュール [⸣ʔatupjuːru] (干支の上で、後にくる吉日)。 ⸣アトゥトゥジ [⸣ʔatutuʤi] (後妻)。 ⸣アトゥマサリ [⸣ʔatumasari] (後の幸運)。 ⸣アトゥフール ⸢マーフー [⸣ʔatuɸuːru ⸢maːɸuː] (後の幸運が真の幸運である)(諺) 940 0 0 873 htmvoc_940.wav アトゥ ⸣アトゥ [⸣ʔatu] 名 跡。痕跡。跡形。⸢パン⸣ヌ ⸣ペー[⸢pan⸣nu ⸣peː](人間の足跡)ともいう。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸢パン⸣ヌ ア⸢トゥ⸣バ ⸣ミレーティル ⸣カマイヤマー ⸢アウ [ka⸢mai⸣nu ⸢pan⸣nu ʔa⸢tu⸣ba ⸣mireːtiru ⸣kamaijamaː ⸢ʔau] (猪の足跡を見ながら猪の罠を仕掛ける<猪を捕獲する仕掛けをあげる>) 941 0 0 874 htmvoc_941.wav アドゥ ⸣アドゥ [⸣ʔadu] 名 踵(かかと)。 ⸢パン⸣ヌ ⸣アドゥ ⸣フダナ ⸢ピッ⸣キティ <ッ⸢サ⸣リティ> ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ⸣ʔadu ⸣ɸudana ⸢pik⸣kiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (足の踵をフダに刺されて痛くてたまらない) 942 0 0 875 htmvoc_942.wav アドゥ ⸣アドゥ [⸣ʔadu] 連体 あんな(に)遠方。あんな(に)長時間。⸣アドゥ[⸣ʔadu]に格助詞⸣-ラ[⸣-ra](から{EOS}ra [⸣ʔatuʔatunu ku̥⸢tu⸣ba ⸢kaŋ⸣gaiti ʔu⸢ja⸣nu ⸢gan⸣ʣoːru ʔu⸢ʧi⸣na ⸢ʔuinu gak⸣koː ⸣pari ] (後々<将来>の事を考えて、親が元気な<頑丈な>内に上級学校へ行きなさい) 943 0 0 877 htmvoc_943.wav アトゥウイ ⸣アトゥウイ [⸣ʔatuʔui] 名 後追い。子供が母親の後を追うこと。シ⸢ビウイ[ʃi⸢biui](尻追い、後追い)ともいう。 パ⸢タ⸣ケー ⸣パルンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ッ⸢ふァヌ⸣ アトゥウイ <シ⸢ビウイ> ⸢シー ウーカラ⸣ヌ [pḁ⸢ta⸣keː⸣parunti ⸢beː⸣nundu f⸢fanu⸣ ʔatuui <ʃi⸢biui> ⸢ʃiː ʔuːkara⸣nu] (畑へ行こうとしているんだが、子供が後追いをして動けない) 945 0 1 878 htmvoc_945.wav アトゥウシ ⸣アトゥウシ [⸣ʔatuʔuʃi] 名 {Mn_1}後押し。荷車などを後から押すこと。⸢ウシゥカラシ[⸢ʔusï̥karaʃi](後押し)ともいう。 ⸢ニーグルマ⸣ヌ ⸣アトゥウシ ⸢スン [⸢niːguruma⸣nu ⸣ʔatuʔuʃi ⸢suŋ] (荷車の後押しをする)。 945 0 2 879 htmvoc_945.wav アトゥウシ ⸣アトゥウシ [⸣ʔatuʔuʃi] 名 {Mn_2}応援。後援。 ッ⸢ふァヌ⸣ アトゥウシ ⸢スール⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ス⸢クブン [f⸢fanu⸣ ʔatuʔuʃi ⸢suːru⸣ ʔu⸢ja⸣nu su̥⸢kubuŋ] (子供の後押し<応援>をするのが親の役目<職分>である)。 ムー⸢ルヌ⸣ アトゥウシ ⸢シーふィーッタ⸣ ウ⸢カ⸣ギシル ⸣カチェー⸢ダー [muː⸢runu⸣ ʔatuʔuʃi ⸢ʃiːfiːtta⸣ ʔu⸢ka⸣giʃiru ⸣kaʧeː⸢daː] (皆が後押ししてくれたお陰で勝ったのだよ<勝ってあるのだよ>) 946 0 0 880 htmvoc_946.wav アトゥカタ ⸣アトゥカタ [⸣ʔatukḁta] 名 跡形。痕跡。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣フキティ ⸢ヤー⸣ヤ ⸣アトゥカタヌ ⸢ナーン⸣スコー トゥ⸢バサリ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kiti ⸢jaː⸣ja ⸣ʔatukatanu ⸢naːn⸣su̥koː tu⸢basari⸣ pari ⸢naː⸣nu] (台風が吹いて家は跡形もないほど吹き飛ばされてしまった)。 イ⸢ク⸣サナー バ⸢ク⸣ダンシ シ⸢ラリティ⸣ アトゥカタン ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ku⸣sanaː ba⸢ku⸣daŋʃi ʃi⸢rariti⸣ ʔatukatan ⸢naː⸣nu] (戦争で、爆弾で破壊されて<やられて>跡形もない) 947 0 0 881 htmvoc_947.wav アトゥカタジキ ⸣アトゥカタジキ [⸣ʔatukataʤiki] 名 後片付け。 キ⸢チゴンヌ⸣ アトゥカタジキ ⸢シン パッ⸣タ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ ʔatukataʤiki ⸢ʃim pat⸣ta] (結願祭の後片付けをしに行った)。 ⸣ムノー ⸢フー⸣カー ⸣アトゥカタジケー シ⸢ティル⸣ ア⸢サビンマー⸣ パル⸢ダー [⸣munoː ⸢fuː⸣kaː ⸣ʔatukataʤikeː ʃi⸢tiru⸣ ʔa⸢sabimmaː⸣ paru⸢daː] (ものを食べたら後片付けをしてから遊びには行くのだよ) 948 0 0 882 htmvoc_948.wav アトゥサキ ⸣アトゥサキ [⸣ʔatusaki] 名 後先。前後。前後の事情。 ⸣アトゥサキ ッ⸢サン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ アー⸣ク [⸣ʔatusḁki s⸢sam⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (後先を知らない<前後の事情をわきまえない>物言い<発言>をしている)。 ⸣アトゥサケー ⸢カンガイ⸣ヤーティル ⸣ムネー イ⸢ズ⸣ダー [⸣ʔatusḁkeː ⸢kaŋgai⸣jaːtiru ⸣muneː ʔi⸢ʣu⸣daː] (前後のことを考えて<ぞ>ものは言うものだぞ) 962 0 0 883 htmvoc_962.wav アトゥザン ⸣アトゥザン [⸣ʔatuʣaŋ] 名 後産(あとざん)。胎児分娩後、胎盤が出ること。胎盤のことをイ⸢ヤ[ʔi⸢ja](胎盤)という。 ⸣アトゥザンヌ ⸣ウレーカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣ʔatuʣannu ⸣ʔureːkaː ⸢soːja naː⸣nu] (後産が出た<下りた>のなら心配はない) 965 0 0 884 htmvoc_965.wav アトゥシキ ⸣アトゥシキ [⸣ʔatuʃi̥ki] 名 後の月。翌月。 ⸣ソンガチヌ ⸣アトゥシキナール ⸢ピューロー⸣ トゥリ ⸣シケーバ ⸢ウン⸣ナー ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢シー⸣ ミ⸢サ⸣ル [⸣soŋgaʧinu ⸣ʔatuʃi̥kinaːru ⸢pjuːroː⸣ turi ⸣ʃi̥keːba ⸢ʔun⸣naː ⸢joi⸣jaː ⸢ʃiː⸣ mi⸢sa⸣ru] (正月の翌月に日和を取ってあるから、それに<その日に>お祝いをしてよかろう) 949 0 0 885 htmvoc_949.wav アトゥシギ ⸣アトゥシギ [⸣ʔatuʃigi] 名 跡継ぎ。家督相続。 ⸢クン⸣ネヌ ⸣アトゥシゲー ⸢タール スーワ [⸢kun⸣nenu ⸣ʔatuʃigeː ⸢taːru suːwa] (この家の跡継ぎは誰がするのか)。 ⸣アトゥシギヌ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢ヤードー⸣リ ⸢シース [⸣ʔatuʃiginu bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢jaːdoː⸣ri ⸢ʃiːsu] (後継ぎがいないと家が断絶する<家倒れする{EOS}絶家となる>) 950 0 0 886 htmvoc_950.wav アトゥシグン ⸣アトゥ シ⸢グン [⸣ʔatu ʃi⸢guŋ] 連 跡を継ぐ。相続する。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣アトゥ シ⸢グン [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔatu ʃi⸢guŋ] (親の跡を継ぐ) 951 0 0 887 htmvoc_951.wav アトゥシマチ ⸣アトゥシマチ [⸣ʔatuʃimaʧi] 名 後始末。後片付け。後処理。 ク⸢ヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アトゥシマチェー ⸢ヌー⸣シ シ⸢キ⸣ル ⸢カン⸣ガイヤ [ku⸢nu⸣ ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔatuʃimaʧeː ⸢nuː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ru ⸢kaŋ⸣gaija] (このことの後始末はどうつけるつもり<考え>か)。 シ⸢グトゥヌ⸣ アトゥシマチン シ⸢キラ⸣ムティ ア⸢サビン⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutunu⸣ ʔatuʃimaʧiŋ ʃi̥⸢kira⸣muti ʔa⸢sabim⸣ pari⸢naː⸣nu] (仕事の後始末もつけないで遊びに行ってしまった) 952 0 0 888 htmvoc_952.wav アトゥシンカー ⸣アトゥシンカー [⸣ʔatuʃiŋkaː] 名 あとずさり(後退り)。 カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣グシ オッ⸢ティ⸣ カミティ ⸣アトゥシンカー ⸢シール⸣ ピ⸢キ⸣ パル⸢ダー [ka⸢rui⸣nu ⸣guʃi ʔot⸢ti⸣ kamiti ⸣ʔatuʃiŋkaː ⸢ʃiːru⸣ pi̥⸢ki⸣ paru⸢daː] (嘉例の神酒<御酒>を恭しく頂いて、後退りして<ぞ>退出<引き去る>するのだよ) 964 0 0 889 htmvoc_964.wav アトゥスクリムヌ ⸣アトゥスクリムヌ [⸣ʔatusukurimunu] 名 遅れて作付けする作物。「後作り物」の義。 ⸣アトゥスクリムヌヌ ⸢ウン⸣ヌ イッ⸢ケナ ミーリティ⸣ イ⸢カス⸣ク サ⸢ニ⸣ヤワ⸢ツォー [⸣ʔatusu̥kurimununu ⸢ʔun⸣nu ʔik⸢kena miːriti⸣ ʔi⸢kasu̥⸣ku sa⸢ni⸣jawa⸢ʦoː] (後作付けの芋がたいそう稔ってなんと嬉しいことか) 966 0 0 890 htmvoc_966.wav アトゥトゥシ ⸣アトゥトゥシ [⸣ʔatutu̥ʃi] 名 翌年。後の年。「後年」の義。 イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥトゥシ⸢バー⸣キ ⸢フイヤケー⸣ ア⸢リ⸣ブタ ッ⸢ふァイムヌヌ ナー⸣ン ブ⸢レー⸣ンダ ウ⸢リ⸣シ ヤ⸢マシゥ⸣カ プ⸢ソー マーラシェーン⸠ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatutu̥ʃi⸢baː⸣keː ⸢ɸuijakeː⸣ʔa⸢ri⸣buta f⸢faimununu naː⸣m bu⸢reː⸣nda ʔu⸢ri⸣ʃi ja⸢masï̥⸣ka pu̥⸢soː maːraʃeːn⸠daː] (戦争の翌年までマラリヤ<震え焼け>はあった<ありおった>{EOS}食べ物がなかったので、マラリヤで多くの人が亡くなったよ) 953 0 0 891 htmvoc_953.wav アトゥトゥジ ⸣アトゥトゥジ [⸣ʔatutuʤi] 名 後妻。 ⸣アトゥトゥジ ヤ⸢ルヌ⸣ マ⸢マッふァトゥヌ⸣ ナカー ⸢カイ⸣ヤン⸢ダー [⸣ʔatutuʤi ja⸢runu⸣ ma⸢maffatunu⸣ nakaː ⸢kai⸣jan⸢daː] (後妻ではあるが継子との仲はきれい<美しい>ですよ)。 サ⸢キトゥジヌ マーラシティ⸣ ヤー⸢タ⸣ シティル ⸣アトゥトゥジェー ⸢サーロー⸣レー⸢ダー [sḁ⸢kituʤinu maːriti⸣ jaː⸢ta⸣ ʃi̥tiru ⸣ʔatutuʤeː ⸢saːroː⸣reː⸢daː] (先妻が亡くなられて、しばらく経って後妻をつれられたのだよ) 968 0 0 892 htmvoc_968.wav アトゥドゥミ ⸣アトゥドゥミ [⸣ʔatudumi] 名 後妻。「後求め」の義か。先妻の死後に探し求めた妻の意。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ アトゥドゥミトゥヌ ⸣ナカナー マ⸢レー⸣ ッ⸢ふァ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔatudumitunu ⸣nakanaː ma⸢reː⸣ f⸢fa] (この子は、後妻とのなかに生まれた子だ) 969 0 0 893 htmvoc_969.wav アトゥトゥリ ⸣アトゥトゥリ [⸣ʔatuturi] 名 跡取り。後継者。相続人。 サ⸢クシ⸣ッふァー ⸢ヤー⸣ヌ ⸣アトゥトゥリティ キ⸢マリブー [sḁ⸢kuʃi⸣ffaː ⸢jaː⸣nu ⸣ʔatuturiti ki⸢maribuː] (長男は家の相続人<跡取り>と決まっている) 987 0 0 894 htmvoc_987.wav アドゥナー ア⸢ドゥ⸣ナー [ʔa⸢du⸣naː] 副 あれほど長く。あれほど遠く。 ア⸢ドゥ⸣ナー ⸣ナルンケン シ⸢グトゥン⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢サビベー [ʔa⸢du⸣naː ⸣naruŋkeŋ ʃi⸢gutun⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢sabibeː] (あれほど長期間になるまで仕事もしないでただ遊んでいるのか) 626 0 0 895 htmvoc_626.wav アトゥナイ ⸣アトゥナイ [⸣ʔatunai] 名 遅苗。後苗。遅植え用の苗。 ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸣アトゥナイ ウ⸢ラ⸣シティ イ⸢ブバル⸣ マ⸢シ [ku⸢nu taː⸣ja ⸣ʔatunai ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ʔi⸢bubaru⸣ ma⸢ʃi] (この水田は後苗をおろして<播種して>植えたほうがよい) 970 0 0 896 htmvoc_970.wav アドゥナイ ア⸢ドゥ⸣ナイ [ʔa⸢du⸣nai] 副 あんなに長い間。ア⸢ドゥ⸣ヌ ⸣アイ[ʔa⸢du⸣nu ⸣ʔai](あんなに長い間{EOS}長期間)の縮約形。 ⸢ワー⸣ ア⸢ドゥ⸣ナイ ⸣ウナール シ⸢トゥ⸣ミ ベー⸢ター [⸢waː⸣ ʔaduːnai ⸣ʔunaːru ʃi̥⸢tu⸣mi beː⸢taː] (君はあんなに長い間そこに勤めていたのか) 971 0 1 897 htmvoc_971.wav アトゥナリサキナリ ⸣アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ [⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari] 連・副 {Mn_1}後になり、先になりして。 ウ⸢ヤッ⸣ふァシ アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸢オーッ⸣タ [ʔu⸢jaf⸣faʃi ⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari ⸢kis⸣su ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔoːt⸣ta] (親子して後になり先になりして競争して歩いて行かれた)。 971 0 2 898 htmvoc_971.wav アトゥナリサキナリ ⸣アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ [⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari] 連・副 {Mn_2}遅かれ早かれ。結局。どのみち。 ⸣アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ ノー⸢シン⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ムヌバ ナー⸢イ⸣ シ⸢ヌッ⸣クリ ⸢ベー [⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari noː⸢ʃim⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ram⸣munuba naː⸢i⸣ ʃi⸢nuk⸣kuri ⸢beː] (結局{EOS}<遅かれ早かれ>行かなければならないものを、ただぐずぐずと決めかねている<迷い、思いあぐねている>) 972 0 0 899 htmvoc_972.wav アトゥニー ア⸢トゥ⸣ニー [ʔa⸢tu⸣niː] 名 後の方に荷の重さがかかりすぎること。「後荷」の義。 ア⸢トゥ⸣ニー ⸣ナリティ ⸢グッ⸣ふァンダ ン⸢ベーマ⸣ マイ ⸢ユーシ [ʔa⸢tu⸣niː ⸣nariti ⸢guf⸣fanda ʔm⸢beːma⸣ mai ⸢juːʃi] (後荷になって重いから、少し前方に寄せなさい)。 ア⸢トゥ⸣ニー ス⸢ク⸣カー ⸣フネー パ⸢ラサラ⸣ヌ [ʔa⸢tu⸣niː su̥⸢ku⸣kaː ⸣ɸuneː pa⸢rasara⸣nu] (艫の荷が重いと船は帆走できない<走らされない>) 973 0 1 900 htmvoc_973.wav アトゥバタ ⸣アトゥバタ [⸣ʔatubata] 名 {Mn_1}後腹(あとばら)。産後の腹痛(しりはら)。 ⸣アトゥバタヌ ウ⸢ク⸣リテイ ウ⸢キユーサン⸣バン [⸣ʔatubatanu ʔu⸢ku⸣riti ʔu⸢kijuːsam⸣baŋ] (産後の腹痛がおこって起きることが出来ないわい<起き得ない>)。 973 0 2 901 htmvoc_973.wav アトゥバタ ⸣アトゥバタ [⸣ʔatubata] 名 {Mn_2}後妻の子。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ アトゥバタ ヤ⸢ルンダ⸣ アトゥトゥレー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu ffaː⸣ ʔatubata ja⸢runda⸣ ʔatutureː na⸢ra⸣nu] (この子は後妻の子だから跡取りには出来ない) 974 0 0 902 htmvoc_974.wav アトゥバライ ⸣アトゥバライ [⸣ʔatubarai] 名 後払い。掛買いにすること。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ジン⸣マー ⸢ナーン⸣ベーティ ⸢ダイヤー⸣ アトゥバライ ⸢シーフォー⸣リ [⸢kjuː⸣ja ⸢ʤim⸣maː ⸢naːm⸣beːti ⸢daijaː⸣ ʔatubarai ⸢ʃiː⸣ f⸢foː⸣ri] (今日はお金がないから代金は後払いさせて下さい) 954 0 0 903 htmvoc_954.wav アトゥパン ⸣アトゥパン [⸣ʔatupaŋ] 名 後ろ足。 ウ⸢シェー⸣ アトゥパンシ プ⸢ス⸣ キルン [ʔu⸢ʃeː⸣ ʔatupaŋʃi pu̥⸢su⸣ kiruŋ] (牛は後ろ足で人を蹴る)。 ⸢キー⸣ シ⸢キラン⸣カー ウ⸢リンマー⸣ アトゥパンシ キ⸢ラ⸣リン⸢ダー [⸢kiː⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ʔu⸢rimmaː⸣ ʔatupaŋʃi ki⸢ra⸣rin⸢daː] (気を付けないと彼には後足で蹴られる<裏切られる>ぞ)。 ⸢ンー⸣マー ⸣アトゥパンシ プ⸢ス⸣ キルン [⸢ʔmː⸣maː ⸣ʔatupaŋʃi pu̥⸢su⸣ kiruŋ] (馬は後脚で人を蹴る) 930 0 0 904 htmvoc_930.wav アトゥピュール ⸣アトゥピュール [⸣ʔatupjuːru] 名 後日和。祭祀・行事を行う日和が干支の上で後期に当たる日和。⸢マイピュー⸣ル[⸢maipjuː⸣ru](前日和{EOS}干支の前期に当たる日和)に支障がある場合に、祭祀・行事を後日和で執り行う。現在は学校の夏休みに合わせて後日和が多い。 ⸣アトゥピュールナール ク⸢トゥシヌ プー⸣ロー ⸢ソー⸣ルツォー [⸣ʔatupjuːrunaːru ku̥⸢tuʃinu puː⸣roː ⸢soː⸣ruʦoː] (後日和で<ぞ>今年の豊年祭はされるそうだ)。農作物の生育状況や、その他の事情によって前後の吉日が決められる。 ク⸢トゥシェー ガッコー⸣ヌ ヤ⸢スミ⸣ヌ ア⸢タリベー⸣ティ ⸣アトゥピュールナ ⸢プー⸣ロー ⸢ソー⸣ルツォー [ku̥⸢tuʃeː gakkoː⸣nu ja⸢sumi⸣nu ʔa⸢taribeː⸣ti ⸣ʔatupjuːruna ⸢puː⸣roː ⸢soː⸣ruʦoː] (今年は学校の休みが当っているので後の吉日<日和>に豊年祭をされるそうです) 955 0 0 905 htmvoc_955.wav アトゥフー ⸣アトゥフー [⸣ʔatuɸuː] 名 後の幸運。幸運は最期に回ってくる。 ⸣アトゥフーヤ ⸢マーフーティ⸣ ア⸢ザリブーユンダ⸣ マ⸢タ エン⸣ヌン ⸣シキン ⸣ウキミリバ [⸣ʔatuɸuːja ⸢maːɸuːti⸣ ʔa⸢ʣaribuːjunda⸣ ma⸢ta jen⸣nun ⸣ʃi̥kiŋ ⸣ʔukimiriba] (後の幸運が真の幸運といわれているから、また来年も試験を受けてみなさいよ) 977 0 0 906 htmvoc_977.wav アトゥフニ ⸣アトゥフニ [⸣ʔatuɸuni] 名 後船(あとふね)。後から出港する船。⸣アトゥフネー サ⸢キ⸣ナリ[⸣ʔatuɸuneː sḁ⸢ki⸣nari](後から出港した船が先になって)は「後の雁が先になる(油断するれば後から来るものに追い越される)」の意で用いられる。 ⸢ワー⸣ マ⸢ニアーン⸣バ アトゥフネーラ クー⸢ヨー [⸢waː⸣ ma⸢niʔaːm⸣ba ⸣ʔatuɸuneːra kuː⸢joː] (君は間に合わないから後船で<後船から>来いよね) 956 0 0 907 htmvoc_956.wav アトゥマーシ ⸣アトゥマーシ [⸣ʔatumaːʃi] 名 後回し。順番をかえて後の方に回すこと。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトー ⸣アトゥマーシ シ⸢ティ⸣ プ⸢スヌ⸣ クトゥ カー⸢ニ⸣ シ⸢ダキ スー [⸢duː⸣nu ⸣ku̥toː ⸣ʔatumaːʃi ʃi̥⸢ti⸣ pu̥⸢sunu⸣ ku̥tu kaː⸢ni⸣ ʃi⸢daki suː] (自分のことは後回しにして、他人のことだけ先にする)。 ク⸢レー⸣ ア⸢バティル ムノー⸣ ア⸢ラン⸣バ ⸣アトゥマーシ ⸢サー⸠ナー [ku⸢reː⸣ ʔa⸢batiru muno⸣ ʔa⸢ram⸣ba ⸣ʔatumaːʃi ⸢saː⸠naː] (これは急ぐもの<急用品>ではないから後回しにしようねえ)。 ⸣アトゥマーシ ス⸢ナ [⸣ʔatumaːʃi su⸢na] (後回しにするな) 979 0 0 908 htmvoc_979.wav アトゥマイ ⸣アトゥマイ [⸣ʔatumai] 名 晩稲。晩生(おくて)。「後米」の義。 ⸣クマー ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣ユー ア⸢タルユンダ ⸣アトゥマイ ヤ⸢ラバン⸣ マー⸢ズン⸣ カ⸢ラリン [⸣kumaː ti⸢da⸣nu ⸣juː ʔa⸢tarujunda⸣ ʔatumai ja⸢rabam⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ka⸢rariŋ] (ここは太陽がよく当たる所だから晩稲でも一緒に刈り取ることが出来る) 957 0 0 909 htmvoc_957.wav アトゥマサリ ⸣アトゥマサリ [⸣ʔatumasari] 名 後になるにつれて良い結果がもたらされること。「後勝り」の義。 ⸣アトゥマサリティ ア⸢リ⸣ブンダ ア⸢バティラン⸣ティン ⸣ミサン [⸣ʔatumasariti ʔa⸢ri⸣bunda ʔa⸢batiran⸣tim ⸣misaŋ] (後の幸運というのもあるから急がなくてもいい) 627 0 0 910 htmvoc_627.wav アトゥマリ ⸣アトゥマリ [⸣ʔatumari] 名 後に生まれること。遅く生まれること。 ウ⸢レー⸣ アトゥマリ ヤ⸢ルンダ⸣ バーラ ⸢ミーシケー ウシ⸣トゥ [ʔu⸢reː⸣ ʔatumari ja⸢runda⸣ baːra ⸢miːʃi̥keː ʔuʃi̥⸣tu] (あれは遅く生まれたほうだから私より三月は弟である) 983 0 0 911 htmvoc_983.wav アトゥムティ ⸣アトゥムティ [ʔatumuti] 連 後になって。将来に。 カ⸢クシ⸣タンティン ⸣アトゥムテー ⸢ナンクク⸣ル ワ⸢カリ⸣ス [kḁ⸢kuʃi̥⸣tantiŋ ⸣ʔatumuteː ⸢naŋkuku⸣ru wa⸢kari⸣su] (隠しても後になれば自然に分かるものだ) 980 0 0 912 htmvoc_980.wav アトゥムドゥル ⸣アトゥムドゥル [⸣ʔatumuduru] 名 後戻り。若年層は、⸣アトゥムドゥリ[⸣ʔatumuduri]ともいう。 ク⸢マーバー⸣キ ⸣ケーラ ⸣アトゥムドゥロー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢maːbaː⸣ki ⸣keːra ⸣ʔatumuduroː na⸢ra⸣nu] (ここまで来たら後戻りは出来ない) 981 0 0 913 htmvoc_981.wav アトゥヤフ ⸣アトゥヤフ [⸣ʔatujaɸu] 名 あとやく(後厄)。厄年の翌年。パ⸢リ⸣ヤフ[pa⸢ri⸣jaɸu](晴れ厄)ともいう。対義語は、⸢マイ⸣ヤフ[⸢mai⸣jaɸu](前厄)。 ク⸢トゥシェー⸣ アトゥヤフ ア⸢タリブーバ⸣ タ⸢ベー⸣ パ⸢ラ⸣バン ⸣ユー ⸢キー⸣ シケーティ ミス⸢コーミスコー⸣シ ⸢アー⸣キ⸢ヨー [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔatujaɸu ʔa⸢taribuːba⸣ ta⸢beː⸣ pa⸢ra⸣baɲ ⸣juː ⸢kiː⸣ ʃi̥keːti misu̥⸢koːmisu̥koː⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ki⸢joː] (今年は後厄に当っているから、旅へ行くにしてもよく気をつけて、用心深く行動しなさいよ) 931 0 0 914 htmvoc_931.wav アトゥン ア⸢トゥン [ʔa⸢tuŋ] 他動 当てる。的中させる。ア⸢ティルン[ʔa⸢tiruŋ](当てる)と同じ。「あつ(当つ)」(下ニ段活用)の四段活用化したもの。 ⸢ソームヌ⸣ ア⸢トゥン [⸢soːmunu⸣ ʔa⸢tuŋ] (いいものを当てる)。 イ⸢キムヌ⸣バ イ⸢シ ナン⸣ギ ア⸢トゥナ [ʔi⸢kimunu⸣ba ʔi⸢ʃi naŋ⸣gi ʔa⸢tuna] (動物<生き物>を石を投げて当てるな) 982 0 0 915 htmvoc_982.wav アトゥンサキン ⸣アトゥン サ⸢キン [⸣ʔatun sḁ⸢kiŋ] 連 後も先も。総体的に考えて。 ⸣アトゥン サ⸢キン カンガイ⸣ヤーティル ⸣ムネー イ⸢ズ⸠ダー [⸣ʔatun sḁ⸢kiŋ kaŋgai⸣jaːtiru muneː ʔi⸢ʣu⸠daː] (後も先も考えてものは言うのだよ) 44 0 1 916 htmvoc_44.wav アナ ⸣アナ [⸣ʔana] 名 {Mn_1}穴。地面のくぼんだ所。山や物体の向こう側へ突き抜けた所。地下へほぼ垂直に出来た自然の穴はア⸢ブ[ʔa⸢bu]という。 ミ⸢ナトゥガサミヌ ター⸣ヌ ⸣アザナ ⸣アナ ⸣プリティ ⸢ター⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ フ⸢カシナー⸣ヌ [mi⸢natugasaminu taː⸣nu ⸣ʔaʣana ⸣ʔana ⸣puriti mi⸢dʒi⸣ ɸu̥⸢kaʃi naː⸣nu] (港蟹が田の畦に穴を掘って、田の水を落として涸れさせてしまった)。 ⸣アナ ⸣プルカー フ⸢ターチ⸣ プリ [⸣ʔana ⸣purukaː ɸu̥⸢taːʧi⸣ puri] (穴を掘るなら二つ掘れ<諺>、他人を落としいれようと思うなら、自分の落ちる穴まで掘れ)。 ユ⸢クアナ [ju⸢kuana] (横穴)。 ⸣アナ ⸣プルン [⸣ʔana ⸣puruŋ] (穴を掘る)。 ⸢ヤー⸣ヌ ク⸢ビ⸣ナ ⸣アナ ⸢ピッ⸣キ ⸣シケー [⸢jaː⸣nu ku⸢bi⸣na ⸣ʔana ⸢pik⸣ki ⸣ʃi̥keː] (家の壁に孔を開けて<ほがして>ある)。 44 0 2 917 htmvoc_44.wav アナ ⸣アナ [⸣ʔana] 名 {Mn_2}地面にほぼ垂直に掘ったところ。ア⸢ブ[ʔa⸢bu](自然に出来た竪穴)と意味的に対立する。 ア⸢ナ⸣プリヤー [ʔa⸢na⸣purijaː] (掘っ立て小屋<穴堀屋>)。 ⸣アナ ⸢トゥッ⸣クン [⸣ʔana ⸢tuk⸣kuŋ] (<隠れた>穴が陥没する{EOS}竪穴に落ちる) 994 0 0 918 htmvoc_994.wav アナプリヤー ア⸢ナ⸣プリヤー [ʔa⸢na⸣purijaː] 名 掘建て小屋。「穴堀屋」の義。地面に穴を掘り、柱を埋めて建てた粗末な家。イ⸢シジ[ʔi⸢ʃiʤi](礎石)を置かない家。 ア⸢ナ⸣プリヤーナ マ⸢レー⸣ラバン イ⸢ジン⸣ジ パ⸢タラキ マイフナー マリ パイ⸣サ ヌ⸢キヤー⸣ ス⸢ク⸣リ⸢ヨー [ʔa⸢na⸣purijaːna ma⸢reː⸣rabaŋ ʔi⸢ʤin⸣ʤi pḁ⸢taraki maiɸunaː mari pai⸣sa nu⸢kijaː⸣ su̥⸢ku⸣ri⸢joː] (掘建て小屋で生まれたにしても頑張って働いて、立派な人になって本建築の家<貫き木造りの家屋>を作りなさいよ) 995 0 0 919 htmvoc_995.wav アナプレー ア⸢ナ⸣プレー [ʔa⸢na⸣pureː] 名  (動)魚の名。和名、タレクチベラ。体長約30センチ。ベラ科の魚で、体表はぬるぬるしている。食用となるが、あまり美味ではない。 ア⸢ナ⸣プレーヤ ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マーナーン⸣シェン [ʔa⸢na⸣pureːja ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maːnaːnʃe⸣ŋ] (アナプレー<タレクチベラ>は、あまり美味しくなかった) 996 0 0 920 htmvoc_996.wav アナミルン ア⸢ナミ⸣ルン [ʔa⸢nami⸣ruŋ] 他動 捜し求める。尋ね探す。 ム⸢ヌシリ⸣ヌ ⸣ヤーナーン ⸢ギー⸣ ナライ ッ⸢ソー⸣レー プ⸢スンナー⸣ニン ⸢トゥイ⸣ シ⸢ケー⸣ティル ⸢ヤーム⸣トゥ ア⸢ナ⸣ミ ケー⸢ダー [mu⸢nuʃiri⸣nu ⸣jaːnaːŋ ⸢giː⸣ narai s⸢soː⸣reː pu̥⸢sunnaː⸣nin ⸢tuiʃi̥keː⸣tiru ⸢jaːmu⸣tu ʔa⸢na⸣mi keː⸢daː] (易者の家にも行って習い、知っておられる人にも問い聞きして、元祖の家<家元>を探し求めてきたのだよ) 997 0 0 921 htmvoc_997.wav アナムン ア⸢ナ⸣ムン [ʔa⸢na⸣muŋ] 他動 訪ね探す。ア⸢ナミ⸣ルン[ʔa⸢nami⸣ruŋ]と同じ。 トゥ⸢ミララン⸣カー トゥ⸢ナルン⸣ プ⸢ス⸣ニン ア⸢ナ⸣ミ ⸣ミリバ [tu⸢miraraŋ⸣kaː tu⸢narum⸣ pu̥⸢su⸣niŋ ʔa⸢na⸣mi ⸣miriba] (探せなかったら隣の人にも尋ね探してみなさいよ) 993 0 0 922 htmvoc_993.wav アナンドゥルン ア⸢ナンドゥルン [ʔa⸢nanduruŋ] 他動 あなどる(侮る)。相手を軽く見てばかにする。見くびる。「Anadori,ru,otta.アナドリ,ル,ッタ(侮り,る,った)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ウ⸢ムイナ⸣スン[ʔu⸢muina⸣suŋ](馬鹿にする{EOS}貶める)ともいう。 プ⸢スバ⸣ ア⸢ナンドゥリ⸣ バ⸢ライ ベー [pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢nanduri⸣ ba⸢rai beː] (人を侮って笑っている)。 ア⸢ナンドゥラヌ [ʔa⸢nanduranu] (侮らない)。 ⸢ウンザー⸣ プ⸢ス⸣ ア⸢ナンドゥルンダル⸣ マイ ⸢ユージユーサヌ [⸢ʔunʣaː⸣ pu̥⸢su⸣ ʔa⸢nandurundaru⸣ mai ⸢juːʤijuːsanu] (あいつ<彼奴>は人を侮るから進歩できない<前に寄れない>)。 ヨー⸢ヨー⸣ ス⸢ナ⸣カー イッ⸢カナ⸣シ ア⸢ナンドゥレー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [joː⸢joː⸣ su⸢na⸣kaː ʔik⸢kana⸣ʃi ʔa⸢nandureː⸣ na⸢ran⸣daː] (よくよく気をつけろよ{EOS}海はけっして侮ってはならないぞ)。 プ⸢スバ⸣ ア⸢ナンドゥリベー [pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢nanduri beː] (他人を侮っている) 998 0 0 923 htmvoc_998.wav アヌ ア⸢ヌ [ʔa⸢nu] 連体 あの(彼の)。話し手、聞き手の双方から遠く離れたものを指す。歌謡語。話し言葉では、カ⸢ヌ[ka⸢nu](あの)という。アヌ ヤマティラニ ヨー マイラシバ(あの山寺に参らすと)「念仏歌」 999 0 0 924 htmvoc_999.wav アヌユー ア⸢ヌユー [ʔa⸢nujuː] 名 来世。あの世。⸣グソー[⸣gusoː](後生)のこと。 ⸢イークトゥ スー⸣カー ア⸢ヌユー⸣ナテー グ⸢クラ⸣ク シ⸢ラリン⸣ツォー [⸢ʔiːkutu suː⸣kaː ʔa⸢nujuː⸣nateː gu⸢kura⸣ku ʃi⸢rarin⸣ʦoː] (良いことをするとあの世では極楽できるそうだ) 1000 0 0 925 htmvoc_1000.wav アヌヨーヌムヌ ⸣アヌヨーヌ ⸣ムヌ [⸣ʔanujoːnu ⸣munu] 連 あのような者。年端のいかない者。意に満たないもの。 ⸣アヌヨーヌ ム⸢ヌ⸣バ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢カール⸣ティ シゥ⸢カイ⸣ ヤ⸢ラシ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー [⸣ʔanujoːnu mu⸢nu⸣ba ʔu⸢ja⸣nu ⸢kaːru⸣ti si̥⸢kai⸣ ja⸢raʃi⸣ ki⸢mui⸣ʦaː] (あのような年端のいかない者を親の代わりとして使って寄越して、可哀相<気の毒>に) 1004 0 0 926 htmvoc_1004.wav アバ ⸣アバ [ʔaba] 名 油。脂。石油。油脂類の総称。 ⸢オー⸣ヌ アバ [⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔaba] (豚の脂)。 シ⸢キ⸣アバ [ʃi̥⸢ki⸣aba] (つけあぶら{EOS}頭髪用の油)。 ⸢ティン⸣プラアバ [⸢tim⸣puraʔaba] (てんぷら油)。 タ⸢ニ⸣ユー [ta⸢ni⸣juː] (種油{EOS}菜種油)。 シ⸢キ⸣ユー [ʃi̥⸢ki⸣juː] (石油)。 ⸣マチアバ [⸣maʧiaba] (松根油)。 サ⸢バ⸣アバ [sa⸢ba⸣ʔaba] (鱶油{EOS}鱶の肝臓を炒って搾油したもの)。⸢オー⸣ヌアバ[⸢ʔoː⸣nuʔaba](豚の脂)など。 ⸢トゥール⸣ヌ ⸣アバ ⸢カイ⸣クー [⸢tuːru⸣nu ⸣ʔaba ⸢kai⸣kuː] (ランプ<灯籠>の油<石油>を買って来い) 1005 0 0 927 htmvoc_1005.wav アハー ⸣アハー [⸣ʔahaː] 感 なるほど(成程)。なるほど、いかにも、と合点がいった時にいう。 ⸣アハー ク⸢レー⸣ カイ サ⸢バル⸣ ナ⸢ル⸣バン⸢ナー [⸣ʔahaː ku⸢reː⸣ kai sa⸢baru⸣ na⸢ru⸣ban⸢naː] (成程、これはこうしないといけないのだ<こうすればこそできるのだ>なあ) 1006 0 0 928 htmvoc_1006.wav アバーアバー ア⸢バーアバー [ʔa⸢baːʔabaː] 感 あわわ。幼児語。乳幼児をあやす際に、開いた口に手をあてて軽く叩きながら、ア⸢バーアバーと声を出すこと 1019 0 0 929 htmvoc_1019.wav アバースン ア⸢バースン [ʔa⸢baːsuŋ] 他動 溢れさせる。 サ⸢カシキ⸣ナ ア⸢バースン⸣ケン サ⸢キ サウナ⸣ ア⸢バーサンドー⸣シ ⸢サイ⸣バ [sḁ⸢kaʃi̥ki⸣na ʔa⸢baːsuŋ⸣ken sḁ⸢ki sauna⸣ ʔa⸢baːsandoː⸣ʃi ⸢sai⸣ba] (杯に溢れさせるほど酒を注ぐな{EOS}溢れさせないで注ぎなさいよ)。 ア⸢バーシ ナー⸣ヌ [ʔa⸢baːʃi naː⸣nu] (溢れさせてしまった)。 ア⸢バース⸣ クトー ス⸢ナ [ʔa⸢baːsu⸣ ku̥toː su⸢na] (溢れさせることはするな)。 ア⸢バーシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢baːʃeː⸣ misamunu] (溢れさせればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ア⸢バーシ [jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢baːʃi] (必ず溢れさせよ) 1060 0 0 930 htmvoc_1060.wav アバイカバイ ア⸢バイ⸣カバイ [ʔa⸢bai⸣kabai] 副 溢れるさま。溢れ零れるさま。ア⸢バッカイ⸣カバッカイ[ʔa⸢bakkai⸣kabakkai](溢れるさま)ともいう。 ⸢スーン⸣シロー マ⸢カ⸣ルナ ア⸢バイ⸣カバイ ⸢スン⸣ケン イ⸢リルナ⸣ヨ [⸢suːŋ⸣ʃiroː ma⸢ka⸣runa ʔa⸢bai⸣kabai ⸢suŋ⸣keŋ ʔi⸢riruna⸣joː] (お汁は汁碗に溢れこぼれるほど入れるなよ) 1008 0 0 931 htmvoc_1008.wav アバイシ ア⸢バ⸣イシ [ʔa⸢ba⸣iʃi] 名 けいがん(珪岩)。「脂石」の義。乳白色で、表面が滑らかな石。豚の脂に似ていることからの命名という。 ⸢オー⸣ヌ ア⸢バ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢ブー⸣ ア⸢バイシ⸣バ ミリ⸢ミッ⸣タン [⸢ʔoː⸣nu ʔa⸢ba⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢buː⸣ ʔa⸢baiʃi⸣ba miri⸢mit⸣taŋ] (豚の脂のような脂石(珪岩)を見たことがある<見てみた>) 1002 0 0 932 htmvoc_1002.wav アバイズ ⸣アバイズ [⸣ʔabaiʣu] 名 (動)魚の名。和名、オニダルマオコゼ。全長約20cmの硬骨魚。形は鬼瓦に似て、珊瑚礁に擬態する。顔面は醜悪で背びれの刺に猛毒がある。刺されると激痛を伴い、腫れ上がる。時には死ぬこともある。海岸の岩礁に棲息している。美味といわれているが、鳩間島の人はこれを食しない。 ⸣アバイゾー イ⸢シヌ⸣ イ⸢ル⸣トゥ ⸢ニーブンダ⸣ ユー⸢サン⸣カー ッ⸢サムティ フンスク⸣ バスン ア⸢リ⸣ブタ [⸣ʔabaiʣoː ʔi⸢ʃinu⸣ ʔi⸢ru⸣tu ⸢niːbunda⸣ juː⸢saŋ⸣kaː s⸢samuti ɸuŋku⸣ basuŋ ʔa⸢ri⸣buta] (オニオコゼは石の色と似ているので、注意しないと知らずに踏みつけることもあった<ありおった>)。鳩間島では食する人はいない。 ⸣アバイズ ッ⸢ふー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔabaiʣu f⸢fuː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (オニオコゼを食べる人はいない) 895 0 0 933 htmvoc_895.wav アバイルン ア⸢バイルン [ʔa⸢bairuŋ] 自動 溢れる。余ってこぼれる。いっぱいになって外に流失する。「Afure,ruru,eta.アフレ、ルル、レタ(溢れ、るる、れた)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 サ⸢バン⸣ヌ ア⸢バイルン⸣ケン ⸢サウナ [sa⸢ban⸣nu ʔa⸢bairuŋ⸣ken ⸢sauna] (茶碗があふれるほど<まで>茶を注ぐな)。 サ⸢カシケー⸣ラ サ⸢キヌ⸣ ア⸢バイルン⸣ケン ⸢サウナ⸠ツォー [sa⸢kaʃi̥keː⸣ra sḁ⸢kinu⸣ ʔa⸢bairuŋ⸣ken sauna⸠ʦoː] (杯から酒が溢れるまで注ぐなってよ)。 ギュー⸢サ サーバン⸣ ア⸢バイラヌ [gjuː⸢sa saːbaŋ⸣ ʔa⸢bairanu] (いくら注いでも溢れない)。 ア⸢バイ ナー⸣ヌ [ʔa⸢bai naː⸣nu] (溢れてしまった)。 ア⸢バイル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢bairu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溢れることはない)。 ⸢パー⸣ク ア⸢バイレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔa⸢baireː⸣ misamunu] (早く溢れればいいのに)。ア⸢バッカイルン[ʔa⸢bakkairuŋ](満ち溢れる)ともいう。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸣アミシェー ⸢ター⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ ア⸢ブ⸣シェーラ ア⸢バイラヌ [ju⸢bi⸣nu ⸣ʔamiʃeː ⸢taː⸣nu mi⸢ʤeː⸣ ʔa⸢bu⸣ʃeːra ʔa⸢bairanu] (昨夜の雨では田の水は田の畦を越えて溢れ出ることはない<溢れない>)。 カ⸢ミ⸣ヌ ア⸢バイルン⸣ケン ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ミ [ka⸢mi⸣nu ʔa⸢bairuŋ⸣kem mi⸢ʤi⸣ ka⸢ta⸣mi] (甕が溢れるまで水を担いで甕に入れなさい<水を担げ>) 896 0 0 934 htmvoc_896.wav アバウン ア⸢バウン [ʔa⸢bauŋ] 自動 溢れる。余ってこぼれる。「溢、アブル」『類聚名義抄』、「~すだく池水雖溢<アフルトモ>~。万、2833」の転訛したもの。 サ⸢カシキヌ⸣ ア⸢バウン⸣ケン サ⸢キ サウナ [sḁ⸢kaʃi̥kinu⸣ ʔa⸢bauŋ⸣ken sḁ⸢ki sauna] (盃が溢れるまで酒を注ぐな)。 ギュー⸢サ サーバン(⸢サウバン)⸣ ア⸢バーヌ [gjuː⸢sa saːbaŋ<⸢saubaŋ>⸣ ʔa⸢baːnu] (幾ら注いでも溢れない)。 ア⸢バイ ナー⸣ヌ [ʔa⸢bai naː⸣nu] (溢れてしまった)。 ア⸢バウ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢bau⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溢れることはない)。 ア⸢バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢baijaː⸣ misamunu] (溢れたらいいのに)。 ⸣サバンナ ア⸢バウン⸣ケン ⸢サウンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ア⸢バーヌ [⸣sabannaː ʔa⸢bauŋ⸣ken ⸢saundu⸣ mut⸢tu⸣ ʔa⸢baːnu] (茶碗に溢れるほど注ぐが、ちっとも溢れない)。 ア⸢バイ ナー⸣ヌ [ʔa⸢bai naː⸣nu] (溢れてしまった)。 ア⸢バウ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢bau⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溢れることはない)。 ア⸢バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢baijaː⸣ misamunu] (溢れればいいのに) 1011 0 0 935 htmvoc_1011.wav アバカシ ア⸢バ⸣カシ [ʔa⸢ba⸣kaʃi] 名 あぶらかす(油粕)。豚の脂身を煎じて搾油した残滓。これを保存してお汁の出汁にしたり、油粕を米味噌と和えて油味噌にした。 ア⸢バ⸣カシェー ⸢ミース⸣トゥ ⸢アー⸣シティ ⸢アンダミー⸣ス ス⸢ク⸣リバ [ʔa⸢ba⸣kḁʃeː ⸢miːsu⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi̥ti ⸢ʔandamiː⸣su su̥⸢ku⸣riba] (豚の脂粕は味噌と和えて油味噌を作りなさいよ)。 ア⸢バ⸣カシェー ⸢マイヌミー⸣スナ カ⸢ケー⸣シティ イ⸢ラ⸣クカー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ʔa⸢ba⸣kaʃeː ⸢mainumiː⸣suna kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ʔi⸢ra⸣kukaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (脂身の炒り滓を米味噌に和えて炒ると非常に美味しい)。 ア⸢バ⸣カシ ⸣トゥリティ ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢キ⸣バ [ʔa⸢ba⸣kaʃi ⸣turiti ⸢tim⸣pura ja⸢ki⸣ba] (揚げ糟を除去してテンプラを揚げなさい) 1022 0 0 936 htmvoc_1022.wav アバカビ ア⸢バ⸣カビ [ʔa⸢ba⸣kabi] 名 えのあぶら(荏油)やとうゆ(桐油)をひいた和紙。防水用に用いた。 ⸣サナー ア⸢バ⸣カビシ パ⸢ラリブンダ⸣ アミナー ⸢ゾッふァスバン⸣ ム⸢リラ⸣ヌ [⸣sanaː ʔa⸢ba⸣kabiʃi pa⸢raribunda⸣ ʔaminaː ⸢ʣoffasubam⸣ mu⸢rira⸣nu] (雨傘は油紙で張られているから雨に濡らしても漏れない)。 ア⸢バ⸣カビシ ッ⸢ス⸣ムカー ⸢ゾーリラヌ [ʔa⸢ba⸣kabiʃi s⸢su⸣mukaː ⸢ʣoːriranu] (油紙で包んだら濡れない) 1013 0 0 937 htmvoc_1013.wav アバカミ ア⸢バ⸣カミ [ʔa⸢ba⸣kami] 名 食油を保存する甕。「脂かめ」の義。豚の脂肉を空揚げして油を搾り出し、保存するために使用する甕。 ア⸢バ⸣カメーラ ⸢オー⸣ヌ ⸣アバ ス⸢クイティ スー⸣ヌ ダシ ⸢シー⸣バ [ʔa⸢ba⸣kameːra ⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔaba su̥⸢kuiti suː⸣nu ⸣daʃi ⸢ʃiː⸣ba] (脂甕から豚の脂をすくい取ってお汁の出しにしなさいよ) 1014 0 0 938 htmvoc_1014.wav アバキー ア⸢バ⸣キー [ʔa⸢ba⸣kiː] 名 薄い柔らかい毛。産毛(うぶげ)。にこげ(和毛)。 マ⸢リットーラヌ⸣ ア⸢バ⸣キー ⸣スリシケー [ma⸢rittoːranu⸣ ʔa⸢ba⸣kiː ⸣suriʃi̥keː] (生まれたときから生えている毛を<産毛を>剃ってある) 1015 0 0 939 htmvoc_1015.wav アバゴーダー ア⸢バゴー⸣ダー [ʔa⸢bagoː⸣daː] 名 油まみれ。油脂類が体や衣服類にべっとりと付着すること。カ⸢ツシン[kḁ⸢ʦuʃiŋ](カツオ漁船)が発動汽船になって、キ⸢カン⸣バ[ki̥⸢kam⸣ba](機関室{EOS}「機関場」の義)で働く人は、いつもア⸢バゴー⸣ダー[ʔa⸢bagoː⸣daː](油まみれ)していた。 ア⸢バゴー⸣ダー シ⸢ティ⸣ ア⸢ラウバン⸣ ウ⸢ティラ⸣ヌ [ʔa⸢bagoː⸣daː ʃi̥⸢ti⸣ ʔa⸢raubaŋ⸣ ʔu⸢tira⸣nu] (油まみれになって、洗っても落ちない) 1023 0 0 940 htmvoc_1023.wav アバゴーダー ⸣アバゴーダー [⸣ʔabagoːdaː] 名 油まみれ。 カ⸢ツシンヌ⸣ キ⸢カンチョー⸣ヌ ⸢キン⸣マー ⸣アバゴーダー シ⸢ティ⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤタン [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ki̥⸢kanʧoː⸣nu ⸢kim⸣maː ⸣ʔabagoːdaː ʃi̥⸢ti⸣ ja⸢ni⸣jataŋ] (カツオ漁船の機関長の着物は油まみれになって汚かった) 1016 0 1 941 htmvoc_1016.wav アバサ ア⸢バ⸣サ [ʔa⸢ba⸣sa] 名 (動)魚の名。ハリセンボン科。{Mn_1}和名、イシガキフグ(体長約30センチ)、和名、ネズミフグ(体長約40センチ)。体表面は鋭く長い刺で覆われている。普段は刺を収めて泳ぐが、体に触れると風船のように膨らみ、刺を立て外敵からの防御体勢に入る。身は「のぼせに効く」といわれ、重宝されている。 ア⸢バ⸣サー ム⸢カ⸣シェーラ サ⸢ギフチ⸣ルティ ア⸢ザリ⸣ ア⸢バサ⸣ヌ ⸣シル ⸣ユー ⸣シジ ヌ⸢マ⸣ソッタン⸢ダー [ʔa⸢ba⸣saː mu⸢ka⸣ʃeːra sa⸢giɸuʧi⸣ruti ʔa⸢ʣari⸣ ʔa⸢basa⸣nu ⸣ʃiru ⸣juː ⸣ʃiʣi nu⸢ma⸣soːttan⸢daː] (ハリセンボンは昔からのぼせに効く<さげ薬>といわれて、アバサ汁をよく煎じて飲まされたよ)。 1016 0 2 942 htmvoc_1016.wav アバサ ア⸢バ⸣サ [ʔa⸢ba⸣sa] 名 {Mn_2}転じておしゃべり女。お転婆娘。お喋り。 ⸢ウンザー⸣ ア⸢バ⸣サー ⸣ナリティ ウ⸢マー ⸣カマーナ ムニカー⸢ニ⸣ ユム [⸢ʔunʣaː⸣ ʔa⸢ba⸣saː ⸣nariti ʔu⸢maː⸣kamaːna munikaː⸢ni⸣ jumu] (あいつはアバサー<おしゃべり>になって、あちらこちらで喋り捲る<物言いだけ読みまくる{EOS}声を立てて唱える>) 1017 0 0 943 htmvoc_1017.wav アバサシ ア⸢バ⸣サシ [ʔa⸢ba⸣saʃi] 名 あぶらさし(油差し)。機械などに油を注す道具で、コーヒーポットのような形をしたもの。カツオ漁船の焼玉エンジンにオイルを注すのに用いた。 ア⸢バ⸣サシナ ⸢ジュー⸣ユ イ⸢リ⸣バ [ʔa⸢ba⸣saʃina ⸢ʤuː⸣ju ʔi⸢ri⸣ba] (油差しに重油を入れなさい) 1018 0 0 944 htmvoc_1018.wav アバサックヤー ア⸢バサッ⸣クヤー [ʔa⸢basak⸣kujaː] 名 お喋り女め。あばずれ女。卑称。 ア⸢バサッ⸣クヤー ⸣ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢basak⸣kujaː ⸣nariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (あばずれ女<お喋り女>になって、どうにも始末に負えない<養生できない{EOS}手当てができない>) 1024 0 0 945 htmvoc_1024.wav アバズーヤン ア⸢バズー⸣ヤン [ʔa⸢baʣuː⸣jaŋ] 形 脂っこい。 ク⸢レー⸣ ドゥク ア⸢バズーヤ⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː⸣ duku ʔa⸢baʣuːja⸣nu f⸢faːranu] (これはあまりにも脂っこくて食べられない) 1029 0 0 946 htmvoc_1029.wav アバスブ ア⸢バ⸣スブ [ʔa⸢ba⸣subu] 名 油壺。豚の脂を保存する小型の壷で、壺の肩に四つの耳が付いていた。⸣ミンスブ[⸣minsubu](耳壺)ともいう。豚脂<ラード>を入れて保存し、調理の際に少量ずつ掬い取ってお汁に入れた。 ア⸢バ⸣スボーラ ⸣ガイシ ⸣アバ ス⸢クイ⸣トゥリティ ⸣スーナ イ⸢リ⸣バ [ʔa⸢ba⸣suboːra ⸣gaiʃi ⸣ʔaba su̥⸢kui⸣turiti ⸣suːna ʔi⸢ri⸣ba] (油壺から匙で掬い取ってお汁に入れなさい) 1025 0 0 947 htmvoc_1025.wav アバダリムヌ ア⸢バダリ⸣ムヌ [ʔa⸢badari⸣munu] 名 だらしない者。しまりのない者。節度のない者。裸で外出する者。 ⸢キン⸣マー キ⸢サムティ⸣ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ア⸢バダリ⸣ムヌ ナルン⸢ダー [⸢kim⸣maː ki̥⸢samuti⸣ mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ʔa⸢badari⸣munu narun⸢daː] (着物を着ないで道へ出るとだらしない者になるぞ) 1031 0 0 948 htmvoc_1031.wav アバッカースン ア⸢バッカースン [ʔabakkaːsuŋ] 他動 溢れさせる。 ⸣サバンナ ア⸢バッカースン⸣ケン ⸢サーン⸣ ブ⸢リ ⸣バ [⸣sabanna ʔa⸢bakkaːsuŋ⸣ken ⸢saːm⸣ bu⸢ri⸣ba] (茶碗に溢れるほど注ぐな<注がないでおれ>よ)。 ッ⸢サン⸣ケン ア⸢バッカーシ ナー⸣ヌ [s⸢saŋ⸣keŋ ʔa⸢bakkaːʃi naː⸣nu] (気づかない<知らぬ>うちに溢れさせてしまった) 1030 0 0 949 htmvoc_1030.wav アバッカイルン ア⸢バッカイルン [ʔa⸢bakkairuŋ] 自動 液体が容器から溢れる。液体が溢れかえる。液体が溢れ出る。 ⸣サバンナ ア⸢バッカイルン⸣ケン ⸣サー ⸢サウン [⸣sabanna ʔa⸢bakkairuŋ⸣ken ⸣saː ⸢sauŋ] (茶碗に溢れるほど茶を注ぐ)。 ギュー⸢サ サウバン⸣ ア⸢バッカイラヌ [gjuː⸢sa saubaŋ⸣ ʔa⸢bakkairanu] (いくら注いでも溢れない)。 ⸣サー ⸢サウター⸣ ア⸢バッカイナー⸣ヌ [⸣saː ⸢sautaː⸣ ʔa⸢bakkai naː⸣nu] (お茶を注いだら溢れてしまった)。 ア⸢バッカイル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢bakkairu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溢れることは無い)。 ア⸢バッカイヤー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢bakkaijaː⸣ misamunu] (溢れればよいのに)。 ア⸢バッカイリ [ʔa⸢bakkairi] (溢れろ) 1032 0 0 950 htmvoc_1032.wav アバッカウン ア⸢バッカウン [ʔa⸢bakkauŋ] 自動 溢れる。「あふる(溢る)、下二」の転訛したもの。老年層は、ア⸢バウン[ʔa⸢bauŋ](溢る)ともいう。 ア⸢ザン⸣カー サ⸢バン⸣ヌ ア⸢バッカウン⸣ケン ⸣サー ⸢サウンダ⸣ ア⸢バッカーン⸣ヨーニ ⸢サーシ⸣バ [ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː sa⸢ban⸣nu ʔa⸢bakkauŋ⸣ken ⸣saː ⸢saunda⸣ ʔa⸢bakkaːsaŋ⸣joːni ⸢saːʃi⸣ba] (言わないと茶碗が溢れるほど茶を注ぐから、溢れさせないように注がせなさいよ) 1033 0 0 951 htmvoc_1033.wav アバッタラ ア⸢バッ⸣タラ [ʔa⸢bat⸣tara] 名 脂身。脂肉。 ク⸢ヌ オー⸣ヤ ⸢パン⸣タリティ ア⸢バッタラン⸣ドゥ ⸢ゴー⸣ラール [ku⸢nu ʔoː⸣ja ⸢pan⸣tariti ʔa⸢battaran⸣du ⸢goː⸣raːru] (この豚は肥えて脂身が多い)。 ア⸢バッ⸣タラー ビ⸢トゥラー⸣ヌ ⸣ドゥク ッふァーラヌ [ʔa⸢bat⸣taraː bi⸢turaː⸣nu ⸣duku f⸢faːranu] (脂身は脂っこくてあまり食べられない) 1075 0 0 952 htmvoc_1075.wav アバッツァー ア⸢バッ⸣ツァー [ʔa⸢bat⸣ʦaː] 名 下品で多弁な人。他人の噂話や悪口をあちらこちらで言いふらす女。ア⸢バ⸣フチ[ʔa⸢ba⸣ɸu̥ʧi](お喋り)に、接尾辞⸣ヤー[jaː](~する人)が付いて、[ʔa⸢ba⸣ɸu̥ʧi+jaː] → [ʔa⸢baɸu̥⸣ʧaː] → [ʔa⸢bat⸣ʦaː] と転訛したもの。 ⸢ウンザー⸣ ア⸢バッ⸣ツァー ナリ ⸣マーカマーティ ⸢ナー⸣ン ヤ⸢ナムニ⸣バ カー⸢ニ⸣ イ⸢ジアー⸣ク [⸢ʔunʣaː⸣ ʔa⸢bat⸣ʦaːnari ⸣maːkamaːti ⸢naː⸣m pu⸢sunu⸣ ja⸢namuni⸣ba kaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (こいつめは質の悪いおしゃべりで所かまわず他人の悪口だけを言っている)。 ア⸢バッ⸣ツァー ⸢ウンザ⸣ フ⸢チ⸣ ⸢バリ⸣ トゥ⸢ラ⸣シ [ʔa⸢bat⸣ʦaː ⸢ʔunʣa⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ba⸢ri⸣ tu⸢ra⸣ʃi] (おしゃべり女め、この野郎、口を割ってやれ) 1035 0 0 953 htmvoc_1035.wav アバッティムヌ ア⸢バッティムヌ [ʔa⸢battimunu] 名 慌てもの。粗忽もの。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢バッティムノー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムネー シゥ⸢カムティ⸣ キ⸢サ⸣ パリ⸢ナーン⸣バン [ku⸢nu⸣ ʔa⸢battimunoː⸣ pu̥⸢sunu⸣ muneː sï̥⸢kamuti⸣ ki̥⸢sa⸣ pari⸢naːm⸣baŋ] (この粗忽者めが、人の言うこと<言葉>は聞かないで、もうすでに行ってしまったわい) 1038 0 0 954 htmvoc_1038.wav アバティー ア⸢バ⸣ティー [ʔa⸢ba⸣tiː] 名 料理上手な女の手。豚を飼育するのが上手な女。⸢脂手」の義。 ウ⸢リヌ ティー⸣ヤ ア⸢バ⸣ティー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ス⸢ク⸣ル ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢サッ⸣コー ン⸢マー⸠ツォー [ʔu⸢rinu tiː⸣ja ʔa⸢ba⸣tiː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ su⸢ku⸣ru ʔu⸢sai⸣jaː ⸢sak⸣koː ʔm⸢maː⸠ʦoː] (これ<この人>の手は料理上手な手<脂手>であるから、これの作る肴<お采>は非常に美味しいんだよ)。 ⸢ヌー⸣シル ア⸢バ⸣ティー ヤ⸢ル⸣ユー ⸣アイニ ⸣オー シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ゾー⸣ジ⸢ツォー [⸢nuː⸣ʃiru ʔa⸢ba⸣tiː ja⸢ru⸣juː ⸣ʔaini ⸣ʔoː sï̥⸢ka⸣nai ⸢ʣoː⸣ʤi⸢ʦoː] (どんな料理上手の女なのか、こんなにも豚飼育が上手なんだよ) 42 0 0 955 htmvoc_42.wav アバティカーティ ア⸢バティカー⸣ティ [ʔa⸢batikaː⸣ti] 副 慌てふためいて。急いで。うろたえて。 プ⸢スヌ クー⸣タ ア⸢バティカー⸣ティ パリ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu kuː⸣ta ʔa⸢batikaː⸣ti pari⸢naː⸣nu] (人が来たので慌てふためいて行ってしまった)。 ア⸢バティカー⸣ティ ムニ イ⸢ズナ [ʔa⸢batikaː⸣ti muni ʔi⸢ʣuna] (急いでものを言うな)。 ヤ⸢ラバリター⸣ ア⸢バティカー⸣ティ ⸣パルンケン ⸢カイ⸣リティ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ja⸢rabaritaː⸣ ʔa⸢batikaː⸣ti ⸣paruŋkeŋ ⸢kai⸣riti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (呼ばれたので急いで行くと、転倒して体を傷めて<病まして>ある) 1027 0 0 956 htmvoc_1027.wav アバティカバティ ア⸢バティカバ⸣ティ [ʔa⸢batikaba⸣ti] 副 あわてふためいて。ABCDBC型の重言。老年層の言葉。 ア⸢タアミヌ フータ⸣ル ア⸢バティカバ⸣ティ ⸣シー ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣プシシケータ ⸢キン⸣バ ⸣トゥリ ⸢ペーラシ⸣タ [ʔa⸢taʔaminu ɸuːtar⸣u ʔa⸢batikaba⸣ti ⸣ʃiː jat⸢tu⸣ʃi ⸣pu̥ʃiʃi̥keːta ⸢kim⸣ba ⸣turi ⸢peːraʃi⸣ta] (にわか雨が降ったので慌てふためいて干してあった着物を取り入れた) 1028 0 0 957 htmvoc_1028.wav アバティカバティスン ア⸢バティカバ⸣ティ ⸢スン [ʔa⸢batikaba⸣ti ⸢suŋ] 連 大慌てする。慌てふためいてする。「慌てふためき・する」の義。 ア⸢バティカバ⸣ティ ⸢サンドー⸣シ ⸢ヨーンナ シー⸣バ [ʔa⸢batikaba⸣ti ⸢sandoː⸣ʃi ⸢joːnna ʃiː⸣ba] (大慌てしないでゆっくりしなさい)。 ア⸢バティカバ⸣ティ ⸢スンティ アー⸣キ ⸣ヤリ シ⸢ティナー⸣ヌ [ʔa⸢batikaba⸣ti ⸢sunti ʔaː⸣ki ⸣jari ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (慌てふためいてしようとして破ってしまった) 1036 0 0 958 htmvoc_1036.wav アバティルン ア⸢バティルン [ʔa⸢batiruŋ] 自動 慌てる。うろたえて急ぐ。ア⸢バティラン⸣タンティン ミサン⸢ダー⸣。ヨー⸢ンナー サン⸣ミン ⸢シーバル⸣ マ⸢チガー⸣ヌ[ʔa⸢batiran⸣tantim misan⸢daː⸣。 joː⸢nnaː sam⸣miŋ ⸢ʃiːbaru⸣ ma⸢ʧigaː⸣nu](急がなくてもいいよ{EOS}ゆっくり計算したほうが間違わない)。 ア⸢バティルナ [ʔa⸢batiruna] (急ぐな{EOS}慌てるな)。 ア⸢バティラヌ [ʔa⸢batiranu] (急がない)。 イ⸢ザリ⸣カー ア⸢バティルン [ʔi⸢ʣari⸣kaː ʔa⸢batiruŋ] (叱られたら慌てる<急ぐ>)。 ア⸢バティレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢batireː⸣ misamunu] (慌てれば<急げば>良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢バティリ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢batiri] (もっと急げ<慌てろ>)。 ア⸢バティル⸣ ナカー ⸢チャー ヨーンナー [ʔa⸢batiru ⸣nakaː ⸢ʧaː joːnnaː] (急ぐときは常に落ち着いてゆっくり<急がばまわれ>) 1037 0 0 959 htmvoc_1037.wav アバトゥン ア⸢バトゥン [ʔa⸢batuŋ] 自動 慌てる。急ぐ。うろたえる。「あわつ(慌てる、下二段)」の四段へ転訛したもの。 ⸢ワー⸣ ア⸢バトゥ⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢バトゥン⸣ダー [⸢waː⸣ ʔa⸢batu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢batun⸣daː] (君が慌てると私も慌てるぞ)。 ア⸢バトゥナ⸣ ピ⸢ニチェー⸣ ア⸢リ⸣ブンダ ア⸢バタンティン⸣ ミサン [ʔa⸢batuna⸣ pi⸢niʧeː⸣ ʔa⸢ri⸣bunda ʔa⸢batamtim⸣ misaŋ] (慌てるな<急ぐな>{EOS}日時はまだあるから慌てなくても<急がなくても>よい)。 ア⸢バティ ナー⸣ヌ [ʔa⸢bati naː⸣nu] (慌ててしまった)。 ア⸢バトゥ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢batu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (慌てる<急ぐ>ことは無い)。 ア⸢バテー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢bateː⸣ misamunu] (急げばいいのに)。 ア⸢バティ⸣バ [ʔa⸢bati⸣ba] (急げよ) 1039 0 0 960 htmvoc_1039.wav アバナキニビ ア⸢バナキニビ [ʔa⸢banakinibi] 名 仰向けに寝ること。仰臥すること。大の字になって寝ること。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣クナー ア⸢バナキニビ シーベー⸣バン [mi⸢dumu⸣nu ⸣kunaː ʔa⸢banakinibi ʃiːbeː⸣baŋ] (女が<女のくせに>ここで仰臥しているわい) 1040 0 0 961 htmvoc_1040.wav アバナクン ア⸢バナクン [ʔa⸢banakuŋ] 自動 仰向けに寝やがる。仰臥しやがる。寝腐る。寝転がる。「寝る」を罵っていう語。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ア⸢バナキ ベー [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔa⸢banaki beː] (仕事はしないで寝くさっている)。 ⸣アイニ ア⸢バナカンドー⸣シ シ⸢グトゥン シー⸣バ [⸣ʔaini ʔa⸢banakandoː⸣ʃi ʃi⸢gutuŋ ʃiː⸣ba] (あんなに寝腐らずに仕事もしろよ)。 イ⸢ザン⸣カー ナー⸢イ⸣ ア⸢バナクン⸠ダー [ʔi⸢ʣaŋ⸣kaː naː⸢i⸣ ʔa⸢banakun⸠daː] (叱らないと、ずっと寝くさるぞ)。 ア⸢バナク⸣ ム⸢ヌンマー⸣ イー ッ⸢ふァースナ [ʔa⸢banaku⸣ mu⸢nummaː⸣ ʔiː f⸢faːsuna] (無為徒食して寝腐る者には飯を食わせるな)。 ア⸢バナケー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢banakeː⸣ misamunu] (寝やがればいいのに)。 ⸣ワンザー ⸣ウナーティ ア⸢バナキ⸣バ [⸣wanʣaː ⸣ʔunaːti ʔa⸢banaki⸣ba] (お前野郎はここで寝やがれ) 1041 0 0 962 htmvoc_1041.wav アバナビ ア⸢バ⸣ナビ [ʔa⸢ba⸣nabi] 名 揚げ物をする鍋。「揚げ物鍋」の義。油鍋。揚げ物、炒め物の用いる浅い鍋。フライパン。 ア⸢バ⸣ナビ シ⸢ケー⸣ラ ⸢ミー⸣ヤ パ⸢ナス⸣ナ⸢ヨー [ʔa⸢ba⸣nabi ʃi̥⸢keː⸣ra ⸢miː⸣ja pa⸢nasu⸣na⸢joː] (油鍋に油を入れて火にかけたら、それから目を離すなよ) 1042 0 0 963 htmvoc_1042.wav アバヌカシ ア⸢バ⸣ヌ ⸣カシ [ʔa⸢ba⸣nu ⸣kaʃi] 連 豚の脂肉を油鍋で炒って油を抽出したあとの滓。炒り滓。塩を振りかけて食したり、お汁に入れて出汁にするのに用いた。 ⸢ミー⸣スナ ア⸢バ⸣ヌ ⸣カシ カ⸢ケー⸣シティ ⸢アンダミー⸣ス ス⸢ク⸣ローッタ [⸢miː⸣suna ʔa⸢ba⸣nukaʃi kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ⸢ʔandamiː⸣su su̥⸢ku⸣roːtta] (味噌に炒り滓をかき混ぜて油味噌を作られた) 1043 0 0 964 htmvoc_1043.wav アバヌシジグル ア⸢バ⸣ヌ シ⸢ジ⸣グル [ʔa⸢ba⸣nu ʃi⸢ʤi⸣guru] 連 豚の脂身を油鍋で炒って油を抽出した後の滓。炒り滓。「脂の煎じ殻」の義。 ア⸢バ⸣ヌ シ⸢ジ⸣グロー シ⸢トゥナ⸣ヨー [ʔa⸢ba⸣nu ʃi⸢ʤi⸣guroː ʃi̥⸢tuna⸣joː] (脂身の炒り滓は捨てるなよ) 1045 0 0 965 htmvoc_1045.wav アハハー ア⸢ハハー [ʔa⸢hahaː] 感 あはは。声高に笑う声。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ア⸢ハハー⸣シ タ⸢カ⸣バライ ⸢シー ミーヌッサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢dumu⸣nu ʔa⸢hahaː⸣ʃi tḁ⸢ka⸣barai ⸢ʃiː miːnussa⸣nu na⸢ra⸣nu] (女がアハハーと高笑いして、見苦しくて仕方がない) 1007 0 0 966 htmvoc_1007.wav アババー ア⸢ババー [ʔa⸢babaː⸣] 名 唖者。口のきけない人。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ マ⸢リットーラ⸣ ア⸢ババー ヤ⸢ロー⸣レーティ ブ⸢ネーヌ⸣ ウヤ ⸢タンガ⸣ル ウ⸢リトゥ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢ソー⸣ル [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ma⸢rittoːra⸣ ʔa⸢babaː ja⸢roː⸣reːti bu⸢neːnu⸣ ʔuja ⸢taŋga⸣ru ʔu⸢ritu⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢soː⸣ru] (この人は生まれつきの唖者であられるので、母親一人しかその人と話されない<母親一人が話される>) 1046 0 0 967 htmvoc_1046.wav アバパク ア⸢バ⸣パク [ʔa⸢ba⸣pḁku] 名 油を入れる箱。なたねあぶら(菜種油)を入れるブリキ缶。「油箱」の義。 ア⸢バ⸣パコーラ タ⸢ニ⸣ユー ス⸢クイ⸣ パ⸢カ⸣レーティル ⸢カーソーッ⸣タ [ʔa⸢ba⸣pḁkoːra ta⸢ni⸣juː su̥⸢kui⸣ pḁ⸢ka⸣reːtiru ⸢kaːsoːt⸣ta] (菜種油<なたねあぶら>を入れる缶から種油を掬い、量ってからお売りなさった)。ア⸢バ⸣カン[ʔa⸢ba⸣kaŋ](油缶)ともいう 1047 0 0 968 htmvoc_1047.wav アバピカリ ア⸢バピカ⸣リ [ʔa⸢bapika⸣ri] 名 脂ぎって顔がテカテカ光っているさま。 ⸢ヌー⸣バ ッ⸢ふァイル パンタル⸣タユー ウ⸢ム⸣テー ア⸢バピカ⸣リ ⸢シーベー [⸢nuː⸣ba f⸢fairu pantaru⸣tajuː ʔu⸢mu⸣teː ʔa⸢bapika⸣ri ⸢ʃiːbeː] (何を食べて肥えたのか、顔<面>はテカテカ光っているよ) 1048 0 0 969 htmvoc_1048.wav アバピキマールン ⸣アバ ピ⸢キマールン [⸣ʔaba pi̥⸢kimaːruŋ] 連 脂ぎる。油が一面に拡散する。全体的に油がひろがる。油がお汁の表面一様に浮く。 ア⸢バ⸣ムヌ ッ⸢ふァイティル⸣ フ⸢チヌ マーラー⸣ アバ ピ⸢キマーリ ベー [ʔa⸢ba⸣munu f⸢faitiru⸣ ɸu̥⸢ʧinumaːraː⸣ ʔaba pi̥⸢kimaːri beː] (油ものを食べて口の周囲は脂ぎっている<油が一面についている>) 1049 0 0 970 htmvoc_1049.wav アバフチ ア⸢バ⸣フチ [ʔa⸢ba⸣ɸu̥ʧi] 名 おべっか。ごますり。へつらい。お喋り。「油口」の義。 ⸢ヌー⸣ヌ シ⸢ジ⸣ル ヤ⸢ル⸣ユー ナー⸢イ⸣ ア⸢バ⸣フチ ⸣ナリ プ⸢スバ⸣ フミ⸢ベー [⸢nuː⸣nu ʃi⸢ʤi⸣ru ja⸢ru⸣juː naː⸢i⸣ ʔa⸢ba⸣ɸu̥ʧinari pu̥⸢suba⸣ ɸumi⸢beː] (どういう積もりなのか、低劣でお喋りな胡麻すりになって、ただ人を褒めている) 1050 0 0 971 htmvoc_1050.wav アバフツァー ア⸢バフ⸣ツァー [ʔa⸢baɸu̥⸣ʦaː] 名 よくおべっかを言う人。へつらいもの。 ⸢ヌー⸣ヌ タ⸢クマ⸣ヌ ⸣アルユー ア⸢バフ⸣ツァー ⸣ナリ ⸢ベー⸣サー [⸢nuː⸣nu tḁ⸢kuma⸣nu ⸣ʔarujuː ʔa⸢baɸu̥⸣ʦaː ⸣nari⸢beː⸣saː] (なんの企みがあるのか、へつらいものになっているよ) 1051 0 0 972 htmvoc_1051.wav アバマチ ⸣アバマチ [⸣ʔabamaʧi] 名 松の油分の多い根株や幹の部分。ア⸢カ⸣シ[ʔa⸢ka⸣ʃi](灯)に用いた。 イ⸢クサ⸣ユーナーヤ ア⸢バ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ベーティ ⸣アバマチバ キ⸢ジティ⸣ ア⸢カ⸣シ ス⸢ク⸣リティ ウ⸢リバ モーシル⸣ ガ⸢ラソーッタ⸣ル [ʔi⸢kusa⸣juːnaːja ʔa⸢ba⸣nu ⸢naːm⸣beːti ⸣ʔabamaʧiba ki⸢ʤiti⸣ ʔa⸢ka⸣ʃi su̥⸢ku⸣riti ʔu⸢riba moːʃiru⸣ ga⸢rasoːtta⸣ru] (戦争中は油がないので、松の根株を削って灯<あかし>を作ってそれを燃やして明るくされた) 1052 0 0 973 htmvoc_1052.wav アバムシ ア⸢バ⸣ムシ [ʔa⸢ba⸣muʃi] 名 (動)アブラムシ。泡粒のように小さく野菜の葉について樹液をすう害虫。 ⸢ナーン⸣パーナ ア⸢バムシ⸣ヌ ⸢イッ⸣パイ ⸣シキティ ⸢ナー⸣ヤ サ⸢リナー⸣ヌ [⸢naːm⸣paːna ʔa⸢bamuʃi⸣nu ⸢ʔip⸣pai ⸣ʃi̥kiti ⸢naː⸣ja sa⸢rinaː⸣nu] (菜っ葉にアブラムシが沢山<いっぱい>ついて菜っ葉は枯れてしまった{EOS}) 1053 0 0 974 htmvoc_1053.wav アバムヌ ア⸢バ⸣ムヌ [ʔa⸢ba⸣munu] 名 油気の多い食べ物。 ア⸢バムヌ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ⸢イー⸣ヤ ン⸢マーナーン⸣バン [ʔa⸢bamunu⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸢ʔiː⸣ja ʔm⸢maːnaːm⸣baŋ] (油気のものがないとご飯は美味しくないわい) 1064 0 0 975 htmvoc_1064.wav アバラブニ ア⸢バラ⸣ブニ [ʔa⸢bara⸣buni] 名 あばらぼね(肋骨)。若年層の言葉。「客亭、無壁之屋也、客人屋。阿波良(あはら)」『新撰字鏡』、「骼、アバラホネ」『天正十八年本節用集』の転訛したもの。老年層は、⸢ソーキ⸣ブニ[⸢soːki⸣buni](主に豚や牛等の家畜の肋骨を指す{EOS}稀に人間の肋骨にもいう)、ヤ⸢カタ⸣ブニ[ja⸢kata⸣buni](人間の肋骨)という 898 0 0 976 htmvoc_898.wav アバリマリ ア⸢バリマリ [ʔa⸢barimari] 名 生まれつきの美人。天性の美人。 ブ⸢ネーヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢シーバ⸣ ピ⸢キル⸣ ア⸢バリマリバ シーブー [bu⸢neːnu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʃiːba⸣ pi̥⸢kiru⸣ ʔa⸢barimariba ʃiːbuː] (母親の血筋を引いて天性の美人に生まれついてきている) 1054 0 0 977 htmvoc_1054.wav アバリムヌ ア⸢バリムヌ [ʔa⸢barimunu] 名 暴れ者。乱暴者。 サ⸢マネー⸣ ウ⸢トゥナッ⸣サンドゥ ⸣ヌムカー ア⸢バリムヌ⸣ ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [sa⸢maneː⸣ ʔu⸢tunas⸣sandu ⸣numukaː ʔa⸢barimunu⸣ nariti ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (しらふ<素面>では大人しいが、飲むと乱暴物になって手がつけられない<養生できない>) 1055 0 0 978 htmvoc_1055.wav アバリルン ア⸢バリルン [ʔa⸢bariruŋ] 自動 暴れる。標準語からの借用語。老年層は、大人が暴れる場合は⸢ヤー⸣バリ ⸢スン[⸢jaː⸣bari ⸢suŋ](家具をぶち壊す{EOS}暴れる)、子供の場合は、⸢アールン[⸢ʔaːruŋ](暴れる)、⸢キン⸣ダン ⸢スン[⸢kin⸣dan ⸢suŋ](地団駄踏んで暴れる)と表現する。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ア⸢バリル⸣ フ⸢シヌ⸣ アルンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢ʔunʣaː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ʔa⸢bariru⸣ ɸu̥⸢ʃinu⸣ ʔarunda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (此奴は酒を飲むと暴れる癖があるから気をつけよ) 899 0 0 979 htmvoc_899.wav アバレープス ア⸢バ⸣レー プ⸢ス [ʔa⸢ba⸣reː pu⸢su] 名 美しい人。美人。 ア⸢バ⸣レー プ⸢スヌ⸣ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ナカー ス⸢ク⸣ブティ ア⸢ザリブー [ʔa⸢ba⸣reː pu̥⸢sunu⸣ ba⸢ta⸣nu na⸢kaː⸣ su̥⸢ku⸣buti ʔa⸢ʣaribuː] (美人の腹の中はすくも<\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}{EOS}腹黒>といわれている) 1065 0 0 980 htmvoc_1065.wav アバレーミドゥム ア⸢バ⸣レー ミ⸢ドゥ⸣ム [ʔa⸢ba⸣reː mi⸢du⸣mu] 連 美しい女。 ⸣カナー ア⸢バ⸣レー ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣タティ ⸢ベー⸣ン [⸣kanaː ʔa⸢ba⸣reː mi⸢dumu⸣nu ⸣tati ⸢beː⸣ŋ] (あそこに美しい女が立っている) 1066 0 0 981 htmvoc_1066.wav アバレーワレー ア⸢バ⸣レーワ⸢レー [ʔa⸢ba⸣reːwa⸢reː] 感 何と美しいことよ。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ア⸢バ⸣レーワ⸢レー [ʔu⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffanu ʔa⸢ba⸣reːwa⸢reː] (この女の子の何と美しいことよ) 897 0 0 982 htmvoc_897.wav アバレーン ア⸢バ⸣レーン [ʔa⸢ba⸣reːŋ] 形 美しい。きれいである。特に女性の美しさを表す。平安時代語の「あはれ」と同系統の言葉。日本諸方言の「あっぱい」(美しい)島根県、徳島県、高知市、福岡県、(『日本方言大辞典』)と同系統の語。美人である。女性の美しさに対していう。「~門ささず あはれ吾妹子~。万2594」の転訛したものか。 ⸢マイ⸣ネヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー シザ⸢ウシ⸣トゥナリ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢バ⸣レーン [⸢mai⸣nenu mi⸢doːŋ⸣ffaː ʃiʣa⸢ʔuʃi̥⸣tunari ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ba⸣reːŋ] (前隣の家の娘<女の子>さんは姉妹揃って非常に美しい)。 カ⸢ヌ ッふァヌ⸣ ア⸢バ⸣レー⸢ワー [ka⸢nu ffanu⸣ ʔa⸢ba⸣reː⸢waː] (あの子のなんと美しいことよ)。 ⸢ナン⸣ゾー ア⸢バレー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢bareː naː⸣nu] (あまり美しくない)。 フ⸢ドゥブ⸣ アー⸢シ⸣ ア⸢バ⸣レー ⸣ナルン [ɸu⸢dubu⸣ ʔaː⸢ʃi⸣ ʔa⸢ba⸣reː ⸣naruŋ] (成長するにつれて美しくなる)。 ア⸢バ⸣レー ッ⸢ふァー⸣ラ ⸢イー⸣リバ [ʔa⸢ba⸣reː f⸢faː⸣ra ⸢ʔiː⸣riba] (美しい娘から貰えよ)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ア⸢バ⸣レーンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ア⸢バ⸣レー ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢doːn⸣ffaː ʔa⸢ba⸣reːnti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ʔa⸢ba⸣reː ⸢naː⸣nu] (女の子は美しいと聞いたが、あまり美しくない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢バ⸣レー ⸣ナリケーン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢ba⸣reː ⸣narikeːŋ] (次第に美しくなってきた)。 ウ⸢リヌ⸣ スコー ア⸢バ⸣レー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥koː ʔa⸢ba⸣reː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あの人ほど美しい人はいない)。 ア⸢バ⸣レーカー ⸢イー⸣ルン [ʔa⸢ba⸣reːkaː ⸢ʔiː⸣ruŋ] (美しかったらもらう<嫁にする>) 1056 0 0 983 htmvoc_1056.wav アビャー ⸣アビャー [⸣ʔabjaː] 感 あれあれ。あらまあ。驚いたり、意外な時に発する言葉。老年層の言葉。 ⸣アビャー ⸢ウンパン⸣シン ⸢ヌーリパザキ ナーン⸣バン [⸣ʔabjaː ⸢ʔumpaŋ⸣ʃin ⸢nuːripaʣaki naːm⸣baŋ] (あれまあ、運搬船に乗船し損なったよ) 1058 0 0 984 htmvoc_1058.wav アヒャーオー ⸣アヒャーオー [⸣ʔaçaːʔoː] 名 母豚。繁殖用母豚。⸣アヒャー[⸣ʔaçaː](母豚)ともいう。 ⸣アヒャーオーバ シゥ⸢カ⸣ナイティ サ⸢カラシ カースン [⸣ʔaçaːʔoːba si̥⸢ka⸣naiti sḁ⸢karaʃi kaːsuŋ] (繁殖用母豚を飼って、繁殖させて<盛らせて>売る) 1059 0 0 985 htmvoc_1059.wav アヒャーヌギ ⸣アヒャーヌギ [⸣ʔaçaːnugi] 名 繁殖用の雌豚を仕立てるために多くの子豚の中から母豚に適するものを選び出すこと。 ⸢トゥッカラヌ⸣ ナ⸢カー⸣ラ ⸣アヒャーヌギ ⸢シー⸣ケーンダ フ⸢ドゥン⸣ カ⸢タチン ⸢カイ⸣ヤンティ⸢ゲ⸣ラ [⸢tukkaranu⸣ na⸢kaː⸣ra ⸣ʔaçaːnugi ⸢ʃiː⸣keːnda ɸu⸢duŋ kḁ⸢taʧiŋ ⸢kai⸣janti⸢ge⸣ra] (十匹の中から繁殖用の母豚に仕立てる子豚を選んできたのだから、大きさも姿形も立派で美しいさ、ほら) 903 0 0 986 htmvoc_903.wav アピラ ア⸢ピ⸣ラ [ʔa⸢pi⸣ra] 名 (動)家鴨(アヒル)。 ア⸢ピラ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸣マター パ⸢タッキ⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸣ヌーヤ ウ⸢ヌ⸣ カ⸢タッチェー [ʔa⸢pira⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸣mataː pḁ⸢takki⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸣nuːja ʔu⸢nu⸣ kḁ⸢taʧeː] (アヒルのように股を開いて歩いて、何だあの格好は)。 パ⸢トゥ⸣マナー ア⸢ピ⸣ラー ⸢ナン⸣ゾー ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaː ʔa⸢pi⸣raː ⸢nan⸣ʣoː bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島には家鴨はあまりいなかった) 1069 0 0 987 htmvoc_1069.wav アフ ア⸢フ [ʔa⸢ɸu] 名 あく(灰汁)。「灰汁、阿久(あく)」『和名抄』の転訛したもの。[ku] → [fu] → [ɸu]の音韻変の化法則によって形成された語。木灰に水を入れて汲み取った上澄みの水。洗濯や髪洗い、染色等に用いた。 ⸢キン⸣マー ア⸢フ⸣ナ シ⸢キティ⸣ ア⸢ラウ⸣カー ⸣ガバー ウ⸢タシヤッ⸣サン⸢ダー [⸢kim⸣maː ʔa⸢ɸu⸣na ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢rau⸣kaː ⸣gabaː ʔu⸢taʃijas⸣san⸢daː] (着物は灰汁につけて洗うと垢は落としやすいよ)。 カ⸢マチヌ パイバ⸣ ミ⸢ジ⸣ナ トゥ⸢カ⸣シティ ア⸢フバ⸣ トゥリティ ウ⸢リ⸣シル ガ⸢マ⸣ジ ア⸢ラウタ [ka⸢maʧinu paiba⸣ mi⸢ʤi⸣na tu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ʔu⸢ri⸣ʃiru ga⸢ma⸣ʤi ʔa⸢rauta] (竈の灰を水に溶かして灰汁を取って、それで髪を洗った) 1070 0 0 988 htmvoc_1070.wav アブ ⸣アブ [⸣ʔabu] 名 お母さん。母。「母」の名称。「あむ」(百姓の妻)『混効験集』。呼称は、ア⸢ボー[ʔa⸢boː](母、お母さん{EOS}{SqBr}abu・ja{/SqBr}<は>の融合変化したもの)という。 ⸢バン⸣テヌ アボー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シン ⸢オーッ⸣タ [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaboː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (私の家のお母さんは畑を耕しに行かれた)。 ⸣クマー ア⸢ブ⸣トゥ ⸢アーヤ⸣トゥ フ⸢タール⸣シ ス⸢ク⸣ローレール ⸢ジー⸣マシ [⸣kumaː ʔa⸢bu⸣tu ⸢ʔaːja⸣tu ɸu̥⸢taːru⸣ʃi su̥⸢ku⸣roːreːru ⸢ʤiː⸣maʃi] (ここは父と母が二人で耕作された土地です)。明治、大正生まれの古老の言葉。昭和生まれの若年層は、⸣アンマ[⸣ʔamma](母{EOS}親族名称)、アン⸢マー[ʔam⸢maː](お母さん{EOS!}親族呼称)という人が多い。これは、弟妹たちが兄嫁を⸣アンマ[ʔamma](姉さん)と呼んだのを、子や孫が母親の名称と誤解して伝承したことによるものであろう。 ⸢バン⸣テヌ ア⸢ブ⸣トゥ ⸢ワッ⸣テヌ ⸣アボー ⸢キョー⸣ダイ⸢ダー [⸢ban⸣tenu ʔa⸢bu⸣tu ⸢wat⸣tenu ⸣ʔaboː ⸢kjoː⸣dai⸢daː] (私の家のお母さんと貴方の家のお母さんは姉妹だよ) 1071 0 0 989 htmvoc_1071.wav アブ ア⸢ブ [ʔa⸢bu] 名 穴。自然の竪穴。縦穴洞穴。特に地下へ落ち込むように出来た天然の竪穴洞穴をいう。 シ⸢マナカミチ⸣ヌ ⸢アンタヌ⸣ ナ⸢カシ⸣ケーヌ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣スバナー ア⸢ブヌ⸣ アンティ⸢ダー [ʃi⸢manakamiʧi⸣nu ⸢ʔantanu⸣ na⸢kaʃi̥⸣keːnu pḁ⸢taki⸣nu ⸣subanaː ʔa⸢bunu⸣ ʔanti⸢daː] (島中道の東の、仲底家の畑の側に天然の竪穴洞穴があるそうだよ)。竪穴の自然洞穴。 パ⸢チンガカーヤ⸣ ア⸢ブ⸣ ナリ ⸢ブー⸣ダー [pḁ⸢ʧiŋgakaːja⸣ ʔa⸢bu⸣ nari ⸢buː⸣daː] (パチンガカー<井戸>は竪穴の自然洞穴になっているよ)。 ア⸢ブ トゥッ⸣クン [ʔa⸢bu tuk⸣kuŋ] (竪穴が陥没する) 1081 0 0 990 htmvoc_1081.wav アブアブスン ア⸢ブアブ スン [ʔa⸢buʔabu suŋ] 連 あっぷあっぷする。溺れそうになってあっぷあっぷする。 ウイ⸢サンダ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢フンナクター⸣ ア⸢ブアブ シーベー⸣タ [ʔui⸢sanda⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢ɸunnakutaː⸣ ʔa⸢buʔabu ʃiːbeː⸣ta] (泳げないから、船が転覆したのであっぷあっぷしていた<溺れそうになっていた>) 1077 0 0 991 htmvoc_1077.wav アファリルン ア⸢ファリルン [ʔa⸢ɸariruŋ] 自動 酒や酢などの気が抜ける。酒や酢などが水っぽくなる。 サ⸢キン⸣ ナ⸢ガタブイ スー⸣カー ア⸢ファリルン⸠ダー [sḁ⸢kin⸣ na⸢gatabui suː⸣kaː ʔa⸢ɸa⸢rirun⸠daː] (酒も長期保存すると気が抜けるよ)。 ギャン⸢ティ⸣ ザウ スーカー ア⸢ファリラヌ [gjan⸢ti⸣ ʣau suːkaː ʔa⸢ɸariranu] (ぎゅっと強く栓をすると気が抜けない) 1078 0 0 992 htmvoc_1078.wav アファルン ア⸢ファルン [ʔa⸢ɸaruŋ] 自動 酒や酢などの気が抜ける。酒や酢が水っぽくなる。 サ⸢ケー⸣ カミナー イ⸢リティ⸣ タ⸢ブイ⸣シケーター ア⸢ファリナー⸣ヌ [sḁ⸢keː⸣ kaminaː ʔi⸢riti⸣ ta⸢bui⸣ʃi̥keːtaː ʔa⸢ɸarinaː⸣nu] (酒を甕に入れて貯えておいたらば、水っぽくなってしまった)。 ナ⸢ガタブイ スー⸣カー ア⸢ファルン <ア⸢ファリルン> [na⸢gatabui suː⸣kaː ʔa⸢ɸaruŋ ] (長期保存すると気が抜ける)。 ⸢ピッ⸣チン ア⸢ファラヌ⸣ ア⸢ファル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢ɸaranu⸣ ʔa⸢ɸaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (すこしも水っぽくならない{EOS}気が抜けることはない) 1082 0 0 993 htmvoc_1082.wav アフカミ ア⸢フカミ [ʔa⸢ɸukami] 名 灰汁(あく)を入れた甕。「灰汁・甕」の義。 ⸢パイヤー⸣ シ⸢ティランドー⸣シ ア⸢フカミ⸣ナー イ⸢リティ オージル⸣ トゥリバ [⸢paijaː⸣ ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ʔa⸢ɸukami⸣naː ʔi⸢riti ʔoːʤiru⸣ turiba] (灰は捨てないで灰汁甕に入れて、その上澄み液<上汁>を取りなさいよ) 1084 0 0 994 htmvoc_1084.wav アブシ ア⸢ブ⸣シ [ʔa⸢bu⸣ʃi] 名 田の畦。田と田を仕切った境界の、土を盛り上げた部分。 ア⸢ブ⸣シ ⸣パラウンティ ⸢ベーン⸣ケン パ⸢ブン ホー⸣リティ ⸣ヤミナ⸢ラ⸣ヌ シ⸢ヌンティ アーク⸣タ⸢ドー⸣スカーヤ [ʔa⸢bu⸣ʃi ⸣paraunti ⸢beːŋ⸣kem pa⸢buŋ hoː⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu ʃi⸢nunti ʔaːku⸣ta ⸢doː⸣su̥kaːja] (田の畦を草刈しよう<払おう>としていると、ハブに咬まれて、痛くて我慢できず、やがて死ぬところだった<死のうとしていた>ってば) 1083 0 0 995 htmvoc_1083.wav アブジ ア⸢ブ⸣ジ [ʔa⸢bu⸣ʤi] 名 おじいさん。祖父の名称。[ʔabuʤi] + [ja](は)→ [ʔabuʤeː](お祖父さんは)。 ⸣アブジェー パ⸢ナ⸣シ  [⸣ʔabuʤeː pa⸢na⸣ʃi] (御祖父さんの話)。 ア⸢ブジ⸣バ シゥ⸢カシ⸣ クー  [ʔa⸢buʤi⸣ba si̥⸢kaʃi⸣ kuː] (御祖父さんをお連れして<ご案内して>きなさい)。 ア⸢ブ⸣ジン ⸢オーシ  [ʔa⸢bu⸣ʤiŋ ⸢ʔoːʃi] (御祖父さんに差し上げなさい)。語源として、「ア(吾)・ウプ(大)・ヂ(父)」の転訛との説がある(『日本語の系譜』)。 ⸢バン⸣テヌ ア⸢ブ⸣ジェー ⸢ヤーザイ⸣ク ヤ⸢ロー⸣レティ ユ⸢ネン⸣ヌ ⸢カージ⸣ ク⸢シクイヌ⸣ サ⸢キバ⸣ ン⸢キシギシギティル⸣ パ⸢ヤマーラ⸣シ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢ban⸣tenu ⸣ʔabuʤeː ⸢jaːʣai⸣ku ja⸢roː⸣reːti ju⸢nen⸣nu ⸢kaːʤi⸣ ku⸢ʃikuinu⸣ sa⸢kiba⸣ ŋ⸢kiʃigitiru⸣ pa⸢jamaːra⸣ʃi ⸢soːt⸣taʦoː] (私の家の祖父は建築家<家大工の棟梁>であられたので毎晩<夜の数>骨休めの酒を召しあがり過ぎて、それで早死にされたそうな) 1085 0 0 996 htmvoc_1085.wav アブジェーマ ア⸢ブジェー⸣マ [ʔa⸢buʤeː⸣ma] 名 小さな御祖父さん。高齢の御祖父さん。貧相なおじいさん。男の老人を親しみを込めていう語。 ム⸢カ⸣シ ⸣アルントンナー アブ⸢ジェーマ⸣トゥ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン⸢トゥ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔaruntonnaː ʔabu⸢ʤeːma⸣tu ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔoːt⸣tan⸢tu⸣ʦoː] (昔ある所におじいさん<御祖父さん>とおばあさん<お祖母さん>がおられたそうな)。 ⸢ウン⸣ネナー ア⸢ブジェーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenaː ʔa⸢buʤeːma⸣nu ⸢ʔoːt⸣tan⸢daː] (その家にはおじいさんがおられたよ) 1088 0 0 997 htmvoc_1088.wav アブシガサミ ア⸢ブシガサ⸣ミ [ʔa⸢buʃigasa⸣mi] 名 (動)アシハラガニ。「アブシ・ガサミ」(畦蟹)の義。田の畦や沼沢などに棲息して穴を作り、田の水を流出させて稲の生育に害を及ぼす蟹。 ア⸢ブシガサミ⸣ヌ ⸢ター⸣ヌ ⸣アザナ ⸣アナ ⸣プリティ ミ⸢ジ サーラシナー⸣ヌ [ʔa⸢buʃigasami⸣nu ⸢taː⸣nu ⸣ʔaʣana ⸣ʔana ⸣puriti mi⸢ʤi saːraʃinaː⸣nu] (アシハラガニが田圃の畦に穴を掘って水を流出させてしまった) 1087 0 0 998 htmvoc_1087.wav アブシバライ ア⸢ブシ⸣バライ [ʔa⸢buʃi⸣barai] 名 田の畦の草を刈り払うこと。「畦・払い」の義。 ⸢トー⸣サ トゥ⸢リンテー⸣ナ ア⸢ブシ⸣バライ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢toː⸣sa tu⸢rinteː⸣na ʔa⸢buʃi⸣barai ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (田草を取りながら田の畦の雑草を刈り取らないといけない)。沖縄本島のアブ(ー)⸢シバレ⸣ー[ʔabu(ː)⸢ʃibare⸣ː](畦祓い・田の畦をはらう行事<虫よけの祈願>)(『沖縄今帰仁方言辞典』)という民俗行事はないが、類似の民俗行事としては⸢ユーニガイ[⸢juːnigai](「世願い」の義)がある 1086 0 0 999 htmvoc_1086.wav アブシマッふァ ア⸢ブシマッ⸣ふァ [ʔa⸢buʃimaf⸣fa] 名 ⸢畦枕」の義。⸢畦枕」は稲がよく稔って稲穂が畦に垂れかかっているさま。「穂花咲き出ればちりひぢもつかぬ白ちやねやなびきあぶしまくら」(『琉歌全集』149)のように豊年を予祝したもので、歌謡語として用いられることが多い。 ク⸢トゥシン⸣ ア⸢ブシマッ⸣ふァ ⸢スン⸣ケン ⸢マイヤー ノー⸣レーン [ku̥⸢tuʃiŋ⸣ ʔa⸢buʃimaf⸣fa ⸢suŋ⸣kem ⸢maijaː noː⸣reːŋ] (今年も稲穂が畦に垂れかかるほど稔った) 1089 0 0 1000 htmvoc_1089.wav アブタテー ⸣アブタテー [⸣ʔabutateː] 名 屋号。吉川喜屋氏宅。喜屋氏の奥さんが与那国出身だったことから、与那国方言の⸣アブター[⸣ʔabutaː](お母さん)を屋号としたもの 9023 0 0 1001 htmvoc_9023.wav アブツァ ア⸢ブ⸣ツァ [ʔa⸢bu⸣ʦa] 連体 あんな。 ア⸢ブ⸣ツァ ⸣ムニ ス⸢クナ [ʔa⸢bu⸣ʦa ⸣muni su̥⸢kuna] (あんな言葉は聞くな) 1090 0 0 1002 htmvoc_1090.wav アブナーッサン ア⸢ブナーッ⸣サン [ʔa⸢bunaːs⸣saŋ] 形 危なっかしい。危ない。頼り無くて不安である。ア⸢ヤッ⸣サーンとも言う。 ウ⸢レー⸣ ア⸢ブナーッ⸣サンダ ア⸢ブナーッサ ナーン⸣ ムヌバ イ⸢ラ⸣ビ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢bunaːs⸣sanda ʔa⸢bunaːssa naːm⸣ munuba ʔi⸢ra⸣bi] (それは危なっかしいから、危なっかしくないものを選べ)。 ア⸢ブナーッサ⸣ヌ ⸣ミリ ブ⸢ララヌ [ʔa⸢bunaːssa⸣nu ⸣miri bu⸢raranu] (危なっかしくて見ておれない)。 ア⸢ブナーッ⸣サー ⸣クトー ス⸠ナ⸣ヨー [ʔa⸢bunaːs⸣saː ⸣ku̥toː su⸠na⸣joː] (危なっかしいことはするなよ) 1091 1 0 1003 htmvoc_1091.wav アブネーム ア⸢ブネーム [ʔa⸢buneːmu] 名 {PoS_1}危険。大変。危ないこと。「アブネー・ムヌ」[ʔabuneː-munu](危ないもの)の縮まった形。 カ⸢ジヌ マー⸣ビン ⸢スー⸣ルカー ア⸢ブネーム シース <⸢デー⸣ジ ナ⸢リ⸣ス> [ka⸢ʤinu maː⸣bin ⸢suː⸣rukaː ʔa⸢buneːmu ʃiːsu <⸢deːʤ⸣i na⸢ri⸣su>] (風がもっと強くなったら危険なことになる)。 ク⸢ヌ アシ⸣ボー マ⸢ナ⸣マ ⸢ヨー⸣ゾー サン⸣カー ア⸢ブネーム⸣ シース <⸢デー⸣ジ ナ⸢リ⸣ス> [ku⸢nu ʔaʃi⸣boː ma⸢na⸣ma ⸢joː⸣ʣoː ⸢saŋ⸣kaː ʔa⸢buneːmu ʃiːsu <⸢deːʤ⸣i na⸢ri⸣su>] (この御出来は今治療<養生・手当>しないと大変なことになる)。 1091 2 0 1004 htmvoc_1091.wav アブネーム ア⸢ブネーム [ʔa⸢buneːmu] 感 {PoS_2}ああ怖い。ああ大変。 ア⸢ブネーム⸣ <⸢デー⸣ジ> アン⸢デー⸣カー ⸣バー パ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢buneːmu⸣ <⸢deːʤ⸣i> ʔan⸢deː⸣kaː ⸣baː pa⸢ra⸣nu] (ああ大変、それなら私は行かない) 1092 0 0 1005 htmvoc_1092.wav アブバタ ア⸢ブバタ [ʔa⸢bubata] 名 大食い。「穴腹」の義。「底なしの腹」の意味で、いくら食べても満足しないことから命名さらたもの。ア⸢ブ[ʔa⸢bu](洞穴{EOS}竪穴)は竪穴の自然洞穴で、雨水はそこへ流入して溢れることはない。 ⸢ウンザー⸣ ア⸢ブバタ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ メー⸢ティ⸣ ア⸢ザヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ʔa⸢bubata⸣ ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ f⸢faːsabam⸣ meː⸢ti⸣ ʔa⸢ʣanu] (あいつの腹は穴腹<底なしの腹>だから、いくら食わせても「もう十分{EOS}もう結構」とは言わない)。ア⸢ブバタ マーシ⸣ノ[ʔa⸢bubata maːʃi⸣no](穴腹野郎めが)、卑罵表現 1093 0 0 1006 htmvoc_1093.wav アブル ア⸢ブル [ʔa⸢buru] 名 (動)魚の名。和名、ヨコシマフエフキ(体長約70センチ)。白身魚の最高級魚。⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː](島の西側の干瀬)の⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外海<腰>)で、タ⸢ティ⸣ナー[tḁ⸢ti⸣naː](一本釣り)をして釣った 1094 0 1 1007 htmvoc_1094.wav アブン ⸣アブン [⸣ʔabuŋ] 他動 {Mn_1}炙る(あぶる)。火に当たって温める。 ⸢ピー⸣ヤンダ ク⸢マー⸣ キー ピ⸢バ⸣チナ ⸣ティー ⸣アビ ⸣ピー ヌ⸢ク⸣ミ [⸢piː⸣janda ku⸢maː⸣ kiː pi⸢ba⸣ʧina ⸣tiː ⸣ʔabi ⸣piː nu⸢ku⸣mi] (寒いからここへ来て火鉢に手を当てて<炙って、火に当たって>火で温まりなさい)。 1094 0 2 1008 htmvoc_1094.wav アブン ⸣アブン [⸣ʔabuŋ] 他動 {Mn_2}焼網等で焼く。網焼きする。炙り焼きする。ローストする。 ウ⸢ティン⸣ガビ ⸣アビ ⸢オーシ [ʔu⸢tiŋ⸣gabi ⸣ʔabi ⸢ʔoːʃi] (紙銭を焼いてお供えしなさい<差し上げなさい>) 1095 0 1 1009 htmvoc_1095.wav アボー ⸣アボー [⸣ʔaboː] 名 {Mn_1}母。母親(親族名称)。老年層は、⸣アブ[⸣ʔabu](母{EOS}母親<親族名称>)という。若年層において、[ʔabu](母)+ [ja](は)→ [ʔaboː](母{EOS}<名称{EOS}呼称>)と変化したもの。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アボー ⸢ワッ⸣テヌ ⸣アボー ⸢ウシ⸣トゥ⸢ダー [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaboː ⸢wat⸣tenu ⸣ʔaboː ⸢ʔuʃi̥⸣tu⸢daː] (私の<家の>母は貴方の<家の>お母さんの妹だよ)。 1095 0 2 1010 htmvoc_1095.wav アボー ⸣アボー [⸣ʔaboː] 名 {Mn_2}親族呼称。 ア⸢ボー ワー⸣ マナー ⸢オール⸣ワ [ʔa⸢boː waː⸣ manaː ⸢ʔoːru⸣wa] (お母さん、貴方は何処に居られるのですか) アマ 1113 0 0 1011 htmvoc_1113.wav アマークマー ア⸢マー⸣クマー [ʔa⸢maː⸣kumaː] 代 あちらこちら。あっちこっち。「あ(彼)・ま(間)・こ(此)・ま(間)」の転訛したもの。 ⸢ドン⸣ゴー カ⸢タジキラ⸣ムティ ア⸢マー⸣クマーナ ⸢ポーリ⸣シケー [⸢doŋ⸣goː kḁ⸢taʤikira⸣muti ʔa⸢maː⸣kumaːna ⸢poːri⸣ ʃi̥keː] (道具を片付けないであちらこちらに散らかしてある) 1072 0 1 1012 htmvoc_1072.wav アマーン ア⸢マー⸣ン [ʔa⸢maː⸣ŋ] 形 {Mn_1}甘い<糖度が高い>。ア⸢ジマー⸣ン[ʔa⸢ʤimaː⸣n](甘い{EOS}味甘し)ともいう。 ⸣サター ア⸢マー⸣ン [⸣sataː ʔa⸢maː⸣ŋ] (砂糖は甘い)。 ⸢ピッ⸣チン ア⸢マーナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢maːnaː⸣nu] (ちっとも甘くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢マー⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢maː⸣ naruŋ] (次第に甘くなる)。 ⸣ドゥク ア⸢マー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸣duku ʔa⸢maː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (あまりにも甘くて飲めない)。 ア⸢マー⸣ ムヌル ⸣プサ [ʔa⸢maː⸣ munuru ⸣pu̥sa] (甘いものが欲しい)。 ア⸢マー⸣ ムノー ッ⸢ふーナ [ʔa⸢maː⸣ munoː f⸢fuːna] (甘いものは喰うな)。 ⸣マー ン⸢メーマ⸣ ア⸢マー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢meːma⸣ ʔa⸢maː⸣kaː ⸣misamunu] (もう少し甘ければ良いのに)。 1072 0 2 1013 htmvoc_1072.wav アマーン ア⸢マー⸣ン [ʔa⸢maː⸣ŋ] 形 {Mn_2}塩気が少ない。みずっぽい。水分が多くて味が薄い。ク⸢ヌ スー⸣ヤ ア⸢マー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ。ン⸢メーマ マー⸣ス イ⸢リリ[ku⸢nu suː⸣ja ʔa⸢maː⸣nu nu⸢mara⸣nu。ʔm⸢meːma maː⸣su ʔi⸢riri](この汁は水っぽくて飲めない{EOS}少し塩を入れなさい) 1096 0 1 1014 htmvoc_1096.wav アマアジ ア⸢マアジ [ʔa⸢maʔaʤi] 名 {Mn_1}甘味。 サ⸢タ⸣バ イ⸢リティ⸣ ア⸢マアジ⸣ シ⸢キ⸣リ [sḁ⸢ta⸣ba ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢maʔaʤi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (砂糖を入れて甘味をつけよ)。 1096 0 2 1015 htmvoc_1096.wav アマアジ ア⸢マアジ [ʔa⸢maʔaʤi] 名 {Mn_2}うす味。塩加減の薄い味。 ウ⸢リヌ⸣ フ⸢チェー⸣ ア⸢マアジ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢ベーマー マー⸣ス イ⸢リリ [ʔu⸢rinu⸣ ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʔa⸢maʔaʤi⸣ ja⸢runda⸣ ʔm⸢beːma maː⸣su ʔi⸢riri] (彼の味覚<口>は薄味だから、少し塩を足せ<入れろ>) 1105 0 0 1016 htmvoc_1105.wav アマイ ア⸢マイ [ʔa⸢mai] 名 神遊び。神職者たちが神歌を歌って神遊びすること。/カムラーマヌ アマイヤー ヌーフサティル アマイル/(カムラーマの神遊びは何が欲しくて神遊びするのか) 1101 0 0 1017 htmvoc_1101.wav アマイシミルン ア⸢マイシミルン [ʔa⸢maiʃimiruŋ] 他動 甘えさせる。 ⸣マーッふァー ア⸢マイシミルンダ⸣ パーンケーンマ ⸢アシキララン⸣ツォー [⸣maːffa ʔa⸢maiʃimirunda⸣ paːŋkemmaː ⸢ʔaʃi̥kiraran⸣ʦoː] (孫を甘えさせるから祖父母達には預けられないそうだ) 1099 0 0 1018 htmvoc_1099.wav アマイパダ ア⸢マイパダ [ʔa⸢maipada] 名 赤ちゃんがンゴーンゴー[ʔŋ⸢goː⸣ŋ⸢goː]と微笑みながら甘える時期。「甘え時期」の儀。⸣パダ[⸣pada]は、「時期、頃、年頃」の意。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ア⸢マイパダー ヌシ⸣トゥルン バ⸢ラースン [ja⸢rabi⸣nu ʔa⸢maipadaː nuʃi̥⸣turum ba⸢raːsuŋ] (乳児の甘える時期<無邪気な笑顔>は、泥棒をも真人間にする<笑わせる>) 1100 0 0 1019 htmvoc_1100.wav アマイビー ア⸢マイビー [ʔa⸢maibiː] 名 二つの火の玉が一つになったり分かれたりして、踊り楽しんでいるように見える火の玉。鬼火。「歓え火<あまえび>」の義。 シ⸢チ⸣ヌ ⸢ユー⸣ロー ア⸢マイビーン⸣ ミラリンティ⸢ダー [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸢juː⸣roː ʔa⸢maibiːm⸣ mi⸢ra⸣rinti⸢daː] (節祭りの夜には歓え火<鬼火>が見られるそうだよ) 1102 0 0 1020 htmvoc_1102.wav アマイヨールン ア⸢マイヨー⸣ルン [ʔa⸢maijoː⸣ruŋ] 自動 神仏が喜び楽しむ。「あまえ<歓え>・おはる<御座す>」の転訛したもの。サ⸢カサ(司)やティ⸢ジリ⸣ビ(男性神職者)たちが祭祀の終了後に、神職者の家に持ちまわりで集まり、酒食を用意して神歌を歌い習ったという。昔から神職(サカサ・ティジリビー)を継ぐ際にも、司や男性神職者の家に集まって神歌の練習をしたという。⸢ユーニンガイ[⸢juːniŋgai](旧暦三月の世願いの祭祀)の後に、神職者の家を回って飲食しながら神歌の練習をする習慣は1965年頃まで続いていた。 ⸢カン⸣プスンケーヤ ム⸢カ⸣シェー キ⸢チゴン ユーニンガイヌ⸣ アトー ⸣ウマー ⸣カマー ユ⸢ライヨー⸣リ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢マイヨーッ⸣タン [⸢kam⸣pu̥suŋkeːja mu⸢ka⸣ʃeː ki̥⸢ʧigoŋ juːniŋgainu⸣ ʔatoː ⸣ʔumaː ⸣kamaː ju⸢raijoː⸣ri ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢maijoːt⸣taŋ] (神職者<神人>たちは、昔は結願祭、世願いの祭祀の後は、あちらこちらに集まられて<寄り合われて>神遊びをなされ、非常に楽しまれたものだ) 1103 0 0 1021 htmvoc_1103.wav アマイルン ア⸢マイルン [ʔa⸢mairuŋ] 自動 嬉しがる。喜ぶ。踊り楽しむ。神遊びをする。神が喜び楽しむ。「あまえる(歓える)」。歌謡語。「あまへて」『混効験集』。/カムラマーヌ アマイヤ/(カムラーマの神遊びは)/ヌーフサティル アマイル/(何が欲しくて楽しむのか)/カムラマーヌ アマイヤ アカカラジ フサティル アマイル/(カムラーマの神遊びは民百姓が欲しくて神遊びするのだ)/カムラマーヌ アマイヤ /(カムラーマの神遊びは)/ウヤキユーバ タボラリ/(カムラーマの神遊びは豊年満作を賜ることです)『鳩間島古典民謡古謡集』。鳩間島の神職者たちは祈願の後に神々と共に踊り遊んだ。 ⸢カン⸣プスンケール ア⸢マイヨール [⸢kam⸣pu̥suŋkeːru ʔa⸢maijoː⸣ru] (神職者たちが神遊びをされる) 1104 0 0 1022 htmvoc_1104.wav アマイルン ア⸢マイルン [ʔa⸢mairuŋ] 自動 甘える。人の好意にべったり頼る。やりたい放題にする。 ⸢タンガッふァ⸣トゥ ⸢ウシトゥ⸣ッふァー ア⸢マイルンダ⸣ ア⸢マイル⸣ フ⸢シ⸣ シ⸢キシミル⸣ナ [⸢taŋgaffa⸣tu ⸢ʔuʃi̥tu⸣ffaː ʔa⸢mairunda⸣ ʔa⸢mairu⸣ ɸu̥⸢ʃi⸣ ʃi̥⸢kiʃimiru⸣na] (一人っ子と末っ子は甘えるから、甘える癖をつけさせるな)。 シ⸢ザッ⸣ふァー ア⸢マイラヌ [ʃi⸢ʣaf⸣faː ʔa⸢mairanu] (年上の子は甘えない) 1106 0 0 1023 htmvoc_1106.wav アマウン ア⸢マウン [ʔa⸢mauŋ] 自動 嬉しがる。喜ぶ。踊り楽しむ。神遊びをする。歌謡語。「歓える<あまえる>」の義。「あまへて」(おもろ)、「あまへて」(『混効験集』)。特に神仏が喜び、楽しむことにいう。ア⸢マイルン[ʔa⸢mairuŋ](歓える)の項参照 1108 0 0 1024 htmvoc_1108.wav アマカザ ア⸢マカザ [ʔa⸢makaʣa] 名 甘い匂い。甘く香ばしい匂い。 ⸣サタヤーヌ ⸢マーラー シン⸣ザ ス⸢ブ⸣リティ サタ タ⸢コー⸣ル ア⸢マカザヌ シー⸣ フ⸢チジルヌ⸣ ン⸢ジ⸣スバン [⸣sḁtajaːnu ⸢maːraː ʃin⸣ʣa su⸢bu⸣riti ⸣sḁta tḁ⸢koː⸣ru ʔa⸢makaʣanu ʃiː⸣ ɸu̥⸢ʧiʤirunu⸣ ʔn⸢ʤi⸣subaŋ] (砂糖小屋の辺りは、砂糖きびを搾って黒糖を作る<砂糖を炊く>甘い匂いがして、よだれ<口汁>が出るよ) 1109 0 0 1025 htmvoc_1109.wav アマガサ ア⸢マガ⸣サ [ʔa⸢maga⸣sa] 名 かさ(暈)。日や月の回りをまるく取り巻いた輪。ひがさ(日暈)。 ⸣シキナー ア⸢マガサ⸣ヌ カ⸢カ⸣リ ⸢ブンダ⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー ⸣パジ [⸣ʃi̥kinaː ʔa⸢magasa⸣nu kḁ⸢ka⸣ri ⸢bunda⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuː ⸣paʤi] (月にかさ<暈>が懸かっているので雨が降る筈だ) 1110 0 0 1026 htmvoc_1110.wav アマキー ⸣アマキー [⸣ʔamakiː] 名 植物の一種。えぎ(餌木)を作るのに用いる木。 ⸣アマキーシル イ⸢ガジーヤ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸣ʔamakiːʃiru ʔi⸢gaʤiːja⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (アマキーで<ぞ>餌木は作られた) 1112 0 0 1027 htmvoc_1112.wav アマグ ア⸢マ⸣グ [ʔa⸢ma⸣gu] 名 雨具。学校教育を通じて標準語から入った借用語。昭和三十年代まで、雨降りの日には南京袋を折り込んで被り、雨具代用に利用していた。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢シガーフクル⸣バ ⸣カベーティル ア⸢マグ⸣ヌ ⸢カール⸣ シ⸢タル [mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢ʃigaːɸukuru⸣ba ⸣kabeːtiru ʔa⸢magu⸣nu ⸢kaːru⸣ ʃi̥⸢taru] (昔は南京袋を被って雨具の代わりにしたよ) 1114 0 0 1028 htmvoc_1114.wav アマクマ ⸣アマクマ [⸣ʔamakuma] 代 あちこち。 ⸣アマクマヌ ウ⸢カ⸣ヌ パ⸢ライ⸣ミーン シ⸢マ⸣シェーンカヤー [⸣ʔamakumanu ʔu⸢ka⸣nu pa⸢rai⸣miːŋ ʃi⸢ma⸣ʃeːŋkajaː] (あちこちの借金の支払いも済ませたかね) 1115 0 0 1029 htmvoc_1115.wav アマクマシー ア⸢マクマシー [ʔa⸢makumaʃiː] 名 生半可に仕事をすること。中途半端な仕事振り。なまなか仕事。「あちらこちら仕」の転訛したもの。 フ⸢ユニン⸣マー カ⸢シーカシー⸣ シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ア⸢マクマシー シー⸣シケー [ɸu⸢junim⸣maː kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔa⸢makumaʃiː ʃiː⸣ʃi̥keː] (怠け者は、きちんと<しっかりと>仕事をしないで生半可仕事をしてある) 1116 0 0 1030 htmvoc_1116.wav アマグム ア⸢マ⸣グム [ʔa⸢ma⸣gumu] 名 雨雲。ヌ⸢リグム[nu⸢rigumu](積乱雲)ともいう。 ニ⸢シクベー⸣ラ ア⸢マグム⸣ヌ カ⸢バ⸣シ クン⸢ドー [ni⸢ʃikubeː⸣ra ʔa⸢magumu⸣nu ka⸢ba⸣ʃi kun⸢doː] (北の大空<北壁>から雨雲が覆い被せてくるぞ) 1117 0 0 1031 htmvoc_1117.wav アマグル ア⸢マ⸣グル [ʔa⸢ma⸣guru] 名 にわか雨。しゅうう(驟雨)。 ア⸢マグル⸣ヌ ⸢ニーヌ⸣パーラ ⸢ユーシ⸣ クーン [ʔa⸢maguru⸣nu ⸢niːnu⸣paːra ⸢juːʃi⸣ kuːŋ] (驟雨が北から寄せてくる) 1073 0 0 1032 htmvoc_1073.wav アマザキ ア⸢マザキ [ʔa⸢maʣaki] 名 酢。老年層は⸢パイル[⸢pairu](酢)という。古典民謡(お盆の「獅子舞の道歌」)にも⸢パイル[⸢pairu](酢)といっている。 ア⸢マザケー ピッ⸣チン キ⸢シラン⸣バン [ʔa⸢maʣakeː pit⸣ʧiŋ ki̥⸢ʃiram⸣baŋ] (酢はちっとも効かない<切れない>)。 ア⸢マザキヌ⸣ッふァ [ʔa⸢maʣakinu⸣ffa] (酢のたね{EOS}「酢の子」の義{EOS}酢の容器の底に白濁した粘液が沈殿しているもの{EOS}これを種にし、弱い酒や芋の煮汁などを足して酢を自家製造していた)。 ア⸢マザケー ヤーカー⸣ジナ ⸣ドゥーシル マ⸢ラシオーッタ⸣ル [ʔa⸢maʣakeː jaːkaː⸣ʤina ⸣duːʃiru ma⸢raʃioːtta⸣ru] (酢は各家庭で、自分で醸造して<生まらせて>おられたものだよ)。 ナ⸢マ⸣シナー ア⸢マザキ⸣ カ⸢キバ⸣ル ン⸢マー⸠ダー [na⸢ma⸣ʃinaː ʔa⸢maʣaki⸣ kḁ⸢kiba⸣ru ʔm⸢maː⸠daː] (刺身には酢をかけたほうが美味しいよ) 1126 0 0 1033 htmvoc_1126.wav アマザラシ ア⸢マザラ⸣シ [ʔa⸢maʣara⸣ʃi] 名 雨ざらし。 ⸢アッ⸣タル ⸢ヤーザイギ⸣バ ナー⸢イ⸣ ア⸢マザラ⸣シ ⸢シー⸣ ス⸢ク⸣ナ [⸢ʔat⸣taru ⸢jaːʣaigi⸣ba naː⸢i⸣ ʔa⸢maʣara⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ su̥ku⸣na] (折角の建築用材を雨ざらしにしておくな) 1118 0 0 1034 htmvoc_1118.wav アマシェー ア⸢マシェー [ʔa⸢maʃeː] 名 屋号。小浜真敏氏宅。東村のシ⸢ナカキ⸣ヤー[ʃi⸢nakaki⸣jaː](追い込み漁)の網元家であった。戦後はカツオ釣り漁船の初栄丸、眞福丸、晃徳丸によるカツオ節製造業を経営された。太平洋戦争中、鳩間島のような小さな島にも米軍戦闘機は爆撃を加えた。昭和20年2月16日の爆撃で、ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː](小浜家)と寄合家は完全に破壊されたという『鳩間島追想』。 ⸢マイ⸣ヌ イ⸢ク⸣サナー パ⸢トゥ⸣マナーテー ア⸢マシェートゥ⸣ ユ⸢レーヌ⸣ ヌ⸢バ⸣ルブザマテーナ バ⸢ク⸣ダン ウ⸢タサ⸣レータン [⸢mai⸣nu ʔi⸢ku⸣sanaː pḁ⸢tu⸣manateː ʔa⸢maʃeːtu⸣ ju⸢reːnu⸣ nu⸢ba⸣rubuʣamateːna ba⸢ku⸣daŋ ʔu⸢tasa⸣reːtaŋ] (先の戦争で、鳩間島では小浜家と寄合徹氏宅<野原叔父さんの家>に爆弾が落とされた)。ア⸢マシェーヌ⸣ イ⸢ゴー⸣ザザーテー[ʔa⸢maʃeːnu⸣ ʔi⸢goː⸣ʣaʣaːteː]ともいう。古老は⸢パイ⸣ネー[⸢pai⸣neː](屋敷名)ともいう。 ア⸢マシェーヌ ヤシ⸣ケー ム⸢カ⸣シェー ⸢パイ⸣ネーティル ア⸢ゾーッ⸣タツォー [ʔa⸢maʃeːnu jaʃi̥⸣keː mu⸢ka⸣ʃeː ⸢pai⸣neːtiru ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (小浜真敏氏宅の屋敷は、昔はパイネーと<ぞ>言われたそうだ) 1120 0 0 1035 htmvoc_1120.wav アマシェーヌアカヤンマーテー ア⸢マシェーヌ⸣ ア⸢カ⸣ヤンマーテー [ʔa⸢maʃeːnu⸣ ʔa⸢ka⸣jammaːteː] 連 屋号。小浜清氏宅。ア⸢カ⸣ヤンマー[ʔa⸢ka⸣jammaː](アカヤ姉さん{EOS}小浜清氏の母親)に接尾語⸣テー[⸣teː](~の家)が下接したもの 1121 0 0 1036 htmvoc_1121.wav アマシェーヌタローザーテー ア⸢マシェーヌ⸣ タローザーテー [ʔa⸢maʃeːnu⸣ taroːʣaːteː] 連 屋号。小浜太郎氏宅。⸣タローザー[⸣taroːʣaː](太郎兄さん)は、名前の⸣タロー[⸣taroː](太郎)に、⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄さん)が下接し、更に接尾語⸣テー[⸣teː](~の家)が付いて生成された合成語 1143 0 0 1037 htmvoc_1143.wav アマシェーヌフチマチル ア⸢マシェーヌ⸣ フ⸢チマチル [ʔa⸢maʃeːnu⸣ ɸu̥⸢ʧimaʧiru] 連 海底地名。ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː](小浜家)の先祖がフ⸢チマチル[ɸu̥⸢ʧimaʧiru](漁法の一種{EOS}巻き取り漁法)をしたと伝える地点。⸢トン⸣グヮー[⸢toŋ⸣gwaː](⸢クー⸣シビー{SqBr}⸢kuː⸣ʃibiː{/SqBr}<干瀬の名>)の南側にある 1119 0 0 1038 htmvoc_1119.wav アマシェーヌヤマザーテー ア⸢マシェーヌ⸣ ヤマザーテー [ʔa⸢maʃeːnu⸣ jamaʣaːteː] 連 屋号。小浜屋真氏宅。⸣ヤマザー[⸣jamaʣaː](屋真兄さん)は、名前の⸣ヤマー[⸣jamaː](屋真)に、⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄さん)が下接して生成された合成語 1130 0 0 1039 htmvoc_1130.wav アマシムヌ ア⸢マシ⸣ムヌ [ʔa⸢maʃi⸣munu] 名 不品行者。暴れ者。もてあまし者。 ⸣アイブ ヤ⸢ナクトゥバ シー⸣ シ⸢キン⸣ヌ ア⸢マシ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢アーク⸣ナ [⸣ʔaibu ja⸢nakutuba ʃiː⸣ ʃi̥⸢kin⸣nu ʔa⸢maʃi⸣munu ⸣nari ⸢ʔaːku⸣na] (あんな悪事をして世間のもてあまし者になっているな) 1122 0 0 1040 htmvoc_1122.wav アマシュー ア⸢マ⸣シュー [ʔa⸢ma⸣ʃuː] 名 あめつゆ(雨露)。雨や露。 サ⸢キバ⸣ ヌミティ ア⸢マ⸣シューン ウ⸢タ⸣リカー ⸣ドゥーヨーリ ⸢スン⸣ダー [sḁ⸢kiba⸣ numiti ʔa⸢ma⸣ʃuːŋ ʔu⸢ta⸣rikaː ⸣duːjoːri ⸢sun⸣daː] (酒を飲んで雨や夜露に打たれて道端に寝ると健康を害する<胴弱りする>よ) 1131 0 0 1041 htmvoc_1131.wav アマスー ア⸢マスー [ʔa⸢masuː] 名 薄塩(うすじお)。魚や野菜などに塩を軽く振りかけ、薄い塩加減にすること。 ⸣ドゥク ⸢マー⸣ス ッ⸢ふァーサンドー⸣シ ア⸢マスー⸣ ウティ シゥ⸢カイ⸣バ [⸣duku ⸢maː⸣su f⸢faːsandoː⸣ʃi ʔa⸢masuː⸣ ʔuti sï̥⸢kai⸣ba] (あんまり塩を入れないで薄塩を振りかけて使いなさいよ)。 ピ⸢ロー⸣ ア⸢マスー⸣ シゥ⸢クバル⸣ン⸢マー [pi⸢roː⸣ ʔa⸢masuː⸣ su̥⸢kubaru⸣ ʔm⸢maː] (大蒜は薄塩で塩漬けした方が美味しい) 93 0 0 1042 htmvoc_93.wav アマスン ア⸢マスン [ʔa⸢masuŋ] 他動 浴びせる。水などを頭からかける。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ピンピン⸣ ミ⸢ジ⸣ ア⸢マサン⸣カー ア⸢シブ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルン [ja⸢ra⸣beː ⸢pimpim⸣ mi⸢dʒi⸣ ʔa⸢masaŋ⸣kaː ʔa⸢ʃibu⸣nu ʔn⸢dʒi⸣ruŋ] (子供は毎日水を浴びせないと汗疹<あせも>が出る)。 ユ⸢ナラン⸣ケン ミ⸢ジ⸣ ア⸢マシ [ju⸢naraŋ⸣kem mi⸢dʒi⸣ ʔa⸢maʃi] (日が暮れないうちに水を浴びせなさい<入浴させなさい>)。動詞ア⸢ムン[ʔa⸢muŋ](浴びる)の未然形に、使役の助動詞⸢スン[⸢suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いて形成された使役動詞。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢マスン [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢masuŋ] (入浴させる<水を浴びせる>)。 ⸢ピー⸣ヤンダ ア⸢マサヌ [⸢piː⸣janda ʔa⸢masanu] (寒いから浴びせない<入浴させない>)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢マシ⸣ プサカー ア⸢マス⸣ クトー ⸣ナルン [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢maʃi⸣ pu̥sakaː ʔa⸢masu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (入浴させたければ<水を浴びせたければ>入浴させる<浴びせる>ことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢マシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢maʃeː⸣ misamunu] (もっと浴びせれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢マシ [⸢paː⸣ku ʔa⸢maʃi] (早く浴びせろ<入浴させろ>) 1128 0 1 1043 htmvoc_1128.wav アマスン ア⸢マ⸣スン [ʔa⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_1}余す。余りあるところを残す。余力を残す。老年層の言葉。 ⸢イー⸣ヤ ア⸢マサン⸣ヨーシ ⸢ッふァイ [⸢ʔiː⸣ja ʔa⸢masaɲ⸣joːʃi f⸢fai] (ご飯は<飯は>残さ<余さ>ないように食べよ)。 ⸣ムヌ ア⸢マ⸣スン [⸣munu ʔa⸢ma⸣suŋ] (ものを余す)。 ン⸢メーマー⸣ ア⸢マ⸣シ ⸣ミサン [ʔm⸢meːmaː⸣ ʔa⸢ma⸣ʃi ⸣misaŋ] (少しは余して<残して>も良い)。 ン⸢マー⸣ムヌ ア⸢マ⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔm⸢maː⸣munu ʔa⸢ma⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (美味しいものを余す<残す>人はいない)。 ア⸢マ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ma⸣ʃeː ⸣misamunu] (余せば良いのに)。 ⸢ピー⸣チェー ア⸢マ⸣シバ [⸢piː⸣ʧeː ʔa⸢ma⸣ʃiba] (一つは余しなさい)。若年層は、ア⸢マラ⸣スン[ʔa⸢mara⸣suŋ](余す)ともいう。 1128 0 2 1044 htmvoc_1128.wav アマスン ア⸢マ⸣スン [ʔa⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_2}持て余す。手に負えなくなって困る。 ク⸢レー  バン⸣マー ⸢アシゥカーラヌ⸣ バー ⸣ティーナ ア⸢マシ⸣ス [ku⸢reː bam⸣maː ⸢ʔasi̥kaːranu⸣ baː ⸣tiːna ʔa⸢maʃi⸣su] (これは私には扱えない{EOS}私の手に余る) 1132 0 0 1045 htmvoc_1132.wav アマダ ア⸢マ⸣ダ [ʔa⸢ma⸣da] 名 あぶりこ(炙り子)。炙り焼き用の金網。焼き魚や焼き肉用に鉄線で約5センチ四方の網目を作り、全体的に縦横約50センチ大の金網に作ったもの。生の竹や生のススキ、生木の小枝を竈の上に縦横に渡して金網代用にすることがあった。⸣タク[⸣taku](蛸)やイ⸢ズ[ʔi⸢ʣu](魚)をア⸢マ⸣ダに載せて焙乾し保存食にしたのが ガ⸢シ⸣タク[ga⸢ʃi⸣taku](焙乾したタコ)、ガ⸢シ⸣イズ[ga⸢ʃi⸣iʣu](焙乾した魚)である。ガシイズやガシタクは、焙乾することによってうま味が出るといわれている。 カ⸢マチヌ ウイ⸣ナ ア⸢マ⸣ダ ⸣カキティ ユ⸢ディ⸣タク ウ⸢サッ⸣キ シ⸣キティ ⸣ガスカー ン⸢マー⸣ン [ka⸢maʧinu ʔui⸣naː ʔa⸢ma⸣da ⸣kakiti ju⸢di⸣taku ʔu⸢sak⸣kiti ⸣ʃikiti ⸣gasukaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (竈の上にアマダを掛けておいて茹でタコを載せて置いて焙乾すると美味しいよ) 1134 0 0 1046 htmvoc_1134.wav アマダラ ア⸢マ⸣ダラ [ʔa⸢ma⸣dara] 名 軒。ひさし。「雨だれ」の義から転じて「軒、庇」の意となる。農耕や漁労の作業着を掛けておいたり、網や釣具などを掛けておいたりしたところ。ハ⸢ギバラー[ha⸢gibaraː](軒柱)とハ⸢ギバラーの間に約六尺の棒を渡してあり、これに作業着類を掛けておいた。 ア⸢マ⸣ダラナー ⸣キンカー ⸣サイ ⸣シキティ ⸢カーラカシタ [ʔa⸢ma⸣daranaː ⸣kiŋkaː ⸣sai ⸣ʃi̥kiti ⸢kaːrakaʃi̥ta] (軒に衣類を掛けておいて乾かした)。 ア⸢マダラン⸣ ッサーラナ ⸣サイ シ⸢キ⸣ルカー ⸢イールティダ⸣ナ プ⸢サ⸣リン [ʔa⸢madaran⸣ ssaːrana ⸣sai ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢ʔiːrutida⸣naː pu̥⸢sa⸣riŋ] (軒下に掛けて<下げて>おくと、西日に干される) 1133 0 0 1047 htmvoc_1133.wav アマダラスン ア⸢マダラ⸣スン [ʔa⸢madara⸣suŋ] 他動 滴らせる。水切りする。 ク⸢ヌ キン⸣マー ア⸢ラシティティ⸣ ブ⸢ナシトゥ⸣カー ス⸢ブ⸣レー サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢マダラ⸣シ シゥ⸢ク⸣ナ [ku⸢nu kim⸣maː ʔa⸢raʃi̥titi⸣ bu⸢naʃi̥tu⸣kaː su⸢bu⸣reː sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢madara⸣ʃi su̥⸢ku⸣na] (この着物は洗ってゆすいだら絞って水切りはしないで<どうするつもりか>、ただ<そのまま>水を滴らせておくなよ) 1135 0 0 1048 htmvoc_1135.wav アマダラミジ ア⸢マダラ⸣ミジ [ʔa⸢madara⸣miʤi] 名 雨垂れ水。雨垂れ。 ア⸢マダラ⸣ミジェー シ⸢トゥントー⸣シ ⸣ビーナ ⸣ウキティ タ⸢ミシキ⸣リ [ʔa⸢madara⸣miʤeː ʃi̥tuntoː⸣ʃi ⸣biːna ⸣ʔukiti ta⸢miʃi̥ki⸣ri] (雨垂れは捨てないで、樋に受けて溜めておけ) 1137 0 1 1049 htmvoc_1137.wav アマダルカーダル ア⸢マダルカー⸣ダル [ʔa⸢madarukaː⸣daru] 副 {Mn_1}濡れそぼつ。濡れてびしょびしょになる。衣類が濡れて垂れ下がっているさま。 ⸣アミナー ⸢ゾッふァーリティ⸣ ア⸢マダルカー⸣ダル ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸣ʔaminaː ⸢ʣoffaːriti⸣ ʔa⸢madarukaː⸣daru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (雨に濡れてびしょびしょになっている)。 1137 0 2 1050 htmvoc_1137.wav アマダルカーダル ア⸢マダルカー⸣ダル [ʔa⸢madarukaː⸣daru] 副 {Mn_2}肥えて皮膚が垂れ下がるさま。 ⸢パン⸣タリティ ウ⸢ム⸣ティン ア⸢マダルカー⸣ダル ⸢シーベー [⸢pan⸣tariti ʔu⸢mu⸣tiŋ ʔa⸢madarukaː⸣daru ⸢ʃiːbeː] (肥って顔も垂れ下がっている) 1136 0 0 1051 htmvoc_1136.wav アマダルン ア⸢マ⸣ダルン [ʔa⸢ma⸣daruŋ] 自動 滴る。水が垂れ落ちる。 シ⸢ル⸣ヌ ア⸢マ⸣ダルン [ʃi⸢ru⸣nu ʔa⸢ma⸣daruŋ] (汁が滴る)。 ア⸢マダラ⸣ヌ [ʔa⸢madara⸣nu] (滴らない)。 シ⸢ル⸣ヌ ア⸢マ⸣ダリ ⸢ベー [ʃi⸢ru⸣nu ʔa⸢ma⸣dari ⸢beː] (汁が滴っている)。 ッ⸢ふァナシプス⸣ヌ ⸢シー⸣ヤ ア⸢マ⸣ダル ⸣スコー ⸢アウバル⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ゾー⸣ブンニ フ⸢ドゥバサリ⸣ダー [f⸢fanaʃipusu⸣nu ⸢ʃiː⸣ja ʔa⸢ma⸣daru ⸣su̥koː ⸢ʔaubaru⸣ ja⸢ra⸣beː ⸢ʣoː⸣bunni ɸu⸢dubasari⸣daː] (産婦の乳は滴るほど出たほうが子供は十分に成長させられるよ)。 1136 0 2 1052 htmvoc_1136.wav アマダルン ア⸢マ⸣ダルン [ʔa⸢ma⸣daruŋ] 自動 {Mn_2}垂れ下がる。 ⸣カナー ア⸢マ⸣ダリ ⸢ベー⸣ シナー ⸢ウイ⸣ ピ⸢キ アイシキ⸣リ [⸣kanaː ʔa⸢ma⸣dari ⸢beː⸣ ʃinaː ⸢ʔui⸣ pi⸢ki ʔaiʃi̥ki⸣ri] (あそこに垂れ下がっている綱は上に引き揚げておきなさい) 1138 0 0 1053 htmvoc_1138.wav アマチ ア⸢マ⸣チ [ʔa⸢ma⸣ʧi] 名 樹木の下枝。庭木や畑の畦の樹木の下枝のこと。畑や庭に垂れ下がって、日光が遮られると作物に悪影響を及ぼす。また、庭木の枝が屋根に架かることは家運に悪いとして嫌われ、適当に枝打ちされた。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢アンタヌ キー⸣ヌ ア⸢マ⸣チ ウ⸢タ⸣シ [⸢jaː⸣nu ⸢ʔantanu ⸢kiː⸣nu ʔa⸢ma⸣ʧi ʔu⸢ta⸣ʃi] (家の東の木の下枝を枝打ちしなさい) 1139 0 0 1054 htmvoc_1139.wav アマチウタシ ア⸢マ⸣チ ウ⸢タ⸣シ [ʔa⸢ma⸣ʧi ʔu⸢ta⸣ʃi] 連 下枝を枝打ちしなさい。 ⸢キーヌユダ⸣ヌ ヤ⸢マ⸣カビ サ⸢カリティ ヤー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ ア⸢ミカビン⸣ギサティル ア⸢マ⸣チ ウ⸢タ⸣スンティ ⸢ベー [⸢kiːnujuda⸣nu ja⸢ma⸣kabi sḁ⸢kariti jaː⸣nu ⸢ʔui⸣ ʔa⸢mikabiŋ⸣gisatiru ʔa⸢ma⸣ʧi ʔu⸢ta⸣sunti ⸢beː] (木の枝が鬱蒼と生い茂って屋根の上に伸し掛かりそうなので、下枝打ちをしようとしている)。ア⸢マ⸣チバライ[ʔa⸢ma⸣ʧibarai](下枝払い)ともいう 1144 0 0 1055 htmvoc_1144.wav アマッタビーッタ ア⸢マッ⸣タビーッタ [ʔa⸢mat⸣tabiːtta] 副 贅沢に。ふんだんに。裕福に。豊かに。ユ⸢チ⸣クニ[ju⸢ʧi⸣kuni](裕福に)ともいう。 ア⸢マッ⸣タビーッタ ⸢ファイル⸣ ス⸢ダティラ⸣レー ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ フンダイ シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢mat⸣tabiːtta ⸢fairu⸣ su⸢datira⸣reː f⸢fa ⸣ja⸢runda ɸundai ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (贅沢に食べて育てられた子であるから我儘、好き放題な子になって困っている<しようがない>) 1145 0 0 1056 htmvoc_1145.wav アマティンキ ア⸢マティン⸣キ [ʔa⸢matiŋ⸣ki] 名 雨天。「雨天気」の義。雨降りの天気。 ア⸢マティンキ⸣ヌ シ⸢ジキティ⸣ シ⸢グトー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [ʔa⸢matiŋki⸣nu ʃi⸢ʤikiti⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (雨天が続いて仕事に出られない) 1146 0 0 1057 htmvoc_1146.wav アマドゥ ア⸢マドゥ [ʔa⸢madu] 名  「雨戸」の義。ヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き木造りの家)の戸。板張りの外戸。巾三尺、長さ6尺に作るのが普通である。⸣ヤドゥ[⸣jadu](戸{EOS}家戸)ともいう。窓枠の外側に、シ⸢キー[ʃi̥⸢kiː](敷居)とカ⸢ムイ[ka⸢mui](鴨居)を設置して、それにア⸢マドゥ[ʔa⸢madu](雨戸)を立てて、ヤ⸢ドゥパシ⸣ル[ja⸢dupaʃi⸣ru](引き戸)に作り、窓を開けたり締めたりした。 シ⸢キートゥ⸣ カ⸢ムイ⸣ シキティ ア⸢マドゥ⸣ シキタ⸢ティ⸣ルカー ⸣ヤドー ア⸢キフイ⸣ ナルン [ʃi̥⸢kiːtu⸣ ka⸢mui⸣ ʃi̥kiti ʔa⸢madu⸣ ʃi̥ki tḁ⸢ti⸣rukaː ⸣jadoː ʔa⸢kiɸui⸣ naruŋ] (戸の敷居と鴨居をつけて雨戸を立てると、戸は開け閉めは出来る) 1147 0 0 1058 htmvoc_1147.wav アマドゥヌサン ア⸢マドゥヌ⸣ サン [ʔa⸢madu⸣nu ⸣saŋ] 連 雨戸の桟。雨戸の枠。三尺と六尺の枠の内側に三尺の桟を二段に渡したもの。 ア⸢マドゥヌ サン⸣マー シ⸢ギキー⸣シル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ʔa⸢madunu sam⸣maː ʃi⸢gikiː⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (雨戸の桟は杉木で作られている) 1148 0 0 1059 htmvoc_1148.wav アマナシクマナシ ア⸢マナシ⸣ ク⸢マ⸣ナシ [ʔa⸢manaʃi⸣ ku⸢ma⸣naʃi] 連 あちらになし<置い>たり、こちらになし<置い>たりすること。 ア⸢マナシ⸣ ク⸢マ⸣ナシ ⸢シー⸣シケーンケン ⸣マナール ス⸢ク⸣タユー ⸢バシキ ナーン⸣シェン [ʔa⸢manaʃi⸣ ku⸢ma⸣naʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːŋkem ⸣manaːru su̥⸢ku⸣tajuː ⸢baʃi̥ki naːŋ⸣ʃeŋ] (あちらに置いたり、こちらに置いたりしているうちに、何処に置いたのか忘れてしまった) 1149 0 0 1060 htmvoc_1149.wav アマナラーシ ア⸢マナラーシ [ʔa⸢manaraːʃi] 名 甘やかした育て方<躾>。主に祖父母が孫を育てる際の育て方にいう。「甘・習わせ」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ バ⸢カ⸣ジニ シ⸢タール⸣ パーブジーン ス⸢ダティラ⸣リ ア⸢マナラーシ サリティル フンダヤー⸣ ナリ⸢ベー [ʔu⸢ja⸣nu ba⸢ka⸣ʤini ʃi⸢taːru⸣ paːbuʤiːn su⸢datira⸣ri ʔa⸢manaraːʃi saritiru ɸundajaː⸣ nari⸢beː] (親が若死にしたので祖父母に育てられ、甘やかされて育てられたので我儘者<(すき)放題者>になっている) 1150 0 0 1061 htmvoc_1150.wav アマナライ ア⸢マナライ [ʔa⸢manarai] 名 我儘な性格。甘やかされて育てられた性格。「甘・習い」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビ⸢シェーン⸣ケンラ ア⸢マナライ シー⸣ ケーンダ マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ⸢フンダイヤ ノーラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenra ʔa⸢manarai ʃiː⸣keːnda ma⸢na⸣ma ʃi⸢ki⸣tiŋ ⸢ɸundaija noːra⸣nu] (子供の頃から我儘に育ってきたから今になっても好き放題の我儘な性格は直らない) 1074 0 0 1062 htmvoc_1074.wav アマヌ ア⸢マ⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣nu] 副 余りにも~ので。あんまり~ので。過度に~ので、のように条件句を導き、原因、理由を述べる。 ア⸢マ⸣ヌ ⸣アツァティ ⸢ピーリ⸣ミジ ⸣カビティ ⸢クー⸣タ [ʔa⸢ma⸣nu ⸣ʔaʦati ⸢piːri⸣miʤi ⸣kabiti ⸢kuː⸣ta] (あんまり暑いので冷や水をかぶってきた)。 ア⸢マ⸣ヌ タ⸢カー⸣ティ ⸢カーランシェン [ʔa⸢ma⸣nu tḁ⸢kaː⸣ti ⸢kaːraŋʃeŋ] (あまりにも値段が高いので買えなかった)。 ⸣ユベー ⸣ヌンティ ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢マ⸣ヌ ⸣アツァティ プ⸢ス⸣ミーンツァン ニ⸢バランシェン [⸣jubeː ⸣nunti ja⸢ru⸣juː ʔa⸢ma⸣nu ⸣ʔaʦati pu⸢su⸣miːnʦan ni⸢baraŋʃeŋ] (昨夜はなぜか<何故であろうか>暑くて一睡もできなかった<一目も眠れなかった>) 1152 0 0 1063 htmvoc_1152.wav アマフチ ア⸢マフチ [ʔa⸢maɸu̥ʧi] 名 甘口。塩気の少ない味を好むこと。御汁の味付けで薄味を好むこと。 ウ⸢レー⸣ ア⸢マフチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス スー⸣ヤ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢maɸuʧi⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu suː⸣ja nu⸢mara⸣nu] (彼は甘口だから、彼の煮る<炊く>御汁は飲めない)。味付けをする際に、塩気の少ない味を好む人。薄味。サ⸢クラフチ[sḁ⸢kuraɸuʧi](塩辛い味を好む人)の対義語。「甘口」の義。「甘味を好む人」の意に用いることもある。 ア⸢マフチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス スー⸣ヤ ア⸢マー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔa⸢maɸu̥ʧi⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu suː⸣ja ʔa⸢maː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (薄味好みだから、彼が炊くお汁は薄味すぎて<甘くて>飲めない) 1153 0 0 1064 htmvoc_1153.wav アマミー ア⸢マミー [ʔa⸢mamiː] 名 甘味。 ⸢バン⸣スロー ⸢ウー⸣ムカー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢マミーン⸣ ンジ カ⸢ザン⸣ カ⸢バッ⸣サ ⸣ナルン [⸢ban⸣suroː ⸢ʔuː⸣mukaː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢mamiːn⸣ ʔnʤi ka⸢ʣaŋ⸣ ka⸢bas⸣sa ⸣naruŋ] (ばんざくろ<蕃石榴>は熟すると非常に甘味も出てきて、匂いも香ばしくなる) 1154 0 0 1065 htmvoc_1154.wav アマミークマミー ア⸢マミー クマ⸣ミー [ʔa⸢mamiː kuma⸣miː] 副 あちらを見たり、こちらを見たりするさま。せわしくあたりを見回すさま。きょろきょろするさま。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢マミー クマ⸣ミー ⸢シー ピッ⸣チン ウ⸢ティシゥカン⸣バン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔa⸢mamiː kuma⸣miː ⸢ʃiː pit⸣ʧiŋ ʔu⸢tisi̥kam⸣baŋ] (あの子はあっち見たりこっち見たりして<きょろきょろして>ちっとも落ち着かないよ) 1155 0 0 1066 htmvoc_1155.wav アマミース ア⸢マミース [ʔa⸢mamiːsu] 名 甘味噌。⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)ともいう。上質の米味噌で、黒糖で多少味付けされていた。⸢サー⸣フキ[⸢saː⸣ɸu̥ki](茶請け{EOS}茶の子)として来客に出された。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ア⸢マミースン⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [ma⸢rukeːti⸣naː ʔa⸢mamiːsuŋ⸣ f⸢faːsoːt⸣taŋ] (たまさか<偶>には甘味噌も食べさせてくださった) 1156 0 0 1067 htmvoc_1156.wav アマミジ ア⸢マミジ [ʔa⸢mamiʤi] 名 真水。雨水。「甘水」の転訛したものか。老年層は、⸢マーミジ[⸢maːmiʤi](真水)という。⸢スー⸣ミジ[⸢suː⸣miʤi](潮水)の対義語。 ア⸢マミジヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルン ⸣トンマー ⸣マナー ア⸢ル⸣ワ [ʔa⸢mamiʤinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣run ⸣tommaː ⸣manaː ʔa⸢ru⸣wa] (真水の出る所は何処にあるか)。⸢スー⸣ミジ[⸢suː⸣miʤi](塩水)の対義語。 フ⸢カ⸣ヌ ⸣シマ シ⸢キ⸣ルカー パ⸢トゥ⸣マー ア⸢マミジェー ゴー⸣ラー ウ⸢チ⸣ヨー [ɸu̥⸢ka⸣nu ⸣ʃima ʃi̥⸢ki⸣rukaː pḁ⸢tu⸣maː ʔa⸢mamiʤeː goː⸣raː ʔu⸢ʧi⸣joː] (他の島に比べると鳩間島は、淡水<真水>は多い方<内に入る>だよ) 1157 0 0 1068 htmvoc_1157.wav アマミジ ア⸢マ⸣ミジ [ʔa⸢ma⸣miʤi] 名 雨水。⸢ティンシー[⸢tiŋʃiː](天水{EOS}「Tensui.テンスイ(天水)雨水」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの)ともいう。 ア⸢マ⸣ミジシ ⸣ユー フ⸢カ⸣シティ ⸣サー イ⸢ル⸣カー ン⸢マー⸣ンドゥ ⸢カーヌ ミジ⸣シェー ン⸢マー ナー⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣miʤiʃi ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ⸣saː ʔi⸢ru⸣kaː ʔm⸢maː⸣ndu ⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤi⸣ʃeː ʔm⸢maː naː⸣nu] (天水で湯を沸かしてお茶を入れると美味しいが、井戸水では美味しくない)。天水は湯茶用水として重宝された。屋根に降った雨水を樋で受け、タンクや水がめに貯えた。 ア⸢マ⸣ミジェー シ⸢ティランドー⸣シ ⸣カミナー タ⸢ブイシキ⸣リ [ʔa⸢ma⸣miʤeː ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ⸣kaminaː ta⸢bui ʃi̥ki⸣ri] (天水は捨てないで水甕に貯えておきなさい) 1158 0 0 1069 htmvoc_1158.wav アマミジカー ア⸢マミジカー [ʔa⸢mamiʤikaː] 名 真水の出る井戸。「真水井戸」の義。 パ⸢トゥマ⸣ナー ⸢インヌカー アンヌカー ウイヌカー パチンガカーヌ ユートンヌ⸣ ア⸢マミジカーヌ アッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʔinnukaː ʔannukaː ʔuinukaː⸣ pḁ⸢ʧiŋgakaːnu juːtonnu⸣ ʔa⸢mamiʤikaːnu ʔat⸣taŋ] (鳩間島には西の井戸、東の井戸、上の井戸、初の井戸の四箇所の真水の出る井戸があった)。鳩間島で利用されたほとんどの井戸はア⸢マミジカー[ʔa⸢mamiʤikaː](淡水の出る井戸)であるが、タ⸢チ⸣バル[ta⸢ʧi⸣baru](立原)の⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)の畑の側にあったサ⸢クラ⸣カー[sḁ⸢kura⸣kaː](塩辛い井戸)は塩分の多い水のでる小さな井戸であった。現在は埋められているという。 ⸢インヌカートゥ アンヌカーヤ⸣ ア⸢マミジ⸣ ヤ⸢ルヌ マー⸣ヌ ミ⸢ジル⸣ ア⸢マー⸣カヤー [⸢ʔinnukaːtu ʔannukaːja⸣ ʔa⸢mamiʤi⸣ ja⸢runu maː⸣nu mi⸢ʤiru⸣ ʔa⸢maː⸣kajaː] (西井戸と東井戸は淡水の出る井戸であるが、どこの水が甘いかなあ) 1177 0 0 1070 htmvoc_1177.wav アマミン ア⸢マミン [ʔa⸢mamiŋ] 名 健康な耳。乾いた、健康な耳。「甘耳」の義。ン⸢ガ⸣ミン[ʔŋ⸢ga⸣miŋ](苦耳、耳垂れの出る耳、耳漏)の対語。 ⸢ミン⸣ヌン サリー⸢ザリー⸣シティ ア⸢マミン⸣ナリ ⸢カイ⸣ヤン [⸢min⸣nun sariː⸢ʣariː⸣ʃiti ʔa⸢mamin⸣ nari ⸢kai⸣jaŋ] (耳も乾燥して<枯れ枯れとして>乾いた健康耳になり、きれいだ) 1178 0 0 1071 htmvoc_1178.wav アマムヌ ア⸢マムヌ [ʔa⸢mamunu] 名 甘い物。甘味のあるもの。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ター⸢ン⸣ ア⸢マムヌル⸣ プサ ⸢スー [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː taː⸢ŋ⸣ ʔa⸢mamunuru⸣ pu̥sa ⸢suː] (年をとったら誰でもで甘い物を欲しがる) 1159 0 0 1072 htmvoc_1159.wav アマムヨー ア⸢マ⸣ムヨー [ʔa⸢ma⸣mujoː] 名 雨模様。あまもよい。雨の降りそうな空模様。 シ⸢トゥム⸣テーラ ア⸢マ⸣ムヨー ⸢シー⸣ ブ⸢タンドゥ ウーアミ⸣ ナリ⸢ナーン⸣バンヨー [ʃi̥⸢tumu⸣teːra ʔa⸢ma⸣mujoː ⸢ʃiː⸣ bu⸢tandu ʔuːʔami⸣ nari⸢naːm⸣baɲjoː] (朝から雨模様だった<していた>が、大雨になってしまったわいな)。 ア⸢マ⸣ムヨー ⸢シーブバ⸣ ア⸢マシタ⸣ホー ⸢シー⸣ パ⸢ラバ⸣ドゥ ヤ⸢ル [ʔa⸢ma⸣mujoː ⸢ʃiːbuba⸣ ʔa⸢maʃi̥ta⸣hoː ⸢ʃiː⸣ pa⸢raba⸣du ja⸢ru] (雨模様しているので雨支度はして行った方がよい) 1160 0 0 1073 htmvoc_1160.wav アマムリ ア⸢マ⸣ムリ [ʔa⸢ma⸣muri] 名 雨漏り。 ⸢カーラ⸣ヌ ム⸢チヌ⸣ キシティル ア⸢マ⸣ムリ ⸢スー⸣サー [⸢kaːra⸣nu mu⸢ʧinu⸣ ki̥ʃitiru ʔa⸢ma⸣muri ⸢suː⸣saː] (瓦の漆喰が切れているので、雨漏りするよ)。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ⸣シンタヌ ピ⸢サー⸣ ア⸢マ⸣ムリ ⸢シース [ku⸢nu jaː⸣nu ⸣ʃintanu pi⸢saː⸣ ʔa⸢ma⸣muri ⸢ʃiːsu] (この家の後ろの屋根<屋根の後方斜面{EOS}後ろの平>は雨漏りするよ) 1181 0 0 1074 htmvoc_1181.wav アマユー ア⸢マユー [ʔa⸢majuː] 名 豊年。ア⸢マ-[ʔa⸢ma]は、ア⸢マイオー⸣ルン[ʔa⸢maioː⸣ruŋ](神が喜び祝福される)の「喜び舞う」の意。⸢ユー[⸢juː]は、「世、代、年」の意。全体で「豊年」の意味。対語は、ン⸢ガ⸣ユー[ŋ⸢ga⸣juː](苦世、凶年、凶作の年)。「あまよ」『おもろさうし』。 ア⸢マユー ニン⸣ガイ ⸢オー⸣ラ [ʔa⸢majuː niŋ⸣gai ⸢ʔoː⸣ra] (豊年を祈願しましょう<祈願なされましょう>) 1161 0 0 1075 htmvoc_1161.wav アマヨーン ア⸢マヨーン [ʔa⸢majoːŋ] 名 雨の降る夜の暗闇。雨夜の暗闇。 ア⸢マヨーン⸣ ナリ ⸢ミー⸣ヌ ⸣マイ ノー⸢ン⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔa⸢majoːn⸣ nari ⸢miː⸣nu ⸣mai noː⸢m⸣ mi⸢rara⸣nu] (雨の降る真っ暗闇になって、目の前は何にも見えない)。雨のために暗闇になること。「雨闇」の義。 ア⸢マヨーンヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣サー ⸢トゥー⸣ル ⸣シケーティ ア⸢ラン⸣カー ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔa⸢majoːnnu⸣ f⸢fa⸣saː ⸢tuː⸣ru ⸣ʃi̥keːti ʔa⸢raŋ⸣kaː ʔa⸢rakara⸣nu] (雨夜の闇の暗さはランプ<灯篭>を点けてでなければ歩くことができない) 1164 0 0 1076 htmvoc_1164.wav アマラスン ア⸢マラ⸣スン [ʔa⸢mara⸣suŋ] 他動 余す。余るようにする。 ムー⸢ル⸣ シゥ⸢カーンドー⸣シ ン⸢メーマ⸣ ア⸢マラ⸣シ [muː⸢ru⸣ si̥⸢kaːndoː⸣ʃi ʔm⸢meːma⸣ ʔa⸢mara⸣ʃi] (全部使わないで、少し余るようにしなさい<残しなさい>)。 ク⸢ヌ ジン⸣マー ア⸢マラサン⸣スコーニ ムー⸢ル⸣ シゥ⸢カイシティリ [ku⸢nu ʤim⸣maː ʔa⸢marasan⸣su̥koːni muː⸢ru sï̥⸢kaiʃitiri] (このお金は余すことのないように全部使いきりなさい) 1162 0 0 1077 htmvoc_1162.wav アマリ ア⸢マ⸣リ [ʔa⸢ma⸣ri] 名 余り。残り。余分。 イ⸢ゾー⸣ ムー⸢ル⸣ニ ⸢ミッカラナー パイティ⸣ ア⸢マ⸣レー ⸢カーシ⸣バ [ʔi⸢ʣoː⸣ muː⸢ru⸣ni ⸢mikkaranaː paiti⸣ ʔa⸢ma⸣reː ⸢kaːʃi⸣ba] (魚は皆に三匹ずつ配って余り<残余>は売りなさいよ)。 ア⸢マリ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サ ⸣バラサテー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢mari⸣nu ⸢was⸣sa ⸣barasateː ⸢naː⸣nu] (余るのが悪いということはない<諺>)。 ア⸢マ⸣レー ⸢ワー イー⸣リバ [ʔa⸢ma⸣reː ⸢waː ʔiː⸣riba] (余りは君がもらいなさい) 1163 0 0 1078 htmvoc_1163.wav アマリカジ ア⸢マリ⸣カジ [ʔa⸢mari⸣kaʤi] 名 「余り風」の義。不要な風。御しがたい風。悪霊。成仏できないで暗闇の中をさ迷い、人に危害を加えるといわれる悪霊。目には見えないが、総身に鳥肌がたつことによって、それに遭遇したことがわかるという。ヤ⸢ナ⸣カジ ア⸢マリ⸣カジ[ja⸢na⸣kaʤi ʔa⸢mari⸣kaʤi](悪い風、余り風)と対句で用いることが多い 1185 0 0 1079 htmvoc_1185.wav アマリプス ア⸢マリ⸣プス [ʔa⸢mari⸣pusu] 名 居候。いかず小母。昔は、出戻りなどで実家にいると、家族にとって余計な人とされていた。 ⸢バン⸣テナー ア⸢マリプスヌン⸣ドゥ ⸢ブー⸣ツォー ⸢イー⸣リ ッ⸢ふォー⸣ル プ⸢ソー オーラン⸣カヤー [⸢ban⸣tenaː ʔa⸢maripusunun⸣du ⸢buː⸣ʦoː ⸢ʔiː⸣ri f⸢foː⸣ru pu̥⸢soː ⸢ʔoːraŋ⸣kajaː] (我が家にはいかず小母がいるんです{EOS}貰って下さる人は居られないかねえ) 1186 0 0 1080 htmvoc_1186.wav アマリムニ ア⸢マリ⸣ムニ [ʔa⸢mari⸣muni] 名 余計なお喋り。余計な言葉。 ⸢ワー⸣ヨー、 ⸣ドゥク ア⸢マリムニ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー⸢ツォー⸣ フ⸢チェー⸣ チ⸢チシミリ [⸢waː⸣joː ⸣duku ʔa⸢marimuni⸣nu ⸢goː⸣raː⸢ʦoː⸣ ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʧi̥⸢ʧiʃimiri] (君はね、あんまりにも余計なお喋りが多すぎるのだよ{EOS}口は慎めよ) 1165 0 1 1081 htmvoc_1165.wav アマリムヌ ア⸢マリ⸣ムヌ [ʔa⸢mari⸣munu] 名 {Mn_1}余ったもの。余分の物。 ⸢マータキナー⸣ バキティ ア⸢マリムヌ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢ワー イー⸣リバ [⸢maːtakinaː⸣ bakiti ʔa⸢marimunu⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢waː ʔiː⸣riba] (同じ分量に分けて、余り物があれば君が貰いなさいよ)。 1165 0 2 1082 htmvoc_1165.wav アマリムヌ ア⸢マリ⸣ムヌ [ʔa⸢mari⸣munu] 名 {Mn_2}「余り者」の義。世間から爪弾きされた者。死者の霊が成仏できないで、さ迷って人に危害を及ぼすもの。対語は、ス⸢バヌ⸣ムヌ[su⸢banu⸣munu](側のもの)ともいう。 ⸢ソーラン⸣ヌ ⸣ピンマー ア⸢マリムヌ⸣ヌ ⸢アーキ⸣バ ミ⸢ジヌ⸣クー ⸢パン⸣キ [⸢soːran⸣nu ⸣pimmaː ʔa⸢marimunu⸣nu ⸢ʔaːki⸣ba mi⸢ʣinu⸣kuː ⸢paŋ⸣ki] (お盆の時には成仏できない霊<余りもの>が徘徊しているので、ミジヌクーを外に向かってはね飛ばしなさい<お布施を施せ>) 1166 0 0 1083 htmvoc_1166.wav アマルン ア⸢マ⸣ルン [ʔa⸢ma⸣ruŋ] 自動 余る。分量などが必要とする数量を越えて残りが出る。 ⸢ピーチ⸣ナー ク⸢バ⸣ルカー フ⸢ターチ⸣ ア⸢マ⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ア⸢マラン⸣バン [⸢piːʧi⸣naː ku⸢ba⸣rukaː ɸu̥⸢taːʧi⸣ ʔa⸢ma⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu ʔa⸢maram⸣baŋ] (一つずつ配ると二つ余ると思ったが、余らないよ)。 ウ⸢ビ⸣ナー ア⸢マ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣naː ʔa⸢ma⸣ri ⸢naː⸣nu] (こんなにも余ってしまった)。 ア⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (余ることはない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (もっと余れば良いのに)。 ⸢ピーチ⸣ナー ⸢パウ⸣カー ア⸢マ⸣ルン [⸢piːʧi⸣naː ⸢pau⸣kaː ʔa⸢ma⸣ruŋ] (一つずつ配ると余る)。 タ⸢ラーン⸣カヤーッティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ア⸢マ⸣ル ⸣スコー ア⸢リ⸣ブワー⸢ン⸣ノー [ta⸢raːŋ⸣kajaːtti ʔu⸢muːtan⸣du ʔa⸢ma⸣ru ⸣su̥koː ʔa⸢ri⸣buwaː⸢n⸣noː] (足りないかと思ったが余るほど有りおるではないか)。 ⸢ミーチナ パウ⸣カー ア⸢マラ⸣ヌ [⸢miːʧina pau⸣kaː ʔa⸢mara⸣nu] (三つずつ配ると余らない)。 ア⸢マ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣ri ⸢naː⸣nu] (余ってしまった)。 ア⸢マ⸣ル ⸣ムノー ア⸢ツァ⸣ミ [ʔa⸢ma⸣ru ⸣munoː ʔa⸢ʦa⸣mi] (余る物は集めよ) 1187 0 0 1084 htmvoc_1187.wav アマルン ア⸢マルン [ʔa⸢maruŋ] 自動 肉などが腐りかかる。食物などが腐敗にまでは至っていない状態。 ク⸢レー⸣ ア⸢マリ⸣ドゥ ブ⸢リン⸣ギサバ ⸣バー ッ⸢ふァーヌ [ku⸢reː⸣ ʔa⸢mari⸣du bu⸢riŋ⸣gisaba ⸣baː f⸢faːnu] (これは腐りかけていそうだから私は食べない) 1189 0 0 1085 htmvoc_1189.wav アマンガサ ア⸢マン⸣ガサ [ʔa⸢maŋ⸣gasa] 名 月にかかるかさ(暈<カサ>)。あまがさ。月の周囲に見える光の輪。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣シケー ア⸢マンガサ⸣ヌ カ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ヌ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカヤー [⸢kjuː⸣nu ⸣ʃikeː ʔa⸢maŋgasa⸣nu ka⸢ka⸣ri ⸢beː⸣nu ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkajaː] (今日の月には暈がかかっているが、雨が降るのかなあ) 108 0 0 1086 htmvoc_108.wav アマングイ ア⸢マン⸣グイ [ʔa⸢maŋ⸣gui] 名 雨乞い。旱魃が続くときア⸢マン⸣グイウタ[ʔa⸢maŋ⸣guiuta](雨乞い歌)を歌って降雨を神に祈願する祭祀。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)、ニ⸢シ⸣ドーウガン[ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ](西堂御嶽)、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢naiʔugaŋ](鬚川<ピナイ>御嶽)、ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽)の神々と⸣マイパマ[⸣maipama](前浜)の神々に対する祈願の神歌を歌って雨乞いをした。 ナ⸢チヌ ペーレーヌ⸣ シ⸢ジク⸣カー サ⸢カサンケー⸣ヤ ム⸢トゥ⸣ウガンナ スルイ⸢ヨー⸣リティ ア⸢マングイ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [na⸢ʧinu peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤiku⸣kaː sa⸢kasaŋkeː⸣ja mu⸢tu⸣ʔugannaː surui⸢joː⸣riti ʔa⸢mangui⸣nu ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (夏の旱が続くと司<神女>方が友利御嶽にお揃いになって雨乞いの祈願をなされた)。雨乞い歌。旱魃が続いて農作物に被害が出ると、島のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʣiri⸣biː](手摺り部{EOS}男性神職者)、それにヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人{EOS}祭祀係り)らが集まって協議し、サ⸢カサに⸢ピュール[⸢pjuːru](日和)を取ってもらって雨乞いの祭祀を実施した。友利御嶽で「雨乞い」の祈願をし、雨乞いの歌を歌って五箇所の御嶽を回り、井戸から汲んできた桶の水を道中柄杓で汲み、それを掛け合いながら歩いた。雨乞いの歌は神歌としてサカサやティジリビーだけに歌い継がれ、一般の人には知られていなかった。1960年ごろまでは一般の人に教えることを禁じられていた。「雨乞い歌」は、ナ⸢ガミ⸣ク[na⸢gami⸣ku](長め句)とハ⸢ヤミ⸣ク[ha⸢jami⸣ku](早め句)から構成されている。 ⸢ペーレイヌ⸣ シ⸢ジキティ⸣ ス⸢クリ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ サ⸢リナー⸣ヌ ⸢パイ⸣サ ア⸢マン⸣グイ ⸣ニンガイ ⸢ソーラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢peːreinu⸣ ʃi⸢ʤikiti⸣ su⸢kuri⸣munoː muː⸢ru⸣ sa⸢rinaː⸣nu ⸢pai⸣sa ʔa⸢maŋ⸣gui ⸣niŋgai ⸢soːraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (旱魃が続いて作物はみな枯れてしまった{EOS}早く雨乞いの祈願をなさらないといけません) 109 0 0 1087 htmvoc_109.wav アマングイウタ ア⸢マン⸣グイウタ [ʔa⸢maŋ⸣guiʔuta] 名 雨乞いの神歌。○トゥムルウガン(ナガミ)/ウブシクヌ マブルシュ アミブシャヌ/ウブトゥムル カミガナシ アミブシャヌ/ウマンチュヌ ニガイヤ アミブシャヌ/アカカラジヌ ニガイヤ アミブシャヌ/タンディトートゥ マブルシュ アミブシャヌ/ガラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/。○ハヤミク(雨乞い歌)/ウマンチュヌ ニガイヤヨー アカカラジヌ ニガイヤヨー ハーリ アミタボリリューガナシ/タンディトートゥ マブルシュヨー ガラクトートゥ カミガナシ ハーリ アミタボリリューガナシ/ユスヌカミガナシ キムピティチ ムスビョーリ ハーリアミタボリ リューガナシ/アジルカタ ネーナー オーリヨー ムディルカタ ネーナー オーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/パトゥマティル シマヤヨー バケナーネーヌ シマヤヨ ハーリアミタボリ リューガナシ/ウティミジヌ ママヤリヨー カキミジヌ ママヤリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウラダダイドーヌ ヤリヨーリ カンヤヌシ ヤリヨーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウフヤマトゥ ハズミヨーリヨー カンヤマトゥ ハズミヨーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニ ピキパラショーリヨー トゥパニピキ パラショーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウフウキナ クダリョーリヨー スイウキナー クダリョーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニ ピキパラショーリヨー トゥーパニ ピキパラショーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウフミヤク クダリョリヨー シマジリニ クダリョーリヨー ハーリアニタボリ リューガナシ/カンヤシキ フマルヌヨー ヌシヤシキ フマルヌヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニピキ パラショーリヨー トゥ―パニピキ パラショーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/タラマムラ オーラカラヨー ミンナムラ オーラカラヨー ハーリアミタタボリ リューガナシ/ヤイマシマ クダリヨーリヨー ウフイサナキ クダリヨーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/カンヤシキ フマルヌヨー ヌシヤシキフマルヌヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニ ピキパラショーリヨー トゥーパニ ピキパラショーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/タキドゥンヌ オーラカラヨー ナカダキヌ オーラカラヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/クルシマニ クダリヨーリヨー ヌバンバマ フナシキヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/カンヤシキ フマルヌヨー ヌシヤシキフマルヌヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヤーパニ ピキパラショーリ トゥーパニ ピキパラショーリ ハーリアミタボリ リューガナシ/バガパトゥマ クダリヨーリヨー フナバマニ フナシキヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/フナヤギサ イチヌマリ ギシャマシュヤ ハチヌマリ ハーリアミタボリ リューガナシ/カミヤシキ フミオーリヨー ヌシヤシキ フミオーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ミジヌフキ サシヒョーラヨー カヤヌフキ サシヒョーラヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ヌバルティジ ヌキダキヨー ミジヌムトゥ ヤリオーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/バガパトゥマ ピキユシオーリヨー クリトゥムリ トゥリユシヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/イチブプリ タボラリヨー ニヌブプリ タボラリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウムルミジ タボラリヨー フダルミジ タボラリヨー ハーリアミタボリ リュガナシ/。○<ニシドーウガン>/クニムトゥヌ マブルシュ アミブシャヌ/ウヤムトゥヌ カミガナシ アミブシャヌ/ウマンチュヌ ニガイ アミブシャヌ/アカカラジヌ ニガイ アミブシャヌ/タンディトートゥ マブルシュ アミブシャヌ/アラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/。○<マイヌウガン、ピナイウガン>/ピナイバナ マブルシュ アミブシャヌ/カンバナヌ カミガナシ アミブシャヌ/ピナイサーラ ミジムトゥヌ アミブシャヌ/マイナショール マブルシュ アミブシャヌ/ウマンチュヌ ニガイ アミブシャヌ/タンディトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/アラクトートゥ マブルシュ アミブシャヌ/。○<アラカワウガン>/ウフイラカ カミガナシ アミブシャヌ/カミイラカ タケバル アミブシャヌ/ミジムトゥヌ マブルシュ アミブシャヌ/ウブガーラヌ シキフチ アミブシャヌ/ウムルミジ タラショーリ アミブシャヌ/フダルミジバ タボラリヨー アミブシャヌ/。○<マイパマヌ ウタ>/マイパマヌマブルシュ アミブシャヌ/ シルパマヌ カミガナシ アミブシャヌ/インスクヌ リューガナシ アミブシャヌ/テンシンマディ アガリヨーリ アミブシャヌ/。○<パマザキパマウタ>/ユニサキヌ マブルシュ アミブシャヌ/シラパマヌ カミガナシ アミブシャヌ/ウフガーラ シキフチ アミブシャヌ/。○<ハヤミブシ>/インスクヌ リューガナシヨー テンシマディ アガリヨーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/アンノーマヌ シマカラヨー クルミオール クルアミヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/シルクムバ アミナシヨー ヌリクムバ ミジナシヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/バガパトゥマ ピキユシオーリヨー/クリトゥムリ トゥリユシオーリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ニカヌユヌ ユナカニヨー/ユサヌユヌ ユナカニヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ドールドールシ タボラリヨー/ザールザールシ タボラリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ムリムリヌ タウナルケー タウタウヌ イキナルケー ハーリアミタボリ リューガナシ/パマカヤバ ウシウルシヨー イソスリバ ピキウルシヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/マイヌトゥーヌ ヤノールケヨー インヌトゥーヌ ヤノールケヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/ウマンチュヌ イヌチヤヨー ウンカザドゥ イヌチヤル ハーリアミタボリ リューガナシ/マミカザヌ イヌチヤヨー ウティミジドゥ イヌチヤル ハーリアミタボリ リューガナシ/ウティミジヌ ネーナブリヨー カキミジヌネーナヲリヨー ハーリアミタボリ リューガナシ/マミカザン ナイドゥシユル ウンカザン ナイドゥシユヨー ハーリアミタボリ リューガナシ 1076 0 0 1088 htmvoc_1076.wav アマンベールン ア⸢マンベールン [ʔa⸢mambeːruŋ] 自動 甘くなる。甘ったるくなる。食物などが甘みをおびる。 サ⸢タ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーカー  ム⸢チェー⸣ ア⸢マベールン [sa⸢ta⸣nu ⸢goː⸣raːkaː mu⸢ʧeː⸣ ʔa⸢mambeːruŋ] (砂糖が多いと餅は甘ったるくなる)。 ク⸢ヌ ムチェー⸣ ア⸢マンベーリティ⸣ ン⸢マーナー⸣ヌ [ku⸢nu muʧeː⸣ ʔa⸢mambeːriti⸣ ʔm⸢maːnaː⸣nu] (この餅は甘みをおびていて美味しくない)。食物全体が異常に甘ったるくなる。 ⸢アンムチ⸣バ ッ⸢ふァイシギル⸣カー フ⸢チンマーラー⸣ ア⸢マンベーリティ⸣ ム⸢ヌパキッ⸣ツァー ナルン⸢ダー [⸢ʔammuʧi⸣ba f⸢faiʃigiru⸣kaː ɸu̥⸢ʧimmaːraː⸣ ʔa⸢mambeːriti⸣ mu⸢nupakit⸣ʦaː narun⸢daː] (餡餅を食べ過ぎると口の周りは甘ったるくなって、嘔吐しそうに<嘔吐したく>なる)。 ア⸢マンベールン⸣ティ ス⸢クタヌ⸣ ア⸢マンベーランワン⸣ノー [ʔa⸢mambeːrun⸣ti su̥⸢kutanu⸣ ʔa⸢mambeːraŋwan⸣noː] (甘ったるくなると聞いたが、甘ったるくならないではないか)。 イ⸢コーラ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ア⸢マンベール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢koːra⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ʔa⸢mambeːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (いくら食べても甘ったるくなることはない)。 ア⸢マンベーレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢mambeːreː⸣ misamunu] (甘ったるくなればいいのに) 1191 0 0 1089 htmvoc_1191.wav アミ ⸣アミ [⸣ʔami] 名 雨。「吾には告げず との曇り安米能布流<アメノフル>日を~。万、4011」の転訛したもの。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ] (雨が降る)。ア⸢ミ⸣ フーン[ʔa⸢mi⸣ ɸuːŋ](雨<が>降る)ともいう。 ⸣アメー ⸢ホー⸣ヌ [⸣ʔameː ⸢hoː⸣nu] (雨は降らない)。 ア⸢ミ⸣バ ⸢ホー⸣シ タ⸢ボー⸣リ [ʔa⸢mi⸣ba ⸢hoː⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (雨を降らしてください)。 アミ⸢カーニル⸣ フー [ʔami⸢kaːniru⸣ ɸuː] (雨だけ<ばかり>が降る)。 ⸣アミナー ⸢ゾッふァーリティ ヤーン⸣ナカー ⸢ペーリマー⸣キ ⸢ベー [⸣ʔaminaː ⸢ʣoffaːriti jaːn⸣nakaː ⸢peːrimaː⸣ki ⸢beː] (雨に降られて<濡れて>家の中に入りかねている) 1192 0 0 1090 htmvoc_1192.wav アミ ア⸢ミ [ʔa⸢mi] 名 あめ(飴)。飴玉。 ア⸢ミヌ⸣ アン [ʔa⸢minu⸣ ʔaŋ] (飴がある)。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ア⸢ミ ピーチ⸣ナー ッ⸢ふァーシ⸣バ [ja⸢ra⸣biŋkeŋ ʔa⸢mi piːʧi⸣naː f⸢faːʃi⸣ba] (子供たちに飴を一つずつ食べさせなさい) 1107 0 0 1091 htmvoc_1107.wav アミオシキ ア⸢ミオシ⸣キ [ʔa⸢mioʃi⸣ki] 名 雨天。「雨・天気」の義。 ク⸢ヌ⸣ シケー ア⸢ミオシキ⸣ヌ シ⸢ジキティ⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイサラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi̥keː ʔa⸢miʔoʃi̥ki⸣nu ʃi⸢ʤikiti⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kaisara⸣nu] (今月は雨天が続いて畑を耕すことが出来ない)。ア⸢ミフイオシ⸣キ[ʔa⸢miɸuiʔoʃi̥⸣ki](雨降り天気)ともいう。 ア⸢ミオシキ⸣ヌ シ⸢ジキン⸣ギササー [ʔa⸢miʔoʃiki⸣nu ʃi⸢ʤikiŋ⸣gisasaː] (雨天<雨降り天気>が続きそうだよ) 1194 0 0 1092 htmvoc_1194.wav アミガサ ア⸢ミ⸣ガサ [ʔa⸢mi⸣gasa] 名 あみがさ(編笠)。藺草で編んだ笠。芝居や舞踊の小道具として用いられるもの。 ア⸢ミガサ⸣バ ⸣カビ ⸣シラー カ⸢ク⸣シティ ⸢パッ⸣タ [ʔa⸢migasa⸣ba ⸣kabi ⸣ʃiraː kḁ⸢ku⸣ʃi̥ti ⸢pat⸣ta] (編笠を被り顔を隠して行った) 1111 0 0 1093 htmvoc_1111.wav アミカジ ア⸢ミ⸣カジ [ʔa⸢mi⸣kaʤi] 名 風雨。雨と風。雨につれて吹く風。「雨風(あめかぜ)」の義。 ⸣カイブ ア⸢ミカジ⸣ヌ ナ⸢カー⸣ラ ⸢ヌー⸣シ ⸢シー⸣ キ⸢ラリ⸣ター [⸣kaibu ʔa⸢mikaʤi⸣nu na⸢kaː⸣ra ⸢nuː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ki⸢rari⸣taː] (こんな風雨の中をどうやって来れたのか<来られたか>)。 ア⸢ミカジ⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ʔa⸢mikaʤi⸣nu ⸢suːwa⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (風雨が強くてどうにもならない{EOS}<風に向かって出て行くことが出来ない>)。 ア⸢ミカジ⸣ヌ ⸢スー⸣ワティ ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ʔa⸢mikaʤi⸣nu ⸢suː⸣wati ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (雨風が強くて船は出せない) 1196 0 0 1094 htmvoc_1196.wav アミカビ ア⸢ミカビ [ʔa⸢mikabi] 副 押し被さってくるさま。伸し掛かるさま。 ウ⸢スマ⸣サール シ⸢グトゥヌ⸣ ア⸢ミカビ⸣キー ⸢デー⸣ジ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔu⸢suma⸣saːru ʃi⸢gutunu⸣ ʔa⸢mikabi⸣kiː ⸢deː⸣ʤi ⸢ʃiːnaː⸣nu] (おそろしく大変な仕事が伸し掛かってきて大変なことになってしまった) 114 0 0 1095 htmvoc_114.wav アミカブン ア⸢ミカブン [ʔa⸢mikabuŋ] 自動 水を頭から浴びるように他人が怒鳴り込む。ひどい剣幕で襲い掛かるように怒鳴り込む。 ク⸢ビッチン⸣ ヌ クトシン プ⸢スンナー⸣ニ ア⸢ミカブン [ku⸢bitʧin⸣nu ku̥tuʃim pu̥⸢sunnaː⸣ni ʔa⸢mikabuŋ] (これぽっちのことでも人に怒鳴り込む)。他人が伸し掛かってくる。他人が恐ろしい剣幕でなじってくる。強く問責してくる。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ク⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトゥシン ア⸢ミカビ⸣クンダー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ku⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥tuʃiŋ ʔa⸢mikabi⸣kundaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (その人はこれぽっちのことでも激しくなじってくるから気をつけなさいよ)。 ア⸢ミカブ⸣ クトー ア⸢ミカブンドゥ⸣ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カス⸣カー ア⸢ミカバヌ [ʔa⸢mikabu⸣ ku̥toː ʔa⸢mikabundu⸣ pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢kasu⸣kaː ʔa⸢mikabanu] (激しく伸し掛かることは伸し掛かってくるが、話して聞かせると伸し掛からない)。 ア⸢ミカベー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢mikabeː⸣ misamunu] (厳しくなじれば良いのに)。 ア⸢ミカビ⸣バ [ʔa⸢mikabi⸣ba] (伸し掛かれ) 97 0 0 1096 htmvoc_97.wav アミグマリ ア⸢ミグマ⸣リ [ʔa⸢miguma⸣ri] 名 雨籠もり。長雨のために仕事が出来ない状態。ア⸢ミマー⸣チ[ʔa⸢mimaː⸣ʧi](雨が止むのを待つ{EOS}雨宿り)ともいう。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ナーフイ シティ⸣ ア⸢ミグマ⸣リ ⸢シーベー [ʔa⸢mi⸣nu ⸢naːɸui ʃiti⸣ ʔa⸢miguma⸣ri ⸢ʃiːbeː] (雨が長く降って<長降りして>雨籠もりをしている) 1171 0 0 1097 htmvoc_1171.wav アミグル ア⸢ミ⸣グル [ʔa⸢mi⸣guru] 名 雨雲。 ッふォーッ⸢ふォーヌ⸣ ア⸢ミグル⸣ヌ マナ⸢マンチン ユーシ⸣キー ウ⸢ブアミ⸣ヌ タ⸢タッ⸣キ ⸣フイケーン [ffoːf⸢foːnu⸣ ʔa⸢miguru⸣nu mana⸢manʧiɲ juːʃi⸣kiː ʔu⸢buami⸣nu tḁ⸢tak⸣ki ⸣ɸuikeːŋ] (真っ黒の<黒々の>雲が急に寄せてきて大雨が叩きつけて降ってきた) 99 0 0 1098 htmvoc_99.wav アミシジ ア⸢ミ⸣シジ [ʔa⸢mi⸣ʃiji] 名 雨粒。 ア⸢ミシジ⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤン [ʔa⸢miʃidʒi⸣nu ⸢mai⸣jaŋ] (雨粒が大きい)。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣アメー ⸣ヌーティ ⸢スー⸣ アミ ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢ミ⸣シジーン ク⸢ビ⸣ナー ⸣アリティ タ⸢タキシティ⸣ルン ⸣カタチニル フー⸢ツォー [⸢kjuː⸣nu ⸣ʔameː ⸣nuːti ⸢suː⸣ ʔami ja⸢ru⸣juː ʔa⸢mi⸣ʃiʤiːŋ ku⸢bi⸣naː ⸣ʔariti tḁ⸢takiʃiti⸣ruŋ ⸣kḁtaʧini ɸuː⸢ʦoː] (今日の雨は何という雨だろうか{EOS}雨粒もこんなに大きくて<あって>、叩きつけるように<叩き捨てるように>降るんだよ) 1141 0 0 1099 htmvoc_1141.wav アミシジキ ア⸢ミシジ⸣キ [ʔa⸢miʃiʤi⸣ki] 名 雨続き。 ア⸢ミシジキ⸣ヌ ⸣アトゥ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢トゥレー⸣ヌ パ⸢タ⸣ケー ⸢ペーララ⸣ヌ [ʔa⸢miʃiʤiki⸣nu ⸣ʔatu ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢tureː⸣nu pa⸢ta⸣keː ⸢peːrara⸣nu] (雨続きの後だから、畑地がぬかるんで<ビチャビチャぬかるんで>畑には入れない)。 ⸢トゥッカナー⸣ ア⸢ミチジキ⸣ヌ ⸢スー⸣カー シ⸢グトゥン⸣ シ⸢ララヌ [⸢tukkanaː⸣ ʔa⸢miʧiʤiki⸣nu ⸢suː⸣kaː ʃi⸢gutuŋ⸣ ʃi⸢raranu] (十日も雨続きがすると、仕事もできない) 1127 0 0 1100 htmvoc_1127.wav アミシタフ ア⸢ミシタ⸣フ [ʔa⸢miʃita⸣ɸu] 名 雨支度。雨に濡れないための支度。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ユネンガターラ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギサバ ア⸢ミシタ⸣フ ⸢シー⸣ パリ⸢ヨー [⸢kjuː⸣ja ⸣juneŋgataːra ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisaba ʔa⸢miʃita⸣ɸu ⸢ʃiː⸣ pari⸢joː] (今日は夕方から雨が降りそうだから雨支度をして行きなさいよ) 1201 0 0 1101 htmvoc_1201.wav アミダプトゥキ ア⸢ミダプトゥ⸣キ [ʔa⸢midaputu⸣ki] 名 阿弥陀仏。⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)に歌って親に孝養を尽くす⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](無蔵<無常>念仏歌)の中で歌われている仏。○シ⸢ザ⸣ヌ ⸣クイ(兄の声<歌>)/ナムアミダブチ ヨー アミダプトゥキ(南無阿弥陀仏 ヨー 阿弥陀仏)/イマジヨーヌ サンナル シキダイス(今十三歳になる年月です)/アヌヤマティラニ ヨー マイラシバ(あの山寺に ヨー 参ると)/アヌヤマティラニ ヨー マイラサヌ(あの山寺に ヨー 参詣できない)/フンヌヨー アワリヌミチヤリバ(誠に ヨー 哀れな<無常な>道であるから)/ニシカインカユティ キョーモンバユミ(西方へ向かって経文を読み)/ヒガシニンカユティ キョームンバカキ(東に向かって経文を書き<写経し>)/ユムタル キョームンヤ ウヤヌタミ(読んだ経文は父親のため)/カキタル キョームンヤ ハハヌタミ(書いた<写経した>経文は母のため)/ウキトゥリタマワリ ヨー チチヌウヤ(受け取ってください ヨー 父の親)/ウキサシタマワリ ヨー ハハヌウヤ(受け取ってください ヨー 母の親)/ナムアミダブチヨー ウクリンデームヌ(南無阿弥陀仏 ヨー 供養でありますから)。○ウシトゥヌクイ(弟の声<歌>)/ワリンダカ ユニンナル イヤシングヮヌ(頭数<兄弟>四人いる中で 貧乏な子が)/ムチュタルタカラヤ ネーナヤブリ(持てる宝<お金>は無くて)/ムチュタルタカラヤ アリバクリ(持てる宝があればこそ)/スリトゥム ヨー ウヤニヨー マイラサヌ(それでも親に参らさむ<親の仏前に参上しよう>)/ソーローユーヤ イチガユーティ タジナリバ(精霊会の夜はいつの日かと尋ねると)/ソーローユーヤ シチガチヌ ナカヌソロー(お盆の日は七月の中旬のお盆)/ナチカシ ナチングヮチヌ ナカヌソーロー(懐かしい夏の月の中<中旬>のお盆)/ナチカシ ナチングヮチヌ ナチヌヤマ(懐かしい夏の月の夏の山の)/キーヌナル パチパチバ トゥリカザリ(木の実の初生り物を取り供えて)/ナリキーヌ シナジナバ トゥリカザリ(実のなる木々<生り木>の種々を取り供えて)/ムスビティウヤニ ヨー マイラシバ(結んで親の仏前に参ると)/スリトゥムウヤヌ タミドゥナル(それだけでも親のためになる)/ウキトゥリタマワリ ヨー チチヌウヤ(受け取ってください ヨー 父の親)/ウキサシタマワリヨー ハハヌウヤ(受け取ってください ヨー 母の親)/ナムアミダブチ ヨー ウクリンデームヌ(南無阿弥陀仏 ヨー 孝養の饗饌でありますから)/ウーギヌスラ ウリナスビ キザンムヌ(甘蔗の茎、瓜、茄子を刻んだもの)/シースイヌ ウハンギヌ ミジスイティ(メドハギ<蓍萩・マヤーブー>で撥ねる水を添えて)/イキョーヌ ハナガレヌ ミジスイティ(易行の花殻の水を添えて)/ヌクタル サーミジヤ クバスユカ(残った茶水は零すより)/フカヤーヌ ソーロソーローヌ タミドゥナル(あの世<霊界・墓>の精霊のためになる)/ソーンソーン ユムタルキョームンヤ ウヤヌ タミドゥナル(そもそも読んだ経文は親のためになる)/ 1202 0 0 1102 htmvoc_1202.wav アミダマ ア⸢ミダマ [ʔa⸢midama] 名 飴玉。砂糖を煮詰めて球形、菱形等に作った菓子。戦後は鳩間島にも小売店ができて、飴玉等の駄菓子類が売られるようになった。広口のガラス瓶に、赤、白、黄色などのカラフルな菓子が詰まっていて、それを買ってもらうのが子供にとって楽しみであった。 イ⸢サナケーラヌ⸣ シトー ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ミダマバル カイヨーッ⸣タ [ʔi⸢sanakeːranu⸣ ʃi̥toː jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢midamabaru kaijoːt⸣ta] (石垣からのお土産<つと{EOS}苞>は、必ず飴玉を買われた) 100 0 0 1103 htmvoc_100.wav アミチヂキ ア⸢ミチヂ⸣キ [ʔa⸢miʧidʒi⸣ki] 名 雨続き。雨天が続くこと。ア⸢ミシジ⸣キ[ʔa⸢miʃid Zi⸣ki]ともいう。 ユ⸢ドゥン⸣ヌ ⸣シチ ナ⸢ル⸣ター ア⸢ミチジ⸣キ ⸢シー⸣ シ⸢グトゥン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ju⸢dun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi na⸢ru⸣taː ʔa⸢miʧidʒi⸣ki ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢gutun⸣ na⸢ra⸣nu] (梅雨の季節になったので、雨続きして仕事も出来ない) 94 0 0 1104 htmvoc_94.wav アミツァ ⸣アミツァ [⸣ʔamiʦa] 名 (動)ヤドカリ。⸣アマンツァ[ʔamanʦa]ともいう。 ⸣アミツァヌ フ⸢ルバ ムン⸣ダニ シ⸢ティ⸣ イ⸢ズ ホースン [ʔamiʦanu ɸu⸢ruba mu⸣ndani ʃi̥⸢ti⸣ ʔi⸢ʣu hoː⸣suŋ] (ヤドカリの胴体を餌さにして魚を釣る)。 ⸣アミツァヌ グ⸢ル [⸣ʔamiʦanu gu⸢ru] (アドカリの殻、転じて男児の頭髪を刈りそこねたものにいう) 1199 0 1 1105 htmvoc_1199.wav アミツァ ⸣アミツァ [ʔamiʦa] 名 {Mn_1}(動)和名、ヤドカリ(宿借り)。巻貝の空殻にはいっていて成長するに伴い空殻を取り替える。陸上に棲息するものと、海中に棲息するものがいるが、魚の餌に利用されるものとしては陸上のヤドカリの方が最適である。餌の食いつきがよい。若年層では、⸣アミンツァ[⸣ʔaminʦa](ヤドカリ)ともいう。 ⸣アミツァ プ⸢サイティ⸣ ム⸢チイズ ホー⸣シン ⸣パラ ⸢ディー [⸣ʔamiʦa pu̥⸢saiti⸣ mu⸢ʧiiʣu hoː⸣ʃim ⸣para ⸢diː] (ヤドカリを拾ってム⸢チイズ<ノコギリダイ>を釣りに行こうよ)。 1199 0 2 1106 htmvoc_1199.wav アミツァ ⸣アミツァ [ʔamiʦa] 名 {Mn_2}あちこち歩き回って、落ち着きのない者。 ウ⸢レー⸣ アミツァトゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ プ⸢ス⸣カタナ トゥ⸢クットゥ⸣シ ブ⸢リユーサヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔamiʦatu ju⸢nu⸣munu pu̥⸢su⸣katanaː tu̥⸢kuttu⸣ʃi bu⸢rijuːsanu] (彼はヤドカリと同じで、一箇所に落ち着いていることが出来ない) 1200 0 0 1107 htmvoc_1200.wav アミツァヌグル ⸣アミツァヌ グ⸢ル [⸣ʔamiʦanu gu⸢ru] 連 ヤドカリの殻。転じて「虎刈り」の意。鋏で頭髪刈り、散髪した髪の高低が揃わない形状を揶揄して言う場合に用いる。 ⸢ワー⸣ ガ⸢マ⸣ジェー ⸣アミツァヌ グ⸢ル⸣ ナリ ⸢ベー [⸢waː⸣ ga⸢ma⸣ʤeː ⸣ʔamiʦanu gu⸢ru⸣ nari ⸢beː] (君の髪の毛はヤドカリの殻<ヤドカリの食い残し{EOS}虎刈り>になっているよ) 95 0 0 1108 htmvoc_95.wav アミツァパーシ ⸣アミツァ ⸢パー⸣シ [⸣ʔamiʦa ⸢paː⸣ʃi] 名 ヤドカリ這わせ遊び。 ⸢キーヌ⸣ユダナ アミツァ ⸢パー⸣シ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [⸢kiːnu⸣ judana ʔmiʦa ⸢paː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (木の枝にヤドカリを這わせてする遊びをして遊んだものだ) 1203 0 0 1109 htmvoc_1203.wav アミドゥシ ア⸢ミ⸣ドゥシ [ʔa⸢mi⸣duʃi] 名 雨の多い年。降雨の多い年。「雨年」の義。 ア⸢ミドゥ⸣シ ン⸢カイシミ⸣ ユ⸢ガフ⸣ マ⸢ラシミ⸣ タ⸢ボー⸣リティル ⸣ニガイ ッ⸢サリル⸣ユー [ʔa⸢midu⸣ʃi ʔŋ⸢kaiʃimi⸣ ju⸢gaɸu⸣ ma⸢raʃimi⸣ ta⸢boː⸣ritiru ⸣nigai s⸢sariru⸣juː] (降雨の多い年を迎えさせ、豊年満作<世果報>の年を誕生させてくださいと祈願し申し上げます) 1204 0 0 1110 htmvoc_1204.wav アミニンガイ ア⸢ミニン⸣ガイ [ʔa⸢miniŋ⸣gai] 名 雨願い。降雨の祈願。農作物の順調な育成に必要な十日越しの夜雨の降雨を祈願する祭祀。この祭祀は、⸢ニンガチニン⸣ガイ[⸢ningaʧiniŋ⸣gai](二月願い)で行われた。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ニンガチニン⸣ガイナール ア⸢ミニンガイ⸣ユン ⸢ソーッ⸣タ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢niŋgaʧiniŋ⸣gainaːru ʔa⸢miniŋgai⸣jun ⸢soːt⸣ta⸢daː] (昔は二月願いの祭祀において雨願いの祈願もなされたものだよ) 101 0 0 1111 htmvoc_101.wav アミヌカタカ ア⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ [ʔa⸢mi⸣nu ka⸢ta⸣ka] 連 あまよけ。雨覆い。雨に濡れるのを防ぐための覆い。雨の防護壁。トゥ⸢マー[tu⸢maː](茅を編んで作った苫)などをかけて覆い、雨に濡れるのを防ぐもの。 ノー⸢ンナ⸣カシー ア⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ ス⸢ク⸣リバ [⸣noː⸢nna⸣kaʃi ʔa⸢mi⸣nu kḁ⸢ta⸣ka su̥⸢ku⸣riba] (何かで雨よけを作りなさいよ) 1167 0 0 1112 htmvoc_1167.wav アミパラシ ア⸢ミパラ⸣シ [ʔa⸢mipara⸣ʃi] 名 雨宿り。「雨晴らし」の義。 ⸣クナーティ ⸢イットゥ⸣キ ア⸢ミパラ⸣シ シ⸢ティ⸣ パリバ [⸣kunaːti ⸢ʔittu⸣ki ʔa⸢mipara⸣ʃi ʃi̥⸢ti⸣ pariba] (ここでちょっと<いっとき>雨宿り<雨晴らし>して行きなさいよ) 1168 0 0 1113 htmvoc_1168.wav アミパリ ア⸢ミ⸣パリ [ʔa⸢mi⸣pari] 名 雨上がり。雨晴れ。雨が止んで空が晴れること。 ア⸢ミ⸣パリ ⸢シェーツバ⸣ マ⸢ナマン⸣チンナー パ⸢ルバ⸣ル マ⸢シ [ʔa⸢mi⸣pari ⸢ʃeːʦuba⸣ ma⸢naman⸣ʧinnaː pa⸢ruba⸣ru ma⸢ʃi] (雨上がりしたので今のうちに行くのがよい) 102 0 0 1114 htmvoc_102.wav アミフイ ア⸢ミ⸣フイ [ʔa⸢mi⸣ɸui] 名 雨降り。雨続き。 ⸣カイブ ア⸢ミ⸣フイナー ⸣マナール パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣ス プ⸢スヌ ブーワ [⸣kaibu ʔa⸢mi⸣ɸuinaː ⸣manaːru pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣su pu̥⸢sunu buːwa] (こんな雨降りに、どこに畑を耕す人がいるものか)。 ア⸢ミフイ⸣ヌ シ⸢ジキティ⸣ ッ⸢サークン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢miɸui⸣nu ʃi⸢ʤikiti⸣ s⸢saːkun⸣ na⸢ra⸣nu] (雨降りが続いて仕事も出来ない)。 ア⸢ミフイ⸣ヌ シ⸢ジクター⸣ シ⸢トゥレー⸣ヌ パ⸢タ⸣ケー ⸢ペーララ⸣ヌ [ʔa⸢miɸui⸣nu ʃi⸢ʤikutaː⸣ ʃi̥⸢tureː⸣nu pḁ⸢ta⸣keː ⸢peːrara⸣nu] (雨降りが続いたので土が粘っこくなって畑に入れない)。シ⸢トゥ⸣レーン[ʃi̥⸢tu⸣reːŋ]参照 1173 0 0 1115 htmvoc_1173.wav アミフイカザ ア⸢ミフイ⸣カザ [ʔa⸢miɸui⸣kaʣa] 名 (植)ノアサガオ。「雨降り蔓」の義。 ピ⸢ビザー ナン⸣ゾー ア⸢ミフイ⸣カザー ッ⸢ふァーンセン [pi⸢biʣaː nan⸣ʣoː ʔa⸢miɸui⸣kaʣaː f⸢faːŋʃeŋ] (山羊はノアサガオをあまり食べなかった) 1209 0 0 1116 htmvoc_1209.wav アミフイシタフ ア⸢ミフイシタ⸣フ [ʔa⸢miɸuiʃi̥ta⸣ɸu] 名 あまじたく(雨支度)。外出の際に雨に濡れない用意をすること。雨具の用意をすること。⸢雨降り支度」の義。 プ⸢スマー⸣ラー ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギサバ ア⸢ミフイシタ⸣フ シ⸢ティ⸣ パリ⸢ヨー [pu̥⸢sumaː⸣raː ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisaba ʔa⸢miɸuiʃi̥ta⸣ɸu ʃi̥⸢ti⸣ pari⸢joː] (正午からは雨が降りそうだから雨支度<雨具の用意>をして行きなさいよ) 103 0 0 1117 htmvoc_103.wav アミボーサ ア⸢ミボー⸣サ [ʔa⸢miboː⸣sa] 名 雨宿り。 ⸢アッ⸣タニ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フータ⸣ル ア⸢ミボー⸣サ ス⸢ンティ⸣ ア⸢マ⸣ダラナー カ⸢ク⸣リ ⸢ベー⸠ダー [⸢ʔat⸣tani ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuːta⸣ru ʔa⸢miboː⸣sa ⸢sunti⸣ ʔa⸢ma⸣daranaː kḁ⸢ku⸣ri ⸢beː⸠daː] (急に雨が降ったので雨宿りをしようとして軒下に隠れているのだよ) 98 0 0 1118 htmvoc_98.wav アミマーチ ア⸢ミマー⸣チ [ʔa⸢mimaː⸣ʧi] 名 雨宿り。雨が降り止むのを待つこと。 マーン⸢ベーマ⸣ ア⸢ミマー⸣チ シ⸢ティ⸣ パリバ [maːm⸢beːma⸣ ʔa⸢mimaː⸣ʧi ʃi̥⸢ti⸣ pariba] (もう少し雨宿りをしてからいきなさい)。「雨待ち」の転訛か。 ア⸢マ⸣ダラナー ナー⸢イ⸣ ア⸢ミマー⸣チ シーベー [ʔa⸢ma⸣daranaː naː⸢i⸣ʔa⸢mimaː⸣ʧi ⸢ʃiːbeː] (軒下でじっと雨宿りをしている) 1205 0 0 1119 htmvoc_1205.wav アミムヌ ア⸢ミ⸣ムヌ [ʔa⸢mi⸣munu] 名 編み物。 ア⸢ミ⸣ムヌ ⸢シーシェー⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢タン [ʔa⸢mi⸣munu ⸢ʃiːʃeː⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢taŋ] (編み物をすることの出来る<し得る>人もいた)。 ア⸢ミムヌ⸣ヌ フ⸢ミ⸣カター イ⸢サンケーラル⸣ ケー⸢ナー [ʔa⸢mimunu⸣nu ɸu⸢mi⸣kataː ʔi⸢saŋkeːra⸣ru keː⸢naː] (編み物の編み方は石垣島から伝えられてきたのだねえ) 104 0 0 1120 htmvoc_104.wav アミムヨー ア⸢ミ⸣ムヨー [ʔa⸢mi⸣mujoː] 名 雨模様。あまもよい。雨が降りそうな空の様子。 ⸢オーシケー⸣ ア⸢ミ⸣ムヨー ⸢シーブンダ⸣ プ⸢シ⸣ムノー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ʔa⸢mi⸣mujoː ⸢ʃiːbunda⸣ pu̥⸢ʃi⸣munoː na⸢ra⸣nu] (天気は雨模様をしているから、干し物は出来ない) 106 0 0 1121 htmvoc_106.wav アミルン ア⸢ミルン [ʔa⸢miruŋ] 他動 浴びる。湯や水などをかぶる。体にかける。 ⸢ビールバ⸣ ア⸢ミルン⸣ケン ヌミ⸢ミッ⸣タン [⸢biːruba⸣ ʔa⸢miruŋ⸣ken numi⸢mit⸣taŋ] (ビールを浴びるほど飲んでみた)。 ⸢ワー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢ユー⸣フル ア⸢ミルナ⸠ヨー [⸢waː⸣ ma⸢na⸣ma ⸢juː⸣huru ʔa⸢miruna⸠joː] (君は今、風呂を浴びるなよ)。 ⸣クナーティ ア⸢ミリ⸣バ [⸣kunaːti ʔa⸢miri⸣ba] (ここで風呂を浴びなさい<入浴しなさい>)。 ア⸢ミラヌ [ʔa⸢miranu] (浴びない)。 ⸢ユー⸣フル ア⸢ミル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢juː⸣ɸuru ʔa⸢miru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (風呂に入る<風呂を浴びる>人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ミレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢mireː⸣ misamunu] (もっと浴びれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ミリ [jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢miri] (必ず浴びよ)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢ミルンティ スンドゥ⸣ ア⸢ミララヌ [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢mirunti sundu⸣ ʔa⸢miraranu] (水を浴びようとするが、浴びられない)。 ア⸢ミル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌヌ ア⸢ミ⸣ プサカー ア⸢ミ⸣バ [ʔa⸢miru⸣ kutoː na⸢ra⸣nunu ʔa⸢mi⸣ pu̥sakaː ʔa⸢mi⸣ba] (浴びることは出来ないが、浴びたければ浴びなさいよ)。 ア⸢ミレー⸣ <ア⸢メー⸣> ミサムヌ [ʔa⸢mireː⸣ misamunu] (浴びればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ミリ [⸢paː⸣ku ʔa⸢miri] (早く浴びよ) 110 0 0 1122 htmvoc_110.wav アミンシタッカリン ⸣アミン シ⸢タッカ⸣リン [⸣ʔamiŋ ʃi̥⸢tak⸣kariŋ] 連 大雨に濡れる。ずぶ濡れになる。びしょ濡れになる。「雨に打たれる」の義。 ⸣アミンシ⸢タッカ⸣リティ ダッ⸢カティ ゾーリナー⸣ヌ [⸣ʔamiŋ ʃi̥⸢takka⸣riti dak⸢kati ʣoːrinaː⸣nu] (雨に打たれてびっしょ濡れになってしまった) 1213 0 0 1123 htmvoc_1213.wav アムサムイサン ア⸢ム⸣サムイサン [ʔa⸢mu⸣samuisaŋ] 形 よく頭痛がする。よく気分が悪くなる。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ア⸢ム⸣サムイサンドゥ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [du⸢ku⸣nu ʔa⸢mu⸣samuisandu noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (あまりにも頻繁に頭痛がするので何にも出来ない)。 ⸣ドゥク ア⸢ム⸣サムイサー サ⸢ヌヌ⸣ ウ⸢キグリサ⸣ル <ウ⸢キングリサ⸣ル> ⸣アルティバーヤ [⸣duku ʔa⸢mu⸣samuisaː sa⸢nunu⸣ ʔu⸢kigurisa⸣ru <ʔu⸢kiŋgurisa⸣ru> ⸣ʔarutibaːja] (あまり頭痛はしないが、起き辛いんだよ)。 ⸣アイニ ア⸢ム⸣サムイサー⸢スー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ʔa⸢mu⸣samuisaː⸢suː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのようによく頭痛のおこる人は他にいない) 1206 0 1 1124 htmvoc_1206.wav アムサン ア⸢ム⸣サン [ʔa⸢mu⸣saŋ] 形 {Mn_1}気分が悪い。頭が重く気分が優れない。 ⸢キュー⸣ヤ ア⸢ムサ⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ナラヌ [⸢kjuː⸣ja ʔa⸢musa⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (今日は気分が悪く仕事は出来ない)。 ア⸢ム⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢mu⸣saː ⸢naː⸣nu] (気分は悪くない)。 ア⸢ムサ⸣ヌ ウ⸢キララ⸣ヌ [ʔa⸢musa⸣nu ʔu⸢kirara⸣nu] (頭が重く、頭痛がして起きられない)。 ア⸢ム⸣サンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ア⸢ムサナーン⸣ツォー [ʔa⸢mu⸣saŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʔa⸢musanaːn⸣ʦoː] (頭痛がして気分が悪いかと思ったが、気分悪くないそうだ)。 ア⸢ム⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢mu⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (気分の悪いことはない)。 ア⸢ム⸣サカー ニ⸢ビ⸣バ [ʔa⸢mu⸣sakaː ni⸢bi⸣ba] (気分が悪かったら寝なさい)。 1206 0 2 1125 htmvoc_1206.wav アムサン ア⸢ム⸣サン [ʔa⸢mu⸣saŋ] 形 {Mn_2}頭が痛い。心痛である。 ヤ⸢ミプス⸣ヌ ⸢ソートゥ ジン⸣ヌ ⸢ソーバ シー⸣ ア⸢ムサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢mipu̥su⸣nu ⸢soːtu ʤin⸣nu ⸢soːba ʃiː⸣ ʔa⸢musa⸣nu na⸢ra⸣nu] (病人の心配とお金の心配で頭が痛くて堪らない) 1207 0 0 1126 htmvoc_1207.wav アムヌ ア⸢ム⸣ヌ [ʔa⸢mu⸣nu] 名 茅葺家の甍を覆い被せる竹簾。「編み物」の義。歌謡語。茅の甍が飛散しないようにア⸢ム⸣ヌ(竹簾)を被せ、黒い棕櫚縄をマーリザ(竹矛)に掛けて引き締め、固定させた。 ダ⸢ディ⸣クダキバ ア⸢ムヌ⸣バ ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー [da⸢di⸣kudakiba ʔa⸢munu⸣ba ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (ダディク山産のダディク竹を簾にして甍を被せ、家を作ってあるという)(「鳩間島古謡の一つ・新室寿歌『アーパーレー』について」{EOS}『沖縄文化 26・27』) 1215 0 0 1127 htmvoc_1215.wav アムリバナ ア⸢ムリ⸣バナ [ʔa⸢muri⸣bana] 名 醸造した泡盛酒が泡を盛り上げる時。フ⸢カイ⸣バナ[ɸu̥⸢kai⸣bana](発酵する時)の対語として用いられる。古典民謡「鳩間中岡」に歌いこまれている 107 0 0 1128 htmvoc_107.wav アムン ア⸢ムン [ʔa⸢muŋ] 他動 ア⸢ミルン[ʔa⸢miruŋ](浴びる)と同義。 ⸢ピーリ⸣ミジ ア⸢ミティ⸣ ドゥー ⸢ピー⸣ラシ [⸢piːri⸣midʒi ʔa⸢miti⸣ duː ⸢piːra⸣ʃi] (冷水を浴びて体を冷やしなさい)。 ⸢ワー⸣ ア⸢ム⸣カー ⸢バン⸣ヌン ア⸢ムン [⸢waː⸣ ʔa⸢mu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢muŋ] (君が浴びたら私も浴びる)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢ム プスヌ⸣ ブ⸢ラーンバ ワー⸣ラ ⸢パイ⸣サ ア⸢ミ⸣バ [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢mu pu̥sunu⸣ bu⸢raːmba waː⸣ra ⸢pai⸣sa ʔa⸢mi⸣ba] (水を浴びる人がいないから、君から早く浴びなさい)。 ⸢ワンヌン⸣ ア⸢メー⸣ ミサムヌ [⸢wannuŋ⸣ ʔa⸢meː⸣ misamunu] (君も浴びたら<浴びれば>いいのに)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢ムンティ スンドゥ⸣ ア⸢マラヌ [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢munti sundu⸣ ʔa⸢maranu] (水を浴びようとするが、浴びられない)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢ミ⸣ プサカー ⸣クナーティ ア⸢ム⸣ クトー ⸣ナルン [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢mi⸣ pu̥sakaː ⸣kunaːti ʔa⸢mu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (水を浴びたければ、ここで浴びることは出来る)。 ア⸢メー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢meː⸣ misamunu] (浴びればいいのに)。 ア⸢ミ⸣バ [ʔa⸢mi⸣ba] (浴びよ) 1216 0 0 1129 htmvoc_1216.wav アムン ⸣アムン [⸣ʔamuŋ] 他動 編む。標準語からの借用語の転訛したもの。老年層は、⸣フムン[⸣ɸumuŋ](編む)という。 ア⸢ミ⸣ムヌ [ʔa⸢mi⸣munu] (編み物)。 ⸢キー⸣トゥシ ティ⸢ブク⸣ル ⸣アムン [⸢kiː⸣tuʃi ti⸢buku⸣ru ⸣ʔamuŋ] (毛糸で手袋を編む)。 ⸣バー ア⸢マ⸣ヌ [⸣baː ʔa⸢ma⸣nu] (私は編まない)。 ア⸢ミ⸣ プサカー ク⸢リ⸣シン ⸣アム ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢mi⸣ pu̥sakaː ku⸢ri⸣ʃiŋ ⸣ʔamu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (編みたければ、これででも編むことは出来る)。 ⸣ドゥーシ ⸣アメー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸣ʔameː ⸣misamunu] (自分で編めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣アミバ [⸢paː⸣ku ⸣ʔamiba] (早く編めよ) 105 0 0 1130 htmvoc_105.wav アメーマ ア⸢メー⸣マ [ʔa⸢meː⸣ma] 名 小雨。⸢アーメーマー[⸢ʔaːmeːmaː](小雨)は幼児語。 ア⸢メー⸣マ ヤ⸢ルンダ⸣ ユ⸢ドゥマ⸣ナー ア⸢ガリス [ʔa⸢meː⸣ma ja⸢runda ju⸢duma⸣naː ʔa⸢garisu] (小雨だからすぐ止むよ)。 ⸢アーメーマーヤ フイ⸣タボンナー [⸢ʔaːmeːmaːja ɸui⸣tabon⸢naː] (小雨は降ってくださるな)(童謡)。 ア⸢メーマ⸣ヌ ⸣フーン [ʔa⸢meːma⸣nu ⸣ɸuːŋ] (小雨が降る) 1219 0 0 1131 htmvoc_1219.wav アモーリ ア⸢モー⸣リ [ʔa⸢moː⸣ri] 名 にわか雨。夕立。「あまぐれ」(『おもろさうし』)の [amagure] → [amaure](g音脱落)→ [amoːri]({SqBr}au{/SqBr} → {SqBr}oː{/SqBr}、{SqBr}e{/SqBr} → {SqBr}i{/SqBr} の母音融合変化)による音韻変化に基づくものと解釈される。 ナ⸢チ アモーリヌ アッ⸣タニ ⸢キー⸣ル ⸢ゾッふァシナーン⸣バン [na⸢ʧiʔamoːrinu ʔat⸣tani ⸢kiː⸣ru ⸢ʣoffaʃinaːm⸣baŋ] (夏のにわか雨が突然やってきて<ぞ>濡らしてしまったわい) 1220 0 0 1132 htmvoc_1220.wav アモーリソールン ア⸢モー⸣リ ⸢ソー⸣ルン [ʔa⸢moː⸣ri ⸢soː⸣ruŋ] 連 神々が降臨される。天下りされる。 ⸢ウイヌウガン⸣ヌ ⸢カンヌマイ⸣ヤー ⸢パイディン⸣ヌ ス⸢バ⸣ヌ ク⸢バムトー⸣ラル ア⸢モー⸣リ ⸢ソー⸣ルツォー [⸢ʔuinuʔugan⸣nu ⸢kannumai⸣jaː ⸢paidin⸣nu su⸢ba⸣nu ku⸢bamutoː⸣raru ʔa⸢moː⸣ri ⸢soː⸣ruʦoː] (友利御嶽の神様は拝殿の側のクバ<蒲葵>の幹を伝って降臨されるそうだ) 1221 0 0 1133 htmvoc_1221.wav アモールン ア⸢モー⸣ルン [ʔa⸢moː⸣ruŋ] 他動 湯を浴びなさる。湯浴みなさる。 ア⸢ムン [ʔa⸢muŋ] (浴びる)の敬譲形(敬語)。[ʔa⸢mi](浴び<連用形>)・[ʔoː⸣ruŋ](おわす<御座す>)→ ア⸢モー⸣ルン[ʔa⸢moː⸣ruŋ]と音韻変化したもの。 ア⸢モーラ⸣ヌ [ʔa⸢moːra⸣nu] (湯浴みなさらない)。 ⸢ユー⸣フル ア⸢モーリ⸣ プサカー ア⸢モー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢juː⸣ɸuru ʔa⸢moːri⸣ pu̥sakaː ʔa⸢moː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (風呂をお浴びになりたければ、お浴びになることは出来る)。 ア⸢モー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢moː⸣reː ⸣misamunu] (お浴びになればいいですのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢モー⸣リ [⸢paː⸣ku ʔa⸢moː⸣ri] (早くお浴びなさいませ) 1223 0 0 1134 htmvoc_1223.wav アヤ ⸣アヤ [⸣ʔaja] 名 綾。模様。紋様。「AYA.ア(非常に柔らかで手ざわりのよい、日本の布の一種.また絹織物などについている木の葉や花などの模様.~)」『邦訳日葡辞書』の義。「肉咼、掌内文理也、手乃阿也(てのあや)」『新撰字鏡』の「阿也」が転訛したもの。 ウ⸢ブ⸣アヤキン [ʔu⸢bu⸣ajakiŋ] (大柄模様の派手な着物) バ⸢カ⸣アヤキン [ba⸢ka⸣ʔajakiŋ] (小柄模様の地味な着物))。 ク⸢ヌ キン⸣ヌ ア⸢ヤ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤワ⸢ナー [ku⸢nu kin⸣nu ʔa⸢ja⸣nu ⸢kai⸣jawa⸢naː] (この着物の模様が美しいねえ) 1224 0 0 1135 htmvoc_1224.wav アヤーマキン ア⸢ヤー⸣マキン [ʔa⸢jaː⸣makiŋ] 名 小柄模様の着物、老人用の着物。 ア⸢ヤー⸣マキンマー ⸢ワー⸣ナ ウ⸢チラ⸣ヌ [ʔa⸢jaːma⸣kimmaː ⸢waː⸣na ʔu⸢ʧira⸣nu] (小柄模様の着物は貴方には似合わない<移らない>) 1227 0 0 1136 htmvoc_1227.wav アヤーン ア⸢ヤー⸣ン [ʔa⸢jaː⸣ŋ] 形 ふくれやすい。気分を害しやすい。不機嫌になりやすい。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ ア⸢ヤーン⸣ダ ⸢キー⸣ シキティ ⸣ムネー イ⸢ジ⸣ヨー ウ⸢カットゥ⸣シェー ⸣ムネー イ⸢ザラン⸣ダー [ʔu⸢nu ffaː⸣ ʔa⸢jaː⸣nda ⸢kiː⸣ ʃikiti muneː ʔi⸢ʤi⸣joː ʔu⸢kattu⸣ʃeː ⸣muneː ʔi⸢ʣaran⸣da] (この子はふくれやすい気性だから気をつけて話をしなさい<ものはいいなさい>よ{EOS}うかつにものはいえないよ)。 ⸣キサー ア⸢ヤーナーン⸣センドゥ ⸢シンダイ⸣ ア⸢ヤー⸣ ナリケーン [⸣kisaː ʔa⸢jaːnaːŋ⸣ʃendu ⸢ʃindai⸣ ʔa⸢jaː⸣ narikeːŋ] (以前はふくれやすくなかったが、次第にふくれやすくなってきた) 1225 0 0 1137 htmvoc_1225.wav アヤカーリムヌ ア⸢ヤカーリ⸣ムヌ [ʔa⸢jakaːri⸣munu] 名 肖りもの。長寿や健康に肖る印として頂いた物。 ウ⸢レー⸣ アッパー ⸢チョーミガフヌ⸣ ア⸢ヤカリ⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ シ⸢ティララヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔappaː ⸢ʧoːmigaɸunu⸣ ʔa⸢jakari⸣munu ja⸢riba⸣ ʃi̥⸢tiraranu] (それはお祖母さんの長寿の肖りに頂いた物<肖り物>だから、捨てられない) 1226 0 0 1138 htmvoc_1226.wav アヤカールン ア⸢ヤカー⸣ルン [ʔa⸢jakaː⸣ruŋ] 他動 肖る。ものに感じて、それに似て幸せになるように願う。⸢アイカー⸣ルン[⸢ʔaikaː⸣ruŋ](肖る)ともいう。 ⸢チョーミガフ⸣ ア⸢ヤカー⸣ルンティ ⸢クー⸣タ [⸢ʧoːmigaɸu⸣ ʔa⸢jakaː⸣runti ⸢kuː⸣ta] (長寿を肖りに来た)。 ア⸢ヤカー⸣リ ⸣ミサカー ア⸢ヤカー⸣ル プ⸢ソー⸣ ミ⸢チ⸣ ブー [ʔa⸢jakaː⸣ri ⸣misakaː ʔa⸢jakaː⸣ru pu̥⸢soː⸣ mi⸢ʧi⸣ buː] (肖ってよければ肖る人は多い<満ちている>)。 ア⸢ヤカー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢jakaː⸣reː ⸣misamunu] (肖れば良いのに)。 ⸢ワンヌン⸣ ア⸢ヤカー⸣リバ [⸢wannuŋ⸣ ʔa⸢jakaː⸣riba] (君も肖れよ)。 ⸣アッパー ⸢チョーミー⸣ ア⸢ヤカーラ⸣シ タ⸢ボー⸣レーティ ウ⸢ヤ⸣キパンジョーン ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [⸣ʔappaː ⸢ʧoːmiː⸣ ʔa⸢jakaːra⸣ʃi ta⸢boː⸣reːti ʔu⸢ja⸣ki panʤoː ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (お祖母さんの長命に肖らせていただいて<賜って>富貴繁盛あらしめてください) 1228 0 0 1139 htmvoc_1228.wav アヤキン ⸣アヤキン [⸣ʔajakiŋ] 名 縞模様のある着物。 ウ⸢ヌ⸣ アヤキンヌ ⸢カイ⸣ヤワ⸢ナー [ʔu⸢nu⸣ ʔajakinnu ⸢kai⸣jawa⸢naː] (この縞模様の着物が美しいねえ) 1229 0 0 1140 htmvoc_1229.wav アヤサピダラサーン ア⸢ヤ⸣サピダラサーン [ʔa⸢ja⸣sapidarasaːŋ] 形 ふくれやすい。機嫌ををそこねやすい。不機嫌になりやすい。「アヤサ」と「ピダラサ」の重言(畳語)が形容詞化したもの。「ピダラ」は「左・ア」の融合した形で、<頭の働きが少しおかしな人>の義。正常な人の性格と異なる「ふくれやすい性格」の意。 ⸢ウン⸣ネヌ ウ⸢ブ⸣アッパー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ヤ⸣サピダラサー ア⸢ローッ⸣タン [⸢ʔun⸣nenu ʔu⸢bu⸣ʔappaː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ja⸣sapidarasaː ʔa⸢roːt⸣taŋ] (その家のひいばあさん<曾祖母>は大変ふくれやすい方であられた) 1231 0 1 1141 htmvoc_1231.wav アヤッサーン ア⸢ヤッ⸣サーン [ʔa⸢jas⸣saːŋ] 形 {Mn_1}怪しい。危うい。危ない。危なっかしい。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー キーヌ パン⸣タナー ⸢ヌーリ ベー⸣ティ ウ⸢ティラン⸣ユー ア⸢ヤッサ⸣ヌ ⸣ミリ ⸢ベーララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː kiːnu pan⸣tanaː ⸢nuːri beː⸣ti ʔu⸢tiraɲ⸣juː ʔa⸢jassa⸣nu ⸣miri ⸢beːrara⸣nu] (この子は、木の先端に登っているので、落ちないのか、危なっかしくて見ておれない)。 1231 0 2 1142 htmvoc_1231.wav アヤッサーン ア⸢ヤッ⸣サーン [ʔa⸢jas⸣saːŋ] 形 {Mn_2}疑わしい。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ヤーッ⸣サンダー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ダー [ku⸢nu⸣ pu⸢soː⸣ ʔa⸢jaːs⸣sandaː ⸢kiː⸣ ʃi⸢ki⸣ri⸢daː] (この人は怪しいから気をつけなさいよ) 1232 0 0 1143 htmvoc_1232.wav アヤトゥリ ア⸢ヤ⸣トゥリ [ʔa⸢ja⸣turi] 名 あやとり(綾取り)。輪にした糸を左右の手首や指にかけて取り合う女児の遊戯。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣ユー ア⸢ヤ⸣トゥリ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣juː ʔa⸢ja⸣turi ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (女の子はよく綾取りをして遊んだ) 1233 0 0 1144 htmvoc_1233.wav アヤナキ ア⸢ヤ⸣ナキ [ʔa⸢ja⸣naki] 名 犬や猫などが不吉な鳴き方をすること。ヤ⸢ナナキ[ja⸢nanaki](悪いなき方、不正常な鳴き方)ともいう。犬や猫がア⸢ヤ⸣ナキ[ʔa⸢ja⸣naki]すると、その動物の向いて鳴く方角に不吉なことが起きるといわれて、忌み嫌われている。 ⸢イン⸣ヌ ア⸢ヤ⸣ナキ ⸢シーベー⸣ヌ ⸢ヌー⸣シタカヤー [⸢ʔin⸣nu ʔa⸢ja⸣naki ⸢ʃiːbeː⸣nu ⸢nuː⸣ʃitakajaː] (犬が不吉な鳴き方をしているが、どうしたことだろうか) 1234 0 0 1145 htmvoc_1234.wav アヤパニ ア⸢ヤ⸣パニ [ʔa⸢ja⸣pani] 名 美しい羽。綾なす羽。「綾羽」の義。「アヤ」は、『おもろさうし』では「霊妙である、ふしぎでる、の意を原義にし、美しい、りっぱな、の意の美称となる・・・」(『沖縄古語大辞典』)とあり、「あやざはね(綾差羽)」の項では「美しい差し羽」とある。八重山民謡の最高峰といわれる「バシゥヌトゥリゥ ブシゥ(鷲の鳥節)」では、「アヤバニバ マラシヨウリ ビゥルパニバ シゥダシヨウリ/ (綾羽バ生ラシヨウリ ビゥルパニバ産ダシヨウリ)」(『宮良当壮全集12』)とある。鳩間島で歌われている「鷲の鳥節」では、ア⸢ヤ⸣パニ[ʔa⸢ja⸣pani](綾羽、立派な羽)と歌われている 1235 0 0 1146 htmvoc_1235.wav アヤマールン ア⸢ヤマー⸣ルン [ʔa⸢jamaː⸣ruŋ] 自動 すねる。機嫌悪くなる。 ウ⸢ビッ⸣チン イ⸢ザリタンドゥ⸣ キ⸢サーティ⸣ ア⸢ヤマー⸣リ⸢べー [ku⸢bit⸣ʧiŋ ʔi⸢ʣaritandu⸣ ki⸢saːti⸣ ʔa⸢jamaː⸣ri ⸢beː] (これぽっち叱られただけなのに、すでに機嫌を悪くしている) 1236 0 0 1147 htmvoc_1236.wav アヤマサ ア⸢ヤマ⸣サ [ʔa⸢jama⸣sa] 名 (動)魚の名。和名、ユトヒキ。頭部から尾びれにかけて黒い横ストライプが4本走る。⸢アヤ(模様)のある魚」の義。えら(鰓)のところに棘があり、刺されると痛い。礒釣りでも釣れる。 ア⸢ヤマ⸣サー ⸣マンタヌ パ⸢マ⸣ナーティン ⸢ホーサリ⸣タン [ʔa⸢jama⸣saː ⸣mantanu pa⸢ma⸣naːtiŋ ⸢hoːsari⸣taŋ] (コトヒキは島の前の浜でも釣れた) 1238 0 0 1148 htmvoc_1238.wav アヤミルン ア⸢ヤミ⸣ルン [ʔa⸢jami⸣ruŋ] 他動 傷つける。損なう。殺す。 ⸣アイティ プ⸢スン⸣ヤヌ ッ⸢ふァ⸣ ア⸢ヤミル⸣ナ [⸣ʔaiti pu⸢suɲ⸣janu f⸢fa⸣ ʔa⸢jamiru⸣na] (喧嘩してよその家の子供を怪我させるな<危めるな>) 1240 0 0 1149 htmvoc_1240.wav アヤムニ ア⸢ヤ⸣ムニ [ʔa⸢ja⸣muni] 名 不機嫌なものいい。感情を害して不機嫌な表情で発することば。ふてくされた物言い。 ⸣アイニ ナー⸢イ⸣ ア⸢ヤ⸣ムニ ⸢タン⸣ガー ア⸢ザンブリ⸣バ [⸣ʔaini naː⸢i⸣ ʔa⸢ja⸣muni ⸢taŋ⸣gaː ʔa⸢ʣamburi⸣ba] (そんなに感情をがいした不機嫌なことば<ものいい>だけするなよ<しないでおれよ>) 1239 0 0 1150 htmvoc_1239.wav アヤムン ア⸢ヤ⸣ムン [ʔa⸢ja⸣muŋ] 他動 傷つける。「あやめる(下二段)」の四段活用化したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ラバン⸣ アイティ プ⸢ス⸣ ア⸢ヤ⸣メー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bi ja⸢rabaŋ⸣ ʔaiti pu⸢su⸣ ʔa⸢ja⸣meː na⸢ra⸣nu] (子供でも喧嘩して他人を傷つけてはならない) 1241 0 0 1151 htmvoc_1241.wav アヤメー ⸣アヤメー [⸣ʔajameː] 名 (人)女性の名前。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣アヤメーティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タンミー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣ʔajameːti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣tammiː] (鳩間島にアヤメーという人がおられたねえ) 1243 0 0 1152 htmvoc_1243.wav アヤンマー ア⸢ヤン⸣マー [ʔa⸢jam⸣maː] 名 ふくれやすい人。ひねくれやすい人。子供や女性に多いといわれている。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ヤン⸣マー ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グ⸣ ア⸢ヤンマーリ⸣ス ⸣ムネー イ⸢ザラヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢jam⸣maː ja⸢runda⸣ ʃi⸢gu⸣ ʔa⸢jammaːri⸣su ⸣muneː ʔi⸢ʣaranu] (その人はふくれやすい人だからすぐに不機嫌になる{EOS}<すこしも>叱ることが出来ない<ものがいわれない>) 1242 0 0 1153 htmvoc_1242.wav アヤンマールン ア⸢ヤンマー⸣ルン [ʔa⸢jammaː⸣ruŋ] 自動 すねる。不機嫌になる。捻くれる。 ン⸢メーマヤラバン⸣ イ⸢ズ⸣カー シ⸢グ⸣ ア⸢ヤンマーリ⸣ス [ʔm⸢meːmajarabaŋ⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ʔa⸢jammaːri⸣su] (少しでも叱ると、すぐひねくれて不機嫌になる) 1244 0 0 1154 htmvoc_1244.wav アヨー ⸣アヨー [⸣ʔajoː] 名 八重山の古い神歌。呪詞カンフチゥ、ニガイフチゥの予祝機能を受け継ぐ叙事的歌謡。鳩間島ではタ⸢ナ⸣ドゥル ⸣アヨー[ta⸢na⸣duru ⸣ʔajoː](種取りのアヨー)が終戦直後まで伝承されていたが現在では伝承者はいない 1245 0 0 1155 htmvoc_1245.wav アラ ア⸢ラ- [ʔa⸢ra-] 接頭 粗雑である。きつい。「粗い」の意。 ア⸢ラシグトウ [ʔa⸢raʃigutu] (力仕事{EOS}きつい仕事)。 ア⸢ラトゥ [ʔa⸢ratu] (粗い砥石)。 ⸣アイブ ア⸢ラシグトー⸣ ミ⸢ドゥムン⸣マー シ⸢ミララヌ [⸣ʔaibu ʔa⸢raʃigutoː⸣ mi⸢dumum⸣maː ʃi⸢miraranu] (あんな力仕事は女にはさせられない)。 シ⸢ダケー⸣ ア⸢ラトゥ⸣ナ ⸣トゥイティ ク⸢マトゥ⸣ナ ⸢トゥーバ⸣ル カ⸢タ⸣ナー キ⸢シ⸣ル⸢ダー [ʃi⸢dakeː⸣ ʔa⸢ratu⸣na ⸣tuiti ku⸢matu⸣na ⸢tuːba⸣ru kḁ⸢ta⸣naː ki̥⸢ʃi⸣ru⸢daː] (最初は粗い砥石で研いで、次に細かい砥石で研いだほうが包丁は切れるんだよ) 1246 0 0 1156 htmvoc_1246.wav アラ ア⸢ラ- [ʔa⸢ra-] 接頭 新-。名詞を修飾して「新しい~」の意を表す。 ア⸢ラヤー [ʔa⸢rajaː] (新築の家{EOS}新家屋{EOS}新しい家)。 ア⸢ラキン [ʔa⸢rakiŋ] (新しい着物)。 ⸣ソンガチナー ア⸢ラキン カイ ッふォー⸣ルンツォー [⸣soŋgaʧinaː ʔa⸢rakiŋ kai ffoː⸣runʦoː] (正月に新しい着物を買ってくださるそうだ) 1251 0 0 1157 htmvoc_1251.wav アラーシミルン ア⸢ラーシミルン [ʔa⸢raːʃimiruŋ] 他動 洗わさせる(使役)。洗濯させる(使役)。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャー ⸣ヤミティ ニ⸢ビオールン⸣ドゥ ウ⸢ナー⸣ ッス ⸣シバルヌ ⸣アトゥ ア⸢ラーシミルンティ シーバン⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァンケンバ ⸣パンシ キ⸢リ⸣ソーッタヌ ⸣バー ア⸢ライオース⸣カー ナー⸢イ⸣ ア⸢ラーシモーッ⸣タン [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaː ⸣jamiti ni⸢bioːrun⸣du ʔu⸢naː ⸣ssuʃibarunu ⸣ʔatu ʔa⸢raːʃimirunti ʃiːbam⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaŋkemba ⸣paŋʃi ki⸢ri⸣soːttanu ⸣baː ʔa⸢raioːsu⸣kaː naː⸢i⸣ ʔa⸢raːʃimoːt⸣taŋ] (私の家のお父さんは病んで臥しておられるが、自分の<己の>便や尿の跡を洗わせようとしても、娘達(女の子達)がしようとするのを足で蹴られたが、私が洗ってあげると、何もしないで洗わさせられた) 1253 0 0 1158 htmvoc_1253.wav アラースン ア⸢ラースン [ʔa⸢raːsuŋ] 他動 洗わせる。洗濯させる。消毒させる。ア⸢ラウン[ʔa⸢rauŋ](洗う)の未然形、ア⸢ラー[ʔa⸢raː]に、使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いて形成された動詞。 ⸢キン⸣マー ⸢ワン⸣ ア⸢ラースンティ⸣ ヌ⸢カ⸣シ ⸣シケー [⸢kim⸣maː ⸢waŋ⸣ ʔa⸢raːsunti⸣ nu⸢ka⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (着物は君に洗わせようと残して<おいて>ある) 1254 0 0 1159 htmvoc_1254.wav アラースン ア⸢ラー⸣スン [ʔa⸢raː⸣suŋ] 他動 表す。現す。霊験を示す。 ア⸢ラー⸣リン [ʔa⸢raː⸣riŋ] (現れる)。 ⸣ウムー ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アルカー ⸣ムニナ イ⸢ジ⸣ ア⸢ラー⸣シバ [⸣ʔumuː ku⸢tu⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣muninaː ʔi⸢ʤi⸣ ʔa⸢raː⸣ʃiba] (思うことがあるならば言葉で言って表しなさいよ)。 ⸢カンプトゥ⸣ケー ⸢フン⸣トー シ⸢ガ⸣タ ア⸢ラー⸣ソールンティ⸢ダー [⸢kamputu⸣keː ⸢ɸun⸣toː ʃi⸢ga⸣ta ʔa⸢raː⸣soːrunti⸢daː] (神仏は本当に姿を顕現<現される>されるそうだ) 1255 0 0 1160 htmvoc_1255.wav アラーリン ア⸢ラー⸣リン [ʔa⸢raː⸣riŋ] 自動 現れる。 ⸣ウブシキンガ⸢ナ⸣シェー ッ⸢ふクム⸣ヌ ⸣ミーラ ア⸢ラー⸣リ ⸢オー⸣レーン [ʔubuʃikiŋga⸢na⸣ʃeː f⸢fukumu⸣nu ⸣miːra ʔa⸢raː⸣ri ⸢ʔoː⸣reːŋ] (お月様は黒雲の中から現れてこられた) 1256 0 0 1161 htmvoc_1256.wav アラーリン ア⸢ラーリン [ʔa⸢raːriŋ] 自動 洗われる。洗うことができる。{ア⸢ラウン[ʔa⸢rauŋ](洗う)の未然形ア⸢ラー[ʔa⸢raː]に可能の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](~れる)が付いて形成された派生動詞(可能動詞)}。 ク⸢レー バン⸣ヌン ア⸢ラーリン [ku⸢reː ban⸣nuŋ ʔa⸢raːriŋ] (これは私にも洗われる)。 ⸢バン⸣マー ア⸢ラーラヌ [⸢bam⸣maː ʔa⸢raːranu] (私には洗えない) 1280 0 1 1162 htmvoc_1280.wav アラーン ア⸢ラー⸣ン [ʔa⸢raː⸣ŋ] 形 {Mn_1}荒い。風雨が激しく海が荒い。 カ⸢ジヌ スーリ⸣ティ ⸢ナン⸣ヌ ア⸢ラー⸣ンダ フネー ⸢ンザサラ⸣ヌ [ka⸢ʤinu suː⸣riti ⸢nan⸣nu ʔa⸢raː⸣nda ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (風が強くなって波が荒いから舟は出されない)。 ア⸢ラー⸣クトー ア⸢ラー⸣ンドゥ ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ラー ナー⸣ヌ [ʔa⸢raː⸣ ku̥toː ʔa⸢raː⸣ndu ⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢raː naː⸣nu] (荒いことは荒いが、あまり荒くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢ラー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢raː⸣ naruŋ] (次第に荒くなる)。 1280 0 2 1163 htmvoc_1280.wav アラーン ア⸢ラー⸣ン [ʔa⸢raː⸣ŋ] 形 {Mn_2}言動が乱暴である。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢ラー⸣リバ マーン⸢ベーマ⸣ ヤー⸢ラヤーラ⸣シ ムネー イ⸢ジ [⸢waː⸣ muneː ʔa⸢raː⸣riba maːm⸢beːma⸣ jaː⸢rajaːra⸣ʃi ⸣muneː ʔi⸢ʤi] (君の言葉<物言い>は荒いから、もう少し柔らかく話しなさい)。 1280 0 3 1164 htmvoc_1280.wav アラーン ア⸢ラー⸣ン [ʔa⸢raː⸣ŋ] 形 {Mn_3}粗い(太い)。 ク⸢ヌ ブー⸣ヤ ア⸢ラー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ マー⸣ビン バカー⸢バカー⸣シ ⸢ウーミ [ku⸢nu buː⸣ja ʔa⸢raː⸣nu sï⸢kaːranu maː⸣bim bakaː⸢bakaː⸣ʃi ⸢ʔuː⸣mi] (この麻糸は粗くて使えない{EOS}もっと細かく績みなさい) 1257 0 0 1165 htmvoc_1257.wav アライガマジ ア⸢ライガマジ [ʔa⸢raigamaʤi] 名 洗い髪。女が髪を洗って解き下げたままの髪。 サ⸢カサンケー⸣ヤ ⸣ウガン ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー ア⸢ライガマジ⸣ シ⸢ティ ユイオーラン⸣シェン [sḁ⸢kasaŋkeː⸣ja ⸣ʔugaŋ ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ʔa⸢raigamaʤi⸣ ʃi̥⸢ti juiʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (司の方々は御嶽<お願>へ行かれる時は洗い髪にして、髪を結われなかった) 1247 0 0 1166 htmvoc_1247.wav アライクサイ ア⸢ライクサイ [ʔa⸢raikusai] 名 洗骨。洗骨の法事。いったん土葬して葬った遺骸を三年以後に掘り出して洗骨し、火葬して骨壺に収め、本墓に納骨すること。⸢シン⸣クチ[⸢ʃiŋ⸣kuʧi](洗骨)ともいうが、沖縄方言からの借用語であろう。「あらいこしらえ(洗い拵え)」の義。ク⸢サイ[ku̥⸢sai]は、「Coxiraye,uru,eta.コシラエ、ユル、エタ(拵・刷・調へる、ゆる、へた)整える、または、用意する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。鳩間島では、昭和60年ごろまでは火葬をしなかったので、人が死ぬと⸢フインチバカ[⸢ɸuinʧibaka](岩を掘り抜いた墓)での風葬や埋葬にするのが一般的であった。そして埋葬後三年以上経つと骨を洗い清めて甕に納める洗骨の法事を執り行った。 ⸣アッパター ⸣アブジター ⸢バー⸣ケー シ⸢マ⸣ナーティ ア⸢ライクサイヤー ソー⸣レーン [⸣ʔappataː ⸣ʔabuʤitaː ⸢baː⸣keː ʃi⸢ma⸣naːti ʔa⸢raikusaijaː soː⸣reːŋ] (お祖母さんやお祖父さんたちまでは、島で洗骨を済まされてある)。 ⸣アッパー ア⸢ライクサイヤー⸣ イ⸢チ ソーッ⸣タカヤー [⸣ʔappaː ʔa⸢raikusaijaː⸣ ʔi⸢ʧi soːt⸣takajaː] (お祖母さんの洗骨の法事は何時されたのかねえ) 1261 0 0 1167 htmvoc_1261.wav アライグリサン ア⸢ライグリ⸣サン [ʔa⸢raiguri⸣saŋ] 連 洗いづらい。洗いにくい。動詞ア⸢ラウン[ʔa⸢rauŋ](洗う)の連用形ア⸢ライ[ʔa⸢rai]に、形容詞型助動詞グ⸢リ⸣サン[gu⸢ri⸣saŋ](~づらい{EOS}~にくい)が付いて形成されたもの。 ク⸢ヌ キン⸣マー ア⸢バゴー⸣ダー シ⸢ティ⸣ ア⸢ライグリ⸣サン [ku⸢nu kim⸣maː ʔa⸢bagoː⸣daː ʃi̥⸢ti⸣ ʔa⸢raiguri⸣saŋ] (この着物は油だらけで洗いにくい) 1258 0 0 1168 htmvoc_1258.wav アライノン ア⸢ライノン [ʔa⸢raʔinoŋ] 名 新しい砂。新鮮な砂。人の足跡のない海岸の砂浜から運び上げた砂。正月の時には庭や門前に砂を敷きつめて祝った。これは子供らの仕事であった。 ⸣ソンガチナーヤ ア⸢ライノンバ⸣ カ⸢タ⸣ミ ア⸢ギティ⸣ ミ⸢ナ⸣カナー シ⸢キティ ポーキ⸣ヌ ⸣ミー イ⸢ルタ⸠ダー [⸣soŋgaʧinaːja ʔa⸢raʔinomba⸣ kḁ⸢ta⸣mi ʔa⸢giti ⸣ mi⸢na⸣kana ʃi̥⸢kiti poːki⸣nu ⸣miː ʔi⸢ruta⸠daː] (正月には新しい砂を担ぎ揚げて、庭に敷き詰めて箒の目<箒で掃いて筋目>を入れたよ) 1259 0 0 1169 htmvoc_1259.wav アライパナ ア⸢ライパナ [ʔa⸢raipana] 名 神祈願の際の供物のひとつ。せんまい<洗米>。かしよね。あらいよね。「洗い花米」の義。神に供えるために洗い清めた米で、イ⸢ツァン⸣パイキー[ʔi⸢ʦam⸣paikiː](榊)の葉を三枚茶碗の内縁に立て、せんまいを盛って供える。 カ⸢ミニン⸣ガイナー ア⸢ライパナ イッ⸣チー シ⸢キオーサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢miniŋ⸣gainaː ʔa⸢raipana ʔit⸣ʧiː ʃi̥⸢kioːsaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (神事<神願い>には、「洗い米」を一対お供えしないといけない)。 ⸣ドゥーパダニンガイナーン ⸢ウンキニン⸣ガイナーン ア⸢ライパナー⸣ ス⸢コー⸣ルン [⸣duːpadaniŋgainaːŋ ⸢ʔuŋkiniŋ⸣gainaːŋ ʔa⸢raipanaː⸣ su̥⸢koː⸣ruŋ] (健康<胴肌>祈願にも、運気の祈願にもアライパナ<洗米>は供えられる) 120 0 0 1170 htmvoc_120.wav アライムヌ ア⸢ライムヌ [ʔa⸢raimunu] 名 洗濯物。「洗い物」の義。 ア⸢ライムノー⸣ ティ⸢ダ⸣ヌ アルケンナー プシバ [ʔa⸢raimunoː⸣ ti⸢da⸣nu ʔarukennaː ⸣puʃiba] (洗濯物は太陽のあるうちに干せ)。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ア⸢ライムヌン ゴー⸣ラーン [⸢jaːniʣuː⸣nu ⸢goː⸣raːnda ʔa⸢raimunuŋ goː⸣raːŋ] (家族が多いから洗濯物も多い) 152 0 0 1171 htmvoc_152.wav アラウン ア⸢ラウン [ʔa⸢rauŋ] 他動 洗う。 ⸣キン ア⸢ラウン [⸣kiŋ ʔa⸢rauŋ] (着物を洗う{EOS}洗濯する)。 ⸢キュー⸣ヤ ア⸢ラーヌ [⸢kjuː⸣ja ʔa⸢raːnu] (今日は洗わない)。 ⸢ウン⸣マー ス⸢ナ⸣カナー ア⸢ライ⸣クー [⸢ʔum⸣maː su⸢na⸣kanaː ʔa⸢rai⸣kuː] (芋は海で洗ってきなさい)。 ア⸢ラウ ムノー⸣ ヌーヤ [ʔa⸢rau munoː⸣ nuːja] (洗うものは何か)。 クナーテー アラウナ [⸣kunaːteː ʔa⸢rauna] (ここでは洗うな)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢raijaː⸣ misamunu] (もっと洗えば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ライ [⸢paː⸣ku ʔa⸢rai] (早く洗え)。 ⸣キン ア⸢ラウンティ スンドゥ⸣ ウ⸢ディ⸣ヌ ⸣ヤミティ ア⸢ラーラヌ [⸣kiŋ ʔa⸢raunti sundu⸣ ʔu⸢di⸣nu ⸣jamiti ʔa⸢raːranu] (着物を洗おうとするが、腕が痛く<病み>て洗われない)。 ⸣バー ア⸢ライ⸣ ミサカー ア⸢ラウ⸣ クトー ⸣ナルン [⸣baː ʔa⸢rai⸣ misakaː ʔa⸢rau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (私が洗ってよければ洗うことは出来る)。 ⸣ドゥーシ ア⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ʔa⸢raijaː⸣ misamunu] (自分で洗えば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ライ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔa⸢rai⸣ba] (早く洗えよ) 1263 0 0 1172 htmvoc_1263.wav アラカー ア⸢ラ⸣カー [ʔa⸢ra⸣kaː] 固 (地)新川。中森の西のパ⸢カヤマ[pa⸢kajama](墓山)に連続した森の東端部にある地名。ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御願)という拝所がある。直径約1メートルのヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](テリハボク)の大木が鬱蒼と生い茂っている。 ア⸢ラ⸣カーヤ ナ⸢カンブレー⸣ヌ ⸢インタカタ⸣ナール アル⸢ダー [ʔa⸢ra⸣kaːja na⸢kambureː⸣nu ⸢ʔintakatanaː⸣ru ʔaru⸢daː] (新川は中岡の西側にあるのだよ) 1264 0 0 1173 htmvoc_1264.wav アラカー ア⸢ラカー [ʔa⸢rakaː] 固 (地)石垣市の四箇字中西端にある新川集落。 ア⸢ラカー⸣ナー ウ⸢トゥザ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [ʔa⸢rakaː⸣naː ʔu⸢tuʣa⸣nu ʔoː⸣ruŋ] (字新川には、親戚がおられる) 1265 0 0 1174 htmvoc_1265.wav アラカーウガン ア⸢ラ⸣カーウガン [ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ] 固 鳩間島の水の神を祀る拝所(御願、お嶽)。ミ⸢ジムトゥ[mi⸢ʤimutu](水源)といわれている。ウ⸢ブ⸣マイ[ʔu⸢bu⸣mai](大前)とパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山<林>)の境にある。ヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](テリハボク)の巨木やフ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)の大木が鬱蒼と生い茂る中に瓦葺の拝殿がある。拝殿の奥には、⸣ウボー[⸣ʔuboː](威部{EOS}香炉のある聖域)がある。ア⸢ザテーは⸢ヨー⸣カヤーから養子入って継いだ家である。⸢ヨー⸣カヤーの屋敷の東庭は大変セジ高い所で、ビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](神霊の高い霊石の庭)がある。昔は、⸢ウイヌ⸣ウガン(友利御嶽)で祈願があった後、サカサ(司{EOS}神女)やティ⸢ジリ⸣ビー(男性神職者)たちが、⸢カンヌ⸣ミチ[⸢kannu⸣miʧi](神の道)を通って⸢ヨー⸣カヤーの東庭のビ⸢チ⸣ルに集まり、⸢カンアサ⸣ビ[⸢kaŋʔasa⸣bi](神遊び)をして、ア⸢マイヨーッ⸣タ[ʔa⸢maijoːt⸣ta](歓え誇られた)と伝えられている。現在の東里家は西村のトゥ⸢ニムトゥ[tu⸢nimutu](根家{EOS}根元)で、豊年祭のカ⸢シ⸣ラ<旗頭。雌>を保管する家である。東里家から分与されたと伝えられるカシラ<旗頭>を東村のカシラ<旗頭。雄>として、東村のトゥ⸢ニムトゥ(根家{EOS}友利家)に保管されている。新川御願の最後のティ⸢ジリ⸣ビー[t⸢iʤiri⸣biː](手摩り部{EOS}男性神職者)は東里清光氏であった。/ウフイラカ カミガナシ アミブシャヌ/カミイラカ タケバル アミブシャヌ/ミジムトゥヌ マブルシュー アミブシャヌ/ウブガーラヌ シキフチ アミブシャヌ/ウムルミジ タラショーリ アミブシャヌ/フダルミジバ タボラリヨー アミブシャヌ/(ア⸢マン⸣グイ<雨乞い歌>)と歌われている。 サ⸢カサ [sa⸢kasa] (司{EOS}神女)は米盛クヤ氏(1960年代) ティ⸢ジリ⸣ビ [ti⸢ʤiri⸣bi] (てずりべ{EOS}男の神人)は東里清光氏が勤めておられた(平成10年頃))。伝承によると、ム⸢カ⸣シナー ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジキティ⸣ ス⸢クリ⸣ムヌン サ⸢リティ⸣ トゥ⸢ララン⸣シェンドゥ ⸢ヨー⸣カヤートゥ ア⸢ザテーヌ ターパタ⸣キナー カー⸢ニ⸣ ア⸢ミ⸣ヌ フイ⸢キー⸣ル パ⸢トゥ⸣マー ガ⸢シ⸣ ナ⸢ラン⸣シェンツォー ⸣アイ ヤ⸢レー⸣キ ⸢ウン⸣ネヌ ウ⸢ガンバ⸣ ブ⸢ラクヌ⸣ プ⸢スン⸣ ウ⸢ガ⸣モーリ ⸢ウン⸣ネナー ⸢アッ⸣タ カ⸢シ⸣ラン ⸣バキティ ⸢アンヌムラヌ⸣ トゥ⸢ムレー⸣ ム⸢タ⸣ソーッタ⸣ツォー[mu⸢ka⸣ʃinaː ⸢peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤikiti⸣ su̥⸢kuri⸣munun tu⸢raraŋ⸣ʃendu ⸢joː⸣kajaːtu ʔa⸢ʣatenu taːpata⸣kina kaː⸢ni⸣ ʔa⸢mi⸣nu ɸui⸢kiː⸣ru pḁ⸢tu⸣maː ga⸢ʃi⸣ na⸢raŋ⸣ʃenʦoː ⸣ʔai ja⸢reː⸣ki ⸢ʔun⸣nenu ʔu⸢gam⸣ba bu⸢rakunu⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ga⸣moːri ⸢ʔun⸣nena ⸢ʔat⸣ta kḁ⸢ʃi⸣ram ⸣bakiti ⸢ʔannumuranu⸣ tu⸢mureːm⸣ mu⸢ta⸣soːttaʦoː](昔に旱魃が続いて作物も枯れて収穫出来なかったが、西原家と東里家の田畑にだけ雨が降ったので、鳩間島は餓死しなかったそうだ{EOS}それで、その家の御嶽を村の人も拝まれ、その家にあった旗頭も分けて東村の友利家に分与され<持たされ>たそうだ)(鳩間真吉氏談) 1266 0 0 1175 htmvoc_1266.wav アラキグリサン ア⸢ラキグリ⸣サン [ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] 連 歩きにくい。歩きづらい。 ク⸢ヌ⸣ ミチェー ア⸢ラキグリ⸣サン [ku⸢nu⸣ miʧeː ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] (この道は歩きにくい) 1270 0 0 1176 htmvoc_1270.wav アラキザル ア⸢ラキザ⸣ル [ʔa⸢rakiʣa⸣ru] 名 死後にあたる季節の最初の先祖供養行事。旧暦1月16日のジ⸢ル⸣クニチ[ʤi⸢ru⸣kuniʧi](十六日祭)、旧暦月の7月の⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆<精霊祭り>)など。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アッパー ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸢ソーラン⸣ドゥ ア⸢ラキザ⸣ル ア⸢タロー⸣ル⸢ナー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢kundu⸣nu ⸢soːran⸣du ʔa⸢rakiʣa⸣ru ʔa⸢taroː⸣ru⸢naː] (その家のお祖母さんは今年のお盆が最初の先祖供養の行事に当っておられるねえ) 1271 0 0 1177 htmvoc_1271.wav アラキジ ア⸢ラ⸣キジ [ʔa⸢ra⸣kiʤi] 名 荒削り。材木などを山で荒削りして牛などに引かせて山出しをした。 ヤ⸢マ⸣バコー ⸢スー⸣カー ⸣ウナー ア⸢ラ⸣キゼー ⸢シーティル⸣ パ⸢マー⸣ ン⸢ザ⸣シ パ⸢トゥ⸣マー トゥ⸢ゴーッ⸣タ [ja⸢ma⸣bakoː ⸢suː⸣kaː ⸣ʔunaː ʔa⸢ra⸣kiʤeː ⸢ʃiːtiru⸣ pa⸢maː⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi pa⸢tu⸣maː tu⸢goːt⸣ta] (山での共同作業をすると、そこで材木の荒削りをして<ぞ>浜へだし、鳩間島へ持ってこられた) 1272 0 0 1178 htmvoc_1272.wav アラキシェーン ア⸢ラ⸣キ ⸢シェー⸣ン [ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʃeː⸣ŋ] 連 歩くことができる。「歩き・し得る」の義。「歩ききれる」の転訛したもの。「歩き・切れる」に対応する形。 ア⸢ラ⸣キ ⸢サヌ [ʔa⸢ra⸣ki ⸢sanu] (歩けない)。 ア⸢ラ⸣キ ⸢シェー⸣カー⸢ツォー [ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʃeː⸣kaː⸢ʦoː] (歩けたらなあ)。 ア⸢ラ⸣キ ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (歩ける人はいない) 1273 0 0 1179 htmvoc_1273.wav アラキスーブ ア⸢ラキスー⸣ブ [ʔa⸢rakisuː⸣bu] 名 歩き勝負。歩き競争。 ⸢バン⸣トゥ ア⸢ラキスー⸣ブ ⸢スー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーン⸣カヤー [⸢ban⸣tu ʔa⸢rakisuː⸣bu ⸢suː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋ⸣kajaː] (私と歩き勝負をする人はいないかねえ) 1267 0 0 1180 htmvoc_1267.wav アラキナライ ア⸢ラキ⸣ナライ [ʔa⸢raki⸣narai] 名 伝い歩き。幼児が歩き出すこと。歩き習うこと。病後の歩行訓練をすること。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢トゥーシケーラ⸣ ア⸢ラキ⸣ナライ ⸢シース [ja⸢ra⸣beː ⸢tuːʃi̥keːra⸣ ʔa⸢raki⸣nari ⸢ʃiːsu] (子供は十ヶ月から歩き始める<伝い歩きする>) 712 0 0 1181 htmvoc_712.wav アラキニーバン ア⸢ラキニー⸣バン [ʔa⸢rakiniː⸣baŋ] 連 足が遅い。「歩き遅い」の義。ア⸢シフコー⸣ン[ʔa⸢ʃiɸu̥koː⸣ŋ](足が遅い)ともいう。 ⸣ヌーンティ ⸣アイニ ア⸢ラキニー⸣バワ マーン⸢ベーマ⸣ パ⸢ヤー⸣ ア⸢ラ⸣キバ [⸣nuːnti ⸣ʔaini ʔa⸢rakiniː⸣bawa maːm⸢beːma⸣ pa⸢jaː⸣ ʔa⸢ra⸣kiba] (どうしてそんなに足が遅いのか、もう少し早く歩きなさいよ) 1268 0 0 1182 htmvoc_1268.wav アラキパジミ ア⸢ラキパジ⸣ミ [ʔa⸢rakipaʤi⸣mi] 名 歩き始め。 ヤ⸢ラ⸣ベー ア⸢ラキパジ⸣ミ ⸢シェー⸣チバ ユ⸢ドゥマ⸣ナー ⸢タンガ⸣シン ア⸢ラ⸣クンヨー [ja⸢ra⸣beː ʔa⸢rakipaʤi⸣mi ⸢ʃeː⸣ʧiba ju⸢duma⸣naː ⸢taŋga⸣ʃiŋ ʔa⸢ra⸣kuŋjoː] (子供は伝い歩き<歩き始め>をしたから、間もなく一人でも歩くよ) 1269 0 0 1183 htmvoc_1269.wav アラキミチ ア⸢ラキ⸣ミチ [ʔa⸢raki⸣miʧi] 名 通路。道路。「歩き道」の義。 ⸣マンタヌ ア⸢ラキ⸣ミチェーラ ウ⸢シン サンガシ パッ⸣タ [⸣mantanu ʔa⸢raki⸣miʧeːre ʔu⸢ʃin saŋgaʃipat⸣ta] (前の道路から牛に引かせて<引張らせて>行った) 121 0 0 1184 htmvoc_121.wav アラキン ア⸢ラキン [ʔa⸢rakiŋ] 名 新しい着物。「新衣」の義。 ⸣ソンガチヌ ア⸢ラキンバ サースンティ オー⸣ル [⸣soŋgaʧinu ʔa⸢rakimba saːsunti ʔoː⸣ru] (正月の新しい着物を仕立てようとしておられる)。 ⸣ソンガチナー ア⸢ラキン カイ⸣ ッ⸢ふォー⸣ルンツォー [⸣soŋgaʧinaː ʔa⸢rakiŋ kai⸣ f⸢foː⸣runʦoː] (正月には新しい着物を買ってくださるそうだ) 1275 0 0 1185 htmvoc_1275.wav アラクー ア⸢ラクー [ʔa⸢rakuː] 名 粗い粉。「粗粉」の義。米を一晩水に浸けたものを搗き臼に入れて杵で搗いて粉にした。餅を作る際に⸢ソー⸣キ[⸢soː⸣ki](箕)に広げ くっつかぬように塗(まぶ)して使用した。 ⸢マイバ⸣ ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キティ⸣ ウシナー イ⸢リティ⸣ ア⸢ラクー⸣ バ⸢リ⸣バ [⸢maiba⸣ mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiti⸣ ʔuʃinaː ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢rakuː⸣ ba⸢ri⸣ba] (米を水に浸けて臼に入れて粗粉を搗き<割り>なさい) 1276 0 0 1186 htmvoc_1276.wav アラグスク ア⸢ラグス⸣ク [ʔa⸢ragusu̥⸣ku] 名 (固有)。新城島。老年層は、⸣パナリ[pa⸢na⸣ri](新城島)という。 ア⸢ラグス⸣ク プソー ム⸢カ⸣シェー ⸢ザン⸣バ トゥ⸢リ⸣ル ⸢ゾー⸣ノー ン⸢ザ⸣ソオーッタツォー [ʔa⸢ragusu̥⸣kupu̥soː mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʣam⸣ba tu⸢ri⸣ru ⸢ʣoː⸣noː ʔn⸢ʣa⸣soːttaʦoː] (新城島の人は、昔はジュゴン<儒艮>を獲って王府へ上納に出された<貢納>されたそうだ) 1248 0 0 1187 htmvoc_1248.wav アラグスクテー ア⸢ラグスク⸣テー [ʔa⸢ragusu̥ku⸣teː] 名 屋号。新城ミダ氏宅。 ア⸢ラグスク⸣テーヤ ⸢ショーザンマル⸣ヌ ⸢シーゾーヤー⸣ヌ ⸣シンタナール ⸢アッ⸣タ [ʔa⸢ragusuku⸣teːja ⸢ʃoːʣammaru⸣nu ⸢ʃiːʣoːjaː⸣nu ⸣ʃintanaːru ⸢ʔat⸣ta] (新城家は正山丸のカツオ節製造工場の後ろに<ぞ>あった) 1277 0 0 1188 htmvoc_1277.wav アラクナシ ア⸢ラクナシ [ʔa⸢rakunaʃi] 名 芋などを煮て簡単に捏ねること。⸢荒ごなし」、「粗捏」の義。 ⸢マイトゥ ウン⸣トゥ マ⸢ザー⸣シ バ⸢カシティ⸣ ア⸢ラクナシ シティ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [⸢maitu ʔun⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi ba⸢kaʃiti⸣ ʔa⸢rakunaʃi ʃiti⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (米と芋を混ぜて煮て、簡単に捏ねて出しなさいよ) 1278 0 0 1189 htmvoc_1278.wav アラクン ア⸢ラ⸣クン [ʔa⸢ra⸣kuŋ] 自動 歩く。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢タンカー⸣ クーカー ア⸢ラ⸣クン [ja⸢ra⸣beː ⸢taŋkaː⸣ kuːkaː ʔa⸢ra⸣kuŋ] (子供は誕生日がきたら歩くよ)。 ミ⸢チ⸣ヌ ⸢マンナカー⸣ラ ア⸢ラカン⸣ドーシ ス⸢バー⸣ナリ ア⸢ラ⸣キ [mi⸢ʧi⸣nu ⸢mannakaː⸣ra ʔa⸢rakan⸣doːʃi su⸢baː⸣nari ʔa⸢ra⸣ki] (道の真ん中を歩かないで側になって歩きなさい)。 ア⸢マ⸣ヌ サ⸢ニ⸣ヤティ ブ⸢ダッカレー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ ⸢パッ⸣タ [ʔa⸢ma⸣nu sa⸢ni⸣jati bu⸢dakkareː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki ⸢pat⸣ta] (あまりの嬉しさで飛び跳ねながら歩いて行った)。 ア⸢ラ⸣ク ⸣クトー ナ⸢リ⸣スンダ ⸢パー⸣ク ア⸢ラ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ra⸣ku ⸣ku̥toː na⸢ri⸣sunda ⸢paː⸣ku ʔa⸢ra⸣keː ⸣misamunu] (歩くことは出来るのだから、早く歩けばいいのに) 1281 0 0 1190 htmvoc_1281.wav アラザラン ア⸢ラザラ⸣ン [ʔa⸢raʣara⸣ŋ] 連体 あるべくもない。でたらめな。とんでもない。 ア⸢ラザラン⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸢ヌー⸣ヤクイヤ イ⸢ジッツァーシ ムン⸣ドー ウ⸢ク⸣シ ヌーヤ ウ⸢レー [ʔa⸢raʣara⸣ŋ ku⸢tu⸣ba ⸢nuː⸣jakuija ʔi⸢ʤitʦaːʃi mun⸣doː ʔu⸢ku⸣ʃi nuːja ʔu⸢reː] (あるべくもない<ありもしない>ことを、あれこれと言いふらして喧嘩を起こして<問答を起こして>何たることだ、これは) 1249 0 0 1191 htmvoc_1249.wav アラシ ア⸢ラシ [ʔa⸢raʃi] 名 新しく開墾した土地。掘り起こした大きな土塊が転がる開墾地。「畄、アラキハリ」『類聚名義抄』、「荒城田乃<アラキタノ>~。万、3848」の転訛したものか。「新仕明け地」の義。 ア⸢ラシ カイ⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢タンガ⸣シェー ⸢キー⸣ヌ ⸣ニー ⸢コーサラヌ [ʔa⸢raʃi kai⸣sunti ⸢beː⸣nundu ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢kiː⸣nu ⸣niː ⸢koːsaranu] (開墾地を耕そうとしているが一人では木の根っこを抜き取ることは出来ない)。 ア⸢ラシー⸣ ア⸢クン [ʔa⸢raʃiː⸣ ʔa⸢kuŋ] (開墾して田畑を新た切り開く<新田、新畑を開ける>) 1282 0 0 1192 htmvoc_1282.wav アラシアキ ア⸢ラシアキ [ʔa⸢raʃiʔaki] 名 新しく開墾すること。「新仕開け地」の義か。 パ⸢タキ⸣ヌ タ⸢ラーンベー⸣ティ ア⸢ラシアキ サン⸣カー ⸢サンナン⸣ヌ バ⸢キ⸣ダマー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢taki⸣nu ta⸢raːmbeː⸣ti ʔa⸢raʃiʔaki saŋ⸣kaː ⸢sannan⸣nu ba⸢ki⸣damaː ⸢naː⸣nu] (畑が足りないので新しく開墾しないと三男の財産配分はない) 1303 0 0 1193 htmvoc_1303.wav アラシゥカイ ア⸢ラシゥカイ [ʔa⸢rasïkai] 名 乱暴な使い方。「荒使い」の義。無鉄砲につかうこと。 ⸢ジン⸣マー ア⸢リ⸣バティ ⸢シー⸣ アイニ ア⸢ラシゥカイ⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [⸢ʤim⸣maː ʔa⸢ri⸣bati ⸢ʃiː⸣ ʔaini ʔa⸢rasï̥kai⸣ su⸢na⸣joː] (お金はあるからといって、あんなに荒く使うなよ<荒使いするなよ>)。シ⸢トゥム⸣テーラ ユネン⸢バー⸣キ ⸢ユーコー⸣シン サ⸢ムティ⸣ プ⸢スバ⸣ ア⸢ラシゥカイ⸣ ス⸢ナ⸣。 ウ⸢ラマ⸣リン⸢ダー [ʃi̥⸢tumu⸣teːra junem⸢baː⸣ki ⸢juːkoː⸣ʃin sa⸢muti⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢rasï̥kai⸣ su⸢na⸣ ʔu⸢rama⸣rin⸢daː] (朝から晩まで休息<憩い>もさせないで人を乱暴に使う<荒使いする>な{EOS}他人恨まれるぞ) 1283 0 0 1194 htmvoc_1283.wav アラシゥカシ ア⸢ラシゥカ⸣シ [ʔa⸢rasi̥ka⸣ʃi] 名 鋤を牛に曳かせて最初に田畑を鋤くこと。⸢粗鋤き」の義か。 ⸢ター⸣ヤ ア⸢ラシゥカ⸣シ シ⸢ティル⸣ マ⸢トーナーヤ キー⸣パイシ ⸢カイ⸣ソーッタル [⸢taː⸣ja ʔa⸢rasi̥ka⸣ʃi ⸢ʃiːtiru⸣ ma⸢toːnaːja kiː⸣paiʃi ⸢kai⸣soːttaru] (田圃は鋤きで粗鋤きしてから、二度打ちは木鍬で耕されたものだよ) 1250 0 0 1195 htmvoc_1250.wav アラシカイスン ア⸢ラシ カイ⸣スン [ʔa⸢raʃi kai⸣suŋ] 連 開墾地を耕す。 ナ⸢チヌ⸣ ティダサーリ ア⸢ラシ カイ⸣スンティ ⸢シーッ⸣パイ ⸢シーベー [na⸢ʧinu⸣ tidasaːri ʔa⸢raʃi kai⸣sunti ⸢ʃiːp⸣pai ⸢ʃiːbeː] (夏の炎天下で<夏の太陽のもと>開墾地を耕そうと精一杯頑張っている<している>) 1284 0 0 1196 htmvoc_1284.wav アラシグトゥ ア⸢ラシグトゥ [ʔa⸢raʃigutu] 名 荒仕事。きつい肉体労働。 ヤ⸢マシグ⸣トー ア⸢ラシグトゥ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ユー ⸢キー⸣ シケーティ ⸢サン⸣カー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー [ja⸢maʃigu⸣toː ʔa⸢raʃigutu⸣ ja⸢runda⸣ juː ⸢kiː⸣ ʃi̥keːti ⸢saŋ⸣kaː ⸣duː ja⸢ma⸣sun⸢daː] (山仕事は荒仕事だから、よく気をつけてしないと体を損ねるよ)。 バ⸢カー⸣タケンマー ア⸢ラシグトゥン⸣ ナ⸢リ⸣シタンドゥ ⸣トゥシ ⸢トゥッ⸣ター ⸣アイブ シ⸢グトー⸣ ドゥーヨーリ ⸢シース [ba⸢kaː⸣takemmaː ʔa⸢raʃigutun⸣ na⸢ri⸣ʃi̥tandu ⸣tu̥ʃi ⸢tut⸣taː ⸣ʔaibu ʃi⸢gutoː⸣ duːjori ⸢ʃiːsu] (若かった頃は荒仕事も出来たが年を取ったのであんな仕事は体を損ねる<胴弱りする>) 1292 0 0 1197 htmvoc_1292.wav アラシコーシ ア⸢ラシコーシ [ʔa⸢raʃikoːʃi] 名 蒸し餅菓子。「あがらし<蒸し>菓子」の転訛したもの。糯米と粳米を半々に混ぜ、五分搗きにして洗い、暫く水に浸ける。水切りをして半乾きになったところを臼に入れ、搗いて米粉にする。これを⸢クー⸣バリ[⸢kuː⸣bari](製粉{EOS}「粉割」の義)という。それに黒糖を削って混ぜ、よく揉んでア⸢ラシパク[ʔa⸢raʃipaku](蒸し箱{EOS}蒸し器)に入れて、カステラのように蒸し上げて作った菓子。四角い食パンの大きさに切って食した。米寿の祝いや三十三年忌の法事の際にもつくられた。 ア⸢ラシコーシェー トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイラー ⸣サンジュー⸢サンニンキ⸣ヌ ⸢ソッ⸣コーン ドー⸢レー⸣ナー ⸢アーラソーッ⸣タン [ʔa⸢raʃikoːʃeː toːkaki⸣nu ⸣joira ⸣sanʣuː⸢sanniŋki⸣nu ⸢sok⸣koːn doreːnaː ⸢ʔaːrasoːt⸣taŋ] (蒸し餅菓子は米寿の祝いから三十三年忌の法事などの際に蒸し上げて作られた)。二十五年忌以後の法事には、この菓子を供えるものとされていた。⸢アーラシコーシ[⸢ʔaːraʃikoːʃi]ともいう 1289 0 0 1198 htmvoc_1289.wav アラスーン ア⸢ラ⸣スーン [ʔa⸢ra⸣suːŋ] 自動 争う。相手を押しのけて勝とうとする。 ⸢キョーダイ⸣サザーン ⸣ナリ ⸣ザイサンヌクトゥシ ア⸢ラ⸣スーン [⸢kjoːdai⸣saʣaːn ⸣nari ⸣ʣaisannu ⸣ku̥tuʃi ʔa⸢ra⸣suːŋ] (兄弟同士で財産のことで争う)。 ア⸢ラソー⸣ヌ [ʔa⸢rasoː⸣nu] (争わない)。 ア⸢ラ⸣スイ ⸣ミサカー ア⸢ラ⸣スー ⸣クトゥン ⸢スン [ʔa⸢ra⸣sui ⸣misakaː ʔa⸢ra⸣suː ⸣ku̥tun ⸢suŋ] (争って良ければ争うこともする)。 ア⸢ラスイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢rasui⸣jaː ⸣misamunu] (争えば良いのに)。 ア⸢ラ⸣スイバ [ʔa⸢ra⸣suiba] (争えよ) 128 0 0 1199 htmvoc_128.wav アラスイ ア⸢ラ⸣スイ [ʔa⸢ra⸣sui] 名 争い。競争。喧嘩。 ⸢ウン⸣ネナー ザイサンヌ ⸢ユン⸣シ ア⸢ラスイ⸣ヌ ウ⸢ク⸣リティ ナ⸢クラー⸣ン [⸢ʔun⸣nenaː ʣaisannu ⸢juŋ⸣ʃi ʔa⸢rasui⸣nu ʔu⸢ku⸣riti na⸢kuraː⸣ŋ] (その家には財産の件で争いごとがおきて怖い)。 ⸣ザイサンヌ ⸣クトゥシ ウ⸢トゥ⸣ザザーン ⸣ナリ ア⸢ラ⸣スイ ウ⸢クサン⸣ヨーニ ⸢シー⸣ダー [⸣ʣaisannu ⸣ku̥tuʃi ʔu⸢tu⸣ʣaʣaːnnari ʔa⸢ra⸣sui ʔu⸢kusaŋ⸣joːni ⸢ʃiː⸣daː] (財産のことで親戚同士で争いを起こさないようにしなさいよ)。 ⸢イー⸣ネ ⸢アー⸣ネ トゥ⸢ナルザーン⸣ナリ ⸢ベー⸣ティ ア⸢ラスイ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ピンマー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ne ⸢ʔaː⸣ne tu⸢naruʣaːn⸣nari ⸢beː⸣ti ʔa⸢rasui⸣nu ⸢naːm⸣ pimmaː ⸢naː⸣nu] (西の家、東の家と隣近所同士でありながら喧嘩のない日とては無い) 1287 0 0 1200 htmvoc_1287.wav アラスイ ア⸢ラスイ [ʔa⸢rasui] 名 風が荒く激しく吹くこと。風が吹き荒れること。 カ⸢ジヌ⸣ ア⸢ラスイ シーティル⸣ フネー ⸣ウケー ン⸢ザサラン⸣サー [ka⸢ʤinu⸣ ʔa⸢rasui ʃiːtiru⸣ ɸuneː ⸣ʔukeː ʔn⸢ʣasaran⸣saː] (風が吹き荒れて舟は沖へ出されないよ)。「荒そよぎ」の義。 ウ⸢ヌスク⸣ナー カ⸢ジヌ⸣ ア⸢ラスイ スー⸣カー ⸣ガヤヤーヤ ム⸢タ⸣ヌ [ʔu⸢nusuku⸣naː ka⸢ʤinu⸣ ʔa⸢rasui suː⸣kaː ⸣gajajaːja mu⸢ta⸣nu] (あれほどに風が強く吹くと茅葺の家は耐えられない) 1286 0 0 1201 htmvoc_1286.wav アラスイグトゥ ア⸢ラスイ⸣グトゥ [ʔa⸢rasui⸣gutu] 名 争いごと。喧嘩。 ⸢プール⸣ヌ ⸢パーレー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸣ヌンティ ヤ⸢ル⸣ユー ⸢チャー インタアンタヌ⸣ ア⸢ラスイグトゥ⸣ヌ ウ⸢クル⸣タン [⸢puːru⸣nu ⸢paːreː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸣nunti ja⸢ru⸣juː ⸢ʧaː ʔintaʔantanu⸣ ʔa⸢rasuigutu⸣nu ʔu⸢kuru⸣taŋ] (豊年祭の爬竜船漕ぎの後には、如何なるわけか、いつも西村、東村の争いごとが起こったものだよ) 1304 0 1 1202 htmvoc_1304.wav アラスクリ ア⸢ラスクリ [ʔa⸢rasu̥kuri] 名 {Mn_1}粗作り。粗削りのさま。粗削りで頑健なさま。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ ドゥースクリヨー⸣ヤ ア⸢ラスクリサリティ⸣ イ⸢カムス⸣ク ⸢ガン⸣ゾーン ギサワ⸢ツォー [ku⸢nu pusunu duːsukurijoː⸣ja ʔa⸢rasukurisariti⸣ ʔi⸢kamusu⸣ku ⸢gan⸣ʣoːŋ gisawa⸢ʦoː] (この人の体格<体作り様>は粗削りされていて、なんと頑健そうなことよ) 1304 0 2 1203 htmvoc_1304.wav アラスクリ ア⸢ラスクリ [ʔa⸢rasu̥kuri] 名 {Mn_2}粗雑な作り方。粗末な作り方。ク⸢ヌ バー⸣ケー ア⸢ラスクリ サリティ ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ。マー⸢ンベーマ⸣ ク⸢メーキ⸣ ス⸢ク⸣レー ⸣ミサムヌ[ku⸢nu baː⸣keː ʔa⸢rasukuri sariti daːs⸣saː ⸢naː⸣nu。maː⸢mbeːma⸣ ku⸢meːki⸣ su̥⸢ku⸣reː ⸣misamunu](この竹笊は粗雑な作り方で良くない<本来の笊らしくない>{EOS}もう少し細やかに、入念に作ればよいものを) 1288 0 0 1204 htmvoc_1288.wav アラスン ア⸢ラスン [ʔa⸢rasuŋ] 他動 荒らす。 カ⸢マイ⸣ヌ カ⸢キ⸣ ヤ⸢ブ⸣リ ⸢ペー⸣リ ⸢キー⸣ル ⸣ター ア⸢ラシ⸣ シケーバン [ka⸢mai⸣nu kḁ⸢ki⸣ ja⸢bu⸣ri ⸢peː⸣ri ⸢kiː⸣ru ⸣taː ʔa⸢raʃi⸣ʃi̥keːbaŋ] (猪が防護の垣を破って入ってきて田を荒らしてある) 1290 0 0 1205 htmvoc_1290.wav アラスン ア⸢ラ⸣スン [ʔa⸢ra⸣suŋ] 他動 有るようにする。作る。貯蓄する。儲ける。入手する。産む。 ⸢マイフナーユン ワー オーパ⸣ヤー ⸢ヤー⸣キナイティン ア⸢ラサ⸣リ トゥ⸢クットゥ⸣ ナ⸢リ⸣ス メー [⸢maiɸunaːjuŋ waː ʔoːpa⸣jaː ⸢jaː⸣kinaitiŋ ʔa⸢rasa⸣ri tu̥⸢kuttu nari⸣su ⸣meː] (本当に利口者<働き者>だよ君は{EOS}こんなに早く家を新築し、家庭をもつことが出来て{EOS}もう、ゆっくりできるよ)。 ⸢シーッ⸣パイ パ⸢タラク⸣カー ⸢ナンクク⸣ル ⸢ジン⸣カニン ア⸢ラサ⸣リン [⸢ʃiːp⸣pai pa⸢taraku⸣kaː ⸢naŋkuku⸣ru ⸢ʤiŋ⸣kaniŋ ʔa⸢rasa⸣riɲjoː] (精一杯働くと自然にお金は儲かる<あるようにされる>よ)。 ⸢ジン⸣カニン ア⸢ラ⸣シティル シ⸢マー⸣ヤ パ⸢ラ⸣リ [⸢ʤiŋ⸣kaniŋ ʔa⸢ra⸣ʃi̥tiru ʃi⸢maː⸣ja pa⸢ra⸣ri] (お金を儲けてから島には帰ら<行か>れる)。 ⸢ジン⸣カニ ア⸢ラサ⸣リ ⸣シチン ⸣アンカヤー [⸢ʤiŋ⸣kani ʔa⸢rasa⸣ri ⸣ʃi̥ʧiŋ ⸣ʔaŋkajaː] (お金を儲けて蓄えることのできる時節がある<来る>ものかねえ) 1295 0 0 1206 htmvoc_1295.wav アラソーリ ア⸢ラソーリ [ʔa⸢rasoːri] 名 最初の畑の草取り。おおまかな畑の草取り。「粗・さくり<渫>」の転訛したものか。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサー ア⸢ラソーリ シー⸣シケーバ ⸣アトーラ ク⸢マークマー⸣シ ⸢ソーリ⸣バ [pa⸢taki⸣nu ⸣ssaː ʔa⸢rasoː⸣ri ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːba ⸣ʔatoːra ku⸢maːkumaː⸣ʃi ⸢soːri⸣ba] (畑の草はおおまかに除草してあるから、後から細かく<入念に>除草しなさい) 1329 0 0 1207 htmvoc_1329.wav アラダティ ア⸢ラダ⸣ティ [ʔa⸢rada⸣ti] 名 新所帯。新世帯。独立。分家して新しく所帯をかまえること。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ア⸢ラダ⸣ティ シ⸢ミルンティ⸣ キ⸢ナイヌ ドングペン⸣グ シゥ⸢コールンティ べー [ja⸢ra⸣biŋkeŋ ʔa⸢rada⸣ti ʃi⸢mirunti⸣ ki⸢nainu doŋgupeŋ⸣gu su̥⸢koːrunti beː] (子供たちに独立させよう<新所帯を持たせよう>と所帯道具類<家庭道具類>を準備しようとしているところだ) 1296 0 0 1208 htmvoc_1296.wav アラダティルン ア⸢ラダティ⸣ルン [ʔa⸢radati⸣ruŋ] 他動 荒立てる。もつれ(縺れ)させて問題化する。面倒にする。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸣ドゥク ア⸢ラダティラン⸣ドーシ ⸣ユー パ⸢ナシアー⸣シェーティ ⸣クトー ウ⸢サミ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸣duku ʔa⸢radatiran⸣doːʃi ⸣juː pa⸢naʃiʔaː⸣ʃeːti ⸣ku̥toː ʔu⸢sami⸣ri] (そのことはあまり荒立てないで、よく話し合って事を収拾しなさい<収めなさい>)。 ⸣バーヤ ア⸢ラダティラ⸣ヌ [⸣baːja ʔa⸢radatira⸣nu] (私は荒立てない)。 ア⸢ラダ⸣ティ ⸣ミサカー ア⸢ラダティ⸣ル ⸣クトゥン ⸣ナルン [ʔa⸢rada⸣ti ⸣misakaː ʔa⸢radati⸣ru ⸣ku̥tun ⸣naruŋ] (荒立てて良ければ荒立てることも出来る)。 ア⸢ラダティ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢radati⸣reː ⸣misamunu] (荒立てれば良いのに)。 ア⸢ラダティ⸣リ [ʔa⸢radati⸣ri] (荒立てろ) 1297 0 0 1209 htmvoc_1297.wav アラダトゥン ア⸢ラダ⸣トゥン [ʔa⸢rada⸣tuŋ] 他動 荒立てる。「あらだつ(下二段)」の四段活用化したもの。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢バー⸣キ ⸢シェー⸣ティ ク⸢トゥ⸣バ ア⸢ラダ⸣ティティ ⸢ヌー⸣スワ ア⸢ラダトゥ⸣ナ [⸣ʔaibu ku̥tu⸢baː⸣ki ⸢ʃeː⸣ti ku̥⸢tu⸣ba ʔa⸢rada⸣titi ⸢nuː⸣suwa ʔa⸢radatu⸣na] (あんな事までしてことを荒立ててどうするのか{EOS}荒立てるなよ) 1298 0 0 1210 htmvoc_1298.wav アラタビ ア⸢ラ⸣タビ [ʔa⸢ra⸣tabi] 名 新しい旅。初旅。⸢ウイ⸣タビ[⸢ʔui⸣tabi](初旅)、パ⸢チタビ[pḁ⸢ʧitabi](初旅)ともいう。 ⸣マーッふァヌ ヤ⸢マ⸣トーヌ ア⸢ラ⸣タビ シ⸢ミル⸣ ス⸢コール シーベー [⸣maːffanu ja⸢ma⸣toːnu ʔa⸢ra⸣tabi ʃi⸢miru⸣ su̥⸢koːru ʃiːbeː] (孫の本土<大和>への初旅の準備をしている) 1299 0 0 1211 htmvoc_1299.wav アラタマルトゥシ ア⸢ラタマ⸣ル ⸣トゥシ [ʔa⸢ratama⸣ru ⸣tuʃi] 連 新年。「改まる年」の義。⸣クー トゥシ[⸣kuː tuʃi](来る年)、ン⸢カイル⸣ トゥシ[ŋ⸢kairu⸣ tuʃi](迎える年)ともいう。 ア⸢ラタマ⸣ル ⸣トゥシェー ユ⸢ガフドゥシ⸣ ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [ʔa⸢ratama⸣ru ⸣tuʃeː ju⸢gaɸuduʃi⸣ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (新年は豊年満作の年に<あらしめ賜れ>してください) 1300 0 0 1212 htmvoc_1300.wav アラタマルン ア⸢ラタマ⸣ルン [ʔa⸢ratama⸣ruŋ] 自動 改まる。新しくなる。 マ⸢ナ⸣マーラ ⸣アトー キ⸢ムクク⸣ルーン ア⸢ラタマ⸣リ ⸢マイフナー⸣ マ⸢リキー⸣ス ⸣パジェー ア⸢ラン⸣カヤー [ma⸢na⸣maːra ⸣ʔatoː ki⸢mukuku⸣ruːŋ ʔa⸢ratama⸣ri ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢rikiː⸣su ⸣paʤeː ʔa⸢raŋ⸣kajaː] (今から後は心も改まって利口者、働き者になってくれるでしょう<くれるはずではないかなあ>)。 ア⸢ラタマラ⸣ヌ [ʔa⸢ratamaranu] (改まらない)。 ア⸢ラタマリ ヤッ⸣サン [ʔa⸢ratamari jas⸣saŋ] (改まりやすい)。 ア⸢ラタマ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ratama⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (改まることはない)。 ア⸢ラタマ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢ratama⸣reː ⸣misamunu] (改まれば良いのに) 1301 0 0 1213 htmvoc_1301.wav アラタミルン ア⸢ラタミ⸣ルン [ʔa⸢ratami⸣ruŋ] 他動 改める。改善する。直す。 ク⸢レー ワー⸣ ヤ⸢ナフシ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ラタミ⸣リ⸢ヨー [ku⸢reː waː⸣ ja⸢naɸuʃi⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢ratami⸣ri⸢joː] (これは君の悪い癖だから改めなさいよ)。 ⸢ワーンドゥ⸣ ア⸢ラタミ⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ア⸢ラタミ⸣ルン [⸢waːndu⸣ ʔa⸢ratami⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔa⸢ratami⸣ruŋ] (君が改めるなら私も改める)。 ⸣ドゥーシ ア⸢ラタミ⸣ル ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ア⸢ラタミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ʔa⸢ratami⸣ru ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ʔa⸢ratami⸣reː ⸣misamunu] (自分で改めることが出来たら、改めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ラタミ⸣リ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ratami⸣ri] (早く改めろ) 1302 0 0 1214 htmvoc_1302.wav アラタムン ア⸢ラ⸣タムン [ʔa⸢ra⸣tamuŋ] 他動 改める。「改む」の義。「あらたむ(下二段)」の四段活用化したもの。 ア⸢ラ⸣タミ ⸣ミサカー ア⸢ラ⸣タムン [ʔa⸢ratami⸣ misakaː ʔa⸢ra⸣tamuŋ] (改めて良ければ改める)。 ア⸢ラタマン⸣タンティン ⸣ミサン [ʔa⸢rataman⸣tantim ⸣misaŋ] (改めなくても良い)。ム⸢カ⸣シェーラ ⸢シー⸣ケー ⸢トゥー⸣ル ⸢シー⸣バ。ア⸢ラタム⸣ナ[mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢ʃiː⸣keː ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiː⸣ba。ʔa⸢ratamu⸣na](昔からしてきた通りにしなさい{EOS}改めるな)。 ン⸢メーマー⸣ ア⸢ラ⸣タメー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ ʔa⸢ra⸣tameː ⸣misamunu] (少しは改めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ア⸢ラ⸣タミバ [⸢paː⸣ku ʔa⸢ra⸣tamiba] (早く改めよ) 1305 0 0 1215 htmvoc_1305.wav アラッサーク ア⸢ラッサーク [ʔa⸢rassaːku] 名 厳しい仕事。荒業。体力の要る力仕事。 ヤ⸢マシグ⸣トー ア⸢ラッサーク⸣ ヤ⸢ルンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ja⸢maʃigu⸣toː ʔa⸢rassaːku⸣ ja⸢runda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (山仕事は荒業だから気をつけなさいよ) 1306 0 0 1216 htmvoc_1306.wav アラッパー ア⸢ラッパー [ʔa⸢rappaː] 名 行動の荒っぽい人。⸢アーラッパー[⸢ʔaːrappaː](行動の荒っぽい人)ともいう。 ビ⸢コーンッふァー⸣ フ⸢ドゥビクー⸣タ ア⸢ラッパー⸣ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [bi⸢koːnffaː⸣ fu⸢dubikuː⸣taː ʔa⸢rappaː⸣ nariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (男の子は成長してきたので荒っぽくなって手がつけられない<養生できない>) 1335 0 0 1217 htmvoc_1335.wav アラッパームニ ア⸢ラッパームニ [ʔa⸢rappaːmuni] 名 荒っぽい言葉。荒々しい言葉遣い。暴言ではないが、聞いていてなんとなく喧嘩しているように思えるような口調の言葉。 ウ⸢リヌ⸣ ムネー ア⸢ラッパームニ⸣ ナリティ ナ⸢クラー⸣ヌ シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢rinu⸣ muneː ʔa⸢rappaːmuni⸣ nariti na⸢kuraː⸣nu sï̥⸢karanu] (あれの言葉は荒っぽい言葉になっていて怖くて聞けない) 1307 0 1 1218 htmvoc_1307.wav アラテイー ア⸢ラ⸣テイー [ʔa⸢ra⸣tiː] 名 {Mn_1}新しい手法。新しい方法。 ク⸢ヌ ヌーヌヌ⸣ アヤー ア⸢ラ⸣ティーシル ウ⸢レー⸣ヌンドゥ ⸢ゾー⸣ブンニ ウ⸢ラリブーバン [ku⸢nu nuːnunu⸣ ʔajaː ʔa⸢ra⸣tiːʃiru ʔu⸢reː⸣nundu ⸢ʣoː⸣bunni ʔu⸢raribuːbaŋ] (この布の模様<柄>は新しい手法で織ったのだが、立派に<上分に>織られているわい)。 1307 0 2 1219 htmvoc_1307.wav アラテイー ア⸢ラ⸣テイー [ʔa⸢ra⸣tiː] 名 {Mn_2}初めての作品。 ⸣バー ス⸢ク⸣レール ⸢サンシンヌ⸣ ア⸢ラティー⸣ヤ ノ⸢ボール⸣ ムティ⸢ベー [⸣baː su⸢ku⸣reːru ⸢saŋʃinnu⸣ ʔa⸢ratiː⸣ja no⸢boːru⸣ muti⸢beː] (私が製作した三味線の最初の作品は昇君<大城昇氏>が持っているよ) 1310 0 0 1220 htmvoc_1310.wav アラトゥ ア⸢ラトゥ [ʔa⸢ratu] 名 粗い砥石(粗砥)。あらとぎに用いる質の粗い砥石。 ヤ⸢マンガラ⸣シェー ア⸢ラトゥ⸣ナ ⸣トゥイバ [ja⸢maŋgara⸣ʃeː ʔa⸢ratu⸣na ⸣tuiba] (やまがたな<山刀>は粗砥で研ぎなさい) 1309 0 0 1221 htmvoc_1309.wav アラトゥー ア⸢ラトゥー [ʔa⸢ratuː] 名 荒海。時化の荒海。波の高い荒海の海峡。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣フクカー ⸢マイ⸣ヌ ⸢トゥーン⸣ ア⸢ラトゥー⸣ ナリティ ナ⸢クラー⸣ン [⸢taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kukaː ⸢mai⸣nu ⸢tuːŋ⸣ ʔa⸢ratuː⸣ nariti na⸢kuraː⸣ŋ] (台風になると前の海峡も荒海になって怖い) 1308 0 0 1222 htmvoc_1308.wav アラドゥー ア⸢ラ⸣ドゥー [ʔa⸢ra⸣duː] 名 初婚(女性)。初めて結婚して新家庭を作ること。 ミ⸢ドーン⸣ッふァーン ア⸢ラ⸣ドゥー ムティ ⸢パッ⸣ター トゥ⸢クットゥ シェー⸣チバン [mi⸢doːn⸣ffaːŋ ʔa⸢ra⸣duː ⸣muti ⸢pat⸣taː tu̥⸢kuttu ʃeː⸣ʧibaŋ] (女の子も初婚で家庭を作って行ったので一安心したよ<ゆっくりして落ち着いたよ>) 1311 0 0 1223 htmvoc_1311.wav アラトゥイ ア⸢ラトゥイ [ʔa⸢ratui] 名 荒研ぎ。粗研ぎ。荒い砥石で刃物を研ぐこと。刃物を大まかに研ぐこと。 カ⸢タ⸣ナー シ⸢ダケー⸣ ア⸢ラトゥ⸣ナ ア⸢ラトゥイ シー⸣バ [kḁ⸢ta⸣naː ʃi⸢dakeː⸣ ʔa⸢ratu⸣naː ʔa⸢ratui ʃiː⸣ba] (包丁は先に粗い砥石<粗砥>で粗研ぎしなさい) 1312 0 0 1224 htmvoc_1312.wav アラトゥシ ア⸢ラトゥシ [ʔa⸢ratuʃi] 名 粗い砥石。粗めの砥石。ア⸢ラトゥ[ʔa⸢ratu](粗い砥石)ともいう。対語はク⸢マトゥ[ku⸢matu](細かいめの砥石)。大工道具を研ぐ際に用いる。先ずア⸢ラトゥで刃を研ぎ、次にクマトゥで研ぎあげる。農耕用の刃物はア⸢ラトゥで研ぎ、ク⸢マトゥは使わない。 ヤ⸢マンガラ⸣シェー ア⸢ラトゥシ⸣ナ ⸣トゥイ [ja⸢maŋgara⸣ʃeː ʔa⸢ratuʃi⸣na ⸣tui] (山刀は粗い砥石で研ぎなさい) 1313 0 0 1225 htmvoc_1313.wav アラナー ア⸢ラ⸣ナー [ʔa⸢ra⸣naː] 連 ~でなくて。指定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の未然形に打ち消しの助動詞-ヌ[-nu](ない)の連用形⸣ナー[⸣naː](~ずに)が下接した形。「~でなくて、~でないのに、~でないにもかかわらず」の意味。 ウ⸢ヤッ⸣ふァーンツァン ア⸢ラ⸣ナー アイ⸢バー⸣キ ⸢サン⸣タンティン ミサン [ʔu⸢jaf⸣faːnʦaŋ ʔa⸢ra⸣naː ʔai⸢baː⸣ki ⸢san⸣tantim ⸣misaŋ] (親子でもないのにあんなにまでしなくてもよい) 1314 0 0 1226 htmvoc_1314.wav アラナン ア⸢ラナン [ʔa⸢ranaŋ] 名 荒波。若年層は、ア⸢ラナミ[ʔa⸢ranami](荒波)ともいう。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤビティ ア⸢ラナン⸣ヌ ⸣ブリ⸢クー⸣ター ⸣フネー ⸢フンナキ ナーン⸣シェン [⸢ʔoːʃikinu⸣ jabiti ʔa⸢ranan⸣nu buri⸢kuː⸣taː ⸣ɸuneː ⸢ɸunnaki naːŋ⸣ʃeŋ] (天気が崩れて荒波が群れ寄せてきたので舟は沈没してしまった) 1315 0 0 1227 htmvoc_1315.wav アラナンカ ア⸢ラナン⸣カ [ʔa⸢ranaŋ⸣ka] 名 初七日忌。死後七日目に執り行われる法事。「新七日」の義。 ア⸢ラナン⸣カー シ⸢マ⸣シェーン [ʔa⸢ranaŋ⸣kaː ʃi⸢ma⸣ʃeːŋ] (初七日忌は済ませた) 1316 0 0 1228 htmvoc_1316.wav アラニシ ア⸢ラニシ [ʔa⸢raniʃi] 名 秋の終わり(十一月)ごろ吹き始める季節風の北風。「新北風」の義。⸣ミーニシ[⸣miːniʃi](初北風)ともいう。 ア⸢ラニシヌ⸣ フクカー タ⸢カヌ⸣ バ⸢タルン [ʔa⸢raniʃinu⸣ ɸu̥kukaː tḁ⸢kanu⸣ ba⸢taruŋ] (初北風が吹くと鷹が渡る) 1317 0 0 1229 htmvoc_1317.wav アラヌ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔaranu] 連 ~でない。指定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の未然形に打ち消しの助動詞ヌ[nu](ない)が下接した形。「否、アラズ・イナヤ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣アイヤー ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣ ムネー ア⸢タラヌ [⸣ʔaijaː ʔa⸢ra⸣nu ⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː ʔa⸢taranu] (そうではない{EOS}君の言うことは間違っている<あたらない>)。 ノー⸢ン⸣ ア⸢ラン⸣クトゥ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ユ⸢クシムニ⸣バ ⸢シー⸣  ウ⸢バーシ⸣ シケーバン ⸣ヌヤー [noː⸢ŋ⸣ ʔa⸢raŋ⸣ku̥tu ja⸢rundu⸣ ju⸢kuʃimuni⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥keːban ⸣nujaː] (何でもないことだが、嘘をついて驚かせてあるんだよ{EOS}何かと思ったら) 1318 0 0 1230 htmvoc_1318.wav アラヌーヌ ア⸢ラヌーヌ [ʔa⸢ranuːnu] 名 粗布(あらぬの{EOS}そふ)。太目の糸で織り目を粗く織った平織りの布。 ア⸢ラヌーヌバ⸣ シ⸢ギアーシティ⸣ ア⸢カ⸣ズミキーヌ ⸣カーシ ア⸢ガイル⸣ ス⸢ミティ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢プー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [ʔa⸢ranuːnuba⸣ ʃi⸢giʔaːʃi̥ti⸣ ʔa⸢ka⸣ʣumikiːnu ⸣kaːʃi ʔa⸢gairuba⸣ su⸢miti⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢puː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (粗布を継ぎ合わせ、ヒルギの皮で赤く染めて舟の帆を作られた) 1330 0 0 1231 htmvoc_1330.wav アラヌール ア⸢ラヌー⸣ル [ʔa⸢ranuː⸣ru] 名 粗塗り。下塗り。壁や家具類の塗装で最初にざっと塗ること。 カ⸢ツシンヌ ペン⸣キーン ア⸢ラヌー⸣ル ⸢シーティル オーヌーロー ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃinnu peŋ⸣kiːŋ ʔa⸢ranuː⸣ru ⸢ʃiːtiru ʔoːnuːroː soːt⸣ta] (カツオ漁船のペンキも粗塗り<下塗り>をしてから上塗りをされた) 1331 0 0 1232 htmvoc_1331.wav アラバー ア⸢ラバー [ʔa⸢rabaː] 名 風の吹き荒ぶ場所。吹き荒れる所。「荒場」の義。 ⸣クマー カ⸢タカ⸣ヌ ⸢ナー⸣ンダ ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー ア⸢ラバー⸣ ナリティ ン⸢カーラヌ [⸣kumaː kḁ⸢taka⸣nu ⸢naː⸣nda ⸢taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː ʔa⸢rabaː⸣ nariti ʔŋ⸢kaːranu] (ここはかざよけ<風除け{EOS}防風林>がないから、台風の時は風の吹き荒れる所となって、とても対処<立ち向かい>できない) 1319 0 0 1233 htmvoc_1319.wav アラパカ ア⸢ラパカ [ʔa⸢rapaka] 名 新しく作った墓。新しく死者を葬った墓は⸢ミーパカ[⸢miːpaka]という。 ⸢バン⸣ター ッ⸢シェーラ⸣ パ⸢トゥ⸣マナテー ア⸢ラパカ⸣ ス⸢ク⸣ロール プ⸢ソー オーラン⸣シェン [⸢ban⸣taː ʃ⸢ʃeːra⸣ pa⸢tu⸣manateː ʔa⸢rapaka⸣ su⸢ku⸣roːru pu⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (私達が物心ついてからは、鳩間島で新しい墓を作られる人はおられなかった)。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ナ⸢カンブレ⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナ ア⸢ラパカ⸣ ス⸢ク⸣ローッタツォー [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ na⸢kambure⸣nu s⸢saːn⸣na ʔa⸢rapaka⸣ su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (あの家の人は中岡<ナカモリ>の下に新しい墓を作られたそうだ) 1320 0 0 1234 htmvoc_1320.wav アラパジミ ア⸢ラパジ⸣ミ [ʔa⸢rapaʤi⸣mi] 名 最初。一等はじめ。「新初め」の義。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢ラパジ⸣メー ⸢プーシン⸣シ ⸣ハッチョーリューバ ⸢クイ⸣ヤーティル カ⸢ツォー ホー⸣ソーッタツォー [pḁ⸢tuma⸣nu kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢rapaʤi⸣meː ⸢puːʃiŋ⸣ʃi ⸣hatʧoːrjuːba ⸢kui⸣jaːtiru kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːttaʦoː] (鳩間島の鰹船は、最初は帆船で八丁櫓を漕ぎながら鰹を釣られたそうだ) 1322 0 0 1235 htmvoc_1322.wav アラブシケー ア⸢ラブシケー [ʔa⸢rabuʃi̥keː] 名 屋号。⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城博氏宅)の東隣の大工修氏宅(「東大城家」の儀)や大工新吉氏宅。⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工定市氏宅)の前隣。 ア⸢ラブシケーヌ⸣ アー⸢パー⸣マー ユ⸢ナ⸣デーヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァ ヤ⸢ロー⸣リ ⸢マイトゥブ⸣レーヌ ⸢モー⸣シェンマーヌ ブ⸢ネーヌ⸣ ウヤ ヤ⸢ローッ⸣タ [ʔa⸢rabuʃi̥keːnu⸣ ʔaː⸢paː⸣maː ju⸢na⸣deːnu mi⸢doːŋ⸣ffa ja⸢roː⸣ri ⸢maitubu⸣reːnu ⸢moː⸣ʃemmaːnu bu⸢neːnu⸣ ʔuja ja⸢roːt⸣ta] (大工新吉氏宅のお祖母さんは与那田家の娘であられ、吉川家の森子氏の母親であられた)。ア⸢ラブシケーヌ⸣ ウ⸢キ⸣ナザーテー[ʔa⸢rabuʃi̥keːnu⸣ ʔu⸢ki⸣naʣaːteː](大工修氏宅<東大城家の宇慶那氏宅>)ともいう。⸢アーラ⸣・⸣ウブシケー[⸢ʔaːra⸣・⸣ʔubuʃi̥keː](東・大城家)が音韻変化して生成された合成語。大工修氏らは戦前に鳩間島漁業組合の設立に貢献され、鳩間島漁業組合のコンクリート建て冷蔵庫をカ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の前海岸に建設された 1323 0 0 1236 htmvoc_1323.wav アラフニ ア⸢ラ⸣フニ [ʔa⸢ra⸣ɸuni] 名 新造船。若年層は⸢シンゾー⸣シン[⸢ʃinʣoː⸣ʃiŋ](新造船)ともいう。カツオ漁船を石垣島の造船場で新造した。ス⸢ラウラ⸣シ[su⸢raʔura⸣ʃi](進水式)には餅を撒いて祝う習慣があった。 ア⸢ラフニ⸣ヌ ス⸢ラウラシ⸣ヌ ⸣ピンマー コー⸢シェー⸣マーン ム⸢チン ポーローッ⸣タン [ʔa⸢raɸuni⸣nu su⸢rauraʃi⸣nu ⸣pimmaː koː⸢ʃeː⸣maːm mu⸢ʧim poːroːt⸣taŋ] (新造船の進水式の日には菓子も餅も撒かれた) 1324 0 0 1237 htmvoc_1324.wav アラフルマイ ア⸢ラフル⸣マイ [ʔa⸢raɸuru⸣mai] 名 元日の朝の料理。新しいご馳走。 ⸣ソンガチ ⸢グヮンタン⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テー ⸢ザートゥク⸣ヌ ⸣マイナーティ ⸢ヤーニン⸣ズ ⸣スルイ ⸢ニントゥー⸣ シ⸢ティ⸣ ア⸢ラフル⸣マィ ⸢オーソーッ⸣タ [⸣soŋgaʧinu ⸢gwantan⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢ʣaːtuku⸣nu ⸣mainaːti ⸢jaːnin⸣ʣu ⸣surui ⸢nintuː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔa⸢raɸuru⸣mai ⸢ʔoːsoːt⸣ta] (正月元旦の朝は床神の前で家族揃って年頭の挨拶をして新年のご馳走<振舞い>を召し上がられた) 1325 0 0 1238 htmvoc_1325.wav アラマース ア⸢ラマース [ʔa⸢ramaːsu] 名 粗塩(あらしお)。精製してない結晶の粗い塩。塩焼きして取り出したばかりの粗塩。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ニ⸢チ⸣ヌ サ⸢マラン⸣ ピンマー ピ⸢ルバ シッ⸣キ ア⸢ラマーストゥ⸣ カ⸢ケー⸣シティ ⸢ブッツ⸣ナー ⸣ッシ カ⸢バ⸣シ ピ⸢ルキ⸣ナーン ッ⸢シットー⸣シ シ⸢キ⸣ルカー サ⸢マル⸣タン [ja⸢rabi⸣nu ni⸢ʧi⸣nu sa⸢maram⸣ pimmaː pi⸢ruba ʃik⸣ki ʔa⸢ramaːsutu⸣ ka⸢keː⸣ʃiti ⸢butʦu⸣naː ⸣ʃʃi ka⸢ba⸣ʃi pi⸢ruki⸣naːŋ ʃ⸢ʃittoː⸣ʃi ʃi⸢ki⸣rukaː sa⸢maru⸣taŋ] (子供の熱が下がらない<冷めない>ときは大蒜を搗いて潰し、粗塩をかき混ぜて臍にすり込みおおい被せ、頭のひよめきにもすり込んでおくと熱は冷めたよ) 1333 0 0 1239 htmvoc_1333.wav アラマイ ア⸢ラマイ [ʔa⸢ramai] 名 新米。新しく収穫した米。⸢ミーマイ[⸢miːmai](新米)ともいう。 ア⸢ラマイヌ⸣ イー バ⸢カシ⸣バ [ʔa⸢ramainu⸣ ʔiː ba⸢kaʃi⸣ba] (新米の御飯を炊きなさい) 1326 0 0 1240 htmvoc_1326.wav アラミチ ア⸢ラ⸣ミチ [ʔa⸢ra⸣miʧi] 名 新しい道。「新道(あらみち)」の義。 ア⸢ラ⸣ミチ ス⸢ク⸣リ ⸢トゥー⸣ソーッター ユ⸢カラスコー⸣ シ⸢カ⸣ミチ ナ⸢リ⸣ブヨー [ʔa⸢ra⸣miʧi su⸢ku⸣ri ⸢tuː⸣soːttaː ju⸢karasukoː⸣ ʃi⸢ka⸣miʧi na⸢ri⸣bujoː] (新しい道を作って通されたので相当に<よかるほど>近道になっているよ) 1327 0 0 1241 アラムス ア⸢ラムス [ʔa⸢ramusu] 名 新しい筵。⸢ミームス[⸢miːmusu](新品の筵)ともいう。 ア⸢ラムス⸣ シ⸢キティ⸣ ビ⸢リ オーラ⸣シバ [ʔa⸢ramusu⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ bi⸢ri ʔoːra⸣ʃiba] (新しい筵を敷いてお座りいただき<お座り御座させ>なさいよ) 115 0 0 1242 htmvoc_115.wav アラムトゥ ア⸢ラム⸣トゥ [ʔa⸢ramu⸣tu] 名 玄米または精白した米の中に混じっている籾。あらもと(粡)。「粒 阿良本」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ⸢マイ⸣ ッサイティ ア⸢ラム⸣トゥ プ⸢サイ⸣バ [⸢mai⸣ ssaiti ʔa⸢ramu⸣tu pu̥⸢sai⸣ba] (米を精白して、中の籾を拾いなさいよ)。 ⸢マイ⸣ ピ⸢キ⸣ シケーバ ユ⸢ラシ⸣シ ユ⸢ラシティ⸣ ア⸢ラム⸣トゥ プ⸢サイ [⸢mai⸣ pi̥⸢ki⸣ ʃi̥keːba ju⸢raʃi⸣ʃi ju⸢raʃi̥ti⸣ ʔa⸢ramu⸣tu pu̥⸢sai] (籾摺り臼<碾き臼>で籾摺りをして<米を挽いて>あるから、篩で篩って<揺らして>混在する籾を拾って取り除きなさい)。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸢パー⸣ヌ ⸢ムイランベー⸣ティル ア⸢ラム⸣トー ⸢ゴー⸣ラー [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸢paː⸣nu ⸢muirambeː⸣tiru ʔa⸢ramu⸣toː ⸢goː⸣raː] (碾き臼の歯が磨り減っている<萌え立たない>からアラモト<粡>が多いのだ) 1334 0 0 1243 htmvoc_1334.wav アラムニ ア⸢ラ⸣ムニ [ʔa⸢ra⸣muni] 名 荒っぽい言葉遣い。暴言。喧嘩口論。 ⸣アイヤー ア⸢ラ⸣ムニ イ⸢ズムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ マーン⸢ベーマ⸣ ヤー⸢ラヤーラ⸣シ ⸣ムネー イ⸢ジ [⸣ʔaijaː ʔa⸢ra⸣muni ʔi⸢ʣumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu maːm⸢beːma⸣ jaː⸢rajaːra⸣ʃi ⸣muneː ʔiʤi] (あんなに∂喧嘩口調で言う<荒い言葉をいう>のではない{EOS}もう少し柔らかくものはいいなさい)。ア⸢ラッパームニ[ʔa⸢rappaːmuni](荒っぽい言葉)ともいう 134 0 0 1244 htmvoc_134.wav アラムヌ ア⸢ラムヌ [ʔa⸢ramunu] 名 新しいもの。新品。⸢ミームヌ[⸢miːmunu](新品)ともいう。 ク⸢レー⸣ シゥ⸢カーラヌ⸣ ア⸢ラムヌトゥ <⸢ミームヌトゥ> カイリ [ku⸢reː⸣ si̥⸢kaːranu⸣ ʔa⸢ramunutu <⸢miːmunutu> kairi] (これは使えない{EOS}新品<新しいもの>と取り換えなさい)。 ア⸢ラムヌバ⸣ イ⸢ラ⸣ビ ⸣クー [ʔa⸢ramunuba⸣ ʔi⸢ra⸣bi ⸣kuː] (新品<新しいもの>を選んでこい)。⸢ミームヌ[⸢miːmunu](新品)ともいう。 ア⸢ラムノー⸣ <⸢ミームノ⸣ー> プサ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ramunoː⸣ <⸢miːmuno⸣ː> pu̥sa ⸢naː⸣nu] (新品は欲しくない) 1337 0 0 1245 htmvoc_1337.wav アラムヌ ア⸢ラ⸣ムヌ [ʔa⸢ra⸣munu] 名 大きなもの。粗大なもの。粗くて大まかなもの。 ア⸢ラ⸣ムノー ナン⸣ゾー プサ⸢ナー⸣ヌ ク⸢マムヌ⸣ル ⸣プサ [ʔa⸢ra⸣munoː nan⸣ʣoː pu̥sa⸢naː⸣nu ku⸢mamunu⸣ru ⸣pu̥sa] (大きなもの<粗大なもの>はあんまり欲しくない{EOS}小さなもの<細かいもの>が<ぞ>欲しい) 1338 0 0 1246 htmvoc_1338.wav アラモーキ ア⸢ラモーキ [ʔa⸢ramoːki] 名 荒儲け。荒稼ぎ。大儲け。 ア⸢ラモーキ スンティ アー⸣クンケン ⸢スンカブ⸣リ ⸢シーナン⸣ツォー [ʔa⸢ramoːki sunti ʔaː⸣kuŋken ⸢suŋkabu⸣ri ⸢ʃiːnan⸣ʦoː] (荒儲けしようとしているうちに大損をして<損を被って>しまったそうだ)。 ア⸢ラモーキ シェー⸣ル ⸣ジン ヤ⸢レー⸣ティル ア⸢ラシゥカイ シェー⸣ル⸢ナー [ʔa⸢ramoːki ʃeː⸣ru ⸣ʤiɲ ja⸢reː⸣tiru ʔa⸢rasï̥kai ʃeː⸣ru⸢naː] (荒儲けした金だから湯水のように浪費<荒使い>したのだろうよ) 135 0 1 1247 htmvoc_135.wav アラヤー ア⸢ラヤー [ʔa⸢rajaː] 名 {Mn_1}新しい家。新築の家。⸢ミーヤー[⸢miːjaː](新築の家)ともいう。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ア⸢ラヤーバ⸣ ス⸢ク⸣ローレーンツォー [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢rajaːba⸣ su̥⸢ku⸣roːreːnʦoː] (その家の人は新しい家を造られたそうだ)。 ア⸢ラヤー⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸣ウヤ サ⸢ニヤ⸣ シ⸢ミ オーラ⸣シ [ʔa⸢rajaː⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔuja sa⸢nija⸣ ʃi⸢mi ʔoːra⸣ʃi] (新しい家を造って親を喜ばせて差し上げなさい)。 135 0 2 1248 htmvoc_135.wav アラヤー ア⸢ラヤー [ʔa⸢rajaː] 名 {Mn_2}屋号。故吉川米三氏宅。 イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥ パ⸢トゥ⸣マナー ア⸢ラヤーナ⸣ル ミ⸢シン⸣マー ⸢アッ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔatu pḁ⸢tu⸣manaː ʔa⸢rajaːna⸣ru mi⸢ʃim⸣maː ⸢ʔat⸣ta⸢daː] (戦後、鳩間では吉川家だけにミシンがあったのだよ)。吉川米三氏宅。 ア⸢ラヤー⸣ナー ⸢コンクリ⸣ヌ ウ⸢ブミジタン⸣クーン ス⸢ク⸣ローレータン [ʔa⸢rajaː⸣naː ⸢koŋkuri⸣nu ʔu⸢bumiʤitaŋ⸣kuːn su̥⸢ku⸣roːreːtaŋ] (吉川家ではコンクリート造りの大きな水タンクも造られてあった) 1341 0 0 1249 htmvoc_1341.wav アラワリルン ア⸢ラワリ⸣ルン [ʔa⸢rawari⸣ruŋ] 自動 現われる。 ク⸢クル⸣ヌ ウ⸢ムイ⸣ヤー シ⸢ラカタ⸣チナ ア⸢ラワリルン⸣ドゥ ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢ピッ⸣チン ア⸢ラワリラン⸣バン [ku̥⸢kuru⸣nu ʔu⸢mui⸣jaː ʃi⸢rakata⸣ʧina ʔa⸢rawarirun⸣du ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢rawariram⸣baŋ] (心の思いは顔貌に現われるが、このことはちっとも現れない) 1343 0 0 1250 htmvoc_1343.wav アラン⸠ユー ア⸢ラン⸠ユー [ʔa⸢raŋ⸠juː] 連 ~ではありませんよ。ア⸢ラ⸣ヌ[ʔa⸢ra⸣nu](~でない)の丁寧な表現。助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の未然形に打ち消しの助動詞ヌ[nu](~ない)の終止形が付き、丁寧の終助詞⸢ユー[juː]が下接した形 1342 0 0 1251 htmvoc_1342.wav アランカー ア⸢ラン⸣カー [ʔa⸢raŋ⸣kaː] 連 でなかったら。助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の未然形に打ち消しの助動詞ヌ[nu](~ない)の連体形が付き、更に接続助詞⸣カー[⸣kaː](もし~なら<~たら>)が付いて仮定条件を導く。 ⸢ワー⸣ ア⸢ラン⸣カー ⸢タール⸣ ク⸢ヌ⸣ ヤー シ⸢グワ [⸢waː⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸢taːru⸣ ku⸢nu⸣ jaː ʃi⸢guwa] (君でなければ誰がこの家を継ぐのか)。 ⸣バー ク⸢リバ ドゥー⸣ヌ ⸣ムヌティ ア⸢ズタヌ フントー⸣ ア⸢ラン⸣カー ⸢ヌー⸣スワメー [⸣baː ku⸢riba duː⸣nu ⸣munuti ʔa⸢ʣutanu ɸuntoː⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸢nuː⸣suwameː] (私は、これを自分のものだと言ったが、正しくなければ<本当でなければ>どうしようか) 1344 0 0 1252 htmvoc_1344.wav アリ ⸢ア⸣リ [⸢ʔa⸣ri] 感 ほら。そら。それ。あら。 ⸣アリヒャー ⸣カマーラ ⸢ズンサ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン⸢ドー パー⸣ク ナ⸢キヤミリ [⸣ʔariçaː ⸣kamaːra ⸢ʣunsa⸣nu ⸢ʔoː⸣run⸢doː paː⸣ku na⸢kijamiri] (そら、たいへんだぞ{EOS}あそこから巡査がいらっしゃるぞ{EOS}早く泣くのを止めなさい) 1346 0 0 1253 htmvoc_1346.wav アリー ⸣アリー [⸣ʔariː] 名 あらい(洗膾)。お汁の実となる魚肉や豚肉、野菜類など。[ʔarai] → [ʔareː] → [ʔariː] の音韻変化による。 ⸢スー⸣ヌ ⸣アレー カ⸢ツヌ⸣ ハ⸢ラゴー⸣トゥ シ⸢ビラ⸣ イ⸢リリ⸣バ [⸢suː⸣nu ⸣ʔareː kḁ⸢ʦunu⸣ ha⸢ragoː⸣tu ʃi⸢bira⸣ ʔi⸢riri⸣ba] (お汁のあらい<洗膾>にはカツオの腹皮とわけぎ<分葱>を入れなさいよ) 1345 0 0 1254 htmvoc_1345.wav アリアリ ⸣アリアリ [⸣ʔariʔari] 感 それそれ。ほらほら。⸣ウリウリ[⸣ʔuriuri](それそれ)ともいう。 ⸣アリアリ ⸣カマーラ ⸢ビープス⸣ヌ クーン⸢ドー パー⸣ク ⸢ピン⸣ギパリ [⸣ʔariʔari ⸣kamaːra ⸢biːpu̥su⸣nu kuːn⸢doː paː⸣ku ⸢piŋ⸣gipari] (ほらほら、むこうから酔っ払いが来るぞ{EOS}早く逃げていきなさい) 1347 0 0 1255 htmvoc_1347.wav アリガタイクトゥ ア⸢リガタイ⸣ クトゥ [ʔa⸢rigatai⸣ ku̥tu] 連 有り難いこと。若年層の言葉で、標準語からの借用語。老年層は、フ⸢コーラサー⸣ル ⸣クトゥ[ɸu̥⸢koːrasaː⸣ru ⸣ku̥tu](有り難いこと<感謝したいこと、気持ち{EOS}身にしみて嬉しいこと>)という 1351 0 0 1256 htmvoc_1351.wav アリズー ア⸢リ⸣ズー [ʔa⸢ri⸣ʣuː] 名 在り所。在り処。家、建物、田畑などのあるところ。存在する所。⸣アルントン[⸣ʔaruntoŋ](在り処)、⸣アントン[ʔantoŋ](在り処)ともいう。 ⸢ウン⸣ネヌ ア⸢リ⸣ゾー サ⸢バキグリ⸣サン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu ʔa⸢ri⸣ʣoː sa⸢bakiguri⸣san⸢daː] (その家の在り処は探し求めることが難しい<捌きずらい>よ)。 ⸢ダイ⸣チョーナー ⸢ヌーリブヌンドゥ⸣ ク⸢ヌ⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢リズヌン⸣ドゥ ッ⸢サン⸣ツォー [⸢dai⸣ʧoːnaː ⸢nuːribunundu⸣ ku⸢nu⸣ pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢riʣunun⸣du s⸢san⸣ʦoː] (台帳には登載されて<載って>いるが、この畑の在り処が<ぞ>わからない<知らない>のだよ) 1352 0 0 1257 htmvoc_1352.wav アリタボーリ ⸣アリ タ⸢ボー⸣リ [⸣ʔari ⸢taboː⸣ri] 連 ~であってください。~でいらっしゃって下さい。~でおわしませ。「あり賜われ」の転訛したもの。 ⸢ピャー⸣クパタチ⸢バー⸣キ ⸢ガン⸣ゾー ⸣アリ タ⸢ボー⸣リ [⸢pjaː⸣kupḁtaʧi ⸢baː⸣ki ⸢gan⸣ʣoː ⸣ʔari ta⸢boː⸣ri] (百二十歳まで健康でいらっしゃって<頑丈であって>下さい) 1355 0 0 1258 htmvoc_1355.wav アリッサルン ⸣アリッサルン [⸣ʔarissaruŋ] 自動 常に有り余るほど沢山ある。満ち溢れている。十二分にある。卑語。「有り・腐れる」の義。 ⸣ヌーンクイン ⸣アリッサルンケン ア⸢リ⸣ルブー ⸢ナーン⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸣nuːŋkuiŋ ⸣ʔarissaruŋkeŋ ʔa⸢ri⸣rubuː ⸢naːm⸣munoː ⸢naː⸣nu] (なにもかも有り余るほど満ち溢れて<ぞ>ある{EOS}ないものはない) 1369 0 0 1259 htmvoc_1369.wav アリドゥー ア⸢リドゥー [ʔa⸢riduː] 名 荒海。灘。沖の荒海。 パ⸢トゥ⸣マプソー フ⸢ユヌ⸣ シチェー ア⸢リドゥーバ クイヤー⸣ティ ニ⸢シェー パ⸣ヤー バ⸢タリドゥ タースク⸣ル ⸢ソーッ⸣タ [pa⸢tu⸣mapusoː ɸu⸢junu⸣ʃi̥ʧeː ʔa⸢riduːba kuijaː⸣ti ni⸢ʃeː pa⸣jaː ba⸢taridu taːsï̥ku⸣ru soːt⸣ta] (鳩間人は冬の季節には荒海<荒れた鳩間水道>を越えて北へ南へ渡り水田耕作<田圃作り>をなされた) 1370 0 0 1260 htmvoc_1370.wav アリヒャー ⸣アリヒャー [⸣ʔariçaː] 感 そら大変。それ大変。それ見ろ。他人を驚かす際に言うことば。⸣ヒャー[çaː](~野郎{EOS}~やつ)は人を罵り、悪しざまにいう意味の接尾語。⸣ウリヒャー[⸣ʔuriçaː](そら大変、それ見ろ)と同じ。 ⸣アリヒャー ⸣カマーラ プ⸢スファイ サバヌ⸣ クン⸢ドー ⸢ピンギ⸣リ [⸣ʔariçaː ⸣kamaːra pu̥⸢suffai sabanu⸣ kun⸢doː piŋgi⸣ri] (それ<大変だ>{EOS}あそこから人食い鮫が来るぞ、逃げろ) 1354 0 0 1261 htmvoc_1354.wav アリフクリ ア⸢リフク⸣リ [ʔa⸢riɸu̥ku⸣ri] 名 ものが有り余って、もののありがたさを知らないこと。 ⸣ヌーンクイン ⸣スルイティ ア⸢リフク⸣リ ⸢シー ブンダル⸣ ム⸢ヌアタラ⸣サティ ⸢スームノー⸣ ッ⸢サヌ [⸣nuːŋkuin ⸣suruiti ʔa⸢riɸu̥ku⸣ri ⸢ʃiː bundaru⸣ mu⸢nuʔatara⸣sati ⸢suːmunoː⸣ s⸢sanu] (何もかも揃って有り余っているので、ものを大切にすること<ものを惜しむべきこと>を知らない) 1353 0 0 1262 htmvoc_1353.wav アリプサン ア⸢リ⸣プサン [ʔa⸢ri⸣pusaŋ] 連 ありたい。存在詞⸣アン[ʔaŋ](在る{EOS}有る)の連用形に形容詞型助動詞⸣プサン[pu̥saŋ](~たい{EOS}~欲しい)が下接した形。 ⸢ジン⸣マー ア⸢リ⸣プサン [⸢ʤim⸣maː ʔa⸢ri⸣pusaŋ] (金は欲しい<有りたい>)。 プ⸢スヌ⸣ ムノー ア⸢リ⸣プサ ス⸢ナ⸣ヨー [pu̥⸢sunu⸣ munoː ʔa⸢ri⸣pu̥sa su⸢na⸣joː] (他人のものを欲しがるな<有りたくするな>よ{EOS}他人のものを欲しがるでないぞ) 1371 0 0 1263 htmvoc_1371.wav アリヨーアリヨー ア⸢リヨーアリヨー [ʔa⸢rijoːʔarijoː] 感 あれよあれよ。ああっ!助けてー!驚きうろたえて人を呼ぶときに発することば。乳児が縁側から落ちそうになったとき等、危機一髪のところを母親が見つけて絶叫することば。 ⸢アリヨーアリヨー⸣ ウ⸢ティ⸣ルン⸢ドー [⸢ʔarijoːʔarijoː⸣ ʔu⸢ti⸣run⸢doː] (あれよあれよ{EOS!}落ちるぞ{EOS!}) 1372 0 0 1264 htmvoc_1372.wav アリヨークリヨー ア⸢リヨークリ⸣ヨー [ʔa⸢rijoːkuri⸣joː] 名 あれこれと苦労すること。 ア⸢リヨークリ⸣ヨー ⸢シェーテイ⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァバ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシタル [ʔa⸢rijoːkuri⸣joː ⸢ʃeːti⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ʔu⸢bi⸣nu f⸢faba⸣ sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃitaru] (あれやこれやと苦労をして、やっとであれだけの子供を養い育てた<成長させた>のだ) 1356 0 0 1265 htmvoc_1356.wav アリルン ア⸢リルン [ʔa⸢riruŋ] 自動 荒れる。天候が悪化して海が荒れる。強風が吹いて大波が立つ。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤ⸢ブ⸣ルカー ⸢マイ⸣ヌ ⸢トゥーヤ⸣ ア⸢リルンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ア⸢リランバン [⸢ʔoːʃi̥kinu⸣ ja⸢bu⸣rukaː ⸢mai⸣nu ⸢tuːja⸣ ʔa⸢rirunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢rirambaŋ] (天候が崩れ<破れ>ると前の海峡<渡>は荒れると思ったが、あまり荒れないわい)。 ユ⸢カラスコー⸣ ア⸢リブーバン [ju⸢karasu̥koː⸣ ʔa⸢ribuːbaŋ] (相当荒れているわい)。 ア⸢リル⸣ ピンヌン ⸣アン [ʔa⸢riru⸣ pinnuŋ ⸣ʔaŋ] (荒れる時<日>もある) 1375 0 0 1266 htmvoc_1375.wav アリンナーン ⸣アリン ⸢ナー⸣ン [⸣ʔarin ⸢naː⸣ŋ] 連 あってもなくても。 ⸣アリン ⸢ナー⸣ン プ⸢スピライヤ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔarin ⸢naː⸣m pu̥⸢supiraija saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (金があろうとなかろうと人<世間>との交際はしなくてはならない) 1357 0 0 1267 htmvoc_1357.wav アル ⸣アル [⸣ʔaru] 連体 或る。どれと具体的に示さず、漠然とその存在を示して叙述する時に使う語。 ム⸢カ⸣シ ⸣アル ⸢トン⸣ナー ア⸢ブジェーマ⸣トゥ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔaru ⸢ton⸣naː ʔa⸢buʤeːma⸣tu ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔoːttan⸣ʦoː] (昔、或る所におじいさんとおばあさんがいらっしゃったそうな) 1361 0 0 1268 htmvoc_1361.wav アルウビ ⸣アル ⸣ウビ [⸣ʔaru ⸣ʔubi] 連 あるだけ。 ⸣クナー ⸣アル ウ⸢ビ⸣ル ⸣アル ⸢マービン⸣マー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kunaː ⸣ʔaru ʔu⸢bi⸣ru ⸣ʔaru ⸢maːbim⸣maː ⸢naː⸣nu] (ここにあるだけしかない<ここにあるだけがある>{EOS}それ以上<もっと>はない) 1348 0 0 1269 htmvoc_1348.wav アルカカラー アル⸢カカ⸣ラー [ʔaru⸢kaka⸣raː] 副 悉く。総て。あるものは総て。ありったけ。アルカ⸢カ⸣ジラー[ʔarukḁ⸢ka⸣ʤiraː](悉く{EOS}あるもの総て)ともいう。 ⸢ジン⸣ヌ アル⸢カカ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ミ ⸢クータン⸣ドゥ タ⸢ラーサラヌ [⸢ʤin⸣nu ʔaru⸢kaka⸣raː muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢kuːtan⸣du ta⸢raːsaranu] (お金の総てを集めてきたが足りない<足らされない>)。 ⸢ドング⸣ヌ アル⸢カカ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ミ ⸢クーバ⸣ル タ⸢ラーサリル [⸢doŋgu⸣nu ʔaru⸢kaka⸣raː muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢kuːba⸣ru ta⸢raːsariru] (道具のありったけを総て集めてこないと足りない<~集めてくればぞ足らされる>) 1349 0 0 1270 htmvoc_1349.wav アルクトゥナーンクトゥ ⸣アルクトゥ ⸢ナーン⸣クトゥ [⸣ʔarukutu ⸢naːŋ⸣kutu] 連 本当のことと嘘。実際にあることと実在しないこと。本当のことから嘘まで総て。「あること・ないこと」の義。 ア⸢バッ⸣ツァー ⸢マーシ⸣ノ ⸣アルクトゥ ⸢ナーン⸣クトゥ イ⸢ジッツァーシ⸣ シケーンティ [ʔa⸢bat⸣ʦaː ⸢maːʃi⸣no ⸣ʔaruku̥tu ⸢naːŋ⸣ku̥tu ʔi⸢ʤitʦaːʃi⸣ ʃi̥keːnti] (お喋りやつめが、本当のことも嘘のこともまぜこぜにして言いふらして<言い散らして>あるよ) 1359 0 0 1271 htmvoc_1359.wav アルシゥカイ ⸣アルシゥカイ [⸣ʔarusï̥kai] 名 金が有るからといって湯水のように使うこと。乱費すること。無駄遣い。 ⸢ジン⸣ヌ ⸣アルカー ⸣アルシゥカイ ⸢シー⸣ キ⸢ナイヤー⸣ マイ ⸢ユーザラヌ [⸢ʤin⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣ʔarusï̥kai ⸢ʃiː⸣ ki⸢naijaː⸣ mai ⸢juːʣaranu] (金があればあったで乱費して、家庭生活は前へ進めない) 1362 0 0 1272 htmvoc_1362.wav アルトゥール ⸣アル⸢トゥー⸣ル [⸣ʔaru ⸢tuː⸣ru] 連 ありのまま。そのとおり。あるとおり。「在る・通り」の義。⸣ウヌ ⸣トゥール[⸣ʔunu ⸣tuːru](その通り、そのまま)ともいう。 ス⸢コー⸣ルカー ⸣アル ⸢トゥー⸣ル ⸣アジ ッ⸢サリリ [su̥⸢koː⸣rukaː ⸣ʔaru ⸢tuː⸣ru ⸣ʔaʤi s⸢sariri] (お尋ねになったら<聞かれたら>ありにまま申し上げなさい<言ってしられれ>) 1358 0 0 1273 htmvoc_1358.wav アルピン ⸣アル ⸣ピン [⸣ʔaru ⸣piŋ] 連 ある時。ある日。 ム⸢カ⸣シ ⸣アルピン ウ⸢ランタシン⸣ヌ ⸢ナー⸣リ ⸣ケータンツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔarupiŋ ʔu⸢rantaʃin⸣nu ⸢naː⸣ri ⸣keːtanʦoː] (昔ある日、オランダ船が流れてきたそうだ) 1350 0 0 1274 htmvoc_1350.wav アルムヌナーンムヌ ⸣アルムヌ ⸢ナーン⸣ムヌ [⸣ʔarumunu ⸢naːm⸣munu] 連 ある物総て。ありったけ。「ある物・無い物」の義。 ⸣アルムヌ ⸢ナーン⸣ムヌ ムー⸢ル⸣ ン⸢ザ⸣シ ミ⸢ラ⸣シバ [⸣ʔarumunu ⸢naːm⸣munu muː⸢ru⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi mi⸢ra⸣ʃiba] (ある物無い物総て出して見せなさいよ)。 ⸢ヤー⸣ナ ⸣アルムノー ⸣アルムヌ ⸢ナーン⸣ムヌ ムー⸢ル⸣ ン⸢ザ⸣シクー [⸢jaː⸣na ⸣ʔarumunoː ⸣ʔarumunu ⸢naːm⸣munu muː⸢ru⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃikuː] (家にあるものは総て出してきなさい)。 ⸣アル ⸢リー⸣ヤ ⸢トーサラ⸣ヌ ⸢ナー⸣ン ⸢リー⸣ヤ タ⸢ティララ⸣ヌ [⸣ʔaru ⸢riː⸣ja ⸢toːsara⸣nu ⸢naː⸣n ⸢riː⸣ja tḁ⸢tirara⸣nu] (ある事例<伝統的な先例>は廃止できない<倒されない>{EOS}無い例<先例の無い事例>は立てられない) 1364 0 0 1275 htmvoc_1364.wav アレークトゥ ⸣アレー ⸣クトゥ [⸣ʔareː ⸣ku̥tu] 連 あったこと。動詞⸣アン[⸣ʔaŋ](在る)の已然形に動詞⸣アン[⸣ʔaŋ](有る)の連体形が付いて、[ari] + [aru] → [ariaru] → [areːru] が形成され、ru語尾が弱化して脱落した形。 ウ⸢レー フン⸣トー ム⸢カ⸣シナ ⸣アレー ⸣クトゥ ヤ⸢ルンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢reː ɸun⸣toː mu⸢ka⸣ʃina ⸣ʔareː ⸣ku̥tu ja⸢runda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (それは本当に昔にあったことだから、気をつけなさいよ) 1378 0 0 1276 htmvoc_1378.wav アローナ ア⸢ロー⸣ナ [ʔa⸢roː⸣na] 名 初耕。最初の田打ち。荒打ち。「荒熟し(あら・こなし)」の義。[ara・konaʃi] → [arakunaʃi] → [arafunaʃi] → [arauna] → [aroːna] と音韻変化したもの。初耕は田の水を落とし、犂を牛に引かせて犂の先で土を切り、箆状の部分で土塊を反転させて耕す。これによって稲の刈り株を土中に埋めた。耕牛を持たない人は⸢キー⸣パイ[⸢kiː⸣pai](木製の鍬)を使ってス⸢リ⸣バイ[su⸢ri⸣bai](刈り株)を反転させて土中に埋めるように耕した。 カ⸢ツシントゥ⸣ イ⸢ガウミン(イ⸢ガメーン)⸣ ウ⸢ワーリ ズング⸣ヤーン ウ⸢チナ⸣スカー ⸣イダフネーラ ⸢パイ⸣ター バ⸢タリ⸣ ア⸢ロー⸣ナ ソーッタ [kḁ⸢ʦuʃintu⸣ ʔi⸢gaumiŋ<ʔi⸢gameːŋ>⸣ ʔu⸢waːri ʣuŋgu⸣jaːŋ ʔu⸢ʧina⸣su̥kaː ⸣ʔidaɸuneːra ⸢pai⸣taː ba⸢tari⸣ ʔa⸢roː⸣na ⸢soːt⸣ta] (鰹漁業<鰹船>と烏賊釣り漁<烏賊海>も終わり、十五夜祭りも済ませるとサバニ<板舟>でパイター<南方、鳩間島の南方{EOS}対岸の水田地帯{EOS}西表島の北岸>へ渡り、田圃の荒打ち<初耕>をなされた)。マ⸢トーナ[ma⸢toːna](二度打ち{EOS}二度耕し{EOS}「またこなし」の義)、⸢サン⸣トゥ[⸢san⸣tu](三度打ち{EOS}三度耕し)の対義語 1379 0 0 1277 htmvoc_1379.wav アロールン ア⸢ロー⸣ルン [ʔa⸢roː⸣ruŋ] 自動 おありになる。あられる。⸣アン[⸣ʔaŋ](ある)の敬語動詞。「有り・おわす<在す>」の転訛したもの。対象となる存在者、動作主に対する高い敬意を表す。 ⸢ワー⸣ ウヤー ⸣ザイサンヌ ア⸢ロー⸣ルンダ ア⸢ローラン⸣ プ⸢ス⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔujaː ⸣ʣaisannu ʔa⸢roː⸣runda ʔa⸢roːram⸣ pu̥⸢su⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢soːja naː⸣nu] (君の親は財産がおありになるから、おありにならない人に比べると心配はない) 1380 0 0 1278 htmvoc_1380.wav アワイシ ア⸢ワ⸣イシ [ʔa⸢wa⸣iʃi] 名 堆積砂岩。砂が堆積して固まって形成されたといわれる岩石。石垣島の資産家ではこれを削り整形して石垣を積むのに利用したり、壁用に利用されたが鳩間島では、そのような家はない。 パ⸢トゥ⸣マナーテー ア⸢ワ⸣イシシ ⸢グス⸣ク シ⸢モー⸣レー ⸢ヤー⸣ヤ ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢tu⸣manaːteː ʔa⸢wa⸣iʃiʃi ⸢gusu⸣ku ʃi⸢moː⸣reː ⸢jaː⸣ja ⸢naː⸣nu] (鳩間島ではアワイシ<砂岩>で石垣を積まれた家はない) 1365 0 0 1279 htmvoc_1365.wav アワザキ ア⸢ワザ⸣キ [ʔa⸢waʣa⸣ki] 名 粟酒。粟で醸造した酒。歌謡語。古典民謡パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)で歌われている 1366 0 0 1280 htmvoc_1366.wav アワミサク ア⸢ワミサ⸣ク [ʔa⸢wamisa⸣ku] 名 粟で醸造した神酒。歌謡語。古典民謡パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)で歌われている。ウ⸢ミサ⸣ク[ʔu⸢misa⸣ku](お神酒)の項参照 1381 0 0 1281 htmvoc_1381.wav アワリ ア⸢ワ⸣リ [ʔa⸢wa⸣ri] 名 難儀苦労。苦しみ。悲哀。「哀れ」の転訛したもの。歌謡語。/フンヌヨー アワリヌ ミチヤリバ/(誠に哀れ<悲哀・憐憫>な道だから~)『念仏歌・<兄の声>』。会話では、⸢アウ⸣リ[⸢ʔau⸣ri](難儀{EOS}苦労)というのが普通。 ⸣ウスマイヤー ウ⸢ナター⸣ トゥ⸢ジブトゥ タンガシ⸣シ ピ⸢ラ⸣クサーリ ク⸢バシター⸣ヌ ター カ⸢クンティ⸣ ア⸢ワリ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ ⸢ソー⸣レーン [⸣ʔusumaijaː ʔu⸢nataː⸣ tu⸢ʤibutu taŋga⸣ʃi pi⸢ra⸣kusaːri ku⸢baʃi̥taː⸣nu ⸣taː kḁ⸢kunti⸣ ʔa⸢wari⸣nu ⸢goː⸣kaʤi ⸢soː⸣reːŋ] (ウスマイは自分たち夫婦だけで<おのがじし>極寒のなかをク⸢バシ⸣ター{SqBr}ku⸢baʃi̥⸣taː{/SqBr}の新田を開墾しようとして大変厳しい苦労をなされた) 1383 0 0 1282 htmvoc_1383.wav アワリクチサ ア⸢ワ⸣リクチサ [ʔa⸢wa⸣rikuʧisa] 名 艱難辛苦。難儀苦労。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ッ⸢ふームン ナー⸣ン ⸢ウイ⸣ナー ⸢プーキバー⸣キ ⸢フシゥ⸣カリ ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティ イ⸢カムス⸣ク ア⸢ワ⸣リクチサ ⸢シェー⸣ワ⸢ツォー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː f⸢fuːmun naː⸣ŋ ⸢ʔui⸣naː ⸢puːkibaː⸣ki ⸢ɸusï̥⸣kari ʔu⸢bi⸣nu f⸢fa⸣ sï̥⸢ka⸣naunti ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔa⸢wa⸣riku̥ʧisa ⸢ʃeː⸣wa⸢ʦoː] (太平洋戦争の後は食料もない上にマラリア<風気{EOS}風土病>まで罹患<取り付き>し、あれだけの子供を養い育てようとどれほど難儀苦労をしたことか) 1382 0 0 1283 htmvoc_1382.wav アワリヌゴーカジ ア⸢ワリ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ [ʔa⸢wari⸣nu ⸢goːka⸣ʤi] 連 哀れ(難儀苦労)の数々。あらゆる難儀苦労。厳しい難儀苦労。 ア⸢ワリ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ ⸢シー ミッ⸣タン [ʔa⸢wari⸣nu ⸢goː⸣kaʤi ⸢ʃiː mit⸣taŋ] (難儀苦労の限りをしてみた<経験してみた>) 1384 0 0 1284 htmvoc_1384.wav アワリヨーリ ア⸢ワ⸣リヨーリ [ʔa⸢wa⸣rijoːri] 名 難儀苦労。体を悪くするほどの苦労。 カ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ バ⸢カー⸣ンケン ア⸢ワ⸣リヨーリ ⸢スン⸣ケン パ⸢タラキティル⸣ パ⸢ヤ⸣ジニ ⸢シェー⸣ル キ⸢ムイ⸣ツァー [ka⸢nu⸣ pu⸢soː⸣ ba⸢kaː⸣ŋkeŋ ʔa⸢wa⸣rijoːri ⸢suŋ⸣kem pa⸢tarakitiru⸣ pa⸢ja⸣ʤini ⸢ʃeː⸣ru ki⸢mui⸣ʦaː] (あの人は若い時に体を痛めるほどの苦しい仕事をして<ぞ>早死にしてしまったのだ{EOS}気の毒に<肝痛さよ>) 1386 0 0 1285 htmvoc_1386.wav アヲーン ア⸢ヲー⸣ン [ʔa⸢woː⸣ŋ] 形 青い。 ⸢ティンマー⸣ ア⸢ヲー⸣ン [⸢timmaː⸣ ʔa⸢woː⸣ŋ] (空<天>は青い)。 ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ヲー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢woː naː⸣nu] (あまり青くない)。 ⸢シンダイ⸣ ア⸢ヲー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔa⸢woː⸣ naruŋ] (次第に青くなる)。 ア⸢ヲー⸣ ムノー <⸢アウムノー⸣> トゥ⸢ル⸣ナ [ʔa⸢woː⸣ munoː <⸢ʔaumunoː⸣> tu⸢ru⸣na] (青いものは取るな)。 ⸢マー⸣ビン ア⸢ヲー⸣カー ⸣ミサ ムヌ⸢ナー [⸢maː⸣biŋ ʔa⸢woː⸣kaː ⸣misa munu⸢naː] (もっと青ければ良いのになあ) 1387 0 0 1286 htmvoc_1387.wav アン ⸣アン [⸣ʔaŋ] 名 網。ム⸢ジ⸣アン[mu⸢ʤi⸣ʔaŋ](極細目の網)、ス⸢クアン[su⸢kuʔaŋ](底網)、⸣キタアン[⸣kitaʔaŋ](桁網)、パ⸢リアン[pa⸢riʔaŋ](張り網)などがある。 ⸣アン ウ⸢ラ⸣スン [⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣suŋ] (網を下ろす{EOS}追い込み漁をする)。 ⸣アン ス⸢クン [⸣ʔan su̥⸢kuŋ] (網を編む{EOS}網の破れを繕う)。 ⸣アン ⸣プスン [⸣ʔam ⸣pusuŋ] (網を干す)。 ⸣ガヤヤーヌ ティ⸢ジ⸣ナー ⸣アン カ⸢バ⸣シティ カ⸢ジフキヌ⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ヨー [⸣gajajaːnu ti⸢ʤi⸣naː ⸣ʔaŋ ka⸢ba⸣ʃi̥ti ka⸢ʤiɸu̥kinu⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣joː] (茅葺き屋根の甍<\ruby{頂}{イタダキ}>に網を被せて台風<風吹き>の対策<格護>をしなさい) 1388 0 0 1287 htmvoc_1388.wav アン ⸣アン [ʔan] 名 餡(あん)。ア⸢ガマミヌ⸣ アン[ʔa⸢gamaminu⸣ʔaŋ](小豆の餡)、ク⸢マミヌ⸣ アン[ku⸢maminu⸣ʔaŋ](緑豆、<ヤエナリ>の餡)、⸢ミー⸣スアン[⸢miː⸣suʔaŋ](味噌餡)などがある。 ア⸢ガマミバ ネーシティ⸣ ッ⸢ふサタ⸣トゥ マ⸢ザー⸣シティ ⸣アン ス⸢ク⸣リ [ʔa⸢gamamiba neːʃiti⸣ f⸢fusata⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ⸣ʔan su̥⸢ku⸣ri] (小豆を煮て黒砂糖と混ぜて餡をを作りなさい) 1389 0 1 1288 htmvoc_1389.wav アン ⸣アン [ʔaŋ] 自動 {Mn_1}ある(有る、在る)。対義語は、⸢ナー⸣ヌ[⸢naː⸣nu](無い)。 カ⸢レー ジン⸣マー ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸣アン [ka⸢reː ʤim⸣maː ja⸢masï̥⸣ka ⸣ʔaŋ] (彼は、金はたくさんある<有>)。 ⸢ジンフク⸣ルナー ⸢ジン⸣マー ⸣アン [⸢ʤiŋɸu̥ku⸣runaː ⸢ʤim⸣maː ʔaŋ] (財布<金袋>には金はある<在>)。 ⸢ジン⸣マー ⸣ウナーン ⸣カナーン ⸣アン [⸢ʤim⸣maː ⸣ʔunaːŋ ⸣kanaːŋ ⸣ʔaŋ] (金は、ここにもあそこにもある)。 ⸣アイブ ⸣クトゥーン ⸣アン [⸣ʔaibu ⸣kutuːŋ ʔaŋ] (そんなこともある)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣アルンケンナー ⸢ギーッティ⸣ クー⸢ディー [ti⸢da⸣nu ⸣ʔaruŋkennaː ⸢giːtti⸣ kuː⸢diː] (日があるうちに<太陽が照っているうちに>行ってこようよ)。 ⸢ジン⸣マー ⸣アリティ ⸢ナーン⸣ティ ア⸢ジ アー⸣ク [⸢ʤim⸣maː ⸣ʔariti ⸢naːn⸣ti ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (お金はあるのに<有って>無いといっている)。 ⸢ジン⸣ヌ ⸣アル ⸣ピンマー サ⸢ニ⸣ヤン [⸢ʤin⸣nu ⸣ʔaru ⸣pimmaː sa⸢ni⸣jaŋ] (金のある時は嬉しい)。 ⸢マー⸣ビン ⸣アレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣ʔareː ⸣misamunu] (もっと有れば良いのに)。⸣アン[⸣ʔaŋ](ある)は、動詞としてのはたらきのほか、次のように用いられる。 1389 0 2 1289 htmvoc_1389.wav アン ⸣アン [ʔaŋ] 自動 {Mn_2}形容詞語幹に接尾辞「サ」をつけて、それと結合して活用形をつくるが、この例は少ない。 ⸢ヌッ⸣サン [⸢nus⸣saŋ] (温い)。 ピ⸢ルマ⸣サン [pi⸢ruma⸣saŋ] (珍しい)。鳩間方言形容詞の多くは、形容詞語幹に直接に「有り・ム」がついて形成されるものが多い。タ⸢カー⸣ン[ta⸢kaː⸣ŋ](高い)、ピ⸢コー⸣ン[pi⸢koː⸣ŋ](低い)、⸢トゥー⸣ワン[⸢tuː⸣wan](遠い)、ウ⸢カ⸣ヤン[ʔu⸢ka⸣jaŋ](おかしい)、バ⸢カ⸣ヤン[ba⸢ka⸣jan](恥ずかしい)など。【活用形と用例】。(i)未然形。 ア⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢ra⸣nu] (~でない)。 ウ⸢レー バー⸣モー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː ⸢baː⸣ moː ʔa⸢ra⸣nu] (それは私のではない) ク⸢レー ワー⸣ ア⸢ラン⸣カー ⸢ター⸣ヤ [ku⸢reː waː⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸢taː⸣ja] (これは君でなければ誰か) ミ⸢ク⸣ミ ア⸢ラ⸣スン [mi⸢ku⸣mi ʔa⸢ra⸣suŋ] (見込みあらせる、見込みあるようにする))。(ii)連用形。 ギュー⸢サン⸣ ア⸢リン⸣ギサン [gjuː⸢saŋ⸣ ʔa⸢riŋ⸣gisaŋ] (いくらでも有りそうだ) ウ⸢ヌアタ⸣ロー ア⸢リ⸣ル ⸢スー [ʔu⸢nuata⸣roː ʔa⸢ri⸣ru ⸢suː] (それくらいは有りぞする))。(iii) 終止形。 ⸣カマナー ⸣ヌーンクイン ⸣アン [⸣kamanaː ⸣nuːŋkuiŋ ⸣ʔaŋ] (あそこには何もかも有る)。{シルウチヌ メーヌウチ ヤーバシゥクリ アンティスー ウリユ ミューナーキャームイ(「ヤーヌフンシキ アーパーレー」歌)}、⸣ウナー アンティ⸢ゲ⸣ラ[ʔunaː ʔanti⸢ge⸣ra](そこに有るさ)、⸣ウナー ス⸢ムチ⸣ヌ ⸣アン[⸣ʔunaː su⸢muʧi⸣nu ʔaŋ](そこに書物がある)。(iv)連体形1。 ⸣カナー ⸣アルムノー ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ミクー [⸣kanaː ⸣ʔarumunoː muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mikuː] (あそこにあるものは全部集めてこい) ウ⸢ビ⸣ル ⸣アル ⸢マービン⸣マー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣ru ⸣ʔaru ⸢maːbim⸣maː ⸢naː⸣nu] (これだけしかない<これだけぞある>、もっと多く<他に>はない))。(v) 連体形2。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣アルンケンナー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シ [ti⸢da⸣nu ⸣ʔaruŋkennaː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi] (太陽があるうちに畑を耕せ)。(vi) 已然形。 ⸢マー⸣ビン ⸣アレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣ʔareː ⸣misamunu] (もっと有れば良いのに) 1429 0 0 1290 htmvoc_1429.wav アン ⸢アン [⸢ʔaŋ] 名 東。 ⸢アンタ [⸢ʔanta] (東の方)。 ⸢アンヌ ホー ホーラ⸣ カ⸢ジヌ⸣ フキ ⸣クン [⸢ʔannu hoːra⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ki ⸣kuŋ] (東の方から風が吹いてくる) 1430 0 0 1291 htmvoc_1430.wav アン ⸣アン [⸣ʔaŋ] 名 網。 ⸣アンシ イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣シ クー⸢ディー [⸣ʔaŋʃi ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣ʃi kuː⸢diː] (網で魚を漁獲して<繋らせて>こようよ) 1431 0 0 1292 htmvoc_1431.wav アン ⸣アン [⸣ʔaŋ] 名 餡。茹でた小豆などに砂糖を混ぜ、さらに煮て練ったもの。餅の中に包みいれるもの。 ム⸢チ⸣ナー ⸣アン イ⸢リティ アン⸣ムチ ス⸢ク⸣リバ [mu⸢ʧi⸣na ⸣ʔaŋ ʔi⸢riti ʔammu⸣ʧi su̥⸢ku⸣riba] (餅に餡を入れて餡餅を作りなさいよ) 1390 0 0 1293 htmvoc_1390.wav アンカー ⸢アン⸣カー [⸢ʔaŋ⸣kaː] 名 錨(いかり)。英語からの借用語。日露戦争で海軍に入隊した兵隊から広がったといわれている。鳩間島出身の海軍兵士が一年間の兵役を務めて除隊後島に帰り、「鳩間方言は忘れた」といって話題になったという伝説がある。同じ頃に英語から借用された語に、ゴーヘー[⸢goːheː](前進せよ)、ゴーシタン[⸢goːʃitaŋ](後退せよ)、ブ⸢リッ⸣ジ[bu⸢rid⸣ʤi](船室)、和語からの借用語に、⸢ヨー⸣ソロー[⸢joː⸣soroː](宜候、直進せよ)、ウ⸢ム⸣カージ[ʔu⸢mu⸣kaːʤi](面舵、右舷方向)、トゥ⸢リ⸣カージ[tu⸢ri⸣kaːʤi](取り舵、左舷方向)などがある。今では八十歳台の古老も、これらを伝統的な鳩間方言と信じて疑わない 1367 0 0 1294 htmvoc_1367.wav アンカージナ ⸢アン⸣カージナ [⸢ʔaŋ⸣kaːʤina] 名 碇に繋ぐ綱。英語からの借用語⸢アン⸣カー(anchor)に、⸣シナ[⸣ʃina](綱)が下接して生成された合成語(複合語)。複合の際に、後接語の頭子音が濁音化したもの。⸢アン⸣カーは明治後期に帝国海軍を除隊した兵士が流行らせたという。今では老年層の人までがアンカーを伝統的方言と信じて疑わない。カ⸢ラグ[ka⸢ragu](碇{EOS}「金具」の転訛したものか)が伝統的鳩間方言であるという。アンカージナには (i) 普通の碇綱(アンカーロープ)の意味と、(ii) イカ釣り漁の際に、潮の流れに舟が流されるのを防ぐために40~50尋の藁縄に重石をつけて深海に投入するもの、の意味がある 1391 0 0 1295 htmvoc_1391.wav アンカージナ ⸢アンカー⸣ジナ [⸢ʔaŋ⸣kaːʤina] 名 アンカーロープ。錨綱。アンカーは外来語。明治時代に帝国海軍から伝播したという 142 0 0 1296 htmvoc_142.wav アンカジ ⸢アンカジ [⸢ʔaŋkadʒi] 名 東風。涼風。 ⸢アンカジヌ スー⸣カー ⸢オーシケー ノー⸣ルン [⸢ʔaŋkadʒinu suː⸣kaː ⸢ʔoːʃi̥keː noː⸣ruŋ] (東風が吹く<そよぐと>と天気がよくなる) 1393 0 0 1297 htmvoc_1393.wav アンガマ ⸢アン⸣ガマ [⸢ʔaŋ⸣gama] 名 お盆のナ⸢カヌ⸣ ピー[na⸢kanu⸣ piː](中日)とウ⸢クリ[ʔu⸢kuri](お送り、精霊送り)の夜に祖霊を慰めもてなすために獅子舞をするが、獅子舞の前に仏間の庭先で歌い舞われる念仏踊り(「姉さん踊り」の義)。クバの葉扇を片手に持った翁と媼が右へ左へと手を振りつつ現れると、木の葉で仮面を作って被り、タオルで頬被りしてクバ笠を目深くかぶり、変装した青年男女が踊る仮面仮装の入子型の舞踊集団。男女とも裏声をつかいながら曲目をリクエストしたり、問答を交わしたりする。ナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu⸣ku](ヒンプン)と軒先の中庭で⸣ジーシンカ[⸣ʤiːsiŋka](地謡組)が三味線を弾き太鼓や銅鑼を打ち鳴らしてム⸢ヌン⸣グイウタ[mu⸢nuŋ⸣guiuta](物乞い歌)を歌う。それに合わせて筵を出して敷き、煙草盆を出し、煙管、酒、ウサイ(お菜)を出す。獅子舞いを出すようにと歌いだす頃から仮面仮装のアンガマ一団が裏声でアンガマ踊りを要求する。地謡がそれに応えて、⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)を弾くとクバ扇を持った翁、おうなに続いてアンガマ踊りの一団が「ヒヤリクヨイサー、サーサー」と掛け声を出して躍り出す。これが済むと歌のテンポが急変し、様々な曲目が演奏され、アンガマーたちの飛び入りの踊りが始まる。これが済むと獅子舞の曲に変わって獅子舞が演舞される。獅子舞の途中にジーシンカ(地謡組)が「イーヨーイーヨー」という囃子をいれると、獅子舞が終了することになり、次の家へと移動する。道中でイ⸢リクヌ⸣ティー[ʔi⸢rikunu⸣tiː](入れ子の笛)の曲が二回吹奏され、「シーシェーマヌ オールンドー」(獅子舞いがいらっしゃるぞ)の合奏曲とミ⸢チウタ[mi⸢ʧiuta](道歌)が歌われると次の家では受け入れの準備が始まる。こうしてお盆の中の日は夜通しアンガマが踊られた 1394 0 1 1298 htmvoc_1394.wav アンガマカブン ⸢アン⸣ガマ ⸣カブン [⸢ʔaŋ⸣gama ⸣kabuŋ] 連 {Mn_1}アンガマの面を被る。アンガマ踊りをする。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸢アン⸣ガマ ⸣カビ ⸢シェー⸣ティル ウ⸢ヤ⸣プスンケー トゥ⸢ル⸣ムチ ⸢ソーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸢ʔaŋ⸣gama ⸣kabi ⸢ʃeːti⸣ru ʔu⸢ja⸣pu̥suŋkeː tu⸢ru⸣muʧi ⸢soːtta⸣ru] (昔は若者達はアンガマ面被りの踊りをして先祖を取り持ち歓待されたものだよ)。 1394 0 2 1299 htmvoc_1394.wav アンガマカブン ⸢アン⸣ガマ ⸣カブン [⸢ʔaŋ⸣gama ⸣kabuŋ] 連 {Mn_2}転じて、子供が拗ねたり、男が酒を飲んで常軌を逸した行動をとることにもいう。 ⸢キュー⸣ヤータ キ⸢サーティ⸣ ビータリ ⸢アン⸣ガマ カ⸢ビ⸣ル ⸢オール⸣バン [⸢kjuː⸣jaːta ki̥⸢saːti⸣ biːtariti ⸢ʔaŋ⸣gama ka⸢bi⸣ru ⸢oːru⸣ban] (今日はまたすでに酔いつぶれて常軌を逸したことをして<アンガマを被って>おられるわい) 1395 0 0 1300 htmvoc_1395.wav アンガマクイ ⸢アン⸣ガマクイ [⸢ʔaŋ⸣gamakui] 名 裏声。不自然な甲高い声。 ⸣ビーティル ⸣アイブ ⸢アン⸣ガマクイ ン⸢ザ⸣シティ ⸢グンダン⸣ タ⸢キベー [⸣biːtiru ⸣ʔaibu ⸢ʔaŋ⸣gamakui ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢gundan⸣ ta⸢kibeː] (酔っ払って、あんなアンガマ声を出してくだを巻いている) 1396 0 0 1301 htmvoc_1396.wav アンガマムニ ⸢アン⸣ガマムニ [⸢ʔaŋ⸣gamamuni] 名 アンガマことば。アンガマで使うような裏声のことば。通常は使わない裏声で話す言葉。奇妙な言葉遣い。酔っ払いの使う正常でない言葉遣い。 ⸣アイブ ⸢アン⸣ガマムニ イ⸢ズナ⸠ツォー [⸣ʔaibu ⸢ʔaŋ⸣gamamuni ʔi⸢ʣuna⸠ʦoː] (あんな奇妙なアンガマことばを使うなよ) 1397 0 1 1302 htmvoc_1397.wav アンガラスン ⸢アンガラスン [⸢ʔaŋgarasuŋ] 他動 {Mn_1}あげる。上方へあげる。持ち上げる。 ⸢ヨイ⸣サークイ ⸢マー⸣ビン ⸢ウンター アンガラシ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuntaː ʔaŋgaraʃi] (ぶらんこを漕いでもっと上に揺り上げなさい)。 1397 0 2 1303 htmvoc_1397.wav アンガラスン ⸢アンガラスン [⸢ʔaŋgarasuŋ] 他動 {Mn_2}座礁させる。船を浅瀬に乗り上げる。 ⸢ハー⸣ガイナ ⸣フネー ⸢アンガラシティ ウーカサラ⸣ヌ [⸢haː⸣gaina ⸣ɸuneː ⸢ʔaŋgaraʃiti ʔuːkasara⸣nu] (暗礁に船を座礁させて<乗り上げて>動かされない)。 1397 0 3 1304 htmvoc_1397.wav アンガラスン ⸢アンガラスン [⸢ʔaŋgarasuŋ] 他動 {Mn_3}舞い上がらせる。有頂天にする。 ヤ⸢ラ⸣ベー フ⸢ミ⸣ルカー マー⸢ンバー⸣キン ⸢アンガルンダー⸣ ドゥク ⸢アンガラスナ [ja⸢ra⸣beː ɸu⸢mi⸣rukaː maː⸢mbaː⸣kiŋ ⸢ʔaŋgarundaː⸣ duku ⸢ʔaŋgarasuna] (子供は褒めると何処までもつけ上がるから、あまりつけあがらせるな) 1398 0 0 1305 htmvoc_1398.wav アンガリピャーンガリ ⸢アンガリピャーン⸣ガリ [⸢ʔaŋgaripjaːŋ⸣gari] 名 跳ね上がること。飛んだり跳ねたりすること。 イ⸢カムス⸣ク サ⸢ニ⸣ヤタユー ⸢アンガリピャーン⸣ガリ ⸢シーベー [ʔi⸢kamusu⸣ku sa⸢ni⸣jatajuː ⸢ʔaŋgaripjaːŋ⸣gari ⸢ʃiːbeː] (どんなに<如何程>嬉しかったのか、飛んだり跳ねたりしている) 1399 0 0 1306 htmvoc_1399.wav アンガルン ⸢アンガルン [⸢ʔaŋgaruŋ] 自動 上がる。「~ひばり安我里~。万、4292」の転訛したもの。濁音の前の音節を表す万葉仮名に陽類韻尾を持つ「安」が用いられていることから、古代日本語のガ行音はガ行鼻濁音であったと推定される。ア⸢ガルン[ʔa⸢garuŋ](上がる)ともいう。 ⸢イン⸣ヌ ッ⸢ス⸣ヌ タ⸢カアン⸣ガリ [⸢ʔin⸣nu s⸢su⸣nu tḁ⸢kaʔaŋ⸣gari] (犬の糞の高上り<身分の低い者や能力のない者が高い位置に座りたがること>諺)。 ミ⸢ドゥ⸣モー フ⸢ミ⸣ルカー マー⸢ンバー⸣キン ⸢アンガルン [mi⸢du⸣moː ɸu⸢mi⸣rukaː maː⸢mbaː⸣kiŋ ⸢ʔaŋgaruŋ] (女は褒めるとどこまでも舞い上がる)。 ⸣フネー ⸢グッふァ⸣ヌ ⸢アンガラヌ [⸣ɸuneː ⸢guffa⸣nu ⸢ʔaŋgaranu] (船は重くて陸揚げ出来ない)。 ⸣フネー ⸢ハー⸣ガイナ ⸢アンガリ ベー [⸣ɸuneː ⸢haː⸣gaina ⸢ʔaŋgaribeː] (船は浅瀬に座礁して<乗り上げて>いる)。 ⸢アンガル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔaŋgaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (座礁することはない) 1404 0 0 1307 htmvoc_1404.wav アンギルン ⸢アンギルン [⸢ʔaŋgiruŋ] 他動 持ち上げる。陸揚げする。漁船やイダフニを陸揚げする。 ⸣マー ン⸢ベーマ ウイ アンギリ [⸣maː ʔm⸢beːma ʔui ʔaŋgiri] (もう少し上の方に持ち上げなさい)。 カ⸢ツシンヌ⸣ シ⸢マウター⸣ フ⸢ニ⸣バ パ⸢マ⸣ナー ⸢アンギルンティ オー⸣ル [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʃi⸢mautaː⸣ ɸu⸢ni⸣ba pa⸢ma⸣naː ⸢ʔaŋgirunti ʔoː⸣ru] (鰹漁の漁期が終わったので漁船を浜に陸揚げしようとしておられる) 1433 0 1 1308 htmvoc_1433.wav アングン ⸢アングン [⸢ʔaŋguŋ] 他動 {Mn_1}上げる。挙げる。揚げる。「~うなゐはなりに髪擧都良武<アゲツラム>か。万、3823」の「上ぐ(下二段)」の四段活用化したもの。⸢アンギルン[⸢ʔangiruŋ](上げる)と同じ。 ⸣ティー アングン [⸣tiː ⸢ʔaŋguŋ] (手を上げる)。 ⸣バー ⸢アンガヌ [⸣baː ⸢ʔaŋganu] (わたしは上げない)。 ⸣イダフニ ⸢アンギ⸣ ミサカー ⸢アング⸣ クトー ⸣ナルン [⸣ʔidaɸuni ⸢ʔaŋgi⸣ misakaː ⸢ʔaŋgu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (サバニ<板舟>を陸揚げしてよければ、陸揚げすることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アンゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaŋgeː⸣ misamunu] (もっと揚げればいいのに)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢アングナ [ma⸢na⸣maː ⸢ʔaŋguna] (今は上げるな)。 ⸢パー⸣ク ⸢アンギ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaŋgi] (早く揚げろ)。 ⸣フニ ⸢アングン [⸣ɸuni ⸢ʔaŋguŋ] (舟を陸揚げする)。 ⸢アンガヌ [⸢ʔaŋganu] (揚げない)。 ッ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ティー ⸢アンギ⸣ <ア⸢ギ⸣> ミサン [ʃ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ tiː ⸢ʔaŋgi⸣ misaŋ] (分る人は手を挙げても良い)。 ⸣ティー ⸢アンガヌ [⸣tiː ⸢ʔaŋganu] (手を上げない)。 ⸢アング⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaŋgu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (上げることはできない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢アンゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔaŋgeː⸣ misamunu] (もっと上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢アンギ [⸢paː⸣ku ⸢ʔaŋgi] (早く上げろ)。 1433 0 2 1309 htmvoc_1433.wav アングン ⸢アングン [⸢ʔaŋguŋ] 他動 {Mn_2}揚げる。掲げる。 カ⸢ツシンマー ミールパタ アンギティ⸣ ケー⸢ツォー [kḁ⸢ʦuʃimmaː miːrupata ʔaŋgi⸣ti⸣ keː⸢ʦoː] (カツオ漁船は三色の大漁旗を揚げて帰港してきたんだよ) 1411 0 0 1310 htmvoc_1411.wav アンサン ⸢アンサン [⸢ʔansaŋ] 名 安産。 ⸢ソー シートー⸣ ア⸢タラン アンザンバ シー⸣ マ⸢ギーマギー⸣シ ビ⸢コーンッふァ⸣ ナシェーンツォー [⸢soː ʃiːtoː⸣ ʔa⸢taraŋ ʔanzamba ʃiː⸣ ma⸢giːmagiː⸣ʃi bi⸢koːŋffa⸣ naʃeːnʦoː] (心配したのとは反対に<当らず>安産をして、大きな男の子を産んだそうだ) 1412 0 0 1311 htmvoc_1412.wav アンシキイトゥ ⸢アンシキ⸣イトゥ [⸢ʔaŋʃi̥ki⸣ʔitu] 名 網を繕う糸。「網突き糸」の義か。一度網を海に入れると珊瑚や海石に引っかけて網目を破損することがある。漁が終わると網を干した後に破れを繕うが、その際に用いる糸のこと。 ⸢アンシキ⸣イトゥ ⸢カイ⸣キー ッ⸢ふィーリ [⸢ʔaŋʃiki⸣ʔitu ⸢kai⸣kiː f⸢fiːri] (網繕い糸を買ってきてくれ) 1413 0 0 1312 htmvoc_1413.wav アンシキパル ⸢アンシキ⸣パル [⸢ʔaŋʃiki⸣paru] 名 網を繕う針。「網突き針」の義か。幅約3センチ、長さ約15センチの竹の板の中央に突起を作りその両側を刳り抜いて糸が巻けるようにした網を編む器具。 ⸢アンシキ⸣パルシ ⸣アン ス⸢クン [⸢ʔaŋʃi̥ki⸣paruʃi ⸣ʔan su̥⸢kuŋ] (網繕い針で網を編む) 1414 0 0 1313 htmvoc_1414.wav アンシン ⸢アンシン [⸢ʔaŋʃiŋ] 名 安心。共通語からの借用語。伝統方言では、キ⸢ムユラ⸣スン[ki⸢mujura⸣suŋ](心を許す{EOS}安心する{EOS})という。 ⸣シラソージン ウ⸢チナ⸣シ ⸣シラプスヌ ⸢シー⸣ヌン イッ⸢ケナ アイブバ アンシン⸣ ヤ⸢ロー⸣ルメー [⸣ʃirasoːʤiŋ ʔu⸢ʧina⸣ʃi ⸣ʃirapu̥sunu ⸢ʃiː⸣nuŋ ʔik⸢kena ʔaibuba ⸢ʔaŋʃiɲ⸣ ja⸢roː⸣ru meː] (産室の精進祈願もうち済ませ、産婦の乳も大変よく出ている<滴り出ている、滲み出ている>ので安心であられますよ、もう) 1436 0 0 1314 htmvoc_1436.wav アンスク ⸢アン⸣スク [⸢ʔan⸣suku] 名 網袋。ア⸢ダナ⸣シ[ʔa⸢dana⸣ʃi](アダンの気根)の繊維で綯った縄で箱型の網袋に編み、手提げ用の紐を付けた野外用手提げ網袋。弁当やマッチ、煙草、その他の小物類を入れたり、潮干狩りの獲物を入れたりして運ぶのに用いる小型の運搬用網袋。アダナシ縄製野外用ハンドバッグ。 パ⸢トゥ⸣マプソー ミ⸢ドゥ⸣ム ⸣ビキドゥムティ ⸢ナー⸣ン ⸢アンスク⸣バ ⸣ムテーティル パ⸢タ⸣ケーン イ⸢ソーン オーッ⸣タヨー [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː mi⸢du⸣mu ⸣bikidumuti ⸢naː⸣ŋ ⸢ʔansu̥ku⸣ba ⸣muteːtiru pḁ⸢ta⸣keːŋ ʔi⸢soːŋ ʔoːt⸣tajoː] (鳩間人は男女の区別はなくアンスクを持ちながら畑にも潮干狩り<磯>にも行かれたよ) 1437 0 0 1315 htmvoc_1437.wav アンスクライ ⸢アンスク⸣ライ [⸢ʔansu̥ku⸣rai] 名 網の破れを繕うこと。⸢網繕い」の義。 ⸢アンウラシ⸣ヌ ⸣アトー ⸢アン⸣マー ⸣プシティ ヤー⸢ディン アンスク⸣ライ ⸢シーソーッ⸣タ [⸢ʔaŋʔuraʃi⸣nu ⸣ʔatoː ⸢ʔam⸣maː ⸣pu̥ʃiti jaː⸢diŋ ʔansu̥ku⸣rai ⸢ʃiːsoːt⸣ta] (網下し<追い込み漁>の後は、網は天日干しをして、必ず網繕い<網の修理>をされたものだ) 153 0 0 1316 htmvoc_153.wav アンタ ⸢アンタ [⸢ʔanta] 名 東の方。 ⸣フネー ⸢アンター⸣ イ⸢サナケー パッ⸣タ [⸣ɸuneː ⸢ʔaːtaː⸣ ʔi⸢sanakeː pat⸣ta] (船は東の方へ、石垣島へ行った)。東。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢アンタ⸣ナ フ⸢クンキーヌ⸣ ムイ⸢ベー⸣ン [⸢jaː⸣nu ⸢ʔanta⸣na ɸu̥⸢kuŋkiːnu⸣ mui⸢beː⸣ŋ] (家の東に福木が生えている)。 ⸢ワー アンター⸣ラ ンジクー [⸢waː ʔantaː⸣ra ʔndʒikuː] (君は東の方から出てきなさい)。 ⸢アンタヌ⸣ ヤー [⸢ʔantanu⸣ jaː] (東の家{EOS}東の方の家) 1448 0 0 1317 htmvoc_1448.wav アンタヌズンズンヌフチ ⸢アンタヌ ズンズンヌ⸣ フ⸢チ [⸢ʔantanu ʣunʣunnu⸣ ɸu̥⸢ʧi] 連 海底地名。鳩間島の東北東の海岸にある、⸢ズンズン[⸢ʣunʣuŋ](干瀬の珊瑚礁が一段高く、引き潮に差し掛かると干瀬の海水が澪(ミズヌカン)の方へと勢いよく流れ落る。また満ち潮になると、海水は外洋部から干瀬の礁池の方へ流れ込む所)と澪の部分へと続く所 13884 0 0 1318 htmvoc_13884.wav アンタハンタグヮーテー ⸢アンタハンタグヮー⸣テー [⸢ʔantahantagwaː⸣teː] 名 屋号。旧姓通事太郎氏(現小泉太郎氏)宅。鳩間村二班、フ⸢ク⸣マレー[ɸu̥⸢ku⸣mareː](友利家)の東にあった。長男の小泉勝氏は鳩間島出身の、最初の沖縄県行政書士会会長を勤め、那覇在鳩間郷友会会長として活躍した。 ⸢ウン⸣ネーヤ マ⸢ナ⸣マー ⸢コイ⸣ズミティ ア⸢ゾール⸣ヌ ⸣キサー ⸢ハンタグヮー⸣テーティル ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸢ʔun⸣neːja ma⸢na⸣maː ⸢koi⸣ʣumiti ʔa⸢ʣoːru⸣nu ⸣ki̥saː ⸢hantagwaː⸣teːtiru ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (その家は、今は小泉と言われるが、以前は⸢ハンタグヮー⸣テーといわれていたよ) 1435 0 0 1319 htmvoc_1435.wav アンダミース ⸢アンダミー⸣ス [⸢ʔandamiː⸣su] 名 油味噌(あぶらみそ)。伝統的な保存食。豚三枚肉を約1センチ程度の角切りにして油で炒め、脂を抽出した油粕に味噌、砂糖を入れて混ぜ、焦げないように炒め合わせたもの。茶請け等に供される。石垣方言からの借用語。旧盆や旧正月用に豚を\ruby{屠}{ホフ}り、その三枚肉を利用して脂味噌を作った。 ⸢アンダミー⸣ソー ⸢オー⸣ヌ ア⸢バッ⸣タラ グ⸢マーグマー⸣シ ⸣キシティ ア⸢バ⸣ナビナ ヤ⸢キ⸣ アバ ⸣シジタリティ ウ⸢ヌ⸣ ア⸢バカシ⸣バ ⸢ミース⸣トゥ ⸣サタ カ⸢ケー⸣シティ ウ⸢リバ⸣ イ⸢ラ⸣キティル ス⸢ク⸣ローッタ [⸢ʔandamiː⸣soː ⸢ʔoː⸣nu ʔa⸢bat⸣tara gu⸢maːgumaː⸣ʃi ⸣ki̥ʃiti ʔa⸢ba⸣nabina ja⸢ki⸣ ʔaba ⸣ʃiʤitariti ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢bakaʃi⸣ba ⸢miːsu⸣tu ⸣sata kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ʔu⸢riba⸣ ʔi⸢ra⸣kitiru su⸢ku⸣roːtta] (脂味噌は豚の脂肉を小さく切って油鍋で焼いて油を抽出し<煎じて>、その油粕を味噌と砂糖を混ぜ合わせ、それを炒って<ぞ>作られた) 1438 0 0 1320 htmvoc_1438.wav アンツォー ⸢アンツォー [⸢ʔanʦoː] 名 ソーダ(曹達)。ふくらし粉用に用いる重曹のこと。テンプラを揚げる際に用いていた。 ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢ク⸣ ピンマ ⸢アンツォー⸣ イ⸢リル⸣カー フ⸢クリティ⸣ ン⸢マーン⸠ダー [⸢tim⸣pura ja⸢ku⸣pimmaː ⸢ʔanʦoː⸣ ʔi⸢riru⸣kaː ɸu̥⸢kuriti⸣ ʔm⸢maːn⸠daː] (テンプラを揚げる際は、アンツォーを入れるとふっくらと膨れて美味しいよ)。フ⸢クラシクー[ɸu̥⸢kuraʃikuː](ふくらし粉)ともいう 1392 0 0 1321 htmvoc_1392.wav アンデーカー アン⸢デー⸣カー [ʔan⸢deː⸣kaː] 接 それなら。それでは。⸢アン⸣ドゥ ヤ⸢ルッ⸣カー[⸢ʔan⸣du ja⸢ruk⸣kaː](それであるならば)の縮約形。 アン⸢デー⸣カー ⸢ワー⸣ ウムー ⸢トゥー⸣ル ⸢シー⸣バ [ʔan⸢deː⸣kaː ⸢waː⸣ ʔumuː ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiː⸣ba] (それなら君が考える<思う>通りにしなしよ) アン⸢デー⸣カー ウ⸢レーッテ⸣ アイル ア⸢ザバル⸣ ナ⸢ル [ʔan⸢deː⸣kaː ʔu⸢reːtte⸣ ʔairu ʔa⸢ʣabaru⸣ na⸢ru] (そんなら、それはそのように言わないといけないのか<いわばぞ なるのか>))。[ʔandu・jarukaː] → [ʔandujakaː] → [andeːkaː] と音韻変化したもの。前件の確定条件的表現を受けて後件の表現を述べる順態接続。 アン⸢デー⸣カー ⸣バー ⸢カーヌ [ʔan⸢deː⸣kaː ⸣baː ⸢kaːnu] (それなら私は買わない)。 アン⸢デー⸣カー ⸢ワー シー [ʔan⸢deː⸣kaː ⸢waː ʃiː] (それなら君がやれ) 1444 0 0 1322 htmvoc_1444.wav アントゥル ⸢アン⸣トゥル [⸢ʔan⸣turu] 名 地名。西表島西部にあった村落名。網取湾に面した所に開けた小さな農村。現在は廃村となっている。 ⸢アン⸣トゥルナー ⸢ガッ⸣コーン ⸣アリ カ⸢ナ⸣ケーヌ ⸣ウトゥザン ⸢オーッ⸣タン [⸢ʔan⸣turunaː ⸢gak⸣koːŋ ⸣ʔari ka⸢na⸣keːnu ⸣ʔutuʣaŋ ⸢ʔoːt⸣taŋ] (網取村には学校もあり、兼久家の親戚もおられた) 1443 0 0 1323 htmvoc_1443.wav アンドゥル ⸢アン⸣ドゥル [⸢ʔan⸣duru] 名 ぼろぼろの状態。網の目のようにあちこちに穴が開いている状態。 ⸢ワー キン⸣マー ⸢アン⸣ドゥル ナ⸢リ⸣ブバー メー キ⸢スナ⸣ シ⸢ティリ [⸢waː kim⸣maː ⸢ʔan⸣duru na⸢ri⸣bubaː meː ki̥⸢suna⸣ ʃi̥⸢tiri] (君の着物は網の目のように穴が開いてボロボロの状態になっているから、もう着るな{EOS}捨てなさい)。 ⸢アン⸣ドゥル ⸣ナルンケン キ⸢シス [⸢ʔan⸣duru ⸣naruŋkeŋ ki̥⸢ʃisu] (網目のようにあちらこちら穴が開いた状態になるまで着る<着ぞする>) 1449 0 0 1324 htmvoc_1449.wav アントン ⸣アン ⸣トン [⸣ʔan ⸣toŋ] 連 ある所。⸣アルン ⸣トン[⸣ʔarun ⸣toŋ](ある<在る>所)の縮まった形。 マ⸢チヤーヌ⸣ アントン ⸢バー⸣キ ⸢サーリ⸣パリ ッ⸢ふィーリ [ma⸢ʧijaːnu⸣ ʔantom ⸢baː⸣ki ⸢saːri⸣pari f⸢fiːri] (店のあるところまで連れて行ってくれ) 231 0 0 1325 htmvoc_231.wav アンナーマ アン⸢ナー⸣マ [ʔan⸢naː⸣ma] 名 花嫁。「姉・ガマ」の転訛。「アニ」に指小辞「ガマ」の「ガ」が融合脱落して形成されたもの。 ⸢マイ⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ アン⸢ナー⸣マ ⸢サーロー⸣ルンツォ [⸢mai⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔan⸢naː⸣ma ⸢saːroː⸣runʦoː] (前の家の人は花嫁を迎えられるそうだ)。指小辞⸢ナー⸣マ[⸢naː⸣ma](小)は指小辞⸣マ[⸣ma](小)の異形態で、上接語の語末がNで終わる時に法則的に現れる。従って上接語の⸣アン[ʔaŋ]は「姉」の義で、義弟妹からの愛称であったことが帰納される 232 0 0 1326 htmvoc_232.wav アンナーマクーン アン⸢ナー⸣マ ⸣クーン [ʔan⸢naː⸣ma ⸣kuːŋ] 連 花嫁を娶る。花嫁をもらう。「花嫁を乞う」の義。 マ⸢ダ⸣ アン⸢ナー⸣マ ⸢コー⸣ヌ [ma⸢da⸣ ʔan⸢naː⸣ma ⸢koː⸣nu] (まだ花嫁を貰ってない)。 アン⸢ナー⸣マ ⸣クイン ⸣パルン [ʔan⸢naː⸣ma ⸣kuim ⸣paruŋ] (花嫁を貰いに行く)。ユ⸢ミ⸣ クーン[ju⸢mi⸣ kuːŋ](嫁を貰う<乞う>)、トゥ⸢ジ⸣ トゥムン[tu⸢dʒi⸣ tumuŋ](妻を娶る<妻を探す>)ともいう 233 0 0 1327 htmvoc_233.wav アンナーマサーリヨイ アン⸢ナー⸣マ ⸢サーリ⸣ヨイ [ʔan⸢naː⸣ma ⸢saːri⸣joi] 連 結婚祝い。⸣ニービキヨイ[⸣niːbikijoi](結婚祝い)ともいう。 アン⸢ナー⸣マヨイ ⸢スー⸣ピンマ イ⸢チ⸣ ヤ⸢ルン⸣サ [ʔan⸢naː⸣majoi ⸢suː⸣ pimmaː ʔi⸢ʧi⸣ ja⸢run⸣sa] (花嫁をもらう日<結婚式>はいつの日のことか) 234 0 0 1328 htmvoc_234.wav アンナーマサールン アン⸢ナー⸣マ ⸢サールン [ʔan⸢naː⸣ma ⸢saːruŋ] 連 花嫁を娶る。結婚する。「花嫁を連れる」の義。ユ⸢ミ サールン[ju⸢mi saːruŋ](<嫁を連れる>結婚する)、トゥ⸢ジ サールン[tu⸢dʒi saːruŋ](結婚する<妻を連れる>)ともいう。 アン⸢ナー⸣マ ⸢サールンティ⸣ サ⸢ニンケーリ オー⸣ル [ʔan⸢naː⸣ma ⸢saːrunti⸣ sa⸢niŋkeːri ʔoː⸣ru] (花嫁を迎えるといって喜んでおられる) 235 0 0 1329 htmvoc_235.wav アンナーマナルン アン⸢ナー⸣マ ナルン [ʔan⸢naː⸣ma naruŋ] 連 花嫁になる。嫁ぐ。 ⸣マーッふァヌ アン⸢ナー⸣マ ナルンケン⸢バー⸣キ イ⸢キラ⸣リンカヤー [⸣maːffanu ʔan⸢naː⸣ma naruŋkem⸢baː⸣ki ʔi⸢kira⸣riŋkajaː] (孫娘が嫁ぐ<花嫁になる>まで生きられるかなあ) 236 0 0 1330 htmvoc_236.wav アンナーマヌアウ アン⸢ナーマ⸣ヌ ⸣アウ [ʔan⸢naːma⸣nu ⸣ʔau] 連 花嫁の供。八、九歳頃の少女が二人花嫁のそばに付き添っていて走り使いの用に供した。 アン⸢ナーマ⸣ヌ ⸢アウ⸣ワ ⸢タール スワ [ʔan⸢naːma⸣nu ⸢ʔau⸣wa ⸢taːru suwa] (花嫁の供は誰がするのか) 237 0 0 1331 htmvoc_237.wav アンナーマヨイ アン⸢ナー⸣マヨイ [ʔan⸢naː⸣majoi] 名 結婚祝い。「花嫁祝い」の義。⸣ニービキヨイ[⸣niːbikijoi](結婚祝い)ともいう。 ⸢エン⸣マー ⸢バン⸣テナーン アン⸢ナー⸣マヨイヌ ⸣アルパジ [⸢jem⸣maː ⸢ban⸣tenaːŋ ʔan⸢naː⸣majoinu ʔarupadʒi] (来年は私の家にも結婚祝いがあるはずだ) 1368 0 0 1332 htmvoc_1368.wav アンナーンッサヌ ⸣アン ⸢ナー⸣ン ッ⸢サヌ [⸣ʔan ⸢naː⸣n s⸢sanu] 連 金銭や食料の貯えがどれほどあるか知らないで浪費する。「有る無しも知らぬ」の義。 ウ⸢レー⸣ アン ⸢ナー⸣ン ッ⸢サン ムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢テー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔan ⸢naː⸣n s⸢sammunu⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢teː⸣ na⸢ra⸣nu] (あれは家庭の貯蓄がどれほどあるか分からず浪費する人だから、当てにならない) 1451 0 0 1333 htmvoc_1451.wav アンナイヌカウ ⸢アンナイ⸣ヌ ⸢カウ [⸢ʔannai⸣nu ⸢kau] 連 「案内の香」の義。祈願の始めに神様にお取次ぎを願うための線香。先ず3本、12本の線香を焚いて、神様へお取次ぎの⸢カン⸣フチ ニ⸢ガイ⸣フチ[⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧini⸢gai⸣ɸu̥ʧi](神口、願い口)を唱える際に焚く線香。 ⸢カンヌ⸣マイ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソー⸣ル ⸣バソー ヤー⸢ディン アンナイ⸣ヌ ⸢カウヤー⸣ タ⸢ティ⸣ソーッタ [⸢kannu⸣mai ⸢niŋ⸣gai ⸢soː⸣ru ⸣basoː jaː⸢diŋ ʔannai⸣nu ⸢kaujaː⸣ tḁ⸢ti⸣soːtta] (神前に祈願をされる場合は、必ず案内の香を焚いて立てられた) 1454 0 0 1334 htmvoc_1454.wav アンヌカー ⸢アンヌカー [⸢ʔannukaː] 名 東村のムラ井戸。東村の東北方の村はずれに位置する、鍾乳洞のウ⸢リ⸣カー[ʔu⸢ri⸣kaː](降り井戸)。入り口は高さ約3メートル、幅約5メートルの自然鍾乳洞が斜め下方に地下約20メートル掘り下げられ、石畳で階段が作られている。底部に湧水が溜まる池がある。湧水をウ⸢ム⸣ル[ʔu⸢mu⸣ru](クバの葉で作った柄杓)やフ⸢ダ⸣ル[ɸu⸢da⸣ru](熟した瓢箪を二つに切り割り、のなかご<中子>を刳りぬいて作った柄杓)で汲み、水桶に入れて地上へ運び上げ、家へ運んで飲料用水として利用した。水質は西村の村井戸の水よりも甘く、水量も多いといわれている。 ⸢アンヌカーヤ⸣ ウ⸢リ⸣カー ⸣ナリ ⸢ブンダ⸣ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ムンティル ⸢ナン⸣ギアワリ シ⸢タ⸣ツォー [⸢ʔannukaːja⸣ ʔu⸢ri⸣kaː nari ⸢bunda⸣ mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣muntiru ⸢naŋ⸣giawari ʃi̥⸢ta⸣ʦoː] (東ムラ井戸は下へ降りて汲み上げる井戸になっているので、水汲みするのに難儀苦労をしたそうだ) 1452 0 0 1335 htmvoc_1452.wav アンヌムラ ⸢アンヌムラ [⸢ʔannumura] 名 東村。⸢インヌムラ[⸢ʔinnumura](西村)の対語。鳩間村は伝統的な祭政の単位として、西村と東村から成立している。一年間の祭祀を執行するために西、東のムラよりム⸢ラヤクサ[mu⸢rajakusa](ムラの役人)を選出し、それを統括する⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代)がサ⸢カサ[sa⸢kasa](司、神女、巫女)の助言を得て祭祀を執行していた。豊年祭のカ⸢シ⸣ラ[kḁ⸢ʃi⸣ra](旗頭)、シ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)の綱、⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競漕)の船、⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆、精霊祭り)の⸢シー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi](獅子舞の獅子頭)も西村(雌)、東村(雄)のような双分法に基づいて対立している。 ⸢アンヌムラプソー キーパチ⸣ムヌ ⸢インヌムラプソー ミンダリ⸣ムヌティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリブー [⸢ʔannumurapusoː kiːpaʧi⸣munu ⸢ʔinnumurapusoː mindari⸣munuti mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣaribuː] (東村人は気質が荒く、西村人は耳垂れ者<温和な気質>と昔から言われている) 1455 0 1 1336 htmvoc_1455.wav アンバイ ⸢アンバイ [⸢ʔambai] 名 {Mn_1}塩梅。味加減。標準語からの借用語。 ⸢キュー⸣ヌ カ⸢ティ⸣ムノー ⸢イー アンバイユン⸣ナー [⸢kjuː⸣nu kḁ⸢ti⸣munoː ⸢ʔiː ʔambaijun⸣naː] (今日のおかずは良い味加減だねえ)。 1455 0 2 1337 htmvoc_1455.wav アンバイ ⸢アンバイ [⸢ʔambai] 名 {Mn_2}具合。都合。 ⸢イー アンバイニ ワンヌン⸣ キ⸢ラ⸣リ ⸣アッパーン サ⸢ニヤ シー オー⸣ルンティ [⸢ʔiː ʔambaini wannuŋ⸣ ki⸢ra⸣ri ⸣ʔappaːn sa⸢nija ʃiː ʔoː⸣runti] (丁度いい具合に君も来ることができて、お祖母さんは喜んでおられるさ、ほら見てごらんよ) 1456 0 0 1338 htmvoc_1456.wav アンパカスン ⸢アンパカスン [⸢ʔampakasuŋ] 他動 すっかり任せる。おっかぶせる。全責任を負わせる。 ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥバ アンパカサリティ⸣ ウ⸢リバ シートゥズミルンティル⸣ ア⸢ワ⸣リ ⸢シーベー [ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutuba ʔampakasariti⸣ ʔu⸢riba ʃiːtuʣumiruntiru⸣ ʔa⸢wa⸣ri ⸢ʃiːbeː] (あれだけの仕事の全責任を負わされて、それを完結させようと<し終えようと>して<ぞ>難儀苦労をしている) 1457 0 0 1339 htmvoc_1457.wav アンパクン ⸢アンパクン [⸢ʔampakuŋ] 他動 ひっかぶる。全責任を負う。 プ⸢スヌ⸣ ウ⸢カ⸣バ ⸢アンパキティ⸣ キ⸢ナイヤー⸣ シ⸢ルッ⸣コー ⸣ナリ ⸢ベーン⸣ティ [pu̥⸢sunu⸣ ʔu⸢ka⸣ba ⸢ʔampakiti⸣ ki⸢naijaː⸣ ʃi⸢ruk⸣koː ⸣nari ⸢beːn⸣ti] (他人の負債を引っ被って家庭はぶち壊しになっているさ、ほら見てごらん) 1458 0 0 1340 htmvoc_1458.wav アンバタ ⸣アンバタ [⸣ʔambata] 名 餅の中に入れる餡。 ク⸢ヌ⸣ ム⸢チェー⸣ アンバタカヤー [ku⸢nu⸣ mu⸢ʧeː⸣ ʔambatakajaː] (この餅は餡いりの餅かね) アー⸢イ⸣ バタムチェー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ batamuʧeː ʔa⸢ra⸣nu] (いや、餡入りの餅ではない)) 1459 0 0 1341 htmvoc_1459.wav アンパル ⸣アンパル [⸣ʔamparu] 固 地名。名蔵湾に流入する名蔵川海域の干潟地帯。古謡「アンパルヌミダガーマユンタ」に詠われた地名。 ⸣アンパルティ ア⸢ズン⸣トンマー ⸣バー ⸢ギーミッ⸣タン [⸣ʔamparuti ʔa⸢ʣun⸣tommaː ⸣baː ⸢giːmit⸣taŋ] (アンパルという所は私は行ってみたことがある) 1169 0 0 1342 htmvoc_1169.wav アンピター ⸣アンピター [⸣ʔampitaː] 名 (動)貝の名。和名、クロカラマツ(『原色沖縄海中動物生態図鑑』)、潮間帯の岩礁に付着している。直径約1cmの六角~八角状円錐形の貝。 ⸣アンピター ⸣トウリ ッ⸢ふー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [⸣ʔampitaː ⸣turi f⸢fuː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (アンピターは取って食べる人はいなかった) 1461 0 0 1343 htmvoc_1461.wav アンブシ ⸢アンブ⸣シ [⸢ʔambu⸣ʃi] 名 漁法の一つ。糸満漁師から伝えられた漁法という。西表島のカ⸢タバル[kḁ⸢tabaru](干潟{EOS}「潟原」の義)に竹や木串を河口や魚道の砂浜に差し込んでおき、満潮時にその竹や木串に網を吊るして張り巡らし、漁獲する漁法。 ⸢アンブ⸣シェー イ⸢ツォーン⸣プソーラ ナライ⸢ヨーッ⸣タティ⸢ダー [⸢ʔambu⸣ʃeː ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soːra narai⸢joːt⸣tati⸢daː] (アンブシ漁は糸満漁師から<ぞ>習われたそうだよ) 1462 0 0 1344 htmvoc_1462.wav アンポーティンポー ⸢アンポーティン⸣ポー [⸢ʔampoːtim⸣poː] 名 何の心配もしないで呑気に行動する人。思慮分別のないことをする人。ABCDEFCD型の重言。 ⸢ウンザー アンポーティン⸣ポー ⸣ナリティ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣クトー イ⸢カシタ⸣ダラティン ッ⸢サヌ [⸢ʔunʣaː ʔampoːtim⸣poː ⸣nariti ⸢jaː⸣nu ⸣ku̥toː ʔi⸢kaʃita⸣daratin s⸢sanu] (こいつは思慮分別のない人間になってしまって家庭のことは、どうなっていることか、それさえも分からない) 1463 0 1 1345 htmvoc_1463.wav アンマ ⸣アンマ [⸣ʔamma] 名 {Mn_1}姉。名称、呼称とも同じ。この語彙には、⸣ウボンマー[⸣ʔubommaː](一番上の姉)、⸢ホン⸣マ[⸢hom⸣ma](長姉)、⸣ナカンマー[⸣nakammaː](中の姉)、アン⸢マー⸣マ[ʔam⸢maː⸣ma](一番下の姉)などのような部分体系がある。「'u-ra 'a-r(n)ai 'ari<汝姉あるか>」「語音翻訳」『海東諸国紀』と関係があるとの説『図説琉球語辞典』がある。 ⸣アンマール ⸢バイ⸣ヨー カ⸢サ⸣ナイ フ⸢ドゥバソーッ⸣タ [⸣ʔammaːru ⸢bai⸣joː kḁ⸢sa⸣nai ɸu⸢dubasoːt⸣ta] (姉さんが私を負ぶって成長させてくださった)。 ア⸢ンマー⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢オールー [ʔam⸢maː⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔoːruː] (姉さん、畑へ行かれるのですか)。 1463 0 2 1346 htmvoc_1463.wav アンマ ⸣アンマ [⸣ʔamma] 名 {Mn_2}お母さん。名称、呼称(若年層の言葉)。本来は兄嫁に対して弟妹が⸣アンマ[⸣ʔamma](姉さん)と呼ぶのを聞いて、兄嫁の子供(甥、姪)達が自分の「母」を⸣アンマ[⸣ʔamma](母)と誤認するようになり、今では若年層において「母」のことを⸣アンマ[⸣ʔamma]と思って、そう呼ぶ人が相当数いる。 1463 0 3 1347 htmvoc_1463.wav アンマ ⸣アンマ [⸣ʔamma] 名 {Mn_3}固有名詞に下接して用いられる。 ⸣ナベンマ [⸣nabemma] (ナベ姉さん) ⸣カマンマ [⸣kamamma] (カマ姉さん) サ⸢カ⸣ヤンマー [sa⸢ka⸣jammaː] (サカヤ姉さん) ⸢モー⸣サンマ [⸢moː⸣samma] (モウシ姉さん) マ⸢ナ⸣サンマ [ma⸢na⸣samma] (マナサ姉さん))。⸢マー⸣サンマ[⸢maː⸣samma](マーサ姉さん)、⸢マー⸣チェンマ[⸢maː⸣ʧemma](マーチ姉さん)、⸣クヤンマー[⸣kujammaː](クヤ姉さん)、ユ⸢ブ⸣サンマー[ju⸢bu⸣sammaː](ユブサ姉さん)などといわれる。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アンマター ムー⸢ル⸣ ハチジュー⸢ゴーヌ ヨイ⸣ヤー ⸢シーティル マーラシタ [⸢ban⸣tenu ⸣ʔammataː muː⸢ru⸣ hḁʧiʤuː⸢goːnu joi⸣jaː ⸢ʃiːtiru maːraʃi̥ta] (私の姉さん達はみんな八十五の誕生祝をしてから<ぞ>亡くなられた) 1464 0 0 1348 htmvoc_1464.wav アンマ ⸢アン⸣マ [⸢ʔam⸣ma] 名 あんま(按摩)。もみりょうじ。 ⸣アブジェー ⸢アン⸣マ ⸣トゥリ ⸢オース⸣カー イッ⸢ケン⸣ サ⸢ニヤ ソーッ⸣タン [⸣ʔabuʤeː ⸢ʔam⸣ma ⸣turi ⸢ʔoːsu⸣kaː ʔik⸢ken⸣ sa⸢ni⸣ja ⸢soːt⸣taŋ] (お祖父さんは按摩をして差し上げると非常に喜ばれた<嬉しくされた>) 1465 0 0 1349 htmvoc_1465.wav アンマーイカ ⸢アンマー⸣イカ [⸢ʔammaː⸣ʔika] 名 烏賊の中で特大級のスルメイカ。「母烏賊」の義。糸満方言からの借用語か。 ナ⸢カディ⸣イガ [na⸢kadi⸣ʔiga] (中級の烏賊{EOS}「中手イカ」の義)。イ⸢ガー⸣マ[ʔi⸢gaː⸣ma](小烏賊{EOS}小さな烏賊)などの語彙がある。イカ漁は明治以後、沖縄本島の糸満系漁民の進出によって始まったといわれている。鳩間島の女性と結婚して、島に根を下ろした糸満出身の漁師もいる。 ⸢アンマ⸣イカー ⸢ダイ⸣ ム⸢トゥン⸣ドゥ イ⸢ガー⸣マー ⸢カーサラヌ [⸢ʔamma⸣ʔikaː ⸢dai⸣ mu⸢tun⸣du ʔi⸢gaː⸣maː ⸢kaːsaranu] (大きなスルメイカは値段がつくが、小さなスルメイカは売れない) 1098 0 0 1350 htmvoc_1098.wav アンマーマ アン⸢マー⸣マ [ʔam⸢maː⸣ma] 名 三番目の姉。語尾の「-マ[-ma](ちゃん)」は美称、愛称の接尾指小辞。 ミ⸢ドゥムキョーダイ⸣ヤ ⸢ウンターラ⸣ ア⸢ズ⸣カー ⸣ウボーマー ⸣ナカンマー アン⸢マー⸣マティル ア⸢ゾーッ⸣タ [mi⸢dumukjoːdai⸣jaː ⸢ʔuntaːra⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸣ʔuboːmaː ⸣nakammaː ʔam⸢maː⸣matiru ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (女兄弟は、上から言うとウボーマー<長女>、ナカンマー<中の姉>、アンマーマ<三番目の姉ちゃん{EOS}小さな姉>といわれた)。 ⸢ダイ⸣ケヌ ユ⸢ブ⸣サアッパー ッ⸢ふァヌ⸣ アロー⸢ラン⸣タ ⸢ベー⸣テイ アン⸢ママー⸣ヨ ⸢イー⸣ローリティル ウ⸢ナー ナーバ⸣ シキ ス⸢コー⸣レーティ⸢ダー [⸢ʔdai⸣kenu ju⸢bu⸣saʔappaː f⸢fanu⸣ ʔaroː⸢ran⸣ta ⸢beː⸣ti ʔam⸢mːma⸣jo ⸢ʔiː⸣roːritiru ʔu⸢naː naːba⸣ ʃi̥ki su̥⸢koː⸣reːti⸢daː] (大工家のユブサお祖母さんは子供がおありでなかったので、私の三番目の姉さん<大工良>を貰われて<ぞ>自分の名前を付けておかれてあるそうだよ) 1467 0 0 1351 htmvoc_1467.wav アンマカー ⸢アンマ⸣カー [⸢ʔamma⸣kaː] 名 歌謡の名(天川節)。また、天川節の舞踊。石垣の芝居小屋から伝播してきたといわれている。テンポの速い曲調で歌い踊られる。 ⸢アンマ⸣カーヤ シ⸢バヤーブドゥル ヤッタ⸣ツォー [⸢ʔamma⸣kaːja ʃi⸢bajaːbuduru jatta⸣ʦoː] (天川踊りは芝居踊りであったそうだ) 1468 0 0 1352 htmvoc_1468.wav アンマヌ ⸢アンマ⸣ヌ [⸢ʔamma⸣nu] 副 あまりに。あまりの。あまりにも。法外に。ア⸢マ⸣ヌ[ʔa⸢ma⸣nu](あまりの)ともいう。強調すると、アン⸢マ⸣ヌ[ʔam⸢ma⸣nu]という。 アン⸢マ⸣ヌ ユ⸢ミシゥカイヌ⸣ ビ⸢ナ⸣サ ク⸢チ⸣サティル ⸢ウン⸣ネーラ ⸢ピン⸣ギ ⸣ケーツォー [ʔam⸢ma⸣nu ju⸢misï̥kainu⸣ bi⸢na⸣sa ku̥⸢ʧi⸣satiru ⸢ʔun⸣neːra ⸢piŋ⸣gi ⸣keːʦoː] (あまりにも嫁いびり<嫁扱い>が汚くて、苦しくて、あの家から逃げてきたそうだ<嫁いびりの厳しさに耐えかねて逃げ帰ったそうだ>) 1469 0 0 1353 htmvoc_1469.wav アンムチ ⸢アン⸣ムチ [⸢ʔam⸣muʧi] 名 餡餅(あんもち)。⸣バタムチ[⸣batamuʧi](餡餅、「腸餅」の義か)ともいう。餅の中に餡を入れたもの。⸣アン[ʔaŋ](餡)には、小豆を煮て潰し、黒砂糖を混ぜたものや、ユ⸢ナ⸣ク[ju⸢na⸣ku](はったいこ、麦焦がし)、⸣グマ[⸣guma](煎り胡麻に黒砂糖を混ぜたもの)などが使われた。ア⸢ガマミヌ⸣バタ ⸣アンムチ[ʔa⸢gamaminu⸣bata ⸣ʔammuʧi](小豆餡の餡餅)、グ⸢マ⸣ヌバタ アンムチ[gu⸢ma⸣nubata ⸣ʔammuʧi](胡麻餡の餡餅)、ユ⸢ナ⸣クバタ ⸣アンムチ[ju⸢na⸣kubata ⸣ʔammuʧi](はったいこ餡の餡餅)などがある。 ユ⸢ナ⸣クバタ ⸣アンムチェー カ⸢ザン⸣ カ⸢バッ⸣サーリ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン ア⸢リ⸣ブタル [ju⸢na⸣kubata ⸣ʔammuʧeː ka⸢ʣaŋ⸣ ka⸢bas⸣saːri ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ ʔa⸢ri⸣butaru] (はったいこ餡入りの餡餅はかおりも香ばしく、そのうえたいそう美味しくもあった<ありおった>) 1470 0 0 1354 htmvoc_1470.wav アンムトゥ ⸢アンム⸣トゥ [⸢ʔammu⸣tu] 名 網元。 ⸢インヌムラヌ アンム⸣トー ⸢クシケー アンヌムラヌ アンム⸣トー ア⸢マシェー ヤッタ⸣ナー [⸢ʔinnumuranu ʔammu⸣toː ⸢kuʃi̥keː ʔannumuranu ʔammu⸣toː ʔa⸢maʃeː jatta⸣naː] (西村の網元は小底家、東村の網元は小濱家だったねえ) 1471 0 0 1355 htmvoc_1471.wav アンムヌ ⸢アン⸣ムヌ [⸢ʔam⸣munu] 名 竹で編んだもの。竹でえつり(桟)のように編んだもの。「編み物」の義。茅葺屋根の甍を押さえるのに用いる。 ⸢ヤー⸣ ダ⸢ディ⸣クダキバ ⸢アン⸣ムヌ ⸣シー ⸢ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティスー [⸢jaː⸣ da⸢di⸣kudakiba ⸢ʔam⸣munu ⸣ʃiː ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔantisuː] (ヤー<囃子>ダディク竹を編み物<竹のえつり>にして家を造ってあるという)(鳩間島古謡『ヤーヌフンシキアーパーレー』第14連参照) 1472 0 0 1356 htmvoc_1472.wav アンユーティ ⸣アンユーティ [⸣ʔaŋjuːti] 連 有るだろうかと。有るかと。 マ⸢チヤー⸣ナ ニ⸢チサマシ⸣ヌ ⸣アンユーティ ⸢カイン⸣ パ⸢ラシ⸣タ [ma⸢ʧijaː⸣na ni⸢ʧisamaʃi⸣nu ⸣ʔaŋjuːti ⸢kaim⸣ pa⸢raʃi̥⸣ta] (お店に熱冷まし<解熱剤>があるだろうかと買いに行かせた) 1473 0 0 1357 htmvoc_1473.wav アンユーナーンユー ⸣アンユー ⸢ナーン⸣ユー [⸣ʔaŋjuː ⸢naːŋ⸣juː] 連 有るか、無いか。 ⸣ウナー ⸣バー ⸢キン⸣ヌ ⸣アンユー ⸢ナーン⸣ユー ⸢ミシ⸣キ⸢ミー [⸣ʔunaː ⸣baː ⸢kin⸣nu ⸣ʔaŋjuː ⸢naːŋ⸣juː ⸢miʃi̥⸣ki⸢miː] (そこに私の着物が有るか、無いか、捜してごらんよ) 1474 0 0 1358 htmvoc_1474.wav アンラク ⸢アンラク [⸢ʔanraku] 名 安楽。標準語からの借用語。 ウ⸢ビ⸣ナーヌ ッ⸢ふァンケー⸣バ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバスンティ⸣ ア⸢ワ⸣リナンギ ⸢ソー⸣レーユンダ ⸣トゥシ トゥ⸢ロー⸣ルカー ⸢アンラク ソーラリ⸣ス [ʔu⸢bi⸣naːnu f⸢faŋkeː⸣ba sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubasunti⸣ ʔa⸢wa⸣rinaŋgi ⸢soː⸣reːjunda ⸣tu̥ʃi tu⸢roː⸣rukaː ⸢ʔanraku soːrari⸣su] (あれだけ多くの子供達を養育するのに難儀苦労をなされたのだから、年をとられたら安楽なされるよ) 1475 0 0 1359 htmvoc_1475.wav イ =イ [-i] 終助 動詞の未然形に下接し、自分の意志について相手の同意を求める。 ⸣バー パ⸢ライ [⸣baː pa⸢rai] (私は行こうねえ) カ⸢カイ [ka⸢kai] (書こうねえ) パ⸢ガイ [pa⸢gai] (剥ごうねえ) トゥ⸢バイ [tu⸢bai] (飛ぼうねえ) ⸣バー ⸣クナーティ マ⸢タイ [⸣baː ⸣kunaːti ma⸢tai] (私はここで待とうねえ)) 1476 0 0 1360 htmvoc_1476.wav イ ⸣イ [i] 助数 日を表す助数詞。 ⸣プスイ [⸣pu̥sui] (1日)。 プ⸢スイ⸣ナー ア⸢サビ⸣ ミ⸢サ⸣ル [pu̥⸢sui⸣naː ʔa⸢sabi⸣ mi⸢sa⸣ru] (一日ずつぐらいは遊んでもよかろう) 1477 0 0 1361 htmvoc_1477.wav イー ⸣イー [ʔiː] 名 絵。⸢イーカタ[⸢ʔiːkata](絵)、または単にカ⸢タ[ka⸢ta](絵)ともいう。 ク⸢ヌ イー⸣ヤ ⸢タール⸣ カ⸢コーッ⸣タカヤー ⸣アイ ⸢カイ⸣ヤワレー [ku⸢nu ʔiː⸣ja ⸢taːru⸣ kḁ⸢koːt⸣takajaː ⸣ʔai ⸢kai⸣jawareː] (この絵は誰が描かれたのかなあ、なんと美しいことよ) ク⸢ヌ イーカター タール⸣ カ⸢ク⸣タ [ku⸢nu ʔiːkḁtaː taːru⸣ kḁ⸢ku⸣taː] (この絵は誰が描いたか)) 1478 0 0 1362 htmvoc_1478.wav イー ⸣イー [⸣ʔiː] 名 食べ物。食事。「~笥に盛る飯<イヒ>を~。万、142」、「伊比<イヒ>」『日本書紀 推古二一年歌謡』、「飯 イヒ」『色葉字類抄』の転訛したもの。⸢マイヌ⸣イー[⸢mainu⸣ʔiː](米飯)、⸢コー⸣イー[⸢koː⸣ʔiː](硬い米飯{EOS}「強飯」<コハイヒ>)『色葉字類抄』、⸢ウンヌ⸣イー[⸢ʔunnu⸣ʔiː](芋のご飯)、イ⸢バ⸣チ[ʔi⸢ba⸣ʧi](飯初)、⸢タイラー⸣イー[⸢tiaraː⸣ʔiː](稲の初穂祭に作るお握り{EOS}飯初)等がある。 プ⸢スマヌ イー⸣ヤ ⸢タール⸣ バ⸢カスワ [pu̥⸢sumanu ʔiː⸣ja ⸢taːru⸣ ba⸢kasuwa] (昼ご飯<昼間の飯>は誰が炊くのか) 1479 0 0 1363 htmvoc_1479.wav イー ⸢イー [ʔiː] 名 胃。胃袋。標準語からの借用語。牛や豚、猪の胃袋はウ⸢ブン⸣ガイ[ʔu⸢buŋ⸣gai]という。 ⸢イーヌ⸣ ヤムカー ン⸢ガ⸣ナー ⸢シッ⸣キティ ⸣シル ⸣タリティ ⸣ヌミバ [⸢ʔiːnu⸣ jamukaː ŋ⸢ga⸣naː ⸢ʃik⸣kiti ⸣ʃiru ⸣tariti ⸣numiba] (胃が痛かったら<病むなら>苦菜を搗いて汁を絞って飲みなさい) 1480 0 0 1364 htmvoc_1480.wav イー ⸢イー [⸢ʔiː] 連体 よい。 ⸢イー ピュール [⸢ʔiː pjuːru] (よい日和{EOS}よい日) ⸢イー オシキ [⸢ʔiː ʔoʃi̥ki] (よい天気))。 ⸢イー⸣ ソンガチ [⸢ʔiː⸣ soŋgaʧi] (よい正月)。 ウ⸢レー イー カンガイ⸣ ユン [ʔu⸢reː ʔiː kaŋgai⸣ juŋ] (それはいい考えだ)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢イー オシキ ヤリバ⸣ フネー ン⸢ザサ⸣リン [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔiː ʔoʃi̥ki jariba⸣ ɸuneː ʔn⸢ʣasa⸣riŋ] (今日はいい天気だから船は出せる) ⸢イー クトゥ⸠ユー [⸢ʔiː kutu⸠juː] (よいことでございます)) 1481 0 0 1365 htmvoc_1481.wav イー ⸢イ⸣ー [⸢ʔi⸣ː] 感 うん。承知。不快感を持つ目下の者に対して用いる。立腹して答える場合には、⸢イ⸣ーヒャー[⸢ʔi⸣ːçaː](くそっ、うんだ)。 ⸢ワー フン⸣トー ウイ⸢シェーン [⸢waː ɸun⸣toː ʔui⸢ʃeːŋ] (君は本当に泳げるか) {Break}の不快感を伴う問いに対して、{Break} ⸢イ⸣ー ウイ⸢ゲ⸣ラ [⸢ʔi⸣ː ʔui⸢ge⸣ra] (当然だ<当たり前だ>{EOS}泳げるさ) 1482 0 0 1366 htmvoc_1482.wav イーー イー⸢ー [ʔiː⸢iː] 感 ええっ。まあ。驚いた時や意外なときに発することば。 イー⸢ー⸣ アイル ⸢ヤッター⸣ バー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サムティ⸣ ブリー ⸢シーナーン⸣バン ⸢ナー [ʔiː⸢iː⸣ ʔairu ⸢jattaː⸣ baː noː⸢n⸣ s⸢samuti⸣ buriː ⸢ʃiːnaːm⸣ban⸢naː] (ええっ そうだったのか{EOS}私は何も知らないで無礼を働いてしまったなあ) 1485 0 0 1367 htmvoc_1485.wav イーガイ ⸢イー⸣ガイ [⸢ʔiː⸣gai] 名 杓文字(しゃもじ)。飯をよそう道具。ご飯を掬い取るために木や竹で作った匙状の用具。ミ⸢シ⸣ガイ[mi⸢ʃi⸣gai](飯・杓文字)ともいう。「飯匙(いひがい)」(伊勢物語)の義。 ⸢イー⸣ガイシ ⸣イー ス⸢クイティ イーマカ⸣ルナ ム⸢リ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢ʔiː⸣gaiʃi ⸣ʔiː su̥⸢kuiti ʔiːmaka⸣runa mu⸢ri⸣ f⸢fiːri] (杓文字<飯匙>で飯を掬って飯碗に盛りつけてくれ) 1484 0 0 1368 htmvoc_1484.wav イーカキプス ⸢イーカキ⸣プス [⸢ʔiːkaki⸣pu̥su] 名 絵を描くことの上手な人。画家<絵描き>。「絵描き人」の義。 カ⸢ヌ プソー ズンニ イーカキプス⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢ネーシ⸣ カクン⸢ダー [ka⸢nu pu̥soː ʣunni ʔiːkakipu̥su⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢neːʃi⸣ kḁkun⸢daː] (あの人は本当に、画家<絵描き人>のように似せて描くよ) 1486 0 0 1369 htmvoc_1486.wav イーカコーニ ⸢イーカコーニ [⸢ʔiːkakoːni] 副 いい具合に。ぴったりと。 ⸢クーン⸣カヤーティ ⸢ソー シーベータン⸣ドゥ ⸢イーカコーニ ワー⸣ キー ッ⸢ふィーティ⸣ サ⸢ニヤ シーベー⸠ダー [⸢kuːŋ⸣kajaːti ⸢soː ʃiːbeːtan⸣du ⸢ʔiːkakoːni waː⸣ kiː f⸢fiːti⸣ sa⸢nija ⸢ʃiːbeː⸠daː] (来ないかと心配していたが、いい具合に君が来てくれて喜んでいるよ<嬉しさしているよ>) 1487 0 0 1370 htmvoc_1487.wav イーカンガイ ⸢イーカンガイ [⸢ʔiːkaŋgai] 名 いい考え。よい着想。 ⸣キノーラ ⸢シッ⸣パイ ⸢カン⸣ガイ ⸢ベーヌン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ イーカンガイヌ⸣ ンジ ⸢クーン⸠ツォー [⸣kinoːra ⸢ʃip⸣pai ⸢kaŋ⸣gai ⸢beːnun⸣du mut⸢tu ʔiːkaŋgainu⸣ ʔnʤi ⸢kuːn⸠ʦoː] (昨日から一所懸命に<精一杯>考えているが、ちっともいい考えが出てこないのだよ) 1488 0 0 1371 htmvoc_1488.wav イーククチ ⸢イーククチ [⸢ʔiːkukuʧi] 名 いい心地。心地よいさま。 ⸣アボー ⸣カタ ⸢ムーミ オーシタ イーククチ⸣ ヤ⸢ローリン⸣ギサルユー ニ⸢ボー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaboː ⸣kḁta ⸢muːmi ʔoːʃi̥ta ʔiːku̥kuʧi⸣ ja⸢roːriŋ⸣gisarujuː ni⸢boː⸣ri ⸢naː⸣nu] (お母さんは、肩を揉んで差し上げたら、いい心地でいらっしゃるのか、眠ってしまわれた) 1489 0 0 1372 htmvoc_1489.wav イークトゥ ⸢イークトゥ [⸢ʔiːkutu] 名 よいこと。慶事。おめでた。 ⸢ワッ⸣テナーヤ ク⸢トゥシン イークトゥヌ⸣ ア⸢ロー⸣ルンティ シ⸢キティル⸣ メー ⸢バン⸣タン サ⸢ニヤ シーベー⸠ダー [⸢wat⸣tenaːja ku̥⸢tuʃiŋ ʔiːkutunu⸣ ʔa⸢roː⸣runti ʃi̥⸢kitiru⸣ meː ⸢ban⸣tan sa⸢nija ʃiːbeː⸠daː] (おたくには<貴方の家には>今年も慶事がおありと聞いて<ぞ>、もう私達も喜んで<嬉しくして>おりますよ) 1490 0 0 1373 htmvoc_1490.wav イークトゥユー ⸢イークトゥ⸣ ユー [⸢ʔiːkutu⸣ juː] 成 おめでとうございます。 ⸢ミードゥシ⸣ ン⸢カイオー⸣リ ⸢イークトゥ⸠ユー [⸢miːduʃi⸣ ŋ⸢kaioː⸣ri ⸢ʔiːkutu⸠juː] (新年おめでとうございます<新年を迎えなされてよいことでございます>) 1483 0 0 1374 htmvoc_1483.wav イーグユー イーグ⸢ユー [ʔiːgu⸢juː] 感 ええっ。なんとまあ。驚いた時や意外なときに発することば。イー⸢イー[ʔiː⸢iː]より驚いたりする程度が大きいことを表す 1491 0 0 1375 htmvoc_1491.wav イークル ⸢イークル [⸢ʔiːkuru] 名 良いころ。良い頃合。潮時<干潮>。ちょうど良い時期。 ⸢イークル⸣ <⸢イーシトゥキ⸣> ナ⸢リ⸣ ブーバ タ⸢ク⸣ トゥリン ⸣パラ [⸢ʔiːkuru⸣ <⸢ʔiːʃituki⸣> na⸢ri⸣ buːba tḁ⸢ku⸣ turim ⸣para] (良い潮時<干潮>になったから蛸を獲りに行こう) 1492 0 0 1376 htmvoc_1492.wav イーシ ⸢イー⸣シ [⸢ʔiː⸣ʃi] 名 (植)海藻の名。ツノマタ(角叉)。「いぎす(海髪)。海産紅藻類の一種~。乾燥漂白して糊の材料、また刺身のつまとする。~」『広辞苑』の転訛したものか。西表島の⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)、⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)の北にあるウ⸢ブ⸣ビー[ʔu⸢bu⸣biː]、⸢ダイ⸣クビー[⸢dai⸣kubiː]、⸢イーリジマ[⸢ʔiːriʤima]の干瀬に鳩間漁業組合員が大正年間に養殖したという海藻。毎年夏に採取して乾燥し、寒天の材料として輸出された。 ⸢イー⸣シトゥリヌ ⸣ピンマー ⸣シマズーヌ ⸣イダフネー ムー⸢ル イー⸣シ ⸣トゥルンティ ⸢イー⸣シビーナ ア⸢ツァ⸣マリ ミ⸢グトゥ ヤッタ [⸢ʔiː⸣ʃiturinu ⸣pimmaː ⸣ʃimaʣuːnu ⸣ʔidaɸuneː muː⸢ru ʔiː⸣ʃi ⸣turunti ⸢ʔiː⸣ʃibiːna ʔa⸢ʦa⸣mari mi⸢gutu jatta] (角叉採集の時は島中のサバニはみんな角叉を採取するためにイーシビー<角叉干瀬>に集まって見事だった) 1493 0 0 1377 htmvoc_1493.wav イーシキ ⸢イーシキ [⸢ʔiːʃi̥ki] 名 言い付け。指示。命令。指導。⸢イシキ[⸢ʔiʃi̥ki](言い付け)ともいう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢イーシキ⸣ マ⸢ム⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʔiːʃi̥ki⸣ ma⸢mu⸣ri⸢joː] (親の言い付け<指示・指導>を守れよ) 1912 0 0 1378 htmvoc_1912.wav イーシキルン ⸢イーシキルン [⸢ʔiːʃikiruŋ] 他動 告げる。知らせる。告げ口する。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸢イーシキルン⸠ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː ʔu⸢jan⸣naːni ⸢ʔiːʃikirun⸠daː] (悪事をはたらくと親に知らせるぞ<言いつけるぞ>) 1494 0 0 1379 htmvoc_1494.wav イーシヌコーマ ⸢イーシ⸣ヌ ⸢コー⸣マ [⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢koː⸣ma] 連 角叉の寒天。⸢イー⸣シを日干し乾燥した後、再度水に浸けると脱色して白くなる。それをナベに入れて煮ると溶解し、ゼリー状になる。それを薄く切って醤油や黒砂糖で味付けして食した。 ⸢イーシ⸣ヌ ⸢コー⸣マー ⸢ソー⸣ユ ⸣カキティ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢マー⸣タン [⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢koː⸣maː ⸢soː⸣ju ⸣kḁkiti f⸢fuː⸣kaː ʔm⸢maː⸣taŋ] (角叉の寒天は醤油をかけて食べると美味しかった) 1495 0 0 1380 htmvoc_1495.wav イーシビー ⸢イー⸣シビー [⸢ʔiː⸣ʃibiː] 名 海底地名。角叉を養殖した干瀬の名。「角又干瀬」の義。西表島北岸の⸣インダ[ʔinda](伊武田)、⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)の北にある干瀬。約二万坪の広さがあるという⸢イー⸣シビーは中央部にフ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma](小津口)を有し、鳩間島からの⸣イダフニ[⸣ʔidahuni](サバニ、帆船)は、そこを通って⸢クーラ[⸢kuːra]、⸣インダ[⸣ʔinda]、トゥ⸢マダ[tu⸢mada]、⸢ケー⸣ダ[⸢keː⸣da]、⸢ユシ⸣キダ[⸢juʃi̥⸣kida]、サ⸢キンダ[sḁ⸢kinda]の各耕作地のタ⸢バ⸣ル[ta⸢ba⸣ru](田袋{EOS}田原)に通った。この津口の西側の干瀬を⸢イーリジマ[⸢ʔiːriʤima]という。東の干瀬には⸢ダイ⸣クビー[⸢dai⸣kubiː]とウ⸢ブ⸣ビー[ʔu⸢bu⸣biː]がある。そこの角叉は鳩間島の漁業組合の組合員が石垣島の川平と小浜島のクバサキから、大正年間に角又の種を採取してきて移植したものだという(この移植事業に従事した一人、加治工伊佐氏の直話による記録)。 ⸢イー⸣シビーヌ ⸢イーシ⸣ヌ ⸣タネー カ⸢ビラ⸣トゥ ク⸢モーマラ⸣ル ⸣トゥギ イ⸢ボーッ⸣タ⸢ダー [⸢ʔiː⸣ʃibiːnu ⸢ʔiːʃi⸣nu ⸣taneː ka⸢bira⸣tu ku⸢moːmara⸣ru ⸣tugi ʔi⸢boːt⸣ta⸢daː] (イーシ干瀬の角叉の種苗は川平と小浜島から採取してきて<取ってきて>移植されたのだよ) 1496 0 0 1381 htmvoc_1496.wav イーシプシ ⸢イー⸣シプシ [⸢ʔiː⸣ʃipu̥ʃi] 名 ツノマタ干し。収穫した海藻のツノマタ(角又)を炎天下の桟橋や広場に広げ干して乾燥させるが、正午過ぎに裏返して干すきつい作業。その際に小さな枝珊瑚を取り除く作業をした。 ⸢イー⸣シプシェー ⸢ナンギ⸣ヌ シ⸢グトゥ ヤッタ [⸢ʔiː⸣ʃipu̥ʃeː ⸢naŋgi⸣nu ʃi⸢gutu jatta] (ツノマタ干しは難儀な仕事であった) 1498 0 0 1382 htmvoc_1498.wav イージブン ⸢イージブン [⸢ʔiːʤibuŋ] 連 いい時分。適当な頃合。 ⸢イージブン⸣ ナ⸢リ⸣ブバ ⸣メー イ⸢ソー⸣ パル ス⸢コール シー⸣バ [⸢ʔiːʤibun⸣ na⸢ri⸣buba ⸣meː ʔi⸢soː⸣ paru su̥ ⸢koːru ʃiː⸣ba] (いい時分<いい潮時>になっているから潮干狩りに行く準備をしなさい) 1503 0 0 1383 htmvoc_1503.wav イージョーミー ⸢イージョーミー [⸢ʔiːʤoːmiː] 名 遊戯の名<魚の目>。乳幼児をあやす遊び。⸢イーズヌミー[⸢ʔiːʣunumiː](魚の目)ともいう。右手を握って人差し指を出し、最初にそれを左の手のひらに当て、⸢イージョーミー、イー⸣ジョー⸢ミー、ピー⸣ジン⸢トー、ピー⸣ジン⸢トー、ミン⸣ミン⸢ミー、ミン⸣ミン⸢ミー、ガーバラ、ガーバラ[⸢ʔiːʤoːmiː ʔiː⸣ʤo⸢miː ⸢piːʤintoː piː⸣ʤin⸢toː mim⸣mim⸢miː mim⸣mim⸢miː ⸢gaːbaragaːbara](魚の目、魚の目、肘頭、肘頭、お耳、お耳、かぶりかぶり<頭頭>)と唱え、順次体の部位を触り、最期に頭を左右に揺すって終わる遊び 1497 0 0 1384 htmvoc_1497.wav イーズ ⸢イーズ [⸢ʔiːʣu] 名 図面。設計図。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢イーズ⸣ ピ⸢クン [⸢jaː⸣nu ⸢ʔiːʣu⸣ pi̥⸢kuŋ] (家の設計図を描く<引く>) ヤ⸢ク⸣バーラ ⸢イーズ⸣ カ⸢リ⸣キー ウ⸢ツァ⸣シ [ja⸢ku⸣baːra ⸢ʔiːʣu⸣ ka⸢ri⸣kiː ʔu⸢ʦa⸣ʃi] (役場から田畑の図面を借りてきて写しなさい)) 1499 0 0 1385 htmvoc_1499.wav イースーブ ⸢イー スーブ [⸢ʔiː suːbu] 連 勝敗を決することが難しい勝負。優劣つけがたい勝負。ちょうど良い勝負。力が拮抗した状態。 ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢リスー⸣ボー ⸢タール⸣ パ⸢ヤー⸣ユー ワ⸢カラ⸣ヌ ⸢イー スーブーユン [⸢kundu⸣nu pa⸢risuː⸣boː ⸢taːru⸣ pa⸢jaː⸣juː wa⸢kara⸣nu ⸢ʔiː suːbuːjuŋ] (今度の走り競争は誰が早いか分からない{EOS}いい勝負だ<力が拮抗している>)。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン イー スーブユン [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirubaŋ ʔiː suːbujuŋ] (彼ら二人は何をさせても実力伯仲している<いい勝負だ>) 1501 0 1 1386 htmvoc_1501.wav イースク ⸢イースク [⸢ʔiːsu̥ku] 名 {Mn_1}ちょうどよい具合。適度。ほどよいこと。 サ⸢ケー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣ブカラ ヌ⸢ムバ⸣ル ⸢イースク [sḁ⸢keː⸣ ma⸢na⸣ma bukara nu⸢muba⸣ru ⸢ʔiːsu̥ku] (酒は今の程度に飲んだほうが丁度よい具合だ<適当だ>)。 1501 0 2 1387 htmvoc_1501.wav イースク ⸢イースク [⸢ʔiːsu̥ku] 名 {Mn_2}相当。かなり。 ⸢イースクヌ ジン⸣バ シゥ⸢カイティル⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ タ⸢ナ⸣ミケー [⸢ʔiːsu̥kunu ʤim⸣ba sï̥⸢kaitiru⸣ jat⸢tu⸣ʃi ta⸢na⸣mikeː] (それ相当の金を使って、やっとのことで頼んできてある)。 ⸢クン⸣ドー ⸢イースコー モー⸣ケーンティ⸢ダー [⸢kun⸣doː ⸢ʔiːsu̥koː moː⸣keːnti⸢daː] (今度は相当に<かなり>儲けたそうだよ) 1500 0 0 1388 htmvoc_1500.wav イースブルン ⸣イー ス⸢ブ⸣ルン [⸣ʔiː su⸢bu⸣ruŋ] 連 握り飯をつくる。お結びを結ぶ。「飯・絞る」の転訛したもの。 ⸢イー⸣バ ス⸢ブ⸣リティ ⸢ビントー⸣ ム⸢タ⸣シバ [⸢ʔiː⸣ba su⸢bu⸣riti ⸢bintoː⸣ mu⸢ta⸣ʃiba] (お握りをつくって<飯を絞って>、弁当に持たせなさい) 1504 0 0 1389 htmvoc_1504.wav イーソンガチ ⸢イー⸣ ソンガチ [⸢ʔiː⸣ soŋgaʧi] 連 いい正月。年頭の挨拶に用いる言葉。 ⸢イー⸣ ソンガチ ン⸢カイオー⸣リ ⸢イークトゥ⸠ (フ⸢コーラサ⸠) ユー [⸢ʔiː⸣ soŋgaʧi ŋ⸢kaiʔoː⸣ri ⸢ʔiːku̥tu⸣(ɸu̥⸢koːrasa⸣)⸢juː] (いい正月をお迎えになり、おめでとうございます<いいことで>、<有り難いことで>ございます) 1526 0 0 1390 htmvoc_1526.wav イーッふァイダーラ ⸢イーッふァイダー⸣ラ [⸢ʔiːffaidaː⸣ra] 名 無為徒食の輩。無芸大食の者。「飯食い俵」の義。 シ⸢グトー⸣ ノー⸢ン サムティ⸣ ナー⸢イ イーッふァイダー⸣ラ ⸣ナリ ⸢ベーン⸣ティ [ʃi⸢gutoː⸣ noː⸢n samuti⸣ naː⸢i ʔiːffaidaː⸣ra ⸣nari ⸢beːn⸣ti] (仕事は何もしないで無為徒食の輩<無駄食い>になっているよ) 1508 0 1 1391 htmvoc_1508.wav イートゥシ ⸢イートゥシ [⸢ʔiːtuʃi] 名 {Mn_1}よい年。新年。 ⸢イートゥシ⸣ ン⸢カイオー⸣リ シ⸢ディガ⸣フーン タ⸢ボーラ⸣リ フ⸢コーラサ⸠ユー [⸢ʔiːtuʃi⸣ ʔŋ⸢kaioː⸣ri ʃi⸢diga⸣ɸuːn ta⸢boːra⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸠juː] (新年をお迎えになって幸せなことも賜り、おめでとうごさいます<ありがとうございます>)。 1508 0 2 1392 htmvoc_1508.wav イートゥシ ⸢イートゥシ [⸢ʔiːtuʃi] 名 {Mn_2}年頃。適齢期。 ミ⸢ドーン⸣ッふァーン ⸢イートゥシ⸣ ナ⸢リ⸣ブバ ⸣メー ⸢パイ⸣サ ブ⸢トゥ⸣ ム⸢タサバ⸣ル ヤ⸢ル⸣ヨー [mi⸢doːn⸣ffaːŋ ⸢ʔiːtuʃi⸣ na⸢ri⸣buba ⸣meː bu⸢tu⸣ mu⸢tasaba⸣ru ja⸢ru⸣joː] (女の子も適齢期<いい年頃>になっているから、もう、早く嫁がせる<夫を持たせる>ほうがいいよ) 1509 0 0 1393 htmvoc_1509.wav イードゥシ ⸢イードゥシ [⸢ʔiːduʃi] 名 いい友達。「善友」の義。「悪友」の対義語。 ア⸢サブ⸣カー ⸢イードゥシバ⸣ トゥ⸢ミ⸣ル ア⸢サブ⸣ ヤ⸢ナドゥシトー⸣ トゥ⸢レース⸣ナ [ʔa⸢sabu⸣kaː ⸢ʔiːduʃiba⸣ tu⸢mi⸣ru ʔa⸢sabu⸣ ja⸢naduʃitoː⸣ tu⸢reːsu⸣na] (遊ぶならいい友達をもとめて遊ぶのであって、悪友と連れ立って遊ぶな<睦ぶな>) 1510 0 0 1394 htmvoc_1510.wav イーナカ ⸢イー ナカ [⸢ʔiː naka] 連 いい仲。いい間柄。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー イーナカ⸣ ナ⸢リ⸣ブタンドゥ イ⸢チヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣ル ヤ⸢ビル⸣タユー ⸢パン⸣クリ ⸢ナーン⸣バン [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː ʔiːnaka⸣ na⸢ri⸣butandu ʔi⸢ʧinu⸣ ma⸢du⸣ru ja⸢biru⸣tajuː ⸢paŋ⸣kuri ⸢naːm⸣baŋ] (あの二人はいい仲になっていたが、いつの間に仲たがいしたのか<破れたのか>婚約解消<跳ね返って>してしまった) 1511 0 0 1395 htmvoc_1511.wav イーナジキ ⸢イーナジキ [⸢ʔiːnaʤiki] 名 いいなずけ(許婚)。双方の親の合意で幼少の頃から婚約を結んであること。 ⸢イーナジキヌ⸣ イ⸢ク⸣サナ ⸢マーラソーッ⸣タツォー [⸢ʔiːnaʤikinu⸣ ʔi⸢ku⸣sana ⸢maːrasoːt⸣taʦoː] (許婚が戦争で亡くなられたそうだ) 1512 0 0 1396 htmvoc_1512.wav イーナビ ⸢イー⸣ナビ [⸢ʔiː⸣nabi] 名 ご飯を炊く鍋。⸢飯鍋」の義。⸢スー⸣ナビ[⸢suː⸣nabi](汁鍋)の対義語。 ⸢イー⸣ナビナール ⸢マイヌイー⸣ヤ バ⸢カス⸣ダー [⸢ʔiː⸣nabinaːru ⸢mainuʔiː⸣ja ba⸢kasu⸣daː] (飯鍋で<ぞ>米のご飯は炊くのだよ) 2311 0 0 1397 htmvoc_2311.wav イーネー ⸢イー⸣ネー [⸢ʔiː⸣neː] 名 西隣。西側の隣家。 ⸢イー⸣ネーン ⸢アー⸣ネーン ムー⸢ル⸣ ウ⸢トゥザ⸣ル ⸣ナリ ⸢ブー [⸢ʔiː⸣neːŋ ⸢ʔaː⸣neːm muː⸢ru⸣ ʔu⸢tuʣa⸣ru ⸣nari ⸢buː] (西隣も東隣も皆親戚に<ぞ>なっている)。 ⸢イー⸣ネヌ ⸣アッパー シゥ⸢カシ⸣キー ⸢ニン⸣ガイ シ⸢ミオーラ⸣シ [⸢ʔiː⸣nenu ⸣ʔappaː sï̥⸢kaʃi⸣kiː ⸢niŋ⸣gai ʃi⸢miʔoːra⸣ʃi] (西隣のおばあさんをお連れ<ご案内して>してきて祈願して頂きなさい) 1515 0 0 1398 htmvoc_1515.wav イーパイ ⸢イーパイ [⸢ʔiːpai] 名 位牌。ウ⸢ブイー⸣パイ[ʔu⸢buʔiː⸣pai](大きな位牌、伝統的な二段作りの位牌)やッ⸢スイー⸣パイ[s⸢suʔiː⸣pai](白位牌、没後四十九日忌までの位牌)、⸢イーパイヤー⸣マ[⸢ʔiːpaijaː⸣ma](小さな位牌)などがある。伝統的な大きな位牌は、先祖の個人の木牌を奇数枚横列に並べて安置する木製の木枠に填めた位牌をいう。黒塗りの木枠に朱塗りの木牌が嵌め込んであるが、巾約2センチ、長さ約10センチの木牌の正中には、通常「帰真霊位」と金粉のエナメルで書かれ、裏面には氏名と享年が墨書されている。個人用の位牌を⸢イーパイヤー⸣マ[⸢ʔiːpaijaː⸣ma]という。 トゥ⸢クニ⸣ナ ⸢イーパイヌ⸣ ア⸢リ⸣バ ⸢カウヤーンツァン⸣ シキタティティ ⸣ティー ウ⸢サーシ⸣バ [tu̥⸢kuni⸣na ⸢ʔiːpainu⸣ ʔa⸢ri⸣ba ⸢kaujaːnʦaŋ⸣ ʃi̥kitatiti ⸣tiː ʔu⸢saːʃi⸣ba] (仏壇に位牌があるから線香だけでも点け立てて合掌しなさい<手を合わせなさい>) 1516 0 0 1399 htmvoc_1516.wav イーパイサバ ⸢イーパイサバ [⸢ʔiːpaisaba] 名 (動)魚の名。和名、シュモクザメ(体長約3メートルに達するものがいる)。 ⸢イーパイサバー⸣ パ⸢トゥ⸣マナテー ⸢ナン⸣ゾー ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [⸢ʔiːpaisabaː⸣ pḁ⸢tu⸣manateː ⸢nan⸣ʣoː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (シュモクザメは鳩間島ではあまり見たことはなかった<見てみなかった>) 1517 0 0 1400 htmvoc_1517.wav イーパイムティプス ⸢イーパイ⸣ ム⸢ティ⸣プス [⸢ʔiːpai⸣ mu⸢ti⸣pu̥su] 連 位牌継承者。「位牌持ち人」の義。先祖代々の位牌を持つ人の意で、家督を相続する人のこと。直系の長男が位牌を受け継ぐ。長男をさしおいて次男が家督を継ぐのは、サ⸢クシウシ⸣クミ[sḁ⸢kuʃiʔuʃi̥⸣kumi](嫡子押し込め{EOS}廃嫡)といって嫌われている。 ⸢クン⸣ネヌ ⸢イーパイ⸣ ム⸢ティ⸣プソー ⸢ター⸣カヤー [⸢kun⸣nenu ⸢ʔiːpai⸣ mu⸢ti⸣pu̥soː ⸢taː⸣kajaː] (この家の位牌を持つ<家督を継ぐ>人は誰かね) 1514 1 0 1401 htmvoc_1514.wav イーバス ⸢イーバス [⸢ʔiːbasu] 名 {PoS_1}いい折。いい場合。良い機会。 ⸢ワー イーバス⸣ ケール イッ⸢ケン ッふァイフーヤ⸣ ア⸢リ⸣ブーバン [⸢waː ʔiːbasu⸣ keːru ʔik⸢ken ffaiɸuːja⸣ ʔa⸢ri⸣buːbaŋ] (君はいい時に来たよ{EOS}非常に食べる幸運に恵まれているわい) 1514 2 0 1402 htmvoc_1514.wav イーバス ⸢イーバス [⸢ʔiːbasu] 副 {PoS_2}幸いに。ちょうど良い具合に。 ⸢イーバス ウンヌ⸣ ピンマー ⸢ボークー⸣ゴーナー カ⸢ク⸣リ ⸢ベー⸣タ⸢ベー⸣ティ ⸣ヌチェー ⸢ムイ⸣ヤー⸢ダー [⸢ʔiːbasu ʔunnu⸣ pimmaː ⸢boːkuː⸣goːnaː kḁ⸢ku⸣ri ⸢beː⸣ta⸢beː⸣ti ⸣nuʧeː ⸢mui⸣jaː⸢daː] (幸いにその時は防空壕に隠れていたので命は助かった<命は生えた>のだよ) 1518 0 0 1403 htmvoc_1518.wav イーピュール ⸢イーピュール [⸢ʔiːpjuːru] 名 いい日。吉日。⸢カイピュー⸣ル[⸢kaipjuː⸣ru](吉日{EOS}きれいな日より)は対語。祭祀をはじめ、行事を執り行うのに差障りのない日より。 ⸢イーピュールバ⸣ ク⸢ラ⸣シ ⸣キーティル ⸢ウンキニン⸣ガイ シ⸢ミルンティ ベー [⸢ʔiː pjuːruba⸣ ku⸢ra⸣ʃi ⸣kiːtiru ⸢ʔuŋkiniŋ⸣gai ʃi⸢mirunti beː] (いい日和を選んで<繰って>もらって来て<ぞ>健康祈願<運気の祈願>をさせようとしているところだ) 1520 0 0 1404 htmvoc_1520.wav イーピョーシ ⸢イー ピョーシ [⸢ʔiː pjoːʃi] 連 いい拍子。いい機会。幸運。 ⸢イー ピョーシヌ マーリ⸣クーカー トゥ⸢ルマキーン⸣ ア⸢タリ タイロー スン⸣ツォー [⸢ʔiː pjoːʃinu maːri⸣ kuːkaː tu⸢rumakiːŋ⸣ ʔa⸢tari tairoː sun⸣ʦoː] (幸運<いい拍子>がめぐってきたらカツオ鳥の群<鳥巻>にも当たることができて大漁するそうだよ) 1519 0 0 1405 htmvoc_1519.wav イープス ⸢イープス [⸢ʔiːpusu] 名 いい人。善人。ヤ⸢ナプス[ja⸢napusu](悪い人、悪人)の対義語。 ⸣シキンナー ⸢イープスカーネー オーラン⸠ダー ⸢キー⸣ シケーティ ア⸢ラ⸣キ [⸣ʃi̥kinnaː ⸢ʔiːpu̥sukaːneː ʔoːran⸠daː ⸢kiː⸣ ʃi̥keːti ʔa⸢ra⸣ki] (世間にはいい人だけおられないぞ{EOS}気をつけなさい<気をつけておれ{EOS}あるけ>) 1521 0 0 1406 htmvoc_1521.wav イーマカル ⸢イーマカ⸣ル [⸢ʔiːmaka⸣ru] 名 ご飯茶碗。「イヒ・マガリ(飯・鋺)」の義か。「椀 麻加立」『琉球館訳語』、「梡子 makari」『語音翻訳』、「飯碗 麥介衣」『中山伝信録』、「椀、杯也、万利<まり>」『新撰字鏡』の転訛したものか。 ア⸢ラマカル [ʔa⸢ramakaru] (陶器の大碗{EOS}「荒焼碗」の義か)。 ⸣スンカンマカル [⸣suŋkammakaru] (筍干{EOS}ソバ用の陶器の碗{EOS}⸢笋羹碗」の義)。 ⸢イーマカ⸣ルナ ⸢マイヌ⸣イー ム⸢リティ⸣ ン⸢カシ⸣バ [⸢ʔiːmaka⸣runa ⸢mainu⸣ʔiː mu⸢riti⸣ ʔŋ⸢kaʃi⸣ba] (飯碗に米飯を盛って差し上げ<召し上がらせ>なさいよ) 1522 0 0 1407 htmvoc_1522.wav イーヤサッサ ⸢イーヤサッサ [⸢ʔiːjasassa] 感 囃子。重いものを担ぐ時の掛け声。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢グッ⸣ふァムヌ カ⸢タ⸣モール ⸣ピンマ ⸢イーヤサッサ⸣ティ ⸢ヤングイバ⸣ カケーティル カ⸢タ⸣モーッタル [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢guf⸣famunu kḁ⸢ta⸣moːru ⸣pimmaː ⸢ʔiːjasassa⸣ti ⸢jaŋguiba⸣ kḁkeːtiru kḁ⸢ta⸣moːttaru] (昔の人は重いものを担がれる時は、イーヤサッサと掛け声をかけて<ぞ>担がれたものだ) 1535 0 0 1408 htmvoc_1535.wav イーラー ⸢イーラー [⸢ʔiːraː] 名 西方。西の方。⸢アーラー[⸢ʔaːraː](東方{EOS}東の方)の対義語。 ⸣フネー ⸢マー⸣ビン ⸢イーラー⸣ パ⸢ラー⸣イ [⸣ɸuneː ⸢maː⸣biŋ ⸢ʔiːraː⸣ pa⸢raː⸣i] (船はもっと西の方へ操船しなさい<走らせなさい>) 1538 0 0 1409 htmvoc_1538.wav イーラアーラ ⸢イーラアーラ [⸢ʔiːraʔaːra] 名 西と東。東西。 ⸢プール⸣ヌ シ⸢ナ⸣ピキン ⸢パー⸣レーン ⸢イーラアーラ⸣ バ⸢カ⸣レーティル ⸢スー⸣ブ ⸢ソーッ⸣タ [⸢puːru⸣nu ʃi⸢na⸣pi̥kim ⸢paː⸣reːŋ ⸢ʔiːraʔaːra⸣ ba⸢ka⸣reːtiru ⸢suː⸣bu ⸢soːt⸣ta] (豊年祭の綱引きも爬竜船競漕も西と東に分かれて競争<勝負>された)。 ⸢イーラアーラヌ ゾーラキン⸣ ムー⸢ル スー⸣ブ ⸢ヤッタ [⸢ʔiːraʔaːranu ʣoːrakim⸣ muː⸢ru suː⸣bu ⸢jatta] (西村東村の奉納舞踊⸢ゾーラキ{SqBr}⸢ʣoːraki{/SqBr}<入子型常楽踊りの舞踊>や棒術もみんな部落対抗の競争<勝負>であった) 1539 0 1 1410 htmvoc_1539.wav イーラマーリ ⸢イーラマーリ [⸢ʔiːramaːri] 名 {Mn_1}風向(風向き)が急に西に回ること。鳩間島では天候が崩れる前兆といわれている。 カ⸢ジヌ イーラマーリ スー⸣カー ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ブリ⸣ス(ヤ⸢ビ⸣ス) [ka⸢ʤinu ʔiːramaːri suː⸣kaː ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢buri⸣su(ja⸢bi⸣su)] (風向きが急に西に回ると天候が崩れ<破れ>る)。 1539 0 2 1411 htmvoc_1539.wav イーラマーリ ⸢イーラマーリ [⸢ʔiːramaːri] 名 {Mn_2}西側から回って。西回りに回って。 カ⸢ジヌ スー⸣ワンダ シ⸢マ⸣ヌ カ⸢タ⸣カーラ ⸢イーラマーリ シー⸣ パリバ [ka⸢ʤinu suː⸣wanda ʃi⸢ma⸣nu kḁ⸢ta⸣kaːra ⸢ʔiːramaːru ʃiː⸣ pariba] (風が強いので、風除けの島陰<片陰>を通って西回りして行きなさいよ) 1531 0 1 1412 htmvoc_1531.wav イーラリン ⸢イーラ⸣リン [⸢ʔiːra⸣riŋ] 自動 {Mn_1}貰われる。貰うことができる。他動詞⸢イー⸣ルン[⸢ʔiː⸣ruŋ](貰う)の未然形に助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる<可能、受身>)がついて派生した可能(受身)動詞。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ ⸢ホーベー バン⸣ヌン ⸢イーラ⸣リン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢tarunu⸣nu ⸢hoːbeː ban⸣nuŋ ⸢ʔiːra⸣riŋ] (この程度の褒美は私にも貰える)。 ⸢ミーチヌ⸣ バス ブ⸢バー⸣マン ⸢イーラ⸣リティル フ⸢ドゥバサレー⸠ダー [⸢miːʧinu⸣ basu bu⸢baː⸣man ⸢ʔiːra⸣ritiru ɸu⸢dubasareː⸠daː] (三歳の時に叔母さんに貰われて育てられた<成長させられた>のだよ)。 ⸢バン⸣マー ⸢イーララ⸣ヌ [⸢bam⸣maː⸢ʔiːrara⸣nu] (私には貰えない)。 ⸢イーラ⸣リ ⸣ムノー ⸢アン [⸢ʔiːra⸣ri ⸣munoː ⸢ʔaŋ] (貰えるものはあるか)。 1531 0 2 1413 htmvoc_1531.wav イーラリン ⸢イーラ⸣リン [⸢ʔiːra⸣riŋ] 自動 {Mn_2}嫁に貰うことができる。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー バン⸣テヌ ユ⸢ミ イーラ⸣リンツォー [ku⸢nu⸣ f⸢faː ban⸣tenu ju⸢mi ʔiːra⸣rinʦoː] (この子は我が家の嫁に貰えるそうだ) 1533 0 0 1414 htmvoc_1533.wav イーリ ⸢イーリ [⸢ʔiːri] 名 西。「太陽の入る方向」の義。⸢アーリ[⸢ʔaːri](東、太陽の上がる方向の義)の対義語。⸢イーリキー[⸢ʔiːrikiː](西側)に対して⸢アーリキ[⸢ʔaːrikiː](東の方)があり、⸢イーラー[⸢ʔiːraː](西方)に対して⸢アーラー[⸢ʔaːraː](東方)、⸢イー⸣ル[⸢ʔiː⸣ru](西)対して⸢アー⸣ル[⸢ʔaː⸣ru](東)がある 1534 0 0 1415 htmvoc_1534.wav イーリキ ⸢イーリキ [⸢ʔiːriki] 名 西側。⸢アーリキ[⸢ʔaːriki](東側)の対義語。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢イーリキ⸣ナー シ⸢トゥッ⸣チムルシヌ ⸢アッ⸣タン [pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔiːriki⸣naː ʃi̥⸢tut⸣ʧimuruʃinu ⸢ʔat⸣taŋ] (畑の西側に蘇鉄の叢林があった)。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢イーリキヌ⸣ アザナー ガ⸢ジマル⸣ヌ ムイ⸢ベー⸣ン [pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔiːrikinu⸣ ʔaʣanaː ga⸢ʤimaru⸣nu mui⸢beːŋ] (畑の西側の畦にガジマルの木が生えている) 1523 0 0 1416 htmvoc_1523.wav イーリジブン ⸢イーリジブン [⸢ʔiːriʤibuŋ] 名 日没の頃。日暮れ時。太陽の入り時分。「入り時分」の義。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリジブンマー⸣ パ⸢タ⸣ケーラ ⸢カイ⸣リ ⸣クン ⸣パジ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːriʤibummaː⸣ pḁ⸢ta⸣keːra ⸢kai⸣ri ⸣kum ⸣paʤi] (日没頃に畑から帰って来るはず) 1524 0 0 1417 htmvoc_1524.wav イーリジマ ⸢イーリジマ [⸢ʔiːriʤima] 名 海底地名。西表島の北岸の⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)、⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)の北にある⸢イー⸣シビー[⸢ʔiː⸣ʃibiː](角又を養殖した干瀬)の一つで、フ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma](小津口)の西に面した干瀬の名。 ⸢イーリジマ⸣ナーン ⸢イー⸣シェー ア⸢リ⸣ブタンドゥ ウ⸢ブビー⸣ヌ ⸣スコー ⸢ナーン⸣シェン [⸢ʔiːriʤima⸣naːŋ ⸢ʔiː⸣ʃeː ʔa⸢ri⸣butandu ʔu⸢bubiː⸣nu ⸣su̥koː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (イーリジマ干瀬にも角又はあったがウブビーの程はなかった) 1525 0 0 1418 htmvoc_1525.wav イーリッふァ ⸢イーリ⸣ッふァ [⸢ʔiːri⸣ffa] 名 貰い子。生まれつき母親との相性が悪い子は病弱であるので、相性のいい人を探して仮にその人の子にしてもらう子のこと。特定の日に道で遭遇した人や、定期航海船の船長に仮の親を頼むことがある。仮の親には子供が成長した後も進物を欠かさない。ヤ⸢シナイッふァ[ja⸢ʃinaiffa](養い子)ともいう。 ⸢ソーッふァー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢イーリ⸣ッふァ ヤ⸢ルヌヌンドゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ツァー⸣ ピライ ⸢ブン⸣ダー [⸢soːffaː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢ʔiːri⸣ffa ja⸢runundu⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʦaː⸣ pirai ⸢bun⸣daː] (本当の子ではない{EOS}貰い子であるが非常に親密に<篤く>交際しているよ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢マ⸣ヌ ⸢ビョー⸣ザーッタ ⸢ベー⸣ティ ⸢ウンパンシン⸣ヌ ⸢シンドゥ⸣バ タ⸢ナ⸣ミ ⸢イーリ⸣ッふァ ⸣ナシ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカ ア⸢マシター⸣ パ⸢シットゥ⸣ ナリ⸢ベー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔa⸢ma⸣nu ⸢bjoː⸣ʣaːtta ⸢beː⸣ti ⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ⸢ʃindu⸣ba ta⸢na⸣mi ⸢ʔiːri⸣ffa ⸣naʃi ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka ʔa⸢maʃi̥taː⸣ pḁ⸢ʃittu⸣ nari ⸢beː] (この子はあまりにも病弱であったので運搬船の船頭に頼んで貰い子にして船の淦を浴びせておいたら元気になって<すっきりして>いる) 1536 0 0 1419 htmvoc_1536.wav イーリティダ ⸢イーリティダ [⸢ʔiːritida] 名 西日。太陽が西に傾いて入り日すること。 ⸢イーリティダ⸣ ナリ ティ⸢ダ⸣ヌ イ⸢キブイン ヨー⸣レーチバ ダン⸢ティ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢ギーティ⸣ クー [⸢ʔiːritida⸣ nari ti⸢da⸣nu ʔi⸢kibuiŋ joː⸣reːʧiba dan⸢ti⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢giːti⸣ kuː] (西日になって太陽の勢いも弱ってきたので、さっさと畑に行ってきなさい) 1527 0 0 1420 htmvoc_1527.wav イーリバナ ⸢イーリバナ [⸢ʔiːribana] 名 日没時。太陽の入り際。⸢バナ[⸢bana]は、パ⸢ナ[pa⸢na](先端{EOS}~の初め)の頭子音が複合語形成の際に有声化したもの。 ⸢オーシキヌ カイ⸣ヤ ⸣ピンマー ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリバナー インタヌ ティンマー⸣ アガー⸢アガー⸣シ ス⸢マリティ カイ⸣ヤタン [⸢ʔoːʃi̥kinu kai⸣ja ⸣pimmaː ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːribanaː ʔintanu timmaː⸣ ʔagaː⸢ʔagaː⸣ʃi su⸢mariti kai⸣jataŋ] (天気が良いときは西の空は真っ赤に染まって美しかった) 1528 0 0 1421 htmvoc_1528.wav イーリマイズニ ⸢イーリマイズニ [⸢ʔiːrimaiʣuni] 名 (海底地名)。鳩間島の南に発達した三つの曽根(⸢マイ⸣ズニ{SqBr}⸢mai⸣ʣuni{/SqBr}<前曽根>)の中の西側の大きな曽根の名。西表島の⸢ウイバル[⸢ʔuibaru](上原)や、フ⸢ノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦)方面より鳩間島へ真っ直ぐに向かう時、この曽根に当たる。この曽根には、⸢トゥーラン⸣フチ[⸢tuːraŋ⸣ɸu̥ʧi](通過できない津口)というところがあるので注意を要する。そこはまた、ム⸢チイズ[mu⸢ʧiʔiʣu](ノコギリダイ)の巣でもある。ム⸢チイズを釣って、それを生餌にして⸢アーラ⸣ニーバル[⸢ʔaːra⸣niːbaru](マハタ)やユ⸢ダヤ⸣ニーバル[ju⸢daja⸣niːbaru](マダラハタ)等を釣り上げた 1547 0 0 1422 htmvoc_1547.wav イーリムティ ⸢イーリムティ [⸢ʔiːrimuti] 名 西の方。西の方面。西の辺り。⸢アールムティ[⸢ʔaːrumuti](東の方、東の方面)の対義語。 ⸢クーラヌ イーリムティヌ⸣ シ⸢ヌ⸣ヌ ⸢マーリカドー⸣ シザバナリ⸢ゲ⸣ラ [⸢kuːranu ʔiːrimutinu⸣ ʃi⸢nu⸣nu ⸢maːrikadoː⸣ ʃiʣabanari⸢ge⸣ra] (久浦の西方の角の曲がり角はシザバナリ<下離>さ) 1548 0 0 1423 htmvoc_1548.wav イーリムヌ ⸢イーリ⸣ムヌ [⸢ʔiːri⸣munu] 名 貰い物。到来者。頂き物。 ク⸢レー イーリ⸣ムヌ ヤ⸢ルヌ⸣ ン⸢マー⸣ンダ ⸣バキ ⸣ムティパリバ [ku⸢reː ʔiːri⸣munu ja⸢runu⸣ ʔm⸢maː⸣nda ⸣baki ⸣mutipariba] (これは到来物だが、美味しいから分けて持っていきなさいよ)。 ⸣ウマーカマーラヌ ⸢イーリムヌ⸣ヌ ⸣ヌーンクイン ⸣ミツンケン ア⸢リ⸣ブバ ⸢カーン⸣タンティン ⸣ミサン [⸣ʔumaːkamaːranu ⸢ʔiːrimunu⸣nu ⸣nuːŋkuim ⸣miʦuŋkeŋ ʔa⸢ri⸣buba ⸢kaːn⸣tantim ⸣misaŋ] (あちらこちらからの貰い物がいっぱい<満ちるほど>あるから<有り居るから>買わなくてもよい) 1532 0 0 1424 htmvoc_1532.wav イール ⸢イー⸣ル [⸢ʔiː⸣ru] 名 錐(きり)。直径約1、5センチ、長さ約20センチの柄に、直径約2ミリ、長さ約10センチの鉄線を打ち込み、先端部を三角錐に研いで尖らせたもの。両手でもんで板や家具などに穴をあける工具。この穴にタ⸢キフン[ta⸢kiɸuŋ](竹製の釘)を打ち付けた。 ⸣イダフネー カ⸢ニフン⸣ シゥ⸢カーランダ イー⸣ルシ ⸣アナー ⸢ピッ⸣キティ ⸢ウン⸣ナー タ⸢キフンバ ウイヨーッ⸣タ [⸣ʔidaɸuneː ka⸢niɸun⸣ si̥⸢kaːranda ʔiː⸣ruʃi ⸣ʔanaː ⸢pik⸣kiti ⸢ʔun⸣naː tḁ⸢kiɸumba ʔuijoːt⸣ta] (板舟<サバニ>には鉄釘が使えないから手もみ錐で穴をあけてそれに竹釘を打ち込まれた<植えられた>)。板を接ぎ合わせた部分に⸢フン⸣ドゥ[⸢ɸun⸣du](ちぎりじめ<滕締め>に填め込むもの{EOS}両端が広く中がくびれているもの)を填め込んで竹釘の弱さを補い、船板が離れないように固定した 1537 0 0 1425 htmvoc_1537.wav イール ⸢イール [⸢ʔiːru] 名 西。西村。豊年祭の三日目に行われるシ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)の前段に西村と東村に別れた婦人特別舞踊隊による村自慢の歌を掛け合う儀式がある。その歌をイ⸢ジックナー[ʔi⸢ʤikkunaː](言い合い競争、自慢勝負、土地誉め)という。それが済むと東西の大綱が⸣サンシキ[⸣saŋʃiki](桟敷)の中央までシ⸢ナヌ⸣ミン[ʃi⸢nanu⸣miŋ](綱の耳)をよせる儀式が執り行われる。この儀式は婦人特別舞踊隊が歌う⸢ガーリ⸣ウタ[⸢gaːri⸣ʔuta](応援の歌)に合わせて進行する。/イールプール(西村の豊年祭)イールプール(西村の豊年祭)/シナヌミンバ(綱の耳を)ユシクバ(寄せ来れば)シナンギス(綱つなぎ<綱結び>をする)/サーサー ユシクバ シナンギス(さあさあ寄せ来れば綱つなぎ<綱結び>をする)/ 1540 0 0 1426 htmvoc_1540.wav イールカジ ⸢イールカジ [⸢ʔiːrukaʤi] 名 西風。西から吹く風。 ⸢イールカジヌ⸣ フクカー ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ブ⸣ルン [⸢ʔiːrukaʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bu⸣ruŋ] (西風が吹くと天気は崩れる) 1543 0 0 1427 htmvoc_1543.wav イールティダ ⸢イールティダ [⸢ʔiːrutida] 名 西日。入り日。入り日の当たる日向。⸢イーリティダ[⸢ʔiːritida]ともいう。 ⸢イールティダ⸣ ナレーチバ ティ⸢ダ⸣ヌ イ⸢キブイン ⸢ヨーリ⸣ス ⸣パジ ダン⸢ティ ギー⸣ ウン ⸢カイ⸣シ クー⸢ディー [⸢ʔiːritida⸣ nareːʧiba ti⸢da⸣nu ʔi⸢kibuiɲ joːri⸣su ⸣paʤi dan⸢ti giː⸣ ʔuŋ ⸢kai⸣ʃi kuː⸢diː] (西日になっているから太陽の勢いも弱まるはず{EOS}さっと行って芋を掘って<耕して>来ようよ) 1544 0 0 1428 htmvoc_1544.wav イールピサ ⸢イールピサ [⸢ʔiːrupi̥sa] 名 寄棟屋根の西側斜面。「イリ(西)・ヒラ(坂)」の義。⸢アールピサ[⸢ʔaːrupi̥sa](屋根の東側斜面)の対義語。⸢マイ⸣ピサ[⸢mai⸣pi̥sa](屋根の前側斜面)、⸣シンタピサ[⸣ʃintapi̥sa](屋根の後方斜面)がある。 ⸢イーリピサヌ カーラシキ⸣ヌ ⸢ヨー⸣リ ⸢ナーン⸣バ ⸢ノーサン⸣カ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔiːripisanu kaːraʃi̥ki⸣nu ⸢joː⸣ri ⸢naːm⸣ba ⸢noːsaŋ⸣ka na⸢ra⸣nu] (屋根の西側斜面の瓦敷きの板が弱ってしまったので修理しないと<直さないと>いけない) 1550 0 0 1429 htmvoc_1550.wav イールン ⸢イールン [⸢ʔiːruŋ] 自動 入る。太陽が没する。若年層は、イ⸢ルン[ʔi⸢ruŋ](入る)ともいう。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリジブンマー⸣ キサー⸢ティ ダイ⸣ケヌ ⸢アー⸣ヤプシェー ン⸢ジ⸣ブタ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːriʤibummaː⸣ ki̥saː⸢ti dai⸣kenu ʔaː⸣japu̥ʃeː ʔn⸢ʤi⸣buta] (太陽が没する頃<日没時>には、すでに金星<大工家のお父さん星>は輝いていた<出ていた>)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イールン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːruŋ] (太陽が没する)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーラン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パリ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːraŋ⸣keŋ ⸢jaː⸣ pari] (日が暮れないうちに家に帰りなさい)。 ⸣ティダー ⸢イーリ ナー⸣ヌ [⸣tidaː ⸢ʔiːri naː⸣nu] (日は暮れて<日は没して>しまった)。 ⸢イール ティダー⸣ ウ⸢ガマ⸣ヌ [⸢ʔiːrutidaː⸣ ʔu⸢gama⸣nu] (没する太陽は拝まない)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーレーラー⸣ ッ⸢ふァガマリティ⸣ ムヌン ミ⸢ララ⸣ヌ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːreːraː⸣ f⸢fagamariti⸣ munum mi⸢rara⸣nu] (日が暮れたら暗くなってものも見えない) 1555 0 0 1430 htmvoc_1555.wav イールン ⸢イー⸣ルン [⸢ʔiː⸣ruŋ] 他動 貰う。嫁に貰う。娶る。 ク⸢レー⸣ バー ⸢イー⸣ルン [ku⸢reː⸣ baː ⸢ʔiː⸣ruŋ] (これは私が貰う) ⸣アイブ ⸣ムノー ター⸢ン イーラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː taː⸢ŋ ʔiːra⸣nu] (こんなものは誰も貰わない))。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ウン⸣ネヌ ユ⸢ミ⸣ティ ⸢シー イー⸣リ ⸢オー⸣レーツォー [ku⸢nu⸣ f⸢faː ʔun⸣nenu ju⸢mi⸣ti ⸢ʃiː ʔiː⸣ri ⸢ʔoː⸣reːʦoː] (この子はその家の嫁として貰って来られたそうだ) 1541 0 0 1431 htmvoc_1541.wav イールンカイ ⸢イールンカイ [⸢ʔiːruŋkai] 名 西向き。屋敷の門などが西向きになっていること。⸢アールンカイ[⸢ʔaːruŋkai](東向き)の対義語。 パ⸢トゥ⸣マナー ム⸢トゥ⸣ヌ ⸢ヤシ⸣ケー ⸢イールンカイ⸣ ナリ ⸢ベー⸣ティ ⸣アトーラ ビ⸢チン⸣トン ム⸢チ⸣ナローッタ ⸣ヤーン⸢アッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː mu⸢tu⸣nu ⸢jaʃi̥⸣keː ⸢ʔiːruŋkai⸣ nari ⸢beː⸣ti ⸣ʔatoːra bi⸢ʧin⸣ton mu⸢ʧi⸣narotta ⸣jaːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (鳩間には、元の屋敷は西向きになっているので、後から別の所に移られた家もあった) 2243 0 0 1432 htmvoc_2243.wav イーレーキ ⸢イーレーキ [⸢ʔiːreːki] 名 西側。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢イーレー⸣キナ ⸢バンスル⸣ヌ ムイ⸢ベー⸣ン [pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔiːreːki⸣na ⸢bansuru⸣nu mui⸢beː⸣ŋ] (畑の西側にバンジロウ<蕃石榴>の木が生えている)。 ⸢アーレーキ [⸢ʔaːreːki] (東側)。 ニ⸢シェーキ [ni⸢ʃeːki] (北側)。 パ⸢ヤー⸣キ [pa⸢jaː⸣ki] (南側) 1561 0 0 1433 htmvoc_1561.wav イーローマ イー⸢ロー⸣マ [ʔiː⸢roː⸣ma] 名 小さな錐。⸢イー⸣ル[⸢ʔiː⸣ru](錐)に、指小辞-マ[-ma](小さいもの)が下接したもの。沖縄本島方言のグヮー[gwaː](小)、宮古方言の、-ガマ[-gama](小)に対応する語形。鳩間方言の指小辞は、宮古方言の、ガマ[gama](小)が、[gama] → [ŋgama] → [nnaːma](石垣方言)→ [ma](鳩間方言)のように音韻変化して形成されたものである。 イー⸢ロー⸣マ ⸢イー⸣ネーラ カ⸢リ⸣クー [ʔiː⸢roː⸣ma ⸢ʔiː⸣neːra ka⸢ri⸣kuː] (小さな錐を西隣の家から借りてこい) 1556 0 0 1434 htmvoc_1556.wav イーロールン ⸢イー⸣ロールン [⸢ʔiː⸣roːruŋ] 他動 お貰いになる。貰われる。⸢イー⸣ルン[⸢ʔiː⸣ruŋ](貰う)の尊敬語。 ク⸢レー イー⸣ロールンカヤー [ku⸢reː ʔiː⸣roːruŋkajaː] (これはお貰いになるかなあ)。 アー⸢イ イー⸣ローランツォー [ʔaː⸢i ʔiː⸣roːranʦoː] (いや<否>、お貰いにならぬそうだ)。 ⸢イー⸣ローリ ⸣プサカー ⸢イー⸣ロール ⸣ムヌ イ⸢ラ⸣ボーリバ [⸢ʔiː⸣roːri ⸣pu̥sakaː ⸢ʔiː⸣roːru ⸣munu ʔi⸢ra⸣boːriba] (お貰いになりたければ、お貰いになる物をお選びください)。 ⸢イー⸣ローレー ⸣ミサムヌ [⸢ʔiː⸣roːreː ⸣misamunu] (お貰いになれば良いのに)。 ク⸢レー ワー イー⸣ローリ [ku⸢reː waː ʔiː⸣roːri] (これは貴方がお貰いなされ) 1551 0 0 1435 htmvoc_1551.wav イーワキ ⸢イーワキ [⸢ʔiːwaki] 名 言い訳。弁解。謝罪すること。 ヤ⸢ラ⸣ビザーン ⸣アイティ ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァヌ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーティ ワキ ⸢シン ギーティ クー⸣タ [ja⸢ra⸣biʣaːŋ ⸣ʔaiti ⸢ʔun⸣nenu f⸢fanu⸣ duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːti waki ⸢ʃiŋ giːti kuː⸣ta] (子供同士で喧嘩して、その家の子供に怪我をさせてあるので謝罪しに行ってきた) 1552 0 0 1436 htmvoc_1552.wav イェー ⸢イェ⸣ー [⸢je⸣ː] 感 おい。同輩、目下の者に対して呼びかける声。若年層は、⸢エ⸣ー[⸢ʔe⸣ː](おい)ともいう。 ⸢イェ⸣ー ⸢ワー ター⸣ヤ [⸢je⸣ː ⸢waː taː⸣ja] (おい、君は誰か)。 ⸢イェ⸣ー ク⸢レー⸣ ヌーヤ⸢ツォー [⸢je⸣ː ku⸢reː⸣ nuːja⸢ʦoː] (おい{EOS!}これは何かよ<何かってば>) 1603 0 0 1437 htmvoc_1603.wav イェー イェ⸢ー [je⸢ː] 感 ええ!意外な時や感激した時に発する声。 イェ⸢ー⸣ ヌーシター ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [je⸢ː⸣ nuːʃi̥taː ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (ええ?、なんだって、そんなことがあるものか)。 イェ⸢ー⸣ ミ⸢ジラ⸣シ ⸣クトゥヌン ア⸢リ⸣ブバン⸢ナー [je⸢ː⸣ mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣ku̥tunuŋ ʔa⸢ri⸣buban⸢naː] (ええ?珍しいこともあるものだねえ<珍しいことも有りをるわいねえ>) 1557 0 0 1438 htmvoc_1557.wav イエイ ⸣イエイ [⸣ʔijei] 名 伝言。ことづて(言伝)。「いいやる<言遣る>。道守の問はむ答えを言將遣<イヒヤラム>すべを知らにと~。万、543」の転訛したものか。 ウ⸢キナー⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ビントン ⸣イエイ トゥ⸢ドゥ⸣キ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [ʔu⸢kinaː⸣nu ja⸢ra⸣bintoŋ ⸣ʔijei tu⸢du⸣ki f⸢fiːri⸣joː] (沖縄の子供への言伝を届けてくれよねえ)。 ウ⸢キ⸣ナーナティ ⸢バン⸣テヌ ヤ⸢ラ⸣ビンケー ミ⸢ラ⸣リカー ⸣イエイ ⸢シー ッふィーリ⸣ヨー [ʔu⸢ki⸣naːnati ⸢ban⸣tenu ja⸢ra⸣biŋkeː mi⸢ra⸣rikaː ⸣ʔijei ⸢ʃiː ffiːri⸣joː] (沖縄で私の家の子供たちに会ったら<子供たちが見られたら>伝言をしてくれよなあ) 1609 0 0 1439 htmvoc_1609.wav イガ イ⸢ガ [ʔi⸢ga] 名 烏賊(イカ)。ツツイカの総称。鳩間島で漁獲されるツツイカには、ア⸢ガイカ[ʔa⸢gaika](アカイカ)とシ⸢ル⸣イカ[ʃi⸢ru⸣ika](シロイカ、和名・アオリイカ)がある。コウイカにはク⸢ル⸣スメー[ku⸢ru⸣sumeː](コウイカ、和名・コブシメ)があり、コブシメは島の珊瑚礁で産卵しているので、海岸から餌木を投げて釣ることができる。 ム⸢カ⸣セー ⸣シンニン イ⸢ガ ホー⸣スンティ イ⸢ツォーンプス⸣ヌ パ⸢トゥ⸣マー ⸢オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʃinniŋ ʔi⸢ga hoː⸣sunti ʔi⸢ʦoːmpu̥su⸣nu pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔoːt⸣tanʦoː] (昔はもっぱら烏賊を釣るために糸満漁師の人が鳩間島へいらっしゃったそうだ) 1615 0 0 1440 htmvoc_1615.wav イカーラ ⸣イカーラ [⸣ʔikaːra] 連体 いかなる。「如何あらむ」の「む」の脱落した形。 ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アンティ ア⸢ズヌ⸣ ク⸢レー⸣ イカーラ ⸣クトゥヤ [⸣kaibu ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔanti ʔa⸢ʣunu⸣ ku⸢reː⸣ ʔikaːra ⸣ku̥tuja] (あんなことがあるというが、これは一体如何なることか) 1616 0 0 1441 htmvoc_1616.wav イカーラ イ⸢カーラ [ʔi⸢kaːra] 副 幾ら~でも。幾ら~とも。一歩譲歩して、数量や程度の甚だしさを前提条件として認めつつも、それと反対のことを述べる意を表す。 イ⸢カーラ⸣ <イ⸢コーラ⸣> ウ⸢カ⸣ヌ ⸣アンティ ア⸢ザバン⸣ ッ⸢ふァバ カース⸣ クトー ⸢ナーン⸣パジ [ʔi⸢kaːra⸣ <ʔi⸢koːra⸣> ʔu⸢ka⸣nu ⸣ʔanti ʔa⸢ʣabaŋ⸣ f⸢faba kaːsu⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (幾ら借金があるといっても、子供を売ることは無いはずだ) 1617 0 0 1442 htmvoc_1617.wav イカーラカコーニ ⸣イカーラカコーニ [⸣ʔikaːrakakoːni] 副 いかようにして。どのようにして。どんなふうに。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢コー⸣ イカーラカコーニ ス⸢クル⸣タ ム⸢ヌ⸣ユー ミ⸢ジラサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ pḁ⸢poː⸣ ʔikaːrakakoːni su̥⸢kuru⸣ta mu⸢nu⸣juː mi⸢ʤirasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (この箱はどのようにして作ったものなのか、珍しくて仕方がない) 1618 0 0 1443 htmvoc_1618.wav イカーラカコーヌ ⸣イカーラカコーヌ [⸣ʔikaːrakakoːnu] 連 いかなる程度の。どのような風体の。どんなふうの。 ⸣イカーラカコーヌ ム⸢ヌヌン⸣ドゥ ⸢ワー イー⸣ルンティ ⸣ケーワ [⸣ʔikaːrakḁkoːnu mu⸢nunun⸣du ⸢waː ʔiː⸣runti ⸣keːwa] (いかなる程の者が君を嫁にもらいに来ているのか) 1619 0 0 1444 htmvoc_1619.wav イカーラコーラシ ⸣イカーラコー⸢ラ⸣シ [⸣ʔikaːrakoː⸢ra⸣ʃi] 副 どんなふうにして。どのようにして。相手の技量を低くみた表現。 ⸣イカーラコー⸢ラ⸣シ ス⸢クル⸣タ ム⸢ヌ⸣ユー ⸢タンガ⸣シ ⸢ヤー⸣バ ス⸢クル⸣タツォー [⸣ʔikaːrakoː⸢ra⸣ʃi su̥⸢kuru⸣ta mu⸢nu⸣juː ⸢taŋga⸣ʃi ⸢jaː⸣ba su̥⸢kuru⸣taʦoː] (どんなふうにして作ったものやら、一人で家を造ったそうだよ) 1669 0 0 1445 htmvoc_1669.wav イカーラシジ ⸣イカーラ ⸣シジ [⸣ʔikaːra ⸣ʃiʤi] 連 如何なるわけ。どういうわけ。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ズ⸣ ムニン シゥ⸢カムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ピン ⸢シーベー⸣ヌ ⸣イカーラ ⸣シジヤ [ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣu⸣ munin sï̥⸢kamuti⸣ naː⸢i⸣ piŋ ⸢ʃiːbeː⸣nu ⸣ʔikaːraʃiʤija] (親のいうこと<ことば>も聞かないで、ただ拗<す>ねて反抗しているが、如何なるわけがあるのか) 1558 0 0 1446 htmvoc_1558.wav イカール ⸣イカール [⸣ʔikaːru] 連体 如何なる。どのような。⸣イカーラ[⸣ʔikaːra](いかなる)ともいう。下に疑問の終助詞ヤ[ja](か)、ワ[wa](か)を伴って詰問を表す。 ク⸢レー⸣ イカール(⸣イカーラ)⸣シジヤ [ku⸢reː⸣ ʔikaːru(⸣ʔikaːra)⸣ʃiʤija] (これは如何なる<どういう>訳か)。 ⸣イカーラ ク⸢トゥ⸣ヌ ウ⸢クル⸣ワ [⸣ʔikaːra ku̥⸢tu⸣nu ʔu⸢kuru⸣wa] (如何なることが起きるのか) 1623 0 0 1447 htmvoc_1623.wav イカーンナランドゥ イ⸢カーン⸣ ナ⸢ラン⸣ドゥ [ʔi⸢kaːn⸣ na⸢ran⸣du] 連 仕方なく。やむを得ず。万策尽きて。 イカー⸢ン⸣ ナ⸢ラン⸣ドゥ プ⸢スン⸣ シゥ⸢カーレー⸣ティ アー⸣ク ⸢ジン⸣ヌサーギ ⸣アルカー ⸣ドゥーシ ⸢シーゲ⸣ラ [ʔi⸢kaːn⸣ na⸢ran⸣du pu̥⸢sun⸣ sï̥⸢kaːreː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku ⸢ʤin⸣nusaːgi ⸣ʔarukaː ⸣duːʃi ⸢ʃiːge⸣ra] (仕方がなくて他人に使われているのであって、金がさえあれば自分でするさ) 1604 0 0 1448 htmvoc_1604.wav イガイズ イ⸢ガイズ [ʔi⸢gaiʣu] 名 餌木(えぎ)。老年層のことば。若年層は、イ⸢ガジー[ʔi⸢gaʤiː](えぎ<餌木>)ともいう。烏賊を釣るのに用いる擬餌の木片。鳩間島では杉などの木片で魚の形を作り、腹部に鉛を嵌めこんで水中に浮くようにし、尾部に鉤状の針を8本ほど丸く束ねて付けたもの。その餌木の口に細い縄を結わえて、島の浜辺から約30メートル沖の方へ投入しては手繰り寄せながらク⸢ル⸣スメー[ku⸢ru⸣sumeː](甲いか{EOS}もんごいか)やシ⸢ライ⸣カ[ʃi⸢rai⸣ka](白烏賊)等を釣った。 ⸣マンタヌ パ⸢マー⸣ラ イ⸢ガイズ<イガジー>バ ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティル ク⸢ル⸣スメーン シ⸢ライ⸣カーン ⸢ホーシ⸣タ⸢ダー [⸣mantanu pa⸢maː⸣ra ʔi⸢gaiʣuba naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeː⸣tiru ku⸢ru⸣sumeːŋ ʃi⸢rai⸣kaːŋ ⸢hoːʃi̥⸣ta⸢daː] (前の浜から餌木を投げては手繰り手繰りしてコブシメも白烏賊も釣ったものだよ) 1606 0 0 1449 htmvoc_1606.wav イガガラス イ⸢ガガラス [ʔi⸢gagarasu] 名 烏賊の塩辛。烏賊の内臓を除去し、巾約1センチに切って樽に入れ、塩漬けにしたもの。塩の量を多めにまぶして密封し、2~3ヶ月寝かせておくと美味しい塩漬けが出来上がる。戦後の一時期まで輸出品として製造された。一部は自家消費された。冬期の時化が続く時などに食した。ご飯のおかずにすると食が進むといわれていた。 イ⸢ガメージブン⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー ⸣ピンマー イ⸢ガー⸣ プ⸢サラン⸣ベーティ イ⸢ガガラス⸣ ス⸢コーッ⸣タ [ʔi⸢gameːʤibuŋ⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːpimmaː ʔi⸢gaː⸣ pu̥⸢saram⸣beːti ʔi⸢gagarasu⸣ su̥⸢koːt⸣ta] (烏賊漁の時期に雨が降る時は烏賊は干されないから、烏賊の塩漬けに漬けられた) 1559 0 0 1450 htmvoc_1559.wav イカサル イ⸢カ⸣サル [ʔi⸢ka⸣saru] 連体 如何なる。どのような。 イ⸢カ⸣サル ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢リ⸣ル ⸣カイ ⸢ナッ⸣ター [ʔi⸢ka⸣saru ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ri⸣ru ⸣kai ⸢nat⸣taː] (如何なることがあって、こうなったのか) 1624 0 0 1451 htmvoc_1624.wav イカシ イ⸢カ⸣シ [ʔi⸢ka⸣ʃi] 副 いかが。どう。疑問の意味を表す。 ウ⸢ヌ ギンシェー⸣ ノー⸢ンティン ナーヌ⸣ヌ イ⸢カ⸣シカヤー [ʔu⸢nu giŋ⸣ʃeː noː⸢ntin naːnu⸣nu ʔi⸢ka⸣ʃikajaː] (その件では何とも言ってこないが<何ともないが>、如何だろうか) 1605 0 0 1452 htmvoc_1605.wav イガジー イ⸢ガジー [ʔi⸢gaʤiː] 名 餌木。若年層のことば。明治生まれの老年層はイ⸢ガイズ[ʔi⸢gaiʣu](餌木)という。 ⸢シンダ⸣ヌ サ⸢キバ⸣ フ⸢タントン⸣ トゥイティ ⸢マンナカー⸣ラ フ⸢タブリ⸣ ナシティ ⸢シーヌ⸣ カタチニ  マ⸢ギティ⸣ タ⸢キフン⸣ナ フ⸢バリティ⸣ ウ⸢リバ⸣ イ⸢ズヌ⸣ カ⸢タヌ⸣ シ⸢ビ⸣ナ ⸢ウイティル⸣ イ⸢ガジェー⸣ ス⸢ク⸣ル [⸢ʃinda⸣nu sḁ⸢kiba⸣ ɸu̥⸢tanton⸣ tuiti ⸢mannakaː⸣ra ɸu̥⸢taburi⸣ naʃi̥ti ⸢ʃiːnu⸣ kḁtaʧini ma⸢giti⸣ tḁ⸢kiɸun⸣na ɸu⸢bariti⸣ ʔu⸢riba⸣ ʔi⸢ʣunu⸣ kḁ⸢tanu⸣ ʃi⸢bi⸣na ⸢ʔuitiru⸣ ʔi⸢gaʤeː⸣ su̥⸢ku⸣ru] (針金の先を両方研いで真ん中から二つ折りにし、釣り針のように曲げて竹釘に縛りつけ、それを魚型の尻尾に差し込んで餌木は作るのだ)。 イ⸢ガジーバ ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティル シ⸢ライ⸣カン ク⸢ル⸣スメーン ⸢ホーシタ⸣ル [ʔi⸢gaʤiːba naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeː⸣tiru ʃi⸢rai⸣kaŋ ku⸢ru⸣sumeːŋ ⸢hoːʃi̥ta⸣ru] (餌木を投げては手繰り手繰りしながら槍烏賊やクブシメ<モンゴイカ>を釣った) 1628 0 0 1453 htmvoc_1628.wav イカシカーシ イ⸢カ⸣シカーシ [ʔi⸢ka⸣ʃi̥kaːʃi] 副 いかに。どんなに。いかように。イ⸢カ⸣シ[ʔi⸢ka⸣ʃi](いかように)の重言。 ⸢ワー マイフナー ユン⸣ イ⸢カ⸣シカーシ ⸢シー⸣ ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ヤー ス⸢クル⸣タ [⸢waː maiɸunaː juŋ⸣ ʔi⸢ka⸣ʃi̥kaːʃi ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢bi⸣nu ⸣jaː su̥⸢kuru⸣taː] (君はしっかりものだ{EOS}どのようにしてあれだけの家を造ったのか) 1625 0 0 1454 htmvoc_1625.wav イカシタ イ⸢カ⸣シタ [ʔi⸢ka⸣ʃita] 連体 如何なる。如何な。どんな。「如何・した」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トゥシゥ⸣コーレー ⸢トゥー⸣ル ⸢サンティスワー⸣ イ⸢カシ⸣タ ⸣クトゥヤ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tusï̥⸣koːreː ⸢tuː⸣ru ⸢santi suwaː⸣ ʔi⸢kaʃi̥⸣ta ⸣ku̥tuja] (親が言い付けた通りにしないということは如何なることか)。 ⸣ドゥー ⸣パジミ ウ⸢ブムニ⸣バ ン⸢ザ⸣シティ ⸢ウンダ⸣ イ⸢カシタ⸣ティン ⸢ナー⸣ヌ [⸣duː ⸣paʤimi ʔu⸢bumuni⸣ba ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢ʔunda⸣ ʔi⸢kaʃi̥ta⸣tin ⸢naː⸣nu] (自分から先に大言壮語して<大きなことを言って>おきながら、それっきり何ともない<どうしたともない>) 1626 0 0 1455 htmvoc_1626.wav イカシタカーシタ イ⸢カシタカー⸣シタ  [ʔi⸢kaʃi̥takaː⸣ʃi̥ta] 連体 如何した、こうした。イ⸢カ⸣シタ[ʔi⸢ka⸣ʃi̥ta](如何した)の重言。「一体全体どうしたこと、こうしたこと。全くの無関心であるさま」の意。 シ⸢グトゥン⸣ サ⸢ムティ⸣ トゥ⸢ジッふァヌ⸣ クトゥン イ⸢カシタカーシタ⸣ティン ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutun⸣ sa⸢muti⸣ tu⸢ʤiffanu⸣ ku̥tuŋ ʔi⸢kaʃi̥takaː⸣ʃi̥tatin ⸢naː⸣nu] (仕事もしないで、妻子のこともどうなるかについて、全く無関心な様子<どうした、こうしたということもない>) 1560 1 0 1456 htmvoc_1560.wav イカスク イ⸢カ⸣スク [ʔi⸢ka⸣suku] 名 {PoS_1}どれほど。どんなに。如何ほど。 ウ⸢ナー⸣ イ⸢カスク⸣ヌ プ⸢ス⸣ ヤ⸢リバル⸣ アイブ ⸣ムニ イ⸢ジ オール⸣ワ⸢ツォー [ʔu⸢naː⸣ ʔi⸢kasu̥ku⸣nu pu̥⸢su⸣ ja⸢ribaru⸣ ʔaibu ⸣muni ʔi⸢ʤi ʔoːru⸣wa⸢ʦoː] (己は如何ほど<どれほど>人物だから、あのような物言いをしていらっしゃるのかってばよ)。 1560 2 0 1457 htmvoc_1560.wav イカスク イ⸢カ⸣スク [ʔi⸢ka⸣suku] 副 {PoS_2}どんなに。どれほどに。 ウ⸢ヌ イー⸣ヤ イ⸢カス⸣ク ン⸢マー⸣タユー イ⸢チマカ⸣ル ッ⸢ふァイナーン⸣シェン [ʔu⸢nu ʔiː⸣ja ʔi⸢kasu̥⸣ku ʔm⸢maː⸣tajuː ʔi⸢ʧimaka⸣ru f⸢fainaːŋ⸣ʃeŋ] (そのご飯はどんなに美味しかったのか、五杯もお代わりして食べてしまった)。 サ⸢クシ⸣ヌ マ⸢ルター⸣ イ⸢カ⸣スク サ⸢ニ⸣ヤ ア⸢ローッ⸣タユー ブ⸢ダッカロー⸣リ ⸢ナーン⸣セン [sḁ⸢kuʃi⸣nu ma⸢rutaː⸣ ʔi⸢ka⸣su̥ku sa⸢ni⸣ja ʔa⸢roːt⸣tajuː bu⸢dakkaroː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (嫡子が生まれたので、どんなに嬉しくあられたのか、飛び上がってしまわれた)。イ⸢カス⸣ク[ʔi⸢kasu̥⸣ku]は強調アクセント 1627 0 0 1458 htmvoc_1627.wav イカスン イ⸢カ⸣スン [ʔi⸢ka⸣suŋ] 他動 生かす。蘇生させる。 キ⸢ムイ⸣ツァー ウ⸢ヌ イン⸣マー フ⸢チ⸣ル トゥ⸢ヤー⸣シ ヌ⸢マ⸣シティ イ⸢カ⸣シバ [ki⸢mui⸣ʦaː ʔu⸢nu ʔim⸣maː ɸu̥⸢ʧi⸣ru tu⸢jaː⸣ʃi nu⸢ma⸣ʃi̥ti ʔi⸢ka⸣ʃiba] (可哀相に、その犬は薬を調合し<取り合わせ>、飲ませてなんとか生かしなさいよ) 1630 0 0 1459 htmvoc_1630.wav イカダキ ⸣イカダキ [⸣ʔikadaki] 名・副 どれほど。どれだけ。文語的表現。 ⸣ウナンザー ⸣イカダキヌ プ⸢ス⸣ ヤ⸢リバドゥ⸣ アイニ プ⸢スバ⸣ イ⸢ザリラー <イ⸢ザリワ> [⸣ʔunanʣaː ⸣ʔikadakinu pu̥⸢su⸣ ja⸢ribadu⸣ ʔaini pu̥⸢suba ʔi⸢ʣariraː ] (おのれはいかほどの人間だから、あんなにも他人を叱れるものか)。 ⸣イカダキ イ⸢ザラバン⸣ フ⸢チウタイヤ⸣ サ⸢ラヌ [⸣ʔikadaki ʔi⸢ʣarabaŋ⸣ ɸu̥⸢ʧiʔutaija⸣ sa⸢ranu] (どれほど叱られても口答えはできない) 1631 0 0 1460 htmvoc_1631.wav イカナ イ⸢カナ [ʔi⸢kana] 連体 いかなる。どんな。どのような。「如何な」の義。仮定表現の条件句を導き、下に逆接を表す助詞⸢バン[⸢baŋ](~でも)を伴って全面譲歩を表す。 イ⸢カナ ワー⸣ ヤ⸢ラバン⸣ ク⸢ヌ⸣ クトー ユ⸢ルサラ⸣ヌ [ʔi⸢kana waː⸣ ja⸢rabaŋ⸣ ku⸢nu⸣ ku̥toː ju⸢rusara⸣nu] (如何に君であろうとも、このことは許されない)。 イ⸢カナ ワー ヤラバン⸣ ク⸢ヌ オシキ⸣ナー ⸣ウイ バ⸢タララヌ [ʔi⸢kana waː⸣ ja⸢rabaŋ⸣ ku⸢nu ʔoʃi̥ki⸣naː ⸣ʔui ba⸢tararanu] (いかな君でもこの天気では泳いで渡れない)。 イ⸢カナ⸣ ムヌ ッ⸢サンムヌ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ カイブ ⸣ムネー イ⸢ジェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢kana⸣ munu s⸢sammunu⸣ ja⸢rabaŋ⸣ kaibu ⸣muneː ʔi⸢ʤeː⸣ na⸢ra⸣nu] (いかな非常識<もの知らず>であっても、こんな言葉を言ってはならない) 1607 0 0 1461 htmvoc_1607.wav イガナー イ⸢ガナー [ʔi⸢ganaː] 名 イカ釣り用の縄。20~30メートルの深海にいるイカを釣るための釣り縄。直径約2ミリ、長さ約20センチの針金の両端を研ぎ、針金の中央部から折り曲げ、更にそれらを折り曲げて釣り針状の鉤を造る。それらを長さ約20センチの一本の針金に数個円く束ねて半田付けして固定し、それに縄を結わえてイカ釣り縄としたもの。針金部分に餌を結わえて沈め、餌に群がるイカを引っ掛けて釣り上げる縄 1563 0 0 1462 htmvoc_1563.wav イカナシ イ⸢カナ⸣シ [ʔi⸢kana⸣ʃi] 副 けっして(決して)~ない、どうしても~ない、絶対に~ない、のように否定表現を誘導する陳述副詞の働きをする。感情的になって強調する時は、イッ⸢カナ⸣シ[ʔik⸢kana⸣ʃi]ともいう。 ⸣バー イ⸢カナ⸣シ パ⸢ラ⸣ヌ [⸣baː ʔi⸢kana⸣ʃi pa⸢ra⸣nu] (私は決して行かない)。 マ⸢タマー⸣ ミルンケンマー ⸣バー イッ⸢カナ⸣シ シ⸢ナヌ [ma⸢tamaː⸣ miruŋkemmaː ⸣baː ʔik⸢kana⸣ʃi ʃi⸢nanu] (曾孫を見るまでは、私は決して死なない) 1610 0 0 1463 htmvoc_1610.wav イガヌティー イ⸢ガヌ⸣ティー [ʔi⸢ganu⸣tiː] 名 烏賊の2本の長い触手。「烏賊の手」の義。烏賊には6本の短い手と2本の長い触手がある。手には吸盤があり、餌に吸い付いて捕食する。天日干しした烏賊から、この長い触手を抜き取って、火に焙って食すると美味であった。 イ⸢ガヌ ナー⸣ティー ⸣ヌイティ ヤ⸢キ⸣クー [ʔi⸢ganu naː⸣tiː ⸣nuiti ja⸢ki⸣kuː] (烏賊の長い触手を抜いて焙って<焼いて>来なさい) 1611 0 0 1464 htmvoc_1611.wav イガヌバタガラス イ⸢ガヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス [ʔi⸢ganu⸣ ba⸢tagara⸣su] 連 烏賊の内臓の塩辛。 イ⸢ガヌ⸣ バ⸢タガラ⸣スン ⸢カーサリタン⸣ダー [ʔi⸢ganu⸣ ba⸢tagara⸣suŋ ⸢kaːsaritan⸣daː] (烏賊の内臓の塩辛も売れたよ) 1612 0 0 1465 htmvoc_1612.wav イガバーキ イ⸢ガバーキ [ʔi⸢gabaːki] 名 イカ(烏賊)を入れるのに用いる竹製の大きな籠。烏賊釣り漁が糸満や久高島、奥武島から導入された時に借用された語であろう。笊の一種。漁業に用いる笊で、常に海水がかかるから柔らかくなって型崩れせぬよう、竹の皮で硬くしっかりと編み上げてある。⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʣi](トウヅルモドキ)の皮で編んだ笊は水に濡れると柔らかくなり、扱いにくい。 イ⸢ガバーキヌ ピッ⸣チン イ⸢ガ ホー⸣ソーレーン [ʔi⸢gabaːkinu pit⸣ʧiŋ ʔi⸢ga hoː⸣soːreːŋ] (竹籠の一杯イカを釣ってこられた) 1682 0 0 1466 htmvoc_1682.wav イカバカラ ⸣イカバカラ [⸣ʔikabakara] 副 いかほど。いかばかり。どれほど。 ⸢ヨイヌ⸣ ムノー ⸣イカバカラナー ッ⸢スマバ⸣ル ⸣ナルカヤー [⸢joinu⸣ munoː ⸣ʔikabakaranaː s⸢sumaba⸣ru ⸣narukajaː] (御祝儀のお金<お祝いのもの>は如何程包まなければならないのかね) 1636 0 0 1467 htmvoc_1636.wav イカフドゥ ⸣イカフドゥ [⸣ʔikaɸudu] 副 いかほど。どれだけ。どれほど。 ⸣イカフドゥヌ ⸢ジンカニ⸣バ シゥ⸢カイル⸣ ク⸢ヌ⸣ ヤー ス⸢クル⸣タティ ッ⸢シェーン [⸣ʔikaɸudunu ⸢ʤiŋkani⸣ba sï̥⸢kairu⸣ ku⸢nu⸣ jaː su̥⸢kuru⸣tati ʃ⸢ʃeːŋ] (どれほどの金銭を使って<ぞ>この家を作ったか、わかるか<知っているか>) 1633 0 0 1468 htmvoc_1633.wav イカムスク イ⸢カムス⸣ク [ʔi⸢kamusu̥⸣ku] 副 いかほど(如何程)か~。どれほど(多く)~。下に続く疑問の句と呼応して用いられる。イ⸢カン[ʔi⸢kan](如何に)・⸣スク[⸣su̥ku](程)→ イ⸢カムス⸣ク[ʔi⸢kamusu̥⸣ku](如何程か)と音韻変化したものであろう。 ⸢ワー クーン⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸣アボー イ⸢カムス⸣ク イ⸢ナムヌ ソーッ⸣タワ⸢ツォー [⸢waː kuːn⸣ta ⸢beː⸣ti ⸣ʔaboː ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔi⸢namunu soːt⸣tawa⸢ʦoː] (君が来なかったので、お母さんはどれほど残念に思われたことか<お前わかるか?>)。 ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢キ⸣ ウ⸢タ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ イ⸢カムス⸣ク ウ⸢ムッ⸣サタワ⸢ツォー [⸢sanʃimba⸣ pi̥⸢ki⸣ ʔu⸢ta⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔu⸢mus⸣satawa⸢ʦoː] (三味線を弾き、歌を歌いながらどんなに楽しかったことか)。 ⸢ワー⸣ イ⸢カムスク⸣ヌ プ⸢ス⸣ヤー [⸢waː⸣ ʔi⸢kamusu̥ku⸣nu pu̥⸢su⸣ja] (君は如何程の偉い人か) 1608 0 0 1469 htmvoc_1608.wav イガメー イ⸢ガメー [ʔi⸢gameː] 名 烏賊釣り漁。鳩間島の烏賊釣り漁は、古くは明治中期頃に沖縄本島南部の糸満や久高島、奥武島より漁師が導入したものという。烏賊釣り漁の漁業語彙の中に糸満方言や久高方言などからの影響が多く認められる。烏賊釣り漁は鰹漁の終わる旧暦8月~9月にかけて行われる。二人一組で⸣イダフニ[ʔidaɸuni](サバニ、杉板で接いで作った板船)に乗り込み、出漁する。出漁の際には鰹船に引かれて出漁する場合と帆をかけて出漁する場合があった。漁場は、島の西北~東北に広がる、島より10~20キロの沖合いであった。夜間操業であるのでイ⸢ガ⸣ランプ[ʔi⸢ga⸣rampu](烏賊ランプ{EOS}集魚灯)を灯して漁をした。島のナ⸢カン⸣ムリ[na⸢kam⸣muri](中岡)には、灯台に火を点灯して漁船に島の位置を知らせた。 イ⸢ガメーヌ⸣ フネー ゴ⸢ジブカラー⸣ラ ⸣ンジティ テ⸢ダ⸣ヌ イ⸢リルトゥ アー⸣シ イ⸢ガ⸣ランプー ⸣シキティ イ⸢ガ ホー⸣ソーリ ⸢タイロー⸣ シ⸢ティ ナーツァ⸣ シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸢カイ⸣ローッタ [ʔi⸢gameːnu⸣ ɸuneː go⸢ʤibukaraː⸣ra ⸣ʔnʤiti ti⸢da⸣nu ʔi⸢rirutu ʔaː⸣ʃi ʔi⸢ga⸣rampuː ⸣ʃi̥kiti ʔi⸢ga hoː⸣soːri ⸢tairoː⸣ ʃi̥⸢ti naːʦa⸣ ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸢kai⸣roːtta] (烏賊漁の舟は午後五時頃から出漁して日没と同時にイ⸢ガ⸣ランプ{SqBr}ʔi⸢ga⸣rampu{/SqBr}<烏賊ランプ{EOS}集魚灯>を灯して烏賊を釣り、大漁して翌日朝早く島に帰られた) 1634 0 0 1470 htmvoc_1634.wav イガメードング イ⸢ガメードング [ʔi⸢gameːdoŋgu] 名 イカ釣り漁具。 イ⸢ガメードンゴー⸣ ス⸢コーレー⸣ン [ʔi⸢gameːdoŋgoː⸣ su̥⸢koːreː⸣ŋ] (イカ釣りの漁具は準備できた) 1637 0 0 1471 htmvoc_1637.wav イガヤマ イ⸢ガヤマ [ʔi⸢gajama] 名 イカを天日乾燥する装置。烏賊干し棚綱。砂浜に高さ約2メートルの垂木を約1、5メートル間隔に数本打ち込み、それに約25センチ間隔に縄を数本張ってイカを掛け吊るして干す綱の棚を作ったもの。 イ⸢ガー⸣ バ⸢ザイティ⸣ イ⸢ガヤマ⸣ナ ⸣プシティ プ⸢スマ⸣ ナルカー イ⸢ガ カイ⸣シ ⸣プシバ [ʔi⸢gaː⸣ ba⸢ʣaiti⸣ ʔi⸢gajama⸣na ⸣pu̥ʃiti pu̥⸢suma⸣ narukaː ʔi⸢ga kai⸣ʃi ⸣pu̥ʃiba] (イカは 捌いて烏賊干し棚綱に干して、正午にはそれを裏返して干しなさいよ)。 パ⸢マ⸣ナーティ イ⸢ガー⸣ バ⸢ザイ⸣ バター ⸣トゥリティ イ⸢ガヤマ⸣ナー ⸣ガキティ プ⸢ス⸣タ [pa⸢ma⸣naːti ʔi⸢gaː⸣ ba⸢ʣai⸣ bataː ⸣turiti ʔi⸢gajama⸣naː ⸣gakiti pu̥⸢su⸣ta] (浜で烏賊を割いて内臓を取って、烏賊干し場の縄に掛け吊るして干した) 1638 0 0 1472 htmvoc_1638.wav イカヨーニ ⸣イカヨーニ [⸣ʔikajoːni] 副 どのように。どんなふうに。「如何様に」の義。 ⸢ワー⸣ カベール ⸣ウカー ⸣イカヨーニ シ⸢マチェー⸣ シ⸢キル⸣ワ [⸢waː⸣ kabeːru ⸣ʔukaː ⸣ʔikajoːni ʃi⸢maʧeː⸣ ʃi̥⸢kiru⸣wa] (君が被った借金はどのように始末をつけるか) 1639 0 0 1473 htmvoc_1639.wav イカラーイカラー イ⸢カラーイカラー [ʔi⸢karaːʔikaraː] 副 気分が変である。胸が締め付けられそう。違和感を覚える体調で、おかしな状態である。 ッ⸢ふァイムヌナー⸣ル ア⸢タルタ⸣ユー ⸣キムン イ⸢カラーイカラー⸣ シテイ ム⸢ヌカン⸣ガイン シ⸢ララヌ [f⸢faimununaː⸣ru ʔa⸢taruta⸣juː ⸣kimuŋ ʔi⸢karaːʔikaraː⸣ ʃi̥ti mu⸢nukaŋ⸣gaiŋ ʃi⸢raranu] (食べ物にが<ぞ>当ったのか気分が変になって、どうしたらいいのかも分からない<ものごとを考えることもできない>)。 イ⸢カラーイカラーヌ⸣ プ⸢ス [ʔi⸢karaːʔikaraːnu⸣ pu̥⸢su] (様子が普通でない人{EOS}立ち居ふるまいが正常でない人) 1621 0 0 1474 htmvoc_1621.wav イカラーイカラーシ イ⸢カラーイカラー⸣シ [ʔi⸢karaːʔikaraː⸣ʃi] 副 怪しげに。頼りなく。いかがわしく。妙におかしく。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イ⸢カラーイカラー⸣シル ⸣ムニン イ⸢ゾー⸣ル⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢karaːʔikaraː⸣ʃiru ⸣muniŋ ʔi⸢ʣoː⸣ru⸢daː] (その人はいかにも頼りなさそうにしか話されない<頼りなさそうに、怪しげにぞものも言われる>) 1620 0 0 1475 htmvoc_1620.wav イカラーサン イ⸢カラー⸣サン [ʔi⸢karaː⸣saŋ] 形 怪しい。疑わしい。いかがわしい。気分がおかしい。 ウ⸢リヌ⸣ ム⸢ニイジヨー⸣ヤ イ⸢カラー⸣サン [ʔu⸢rinu⸣ mu⸢niʔiʤijoː⸣ja ʔi⸢karaː⸣saŋ] (その人の話し振りは<もの言いようは>どうも疑わしい) 1622 0 0 1476 htmvoc_1622.wav イカラーン イ⸢カラー⸣ン [ʔi⸢karaː⸣ŋ] 形 気分が変である。心状や体調が正常でなく、妙におかしい。 キ⸢ム⸣ヌ イ⸢カラー⸣ヌ ウ⸢ティ⸣シキ ブ⸢ララヌ [ki⸢mu⸣nu ʔi⸢karaː⸣nu ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki bu⸢raranu] (気持ち<気分>がどことなく変で、心配で落ち着いておられない) 1614 0 0 1477 htmvoc_1614.wav イガランプ イ⸢ガ⸣ランプ [ʔi⸢ga⸣rampu] 名 イカ漁に用いるランプ(集魚灯)。直径約10センチの底が広く、長さ40~50センチのブリキ板製の油タンクに、直径約5センチの⸢トゥー⸣ジン[tuːʤiŋ](灯心)をつけたもの。炎に雨水や海水がかからぬように笠<カバー>をつけ、タンク部に柄を付け、舟の舷側に取り付けた針金製のM字型のランプ掛けにランプの首を掛けて固定する。 イ⸢ガ⸣ランプ ⸣シケーティル イ⸢ガー ホー⸣ソーッタ [ʔi⸢ga⸣rampu ⸣ʃi̥keːtiru ʔi⸢gaː hoː⸣soːtta] (烏賊釣り用ランプを点けてイカを釣られた)。 イ⸢ガ⸣ランプヌ ⸢ピー⸣ヤ ナ⸢カン⸣ブレーラン ⸣ユー ミ⸢ラリ⸣タン [ʔi⸢ga⸣rampunu ⸢piː⸣ja na⸢kam⸣bureːraŋ ⸣juː mi⸢rari⸣taŋ] (イカ釣り漁のイカランプ<集魚灯>の火は鳩間中岡からもよく見えた) 1564 0 1 1478 htmvoc_1564.wav イキ ⸣イキ [ʔiki] 名 {Mn_1}1息。呼吸。 ク⸢ヌ イン⸣マー ⸣イケー ⸢シーブン [ku⸢nu ʔim⸣maː ⸣ʔikeː ⸢ʃiːbuŋ] (この犬は呼吸をしている<息をしている>)。 ⸣ウズ ⸣カブカー ⸣イキ サ⸢ラヌ [⸣ʔuʣu ⸣kabukaː ⸣ʔiki sa⸢ranu] (布団を被ると息が出来ない)。 ⸣イキ ⸢スン [⸣ʔiki ⸢suŋ] (息をする{EOS}呼吸する)。 イ⸢キ⸣ヌ ナ⸢ガー⸣ン [ʔi⸢ki⸣nu na⸢gaː⸣ŋ] (息が長い)。 イ⸢キ⸣ヌ トゥ⸢マル⸣カー シ⸢ヌン⸠ダー [ʔi⸢ki⸣nu tu⸢maru⸣kaː ʃi⸢nun⸠daː] (息が止まったら死ぬよ)。 1564 0 2 1479 htmvoc_1564.wav イキ ⸣イキ [ʔiki] 名 {Mn_2}一休み。 プ⸢ス⸣イキ ⸢シーテーラ⸣ パ⸢タ⸣ケーヤ ⸣パリ [pu̥⸢su⸣iki ⸢ʃiːteːra⸣ pḁ⸢ta⸣keːja ⸣pari] (一休みしてから畑へは行きなさい) 1641 0 0 1480 htmvoc_1641.wav イキ ⸣イキ [⸣ʔiki] 名 池。水溜り。人工の池。自然の水溜りは、ク⸢ム⸣ル[ku⸢mu⸣ru]という。 パ⸢トゥ⸣マナティ イ⸢キ⸣ヌ プ⸢ラ⸣レー ⸢ヤー⸣ヤ シン⸢トゥ ミーキブルル アッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manati ʔi⸢ki⸣nu pu⸢ra⸣reː ⸢jaː⸣ja ʃin⸢tu miːkibururu ʔat⸣ta] (鳩間島で池の掘られた家はたった三軒しかなかった<三軒が(ぞ)あった>) 1574 0 0 1481 htmvoc_1574.wav イキアサーン イ⸢キアサー⸣ン [ʔi⸢kiʔasaː⸣ŋ] 形 呼吸が困難である。息苦しい<息が浅い>。深く呼吸できないさま。 ウ⸢ブヤミ⸣ シ⸢タール⸣ ヤ⸢ル⸣ユー イ⸢キアサー⸣ヌ カ⸢シーカシ⸣ ムニーン イ⸢ザラヌ [ʔu⸢bujami⸣ ʃi̥⸢taːru⸣ ja⸢ru⸣juː ʔi⸢kiʔasaː⸣nu kḁ⸢ʃiːkaʃi⸣ muniːŋ ʔi⸢ʣaranu] (大病したからだろうか深く呼吸をすることもできず<息が浅く>、はっきり<しっかり>と言葉を話す<言う>ことが出来ない)。 ア⸢ラ⸣クカー イ⸢キアサーン⸣ドゥ ニ⸢ブ⸣カー ⸢ナン⸣ゾー イ⸢キアサー ナー⸣ヌ [ʔa⸢ra⸣kukaː ʔi⸢kiʔasaːn⸣du ni⸢bu⸣kaː ⸢nan⸣ʣoː ʔi⸢kiʔasaː naː⸣nu] (歩くと息苦しいが、寝るとあまり息苦しくない)。 ⸢シンダイ⸣ イ⸢キアサー⸣ ナリ ⸣クン [⸢ʃindai⸣ ʔi⸢kiʔasaː⸣ nari ⸣kuŋ] (次第に息苦しくなってくる)。 イ⸢キアサー⸣ ピンマー ウ⸢ブ⸣イキ シゥ⸢カイ⸣バ [ʔi⸢kiʔasaː⸣ pimmaː ʔu⸢bu⸣ʔiki sï̥⸢kai⸣ba] (息苦しい時は深呼吸をしなさいよ) 1642 0 0 1482 htmvoc_1642.wav イキウイ イ⸢キ⸣ウイ [ʔi⸢ki⸣ui] 名 勢い。威勢。気勢。 ⸢アンヌムラー⸣ プ⸢スヌ ゴー⸣ラーンダ シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣ピンマー イ⸢キウイ⸣ヌ ⸢スー⸣ワタン [⸢ʔannumuraː⸣ pu̥⸢sunu goː⸣raːnda ʃi⸢napiki⸣nu ⸣pimmaː ʔi⸢kiui⸣nu ⸢suː⸣wataŋ] (東村は人が多いので、綱引きの時は勢いが強かった) 1909 0 0 1483 htmvoc_1909.wav イキガイラスン イ⸢キガイラ⸣スン [ʔi⸢kigaira⸣suŋ] 他動 生き返らせる。蘇生させる。 ウ⸢ヌ イン⸣マー ⸢パンブン⸣シニ ⸢シーベーン⸣ドゥ イ⸢キガイラ⸣スンティ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢シーベー [ʔu⸢nu ʔim⸣maː ⸢pambuŋ⸣ʃini ⸢ʃiːbeːn⸣du ʔi⸢kigaira⸣sunti ⸢tunʣa⸣ku ⸢ʃiːbeː] (その犬は仮死状態である<半死している>が生き返らせようと手当て<看病・養生>している) 1566 0 0 1484 htmvoc_1566.wav イキカイリ イ⸢キカイリ [ʔi⸢kikairi] 名 行き帰り。⸢ギームドゥル[⸢giːmuduru](行き戻り)、⸢ギーカイリ[⸢giːkairi](行き帰り)というのが普通。 イ⸢サンケーヌ⸣ イ⸢キカイ⸣リナー ピ⸢マー⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢ヤーム⸣トゥ サ⸢バ⸣キ ⸣クーバ [ʔi⸢saŋkeːnu⸣ ʔi⸢kikai⸣rinaː pi⸢maː⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢jaːmu⸣tu sa⸢ba⸣ki kuːba] (石垣への行き帰りに時間を<暇を>つくって元祖の家<家元>を探し求めてきなさい) 1567 0 0 1485 htmvoc_1567.wav イキカイルン イ⸢キカイ⸣ルン [ʔi⸢kikai⸣ruŋ] 自動 生き返る。蘇生する。 ス⸢ナカ⸣ナ ⸢ウッふィティ パンブン⸣シニ ⸢シーベータン⸣ドゥ ⸣スー パ⸢カシ⸣ター イ⸢キカイ⸣レーン [su⸢naka⸣na ⸢ʔuffiti pambuŋ⸣ʃini ⸢ʃiːbeːtan⸣du ⸣suː pḁ⸢kaʃi̥⸣taː ʔi⸢kikai⸣reːŋ] (海で溺れて半死の状態だった<半分死にしていた>が潮水を吐かせたら生き返ったよ)。 ブ⸢チ⸣クン シ⸢ティ⸣ イキ トゥ⸢マリ ベータン⸣ドゥ イ⸢キカイ⸣レーン [bu⸢ʧi⸣kuŋ ʃi̥⸢ti⸣ ʔiki tu⸢mari beːtan⸣du ʔi⸢kika⸣ireːŋ] (気絶して息が止まっていたが、生き返った)。 ピ⸢ルケーラ⸣ ミ⸢ジ⸣ フ⸢キカキ⸣ルカー イ⸢キカイ⸣ルン [pi⸢rukeːra⸣ mi⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢kikaki⸣rukaː ʔi⸢kikai⸣ruŋ] (ひよめき<泉門>から水を吹きかけると生き返る)。 イ⸢キカイラ⸣ヌ [ʔi⸢kikaira⸣nu] (生き返らない)。 イ⸢キカイ⸣ル クトゥ [ʔi⸢kikai⸣ru ⸣kutu] (生き返ること)。 イ⸢キカイ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔi⸢kikai⸣reː ⸣misamunu] (生き返れば良いのに)。 イ⸢キカイ⸣リ [ʔi⸢kikai⸣ri] (生き返れ) 1644 0 0 1486 htmvoc_1644.wav イキキシルン イ⸢キキシ⸣ルン [ʔi⸢kiki̥ʃi⸣ruŋ] 自動 息切れる。激しく喘ぐ。 ⸣パリクーカー イ⸢キキシ⸣ルン [⸣parikuːkaː ʔi⸢kiki̥ʃi⸣ruŋ] (走ってきたら息切れる<激しく喘ぐ>)。 カ⸢キッツァー⸣シ パ⸢ル⸣バン イ⸢キキシラ⸣ヌ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi pa⸢ru⸣baŋ ʔi⸢kiki̥ʃira⸣nu] (駆けて行っても息切れな<喘がない>)。 イ⸢キキシ⸣ルカー ⸢ユー⸣クイバ [ʔi⸢kiki̥ʃi⸣rukaː ⸢juː⸣kuiba] (息切れしたら休みなさい) 1646 0 0 1487 htmvoc_1646.wav イキキシンギサル ⸣イキ キ⸢シンギサ⸣ル [⸣ʔiki ki̥⸢ʃiŋgisa⸣ru] 連 息絶えそうだ<息切れそうだ>。死にそうだ。 ク⸢ヌ ブン⸣シェー ⸣イキ キ⸢シンギサ⸣ル ⸢ナームテー サン⸣パジ [ku⸢nu buŋ⸣ʃeː ⸣ʔiki ki̥⸢ʃiŋgisa⸣ru ⸢naːmuteː sam⸣paʤi] (この様子では息絶え<死に>そうだ{EOS}長持ち<長く活きること>はしない<だろう>はずだ) 1645 0 1 1488 htmvoc_1645.wav イキキスン イ⸢キ⸣キスン [ʔi⸢ki⸣ki̥suŋ] 自動 {Mn_1}息切れる。呼吸が苦しく激しく喘ぐ。苦しそうに息をする。 ⸣アドーラ ⸣パリクーカー イ⸢キ⸣キスン [⸣ʔadoːra ⸣parikuːkaː ʔi⸢ki⸣ki̥suŋ] (あんなに遠い所から走ってくると息切れる<呼吸が苦しくなって喘ぐ>)。 ⸢パッツァー⸣シ ⸢パッ⸣タンティン イ⸢キキサ⸣ヌ [⸢patʦaː⸣ʃi ⸢pat⸣tantiŋ ʔi⸢kiki̥sa⸣nu] (駆けて行っても息切れない)。 1645 0 2 1489 htmvoc_1645.wav イキキスン イ⸢キ⸣キスン [ʔi⸢ki⸣ki̥suŋ] 自動 {Mn_2}息絶える。死ぬ。 イ⸢キザー⸣サティ ク⸢チ⸣サ ⸢シー ベータン⸣ドゥ ⸣アトーケー イ⸢キ⸣キシ ⸢ナーン⸣シェンツォー [ʔi⸢kiʣaː⸣sati ku̥⸢ʧi⸣sa ⸢ʃiː beːtan⸣du ⸣ʔatoːkeː ʔi⸢ki⸣ki̥ʃi ⸢naːŋ⸣ʃenʦoː] (息苦しいので、苦しんでいた<苦しくしていた>が、とうとう<後になって>息絶えて<死んで>しまったそうだ) 1571 0 0 1490 htmvoc_1571.wav イキグリサン イ⸢キグリ⸣サン [ʔi⸢kiguri⸣saŋ] 形 息苦しい。呼吸することが苦しい。息が詰まるように苦しい。 ⸣アイブ シ⸢バーン⸣トンナー イ⸢キグリサ⸣ヌ ナ⸢ガラコー ベーララ⸣ヌ [⸣ʔaibu ʃi⸢baːn⸣tonnaː ʔi⸢kigurisa⸣nu na⸢garakoː beːrara⸣nu] (あんな狭いところには息苦しくて、長らくは居れない)。 ⸢ピーマキ⸣ ウ⸢ク⸣ルカー イ⸢キグリ⸣サン [⸢piːmaki⸣nu ʔu⸢ku⸣rukaː ʔi⸢kiguri⸣saŋ] (喘息の発作が起きると息苦しい)。 イ⸢キグリサー ナー⸣ヌ [ʔi⸢kigurisaː naː⸣nu] (息苦しくない)。 ⸢シンダイ⸣ イ⸢キグリ⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔi⸢kiguri⸣sa ⸣naruŋ] (次第に息苦しくなる)。 イ⸢キグリ⸣サ ⸣ピンマー フ⸢チ⸣ル ⸣ヌミバ [ʔi⸢kiguri⸣sa ⸣pimmaː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numiba] (息苦しい時は薬を飲みなさいよ) 1569 0 0 1491 htmvoc_1569.wav イキザーサン イ⸢キザー⸣サン [ʔi⸢kiʣaː⸣saŋ] 形 息苦しい。「息・障え(~うつせみの人か禁良武<サフラム>~{EOS}万、619)・さ・あり」の転訛したものか。呼吸することが苦しい。息をすることが難しい。息づまるように苦しい。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スバ ヤー⸣ンナカナ ⸢ペーラ⸣シティ ⸣ヤドゥ フ⸢ジックミティ⸣ シケーンダー イ⸢キザーサ⸣ヌ ⸣ムノー ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢suba jaːn⸣nakana ⸢peːra⸣ʃi̥ti ⸣jadu ɸu⸢ʤikkumiti⸣ ʃi̥keːndaː ʔi⸢kiʣaːsa⸣nu ⸣munoː ʔu⸢moːra⸣nu] (あれだけの数の人を家の中に入れて、戸を閉め切ってあるのだから、息苦しくて何も考えられないほどだ<堪らない>)。 ウ⸢ビッチン⸣ トンナー ユ⸢タールナー⸣ ク⸢ミラ⸣リカー イ⸢キザー⸣サンドゥ ⸢タン⸣ガン ⸢デー⸣カー イ⸢キザーサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢bitʧin⸣ tonnaː ju⸢taːrunaː⸣ ku⸢mira⸣rikaː ʔi⸢kiʣaː⸣sandu ⸢taŋ⸣gan ⸢deː⸣kaː ʔi⸢kiʣaːsaː naː⸣nu] (これぽっちの所に四人も籠められると息苦しいが、一人なら息苦しくない)。 ⸣ドゥク イ⸢キザー⸣サティル ⸣ンジ ⸢パッ⸣タ [⸣duku ʔi⸢kiʣaː⸣satiru ʔnʤi ⸢pat⸣ta] (あまりにも息苦しいので出て行った)。 イ⸢キザーサ⸣ヌ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [ʔi⸢kiʣaːsa⸣nu ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (息苦しくて、そこにはおれない)。 イ⸢キザー⸣サ プ⸢ソー⸣ ンジ ⸣ミサン [ʔi⸢kiʣaː⸣sa pu̥⸢soː⸣ ʔnʤi ⸣misaŋ] (息苦しい人は出てもいい)。 ⸣ヤドゥ フ⸢ジックム⸣カー イ⸢キザー⸣サン [⸣jadu ɸu⸢ʤikkumu⸣kaː ʔi⸢kiʣaː⸣saŋ] (戸を閉め切ると息苦しい)。 イ⸢キザーサ⸣ヌ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [ʔi⸢kiʣaːsa⸣nu ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (息苦しくて、そこには居れない)。 イ⸢キザーサ ナー⸣ヌ [ʔi⸢kiʣaːsa naː⸣nu] (息苦しくない)。 ⸢シンダイ⸣ イ⸢キザー⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔi⸢kiʣaː⸣sa ⸣naruŋ] (次第に息苦しくなる)。 イ⸢キザー⸣サ ⸣ピンマー ⸣ヤドゥ ア⸢キ⸣バ [ʔi⸢kiʣaː⸣sa ⸣pimmaː ⸣jadu ʔa⸢ki⸣ba] (息苦しい時は戸を開けなさい) 1568 0 0 1492 htmvoc_1568.wav イキザイ イ⸢キザイ [ʔi⸢kiʣai] 名 呼吸困難。「息・障え」の義か。胸が締め付けられるように苦しくなり、呼吸することが苦しくなること。喘息などで呼吸困難となり苦しむこと。発作的に呼吸が苦しくなること。 ⸣イキ ⸢スー⸣カー イ⸢キ⸣ザイ シ⸢ティ⸣ イキ サ⸢ラヌ [⸣ʔiki ⸢suː⸣kaː ʔi⸢ki⸣ʣai ʃi̥⸢ti⸣ ʔiki sa⸢ranu] (呼吸をすると胸が締め付けられて苦しくなり、息ができない<呼吸できない>) 1573 0 0 1493 htmvoc_1573.wav イキサラーン イ⸢キサラー⸣ン [ʔi⸢kisaraː⸣ŋ] 形 息が絶え絶えになるさま。息がとぎれとぎれになるさま。 ⸣ヤミ ⸢ヨーガリティ⸣ イ⸢キサラーン⸣ギサリ グ⸢マーグマー⸣シル ⸣イキーン ⸢シーオー⸣ル [⸣jami ⸢joːgariti⸣ ʔi⸢kisaraːŋ⸣gisari gu⸢maːgumaː⸣ʃiru ⸣ʔikiːŋ ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (病気をして<病みて>痩せこけて息も絶え絶えのようで、小さく息もしておられる) 1649 0 0 1494 htmvoc_1649.wav イキシーマーキ ⸣イキ ⸢シーマーキ [⸣ʔiki ⸢ʃiːmaːki] 連 息をし兼ねて。⸢~マーキ[⸢-maːki]は「~できない」意を表す接尾語。 ⸢ピーマキ⸣ ウ⸢クル⸣ター ⸣イキ ⸢シーマーキ ベー [⸢piːmaki⸣ ʔu⸢kuru⸣taː ⸣ʔiki ⸢ʃiːmaːki beː] (喘息の発作が起きたので息をし兼ねている) 1580 0 0 1495 htmvoc_1580.wav イキシチ イ⸢キシチ [ʔi⸢kiʃi̥ʧi] 名 ⸢いきさつ」の転訛したもの。経緯。成り行き。事情。 ⸢ヌー⸣シル イ⸢キシチヌ⸣ <ワ⸢キ⸣ヌ> アリティル ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ シ⸢タ⸣ユー キ⸢ムイツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nuː⸣ʃiru ʔi⸢kiʃi̥ʧinu⸣ ʔaritiru ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ʃi̥⸢ta⸣juː ki⸢muiʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (如何なるいきさつ <訳> があって、あのようなことをしたのか、不憫で<肝痛くて>ならない)。 イ⸢キシチェー⸣ ッ⸢サヌンドゥ⸣ ユー パ⸢ナシアー⸣シ ミ⸢ルバ⸣ル マ⸢シェー⸣ ア⸢ラヌ [ʔi⸢kiʃi̥ʧeː⸣ s⸢sanundu⸣ juː pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi mi⸢ruba⸣ru ma⸢ʃeː⸣ ʔa⸢ranu] (事情<経緯>は知らないが、よく話し合ってみたほうがよい<まし>ではないか) 1650 0 0 1496 htmvoc_1650.wav イキシニ ⸣イキシニ [⸣ʔikiʃini] 名 生き死に。生死。生きるか死ぬかの問題。 プ⸢スヌ⸣ イキシニナ カ⸢カ⸣ル ク⸢トゥ⸣ル ヤ⸢ルムヌ⸣ ナー⸢イヤ⸣ シ⸢キララ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʔikiʃinina kḁ⸢ka⸣ru ku̥⸢tu⸣ru ja⸢rumunu⸣ naː⸢ija⸣ ʃi̥⸢kirara⸣nu] (人の生死にかかわることだから、放置しておけない) 1579 0 0 1497 htmvoc_1579.wav イキシマルン ⸣イキ シ⸢マ⸣ルン [⸣ʔiki ʃi⸢ma⸣ruŋ] 連 息が詰まる。息詰まる。呼吸ができなくなる。 ウ⸢ブ⸣フチシ ム⸢チバ⸣ ッ⸢ふァイティ⸣ ヌドゥナ カ⸢カラ⸣スカー ⸣イキ シ⸢マ⸣ルン⸢ダー [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧiʃi mu⸢ʧiba⸣ f⸢faiti⸣ nuduna kḁ⸢kara⸣su̥kaː ⸣ʔiki ʃi⸢ma⸣run⸢daː] (大口で餅を食べて喉に引っかけると息が詰まるよ) 1570 0 0 1498 htmvoc_1570.wav イキシラリン ⸣イキ シ⸢ラリン [⸣ʔiki ʃi⸢rariŋ] 連 一息つける。一休みできる。安心できる。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ムー⸢ル⸣ フ⸢ドゥビ⸣ ドゥームティ ⸢パッ⸣ター マ⸢ナ⸣マー ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣イキ シ⸢ラリン⸣ダー [ja⸢ra⸣biŋkeːm muː⸢ru⸣ ɸu⸢dubi⸣ duːmuti ⸢pat⸣taː ma⸢na⸣maː jat⸢tu⸣ʃi ʔiki ʃi⸢rarin⸣daː] (子供たちもみんな成長して独立していったので、今はやっとで一息つくことが出来る<一休みできる>よ) 1651 0 0 1499 htmvoc_1651.wav イキスーマドゥンナーヌ ⸣イキ ⸢スー⸣ マドゥン ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔiki ⸢suː⸣ madun ⸢naː⸣nu] 成 多忙で息をする暇(まどお<間遠>)もない。 ⸢マイカリヌ パンタ⸣サー ⸣イキ ⸢スー⸣ マドゥン ⸢ナー⸣ヌ [⸢maikarinu panta⸣saː ⸣ʔiki ⸢suː⸣ madun ⸢naː⸣nu] (稲刈りの忙しさ<繁多さ>は、息をする暇も無いくらいだ) 1578 0 0 1500 htmvoc_1578.wav イキスクン ⸣イキ ス⸢クン [⸣ʔiki su̥⸢kuŋ] 連 息をするとちくちく痛む。息をすると胸の奥が突かれるように痛む。「息突く」の義か。 ⸣ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー ⸣イキ シ⸢キティ⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣nuntiru ja⸢ru⸣juː ⸣ʔiki ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (なぜなのか、息をすると胸の奥が突かれるように痛んで歩かれない<歩けない>) 1596 0 0 1501 htmvoc_1596.wav イキスン ⸣イキ ⸢スン [⸣ʔiki ⸢suŋ] 連 一呼吸する。息をする。一息いれる。 プ⸢ス⸣ イキ ⸢シーテーラ⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シバ [pu̥⸢su⸣ ʔiki ⸢ʃiːteːra⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃiba] (一息いれてから<一休みして>畑を耕しなさい)。 フカーフ⸢カー⸣シ ⸣イキ ⸢シー⸠ミー [ɸu̥kaːɸu̥⸢kaː⸣ʃi ⸣ʔiki ⸢ʃiː⸠miː] (深呼吸して<深々と息を吸って>ごらんよ) 1572 0 0 1502 htmvoc_1572.wav イキダマ イ⸢キ⸣ダマ [ʔi⸢ki⸣dama] 名 生きている人の霊魂が肉体を離れ、他の人に災禍をもたらすもの。「~物怪(もののけ)生霊(いきずたま)などいふもの多く出で来て」『源氏物語 葵』、「窮鬼、イキズタマ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ イ⸢キダマ⸣ヌ ミ⸢ラ⸣リンツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔi⸢kidama⸣nu mi⸢ra⸣rinʦoː] (その人の生霊が見られる<見える>そうだよ)。普通は肉体から遊離してさ迷っている霊魂を元の肉体に取り戻す祈願を行って健康を維持した。それがマ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠め)である。 イ⸢キ⸣ダマ ⸣ミル プ⸢スン オー⸣ルン [ʔi⸢ki⸣dama ⸣miru pu̥⸢suŋ ʔoː⸣ruŋ] (生霊を見る人もおられる) 1589 0 0 1503 htmvoc_1589.wav イキッサーン イ⸢キッサー⸣ン [ʔi⸢kissaː⸣ŋ] 形 口臭がする。息が臭い。「息臭い」の義。 ピ⸢ル ッふー⸣カー ウ⸢ヌ ナーツァー⸣ イッ⸢ケン⸣ イ⸢キッサーン⸣ダー [pi⸢ru ffuː⸣kaː ʔu⸢nu naːʦaː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔi⸢kissaːn⸣daː] (大蒜を食べるとその翌日は非常に息が臭いよ)。 ウ⸢レー サッ⸣コー イ⸢キッサー⸣ン [ʔu⸢reː sak⸣koː ʔi⸢kissaː⸣ŋ] (彼は非常に息が臭い<口臭が酷い>)。 イ⸢キッサー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ʔi⸢kissaː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (息が臭くて面と向かえない)。 イ⸢キッサー ナー⸣ヌ [ʔi⸢kissaː naː⸣nu] (息臭くない)。 イ⸢キッサー⸣ プ⸢ストー⸣ パ⸢ナシ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢kissaː⸣ pu̥⸢sutoː⸣ pa⸢naʃi⸣ pu̥saː ⸢naː⸣nu] (息臭い<口臭の酷い>人とは話したくない) 1588 0 0 1504 htmvoc_1588.wav イキッサリカザ イ⸢キッサリ⸣カザ [ʔi⸢kissari⸣kaʣa] 名 口臭。息の臭いこと。「息腐れ匂い」の義。フ⸢チッサリ⸣カザ[ɸu̥⸢ʧissari⸣kaʣa](口臭)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イ⸢キッサリ⸣カザ シ⸢ティ⸣ ン⸢カーラヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢kissari⸣kaʣa ʃi̥⸢ti⸣ ŋ⸢kaːranu] (その人は口臭がひどくて<息腐れ匂いがして>対面できない<向き合うことができない>) 1654 0 0 1505 htmvoc_1654.wav イキハーハー ⸣イキハーハー [⸣ʔikihaːhaː] 名 息も絶え絶えに喘ぐさま。喘ぎ喘ぎするさま。 ⸣アドーラ ⸣ヌチカギリ ⸣パリケーティル ⸢イキハー⸣ハー ⸢シー べー⸣ル [⸣ʔadoːra ⸣nuʧikagiri ⸣parikeːtiru ⸢ʔikihaː⸣haː ⸢ʃiː beː⸣ru] (あんなに遠い所から命がけで走ってきたので<ぞ>息も絶え絶えに喘いでいるのだ) 1660 0 0 1506 htmvoc_1660.wav イキハーハー ⸣イキ ⸢ハーハー [⸣ʔiki ⸢haːhaː] 連 息を弾ませるさま。激しい息遣いをするさま。喘ぐさま。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ウ⸢ビッチン⸣ヌ シ⸢グトゥ⸣シン ⸣イキ ⸢ハーハー シース [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ʔu⸢bitʧin⸣nu ʃi⸢gutu⸣ʃiŋ ⸣ʔiki ⸢haːhaː ʃiːsu] (年を取ったので、これっぽちの仕事でも息を弾ませる<激しい息遣いをする>) 1565 0 0 1507 htmvoc_1565.wav イキバカリ イ⸢キバカ⸣リ [ʔi⸢kibaka⸣ri] 名 生き別れ。シ⸢ニバカリ[ʃi⸢nibakari](死に別れ)の対義語。 ⸢ウン⸣ネヌ ウ⸢ヤッ⸣ふァー イ⸢キバカリ⸣ル ⸢ソー⸣レール シ⸢ニバカレー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenu ʔu⸢jaf⸣faː ʔi⸢kibakari⸣ru ⸢soː⸣reːru ʃi⸢nibakareː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (その家の親子は生き別れをされたのであって、死に別れではない)。 イ⸢クサ⸣ユーナ ウ⸢ヤッ⸣ふァ イ⸢キバカ⸣リ ⸣ナリ ⸢ナーン⸣シェン [ʔi⸢kusa⸣juːna ʔu⸢jaf⸣fa ʔi⸢kibaka⸣ri ⸣nari ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (戦争で親子生き別れになってしまった) 1655 0 0 1508 htmvoc_1655.wav イキパクン ⸣イキ ⸣パクン [⸣ʔiki ⸣pḁkuŋ] 連 息を吐く。 ⸣イキ ⸣パクン [⸣ʔiki ⸣pḁkuŋ] (息を吐く)。 ウ⸢ブ⸣イキ ⸣パクン [ʔu⸢bu⸣ʔiki ⸣pḁkuŋ] (深呼吸をする<大息を吐く>) 1581 0 0 1509 htmvoc_1581.wav イキパジ イ⸢キ⸣パジ [ʔi⸢ki⸣paʤi] 名 赤恥。ひどい恥。「生き恥」の義。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ マイナー ウ⸢リンマー⸣ ミ⸢シーミシー⸣ イ⸢キ⸣パジ カ⸢カサ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ mainaː ʔu⸢rimmaː⸣ mi⸢ʃiːmiʃiː⸣ ʔi⸢ki⸣paʤi kḁ⸢kasa⸣ri⸢joː] (あれだけの人の前であいつにはみすみす赤恥をかかされてねえ) 1582 0 0 1510 htmvoc_1582.wav イキパティ イ⸢キパティ [ʔi⸢kipḁti] 名 最果て。中心地より最も遠い果ての地。「行き果て」の義。 ム⸢カ⸣セー パ⸢ティルマトゥ⸣ ユ⸢ノンマー⸣ イ⸢キパティヌ⸣ シマティ ア⸢ザリブタ⸣ティ ア⸢ズヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ヒ⸢コー⸣キン トゥ⸢ビブー⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tirumatu⸣ ju⸢nommaː⸣ ʔi⸢kipḁtinu⸣ ʃimati ʔa⸢ʣaributa⸣ti ʔa⸢ʣunu⸣ ma⸢na⸣maː çi̥⸢koː⸣kin tu⸢bibuː⸣daː] (昔は波照間と与那国は最果ての島と言われていたというが、今では飛行機も飛んでいるよ) 1661 0 0 1511 htmvoc_1661.wav イキバナ イ⸢キ⸣バナ [ʔi⸢ki⸣bana] 名 床の間の神前や仏壇に供える花。「生け花」の義。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチェー ⸢ザートゥク⸣トゥ トゥ⸢クニヌ⸣ イ⸢キ⸣バナー ⸢カイリ⸣ヨー [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧeː ⸢ʣaːtuku⸣tu tu⸢kuninu⸣ ʔi⸢ki⸣banaː ⸢kairi⸣joː] (朔日<ツキタチ>十五日には床の間と仏壇の生け花は取替えなさいよ) 1585 0 0 1512 htmvoc_1585.wav イキブイ イ⸢キブイ [ʔi⸢kibui] 名 元気。勢い。活力。気力。意気込み。生気が漲っていること。「~いかめしく勢ひ<いきほい>たるを羨みて」『源氏物語 玉鬘』の[ɸo]が[bu]に音韻変化したもの。生気が漲っていること。 ニ⸢チ⸣ヌ サ⸢マル⸣ター マ⸢ナマンチン⸣ イ⸢キブイヌ⸣ ンジケーチバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ni⸢ʧi⸣nu sa⸢maru⸣taː ma⸢namanʧiŋ⸣ ʔi⸢kibuinu⸣ ʔnʤikeːʧiba ⸢soːja naː⸣nu] (熱が下がった<冷めた>ので、急に元気が出てきたので心配はない)。 イ⸢キブイヌ⸣ アル プ⸢ス [ʔi⸢kibuinu⸣ ʔaru pu̥⸢su] (勢い<活力>のある人<元気な人>)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ス⸢クリ⸣ムノー イ⸢キブイ⸣ ン⸢ジ⸣ルン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː su̥⸢kuri⸣munoː ʔi⸢kibui⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (雨が降ったら作物は勢い<生育の活力>が出る)。 ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァーシター⸣ イ⸢キブイ⸣ ンジケーン [ʔm⸢maː⸣munu f⸢faːʃi̥taː⸣ ʔi⸢kibui⸣ ʔnʤikeːŋ] (美味しいもの<滋養のあるもの>を食べさせたら元気が出てきた) 1586 0 0 1513 htmvoc_1586.wav イキブイスールン イ⸢キブイ スー⸣ルン [ʔi⸢kibui suː⸣ruŋ] 連 元気が出る。勢いが出る。活力が出る。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ム⸢ヌスク⸣ロー イ⸢キブイ スー⸣ルン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː mu⸢nusuku⸣roː ʔi⸢kibui suː⸣ruŋ] (雨が降ったら作物は勢いが出る<強くなる>) 1576 0 0 1514 htmvoc_1576.wav イキフキカーフキ イ⸢キフキカー⸣フキ [ʔi⸢kiɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki] 副 あえぎあえぎ。激しく息づかいをして。苦しみながら。「息吹き」の重言。 ⸢ダッコッキ⸣バ カ⸢タ⸣ミ キ⸢ダバナミチェー⸣ラ イ⸢キフキカー⸣フキ ⸢シェー⸣ティル ク⸢バシター⸣ヌ ⸢マイカリ シン オーッ⸣タ [⸢dakkokki⸣ba kḁ⸢ta⸣mi ki⸢dabanamiʧeː⸣ra ʔi⸢kiɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki ⸢ʃeː⸣tiru ku⸢baʃi̥taː⸣nu ⸢maikari ʃiŋ ʔoːt⸣ta] (脱穀機を担ぎ、キダバナ<崖>道から喘ぎ苦しみながらクバシタ田地の稲刈りをしに行かれた) 1662 0 0 1515 htmvoc_1662.wav イキフキカイスン ⸣イキ フ⸢キカイ⸣スン [⸣ʔiki ɸu̥⸢kikai⸣suŋ] 連 息を吹き返す。生き返る。 ブ⸢チ⸣クン シ⸢ティ⸣ イキ トゥ⸢マリ ベータン⸣ドゥ ⸣イキ フ⸢キカイ⸣セーンツォー [bu⸢ʧi⸣kuŋ ʃi̥⸢ti⸣ ʔiki tu⸢mari beːtan⸣du ⸣ʔiki ɸu̥⸢kikai⸣ʃeːnʦoː] (気絶して息が止まっていたが、息を吹き返したそうだ) 1587 0 0 1516 htmvoc_1587.wav イキフキムヌ イ⸢キフキ⸣ムヌ [ʔi⸢kiɸu̥ki⸣munu] 名 慌てふためく者。そそっかしい者。粗忽者。 ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン⸣ イ⸢キフキムヌ⸣ン ⸣カタチニ ⸢アーフケー⸣ティ ⸢アー⸣キ シ⸢ルッ⸣コー ナ⸢シ⸣ス⸢ツォー [noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirubaŋ⸣ ʔi⸢kiɸu̥kimunu⸣ŋ ⸣kḁtaʧini ⸢ʔaːɸu̥keː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki ʃi⸢ruk⸣koː na⸢ʃi⸣su⸢ʦoː] (何をさせても粗忽者のように慌ててばかりいるので台無しにしてしまうのだよ) 1577 0 0 1517 htmvoc_1577.wav イキフクン イ⸢キ⸣フクン [ʔi⸢ki⸣ɸu̥kuŋ] 自動 喘ぐ。息苦しくなる。激しく呼吸する。激しい息づかいをする。「息吹く」の義か。 カ⸢キッツァー⸣シ パリ⸢クー⸣ター イ⸢キ⸣フキ ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣pari ⸢kuː⸣taː ʔi⸢ki⸣ɸu̥ki ⸢naː⸣nu] (全力で駆けつけて<駆け散らして>きたので激しく喘いでしまった)。呼吸が激しくなる。激しく呼吸する。息切れする。「息吹く」の義。 ⸢ウイ⸣プソー カ⸢キッツァー⸣スカー イ⸢キ⸣フクンダ イ⸢キフカン⸣ヨーニ ア⸢ラ⸣キバ [⸢ʔui⸣pu̥soː kḁ⸢kitʦaː⸣su̥kaː ʔi⸢ki⸣ɸu̥kunda ʔi⸢kiɸu̥kaŋ⸣joːni ʔa⸢ra⸣kiba] (老人は駆けつけると喘ぐ<息切れする>から、喘がないように歩きなさいよ)。 イ⸢キ⸣フキ ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ki⸣ɸu̥ki ⸢naː⸣nu] (息切れしてしまった)。 イ⸢キ⸣フク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ki⸣ɸu̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (息切れすることはない) 1583 0 0 1518 htmvoc_1583.wav イキプス イ⸢キ⸣プス [ʔi⸢ki⸣pu̥su] 名 生きている人。「生き人」の義。シ⸢ニプス[ʃi⸢nipu̥su](死人)の対義語。 イ⸢キプスン⸣ナーニ ム⸢ニ⸣ イズニ シ⸢ニプスンナー⸣ニン ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ⸣ ナ⸢キ⸣ カ⸢ザリオー⸣ル [ʔi⸢kipu̥sun⸣naːni mu⸢ni⸣ ʔiʣuni ʃi⸢nipu̥sunnaː⸣nim mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ na⸢ki⸣ ka⸢ʣariʔoː⸣ru] (生きている人にものを言うように死んだ人にも話して、泣きながら思いの丈を述べ立てておられる)。 イ⸢キプス⸣ヌ ク⸢トゥ⸣ル シ⸢ダキ カンガイ⸣ル ⸣ヌンティ グ⸢ソーンプス⸣ヌ ⸣クトゥシ ⸢ムン⸣ドー ウ⸢クス⸣ワ [ʔi⸢kipu̥su⸣nu ku̥⸢tu⸣ru ʃi⸢daki kaŋgai⸣ru ⸣nunti gu⸢soːmpu̥su⸣nu ⸣ku̥tuʃi ⸢mun⸣doː ʔu⸢kusu⸣wa] (生きている人のことを先<第一>に考えるものだ{EOS}どうしてあの世<後生>の人のことで喧嘩する<問答を起こす>のか) 1590 0 0 1519 htmvoc_1590.wav イキプトゥキ イ⸢キプトゥ⸣キ [ʔi⸢kiputu⸣ki] 名 生き仏。仏のように徳の高い人。善人。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ヨー シ⸢マ⸣ナーテー イ⸢キプトゥ⸣キティ ア⸢ザリ オー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣joː ʃi⸢ma⸣naːteː ʔi⸢kipu̥tu⸣kiti ʔa⸢ʣari ʔoː⸣ru] (その人は島では仏のような徳の高い人<生き仏>だと言われておられる) 1584 0 0 1520 htmvoc_1584.wav イキブル イ⸢キブル [ʔi⸢kiburu] 名 おくび。「息振り」の義か。げっぷ。 イ⸢キブルヌ⸣ トゥ⸢マラン⸣ ピンマー ク⸢シナカ⸣ ダン⸢テイ⸣ タ⸢タッ⸣クカー ⸢ノー⸣ルンティ⸢ダー [ʔi⸢kiburunu⸣ tu⸢maram⸣ pimmaː ku̥⸢ʃinaka⸣ dan⸢ti⸣ tḁ⸢tak⸣kukaː ⸢noː⸣runti⸢daː] (げっぷが止まらないときは、背中をだーんと叩くと直るそうだよ)。げっぷ。おくび。 ⸣ヌー ⸢ふァイティル⸣ アイ ⸢ブー⸣ユー イ⸢キブル シー⸣ ナ⸢ラン⸣サー [⸣nuː ⸢faitiru⸣ ʔai ⸢buː⸣juː ʔi⸢kiburu ʃiː⸣ na⸢ran⸣saː] (何を食べたからであろうか、げっぷをしてどうにもならない) 1659 0 0 1521 htmvoc_1659.wav イキマ イ⸢キ⸣マ [ʔi⸢ki⸣ma] 名 生け間。いけす(生簀)。カツオ漁船の中央部に生け間を設け、船底に穴をあけて網を被せ、新鮮な海水を生け間に環流させながら生餌を生かしておく生簀。 カ⸢ツシンマー⸣ イ⸢キ⸣マナー ザ⸢コー⸣バ イ⸢リティ⸣ ウケー ン⸢ゾーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔi⸢ki⸣manaː ʣa⸢koː⸣ba ʔi⸢riti⸣ ʔukeː ʔn⸢ʣoːt⸣ta] (カツオ漁船は生け間に生餌<雑魚>を入れて漁場<沖>へ出られた) 1591 0 1 1522 htmvoc_1591.wav イキムシ イ⸢キム⸣シ [ʔi⸢kimu⸣ʃi] 名 {Mn_1}動物。畜生。「生き虫」の義。 イ⸢キム⸣シサーギドゥ ッ⸢ふァヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウ⸢ムイ⸣ル ナ⸢ク ニン⸣ギンティ マ⸢リティ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ウ⸢モー⸣ン ⸣ムヌ ⸢ブン [ʔi⸢kimu⸣ʃisaːgidu f⸢fanu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢mui⸣ru na⸢ku niŋ⸣ginti ma⸢riti⸣ f⸢fa⸣ ʔu⸢moː⸣m ⸣munu ⸢buŋ] (動物ですら子供のことを思って泣くのだ{EOS}人間として生まれて子供のことを思わないものが居るか)。「虫」という文字を作った中国では、「虫」は動物の総称の意味を持つ。例えば「羽虫」は鳥類、「毛虫」は獣類、「甲虫」は亀や蟹類、「鱗虫」は魚類、「裸虫」は人類の如く、全ての動物が「虫だ」(『図説琉球語辞典』、『学研漢和大字典』参照)。 イ⸢キム⸣シェー ヌ⸢チムイ⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ グ⸢チ⸣ホーニ ク⸢ラスナ⸠ダー [ʔi⸢kimu⸣ʃeː nu⸢ʧimui⸣munu ja⸢riba⸣ gu⸢ʧi⸣hoːni ku⸢rasuna⸠daː] (動物は命のあるもの<命萌えるもの>だから、濫りに殴る<殺す>なよ)。 1591 0 2 1523 htmvoc_1591.wav イキムシ イ⸢キム⸣シ [ʔi⸢kimu⸣ʃi] 名 {Mn_2}他人を罵って「畜生」、「野郎」の意味に用いられる。 ウ⸢ヌ⸣ イ⸢キム⸣シェー プ⸢スヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムニン シゥ⸢カムティ⸣ ドゥーカッティバ カー⸢ニ シー アー⸣ク [ʔu⸢nu⸣ ʔi⸢kimu⸣ʃeː pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ munin sï̥⸢kamuti⸣ duːkattiba kaː⸢ni ʃiː ʔaː⸣ku] (あの野郎は他人の言うことも聞かないで自分勝手ばかりをしている)。他人を罵る際に用いる語。卑語。 イ⸢キム⸣シェー ⸢ウンザー⸣ ユ⸢クシムニ⸣バ ア⸢ジ⸣ プ⸢スバ カシゥカー⸣シ ⸢ベー [ʔi⸢kimu⸣ʃeː ⸢ʔunʣaː⸣ ju⸢kuʃimuni⸣ba ʔa⸢ʤi⸣ pu̥⸢suba kasï̥kaː⸣ʃi ⸢beː] (畜生野郎は、此奴は嘘をついて<ヨコシモノイイシテ{EOS}讒言して>、他人を騙している) 1665 0 0 1524 htmvoc_1665.wav イキムドゥル イ⸢キムドゥル [ʔi⸢kimuduru] 名 行き帰り。往来。「行き戻り」の転訛したもの。普通は⸢ギームドゥル[⸢giːmuduru](行き来{EOS}行き帰り{EOS}往来)という。 ⸢パイ⸣ターヌ ⸢ギームドゥロー⸣ <イ⸢キムドゥロー⸣> イダフニシル ⸢ソーッ⸣タ [⸢pai⸣taːnu ⸢giːmuduroː⸣ <ʔi⸢kimuduroː⸣> ʔidaɸuniʃiru ⸢soːt⸣ta] (西表島<南端>への往来<行き戻り>はサバニ<板舟>で<ぞ>された) 1592 0 0 1525 htmvoc_1592.wav イキムヌ イ⸢キ⸣ムヌ [ʔi⸢ki⸣munu] 名 生き物。動植物。 イ⸢キ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ ヌチ ⸢ムイ⸣ブンダ ア⸢タラサ サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [ʔi⸢ki⸣munoː muː⸢ru⸣ nuʧi ⸢mui⸣bunda ʔa⸢tarasa saŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (生き物はみんな命を宿している<生きている{EOS}命を生やしている>から大切にしないといけないよ) 1666 0 0 1526 htmvoc_1666.wav イキルン イ⸢キ⸣ルン [ʔi⸢ki⸣ruŋ] 自動 生きる。 ⸢ピャー⸣ク ⸢バー⸣キ イ⸢キ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ イ⸢キラ⸣リンカヤー [⸢pjaː⸣ku ⸢baː⸣ki ʔi⸢ki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ʔi⸢kira⸣riŋkajaː] (百歳まで生きようと思うが生きられるかねえ)。 ⸣イキミサカー イ⸢キ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣ʔikimisakaː ʔi⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (生きて良ければ、生きることは出来る)。 ⸢トー⸣カキ カ⸢ジマー⸣ヤー ⸢バー⸣ケー イ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢toː⸣kaki ka⸢ʤimaː⸣jaː ⸢baː⸣keː ʔi⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (八十八歳<米寿>の生年祝い、九十九歳<白寿>の生年祝いまでは生きれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ イ⸢キ⸣リ [jaː⸢diŋ⸣ ʔikiri] (必ず生きろ)。 ⸣バー ヤー⸢ディン ピャー⸣ク ⸢バー⸣キ イ⸢キ⸣ルン [⸣baː jaː⸢dim pjaː⸣ku ⸢baː⸣ki ʔi⸢ki⸣ruŋ] (私は必ず百歳まで生きる)。 ⸢タンガ⸣シェー イ⸢キララ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃeː ʔi⸢kirara⸣nu] (一人では生きられない)。 ⸢ピンソー⸣ヤ ⸢シー⸣ ブ⸢タンティン⸣ マッ⸢トーバ⸣ イ⸢キ⸣ルンティル ⸢アウ⸣リ ⸣ナンギン ⸢スー⸣ ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢ティンマー⸣ ミシゥ⸢カーミシゥカー⸣シル ⸢オー⸣ル⸢ダー [⸢pinsoː⸣ja ⸢ʃiː⸣ bu⸢tantim⸣ mat⸢toːba⸣ ʔi⸢ki⸣runtiru ⸢ʔau⸣ri ⸣naŋgiŋ ⸢suː⸣ ja⸢naku̥tu suː⸣kaː ⸢timmaː⸣ misï̥⸢kaːmisïkaː⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru⸢daː] (貧乏はしていても真直ぐに生きようと<生きるとてぞ>難儀苦労もするのだ{EOS}悪事を働くと<悪事をすると>天の神様はお見通しだよ<\ruby{密}{ミソカ}に見ておられるよ>) 1667 0 0 1527 htmvoc_1667.wav イキルン イ⸢キ⸣ルン [ʔi⸢ki⸣ruŋ] 他動 草花を活ける。生け花をする。 ⸢ザー⸣トゥクナー パ⸢ナ⸣ギ イ⸢キ⸣ルン [⸢ʣaː⸣tu̥ ku⸣na pa⸢na⸣gi ʔi⸢ki⸣ruŋ] (床の間に花を生ける)。 イ⸢チンマー⸣ イ⸢キ⸣ラヌ [ʔi⸢ʧimmaː⸣ ʔi⸢kira⸣nu] (何時も<毎日>は活けない)。 ⸣イキミサカー イ⸢キ⸣ルクトー ⸣ナルン [⸣ʔikimisakaː ʔi⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (活けて良ければ活けることは出来る)。 ⸣パナ イ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣pana ʔi⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (花を生けたら良いのに)。 イ⸢キ⸣リ [ʔi⸢ki⸣ri] (活けよ) 1593 0 1 1528 htmvoc_1593.wav イキロー イ⸢キ⸣ロー [ʔi⸢ki⸣roː] 名 {Mn_1}人の怨霊。魔物。「生霊」の義。 ⸢ウンザー⸣ イ⸢キロー⸣ヌ ⸣カタチニル ⸢ブー [⸢ʔunʣaː⸣ ʔi⸢kiroː⸣nu ⸣kḁtaʧiniru ⸢buː] (あいつは生霊のようだ<生霊のようにいる>)。 1593 0 2 1529 htmvoc_1593.wav イキロー イ⸢キ⸣ロー [ʔi⸢ki⸣roː] 名 {Mn_2}卑語。相手や話題の人物の行為、性質、状態を罵る語。 イ⸢キ⸣ロー ⸢スン [ʔi⸢ki⸣roː ⸢suŋ] (人を呪う{EOS}他人に祟るよう神仏に祈る)。 ⸣アイニ プ⸢スバ⸣ イ⸢キ⸣ロー ⸢スー⸣カー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [⸣ʔaini pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ki⸣roː ⸢suː⸣kaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (あんなに他人を呪うと大変だよ)。 イ⸢キ⸣ロー ス⸢ナ⸣ヨー [ʔi⸢ki⸣roː su⸢na⸣joː] (他人を呪うなよ) 1595 0 0 1530 htmvoc_1595.wav イキンズン ⸣イキ ンズン [⸣ʔiki ⸣ʔnʣuŋ] 連 気が抜ける。酒、醤油、茶、黄粉(きなこ)など密封して保存すべきものが本来の味や香りを失うこと。 ⸢ザウ⸣ヌ ⸢ヨー⸣リティ ク⸢ヌ⸣ サ⸢ケー⸣ イキ ⸣ンジ ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸢ʣau⸣nu ⸢joː⸣riti ku⸢nu⸣ sḁ⸢keː⸣ ʔiki ⸣ʔnʤi nu⸢mara⸣nu] (栓が緩んで<弱くなって>この酒は気が抜けて飲めない) 1594 0 0 1531 htmvoc_1594.wav イキンヌビンシララヌ ⸣イキンヌビン シ⸢ララヌ [⸣ʔikinnubiŋ ʃi⸢raranu] 連 息をつくことが出来ないほど繁忙である。息をすることも欠伸をすることもできないほど忙しい。 ⸢マイカリヌ パンター⸣ メー ⸣イキンヌビン シ⸢ラランセン [⸢maikarinu pantaː⸣ meː ⸣ʔikinnubiŋ ʃi⸢raranʃeŋ] (稲刈りの繁忙<繁多さ>は、もう息をつくことができなかった<息も欠伸もできなかった>) 1675 0 1 1532 htmvoc_1675.wav イクサ イ⸢ク⸣サ [ʔi⸢ku⸣sa] 名 {Mn_1}戦争。「いくさ」の義。 プ⸢スニン⸣ギンティ ⸢ベー⸣ティ イ⸢クサ⸣バ ⸢シー⸣ プ⸢スバ⸣ シ⸢ナス⸣ クトー イッ⸢カナ⸣シ ユ⸢ラサラ⸣ヌ [pu̥⸢suniŋ⸣ginti ⸢beː⸣ti ʔi⸢kusa⸣ba ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʃi⸢nasu⸣ ku̥toː ʔik⸢kana⸣ʃi ju⸢rasara⸣nu] (人間としていながら戦争をし、人を殺すことは決して許されない)。 1675 0 2 1533 htmvoc_1675.wav イクサ イ⸢ク⸣サ [ʔi⸢ku⸣sa] 名 {Mn_2}おおわらわ(大童)。騒動。 ⸢ウン⸣ネーナ ム⸢ラズーヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸣ヤー ス⸢ク⸣ルンティ イ⸢ク⸣サ ⸢シー オーッ⸣タ [⸢ʔun⸣neːna mu⸢raʣuːnu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢jaː⸣ su̥⸢ku⸣runti ʔi⸢ku⸣sa ⸢ʃiː ʔoːt⸣ta] (その家に村中の人が集まって家を造ろうと大騒動しておられた) 1676 0 0 1534 htmvoc_1676.wav イクサアトゥ イ⸢クサ⸣アトゥ [ʔi⸢kusa⸣ʔatu] 名 戦後。 ⸢パイタ⸣ナーティ ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣リティ イ⸢クサ⸣アトゥナー ⸢マーラシェー⸣ プ⸢スヌ ゴー⸣ラー⸢ダー [⸢paita⸣naːti ⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ʔi⸢kusa⸣ʔatunaː ⸢maːraʃeː⸣ pu̥⸢sunu goː⸣raː⸢daː] (西表島<南端>でマラリア<風気>に罹って、戦後に亡くなった人が多いよ) 1677 0 0 1535 htmvoc_1677.wav イクサユー イ⸢クサ⸣ユー [ʔi⸢kusa⸣juː] 名 戦争の時代。戦争の世。 イ⸢クサ⸣ユーナー パ⸢トゥ⸣マプソー ムー⸢ル パイ⸣タナー ヒ⸢ナン ソーッ⸣タ [ʔi⸢kusa⸣juːnaː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː muː⸢ru pai⸣tanaː çi⸢nan soːt⸣ta] (戦争の時代には、鳩間人はみんな西表北岸<南端、はいばた>に避難された) 1678 0 0 1536 htmvoc_1678.wav イクブン イク⸢ブン [ʔiku⸢buŋ] 副 ある程度。いくらか。「幾分」の義。標準語からの借用語。普通はイ⸢メーマ[ʔi⸢meːma]、ン⸢メーマ[ʔm⸢meːma](少々、少し)のようにいう。 ウ⸢ル⸣ズン ナ⸢ル⸣ター チ⸢カ⸣グロー ン⸢ベーマー ヌッ⸣サ ⸣ナリ ⸢キー⸣ブ [ʔu⸢ru⸣ʣun na⸢ru⸣taː ʧi̥⸢ka⸣guroː m⸢beːmaː nus⸣sa ⸣nari ⸢kiː⸣bu] (春から初夏の季節になったので、近頃はいくらか温くなってきているよ) 1679 0 0 1537 htmvoc_1679.wav イグユー イグ⸢ユー [ʔigu⸢juː] 感 おや。おや、まあ。なんとまあ。意外に思う時、驚いた時に発する老年層女性のことば。 イグ⸢ユー ワーッテ ヌー⸣シ ⸢シール⸣ ウ⸢ビ⸣ヌ サ⸢ババ ホー⸣シ ⸢クー⸣タ [ʔigu⸢juː waːtte nuː⸣ʃi ⸢ʃiːru⸣ ʔu⸢bi⸣nu sa⸢baba hoː⸣ʃi ⸢kuː⸣ta] (なんとまあ、一体君はどうやってこんな巨大な鱶を釣ってきたのかねえ)。 イグ⸢ユー⸣ アイブ ⸣クトゥティン ア⸢リ⸣ブバン⸢ナー [ʔigu⸢juː⸣ ʔaibu ⸣ku̥tutiŋ ʔa⸢ri⸣buban⸢naː] (おやまあ、あんなことが<とても>あるものだなあ) 1674 0 0 1538 htmvoc_1674.wav イクン ⸣イクン [⸣ʔikuŋ] 自動 生きる。上二段活用系動詞「生く(いく)」の四段活用化したもの。 ⸣クヌ ⸢ブン⸣シェー ⸢ピャー⸣ク ⸢バー⸣キ ⸣イクンティ ウ⸢モー⸣リ [⸣kunu ⸢buŋ⸣ʃeː ⸢pjaː⸣ku ⸢baː⸣ki ⸣ʔikunti ʔu⸢moː⸣ri] (このぶんでは百歳まで生きると思われる) 1680 0 0 1539 htmvoc_1680.wav イグン ⸣イグン [⸣ʔiguŋ] 名 遺言。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣イグン ヌ⸢カ⸣シ ス⸢コー⸣レー ⸢トゥー⸣ル ⸢スール⸣ マ⸢シ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔigun nu⸢ka⸣ʃi su̥⸢koː⸣reː ⸢tuː⸣ru ⸢suːru⸣ ma⸢ʃi] (親が遺言を残しておかれた通りにするのがよい)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣イグン ⸢バスクナ⸣ダー [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔigum ⸢basu̥kuna⸣daː] (親の遺言を忘れるなよ) 1683 0 0 1540 htmvoc_1683.wav イゴーザザーテー イ⸢ゴー⸣ザザーテー [ʔi⸢goː⸣ʣaʣaːteː] 名 屋号。小浜真敏氏宅。童名のイ⸢ゴ⸣ジ[ʔi⸢go⸣ʤi]に⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄さん)が下接し、更に接尾語⸣テー[⸣teː](~の家)が下接続して生成された合成語。ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː](小浜家)ともいう。この屋敷の古い屋号は、⸢パイ⸣ネー[⸢pai⸣neː](「南風見屋」の義か)と伝えられている。小浜家は、戦後の一時期カツオ漁船を所有し、カツオ節製造工場を経営された。次男の小浜光次郎氏は鳩間島出身で最初に沖縄県立宮古養護学校長、沖縄県立泊高等学校長を努めた人である。 トゥ⸢ムレーヌ アー⸣ネール イ⸢ゴー⸣ザザーテー [tu⸢mureːnu ʔaː⸣neːru ʔi⸢goː⸣ʣaʣaːteː] (友利家の東隣が<ぞ>小浜家<イゴーザザーテー>である) 1684 0 1 1541 htmvoc_1684.wav イコーサン イコー⸢サン [ʔikoː⸢saŋ] 副 {Mn_1}いくらも(幾らも)。いくつも。いくらでも。肯定文の場合、修飾される動詞の意味内容の数量が無限に近い相当の数量であることを表す。 ッ⸢ふァース⸣カー イコー⸢サン⸣ ッ⸢ふァイス [f⸢faːsu⸣kaː ʔikoː⸢saŋ⸣ f⸢faisu] (食べさせたら幾らでも食べる)。 1684 0 2 1542 htmvoc_1684.wav イコーサン イコー⸢サン [ʔikoː⸢saŋ] 副 {Mn_2}下に打ち消しの表現を伴って、ほとんど~ない、いくらも~ない<ゼロに近い>、の意味を表す。 ⸢ジン⸣マー シゥ⸢カイキシティ⸣ イコー⸢サン ナー⸣ヌ [⸢ʤim⸣maː si̥⸢kaiki̥ʃiti⸣ ʔikoː⸢san naː⸣nu] (お金は使い切って、いくらも残ってない<ほとんど無い>)。 イコー⸢サン カウラヌ [ʔikoː⸢saŋ kauranu] (ほとんど変わらない) 1685 0 0 1543 htmvoc_1685.wav イゴージ イ⸢ゴー⸣ジ [ʔi⸢goː⸣ʤi] 名 男の童名。 ア⸢ザテヌ⸣ イ⸢ゴー⸣ジザー ア⸢ラ⸣カーウガンヌ ティ⸢ジリ⸣ビー ヤ⸢ローッ⸣タ [ʔa⸢ʣatenu⸣ ʔi⸢goː⸣ʤiʣaː ʔa⸢ra⸣kaːʔugannu ti⸢ʤiri⸣biː ja⸢roːt⸣ta] (東里家のイゴージさんはアラカー御嶽のティジリビーであられた) 1686 0 0 1544 htmvoc_1686.wav イコーラ イ⸢コーラ [ʔi⸢koːra] 副 いくら。いかに。どんなに。どのように。仮定や推量表現に先立って用いられ、逆接の条件文を導き出す。強調すると、イコー⸢ラ[ʔikoː⸢ra]のようにアクセントが移動する。「~年月も伊久良母阿良奴<イクラモアラヌ>に~。万、3962」の転訛したものか。 イ⸢コーラ⸣ イ⸢ゾーラ⸣バン ナー⸢イ⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔi⸢koːra⸣ ʔi⸢ʣoːra⸣ban naː⸢i⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (どんなに叱られようとも放って<放置して>おきなさい)。 イコー⸢ラ⸣ ノー⸢ン ヤラバン⸣ アイヤー シ⸢キララ⸣ヌ [ʔikoː⸢ra⸣ noː⸢ɲ jarabaŋ⸣ ʔaijaː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (いくら何であっても、そのまま放置してはおけない)。 イ⸢コーラ カイ⸣ヤタンティン タ⸢カー⸣カー ⸢カーラヌ [ʔi⸢koːra kai⸣jatantin tḁ⸢kaː⸣kaː ⸢kaːranu] (幾ら美しくても値段が高ければ買えない) 1687 0 0 1545 htmvoc_1687.wav イサ ⸣イサ [⸣ʔisa] 名 医者。医師。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣イサー ⸢オーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣ʔisaː ⸢ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島には医者はいらっしゃらなかった)。 ⸣イサ シゥ⸢カシ⸣ クー [⸣ʔisa si̥⸢kaʃi⸣ kuː] (医者をお連れしてきなさい)。 イ⸢サ⸣ヌヤー [ʔi⸢sa⸣nujaː] (病院{EOS}<医者の家>)。 ⸣イサガカリ [⸣ʔisagakari] (通院{EOS}医者がかり)。 ⸣イサオーナール [⸣ʔisaʔoːnaːru] (医者の嫉妬、医者のうわなり)。 ク⸢ヌ ヤン⸣マー ⸣イサ カ⸢カラン⸣カー ⸢ノーラ⸣ヌ [ku⸢nu jam⸣maː ⸣ʔisa ka⸢karaŋ⸣kaː ⸢noːra⸣nu] (この病気は医者にかからないと治らない)。 ⸢パー⸣イサ [⸢paː⸣isa] (歯科医{EOS}歯医者)。 ヤ⸢ブイサ [ja⸢buʔisa] (漢方医{EOS}鍼灸によって病気を治療する医者{EOS}ヤブ医者) 1688 0 0 1546 htmvoc_1688.wav イサイ イ⸢サイ [ʔi⸢sai] 名 詳細。詳しいこと。「委細」の義。標準語からの借用語。 ク⸢ヌ⸣ クトー イ⸢サイヤー⸣ ッ⸢サユンダ⸣ ヌークイテー ア⸢ザラヌ [ku⸢nu⸣ kutoː ʔi⸢saijaː⸣ s⸢sajunda⸣ nuːkuiteː ʔa⸢ʣaranu] (このことは、委細は知らないからどうこうしろ<なんだかんだ>とは言えない) 1689 0 0 1547 htmvoc_1689.wav イザイビー イ⸢ザイビー [ʔi⸢ʣaibiː] 名 漁り火。「漁火」の義。夜の⸢スー⸣チズー[⸢suː⸣ʧiʣuː](潮干時)を見計らって枯れたススキや笹竹を束ねて松明にし、それを持って蛸を獲ったり、貝を獲ったりする際に用いる。夜の潮干狩りに用いる松明。烏賊釣り船の灯す集魚灯の灯り。烏賊釣り船のイ⸢ザイビ[ʔi⸢ʣaibiː]は鳩間島の遥か北の闇の洋上に点々として見え、幻想的な夜景であった。夜のイ⸢ソーシプス[ʔi⸢soːʃipusu](潮干狩りする人<磯する人>)のイ⸢ザイビー(漁火)も漁りする人の足元をゆらゆらと揺らめかしながら移動していく光景も幻想的であった。 ⸢スー⸣チズー ア⸢タル⸣カー ピ⸢ザキ⸣ヌ マーラ⸢バー⸣キ イ⸢ザイビーヤ⸣ ミ⸢ラリ⸣ブタ [⸢suː⸣ʧiʣuː ʔa⸢taru⸣kaː pi⸢ʣaki⸣nu maːra⸢baː⸣ki ʔi⸢ʣaibiːja⸣ mi⸢rari⸣buta] (干潮時<潮干時>に当たると島の北西の干瀬の先まで潮干狩りの漁火が見えていた) 1803 0 0 1548 htmvoc_1803.wav イサオーナール ⸣イサオーナール [⸣ʔisaʔoːnaːru] 成 医者の嫉妬(諺)。医者は互いにライバル意識が強く、嫉妬するという意味。 ム⸢カ⸣シェーラ イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーナール⸣ティ ア⸢ザリブー [mu⸢ka⸣ʃeːra ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːnaːru⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (昔から諺で「医者の嫉妬<医者はよく嫉妬する、うわなりをする>」といわれている) 1691 0 0 1549 htmvoc_1691.wav イザテー イ⸢ザ⸣テー [ʔi⸢ʣa⸣teː] 名 屋号。西花賀栄氏宅。西原章吉氏宅の西隣の家。村外れの家。その西隣に⸢ガンダルゴー⸣ヤー[⸢gandarugoː⸣jaː](龕小屋)があった。イ⸢ザ⸣テー[ʔi⸢ʣa⸣teː]はイ⸢リ[ʔi⸢ri](西)・⸣サトゥ[⸣sḁtu](里)・⸣ヤー[⸣jaː](家)→ [ʔiriʣatujaː] → [ʔi⸢ʣa⸣teː](西花家<西里家>)のように音韻変化して生成された合成語であろう。 ⸢ウンタイラ⸣ブレーヌ ⸢イー⸣ネール イ⸢ザ⸣テー ⸢ヤッタ [⸢ʔuntaʔira⸣bureːnu ⸢ʔiː⸣neːru ʔi⸢ʣa⸣teː ⸢jatta] (西原家<上西原家>の西隣が西花賀栄氏宅<西里家>だった) 1692 0 0 1550 htmvoc_1692.wav イサナキ イ⸢サナキ [ʔi⸢sanaki] 固 石垣島。石垣の中心地である四カ字。老年層の言葉。若年層は、イ⸢サンケー[ʔi⸢saŋkeː]という。 パ⸢トゥ⸣マーラ イ⸢サナケー ヒックシ ソー⸣レー プ⸢ソー⸣ タカー⸢ニン オー⸣ルン [pḁ⸢tu⸣maːra ʔi⸢sanakeː çikkuʃi soː⸣reː pu̥⸢soː⸣ tḁkaː⸢niŋ ʔoː⸣ruŋ] (鳩間島から石垣島へ引っ越された人はたくさんおられる)。 イ⸢サナキプス [ʔi⸢sanakipusu] (石垣人、石垣の人)。 イ⸢サナキ⸣ナー マ⸢チヤーティ スームヌン⸣ アリ ミ⸢ジラ⸣サル シ⸢ナムヌバ⸣ シ⸢ナカジゴー⸣カジ ⸢カーシオーッ⸣タン [ʔi⸢sanaki⸣naː ma⸢ʧijaːti suːmunuŋ⸣ ʔari mi⸢ʤira⸣saru ʃi⸢namunuba⸣ ʃi⸢nakaʤigoː⸣kaʤi ⸢kaːʃioːt⸣taŋ] (石垣には商店<町屋>というのもあって、珍しい品物を種々そろえ<品数多く>売っておられた) 1805 0 0 1551 htmvoc_1805.wav イサナキドゥンチ イ⸢サナキドゥンチ [ʔi⸢sanakidunʧi] 名 石垣殿内。石垣島の名家の一つ。琉球国時代の石垣の頭職を務めた家。 イ⸢サナキドゥンチヌ アンタヌ⸣ ミ⸢ナ⸣カー イッ⸢ケン カイ⸣ヤン [ʔi⸢sanakidunʧinu ʔantanu⸣ mi⸢na⸣kaː ʔik⸢keŋ kai⸣jaŋ] (石垣殿内の東側の庭は非常に美しい) 1693 0 0 1552 htmvoc_1693.wav イサナキプス イ⸢サナキプス [ʔi⸢sanakipu̥su] 名 石垣島の人。石垣島四箇村の人。老年層の言葉。若年層は、イ⸢サンケープス[ʔi⸢saŋkeːpu̥su](石垣島の人{EOS}石垣島四個村の人)という。 イ⸢サナキプス⸣ナー ⸢バン⸣テヌ ウ⸢トゥザ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [ʔi⸢sanakipu̥su⸣naː ⸢ban⸣tenu ʔu⸢tuʣa⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (石垣島四箇村の人で、私の家の親戚がおられる) 1694 0 0 1553 htmvoc_1694.wav イサナキムニ イ⸢サナキムニ [ʔi⸢sanakimuni] 名 石垣島四個村の言葉。石垣方言。八重山群島の地域共通語。若年層は、イ⸢サンケームニ[ʔi⸢saŋkeːmuni](石垣四個村の言葉{EOS}石垣方言)という。 ⸣バー イ⸢サナキムニ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢シェーン⸠ダー [⸣baː ʔi⸢sanakimuni⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢ʃeːn⸠daː] (私は石垣言葉が話せるよ) 1695 0 0 1554 htmvoc_1695.wav イサミルン イ⸢サミルン [ʔi⸢samiruŋ] 他動 いさめる(諌める)。訓戒する。標準語からの借用語か。 サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢キョーダイ⸣サ ⸣アウンダ ⸣ウヤー ウ⸢リ⸣ イ⸢サミルンティ ソールン⸣ドゥ イ⸢サミララヌ [sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢kjoːdai⸣sa ⸣ʔaunda ⸣ʔujaː ʔu⸢ri⸣ ʔi⸢samirunti soːrun⸣du ʔi⸢samiraranu] (酒を飲むと兄弟同士で喧嘩するので、親はそれを諌めようとなさるが、諌められない)。 イ⸢サミル⸣ クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢samiru⸣ ku̥tun na⸢ra⸣nu] (諌めることも出来ない)。 イ⸢サミレー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢samireː⸣ misamunu] (諌めれば良いのに)。 イ⸢サミ⸣リバ [ʔi⸢sami⸣riba] (諌めよ) 1807 0 0 1555 htmvoc_1807.wav イサヨーゾー ⸣イサヨーゾー [⸣ʔisajoːʣoː] 名 医療。医者の治療。通院、または入院して療養すること。医師による療養。「医者養生」の義。 ⸢ヤンマイ⸣ヤー シ⸢キ⸣パナナ ⸣イサヨーゾー ⸢シー⸣ シカイ⸢トゥ ノーサン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー [⸢jammai⸣jaː ʃi̥⸢ki⸣pananaː ⸣ʔisajoːʣoː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥kai⸢tu noːsaŋ⸣kaː na⸢ran⸠daː] (\ruby{SqBr}g{/SqBr}{病気}{やまい}は付き始め<付き端>に医者の治療<医者養生>を受けてしっかり治さないといけないよ) 1702 0 0 1556 htmvoc_1702.wav イザリカザリ イ⸢ザリ⸣カザリ [ʔi⸢ʣari⸣kaʣari] 名 さんざんに叱られること。イ⸢ザリ[ʔi⸢ʣari](叱られること)の重言。ABCDBC型の重言。 ⸢ピントゥルピン⸣ イ⸢ザリ⸣カザリ ⸢シェー⸣ティ パ⸢タラキ ベー⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムイ⸣ツァーン ア⸢リ⸣ブ⸢ツォー [⸢pinturupiŋ⸣ ʔi⸢ʣari⸣kaʣari ⸢ʃeː⸣ti pḁ⸢taraki beː⸣munu ⸣mirukaː ki⸢mui⸣ʦaːŋ ʔa⸢ri⸣bu⸢ʦoː] (毎日毎日さんざんに叱られて働いているのを見ると気の毒<可哀相、「肝痛む」の義>でもあるよ)。イ⸢ザレー⸣カザレー[ʔi⸢ʣareː⸣kaʣareː]ともいう 1789 0 0 1557 htmvoc_1789.wav イザリヌンガーリ イ⸢ザリヌンガーリ [ʔi⸢ʣarinuŋgaːri] 名 叱られ免れ。叱られることから免れること。免罪。 ⸣アボーン タ⸢ナ⸣ミティル ヤッ⸢トゥ⸣シ イ⸢ザリヌンガーリ⸣ シ⸢タ⸣ドースカーヤ [⸣ʔaboːn ta⸢na⸣mitiru jat⸢tu⸣ʃi ʔi⸢ʣarinuŋgaːri⸣ ʃi̥⸢ta⸣doːsu̥kaːja] (お母さんに頼んでやっとのことで叱られることから免れた<叱られ免れした>んだってばよ) 1706 0 0 1558 htmvoc_1706.wav イザリヌンガール イ⸢ザリヌンガール [ʔi⸢ʣarinuŋgaru] 名 言い逃れ。弁解。「叱られ逃れ」の義。 フ⸢チカナイ⸣ムノー イ⸢ザリヌンガーロー ゾー⸣ジ [ɸu̥⸢ʧikanai⸣munoː ʔi⸢ʣarinuŋgaːroː ʣoː⸣ʤi] (口達者な者は言い逃れが上手だ) 1703 0 0 1559 htmvoc_1703.wav イザリムヌ イ⸢ザリムヌ [ʔi⸢ʣarimunu] 名 よく叱られる者。叱られ役。 プ⸢スヨー⸣ イ⸢ザラン⸣ナカーラル ウ⸢ナー⸣ ッ⸢ふァバ⸣ イ⸢ゾー⸣ル ッ⸢ふァー⸣ イ⸢ズ⸣カー イ⸢ザリムヌゲ⸣ラ [pu̥⸢sujoː⸣ ʔi⸢ʣaran⸣nakaːraru ʔu⸢naː⸣ f⸢faba⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ru f⸢faː⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ʔi⸢ʣarimunuge⸣ra] (他人を叱れないことから己の子供を叱られる{EOS}子供にとっては、言わば叱られ役だよ)。 ウ⸢レー⸣ ムー⸢ロー⸣ラヌ イ⸢ザリムヌ [ʔu⸢reː⸣ muː⸢roː⸣ranu ʔi⸢ʣarimunu] (その人は皆からの叱られ役<よく叱られる者>だ) 1704 0 0 1560 htmvoc_1704.wav イザリルン イ⸢ザリルン [ʔi⸢ʣariruŋ] 連 叱られる。動詞イ⸢ズン[ʔi⸢ʣuŋ](叱る)の未然形イ⸢ザ[ʔi⸢ʣa]に受身の助動詞⸢リルン[⸢riruŋ](れる)が付いて形成された派生語(受身動詞)。 マー ン⸢ベー⸣スカー ⸣メー イ⸢ザリルン⸠ダー [maː ʔm⸢beː⸣su̥kaː ⸣meː ʔi⸢ʣarirun⸠daː] (もうじき<もう少ししたら>叱られるよ)。 イ⸢ザリル⸣ ス⸢コール シーベー⸣リ [ʔi⸢ʣariru⸣ su̥⸢koːru ʃiːbeː⸣ri] (叱られる覚悟<準備>をしておけ) 1705 0 1 1561 htmvoc_1705.wav イザリン イ⸢ザリン [ʔi⸢ʣariŋ] 連 叱られる。叱れる。{Mn_1}受身動詞。{イ⸢ズン[ʔi⸢ʣuŋ](叱る)の未然形イ⸢ザ[ʔi⸢ʣa]に、受身、可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が付いて形成された派生語(受身動詞)}。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ⸣アボーン イ⸢ザリン⸣ダー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ⸣ʔaboːŋ ʔi⸢ʣarin⸣daː] (そんなことをするとお母さんに叱られるよ)。 1705 0 2 1562 htmvoc_1705.wav イザリン イ⸢ザリン [ʔi⸢ʣariŋ] 連 {Mn_2}可能動詞。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ プ⸢スンマー⸣ イ⸢ザラヌ⸣ ウ⸢ヤン⸣マー イ⸢ザリン [ʔu⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ pu̥⸢summaː⸣ ʔi⸢ʣaranu⸣ ʔu⸢jam⸣maː ʔi⸢ʣariŋ] (その子は他人には叱れない{EOS}親には叱ることができる<叱れる>) 1696 0 0 1563 htmvoc_1696.wav イサンヤー イ⸢サン⸣ヤー [ʔi⸢saŋ⸣jaː] 名 医院。診療所。「医者の家」の義。 イ⸢サン⸣ヤーラ フ⸢チ⸣ル ⸢イー⸣リ ⸢クー⸣タ [ʔi⸢saŋ⸣jaːra ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢ʔiː⸣ri ⸢kuː⸣ta] (病院から薬をもらってきた)。病院。「医者の家」の義。 パ⸢トゥ⸣マナー イ⸢サン⸣ヤーヌ ⸢ナーン⸣ベーティ ⸣ヤムカー イ⸢サンケー⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaː ʔi⸢saɲ⸣jaːnu ⸢naːm⸣beːti ⸣jamukaː ʔi⸢saŋkeː⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島には医院<医者の家>が無いので、病気になると<病むと>石垣へ行かないといけなかった<どうにもならなかった>) 1709 0 0 1564 htmvoc_1709.wav イシ イ⸢シ [ʔi⸢ʃi] 名 石。岩石。石材。岩。 ⸢ミートゥ⸣イシ [⸢miːtu⸣ʔiʃi] (夫婦石{EOS}タチバルの浜に出る道の側にある夫婦石)。 イ⸢シマシェー クイラリン⸣ プ⸢スマシェー クイララヌ [ʔi⸢ʃimaʃeː kuirarim⸣ pu̥⸢sumaʃeː kuiraranu] (高い石垣で囲われた土地<石垣の枡>は越えることができるが、身分の低い貧乏人たち<人垣で囲われたところ、一般民衆>だからとて跨ぎ越えることはできない{EOS}貧乏人や身分の低い者を馬鹿にしてはいけない)。 イ⸢シヌ ウイ⸣ナー タ⸢タ⸣リン ⸢オーナールヌ ウイ⸣ナー タ⸢タ⸣ラヌ [ʔi⸢ʃinu ʔui⸣naː tḁ⸢ta⸣riŋ ⸢ʔoːnaːrunu ʔui⸣naː tḁ⸢tara⸣nu] (石の上には耐えて生きていけるが嫉妬の上には耐えて生きていけない) 1710 0 1 1565 htmvoc_1710.wav イジ イ⸢ジ [ʔi⸢ʤi] 名 {Mn_1}意地。勇気。 イ⸢ジヌ ナーン⸣ユンダ ⸣ドゥー ⸢タンガ⸣シェー ノー⸢ン シーユーサヌ [ʔi⸢ʤinu naːŋ⸣junda ⸣duː ⸢taŋga⸣ʃeː noː⸢ŋ ʃiːjuːsanu] (意地がないから一人では何も出来ない<為しえない>)。 1710 0 2 1566 htmvoc_1710.wav イジ イ⸢ジ [ʔi⸢ʤi] 名 {Mn_2}意気地。元気。 イ⸢ジ⸣ ンジ ⸢ギーバリバル⸣ キュー⸢ズー⸣ナ シ⸢グトー⸣ トゥ⸢ズミラ⸣リ⸢ダー シーッ⸣パイ ⸢シー⸣ヨー [ʔi⸢ʤi⸣ ʔnʤi ⸢giːbaribaru⸣ kjuː⸢ʣuː⸣na ʃi⸢gutoː⸣ tu⸢ʣumira⸣ri⸢daː ʃiːp⸣pai ⸢ʃiː⸣joː] (元気を出して頑張ってこそ今日中に仕事は完了できるのだ{EOS}精一杯働け<しなさい>よ) 1711 0 0 1567 htmvoc_1711.wav イジアースン イ⸢ジアースン [ʔi⸢ʤiʔaːsuŋ] 他動 言い合わせる。相談する。話し合う。パ⸢ナシアー⸣スンとも言う。 ⸢ヤーニンズ⸣トゥ イ⸢ジアーシ⸣ パ⸢ナシアー⸣シ ⸢シェー⸣ティル ⸣ムヌグトー キ⸢ミル⸠ダー [⸢jaːninʣu⸣tu ʔi⸢ʤiʔaːʃi⸣ pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣tiru ⸣munugutoː ki⸢miru⸠daː] (家族<家人数>と相談<言いあい話し合い>しながら物事は決めるのだよ)。 ⸢ヌー⸣シ サ⸢バル⸣ マ⸢シ⸣ユー ウ⸢ヤッ⸣ふァザーンナリ イ⸢ジアースン⸣ティ ア⸢ズタン [⸢nuː⸣ʃi sa⸢baru⸣ ma⸢ʃi⸣juː ʔu⸢jaf⸣faʣaːnnari ʔi⸢ʤiʔaːʃi sun⸣ti ʔa⸢ʣutaɲ⸣joː] (どうしたらよいか、親子だけで相談すると言っていたよ) 1712 0 0 1568 htmvoc_1712.wav イジアウン イ⸢ジアウン [ʔi⸢ʤiʔauŋ] 他動 言い合う。話し合う。口論する。石垣方言からの借用語か。 ウ⸢ヌ ギン⸣シェー ギュー⸢ムシン⸣ イ⸢ジアイヤン⸣ヨー [ʔu⸢nu giŋ⸣ʃeː gjuː⸢muʃiŋ⸣ ʔi⸢ʤiʔaijaɲ⸣joː] (その件では何度も話し合った<言い合った>よ)。 ギュー⸢ムシン⸣ イ⸢ジアウンドゥ⸣ キ⸢マラヌ [gjuː⸢muʃiŋ⸣ ʔi⸢ʤiʔaundu⸣ ki⸢maranu] (何度も話し合う<言い合う>が決まらない) 1713 0 0 1569 htmvoc_1713.wav イジアティルン イ⸢ジアティルン [ʔi⸢ʤiʔatiruŋ] 他動 言い当てる。 ウ⸢レー フン⸣トー ⸣バー バ⸢タウチ⸣ヌ ウ⸢ムイ⸣バ イ⸢ジアティルン⸣カヤー [ʔu⸢reː ɸun⸣toː ⸣baː ba⸢taʔuʧi⸣nu ʔu⸢mui⸣ba ʔi⸢ʤiʔatiruŋ⸣kajaː] (彼は本当に私の胸中の思いを言い当てるかねえ) 1671 0 0 1570 htmvoc_1671.wav イシゥカーゴーラー ⸢イシゥ⸣カー ⸢ゴー⸣ラー [⸢ʔisï̥⸣kaː ⸢goː⸣raː] 連 多い少ない。多少。 ⸢イシゥ⸣カー ⸢ゴー⸣ラーテー ⸢ナー⸣ヌ ケー⸢ラ⸣ タ⸢キ⸣トゥ ⸢アー⸣シ ン⸢ザ⸣ス ク⸢トゥ⸣ル ⸢カンユー [⸢ʔisï̥⸣kaː ⸢goː⸣raːteː ⸢naː⸣nu keː⸢ra⸣ tḁ⸢ki⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi ʔn⸢ʣa⸣su ku̥⸢tu⸣ru ⸢kaɲjuː] (<金額の>多寡は問わない{EOS}皆が能力<身の丈>に応じ<合わせ>て出すことが肝要だ)。 ⸢イシゥ⸣カー ⸢ゴー⸣ラーテー ア⸢ザンドー⸣シ ッ⸢ふォー⸣ル ⸣ムノー ⸢イール⸣ル マ⸢シ⸣ダー [⸢ʔisi̥⸣kaː ⸢goː⸣raːteː ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi f⸢foː⸣ru ⸣munoː ⸢ʔiːru⸣ru ma⸢ʃi⸣daː] (多寡がどうの、こうの<少ない、多いとは>言わないで、下さるものは貰うのが良いよ) 3117 0 0 1571 htmvoc_3117.wav イシゥカーゴーラー ⸢イシゥ⸣カーゴーラー [⸢ʔisï̥⸣kaːgoːraː] 名 多寡。多少。多い少ない。「少なさ、多さ」の義。 ⸢ジン⸣マー ⸢イシゥ⸣カーゴーラーテー ⸢ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ マー⸢タキナール⸣ バキ ッ⸢ふェール [⸢ʤim⸣maː ⸢ʔisï̥⸣kaːgoːraːteː ⸢naː⸣nu muː⸢ru⸣ maː⸢takinaːru⸣ baki f⸢feː⸣ru] (金は多い少ないということはない{EOS}みんな等分に分け与えたのだ) 1672 0 1 1572 htmvoc_1672.wav イシゥカータンティン ⸢イシゥ⸣カータンティン [⸢ʔisi̥⸣kaːtantiŋ] 連 {Mn_1}少なくても。 ッ⸢ふァイムノー イシゥ⸣カータンティン ⸢マータキナー⸣ バ⸢キ⸣リ [f⸢faimunoː ʔisi̥⸣kaːtantim ⸢maːtakinaː⸣ ba⸢ki⸣ri] (食物は少なくても良いから、同じように分けよ)。 1672 0 2 1573 htmvoc_1672.wav イシゥカータンティン ⸢イシゥ⸣カータンティン [⸢ʔisi̥⸣kaːtantiŋ] 連 {Mn_2}短くても。 ⸢キン⸣ヌ ⸣タケー ⸢イシゥ⸣カータンティン キ⸢サリ⸣サーギ サ⸢リ⸣カー <⸢スー⸣カー> ⸣ミサン [⸢kin⸣nu ⸣tḁkeː ⸢ʔisi̥⸣kaːtantiŋ ki̥⸢sari⸣saːgi sa⸢ri⸣kaː <⸢suː⸣kaː> ⸣misaŋ] (着物の着丈は短くても、着ることが出来さえすれば良い) 1761 0 0 1574 htmvoc_1761.wav イシゥカーナーヤ ⸢イシゥ⸣カー ⸢ナー⸣ヤ [⸢ʔisi̥⸣kaː ⸢naː⸣ja] 連 長短は~。「短い長いは」の転訛したもの。 ⸢イシゥ⸣カー ⸢ナー⸣ヤ ⸢トーヌ スー⸣ワサーギ ⸣アルカー ⸣ミサン [⸢ʔisi̥⸣kaː ⸢naː⸣ja ⸢toːnu suː⸣wasaːgi ⸣ʔarukaː ⸣misaŋ] (長い短いは問わない{EOS}強ければ<強くさえあれば>良い) 1670 0 1 1575 htmvoc_1670.wav イシゥカーン ⸢イシゥ⸣カーン [⸢ʔisï̥⸣kaːŋ] 形 {Mn_1}少ない。数量的に少ない。 ⸢マータキナー⸣ ク⸢バルタン⸣ドゥ ⸢バー⸣モー ⸢イシゥカー⸣ルサー [⸢maːtakinaː⸣ ku⸢barutan⸣du ⸢baː⸣moː ⸢ʔisï̥kaː⸣rusaː] (同等<同じ量に>に配ったのだが、私のは少ないよ)。 ユ⸢ヌ⸣ ピ⸢ニ⸣チ パ⸢タラクタヌ⸣ バー ⸣ティマー ⸢ワー⸣ラ ⸢イシゥカー⸣ル [ju⸢nu⸣ pi⸢ni⸣ʧi pḁ⸢tarakutanu⸣ baː ⸣timaː ⸢waː⸣ra ⸢ʔisï̥kaː⸣ru] (同じ日数働いたが私の賃金<手間賃>は君より少ない)。 ⸢イシゥカー ナー⸣ヌ [⸢ʔisi̥kaː naː⸣nu] (少なくない)。 ⸢シンダイ イシゥ⸣カー ⸣ナルン [⸢ʃindai ʔisi̥⸣kaː ⸣naruŋ] (次第に少なくなる)。 ⸢イシゥ⸣カー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔisi̥⸣kaː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (少ないことはない)。 ⸢バー⸣ モー ⸢ワー⸣ モーラ ⸢イシゥ⸣カーンダ ⸢イシゥカーナーン⸣ ムヌ ッ⸢ふィーリ [⸢baː⸣ moː ⸢waː⸣ moːra ⸢ʔisi̥⸣kaːnda ⸢ʔisi̥kaːnaːm⸣ munu f⸢fiːri] (私のものは君のものより少ないから、少なくないものを呉れ)。 ⸢シンダイ イシゥ⸣カー ⸣ナルン [⸢ʃindai ʔisi̥⸣kaː ⸣naruŋ] (次第に少なくなる)。量が少ない。 ⸣バー ミ⸢ジェー ワー⸣ モーラ ⸢イシゥカー⸣ル [⸣baː mi⸢ʤeː waː⸣ moːra ⸢ʔisï̥kaː⸣ru] (私の水は君のものより少ない)。 ⸢ヌー⸣ル ⸢イシゥ⸣カー ⸢ゴー⸣ラーテー ア⸢ザンドー⸣シ ⸢マータキナー⸣ バキバ [⸢nuː⸣ru ⸢ʔisï̥⸣kaː ⸢goː⸣raːteː ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi ⸢maːtakinaː⸣ bakiba] (どれ<何>が多い、少ないと言わないで、同等に<真丈ずつ>分けなさい)。 ⸢イシゥカー ナー⸣ヌ [⸢ʔisï̥kaːnaː⸣nu] (短くない{EOS}少なくない)。 ⸢イシゥ⸣カー ⸣ナルン [⸢ʔisï̥⸣kaː ⸣naruŋ] (短くなる{EOS}少なくなる)。 ⸢イシゥカー⸣ヌ バ⸢キララ⸣ヌ [⸢ʔisï̥kaː⸣nu ba⸢kirara⸣nu] (短くて、少なくて、分けられない)。 ⸢イシゥ⸣カー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔisï̥⸣kaː ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (短い、少ない、ことはない)。 ⸢イシゥ⸣カーカー シ⸢ティリ [⸢ʔisï̥⸣kaːkaː ʃi̥⸢tiri] (短<少>ければ捨てろ)。 ⸢イシゥ⸣カー クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔisi̥⸣kaː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (少ないことは無い)。 ⸢イシゥ⸣カーカー シ⸢ティ⸣バ [⸢ʔisi̥⸣kaːkaː ʃi̥⸢ti⸣ba] (少なかったら捨てなさいよ)。 1670 0 2 1576 htmvoc_1670.wav イシゥカーン ⸢イシゥ⸣カーン [⸢ʔisï̥⸣kaːŋ] 形 {Mn_2}短い。空間的、時間的に少ない。 ク⸢ヌ キン⸣ヌ ⸣タケー ⸢イシゥカー⸣リバ ン⸢ベーマ⸣ ナー⸢ナー⸣シ ⸣ヌイ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ku⸢nu kin⸣nu ⸣tḁkeː ⸢ʔisï̥kaː⸣riba ʔm⸢beːma⸣ naː⸢naː⸣ʃi ⸣nui f⸢fiːri⸣ba] (この着物の丈<長さ>は短いから、少し長く縫ってくれよ)。 ウ⸢レー⸣ラン ク⸢リル ⸢イシゥ⸣カー [ʔu⸢reː⸣raŋ ku⸢riru ʔisï̥⸣kaː] (それよりもこれが短い<短くぞある>)。若年層は⸢イシ⸣カーン[⸢ʔiʃi̥⸣kaːŋ]ともう。 ⸣シナー ⸢ヌー⸣ル ⸢イシゥ⸣カーワ [⸣ʃinaː ⸢nuː⸣ru ⸢ʔisi̥⸣kaːwa] (綱はどれが短いか)。 ⸢イシゥ⸣カーン ナ⸢ガー⸣ン ⸢ナー⸣ヌ ソー⸢ンドゥ マータキ [⸢ʔisi̥⸣kaːn na⸢gaː⸣n ⸢naː⸣nu soː⸢ndu maːtaki] (短くも長くもない{EOS}丁度同じ長さだ)。 タ⸢ム⸣ノー ⸢イシゥカマー⸣シ ⸣キシバ [ta⸢mu⸣noː ⸢ʔisï̥kamaː⸣ʃi ⸣ki̥ʃiba] (薪は短く切りなさい) ク⸢ヌ ナー⸣ヤ ⸢イシゥ⸣カーンダ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢nu naː⸣ja ⸢ʔisï̥⸣kaːnda sï̥⸢kaːranu] (この縄は短いので使えない))。 ク⸢ヌ ナー⸣ヤ カ⸢ヌ⸣ ナーラン ⸢イシゥカー⸣ル [ku⸢nu naː⸣ja ka⸢nu⸣ naːraŋ ⸢ʔisï̥kaː⸣ru] (この縄はあの縄よりも短い) 1762 0 0 1577 htmvoc_1762.wav イシゥカマーシ ⸢イシゥカマー⸣シ [⸢ʔisi̥kamaː⸣ʃi] 連 五日も続けて。 アー⸢パーレー イシゥカマー⸣シ イ⸢ワ⸣イ ⸢スー [ʔaː⸢pareː ʔisi̥kamaː⸣ʃi ʔi⸢wa⸣i ⸢suː] (ああ、素晴らしい{EOS}五日続けて祝いをしよう)(アーパーレー歌) 1763 0 0 1578 htmvoc_1763.wav イシゥカマール ⸢イシゥカマー⸣ル [⸢ʔisi̥kamaː⸣ru] 名 五日おき。「五日回り」の義。 ⸢イシゥカマール⸣ヌ ⸣アミ ⸢ホー⸣シ タ⸢ボー⸣リ [⸢ʔisi̥kamaːru⸣nu ⸣ʔami ⸢hoː⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (五日おきの雨を降らしてください)。 イ⸢シゥカマー⸣ルシ ⸢ターマー⸣ル ⸢シン⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔisi̥kamaː⸣ruʃi ⸢taːmaː⸣ru ⸢ʃim⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (五日おきに田圃の見回りに行かなければならない) 1754 0 0 1579 htmvoc_1754.wav イシェーマ イ⸢シェー⸣マ [ʔi⸢ʃeː⸣ma] 名 小石。 イ⸢シェー⸣マ プ⸢サイティ グスク⸣ヌ ナ⸢カフク⸣ルナ イ⸢リ⸣バ [ʔi⸢ʃeː⸣ma pu̥⸢saiti gusu̥ku⸣nu na⸢kaɸu̥ku⸣runa ʔi⸢ri⸣ba] (小石を拾って石垣の中袋<二重積み石垣の中腹>に入れなさい)。イ⸢シ[ʔi⸢ʃi](石)に、指小辞⸢ヤー⸣マ[⸢jaː⸣ma](小さいもの)の付いた形。[ʔi⸢ʃi・jaː⸣ma] → [ʔi⸢ʃaː⸣ma] → [ʔi⸢ʃeː⸣ma] と音韻変化したものであろう。 ⸢イシェー⸣マ プ⸢サイ⸣バ [ʔi⸢ʃeː⸣ma pu̥⸢sai⸣ba] (小石を拾いなさいよ) 1767 0 0 1580 htmvoc_1767.wav イシェーラミチ イ⸢シェーラミチ [ʔi⸢ʃeːramiʧi] 名 石の多い道。 イ⸢シェーラミチ⸣ ヤ⸢リバ⸣ キ⸢リッケーラン⸣ヨーニ ⸢キー⸣シキ ア⸢ラ⸣キ⸢ヨー [ʔi⸢ʃeːramiʧi⸣ ja⸢riba⸣ ki⸢rikkeːraɲ⸣joːni ⸢kiː⸣ʃi̥ki ʔa⸢ra⸣ki⸢joː] (石の多い道だから蹴躓かないように気をつけて歩きなさいよ) 1714 0 0 1581 htmvoc_1714.wav イシガ イ⸢シ⸣ガ [ʔi⸢ʃi⸣ga] 名 女の名。 イ⸢シ⸣ガンマー [ʔi⸢ʃi⸣gammaː] (イシガ姉さん) 1715 0 0 1582 htmvoc_1715.wav イジカイスン イ⸢ジカイスン [ʔi⸢ʤikaisuŋ] 他動 言い返す。口答えをする。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢ヤ⸣ン ⸢ナー⸣ニン ⸣ムニ イ⸢ジカイスン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔu⸢ja⸣n ⸢naː⸣nim ⸣muni ʔi⸢ʤikaisuŋ] (この子は親にも口答えをする<言葉を言い返す>)。 ⸣ムネー イ⸢ジカイサンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ イ⸢ジカイシ ベー [⸣muneː ʔi⸢ʤikaisanti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ʔi⸢ʤikaiʃi beː] (口答えしないと思ったが、口答えしている) 1768 0 0 1583 htmvoc_1768.wav イシカタナ イ⸢シカタナ [ʔi⸢ʃikatana] 名 石包丁。石製の包丁。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢ニヌ ナー⸣ン ブ⸢レー⸣ティ イ⸢シ⸣シ イ⸢シカタナバ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ⸢トゥ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢ninu naː⸣m bu⸢reː⸣ti ʔi⸢ʃi⸣ʃi ʔi⸢ʃikatanaba⸣ su̥⸢ku⸣roːtta⸢tu⸣ʦoː] (昔は鉄がなかったので<無くて居って>石で石包丁を作られたそうだ) 1716 0 0 1584 htmvoc_1716.wav イジカンティー イ⸢ジカンティー [ʔi⸢ʤikantiː] 名 言いにくく感ずること。言うことが困難であること。イ⸢ズン[ʔi⸢ʣuŋ](言う)の連用形に接尾語⸢カンティ[⸢kantiː]( ~出来ない{EOS}~兼ねる)が付いた語。 ⸢パー⸣ヌ ⸣ヤミティ⸣ ムニ イ⸢ジカンティー シーベー [⸢paː⸣nu ⸣jamiti ⸣muni ʔi⸢ʤikantiː ʃiːbeː] (歯が痛んでものを言いにくくして<言いかねて>いる) 1727 0 0 1585 htmvoc_1727.wav イシガンパラ イ⸢シガンパラ [ʔi⸢ʃigampara] 名 石だらけの土地。岩だらけの土地。岩肌が露出した所。 ⸣ウマー イ⸢シガンパラ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ム⸢ヌスク⸣ロー ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔumaː ʔi⸢ʃigampara⸣ ja⸢runda⸣ mu⸢nusu̥ku⸣roː noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (そこは岩だらけの土地だから作物は何も出来ない)。 ⸢インタ⸣ミチェー イ⸢シガンパラミチ⸣ ナリティ ア⸢ラキグリ⸣サン [⸢ʔinta⸣miʧeː ʔi⸢ʃigamparamiʧi⸣ nariti ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] (西の道は石だらけの道になっていて歩きづらい) 1774 0 0 1586 htmvoc_1774.wav イシキリ イ⸢シ⸣キリ [ʔi⸢ʃi⸣kiri] 名 石蹴り。標準語からの借用語。児童の遊戯。昭和期に学校教育の現場から普及したものといわれている。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン ⸣ジーナ ⸢シェン⸣バ ピ⸢キティ⸣ カ⸢ミ⸣ヌ バ⸢リバ⸣ キレーティ イ⸢シ⸣キリ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣bi ʃeːŋ⸣ken ⸣ʤiːna ⸢ʃem⸣ba pi̥⸢kiti⸣ ka⸢mi⸣nu ba⸢riba⸣ kireːti ʔi⸢ʃi⸣kiri ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (子供の頃<童していた頃>に、地面に線を引いて甕の割れを蹴りながら石蹴りをして遊んだ) 1505 0 0 1587 htmvoc_1505.wav イシキルン ⸢イシキルン [⸢ʔiʃi̥kiruŋ] 他動 言いつける。命ずる。 カ⸢リンナー⸣ニ ⸢イシキルンティ⸣ ウムーカー ⸢パイ⸣サ ⸢イシキレー⸣ ミサムヌ [ka⸢rinnaː⸣ni ⸢ʔiʃi̥kirunti⸣ ʔumuːkaː ⸢pai⸣sa ⸢ʔiʃi̥kireː⸣ misamunu] (あれ<彼>に言いつけようと思うなら、早く言い付ければいいのに)。 ク⸢ヌ ユー⸣ゾー プ⸢スンナー⸣ネー ⸢イシキララヌ ワーニ⸣ル ⸢イシキル [ku⸢nu juː⸣ʣoː pu̥⸢sunnaː⸣neː ⸢ʔiʃi̥kiraranu waːni⸣ru ⸢ʔiʃi̥kiru] (この仕事<用事>は他人には言いつけられ<命令でき>ない{EOS}君にしか命じられない<君にぞ言いつけられる>)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー イシキラン⸣カー シ⸢グトー サンバ⸣ バーラ ⸢イシキルン⸠ドー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː ʔiʃi̥kiraŋ⸣kaː ʃi⸢gutoː samba⸣ baːra ⸢ʔiʃi̥kirun⸠doː] (その人は指示しないと<言いつけないと>仕事をしないので、私から言いつけるぞ) 1728 0 0 1588 htmvoc_1728.wav イシグー イ⸢シグー [ʔi⸢ʃiguː] 名 珊瑚石。珊瑚礁。岩原。「石瑚」の義か。 ⸣サンバシヌ ⸢イーリケー⸣ ムー⸢ル⸣ イ⸢シグー ヤタンドゥ⸣ ウ⸢マ⸣バ バ⸢リ⸣ プリティル ミ⸢ナトゥ⸣ ス⸢ク⸣リシケー [⸣sambaʃinu ⸢ʔiːrikeː⸣ muː⸢ru⸣ ʔi⸢ʃiguː jatandu⸣ ʔu⸢ma⸣ba ba⸢ri⸣ puriti mi⸢natu⸣ su̥⸢ku⸣ri ʃi̥keː] (桟橋の西側は皆珊瑚礁だったが、そこを割り掘って港を作ってある)。 1728 0 2 1589 htmvoc_1728.wav イシグー イ⸢シグー [ʔi⸢ʃiguː] 名 {Mn_2}砂利。砕石したもの。 ⸢ヤー⸣ヌ イ⸢シジ⸣ ビ⸢スン⸣トンナー イ⸢シグー⸣ シ⸢キティ⸣ ヤッセーシ ⸢シントーシティ⸣ イ⸢シジ⸣ ビ⸢ソーッ⸣タ [⸢jaː⸣nu ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢sun⸣tonnaː ʔi⸢ʃiguː⸣ ʃi⸢kiti⸣ jaʃʃeːʃi ⸢ʃintoːʃiti⸣ ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢soːt⸣ta] (家の礎石を据える所に砂利を敷いて地搗き<かけや>で突き固めて礎石を据えられた) 1729 0 0 1590 htmvoc_1729.wav イシケーズニ ⸢イシケーズニ [⸢ʔiʃi̥keːʣuni] 名 (海底地名)。鳩間島の⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)の中のフ⸢ターチズニ[ɸu̥⸢taːʧiʣuni](二つ曽根)の西側にある曽根。鳩間島からフ⸢ノー⸣ラ(船浦)へ向かう船は、タ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)の津口の側にある、フ⸢ターチズニとマ⸢ルスニ[ma⸢rusuni](丸曽根)の東側にある⸢イシケーズニの間を通り抜けて行く 1769 0 0 1591 htmvoc_1769.wav イシザイク イ⸢シザイク [ʔi⸢ʃiʣaiku] 名 石工。「石細工」の義。 パ⸢トゥ⸣マナー イ⸢シザイコー オーラン⸣セン [pḁ⸢tu⸣manaː ʔi⸢ʃiʣaikoː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島には石工はおられなかった) 1730 0 0 1592 htmvoc_1730.wav イシジ イ⸢シジ [ʔi⸢ʃiʤi] 名 礎。礎石。建物の基礎となる石。柱を乗せる丸い礎石。鳩間島では、ス⸢ブル⸣イシ[su⸢buru⸣ʔiʃi](菊目石)が礎石に使われた。 ス⸢ブル⸣イシシル ⸢ヤー⸣ヌ イシ⸢ジェー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [su⸢buru⸣ʔiʃiʃiru ⸢jaː⸣nu ʔi⸢ʃiʤeː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (菊目石で<ぞ>で家の礎石は作られた)。イシジを据える際、その下の部分に砂利や砕石をつめて搗き固めた。そのための道具を、⸣ヤッシェー[⸣jaʃʃeː](地搗き{EOS}掛矢{EOS}直径約30センチ、長さ約1メートルの丸太に数本の取っ手を付け、数人一組で地面を打ちつけて地固めする道具)という。昔は歌を歌いながら、村人が集まって地搗きをしたという。 ヌ⸢キヤー⸣ ス⸢ク⸣ロール ⸣ピンマー ス⸢ブル⸣イシ ⸣トゥリキー ⸣カン シ⸢ミティ⸣ ウ⸢リ⸣シ イ⸢シジ⸣ ビ⸢ソーッ⸣タツォー [nu⸢kijaː⸣ su̥⸢ku⸣roːru ⸣pimmaː su⸢buru⸣ʔiʃi ⸣turikiː ⸣kaŋ ʃi⸢miti⸣ ʔu⸢ri⸣ʃi ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢soːt⸣taʦoː] (貫き木家を作るときは海の菊目石を取って来て乾燥させて、それで礎石を据えられたそうだ) 1775 0 0 1593 htmvoc_1775.wav イジシゥカスン イ⸢ジシゥカスン [ʔi⸢ʤisi̥kasuŋ] 他動 叱って教える。叱って教え諭す。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ズ⸣ ムニ シゥ⸢カンバ⸣ イ⸢ジシゥカシ⸣ ッ⸢ふォー⸣リ [ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣu⸣ muni si̥⸢kamba⸣ ʔi⸢ʤisi̥kaʃi⸣ f⸢foː⸣ri] (親の言うことを聞かないので、叱って教え諭してください)。 ⸣バー イ⸢ジシゥカスン⸣ヨー [⸣baː ʔi⸢ʤisi̥kasuŋ⸣joː] (私が叱って教え諭すよ)。 イ⸢ジシゥカシ⸣ ミサカー イ⸢ジシゥカス⸣ クトー ⸣ナルン [ʔi⸢ʤisi̥kaʃi⸣ misakaː ʔi⸢ʤisi̥kasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (叱って教えて良ければ、叱って教え諭すことは出来る)。 イ⸢ジシゥカシェー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢ʤisi̥kaʃeː⸣ misamunu] (叱って教え諭せば良いのに)。 イ⸢ジシゥカシ⸣バ [ʔi⸢ʤisi̥kaʃi⸣ba] (叱って教え諭しなさいよ) 1771 0 0 1594 htmvoc_1771.wav イシジビスン イ⸢シジ⸣ ビ⸢スン [ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢suŋ] 連 礎石を据える。礎石を据える場所を20~30センチほど堀り、小石や砂利を入れて⸢ヤッシェー[⸢jaʃʃeː]で突き固めて礎石を設置する。イ⸢シジ⸣ ビ⸢シラン⸣カー ヌ⸢キヤーヌ⸣ パ⸢ラー⸣ヤ タ⸢ティララ⸣ヌ[ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢ʃiraŋ⸣kaː nu⸢kijaːnu⸣ pa⸢raː⸣ja tḁ⸢tirara⸣nu](礎石を据えないと貫き木家の柱は立てられない)、~ビ⸢サン⸣カー[~ bi⸢saŋ⸣kaː](~据えない)ともいう 1722 0 0 1595 htmvoc_1722.wav イジズーワン イ⸢ジズー⸣ワン [ʔi⸢ʤiʣuːwaŋ] 形 意地強い。物怖じしない。意気地が強い。勇気がある。 ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ルンドゥ⸣ イ⸢ジズー⸣ワンダ ⸢タンガ⸣シ マー⸢ン⸣ パルン [ja⸢ra⸣bi ja⸢rundu⸣ ʔi⸢ʤiʣuː⸣wanda ⸢taŋga⸣ʃi maː⸢m⸣ paruŋ] (子供だが意地強い<物怖じしない{EOS}勇気がある>から、一人でどこにも行く)。 ミ⸢ドゥ⸣ム ヤ⸢ルヌ⸣ イ⸢ジズー⸣ワン [mi⸢du⸣mu ja⸢runu⸣ ʔi⸢ʤiʣuː⸣waŋ] (女であるが意地が強い)。 イ⸢ジズーワ ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʤiʣuːwa naː⸣nu] (意地強くない)。 イ⸢ジズー⸣ワ ⸣ナルン [ʔi⸢ʤiʣuː⸣wa ⸣naruŋ] (意地が強くなる) 1772 0 1 1596 htmvoc_1772.wav イシスク イ⸢シスク [ʔi⸢ʃisu̥ku] 名 {Mn_1}石山。岩山。 イ⸢サナキ⸣ナー イ⸢シスクヤマヌ⸣ アンツォー [ʔi⸢sanaki⸣naː ʔi⸢ʃisu̥kujamanu⸣ ʔanʦoː] (石垣島にイシスク山があるそうだ)。 タ⸢チバル⸣ヌ パ⸢タ⸣ケー イ⸢シスク⸣ ナリティ ム⸢ヌスク⸣ル ナ⸢ラ⸣ヌ [ta⸢ʧibaru⸣nu pḁ⸢ta⸣keː ʔi⸢ʃisu̥ku⸣ nariti mu⸢nusu̥ku⸣ru na⸢ra⸣nu] (立原の畑は石山になっていて作物を植えることが<物つくりすること>ができない)。 1772 0 2 1597 htmvoc_1772.wav イシスク イ⸢シスク [ʔi⸢ʃisu̥ku] 名 {Mn_2}他人の渾名。岩のように頑健な人の渾名。 ⸢イー⸣ネヌ イ⸢シスコー⸣ ス⸢ブ⸣ル バ⸢ルバン ウー⸣ク⸣スコー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣nenu ʔi⸢ʃisu̥koː⸣ su⸢bu⸣ru ba⸢rubaŋ ʔuː⸣ku⸣su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (西隣の家のイシスクさんは頭を打って<割って>もびくともしない<動くどころではない>ほど頑健だ) 1717 0 0 1598 htmvoc_1717.wav イジスクン イ⸢ジ⸣ スクン [ʔi⸢ʤi⸣su̥kuŋ] 連 言っておく。 ⸣バーラン プ⸢スクトゥ⸣バ ⸣ムニ イ⸢ジ⸣スクン [⸣baːram pu̥⸢sukutu⸣ba ⸣muni ʔi⸢ʤi⸣su̥kuŋ] (私からも一言意見<もの>を言っておく) 1732 0 1 1599 htmvoc_1732.wav イシスブル イ⸢シスブル [ʔi⸢ʃisuburu] 名 {Mn_1}石のように硬い頭。 ウ⸢リヌ⸣ ス⸢ブ⸣ロー ⸢ズンニ⸣ イ⸢シスブル⸣ダー [ʔu⸢rinu⸣ su⸢bu⸣roː ⸢ʣunni⸣ ʔi⸢ʃisuburu⸣daː] (彼の頭は本当に石のように硬い頭だよ)。 1732 0 2 1600 htmvoc_1732.wav イシスブル イ⸢シスブル [ʔi⸢ʃisuburu] 名 {Mn_2}頑固者。 ウ⸢レー⸣ イ⸢シスブル⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʃiusuburu⸣ ja⸢runda⸣ ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni sï̥⸢kanu] (彼は頑固者だから、一向に他人の言うことを聞かない)。 イ⸢シスブル⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢カ⸣スク ⸣アジ シゥ⸢カサバン⸣ イッ⸢カ⸣ シゥ⸢カヌ [ʔi⸢ʃisuburu⸣ ja⸢runda⸣ ʔi⸢ka⸣su̥ku ⸣ʔaʤi sï̥⸢kasabaŋ⸣ ʔik⸢ka⸣ sï̥⸢kanu] (石頭だからいくら言って教えても<聞かしても>いっこうに<いっかな>聞かない) 1718 0 0 1601 htmvoc_1718.wav イジゾージ イ⸢ジゾージ [ʔi⸢ʤiʣoːʤi] 名 言い上手。話し上手。物言い上手。話術がうまい<上手い>。 パ⸢ナ⸣シ シ⸢ミル⸣カー ⸣メー パ⸢ナ⸣シゾージ ⸣ムニ イ⸢ジゾージ [pa⸢na⸣ʃi ʃi⸢miru⸣kaː ⸣meː pa⸢na⸣ʃiʣoːʤi ⸣muni ʔi⸢ʤiʣoːʤi] (挨拶<話>させると、もう、話し上手で、話術が巧み<物言い上手である>) 1776 0 0 1602 htmvoc_1776.wav イジタラースン イ⸢ジタラースン [ʔi⸢ʤitaraːsuŋ] 他動 言い足す。言い加える。言葉の不足を補う。 ワ⸢カラン⸣トンマー イ⸢ジタラースンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ス⸢ク⸣ ミン ム⸢タン⸣バン [wa⸢karan⸣ tommaː ʔi⸢ʤitaraːsunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du mut⸢tu⸣ su̥⸢ku⸣ mim mu⸢tam⸣baŋ] (分らないところは言い足そう<解説しよう>と思うが、ちっとも聞く耳を持たないよ) 1719 0 0 1603 htmvoc_1719.wav イジタラーヌ イ⸢ジタラーヌ [ʔi⸢ʤitaraːnu] 連 言い足りない。 ⸢ワー⸣ クトゥ フ⸢ミ⸣ルンティ ⸣アイニ パ⸢ナシタン⸣ドゥ ⸣ウビシェー ⸣ムネー イ⸢ジタラーヌ マー⸣ビン パ⸢ナシプサ⸣ル ⸣アル [⸢waː⸣ ku̥tu ɸu⸢mi⸣runti ⸣ʔaini pa⸢naʃi̥tan⸣du ⸣ʔubiʃeː ⸣muneː ʔi⸢ʤitaraːnu maː⸣bim pa⸢naʃipu̥sa⸣ru ⸣ʔaru] (君のことを褒めようとして、あのように話したが、それだけでは表現不足だ<ことばは言い足りない>{EOS}もっと話したいものだ<話したくぞある>) 1773 0 0 1604 htmvoc_1773.wav イシダン イ⸢シダン [ʔi⸢ʃidaŋ] 名 石段。石の階段。 ⸢ウイヌウガン⸣ヌ イ⸢シダンマー⸣ ナンダンブカラ ⸣アルカヤー [⸢ʔuinuʔugan⸣nu ʔi⸢ʃidammaː⸣ nandambukara ⸣ʔarukajaː] (友利御嶽<上の御願>の石段は何段ぐらいあるかなあ)。 ⸢ウイヌウガン⸣ヌ ⸢ペーラ⸣フチェー イ⸢シダン⸣ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー⸠ダー [⸢ʔuinuʔugan⸣nu ⸢peːra⸣ɸu̥ʧeː ʔi⸢ʃidan⸣ su̥⸢kura⸣ri ⸢buː⸠daː] (上の御嶽<友利御嶽>の入り口は石段が造られているよ) 1777 0 0 1605 htmvoc_1777.wav イシタンキックナー イ⸢シタンキッ⸣クナー [ʔi⸢ʃitaŋkik⸣kunaː] 名 水切り遊び。「石投げ競<くら>」の義か。平たい石や瓦の破片をサイドハンドから海面に投げて漣<さざなみ>の波頭を切りつつ飛び跳ねる回数を競う子供の遊び。 マ⸢ナマ⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ イ⸢シタンキッ⸣クナーンドーレー ッ⸢サン⸣ナー⸢レー [ma⸢nama⸣nu ja⸢ra⸣biŋkeːja ʔi⸢ʃitaŋkik⸣kunaːndoːreː s⸢san⸣naː⸢reː] (今の子供たちは、水切り遊びなどは知らないだろうなあ<知らないな、それは>) 1741 0 0 1606 htmvoc_1741.wav イジックナー イ⸢ジックナー [ʔi⸢ʤikkunaː] 名 言い合い。言い競争<言い競べ>。自慢競争。歌い競べ。自分や自分の家、自分の村の長所を主張しあって相手に自慢しあうこと。豊年祭には綱引きの前哨戦としてイ⸢ジックナー[ʔi⸢ʤikkunaː](自慢比べ{EOS}自慢競争踊り)が行われる。西村と東村に別れた各二人三列の婦人舞踊隊が第一列は剣を持ち、第二列は陣太鼓、第三列は⸢ザイ[⸢ʣai](指揮する小旗{EOS}采、采配{EOS}叩きの形状をした指揮用小旗、采{EOS}沖縄方言では⸢ゼー{SqBr}⸢ʤeː{/SqBr}<采、采配>)をもって踊りながらイジックナーをする。自分の村の自慢を歌い上げる際は小刻みに前進しながら剣を振り、陣太鼓を打ち、ザイを前後に打ち振りながら攻めて行き、攻め切った所で一度相手と切り結び、相手が自慢を始める場合は、前と同じ所作をしながら押されるようにして退却する。(西村)/アーレサーアーレサー シナヌミンバ ユシクバ シンカサーシンカサー/(東村よ東村、綱の耳を寄せて来い、突き合せよう、突き合せよう)、(東村)/イーレサーイーレサー シナヌミンバ ユシクバ シンカサーシンカサー/(西村よ西村、綱の耳を寄せて来い、突き合せよう、突き合せよう)、(西村)/アーレントゥ イーレントゥ ガータスヌ アーレンヤマキ イーレンヤカチ シックリササ/(東村と西村が自慢しあったが、東村は負け、西村が勝って、シックリササ)、(東村)/イーレントゥ アーレントゥ ガータスヌ イーレンヤマキ アーレンヤカチ シックリサーサ/(西村と東村が自慢しあったが、西村は負け、東村が勝って、シックリササ)と歌う 1724 0 0 1607 htmvoc_1724.wav イジックミルン イ⸢ジックミルン [ʔi⸢ʤikkumiruŋ] 他動 言い負かす。いいこめる(言い籠める)。論破して相手をやりこめる。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー プ⸢ス⸣ イ⸢ジックミルンダ⸣ ウ⸢リットー⸣ パ⸢ナサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː pu̥⸢su⸣ ʔi⸢ʤikkumirunda⸣ ʔu⸢ritoː⸣ pa⸢nasara⸣nu] (彼は酒を飲むと他人を言い籠めるから、彼とは話されない)。 ウ⸢リン⸣ イ⸢ジックミラリ ベー [ʔu⸢riŋ⸣ ʔi⸢ʤikkumirari beː] (彼に言い籠められている)。 イ⸢ジックミ⸣ ミサカー イ⸢ジックミル⸣ クトー ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʤikkumi⸣ misakaː ʔi⸢ʤikkumiru⸣ ku̥toː ⸣wakeː ⸢naː⸣nu] (言い籠めて良ければ、言い籠めることは訳も無い<簡単だ>) 1725 0 1 1608 htmvoc_1725.wav イジッツァースン イ⸢ジッツァースン [ʔi⸢ʤitʦaːsuŋ] 他動 {Mn_1}言い合う。しゃべりちらす。 ⸣ムニ イ⸢ジッツァースン [⸣muni ʔi⸢ʤitʦaːsun] (ものを言い合う<言い散らす>)。 イ⸢ジッツァーシティ⸣ ノー⸢ン⸣ キ⸢ミラヌ [ʔi⸢ʤitʦaːʃi̥ti⸣ noː⸢ŋ⸣ ki⸢miranu] (言い合って何も決めない)。 1725 0 2 1609 htmvoc_1725.wav イジッツァースン イ⸢ジッツァースン [ʔi⸢ʤitʦaːsuŋ] 他動 {Mn_2}悪しざまに言い散らす。叱り散らす。口論し合う。「叱り散らす」の転訛したもの。 プ⸢ス⸣ イ⸢ジッツァースン [pu̥⸢su⸣ ʔi⸢ʤitʦaːsuŋ] (他人を叱り散らす)。 イ⸢ジッツァーサンドー⸣シ ヤー⸢ラマ⸣シ パ⸢ナ⸣シバ [ʔi⸢ʤitʦaːsnadoː⸣ʃi jaː⸢rama⸣ʃi pa⸢na⸣ʃiba] (叱り付けないで<叱り散らさないで>優しく話しなさいよ) 1726 0 0 1610 htmvoc_1726.wav イジットー イ⸢ジットー [ʔi⸢ʤittoː] 名 上手な言い方。上手な言い回し。他人を傷つけない表現。⸢ットー[⸢ttoː]は「望ましいあり方、仕方」を表す接尾語。語源は願望の助動詞「たし」の連用形「たく」に遡源できる。[taku] → [taɸu] → [tau] → [toː] のように音韻変化したものであろう。イ⸢ジットー[ʔi⸢ʤittoː](望ましい言い方、言いたくなるような表現、上手な言い方)、⸢ミッ⸣トー[⸢mit⸣toː](見たくなるさま、望ましい外見、容貌)、シ⸢キットー[ʃi̥⸢kittoː](望ましい聞き方、上手な聞き方)のように解釈される。 ⸣ムネー イ⸢ジットーヌ⸣ アルカー シ⸢キットーン⸣ アン [⸣muneː ʔi⸢ʤittoːnu⸣ ʔarukaː ʃi⸢kittoːŋ⸣ ʔaŋ] (言葉は言いようによっては<言い方が良ければ>受け取り方<よい聞き方もある>もある)。 イ⸢ジットーヌ⸣ アルヨーニドゥ ⸣ムネー イ⸢ズ ワー⸣ ムネー ⸣ヌーヤ  [ʔi⸢ʤittoːnu⸣ ʔarujoːnidu ⸣muneː ʔi⸢ʣu waː⸣ muneː ⸣nuːja] (他人を傷つけない上手な言い回しがあるように<ぞ>ものは言うのであって、君の言葉遣い<物言い>は一体なんだ) 1812 0 0 1611 htmvoc_1812.wav イシトー ⸢イシ⸣トー [⸢ʔiʃi̥⸣toː] 名 人名。男の名前。普通は⸢イシ⸣トゥ[⸢ʔiʃi̥⸣tu](石戸)という。 トゥ⸢ムシェーヌ イシ⸣トーザー ⸢サンシンピキ ゾー⸣ジ ヤ⸢ローッ⸣タ [tu⸢muʃeːnu ʔiʃi̥⸣toːʣaː ⸢saŋʃimpi̥ki ʣoː⸣ʤi ja⸢roːt⸣ta] (宮良家の石戸氏は三線演奏<三線弾き>が上手であられた) 1734 0 0 1612 htmvoc_1734.wav イジトゥースン イ⸢ジトゥー⸣スン [ʔi⸢ʣituː⸣suŋ] 他動 言い通す。言い続ける。主張し続ける。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢カン⸣ガイ イ⸢ジトゥー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ イ⸢ジトゥーサラ⸣ヌ [⸢duː⸣nu ⸢kaŋ⸣gai ʔi⸢ʤituː⸣sunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔi⸢ʤituːsara⸣nu] (自分の考えを言い続けると思うが言い続けられない)。 イ⸢ジトゥー⸣シ ⸣ミサカー イ⸢ジトゥー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔi⸢ʤituː⸣ʃi ⸣misakaː ʔi⸢ʤituː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (言い続けて良ければ、言い続けることはできる)。 イ⸢ジトゥーシェー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢ʤituːʃeː⸣ misamunu] (言い続ければ良いのに)。 イ⸢ジトゥー⸣シ [ʔi⸢ʤituː⸣ʃi] (言い続けよ) 1811 0 0 1613 htmvoc_1811.wav イシトゥール イ⸢シトゥール [ʔi⸢ʃituːru] 名 いしとうろう(石灯篭)。石造の灯篭。ビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](ビンズル<賓頭虞>)などに設置した。 パ⸢トゥ⸣マナー イ⸢シトゥールバ⸣ ビ⸢チ⸣ルナ ビ⸢シ⸣ スコーレー ⸣ヤーン ⸢アッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː ʔi⸢ʃituːruba⸣ bi⸢ʧi⸣runa bi⸢ʃi⸣ su̥koːreː ⸣jaːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (鳩間島には石灯篭をビチル<賓頭虞>に設置して置かれた家もあった) 1779 0 0 1614 htmvoc_1779.wav イシドゥール イ⸢シドゥール [ʔi⸢ʃiduːru] 名 石灯籠。石製の灯籠。石垣方言からの借用語。石垣島の名家の庭や寺にあった。鳩間島にはなかった。 イ⸢シドゥーロー⸣ イ⸢サナキヌ⸣ ム⸢トゥ⸣ヤーンドレー ティ⸢ラン⸣ドーレーナル ⸢アッ⸣タツォー [ʔi⸢ʃiduːroː⸣ ʔi⸢sanakinu⸣ mu⸢tu⸣jaːndoreː ti⸢ran⸣doːreːnaru ⸢ʔat⸣taʦoː] (石灯籠は石垣島の本家筋など、お寺などにあったそうだ) 1735 0 0 1615 htmvoc_1735.wav イジトゥドゥミルン イ⸢ジトゥドゥミルン [ʔi⸢ʤitudumiruŋ] 他動 歌いとどめる。 パ⸢トゥ⸣マナカムレー ⸢ユーブシ⸣シ イ⸢ジトゥドゥミルンドゥ フントー⸣ヤ ⸢ジューサン⸣バン ⸢バー⸣キ ア⸢ンダー [pḁ⸢tu⸣manakamureː ⸢juːbuʃi⸣ʃi ʔi⸢ʤitudumirundu ɸuntoː⸣ja ⸢ʤuːsam⸣bam ⸢baː⸣ki ʔan⸢daː] (鳩間中岡<鳩間節>は四節<四番>で歌いとどめるが、本当は十三番<十三節>まであるよ) 1781 0 0 1616 htmvoc_1781.wav イシナグ イ⸢シナグ [ʔi⸢ʃinagu] 名 小石。小石で遊ぶ子供の遊戯。「石な子」の義。沖縄方言からの借用語。「いしらご」(オモロ語)、「Ixinago.イシナゴ(擲石)子供の遊びの一つ。小石を宙に投げて、それを手の甲で受ける遊び.」(『日葡辞書』)とおなじ。 イ⸢シナグバ シー⸣ ア⸢サバ⸣ディー [ʔi⸢ʃinaguba ʃiː⸣ ʔa⸢saba⸣diː] (イシナグーをして遊ぼうよ) 12184 0 0 1617 htmvoc_12184.wav イジナラーシ イ⸢ジナラーシ [ʔi⸢ʤinaraːʃi] 名 いましめ(戒め)。叱って教えること。訓戒。 ヤ⸢ラビ⸣ル ヤ⸢リバ⸣ ドー⸢ディン⸣ イ⸢ジナラーシ⸣ シゥ⸢カイ⸣ ッ⸢ふォー⸣リ [ja⸢rabi⸣ru ja⸢riba⸣ doː⸢diŋ⸣ ʔi⸢ʤinaraːʃi⸣ sï̥⸢kaiffoː⸣ri] (子供ですから、どうぞ叱って教えながら使ってください) 1737 0 0 1618 htmvoc_1737.wav イジナラースン イ⸢ジナラースン [ʔi⸢ʤinaraːsuŋ] 他動 叱って教える。厳しく叱って指導する。 イ⸢ジナラースンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ シゥ⸢カヌ [ʔi⸢ʤinaraːsundu⸣ mut⸢tu⸣ si̥⸢kanu] (厳しく叱って指導するがちっとも聞き入れない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ミー⸣ヌ ナ⸢ダ⸣カ ⸣ナルンケンマー イ⸢ジナラーサリンドゥ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣タキ ⸢クイル⸣カー イ⸢ジナラーサラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː ⸢miː⸣nu na⸢da⸣ka ⸣naruŋkemmaː ʔi⸢ʤinaraːsarindu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣tḁki ⸢kuiru⸣kaː ʔi⸢ʤinaraːsara⸣nu] (子供は親の目の高さまでは厳しく叱って教えられるが、親の背丈を越えたら厳しく叱って教えられない) 1736 0 0 1619 htmvoc_1736.wav イジナラウン イ⸢ジナラウン [ʔi⸢ʤinarauŋ] 他動 歌い習う。歌の練習をする。 ⸣ウタ イ⸢ジナラウン [⸣ʔuta ʔi⸢ʤinarauŋ] (歌を練習する)。 ⸣ウター イ⸢ジナラーン⸣カー ⸢ゾー⸣ジ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔutaː ʔi⸢ʤinaraːŋ⸣kaː ⸢ʣoː⸣ʤi na⸢ra⸣nu] (歌は練習<歌い習い>しないと上手になれない)。 ウ⸢ヤー⸣リ イ⸢ジナライ⸣ ミサカー イ⸢ジナラウ⸣ クトー ⸣ナルン [ʔu⸢jaː⸣ri ʔi⸢ʤinarai⸣ misakaː ʔi⸢ʤinarau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (大声を出して歌の練習をしてよければ練習することは出来る) 1782 0 0 1620 htmvoc_1782.wav イシニーバル イ⸢シ⸣ニーバル [ʔi⸢ʃi⸣niːbaru] 名 (動)魚の名。和名、カンモンハタ(体長約20センチ{EOS}薄い緑色に丸い灰色の斑点が体全体に横縞状に並び、尾びれにまで拡がっている)。島の子供たちが礒釣りでよく釣り上げた。 イ⸢シ⸣ニーバロー ⸣イノーナーティ ⸣ユー ⸢ホーシ⸣タン [ʔi⸢ʃi⸣niːbaroː ⸣ʔinoːnaːti ⸣juː ⸢hoːʃi⸣taŋ] (カンモンハタはイノー<礁内湖>でよく釣ったものだ) 1783 0 0 1621 htmvoc_1783.wav イシヌシー イ⸢シヌ⸣シー [ʔi⸢ʃinu⸣ʃiː] 名 鍾乳石。「石の乳」の義。石垣方言からの借用語か。鳩間島のパ⸢チンガカー[pa⸢ʧiŋgakaː](降り井戸の名)やピ⸢ナイサキヌガマ[pi⸢naisakinugama](ピナイ崎のガマ<鍾乳洞>)の中にあった。 ピ⸢ナイサキヌガマヌ⸣ ウ⸢ク⸣ナー イ⸢シヌシー⸣ヌ ムイ⸢ベー⸣タン [pi⸢naisakinugamanu⸣ ʔu⸢ku⸣naː ʔi⸢ʃinuʃiː⸣nu mui⸢beː⸣taŋ] (ピナイ崎のガマ<鍾乳洞>の奥には鍾乳石が生えていた) 1720 0 0 1622 htmvoc_1720.wav イシヌッふァ イ⸢シヌ⸣ッふァ [ʔi⸢ʃinu⸣ffa] 名 (動)カラマツ貝科。和名、クロカラマツ。岩礁の表面や港の桟橋のコンクリートなどに付着している。直径約2センチの五角錐状の貝。これは、⸢ハー⸣モー[⸢haː⸣moː](歯茎の病気{EOS}歯周病か{EOS}子供に多く、涎を出し続ける病)に効くといわれていた。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ハー⸣モー カ⸢カ⸣ルカー イ⸢シヌ⸣ッふァ ⸣シジ ヌ⸢マ⸣ソーッタ [ja⸢rabi⸣nu ⸢haː⸣moː kḁ⸢ka⸣rukaː ʔi⸢ʃinu⸣ffa ⸣ʃiʤi nu⸢ma⸣soːtta] (子供がハーモーの病気に罹るとイシヌッふァを煎じて飲まされた) 1785 0 0 1623 htmvoc_1785.wav イジヌナーヌ イ⸢ジヌ ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʤinu naː⸣nu] 連 意気地が無い。意地が無い。勇気がない。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ キモー ⸢カイ⸣ヤンドゥ ⸢ピッ⸣チン イ⸢ジヌ ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ kimoː ⸢kai⸣jandu ⸢pit⸣ʧiŋ ʔi⸢ʣinu naː⸣nu] (この子は心は優しいが、ちっとも意気地がない) 1787 0 0 1624 htmvoc_1787.wav イシヌミー イ⸢シヌ⸣ ミー [ʔi⸢ʃinu⸣ miː] 連 珊瑚礁の中。石の中。 イ⸢シギラー⸣ イ⸢シヌ⸣ ミーナール ⸢フッカーサ⸣リ ⸢ブー⸠ダー [ʔi⸢ʃigiraː⸣ ʔi⸢ʃinu⸣ miːnaːru ⸢ɸukkaːsa⸣ri ⸢buː⸠daː] (イシギラ<しゃこ貝の一種>は珊瑚礁の石の中に挟まっているよ) 1788 0 0 1625 htmvoc_1788.wav イシヌン イ⸢シヌン [ʔi⸢ʃinuŋ] 名 石鑿(いしのみ)。石工の用いる鑿。 イ⸢シヌンバ⸣ トゥイティ ア⸢ワ⸣イシ キ⸢ジティル⸣ イ⸢サナキヌ⸣ キ⸢ザリグスコー⸣ シ⸢モーッ⸣タツォー [ʔi⸢ʃinumba⸣ tuiti ʔa⸢wa⸣ʔiʃi ki⸢ʤitiru⸣ ʔi⸢sanakinu⸣ ki⸢ʣarigusukoː⸣ ʃi⸢moːt⸣taʦoː] (石鑿を研いで砂岩<粟石>を削って<ぞ>石垣島の粟石積みの石垣<削り石垣>は建造された<積まれた>そうだ) 1738 0 0 1626 htmvoc_1738.wav イジノースン イ⸢ジノースン [ʔi⸢ʤinoːsuŋ] 他動 言い直す。正しく言い直す。誤りを訂正する。 ⸢ワッ⸣サル トンマー イ⸢ジノーシ⸣ ア⸢ジッサルバ⸣ シ⸢キタボー⸣ローリ [⸢was⸣saru ⸣tommaː ʔi⸢ʤinoːʃi⸣ ʔa⸢ʤissaruba⸣ ʃi̥⸢kitaboː⸣roːri] (悪いところは言いなおして申し上げますから、どうかお聞きください<賜れ>) 1790 0 0 1627 htmvoc_1790.wav イシパシ イ⸢シパシ [ʔi⸢ʃipaʃi] 名 石橋。 ⸣クンナー イ⸢シパシヌ アッ⸣タンツォー [⸣kunnaː ʔi⸢ʃipaʃinu ʔat⸣tanʦoː] (古見村に石橋があったそうだ) 1742 0 0 1628 htmvoc_1742.wav イジバッパイ イ⸢ジバッパイ [ʔi⸢ʤibappai] 名 言いまちがい。言い誤り。 プ⸢スヌ⸣ マイナー パ⸢ナ⸣ス ⸣ピンマー ヌ⸢ブシスンダ⸣ ユー イ⸢ジバッパイ スン⸣ダー [pu̥⸢sunu⸣ mainaː pa⸢na⸣su ⸣pimmaː nu⸢buʃisunda⸣ juː ʔi⸢ʤibappai sun⸣daː] (人前で話すときは、上がる<のぼせて動揺する>から、よく言い誤りをするものだよ) 1743 0 0 1629 htmvoc_1743.wav イシバナ イ⸢シバナ [ʔi⸢ʃibana] 名 岩原。海水に浸食されて海岸にそそり立つ珊瑚礁の岩壁。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢スー⸣ヌ ⸣パナー イ⸢シバナ⸣ カ⸢バシ⸣ス [⸢taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː ⸢suː⸣nu ⸣panaː ʔi⸢ʃibana⸣ ka⸢baʃi⸣su] (台風の時は波のしぶき<飛沫>は海岸の岩壁を乗り越えて覆いかぶす)。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツカー イ⸢シバナヌ⸣ ナ⸢カフク⸣ル ⸢バー⸣キ ⸢スー⸣ヤ ⸢キー⸣ス [⸢suː⸣nu ⸣miʦukaː ʔi⸢ʃibananu⸣ na⸢kaɸu̥ku⸣ru ⸢baː⸣ki ⸢suː⸣ja ⸢kiː⸣su] (潮が満つと海岸の珊瑚礁の半ばまで海水は達する<来る>) 1744 0 0 1630 htmvoc_1744.wav イシバナミチ イ⸢シバナミチ [ʔi⸢ʃibanamiʧi] 名 岩が露出した道。岩だらけの道。石ころだらけの道。 イ⸢シバナミチェー⸣ イッ⸢ケン⸣ ア⸢ラキグリ⸣サン [ʔi⸢ʃibanamiʧeː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] (岩だらけの道は非常に歩きにくい) 1792 0 0 1631 htmvoc_1792.wav イシバンスル イ⸢シバンスル [ʔi⸢ʃibansuru] 名 石のように硬いグアバ<ばんじろう>の実。発育不良で硬い、未熟なグアバの実。歯で咬んでも噛み切れないばかりか、強い渋みが出て不味く、食べられない。 ⸢ウーカジ⸣ナー ⸢ムーマリティル⸣ ク⸢ジル⸣タユー イ⸢シバンスル⸣ ナリティ ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔuːkaʤi⸣naː ⸢muːmaritiru⸣ ku⸢ʤiru⸣tajuː ʔi⸢ʃibansuru⸣ nariti f⸢faːranu] (台風にもまれて<ぞ>発育不良になった<成長がくずれた>のか、石のように硬いグアバの実になって食えない<喰らわれない>) 1765 0 0 1632 htmvoc_1765.wav イシブクジー イ⸢シブクジー [ʔi⸢ʃibukuʤiː] 名 岩の多い土地。石の多い畑。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー イ⸢シブクジー⸣ ナリティ ⸢ミーマタカナパイ⸣シル ⸢カイサ⸣リ シ⸢ティパタキ [ku⸢nu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ʔi⸢ʃibukuʤiː⸣ nariti ⸢miːmatakanapai⸣ʃiru ⸢kaisa⸣ri ʃi̥⸢pataki] (この畑は石の多い土地で三叉鍬でしか<ぞ>耕せない<耕せる>{EOS}最低の畑<捨て畑>) 1766 0 0 1633 htmvoc_1766.wav イシブクヤマ イ⸢シブクヤマ [ʔi⸢ʃibukujama] 名 石の多い山。石ころ山。 ウ⸢ヌ⸣ ヤマー ⸣キー プ⸢スム⸣トゥンツァン ⸢モー⸣ヌ イ⸢シブクヤマ [ʔu⸢nu⸣ jamaː ⸣kiː pu̥⸢sumu⸣tunʦam ⸢moː⸣nu ʔi⸢ʃibukujama] (その山は木が一本も生えない石ころ山だ) 1809 0 0 1634 htmvoc_1809.wav イジプサーナーヌヌ イ⸢ジプサー ナーヌ⸣ヌ [ʔi⸢ʤipusaː naːnu⸣nu] 連 言いたくは無いが。 イ⸢ジプサー ナーヌ⸣ヌ ア⸢マ⸣ヌ ⸢ミーヌッ⸣サティル イ⸢ジシゥカシタ⸠ダー [ʔi⸢ʤipu̥saː naːnu⸣nu ʔa⸢ma⸣nu ⸢miːnus⸣satiru ʔi⸢ʤisi̥kaʃi̥ta⸠daː] (言いたくはないが、余りにも見苦しいので言って注意した<言い聞かせた>のだよ) 1707 0 0 1635 htmvoc_1707.wav イジフザリン イ⸢ジフザリン [ʔi⸢ʤiɸuʣariŋ] 自動 ひどく叱られる。「叱り(言い)・抉られる(くじられる)」の義。さんざんに叱られる。 ビ⸢キドゥムヌ⸣ カ⸢マチフチマール シー アー⸣ケーティ ⸣アボーン イ⸢ジフザリベー [bi⸢kidumunu⸣ ka⸢maʧiɸu̥ʧimaːru ʃiː ʔaː⸣keːti ⸣ʔaboːŋ ʔi⸢ʤiɸuʣari⸢beː] (男のくせに<男が>台所をうろついていて<竈周りをしてあるいて>お母さんにさんざん叱りとばされている) 1708 0 0 1636 htmvoc_1708.wav イジフズン イ⸢ジフズン [ʔi⸢ʤiɸuʣuŋ] 他動 ひどく叱る。叱りつける。「言い・抉る(くじる)」の義。 ⸣ウヤン イ⸢ジフザリティ⸣ ナ⸢キ ベー [⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʤiɸuʣariti⸣ na⸢ki beː] (親に叱りつけられて泣いている)。 プ⸢スヨー⸣ イ⸢ジフズンティ⸣ カー⸢ニ スー⸣ フ⸢ミ⸣ルンティ ⸢スー⸣ クトー ッ⸢サヌ [pu⸢sujoː⸣ ʔi⸢ʤiɸuʣunti⸣ kaː⸢ni suː⸣ ɸu⸢mi⸣runti ⸢suː⸣kutoː s⸢sanu] (人をひどく叱り付けようとばかりする{EOS}誉めるということを<は>知らない)。 プ⸢ス⸣ イ⸢ジフジ⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢su⸣ ʔi⸢ʤiɸuʤi⸣naː na⸢ra⸣nu] (他人を叱りつけるので堪らない)。 ⸣アイニ イ⸢ジフズ⸣ クトー ⸢サンブリ⸣バ [⸣ʔaini ʔi⸢ʤiɸuʣu⸣ ku̥toː ⸢samburi⸣ba] (あんなに叱りつけることはするなよ)。 ⸢マー⸣ビン イ⸢ジフジェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔi⸢ʤiɸuʤeː⸣ misamunu] (もっと叱りつければいいのに)。 イ⸢ジフジ⸣バ [ʔi⸢ʤiɸuʤi⸣ba] (叱りつけろ)。 ウ⸢レー サッ⸣コー プ⸢ス⸣ イ⸢ジフズン [ʔu⸢reː sak⸣koː pu̥⸢su⸣ ʔi⸢ʤiɸuʣuŋ] (彼はひどく他人を叱り飛ばす)。 キ⸢ムイ⸣ツァースコー イ⸢ジフザレー⸣ティ パ⸢タラキベー⸣タ [ki⸢mui⸣ʦaːsu̥koː ʔi⸢ʤiɸuʣareː⸣ti pḁ⸢tarakibeː⸣ta] (可哀相なほど<肝痛むほど>叱り飛ばされて働いていた) 1794 0 0 1637 htmvoc_1794.wav イシフチバイ イ⸢シフチバイ [ʔi⸢ʃiɸu̥ʧibai] 名 表面が硬いいぼ。 ⸢ワー⸣ シラナー イ⸢シフチバイヌ⸣ ンジ ⸢ベー⸣サー [⸢waː⸣ ʃiranaː ʔi⸢ʃiɸu̥ʧibainu⸣ ʔnʤi ⸢beː⸣saː] (君の顔<面>にイシフチバイ<硬いいぼ>が出ているよ) 1795 0 1 1638 htmvoc_1795.wav イシプトゥキ イ⸢シプトゥキ [ʔi⸢ʃiputuki] 名 {Mn_1}石仏。石彫りの仏像。「いしぼとけ」の義。⸢キープトゥ⸣キ[⸢kiːputu⸣ki](木彫の仏像、木仏)の対義語。 パ⸢トゥ⸣マナー イ⸢シプトゥケー オー⸣ラヌ [pḁ⸢tu⸣manaː ʔi⸢ʃipu̥tukeː ʔoː⸣ranu] (鳩間島には石仏はおられない)。 1795 0 2 1639 htmvoc_1795.wav イシプトゥキ イ⸢シプトゥキ [ʔi⸢ʃiputuki] 名 {Mn_2}喜怒哀楽の感情を表さない、無表情の人。 ⸣ムヌ ⸢トゥイシゥカバン⸣ イ⸢シプトゥキン⸣ カタタチニ ウ⸢シダマリティ⸣ ナー⸢イル ブー⸣ツォー [⸣munu ⸢tuisï̥kabaŋ⸣ ʔi⸢ʃiputukiŋ⸣ kataʧini ʔu⸢ʃidamariti⸣ naː⸢iru buː⸣ʦoː] (ものを問い尋ねても<聞いても>石仏のように押し黙って、ただ<ぞ>じいっとしているそうだ) 1740 0 0 1640 htmvoc_1740.wav イジブン イ⸢ジブン [ʔi⸢ʤibuŋ] 名 言い分。 ウ⸢リヌ⸣ イ⸢ジブンヌ⸣ ア⸢リ⸣ブパジ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢キ フィーリ⸣バ [ʔu⸢rinu⸣ ʔi⸢ʤibunnu⸣ ʔa⸢ri⸣bupaʤi ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢kifiːri⸣ba] (それの<彼>の言い分があるはずだから聞いてくれよ) 1747 0 0 1641 htmvoc_1747.wav イジマーキ イ⸢ジマーキ [ʔi⸢ʤimaːki] 名 言い兼ねること。言うことが躊躇される。言うことができない。 ン⸢ガニ シティ⸣ ムニ イ⸢ジマーキ シー アー⸣クン [ʔŋ⸢gani ʃi̥ti⸣ muni ʔi⸢ʤimaːki ʃiː ʔaː⸣kuŋ] (吃って<吃りして>言葉を言えないで<ものいいかねてして>いる) 1745 0 0 1642 htmvoc_1745.wav イジマースン イ⸢ジマースン [ʔi⸢ʤimaːsuŋ] 他動 言い繕う。上手に言い包<クルメル>める。体よく断る。婉曲に断る。 ノー⸢ン⸣シ ⸢ブー⸣ プ⸢スヌ クー⸣バン イ⸢ジマーシ カイ⸣スンティ⸢ダー [noː⸢ŋ⸣ʃi ⸢buː⸣ pu̥⸢sunu kuː⸣baŋ ʔi⸢ʤimaːʃi kai⸣sunti⸢daː] (どんな人<どのようにしている人>が来ても上手に言い含めて<言い回して>帰すそうだ<帰すってよ>)。 ⸢ワー⸣シ イ⸢ジマーシ⸣ ッ⸢サリ⸣ ッ⸢ふォラン⸣ノーレー [⸢waː⸣ʃi ʔi⸢ʤimaːʃi⸣ s⸢sari⸣ f⸢foran⸣noːreː] (貴方で上手に言い繕って申し上げてくださいませんか) 1746 0 0 1643 htmvoc_1746.wav イジマカスン イ⸢ジマカスン [ʔi⸢ʤimakasuŋ] 他動 言い負かす。説き伏せる。 ⸢ワー⸣ ウ⸢リン⸣ イ⸢ジマカサリティ⸣ ミ⸢シーミシ⸣ ム⸢ドゥ⸣リ ⸢クー⸣タティ ア⸢ズヌ フン⸣トー ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ル ア⸢ル [⸢waː⸣ ʔu⸢riŋ⸣ ʔi⸢ʤimakasariti⸣ mi⸢ʃiːmiʃi⸣ mu⸢du⸣ri ⸢kuː⸣tati ʔa⸢ʣunu ɸun⸣toː ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣ru ʔa⸢ru] (君は彼に説き伏せられてみすみす戻ってきたというが、本当にその程度の人間でしかないのか<その程度が(ぞ)あるのか>) 1793 0 0 1644 htmvoc_1793.wav イシマコー イ⸢シマコー [ʔi⸢ʃimakoː] 名 投石。石を投げること。石垣の石を投げて人を追い払うこと。 イ⸢シマコー スン [ʔi⸢ʃimakoː suŋ] (石を投げて人を追い払う)。 ⸢ウン⸣ネー ⸣パルカー イ⸢シマコー⸣ サ⸢リン⸣ダー [⸢ʔun⸣neː ⸣parukaː ʔi⸢ʃimakoː⸣ sa⸢rin⸣daː] (その家に行くと石を投げられて追われるよ) 1796 0 0 1645 htmvoc_1796.wav イシマシ イ⸢シマシ [ʔi⸢ʃimaʃi] 名 石垣で囲った一定の広さの土地。石の多い畑地。「石枡」の義か。 ⸣-マシ [⸣-maʃi] (田畑を数える数詞<枡>{EOS}一枚、二枚の「枚」に相当する)。 プ⸢ス⸣マシ [pu̥⸢su⸣maʃi] (一枡、一枚) ウ⸢ブ⸣マシ [ʔu⸢bu⸣maʃi] (大きな田圃、大枡) マ⸢ルマシ [ma⸢rumaʃi] (丸い田圃) ⸢ナー⸣マシ [⸢naː⸣maʃi] (長方形の田圃) ⸣サンカクマシ [⸣saŋkakumaʃi] (三角の田圃、三角枡))。石垣方言では(垣)を⸢カ⸣キゥ[⸢ka⸣kï]といい、鳩間方言ではカ⸢キ[ka⸢ki](垣)という。「垣」の音節「キ」は「(垣内)可吉都『万、4077』、可伎都『万、4287』」のように甲類の万葉仮名で表記されている。カ行イ段甲類は石垣方言では[kï]に法則的に対応する。従って石垣方言の⸢イシ⸣マシ[⸢ʔiʃi⸣masï]は「石垣」ではないと認められる。 イ⸢シマシェー コーラリン⸣ プ⸢スマシェー コーララヌ [ʔi⸢ʃimaʃeː koːrarim⸣ pu̥⸢sumaʃeː koːraranu] (石で囲った畑は越えられるが人垣<身分の低い人々、民衆>は越えられない) 1748 0 0 1646 htmvoc_1748.wav イジマチガイ イ⸢ジマチガイ [ʔi⸢ʤimaʧigai] 名 言い間違い。言い誤り。 ⸣ムネー イ⸢ジマチガイティン⸣ ア⸢リ⸣ブユンダ シ⸢キングリ⸣サ ⸣トンマー ⸣クナイ タ⸢ラーシ⸣ ッ⸢ふィーリ⸣バ [⸣muneː ʔi⸢ʤimaʧigaitiŋ⸣ ʔa⸢ri⸣bujunda ʃi̥⸢kiŋguri⸣sa tommaː ⸣kunai ta⸢raːʃi⸣ f⸢fiːri⸣ba] (言葉はいい誤りというのもあるから、聞き苦しいところは堪えて、足りないところを補ってくれよ) 1749 0 0 1647 htmvoc_1749.wav イジマチガウン イ⸢ジマチガウン [ʔi⸢ʤimaʧigauŋ] 自動 言い間違う。言い誤る。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ター⸢ン⸣ ムニン イ⸢ジマチガウン⸣ イ⸢ジマチガーン⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː taː⸢m⸣ muni ʔi⸢ʤimaʧigauŋ⸣ ʔi⸢ʤimaʧigaːm⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (年を取ると誰でも言葉を言い間違う<言い誤る>{EOS}言い誤らない人はいない)。 イ⸢ジマチガイ ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʤimaʧigai naː⸣nu] (言い間違えて<言い誤って>しまった)。 ⸢バン⸣ヌン イ⸢ジマチガウ⸣ クトー ⸣アン [⸢ban⸣nun ʔi⸢ʤimaʧigau⸣ ku̥toː ⸣ʔaŋ] (私も言い間違う<言い誤る>ことはある) 1797 0 0 1648 htmvoc_1797.wav イシマッふァ イ⸢シマッふァ [ʔi⸢ʃimaffa] 名 陶製の枕。「石枕」の義。⸢キーマッ⸣ふァ[⸢kiːmaf⸣fa](木枕、木製の枕)の対義語。陶製の枕は夏期には涼しいと言われ、一部の人々には重宝されていた。 ナ⸢チェー⸣ イ⸢シマッふァヌドゥ⸣ ピ⸢ラ⸣ケーティ ⸢シー ウイ⸣プスンケーヤ ウ⸢リバ⸣ シゥ⸢カイオーッ⸣タ [na⸢ʧeː⸣ ʔi⸢ʃimaffanudu⸣ pi⸢ra⸣keːti ⸢ʃiː ʔui⸣pusuŋkeːja ʔu⸢riba⸣ sï̥⸢kaioːt⸣ta] (夏は陶製の枕が<ぞ>涼しいといって老人<老い人>がたは、それを使われた<使いおられた>) 1798 0 0 1649 htmvoc_1798.wav イシマミ イ⸢シマミ [ʔi⸢ʃimami] 名 煮えない硬い豆。「石豆」の義。 ク⸢レー⸣ イ⸢シマミ⸣ ナリティ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː⸣ ʔi⸢ʃimami⸣ nariti f⸢faːranu] (これは石豆になって硬くて食えない) 1750 0 0 1650 htmvoc_1750.wav イジマラバスン イ⸢ジマラバスン [ʔi⸢ʤimarabasuŋ] 他動 叱り付ける。叱り飛ばす。イ⸢ズン[ʔi⸢ʣuŋ](叱る)の連用形に動詞マ⸢ラバスン[ma⸢rabasuŋ](殴る{EOS}「馬展、マロバス」『類聚名義抄』の転訛したものか)が下接して形成された複合動詞。 ⸣ウヤン イ⸢ジマラバサリティル⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー ⸢ガンドー⸣リ ⸢ベー [⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʤimarabasaritiru⸣ ki⸢mui⸣ʦaː ⸢gandoː⸣ri ⸢beː] (親に叱りつけられて、可哀相に意気消沈している<しょげている>)。 イ⸢チンマー⸣ イ⸢ジマラバスンドゥ キュー⸣ヤ イ⸢ジマラバサンドー⸣シ ナ⸢ラー⸣シ ⸢ベー [ʔi⸢ʧimmaː⸣ ʔi⸢ʤimarabasundu kjuː⸣ja ʔi⸢ʤimarabasandoː⸣ʃi na⸢raː⸣ʃi ⸢beː] (いつもは叱り飛ばすが、今日は叱り飛ばさずに教えている) 1786 0 0 1651 htmvoc_1786.wav イシミーカニミー イ⸢シミー⸣ カ⸢ニミー [ʔi⸢ʃimiː⸣ ka⸢nimiː] 連 石の実、かね(金)の実。石のように硬い実、鉄のように硬い実。石のように硬く完熟した稲や粟の実、鉄のように硬く完熟した稲や粟の実。 ⸢カンヌ⸣マイ ⸣ニガイ ッ⸢サルバ⸣ イ⸢ビ⸣ シケール イ⸢ニ⸣アー イ⸢シミー⸣ カ⸢ニミー⸣ イ⸢リ ノーラ⸣シ タ⸢ボー⸣リ [⸢kannu⸣mai ⸣nigai s⸢saruba⸣ ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keːru ʔi⸢ni⸣ʔaː ʔi⸢ʃimiː⸣ ka⸢nimiː⸣ ʔi⸢ri noːra⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (神の御前に祈願申し上げますので、植えつけてある稲粟の実を石のように硬く、鉄のように硬く完熟させ、稔らせてくださいませ) 1799 0 0 1652 htmvoc_1799.wav イシミチ イ⸢シミチ [ʔi⸢ʃimiʧi] 名 石道。石だらけの道。 イ⸢シミチェー⸣ ナ⸢クラー⸣バ ⸢キー⸣ シキ ⸢ヨーンナー⸣ ア⸢ラ⸣キバ⸢ヨー [ʔi⸢ʃimiʧeː⸣ na⸢kuraː⸣ba ⸢kiː⸣ ʃi̥ki ⸢joːnnaː⸣ ʔa⸢ra⸣ki⸢joː] (石だらけの道は怖いから気をつけてゆっくり歩きなさいよ) 1751 0 0 1653 htmvoc_1751.wav イジミチ イ⸢ジミチ [ʔi⸢ʤimiʧi] 名 言い方。言いよう。表現法。言葉づかい。言い回し。発音法や文法的知識。 マ⸢ダ⸣ パ⸢トゥ⸣マムニヌ イ⸢ジミチェー⸣ ッ⸢サヌ [ma⸢da⸣ pḁ⸢tu⸣mamuninu ʔi⸢ʤimiʧeː⸣ s⸢sanu] (まだまだ鳩間方言の表現法を知らない) 1801 0 0 1654 htmvoc_1801.wav イシヤー イ⸢シヤー [ʔi⸢ʃijaː] 名 石で造った家。「石家」の義。石垣島では倉庫や牛舎、馬小屋など石で造られていた。鳩間島では鰹節工場の⸢バイカン⸣ヤー[⸢baikaɲ⸣jaː](焙乾屋)の壁が一部分石積みになっていた。 イ⸢サナキヌ⸣ ゴ⸢ガン⸣バタナー イ⸢シヤーヌ ソーコーヌ <ク⸢ラ⸣ヌ> アッ⸣タン [ʔi⸢sanakinu⸣ go⸢gam⸣batanaː ʔi⸢ʃijaːnu soːkoːnu ʔat⸣taŋ] (石垣の護岸端には石造りの<石家の>倉庫があった) 1752 0 0 1655 htmvoc_1752.wav イジャー イ⸢ジャー [ʔi⸢ʤaː] 名 大胆な者。勇気のある者。豪胆な者。意地のある者。[ʔi⸢ʤi](意地)・[⸢jaː](者)→ イジャー[ʔiʤaː]と音韻変化したもの。 ウ⸢レー⸣ イ⸢ジャー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン⸣ ナ⸢クラー⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʤaː⸣ ja⸢runda⸣ noː⸢n⸣ na⸢kuraː⸣ munoː ⸢naː⸣nu] (彼は豪胆な者だから何も怖いものはない) 1814 0 0 1656 htmvoc_1814.wav イシユッキ イ⸢シユッキ [ʔi⸢ʃijukki] 名 石斧<いしおの>。石を割る斧。家屋建築の際、礎石を削るのに用いた石斧。石工が用いる石切り用の斧。⸢ユッキ[⸢jukki](斧<よき>「斧、与岐」倭名類聚鈔)は建築工具の一つ。 イ⸢シユッキ⸣ カ⸢リ⸣キー イ⸢シジ⸣ キ⸢ジ⸣バ [ʔi⸢ʃijukki⸣ ka⸢ri⸣kiː ʔi⸢ʃiʤi⸣ ki⸢ʤi⸣ba] (石斧を借りてきて礎石を削りなさいよ) 1753 0 0 1657 htmvoc_1753.wav イジヨー イ⸢ジヨー [ʔi⸢ʤijoː] 名 言いよう。言い方。話しよう。 ⸣ムネー イ⸢ジヨーヌ⸣ ア⸢リ⸣ブンダ ⸣ユー ⸢カンガイ⸣ヤーティ イ⸢ジ⸣ヨー [⸣muneː ʔi⸢ʤijoːnu⸣ ʔa⸢ri⸣bunnda ⸣juː ⸢kaŋgai⸣jaːti ʔi⸢ʤi⸣joː] (言葉<もの言い>には言い方があるから、よく考えながら言いなさいよ)。 イ⸢ジヨーヌ⸣ アルカー シ⸢キヨーヌ⸣ アン [ʔi⸢ʤijoːnu⸣ ʔarukaː ʃi̥⸢kijoːnu⸣ ʔaŋ] (言い方によって<言い方があれば>聞きかたも変わる<聞きようもある>{EOS}丁寧にものは言うものだ) 1802 0 0 1658 htmvoc_1802.wav イジヨーン イ⸢ジ ヨー⸣ン [ʔi⸢ʤi joː⸣ŋ] 連 意地が弱い。意気地がない。臆病である。 ウ⸢レー⸣ イ⸢ジ ヨー⸣ンダ ⸢タンガ⸣シェー パ⸢リユーサ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʤi⸣joːnda ⸢taŋga⸣ʃeː pa⸢rijuːsa⸣nu] (彼は意気地がない<臆病だ>から、一人では行ききれない<行きえない>) 1813 0 1 1659 htmvoc_1813.wav イジングリサン イ⸢ジングリ⸣サン [ʔi⸢ʤiŋguri⸣saŋ] 連 {Mn_1}歌いにくい。歌いづらい。若年層は、イ⸢ジグリ⸣サン[ʔi⸢ʤiguri⸣saŋ](歌いにくい)ともいう。動詞イ⸢ズン[ʔi⸢ʣuŋ](歌う)の連用形、イ⸢ジ[ʔi⸢ʤi](歌い)に、形容詞⸢ングリ⸣サン[⸢ŋguri⸣saŋ](づらい<辛い>)が付いた形。 ク⸢ヌ⸣ ウター イ⸢ジングリ⸣サン [ku⸢nu⸣ʔutaː ʔi⸢ʤiŋguri⸣saŋ] (この歌は歌いにくい)。 1813 0 2 1660 htmvoc_1813.wav イジングリサン イ⸢ジングリ⸣サン [ʔi⸢ʤiŋguri⸣saŋ] 連 {Mn_2}叱りにくい。叱りづらい。 ⸣シザ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢ジングリ⸣サン [⸣ʃiʣa ja⸢runda⸣ ʔi⸢ʤiŋguri⸣saŋ] (年上だから叱りづらい)。 1813 0 3 1661 htmvoc_1813.wav イジングリサン イ⸢ジングリ⸣サン [ʔi⸢ʤiŋguri⸣saŋ] 連 {Mn_3}言いにくい。喋りづらい。 ヤ⸢マトゥ⸣ムネー イ⸢ジングリ⸣サン [ja⸢matu⸣muneː ʔi⸢ʤiŋguri⸣saŋ] (日本語<大和言葉>は言いにくい) 1721 0 0 1662 htmvoc_1721.wav イジンザスン イ⸢ジ⸣ ン⸢ザ⸣スン [ʔi⸢ʤi⸣ ʔn⸢ʣa⸣suŋ] 連 元気を出す。精を出す。意地をだす。 ⸢マー⸣ ン⸢ベーマ⸣ スカー ⸢ユーコーリ⸣スバ イ⸢ジ⸣ ン⸢ザ⸣シ [⸢maː⸣ ʔm⸢beːma⸣ su̥kaː ⸢juːkori⸣suba ʔi⸢ʤi⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (もう少ししたら休めるから、元気<精>を出せ)。 カ⸢シー⸣ヌ ⸢ブー⸣カ イ⸢ジ⸣ ン⸢ザスン⸣ドゥ ブ⸢ラーン⸣カー イ⸢ジ⸣ ン⸢ザサ⸣ヌ [ka⸢ʃiː⸣nu ⸢buː⸣kaː ʔi⸢ʤi⸣ ʔn⸢ʣasun⸣du bu⸢raːŋ⸣kaː ʔi⸢ʤi⸣ ʔn⸢ʣasa⸣nu] (加勢<手伝い>がいると勇気を出すが、いないと勇気を出さない) 1755 0 0 1663 htmvoc_1755.wav イジンザスン イ⸢ジンザスン [ʔi⸢ʤiʔnʣasuŋ] 他動 言い出す。言い始める。 ⸣ムニ イ⸢ジンザスン [⸣muni ʔi⸢ʤiʔnʣasuŋ] (話し出す{EOS}話<もの>を話し始める)。 ⸢ターンナー⸣カーラ ⸣ムニ イ⸢ジンザサン⸣カー ⸣クトー キ⸢ミララヌ [⸢taːnnaː⸣kaːra ⸣muni ʔi⸢ʤiʔnʣasaŋ⸣kaː ⸣ku̥toː ki⸢miraranu] (誰かからものを言い始めないと物事は決められない) 1723 0 0 1664 htmvoc_1723.wav イジンジルン イ⸢ジ⸣ ン⸢ジ⸣ルン [ʔi⸢ʤi⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] 連 元気が出る。 ⸢アウ⸣ヌサーギ ⸢ブー⸣カー ⸢ナンクク⸣ル イ⸢ジ⸣ ン⸢ジ⸣ルン [⸢ʔau⸣nu ⸣saːgi ⸢buː⸣kaː ⸢naŋkuku⸣ru ʔi⸢ʤi⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (仲間<道連れ>がさえいたら自然と元気<意地>が出る)。 ウ⸢リ⸣ ミルカー イ⸢ジ⸣ ン⸢ジ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ イ⸢ジ⸣ ン⸢ジラン⸣バン [ʔu⸢ri⸣ mirukaː ʔi⸢ʤi⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʔi⸢ʤi⸣ ʔn⸢ʤiram⸣baŋ] (それを見たら勇気が出るかと思ったが、勇気が出ないよ) 1733 0 0 1665 htmvoc_1733.wav イジンズン イ⸢ジ⸣ ンズン [ʔi⸢ʤi⸣ ʔnʣuŋ] 連 元気がでる。意地がでる。勇気がでる。頑張る。 イ⸢ジ⸣ ンズカー ナ⸢リ⸣スムヌ ナー⸢イ⸣ フユー ⸢シーベー [ʔi⸢ʤi⸣ ʔnʣukaː na⸢ri⸣sumunu naː⸢i⸣ ɸujuː ⸢ʃiːbeː] (勇気を出して頑張れば出きるのに、ただ怠けている)。 ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥ ⸣ウムーカ ⸢ナンクク⸣ル イ⸢ジ⸣ ンズン [f⸢fanu⸣ ku̥tu ⸣ʔumuːka ⸢naŋkuku⸣ru ʔi⸢ʤi⸣ ʔnʣuŋ] (子供のことを思うと自然に勇気が出る<意地が出る>) 1826 0 0 1666 htmvoc_1826.wav イス イ⸢ス [ʔi⸢su] 名 椅子。若年層の言葉。老年層はビ⸢リダイ[bi⸢ridai](座り台{EOS}椅子)というのが普通。新しく標準語から借用された語。学校教育が始まった明治29年以降に定着したものであろう。 イ⸢ス⸣ナー ⸢ヌーリティ⸣ パ⸢ナン⸣ギ ⸢シー ベーン⸣ケンマー ⸢トー⸣リティ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ʔi⸢su⸣naː ⸢nuːriti⸣ pa⸢naŋ⸣gi ⸢ʃiː beːŋ⸣kemmaː ⸢toː⸣riti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (椅子に乗って悪戯しているうちに倒れて怪我して<胴病まして>ある) 1821 0 0 1667 htmvoc_1821.wav イズ イ⸢ズ [ʔi⸢ʣu] 名 うお(魚)。さかな。「魚、ウヲ、俗云、イヲ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢バン⸣ヌン ⸢マーズン⸣ イ⸢ズ ホー⸣シン ⸣パルン [⸢ban⸣num ⸢maːʣuŋ⸣ ʔi⸢ʣu hoː⸣ʃim ⸣paruŋ] (私も一緒に魚釣りに行く)。⸢アイイズ[⸢ʔaiʔiʣu](あむあいご)、ア⸢ガイズ[ʔa⸢gaʔiʣu](うけぐちいっとうだいの仲間)、⸣アバイズ[⸣ʔabaʔiʣu](おにだるまおこぜ)、ッ⸢ス⸣イズ[s⸢su⸣ʔiʣu](しろだい)、⸣シンイズ[⸣ʃiŋʔiʣu](へだい)、ナ⸢ガ⸣イズ[na⸢ga⸣ʔiʣu](つむぶり)、ピ⸢サイズ[pi⸢saʔiʣu](てんじくかれい)、トゥ⸢ビイズ[tu⸢biʔiʣu](つまりとびうお)などは-イズ[-iʣu](うお<魚>)を形態素に持つ魚名である。 ⸣アミツァ プ⸢サイティ⸣ ム⸢チイズ ホー⸣シン ⸣パラ [⸣ʔamiʦa pu̥⸢saiti⸣ mu⸢ʧiʔiʣu hoː⸣ʃim ⸣para] (ヤドカリを拾ってノコギリダイを釣りに行こう) 1828 0 0 1668 htmvoc_1828.wav イズウラスン イ⸢ズ⸣ ウ⸢ラ⸣スン [ʔi⸢ʣu⸣ ʔu⸢ra⸣suŋ] 連 魚を網で漁獲する。満潮時に干瀬に上って海藻を食べている魚が潮が引くにつれて深海へと下がっていく。その途中に網を張っておいて漁獲することをいう。 イ⸢ズ⸣ ウ⸢ラ⸣シン パラ⸢ディー [ʔi⸢ʣu⸣ ʔu⸢ra⸣ʃim para⸢diː] (魚を網で漁獲し<おろし>に行こうよ) 1829 0 0 1669 htmvoc_1829.wav イズカー イ⸢ズ⸣カー [ʔi⸢ʣu⸣kaː] 連 言うなれば。言ってみれば。いわば。 イ⸢ズ⸣カー ⸣カイブ ⸣クトー ⸢シェー⸣ ナ⸢ラン⸣ティヌ ⸣クトゥ [ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸣kaibu ⸣ku̥toː ⸢ʃeː⸣ na⸢ran⸣tinu ku̥tu] (いわばこんなことは、やってはならいとのことだ) 1830 0 0 1670 htmvoc_1830.wav イズカーシプス イ⸢ズカーシプス [ʔi⸢ʣukaːʃipusu] 名 魚売り。「魚買わせ人」の義。 イ⸢サナキヌ⸣ マチナー ⸣シンニン イ⸢ズカーシプスヌ オーッ⸣タン [ʔi⸢sanakinu⸣maʧinaː⸣ʃinniŋ ʔi⸢ʣukaːʃipu̥sunu ʔoːt⸣taŋ] (石垣の町には魚売り<もっぱら魚売る人{EOS}専任の魚売り>がおられた) 2261 0 0 1671 htmvoc_2261.wav イズカキ イ⸢ズカキ [ʔi⸢ʣukaki] 名 魚垣。単にカ⸢キ[ka⸢ki](垣)ともいう。西表島の北岸、⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)の海岸に積まれていた魚垣は深い所では高さ約80センチに積まれていた(1958年まで確認されている)。干潮時には魚垣の一部分の石垣を崩して⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船<サバニ>)の出し入れをしなければならなかった。船の通行が済むと崩した魚垣を元に戻しておくことが慣わしであった。 ⸢スー⸣ヤ ⸣ピシェーチバ カ⸢キヌ ミーマール シークイ [⸢suː⸣ja ⸣pi̥ʃeːʧiba ka⸢kinu miːmaː⸣ru ⸢ʃiːkui] (潮が引いたから魚垣の見回りをしてくるね<見回りをして来ようね>) 1832 0 0 1672 htmvoc_1832.wav イスガサン イ⸢スガ⸣サン [ʔi⸢suga⸣saŋ] 形 忙しい。イ⸢スガッ⸣サン[ʔi⸢sugas⸣saŋ](忙しい)ともいう。若年層の言葉。老年層は⸢パンタ⸣サン[⸢panta⸣saŋ](忙しい<繁多さあり>)というのが普通。 ⸢キュー⸣ヤ シ⸢トゥム⸣テーラ ⸣ユネン ⸢バー⸣キ イ⸢スガサ⸣ヌ ⸣イキーン ⸣ヌビーン サ⸢ランシェン(シ⸢ラランシェン) [⸢kjuː⸣ja ʃi̥⸢tumu⸣teːra ⸣junem ⸢baː⸣ki ʔi⸢sugasa⸣nu ⸣ʔikiːn ⸣nubiːn sa⸢raŋʃeŋ(ʃi⸢raraŋʃeŋ)] (今日は朝から夕方まで忙しくて、一息つくことも<息も欠伸も>できなかった)。 マ⸢ナ⸣マー イ⸢スガサ ナー⸣ヌヌ ⸢シンダイ⸣ イ⸢スガ⸣サ ⸣ナリクーン [ma⸢na⸣maː ʔi⸢sugasa naː⸣nunu ⸢ʃindai⸣ ʔi⸢suga⸣sa ⸣narikuːŋ] (今は忙しくないが、次第に忙しくなってくる)。 イ⸢スガ⸣サ (イ⸢スガ⸣サル)⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢suga⸣sa(ʔi⸢suga⸣saru)⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (忙しいことはない)。 ⸣アイニ イ⸢スガ⸣サレーラー ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ʔi⸢suga⸣sareːraː noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (あんなに忙しかったら何もできない)。 イ⸢スガ⸣サカー ⸢クー⸣ナ [ʔi⸢suga⸣sakaː ⸢kuː⸣na] (忙しかったら来るな) 1831 0 0 1673 htmvoc_1831.wav イスガスン イ⸢スガ⸣スン [ʔi⸢suga⸣suŋ] 他動 急がす。急がせる。使役動詞。 ⸢キュー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナー トゥ⸢ズミラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダ イ⸢スガ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヨー⸣ イ⸢スガサラン⸣バン [⸢kjuː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣naː tu⸢ʣumiraŋ⸣kaː na⸢ran⸣da ʔi⸢suga⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du⸢joː⸣ ʔi⸢sugasaram⸣baŋ] (今日の内に完了しないといけないので、急がそうと思うのだがねえ、急がされないわい)。 イ⸢スガ⸣シ ⸣ミサカー イ⸢スガ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔi⸢suga⸣ʃi ⸣misakaː ʔi⸢suga⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (急がせてよければ、急がすことは出来る)。 イ⸢スガ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔi⸢suga⸣ʃeː ⸣misamunu] (急がせばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ イ⸢スガ⸣シ [jaː⸢diŋ⸣ ʔi⸢suga⸣ʃi] (きっと<必ず>急がせ) 1914 0 0 1674 htmvoc_1914.wav イスク ⸢イス⸣ク [⸢ʔisu̥⸣ku] 名 五個。老年層の言葉。若年層はイ⸢チッ⸣ク[ʔi⸢ʧik⸣ku](五個)という。 トゥ⸢ルンコー⸣マー ⸢イス⸣クブカラ ⸢カイ⸣ クーバ [tu⸢ruŋkoː⸣ma ⸢ʔisu̥⸣kubukara ⸢kai⸣ kuːba] (鶏卵を五個ばかり買ってきなさいよ) 2681 0 0 1675 htmvoc_2681.wav イズクバン イ⸢ズクバン [ʔi⸢ʣukubaŋ] 名 魚肉の神饌。神に供える魚肉の神饌で、厚めの魚肉を焙乾にしたものを厚さ約5ミリ、幅約1センチ、長さ約8センチに切ったもの。 イ⸢ズクバンヌ⸣ イ⸢ゾー マーガ⸣ツ ヤ⸢ラバン⸣ シ⸢ヌマー⸣ル ヤ⸢ラバン⸣ ノー⸢ンヤラバン⸣ ミサン [ʔi⸢ʣukubannu⸣ ʔi⸢ʣoː maːga⸣ʦu ja⸢rabaŋ ʃi⸢numaː⸣ru ja⸢raban⸣ noː⸢ɲjarabam⸣ misaŋ] (魚肉クバンはソウダカツオでもテングハギでも何でもよい) 1823 0 0 1676 htmvoc_1823.wav イスクビン イ⸢スクビン [ʔi⸢sukubiŋ] 名 祭祀用の酒を入れるひょうたん型の瓶。⸣クビン[⸣kubiŋ]は「小瓶子」の義か。 イ⸢スクビン⸣ナー ⸣グシェー イ⸢リ⸣ カ⸢ザリ [ʔi⸢sukubin⸣naː ⸣guʃeː ʔi⸢ri⸣ ka⸢ʣari] (イ⸢スクビンに御酒を入れて供えなさい<美しく並べ供えなさい>) 1833 0 1 1677 htmvoc_1833.wav イスクン ⸢イスクン [⸢ʔisu̥kuŋ] 他動 {Mn_1}言い付ける。申し付ける。下知する。⸢イシキルン[⸢ʔiʃikiruŋ](言いつける)ともいう。 シ⸢グトゥ イスクン [ʃi⸢gutu ʔisu̥kuŋ] (仕事を言い付ける)。 プ⸢スン イシゥカランドー⸣シ ⸣ドゥーシ ⸢カンガイ⸣ヤーティ ⸢シー⸣バ [pu̥⸢suŋ ʔisï̥karandoː⸣ʃi ⸣duːʃi ⸢kaŋgai⸣jaːti ⸢ʃiː⸣ba] (他人に言いつけられないで、自分で考えながらしなさいよ)。 ⸣バーラ ⸢イシキ⸣ ミサカー ⸢イスク⸣ クトー ⸣ナルン [⸣baːra ⸢ʔiʃi̥ki⸣ misakaː ⸢ʔisu̥ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (私から言いつけてよければ、言いつけることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢イシケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢ʔiʃi̥keː⸣ misamunu] (もっと言いつければ良いのに)。 ⸢イシキ⸣バ [⸢ʔiʃi̥ki⸣ba] (言いつけろ)。 1833 0 2 1678 htmvoc_1833.wav イスクン ⸢イスクン [⸢ʔisu̥kuŋ] 他動 {Mn_2}告げ口する。 ア⸢ズ⸣ムニ シゥ⸢カン⸣カー ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸢イスクン⸠ダー [ʔa⸢ʣu⸣muni sï̥kaŋ⸣kaː ʔu⸢jan⸣naːni ⸢ʔisu̥kun⸠daː] (言うことを聞かないと親に言いつけるぞ) 1834 0 0 1679 htmvoc_1834.wav イスグン イ⸢ス⸣グン [ʔi⸢su⸣guŋ] 自動 急ぐ。「~立ちの已蘓岐尓<イソギニ>~。万、4337」、「Isogui,u,oida.イソギ、グ、イダ(急ぎ、ぐ、いだ)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 マ⸢ナ⸣マ パルン⸢デー⸣カー マ⸢ニヤイ⸣スバ イ⸢ス⸣ギ ⸣パリ [ma⸢na⸣ma parun⸢deː⸣kaː ma⸢nijai⸣suba ʔi⸢su⸣gi ⸣pari] (今行くなら間に合うから急いで行け)。 イッ⸢カ⸣ イ⸢スガ⸣ヌンドゥ ⸢ワー⸣ タ⸢ナ⸣ムカー イ⸢ス⸣グンパジ [ʔik⸢ka⸣ ʔi⸢suga⸣nundu ⸢waː⸣ ta⸢na⸣mukaː ʔi⸢su⸣gumpaʤi] (決して急がないのだが、君が頼んだら急ぐだろう<急ぐはず>)。 イ⸢ス⸣ギ ⸣ミサカー イ⸢ス⸣グ ⸣クトー ⸣ナルン [ʔi⸢su⸣gi ⸣misakaː ʔi⸢su⸣gu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (急いでよければ急ぐことはできる)。 ⸢マー⸣ビン イ⸢ス⸣ゲー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔi⸢su⸣geː ⸣misamunu] (もっと急げばいいのに)。 ⸢パー⸣ク イ⸢ス⸣ギ [⸢paː⸣ku ʔi⸢su⸣gi] (早く急げ) 1835 0 0 1680 htmvoc_1835.wav イズシンピラク イ⸢ズシンピラク [ʔi⸢ʣuʃimpiraku] 名 厳寒。酷寒。小魚が凍死するほどの寒さ。「魚死に冷え」の義か。浅い海面を遊泳する小魚類が寒さで死んだり仮死状態になって浮くほどの厳しい寒さをいう。 ク⸢トゥシヌ⸣ピ⸢ラ⸣コー ⸢ズンニ⸣ イ⸢ズシンピラク ヤッタ⸠ダー [ku̥⸢tuʃinu⸣ pi⸢ra⸣koː ⸢ʣunni⸣ ʔi⸢ʣuʃimpiraku jatta⸠daː] (今年の寒さは本当に小魚が凍死するほどの酷寒の寒さであったよ) 1837 0 0 1681 htmvoc_1837.wav イズトゥリシンカ イ⸢ズトゥリシン⸣カ [ʔi⸢ʣuturiʃiŋ⸣ka] 名 魚獲り人員。魚獲り人数。 イ⸢ズトゥリシンカ⸣ヌ タ⸢ラーンダ⸣ イ⸢ソー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ʔi⸢ʣuturiʃiŋka⸣nu ta⸢raːnda⸣ ʔi⸢soː⸣ pa⸢rara⸣nu] (魚獲り人数 <漁師{EOS}乗組員>が足りないので出漁できない<漁場に出られない>) 1836 0 0 1682 htmvoc_1836.wav イズトゥリプス イ⸢ズトゥリ⸣プス [ʔi⸢ʣuturi⸣pu̥su] 名 漁師。「魚獲り人」の義。 パ⸢トゥ⸣マプソー イ⸢ズトゥリ⸣プスン ヤ⸢リ⸣ ム⸢ヌスクリ⸣プスン ヤ⸢リブタ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ʔi⸢ʣuturi⸣pu̥suɲ ja⸢ri⸣ mu⸢nusu̥kuri⸣pu̥suɲ ja⸢ributa] (鳩間人は漁師<魚獲り>でもあり、百姓<物作り人>でもあった{EOS}半農半漁を生業としていた) 1838 0 0 1683 htmvoc_1838.wav イズトゥリフニ イ⸢ズトゥリ⸣フニ [ʔi⸢ʣutu⸣riɸuni] 名 漁船。「魚獲り船」の義。 イ⸢ズトゥリ⸣フネー イ⸢ソー⸣ラ マ⸢ダ カイ⸣リ ⸢クー⸣ヌ [ʔi⸢ʣuturi⸣ɸuneː ʔi⸢soː⸣ra ma⸢da kai⸣ri ⸢kuː⸣nu] (漁船は漁場からまだ帰って来ない) 1846 0 0 1684 htmvoc_1846.wav イズナー イ⸢ズナー [ʔi⸢ʣunaː] 名 釣り糸。「魚縄」の義。イ⸢ズホーシ⸣ナー[ʔi⸢ʣuhoːʃi⸣naː](釣り糸{EOS}<魚釣り縄>)ともいう。他に、サ⸢バナー[sa⸢banaː](鱶釣り縄)等がある。 イ⸢サナケー⸣ラ イ⸢ズナー カイクー⸣タ [ʔi⸢sanakeː⸣ra ʔi⸢ʣunaː kaikuː⸣ta] (石垣から釣り糸<魚釣り縄>を買ってきた)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ブー⸣バ ピ⸢ニ⸣レーティ イ⸢ズナー⸣ ナイ⸢ヨーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢buː⸣ba pi⸢ni⸣reːti ʔi⸢ʣunaː⸣ nai⸢joːt⸣ta] (昔は麻糸を縒って釣り糸を綯われた) 1839 0 0 1685 htmvoc_1839.wav イズナマシ イ⸢ズナマシ [ʔi⸢ʣunamaʃi] 名 魚の刺身。 カ⸢ツナマシ [kḁ⸢ʦunamaʃi] (カツオの刺身)。 ⸣タクナマシ [⸣tḁkunamaʃi] (茹蛸の刺身)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ミー⸣ス ⸣タリティ ⸢クースーン⸣ イ⸢リティル⸣ ナ⸢マ⸣シェー ン⸢コーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢miː⸣su ⸣tariti ⸢kuːsuːŋ⸣ ʔi⸢ritiru⸣ na⸢ma⸣ʃeː ʔŋ⸢koːt⸣ta] (昔は味噌を溶いて、唐辛子も入れて<ぞ>刺身は召し上がられた)。 ⸢ミー⸣ス ⸣タリキー イ⸢ズナマシ⸣ ス⸢ク⸣リ [⸢miː⸣su ⸣tarikiː ʔi⸢ʣunamaʃi⸣ su⸢ku⸣ri] (味噌を溶かしてきて魚の刺身<膾>を造れ) 1840 0 0 1686 htmvoc_1840.wav イズヌスー イ⸢ズヌ⸣スー [ʔi⸢ʣunu⸣suː] 名 魚のお汁。イ⸢ズン⸣スー[ʔi⸢ʣun⸣suː](魚のお汁)ともいう。 イ⸢ズヌ⸣スー バ⸢カシェー⸣バ ッ⸢ふァイティ⸣ パリバ [ʔi⸢ʣunu⸣suː ba⸢kaʃeː⸣ba f⸢faiti⸣ pariba] (魚のお汁を炊いてあるから食べて行きなさいよ) 1848 0 0 1687 htmvoc_1848.wav イズヌバタ イ⸢ズヌ⸣ バタ [ʔi⸢ʣunu⸣ bata] 連 魚のはらわた(腸)。 イ⸢ズヌ⸣ バタ ⸣トゥリティ ピ⸢サ⸣ ウ⸢コー⸣シ(ン⸢コー⸣シ) [ʔi⸢ʣunu⸣ bata ⸣turiti pi̥⸢sa⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi] (魚の腸を取って<除去して>三枚卸にしなさい) 1849 0 0 1688 htmvoc_1849.wav イズヌパニ イ⸢ズヌ⸣ パ⸢ニ [ʔi⸢ʣunu⸣ pa⸢ni] 連 魚の鰭(ひれ)。 イ⸢ズヌ⸣ パ⸢ネー⸣ キシティ バ⸢カシ⸣バ [ʔi⸢ʣunu⸣ pa⸢neː⸣ ki̥ʃiti ba⸢kaʃi⸣ba] (魚の\ruby{鰭}{ヒレ}は切って煮なさい) 1850 0 0 1689 htmvoc_1850.wav イズヌプニ イ⸢ズヌ⸣ プニ [ʔi⸢ʣunu⸣ puni] 連 魚の骨。イ⸢ズン⸣プニ[ʔi⸢ʣum⸣puni](魚骨)ともいう。ナ⸢カ⸣ブニ[na⸢ka⸣buni](脊椎{EOS}中骨)、⸢ズーブニ[⸢ʣuːbuni](尾骨)などがある。 イ⸢ズヌ⸣ プニ ⸣ヌドゥナ カ⸢カラ⸣スン [ʔi⸢ʣu⸣nu ⸣puni ⸣nuduna kḁ⸢kara⸣suŋ] (魚の骨を喉に掛からせる) 1851 0 0 1690 htmvoc_1851.wav イズヌミー イ⸢ズヌ ミー [ʔi⸢ʣunu miː] 連 魚の身。魚肉。 イ⸢ズヌ ミーヤ⸣ ウ⸢コー⸣シティ カ⸢マブク シッ⸣キバ [ʔi⸢ʣunu miːja⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi̥ti ka⸢mabuku ʃik⸣kiba] (魚を三枚に卸して搗いて蒲鉾を造りなさい<魚肉の\ruby{片}{ヒラ}を中骨よりはぎ興して蒲鉾に搗きなさい>) 1852 0 0 1691 htmvoc_1852.wav イズヌミー イ⸢ズヌ⸣ミー [ʔi⸢ʣunu⸣miː] 名 魚の目。足裏の表皮の角質深部が豆の大きさで円く黄白色に厚くなり真皮内に入りこんだもの。歩くと押されて痛みを覚える。民間療法では針を火で焼き、硬くなった円形部を\ruby{穿}{ホジク}り出していたという。 ⸢パン⸣ヌ ⸣アドゥナー イ⸢ズヌミー⸣ヌ ⸣ンジティ ⸣ヤミ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ⸣ʔadunaː ʔi⸢ʣunumiː⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸣jami ʔa⸢rakara⸣nu] (足の踵に魚の目が出て、痛くて歩けない) 1853 0 0 1692 htmvoc_1853.wav イズヌミンタマ イ⸢ズヌミン⸣タマ [ʔi⸢ʣunu min⸣tama] 連 魚の目玉。魚の眼球。 イ⸢ズヌ ミン⸣タマー ⸣ユー ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [ʔi⸢ʣunu min⸣tamaː ⸣juː f⸢faːsoːt⸣taŋ] (魚の目玉を良く食べさせて下さった) 1841 0 0 1693 htmvoc_1841.wav イズヌムンダニ イ⸢ズヌ ムン⸣ダニ [ʔi⸢ʣunu mun⸣dani] 連 魚の餌。魚つり用の餌。 ⸣アミツァ プ⸢サイティ⸣ イ⸢ズヌ ムン⸣ダニ ⸢シー⸣バ [⸣ʔamiʦa pu̥⸢saiti⸣ ʔi⸢ʣunu mun⸣dani ⸢ʃiː⸣ba] (ヤドカリを拾って魚釣りの餌にしなさいよ) 1842 0 0 1694 htmvoc_1842.wav イズヌヤー イ⸢ズヌ⸣ヤー [ʔi⸢ʣunu⸣jaː] 名 魚の巣。⸢魚の家」の義。 ム⸢チイズヌ⸣ヤー ⸢ミシ⸣キ ⸣シケーバ ム⸢チイズ ホー⸣シン パラ⸢ディー [mu⸢ʧiʔiʣunu⸣jaː ⸢miʃi̥⸣ki ⸣ʃi̥keːba mu⸢ʧiʔiʣu hoː⸣ʃim para⸢diː] (ノコギリダイの巣<家>を見つけてあるから、ノコギリダイを釣りに行こうよ) 1843 0 0 1695 htmvoc_1843.wav イズネーシガマ イ⸢ズネーシガマ [ʔi⸢ʣuneːʃigama] 名 カツオを煮る大釜。直径約1メートル、深さ約1、5メートルの円筒状の大釜。⸢シーゾー⸣ヤー[⸢ʃiʣoː⸣jaː](鰹節製造工場)の一角に、幅約1メートル、深さ約1、5メートル、長さ約4メートルの穴を掘り、その壁を利用して大釜を設置するのための竈を造った。穴の周りに積み上げられた薪を、竈焚き掛かりが梯子で穴の中に下り、必要に応じて竈に投入してカツオを煮込んだ。ニ⸢コミ[ni⸢komi](煮込み)の項目参照 1822 0 0 1696 htmvoc_1822.wav イスバタ イ⸢スバタ [ʔi⸢subata] 名 磯辺。海辺。「磯端」の義。イ⸢ソーンパタ[ʔi⸢soːmpata](磯の端、海岸端)ともいう。 イ⸢スバタ⸣ヤー [ʔi⸢subata⸣jaː] (海岸端の家)。 ⸢バン⸣テーヌ ⸢ヤー⸣ヤ イ⸢スバタ⸣ナ ⸢アッ⸣タ ⸢ベー⸣ティ ニ⸢ビベー⸣タンティン ス⸢ブルン⸣ パ⸢タ⸣ナー ピ⸢ザフチ⸣ヌ ナ⸢ミヌ⸣ ウ⸢トゥン⸣ シゥ⸢カリタン⸣ダー [⸢ban⸣teːnu ⸢jaː⸣ja ʔi⸢subata⸣na ⸢ʔat⸣ta ⸢beː⸣ti ni⸢bibeː⸣tantin su⸢buru⸣nu pḁ⸢ta⸣naː pi⸢ʣaɸu̥ʧi⸣nu na⸢minu⸣ ʔu⸢tun⸣ sï̥⸢karitan⸣daː] (私の家は海岸端にあったので寝ていても枕元に<頭の端に>渚に打ち寄せる波の音が聞こえたよ) 1854 0 0 1697 htmvoc_1854.wav イズビー イ⸢ズビー [ʔi⸢ʣubiː] 名 魚による中毒。特定の魚は時期によっては食すると食あたり<食中毒>することがある。鳩間島では、⸢ブー⸣ナー[⸢buː⸣naː](河豚<ふぐ>)は食べられない魚とされていたので、河豚を食べて食中毒になった事例はないといわれている。 ユ⸢ドゥン⸣ヌ ⸢ユール⸣ ジ⸢ブンマー⸣ ア⸢カジナー ヨーガリブンダ⸣ イ⸢ズビー スン⸣ティ⸢ダー [ju⸢dun⸣nu ⸢juːru⸣ ʤ⸢ibummaː⸣ ʔa⸢kaʤinaː joːgaribunda⸣ ʔi⸢ʣubiː sun⸣ti⸢daː] (赤潮が寄る時期はスジハタの仲間は痩せているから食中毒するそうだよ) 1855 0 0 1698 htmvoc_1855.wav イズブク イ⸢ズブク [ʔi⸢ʣubuku] 名 (動)魚の名。和名。ネッタイミノカサゴ(体長20センチくらい)『原色沖縄海中動物生態図鑑』。体色は、褐色に白い縦縞がはしる。背びれの12本の刺には毒がある。珊瑚礁の岩陰に棲息している。美しいが、漁獲する人はいない。 イ⸢ズブコー カイ⸣ヤンドゥ ッ⸢ふー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔi⸢ʣubukoː kai⸣jandu f⸢fuː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (イズブクは美しいが食べる人はいない) 3756 0 0 1699 htmvoc_3756.wav イズベーシキー イ⸢ズベーシ⸣キー [ʔi⸢ʣubeːʃi⸣kiː] 名 (植)木の名。「魚酔わせ木」の義。リュウキュウニガキ。樹液は苦い。葉や樹皮を搗き砕き、汁を出して魚の巣に入れ、魚が仮死状態で浮き上がったところを漁獲する。 イ⸢ズベーシキー⸣バ ⸢シッ⸣キティ イ⸢ズヌ⸣ ヤナナー イ⸢ル⸣カー イ⸢ゾー⸣ ビーティ ウ⸢ケーリ キー⸣シタ [ʔi⸢ʣubeːʃikiː⸣ba ⸢ʃik⸣kiti ʔi⸢ʣunu⸣ jananaː ʔi⸢ru⸣kaː ʔi⸢ʣoː⸣ biːti ʔu⸢keːri kiː⸣ʃi̥ta] (魚酔わせ木を搗き砕いて魚の巣穴に入れると、魚は仮死状態<酔って>で浮いてきたよ) 1857 0 0 1700 htmvoc_1857.wav イズベーシッサ イ⸢ズベーシ⸣ッサ [ʔi⸢ʣubeːʃi⸣ssa] 名 (植)キツネノマゴ。毒草。「魚酔わせ草」の義。搗き砕いて汁を出し、それを魚の巣などに入れて魚を麻痺させ、漁獲するのに用いる。 イ⸢ズベーシ⸣ッサ ⸢シッキン⸣ザリティ ク⸢ム⸣ルナ イ⸢リティ⸣ イ⸢ズベー⸣サ [ʔi⸢ʣubeːʃi⸣ssa ⸢ʃikkin⸣ʣariti ku⸢mu⸣runa ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢ʣubeː⸣sa] (毒草のキツネノマゴを搗き砕いて潮溜まり<深み>に入れて魚を麻痺させて漁獲しよう) 1856 0 0 1701 htmvoc_1856.wav イズベースン イ⸢ズ ベー⸣スン [ʔi⸢ʣu beː⸣suŋ] 連 毒草(キツネノマゴ)を使って魚を麻痺させて漁獲する。「魚酔わせる」の義。干潮時にキツネノマゴを搗き砕いて潮溜まりに入れたり、深い所の魚の巣に入れたりして魚を麻痺させ、動きの鈍くなった魚や海面に浮き出た魚を漁獲する。 ア⸢ブ⸣ジェー ⸣シンタヌ ク⸢ム⸣ルナーティ イ⸢ズベー⸣スンティ ⸢オー⸣ル [ʔa⸢bu⸣ʤeː ⸣ʃintanu ku⸢mu⸣runaːti ʔi⸢ʣu beː⸣sunti ⸢ʔoː⸣ru] (おじいさんは島の後方の潮溜まり<籠り{EOS}深み>に毒草を使って魚を麻痺させ、漁獲しようといておられる) 1858 0 0 1702 htmvoc_1858.wav イズホーシ イ⸢ズホー⸣シ [ʔi⸢ʣuhoː⸣ʃi] 名 魚釣り。「魚・喰わせ」の義。釣り針に餌をかけて喰わせ、釣り上げること。動詞連語イ⸢ズ ホー⸣スン[ʔi⸢ʣu hoː⸣suŋ](魚を釣る)の連用形からの転成名詞。 イ⸢ズホーシ⸣プス [ʔi⸢ʣuhoːʃi⸣pu̥su] (釣り人<魚釣り人>)。 イ⸢ズホーシゾー⸣ジ [ʔi⸢ʣuhoːʃiʣoː⸣ʤi] (魚釣り上手)。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャー ⸢バー⸣ヨー ⸢サーレー⸣ティ ⸢インタヌ ピーヌ⸣クシナ パ⸢トゥマ⸣トゥ ⸢ヌスクマー⸣ペーバ ⸢アー⸣シティ イ⸢ズヌ⸣ヤー ア⸢ティティ⸣ イ⸢ズホー⸣シ ⸢ソーッタ⸣ヌ ウ⸢ブ⸣ニーバローラ フ⸢チナイン⸣ドレーン ⸢ホーサリ⸣タン [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaː ⸢baː⸣joː ⸢saːreː⸣ti ⸢ʔintanu piːnu⸣ku̥ʃina pḁ⸢tuma⸣tu ⸢⸢nusu̥kumaː⸣peːba ⸢ʔaː⸣ʃi̥ti ʔi⸢ʣunu⸣jaː ʔa⸢titi⸣ ʔi⸢ʣuhoː⸣ʃi ⸢soːtta⸣nu ʔu⸢bu⸣niːbaroːra ɸu̥⸢ʧinain⸣doːreːŋ ⸢hoːsari⸣taŋ] (私の家の父親は私を連れて鳩間島の西の干瀬の外海<干瀬の越>で鳩間の北海岸と裏石垣の野底マーペー山を結ぶ線を合わせて魚巣を探り当てて魚釣りをされたが、大型のハタやイソフエフキ等が釣れた) 1859 0 0 1703 htmvoc_1859.wav イズホーシナー イ⸢ズホーシ⸣ナー [ʔi⸢ʣuhoːʃi⸣naː] 名 魚釣り糸。「魚釣り縄」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ブー⸣バ ⸣サキティル イ⸢ズホーシ⸣ナー ⸣ナイ ⸢ヨーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢buː⸣ba ⸣sḁkitiru ʔi⸢ʣuhoːʃi⸣naː ⸣nai ⸢joːt⸣ta] (昔は苧の繊維を裂いて魚釣り糸を\ruby{綯}{ナ}われた) 1845 0 0 1704 htmvoc_1845.wav イズホーシプス イ⸢ズホーシ⸣プス [ʔi⸢ʣuhoːʃi⸣pu̥su] 名 釣り人。「魚釣り人」の義。鰹漁船では、釣り手はその技能によってイ⸢チバン⸣ジョー[ʔi⸢ʧiban⸣ʤoː](一番棹)、⸢ニーバン⸣ジョー[⸢niːban⸣ʤoː](二番棹)、⸢サンバン⸣ジョー[⸢samban⸣ʤoː](三番棹)のようにランク付けされていた。⸣ザコー[⸣ʣakoː](餌<雑魚>)を撒く人の餌付けのタイミングが大漁、不漁を決めるから、その責任は重く、その重責を担う人を⸢ホンマ⸣キ[⸢homma⸣ki](本撒き)といった。 イ⸢ズホーシ⸣プソー カ⸢ツ ホー⸣ソール ⸣ピンマー ⸢ダイ⸣バン ヤ⸢ル⸣カー ピ⸢ダリ⸣ティーシ ダ⸢キティ シーヤ パンツァソーッ⸣タ ク⸢バン⸣ ヤ⸢ル⸣カー ⸣サウシ フ⸢ニ⸣ンナカー ⸢ナン⸣ギ イ⸢リンテーナ⸣ サウシ ⸢ハンドー⸣ シキティ ス⸢ブル⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナーティ ⸢ナンクク⸣ル ⸢シーヤ パンツァソーッ⸣タ [ʔi⸢ʣuhoːʃi⸣pusoː ka⸢ʦu hoː⸣soːru ⸣pimmaː ⸢dai⸣baɲ ja⸢ru⸣kaː pi⸢dari⸣tiːʃi da⸢kiti ʃiːja panʦasoːt⸣ta ku⸢baɲ⸣ ja⸢ru⸣kaː ⸣sauʃi ɸu⸢ni⸣nnakaː ⸢naŋ⸣gi ʔi⸢rinteːna⸣ sauʃi ⸢handoː⸣ ʃikiti su⸢buru⸣nu ⸢ʔui⸣naːti ⸢naŋkuku⸣ru ⸢ʃiːja panʦasoːt⸣ta] (魚釣り人は鰹を釣られる時は大判だったら左手で抱いて釣り針を外された{EOS}小判だったら棹で船の中へ投げ入れながら棹で反動をつけて頭上で自然<おのずと>に釣り針を外された) 1860 0 0 1705 htmvoc_1860.wav イズマチ イ⸢ズマチ [ʔi⸢ʣumaʧi] 名 魚市。石垣市にあった魚を専門に売る市場。鳩間島にはなかった。 イ⸢サナキプソー⸣ イ⸢ズマチナー⸣ル ⸢ピンピンヌ⸣ カ⸢ティムヌ⸣ヌ イ⸢ゾー カイオーッ⸣タ [ʔi⸢sanakipu̥soː⸣ ʔi⸢ʣumaʧinaː⸣ru ⸢pimpinnu⸣ kḁ⸢timunu⸣nu ʔi⸢ʣoː kaiʔoːt⸣ta] (石垣の人は魚町で毎日の副食物の魚を買われた) 1861 0 0 1706 htmvoc_1861.wav イズムシ イ⸢ズムシ [ʔi⸢ʣumuʃi] 名 魚につく寄生虫。特にカツオのハ⸢ラ⸣ゴー[ha⸢ra⸣goː](腹皮)の内部表皮に白く筋のように這っていることがあった。しかしカツオの刺身ではその部分は除去されたし、鰹節製造の過程のニ⸢コミ[ni⸢komi](煮込み)で2~3時間の熱湯処理がなされた。 カ⸢ツヌ⸣ ハ⸢ラ⸣ゴーナ イ⸢ズムシヌ⸣ パイ ⸢ブームン⸣ ブ⸢タン [kḁ⸢ʦunu⸣ ha⸢ra⸣goːna ʔi⸢ʣumuʃinu⸣ pai ⸢buːmum⸣ bu⸢taŋ] (カツオ腹皮にはイズムシ<寄生虫>が這っているのもおった) 1862 0 1 1707 htmvoc_1862.wav イズン イ⸢ズン [ʔi⸢ʣuŋ] 他動 {Mn_1}言う。話す。ア⸢ズン[ʔa⸢ʣuŋ]ともいう。 ⸣ムニ イ⸢ズンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ イ⸢ザラヌ [⸣muni ʔi⸢ʣunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔi⸢ʣaranu] (ものを言おう思うが、言われ<言え>ない)。 ⸣ムネー イ⸢ズナ [⸣muneː ʔi⸢ʣuna] (話すな<ものを言うな>)。 ⸣ムネー イ⸢ザンドー⸣シ ⸣ユー シ⸢キ [⸣muneː ʔi⸢ʣandoː⸣ʃi ⸣juː ʃi̥⸢ki] (ものは言わないでよく聞け)。 ⸣ムニ イ⸢ジ⸣ ミサカー イ⸢ズ⸣ クトー ナルン [⸣muni ʔi⸢ʤi⸣misakaː ʔi⸢ʣu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (話して<ものを言って>良ければ、話すことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ムニ イ⸢ジェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸣muni ʔi⸢ʤeː⸣ misamunu] (もっと話せ<ものを言え>ばいいのに)。 ⸣ムニ イ⸢ジ⸣バ [⸣muni ʔi⸢ʤi⸣ba] (話せ<ものを言え>よ)。 1862 0 2 1708 htmvoc_1862.wav イズン イ⸢ズン [ʔi⸢ʣuŋ] 他動 {Mn_2}歌う。 プ⸢スクイ⸣ヤー ⸣ウター イ⸢ジ⸣ シゥ⸢カシ フィーリ [pu̥⸢sukui⸣jaː ⸣ʔuta ʔi⸢ʤi⸣ sï̥⸢kaʃi fiːri] (一声<一曲>は歌を歌って聞かせてくれ)。 ⸢ワー⸣ ウタ イ⸢ズ⸣カー ⸢バン⸣ヌン イ⸢ズン [⸢waː⸣ ʔuta ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔi⸢ʣuŋ] (君が歌を歌うなら僕も歌う)。 1862 0 3 1709 htmvoc_1862.wav イズン イ⸢ズン [ʔi⸢ʣuŋ] 他動 {Mn_3}叱る。 ⸣アイニ イ⸢ズ⸣カー イ⸢ザリプソー⸣ ター⸢ン クン⸣ゾー ン⸢ジ⸣ス [⸣ʔaini ʔi⸢ʣu⸣kaː ʔi⸢ʣaripu̥soː⸣ taː⸢ŋ kun⸣ʣoː ʔn⸢ʤi⸣su] (あんなに叱ったら、叱られる人は誰でも怒る<根性がでる>よ) 1844 0 0 1710 htmvoc_1844.wav イズンプニ イ⸢ズン⸣プニ [ʔi⸢ʣum⸣puni] 名 魚の骨。魚骨。イ⸢ズヌ⸣プニ[ʔi⸢ʣunu⸣ puni](魚の骨)ともいう。 イ⸢ズン⸣プニ ⸣ヌドゥナー カ⸢カラ⸣スカー ⸣サバンナ ミ⸢ジ⸣ イ⸢リティ⸣ パシシ ア⸢ジ⸣マー ⸣カキティ ヌ⸢マ⸣ソーッタ [ʔi⸢ʣum⸣puni ⸣nudunaː kḁ⸢kara⸣su̥kaː ⸣sabannaː mi⸢ʤi⸣ ʔi⸢riti⸣ pḁʃiʃi ʔa⸢ʤi⸣maː ⸣kḁkiti nu⸢ma⸣soːtta] (魚の骨が喉にささる<魚骨を喉に架からす>と、茶碗に水を入れて、箸を十字にかけて<呪文を唱え>、箸の間から水を飲まされた) 1697 0 0 1711 htmvoc_1697.wav イソー イ⸢ソー [ʔi⸢soː] 名 潮干狩り。「磯」の義。 イ⸢ソー スン [ʔi⸢soː suŋ] (潮干狩りをする)。 イ⸢ソープス [ʔi⸢soːpu̥su] (潮干狩りをする人{EOS}「磯人」の義)。 イ⸢ソー⸣ パルン [ʔi⸢soː⸣ paruŋ] (潮干狩りに行く<磯へ行く>)。 イ⸢ソー⸣ラ ⸣ケーン [ʔi⸢soː⸣ra ⸣keːŋ] (漁から帰ってきた)。島は珊瑚礁の干瀬で囲まれているから、潮時を見計らって誰でも潮干狩りに行くことができた。干潮時の潮干狩りは、主として婦女子と男の子たちがおこなった。大人の男たちは素潜り漁をするのが常であった。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー イ⸢ソー シン⸣ パル ス⸢コール シー ギーッティ⸣ ジ⸢ブンバー⸣ケー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣サ [⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ʔi⸢soː ʃim⸣ paru su̥⸢koːru ʃiː giːtti⸣ ʤi⸢bumbaː⸣keː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣sa] (潮が引いたら潮干狩りをしに行く準備をして行って、干潮時分までは畑を耕そう) 1864 0 0 1712 htmvoc_1864.wav イソーキン イ⸢ソーキン [ʔi⸢soːkiŋ] 名 出漁の際に着る着物。漁の着物。「いさり(漁り)・衣」の転訛したものか。野良着と同じように、作業着の一種で、古着を使用した。終戦後の糸満漁師は米軍払い下げの野戦用毛布で仕立てた着物を持参した。鳩間島の漁師もそれを真似ていた。 ⸢アッ⸣タル ⸢ミーキンバ⸣ イ⸢ソーキン サンブリ⸣バ [⸢ʔat⸣taru ⸢miːkimba⸣ ʔi⸢soːkin samburi⸣ba] (あたら<勿体無い>新しい着物を漁の着物にするなよ) 1816 0 0 1713 htmvoc_1816.wav イソーシ イ⸢ソーシ [ʔi⸢soːʃi] 名 石臼。餅や豆腐を造る際に水にふやかした糯米や大豆を挽くのに用いる石製の円筒状の臼。上段と下段に分離しており、かみ合わされる両面に浅い溝が中心より放射状に作られてある。下段の中心部に約1センチの鉄製の心棒があり、上段底部の穴に嵌って横ずれを防ぐ。上段は頭頂部が極浅い皿状に掘られ、中央部の横に直径約3センチのホールが貫通していて米や大豆類を落とす機能を持つ。上段側面にL字型の取っ手が据えつけてあり、それを掴んで廻し、穀類を磨り潰す。豆腐や餅を作る際は、大豆や糯米と一緒に水をながし、下の桶に溜めて作る。イソーシは桶の上に渡したア⸢ジ⸣マー[ʔa⸢ʤi⸣maː](十字に交叉させた腕木)に載せて使用する。 イ⸢ソーシ⸣シ ム⸢チマイ⸣ ピ⸢キティ⸣ ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣ラ [ʔi⸢soːʃi⸣ʃi mu⸢ʧimai⸣ pi̥⸢kiti⸣ mu⸢ʧi⸣ su⸢ku⸣ra] (石臼で糯米を挽いて糯を作ろう) 1698 0 0 1714 htmvoc_1698.wav イソーシタフ イ⸢ソーシタフ [ʔi⸢soːʃi̥taɸu] 名 漁の衣服。漁に行く際に着用する着物。「礒支度」の義。 イ⸢ソーシタフバ シー アーク⸣ヌ ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー イ⸢ソー⸣ パル ⸢カン⸣ガイ⸢ナー [ʔi⸢soːʃi̥taɸuba ʃiː ʔaːku⸣nu ⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ʔi⸢soː⸣ paru ⸢kaŋ⸣gai⸢naː] (潮干狩りに行く身支度<漁の衣服>をしているが、さては潮が引いたら潮干狩りに行くつもり<考え>だな) 1817 0 0 1715 htmvoc_1817.wav イソーシプス イ⸢ソーシプス [ʔi⸢soːʃipu̥su] 連 漁をする人。潮干狩りをする人。 イ⸢ソーシプソー⸣ マ⸢ダ クー⸣ヌ [ʔi⸢soːʃipu̥soː⸣ ma⸢da kuː⸣nu] (潮干狩りに行った人<漁師>はまだ帰らない) 1818 0 0 1716 htmvoc_1818.wav イソーシンカ イ⸢ソーシンカ [ʔi⸢soːʃiŋka] 名 漁に出る仲間。カツオ漁船の乗組員。追い込み漁の仲間。 イ⸢ソーシンカ⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸣アン ウ⸢ラ⸣シン ⸣パラ [ʔi⸢soːʃiŋka⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti ⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣ʃim ⸣para] (追い込み漁の仲間を集めて網を仕掛け<降ろし>に行こう) 1819 0 0 1717 htmvoc_1819.wav イソースン イ⸢ソー スン [ʔi⸢soː suŋ] 連 いさり(漁り)をする。潮干狩りをする。 パ⸢トゥ⸣マプソー ミ⸢ドゥ⸣ムン ⸣ビキドゥムン ムー⸢ル⸣ イ⸢ソー スン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː mi⸢du⸣mum ⸣bikidumum muː⸢ru⸣ ʔi⸢soː suŋ] (鳩間の人は女も男も皆潮干狩りをする) 1865 0 0 1718 htmvoc_1865.wav イソードング イ⸢ソードング [ʔi⸢soːdoŋgu] 名 漁具。魚介類を漁獲するのに用いる漁具の総称。イ⸢ズホーシドン⸣グ[ʔi⸢ʣuhoːʃidoŋ⸣gu](魚釣り道具)、イ⸢ズガラシドン⸣グ[ʔi⸢ʣugaraʃidoŋ⸣gu](魚網類)、イ⸢ソーシドン⸣グ[ʔi⸢soːʃidoŋ⸣gu](漁<ィサリ>し道具)などがある 1825 0 0 1719 htmvoc_1825.wav イソーパーレー ⸣イソーパーレー [⸣ʔisoːpaːreː] 名 疫病神祓えの昼間の唱えごと。{シ⸢マッサ⸣ル[ʃi⸢massa⸣ru](島くさらし祭り)の際、西村と東村のヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人)が村ごとにドゥ⸢ラーンガニ[du⸢raːŋgani](銅鑼)を打ち鳴らして子供たちを先導し、子供たちは各自甕の破片を打ち鳴らして最初に村井戸を回って井戸祓えをし、その後に村中の家を回って疫病神を追い払い、海岸へ追い出して蒲葵の葉柄で作った小舟に鶏肉を載せ、それで疫病神を賺し宥めて海の彼方へ追い払い、村の入り口の道に大蒜と塩を吊るした注連縄を張り巡らして疫病神の再侵入を防ぐ年中行事(神事)}。 シ⸢マッサル⸣ヌ ⸣ピン ⸢ピーロー⸣ イソーパーレーバ ⸢シー ユー⸣ロー ⸢ユートーパー⸣レー ⸢シール⸣ パ⸢ナシキヌ⸣ カン ⸢ウイ⸣ パ⸢ラ⸣ソール ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [ʃi⸢massaru⸣nu ⸣pim ⸢piːroː⸣ ʔisoːpareːba ⸢ʃiː juː⸣roː ⸢juːtoːpaː⸣reː ⸢ʃiːru⸣ pa⸢naʃi̥kinu⸣ kaŋ ⸢ʔui⸣ pa⸢ra⸣soːru ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (島くさらし祭りの時、昼はイソーパーレーをし、夜はユートーパレーをして風邪の神様を追い払われる祈願をされた) 1699 0 0 1720 htmvoc_1699.wav イソーフジリ イ⸢ソーフジリ [ʔi⸢soːɸuʤiri] 名 潮干狩り。珊瑚礁の穴の中を銛で突きまわして蛸や魚を漁獲すること。「礒抉<ィソコジリ>」の転訛したもの。 イ⸢ソーフジル シー⸣ タ⸢ク⸣ トゥリクー⸢ディー [ʔi⸢soːɸuʤiru ʃiː⸣ tḁ⸢ku⸣ turikuː⸢diː] (潮干狩りをして蛸を獲って来ようよ) 1701 0 0 1721 htmvoc_1701.wav イソープス イ⸢ソープス [ʔi⸢soːpusu] 名 漁師。漁に行った人。潮干狩りの人。 イ⸢ソープソー⸣ マ⸢ダ クー⸣ヌ [ʔi⸢soːpusoː⸣ ma⸢da kuː⸣nu] (漁に行った人はまだ帰ってこない)。 イ⸢ソープソー⸣ イ⸢ソー⸣ラ マ⸢ダ オーラ⸣ヌ [ʔi⸢soːpusoː⸣ ʔi⸢soː⸣ra ma⸢da ʔoːra⸣nu] (漁師は漁からまだ<帰って>いらっしゃらない{EOS}<まだ帰って来られない>) 1700 0 0 1722 htmvoc_1700.wav イソーフニ イ⸢ソーフニ [ʔi⸢soːɸuni] 名 出漁船。カツオ釣り漁船。イカ釣り舟。「磯船」の転訛したもの。 イ⸢ソーフネー⸣ イ⸢ズ マン⸣シン ⸢シー⸣ケーン [ʔi⸢soːɸuneː⸣ ʔi⸢ʣu maŋ⸣ʃiŋ ⸢ʃiː⸣keːŋ] (漁船<出漁した船>は大漁<満船>して帰ってきた)。 イ⸢ソーフネー タイロー シー カイ⸣リ ⸣ケーン [ʔi⸢soːɸuneː tairoː ʃiː kai⸣ri ⸣keːŋ] (漁船は大漁して帰ってきた) 1866 0 0 1723 htmvoc_1866.wav イゾーマ イ⸢ゾー⸣マ [ʔi⸢ʣoː⸣ma] 名 小魚。小さな魚。イ⸢ズ[ʔi⸢ʣu](魚)に指小辞⸢ヤー⸣マ[⸢jaː⸣ma]が付いて、[ʔiʣu] + [jaːma] → [ʔiʣuaːma] → [ʔiʤoːma] → [ʔiʣoːma] と音韻変化したもの。 イ⸢ゾー⸣マーンツァン シ⸢キ⸣キー ⸢スー⸣ヌ ⸣ダシ シ⸢ムーン⸣ノーレ [ʔi⸢ʣoː⸣maːnʦaŋ ʃi̥⸢ki⸣kiː ⸢suː⸣nu ⸣daʃi ʃi⸢mun⸣noːreː] (小魚だけでも獲って来て<突いてきて>お汁の出しにさせてくれないか) 1502 0 0 1724 htmvoc_1502.wav イゾイキー ⸣イゾイキー [⸣ʔiʣoikiː] 名 (植)木の名。モッコク。樹皮は黒褐色。幹は真直ぐに成長し50年で木材を取ることが出来るという。建築用材に最適。材は耐白蟻性があり、琉球王国時代には伐採禁止木になっていて百姓町人は本材を以って家を造ることが禁じられていたという。 ⸢バン⸣テヌ ⸢ヤー⸣ヤ ⸢キャーンギトゥ⸣ イゾイキーバ ム⸢トゥ⸣バ ⸢シール⸣ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢ban⸣tenu ⸢jaː⸣ja ⸢kjaːŋgikiːtu⸣ ʔiʣoikiːba mu⸢tu⸣ba ⸢ʃiːru⸣ su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (私の家はイヌマキとモッコク材を基本にして造られている)。 ⸣イゾイキーシ トゥ⸢クバラー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸣ʔiʣoikiːʃi tu̥⸢kubaraː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (イゾイキーで床柱を作られた) 1875 0 0 1725 htmvoc_1875.wav イタザイ イ⸢タ⸣ザイ [ʔi⸢ta⸣ʣai] 名 板材。板に製材する材木。多くの場合、材質の硬いフ⸢クンキー[ɸu̥⸢kuŋkiː](福木)を⸢トゥーシ[⸢tuːʃi](縁側)の板に製材して用いた。 ⸢トゥーシヌ⸣ イ⸢タザイ⸣ヤー フ⸢クンキーバ ゴー⸣ラー シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [⸢tuːʃinu⸣ ʔi⸢taʣai⸣jaː ɸu̥⸢kuŋkiːba goː⸣raː si̥⸢kaijoːt⸣ta] (縁側の板材は、福木を多く使われた) 1876 0 0 1726 htmvoc_1876.wav イタジラ イ⸢タジラ [ʔi⸢taʤira] 名 いたずら(悪戯)。わるふざけ。沖縄方言からの借用語か。普通は、⸢ガン⸣バリ[⸢gam⸣bari](悪戯{EOS}悪ふざけ)という。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー イ⸢タジラ スンダ ガッ⸣コーナーティン ⸢シン⸣シーン ⸣ユー イ⸢ザリン [ku⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː ʔi⸢taʤira sunda gak⸣koːnaːtiŋ ⸢ʃiŋ⸣ʃiːŋ ⸣juː ʔi⸢ʣariŋ] (この子は非常に悪戯をするから、学校でも先生によく叱られる) 1883 0 0 1727 htmvoc_1883.wav イダフニ ⸣イダフニ [⸣ʔidaɸuni] 名 サバニ。「板船」の義。明治中期以降沖縄本島の糸満や久高島、奥武島より導入されたという。鉄釘を一本も使わず、タ⸢キフン[tḁ⸢kiɸuŋ](竹釘)と⸢フン⸣ドゥ[⸢ɸun⸣du](板を接ぎ合わせた所に、カ⸢シン⸣ガイ{SqBr}ka⸢ʃiŋ⸣gai{/SqBr}(かすがい<鎹>)のように、ちきりじめ<滕締め>としてうめこむ<填め込む>もの)だけで杉板を接いで造った漁業用の小舟。 1883 0 0 1728 htmvoc_1883.wav イダフニ ⸣イダフニ [⸣ʔidaɸuni] 名 {Exp_1}船体に関する語彙。{Rel_1}⸢マイ⸣ジラ[⸢mai⸣ʤira](前面、舳先の前面{EOS}鋭三角形をなす所)、{Rel_2}パ⸢ナイザキ[pa⸢naiʣaki](舳先の上面、帆柱を倒して掛けておく所{EOS}帆柱を安定させるため凹状に木を刳り抜いたものを打ちつけてある)、{Rel_3}パ⸢ナ[pa⸢na](舳先の内側の⸢アン⸣カージナ{SqBr}⸢ʔaŋ⸣kaːʤina{/SqBr}<アンカーロープ>を結んでおく所{EOS}<鼻>の義か)、{Rel_4}⸢マイユッカー⸣マ[⸢maijukkaː⸣ma](「小前床」の義{EOS}板を張って両舷側に渡した小さい床板{EOS}これに座って船を漕ぐ)、{Rel_5}⸢ウシカキ[ʔu⸢ʃikaki](帆柱を立てるために中央に長方形の穴をあけた一種の梁{EOS}厚さ約一寸五分、幅約五寸、長さ約四尺<これは舟の大きさにより異なる>で板舟の両舷側に固定されている{EOS}両舷側の上部に幅約一寸、厚さ約七分、長さ約七寸の棒で押さえ縛って固定してある)、{Rel_6}パ⸢ラータティ⸣ミー[pa⸢raːtati⸣miː](帆柱を立てる際、根元を固定するための穴{EOS}ウ⸢シカキの真下よりやや前方にずらしてある{EOS}従って帆柱はやや後方に傾いて立つ)、{Rel_7}⸢シー⸣キサ[⸢ʃiː⸣ki̥sa](帆柱を固定するのに用いる一種の楔{EOS}\ruby{鍔}{ツバ}の付いた台形の楔二個、鍔のない台形の楔一個、風力に合わせて帆柱の角度を調節する)、{Rel_8}⸣マンタヌ ⸢ヨーカ⸣ミー[⸣mantanu ⸢joːka⸣miː](前の湯淦排水用穴<湯淦孔>、パ⸢ラータティ⸣ミー の直前にある)、{Rel_9}⸢マイユッ⸣カ[⸢maijuk⸣ka](前床板)。ウ⸢シカキの直後にある。これに座って帆を揚げ下ろしする人を⸢ピーヌール[⸢piːnuːru](「舳乗り」の義{EOS}という )、{Rel_10}ナ⸢カユッ⸣カ[na⸢kajuk⸣ka](中床板)、{Rel_11}トゥ⸢ムユッ⸣カ[tu⸢mujuk⸣ka](艫の床板、船頭の座る床板)、{Rel_12}⸢ハイ⸣グヮー[⸢hai⸣gwaː](艫の小梁、直径2寸ほどの棒を艫の両舷側に渡し、固定したもの{EOS}その下に銅線で両舷側を締め、⸢ハイ⸣グヮーとしっかり巻き締めてある{EOS}これとウ⸢シカキ⸣で⸣イダフニの船腹部を固めている)、{Rel_13}トゥ⸢ム⸣ヌ ユッ⸢カー⸣マ[tu⸢mu⸣nu juk⸢kaː⸣ma](艫の小さな床板)、{Rel_14}トゥ⸢ム⸣ジラ[tu⸢mu⸣ʤira](艫面、艫の正三角形部分{EOS}内側には綱を通す穴がある)、{Rel_15}⸢ウシキ⸣ヤー[⸢ʔuʃi̥ki⸣jaː](両舷側の上部を幅約一寸、厚さ約五分の固い板で押さえたもの{EOS}舟を漕ぐ際に櫂で両舷が擦り減らないように保護するもの)、{Rel_16}サ⸢ギ⸣ヤー[sa⸢gi⸣jaː](さげるもの{EOS}竹のフロート{EOS}直径約10センチ、長さ約2メートルの竹{EOS}ローリングを防ぐための一種のフロートの機能を果たす{EOS}外洋へ出漁する際は、これを船腹に吊り下げた)、{Rel_17}タ⸢ナ[ta⸢na](棚板、⸣イダフニに積荷をする際波頭が舷側より打ち込むのを防ぐため、両舷側に装着する板{EOS}幅約七寸、厚さ五分、長さ約六尺の板を二枚ずつ組み合わせて使用した{EOS}主に船腹部と舳先に装着した)、{Rel_18}⸢カー⸣ラ[⸢kaː⸣ra](舟の前方船底につける一種の竜骨{EOS}これは⸢プーザンプー{SqBr}⸢puːʣampuː{/SqBr}を張って操船する際、波を切って風上に舟を走らせる機能を果たす)、{Rel_19}⸣ヤク[⸣jaku](櫂{EOS}トゥ⸢ム⸣ヤク{SqBr}tu⸢mu⸣jaku{/SqBr}<「艫櫂」の義{EOS}船頭が舵をとるのに用いる>、ヤ⸢コー⸣マ{SqBr}ja⸢koː⸣ma{/SqBr}<小さな櫂>などがある)、{Rel_20}⸢ユー⸣トゥル[⸢juː⸣turu](舟の淦を汲み取る道具{EOS}ア⸢カ⸣トゥル{SqBr}ʔa⸢ka⸣turu{/SqBr}ともいう{EOS}⸣マチ{SqBr}⸣maʧi{/SqBr}<松>の幹を刳って作る)。 1883 0 0 1729 htmvoc_1883.wav イダフニ ⸣イダフニ [⸣ʔidaɸuni] 名 {Exp_2}帆に関する語彙。{Rel_1}⸢プー[⸢puː](帆)、{Rel_2}フ⸢クル⸣プー[ɸu̥⸢kuru⸣puː](和船式の帆{EOS}柱が帆の中心になるように作られている)、{Rel_3}⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː](沖縄のサバニ独特の帆{EOS}竹の竿<直径約3センチ、長さ約2・4メートル>を帆の桟に用いて作られた帆)、{Rel_4}ミ⸢ナー[mi⸢naː](帆を吊り上げる縄)、{Rel_5}⸢ティン⸣ナー[⸢tin⸣naː](帆を操作する縄{EOS}帆の桟の右端から5~6本の小さな縄が船頭の手元に集められているもの<⸢手縄」の義>)、これらが⸣イダフニの構成要素である。糸満漁民や久高漁民、 奥武漁民の中には鳩間島でイカ漁を操業するために⸣イダフニを二艘並べて帆柱でがっちりと結わえ、双胴船仕立てにし、糸満から鳩間島まで帆走してきたという。漁を終えたら⸣イダフニを鳩間の人に売り、漁獲物を石垣経由那覇行きの定期船に積み込んで帰ったという 1885 0 0 1730 htmvoc_1885.wav イタムン イ⸢タ⸣ムン [ʔi⸢ta⸣muŋ] 自動 生ものが傷む。腐敗しはじめる。標準語からの借用語。 ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ カ⸢ツ ネーサン⸣カー カ⸢ツォー⸣ イ⸢タミ⸣ス⸢ダー パイ⸣サ ⸢ネーシ [⸢kis⸣su ⸢ʃiː⸣ kḁ⸢ʦu neːsaŋ⸣kaː kḁ⸢ʦoː⸣ ʔi⸢tami⸣su⸢daː pai⸣sa ⸢neːʃi] (一所懸命に<競争して>カツオを煮ないとカツオは傷むぞ{EOS}早く煮なさい) 1888 0 0 1731 htmvoc_1888.wav イタランムニ イ⸢タラン⸣ ムニ [ʔi⸢taram⸣ muni] 連 意を尽くせぬ言葉<もの言い>。不十分な表現。 イ⸢タラン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ ミーワクバ⸣ カキ⸢ブー⸣ クトー ⸣クナイ ッ⸢ふォー⸣リ [ʔi⸢taram⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi miːwakuba⸣ kaki⸢buː⸣ kutoː ⸣kunai f⸢foː⸣ri] (不十分なもの言いをして迷惑をかけていることはお許し<堪えて>ください) 1889 0 0 1732 htmvoc_1889.wav イタランムヌ イ⸢タラン⸣ ムヌ [ʔi⸢taram⸣ munu] 連 行き届かないもの。未熟者。 イ⸢タラン⸣ ムヌ ヤ⸢レースヌ⸣ イ⸢ジナラーシェー⸣ティ ⸢ヤー⸣キナイ タ⸢タ⸣シミ タ⸢ボー⸣ローリ [ʔi⸢taram⸣ munu ja⸢reːsunu⸣ ʔi⸢ʤinaraːʃeː⸣ti ⸢jaː⸣kinai tḁ⸢ta⸣ʃimi ta⸢boː⸣roːri] (未熟な者ですが叱咤激励して頂いて家庭を作らせて<家庭を成り立たせて>ください) 1507 0 0 1733 htmvoc_1507.wav イダリー イ⸢ダリー [ʔi⸢dariː] 感 まあ汚い。ああいやだ。ああつまらない。強調すると、ダー⸢リー[daː⸢riː](まあ汚い)、イーダ⸢ラー[ʔiːda⸢raː](まあ汚い)ともいう。 イーダ⸢リー ワー キン⸣ヌ シ⸢ベー⸣ムー⸢ル⸣ ドゥ⸢ルゴー⸣ダー ⸢シーベー [ʔiːda⸢riː waː kin⸣nu ʃi⸢beː⸣ muː⸢ru⸣ du⸢rugoː⸣daː ⸢ʃiːbeː] (まあ汚い{EOS}君の着物の尻はみんな泥まみれだ<泥まみれになっている>よ) 1886 0 0 1734 htmvoc_1886.wav イダリー イダ⸢リー [ʔida⸢riː] 感 ああ嫌だ。まあ汚い。イダ⸢ラー[ʔida⸢raː](まあ汚い)ともいう。イーダ⸢リー[ʔiːda⸢riː](なんとまあ汚いことよ)は心底より軽蔑した表現。 イダ⸢リー⸣ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ カ⸢サマラヌ [ʔida⸢riː⸣ ja⸢nija⸣nu kḁ⸢samaranu] (ああ嫌だ{EOS}汚くて掴むことが出来ない)。 イーダ⸢リー⸣ ドゥ⸢クドゥク ワー⸣ アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シーシター [ʔiːda⸢riː⸣ du⸢kuduku waː⸣ ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiːʃi̥taː] (ああ汚い{EOS}あろうことか<何ということか>、君は本当にあんなことをしてしまったのか) 1887 0 0 1735 htmvoc_1887.wav イダリイダリー イダリイダ⸢リー [ʔidariʔida⸢riː] 感 ああ汚い。何と汚いことよ。 イダリイダ⸢リー⸣ キ⸢ムフク⸣レー ッ⸢スゴー⸣ダー ⸢スン⸣ケン ビータレーティ ⸣ヌーッツァ ⸣ムンヤ [ʔidariʔida⸢riː⸣ ki⸢mufuku⸣reː s⸢sugoː⸣daː ⸢suŋ⸣kem ⸣biːtareːti ⸣nuːtʦa ⸣muɲja] (ああ汚い{EOS}なんとまあ汚いことか{EOS}糞まみれになるまで酔いつぶれて何たることか) 1877 0 0 1736 htmvoc_1877.wav イタンダ イ⸢タン⸣ダ [ʔi⸢tan⸣da] 名 無報酬。無益。無料。無賃。効果のないこと。役に立たないこと。「~時の盛りを伊多豆良尓<イタヅラニ>~。万、3969。(徒<いたずら>)」の音韻変化した形。 イ⸢タンダシグ⸣トゥ カー⸢ニ⸣ シ⸢ミラリベー [ʔi⸢tandaʃigu⸣tu kaː⸢ni⸣ ʃi⸢miraribeː] (無報酬の仕事だけさせられている)。 イ⸢タンダ⸣ムノー ⸢ダイダカー⸣ン [ʔi⸢tanda⸣munoː ⸢daidakː⸣ŋ] (只で得るものは後になって高価な代価を払うことになる<只の物は値段が高い>)。 イ⸢タン⸣ダ ヤ⸢ル⸣カ ム⸢タ⸣リスコー ⸣ムティクー [ʔi⸢tan⸣da ja⸢ru⸣kaː mu⸢ta⸣risu̥koː ⸣mutikuː] (金がかからない<只、無賃>なら持てるだけ持って来いよ)。 イ⸢タンダムヌ⸣ヌ ⸣スコー ⸢ダイヌ⸣ タ⸢カー⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢tandamunu⸣nu ⸣su̥koː ⸢dainu⸣ tḁ⸢kaː⸣ munoː ⸢naː⸣nu] (無料の物ほど値段の高いものはない<無料の物ほど高くつく>) 1878 0 0 1737 htmvoc_1878.wav イタンダシゥカイ イ⸢タンダ⸣シゥカイ [ʔi⸢tanda⸣sï̥kai] 名 無報酬で使うこと。ただ使い。無料で使われること。「いたずら使い」の義。 プ⸢スン⸣ ナー⸢イ⸣ イ⸢タンダ⸣シゥカイ シ⸢ラリ ベー [pu̥⸢sun⸣ naː⸢i⸣ ʔi⸢tanda⸣si̥kai ʃi⸢rari beː] (他人にただ使い<無料奉仕>されている)。 プ⸢スバ⸣ ナー⸢イ⸣ ギ⸢シ⸣ヌ カタチニ イ⸢タンダ⸣シゥカイ ⸢スーモー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢シーダイバー⸣キ タ⸢タ⸣ルンティ⸢ダー [pu̥⸢suba⸣ naː⸢i⸣ gi⸢ʃi⸣nu ⸣kḁtaʧini ʔi⸢tanda⸣sï̥kai ⸢suːmoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢ʃiːdaibaː⸣ki tḁ⸢ta⸣runti⸢daː] (他人をただ下衆<下司>のように只使いするものではない{EOS}末代までたたるそうだよ) 1892 0 0 1738 htmvoc_1892.wav イタンダジン イ⸢タンダ⸣ジン [ʔi⸢tanda⸣ʤiŋ] 名 無駄銭。無益なことに使う金。 ⸣ヤコー タ⸢タン⸣ ムヌバ タ⸢ナ⸣ミティ イ⸢タンダ⸣ジン シゥ⸢カイ⸣ プ⸢リムヌ [⸣jakoː tḁ⸢tam⸣ munuba ta⸢na⸣miti ʔi⸢tanda⸣ʤin si̥⸢kai⸣ pu⸢rimunu] (役に立たない者を頼んで、無駄銭を使って馬鹿だよ) 1879 0 0 1739 htmvoc_1879.wav イタンダッサーク イ⸢タンダッサー⸣ク [ʔi⸢tandassaː⸣ku] 名 ただ働き。無駄働き。無報酬の仕事。「いたずら働き」の義。 ⸢ピントゥルピン⸣ イ⸢タンダッサーク⸣バ ⸢シー アー⸣ク [⸢pinturupiŋ⸣ ʔi⸢tandassaːku⸣ba ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (毎日ただ働きをしている) 1895 0 0 1740 htmvoc_1895.wav イタンダッふァイ イ⸢タンダ⸣ッふァイ [ʔi⸢tanda⸣ffai] 名 無駄食い。ただ食い。居候。 ⸣スブットゥ ⸣ナリティ パ⸢タラケー⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ イ⸢タンダ⸣ッふァイ ⸢シーベー [⸣subuttu ⸣nariti pḁ⸢tarakeː⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i ʔi⸢tanda⸣ffai ⸢ʃiːbeː] (怠け者になって働きはしないで、ただ無駄食いをしている) 1880 0 0 1741 htmvoc_1880.wav イタンダパタラキ イ⸢タンダパタラ⸣キ [ʔi⸢tandapḁtara⸣ki] 名 ただ働き。無駄働き。無報酬の仕事。 ⸣ドゥク イ⸢タンダパタラ⸣ケー ス⸢ナ⸣ヨー [⸣duku ʔi⸢tandapḁtara⸣keː su⸢na⸣joː] (あまりただ働きをするなよ) 1893 0 0 1742 htmvoc_1893.wav イタンダパタラキ イ⸢タンダパタ⸣ラキ [ʔi⸢tandapata⸣raki] 名 無駄働き。手間賃を貰わない働き。只働き。 プ⸢スン⸣ヤーヌ イ⸢タンダパタ⸣ラキ カー⸢ニ⸣ シ⸢ティ⸣ ノー⸢ン⸣ ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [pu̥⸢suɲ⸣janu ʔi⸢tandapata⸣raki kaː⸢ni⸣ ʃi̥⸢ti⸣ noː⸢ɲ⸣ jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (他家のための<他人の家の>只働きだけして何の役にも立たない) 1881 0 0 1743 htmvoc_1881.wav イタンダムヌ イ⸢タンダ⸣ムヌ [ʔi⸢tanda⸣munu] 名 無料のもの。代金の要らないもの。ただの物品。 イ⸢タンダ⸣ムノー ⸢ダイ⸣ タ⸢カー⸣ン [ʔi⸢tanda⸣munoː ⸢dai⸣ tḁ⸢kaː⸣ŋ] (無料の物は却って値段が高くつく) 1896 0 0 1744 htmvoc_1896.wav イチ ⸣イチ [⸣ʔiʧi] 名 一。 ⸣イチダイ [⸣ʔiʧidai] (一台、一代) イ⸢チ⸣リ [ʔi⸢ʧi⸣ri] (一里) イ⸢チニン [ʔi⸢ʧiniŋ] (一年) イ⸢チニ⸣チ [ʔi⸢ʧini⸣ʧi] (一日))。「一」に下接する形態素の頭子音が無声子音[p、t、k、s]の場合、[-ʧi]が融合変化を起こして促音となり、続く無声子音の形をとる。有声子音[b, d, g, z]の場合は融合変化はおこらない。 ⸢イッ⸣ス [⸢ʔis⸣su] (一升) ⸢イッ⸣タン [⸢ʔit⸣taŋ] (一反) ⸢イッキン [⸢ʔikkiŋ] (一斤) ⸢イッパン [⸢ʔippaŋ] (一班) ⸢イップン [⸢ʔippuŋ] (一分))。 ア⸢ブ⸣ジェー イ⸢チダイ⸣シ ウ⸢ヤ⸣キ ナ⸢ローッ⸣タツォー [ʔa⸢bu⸣ʤeː ʔi⸢ʧidai⸣ʃi ʔu⸢ja⸣ki na⸢roːt⸣taʦoː] (お祖父さんは一代で金持ちになられたそうだ) 1897 0 0 1745 htmvoc_1897.wav イチ イ⸢チ [ʔi⸢ʧi] 名 いつつ。五。イ⸢チナン⸣カ[ʔi⸢ʧinaŋ⸣ka](五七日忌)、イ⸢チ⸣シキ[ʔi⸢ʧi⸣ʃi̥ki](五ヶ月)、⸢イシゥ⸣カ[⸢ʔisï̥⸣ka](五日)の[sï̥]は2音節目の狭母音[u]が無声子音の破擦音[ʦ]の弱化に伴なう摩擦音化した[s]と三音節目の母音[a]に挟まれて無声化し、アクセントも語頭に移動して中舌母音化したものである。「アーパーレー イシカマーシ イワイス(35連)/アーパーレー ナンカマーシ イワイス(36連)/アーパーレー トゥズミーヌ カイサヤ/(37連)『アーパーレアー節(はやみく)』(五日連続で祝おう、七日連続で祝おう 完成した家のみごとさよ)の意」。 パ⸢ルミ⸣プソー イ⸢チ⸣シキ ⸢ペーリ⸣ブーティバン [pa⸢rumi⸣pu̥soː ʔi⸢ʧi⸣ʃi̥ki ⸢peːri⸣buːtibaŋ] (妊婦は五ヶ月に入っているんだってよ) 1898 0 0 1746 htmvoc_1898.wav イチ イ⸢チ [ʔi⸢ʧi] 代 いつ。何時。不定の時を表す語。時点、時代を問うのに用いる。「~行く吾を何時伎麻佐武等<イツ・キマサムト>~。万、3897」の転訛したもの。 イ⸢チ⸣ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢クー⸣タ [ʔi⸢ʧi⸣ ʔu⸢ki⸣naːra ⸢kuː⸣ta] (いつ<何時>沖縄から来たのか)。 イ⸢サナケー⸣ イ⸢チ⸣ パ⸢ル⸣ワ [ʔi⸢sanakeː⸣ ʔi⸢ʧi⸣ pa⸢ru⸣wa] (石垣へはいつ行くか)。 イ⸢ガメー⸣ イ⸢チェー⸣ラ イ⸢チバー⸣キ ⸢ソーッ⸣タカヤー [ʔi⸢gameː⸣ ʔi⸢ʧeː⸣ra ʔi⸢ʧibaː⸣ki ⸢soːt⸣takajaː] (イカ釣り漁<イカ海>はいつからいつまでなさったのかねえ) 1899 0 0 1747 htmvoc_1899.wav イチイチ イ⸢チイチ [ʔi⸢ʧiʔiʧi] 代 いついつ。「いつ(何時)」の重言。強調表現。 イ⸢チイチル⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミー⸣ウティ ⸢ソー⸣レー ピ⸢ニチ⸣ティ ⸣ウブイ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔi⸢ʧiʔiʧiru⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢miː⸣ʔuti ⸢soː⸣reː pi⸢niʧi⸣ti ⸣ʔubui ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (いついつが<ぞ>親の命日<落命された日>だと覚えておきなさいよ) 1900 0 0 1748 htmvoc_1900.wav イチイチ イ⸢チ⸣イチ [ʔi⸢ʧi⸣ʔiʧi] 副 いちいち。一つ一つ。一つ一つ総て。標準語からの借用語か。老年層は、⸢ピーチピー⸣チ[⸢piːʧipiː⸣ʧi](一つ一つ)という。 イ⸢チ⸣イチ シ⸢ラビナウ⸣シ ⸢サン⸣ミン サ⸢バル⸣ ナル [ʔi⸢ʧi⸣ʔiʧi ʃi⸢rabinau⸣ʃi ⸢sam⸣min sa⸢baru⸣ naru] (一つ一つ<総て>調べ直して計算しないといけない<計算すればぞなる>) 1952 0 0 1749 htmvoc_1952.wav イチェーラ イ⸢チェーラ [ʔi⸢ʧeːra] 連 何時から。何日から。[ʔiʦu] + [kara] → [ʔiʧihara] → [ʔʧiara] → [ʔiʧeːra](何日から、何時から)と音韻変化したもの。 ⸢ガッコー⸣ヤ イ⸢チェーラ⸣ パ⸢ジマルワ [⸢gakkoː⸣ja ʔi⸢ʧeːra⸣ pa⸢ʤimaruwa] (学校は何時<何日>から始まるか) 1903 0 0 1750 htmvoc_1903.wav イチェーラジューバーキ ⸣イチェーラ ジュー⸢バー⸣キ [⸣ʔiʧeːra ʤuː⸢baː⸣ki] 連 一から十まで総て。 ⸣イチェーラ ジュー⸢バー⸣キ ギ⸢チ⸣ サ⸢バル⸣ ナ⸢ル [⸣ʔiʧeːra ʤuː⸢baː⸣ki gi⸢ʧi⸣ sa⸢baru⸣ na⸢ru] (何から何まで<一から十まで>指図<下知>しないといけないのか<下知すればこそできるのか>) 1953 0 0 1751 htmvoc_1953.wav イチェーラジューバーキ ⸣イチェーラ ⸣ジュー⸢バー⸣キ [⸣ʔiʧeːra ⸣ʤuː⸢baː⸣ki] 連 一から十まで。何から何まで。総て。 ⸢ティーバ⸣キ ⸢シェー⸣ティ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ムヌ ⸣イチェーラ ジュー⸢バー⸣キ ⸣ドゥーシ サ⸢バル⸣ ナ⸢ル [⸢tiːba⸣ki ⸢ʃeː⸣ti ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣munu ⸣ʔiʧeːra ⸣ʤuː⸢baː⸣ki ⸣duːʃi sa⸢baru⸣ na⸢ru] (手分けしてしないといけないのに、一から十まで総て自分でしなければならないのか<反問>) 1901 0 0 1752 htmvoc_1901.wav イチカ イ⸢チカ [ʔi⸢ʧika] 副 何時か。いつの日か。いづれかの時に。未来の特定できない時を表す。 イ⸢チカ⸣ マー⸢ズン⸣シ ウ⸢キ⸣ナー ⸢ギー⸣ミラ⸢ナー [ʔi⸢ʧika⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ʔu⸢ki⸣naː ⸢giː⸣mira⸢naː] (いつか一緒に沖縄へ行ってみようねえ) 1902 0 0 1753 htmvoc_1902.wav イチグル イ⸢チグル [ʔi⸢ʧiguru] 名 いつごろ(何時頃)。過去のことや未来の件について、おおよその日時を表す。 ウ⸢レー⸣ イ⸢チグルヌ⸣ パ⸢ナ⸣シヤー [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʧigurunu⸣ pa⸢na⸣ʃijaː] (それは何時頃の話しか)。 イ⸢チグル⸣ パ⸢ラリ⸣ワ [ʔi⸢ʧiguru⸣ pa⸢rari⸣wa] (何時ごろ行けるか) 1916 0 0 1754 htmvoc_1916.wav イチシキ イ⸢チ⸣シキ [ʔi⸢ʧi⸣ʃi̥ki] 名 (数)五ヶ月。 パ⸢ルミ⸣プソー イ⸢チ⸣シキ ⸣ナルカー ハ⸢ラ⸣ウビ シ⸢モーッ⸣タン [pa⸢rumi⸣pu̥soː ʔi⸢ʧi⸣ʃi̥ki ⸣narukaː ha⸢ra⸣ʔubi ʃi⸢moːt⸣taŋ] (妊婦は五ヶ月になると腹帯<岩田帯>を締められた) 1956 0 0 1755 htmvoc_1956.wav イチダイ ⸣イチダイ [⸣ʔiʧidai] 名 一代。普通はウ⸢ヤ⸣ヌダイ[ʔu⸢ja⸣nu ⸣dai](親の代)、⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ダイ[⸢duː⸣nu ⸣dai](自分の代)のように用いる。 ⸣アブジェー ⸣ドゥー ⸣イチダイシ ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ザイサン ア⸢ラ⸣ソーッタツォー [⸣ʔabuʤeː ⸣duː ⸣ʔiʧidaiʃi ʔu⸢bi⸣nu ⸣ʣaisaŋ ʔa⸢ra⸣soːttaʦoː] (お祖父さんは自分の一代であれだけの財産を作られた<生「アル」の他動詞形>されたそうだ) 1917 0 0 1756 htmvoc_1917.wav イチチ イ⸢チ⸣チ [ʔi⸢ʧi⸣ʧi] 名 (数)五つ。五歳。多くは歌謡語として用いられる。日常的には、イ⸢チッ⸣チ[ʔi⸢ʧit⸣ʧi](五つ)という。「五穀、以都々之太奈豆毛乃<いつつのたなつもの>~。」『和名抄』の「以都々」から転訛したもの。 ム⸢チェー⸣ イ⸢チチ⸣ナー ⸣バキティ ムー⸢ル⸣ニ ⸢パイリ [mu⸢ʧeː⸣ ʔi⸢ʧiʧi⸣naː ⸣bakiti muː⸢ru⸣ni ⸢pairi] (餅は五個ずつ<五つずつ>分けてみんなに配りなさい) 1921 0 0 1757 htmvoc_1921.wav イチチング イ⸢チチン⸣グ [ʔi⸢ʧiʧiŋ⸣gu] 名 五品の料理。「五つ組」の義。祝儀の御膳。 ⸢イー⸣トゥ ⸣スー イ⸢ズナマシ ティン⸣プラ ⸢コー⸣シ ⸣ウビ プ⸢ス⸣ジンナー ス⸢ルイ⸣ルカー イ⸢チチン⸣グ ⸣ナルシジ [⸢ʔiː⸣tu ⸣suː ʔi⸢ʣunamaʃi tim⸣pura ⸢koː⸣ʃi ⸣ʔubi pu̥⸢su⸣ʤinnaː su⸢rui⸣rukaː ʔi⸢ʧiʧiŋ⸣gu ⸣naruʃiʤi] (飯<いい>とお汁<汁>、魚の刺身<魚膾>、てんぷら、菓子、それだけを一膳に揃えたら五つ組のご馳走になる訳だ) 1918 0 0 1758 htmvoc_1918.wav イチッカラ イ⸢チッ⸣カラ [ʔi⸢ʧik⸣kara] 名 五匹。⸣カラ[⸣kara](匹、頭)は、陸の動物、海の動物を数える助数詞。 ウ⸢シェー⸣ プ⸢スッ⸣カラ ⸢オー⸣ヤ フ⸢タッカラ⸣ ピ⸢ビザン⸣ フ⸢タッカラ⸣ ムー⸢ル⸣シ イ⸢チッ⸣カラ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ブン⸠ダー [ʔu⸢ʃeː⸣ pu̥⸢suk⸣kara ⸢ʔoː⸣ja ɸu̥⸢takkara⸣ pi⸢biʣaŋ⸣ ɸu̥⸢takkara⸣ muː⸢ru⸣ʃi ʔi⸢ʧik⸣kara sï̥⸢ka⸣nai ⸢bun⸠daː] (牛は一頭、豚は二匹、山羊も二匹、全部で五匹飼育しているよ) 1919 0 0 1759 htmvoc_1919.wav イチッチ イ⸢チッ⸣チ [ʔi⸢ʧit⸣ʧi] 名 (数)五つ。五歳。 ッ⸢ふァヌ⸣ トゥシェー ク⸢トゥシ⸣ イ⸢チッ⸣チ ⸣ナルン [f⸢fanu⸣ tuʃeː ku̥⸢tuʃi⸣ ʔi⸢ʧit⸣ʧi ⸣naruŋ] (子供の年齢<とし>は今年五歳になる)。 シ⸢ントゥ⸣ イ⸢チッチ⸣ル ヌ⸢カ⸣レー [ʃin⸢tu⸣ ʔi⸢ʧitʧi⸣ru nu⸢ka⸣reː] (たった五つしか残ってない<五つぞ残っている>) 1920 0 0 1760 htmvoc_1920.wav イチッチン イ⸢チッ⸣チン [ʔi⸢ʧit⸣ʧiŋ] 名 (数)五つ。五個。イ⸢チッ⸣ク[ʔi⸢ʧik⸣ku](五個)ともいう。 フ⸢ナ⸣ブ イ⸢チッ⸣チン ⸣ブリキー⸢ミー [ɸu⸢na⸣bu ʔi⸢ʧit⸣ʧim ⸣burikiː⸢miː] (蜜柑<九年母>を五個捥いで<折って>きてごらん) 1923 0 0 1761 htmvoc_1923.wav イチデージ イ⸢チデージ [ʔi⸢ʧideːʤi] 名 一大事。大変なこと。「一大事」の転訛したもの。鳩間方言音韻法則では連母音[ai]は[eː]にならない。従って石垣方言のイ⸢チゥデ⸣ージゥ[ʔi⸢ʦïde⸣ːʣï](一大事)から転訛したものであることが分かる。 ⸢マイカリ⸣ ジ⸢ブン⸣ナー ⸢タイフー⸣ヌ ⸣フクカー イ⸢チデージゲ⸣ラ [⸢maikri⸣ ʤi⸢bun⸣naː ⸢taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kukaː ʔi⸢ʧideːʤige⸣ra] (稲刈りの時期<時分>に台風が吹くと一大事になるさ) 1922 0 0 1762 htmvoc_1922.wav イチティ イ⸢チ⸣ティ [ʔi⸢ʧi⸣ti] 名 五年。「五つ年」の義。⸣ティー [⸣tiː](年)は助数詞。 シ⸢マー⸣ラ ⸣ンジティ イ⸢チ⸣ティ ⸣ナルンケン シ⸢マー⸣ パ⸢リユーサ⸣ナ ⸢ベー⸠ツォー [ʃi⸢maː⸣ra ⸣ʔnʤiti ʔi⸢ʧi⸣ti ⸣naruŋkeŋ ʃi⸢maː⸣ pa⸢rijuːsa⸣na ⸢beː⸠ʦoː] (島から出て5年になるまで島へ帰り得ないでいるんですよ<自嘲気味>) 1924 0 0 1763 htmvoc_1924.wav イチドゥ イ⸢チ⸣ドゥ [ʔi⸢ʧi⸣du] 名 一度。一回。標準語からの借用語。老年層は、プ⸢ス⸣ムシ フ⸢タムシ[pu̥⸢sumu⸣ʃi ɸu̥⸢tamuʃi](一度<回>、二度<回>)という。 ウ⸢キ⸣ナーヤ ⸢ニンニ⸣ イ⸢チ⸣ドゥ ⸣ニドゥブカラー パルン⸢ダー [ʔu⸢ki⸣naːja ⸢ninni⸣ ʔi⸢ʧi⸣du ⸣nidubukaraː parun⸢daː] (沖縄へは年に一度か二度ほど行くよ) 1925 0 0 1764 htmvoc_1925.wav イチナンカ イ⸢チナン⸣カ [ʔi⸢ʧinaŋ⸣ka] 名 五七日忌。死後五週目に執り行われる法事。一、三、五の法事は偶数の七日忌よりも重要視され、七週目の七七日忌は⸣シンズク[⸣ʃinʣuku](四十九日)といわれて大きく執り行われる。 ⸢ウーパ⸣ヤー イ⸢チナン⸣カ ナ⸢リシタ⸣ メー プ⸢スヌ⸣ シ⸢ネー⸣ ア⸢チサー⸣ヌ ⸢ピー⸣ルンネーティ ア⸢ザリブーヌ フントー⸣ユン⸢ナー [⸢ʔuːpa⸣jaː ʔi⸢ʧinaŋ⸣ka na⸢riʃi̥ta⸣ meː pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢neː⸣ ʔa⸢ʧisaː⸣nu ⸢piː⸣runneːti ʔa⸢ʣaribuːnu ɸuntoː⸣jun⸢naː] (そんなに早く五七日忌になったのか、もう{EOS}人の死は熱い茶が冷めるように忘れやすいというが<熱い茶が冷めるようだといわれているが>本当だねえ) 1926 0 0 1765 htmvoc_1926.wav イチニチ イ⸢チニ⸣チ [ʔi⸢ʧini⸣ʧi] 名 一日。新しく標準語から借用語されたもの。普通は⸣プスイ[⸣pu̥sui](一日)、⸢フシゥカ[⸢ɸusï̥ka](二日)のように数える。 ⸣キュー イ⸢チニ⸣チンツァン ⸣マティ ⸢ふィーララン⸣カヤー [⸣kjuː ʔi⸢ʧini⸣ʧinʦam ⸣mati ⸢fiːraraŋ⸣kajaː] (今日一日だけでも待ってもらえないか<くれないか>ねえ) 1927 0 0 1766 htmvoc_1927.wav イチニン イ⸢チニン [ʔi⸢ʧiniŋ] 名 一年。新しく標準語から借用されたもの。普通は、プ⸢ス⸣トゥシ[pu̥⸢su⸣tu̥ʃi](一年)、フ⸢タトゥシ[ɸu̥⸢tatuʃi](ニ年)のように数える。 ヤ⸢ラ⸣ベー イ⸢チニン⸣シ ク⸢ビ⸣ナー フ⸢ドゥビスバン⸠ナー [ja⸢ra⸣beː ʔi⸢ʧiniŋ⸣ʃi ku⸢bi⸣naː ɸu⸢dubisuban⸠naː] (子供は一年でこんなにも<これほどに>成長するものだねえ) 1928 0 0 1767 htmvoc_1928.wav イチヌジン イ⸢チ⸣ヌ ⸢ジン [ʔi⸢ʧi⸣nu ⸢ʤiŋ] 連 一の膳。大きな神事の際に第一番に供える供物。祝儀の席で客に出す第一番目の料理。 イ⸢チ⸣ヌ ⸢ジン⸣ ピ⸢キティ ニー⸣ヌ ⸢ジン⸣ シ⸢キリ⸣バ [ʔi⸢ʧi⸣nu ⸢ʤim⸣pi̥⸢kiti niː⸣nu ⸢ʤiŋ⸣ ʃi̥⸢kiri⸣ba] (一の膳を下げて二の膳を供えなさい) 1947 0 0 1768 htmvoc_1947.wav イチヌマドゥ イ⸢チヌ⸣ マドゥ [ʔi⸢ʧinu⸣ madu] 連 何時の間に。 マ⸢ナマバー⸣キ ウナー ⸢ベータヌン⸣ドゥ イ⸢チヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣ル ⸢パッ⸣タユー ブ⸢ラーン⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢namabaː⸣ki ⸣ʔunaː ⸢beːtanun⸣du ʔi⸢ʧinu⸣ ma⸢du⸣ru ⸢pat⸣tajuː bu⸢raːn⸣nari ⸢naː⸣nu] (今までそこに居たが、何時の間に行ったのか、いなくなってしまった) 1904 0 0 1769 htmvoc_1904.wav イチバーキン イ⸢チバー⸣キン [ʔi⸢ʧibaː⸣kiŋ] 連 いつまでも。イ⸢チンバー⸣キン[ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ](何時までも)ともいう。 イ⸢チバー⸣キン ウ⸢ヤ⸣ヨー ア⸢ティバ シー アー⸣ケー ナ⸢ラン⸠ダー [ʔi⸢ʧibaː⸣kiŋ ʔu⸢ja⸣joː ʔa⸢tiba ʃiː ʔaː⸣keː na⸢ran⸠daː] (いつまでも親を当てにしていてはいけないよ<ならないよ>)。 ⸣ウヤー イ⸢チンバー⸣キン ブ⸢ラーン⸠ダー [⸣ʔujaː ʔi⸢ʧimbaː⸣kim bu⸢raːn⸠daː] (親はいつまでも<生きては>いないよ) 1931 0 0 1770 htmvoc_1931.wav イチバン イ⸢チ⸣バン [ʔi⸢ʧi⸣baŋ] 名 一番。 ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン⸣ プ⸢ス⸣ イ⸢チ⸣バン ⸣ナリ ⸢マイフナー ユン [noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirubam⸣ pu̥⸢su⸣ ʔi⸢ʧi⸣ban ⸣nari ⸢maiɸunaː juŋ] (何をさせても他人より勝って一番になり、お利口さん<賢い子>だねえ) 1932 0 0 1771 htmvoc_1932.wav イチバンウラザ イ⸢チバンウラ⸣ザ [ʔi⸢ʧibanʔura⸣ʣa] 名 一番座の裏の小部屋。長男が成長するとそこへ移った。ユ⸢コー[ju⸢koː](裏座)ともいう。 サ⸢クシッふァ⸣ヌ フ⸢ドゥブ⸣カー イ⸢チバンウラ⸣ザナーティル ⸣ウキニビ シ⸢タル [sḁ⸢kuʃiffa⸣nu ɸu⸢dubu⸣kaː ʔi⸢ʧibaŋʔura⸣ʣanaːtiru ⸣ʔukinibi ʃi̥⸢taru] (長男が成長したら一番裏座で寝起きをしたものだ) 1933 0 0 1772 htmvoc_1933.wav イチバンザー イ⸢チバン⸣ザー [ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː] 名 一番座。床の間の座敷。⸢ザー⸣トゥク[⸢ʣaː⸣tu̥ku](床の間)には、先祖伝来の大香炉の外に、⸢コン⸣ジン[⸢kon⸣ʤiŋ](「根神」の義か{EOS}当家で生まれた子女が信仰する神{EOS}娘のために小さな香炉を設け、娘が嫁する際に持参する)を信仰する香炉が設置してある。「一番座敷」の義。神事が執行される部屋。客間。鳩間島の一般的なヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き木造り家屋)の間取りは「田の字型」形式である。家屋は南向きに建てられ、南面は表座敷で北面は裏座となる。表座敷は東から一番座(床の間)、二番座(仏間)、三番座(居間兼台所)となっている。 ⸢バン⸣テヌ イ⸢チバン⸣ザー ⸢カンダカーン⸣ツォー [⸢ban⸣tenu ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː ⸢kandakaːn⸣ʦoː] (私の家の一番座は神霊あらたか<灼>だそうだ)。 サ⸢カサトゥ⸣ ティ⸢ジリビー⸣ヌ ⸢カン⸣プスンケー ウ⸢リ⸣ラ ⸢シン⸣シンケーヤ イ⸢チバン⸣ザー シゥ⸢カシオーラシ⸣タ [sḁ⸢kasatu ti⸢ʤiribiː⸣nu ⸢kam⸣pu̥suŋkeː ʔu⸢ri⸣ra ⸢ʃiŋ⸣ʃiŋkeːja ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː sï̥⸢kaʃiʔoːraʃi̥⸣ta] (司<神女>と手擦り部<男性神職者>の\ruby{神人}{カン|プス}方、それから先生方は一番座へご案内された) 1934 0 0 1773 htmvoc_1934.wav イチバンシームヌ イ⸢チバンシー⸣ムヌ [ʔi⸢ʧibaŋʃiː⸣munu] 名 最初に出される吸い物料理。「一番吸い物」の義。大きな神事、大きな祝儀などに出された吸い物料理。昆布、かまぼこ、魚や肉の角切りの具、もやし等を入れた吸い物。 ⸢ヨイシー⸣ヤーナーテー イ⸢チバンシー⸣ムヌ タ⸢ボーラ⸣リカー ナ⸢ガシビ サンドー⸣シ ⸢カイ⸣リ ⸣クー [⸢joiʃiː⸣jaːnaːteː ʔi⸢ʧibaŋʃiː⸣munu ta⸢boːra⸣rikaː na⸢gaʃibi sandoː⸣ʃi ⸢kai⸣ri kuː] (お祝いの家では一番吸い物を頂いたら長居しないで<長尻しないで>帰って来なさい) 1935 0 0 1774 htmvoc_1935.wav イチバンジョー イ⸢チバン⸣ジョー [ʔi⸢ʧiban⸣ʤoː] 名 一番釣手。「一番竿」の転訛したもの。カツオ漁船の一番釣手。釣の名手が選ばれて一番よく釣れるシ⸢キダイ[ʃi̥⸢kidai](突き台)の一番目でカツオを釣る。カツオの食いつき具合を見て、⸢ホンマ⸣キ[⸢homma⸣ki](餌の雑魚を撒く主任<本撒き>)に餌の入れ方を指示したりする。 カ⸢ツ ホー⸣シェー イ⸢チバンジョー⸣ヌ ⸣ウデイナール カ⸢カ⸣ル [kḁ⸢ʦu hoː⸣ʃeː ʔi⸢ʧibanʤoː⸣nu ⸣ʔudinaːru kḁ⸢ka⸣ru] (カツオ釣は一番竿の腕にかかっている) 1936 0 0 1775 htmvoc_1936.wav イチバンドゥシ イ⸢チバン⸣ドゥシ [ʔi⸢ʧiban⸣duʃi] 名 無二の親友。⸢一番友達」の義。 ⸣バー イ⸢チバン⸣ドゥシ ⸢ヤッタヌ⸣ バ⸢カ⸣ジニ ⸢シーナー⸣ヌ [⸣baː ʔi⸢ʧiban⸣duʃi ⸢jattanu⸣ ba⸢ka⸣ʤini ⸢ʃiːnaː⸣nu] (私の無二の親友<一番友達>だったが若死にしてしまった) 1937 0 0 1776 htmvoc_1937.wav イチバンドゥル イ⸢チバン⸣ドゥル [ʔi⸢ʧiban⸣duru] 名 一番鶏鳴。「一番鶏」の義。午前三時ごろ暁刻を告げる鶏鳴。イ⸢チバン⸣ドゥル[ʔi⸢ʧiban⸣duru]が始まり、⸢ニーバン⸣ドゥル[⸢niːban⸣duru](二番鶏鳴)、⸢サンバン⸣ドゥル[⸢samban⸣duru](三番鶏鳴)、チ⸢リナキ[ʧi⸢rinaki](連れ鳴き)と続いて夜明けとなった。 イ⸢チバンドゥル⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー マ⸢ジムノー⸣ ブ⸢ラーン⸣ナルンティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [ʔi⸢ʧibanduru⸣nu na⸢ku⸣kaː ma⸢ʤimunoː⸣ bu⸢raːn⸣narunti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (一番鶏が鳴くと魑魅魍魎<チミモゥリョゥ{EOS}まじもの>はいなくなると昔の人は言われた)。一番鶏が鳴くと怖いものは無くなった 1938 0 0 1777 htmvoc_1938.wav イチバンミー イ⸢チバン⸣ミー [ʔi⸢ʧibam⸣miː] 名 一番目。 ⸣サンバシェーラ ⸢ヌーリ⸣ クーカー ⸢ニーリンカタヌ⸣ イ⸢チバンミー⸣ル ⸢バン⸣テヌ ⸣ヤー ヤ⸢ルンダ⸣ サ⸢バキヤッ⸣サン [⸣sambaʃeːra ⸢nuːri⸣ kuːkaː ⸢niːriŋkatanu⸣ ʔi⸢ʧibammiː⸣ru ⸢ban⸣tenu ⸣jaː ja⸢runda⸣ sa⸢bakijas⸣saŋ] (桟橋から登ってくると右側の一番目が私の家だから、探しやすい) 1939 0 0 1778 htmvoc_1939.wav イチバンムク イ⸢チバン⸣ムク [ʔi⸢ʧibam⸣muku] 名 長女の婿。「一番婿」の義。 イ⸢チバン⸣ムコー イッ⸢ケナ⸣ パ⸢タラキムヌ⸣ ヤ⸢レー⸣ティ ⸢ヤーヤシ⸣キーン ア⸢ラ⸣シ ⸣シケーン [ʔi⸢ʧibam⸣ mukoː ʔik⸢kena⸣ pḁ⸢tarakimunu⸣ ja⸢reː⸣ti ⸢jaːjaʃi̥⸣kiːŋ ʔa⸢ra⸣ʃi ⸣ʃi̥keːŋ] (長女の婿は大変な働き者であるので家屋敷も所有して<有らして>ある) 1940 0 0 1779 htmvoc_1940.wav イチバンヤク イ⸢チバン⸣ヤク [ʔi⸢ʧibaɲ⸣jaku] 名 一番漕ぎ手。「一番櫂」の転訛したもの。⸢パーレー⸣フニ[⸢paːreː⸣ɸuni](爬竜船)の第一漕ぎ手。熟練した、力のある若者が選ばれた。 ⸢インタヌ⸣ イ⸢チバン⸣ヤコー ク⸢トゥシェー ター⸣ヤー [⸢ʔintanu⸣ ʔi⸢ʧibaɲ⸣jakoː ku̥⸢tuʃeː taː⸣ja] (西村の爬竜船の一番漕ぎ手は今年は誰が勤めるか<誰か>) 1941 0 0 1780 htmvoc_1941.wav イチフ イ⸢チ⸣フ [ʔi⸢ʧi⸣ɸu] 名 いとこ(従兄弟)。親族名称。「従父、父方乃伊止古<いとこ>」『新撰字鏡』の転訛したもの。イ⸢チフキョー⸣ダイ[ʔi⸢ʧiɸukjoː⸣dai](従兄弟)ともいう。 ⸢キョーダイ⸣ヌ ッ⸢ふァザーンマ⸣ イ⸢チ⸣フ ⸣ナル ⸣シジミー [⸢kjoːdai⸣nu f⸢faʣaːmma⸣ ʔi⸢ʧi⸣ɸu ⸣naru ⸣ʃiʤimiː] (兄弟の子供同士は従兄弟になるわけ<筋{EOS}道理>だろう?)。従兄弟姉妹。 イ⸢チフキョー⸣ダイ [ʔi⸢ʧiɸukjoː⸣dai] (従兄弟兄弟姉妹)。 イ⸢チフブザ⸣サ [ʔi⸢ʧiɸubuʣa⸣sa] (従兄弟叔父)。 イ⸢チフブバー⸣マ [ʔi⸢ʧiɸububaː⸣ma] (従兄弟叔母)。 イ⸢チフ⸣ブイ [ʔi⸢ʧiɸu⸣bui] (従兄弟甥)。 イ⸢チ⸣フザーン ⸣ナリ ム⸢エー シーベー⸣ツォー [ʔi⸢ʧi⸣ɸu ⸣ʣaːn ⸣nari mu⸢jeː ʃiːbeː⸣ʦoː] (従兄弟同士で頼母子講をしているそうだ) 1905 0 0 1781 htmvoc_1905.wav イチブカラー イ⸢チブカラー [ʔi⸢ʧibukaraː] 名 いつごろ(何時頃)。未来における、その出来事のおおよその日時を表す。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ イ⸢チブカラ⸣ ナ⸢ル⸣ワ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔi⸢ʧibukara⸣ na⸢ru⸣wa] (この仕事は何時頃出来上がる<完成する>か)。 ク⸢ヌ⸣ ツ⸢ゲー⸣ イ⸢チブカラ⸣ キ⸢ラリ⸣ワ [ku⸢nu⸣ ʦu⸢geː⸣ ʔi⸢ʧibukara⸣ ki⸢rari⸣wa] (この次は何時頃来れるか) 1942 0 0 1782 htmvoc_1942.wav イチフキョーダイ イ⸢チフキョー⸣ダイ [ʔi⸢ʧiɸukjoː⸣dai] 名 従兄弟。「従兄弟兄弟」の義。 ⸢ウン⸣ネーヤ イ⸢チフキョー⸣ダインケーヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢グトゥン⸣ ナルン [⸢ʔun⸣neːja ʔi⸢ʧiɸukjoː⸣daiŋkeːnu ⸣kanai ⸢bunda⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢gutun⸣ naruŋ] (あの家は従兄弟兄弟達も揃って<叶って>いるから、どんな仕事でも出来る)。 ⸢ウッ⸣ツァー ムー⸢ル⸣ イ⸢チフキョー⸣ダイ [⸢ʔut⸣ʦaː muː⸢ru⸣ ʔi⸢ʧiɸukjoː⸣dai] (彼らはみんな従兄弟兄弟姉妹だ) 1982 0 0 1783 htmvoc_1982.wav イチフブイ イ⸢チフ⸣ブイ [ʔi⸢ʧiɸu⸣bui] 名 いとこ甥、いとこ姪。従兄弟兄弟姉妹の子供。 ウ⸢トゥザ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーティ イ⸢チフ⸣ブイラー ⸢ナー⸣ ユー ウ⸢ボーララ⸣ヌ [ʔu⸢tuʣa⸣nu ⸢goː⸣raːti ʔi⸢ʧiɸu⸣buiraː ⸢naː⸣ juː ʔu⸢boːrara⸣nu] (親戚が多いので従兄弟甥、従兄弟姪からは名前はよくは覚えられない) 1983 0 0 1784 htmvoc_1983.wav イチフブザサ イ⸢チフブザ⸣サ [ʔi⸢ʧiɸubuʣa⸣sa] 名 いとこ伯叔父。父母の従兄弟にあたる男性。 イ⸢チフブザ⸣サンケーヌン ⸣カナイ ⸢オー⸣レーティ ⸢ヤースク⸣レー ⸢ソーヤ ナーン⸣シェン [ʔi⸢ʧiɸubuʣa⸣saŋkeːnuŋ ⸣kanai⸢ʔoː⸣reːti ⸢jaːsu̥ku⸣reː ⸢soːja naːŋ⸣ʃeŋ] (いとこ伯叔父がたも実力者が揃っておられるので家建築には何の心配もなかった) 1984 0 0 1785 htmvoc_1984.wav イチフブバーマ イ⸢チフブバー⸣マ [ʔi⸢ʧiɸububaː⸣ma] 名 いとこ伯叔母。父母の従姉妹にあたる女性。 イ⸢チフブバー⸣マンケーヤ ⸣ヨイソッコーヌ ス⸢コール ソー⸣ル ⸣ピンマー ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢オーッ⸣タン [ʔi⸢ʧiɸububaː⸣maŋkeːja ⸣joisokkoːnu su̥⸢koːru soː⸣ru ⸣pimmaː muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢ʔoːt⸣taŋ] (いとこ伯叔母がたは祝い事や法事<焼香>の準備をされるときはみんな集まってこられた) 1943 0 0 1786 htmvoc_1943.wav イチフンケーン イ⸢チフン⸣ケーン [ʔi⸢ʧiɸuŋ⸣keːŋ] 連 いとこ(従兄弟)たち。 イ⸢チフン⸣ケーン ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ パ⸢ナシアー⸣シバ [ʔi⸢ʧiɸuŋ⸣keːm muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti pa⸢naʃiʔaː⸣ʃiba] (従兄弟たちをも全 員集めて話し合いなさいよ) 1944 0 0 1787 htmvoc_1944.wav イチムン イ⸢チムン [ʔi⸢ʧimuŋ] 名 同じ⸣シジ[⸣ʃiʤi](血筋、血統)を引く一族。マ⸢ガ⸣ラピキ[ma⸢ga⸣rapiki](真柄<真故>「マガラ」の儀か)の範囲に属する家系。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢バン⸣テートゥ イ⸢チムン⸠ダー [⸢ʔun⸣neːja ⸢ban⸣teːtu ʔi⸢ʧimun⸠daː] (あの家は私の家と一門だよ)。石垣島のような名乗頭(人名の上に付く文字)の制度はない 1929 0 0 1788 htmvoc_1929.wav イチヤルユー イ⸢チ ヤル⸣ユー [ʔi⸢ʧi jaru⸣juː] 連 いつなのか。いつのことやら。未来のことについて、不確かなある時をいう。 ⸣マーッふァヌ フ⸢ドゥビ⸣ ドゥームティ ⸣パルモー イ⸢チ ヤル⸣ユー [⸣maːffanu fu⸢dubi⸣ duːmuti ⸣parumoː ʔi⸢ʧi⸣ ja⸢ru⸣juː] (孫が成長していって嫁入りする<所帯を持つ>のは何時のことやら<何時だろうか>) 1945 0 0 1789 htmvoc_1945.wav イチヨー イ⸢チヨー [ʔi⸢ʧijoː] 副 一応。ひとまず。不完全ながらも最低の基準を満たしている際に言う語。 ⸣バー シ⸢キ⸣ニンシ イ⸢チヨー⸣ ナ⸢ラー⸣スン [⸣baː ʃi̥⸢ki⸣niŋʃi ʔi⸢ʧijoː⸣ na⸢raː⸣suŋ] (私の責任で一応教える)。 イ⸢カナ ピンソー⸣ムヌ ヤ⸢ラバン⸣ イ⸢チヨー ガッコー⸣ヤ ン⸢ジ⸣ブンダ ⸢ジーヤ⸣ カクン [ʔi⸢kana pinsoː⸣munu ja⸢rabaŋ gakkoː⸣ja ʔn⸢ʤi⸣bunda ⸢ʤiːja⸣ kḁkuŋ] (如何な貧乏者でも、一応学校は出ているから文字は書く) 1954 0 0 1790 htmvoc_1954.wav イチョー ⸣イチョー [⸣ʔiʧoː] 名 胃腸。標準語からの借用語。 イ⸢チョー⸣ヌ ⸢ヨー⸣ティ ン⸢ガナー⸣ヌ シ⸢ル⸣バ ヌミ⸢ブー⸠ダー [ʔi⸢ʧoː⸣nu ⸢joː⸣ti ŋ⸢ganaː⸣nu ʃi⸢ru⸣ba numi⸢buː⸠daː] (胃腸が弱いのでニガナ<苦菜>の汁を飲んでいるよ) 1986 0 0 1791 htmvoc_1986.wav イチョーニチ イ⸢チョー⸣ニチ [ʔi⸢ʧoː⸣niʧi] 名 腸チフス。「胃腸熱」の義。 イ⸢チョー⸣ニチ カ⸢カ⸣リ プ⸢ス⸣シキブカラ ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸢ベー⸣カーン ⸢シーシタ [ʔi⸢ʧoː⸣niʧi kḁ⸢ka⸣ri pu̥⸢su⸣ʃi̥kibukara ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸢beː⸣kaːŋ ⸢ʃiːʃi̥ta] (腸チフスに罹って一月ほど熱が出て下痢もしていた) 1955 0 0 1792 htmvoc_1955.wav イチョーヌフチル イ⸢チョー⸣ヌ フ⸢チ⸣ル [ʔi⸢ʧoː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru] 連 胃腸の薬。バ⸢タ⸣ヌ フ⸢チ⸣ル[ba⸢ta⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru](腹の薬)ともいう。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸢タンノー⸣ヤ イ⸢チョー⸣ヌ フ⸢チ⸣ルティ ア⸢ザリ ブー⸠ダー [ka⸢mai⸣nu ⸢tannoː⸣ja ʔi⸢ʧoː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ʔa⸢ʣari buː⸠daː] (猪の胆嚢は胃腸の薬といわれているよ) 1948 0 0 1793 htmvoc_1948.wav イチリ イ⸢チ⸣リ [ʔi⸢ʧi⸣ri] 名 一里。約4キロメートル(36町)。 パ⸢トゥマ⸣ヌ シ⸢マ⸣ヌ ⸢マーロー⸣ イ⸢チ⸣リナー ン⸢メーマ⸣ タ⸢ラーン⸣ツォー [pḁ⸢tuma⸣nu ʃi⸢ma⸣nu ⸢maːroː⸣ ʔi⸢ʧi⸣rinaː ʔm⸢meːma⸣ ta⸢raːn⸣ʦoː] (鳩間の島の周りは一里に少し足りないそうだ) 1906 0 0 1794 htmvoc_1906.wav イチン イ⸢チン [ʔi⸢ʧiŋ] 副 いつ(何時)も。常に。時間的、場面的条件が揃う時には、いつも。 イ⸢チン⸣ ユ⸢ヌ⸣ムニ カー⸢ニ⸣ ア⸢ゾー⸣ル [ʔi⸢ʧiŋ⸣ ju⸢nu⸣muni kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru] (いつも同じ話だけいわれる<おっしゃる>)。 ⸣バー タ⸢マーニ⸣ クー ⸣ピンマー ⸢ワー⸣ イ⸢チン ヤー⸣ナ ブ⸢ラーンワン⸣ノー [⸣baː ta⸢maːni⸣ kuː ⸣pimmaː ⸢waː⸣ ʔi⸢ʧiŋ jaː⸣na bu⸢raːŋwan⸣noː] (私が偶に来る時は、君は何時も家にいないではないか)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イ⸢チン⸣ シラ フ⸢クリティ⸣ ムヌ ⸢トゥーバン ピントーン サヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔi⸢ʧiŋ⸣ ʃira ɸu̥⸢kuriti⸣ munu ⸢tuːbam pintoːn sanu] (この子はいつも脹れっ面していて、ものを尋ねても返事しない)。強調するとイッ⸢チン[ʔit⸢ʧiŋ](いつも)のように発音される。 ⸣アッパー ⸢ピャー⸣ク ナ⸢リ⸣ソールンドゥ イ⸢チン⸣ ア⸢ザケーアザケー⸣シル ⸢オー⸣ル⸢ダー [⸣ʔappaː ⸢pjaː⸣ku na⸢ri⸣soːrundu ʔi⸢ʧiŋ⸣ ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru⸢daː] (お祖母さんは百歳になられるが、いつもこぎれいに<清潔に>して<ぞ>おられるよ)。 イッ⸢チン⸣ ユ⸢ヌムニ⸣ル イ⸢ゾー⸣ル <ア⸢ゾー⸣ル> [ʔit⸢ʧiŋ⸣ ju⸢numuni⸣ru ʔi⸢ʣoː⸣ru ] (いっつも同じことを言われるんだ) 1930 0 1 1795 htmvoc_1930.wav イチンガサ イ⸢チンガサ [ʔi⸢ʧiŋgasa] 副 何時だったか。何時か。過去、未来のことについて、不確かなある時をいう語。{Mn_1}何時だったか。 イ⸢チンガサ⸣ アイブ パ⸢ナ⸣シ ス⸢クタ⸣ ウ⸢ブイ⸣ヌ ⸣アン [ʔi⸢ʧiŋgasa⸣ ʔaibu pa⸢na⸣ʃi su̥⸢kuta⸣ ʔu⸢bui⸣nu ʔaŋ] (何時だったか<何時のことだったか、よくわからないが>あんな話を聞いた覚えがある)。 1930 0 2 1796 htmvoc_1930.wav イチンガサ イ⸢チンガサ [ʔi⸢ʧiŋgasa] 副 {Mn_2}いつか。何時の日にか。 イ⸢チンガサ⸣ ウ⸢キ⸣ナーナテイ イ⸢カイオーラ⸣リンパジ [ʔi⸢ʧiŋgasa⸣ ʔu⸢ki⸣naːnati ʔi⸢kaiʔoːra⸣rimpaʤi] (何時の日にか沖縄でお会いできる<お会いできなさる>はずです) 1949 0 0 1797 htmvoc_1949.wav イチンガチ イ⸢チンガ⸣チ [ʔi⸢ʧiŋga⸣ʧi] 名 一月。正月月(しょうがつつき)。⸣ソンガチシキ[⸣soŋgaʧiʃi̥ki](正月月)というのが普通。 イ⸢チンガ⸣チナー ⸣ソンガチ パ⸢チニンガイ ソー⸣リ ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダニンガイユン ⸢ソーリ⸣シタ [ʔi⸢ʧiŋga⸣ʧinaː ⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧiniŋgai soː⸣ri ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpadaniŋgaijun ⸢soːri⸣ʃi̥ta] (一月には正月初祈願をされ、家族の健康祈願をもなされた) 1950 0 0 1798 htmvoc_1950.wav イチンゴー イ⸢チン⸣ゴー [ʔi⸢ʧiŋ⸣goː] 名 一合。 イ⸢チンゴーナカ⸣ムル [ʔi⸢ʧiŋgoːnaka⸣muru] (一合枡)。 イ⸢チンゴー⸣クビン [ʔi⸢ʧiŋgoː⸣kubiŋ] (一合瓶)。 サ⸢キ⸣ イ⸢チン⸣ゴー ⸢カイ⸣クー [sḁ⸢ki⸣ ʔi⸢ʧiŋ⸣goː ⸢kai⸣kuː] (酒を一合買ってきなさい) 1951 0 0 1799 htmvoc_1951.wav イチンゴーナカムル イ⸢チンゴーナカ⸣ムル [ʔi⸢ʧiŋgoːnaka⸣muru] 名 一合枡。 イ⸢チンゴーナカ⸣ムルシ パ⸢カ⸣レーテイ サ⸢キバ カーシオーッ⸣タ [ʔi⸢ʧiŋgoːnaka⸣muruʃi pḁ⸢ka⸣reːti sḁ⸢kiba kaːʃioːt⸣ta] (一合枡で計りつつ酒を売っておられた) 1907 0 0 1800 htmvoc_1907.wav イチンナーカ イ⸢チンナー⸣カ [ʔi⸢ʧinnaː⸣ka] 副 いつか。何時の日か。未来および過去における不確定の時、ある日。 ⸢ワンヌン⸣ ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナルカー イ⸢チンナー⸣カー ウ⸢ヤ⸣ヌ キ⸢ムウチン サッシラリ⸣クトゥン ア⸢リ⸣ス ⸣パジェー ア⸢ラン⸣カヤー [⸢wannuŋ⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣narukaː ʔi⸢ʧinnaː⸣ka ʔu⸢ja⸣nu ki⸢mu⸣ʔuʧin saʃʃirari⸣ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣su ⸣paʤeː ʔa⸢raŋ⸣kajaː] (君も大人になったら、いつかは親の気持ち<肝内、心の内>も察知できることもあるのではなかろうか<察せられることもあるはずではないかねえ>) 1968 0 0 1801 htmvoc_1968.wav イツ ⸣イツ [⸣ʔiʦu] 名 絹。「絹糸」、⸢絹布」の義。「~着けし紐 伊刀尓(イトニ)なるとも~。万、4405」の「糸」から転訛したもの。普通の糸は⸣イトゥ[⸣ʔitu]というが、その[tu]が直前の前舌狭母音[i]によって口蓋化され、⸣イチュ[⸣ʔiʧu]となり、⸣イツ[⸣ʔiʦu]と直音化して<絹糸>の意味を派生させたもの。 ⸣イツキン [⸣ʔiʦukiŋ] (絹の着物、最高の着物)。 ⸣イツピピル [⸣ʔiʦupipiru] (屋根の甍を引き締める最強の縄{EOS}絹縄) 1867 0 0 1802 htmvoc_1867.wav イツァ ⸣イツァ [⸣ʔiʦa] 名 板。「イタ」の[t]が先行する狭母音[i]によって口蓋化されて[ʦ]となり、⸣イツァ[ʔiʦa]と音韻変化したもの。 イ⸢ツァフン⸣ツァ [ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦa] (板張り縁、板張り床) ⸣イダフニ [⸣ʔidaɸuni] (イタブネ{EOS}沖縄本島のサバニのこと{EOS}鉄釘を一本も使わず、杉板を接いで作った舟、沖縄本島の糸満より導入されたという{EOS}糸満の漁師たちはイダフニを二艘帆柱で結わえて固定し、双胴船に仕立て、糸満から鳩間まで帆走して来たという))。杉材の取れない鳩間島ではフ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)や⸣カシンキー[⸣kḁʃiŋkiː](オキナワウラジロガシ)などの大木を挽き鋸で縦割りにして板を作った。 イ⸢ツァフン⸣ツァナ ⸣ムス シ⸢キティル⸣ ナ⸢チェー⸣ ニ⸢ブタル [ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦana ⸣musu ʃi̥⸢kitiru⸣ na⸢ʧeː⸣ ni⸢butaru] (板床に蓆を敷いて<ぞ>夏は寝たものだ)。床板にはシ⸢チブ⸣イツァ[ʃi̥⸢ʧibu⸣iʦa](七分板)を用いた。 シ⸢ギイツァ [ʃi⸢giʔiʦa] (杉板{EOS}壁板に用いた)。⸢サンブ⸣イツァ[⸢sambu⸣ʔiʦa](三分板)、ゴ⸢ブイツァ[go⸢buʔiʦa](五分板{EOS}床張りに用いる板)、シ⸢チブ⸣イツァ[ʃi̥⸢ʧibu⸣ʔiʦa](七分板)等は石垣島より購入し、フ⸢クンキーイツァ[ɸu̥⸢kuŋkiːʔiʦa](<福木製の板>主に縁側を張るのに用いた板)は鳩間島で、二人一組にして縦挽き鋸を挽きながら製材した 1958 0 0 1803 htmvoc_1958.wav イツァーイツァーシ イツァー⸢イツァー⸣シ [ʔiʦaː⸢ʔiʦaː⸣ʃi] 副 痛そうに。非常に痛そうに。「~心ぞ伊多伎<イタキ>~。万、4307」の転訛したもの。ABCABCD型の重言。 ア⸢シ⸣ボー ア⸢アガミティ⸣ イツァー⸢イツァー⸣シ ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー [ʔa⸢ʃi⸣boː ʔa⸢gamiti⸣ ʔiʦaː⸢ʔiʦaː⸣ʃi ⸢ʔuː⸣mi ⸢beː] (御出来は赤らんで非常に痛そうに膿んでいる) 1870 0 1 1804 htmvoc_1870.wav イツァーン イ⸢ツァー⸣ン [ʔi⸢ʦaː⸣ŋ] 形 {Mn_1}熱い。 ク⸢ヌ⸣ サ⸢バン⸣マー イ⸢ツァー⸣ヌ カ⸢サマラヌ [ku⸢nu⸣ sa⸢bam⸣maː ʔi⸢ʦaː⸣nu ka⸢samaranu] (この茶碗は熱くて持てない<掴めない>)。 1870 0 2 1805 htmvoc_1870.wav イツァーン イ⸢ツァー⸣ン [ʔi⸢ʦaː⸣ŋ] 形 {Mn_2}痛い。 ⸢パン⸣ヌ キ⸢ジヌ ウー⸣ミティ イ⸢ツァー⸣ヌ ⸢サウララ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ki⸢ʤinu ʔuː⸣miti ʔi⸢ʦaː⸣nu ⸢sauraranu] (足の傷が化膿して<膿んで>、痛くて<熱くて>触ることができない) 1959 0 0 1806 htmvoc_1959.wav イツァーン ⸢イツァー⸣ン [ʔi⸢ʦaː⸣ŋ] 形 熱い。痛い(熱した金属や熱湯に触るときに感じる痛い感覚)。 ア⸢チ⸣ナベー イ⸢ツァー⸣ンダー カ⸢ラティー⸣シェー カ⸢サマラヌ [ʔa⸢ʧi⸣nabeː ʔi⸢ʦaː⸣nda ka⸢ratiː⸣ʃeː kḁ⸢samaranu] (熱した鍋は熱い<痛い>から素手では掴めない)。 ⸢ナン⸣ゾー イ⸢ツァーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔi⸢ʦaːnaː⸣nu] (あまり熱く<痛く>ない)。 イ⸢ツァー⸣ ムノー カ⸢サムナ [ʔi⸢ʦaː⸣ munoː kḁ⸢samuna] (熱い<痛い>ものは掴むな)。 ⸢シンダイ⸣ イ⸢ツァー⸣ ナリケーン [⸢ʃindai⸣ ʔi⸢ʦaː⸣ narikeːŋ] (次第に熱く<痛く>なってきた)。 ⸣ドゥク イ⸢ツァー⸣カー カ⸢サムナ [⸣duku ʔi⸢ʦaː⸣kaː kḁ⸢samuna] (あまり熱ければ<痛ければ>掴むな) 1872 0 0 1807 htmvoc_1872.wav イツァカウ イ⸢ツァ⸣カウ [ʔi⸢ʦa⸣kau] 名 板香。伝統的な沖縄の線香。板のように平たい線香で、一枚に六本の線香が押し固められているもの。ウ⸢キナー⸣カウ[ʔu⸢kinaː⸣kau](沖縄香)ともいう。束になったものは⸢タイ⸣コー[⸢tai⸣koː](「焚き香」の義か)という。巾約1、4センチ、長さ約14センチの板状に6本の線が入った線香。板香一枚をプ⸢ス⸣カー[pu̥⸢su⸣kaː]といい、6本の線香と計算される。鳩間島では神事、仏事で使われ、神迎えには3本(二分の一枚)、願いつけには12本(二枚<フタカー>)、御礼の祈願には24本(四枚<ユーカー>)を香立てした。 ⸢カンヌ⸣マイヤ イ⸢ツァカウ⸣バ ⸣シキ タ⸢トーッタ⸣ヌ ウ⸢ヤプスン⸣マイヤ イ⸢ツァ⸣カウン タ⸢キカウン⸣ シ⸢キ⸣ソーッタ [⸢kannu⸣maija ʔi⸢ʦakau⸣ba ⸣ʃi̥ki tḁ⸢toːtta⸣nu ʔu⸢japusum⸣maija ʔi⸢ʦa⸣kaun tḁ⸢kikauŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣soːtta] (神様の前には板香を焚かれたが、先祖の前には板香も竹香も焚かれた) 1871 0 0 1808 htmvoc_1871.wav イツァクビ イ⸢ツァ⸣クビ [ʔi⸢ʦa⸣kubi] 名 板壁。⸢サンブ⸣イツァ[⸢sambu⸣ʔiʦa](三分板{EOS}杉板の最も薄い板)で家の壁を張ったもの。杉板が導入される以前は、西表島の山から、フ⸢クイキー[ɸu̥⸢kuikiː](ウラジロエノキ)を伐り出して、それを⸣バキティ[⸣bakiti](木挽きして{EOS}木材を縦割りに挽くこと)壁板を作ったという。 ⸢カー⸣ラヤーヌ ク⸢ベー⸣ ムー⸢ル⸣ イ⸢ツァ⸣クビ ヤ⸢ルヌ⸣ ガヤヤーヌ ク⸢ベー⸣ ガヤーシル ク⸢ベー⸣ フ⸢カリブタ [⸢kaː⸣rajaːnu ku⸢beː⸣ muː⸢ru⸣ ʔi⸢ʦa⸣kubi ja⸢runu⸣ gajajaːnu ku⸢beː⸣ gajaːʃiru ɸu̥⸢kaributa] (瓦葺き家の壁はみんな板壁であるが、茅葺き家の壁は茅で<ぞ>葺かれていた)。ガ⸢ヤー⸣クビ[ga⸢jaː⸣kubi](茅葺きの壁)の対義語。 ウ⸢ブヤー⸣ヤ イ⸢ツァ⸣クビ ヤ⸢ルヌ トー⸣ラー ⸣ガヤーシ ク⸢ベー⸣ フ⸢カリブタ [ʔu⸢bujaː⸣ja ʔi⸢ʦa⸣kubi ja⸢runu toː⸣raː ⸣gajaːʃi ku⸢beː⸣ ɸu̥⸢kaributa] (母屋は板壁であるが、離れ<炊事小屋>は茅で壁は葺かれていた) 1962 0 0 1809 htmvoc_1962.wav イツァドーフ ⸣イツァドーフ [⸣ʔiʦadoːɸu] 名 「板豆腐」の儀。厚さ約2センチの板状に切った豆腐。油揚げにして祝儀、不祝儀の料理に用いた。 ⸣イツァドーフバ ⸣アバナー ア⸢ギティ⸣ ア⸢ギドーフ⸣ ス⸢ク⸣リ [⸣ʔiʦadoːɸuba ⸣ʔabanaː ʔa⸢giti⸣ ʔa⸢gidoːɸu⸣ su̥⸢ku⸣ri] (板豆腐を油に揚げて揚げ豆腐を作りなさい) 1869 0 0 1810 htmvoc_1869.wav イツァヌキシ イ⸢ツァ⸣ヌ ⸣キシ [ʔi⸢ʦa⸣nu ⸣ki̥ʃi] 連 板の切れッ端。板切れ。「板の切れ」の義。 イ⸢ツァ⸣ヌ ⸣キシ ⸢ミシ⸣キ ⸣キー ⸢ヤー⸣ヌ ク⸢ビヌ ガーフラキ シーベー⸣トン ッ⸢サイッふィーリ [ʔi⸢ʦa⸣nu ⸣ki̥ʃi ⸢miʃi̥⸣ki ⸣kiː ⸢jaː⸣nu ku⸢binu gaːɸuraki ʃiːbeːn⸣ton s⸢saiffiːri] (板切れを探してきて家の壁のがら空きしているところを塞いでくれ) 1882 0 0 1811 htmvoc_1882.wav イツァバキ ⸣イツァバキ [⸣ʔiʦabaki] 名 板挽(いたびき)。「板分け」の義。製材所のない島では、家造りの際、板を作るための特別作業を依頼した。庭先にX型に組んだ両方の支柱に台木を渡して足場を組み、それに墨縄の打たれた加工材を掛け、一人は加工材の上に乗り、一人は地上に立って一つの鋸を挽き、板を製材した。非常に体力の要る作業で特別に依頼される作業であった。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸢ヤースク⸣レー ⸣イツァバキン カ⸢ニテー⸣ラ プ⸢スバ⸣ ヤトゥイ タ⸢ナミ⸣ル シ⸢ミタ⸣ダー [mu⸢kaʃi⸣nu ⸢jaːsu̥ku⸣reː ⸣ʔiʦabakiŋ ka⸢niteː⸣ra pu̥⸢suba⸣ jatui ta⸢nami⸣ru ʃi⸢mita⸣daː] (昔の家造りは板引きの作業も予てより人を雇い頼んで板挽き作業をさせたものだよ) 1873 0 0 1812 htmvoc_1873.wav イツァビ イ⸢ツァ⸣ビ [ʔi⸢ʦa⸣bi] 名 (植)和名、ケイヌビワ。クワ科植物。野生の植物で、イチジクに似た小さな果実をつける。東村のフ⸢クン⸣ドー[ɸu̥⸢kun⸣doː](福堂)あたりの藪の中や、ユ⸢ナ⸣デー[ju⸢na⸣deː](与那田家)の畑の藪の中に自生していた。旧暦7月13日~15日の⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆<精霊会>)にム⸢ルムル[mu⸢rumuru]に入れて供えたものである。 イ⸢ツァビ⸣ヌ ⸣ナルン ム⸢ルムル⸣ナー イ⸢ルタン [ʔi⸢ʦabi⸣nu ⸣narum mu⸢rumuru⸣naː ʔi⸢rutaŋ] (イツァビの実もムルムルの中に入れた) 1874 0 0 1813 htmvoc_1874.wav イツァビラ イ⸢ツァ⸣ビラ [ʔi⸢ʦa⸣bira] 名 位牌。伝統的沖縄位牌に嵌め込む幅約1、7センチ。長さ約10センチの板。「板平」の義か。「板碑」の変化したものか。前面に氏名、裏面に没年月日、享年を記してある。 ウ⸢ヌ⸣スク ⸢ガン⸣ゾー ⸣アローッタ プ⸢スヌ⸣ イ⸢ツァ⸣ビラ ナ⸢ロー⸣リ イ⸢ナムヌ⸣ダラーッツァ [ʔu⸢nu⸣su̥ku ⸢gan⸣ʣoː ⸣ʔaroːtta pu̥⸢sunu⸣ ʔi⸢ʦa⸣bira na⸢roː⸣ri ʔi⸢namunu⸣daraːtʦa] (あんなに元気で<頑丈で>あられた人がイ⸢ツァ⸣ビラ<位牌>になられて全く残念なことです) 1884 0 0 1814 htmvoc_1884.wav イツァビラーマ イ⸢ツァビラーマ [ʔi⸢ʦabiraːma] 名 板の切れ端。 イ⸢ツァビラー⸣マ ア⸢ツァ⸣ミ ⸣キー ⸢モーシ [ʔi⸢ʦabiraː⸣ma ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣kiː ⸢moːʃi] (板の切れ端を集めてきて燃やしなさい) 1963 0 0 1815 htmvoc_1963.wav イツァフクビ ⸣イツァフクビ [⸣ʔiʦaɸu̥kubi] 名 虹。若年層の言葉。「絹の帯」の義。古老は、⸣イツフクビ[⸣ʔiʦuɸu̥kubi](虹)『八重山語彙』という。 ナ⸢チェー⸣ ア⸢ミフイ⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸣ユー ⸣イツァフクビヌ ミ⸢ラリ⸣タン [na⸢ʧeː⸣ ʔa⸢miɸui⸣nu ⸣ʔatunaː ⸣juː ⸣ʔiʦaɸu̥kubinu mi⸢rari⸣taŋ] (夏は雨降りの後にはよく虹が見られたものだ) 1964 0 0 1816 htmvoc_1964.wav イツァフン イ⸢ツァ⸣フン [ʔi⸢ʦa⸣ɸuŋ] 名 板釘。板(三分板)に打ち付ける釘。壁板に打ち付ける釘は、短い釘(一寸釘や7分釘)が用いられた。 イ⸢ツァ⸣クビナー ウ⸢トー⸣ル イシゥ⸢カーマヌ フンバル⸣ イ⸢ツァ⸣フンティ ア⸢ゾーッ⸣タ [ʔi⸢ʦa⸣kubinaː ʔu⸢toː⸣ru ʔisi̥⸢kaːmanu ɸumbaru⸣ ʔi⸢ʦa⸣ɸunti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (板壁に打たれる短い釘を<ぞ>板釘といわれた) 1868 0 0 1817 htmvoc_1868.wav イツァフンツァ イ⸢ツァフン⸣ツァ [ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦa] 名 板張りの床。「板編み板」の義か。板張りの縁。タ⸢キフンツァ[tḁ⸢kiɸunʦa](竹編みの床)の対義語。 ナ⸢チェー⸣ アツァユンダ イ⸢ツァフン⸣ツァナ ク⸢ルビ⸣ ニ⸢ビバル⸣ ピ⸢ラケーピラケー⸣シ ニ⸢バリタ [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦajunda ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦana ku⸢rubi⸣ ni⸢bibaru⸣ pi⸢rakeːpirakeː⸣ʃi ni⸢barita] (夏は暑いから板張りの床にごろ寝したほうが涼しく寝ることができた)。大正期頃までは、茅葺の家の床は竹でえつり状に編んで張り、その上にニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku](いなばきむしろ<稲掃筵>を敷き、その上にさらに筵を敷いていた)。 ⸢カー⸣ラヤー ⸣ナレーラル イ⸢ツァフン⸣ツァー ス⸢ク⸣ローレール [⸢kaːra⸣jaː ⸣nareːraru ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦaː su̥⸢ku⸣roːreːru] (瓦葺の家になってから<ぞ>、板床は造られたのだ) 1966 0 0 1818 htmvoc_1966.wav イツァヤドゥ ⸣イツァヤドゥ [⸣ʔiʦajadu] 名 板戸。 ⸣イツァヤドー シ⸢ギイツァ⸣シル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸣ʔiʦajadoː ʃi⸢giʔiʦa⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (板戸は杉板で作られている) 1967 0 0 1819 htmvoc_1967.wav イツァンパイキー イ⸢ツァン⸣パイキー [ʔi⸢ʦam⸣paikiː] 名 (植)マサキ(正木{EOS}柾)。ニシキギ科の常緑低木。神事にその葉を用いる木。榊。フティマ『琉球列島植物方言集』(天野鉄夫著)とある。葉をパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米、神仏に供える白米)を盛る茶碗の周りに立てて飾る。庭木として各家に植栽されていた。 イ⸢ツァン⸣パイキーヌ ユ⸢ダ⸣ ブリキー ⸢ザートゥク⸣ヌ ⸣パナ イ⸢キ⸣リ [ʔi⸢ʦam⸣paikiːnu ju⸢da⸣ burikiː ⸢ʣaːtuku⸣nu ⸣pana ʔi⸢ki⸣ri] (榊の枝を折ってきて床の間の花を活けなさい) 1985 0 0 1820 htmvoc_1985.wav イツォーンプス イ⸢ツォーン⸣プス [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥su] 名 糸満の人。「糸満人」の義。 イ⸢ツォーン⸣プソー イ⸢ガメー スンティ ニン⸣ニン ウ⸢キ⸣ナーラ パ⸢トゥ⸣マー ⸢オーリ⸣シタ [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː ʔi⸢gameː sunti nin⸣niŋ ʔu⸢ki⸣naːra pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔoːri⸣ʃi̥ta] (糸満の人はイカ漁をするために毎年<年々>鳩間へ来られた) 1969 0 0 1821 htmvoc_1969.wav イッカ イッ⸢カ [ʔik⸢ka] 副 少しも~。全然~。全く~。「一向に」の転訛したもの。下に打ち消しの助動詞を伴って陳述副詞の働きをする。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (彼は一向に<全く>他人の意見を<言葉>を聞かない)。 フ⸢チヌ⸣ ヤムンケン ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カスヌンドゥ⸣ バー ア⸢ズ⸣ ムネー イッ⸢カ⸣ シゥ⸢カヌ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ jamuŋkeŋ ʔa⸢ʤi⸣ sï̥⸢kasunundu⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muneː ʔik⸢ka⸣ sï̥⸢kanu] (口すっぱく<口が痛むほど>言って聞かせるんだが、私の言うことは一向に聞き入れない<聞かない>) 1632 0 0 1822 htmvoc_1632.wav イッカナシ イッ⸢カナ⸣シ [ʔik⸢kana⸣ʃi] 副 どうしても。一向に。いかにしても。どんなにしても。決して。「如何に・しても」の義。後に打ち消し否定の表現を要求する一種の陳述副詞である。 ⸣バー イッ⸢カナ⸣シ パ⸢ラ⸣ヌ [⸣baː ʔik⸢kana⸣ʃi pa⸢ra⸣nu] (私は決して行かない)。 ⸣バー イッ⸢カナ⸣シ サ⸢ヌ [⸣baː ʔik⸢kana⸣ʃi sa⸢nu] (私は決してしない)。 ⸣バー イッ⸢カナ⸣シ パ⸢ラ⸣ヌ [⸣baː ʔik⸢kana⸣ʃi pa⸢ra⸣nu] (私は決して行かない) 1988 0 0 1823 htmvoc_1988.wav イッカナシン イッ⸢カナ⸣シン [ʔik⸢kana⸣ʃiŋ] 副 一向に。決して。絶対に。少しも。全然。どんなにしても。下に打ち消しの語を要求し、それにかかって打消しの意を強調する陳述副詞。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ピン ⸢シェーラ⸣ ノー⸢ンティ⸣ ア⸢ザバン⸣ イッ⸢カナ⸣シン シゥ⸢カヌ [ku⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ piŋ ⸢ʃeːra⸣ noː⸢nti⸣ ʔa⸢ʣabaŋ⸣ ʔik⸢kana⸣ʃin sï̥⸢kanu] (この子が反抗し<拗ね>たら誰が何と言ってもけっして聞かない) 1971 0 0 1824 htmvoc_1971.wav イツキン ⸣イツキン [⸣ʔiʦukiŋ] 名 絹の着物。絹織物。最高の着物。 ⸣イツキンバ キ⸢シティ⸣ フ⸢ドゥバサレー⸣ル ッ⸢ふァ [⸣ʔiʦukimba ki̥⸢ʃiti⸣ ɸu⸢dubasareː⸣ru f⸢fa] (絹の着物を着て成長<養育>させられた子供) 1989 0 0 1825 htmvoc_1989.wav イッキン ⸢イッキン [⸢ʔikkiŋ] 名 一斤。竿秤で重さを量る際の一目盛りの重さ(六百グラム)。 ⸢マー⸣ソー ⸢イッキン⸣シ ⸢ギュー⸣サ ⸢スー⸣カヤー [⸢maː⸣soː ⸢ʔikkiŋ⸣ʃi ⸢gjuː⸣sa ⸢suː⸣kajaː] (塩<真塩>は一斤でいくらするかなあ)。 ⸣クビシ ⸣サタ ⸢イッキンブカランツァン カーラン⸣カヤー [⸣kubiʃi ⸣sata ⸢ʔikkimbukaranʦaŋ kaːraŋ⸣kajaː] (これで砂糖一斤ぐらいだけでも買えないかねえ) 1973 0 0 1826 htmvoc_1973.wav イツククル ⸣イツククル [⸣ʔiʦuku̥kuru] 名 絹のように美しい心。立派な精神。優しい心。 ⸣イツククル ⸣マンククルバ ム⸢ティ⸣ル シ⸢キン⸣マー バ⸢タル⸣ダー [⸣ʔiʦuku̥kuru ⸣maŋku̥kuruba mu⸢ti⸣ru ʃi̥⸢kim⸣maː ba⸢taru⸣daː] (絹のような、繭のような美しい、優しい心で世間を渡るものだよ)。⸣イツククル マンククルは強意の繰り返し表現 1974 0 0 1827 htmvoc_1974.wav イツクトゥバ ⸣イツクトゥバ [⸣ʔiʦuku̥tuba] 名 絹のような美しいことば。昔から伝えられてきた含蓄のある言葉。 ム⸢カ⸣シェーラヌ ⸣イツクトゥバー ム⸢ドゥカサラン⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃeːranu ⸣ʔiʦuku̥tubaː mu⸢dukasara⸣nu] (昔から伝えられた含蓄のある美しい言葉には背くことが出来ない)。⸣イツクトゥバ ク⸢ガニクトゥバ[⸣ʔiʦuku̥tuba ku⸢ganiku̥tuba](絹のような美しい言葉、黄金のような価値のある言葉)のように用いられる 1990 0 0 1828 htmvoc_1990.wav イックヮン ⸢イッ⸣クヮン [⸢ʔik⸣kwaŋ] 名 一缶。石油の入ったドラム缶一本。種油の入ったブリキ缶一個。 タ⸢ニ⸣ユー ⸢イッ⸣クヮン ⸢カイ⸣クー [ta⸢ni⸣juː ⸢ʔik⸣kwaŋ ⸢kai⸣kuː] (種油一缶買って来い) 1681 0 0 1829 htmvoc_1681.wav イッケナ イッ⸢ケナ [ʔik⸢kena] 副 非常に。甚だ。形容詞や動詞にかかって状態や動作の程度をあらわす。 ⸢ワー テー⸣ナイ ⸢シーフィーッタ⸣ ク⸢トゥバ⸣ル ⸣アッパー イッ⸢ケナ⸣ サ⸢ニヤ ソーッ⸣タ [⸢waː teː⸣nai ⸢ʃiːfiːtta⸣ ku̥⸢tuba⸣ru ⸣ʔappaː ʔik⸢kena⸣ sa⸢nija soːt⸣ta] (君が手伝いしてくれたことをお祖母さんは非常に喜ばれた<嬉しくなさった>) 1991 0 0 1830 htmvoc_1991.wav イッケン ⸢イッケン [⸢ʔikkeŋ] 名 一間。木造建築の柱と柱の間。六尺。1,818メートル。標準語からの借用語。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ウ⸢ブヤー⸣ヤ ⸢ヨンケンハン⸣ナ サンゲン⸢ハンヌ ヤー⸣ル ⸢ゴー⸣ラータ [pḁ⸢tuma⸣nu ʔu⸢bujaː⸣ja ⸢joŋkeŋhan⸣na saŋgeŋ⸢hannu jaː⸣ru ⸢goː⸣raːta] (鳩間島の母屋は四間半に三間半の家が多かった) 1992 0 1 1831 htmvoc_1992.wav イッケン イッ⸢ケン [ʔik⸢keŋ] 副 {Mn_1}非常に。大変。形容詞や動詞を修飾する。老年層は、イッ⸢ケナ[ʔik⸢kena](非常に)という。 イッ⸢ケン マイ⸣ヤン [ʔik⸢kem mai⸣jaŋ] (非常に大きい)。 イッ⸢ケン⸣ タ⸢カー⸣ン [ʔik⸢ken⸣ tḁ⸢kaː⸣ŋ] (非常に高い)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケン⸣ ミサン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kem⸣ misaŋ] (その人は非常に性格が良い<良い人だ>)。 イッ⸢ケン⸣ パ⸢タラクン [ʔik⸢kem⸣ pḁ⸢tarakuŋ] (よく働く)。 1992 0 2 1832 htmvoc_1992.wav イッケン イッ⸢ケン [ʔik⸢keŋ] 副 {Mn_2}状態性体言(形容動詞の語幹)を修飾する。 ク⸢レー⸣ イッ⸢ケン ジョー⸣トゥ [ku⸢reː⸣ ʔik⸢ken ʤoː⸣tu] (これは非常に上等だ<非常に良い>) 1993 0 0 1833 htmvoc_1993.wav イッサイ イッ⸢サイ [ʔis⸢sai] 副 一切。全然。全く。石垣方言からの借用語か。下に打ち消しの語や肯定判断の語を要求して陳述副詞の機能をもつ。 ⸣アイブ マ⸢チガイ⸣グトー イッ⸢サイ <⸢ピッ⸣チン> ナーン⸣シェン [⸣ʔaibu ma⸢ʧigai⸣gutoː ʔis⸢sai naːŋ⸣ʃeŋ] (そんな間違いごとは全く<一つも>なかった)。 ⸢ワンマー ジン⸣ヌ ⸢ソーヤ⸣ イッ⸢サイ⸣ <ノー⸢ン⸣> シ⸢ムンバ ソー⸣ ス⸢ナ [⸢wammaː ʤin⸣nu ⸢soːja⸣ ʔis⸢sai⸣ ʃi⸢mumba soː⸣ su⸢na] (君にはお金の心配は一切<何も>させないから、心配するな) 1994 0 0 1834 htmvoc_1994.wav イッサイカッサイ イッ⸢サイカッサイ [ʔis⸢saikassai] 名・副 一切。総て。何もかも。\ruby{一切合切}{イッ|サイ|ガッ|サイ}。 イッ⸢サイカッサイヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ドゥーシ サ⸢バル⸣ ナル [ʔis⸢saikassainu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ duːʃi sa⸢baru⸣ naru] (一切の仕事は自分でしないといけない)。 ⸣ドゥー ⸢タンガ⸣シ イッ⸢サイカッサイ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duː ⸢taŋga⸣ʃi ʔis⸢saikassai saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (自分一人で総てをしないとならない) 1996 0 0 1835 htmvoc_1996.wav イッサク ⸢イッ⸣サク [⸢ʔis⸣saku] 名 一尺。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢ラー⸣ヤ ⸢マー イッサ⸣クブカラ ナ⸢ガミ⸣リ [ku⸢nu⸣ pa⸢raː⸣ja ⸢maː ʔissa⸣kubukara na⸢gami⸣ri] (この柱はもう一尺ぐらい長めにしなさい) 1997 0 0 1836 htmvoc_1997.wav イッサク ⸢イッ⸣サク [⸢ʔis⸣saku] 名 一勺。一合の十分の一。実生活上では一勺を計量できる枡は無く、五勺は一合枡を利用し、それを斜めに傾けて対角線に計量していた。豊年祭に各家庭から十五歳以上の人数分拠出されるグ⸢サーク⸣マイ[gu⸢saːku⸣mai](五勺花米)は一合枡を使って計量していた。 ⸢イッサ⸣クティ ⸢スー⸣ ナ⸢カ⸣ムロー ⸢ナーン⸣ユンダ イ⸢チンゴーナカ⸣ムル カ⸢トンカ⸣シティ グ⸢サークマイ⸣ヤー パ⸢カ⸣ローッタ [⸢ʔissa⸣ku̥ti ⸢suː⸣ na⸢ka⸣muroː ⸢naːɲ⸣junda ʔi⸢ʧiŋgoːnaka⸣muru kḁ⸢toŋka⸣ʃi̥ti gu⸢saːkumai⸣jaː pḁ⸢ka⸣roːtta] (一勺という枡は無いから一合枡を斜めに傾かせて五勺米は計量された<計られた>) 1995 0 0 1837 htmvoc_1995.wav イッシン ⸢イッ⸣シン [⸢ʔiʃ⸣ʃiŋ] 名・副 一心。気持ち。専心。心で。気持ちで。標準語からの借用語。 ッ⸢ふァバ ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣スンティ ⸢スー イッ⸣シンシル ⸢アウ⸣リ ⸣ナンギーン シ⸢タ⸣ダー [f⸢faba ʔuinu gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣sunti ⸢suː ʔiʃ⸣ʃiŋʃiru ⸢ʔau⸣ri ⸣naŋgiːŋ ʃi̥⸢ta⸣daː] (子供を上の学校に出そうという気持ち<一心>で難儀苦労<哀れ難儀>もしたのだよ) 2003 0 0 1838 htmvoc_2003.wav イッシングリン ⸣イッシングリン [⸣ʔiʃʃiŋguriŋ] 名 一銭五厘。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸢ピータイ⸣ヤー ⸣イッシングリンシ ⸢サンガリ パッ⸣タツォー [mu⸢kaʃi⸣nu ⸢piːtai⸣jaː ⸣ʔiʃʃiŋguriŋʃi ⸢saŋgari pat⸣taʦoː] (昔の兵隊は一千五厘<はがき>で引張られ<徴兵され>て行ったそうだ) 2004 0 0 1839 htmvoc_2004.wav イッシンミー ⸣イッシンミー [⸣ʔiʃʃimmiː] 名 一銭硬貨。「一銭目」の義。 ⸣イッシンミーヌ ⸢ナーン⸣ティ ナ⸢ク⸣ バスン ⸢アッ⸣タン⸢ダー [⸣ʔiʃʃimmiːnu ⸢naːn⸣ti na⸢ku⸣ basuŋ ⸢ʔat⸣tan⸢daː] (一銭硬貨がないといって泣くこともあったよ) 1998 0 0 1840 htmvoc_1998.wav イッス ⸢イッ⸣ス [⸢ʔis⸣su] 名 一升。容量の単位。 ⸢イッス⸣サー [⸢ʔissu⸣saː] (一升枡)。 ⸢イッス⸣ガイ [⸢ʔissu⸣gai] (一升買い)。 ⸢イッス⸣タキ [⸢ʔissu⸣tḁki] (一升炊き釜)。 ⸢イッス⸣クビン [⸢ʔissu⸣kubiŋ] (一升瓶)。 フ⸢タール⸣シ ム⸢チマイ イッ⸣ス ⸣ッサイティ ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣ラ⸢ディー [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi mu⸢ʧimai ʔis⸣su ⸣ssaiti mu⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣ra⸢diː] (二人で糯米を一升搗き精げて餅を作ろうよ) 2005 0 0 1841 htmvoc_2005.wav イッスー ⸢イッ⸣スー [⸢ʔis⸣suː] 名 一艘。一隻。 ⸣フネー ⸢イッ⸣スーンツァン ミ⸢ララ⸣ヌ [⸣ɸuneː ⸢ʔis⸣suːnʦam mi⸢rara⸣nu] (舟は一艘すらも<さえも>見えない<見られない>) 2000 0 0 1842 htmvoc_2000.wav イッスガイ ⸢イッス⸣ガイ [⸢ʔissu⸣gai] 名 一升買い。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラユンダ ⸢イッス⸣ガイ ⸢サン⸣カー タ⸢ラーサラヌ [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸢goː⸣rajunda ⸢ʔissu⸣gai ⸢saŋ⸣kaː ta⸢raːsaranu] (家族の人数が多いので一升買いしないと足りない<足らされない>) 2002 0 0 1843 htmvoc_2002.wav イッスクビン ⸢イッス⸣クビン [⸢ʔissu⸣kubiŋ] 名 一升瓶。ぞんざいな表現では⸢イッス⸣ビン[⸢ʔissu⸣biŋ](一升瓶)ともいう。⸢パイ⸣ター[⸢pai⸣taː](南端{EOS}西表島北部の鳩間島の水田地帯)へ行く時や、イ⸢ガメー[ʔi⸢gameː](烏賊釣り漁)に出る際には、⸢イッス⸣クビン[⸢ʔissu⸣kubiŋ](一升瓶)に飲料水を詰めて、二本ほど持参した。西表島では、ナ⸢マ⸣ミジ ⸣ヌムカー ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣ルン[na⸢ma⸣miʤi ⸣numukaː ⸢puːkiː⸣ kḁ⸢ka⸣ruŋ](生水を飲むと風気<マラリア>に罹る)といわれていたからである。 バ⸢カーン⸣ケンマー ⸢イッス⸣クビン ダ⸢キティル⸣ サ⸢キバ⸣ ヌ⸢モーッ⸣タツォー [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː ⸢ʔissu⸣kubin da⸢kitiru⸣ sḁ⸢kiba⸣ nu⸢moːt⸣taʦoː] (若かった頃は一升瓶を抱いてが<ぞ>酒を飲まれたそうだ) 1999 0 0 1844 htmvoc_1999.wav イッスサー ⸢イッス⸣サー [⸢ʔissu⸣saː] 名 一升枡。 ⸢イッス⸣サーシ ⸢マイ⸣ パ⸢カ⸣リ ⸢カーシ⸣バ [⸢ʔissu⸣saːʃi ⸢mai⸣ pḁ⸢ka⸣ri ⸢kaːʃi⸣ba] (一升枡で米を計って売りなさい) 2001 0 0 1845 htmvoc_2001.wav イッスタキ ⸢イッス⸣タキ [⸢ʔissu⸣tḁki] 名 一升炊きの釜。米一升を炊くことの出来る釜。 ⸢イッスタキ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン バ⸢カシタンティン⸣ プ⸢ス⸣キブンドゥ ⸣アル [⸢ʔissutḁki⸣nu ⸢pit⸣ʧim ba⸢kaʃi̥tantim⸣ pu̥⸢su⸣kibundu ⸣ʔaru] (一升炊き釜のいっぱい炊いても一食<ひとけ>分しかない<一食分ぞある>) 2006 0 0 1846 htmvoc_2006.wav イッスン ⸢イッ⸣スン [⸢ʔis⸣suŋ] 名 一寸。標準語からの借用語。老年層は普通、プ⸢ス⸣ブシ[pu̥⸢su⸣buʃi](一節<ひとふし>)という。中指の一節の長さを基準にして、プ⸢ス⸣ブシ[pu̥⸢su⸣buʃi](一寸)、フ⸢タブシ[ɸu̥⸢tabuʃi](二寸)、⸢ミーブシ[⸢miːbuʃi](三寸)のように測った。/クルマー ミブシヌ フサビシドゥ シンリヌ ミチン ハイミグル ピトゥヤ ミブシヌ シタシドゥ グフドゥヤ フイシティ デンサー/(車は三寸の楔で千里の道も走りまわる{EOS}人は三寸の舌先で五体を食い殺すものだ、デンサー)「デンサー節」と歌われている。若年層は、⸢ワー⸣ラ シン⸢トゥ イッスン⸣ドゥ ピ⸢サー[⸢waː⸣ra ʃin⸢tu ʔissun⸣du pi̥⸢saː](君よりたった一寸しか低くない<たった一寸ぞ低い>)のようにいう 2008 0 0 1847 htmvoc_2008.wav イッソーパリ ⸢イッソー⸣パリ [⸢ʔissoː⸣pari] 名 一目散に走ること。 ⸢アッ⸣タニ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター ⸢イッソー⸣パリ ⸢シー ヤー パッ⸣タ [⸢ʔat⸣tani ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ⸢ʔissoː⸣pari ⸢ʃiː jaː pat⸣ta] (急に雨が降ったので、一目散に走って家に帰った<行った>) 2007 0 0 1848 htmvoc_2007.wav イッソーラ ⸢イッソー⸣ラ [⸢ʔissoː⸣ra] 副 片っ端から。総て。手当たり次第に。すっかり。 ⸢タンガ⸣シ ウ⸢ビ⸣ヌ パ⸢タキ⸣ヌ ガ⸢ヤー⸣バ ⸢イッソー⸣ラ ⸣スリ シ⸢テーン⸣ツォー [⸢taŋga⸣ʃi ʔu⸢bi⸣nu pḁ⸢taki⸣nu ga⸢jaː⸣ba ⸢ʔissoː⸣ra ⸣suri ʃi̥⸢teːn⸣ʦoː] (一人であれだけの畑の茅を片っ端から刈り払って<刈りすてて>しまったそうだ)。 ⸣ウリクー イ⸢ゾー イッソー⸣ラ ⸣アンシ ガ⸢ラ⸣シ ス⸢クイ⸣ トゥリ [⸣ʔurikuː ʔi⸢ʣoː ʔissoː⸣ra ⸣ʔaŋʃi ga⸢ra⸣ʃi su̥⸢kui⸣ turi] (<干瀬から>下りてくる魚は総て網で引っ掛けて掬い取れ) 2009 0 1 1849 htmvoc_2009.wav イッタン ⸢イッ⸣タン [⸢ʔit⸣taŋ] 名 {Mn_1}一反。\ruby{布帛}{フ|ハク}の大きさを表す単位。普通、並幅で2丈8尺。 ⸣バサヌーヌ ⸢イッ⸣タン ウ⸢リティ⸣ バサキン プ⸢スッ⸣クビ ⸢サーソーッ⸣タ [⸣basanuːu ⸢ʔit⸣taŋ ʔu⸢riti⸣ basakim pu̥⸢suk⸣kubi ⸢saːsoːt⸣ta] (芭蕉布を一反織って、芭蕉布の着物を一着新調された)。 2009 0 2 1850 htmvoc_2009.wav イッタン ⸢イッ⸣タン [⸢ʔit⸣taŋ] 名 {Mn_2}一反。土地の面積を表す単位。300坪。 ⸣ター ⸢イッ⸣タンラ ⸢マイヤ⸣ ナンビュー トゥ⸢ラリ⸣ワ [⸣taː ⸢ʔit⸣tanra ⸢maijaː⸣ nambjuː tu⸢rari⸣wa] (田圃一反から米は何表収穫できる<取れる>か) 2010 0 0 1851 htmvoc_2010.wav イッタン ⸢イッ⸣タン [⸢ʔit⸣taŋ] 副 いったん(一旦)。ひとたび。標準語からの借用語。普通は、プ⸢スム⸣シ[pu̥⸢sumu⸣ʃi](一度)のように用いる。 ⸢イッ⸣タン フ⸢チェー⸣ラ ン⸢ザ⸣シェーラ マ⸢タトー⸣ フ⸢クマラ⸣ヌ [⸢ʔit⸣taŋ ɸu̥⸢ʧeː⸣ra ʔn⸢ʣa⸣ʃeːra ma⸢tatoː⸣ ɸu̥⸢kumara⸣nu] (一旦口から出したら二度と口の中に戻せない<くくめない>) 2011 0 0 1852 htmvoc_2011.wav イッチー ⸢イッチー [⸢ʔitʧiː] 名 (数)。一対。二個で一組となるものを数える語。 ⸢カン⸣ビン ⸢イッチー [⸢kam⸣biŋ ⸢ʔitʧiː] (燗壜一対)。 ⸣クビン ⸢イッチー [⸣kubiŋ ⸢ʔitʧiː] (瓶一対)。 サ⸢カシキ イッチー [sḁ⸢kaʃi̥ki ʔitʧiː] (杯一対)。 ⸢ニンガイ⸣ヌ ⸣グシパナー ⸢カン⸣ビン ⸢イッチー⸣ナ サ⸢カシキ イッチートゥ⸣ イ⸢チンゴー⸣パナ ウ⸢ビ⸣ル ス⸢コール [⸢niŋgai⸣nu ⸣guʃipanaː ⸢kam⸣biŋ ⸢ʔitʧiː⸣na sḁ⸢kaʃiki ʔitʧiːtu⸣ ʔi⸢ʧiŋgoː⸣pana ʔu⸢bi⸣ru su̥⸢koːru] (祈願用供物の神酒や花米は、燗壜一対の神酒に杯一対と一合花米、これだけを<ぞ>準備なさる) 2013 0 0 1853 htmvoc_2013.wav イッチョー ⸢イッ⸣チョー [⸢ʔit⸣ʧoː] 名 (動)魚の名。和名、ホホジロザメ(体長約9メートルに達するものもいるという)。人食い鮫として恐れられている。 ⸢イッチョー⸣ヤ プ⸢スッふァイサバ⸣ティ ア⸢ザリ ブタ [⸢ʔitʧoː⸣ja pu̥⸢suffaisaba⸣ti ʔa⸢ʣari buta] (ホホジロザメは人食い鮫と言われていた) 2016 0 0 1854 htmvoc_2016.wav イッチョーラ ⸢イッチョー⸣ラ [⸢ʔitʧoː⸣ra] 名 一張羅。標準語からの借用語。一枚しかない大事な着物。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣マーッふァヌ ⸣ニービキヨイ ヤ⸢リバ イッチョー⸣ラ ン⸢ザ⸣シ キ⸢シ⸣ パ⸢ラリ⸣ル [⸢kjuː⸣ja ⸣maːffanu ⸣niːbikijoi ja⸢riba ʔitʧoː⸣ra ʔn⸢ʣa⸣ʃi ki̥⸢ʃi⸣ pa⸢rari⸣ru] (今日は孫の結婚祝いだから、一枚しかない一張羅を出して着て行こう<行かれる>と思う) 2014 0 0 1855 htmvoc_2014.wav イッチン イッ⸢チン [ʔit⸢ʧiŋ] 副 いつも。常に。如何なる時も。イ⸢チン[ʔi⸢ʧiŋ](いつも{EOS}常に)の強調表現。 ⸣バー ⸣クーピンマー ⸢ワー⸣ イッ⸢チン ヤー⸣ナ ブ⸢ラーンワー⸢ヌー [⸣baː ⸣kuː ⸣pimmaː ⸢waː⸣ ʔit⸢ʧiŋ jaː⸣na bu⸢raːŋwaː⸢nuː] (私が来る時は、君はいつも家にいないではないか) 2015 0 0 1856 htmvoc_2015.wav イッチン イッ⸢チン [ʔit⸢ʧiŋ] 副 一番。最も。 イッ⸢チン⸣ パ⸢ジメー タール⸣ パ⸢ル⸣ワ [ʔit⸢ʧim⸣ pa⸢ʤimeː taːru⸣ pa⸢ru⸣wa] (一番最初に誰が行くか)。 ワ⸢ター⸣ シ⸢リ⸣ナー ⸢ターンドゥ⸣ イッ⸢チン⸣ タ⸢カー⸣ワ [wa⸢taː⸣ ʃi⸢ri⸣naː ⸢taːndu⸣ ʔit⸢ʧin tḁ⸢kaː⸣wa] (君達の仲間<同輩、連れ>の内で誰が<ぞ>一番高いか)。 ⸢タール⸣ イッ⸢チン カイ⸣ヤワ(ア⸢バ⸣レーワ) [⸢taːru⸣ ʔit⸢ʧiŋ kai⸣jawa(ʔa⸢ba⸣reːwa<美しい{EOS}あはれ>)] (誰が一番美しいか{EOS}<老年層の言葉>か) 2022 0 0 1857 htmvoc_2022.wav イットーッふァー ⸢イットーッ⸣ふァー [⸢ʔittoːf⸣faː] 名 お利口さん。良い子。可愛い子。素晴らしい子。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ イットーッ⸣ふァ⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena ʔittoːf⸣fa⸢daː] (その子は非常に良い子だよ) 2017 0 0 1858 htmvoc_2017.wav イットゥ ⸢イッ⸣トゥ [⸢ʔit⸣tu] 名 一斗。容量の単位。10升。 ム⸢チマイ イッ⸣トゥ ッ⸢サーバ⸣ル ⸢プール⸣ムチェー タ⸢ラーサリル [mu⸢ʧimai ʔit⸣tu s⸢saːba⸣ru ⸢puːru⸣muʧeː ta⸢raːsariru] (糯米を一斗ほど精米しないと豊年祭の餅は足りない<精げばぞ豊年祭の餅は足らされる>)。 サ⸢キ イッ⸣トゥ ⸣タルン [sḁ⸢ki ʔit⸣tu ⸣taruŋ] (酒を一斗醸造する) 2018 0 0 1859 htmvoc_2018.wav イットゥー ⸢イットゥー [⸢ʔittuː] 名 一統。一族。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢イットゥー⸣ナー ス⸢グリムヌンドゥ ゴー⸣ラーティ⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu ⸢ʔittuː⸣naː su⸢gurimunundu goː⸣raːti⸢daː] (その家の一族には優れ者が多いそうだ<多いとのことだ>) 2019 0 0 1860 htmvoc_2019.wav イットゥカミ ⸢イットゥ⸣カミ [⸢ʔittu⸣kami] 名 一斗入りの甕。味噌や醤油などの貯蔵用の甕(容器)。各家庭に数個用意されていた。 ⸢イットゥ⸣カミナ ⸢ミー⸣ス イ⸢リティ⸣ タ⸢ブイ⸣ シケー [⸢ʔittu⸣kamina ⸢miː⸣su ʔi⸢riti⸣ ta⸢bui⸣ ʃi̥keː] (一斗入りの甕に味噌を入れて蓄えてある) 2020 0 0 1861 htmvoc_2020.wav イットゥキ ⸢イッ⸣トゥキ [⸢ʔit⸣tuki] 名 一時。しばらく。暫時。 ⸢イットゥ⸣キ ⸣マティ ⸢ベー⸣リ ダン⸢ティ ギー⸣ タ⸢ク⸣ トゥリキー バ⸢カシ⸣ ッ⸢ふァーサ⸠ナー [⸢ʔittu⸣ki ⸣mati ⸢beː⸣ri dan⸢ti giː⸣ tḁ⸢ku⸣ turikiː ba⸢kaʃi⸣ f⸢faːsa⸠naː] (しばらく待っていなさい{EOS}さっと行って蛸を獲って来て煮て<炊いて>あげようねえ) 2021 0 0 1862 htmvoc_2021.wav イットゥキヌパンシ ⸢イットゥキ⸣ヌ ⸢パンシ [⸢ʔittuki⸣nu ⸢paŋʃi] 連 一時しのぎ。「一時のはずし」の義。 ⸣ウビシェー ⸣ウカー パ⸢ラーラ⸣ヌ ⸢イットゥキ⸣ヌ ⸢パンシル⸣ ナル [⸣ʔubiʃeː ⸣ʔukaː pa⸢raːra⸣nu ⸢ʔittuki⸣nu ⸢panʃiru⸣ naru] (それだけでは借金は払えない{EOS}一時しのぎにしかならない<一時しのぎぞなる>) 1975 0 0 1863 htmvoc_1975.wav イツヌウイ イ⸢ツ⸣ヌ ⸣ウイ [ʔi⸢ʦu⸣nu ⸣ʔui] 連 絹布の上のように凪いだ海上。波風の立たない穏やかな海上の比喩表現。一路平安を祈願する際の祈願文。 イ⸢ツ⸣ヌ ⸢ウイラ⸣ カ⸢リユ⸣シ マ⸢ラシ オー⸣リ [ʔi⸢ʦu⸣nu ⸢ʔuira⸣ ka⸢riju⸣ʃi ma⸢raʃi ʔoː⸣ri] (絹布の上のような穏やかな海上から航海安全の幸運<果報>を生み出して航海して<御出で>下さい) 1976 0 0 1864 htmvoc_1976.wav イツヌキシ イ⸢ツ⸣ヌ ⸣キシ [ʔi⸢ʦu⸣nu ⸣kiʃi] 連 「絹布の切れ」の義。平民の女性が士族の男性との間に生んだ子供をいう。離島僻地では役人が赴任してくると村吟味のすえ、賄い女性を出したという。その女性と役人の間に出来た子供をイ⸢ツ⸣ヌ ⸣キシ[ʔi⸢ʦu⸣nu ⸣ki̥ʃi]といい、誇りとされていた。その子の命名に際しては、男の子は父親の名乗り頭の一字を貰った。 プ⸢ソー バン⸣ヨー ⸢グン⸣ボーティ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ ブ⸢ネーヌ⸣ アボー ⸢バー⸣ネー イ⸢ツ⸣ヌ ⸣キシティル ア⸢ゾーッ⸣タ [pu̥⸢soː baɲ⸣joː ⸢gum⸣boːti ʔa⸢ʣoːtta⸣nu bu⸢neːnu⸣ ʔaboː ⸢baː⸣neː ʔi⸢ʦu⸣nuki̥ʃitiru ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (他人は私を⸢グン⸣ボーと言われたが、母親であるお母さんは私にはイ⸢ツ⸣ヌキシとが<ぞ>言われた) 2024 0 0 1865 htmvoc_2024.wav イッパー ⸢イッ⸣パー [⸢ʔip⸣paː] 名 子供の遊具。⸢ティッ⸣パー[⸢tip⸣paː]ともいう。直径約1、5センチ、長さ約10センチの棒切れの頭部を斜めに切ったもの、または五分板の角を利用した対辺の短い三角板(⸢イッ⸣パー、ティッパー)を地面に据え、約30センチの太鼓の撥状の棒でティッパーの頭部をチョコント打って跳ね上げ、それを撥状の棒で打って更に遠くへ飛ばして飛距離を競う遊び。飛来して来る⸢イッ⸣パーを守っている子供が受け取るとアウト。打者交替となる。クリーンヒットを打った場合は打者は陣地(ベース)から⸢イッパーの落下地点までの距離を、撥状の打棒を物差しにして、尺取虫のように測定し、得点とする遊び。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸣ユー ⸢イッ⸣パー ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸣juː ⸢ʔip⸣paː ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (子供のころは<子供していた時は>、よく⸢イッ⸣パーをして遊んだよ) 2023 0 0 1866 htmvoc_2023.wav イッパイ ⸢イッ⸣パイ [⸢ʔip⸣pai] 副 沢山。一杯。多量にあるさま。標準語からの借用語か。古老は、⸣ミツンケン[⸣miʦuŋkeŋ](満ちるほど)という。 ⸣ヌーンクイン ⸢イッ⸣パイ <タカー⸢ニン⸣> ⸣アン [⸣nuːŋkuiŋ ⸢ʔip⸣pai ⸣ʔaŋ] (何もかも沢山ある)。 ⸢イー⸣ヤ ⸢イッ⸣パイ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢ʔiː⸣ja ⸢ʔip⸣pai f⸢fai⸣ba] (ご飯は沢山<一杯>食べなさいよ) 1977 0 1 1867 htmvoc_1977.wav イツバタ ⸣イツバタ [⸣ʔiʦubata] 名 {Mn_1}絹のような美しい心。「絹腹」の義。 ブ⸢バー⸣マー イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムカイ⸣ヤー ア⸢ロー⸣レーティ ⸣イツバタティ ア⸢ザリオーッ⸣タ [bu⸢baː⸣maː ʔik⸢kena⸣ ki⸢mukai⸣jaː ʔa⸢roː⸣reːti ⸣ʔiʦubatati ʔa⸢ʣariʔoːt⸣ta] (叔母は非常に優しい心の持ち主でいらっしゃった<心が美しくあられた>ので、絹のような美しい心と皆からいわれておられた)。 1977 0 2 1868 htmvoc_1977.wav イツバタ ⸣イツバタ [⸣ʔiʦubata] 名 {Mn_2}優れた子を産む立派な母親の腹。安産をする母体。 ⸣イツバタ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュ⸢タール⸣ ナ⸢サ⸣バン ヤ⸢シーヤシー⸣シドゥ ッ⸢ふァー⸣ ナス [⸣ʔiʦubata ja⸢runda⸣ gju⸢taːru⸣ na⸢sa⸣baɲ ja⸢ʃiːjaʃiː⸣ʃidu f⸢faː⸣ nasu] (安産する母体<絹腹>だから何人子供を生もうとも簡単に<やすやすと>子供を生む) 1972 0 0 1869 htmvoc_1972.wav イツピピル ⸣イツピピル [⸣ʔiʦupipiru] 名 絹縄。アーパーレー歌謡に歌われている、絹で綯った縄。茅葺屋根の甍を引き締める最強の縄とされている。⸣ピピル[⸣pipiru]は「ひひる」(蛾の呼称{EOS}蚕蛾⸢蛾、比比流(ひひる)『和名抄』)の転訛したもの。/⸣ヤー ⸣イツピピルバ シ⸢ミ⸣ナー ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸢スー/(ああ、絹縄を締め縄にして甍を引き締めて家を造ってあるという)『あーぱれー節、第13連 ハヤミク』 2028 0 0 1870 htmvoc_2028.wav イッピュー ⸢イッ⸣ピュー [⸢ʔip⸣pjuː] 名 一俵。 ⸢マイダーラ イッ⸣ピュー カ⸢タ⸣ミ ⸣パリバ [⸢maidaːra ʔip⸣pjuː kḁ⸢ta⸣mi ⸣pariba] (米俵一俵担いで行きなさい) 2029 0 0 1871 htmvoc_2029.wav イッピンリョーリ ⸢イッピンリョー⸣リ [⸢ʔippinrjoː⸣ri] 名 一品料理。一品だけの料理。標準語からの借用語。戦後、婦人会が生活改善のために、各自一品だけの料理を持ち寄って親睦会や祝賀会をもようした。 ⸢イッピンリョー⸣リシ ⸢ケイロー⸣カイ ⸢シー オーサ⸣ナー [⸢ʔippinrjoː⸣riʃi ⸢keiroː⸣kai ⸢ʃiː ʔoːsa⸣naː] (一品料理で敬老会をして差し上げましょうね) 1980 0 0 1872 htmvoc_1980.wav イツフクダー ⸣イツフクダー [⸣ʔiʦuɸu̥kudaː] 名 \ruby{襤褸}{ボ|ロ}でも絹になる。「絹の襤褸」の義。襤褸のような古着でも綺麗に繕えば絹のような立派な着物になるの意。 ⸣イツフクダーティ ア⸢ザリブー⸣ ッ⸢ふ⸣キン ヤ⸢リバ⸣ティ ⸢シー⸣ シ⸢ティルナ⸣ヨー [⸣ʔiʦuɸu̥kudaːti ʔa⸢ʣaribuː⸣ f⸢fu⸣kiɲ ja⸢riba⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢tiruna⸣joː] (「絹の襤褸」と言われている古着だからといって決して<して>捨てるなよ) 1981 0 0 1873 htmvoc_1981.wav イツフクビ ⸣イツフクビ [⸣ʔiʦuɸu̥kubi] 名 にじ(虹)。「絹の帯」の転訛したもの。イトゥフクビ[ʔituɸu̥kubi](虹)、⸢ノーギ[noːgi](虹)『八重山語彙』ともいう。 ム⸢カ⸣シプソー ⸣イツフクビバ ⸣イトゥフクビティル ア⸢ゾー⸣レーバン⸢ナー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸣ʔiʦuɸu̥kubiba ⸣ʔituɸu̥kubitiru ʔa⸢ʣoː⸣reːban⸢naː] (昔の人はイツフクビ<虹>をイトゥフクビ<虹>と言われたんですねえ) 2030 0 0 1874 htmvoc_2030.wav イップンギー ⸢イップン⸣ギー [⸢ʔippuŋ⸣giː] 名 一本の材木を取ることの出来る真直ぐな木。ナ⸢カ⸣バラー[na⸢ka⸣baraː](中柱、大黒柱)を取ることの出来る真直ぐな大木。「一本木」の義。 ク⸢ヌ イップン⸣ギーシェー <プ⸢スム⸣トーラー> ナ⸢カ⸣バラー トゥ⸢ラ⸣リン [ku⸢nu ʔippuŋ⸣giːʃe na⸢ka⸣baraː tu⸢ra⸣riŋ] (この一本木の真直ぐな大木では大黒柱<中柱>が取れる) 2031 0 0 1875 htmvoc_2031.wav イップンマチ ⸢イップン⸣マチ [⸢ʔippum⸣maʧi] 名 一本松。 ⸣インダヌ ⸢シーヌウチヌ⸣ ガ⸢マン⸣ トンナー ⸢イップンマチ⸣ヌ ⸣ムイ ⸢ベー⸣ン [⸣ʔindanu ⸢ʃiːnuʔuʧinu⸣ ga⸢man⸣ tonnaː ⸢ʔippummaʧi⸣nu ⸣mui ⸢beː⸣ŋ] (伊武田の垣の内の洞窟の所に一本松が生えている) 2033 0 0 1876 htmvoc_2033.wav イッポー ⸢イッ⸣ポー [⸢ʔip⸣poː] 名 一方。片方。反対側。カ⸢タ⸣トン、カ⸢タン⸣トンとも言う。 ⸢ター⸣ヤ ⸢イッ⸣ポーラ イ⸢ビパラバ⸣ル ⸢タンカー⸣ トゥ⸢ラ⸣リ [⸢taː⸣ja ⸢ʔip⸣poːra ʔi⸢biparaba⸣ru ⸢taŋkaː⸣ tu⸢ra⸣ri] (稲<田>は一方から植えて行ってこそ<植えて行けばぞ>真直ぐに植えることが出来る<直線をとることができる>)。 ⸢イッポー⸣ヤ ⸣ミサンティ ア⸢ズヌ イッポー⸣ヤ ナ⸢ラン⸣ティル ア⸢ズ⸣ツォー [⸢ʔippoː⸣ja ⸣misanti ʔa⸢ʣunu ʔippoː⸣ja na⸢ran⸣tiru ʔa⸢ʣu⸣ʦoː] (一方はよろしいと言うが、また一方はだめだ<ならぬ>とが<ぞ>いうんだそうだ)。 ⸢イッポー⸣ヌ ⸣ムニ カー⸢ニ⸣ ス⸢ク⸣カー カ⸢タ⸣ピキ ナ⸢リ⸣ス [⸢ʔippoː⸣nu ⸣muni kaː⸢ni⸣ su̥⸢ku⸣kaː kḁ⸢ta⸣piki na⸢ri⸣su] (一方の意見<言葉>だけ聞くとひいき<贔屓>になってしまう) 2032 0 0 1877 htmvoc_2032.wav イッポーギー ⸢イッポー⸣ギー [⸢ʔippoː⸣giː] 名 頑固者。一徹者。一途に思い込む気質の人。「一本気」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー イッポー⸣ギ ヤ⸢ルンダ ター⸣ ノーン⸢ティ⸣ ア⸢ザバン⸣ プ⸢スヌ⸣ ムネー シゥ⸢カヌ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː ʔippoː⸣gi ja⸢runda taː⸣ noːn⸢ti⸣ ʔa⸢ʣaban⸣ pu̥⸢sunu⸣ muneː sï̥⸢kanu] (この人は一途に思い込む頑固者だから誰が何と忠告<言おうとも>しても他人の言うこと<言葉>を聞き入れない) 2036 0 0 1878 htmvoc_2036.wav イトゥ ⸣イトゥ [⸣ʔitu] 名 糸。縫い糸。 ⸣ムミンイトゥ [⸣muminʔitu] (木綿糸)。 パ⸢ル⸣ヌ ⸣ミーナ ⸣イトゥヌ⸢キ⸣ ッ⸢ふィーリ [pa⸢ru⸣nu ⸣miːna ⸣ʔitu nu⸢ki⸣ f⸢fiːri] (針の目に糸を通して<貫いて>くれ) 2037 0 0 1879 htmvoc_2037.wav イトゥカキ イ⸢トゥ⸣カキ [ʔi⸢tu⸣kaki] 名 綾取り。「糸掛け」の義。糸を左右の手首や指に掛けて操作し、箒の形や梯子の形など、その他いろいろな形を作って互いに掛けた糸をやり取りする子供の遊び。 イ⸢トゥ⸣カケー ⸢ゴー⸣ラー ミ⸢ドーン⸣ッふァンドゥ ⸢シー⸣ ア⸢サブタ⸣ナー [ʔi⸢tu⸣kḁkeː ⸢goː⸣raː mi⸢doːn⸣ffandu ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabuta⸣naː] (綾取りは多くは女の子がして遊んだねえ) 2038 0 0 1880 htmvoc_2038.wav イトゥシジ イ⸢トゥ⸣シジ [ʔi⸢tu⸣ʃiʤi] 名 糸筋。 イ⸢トゥシジ⸣ヌ ム⸢ツァー⸣リ キ⸢シラン⸣ヨーニ ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァーシ⸣バ [ʔi⸢tuʃiʤi⸣nu mu⸢ʦaː⸣ri ki̥⸢ʃiraɲ⸣joːni ⸢nuː⸣ru f⸢faːʃi⸣ba] (糸筋が縺れて切れないように糊を付け<喰わせ>なさい) 2039 0 0 1881 htmvoc_2039.wav イトゥヌシビトゥズミルン イ⸢トゥ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ トゥ⸢ズミルン [ʔi⸢tu⸣nu ʃi⸢bi⸣ tu⸢ʣumiruŋ] 成 「糸の尻を始末する」の義。糸の止めをむすぶ。縫い糸のはしに糸が抜けないように糸止めの小さな結び目をつくる。 イ⸢トゥ⸣ヌ シ⸢ベー⸣ トゥ⸢ズ⸣ミ シケーンナー⸢レー [ʔi⸢tu⸣nu ʃi⸢beː⸣ tu⸢ʣu⸣mi ⸣ʃi̥keːnnaː⸢reː] (糸の尻は糸止めの結び目を作ってある<糸止めの始末をしてある>だろうな) 2040 0 0 1882 htmvoc_2040.wav イトゥバサー イ⸢トゥ⸣バサー [ʔi⸢tu⸣basaː] 名 (植)イトバショウ(糸芭蕉)。石垣方言からの借用語。普通はタ⸢カ⸣バサ[tḁ⸢ka⸣basa](高芭蕉)という。単に⸣バサ[⸣basa](芭蕉)ともいう。芭蕉布を織るための繊維を採る芭蕉。果実をつけない。専用の⸣バサパタキ[⸣basapḁtaki](芭蕉畑)もあった。 イ⸢トゥ⸣バサーティ ⸢スー⸣ ムネー イ⸢サナキムニ⸠ナー [ʔi⸢tu⸣basaːti ⸢suː⸣ muneː ʔi⸢sanakimuni⸠naː] (糸芭蕉という言葉は石垣言葉だね、そうでしょう?) 2041 0 1 1883 htmvoc_2041.wav イトゥマ イ⸢トゥ⸣マ [ʔi⸢tu⸣ma] 名 {Mn_1}休暇。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティル ⸢ガッ⸣コーラ イ⸢トゥ⸣マ ⸢イー⸣リ ⸢カイ⸣リ⸢クー⸣タ [ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤitiru ⸢gak⸣koːra ʔi⸢tu⸣ma ⸢ʔiː⸣ri ⸢kai⸣ri ⸢kuː⸣ta] (熱が出たので 学校から休みをもらって帰ってきた)。 2041 0 2 1884 htmvoc_2041.wav イトゥマ イ⸢トゥ⸣マ [ʔi⸢tu⸣ma] 名 {Mn_2}辞職。 ヤ⸢ク⸣バナ シ⸢トゥ⸣ミ ⸢ベータヌン⸣ドゥ イ⸢トゥ⸣マ ⸣トゥリケーティバン [ja⸢ku⸣bana ʃi̥⸢tu⸣mi ⸢beːtanun⸣du ʔi⸢tu⸣ma ⸣turikeːtibaŋ] (役場に勤めていたが辞職してきたそうだよ)。 2041 0 3 1885 htmvoc_2041.wav イトゥマ イ⸢トゥ⸣マ [ʔi⸢tu⸣ma] 名 {Mn_3}離別。歌謡語で⸢イトゥマグイ トゥムティ[⸢ʔitumagui tumuti](お別れ<暇乞い>と思って)のように歌われている 2042 0 0 1886 htmvoc_2042.wav イトゥマグイ イ⸢トゥマ⸣グイ [ʔi⸢tumagui] 名 暇乞い。離別。休暇願い。(歌謡語)⸢シンシン⸣ナーニ イ⸢トゥマ⸣グイ ⸢シーティル カイ⸣リ クー⸢ダー[⸢ʃiŋʃin⸣naːni ʔi⸢tuma⸣gui ⸢ʃiːtiru kai⸣ri ⸣kuː⸢daː](先生に休暇をもらって<暇乞いして>から帰ってくるんだよ) 2043 0 0 1887 htmvoc_2043.wav イトゥマシミルン イ⸢トゥ⸣マ シ⸢ミルン [ʔi⸢tu⸣ma ʃi⸢miruŋ] 連 休ませる。暇をあたえる。 ⸣アツァー ⸢ソッコー⸣ヌ アリ⸢ベー⸣ティ イ⸢トゥ⸣マ シ⸢ミ⸣ ッ⸢ふォー⸣リ [⸣ʔaʦaː ⸢sokkoː⸣nu ʔari⸢beː⸣ti ʔi⸢tu⸣ma ʃi⸢mi⸣ f⸢foː⸣ri] (明日は法事<焼香>がありますので休ませてください) 2044 0 0 1888 htmvoc_2044.wav イナカ イ⸢ナカ [ʔi⸢naka] 名 田舎。 ウ⸢ヌ プソー バン⸣ヨー イ⸢ナカムヌ⸣ティ ウ⸢サイン⸣ ウ⸢ムイナ⸣シン ⸢ソーラン⸣シェン [ʔu⸢nu pu̥soː baɲ⸣joː ʔi⸢nakamunu⸣ti ʔu⸢saiŋ⸣ ʔu⸢muina⸣ʃin ⸢soːraŋ⸣ʃeŋ] (その人は私を田舎者といって馬鹿にもしないし、ひどい扱いをすることもなさらなかった) 2045 0 0 1889 htmvoc_2045.wav イナカー イ⸢ナカー [ʔi⸢nakaː] 名 田舎者。 ⸢バン⸣ター メー イ⸢ナカー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢キン⸣ヌ ⸣クトー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サヌ [⸢ban⸣taː meː ʔi⸢nakaː⸣ ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢kin⸣nu ⸣ku̥toː noː⸢n⸣ s⸢sanu] (私達は<聞き手を含まない>もう、田舎者だから世間のことは何も知らない) 2046 0 0 1890 htmvoc_2046.wav イナカプス イ⸢ナカプス [ʔi⸢nakapu̥su] 名 田舎者。田舎人。 イ⸢ナカプス⸣ティ ⸣ドゥク ウ⸢サウナ⸣ヨー [ʔi⸢nakapu̥su⸣ti ⸣duku ʔu⸢sauna⸣joː] (田舎者といって、あまり馬鹿にするなよ) 2047 0 0 1891 htmvoc_2047.wav イナカムニ イ⸢ナカムニ [ʔi⸢nakamuni] 名 田舎言葉。「田舎物言い」の義。⸣ムニ[⸣muni](言葉)は、「賢しみと物言従者<モノイフヨリハ>~。万、341」の転訛したものか。 パ⸢トゥ⸣マムネー イ⸢ナカムニ⸣ ヤ⸢ルヌ メークムニ⸣ シ⸢キル⸣カー イ⸢ナカナマレー イシゥカー⸣ル ⸣アル [pḁ⸢tu⸣mamuneː ʔi⸢nakamuni⸣ ja⸢runu meːkumuni⸣ ʃi̥⸢kiru⸣kaː ʔi⸢nakanamareː ʔisi̥kaː⸣ru ⸣ʔaru] (鳩間方言<言葉>は田舎言葉であるが、宮古方言<言葉>と比較すると田舎なまりは少ない) 2048 0 0 1892 htmvoc_2048.wav イナカムヌ イ⸢ナカムヌ [ʔi⸢nakamunu] 名 田舎者。田舎育ち。 イ⸢ナカムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ トゥ⸢カイ⸣ナー ミ⸢ジラ⸣サ ⸣ムヌ カー⸢ニル⸣ アル [ʔi⸢nakamunu⸣ ja⸢runda⸣ tu̥⸢kai⸣naː mi⸢ʤira⸣sa ⸣munu kaː⸢niru⸣ ʔaru] (田舎者だから、都会には珍しいものだけがある) 2050 0 0 1893 htmvoc_2050.wav イナシキ イ⸢ナ⸣シキ [ʔi⸢na⸣ʃi̥ki] 名 杵。たて杵。「稲搗き」の義。「螽斯虫、以禰豆木古万呂(いねつきこまろ)」『和名抄』の「以禰豆木」が転訛したものか。直径約10センチ、長さ約1メートルの木の幹を、中央部を削って握りやすくした杵。祝儀や法事があると、女たちは庭の木陰で臼を2台並べて、二人一組で稲搗きをした。精米する量が多い時は、⸢アイダ⸣チ[⸢ʔaida⸣ʧi](木槌状の大きな杵{EOS}横杵{EOS}大工用の大木槌よりも円錐形に近く、柄を付ける位置も円錐形の頭部に近い)で搗くことが多かった。 ⸢マイヤー⸣ シ⸢キ⸣ウシナ イ⸢リティ⸣ イ⸢ナ⸣シキシル ッ⸢サウ⸣タ [⸢maijaː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃina ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢na⸣ʃi̥kiʃiru ⸣s⸢sau⸣ta] (米は搗き臼に入れて杵で搗いた<精げた>) 2051 0 0 1894 htmvoc_2051.wav イナシキドゥル イ⸢ナシキ⸣ドゥル [ʔi⸢naʃi̥ki⸣duru] 名 複数の人が一つの臼で交互に米を搗くこと。「稲搗き<杵>取り」の義。多くの米や餅が必用な祝儀や不祝儀の前には親戚の女性達が二人一組、三人一組で米搗きをした。二人一組の場合はトントンと響き、三人一組の場合は、トントントンと三拍子に響いた。臼の下にはニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku](稲掃きむしろ{EOS}稲藁で編んだカーペット状の敷物)を敷いて飛散する米粒を拾った。 イ⸢ナシキ⸣ドゥル ⸢シー マイ⸣ ッサウン [ʔi⸢naʃi̥ki⸣duru ⸢ʃiː mai⸣ ssauŋ] (複数の人が対面して米を搗く) 2052 0 0 1895 htmvoc_2052.wav イナピ イ⸢ナ⸣ピ [ʔi⸢na⸣pi] 名 粉米(こごめ)。砕け米。米を搗く際にできる砕けたこめ。 イ⸢ナ⸣ペー プ⸢サイティ⸣ トゥ⸢ルン⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ʔi⸢na⸣peː pu̥⸢saiti⸣ tu⸢run⸣ f⸢faːʃi] (粉米は拾って鶏の餌にしなさい<鶏に喰わせなさい>) 2053 0 0 1896 htmvoc_2053.wav イナピニ イ⸢ナ⸣ピニ [ʔi⸢na⸣pini] 名 芒。のげ。稲の実の外殻にある針のような毛。「稲髭(いなひげ)」の義。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤ イ⸢ナピニ⸣ヌ ナ⸢ガー⸣ティ ⸢マイカリ シティ⸣ カ⸢タ⸣ミクー ピンマー ッ⸢サ⸣リティ ⸢パシゥコー⸣タン [⸢ʣaireːmai⸣ja ʔi⸢napini⸣nu na⸢gaː⸣ti ⸢maikari ʃiti⸣ ka⸢ta⸣mikuː pimmaː s⸢sa⸣riti ⸢pasï̥koː⸣taŋ] (在来種の米<黒米>は芒が長いので稲刈りして担いで来る時は芒に刺されて肌が痒かった<はしかしかった{EOS}「苛」、ハシカシ『類聚名義抄』>た)。⸢ザイ⸣レー[⸢ʣai⸣reː](在来種の黒米)を精米する際は、先ず稲こきをし、芒のついた籾を臼に入れて搗き、芒を落として碾き臼にかけ、籾殻を取り除いた。その後に搗き臼に入れ杵で搗いて精白<精米>した 2054 0 0 1897 htmvoc_2054.wav イナムヌ イ⸢ナムヌ [ʔi⸢namunu] 名 残念。悔しいこと。 ウ⸢ブ⸣タク トゥ⸢リピンガ⸣シティ イ⸢ナムヌ シー オーッ⸣タ [ʔu⸢bu⸣tḁku tu⸢ripiŋga⸣ʃi̥ti ʔi⸢namunu ʃiː ʔot⸣ta] (大蛸を取り逃がして残念がって<残念して>おられた) 2055 0 0 1898 htmvoc_2055.wav イナムヌカナムヌ イ⸢ナムヌカナ⸣ムヌ [ʔi⸢namunukana⸣munu] 名 非常に残念なこと。「残念もの・愛<かな>もの」の義か。残念を強調した表現。ABCDEFCD型の重言。「愛し」には、<大切なものを慈しむ、非常に惜しむ>の意味をもつ。 ⸢マー⸣バ イ⸢ク⸣サナ シ⸢ナシティル⸣ イ⸢ナムヌ カナ⸣ムヌ ⸢シーオー⸣ル [⸢maː⸣ba ʔi⸢ku⸣sana ʃi⸢naʃi̥tiru⸣ ʔi⸢namunu kana⸣munu ʃiːoː⸣ru] (孫を戦争で死なせて非常に残念がっておられる) 2056 0 0 1899 htmvoc_2056.wav イナムヌキムイツァー イ⸢ナムヌ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー [ʔi⸢namunu⸣ ki⸢mui⸣ʦaː] 連 残念で、気の毒だ。可哀相だ。不憫で同情に耐えない。 ヌーティヌーティー⸢ー⸣ ウ⸢ビ⸣ナ ッ⸢ふァバ⸣ ナシ フ⸢ドゥバシ⸣ シケームンバ ブ⸢トゥン⸣ シ⸢ティラリ⸣ シ⸢タ⸣ー⸢ー⸣ イ⸢ナムヌ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー [nuːtinuːtiː⸢ː⸣ ʔu⸢bi⸣naː f⸢faba⸣naʃi ɸu⸢dubaʃi⸣ ʃi̥keːmumba bu⸢tuŋ⸣ ʃi̥⸢tirari⸣ ʃi̥⸢ta⸣ː⸢ː⸣ ʔi⸢namunu⸣ ki⸢mui⸣ʦaː] (なんて何だって?あれだけ子供を産み育ててあるものを{EOS}夫に捨てられたとなあ?<承服できない>{EOS}残念で、不憫なことよ) 2057 0 0 1900 htmvoc_2057.wav イナヨー イ⸢ナヨー [ʔi⸢najoː] 名 (植)サツマイモの品種名。「非常に美味しいので他人に言うなよ」ということからその名称が付けられたという。 イ⸢ナヨー⸣ティ ア⸢ズ ウン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [ʔi⸢najoː⸣ti ʔa⸢ʣu ʔum⸣maː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (イナヨーという品種のサツマイモは非常においしかった) 2292 0 0 1901 htmvoc_2292.wav イナヨー ⸣イナヨー [⸣ʔinajoː] 名 (植)サツマイモの品種名。あまりにも美味しかったので「他人に言うなよ」と言ったことからの命名という。沖縄方言から転訛したもの。 プ⸢ス⸣クロー <⸢イットゥ⸣ケー> ウ⸢ヌス⸣ク ⸣イナヨーティ ⸢スー ウン⸣バ ス⸢ク⸣リ ブ⸢タンドゥ⸣ イ⸢チヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣ル ⸢ナーンナッ⸣タユー マ⸢ナ⸣マー ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢su⸣kuroː <⸢ʔittu⸣keː> ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸣ʔinajoːti ⸢suː ʔum⸣ba su̥⸢ku⸣ri bu⸢tandu⸣ ʔi⸢ʧinu⸣ ma⸢du⸣ru ⸢naːnnat⸣tajuː ma⸢na⸣maː ⸢naː⸣nu] (一時期はあれほどイナヨーという芋を作っていたがいつの間に無くなったのか、今は無い) 2058 0 0 1902 htmvoc_2058.wav イニ ⸣イニ [ʔini] 名 稲。普通は⸢マイ[⸢mai](米)という。⸣イニ[ʔini](稲)は歌謡の中に歌われているイ⸢ニガ⸣タニ ⸣アヨー[ʔi⸢niga⸣tani ⸣ʔajoː](稲の種のアヨー)、イ⸢ニシリ⸣ブシ[ʔi⸢niʃiri⸣buʃi](稲擂り節)などは固有名詞として定着しているが、日常生活語としては、イ⸢ナ⸣シキ[ʔi⸢na⸣ʃi̥ki](杵{EOS}「稲搗き」の義)、イ⸢ニ⸣ッサイ[ʔi⸢ni⸣ssai](稲搗き{EOS}「稲精げ」の義)などがある。⸢マイカリ[⸢maikari](稲刈り)、⸢マイイビ[⸢maiʔibi](田植え)、⸢マイ⸣ッサイ[⸢mai⸣ssai](米搗き<米精げ>)など、⸢マイ[⸢mai](米)を多く用いる 2059 0 0 1903 htmvoc_2059.wav イニカリ イ⸢ニ⸣カリ [ʔi⸢ni⸣kari] 名 稲刈り。普通は⸢マイカリ[⸢maikari](稲刈り)という。 ⸢ワッ⸣テヌ イ⸢ニ⸣カレー イ⸢チ⸣ヤ [⸢wat⸣tenu ʔi⸢ni⸣kareː ʔi⸢ʧi⸣ja] (お宅の<貴方の家の>稲刈りは何時ですか) 2060 0 0 1904 htmvoc_2060.wav イニッサイ イ⸢ニ⸣ッサイ [ʔi⸢ni⸣ssai] 名 稲搗き。搗き臼に米を入れて、杵で搗いて精げること。⸢マイ⸣ッサイ[⸢mai⸣ssai](米搗き)ともいう。昭和30年代ごろまでは、各家庭において搗き臼を用いて精米していた。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァイ⸣フチェー ⸣ドゥーシル イ⸢ニ⸣ッサイ ⸢ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢duː⸣nu f⸢fai⸣ɸu̥ʧeː ⸣duːʃiru ʔi⸢ni⸣ssai ⸢soːt⸣ta] (昔は家ごとに自分の食い分<食扶持>は自分で精米<稲搗き>されたものだ) 2061 0 0 1905 htmvoc_2061.wav イニピキ イ⸢ニ⸣ピキ [ʔi⸢ni⸣pi̥ki] 名 米摺り。籾摺り。「稲挽き」の義。籾を摺臼にかけて籾殻を除去し玄米にすること。ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](籾摺り臼{EOS}⸢碾き臼」の義)の上臼を回転させ、台臼との間で籾を摺り合わせて籾殻を除去した。昭和40年頃までは島で籾摺りをしていたが、その後は石垣島の精米所に送るようになった。 イ⸢ニ⸣ピキ ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣ヨー [ʔi⸢ni⸣pi̥ki ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣joː] (籾摺りの手伝いをしなさいよ) 2062 0 0 1906 htmvoc_2062.wav イニマジミ イ⸢ニマジ⸣ミ [ʔi⸢nimaʤi⸣mi] 名 いなむら(稲叢)。刈り取った稲を日干にして稲藁のまま積み上げたもの。イ⸢ニマジ⸣ン[ʔi⸢nimaʤi⸣ŋ]ともいう。「稲真積(いねまづみ)」の義。 ⸢マイヤ⸣ カ⸢ル⸣カー ⸣ティダナ ⸣プシティ  ⸢ター⸣ヌ ⸣アザナー イ⸢ニマジ⸣ミ シ⸢ティル ダッコッ⸣キシ ⸢アーソーッ⸣タ [⸢maija⸣ ka⸢ru⸣kaː ⸣tidana ⸣pu̥ʃiti ⸢taː⸣nu ⸣ʔaʣanaː ʔi⸢nimaʤi⸣mi ʃi̥⸢tiru dakkok⸣kiʃi ⸢ʔaːsoːt⸣ta] (稲は刈りたら日に干して田の畦に稲真積みして<ぞ>脱穀機で脱穀された)。 マ⸢ジ⸣ムン [ma⸢ʤi⸣muŋ] (積み重ねる{EOS}真積む) 2063 0 0 1907 htmvoc_2063.wav イニンビー ⸢イニンビー [⸢ʔinimbiː] 名 「遺念火」の義。成仏できないで、さ迷っている霊が火の玉となって飛びあるくといわれている。⸣シチ[⸣ʃi̥ʧi](節祭り)の時、夜になると中岡<なかもり>の西の墓地一帯からイニンビー(遺念火)が飛ばないか、確認しに行ったものである。イニンビーが飛ぶか否かによって、法事などの不足による成仏できない先祖の有無を判断した。⸢タッ⸣テヌ パ⸢カー⸣ラ ⸣イニンビーヌ ア⸢ガルター[⸢tat⸣tenu pḁ⸢kaː⸣ra ⸣ʔinimbiːnu ʔa⸢garutaː](何処の家の墓から遺念火が飛んだ<上がった>のか)などと情報を交換しあった 2049 0 0 1908 htmvoc_2049.wav イヌチ イ⸢ヌ⸣チ [ʔi⸢nu⸣ʧi] 名 命。石垣方言からの借用語か。普通は⸣ヌチ[⸣nuʧi](命)という。 イ⸢ヌ⸣チ <⸣ヌチ> ア⸢タラサ シー⸣ヨー [ʔi⸢nu⸣ʧi <⸣nuʧi> ʔa⸢tarasa ʃiː⸣joː] (命を大切<可愛がる{EOS}慈しむ{EOS}惜しむようにする>にしなさい) 2064 0 0 1909 htmvoc_2064.wav イノー ⸣イノー [⸣ʔinoː] 名 珊瑚礁の内海。礁内湖。干瀬の内側の浅い海。⸣イノー[⸣ʔinoː]は島人にとって海の畑、または牧場である。必要なタンパク源の魚介類を必要なときに採取して食することができた。 ⸣スーミツァールナーヤ ⸣イダフネーラ ⸣イノー シ⸢キマーシ シェー⸣ティ ⸣タクン イ⸢ズン⸣ ギラン ⸣トゥリ ⸢キー⸣シタ [⸣suːmiʦaːrunaːjaː ⸣ʔidaɸuneːra ⸣ʔinoː ʃi̥⸢kimaːʃi ʃeː⸣ti ⸣tḁkuŋ ʔi⸢ʣuŋ⸣ giran ⸣turi ⸢kiː⸣ʃi̥ta] (満潮時<潮満ち上がり>にはサバニ<板舟>から珊瑚礁の内海を突っつきまわして蛸も魚もシャコ貝も獲ってきたよ) 2065 0 0 1910 htmvoc_2065.wav イノーカジ ⸣イノーカジ [⸣ʔinoːkaʤi] 名 竜巻。「エイの尾」の義か。竜巻をエイの尾が空中から垂れ下がっている形にみたてた命名という説『石垣方言辞典』。えい(鱏)は⸣カマンタ[⸣kamanta]というから、⸣イノー(礁内湖)・カジ(風)[⸣ʔi⸢noː-kaʤi](礁内湖で海水を巻き上げて走る風{EOS}竜巻)の義とも解される。島の前の海上や後ろの海上で、よく竜巻の発生することが見られ、それを恐れてサバニが吸い込まれないよう用心していた。 ⸣イノーカジヌ ⸣フケーラ ノー⸢ンシェー⸣ル ⸣ムヌーン トゥ⸢バシ⸣ パ⸢リ⸣スティ⸢ダー [⸣ʔinoːkaʤinu ⸣ɸukeːra noː⸢ŋʃeː⸣ru ⸣munuːn tu⸢baʃi⸣ pa⸢ri⸣suti⸢daː] (竜巻が吹くとどんなものでも飛ばしていくそうだよ) 2066 0 0 1911 htmvoc_2066.wav イノン イ⸢ノン [ʔi⸢noŋ] 名 砂。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸣マンタヌ パ⸢マヌ⸣ イ⸢ノンマー⸣ イッ⸢ケン カイ⸣ヤタン [pḁ⸢tuma⸣nu ⸣mantanu pa⸢manu⸣ ʔi⸢nommaː⸣ ʔik⸢keŋ kai⸣jataŋ] (鳩間島の前の浜の砂は非常に美しか<綺麗だ>った)。 ヤ⸢ラヌ⸣ パ⸢マ⸣ヌ イ⸢ノン⸣ナー プ⸢シ⸣ヌ カ⸢タヌ⸣ マ⸢ザー⸣リ ⸢ブン⸣ダー [ja⸢ranu⸣ pa⸢ma⸣nu ʔi⸢non⸣naː pu̥⸢ʃi⸣nu kḁ⸢tanu⸣ ma⸢ʣaː⸣ri ⸢bun⸣daː] (屋良の浜の砂には星型が混ざっているよ) 2068 0 0 1912 htmvoc_2068.wav イノンジー イ⸢ノンジー [ʔi⸢nonʤiː] 名 砂地。砂の多い土地。 イ⸢ノンジーパタキ⸣ナー ピ⸢ルトゥ ダイ⸣クネー イッ⸢ケナ ミールン⸣ツォー [ʔi⸢nonʤiːpataki⸣naː pi⸢rutu dai⸣kuneː ʔik⸢kena miːrun⸣ʦoː] (砂地の畑には大蒜と大根がよく稔るそうだ) 2067 0 0 1913 htmvoc_2067.wav イノンハクビ イ⸢ノンハクビ [ʔi⸢noŋhakubi] 名 砂運び。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸣ソンガチヌ ⸣クーカー パ⸢マー⸣ラ イ⸢ノンバ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸣キー ミ⸢ナ⸣カナー ス⸢クタン⸣ダー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸣soŋgaʧinu kuːkaː pa⸢maː⸣ra ʔi⸢nomba⸣ ka⸢ta⸣mi ⸣kiː mi⸢na⸣kanaː su̥⸢kutan⸣daː] (子供のころは正月が来ると浜から砂を担いできて庭に敷いたものだよ) 2069 0 0 1914 htmvoc_2069.wav イバイ イ⸢バイ [ʔi⸢bai] 名 (植)和名、おひしば。チカラグサ(力草)。繁殖力の強い雑草。根は強く抜き難い。イ⸢バイムトゥ[ʔi⸢baimutu]ともいう。 イ⸢バイムトー⸣ ピ⸢キヌイ グリ⸣サン [ʔi⸢baimutoː⸣ pi̥⸢kinui guri⸣saŋ] (チカラグサは引き抜きづらい) 2070 0 0 1915 htmvoc_2070.wav イバイムトゥ イ⸢バイムトゥ [ʔi⸢baimutu] 名 (植)草の名。おひしばの株。チカラグサ(力草)の株。繁殖力の強い雑草。強力な根を張り、容易に引き抜けない。強力な繁殖力と根の強さに肖って稲が順調に生育することを祈願する祭に神の依代として用いられる。/ユシキダキニヨー イバイムトゥムトゥイクヨー サカイクヨー ケラマイヨー/(ススキのように栄えてこいよ{EOS}力草のように繁茂してこいよ、素晴らしい稲よ)⸢種取アヨー。ナカヌピーヌ アヨー」 2071 0 0 1916 htmvoc_2071.wav イバチ イ⸢バ⸣チ [ʔi⸢ba⸣ʧi] 名 「飯初」の義。タ⸢ナ⸣ドゥル[ta⸢na⸣duru](種取祭)の時に作る円錐形のにぎり飯。自家の神仏に供え、親類にも三個ずつ配った。 タ⸢ナドゥル⸣ヌ ⸣ピンマー イ⸢バ⸣チ ス⸢コーリティ カンヌマイ⸣トゥ ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ シ⸢キオーシティ⸣ ウ⸢トゥザマリン⸣ヤーン ⸢パイヨーシタン [ta⸢naduru⸣nu ⸣pimmaː ʔi⸢ba⸣ʧi su⸢koːriti kannumai⸣tu ʔu⸢japusu⸣numai ʃi̥⸢kiʔoːʃi̥ti⸣ ʔu⸢tuʣamariːɲ⸣jaːm ⸢paijoːʃi̥taŋ] (種取祭の時には飯初をこしらえて<準備して>神様の前と先祖の前に供えて差し上げ、親戚の家にも配って差し上げられた) 2073 0 0 1917 htmvoc_2073.wav イバラー イ⸢バラー [ʔi⸢baraː] 名 威張り屋。高慢な者。よく威張る者。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ イ⸢バラー⸣ ナリティ プ⸢スヨー⸣ プ⸢ス⸣ティン ウ⸢モー⸣ヌ [ʔu⸢nu ffaː⸣ ʔi⸢baraː⸣ nariti pu̥⸢sujoː⸣ pu̥⸢su⸣tiŋ ʔu⸢moː⸣nu] (あの子は威張り屋になって人を歯牙にもかけない<人を人とも思わない>{EOS}人を無視する) 2072 0 0 1918 htmvoc_2072.wav イバルン イ⸢バルン [ʔi⸢baruŋ] 自動 威張る。自慢する。 ウ⸢ブウヤキ⸣ シ⸢ティ⸣ イ⸢バリティ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ ⸢ナー⸣ト シゥ⸢カヌ [ʔu⸢buʔujaki⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔi⸢bariti⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni ⸢naː⸣to sï̥⸢kanu] (大金持ちになって他人の言うことなど聞かない)。 ウ⸢ヤ⸣キプソー イ⸢バルンドゥ⸣ ウ⸢レー⸣ イ⸢バラヌ [ʔu⸢ja⸣kipu̥soː ʔi⸢barundu⸣ ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢baranu] (金持ちは威張るが、彼は威張らない)。 ウ⸢リヌ⸣ イ⸢バル⸣カー ⸢バン⸣ヌン イ⸢バリゲ⸣ラ [ʔu⸢rinu⸣ ʔi⸢baru⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔi⸢barige⸣ra] (彼が威張るなら私も威張るさ)。 イ⸢バレー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢bareː⸣ misamunu] (威張れば良いのに)。 ⸢ワンヌン マー⸣ビン イ⸢バリ⸣バ [⸢wannum maː⸣biŋ⸣ ʔi⸢bari⸣ba] (君ももっと威張れよ) 2076 0 0 1919 htmvoc_2076.wav イビ イ⸢ビ [ʔi⸢bi] 名 (動)エビ(海老)。伊勢海老。 イ⸢ベー⸣ タ⸢ク⸣ヌティーシ ウ⸢バーセー⸣ティ ⸣ヤナーラ ン⸢ザシ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢beː⸣ tḁ⸢ku⸣nu ⸣tiːʃi ʔu⸢baːʃeː⸣ti janaːra ʔn⸢ʣaʃi̥⸣ta⸢daː] (海老は蛸の手で威しながら<驚かせて>巣の岩穴から追い出したものだ) 2077 0 0 1920 htmvoc_2077.wav イビー イ⸢ビー [ʔi⸢biː] 感 おやまあ。あきれるとき。なんとまあ。意外だと思う時、驚いたり、疑問のある時に発する古老ことば。 イ⸢ビー⸣ シ⸢ントゥ⸣ ウ⸢ビー⸣ル ア⸢ルー [ʔi⸢biː⸣ ʃin⸢tu⸣ ʔu⸢bi⸣ru ʔa⸢ruː] (あれっ、まあ、たったこれだけしかない<これだけぞ ある>の?)。 イ⸢ビー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ʔi⸢biː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (おや、まあ、何だね、それは)。 イ⸢ビー⸣ ヌーッツァ ⸢ムン⸣ドゥ ⸣カイブ シ⸢グトゥバ シー⸣ シケーワ [ʔi⸢biː⸣ nuːtʦa ⸢mun⸣du ⸣kaibu ʃi⸢gutuba ʃiː⸣ ʃi̥keːwa] (なんとまあ、一体どこのどいつがこんな無様な仕事をしておいてあるのか) 2078 0 0 1921 htmvoc_2078.wav イヒーアハー イ⸢ヒーアハー [ʔi⸢çiːʔahaː] 感 口を大きく開けて笑うさま。楽しく笑いながら生活するさま。 ⸣ヌチジュー イ⸢ヒーアハー シェー⸣ティ ク⸢ラシ⸣ プサワ⸢ナー [⸣nuʧiʤuː ʔi⸢çiːʔahaː ʃeː⸣ti ku⸢raʃi⸣ pu̥sawa⸢naː] (一生<命の限り>楽しく笑いながら暮らしたいものだねえ) 2026 0 0 1922 htmvoc_2026.wav イヒアハー イ⸢ヒアハー [ʔi⸢çiʔahaː] 感 笑うさま。いひひあはは。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー ニンズー⸣ イ⸢ヒアハー シェー⸣ティル ク⸢ラシ ブー [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː ninʣuː⸣ ʔi⸢çiʔahaː ʃeː⸣tiru ku⸢raʃi buː] (あの家の人は、年中イヒヒアハハと笑いながら暮らしている) 2079 0 0 1923 htmvoc_2079.wav イビツ イ⸢ビ⸣ツ [ʔi⸢bi⸣ʦu] 名 おひつ(御櫃)。めしびつ。おはち。「飯・櫃<~櫃に鏁さし~。万、3816>」の転訛したものか。鳩間島で、日常的にお櫃を使う家はほとんどなかった。宿屋に指定された家で、役場の人や旅人が宿泊する際に使用していた。 パ⸢トゥ⸣マプソー イ⸢ビ⸣ツォー シゥ⸢カイ ヨーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ʔi⸢bi⸣ʦoː si̥⸢kaijoːraŋ⸣seŋ] (鳩間の人はお櫃は使われなかった) 2081 0 0 1924 htmvoc_2081.wav イヒヒ イ⸢ヒヒ [ʔi⸢çiçi] 名 いひひ(笑う様子)。擬音語。 イ⸢ヒヒ⸣ ア⸢ハハ⸣ティ ⸢シェー⸣ティ ⸢ヤーニン⸣ズ ウ⸢ムッ⸣サンギサシ ム⸢ヌパナ⸣シ ⸢シーオー⸣ル [ʔi⸢çiçi⸣ ʔa⸢haha⸣ti ⸢ʃeː⸣ti ⸢jaːnin⸣ʣu ʔu⸢mus⸣saŋgisaʃi mu⸢nupana⸣ʃi ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (イヒヒ、アハハと笑いながら<しながら>家族が楽しそうに<面白そうに>語り合って<もの話して>おられる) 2082 0 0 1925 htmvoc_2082.wav イビブリ イ⸢ビ⸣ブリ [ʔi⸢bi⸣buri] 名 指折り数えること。「指を折り」の義。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ プ⸢ソー⸣ イ⸢チル⸣ クーカヤーティ イ⸢ビ⸣ブリ ⸢シー⸣ マティ ⸢ベー [ʔu⸢ki⸣naːranu pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢ʧiru⸣ kuːkajaːti ʔi⸢bi⸣bri ⸢ʃiː⸣ mati ⸢beː] (沖縄からの人は何時<ぞ>来るかと指折りして待っている) 2083 0 0 1926 htmvoc_2083.wav イビラ イ⸢ビ⸣ラ [ʔi⸢bi⸣ra] 名 木製の大型杓文字。「飯箆」の義。形状は櫂に似ており、長さ約60センチ、幅約4センチの飯箆。柄の部分を両手で握り、鍋で煮た芋を捏ねて⸢ウンヌ⸣イー[⸢ʔunnu⸣ʔiː](芋ご飯{EOS}ウムニー)、⸢ウンヌダー⸣キ[⸢ʔunnudaː⸣ki](芋ご飯)にするのに用いる炊飯用具。鍋や釜の側面に打ち付けるようにして捏ねる。⸢ウンヌ⸣イー[⸢ʔunnu⸣iː](芋の飯)を炊くとき、煮た芋を潰して捏ね混ぜ、ダンゴ状に握って、⸣ユナキヌ ⸢パー[⸣junakinu ⸢paː](ゆうな{EOS}はまぼう<黄槿>の葉)で包み、⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku](網籠)に入れて畑へ持参した。 イ⸢ビ⸣ラシ ⸢ウンヌ⸣イー ク⸢ナシティ ウンヌ⸣イー ス⸢ブ⸣リバ [ʔi⸢bi⸣raʃi ⸢ʔunnu⸣iː ku⸢naʃiti ʔunnu⸣iː su⸢bu⸣riba] (飯箆で煮た芋を捏ね混ぜて芋団子を握りなさい) 2080 0 0 1927 htmvoc_2080.wav イピル イ⸢ピ⸣ル [ʔi⸢pi⸣ru] 名 (動)川海老。エビ(蝦)。小川や堰の水中に棲息している。戦争中、西表島の避難小屋で生活した頃、よく獲って食した。 トゥ⸢マダヌ ター⸣ヌ ⸣シキナーティ イ⸢ピ⸣ルン ⸢カーングーン⸣ ユー トゥリ⸢ミッ⸣タン [tu⸢madanu taː⸣nu ⸣ʃi̥kinaːti ʔi⸢pi⸣ruŋ ⸢kaːŋguːn⸣ juː turi⸢mit⸣taŋ] (西表島伊武田地区のトゥ⸢マダ{SqBr}tu⸢mada{/SqBr}<泊田>の田圃の堰で小エビや川魚も獲ってみたことがある) 2084 0 0 1928 htmvoc_2084.wav イビルン イ⸢ビルン [ʔi⸢biruŋ] 他動 植える。イ⸢ブン[ʔi⸢buŋ](植う{EOS}他動、下二段系に対応)のラ行四段活用化したもの。 ⸣ウン イ⸢ビルンティ⸣ ア⸢ミマー⸣チ ⸢シー ベーン⸣ケン ⸢イーカコーニ⸣ フイケーン [⸣ʔuŋ ʔi⸢birunti⸣ ʔa⸢mimaː⸣ʧi ⸢ʃiːbeːŋ⸣keŋ ⸢ʔiːkakoːni⸣ ɸuikeːŋ] (芋蔓を植えようと雨が降るのを待って<雨待ちして>いると丁度いい具合に<頃合良く>雨が降ってきた)。 シ⸢トゥケー⸣ヌ イ⸢ビララヌ [ʃi̥⸢tukeː⸣nu ʔi⸢biraranu] (畑に水分が多く、べとべとするので植えられない)。 イ⸢ビル⸣ クトー ナ⸢リ⸣シバ イ⸢ビレー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢biru⸣ ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ʔi⸢bireː⸣ misamunu] (植えることは出来るから、植えれば良いのに)。 ⸣キューズーナ イ⸢ビリ [⸣kjuːʣuːna ʔi⸢biri] (今日中に植えろ) 2087 0 0 1929 htmvoc_2087.wav イビルン イ⸢ビルン [ʔi⸢biruŋ] 他動 くべる(焼べる)。「くべる(他動)下一段活用」に対応。薪をくべる。イ⸢ブン[ʔi⸢buŋ](「くべ」<下二段>燃料を次々に火に入れる)ともいう。 ウ⸢ビ⸣ナー イ⸢ビル⸣カー <イ⸢ブ⸣カー> ⸢モーヌ [ʔu⸢bi⸣naː ʔi⸢biru⸣kaː moːnu] (あんなに沢山くべたら燃えないよ)。 ウ⸢ビ⸣ナー イ⸢ビランドー⸣シ ン⸢メーマ⸣ナー イ⸢ビリ [ʔu⸢bi⸣naː ʔi⸢birandoː⸣ʃi ʔm⸢meːma⸣naː ʔi⸢biri] (こんなに沢山くべないで、少しずつくべなさい)。 タ⸢ム⸣ヌ イ⸢ビルンティ スンドゥ⸣ イ⸢ビララヌ [ta⸢mu⸣nu ʔi⸢birunti sundu⸣ ʔi⸢biraranu ] (薪をくべようとするが、くべられない)。 ン⸢メーマ⸣ナー イ⸢ビレー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːma⸣naː ʔi⸢bireː⸣ misamunu] (少しずつくべればいいのに) 2089 0 0 1930 htmvoc_2089.wav イブクル イ⸢ブク⸣ル [ʔi⸢buku⸣ru] 名 胃袋。標準語からの借用語の転訛したもの。牛や豚の胃袋を古老は、ウ⸢ブン⸣ガイ[ʔu⸢buŋ⸣gai](牛、豚の胃袋)といった。 ⸣フナイ シ⸢ティ⸣ イ⸢ブク⸣ルナー ノー⸢ン⸣ ヌ⸢カラン⸣スコー ア⸢ギ ビーバ⸣キ ⸢シーベー [⸣ɸunai ʃi̥⸢ti⸣ ʔi⸢buku⸣runaː noː⸢n⸣ nu⸢karan⸣su̥koː ʔa⸢gi biːba⸣ki ⸢ʃiːbeː] (船酔いをして、胃袋に何も残らないほど嘔吐して<揚げて{EOS}吐いて>いる) 2090 0 0 1931 htmvoc_2090.wav イフナ イ⸢フナ [ʔi⸢ɸuna] 連体 変な。妙な。おかしな。正常でないことにいう。「異風な」の転訛したものか。 イ⸢フナ⸣ ク⸢トゥバ シー⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢バーシ⸣ シケー [ʔi⸢ɸuna⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥keː] (変なことをして人を驚かせておいてある) 2094 0 0 1932 htmvoc_2094.wav イフナーイフナー イフ⸢ナーイフナー [ʔiɸu⸢naːʔiɸunaː] 連体 異風な。非常に変な。一風変わった。正常でない。非常におかしな。ABCDABCD型の重言。 イフ⸢ナーイフナーヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ タティ ⸢ベー⸣ン [ʔiɸu⸢naːʔiɸunaːnu⸣ pu̥⸢sunu⸣ tati ⸢beː⸣ŋ] (非常に変な人が立っている) 2093 0 0 1933 htmvoc_2093.wav イフナーン イ⸢フナー⸣ン [ʔi⸢ɸunaː⸣ŋ] 形 変である。変わっている。様子がおかしい。異常である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ シーヨームイ⸣ヨー ⸣ミルカー ン⸢メーマ⸣ イ⸢フナー⸣ン [ʔu⸢nu⸣ f⸢fanu ʃiːjoːmui⸣joː ⸣mirukaː ʔm⸢meːmaː⸣ ʔi⸢ɸunaː⸣ŋ] (この子の様子<挙措、立ち振る舞い>を見ると少し変だよ<妙だよ{EOS}正常でないよ>)。 ⸢シンダイ⸣ イ⸢フナー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ ʔi⸢ɸunaː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (次第に変になってしまった)。 イ⸢フナー⸣ プ⸢ス [ʔi⸢ɸunaː⸣ pu̥⸢su] (変な<変である>人) 2092 0 0 1934 htmvoc_2092.wav イフナプス イ⸢フ ナプス [ʔi⸢ɸuna pu̥su] 連 変な人。妙な人。変人。 イ⸢フナ プスヌ ワーバ⸣ ア⸢ナ⸣ミ ⸣キー ⸢ベー⸣ダー [ʔi⸢ɸuna pu̥sunu waːba⸣ ʔa⸢na⸣mi ⸣kiː ⸢beː⸣daː] (変な人が君を訪ねて<探し求めて>きているよ) 2091 0 0 1935 htmvoc_2091.wav イフナムニ イ⸢フナ ムニ [ʔi⸢ɸuna muni] 連 妙な言葉。異常な言葉。訳のわからない言葉。イ⸢ファナ ムニ[ʔi⸢ɸana muni](変な言葉)ともいう。 イ⸢フナムニバ⸣ イ⸢ジ⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢バースナ⸠ヨー [ʔi⸢ɸunamuniba⸣ ʔi⸢ʤi⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢baːsuna⸠joː] (妙なこと<もの言い>をして、人を驚かすなよ)。 イ⸢フナクトゥ⸣ ス⸢ナ⸠ヨー [ʔi⸢ɸunakutu⸣ su⸢na⸠joː] (変なことをするなよ) 2085 0 0 1936 htmvoc_2085.wav イブン イ⸢ブン [ʔi⸢buŋ] 他動 植える。「植う(他動)下二段活用に対応」が四段活用化したもの。イ⸢ビルン[ʔi⸢biruŋ](植える)と同じ。「人の宇々流<ウウル>田は宇恵麻佐受<ウヱまさず>~。万、3746」の転訛したもの。 ⸢マイ⸣ イ⸢ブンティ ベーン⸣ドゥ ク⸢シヌ⸣ ヤミティ ⸢タンガ⸣シェー イ⸢バラヌ [⸢mai⸣ ʔi⸢bunti beːn⸣du ku̥⸢ʃinu⸣ jamiti ⸢taŋga⸣ʃeː ʔi⸢baranu] (稲を植えようとしているが、腰が痛くて一人では植えられない)。 イ⸢ビ⸣ ミサカー ⸢タンガ⸣シン イ⸢ブ⸣ クトー ⸣ナルン [ʔi⸢bi⸣misakaː ⸢taŋga⸣ʃiŋ ʔi⸢bu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (植えて良ければ一人でも植えることは出来る)。 ⸣ドゥーシ イ⸢ベー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ʔi⸢beː⸣ misamunu] (自分で植えたらいいのに)。 ⸢パー⸣ク イ⸢ビ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔi⸢bi⸣ba] (早く植えなさいよ) 2086 0 0 1937 htmvoc_2086.wav イブン イ⸢ブン [ʔi⸢buŋ] 他動 くべる(焼べる)。薪をくべる。「くぶ(他動)下二段活用に対応」の四段活用化したもの。 ⸢マー⸣ビン タ⸢ム⸣ヌ イ⸢ビ⸣バ{EOS}アン⸢デー⸣カー ⸢バン⸣ヌン イブン [⸢maː⸣bin ta⸢mu⸣nu ʔi⸢bi⸣ba{EOS}ʔan⸢deː⸣ka ⸢ban⸣nuŋ ʔi⸢buŋ] (もっと薪をくべなさい{EOS}それなら私も薪をくべる)。 タ⸢ム⸣ヌ イ⸢ビ⸣ ミサカー イ⸢ブ⸣ クトー ⸣ナルン [ta⸢mu⸣nu ʔi⸢bi⸣ misakaː ʔi⸢bu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (薪をくべて良ければ、くべることは出来る)。 マ⸢ナ⸣マー タ⸢ム⸣ノー イ⸢バヌ [ma⸢na⸣maː ta⸢mu⸣noː ʔi⸢banu] (今は、薪をくべない) 2096 0 0 1938 htmvoc_2096.wav イマシミ イ⸢マ⸣シミ [ʔi⸢ma⸣ʃimi] 名 戒め。教訓。諭し。 ウ⸢ヤ⸣ヌ イ⸢マ⸣シメー ⸣ユー マ⸢ム⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢ja⸣nu ʔi⸢ma⸣ʃimeː ⸣juː ma⸢mu⸣ri⸢joː] (親の教訓はよく守りなさいよ)。⸢デンサー⸣ブシ[⸢densaː⸣buʃi](デンサー節)に、シ⸢キン⸣ヌ イマ⸢シ⸣ミ デン⸢サー[ʃi̥⸢kin⸣nu ʔima⸢ʃi⸣mi den⸢saː](世間の教訓である{EOS}誠に)と歌われている 2097 0 0 1939 htmvoc_2097.wav イマシミウタ イ⸢マシミ⸣ウタ [ʔi⸢maʃimi⸣ʔuta] 名 教訓歌。諭し歌。戒めの歌。 ⸢デンサー⸣ブシェー イ⸢マシミ⸣ウタティ ア⸢ザリ⸣ ム⸢カ⸣シェーラ ウ⸢リ⸣シ キ⸢ナイヌ⸣ ム⸢ティ⸣カタ ウ⸢ヤッふァ⸣ヌ ⸣ミチ ⸢キョーダイサ⸣ヌ ミ⸢チ⸣バ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [⸢densaː⸣buʃeː ʔi⸢maʃimi⸣ʔutati ʔa⸢ʣari⸣ mu⸢ka⸣ʃeːra ʔu⸢ri⸣ʃi ki⸢nainu⸣ mu⸢ti⸣kḁta ʔu⸢jaffa⸣nu ⸣miʧi ⸢kjoːdaisa⸣nu mi⸢ʧi⸣ba na⸢raː⸣soːtta] (デンサ節は教訓歌といわれ、昔からそれで家庭のありかた<家庭経営>、親子の道、兄弟の道を教えられた) 2098 0 0 1940 htmvoc_2098.wav イマシミルン イ⸢マシミ⸣ルン [ʔi⸢maʃimi⸣ruŋ] 他動 戒める(下一段活用動詞)に対応。諭す。謹慎させる。注意を与える。歌謡語。「~必ずその志、ご覧ぜられと戒め侍り」『源氏物語 竹河』の転訛したもの。イ⸢マ⸣シムン[ʔi⸢ma⸣ʃimuŋ](戒む{EOS}下二段活用動詞に対応)と同じ意味。/デンサ節チィクリ ワラビンケニ イザシ 世間ヌ イマシミナルスドゥ バンヤニガユル/(デンサ節)『八重山民謡誌』。日常会話では、ヤ⸢ラ⸣ビンケーバ イ⸢マシミ⸣ルン[ja⸢ra⸣biŋkeːba ʔi⸢maʃimi⸣ruŋ](子供たちを戒める<説教する>)という。 イ⸢マシミラ⸣ヌ [ʔi⸢maʃimira⸣nu] (戒めない<説教しない>)。 イ⸢マシミ⸣ル ⸣クトゥ [ʔi⸢maʃimi⸣ru ⸣ku̥tu] (戒めること)。 イ⸢マシミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔi⸢maʃimi⸣reː ⸣misamunu] (戒めればいいのに)。 イ⸢マシミ⸣リ [ʔi⸢maʃimi⸣ri] (戒めろ) 2099 0 0 1941 htmvoc_2099.wav イマシムン イ⸢マ⸣シムン [ʔi⸢ma⸣ʃimuŋ] 他動 戒める。説教する。諭す。「いましむ(戒む)下二段活用」に対応する。 ⸣アブジェー ⸢デンサーブシ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティル ッ⸢ふァ⸣ マー イ⸢マ⸣シモーッタ⸢ダー [⸣ʔabuʤeː ⸢densaːbuʃi⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣tiru f⸢fa⸣ maː ʔi⸢ma⸣ʃimoːtta⸢daː] (お祖父さんはデンサー節を歌いながら子供や孫を戒めら<教え諭さ>れたのだよ) 2100 0 0 1942 htmvoc_2100.wav イマムヌ イ⸢マ⸣ムヌ [ʔi⸢ma⸣munu] 名 鮮魚。新鮮な魚介類。新鮮な食べ物。魚介または蔬菜、果物などの、旬の食品。時季のもの。「いまもの(今物)」の義。 イ⸢マ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ サッ⸣コー ン⸢マー⸠ツォー [ʔi⸢ma⸣munu ja⸢runda sak⸣koː ʔm⸢maː⸠ʦoː] (新鮮な食べ物<魚介類>だから非常に美味しいんだよ) 2101 0 0 1943 htmvoc_2101.wav イマユー イ⸢マ⸣ユー [ʔi⸢ma⸣juː] 名 現代。現今。今日。「今の世」の義。多くは、当家の当主の世代のことを表す。⸢ウイダイ[⸢ʔuidai](ずっと上の世代{EOS}大昔)、⸢ウームカシ[⸢ʔuːmukaʃi](大昔)、ナ⸢カ⸣ユー[na⸢ka⸣juː](中ごろの世代{EOS}中興の世)に対する現代の意味で用いられる。 ウ⸢レー⸣ ム⸢カシ⸣ヌ ⸣クトー ア⸢ラ⸣ヌ イ⸢マユー⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ mu⸢kaʃi⸣nu ⸣ku̥toː ʔa⸢ra⸣nu ʔi⸢majuː⸣nu pa⸢na⸣ʃi⸢daː] (それは昔のことではない{EOS}現今の<今の時代の>話だ) 1599 0 0 1944 htmvoc_1599.wav イミ ⸣イミ [⸣ʔimi] 名 忌み。喪。石垣方言からの借用語であろう。⸢ムー[⸢muː](喪)ともいう。 ⸣イミ カ⸢カリ⸣ プソー プ⸢スン⸣ヤー ⸢パン⸣ナ [⸣ʔimi kḁ⸢kari⸣ pu̥soː pu̥⸢suɲ⸣jaː ⸢pan⸣na] (喪中の<忌みがかった>人は他人の家には行くな) 2102 0 0 1945 htmvoc_2102.wav イミ ⸣イミ [⸣ʔimi] 名 夢。「~心し行けば伊米尓<イメニ>見えけり。万、3981」の転訛したもの。 ア⸢サ⸣イミ [ʔa⸢sa⸣ʔimi] (朝夢{EOS}明け方にみる夢)。 サ⸢カイミ [sa⸢kaʔimi] (逆夢)。 ⸢マーイミ [⸢maːʔimi] (真夢{EOS}夢に見たことが実際に起きる真実の夢)。 ⸣アボー イ⸢ミ⸣バ ⸣ミリティル シンジン⸢トゥ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイ ナ⸢キベー [⸣ʔaboː ʔi⸢mi⸣ba ⸣miritiru ʃinʤin⸢tu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ku⸢tu⸣ba ⸣ʔumui na⸢kibeː] (お母さんの夢を見てしみじみと親のことを思いだして泣いている)。 ⸣カイブ サ⸢ニ⸣ヤル ⸣クトゥティン アリ⸢ナー ⸣イメー ア⸢ラン⸣カヤー [⸣kaibu sa⸢ni⸣jaru ⸣kututiŋ ʔari⸢naː⸣ ʔimeː ʔa⸢raŋ⸣kajaː⸣] (こんなに嬉しいことってもあるものだねえ{EOS}夢ではないだろうか)。 ⸣イメー ノー⸢ンティン⸣ ミ⸢リ⸣スンダ ⸢ソースナ⸠ヨー [⸣ʔimeː noː⸢ntim⸣ mi⸢ri⸣sunda ⸢soːsuna⸠joː] (夢は如何様にも<なんとでも>見るものだから心配するなよ)。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸣ミル ⸣イメー ⸢マーイミ⸣ティ ア⸢ザリブー [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸣miru ⸣ʔimeː ⸢maːʔimi⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (朝みる夢は正夢と言われている) 2105 0 0 1946 htmvoc_2105.wav イミ ⸣イミ [⸣ʔimi] 名 使い出があること。少量の食物が炊飯によって量が増え、多く食べられること。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤ ⸣イミ ⸢サンバ ホーライ⸣マイ バ⸢カシ⸣バ [⸢ʣaireːmai⸣ja ⸣ʔimi ⸢samba hoːrai⸣mai ba⸢kaʃi⸣ba] (赤米<在来米>は使い出がないから蓬莱米を炊きなさい)。 ⸢マイトゥ ウン⸣トゥ マ⸢ザーシ⸣ティ バ⸢カス⸣カー ⸣イミ ⸢スン [⸢maitu ʔun⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ba⸢kasu⸣kaː ⸣ʔimi ⸢suŋ] (米と芋を混ぜて炊くと使い出がある<より多くの人に食べられる分量が出る>) 2106 0 0 1947 htmvoc_2106.wav イミ イ⸢ミ [ʔi⸢mi] 名 意味。訳。 ウ⸢ランタプス⸣ヌ ア⸢ズ⸣ ムネー ⸣ヌーティル ア⸢ジブー⸣ユー ムシ⸢トゥ⸣ イ⸢ミ⸣クジ ア⸢ティンガーラヌ [ʔu⸢rantapu̥su⸣nu ʔa⸢ʣu⸣ muneː ⸣nuːtiru ʔa⸢ʤibuː⸣juː muʃi̥⸢tu⸣ ʔi⸢mi⸣kuʤi ʔa⸢tiŋgaːranu] (オランダ人<アメリカ人{EOS}欧米人>の話す<言う>言葉は、なんと言っているのかちっとも意味が分からない<意味・故事が見当つかない>) 1600 0 0 1948 htmvoc_1600.wav イミアキ イ⸢ミアキ [ʔi⸢miaki] 名 忌明け。服喪明け。近親者の死の際は七七日(四十九日)の間外出を慎むが、その喪が明けること。 ⸣シンズコー ウ⸢チナ⸣ソーレチバ イ⸢ミアキ⸣ ナ⸢リ⸣ブ ⸣メー [⸣ʃinʣukoː ʔu⸢ʧina⸣soːreːʧiba ʔi⸢mi⸣ʔaki na⸢ri⸣bu ⸣meː] (四十九日忌はお済ませになったから忌み明けになっているよ、もう) 2103 0 0 1949 htmvoc_2103.wav イミアムサン イ⸢ミアム⸣サン [ʔi⸢miʔamu⸣saŋ] 形 よく悪い夢を見る。夢見がちである。「伊米<イメ>万、3981・疚<ヤマ>し」の転訛したものか。頭が痛くなるほど多く夢を見るさま。翌朝頭の重い感じがするほどよく夢を見るさま。夢を見すぎて、あれやこれやと思い悩むさま。 ク⸢ヌ⸣グロー ⸣イミン ム⸢タバ⸣リティ イ⸢ミアムサ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣バン ⸢ニンガイブス⸣クカヤー [ku⸢nu⸣guroː ⸣ʔimim mu⸢taba⸣riti ʔi⸢miʔamusa⸣nu na⸢ram⸣ban ⸢niŋgaibusu⸣kukajaː] (このごろは夢に振り回されて<\ruby{弄}{モテアソ}ばれて>こまるよ<どうにもならない>{EOS}神仏への祈願不足だろうか)。 ⸢グヮンスグトゥ⸣ヌ ミ⸢チ⸣ フ⸢マンドゥ ブー⸣ユー イ⸢ミアムサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢gwansugutu⸣nu mi⸢ʧi⸣ ɸu⸢mandu buː⸣juː ʔi⸢miʔamusa⸣nu na⸢ra⸣nu] (先祖供養の道が正しくないのか、夢を見すぎて困る) 1601 0 0 1950 htmvoc_1601.wav イミウチ イ⸢ミ⸣ウチ [ʔi⸢mi⸣ʔuʧi] 名 服喪中。「忌み内」の義。近親者の死に際し、49日間外出を控える期間。七七日(四十九日忌)。 ッ⸢ふ⸣ムー [f⸢fu⸣muː] (服喪、黒喪)。⸢ムー⸣ カ⸢カリ⸣ムヌ[⸢muː⸣ ka⸢kari⸣munu](服喪中の者、喪にかかっている者)ともいう。 イ⸢ミウチェー⸣ アイニ ア⸢サビマール スームノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢miuʧeː⸣ ʔaini ʔa⸢sabimaːru suːmunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (服喪中はあんなに遊びまわるものではない) 2119 0 0 1951 htmvoc_2119.wav イミガイシ イ⸢ミガイ⸣シ [ʔi⸢migai⸣ʃi] 名 夢違え(ゆめちがえ)。悪い夢を見た時に災いを防ぐため呪いをすること。「夢返し」の義。 ヤ⸢ナイミバ⸣ ミリティ イ⸢ミガイ⸣シ シ⸢ミルンティ⸣ ム⸢ヌシリン⸣ ヤー ⸢パッ⸣タ [ja⸢naimiba⸣ miriti ʔi⸢migai⸣ʃi ʃi⸢mirunti⸣ mu⸢nuʃiriɲ⸣jaː ⸢pat⸣ta] (悪い夢を見て、夢違えをさせようと易者<物知り>の家に行った) 2104 0 0 1952 htmvoc_2104.wav イミカサマサン イ⸢ミカサマ⸣サン [ʔi⸢mikasama⸣saŋ] 形 煩わしいほど夢をみるさま。「夢・可志麻乃<かしまし。囂し>万、4370」の転訛したものか。鳩間島では、亡き人の存命中の頃の夢を続けて見ると、死者が何か頼みごとをしていることの兆候であるといわれている。 グ⸢ソーンプス⸣ヌ イ⸢ミ⸣ ミリ イ⸢ミカサマサ⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ム⸢ヌシラ⸣シカヤー [gu⸢soːmpusu⸣nu ʔi⸢mi⸣ miri ʔi⸢mikasamasa⸣nu ⸢nuː⸣nu mu⸢nuʃira⸣ʃikajaː] (死者<後生の人>の夢を見て、煩わしいくて堪らない{EOS}何の知らせごとかなあ) 2107 0 0 1953 htmvoc_2107.wav イミガマーラサン イ⸢ミガマーラ⸣サン [ʔi⸢migamaːra⸣saŋ] 形 よく悲しい夢を見る。悲しい夢を見がちである。夢に弄<モテァソ>ばれる。 ⸢ヌー⸣ドゥ ヤ⸢ル⸣ユー ク⸢ヌ⸣グロー イ⸢ミガマーラサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nuː⸣du ja⸢ru⸣juː ku⸢nu⸣guroː ʔi⸢migamaːsa⸣nu na⸢ra⸣nu] (どういうわけか<何だろうか>、最近<この頃>はよく夢をみて困る<どうにもならない>) 2120 0 0 1954 htmvoc_2120.wav イミガマラサーン イ⸢ミガマラ⸣サーン [ʔi⸢migamara⸣saːŋ] 形 夢見がちである。悪い夢をよく見る。「夢侘しい」、「夢悲しい」の義。夢を見て、過去の悲しみを想起し、家族に不幸が起きる前兆ではないかと恐れ悲しむ。 ア⸢マ⸣ヌ イ⸢ミガマラ⸣サーティ ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ ⸣ティー ウ⸢サーシ⸣ シケー⸢ダー [ʔa⸢ma⸣nu ʔi⸢migamara⸣saːti ʔu⸢japu̥su⸣nu ⸣mai ⸣tiː ʔu⸢saːʃi⸣ ʃi̥keː⸢daː] (あまりにも夢見がちなので仏壇に手を合わせてお祈りをしてあるんですよ) 1598 0 0 1955 htmvoc_1598.wav イミガマラサン イ⸢ミガマラ⸣サン [ʔi⸢migamara⸣saŋ] 形 夢見が悪い。むやみに不吉な夢をみるさま。 チ⸢カ⸣グロー イ⸢ミガマラサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌヌ ⸢ヌー⸣ヌ シ⸢ラシグトゥ⸣ヌ ⸣アルカヤー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ʔi⸢migamarasa⸣nu na⸢ra⸣nunu ⸢nuː⸣nu ʃi⸢raʃigutunu⸣ ʔarukajaː] (最近は夢見ガ悪い<むやみに不吉な夢をみる>が何か先祖からの知らせごとがあるのかなあ) 2108 0 0 1956 htmvoc_2108.wav イミクジ イ⸢ミ⸣クジ [ʔi⸢mi⸣kuʤi] 名 意味。意味内容。「意味・故事」の義。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムネー ムッ⸢トゥ⸣ イ⸢ミ⸣クジ ア⸢ティンガーラヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː mut⸢tu⸣ ʔi⸢mi⸣kuʤi ʔa⸢tiŋgaːranu] (彼の言うことは、ちっとも意味<意味・故事>が分からない<見当つけられない>)。 イ⸢ミクジ⸣ヌ ワ⸢カラン⸣ ム⸢ヌ⸣バ ⸣カキ ⸣シケー [ʔi⸢mikuʤi⸣nu wa⸢karam⸣ mu⸢nu⸣ba ⸣kḁki ⸣ʃi̥keː] (意味内容の分らないものを書いてある) 2109 0 0 1957 htmvoc_2109.wav イミサラ イ⸢ミ⸣サラ [ʔi⸢mi⸣sara] 副 夢にも。いささかも。夢更(ゆめさら)。下に来る打消しの語と呼応して「夢にも~ない」の意味を表す。「夢にも」を強調した表現。 ウ⸢ヌ⸣ ⸣クトー イ⸢ミ⸣サラーンツァン ウ⸢モーン⸣シェン [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ʔi⸢mi⸣saraːnʦaŋ ʔu⸢moːŋ⸣ʃeŋ] (そのことは夢にも<夢更>思わなかった)。 ⸣アイ ⸢ブンティ⸣ イ⸢ミ⸣サラーンツァン ウ⸢モーリタン⸣ツォー [⸣ʔai ⸢bunti⸣ ʔi⸢mi⸣saraːnʦaŋ ʔu⸢moːritan⸣ʦoː] (あのような状態だ<あのようにいる>とは夢だにも思えたかよ) 2111 0 0 1958 htmvoc_2111.wav イミサン イ⸢ミ⸣サン [ʔi⸢mi⸣saŋ] 形 幼い。幼少である。石垣方言からの借用語。普通はシ⸢ナー⸣ン[ʃi⸢naː⸣ŋ](幼い)という。歌謡語として用いられる。 イ⸢ミ⸣サンケーンラヌ ア⸢サビ ドゥシ [ʔi⸢mi⸣saŋkeːranu ʔa⸢sabiduʃi] (幼少の頃からの遊び友達) 1602 0 0 1959 htmvoc_1602.wav イミシタフ イ⸢ミシタ⸣フ [ʔi⸢miʃi̥ta⸣fu] 名 喪服。「忌み支度」の義。 イ⸢ミシタ⸣ホー ⸣チニヒージーラ ス⸢コーリ⸣ シゥ⸢カン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [ʔi⸢miʃi̥ta⸣hoː ⸣ʧiniçiːʤiːra su̥⸢koːri⸣ si̥⸢kaŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (喪服は常平生から準備しておかないといけないよ) 2112 0 0 1960 htmvoc_2112.wav イミシラシ イ⸢ミシラ⸣シ [ʔi⸢miʃira⸣ʃi] 名 夢で仏事、神事を告げ知らせられること。「夢知らせ」の義。 ⸢ジーヌギヌ⸣ サ⸢リブラーン⸣ティ ⸢スー⸣ イ⸢ミシラシ⸣ヌ ⸢アッ⸣タ⸢トゥ⸣ツォー [⸢ʤiːnuginu⸣ sa⸢riburaːn⸣ti ⸢suː⸣ ʔi⸢miʃiraʃi⸣nu ⸢ʔat⸣ta⸢tu⸣ʦoː] (死去した所の地祇に対して霊を放してもらう祈願がなされていないという夢知らせがあったそうだ) 2110 0 0 1961 htmvoc_2110.wav イミスン ⸣イミ ⸢スン [⸣ʔimi ⸢suŋ] 連 使い出がある。長く使える。長持ちする。少量で相当長く使えること意。少量でも炊飯すると量が増えて多くの人に食べさせられる等の意に用いられる。 ク⸢ヌ マイヤー ミー⸣ザー アレー⸢スヌ⸣ イッ⸢ケナ⸣ イミ ⸢スン [ku⸢nu maijaː miː⸣ʣaː ʔareː⸢sunu⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔimi ⸢suŋ] (この米は不味くはあるが<不味くありはするが>たいへん使い出がある<長持ちする>) 2113 0 0 1962 htmvoc_2113.wav イミディル イ⸢ミ⸣ディル [ʔi⸢mi⸣diru] 名 握り飯や芋を捏ねて作ったお握りなどを入れる蓋の付いた小型の笊。トウズルモドキで編んだ。台所に吊るして置いたり、畑に持参したりした。 ⸢ウンヌイー⸣ヤ イ⸢ミ⸣ディルナ イ⸢リティ キー⸣ヌユダナ ⸣サイ シ⸢キ⸣ルカー ⸢シーラ⸣ヌ [⸢ʔunnuiː⸣ja ʔi⸢mi⸣diruna ʔi⸢riti kiːnu⸣judana ⸣sai ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢ʃiːra⸣nu] (芋のお握りはイミディルに入れて木の枝に吊るしておくと饐えない) 11866 0 0 1963 htmvoc_11866.wav イミナカラ イ⸢ミナカ⸣ラ [ʔi⸢mina⸣kara] 名 半分以下。三分の一程度。少量。 イ⸢ミナカラー⸣ ヌ⸢カ⸣シ ⸣シキバ [ʔi⸢minakaraː⸣ nu⸢ka⸣ʃi ⸣ʃi̥kiba] (多少は残しておきなさいよ)。イ⸢ミ[ʔi⸢mi]は、イ⸢メーマ[ʔi⸢meːma](少し)の語幹部 2114 0 0 1964 htmvoc_2114.wav イミヌプリムヌ イ⸢ミ⸣ヌ プ⸢リムヌ [ʔi⸢mi⸣nu pu⸢rimunu] 連 夢は異な物(阿呆)だ。「夢はほれもの<耄れ者>」の義。 イ⸢ミ⸣ヌ プ⸢リムヌティル⸣ アル ⸣イメー ノー⸢ンティン⸣ ミ⸢リ⸣スンダ ⸢ソー⸣ ス⸢ナ [ʔi⸢mi⸣nu pu⸢rimunutiru⸣ ʔaru ⸣ʔimeː noː⸢ntim⸣ mi⸢ri⸣sunda ⸢soː⸣ su⸢na] (夢はほれもの<耄れ者>といわれている{EOS}夢は如何様にでも見るものだから心配するな) 2116 0 0 1965 htmvoc_2116.wav イミラリン イ⸢ミラ⸣リン [ʔi⸢mira⸣riŋ] 自動 ねだられる。催促される。イ⸢ミ⸣ルン[ʔi⸢mi⸣ruŋ](ねだる{EOS}催促する)の未然形に助動詞⸣リン[⸣riŋ](~れる{EOS}~られる{EOS}<受身・可能>)の付いた受身・可能の派生動詞。 ヤ⸢ラ⸣ビン イ⸢ミラ⸣リティル ⸢コー⸣シ ⸢カイン パッタ⸣ル [ja⸢ra⸣biŋ ʔi⸢mira⸣ritiru ⸢koː⸣ʃi ⸢kaim patta⸣ru] (子供にねだられて<ぞ>菓子を買いに行ったのだ) 2117 0 0 1966 htmvoc_2117.wav イミルン イ⸢ミ⸣ルン [ʔi⸢mi⸣runŋ] 他動 催促する。督促する。請求する。ねだる。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢コー⸣シ イ⸢ミ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ イ⸢ミラン⸣シェン [ja⸢ra⸣beː ⸢koː⸣ʃi ʔi⸢mi⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ʔi⸢miraŋ⸣ʃeŋ] (子供は菓子をねだると思ったが、ねだらなかった)。 イ⸢ミ⸣リ ⸣ミサカー イ⸢ミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʔi⸢mi⸣ri ⸣misakaː ʔi⸢mi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (催促して良ければ催促することはできる)。 ⸣ウカ イ⸢ミラ⸣リ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸣ジン タ⸢ラーサラン⸠ツォー [⸣ʔukaː ʔi⸢mira⸣ri ⸢beː⸣nundu ⸣ʤin ta⸢raːsaran⸠ʦoː] (借金の返済を催促されているんだが返済金が足りないんだよ<足らされない>)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢コー⸣シ ⸢カイ⸣ティ イ⸢ミ⸣リナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː ⸢koː⸣ʃi ⸢kai⸣ti ʔi⸢mi⸣rinaː na⸢ra⸣nu] (子供は菓子を買ってくれとの催促<おねだり>に困り果てている<堪らない>)。 トゥ⸢リマイ⸣ヤー イ⸢ミラン⸣カー トゥララヌ [tu⸢rimai⸣jaː ʔi⸢miraŋ⸣kaː tu⸢rara⸣nu] (貸した金<取るべき金>は催促しないと取れない) 2122 0 0 1967 htmvoc_2122.wav イミンクジンッサヌ イ⸢ミン⸣ クジン ッ⸢サヌ [ʔi⸢miŋ⸣ kuʤin s⸢sanu] 成 意味内容が全くわからない。訳がわからない。「意味も故事も知らない」の義。「意味も来歴も分からない」の意。 ⸣ヌンティル ⸣アイニ ア⸢ジオー⸣ルユー イ⸢ミン⸣クジン ッ⸢サヌ [⸣nuntiru ⸣ʔaini ʔa⸢ʤioː⸣rujuː ʔi⸢miŋ⸣kuʤin s⸢sanu] (何故にあんなに言っておられるのか、意味が全く分からない<知らない>)。イ⸢ミン⸣クジン ワ⸢カラ⸣ヌ[ʔi⸢miŋ⸣kuʤiŋ wa⸢kara⸣nu]ともいう 2123 0 0 1968 htmvoc_2123.wav イミンツァン ⸣イミンツァン [⸣ʔiminʦaŋ] 副 夢にも。「夢にだに<すら>」の義。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ウ⸢ク⸣ルンテー ⸣イミンツァン <イ⸢ミ⸣サラーンツァン> ウ⸢モーラン⸣シェン [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʔu⸢ku⸣runteː ⸣ʔiminʦaŋ ʔu⸢moːraŋ⸣ʃeŋ] (あんなことが起こるなんて夢にも思われなかった) 2124 0 0 1969 htmvoc_2124.wav イミンムタバリン ⸣イミン ム⸢タバ⸣リン [⸣ʔimim mu⸢taba⸣riŋ] 連 ⸢夢に弄ばれる」の義。夢を見ている自分が夢に翻弄される。 ⸣イミン ム⸢タバ⸣リティ ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢アールン⸣ケン ア⸢サ⸣ニビ ⸢シーナー⸣ヌ [⸣ʔimim mu⸢taba⸣riti ti⸢da⸣nu ⸢ʔaːruŋ⸣keŋ ʔa⸢sa⸣nibi ⸢ʃiːnaː⸣nu] (夢に弄ばれて、太陽が昇るまで朝寝坊をしてしまった) 2125 0 0 1970 htmvoc_2125.wav イメーヌカージ イ⸢メーヌカー⸣ジ [ʔi⸢meːnukaː⸣ʤi] 感 「いまゐのかぜ(順風満帆{EOS}真っ直ぐに向かった舵)『沖縄語辞典』」の義。⸣インダヌ マ⸢キ[⸣ʔindanu ma⸢ki](伊武田の牛牧)で、旧暦9月の丑の日に⸢牛の祝い」を行った。その際、牛の耳を切ってヤーバン[jaːbaŋ](家判)をつけた。牛の健康と繁盛を祈願んした後、対座した牛主二人がミ⸢キバタ⸣シ[mi⸢kibata⸣ʃi](ヤラブの木で造った酒器{EOS}神酒の容器)を儀式の歌に合わせて右上、左上へと交互に持ち上げながら祝詞を奏上し、次の組へとミキバタシ(神酒の容器)を渡したが、その時に発した祝詞。→ キバタシ 2115 0 0 1971 htmvoc_2115.wav イメーマ イ⸢メーマ [ʔi⸢meːma] 副 少し。少量。わずか。ン⸢メーマ[ʔm⸢meːma](少し)ともいう。 イ⸢メーマー⸣ バー ⸣クトゥーン ⸢カン⸣ガイ ッ⸢ふィーリ⸠ヨー [ʔi⸢meːmaː⸣ baː ⸣ku̥tuːŋ ⸢kaŋ⸣gai f⸢fiːri⸠joː] (少しは私のことも考えてくれよ) 2118 0 0 1972 htmvoc_2118.wav イメーンカーン ⸣イメーンカーン [⸣ʔimeːŋkaːŋ] 副 出来るだけ。可能な限り。少しでも僅<ヮズカ>でも。⸣ンメーンカーン[⸣ʔmmeːŋkaːŋ](出来るだけ)ともいう。 ⸣イメーンカーン ⸢モーキ⸣ルンティ ユ⸢ク⸣シキティ ⸢ギーバリベー [⸣ʔimeːŋkaːm ⸢moːki⸣runti ju⸢ku⸣ʃi̥kiti ⸢giːbaribeː] (少しでも僅かでも多く儲けようと欲張って頑張っている<気張っている>) 2126 0 0 1973 htmvoc_2126.wav イモチビョー イ⸢モチ⸣ビョー [ʔi⸢moʧi⸣bjoː] 名 いもちびょう(稲熱病)。標準語からの借用語。終戦後に流行したことがある。稲の葉が暗色病斑を表して枯れる病気。また根の部分から枯れていく場合もあり、実は結ばない。⸢ホーライ⸣マイ[⸢hoːrai⸣mai](蓬莱米)品種の栽培が普及するようになった戦後に多く発生した。鳩間の人は、これを⸢ムイ⸣フクン[⸢muiɸu̥kuŋ](異常に成長しすぎて結実しない病気)と称していたが、農業試験場からの指導のもとに薬剤散布をして病気の蔓延を止めた。 イ⸢モチビョー⸣ヤ ⸢ホーライ⸣マイナール ⸢ゴー⸣ラータ [ʔi⸢moʧibjoː⸣ja ⸢hoːrai⸣mainaːru ⸢goː⸣raːta] (いもち病は蓬莱米の品種に多かった) 2127 0 0 1974 htmvoc_2127.wav イヤ イ⸢ヤ [ʔi⸢ja] 名 矢。「射矢」の義か。 ビ⸢コーンッふァヌ⸣ マ⸢ル⸣カー ⸢ユン⸣トゥ イ⸢ヤバ⸣ ス⸢ク⸣リティ ヌ⸢キ⸣ナー ⸣ッシ シゥ⸢コーッ⸣タ [bi⸢koːnffanu⸣ ma⸢ru⸣kaː ⸢jun⸣tu ʔi⸢jaba⸣ su̥⸢ku⸣riti nu⸢ki⸣naː ⸣ʃʃi sï̥⸢koːt⸣ta] (男児が生まれると弓と矢を作って軒に刺しておかれた) 1530 0 0 1975 htmvoc_1530.wav イヤー イ⸢ヤー [ʔi⸢jaː] 名 胎盤。胞衣(えな)。 イ⸢ヤー⸣ ウ⸢ズミ⸣ シケーントン ⸢トゥンクイル⸣カー パ⸢ル⸣ムンティ ア⸢ザリブー⸣ダー [ʔi⸢jaː⸣ ʔu⸢ʣumi⸣ ʃi̥keːnton ⸢tuŋkuiru⸣kaː pa⸢ru⸣munti ʔa⸢ʣaribuː⸣daː] (胎盤を埋めてある所を跨ぐと<跳び越えると>妊娠するといわれているよ) 2129 0 0 1976 htmvoc_2129.wav イユイユ イ⸢ユイユ [ʔi⸢juʔiju] 副 いよいよ。とうとう。差し迫った状態を表す。「ますます」の意味には使われない。標準語からの借用語。普通は⸢トー⸣ メー[⸢toː⸣ meː](さあ、もう)のように言う。 イ⸢ユイユ⸣ メー ク⸢ヌ⸣ シキシー ⸢ガッ⸣コーン ウ⸢ワーリスバン⸣ナー [ʔi⸢juːʔiju⸣ meː ku⸢nu⸣ ʃi̥kiʃi ⸢gak⸣koːŋ ʔu⸢waːrisuban⸣naː] (いよいよ今月で学校も卒業だねえ<学校も終わるねえ>) 1553 0 0 1977 htmvoc_1553.wav イヨー ⸣イヨー [⸣ʔijoː] 名 ゆおう(硫黄)。⸣イオー[⸣ʔioː](硫黄)ともいう。首里方言からの借用語か。パ⸢ブ[pa⸢bu](はぶ{EOS}毒蛇)は⸣イヨー[⸣ʔijoː](ゆおう<硫黄>)の臭いを嫌って寄り付かないと言われている 2131 0 0 1978 htmvoc_2131.wav イラ イ⸢ラ [ʔi⸢ra] 名 (動)毒クラゲ。無毒のミズクラゲ(水水母)にもいう。人を刺す水母は透明で長い触手を持つ。夏季に発生して水泳中の子供に被害がでる。「刺(いら)、草木のとげ。はり<和名抄>」の義から派生、転訛したものか。 ナ⸢チェー⸣ イ⸢ラヌ ユーリ⸣クンダ ⸢キー⸣シキ ⸣オンダー ⸢サン⸣カー ッ⸢サ⸣リン⸢ダー [na⸢ʧeː⸣ ʔi⸢ranu juːri⸣kunda ⸢kiː⸣ʃi̥ki ⸣ʔondaː ⸢saŋ⸣kaː s⸢sa⸣rin⸢daː] (夏はクラゲが流れ寄ってくるから気をつけて海水浴しないと刺されるよ)。 イ⸢ラン⸣ ッ⸢サ⸣リカー フ⸢ナブ⸣ヌ ⸣シル マ⸢モーッ⸣タ [ʔi⸢ran⸣ s⸢sa⸣rikaː ɸu⸢nabu⸣nu ⸣ʃiru ma⸢moːt⸣ta] (水母に刺されたら九年母<シークヮ―サー>の汁を塗られた) 2132 0 0 1979 htmvoc_2132.wav イラ ⸣イラ [⸣ʔira] 助数 枚。ひら。紙、蓆、畳、皿、木の葉、等を数える、語に付属する接続後。助数詞。イラは [çira] → [jira] → [ira] のように音韻変化したもの。プ⸢スイ⸣ラ[pu̥⸢sui⸣ra](一枚)、フ⸢タイラ[ɸu̥⸢taira](二枚)、⸢ミーラ[⸢miːra](三枚)のように数える。 ⸢クー⸣ザラ プ⸢スイ⸣ラ ⸣ムティ ⸣クーバ [⸢kuː⸣ʣara pu̥⸢sui⸣ra ⸣muti ⸣kuːba] (小皿を一枚持ってきなさい) 2133 0 0 1980 htmvoc_2133.wav イラ ⸢イラ [⸢ʔira] 感 ああ。歌謡語。日常では使用されない。鳩間島では、イ⸢ラー サニ⸣シャー ⸢キュー⸣ヌ ヒ[ʔi⸢raːsani⸣ʃaː ⸢kijuː⸣nu çiː](ああ何と嬉しいことよ今日の日は)と歌われている 2134 0 0 1981 htmvoc_2134.wav イライ ⸣イライ [⸣ʔirai] 名 答え。返答。応答。返事。「応(いら)え」の義。 ⸢ギュームシ⸣ ヤ⸢ラブバン⸣ ノー⸢ンティン⸣ イ⸢ライ⸣ヤ ⸢ナー⸣ヌヌ ⸢ヌー⸣シタカヤー [⸢gjuːmuʃi⸣ ja⸢rabubaŋ⸣ noː⸢ntiŋ⸣ ʔi⸢rai⸣ja ⸢naː⸣nunu ⸢nuː⸣ʃi̥takajaː] (何度呼んでも何の返答も無いが、どうしたのかなあ)。「いらへ」(混効) 2135 0 0 1982 htmvoc_2135.wav イライピントー ⸣イライピントー [⸣ʔiraipintoː] 名 返事。返答。応答。受け答え。 プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢オー⸣ルカー ⸣イライピントーヤ カシー⸢カシー⸣シ ⸢シェー⸣ティ アー⸣ク⸢ダー [pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ruka ⸣ʔiraipintoːja kḁʃiː⸢kaʃiː⸣ʃiru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku⸢daː] (人が話しかけて来られたら、受け答えはしっかりとしなさい<してあるくんだ>よ) 2136 0 0 1983 htmvoc_2136.wav イライルン イ⸢ライ⸣ルン [ʔi⸢rai⸣ruŋ] 自動 答える。応答する。応(いら)う。老年層の言葉。 ⸢ウイヌ⸣ プ⸢スヌ トゥイヨー⸣ルカー ⸢ゾー⸣ブンニ イ⸢ライ⸣ルン<⸢ピントースン>ティ ⸢カン⸣ガイ ⸢ベー [⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢sunu tuijoː⸣rukaː ⸢ʣoː⸣bunni ʔi⸢rai⸣run<⸢pintoːsun>ti ⸢kaŋ⸣gai ⸢beː] (目上の方<人>がお尋ねになったら上手にお答え<返答>しようと考えている)。 ノー⸢ン ヤラバン⸣ ミサバ ⸢パー⸣ク イ⸢ライ⸣リ [noː⸢ɲ jarabam⸣ misaba ⸢paː⸣ku ʔi⸢rai⸣ri] (何でもいいから早く答えなさい<早く応答しなさい>) 2137 0 0 1984 htmvoc_2137.wav イラカ イ⸢ラ⸣カ [ʔi⸢ra⸣ka] 名 甍。屋根の背。「~海神の殿の盖丹<イラカニ>~。万、3791」、「屋脊曰\kaeriten{㆑}甍、伊良賀(いらか)」『和名抄』の転訛したもの。家のうわむね(上棟)。⸢ヤー⸣ヌ ティ⸢ジ[⸢jaː⸣nu ti⸢ʤi](家の頂き)ともいう。瓦葺の場合は、頂上に土を載せ、その上に雄瓦を載せてム⸢チ[mu⸢ʧi](漆喰)を塗り、形を整えて仕上げる。東の面と西の面も漆喰で化粧塗りをしをして仕上げる。茅葺の場合は、茅を半球形に積んで竹簾で覆い、棕櫚縄の締め縄で引き締めて造る。 ⸢カー⸣ラヤーヌ イ⸢ラ⸣カナ ⸣パトゥザヌ トゥ⸢マリ ベー [⸢kaː⸣rajaːnu ʔi⸢ra⸣kana ⸣pḁtuʣanu tu⸢mari beː] (瓦葺家の甍に鳩がとまっている) 2138 0 0 1985 htmvoc_2138.wav イラカザケー イ⸢ラカザケー [ʔi⸢rakaʣakeː] 名 屋号。西加治工次郎氏宅。 イ⸢ラカザケーヌ⸣ マンタナール ⸢プール⸣ヌ ⸣サンシケー ス⸢クーローッ⸣タ [ʔi⸢rakaʣakeːnu⸣ mantanaːru ⸢puːru⸣nu ⸣saŋʃi̥keː su̥⸢ku⸣roːtta] (西加治工家の前に<ぞ>豊年祭の桟敷は作られた) 2139 0 0 1986 htmvoc_2139.wav イラカマイ イ⸢ラ⸣カマイ [ʔi⸢ra⸣kamai] 名 (地)。「甍前」の義か。ウ⸢ブ⸣マイミチ[ʔu⸢bu⸣maimiʧi](大前農道)の南にこんもりと生い茂る雑木林の一帯。破壊された古墓の跡があり、昔は人骨が残っていた。おそらく無縁墓地であろう。 ム⸢カ⸣シェー イ⸢ラ⸣カマイナー サ⸢リプニ⸣ヌ ⸢アッ⸣タンティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔi⸢ra⸣kamainaː sa⸢ripuni⸣nu ⸢ʔat⸣tanti⸢daː] (昔はイラカマイに古い人骨があったそうだよ) 2140 0 1 1987 htmvoc_2140.wav イラキ イ⸢ラ⸣キ [ʔi⸢ra⸣ki] 名 {Mn_1}魚類の鱗(うろこ)。 イ⸢ゾー⸣ イ⸢ラ⸣キ ⸣パギテーラ バ⸢ザイ⸣バ⸢ヨー [ʔi⸢ʣoː⸣ ʔi⸢ra⸣ki ⸣pagiteːra ba⸢ʣai⸣ba⸢joː] (魚は鱗を剥いでから捌きなさいね)。 ヒ⸢ローサー⸣ヌ イ⸢ラ⸣キシ パ⸢ニビキ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [çi⸢roːsaː⸣nu ʔi⸢ra⸣kiʃiru pa⸢nibiki⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (メガネモチノウオの鱗で羽引き漁の擬餌針を作られた)。 2140 0 2 1988 htmvoc_2140.wav イラキ イ⸢ラ⸣キ [ʔi⸢ra⸣ki] 名 {Mn_2}ふけ(雲脂)。 ス⸢ブ⸣ル ア⸢ラーンユンダ⸣ イ⸢ラ⸣キ ⸣カビ⸢ベー [su⸢bu⸣ru ʔa⸢raːŋjunda⸣ ʔi⸢ra⸣ki ⸣kabi ⸢beː] (頭を洗わないから\ruby{雲脂}{フ|ケ}が\ruby{覆}{オオ}って<雲脂を被って>いる) 2142 0 0 1989 htmvoc_2142.wav イラキグム イ⸢ラキ⸣グム [ʔi⸢raki⸣gumu] 名 鱗雲(うろこぐも)。 ⸢ティン⸣ナー イ⸢ラキグム⸣ヌ ンジ ⸢ベー⸣ヌ ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣スカヤー [⸢tin⸣naː ʔi⸢rakigumu⸣nu ⸣ʔnʤi ⸢beː⸣nu ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣su̥kajaː] (空<天>に鱗雲が出ているが、天気は崩れるかなあ<天気はやぶれるのかな>) 2141 0 0 1990 htmvoc_2141.wav イラキナビ イ⸢ラキ⸣ナビ [ʔi⸢raki⸣nabi] 名 炒り鍋。野菜や肉類を炒るのに用いる浅い鉄製の鍋。⸢チャン⸣プルー[⸢ʧam⸣puruː]料理を調理するのに用いる鉄製の鍋。 イ⸢ラキ⸣ナビナ ン⸢メーマ⸣ アバ ピ⸢キティ ソー⸣ミン イ⸢ラ⸣キバ [ʔi⸢raki⸣nabina ʔm⸢meːma⸣ ʔaba pi̥⸢kiti soː⸣miŋ ʔi⸢ra⸣kiba] (炒り鍋に少し油を塗って素麺を炒めなさい<炒りなさい>) 2143 0 0 1991 htmvoc_2143.wav イラキムヌ イ⸢ラキ⸣ムヌ [ʔi⸢raki⸣munu] 名 「炒り物」、「煎り物」の義。味噌と油で炒めた煎りもの料理。パパイヤ、南瓜、冬瓜等を約1,5センチの角切りにし、それに味噌を加え、豚肉または蒲鉾、豆腐などを入れて炒ったもの。美味で豪華な感じを添える料理。祝儀や法事、お盆などの祭祀には必ず作られた。ご馳走の料理に必須の一品。 ⸢マンズイ⸣トゥ カ⸢ブッチバ⸣ カ⸢クギリ⸣ シ⸢ティ ミー⸣ス マ⸢ザー⸣シティ カ⸢マブクン トー⸣フン イ⸢リティ⸣ ア⸢バ⸣ナビナ イ⸢ラ⸣キティル イ⸢ラキ⸣ムノー ス⸢ク⸣ローッタ [⸢manʣui⸣tu ka⸢butʧiba⸣ kḁ⸢kugiri⸣ ʃi̥⸢ti miː⸣su ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ka⸢mabukun toː⸣ɸuŋ ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢ba⸣nabina ʔi⸢ra⸣kitiru ʔi⸢raki⸣munoː su̥⸢ku⸣roːtta] (パパイヤとカボチャを角切りにして味噌を混ぜて蒲鉾も豆腐も入れて油鍋で炒ってから<ぞ>煎りもの料理は作られた) 2144 0 0 1992 htmvoc_2144.wav イラクン イ⸢ラ⸣クン [ʔi⸢ra⸣kuŋ] 他動 煎る。炒(いた)める。 ⸣ムン イ⸢ラ⸣キティ イ⸢ソーシ⸣ナ ピ⸢キティ⸣ ユ⸢ナ⸣ク ス⸢ク⸣ラナー [⸣muŋ ʔi⸢ra⸣kiti ʔi⸢soːʃi⸣na pi̥⸢kiti⸣ ju⸢na⸣ku su̥⸢ku⸣ra⸢naː] (麦を煎って石臼で挽いて麦焦がしを作ろうね)。 イ⸢ラカ⸣ヌ [ʔi⸢raka⸣nu] (煎らない)。 ク⸢リン⸣ イ⸢ラ⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ イ⸢ラ⸣ク プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢riŋ⸣ ʔi⸢ra⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du ʔi⸢ra⸣ku pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (これも煎ろうと思うが、煎る人がいない)。 ⸢マー⸣ビン イ⸢ラ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔi⸢ra⸣keː ⸣misamunu] (もっと煎ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク イ⸢ラ⸣キ [⸢paː⸣ku ʔi⸢ra⸣ki] (早く煎れ) 2145 0 0 1993 htmvoc_2145.wav イラザランクトゥ イ⸢ラザラン⸣クトゥ [ʔi⸢raʣaraŋ⸣ku̥tu] 連 余計なこと。 タ⸢ナ⸣ミン ⸢サンムヌバ⸣ イ⸢ラザラ⸣ン ⸣クトゥ ⸢シー マー⸣ビン シ⸢ルッ⸣コー ナシ⸢ナー⸣ヌ [ta⸢na⸣min ⸢sammunuba⸣ ʔi⸢raʣaraŋ⸣ku̥tu ⸢ʃiː maː⸣biŋ ʃi⸢ruk⸣koː naʃi⸢naː⸣nu] (頼みもしないものを、余計なことをして、かえってぶち壊しにして<台無しにして>しまった) 2146 0 0 1994 htmvoc_2146.wav イラスン イ⸢ラスン [ʔi⸢rasuŋ] 連 入れさせる。動詞イ⸢ルン[ʔi⸢ruŋ](入れる)の未然形イ⸢ラ[ʔi⸢ra]に、使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いて形成された派生動詞。 ⸢センキョー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ヤーニン⸣ズ ムー⸢ル ワーン⸣ トン フ⸢ダー⸣ イ⸢ラスン [⸢ʃeŋkjo⸣nu ⸣pimmaː ⸢jaːnin⸣ʣu muː⸢ru waːn⸣ toŋ ɸu⸢daː⸣ ʔi⸢rasuŋ] (選挙の時は、家族全員君の所に札を入れさせる)。 ⸢ウン⸣マー ⸣ティルナ イ⸢ラシティ⸣ ア⸢ラーシ⸣バ [⸢ʔum⸣maː ⸣tiruna ʔi⸢raʃi̥ti⸣ ʔa⸢raːʃi⸣ba] (芋は笊に入れさせて洗わさせなさいよ) 2147 0 0 1995 htmvoc_2147.wav イラバスン イ⸢ラバ⸣スン [ʔi⸢raba⸣suŋ] 連 選ばせる。イ⸢ラ⸣ブン[ʔi⸢ra⸣buŋ](選ぶ)の未然形に、使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~す{EOS}~せる{EOS}~させる)が付いて形成された使役の派生動詞。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣プサ ⸣ムヌ シン⸢トゥ ピー⸣チ イ⸢ラバ⸣スン [⸢duː⸣nu ⸣pu̥sa ⸣munu ʃin⸢tu piː⸣ʧi ʔi⸢raba⸣suŋ] (自分の欲しいものをたった一つだけ選ばせる)。 イ⸢ラバサ⸣ヌ [ʔi⸢rabasa⸣nu] (選ばせない) 2148 0 0 1996 htmvoc_2148.wav イラバリン イ⸢ラバ⸣リン [ʔi⸢raba⸣riŋ] 自動 選ばれる。イ⸢ラ⸣ブン[ʔi⸢ra⸣buŋ](選ぶ)の未然形イ⸢ラ⸣バ[ʔi⸢ra⸣ba]に、受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](~れる)が付いて形成された受身・可能の派生動詞。 パ⸢トゥ⸣マーラン ギ⸢イン⸣マー ⸢タン⸣ガー イ⸢ラバ⸣リンツォー [pḁ⸢tu⸣maːraŋ gi⸢ʔim⸣maː ⸢taŋ⸣gaː ʔi⸢raba⸣rinʦoː] (鳩間島からも議員は一人選ばれるそうだ)。 イ⸢ラバラ⸣ヌ [ʔi⸢rabara⸣nu] (選ばれない{EOS}選べない) 2149 0 0 1997 htmvoc_2149.wav イラビックル イ⸢ラビッ⸣クル [ʔi⸢rabik⸣kuru] 名 残り滓。選び滓。選び残りの屑。 ⸢ソームノー⸣ ムー⸢ル カーシティ⸣ イ⸢ラビッ⸣クル カー⸢ニ⸣ ヌ⸢カ⸣リ⸢ベー [⸢soːmunoː⸣ muː⸢ru kaːʃi̥ti⸣ ʔi⸢rabik⸣kuru kaː⸢ni⸣ nu⸢ka⸣ri⸢beː] (いいものは全部売って、選び残り滓だけ残っている) 2150 0 0 1998 htmvoc_2150.wav イラビヌカスン イ⸢ラビ⸣ ヌ⸢カ⸣スン [ʔi⸢rabi⸣ nu⸢ka⸣suŋ] 連 選り抜く。「選び残す」の義。多くの中から選んで抜き出し、他を放置する。 イ⸢ラビ⸣ ヌ⸢カ⸣シ ⸣シケー ⸣ムノー ウ⸢ムイツァー⸣ヌ シ⸢ティラランバ ワー イー⸣リバ [ʔi⸢rabi⸣ nu⸢ka⸣ʃi ⸣ʃi̥keː ⸣munoː ʔu⸢muiʦaː⸣nu ʃi̥⸢tiraramba waː ʔiː⸣riba] (選り抜いて残してある物は、惜しくて<勿体無くて>捨てられないから、君が貰いなさいよ) 2151 0 0 1999 htmvoc_2151.wav イラビヌカル イ⸢ラビヌカ⸣ル [ʔi⸢rabinuka⸣ru] 名 選び残り。 イ⸢ラビヌカ⸣ルナー ⸢フー⸣ヌ ⸣アンティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリブー [ʔi⸢rabinuka⸣runaː ⸢ɸuː⸣nu ⸣ʔanti mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣaribuː] (選び残りには果報があると昔から言われている) 2152 0 0 2000 htmvoc_2152.wav イラビノースン イ⸢ラビ ノー⸣スン [ʔi⸢rabi noː⸣suŋ] 連 選び直す。 ⸢マー⸣ プ⸢スム⸣シ イ⸢ラビ ノー⸣スン [⸢maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi ʔi⸢rabi noː⸣suŋ] (もう一度<再度>選び直す) 2153 0 0 2001 htmvoc_2153.wav イラブ イ⸢ラ⸣ブ [ʔi⸢ra⸣bu] 名 (動)エラブウナギ。エラブウミヘビの別名。糸満漁民が漁獲した。燻製にして保存したり、沖縄本島へ輸出したりしていた。強壮剤として愛用されていた。独特の調理法によって調理されたイラブには鶏肉に似た食味があり、豚足の味と調和して美味である。 イ⸢ラ⸣ボー ⸣ガシティ ア⸢シティビチ⸣トゥ ク⸢ブ⸣トゥ ⸢ダイ⸣クニ イ⸢リティ ネース⸣カー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [ʔi⸢ra⸣boː ⸣gaʃiti ʔa⸢ʃitibiʧi⸣tu ku⸢bu⸣tu ⸢dai⸣kuni ʔi⸢riti neːsu⸣kaː ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (イラブは焙乾にして、豚足と昆布と大根を入れて煮ると非常に美味しい) 2154 0 0 2002 htmvoc_2154.wav イラブチ イ⸢ラブ⸣チ [ʔi⸢rabu⸣ʧi] 名  (動)魚の名。和名、スジブダイ。ブダイ科の魚の総称。体長25~30センチの成魚がよく漁獲された。白身は刺身にしても煮てもさっぱりした淡白な味で美味である。蒲鉾の原料として重宝された。 イ⸢ラブ⸣チェー ン⸢マー⸣ンドゥ ⸢カース⸣カ ⸢ダイヤー ヤッ⸣サン [ʔi⸢rabu⸣ʧeː ʔm⸢maː⸣ndu ⸢kaːsu⸣kaː ⸢daijaː jas⸣saŋ] (イラブチは美味しいんだが、売ると値段は安い) 2155 0 0 2003 htmvoc_2155.wav イラブレー イ⸢ラ⸣ブレー [ʔi⸢ra⸣bureː] 名 屋号。西原章吉氏宅。⸢ウンタイラ⸣ブレー[⸢ʔuntaʔira⸣bureː](上西原家)ともいう。イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː]は、イ⸢リ[ʔi⸢ri](西<入り>)・⸣パル[⸣paru](原<墾り>)・⸣ヤー[jaː](家)における後部形態素の頭子音に [p] → [b] の音韻変化が起きて生成された合成語。西原章吉氏は昭和12年日支戦争時に都城23聯隊に入営所属し、太平洋戦争時下では西表島の護郷隊の指揮官(伍長)として活躍された。鳩間島の漁師を漁撈班に組織して必要な蛋白源を護郷隊に納入させ、島の神行事には必要な神酒を調達されたという(大城昇氏談)。長男の西原章栄氏は竹富町役場に勤めた 2156 0 0 2004 htmvoc_2156.wav イラブレー イ⸢ラ⸣ブレー [ʔi⸢ra⸣bureː] 名 屋号。西原弘氏宅。ッ⸢サンタ⸣ イ⸢ラ⸣ブレー[s⸢santa⸣ ʔi⸢ra⸣bureː](下西原家)ともいう。西原弘氏には、鳩間島の村役人を務めた際に大工ヨボシ氏(友利御嶽の司)より鳩間島の古典民謡を筆録して残した手沢本『鳩間島歌謡控』がある。次男の西原久雄氏は、鳩間島出身で初めて沖縄銀行の八重山支店長、浦添支店長に就任した。 ⸢カンザトゥ⸣ヤーヌ ⸢イー⸣ネール ッ⸢サンタ⸣ イ⸢ラ⸣ブレー ⸢ヤッタ [⸢kanʣatu⸣jaːnu ⸢ʔiː⸣neːru s⸢santa⸣ ʔi⸢ra⸣bureː ⸢jatta] (慶田城家の西隣が西原家<下西原家>だった) 2157 0 0 2005 htmvoc_2157.wav イラブレーヌマンナーマザーテー イ⸢ラ⸣ブレーヌ マン⸢ナー⸣マザーテー [ʔi⸢ra⸣bureːnu man⸢naː⸣maʣaːteː] 連 屋号。西原盛一氏宅。⸢マン⸣ナ[⸢man⸣na](童名<満名>)・⸣-マ[⸣-ma](指小辞{EOS}「小さいもの、愛らしいもの」を表す接尾辞{EOS}~ちゃん)・⸣ザー[⸣ʣaː](~兄さん{EOS}~氏)・⸣-テー[⸣-teː](接尾辞{EOS}<~家>)が下接して生成された合成語。 ⸢インタイラ⸣ブレーヌ ⸢イー⸣ネール イ⸢ラ⸣ブレーヌ マン⸢ナー⸣マザーテー <⸢ヤッタ⸣> ミー [⸢ʔintaʔira⸣bureːnu ⸢ʔiː⸣neːru ʔi⸢ra⸣bureːnu man⸢naː⸣maʣaːteː <⸢jatta⸣> miː] (西原弘氏宅の西隣が西原盛一氏宅<だった>ですね<でしょう?>) 2158 0 0 2006 htmvoc_2158.wav イラブン イ⸢ラ⸣ブン [ʔi⸢ra⸣buŋ] 他動 選ぶ。選択する。 ⸢ワー⸣ マ⸢セー⸣ル ⸣ムヌ イ⸢ラ⸣ビ ⸣ムティパリバ [⸢waː⸣ ma⸢ʃeː⸣ru munu ʔi⸢ra⸣bi ⸣mutipariba] (君がいいと思うもの<ましなもの>を持って行きなさい)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ムノー ⸣ドゥーシ イ⸢ラ⸣ブン [⸢duː⸣nu ⸣munoː ⸣duːʃi ʔi⸢ra⸣buŋ] (自分のものは自分で選ぶ)。 ⸣バー イ⸢ラバ⸣ヌ [⸣baː ʔi⸢raba⸣nu] (私は選ばない)。 イ⸢ラ⸣ブ プ⸢ソー パー⸣ク イ⸢ラ⸣ベー ⸣ミサムヌ [ʔi⸢ra⸣bu pu̥⸢soː paː⸣ku ʔi⸢ra⸣beː ⸣misamunu] (選ぶ人は早く選べば良いのに)。 イ⸢ラ⸣ビバ [ʔi⸢ra⸣biba] (選べよ) 2175 0 0 2007 htmvoc_2175.wav イラムティ イ⸢ラムティ [ʔi⸢ramuti] 名 (地名)西表島の租納集落、干立集落の総称。 イ⸢ラムティプス [ʔi⸢ramutipu̥su] (西表の人{EOS}租納人、干立人)。鳩間島の人は「西表島」とは言わず、⸢パイ⸣ター[⸢pai⸣taː](南端<はいばた>)、⸣パンタヌシマ[⸣pantanuʃima](南端の島)というのが普通である。⸢ウイバル[⸢ʔuibaru](上原集落)、フ⸢ノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦集落)、⸣クン[⸣kuŋ](古見村)、⸢オー⸣ハラ[⸢ʔoː⸣hara](大原集落)の各集落は、イ⸢ラムティ[ʔi⸢ramuti](西表村<租納集落、干立集落>)の範疇には入らない。それぞれ独立した集落である。西部地区のフ⸢ナウ⸣キ[ɸu⸢nau⸣ki](船浮)、⸢アン⸣トゥル[⸢ʔan⸣turu](網取)の集落もイ⸢ラムティ[ʔi⸢ramuti]の範疇に属しない。 イ⸢ラムテーラ⸣ サニマイ ⸢カイ⸣クー [ʔi⸢ramuteːra⸣ sanimai ⸢kai⸣kuː] (西表<租納、干立>から種籾を買って来なさい<来い>)。 イ⸢ラムティ⸣ナー イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥ⸢バー⸣キ ⸣タンコーン アリティ シ⸢キ⸣タン プリ ブ⸢タン⸣ダー [ʔi⸢ramuti⸣naː ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔatu⸢baː⸣ki ⸣taŋkoːŋ ⸣ʔariti ʃi̥⸢ki⸣tam ⸣puri bu⸢tan⸣daː] (西表には戦争の後まで炭鉱があって石炭を採掘<掘って>していたよ) 2159 0 0 2008 htmvoc_2159.wav イラン イ⸢ラン [ʔi⸢raŋ] 連体 いらぬ。不必要な。不要な。余計な。 イ⸢ラン⸣ クトー ⸢サンモー⸣ マ⸢シ [ʔi⸢raŋ⸣kutoː ⸢sammoː⸣ ma⸢ʃi] (余計な<不要な>ことはしない方が良い<ましだ>)。 イ⸢ラン⸣ ムニ イ⸢ズナ [ʔi⸢ram⸣ muni ʔi⸢ʣuna] (余計なことを言うな) 2160 0 0 2009 htmvoc_2160.wav イランクトゥ イ⸢ラン⸣クトゥ [ʔi⸢raŋ⸣kutu] 連 要らぬこと。無用なこと。余計なこと。 ⸢ミーヌマイ⸣ヌ ⸢パイヤンツァン ウイユーサン ムヌ⸣ イ⸢ラン⸣クトゥ プ⸢スヌ ソー ス⸢ナ [⸢miːnumai⸣nu ⸢paijanʦaŋ ʔuijuːsam munu⸣ ʔi⸢raŋ⸣ku̥tu pu̥⸢sunu soː su⸢na] (自分の目の前の蝿さえも追い払えない者が、余計なこと、他人の心配はするな)。 ウ⸢レー⸣ イ⸢ラン⸣クトゥ [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢raŋ⸣kutu] (それは余計<無用>なことだ) 2161 0 0 2010 htmvoc_2161.wav イランムニ イ⸢ラン⸣ ムニ [ʔi⸢ram⸣ muni] 連 余計な言葉。不必要な言葉。 ア⸢ザン⸣カー ⸣ミサヌ ⸣ムヌバ イ⸢ラン⸣ ムニ イ⸢ジ⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ タ⸢ゴーマ⸣シ ⸣シケー [ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː ⸣misanu ⸣munuba ʔi⸢ram⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ ja⸢ra⸣bi ta⸢goːma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (言わなければ良いものを、余計<無用>な言葉を言って、子供を捻くれさせ<ねじけさせ>ている) 2164 0 0 2011 htmvoc_2164.wav イリウトゥスン イ⸢リウトゥ⸣スン [ʔi⸢riutu⸣suŋ] 他動 射落とす。老年層の言葉。 ⸢ティップ⸣シ ⸣パトゥザ イ⸢リウタ⸣スン [⸢tippu⸣ʃi ⸣patuʣa ʔi⸢riuta⸣suŋ] (鉄砲で山鳩を射落とす) 2162 0 0 2012 htmvoc_2162.wav イリカーリタチカーリ イ⸢リカーリ⸣ タ⸢チカー⸣リ [ʔi⸢rikaːri⸣ tḁ⸢ʧikaː⸣ri] 連 次から次へと人が入れ替わって現われるさま。 イ⸢リカーリ⸣ タ⸢チカー⸣リ ⸢ヨイシープス⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [ʔi⸢rikaːri⸣ tḁ⸢ʧikaː⸣ri ⸢joiʃiːpu̥su⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (入れ替わり立ち代り、次々と祝い客がいらっしゃる) 2176 0 0 2013 htmvoc_2176.wav イリカールン イ⸢リカールン [ʔi⸢rikaːruŋ] 自動 入れ替わる。 ⸣ブザマトゥ イ⸢リカーリ⸣ ブ⸢バー⸣マーン ⸢オー⸣リ ⸣ヨイ ⸢シー ッふォーッ⸣タ [⸣buʣamatu ʔi⸢rikaːri⸣ bu⸢baː⸣maːŋ ⸢ʔoː⸣ri ⸣joi ⸢ʃiːffot⸣ta] (叔父と入れ替わって叔母も来られてお祝いをしてくださった) 2163 0 0 2014 htmvoc_2163.wav イリカイルン イ⸢リカイルン [ʔi⸢rikairuŋ] 他動 入れ替える。取り替える。 ウ⸢ズ⸣ヌ ⸣バタ イ⸢リカイルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ バ⸢タ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ベーティ イ⸢リカイララヌ [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣bata ʔi⸢rikairunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ba⸢ta⸣nu ⸢naːm⸣beːti ʔi⸢rikairaranu] (布団の綿を入れ替えようと思うが、綿が無いので入れ替えられない)。 イ⸢リカイ⸣ ミサカー イ⸢リカイル⸣ クトー ナルン⸢ダー [ʔi⸢rikai⸣ misakaː ʔi⸢rikairu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (入れ替えて良ければ、入れ替えることは出来るよ)。 イ⸢リカイヤー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢rikaijaː⸣ misamunu] (入れ替えれば良いのに)。 イ⸢リカイリ⸣バ [ʔi⸢rikairi⸣ba] (入れ替えなさいよ)。 ⸢イッスクビン⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ イ⸢リカイティ⸣ ヌ⸢ミ⸣ミジ パ⸢タ⸣ケー ⸣ムティパラ [⸢ʔissukubin⸣nu mi⸢ʤeː⸣ ʔi⸢rikaiti⸣ nu⸢mi⸣miʤi pḁ⸢ta⸣keː ⸣mutipara] (一升瓶の水は入れ替えて、飲み水を畑に持って行こう) 2178 0 0 2015 htmvoc_2178.wav イリカウン イ⸢リカウン [ʔi⸢rikauŋ] 他動 入れ替える。「入れ・替ふ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 フ⸢クル⸣ヌ ナ⸢カミ⸣ー イ⸢リカイティ ム⸢タ⸣シバ [ɸu̥⸢kuru⸣nu na⸢ka⸣miː ʔi⸢rikaiti⸣ mu⸢ta⸣ʃiba] (袋の中身を入れ替えて持たせてやりなさい<持たせなさい>) 2179 0 0 2016 htmvoc_2179.wav イリガン イ⸢リ⸣ガン [ʔi⸢ri⸣gaŋ] 名 そえがみ(添え髪)すること。「入れ髪」の義。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)が神前で祈願する際の正装に用いた。また、キ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)の奉納舞踊として踊られる、パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)はイ⸢ローラ[ʔi⸢roːra](かもじ)を髪に入れて髪を大きく結って踊った。 サ⸢カサヌ⸣ アッパター イ⸢ローラ⸣シ イ⸢リ⸣ガン ⸢シーティル ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [sḁ⸢kasanu⸣ ʔappataː ʔi⸢roːra⸣ʃi ʔi⸢ri⸣gaŋ ⸢ʃiːtiru niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (司の婆さん達は、かもじで添え髪をして祈願をなさった) 2181 0 0 2017 htmvoc_2181.wav イリグ イ⸢リ⸣グ [ʔi⸢ri⸣gu] 名 いかけ(鋳掛)。鍋や桶、⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船、サバニ)の水漏れをふさぐこと。 ⸣イダフニヌ イ⸢リ⸣グ ⸢シェーン⸣トンラ ムリキー⸢ベー [⸣ʔidaɸuninu ʔi⸢ri⸣gu ⸢ʃeːn⸣tonra murikiː⸢beː] (イダフニ<板船>の水漏れ防止をしたところから漏れてきている) 2180 0 0 2018 htmvoc_2180.wav イリクヌティー イ⸢リクヌ⸣ティー [ʔi⸢rikunu⸣tiː] 名 入子の笛。獅子舞の一団やアンガマ踊り隊が獅子元の家から家々へと移動する際に、それを知らせるために吹き鳴らす笛の曲名。「入れ子の笛<笛の曲>」の転訛したもの。⸣ティー[⸣tiː]は、鳩間方言の⸣ピー[⸣piː](笛)に対応する伊江島方言であろう。イ⸢リクヌ⸣ティー[ʔi⸢rikunu⸣tiː]は、豊年祭の⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](入子型の舞踊)の西村、東村の演目交代の際にも吹奏される。 イ⸢リクヌティー⸣ヌ ⸢ナーレー⸣チバ ⸢シーシェーマ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン⸢ダー [ʔi⸢rikunutiː⸣nu ⸢naːreː⸣ʧiba ⸢ʃiːʃeːma⸣nu ⸢ʔoː⸣run⸢doː] (入れ子の笛の音が鳴ったから獅子舞、アンガマ踊り隊がいらっしゃるぞ) 2182 0 0 2019 htmvoc_2182.wav イリクマッふァ イ⸢リクマッふァ [ʔi⸢rikumaffa] 名 入れ子枕。一本の木材を切り離さずに、組み立て、畳み込みが出来るるように仕組んだ枕。 イ⸢リクマッふァー⸣ ブリ タ⸢ク⸣ムカー ピ⸢シーピシ⸣ ⸣ナリティ シゥ⸢カイヤッ⸣サン [ʔi⸢rikumaffaː⸣ buri ta⸢ku⸣mukaaː pi̥⸢ʃiːpiʃiː⸣ nariti sï̥⸢kaijas⸣saŋ] (入れ子枕は折ってたたむと薄くなって使いやすい) 2165 0 0 2020 htmvoc_2165.wav イリクンスン イ⸢リクン スン [ʔi⸢rikun suŋ] 連 入り乱れる。入り混じる。「入りこみ・する」の義か。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ガー⸣レー ミ⸢ドゥム ビキ⸣ドゥム イ⸢リクン シェー⸣ティル ⸢ガー⸣ロッタ⸢ダー [⸢puːru⸣nu ⸢gaː⸣reː mi⸢dumu biki⸣dumu ʔi⸢rikuŋ ʃeː⸣tiru ⸢gaː⸣roːtta⸢daː] (豊年祭のガーリ<応援合戦{EOS}景気付け>は男女入り混じって踊って応援合戦されたよ) 2183 0 0 2021 htmvoc_2183.wav イリジブン イ⸢リジブン [ʔi⸢riʤibuŋ] 名 日没時。日の入り時分。日暮れ時。夕暮れ。 ティ⸢ダ⸣ヌ イ⸢リジブン⸣ ナリ⸢ブーバ ⸣メー ⸢ヤー⸣ パラ [ti⸢da⸣nu ʔi⸢riʤibun⸣ nari⸢buːba ⸣meː ⸢jaː⸣ para] (日暮れ時になっているから、もう家に帰ろう) 2166 0 0 2022 htmvoc_2166.wav イリダカ イ⸢リダカ [ʔi⸢ridaka] 名 収量。収穫量。「入り高」の義。トゥ⸢リ⸣ダカ[tu⸢ri⸣daka](収穫高、収穫量)ともいう。ン⸢ジ⸣ダカ[ʔn⸢ʤi⸣daka](出費)の対義語。 イ⸢リダカー シンダイ⸣ ピ⸢ナリ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ridakaː ʃindai⸣ pi⸢nari⸣pari ⸢naː⸣nu] (収量は次第に減っていってしまった) 2184 0 0 2023 htmvoc_2184.wav イリチガイ イ⸢リチガイ [ʔi⸢riʧigai] 名 入れ違い。 マナ⸢マッタール ワットゥ⸣ イ⸢リチガイ シー⸣ ンジ ⸢パッ⸣タ⸢ダー [mana⸢mattaːru wattu⸣ ʔi⸢riʧigai ʃiː⸣ ʔnʤi ⸢pat⸣ta⸢daː] (今さっき<ぞ>君と入れ違いに出ていったんだよ) 2034 0 0 2024 htmvoc_2034.wav イリッカールンジッカール イ⸢リッカール⸣ ン⸢ジッカー⸣ル [ʔi⸢rikkaːru⸣ ʔn⸢ʤikkaː⸣ru] 連 出たり入ったりすること。入れ替わり立ち替わり。「入れ替わり出で替わり」の義。 イ⸢リッカール⸣ ン⸢ジッカー⸣ル ⸢シー⸣ ウ⸢スマ⸣シスコー プ⸢スヌ オーッ⸣タン [ʔi⸢rikaːru⸣ ʔn⸢ʤikaː⸣ru ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢suma⸣ʃisu̥koː pu̥⸢sunu ʔot⸣taŋ] (入れ替わり立ち替わりして驚くほど<おぞましいほど>多くの人がおられた) 2167 0 0 2025 htmvoc_2167.wav イリックムン イ⸢リックムン [ʔi⸢rikkumuŋ] 自動 入り浸る。「入り込む」の義。 サ⸢キムイ⸣ シ⸢ター ウン⸣ネナー イ⸢リックミティ⸣ メー ⸢ヤ⸣ー ⸢クー⸣ヌ [sḁ⸢kimui⸣ ʃi̥⸢taː ʔun⸣nenaː ʔi⸢rikkumiti⸣ meː ⸢ja⸣ː ⸢kuː⸣nu] (婚約の式を済ませたので、その家に入り浸って、もう実家には帰らない<来ない>)。戦後の一時期まで、婚約をすると男は夜になると女の家に入り浸る風習があった。 サ⸢キムイ⸣ シ⸢ター⸣ ミ⸢ドゥムン⸣ ヤーナ イ⸢リックミティ ヤー⸣ヌ ⸣アンティ ッ⸢サヌ [sḁ⸢kimui⸣ ʃi̥⸢taː⸣ mi⸢dumuŋ⸣ jaːna ʔi⸢rikkumiti jaː⸣nu ⸣ʔanti s⸢sanu] (結納<婚約の酒盛り>を済ませたら女の家に入りこんで、自分の家のあることを知らない)。 イ⸢リックマヌ [ʔi⸢rikkumanu] (入り込まない)。 ⸢ウン⸣ネナー イ⸢リックムンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ イ⸢リックマンシェン [⸢ʔun⸣nenaː ʔi⸢rikkumunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʔi⸢rikkumaŋʃeŋ] (あの家に住み込もうと思ったが、住み込まなかった) 2168 0 0 2026 htmvoc_2168.wav イリナクン イ⸢リナクン [ʔi⸢rinakuŋ] 他動 入れ込む。袋や笊などに押し込む。 ユ⸢ク⸣バ ⸣シキ カ⸢シガーフク⸣ルナ ⸢ウン⸣バ イ⸢リナキティ⸣ カ⸢タ⸣ムンティ シ⸢ター⸣ ク⸢シェー⸣ ビ⸢ザーリナー⸣ヌ [ju⸢ku⸣baʃi̥ki kḁ⸢ʃigaːɸu̥ku⸣runa ⸢ʔum⸣ba ʔi⸢rinakiti⸣ kḁ⸢ta⸣munti ʃi̥⸢taː⸣ ku̥⸢ʃeː⸣ bi⸢ʣaːrinaː⸣nu] (欲張って南京袋<朝鮮袋とも>に芋を詰め込んで担ごうとしたら腰が潰<ッブ>れてしまった) 2186 0 0 2027 htmvoc_2186.wav イリバー イ⸢リバー [ʔi⸢ribaː] 名 入れ歯。イ⸢リパー[ʔi⸢ripaː](入れ歯)ともいう。 ⸢パー⸣バ ⸣ヌイティ イ⸢リバー⸣ イ⸢リルンティ⸣ イ⸢サン⸣ヤー ⸢パッ⸣タ [⸢paː⸣ba ⸣nuiti ʔi⸢ribaː⸣ ʔi⸢rirunti⸣ ʔi⸢saɲ⸣jaː ⸢pat⸣ta] (歯を抜いて入れ歯を入れに<入れようと>歯医者の所<医者の家>へ行った) 2169 0 0 2028 htmvoc_2169.wav イリパー イ⸢リ⸣パー [ʔi⸢ri⸣paː] 名 出費。⸢要り費(必要経費)」の義。「要り方」の義。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ランダー イ⸢リパー⸣ヤ ⸢スー⸣ヤンパジ⸢ダー [⸢ʔun⸣neːja ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸢goː⸣randaː ʔi⸢ripaː⸣ja ⸢suː⸣jampaʤi⸢daː] (その家は家族が多いので必要経費が大きい<強い>はずだよ) 2170 0 0 2029 htmvoc_2170.wav イリパー イ⸢リパー [ʔi⸢ripaː] 名 入れ歯。 イ⸢リパー⸣ イ⸢リラン⸣カー ⸣ムノー カ⸢マラ⸣ヌ [ʔi⸢ripaː⸣ ʔi⸢riraŋ⸣kaː ⸣munoː ka⸢mara⸣nu] (入れ歯を入れないと食物<もの>は噛めない) 2171 0 0 2030 htmvoc_2171.wav イリフキルン イ⸢リフキルン [ʔi⸢riɸu̥kiruŋ] 自動 入り浸る。「入り耽る」の義。イ⸢リフクン[ʔi⸢riɸu̥kuŋ](入り浸る)と同じ 2172 0 0 2031 htmvoc_2172.wav イリフクン イ⸢リフクン [ʔi⸢riɸu̥kuŋ] 自動 入り浸る。「入り耽る」の義。 ミ⸢ドゥムン⸣ヤーナ イ⸢リフキティ⸣ シ⸢グトー⸣ イ⸢カシタ⸣ティ ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢dumuɲ⸣jaːna ʔi⸢riɸu̥kiti⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔi⸢kaʃi̥ta⸣ti ⸢naː⸣nu] (女の家に入り浸って <耽って> 仕事は忘れている<如何するともない>) 2035 0 0 2032 htmvoc_2035.wav イリフニ イ⸢リフニ [ʔi⸢riɸuni] 名 入船。入港。対義語ン⸢ジ⸣フニ[ʔn⸢ʤi⸣ɸuni](出船)。 イ⸢サナケー⸣ラヌ イ⸢リ⸣フネー イ⸢チブカラ⸣ クーカヤー [ʔi⸢sanakeː⸣ranu ʔi⸢ri⸣ɸuneː ʔi⸢ʧibukara⸣ kuːkajaː] (石垣島からの入船はいつ<何時>頃来るかなあ) 2173 0 0 2033 htmvoc_2173.wav イリフニ イ⸢リ⸣フニ [ʔi⸢ri⸣ɸuni] 名 入り船。 イ⸢サナケー⸣ラヌ イ⸢リフニ⸣ヌ ⸣アルカー ウ⸢レー⸣ラ ⸢ニーム⸣チェー ⸣クーパジ [ʔi⸢sanakeː⸣ranu ʔi⸢riɸuni⸣nu ⸣ʔarukaː ʔu⸢reː⸣ra ⸢niːmu⸣ʧeː ⸣kuːpaʤi] (石垣からの入船があったら、それから荷物は送られてくるはずだ)。 ⸢キュー⸣ヤー イ⸢リフニ⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣ルンツォー [⸢kjuː⸣ ja ʔi⸢riɸuni⸣nu ⸣joi ⸢soː⸣runʦoː] (今日は入船の祝いをなさるそうだ)。 イ⸢サンケーラヌ⸣ イ⸢リ⸣フネー ⸣ニー ウ⸢ラ⸣スカー ン⸢ジ⸣フニ ⸣ナリ イ⸢ラムテー パッ⸣タ [ʔi⸢sanakeːranu⸣ ʔi⸢ri⸣ɸuneː ⸣niː ʔu⸢ra⸣sukaː ʔn⸢ʤi⸣ɸuni ⸣nari ʔi⸢ramuteː pat⸣ta] (石垣島からの入港船は荷を下ろしたら出船になって西表へ行った<出港した>) 2188 0 0 2034 htmvoc_2188.wav イリフニヨイ イ⸢リフニ⸣ヨイ [ʔi⸢riɸuni⸣joi] 名 入り船の祝い。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢キナー⸣タビ ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー ン⸢ジフニ⸣ヨイ ウ⸢キナー⸣タベーラ ⸢カイ⸣リ ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー イ⸢リフニ⸣ヨイ ⸢ソーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢kinaː⸣tabi ⸢soː⸣ru ⸣pimmaː ʔn⸢ʤiɸuni⸣joi ʔu⸢kinaː⸣tabeːra ⸢kai⸣ri ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ʔi⸢riɸuni⸣joi ⸢soːt⸣taŋ] (昔は沖縄旅をされる時は出船の祝いを、沖縄旅から帰ってこられる時は入り船の祝いをなさったものだ) 2174 0 0 2035 htmvoc_2174.wav イリミー イ⸢リ⸣ミー [ʔi⸢ri⸣miː] 名 入費。費用。経費。「要り目」の義。 キ⸢ザルキザルヌ⸣ イ⸢リミーヌン⸣ドゥ シ⸢ベーラ⸣ ンジェー⸢キー⸣キ ⸢シー ジン⸣マー タ⸢ラーサラヌ [ki⸢ʣarukiʣarunu⸣ ʔi⸢rimiːnun⸣du ʃi⸢beːra⸣ ʔnʤeː⸢kiː⸣ki ⸢ʃiː ʤim⸣maː ta⸢raːsaranu⸣] (祭り行事の経費が後から後から出てきてお金は追いつかない<足らされない>)。 ⸢ヨイ⸣ヌ イ⸢リ⸣メー ⸢ギュー⸣サ ⸣ナルユー ⸢サン⸣ミン ⸢シー⸠ミー [⸢joi⸣nu ʔi⸢ri⸣meː ⸢gjuː⸣sa ⸣narujuː ⸢sam⸣miŋ ⸢ʃiː⸠miː] (お祝いの費用はいくらになるか、計算してごらん) 2189 0 0 2036 htmvoc_2189.wav イリムク イ⸢リムク [ʔi⸢rimuku] 名 入り婿。婿養子。家を継ぐ男児がいない場合、娘に婿を取って暫定的に家を存続させ、娘と婿の間に生まれた次男を実家の跡継ぎにするのが慣例であった。 ⸢ウン⸣ネーヤ ビ⸢コーンッふァヌ⸣ ブ⸢ラーンベー⸣ティ イ⸢リムク⸣ トゥ⸢ローッ⸣タツォー [⸢ʔun⸣neːja bi⸢koːŋffanu⸣ bu⸢raːmbeː⸣ti ʔi⸢rimuku⸣ tu⸢roːt⸣taʦoː] (この家には男の子がいないので入り婿を取られたそうだ)。 ビ⸢ケーヤ⸣ イ⸢リムク⸣ ヤ⸢レー⸣ティ ジ⸢ナンドゥ⸣ ブ⸢ネーカタヌ グヮン⸣ソー ⸣ムトゥツォー [bi⸢keːja⸣ ʔi⸢rimuku⸣ ja⸢reː⸣ti ʤi⸢nandu⸣ bu⸢neːkatanu gwan⸣soː ⸣mutuʦoː] (父親は入り婿であるので、次男が母方の元祖を継ぐ<持つ>そうだ) 2190 0 0 2037 htmvoc_2190.wav イリムサ イ⸢リムサ [ʔi⸢rimusa] 名 西の方から寄せ来る波頭。西の方から被さるように群れ寄る大波。 カ⸢ジェー マーリ⸣ イ⸢リムサヌ スー⸣ワンダ ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ka⸢ʤeː maːri⸣ ʔi⸢rimusanu suː⸣wanda ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (風が北風になっ<回っ>て、西の方から群れ寄せる波頭が強いので、今日は出漁できない<船は出されない>) 2191 0 0 2038 htmvoc_2191.wav イリムヌ イ⸢リムヌ [ʔi⸢rimunu] 名 入れ物。容器。 イ⸢リムノー ナー⸣ムティ ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢マイヤー⸣ ヌーナ フ⸢ナイル⸣ワ [ʔi⸢rimunoː naː⸣muti ʔu⸢bi⸣nu ⸢maijaː⸣ nuːna ɸu⸢nairu⸣wa] (入れ物はなくて、あれだけの米を何に入れるのか) 2192 0 0 2039 htmvoc_2192.wav イリユー イ⸢リユー [ʔi⸢rijuː] 名 入用。必要。 イ⸢リユーヌ⸣ シ⸢ナムノー カーン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢rijuːnu⸣ ʃi⸢namunoː kaːŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (必要な品物は買わないといけない)。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター イ⸢リユーン ナーン⸣ナリ イ⸢ナムヌ⸣サ⸢ナー [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ʔi⸢rijuːn naːn⸣nari ʔi⸢namunu⸣sa⸢naː] (年を取ったので入用のないものになって残念だねえ) 2193 0 0 2040 htmvoc_2193.wav イリルン イ⸢リルン [ʔi⸢riruŋ] 他動 入れる。 ⸢ウン⸣マー ⸣ティルナー イ⸢リ⸣シキ [⸢ʔum⸣maː ⸣tirunaː ʔi⸢ri⸣ʃiki] (イモは笊に入れておきなさい)。 ⸢ウン⸣バ ⸣ティルナー イ⸢リルンティ スンドゥ⸣ イ⸢リララヌ [⸢ʔum⸣ba ⸣tirunaː ʔi⸢rirunti sundu⸣ ʔi⸢riraranu] (芋を笊に入れようとするが、入れられない)。 イ⸢リ⸣ ミサカー イ⸢リル⸣ クトー ⸣ナルン [ʔi⸢ri⸣ misakaː ʔi⸢riru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (入れて良ければ入れることは出来る)。 ⸢クン⸣ナー イ⸢リレー⸣ ミサムヌ [⸢kun⸣naː ʔi⸢rireː⸣ misamunu] (これに入れたら良いのに)。 ⸢パー⸣ク イ⸢リリ [⸢paː⸣ku ʔi⸢riri] (早く入れろ)。 ⸢クン⸣ナー イ⸢リルナ [⸢kun⸣naː ʔi⸢riruna] (これには入れるな)。 ク⸢リン⸣ イ⸢リルン [ku⸢riŋ⸣ ʔi⸢riruŋ] (これも入れる)。 イ⸢リル⸣ <⸢イル⸣> ピンマー ⸢バン⸣ヌン ミ⸢シ⸣リ [ʔi⸢riru⸣ <⸢ʔiru⸣> pimmaː ⸢ban⸣num mi⸢ʃi⸣ri] (入れるときは私にも見せなさい)。 ミ⸢ジェー⸣ カ⸢タ⸣ミキー ⸣カミナ イ⸢リリ [mi⸢ʤeː⸣ kḁ⸢ta⸣mi kiː ⸣kamina ʔi⸢riri] (水は担いできて水甕に入れなさい)。 ウ⸢サイ⸣ヤー ジ⸢ブ⸣クナ イ⸢リティ⸣ マ⸢チ⸣バ [ʔu⸢sai⸣jaː ʤi⸢bu⸣kuna ʔi⸢riti⸣ ma⸢ʧi⸣ba] (御菜は重箱に入れてお供えしなさい)。 カ⸢グ⸣ナー イ⸢リラヌ [ka⸢gu⸣naː ʔi⸢riranu] (籠には入れない)。 パ⸢ク⸣ナー イ⸢リル⸣ クトー ⸣ナルン [pḁ⸢ku⸣naː ʔi⸢riru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (箱に入れることは出来る)。 イ⸢リ⸣ ミサカー イ⸢リレー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢ri⸣ misakaː ʔi⸢rireː⸣ misamunu] (入れて良ければ、入れれば良いのに) 2241 0 0 2041 htmvoc_2241.wav イリンガサ イ⸢リンガ⸣サ [ʔi⸢riŋga⸣sa] 名 麻疹(はしか)。 ク⸢トゥシヌ⸣ フ⸢ヨー⸣ イ⸢リンガサ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣リ ⸢ブー⸣ツォー [ku̥⸢tuʃinu⸣ ɸu⸢joː⸣ ʔi⸢riŋgasa⸣nu pa⸢jaː⸣ri ⸢bun⸣ʦo] (今年の冬は麻疹が流行しているそうだ) 2195 0 0 2042 htmvoc_2195.wav イル ⸣イル [⸣ʔiru] 名 色。色彩。 ッ⸢ス⸣イル [s⸢su⸣iru] (白色)。 ッ⸢ふ⸣イル [f⸢fu⸣iru] (黒色)。 ア⸢ガイル [ʔa⸢gairu] (赤色)。 ⸢キール [⸢kiːru] (黄色)。 ⸢ワー⸣ムノー ⸣ヌー ⸣イルヤ [⸢waː⸣ munoː ⸣nuː ʔiruja] (君のは何色か)。 ウ⸢ダラ⸣キティ ⸣イロー ⸣ッサイティ ⸢ピン⸣ギ ⸢パッ⸣タヤー [ʔu⸢dara⸣ki̥ti ⸣ʔiroː ⸣ssaiti ⸢piŋ⸣gi ⸢pat⸣tajaː] (驚いて顔面蒼白になって<顔色は白んで>逃げていったよ)。 ⸣イル ⸢カイ⸣ヤン [⸣ʔiru ⸢kai⸣jaŋ] (色が美しい) 2196 0 0 2043 htmvoc_2196.wav イル ⸣イル [⸣iru] 助数 ひろ(尋)。長さの単位。大人の両手を広げた長さ。⸣ヒル[⸣çiru](尋)、⸣ピル[⸣piru](尋)の異形態を持つ。プ⸢ス⸣イル[pu̥⸢su⸣iru](一尋)、フ⸢タイル[ɸu̥⸢tairu](二尋)、⸢ミール[⸢miːru](三尋)、⸣サンピル[⸣sampiru](三尋)ともいう。 ⸢ユーイル [⸢juːiru] (四尋) イ⸢チ⸣イル [ʔi⸢ʧi⸣iru] (五尋) ⸢ムーイル [⸢muːiru] (六尋) ナ⸢ナ⸣ヒル [na⸢na⸣çiru] (七尋) ⸢ヤーヒル [⸢jaːçiru] (八尋) ク⸢ヌ⸣ヒル [ku⸢nu⸣çiru] (九尋) ⸢トゥーヒル [⸢tuːçiru] (十尋))。 ⸣ジッピル [⸣ʤippiru] (十尋) ⸣ニジッピル [⸣niʤippiru] (二十尋) ⸣サンジッピル [⸣sanʤippiru] (三十尋) ⸢ヒャッ⸣ピル [⸢çap⸣piru] (百尋))。 ク⸢ヌ ナー⸣ヤ ⸢ギューヒル⸣ ア⸢ル⸣ワ [ku⸢nu naː⸣ja ⸢gjuːçiru⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (この縄は何尋あるか) 2203 0 0 2044 htmvoc_2203.wav イルイル イ⸢ル⸣イル [ʔi⸢ru⸣iru] 名 いろいろ。種々様々。 イ⸢ルイル⸣ヌ シ⸢ナムヌバ⸣ タ⸢ナ⸣ナ カ⸢ザリティ カーシオーッ⸣タ [ʔi⸢ruiru⸣nu ʃi⸢namunuba⸣ ta⸢na⸣na ka⸢ʣariti kaːʃiʔoːt⸣ta] (いろいろな品物を棚に飾って<並べ揃えて>売っておられた)。 イ⸢ルイル⸣ヌ パ⸢ナ⸣シーン シ⸢キル ブー [ʔi⸢ruiru⸣nu pa⸢na⸣ʃiːŋ ʃi̥⸢kiru buː] (いろいろの話<噂>も聞いている<聞いてぞおる>) 2204 0 0 2045 htmvoc_2204.wav イルウティ イ⸢ル⸣ウティ [ʔi⸢ru⸣ʔuti] 名 色落ち。色がさめること。色が褪せること。 ⸢キン⸣マー ⸣ドゥク ア⸢ラウ⸣カー イ⸢ル⸣ウティ ⸢シース [⸢kim⸣maː ⸣duku ʔa⸢rau⸣kaː ʔi⸢ru⸣ʔuti ⸢ʃiːsu] (着物はあまり洗うと色落ちしてしまう<\ruby{色褪}{イロ|アセ}してしまう>) 2205 0 0 2046 htmvoc_2205.wav イルカジ イ⸢ル⸣カジ [ʔi⸢ru⸣kaʤi] 名 いろいろ。品数。品目。多くの種類。「色数」の義。 マ⸢チヤー⸣ナ ⸢キン⸣ヌ イ⸢ル⸣カジ シ⸢ナカジバ⸣ <イ⸢ルジナ カージ⸣ナ> ス⸢ロー⸣シティ ⸢カーシオー⸣ル [ma⸢ʧijaː⸣na ⸢kin⸣nu ʔi⸢ru⸣kaʤi ʃi⸢nakaʤiba⸣ su⸢roː⸣ʃi̥ti ⸢kaːʃiʔoː⸣ru] (店には着物のいろいろ、品数を取り揃えて売っておられる) 2219 0 0 2047 htmvoc_2219.wav イルキン ⸣イルキン [⸣ʔirukiŋ] 名 色柄模様の着物。派手な着物。「色衣(いろきぬ)」の転訛したもの。ッ⸢ス⸣キン[s⸢su⸣kiŋ](白い着物{EOS}芭蕉衣や麻衣)等の無地に対する柄物の着物の意。 バ⸢カー⸣タケンマー ⸣イルキンバ キ⸢シェー⸣ティ サ⸢ニ⸣ヤティ ⸢アークタンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー キ⸢スンティ⸣ ウ⸢モーラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣takemmaː ⸣ʔirukimba ki̥⸢ʃeː⸣ti sa⸢ni⸣jati ⸢ʔaːkutan⸣du ma⸢na⸣maː ki⸢sunti⸣ ʔu⸢moːra⸣nu] (若かった頃は色柄物を着て嬉しがっていたが今は着ようとは思はない) 2206 0 0 2048 htmvoc_2206.wav イルクルー ⸣イルクルー [⸣ʔirukuruː] 名 色黒。色黒の人。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イルクルー ヤ⸢ルヌ カー⸣ゲー アン⸢ダー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔirukuruː ja⸢runu kaː⸣geː ʔan⸢daː] (この子は色黒だが容姿<姿形>は美しい<形はある>よ) 2212 0 0 2049 htmvoc_2212.wav イルシキソッコー イ⸢ルシキソッ⸣コー [ʔi⸢ruʃi̥kisok⸣koː] 名 二十五年忌、三十三年忌の法事。二十五年忌の法事からは法事料理や飾り付けに紅色の使用が許されることから命名されたという。「色付け焼香」の義。 イ⸢ルシキソッ⸣コー ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢マブクン⸣ ア⸢ラシコーシン⸣ ム⸢チン⸣ ア⸢ガイル⸣ シキミサンツォー [ʔi⸢ruʃikisok⸣koː ja⸢runnda⸣ ka⸢mabukuŋ⸣ ʔa⸢raʃikoːʃim⸣ mu⸢ʧiŋ⸣ ʔa⸢gairu⸣ ʃi̥kimisanʦoː] (「色付け焼香(法事)」だから蒲鉾も蒸し菓子も餅も紅<赤色>を付けてよいそうだ) 2220 0 0 2050 htmvoc_2220.wav イルシキムチ イ⸢ルシキ⸣ムチ [ʔi⸢ruʃiki⸣muʧi] 名 色のついた餅。「色付き餅」の義。 ア⸢ガムチ [ʔa⸢gamuʧi] (赤い餅{EOS}赤こうじで色つけした餅)。 ⸢キールムチ [⸢kiːrumuʧi] (黄色い餅{EOS}鬱金<ウコン>で色づけした餅)。⸢アウムチ[⸢ʔaumuʧi](青い餅{EOS}蓬の汁で色づけした餅)等がある。 ⸢アウムチェー⸣ フ⸢チン⸣パーヌ ⸣シルシル ⸣イロー シ⸢キ⸣ル [⸢ʔaumuʧeː⸣ ɸu̥⸢ʧim⸣paːnu ⸣ʃiruʃiru ⸣ʔiroː ʃi̥⸢ki⸣ru] (青餅は蓬の葉っぱの汁で色はつける) 2207 0 0 2051 htmvoc_2207.wav イルシキルン ⸣イル シ⸢キ⸣ルン [⸣ʔiru ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 色づく。色がつく。熟する。 ⸢マー⸣ シ⸢グニ⸣チシェー ⸢マイヤー⸣ イル シ⸢キ⸣ルン [⸢maː⸣ ʃi⸢guni⸣ʧiʃeː ⸢maijaː⸣ ʔiru ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (後四五日では稲は完熟する<色がつく>) 2208 0 0 2052 htmvoc_2208.wav イルジナ イ⸢ル⸣ジナ [ʔi⸢ru⸣ʤina] 連体 いろいろな。多種類の。多品目の。不必要な。余計な。 イ⸢ル⸣ジナ ⸣クトゥ ⸢シーミッ⸣タン [ʔi⸢ru⸣ʤina ⸣ku̥tuŋ ⸢ʃiːmit⸣taŋ] (色々なこともしてみた)。 イ⸢ル⸣ジナ ム⸢ヌ⸣バ ⸢カイ⸣キー ⸣シケーンドゥ シゥ⸢カイミツェー⸣ ノー⸢ン ナー⸣ヌ [ʔi⸢ru⸣ʤina mu⸢nu⸣ba ⸢kai⸣kiː ⸣ʃi̥keːndu sï̥⸢kaimiʧeː⸣ noː⸢n naː⸣nu] (いろいろなものを買ってきてあるが使い道が全くない<役立たない>) 2209 0 0 2053 htmvoc_2209.wav イルジナカージナ イ⸢ルジナカー⸣ジナ [ʔi⸢ruʤinakaː⸣ʤina] 副 いろいろと。あれやこれやと。種々さまざま。ABCDEFCD型の重言。「色品・ける(異る{EOS}「異、コトナリ、ハナハダシ・ケニ」『類聚名義抄』)」の転訛したものか。石垣方言では、イルジナカルジゥナ(石垣方言)という『石垣方言辞典』。 シ⸢グトゥン⸣ イ⸢ルジナカー⸣ジナ ⸢シーミッタン⸣ドゥ ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナーン⸣シェン [ʃi⸢gutuŋ⸣ ʔi⸢ruʤinakaː⸣ʤina ⸢ʃiːmittan⸣du ⸢daːs⸣saː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (仕事もいろいろとやってみたが思わしくなかった<うまくいかなかった>) 2210 0 0 2054 htmvoc_2210.wav イルジナムニ イ⸢ル⸣ジナ ⸣ムニ [ʔi⸢ru⸣ʤina ⸣muni] 連 余計な言葉<もの言い>。余計なお喋り<不平不満>。不必要な言葉。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ウマーカ⸢マー⸣ナ イ⸢ル⸣ジナ ⸣ムニバ イ⸢ジ ムン⸣ドー ウ⸢ク⸣シ ⸣シケー [ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣moː ʔumaːka⸢maː⸣na ʔi⸢ru⸣ʤina ⸣muniba ʔi⸢ʤi mun⸣doː ʔu⸢ku⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (この女は此処彼処で余計なお喋り<不必要なもの言い>をして喧嘩口論を起こしている) 2221 0 0 2055 htmvoc_2221.wav イルジルー ⸣イルジルー [⸣ʔiruʤiruː] 名 色白。色白の美人。 ⸢ウン⸣ネヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ムー⸢ル⸣ イルジルー ヤ⸢リティ⸣ イッ⸢ケン⸣ ア⸢バ⸣レーン [⸢ʔun⸣nenu mi⸢doːŋ⸣ffaː muː⸢ru⸣ ʔiruʤiruː ja⸢riti⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢ba⸣reːŋ] (あの家の娘さん<女の子>は皆色白で非常に美しい<美人である>) 2222 0 0 2056 htmvoc_2222.wav イルスムン ⸣イル ス⸢ムン [⸣ʔiru su⸢muŋ] 連 色を染める。染色する。舟の帆はア⸢カ⸣ズミ[ʔa⸢ka⸣ʣumi](ひるぎ<蛭木>{EOS}マングローブ)の皮を煎じて赤色に染めた。 ⸣イダフニヌ ⸢プーヤ⸣ ア⸢カ⸣ズミキーヌ ⸢カー⸣バ ⸣シジティ ア⸢ガイル⸣ ス⸢モーッ⸣タ [⸣ʔidaɸuninu ⸢puːja⸣ ʔa⸢ka⸣ʣumikiːnu ⸢kaː⸣ba ⸣ʃiʤiti ʔa⸢gaʔiru⸣ su⸢moːt⸣ta] (サバニ<イダフニ>の帆はヒルギの皮を煎じて赤色を染められた) 2211 0 0 2057 htmvoc_2211.wav イルダイ イ⸢ル⸣ダイ [ʔi⸢ru⸣dai] 名 色褪せること。「色絶え」の義。 カ⸢ツシンヌ⸣ ア⸢ガパタン ミール グイルヌ⸣ パ⸢タン サーシティ⸣ グ⸢ニン ナッ⸣ター イ⸢ル⸣ダイ <イ⸢ル⸣ウティ> ⸢シーナーン⸣バン [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔa⸢gapatam miːru guirunu⸣ pḁ⸢tan saːʃiti⸣ gu⸢nin nat⸣taː ʔi⸢ru⸣dai ⸢ʃiːnaːm⸣baŋ] (カツオ漁船の大漁旗の赤旗、三色旗、五色旗も新調して五年になったので色褪せしてしまったわい) 2199 0 0 2058 htmvoc_2199.wav イルッサイ イ⸢ルッ⸣サイ [ʔi⸢rus⸣sai] 名 顔面蒼白。顔色が真っ青になること。「色白み」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー イ⸢ルッ⸣サイ ⸢スン⸣ケン ウ⸢バイ ベー [ja⸢ra⸣beː ʔi⸢rus⸣sai ⸢suŋ⸣keŋ ʔu⸢bai beː] (子供は顔面蒼白になるほど恐れて<怖がって{EOS}驚いて>いる) 2213 0 0 2059 htmvoc_2213.wav イルッサイルン ⸣イル ッ⸢サイ⸣ルン [⸣ʔiru s⸢sai⸣ruŋ] 連 顔面蒼白となる。真っ青になる。血の気を失い顔色が青くなる。青ざめる。「色・白げる<下一段>」の義。⸣イル ⸣ッサウン[⸣ʔiru ⸣ssauŋ](顔面蒼白となる<下二段>の四段化したもの)と同じ。 ⸣イル ッ⸢サイ⸣ルンケン ヤ⸢ラビ⸣バ ウ⸢バーシ⸣シケー [⸣ʔiru s⸢sai⸣ruŋkeɲ ja⸢rabi⸣ba ʔu⸢baːʃi⸣ʃi̥keː] (真っ青になるまで<顔面蒼白になるまで>子供を驚かせてある<びっくりさせてある>)。 ⸣イル ッ⸢サイ⸣ルンケン ウ⸢ダラ⸣キ ⸢ベー [⸣ʔiru s⸢sai⸣ruŋkeŋ ʔu⸢dara⸣ki⸢beː] (顔面蒼白になるほど驚いている) 2200 0 0 2060 htmvoc_2200.wav イルッサウン ⸣イル ⸣ッサウン [⸣ʔiru ⸣ssauŋ] 連 顔面蒼白となる。「色・白む」の義。 ⸣ウヤン イ⸢ザリティル⸣ イル ⸣ッサイ ⸢べー [⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣaritiru⸣ ʔiru ⸣ssai ⸢beː] (親に叱られて<ぞ>顔面蒼白になっている)。 ウ⸢ダラ⸣クカー ⸣イル ⸣ッサウン [ʔu⸢dara⸣kukaː ⸣ʔiru ⸣ssauŋ] (驚いたら顔面蒼白になる)。 イ⸢ザリタンティン⸣ イロー ッ⸢サー⸣ヌ [ʔi⸢ʣaritantiŋ⸣ ʔiroː s⸢saː⸣nu] (叱られても顔面蒼白にならない)。 ⸣イル ⸣ッサウ ⸣ピンマー ブ⸢チ⸣クン ⸢スンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸣ʔiru ⸣ssau ⸣pimmaː bu⸢ʧi⸣kun ⸢sunda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (顔面蒼白になる時は気絶するから、気をつけなさい) 2202 0 0 2061 htmvoc_2202.wav イルッソーン ⸣イル ッ⸢ソー⸣ン [⸣ʔiru s⸢soː⸣ŋ] 連 色が白い。色白である。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢サッ⸣コー ⸣イル ッ⸢ソー⸣ン [ku⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢sak⸣koː ⸣ʔiru s⸢soː⸣ŋ] (この女の子は非常に色が白い)。色が白い。色白である。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イル ッ⸢ソー⸣ン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔiru s⸢soː⸣ŋ] (この子は色が白い{EOS}この子は色白である)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イル ッ⸢ソー⸣ワ⸢ナー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔiru s⸢soː⸣wa⸢naː] (この子は色が白いねえ) 2215 0 0 2062 htmvoc_2215.wav イルトゥブン ⸣イル トゥ⸢ブン [⸣ʔiru tu⸢buŋ] 連 顔色を失う。顔色が真っ青になる。「色・飛ぶ」の義。 ドゥ⸢シザーン⸣ナリ ⸣アイ ⸢ベーン⸣ケン ⸢ズンサ⸣ヌ ⸢オーッ⸣ター ⸣イロー トゥ⸢ビティ フッツォーリベー [du⸢ʃiʣaːn⸣nari ⸣ʔai ⸢beːŋ⸣ken ⸢ʣunsa⸣nu ⸢ʔoːt⸣taː ⸣ʔiroː tu⸢biti ɸutʦoːribeː] (友達どうしで喧嘩していると警官が来られたので、真っ青になって<顔色を失って>ぶるぶるがたがた震えている)。⸣イロー ⸣ヌグン[⸣ʔiroː ⸣nuguŋ](真っ青になる<色が抜ける{EOS}顔色が抜ける>)ともいう 2216 0 0 2063 htmvoc_2216.wav イルドゥリ イ⸢ル⸣ドゥリ [ʔi⸢ru⸣duri] 名 彩り。彩色。 チ⸢カグル⸣ヌ サ⸢シン⸣マー ムー⸢ル⸣ イ⸢ル⸣ドゥリ サ⸢リティ⸣ イ⸢カムス⸣ク ⸢カイ⸣ヤワ⸢ツォー [ʧi̥⸢kaguru⸣nu sa⸢ʃim⸣maː muː⸢ru⸣ ʔi⸢ru⸣duri sa⸢riti⸣ ʔi⸢kamusu̥⸣ku ⸢kai⸣jawa⸢ʦoː] (近頃の写真はみんな彩色されていて<カラー写真で>何と美しいことか<どんなに美しいかってば>) 2217 0 0 2064 htmvoc_2217.wav イルドゥリカードゥリ イ⸢ルドゥリカー⸣ドゥリ [ʔi⸢rudurikaː⸣duri] 副 色とりどりに。彩色豊かに。ABCDEFCD型の重言。「いろどり(彩)」の強調表現。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ソンガチ ⸣ナルカー ミ⸢ドーン⸣ッふァンマー イ⸢ルドゥリカー⸣ドゥリ ア⸢ラキンバ カイ⸣ キ⸢サソーッタン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣soŋgaʧi ⸣narukaː mi⸢doːŋ⸣ffammaː ʔi⸢rudurikaː⸣duri ʔa⸢rakimba kai⸣ ki̥⸢sasoːt⸣taŋ] (昔は正月になると、女の子には色とりどりに新しい着物を買って着せられた) 2223 0 0 2065 htmvoc_2223.wav イルヌカターン イ⸢ル⸣ヌ カ⸢ター⸣ン [ʔi⸢ru⸣nu kḁ⸢taː⸣ŋ] 連 色が濃い。 ス⸢ナカ⸣ヌ ⸣イロー フ⸢カーン⸣ トンマー ⸢アウイルヌ⸣ カ⸢ター⸣ン [su⸢naka⸣nu ⸣ʔiroː ɸu̥⸢kaːn⸣ tommaː ⸢ʔauirunu⸣ kḁ⸢taː⸣ŋ] (海の色は、深いところは青色が濃い) 2218 0 0 2066 htmvoc_2218.wav イルヌギ イ⸢ル⸣ヌギ [ʔi⸢ru⸣nugi] 名 脱色。「色抜き」の義。 ⸢イー⸣シェー ミ⸢ジ⸣ナ シ⸢キティ⸣ イ⸢ル⸣ヌギ シ⸢ティ イーシ⸣ヌ ⸢コー⸣マ タ⸢キ⸣バ [⸢ʔiː⸣ʃeː mi⸢ʤi⸣na ʃi̥⸢kiti⸣ ʔi⸢ru⸣nugi ʃi̥⸢ti ʔiːʃi⸣nu ⸢koː⸣ma tḁ⸢ki⸣ba] (角叉は水に浸け、脱色してトコロテンを炊き<糊状に煮詰め>なさい) 2224 0 0 2067 htmvoc_2224.wav イルヌギルン ⸣イル ヌ⸢ギ⸣ルン [⸣ʔiru nu⸢gi⸣ruŋ] 連 顔面蒼白になる。血の気が引く。「色抜ける」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢ダラ⸣クカー ⸣イル ヌ⸢ギ⸣ルン <⸣ッサウン> [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔu⸢dara⸣kukaː ⸣ʔiru nu⸢gi⸣ruŋ <⸣ssauŋ>] (この子は驚くと顔面蒼白になる) 2225 0 0 2068 htmvoc_2225.wav イルヌムヌ イ⸢ルヌ⸣ムヌ [ʔi⸢runu⸣munu] 名 色物。食紅で朱色に染めた蒲鉾や赤い餅。祝儀の供物。 ⸢ヨイ⸣グトゥナー イ⸢ルヌ⸣ムノー ヤー⸢ディン⸣ ス⸢コーリ シタ [⸢joi⸣gutunaː ʔi⸢runu⸣munoː jaː⸢din⸣ su̥⸢koːri ʃi̥ta] (祝儀には食紅で色を付けた供物を必ず用意した) 2226 0 0 2069 htmvoc_2226.wav イルフカイルン ⸣イル フ⸢カイ⸣ルン [⸣ʔiru ɸu̥⸢kai⸣ruŋ] 連 顔色が赤くなる。顔が火照って赤くなる。発熱したり、上気したり、興奮したりして顔が赤くなる。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣イロー ⸣フカイティ ニ⸢ビベー⸣バ ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アルパジ [ja⸢ra⸣beː ⸣ʔiroː ⸣ɸu̥kaiti ni⸢bibeː⸣ba ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔarupaʤi] (子供は顔が火照って寝ているから熱がある<発熱している>はずだ) 2227 0 0 2070 htmvoc_2227.wav イルフキルン ⸣イル フ⸢キルン [⸣ʔiru ɸu̥⸢kiruŋ] 連 顔面蒼白となる。「色・ふける(自動、下一段)」の転訛したもの。顔から血の気が失せて真っ青になる。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢バウ⸣カー ⸣イル フ⸢キルン [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢bau⸣kaː ⸣ʔiru ɸu̥⸢kiruŋ] (子供は驚くと顔面蒼白となる<顔の色が抜ける>)。 ウ⸢バウタンティン⸣ イロー フ⸢キラ⸣ヌ [ʔu⸢bautantiŋ⸣ ʔiroː ɸu̥⸢kira⸣nu] (驚いても顔色は失せな)。 ⸣イル フ⸢キ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔiru ɸu̥⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (顔面蒼白になることはない) 2228 0 0 2071 htmvoc_2228.wav イルフクン ⸣イル ⸣フクン [⸣ʔiru ⸣ɸu̥kuŋ] 連 顔面蒼白となる。「色・ふく(自動、四段)<色がにげる>」の転訛したもの。⸣イル フ⸢キ⸣ルン[⸣ʔiru ɸu⸢ki⸣ruŋ]と同じ。 ウ⸢レー⸣ イ⸢ズ⸣カー ⸣イル フクン⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸣ʔiru ɸu̥kun⸢daː] (彼<あれ>は叱ると顔面蒼白になるよ)。 ⸣イロー ⸣フキティ トゥ⸢ルバイ ベー [⸣ʔiroː ⸣ɸu̥kiti tu⸢rubai beː] (顔面蒼白になってぽかんとしている)。 ⸢ウンザン⸣ ウ⸢バーサリ⸣ イロー ⸣フキティル ⸢フッツォーリ ベー [⸢ʔunʣaŋ⸣ ʔu⸢baːsari⸣ ʔiroː ⸣ɸu̥kitiru ⸢ɸutʦoːri beː] (あいつに驚かされて、顔面蒼白になって震えている) 2230 0 0 2072 htmvoc_2230.wav イルブリ イ⸢ル⸣ブリ [ʔi⸢ru⸣buri] 名 色気違い。色ごとに夢中になること。 バ⸢カーン⸣ケンナ イ⸢ル⸣ブリ ⸢スー⸣カー ⸢ナウサラン⸣ツォー [ba⸢kaːŋ⸣kenna ʔi⸢ru⸣buri ⸢suː⸣kaː ⸢nausaran⸣ʦoː] (若い時に色気違いになると直せないそうだ) 2229 0 0 2073 htmvoc_2229.wav イルブリムヌ イ⸢ルブリ⸣ムヌ [ʔi⸢ruburi⸣munu] 名 色気違いの人。色事に現を抜かす者。「色・惚れ者」の義。⸣イルブラー[⸣ʔiruburaː](色気違い)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イ⸢ルブリ⸣ムヌ ⸣ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢ruburi⸣munu ⸣nariti ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (その人は色気違いになって手がつけられない<養生できない>) 2231 0 0 2074 htmvoc_2231.wav イルムチ イ⸢ルム⸣チ [ʔi⸢rumu⸣ʧi] 名 血色。顔色。「色持ち」の義か。 ⸣アッパー ⸣ドゥーパダヌ イ⸢ルム⸣チン ⸢カイ⸣ヤー ア⸢ロー⸣リ ⸢ソーヤ ナーン⸣バン [⸣ʔappaː ⸣duːpadanu ʔi⸢rumu⸣ʧiŋ ⸢kai⸣jaː ʔa⸢roː⸣ri ⸢soːja naːm⸣baŋ] (お祖母さんは肌の色も<顔の色も>きれいであられるし、心配はないわい) 2232 0 0 2075 htmvoc_2232.wav イルヤン イ⸢ル⸣ヤン [ʔi⸢ru⸣jaŋ] 名 恋患い。「色病み」の義。 ⸣フカナー ミ⸢ドゥム⸣ヌ ブ⸢ラーンモー⸣ ア⸢ラ⸣ナー イ⸢ルヤン⸣バ ⸢シー ガンドー⸣レーティ ⸢アー⸣ク [⸣ɸu̥kanaː mi⸢dumu⸣nu bu⸢raːmmoː⸣ ʔa⸢ra⸣naː ʔi⸢rujam⸣ba ⸢ʃiː gandoː⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (ほかに女がいないわけでもないのに、恋患いをしてしょげているなんて) 2233 0 0 2076 htmvoc_2233.wav イルユク イ⸢ル⸣ユク [ʔi⸢ru⸣juku] 名 色欲。肉欲。 イ⸢ルユ⸣クサーギ チ⸢チシミシェー⸣カー ウ⸢ブマチガイヤー サン⸣パジ [ʔi⸢ruju⸣kusaːgi ʧi̥⸢ʧiʃimiʃeː⸣kaː ʔu⸢bumaʧigaijaː sam⸣paʤi] (色欲さえ慎むことが出来たら大きな誤りはしないはずだ) 1554 0 0 2077 htmvoc_1554.wav イルン イ⸢ルン [ʔi⸢ruŋ] 他動 射る。鉄砲や弓矢で射る。鉄砲で撃つ。 ⸣カマイ イ⸢ルンテイ ティップ⸣ カ⸢タ⸣ミティ ヤ⸢マー オーッ⸣タ [⸣kamai ʔi⸢runti tippu⸣ kḁ⸢ta⸣miti ja⸢maː ʔoːt⸣ta] (猪を撃とう<射よう>と鉄砲を担いで山へ行かれた)。 ⸣クナー ⸢ベー⸣ルカー イ⸢ラリン⸠ダー [⸣kunaː ⸢beː⸣rukaː ʔi⸢rarin⸠daː] (ここにいると鉄砲で射ら<撃たれ>れるよ)。 ⸢ティップ⸣シ ⸣カマイ イ⸢リ⸣ ミサカー イ⸢ル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢tippu⸣ʃi ⸣kamai ʔi⸢ri⸣ misakaː ʔi⸢ru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (鉄砲で猪を射て良ければ射ることは出来る)。「~立ち向ひ射流<イル>的形は~。万、61」の転訛したもの。 ⸣ユンシ イ⸢ルン [⸣juŋʃi ʔi⸢ruŋ] (弓で射る)。 ⸢ティップー⸣シ イ⸢ラリン [⸢tippuː⸣ʃi ʔi⸢rariŋ] (鉄砲で撃たれ<射られ>る)。 イ⸢レー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢reː⸣ misamunu] (撃てば<射れば>良いのに)。 ⸢ティップー⸣シ ⸣カマイ イ⸢リ⸣バ [⸢tippuː⸣ʃi ⸣kamai ʔi⸢ri⸣ba] (鉄砲で猪を撃て<射れ>よ) 2194 0 0 2078 htmvoc_2194.wav イルン イ⸢ルン [ʔi⸢ruŋ] 他動 入れる。「入る(下二段活用)」の四段活用化したもの。 ⸢クン⸣ナー イ⸢ラヌ [⸢kun⸣naː ʔi⸢ranu] (これには入れない)。 ⸢クンナー⸣ル イ⸢リ⸣プサ [⸢kunnaː⸣ru ʔi⸢ri⸣pu̥sa] (これに入れたい)。 ⸢バン⸣ヌン イ⸢ルン [⸢ban⸣nuŋ ʔi⸢ruŋ] (私も入れる)。 イ⸢ル プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔi⸢ru pu̥soː⸣ bu⸢raːnu] (入れる人はいない)。 イ⸢レー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢reː⸣ misamunu] (入れたらいいのに)。 ⸢パー⸣ク イ⸢リ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔi⸢ri⸣ba] (早く入れなさい)。「ココロヲイルル、また、セイヲイルル」『邦訳日葡辞書』の四段化し、転訛したもの。 ⸢ワー⸣ ク⸢リバ⸣ パ⸢ク⸣ナー イ⸢ル⸣カー ⸢バン⸣ヌン イ⸢ルン⸣ダー [⸢waː⸣ ku⸢riba⸣ pḁ⸢ku⸣naː ʔi⸢ru⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔi⸢run⸣daː] (君がこれを箱に入れたら私もいれるよ)。 ⸣バー イ⸢ラヌ [⸣baː ʔi⸢ranu] (私は入れない)。 パ⸢ク⸣ナー イ⸢リ⸣ ミサカー イ⸢ル⸣ クトー ⸣ナルン [pḁ⸢ku⸣naː ʔi⸢ri⸣ misakaː ʔi⸢ru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (箱に入れて良ければ入れることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン イ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔi⸢reː⸣ misamunu] (もっと入れれば良いのに)。 ヤー⸢ディン クン⸣ナー イ⸢リ⸣ヨー [jaː⸢diŋ kun⸣naː ʔi⸢ri⸣joː] (必ずこれに入れなさいよ) 2234 0 0 2079 htmvoc_2234.wav イルン イ⸢ルン [ʔi⸢ruŋ] 自動 要る。入用である。必要である。日常会話では、カ⸢カ⸣ルン[kḁ⸢ka⸣ruŋ](掛かる)ともいう。 ⸢ワー⸣ カイブ ⸣ムノー イ⸢ルン [⸢waː⸣ kaibu ⸣munoː ʔi⸢ruŋ] (君は、こんなものは要るか)。 イ⸢ラン⸣ クトー ス⸢ナ [ʔi⸢raŋ⸣ku̥toː su⸢na] (要らないことはするな<余計なことをするな>)。 ⸣バー ⸣アイブ ⸣ムノー イ⸢ラヌ [⸣baː ⸣ʔaibu ⸣munoː ʔi⸢ranu] (私はそのようなものは要らない)。 イ⸢ル⸣ ム⸢ノー⸣ ヌーヌーヤ [ʔi⸢ru⸣ mu⸢noː⸣ nuːnuːja] (要る物は何々か) 2237 0 0 2080 htmvoc_2237.wav イルン イ⸢ルン [ʔi⸢ruŋ] 自動 入る。没する。 ティ⸢ダ⸣ヌ イ⸢ルン⸣ケン パ⸢タ⸣キナー シ⸢グトゥ シーベー [ti⸢da⸣nu ʔi⸢ruŋ⸣kem pḁ⸢ta⸣kinaː ʃi⸢gutu ʃiː beː] (太陽が没する<入る>まで畑で仕事をしている)。 ⸣ティダー マ⸢ダ⸣ イ⸢ラヌ [⸣tidaː ma⸢da⸣ ʔi⸢ranu] (太陽は未だ没しない)。 ⸣ティダー キサー⸢ティ⸣ イ⸢リ ナー⸣ヌ [⸣tidaː ki̥saː⸢ti⸣ ʔi⸢ri naː⸣nu] (太陽は既に没してしまった)。 ティ⸢ダ⸣ヌ イ⸢ル⸣ ピンマー ⸢ティンマー⸣ ア⸢ガーガ⸣シ ヤ⸢キス [ti⸢da⸣nu ʔi⸢ru⸣ pimmaː ⸢timmaː⸣ ʔa⸢gaːga⸣ʃi ja⸢kisu] (太陽が没する時は、天は真っ赤に焼ける)。 ティ⸢ダ⸣ヌ イ⸢レー⸣ラー ⸢ヨーン⸣ ナリティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ti⸢da⸣nu ʔi⸢reː⸣raː ⸢joːn⸣ nariti ʔa⸢rakara⸣nu] (太陽が没したら暗闇になって歩かれない) 2239 0 0 2081 htmvoc_2239.wav イルンガーリ イ⸢ルンガー⸣リ [ʔi⸢ruŋgaː⸣ri] 名 変色。色変わり。 ク⸢ヌ キン⸣マー イ⸢ルンガー⸣リ ⸢シーナーン⸣バ キ⸢サラヌ [ku⸢nu kim⸣maː ʔi⸢ruŋgaː⸣ri ⸢ʃiːnaːm⸣ba ki̥⸢saranu] (この着物は柄が変色してしまったので着られない) 2240 0 0 2082 htmvoc_2240.wav イルンカスン イ⸢ルンカスン [ʔi⸢ruŋkasuŋ] 他動 太陽光線に暫く当てて乾物や衣類などを干す。少し日干しする。 ⸢マイヤー⸣ ティダナ イ⸢ルンカシティ ペーラ⸣シバ [⸢maijaː⸣ tidana ʔi⸢ruŋkaʃi̥ti peːra⸣ʃiba] (籾は太陽に少し干して取り入れなさいよ)。 イ⸢ルンカシ⸣ プサン [ʔi⸢ruŋkaʃi⸣ pu̥saŋ] (日干ししたい)。 イ⸢ルンカスンティ⸣ ン⸢ザシタン⸣ドゥ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイ イ⸢ルンカサラヌ [ʔi⸢ruŋkasunti⸣ ʔn⸢ʣaʃi̥tan⸣du ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸui ʔi⸢ruŋkasaranu] (少し日干ししようと出したが、雨が降って日干しできない)。 ⸢キュー⸣ヤ イ⸢ルンカス⸣ クトー ナ⸢ラン⸣バ ⸣アツァー ⸢イルンカシ⸣ヨー [⸢kjuː⸣ja ʔi⸢ruŋkasu⸣ ku̥toː na⸢ram⸣ba ⸣ʔaʦaː ʔi⸢runkaʃi⸣joː] (日は日干しすることが出来ないから、明日日干ししなさいよ)。 ⸢マー⸣ビン イ⸢ルンカシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔi⸢ruŋkaʃeː⸣ misamunu] (もっと日干しすればいいのに)。天日乾燥する。太陽光に干す 2242 0 0 2083 htmvoc_2242.wav イルンナ イ⸢ルン⸣ナ [ʔi⸢run⸣na] 連体 色々な。いろんな。 イ⸢ルン⸣ナ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キティル ソー シーベー [ʔi⸢run⸣na pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kitiru soː ʃiːbeː] (いろんな話を聞いて心配している) 2198 0 0 2084 htmvoc_2198.wav イローアウフキルン ⸣イロー ⸢アウフキルン [⸣ʔiroː ⸢ʔauɸu̥kiruŋ] 連 血の気を失って顔面蒼白となる。⸣イロー フ⸢キ⸣ルン[⸣ʔiroː ɸu̥⸢ki⸣ruŋ](色が抜ける)ともいう。 ウ⸢ブヤンバ シー⸣ イロー ⸢アウフキティ トーリンギサ⸣ル [ʔu⸢bujamba ʃiː⸣ ʔiroː ⸢ʔauɸu̥kiti toːriŋgisa⸣ru] (大病をして顔色も血の気を失って今にも倒れそうだ) 2244 0 0 2085 htmvoc_2244.wav イローミジナルン ⸣イロー ミ⸢ジ⸣ ナルン [⸣ʔiroː mi⸢ʤi⸣ naruŋ] 成 顔色が水のように真っ青になる。 ウ⸢バイティル⸣ イロー ミ⸢ジ⸣ ナリ⸢ベー [ʔu⸢baitiru⸣ ʔiroː mi⸢ʤi⸣ nari⸢beː] (驚いて顔色は真っ青になっている) 2197 0 0 2086 htmvoc_2197.wav イローラ イ⸢ローラ [ʔi⸢roːra] 名 かもじ。そえがみ。婦人の髪に添え加える髪。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)が正装して御嶽へ入る際には、イローラを添えて髪を結っていた。また、豊年祭や結願祭に奉納舞踊を上演する際にも踊り手はイローラを添えて結い髪をし、演舞した。 パ⸢トゥ⸣マナカムリ ブ⸢ドゥル ソー⸣ル ⸣ピンマー イ⸢ローラ⸣ イ⸢リティ⸣ ガ⸢マ⸣ジ ⸢ユイヨーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manakamuri bu⸢duru soː⸣ru ⸣pimmaː ʔi⸢roːra⸣ ʔi⸢riti⸣ ga⸢ma⸣ʤi ⸢juijoːt⸣ta] (⸢鳩間中岡<森>」の古典舞踊を踊られる時は、かもじ<添えが髪>を入れて<ぞ>髪を結われた)。 パ⸢トゥ⸣マナカムリ ブ⸢ドゥル ソー⸣ル ⸣ピンマー イ⸢ローラ⸣ イ⸢リソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manakamuri bu⸢duru soː⸣ru ⸣pimmaː ʔi⸢roːra⸣ ʔi⸢risoːt⸣ta] (「鳩間中岡」の踊りを踊られる時はイローラを入れられた<入れなさった>) 2246 0 0 2087 htmvoc_2246.wav イワリ イ⸢ワリ [ʔi⸢wari] 名 謂れ。由来。来歴。理由。 ⸢プー⸣ルナ ⸢パー⸣レー クイ⸢オー⸣ル イ⸢ワレー⸣  シ⸢キミッ⸣タン [⸢puːru⸣na ⸢paː⸣reː kui⸢oː⸣ru ʔi⸢wareː⸣ ʃi̥⸢kimit⸣taŋ] (豊年祭に爬竜船を漕ぐ謂れ<由来>を聞いた<聞いてみた>ことがある) 2247 0 0 2088 htmvoc_2247.wav イン ⸣イン [ʔiŋ] 名 海。竜宮。歌謡語(文語)。日常語としては用いない。神歌のア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞い歌)に、⸣インスク[⸣ʔinsu̥ku](海底)のように歌われている。/インスクヌ リューガナシヨー ティンシマディ アガリョーリヨー ハーリー アミタボリ リューガナシ/(海底の竜神様、天<天際>まで昇ってください{EOS}ハーリ、雨を賜りください、竜神さま{EOS})雨乞い歌<ハヤミク>。日常語としては、ス⸢ナ⸣カ[su⸢na⸣ka](海{EOS}<潮中>の義)を用いる 2248 0 1 2089 htmvoc_2248.wav イン ⸣イン [⸣ʔiŋ] 名 {Mn_1}(動)。犬。 ク⸢レー タッ⸣テヌ ⸣インヤ [ku⸢reː tat⸣tenu ⸣ʔiɲja] (これはどこの家の犬か)。 ⸢イン⸣ヌ ッ⸢ス⸣ヌ タ⸢カアン⸣ガリ [⸢ʔin⸣nu s⸢su⸣nu tḁ⸢kaʔaŋ⸣gari] (犬の糞の高上り<身分不相応なことをしたがる者>諺)。 2248 0 2 2090 htmvoc_2248.wav イン ⸣イン [⸣ʔiŋ] 名 {Mn_2}干支(えと)の戌(いぬ)。 ⸢イン⸣ディマリ [⸢ʔin⸣dimari] (戌年生まれ)。 ⸢イン⸣ディプス [⸢ʔin⸣dipusu] (戌年生まれの人)。 ⸢イン⸣ディ ⸣プソー ⸢イン⸣ヌ ⸣バタ [⸢ʔin⸣di ⸣pusoː ⸢ʔin⸣nu ⸣bata] (戌年生まれの人は短気者である<戌の腹だ>{EOS}犬は絶えず吼えているから、短気者といわれている) 2250 0 0 2091 htmvoc_2250.wav イン ⸢イン [⸢ʔiŋ] 名 印。印判。 ⸢クン⸣ナ ⸢イン⸣ シ⸢キティ⸣ ムティクーツォー [⸢kun⸣naː ⸢ʔin⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ mutikuːʦoː] (これに印を押して持って来いって)。 ⸢インマー⸣ プ⸢スン⸣ カ⸢ラセー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [⸢ʔimmaː⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ka⸢raʃeː⸣ na⸢ran⸣daː] (印は他人に貸してはならないよ) 2251 0 0 2092 htmvoc_2251.wav イン ⸣イン [⸣ʔiŋ] 名 縁。ゆかり。人間関係。人と人とのつづきあい。 ⸢イン⸣ヌ ア⸢リ⸣ドゥ ワ⸢ター⸣ フ⸢ターロー⸣ ム⸢スバレー⸣ユンダ シ⸢カイトゥ⸣ キ⸢ナイ パン⸣ジョー ア⸢ラ⸣シ⸢ヨー [⸢ʔin⸣nu ʔa⸢ri⸣du ⸢wataː⸣ ɸu̥⸢taːroː⸣ mu⸢subareː⸣junda ʃi̥⸢kaitu⸣ ki⸢nai pan⸣ʤoː ʔa⸢ra⸣ʃi⸢joː] (縁があって君達二人は結ばれたのだから、しっかりと家内繁盛に勤めなさい<家内繁盛あらしめよ>)。 ⸢カッ⸣ツァー ⸢イン⸣マー ⸢ナーン⸣ ブ⸢レー⸣ル [⸢kat⸣ʦaː ⸢ʔim⸣maː ⸢naːm⸣ bu⸢reː⸣ru] (彼らは縁がなかったのだろうよ) 2253 0 0 2093 htmvoc_2253.wav イン ⸣イン [⸣ʔiŋ] 名 縁側。座敷の外側の細長い板敷。家の外側の板敷きの部分。「この皇子~えんにはひ上<のぼ>り給ひぬ」『竹取物語』の転訛したもの。⸢トゥーシ[⸢tuːʃi](縁側の板敷き)ともいう。 ⸣マンタヌ ⸣イン [⸣mantanu ⸣ʔiŋ] (前の縁側)。⸢アンタヌ⸣ イン[⸢ʔantanu⸣ ʔiŋ](東の縁側)などがある。一番座、二番座、三番座の周りを縁側にして、板張りにした所。巾3尺、長さ9尺に造るのが多い。 ナ⸢チェー⸣ アツァユンダ ⸣インナール ⸣ムス シ⸢キティ⸣ ニ⸢ブタル [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦajunda ⸣ʔinnaːru ⸣musu ʃi̥⸢kiti⸣ ni⸢butaru] (夏は暑いので縁側に筵を敷いて<ぞ>寝たものだよ) 2254 0 0 2094 htmvoc_2254.wav イン ⸣イン [⸣jiŋ] 名 円。貨幣の単位。近代以降に借用された語彙。 ム⸢カ⸣シェー ⸣イチインティ ⸢スー ジン⸣マー ウ⸢ブジン ヤッタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸣イチインシェー ア⸢ミダマンツァン カーラヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔiʧijinti ⸢suː ʤim⸣maː ʔu⸢buʤiŋ jattanu⸣ ma⸢na⸣maː ⸣ʔiʧijiŋʃeː ʔa⸢midamanʦaŋ kaːranu] (昔は一円といえば大金だったが、今では一円では飴玉さえ<すら>も買えない) 2255 0 0 2095 htmvoc_2255.wav インアーサ ⸣インアーサ [⸣ʔiŋʔaːsa] 名 食用とならない緑藻類の海藻の一種。 ⸢アー⸣サー ンマー⸣ヌンドゥ ⸣インアーサー ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔaː⸣saː ʔm⸢maː⸣nundu ⸣ʔiŋʔaːsaː f⸢faːranu] (あおさ<あおのり>は美味しいが、インアーサは食べられない) 2256 0 0 2096 htmvoc_2256.wav インイシ ⸣インイシ [⸣ʔiŋʔiʃi] 名 キクメイシ(菊目石)。半球体の珊瑚。海石。普通は、ス⸢ブル⸣イシ[su⸢buru⸣ʔiʃi](頭石{EOS}人頭大の海石)という。 ⸣インイシシル ⸢ヤー⸣ヌ イ⸢シジ ソーッ⸣タ [⸣ʔiŋʔiʃiʃiru ⸢jaː⸣nu ʔi⸢ʃiʤi soːt⸣ta] (菊目石で<ぞ>家の礎石にされた) 2262 0 0 2097 htmvoc_2262.wav インカジ ⸢インカジ [⸢ʔiŋkaʤi] 名 西風。 ⸢インカジヌ⸣ フクカー ⸢オシキヌ ノー⸣ル ⸢マイシラ⸣シ [⸢ʔiŋkaʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢ʔoʃi̥kinu noː⸣ru ⸢maiʃira⸣ʃi] (西風が吹くと好天になる前触れ<前知らせ>だ) 2263 0 0 2098 htmvoc_2263.wav インキスン ⸢イン⸣ キスン [⸢ʔiŋ⸣ ki̥suŋ] 連 縁を切る。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ウ⸢ヤッふァ⸣ヌ ⸣イン ⸣キスンティ ア⸢ゾーッ⸣タ [ja⸢nakutu suː⸣kaː ʔu⸢jaffa⸣nu ⸣ʔiŋ ⸣ki̥sunti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (悪事を働くと親子の縁を切るといわれた) 2265 0 0 2099 htmvoc_2265.wav インキリムニ ⸢インキリ⸣ムニ [⸢ʔiŋkiri⸣muni] 名 絶縁したくなる不快な言葉。呆れるような言葉。愛想の尽きる物言い。「縁切れもの言い」の義。 ⸣アイブ ⸢インキリムニ⸣バ イ⸢ザリティル⸣ ウ⸢ヌス⸣ク ⸢クン⸣ゾー ンジ⸢オー⸣ルティ ⸣ムカーヤ [⸣ʔaibu ⸢ʔiŋkirimuni⸣ba ʔi⸢ʣaritiru⸣ ʔu⸢nusu⸣ku ⸢kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤi⸢ʔoː⸣ruti ⸣mukaːja] (あんなに口汚く罵られて<縁切れ言葉を言われて>、それで<ぞ>あれほどに立腹しておられるというものだよ) 2264 0 0 2100 htmvoc_2264.wav インキリムヌ ⸢インキリ⸣ムヌ [⸢ʔiŋkiri⸣munu] 名 憎まれっ子。無愛想な性格。人に好かれない性格。「縁切れ者」の意。 ⸣アイブ ⸢インキリ⸣ムヌティン ブ⸢リスバン⸠ナー [⸣ʔaibu ⸢ʔiŋkiri⸣munutim bu⸢risuban⸠naː] (あんな憎まれっ子ってもいるものだなあ) 2266 0 0 2101 htmvoc_2266.wav インキリルン ⸢インキリ⸣ルン [⸢ʔiŋkiri⸣ruŋ] 自動 あきれ果てる。絶縁したくなるほどにあきれ果てる。愛想が尽きる。「縁切れる」の義。 ⸣アイブー ヤ⸢ナ⸣ムニ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン インキリ⸣ルン [⸣ʔaibuː ja⸢na⸣muni su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ŋ ʔiŋkiri⸣ruŋ] (あんな悪口を聞くと誰でもあきれ果てて絶縁したくなる)。 ウ⸢ヌ⸣ ムニ ス⸢クター⸣ メー ⸢イン⸣キリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ muni su̥⸢kutaː⸣ meː ⸢ʔiŋ⸣kiri ⸢naː⸣nu] (その言葉を聞いてあきれ果て<愛想が尽き>てしまった) 2267 0 0 2102 htmvoc_2267.wav インクニガイ ⸢インクニガイ [⸢ʔiŋkunigai] 名 サ⸢カサ[sa⸢kasa](司{EOS}神女{EOS}巫女)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](「手磨りべ」の義か{EOS}男のかんなぎ)などの⸢カン⸣プス[⸢kam⸣pusu](神人{EOS}神職者)が神職を引退する儀式。高齢になって神職を全うすることが出来ないときに、村を通して神々にお許しの祈願をして後に引退する。1989(平成元年)年1月23日に行われた加治工伊佐の神職の⸢インクニガイ[⸢ʔiŋkunigai](隠居祈願)は友利御嶽、新川御嶽、西堂御嶽、ピナイ(鬚川)御嶽、前泊御嶽、船原御嶽、⸢インヌカー[⸢ʔinnukaː](西村井戸)、⸢マイ⸣ヌ パマ[⸢mai⸣nu pama](前の浜)などの拝所に祈願がなされた。 ⸢インクニガイヤー カンプス⸣ヌ ⸢ティー⸣ヌ ユ⸢リー⸣ヌ ニ⸢ガイバ⸣ル ⸢ソー⸣ルムー⸢トゥ⸣ツォー [⸢ʔiŋkunigaijaː kampu̥su⸣nu ⸢tiː⸣nu ju⸢riːba⸣ru ⸢soː⸣ru muː⸢tu⸣ʦoː] (隠居願いは神人の神職引退の許し<神職者の手の許し>を祈願されるものだそうだ) 2268 0 0 2103 htmvoc_2268.wav イングミ ⸢イン⸣グミ [⸢ʔiŋ⸣gumi] 名 縁組。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ キサー⸢ティ イン⸣グミ ⸢ソー⸣レーン⸢トゥ⸣ツォー [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ki̥saː⸢ti ʔiŋ⸣gumi ⸢soː⸣reːn⸢tu⸣ʦoː] (あれら<彼ら>二人は既に縁組をされたそうだよ) 2269 0 0 2104 htmvoc_2269.wav インクラサー ⸣インクラサー [⸣ʔiŋkurasaː] 名 犬殺し。犬を捕殺する人。保健所や役場から委嘱されて野犬や鑑札のない犬を捕殺する人。 ⸢イン⸣マー フ⸢ダ⸣ パ⸢カサン⸣カー ⸣インクラサーン シゥ⸢カマ⸣リ ク⸢ラサリン⸠ダー [⸢ʔim⸣maː ɸu⸢da⸣ pḁ⸢kasaŋ⸣kaː ⸣ʔiŋkurasaːn sï̥⸢kama⸣ri ku⸢rasarin⸠daː] (犬は札を穿かせないと犬殺しに捕えられて殺されるぞ) 2282 0 0 2105 htmvoc_2282.wav インザ ⸢イン⸣ザ [⸢ʔin⸣ʣa] 名 円座。藁縄や稲藁を円形に編んだ敷物。稲藁8~10本を束ねて捻じるように渦巻き状に、半径約15センチに編んだ敷物。夏の暑い日などには縁側や庭の木陰に置いて、その上に座って雑談したり、煙草を吸ったり、お茶を飲んだりして四方山話をしていた。 カ⸢ラフンツァ⸣ナ ビ⸢ローラン⸣ドーシ イ⸢ン⸣ザ シ⸢ビ⸣ナ ア⸢ティ⸣ シゥ⸢コー⸣リバ [ka⸢raɸunʦa⸣na bi⸢roːran⸣doːʃi ⸢ʔin⸣ʣa ʃi⸢bi⸣na ʔa⸢ti⸣ sï̥⸢koː⸣riba] (何も敷いてない板の間の縁側<床板>にお座りにならないで、円座に腰を掛けてください<円座をお尻にお当てお敷きなさいまし>) 2270 0 0 2106 htmvoc_2270.wav インタ ⸢インタ [⸢ʔinta] 名 西の方。西側。「イリ(西)・ノ(の)・タ(所)」の転訛したものか。 ⸢インタプス [⸢ʔintapu̥su] (西村の人)。 ⸢インタカタ [⸢ʔintakata] (西側)。⸢インタヌ⸣ピー[⸢ʔintanu⸣ piː](島の西側の干瀬)などがある。 ⸢ワー インター⸣ラ ⸢カイ⸣シクー [⸢waː ʔintaː⸣ra ⸢kai⸣ʃikuː] (君は西の方から耕してきなさい)。 ⸢インタヌ パレー⸣フネー ⸢タール⸣ トゥ⸢ム⸣ヤクヤー [⸢ʔintanu pareː⸣ ɸuneː ⸢taːru⸣ tu⸢mu⸣jakujaː] (西村の爬竜船の船頭<艫の櫂を使う人>は誰か) 2275 0 0 2107 htmvoc_2275.wav インダ ⸣インダ [⸣ʔinda] 名 地名。名寄帳などには「伊武田」と表記されている。伊武田崎一帯。そこには人頭税時代に鳩間島の村人の田小屋が集団的に建てられていたという。石垣で屋敷を築き、小屋を建て、そこに宿泊して各自の田地へ赴き耕作したという。そこを⸣インダムラ[⸣ʔindamura](伊武田村)という。海岸には⸢ナーパマ[⸢naːpama](長浜)、⸣フクパマ[⸣ɸu̥kupama](福浜)、⸣インダパマ[⸣ʔindapama](伊武田浜)がある。⸢ナーパマ[⸢naːpama]の上には⸢ナーパマヌ ガマ[⸢naːpamanu gama](長浜の洞窟)がある。太平洋戦争中は鳩間島の住民がこの洞窟に避難した。 ⸣インダヌ ヤ⸢マン⸣ミーナー ⸢グス⸣クン シ⸢マリティ⸣ インダムラヌ ⸣アトゥ ヌ⸢カ⸣リ ブ⸢タン⸣ダー [⸣ʔindanu ja⸢mam⸣miːnaː ⸢gusu̥⸣kuŋ ʃi⸢mariti⸣ ʔindamuranu ⸣ʔatu nu⸢ka⸣ri bu⸢tan⸣daː] (伊武田の雑木林の中に石垣が積まれて、伊武田村の遺跡<跡>が残っていたよ) 2271 0 0 2108 htmvoc_2271.wav インタカー ⸢インタカー [⸢ʔintakaː] 名 西の井戸。西の村井戸。普通は、⸢インヌカー[⸢ʔinnukaː](西の村井戸)という 2272 0 0 2109 htmvoc_2272.wav インタヌトゥー ⸢インタヌ トゥー [⸢ʔintanu tuː] 連 西の沖。鳩間島の西方の海洋。⸢タイパン⸣ズニ[⸢taipan⸣ʣuni](台湾曽根)やナ⸢カヌ⸣スニ[na⸢kanu⸣suni](中の曽根)等がある⸢インタヌトゥー[⸢ʔintanu tuː]には黒潮の大河が流れており、カツオ漁船は多くの場合⸢インタヌ トゥー[⸢ʔintanu tuː]へ出漁した。 ⸢インタヌ トゥーナー⸣ル カ⸢ツォー ホー⸣ソーッタ [⸢ʔintanu tuːnaː⸣ru kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːtta] (西の沖で<ぞ>カツオは釣られた) 2273 0 0 2110 htmvoc_2273.wav インタヌピー ⸢インタヌ⸣ ピー [⸢ʔintanu⸣ piː] 連 島の西側の干瀬。 ⸢クー⸣シビーヤ ⸢インタヌ⸣ ピーナール ⸣アルミー [⸢kuː⸣ʃibiːja ⸢ʔintanu⸣ piːnaːru ⸣ʔarumiː] (クーシビーは島の西側の干瀬に<ぞ>あるでしょう?) 2277 0 0 2111 htmvoc_2277.wav インタヌピザフチ ⸢インタヌ⸣ ピ⸢ザ⸣フチ [⸢ʔintanu⸣ pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧi] 連 西村の海岸の渚。 ⸢インタヌ⸣ ピ⸢ザ⸣フチナーティル カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ロー キ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʔintanu⸣ pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧinaːtiru kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣roː ki̥⸢soːt⸣ta] (西の渚で<ぞ>カツオの頭は切られた) 2276 0 0 2112 htmvoc_2276.wav インタパナシケー ⸢インタパナシケー [⸢ʔintapanaʃi̥keː] 名 屋号。花城伊佐氏宅。花城家の分家。⸢西花城家」の義。 ⸢カンザトゥ⸣ヤーヌ ⸢シー⸣ネール ⸢インタパナシケー ヤッタ [⸢kanʣatu⸣jaːnu ⸢ʃiː⸣neːru ⸢ʔintapanaʃi̥keː jatta] (慶田城家の後<北>隣が花城伊佐氏宅であった)。 ⸢インタパナシケーヌ⸣ ヒ⸢ロスケザー⸣ キ⸢チゴンヌ⸣ ジーシンカ ヤ⸢ローッ⸣タ [⸢ʔintapanaʃi̥keːnu⸣ çi⸢rosukeʣaː⸣ ki̥⸢ʧigonnu⸣ ʤiːʃiŋka ja⸢roːt⸣ta] (花城家<西花城家>の廣助兄さんは結願祭の村踊りの地謡仲間<臣下>であられた) 2278 0 0 2113 htmvoc_2278.wav インタプサッキャー ⸢インタプサッ⸣キャー [⸢ʔintapu̥sak⸣kjaː] 名 屋号。富里善保氏宅。プ⸢サ⸣キャー[pu̥⸢sa⸣kjaː]ともいう。明治中期頃に上原村から鳩間島に移住されたが、昭和45年頃に上原村へ再移住された 2274 0 0 2114 htmvoc_2274.wav インタプス ⸢インタプス [⸢ʔintapu̥su] 名 西村の人。「西の人」の義。 ⸢インタプス アンタプス キッ⸣ス ⸢シェー⸣ティ ⸢プールゾーラ⸣ケー ス⸢クモーッ⸣タ [⸢ʔintapu̥su ʔantapu̥su kis⸣su ⸢ʃeː⸣ti ⸢puːruʣoːra⸣keː su̥⸢kumoːt⸣ta] (西村の人、東村の人は競争して豊年祭のゾーラキ<入れ子型踊り{EOS}常楽踊り>を仕組まれた) 2279 0 0 2115 htmvoc_2279.wav インタヤドゥ ⸢インタ⸣ヤドゥ [⸢ʔinta⸣jadu] 名 家の西側の戸。「西屋戸」の義。普通は勝手口の戸をいう。⸢マーシヤドゥ[⸢maːʃijadu](回し戸)になっていたり、ピ⸢キヤドゥ[pi̥⸢kijadu](引き戸)になっていたりする。 ⸢インタ⸣ヤドゥ ア⸢キティ⸣ キ⸢ボーシ⸣ ン⸢ザ⸣シ [⸢ʔinta⸣jadu ʔa⸢kiti⸣ ki⸢boːʃi⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (西戸<西屋戸>を開けて煙を出しなさい) 2280 0 0 2116 htmvoc_2280.wav インタンカイ ⸢インタンカイ [⸢ʔintaʔŋkai] 名 西向き。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢インタンカイ シーブー ヤー⸣ヤ プ⸢スキブ⸣ルン⸢ナー⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʔintaŋkai ʃiːbuː jaː⸣ja pu̥⸢sukibu⸣run ⸢naː⸣nu] (鳩間島には西向きになっている家は一軒もない) 1542 0 0 2117 htmvoc_1542.wav インタンマーラヌプス ⸢インタンマーラヌ プス [⸢ʔintammaranu⸣ pu̥⸢su] 連 西方面の人。西部落の人。西表島の字干立、字租納あたりの人。 ⸢インタンマーラヌ⸣ プ⸢ソー ナン⸣ゾー ⸢アンタンマーラー⸣ パ⸢ラン⸣セン [⸢ʔintammaːranu⸣ pu̥⸢soː nan⸣ʣoː ⸢ʔantammaːraː⸣ pa⸢raŋ⸣ʃeŋ] (西方面の人は、あまり東方面には行かなかった) 2283 0 0 2118 htmvoc_2283.wav インツォンマー ⸢イン⸣ツォンマー [⸢ʔin⸣ʦommaː] 名 (固)人名。士族女子の名前。 ⸢アー⸣ネナ ⸢イン⸣ツォンマヌ ⸢オーッタン⸣ドゥ ウ⸢キ⸣ナー ⸢オーッ⸣タッツォー [⸢ʔaː⸣nena ⸢ʔin⸣ʦommanu ⸢ʔottan⸣du ʔu⸢ki⸣naː ⸢ʔoːt⸣tatʦoː] (東隣の家にインツォンマー<インツ姉さん>がおられたが沖縄へ行かれたそうだ) 2284 0 0 2119 htmvoc_2284.wav インディプス ⸢イン⸣ディプス [⸢ʔin⸣dipu̥su] 名 戌(いぬ)年生まれの人。「戌年人」の儀。 ⸢イン⸣ディプソー ⸢イン⸣ヌ ⸣バタティ ア⸢ザリ ブー [⸢ʔin⸣dipu̥soː ⸢ʔin⸣nu ⸣batati ʔa⸢ʣari buː] (戌年生まれの人は犬の腹<犬のように気短で吠え立てる性格>といわれている) 2285 0 0 2120 htmvoc_2285.wav インディマリ ⸢イン⸣ディマリ [⸢ʔin⸣dimari] 名 戌(いぬ)年生まれ。 ⸢バン⸣テナー ⸢イン⸣ディマリヌ フ⸢ターンナー ブン⸣ダー [⸢ban⸣tenaː ⸢ʔin⸣dimarinu ɸu̥⸢taːnnaː bun⸣daː] (私の家に戌年生まれが二人もいるよ) 2291 0 0 2121 htmvoc_2291.wav インドーマミ ⸢インドーマミ [⸢ʔindoːmami] 名 (植)エンドウ(豌豆)。 ウ⸢ブマイ⸣ヌ パ⸢タ⸣キナー ⸢インドーマミン⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢オーッ⸣タン [ʔu⸢bumai⸣nu pḁ⸢ta⸣kinaː ⸢ʔindoːmamin⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoːt⸣taŋ] (大前の畑にはエンドウも栽培して<作って>おられた) 2286 0 1 2122 htmvoc_2286.wav インドゥーワン ⸢インドゥー⸣ワン [⸢ʔinduː⸣waŋ] 形 {Mn_1}疎遠である。「縁遠い」の義。標準語からの借用語。普通は、⸢ミードゥー⸣サン[⸢miːduː⸣saŋ]という。 ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッ⸣ター ⸢インドゥー⸣ワ ⸣ナリ ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸣ミサナリ ⸢アークタン [ʔu⸢ki⸣naː ⸢pat⸣taː ⸢ʔinduː⸣wa ⸣nari ⸢naːnu⸣nu ⸣misanari ⸢ʔaːkutaŋ] (沖縄へ行ったので疎遠になってしまったが、元気でいたか)。 2286 0 2 2123 htmvoc_2286.wav インドゥーワン ⸢インドゥー⸣ワン [⸢ʔinduː⸣waŋ] 形 {Mn_2}縁付く機会に恵まれない。結婚の縁に恵まれない(縁遠い)。 ⸣ヌンティル ⸢インドゥー⸣ワ ⸢ナッ⸣タユー ⸢サン⸣ジュー ⸢シ⸣ギルンケン マ⸢ダ⸣ ブ⸢トゥ⸣ ム⸢タ⸣ヌ [⸣nuntiru ⸢ʔinduː⸣wa ⸢nat⸣tajuː ⸢san⸣ʤuː ʃi⸢gi⸣ruŋkeŋ ma⸢da⸣ bu⸢tu⸣ mu⸢ta⸣nu] (どうして縁付く機会に恵まれないのか、三十過ぎるまで夫を持たない<結婚しない>) 2287 0 0 2124 htmvoc_2287.wav イントゥク ⸢イントゥク [⸢ʔintuku] 名 陰徳。 ⸢マイフナー⸣ コッコー⸢マー ワー⸣ イッ⸢ケナ イントゥク⸣ タ⸢ボーラ⸣リン⸢ダー [⸢maiɸunaː⸣ kokkoː⸢maː waː⸣ ʔik⸢kena ʔintuku⸣ ta⸢boːra⸣rin⸢daː] (おりこうな子供よ、親孝行な子供よ、貴方はたくさんの陰徳を頂くことができるよ)。祖父母が孫の頭をなでながら慈しみ誉めたてて言うことば 2301 0 0 2125 htmvoc_2301.wav インドゥシ ⸣インドゥシ [⸣ʔinduʃi] 名 戌年。 ⸣バー ⸢ウシ⸣トーラ イ⸢チッ⸣チ ⸣シザ ヤ⸢ルンダ⸣ インドゥシヌ マ⸢リ [⸣baː ⸢ʔuʃi̥⸣toːra ʔi⸢ʧitʧi⸣nu ⸣ʃiʣa ja⸢runda⸣ ʔinduʃinu ma⸢ri] (私は弟より五つの年上だから、戌年の生まれだ) 2288 0 0 2126 htmvoc_2288.wav イントゥマパマ ⸢イントゥ⸣マパマ [⸢ʔintu⸣mapama] 名 (地)浜の名。慶田城家、西原家の前の浜。パ⸢トゥ⸣マ チ⸢ドゥリ⸣ブシ[pḁ⸢tu⸣ma ʧi⸢duri⸣buʃi](鳩間千鳥節)で浜の名前を反時計周りに歌って、最終連に歌われている浜。/イントゥマパマヨー チドゥリ ヨードゥリ トゥブトゥリー ハーリー ユンガフ チーヌーヨー チドゥリー(イントゥマ浜に千鳥が群れ飛んでいる{EOS}群れ飛ぶ千鳥は、<囃子>ああ、見事だ、世果報をもたらす千鳥だ)/『鳩間島誌』 2319 0 1 2127 htmvoc_2319.wav イントゥマヤ ⸢イン⸣トゥ ⸣マヤ [⸢ʔin⸣tu ⸣maja] 連 {Mn_1}犬と猫。 ⸢イン⸣トゥ マヤ シゥ⸢カ⸣ナイバ [⸢ʔin⸣tu maja sï̥⸢ka⸣naiba] (犬と猫を飼い<養い>なさい)。 2319 0 2 2128 htmvoc_2319.wav イントゥマヤ ⸢イン⸣トゥ ⸣マヤ [⸢ʔin⸣tu ⸣maja] 連 {Mn_2}犬猿の仲(諺)。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー イン⸣トゥ ⸣マヤ ⸢ダー [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu⸢taːroː ʔin⸣tu maja ⸢daː] (彼ら<あれら>二人は犬猿の仲だ<犬と猫のように仲が悪い>)。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー イン⸣トゥ ⸣マヤ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢ナ⸣スカー シ⸢グ アイ⸣ス [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː ʔin⸣tu ⸣maja ja⸢runda⸣ pa⸢na⸣su̥kaː ʃi⸢gu ʔai⸣su] (彼ら二人は犬猿の仲だから、話すとすぐ喧嘩する) 2290 0 0 2129 htmvoc_2290.wav インドゥミ ⸢イン⸣ドゥミ [⸢ʔin⸣dumi] 名 海止め。海に入ることを忌み慎む日。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢イン⸣ドゥミ ヤ⸢リバ ヤー⸣ナーティ ⸢ベー⸣リ [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔin⸣dumi ja⸢riba jaː⸣naːti ⸢beː⸣ri] (今日は海留めの日だから家にいなさい<居れ>) 2257 0 0 2130 htmvoc_2257.wav インナーマ イン⸢ナー⸣マ [ʔin⸢naː⸣ma] 名 子犬。小さな犬。{⸢-ナー⸣マ[⸢-naː⸣ma]は指小辞(diminutive)で、「小さいもの、可愛いもの」を表す指小辞⸣-マ[⸣-ma](小)の異形態(allomorph)}。上接語の末尾子音が撥音/N/で終わる音声環境において現れる。 ク⸢ヌ⸣ イン⸢ナーマ⸣ヌ ア⸢タラ⸣サワ⸢ナー [ku⸢nu⸣ ʔin⸢naːma⸣nu ʔa⸢tara⸣sawa⸢naː] (この子犬の何と可愛いことよ、ねえ)。 イン⸢ナーマ⸣ヌ ⸢ミッカラ⸣ マ⸢レー⸣ン [ʔin⸢naːma⸣nu ⸢mikkara⸣ ma⸢reː⸣ŋ] (子犬が三匹産まれた) 2293 0 0 2131 htmvoc_2293.wav インナバ ⸣インナバ [⸣ʔinnaba] 名 (植)海藻の一種。⸢カーチー⸣バイ[⸢kaːʧiː⸣bai](夏至の頃に強く吹く南風)の時にインナバが渚にカ⸢ルマカ⸣リンケン[ka⸢rumaka⸣riŋkeŋ](からまかれる<絡巻かれる>ほど{EOS}巻き取られるほど)に吹き寄せられる。これを取って畑の土地を掘り、土を被せておくと、土地が⸣フクフク ⸢スン⸣ケン[⸣ɸu̥kuɸu̥ku ⸢suŋ⸣keŋ](ふかふかするほど)朽ちて肥えるので、畑の肥料に用いた。シ⸢ブル[ʃi⸢buru](冬瓜)やカ⸢ブッチ[ka⸢butʧi](南瓜)を植える際には、この肥料を使った 2295 0 0 2132 htmvoc_2295.wav インニー ⸢イン⸣ニー [⸢ʔin⸣niː] 名 戌(いぬ)の日。 タ⸢ナドゥル⸣ヌ ⸣ピン ⸢イン⸣ニーナ ⸢マイダニ⸣ ウ⸢ラ⸣ソールカー ⸢イン⸣ヌ ⸢キーニ⸣ ニー ウ⸢ラ⸣ソーリティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーッ⸣タ [ta⸢naduru⸣nu ⸣pim ⸢ʔin⸣niːna ⸢maidani⸣ ʔu⸢ra⸣soːrukaː ⸢ʔin⸣nu ⸢kiːni⸣ niː ʔu⸢ra⸣soːritiru ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoːt⸣ta] (種取りの日、戌の日に稲の種を播種されると犬の毛のように根を下ろしてくださいと祈願された) 2296 0 0 2133 htmvoc_2296.wav インニク ⸢インニク [⸢ʔinniku] 名 印肉。印を押すのに用いる朱色の印肉。標準語からの借用語。 ⸢インニクヌ ナーン⸣カー ⸢パンマー⸣ シゥ⸢カラヌ <ウ⸢ソーラヌ> [⸢ʔinnikunu naːŋ⸣kaː ⸢pammaː⸣ si̥⸢karanu ] (印肉がないと判子は突けない) 2297 0 0 2134 htmvoc_2297.wav インヌカー ⸢インヌカー [⸢ʔinnukaː] 名 西の村井戸。掘抜き井戸。別名カ⸢ガン⸣カー[ka⸢gaŋ⸣kaː](鏡井戸{EOS}手鏡井戸)という。掘削された俯瞰図が手鏡に似ているからという。乾隆13年(1748)の脇筆者黒島仁屋(仲本家の先祖)目差役の時に申請して掘らせた井戸。「~且又用水不自由有之船路壱里余差越汲来候付村近に井掘させ、~。」「憲章姓家譜C」『近世八重山の民衆生活史』とある。鳩間桟橋からナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡)方向へ約150メートル進んだ所、友利御嶽の入り口の前にある掘り抜き井戸。昭和54年7月、西表島から海底送水施設が完成するまでは、村人が毎年一回⸢カーヌ ソー⸣ジ[⸢kaːnu soː⸣ʤi](井戸の掃除{EOS}井戸浚え)をした。夏の旱魃が続くと、娘たちは夜を徹して井戸水の湧くのを待って順番に水汲みをした。この村井戸の湧水が島の人々の生命の泉の一つであった。ナ⸢カン⸣テー[na⸢kan⸣teː](仲本家)の人が⸢カーヌニン⸣ガイ[⸢kaːnu niŋ⸣gai](井戸の祈願)を担当し、井戸の神に感謝した。大工家の北西側に位置するので、大工家は⸢カーンパタ⸣グヮー[⸢kaːmpata⸣gwaː](井戸の側の家)といわれている。 ⸢インヌカーヤ⸣ ナ⸢カン⸣テヌ プ⸢スル カーヌ ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʔinnukaːja⸣ na⸢kan⸣tenu pu̥⸢suru kaːnu niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (西の村井戸は仲本家の人が井戸の祈願をされた) 2298 0 0 2135 htmvoc_2298.wav インヌカタ ⸢イン⸣ヌ カ⸢タ [⸢ʔin⸣nu kḁ⸢ta] 連 犬の絵。歌謡語。 ⸢ヤー⸣ ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナカー ⸢イン⸣ヌ ⸣カタ ⸣アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ ku⸢nu jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣nakaː ⸢ʔin⸣nu kḁ⸢ta⸣ ʔanti ⸣suː] (ああ、この家の中には犬の絵があるという)(アーパーレー歌) 2299 0 0 2136 htmvoc_2299.wav インヌキー ⸢イン⸣ヌ ⸢キー [⸢ʔin⸣nu ⸢kiː] 連 犬の毛。 タ⸢ナ⸣ドゥルナ ⸢マイダニ⸣ ウ⸢ラ⸣ソールカー ⸢イン⸣ヌ ⸢キーニ⸣ ニー ウ⸢ラ⸣ソリティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーッ⸣タ [ta⸢na⸣duruna ⸢maidani⸣ ʔu⸢ra⸣soːrukaː ⸢ʔin⸣nu ⸢kiːni⸣ niː ʔu⸢ra⸣soːritiru ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoːt⸣ta] (種取祭に稲の種を播種されると、犬の毛のように根を下ろしてくださいと祈願された) 2300 0 0 2137 htmvoc_2300.wav インヌスクナール ⸢イン⸣ヌ ス⸢クナール [⸢ʔin⸣nu su̥⸢kunaːru] 連 海鳴り。「海の底鳴り」の義。 ⸢イン⸣ヌ ス⸢クナール スー⸣カー ⸢タイフー⸣ヌ ⸣フクンティ ア⸢ザリ ブー [⸢ʔin⸣nu su̥⸢kunaːru suː⸣kaː ⸢taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kunti ʔa⸢ʣari buː] (海鳴り <海が底鳴り> すると台風が吹くといわれている) 2305 0 0 2138 htmvoc_2305.wav インヌッス ⸢イン⸣ヌ ⸣ッス [⸢ʔin⸣nu ⸣ssu] 連 犬の糞 2306 0 0 2139 htmvoc_2306.wav インヌッスヌタカアンガリ ⸢イン⸣ヌ ッ⸢ス⸣ヌ タ⸢カアン⸣ガリ [⸢ʔin⸣nu s⸢su⸣nu tḁ⸢kaʔaŋ⸣gari] 連 (犬の糞の高上がり{EOS}柄でもない者が高くとまって威張ること{EOS}身分不相応なことをして威張ること<諺>) 2302 0 0 2140 htmvoc_2302.wav インヌッふァ ⸢イン⸣ヌ ッ⸢ふァ [⸢ʔin⸣nu f⸢fa] 連 犬の子<子犬>。 ⸢イン⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケン⸣ ア⸢タラ⸣サン [⸢ʔin⸣nu f⸢faː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢tara⸣saŋ] (犬の子<子犬>は非常に可愛い<可惜しい>) 2303 0 0 2141 htmvoc_2303.wav インヌパー ⸢イン⸣ヌ ⸣パー [⸢ʔin⸣nu ⸣paː] 連 西から北へ15度~30度の方角。「戌の方」の義。 カ⸢ジェー イン⸣ヌ ⸣パーラル ⸣フキウティ ⸢クー⸣タ [ka⸢ʤeː ʔin⸣nu ⸣paːraru ⸣ɸu̥kiʔuti ⸢kuː⸣ta] (風は戌の方から叩きつけるように吹きこんで<吹き落ちて>きた) 2304 0 0 2142 htmvoc_2304.wav インヌバタ ⸢イン⸣ ヌバタ [⸢ʔin⸣nu bata] 連 短気な人。怒りっぽい人。「犬の\ruby{腸}{ハラワタ}」の義。犬は腸(はらわた)が短いので絶えず吠え立てるという。人間が立腹しやすいのは犬と同様、腸が短いからだという比喩表現。 ⸢ウンザー イン⸣ヌ バタ ヤ⸢ルンダル⸣ アイニ ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ル⸢ツォー [⸢ʔunʣaː ʔin⸣nu ⸣bata ja⸢rundaru⸣ ʔaini ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ru⸢ʦoː] (あの野郎は犬の腸だから<犬の腸のように腸が短いから>あんなに怒るのだ) 2307 0 0 2143 htmvoc_2307.wav インヌムラ ⸢インヌムラ [⸢ʔinnumura] 名 西村。鳩間島では、第五班、第六班、第七班で構成される地域集落。(ピナイ<鬚川>御嶽)の東側の縦道より西側の集落を西村といい、それより東側の集落を東村という。 ⸢インヌムラー シー⸣シン カ⸢シ⸣ラン ⸢パーレー⸣フニン シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣シナン ミ⸢ドゥ⸣ムティ ア⸢ザリ ブー [⸢ʔinnumuraː ʃiː⸣ʃiŋ kḁ⸢ʃi⸣ram ⸢paːreː⸣ɸuniŋ ʃi⸢napiki⸣nu ⸣ʃinam mi⸢du⸣muti ʔa⸢ʣaribuː] (西村は、お盆の獅子頭も豊年祭の旗頭も爬竜船も綱引きの綱も女性といわれている) 2308 0 0 2144 htmvoc_2308.wav インヌヤー ⸢イン⸣ヌヤー [⸢ʔin⸣nujaː] 名 ものもらい(麦粒腫)。 ⸢イン⸣ヌヤーヌ ⸣ミーナ ⸣ンジティル ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔin⸣nujaːnu ⸣miːna ⸣ʔnʤitiru ⸣jami na⸢ra⸣nu] (ものもらいが目にできて痛くて堪らない<痛くて仕様が無い>) 2309 0 0 2145 htmvoc_2309.wav インヌヤーヌニー ⸢イン⸣ヌヤーヌ ⸣ニー [⸢ʔin⸣nujaːnu ⸣niː] 連 「ものもらいの根」の義。ものもらいの出来た目と反対側の肩の後ろ下にある小さな粒を針で掘って細い筋を切ると治るといわれていた。 ⸢イン⸣ヌヤーヌ ⸣ニー プルカー ⸢イン⸣ヌヤー ⸢ノー⸣ルンツォー [⸢ʔin⸣nujaːnu ⸣niː ⸣purukaː ⸢ʔin⸣nujaː ⸢noː⸣runʦoː] (ものもらいの根を掘るとものもらいは治るそうだ) 2310 0 0 2146 htmvoc_2310.wav インヌヤーマ ⸢イン⸣ヌ ⸢ヤー⸣マ [⸢ʔin⸣nu ⸢jaː⸣ma] 連 犬小屋。「犬の小屋」の義。 ⸢イン⸣ヌ ⸢ヤー⸣マ ス⸢ク⸣リティ ⸣イン シゥ⸢カ⸣ナイバ [⸢ʔin⸣nu ⸢jaː⸣ma su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔin si̥⸢ka⸣naiba] (犬小屋を作って犬を飼いなさいよ) 2258 0 0 2147 htmvoc_2258.wav インパテーン ⸢インパテー⸣ン [⸢ʔimpateː⸣ŋ] 形 悪戯っぽい。幼児がふざけて暴れまわるさま。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー ⸢インパテー⸣ンドゥ ⸢インパテー ナー⸣ンティル ア⸢ズバン [ku⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː ⸢ʔimpateː⸣ndu ⸢ʔimpateː naː⸣ntiru ʔa⸢ʣubaŋ] (この子は非常に悪戯っぽいが、悪戯っぽくないというよ)。 ⸣アイニ ⸢インパテー⸣ル ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢ʔimpateː⸣ru f⸢faː⸣ bu⸢raːnu] (こんなに悪戯っぽい子供は他にいない)。 ⸢シンダイ インパテー⸣ ナリ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [⸢ʃindai ʔimpateː⸣ nari ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (次第に悪戯っぽくなってきて、手がつけられ<養生でき>ない) 2312 0 0 2148 htmvoc_2312.wav インパテーン ⸢インパ⸣テーン [⸢ʔimpa⸣teːŋ] 形 腕白である。いたずらっぽい。横着である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ドゥク ⸢インパテー⸣ティ ブ⸢ダッカリ ベーン⸣ケン ク⸢ルビティ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーンティ [ʔu⸢nu ffaː⸣ duku ⸢ʔimpateː⸣ti bu⸢dakkari beːŋ⸣ken ku⸢rubiti⸣ duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːnti] (この子はあまりにもいたずらっぽいので、飛び跳ねているうちに転んで怪我をして<胴を病まして>あるよ)。 ⸢サッ⸣コー ⸢インパ⸣テーンドゥ ⸢インパテーナー⸣ヌティ ア⸢ゾー⸣ル⸢ツォー [⸢sak⸣koː ⸢ʔimpa⸣teːndu ⸢ʔimpateːnaːn⸣ti ʔa⸢ʣoː⸣ru⸢ʦoː] (非常に腕白であるが、腕白でないと言われるんですよ)。 ⸢インパ⸣テー ッ⸢ふァ [⸢ʔimpa⸣teː f⸢fa] (腕白な子供{EOS}悪戯っぽい子供) 2313 0 0 2149 htmvoc_2313.wav インパティムニ ⸢インパティ⸣ムニ [⸢ʔimpati⸣muni] 名 呆れ返るような下品な言葉。「縁果て言葉(縁切れもの言い)」の義。 ⸣アイブ ⸢インパティムニ⸣<⸢インキリムニ⸣>バ イ⸢ジ⸣ プ⸢スン⸣ バ⸢ラーリ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [⸣ʔaibu ⸢ʔimpatimuni⸣<⸢ʔimpatimuni⸣>ba ʔi⸢ʤi⸣ pu̥⸢sum⸣ ba⸢raːri⸣ nuːja ʔu⸢reː] (あんな呆れ返る下品な言葉をつかって他人に笑われて、何だね、これは) 2259 0 0 2150 htmvoc_2259.wav インパブ ⸣インパブ [⸣ʔimpabu] 名 (動)海蛇の一種。「ウミハブ」の音韻変化した語。エラブウミヘビに似ているが、それより小さい。体長約70~80センチ。時々海中を泳ぐのが見られる。漁師の嫌われもので、漁獲することもない。 ⸣インパブヌ ス⸢バー⸣ クーカー ⸢ウイ⸣ パ⸢ラ⸣シ [⸣impabunu su⸢baː⸣ kuːkaː ⸢ʔui⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (インイラブ<海蛇>が側へ寄って来たら追っ払いなさい) 2314 0 0 2151 htmvoc_2314.wav インビー ⸢イン⸣ビー [⸢ʔim⸣biː] 名 戌亥の方角。北西の方角。 ⸢タイフー⸣ヤ ⸢イン⸣ビー ⸣ナルカー ⸢ヨーリ⸣シタ [⸢taiɸuː⸣ja ⸢ʔim⸣biː ⸣narukaː ⸢joːri⸣ʃi̥ta] (台風は風向きが北西の方になると勢力が弱くなった) 2320 0 0 2152 htmvoc_2320.wav インビキ ⸢イン⸣ビキ [⸢ʔim⸣biki] 名 「縁ヒキ」の義か。姻戚関係や地縁的関係を示す語。何かの縁で、たとえば祝儀などを遣り取りする関係。マ⸢ガ⸣ラピキ[ma⸢ga⸣rapi̥ki](血縁)の対義語で、嫁の遣り取りをする際に、嫁の里方との関係をさす場合をいう。 ⸢インビ⸣キティ ⸢スーモー⸣ イ⸢ズ⸣カー ブ⸢ネーカタトゥヌ⸣ ピ⸢キドゥ⸣ ナリ ⸢ブー⸣ ミー [⸢ʔimbi⸣kiti ⸢suːmoː⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː bu⸢neːkatatunu⸣ pi̥⸢kidu⸣ nari ⸢buː⸣miː] (インビキと言うのは、いわば母方との血縁関係をになっているんでしょうね) 2315 0 0 2153 htmvoc_2315.wav インピツ ⸣インピツ [⸣ʔimpi̥ʦu] 名 鉛筆。標準語からの新しい借用語。 イ⸢ル⸣インピツ [ʔi⸢ru⸣impi̥ʦu] (色鉛筆)。 ア⸢ガ⸣インピツ [ʔa⸢ga⸣impiʦu] (赤鉛筆)。 ⸢シー⸣グシ ⸣インピツ ⸣トゥイバ [⸢ʃiː⸣guʃi ⸣ʔimpi̥ʦu ⸣tuiba] (小刀<剪具>で鉛筆を削れよ<研げよ>) 2316 0 0 2154 htmvoc_2316.wav インプゾー ⸣インプゾー [⸣ʔimpuʣoː] 名 漁業用の煙草入れ。「海宝蔵」の義。直径約8センチ、高さ約13センチの円筒状、蓋付きの煙草入れ。木工用の轆轤で材木を刳り抜いて作ったもの。中蓋が付いていて、万一船が難船浸水しても中身が濡れないようになっている。精巧な挽きもの細工の煙草入れ。 イ⸢ガメー オー⸣ル ⸣ピンマー ⸣インプゾーナ シ⸢キダキ⸣バ イ⸢リティル⸣ ム⸢トーッ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢gameː ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ⸣ʔimpuʣoːna ʃi⸢kidaki⸣ba ʔi⸢ritiru⸣ mu⸢toːt⸣ta⸢daː] (イカ釣り漁<イカ海>に出られる<行かれる>時には煙草入れにマッチ<点け竹>をいれて持参さ<持って行か>れた) 2317 0 0 2155 htmvoc_2317.wav インプリキー ⸢インプリ⸣キー [⸢ʔimpuri⸣kiː] 名 (植)木の名。タイワンアサマツゲ。「印彫り木」の義。鳩間島には生えていない。 ⸢インプリキー⸣ヌ ⸢ジー⸣ヤ コー⸢コー⸣シ ⸢ブー⸠ダー [⸢ʔimpurukiː⸣nu ⸢ʤiː⸣ja koː⸢koː⸣ʃi ⸢buː⸠da] (印彫り木の髄は硬い<固固としている>よ) 2318 0 0 2156 htmvoc_2318.wav インプリプス ⸢インプリ⸣プス [⸢ʔimpuri⸣pusu] 名 印判を彫る人。篆刻家。 ⸢インプリ⸣プス タ⸢ナ⸣ミティ ⸢イン⸣ プ⸢ラ⸣シバ [⸢ʔimpuri⸣pu̥su ta⸢na⸣miti ⸢ʔim⸣ pu⸢ra⸣ʃiba] (篆刻家に頼んで印を彫らせなさいよ) 2321 0 0 2157 htmvoc_2321.wav インマヤ ⸣インマヤ [⸣ʔimmaja] 名 (動)犬猫。犬や猫。畜生。 プ⸢スヌ ブン⸣ギ ⸢バシケーラ⸣ インマヤトゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [pu̥⸢sunu buŋ⸣gi ⸢baʃi̥keːra⸣ ʔimmajatu ju⸢nu⸣munu] (人の恩義を忘れたら犬猫と同様畜生の類になる{EOS}他人から受けた恩は忘れるなの意) 2322 0 0 2158 htmvoc_2322.wav インヤー ⸢イン⸣ヤー [⸢ʔiɲ⸣jaː] 名 西隣の家。石垣方言の借用語。日常生活においては、普通は⸢イー⸣ネー[⸢ʔiː⸣neː](西隣の家)という 2323 0 0 2159 htmvoc_2323.wav ウ ウ [ʔu] 語素 中称の指示語を作る。近称の意にも用いられる。 ウ⸢リ [ʔu⸢ri] (それ)。 ウ⸢ヌ [ʔu⸢nu] (その)。 ⸣ウマ [⸣ʔuma] (そこ)。 ⸢ウン [⸢ʔuŋ] (その時) 2324 0 0 2160 htmvoc_2324.wav ウ ウ [ʔu] 接頭 お(御)。体言に上接して尊敬の意を表す。沖縄本島方言に比して限られた語に付いて用いられる。 ⸣ウシュンガ⸢ナ⸣シェーマイ [ʔuʃuŋga⸢na⸣ʃeːmai] (国王様<御主加那志前>)。 ⸣ウスマイ [⸣ʔusumai] (おじいさん)。 ⸣ウサンダイ [⸣ʔusandai] (供物のお下がり)。 ウ⸢カ⸣ギ [ʔu⸢ka⸣gi] (お陰)。 ウ⸢ミ⸣キ [ʔu⸢mi⸣ki] (お神酒)。 ウ⸢ス⸣バ [ʔu⸢su⸣ba] (お側)。 ウ⸢ク⸣ジ [ʔu⸢ku⸣ʤi] (お\ruby{籤}{クジ})。 ⸣ウトゥルムチ [⸣ʔuturumuʧi] (お接待 <お取りち>)。 ⸣ウサイ [⸣ʔusai] (お菜)。歌謡語としては、ウ⸢ユル⸣シ[ʔu⸢juru⸣ʃi](お許し)。 ウ⸢ハ⸣チ [ʔu⸢ha⸣ʧi] (お初)。ウ⸢カキブ⸣シェミソリ[ʔu⸢kakibu⸣ʃemisori](お掛けくださいませ<ご降臨ましませ>)等が認められるが、これらは本来沖縄本島方言からの借用語から転訛した語である 2410 0 0 2161 htmvoc_2410.wav ウー ⸣ウー [⸣ʔuː] 名 う(卯)。十二支の第四番目。 ⸣ウディプス [⸣ʔudipusu] (卯年生まれの人)。 ⸣ウディマリ [⸣ʔudimari] (卯年生まれ{EOS}優しい性格の人といわれている)。 ⸣ウディプソー ⸢チャー⸣ メー ⸢ウーサリ ハー⸣サリ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣クンダ ⸢ムンドー⸣ヤ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔudipu̥soː ⸢ʧaː⸣ meː ⸢ʔuːsari haː⸣sari ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kunda ⸢mundoː⸣ja ⸢naː⸣nu] (卯年生まれの人は、常に「はいはい」と言って頭を低くしているから、喧嘩<問答>は起こさない{EOS}⸣ウーディマリ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ドゥー カ⸢ラーン⸣ツォー{SqBr}⸣ʔuːdimari pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ duː ka⸢raːn⸣ʦoː{/SqBr}(卯年生まれの人は非常に体が軽いそうだ<よく体を動かして働く>) 2422 0 0 2162 htmvoc_2422.wav ウー ⸣ウー [⸣ʔuː] 名 長さの単位。親指と人差し指を伸ばした長さ。五節(中指の第一関節と第二関節の長さの五倍)。約五寸。若い人は⸢ゴッスン[⸢gossuŋ](五寸)という人が多い。 プ⸢ス⸣ウー [pu̥⸢su⸣ʔuː] (五寸) フ⸢タウー [ɸu̥⸢tauː] (一尺) ⸢ミーウー [⸢miːuː] (一尺五寸) ⸢ユーウー [⸢juːuː] (ニ尺) イ⸢チ⸣ウー [ʔi⸢ʧi⸣ʔuː] (ニ尺五寸) ⸢ムーウー [⸢muːuː] (三尺) ナ⸢ナ⸣ウー [na⸢na⸣ʔuː] (三尺五寸) ⸢ヤーウー [⸢jaːuː] (四尺) ク⸢クヌ⸣ウー [ku̥⸢kunu⸣ʔuː] (四尺五寸))。その次は、プ⸢ス⸣イル[pu⸢su⸣iru](一尋)という 2423 0 0 2163 htmvoc_2423.wav ウー ⸢ウ⸣ー [⸢ʔu⸣ː] 感 長上に対する応諾の「はい」の意。島の外から来る村長や校長、教師、医師、警官に対して最高の敬意を表す。島の長老、目上の人、両親に対しては、⸢オ⸣ー[⸢ʔo⸣ː](はい)と答える。話者と同等以下に対しては、⸢ン⸣ー[ʔŋː](うん)という。 ⸢ウ⸣ー ウ⸢トゥ⸣ム ッ⸢サルン⸠ユー [⸢ʔu⸣ː ʔu⸢tu⸣mu s⸢saruɲ⸠juː] (かしこまりました{EOS}お供申し上げます)。 ⸢オ⸣ー ⸣バー シゥ⸢カシ オースン⸠ユー [⸢ʔo⸣ː ⸣baː sï̥⸢kaʃioːsuɲ⸠juː] (はい{EOS}私がご案内致します<お連れ致します>)。 ⸢ン⸣ー ⸣バー ⸢サーリ⸣パルン [⸢ʔm⸣ː ⸣baː ⸢saːri⸣paruŋ] (うん{EOS}僕が連れて行く)。 ⸢ウ⸣ー ⸢ヌー⸣ドゥ ヤ⸢ロー⸣ル ネー⸢ラ [⸢ʔu⸣ː ⸢nuː⸣du ja⸢roː⸣ru neː⸢ra] (はい{EOS}なんでございましょうか)(村長、校長に対して)。 ⸢オー⸣ ⸢ヌー⸣ ヤ⸢ロール⸣カヤー [⸢ʔo⸣ː ⸢nuː⸣ ja⸢roː⸣rukaja] (はい{EOS}なんでございますか)(島の長老に対して)。 ⸢ヌ⸣イ ⸢ヌーヤー ⸢ツォー [⸢nu⸣i ⸢nuːjaː ⸢ʦoː] (なんだ{EOS}何かねえ)(目下に対して) 2425 0 0 2164 htmvoc_2425.wav ウー ⸢ウー [⸢ʔuː] 接頭 おお。「おほ(大)」の義。「大きな」の意味を表す。ウ⸢ブ[ʔu⸢bu](大)の転訛したもの。 ⸢ウーカジ [⸢ʔuːkaʤi] (台風{EOS}大風)。 ⸢ウームカシ [⸢ʔuːmukaʃi] (大昔)。 ⸢ウーアミ [⸢ʔuːami] (大雨)。 ⸢ウー⸣スー [⸢ʔuː⸣suː] (大潮) 2426 0 0 2165 htmvoc_2426.wav ウーアミ ⸢ウーアミ [⸢ʔuːʔami] 名 大雨。 ミ⸢ジラ⸣シ ⸢ウーアミヌ⸣ フイティル シ⸢キ⸣ヌ ⸣カンラ ⸢トーニ⸣ヌブカラヌ ウ⸢ナイ⸣ヌ ⸢ナー⸣リ ⸣ケータンツォー [mi⸢ʤi⸣raʃi ⸢ʔuːaminu⸣ ɸuitiru ʃi⸢ki⸣nu ⸣kanra ⸢toːni⸣nu ⸣bukaranu ʔu⸢nai⸣nu ⸢naː⸣ri keːtanʦoː] (滅多に無い大雨<珍しい大雨>が降って、堰の上の方からトーニ程の大鰻が流されてきたそうだ) 2411 0 0 2166 htmvoc_2411.wav ウーカー ⸢ウー⸣カー [⸢ʔuː⸣kaː] 名 (地)石垣市字大川。 ⸢ウー⸣カーナーン ウ⸢トゥザ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸢ʔuː⸣kaːnaːŋ ʔu⸢tuʣa⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (石垣市字大川にも親戚がおられる) 2427 0 0 2167 htmvoc_2427.wav ウーガーラ ⸢ウーガー⸣ラ [⸢ʔuːgaː⸣ra] 名 雄瓦。敷き詰めた⸢ミーガー⸣ラ[⸢miːgaː⸣ra](雌瓦)二枚の接続部に粘土を盛り、その上に覆い被せて連結する瓦。内径約11センチ、長さ約25センチの半円筒状の瓦。片方の先端部に接ぎ手を作ってある。 ⸢ウーガーラ⸣ヌ シ⸢ギフチ⸣ナー ム⸢チ ヌーリ⸣バ [⸢ʔuːgaːra⸣nu ʃi⸢giɸuʧi⸣naː mu⸢ʧi nuːri⸣ba] (雄瓦の接ぎ目に漆喰を塗りなさい)。 ⸢ミーガーラ⸣トゥ ⸢ミーガーラ⸣ヌ ⸢アイナ⸣カナー ミ⸢ツァ⸣バ ⸣シキティ ⸢ウン⸣ナ ⸢ウーガー⸣ラ ⸢ヌーシティル カー⸣ラヤーヤ フ⸢コーッタ⸣ル [⸢miːgaːra⸣tu ⸢miːgaːra⸣nu ⸢ʔaina⸣kanaː mi⸢ʦa⸣ba ⸣ʃi̥kiti ⸢ʔun⸣na ⸢ʔuːgaː⸣ra ⸢nuːʃitiru kaː⸣rajaːja ɸu̥⸢koːtta⸣ru] (雌瓦と雌瓦の間に粘土を置いて、それに雄瓦を載せて<ぞ>瓦屋根は葺いたものだ) 2428 0 0 2168 htmvoc_2428.wav ウーカジ ⸢ウーカジ [⸢ʔuːkaʤi] 名 大風。台風。暴風。 ク⸢トゥシヌ⸣ カ⸢ジフケー⸣ ミ⸢ジラ⸣シ ⸢ウーカジ⸣ ヤ⸢レー⸣ティル ⸣アイニ ム⸢ヌスク⸣ルン シ⸢ルッ⸣コー ナシシケー⸢ツォー [ku̥⸢tuʃinu⸣ ka⸢ʤiɸukeː⸣ mi⸢ʤira⸣ʃi ⸢ʔuːkaʤi⸣ ja⸢reː⸣tiru ⸣ʔaini mu⸢nusuku⸣ruŋ ʃi⸢ruk⸣koː ⸣naʃiʃi̥keː⸢ʦoː] (今年の台風<風吹き>は経験したことの無い<珍しい>大風<台風>だったので、あんなに農作物も台無しに<めちゃくちゃに>してあるのだよ) 2429 0 0 2169 htmvoc_2429.wav ウーカスン ⸢ウーカ⸣スン [⸢ʔuːka⸣suŋ] 他動 動かす。動くようにする。ものの位置や人の配置を変える。「~吾がやどの簾動之<すだれウゴカシ>~。万、488」の転訛したもの。 ⸣ティー ⸢ウーカ⸣スン [⸣tiː ⸢ʔuːka⸣suŋ] (手を動かす)。 ⸣クマーラー ⸢ウーカサラ⸣ヌ [⸣kumaːraː ⸢ʔuːkasara⸣nu] (ここからは動かされない)。 ⸢ウーカ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ウーカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔuːka⸣ʃi ⸣misakaː ⸢ʔuːka⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (動かしてよければ動かすことは出来る)。 ⸢パン⸣ヌン ⸢ウーカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢pan⸣nuŋ ⸢ʔuːka⸣ʃeː ⸣misamunu] (足も動かせばいいのに)。 ビ⸢ソーミ⸣ マンター ⸢ウーカ⸣シ [bi⸢soːmi⸣ mantaː ⸢ʔuːka⸣ʃi] (水瓶を前方へ動かせ)。 ⸣クマーラ ⸢ウーカサ⸣ヌ [⸣kumaːra ⸢ʔuːkasa⸣nu] (此処から動かさない)。 ン⸢メーマ ウーカシ⸣プサン [ʔm⸢meːma ʔuːkaʃi⸣pu̥saŋ] (少し動かしたい)。 ク⸢リ ウーカ⸣スカー カ⸢リン ウーカ⸣シ [ku⸢ri ʔuːka⸣su̥kaː ka⸢riŋ ʔuːka⸣ʃi] (これを動かすなら、あれも動かせ)。 ク⸢リ ウーカ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ri ʔuːka⸣su̥ ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これを動かすことは出来ない)。 ク⸢リン ウーカ⸣スン [ku⸢riŋ ʔuːka⸣suŋ] (これも動かす) 2412 1 0 2170 htmvoc_2412.wav ウーカタ ⸢ウーカタ [⸢ʔuːkata] 名 {PoS_1}大方。大部分。あらまし。大概。老年層の言葉。 ⸢ウーカタヌ カンガイ⸣ヤー シ⸢ケー⸣ン [⸢ʔuːkatanu kaŋgai⸣jaː ʃi̥⸢keː⸣ŋ] (大方の考えは聞いた)。 シ⸢マ⸣ヌ ⸢ウーカタヌ⸣ プ⸢ソー タースク⸣リ カ⸢ツシン ヌーリ セー⸣ティル キ⸢ナイヤー⸣ ム⸢トーッ⸣タ [ʃi⸢ma⸣nu ⸢ʔuːkatanu⸣ pu̥⸢soː taːsuku⸣ri ka⸢ʦuʃin nuːri ʃeː⸣tiru ki⸢naijaː⸣ mu⸢toːt⸣ta] (島の大方の人は稲作<田作り>と鰹漁船乗りをしながら家庭を維持さ<持た>れた)。 2412 2 0 2171 htmvoc_2412.wav ウーカタ ⸢ウーカタ [⸢ʔuːkata] 副 {PoS_2}ほとんど。きっと。多分。 カ⸢ジヌ⸣ フクカー ⸢ウーカター⸣ フネー ン⸢ジラン⸣パジ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢ʔuːkataː⸣ ɸuneː ʔn⸢ʤiram⸣paʤi] (風<台風>が吹くと多分船は出港しないだろう<出ないはずだ>)。だいたい。 ⸢ターシグ⸣トー ⸢ウーカタ⸣ シ⸢マ⸣セーチバ ヌ⸢カ⸣ロー ⸢タンガ⸣シン ⸣ナルンヨー [⸢taːʃigu⸣toː ⸢ʔuːkata⸣ ʃi⸢ma⸣ʃeːʧiba nu⸢ka⸣roː ⸢taŋga⸣ʃin ⸣naruɲjoː] (田仕事はだいたい済ませたから残りは一人でも出来る) 2431 0 0 2172 htmvoc_2431.wav ウーキ ⸢ウー⸣キ [⸢ʔuː⸣ki] 名 桶。「桶、乎計<をけ>、汲水於井之器也」『和名抄』の転訛したもの。桶の総称。他に、⸢クーピキウー⸣キ[⸢kuːpikiuː⸣ki](餅を作る際に糯米を挽く桶<粉挽き桶>)、ミ⸢ジウー⸣キ[mi⸢ʤiuː⸣ki](水を運ぶ桶{EOS}水桶、水担桶)、タ⸢マウー⸣キ[ta⸢maʔuː⸣ki](玉桶{EOS}桶の底にガラスを嵌めた、水中眼鏡用の桶)等がある。桶の帯<輪>には、竹製の帯<輪>と針金製の帯<輪>があった。 ⸢ウー⸣キ ⸣ティダナ ⸣プシ ⸣シケーター サ⸢リティ⸣ ミ⸢ジ⸣ムリ ⸢シー⸣ シゥ⸢カーラヌ [⸢ʔuː⸣ki ⸣tidana ⸣puʃikeːtaː sa⸢riti⸣ mi⸢ʤi⸣muri ⸢ʃiː⸣ si̥⸢kaːranu] (桶を太陽に干しておいたら乾燥して水漏れして使われない)。 ⸢ウー⸣キナ ⸣ウン ⸣ッシティ ⸣シトゥ ⸣トゥリバ [⸢ʔuː⸣kina ⸣ʔuŋ ⸣ʃʃiti ⸣ʃi̥tu ⸣turiba] (桶に芋を摩り下ろして澱粉を取りなさい) 2432 0 0 2173 htmvoc_2432.wav ウーキカーキ ⸢ウー⸣キカーキ [⸢ʔuː⸣kikaːki] 名 動き回ること。立ち回ること。働くこと。ABCDBC型の重言。 ⸣ヤミティ ニ⸢ビ ベータン⸣ドゥ ナ⸢マンダノーリ⸣ シ⸢ター ウー⸣キカーキ ⸢シー アー⸣クンケン ⸢フッカイシ ナー⸣ヌ [⸣jamiti ni⸢bi beːtan⸣du na⸢bandanoːri⸣ ʃi̥⸢taː ʔuː⸣kikaːki ⸢ʃiː ʔaː⸣kuŋkeŋ ⸢ɸukkaiʃi naː⸣nu] (病気して寝ていたのだが、不完全な回復<半治り>をしたので立ち働いているうちに、病気がぶり返し<再発>してしまった)。 ヤ⸢ミ⸣プソー ⸢ウー⸣キカーキ ス⸢ナ⸠ヨー [ja⸢mi⸣pu̥soː ⸢ʔuː⸣kikaːki su⸢na⸠joː] (病人は動き回るなよ) 2433 0 0 2174 htmvoc_2433.wav ウーキグリサン ⸢ウーキグリ⸣サン [⸢ʔuːkiguri⸣saŋ] 形 動きづらい。動きにくい。動作動詞⸢ウー⸣クン[⸢ʔuː⸣kuŋ](動く)の連用形に形容詞グリサン[gu⸢ri⸣saŋ](苦しい)が付いて形成された派生形容詞。 ク⸢ヌ キン⸣マー シ⸢バー⸣ンダ ⸢サッ⸣コー ⸢ウーキグリ⸣サン <⸢ウーキングリ⸣サン> [ku⸢nu kim⸣maː ʃi⸢baː⸣nda ⸢sak⸣koː ⸢ʔuːkiguri⸣saŋ <⸢ʔuːkiŋguri⸣saŋ>] (この着物は狭いから非常に動きにくい) 2413 0 0 2175 htmvoc_2413.wav ウーグチ ⸢ウーグ⸣チ [⸢ʔuːgu⸣ʧi] 名 (海底地名)大津口(「大口」の義)。石垣、鳩間、白浜の定期船が出入りする干瀬の津口。島の西南西、⸢クー⸣シビーの南側に位置する。⸢ウーグ⸣チの北側にク⸢チ⸣グヮー[ku̥⸢ʧi⸣gwaː](小津口)がある。また、⸢ウーグ⸣チの南側には、⸢ミーグチ⸣グヮー[⸢miːguʧi⸣gwaː](新小津口)がある。指小辞⸢~グヮー[~gwaː](小)」の付く海底地名は糸満方言からの借用語であろう。従って、指小辞「~グヮー」の付く地名は、無名の糸満漁師たちによる命名に基づくものと考えられる 2434 0 0 2176 htmvoc_2434.wav ウーグトゥ ⸢ウーグトゥ [⸢ʔuːgutu] 名 大事件。大きな事柄。一大事。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣ピン グ⸢ラマン⸣ヌ トゥ⸢ビ⸣キーティ バ⸢ク⸣ダン ウ⸢タ⸣シ ⸢パスクラシ⸣ター ム⸢ラズーヌ ウーグトゥ⸣ナリ ⸢グン⸣ラーン ア⸢バタサリティ パイ⸣ター ヒ⸢ナン ソーッ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣piŋ gu⸢raman⸣nu tu⸢bi⸣kiːti ba⸢kudam⸣ba ʔu⸢ta⸣ʃi ⸢pasukuraʃi⸣taː mu⸢raʣuːnu ʔuːgutu⸣ nari ⸢gun⸣raːŋ ʔa⸢batasariti pai⸣taː çi⸢nan soːt⸣ta⸢daː] (戦争の時、米軍のグラマン機が飛んできて爆弾を投下して爆発させたので村中の大事件となり、軍当局からも急がされて南方端<西表北岸>へ避難されたんだよ)。 ミ⸢ジラ⸣シ ⸢ウーグトゥバ シール⸣ シキン ⸢サウガシ⸣シケーバン ⸣アガヤー [mi⸢ʤira⸣ʃi ⸢ʔuːgutuba ʃiːru⸣ ʃi̥kin ⸢saugaʃi⸣ʃi̥keːbaŋ] (珍しい大事件を起こして<して>世間を騒がせているよ{EOS}ああ残念{EOS!}) 2435 0 1 2177 htmvoc_2435.wav ウークン ⸢ウー⸣クン [⸢ʔuː⸣kuŋ] 自動 {Mn_1}動く。位置や状態を変える。「Vgoqi,qu,ita.ウゴキ、ク、イタ(動き、く、いた)揺れ動く、あるいは、動く」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ティー⸣ヤ ⸢ウークン⸣ドゥ ⸢パン⸣マー ⸢ウーカ⸣ヌ [⸢tiː⸣ja ⸢ʔuːkun⸣du ⸢pam⸣maː ⸢ʔuːka⸣nu] (手は動くが、足は動かない)。 ⸢ウー⸣キ ⸣ミサカー ⸢ウー⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔuː⸣ki ⸣misakaː ⸢ʔuː⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (動いてよければ動くことは出来る)。 ン⸢ベーマー ウー⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː ʔuː⸣keː ⸣misamunu] (少しは動けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウー⸣キバ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuː⸣kiba] (早く動けよ)。 2435 0 2 2178 htmvoc_2435.wav ウークン ⸢ウー⸣クン [⸢ʔuː⸣kuŋ] 自動 {Mn_2}働く。⸢ムー⸣クン[⸢muː⸣kuŋ](働く)という人<花城イカ氏>もいる。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケン ウー⸣クン [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢keŋ ʔuː⸣kuŋ] (彼は非常によく働く <動く>)。 ⸣スブットー ⸢ピッ⸣チン ⸢ウーカ⸣ヌ [⸣subuttoː ⸢pit⸣ʧiŋ ⸢ʔuːka⸣nu] (怠け者はちっとも働かない)。 ス⸢ブル⸣ヌ ⸢ウー⸣クカー ⸢ズーン ウー⸣クン [su⸢buru⸣nu ⸢ʔuː⸣kukaː ⸢ʣuːŋ ʔuː⸣kuŋ] (頭が動けば尻尾も動く<責任者が率先して動くと、部下も大いに働く>)。 ⸢ドゥー⸣ヤ ⸢ウーカン⸣ドーシ プ⸢スバ ウーカ⸣シ [⸢duː⸣ja ⸢ʔuːkan⸣doːʃi pu̥⸢su ʔuːka⸣ʃi] (自分は動かないで他人を動かせ)。 ⸢ウー⸣ク ⸣ピンマー ⸣ドゥーシ ⸢ウー⸣キ [⸢ʔuː⸣ku ⸣pimmaː⸣duːʃi ⸢ʔuː⸣ki] (動くときは自分で動け)。 ⸢ウーキ⸣ プサカー ⸢ウー⸣ケーミサムヌ [⸢ʔuːki⸣pu̥sakaː ⸢ʔuː⸣keːmisamunu] (動きたければ動けばよいのに) 2436 0 0 2179 htmvoc_2436.wav ウーケーマ ウー⸢ケー⸣マ [ʔuː⸢keː⸣ma] 名 小さな桶。⸢ウー⸣キ[⸢ʔuː⸣ki](桶)に指小辞の⸢ヤー⸣マ[⸢jaː⸣ma](小さな物)が付いて、[⸢ʔuː⸣ki+jaːma] → [ʔuː⸢kjaː⸣ma] → [ʔuː⸢keː⸣ma] のように音韻変化して形成された語。 ⸢ホンマ⸣ケー ウー⸢ケー⸣マナ ⸣ザコー ス⸢クイ⸣ トゥリティ マ⸢コーッ⸣タ [⸢homma⸣keː ʔuː⸢keː⸣mana ⸣ʣakoː su̥⸢kui⸣ turiti ma⸢koːt⸣ta] (本撒<生餌撒き>は小さな桶に雑魚<生餌>を掬い取って撒かれた) 3116 0 0 2180 htmvoc_3116.wav ウーサ ⸢ウー⸣サ [⸢ʔuː⸣sa] 名 多いこと。「多さ」の義。文語調。日常会話では⸢ゴー⸣ラー[⸢goː⸣raː](多いこと)ということが多い。 ⸢ジンカニ⸣ヌ ⸢ウー⸣サ ⸣イキラサー <⸢イシゥ⸣カー ⸢ゴー⸣ラー> ⸢トゥイブラーヌ⸣ フ⸢タールヌ⸣ シ⸢ムチバル⸣ シ⸢キベー⸣ル [⸢ʤiŋkani⸣nu ⸢ʔuː⸣sa ⸣ʔikirasaː <⸢isï⸣kaː ⸢goː⸣raː> ⸢tuiburaːnu⸣ ɸu̥⸢taːrunu⸣ ʃi⸢muʧibaru⸣ ʃi̥⸢kibeː⸣ru] (銭金の多寡<多さ、少なさ>を問うてはいない{EOS}二人の気持ちをこそ尋ねて<聞いて>いるのだ) 2437 0 0 2181 htmvoc_2437.wav ウーザラ ⸢ウー⸣ザラ [⸢ʔuː⸣ʣara] 名 大皿。直径約20センチほどの皿。⸢チュー⸣ザラ[⸢ʧuː⸣ʣara](中皿)、⸢クー⸣ザラ[⸢kuː⸣ʣara](小皿)の対義語。祝儀や法事の際に、大皿には餅や煮魚類、紅白のかまぼこ、紅白の茹蛸。魚芯てんぷら、芋芯てんぷら、揚げ豆腐、昆布巻、大根や里芋の煮付け類を盛り付けた。祝儀の際は赤餅、法事の際は白餅を盛り付けた。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ウー⸣ザラナー ⸣ウサイ ム⸢リティ⸣ ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸢joi⸣nu ⸣pimmaː ⸢ʔuː⸣ʣaranaː ⸣ʔusai mu⸢riti⸣ ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (お祝いの時は大皿にご馳走を<お菜>を盛って出された) 2447 0 0 2182 htmvoc_2447.wav ウーサリ ⸢ウー⸣サリ [⸢ʔuː⸣sari] 感 はい、かしこまりました。 ⸢ウー⸣サリ ア⸢ゾー⸣ル ⸢トゥー⸣ル ⸢シー⸣ ッ⸢サリルン⸣ユー [⸢ʔuː⸣sari ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiː⸣ s⸢sariruɲ⸣juː] (かしこまりました{EOS}仰せの通りに致します<して差し上げます>) 2448 0 0 2183 htmvoc_2448.wav ウーサリアーサリ ⸢ウーサリアー⸣サリ [⸢ʔuːsariʔaː⸣sari] 名 平身低頭すること。 ⸢ウーサリアー⸣サリ ⸢シェー⸣ティ ウ⸢ガ⸣ミ ニガイ⸢オーッ⸣タ [⸢ʔuːsariʔaː⸣sari ⸢ʃeː⸣ti ʔu⸢ga⸣mi nigai⸢oːt⸣ta] (平身低頭して拝みつつ祈願しておられた) 2417 0 0 2184 htmvoc_2417.wav ウーサリハーサリ ⸢ウーサリハー⸣サリ [⸢ʔuːsarihaː⸣sari] 副 へいへい。ぺこぺこ。権力者に頭を下げて恭順の意を表すさま。首里方言の⸢?uusari?aasari(へいへい{EOS}ぺこぺこ)『沖縄語辞典』からの転訛。 ヤ⸢クニン⸣ヌ ⸣マイナー ⸢ウーサリハー⸣サリ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ja⸢kunin⸣nu⸣mainaː ⸢ʔuːsarihaː⸣sari ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (役人の前ではぺこぺこしている) 2439 0 0 2185 htmvoc_2439.wav ウージカキ ⸢ウージカ⸣キ [⸢ʔuːʤika⸣ki] 名 大仕掛け。大きな装置。大規模。 ウ⸢タ⸣ラタンコーナー シ⸢キ⸣タン ⸣プルンティ ⸢ウージカキ⸣ヌ ⸢ドン⸣グ ス⸢コーラリ ブタン [ʔu⸢ta⸣rataŋkoːnaː ʃi̥⸢ki⸣tam ⸣purunti ⸢ʔuːʤikaki⸣nu ⸢doŋ⸣gu su̥⸢koːrari butaŋ] (宇多良炭坑には、石炭を掘るのに大仕掛けの道具が作られ準備されていた) 2440 0 0 2186 htmvoc_2440.wav ウーシグトゥ ⸢ウーシグトゥ [⸢ʔuːʃigu⸣tu] 名 大仕事。大事業。 ⸢ウーシグトー ⸢シン⸣カシル シ⸢ラリ タンガ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔuːʃigutoː ⸢ʃiŋ⸣kaʃiru ʃi⸢rari taŋga⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (大事業は多くの仲間<組合員{EOS}臣下>とで<がいてこそ>出来るのだ{EOS}一人では出来ない) 2441 0 0 2187 htmvoc_2441.wav ウーシックナー ⸢ウーシッ⸣クナー [⸢ʔuːʃik⸣kunaː] 名 罪のなすりつけあい。互いに罪や責任を他人に負わせ、なすり付けあうこと。 ター⸢ン⸣ シ⸢キニン⸣マー トゥ⸢ラ⸣ムティ ⸣プスル ⸢ウーシウー⸣シ ⸢シー ウーシッ⸣クナー ⸢シーベー [taː⸢ŋ⸣ ʃi̥⸢kinim⸣ma tu⸢ra⸣muti ⸣pu̥suru ⸢ʔuːʃiʔuː⸣ʃi ⸢ʃiː ʔuːʃik⸣kunaː ⸢ʃiːbeː] (誰も責任を取らないで、各自他人に責任を負わせて、責任のなすりつけ<責任転嫁>をしあっている) 2414 0 0 2188 htmvoc_2414.wav ウーシマ ⸢ウー⸣シマ [⸢ʔuː⸣ʃima] 名 奄美大島。奄美群島の総称。 ⸢ウー⸣シマムネー ウ⸢キナームニ⸣トゥ ⸢ニーブ⸠ダー ヤ⸢マトゥムニ⸣トー ⸢カウリス [⸢ʔuː⸣ʃimamuneː ʔu⸢kinaːmuni⸣tu ⸢niːbu⸠daː ja⸢matumuni⸣toː ⸢kaurisu] (<奄美>大島言葉<方言>は沖縄言葉<方言>と似ているよ{EOS}大和言葉<本土方言>とは違っている<変わる>) 2442 0 0 2189 htmvoc_2442.wav ウージル ⸢ウー⸣ジル [⸢ʔuː⸣ʤiru] 名 おづる(雄弦)。三味線の一番太い弦。⸢ミー⸣ジル[⸢miː⸣ʤiru](女弦)は細い弦。ナ⸢カ⸣ジル[na⸢ka⸣ʤiru](中弦)は中太の弦。 ⸢ウー⸣ジロー マー⸢ンベーマ⸣ シミティ ウ⸢トゥ⸣ ア⸢ギリ⸣バ [⸢ʔuː⸣ʤiroː maː⸢mbeːma⸣ ʃimiti ʔu⸢tu⸣ ʔa⸢giri⸣ba] (雄弦はもう少し締めて音を揚げなさいよ) 2443 0 0 2190 htmvoc_2443.wav ウーシルン ⸢ウーシ⸣ルン [⸢ʔuːʃi⸣ruŋ] 他動 罪や責任を他人に負わせる。責任を転嫁する。 シ⸢キニン⸣バ プ⸢スン ウーシ⸣ルンティ ス⸢ナ⸣ヨー [ʃi̥⸢kinim⸣ba pu̥⸢suŋ ʔuːʃi⸣runti su⸢na⸣joː] (責任を他人に負わせよとするなよ) 2444 0 0 2191 htmvoc_2444.wav ウーシンカ ⸢ウーシンカ [⸢ʔuːʃiŋka] 名 多人数。大家族。多数の船員。多数の組合員。多数の網元の仲間。首里方言の∫iNka(臣下)からの借用語。 ⸢ウーシンカ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ムー⸢ルン⸣ バ⸢キ⸣ルカー ン⸢メーマナー⸣ル ⸢アー⸣ル [⸢ʔuːʃiŋka⸣ ja⸢runda⸣ muː⸢ru⸣m ba⸢ki⸣rukaː ʔm⸢meːmanaː⸣ru ⸢ʔaː⸣ru] (多人数だから皆に分けると少しずつしか配分できない<少しずつが配分できる>) 2438 0 0 2192 htmvoc_2438.wav ウースー ⸢ウー⸣スー [⸢ʔuː⸣suː] 名 大潮。満月と新月の頃に生じる干満の差の大きい潮汐。 ⸢ウースー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸣スーピサールサーリ タ⸢カ⸣ベー ア⸢ラ⸣キ パ⸢ラリ⸣タン [⸢ʔuːsuː⸣nu pimmaː ⸣suːpisaːrusaːri ta⸢ka⸣beː ʔa⸢ra⸣ki pa⸢rari⸣taŋ] (大潮の時は干潮時に島の東南部の高干瀬まで歩いて行くことができた<行かれた>)。 ⸢ウー⸣スー ウ⸢ク⸣ルン [⸢ʔuː⸣suː ʔu⸢ku⸣ruŋ] (大潮がおこる) 2446 0 0 2193 htmvoc_2446.wav ウースン ⸢ウー⸣スン [⸢ʔuː⸣suŋ] 他動 罪を転嫁する。他人に負わせる。「負わす」の義。若年層は⸢オー⸣スン[⸢ʔoː⸣suŋ](負わせる)ともいう。 ⸣ドゥーシ ヤ⸢ブ⸣リティ プ⸢スン⸣ シ⸢キ⸣ニン ⸢ウー⸣シェーティ ⸢アー⸣ク [⸣duːʃi ja⸢bu⸣riti pu⸢suŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣niŋ ⸢ʔuː⸣ʃeːti ⸢ʔaː⸣ku] (自分で破っておいて他人に責任を転嫁して<負わせて>いる<あるく>)。 ⸢ウーサ⸣ヌ [⸢ʔuːsa⸣nu] (負わさない{EOS}責任転嫁しない)。 プ⸢スン⸣ シ⸢キ⸣ニン ⸢ウー⸣ス プ⸢スヌル ゴー⸣ラー [pu̥⸢suŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣niŋ ⸢ʔuː⸣su pu̥⸢sunuru goː⸣raː] (他人に責任を負わせる人が多い)。 ウ⸢リン ウー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢riŋ ʔuː⸣ʃeː ⸣misamunu] (彼に責任を負わせれば<転嫁すれば>いいのに)。 ⸢ウー⸣シバ [⸢ʔuː⸣ʃiba] (負わせ<責任転嫁せ>よ) 2445 0 0 2194 htmvoc_2445.wav ウーズン ⸢ウーズン [⸢ʔuːʣuŋ] 名 大損。大欠損。大きな損害。 ウ⸢ブモーキ スンティ⸣ プ⸢スン カシゥカーサ⸣リ ⸢ウーズン⸣ ス⸢ナ⸣ダー [ʔu⸢bumoːki sunti⸣ pu⸢suŋ kasï̥kaːsa⸣ri ⸢ʔuːʣun⸣ su⸢na⸣daː] (大儲けしようとして他人に騙されて大損するなよ) 2449 0 0 2195 htmvoc_2449.wav ウーソー ⸢ウー⸣ソー [⸢ʔuː⸣soː] 名 間抜け。とんま。そそっかしい者。遅鈍な人。ぬけさく(抜作)。 ウ⸢レー ウー⸣ソー ⸣ナリティ シゥ⸢カイムヌ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː ʔuː⸣soː ⸣nariti si̥⸢kaimunu⸣ na⸢ra⸣nu] (あれ<彼>は間抜けで使いものにならない) 2450 0 0 2196 htmvoc_2450.wav ウーソードー ⸢ウーソードー [⸢ʔuːsoːdoː] 名 大騒動。 イ⸢ガメーフニ⸣ヌ ⸢ソーナン⸣ シ⸢ティ⸣ ム⸢ラズー ウーソー⸣ドー ⸢ソーッ⸣タ ⸣ピンヌン ⸢アッ⸣タン [ʔi⸢gameːɸuni⸣nu ⸢soːnaŋ⸣ ʃi̥⸢ti⸣ mu⸢raʣuː ʔuːsoːdoː soːt⸣ta ⸣pinnuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (イカ釣り漁が遭難をして村中大騒動された時もあった) 2451 0 0 2197 htmvoc_2451.wav ウーダイク ⸢ウーダイ⸣ク [⸢ʔuːdai⸣ku] 名 大太鼓。ウ⸢ブタイ⸣ク[ʔu⸢butai⸣ku](大太鼓)ともいう。横打ちの大型太鼓。 キ⸢チゴンヌ⸣ ジーシンカー ⸢ウーダイ⸣クン ク⸢ダイ⸣クン ウ⸢ティ⸣ソーッタ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ ʤiːʃiŋkaː ⸢ʔuːdai⸣kuŋ ku⸢dai⸣kuŋ ʔu⸢ti⸣soːtta] (結願祭の地方は大太鼓も小太鼓も打たれた) 3136 0 0 2198 htmvoc_3136.wav ウーダチ ⸢ウーダ⸣チ [⸢ʔuːda⸣ʧi] 名 棒立ち。仁王立ち。 プ⸢スヌ トゥーリ⸣フチナー ⸣ティー パ⸢タッカリティ ウーダ⸣チ ⸢シーベー [pu̥⸢sunu tuːri⸣ɸu̥ʧinaː ⸣tiː pḁ⸢takkariti ʔuːda⸣ʧi ⸢ʃiːbeː] (人の通り道に手を広げ、仁王立ちして<通行を妨害して>いる) 2452 0 0 2199 htmvoc_2452.wav ウーティガラ ⸢ウーティガラ [⸢ʔuːtigara] 名 大手柄。 ム⸢カ⸣シ パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ウーティガラ⸣ タティティ ス⸢ク⸣ドゥン ナ⸢ロー⸣レー プ⸢スン オー⸣ルンツォー [mu⸢ka⸣ʃi pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʔuːtigara⸣ tḁtiti su̥⸢ku⸣dun na⸢roː⸣reː pu̥⸢suŋ ʔoː⸣runʦoː] (昔、鳩間島に大手柄を立ててチクドゥン<筑登之>になられた人もおられるそうだ) 2458 0 0 2200 htmvoc_2458.wav ウートートゥ ⸢ウー⸣トートゥ [⸢ʔuː⸣toːtu] 感 あな尊(あなとうと)。神仏に祈願する際、冒頭に唱える慣用句。⸢ウー⸣トートゥ ⸢アー⸣トートウ[⸢ʔuː⸣toːtu ⸢ʔaː⸣toːtu](あな尊、ああ尊)と唱えて祈願する。⸢ウー⸣トートゥ カンガ⸢ナ⸣シェーマイ ⸢ヤーニンズ⸣ヌ ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ ニガイ ッ⸢サリル⸣ユー[⸢ʔuː⸣toːtu kaŋga⸢na⸣ʃeːmai ⸢jaːninʣu⸣nu ⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ nigai s⸢sariru⸣juː](あな尊、神加那志御前様、家族の五体の健康を祈願申し上げます)のようにいう 2453 0 0 2201 htmvoc_2453.wav ウードゥー ⸢ウー⸣ドゥー [⸢ʔuː⸣duː] 名 大胴。大きい鼓。⸢ク⸣ドゥー[⸢ku⸣duː](小胴、小鼓)の対義語。石垣市字登野城に伝わる大和芸能の「鼓」。 ⸣トゥヌスクヌ ⸣アジャー ⸢ウー⸣ドゥー ウ⸢トーッ⸣タンツォー [⸣tunusu̥kunu ⸣ʔaʤaː ⸢ʔuː⸣duː ʔu⸢toːt⸣tanʦoː] (登野城の兄さん<佐村用明氏>は大胴を打たれたそうだよ) 2455 0 0 2202 htmvoc_2455.wav ウードゥク ⸢ウー⸣ドゥク [⸢ʔuː⸣duku] 名 大引き。ユ⸢カム⸣チ[ju⸢kamu⸣ʧi](床の根太、床支え)を支える横材。 ユ⸢カムチ⸣バ ッ⸢サンターラ⸣ ムタイ シゥ⸢カイブー ムール ウー⸣ドゥクティ ア⸢ズ⸣ミー [ju⸢kamuʧi⸣ba s⸢santaːra⸣ mutai sï̥⸢kaibuː muːru ʔuː⸣dukuti ʔa⸢ʣu⸣miː] (根太<床持ち>を下から持ち上げ支えているものが大引きと言うんだろう?) 2456 0 0 2203 htmvoc_2456.wav ウートゥリ ⸢ウー⸣トゥリ [⸢ʔuː⸣turi] 名 大凪。無風状態になること。⸢ピュー⸣カ[⸢pjuː⸣ka](べた凪)ともいう。 カ⸢ジヌ⸣ トゥ⸢リティ ウー⸣トゥリ ⸢スー⸣カー ⸢プー ピキ⸣ パ⸢ラサラ⸣ヌ [ka⸢ʤinu⸣ tu⸢riti ʔuː⸣turi ⸢suː⸣ka ⸢puː pi̥ki⸣ pa⸢rasara⸣nu] (風が止んで大凪になると、帆を揚げて走らされない<帆走できない>)。 カ⸢ゼー ウー⸣トゥリ ⸢シー ナーン⸣バ ⸣ヤク ⸣クイ [ka⸢ʤeː ʔuː⸣turi ⸢ʃiːnaːm⸣ba ⸣jaku ⸣kui] (風がぴたりと止んで大凪になってしまったから櫂で舟を漕ぎなさい)。 カ⸢ジヌ ウー⸣トゥリ シ⸢ター キーヌ⸣パーン ⸢ウーカ⸣ヌ [ka⸢ʤinu ʔuː⸣turi ʃi̥⸢taː kiːnu⸣paːŋ ⸢ʔuːka⸣nu] (風が大凪になったので、木の葉の動かない)。 ウ⸢ヌ⸣スク フ⸢ク⸣タ カ⸢ジヌ ウー⸣トゥリ ⸢シーナーヌ⸣ヌ フ⸢キカイシ⸣ヌ ⸢キー⸣スンダ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ヨー [ʔu⸢nu⸣su̥ku ɸu̥⸢ku⸣ta ka⸢ʤinu ʔuː⸣turi ⸢ʃiːnaːnu⸣nu ɸu̥⸢kikaiʃi⸣nu ⸢kiː⸣sunda ⸢jaː⸣nu ka⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣joː] (あんなに吹き荒れた<吹いた>台風が大凪になって<ぴたりと凪いで>しまったが、台風の吹き返しがくるから家の格護<保護対策>をしっかりしなさいよ) 2457 0 0 2204 htmvoc_2457.wav ウートゥルバイ ⸢ウートゥル⸣バイ [⸢ʔuːturu⸣bai] 名 ぼんやりすること。ぽかんとしているさま。間が抜けたさま。呆然自失のさま。驚いて目を白黒させるさま。 ⸢アッ⸣タニ ウ⸢バーシター⸣ ウ⸢レー⸣ ウ⸢ダラ⸣キティ ⸢ウートゥル⸣バイ ⸢シーベー [⸢ʔat⸣tani ʔu⸢baːʃitaː⸣ ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢dara⸣kiti ⸢ʔuːturu⸣bai ⸢ʃiː beː] (急に<突然に>驚かしたので、彼は驚いて呆然自失になっている<ぼんやりしている{EOS}ぽかんとしている>) 2459 0 0 2205 htmvoc_2459.wav ウーナミ ⸢ウーナミ [⸢ʔuːnami] 名 大波。⸢ウー⸣ナン[⸢ʔuː⸣naŋ]供いう。 ⸢オーラー⸣ラ ⸢ウーナミ⸣ヌ ⸣ブリクーカー ⸣フネー ⸢オーラー マーシ⸠ダー [⸢ʔoːraː⸣ra ⸢ʔuːnami⸣nu ⸣burikuːkaː ⸣ɸuneː ⸢ʔoːraː maːʃi⸠daː] (風上から大波が群れ寄せてきたら、舟は舳先を風上の方へ回せよ) 2460 0 0 2206 htmvoc_2460.wav ウーニンズ ⸢ウーニンズ [⸢ʔuːninʣu] 名 多人数。多数の人々。 ⸢ウーニンズーヌ⸣ プ⸢スバ⸣ ヤ⸢トゥイ⸣ル カ⸢ツシンマー ソーッ⸣タ [⸢ʔuːninʣuːnu⸣ pu̥⸢suba⸣ ja⸢tui⸣ru kḁ⸢ʦuʃimmaː soːt⸣ta] (多人数の人を雇って<ぞ>カツオ漁業<カツオ船>は操業された) 2416 0 0 2207 htmvoc_2416.wav ウーバニ ⸢ウー⸣バニ [⸢ʔuː⸣bani] 名 (動物)。鱶の一種。パ⸢ニ[pa⸢ni](尾びれ)が最もよい。 ピ⸢トゥブリ⸣ヌ ナ⸢カ⸣ナー ⸢ウーバニ⸣ヌ ブ⸢リン⸣ ブ⸢リブタ [pi̥⸢tuburi⸣nu na⸢ka⸣naː ⸢ʔuː⸣banim bu⸢ributa] (イルカ<海豚>の群れの中には⸢ウー⸣バニの群れもいた)。この群れに当たるとサ⸢バ[sa⸢ba](鱶)がよく釣れ、大漁した 2463 0 0 2208 htmvoc_2463.wav ウーバニ ⸢ウー⸣バニ [⸢ʔuː⸣bani] 名 (動)鮫魚の名。和名、ヨゴレ(体長4メートルに達するものがいるという) 2462 0 0 2209 htmvoc_2462.wav ウーバンジン ⸢ウーバン⸣ジン [⸢ʔuːban⸣ʤiŋ] 名 真っ最中。真っ盛り。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸢ジュー⸣シチハチェー ⸢ウーバン⸣ジン ⸢ゲ⸣ラ [mi⸢doːŋ⸣ffanu ⸢ʤuː⸣ʃi̥ʧihaʧeː ⸢ʔuːban⸣ʤiŋ ⸢ge⸣ra] (女の子の十七、八は、乙女 <盛り> の真っ最中というものさ) 2464 0 0 2210 htmvoc_2464.wav ウーピカイ ⸢ウー⸣ピカイ [⸢ʔuː⸣pikai] 名 神仏へ祈願する際の前口上。祭文。祝詞。神降ろしの祈願。 ⸢ウーピカイ⸣ヤ バー ッ⸢サルバ⸣ ワ⸢タン⸣ マー⸢ズン ティー⸣ ッサイ ⸢オー⸣リ [⸢ʔuːpikai⸣ja ⸣baː s⸢saruba⸣ wa⸢tan⸣ maː⸢ʣun tiː⸣ssai ⸢ʔoː⸣ri] (神への祝詞は私が申し上げるから貴方方も一緒に祈ってください<手を合わせなされ>) 2465 0 0 2211 htmvoc_2465.wav ウーピカイヌカウ ⸢ウーピカイ⸣ヌ ⸢カウ [⸢ʔuːpikai⸣nu ⸢kau] 連 祈願の際に神降ろしのために焚く線香。板香を半分に割ったものを三本焚く。 ⸢ウーピカイ⸣ヌ ⸢カウ ミームトゥ⸣ シキ ⸣タティ ⸢オーシ [⸢ʔuːpikai⸣nu ⸢kau miːmutu⸣ ʃi̥ki ⸣tati ⸢ʔoːʃi] (神降ろしの祈願の線香三本に火をつけて立てて差し上げなさい) 2466 0 0 2212 htmvoc_2466.wav ウーブシ ⸢ウー⸣ブシ [⸢ʔuː⸣buʃi] 名 鰹節の名。雄節。カツオの背肉で製造した鰹節。 カ⸢ツブシ⸣ナー ⸢ウーブシ⸣ル イッ⸢チン ダイヤー⸣ タ⸢カー [kḁ⸢ʦubuʃi⸣naː ⸢ʔuːbuʃi⸣ru ʔit⸢ʧin daijaː⸣ tḁ⸢kaː] (鰹節では雄節が一番値段は高い) 2467 0 0 2213 htmvoc_2467.wav ウーマク ⸢ウーマ⸣ク [⸢ʔuːma⸣ku] 名 生意気な者。沖縄方言からの借用語。普通はヤ⸢マン⸣グ[ja⸢maŋ⸣gu](腕白小僧{EOS}悪戯小僧{EOS}狡猾者)という。 ビ⸢コーンッふァー ウーマ⸣ク <ヤ⸢マン⸣グ> ⸣ナリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [bi⸢koːŋffaː ʔuːma⸣ku ⸣nariti pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (男の子は生意気な腕白者になって、他人の言うことを聞かない) 3241 0 1 2214 htmvoc_3241.wav ウーマスン ⸢ウーマ⸣スン [⸢ʔuːma⸣suŋ] 他動 {Mn_1}熟させる。「熟(うま)せる」の義。 バ⸢サン⸣ナロー ⸢ウーマサン⸣カー ッ⸢ふァーラヌ [ba⸢san⸣naroː ⸢ʔuːmasaŋ⸣kaː f⸢faːranu] (バナナは熟れさせないと食べられない)。 ⸢ウーマ⸣スンティル パ⸢ク⸣ナ イ⸢リ⸣シケー [⸢ʔuːma⸣suntiru pḁ⸢ku⸣na ʔi⸢ri⸣ʃi̥keː] (熟れさせようと箱に入れてある)。 ⸢ウーマシ⸣ プサンドゥ ⸣ドゥク ⸢ウーマ⸣スカー ⸢カーサラヌ [⸢ʔuːmaʃi⸣ pu̥sandu ⸣duku ⸢ʔuːma⸣sukaː ⸢kaːsaranu] (熟ませたいが、あまり熟ませると売れない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ウーマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuːma⸣ʃeː misamunu] (もっと熟れさせればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウーマ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuːma⸣ʃi] (早く熟ませなさい)。 3241 0 2 2215 htmvoc_3241.wav ウーマスン ⸢ウーマ⸣スン [⸢ʔuːma⸣suŋ] 他動 {Mn_2}化膿させる。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸢マー⸣ビン ⸢ウーマ⸣シティ バ⸢リバル ノーシ ヤッ⸣サル ⸣ムンヌー [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuːma⸣ʃi̥ti ba⸢ribaru noːʃijas⸣saru ⸣munnuː] (この御出来<腫れ物>はもっと化膿させてから切開した<割った>ほうが治しやすいものを、<早く切開しすぎたものだ>) 2468 0 0 2216 htmvoc_2468.wav ウーマタ ⸢ウーマタ [⸢ʔuːmata] 名 大股。股を大きく広げること。ウ⸢ブマタ[ʔu⸢bumata](大股)ともいう。 ⸢ウーマタ⸣シ ア⸢ラ⸣クカー タ⸢デー⸣マンチン シ⸢キ⸣ス [⸢ʔuːmata⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kukaː ta⸢deː⸣manʧiŋ ʃi̥⸢ki⸣su] (大股で歩いたらすぐに<唯今のうちに>着くよ) 2469 0 0 2217 htmvoc_2469.wav ウーミジ ⸢ウーミジ [⸢ʔuːmiʤi] 名 大水。洪水。 ⸢ウーアミヌ⸣ フーカー ⸢カーララー ウーミジヌ⸣ ウ⸢ク⸣ルン [⸢ʔuːaminu⸣ ɸuːkaː ⸢kaːraraː ʔuːmiʤinu⸣ ʔu⸢ku⸣ruŋ] (大雨が降ると川は洪水が起きる) 3517 0 0 2218 htmvoc_3517.wav ウーミタルン ⸢ウー⸣ミタルン [⸢ʔuː⸣mitaruŋ] 自動 完熟する。熟しきる。「熟み垂る(「うみたる梅を」『金葉和歌集』)」の転訛か。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸢バンスル⸣ヌ ⸢ウー⸣ミタリティ カ⸢バッサ⸣ヌ フ⸢チジル⸣ ン⸢ジ⸣ス [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢bansuru⸣nu ⸢ʔuː⸣mitariti ka⸢bassa⸣nu ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ʔn⸢ʤi⸣su] (畑の畦のバンスル<グワバ>の木に蕃ざくろ<グワバの実>が完熟して香ばしく芳香を放っており、本当によだれ<涎{EOS}口汁>がでるよ)。 ⸢ウーミ⸣タルンケン ブ⸢ル⸣ナ [⸢ʔuːmi⸣taruŋkem bu⸢ru⸣na] (完熟するまで\ruby{捥}{モ}ぐな)。 ⸢ウーミタラン⸣ケン ⸣ブリバ [⸢ʔuːmitaraŋ⸣kem ⸣buriba] (完熟しないうちに捥げよ)。 ⸢ウーミ⸣タル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔuːmi⸣taru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (完熟することはない)。 ⸣ドゥク ⸢ウーミ⸣タレーラー ッ⸢ふァーラヌ [⸣duku ⸢ʔuːmi⸣tareːraː f⸢faːranu] (あまり熟れすぎると食えない) 2470 0 0 2219 htmvoc_2470.wav ウームカシ ⸢ウームカシ [⸢ʔuːmukaʃi] 名 大昔。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ウームカシヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ッ⸢ソー⸣レー プ⸢ソー⸣ ター⸢ン オーラ⸣ヌ [pa⸢tuma⸣nu ⸢ʔuːmukaʃinu⸣ pa⸢na⸣ʃi s⸢soː⸣reː pu̥⸢soː⸣ taː⸢ŋ ʔoːra⸣nu] (鳩間島の大昔のこと<話>を知っておられる方は誰も居られない)。 ⸢ウームカシ⸣ナ ク⸢ル⸣シマーラ パ⸢トゥ⸣マー プ⸢スヌ⸣ バ⸢キラ⸣リ ⸢オー⸣レーティル ム⸢ラー⸣ タ⸢トーッ⸣タツォー [⸢ʔuːmukaʃi⸣na ku⸢ru⸣ʃimaːra pḁ⸢tu⸣maː pu̥⸢sunu⸣ ba⸢kira⸣ri ⸢ʔoː⸣reːtiru mu⸢raː⸣ tḁ⸢toːt⸣taʦoː] (大昔に黒島から鳩間島へ人が分けられて来られて<ぞ>村が創建されたそうだ) 2471 0 0 2220 htmvoc_2471.wav ウームヌ ⸢ウー⸣ムヌ [⸢ʔuː⸣munu] 名 雄。「雄物」の義。動物、植物名に上接して用いられるが、植物の「雄株」に対して用いることが多いようである。⸢ウー⸣バサ[⸢ʔuː⸣basa](雄芭蕉)、ビ⸢キウシ[bi⸢kiʔuʃi](雄牛)、ビ⸢キオー[bi⸢kioː](雄豚)のように、動物の雄に対しては、ビ⸢キ[bi⸢ki](雄)を用いる。 ク⸢ヌ⸣ バサー ⸢ウー⸣ムヌ ヤ⸢レー⸣ティ ⸣ナロー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ basaː ⸢ʔuː⸣munu ja⸢reː⸣ti naroː na⸢ra⸣nu] (この芭蕉は雄だから実は生らない) 2472 0 1 2221 htmvoc_2472.wav ウームン ⸢ウー⸣ムン [⸢ʔuː⸣muŋ] 自動 {Mn_1}熟する。 バ⸢サン⸣ナロー ⸢キューバー⸣キナ ⸢ウー⸣ムンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ダ ウーマン⸣バン [ba⸢san⸣naroː ⸢kjuːbaː⸣kina ⸢ʔuː⸣muŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢da ʔuːmam⸣baŋ] (バナナは今日までには熟れるかと思ったが、まだ熟れないよ)。 キ⸢サーティ ウー⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥⸢saːti ʔuː⸣mi ⸢naː⸣nu] (すでに熟れてしまった)。 ⸢パイ⸣サ ⸢ウー⸣ム ⸣ムノーラ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢pai⸣sa ⸢ʔuː⸣mu ⸣munoːra f⸢fai⸣ba] (早く熟れるものから食べなさいよ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウー⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuː⸣meː ⸣misamunu] (早く熟れればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウー⸣ミ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuː⸣mi] (早く熟れよ)。 2472 0 2 2222 htmvoc_2472.wav ウームン ⸢ウー⸣ムン [⸢ʔuː⸣muŋ] 自動 {Mn_2}化膿する。「~膿(う)み爛(みだ)れき」『金光明最勝王経』の義。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢ウー⸣ミティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢ʔuː⸣miti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (おできが化膿して痛く<病み>て堪らない)。 ナ⸢マンダウーミ [na⸢mandaʔuːmi] (半熟{EOS}果物が半分熟れること)。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢ʔuː⸣mi ⸢beː] (このできものは化膿している)。 マ⸢ダ ウーマ⸣ヌ [ma⸢da ʔuːma⸣nu] (まだ熟しない)。 ⸢ウー⸣ム ⸣ピンマー カ⸢ジヌ⸣ フクン [⸢ʔuː⸣mu ⸣pimmaː ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kuŋ] (熟する時は風が吹く)。 バ⸢サン⸣ナロー ⸢ウー⸣メーカー ⸣ブリクーバ [ba⸢san⸣naroː ⸢ʔuː⸣meːkaː ⸣burikuːba] (バナナは熟しているなら捥いで来なさいよ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウー⸣ミ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuː⸣mi] (早く熟れよ) 2473 0 0 2223 htmvoc_2473.wav ウームン ⸢ウー⸣ムン [⸢ʔuː⸣muŋ] 他動 紡ぐ。麻、苧、芭蕉の繊維を細く裂き、縒り合わせて長く繋ぐ。「~麻笥にふすさに宇麻受登毛<ウマズトモ>~。万、3484」の転訛か。 ⸣ブー ⸢ウー⸣ムンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢ミー⸣ヤ ⸢ムイティ ウーマラ⸣ヌ [⸣buː ⸢ʔuː⸣munti ⸢beːn⸣du ⸢miː⸣ja ⸢muiti ʔuːmara⸣nu] (麻を紡ごうとしているが目が老眼になって紡がれない)。 ⸢ウーミ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ ⸢ウー⸣ミバ [⸢ʔuːmi⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi ⸢ʔuː⸣miba] (紡ぎたければ自分で紡げよ)。 ⸣ブー ⸢ウー⸣ム ⸣ピンマー ⸣アッパー ⸣スクイナー ⸢ウー⸣メー ⸣ミサムヌ [⸣buː ⸢ʔuː⸣mu ⸣pimmaː ⸣ʔappaː ⸣su̥kuinaː ⸢ʔuː⸣meː ⸣misamunu] (麻を紡ぐ時はお祖母さんの麻笥に紡げばいいのに<紡いで入れれば良いのに>) 3327 0 0 2224 htmvoc_3327.wav ウームン ⸢ウー⸣ムン [⸢ʔuː⸣muŋ] 他動 うむ(績む)。麻糸を紡ぐ。 ⸣アッパー ⸢ヤー⸣ナーティ ⸢ブー⸣バ ⸣サキ ⸢ウー⸣ミティ ⸣スクイナール イ⸢ローッ⸣タ [⸣ʔappaː ⸢jaː⸣naːti ⸢buː⸣ba ⸣saki ⸢ʔuː⸣miti ⸣sukuinaːru ʔi⸢roːt⸣ta] (お祖母さんは家で麻を細かく裂き紡いで<績みて>、スクイ<ソケ、麻笥>に入れられた)。 ⸣ブー ⸢ウーマ⸣ヌ [⸣buː ⸢ʔuːma⸣nu] (麻糸を績まない)。 ⸢ワー ウー⸣ムカー ⸢バン⸣ヌン ⸢ウー⸣ムン [⸢waː ʔuː⸣mukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔuː⸣muŋ] (君が績んだら私も績む)。 ⸣ブー ⸢ウー⸣ム ⸣ピン [⸣buː ⸢ʔuː⸣mu ⸣piŋ] (麻糸を績むとき)。 ⸢ウー⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢ʔuː⸣meː ⸣misamunu] (績めばよいのに)。 ⸢ウー⸣ミ [⸢ʔuː⸣mi] (績め{EOS}紡げ) 2475 0 0 2225 htmvoc_2475.wav ウーモーキ ⸢ウーモーキ [⸢ʔuːmoːki] 名 大儲け。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢ツシンラ ウーモーキ ソーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː kḁ⸢ʦuʃinra ʔuːmoːki soːt⸣tanʦoː] (昔はカツオ漁船から大儲けされたそうだ) 2474 0 0 2226 htmvoc_2474.wav ウール ⸢ウー⸣ル [⸢ʔuː⸣ru] 名 (植)ウリ(瓜)。きゅうり(胡瓜)。果実は細長く、緑色。普通は畑で露地栽培されたが、家庭菜園ではタ⸢ナ[ta⸢na](棚)を掛けて栽培していた。 ⸢ウー⸣ロー ⸢ウー⸣ルダナナ ⸢パー⸣シ ⸣シケーンダ ウ⸢ムッ⸣サスコー ナ⸢リ⸣ブー [⸢ʔuː⸣roː ⸢ʔuː⸣rudanana ⸢paː⸣ʃi ⸣ʃi̥keːnda ʔu⸢mus⸣sasukoː na⸢ri⸣buː] (瓜は瓜棚に這わせてあるので、面白いほど沢山生っている) 2476 0 0 2227 htmvoc_2476.wav ウール ⸢ウール [⸢ʔuːru] 名 珊瑚石。海石。枝珊瑚。テーブル珊瑚。⸢ウールイシ[⸢ʔuːruʔiʃi](珊瑚石、海石)ともいう。 ⸢ウールパイ [⸢ʔuːrupai] (石灰、珊瑚石を焼いて作ったいしばい)。 タ⸢チバル⸣ヌ ⸢インタヌ⸣ ピーナー タ⸢カウール⸣ヌ ムイ⸢ブンダ⸣ タ⸢ク⸣ トゥリン ⸣パルカー ⸣フチェー フ⸢タックミ⸣ ムティパリ [ta⸢ʧibaru⸣nu ⸢ʔintanu⸣ piːnaː ta⸢kaʔuːru⸣nu mui⸢bunda⸣ ta⸢ku⸣ turim ⸣parukaː ⸣ɸuʧeː ɸu̥⸢takkumi⸣ mutipari] (立原の西の干瀬には高い枝珊瑚が生えているから蛸を獲りに行くなら草鞋を二足持って行きなさい) 2477 0 0 2228 htmvoc_2477.wav ウールイシ ⸢ウールイシ [⸢ʔuːruʔiʃi] 名 珊瑚。珊瑚石。 ⸢ウールイシバ⸣ ヤ⸢キティル ウールパイヤ⸣ ス⸢ク⸣ル [⸢ʔuːruiʃiba⸣ ja⸢kitiru ʔuːrupaija⸣ su̥⸢ku⸣ru] (枝珊瑚やテーブル珊瑚の珊瑚石を焼いて<ぞ>石灰は作る)。 カ⸢ソーライシ [kḁ⸢soːraiʃi] (テーブル珊瑚) 2478 0 0 2229 htmvoc_2478.wav ウールパイ ⸢ウールパイ [⸢ʔuːrupai] 名 石灰。いしばい。「珊瑚灰」の義。鳩間島では枝珊瑚やテーブル珊瑚の枯れたものを集めて浜辺で焼き、その灰を砂と混ぜ、藁を細かく裁断して混ぜ、水で捏ね合わせ、搗いて漆喰に仕上げていた。これを、ム⸢チ アー⸣スン[mu⸢ʧi ʔaː⸣suŋ](漆喰を捏ねる)という。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ⸢カーラ⸣ヌ ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣ルンティ ⸣ドゥーシ ⸢ウール⸣ ヤ⸢キティ ウールパイ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ⸢kaːra⸣nu mu⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣runti ⸣duːʃi ⸢ʔuːru⸣ ja⸢kiti ʔuːrupai⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (終戦後<戦世の後>は瓦の漆喰<モチ>を作ろうとして、自分で珊瑚石を焼いて石灰を作られた) 2479 0 0 2230 htmvoc_2479.wav ウールパイヤキガマ ⸢ウールパイヤキガマ [⸢ʔuːrupaijakigama] 名 石灰窯。石灰を焼く窯。 パ⸢マ⸣ナ ⸢ウールパイヤキガマ⸣ ス⸢ク⸣リティル ⸢ウールバ⸣ ヤ⸢キティ ウールパイ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [pa⸢ma⸣na ⸢ʔuːrupaijakigama⸣ su̥⸢ku⸣ritiru ⸢ʔuːruba⸣ ja⸢kiti ʔuːrupai⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (浜辺で石灰窯を作って<ぞ>珊瑚を焼いて石灰を作られた) 2480 0 0 2231 htmvoc_2480.wav ウールムチ ⸢ウールムチ [⸢ʔuːrumuʧi] 名 しっくい(漆喰)。単に、ム⸢チ[mu⸢ʧi](漆喰)ともいう。石灰に砂と藁の刻んだものを混ぜ、水で捏ね合わせて搗いて仕上げたもの。 ⸢カーラ⸣ヌ シ⸢ギミーヤ ウールムチ⸣シ ⸢ヌーリティ⸣ カ⸢タモーッ⸣タ [⸢kaːra⸣nu ʃi⸢gimiːja ʔuːrumuʧi⸣ʃi ⸢nuːriti⸣ kḁ⸢tamoːt⸣ta] (瓦の継ぎ目は漆喰で塗って固められた) 2418 0 1 2232 htmvoc_2418.wav ウーン ⸢ウーン [⸢ʔuːŋ] 他動 {Mn_1}追う。後を追う。追い払う。「~あとひみ求め追去者<オヒユカバ>~。万、545」の転訛したもの。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ビ ウーン [ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢bi ʔuːŋ] (親の後<尻>を追う)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ビ オーヌ [ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢bi ʔoːnu] (親の後<尻>を追わない)。 トゥ⸢ロー ウイ⸣ プサンドゥ ⸢ウー⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [tu⸢roː ʔui⸣ pu̥sandu ⸢ʔuː⸣ ku̥⸢tu⸣nu na⸢ra⸣nu] (鳥は追い払いたいが、追い払うことができない)。 トゥ⸢ル ウイ [tu⸢ru ʔui] (鶏を追え)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ウーナ [ma⸢na⸣maː ⸢ʔuːna] (今は追うな)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイヤー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuijaː⸣ misamunu] (早く追えばいいのに)。 ⸢バン⸣マー ⸢オーラヌ [⸢bam⸣maː ⸢ʔoːranu] (私には追えない)。 ウ⸢シ ウーン [ʔu⸢ʃi ʔuːŋ] (牛を追う)。 ⸣バー ⸢オーヌ [⸣baː ⸢ʔoːnu] (私は追わない)。 ⸢ウイ⸣ パリ [⸢ʔui⸣ pari] (追って行け)。 ⸢ウー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔuː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (追う人はいない)。 ⸢ウイヤー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuijaː⸣ misamunu] (追えばいいのに)。 ⸢ウイ [⸢ʔui] (追え)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ビ ウーン [ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢bi ʔuːŋ] (幼児が親の後を追う)。 ⸢オーヌ [⸢ʔoːnu] (追わない)。 ビ⸢キドゥムヌ⸣ シ⸢ビバ ウイパッ⸣タ [bi⸢kidumunu⸣ ʃi⸢biba ʔuipat⸣ta] (男の後を追って行った)。 ク⸢リティ⸣ ウムーカー マー⸢ンバー⸣キン ⸢ウー⸣クトゥ [ku⸢riti⸣ ʔumuːkaː maː⸢mbaː⸣kiŋ ⸢ʔuː⸣ku̥tu] (これと思ったら何処までも追うことだ)。 ⸣マー ン⸢ベーマー ウイヤー⸣ ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma ʔuijaː⸣ misamunu] (もう少し追えばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイ [⸢paː⸣ku ⸢ʔui] (早く追え)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ネーヌ シビ ウイ⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ bu⸢neːnu ʃibi ʔui⸣naː na⸢ra⸣nu] (この子は母親の後を追って<後おいをして>困る<仕様がない>)。 ⸢オーヌ [⸢ʔoːnu] (追わない)。 トゥ⸢ル ウイ ッふィーリ [tu⸢ru ʔui ffiːri] (鶏を追い払ってくれ)。 ⸢ワーンドゥ ウー⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸢ウーン [⸢waːndu ʔuː⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔuːŋ] (君が追うなら私も追う)。 ⸢ウー⸣ プ⸢ソー⸣ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔuː⸣ pu̥⸢soː⸣ taː⸢m⸣ bu⸢raːnu] (追う人は誰もいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ウイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuijaː⸣ misamunu] (もっと追えばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイ [⸢paː⸣ku ⸢ʔui] (早く追え)。 2418 0 2 2233 htmvoc_2418.wav ウーン ⸢ウーン [⸢ʔuːŋ] 他動 {Mn_2}追い払う。追放する。 パ⸢ナシキヌ カン⸣マー ⸣イソーパーレー シ⸢ティ⸣ シ⸢マー⸣ラ ⸢ウイ パラ⸣シ [pa⸢naʃi̥kinu kam⸣maː ⸣ʔisoːpaːreː ʃi⸢ti⸣ ʃi⸢maː⸣ra ⸢ʔui para⸣ʃi] (風邪の神様はイソーパーレーをして島から追い払え)。 ⸢オーリ パッ⸣タ [⸢ʔoːri pat⸣ta] (追われて<追放されて>いった)。⸢オーリムヌ シ⸢ラレー⸣ティ ⸢アー⸣ク[⸢ʔoːrimunu⸣ ʃi⸢rareː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku](追われもの<お尋ね者、容疑者>にされている<あるく>)して 2419 0 0 2234 htmvoc_2419.wav ウーン ⸣ウーン [⸣ʔuːŋ] 自動 傷が治る。 キ⸢ジェー ウイ⸣ヤン [ki⸢ʤeː ʔui⸣jaŋ] (傷は治った)。 マ⸢ダ オー⸣ヌ [ma⸢da ʔoː⸣nu] (まだ治らない)。 ク⸢ヌ⸣ キ⸢ジェー⸣ ウークトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ki⸢ʤeː⸣ ʔuːkutoː ⸢naː⸣nu] (この傷は治る事はない) 2420 0 0 2235 htmvoc_2420.wav ウーン ⸣ウーン [⸣ʔuːŋ] 自動 泳ぐ。 ⸢スー⸣ヌ ピ⸢キズーワ⸣ヌ ⸣クマナー ⸢オーラ⸣ヌ [⸢suː⸣nu pi̥⸢kiʣuːwa⸣nu ⸣kumanaː ⸢ʔoːra⸣nu] (潮の流れが強くて、此処では泳げ<泳がれ>ない)。 ⸢ワー⸣ ウーカー ⸢バン⸣ヌン ⸣ウーン [⸢waː⸣ ʔuːkaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔuːŋ] (君が泳いだら僕も泳ぐ)。 ⸢ウイ⸣プサカー ⸢タンガ⸣シ ⸣ウイバ [⸢ʔui⸣pu̥sakaː ⸢taŋga⸣ʃi ⸣ʔuiba] (泳ぎたければ自分一人で泳げよ)。 ⸣クナー ⸣ウー ⸣クトー ナ⸢ラン⸣カー ⸣カナー ⸢ウイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣kunaː ⸣ʔuː ⸣ku̥toː na⸢raŋ⸣kaː ⸣kanaː ⸢ʔui⸣jaː ⸣misamunu] (ここで泳ぐことは出来なければ、あそこで泳げばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ウイバ [⸢paː⸣ku ⸣ʔuiba] (早く泳げよ)。 ス⸢ナカ⸣ナーヤ ⸢ウイヤッ⸣サン [su⸢naka⸣naːja ⸢ʔuijas⸣saŋ] (海では泳ぎやすい)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢オー⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔoː⸣nu] (今日は泳がない)。 ⸢ワー⸣ ウーカー ⸢バン⸣ヌン ⸣ウーン [⸢waː⸣ ʔuːkaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔuːŋ] (君が泳いだら私も泳ぐ)。 ⸣ウー ⸣ピンマー ⸢タンガ⸣シェー ⸢ウー⸣ナ [⸣ʔuː ⸣pimmaː ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢ʔuː⸣na] (泳ぐときは一人では泳ぐな)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ウイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔui⸣jaː ⸣misamunu] (もっと泳げばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ウイ [⸢paː⸣ku ⸣ʔui] (早く泳げ)。 タ⸢ティ⸣ウイ ⸢シーシェー⸣ン [ta⸢ti⸣ʔui ⸢ʃiːʃeː⸣ŋ] (立ち泳ぎ出来る)。 ⸢ナー⸣ティーウイ [⸢naː⸣tiːʔui] (長手泳ぎ{EOS}抜き手{EOS}クロール)。⸢アウ⸣タウイ[⸢ʔau⸣taʔui](蛙泳ぎ{EOS}平泳ぎ)等の泳法がある 2482 0 0 2236 htmvoc_2482.wav ウーン ⸢ウーン [⸢ʔuːŋ] 他動 釘を打つ。 ⸢フン ウーンティ スンドゥ バン⸣マー ⸢オーラヌ [⸢ɸuŋ ʔuːnti sundu bam⸣maː ⸢ʔoːranu] (釘を打とうとするが、私には釘を打てない)。 ⸢フン ウイ⸣ ミサカー ⸢ウー⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ɸuŋ ʔui⸣ misakaː ʔuː⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (釘を打ってよければ、打つことはできる)。 ⸢フン ウイヤー⸣ ミサムヌ [⸢ɸuŋ ʔuijaː⸣ misamunu] (釘を打てば良いのに)。 ⸣クナー ⸢フン ウイ⸣バ [⸣kunaː ⸢ɸuŋ ʔui⸣ba] (ここに釘を打ちなさい) 2483 0 1 2237 htmvoc_2483.wav ウーン ⸣ウーン [⸣ʔuːŋ] 自動 {Mn_1}老いる。⸢老ゆ。上二」「~消易き吾が身雖老<オイヌトモ>~。万、2689」の転訛したもの。⸢ウイ⸣ルンとも言う。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ター⸢ン⸣ ウーンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ワー オーン⸣バン⸢ナー [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː taː⸢ŋ⸣ ʔuːnti ʔu⸢muːn⸣du ⸢waː ʔoːm⸣ban⸢naː] (年を取ったら誰でも老いると思うが、君は老いないねえ)。 2483 0 2 2238 htmvoc_2483.wav ウーン ⸣ウーン [⸣ʔuːŋ] 自動 {Mn_2}果実が熟する。 バ⸢サン⸣ナロー ⸢ウイ⸣ヤン [ba⸢san⸣naro ⸢ʔui⸣jaŋ] (バナナは熟れた)。 キ⸢サーティ⸣ バ⸢サン⸣ナロー ⸣ウイ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥⸢saːti⸣ ba⸢san⸣naroː ⸣ʔui ⸢naː⸣nu] (既にバナナは熟れてしまった)。 2483 0 3 2239 htmvoc_2483.wav ウーン ⸣ウーン [⸣ʔuːŋ] 自動 {Mn_3}傷が治る。 キ⸢ジヌ⸣ ウー ⸣ピンマー ⸢ビー⸣ヨー ⸣ナルン [ki⸢ʤinu⸣ ʔuː ⸣pimmaː ⸢biː⸣joː ⸣naruŋ] (傷が癒える<治る>時は痒くなる)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔui⸣jaː ⸣misamunu] (早く傷が治ればいいのに) 2484 0 0 2240 htmvoc_2484.wav ウーン ⸣ウーン [⸣ʔuːŋ] 自動 疵が治る。生ふ「於布流(オフル)万、1507」の転訛したもの。 キ⸢ジェー⸣ マ⸢ダ オー⸣ヌ [ki⸢ʤeː⸣ ma⸢da ʔoː⸣nu] (疵はまだ癒えない)。 ⸢ウイ⸣ヤン [⸢ʔuiカギjaŋ] (癒えた{EOS}疵が治った)。 ⸣ウーン パジ [⸣ʔuːmpaʤi] (癒えるはず)。⸣ウー ピン[⸣ʔuː piŋ](<疵が>治る時) → ⸢ウイ⸣ルン[⸢ʔui⸣ruŋ]  2325 0 0 2241 htmvoc_2325.wav ウイ ⸣ウイ [⸣ʔui] 名 老い。老いること。完熟。熟すること。動詞⸢ウイ⸣ルン[⸢ʔui⸣ruŋ](老いる)の連用形から転成した名詞。 ⸢ウイ⸣プス [⸢ʔui⸣pusu] (老人、<老い人>)。 ⸢ウイ⸣ムヌ [⸢ʔui⸣munu] (完熟した果物{EOS}ナ⸢マ⸣ムヌ{SqBr}na⸢ma⸣munu{/SqBr}<生もの{EOS}未熟もの>の対義語)。 ⸢ウイ⸣キー [⸢ʔui⸣kiː] (老木) 2326 0 1 2242 htmvoc_2326.wav ウイ ⸢ウイ [⸢ʔui] 名 上。{Mn_1}空間的高い位置。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナ ⸣パトゥザヌ トゥ⸢マリベー⸣ン [⸢kiː⸣nu ⸢ʔui⸣naː ⸣patuʣanu tu⸢maribeː⸣ŋ] (木の上に鳩が止まっている)。 マ⸢カ⸣ロー タ⸢ナヌ ウイ⸣ナー ⸣シキバ [ma⸢ka⸣roː ta⸢nanu ʔui⸣naː ⸣ʃikiba] (お碗は棚の上に置きなさい)。 2326 0 2 2243 htmvoc_2326.wav ウイ ⸢ウイ [⸢ʔui] 名 {Mn_2}社会的地位(身分など)が上である。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー バン⸣ター ⸢ウイヌ⸣ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ロー⸣ル [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː ban⸣taː ⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢su⸣ ja⸢roː⸣ru] (この人は私達の上の<上司の>人でいらっしゃいます)。 2326 0 3 2244 htmvoc_2326.wav ウイ ⸢ウイ [⸢ʔui] 名 {Mn_3}時間的に古い<高い>位置にある。 ⸣バーラ ⸣ジューダイ ⸢ウイヌ⸣ プ⸢ソー⸣ サ⸢バカラ⸣ヌ [⸣baːra ⸣ʤuːdai ⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢soː⸣ sa⸢bakara⸣nu] (私より十代上の人は探し当てることが出来ない)。 ⸣トゥシェー ⸣バーラ カー⸢マ ウイ⸣ ヤ⸢ルンドウ⸣ ス⸢ブ⸣ロー カ⸢チ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸣tu̥ʃeː ⸣baːra kaː⸢ma ʔui⸣ ja⸢rundu⸣ su⸢bu⸣roː kḁ⸢ʧi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (年は私よりずっと上だが頭脳は勝れておられる)。 2326 0 4 2245 htmvoc_2326.wav ウイ ⸢ウイ [⸢ʔui] 名 {Mn_4}能力や体力が上位である。 ノー⸢ン⸣ シ⸢ミラバン⸣ プ⸢ソー⸣ラ マ⸢クンシェン⸣ バーラン シ⸢ザ⸣ル ⸢ウイヤッタ [noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirabam⸣ pu̥⸢soː⸣ra ma⸢kuŋʃem⸣ baːraŋ ʃi⸢ʣa⸣ru ⸢ʔui jatta] (何をさせても他人から負けなかった{EOS}私よりも兄の方が上であった) 2330 0 0 2246 htmvoc_2330.wav ウイカ ⸢ウイ⸣カ [⸢ʔui⸣ka] 名 役職に賜る報酬。俸給。公務『石垣方言辞典』。 ⸢ウイ⸣カダー [⸢ʔui⸣kadaː] (人頭税時代に王府より与えられた役職用の田地)。 ⸢ウイ⸣カジー [⸢ʔui⸣kaʤiː] (人頭税時代に王府より与えられた役職用の畑地)。 ⸢ウイ⸣カプス [⸢ʔui⸣kapusu] (公務員{EOS}月給取り)。 ⸢マイフナー マリ ウイ⸣カ タ⸢ボーラリ⸣リ ⸢ヨー [⸢maiɸunanaː mari ʔui⸣ka ta⸢boːrari⸣ri⸢joː] (成功して俸給を頂けるようになりなさいよ) 2331 0 1 2247 htmvoc_2331.wav ウイガーサ ⸢ウイガー⸣サ [⸢ʔuigaː⸣sa] 名  {Mn_1}年をとったもの。「老い・かし葉」の義か。 ⸢ウイガーサ⸣ ナルンケン クイ⸢オー⸣ル プ⸢スン オーラ⸣ヌ ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラン⸣バン [⸢ʔuigaːsa⸣ naruŋkeŋ ⸣kui ⸢ʔoː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːra⸣nu ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ram⸣baŋ] (年をとるまで嫁に欲しいと乞われる人もおられない{EOS}心配でたまらないよ)。 2331 0 2 2248 htmvoc_2331.wav ウイガーサ ⸢ウイガー⸣サ [⸢ʔuigaː⸣sa] 名 {Mn_2}古い葉。 ⸢ウイガー⸣サラ カ⸢カイ⸣クーバ [⸢ʔuigaː⸣sara kḁ⸢kai⸣kuːba] (上の古くなった葉から\ruby{捥}{モ}いで<欠いて>来なさいよ) 2327 0 0 2249 htmvoc_2327.wav ウイカイスン ⸢ウイカイスン [⸢ʔuikaisuŋ] 他動 追い返す。 ウ⸢ヌ⸣ ム⸢ノー ヤー ペーラス⸣ナ ⸢ウイカイシ⸣ パ⸢ラー⸣イ [ʔu⸢nu⸣ mu⸢noː jaː peːrasu⸣na ⸢ʔuikaiʃi⸣ pa⸢raː⸣i] (そいつは家の中に入れるな{EOS}追い返してやれ<追い返して行かせ>)。 ⸣バー イッ⸢カ ウイカイサヌ [⸣baː ʔik⸢ka ʔuikaisanu] (私は決して追い返さない)。 ⸢ウイカイスンティ⸣ ウムーカー ⸢ウイカイス⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ʔuikaisunti⸣ ʔumuːkaː ⸢ʔuikaisu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (追い返そうと思えば<思うならば>追い返すことは出来る)。 ⸢ウイカイシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuikaiʃeː⸣ misamunu] (追い返せばいいのに)。 ヤー⸢ディン ウイカイシ [jaː⸢diŋ ʔuikaiʃi] (必ず追い返せ) 2332 0 0 2250 htmvoc_2332.wav ウイカクチ ⸢ウイカクチ [⸢ʔuikakuʧi] 名 上顎(うわあご)。⸢オーカクチ[⸢ʔoːkakuʧi](上顎)というのが普通。 シゥ⸢カンクル⸣ビ シ⸢ティル ウイカクチバ⸣ バ⸢リ⸣シケー⸢ツォー [sï̥⸢kaŋkuru⸣bi ʃi̥⸢tiru ʔuikakuʧiba⸣ ba⸢ri⸣ʃi̥keː⸢ʦoː] (ぶっ転びして<ぞ>上顎を強打して傷をつけてあるんだよ<怪我をして、割ってあるんだよ>) 2333 0 0 2251 htmvoc_2333.wav ウイカジ ⸢ウイカジ [⸢ʔuikaʤi] 名 追い風。マ⸢シ⸣ビ[ma⸢ʃi⸣bi](\ruby{真艫}{マ|トモ}より吹く風)ともいう。 ⸢ウイカジ⸣ ナリ ⸢ジンプー⸣ マ⸢リブンダ⸣ フネー ン⸢ザサ⸣リン [⸢ʔuikaʤi⸣ nari ⸢ʤimpuː⸣ ma⸢ribunda⸣ ɸuneː ʔn⸢ʣasa⸣riŋ] (追い風になって順風になっている<順風が生まれている>ので船は出港できる<出される>) 2334 0 0 2252 htmvoc_2334.wav ウイカタ ⸢ウイカタ [⸢ʔuikata] 名 上役。上司。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ヤ⸢クバ⸣ヌ ⸢ウイカタ⸣ ヤ⸢ロー⸣ル [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ja⸢kuba⸣nu ⸢ʔuikata⸣ ja⸢roː⸣ru] (この方は役場の上役であられる) 2336 0 0 2253 htmvoc_2336.wav ウイカダー ⸢ウイ⸣カダー [⸢ʔui⸣kadaː] 名 役田。役職の報酬として頂いた田。 ⸢ウン⸣ネーナー ム⸢カ⸣シ ミ⸢ザシ⸣ヌ ⸢オー⸣レーティル ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸢ウイ⸣カダーティ ア⸢ザリブー⸣ツォー [⸢ʔun⸣neːnaː mu⸢ka⸣ʃi mi⸢ʣaʃi⸣nu ⸢ʔoː⸣reːtiru ku⸢nu taː⸣ja ⸢ʔui⸣kadaːti ʔa⸢ʣaribuː⸣ʦoː] (その家には昔、目差職の役人がおられたので、この田はウイカダーといわれているそうだ) 2337 0 0 2254 htmvoc_2337.wav ウイカナケー ⸢ウイカナケー [⸢ʔuikanakeː] 名 屋号。浦崎家。浦崎英行氏宅。「上兼久家」の義。浦崎英行氏は鳩間島の名士で、伝統舞踊の名手でもあった。戦前に福吉丸の船主としてカツオ節製造工場を経営していたが戦争で工場が爆撃され、戦後事業から撤退された。次男の浦崎英七氏は竹富町役場に勤務し、町の発展に尽した。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣マイナー ⸢ウイカナケーヌ⸣ プ⸢スン⸣ カ⸢ツシン⸣ ムティ ⸢オーッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣mainaː ⸢ʔuikanakeːnu⸣ pu̥⸢suŋ⸣ kḁ⸢ʦuʃim⸣ muti ⸢ʔoːt⸣taŋ] (太平洋戦争前には浦崎家の人もカツオ漁船を持っておられた) 2338 0 0 2255 htmvoc_2338.wav ウイカナケーヌエイキツァザーテー ⸢ウイカナケーヌ エイキツァザーテー [⸢ʔuikanakeːnu ʔeikiʦaʣaːteː] 連 屋号。兼久英吉氏(浦崎)宅。鳩間村一斑の⸣ジロッピテー[⸣ʤiroppiteː](大城次郎氏宅)の後隣にあった。戦前は浦崎英光氏と共にカツオ漁業(福吉丸)を経営していたが、米軍の空襲によってカツオ節製造工場が爆破された。戦後は台湾貿易に従事したが成功しなかった。長男の浦崎雪雄氏は、小浜光次郎氏と共に鳩間島出身で初めて琉球大学を卒業し、教職に就いて島の教育に尽力した 2339 0 0 2256 htmvoc_2339.wav ウイカプス ⸢ウイ⸣カプス [⸢ʔui⸣kapusu] 名 役人。俸禄を貰う人。公務員。「天事、オホヤケコト」『類聚名義抄』の「オホヤケ」が⸢ウイ⸣カ[⸢ʔui⸣ka](公)」に転訛したもの。 ⸢マイフナー マリ⸣ ウ⸢ブ⸣プス ⸣タカプス ⸣ナリティー ⸢ウイ⸣カプス ナリ⸢ヨー [⸢maiɸunaː mari⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣tḁkapusu ⸣naritiː ⸢ʔui⸣kapu̥su nari⸢joː] (勤勉で立派な大人になって俸禄を頂く役人になりなさいよ) 2340 0 0 2257 htmvoc_2340.wav ウイガラサー ⸢ウイガラ⸣サー [⸢ʔuigara⸣saː] 名 ろうかい(老獪)な人。「老い烏」の義。経験豊富な悪智恵の働く人。 ウ⸢レー ウイガラ⸣サー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リトー⸣ カ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː ʔuigara⸣saː ja⸢runda⸣ ʔu⸢ritoː⸣ ka⸢naː⸣nu] (彼は老獪な人だから、彼と喧嘩しても勝てない<叶わない>) 2341 0 0 2258 htmvoc_2341.wav ウイキー ⸢ウイ⸣キー [⸢ʔui⸣kiː] 名 老木。「老い木」の義。 ⸢ウイキー⸣ヌ ⸣ナル [⸢ʔuikiː⸣nu ⸣naru] (老木の実<果実>)。 ⸢ウイ⸣キー ⸣ナリティ ⸣ナロー ナ⸢ラン⸣バン [⸢ʔui⸣kiː ⸣nariti ⸣naroː na⸢ram⸣baŋ] (老木になって果実は生らないワイ) 2343 0 0 2259 htmvoc_2343.wav ウイクスン ⸢ウイクスン [⸢ʔuiku̥suŋ] 他動 追い越す。追い抜く。⸢ウイコースンとも言う。 ⸢パッツァー⸣シ ⸣パリ ⸢ギー ウイクスンティ スンドゥ ⸢ウイクサランバン [⸢patʦaː⸣ʃi ⸣pari ⸢giː ʔuiku̥sunti sundu ⸢ʔuiku̥sarambaŋ] (走って行って追い越そうとするが、追い越されないワイ)。 ⸢ウイクシ⸣ ミサカー ⸢ウイクス⸣ クトー ク⸢トゥヤッ⸣サン [⸢ʔuikuʃi⸣ misakaː ⸢ʔuiku̥su⸣ ku̥toː ku̥⸢tujas⸣saŋ] (追い越して良ければ、追い越すことは簡単である<容易い>)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイクシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuiku̥ʃeː⸣ misamunu] (早く追い越せば良いのに)。 ⸢ウイクシ⸣バ [⸢ʔuiku̥ʃi⸣ba] (追い越せよ) 2342 0 0 2260 htmvoc_2342.wav ウイクムン ⸢ウイクムン [⸢ʔuikumuŋ] 他動 追込む。 ⸢スー⸣ヌ ピ⸢キ⸣パルン ⸣トンナー ⸢アン⸣バ パ⸢リティ⸣ イ⸢ゾー ウイクミティ⸣ アンナ ガ⸢ラシ⸣タ [⸢suː⸣nu pi̥⸢ki⸣parun ⸣tonnaː ⸢ʔam⸣ba pa⸢riti⸣ ʔi⸢ʣoː ʔuikumiti⸣ ʔanna ga⸢raʃi⸣ta] (潮が引いていく所に網を張って、魚を追込んで網に引っかけて獲った<網にかからせた>)。 ⸣クマーラ イ⸢ズ ウイクムンティ スンドゥ ウイクマラヌ [⸣kumaːra ʔi⸢ʣu ʔuikumunti sundu ʔuikumaranu] (ここから魚を追い込もうとするが、追い込まれない)。 ⸢ウイクム⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ʔuikumu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (追い込むことは出来る)。 ⸢ウイクメー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuikumeː⸣ misamunu] (追い込めば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイクミ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuikumi⸣ba] (早く追い込めよ) 2328 0 0 2261 htmvoc_2328.wav ウイコースン ⸢ウイコースン [⸢ʔuikoːsuŋ] 他動 追い越す。追い抜く。 ビ⸢コーンッふァー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣タキ ⸢ウイコースンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ ウイコーサヌ [bi⸢koːŋffaː⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣tḁki ⸢ʔuikoːsunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da ʔuikoːsanu] (男の子は親の背丈を追い越すと思ったが、まだ追い越さない)。 ⸢ウイコーシ⸣ ミサカー ⸢ウイコース⸣ クトー ナルン [⸢ʔuikoːʃi⸣ misakaː ⸢ʔuikoːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (追い越して良ければ追い越すことは出来る)。 ⸢ウイコーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuikoːʃeː⸣ misamunu] (追い越せばよいのに)。 ⸢ウイコーシ⸣バ [⸢ʔuikoːʃi⸣ba] (追い越せよ)。追い越す。 ⸢マイ⸣ヌ ⸣フニ ⸢ウイコースンティ スンドゥ ウイコーサラヌ [⸢mai⸣nu ⸣ɸuni ⸢ʔuikoːsunti sundu ʔuikoːsaranu] (前の船を追い越そうとするが、追い越されない)。 ⸢ウイコーシ⸣ ミサカー ⸢ウイコー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔuikoːʃi⸣ misakaː ⸢ʔuikoːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (追い越して良ければ追い越すことは出来る)。 ⸢ウイコーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuikoːʃeː⸣ misamunu] (追い越せば良いのに)。 ⸢ウイコーシ⸣バ [⸢ʔuikoːʃi⸣ba] (追い越せよ) 2345 0 0 2262 htmvoc_2345.wav ウイサールン ⸢ウイサー⸣ルン [⸢ʔuisaː⸣ruŋ] 自動 老いぼれる。「老いさらばう」の転訛したもの。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ウイサー⸣リティ ドゥ⸢クドゥク⸣ クヌザマ ⸣ナルンテー ⸢タール⸣ ウ⸢ムー⸣タ⸢ツォー [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ⸢ʔuisaː⸣riti du⸢kuduku⸣ kunuʣama ⸣narunteː ⸢taːru⸣ ʔu⸢muː⸣ta⸢ʦoː] (年をとったから老いさらばえてしまって、まさかこのざまになるとは、一体誰が思ったかよ) 2346 0 0 2263 htmvoc_2346.wav ウイザテー ⸢ウイザテー [⸢ʔuiʣateː] 名 屋号。上里木屋氏宅。終戦後に絶家となった。昔は繁盛した家で、庭に池なども作られていた。 ユ⸢ナ⸣デーヌ ⸢アー⸣ネール ⸢ウイザテー⸠ダー [ju⸢na⸣deːnu ⸢ʔaː⸣neːru ⸢ʔuiʣateː⸠daː] (与那田家の東隣が上里家だ) 2347 0 0 2264 htmvoc_2347.wav ウイザン ⸢ウイ⸣ザン [⸢ʔui⸣ʣaŋ] 名 初産。 ⸢ウイ⸣ザン ⸢ヤッタヌ⸣ イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ロー⸣タン [⸢ʔui⸣ʣaŋ ⸢jattanu⸣ ʔik⸢kena⸣ ka⸢roː⸣taŋ] (初産であったが非常に軽か<安産だ>った) 2349 0 0 2265 htmvoc_2349.wav ウイシ ⸢ウイ⸣シ [⸢ʔui⸣ʃi] 名 仰せ。言いつけ。命令。 ク⸢ヌ⸣ クトー ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸢ウイシ⸣グトゥ ヤ⸢ローッ⸣タツォー [ku⸢nu⸣ ku̥toː ⸢kannumai⸣nu ⸢ʔuiʃi⸣gutu ja⸢rot⸣taʦoː] (このことは神様の仰せごとだったそうだ)。「およせ」(『混効験集』) 2358 0 0 2266 htmvoc_2358.wav ウイシキ ⸢ウイ⸣シキ [⸢ʔui⸣ʃi̥ki] 名 老い月。陰暦十四日夜以後の月。バ⸢カ⸣シキ[ba⸢ka⸣ʃi̥ki](若月)の対義語。 ⸣シケー ⸢ウイ⸣シキ ナ⸢リ⸣ブバ ⸣メー ⸢スー⸣ヤ ⸢ナン⸣ゾー ピ⸢サ⸣ヌ [⸣ʃi̥keː ⸢ʔui⸣ʃi̥ki na⸢ri⸣buba ⸣meː ⸢suː⸣ja ⸢nan⸣ʣoː pi̥⸢sa⸣nu] (月は老い月になっているから潮はあまり引かない<干らない>よ) 2363 0 0 2267 htmvoc_2363.wav ウイシキルン ⸢ウイシキルン [⸢ʔuiʃikiruŋ] 自動 追いつく。追いつくことができる。「追いつける」の転訛。 マ⸢ナ⸣マ ⸣パルカー プ⸢スマウチ⸣ナー ⸢ウイシキルン⸣ヨー [ma⸢na⸣ma ⸣parukaː pu̥⸢sumaʔuʧi⸣naː ⸢ʔuiʃi̥kiruɲ⸣joː] (今行ったら正午までに<正午の内に>は追い付けるよ) 2348 0 0 2268 htmvoc_2348.wav ウイシギルン ⸢ウイシギ⸣ルン [⸢ʔuiʃigi⸣ruŋ] 自動 熟れすぎる。野菜や果物が熟れすぎてすが立つ。年をとって若さが失われる。 ク⸢ヌ ダイ⸣クネー ⸢ウイシギ⸣リティ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢nu dai⸣kuneː ⸢ʔuiʃigi⸣riti f⸢faːranu] (この大根は熟れ過ぎて<すが立って>食べられない) 2362 0 0 2269 htmvoc_2362.wav ウイシギルン ⸣ウイ シ⸢ギ⸣ルン [⸣ʔui ʃi⸢gi⸣ruŋ] 連 熟し過ぎる。 ⸢ダイクニ⸣バ ⸣ウイ シ⸢ギ⸣ルンケン パ⸢タ⸣キナー シ⸢ティ⸣シケー [⸢daikuni⸣ba ⸣ʔui ʃi⸢gi⸣ruŋkem pḁ⸢ta⸣kinaː ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥keː] (大根が熟し過ぎて、す<鬆>が入るまで畑に放置してある) 2351 0 0 2270 htmvoc_2351.wav ウイシティルン ⸢ウイシティルン [⸢ʔuiʃi̥tiruŋ] 他動 追い抜く。追い越す。「追い捨てる」の義。 フ⸢ノー⸣ラーラ ウ⸢ラッ⸣チェー ⸣パルンケンナー ウ⸢リバ ウイシティルンティ シー⸣ ブ⸢ガ⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [ɸu⸢noː⸣raːra ʔu⸢rat⸣ʧeː ⸣paruŋkennaː ʔu⸢riba ʔuiʃitirunti ʃiː⸣ bu⸢ga⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (船浦から浦内へ行くまでに<行く時に>彼を追い抜こうとして疲れ果ててしまった) 2352 0 0 2271 htmvoc_2352.wav ウイシトゥン ⸢ウイシトゥン [⸢ʔuiʃi̥tuŋ] 他動 追い抜く。追い越す。「スツ(捨つ)下二段」系動詞の四段化したもの。⸢ウイシティルン[⸢ʔuiʃi̥tiruŋ]と同じ。 ミ⸢チナカ⸣ナー ⸢ウイシティティ パッ⸣タ [mi⸢ʧinaka⸣naː ⸢ʔuiʃi̥titi pat⸣ta] (途中で追い抜いて行った) 2353 0 0 2272 htmvoc_2353.wav ウイシミカーシミ ⸢ウイシミカーシ⸣ミ [⸢ʔuiʃimikaː⸣ʃimi] 副 「追い詰め、囲い詰め」の義。ABCDEFCD型の重言。追込み漁で魚を袋網の中へ追い込んだり、両手を広げて放し飼いの鶏を鶏舎へ追い込むように、遠回しに追いかけ、追い詰めていく様子を表現したもの。遊び惚けているマ⸢ブロー⸣マ[ma⸢buroː⸣ma](魂{EOS}遊離魂)を屋敷内に追い回し連れて来て魂籠めをする際にいう。遊離魂が水を飲みに来たところを、⸢ブー⸣ジナ[⸢buː⸣ʤina](麻の緒綱)で縛って逃がさぬようにし、ブージナをマブローマの主(肉体)の首に掛け、佩かせた 2365 0 0 2273 htmvoc_2365.wav ウイスーブ ⸢ウイスー⸣ブ [⸢ʔuisuː⸣bu] 名 泳ぎ勝負。水泳競争。競泳。 ⸢ウイスー⸣ブ ⸢サー⸣ディー [⸢ʔuisuː⸣bu ⸢saː⸣diː] (泳ぎ競争をしようよ)。 ⸣オンダー ⸢シンテーナ⸣ ユー ⸢ウイスー⸣ブ シ⸢タン⸣ダー [⸣ʔondaː ⸢ʃinteːna⸣ juː ⸢ʔuisuː⸣bu ʃi̥⸢tan⸣daː] (海水浴をしながら、よく水泳競争をしたものだよ) 2354 0 0 2274 htmvoc_2354.wav ウイスールン ⸢ウイスー⸣ルン [⸢ʔuisuː⸣ruŋ] 自動 成長する。かなり成長する。「生い強まる。強<ッヨ>り『源氏物語(紅葉賀)』」の転訛したものか。乳幼児の成長するさまを表現することば。 プ⸢ス⸣シキ ミ⸢ラン⸣ケンナー シゥカイ⸢トゥ ウイスーリ⸣ ブーバン [pu̥⸢su⸣ʃi̥ki mi⸢raŋ⸣kennaː ʃi̥kai⸢tu ʔuisuːri⸣ buːbaŋ] (一月見ぬうちにすっかり成長しているよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢イットゥ⸣キ ミ⸢ラン⸣ケンナー キッ⸢サ ウイスーリ⸣キシ ⸢ベー⸣バン [ja⸢ra⸣beː ⸢ʔittu⸣ki mi⸢raŋ⸣kennaː ki̥s⸢sa ʔuisuːri⸣ki̥ʃi ⸢beː⸣baŋ] (子供は暫く見ないうちにすっかり大きく成長しているわい) 2367 0 0 2275 htmvoc_2367.wav ウイスガルン ⸢ウイスガルン [⸢ʔuisugaruŋ] 連 追いすがる。子供が親の後追いをして、着物の裾にすがりついて泣き喚く。 ッ⸢ふァヌ フンダイ⸣ シ⸢ティ⸣ シ⸢ビウイ シー ウイスガルンダ⸣ シ⸢グトゥン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢fanu ɸundai⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʃi⸢biʔui ʃiː ʔuisugarunda⸣ ʃi⸢gutun⸣ na⸢ra⸣nu] (子供が我儘をして、親の後追いをして着物の裾に縋りついて泣くので野良仕事も出来ない) 2364 0 0 2276 htmvoc_2364.wav ウイスクン ⸢ウイスクン [⸢ʔuisu̥kuŋ] 自動 追い付く。「つく(下二段)」に「追い」が上接して合成された複合動詞で四段化したもの。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー パン⸣ヌ パ⸢ヤー⸣ンダ ⸢ウイスクン⸣ティ サ⸢バン⸣ イッ⸢カ ウイシゥカラヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː pan⸣nu pa⸢jaː⸣nda ⸢ʔuisu̥kun⸣ti s⸢abaŋ⸣ ʔik⸢ka ʔuisi̥karanu] (この人は足が速いので追いつこうとしてもなかなか追いつけない<追いつかれない>)。 ⸢ウイシキグリ⸣サン [⸢ʔuiʃi̥kiguriʔʔ⸣saŋ] (追いつきにくい)。 ⸢ウイシキ⸣ティ ア⸢ゾー⸣ルカー ⸢ウイスク⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ʔuiʃi̥ki⸣ti ʔa⸢ʣoː⸣rukaː ⸢ʔuisu̥ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (追いつけと云われるなら、追いつくことは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイシケー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuiʃi̥keː⸣ misamunu] (早く追いつけば良いのに) 2368 0 0 2277 htmvoc_2368.wav ウイゾージ ⸢ウイゾー⸣ジ [⸢ʔuiʣoː⸣ʤi] 名 泳ぎ上手。 ワ⸢ター⸣ ウ⸢チ⸣ナー ⸢タール⸣ イッ⸢チン ウイゾー⸣ジヤー [wa⸢taː⸣ ʔu⸢ʧi⸣naː ⸢taːru⸣ ʔit⸢ʧiŋ ʔuiʣoː⸣ʤijaː] (君たちの中で誰が一番泳ぎ上手か) 2357 0 0 2278 htmvoc_2357.wav ウイダイ ⸢ウイダイ [⸢ʔuidai] 名 上代。上の代。鼻祖の代。 ⸢ウン⸣ネナー ⸢ウイダイヌ⸣ ウ⸢ブグヮンス⸣ヌ ⸢オー⸣リ ⸢ベー⸣ティ ⸢ソーラン⸣マー イッ⸢ケン スー⸣ワン [⸢ʔun⸣nenaː ⸢ʔuidainu⸣ ʔu⸢bugwansu⸣nu ⸢ʔoː⸣ri ⸢beː⸣ti ⸢soːram⸣maː ʔik⸢kena suː⸣waŋ] (あの家には先祖代々からの大きな元祖<位牌>がおられるので、七月のお盆行事は非常に厳しい<強い>) 2369 0 0 2279 htmvoc_2369.wav ウイタティルン ⸢ウイタティルン [⸢ʔuitatiruŋ] 他動 追い立てる。追い払う。追いやる。標準語からの借用語の転訛したもの。 ⸢パー⸣ク ⸢ヤー⸣ パリティ プ⸢ス ウイタティルン [⸢paː⸣ku ⸢jaː⸣ pariti pu̥⸢su ʔuitatiruŋ] (早く家に帰れと人を追い立てる)。 ⸣キサー ⸢ウイタティラン⸣シェンドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ウイタティル⸣ クトゥン ⸣アン [⸣ki̥saː ⸢ʔuitatiraŋ⸣ʃendu ma⸢na⸣maː ⸢ʔuitatiru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (以前は追い立てることも無かったが、今は追い立てることもある)。 ⸢ウイタティ⸣ ミサカー ⸢ウイタティル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ʔuitati⸣ misakaː ⸢ʔuitatiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (追い立てて良ければ、追い立てることは出来る)。 ⸢ウイタティレー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuitatireː⸣ misamunu] (追い立てれば良いのに)。 ⸢ウイタティリ [⸢ʔuitatiri] (追い立てろ) 2356 0 0 2280 htmvoc_2356.wav ウイタビ ⸢ウイ⸣タビ [⸢ʔui⸣tabi] 名 初旅。パ⸢チタビ[pḁ⸢ʧitabi](初旅)ともいう。 サ⸢クシ⸣ヌ ⸢ウイ⸣タビティ ⸢シー⸣ ウ⸢ヌ⸣スク タ⸢ビヌ⸣ シ⸢タ⸣フティバ ⸢ヌー⸣ヤ ⸣クイヤー シゥ⸢コールンティ オー⸣ル [sḁ⸢kuʃi⸣nu ⸢ʔui⸣tabiti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢nu⸣su̥ku ta⸢binu⸣ ʃi⸢ta⸣ɸutiba ⸢nuː⸣jaː ⸣kuijaː sï⸢koːrunti ʔoː⸣ru] (長男<嫡出子>の初旅といって、あんなに旅の支度やら何だかんだと準備をしようとしておられる)「うゐ旅」(『混効験集』)。 ⸢ウイタビ⸣ヌ カ⸢リユ⸣シ ⸢ニン⸣ガイ ⸢オー⸣ラ [⸢ʔuitabi⸣nu ka⸢riju⸣ʃi ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoː⸣ra] (初旅の航海安全を祈願致しましょう) 2371 0 0 2281 htmvoc_2371.wav ウイダル ⸢ウイ⸣ダル [⸢ʔui⸣daru] 名 神行事。祭祀行事。村行事。公務。国王に対する奉公。鳩間島では神行事が公務と考えられていた。「おやだいり(親内裏)」『琉歌全集』、『組踊り』からの音韻変化したもの。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢ウイダル⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーティ キ⸢ソー⸣レー ⸣ムヌン アン⸢ダー [pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔuidaru⸣nu ⸢goː⸣raːti ki̥⸢soː⸣reː ⸣munuŋ ʔan⸢daː] (鳩間島は神行事が多いので切られ<省略され>たものもあるよ) 3587 0 0 2282 htmvoc_3587.wav ウイダル ⸢ウイ⸣ダル [⸢ʔui⸣daru] 名 公事。公務。仕事。「おやだいり(親内裏)」『沖縄古語大辞典』の転訛したもの。 ⸢ウイ⸣ダル ⸣マイフナー ナリ⸢ヨー [⸢ʔui⸣daru ⸣maiɸunaː nari⸢joː] (公務に精励する有能な人になりなさいよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ア⸢サブムル ウイ⸣ダルティ ア⸢ザリブー⸣ ア⸢サビバティ⸣ イ⸢ズナ [ja⸢ra⸣beː ʔa⸢sabumuru ʔui⸣daruti ʔa⸢ʣaribuː⸣ ʔa⸢sabibati⸣ ʔi⸢ʣuna] (子供は遊ぶのが仕事<公務>と言われている{EOS}遊ぶから<遊べばとて>といって叱るなよ) 2360 0 0 2283 htmvoc_2360.wav ウイダルプス ⸢ウイ⸣ダルプス [⸢ʔui⸣darupu̥su] 名 公務員。勤め人。 ⸢バン⸣テナー ⸢ウイ⸣ダルプスヌ フ⸢タール ブン [⸢ban⸣tenaː ⸢ʔui⸣darupu̥sunu ɸu̥⸢taːru buŋ] (我が家には公務員<勤め人>が二人いる)。公務員。 ⸢ウイヌ ガッ⸣コー ⸣ンジ ⸢ウイ⸣ダルプスン ⸣ナリ ⸢マイフナー⸣ドー [⸢ʔuinu gak⸣koː ⸣ʔnʤi ⸢ʔui⸣darupusun ⸣nari ⸢maiɸunaː⸣doː] (上級学校を出て役人<公務員>にもなって立派だよ) 2372 0 0 2284 htmvoc_2372.wav ウイダルマイフナー ⸢ウイ⸣ダルマイフナー [⸢ʔui⸣darumaiɸunaː] 名 勤め上手。村行事(神事)や公務によく勤める人。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ ウイ⸣ダルマイフナー ⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena ʔui⸣daru ⸣maiɸunaː ⸢daː] (彼は非常によく神行事に尽している勤め上手<勤勉家>だよ) 2361 0 0 2285 htmvoc_2361.wav ウイックナー ⸢ウイックナー [⸢ʔuikkunaː] 名 追いかけっこ。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢サビドンゴー ナー⸣ン ブ⸢レー⸣ンダ ヤ⸢ラ⸣ベー ナー⸢イ ウイックナーバ シー⸣ ア⸢サブタ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢sabidoŋgoː naː⸣m bu⸢reː⸣nda ja⸢ra⸣beː naː⸢i ʔuikkunaːba ʃiː⸣ ʔa⸢sabuta] (昔は遊び道具<遊具>は無かったから子供はただ追いかけっこをして遊んだ)。 ⸢ガッ⸣コーナーティン ⸣ユー ⸢ウイックナー シー⸣ ア⸢サブタン [⸢gak⸣koːnaːtiŋ ⸣juː ⸢ʔuikkunaː ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (学校でもよく追いかけっこをして遊んだ) 2350 0 0 2286 htmvoc_2350.wav ウイッサーラ ⸢ウイッサーラ [⸢ʔuissaːra] 名 上下。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ユーヌ⸣ プ⸢ス⸣ナー ⸢ウイッサーラ⸣テー ⸢ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ ユ⸢ヌ⸣ムー [ma⸢nama⸣nu ⸢juːnu⸣ pu̥⸢su⸣naː ⸢ʔuissaːra⸣teː ⸢naː⸣nu muː⸢ru⸣ ju⸢nu⸣muː] (今の世の人に上下というのはない{EOS}みんな同じだ) 2400 0 0 2287 htmvoc_2400.wav ウイッサールン ⸢ウイッサー⸣ルン [⸢ʔuissaː⸣ruŋ] 自動 老いぼれる。老いさらばえる。老け込む。 ⸢ウイッサー⸣リティ ム⸢カシ⸣ヌ シ⸢ラカタ⸣チェー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔuissaː⸣riti mu⸢kaʃi⸣nu ʃi⸢rakata⸣ʧeː ⸢naː⸣nu] (老いさらばえて昔の容姿<顔形、面影>はない) 2374 0 0 2288 htmvoc_2374.wav ウイッツァースン ⸢ウイッツァースン [⸢ʔuitʦaːsuŋ] 他動 追い散らす。 ⸣イソーパーレー ⸢シー⸣ ヤ⸢ナ⸣ パ⸢ナシケー ウイッツァーシ⸣ パ⸢ラ⸣シ [⸣ʔisoːpaːreː ⸢ʃiː⸣ ja⸢na⸣ pa⸢naʃi̥keː ʔuitʦaːʃi⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (イソーパーレーで村浚えをして悪い風邪の神は追っ払え<追い散らしてやれ>) 2375 0 0 2289 htmvoc_2375.wav ウイットースン ⸢ウイットースン [⸢ʔuittoːsuŋ] 他動 追っ払う。追い倒す。どこまでも追いやる。 ヤ⸢ナ⸣ムノー ⸢マー⸣ス ⸢パン⸣キ ⸢ウイットーシ⸣ パ⸢ラー⸣イ [ja⸢na⸣munoː ⸢maː⸣su ⸢paŋ⸣ki ⸢ʔuittoːʃi⸣ pa⸢raː⸣i] (悪霊は塩を撒いて追っ払ってしまえ) 2380 0 0 2290 htmvoc_2380.wav ウイナウイナ ⸢ウイナウイナ [⸢ʔuinauina] 副 次から次へと。重ねて。重ね重ね。 ア⸢ラヤーユン⸣ ス⸢ク⸣ローリ ⸢ウイナウイナ⸣ ニービキヨイン ⸢ソー⸣ルンティ シ⸢キティル アー⸣ク⸢ダー [ʔa⸢rajaːjun⸣ su̥⸢ku⸣roːri ⸢ʔuinauina⸣ niːbikijoin ⸢soː⸣runti ʃi̥⸢kitiru ʔaː⸣ku⸢daː] (新家屋も建築され、重ねて結婚祝いもなさると聞いて、祝いに来ていいるのです)。 ⸢ウイナウイナ イークトゥバ⸣ カー⸢ニ⸣ ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [⸢ʔuinaʔuina ʔiːku̥tuba⸣ kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (重ね重ね良いことだけもたらして<有らしめて>ください) 2381 0 1 2291 htmvoc_2381.wav ウイナクン ⸢ウイナクン [⸢ʔuinakuŋ] 他動 {Mn_1}釘や杭などを打ち込む。 ⸣クナー ⸢フンバ ウイナクンティ スンドゥ ウイナカラヌ [⸣kunaː ⸢ɸumba ʔuinakunti sundu ʔuinakaranu] (此処に釘を打ち込もうとするが、打ち込まれない)。 ⸢ウイナキ⸣ ミサカー ⸣バー ⸢ウイナク⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸢ʔuinaki⸣ misakaː ⸣baː ⸢ʔuinaku⸣ ku̥toː narun⸢daː] (打ち込んでよければ、私は打ち込むことは出来るよ)。 ク⸢ヌ⸣ イツァー ⸢パンチラン⸣ヨーニ カ⸢ニフン ウイナキ⸣ シ⸢キ⸣リ [ku⸢nu⸣ ʔiʦaː ⸢panʧiraɲ⸣joːni ka⸢niɸuŋ ʔuinaki⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (この板は外れないように鉄釘を打ち込んでおきなさい)。 ⸢ウイナケー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuinakeː⸣ misamunu] (打ち込めば良いのに)。 ⸢ウイナキ⸣バ [⸢ʔuinaki⸣ba] (打ち込めよ)。 2381 0 2 2292 htmvoc_2381.wav ウイナクン ⸢ウイナクン [⸢ʔuinakuŋ] 他動 {Mn_2}突き刺す。 ⸣ウナーティ ク⸢ルベーラ ユシキ⸣ヌ ス⸢リ⸣バイナー シ⸢ビ ウイナカリン⸠ダー [⸣ʔunaːti ku⸢rubeːra juʃi̥ki⸣nu su⸢ri⸣bainaː ʃi⸢bi ʔuinakarin⸠daː] (ここで転んだらススキの刈り株に尻を突き刺されるぞ) 2376 0 0 2293 htmvoc_2376.wav ウイナケー ⸢ウイナケー [⸢ʔuinakeː] 固 浦崎家の屋号。浦崎英行氏宅。「上兼久家」の音韻変化したもの。 ⸢ウイナケーヌ ジー⸣ガー カ⸢ツシンヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣カタン ⸢シー オー⸣リティ パ⸢トゥ⸣マ ⸣イチヌ ブ⸢ドゥルゾージ⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ [⸢ʔuinakeːnu ʤiː⸣gaː kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔu⸢ja⸣kataŋ ⸢ʃiː ʔoː⸣riti pḁ⸢tu⸣ma ⸣ʔiʧinu bu⸢duruʣoːʤi⸣ ja⸢roːt⸣ta] (浦崎家のお祖父さんはカツオ漁船の親方もしておられて、鳩間一番の踊り上手<名手>でもあられた) 2385 0 1 2294 htmvoc_2385.wav ウイナル ⸢ウイ⸣ナル [⸢ʔui⸣naru] 名 {Mn_1}植物が老いてから結ぶ果実。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ブッチェー ウイ⸣ナル ヤ⸢ルンダ ナン⸣ゾー ン⸢マーナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ka⸢butʧeː ʔui⸣naru ja⸢runda nan⸣ʣoː ʔm⸢maːnaː⸣nu] (この南瓜は最期に出来た実だから、あまり美味しくない)。 2385 0 2 2295 htmvoc_2385.wav ウイナル ⸢ウイ⸣ナル [⸢ʔui⸣naru] 名 {Mn_2}年取ってから生んだ子供。 ⸢ウイナル⸣ヌ ッ⸢ふァー マイフナー⸣ マ⸢ルン⸣ツォー [⸢ʔuinaru⸣nu f⸢faː maifunaː⸣ ma⸢run⸣ʦoː] (年取ってから生んだ子供は立派な人に成長するそうだ) 2377 0 0 2296 htmvoc_2377.wav ウイヌウガン ⸢ウイヌ⸣ウガン [⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ] 名 友利御嶽。「上のお願」の義。『沖縄文化財調査報告書第70集』(沖縄教育委員会)に、次のように記述されている。「トゥムリウガン。異称、ウイヌウガン、『琉球国由来記』記載の名称 友利御嶽、所在地 字鳩間福堂。祭神 神名 ヲトモリ 御イベ名 大ザナルガネ。由来 由来不ニ相知一(『琉球国由来記』)。鳩間島では最も古い御嶽である。鳩間を建てたという英雄義左真主が創建した御嶽であるといわれている。各御嶽の中で最高位にランクされ、他のすべての御嶽の<神>の存在する場所であると考えられている。トゥムリウガンには、他の御嶽の香炉が置かれており、祭祀や儀礼もここでのみ行われるものが多い。トゥムリウガンで祈願することは、他のすべての御嶽での祈願に相当する行為であると考えられている」。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](元御嶽)ともいう。歌謡では、トゥ⸢ムル[tu⸢muru](友利<お願>)と歌われている。鳩間島の御願の中心となる所で、ナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡<中森>)の東側の鎮守の森の中にある。フ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)やガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](榕樹)、マーニ[⸢maː⸣ni](クロツグ<黒桄椰子>)、ク⸢バ[ku⸢ba](びろう、蒲葵)、その他雑木が密生して、昼でも薄暗い。神域は石垣を二重三重に積みめぐらしてある。中心部に⸣ウボー[⸣ʔuboː](威部)があり、そこへ通ずる道の入り口に⸢パイ⸣ディン[⸢pai⸣diŋ](拝殿{EOS}小屋根付きの門)がある。そこには、⸢コー⸣ロー[⸢koː⸣roː](香炉)が据えてあり、男性はそこから内へ入れないといわれている。どうしても入域しなければならない場合は、神に祈願をして入るが、その際の条件は、マ⸢ラタリ⸣ムヌ[ma⸢ratari⸣munu](魔羅垂れ者)、ア⸢ティナシ⸣ムヌ[ʔa⸢tinaʃi⸣munu](無分別者)としてであった。従って男性は褌を外して、ぶらぶらさせながら入らなければならなかったという。拝殿の北側には⸣メー[⸣meː](庭空間)があり、その左右に二・三段の低い観覧席が設置されている。拝殿の前面左側にはティジリビーの席、右側にはサカサ・バキサカサの席が設置されている。庭空間の北側には、瓦葺のウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](母屋)があり、拝殿と対面するように南面窓際に神棚が設置され、小窓が設えられて香炉が置かれ、⸣ウボー[⸣ʔuboː]へのお通しが出来るようになっている。古い仏像も安置されている。豊年祭や結願祭の⸢ユードウー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通しの祈願)や⸢ユーングマ⸣ル[⸢juːŋguma⸣ru](夜籠もり祈願)はそこで実施される。結願祭には、このウ⸢ブ⸣ヤーから南面に張り出しのバンコ・ステージが設置され、幕で仕切られた舞台で伝統的⸢キョン⸣ギン[⸢kjoŋ⸣giŋ](狂言・劇)や舞踊が奉納上演される。その際、ウブヤーは楽屋の機能を果たす。村の人々は老若男女、弁当持参して観覧席から奉納芸能を観劇したものである 2378 0 0 2297 htmvoc_2378.wav ウイヌカー ⸢ウイヌカー [⸢ʔuinukaː] 名 (地)村井戸の一つ。ナ⸢カン⸣ムレー[na⸢kam⸣mureː](中岡)の北、約150メートルの所にある井戸。本来はウ⸢リ⸣カー[ʔu⸢ri⸣kaː](下り井戸)であったが、昭和に入ってコンクリートで掘り抜き井戸に作り変えた。湧水には塩分が少なく、最も美味しい水との定評がある。村から遠い所にあるため、他の二つの村井戸ほど利用されなかったが、夏場の渇水期には活用された。カツオ漁船用の水は、多くの場合この井戸の水を活用した。畑帰りに、この井戸の水を一服すると「命が長くなる」といわれたほどである。井戸の祈願はカ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の人が受け持った 2382 0 0 2298 htmvoc_2382.wav ウイヌカリン ⸢ウイヌカリン [⸢ʔuinukariŋ] 自動 追い抜かれる。追い抜くことが出来る。動詞⸢ウイヌクン[⸢ʔuinukuŋ](追い抜く)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](~れる)が付いて形成された派生動詞。 ⸢ウイ⸣プス ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢キッツァー⸣スカー ヤ⸢ラ⸣ビン ウ⸢イヌカリン⸣ダー [⸢ʔui⸣pu̥su ja⸢runda⸣ kḁ⸢kitʦaː⸣sukaː ja⸢ra⸣biŋ ⸢ʔuinukarin⸣daː] (年寄りだから、走ると子供に追い抜かれるよ) 2383 0 0 2299 htmvoc_2383.wav ウイヌクン ⸢ウイヌクン [⸢ʔuinukuŋ] 他動 追い抜く。追い越す。 ⸢マイ⸣ヌ プ⸢ス ウイヌクンティ スンドゥ ウイヌカラヌ [⸢mai⸣nu pu̥⸢su ʔuinukunti sundu ʔuinukaranu] (前の人を追い抜こうとするが、追い抜かれない)。 ⸢パッツァー⸣シティ ⸢ウイヌキ⸣ ミサカー ⸢ウイヌク⸣ クトー ⸣ナルン [⸢patʦaː⸣ʃi̥ti ⸢ʔuinuki⸣ misakaː ⸢ʔuinuku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (駆け足<走って>で追い抜いてよければ追い抜くことは出来る)。 ⸢ウイヌケー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuinukeː⸣ misamunu] (追い抜けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイヌキ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuinuki] (早く追い抜け) 2335 0 0 2300 htmvoc_2335.wav ウイヌプス ⸢ウイヌ プス [⸢ʔuinu pu̥su] 連 上の人。上級の人々。上役。役場の人。身分の高い人。 ⸢ウイヌ プスヌ⸣ イ⸢サナケー⸣ラ ⸢オーッ⸣ター カ⸢ツナマシバ⸣ キシティル ⸣ウトゥルムチ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢ʔuinu pu̥sunu⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ra ⸢ʔoːt⸣taː kḁ⸢ʦunamaʃiba⸣ ki̥ʃitiru ⸣ʔuturumuʧi ⸢soːt⸣taʦoː] (役場の上役の人が石垣から来られたので鰹の刺身を切って出して接待<お取り持ち>されたそうだ) 2386 0 0 2301 htmvoc_2386.wav ウイヌプス ⸢ウイヌ⸣ プ⸢ス [⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢su] 連 上司。上役。「上の人」の義。 ⸢ウイヌ プスヌ⸣ ア⸢ゾー⸣ル ムネー シ⸢キバル⸣ ナル [⸢ʔuinu pu̥sunu⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣muneː ʃi̥⸢kibaru⸣ naru] (上司のおっしゃることは聞かないといけない<聞けばぞなる>) 2387 0 0 2302 htmvoc_2387.wav ウイヌフン ⸢ウイヌ フン [⸢ʔuinu ɸuŋ] 連 石垣島の四箇村。石垣島より北の国(沖縄)。都会。「上の国」の義。 ⸢ウイヌ フン⸣ラ ヤ⸢クニン⸣ヌ ⸢オー⸣レーティ シゥ⸢カスンティ アー⸣ク [⸢ʔuinu ɸun⸣ra ja⸢kunin⸣nu ⸢ʔoː⸣reːti sï̥⸢kasunti ʔaː⸣ku] (石垣島の都会から役人が来られているのでご案内をしようとしているのです) 2406 0 0 2303 htmvoc_2406.wav ウイヌミチ ⸢ウイヌ⸣ ミチ [⸢ʔuinu⸣ miʧi] 連 上の道。ナ⸢カ⸣ミチ[na⸢ka⸣miʧi](中道{EOS}旧鳩間郵便局前通り)より上の道。ス⸢ムヌヌ⸣ ミチ[su⸢munu⸣ miʧi](下の道{EOS}旧鳩間国民学校正門通り{EOS}沿岸道路)の対をなす道路。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸢ユービンキク⸣ヌ ⸣マンタヌ ⸣ミチェーラ ⸢ウンタヌ⸣ ミ⸢チ⸣バ ⸢ウイヌ⸣ ミチティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢kaʃi⸣nu ⸢juːbiŋkiku⸣nu mantanu ⸣miʧeːra ⸢ʔuntanu⸣ mi⸢ʧi⸣ba ⸢ʔuinu⸣ miʧiti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の郵便局の前の道より上の道を⸢ウイヌ⸣ミチといわれた) 2379 0 0 2304 htmvoc_2379.wav ウイヌムラ ⸢ウイヌムラ [⸢ʔuinumura] 名 上の村。旧鳩間郵便局の前の道<村の中道>より上にある家々。中道より下の海岸沿いにある家々をス⸢ム[su⸢mu](下{EOS}下村)といっていた。 ⸢ウイヌムラヌ⸣ プ⸢ソー パイ⸣ターヌ ⸢ギームドゥルヌ⸣ ニー ア⸢ギ⸣ ウ⸢ラ⸣シ ⸢スンティ ナン⸣ギ ⸢ソーッ⸣タン [⸢ʔuinumuranu⸣ pu̥⸢soː pai⸣taːnu ⸢giːmudurunu⸣ niː ʔa⸢gi⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi ⸢sunti naŋ⸣gi ⸢soːt⸣taŋ] (上の村の人は南端<西表北岸の鳩間島の水田地帯>通いの荷の上げ下ろしで難儀苦労をされた)。一斑、二班、三班の中道より上にある家々のこと。海岸端の家々は、⸢スモー[su⸢moː](下、下の家)という 2389 0 0 2305 htmvoc_2389.wav ウイパー ⸢ウイパー [⸢ʔuipaː] 名 上歯。普通は⸢オーパー[⸢ʔoːpaː](上歯)と言う。 ⸢シン⸣ザ カ⸢カイ ッふーンティ ベーン⸣ケンマー ⸢ウイパー⸣ ブリ シ⸢ティナー⸣ヌ [⸢ʃin⸣ʣa ka⸢kai ffuːnti beːŋ⸣kemmaː ⸢ʔuipaː⸣ buri ʃi⸢tinaː⸣nu] (砂糖きびの皮を剥いで食べようとしていると上歯を折ってしまった) 2390 0 0 2306 htmvoc_2390.wav ウイパナ ⸢ウイ⸣パナ [⸢ʔui⸣pana] 名 老年の恋。年老いてから激しい恋をすること。「老い花」の義。 ク⸢ヌ⸣トゥシ ナ⸢ロー⸣リティ ⸢ウイ⸣パナ サ⸢カ⸣ソール プ⸢スン オーリ⸣スバン ピルマサーワレー [ku⸢nu⸣ tuʃi na⸢roː⸣ritiŋ ⸢ʔui⸣pana sa⸢ka⸣soːru pu⸢suŋ ʔoːri⸣subam pi⸢ruma⸣sawareː] (この年になられて老い花を咲かされる人もおられるものですわい{EOS}珍しいですねえ{EOS}) 2391 0 0 2307 htmvoc_2391.wav ウイパラスン ⸢ウイパラ⸣スン [⸢ʔuipara⸣suŋ] 他動 追っ払う。 ⸢ピンギマヤ⸣ヌ クン⸢ドー パー⸣ク ⸢ウイパラ⸣シ [⸢piŋgimaja⸣nu kun⸢doː paː⸣ku ⸢ʔuipara⸣ʃi] (野良猫<逃げ猫>が来るぞ{EOS}早く追っ払いなさい)。 ⸢ウイパラ⸣スンティ ⸢スンドゥ ウイパラサラン⸣バン [⸢ʔuipara⸣sunti ⸢sundu ʔuiparasaram⸣baŋ] (追っ払おうとするが、追っ払えないわい)。 ⸢ウイパラ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ウイパラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔuipara⸣ʃi ⸣misakaː ⸢ʔuipara⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (追っ払って良ければ追っ払うことはできる)。 ⸢ウイパラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔuipara⸣ʃeː ⸣misamunu] (追っ払えばいいのに)。 ヤ⸢ナムヌ⸣ヌ ⸢ペー⸣リクーカ ⸢マー⸣ス ⸢パン⸣キティ ⸢ウイパラ⸣シ [ja⸢namunu⸣nu ⸢peː⸣rikuːka ⸢maː⸣su ⸢paŋ⸣kiti ⸢ʔuipara⸣ʃi] (魔物が\ruby{闖入}{チン|ニュウ}してきたら塩を撒いて<弾いて>追い払え)。 ⸢ウイパラ⸣スン [⸢ʔuipara⸣suŋ] (追い払う)。 ⸢ウイパラ⸣シティ [⸢ʔuipara⸣ʃiti] (追い払って)。 ⸢ウイパラサ⸣ヌ [⸢ʔuiparasa⸣nu] (追い払わない)。 ⸢ウイパラ⸣ス ⸣クトゥ [⸢ʔuipara⸣su ⸣ku̥tu] (追い払うこと)。 ⸢ウイパラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔuipara⸣ʃeː ⸣misamunu] (追い払えばよいのに)。 ⸢ウイパラ⸣シ [⸢ʔuipara⸣ʃi] (追い払え) 2392 0 0 2308 htmvoc_2392.wav ウイバラリン ⸢ウイバラリン [⸢ʔuibarariŋ] 自動 及ばれる。手が届く。成就可能である。動詞⸢ウイブン[⸢ʔuibuŋ](及ぶ)の未然形に助動詞ラリン[rariŋ](られる)が付いて形成された派生動詞。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルン ⸢デー⸣カー ⸢バン⸣タン ⸢ウイバラリン⸣ パジ⸢ダー⸣ヌ カ⸢リンマー⸣ ノー⸢ン⸣シタンティン ⸢ウイバララヌ [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣run ⸢deː⸣kaː ⸢ban⸣taŋ ⸢ʔuibararim⸣ paʤi⸢daː⸣nu ka⸢rimmaː⸣ noː⸢ŋ⸣ʃitantiŋ ⸢ʔuibararanu] (この程度ならば私達にも及ばれる<手が届く>はずだが、あれには絶対に<何をしても>及ばれない<入手不可能である{EOS}手が届かない>) 2393 0 0 2309 htmvoc_2393.wav ウイバリン ⸢ウイバリン [⸢ʔuibariŋ] 自動 及ばれる。手が届く。成就可能である。動詞⸢ウイブン[⸢ʔuibuŋ](及ぶ)の未然形に助動詞リン[riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ⸢バン⸣タン ⸢ウイバリン [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ⸢ban⸣tam ⸢ʔuibariŋ] (この程度は私たちにも手がとどく<及べる>)。 ⸢バン⸣ター ⸢ナー⸣トー ⸢ウイバラヌ [⸢ban⸣taː ⸢naː⸣toː ⸢ʔuibaranu] (私などには手が届かない<及ばれない>)。 ⸢ウイバリル⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢バン⸣タン ⸢ウイバリ⸣カ⸢ナー [⸢ʔuibariru⸣ kutoː ⸢naːnu⸣nu ⸢ban⸣taŋ ⸢ʔuibari⸣ka⸢naː] (手の届く<及ぶ>ことは無いが、私らにも手が届いたら<及べたら>良いのになあ) 2394 0 0 2310 htmvoc_2394.wav ウイバル ⸢ウイバル [⸢ʔuibaru] 名 (地)西表島北部海岸の水田地帯の地名。上原村。現在の船浦集落と中野集落の中間に位置する集落。明治初期にマラリアで廃村化し、住民の一部が鳩間島に移住した。戦後、マラリアの撲滅にともない、鳩間島からの移住者と宮古島、その他からの移住者が増加して現在の賑わいをみるに至った。⸢カンザトゥ⸣ヤー[⸢kanʣatu⸣jaː](慶田城家)、プ⸢サッ⸣キャー[pu̥⸢sak⸣kjaː](冨里家)、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家、田代家)、ウ⸢チ⸣ネー[ʔu⸢ʧi⸣neː](仲伊部家)、ア⸢ラヤー[ʔa⸢rajaː](吉川家)、⸢マイトブ⸣レー[⸢maitubu⸣reː](吉川家)などの水田や畑がある 2395 0 0 2311 htmvoc_2395.wav ウイパルン ⸢ウイ⸣パルン [⸢ʔui⸣paruŋ] 他動 他動詞。追っかけて行く。後追いする。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ビバ ウイ⸣パルンティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢biba ʔui⸣parunti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (親の尻を追っかけようとして、どうにも手がつけられない<養生できない>) 2396 0 0 2312 htmvoc_2396.wav ウイビ ⸢ウイ⸣ビ [⸢ʔui⸣bi] 名 指。「指、ユビ、俗云オヨビ」『類聚名義抄』の俗称から転訛したウ⸢ヤ⸣ビ[ʔu⸢ja⸣bi](指)の再転訛したもの。 ⸢ウイビ⸣ヌ ⸣タケー ⸢マータキ ナー⸣ヌ [⸢ʔuibi⸣nu ⸣tḁkeː ⸢maːtaki naː⸣nu] (指の長さは同じではない<諺>{EOS}兄弟でも才能は同じではない{EOS}それぞれ特性がある)。老年層はウ⸢ヤ⸣ビ[ʔu⸢ja⸣bi](指)という。 ウ⸢ブウヤ⸣ビ [ʔu⸢buʔuja⸣bi] (親指)。 プ⸢スッシ⸣ウビ [pu̥⸢suʃʃi⸣ʔubi] (人差し指)。 ナ⸢カ⸣イビ [na⸢ka⸣ʔibi] (中指)。 ⸢ナーナシ⸣ウビ [⸢naːnaʃi⸣ʔubi] (名無し指<薬指>)。 ウイ⸢ベー⸣マ [ʔui⸢beː⸣ma] (小指)。 ⸢ウイ⸣ベー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣マイニル ⸣ブル [⸢ʔui⸣beː ⸢duː⸣nu ⸣mainiru ⸣buru] (指は自分の手前にぞ折れる{EOS}身内の事を真先に考えるのが人情であり、道理である<諺>) 3066 0 0 2313 htmvoc_3066.wav ウイビヌマタ ⸢ウイビ⸣ヌ ⸣マタ [⸢ʔuibi⸣nu ⸣mata] 連 指と指の間。「指の股」の義。若年層の言葉。老年層は、ウ⸢ヤ⸣ビ[ʔu⸢ja⸣bi](ゆび{EOS}「指、ユビ、俗云 オヨビ」『類聚名義抄』の転訛か)というのが普通。ウ⸢ヤビ⸣ヌ ⸣マタ[ʔu⸢jabi⸣nu ⸣mata](指と指の間)という。 ピ⸢ラク⸣ヌ ⸢スー⸣ワティ ⸢ウイビ⸣ヌ ⸣マター サキティ ⸢シー⸣ パリ⸢ベー [pi⸢raku⸣nu ⸢suː⸣wati ⸢ʔuibi⸣nu ⸣mataː ⸣sḁkiti ⸢ʃiː⸣ pari⸢beː] (寒さが厳しい<強い>ので、指の股が裂けて血が流れている) 2397 0 0 2314 htmvoc_2397.wav ウイプス ⸢ウイ⸣プス [⸢ʔui⸣pu̥su] 名 老い人。老人。年寄り。「~老人<オイヒト>の をつとふ水ぞ~。万、1034」の転訛したもの。 ⸢ウイ⸣プソー ヤ⸢ラビ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [⸢ʔui⸣pu̥soː ja⸢rabi⸣tu ju⸢nu⸣munu] (年寄りは子供と同じだ)。 ⸢ウイ⸣プス ⸣ナルカー ヤ⸢ラビ⸣ル ⸣ナル [⸢ʔui⸣pu̥su ⸣narukaː ja⸢rabi⸣ru ⸣naru] (年を取ると子供に帰る<老人になると子供になる>) 2398 0 0 2315 htmvoc_2398.wav ウイプススクライ ⸢ウイプススク⸣ライ [⸢ʔuipususu̥ku⸣rai] 名 老人の格好をすること。老人ぶること。「老い人・繕い」の転訛。意図的に老人の真似をすること。 フ⸢ユニン⸣マー ⸢ウイプススクライ⸣バ ⸢シー⸣ シ⸢グトゥン サムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ビ⸢リベー [ɸu⸢junim⸣maː ⸢ʔuipu̥susukurai⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢gutun samuti⸣ naː⸢i⸣ bi⸢ribeː] (怠け者は老人の格好をして<老人ぶって>仕事もせずにただ座っている) 2399 0 0 2316 htmvoc_2399.wav ウイプソーキナイヌタカラ ⸢ウイ⸣プソー キ⸢ナイヌ⸣ タ⸢カ⸣ラ [⸢ʔui⸣pu̥soː ki⸢nainu⸣ tḁ⸢ka⸣ra] 連 老人は家庭の宝だから、尊重すべきである(諺) 2401 0 0 2317 htmvoc_2401.wav ウイブン ⸢ウイブン [⸢ʔuibuŋ] 自動 及ぶ。望みが適(かな)う。手が届く。匹敵する。 ⸢ワーナー⸣ト マ⸢ナ⸣マー ⸣カイブ ⸣クトー ⸢ウイブ⸣スコー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢waːnaː⸣to ma⸢na⸣maː ⸣kaibu ⸣ku̥toː ⸢ʔuibu⸣sukoː ʔa⸢ra⸣nu] (君なんぞ、今はこんなことが適う <及ぶ> ものではない)。 ⸢ワンマー ウイバラヌ [⸢wammaː ʔuibaranu] (君には及ばれない)。 ク⸢レー バン⸣ヌン ⸢ウイブン⸣カヤー [ku⸢reː ban⸣nuŋ ⸢ʔuibuŋ⸣kajaː] (これには私も及ぶ<叶う{EOS}手が届く>かなあ) 3229 0 0 2318 htmvoc_3229.wav ウイベーマ ウイ⸢ベー⸣マ [ʔui⸢beː⸣ma] 名 小指。「指小」の義。ウ⸢ベー⸣マ[ʔu⸢beː⸣ma](小指)ともいう。 ウイ⸢ベー⸣マ ⸣ヤドゥナー ⸢フッカーサ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔui⸢beː⸣ba ⸣jadunaː ⸢ɸukkaːsa⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (小指が戸に挟まれて痛くてたまらない<病みてどうにも我慢できない>) 2403 0 0 2319 htmvoc_2403.wav ウイマーシカルイマーシ ⸢ウイマーシ⸣ カ⸢ルイマー⸣シ [⸢ʔuimaːʃi⸣ ka⸢ruimaː⸣ʃi] 連 追い回し、負いまわし。放し飼いにしている鶏を、夕方に鶏小屋へ追い込む際にもちいる。また体から遊離した魂を、供物を供えて呼び寄せの祈願をし、追い立てるように、負い囲うようにして呼び寄せ、魂籠めをすることにもいう。両手を広げて、逃がさぬように追い立てること。追い込み漁で、海の魚を袋網の中へ追い込むことにもいう。 ⸢ウイマーシ⸣ カ⸢ルイマー⸣シ ⸢サーリオー⸣リ マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [⸢ʔuimaːʃi⸣ ka⸢ruimaː⸣ʃi ⸢saːriʔoː⸣ri ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (追い回し、負い囲いまわしして連れてこられて、魂籠めをさせてください) 2402 0 1 2320 htmvoc_2402.wav ウイマースン ⸢ウイマースン [⸢ʔuimaːsuŋ] 他動 {Mn_1}追い回す。 ⸣ユネン ⸣ナルカー トゥ⸢ロー ウイマーシ⸣ トゥ⸢ルン⸣ヤー ⸢ペーラ⸣シ [⸣junen ⸣narukaː tu⸢roː ʔuimaːʃi⸣ tu⸢ruɲ⸣jaː ⸢peːra⸣ʃi] (夕方になったら鶏は追い回して鶏舎に入れなさい)。 2402 0 2 2321 htmvoc_2402.wav ウイマースン ⸢ウイマースン [⸢ʔuimaːsuŋ] 他動 {Mn_2}追い立てる。せかす。 ⸣ドゥーシ ⸢カンガイ⸣ヤーティ シ⸢グトゥ シーユーサンダル⸣ プ⸢スン ウイマーサレー⸣ティ ⸢アー⸣クンティ [⸣duːʃi ⸢kaŋgai⸣jaːti ʃi⸢gutu ʃiːjuːsandaru⸣ pu̥⸢suŋ ʔuimaːsareː⸣ti ⸢ʔaː⸣kunti] (自分で考えながら仕事をし得ないから、他人に追い立てられ<指図され、せかされ>ている<あるく>さ) 2404 0 0 2322 htmvoc_2404.wav ウイマサリ ⸢ウイマサリ [⸢ʔuimasari] 名 年をとるにつれて向上すること。成長し、進級するにつれて優秀になること。 ク⸢ヌ ッふァー ウイマサリ シー⸣ イッ⸢ケナ マイフナーユン [ku⸢nu ffaː ʔuimasari ʃiː⸣ ʔik⸢kena maiɸunaːjuŋ] (この子は成長し、進級するにつれて優秀になり、素晴らしい子だ<利発な子だ>) 2405 0 0 2323 htmvoc_2405.wav ウイマリ ⸢ウイ⸣マリ [⸢ʔui⸣mari] 名 遅生まれ。熟して生まれること。十一月、十二月まで生まれの子。パ⸢ヤ⸣マリ[pa⸢ja⸣mari](早生まれ{EOS}一月、二、三月生まれの子)の対義語。 ⸢ウイ⸣マリ ⸢セー⸣ ッ⸢ふァー⸣ ズク ⸢シーブンダ ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢ʔui⸣mari ⸢ʃeː⸣ f⸢faː⸣ ʣuku ⸢ʃiːbunda soːja naː⸣nu] (遅生まれした子は成熟しているから心配はない) 2407 0 0 2324 htmvoc_2407.wav ウイヤク ⸢ウイヤク [⸢ʔuijaku] 名 上役。上司。 ⸢ウイヤクヌ⸣ ア⸢ゾー⸣ル ⸣クトー ユー シ⸢キ⸣ダー [⸢ʔuijakunu⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣kutoː ⸣juː ʃi̥⸢ki⸣daː] (上役の言われることはよく聞けよ) 2408 0 0 2325 htmvoc_2408.wav ウイルン ⸢ウイ⸣ルン [⸢ʔui⸣ruŋ] 自動 老いる。古くなる。熟する。⸣ウーン[⸣ʔuːŋ](老ゆ{EOS}上二段活用系)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ナ⸢ベー⸣ラー ⸢ウイ⸣キシティ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢nu⸣ na⸢beː⸣raː ʔui⸣ki̥ʃiti f⸢faːranu] (このへちま<糸瓜>は古くなって<老いきって{EOS}完熟して>食べられない)。 ⸢ワー ピッ⸣チン ウイラン⸣バン⸢ナー [⸢waː pit⸣ʧiŋ ⸢ʔuiram⸣ban⸢naː] (君はちっとも老けない<年を取らない>ね) 2409 0 0 2326 htmvoc_2409.wav ウイルン ⸢ウイ⸣ルン [⸢ʔui⸣ruŋ] 自動 傷が治る。⸣ウーン[⸣ʔuːŋ](生ふ)ともいう。「~百枝さし 於布流<オフル>橘~。万、1507」の転訛したもの。 キ⸢ジェー ウイ⸣ヤーチバ ⸣メー ア⸢ラカ⸣リン [ki⸢ʤeː ʔui⸣jaːʧiba ⸣meː ʔa⸢raka⸣riŋ] (傷は治った<生いた>から、もう歩けるよ)。 ⸢ウイパヤー⸣ン [⸢ʔuipajaː⸣ŋ] (治り早い<生いやすい>)。 キ⸢ジェー ウイ⸣ルンテー ウ⸢モーラヌ⸣ヌ ⸢ウイル⸣ クトゥン ⸣アンカヤー [ki⸢ʤeː ʔui⸣runteː ʔu⸢moːranu⸣nu ⸢ʔui⸣ruku̥tuŋ ⸣ʔaŋkajaː] (傷は治るとは思えないが、治ることもあるかなあ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイ⸣レー(⸢ウイ⸣ヤー) ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ʔui⸣reː(⸢ʔui⸣jaː) misamunu] (速く完治すれば<生いれば>良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウイ⸣リ [⸢paː⸣ku⸢ʔui⸣ri] (早く完治しろ<生いろ>) 2329 0 0 2327 htmvoc_2329.wav ウインザスン ⸢ウインザスン [⸢ʔuinʣasuŋ] 他動 追い出す。追い払う。 ム⸢カ⸣シェー ユ⸢ミヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢サン⸣カー ⸢ウインザサリ⸣シタツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ju⸢minu⸣ f⸢fa⸣ na⸢saŋ⸣kaː ⸢ʔuinʣasari⸣ʃi̥taʦoː] (昔は嫁が子を産まないと追い出されたそうだ)。 ヤ⸢ナ⸣ムヌ ⸢ウインザスンティ ニン⸣ガイ ⸢シー オール⸣ヌ ⸢マー⸣ス ⸢パンカン⸣カー ⸢ウインザサラン⸣ツォー [ja⸢na⸣munu ⸢ʔuinʣasunti niŋ⸣gai ⸢ʃiː ʔoːru⸣nu ⸢maː⸣su ⸢paŋkaŋ⸣kaː ⸢ʔuinʣasaran⸣ʦoː] (悪霊を家から追い払おうと祈願しておられるが、塩を撒かない追い払われないそうだ)。 ⸢ウインザシ⸣ ミサカー ⸢ウインザス⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ʔuinʣaʃi⸣ misakaː ⸢ʔuinʣasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (追い出して良ければ追い出すことは出来る)。 ⸢ウインザシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuinʣaʃeː⸣ misamunu] (追い出せば良いのに)。 ムー⸢ル ウインザシ⸣バ [muː⸢ru ʔuinʣaʃi⸣ba] (全部追い出せよ)。⸢ウイザスン[⸢ʔuiʣasuŋ](追い出す)ともいう 2485 0 0 2328 htmvoc_2485.wav ウカ ⸣ウカ [⸣ʔuka] 名 負債。借金。 ⸣ウカー ⸣カベーティル ⸢ヤーヤシ⸣キーン ム⸢トゥ⸣ミ ッ⸢ふァン⸣ケーン ス⸢ダ⸣ティ ケー⸢ダー [⸣ʔukaː ⸣kabeːtiru ⸢jaːjaʃi̥⸣kiːm mu⸢tu⸣mi f⸢faŋ⸣keːn su⸢da⸣ti keː⸢daː] (借金をして<負債を被って>家や屋敷も求め、子供たちも育ててきたのだよ) 2486 0 1 2329 htmvoc_2486.wav ウカーウカーシ ウ⸢カーウカー⸣シ [ʔu⸢kaːʔukaː⸣ʃi] 副 {Mn_1}おかしく。滑稽で。 ウ⸢リヌ⸣ カ⸢タチ⸣ ミ⸢リバ⸣ル ⸣メー ⸢フン⸣トー ウ⸢カーウカー⸣シティ バ⸢ライル⸣ シ⸢ラリ⸠ツォー [ʔu⸢rinu⸣ kḁ⸢taʧi⸣ mi⸢riba⸣ru ⸣meː ⸢ɸun⸣toː ʔu⸢kaːʔukaː⸣ʃi̥ti ba⸢rairu⸣ ʃi⸢rari⸠ʦoː] (彼の<あれの>格好を見ると、もう本等におかしくて笑わずにはおれない<笑われぞされる{EOS}自然に笑いが出る>)。 2486 0 2 2330 htmvoc_2486.wav ウカーウカーシ ウ⸢カーウカー⸣シ [ʔu⸢kaːʔukaː⸣ʃi] 副 {Mn_2}危なっかしい。 ウ⸢カーウカー⸣シ シ⸢グトゥ シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ヌ ⸢ヌー⸣シカヤー [ʔu⸢kaːʔukaː⸣ʃi ʃi⸢gutu ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣nu ⸢nuː⸣ʃi̥kajaː] (危なげに仕事をしているが、どうだろう) 2487 0 1 2331 htmvoc_2487.wav ウカーサン ウ⸢カー⸣サン [ʔu⸢kaː⸣saŋ] 形 {Mn_1}可笑しい。滑稽だ。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー イッ⸢ケン⸣ ウ⸢カー⸣サン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢kaː⸣saŋ] (その話は非常におかしい<滑稽だ>)。 ⸢ナン⸣ゾー ウ⸢カーサ ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔu⸢kaːsa naː⸣nu] (あまり可笑しくない)。 ⸣アイブ ウ⸢カー⸣サ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キ⸣ ミ⸢ラン⸣シェン [⸣ʔaibu ʔu⸢kaː⸣sa pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢ki⸣ mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (あんな可笑しな話は聞いたことが無い<聞いてみなかった>)。 2487 0 2 2332 htmvoc_2487.wav ウカーサン ウ⸢カー⸣サン [ʔu⸢kaː⸣saŋ] 形 {Mn_2}怪しい。おかしい。疑わしい。危なっかしい。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢カー⸣サンティ ウ⸢モー⸣リ [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢kaː⸣santi ʔu⸢moː⸣ri] (それは怪しい<疑わしい>と思われる)。 ノー⸢ン⸣ ウ⸢カーサ ナー⸣ヌ [noː⸢ŋ⸣ ʔu⸢kaːsa naː⸣nu] (何も怪しくない)。 ウ⸢リヌ シー⸣ヨー ⸣ミルカー ウ⸢カーサ⸣ヌ ⸢ダーッ⸣サンテー ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu ʃiː⸣joː ⸣mirukaː ʔu⸢kaːsa⸣nu ⸢daːs⸣santeː ʔu⸢moːra⸣nu] (彼の<あれの>仕方を見ていると、どうも怪しくて<危なっかしくて>、大丈夫だ<良い>とは思われない)。 ウ⸢カー⸣サ パ⸢ナ⸣シェー ス⸢クナ⸣ヨー [ʔu⸢kaː⸣sa pa⸢na⸣ʃeː su̥⸢kuna⸣joː] (怪しい<疑わしい>話は聞くなよ) 2488 0 0 2333 htmvoc_2488.wav ウカカビムヌ ウ⸢カカビ⸣ムヌ [ʔu⸢kakabi⸣munu] 名 借金だらけの人。借金被り。 ⸣スブットゥ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢タラケー サムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ウ⸢カカビ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢アー⸣ク [⸣subuttu ja⸢runda⸣ pḁ⸢tarakeː samuti⸣ naː⸢i⸣ ʔu⸢kakabi⸣munu ⸣nari ⸢ʔaː⸣ku] (怠け者だから働きはしないで、ただ借金だらけの人<借金被り>になっている<なってあるく>) 2489 0 0 2334 htmvoc_2489.wav ウカカブン ⸣ウカ ⸣カブン [⸣ʔuka ⸣kabuŋ] 連 借金する。「借金被る」の義。 ッ⸢ふァ⸣ ウ⸢キナー⸣ヌ ⸢ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣スカー ⸣ウカ カブン⸢ダー [f⸢fa⸣ ʔu⸢kinaː⸣nu ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣su̥kaː ⸣ʔuka kabun⸢daː] (子供を沖縄の学校に進学させる<出す>と借金を被るよ) 2490 0 0 2335 htmvoc_2490.wav ウカギ ウ⸢カ⸣ギ [ʔu⸢ka⸣gi] 名 おかげ(御陰)。力添え。恩恵。 ⸢ワー タシ⸣キ ⸢フィーッタ⸣ ウ⸢カ⸣ギシル ⸢ヤーニン⸣ズ ⸣ドゥーガンズーシ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリケー⸢ダー [⸢waː taʃi̥⸣ki ⸢fiːtta⸣ ʔu⸢ka⸣giʃiru ⸢jaːnin⸣ʣu ⸣duːgaʣuːʃi ma⸢na⸣ma narikeː⸢daː] (君が助けてくれたお陰で家族みんなが健康で今までやってこれたのだよ) 2491 0 1 2336 htmvoc_2491.wav ウカサリン ウ⸢カサリン [ʔu⸢kasariŋ] 自動 {Mn_1}高熱に冒される。意識不明になる。 マ⸢ラリア⸣ヌ ⸣ニチナ ウ⸢カサリティル⸣ ミ⸢チェー⸣ラ ⸢ヨーッタベー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ma⸢raria⸣nu ⸣niʧina ʔu⸢kasaritiru⸣ mi⸢ʧeː⸣ra ⸢joːttabeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (マラリアの高熱に冒されて道からふらついて歩いている<歩いてあるく>)。 2491 0 2 2337 htmvoc_2491.wav ウカサリン ウ⸢カサリン [ʔu⸢kasariŋ] 自動 {Mn_2}女性に心を奪われる。女性の色香に迷わされる。 ウ⸢レー⸣ ミ⸢ドゥ⸣ムナ ウ⸢カサリティ⸣ ア⸢サビ⸣ ム⸢チリティ⸣ シ⸢グトゥヌ⸣ アンティン ッ⸢サヌ [ʔu⸢reː⸣ mi⸢du⸣muna ʔu⸢kasariti⸣ ʔa⸢sabi⸣ mu⸢ʧiriti⸣ ʃi⸢gutunu⸣ ʔantin s⸢sanu] (彼は女性に心を奪われて、遊び惚けて<睦れて>仕事があるということも知らない<忘れている>) 2492 0 0 2338 htmvoc_2492.wav ウカシー ウ⸢カシー [ʔu⸢kaʃiː] 連体 おかしいこと。いぶかしいこと。ウ⸢カー⸣サン[ʔu⸢kaːsaŋ](おかしい)ともいう。 ⸣アイ ⸢ブー⸣カー ウ⸢レー⸣ ウ⸢カシー⸣ ク⸢トゥ⸣ユン [⸣ʔai ⸢buː⸣kaː ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢kaʃiː⸣ ku̥⸢tu⸣juŋ] (そんなだったら<そのようだったら>、それはおかしなことだよ) 2495 0 0 2339 htmvoc_2495.wav ウカッキルン ウ⸢カッキ⸣ルン [ʔu⸢kakki⸣ruŋ] 他動 立て掛ける。壁などに立て掛ける。持たせかける。よせかける。他のものに寄せて立て掛ける。 パ⸢シ⸣グ ⸢キーヌ⸣ユダナ ウ⸢カッキ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢カッキララ⸣ヌ [pḁ⸢ʃi⸣gu ⸢kiːnu⸣judanaː ʔu⸢kakki⸣runti ⸢sundu⸣ ʔu⸢kakkirara⸣nu] (梯子を木の枝に立て掛けよとするが、立て掛けられない) 2496 0 0 2340 htmvoc_2496.wav ウカックン ウ⸢カッ⸣クン [ʔu⸢kak⸣kuŋ] 他動 立て掛く。壁などに立て掛ける。他のものに寄せて立て掛ける。 ⸣イダフニヌ パ⸢ラー⸣ヤ ピ⸢サシ⸣ナ ウ⸢カッ⸣キ ⸣ミサンカヤー [⸣ʔidaɸuninu pa⸢raː⸣ja pi̥⸢saʃi⸣na ʔu⸢kak⸣ki ⸣misaŋkajaː] (サバニ<板舟>の帆柱は軒<庇>に立て掛けて良いかねえ) 2498 0 0 2341 htmvoc_2498.wav ウカットーン ウ⸢カットー⸣ン [ʔu⸢kattoː⸣ŋ] 形 軽率である。迂闊である。うっかりしている。無神経で気配りがない。 ⸢サッ⸣コー ウ⸢カットー⸣ンダ ア⸢サビブリ シティ⸣ プ⸢スヌ⸣ タ⸢ナミ⸣グトー ス⸢ラーク   バシキティ ミーワク⸣ カケーティ ⸢アー⸣クンティ [⸢sak⸣koː ʔu⸢kattoː⸣junda ʔa⸢sabiburi ʃi̥ti⸣ pu̥⸢sunu⸣ ta⸢nami⸣gutoː su⸢raːku baʃi̥kiti miːwaku⸣ kḁkeːti ⸢ʔaː⸣kunti] (あまりにも軽率な人間<迂闊者>であるから遊び惚けて<遊び惚れして>、人の頼まれごとをすっかり忘れて迷惑をかけているよ) 2497 0 1 2342 htmvoc_2497.wav ウカットゥ ウ⸢カットゥ [ʔu⸢kattu] 副 {Mn_1}ぼんやりと。深く考えないさま。気が利かないさま。不注意に。ぼんやりと。「Vcato<うかと>シテワ イカデカ バンジ カナウベキ」『ロドリゲス日本大文典』の転訛したもの。 ウ⸢カットゥ⸣シ カー⸢ニ ブーユンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニーン ナ⸢マンダシキバ シェー⸣ティ マ⸢チ⸣ガイ ⸣シケーンティ [ʔu⸢kattu⸣ʃi kaː⸢ni buːjunda⸣ pu̥⸢sunu⸣ muniːn na⸢mandaʃi̥kiba ʃeː⸣ti ma⸢ʧi⸣gai ⸣ʃi̥keːnti] (ぼんやりしてばかりいるから、人の言うことも上の空で<生半可聞きをして>聞いて、間違えてあるさ)。 2497 0 2 2343 htmvoc_2497.wav ウカットゥ ウ⸢カットゥ [ʔu⸢kattu] 副 {Mn_2}軽率に。疎かに。迂闊に。うっかり。 ヨー⸢ヨー⸣ ナ⸢サ⸣ヌナカー ヤ⸢レースヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ブン⸣ゲー ウ⸢カットゥ⸣シ ⸢バシケー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [joː⸢joː⸣ na⸢sa⸣nunakaː ja⸢reːsunu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢buŋ⸣geː ʔu⸢kattu⸣ʃi ⸢baʃi̥keː⸣ na⸢ran⸣daː] (よくよく心がけなさいよ{EOS}生さぬ仲ではあるが、迂闊に親のご恩<恩義>は忘れてはならないぞ) 2499 0 0 2344 htmvoc_2499.wav ウカヌミー ウ⸢カ⸣ヌ ⸣ミー [ʔu⸢ka⸣nu ⸣miː] 連 借金のかた(形)。負債の抵当。負債の担保。⸣ミー[⸣miː]は「穴」の義で、欠損、損失部分を埋め合わせすべき穴の意。 ウ⸢カ⸣ヌ ⸣ミーティ ⸢シー パ⸢タラカサリ ベー [ʔu⸢ka⸣nu ⸣miːti ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢tarakasari beː] (負債の代償<借金の\ruby{形}{カタ}>として働かされている) 2500 0 0 2345 htmvoc_2500.wav ウカバライ ⸣ウカバライ [⸣ʔukabarai] 名 借金払い。借金を返済すること。負債の返済。 イ⸢チバー⸣キシ ⸣ウカパライ ⸣ナルカヤー [ʔi⸢ʧibaː⸣kiʃi ⸣ʔukaparai ⸣narukajaː] (いつまでで借金返済<借金払い>はできるのかなあ) 2501 0 1 2346 htmvoc_2501.wav ウガマリルン ウ⸢ガマリ⸣ルン [ʔu⸢gamari⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}拝まれる。ウ⸢ガ⸣ムン[ʔu⸢ga⸣muŋ](拝む)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された受身・可能の派生動詞。 ウ⸢ヤ⸣プソー ッ⸢ふァ⸣マーンケーン ウ⸢ガマ⸣リ ⸢オー⸣ルンカヤー [ʔu⸢ja⸣pu̥soː f⸢fa⸣maːŋkeːŋ ʔu⸢gama⸣ri ⸢ʔoː⸣ruŋkajaː] (ご先祖様は子や孫に拝まれておられだろうか)。 2501 0 2 2347 htmvoc_2501.wav ウガマリルン ウ⸢ガマリ⸣ルン [ʔu⸢gamari⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}拝謁できる。 ⸢カンヌマイ⸣ヤー イ⸢チン⸣ ウ⸢ガマ⸣リン [⸢kannumai⸣jaː ʔi⸢ʧiŋ⸣ ʔu⸢gama⸣riŋ] (神様はいつでも拝むことができる<拝まれる>) 2502 0 0 2348 htmvoc_2502.wav ウガムン ウ⸢ガ⸣ムン [ʔu⸢ga⸣muŋ] 他動 拝む。 ⸣アドーラ ⸣ケームヌ シ⸢ザ⸣ヌ ⸣シラーンツァン ウ⸢ガ⸣ミティル シ⸢マー⸣ヤ パ⸢ラ⸣リ [⸣ʔadoːra ⸣keːmunu ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣ʃiraːnʦaŋ ʔu⸢ga⸣mitiru ʃi⸢maː⸣ja pa⸢ra⸣ri] (あんなに遠くから来たのだから兄さんの顔でも拝んでから<ぞ>島へは帰ろう<帰られる>)。 ⸣バー ウ⸢ガマ⸣ヌ [⸣baː ʔu⸢gama⸣nu] (私は拝まない)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ガ⸣ムカー ⸢バン⸣ヌン ⸢カンヌ⸣マイ ウ⸢ガ⸣ムン [⸢waː⸣ ʔu⸢ga⸣mukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢kannu⸣mai ʔu⸢ga⸣muŋ] (君が拝むなら私も神様を拝む)。 ウ⸢ガ⸣ム プ⸢ソー パー⸣ク ウ⸢ガ⸣ミ [ʔu⸢ga⸣mu pu̥soː paː⸣ku ʔu⸢ga⸣mi] (拝む人は早く拝め)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ガ⸣メー ミサムヌ [⸢waː⸣ ʔu⸢ga⸣meː ⸣misamunu] (君は拝めばよいのに) 2503 0 0 2349 htmvoc_2503.wav ウカヤン ウ⸢カ⸣ヤン [ʔu⸢ka⸣jaŋ] 形 可笑しい。滑稽である。「可吹、又、可咲。見\kaeriten{二}醜貌\kaeriten{一}咲(わらふ)貌。阿奈乎加志(あなをかし)」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ウ⸢リヌ シー⸣ヨー ミ⸢リバ⸣ル ⸣メー ウ⸢カヤ⸣ヌ バ⸢ライル⸣ シ⸢ラリ⸠ツォー [ʔu⸢rinu ʃiː⸣joː mi⸢riba⸣ru ⸣meː ʔu⸢kaja⸣nu ba⸢rairu⸣ ʃi⸢rari⸠ʦoː] (彼の仕様を見ると可笑しくて、もう笑うしかないよ<笑いぞされるんですよ>)。 ⸢クンドゥ⸣ヌ シ⸢バヤー⸣ イッ⸢ケン⸣ ウ⸢カ⸣ヤンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ウ⸢カヤー ナーン⸣シェン [⸢kundu⸣nu ʃi⸢bajaː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢ka⸣janti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ʔu⸢kajaː naːŋ⸣ʃeŋ] (今度の芝居は非常に可笑しいと聞いたが、あまり可笑しく<滑稽で>なかった)。 ウ⸢カ⸣ヤ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン⸣ ウ⸢カ⸣ヤ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢ka⸣ja pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ŋ⸣ ʔu⸢ka⸣ja na⸢ri⸣su] (おかしな<滑稽な>人の話を聞くと誰でも可笑しくなる)。 ⸣アイニ ウ⸢カ⸣ヤカー ター⸢ン⸣ バ⸢ライス⸣ヨー [⸣ʔaini ʔu⸢ka⸣jakaː taː⸢m⸣ ba⸢raisu⸣joː] (あんなに可笑しかったら誰でも笑うよ)。「人に謀られて言ふもいとをこ(烏滸)なり」『源氏物語 東屋』の転訛したものか。 シ⸢ナタカタチ⸣ ミ⸢リバ⸣ル メー ウ⸢カヤ⸣ヌ バ⸢ライル⸣ シ⸢ラリタル [ʃi⸢natakḁtaʧi⸣ mi⸢riba⸣ru ⸣meː ʔu⸢kaja⸣nu ba⸢rairu⸣ ʃi⸢raritaru] (姿形を見ると<見ればぞ>、もう滑稽で、おかしくて笑わずにはおれない<笑いぞされる>)。 ウ⸢カ⸣ヤタンティン バ⸢ラウナ [ʔu⸢ka⸣jatantim ba⸢rauna] (可笑しくても笑うな)。 ⸢キー⸣シキ ⸣ミルカー ウ⸢カヤナー⸣ヌ [⸢kiː⸣ʃi̥ki ⸣mirukaː ʔu⸢kajanaː⸣nu] (気をつけて見たらおかしくないよ)。 ⸣アイブ ウ⸢カ⸣ヤ ⸣ムノー ミリミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ʔu⸢ka⸣ja munoː mirimi⸢ra⸣nu] (あんなに滑稽で可笑しいものは見たことがない) 2504 0 0 2350 htmvoc_2504.wav ウカルン ウ⸢カ⸣ルン [ʔu⸢ka⸣ruŋ] 自動 合格する。受かる。明治29年に学校が設置されて後、標準語の「受かる」から転訛したもの。 ⸢ウイヌ ガッコー⸣ヌ ⸣シキン ウ⸢カ⸣ルンティ ウ⸢モーン⸣シェンドゥ ウ⸢カ⸣レーンツォー [⸢ʔuinu gakkoː⸣nu ⸣ʃikiŋ ʔu⸢ka⸣runti ʔu⸢moːŋ⸣ʃendu ʔu⸢ka⸣reːnʦoː] (上級学校の試験に合格するとは思わなかったが、受かったそうだ)。 ク⸢トゥシェー⸣ ウ⸢カラン⸣シェン [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔu⸢karaŋ⸣ʃeŋ] (今年は受からなかった)。 ⸣シケン ウ⸢カリ⸣ ミサカー シ⸢グ⸣ ウ⸢カ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣ʃi̥keŋ ʔu⸢ka⸣ri ⸣misakaː ʃi⸢gu⸣ ʔu⸢ka⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (試験に合格して良ければ、すぐ合格することは出来る) 2505 0 0 2351 htmvoc_2505.wav ウガン ⸣ウガン [⸣ʔugaŋ] 名 御嶽。御願所。聖域。「拝み」の義。「Vogamijo.ヲガミジョ(拝み所)、Faiden」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ヲガミ[wogami] → ウガミ[ʔugami] → ウガン[ʔugaŋ]の音韻変化による。鳩間島では「ウタキ」とは言わない。必ず⸣ウガン[⸣ʔugaŋ]という。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](「本お願」の義{EOS}友利御嶽{EOS}単に⸣ムトゥともいう{EOS}歌謡では、トゥ⸢ムル{SqBr}tu⸢muru{/SqBr}と歌われている)、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川御嶽)、ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽{EOS}ミ⸢ジムトゥ{SqBr}mi⸢ʣimutu{/SqBr}ともいう)、⸢マイドゥム⸣ルウガン[⸢maidumu⸣ruʔugaŋ](前泊御嶽{EOS}タ⸢ビヌ⸣ウガン{SqBr}ta⸢binu⸣ʔugaŋ{/SqBr}<旅のお願>ともいう)、ニ⸢シ⸣ドーウガン[ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ](西堂御嶽)、フ⸢ナ⸣バルウガンン[ɸu⸢na⸣baruʔugaŋ](船原お嶽)などがある。『琉球国由来記』には、「友利御嶽」と「ヒナイ御嶽」のフ⸢タヤマ[ɸu̥⸢tajama](二御嶽<二山{EOS}二岳>)が記載されている。 ウ⸢ガン⸣マー プ⸢ス⸣ヤマ フ⸢タヤマ⸣ティル ⸣カズイ⸢ヨーッ⸣タ(ユ⸢モーッ⸣タ(数えられた)) [ʔu⸢gam⸣maː pu̥⸢su⸣jama ɸu̥⸢taja⸣matiru kaʣui⸢joːt⸣ta] (御嶽は一山、二山と<ぞ>数えられた) 2506 0 0 2352 htmvoc_2506.wav ウガングトゥ ウ⸢ガン⸣グトゥ [ʔu⸢gaŋ⸣gutu] 名 神仏への祈願ごと。ウ⸢ガンブス⸣ク[ʔu⸢gambusu⸣ku](祈願不足)は信心が足りず、ウ⸢ガン⸣グトゥを怠ることから起きるといわれている。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ウ⸢ガン⸣グトゥン ⸢シッ⸣パイ ⸢シー⸣ケーン [⸢kannumai⸣nu ʔu⸢gaŋ⸣gutuŋ ⸢ʃip⸣pai ⸢ʃiː⸣keːŋ] (神様への祈願ごとも一所懸命<精一杯>やってきている) 2507 0 0 2353 htmvoc_2507.wav ウガンザキ ウ⸢ガン⸣ザキ [ʔu⸢gan⸣ʣaki] 名 (地)崎枝の西の方にある岬。御神崎。この岬の沖は波が荒く航海の難所の一つと言われている。 ウ⸢ガンザキ⸣ヌ ⸢インタヌ トゥーヤ⸣ イッ⸢ケナ スー⸣ワン ティバン⸢ナー [ʔu⸢ganʣaki⸣nu ⸢ʔintanu tuːja⸣ ʔik⸢kena suː⸣wan tiban⸢naː] (御神崎の西の沖<渡>は波が非常に荒い<強い、難所である>そうだねえ) 2508 0 0 2354 htmvoc_2508.wav ウガンズ ウ⸢ガン⸣ズ [ʔu⸢gan⸣ʣu] 名 御願所。拝所。御嶽。⸣ウガンヤシキ[⸣ʔugaŋjaʃi̥ki](御願屋敷)ともいう。 ウ⸢ガン⸣ズーラ ⸣キー ⸣キシェー ナ⸢ラン⸠ダー [ʔu⸢gan⸣ʣuːra ⸣kiː ⸣ki̥ʃeː na⸢ran⸠da] (御願所から木を切ってはならないよ) 2509 0 0 2355 htmvoc_2509.wav ウガンツマスン ウ⸢ガンツマ⸣スン [ʔu⸢ganʦuma⸣suŋ] 他動 懲りさせる。降参させる。 ⸣ドク ッ⸢ふァイダマー⸣ティ ウ⸢ガンツマ⸣スンティ ⸢クース⸣ イ⸢ルタンドゥ⸣ ウ⸢ガンツマサラン⸣シェン [⸣duku f⸢faidamaː⸣ti ʔu⸢ganʦuma⸣sunti ⸢kuːsu⸣ ʔi⸢rutandu⸣ ʔu⸢ganʦumasaraŋ⸣ʃeŋ] (余にも食いしん坊なので、懲りさせようと唐辛子を入れたが、懲りさせられなかった) 2510 0 0 2356 htmvoc_2510.wav ウガンツミルン ウ⸢ガンツミ⸣ルン [ʔu⸢ganʦumi⸣ruŋ] 自動 参る。懲りる。降参する。ひどい目に会って二度とすまいと思う。ウ⸢ガン⸣ツムン[ʔu⸢gan⸣ʦumuŋ](懲りる)のラ行四段化したもの。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸣クトゥシ ウ⸢ガンツミ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ピッ⸣チン ウ⸢ガンツミラン⸣バン [⸢kundu⸣nu ⸣ku̥tuʃi ʔu⸢ganʦumi⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢pit⸣ʧiŋ ʔu⸢ganʦumiram⸣baŋ] (今度のことで懲りるだろうかと思ったが、ちっとも<一つも>懲りないわい) 2511 0 0 2357 htmvoc_2511.wav ウガンツムン ウ⸢ガン⸣ツムン [ʔu⸢gan⸣ʦumuŋ] 自動 参る。懲りる。降参する。へこたれて、二度とするまいと思う。 ク⸢トゥシヌ⸣ ピ⸢ラ⸣クナー ⸢フン⸣トー ウ⸢ガン⸣ツミ ⸢ミッ⸣タン [ku̥⸢tuʃinu⸣ pi⸢ra⸣kunaː ⸢ɸun⸣toː ʔu⸢gan⸣ʦumi ⸢mit⸣taŋ] (今年の寒さには本当に参りましたよ)。 ⸢タンガ⸣シ ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ター ⸢カイサ⸣シティ ウ⸢ガンツマ⸣スカー ン⸢メーマー⸣ ウ⸢ガン⸣ツムンユー シ⸢ミ⸣ミラ [⸢taŋga⸣ʃi ʔu⸢bi⸣nu ⸣taː ⸢kaisa⸣ʃi̥ti ʔu⸢ganʦuma⸣sukaː ʔm⸢meːmaː⸣ ʔu⸢gan⸣ʦumuɲjuː ʃi⸢mi⸣mira] (一人であれだけの田圃を耕させてへこたれさせると、少しは懲りるだろうか、させてみよう)。 ウ⸢リヌ⸣ ウ⸢ガン⸣ツム ⸣クトー ⸣アンカヤー [ʔu⸢rinu⸣ ʔu⸢gan⸣ʦumu ⸣ku̥toː ⸣ʔaŋkajaː] (彼が懲りることってあるのかね)。 ン⸢ベーマー⸣ ウ⸢ガン⸣ツメー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʔu⸢gan⸣ʦumeː ⸣misamunu] (少しは懲りたらいいのに)。 ウ⸢ガンツマ⸣シ [ʔu⸢ganʦuma⸣ʃi] (懲りさせなさい{EOS}降参させなさい)。身に沁みて堪える。ある事例を体験して深く反省する 2512 0 0 2358 htmvoc_2512.wav ウガンブスク ウ⸢ガンブス⸣ク [ʔu⸢gambusu̥⸣ku] 名 祈願不足。信心不足。神仏への祈願が足りないこと。祈願不足で神仏の加護が得られないこと。家族に病人や怪我人が出ると、ウ⸢ガンブス⸣クと言って、神仏への祈願行事を行った。 ⸢ウン⸣ネヌ ウ⸢シ⸣ヌ ス⸢コー トゥッキ⸣スティ ア⸢ザリ⸣ スコー ⸢マイ⸣ ッサイ ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーシ⸣ シケーバ ウ⸢ガンブス⸣コー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenu ʔu⸢ʃi⸣nu su̥⸢koː tukki⸣suti ʔa⸢ʣari⸣ su̥koː ⸢mai⸣ ssai ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoːʃi⸣ ʃi̥keːba ʔu⸢gambusu̥⸣koː ⸢naː⸣nu] (「その家の搗き臼の底は陥没する」と言われるくらい米<稲>を搗いて祈願をして差し上げてあるから祈願不足はない) 2513 0 0 2359 htmvoc_2513.wav ウガンヤマ ⸣ウガンヤマ [⸣ʔugaŋjama] 名 鎮守の杜。御願<御嶽>の林。御願は鬱蒼たる森に囲まれている。椰子やクバ(蒲葵)の神木が生えており、福木やヤラブ(てりはぼく)の大木が繁茂し、⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](クロツグ<桄榔子>)が聖域を囲んで密生している。昔から御願の樹木を切ることはタブーとされてきた。それを犯すと神罰が下るといわれている。 ⸣ウガンヤマーラ キー⸢ナー⸣トー ⸣キスカー ⸢カントゥン⸣ガー ア⸢ティラリン⸠ダー [⸣ʔugaŋjamaːra kiː⸢naː⸣toː ⸣ki̥sukaː ⸢kantuŋ⸣gaː ʔa⸢tirarin⸠daː] (鎮守の杜から木などを伐ると神罰を与えられる<当てられる>ぞ) 2514 0 0 2360 htmvoc_2514.wav ウキ ウ⸢キ [ʔu⸢ki] 名 水を運ぶ際に水桶の水面にススキの茎や芭蕉の葉を浮けて水の揺れを防ぐもの。「浮け」の義。 ⸢タン⸣グナー ウ⸢キ⸣ イ⸢ラン⸣カー ミ⸢ジェー⸣ ク⸢バリ⸣ス⸢ダー [⸢taŋ⸣gunaː ʔu⸢ki⸣ ʔi⸢raŋ⸣kaː mi⸢ʤeː⸣ ku⸢bari⸣su⸢daː] (水桶<担桶>に浮きを入れないと水は零れるよ) 2515 0 0 2361 htmvoc_2515.wav ウキ ウ⸢キ [ʔu⸢ki] 名 浮き。浮標。澪標(みおつくし)。⸢ブイ[⸢bui](buoy<浮標>)は英語からの借用語。日露戦役で帝国海軍を除隊した通事家の人が流行らせたという伝承(加治工伊佐)がある。現在はブイ、ゴーヘー、ゴーシタン、アンカー、ブリジ等もみんな本来の鳩間方言と思われている。 ⸢ハーガイ⸣ヌ ⸣トンナー ウ⸢キヌ⸣ タ⸢ティラ⸣リ ⸢ベー [⸢haːgai⸣nu ⸣tonnaː ʔu⸢kinu⸣ tḁtira⸣ri ⸢beː] (浅瀬の所には浮標が立てられている) 2516 0 0 2362 htmvoc_2516.wav ウキウーン ウ⸢キ⸣ウーン [ʔu⸢ki⸣ʔuːŋ] 他動 請け負う。請負仕事は石垣島のコンクリート建設業者が実施した。昭和初期頃に標準語から借用され、それから転訛した語であろう。 ⸢サンバシコー⸣ジェー ⸢タール⸣ ウ⸢キ⸣ウイ ⸢ソーッ⸣タカヤー [⸢sambaʃikoː⸣ʤeː ⸢taːru⸣ ʔu⸢ki⸣ʔui ⸢soːt⸣takajaː] (桟橋工事は誰が請負いなさったかねえ) 2517 0 0 2363 htmvoc_2517.wav ウキザーラ ウ⸢キザー⸣ラ [ʔu⸢kiʣaː⸣ra] 名 (動)鮫魚の名。和名、アオザメ。(体長7メートルに達するものがいるという)。大型鱶で、背の色は青色。性質は凶暴といわれている。鳩間島のイカ釣り漁では、体長約3~4メートルのウキザーラがしばしば釣り上げられた。昔は、ウキザーラの魚肉を長さ約20センチ、幅約3センチ、厚さ約1センチに切り、塩を\ruby{塗}{マブ}して天日乾燥したサ⸢バソー⸣ギリ[sa⸢basoː⸣giri]にして沖縄へ輸出されていた 2535 0 0 2364 htmvoc_2535.wav ウキシグトゥ ウ⸢キシグ⸣トゥ [ʔu⸢kiʃigu⸣tu] 名 請負仕事。 ⸢ヤースク⸣レー ウ⸢キシグ⸣トゥ シ⸢ミラバドゥ パイ⸣サ トゥ⸢ズミラ⸣リ⸢ダー [⸢jaːsu̥ku⸣reː ʔu⸢kiʃigu⸣tu ʃi⸢mirabadu pai⸣sa tu⸢ʣumira⸣ri⸢daː] (家屋建築<家造り>は請負仕事でさせた方が早く完成させられるよ) 2520 0 0 2365 htmvoc_2520.wav ウキズー ウ⸢キズー [ʔu⸢kiʣuː] 名 船の停泊所。「浮け所」の義。 カ⸢ツシンヌ⸣ ウ⸢キゾー⸣ キ⸢マリブタ [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔu⸢kiʣoː⸣ ki⸢maributa] (鰹船の停泊地<浮け所>は決まっていた)。桟橋の東側に正山丸、晃徳丸の二隻、桟橋の西側に大洋丸1隻のウ⸢キズー[ʔu⸢kiʣuː](浮け所)があった 2534 0 0 2366 htmvoc_2534.wav ウキッサ ウ⸢キッサ [ʔu⸢kissa] 名 (植)ホテイアオイ(布袋葵)。池や田圃、用水路などの水面に生える藻草。 ⸣ターナ ウ⸢キッサヌ⸣ ヤ⸢マ⸣カビ ムイ⸢ベー [⸣taːna ʔu⸢kissanu⸣ ja⸢ma⸣kabi mui⸢beː] (田圃にホテイアオイが繁茂している<山のように生えている>) 2537 0 0 2367 htmvoc_2537.wav ウキトゥミルン ウ⸢キトゥミ⸣ルン [ʔu⸢kitumi⸣ruŋ] 他動 受け止める。銘ずる。覚える。 ⸢シンシー⸣ヌ ナ⸢ラー⸣ソール ⸣クトゥ ウ⸢キトゥミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ム⸢チキサ⸣ヌ ウ⸢キトゥミララ⸣ヌ [⸢ʃiŋʃiː⸣nu na⸢raː⸣soːru ⸣ku̥tu ʔu⸢kitumi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du mu⸢ʧikisa⸣nu ʔu⸢kitumirara⸣nu] (先生が教えて下さることを受け止め<覚え>ようとするが、難しくて覚えられない)。 ウ⸢キトゥミヤッ⸣サン [ʔu⸢kitumijas⸣saŋ] (受け止めやすい)。 ウ⸢キトゥミ⸣ル ⸣クトゥ [ʔu⸢kitumi⸣ru ⸣ku̥tu] (受け止め<理解す>ること)。 シゥカイ⸢トゥ⸣ ウ⸢キトゥミ⸣リ [si̥kai⸢tu⸣ ʔu⸢kitumi⸣ri] (しっかり理解せよ) 2538 0 0 2368 htmvoc_2538.wav ウキトゥルン ウ⸢キ⸣トゥルン [ʔu⸢ki⸣turuŋ] 他動 受け取る。 ⸢ワー⸣ ウ⸢キ⸣トゥルカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢キ⸣トゥルン [⸢waː⸣ ʔu⸢ki⸣turukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ki⸣turuŋ] (君が受け取るなら私も受け取る)。 ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢キ⸣トゥリ [jaː⸢diŋ⸣ ʔu⸢ki⸣turi] (必ず受け取れ)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢キトゥラン⸣カー ウ⸢キ⸣トゥル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢waː⸣ ʔu⸢kituraŋ⸣kaː ʔu⸢ki⸣turu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (君が受け取らなければ受け取る人はいない)。 ウ⸢キ⸣トゥレー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ki⸣tureː ⸣misamunu] (受け取ればいいのに)。 ウ⸢キ⸣トゥリバ [ʔu⸢ki⸣turiba] (受け取れよ) 2521 0 0 2369 htmvoc_2521.wav ウキナー ウ⸢キ⸣ナー [ʔu⸢ki⸣naː] 名 (地)沖縄。沖縄本島。首里、那覇は県都として昔からよく知られており、糸満、奥武島、久高島からは漁師たちが毎年サバニを二隻組み、双胴船に仕立てて鳩間島に烏賊釣り漁にやって来たことから鳩間島の人との関係が深い。鰹漁船は明治末期ごろ沖縄本島北部の本部より帆船が導入されたという。 ウ⸢キナー⸣プス [ʔu⸢kinaː⸣pu̥su] (沖縄の人)。 イ⸢ツォーン⸣プスン ク⸢ダカ⸣プスン イ⸢ガメースンティ⸣ ウ⸢キ⸣ナーラ パ⸢トゥ⸣マー ⸢オーッ⸣タンツォー [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥suŋ ku⸢daka⸣pu̥suŋ ʔi⸢gameː sunti ʔu⸢ki⸣naːra pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔoːt⸣tanʦoː] (糸満の人も久高島の人も烏賊釣り漁をしようとして鳩間島に来られたそうだ)。 ウ⸢キナー⸣ムニ [ʔu⸢kinaː⸣muni] (沖縄ことば{EOS}沖縄本島方言)。 シ⸢ラ⸣ガーウスマイヤ イ⸢ツォーン⸣プス ヤ⸢ローッ⸣タ⸢ナー [ʃi⸢ra⸣gaːʔusumaija ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥su ja⸢roːt⸣ta⸢naː] (シラガー爺さん<金城次郎氏>は糸満出身の糸満人であられたですねえ) 2522 0 0 2370 htmvoc_2522.wav ウキナーカウ ウ⸢キナー⸣カウ [ʔu⸢kinaː⸣kau] 名 沖縄線香。沖縄線香には、イ⸢ツァ⸣カウ[ʔi⸢ʦa⸣kau](板香)とタ⸢キカウ[tḁ⸢kikau](竹香)がある。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー イ⸢ツァ⸣カウシル ⸢ソー⸣ル [⸢kannumai⸣nu ⸢niŋgai⸣jaː ʔi⸢ʦa⸣kauʃiru ⸢soː⸣ru] (神様の前の祈願は<願いは>板香で<ぞ>祈願なさる) 2523 0 0 2371 htmvoc_2523.wav ウキナーキョンギン ウ⸢キナーキョン⸣ギン [ʔu⸢kinaːkjoŋ⸣giŋ] 名 沖縄芝居。シ⸢バヤー[ʃi⸢bajaː](芝居)ともい。劇団が沖縄本島より石垣島へ巡業に来た。そこで上演される演目が島の⸢キョン⸣ギン[⸢kjoŋ⸣giŋ](演劇{EOS}<狂言>)に影響をあたえた。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ウ⸢キナーキョンギン⸣マー イッ⸢ケン⸣ ウ⸢ムッ⸣サンティ⸢ダー [⸢kundu⸣nu ʔu⸢kinaː kjoŋgim⸣maː ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢mus⸣santi⸢daː] (今度の沖縄芝居は非常に面白いそうだよ) 2524 0 0 2372 htmvoc_2524.wav ウキナーシタフ ウ⸢キナーシタ⸣フ [ʔu⸢kinaːʃi̥ta⸣ɸu] 名 琉装。「沖縄支度」の転訛したもの。 ウ⸢キナーシタ⸣フ ⸢シール⸣ ブ⸢ドゥロー ソー⸣ル ヤ⸢マトゥシタ⸣フシェー ブ⸢ドゥロー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢kinaːʃi̥ta⸣ɸu⸢ʃiːru⸣ bu⸢duroː soː⸣ru ja⸢matuʃi̥ta⸣ɸuʃeː bu⸢duroː⸣ na⸢ra⸣nu] (琉装をして<ぞ>踊り<琉舞>はされる{EOS}和装<大和衣裳>では琉舞は出来ない) 2525 0 0 2373 htmvoc_2525.wav ウキナータビ ウ⸢キナー⸣タビ [ʔu⸢kinaː⸣tabi] 名 沖縄本島への旅。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢キナー⸣タビ ⸢ソー⸣ル プ⸢ソー ナン⸣ゾー ⸢オーラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢kinaː⸣tabi ⸢soː⸣ru pu̥⸢soː nan⸣ʣoː ʔoraŋ⸣ʃeŋ] (昔は沖縄旅をされる人はあまりおられなかった) 2526 0 0 2374 htmvoc_2526.wav ウキナープス ウ⸢キナー⸣プス [ʔu⸢kinaː⸣pu̥su] 名 沖縄本島の人。 ウ⸢キナー⸣プソー ⸣ムニ ス⸢ク⸣カー シ⸢グ⸣ ワ⸢カ⸣ルン [ʔu⸢kinaː⸣pu̥soː ⸣muni su̥⸢ku⸣kaː ʃi⸢gu⸣ wa⸢ka⸣ruŋ] (沖縄の人は、言葉を聞いたらすぐ分かる) 2527 0 0 2375 htmvoc_2527.wav ウキナームニ ウ⸢キナー⸣ムニ [ʔu⸢kinaː⸣muni] 名 沖縄本島の言葉。沖縄本島の言葉の総称。⸣スイクトゥバ[⸣suiku̥tuba](首里言葉)、⸣ナハクトゥバ[⸣nahaku̥tuba](那覇言葉)、イ⸢ツマン⸣ムニ[ʔi⸢ʦumam⸣muni](糸満言葉)、ク⸢ダカ⸣ムニ[ku⸢daka⸣muni](久高言葉)などという。 ⸢ワー⸣ ウ⸢キナー⸣ムニ イ⸢ジッシェーン [⸢waː⸣ ʔuki⸢naː⸣muni ʔi⸢ʤiʃʃeːŋ] (君は沖縄言葉を話す<言う>ことが出来ますか)。 ウ⸢キナー⸣ムネー ム⸢チカサ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ ⸢シーサヌ [ʔu⸢kinaː⸣muneː mu⸢ʧikasa⸣nu pa⸢na⸣ʃi ⸢ʃiːsanu] (沖縄言葉は難しくて話すことが出来ない) 2528 0 0 2376 htmvoc_2528.wav ウキナームヌ ウ⸢キナー⸣ムヌ [ʔu⸢kinaː⸣munu] 名 沖縄産のもの。 ウ⸢キナー⸣ムノー ヤ⸢マトゥムヌ⸣トゥ フ⸢ラビル⸣カー ン⸢ベーマ⸣ ウ⸢トゥリ⸣ス [ʔu⸢kinaː⸣munoː ja⸢matumunu⸣tu ɸu⸢rabiru⸣kaː ʔm⸢beːma⸣ ʔu⸢turi⸣su] (沖縄産のものは本土産のものに比べると少し質が劣る) 2529 0 0 2377 htmvoc_2529.wav ウキナーユー ウ⸢キナー⸣ユー [ʔu⸢kinaː⸣juː] 名 沖縄世。琉球王国時代。 ウ⸢キナー⸣ユーナーティ ⸢ヤイマプソー ジントー⸣ゼイシ <ニントーゼイシ> イッ⸢ケナ⸣ ク⸢ロー ソー⸣レーン [ʔu⸢kinaː⸣juːnaːti ⸢jaimapu̥soː ʤintoː⸣ʣeiʃi ʔik⸢kena⸣ ku⸢roː soː⸣reːŋ] (沖縄世<琉球王国時代>に八重山の人は人頭税で非常に苦労された) 2530 0 0 2378 htmvoc_2530.wav ウギナイ ウ⸢ギナイ [ʔu⸢ginai] 名 栄養、滋養の「補い」の義。補充。動詞ウ⸢ギナウン[ʔu⸢ginauŋ](補う)の連用形からの転成名詞。 ヤ⸢ミ⸣プソー シカイ⸢トゥ ジーシキ⸣ムヌ ウ⸢ギナイ⸣ トゥ⸢ラバ⸣ル ⸢パイ⸣サ ⸢ノー⸣ル⸢ダー [ja⸢mi⸣pu̥soː ʃi̥kai⸢tu ʤiːʃiki⸣munu ʔu⸢ginai⸣ tu⸢raba⸣ru ⸢pai⸣sa ⸢noː⸣ru⸢daː] (病人はしっかり滋養分を補い摂取してはじめて<取らばぞ>早く治すことが出来るのだ<治される>よ) 2531 0 0 2379 htmvoc_2531.wav ウギナウン ウ⸢ギナウン [ʔu⸢ginauŋ] 他動 補う。埋め合わせる。 タ⸢ラーン モー⸣ ドゥーシ ウ⸢ギナウンティ スンドゥ⸣ クビシェー ウ⸢ギナーラヌ [ta⸢raːm moː⸣ duːʃi ʔu⸢ginaunti sundu⸣ kubiʃeː ʔu⸢ginaːranu] (足りない分は自分で補おうとするが、これだけでは補えない)。 ⸣ドゥーシ ウ⸢ギナイ⸣ ミサカー ウ⸢ギナウ⸣ クトー ⸣ナルン [⸣duːʃi ʔu⸢ginai⸣ misakaː ʔu⸢ginau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (自分で補ってよければ補うことは出来る)。 ウ⸢ギナイヤー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ginaijaː⸣ misamunu] (補えばいいのに)。 ⸢イー⸣トゥ スー⸢カーニ⸣シェー タ⸢ラーンバ⸣ イ⸢ズナマシン⸣ ッ⸢ふァイヤー⸣ティ フ⸢スクブン⸣ ウ⸢ギナイ⸣バ <タ⸢ラーシ⸣バ> [⸢ʔiː⸣tu suː⸢kaːni⸣ʃeː ta⸢raːmba⸣ ʔi⸢ʣunamaʃiŋ⸣ f⸢faijaː⸣ti ɸu̥⸢sukubuŋ⸣ ʔu⸢ginai⸣ba ] (ご飯とお汁だけでは足りないから、魚の刺身も食べて不足分を補いなさい)。 イ⸢ズン⸣ タクン ッ⸢ふァイティ ジーシキ⸣ムヌ ウ⸢ギナウンティ スンドゥ⸣ ウ⸢ギナーラヌ [ʔi⸢ʣun⸣ takuŋ f⸢faiti ʤiːʃi̥ki⸣munu ʔu⸢ginaunti sundu⸣ ʔu⸢ginaːranu] (魚も蛸も食べて滋養の付くものを補おうとするが、補えない)。 タ⸢ラーン ムノー⸣ ドゥーシ ウ⸢ギナイ⸣ ミサカー ウ⸢ギナウ⸣ クトー ⸣ナルン [ta⸢raːm munoː⸣ duːʃi ʔu⸢ginai⸣ misakaː ʔu⸢ginau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (足りないものは自分で補って良ければ補うことは出来る)。 ウ⸢ギナイヤー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ginaijaː⸣ misamunu] (補えば良いのに)。 ウ⸢ギナイ⸣バ [ʔu⸢ginai⸣ba] (補えよ) 2540 0 0 2380 htmvoc_2540.wav ウキニビ ウ⸢キ⸣ニビ [ʔu⸢ki⸣nibi] 名 そらね。狸寝入り。眠っているようで、本当は眠っていない眠り。 ウ⸢キ⸣ニビ ⸢シーベー⸣ティ ⸢ウッ⸣ツァー ⸣ムネー ムー⸢ル⸣ シ⸢キブー [ʔu⸢ki⸣nibi ⸢ʃiːbeː⸣ti ⸢ʔut⸣ʦaː ⸣muneː muː⸢ru⸣ ʃi̥⸢kibuː] (空寝をしていて、彼らの話は全部聞いているよ) 2541 0 0 2381 htmvoc_2541.wav ウキニビ ⸣ウキニビ [⸣ʔukinibi] 名 寝起き。おきふし。 ⸢ピャー⸣ク シ⸢ギ⸣ローッター ⸣ウキニビーンツァン ⸣ドゥーシェー ⸢シーユーソーラ⸣ヌ [⸢pjaː⸣ku ʃi⸢gi⸣roːttaː ⸣ʔukinibiːnʦan ⸣duːʃeː ⸢ʃiːjuːsoːra⸣nu] (百歳を越えられた<過ぎられた>ので寝起きすら自分ではなさることが出来ない) 9427 0 0 2382 htmvoc_9427.wav ウキニビ ウ⸢キ⸣ニビ [ʔu⸢ki⸣nibi] 名 うたたね。かりね(仮寝)。「起き寝」の義 2542 0 0 2383 htmvoc_2542.wav ウキパナ ウ⸢キ⸣パナ [ʔu⸢ki⸣pana] 名 起きぬけ。起きしな。起きだしたばかり。 シ⸢トゥム⸣ティ ウ⸢キ⸣パナーラ ⸣ユネン⸢バー⸣キ ⸢サー⸣ イ⸢ザリトゥーシ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ʔu⸢ki⸣panaːra junem⸢baː⸣ki ⸢saː⸣ ʔi⸢ʣarituːʃi] (朝の起きぬけから夜まで、ずっと叱られ通しだ) 2543 0 0 2384 htmvoc_2543.wav ウキパナ ウ⸢キ⸣パナ [ʔu⸢ki⸣pana] 名 余所からきた祈願用供物の線香と初米(はなごめ)。対語の、余所へ持参する供物の線香と初米は⸢コー⸣パナ[⸢koː⸣pana](香と初米)という。 ウ⸢トゥザマリ⸣ラヌ ウ⸢キ⸣パナン シ⸢キオーシ⸣バ [ʔu⸢tuʣamari⸣ranu ⸣ʔukipanaŋ ʃi̥⸢kiʔoːʃi⸣ba] (親戚から贈られた線香と初米も神前<仏前>にお供えして差し上げなさいよ) 2544 0 0 2385 htmvoc_2544.wav ウキパンスン ウ⸢キパン⸣スン [ʔu⸢kipan⸣suŋ] 他動 受け外す。受け損ねる。 ⸣バー ⸢ナング⸣タ ⸢ボーロー⸣ ウ⸢キパン⸣スンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ウ⸢キパンサン⸣シェン ⸢ゾー⸣ブンニ ウ⸢キ⸣シタ [⸣baː ⸢naŋgu⸣ta ⸢boːroː⸣ ʔu⸢kipan⸣suŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ʔu⸢kipansaŋ⸣ʃeŋ ⸢ʣoː⸣bunni ʔu⸢ki⸣ʃi̥ta] (私が投げたボールは受け損ねるかと思ったが受け損ねなかった{EOS}上手に捕球した)。 イッ⸢カ⸣ ウ⸢キパン⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔik⸢ka⸣ ʔu⸢kipan⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (決して受け損ねることはない) 2545 0 0 2386 htmvoc_2545.wav ウキピントー ⸣ウキピントー [⸣ʔukipintoː] 名 応答。受け答え。「受け答え」の義。 プ⸢スヌ⸣ ムヌ ⸢トゥイヨー⸣ルカー カ⸢シーカシール⸣ ウキピントーヤ ⸢スーティ⸣ムカーヤ ⸣ヌーヤレー [pu̥⸢sunu⸣ munu ⸢tuijoː⸣rukaː kḁ⸢ʃiːkaʃiːru⸣ ʔukipintoːja ⸢suːti⸣mukaːja ⸣nuːjareː] (他人がものを尋ねられ<問われ>たら、しっかりと受け答えはするというものだよ<~すると思えば>、何事かね、それは) 2546 0 0 2387 htmvoc_2546.wav ウキムキ ⸣ウキムキ [⸣ʔukimuki] 名 幸不幸。「有卦無卦(うけむけ)」の義。 プ⸢スヌ⸣ ウキムケー ⸢ヌー⸣シ ナルユー ワ⸢カラ⸣ヌ ⸣アイニ ⸢ピンソー⸣ヌ グ⸢ク⸣ タ⸢タ⸣キ ⸢ベータ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー ユ⸢チ⸣クニ ナリ⸢ベー [pu̥⸢sunu⸣ ʔukimukeː ⸢nuː⸣ʃi ⸣narujuː wa⸢kara⸣nu ⸣ʔaini ⸢pinsoː⸣nu gu⸢ku⸣ tḁ⸢ta⸣ki ⸢beːta⸣nu ma⸢na⸣maː ju⸢ʧi⸣kuni nari⸢beː] (人の幸不幸はどうなるのか分からない{EOS}あんなに貧乏のどん底に喘いでいたのに<叩いていたが>、今は裕福になっている)。「有卦無卦」(陰陽道の「幸運と不運」の年回り{EOS}有卦に入れば七年吉事が続き、無卦に入れば五年凶事が続くということ)の思想が入って土着化したもの 2547 0 0 2388 htmvoc_2547.wav ウキムチ ウ⸢キ⸣ムチ [ʔu⸢ki⸣muʧi] 名 受け持ち。担当。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー タール⸣ ウ⸢キ⸣ムチヤ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː taːru⸣ ʔu⸢ki⸣muʧijaː] (この仕事は誰が受け持ちか) 2548 0 0 2389 htmvoc_2548.wav ウキムトゥン ウ⸢キ⸣ムトゥン [ʔu⸢ki⸣mutuŋ] 他動 受け持つ。 ク⸢レー⸣ バー ウ⸢キ⸣ムトゥン [ku⸢reː⸣ baː ʔu⸢ki⸣mutuŋ] (これは私が受け持つ)。 ⸣バー ウ⸢キムタ⸣ヌ [⸣baː ʔu⸢kimuta⸣nu] (私は受け持たない)。 ウ⸢キ⸣ムトゥカー シ⸢キ⸣ニン ムティ [ʔu⸢ki⸣mutukaː ʃi̥⸢ki⸣nim ⸣muti] (受け持つなら責任を持て)。 ウ⸢キムティ⸣プサン [ʔu⸢kimuti⸣pu̥saŋ] (受け持ちたい)。 ウ⸢キ⸣ムトゥ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンバ ワー⸣ ウ⸢キ⸣ムティ [ʔu⸢ki⸣mutu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːmba waː⸣ ʔu⸢ki⸣muti] (受け持つ人がいないから君が受け持て) 2551 0 0 2390 htmvoc_2551.wav ウキムヌ ウ⸢キ⸣ムヌ [ʔu⸢ki⸣munu] 名 料理の上に乗せるもの。上置き(うわおき)。「置物」の義。 カ⸢マブク⸣ キシティ ス⸢バ⸣ヌ ウ⸢キ⸣ムヌ ⸢シー⸣バ [ka⸢mabuku⸣ ki̥ʃiti su⸢ba⸣nu ʔu⸢ki⸣munu ⸢ʃiː⸣ba] (蒲鉾を切ってそばの上置きにしなさいよ) 2549 0 0 2391 htmvoc_2549.wav ウキャク ウ⸢キャ⸣ク [ʔu⸢kja⸣ku] 名 お客。新しく標準語から借用された語か。普通はあまり使用しなかった。 ⸣アツァー イ⸢サナケーラ⸣ ウ⸢キャク⸣ヌ ⸢オー⸣ルンツォー [⸣ʔaʦaː ʔi⸢sanakeːra⸣ ʔu⸢kjaku⸣nu ⸢ʔoː⸣runʦoː] (明日は石垣からお客がいらっしゃるそうだ) 2550 0 0 2392 htmvoc_2550.wav ウキョー ⸣ウキョー [⸣ʔukjoː] 名 お経。 ティ⸢ラヌ ボー⸣ジ タ⸢ナ⸣ミティ ⸣ウキョー ア⸢ギシミ オーラ⸣シ [ti⸢ranu boː⸣ʤi ta⸢na⸣miti ⸣ʔukjoː ʔa⸢giʃimi ʔoːra⸣ʃi] (寺の坊主を頼んでお経を読み上げさせて頂きなさい) 2532 0 0 2393 htmvoc_2532.wav ウキル ウ⸢キル [ʔu⸢kiru] 名 おき(熾・燠)。おきび。薪が燃え尽きて炭火のようになったもの。「火唐煨、オキ」『類聚名義抄』の転訛したものか。鳩間島の人は、西表島の田圃の周りから⸢マーキ[⸢maːki](薪{EOS}木材の燃料)を伐り出して島に運び、豊かに燃料として使用することができた。その⸢マーキ[⸢maːki](薪)を燃やしてできる\ruby{熾}{オキ}のこと。 ウ⸢キルバ⸣ タ⸢バク⸣ブンナ トゥリ⸢クーン⸣ノーレー [ʔu⸢kiruba⸣ ta⸢baku⸣bunna turi⸢kuːn⸣noreː] (熾きを煙草盆に取って持ってきてくれないか)。 ⸢マーキーヌ⸣ ウ⸢キロー⸣ ムティキー ピ⸢バ⸣チナ イ⸢リリ [⸢maːkiːnu⸣ ʔu⸢kiroː⸣ mutikiː pi⸢ba⸣ʧina ʔi⸢riri] (薪の\ruby{熾}{オキ}は持ってきて火鉢に入れろ) 2536 0 0 2394 htmvoc_2536.wav ウキルン ウ⸢キ⸣ルン [ʔu⸢ki⸣ruŋ] 他動 請ける。請け負う。仕事を請ける。 ⸢ワー⸣ ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー フン⸣トー ウ⸢キルン [⸢waː⸣ ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː ɸun⸣toː ʔu⸢kiruŋ] (君はこの仕事を本当に請け負う<請ける>か)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢キラ⸣ヌ [ʔaː⸢ji⸣ ʔu⸢kira⸣nu] (否、請けない)。 ⸢バン⸣ヌン シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢キ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ban⸣nuŋ ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (私も仕事を請け負うことは出来る)。 ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢キ⸣リ [jaː⸢diŋ⸣ ʔu⸢ki⸣ri] (必ず請け負いなさい)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ウ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (この仕事は請け負えばよいのに) 2552 0 0 2395 htmvoc_2552.wav ウキルン ウ⸢キ⸣ルン [ʔu⸢ki⸣ruŋ] 自動 起きる。 ⸣アツァー ⸢パイ⸣サ ウ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸣ʔaʦaː ⸢pai⸣sa ʔu⸢ki⸣ri⸢joː] (明日は早く起きなさいよ)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢キ⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢キ⸣ルン [⸢waː⸣ ʔu⸢ki⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ki⸣ruŋ] (君が起きるなら私も起きる)。 ウ⸢キ⸣ル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ⸣バーンツァン ウ⸢キラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ki⸣ru pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː ⸣baːnʦaŋ ʔu⸢kiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (起きる人がいなければ私でも<すら>起きないといけない)。 ⸢トゥンナキン⸣ナー ウ⸢キ⸣プサバ ウ⸢コー⸣シ⸢ヨー [⸢tunnakin⸣naː ʔu⸢ki⸣pu̥saba ʔu⸢koː⸣ʃi⸢joː] (鶏鳴の時刻<午前三、四時ごろ>に起きたいから、起こしなさいよ) 2553 0 0 2396 htmvoc_2553.wav ウキルン ウ⸢キルン [ʔu⸢kiruŋ] 他動 浮ける。浮かべる。老年層の言葉。若年層は、ウ⸢ケーラスン[ʔu⸢keːrasuŋ](浮ける)という。 ⸣フニ ウ⸢キルン [⸣ɸuni ʔu⸢kiruŋ] (船を浮ける{EOS}浮かべる)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢キル⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸢ウキルン [⸢waː⸣ ʔu⸢kiru⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢kiruŋ] (君が浮けたら私も浮けるよ)。 ⸣フニ ウ⸢キル⸣ ピンマー ⸣ヨイ ソー⸣ラ⸢ナー [⸣ɸuni ʔu⸢kiru⸣ pimmaː ⸣joi ⸢soː⸣ra⸢naː] (船を浮ける時はお祝いをしましょうねえ)。 ミ⸢チスー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナー ⸣フネー ウ⸢キ⸣プサンダー ⸢パー⸣ク ウ⸢キリ [mi⸢ʧisuː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣naː ⸣ɸuneː ʔu⸢ki⸣pu̥sandaː ⸢paː⸣ku ʔu⸢kiri] (満潮のうちに船は浮けたいから早く浮けなさい) 2554 0 0 2397 htmvoc_2554.wav ウキルン ウ⸢キ⸣ルン [ʔu⸢ki⸣ruŋ] 他動 受ける。 ⸣シキン ウ⸢キルン [⸣ʃi̥kiŋ ʔu⸢kiruŋ] (試験を受けるか?)。 ター⸢ン⸣ ウ⸢キラン⸣カー ⸣バー ウ⸢キ⸣ルン [taː⸢ŋ⸣ ʔu⸢kiraŋ⸣kaː ⸣baː ʔu⸢ki⸣ruŋ] (誰も受けなければ私は受ける)。 ウ⸢キ⸣ル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢ワー⸣ ウ⸢キ⸣リ [ʔu⸢ki⸣ru pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢waː⸣ ʔu⸢ki⸣ri] (受ける人がいなかったら君が受けなさい)。 ⸢バン⸣ヌン ウ⸢キ⸣プサユンダ ⸢ワー⸣ シ⸢ダキ⸣ ウ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ki⸣pusajunda ⸢waː⸣ ʃi⸢daki⸣ ʔu⸢ki⸣reː misamunu] (私も受けたいから、君は先に受ければよいのに) 2555 0 0 2398 htmvoc_2555.wav ウキン ⸣ウキン [⸣ʔukiŋ] 名 (植)うこん(鬱金)。ショウガ科の多年草。根茎は肥大して黄色を呈し、漢方薬として用いられる。黄色の染料としても重用された。鳩間島では、切り傷やその他の傷口から細菌が侵入して発熱がある場合、ウキンを漬けた酒に焼き塩を混ぜ、それを傷口の周りから全身にすり込むようにすりつけた。 ウ⸢キン⸣トゥ サ⸢キトゥ マース⸣バ マ⸢ザー⸣シティ ッ⸢シッツァー⸣シ ⸣ドゥー ピ⸢コーッ⸣タ [ʔu⸢kin⸣tu sḁ⸢kitu maːsu⸣ba ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ʃ⸢ʃitʦaː⸣ʃi ⸣duː pi̥⸢koːt⸣ta] (うこん<鬱金>と酒と塩を混ぜて体に擦りつけ、すり下ろされた)。 ⸣ウキンバ フ⸢チ⸣ルティ シ⸢キティ⸣ シジティ ヌミ⸢ベー⸣タクトー ウ⸢ム⸣テーラ ドゥーパダ⸢バー⸣キン ⸢キンキン⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔukimba ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ʃi̥⸢kiti⸣ ʃiʤiti numi⸢beː⸣taku̥toː ʔu⸢mu⸣teːra duːpada⸢baː⸣kiŋ ⸢kiŋkin⸣ nari⸢naː⸣nu] (ウコンが<を>薬だと聞いて煎じて飲んでいたところ、顔から体全体黄色くなってしまった) 2518 0 0 2399 htmvoc_2518.wav ウキンジルン ウ⸢キンジ⸣ルン [ʔu⸢kinʤi⸣ruŋ] 自動 浮き出る。浮き立って見える。目立って見える。 ウ⸢ビ⸣ヌ ブ⸢ドゥルシンカヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナー ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌドゥ⸣ ウ⸢キ⸣ンジティ ⸢カイ⸣ヤタサー [ʔu⸢bi⸣nu bu⸢duruʃiŋkanu⸣ na⸢ka⸣naː ku⸢nu⸣ f⸢fanudu⸣ ʔu⸢ki⸣nʤiti ⸢kai⸣jatasaː] (あれだけの踊り人衆<仲間、臣下>の中でこの子<娘>が目立って<浮き立って>綺麗だった<美しかった>よ)。 ⸣ドゥク ウ⸢キンジル⸣カー ⸢ニッ⸣ター サ⸢リン⸠ダー [⸣duku ʔu⸢kinʤiru⸣kaː ⸢nit⸣taː sa⸢rin⸠daː] (あまり目立つと<浮き出ると>嫉妬される<妬まれる>よ) 2519 0 0 2400 htmvoc_2519.wav ウキンズン ウ⸢キンズン [ʔu⸢kinʣuŋ] 自動 目立つ。「浮きいづ」の義。ウ⸢キンジ⸣ルン[ʔu⸢kinʤi⸣ruŋ](浮き出る、目立つ)と同じ。 ウ⸢キンザヌ [ʔu⸢kinʣanu] (目立たない)。 ウ⸢キンジティ [ʔu⸢kinʤiti] (目立って)。 ウ⸢キンズ⸣ プ⸢ソー⸣ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢kinʣu⸣ pu̥⸢soː⸣ taː⸢m⸣ bu⸢raːnu] (目立つ<浮き出る>人は誰もいない) 2533 0 1 2401 htmvoc_2533.wav ウキンビリンナラヌ ⸣ウキンビリン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔukimbirin na⸢ra⸣nu] 連 {Mn_1}身動きできない。「起きも座りもできない」の義。 ⸢ザー⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ⸢ヨイシプス⸣ヌ ⸢オー⸣リティ ⸣ウキンビリン <⸣タティンビリン> ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʣaː⸣nu ⸢pit⸣ʧiɲ ⸢joiʃipusu⸣nu ⸢ʔoː⸣riti ⸣ʔukimbirin <⸣tatimbiriŋ> na⸢ra⸣nu] (座敷のいっぱい祝い客<祝いし人>が来られて身動きできない<起きることも座ることも出来ない>)。 2533 0 2 2402 htmvoc_2533.wav ウキンビリンナラヌ ⸣ウキンビリン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔukimbirin na⸢ra⸣nu] 連 {Mn_2}忙しくて手がはなせない。休息できない。 ⸢パンタサ⸣ヌ ⸣ウキンビリン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pantasa⸣nu ⸣ʔukimbirin na⸢ra⸣nu] (忙しくて手がはなせない<休めない>) 2556 0 0 2403 htmvoc_2556.wav ウク ウ⸢ク [ʔu⸢ku] 名 奥。内部へ深く入った所。 ⸢ヤー⸣ヌ ウ⸢コー⸣ラ ⸢ドン⸣グ ン⸢ザ⸣シ ⸣クー [⸢jaː⸣nu ʔu⸢koː⸣ra ⸢doŋ⸣gu ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣kuː] (家の奥から道具を出してきなさい)。 ピ⸢ナサキヌ⸣ ガ⸢マヌ⸣ ウ⸢ク⸣ナー グ⸢スク⸣ヌ シ⸢マリブタン [pi⸢nasakinu⸣ ga⸢manu⸣ ʔu⸢ku⸣naː ⸢gusu̥ku⸣nu ʃi⸢maributaŋ] (ピナイ崎のガマ<洞窟>の奥には石垣が積まれていた) 2557 0 0 2404 htmvoc_2557.wav ウクー ウ⸢クー [ʔu⸢kuː] 名 (動)魚の名。和名、クマササハナムロ(体長約24センチ)。グルクンの一種。糸満方言からの借用語か。 ウ⸢クー⸣ティ ⸢スー⸣ イ⸢ゾー ナン⸣ゾー ッ⸢ふァイ⸣ ミ⸢ラン⸣シェン [ʔu⸢kuː⸣ti ⸢suː⸣ ʔi⸢ʣoː nan⸣ʣoː f⸢fai⸣ mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (ウクーという魚はあまり食べたことは無かった<食べてみなかった>) 2565 0 0 2405 htmvoc_2565.wav ウクサン ⸣ウクサン [⸣ʔukusaŋ] 名 奥様。石垣方言からの借用語。明治期に本土寄留商人の夫人を呼んだことば。 ⸣アボー バ⸢カー⸣ローッタンケン ⸣ウクサンムスビ シ⸢ティ⸣ サシン ウ⸢ツ⸣シ ス⸢コー⸣レーン [⸣ʔaboː ba⸢kaː⸣roːttaŋkeŋ ⸣ʔukusammusubi ʃi̥⸢ti⸣ saʃiŋ ʔu⸢ʦu⸣ʃi su̥⸢koː⸣reːŋ] (お母さんは若かった時、帯を奥様結びにして写真を撮っておかれてある) 2559 0 0 2406 htmvoc_2559.wav ウクジ ウ⸢ク⸣ジ [ʔu⸢ku⸣ʣi] 名 神意を占う籤。玄米を盆の上に並べて占う。神饌のパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)を掴み取り、盆の上に二粒を一対に\ruby{籤}{クジ}を並べる。対が偶数個並ぶと(ム⸢ルウクジ{SqBr}mu⸢ruʔukuʤi{/SqBr}<諸御籤{EOS}吉>)という。米粒が対を形成しない時は何度も占いを実施して対を作る。対が基数個の場合は⸢パンウクジ[⸢panʔukuʤi](半御籤{EOS}要用心)といわれている。⸣クジ ウ⸢ク⸣スン[⸣kuʣi ʔu⸢ku⸣suŋ](\ruby{籤}{クジ}を起こす<籤で占う>)、⸣クジ バ⸢ルン[⸣kuʣi ba⸢ruŋ](籤を割る<籤で占う>)のようにいう。 ⸢カンヌ⸣マイナーティ ウ⸢ク⸣ジ バ⸢ローッ⸣タ [⸢kannu⸣mainaːti ʔu⸢ku⸣ʤi ba⸢roːt⸣ta] (神前で米の籤を割って神意を占われた) 2568 0 0 2407 htmvoc_2568.wav ウクタリルン ウ⸢クタリルン [ʔu⸢kutariruŋ] 自動 怠る。怠ける。油断する。ウ⸢クタルン[ʔu⸢kutaruŋ](怠る)を多用する。 ウ⸢クタリラヌ <ウクタラヌ> [ʔu⸢kutariranu <ʔukutaranu>] (怠らない)。 ウ⸢クタリナー⸣ヌ [ʔu⸢kutarinaː⸣nu] (怠ってしまった) 2569 0 0 2408 htmvoc_2569.wav ウクタルン ウ⸢クタルン [ʔu⸢kutatuŋ] 自動 怠る。怠ける。油断する。 ム⸢ニユマー⸣ヤ シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢クタルンティ⸣ ア⸢ザリ ブーヌ⸣ ウ⸢レー⸣ ウ⸢クタランシェン [mi⸢nijumaː⸣ja ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢kutarunti⸣ ʔa⸢ʣari buːnu⸣ ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢kutaraŋʃeŋ] (お喋りな奴は仕事を怠るといわれているが、彼は怠らなかった)。 パ⸢タキ⸣ヌ ッ⸢サソー⸣リ ウ⸢クタリ ベーン⸣ケンマー ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [pḁ⸢taki⸣nu s⸢sasoː⸣ri ʔu⸢kutari beːŋ⸣kemmaː s⸢sa⸣nu ⸢muikaba⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (畑の草取りを怠っているうちに草が生い茂ってしまった)。 シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢クタル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢kutaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (仕事を怠ることはない)。 ウ⸢クタレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢kutareː⸣ misamunu] (怠れば良いのに)。 ウ⸢クタリ⸣バ [ʔu⸢kutari⸣ba] (怠れよ) 2571 0 0 2409 htmvoc_2571.wav ウクナイ ウ⸢クナイ [ʔu⸢kunai] 名 行い。ふるまい。行状。共通語からの借用語。 ⸢ピンピンヌ⸣ ウ⸢クナイヌ ワッ⸣サカー ム⸢クイ⸣ カブン⸢ダー [⸢pimpimnu⸣ ʔu⸢kunainu was⸣sakaː mu⸢kui⸣ kaban⸢daː] (日々の行いが悪ければその報いを被るぞ) 2570 0 0 2410 htmvoc_2570.wav ウクヌティー ウ⸢クヌ⸣ティー [ʔu⸢kunu⸣tiː] 連 奥の手。秘訣。 ク⸢ヌ プソー⸣ イッ⸢カナ⸣シ プ⸢スンマー⸣ ウ⸢クヌ⸣ ティー ミ⸢シラ⸣ヌ [ku⸢nu pu̥soː⸣ ʔik⸢kana⸣ʃi pu̥⸢summaː⸣ ʔu⸢kunu⸣tiː mi⸢ʃira⸣nu] (この人は決して他人には奥の手を見せない) 2572 0 0 2411 htmvoc_2572.wav ウクバー ウ⸢クバー [ʔu⸢kubaː] 名 奥歯。⸣ウシパー[⸣ʔuʃipaː](臼歯)ともいう。 ウ⸢クバーヤ⸣ フ⸢トゥッ⸣チティ ⸣ムヌ ⸢カンザララ⸣ヌ [ʔu⸢kubaːja⸣ ɸu̥⸢tut⸣ʧiti ⸣munu ⸢kanʣarara⸣nu] (奥歯は虫歯になって<朽ちて>物が噛め<噛まれ>ない)。 ウ⸢クバーヌ⸣ フ⸢トゥッチ⸣パー ⸣ナリティル ⸣ヤミ ナ⸢ラン⸣ツォー [ʔu⸢kubaːnu⸣ ɸu̥⸢tutʧi⸣paː ⸣naritiru ⸣jami na⸢ran⸣ʦoː] (奥歯が虫歯になって<ぞ>痛くて堪らないそうだ)。 ウ⸢クバーヤ⸣ マ⸢ダ モー⸣ヌ [ʔu⸢kubaːja⸣ ma⸢da moː⸣nu] (奥歯はまだ生えていない) 2573 0 0 2412 htmvoc_2573.wav ウクビョー ウ⸢ク⸣ビョー [ʔu⸢ku⸣bjoː] 名 臆病者。共通語からの借用語。 ⸣アイブ ウ⸢ク⸣ビョーテイン ⸢ブン⸠ツォー [⸣ʔaibu ʔu⸢ku⸣bjoːtim ⸢bun⸠ʦoː] (あんな臆病者とてもいるものだ{EOS}あきれた) 2574 0 0 2413 htmvoc_2574.wav ウクビョームヌ ウ⸢クビョー⸣ムヌ [ʔu⸢kubjoː⸣munu] 名 臆病者。 ウ⸢レー サッコー⸣ヌ ウ⸢クビョー⸣ムヌ [ʔu⸢reː sakkoː⸣nu ʔu⸢kubjoː⸣munu] (彼は非常に臆病者である) 2575 0 1 2414 htmvoc_2575.wav ウクフカーン ウ⸢クフカー⸣ン [ʔu⸢kuɸu̥kaː⸣ŋ] 形 {Mn_1}奥深い。意味深長である。含蓄がある。 ⸢デンサー⸣ブシナ イ⸢ザリ ブー⸣ ウ⸢タ⸣ヌ イ⸢メー⸣ ウ⸢クフカー⸣ン [⸢densaː⸣buʃina ʔi⸢ʣari buː⸣ ʔu⸢ta⸣nu ʔi⸢meː⸣ ʔu⸢kuɸu̥kaː⸣ŋ] (デンサー節に歌われている歌の意味は奥深い)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムネー ウ⸢クフカー⸣ヌ シカイ⸢トー⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣muneː ʔu⸢kuɸu̥kaː⸣nu ʃi̥kai⸢toː⸣ wa⸢kara⸣nu] (あの人の言われる話は<言葉は>奥が深くて十分には分からない)。 2575 0 2 2415 htmvoc_2575.wav ウクフカーン ウ⸢クフカー⸣ン [ʔu⸢kuɸu̥kaː⸣ŋ] 形 {Mn_2}洞窟などの奥が深い。 ピ⸢ナイサキヌ⸣ ガ⸢マー⸣ ウ⸢クフカー⸣ヌヌ ⸣インダガマー ウ⸢クフカー ナー⸣ヌ [pi⸢naisakinu⸣ ga⸢maː⸣ ʔu⸢kuɸu̥kaː⸣nunu ⸣ʔindagamaː ʔu⸢kuɸu̥kaː naː⸣nu] (ピナイ崎の洞窟は奥深いがインダガマ洞窟は奥深くない) 2576 0 0 2416 htmvoc_2576.wav ウクヤマ ウ⸢クヤマ [ʔu⸢kujama] 名 奥山。山奥。深山。 ⸣パンタヌ ウ⸢クヤマー⸣ラ ⸢キー⸣バ ⸣キシ ウ⸢ラ⸣ソーッタ [⸣pantanu ʔu⸢kujamaː⸣ra ⸢kiː⸣ba ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ra⸣soːtta] (南端<西表島>の奥山から材木<家屋建築用材>を伐って運び下ろされた) 2577 0 0 2417 htmvoc_2577.wav ウクラスン ウ⸢クラスン [ʔu⸢kurasuŋ] 他動 遅らせる。 ⸢ウイヌ⸣ ム⸢ラー⸣ラ ア⸢ラ⸣キクンケン ⸢イットゥ⸣キ ⸣フネー ウ⸢クラシ⸣ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢ʔuinu⸣ mu⸢raː⸣ra ʔa⸢ra⸣kikuŋkeŋ ⸢ʔittu⸣ki ⸣ɸuneː ʔu⸢kuraʃi⸣ f⸢foː⸣ri] (上の村から歩いて来るまで<ここへ来るまで>、ちょっと<一時>船の出発を遅らせて<待たせて>ください)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢クラサヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔu⸢kurasanu] (いや、遅らせない)。 ウ⸢クラスンティ⸣ ウムーカー ウ⸢クラス⸣ クトー ⸣ナルン [ʔu⸢kurasunti⸣ ʔumuːkaː ʔu⸢kurasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (遅らせようと思えば遅らせることは出来る)。 ウ⸢クラシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢kuraʃeː⸣ misamunu] (遅らせば良いのに)。 ウ⸢クラシ [ʔu⸢kuraʃi] (遅らせよ) 2560 0 1 2418 htmvoc_2560.wav ウクリ ウ⸢クリ [ʔu⸢kuri] 名 {Mn_1}送ること。 ⸢ガッ⸣コー ⸢バーキ⸣ヌ ウ⸢クレー⸣ ナルン [⸢gak⸣koː ⸢baːki⸣nu ʔu⸢kureː⸣ naruŋ] (学校までの送りは出来る)。送り膳。ウ⸢クリジン[ʔu⸢kuriʤiŋ](送り膳)の略。 ⸣ヨイ ⸢シン オーララン⸣セン ⸣トンマー ウ⸢クリ⸣ ム⸢タ⸣シ⸢ヨー [⸣joi ⸢ʃiŋ ʔoːraraŋ⸣ʃen tommaː ʔu⸢kuri⸣ mu⸢ta⸣ʃi⸢joː] (お祝いにおいでになれなかった家<所>へは送り膳を持参させ<持たせ>なさいよ)。 2560 0 2 2419 htmvoc_2560.wav ウクリ ウ⸢クリ [ʔu⸢kuri] 名 {Mn_2}祖霊送り。お盆の三日間、祖霊たちを各家庭に迎えて供養し、孝養を尽くして三日目の夜中に祖霊を霊界へ送ること。仏壇に供えた供物のお初とム⸢ルムル[mu⸢rumuru](木の実や甘蔗の供物)の一部を籠に入れ、香炉の線香を三本抜き取って明かりを消し、戸外に出て屋敷の西側道端にム⸢ルムル[mu⸢rumuru](砂糖黍や果物、木の実)など、供物のお初を砂糖黍の⸢アイ⸣ク[⸢ʔai⸣ku](担い棒)で担いで帰れるように置いて祖霊送りをした。夜中を過ぎて、一番鶏が鳴くと、祖霊たちは霊界へ戻れなくなるので、午前零時までには送りを済ませた。 ⸢ソー⸣ラン ⸣ウヤプスンケーヤ ウ⸢クリ オーラ⸣シェン [⸢soː⸣raŋ ⸣ʔujapusuŋkeːja ʔu⸢kurioːra⸣ʃeŋ] (お盆の祖霊たちは霊界へ送りしました)。精霊送り。 ⸢ソーラン⸣ヌ ウ⸢クリヌ⸣ ピンマー ッ⸢ふァ⸣マー ⸣スルイティ ウ⸢ティン⸣ガビーン アビ⸢オーシティ⸣ ウ⸢クリ オーラシタ [⸢soːran⸣nu ʔu⸢kurinu⸣ pimmaː f⸢fa⸣maː ⸣suruiti ʔu⸢tiŋ⸣gabiːŋ ⸣ʔabi⸢ʔoːʃi̥ti⸣ ʔu⸢kuriʔoːraʃi̥ta] (お盆のお送りの日には子孫うち揃って紙銭<打ち紙>を焼いて<あぶって>差し上げて精霊をお送りしてさしあげた) 2579 0 0 2420 htmvoc_2579.wav ウクリコーシ ウ⸢クリコーシ [ʔu⸢kurikoːʃi] 名  「送り菓子」。法事やお盆の最終日の精霊送りの焼香の際に供える菓子類のこと。焼香の途中に供えた菓子類、その他の料理のお初を一部分取って冥土へのお土産とした 2580 0 0 2421 htmvoc_2580.wav ウクリシームヌ ウ⸢クリシームヌ [ʔu⸢kuriʃiːmunu] 名 「送り吸い物」。法事やお盆の精霊送りの日に仏前に供える「精霊送りの吸い物料理」のこと。 ウ⸢クリシームノー⸣ シ⸢キティ⸣ ウ⸢ティン⸣ガビーン アビ⸢オーシ⸣バ [ʔu⸢kuriʃiːmunoː⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔu⸢tiŋ⸣gabiːŋ ʔabi⸢ʔoːʃi⸣ba] (送り吸い物を供えて紙銭も焼いて<あぶって>さしあげなさい) 2582 0 0 2422 htmvoc_2582.wav ウクリジン ウ⸢クリジン [ʔu⸢kuriʤiŋ] 名 送り膳。招待客が都合が悪くて出席出来ないとき、その人に出すべきご馳走の膳を本人の家に届けるもの。ウ⸢クリ[ʔu⸢kuri](送り)ともいう。 ⸢ヨイ⸣シン ⸢オーララ⸣ン プ⸢スン⸣ヤー ウ⸢クリジン⸣ ム⸢タ⸣シバ⸢ヨー [⸢joi⸣ʃiŋ ⸢ʔoːrara⸣m pu̥⸢suɲ⸣jaː ʔu⸢kuriʤim⸣ mu⸢ta⸣ʃiba⸢joː] (お祝いに来られない人の家には送り膳を届けなさい<持たせなさい>ね) 2581 0 0 2423 htmvoc_2581.wav ウクリソッコー ウ⸢クリソッコー [ʔu⸢kurisokkoː] 名 ⸢送りの焼香」の義。法事の一通りの行事を済ませて、祖霊(死者の霊)をお送りする時の焼香。 ウ⸢クリソッコーヤ ナン⸣ジナ ⸢ソール⸣ワ [ʔu⸢kurisokkoːja nan⸣ʤina ⸢soːru⸣wa] (送り焼香は何時になさいますか) 2584 0 0 2424 htmvoc_2584.wav ウクリピン ウ⸢クリピン [ʔu⸢kuripiŋ] 名 精霊送りの日。旧盆の第三日。「送り日」の義。 ウ⸢ヤ⸣プスンケー ン⸢カイ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オーラ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ケンマー ウ⸢クリピン⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣pusuŋkeː ʔŋ⸢kai⸣ sï̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːra⸣sunti ⸢beːŋ⸣kemmaː ʔu⸢kuripin⸣ nari⸢naː⸣nu] (ご先祖の霊をお迎えして孝養して<養って>差し上げようとしているうちに送り日になってしまった)。ウ⸢クリ[ʔu⸢kuri](送り)ともいう 2583 0 0 2425 htmvoc_2583.wav ウクリプス ウ⸢クリプス [ʔu⸢kuripusu] 名 葬送人。葬列に参加する人。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ソー⸣シケー ヤ⸢マシゥ⸣カ ウ⸢クリプソー オーリ⸣ブタ [⸢ʔun⸣nenu ⸢soː⸣ʃi̥keː ja⸢masi̥⸣ka ʔu⸢kuripusoː ʔoːri⸣ʃi̥ta] (あの家の葬式には沢山の葬送人が参列された<いらっしゃっていた>) 2585 0 0 2426 htmvoc_2585.wav ウクリマイ ウ⸢クリマイ [ʔu⸢kurimai] 名 「送り前」の義。「前」は「それ相当のもの。分」の義で「送る義務。金額や責任の多寡」を表わす。支払う義務を負ったお金。 トゥ⸢リ⸣マイ [tu⸢ri⸣mai] (取る権利を有するもの{EOS}お金)。 ム⸢エーヌ⸣ ウ⸢クリマイ⸣ パラウンティ ⸢シーッ⸣パイ ⸢シーベー [mu⸢jeːnu⸣ ʔu⸢kurimai⸣ paraunti ⸢ʃiːp⸣pai ⸢ʃiːbeː] (頼母子<無尽>の負債の掛金を払うのに苦労をしている<精一杯だ{EOS}こんかぎりだ>) 2561 0 0 2427 htmvoc_2561.wav ウクリムエー ウ⸢クリムエー [ʔu⸢kurimujeː] 名 前金を受け取って後、支払いの義務を負った頼母子講。 ム⸢エーヌ⸣ ジン ウ⸢キ⸣トゥルカー ⸣アトー ウ⸢クリムエール⸣ ヌ⸢カ⸣ル [mu⸢jeːnu⸣ ʤiŋ ʔu⸢ki⸣turukaː ⸣ʔatoː ʔu⸢kurimujeːru⸣ nu⸢ka⸣ru] (頼母子講のお金を受け取ると、後は支払い義務のある頼母子講が残る) 2562 0 0 2428 htmvoc_2562.wav ウクリムヌ ウ⸢クリムヌ [ʔu⸢kurimunu] 名 贈り物。進物。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ソー⸣ラン ⸣ソンガチ ⸣ナルカー ウ⸢トゥザマリン⸣ヤー ⸢シーブー⸣ティ ⸢スー⸣ ウ⸢クリムヌ ソーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢soː⸣ran ⸣soŋgaʧi ⸣narukaː ⸢ʃiːbuː⸣ti ⸢suː⸣ ʔu⸢kurimunu soːt⸣taŋ] (昔は正月やお盆になると親戚へお歳暮という贈り物をされた) 2588 0 0 2429 htmvoc_2588.wav ウクリルン ウ⸢クリルン [ʔu⸢kuriruŋ] 自動 遅れる。 ア⸢サ⸣ニビ ⸢スー⸣カー ⸢ガッ⸣コー ウ⸢クリルン⸠ダー ユ⸢ヌ⸣シリンケーラ ウ⸢クリラン⸣ヨーニ ⸢パー⸣ク ウ⸢キ⸣リ [ʔa⸢sa⸣nibi ⸢suː⸣kaː ⸢gak⸣koː ʔu⸢kurirun⸠daː ju⸢nu⸣ʃiriŋkeːra ʔu⸢kuriraɲ⸣joːni ⸢paː⸣ku ʔu⸢ki⸣ri] (朝寝をすると学校に遅れるよ{EOS}同級生から遅れないように早く起きなさい)。 ウ⸢クリナー⸣ヌ [ʔu⸢kurinaː⸣nu] (遅れてしまった)。 ウ⸢クリル⸣ ピンマー トゥ⸢ドゥキ⸣リ [ʔu⸢kuriru⸣ pimmaː tu⸢duki⸣ri] (遅れる時は届けなさい)。 ウ⸢クレー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢kureː⸣ na⸢ra⸣nu] (遅れてはならない) 2587 0 0 2430 htmvoc_2587.wav ウクリンカイ ウ⸢クリンカイ [ʔu⸢kuriŋkai] 名 送り迎え。 ⸣マーッふァヌ ⸢ガッ⸣コー ウ⸢クリンカイ スンティ⸣ シ⸢トゥム⸣テー イ⸢クサ⸣ヌ ⸣カタチニル ⸢ブー [⸣maːffanu ⸢gak⸣koː ʔu⸢kuriʔŋkai sunti⸣ ʃi̥⸢tumu⸣teː ʔi⸢kusa⸣nu ⸣kḁtaʧiniru ⸢buː] (孫の学校の送り迎えをするのに朝は戦争のようだ<戦のようにぞ居る>) 2589 0 0 2431 htmvoc_2589.wav ウクルン ウ⸢クルン [ʔu⸢kuruŋ] 自動 遅れる。とり残される。下二段系動詞「~朝立ち行かば後有<オクレタル>~。万、3291」の転訛したもの。 ア⸢サ⸣ニビ ⸢スー⸣カー ⸢ガッ⸣コー ウ⸢クルン⸠ダー ウ⸢クラン⸣ヨーニ ⸢パイ⸣サ ウ⸢キ⸣リ [ʔa⸢sa⸣nibi ⸢suː⸣kaː ⸢gak⸣koː ʔu⸢kurun⸠daː ʔu⸢kuraŋ⸣joːni ⸢pai⸣sa ʔu⸢ki⸣ri] (朝寝坊をすると学校に遅れるぞ{EOS}遅れないように早く起きろ)。 ウ⸢クリ⸣ ミサン [ʔu⸢kuri⸣ misaŋ] (遅れてもいい)。 ウ⸢クル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢kuru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (遅れる人はいない)。 ウ⸢クレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢kureː⸣ misamunu] (遅れたらいいのに)。 ウ⸢クリ⸣バ [ʔu⸢kuri⸣ba] (遅れなさいよ) 2590 0 0 2432 htmvoc_2590.wav ウクルン ウ⸢ク⸣ルン [ʔu⸢ku⸣ruŋ] 自動 起こる。惹起する。興る。 ク⸢トゥ⸣ヌ ウ⸢ク⸣レーラー ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラン⸣バ ウ⸢クラン⸣ケンナー ⸣ウチソーダン ⸢シー⸣バ [ku̥⸢tu⸣nu ʔu⸢ku⸣reːraː ⸢joː⸣ʣoː na⸢ram⸣ba ʔu⸢kuraŋ⸣kennaː ⸣ʔuʧisoːdaŋ ⸢ʃiː⸣ba] (ことが起こったらば対応できない<養生できない>から、起こらないうちにお互いに相談しなさいよ)。 ウ⸢クリパジミ⸣ルン [ʔu⸢kuripaʤimi⸣ruŋ] (起こり始める)。 ウ⸢ク⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ku⸣ru ⸣ku̥toː naːnu] (起こることはない)。 ウ⸢ク⸣ルカー ウ⸢ク⸣リ [ʔu⸢ku⸣rukaː ʔu⸢ku⸣ri] (起こるなら起これ) 2591 0 0 2433 htmvoc_2591.wav ウクルン ウ⸢ク⸣ルン [ʔu⸢ku⸣ruŋ] 自動 怒る。立腹する。 ⸣サク ウ⸢ク⸣ルン [⸣sḁku ʔu⸢ku⸣ruŋ] (怒る{EOS}立腹する<癪起こる>)。 イッ⸢カ⸣ サク ウ⸢クラ⸣ヌ [ʔik⸢ka⸣ sḁku ʔu⸢kura⸣nu] (決して怒らない)。 ⸣サク ウ⸢ク⸣リティ ナ⸢キ ベー [⸣sḁku ʔu⸢ku⸣riti na⸢ki beː] (怒って泣いている)。 ⸣サク ウ⸢ク⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣sḁku ʔu⸢ku⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (怒ることはない)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ク⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢ku⸣reː ⸣misamunu] (もっと怒ればいいのに)。 ウ⸢ク⸣リバ [ʔu⸢ku⸣riba] (怒れよ)。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルン [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ruŋ] (立腹する<根性起こる>) 2592 0 1 2434 htmvoc_2592.wav ウクルン ウ⸢クルン [ʔu⸢kuruŋ] 他動 {Mn_1}送る。 シ⸢ナムヌ⸣ ウ⸢クルン [ʃi⸢namunu⸣ ʔu⸢kuruŋ] (品物を送る)。 カ⸢ツブシ⸣ ウ⸢クリ⸣ プサンドゥ ⸢キュー⸣ヤ ウ⸢クララヌ [kḁ⸢ʦubuʃi⸣ ʔu⸢kuri⸣ pu̥sandu ⸢kjuː⸣ja ʔu⸢kuraranu] (鰹節を送りたいが今日は送られない)。 ウ⸢クル⸣ ピンマー ⸢ユー⸣ビンラ ウ⸢クリ⸣バ [ʔu⸢kuru⸣ pimmaː ⸢juː⸣binra ʔu⸢kuri⸣ba] (送る時は郵便で送れよ)。 ⸢パイ⸣サ ウ⸢クレー⸣ ミサムヌ [⸢pai⸣sa ʔu⸢kureː⸣ misamunu] (早く送ればよいのに)。 ク⸢リ⸣ ウ⸢クル⸣カー カ⸢リン⸣ ウ⸢クリ⸣ヨー [ku⸢ri⸣ ʔu⸢kuru⸣kaː ka⸢riŋ⸣ ʔu⸢kuri⸣joː] (これを送るなら、あれも送れよ)。 2592 0 2 2435 htmvoc_2592.wav ウクルン ウ⸢クルン [ʔu⸢kuruŋ] 他動 {Mn_2}見送る。死者や祖霊などを霊界へ送る。 ウ⸢キナー⸣プス ウ⸢クルンティル アー⸣ク⸢ダー [ʔu⸢kinaː⸣pu̥su ʔu⸢kuruntiru ʔaː⸣ku⸢daː] (沖縄へ行く人を見送ろうとしているんだよ)。 ウ⸢ヤ⸣プソー ユ⸢ナカバー⸣キ シゥ⸢カ⸣ナイティ ウ⸢クリオーシタ [ʔu⸢ja⸣pu̥soː ju⸢nakabaː⸣ki sï̥⸢ka⸣naiti ʔu⸢kuri ʔoːʃita] (先祖<親人>様を夜中まで孝養をつくして<養って>霊界へお送りして差し上げた) 2593 0 1 2436 htmvoc_2593.wav ウグルン ウ⸢グルン [ʔu⸢guruŋ] 他動 {Mn_1}威張る。驕り高ぶる。 ⸢クンザー⸣ ウ⸢グリティ⸣ プ⸢スヨー⸣ プ⸢スティン⸣ ウ⸢モー⸣ヌ [⸢kunʣaː⸣ ʔu⸢guriti⸣ pu̥⸢sujoː⸣ pu̥⸢sutiŋ⸣ ʔu⸢moː⸣nu] (こいつは驕り高ぶって人を人とも思わない)。 2593 0 2 2437 htmvoc_2593.wav ウグルン ウ⸢グルン [ʔu⸢guruŋ] 他動 {Mn_2}奢る。他人にご馳走を振舞う。 マ⸢ルケーティ⸣ナ ウ⸢グル⸣バソー ウ⸢ムイ⸣キシ ウ⸢グリ⸣バ [ma⸢rukeːti⸣na ʔu⸢guru⸣basoː ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ʔu⸢guri⸣ba] (偶に振舞う<奢る>ときは思い切って振舞いなさいよ<思い切って奢れよ>) 2558 0 0 2438 htmvoc_2558.wav ウクン ⸣ウクン [⸣ʔukuŋ] 自動 起きる。「おく(起く)上二段活用」の四段活用化したもの。ウ⸢キ⸣ルンとも言う。 ウ⸢カ⸣ヌ [ʔu⸢ka⸣nu] (起きない)。 ウ⸢キ⸣プサン [ʔu⸢ki⸣pusaŋ] (起きたい)。 ⸢ワー⸣ ウクカー ⸢バン⸣ヌン ⸣ウクン [⸢waː⸣ ʔukukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔukuŋ] (君が起きるなら私も起きる)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢バー⸣ル ⸢パイ⸣サ ⸣ウケーバ ⸣アツァー ⸢ワー⸣ ウキ [⸢kjuː⸣ja ⸢baː⸣ru ⸢pai⸣sa ⸣ʔukeːba ⸣ʔaʦaː ⸢waː⸣ ʔuki] (今日は私が早く起きたので明日は君が起きなさい<起け>) 2563 0 0 2439 htmvoc_2563.wav ウクン ⸣ウクン [⸣ʔukuŋ] 他動 受ける。「うく(受く)下二段活用」の四段活用化したもの。ウ⸢キ⸣ルンとも言う。 シ⸢キン⸣マー ウ⸢キ⸣プサンドゥ ク⸢トゥシェー⸣ ウ⸢カ⸣ヌ [ʃi̥⸢kim⸣maː ʔu⸢ki⸣pu̥sandu ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔu⸢ka⸣nu] (試験は受けたいが、今年は受けない)。 ⸢ワー⸣ ウクカー ⸢バン⸣ヌン ⸣ウクン [⸢waː⸣ ʔukukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔukuŋ] (君が受けたら私も受ける)。 ⸢クン⸣ドー ⸢バー⸣ル ⸣ウケーバ ⸢エン⸣マー ⸢ワー⸣ ウキバ [⸢kun⸣doː ⸢baː⸣ru ⸣ʔukeːba ⸢jem⸣maː ⸢waː⸣ ʔukiba] (今度は私が受けたから来年は君が受けなさい<受け>よ) 2564 1 0 2440 htmvoc_2564.wav ウクン ウ⸢クン [ʔu⸢kuŋ] 他動 {PoS_1}船を浮ける。船を浮かべる。ウ⸢キルン[ʔu⸢kiruŋ](浮ける)と同じ。 ⸢フンシン⸣マー ⸣クナー ウ⸢クナ⸣ヨー [⸢ɸuŋʃim⸣maː ⸣kunaː ʔu⸢kuna⸣joː] (本船はここには浮けるなよ)。 ⸣フネー ウ⸢キティ イー⸣シ ⸣トゥリ [⸣ɸuneː ʔu⸢kiti ʔiː⸣ʃi ⸣turi] (舟を浮けてツノマタヲ採取しなさい)。 ウ⸢キズー⸣ナ ⸣フネー ウ⸢キ⸣バ [ʔu⸢kiʣuː⸣na ⸣ɸuneː ʔu⸢ki⸣ba] (停泊所<浮け所>に船は浮けなさいよ)。 2564 2 0 2441 htmvoc_2564.wav ウクン ウ⸢クン [ʔu⸢kuŋ] 自動 {PoS_2}ウ⸢ケールン[ʔu⸢keːruŋ](浮かぶ)と同じ意味。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツカー ⸣フネー ウ⸢クン⸣ヨー <ウ⸢ケールン⸣ヨー> [⸢suː⸣nu ⸣miʦukaː ⸣ɸuneː ʔu⸢kuŋ⸣joː <ʔu⸢keːruŋ⸣joː>] (潮が満ちたら船は浮く<浮かぶ>よ)。 マ⸢ダ⸣ ウ⸢カヌ <ウ⸢ケール⸣> [ma⸢da⸣ ʔu⸢kanu <ʔu⸢keːru⸣>] (まだ浮かばない)。 ⸣カイブ ⸣トンナー フ⸢ニ⸣ヌ ウ⸢ク⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kaibu ⸣tonnaː ɸu⸢ni⸣nu ʔu⸢ku⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんな所に船が浮くことはない) 2594 0 0 2442 htmvoc_2594.wav ウクン ウ⸢クン [ʔu⸢kuŋ] 自動 浮く。うわつく(浮つく)。精神的に落ち着かなくなる。気が動顚する。 ⸣イロー ⸣ッサイ ⸢ミー⸣ヤ ウ⸢キティ ヌー⸣バ ⸢カン⸣ガイ ⸢ベー⸣ユー ワ⸢カラ⸣ヌ [⸣ʔiroː ⸣ssai ⸢miː⸣ja ʔu⸢kiti nuː⸣ba ⸢kaŋ⸣gai ⸢beː⸣juː wa⸢kara⸣nu] (顔色は蒼白になり<色は白み>、目は視点が定まらず<目が浮いて> 何を考えているのか分からない)。 ⸣キモー ウ⸢クン [⸣kimoː ʔu⸢kuŋ] (気が動顚する<肝が浮く、心が浮く>)。 ⸣キモー ウ⸢キティ ソー シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kimoː ʔu⸢kiti soː ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (気が動転して<肝が浮いて、心が浮いて>心配でならない)。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツカー ⸣フネー ⸢ナンク⸣ル ウ⸢クン [⸢suː⸣nu ⸣miʦukaː ⸣ɸuneː ⸢naŋku⸣ru ʔu⸢kuŋ] (潮が満ちたら船は自然に浮く)。 フ⸢ニ⸣ヌ ウ⸢ケー⸣ラー シ⸢グ⸣ ンジ パ⸢リ⸣ス [ɸu⸢ni⸣nu ʔu⸢keː⸣raː ʃi⸢gu⸣ ʔnʤi pa⸢ri⸣su] (船が浮いたら、すぐ出港する<出ていく>よ) 2879 0 0 2443 htmvoc_2879.wav ウケーピケーシ ⸣ウケーピケーシ [⸣ʔukeːpikeːʃi] 副 重言。一進一退。良くなったり悪くなったり。 ⸢ヤン⸣マー ナー⸢イ⸣ ウケーピケーシル ⸢ブー [⸢jam⸣maː naː⸢i⸣ ʔukeːpi̥keːʃiru ⸢buː] (病気はただ一進一退の状態だ<一進一退でいる>) 2596 0 0 2444 htmvoc_2596.wav ウケーラスン ウ⸢ケーラスン [ʔu⸢keːrasuŋ] 他動 浮かす。浮かべる。 ス⸢ナカ⸣ナー ⸣フニ ウ⸢ケーラスンティ ベー⸣ヌンドゥ ウ⸢ケーラサランバン [su⸢naka⸣naː ⸣ɸuni ʔu⸢keːrasunti beː⸣nundu ʔu⸢keːrasarambaŋ] (海に船を浮かべようとしているが、浮かべられない)。 ウ⸢ケーラシ⸣ ミサカー ウ⸢ケーラス⸣ クトー ⸣ナルン [ʔu⸢keːraʃi⸣ misakaː ʔu⸢keːrasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (浮かべてよければ浮かべることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ケーラシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢keːraʃeː⸣ misamunu] (早く浮かべれば良いのに)。 ⸣クナー ウ⸢ケーラシ [⸣kunaː ʔu⸢keːraʃi] (此処に浮かべよ)。 ⸣フニ ウ⸢ケーラスン [⸣ɸuni ʔu⸢keːrasuŋ] (船を浮かべる)。 ウ⸢ケーラサヌ [ʔu⸢keːrasanu] (浮かべない)。 ウ⸢ケーラシ⸣ プサンドゥ ウ⸢ケーラス⸣ フネー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢keːraʃi⸣ pu̥sandu ʔu⸢keːrasu⸣ ɸuneː ⸢naː⸣nu] (浮かべたいが浮かべる船がない) 2597 0 0 2445 htmvoc_2597.wav ウケールン ウ⸢ケールン [ʔu⸢keːruŋ] 自動 浮く。浮かぶ。 ⸣クマナー フ⸢ネー ウ⸢ケールン [⸣kumanaː ⸣ɸuneː ʔu⸢keːruŋ] (ここには、船は浮く<浮かぶ>)。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツカー ウ⸢ケールン⸣ パジ⸢ダー⸣ヌ マ⸢ダ⸣ ウ⸢ケーランバン [⸢suː⸣nu ⸣miʦukaː ʔu⸢keːrum⸣ paʤi⸢daː⸣nu ma⸢da⸣ ʔu⸢keːrambaŋ] (潮が満ちたら浮かぶはずだが、まだ浮かばないわい)。 ウ⸢ケーリナー⸣ヌ [ʔu⸢keːrinaː⸣nu] (浮いてしまった)。 ⸣クナーティン ⸣フネー ウ⸢ケールン [⸣kunaːtiŋ ⸣ɸuneː ʔu⸢keːruŋ] (ここでも船は浮かぶ<浮く>)。 ⸣クナーテー ウ⸢ケーラヌ [⸣kunaːteː ⸣ɸuneː ʔu⸢keːranu] (ここでは船は浮かばない)。 ウ⸢ケーリ⸣クン [ʔu⸢keːri⸣ kuŋ] (浮いてくる)。 ウ⸢ケール⸣クトー ウ⸢ケールンドゥ ⸢ウーカサラ⸣ヌ [ʔu⸢keːru⸣ku̥toː ʔu⸢keːrundu ʔuːkasara⸣nu] (浮くことは浮くが動かせない)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ケーレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢kereː⸣ misamunu] (もっと浮かべばよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ケーリ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢keːri] (もっと浮かべよ) 2494 0 1 2446 htmvoc_2494.wav ウコースン ウ⸢コー⸣スン [ʔu⸢koː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}起こす。 ⸣アツァー ⸢パイ⸣サ ウ⸢コー⸣シ⸢ヨー [⸣ʔaʦaː ⸢pai⸣sa ʔu⸢koː⸣ʃi⸢joː] (明日は早く起こしなさいね)。 ⸣バー ウ⸢コーサ⸣ヌ [⸣baː ʔu⸢koːsa⸣nu] (私は起こさない)。 ウ⸢コーシ⸣ プサー ア⸢ルン⸣ドゥ ウ⸢コー⸣ス プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢koːʃi⸣pu̥saː ʔa⸢run⸣du ʔu⸢koː⸣su pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (起こしたくはあるが、起こす人がいない)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢コー⸣スカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢コー⸣スン [⸢waː⸣ ʔu⸢koː⸣su̥kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢koː⸣suŋ] (君が起こすなら私も起こす)。 ウ⸢コー⸣シェー ⸣ミサムヌ⸢ナー [ʔu⸢koː⸣ʃeː ⸣misamunu⸢naː] (起こせばよいのになあ<起こしてくれればよいのになあ>)。 ⸣アツァー シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ウ⸢コー⸣スン [⸣ʔʦaː ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ʔu⸢koː⸣suŋ] (明日は朝早く起こす)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢コーシ⸣タンティン ⸣バー ウ⸢コーサ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔu⸢koːʃi̥⸣tantim ⸣baː ʔu⸢koːsa⸣nu] (君が起こしても私は起こさない)。 ウ⸢コー⸣スカー ⸢パイ⸣サ ウ⸢コー⸣シ [ʔu⸢koː⸣sukaː ⸢pai⸣sa ʔu⸢koː⸣ʃi] (起こすなら早く起こしなさい)。目覚めさせる。「~朝狩にししふみお越之<オコシ>~。万、926」の転訛したものか。 ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣ティ ゴ⸢ジ⸣ナ ウ⸢コー⸣シ [⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣ti go⸢ʤi⸣na ʔu⸢koː⸣ʃi] (明朝五時に起こせ)。 ウ⸢コーシ⸣ プサンドウ ウ⸢コー⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢koːʃi⸣ pu̥sandu ʔu⸢koː⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (起こしたいが起こす人はいない)。 ニ⸢ビターリプス⸣ ウ⸢コースン⸣ドゥ ウ⸢コーサラ⸣ヌ [ni⸢bitaːripusu⸣ ʔu⸢koːsun⸣du ʔu⸢koːsara⸣nu] (熟睡した人を起こすが、起こされない)。 ウ⸢コー⸣シ ⸣ミサカー ウ⸢コー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢koː⸣ʃi ⸣misakaː ʔu⸢koː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (起こしてよければ起こすことはできる)。 ウ⸢コー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢koː⸣ʃeː ⸣misamunu] (起こせばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢コー⸣シ [jaː⸢diŋ⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi] (きっと<必ず>起こせ)。 2494 0 2 2447 htmvoc_2494.wav ウコースン ウ⸢コー⸣スン [ʔu⸢koː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}剥がす。引き剥がす。 シ⸢ビシゥカリ ベー⸣ムヌ ウ⸢コー⸣シバ [ʃi⸢bisï̥kari beː⸣munu ʔu⸢koː⸣ʃiba] (くっ付いているものを剥がしなさいよ)。 イ⸢ズヌ⸣ ピ⸢サ⸣ ウ⸢コー⸣シ [ʔi⸢ʣunu⸣ pi̥⸢sa⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi] (魚の平<身>を起こせ<魚を三枚おろしにせよ{EOS}上身、中身、下身の三つに分けよ{EOS}骨から剥せ>)。引っ剥がす。剥がす。\ruby{剥}{ム}く。 ア⸢シブ⸣ヌ カ⸢サフタ⸣ ⸢ウコー⸣シティ フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーリ [ʔa⸢ʃibu⸣nu kḁ⸢saɸuta⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi̥ti ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːri] (お出来の瘡蓋を剥がして薬を塗布しなさい) 2600 0 0 2448 htmvoc_2600.wav ウコーッタン ウ⸢コーッタン [ʔu⸢koːttaŋ] 連 お早うございます。「起きられましたか」の義。 ウ⸢コーッタン⸣! ア⸢チ⸣サー ン⸢コー⸣リバ [ʔukoːttaŋ! ʔa⸢ʧi⸣saː ʔŋ⸢koː⸣riba] (お早うございます<起きられましたか>{EOS}熱いお茶をお上がりなさいませ<熱茶をめしあがれ>) 2602 0 0 2449 htmvoc_2602.wav ウコーリルン ウ⸢コーリ⸣ルン [ʔu⸢koːri⸣ruŋ] 自動 剥がれる。剥がれ落ちる。むくれる<剥れる>。ン⸢コー⸣ルン[ʔŋ⸢koː⸣ruŋ](はがれる)、ウ⸢コー⸣ルン[ʔu⸢koː⸣ruŋ](剥がれる)ともいう。 カ⸢サフター⸣ ミ⸢ジ⸣ナ ⸢ゾーラス⸣カー フ⸢クリティ⸣ ウ⸢コーリルン⸣ドゥ ク⸢レー⸣ ウ⸢コーリラン⸣バン [kḁ⸢saɸu̥taː⸣ mi⸢ʤi⸣na ⸢ʣoːrasu̥⸣kaː ɸu̥⸢kuriti⸣ ʔu⸢koːrirun⸣du ku⸢reː⸣ ʔu⸢koːriram⸣baŋ] (瘡蓋は水に濡らすと膨れて剥がれるが、これは剥がれないワイ)。 ⸢ペン⸣ケー ウ⸢コー⸣リ ⸢ベー [⸢peŋ⸣keː ʔu⸢koː⸣ri ⸢beː] (ペンキは剥がれている)。 ⸢ティー⸣ヌ ⸢カー⸣ヤ ウ⸢コーリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣シェヌ ⸢クン⸣ドー ウ⸢コー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢tiː⸣nu ⸢kaː⸣ja ʔu⸢koːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃenu ⸢kun⸣doː ʔu⸢koː⸣ri ⸢naː⸣nu] (手の皮<皮膚>は剥がれることは無かったが、今度は剥がれてしまった) 2601 0 0 2450 htmvoc_2601.wav ウコールン ウ⸢コー⸣ルン [ʔu⸢koː⸣ruŋ] 自動 お起きになる。起きられる。ウ⸢キ⸣ルン[ʔu⸢ki⸣ruŋ](起きる)の尊敬語。?ukuN(起く)の連用形に⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](「居る」の尊敬語「おはし{EOS}ー給ふべき人~せじ」『源氏物語、紅葉賀』の転訛)がついて形成された語。 ⸣アブジェー ロ⸢ク⸣ジナ ウ⸢コー⸣ルンティ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ ウ⸢コーラ⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː ʔro⸢ku⸣ʤina ʔu⸢koː⸣runti ʔa⸢ʣoːta⸣nu ma⸢da⸣ ʔu⸢koːra⸣nu] (お祖父さんは六時に起きられると言われたが、まだ起きられない)。 ウ⸢コー⸣ル ⸣クトゥ [ʔu⸢koː⸣ru ⸣ku̥tu] (起きられること)。 ウ⸢コー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢koː⸣reː ⸣misamunu] (起きられたら良いのに)。 ウ⸢コー⸣リ ⸣ミサン [ʔu⸢koː⸣ri ⸣misaŋ] (起きられても良い)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢コー⸣リバ [⸢paː⸣ku ʔu⸢koː⸣riba] (早くお起きなされよ) ウサ 2603 0 0 2451 htmvoc_2603.wav ウサーシカサーシ ウ⸢サーシ⸣カ⸢サー⸣シ [ʔu⸢saːʃi⸣kḁ⸢saː⸣ʃi] 名 二つ以上のものを一つにする。重ね合わせること。「ウサーシ」の重言。 ⸢ソーニヨイトゥ⸣ ニービキヨイトゥ ウ⸢サーシカサー⸣シ ユ⸢ヌ⸣ピンナ ⸢シー オーシタル [⸢soːnijoitu⸣niːbikijoitu ʔu⸢saːʃikḁsaː⸣ʃi ju⸢nu⸣pinna ⸢ʃiː ʔoːʃita] (誕生祝いと結婚祝いと二つ重ねて同じ日にして差し上げた) 2604 0 1 2452 htmvoc_2604.wav ウサースン ウ⸢サースン [ʔu⸢saːsuŋ] 他動 {Mn_1}手を合わせる。合掌する。一つにする。合計する。「押し合わせる」の転訛したもの。 ⸣ティー ウ⸢サーシ [⸣tiː ʔu⸢saːʃi] (手を合わせなさい<合掌せよ>)。 ⸣ティー ウ⸢サーシ⸣ プサンドゥ ウ⸢サーサラヌ [⸣tiː ʔu⸢saːʃi⸣ pu̥sandu ʔu⸢saːsaranu] (合掌したい<手を合わせたい>が、合掌でき<合わされ>ない)。 ⸢ワー⸣ ティー ウ⸢サース⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢サースン [⸢waː⸣ tiː ʔu⸢saːsu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢saːsuŋ] (君が手を合わせるなら私も手を合わせる)。 ⸣ティー ウ⸢サース プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣tiː ʔu⸢saːsu pu̥soː⸣ bu⸢raːnu] (手を合わせる人はいない)。 ウ⸢リトゥ⸣ ク⸢リトゥ⸣ ウ⸢サース⸣カー ⸢ダイヤ ギュー⸣サ ナ⸢ル⸣ワ [ʔu⸢ritu⸣ ku⸢ritu ʔu⸢saːsu⸣kaː ⸢daija gjuː⸣sa na⸢ru⸣wa] (それとこれと合計する<合わせる>と値段はいくらになるか)。 2604 0 2 2453 htmvoc_2604.wav ウサースン ウ⸢サースン [ʔu⸢saːsuŋ] 他動 {Mn_2}重ね合わせる。襟を合わせる。 ⸢キン⸣ヌ フ⸢ベー⸣ ウ⸢サーシェー⸣ティ ⸢アー⸣キ [⸢kin⸣nu ɸu⸢beː⸣ ʔu⸢saːʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki] (着物の襟はきちんと合わせて着てあるけ) 2605 0 0 2454 htmvoc_2605.wav ウサーリ ウ⸢サーリ [ʔu⸢saːri] 副 大勢の者がそろって。こぞって(挙って)。大勢で連れ立って。大挙して。 プ⸢ス⸣ケンナー ムー⸢ル⸣シ ウ⸢サーリ キー⸣バ ⸢ヌー⸣シ サ⸢バク⸣ワレー [pu̥⸢su⸣kennaː muː⸢ru⸣ʃi ʔu⸢saːri kiː⸣ba ⸢nuː⸣ʃi sa⸢baku⸣wareː] (一度に大勢の者が大挙してやって来るので、どうやって処理する<どうやって捌く>のか) 2606 0 0 2455 htmvoc_2606.wav ウサーリカサーリ ウ⸢サーリ⸣カサーリ [ʔu⸢saːri⸣kasaːri] 副 大勢が重なり合って来る様子。連れ立って。「おし合わさり、重ね合わさり」の転訛。ABCDEBCD型の重言。 ウ⸢ビ⸣ナーヌ プ⸢スヌ⸣ ウ⸢サーリ⸣カサーリ ⸢シー クー⸣ヌ ⸣ヌー カヤー [ʔu⸢bi⸣naːnu pu̥⸢sunu⸣ ʔu⸢saːri⸣kḁsaːri ⸢ʃiː kuː⸣nu ⸣nuːkajaː] (あれだけ大勢の人が一緒に連れ立って来るが何だろうか) 2607 0 0 2456 htmvoc_2607.wav ウサーリパルン ウ⸢サーリ⸣ パルン [ʔu⸢saːri⸣ paruŋ] 連 大挙して行く。大勢で連れ立って行く。 ム⸢ラズーヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ウ⸢サーリ⸣ パルンティ ス⸢コーリ ベー [mu⸢raʣuːnu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔu⸢saːri⸣ parunti su̥⸢koːri beː] (村中の人が大挙して行くと準備している) 2608 0 1 2457 htmvoc_2608.wav ウサーリン ウ⸢サーリン [ʔu⸢saːriŋ] 自動 {Mn_1}圧される。圧迫される。威圧される。 カ⸢マイ⸣ヤ ⸣カマイヤマナ ウ⸢サーリティ⸣ シ⸢ニベー [ka⸢mai⸣jaː ⸣kamaijamana ʔu⸢saːriti⸣ ʃi⸢nibeː] (猪は猪捕獲用の装置に圧されて死んでいる)。 2608 0 2 2458 htmvoc_2608.wav ウサーリン ウ⸢サーリン [ʔu⸢saːriŋ] 自動 {Mn_2}馬鹿にされる。 ⸣ウヌヨーナ ⸣ムヌーン ウ⸢サーリティ⸣ バタッサリ ⸢ベーン⸣ティ [⸣ʔunujoːna ⸣munuːŋ ʔu⸢saːriti⸣ batassari ⸢beːn⸣ti] (あのような者<幼いもの>に馬鹿にされて腹を立てているさ<腹腐れているさ>見ろよ)。 2608 0 3 2459 htmvoc_2608.wav ウサーリン ウ⸢サーリン [ʔu⸢saːriŋ] 自動 {Mn_3}差し押さえられる。 ⸣ウカ パ⸢ライユーサン⸣ベーティ ⸢ヤーヤシ⸣キ ウ⸢サーリナー⸣ヌ [⸣ʔuka pa⸢raijuːsam⸣beːti ⸢jaːjaʃi̥⸣ki ʔu⸢saːrinaː⸣nu] (借金を払えなくて家屋敷を差し押さえられてしまった) 2610 0 0 2460 htmvoc_2610.wav ウサイ ⸣ウサイ [⸣ʔusai] 名 さかな(肴)。「お菜」の義。ご馳走。肴料理。ご馳走一般についてもいうが、中心的意味は祝儀のご馳走、肴料理、ヨイヌ⸣ムヌ[⸢joinu⸣munu](祝いの料理)をさす。法事の料理は、シ⸢キムヌ[ʃi̥⸢kimunu](供え物)という。 ⸢ヨイ⸣ヌ ウ⸢サイ⸣ヤー シゥ⸢コーレーン⸣カヤー [⸢joi⸣nu ʔu⸢sai⸣jaː si̥⸢koːreːŋ⸣kajaː] (お祝いのご馳走<料理>は準備できたかねえ)。 サ⸢キヌ⸣ ウサイ ン⸢ザ⸣シバ [sḁ⸢kinu⸣ ʔusai ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (酒の肴を出しなさいよ) 2613 0 0 2461 htmvoc_2613.wav ウサイカサイ ウ⸢サイ⸣カサイ [ʔu⸢sai⸣kasai] 名 散散に馬鹿にすること。したたかにに馬鹿にする。甚だしくけな(貶)すさま。 ⸢ピンソー⸣ムヌティ ⸢シー⸣ ウ⸢サイ⸣カサイ シ⸢ラレー⸣ティ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリケー⸢ダー [⸢pinsoː⸣munuti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢sai⸣kḁsai ʃi⸢rareː⸣ti ma⸢na⸣ma narikeː⸢daː] (貧乏者と散散に馬鹿にされて今になってきてのだよ) 2975 0 0 2462 htmvoc_2975.wav ウサイヤマ ウ⸢サイヤマ [ʔu⸢saijama] 名 猪を押さえて捕獲する装置(罠)。 ⸣カマイ ウ⸢サイヤマ アイ⸣ シケーバ ⸢ミーマー⸣ル ⸢シン⸣ パラ [⸣kamai ʔu⸢saijama ʔai⸣ ʃi̥keːba ⸢miːmaː⸣ru ⸢ʃim⸣ para] (猪をおそって<圧そって>圧死させ、捕獲する装置を仕掛け<上げ>てあるから、見回りに行こう) 2611 0 0 2463 htmvoc_2611.wav ウサイルン ウ⸢サイルン [ʔu⸢sairuŋ] 他動 他人を馬鹿にする。見下す。威圧する。「押える」の義。 プ⸢ス⸣ ウ⸢サイルンティ アー⸣キ ウ⸢サイラリ ベー⸣タ [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢sairunti ʔaː⸣ki ʔu⸢sairari beː⸣ta] (他人を馬鹿にし<押え>ようとして、逆に馬鹿にされていた)。 パ⸢トゥ⸣マプソー ウ⸢サイララヌ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ʔu⸢sairaranu] (鳩間人は馬鹿に出来ない)。 プ⸢ス⸣ ウ⸢サイル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢sairu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (他人を馬鹿にすることはできない)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢サイリ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢sairi] (もっと馬鹿にしろ) 2620 0 0 2464 htmvoc_2620.wav ウサイルン ウ⸢サイルン [ʔu⸢sairuŋ] 他動 押さえる。 ⸣クマー ⸣ティーシ ウ⸢サイリ [⸣kumaː ⸣tiːʃi ʔu⸢sairi] (ここは手で押さえなさい)。 2620 0 2 2465 htmvoc_2620.wav ウサイルン ウ⸢サイルン [ʔu⸢sairuŋ] 他動 {Mn_2}覆う。被せる。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢ボー⸣ ナ⸢クラー⸣ンダ ⸣イツァシ ウ⸢サイラバル⸣ ナル [ku⸢nu⸣ ʔa⸢boː⸣ na⸢kuraː⸣ndaː ⸣ʔiʦaʃi ʔu⸢sairabaru⸣ naru] (この自然の竪穴は怖いから板で覆い被せるほうがよい<覆い被せたらばぞよくなる>)。 2620 0 3 2466 htmvoc_2620.wav ウサイルン ウ⸢サイルン [ʔu⸢sairuŋ] 他動 {Mn_3}軽蔑する。 プ⸢スヨー⸣ ウサイルナ [pu⸢sujoː⸣ ʔu⸢sairuna] (他人を馬鹿にするな) 2612 0 1 2467 htmvoc_2612.wav ウサウン ウ⸢サウン [ʔu⸢sauŋ] 他動 {Mn_1}圧す。押す。押える。 ⸣ティーシ ⸣バタ ウ⸢サイ⸣バ [⸣tiːʃi ⸣bata ʔu⸢sai⸣ba] (手で腹を押さえなさいよ)。押さえる。手などを当てがって抑える。おおう。「おさう<押ふ、抑ふ>。 ッ⸢サー⸣バ パ⸢ナー⸣ ウ⸢サイヤー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ [s⸢saː⸣ba pa⸢naː⸣ ʔu⸢saijaː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki] (臭いから鼻を押さえながら行きなさい<歩きなさい>)。 パ⸢ナー⸣ ウ⸢サーヌ [pa⸢naː⸣ ʔu⸢saːnu] (鼻は押さえない)。 ウ⸢サイ⸣プサカー ウ⸢サイ⸣バ [ʔu⸢sai⸣pu̥sakaː ʔu⸢sai⸣ba] (押さえたかったら押さえなさい)。 ウ⸢サウ⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢sau⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (押さえる人はいない)。 2612 0 2 2468 htmvoc_2612.wav ウサウン ウ⸢サウン [ʔu⸢sauŋ] 他動 {Mn_2}馬鹿にする。見下す。威圧する。 ⸣アイニ プ⸢スバ⸣ ウ⸢サウムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢saumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (あんなに他人を馬鹿にするものではない<押さえるものではない>)。 ⸣バー プ⸢ソー⸣ ウ⸢サーヌ [⸣baː pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢saːnu] (私は他人を馬鹿にしない<押さえない>)。 ⸢バイ⸣ヨー ウ⸢サイヤッ⸣サンティ ウ⸢ムイ⸣ル ウ⸢サウンダー⸣ ウ⸢サウ⸣カー ウ⸢サイ⸣バ [⸢bai⸣joː ʔu⸢saijas⸣santi ʔu⸢mni⸣ru ʔu⸢saundaː⸣ ʔu⸢sau⸣kaː ʔu⸢sai⸣ba] (私を馬鹿にしやすい<押さえやすい>と思って馬鹿にする<押さえる>だろうが、馬鹿にするなら<押さえるなら>馬鹿にしろ<おさえろ>よ)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢サイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢saijaː⸣ misamunu] (もっと馬鹿にすれば<押さえれば>よいのに)。他人を軽蔑する。馬鹿にする。 ウ⸢レー サッ⸣コー プ⸢ス⸣ ウ⸢サウン⸠ダー [ʔu⸢reː sak⸣koː pu̥⸢su⸣ ʔu⸢saun⸠daː] (彼は非常に他人を馬鹿にするよ)。 2612 0 3 2469 htmvoc_2612.wav ウサウン ウ⸢サウン [ʔu⸢sauŋ] 他動 {Mn_3}差し押さえる。 ⸢ゾーノー⸣ヌ ⸣ミーシ ⸣ザイサン ウ⸢サーリ ナー⸣ヌ [⸢ʣoːnoː⸣nu ⸣miːʃi ⸣ʣaisaŋ ʔu⸢saːri naː⸣nu] (税金のかた<形>に財産を差し押さえられてしまった) 2614 0 0 2470 htmvoc_2614.wav ウサガルン ウ⸢サガルン [ʔu⸢sagaruŋ] 他動 召し上がる。首里方言の?usjagajuN(召し上がる)の転訛したもの。尊大表現の一つで、話し手のみでなく、第三者の食べる行動も含めて、やや自嘲的に用いられる。普通はン⸢コー⸣ルン[ʔŋ⸢koː⸣ruŋ](召し上がる{EOS}敬語)という。 ン⸢マー⸣ ムヌバ ⸢タンガ⸣シ ウ⸢サガルンティ オー⸣ル [ʔm⸢maː⸣ munuba ⸢taŋga⸣ʃi ʔu⸢sagarunti ʔoː⸣ru] (美味しい物を一人で召し上がろうとしておられる)。 ⸢バン⸣ヌン ウ⸢サガリ⸣ ミサカー ウ⸢サガル⸣ クトー ナ⸢リ⸣スミー [⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢sagari⸣ misakaː ʔu⸢sagaru⸣ ku̥toː na⸢ri⸣sumiː] (私がも召し上がってよければ召し上がることは出来るというものだよね)。 ⸢ワンヌン⸣ ウ⸢サガレー⸣ ミサムヌ [⸢wannuŋ⸣ ʔu⸢sagareː⸣ misamunu] (君も召し上がればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢サガリ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔu⸢sagari⸣ba] (早く召し上がれよ) 2615 0 0 2471 htmvoc_2615.wav ウサガロールン ウ⸢サガロー⸣ルン [ʔu⸢sagaroː⸣ruŋ] 他動 召し上がる。ッ⸢ふン[f⸢fuŋ](食べる<食らう>)の敬語。沖縄首里方言の?usjagajuN(召し上がる)の転訛したもの。皮肉っぽい表現として用いる。普通はン⸢コー⸣ルン[ʔŋ⸢koː⸣ruŋ](召し上がる)という。 ⸢ウイヌプソー⸣ カイブ ⸣ムヌ ウ⸢サガロー⸣ルンカヤー [⸢ʔuinupusoː⸣ kaibu ⸣munu ʔu⸢sagaroː⸣ruŋkajaː] (上の人<高級官僚>はこんなものを召し上がるのかなあ)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢サガローラン⸣ パジ [ʔaː⸢ji⸣ ʔu⸢sagaroːram⸣ paʤi] (いや、召し上がられないはずだ) 2616 0 0 2472 htmvoc_2616.wav ウサギ ウ⸢サ⸣ギ [ʔu⸢sa⸣gi] 名 (動)兎。戦後の一時期、情操教育のために小学校で兎を飼育していた。 ⸢ガッ⸣コーナ ウ⸢サ⸣ギ シゥ⸢カ⸣ナイ ブ⸢タン⸣ダー [⸢gak⸣koːna ʔu⸢sa⸣gi sï̥⸢ka⸣nai bu⸢tan⸣daː] (学校で兎を飼育していたよ)。 ク⸢モーマヌ⸣ ニ⸢シンタヌ⸣ カ⸢ヤ⸣マナー ヤ⸢マシ⸣カ ウ⸢サギ⸣ヌ ⸢ブン⸣ティ⸢ダー [ku⸢moːmanu⸣ ni⸢ʃintanu⸣ ka⸢ja⸣manaː ja⸢maʃi̥⸣ka ʔu⸢sagi⸣nu ⸢bun⸣ti⸢daː] (小浜島の北の嘉屋間島には兎が沢山いるそうだ<居るってよ>) 2737 0 0 2473 htmvoc_2737.wav ウサギムヌ ウ⸢サギムヌ [ʔu⸢sagimunu] 名 贈り物。賄賂。 ム⸢カシ⸣ヌ ヤ⸢クニン⸣ヌ シ⸢マー マーリオー⸣ル ⸣ピンマー ウ⸢サギムヌ⸣ ス⸢コールンティル シーッ⸣パイ ⸢ソーッ⸣タツォー [mu⸢kaʃi⸣nu ja⸢kunin⸣nu ʃi⸢maː maːriʔoː⸣ru ⸣pimmaː ʔu⸢sagimunu⸣ su̥⸢koːruntiru ʃiːp⸣pai ⸢soːt⸣taʦoː] (昔の役人が島に回って来られるときは贈り物を準備するのに苦労された<精一杯された>そうだ) 2617 0 0 2474 htmvoc_2617.wav ウサギルン ウ⸢サギルン [ʔu⸢sagiruŋ] 他動 差し上げる。上へあげる。ッ⸢ふィールン[f⸢fiːruŋ](与える{EOS}呉れる)の謙譲語。沖縄首里方言の?usjagijuNから転訛したもの。普通は、ウ⸢サギオースン[ʔu⸢sagiʔoːsuŋ](差し上げ申し上げます)という。 ミ⸢キバ⸣ マ⸢ラシ⸣ サ⸢カサン⸣ケーン ウ⸢サギルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢サギララヌ [mi⸢kiba⸣ ma⸢raʃi⸣ sḁ⸢kasaŋ⸣keːŋ ʔu⸢sagirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢sagiraranu] (神酒を醸造して<産ませて>、司の方々に差し上げようと思うが、差し上げられない)。 ウ⸢サギオーシ⸣ ミサカー ウ⸢サギオース⸣ クトー ⸣ナルン [ʔu⸢sagiʔoːʃi⸣ misakaː ʔu⸢sagiʔoːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (差し上げてよければ差し上げることはできる)。 ウ⸢サギオーシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢sagiʔoːʃeː⸣ misamunu] (差し上げればいいのに)。 ウ⸢サギオーシ⸣バ [ʔu⸢sagiʔoːʃi⸣ba] (差し上げなさいよ)。「押し上げる」の義。 プ⸢スン⸣ヤーヌ プ⸢スヌ⸣ ッサディー ウ⸢サギル⸣カー ⸣ドゥーン ウ⸢サギルンティ⸣ ウ⸢ムイ⸣ヤー ブ⸢レースヌ⸣ ヌー ウ⸢サギリバ⸣ ミサユー ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢suɲ⸣jaːnu pu̥⸢sunu⸣ s⸢sadiː⸣ ʔu⸢sagiru⸣kaː ⸣duːŋ ʔu⸢sagirunti⸣ ʔu⸢mui⸣jaː bu⸢reːsunu⸣ nuː ʔu⸢sagiriba⸣ misajuː ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (余所の家の人が袖の下を差し上げるなら自分も差し上げよう<差し上げる>と思ってはいるが、何を差し上げれば良いのやら心配でならない) 2621 0 0 2475 htmvoc_2621.wav ウサシ ウ⸢サ⸣シ [ʔu⸢sa⸣ʃi] 名 上からの命令。指示。「御指し」の義。歌謡語。沖縄方言か。日常生活では使用しない。 ウ⸢キナー⸣カラヌ ウ⸢サ⸣シ [ʔu⸢kinaː⸣karanu ʔu⸢sa⸣ʃi] (沖縄から<琉球王府から>の御命令)。「うさし」(命せらる也)(『混効験集』) 2622 0 0 2476 htmvoc_2622.wav ウサッカルン ウ⸢サッ⸣カルン [ʔu⸢sak⸣karuŋ] 自動 もたれかかる(\ruby{凭}{モタレ}れ掛かる)。もたれる。よりかかる。 プ⸢ス⸣ナー ウ⸢サッ⸣カルン [pu̥⸢su⸣naː ʔu⸢sak⸣karuŋ] (他人によりかかる)。 ⸣バー プ⸢ス⸣ナー ウ⸢サッカラ⸣ヌ [⸣baː pu̥⸢su⸣naː ʔu⸢sakkara⸣nu] (私は他人によりかからない)。 ウ⸢サッ⸣カリ ⸣ミサカー ウ⸢サッ⸣カル ⸣クトゥン ア⸢リ⸣ス [ʔu⸢sak⸣kari ⸣misakaː ʔu⸢sak⸣karu ⸣ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣su] (よりかかってよければ、よりかかることもあるさ)。 カ⸢リ⸣ナー ウ⸢サッ⸣カレー ⸣ミサムヌ [ka⸢ri⸣naː ʔu⸢sak⸣kareː ⸣misamunu] (彼によりかかればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢サッ⸣カリバ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢sak⸣kariba] (もっとよりかかれよ)。 ⸣パラーナ ウ⸢サッ⸣カリティ ヤッ⸢トゥ⸣シ タティ⸢ベー [⸣paraːna ʔu⸢sak⸣kariti jat⸢tu⸣ʃi tati⸢beː] (柱にもたれかかってやっとのことで立っている)。 ウ⸢サッカル⸣ナ [ʔu⸢sakkaru⸣na] (もたれかかるな)。 ウ⸢サッ⸣カル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢sak⸣karu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (もたれかかることは出来ない<もたれかかることをしてはならない>)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢サッ⸣カレー ⸣ミサムヌ [⸢maːbi⸣ŋ ʔu⸢sak⸣kareː ⸣misamunu] (もっともたれかかればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢サッ⸣カリ [⸢paː⸣ku ʔu⸢sak⸣kari] (早くもたれかかりなさい) 2623 1 0 2477 htmvoc_2623.wav ウサッキルン ウ⸢サッキ⸣ルン [ʔu⸢sakki⸣ruŋ] 他動 {PoS_1}乗っける。置き掛ける。何かの上に置く。 ⸢サウ⸣バ ⸢グスク⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー ウ⸢サッキ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢サッキララ⸣ヌ [⸢sau⸣ba ⸢gusu̥ku⸣nu ⸢ʔui⸣ naː ʔu⸢sakki⸣runti ⸢sundu⸣ ʔu⸢sakkirara⸣nu] (竿を石垣の上に乗っけよう <置いておこう> とするが、乗っけられない)。 ⸢ウン⸣ナー ウ⸢サッ⸣キ ⸣ミサカー ウ⸢サッキ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔun⸣naː ʔu⸢sak⸣ki ⸣misakaː ʔu⸢sakki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (それに乗っけて <置いて> よければ乗っけることはできる)。 ウ⸢サッキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢sakki⸣reː ⸣misamunu] (乗っければ <置いておけば> いいのに)。 ⸢ウン⸣ナー ウ⸢サッキ⸣リ [⸢ʔun⸣naː ʔu⸢sakki⸣ri] (それに乗っけろ <置いておけ>)。 2623 2 0 2478 htmvoc_2623.wav ウサッキルン ウ⸢サッキ⸣ルン [ʔu⸢sakki⸣ruŋ] 他動 {PoS_2}立てかける。もたれるようにする。 ⸢グス⸣クナー ⸣パラー ウ⸢サッ⸣キシケーン [⸢gusu⸣kunaː ⸣paraː ʔu⸢sak⸣ki ⸣ʃi̥keːŋ] (石垣に柱を立てかけてある)。 ウ⸢サッキララ⸣ヌ [ʔu⸢sakkirara⸣nu] (立てかけられない)。 ⸣サウ ウ⸢サッキ⸣ルカー ⸣パラーン ウ⸢サッキ⸣ルン [⸣sau ʔu⸢sakki⸣rukaː ⸣paraːŋ ʔu⸢sakki⸣ruŋ] (竿を立てかけるなら柱も立てかける)。 ウ⸢サッキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢sakki⸣reː ⸣misamunu] (立てかければよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢サッキ⸣リ [⸢paː⸣ku ʔu⸢sakki⸣ri] (早く立てかけろ) 2624 1 0 2479 htmvoc_2624.wav ウサックン ウ⸢サッ⸣クン [ʔu⸢sak⸣kuŋ] 他動 {PoS_1}乗っける。置き掛ける。物の上に置く。 プ⸢スヌ⸣ カタナ ⸣ティー ウ⸢サッ⸣クン [pu̥⸢sunu⸣ kḁtanaː ⸣tiː ʔu⸢sak⸣kuŋ] (他人の肩に手を置く)。 ⸣ウナー ⸣ティー ウ⸢サッ⸣キ ⸣ミサカー ウ⸢サッ⸣ク ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣カタナーヤ ウ⸢サッカ⸣ヌ [⸣ʔunaː ⸣tiː ʔu⸢sak⸣ki ⸣misakaː ʔu⸢sak⸣ku ⸣ku̥toː na⸢run⸣du mi⸢dumu⸣nu ⸣kḁtanaːja ʔu⸢sakka⸣nu] (そこに手を乗っけて<置いて>良ければ乗っけることはできるが、女性の肩には手を置かない)。 ウ⸢サッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢sak⸣keː ⸣misamunu] (手を置けばいいのに)。 ウ⸢サッ⸣キバ [ʔu⸢sak⸣kiba] (<手を>乗っけて置けよ)。 2624 2 0 2480 htmvoc_2624.wav ウサックン ウ⸢サッ⸣クン [ʔu⸢sak⸣kuŋ] 他動 {PoS_2}立てかける。他の物に寄せかけて置く。ウ⸢サッキ⸣ルン[ʔu⸢sakki⸣ruŋ]と同じ。 ウ⸢サッカ⸣ヌ [ʔu⸢sakka⸣nu] (立てかけない)。 ウ⸢サッキ⸣プサ ⸣ナルカー ⸣ドゥーシ ウ⸢サッ⸣クン [ʔu⸢sakki⸣pu̥sa ⸣narukaː ⸣duːʃi ʔu⸢sak⸣kuŋ] (立てかけたくなったら自分で立てかける)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢サッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢sak⸣keː misamunu] (もっと立てかければよいのに)。 ウ⸢サッ⸣キ [ʔu⸢sak⸣ki] (立てかけろ) 2625 0 0 2481 htmvoc_2625.wav ウザドゥル ⸣ウザドゥル [⸣ʔuʣaduru] 名 (動物)うずら(鶉)。⸢ウッ⸣ザ[⸢ʔud⸣ʣa](うずら)ともいう。 ⸣ウザドゥルヌ ⸢コー⸣マ ⸣ナシシケー [⸣ʔuʣadurunu ⸢koː⸣ma ⸣naʃiʃi̥keː] (鶉が卵を産んである)。畑の畦の茅原の中に巣食って産卵する。小指大の卵は美味である。 パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザ⸣ヌ ⸣シーナ ⸣ウザドゥルヌ ⸢ミック コー⸣マ ⸣ナシシケー [pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣa⸣nu ⸣ʃiːna ⸣ʔuʣadurunu ⸢mikku koː⸣ma ⸣naʃiʃi̥keː] (畑の畦の巣に鶉が三個卵を産んである) 2626 0 1 2482 htmvoc_2626.wav ウサマルン ウ⸢サマ⸣ルン [ʔu⸢sama⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}治まる。 ⸢ウン⸣ネヌ キ⸢ナイヤ⸣ ユー ウ⸢サマリ⸣ブー⸠サー [⸢ʔun⸣nenu ki⸢naijaː⸣ juː ʔu⸢samari⸣buː⸠saː] (その家の家庭は非常に安定していて平和である<よく治まっているよ>)。 2626 0 2 2483 htmvoc_2626.wav ウサマルン ウ⸢サマ⸣ルン [ʔu⸢sama⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}収まる。解決する。 ク⸢ヌ⸣ ニ⸢ム⸣チェー プ⸢スキブ⸣ルナー ウ⸢サマ⸣ルンカヤー [ku⸢nu⸣ ni⸢mu⸣ʧeː pu̥⸢sukibu⸣runaː ʔu⸢sama⸣ruŋkajaː] (この荷物は一軒家に収まるかなあ)。 ウ⸢サマラ⸣ヌ [ʔu⸢samara⸣nu] (収まらない)。 ⸢ナンクク⸣ル ウ⸢サマ⸣ルン [⸢naŋkuku⸣ru ʔu⸢sama⸣ruŋ] (自然に収まる<解決する>)。 ク⸢ヌ ブン⸣シェー ウ⸢サマラ⸣ヌ [ku⸢nu buŋ⸣ʃeː ʔu⸢samara⸣nu] (この分<様子>では収まらない<収拾できない>)。 ク⸢ヌ ムンドー⸣ヤ ウ⸢サマ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu mundoː⸣ja ʔu⸢sama⸣ru ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (このいさかい<諍い>は解決される<収拾される>ことはない)。 ⸢パイ⸣サ ウ⸢サマ⸣レー ミサムヌ [⸢pai⸣sa ʔu⸢sama⸣reː ⸣misamunu] (早く収まれば<収拾されたら>よいのに)。 ⸣カイブ ⸢ムンドー⸣ヤ⸢パー⸣ク ウ⸢サマ⸣リ [⸣kaibu ⸢mundoː⸣ja ⸢paː⸣ku ʔu⸢sama⸣ri] (こんな\ruby{諍}{イサカ}い<問答>は早く収まれ<収拾されよ>) 2627 0 1 2484 htmvoc_2627.wav ウサミルン ウ⸢サミ⸣ルン [ʔu⸢sami⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}納める。収める。 ⸢ゾー⸣ノー ウ⸢サミ⸣ルン [⸢ʣoː⸣noː ʔu⸢sami⸣ruŋ] (税金を納める)。 マ⸢ナ⸣マー ウ⸢サミラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ʔu⸢samira⸣nu] (今は納めない)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢サミ⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢サミ⸣ルン [⸢waː⸣ ʔu⸢sami⸣rukaː ban⸣nuŋ ʔu⸢sami⸣ruŋ] (君が納めるなら私も納める)。 ウ⸢サミ⸣プサンドゥ ⸢ジン⸣ヌ タ⸢ラーヌ [ʔu⸢sami⸣ pu̥sandu ⸢ʤin⸣nu ta⸢raːnu] (納めたいが、お金が足りない)。 ⸣ドゥーシ ウ⸢サミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ʔu⸢sami⸣reː ⸣misamunu] (自分で納めればいいのに)。 ⸢パイ⸣サ ウ⸢サミ⸣リ [⸢pai⸣sa ʔu⸢sami⸣ri] (早めに納めなさい)。 2627 0 2 2485 htmvoc_2627.wav ウサミルン ウ⸢サミ⸣ルン [ʔu⸢sami⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}治める。統治する。 ⸣シマ ウ⸢サミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ユ⸢スシマヌ⸣ プ⸢スンマー⸣ ウ⸢サミララ⸣ヌ [⸣ʃima ʔu⸢sami⸣runti ⸢sundu⸣ ju⸢suʃimanu⸣ pu̥⸢summaː⸣ ʔu⸢samirara⸣nu] (島を治めようとするが、他の島<村>の人には治められない) 2628 0 1 2486 htmvoc_2628.wav ウサムン ウ⸢サ⸣ムン [ʔu⸢sa⸣muŋ] 他動 {Mn_1}納める。収める。「おさむ(治、収、納)下二段活用」の四段活用化したもの。 ⸢ゾー⸣ノー ウ⸢サ⸣ムン [⸢ʣoː⸣noː ʔu⸢sa⸣muŋ] (税金を納める)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢サ⸣ムカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢サ⸣ムン [⸢waː⸣ ʔu⸢sa⸣mukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢sa⸣muŋ] (君が納めるなら私も納める)。 ウ⸢サミ⸣ プサンドゥ ウ⸢サ⸣ム ⸣ムンドゥ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢sami⸣ pu̥sandu ʔu⸢sa⸣mu ⸣mundu ⸢naː⸣nu] (納めたいが納めるものがない)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢サ⸣ミ [⸢paː⸣ku ʔu⸢sa⸣mi] (早く納めなさい)。 ウ⸢サ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢sa⸣meː ⸣misamunu] (納めればよいのに)。 イッ⸢カ⸣ ウ⸢サマ⸣ヌ [ʔik⸢ka⸣ ʔu⸢sama⸣nu] (一向に<決して>納めない)。 2628 0 2 2487 htmvoc_2628.wav ウサムン ウ⸢サ⸣ムン [ʔu⸢sa⸣muŋ] 他動 {Mn_2}治める。統治する。 ウ⸢キ⸣ナー ウ⸢サ⸣ムンティル ⸢チューザンオー⸣ヤ イ⸢ク⸣サ ウ⸢ク⸣シ ホ⸢クザン⸣ フ⸢ルバソーッ⸣タツォー [ʔu⸢ki⸣naː ʔu⸢sa⸣muntiru ⸢ʧuːʣaŋʔoː⸣ja ʔi⸢ku⸣sa ʔu⸢ku⸣ʃi ho⸢kuʣaŋ⸣ ɸu⸢rubasoːt⸣taʦoː] (沖縄をを治めようと中山王は戦を起こして北山を滅ぼされたそうだ) 2618 0 0 2488 htmvoc_2618.wav ウサンギソッコー ウ⸢サンギソッコー [ʔu⸢saŋgisokkoː] 名 三十三年忌の法事。最終の法事。「押し上げ焼香」の義か。鳩間島では三十三年忌の法要が終了すると死者は神になるといわれている。神格化されるための法事という。この法事が終わると、死者は法事の要求をしなくなるという。 ウ⸢サンギソッコー ヤリバ⸣ ウ⸢トゥザマリ⸣ ケー⸢ラー⸣ニ シゥ⸢カサバドゥ ヤル [ʔu⸢saŋgisokkoː jariba⸣ ʔu⸢tuʣamari⸣ keː⸢raː⸣ni sï̥⸢kasabadu jaru] (三十三年忌の法事だから親戚の皆に知らせ<聞かさ>なければならない)。 ウ⸢サンギソッコーン シー オーシ⸣ シケーバ ノー⸢ンヌ⸣ フ⸢スクン ナーン⸣タ シ⸢キン⸣ヌ ⸣キムーン ユ⸢ル⸣シ ⸣カン ナ⸢ロー⸣リ ッ⸢ふァ⸣マーンケン カ⸢ルイ⸣ スコーリ [ʔu⸢saŋgisokkoːŋ ʃiː ʔoːʃi⸣ ʃi̥keːba noː⸢nnu⸣ ɸu̥⸢sukun naːn⸣ta ʃi̥⸢kin⸣nu ⸣kimuːɲ ju⸢ru⸣ʃi ⸣kan na⸢roː⸣ri f⸢fa⸣maːŋkeŋ ka⸢rui⸣su̥koːri] (三十三年忌の法事もしてさしあげましたので、何の不足もありませんから、安心して<心を許して>神様になられて、子孫をご守護<嘉例付け>下さい) 2619 0 0 2489 htmvoc_2619.wav ウサンギルン ウ⸢サンギルン [ʔu⸢saŋgiruŋ] 他動 三十三年忌の法事をして完了し、以後は神として祀る。終わり焼香を完了する。 ⸢ソッコー⸣ヤ ウ⸢サンギルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ク⸢トゥシェー⸣ ウ⸢サンギララン⸣ツォー [⸢sokkoː⸣ja ʔu⸢saŋgirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔu⸢saŋgiraran⸣ʦoː] (法事は三十三年忌を完了しようと思うが、今年は終り焼香を完了出来ないそうだ)。 マ⸢ダ⸣ ウ⸢サンギル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢da⸣ ʔu⸢saŋgiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (まだ終わり焼香の法事を完了することはできない)。 ウ⸢サンギ⸣ ミサカー ⸢ウサンギリ⸣バ [ʔu⸢saŋgi⸣ misakaː ʔu⸢saŋgiri⸣ba] (終わり焼香で法事を完了してよければ、終わり焼香を完了しなさいよ) 2680 0 0 2490 htmvoc_2680.wav ウサンクン ウ⸢サンクン [ʔu⸢saŋkuŋ] 他動 差し込む。押し込む。 シ⸢チ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ユシ⸣キシ ⸣サン ⸢ユイティ ゴーナキーヌ⸣ ユ⸢ダトゥ⸣ カ⸢サビティ ヤー⸣ヌ ⸢ユーシヌ⸣ナ ウ⸢サンクタン [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣pimmaː ⸢juʃi̥⸣kiʃi ⸣saŋ ⸢juiti goːnakiː⸣nu ju⸢datu⸣ kḁ⸢sabiti jaː⸣nu ⸢juːʃinuna ʔu⸢saŋkutaŋ] (節祭の日にはススキでサンを結って、桑の小枝と重ねて家の四隅の軒に差し込んだ)。 ⸣バー ウ⸢サンカヌ [⸣baː ʔu⸢saŋkanu] (私は差し込まない)。 ⸢バン⸣ヌン ウ⸢サンクン [⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢saŋkuŋ] (私も差し込む)。 ウ⸢サンキ⸣プサン [ʔu⸢saŋki⸣pu̥saŋ] (差し込みたい)。 ⸣クナー ⸢グイ⸣ ウ⸢サンク⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaː ⸢gui⸣ ʔu⸢saŋku⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここに杭を差し込んではならない)。 ウ⸢サンケー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢saŋkeː⸣ misamunu] (差し込めばよいのに)。 ウ⸢サンキ [ʔu⸢saŋki] (差し込め) 2629 0 0 2491 htmvoc_2629.wav ウサングン ウ⸢サングン [ʔu⸢saŋguŋ] 他動 三十三年忌をして神に祀る。 ウ⸢ヤ⸣プス ウ⸢サングンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢サンギ⸣ ミサンカヤー [ʔu⸢ja⸣pu̥su ʔu⸢saŋgunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢saŋgi⸣ misaŋkajaː] (先祖の三十三年忌をして、神として祀りたいが、祀っていいかねえ)。 マ⸢ナ⸣マー ウ⸢サンガンドー⸣シ ⸣アトーラ ウ⸢サンゲー⸣ ミサムヌ [ma⸢na⸣maː ʔu⸢saŋgandoː⸣ʃi ⸣ʔatoːra ʔu⸢saŋgeː⸣ misamunu] (今は三十三年忌をしないで、後で三十三年忌をして祀れば良いのに)。 ク⸢トシェー⸣ ウ⸢サング⸣ クトー ナ⸢ラン⸣バ ⸣エン ウ⸢サンギ⸣バ [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔu⸢saŋgu⸣ ku̥toː na⸢ram⸣ba ⸣jeŋ ʔu⸢saŋgi⸣ba] (今年は三十三年忌をして神として祀ることは出来ないから、来年三十三年忌をして祀りなさい) 2631 0 0 2492 htmvoc_2631.wav ウサンダイ ⸣ウサンダイ [⸣ʔusandai] 名 お下がり。神仏に供えた供物の取り下げられたもの。 ⸣ウサンダイヌ ム⸢チ⸣ カ⸢マブコー⸣ ケー⸢ラー⸣ニ ⸣バキ ン⸢カシミリ [⸣ʔusandainu mu⸢ʧi⸣ ka⸢mabukoː⸣ keː⸢raː⸣ni ⸣baki ʔŋ⸢kaʃimiri] (取り下げた供物<ご馳走>の餅や蒲鉾は皆に分けて召し上がって頂きなさい<召し上がらせれ>)。「おさむだい」(『混効験集』)。供物を下げることを、ピ⸢クン[pi̥⸢kuŋ](引く)といい、供えることを、ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](付く)という。シ⸢キ⸣カウ[ʃi̥⸢ki⸣kau](供えの線香)、ピ⸢キカウ[pi̥⸢kikau](引き<下げ>線香)によって供物を供えたり、下ろしたりした 2632 0 0 2493 htmvoc_2632.wav ウシ ⸣ウシ [⸣ʔuʃi] 名 臼。臼の総称。 ⸢マイッサイ⸣ウシ [⸢maissai⸣ʔuʃi] (米搗き臼{EOS}搗き臼)。ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](碾き臼)、シ⸢キ⸣ウシ[ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi](搗き臼)がある。 ニ⸢ブ⸣クナー ピ⸢キウシ⸣ ビ⸢シティ⸣ フ⸢タール⸣シ イ⸢ニ⸣ピキ ⸢ソーッ⸣タ [ni⸢bu⸣kunaː pi̥⸢kiʔuʃi⸣ bi⸢ʃiti⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ʔi⸢ni⸣pi̥ki ⸢soːt⸣ta] (藁で編んだ敷物<稲掃き筵>の上に碾き臼<籾摺り臼>を据えて、二人で籾摺りをされた)。 シ⸢キ⸣ウシナー ⸢マイヤ⸣ イ⸢リティ⸣ イ⸢ナシ⸣キシ ⸣ッサイバ [ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃinaː ⸢maija⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢naʃi̥⸣kiʃi ⸣ssaiba] (搗き臼に玄米を入れて杵で搗きなさいよ) 2633 0 1 2494 htmvoc_2633.wav ウシ ウ⸢シ [ʔu⸢ʃi] 名 {Mn_1}(動)牛。 ウ⸢シヌ⸣ シヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ ʃinu] (牛の角)。 ウ⸢シン⸣ ク⸢ルバ⸣サー ⸢サンガシ [ʔu⸢ʃiŋ⸣ ku⸢ruba⸣saː ⸢saŋgaʃi] (牛にクルバサーを引かせなさい)。 ビ⸢キウシ [bi⸢kiʔusi] (雄牛) ⸢ミー⸣ウシ [⸢miː⸣ʔuʃi] (牝牛) ウ⸢シヌ⸣ヤー [ʔu⸢ʃinu⸣jaː] (牛小屋) ウ⸢シマキ [ʔu⸢ʃimaki] (牛の牧場{EOS}伊武田牧場、赤離牧場が大正期まであった) ウ⸢シヌ⸣ウガン [ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ] (牛の御嶽<お願>{EOS}伊武田牧場にあった))。 2633 0 2 2495 htmvoc_2633.wav ウシ ウ⸢シ [ʔu⸢ʃi] 名 {Mn_2}十二支の第二番目。ウシ(丑)。時刻は午前二時前後。 ウ⸢シヌパー [ʔu⸢ʃinupaː] (丑の方角{EOS}方角は北北東)。 ウ⸢シディプス [ʔu⸢ʃidipusu] (丑年生まれの人)。 ウ⸢シディマリ [ʔu⸢ʃidimari] (丑年生まれ)。 ウ⸢シディプソー⸣ チニヒジェーラ ウ⸢シダマリティ⸣ ムニーン ⸣ビーン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ʃidipu̥soː⸣ ʧiniçiʤeːra ʔu⸢ʃidamariti⸣ muniːm ⸣biːn ⸢naː⸣nu] (丑年生まれの人は常日頃から押し黙っていて、うんともすんとも<物言いも返事も>ない) 2634 0 0 2496 htmvoc_2634.wav ウジ ⸣ウジ [⸣ʔuʤi] 名  うじ(蛆)。蛆虫。 イ⸢ズヌ⸣ ッサリティ ウ⸢ジ⸣ヌ ⸢バイティ⸣ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢ʣunu⸣ ssariti ʔu⸢ʤi⸣nu ⸢ baiti⸣ ja⸢nija⸣nu na⸢ra⸣nu] (魚が腐れて蛆が湧いて汚くてたまらない<ならない>)。 ウ⸢ジ⸣ヌ ⸣シドゥン [ʔu⸢ʤi⸣nu ⸣ʃiduŋ] (蛆が湧く<発生する>) 2635 0 0 2497 htmvoc_2635.wav ウジ ⸣ウジ [⸣ʔuʤi] 名 (動)和名、ウツボ。浅い岩礁にすみ、凶暴な性格をもつ。カ⸢ミヌ⸣クーウジ[ka⸢minu⸣kuːʔuʤi](亀の甲羅模様のウツボ)は最も大きく凶暴である。 ⸣ウジェー ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マーン⸣テー ウ⸢モーラ⸣ヌ [⸣ʔuʤeː ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maːn⸣teː ʔu⸢moːra⸣nu] (ウツボはあんまり美味しいとは思えない)。 カ⸢ミヌ⸣クーウジェー ⸣ユクン フ⸢ターチ⸣シ シゥ⸢カン⸣カー トゥ⸢ララ⸣ヌ ユ⸢クン⸣ユン マ⸢ギティ ピン⸣ギ パ⸢リ⸣ス [ka⸢minu⸣kuːʔuʤeː ⸣jukuŋ ɸu̥⸢taːʧi⸣ʃi si̥⸢kaŋ⸣kaː tu⸢rara⸣nu ju⸢kuŋ⸣jum ma⸢giti piŋ⸣gi pa⸢ri⸣su] (亀の甲模様のウツボは銛二本で突かないと獲れない{EOS}銛をも曲げて逃げていくよ) 2652 0 0 2498 htmvoc_2652.wav ウシーウシ ウ⸢シーウシ [ʔu⸢ʃiːʔuʃi] 副 無理やりに。強引に。「押し押し」の義。 ⸣プサン ⸢ナー⸣ムンバ ウ⸢シーウシ ウシキラリ カーサリティ ザー⸣パイ ⸢シーナー⸣ヌ [⸣pu̥san ⸢naː⸣mumba ʔu⸢ʃiːʔuʃi ʔuʃi̥kirari kaːsariti ʣaː⸣pai ⸢ʃiːnaː⸣nu] (欲しくもないものを無理やりに押し付けられて買わされて、困ったことになってしまった)。ウシ⸢キーウシキー[ʔuʃi̥⸢kiːʔuʃi̥kiː](無理やりに、押しつけ押しつけ)ともいう 2636 0 0 2499 htmvoc_2636.wav ウシアーシ ウ⸢シアー⸣シ [ʔu⸢ʃiʔaː⸣ʃi] 名 闘牛。「牛合わせ」の義。「闘、タタカフ、アフ」『類聚名義抄』の転訛。 パ⸢トゥ⸣マナー ウ⸢シアー⸣シェー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢tu⸣manaː ʔu⸢ʃiʔaː⸣ʃeː ⸢naː⸣nu] (鳩間島には闘牛はない) 2637 0 0 2500 htmvoc_2637.wav ウシアギルン ウ⸢シアギルン [ʔu⸢ʃiʔagiruŋ] 他動 押し上げる。 ⸢ニー⸣バ ⸢サンバ⸣シェー ウ⸢シアギルンティ スンドゥ グッふァ⸣ヌ ウ⸢シアギララヌ [⸢niː⸣ba ⸢samba⸣ʃeː ʔu⸢ʃiʔagirunti sundu guffa⸣⸣nu ʔu⸢ʃiʔagiraranu] (荷物を桟橋に押し上げようとするが、重くて押し上げられない)。 ウ⸢シアギル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃiʔagiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (押し上げることは出来ない) 2638 0 0 2501 htmvoc_2638.wav ウシアグン ウ⸢シアグン [ʔu⸢ʃiʔaguŋ] 他動 押し上げる。位置を高くする。「押し・上げ(下二段)」の転訛したもの。 ⸢グッ⸣ふァンダ ⸢タンガ⸣シ ウ⸢シアグンティ サンドー⸣シ フ⸢タール⸣シ ウ⸢シアギ⸣バ [⸢guf⸣fanda ⸢taŋga⸣ʃi ʔu⸢ʃiagunti sandoː⸣ʃi ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ʔu⸢ʃiagi⸣ba] (重いから一人で押し上げようとしないで、二人で押し上げなさいよ)。 ウ⸢シアギ⸣ ミサカー ⸢タンガ⸣シン ウ⸢シアグ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢ʃiagi⸣ misakaː ⸢taŋga⸣ʃiŋ ʔu⸢ʃiagu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (押し上げて良ければ、一人でも押し上げることは出来る)。 ウ⸢シアゲー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃiageː⸣ misamunu] (押し上げれば良いのに)。 ウ⸢シアギリ [ʔu⸢ʃiagiri] (押し上げろ) 2639 0 0 2502 htmvoc_2639.wav ウシイツァ ウ⸢シイツァ [ʔu⸢ʃiʔiʦa] 名 押し板。洗濯した衣類を畳んで、それを上から押さえる台木。厚さ約6センチ、幅30センチ、長さ約90センチの台湾檜や楠の板で作った。アイロンがなかった頃に用いられ、洗濯ものに残る香りを楽しんだ。 ア⸢ライヤー⸣ル ⸢キン⸣マー タ⸢ク⸣ミティ ウ⸢シイツァ⸣シ ⸢ウシキ⸣ シキバ [ʔa⸢raijaː⸣ru ⸢kim⸣maː tḁ⸢ku⸣miti ʔu⸢ʃiʔiʦa⸣ʃi ⸢ʔuʃiki⸣ʃikiba] (洗った着物は畳んで押し板で押して置きなさいよ) 2735 0 0 2503 htmvoc_2735.wav ウシカキ ウ⸢シカキ [ʔu⸢ʃikaki] 名 ⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船、サバニ)の帆柱を立てる梁。梁の中央に帆柱を通す四角の穴がある。梁の厚さは約一寸五分、幅約五寸、長さ約四尺(これは舟の大きさにより異なる)で、舟の両舷側の上部において⸢ウシキ⸣ヤー[⸢ʔuʃi̥ki⸣jaː](「押さえ棒」の義{EOS}幅約一寸、厚さ約七分、長さ約七寸の棒)で抑えるように縛って固定してある。ウ⸢シカキ[ʔu⸢ʃikaki]の真下にはパ⸢ラータティ⸣ミー[pa⸢raːtati⸣miː](帆柱立て穴)があり、帆柱の根っこの尖った部分が挿入されて固定される。ウ⸢シカキの穴と帆柱は⸢シー⸣キサ[⸢ʃiː⸣kisa](楔)という二種類の楔を差して角度を調節し、風力に合わせる。 ウ⸢シカキ⸣ナ ⸣パラー ⸣タティティ ⸢プー⸣ ピ⸢キ⸣バ [ʔu⸢ʃikaki⸣na ⸣paraː ⸣tḁtiti ⸢puː⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (ウシカキニに帆柱を立てて帆を張りなさい<帆を引きなさい>) 2641 0 0 2504 htmvoc_2641.wav ウシカキルン ウ⸢シカキルン [ʔu⸢ʃikakiruŋ] 自動 押しかける。押し寄せる。 ⸢プー⸣ルナー ⸢キョーユーカイ⸣ヌ ウ⸢シカキルンティ⸣ ス⸢クタンドゥ オーシキヌ⸣ ヤ⸢ブ⸣ター ウ⸢シカキランシェン [⸢puːru⸣naː ⸢kjoːjuːkai⸣nu ʔu⸢ʃikakirunti⸣ su̥⸢kutandu ʔoːʃikinu⸣ ja⸢bu⸣taː ʔu⸢ʃikakiraŋʃeŋ] (豊年祭には郷友会が押しかけると聞いたが、天候が崩れたので押しかけなかった)。 ウ⸢シカキル⸣ クトー ⸢ナーン⸣パジ [ʔu⸢ʃikakiru⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (押しかけることは無いはずだ) 2734 0 0 2505 htmvoc_2734.wav ウシカクン ウ⸢シカクン [ʔu⸢ʃikakuŋ] 自動 押しかける。押し寄せる。相手の意思に関わらず、勝手に相手の所へ行く。 ノー⸢ンティン ナー⸣ムティ ⸢アッ⸣タニ ウ⸢シカキ⸣ クン [noː⸢ntin naː⸣muti ⸢ʔat⸣tani ʔu⸢ʃikaki⸣ kuŋ] (なんとも言わないで急に押しかけて来る)。「Voxicaqe,ru,eta.ヲシカケ,クル,ケタ(押しかけ,くる,けた)~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣ソンガチ パ⸢チウクシヌ⸣ ピンマー カ⸢ツシンシンカー⸣ ク⸢トゥシン⸣ ウ⸢ヤカタ⸣ヌヤー ウ⸢シカクン⸣カヤー [⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧiukuʃinu⸣ pimmaː kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋkaː⸣ ku̥⸢tuʃiŋ⸣ ʔu⸢jakataɲ⸣jaː ʔu⸢ʃikakuŋ⸣kajaː] (正月仕事始めの日<初起し>にはカツオ漁船の乗組員は今年も親方の家におしかけるかねえ)。 プ⸢スン⸣ ヤー ウ⸢シカカンモー⸣ マ⸢シ [pu̥⸢suɲ⸣jaː ʔu⸢ʃikakammoː⸣ ma⸢ʃi] (他人の家には押しかけないのがいい)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢シカク⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢シカクン [⸢waː⸣ ʔu⸢ʃikaku⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ʃikakuŋ] (君が押しかけたら私も押しかける)。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ウ⸢シカケー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ʔu⸢ʃikakeː⸣ misamunu] (朝早く押しかければよいのに)。 ムー⸢ル⸣シ ウ⸢シカキリ [muː⸢ru⸣ʃi ʔu⸢ʃikakiri] (皆で押しかけなさい)。 ムー⸢ル⸣シ ウ⸢シカク⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [muː⸢ru⸣ʃi ʔu⸢ʃikaku⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (皆で押しかけることは出来ない<押しかけてはならない>) 2840 0 0 2506 htmvoc_2840.wav ウシカラスン ⸢ウシカラスン [⸢ʔuʃi̥karasuŋ] 他動 押し遣る。押して寄越す。 ウ⸢スッ⸣ふァイッスン ク⸢マ⸣ー ⸢ウシカラシ [ʔu⸢suf⸣faissuŋ ku⸢ma⸣ː ⸢ʔuʃi̥karaʃi] (風呂敷包みをここへ押して寄越しなさい)。 ⸢ウシカラサラヌ [⸢ʔuʃi̥karasaranu] (押し遣らない)。 ⸢ワー ウシカラス⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸢ウシカラスン [⸢waː ʔuʃi̥karasu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔuʃi̥karasuŋ] (君が押し遣ったら私も押し遣る)。 ⸢ウシカラス⸣ クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔuʃi̥karasu⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (押し遣ることも出来ない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ウシカラセー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuʃi̥karaʃeː⸣ misamunu] (もっと押し遣ればいいのに) 2644 0 0 2507 htmvoc_2644.wav ウシキー ⸣ウシキー [⸣ʔuʃikiː] 名 (植)あこう(赤秀)。ア⸢コーキー[ʔa⸢koːkiː](あこう<赤秀>)と同じ。 ⸣マンタヌ ウ⸢リダチ⸣ヌ ⸣ウシキーヤ カ⸢ザケーヌ⸣ ウスマイル カ⸢ジヌ⸣ カ⸢タ⸣カティ ⸢シー⸣ イ⸢ボーッ⸣タ [⸣mantanu ʔu⸢ridaʧi⸣nu ⸣ʔuʃikiːja ka⸢ʣakaeːnu⸣ ʔusumairu ka⸢ʤinu⸣ kḁ⸢ta⸣kati ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢boːt⸣ta] (前の降り立ち<浜への出口>のアコウ<赤秀>の木は加治工伊佐<ウスマイ>が防風林として植えられた) 2654 0 0 2508 htmvoc_2654.wav ウシキパラシキ ⸢ウシキパラシ⸣キ [⸢ʔuʃi̥kipara⸣ʃi̥ki] 副 押し付けるように。無理矢理に。「押し付け張り付け」の義。 ⸢ウシシキパラシ⸣キ ⸢シェー⸣ティ フ⸢チ⸣ル ヌ⸢マシ⸣ター ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣ニチェー サ⸢マ⸣レーンティ [⸢ʔuʃi̥kipara⸣ʃi̥ki ⸢ʃeː⸣ti ɸu̥⸢ʧi⸣ru nu⸢maʃi̥⸣taː jat⸢tu⸣ʃi ⸣niʧeː sa⸢ma⸣reːnti] (無理矢理に押し付けて薬を飲ませたら、やっとのことで熱は下がった<冷まった>よ) 2646 0 0 2509 htmvoc_2646.wav ウシキヤー ⸢ウシキ⸣ヤー [⸢ʔuʃi̥ki⸣jaː] 名 押し板。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)の両舷上部の船板を保護する板。巾約3センチ、厚さ約1、5センチの硬い板で両舷側上部を押さえたもの。舟を漕ぐ際に櫂で舟の両舷側上部が摩滅しないように保護する板。 ⸢ウシキヤー⸣ヤ ⸣ヤクシ フ⸢ニン⸣パタ ⸣ッシ ピ⸢ナラサン⸣ ヨーニ ⸢スー ムヌ [⸢ʔuʃi̥kijaː⸣ja ⸣jakuʃi ɸu⸢nim⸣pḁta ⸣ʃʃi pi⸢narasaŋ⸣ joːni ⸢suː munu] (ウシキヤーは、櫂で船べりを磨り減らさないように保護するするもの) 2655 0 0 2510 htmvoc_2655.wav ウシキラリン ⸢ウシキラリン [⸢ʔuʃi̥kirariŋ] 連 押さえつけられる。{⸢ウシキルン[⸢ʔuʃi̥kiruŋ](押える)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身・可能動詞)}。 ウ⸢リン ウシキラリン [ʔu⸢riŋ ʔuʃi̥kirariŋ] (あれ<彼>に押さえつけられる)。 ⸢ワンマー ウシキララヌ [⸢wammaː ʔuʃi̥kiraranu] (君には押さえつけられない) 2656 0 1 2511 htmvoc_2656.wav ウシキルン ⸢ウシキルン [⸢ʔuʃi̥kiruŋ] 他動 {Mn_1}押える。押し付ける。 ク⸢シヌ⸣ ヤムントンマー ピ⸢ジ⸣シ ⸢ウシキル⸣カー ⸢ノー⸣ルン [ku̥⸢ʃinu⸣ jamuntommaː pi⸢ʤi⸣ʃi ⸢ʔuʃi̥kiru⸣kaː ⸢noː⸣ruŋ] (腰の痛む所を肘で押えたら治る)。 2656 0 2 2512 htmvoc_2656.wav ウシキルン ⸢ウシキルン [⸢ʔuʃi̥kiruŋ] 他動 {Mn_2}強いる。命じる。 ⸢ウシキルンティ⸣ ウムーカー ⸢ウシキラレースヌ⸣ シ⸢キニン⸣マー ム⸢タラ⸣ヌ [⸢ʔuʃi̥kirunti⸣ ʔumuːkaː ⸢ʔuʃi̥kirareːsunu⸣ ʃi̥⸢kinim⸣maː mu⸢tara⸣nu] (押し付けよう<押し付ける>と思えば押し付けられるが、責任が取れない<持たれない>)。 シ⸢グトー ウシキル⸣カー ⸢スー⸣パジ ヤ⸢ルンダー ウシキ ッふィール⸣ プ⸢スヌ ブー⸣カーティル ウ⸢モー⸣リ⸢ツォー [ʃi⸢gutoː ʔuʃi̥kiru⸣kaː suː⸣paʤi ja⸢runda ʔuʃi̥ki ffiːru⸣ pu̥⸢sunu buː⸣kaːtiru ʔu⸢moː⸣ri⸢ʦoː] (仕事は押し付け<命じ>たらするはずだから、押し付けてくれる人がいたらなあと<ぞ>思われるんですよ)。 ⸢ウシキリ [⸢ʔuʃi̥kiri] (押し付けろ<命じよ>) 2643 0 0 2513 htmvoc_2643.wav ウシクバン ウ⸢シクバン [ʔu⸢ʃikubaŋ] 名 祭祀の供物の一つ。本来は牛肉を茹でて燻製にし、細長く切ったものを言った。牛肉が入手出来なくなってからは魚肉を燻製にして用いるようになったという。牛肉の神饌。牛肉を煮て、焙乾したものを厚さ約5ミリ、幅約1センチ、長さ約8センチに切ったもの。イ⸢ズ⸣クバン[ʔi⸢ʣu⸣kubaŋ]は魚肉を用いて作った神饌。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢カンキザ⸣ロー ウ⸢シクバンマー⸣ シゥ⸢カイ ヨーラン⸣セン イ⸢ズクバンドゥ⸣ シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢kaŋkiʣa⸣roː ʔu⸢ʃikubammaː⸣ sï̥⸢kaijoːraŋ⸣ʃeŋ ʔi⸢ʣukubandu⸣ sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (鳩間島の神行事には牛肉の神饌は使われなかった{EOS}魚肉の神饌を使われた)。クバンを7本か9本に結わえたもの(ムリクバン{SqBr}mu⸢rikubaŋ{/SqBr})に更に3本のクバンを載せたもの一対。それを皿に入れ、塩と大蒜3片を添えたものが神前への供物。 ウ⸢シクバンヌ ナーン⸣ベーティル イ⸢ズクバン⸣ シゥ⸢カイヨー⸣ルツォー [⸣ʔuʃikubannu ⸢naːm⸣beːtiru ʔi⸢ʣukuban⸣ sï̥⸢kaijoː⸣ruʦoː] (ウシクバン<牛肉のクバン>が無いのでイズクバン<魚肉のクバン>を使われるそうだ) 2659 0 0 2514 htmvoc_2659.wav ウシクミルン ウ⸢シクミルン [ʔu⸢ʃikmiruŋ] 他動 押し込める。閉じ込める。容器などの中に詰め込む。「押し込め<下二段>」『源氏物語 浮舟』のラ行四段活用化したもの。 ⸣キンカーバ ⸢カイ⸣ナー ウ⸢シクミルンティ スンドゥ⸣ ウ⸢シクミララヌ [⸣kiŋkaːba ⸢kai⸣naː ʔu⸢ʃi̥kumirunti sundu⸣ ʔu⸢ʃi̥kumiraranu] (衣類を長櫃に詰め込めようとするが、詰め籠められない)。 ユ⸢コー⸣ナ ウ⸢シクミ⸣ ミサカー ウ⸢シクミル⸣ クトー ⸣ナルン [ju⸢koː⸣na ʔu⸢ʃi̥kumi⸣ misakaː ʔu⸢ʃi̥kumiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (裏座に閉じ込めて良ければ閉じ込めることは出来る)。 ウ⸢シクミレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃi̥kumireː⸣ misamunu] (押し込めればいいのに)。 ⸣ウナー ウ⸢シクミリ⸣バ [⸣ʔunaː ʔu⸢ʃi̥kumiri⸣ba] (そこに押し込めなさいよ) 2658 0 1 2515 htmvoc_2658.wav ウシクムン ⸢ウシクムン [⸢ʔuʃi̥kumuŋ] 他動 {Mn_1}押し込める。容器などに、無理に入れる。詰め込む。監禁する。 ⸣キンカー ⸢タン⸣シナ ⸢ウシクムンティ スンドゥ ウシクマラヌ [⸣kiŋkaː ⸢taŋ⸣ʃina ⸢ʔuʃi̥kumunti sundu ʔuʃi̥kumaranu] (衣類を箪笥に押し込めようとするが、押し込められない)。 ⸣クナー ウ⸢シクミ⸣ ミサタンティン ウ⸢シクマヌ [⸣kunaː ʔu⸢ʃi̥kumi⸣ misatantiŋ ⸢ʔuʃi̥kumanu] (ここには詰め込んでよくても詰め込まない)。 ⸢ウシクミ⸣バ [⸢ʔuʃi̥kumi⸣ba] (詰め込めよ)。 ⸢ウシクム⸣クトー ナ⸢ラン⸣バ ⸢ウシクムナ [⸢ʔuʃi̥kumu⸣ ku̥toː na⸢ram⸣ba ⸢ʔuʃi̥kumuna] (押し込むことはできないから、押し込むな)。 ⸢ウシクメー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuʃi̥kumeː⸣ misamunu] (押し込めば良いのに)。 2658 0 2 2516 htmvoc_2658.wav ウシクムン ⸢ウシクムン [⸢ʔuʃi̥kumuŋ] 他動 {Mn_2}家督を継ぐ嫡子を廃して非嫡出子を家督相続人とすること。 サ⸢クシ⸣バ ⸢ウシクミティ⸣ ジ⸢ナンバ⸣ アトゥトゥリ シ⸢ミ⸣シケー [sḁ⸢kuʃi⸣ba ⸢ʔuʃi̥kumiti⸣ ʤi⸢namba⸣ ʔatuturi ʃi⸢mi⸣ʃi̥keː] (嫡子を押し込めて次男を跡継ぎにしてある)。 サ⸢クシウシ⸣クメー タ⸢タ⸣ルンティ ⸢ダー [sḁ⸢kuʃiʔuʃi̥⸣kumeː tḁ⸢ta⸣runti ⸢daː] (嫡子押し込めは子孫に祟るそうだよ) 2647 0 0 2517 htmvoc_2647.wav ウシクラサー ウ⸢シクラサー [ʔu⸢ʃikurasaː] 名 大の怠け者。怠け者野郎。ウ⸢シクラシムヌ[ʔu⸢ʃikuraʃimunu](怠け者)の卑称。「牛殺し奴」の義。 ウ⸢シクラサー ウンザー⸣ スブットゥ ⸣ナリティ ムッ⸢トゥ⸣ パ⸢タラカヌ [ʔu⸢ʃikurasaː ʔunʣa⸣ subuttu ⸣nariti mut⸢tu⸣ pḁ⸢tarakanu] (牛殺し奴めが、野郎は大怠け者になってしまって、ちっとも働かない) 2650 0 0 2518 htmvoc_2650.wav ウシクラシムヌ ウ⸢シクラシムヌ [ʔu⸢ʃikuraʃimunu] 名 怠け者。ウ⸢シクラサー[ʔu⸢ʃikurasaː](怠け者)ともいう。「牛殺し者」の義。 ⸢ウンザー⸣ ウ⸢シクラシムヌ⸣ ナリティ ⸢ピッ⸣チン パ⸢タラカヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ʔu⸢ʃikuraʃimunu⸣ nariti ⸢pit⸣ʧim pḁ⸢tarakanu] (こいつは怠け者になってちっとも働かない) 2648 0 0 2519 htmvoc_2648.wav ウシクルバスン ウ⸢シクルバスン [ʔu⸢ʃikurubasuŋ] 他動 押し転ばす。ク⸢ルバスン[ku⸢rubasuŋ](転ばす)に強意の接頭語ウ⸢シ-[ʔu⸢ʃi](押し)が付いて形成された語 2651 0 0 2520 htmvoc_2651.wav ウシザキ ウ⸢シザキ [ʔu⸢ʃiʣaki] 名 「牛酒」の義。牛のように黙して語らず、ひたすら大量の酒を飲むさま。ン⸢マザ⸣キ[ʔm⸢maʣa⸣ki](「旨酒」の転訛した<馬酒>)の対義語。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢シザキ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ ヌ⸢マサ⸣バン タ⸢ラーヌ⸣ ナー⸢イ⸣ ビ⸢リベー⸣ティ ⸢ビービー⸣シ ヌ⸢ミキシ⸣ス [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢ʃiʣaki⸣ ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ nu⸢masa⸣ban ta⸢raːnu⸣ naː⸢i⸣ bi⸢ribeː⸣ti ⸢biːbiː⸣ʃi nu⸢mikiʃi⸣su] (これ<この人>は牛酒だから、いくら飲ませても足りない{EOS}ただ座っていてビービー音をたてて飲み尽くしてしまう) 2755 0 0 2521 htmvoc_2755.wav ウシシマリティ ウ⸢シシマ⸣リティ [ʔu⸢ʃiʃima⸣riti] 副 押し詰まって。 ⸣ウカ ⸢カイ⸣ス ピ⸢ニチヌ⸣ ウ⸢シシマ⸣リティ ⸢ヌー⸣スユーティ ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔuka ⸢kai⸣su pi⸢niʧinu⸣ ʔu⸢ʃiʃima⸣riti ⸢nuː⸣sujuːti ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (借金を返済する日が押し迫って、どうしようかと心配で堪らない) 2756 0 0 2522 htmvoc_2756.wav ウシジル ⸣ウシジル [⸣ʔuʃiʤiru] 名 塩味だけで、具の少ないお汁。粗末なお汁。「\ruby{潮汁}{ウシオ|ジル}」の転訛したもの。 ⸢アーサ⸣ヌ ⸣ウシジルーンツァン ⸣ヌミティ ⸣パレー ⸣ミサムヌ [⸢ʔaːsa⸣nu ⸣ʔuʃiʤiruːnʦan ⸣numiti ⸣pareː ⸣misamunu] (ヒトエグサ<あおさ>の、具の少ないお汁だけでも飲んで行けばよいのに)。 ⸣ウシジル ⸢タン⸣ガー ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸣ʔuʃiʤiru ⸢taŋ⸣gaː nu⸢mara⸣nu] (具のないお汁だけでは飲めない) 2739 0 0 2523 htmvoc_2739.wav ウシスビ ⸣ウシスビ [⸣ʔuʃisubi] 名 (動)魚の名。和名、クロマグロ(体長約3メートル)。 ム⸢カ⸣シ イ⸢ガメー⸣ナーティ ⸣ウシスビ ⸢ホー⸣ソール プ⸢スン オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃi ʔi⸢gameː⸣naːti ⸣ʔuʃisubi ⸢hoː⸣soːru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣tanʦoː] (昔、イカ釣り漁で巨大クロマグロを釣り上げられる人もおられたそうだ)。イカ釣り漁で釣り上げられるウシスビは大きいもので2、5メートルに達するものもあった。 ⸣ウシスビバ ⸢ホー⸣シティ ウ⸢リ アンギラランベー⸣ティ ⸢サンギオーッ⸣タツォー [⸣ʔuʃisubiba ⸢hoː⸣ʃi̥ti ʔu⸢ri ʔaŋgirarambeː⸣ti ⸢saŋgiʔoːt⸣taʦoː] (クロマグロを釣って、それを引き上げることができないので、引っ張ってこられたそうだ) 2736 0 0 2524 htmvoc_2736.wav ウシダクン ウ⸢シダクン [ʔu⸢ʃidakuŋ] 他動 強引に抱き着く。抱き着く。引っ立てる。「押し抱く」の義。 シ⸢グトー サン⸣ティ ピン⸢シー ベー⸣ ムンバ ウ⸢シダキ サーリパッ⸣タ [ʃi⸢gutoː san⸣ti piŋ⸢ʃiː beː⸣ mumba ʔu⸢ʃidaki saːripat⸣ta] (仕事はしないと反抗している者を強引に引っ立てて連れて行った)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ウ⸢シダキ⸣ティ ア⸢ズバン⸣ ウ⸢シダカラヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ʔu⸢ʃidaki⸣ti ʔa⸢ʣubaŋ⸣ ʔu⸢ʃidakaranu] (あんな奴<者>は抱き着いて引っ立てろと言われても引っ立てられない)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢シダク⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢シダクン [⸢waː⸣ ʔu⸢ʃidaku⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ʃidakuŋ] (君が抱き着いて引っ立てるなら私も引っ立てる)。 ヤ⸢ラビ⸣バ ウ⸢シダケー⸣ティ ⸢サンギ⸣ パルム ⸣ミルカー キ⸢ムイツァー⸣ルバン [ja⸢rabi⸣ba ʔu⸢ʃidakeː⸣ti ⸢saŋgi⸣ parumuː ⸣mirukaː ki⸢muiʦaː⸣rubaŋ] (子供を抱き着いて、引きずって連れて行くのを見ると可哀相だわい) 2660 0 0 2525 htmvoc_2660.wav ウシダマ ウ⸢シダマ [ʔu⸢ʃidama] 名 てんかん(癲癇)。「牛魂」の義。目玉を反転させて体全体を硬直させ、失神状態になること。転じて、憑き物に憑かれたように、無言で一点を凝視する状態にもいう。子供が親に対して無言の抵抗を示すことにもいう。牛を屠殺する際、天を仰ぎ見ると、癲癇に罹るといわれて、子供が屠殺の現場に来ることを禁じていた。 ウ⸢シダマ⸣ カ⸢カリプス⸣ヌ ⸣ミー ⸣ミルカー ウ⸢チ⸣ルンティ シ⸢バ⸣ ミー ミ⸢ル⸣ナ⸢ヨー [ʔu⸢ʃidama⸣ kḁ⸢karipu̥su⸣nu ⸣miː ⸣mirukaː ʔu⸢ʧi⸣runti ʃi⸢ba⸣ miː mi⸢ru⸣na⸢joː] (癲癇患者<罹り人>の目を見ると伝染<移る>というから目を見るなよ)。 ウ⸢シダマ⸣ カ⸢カリムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ン⸢ダマリ ベー [ʔu⸢ʃidama⸣ kḁ⸢karimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini ʔn⸢damari beː] (癲癇に罹った者のように押し黙って\ruby{睨}{ニラ}んでいる) 2661 0 0 2526 htmvoc_2661.wav ウシダマルン ウ⸢シダマルン [ʔu⸢ʃidamaruŋ] 自動 押し黙る。じっとだまる。全く沈黙する。「Voxidamari,ru,atta.ヲシダマリ,ル,ッタ(押し黙る,る,つた)持っている物とか,知っている事とかを隠して知らぬ振りをして黙っている」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢リヌ⸣ ピン ⸢スー⸣カー ウ⸢シダマリティ⸣ ムニ イ⸢ザヌ [ʔu⸢rinu⸣ pin ⸢suː⸣kaː ʔu⸢ʃidamariti⸣ muni ʔi⸢ʣanu] (彼が反抗すると押し黙ってものを言わない) 2662 0 0 2527 htmvoc_2662.wav ウシッカイスン ウ⸢シッカイスン [ʔu⸢ʃikkaisuŋ] 他動 押し返す。 ジン⸢ナー⸣ト ⸣ムティクーカー ウ⸢シッカイシ [ʤin⸢naː⸣to ⸣mutikuːkaː ʔu⸢ʃikkaiʃi] (お金などを持って来たら押し返せ)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢シッカイス⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢シッカイスン [⸢waː⸣ ʔu⸢ʃikkaisu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ʃikkaisuŋ] (君が押し返すなら私も押し返す)。 ⸣ムティケーラ ウ⸢シッカイサラヌ [⸣mutikeːra ʔu⸢ʃikkaisaranu] (持って来たら押し返されない)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ウ⸢シッカイシェー⸣ ミサンドゥ ター⸢ン⸣ ウ⸢シッカイス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ʔu⸢ʃikkaiʃeː⸣ misandu taː⸢ŋ⸣ ʔu⸢ʃikkaisu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなものは押し返せばよいのだが、誰も押し返す人はいない)。 ウ⸢シッカイシ⸣ プサン [ʔu⸢ʃikkaiʃi⸣ pu̥saŋ] (押し返したい) 2741 0 0 2528 htmvoc_2741.wav ウシックナー ウ⸢シックナー [ʔu⸢ʃikkunaː] 名 押し合いへしあいすること。おしくらまんじゅう(押し競饅頭)。⸢ックナー[⸢kkunaː]は「Curabe,uru,eta.クラベ,ブル,ベタ(比べ,ぶる,べた)物と物とを比較する,」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ウ⸢シックナー シー⸣ ア⸢サビ ベー [ja⸢ra⸣biŋkeːja ʔu⸢ʃikkunaː ʃiː⸣ ʔa⸢sabi beː] (子供たちは押し合いへしあい<押し競饅頭>して遊んでいる) 2663 0 0 2529 htmvoc_2663.wav ウシックミルン ウ⸢シックミルン [ʔu⸢ʃikkumiruŋ] 他動 押し込める。 ユ⸢コー⸣ナ ウ⸢シックミル⸣カー ウ⸢バイス⸣パジ ヤ⸢ルンダー⸣ ン⸢ベマ⸣ ウ⸢シックミティ⸣ ウ⸢ドーシ⸣バ [ju⸢koː⸣na ʔu⸢ʃikkumiru⸣kaː ʔu⸢baisu⸣paʤi ja⸢runda⸣ ʔm⸢beːma⸣ ʔu⸢ʃikkumiti⸣ ʔu⸢doːʃi⸣ba] (裏座に押し込めたら驚くはずだから、ちょっと押し込めて脅しなさいよ)。 イコー⸢ラ⸣ ノーン⸢ヤラバン⸣ シ⸢ナッ⸣ふァー ウ⸢シックミララヌ [ʔikoː⸢ra⸣ noː⸢ɲjarabaŋ⸣ ʃi⸢naf⸣faː ʔu⸢ʃikkumiraranu] (いくらなんでも幼い子供は押し込められない)。 ウ⸢シックミ⸣ミサン [ʔu⸢ʃikkumi⸣misaŋ] (押し込めてよい)。 ⸣バー ウ⸢シックミルン [⸣baː ʔu⸢ʃikumiruŋ] (私は押し込める)。 ⸢パイ⸣サ ウ⸢シックミリ [⸢pai⸣sa ʔu⸢ʃikkumiri] (早く押し込めなさい) 2664 0 0 2530 htmvoc_2664.wav ウシックムン ウ⸢シックムン [ʔu⸢ʃikkumuŋ] 他動 押し込める。「おしこむ(下二段活用)」の四段活用化したもの。 ユ⸢ミバ ヤー⸣ナカー⸢ニ⸣ ウ⸢シックミ⸣シケー [ju⸢miba jaː⸣nakaː⸢ni⸣ ʔu⸢ʃikkumi⸣ʃi̥keː] (嫁を家にだけ押し込めておいてある)。 パ⸢クヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナー ⸢ウシックミティ⸣ ア⸢ゾーッ⸣タンティン ク⸢レー⸣ ウ⸢シックマラヌ [pḁ⸢kunu⸣ na⸢ka⸣naː ʔu⸢ʃikkumiti⸣ ʔa⸢ʣoːt⸣tantiŋ ku⸢reː⸣ ʔu⸢ʃikkumaranu] (箱の中に押し込めろといわれても、これは押し込められない)。 ク⸢リ⸣ ウ⸢シックム⸣カー カ⸢リン⸣ ウ⸢シックムン [ku⸢ri⸣ ʔu⸢ʃikkumu⸣kaː ka⸢riŋ⸣ ʔu⸢ʃikkumuŋ] (これを押し込めると、あれも押し込める)。 ク⸢リン⸣ ウ⸢シックメー⸣ ミサムヌ [ku⸢riŋ⸣ʔu⸢ʃikkumeː⸣ misamunu] (これも押し込めばよいのに)。 シゥ⸢カーン⸣ ムノー ムー⸢ル クン⸣ナ ウ⸢シックミ⸣ シキ [sï̥⸢kaːm⸣ munoː muː⸢ru kun⸣na ʔu⸢ʃikkumi⸣ ʃi̥ki] (使わないものは全部これに押し込んでおきなさい)。 ⸢ピー⸣チナー ウ⸢シックムナ [⸢piː⸣ʧinaː ʔu⸢ʃikkumuna] (一つに押し込めるな)。 ⸢ピー⸣チナ ウ⸢シックミ⸣ プサンドゥ ウ⸢シックマラヌ [⸢piː⸣ʧina ʔu⸢ʃikkumi⸣ pu̥sandu ʔu⸢ʃikkumaranu] (一つに押し込めたいが、押し込められない)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢シックメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢ʃikkumeː⸣ misamunu] (もっと押し込めれば<さしこめば>よいのに)。 ウ⸢シックミ [ʔu⸢ʃikkumi] (押し込めろ) 2665 0 0 2531 htmvoc_2665.wav ウシックルバスン ウ⸢シックルバスン [ʔu⸢ʃikkurubasuŋ] 他動 押し転ばす。押し転がす。 ヤ⸢マー⸣ラ ウ⸢ブ⸣イシ ウ⸢シックルバシ⸣ クー [ja⸢maː⸣ra ʔu⸢bu⸣ʔiʃi ʔu⸢ʃikkurubaʃi⸣ kuː] (山から大きな石を押し転ばして来い)。 プ⸢スン⸣ ウ⸢シックルバサリナ⸠ヨー [pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ʃikkurubasarina⸠joː] (他人に押し転ばされるなよ)。 ウ⸢シックルバサリル⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢リブタ [ʔu⸢ʃikkurubasariru⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢ributa] (押し転ばされる人もいた)。 ウ⸢シックルバシ [ʔu⸢ʃikkurubaʃi] (押し転ばせ) 2666 0 0 2532 htmvoc_2666.wav ウシッケーラスン ウ⸢シッケーラスン [ʔu⸢ʃikkeːrasuŋ] 他動 押しもどす。押しやる。突き飛ばす。「押し・返らす」の転訛したものか。 ⸢マイッサー⸣リ ⸢シー⸣クー ⸣ムノー ウ⸢シッケーラシ⸣ パ⸢ラ⸣シ [⸢maissaː⸣ri ⸢ʃiː⸣kuː ⸣munoː ʔu⸢ikkeːraʃi⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (行く手を阻む<前塞がりしてくる>者は押し戻せ)。 タ⸢ー ヤラバン⸣ ウ⸢シッケーラスン [ta⸢ː jarabaŋ⸣ ʔu⸢ʃikkeːrasuŋ] (誰であろうが押し戻す<返す>)。 ウ⸢シッケーラサラヌ [ʔu⸢ʃikkeːrasaranu] (押し戻されない)。 ウ⸢シッケーラシ⸣ ミサカー ウ⸢シッケーラス⸣ クトー ⸣ナルン [ʔu⸢ʃikkeːraʃi⸣ misakaː ʔu⸢ʃikkeːrasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (押し戻し<返し>て良ければ押し戻すことは出来る)。 ウ⸢シッケーラシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃikkeːraʃeː⸣ misamunu] (押し戻せ<返せ>ば良いのに) 2667 0 0 2533 htmvoc_2667.wav ウシットースン ウ⸢シットースン [ʔu⸢ittoːsuŋ] 他動 押し倒す。前の方へ押し倒す。ピ⸢キットースン[pi⸢kittoːsuŋ](引き倒す)の対義語。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スバ⸣ ウ⸢シットーシェー⸣ティ ⸣マイ ⸢ユージ パッ⸣タ [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢suba⸣ʔu⸢ʃittoːʃeː⸣ti ⸣mai ⸢juːʤi pat⸣ta] (あれだけの人を押し倒しながら前へ進んで<寄って>いった)。 ウ⸢シットーサラヌ [ʔu⸢ʃittoːsaranu] (押し倒されない)。 ウ⸢シットーシ⸣ティ ア⸢ゾー⸣ルカー ウ⸢シットースン [ʔu⸢ʃittoːʃi⸣ti ʔa⸢ʣoː⸣rukaː ʔu⸢ʃittoːsuŋ] (押し倒せといわれるなら、押し倒す)。 ウ⸢シットーシ⸣ ッ⸢シェー⸣タンティン ウ⸢シットース⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃittoːʃi⸣ ʃ⸢ʃeː⸣tantiŋ ʔu⸢ʃittoːsu⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (押し倒すことが出来て<倒し得て>も押し倒すことは出来ない<ならぬ>) 2713 0 0 2534 htmvoc_2713.wav ウシッふァイカタナ ウ⸢シッふァイカタナ [ʔu⸢ʃiffaikatana] 名 切れない包丁。鈍刀。なまくら<鈍ら>な刀。なまくら庖丁。「牛喰い刀」の義。 ウ⸢シッふァイカタナー⸣ ナ⸢マ⸣リティ ⸢ピッ⸣チン キ⸢シラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃiffaikatanaː⸣ na⸢ma⸣riti ⸢pit⸣ʧiŋ ki̥⸢ʃira⸣nu] (切れない包丁は、鈍って全く<ひとつも>切れないよ)。 ⸣アイブ ウ⸢シッふァイカタナ⸣シェー イ⸢ゾー⸣ バ⸢ザーラヌ [⸣ʔaibu ʔu⸢ʃiffaikatana⸣ʃeː ʔi⸢ʣoː⸣ ba⸢ʣaːranu] (あんな鈍ら包丁では魚は捌かれない) 2714 0 0 2535 htmvoc_2714.wav ウシッふァイムヌ ウ⸢シッふァイムヌ [ʔu⸢ʃiffaimunu] 名 役に立たない者。怠け者。無能力者。 ウ⸢シッふァイムノー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミラバン シーユーサヌ⸣ ヌーシム ⸢スーワレー [ʔu⸢ʃiffaimunoː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirabaŋ ʃiːjuːsa⸣nu ⸣nuːʃimu ⸢suːwaːreː] (怠け者は何をさせても出来ない<し得ない>{EOS}いったい何に役立つことが出来るんだろう<何をする者にしようか>) 2668 0 0 2536 htmvoc_2668.wav ウシディ ウ⸢シ⸣ディ [ʔu⸢ʃi⸣di] 名 お生まれ。高貴な人の誕生。「おすで<お・孵化>」の義。動詞⸣シドゥン[⸣ʃiduŋ](孵化する)の連用形に尊敬の接頭語⸣ウ-[⸣ʔuー](お{EOS}御)が付いた形 2670 0 0 2537 htmvoc_2670.wav ウシディプス ウ⸢シディプス [ʔu⸢ʃidipusu] 名 丑年生まれの人。 ⸢ワッ⸣テナー ウ⸢シディプソー⸣ ギュ⸢タール オール⸣ワ [⸢wat⸣tenaː ʔu⸢ʃidipu̥soː⸣ gju⸢taːru ʔoːru⸣wa] (貴方の家には丑年生まれの人が何人おられますか)。 ウ⸢シディプソー⸣ ムネー イ⸢ザヌヌ⸣ イッ⸢ケン⸣ パ⸢タラクン⸣ツォー [ʔu⸢ʃidipusoː⸣ muneː ʔi⸢ʣanunu⸣ ʔik⸢kem⸣ pḁ⸢tarakun⸣ʦoː] (丑年生まれの人はものは言わないが非常によく働くそうだ) 2669 0 0 2538 htmvoc_2669.wav ウシディマリ ウ⸢シディマリ [ʔu⸢ʃidimari] 名 丑年生まれ。 ウ⸢シディマリ プソー⸣ ウ⸢シヌ⸣ カタチニ ヨー⸢ンナール ウー⸣クツォー [ʔu⸢ʃidimari pu̥soː⸣ ʔu⸢ʃinu⸣ kḁtaʧini joː⸢nnaːru ʔuː⸣ku ʦoː] (丑年生まれの人は牛のようにゆっくり動くそうだ) 2989 0 0 2539 htmvoc_2989.wav ウシトーマ ウシ⸢トー⸣マ [ʔuʃi⸢toː⸣ma] 名 末っ子。男女ともにいう。 ⸢ワッ⸣テヌ ウシ⸢トー⸣マー ⸢ガッ⸣コー ンジェー⸢ン [⸢wat⸣tenu ʔuʃi̥⸢toː⸣maː ⸢gak⸣koː ʔnʤeː⸢ŋ] (お宅の末っ子は学校へ入学しましたか) 2671 0 0 2540 htmvoc_2671.wav ウシトゥ ⸢ウシ⸣トゥ [⸢ʔuʃi̥⸣tu] 名 弟。年下の弟妹。親族名称。 ク⸢レー⸣ バー ⸢ウシ⸣トゥ [ku⸢reː⸣ baː ⸢ʔuʃi̥⸣tu] (これは私の弟です)。 ⸢ウシ⸣トゥンケーヤ ムー⸢ル⸣ ミ⸢サン [⸢ʔuʃi̥⸣tuŋkeːja muː⸢ru⸣ mi⸢saŋ] (弟<妹>たちは皆元気か)。 ⸢ワー ウシトゥブナ⸣ロー ミ⸢サン [⸢waː ʔuʃi̥tubuna⸣roː mi⸢saŋ] (君の妹は元気か)。 カ⸢レー⸣ バーラ ⸢ミーチェー ウシ⸣トゥ [ka⸢reː⸣ baːra ⸢miːʧeː ʔuʃi̥⸣tu] (あの人は私より三つ<三歳>年下である) 2981 0 0 2541 htmvoc_2981.wav ウシトゥッふァ ⸢ウシトゥ⸣ッふァ [⸢ʔuʃi̥tu⸣ffa] 名 弟妹。年下に生まれた子。長男、長女以外の子供。 ⸢ウシトゥ⸣ッふァー ム⸢カ⸣シェー シ⸢ザッふァ⸣トー ⸣クテイ ナ⸢シ⸣ドゥ ⸢イー⸣ユン ッ⸢ふァーソーッ⸣タ⸢トゥ⸣ツォー [⸢ʔuʃi̥tu⸣ffaː mu⸢ka⸣ʃeː ʃi⸢ʣaffa⸣toː ⸣ku̥ti na⸢ʃi⸣du ⸢ʔiː⸣jun f⸢faːsoːt⸣ta ⸢tu⸣ʦoː] (年下の子供は、昔は長兄とは区別して<ぞ>飯をも食べさせられたそうだ) 2980 0 0 2542 htmvoc_2980.wav ウシトゥビキル ⸢ウシトゥビキ⸣ル [⸢ʔuʃi̥tubiki⸣ru] 名 弟。「年下の男兄弟」の義。⸣シザビキル[⸣ʃiʣabikiru](年上の男兄弟)の対義語。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣ムナー ⸢ウシトゥビキル⸣ヌ フ⸢タール⸣ ブ⸢リブタ [ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣munaː ⸢ʔuʃi̥tubikiru⸣nu ɸu̥⸢taːru⸣ bu⸢ributa] (その女には弟<年下の男兄弟>が二人いた) 2672 0 0 2543 htmvoc_2672.wav ウシトゥブナル ⸢ウシトゥブナ⸣ル [⸢ʔuʃi̥tubuna⸣ru] 名 妹。男兄弟から見た年下の女兄弟。「弟・姉妹(ヲナリ)」の義。 ⸢クン⸣ネナー ⸢ウシトゥブナ⸣ロー ⸢タン⸣ガ シ⸢ザブナ⸣ロー フ⸢タール オー⸣ルン [⸢kun⸣nenaː ⸢ʔuʃi̥tubuna⸣roː ⸢taŋ⸣ga ʃi⸢ʣabuna⸣roː ɸu̥⸢taːru ʔoː⸣ruŋ] (この家には、妹は一人、姉は二人おられる) 2673 0 0 2544 htmvoc_2673.wav ウシトゥマキ ⸢ウシトゥマ⸣キ [⸢ʔuʃituma⸣ki] 名 おとみづわり(弟見悪阻)。おとみまけ『和訓栞』の転訛。出産後一年未満で母親が下の子を懐妊した場合、十分な授乳ができず乳児が痩せ衰えること。「弟負け」の義。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ウシトゥマ⸣キ シ⸢ティル⸣ アイニ ⸢ヨーガリ ベー⸠ダー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː ʔuʃi̥tuma⸣ki ʃi̥⸢tiru⸣ ʔaini ⸢joːgari beː⸠daː] (この子は弟負けして、あんなに痩せているのだよ)。 ⸣シザー ⸢ウシトゥマ⸣キ シ⸢ティ ヨーガリ ベー⸣ティ ⸣アッパー ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァバ⸣ カ⸢サ⸣ナイティ ⸢シー⸣ クーンティ ⸢マーリ オーッ⸣タ [⸣ʃiʣaː ⸢ʔuʃi̥tuma⸣ki ʃi̥⸢ti joːgari beː⸣ti ⸣ʔappaː ʔu⸢nu⸣ f⸢faba⸣ ka⸢sa⸣naiti ⸢ʃiː⸣ kuːnti ⸢maːri ʔoːt⸣ta] (上の子は弟負けして痩せているので、おばあさんはその子を負ぶって乳を貰おうと<貰い乳をしに>回って来られた) 2674 0 0 2545 htmvoc_2674.wav ウシトゥマリ ⸢ウシトゥ⸣マリ [⸢ʔuʃi̥tu⸣mari] 名 弟妹。兄弟姉妹の中で年下の者。長男、長女以外の者。「弟人生まれ」の義。 ⸢ウシトゥマリ⸣ヌ ジ⸢ナンサンナン⸣マー バ⸢キ⸣ダマー ⸢ナーン⸣シェン [⸢ʔuʃi̥tumari⸣nu ʤi⸢nansannam⸣maː ba⸢ki⸣damaː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (年下の次男三男は、財産分与<分けて貰う財産{EOS}相続する分け前>は無かった)。 シザマリ [⸣ʃiʣamari] (長男、長女{EOS}年上に生まれた者)。 ⸣シザマリラン ⸢ウシトゥマ⸣リナール ス⸢グリムノー⸣ マ⸢リル⸣ティバン⸢ナー [⸣ʃiʣamariraŋ ⸢ʔuʃi̥tu⸣marinaːru su⸢gurimunoː⸣ ma⸢riru⸣tiban⸢naː] (年上に生まれた者よりも、年下に生まれた者に優れものが生まれるんだってねえ) 2986 0 0 2546 htmvoc_2986.wav ウシトゥミー ⸢ウシトゥ⸣ミー [⸢ʔuʃitu⸣miː] 名 「弟(妹)見」の義。子供が誕生して一年未満に母親が妊娠すること。そのために子供に十分の授乳ができなくなり、子供が痩せ細り、発育不良となる。その子が⸢ウシトゥマ⸣キ[⸢ʔuʃi̥tuma⸣ki](弟負け)するのである。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢ウシトゥ⸣ミー ⸢シール⸣ アイニ ッ⸢ふァ ヨーガラシ⸣ シケーバン⸢ナー [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢ʔuʃi̥tu⸣miː ⸢ʃiːru⸣ ʔaini f⸢fa joːgaraʃi⸣ ʃi̥keːban⸢naː] (そんなに早く次の子を妊娠しているので、子供をあんなに痩せさせて<おいて>あるんだねえ) 2987 0 0 2547 htmvoc_2987.wav ウシトゥミドーンッふァ ⸢ウシトゥミドーン⸣ッふァ [⸢ʔuʃi̥tumidoːŋ⸣ffa] 名 次女以下の娘。「弟女の子」の義。 ク⸢レー バン⸣テヌ ⸢ウシトゥミドーン⸣ッふァ ⸢ユー ミーッ⸣シ ッ⸢ふォー⸣ラナー⸢ラ [ku⸢reː ban⸣tenu ⸢ʔuʃi̥tumidoːŋ⸣ffa ⸢juː miːʃ⸣ʃi f⸢foː⸣ranaː⸢ra] (これは私の家の下の娘<年下の女の子>です{EOS}どうぞお見知りおきくださいませ) 2988 0 0 2548 htmvoc_2988.wav ウシトゥミルン ⸢ウシ⸣トゥ ミルン [⸢ʔuʃi⸣tu miruŋ] 連 「弟妹を見る」の義。母親が次の子を懐妊すること。 マ⸢ダ タンカーンツァン サンムヌ⸣ キサー⸢ティ ウシ⸣トゥ ミ⸢リ⸣ブーバン [ma⸢da taŋkaːnʦan sammunu⸣ ki̥saː⸢ti ⸢ʔuʃi̥⸣tu mi⸢ri⸣buːbaŋ] (まだ子供の一歳の誕生日もしないのに、もう既に次の子を懐妊している<弟を見ている>わい) 2677 0 0 2549 htmvoc_2677.wav ウシトゥラ ⸣ウシトゥラ [⸣ʔuʃitura] 名 うしとら(丑寅)。東北の方角。 カ⸢ジェー⸣ ウシトゥラーラ フ⸢キカバ⸣シ ⸣キーティル ⸢カー⸣ラン トゥ⸢バシ⸣パレー⸢ツォー [ka⸢ʤeː⸣ ʔuʃituraːra ɸu̥⸢kikaba⸣ʃi ⸣kiːtiru ⸢kaː⸣ran tu⸢baʃi⸣ pareː⸢ʦoː] (風は東北<丑寅>の方角より吹き下ろして<吹きかぶせて>きて屋根瓦も飛ばしていったんだよ) 2676 0 0 2550 htmvoc_2676.wav ウシトゥンケー ⸢ウシ⸣トゥンケー [⸢ʔuʃi̥⸣tuŋkeː] 名 弟たち。弟妹たち。⸣-ケー[⸣-keː](~たち)は主に人間の複数を表し、尊敬、丁寧の意味を含む接尾語。先祖を表す語にも下接する。 ⸢ウシトゥンケー⸣ヤ ムー⸢ル ヤーバカ⸣リ ⸢シェー⸣ン [⸢ʔuʃi̥tuŋkeː⸣ja muː⸢ru jaːbaka⸣ri ⸢ʃeː⸣ŋ] (弟妹方は皆分家<家別れ>した) 2678 0 0 2551 htmvoc_2678.wav ウシナウン ウ⸢シナウン [ʔu⸢ʃinauŋ] 他動 失う。なくする。「~吾が下衣宇思奈波受<ウシナハズ>~。万、3751」の転訛したもの。鳩間方言では、連母音[ai]は融合しないのが原則である。⸢ナーン⸣ナスンとも言う。 ア⸢キ⸣ナイナ ウ⸢ル⸣キティ ⸢ヤーヤシ⸣キ ウ⸢シナイ ナー⸣ヌ [ʔa⸢ki⸣naina ʔu⸢ru⸣kiti ⸢jaːjaʃi̥⸣ki ʔu⸢ʃinai naː⸣nu] (商売に失敗して負債をかぶり、家屋敷を失ってしまった)。 ウ⸢シナウンテー⸣ ウ⸢モーン⸣セン [ʔu⸢ʃinaunteː⸣ ʔu⸢moːŋ⸣ʃeŋ] (失うとは思わなかった)。 マ⸢ダ⸣ ウ⸢シナーヌ [ma⸢da⸣ ʔu⸢ʃinaːnu] (まだ失わない)。 ウ⸢シナウ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ʃinau⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (失うことはない)。 ウ⸢シナイヤー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃinaijaː⸣ misamunu] (失えば良いのに)。 ウ⸢シナイ⸣バ [ʔu⸢ʃinai⸣ba] (失えよ)。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ザイサン マーン⸢ベー⸣スカー ウ⸢シナウンティ アーク⸣タ⸢ダー [ʔu⸢bi⸣nu ⸣ʣaisam maːm⸢beː⸣su̥kaː ʔu⸢ʃinaunti ʔaːku⸣ta⸢da] (あれだけの財産をすんでのところで失うところだったよ)。 ウ⸢シナーヌ [ʔu⸢ʃinaːnu <⸢naːnnasa⸣nu>] (失わない)。 ウ⸢シナイナー⸣ヌ [ʔu⸢ʃinainaː⸣nu] (失ってしまった)。 ウ⸢シナウムノー ナー⸣ヌ [ʔu⸢ʃinaumunoː naː⸣nu] (失うものはない)。 ウ⸢シナイヤー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃinaijaː⸣ misamunu] (失えばよいのに) 2630 0 0 2552 htmvoc_2630.wav ウシナクン ウ⸢シナクン [ʔu⸢ʃinakuŋ] 他動 押し込む。さし込む。詰め込む。 フ⸢チンナカー ペー⸣ル ⸣スコー ウ⸢シナキティ⸣ ッ⸢ふァイ ベー [ɸu̥⸢ʧinnakaː peː⸣ru ⸣su̥koː ʔu⸢ʃinakiti⸣ f⸢fai beː] (口の中に入るだけたくさん押し込んで食べている)。 フ⸢チンナカー⸣ ウ⸢シナキ⸣ ミサカー ウ⸢シナクンドゥ ミッ⸣トー ⸢ナー⸣ンダ ウ⸢シナカヌ [ɸu̥⸢ʧinnakaː⸣ ʔu⸢ʃinaki⸣ misakaː ʔu⸢ʃinakundu mit⸣toː ⸢naː⸣nda ʔu⸢ʃinakanu] (口の中へ押し込んで良ければ押し込むが、みっともないので押し込まない)。 ⸣ティルナー ⸢ペーラン⸣スコー ウ⸢シナキティ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸢パッ⸣タヤー [⸣tirunaː ⸢peːran⸣su̥koː ʔu⸢ʃinakiti⸣ kḁ⸢ta⸣mi ⸢pat⸣tajaː] (笊に入らないほど押し込んで担いでいったよ)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢シナキ⸣ プサンドゥ ウ⸢シナカラヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢ʃinaki⸣ pu̥sandu ʔu⸢ʃinakaranu] (もっと押し込みたいが押し込められない)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢シナク⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢シナクン [⸢waː⸣ ʔu⸢ʃinaku⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ʃinakuŋ] (君が押し込むなら私も押し込む)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢シナキ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢ʃinaki] (もっと押し込め)。 マーン⸢ベーマ⸣ ウ⸢シナケー⸣ ミサムヌ [maːʔm⸢beːma⸣ ʔu⸢ʃinakeː⸣ misamunu] (もう少し押し込めばよいのに)。ウ⸢サンクン[ʔu⸢saŋkuŋ](押し込む)ともいう。 ⸢ウン⸣マー ガ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ミーナ ウ⸢シナキティ⸣ カ⸢ザ⸣ミシケー [⸢ʔum⸣maː ga⸢jaː⸣nu ⸣miːna ʔu⸢ʃinakiti⸣ ka⸢ʣa⸣miʃi̥keː] (芋は茅の中に押し込んで隠してある)。 ⸣クナー ウ⸢シナカラヌ [⸣kunaː ʔu⸢ʃinakaranu] (ここには押し込められない)。 ⸣ヌーンクイーン ウ⸢シナクン [⸣nuːŋkuiŋ ʔu⸢ʃinakuŋ] (何もかも押し込める)。 ウ⸢シナク⸣ クトゥ [ʔu⸢ʃinaku⸣ ku̥tu] (押し込めること)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢シナケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuʃinakeː⸣ misamunu] (もっと押し込めばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウシナキ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuʃinaki] (早くおしこめなさい) 2684 0 0 2553 htmvoc_2684.wav ウシヌウガン ウ⸢シヌ⸣ウガン [ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ] 名 牛の御願。鳩間島の牛を放牧したインダ牧場にウ⸢シヌ⸣ウガンがあった。トゥ⸢マダー[tu⸢madaː]から⸢クーラ[⸢kuːra]へ通ずる道の中ほどから南へ約100m入った松林の中の山石の側にあった。昭和の初期頃まで、そこでウ⸢シヌ⸣ヨイ[ʔu⸢ʃinu⸣joi](牛の祝い{EOS}牛の健康と繁昌祈願)が行われたという。その日に子牛の耳に⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](各家の印)を付けたという(加治工伊佐氏直話)。牧牛の繁昌と健康祈願をする御嶽。鳩間のウ⸢シヌ⸣ウガン[ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ](牛の御嶽)は⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)の⸢シーヌウチ[⸢ʃiːnuʔuʧi](猪垣の内の原野)の松林の中にあった。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢シヌ⸣ウガンナーティ ウ⸢シヌ⸣ヨイ ⸢シーティ⸣ ウ⸢シヌ ッふァ⸣ヌ ⸢ミン⸣バ キシティ ⸢ヤー⸣バン ス⸢コーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢ʃinu⸣ʔugannaːti ʔu⸢ʃinu⸣joi ⸢ʃiːti⸣ ʔu⸢ʃinu ffa⸣nu ⸢mim⸣ba ⸣ki̥ʃiti ⸢jaː⸣ban su̥⸢koːt⸣taʦoː] (昔は牛の御嶽で牛の祝いをして、子牛の耳を切って家の印し<家判>を付けられたそうだ) 2685 0 0 2554 htmvoc_2685.wav ウシヌカタ ウ⸢シヌ⸣ カ⸢タ [ʔu⸢ʃinu⸣ kḁ⸢ta] 連 牛の絵。歌謡語。 ⸢ヤー⸣ ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナカー ウ⸢シヌ⸣ カ⸢タ⸣ アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ ku⸢nu jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣nakaː ʔu⸢ʃinu⸣ kḁ⸢ta⸣ ʔanti ⸣suː] (ああ、この家の中に牛の絵があるという)(アーパーレー歌) 2686 0 0 2555 htmvoc_2686.wav ウシヌキルン ウ⸢シヌキルン [ʔu⸢ʃinukiruŋ] 他動 押し退ける。排斥する。 プ⸢スバ⸣ ウ⸢シヌキルンティ アーキ⸣ル ウ⸢レー⸣ プ⸢スン⸣ ウ⸢シヌキラレー⸣ダー [pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢ʃinukirunti ʔaːki⸣ru ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ʃinukirareː⸣daː] (他人を押し退け<排斥し>ようとして<ぞ>彼は他人に押し退けられたのだよ)。 プ⸢ス⸣ ウ⸢シヌキル⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢ʃinukiru⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (他人を押し退けることはするなよ)。 ウ⸢シヌキレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃinukireː⸣ misamunu] (押し退ければいいのに)。 ウ⸢シヌキリ [ʔu⸢ʃinukiri] (押し退けろ) 2687 0 0 2556 htmvoc_2687.wav ウシヌクン ウ⸢シヌクン [ʔu⸢ʃinukuŋ] 他動 押し退ける。排斥する。「おしのく(下二段)」が四段活用化して転訛したもの。ウ⸢シヌキルンとも言う。 プ⸢ス⸣ ウ⸢シヌクンティ スー⸣ クトー ⸢カンガウ⸣ナ [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢ʃinukunti suː⸣ ku̥toː ⸢kaŋgau⸣na] (他人を押し退けようとすることは考えるな)。 ウ⸢シヌカヌ [ʔu⸢ʃinukanu] (押し退けない)。 ウ⸢シヌキ ナー⸣ヌ [ʔu⸢ʃinuki naː⸣nu] (押し退けてしまった)。 ウ⸢シヌク⸣ クトゥ [ʔu⸢ʃinuku⸣ ku̥tu] (押し退けること)。 ウ⸢シヌケー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃinukeː⸣ misamunu] (押し退ければいいのに)。 ウ⸢シヌキ [ʔu⸢ʃinuki] (押し退けろ) 2688 0 0 2557 htmvoc_2688.wav ウシヌクン ウ⸢シヌクン [ʔu⸢ʃinukuŋ] 他動 突き刺す。貫き通す。「押し貫く」の義。 ⸢ヤー⸣ヌ ナ⸢カー⸣ラ ⸢ヤーフキプス⸣ン ⸣トン ⸢アイ⸣ジ ⸢シェー⸣ティ ⸣パル ウ⸢シヌク [⸢jaː⸣nu na⸢kaː⸣ra ⸢jaːɸu̥kipusu⸣n ⸣toŋ ⸢ʔai⸣ʤi ⸢ʃeː⸣ti ⸣paru ʔu⸢ʃinuku] (家の中から屋根葺きの所へ合図しながら針<竹矛の針>を突き刺す<貫き通す>) 2705 0 0 2558 htmvoc_2705.wav ウシヌコイ ウ⸢シヌ⸣コイ [ʔu⸢sinu⸣koi] 名 堆肥。牛の糞便を集めて堆肥に入れ、発酵させて肥料につくったもの。地味の痩せた畑に、シ⸢キゴイ[ʃi̥⸢kigoi](堆肥{EOS}「敷き肥」の義{EOS}畑に畝を掘って堆肥を入れ、畝の土を被せ、その上に作物の苗を植えつけるのに用いた)として利用した 2731 0 0 2559 htmvoc_2731.wav ウシヌコイ ウ⸢シヌ⸣ コイ [ʔu⸢ʃinu⸣ koi] 連 きゅうひ(厩肥)。⸢牛の肥やし」の義。牛小屋の糞尿と茅やススキの混じった肥料。畑の土に鋤きこんで南瓜や冬瓜の苗を植えた。 ウ⸢シヌ⸣ コイ イ⸢リティ⸣ カ⸢ブッチヌ⸣ ナイ ⸣ヤトゥイバ [ʔu⸢ʃinu⸣ koi ʔi⸢riti⸣ ka⸢butʧinu⸣ nai ⸣jatuiba] (厩肥を入れて南瓜の苗を移植しなさい) 2689 0 0 2560 htmvoc_2689.wav ウシヌシー ウ⸢シヌ⸣ シー [ʔu⸢ʃinu⸣ ʃiː] 連 牛乳。「牛の乳」の義。 ⸢シー⸣ヌ ⸢アーンベー⸣ティ ウ⸢シヌ シー⸣バ ヌ⸢マ⸣シェーティル シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシェー⸠ダー [⸢ʃiː⸣nu ⸢ʔaːmbeː⸣ti ʔu⸢ʃinu ʃiː⸣ba nu⸢ma⸣ʃeːtiru sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃeː⸠daː] (乳が出ないので牛乳<牛の乳>を飲ませて養い育てたのだよ) 2690 0 0 2561 htmvoc_2690.wav ウシヌシケー ウ⸢シ⸣ヌ ⸣シケー [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣ʃi̥keː] 連 臼のゆりわ(揺輪)。米を搗き臼に入れて搗く際に米粒が臼の外へ弾き出されないよう、臼の縁にはめる藁製の揺輪。直径約3センチの藁束の輪に仕上げたもの。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸣シケー シ⸢キティ⸣ ッサウカー ⸢マイヌ⸣ シジェー トゥ⸢ビンジラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣ʃi̥keː ʃi̥⸢kiti⸣ ssaukaː ⸢mainu⸣ ʃiʤeː tu⸢biʔnʤira⸣nu] (臼の揺輪を付けて搗く<精げる>と米粒は外へ飛び出ない<弾けない>よ)。最初は軽く搗いて、ア⸢ザラスン[ʔa⸢ʣarasuŋ](米糠が出る状態にする)の状態にして俊強く搗く。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸣シケー ⸣シキティ ⸢マイ⸣ ッサイバ [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣ʃi̥keː ⸣ʃi̥kiti ⸢mai⸣ ssaiba] (臼の揺輪を嵌め<付け>て米を搗きなさい) 2706 0 0 2562 htmvoc_2706.wav ウシヌッサ ウ⸢シヌ⸣ッサ [ʔu⸢sinu⸣ssa] 名 かいば。まぐさ(秣)。牛の飼料。「牛の草」の義。鳩間島では牛を原野の牧草地に繋いで野草を食わせて飼育した。 ウ⸢シヌ⸣ッサ カ⸢ラン⸣タンティン ⸢ガー⸣ヌーナ バ⸢ツァ⸣ミ シ⸢キ⸣ルカー ⸣ミサン [ʔu⸢ʃinu⸣ssa ka⸢ran⸣tantiŋ ⸢gaː⸣nuːna ba⸢ʦa⸣mi ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣misaŋ] (\ruby{秣}{マグサ}<牛の草>を刈らなくても茅の生えた野原に繋いでおいたらいいよ) 2691 0 0 2563 htmvoc_2691.wav ウシヌッス ウ⸢シヌ⸣ ッス [ʔu⸢ʃinu⸣ ssu] 連 牛の糞。 ウ⸢シヌ⸣ ッス ア⸢ツァ⸣ミティ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣コイ ⸢シー⸣バ [ʔu⸢ʃinu⸣ ssu ʔa⸢ʦa⸣miti pḁ⸢taki⸣nu ⸣koi ⸢ʃiː⸣ba] (牛の糞を集めて畑の肥やしにしなさいよ) 2692 0 0 2564 htmvoc_2692.wav ウシヌッふァ ウ⸢シヌ⸣ ッ⸢ふァ [ʔu⸢ʃinu⸣ f⸢fa] 連 牛の子。 ウ⸢シヌ⸣ ッ⸢ふァ カイ⸣ クーバ [ʔu⸢ʃinu⸣ f⸢fa kai⸣ kuːba] (牛の子<子牛>を買って来なさいよ) 2693 0 0 2565 htmvoc_2693.wav ウシヌパー ウ⸢シヌ パー [ʔu⸢ʃinu paː] 連 丑の方向。北北東。北から東へ15~30度の方角。 ⸣アツァー ウ⸢シヌ パー⸣ラ カ⸢ジヌ⸣ フクンツォー [⸣ʔaʦaː ʔu⸢ʃinu paː⸣ra ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kunʦoː] (明日は北北東<丑の方角>から風が吹くそうだ) 2694 0 0 2566 htmvoc_2694.wav ウシヌパータトゥン ウ⸢シ⸣ヌ ⸣パー ⸣タトゥン [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː ⸣tḁtuŋ] 連 磨り臼の歯を立てる。臼の歯が磨り減ると鑿で溝を彫り、歯を立てる。 ウ⸢シ⸣ヌパー タ⸢ティラン⸣カー ⸣ウシェー ⸢ムイラヌ [ʔu⸢ʃi⸣nupaː tḁ⸢tiraŋ⸣kaː ⸣ʔuʃeː ⸢muiranu] (磨り臼の歯を立てないと磨り臼は籾殻をよく落とすことができない) 2695 0 0 2567 htmvoc_2695.wav ウシヌパンゾーレゾーレ ウ⸢シヌパン ゾー⸣レ ⸢ゾー⸣レ [ʔu⸢ʃinupan ʣoː⸣re ⸢ʣoː⸣re] 連 童歌の名。乳幼児の足を揃えて曲げたり伸ばしたりしながら、早く立てるように、歩けるようにと願いを籠めて歌い、あやした。 ウ⸢シヌパン ゾー⸣レ ⸢ゾー⸣レ ン⸢マヌパン ゾー⸣レ ⸢ゾー⸣レ ⸢モーシン⸣ガーニ ⸢シールン⸣ガーニ ⸢ゴッふェー [ʔu⸢ʃinupan ʣoː⸣re ⸢ʣoː⸣re m⸢manupan ʣoː⸣re ⸢ʣoː⸣re ⸢moːʃiŋ⸣gaːni ⸢ʃiːruŋ⸣gaːni ⸢goffeː] (牛の足のように、馬の足のように、モウシちゃん、白金のようになーれ<ゴッツンと母親の額を乳幼児の額につける>) 2697 0 0 2568 htmvoc_2697.wav ウシヌピラ ウ⸢シヌ⸣ ピラ [ʔu⸢sinu⸣ pira] 連 すき(犂)。「牛の箆(へら)」の義。ウ⸢シヌ⸣ヤマ[ʔu⸢ʃinu⸣ jama](牛の犂)ともいう。⸣ヤマ[jama](仕掛け{EOS}装置)はL字型木枠の中央に\ruby{轅}{ナガエ}を付け、\ruby{軛}{クビキ}に掛けて引かせるようにした鋤。下の木枠の先端部に鉄の歯<箆>を装着したもの。木枠にハンドルを付け、牛に引かせて田畑の土を鋤き返した。 ウ⸢シヌ⸣ ピ⸢ラ⸣バ ウ⸢シン⸣ ピ⸢カシティ⸣ パ⸢タ⸣キ シゥ⸢カシ⸣バ [ʔu⸢ʃinu⸣ pi⸢ra⸣ba ʔu⸢ʃim⸣ pi̥⸢kaʃi̥ti⸣ pḁ⸢ta⸣ki sï̥⸢kaʃi⸣ba] (犂<牛の箆>を牛に引かせて畑を鋤かせなさいよ) 2696 0 0 2569 htmvoc_2696.wav ウシヌマキ ウ⸢シヌマキ [ʔu⸢ʃinumaki] 名 牛の牧場。 パ⸢トゥ⸣マプスヌ ウ⸢シヌマケー⸣ インダヌ マ⸢キトゥ⸣ サ⸢キンダヌ⸣ マ⸢キヌ⸣ フ⸢タントン アッ⸣タンツォー [pa⸢tu⸣mapusunu ʔu⸢ʃinumakeː⸣ ʔindanu ma⸢kitu⸣ sḁ⸢kindanu⸣ ma⸢kinu⸣ ɸu̥⸢tantoŋ ʔat⸣tanʦoː] (鳩間の人の牧場は、伊武田の牧場と崎田の牧場の二箇所があったそうだ) 2698 0 0 2570 htmvoc_2698.wav ウシヌミー ウ⸢シヌ⸣ ミー [ʔu⸢ʃinu⸣ miː] 連 牛の目。大きな目。 ウ⸢レー ミン⸣タマー ダ⸢レー⸣ ウ⸢リヌ ミー⸣ヤ ウ⸢シヌ ミー⸣ヌ ⸣ブカラ ア⸢リ⸣ブー [ʔu⸢reː min⸣tamaː da⸢reː⸣ ʔu⸢rinu miː⸣ja ʔu⸢ʃinu miː⸣nu ⸣bukara ʔa⸢ri⸣buː] (あれ<彼>は目の大きな人<目の玉>だよ{EOS}あれの目は牛の目ぐらいもある<有り居る>) 2699 0 0 2571 htmvoc_2699.wav ウシヌミン ウ⸢シヌ⸣ ミン [ʔu⸢ʃinu⸣ miŋ] 連 牛の耳。 ⸣インダヌ マ⸢キ⸣ナーティ ウ⸢シヌ⸣ ミン ⸣キシティ ⸢ヤー⸣バン ス⸢コーッ⸣タツォー [⸣ʔindanu ma⸢ki⸣naːti ʔu⸢ʃinu⸣ miŋ ⸣ki̥ʃiti ⸢jaː⸣ban su̥⸢koːt⸣taʦoː] (伊武田の牧場で牛の耳を切ってヤーバン<家の印>を付けられたそうだ) 2700 0 0 2572 htmvoc_2700.wav ウシヌミン ウ⸢シ⸣ヌ ⸣ミン [ʔu⸢ʃi⸣nu miŋ] 連 臼の耳。上段の石臼にある、取っ手(柄)を入れる穴。逆L字型の取っ手を入れて石臼をまわすのに用いる。籾擂り用の木の臼は、上段の左右両側に引き紐を結ぶための掘りぬきの穴<耳>があり、それに縄<紐>を結わえ、左右の縄を交差させて交互に引き、上段の臼を右左に回して籾摺りをする。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸣ミンナー ⸣シナ フ⸢バリティ⸣ ウ⸢リバ⸣ ピ⸢キシケー⸣ティル イ⸢ニ⸣ピケー シ⸢タ⸣ダー [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣minnaː ⸣ʃina ɸu⸢bariti⸣ ʔu⸢riba⸣ pi̥⸢kiʃi̥keː⸣tiru ʔi⸢ni⸣pi̥keː ʃi̥⸢ta⸣daː] (臼の耳に綱を結わえて、それを交互に引きながら籾摺りはしたよ) 2703 0 0 2573 htmvoc_2703.wav ウシヌヤー ウ⸢シヌ⸣ヤー [ʔu⸢ʃinu⸣jaː] 連 牛小屋。ウ⸢シン⸣ヤー[ʔu⸢ʃiŋ⸣jaː](牛小屋<牛の家>)ともいう。鳩間島では自宅の屋敷内に牛小屋のある家はなかった。畑の側の空き地に掘ったて小屋を作る人はいたが、普通は原野の木陰に牛を繋いで飼育していた。 ウ⸢シヌ ヤー⸣ヤ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣スバナール ス⸢クラ⸣リ ブ⸢タ⸠ナー [ʔu⸢ʃinu jaː⸣ja pḁ⸢taki⸣nu ⸣subanaːru su̥⸢kura⸣ri bu⸢ta⸠naː] (牛小屋は畑の側に作られていたねえ)。 ウ⸢シヌ⸣ヤーナー ⸣アガダンヌ シ⸢ディ⸣ルンダ ウ⸢マー⸣ パ⸢ラン⸣シェン [ʔu⸢ʃinu⸣jaːnaː ⸣ʔagadannu ʃi⸢di⸣runda ʔu⸢maː⸣ pa⸢raŋ⸣ʃeŋ] (牛小屋にはダニが発生するので、そこへは行かなかった) 2704 0 0 2574 htmvoc_2704.wav ウシヌヤマ ウ⸢シヌ⸣ヤマ [ʔu⸢ʃinu⸣ jama] 連 すき(犂)。「牛のヤマ」の義。⸣ヤマ[⸣jama](仕掛け{EOS}装置)の義で、「牛に引かせて土地を鋤く装置<犂>」の意。ウ⸢シヌ⸣ピラ[ʔu⸢ʃinu⸣ pira](鋤)ともいう。 ⸢アー⸣ネーラ ウ⸢シヌ⸣ ヤマ カ⸢リ⸣クー [⸢ʔaː⸣neːra ʔu⸢ʃinu⸣jama ka⸢ri⸣kuː] (東隣の家から犂を借りてきなさい) 2707 0 0 2575 htmvoc_2707.wav ウシヌヨイ ウ⸢シヌ⸣ ヨイ [ʔu⸢ʃinu⸣ joi] 連 ⸣インダヌ マ⸢キ[⸣ʔindanu ma⸢ki](伊武田地区の牧場<フ⸢ク⸣ヌマキ>)で行われた牛の健康祈願と繁昌祈願の祝い。毎年の旧暦九月のウ⸢シニー[ʔu⸢ʃiniː](丑の日)に実施され、その日に牛の⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](各家の印を耳に切り込んで示したもの)をつけた 2708 0 0 2576 htmvoc_2708.wav ウシヌヨイヌウタ ウ⸢シヌ ヨイ⸣ヌ ⸣ウタ [ʔu⸢ʃinu joi⸣nu ⸣ʔuta] 連 牛の祝いの歌。伊武田牧場(フ⸢ク⸣ヌマキ{SqBr}ɸu̥⸢ku⸣numaki{/SqBr}<福の牧>)で牛の健康祈願、繁昌祈願をする時はウ⸢シヌ⸣ウガン[ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ](牛の御願)で牛の飼い主が集まり、二人ずつ⸢ペンシキビリ[⸢peŋʃikibiri](正座{EOS}跪き)して、酒を入れたミ⸢キバタ⸣シ[mi⸢kibata⸣ʃi](酒器)を持って歌に調子を合わせ、右上へ、左上へと交互に持ち上げて歌った。歌い終わって、次の二人へ酒器を渡す際は、次のように唱えて渡した。<渡す側>:マムレー マムレー ッサリ キューヌ ピー クガニピーナ タボーラリタル ウーミサクドゥ マームレーユ サリ シギシューヤ タッテヌ ウナンナーマドゥ シギシューユー サリー イメーヌ カージ(マムレー、マムレー 申し上げます{EOS}今日の佳き日、黄金の佳き日に賜りましたお神酒がお守りと申します{EOS}お次様はどこそこの家の誰々様がお次様でございます{EOS}以上、申し上げました)。<受け取る側>:ウータリ(はい、かしこまりました)といってミキバタシ(酒器)を受け取る。歌は次の通り。1、キューヌ ピーヌ ウユワイムトゥ スイナウレ(今日の佳き日の祝いの元、さあよく稔れ<囃子>)2、フクヌ マキ ウユワイムトゥ スイナウレ(福の牧の祝いの元、さあ稔れ)3、ムヤシバードゥ パンゾ スムトゥ スイナウレ(発情したらば繁昌の元、さあ稔れ)4、パンゾーシヌ ウミサク ムムドゥ スイナウレ(繁昌させるお神酒、百杯、さあ稔れ) 2709 0 0 2577 htmvoc_2709.wav ウシノーマイ ⸣ウシノーマイ [⸣ʔuʃinoːmai] 名 (植)稲の在来品種名。芒が長い。粳米で実の色が赤みを帯びている。一時期広まったが作られなくなったという。 ⸣ウシノーマイヤ イ⸢ラムテーラ⸣ サニマイバ ⸢カイキー⸣ル ス⸢ク⸣ローッタ [⸣ʔuʃinoːmaija ʔi⸢ramuteːra⸣ sanimaiba ⸢kaikiː⸣ru su̥⸢ku⸣roːtta] (ウシノー米は西表<租納と干立>から種籾を買ってきて<ぞ>作られた) 2710 0 0 2578 htmvoc_2710.wav ウシパー ⸣ウシパー [⸣ʔuʃipaː] 名 きゅうし(臼歯)。「臼歯」の義。奥歯。 ⸣ウシパーヌドウ ⸣ヤミティ ⸣ムヌ カ⸢マラ⸣ヌ [⸣ʔuʃipaːnudu ⸣jamiti ⸣munu ka⸢mara⸣nu] (奥歯が痛んで食べ物<もの>を噛むことが出来ない)。 ⸣ウシパーヌ フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ベー [⸣ʔuʃipaːnu ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢beː] (臼歯が虫歯になって<朽ちて>いる) 2711 0 0 2579 htmvoc_2711.wav ウシパイ ⸣ウシパイ [⸣ʔuʃipai] 名 (動)牛につく蝿。あぶ(虻)。「牛蝿」の義。「人畜を刺して血を吸い、諸種の病原体を媒介する大型の蝿」という。全体的に黒色で、銀蝿よりやや大きく、銀蝿より敏捷である。 ⸣ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー ⸣ウシパイヌ ヤ⸢マシ⸣カ ⸣シディ ⸢ベー⸣サー [⸣nuntiru ja⸢ru⸣juː ⸣ʔuʃipainu ja⸢maʃi̥⸣ka ⸣ʃidi ⸢beː⸣saː] (どういう訳か牛蝿が沢山発生<孵化>しているよ) 2712 0 0 2580 htmvoc_2712.wav ウシバクヨー ウ⸢シバクヨー [ʔu⸢ʃibakujoː] 名 うしばくろう(牛博労)。牛を売り買いして荒稼ぎをすること。またその人。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢ヤイマーバー⸣キ ウ⸢シバクヨーバ シール⸣ アイニ ⸢モーク⸣タツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢ki⸣naːra ⸢jaimaːbaː⸣ki ʔu⸢ʃibakujoːba ʃiːru⸣ ʔaini ⸢moːku⸣taʦoː] (その人は沖縄から八重山まで牛博労をして<ぞ>あんなに儲けたそうだよ) 2683 0 0 2581 htmvoc_2683.wav ウシパタッキルン ウ⸢シパタッキルン [ʔu⸢ʃipatakkiruŋ] 他動 押し開く。大きく広げる。押しはだける。ウ⸢シ[ʔu⸢ʃi](押し)は強意の接頭語。パ⸢タッキルン[pḁ⸢takkiruŋ](開く{EOS}広げる)は「開、ハダクル」『運歩色葉集』の転訛したもの。ウ⸢シパタックン[ʔu⸢ʃipatakkuŋ](押し開く)ともいう。 チ⸢カグル⸣ヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣マタ ウ⸢シパタッキティ⸣ <パ⸢タッキティ⸣> ビ⸢ルンダ⸣ ウ⸢シパタッキラン⸣ <パ⸢タッカン> ヨーニ ナ⸢ラー⸣シバ [ʧi⸢kaguru⸣nu mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣mata ʔu⸢ʃipatakkiti⸣ bi⸢runda⸣ ʔu⸢ʃipatakkiraŋ⸣ joːni na⸢raː⸣ʃiba] (近頃の女の子は股を押し開いて座るから、押し開かないように教えなさいよ) 2715 0 0 2582 htmvoc_2715.wav ウシピッツァスン ウ⸢シピッツァ⸣スン [ʔu⸢ʃipitʦa⸣suŋ] 他動 押しつぶす。 ⸢ヌン⸣ユン ッ⸢サン⸣ユン ウ⸢ヤビ⸣ヌ ⸣シミシー ウ⸢シピッツァ⸣スン [⸢nuŋ⸣jujun s⸢saŋ⸣juŋ ʔu⸢jabi⸣nu ⸣ʃimiː ʔu⸢ʃipitʦa⸣suŋ] (蚤も虱も親指の爪で押し押しつぶす) 2721 0 0 2583 htmvoc_2721.wav ウシマーサー ウ⸢シマー⸣サー [ʔu⸢ʃimaː⸣saː] 名 伝統的な女性の着物の着方。帯を締めないで着物の前身ごろの端を片方に引き寄せて、下ばかまの紐に押し込んで着る着方。沖縄の⸣ウシンチー[⸣ʔuʃinʧiː]に同じ。 ⸣アッパター ⸢ヨイシ⸣ヤー ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー ウ⸢シマー⸣サー ⸢シール オーッタ [⸣ʔappataː ⸢joiʃi⸣jaː ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ʔu⸢ʃimaː⸣saː ⸢ʃiːru ʔoːt⸣ta] (お婆さんたちは祝儀の家に行かれる時はウシマーサーをして行かれた) 2722 0 0 2584 htmvoc_2722.wav ウシマースン ウ⸢シマースン [ʔu⸢ʃimaːsuŋ] 他動 取り仕切る。切り回す。追い回す。急き立てる。「押し回す」の義。 サ⸢クシヌ⸣ル ⸣アイニ ⸢ウシトゥ⸣ッふァンケー ギ⸢チ シー⸣ ウ⸢シマーシェーティ⸣ル キ⸢ナイヤー⸣ タティ ⸢ベー⸣ル [sḁ⸢kuʃinu⸣ ʔaini ⸢ʔuʃi̥tu⸣ffaŋkeː gi⸢ʧi ʃiː⸣ ʔu⸢ʃimaːʃeːti⸣ru ki⸢naijaː⸣ tḁti ⸢beː⸣ru] (長男があのように弟妹達に指図して取り仕切り、切り回しながら家庭生活を打ち立てている<家庭を立てている>)。 ウ⸢シマーサヌ [ʔu⸢ʃimaːsanu] (取り仕切らない)。 シ⸢ザ⸣ヌ ウ⸢シマース⸣カー ⸢ウシ⸣トゥン ウ⸢シマースン [ʃi⸢ʣa⸣nu ʔu⸢ʃimaːsu̥⸣kaː ⸢ʔuʃi̥⸣tuŋ ʔu⸢ʃimaːsuŋ] (兄が取り仕切るなら弟も取り仕切る)。 ウ⸢シマース⸣ プ⸢スヌ ブー⸣カー ⸢ダンダン⸣シ ウ⸢シマーシ [ʔu⸢ʃimaːsu⸣ pu̥⸢sunu buː⸣kaː ⸢dandaŋ⸣ʃi ʔu⸢ʃimaːʃi] (取り仕切る人がいたらさっさと取り仕切れ) 2716 0 0 2585 htmvoc_2716.wav ウシマキ ウ⸢シマキ [ʔu⸢ʃimaki] 名 牧場。「牛牧」の義。伊武田地区のフ⸢ク⸣ヌマキ[ɸu̥⸢ku⸣numaki](福浜の牧)と、そこから分かれた、サ⸢キンダヌマキ[sḁ⸢kindanumaki](崎田の牧)、トゥ⸢ムルマキ[tu⸢murumaki](友利山の牧{EOS}上原にあった牧場)があったという。 サ⸢キンダヌマケー⸣ フ⸢ク⸣ヌマケーラ バ⸢カ⸣リティ ス⸢ク⸣ローッタツォー [sḁ⸢kindanumakeː⸣ ɸu̥⸢ku⸣numakeːra ba⸢ka⸣riti su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (崎田の牧は福浜の牧から分かれて作られたそうだ) 2701 0 0 2586 htmvoc_2701.wav ウシマギルン ウ⸢シマギルン [ʔu⸢ʃimagiruŋ] 他動 押し曲げる。強く曲げる。ウ⸢シ[ʔu⸢ʃi](押し)は強意の接頭語。 ク⸢ヌ キーヌ⸣ユ⸢ダバ⸣ ウ⸢シマギルンティ スンドゥ⸣ マ⸢ギララヌ [ku⸢nu kiːnu⸣ ju⸢daba⸣ ʔu⸢ʃimagirunti sundu⸣ ma⸢giraranu] (この木の枝を押し曲げようとするが、曲げられない)。 ウ⸢シマギル⸣ クトゥ ナ⸢ラン⸣カー ウ⸢シマギランドー⸣シ ヌ⸢バ⸣シバ [ʔu⸢ʃimagiru⸣ ku̥tu na⸢raŋ⸣kaː ʔu⸢ʃimagirandoː⸣ʃi nu⸢ba⸣ʃiba] (押し曲げることが出来なければ、押し曲げないで伸ばしなさいよ) 2702 0 0 2587 htmvoc_2702.wav ウシマグン ウ⸢シマグン [ʔu⸢ʃimaguŋ] 他動 押し曲げる。「押し・曲ぐ(下二段)」の四段動詞へ転訛したもの。 タ⸢キヌ⸣カー ウ⸢シマギティ⸣ カ⸢グ⸣ フミバ [tḁ⸢kinu⸣kaː ʔu⸢ʃimagiti⸣ ka⸢gu⸣ ɸumiba] (竹の皮を押し曲げて篭を編みなさいよ)。 ク⸢マ⸣ヌ ⸣トンラ ウ⸢シマギ⸣ ミサカー ウ⸢シマグンドゥ⸣ ブ⸢シ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ウ⸢シマグ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ma⸣nu ⸣tonra ʔu⸢ʃimagi⸣ misakaː ʔu⸢ʃimagundu⸣ bu⸢ʃi⸣nu ⸢goː⸣raːnda ʔu⸢ʃimagu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここの所から押し曲げてよければ押し曲げるが、竹の節が多いので押し曲げることは出来ない)。 ⸣クマーラ ウ⸢シマゲー⸣ ミサムヌ [⸣kumaːra ʔu⸢ʃimageː⸣ misamunu] (ここから押し曲げれば良いのに)。 ウ⸢シマギ⸣バ [ʔu⸢ʃimagi⸣ba] (押し曲げよ) 2725 0 0 2588 htmvoc_2725.wav ウシムドゥスン ウ⸢シムドゥスン [ʔu⸢ʃimudusuŋ] 他動 押しもどす。 ヤ⸢ナ⸣ムノー ウ⸢シムドゥシ⸣ パ⸢ラ⸣シ [ja⸢na⸣munoː ʔu⸢ʃimuduʃi⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (悪霊は追っ払いなさい<押しもどして行かせなさい>)。 ウ⸢シムドゥサラン⸣ クトー ⸢ナーン⸣ユンダ ウ⸢シムドゥ⸣ス ⸢シーカタ カンガイ⸣リ [ʔu⸢ʃimudusaraŋ⸣ku̥toː ⸢naːŋ⸣junda ʔu⸢ʃimudu⸣su ⸢ʃiːkata kaŋgai⸣ri] (押しもどされないことは無いから、押しもどす仕方を考えなさい)。 ウ⸢シムドゥシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃimuduʃeː⸣ misamunu] (押しもどせばよいのに)。 ウ⸢シムドゥシ [ʔu⸢ʃimuduʃi] (押しもどせ) 2726 0 0 2589 htmvoc_2726.wav ウシモーモー ウ⸢シ⸣モーモー [ʔu⸢ʃi⸣moːmoː] 名 牛の幼児語。⸢モー⸣モー[⸢moː⸣moː](牛{EOS}幼児語)ともいう 2743 0 0 2590 htmvoc_2743.wav ウシユーシルン ウ⸢シユーシルン [ʔu⸢ʃijuːʃiruŋ] 自動・他動 押し寄せる。 ⸢ナイ⸣ヌ ウ⸢クリ⸣ルカー ⸢ナン⸣ヌ ウ⸢シユーシルン⸣ツォー [⸢nai⸣nu ʔu⸢kuri⸣rukaː ⸢nan⸣nu ʔu⸢ʃijuːʃirun⸣ʦoː] (地震が起こると津波が押し寄せるそうだ)。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢ナン⸣マー ウ⸢シユーシラヌ⸣ティ ア⸢ザリブー [pḁ⸢tu⸣maː ⸢nam⸣maː ʔu⸢ʃijuːʃiranu⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (鳩間島へは津波は押し寄せないといわれている)。 ウ⸢シユーシ⸣ クン [ʔu⸢ʃijuːʃi⸣ kuŋ] (押し寄せてくる<押し寄せ来る>)。 ⸢ナン⸣ヌ ウ⸢シユーシル⸣カー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸢nan⸣nu ʔu⸢ʃijuːʃiru⸣kaː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (津波が押し寄せたら大変だよ)。 ⸢ニーム⸣チェー ⸣クマンター ウ⸢シユーシリ [⸢niːmu⸣ʧeː ⸣kumantaː ʔu⸢ʃijuːʃiri] (荷物はこちら側へ押し寄せなさい) 2744 0 0 2591 htmvoc_2744.wav ウシユースン ウ⸢シユースン [ʔu⸢ʃijuːsuŋ] 自動・他動 押し寄せる。「押し寄す<下二段活用>」の四段活用化したもの。ウ⸢シユーシルン[ʔu⸢ʃijuːʃiruŋ](押し寄せる)と同じ。 ウ⸢シユーサヌ [ʔu⸢ʃijuːsanu] (押し寄せない)。 ウ⸢シユーシ⸣クン [ʔu⸢ʃijuːʃi⸣kuŋ] (押し寄せてくる)。 ウ⸢シユース⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ʃijuːsu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (押し寄せることはない)。 ウ⸢シユーシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃijuːʃeː⸣ misamunu] (押し寄せればよいのに)。 ウ⸢シユーシ⸣バ [ʔu⸢ʃijuːʃi⸣ba] (押し寄せなさいよ)。 ク⸢リン⸣ ク⸢マー⸣ ウ⸢シユースン [ku⸢riŋ⸣ ku⸢maː⸣ ʔu⸢ʃijuːsuŋ] (これもこちらへ押し寄せる)。 ⸢トーホクヌ ウージシンヌ⸣ アトゥナー ⸢ウーナン⸣ヌ ウ⸢シユーシ⸣キー ムー⸢ル サンギ⸣パリ ⸢ナーン⸣シェン [⸢toːhokunu ʔuːʤiʃinnu⸣ ʔatunaː ⸢ʔuːnan⸣nu ʔu⸢ʃijuːʃi⸣kiː muː⸢ru saŋgi⸣pari ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (東北の大地震の後に、大津波が押し寄せてきて、総てを押し流して<引きずり去って行って>しまった) 2747 0 0 2592 htmvoc_2747.wav ウシュンガナシェーマイ ウシュン⸢ガナ⸣シェーマイ [ʔuʃuŋ⸢gana⸣ʃeːmai] 名 琉球国王様。⸣ウシュ[ʔuʃu](御<接頭辞>・主<国王>)・⸢ガナ⸣シ[⸢gana⸣ʃi](愛称の接尾語{EOS}「加那志」)・⸣マイ[⸣mai](敬称の接尾語<前>)の語構造を有する複合語。 ウシュン⸢ガナ⸣シェーマイヤー ウ⸢キ⸣ナーナール ⸢オー⸣ル [ʔuʃuŋ⸢gana⸣ʃeːmaijaː ʔu⸢ki⸣naːnaːru ⸢ʔoː⸣ru] (御主加那志前<国王様>は沖縄にいらっしゃる<おわす{EOS}御座す>) 2727 0 0 2593 htmvoc_2727.wav ウジラニー ウ⸢ジラ⸣ニー [ʔu⸢ʤira⸣niː] 名 琉球黒檀(黒木)の芯に黄みがかった白の綾が混じっているもの。三味線の棹(ウディ)に最高の素材となる。 ウ⸢ジラ⸣ニーシ ⸢サンシンヌ⸣ ウディ ス⸢ク⸣ルカー イッ⸢ケン ナールン⸣ツォー [ʔu⸢ʤira⸣niːʃi ⸢saŋʃinnu⸣ ʔudi su̥⸢ku⸣rukaː ʔik⸢ken naːrun⸣ʦoː] (琉球黒檀のウジラニーで三味線の棹を造ると非常に鳴るそうだ) 2745 0 0 2594 htmvoc_2745.wav ウジル ウ⸢ジ⸣ル [ʔu⸢ʤi⸣ru] 名 柴。小枝。小さな雑木。枯れ木の小枝を切って燃料としたもの。鳩間島には山がないので、原野のススキの叢の中に桑や蕃石榴(グワバ)等の潅木が自生しているのを刈り取って枯らせ、燃料として利用したもの。枯れススキと混ぜて燃やすと火持ちがいい。 ウ⸢ジ⸣ル ⸣スリキー タ⸢ム⸣ヌ ⸢シー⸣バ [ʔu⸢ʤi⸣ru ⸣surikiː ta⸢mu⸣nu ⸢ʃiː⸣ba] (枯れた柴や小枝を刈ってきて薪にしなさいよ) 2746 0 0 2595 htmvoc_2746.wav ウジルタムヌ ウ⸢ジ⸣ルタムヌ [ʔu⸢ʤi⸣rutamunu] 名 柴の薪、枯れ小枝の薪。ヤ⸢キバイ[ja⸢kibai](焼け跡の小枝)ともいう 2717 0 0 2596 htmvoc_2717.wav ウシンザスン ウ⸢シンザスン [ʔu⸢ʃiʔnʣasuŋ] 他動 押し出す。押して外へ出す。 フ⸢ク⸣ル ⸢シンピリティ⸣ ナ⸢カヌ⸣ ムヌ ウ⸢シンザスンティ スンドゥ⸣ ウ⸢シンザサラン⸣サー [ɸu̥⸢ku⸣ru ⸢ʃimpiriti⸣ na⸢kanu⸣ munu ʔu⸢ʃiʔnʣasunti sundu⸣ ʔu⸢ʃiʔnʣasaran⸣saː] (袋を手で潰して中のものを押し出そうとするが、押し出されないさ) 2718 0 0 2597 htmvoc_2718.wav ウシンチー ⸣ウシンチー [⸣ʔuʃinʧiː] 名 婦人の着物の着け方。着物の前の端を下袴の紐に差し込んで着る着方。琉舞に置けるコスチュームの型。⸢クスクン[⸢kusu̥kuŋ](差し込む)ともいう。 ウ⸢キナーブドゥ⸣ル ⸢ソー⸣ル ⸣プソー ⸣ウシンチール ⸢ソーッ⸣タ [ʔu⸢kinaːbudu⸣ru ⸢soː⸣ru ⸣pu̥soː ⸣ʔuʃinʧiːru ⸢soːt⸣ta] (沖縄舞踊をされる時はウシンチーをされた) 2730 0 0 2598 htmvoc_2730.wav ウシンマ ウ⸢シン⸣マ [ʔu⸢ʃiʔm⸣ma] 名 牛馬。 プ⸢スバ⸣ ウ⸢シンマ⸣ヌ ⸣カタチニ ヤ⸢ナシゥカイ シーベー [pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢ʃiʔmma⸣nu ⸣kḁtaʧini ja⸢naʔasï̥kai ʃiːbeː] (人を牛馬のようにひどい扱い方をしている) 2751 0 0 2599 htmvoc_2751.wav ウズ ⸣ウズ [⸣ʔuʣu] 名 布団。夜具。カ⸢ビ⸣ムヌ[ka⸢bi⸣munu](被り物)ともいう。 ⸢ピー⸣ヤンダ ⸣ウズ ン⸢ザ⸣シ ⸣カビバ [⸢piː⸣janda ⸣ʔuʣu ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣kabiba] (寒いから布団を出して掛けなさい<被りなさい>よ)。 ⸣ウゾー カ⸢バ⸣ヌ [⸣ʔuʣoː ka⸢ba⸣nu] (布団は被らない)。 ⸣ウズン ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔuʣun ⸢naː⸣nu] (布団もない)。 ⸢ピー⸣ヤカー ⸣ウズ ン⸢ザ⸣シ ⸣カビバ [⸢piː⸣jakaː ⸣ʔuʣu ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣kabiba] (寒かったら布団を出して被りなさいよ) 2749 0 1 2600 htmvoc_2749.wav ウスーン ウ⸢スーン [ʔu⸢suːŋ] 他動 {Mn_1}おそう(襲う)。のしかかる。悪霊が押し被さるようにとりつく。「襲、オソフ・ツグ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣クマナー マ⸢ジムヌヌ⸣ プ⸢ス⸣ ウ⸢スーンティ⸣ ス⸢クタヌ⸣ ウ⸢ソーンバン⸠ナー [⸣kumanaː ma⸢ʤimununu⸣ pu̥⸢su⸣ ʔu⸢suːnti⸣ su̥⸢kutanu⸣ ʔu⸢soːmban⸠naː] (ここにはお化け<\ruby{蠱物}{マジ|モノ}>が人を襲うと聞いたが襲わないねえ)。 ウ⸢スイ ナー⸣ヌ [ʔu⸢sui naː⸣nu] (襲ってしまった)。 ウ⸢スー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢suː⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (襲うことはない)。 ウ⸢スイヤー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢suijaː⸣ misamunu] (襲えばいいのに)。 ウ⸢スイ⸣バ [ʔu⸢sui⸣ba] (襲えよ)。 2749 0 2 2601 htmvoc_2749.wav ウスーン ウ⸢スーン [ʔu⸢suːŋ] 他動 {Mn_2}着物の上から重ねて着る。カ⸢サブン[kḁ⸢sabuŋ](重ねる)と同じ。 ⸢ピー⸣ヤバ ⸢マー⸣ プ⸢スッ⸣クビ ウ⸢スイ⸣(カ⸢サビ⸣) キ⸢シ⸣バ [⸢piː⸣jaba ⸢maː⸣ pu̥⸢suk⸣kubi ʔu⸢sui⸣(ka⸢sabi⸣) ki̥⸢ʃi⸣ba] (寒いので、もう一枚<一着>重ねて着なさいよ) 2657 0 0 2602 htmvoc_2657.wav ウスクン ⸢ウスクン [⸢ʔusu̥kuŋ] 他動 押す。押し付ける。押える。「おしつく(下二段活用)」の四段活用化したもの。 ⸢ワー ウスク⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸢ウスクン [⸢waː ʔusu̥ku⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔusu̥kuŋ] (君が押し付けたら私も押し付ける)。 ⸣アイニ ⸢ウシキ⸣プサカー ⸢ウシキ⸣バ [⸣ʔaini ⸢ʔuʃi̥ki⸣pu̥sakaː ⸢ʔuʃi̥ki⸣ba] (あんなに押し付けたければ押し付けなさいよ)。 ⸢ウスク プスヌ⸣ ブ⸢ラーンダ ワーンツァン ウシケー⸣ ミサムヌ [⸢ʔusu̥ku pu̥sunu⸣ bu⸢raːnda waːnʦaŋ ʔuʃi̥keː⸣ misamunu] (押し付ける人がいないから君だけで<さえ>も押し付ければよいのに)。 ク⸢マ⸣ヌ トン ⸢ウーカン⸣ヨーニ ギッ⸢ティ ウシキ [ku⸢ma⸣nu ⸣toŋ ⸢ʔuːkaɲ⸣joːni git⸢ti ʔuʃi̥ki] (ここの所を動かないようにぎゅっと押し付けなさい)。 ク⸢リ ウシキ フィーリ [ku⸢ri ʔuʃi̥ki ffiːri] (これを押さえてくれ)。 ⸢ウスクンティ⸣ ウムイ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢タンガ⸣シェー ⸢ウスカラヌ [⸢ʔusu̥kunti⸣ ʔumui⸢beː⸣nundu ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢ʔusu̥karanu] (押さえよう<押さえる>と思っているが、一人では押さえられない)。 ⸢ウスク⸣ プ⸢ソー パー⸣ク ⸢ウシキ [⸢ʔusu̥ku⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku ⸢ʔuʃi̥ki] (押さえる人は早く押さえろ)。 ⸢マー⸣ビン イ⸢ジン⸣ジ ⸢ウシケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸢ʔuʃi̥keː⸣ misamunu] (もっとしっかり<力を出して>押さえればよいのに) 2752 0 0 2603 htmvoc_2752.wav ウスックミルン ウ⸢スックミルン [ʔu⸢sukkumiruŋ] 他動 一つに\ruby{纏}{マトメ}める。一つに押し込める。 ウ⸢スックミルンティ⸣ ウムーカー ウ⸢スックマリン [ʔu⸢sukkumirunti⸣ ʔumuːkaː ʔu⸢sukkumariŋ] (一つに押し込めよう<纏めよう>と思えば押し込められる)。 ⸢ピー⸣チナー ウ⸢スックミル⸣ クトー ム⸢チ⸣キサンティ ウ⸢ムー⸣ヌ ナルカー ウ⸢スックメー⸣ ミサムヌ [⸢piː⸣ʧinaː ʔu⸢sukkumi⸣ru ⸣ku̥toː mu⸢ʧi⸣kisanti ʔu⸢muː⸣nu ⸣narukaː ʔu⸢sukkumeː⸣ misamunu] (一つに\ruby{纏}{マト}める<押し込める>ことは難しいと思うが、出来たら纏めれば<押し込めれば>いいのに)。 ウ⸢スックミリ [ʔu⸢sukkumiri] (纏め<押し込め>ろ) 2753 0 0 2604 htmvoc_2753.wav ウスックムン ウ⸢スックムン [ʔu⸢sukkumuŋ] 他動 一つに\ruby{纏}{マト}める。一つに押し込める。?u⸢∫i(接頭語{EOS}押し{EOS}<強意>)+su̥⸢ku⸣muN(\ruby{竦}{スク}める{EOS}小さく纏める) → [ʔu⸢sukkumuŋ](押し込める{EOS}おし纏める)のように融合変化したものか。⸢ピー⸣チナ ウ⸢スックミティ サン⸣ミン ⸢シー⸣バ(一つに纏めて計算しなさいよ)。 ⸢ピー⸣チナー ウ⸢スックマヌ [⸢piː⸣ʧinaː ʔu⸢sukkumanu] (一つには纏めない)。 ウ⸢スックム⸣クトゥ [ʔu⸢sukkumu⸣ku̥tu] (纏むこと{EOS}押し込めること)。 ウ⸢スックミ [ʔu⸢sukkumi] (纏めろ{EOS}押し込めろ)。 ウ⸢スックメー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢sukkumeː⸣ misamunu] (纏めればよいのに)。 ウ⸢スックミ⸣ プサン [ʔu⸢sukkumi⸣ pu̥saŋ] (纏めたい{EOS}押し込めたい) 2758 0 0 2605 htmvoc_2758.wav ウスッふァイ ウ⸢スッ⸣ふァイ [ʔu⸢suf⸣fai] 名 ふろしき(風呂敷)。物を包むのに用いる方形の布。 ウ⸢スッ⸣ふァイナ ッ⸢ス⸣ミティ ⸣ムティパリバ [ʔu⸢suf⸣faina s⸢su⸣miti ⸣mutipariba] (風呂敷に包んで持って行きなさいよ)。 ウ⸢スッ⸣ふァイナー ⸣キンカー ッ⸢ス⸣ミティ ⸣ムティパリ [ʔu⸢suf⸣faina ⸣kiŋkaː s⸢su⸣miti ⸣mutipari] (風呂敷に衣類<衣・皮>を包んで持って行きなさい)。?ucukwii(風呂敷)『沖縄語辞典』の転訛。「この?uは<御>で、cukwiiは<ちきり>(巾)の転訛したもの」(『宮良当壮全集15巻』)という 2853 0 0 2606 htmvoc_2853.wav ウスッふァイカブン ウ⸢スッ⸣ふァイ ⸣カブン [ʔu⸢suf⸣fai ⸣kabuŋ] 連 風呂敷を被る。日除け、雨避け用にかぶった。婦女は畑作業の行き帰りに芋類を運ぶにも頭上運搬を常としたから頭髪の汚れを防ぐために、常に風呂敷や手拭を被った。 ウ⸢スッ⸣ふァイ ⸣カビティル ⸣ティルン ⸢バー⸣キン ス⸢ブ⸣ルナ カ⸢ミ⸣ル⸢ダー [ʔu⸢suf⸣fai ⸣kabitiru ⸣tirum ⸢baː⸣kin su⸢bu⸣runa ka⸢mi⸣ru⸢daː] (風呂敷を被ってからトウヅルモドキ製笊も竹笊も頭に載せて運ぶのだよ) 2759 0 0 2607 htmvoc_2759.wav ウスッふァイッスン ウ⸢スッ⸣ふァイッスン [ʔu⸢suf⸣faissuŋ] 名 風呂敷包み。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢スッ⸣ふァイッスンナー ⸢ヌー⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ⸢ベー⸣ワ [ku⸢nu⸣ ʔu⸢suf⸣faissunnaː ⸢nuː⸣nu ⸢peː⸣ri ⸢beː⸣wa] (この風呂敷包みには何が入っているか)。 ウ⸢スッ⸣ふァイッスン ⸢ピーヤー⸣ティ ⸢マー⸣ パル ⸢カン⸣ガイヤー [ʔu⸢suf⸣faissum ⸢piːjaː⸣ti ⸢maː⸣ paru ⸢kaŋ⸣gaijaː] (風呂敷包みを手に持って何処へ行くつもりか<考えか>) 2760 0 0 2608 htmvoc_2760.wav ウズヌアヤ ウ⸢ズ⸣ヌ ⸣アヤ [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣ʔaja] 連 布団の模様。市松模様。布団や風呂敷の型染め模様に用いられた。四角形を組み合わせたデザイン。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ズ⸣ヌ ア⸢ヤ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤワ⸢ナー [ku⸢nu⸣ ʔu⸢ʣu⸣nu ʔa⸢ja⸣nu ⸢kai⸣jawa⸢naː] (この布団の模様が美しいねえ) 2761 0 0 2609 htmvoc_2761.wav ウズヌカー ウ⸢ズ⸣ヌ ⸣カー [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣kaː] 連 布団の外皮。布団綿を包んでいる布。外皮。 ウ⸢ズ⸣ヌ ⸣カー ⸣パギティ ア⸢ライ⸣バ [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣kaː ⸣pagiti ʔa⸢rai⸣ba] (布団の外皮を剥いで洗いなさいよ) 2762 0 0 2610 htmvoc_2762.wav ウズヌバタ ウ⸢ズ⸣ヌ ⸣バタ [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣bata] 連 布団に入れる綿、綿屑。 ウ⸢ズ⸣ヌ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ンジキー ⸢ベー⸣バ ウ⸢ズ⸣ヌ⸣カー ス⸢ク⸣ライ [ʔu⸢ʣu⸣nu ba⸢ta⸣nu ⸣ʔnʤikiː ⸢beː⸣ba ʔu⸢ʣu⸣nu kaː su̥⸢ku⸣rai] (布団の綿が出てきているので布団皮を繕いなさい) 2763 0 1 2611 htmvoc_2763.wav ウスバスン ウ⸢スバスン [ʔu⸢subasuŋ] 他動 {Mn_1}お椀や容器類を伏せる。 マ⸢カ⸣ロー ア⸢ライティ⸣ マ⸢カ⸣ルダナナ ウ⸢スバスンティ スンドゥ⸣ シ⸢バー⸣ヌ ウ⸢スバサラヌ [ma⸢ka⸣roː ʔa⸢raiti⸣ ma⸢ka⸣rudanana ʔu⸢subasunti sundu⸣ ʃi⸢baː⸣nu ʔu⸢subasaranu] (お椀を洗ってお椀棚に伏せようとするが狭くて伏せられない)。 ⸣クナー ウ⸢スバシ⸣ ミサカー ウ⸢スバス⸣ クトー ⸣ナルン [⸣kunaː ʔu⸢subaʃi⸣ misakaː ʔu⸢subasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (ここに伏せてよければ伏せることは出来る)。 ⸣クナー ウ⸢スバシェー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː ʔu⸢subaʃeː⸣ misamunu] (ここに伏せればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢スバシ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔu⸢subaʃi⸣ba] (早く伏せろよ)。 2763 0 2 2612 htmvoc_2763.wav ウスバスン ウ⸢スバスン [ʔu⸢subasuŋ] 他動 {Mn_2}頭を下げさせる。俯かせる。 ス⸢ブ⸣ル ウ⸢スバシティ⸣ グリー シ⸢ミリ [su⸢bu⸣ru ʔu⸢subaʃi̥ti⸣ guriː ʃi⸢miri] (頭を下げてお礼をさせなさい) 2764 0 0 2613 htmvoc_2764.wav ウスバニン ウ⸢ス⸣バニン [ʔu⸢su⸣baniŋ] 名 「お側人」の義。正式のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)ではなく、司やバ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa](脇司{EOS}司の補佐役)の側に付添って⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御願{EOS}御嶽)の信仰を許された、セジ(霊力)の高い人。豊年祭や結願祭などの祭祀の際に、サカサ(司)やバ⸢キサカ⸣サ及びティ⸢ジリ⸣ビー(男性神職者)を補佐する。 ⸢プールナー⸣ヤ ⸢メーメーヌ⸣ ピ⸢キヌ⸣ ウガンナー ウ⸢ス⸣バニンヌン ⸢オー⸣ルン [⸢puːrunaː⸣ja ⸢meːmeːnu⸣ pi̥⸢kinu⸣ ʔugannaː ʔu⸢su⸣baninnuŋ ⸢ʔoː⸣ruŋ] (豊年祭には各自のヒキの御願には、ウスバニン<お側人>も居られる) 2765 0 0 2614 htmvoc_2765.wav ウスバユシ ウ⸢ス⸣バ ⸣ユシ [ʔu⸢su⸣ba ⸣juʃi] 連 「お側に寄せて」の義。祈願<神願い>をする際に、⸢神様のお側近くに寄せて祈願させてください」と祈るのが一定の形式となっている。 ~⸢ミートゥクルヌ カンヌ⸣マイ ドー⸢ディン⸣ シ⸢キウキ⸣ トゥ⸢リ⸣ウキ タ⸢ブ⸣ローレーティ ウ⸢ス⸣バ ⸣ユシ ウ⸢ガマ⸣リ タ⸢ブ⸣ローリ [~⸢miːtukurunu kannu⸣mai doː⸢din⸣ ʃi̥⸢kiʔuki⸣ tu⸢ri⸣ʔuki ta⸢bu⸣roːreːti ʔu⸢su⸣ba ⸣juʃi ʔu⸢gama⸣ri ta⸢bu⸣roːri] (~三ヶ所の神様、どうぞお聞き届け、取り受け賜って、神様のお側近くに寄せられて、私どもに拝まれてください<賜りませ>) 2766 0 1 2615 htmvoc_2766.wav ウスブン ウ⸢スブン [ʔu⸢subuŋ] 自動 {Mn_1}ふす(伏す)。うつぶす。うつむく(俯く)。頭を下げる。 ⸣ヌンティ ナー⸢イ⸣ ウ⸢スビ ベー⸣ワ [⸣nunti naː⸢i⸣ ʔu⸢subi beː⸣wa] (どうして、ただじっと俯いて<頭を垂れて>いるのか)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢スブ⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢スブン [⸢waː⸣ ʔu⸢subu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢subuŋ] (君が俯く<頭を垂れる>なら私も俯く<頭を垂れる>)。 ⸣バー ウ⸢スバヌ⸣ [⸣baː ʔu⸢subanu] (私は俯か<頭を垂れ>ない)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢スベー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢subeː⸣ misamunu] (もっと俯けば<頭を垂れたら>よいのに)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢カーフカー⸣シ ウ⸢スビ⸣バ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kaːɸu̥kaː⸣ʃi ʔu⸢subi⸣ba] (もっと深々と俯け<頭を垂れよ>)。 2766 0 2 2616 htmvoc_2766.wav ウスブン ウ⸢スブン [ʔu⸢subuŋ] 自動 {Mn_2}しゃがむ。俯きしゃがむ。 ⸢キーヌユダ⸣ヌ ッ⸢サーラ⸣ラ ウ⸢スビティ⸣ フ⸢キ⸣パリバ [⸢kiːnujuda⸣nu s⸢saːra⸣ra ʔu⸢subiti⸣ ɸu̥⸢ki⸣ pariba] (木の枝の下から俯きしゃがんで潜り抜けていきなさいよ) 2767 0 0 2617 htmvoc_2767.wav ウスマイ ⸣ウスマイ [⸣ʔusumai] 名 お祖父さん。祖父、老翁の敬称。首里方言では、「平民の祖父」の義。石垣方言では士族の「祖父」の義。語源的には「御主前」の転訛したもの。 ⸢イー⸣ネナー シ⸢ラ⸣ガーウスマイヌ ⸢オーッ⸣タン [⸢ʔiː⸣nenaː ʃi⸢ra⸣gaːʔusumainu ⸢ʔoːt⸣taŋ] (西隣の家に白髪のお祖父さん<金城二郎祖父さん>がおられた)。本来は「御主前」の義で、石垣方言からの借用語。鳩間島では、それが渾名(ニックネーム)に転用されて用いられた。 カ⸢ザケーヌ⸣ ウスマイ [ka⸢ʣakeːnu⸣ ʔusumai] (加治工家のウスマイ<伊佐>) 2768 0 0 2618 htmvoc_2768.wav ウスマサン ウ⸢スマ⸣サン [ʔu⸢suma⸣saŋ] 形 ものすごい。程度が甚だしい。ひどく恐ろしい。怖い。すさまじい。おぞましい。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ウ⸢スマ⸣シスコー ⸢アイ⸣ヤン⸢ダー [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ʔu⸢suma⸣ʃisu̥koː ⸢ʔai⸣jan⸢daː] (あれら<彼ら>二人は恐ろしいほど喧嘩したよ)。 ウ⸢キナー⸣ヌ ⸢クーシューヤ⸣ ウ⸢スマ⸣サタンティ ス⸢クタヌ⸣ イ⸢クサ⸣ヌ ⸣アトゥナ ⸢ギー⸣ミルカー ⸢フン⸣トー ウ⸢スマサ⸣ヌ ミ⸢ララン⸣シェン [ʔu⸢kinaː⸣nu ⸢kuːʃuːja⸣ ʔu⸢suma⸣satanti su̥⸢kutanu⸣ ʔi⸢kusa⸣nu ⸣ʔatuna ⸢giː⸣mirukaː ⸢ɸun⸣toː ʔu⸢sumasa⸣nu mi⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (沖縄の空襲はものすごく恐ろしく、おぞましかったと聞いたが、戦の後に尋ねて<行って>みると、本当に恐ろしくて直視でき<見られ>なかった)。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣スコー ウ⸢スマ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣su̥koː ʔu⸢suma⸣saː ⸢naː⸣nu] (君がいうほどにはひどはない)。 ⸣アイニ ウ⸢スマ⸣サカー ウ⸢マー⸣ヤ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaini ʔu⸢suma⸣sakaː ʔu⸢maː⸣ja pa⸢rara⸣nu] (あんなに恐ろしくひどければ、そこへは行けない)。 アン⸢デー⸣カー ウ⸢スマ⸣シ ク⸢トゥ⸣ユン [ʔan⸢deː⸣kaː ʔu⸢suma⸣ʃi ku̥⸢tu⸣juŋ] (そんなら大変なことだわい)。「をそましや(をそろしき也、をそるしき事也)」(『混効験集』) 2770 0 0 2619 htmvoc_2770.wav ウスマシ ウ⸢スマ⸣シ [ʔu⸢suma⸣ʃi] 連体 物凄い。大変な。 ⸣アイ ヤ⸢ル⸣カー ウ⸢レー⸣メ ウ⸢スマ⸣シ ⸣クトゥ ナ⸢リ⸣ ブー [⸣ʔai ja⸢ru⸣kaː ʔu⸢reː⸣ meː ʔu⸢suma⸣ʃi ⸣ku̥tu na⸢ri⸣ buː] (そんなら<そうであるなら>それはもう、大変なことになっている) 2769 0 0 2620 htmvoc_2769.wav ウスマシスコー ウ⸢スマ⸣シ ⸣スコー [ʔu⸢suma⸣ʃi ⸣su̥koː] 連 物凄いほど。非常なほど。恐ろしいほどに。「おぞまし」(『源氏物語』帚木)の転訛か。 ⸢ダイヤー⸣ ウ⸢スマ⸣シ ⸣スコー パ⸢ニアガ⸣リティ ⸢カーラヌ [⸢daijaː⸣ ʔu⸢suma⸣ʃi ⸣su̥koː pa⸢niʔaga⸣riti ⸢kaːranu] (値段が物凄いほどに跳ね上がって買えない<買われない>)。 ウ⸢スマ⸣シスコー プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー⸣タ [ʔu⸢suma⸣ʃi ⸣su̥koː pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː⸣ta] (物凄く<物凄いほど>人が集まっていた)。 ウ⸢リヌ イーッふァイ⸣ヤー ウ⸢スマ⸣シ ⸣スコー ッ⸢ふァイス [ʔu⸢rinu ʔiːfai⸣jaː ʔu⸢suma⸣ʃi ⸣su̥koː ⸢faisu] (彼の飯食いは恐ろしい程にたくさん食う) 2771 0 0 2621 htmvoc_2771.wav ウスマシムヌ ウ⸢スマ⸣シ ⸣ムヌ [ʔu⸢suma⸣ʃi ⸣munu] 連 大変なこと。凄いこと。恐ろしいこと。 ⸢タンガ⸣シ ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥ スンティ⸣ ウ⸢スマ⸣シ ムヌ⸢ツォー⸣メー [⸢taŋga⸣ʃi ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutu sunti⸣ ʔu⸢suma⸣ʃi munu⸢ʦoː⸣meː] (一人であれだけの仕事をするとて、大変なことだよもう) 2773 0 1 2622 htmvoc_2773.wav ウズマリン ウ⸢ズマリン [ʔu⸢ʣumariŋ] 自動 {Mn_1}埋まれる。埋められる。埋没される。{ウ⸢ズムン[ʔu⸢ʣumuŋ](埋める)の未然形に受身、可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身・可能動詞)}。 ナ⸢カダ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤ ア⸢メリカ⸣ヌ ブ⸢ルトーザー⸣ヌ ⸣ミチ ⸢コーシ⸣ シケーター ⸢ウーアミ⸣ナー ドゥ⸢ルヌ サンガリ⸣キー ウ⸢ズマリナーン⸣シェン [na⸢kada⸣nu ⸢taː⸣ja ʔa⸢merika⸣nu bu⸢rutoːʣaː⸣nu ⸣miʧi ⸢koːʃi⸣ ʃikeːtaː ⸢ʔuːʔami⸣naː du⸢runu saŋgari⸣kiː ʔu⸢ʣumarinaːŋ⸣ʃeŋ] (船浦の仲田地区の田圃は、アメリカのブルトーザーが野原を削って道を作っておいたので、大雨に土砂が流されてきて田圃は埋まってしまった)。 ウ⸢ズマラヌ [ʔu⸢ʣumaranu] (埋まらない)。 ⸢カン⸣ヌ マ⸢シ⸣ヌ ウ⸢ズマリ⸣カー ス⸢ムヌ⸣ マシン ウ⸢ズマリン [⸢kan⸣nu ma⸢ʃi⸣nu ʔu⸢ʣumari⸣kaː su⸢munu⸣ maʃiŋ ʔu⸢ʣumariŋ] (上の田圃が埋まったら下の田圃も埋まる)。 ウ⸢ズマル⸣ ターン ⸢ゴー⸣ラー ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢ʣumaru⸣ taːŋ ⸢goː⸣raː na⸢ri⸣su] (埋まる田圃も多くなる)。 ⸣アイブ ⸢ター⸣ヤ ウ⸢ズマリリ [⸣ʔaibu ⸢taː⸣ja ʔu⸢ʣumariri] (あんな田圃は埋まれろ)。 2773 0 2 2623 htmvoc_2773.wav ウズマリン ウ⸢ズマリン [ʔu⸢ʣumariŋ] 自動 {Mn_2}可能動詞。埋めることが出来る。 ク⸢マン⸣トンマー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ズマリン [ku⸢man⸣ tommaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ʣumariŋ] (ここの所は私にも埋められる) 2772 0 0 2624 htmvoc_2772.wav ウズマルン ウ⸢ズマルン [ʔu⸢ʣumaruŋ] 自動 埋まる。埋まれる。埋もれる。 シ⸢キ⸣ヌ ヤ⸢ブリ⸣ルカー ⸢ター⸣ヤ ウ⸢ズマルン [ʃi̥⸢ki⸣nu ja⸢buri⸣rukaː ⸢taː⸣ja ʔu⸢ʣumaruŋ] (堰が壊れると田は埋まれる)。 ア⸢メリカ⸣ヌ ブ⸢ルトーザー⸣ヌ ⸣シキ ⸢クーシター⸣ル ナ⸢カダ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤ ウ⸢ズマレー⸣ティ⸢ダー [ʔa⸢merika⸣nu bu⸢rutoːʣaː⸣nu ⸣ʃi̥ki ⸢kuːʃi̥taː⸣ru na⸢kada⸣nu ⸢taː⸣ja ʔu⸢ʣumareː⸣ti⸢daː] (アメリカのブルトーザーが\ruby{堰}{セキ}を壊したので船浦の仲田の田圃は土砂に埋まれたそうだよ)。 シ⸢キ⸣ヌ ⸢クーラン⸣シェーカー ⸢ター⸣ヤ ウ⸢ズマランブレー⸣ル [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢kuːraŋ⸣ʃeːkaː ⸢taː⸣ja ʔu⸢ʣumaram⸣ bu⸢reː⸣ru] (堰が壊れなかったならば、田圃は埋もれなかっただろうよ) 2774 0 0 2625 htmvoc_2774.wav ウスミルン ウ⸢スミ⸣ルン [ʔu⸢sumi⸣ruŋ] 他動 薄める。 サ⸢ケー⸣ ミ⸢ジ⸣シ ⸢バイティ⸣ ウ⸢スミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢スミラン⸣ツォー [sḁ⸢keː⸣ mi⸢ʤi⸣ʃi ⸢baiti⸣ ʔu⸢sumi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢sumiran⸣ʦoː] (酒は水で割って薄めようと思うが、薄めないそうだ)。 ウ⸢ス⸣ミ ⸣ミサカー ウ⸢スミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢su⸣mi ⸣misakaː ʔu⸢sumi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (薄めて良ければ薄めることは出来る)。 ウ⸢スミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢sumi⸣reː ⸣misamunu] (薄めれば良いのに)。 ⸢マービ⸣ン ウ⸢スミ⸣リ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢sumi⸣ri] (もっと薄めろ) 2775 0 0 2626 htmvoc_2775.wav ウズミルン ウ⸢ズミルン [ʔu⸢ʣumiruŋ] 他動 埋める。 ⸢ザイ⸣ギー ウ⸢ズミルン [⸢ʣai⸣giː ʔu⸢ʣumiruŋ] (材木を埋める)。 ⸢ザイギ⸣バ パ⸢マ⸣ナー ウ⸢ズミティ スー⸣カン シ⸢ミルンティ ベー  [⸢ʣaigi⸣ba pa⸢ma⸣naː ʔu⸢ʣumiti suː⸣kaŋ ʃi⸢mirunti beː] (材木を浜に埋めて除虫のための潮乾をしようとしている)。 ⸣クナー ウ⸢ズミラヌ [⸣kunaː ʔu⸢ʣumiranu] (ここには埋めない)。 フ⸢クンキー⸣ ウ⸢ズミル⸣カー ドゥ⸢ス⸣ヌキーン ウ⸢ズミルン [ɸu̥⸢kuŋkiː⸣ ʔu⸢ʣumiru⸣kaː du⸢su⸣nukiːŋ ʔu⸢ʣumiruŋ] (福木を埋めるならドゥスヌ<和名、オガタマノキ>もうめる)。 ウ⸢ズミレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʣumireː⸣ misamunu] (埋めればよいのに) ウ⸢ズミリ [ʔu⸢ʣumiri] (埋めろ)) 2776 0 0 2627 htmvoc_2776.wav ウスムン ウ⸢ス⸣ムン [ʔu⸢su⸣muŋ] 他動 薄める。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢マザケー(⸢パイロー)⸣ ドゥク ⸢シー⸣ヤンダ ミ⸢ジ⸣シ ⸢バイティ⸣ ウ⸢ス⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢スマン⸣タンティン ⸣ミサンツォー [ku⸢nu⸣ ʔa⸢maʣakeː(⸢pairoː)⸣ duku ⸢ʃiː⸣janda mi⸢ʤi⸣ʃi ⸢baiti⸣ ʔu⸢su⸣munti ⸢sundu⸣ ʔu⸢suman⸣tantim ⸣misanʦoː] (この酢はひどく酸っぱいから水で割って薄めようとするが、薄めなくても良いそうだ)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ス⸣ミ ⸣ミサカー ウ⸢ス⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢su⸣mi ⸣misakaː ʔu⸢su⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (もっと薄めて良ければ薄めることはできる)。 ウ⸢ス⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢su⸣meː ⸣misamunu] (薄めれば良いのに)。 ウ⸢ス⸣ミバ [ʔu⸢su⸣miba] (薄めよ) 2777 0 0 2628 htmvoc_2777.wav ウズムン ウ⸢ズムン [ʔu⸢ʣumuŋ] 他動 埋める。「うずむ(埋む)下二段活用」の四段活用化したもの。 ⸣クナー ウ⸢ズムン [⸣kunaː ʔu⸢ʣumuŋ] (ここに埋める)。 ク⸢レー⸣ ウ⸢ズマヌ [ku⸢reː⸣ ʔu⸢ʣumanu] (これは埋めない)。 ⸣クナール ウ⸢ズミ⸣プサ [⸣kunaːru ʔu⸢ʣumi⸣pu̥sa] (ここにが<ぞ>埋めたい)。 ⸣クナー ウ⸢ズム⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaː ʔu⸢ʣumu⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここに埋めることはできない<ならぬ>)。 ウ⸢ズメー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʣumeː⸣misamunu] (埋めればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ズミ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ʣumi] (早く埋めろ) 2778 0 0 2629 htmvoc_2778.wav ウスリラリルン ウ⸢スリラリ⸣ルン [ʔu⸢surirari⸣ruŋ] 自動 恐れられる。ウ⸢スリ⸣ルン[ʔu⸢suri⸣ruŋ](恐れる)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された受身・可能の派生動詞。 ⸢ワー ヌー⸣バ ⸢シーティル⸣ アイニ プ⸢スン⸣ ウ⸢スリラ⸣リ ⸢アーク⸣ワ [⸢waː nuː⸣ba ⸢ʃiːtiru⸣ ʔaini pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢surira⸣ri ⸢ʔaːku⸣wa] (君は何をして、あのように他人に畏れられいるのか) 2779 0 0 2630 htmvoc_2779.wav ウスリラリン ウ⸢スリラ⸣リン [ʔu⸢surira⸣riŋ] 自動 恐れられる。ウ⸢スリ⸣ルン[ʔu⸢suri⸣ruŋ](恐れる)の未然形に受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された受身・可能の派生動詞。 プ⸢ス⸣ イ⸢ズ⸣カー ナ⸢クラー⸣ンティ プ⸢スン⸣ ウ⸢スリラ⸣リン⸢ダー [pu̥⸢su⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː na⸢kuraː⸣nti pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢surira⸣rin⸢daː] (他人を叱ると、怖いといって他人に恐れられるよ) 2780 0 0 2631 htmvoc_2780.wav ウスリルン ウ⸢スリ⸣ルン [ʔu⸢suri⸣ruŋ] 他動 畏れる。恐れる。畏れ敬う。 ⸢カンプトゥ⸣ケー ウ⸢スリラン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー [⸢kampu̥tu⸣keː ʔu⸢suriraŋ⸣kaː na⸢ran⸠daː] (神仏は畏れ<恐れ>ないといけないよ)。 ⸢ワーンドゥ カンヌ⸣マイ ウ⸢スリ⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢スリ⸣ルン [⸢waːndu⸣ ⸢kannu⸣mai ʔu⸢suri⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢suri⸣ruŋ] (君が神様を畏れ<恐れ>敬うるなら私も畏れ<恐れ>敬う)。 ウ⸢ス⸣リ ⸢ベー [ʔu⸢su⸣ri⸢beː] (畏れ<恐れ>敬っている)。 ウ⸢スリ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢suri⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (畏れ<恐れ>る人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢スリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢suri⸣reː ⸣misamunu] (もっと畏れ<恐れ>たらよいのに)。 ⸢カンプトゥ⸣ケー ウ⸢スリ⸣リ [⸢kampu̥tu⸣keː ʔu⸢suri⸣ri] (神仏は畏れ<恐れ>ろ<畏れ敬え>) 2750 0 0 2632 htmvoc_2750.wav ウスン ウ⸢スン [ʔu⸢suŋ] 自動 失せる。消える。「うす(失す)下二段活用」の四段活用化したもの。 ウ⸢ヌシゥ⸣ク カ⸢バッ⸣サタ カ⸢ザン⸣ ウ⸢シナーン⸣バン [ʔu⸢nusï̥⸣ku ka⸢bas⸣sata ka⸢ʣaŋ⸣ ʔu⸢ʃinaːm⸣baŋ] (あんなに香ばしかった匂いもう消えうせてしまったわい)。 フ⸢タ⸣ ア⸢キシキ⸣ルカー カ⸢ザー⸣ ウ⸢スン⸠ダー [ɸu̥⸢taː⸣ ʔa⸢kiʃi̥ki⸣rukaː ka⸢ʣaː⸣ ʔu⸢sun⸠daː] (蓋を開けておくと匂いがとぶ<失せる>よ) 2992 0 0 2633 htmvoc_2992.wav ウスンガナシェーマイ ウスン⸢ガナ⸣シェーマイ [ʔusuŋ⸢gana⸣ʃeːmai] 名 琉球国王。国王様。「御主加奈志前」と表記される。ウシュン⸢ガナ⸣シェーマイ[ʔuʃuŋ⸢gana⸣ʃeːmai]ともいう。「加奈志」は尊敬の接尾語。「~妻子見れば可奈之久<カナシク>めぐし~。万、4106」の転訛で、「いとしい、かわいい」の意味から尊敬の意味に転訛したもの。「前」は尊敬の接尾語。 カ⸢ナ⸣ケーヌ ウ⸢ヤ⸣プスナー ウスン⸢ガナ⸣シェーマイラ ⸢ホービ⸣ タ⸢ボーラ⸣レール プ⸢スヌ オー⸣ルン⸢ダー [ka⸢na⸣keːnu ʔu⸢ja⸣pu̥sunaː ʔusuŋ⸢gana⸣ʃeːmaira ⸢hoːbi⸣ ta⸢boːra⸣reːru pu̥⸢sunu ʔoː⸣run⸢daː] (兼久家の先祖に国王様から褒美を賜った人がおられるよ) 2782 0 0 2634 htmvoc_2782.wav ウズンキルン ウ⸢ズンキ⸣ルン [ʔu⸢ʣuŋki⸣ruŋ] 自動 目が覚める。「Vozomi,u,ôda(ヲゾム)眠りからさめる」『邦訳日葡辞書』、「目さむるといふ事を薩摩及肥前にてをぞむと云」(『物類称呼』)の「をぞむ」の転訛したもの。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サーラ ウ⸢ズン⸣キ ⸢ブーヌンドゥ⸣ ア⸢ムサ⸣ヌ ウ⸢キララ⸣ヌ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣saːra ʔu⸢ʣuŋ⸣ki ⸢buːnundu⸣ ʔa⸢musa⸣nu ʔu⸢kirara⸣nu] (朝早くから目が覚めているが、気分が悪くて起きられない)。 ニ⸢ベー⸣ラー ウ⸢ズンキラ⸣ヌ [ni⸢beː⸣raː ʔu⸢ʣuŋkira⸣nu] (寝たら目覚めない)。 ユ⸢ナカ⸣ナー ヤー⸢ディン⸣ プ⸢スム⸣シェー ウ⸢ズンキ⸣ルン [ju⸢naka⸣naː jaː⸢dim⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃeː ʔu⸢ʣuŋki⸣ruŋ] (夜中には必ず一度は目覚める)。 ウ⸢ズンキ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ʣuŋki⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (目覚める人はいない)。 ウ⸢ズンキ⸣リ [ʔu⸢ʣuŋki⸣ri] (目覚めよ)。 ウ⸢ズンキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʣuŋki⸣reː ⸣misamunu] (目覚めればよいのに)。 ウ⸢ズンキ⸣ルカー ⸢サーリ⸣ クー [ʔu⸢ʣuŋki⸣rukaː ⸢saːri⸣ kuː] (目覚めたら連れて来い) 2783 0 0 2635 htmvoc_2783.wav ウズンクン ウ⸢ズン⸣クン [ʔu⸢ʣuŋ⸣kuŋ] 自動 目が覚める。目覚める。「Vozomi,u,ôda.ヲゾミ、ム、ゥダ(おぞみ、む、うだ)眠りからさめる.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ズンカン⸣バン <ウ⸢ズンキラン⸣バン> [mut⸢tu⸣ ʔu⸢ʣuŋkam⸣baŋ <ʔu⸢zuŋkiram⸣baŋ>] (一向に目覚めないわい)。 キ⸢サ⸣ ウ⸢ズン⸣キ ⸢ベー [ki̥⸢sa⸣ ʔu⸢ʣuŋ⸣ki ⸢beː] (すでに目覚めている)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ズン⸣クカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ズン⸣クン [⸢waː⸣ ʔu⸢ʣuŋ⸣kukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ʣuŋ⸣kuŋ] (君が目覚めたら私も目覚める)。 ユ⸢ナカ⸣ナー ウ⸢ズン⸣ケー ⸣ミサムヌ [ju⸢naka⸣naː ʔu⸢ʣuŋ⸣keː ⸣misamunu] (夜中に目覚めればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ズン⸣キ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ʣuŋ⸣ki] (早く目覚めろ)。 ユ⸢ナカー⸣ラ ウ⸢ズン⸣キティ ウ⸢ヤ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイ ニ⸢バランシェン [ju⸢nakaː⸣ra ʔu⸢ʣuŋ⸣kiti ʔu⸢ja⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ⸣ʔumui ni⸢baraŋʃeŋ] (夜中から目が覚めて、親のことを思って眠れなかった)。 ニ⸢ベーラ⸣ メー ウ⸢ズンカ⸣ヌ [ni⸢beːra⸣ meː ʔu⸢ʣuŋka⸣nu] (いちど寝たらもう目覚めない)。 ウ⸢ズンキ パヤー⸣ン [ʔu⸢ʣuŋki pajaː⸣ŋ] (目覚めやすい<早い>)。 ウ⸢ズン⸣ク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ʣuŋ⸣ku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (目覚める人はいない) 2857 0 0 2636 htmvoc_2857.wav ウズンクン ウ⸢ズン⸣クン [ʔu⸢ʣuŋ⸣kuŋ] 自動 うずく(疼く)。ずきずきと痛む。 フ⸢ユ⸣ ナルカー キ⸢ジヌ⸣ パ⸢ラシキティ⸣ ウ⸢ズン⸣キ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ɸu⸢ju⸣ narukaː ki⸢ʤinu⸣ pa⸢raʃi̥kiti⸣ ʔu⸢ʣuŋ⸣ki ⸣jami na⸢ra⸣nu] (冬になると傷口が乾燥して突っ張り、疼いて痛んで<病みて>耐えられない<仕方がない>) 2719 0 0 2637 htmvoc_2719.wav ウスンフカスン ウ⸢スンフカスン [ʔu⸢suŋɸukasuŋ] 他動 お椀を伏せる。下向きに置く。うつむか(俯か)せる。 マ⸢カ⸣ルドンゴー ア⸢ザケーアザケー⸣シ ア⸢ライティ⸣ ウ⸢スンフカシ⸣シキ [ma⸢ka⸣rudoŋgoː ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃi ʔa⸢raiti⸣ ʔu⸢suŋɸu̥kaʃi⸣ʃi̥ki] (御碗類は清潔に洗って伏せて置きなさい)。 ウ⸢スンフカサヌ [ʔu⸢suŋɸu̥kasanu] (伏せない)。 ⸢イーマカ⸣ル ウ⸢スンフカス⸣カー ⸢スーマカ⸣ルン ウ⸢スンフカスン [⸢ʔiːmaka⸣ru ʔu⸢suŋɸu̥kasu⸣kaː ⸢suːmaka⸣ruŋ ʔu⸢suŋɸu̥kasuŋ] (飯碗を伏せるなら汁碗も伏せる)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢スンフカシ [⸢paː⸣ku ʔu⸢suŋɸu̥kaʃi⸣] (早く伏せなさい)。ウ⸢スンフクン[ʔu⸢suŋɸu̥kuŋ](うつむく<俯く>)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](せる)が付いて形成された使役の派生動詞⸢俯かせる」の転訛したもの。 マ⸢カ⸣ル ア⸢ライティ⸣ ウ⸢スンフカスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢スンフカス⸣ マ⸢カ⸣ルダナヌ ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢ka⸣ru ʔa⸢raiti⸣ ʔu⸢suŋɸu̥kasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢suŋɸu̥kasu⸣ ma⸢ka⸣rudananu ⸢naː⸣nu] (お椀を洗って伏せようと思うが、伏せるお椀棚がない)。 ウ⸢スンフカシ⸣ プサカー ウ⸢スンフカシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢suŋɸu̥kaʃi⸣ pu̥sakaː ʔu⸢suŋɸu̥kaʃeː⸣ misamunu] (伏せたければ、伏せれば良いのに) 2720 0 0 2638 htmvoc_2720.wav ウスンフクン ウ⸢スンフクン [ʔu⸢suŋɸu̥kuŋ] 自動 うつむく(俯く)。頭を垂れる。顔を下に向ける。 ナー⸢イ⸣ ウ⸢スンフキ ベーン⸣ナ [naː⸢i⸣ ʔu⸢suŋɸu̥ki beːn⸣na] (ずうっと俯いているな)。 ヌ⸢ビシジ⸣ヌ ⸣ヤミティ ウ⸢スンフカラヌ [nu⸢biʃiʤi⸣nu ⸣jamiti ʔu⸢suŋɸu̥karanu] (首筋が痛くて俯かれない)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢スンフク⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢スンフクン [⸢waː⸣ ʔu⸢suŋɸu̥ku⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢suŋɸu̥kuŋ] (君が俯くなら私も俯く)。 ン⸢ベーマー⸣ ウ⸢スンフケー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʔu⸢suŋɸu̥keː⸣ misamunu] (俯けばよいのに)。 ア⸢バティ⸣ ウ⸢スンフキ⸣バ [ʔa⸢bati⸣ ʔu⸢suŋɸu̥ki⸣ba] (急いで俯けよ)。 バ⸢カ⸣ヤカー プ⸢ソー⸣ ウ⸢スンフクンドゥ⸣ ウ⸢レー⸣ ウ⸢スンフカヌ [ba⸢ka⸣jakaː pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢suŋɸu̥kundu⸣ ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢suŋɸu̥kanu] (恥ずかしかったら、人は俯くが、彼は俯かない)。 ウ⸢スンフキ ヤッ⸣サン [ʔu⸢suŋɸu̥ki jas⸣saŋ] (俯きやすい)。 ウ⸢スンフク⸣ クトゥ [ʔu⸢suŋɸu̥ku⸣ ku̥tu] (俯くこと)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢スンフケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢suŋɸu̥keː⸣ misamunu] (もっと俯けばいいのに)。 ン⸢メーマー⸣ ウ⸢スンフキ⸣バ [ʔm⸢meːmaː⸣ ʔu⸢suŋɸu̥ki⸣ba] (少しは俯けよ) 2786 0 0 2639 htmvoc_2786.wav ウゾーバタ ⸣ウゾーバタ [⸣ʔuʣoːbata] 名 小腸。バ⸢ター⸣マ[ba⸢taː⸣ma](小腸)ともいう。 ⸢オー⸣ヌ ⸣ウゾーバタシ ナ⸢カミ⸣ヌ ⸢シームヌ⸣ バ⸢カシ [⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔuʣoːbataʃi na⸢kami⸣nu ⸢ʃiːmunu⸣ ba⸢kaʃi] (豚の小腸で中身の吸い物を炊きなさい<沸かせ>) 2787 0 1 2640 htmvoc_2787.wav ウソーリルン ウ⸢ソーリルン [ʔu⸢soːriruŋ] 自動 {Mn_1}襲われる。魔物に襲われる。 ク⸢ヌ キー⸣ヌ ⸢トー⸣リクーカ ウ⸢ソーリルン⸠ダー [ku⸢nu kiː⸣nu ⸢toː⸣rikuːkaː ʔu⸢soːrirun⸠daː] (この木が倒れてきたら押しつぶされる <襲われる> ぞ)。 サ⸢バン⸣ ウ⸢ソーリティル マーラソーッ⸣タツォー [sa⸢baŋ⸣ ʔu⸢soːritiru maːrasoːt⸣taʦoː] (鮫に襲われて亡くなられたそうだ)。 ウ⸢ソーリララン⸣カヤー [ʔu⸢soːriraraŋ⸣kaja] (襲われないかなあ)。 ウ⸢ソーリル⸣ クトゥン⸣アン [ʔu⸢soːriru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (襲われることもある)。 ウ⸢ソーレー⸣ラー ⸢デー⸣ジ [ʔu⸢soːreː⸣raː ⸢deː⸣ʤi] (襲われたら大変だ)。 ウ⸢ソーリリ [ʔu⸢soːriri] (襲われろ)。 マ⸢ジムン⸣ ウ⸢ソーリティ⸣ ウ⸢ヤー⸣リ ⸢ベー [ma⸢ʤimuŋ⸣ ʔu⸢soːriti⸣ ʔu⸢jaː⸣ri ⸢beː] (魔物に襲われてうなされている)。 2787 0 2 2641 htmvoc_2787.wav ウソーリルン ウ⸢ソーリルン [ʔu⸢soːriruŋ] 自動 {Mn_2}押しつぶされる。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ティ ヤ⸢マイシ⸣ヌ ⸢クーリ⸣ クーカー ウ⸢ソーリルン⸣ダー [⸣ʔunaː ⸢beː⸣ti ja⸢maʔiʃi⸣nu ⸢kuː⸣ri ⸣kuːkaː ʔu⸢soːrirun⸣daː] (そこに居て、山石が崩れてきたら襲われて押しつぶされるぞ) 2609 0 0 2642 htmvoc_2609.wav ウソーリン ウ⸢ソーリン [ʔu⸢soːriŋ] 自動 襲われる。頭から覆いかぶされる。ウ⸢ソーリルン[ʔu⸢soːriruŋ](襲われる)ともいう。 マ⸢ジムヌン⸣ ウ⸢ソーリティ⸣ ユ⸢ナカサナ⸣カ タ⸢キ⸣リ ⸢ベー⸣タ [ma⸢ʤimunuŋ⸣ ʔu⸢soːriti⸣ ju⸢nakasana⸣ka tḁ⸢ki⸣ri ⸢beː⸣ta] (魔物に襲われて真夜中に\ruby{魘}{ウナ}されて<\ruby{哮}{タケ}って>いた)。 ⸣サン ⸣ムトゥカー ウ⸢ソーラヌ [⸣sam ⸣mutukaː ʔu⸢soːranu] (サンを持つと魔物に襲われない)。ウ⸢ソーリルン[ʔu⸢soːriruŋ](襲われる)と同じ。 ⸢ウンター⸣ラ ⸣ウズ カ⸢バサ⸣リ ウ⸢ソーリティ⸣ タ⸢マ⸣シヌギ ⸢ベー⸣タ [⸢ʔuntaː⸣ra ⸣ʔuʣu ka⸢basa⸣ri ʔu⸢soːriti⸣ ta⸢ma⸣ʃinugi ⸢beː⸣ta] (上から布団を被され、押さえつけられてびっくり<魂抜け>していた)。 ウ⸢ソーラヌ [ʔu⸢soːranu] (襲われない)。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー マ⸢ジムン⸣ ウ⸢ソーリン⸠ダー [⸣ʔunaː ⸢beː⸣rukaː ma⸢ʤimuŋ⸣ ʔu⸢soːrin⸠daː] (ここにいると魔物<\ruby{蠱物}{マジ|モノ}>に襲われるぞ)。 ウ⸢ソーリル⸣ プ⸢ソー⸣ キ⸢マリブー [ʔu⸢soːriru⸣ pu̥⸢soː⸣ ki⸢maribuː] (襲われる人は決まっている)。 ウ⸢ソーリリ [ʔu⸢soːriri] (襲われろ) 2754 0 0 2643 htmvoc_2754.wav ウソーン ウ⸢ソー⸣ン [ʔu⸢soː⸣ŋ] 形 薄気味悪い。恐ろしい。「おずし」『源氏物語<浮舟>』の転訛か。 ウ⸢マン⸣ トンマー イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ソー⸣ン [ʔu⸢man⸣tommaː ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢soː⸣ŋ] (そこの所は陰気で非常に薄気味悪い)。 ウ⸢マ⸣ヌ ⸣ミチェー ウ⸢ソー⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔu⸢ma⸣nu ⸣miʧeː ʔu⸢soː⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (そこの道は陰気で薄気味悪くて歩いて行けない)。 ⸣アイニ ウ⸢ソー⸣カー パ⸢ル⸣ナ [⸣ʔaini ʔu⸢soː⸣kaː pa⸢ru⸣na] (そんなに薄気味悪ければ行くなよ)。 プ⸢ス⸣ヌ ア⸢ズ⸣スコー ⸢ナン⸣ゾー ウ⸢ソーナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣu⸣su̥koː ⸢nan⸣ʣoː ʔu⸢soːnaː⸣nu] (他人が言うほど、それほどには薄気味悪くない)。 ⸣ユネン ⸣ナルカー ⸢シンダイ⸣ ウ⸢ソー⸣ナルン [⸣junen ⸣nnarukaː ⸢ʃindai⸣ ʔu⸢soː⸣naruŋ] (夕方になったら次第に薄気味悪くなる) 2791 0 0 2644 htmvoc_2791.wav ウタ ⸣ウタ [⸣ʔuta] 名 歌。民謡。歌謡。 ⸣ウタ イ⸢ズン [⸣ʔuta ʔi⸢ʣuŋ] (歌を歌う)。 ⸣ウター イ⸢ズプスル⸣ ヌシ [⸣ʔutaː ʔi⸢ʣupu̥suru⸣ nuʃi] (歌は歌う人が主である{EOS}歌う人の勝手である{EOS}歌い手の気持ちを込めて如何様にでも歌えばよいという意味)。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸣ウタゾージ [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸣ʔutaʣoːʤi] (彼は非常に歌が上手<名歌手{EOS}歌上手>である) 2794 0 0 2645 htmvoc_2794.wav ウタイ ウ⸢タイ [ʔu⸢tai] 名 命令。指図。仰せ。 ⸢ウイヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ウ⸢タイ⸣ ヤ⸢ロー⸣ルンダ シゥ⸢カン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔu⸢tai⸣ ja⸢roː⸣runda sï̥⸢kaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (上司<上の人>の命令であられる<ございます>から、聞かなければならない) 2792 0 0 2646 htmvoc_2792.wav ウタイジックナー ⸣ウタ イ⸢ジックナー [⸣ʔuta ʔi⸢ʤikkunaː] 連 歌合戦。「歌・歌い競べ」の義。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢カー⸣ムンケーヤ シ⸢キン⸣ユーナー ア⸢ツァ⸣マリティ ⸣ウタ イ⸢ジックナー ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢kaː⸣muŋkeːja ʃi̥⸢kiŋ⸣juːnaː ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸣ʔuta ʔi⸢ʤikkunaː soːt⸣taʦoː] (昔は、若者たちは月夜に集まって歌合戦をされたそうだ) 2793 0 0 2647 htmvoc_2793.wav ウタイズン ⸣ウタ イ⸢ズン [⸣ʔuta ʔi⸢ʣuŋ] 連 歌を歌う。 ⸣ウタ イ⸢ジ⸣プサン [⸣ʔuta ʔi⸢ʤi⸣pu̥saŋ] (歌を歌いたい)。 ウ⸢ブ⸣クイシ ⸣ウタ イ⸢ズン [ʔu⸢bu⸣kuiʃi ⸣ʔuta ʔi⸢ʣuŋ] (大声で歌を歌う) 2795 0 0 2648 htmvoc_2795.wav ウタイヨールン ウ⸢タイヨー⸣ルン [ʔu⸢taijoː⸣ruŋ] 他動 おっしゃる。仰せられる。命令される。指図される。 ⸢ウイラ⸣ ウ⸢タイヨー⸣ル ⸢トゥー⸣ル ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔuira⸣ ʔu⸢taijoː⸣ru ⸢tuː⸣ru ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (お上から仰せられる通りにしなければならない)。 ⸣アイブ ⸣クトー イッ⸢カナ⸣シ ウ⸢タイヨーラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸣kutoː ʔik⸢kana⸣ʃi ʔu⸢taijoːra⸣nu] (あんなことは決して仰せられない)。 ⸢ゾー⸣ノー ン⸢ザ⸣シティ ⸢ウイラ⸣ ウ⸢タイヨー⸣ルンティン ウ⸢モー⸣リン [⸢ʣoː⸣noː ʔn⸢ʣa⸣ʃiti ⸢ʔuira⸣ ʔu⸢taijoː⸣runtiŋ ʔu⸢moː⸣riŋ] (税金を出せとお上から命令される<命ぜられる>とも思える)。 ウ⸢タイヨー⸣レーラー ン⸢ザサン⸣カー ナ⸢ラン⸣パジ [ʔu⸢taijoː⸣reːraː ʔn⸢ʣasaŋ⸣kaː na⸢ram⸣paʤi] (仰せられたらば<命令されたらば>出さないとけないだろう<はずだ>)。 ウ⸢タイヨー⸣リ [ʔu⸢taijoː⸣ri] (仰せられよ)。神仏がお告げされる。 ⸢ウイヌ⸣ プ⸢ソー⸣ アイ ウ⸢タイヨールン⸣ティ ア⸢ズヌ⸣ ウヌ ⸣トゥーロー ⸢シーダケー ナー⸣ヌ [⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔai ʔu⸢taijoː⸣runti ʔa⸢ʣunu⸣ ʔunu ⸣tuːroː ⸢ʃiːdakeː naː⸣nu] (御上はそのようにおっしゃる<命令される>というが、その通りにはやれそうにない)。 ⸣アイヤー ウ⸢タイヨーラ⸣ヌ [⸣ʔaijaː ʔu⸢taijoːra⸣nu] (そのようには命令されない)。 ウ⸢タイヨー⸣リティ [ʔu⸢taijoː⸣riti] (おっしゃって{EOS}命令されて)。 ウ⸢タイヨー⸣ル ⸣クトー [ʔu⸢taijoː⸣ru kutoː] (命令されることは)。 ウ⸢タイヨー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢taijoː⸣reː ⸣misamunu] (命令なされば良いのに)。 ウ⸢タイヨー⸣リ [ʔu⸢taijoː⸣ri] (ご命令なされませ) 2803 0 0 2649 htmvoc_2803.wav ウタガーリルン ウ⸢タガーリルン [ʔu⸢tagaːriruŋ] 自動 疑われる。{ウ⸢タガウン[ʔu⸢tagauŋ](疑う)の未然形に受身の助動詞⸢リルン[⸢riruŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞)}。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー ⸢ワール⸣ トゥレーティ ウ⸢タガーリルン⸠ダー [⸣ʔunaː ⸢beː⸣rukaː ⸢waːru⸣ tureːti ʔu⸢tagaːrirun⸠daː] (そこに居ると君が取ったと疑われるぞ) 2804 0 0 2650 htmvoc_2804.wav ウタガーリン ウ⸢タガーリン [ʔu⸢tagaːriŋ] 自動 疑われる。{ウ⸢タガウン[ʔu⸢tagauŋ](疑う)の未然形に受身の助動詞[⸣リン](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞)}。 ⸢ワットゥ⸣ マー⸢ズン ベー⸣ルカー バー⸢バー⸣キン ウ⸢タカガーリンダ⸣ バー パ⸢ライ [⸢wattu⸣ maː⸢ʣum beː⸣rukaː baː⸢baː⸣kiŋ ʔu⸢tagaːrinda⸣ baː pa⸢rai] (君と一緒にいると私まで疑われるから、私は行こうね) 2796 0 0 2651 htmvoc_2796.wav ウタガイ ウ⸢タガイ [ʔu⸢tagai] 名 疑い。疑念。 ノー⸢ン サンムヌ⸣ ウ⸢タガイ⸣ カ⸢キラリ⸣ル ワ⸢キ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [noː⸢n sammunu⸣ ʔu⸢tagai⸣ kḁ⸢kirari⸣ru wa⸢ki⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (何もしないのに疑いを掛けられる訳があるものか)。 ウ⸢タガイヌ⸣ カ⸢キラ⸣リ ⸢ブー⸣ シジン⸢デー⸣カ キ⸢ム⸣ヌ ⸣フグンケン シ⸢ラ⸣ビ ⸣ミリ [ʔu⸢tagainu⸣ kḁ⸢kira⸣ri ⸢buː⸣ ʃiʤin⸢deː⸣kaː ki⸢mu⸣nu ⸣ɸuguŋkeŋ ʃi⸢ra⸣bimiri] (疑いが掛けられているのなら、心行く<満足する>まで調べてみろ)。「~妹が心は疑毛奈思(ウタガイヒモナシ)。万、530」の義。 ⸢ワー⸣ナー ア⸢ガピッチンツァン⸣ ウ⸢タガイヤー ナー⸣ヌ [⸢waː⸣naː ʔa⸢gapitʧinʦaŋ⸣ ʔu⸢tagaijaː naː⸣nu] (君には一点の<たったの一つすら>疑いも無い) 2806 0 0 2652 htmvoc_2806.wav ウタガイルン ウ⸢タガイルン [ʔu⸢tagairuŋ] 他動 疑う。不審におもう。 プ⸢スバ⸣ ウ⸢タガイルンティ アー⸣キ ⸢カイ⸣テー ウ⸢タガイラリ<ウ⸢タガーリ> ナー⸣ヌ [pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢tagairunti ʔaː⸣ki ⸢kai⸣teː ʔu⸢tagairari <ʔu⸢tagaːri> naː⸣nu] (他人を疑おうとして、却って<逆に>疑われてしまった)。 カ⸢リバ⸣ ウ⸢タガイル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢riba⸣ ʔu⸢tagairu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (彼を<あの人を>疑うことは出来ない<罷りならぬ>) 2807 0 0 2653 htmvoc_2807.wav ウタガウン ウ⸢タガウン [ʔu⸢tagauŋ] 他動 疑う。 ⸣アイニ プ⸢スバ⸣ ウ⸢タガウナ [⸣ʔaini pu⸢suba⸣ ʔu⸢tagauna] (あんあに他人を疑うな)。 ⸣バー ウ⸢タガーヌ [⸣baː ʔu⸢tagaːnu] (私は疑わない)。 ム⸢シンドゥ ワー⸣ ウ⸢タガウ⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢タガウン [mu⸢ʃindu waː⸣ ʔu⸢tagau⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢tagauŋ] (もしも君が疑うなら私も疑う)。 プ⸢スム⸣シ ウ⸢タガイヤー⸣ラ ⸣メー タ⸢ナマラ⸣ヌ [pu̥⸢sumu⸣ʃi ʔu⸢tagaijaː⸣ra ⸣meː ta⸢namara⸣nu] (一度疑ったら、もう頼めない)。 ウ⸢タガイ⸣バ [ʔu⸢tagai⸣ba] (疑えよ)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢タガーバル⸣ ナル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢tagaːbaru⸣ naru] (その人は疑わないといけない<疑わばぞなる>) 2797 0 0 2654 htmvoc_2797.wav ウタガキ ⸣ウタガキ [⸣ʔutagaki] 名 歌に掛けて道徳や人生観などを教えること。 ウ⸢ヤッ⸣ふァ トゥ⸢ジブトゥ キョーダイサ⸣ヌ ⸣ミチェー デンサー⸣ブシナー ⸣ウタガキ シ⸢ラリ ブン [ʔu⸢jaf⸣fa tu⸢ʤibutu kjoːdaisa⸣nu ⸣miʧeː densaː⸣buʃinaː ⸣ʔutagaki ʃi⸢rari buŋ] (親子、夫婦、兄弟の踏み行うべき道はデンサー節に歌掛けされている) 2798 0 0 2655 htmvoc_2798.wav ウタサンシン ⸣ウタサンシン [⸣ʔutasaŋʃiŋ] 名 歌三味線。歌や三味線で演奏すること。 ⸣ウタサンシンバ ピ⸢ケー⸣ティル ⸢ソーニヨイ ソーッ⸣タ [⸣ʔutasaŋʃimba pi̥⸢keː⸣tiru ⸢soːnijoi soːt⸣ta] (歌三味線を演奏して<弾いて>生年祝いをなさった)。 ⸣ウタサンシン ピ⸢ケー⸣ティ ⸢ヤー⸣キナイ パ⸢ニッケーラ⸣シ [⸣ʔutasaŋʃimba pi⸢keː⸣ti ⸢jaː⸣kinai pa⸢nikkeːra⸣ʃi] (歌や三味線を弾きながら家庭を賑わせなさい) 2809 0 0 2656 htmvoc_2809.wav ウタシムヌ ウ⸢タシ⸣ムヌ [ʔu⸢taʃi⸣munu] 名 落し物。遺失物。 ウ⸢タシムヌ⸣ヌ ミ⸢シゥカ⸣レーンティバ ⸢ワー⸣ムヌ ヤ⸢ル⸣ユー ⸢ギー⸣ ミリクーバ [ʔu⸢taʃimunu⸣nu ⸢misï̥ka⸣reːntiba ⸢waː⸣munu ja⸢ru⸣juː ⸢giː⸣ mirikuːba] (落し物<遺失物>が見つかったというから、君の物かどうか、行って見てきなさいよ)。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢タシ⸣ ムノー ⸣ヌシェー サ⸢バカ⸣レーンカヤー [ku⸢nu⸣ ʔu⸢taʃi⸣munoː ⸣nuʃeː sa⸢baka⸣reːŋkajaː] (この落し物は、落とし主は探し出せたかなあ) 2810 0 1 2657 htmvoc_2810.wav ウタスン ウ⸢タ⸣スン [ʔu⸢ta⸣suŋ] 他動 {Mn_1}落とす。 ⸣ガバー ウ⸢タ⸣スン [⸣gabaː ʔu⸢ta⸣suŋ] (垢を落とす)。 ⸢ユー⸣フル ア⸢ミティ⸣ ガバー ウ⸢タ⸣シ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢タサラ⸣ヌ [⸢juː⸣ɸuru ʔa⸢miti⸣ gabaː ʔu⸢ta⸣sunti ⸢beː⸣nundu mut⸢tu⸣ ʔu⸢tasara⸣nu] (風呂を浴びて垢を落とそうとしているが、ちっとも落されない)。 ⸣ガバー ウ⸢タ⸣ス ⸣プソー ムー⸢ル⸣ ウ⸢タ⸣シ [⸣gabaː ʔu⸢ta⸣su ⸣pu̥soː muː⸢ru⸣ ʔu⸢ta⸣ʃi] (垢を落とすときは、すっかり落とせ<全部おとせ>)。 ⸣ッシティ⸣ ⸣ガバー ウ⸢タ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣ʃʃiti⸣ gabaː ʔu⸢ta⸣ʃeː ⸣misamunu] (擦りこすって垢を落とせばよいのに)。上から下へ物を落とす。 ⸢キー⸣ヤ ⸢サン⸣ガラーラ ウ⸢タ⸣シバ [⸢kiː⸣ja ⸢saŋ⸣garaːra ʔu⸢ta⸣ʃiba] (材木は崖から落としなさいよ)。付いているものを取り除く。 ⸢ユー⸣フル ⸢ペー⸣リティ ガバー ウ⸢タシ⸣プサン [⸢juː⸣ɸuru ⸢peː⸣riti ⸣gabaː ʔu⸢taʃi⸣pu̥saŋ] (風呂に入って垢をを落したい)。 ウ⸢タサ⸣ヌ [ʔu⸢tasa⸣nu] (落さない)。 ⸣ガバー ウ⸢タ⸣スン [⸣gabaː ʔu⸢ta⸣suŋ] (垢を落す)。 ウ⸢タ⸣ス クトゥ [ʔu⸢ta⸣su ⸣ku̥tu] (落すこと)。 ⸣ガバー ウ⸢タ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣gabaː ʔu⸢ta⸣ʃeː ⸣misamunu] (垢を落せばよいのに)。 2810 0 2 2658 htmvoc_2810.wav ウタスン ウ⸢タ⸣スン [ʔu⸢ta⸣suŋ] 他動 {Mn_2}失う。紛失する。 ⸣ジン ⸢フンスクル⸣ナ ナー⸢イ⸣ イ⸢リ⸣ スクカー ウ⸢タ⸣スン⸢ダー <シ⸢ティルン⸣ダー> [⸣ʤiŋ ⸢ɸunsu̥kuru⸣na naː⸢i⸣ ʔi⸢ri⸣su̥kukaː ʔu⸢ta⸣sun⸢daː <ʃi⸢tirun⸣daː>] (お金を懐に不用意に入れておくと無くす<落とす、捨てる>よ) 2811 0 0 2659 htmvoc_2811.wav ウタスン ウ⸢タ⸣スン [ʔu⸢ta⸣suŋ] 他動 打たせる。打たす。{⸣ウタン[⸣ʔutaŋ](打つ)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](せる{EOS}す)が付いて形成された派生動詞(使役動詞)}。 ⸢タイ⸣ク ウ⸢タ⸣スン [⸢tai⸣ku ʔu⸢ta⸣suŋ] (太鼓を打たせる)。 カ⸢ニフン⸣ ウ⸢タ⸣スン [ka⸢niɸuŋ⸣ ʔu⸢ta⸣suŋ] (鉄釘を打たせる)。 イ⸢ツァクビ⸣ヌ ⸢フン⸣ ヤ⸢ラビン⸣マー ウ⸢タス⸣ナ [ʔi⸢ʦakubi⸣nu ⸢ɸuŋ⸣ ja⸢rabim⸣maː ʔu⸢tasu⸣na] (板壁の釘を子供には打たせるな)。 ウ⸢タサ⸣ヌ [ʔu⸢tasa⸣nu] (打たさない)。 ウ⸢タシ⸣ プサン [ʔu⸢taʃi⸣ pu̥saŋ] (打たせたい)。 ウ⸢タ⸣シバ [ʔu⸢ta⸣ʃiba] (打たせよ) 2812 0 0 2660 htmvoc_2812.wav ウタタノール ⸣ウタタノール [⸣ʔutatanoːru] 名 歌唱力。歌を上手に歌う素質。歌う要領、歌唱法。 ⸣ウタタノールヌ ⸢ナーン⸣ユンダ ウ⸢リヌ⸣ ウター ⸢ピッ⸣チン ウ⸢ムッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔutatanoːrunu ⸢naːɲ⸣junda ʔu⸢rinu⸣ ʔutaː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔu⸢mus⸣saː ⸢naː⸣nu] (上手に歌う素質<要領>がないから彼の歌は全く<一つも>面白くない) 2813 0 0 2661 htmvoc_2813.wav ウダティ ウ⸢ダ⸣ティ [ʔu⸢da⸣ti] 名 うだち(梲)。うつばり(梁)の上に立てて棟木を支える短い柱。四寸角の角材で、長さ30~40センチ程度の長さの小さな柱。「梁上柱謂二之悦一 (うだち)宇太知」(『和名抄<10>』)の転訛したもの。⸢ヤー ナンツァガニバ ウダティバシー ヤーバ シゥクリアンテスー」(ああ、銀の建材をウダチにして、家を造ってあるという)(⸢アーパーレー節」)。 ム⸢ニギタバ⸣ シゥ⸢カイ ブー⸣ シゥ⸢カバラーバ⸣ル ウ⸢ダ⸣ティティ ア⸢ズ⸣ダー [mu⸢nigitaba⸣ sï̥⸢kai buː⸣ sï̥⸢kabaraːba⸣ru ʔu⸢da⸣titi ʔa⸢ʣu⸣daː] (棟桁を支えている束柱のことをウダチというのだよ)。 ウ⸢ダ⸣ティティ ア⸢ズ⸣カー ⸣メー シゥ⸢カバラー⸣ヌ ⸢ピー⸣チ ⸢ゲ⸣ラ ⸢ナー [ʔu⸢da⸣titi ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸣meː sï̥⸢kabaraː⸣nu ⸢piː⸣ʧi ⸢ge⸣ra ⸢naː] (ウダチといえば束柱の一つ<一種>さねえ) 2814 0 0 2662 htmvoc_2814.wav ウダティラリルン ウ⸢ダティラリ⸣ルン [ʔu⸢datirari⸣ruŋ] 自動 おだてられる(煽てられる)。他動詞ウ⸢ダティ⸣ルン[ʔu⸢dati⸣ruŋ](煽てる)の未然形に、受身・可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞{EOS}可能動詞)。⸢パーサ⸣リン、⸢パーサリ⸣ルンとも言う。 パ⸢ナイキ⸣ガリ ⸢ベー⸣ルカ プ⸢スン⸣ ウ⸢ダティラリ⸣ルン [pa⸢naiki⸣gari ⸢beː⸣rukaː pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢datirari⸣ruŋ] (自惚れ<自慢して>威張っていると、他人に煽てられる<はやされる>)。 ⸢バン⸣ヌン プ⸢ス⸣ ウ⸢ダティラリ⸣ルンカヤー [⸢ban⸣num pu̥⸢su⸣ ʔu⸢datirari⸣ruŋkajaː] (私にも他人を\ruby{煽}{オダテ}てられるかねえ<煽てることが出来るかねえ>) 2815 0 0 2663 htmvoc_2815.wav ウダティラリン ウ⸢ダティラ⸣リン [ʔu⸢datira⸣riŋ] 自動 おだてられる(煽てられる)。{ウ⸢ダティ⸣ルン[ʔu⸢dati⸣ruŋ](煽てる)の未然形に受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞{EOS}可能動詞)}。 ⸢ウッツァ⸣トゥ マー⸢ズン ベー⸣ルカー ⸢ウッ⸣ツァン ウ⸢ダティラ⸣リン<⸢パーサ⸣リン>⸢ダー [⸢ʔutʦa⸣tu ⸢maːʣum beː⸣rukaː ⸢ʔut⸣ʦaŋ ʔu⸢datira⸣rin<⸢paːsa⸣riŋ>⸢daː] (彼らと一緒に居ると、彼らに煽てられる<はやされる>よ)。 ⸢バン⸣ヌン プ⸢ス⸣ ウ⸢ダティラ⸣リンカヤー [⸢ban⸣num pu̥⸢su⸣ ʔu⸢datira⸣riŋkajaː] (私にも他人が煽てられる<他人を煽てることが出来る>かねえ) 2816 0 0 2664 htmvoc_2816.wav ウダティルン ウ⸢ダティ⸣ルン [ʔu⸢dati⸣ruŋ] 他動 おだてる(煽てる)。誉め立てて煽動する。標準語からの借用語。老年層は⸢パー⸣スン[⸢paː⸣suŋ](囃す)という。 バ⸢カー⸣ムヌ ウ⸢ダティ⸣ルンティ <⸢パー⸣スンティン> ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢ダティララン⸣<⸢パーサラン⸣>バン [ba⸢kaː⸣munu ʔu⸢dati⸣run<⸢paː⸣suntin>ti ⸢sundu⸣ ʔu⸢datiraram⸣<⸢paːsaram⸣>baŋ] (若者を煽てようとするが、煽てられないワイ) 2817 0 0 2665 htmvoc_2817.wav ウタフクル ⸣ウタフクル [⸣ʔutaɸu̥kuru] 名 歌が上手なこと。歌の名人。「歌袋」の義。「名歌を自在に歌いこなし、名歌が無限に出てくる人」の義。本土の、和歌の\ruby{詠草}{エイ|ソウ}を入れておく袋の「歌袋」に擬した命名であろう。 ウ⸢ヤッ⸣ふァザーン ⸣ナリ ⸣ウタフクル ヤ⸢ロー⸣ルンダ イ⸢カムス⸣ク ウ⸢ムッ⸣サワ⸢ツォー [ʔu⸢jaf⸣faʣaːn ⸣nari ⸣ʔutaɸu̥kuru ja⸢roː⸣runda ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔu⸢mus⸣sawa⸢ʦoː] (親子ともども歌の名人<歌袋>でいらっしゃるから、どんなにか面白くて楽しいことか) 2818 0 0 2666 htmvoc_2818.wav ウタムチ ウ⸢タム⸣チ [ʔu⸢tamu⸣ʧi] 名 三味線の伴奏。前奏。 ウ⸢タムチ⸣ヌ ン⸢メーマ⸣ ナ⸢ガー⸣ティ ブ⸢ドゥルヌ⸣ ティー ⸢アーシングリ⸣サン [ʔu⸢tamuʧi⸣nu ʔm⸢meːma⸣ na⸢gaː⸣ti bu⸢durunu⸣ tiː ⸢ʔaːʃiŋguri⸣saŋ] (三味線の伴奏<前奏>が少し長いので踊りの振り付け<手>が合わせずらい<合わせ苦しい{EOS}合わせにくい>) 2819 0 0 2667 htmvoc_2819.wav ウダヤカ ウ⸢ダヤ⸣カ [ʔu⸢daja⸣ka] 形動 穏やか。標準語からの借用語。 ⸢カイジョー ウダヤ⸣カ イ⸢チロー ヘイ⸣ヤン カ⸢リユシ カリ⸣ユシ [⸢kaiʤoː ʔudaja⸣ka ʔi⸢ʧiroː hei⸣jaŋ kari⸢juʃi kari⸣juʃi] (海上穏やか一路平安<民謡の一節>、カリユシ カリユシ<航海安全祈願だ>) 2820 0 0 2668 htmvoc_2820.wav ウダラカスン ウ⸢ダラカ⸣スン [ʔu⸢daraka⸣suŋ] 他動 驚かす。びっくりさせる。 プ⸢ス⸣ ウ⸢ダラカ⸣スンティ ⸢ベー⸣ティ プ⸢スン⸣ ウ⸢ダラカサ⸣リ ⸢ベー [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢daraka⸣sunti ⸢beː⸣ti pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢darakasa⸣ri ⸢beː] (他人を驚かそうとしていて、却って他人に驚かされている)。 ウ⸢ダラカ⸣シ ⸣ミサカー ウ⸢ダラカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢daraka⸣ʃi ⸣misakaː ʔu⸢daraka⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (驚かして良ければ驚かすことは出来る)。 ウ⸢ダラカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢daraka⸣ʃeː ⸣misamunu] (驚かせば良いのに)。 ウ⸢ダラカ⸣シバ [ʔu⸢daraka⸣ʃiba] (驚かせよ)。 ウ⸢ヤー⸣ルカー プ⸢ス⸣ ウ⸢ダラカ⸣スンダー ウ⸢ダラカサン⸣ヨーニ パ⸢ナ⸣シバ [ʔu⸢jaː⸣rukaː pu̥⸢su⸣ ʔu⸢daraka⸣sundaː ʔu⸢darakasaɲ⸣joːni pa⸢na⸣ʃiba] (大声を出すと他人を驚かすから、驚かさないように話しなさいよ)。 ウ⸢ダラカシ⸣ プサカー ウ⸢ダラカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢darakaʃi⸣ pu̥sakaː ʔu⸢daraka⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (驚かしたければ驚かすことは出来るよ)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ダラカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢daraka⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと驚かせばいいのに)。 ウ⸢ダラカ⸣シ [ʔu⸢daraka⸣ʃi] (驚かせ) 2821 0 0 2669 htmvoc_2821.wav ウダラキ ウ⸢ダラ⸣キ [ʔu⸢dara⸣ki] 名 驚き。動詞ウ⸢ダラ⸣クン[ʔu⸢dara⸣kuŋ](驚く)の連用形からの転成名詞。 ア⸢タウダラキ [ʔa⸢taudaraki] (急に驚くこと)。 ウ⸢ブウダラキ [ʔu⸢buʔudaraki] (びっくり仰天すること{EOS}大驚き)。 ウ⸢ダラキ⸣ヌ ⸣ドゥク ⸢スー⸣ワカー ブ⸢チ⸣クン ⸢スン⸣ダー [ʔu⸢daraki⸣nu ⸣duku ⸢suː⸣wakaː bu⸢ʧi⸣kun ⸢sun⸣daː] (驚きすぎると<驚きが余にも強いと>気絶するよ) 2822 0 0 2670 htmvoc_2822.wav ウダラクン ウ⸢ダラ⸣クン [ʔu⸢dara⸣kuŋ] 自動 驚く。びっくりする。 ⸢カンナール⸣ヌ ⸢ナール⸣カー ウ⸢ダラ⸣ク ⸣クトー ウ⸢ダラクン⸣ドゥ ⸢ナン⸣ゾー ウ⸢ダラカ⸣ヌ [⸢kannaːru⸣nu ⸢naːru⸣kaː ʔu⸢dara⸣ku ⸣ku̥toː ʔu⸢darakun⸣du ⸢nan⸣ʣoː ʔu⸢daraka⸣nu] (雷が鳴ると驚くことは驚くが、あまり驚かない)。 ベーシ⸢ティ⸣ ウ⸢ダラ⸣キ ⸢ベー [beːʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢dara⸣ki ⸢beː] (酷く<ぎくっと>驚いている)。 ウ⸢ダラ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢dara⸣keː ⸣misamunu] (驚けば良いのに)。 ウ⸢ダラ⸣キバ [ʔu⸢dara⸣kiba] (驚けよ)。 ウ⸢ブ⸣クイ ン⸢ザシ⸣ター ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ダラ⸣キティ ナ⸢キナー⸣ヌ [ʔu⸢bu⸣kui ʔn⸢ʣaʃi̥⸣taː ja⸢ra⸣beː ʔu⸢dara⸣kiti na⸢kinaː⸣nu] (大声を出したから子供は驚いて泣いてしまった)。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣クトゥシェー ウ⸢ダラカ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu ⸣ku̥tuʃeː ʔu⸢daraka⸣nu] (これだけのことでは驚かない)。 ⸣アイニ ⸢スー⸣カー ター⸢ン⸣ ウ⸢ダラ⸣クン [⸣ʔaini ⸢suː⸣kaː taː⸢ŋ⸣ ʔu⸢dara⸣kuŋ] (あんなにすると誰でも驚く)。 ウ⸢ダラク⸣ クトゥ [ʔu⸢dara⸣ku ⸣ku̥tu] (驚くこと)。 ウ⸢ダラ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢dara⸣keː ⸣misamunu] (驚けばよいのに)。 ウ⸢ダラ⸣キ [ʔu⸢dara⸣ki] (驚け) 2823 0 1 2671 htmvoc_2823.wav ウチ ウ⸢チ [ʔu⸢ʧi] 名 {Mn_1}内側。奥。区域内。奥座敷。 ⸢ヤー⸣ヌ ウ⸢チェー ペー⸣リ [⸢jaː⸣nu ʔu⸢ʧeː peː⸣ri] (家の中へ入りなさい)。 ウ⸢チンター ペー⸣リ [ʔu⸢ʧintaː peː⸣ri] (奥の方へ入りなさい)。 2823 0 2 2672 htmvoc_2823.wav ウチ ウ⸢チ [ʔu⸢ʧi] 名 {Mn_2}内。以内。時間的、空間的範囲内。 ウ⸢ヌ⸣ ウチナー ⸢カイ⸣リ ⸢キー⸣スヨー [ʔu⸢nu⸣ ʔuʧinaː ⸢kai⸣ri ⸢kiː⸣sujoː] (そのうちに帰って来るよ)。 ウ⸢ビ⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナー ッ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢bi⸣nu ʔu⸢ʧi⸣naː ʃ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ taː⸢m⸣ bu⸢raːnu] (これだけの内で知っている人は誰もいない) 2824 0 0 2673 htmvoc_2824.wav ウチ ウ⸢チ [ʔu⸢ʧi] 接頭 動詞の上に付いて意味を強める。 ウ⸢チッ⸣クライ [ʔu⸢ʧik⸣kurai] (うち喰らい)。 ウ⸢チマラバ⸣シ [ʔu⸢ʧimaraba⸣ʃi] (ぶん殴る)。 ウ⸢チマカ⸣シ [ʔu⸢ʧimaka⸣ʃi] (うち負かす)。 シ⸢グトゥブリバ シー⸣ ヤ⸢クスクン⸣ ウ⸢チバシ⸣キ ⸢シーナー⸣ヌ [ʃi⸢gutuburiba ʃiː⸣ ja⸢kusu̥kuŋ⸣ ʔu⸢ʧibaʃi̥⸣ki ⸢ʃiːnaː⸣nu] (仕事に夢中になって<仕事惚れして>約束も打ち忘れしてしまった) 2833 0 0 2674 htmvoc_2833.wav ウチーウチーシ ウ⸢チーウチー⸣シ [ʔu⸢ʧiːʔuʧiː⸣ʃi] 副 親しそうに。内輪らしく。親密そうに。「内内に」の義。 ウ⸢トゥ⸣ザン ア⸢ラン⸣ムヌ ウ⸢チーウチー⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [ʔu⸢tu⸣ʣaŋ ʔa⸢ram⸣munu ʔu⸢ʧiːʔuʧiː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (親戚でもないのに親蜜そうに話している) 2826 0 0 2675 htmvoc_2826.wav ウチアースン ウ⸢チアー⸣スン [ʔu⸢ʧiʔaː⸣suŋ] 他動 打ち合わせる。相談する。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣クトゥン ムー⸢ル⸣シ ウ⸢チアー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ イ⸢スガ⸣サンダ ウ⸢チアーサラ⸣ヌ [⸢joi⸣nu ⸣ku̥tum muː⸢ru⸣ʃi ʔu⸢ʧiʔaː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ʔi⸢suga⸣sanda ʔu⸢ʧiʔaːsara⸣nu] (お祝いのことなども皆で相談しよう<打ち合わせよう>と思うが、忙しいので相談できない<打ち合わされない>)。 ウ⸢チアー⸣シ ⸣ミサカー ⸢バン⸣ターシ ウ⸢チアー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢ʧiʔaː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢ban⸣taːʃi ʔu⸢ʧiʔaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (相談してよければ、私らで<聞き手は含まない>は相談する<打ち合わせる>ことは出来る)。 ウ⸢チアー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʧiʔaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (相談すれば<打ち合わせれば>いいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢チアー⸣シ [jaː⸢diŋ⸣ ʔu⸢ʧiʔaː⸣ʃi] (必ず相談せ<打ち合わせ>よ) 2827 0 0 2676 htmvoc_2827.wav ウチアールン ウ⸢チアー⸣ルン [ʔu⸢ʧiʔaː⸣ruŋ] 自動 打ち合う。心が適合する。心がぴったり合う。調和する。打ち解けて仲良くなる。意気投合する。 サ⸢キヌ⸣ アルカー パ⸢ナ⸣シン ウ⸢チアールン⸣ドゥ ⸢ナーン⸣カー ウ⸢チアーラ⸣ヌ [sḁ⸢kinu⸣ ʔarukaː pa⸢na⸣ʃiŋ ʔu⸢ʧiʔaːrun⸣du ⸢naːŋ⸣kaː ʔu⸢ʧiʔaːra⸣nu] (酒があったら話もうまく噛み合い、意気投合するが、<酒が>無いと意気投合しない)。 キ⸢サーティ⸣ フ⸢ターロー⸣ ウ⸢チアー⸣リ ⸢ベー [ki̥⸢saːti⸣ ɸu̥⸢taːroː⸣ ʔu⸢ʧiʔaː⸣ri ⸢beː] (既に二人は仲良くなって<意気投合して>いる)。 ⸢オーパ⸣ヤー ウ⸢チアー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ʔu⸢ʧiʔaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く仲良くなることはない)。 ウ⸢チアー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʧiʔaː⸣reː ⸣misamunu] (仲良くなればいいのに)。 ドゥ⸢シトゥン⸣ ウ⸢チアー⸣リバ [du⸢ʃituŋ⸣ ʔu⸢ʧiʔaː⸣riba] (友人とも打ち解けて仲良くなれよ) 2828 0 0 2677 htmvoc_2828.wav ウチアキルン ウ⸢チアキ⸣ルン [ʔu⸢ʧiʔaki⸣ruŋ] 他動 打ち明ける。うちあかす。 バ⸢タ⸣ウチ ウ⸢チアキ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ウ⸢チアキララ⸣ヌ [ba⸢ta⸣ʔuʧi ʔu⸢ʧiʔaki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ʔu⸢ʧiʔakirara⸣nu] (胸の内<腹の内>を打ち明けようと思うが、今は打ち明けられない)。 ウ⸢チ⸣アキ ⸣ミサカー ウ⸢チアキ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢ʧi⸣ʔaki ⸣misakaː ʔu⸢ʧiʔaki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (打ち明けて良ければ打ち明けることは出来る)。 ウ⸢チアキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʧiʔaki⸣reː ⸣misamunu] (打ち明ければ良いのに)。 ウ⸢チアキ⸣リバ [ʔu⸢ʧiʔaki⸣riba] (打ち明けろ) 2829 0 0 2678 htmvoc_2829.wav ウチアギルン ウ⸢チアギ⸣ルン [ʔu⸢ʧiʔagi⸣ruŋ] 他動 打ち上げる。 ⸢ウースー⸣ヌ ウ⸢ク⸣ルカー ⸣フネー ク⸢マーバー⸣キ ウ⸢チアギ⸣ルン [⸢ʔuːsuː⸣nu ʔu⸢ku⸣rukaː ⸣ɸuneː ku⸢maːbaː⸣ki ʔu⸢ʧiʔagi⸣ruŋ] (大潮が起きると、船はここまで打ち上げる) 2830 0 0 2679 htmvoc_2830.wav ウチアクン ウ⸢チ⸣アクン [ʔu⸢ʧi⸣ʔakuŋ] 他動 打ち明ける。うちあかす。 ウ⸢ヌ⸣ クトゥ ウ⸢チ⸣アクンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ドゥー⸣ヌ フ⸢チェー⸣ラー パ⸢ナサラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥tu ʔu⸢ʧi⸣ʔakunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢duː⸣nu ɸu̥⸢ʧeː⸣raː pa⸢nasara⸣nu] (そのことを打ち明けようと思うが、自分の口からは話されない) 2831 0 0 2680 htmvoc_2831.wav ウチアタリ ウ⸢チアタリ [ʔu⸢ʧiʔatari] 名 他人に対して言うことが、わが身に強く思い当たること。他人への批判がわが身に当り、深く反省されること。 プ⸢スヌ⸣ ク⸢トゥバ⸣ル イ⸢ゾーッタヌン⸣ドゥ ⸣シザー ウ⸢チアタレー⸣ シ⸢ティ⸣ ス⸢ク⸣マリ ⸢オー⸣ル [pu̥⸢sunu⸣ ku̥⸢tuba⸣ru ʔi⸢ʣoːttanun⸣du ⸣ʃiʣaː ʔu⸢ʧiatareː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ su̥⸢ku⸣mari ⸢ʔoː⸣ru] (他人のことを叱られたのだが、兄さんは身に思い当たって、すくまっ<竦まって>ておられる) 2825 0 0 2681 htmvoc_2825.wav ウチアミ ウ⸢チ⸣アミ [ʔu⸢ʧi⸣ami] 名 雨が室内に降り注ぐこと。室内に吹き込む雨。 ⸢パー⸣ク ⸣ヤドゥ ⸢ホーン⸣カー ウ⸢チ⸣アミ ⸢スン⸣ダー [⸢paː⸣ku ⸣jadu ⸢hoːŋ⸣kaː ʔu⸢ʧi⸣ami ⸢sun⸣daː] (早く戸締りしないと<戸を閉めないと>雨が吹き込むぞ)。 カ⸢ジヌ スー⸣ワンダ ウ⸢チ⸣アミ ⸢シースバ パー⸣ク ⸣ヤドゥ ⸢フイ⸣バ [ka⸢ʤinu suː⸣wanda ʔu⸢ʧi⸣ʔami ⸢ʃiːsuba paː⸣ku ⸣jadu ⸢ɸui⸣ba] (風が強いので雨が室内に吹き込むから、早く戸を閉めなさいよ) 2834 0 0 2682 htmvoc_2834.wav ウチウチ ウ⸢チウチ [ʔu⸢ʧiutʧi] 名 身内のもの。内輪。内密。家族と近親の間だけのこと。「内内」の義。 ⸢ソッコー⸣ヤ ウ⸢チウチヌ⸣ プ⸢ス⸣シル ⸢スー⸣ティ ⸣ウムイ ⸢ベー [⸢sokkoː⸣ja ʔu⸢ʧiʔuʧinu⸣ pu̥⸢su⸣ʃiru ⸢suː⸣ti ⸣ʔumui ⸢beː] (法事は近親の者だけでしようと思っている) 2835 0 0 2683 htmvoc_2835.wav ウチウトゥスン ウ⸢チウトゥ⸣スン [ʔu⸢ʧiʔutu⸣suŋ] 他動 撃ち落す。若年層の言葉。標準語からの借用語の転訛。 ⸣パトゥザン ア⸢ガマミパタキ⸣ ア⸢ラサリティ⸣ ウ⸢リ⸣ ウ⸢チウトゥ⸣スンティ ス⸢コーリ ベー [⸣pḁtuʣaŋ ʔa⸢gamamipḁtaki⸣ ʔa⸢rasariti⸣ ʔu⸢ri⸣ ʔu⸢ʧiʔutu⸣sunti su̥⸢koːri beː] (山鳩に小豆畑を荒されて、それを撃ち落そうと準備している)。老年層は、イ⸢リウトゥ⸣スン[ʔi⸢riʔutu⸣suŋ](射落とす)という。⸢ティップ⸣シ ⸣パトゥザ イ⸢リウトゥ⸣スン[⸢tippu⸣ʃi ⸣pḁtuʣa ʔi⸢riʔutu⸣suŋ](鉄砲で山鳩を射落とす)という 2836 0 0 2684 htmvoc_2836.wav ウチカイスン ウ⸢チカイ⸣スン [ʔu⸢ʧikai⸣suŋ] 他動 打ち返す。 ⸢バウ⸣バ ウ⸢チ⸣クミ ⸣クーカー ス⸢ブル⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナ ⸣バウシ ⸣ウキティ ウ⸢チカイ⸣スン [⸢bau⸣ba ʔu⸢ʧi⸣kumi ⸣kuːkaː su⸢buru⸣nu ⸢ʔui⸣na ⸣bauʃi ⸣ʔukiti ʔu⸢ʧikai⸣suŋ] (棒を打ち込んできたら、頭の上に棒で受けて打ち返す) 2841 0 0 2685 htmvoc_2841.wav ウチカタライ ⸣ウチカタライ [⸣ʔuʧikatarai] 名 相談。懇談。協議。「うち・語らい」の義。⸣ウチ[⸣ʔuʧi]は強意の接頭語。 ウ⸢ヌ⸣クトー ⸢ヤーニン⸣ズ ⸣ウチカタライバ ⸢シェー⸣ティ パ⸢ナ⸣シェー キ⸢ミリ⸣ヨー [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢jaːnin⸣ʣu ⸣ʔuʧikataraiba ⸢ʃeː⸣ti pa⸢na⸣ʃeː ki⸢miri⸣joː] (そのことは家族で協議して話を纏め<決め>なさいねえ)。石垣方言からの借用語。日常生活では、パ⸢ナシアー⸣シ[pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi](話し合い)、ム⸢ヌパナ⸣シ ⸢スン[mu⸢nupana⸣ʃi ⸢suŋ](もの話<物語>する)という。 ⸢ヤーニン⸣ゾー ウ⸢ヤッふァ⸣ヌ ⸣ウチカタライル ⸢カンヌー⸣ダー [⸢jaːnin⸣ʣoː ʔu⸢jaffa⸣nu ⸣ʔuʧikatarairu ⸢kannuː⸣daː] (家族は親子のうち語らいが肝要だよ) 2847 0 0 2686 htmvoc_2847.wav ウチシー ウ⸢チ⸣シー [ʔu⸢ʧi⸣ʃiː] 名 打ち身。内出血。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣クンケンマー イ⸢シ⸣ナー キ⸢リッケー⸣リ ク⸢ルビティ⸣ ス⸢ブシ⸣ナー ッ⸢ふス⸣クン ⸢スン⸣ケン ウ⸢チ⸣シー イ⸢リ⸣シケー [ka⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣kuŋkemmaː ʔi⸢ʃi⸣naː ki⸢rikkeː⸣ri ku⸢rubiti⸣ su⸢buʃi⸣naː f⸢fusu̥⸣kun ⸢suŋ⸣keŋ ʔu⸢ʧi⸣ʃiː ʔi⸢ri⸣ʃikeː] (走って来るときに石に蹴躓いて転んで膝に黒ずむほどうち身をして<入れて>ある) 2843 0 0 2687 htmvoc_2843.wav ウチソーダン ⸣ウチソーダン [⸣ʔuʧisoːdaŋ] 名 内々の相談。内々の話し合い。懇談。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ストー⸣ ウチソーダン ナ⸢ラン⸣ユンダ ビ⸢チ⸣ヌ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢sutoː⸣ ʔuʧisoːdan na⸢raɲ⸣junda bi⸢ʧi⸣nu pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi] (この人とは内々の相談は出来ないから別の人を頼みなさい) 2844 0 1 2688 htmvoc_2844.wav ウチダラスン ウ⸢チダラ⸣スン [ʔu⸢ʧidara⸣suŋ] 他動 {Mn_1}打ちのめす。ぶん殴る。ひっぱたく。ウ⸢チ[ʔu⸢ʧi]は強意の接頭語。 ヤ⸢ナクトゥ シェー⸣カー ウ⸢チダラサ⸣リクトー トゥ⸢ミララヌ [ja⸢naku̥tu ʃeː⸣kaː ʔu⸢ʧidarasa⸣ri ⸣ku̥toː tu⸢miraranu] (悪いことをしたのであれば、ぶん殴られる<ぶったたかれる>ことは止められない)。 ウ⸢チダラ⸣スンティ カマイ⸢ヨー⸣ル [ʔu⸢ʧidara⸣sunti kamai⸢joː⸣ru] (ぶん殴る<ぶったたく>といって身構えていらっしゃる)。 プ⸢スム⸣シェー ウ⸢チダラシ⸣プサン [pu̥⸢sumu⸣ʃeː ʔu⸢ʧidaraʃi⸣pu̥saŋ] (一度はぶん殴りたい)。 ノー⸢ン⸣シ ブ⸢ラバン⸣ プ⸢スヨー⸣ ウ⸢チダラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [noː⸢ŋ⸣ʃi ⸢burabam⸣ pu̥⸢sujoː⸣ ʔu⸢ʧidara⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (どんなにしていても他人をぶん殴ってはいけない)。 ウ⸢チダラ⸣シ [ʔu⸢ʧidara⸣ʃi] (ぶん殴れ)。 2844 0 2 2689 htmvoc_2844.wav ウチダラスン ウ⸢チダラ⸣スン [ʔu⸢ʧidara⸣suŋ] 他動 {Mn_2}がっかりさせる。落胆させえる。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キティル⸣ ウ⸢チダラサ⸣リ ⸢オー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢kitiru⸣ ʔu⸢ʧidarasa⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (その話を聞いて<ぞ>落胆させられ<がっかりさせられ>ておられる) 2845 0 0 2690 htmvoc_2845.wav ウチダリルン ウ⸢チダリ⸣ルン [ʔu⸢ʧidari⸣ruŋ] 自動 うち\ruby{萎}{シオ}れる。しょげかえる。 ナ⸢リラ⸣ヌ ア⸢キ⸣ナイ ⸢スンティ アー⸣キ ウ⸢ビ⸣ナー ⸢ウーズン スー⸣カー ⸢ワー ヤラバン⸣ ウ⸢チダリ⸣ルンヨー [na⸢rira⸣nu ʔa⸢ki⸣nai ⸢sunti ʔaː⸣ki ʔu⸢bi⸣naː ⸢ʔuːʣun suː⸣kaː ⸢waː jarabaŋ⸣ ʔu⸢ʧidari⸣ruɲjoː] (慣れない商売をしようして、あれだけの大損をすれば君でもがっかりしってうち萎れるよ)。 ウ⸢チ⸣ダリティ ⸣イーン ッ⸢ふァーラヌ [ʔu⸢ʧi⸣dariti ⸣ʔiːn f⸢faːranu] (うち萎れて飯も食べられない) 2846 0 0 2691 htmvoc_2846.wav ウチダルン ウ⸢チ⸣ダルン [ʔu⸢ʧi⸣darŋ] 自動 ぐったりする。疲れ切る。疲れ果てる。 ヤ⸢マシグ⸣トゥ ⸢スー⸣カー ウ⸢チ⸣ダルン [ja⸢maʃigu⸣tu ⸢suː⸣kaː ʔu⸢ʧi⸣daruŋ] (山仕事をするとぐったり疲れ切る)。 ウ⸢チ⸣ダリティ ⸢ユー⸣クイ ⸢ベー [ʔu⸢ʧi⸣dariti ⸢juː⸣kui ⸢beː] (ぐったり疲れて休んでいる) 2850 0 0 2692 htmvoc_2850.wav ウチックラウン ウ⸢チッ⸣クラウン [ʔu⸢ʧik⸣kurauŋ] 他動 うち喰らう。ウ⸢チ[ʔu⸢ʧi]は強意の接頭語。 サ⸢ケー⸣ ウ⸢チッ⸣クライティ ⸢サン⸣ソー ⸢マーリベー [sḁ⸢keː⸣ ʔu⸢ʧik⸣kuraiti ⸢san⸣soː ⸢maːribeː] (酒をうち喰らって酔いつぶれ意識不明の状態になっている)。 サ⸢キンツァン⸣ ウ⸢チックラーン⸣カー ナ⸢ラン⸣ ブ⸢レー⸣ル [sḁ⸢kinʦaŋ⸣ ʔu⸢ʧikkuraːŋ⸣kaː na⸢ram⸣ bu⸢reː⸣ru] (酒でも打ち食らわなければならなかったのであろうよ)。 ⸢タンガ⸣ヌ サ⸢キ⸣ ウ⸢チッ⸣クラウカー ムー⸢ルン⸣ ウ⸢チッ⸣クラウン [⸢taŋga⸣nu sḁ⸢ki⸣ ʔu⸢ʧik⸣kuraukaː muː⸢ruŋ⸣ ʔu⸢ʧik⸣kurauŋ] (一人が酒をうち喰らうと、皆もうち喰らう)。 ウ⸢チックライ⸣ヤー ミサムヌ [ʔu⸢ʧikkurai⸣jaː ⸣misamunu] (うち喰らえばよいのに)。 サ⸢キ⸣ ウ⸢チッ⸣クライバ [sḁ⸢ki⸣ ʔu⸢ʧik⸣kuraiba] (酒をうち喰らえよ) 2859 0 0 2693 htmvoc_2859.wav ウチナカー ウ⸢チ⸣ナカー [ʔu⸢ʧi⸣nakaː] 連 内には。中には。歌謡語。ウ⸢チ[ʔu⸢ʧi](内)に、格助詞⸣ナカー[⸣nakaː](~には{EOS}場所格)が下接した形。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナカー [ku⸢nu jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣nakaː] (この家の内には) 2851 0 0 2694 htmvoc_2851.wav ウチナスン ウ⸢チナ⸣スン [ʔu⸢ʧina⸣suŋ] 他動 成し遂げる。済ませる。うち成す。 ウ⸢ブソッ⸣コーン ウ⸢チナ⸣シティ トゥクッ⸢トゥ⸣ ナレーチバン [ʔu⸢busok⸣koːŋ ʔu⸢ʧina⸣ʃi̥ti tu̥kut⸢tu⸣ nareːʧibaŋ] (大法事<二十五年忌以後の法事>も無事に済ませて一安心したわい)。 マ⸢ダ⸣ シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢チナサン⸣バ シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢チナ⸣スンケンマー パ⸢ララ⸣ヌ [ma⸢da⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢ʧinasam⸣ba ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢ʧina⸣suŋkemmaː pa⸢rara⸣nu] (まだ仕事を済ませてないから済ませるまでは行けない)。 キュー⸢ズー⸣ナ ウ⸢チナシ⸣プサンドゥ ウ⸢チナ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラン⸣パジ [kjuː⸢ʣuː⸣na ʔu⸢ʧinaʃi⸣ pu̥sandu ʔu⸢ʧina⸣su ⸣ku̥toː na⸢ram⸣paʤi] (今日中に済ませたいが、済ませることは出来ないだろう<はず>)。 ⸢パイ⸣サ ウ⸢チナ⸣シ [⸢pai⸣sa ʔu⸢ʧina⸣ʃi] (早く済ませなさい)。 ⸢ソッ⸣コーン ウ⸢チナサ⸣ムティ ア⸢サベー⸣ティ ⸢アーク⸣ナ [⸢sok⸣koːŋ ʔu⸢ʧinasa⸣muti ʔa⸢sabeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣na] (法事も成し遂げないで、遊びまわってあるくな)。 ⸣キュー ⸣ヌーンクインン ウ⸢チナ⸣スンティ ⸣ウムイ ⸢ベー [⸣kjuː ⸣nuːŋkuiŋ ʔu⸢ʧina⸣sunti ⸣ʔumui ⸢beː] (今日、何もかも成し遂げようと思っている)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢チナ⸣シ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ʧina⸣ʃi] (早く成し遂げなさい)。 ウ⸢チナ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʧina⸣ʃeː ⸣misamunu] (成し遂げればよいのに)。 ク⸢トゥシズー⸣ナ ウ⸢チナ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃiʣuː⸣na ʔu⸢ʧina⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今年中に成し遂げることは出来ない) 2860 0 0 2695 htmvoc_2860.wav ウチニチ ウ⸢チニチ [ʔu⸢ʧiniʧi] 名 内熱。熱がある(者)[feverish]*体が熱っぽい感じ。『医学沖縄語辞典』。 ウ⸢チニチヌ⸣ アルンダ ⸣フカー ン⸢ザ⸣シ ⸣ドゥー ⸢ピングラ⸣スナ [ʔu⸢ʧiniʧinu⸣ ʔarunda ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣duː ⸢piŋgurasu⸣na] (内熱があるから、外に出して体を冷やすな) 2880 0 0 2696 htmvoc_2880.wav ウチネーヌマトーザテー ウ⸢チ⸣ネーヌ ⸣マトーザテー [ʔu⸢ʧi⸣nenu ⸣matoːʣateː] 連 屋号。仲伊部正吉氏宅。東村のカツオ漁船、正山丸の船主としてカツオ節工場を経営されたが、過疎化に伴い、昭和40年頃に石垣島に引っ越してカツオ漁業を経営された 2881 0 0 2697 htmvoc_2881.wav ウチネヌマツァーザーテー ウ⸢チ⸣ネヌ ⸣マツァーザーテー [ʔu⸢ʧi⸣nenu ⸣maʦaːʣaːteː] 連 屋号。仲伊部正一氏宅。 ⸢ガッコー⸣ヌ ニ⸢シンタヌ イーリキーナー⸣ル ウ⸢チ⸣ネヌ ⸣マツァーザーテーヤ ⸢アッ⸣タ [⸢gakkoː⸣nu ni⸢ʃintanu ʔiːrikiːnaː⸣ru ʔu⸢ʧi⸣nenu ⸣maʦaːʣaːteːja ⸢ʔat⸣ta] (<大泊の>学校の北の西側に仲伊部正一氏宅はあった) 2855 0 0 2698 htmvoc_2855.wav ウチバシキルン ウ⸢チバシキ⸣ルン [ʔu⸢ʧibaʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 うち忘れる。度忘れする。 ⸢ワートゥヌ⸣ ヤ⸢クスコー⸣ マー⸢ンベーマ⸣ スカー ウ⸢チバシキ⸣ルンティ ⸢アーク⸣タ⸢ダー [⸢waːtunu⸣ ja⸢kusu̥koː⸣ maː⸢mbeːma⸣ su̥kaː ʔu⸢ʧibaʃiki⸣runti ⸢ʔaːku⸣ta⸢daː] (君との約束は、もう少しで忘れてしまう<忘れようとしていた>ところだったよ) 2856 0 0 2699 htmvoc_2856.wav ウチフカ ウ⸢チ⸣フカ [ʔu⸢ʧi⸣ɸu̥ka] 名 内外。身内と世間。 ウ⸢チ⸣フカティン バ⸢カラ⸣ナー <ッ⸢サナー> ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ク⸣シ ⸣シケー [ʔu⸢ʧi⸣ɸu̥katim ba⸢kara⸣naː mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢ku⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (身内と外<世間>の区別も分からずにものを言って事件を起こしてある)。 ⸢ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣フカ ⸣カキソージ ⸢シー⸣ シキ [⸢jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣ɸu̥ka ⸣kḁkisoːʤi ⸢ʃiː⸣ʃi̥ki] (家の内外掃除をしておけ) 2861 0 0 2700 htmvoc_2861.wav ウチマー ウ⸢チマー [ʔu⸢ʧimaː] 名 内孫。跡取りの息子の子供。フ⸢カ⸣マー[ɸu̥⸢ka⸣maː](外孫)の対義語。 ⸢ウン⸣ネーヤ ウ⸢チマーン⸣ フ⸢カ⸣マーン マ⸢リサカリティ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [⸢ʔun⸣neːja ʔu⸢ʧimaːŋ⸣ ɸu̥⸢ka⸣maːm ma⸢risakariti⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (その家は内孫も外孫も繁盛して羨ましい) 2862 0 0 2701 htmvoc_2862.wav ウチマー ウ⸢チ⸣マー [ʔu⸢ʧi⸣maː] 名 ⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː](帆桟のある帆)の各桟に、帆柱から離されないように縄を両端に張り渡してある縄。帆柱はその縄と桟の間に通す。 ⸢プー アイル⸣カー ウ⸢チ⸣マーシ ⸣パラーナ カ⸢カ⸣ルンダ ⸢プーヤ⸣ トゥ⸢バサラヌ  [⸢puː ʔairu⸣kaː ʔu⸢ʧi⸣maːʃi ⸣paraːna kḁ⸢ka⸣runda ⸢puːja⸣ tu⸢basaranu] (帆を揚げたらウチマーで帆柱にかかるから、帆は飛ばされない) 2863 0 0 2702 htmvoc_2863.wav ウチマーリカジ ウ⸢チマーリ⸣カジ [ʔu⸢ʧimaːri⸣kaʤi] 名 物に当たって跳ね返ってくる台風の風。家や壁、屋敷林などに当たって跳ね回ってくる強風。 ウ⸢チマーリ⸣カジェー ⸢スー⸣ワンダ ⸣ヤドゥン トゥ⸢バシ⸣ パ⸢リ⸣ス [ʔu⸢ʧimaːri⸣kaʤeː ⸢suː⸣wanda ⸣jadun tu⸢baʃi⸣ pa⸢ri⸣su] (物に当たって跳ね返ってくる台風の風は強いから、戸も吹き飛ばしていくよ) 2724 0 0 2703 htmvoc_2724.wav ウチマカスン ウ⸢チマカ⸣スン [ʔu⸢ʧimaka⸣suŋ] 他動 打ち負かす。撃破する。 イ⸢クサ⸣ユーナー ア⸢メリ⸣カ ウ⸢チマカ⸣スンティ フ⸢チガール シー ブタヌ⸣ ウ⸢チマカサ⸣リ ⸢ナーン⸣ワー⸢ヌー [ʔi⸢kusa⸣juːna ʔa⸢meri⸣ka ʔu⸢ʧimaka⸣sunti ɸu̥⸢ʧigaːru ʃiː butanu⸣ ʔu⸢ʧimakasa⸣ri ⸢naːŋ⸣waː⸢nuː] (戦争中にアメリカを打ち負かすと大法螺を吹いていたが、打ち負かされてしまったではないか)。 ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢ルスー⸣ブナー カ⸢リバ⸣ ウ⸢チマカ⸣シティ イ⸢チ⸣バン ナリミラ⸢ディー [⸢kundu⸣nu pa⸢rusuː⸣bunaː ka⸢riba⸣ ʔu⸢ʧimaka⸣ʃi̥ti ʔi⸢ʧi⸣ban ⸣narimira⸢diː] (今度の走り競争では彼を打ち負かして一番になってみようよ)。 ヤ⸢シーヤシー⸣シェー ウ⸢チマカサラ⸣ヌ [ja⸢ʃiːjaʃiː⸣ʃeː ʔu⸢ʧimakasara⸣nu] (簡単には打ち負かされない) 2865 0 0 2704 htmvoc_2865.wav ウチマラバスン ウ⸢チマラバ⸣スン [ʔu⸢ʧimaraba⸣suŋ] 他動 ぶん殴る。強く打ち据える。 ⸣アイブ ⸣ムノー プ⸢スケン⸣ナー ウ⸢チマラバ⸣シ ⸢シシキ⸣ トゥ⸢ラ⸣シバ [⸣ʔaibu ⸣munoː pu̥⸢suken⸣naː ʔu⸢ʧimaraba⸣ʃi ⸢ʃiʃi̥ki⸣ tu⸢ra⸣ʃiba] (あんな奴は、一度ぐらいはぶん殴って躾けてやりなさいよ) 2866 0 0 2705 htmvoc_2866.wav ウチミジ ウ⸢チ⸣ミジ [ʔu⸢ʧi⸣miʤi] 名 打ち水。 ⸣ドゥクナリ ⸣アツァタ ⸢ベー⸣テイ ウ⸢チ⸣ミジ ⸢シー⸣ シケーター ピ⸢ラ⸣ケー ナ⸢リ⸣ブーバン [⸣dukunari ⸣ʔaʦata ⸢beː⸣ti ʔu⸢ʧi⸣miʤi ⸢ʃiː⸣ʃi̥keːtaː pi⸢ra⸣keː na⸢ri⸣buːbaŋ] (あまりにも暑かったので打ち水をしておいたら涼しくなってきているわい) 2867 0 0 2706 htmvoc_2867.wav ウチユ ウ⸢チ⸣ユ [ʔu⸢ʧiju] 名 世の中。世間。当世。首里方言からの借用語。「Vqiyo.ウキヨ(浮世・憂世)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢ムイ⸣ヌ ⸢トゥー⸣ル ナ⸢ラ⸣ン ム⸢ヌ⸣ル ウ⸢チユ⸣ヌ ⸣ナライ [ʔu⸢mui⸣nu ⸢tuː⸣ru na⸢ra⸣m mu⸢nu⸣ru ʔu⸢ʧiju⸣nu ⸣narai] (思い通りにならないのが浮世<世の中>の常だ) 2868 0 1 2707 htmvoc_2868.wav ウチルン ウ⸢チ⸣ルン [ʔu⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}移る。 パ⸢トゥ⸣マーラ イ⸢サナケー⸣ ウ⸢チ⸣ルンテイ ⸣ウムイ ⸢ベー [pḁ⸢tu⸣maːra ʔi⸢sanakeː⸣ ʔu⸢ʧi⸣runti ⸣ʔumui ⸢beː] (鳩間島から石垣島へ移ろうと思っている)。 2868 0 2 2708 htmvoc_2868.wav ウチルン ウ⸢チ⸣ルン [ʔu⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}写る。映る。 ⸢カン⸣ガンナー ウ⸢チ⸣ル シ⸢ラカタ⸣チ ⸣ミルカー ⸢カイヤ⸣ルバン [⸢kaŋ⸣gannaː ʔu⸢ʧi⸣ru ʃi⸢rakata⸣ʧi ⸣mirukaː ⸢kaija⸣rubaŋ] (鏡に映る容貌<顔かたち>を見ると、なるほど綺麗だわい)。 2868 0 3 2709 htmvoc_2868.wav ウチルン ウ⸢チ⸣ルン [ʔu⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 {Mn_3}似合う。衣類などがよく似合う。映える。 ク⸢ヌ キン⸣マー ⸢ワー⸣ナ ウ⸢チラ⸣ヌ [ku⸢nu kim⸣maː ⸢waː⸣na ʔu⸢ʧira⸣nu] (この着物は君には似合わない<映らない>)。 イッ⸢ケン⸣ ウ⸢チ⸣ルン [ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢ʧi⸣ruŋ] (非常に良く似合う) 2869 0 0 2710 htmvoc_2869.wav ウチルン ウ⸢チ⸣ルン [ʔu⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 感染する。 プ⸢スヌ⸣ ミー ⸣パルカー パ⸢ナシキ⸣ ウ⸢チ⸣ルン⸢ダー [pu⸢sunu⸣ miː ⸣parukaː pa⸢naʃi̥ki⸣ ʔu⸢ʧi⸣run⸢daː] (人ごみの中<人の中>に行くと風邪がうつる<感染する>ぞ)。 ウ⸢チラ⸣ヌ [ʔu⸢ʧira⸣nu] (感染しない)。 ウ⸢チ⸣ルカー [ʔu⸢ʧi⸣rukaː] (感染したら)。 ウ⸢チ⸣ル ⸣クトー [ʔu⸢ʧi⸣ru ⸣ku̥toː] (感染することは)。 ウ⸢チ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʧi⸣reː ⸣misamunu] (感染すればよいのに)。 ウ⸢チ⸣リ [ʔu⸢ʧi⸣ri] (感染せよ) 2870 0 0 2711 htmvoc_2870.wav ウチンター ウ⸢チンター [ʔu⸢ʧintaː] 名 内側。奥座敷。「内の方」の転訛したもの。⸢ター[⸢taː](方向{EOS}場所{EOS}所)は「\ruby{方}{カタ}」の転訛したもの。⸣フカンター[⸣ɸu̥kantaː](外側)の対義語。⸣マンター[⸣mantaː](前方)、⸣シンター[⸣ʃintaː](後方)、⸢インター[⸢ʔintaː](西方)、⸢アンター[⸢ʔantaː](東方)、⸢ウンター[⸢ʔuntaː](上方)、ッ⸢サンター[s⸢santaː](下方)という。 ウ⸢チンタナー⸣ル ⸣ヌーンクイン ウ⸢サ⸣ミ ⸣シケー [ʔu⸢ʧintanaː⸣ru ⸣nuːŋkuiŋ ʔu⸢sa⸣mi ⸣ʃi̥keː] (奥座敷に<ぞ>何もかも納めてある)。 ウ⸢チンター ペー⸣リバ [ʔu⸢ʧintaː peː⸣riba] (奥座敷へ上がり<入り>なさい) 2842 0 1 2712 htmvoc_2842.wav ウツァスン ウ⸢ツァ⸣スン [ʔu⸢ʦa⸣suŋ] 他動 {Mn_1}写す。撮影する。 ⸣サシン ウ⸢ツァ⸣スン [⸣saʃiŋ ʔu⸢ʦa⸣suŋ] (写真を撮影する<写す>)。 ウ⸢ツァサ⸣ヌ [ʔu⸢ʦasa⸣nu] (写さない)。 ウ⸢ツァシ⸣ プサン [ʔu⸢ʦaʃi⸣pu̥saŋ] (写したい)。 ウ⸢ツァ⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンユンダ ワーンツァン⸣ ウ⸢ツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʦa⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːɲjunda waːnʦaŋ⸣ ʔu⸢ʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (写す人がいないから、君だけでも写せばよいのに)。 ⸢ダンダン⸣シ ウ⸢ツァ⸣シ [⸢dandaŋ⸣ʃi ʔu⸢ʦa⸣ʃi] (さっさと写しなさい)。 2842 0 2 2713 htmvoc_2842.wav ウツァスン ウ⸢ツァ⸣スン [ʔu⸢ʦa⸣suŋ] 他動 {Mn_2}感染させる。 パ⸢ナシケー⸣ プ⸢スン⸣ ウ⸢ツァサン⸣ヨーニ ⸢シー⸠ダー [pa⸢naʃi̥keː⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ʦasaɲ⸣joːni ⸢ʃiː⸠daː] (風邪は他人に感染させ<移させ>ないようにしなさいよ) 2899 0 1 2714 htmvoc_2899.wav ウツァスン ウ⸢ツァ⸣スン [ʔu⸢ʦa⸣suŋ] 他動 {Mn_1}移す。移動させる。若年層はウ⸢ツ⸣スン[ʔu⸢ʦu⸣suŋ](移す)ともいう。 ⸣バー ⸢クシ⸣ケー ⸣ナハー ウ⸢ツァ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ウ⸢ツァサ⸣ヌ [⸣baː ⸢kuʃi̥⸣keː ⸣nahaː ʔu⸢ʦa⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ʔu⸢ʦasa⸣nu] (私の戸籍は那覇へ移そうと思うが、今は移さない)。 ウ⸢ツァ⸣シ ⸣ミサカー ウ⸢ツァ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢ʦa⸣ʃi ⸣misakaː ʔu⸢ʦa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (移して良ければ移すことは出来る)。 シ⸢グ⸣ ウ⸢ツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢gu⸣ ʔu⸢ʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (すぐ移せば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ツァ⸣シ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ʦa⸣ʃi] (早く移せ)。 2899 0 2 2715 htmvoc_2899.wav ウツァスン ウ⸢ツァ⸣スン [ʔu⸢ʦa⸣suŋ] 他動 {Mn_2}撮影する。 ⸣シャシン ウ⸢ツァ⸣スン [ʃaʃiŋ ʔuʦasuŋ] (写真を写す{EOS}撮影する) 2872 0 0 2716 htmvoc_2872.wav ウツァナウン ウ⸢ツァ⸣ナウン [ʔu⸢ʦa⸣nauŋ] 他動 中止する。ほったらかす。放置する。手を休める。首里方言のcaNnagijuN(うっちゃる{EOS}投げ捨てる)に強意の接頭語のウチ[ʔuʧi](打ち)が付いて合成された語?ut iʧannagijuNから転訛したもの。 シ⸢グトゥヌ ティー⸣ヤ ウ⸢ツァ⸣ナイティ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キ⸣バ [ʃi⸢gutunu tiː⸣ja ʔu⸢ʦa⸣naiti pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ba] (仕事の手を休めて話を聞きなさいよ)。 ウ⸢ツァナーン⸣ドーシ シ⸢キ⸣バ [ʔu⸢ʦanaːn⸣doːʃi ʃi̥⸢ki⸣ba] (手を休めないで聞けよ)。 シ⸢グトー⸣ ウ⸢ツァ⸣ナウンテー ス⸢ナ⸣ヨー [ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢ʦa⸣naunteː su⸢na⸣joː] (仕事の手を休めようなどとはするなよ)。 ウ⸢ツァ⸣ナウ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ʦa⸣nau ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (手を休めることはならぬ{EOS}手を休めるな)。 ウ⸢ツァナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʦanai⸣jaː ⸣misamunu] (手を休めればいいのに)。 ⸢イットゥ⸣キ ⸢ティー⸣ヤ ウ⸢ツァ⸣ナイバ [⸢ʔittu⸣ki ⸢tiː⸣ja ʔu⸢ʦa⸣naiba] (一時手を休めなさいよ)。 シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢ツァ⸣ナウンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ニアーサラン⸣ユンダ <マ⸢ニアーサラン⸣ダ> ウ⸢ツァナーラ⸣ヌ [ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢ʦa⸣naunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢niʔaːsaraŋ⸣junda ʔu⸢ʦanaːra⸣nu] (仕事を途中で止めようと思うが、<このままでは>間に合わされないので、途中で止められない)。 ウ⸢ツァ⸣ナイ ⸣ミサカー ウ⸢ツァ⸣ナウ ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢ʦa⸣nai ⸣misakaː ʔu⸢ʦa⸣nau ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (途中で止めてよければ止めることはできる)。 ブ⸢ガ⸣リ ⸢ブー⸣カー シグトゥ ウ⸢ツァナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [bu⸢ga⸣ri ⸢buː⸣kaː ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢ʦanai⸣jaː ⸣misamunu] (疲れているなら、仕事を止めればいいのに)。 ウ⸢ツァナイ⸣リ [ʔu⸢ʦanai⸣ri] (仕事の手を休めろ)。 ウ⸢ツァ⸣ナイバ [ʔu⸢ʦa⸣naiba] (途中で手を止めよ{EOS}放置せよ)。 ⸢テー⸣ヤ ウ⸢ツァ⸣ナイバ [⸢tiː⸣ja ʔu⸢ʦa⸣naiba] (手を休めなさいよ) 2875 0 0 2717 htmvoc_2875.wav ウツァナク ウ⸢ツァナ⸣ク [ʔu⸢ʦana⸣ku] 名 白玉。白玉粉を水で捏ね、小さく丸めて蒸し上げたウズラの卵大の餅。大きな神事や豊年祭のなどの神行事の際に供える供物の餅。「Chanoco.チャノコ(茶の子) 茶(Cha)を飲む前に食べる、食欲をそそる塩漬けの物」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ⸢プー⸣ルンドーレーヌ ウ⸢ブニンガイ⸣ヌ ⸣ピンマー ウ⸢ツァナ⸣クン ス⸢コーリソーッ⸣タ [⸢puː⸣rundoreːnu ʔu⸢buniŋgai⸣nu ⸣pimmaː ʔu⸢ʦana⸣kun su⸢kuri⸣soːtta] (豊年祭などの大きな祈願のときにはウツァナクも作られた)。「ちゃのこ(茶の子)」の義か。国語の「茶の子」は「茶菓子、ちゃうけ、彼岸会や仏事の供物または配物<くばりもの>」の意『広辞苑』という 2901 0 0 2718 htmvoc_2901.wav ウツァナクン ウ⸢ツァナ⸣クン [ʔu⸢ʦana⸣kuŋ] 他動 放り出す。投げ出す。うち捨てる。途中で止める。 シ⸢グトー⸣ ウ⸢ツァナ⸣キティ <ウ⸢ツァ⸣ナイティ> ⸢バン⸣スル ⸣ブリ ッ⸢ふァイベー [ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢ʦana⸣kiti <ʔu⸢ʦa⸣naiti> ⸢ban⸣suru ⸣buri f⸢faibeː] (仕事を放り出してバンジロウ<蕃石榴>を\ruby{捥}{モ}いで<折って>食べている)。 ウ⸢ツァナカ⸣ヌ [ʔu⸢ʦanaka⸣nu] (放り出さない)。 ウ⸢ツァナ⸣クン <ウ⸢ツァ⸣ナウン> [ʔu⸢ʦana⸣kuŋ <ʔu⸢ʦa⸣nauŋ>] (放り出す)。 ウ⸢ツァナ⸣ク ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ʦana⸣ku ⸣kutoː na⸢ra⸣nu] (放り出すことは出来ない)。 ウ⸢ツァナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʦana⸣keː ⸣misamunu] (放り出せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ツァナ⸣キ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ʦana⸣ki] (早く放り出せ) 2873 0 0 2719 htmvoc_2873.wav ウツァバナカスン ウ⸢ツァバナカ⸣スン [ʔu⸢ʦabanaka⸣suŋ] 他動 仰向けにする。仰向けに寝かせる。 ウ⸢ツァバナカ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢ツァバナカサラ⸣ヌ [ʔu⸢ʦabanaka⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔu⸢ʦabanakasara⸣nu] (仰向けにしようとするが、仰向けにされない)。 ウ⸢ツァバナカ⸣シ ⸣ミサカー ウ⸢ツァバナカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢ʦabanaka⸣ʃi ⸣misakaː ʔu⸢ʦabanaka⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (仰向けにして良ければ仰向けにすることはできる)。 ウ⸢ツァバナカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʦabanaka⸣ʃeː misamunu] (仰向けにすれば良いのに)。 ウ⸢ツァバナカ⸣シバ [ʔu⸢sabanakaʃi⸣ba] (仰向けにしなさいよ) 2902 0 0 2720 htmvoc_2902.wav ウツァバナクン ウ⸢ツァバナ⸣クン [ʔu⸢ʦabana⸣kuŋ] 自動 仰向きになりやがる。仰向きになって寝やがる。両手両足を広げて寝る様の卑語表現。ウチ(接頭語)+ア⸢バナクン(仰向けになる)→ ウツァバナクンと音韻変化したもの。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ マイナー ウ⸢ツァバナ⸣キ ニ⸢ブムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [mi⸢dumu⸣nu pu̥⸢sunu⸣ mainaː ʔu⸢ʦabana⸣ki ni⸢bumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (女が人前で仰向けになって寝るものではない)。 ウ⸢ツァバナ⸣クンティ ウ⸢ムー⸣タンティン ⸣クナーテー ウ⸢ツァバナカラ⸣ヌ [ʔu⸢ʦabana⸣kunti ʔu⸢muː⸣tantiŋ ⸣kunaːteː ʔu⸢ʦabanakara⸣nu] (仰向きになろう<仰向きになる>と思っても、ここでは仰向けになれない<仰向かれない>)。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ウ⸢ツァバナ⸣キ ⸢ベー [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔu⸢ʦabana⸣ki ⸢beː] (仕事はしないで仰向けになって寝ていやがる)。 サ⸢キ⸣ ヌムユンダル マー⸢ン⸣ナーティン ウ⸢ツァバナ⸣クンダ ウ⸢ツァバナカン⸣ヨーニ サ⸢キ⸣ ヌ⸢マス⸣ナ [sḁ⸢ki⸣ numujundaru maː⸢n⸣naːtiŋ ʔu⸢ʦabana⸣kunda ʔu⸢ʦabanakaŋ⸣joːni sḁ⸢ki⸣ nu⸢masu⸣na] (酒を飲むから何処でも仰向けに寝やがるから、仰向けに寝かさないよう、酒を飲ますな)。 ウ⸢ツァバナ⸣ク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ʦabana⸣ku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (仰向けに寝やがる人はいない)。 ウ⸢ツァバナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʦabana⸣keː ⸣misamunu] (仰向けに寝やがればいいのに)。 ウ⸢ツァバナ⸣キバ [ʔu⸢ʦabana⸣kiba] (仰向けに寝やがれ) 2903 0 0 2721 htmvoc_2903.wav ウツァン ⸣ウツァン [⸣ʔuʦaŋ] 名 とあみ(投網)。「Vchiami.ウチアミ(打網)雉鳩などを捕るのに用いる網」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。浅海の魚を捕るのに用いる円錐形の網。下部に鉛の沈子が付けてある。投網の沈子の部分を両手で持ち、網全体を肩に掛け、体を屈めて魚群に接近し、魚の群れを目掛けて網を投げ打つと網は直径約3メートルの円形に拡がり、魚群を被せるように捕獲することが出来る。 ブ⸢ラヌ ユーリ⸣ クー ⸣ピンマー ⸣ウツァンシン カ⸢バ⸣シ トゥ⸢ローッ⸣タン [bu⸢ranu juːri⸣kuː ⸣pimmaː ⸣ʔuʦaŋʃiŋ ka⸢ba⸣ʃi tu⸢roːt⸣taŋ] (ボラ<鰡>が寄ってくるときは投網でも投げ被せて魚を捕獲された) 2882 0 0 2722 htmvoc_2882.wav ウッカイスン ⸢ウッカイ⸣スン [⸢ʔukkai⸣suŋ] 他動 ひっくり返す。裏返して乾燥する。 ⸢イー⸣シ ⸢ウッカイ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ アッ⸢ツァ⸣ヌ ⸣メー ⸢ウッカイサラ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ʃi ⸢ʔukkai⸣sunti ⸢beː⸣ndu ʔat⸢ʦa⸣nu ⸢ʔukkaisara⸣nu] (ツノマタを裏返し乾燥しようとしているが、太陽の熱が熱くて、もう裏返されない)。 ⸢ユー⸣クイティ ⸢ウッカイ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ウッカイ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢juː⸣kuiti ⸢ʔukkai⸣ʃi ⸣misakaː ⸢ʔukkai⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (休んで<憩うて>から裏返して良ければ裏返すことはできる)。 ⸢ウッカイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔukkai⸣ʃeː ⸣misamunu] (裏返せば良いのに)。 ⸢ウッカイ⸣シバ [⸢ʔukkai⸣ʃiba] (裏返しなさいよ) 2598 0 0 2723 htmvoc_2598.wav ウッカイムッカイ ⸢ウッ⸣カイムッカイ [⸢ʔuk⸣kaimukkai] 副 ああしようか、こうしようかと迷うさま。逡巡するさま。ぐずぐずして決めかねるさま。 ク⸢ヌ オーシキ⸣ナ ⸣フニ ン⸢ザサ⸣リンユー ⸢ヌー⸣シユーティ ⸢ウッ⸣カイムッカイ ⸢シー オー⸣ル [ku⸢nu ʔoːʃi̥⸣kinaː ⸣ɸuni ʔn⸢ʣasa⸣riɲjuː ⸢nuː⸣ʃijuːti ⸢ʔuk⸣kaimukkai ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (この天気で船が出せるだろうか、どうだろうかと、なかなか決めかねて<逡巡して>おられる)。 ⸢キュー⸣ヤ イ⸢ソー⸣ パ⸢ラ⸣リンユー ⸢ヌー⸣シユーティ ⸢ウッ⸣カイムッカイ ⸢シーベー [⸢kjuː⸣ja ʔi⸢soː⸣ pa⸢ra⸣riɲjuː ⸢nuː⸣ʃijuːti ⸢ʔuk⸣kaimukkai ⸢ʃiːbeː] (今日は出漁出来るかどうか、判断しかねている) 2884 0 0 2724 htmvoc_2884.wav ウッカイラスン ⸢ウッカイラ⸣スン [⸢ʔukkaira⸣suŋ] 他動 ひっくり返す。裏返す。⸢ウッケーラ⸣スン[⸢ʔukkeːra⸣suŋ](ひっくり返す)ともいう。 ⸢ユシ⸣キシダルナー ⸣プシシケー イ⸢ガー ウッカイラ⸣シ ⸣プシバ [⸢juʃi⸣kiʃidaruna ⸣pu̥ʃiʃi̥keː ʔi⸢gaː ʔukkaira⸣ʃi ⸣pu̥ʃiba] (ススキの簾に干してある烏賊は、裏返して干しなさい)。 ⸢ウッカイラサラ⸣ヌ [⸢ʔukkairasara⸣nu] (ひっくり返されない)。 ⸢ウッカイラシ⸣ プサン [⸢ʔukkairaʃi⸣ pu̥saŋ] (ひっくり返したい)。 ⸢ウッカイラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔukkaira⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ひっくり返すことは出来ない)。 ⸢ウッカイラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔukkaira⸣ʃeː ⸣misamunu] (ひっくり返せばよいのに)。 ⸢ウッカイラ⸣シ [⸢ʔukkaira⸣ʃi] (ひっくり返しなさい) 2885 0 0 2725 htmvoc_2885.wav ウッカイルン ⸢ウッカイ⸣ルン [⸢ʔukkai⸣ruŋ] 自動 覆る。反転する。ひっくり返る。反故にする。反対する。嫌がる。若年層は⸢ウッケー⸣ルン[⸢ʔukkeː⸣ruŋ](反転する{EOS}嫌がる)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ヤ⸢クスク⸣ シ⸢タンティン⸣ ナ⸢カバー⸣ラ ⸢ウッカイ⸣ルンティ ⸢スンダ ウッカイラン⸣ ヨーニ クマー⸢クマー⸣シ キ⸢ミリ [ʔu⸢reː⸣ ja⸢kusu̥ku⸣ ʃi̥⸢tantin⸣ na⸢kabaː⸣ra ⸢ʔukkai⸣runti ⸢sunda ʔukkairaŋ⸣ joːni kumaː⸢kumaː⸣ʃi ki⸢miri] (彼は約束しても途中で反転する<\ruby{覆}{クツガエ}る>というから、彼がひっくりがえらないように細々と取決めなさい)。 キサー⸢ティ ウッカイ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti ʔukkai⸣ri ⸢naː⸣nu] (既に反転<ひっくりがえって>してしまっている)。 ク⸢マーバー⸣キ ⸣ケーラ ⸢ウッカイ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [ku⸢maːbaː⸣ki ⸣keːra ⸢ʔukkai⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (ここまで来れば反転する<覆す>ことは無いだろう<はずだ>) 2891 0 0 2726 htmvoc_2891.wav ウッケースン ⸢ウッケー⸣スン [⸢ʔukkeː⸣suŋ] 他動 ひっくり返す。裏返す。引き返す。⸢ウッケーラ⸣スン[⸢ʔukkeːra⸣suŋ](ひっくり返す)と同じ。 ⸢ウッケーサン⸣タンティン ⸣ミサン [⸢ʔukkeːsan⸣tantim ⸣misaŋ] (ひっくり返さなくてもよい)。 ⸢ウッケー⸣シ ⸣ミサン [⸢ʔukkeː⸣ʃi ⸣misaŋ] (ひっくり返してもよい)。 ⸣ドゥーシ ⸢ウッケー⸣スンティ ⸣ウムーカー ⸢ウッケー⸣シバ [⸣duːʃi ⸢ʔukkeː⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ⸢ʔukkeː⸣ʃiba] (自分でひっくり返してもよいと思うならひっくり返しなさい)。 ク⸢レー ウッケー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː ʔukkeː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これは、ひっくり返すことは出来ない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウッケー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku⸢ʔukkeː⸣ʃeː ⸣misamunu] (早くひっくり返せばよいのに) 2886 0 0 2727 htmvoc_2886.wav ウッケーラスン ⸢ウッケーラ⸣スン [⸢ʔukkeːra⸣suŋ] 他動 ひっくり返す。裏返す。⸢ウッカイラ⸣スン[⸢ʔukkaira⸣suŋ](ひっくり返す)と同じ。⸢カイ⸣スン[⸢kai⸣suŋ](返す)ともいう。 イ⸢ガー⸣ プ⸢スマティダヌ⸣ ウ⸢チ⸣ナー ⸢ウッケーラ⸣シティ ⸣プシバ [ʔi⸢gaː⸣ pu̥⸢sumatidanu⸣ ʔu⸢ʧi⸣naː ⸢ʔukkeːra⸣ʃi̥ti ⸣pu̥ʃiba] (烏賊は昼間の太陽<昼間太陽>があるうちに裏返して干しなさい) 2887 0 0 2728 htmvoc_2887.wav ウッケールン ⸢ウッケー⸣ルン [⸢ʔukkeː⸣ruŋ] 自動 ひっくり返る。覆る。⸢ウッカイ⸣ルン[⸢ʔukkai⸣ruŋ](覆る)と同じ。 ナ⸢カバー⸣ラン ⸢ウッケー⸣ルンダ ⸢ウッケーラン⸣ヨーニ キ⸢ミリ [na⸢kabaː⸣raŋ ⸢ʔukkeː⸣runda ⸢ʔukkeːraŋ⸣joːni ki⸢miri] (中途からでも覆るから、覆らないように決めなさい)。 ⸢ウッケー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔukkeː⸣ri ⸢naː⸣nu] (覆ってしまった)。 ⸢ウッケー⸣ル ⸣クトゥン ⸣アン [⸢ʔukkeː⸣ru ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (覆ることもある)。 ⸢ウッケー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʔukkeː⸣reː ⸣misamunu] (覆れば良いのに)。 ⸢ウッケー⸣リバ [⸢ʔukkeː⸣riba] (覆れよ) 2876 0 0 2729 htmvoc_2876.wav ウッザ ⸢ウッ⸣ザ [⸢ʔud⸣ʣa] 名 (動)うずら(鶉)。ウズラの転訛。⸣ウザドゥル[⸣ʔuʣaduru](鶉{EOS}鶉鳥)ともいう。尾が短く、茅原に棲む。小指大の卵は美味である 2914 0 1 2730 htmvoc_2914.wav ウツスン ウ⸢ツ⸣スン [ʔu⸢ʦu⸣suŋ] 他動 {Mn_1}写す。老年層は、ウ⸢ツァ⸣スン[ʔu⸢ʦa⸣suŋ](写す)という。 ⸣シャシン ウ⸢ツ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣クナーテー ウ⸢ツサ⸣ヌ [⸣ʃaʃiŋ ʔu⸢ʦu⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸣kunaːteː ʔu⸢ʦusa⸣nu] (写真を写そうと思うが、ここでは写さない)。 ⸣シャシン ウ⸢ツシ⸣ プサカー ウ⸢ツ⸣ス ⸣クトー ナルン⸢ダー [⸣ʃaʃiŋ ʔu⸢ʦuʃi⸣ pu̥sakaː ʔu⸢ʦu⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (写真を写したければ写すことは出来るよ)。 ウ⸢ツ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ʦu⸣ʃeː ⸣misamunu] (写せば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢ツ⸣シ [jaː⸢diŋ⸣ ʔu⸢ʦu⸣ʃi] (必ず写せ) 2915 0 0 2731 htmvoc_2915.wav ウツスン ウ⸢ツ⸣スン [ʔu⸢ʦu⸣suŋ] 他動 移す。 ⸢ニーム⸣チ ウ⸢ツ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー ウ⸢ツサラ⸣ヌ [⸢niːmu⸣ʧi ʔu⸢ʦu⸣nti ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʔu⸢ʦusara⸣nu] (荷物を移そうと思うが、一人では移されない) 2789 0 0 2732 htmvoc_2789.wav ウッソン ⸢ウッ⸣ソン [⸢ʔus⸣soŋ] 名 盆の窪。後頭部。「後ろ窪み」の義。 ⸢ウッソン⸣マー ⸢カンユーナ⸣ トン ヤ⸢リバ⸣ タ⸢タック⸣ナ<⸢シック⸣ナ>⸢ダー [⸢ʔussom⸣maː ⸢kaɲjuːna⸣ ton ja⸢riba⸣ tḁ⸢takku⸣na<⸢ʃikku⸣na>⸢daː] (後頭部<盆の窪>は肝要な所だから打つな<叩くな>よ)。 ⸢ウッ⸣ソンナー ン⸢ジ⸣ル ア⸢シ⸣ボー ム⸢カ⸣シェーラ ヤ⸢ナムヌティ⸣ ア⸢ザリ ブーバ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢ʔus⸣sonnaː ʔn⸢ʤi⸣ru ʔa⸢ʃi⸣boː mu⸢ka⸣ʃeːra ja⸢namunuti⸣ ʔa⸢ʣari buːba kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (盆の窪に出来る出来物は昔から悪性の出来ものだといわれているから気を付けなさいよ) 2790 0 0 2733 htmvoc_2790.wav ウッソンサリーン ⸢ウッ⸣ソン サ⸢リーン [⸢ʔus⸣son sa⸢riːŋ] 句 後頭部が貧相になる<枯れる>。生気がなく影が薄くなる。痩せて元気がなくなる。盆の窪が枯れると、その人は長生きしないといわれている 2895 0 1 2734 htmvoc_2895.wav ウッタイラリルン ⸢ウッタイラリ⸣ルン [⸢ʔuttairari⸣ruŋ] 自動 訴えられる。{Mn_1}⸢ウッタイ⸣ルン[⸢ʔuttai⸣ruŋ](訴える)の未然形に受身の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞)。 プ⸢スン ウッタイラリ⸣ルン [pu̥⸢suŋ ʔuttairari⸣ruŋ] (他人に訴えられる)。 2895 0 2 2735 htmvoc_2895.wav ウッタイラリルン ⸢ウッタイラリ⸣ルン [⸢ʔuttairari⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}⸢ウッタイ⸣ルン[⸢ʔuttai⸣ruŋ](訴える)の未然形に、可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(可能動詞)。 ⸢バン⸣ヌン プ⸢ス ウッタイラリ⸣ルン [⸢ban⸣num pu̥⸢su ʔuttairari⸣ruŋ] (私にも他人を訴えられる<訴えることが出来る>) 2896 0 0 2736 htmvoc_2896.wav ウッタイラリン ⸢ウッタイラ⸣リン [⸢ʔuttaira⸣riŋ] 自動 訴えられる。{⸢ウッタイ⸣ルン[⸢ʔuttai⸣ruŋ](訴える)の未然形に受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞・可能動詞)}。 ⸣ジン カ⸢リティ カイサン⸣カー ⸢ウッタイラ⸣リン⸢ダー [⸣ʤiŋ ka⸢riti kaisaŋ⸣kaː ⸢ʔuttaira⸣rin⸢daː] (金を借りて返さないと訴えられるぞ<受身>)。 ⸢ワンヌン ウッタイラ⸣リン⸢ダー [⸢wannuŋ ⸢ʔuttaira⸣rin⸢daː] (君にも訴えられるぞ<可能>) 2897 0 0 2737 htmvoc_2897.wav ウッタイルン ⸢ウッタイ⸣ルン [⸢ʔuttai⸣ruŋ] 他動 訴える。 マ⸢ラリヤ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣リ ム⸢ラドーリ シーン⸣ギサタール ヤ⸢ク⸣バー ⸢ウッタイ⸣ルンティ イ⸢サナケー⸣ ンジ⸢クー⸣タ [ma⸢rarija⸣nu pa⸢jaː⸣ri mu⸢radoːri ʃiːŋ⸣gisataːru ja⸢ku⸣baː ⸢ʔuttai⸣runti ʔi⸢sanakeː⸣ ʔnʤi⸢kuː⸣ta] (マラリアが流行って村倒れしそうになったので役場へ訴えよう<申し出よう>と石垣島へ出てきた)。 ⸢ウッタイラ⸣ヌ [⸢ʔuttaira⸣nu] (訴えない)。 ⸢ウッタイ⸣プサン [⸢ʔuttai⸣pu̥saŋ] (訴えたい)。 ⸢ウッタイ⸣ル クトゥ [⸢ʔuttai⸣ru ⸣ku̥tu] (訴えること)。 ⸢ウッタイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʔuttai⸣reː ⸣misamunu] (訴えればよいのに)。 ⸢ウッタイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢ʔuttai⸣jaː ⸣misamunu] (訴えればよいのに)。 ⸢ウッタイ⸣リ [⸢ʔuttai⸣ri] (訴えなさい{EOS}訴えれ) 2898 0 0 2738 htmvoc_2898.wav ウッタウン ⸢ウッ⸣タウン [⸢ʔut⸣tauŋ] 他動 訴える。「訴う(訴ふ)下二段活用」の四段活用化したもの。⸢ウッタイ⸣ルン[⸢ʔuttai⸣ruŋ](訴える)と同じ。 ⸢ウッター⸣ヌ <⸢ウッタイラ⸣ヌ> [⸢ʔuttaː⸣nu <⸢ʔuttaira⸣nu>] (訴えない)。 ⸢ウッタイ⸣プサン [⸢ʔuttai⸣pu̥saŋ] (訴えたい)。 ⸢ウッ⸣タウン [⸢ʔut⸣tauŋ] (訴える)。 ⸢ウッ⸣タウ ⸣クトゥ [⸢ʔut⸣tau ⸣ku̥tu] (訴えること)。 ⸢ウッタイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢ʔuttai⸣jaː ⸣misamunu] (訴えればよいのに)。 ⸢ウッ⸣タイバ  [⸢ʔut⸣taiba] (訴えなさいよ) 3453 0 1 2739 htmvoc_3453.wav ウッツァー ⸢ウッ⸣ツァー [⸢ʔut⸣ʦaː] 代 {Mn_1}それら。指示代名詞。中称の複数形。ウリ・ター[ʔuri-taː](それ・たち)の融合変化したもの。 ⸢ウッ⸣ツァー シゥ⸢カイユーゾー ナーン⸣バ ムー⸢ル⸣ プ⸢スン ッふィーリ [⸢ʔut⸣ʦaː sï̥⸢kaijuːʣoː naːm⸣ba muː⸢ru⸣ pu̥⸢sun ffiːri] (それらは使い道がない<用途がない>から全部他人にやりなさい)。 3453 0 2 2740 htmvoc_3453.wav ウッツァー ⸢ウッ⸣ツァー [⸢ʔut⸣ʦaː] 代 {Mn_2}それたち。その人達。 ⸢ウッ⸣ツァーサーレー ⸢マーズンマー⸣ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔut⸣ʦaːsaːreː ⸢maːʣummaː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (その人たちとは一緒に仕事は出来ない)。 ⸢ウッ⸣ツァー シ⸢グトゥ [⸢ʔut⸣ʦaː ʃi⸢gutu] (その人たちの仕事)。 ⸢ウッツァー⸣ノー ⸢シーユーサヌ [⸢ʔutʦaː⸣noː ⸢ʃiːjuːsanu] (その人たちがは、することが出来ない<し得ない>)。 ⸢ウッ⸣ツァーラ [⸢ʔut⸣ʦaːra] (その人たちから)。 ⸢ウッツァー⸣バ [⸢ʔutʦaː⸣ba] (その人たちを)。 ⸢ウッツァー⸣トゥ [⸢ʔutʦaː⸣tu] (その人たちと)。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ベー⸣シマプソー ア⸢ラン⸣ユンダ ⸢ベー⸣シマムネー シ⸢キユーサヌ [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢beː⸣ʃimapu̥soː ʔa⸢raŋ⸣junda ⸢beː⸣ʃimamuneː ʃi̥⸢kijuːsanu] (その人達は我々<聞き手を含む我々>の島の人でないから我々の島言葉<島物言い{EOS}方言>は理解できない<聞き得ない>) 2905 0 0 2741 htmvoc_2905.wav ウッツァースン ⸢ウッツァー⸣スン [⸢ʔutʦaː⸣suŋ] 自動・他動 ぶつける。瓶や甕などの陶磁器、ガラス器具などの容器類がぶつけ合う。ぶつかり合う。「打ち合わす」の義か。 ⸢ウンパン⸣シンラ ⸣ムティクンケン サ⸢キクビンマー ウッツァー⸣シティ バ⸢リナー⸣ヌ [⸢ʔumpaŋ⸣ʃinra ⸣mutikuŋken sḁ⸢kikubimmaː ʔutʦaː⸣ʃi̥ti ba⸢rinaː⸣nu] (運搬船から運んで<持って>来るうちに酒瓶がぶつかって<酒瓶をぶつけて>割れてしまった)。 ⸢ウッツァーサ⸣ヌ [⸢ʔutʦaːsa⸣nu] (ぶつけない{EOS}ぶつからない)。 フ⸢ニ⸣ヌ グ⸢ロー⸣カー ク⸢ビン⸣マー ⸢ウッツァー⸣スン [ɸu⸢ni⸣nu gu⸢roː⸣kaː ku⸢bim⸣maː ⸢ʔutʦaː⸣suŋ] (船の横揺れ<ローリング>がひどいと瓶はぶつかる)。 ⸢ウッツァー⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔutʦaː⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (ぶつかる<ぶつける>ことはない)。 ⸢ウッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔutʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (ぶつければ<ぶつかれば>いいのに)。 ⸢ウッツァー⸣シ [⸢ʔutʦaː⸣ʃi] (ぶつけろ<ぶつかれ>) 2906 0 0 2742 htmvoc_2906.wav ウッツォーリカジ ⸢ウッツォーリ⸣カジ [⸢ʔutʦoːri⸣kaʤi] 名 物に当って跳ね返ってくる風。マ⸢キカジ[ma⸢kikaʤi](旋風)となって吹くことがある。 ⸢マイ⸣ネヌ タ⸢カグスク⸣ヌ ⸢ウッツォーリカジヌ⸣ル ⸣アイニ ⸢スー⸣ワバン [⸢mai⸣nenu ta⸢kagusuku⸣nu ⸢ʔutʦoːrikaʤinu⸣ru ⸣ʔaini ⸢suː⸣wabaŋ] (前隣の高い石垣に当って跳ね返ってくる風があのように強いのだよ) 2907 0 0 2743 htmvoc_2907.wav ウッティカミルン ウッ⸢ティ⸣ カ⸢ミ⸣ルン [⸢ʔutti⸣ ka⸢mi⸣ruŋ] 連 うやうやしく(恭しく)頂く。両手に置いて頭の位置まで押し上げ、恭しく頂く。オッ⸢ティ⸣ カ⸢ミ⸣ルン[ʔot⸢ti⸣ ka⸢mi⸣ruŋ](恭しくいただく)ともいう。 カンヌマイ⸣ヌ ⸣グシェー ウッ⸢ティ⸣ カ⸢ミ⸣リ [⸢kannumai⸣nu ⸣guʃeː ʔut⸢ti⸣ ka⸢mi⸣ri] (神前に供えた神酒を恭しく頂きなさい) 2908 0 0 2744 htmvoc_2908.wav ウットースン ⸢ウットー⸣スン [⸢ʔuttoː⸣suŋ] 他動 打ち倒す。ぶったおす。台風が作物や草木を薙ぎ倒す。切り倒す。 バ⸢サム⸣トゥ ⸢ウットー⸣スン [ba⸢samu⸣tu ⸢ʔuttoː⸣suŋ] (芭蕉の幹を打ち倒す<ぶっ倒す>)。 カ⸢ジフキ⸣ナー バ⸢サム⸣トー ムー⸢ル ウットーサ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʤiɸuki⸣naː ba⸢samu⸣toː muː⸢ru ʔuttoːsa⸣ri ⸢naː⸣nu] (台風<風吹き>で芭蕉の幹はみんな打ち倒されてしまった)。 ⸢ウットーシ⸣ プサン [⸢ʔuttoːʃi⸣pu̥saŋ] (うちたおしたい)。 ⸢ウットー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔuttoː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (打ち倒すことは出来ない)。 ⸢ウットー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔuttoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (打ち倒せばよいのに)。 ⸢ウットー⸣シ [⸢ʔuttoː⸣ʃi] (打ち倒せ) 2910 0 0 2745 htmvoc_2910.wav ウットーリルン ⸢ウットーリ⸣ルン [⸢ʔuttoːri⸣ruŋ] 自動 ぶっ倒れる。⸢ウットー⸣ルン[⸢ʔuttoː⸣ruŋ](大木がぶっ倒れる)と同じ。 ム⸢トゥ⸣ヌ ⸣ッサリ ⸢ブンダ タイフー⸣ヌ ⸣フクカー ⸢ウットーリ⸣ルン ⸣パジ [mu⸢tu⸣nu ⸣ssari ⸢bunda taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kukaː ⸢ʔuttoːri⸣rum ⸣paʤi] (幹が腐れているから台風が吹くとぶっ倒れるはずだ) 2909 0 0 2746 htmvoc_2909.wav ウットールン ⸢ウットー⸣ルン [⸢ʔuttoː⸣ruŋ] 自動 ぶっ倒れる。大木が強風でぶっ倒れる。 ウ⸢ビ⸣ヌ フ⸢クンキー⸣ ヤ⸢ルヌ⸣ カ⸢ジフキ⸣ナー ⸢ウットー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu ɸu⸢kuŋkiː⸣ ja⸢runu⸣ ka⸢ʤiɸuki⸣naː ⸢ʔuttoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (あれだけの福木の大木だが台風でぶっ倒れてしまった)。 ⸢ウットーラ⸣ヌ [⸢ʔuttoːra⸣nu] (ぶっ倒れない)。 ⸢ウーカジヌ⸣ フ⸢ク⸣ター ク⸢ヌ⸣ キーン マーン⸢ベーマ⸣スカー ⸢ウットー⸣ルンティ ⸢アーク⸣タ [⸢ʔuːkaʤinu⸣ ɸu⸢ku⸣taː ku⸢nu⸣ kiːm maːm⸢beːma⸣su̥kaː ⸢ʔuttoː⸣runti ⸢ʔaːku⸣ta] (台風が吹いたので、この木ももう少しのところでぶっ倒れるところだった<ぶっ倒れようとしていた>)。 ⸢ウットー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔuttoː⸣ru ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (ぶっ倒れることはない)。 ⸢ウットー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ʔuttoː⸣reː ⸣misamunu] (ぶっ倒れたらよいのに)。 ⸢ウットーリ⸣リ [⸢ʔuttoːri⸣ri] (ぶっ倒れろ) 2911 0 0 2747 htmvoc_2911.wav ウッふァスン ⸢ウッふァスン [⸢ʔuffasuŋ] 他動 溺れさす。 フ⸢カーン⸣ トンナ ⸢オー⸣スカー ッ⸢ふァー ウッふァスン⸠ダー [ɸu̥⸢kaːn⸣ tonnaː ⸢ʔoː⸣su̥kaː f⸢faː ʔuffasun⸠daː] (深い所で泳がせると子供を溺れさせるよ)。 ⸢ウッふァサヌ [⸢ʔuffasanu] (溺れさせない)。 ⸢ウッふァシ ナー⸣ヌ [⸢ʔuffaʃi naː⸣nu] (溺れさせてしまった)。 イッ⸢カ ウッふァス⸣ クトー サ⸢ヌ [ʔik⸢ka ʔuffasu⸣ ku̥toː sa⸢nu] (決して溺れさせることはしない)。 ⸢ウッふァシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuffaʃeː⸣ misamunu] (溺れさせれば良いのに)。 ⸢ウッふァシ⸣バ [⸢ʔuffaʃi⸣ba] (溺れさせろ) 2912 0 0 2748 htmvoc_2912.wav ウッふィルン ⸢ウッふィルン [⸢ʔuffiruŋ] 自動 溺れる。「耽、オホルル」『類聚名義抄』、「Vobore,ru,eta.ヲボレ,ルル,レタ(溺れ,るる,れた)~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。⸢ウッふンとも言う。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢タンガ⸣シ ⸣オンダー シ⸢ミル⸣カー ⸢ウッふィルンダ ウッふィラン⸣ ヨーニ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ja⸢ra⸣bi ⸢taŋga⸣ʃi ⸣ʔondaː ʃi⸢miru⸣ka ⸢ʔuffirunda ʔuffiraŋ⸣ joːni ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (子供一人で泳がせると溺れるから、溺れないように気を付けなさい)。 ⸣クナー ⸢ウッふィル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣kunaː ⸢ʔuffiru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (ここで溺れる人はいない)。 マーン⸢ベー⸣スカー ⸢ウッふィルンティ アーク⸣タ ⸢ドー⸣スカーヤ [maːm⸢beː⸣su̥kaː ⸢ʔuffirunti ʔaːku⸣ta ⸢doː⸣sukaːja] (すんでのところ<もう少しのところ>で溺れるとこらだったってば)。 ⸢ウッふィラヌ [⸢ʔuffiranu] (溺れない)。 ⸣カイブン ⸣トンナー ⸢ウッふィル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [kai⸢bun⸣ tonnaː ⸢ʔuffiru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (こんな所で溺れる人はいない)。 プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カンムノー ウッふィレー⸣ ミサムヌ [pu̥⸢sunu⸣ muni sï̥⸢kammunoː ʔuffireː⸣ misamunu] (人の忠告<言うこと>を聞かないものは溺れればいいのに)。 ⸢ウッふィリ [⸢ʔuffiri] (溺れろ)。 ス⸢ブシヌ⸣ ナ⸢ダカ⸣ヌ ⸣トンナーン プ⸢ソー ⸢ウッふィルン⸣ティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [su⸢buʃinu⸣ na⸢daka⸣nu ⸣tonnaːm pu̥⸢soː ʔuffirun⸣ti ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (膝丈の深さしかない海<所>でも人は溺れるといわれているんだぞ) 2913 0 0 2749 htmvoc_2913.wav ウッふン ⸢ウッふン [⸢ʔuffuŋ] 自動 溺れる。「耽、オホルル」『類聚名義抄』、「駅船海に沈み大徳おぼほれ<溺れ>流れて~」『日本霊異記』の四段活用に転訛したもの。 ウイ⸢サムティ⸣ ア⸢シ⸣ヌ シゥ⸢カン⸣ トンナー ⸣ウーカー ⸢ウッふンダ ウッふァン⸣ヨーニ ピ⸢ザ⸣フチナーティ ⸣ウイバ [ʔui⸢samuti⸣ ʔa⸢ʃi⸣nu si̥⸢kan⸣ tonnaː ⸣ʔuːka ⸢ʔuffunda ʔuffaŋ⸣joːni pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧinaːti ⸣ʔuiba] (泳げないのに背丈が海底に着かない深い所で泳ぐと溺れるから、溺れないように渚で泳げよ)。 ⸢ウッふィヤッ⸣サン ⸣トンナー ⸣ウームヌ ⸢ウッふ⸣ クトー ア⸢タラ⸣マイ ⸢ゲ⸣ラ [⸢ʔuffijas⸣san ⸣tonnaː ⸣ʔuːmunu ⸢ʔuffu⸣ ku̥toː ʔa⸢tara⸣mai ⸢ge⸣ra] (溺れやすい所で泳ぐんだもの、溺れることは当たり前さ)。 ⸢ウッふェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuffeː⸣ misamunu] (溺れたら良いのに)。 ⸢ウッふィ⸣バ [⸢ʔuffi⸣ba] (溺れろ)。 ア⸢シ⸣ヌ タ⸢タン⸣トンナー ⸣ウーカー ⸢ウッふンダ ウッふァン⸣ヨーニ ピ⸢ザ⸣フチナーティ ⸣ウイバ [ʔa⸢ʃi⸣nu tḁ⸢tan⸣tonnaː⸣ʔuːkaː ⸢ʔuffunda ʔuffaŋ⸣joːni pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧinaːti ⸣ʔuiba] (背の届かないところで泳ぐと溺れるから、溺れないように渚で泳ぎなさい)。 ⸢ウッふィナー⸣ヌ [⸢ʔuffinaː⸣nu] (溺れてしまった)。 ⸢ウッふ⸣ プ⸢スン ブン [⸢ʔuffu⸣ pu̥⸢sum buŋ] (溺れる人もいる)。 ⸢ウッフェー⸣ ミサムヌ [ʔuɸɸeː⸣ misamunu] (溺れたらいいのに)。 ⸢ウッふィ⸣バ [⸢ʔufi⸣ba] (溺れろよ) 2916 0 0 2750 htmvoc_2916.wav ウツルン ウ⸢ツ⸣ルン [ʔu⸢ʦu⸣ruŋ] 自動 写る。老年層は、ウ⸢チ⸣ルン[ʔu⸢ʧi⸣ruŋ](写る)という。 ⸢ウーキ⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ナー ⸢カイ⸣ヌ ウ⸢ツ⸣ルン [⸢ʔuːki⸣nu mi⸢ʤi⸣naː ⸢kai⸣nu ʔu⸢ʦu⸣ruŋ] (桶の水に影が写る)。 カ⸢ジヌ⸣ フクカー ウ⸢ツラ⸣ヌ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ʔu⸢ʦura⸣nu] (風が吹いたら写らない)。 ウ⸢ツ⸣リ ⸢ベー [ʔu⸢ʦu⸣ri ⸢beː] (写っている)。 ⸢カイ⸣ヌ ウ⸢ツ⸣ル ⸣ピンマー カ⸢ジェー⸣ フ⸢カ⸣ヌ [⸢kai⸣nu ʔu⸢ʦu⸣ru ⸣pimmaː ka⸢ʤeː⸣ ɸu̥⸢ka⸣nu] (陰が写る時は風は吹かない)。 ⸢カイーカイ⸣シ ウ⸢ツ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢kaiːkai⸣ʃi ʔu⸢ʦu⸣reː ⸣misamunu] (綺麗に写れば良いのに)。 ウ⸢ツ⸣レーン [ʔu⸢ʦu⸣reːŋ] (写った) 2920 0 1 2751 htmvoc_2920.wav ウディ ⸣ウディ [⸣ʔudi] 名  {Mn_1}うで(腕)。 ⸢ニーリヌ⸣ ウ⸢ディ⸣トゥ ピ⸢ダリ⸣ヌ ⸣ウディ [⸢niːrinu⸣ ʔu⸢di⸣tu pi⸢dari⸣nu ⸣ʔudi] (右の腕と左の腕)。 ウ⸢ディ⸣カキ ⸢シー⸣ ミラ⸢ディー [ʔu⸢di⸣kaki ⸢ʃiː⸣mira⸢diː] (腕相撲をしてみようよ)。 2920 0 2 2752 htmvoc_2920.wav ウディ ⸣ウディ [⸣ʔudi] 名 {Mn_2}葉柄。 ク⸢バヌ⸣ ウディ ⸣キシキー フ⸢ネー⸣マ ス⸢ク⸣ラ ⸢ナー [ku⸢banu⸣ ʔudi ⸣ki̥ʃikiː ɸu⸢neː⸣ma su̥⸢ku⸣ra⸢naː] (クバの葉柄を切ってきておもちゃの小船を造ろうね)。 ⸢マーニ⸣ヌ ⸣ウディ [⸢maːni⸣nu ⸣ʔudi] (クロツグの葉柄) 2921 0 0 2753 htmvoc_2921.wav ウティウティ ウ⸢ティ⸣ウティ [ʔu⸢ti⸣uti] 接尾 動詞の連用形を重ねて畳語化し、動作の繰り返されるさまを表す。「~落ち落ち」の義。 ブ⸢ダッカレー⸣ ウ⸢ティ⸣ウティ ⸢シェー⸣ティ サ⸢ニンケー⸣リ ⸢パッ⸣タヤー [bu⸢dakkareː⸣ ʔu⸢ti⸣uti ⸢ʃeː⸣ti sa⸢niŋkeː⸣ri ⸢pat⸣tajaː] (飛んだり跳ねたり<跳んでは落ち落ち>しながら嬉しそうにして<喜び勇んで>行ったよ)。⸢ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ[⸢naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri](投げては手繰り手繰り~)と同じ表現法 2922 0 0 2754 htmvoc_2922.wav ウディカキ ウ⸢ディ⸣カキ [ʔu⸢di⸣kaki] 名 腕相撲。「腕掛け」の義。 ⸢タール スー⸣ワユー ウ⸢ディ⸣カキ ⸢シー⸣ミラ [⸢taːru suː⸣wajuː ʔu⸢di⸣kaki ⸢ʃiː⸣mira] (誰が強いか腕相撲をしてみよう)。 ウ⸢ディ⸣カキ ⸢スン [ʔu⸢di⸣kaki ⸢suŋ] (腕相撲をする) 2923 0 0 2755 htmvoc_2923.wav ウディカキルン ⸣ウディ カ⸢キ⸣ルン [⸣ʔudi kḁ⸢ki⸣ruŋ] 連 腕相撲をする。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸣スルイティ ⸣ウディ カ⸢キ⸣ルンティ ス⸢コーリ ベー [ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸣suriti ⸣ʔudi kḁ⸢ki⸣runti su̥⸢koːri beː] (若者たちは揃って腕相撲をしようと準備している) 2924 0 0 2756 htmvoc_2924.wav ウディカクン ⸣ウディ ⸣カクン [⸣ʔudi ⸣kḁkuŋ] 連 腕相撲をする。 ⸢バン⸣トゥ ⸣ウディ ⸣カクンティ ⸣ウムー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ban⸣tu ⸣ʔudi ⸣kḁkunti ⸣ʔumuː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnuː] (私と腕相撲をしようと思う人はいないか) 2925 0 1 2757 htmvoc_2925.wav ウティクーン ⸣ウティ ⸣クーン [ʔuti ⸣kuːŋ] 連 {Mn_1}落ちてくる。 ⸢ウイラ⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸣ウティクーンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢ʔuira⸣ mu⸢nu⸣nu ⸣ʔutikuːnda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (上から物が落ちてくるから気をつけろ)。 2925 0 2 2758 htmvoc_2925.wav ウティクーン ⸣ウティ ⸣クーン [ʔuti ⸣kuːŋ] 連 {Mn_2}強風が吹き降ろす。 ニ⸢シェーラ⸣ ア⸢ミカジ⸣ヌ ⸣ウティクーン [ni⸢ʃeːra⸣ ʔa⸢mikaʤi⸣nu ⸣ʔutikuːŋ] (北から風雨が叩きつけるように吹き降ろしてくる) 2926 0 1 2759 htmvoc_2926.wav ウティクバシ ⸣ウティクバシ [⸣ʔutikubaʃi] 名 {Mn_1}落ちこぼし。担桶に入れた水を天秤棒で担いで運ぶ際、桶より水がこぼれ落ちること。 ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ ウティクバシ ⸢サン⸣スコー ウ⸢キ⸣ イ⸢リティ⸣ カ⸢タ⸣ミ [⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤi⸣ ʔutikubaʃi ⸢san⸣su̥koː ʔu⸢ki⸣ ʔi⸢riti⸣ ka⸢ta⸣mi] (担桶の水を落ちこぼしせぬよう、ススキの浮きを入れて担げ)。 2926 0 2 2760 htmvoc_2926.wav ウティクバシ ⸣ウティクバシ [⸣ʔutikubaʃi] 名 {Mn_2}見落し 2927 0 0 2761 htmvoc_2927.wav ウティクバリ ⸣ウティクバリ [ʔutikubari] 名 遺漏。不足。失敗。事故。「落ち零れ」の義。 ⸢ソッ⸣コーラ ⸢ニンガイ⸣グトゥ⸢バー⸣キ ⸣ウティクバリヌ ⸢ナーン⸣ヨーニ ⸢シー⸣ シケーバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢sok⸣koːra ⸢niŋgai⸣gutu ⸢baː⸣ki ⸣ʔutikubarinu ⸢naːɲ⸣joːni ⸢ʃiː⸣ʃi̥keːba ⸢soːja naː⸣nu] (法事<焼香>から神願いごとまで不足<落ち\ruby{零}{コボ}し>がないようにしてあるから心配はないよ) 2928 0 0 2762 htmvoc_2928.wav ウティクブシ ⸣ウティクブシ [⸣ʔutikubuʃi] 名 脱漏。遺漏。抜け落ちること。漏れること。 ウ⸢マー⸣ン ⸣クマーン ⸢ティークバ⸣レー ⸢シー⸣ ウティクブシヌ ⸢ナーン⸣ヨーニ ス⸢コーリ⸣バ [ʔu⸢maːŋ⸣ kumaːn ⸢tiːkuba⸣reː ⸢ʃiː⸣ ʔutikubuʃinu ⸢naːŋ⸣joːni su̥⸢koːri⸣ba] (あちらこちらに手配りをして、遺漏<手ぬかり>の無いように準備しなさいよ) 2929 0 0 2763 htmvoc_2929.wav ウディクムン ⸣ウディ ⸣クムン [⸣ʔudi ⸣kumuŋ] 連 腕を組む。腕組みする。 ウ⸢レー⸣ ノー⸢ンナー⸣カ ム⸢ヌカンガイグトゥ⸣ヌ ⸣アル ⸣ピンマー ヤー⸢ディン⸣ ウディ ⸣クムン [ʔu⸢reː⸣ noː⸢nnaː⸣kaː mu⸢nukaŋgaigutu⸣nu ⸣ʔaru ⸣pimmaː jaː⸢dim⸣ ʔudi ⸣kumuŋ] (あれ<彼>は、何か考え事<心配事>がある時は必ず腕を組む) 2930 0 0 2764 htmvoc_2930.wav ウティサカリ ⸣ウティサカリ [⸣ʔutisakari] 名 盛衰。「落ち盛り」の義。 ⸢タッ⸣テーナーン キ⸢ナイヌ⸣ ウティサカレー ア⸢リ⸣ル ブタ [⸢tat⸣teːnaːŋ ki⸢nainu⸣ ʔutisakareː ʔa⸢ri⸣ru ⸣buta] (何処の家にも家庭の盛衰というのはあった<有りぞ居りたり>) 2936 0 0 2765 htmvoc_2936.wav ウディシゥカラ ウ⸢ディシゥカ⸣ラ [ʔu⸢disïka⸣ra] 名 腕力。腕の力。 ウ⸢ディシゥカラ⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ ⸣カイブ ⸣ムヌン ヤシー⸢ヤシーシル⸣ カ⸢タ⸣ム [ʔu⸢disï̥kara⸣nu ⸢suː⸣wanda ⸣kaibu ⸣munuɲ jaʃiː⸢jaʃiːʃiru⸣ kḁ⸢ta⸣mu] (腕力が強いから、こんな物もやすやすと担ぐ) 2937 0 0 2766 htmvoc_2937.wav ウティシキ ウ⸢ティ⸣シキ [ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki] 名 落着き。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ティシキ⸣ヌ ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ mut⸢tu⸣ ʔu⸢tiʃi̥ki⸣nu ⸢naː⸣nu] (この子はちっとも落着きがない) 2938 0 0 2767 htmvoc_2938.wav ウティシキルン ウ⸢ティシキ⸣ルン [ʔu⸢tiʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 落ち着く。「Vochitçuqi,qu,ita.ヲチツキ,ク,イタ(落ち着き,く,いた)定着する。すでに家などを持って定住している」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナルカー ウ⸢ティシキ⸣ルンダ ウ⸢ティシキラン⸣ティ ⸢ソー⸣ ス⸢ナ [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣narukaː ʔu⸢tiʃi̥ki⸣runda ʔu⸢tiʃi̥kiran⸣ti ⸢soː⸣ su⸢na] (子供は大人になったら落ち着くから、落ち着かないといって、心配するな)。 ウ⸢ティシキ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [ʔu⸢tiʃi̥ki⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (落着き早い)。 ウ⸢リヌ⸣ ウ⸢ティシキ⸣ル ⸣クトゥン ⸣アンカヤー [ʔu⸢rinu⸣ ʔu⸢tiʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋkajaː] (あれ<彼>が落ち着くこともあるかねえ)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ティシ⸣キレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢tiʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (もっと落ち着けば良いのに)。 ⸢ワー パー⸣ク ウ⸢ティシキ⸣リ [⸢waː paː⸣ku ʔu⸢tiʃi̥ki⸣ri] (君は早く落ち着きなさいよ) 2932 0 0 2768 htmvoc_2932.wav ウディスーリ ウ⸢ディスー⸣リ [ʔu⸢disuː⸣ri] 名 腕まくり。[ʔudisuŋguri] → [ʔudisuguri] → [ʔudisuːri] のように音韻変化したもの。 バ⸢カー⸣ムノー ウ⸢ディスー⸣レー ⸢シェー⸣ティ パ⸢タラカン⸣カー ⸢ドゥー⸣ヤ ナ⸢マリ⸣ス⸢ダー [ba⸢kaː⸣munoː ʔu⸢disuː⸣ri ⸢ʃeː⸣ti pa⸢tarakaŋ⸣kaː ⸢duː⸣ja na⸢mari⸣su⸢daː] (若者は腕まくりをしながら働かないと体が鈍ってしまうよ) 2941 0 0 2769 htmvoc_2941.wav ウティスクン ウ⸢ティ⸣スクン [ʔu⸢ti⸣su̥kuŋ] 自動 落ち着く。琉歌・組踊り語の「おてつく」『沖縄古語大辞典』の転訛したもの。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ウ⸢ティ⸣スクンパジ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ʔu⸢ti⸣su̥kumpaʤi] (その話を聞いたら落ち着くはずだ)。 トゥ⸢ジ⸣ トゥムカー ウ⸢ティ⸣スクンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ウ⸢ティシゥカン⸣バン [tu⸢ʤi⸣ tumukaː ʔu⸢ti⸣su̥kuŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ʔu⸢tisï̥kam⸣baŋ] (妻を娶ったら落ち着くかなあと思ったが、落ち着かないよ)。 ウ⸢ティ⸣シキ ⸣ミリバ [ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki ⸣miriba] (落ち着いて見ろよ)。 ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [ʔu⸢tisï̥ka⸣nu] (落ち着かない)。 ウ⸢ティ⸣シキ ⸣ミサン [ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki ⸣misaŋ] (落ち着いてよい)。 ウ⸢ティ⸣シキティ [ʔu⸢ti⸣ʃi̥kiti] (落ち着いて)。 ウ⸢ティ⸣スク ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ti⸣su̥ku ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (落ち着くことは出来ない)。 マーン⸢ベーマ⸣ ウ⸢ティシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [maːm⸢beːma⸣ ʔu⸢tiʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (もう少し落ち着けばよのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ティシ⸣キ [⸢paː⸣ku ʔu⸢tiʃi̥⸣ki] (早く落ち着け) 2931 0 0 2770 htmvoc_2931.wav ウディスングリ ウ⸢ディスン⸣グリ [ʔu⸢disuŋ⸣guri] 名 腕まくり。着物の袖口を肩口まで捲り上げること。威勢よく仕事をしたり、何かをしようとするときの姿勢。「腕・選り<藁のはかまを取るをすぐると言ふ>『志不可起き』七」の転訛したものか。ウ⸢ディスー⸣リ[ʔu⸢disuː⸣ri](腕選り)ともいう。 ⸣アボー ウ⸢ディスン⸣グリ シ⸢ティ⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シ ⸢オー⸣ル [⸣ʔaboː ʔu⸢disuŋ⸣guri ʃi̥⸢ti⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ru] (お母さんは腕まくりをして畑を耕しておられる) 2940 0 0 2771 htmvoc_2940.wav ウディダイ ウ⸢ディ⸣ダイ [ʔu⸢di⸣dai] 名 腕力。腕の力。ウ⸢ディ⸣タヤ[ʔu⸢di⸣taja](腕の力)の転訛したもの。 ウ⸢ディダイ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ユンダ ッ⸢ふァー⸣ ダ⸢キユーサヌ [ʔu⸢didai⸣nu ⸢naːɲ⸣junda f⸢faː⸣ da⸢kijuːsanu] (腕の力がないので子供を抱くことが出来ない)。 ウ⸢ディダイ⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ ノー⸢ン シェー⸣ル ⸢ダイバン⸣ユン ⸢ホー⸣シ ア⸢ギルン [ʔu⸢didai⸣nu ⸢suː⸣wanda noː⸢ŋʃeː⸣ru ⸢daibaɲ⸣juŋ ⸢hoː⸣ʃi ʔa⸢gisu] (腕力が強いからいかなる<どんな>大判のカツオでも釣り上げることが出来る) 2933 0 0 2772 htmvoc_2933.wav ウティダカ ウ⸢ティ⸣ダカ [ʔu⸢ti⸣daka] 名 落札高。落札の値段。「落ち高」の義。 ク⸢トゥシヌ イーシ⸣ヌ ウ⸢ティ⸣ダカー ギュー⸣サブカラティ ウ⸢モーリ⸣ワ [ku⸢tuʃinu ʔiːʃi⸣nu ʔu⸢ti⸣dakaː ⸢gjuː⸣sabukarati ʔu⸢moːri⸣wa] (今年のツノマタ<角叉>の落札高はいくらぐらいと考えられるか<思われるか>) 2934 0 0 2773 htmvoc_2934.wav ウディダクン ⸣ウディ ダ⸢クン [⸣ʔudi da⸢kuŋ] 連 腕をこまねく(\ruby{拱}{コマネ}く)。拱手傍観する。「腕抱く」の義。 ウ⸢ディ⸣バ ヤ⸢マ⸣シティル ナー⸢イ⸣ ウディ ダ⸢キ⸣ シ⸢グトゥ シーユーサヌ [ʔu⸢di⸣ba ja⸢ma⸣ʃi̥tiru naː⸢i⸣ ʔudi da⸢ki⸣ ʃi⸢gutu ʃiːjuːsanu] (腕を痛めて、ただ腕をこまねいて<拱いて>仕事をすることが出来ない) 2935 0 1 2774 htmvoc_2935.wav ウティダニ ウ⸢ティ⸣ダニ [ʔu⸢ti⸣dani] 名 {Mn_1}自然に落ちた種子。また、それから生えた稲や麦、豆などの植物。「落ち種」の義。 ク⸢ヌ⸣ マメー ウ⸢ティ⸣ダニ ヤ⸢ルンドゥ⸣ カイニ サ⸢カリ ベー⸠ダー [ku⸢nu⸣ mameː ʔu⸢ti⸣dani ja⸢rundu⸣ kaini sḁ⸢karibeː⸠daː] (この豆は落ちた種から生えたものだが、こんなに生い茂って<萌え盛って>いるよ)。 2935 0 2 2775 htmvoc_2935.wav ウティダニ ウ⸢ティ⸣ダニ [ʔu⸢ti⸣dani] 名 {Mn_2}落としだね<落胤>。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢クニン⸣ヌ ウ⸢ティダニ⸣ヌ シマジ⸢マー⸣ナ ⸢オーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢kunin⸣nu ʔu⸢tidani⸣nu ʃimaʤi⸢maː⸣na ⸢ʔoːt⸣taŋ] (昔は役人の落としだね<落胤>が島々におられた) 2942 0 0 2776 htmvoc_2942.wav ウティナンッサナン ウ⸢ティナン⸣ ッ⸢サ⸣ナン [ʔu⸢tinan⸣ s⸢sa⸣naŋ] 連 男女による交互歌唱するさま。男女掛け合って歌うさま。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢カー⸣ムヌンケーヤ ⸣ユネン ⸣ナルカー ア⸢ツァ⸣マリティ ミ⸢ドゥ⸣ム ⸣ビキドゥム ウ⸢ティナン⸣ ッ⸢サ⸣ナンシー ウ⸢タ⸣バ イ⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸣junennarukaː ʔa⸢ʦa⸣mariti mi⸢du⸣mu ⸣bikidumu ʔu⸢tinan⸣ s⸢sa⸣naŋʃiː ʔu⸢ta⸣ba ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (昔は、若者達は夜になると集まって、男女交互に掛け合って歌を歌われた) 2943 0 0 2777 htmvoc_2943.wav ウティヌカル ⸣ウティヌカル [⸣ʔutinukaru] 名 残り。残余。落ちこぼし。 ⸢ソッコー⸣ヌ ⸣ウティヌカロー ⸢ナーン⸣パジ [⸢sokkoː⸣nu ⸣ʔutinukaroː ⸢naːm⸣paʤi] (法事の落ちこぼし<し残し>は無いはずだ) 2944 0 0 2778 htmvoc_2944.wav ウティプー ウ⸢ティ⸣プー [ʔu⸢ti⸣puː] 名 落穂。 ム⸢カ⸣シェー ニ⸢ングゾー⸣ノー ウ⸢サ⸣ミティ ⸣アトー ウ⸢ティ⸣プー プ⸢サイヤー⸣ティル ッ⸢ふァー⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢niŋguʣoː⸣noː ʔu⸢sa⸣miti ⸣ʔatoː ʔu⸢ti⸣puː pu̥⸢saijaː⸣tiru f⸢faː⸣ sï̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (昔は年貢上納を納めて後に、落穂を拾いながら子供を養育されたそうだ) 2945 0 0 2779 htmvoc_2945.wav ウディプス ⸣ウディプス [⸣ʔudipu̥su] 名 卯年生まれの人。 ⸣バー ウディマリ⸢ダー ワンヌン⸣ ウディプスミー [⸣baː ʔudimari⸢daː wannuŋ⸣ ʔudipu̥sumiː] (私は卯年生まれだよ{EOS}君も卯年生まれの人でしょう?)。 ⸣ウディプソー ⸢チャー ウーサリ アー⸣サリ ⸢シー ブンダ⸣ プ⸢ストー アー⸣ヌ [⸣ʔudipu̥soː ⸢ʧaː ʔuːsari ʔaː⸣sari ⸢ʃiː bunda⸣ pu̥⸢sutoː ʔaː⸣nu] (卯年生まれの人は、常に平身低頭<ぺこぺこ>しているから他人とは喧嘩しない) 2994 0 0 2780 htmvoc_2994.wav ウディマリ ⸣ウディマリ [⸣ʔudimari] 名 卯年生まれ。 ⸢ワー⸣ ウディマリミー [⸢waː⸣ ʔudimarimiː] (君は卯年生まれだろう?)。 アー⸢イ⸣ ウディマレー ア⸢ラ⸣ヌ タ⸢チディマリ [ʔaː⸢i⸣ ʔudimareː ʔa⸢ra⸣nu tḁ⸢ʧidimari] (否、卯年生まれではない{EOS}辰年生まれだ) 2995 0 0 2781 htmvoc_2995.wav ウティムヌ ウ⸢ティ⸣ムヌ [ʔu⸢ti⸣munu] 名 落ちたもの。木の実などが熟れて落下した物。 ⸢バンスル⸣ヌ ナ⸢ル⸣ヌ ウ⸢ティ⸣ムノー カ⸢バッ⸣サンドゥ ッ⸢ふァーランバ⸣ プ⸢サウナ [⸢bansuru⸣nu na⸢ru⸣nu ʔu⸢ti⸣munoː ka⸢bas⸣sandu f⸢faːramba⸣ pu̥⸢sauna] (バンジロウ<蕃石榴・グアバ>の実の落ちたものは香ばしいが食えないから拾うな) 2947 0 0 2782 htmvoc_2947.wav ウディヤライ ウ⸢ディ⸣ヤライ [ʔu⸢di⸣jarai] 名 男女が相手と腕組みすること。腕を交互に交差させること。ヤ⸢ライ[ja⸢rai]はヤ⸢ラウン[ja⸢rauŋ](交叉する{EOS}X型に組み合わせる)の連用形で名詞化したもの。 ウ⸢ディ⸣ヤライ ⸢シー⸣ ニ⸢ブン [ʔu⸢di⸣jarai ⸢ʃiː⸣ ni⸢buŋ] (腕を交差させて寝る) 2948 0 0 2783 htmvoc_2948.wav ウティラウティラ ウ⸢ティ⸣ラウティラ [ʔu⸢ti⸣raʔutira] 副 落ちそうになるさま。今にも落ちそうになる。落ち零れそうになる。 ⸣ティローラ ウ⸢ティ⸣ラウティラ ⸢スン⸣ケン ⸢ウン⸣バ ッ⸢シナ⸣キティ カ⸢タ⸣ミ ⸢アー⸣ク [⸣tiroːra ʔu⸢ti⸣raʔutira ⸢suŋ⸣keŋ ⸢ʔum⸣ba ʃ⸢ʃina⸣kiti kḁ⸢ta⸣mi ⸢ʔaː⸣ku] (笊から今にも落ち零れそうになるほど芋を詰め<差し>込んで担いでいる) 2949 0 0 2784 htmvoc_2949.wav ウティルン ウ⸢ティ⸣ルン [ʔu⸢ti⸣ruŋ] 自動 落ちる。落下する。「落ちる<上一段>」の転訛したもの。 ヨー⸢ヨー キーヌパン⸣ター ⸢ヌーリ⸣ ウ⸢ティ⸣ルン⸢ダー [joː⸢joː kiːnupan⸣taː ⸢nuːri⸣ ʔu⸢ti⸣run⸢daː] (よくよく気をつけろよ{EOS}木のてっぺんに<木の先端>に登って、落ちるぞ)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢ティラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔu⸢tira⸣nu] (いや、落ちないよ)。 ウ⸢ティパジミ⸣ルン [ʔu⸢tipa⸢ʤimi⸣ruŋ] (落ち始める)。 ⸣ウマーラ ウ⸢ティ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔumaːra ʔu⸢ti⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (そこから落ちる人はいない)。 ウ⸢ティ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ti⸣reː ⸣misamunu] (落ちればよいのに)。 ウ⸢ティ⸣リ [ʔu⸢ti⸣ri] (落ちれ、落ちろ) 2950 0 0 2785 htmvoc_2950.wav ウティルン ウ⸢ティルン [ʔu⸢tiruŋ] 他動 鍋、釜、湯沸し(薬缶)などを竈の火の上から下ろす。火のある竈から鍋、釜、薬缶類を移動させる。移す。 ⸢イー⸣ヤ ⸢ニーヤー⸣チバ ⸣ナベー ウ⸢ティリ [⸢ʔiː⸣ja ⸢niːjaː⸣ʧiba ⸣nabeː ʔu⸢tiri] (ご飯は煮えた<炊けた>から鍋は竈から下ろしなさい)。 ⸣ナビウティフチヌ ⸢ナーン⸣カー イ⸢ツァー⸣ヌ ウ⸢ティララヌ [⸣nabiʔutiɸu̥ʧinu ⸢naːŋ⸣kaː ʔi⸢ʦaː⸣nu ʔu⸢tiraranu] (鍋取り<靴>がないと熱くて竈から下ろせない)。 ⸣ナベー ウ⸢ティティ⸣ ヤコン シ⸢キリ⸣バ [⸣nabeː ʔu⸢titi⸣ jakoŋ ʃi̥⸢kiri⸣ba] (鍋は竈から移し下ろして薬缶を掛けなさい)。 マ⸢ナ⸣マ ウ⸢ティルンティ⸣ ウムイ⸢ベー [ma⸢na⸣ma ʔu⸢tirunti⸣ ʔumui⸢beː] (今すぐ竈から鍋を移そう<下ろそう>と思っている)。 ウ⸢ティル⸣ ピンマー ⸣ナビウティフチシ カ⸢サミ⸣バ [ʔu⸢tiru⸣ pimmaː ⸣nabiʔutiɸu̥ʧiʃi ka⸢sami⸣ba] (鍋を下ろすときは鍋取り<靴>で掴みなさい)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ティレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢tireː⸣ misamunu] (早く鍋を竈から下ろせばよいのに) 2871 0 0 2786 htmvoc_2871.wav ウティンガビ ウ⸢ティン⸣ガビ [ʔu⸢tiŋ⸣gabi] 名 かみぜに(紙銭)。銭型を金属製や木製のカ⸢ビシキンガニ[ka⸢biʃikiŋgani](紙搗き器具)で馬糞紙に銭形を打ちつけたもの。後生の通貨といわれている。縦横約17,5センチの馬糞紙を二つ折りにし、一段に5個の銭型を10段打ちつけたもの。法事で祖霊を送る際に、仏前に供えた紙銭を焼いて後生へ送る。後生で祖霊たちが金銭に困らないようにとの気持ちが込められているという。 ム⸢カ⸣シェーラ ウ⸢ティン⸣ガビ ウ⸢ティ⸣プソー サ⸢ク⸣シヌ シ⸢グトゥ⸣ティ キ⸢マリブタ [mu⸢ka⸣ʃeːra ʔu⸢tiŋ⸣gabi ʔu⸢ti⸣pu̥soː sḁ⸢ku⸣ʃiti ki⸢maributa] (昔から紙銭を打つ人は長男<嫡出子>と決まっていた)。⸢ピン⸣ガン[⸢piŋ⸣gaŋ](彼岸、春分と秋分)のときに焼き上げる紙銭だけは、代々の祖先とは別にして、贈られた死者個人のワ⸢タ⸣クサー[wa⸢ta⸣kusaː](へそくり)だから、決して忘れるなといわれていた。親戚の法事には、紙銭三枚と線香<板香>三枚、花米三合を供物として送り届けた。紙銭の原料は古畳の藁が利用されるという。子孫は紙銭を祈願の後、バ⸢サ⸣ヌ ⸣ウディ[ba⸢sa⸣nu ⸣ʔudi](芭蕉の葉柄)で作った、カ⸢ビヤキドング[ka⸢bijakidoŋgu](紙銭を焼く道具)を⸢ビン⸣ダライ[⸢bin⸣darai](金属製の洗面器)に置いて、⸢ユシ⸣キパシ[⸢juʃi̥⸣kipaʃi](生ススキの箸)で挟みながら焼きあげることを忘れなかった。これを、老年層は、ウ⸢ティン⸣ガビ ⸣アビ ⸢オースン[ʔu⸢tiŋ⸣gabi ⸣ʔabi ⸢ʔoːsuŋ](紙銭を焼い<炙っ>て差し上げる)という 2952 0 0 2787 htmvoc_2952.wav ウティンギサン ウ⸢ティン⸣ギサン [ʔu⸢tiŋ⸣gisaŋ] 連 落ちそうである。 ⸢キーヌ⸣ ウイナ ⸢ヌーリ ベー⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ティン⸣ギサンダ ⸢パー⸣ク ウ⸢ラ⸣シ [⸢kiːnu⸣ ʔuina ⸢nuːri beː⸣ ja⸢ra⸣beː ʔu⸢tiŋ⸣gisanda ⸢paː⸣ku ʔu⸢ra⸣ʃi] (木の上に登っている子供は落ちそうだから、早く降ろせ) 3013 0 0 2788 htmvoc_3013.wav ウトー ⸣ウトー [⸣ʔutoː] 名 (人)人名。女性の名前。 ⸢ヨー⸣カヤーナール ⸣ウトンマー ⸢オーッ⸣タ [⸢joː⸣kajaːnaːru ⸣ʔutommaː ⸢ʔoːt⸣ta] (西原家に<ぞ>ウト姉さんはおられた) 2977 0 1 2789 htmvoc_2977.wav ウドースン ウ⸢ドースン [ʔu⸢doːsuŋ] 他動 {Mn_1}\ruby{脅}{オド}す。恐れさせる。驚かす。怖がらせる。 ウ⸢リン⸣ ウ⸢ドーサリティ⸣ ベーシ⸢ティ⸣ ウ⸢ダラ⸣キ シ⸢ルダリシーナー⸣ヌ [ʔu⸢riŋ ʔu⸢doːsariti⸣ beːʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢dara⸣ki ʃi⸢rudari ʃiːnaː⸣nu] (そいつに脅されて、びっくりして体中の力が抜けて筋がだれてしまった)。 ウ⸢ドーサヌ [ʔu⸢doːsanu] (脅さない)。 ウ⸢ドーシ⸣ プサン [ʔu⸢doːʃi⸣pu̥saŋ] (脅したい)。 ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ドースン [⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢doːsuŋ] (私も脅す)。 ウ⸢ドース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢doːsu⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (脅してはならない<脅すことはならぬ>)。 ウ⸢ドーシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢doːʃeː⸣ misamunu] (脅せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ドーシ [⸢paː⸣ku ʔu⸢doːʃi] (早く脅せ)。 2977 0 2 2790 htmvoc_2977.wav ウドースン ウ⸢ドースン [ʔu⸢doːsuŋ] 他動 {Mn_2}どやす。 ⸣アイニ ウ⸢ドーサンドー⸣シ ナ⸢ラー⸣シバ [⸣ʔaini ʔu⸢doːsandoː⸣ʃi na⸢raː⸣ʃiba] (あんなにどやさないで教えなさいよ) 2955 0 1 2791 htmvoc_2955.wav ウトゥ ウ⸢トゥ [ʔu⸢tu] 名 {Mn_1}音。 ウ⸢トゥヌ⸣ グ⸢マー⸣ヌ シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢tunu⸣ gu⸢maː⸣nu sï̥⸢karanu] (音が小さくて聞こえない)。 ウ⸢トー マイ⸣ヤン [ʔu⸢toː mai⸣jaŋ] (音は大きい)。 2955 0 2 2792 htmvoc_2955.wav ウトゥ ウ⸢トゥ [ʔu⸢tu] 名 {Mn_2}評判。うわさ(噂)。有名になること。好評、悪評にも用いる。 ウ⸢トゥンジ マイ⸣フナー [ʔu⸢tunʤi mai⸣ɸunaː] (評判の高い働き者、優れ者)。 2955 0 3 2793 htmvoc_2955.wav ウトゥ ウ⸢トゥ [ʔu⸢tu] 名 {Mn_3}音信。 ウ⸢トゥン ブインナーヌ⸣ヌ <ビーンナーヌ⸣ヌ> ⸢ヌー⸣シル ⸢シェー⸣テイ ⸢アー⸣ク ⸣カヤー [ʔu⸢tum buinnaːnu⸣nu ⸢nuː⸣ʃiru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kukajaː] (何の音沙汰もないが<音も声もないが>どうしているんだろうか<何をして生活しているだろうか>) 2959 0 0 2794 htmvoc_2959.wav ウトゥーシ ウ⸢トゥー⸣シ [ʔu⸢tuː⸣ʃi] 名 遥拝。遠くにいます神仏に方角を定めて供物を供え、祈願すること。友利御嶽から、ピナイ御嶽、アラカー御嶽、ニシドー御嶽へ向かって供物を供えて遥拝すること。法事にもいう。 ク⸢トゥシヌ ソーラン⸣マー ⸢キーユーサン⸣パジ ヤ⸢ルンダー タンカー⸣ トゥリ マ⸢チティ ニン⸣ガイ ⸢シー⸣バ⸢ヨー [ku̥⸢tuʃinu soːram⸣maː ⸢kiːjuːsam⸣paʤi ja⸢rundaː taŋkaː⸣ turi ma⸢ʧiti niŋ⸣gai ⸢ʃiː⸣ba⸢jo] (今年のお盆には来ることが出来ないはずだから、真直ぐに方向を定めて供物を供えて遥拝<祈願を>しなさいね) 2894 0 0 2795 htmvoc_2894.wav ウトゥガイ ウ⸢トゥ⸣ガイ [ʔu⸢tu⸣gai] 名 おとがい(頤)。下顎の先。 ヤ⸢ラ⸣ベー ク⸢ルビティル⸣ ウ⸢トゥ⸣ガイ バ⸢リ⸣シケーバン [ja⸢ra⸣beː ku⸢rubitiru⸣ ʔu⸢tu⸣gai ba⸢ri⸣ʃi̥keːbaŋ] (子供は転んで\ruby{頤}{オトガイ}を打って痛めてあるわい) 2961 0 0 2796 htmvoc_2961.wav ウドゥカスン ウ⸢ドゥカ⸣スン [ʔu⸢duka⸣suŋ] 他動 欠損させる。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー プ⸢ス⸣ ウ⸢ドゥカ⸣スン⸢ダー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː pu̥⸢su⸣ ʔu⸢duka⸣sun⸢daː] (あんあことをすると他人を欠損させるよ)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢ドゥカサ⸣ヌ [ʔaː⸢ji⸣ ʔu⸢dukasa⸣nu] (いや、欠損させない)。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢ドゥカ⸣シ ⸣ミサン [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢duka⸣ʃi ⸣misaŋ] (あいつ<それ>は欠損させてもいいよ)。 ウ⸢ドゥ⸣カシェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢duka⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (欠損させてはならない)。 ウ⸢ドゥカ⸣シバ [ʔu⸢duka⸣ʃiba] (欠損させなさいよ)。ウ⸢ルカ⸣スン[ʔu⸢ruka⸣suŋ]ともいう 2962 0 0 2797 htmvoc_2962.wav ウドゥキルン ウ⸢ドゥキ⸣ルン [ʔu⸢duki⸣ruŋ] 自動 欠損する。 ⸣ドゥク ユ⸢ク⸣ スクカー ウ⸢ドゥキ⸣ルン⸢ダー [⸣duku ju⸢ku⸣ su̥kukaː ʔu⸢duki⸣run⸢daː] (あんまり欲張ると<欲つくと>欠損するぞ)。 ウ⸢ドゥキラ⸣ヌ [ʔu⸢dukira⸣nu] (欠損しない)。 ウ⸢ドゥ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢du⸣ki ⸢naː⸣nu] (欠損してしまった)。 ウ⸢ドゥキ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢duki⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (欠損することはない)。 ウ⸢ドゥキ⸣レー ミサムヌ [ʔu⸢duki⸣reː ⸣misamunu] (欠損すればよいのに)。 ウ⸢ドゥキ⸣リ [ʔu⸢duki⸣ri] (欠損せよ) 2965 0 0 2798 htmvoc_2965.wav ウトゥクマリ ウ⸢トゥク⸣マリ [ʔu⸢tuku⸣mari] 名 男子。男として生まれているもの。「男生まれ」の義。ブ⸢ナジマリ[bu⸢naʤimari](女生まれ)の対義語。ニ⸢ガイ⸣フチ[ni⸢gai⸣ɸuʧi](祝詞{EOS}祈願の時に唱える言葉)などに用いられる言葉。日常会話では使用しない 2963 0 0 2799 htmvoc_2963.wav ウドゥクン ウ⸢ドゥ⸣クン [ʔu⸢du⸣kuŋ] 自動 欠損する。ウ⸢ドゥキ⸣ルン[ʔu⸢duki⸣ruŋ]と同じ。 ユ⸢ク⸣ スクカー ウ⸢ドゥ⸣クン [ju⸢ku⸣ su̥kukaː ʔu⸢du⸣kuŋ] (欲張ると欠損する)。 ウ⸢ドゥカ⸣ヌ [ʔu⸢duka⸣nu] (欠損しない)。 ウ⸢ドゥ⸣キティ ⸢ピン⸣ギ ⸣パレーン [ʔu⸢du⸣kiti ⸢piŋ⸣ gi pareːŋ] (欠損して逃げて行った)。 ウ⸢ドゥ⸣ク ⸣クトゥン ⸣アン [ʔu⸢du⸣ku ⸣kutuŋ ʔaŋ] (欠損することもある)。 ウ⸢ドゥ⸣ケーカー [ʔu⸢du⸣keːkaː] (欠損したのなら)。 ウ⸢ドゥ⸣キ [ʔu⸢du⸣ki] (欠損しろ)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢キ⸣ナイナ ウ⸢ドゥ⸣キティル マ⸢チヤーヤ トー⸣レーツォー [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ki⸣naina ʔu⸢du⸣kitiru ma⸢ʧijaːja toː⸣reːʦoː] (その商売にしくじり、欠損をして店はつぶれた<倒れた>そうだ) 2966 0 0 2800 htmvoc_2966.wav ウトゥザ ウ⸢トゥ⸣ザ [ʔu⸢tu⸣ʣa] 名 親戚。親類。「弟兄」の転訛したものか。共通の先祖からでた「兄弟の間柄」の意であろう。 ウ⸢トゥ⸣ザティ ⸢シー⸣ アイニ プ⸢スヌ ニーラリン⸣ツォカー ビッ⸢ツティ ニーブ [ʔu⸢tu⸣ʣati ⸢ʃiː⸣ ʔaini pu̥⸢sunu niːrariŋ⸣ʦokaː bit⸢ʦuti niːbu] (親戚だからといって人があんなにも似られるものだろうか{EOS}そっくり似ているよ)。 ウ⸢トゥザ⸣ドゥ ヤ⸢ルヌ⸣ ッ⸢サン⸣ ブ⸢レー⸣バン⸢ナー [ʔu⸢tuʣa⸣ du ja⸢runu⸣ s⸢sam ⸣ bu⸢reː⸣ban⸢naː] (親戚だのに知らずにいたのだなあ)。 ⸢ワッ⸣テートゥ ⸢バン⸣テーヤ ウ⸢トゥ⸣ザ⸢ダー [⸢wat⸣teːtu ⸢ban⸣teːja ʔu⸢tu⸣ʣa⸢daː] (君の家と私の家は親戚だよ)。親戚関係にある家には法事の際に⸢コー⸣パナ[⸢koː⸣pana](線香と花米三合)を贈る習慣があった 9260 0 0 2801 htmvoc_9260.wav ウトゥザズルイ ウ⸢トゥザズルイ [ʔu⸢tuʣaʣurui] 名 親族会議。親戚の集まり 2970 0 0 2802 htmvoc_2970.wav ウトゥサタ ウ⸢トゥ⸣サタ [ʔu⸢tu⸣sata] 名 音沙汰。消息。 ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッ⸣タ ⸢ター⸣ナ ウヌッ⸢キリ⸣ ウ⸢トゥ⸣サタン ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢ヌー⸣シ ナリ⸢ブー⸣ユー ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラン⸣バン [ʔu⸢ki⸣naː ⸢pat⸣ta ⸢taː⸣na ʔunuk⸢kiri⸣ ʔu⸢tu⸣satan ⸢naː⸣nunu ⸢nuː⸣ʃi nari⸢buː⸣juː ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ram⸣baŋ] (沖縄へ行ったまま、それっきり音沙汰もないが、どうなっているのか心配でならないわい) 2967 0 0 2803 htmvoc_2967.wav ウトゥザマリ ウ⸢トゥザマリ [ʔu⸢tuʣamari] 名 親戚。親類。「おとせざ(弟兄者)・生まれ」の転訛したものか。「親戚の血をを引く面立ち<生まれ>」の意。 ⸢ベー⸣ヨー ウ⸢トゥザマリ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ッサン⸢コーラ⸣シ ⸢アーカン⸣ドーシ ⸢バン⸣テン ⸣マーラン ⸢マーリ⸣ クーバ [⸢beː⸣joː ʔu⸢tuʣamari⸣ ja⸢runda⸣ ssaŋ⸢koːra⸣ʃi ⸢ʔaːkan⸣doːʃi ⸢ban⸣teːm ⸣maːram ⸢maːri⸣ kuːba] (我々はねえ、親戚だから知らん振りしていないで、私の家のあたりにも回って来なさいよ) 2968 0 0 2804 htmvoc_2968.wav ウトゥザムイサン ウ⸢トゥ⸣ザムイサン [ʔu⸢tu⸣ʣamuisaŋ] 形 親戚思いである。親戚を大切にする。⸣-ムイサン[⸣-muisan](~がる{EOS}~親しく思う{EOS}~親しくしたがる)は接尾語。 ⸣シザムイサン [⸣ʃiʣamuisaŋ] (兄を兄として敬愛したがる)。⸢キョー⸣ダイムイサン[⸢kjoː⸣daimuisaŋ](兄弟を深く愛し、よく面倒をみたがる)のように親族語彙や感覚や感情を表す形容詞に付いて、それらを愛し、慈しむ心情を表す。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢トゥ⸣ザムイサンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ウ⸢トゥザムイサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢tu⸣ʣamuisanti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ʔu⸢tuʣamuisaː naː⸣nu] (彼は非常に親戚思いであると聞いたが、あまり親戚思いではない)。 ウ⸢トゥ⸣ザムイサ ⸣ナリケーン [ʔu⸢tu⸣ʣamuisa ⸣narikeːŋ] (親戚思いになってきた)。 ⸣アイニ ウ⸢トゥ⸣ザムイサー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ʔu⸢tu⸣ʣamuisaː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのような親戚思いの人はいない) 2969 0 0 2805 htmvoc_2969.wav ウトゥザンケーン ウ⸢トゥ⸣ザンケーン [ʔu⸢tu⸣ʣaŋkeːŋ] 名 親類縁者たち。親戚の者たち。⸣-ケーン[⸣-keːŋ](~たち)は複数を表す接尾語で、丁寧や尊敬の意味をもつ。 ウ⸢トゥ⸣ザンケーン ムー⸢ル⸣ニ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリティ⸣ シゥ⸢カシ⸣クー [ʔu⸢tu⸣ʣaŋkeːm muː⸢ru⸣ni ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sariti⸣ si̥⸢kaʃi⸣kuː] (親戚縁者の皆に申し上げて、ご案内して<お連れして>来なさい) 2971 0 0 2806 htmvoc_2971.wav ウトゥシ ウ⸢トゥ⸣シ [ʔu⸢tu⸣ʃi] 名 みぞおち(鳩尾)。みずおち。 ウ⸢トゥシ⸣ヨー ス⸢クモー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢tuʃi⸣joː su̥⸢kumoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (みぞおちを突くものではない) 2972 0 0 2807 htmvoc_2972.wav ウトゥシアナ ウ⸢トゥシ⸣アナ [ʔu⸢tuʃi⸣ʔana] 名 落とし穴。 ウ⸢トゥシ⸣アナ ⸣プリティ ⸣カマイ ウ⸢タ⸣シティ シゥ⸢カ⸣ムン [ʔu⸢tuʃi⸣ʔana ⸣puriti ⸣kamai ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti si̥⸢ka⸣muŋ] (落とし穴を掘って猪を落として捕獲する<捕まえる>) 2973 0 0 2808 htmvoc_2973.wav ウトゥシダニ ウ⸢トゥシ⸣ダニ [ʔu⸢tuʃi⸣dani] 名 落胤。「落とし種」の義。⸢グンボー⸣ッふァ[⸢gumboːf⸣fa](混血児{EOS}士族と平民の合いの子)ともいう。 ⸢バン⸣ター イ⸢サナキヌ⸣ ヤ⸢クニン⸣ヌ ウ⸢トゥシダニ⸣ヌ マーッふァ⸢ダー [⸢ban⸣taː ʔi⸢sanakinu⸣ ja⸢kunin⸣nu ʔu⸢tuʃidani⸣nu maːffa⸢daː] (私たちは石垣の役人の落胤の子孫だよ) 2974 0 0 2809 htmvoc_2974.wav ウトゥシヌヤン ウ⸢トゥシ⸣ヌ ⸣ヤン [ʔu⸢tuʃi⸣nu ⸣jaŋ] 連 胃の\ruby{病}{ヤマイ}。「みぞおちの病」の義。 ウ⸢トゥシ⸣ヌ ⸢ヤン⸣ヌ ウ⸢ク⸣リティ ⸢ンニフチ⸣ カ⸢ミ⸣ル ヤム⸢ツォー [ʔu⸢tuʃi⸣nu ⸢jan⸣nu ʔu⸢ku⸣riti n⸢niɸu̥ʧi⸣ ka⸢mi⸣ru jamu⸢ʦoː] (胃の病がおこって鳩尾<みぞおち>を刺すように<噛むように>痛むのですよ) 2996 0 0 2810 htmvoc_2996.wav ウトゥジリ ウ⸢トゥ⸣ジリ [ʔu⸢tu⸣ʤiri] 名 音信。便り。石垣方言からの借用語か。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ ウ⸢トゥ⸣ジリン ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸣ミサーレーティ ⸢アー⸣クンカヤー [ʔu⸢ki⸣naːranu ʔu⸢tu⸣ʤirin ⸢naːnu⸣nu ⸣misaːreːti ⸢ʔaː⸣kuŋkajaː] (沖縄からの音信も無いが、元気で過ごしているかねえ) 2978 0 0 2811 htmvoc_2978.wav ウトゥダカーン ウ⸢トゥダカー⸣ン [ʔu⸢tudakaː⸣ŋ] 形 名高い。有名である。「音が高い」の義。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ア⸢バ⸣レーンティ ⸢シー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢トゥダカー⸣ン [ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣moː ʔa⸢ba⸣reːnti ⸢ʃiː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢tudakaː⸣ŋ] (その女は美しいといって非常に名高い<有名である>)。 ウ⸢トゥダカー⸣カー ス⸢バー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢tudakaː⸣kaː su⸢baː⸣ pa⸢rara⸣nu] (有名であるなら側へは行けない)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢バ⸣レーンティ ⸢ヤイマズー⸣ナ ウ⸢トゥダカーン⸣<ウ⸢トゥンジ⸣ブー>ティ⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ba⸣reːnti ⸢jaimaʣuː⸣na ʔu⸢tudakaːn⸣<ʔu⸢tunʤi⸣buː>ti⸢daː] (その人は非常に美しいといって八重山中に有名だ<名高い>そうだよ) 2998 0 0 2812 htmvoc_2998.wav ウトゥナッサン ウ⸢トゥナッ⸣サン [ʔu⸢tunas⸣saŋ] 形 おとなしい。ウ⸢トゥナ⸣サン[ʔu⸢tuna⸣saŋ](おとなしい)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふヮー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢トゥナッ⸣サン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢tunas⸣saŋ] (この子は非常におとなしい)。 ウ⸢トゥナッサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢tunassaː naː⸣nu] (おとなしくない)。 トゥ⸢シ⸣トゥ ⸢アー⸣シ ⸢シンダイ⸣ ウ⸢トゥナッ⸣サ ⸣ナリクーン [tu̥⸢ʃi⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi ⸢ʃindai⸣ ʔu⸢tunas⸣sa ⸣narikuːŋ] (年を取るに連れて次第におとなしくなってくる)。 ウ⸢トゥナッ⸣サールプ⸢ス [ʔu⸢tunas⸣saːru pu̥⸢su] (大人しい人)。 ウ⸢トゥナッ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢tunas⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (おとなしいことは無い)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢トゥナッ⸣サカー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢tunas⸣sakaː ⸣misamunu] (もっとおとなしければいいのに) 2999 0 0 2813 htmvoc_2999.wav ウトゥム ウ⸢トゥ⸣ム [ʔu⸢tu⸣mu] 名 お供。 ⸢シンシー⸣ヌ ウ⸢トゥ⸣ム ⸢シール⸣ ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッ⸣タ [⸢ʃiŋʃiː⸣nu ʔu⸢tu⸣mu ⸢ʃiːru⸣ ʔu⸢ki⸣naː ⸢pat⸣ta] (先生のお供をして<ぞ>沖縄へ行った) 3316 0 0 2814 htmvoc_3316.wav ウトゥメー ウ⸢トゥ⸣メー [ʔu⸢tu⸣meː] 固 (人)平民子女の名前。 ⸢ワッ⸣テヌ ウ⸢トゥメー⸣トゥ ⸢バン⸣テヌ ⸢モーシェートー⸣ ユ⸢ヌ⸣トゥシ ヤ⸢レー⸣バン⸢ナー [⸢wat⸣tenu ʔu⸢tumeː⸣tu ⸢ban⸣tenu ⸢moːʃeːtoː⸣ ju⸢nu⸣tuʃi ja⸢reː⸣ban⸢naː] (お宅の<貴方の家の>ウトゥメーさんと私の家のモーシェーとは同じ年だったんだねえ)。 ウ⸢トゥ⸣メー ⸢マー パッ⸣ター [ʔu⸢tu⸣meː ⸢maː pat⸣taː] (ウトゥメーは何処へいったのですか) 3001 0 0 2815 htmvoc_3001.wav ウトゥルイルン ウ⸢トゥルイ⸣ルン [ʔu⸢trui⸣ruŋ] 自動 衰える。 ⸢ウイ⸣プス ⸢ナッ⸣ター ⸢ミー⸣ユン ⸢ヨー⸣リ シゥ⸢カラン⸣ ウ⸢トゥルイパジ⸣ミ ⸢ナーン⸣バン [⸢ʔui⸣pusu ⸢nat⸣taː ⸢miː⸣juɲ ⸢joː⸣ri sï̥⸢karaŋ⸣ ʔu⸢turuipaʤi⸣mi ⸢naːm⸣baŋ] (老人になったので目も弱り、力も衰えはじめてしまったわい<衰えはじめてないわい>) 3005 0 0 2816 htmvoc_3005.wav ウトゥルサン ウ⸢トゥル⸣サン [ʔu⸢turu⸣saŋ] 形 恐ろしい。怖い。沖縄首里方言からの借用語。 ウ⸢リヌ クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ナ⸢クラー⸣ンアリ ウ⸢トゥル⸣サン ⸣アン [ʔu⸢rinu kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː na⸢kuraː⸣ŋ ⸣ʔari ʔu⸢turu⸣saŋ ⸣ʔaŋ] (彼<あれ>が怒ると怖くもあり、恐ろしくもある) 3000 0 0 2817 htmvoc_3000.wav ウトゥルムチ ⸣ウトゥルムチ [⸣ʔuturumuʧi] 名 接待。「お取り持ち」の義。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ウイヌ プスヌ オー⸣ルンダ ⸣ユー ウ⸢トゥル⸣ムチ ⸢シー オーラ⸣シ⸢ヨー [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔuinu pu̥sunu ʔoː⸣runda ⸣juː ʔu⸢turu⸣muʧi ⸢ʃiː ʔoːra⸣ʃi⸢joː] (今日は上役の方がいらっしゃるから、よくお持て成しして差し上げなさいよ) 3006 0 0 2818 htmvoc_3006.wav ウトゥルン ウ⸢トゥ⸣ルン [ʔu⸢tu⸣ruŋ] 自動 劣る。 ⸢キョーダイ⸣サナー ⸣シザー ⸢ウシ⸣トーラ ス⸢ブ⸣ロー ウ⸢トゥリ⸣ス [⸢kjoːdai⸣sanaː ⸣ʃiʣaː ⸢ʔuʃi̥⸣toːra su⸢bu⸣roː ʔu⸢turi⸣su] (兄弟同士では兄は弟よりも能力は<頭は>劣る)。 ⸣トゥシェー ⸢トゥッ⸣タンティン ス⸢ブ⸣ロー ⸢ワー⸣ラー ウ⸢トゥラン⸣バン [⸣tu̥ʃeː ⸢tut⸣tantin su⸢bu⸣roː ⸢waː⸣raː ʔu⸢turam⸣baŋ] (年はとっても頭は君よりは劣らないわい)。 ウ⸢トゥ⸣ル バソー [ʔu⸢tu⸣ru basoː] (劣るときは)。 ウ⸢トゥ⸣レー ミサムヌ [ʔu⸢tu⸣reː misamunu] (劣ればよいのに)。 ウ⸢トゥリ⸣リ [ʔu⸢turi⸣ri] (劣れろ) 2918 0 0 2819 htmvoc_2918.wav ウトゥン ⸣ウトゥン [⸣ʔutuŋ] 他動 打つ。叩く。 ⸢タイ⸣ク ⸣ウトゥン [⸢tai⸣ku ⸣ʔutuŋ] (太鼓を打つ)。 ウ⸢タ⸣ヌ [ʔu⸢ta⸣nu] (打たない)。 ウ⸢ティ⸣ プサン [ʔu⸢ti⸣ pu̥saŋ] (打ちたい)。 ス⸢クマ⸣ヌ ⸣クンケンマー ⸢タイ⸣ク ⸣ウトゥ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [su̥⸢kuma⸣nu ⸣kuŋkemmaː ⸢tai⸣ku ⸣ʔutu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (スクマが来るまでは太鼓は打つことは出来ない)。 ⸣ウテー ミサムヌ [⸣ʔuteː ⸣misamunu] (打てばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ウティバ [⸢paː⸣ku ⸣ʔutiba] (早く打ちなさいよ)。 ⸢タイ⸣ク ⸣ウティ ⸣ミサカー ⸣ウトゥクトー ナ⸢ル⸣ヌ シ⸢マッサ⸣ルナーヤ ⸢タイ⸣コー ウ⸢タ⸣ヌ <ドゥ⸢ランドゥ⸣ ウトゥ> [⸢tai⸣ku ⸣ʔuti ⸣misakaː ⸣ʔutu ⸣ku̥toː na⸢ru⸣nu ʃi⸢massa⸣runaːja ⸢tai⸣koː ʔu⸢ta⸣nu ] (太鼓を打って良ければ打つことは出来るが、シマクサラシの祭りでは太鼓は打たない)。 ドゥ⸢ラーン⸣ ウトゥ プ⸢ソー ター⸣ヤ [du⸢raːŋ⸣ ʔutu pu̥⸢soː taː⸣ja] (銅鑼を打つ人は誰か)。 ドゥ⸢ラーン⸣ ウテー ⸣ミサムヌ [du⸢raːŋ⸣ ʔuteː ⸣misamunu] (銅鑼を打てば良いのに)。 ドゥ⸢ラーン⸣ ウティバ [du⸢raːŋ⸣ ʔutiba] (銅鑼を打てよ) 2919 0 0 2820 htmvoc_2919.wav ウトゥン ⸣ウトゥン [⸣ʔutuŋ] 自動 落ちる。落下する。⸢落ち<上二段>」、「~我が手觸れなな土に於知母可毛<オチモカモ>。万、4418」の転訛したもの。ウ⸢ティ⸣ルンとも言う。 ⸢キーヌパン⸣ターラ ⸣ウトゥン [⸢kiːnupan⸣taːra ⸣ʔutuŋ] (梢<木の先端から>から落ちる)。 イッ⸢カ⸣ ウ⸢タン⸣ティ ア⸢ザバン⸣ カ⸢ジヌ⸣ フクカー ⸣ウトゥ ⸣クトー ワ⸢カリ⸣ ブー [ʔik⸢ka⸣ ʔu⸢tan⸣ti ʔa⸢ʣabaŋ⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸣ʔutu ⸣ku̥toː wa⸢kari⸣ buː] (決して落ちないといっても、風が吹いたら落ちることは分っている)。 キサー⸢ティ⸣ ウティ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ ʔuti ⸢naː⸣nu] (既に落ちてしまった)。 ⸣ウマーラ ⸣ウテー ⸣ミサムヌ [⸣ʔumaːra ⸣ʔuteː ⸣misamunu] (そこから落ちればいいのに)。 ⸣ワンザーヤ ⸣ウティバ [⸣wanʣaːja ⸣ʔutiba] (お前は落ちろ)。 ⸢キーヌ⸣ ウイラ ⸣ウトゥン [⸢kiːnu⸣ ʔuira ⸣ʔutuŋ] (木の上から落ちる)。 ⸣バー ウ⸢タン⸣シェン [⸣baː ʔu⸢taŋ⸣ʃeŋ] (私は落ちなかった)。 ⸣ウティ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔuti ⸢naː⸣nu] (落ちてしまった)。 ⸣ウトゥ ⸣クトゥン ⸣アン [⸣ʔutu ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (落ちることもある)。 ⸣ウマーラ ⸣ウテー ⸣ミサムヌ [⸣ʔumaːra ⸣ʔuteː ⸣misamunu] (そこから落ちれば良いのに)。 ⸣ウマーラ⸣ ウティバ [⸣ʔumaːra ⸣ʔutiba] (そこから落ちろ)。 ⸣ウマーラー ウ⸢タ⸣ヌティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ウティ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔumaːraː ʔu⸢ta⸣nuti ʔu⸢muːtan⸣du ʔuti⸢naː⸣nu] (そこからは落ちないと思ったが落ちてしまった)。 ⸣ウマーラ ⸣ウトゥ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔumaːra ⸣ʔutu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (そこから落ちる人はいない)。 ⸣ウテー ⸣ミサムヌ [⸣ʔuteː ⸣misamunu] (落ちれば良いのに)。 ⸣ウティバ [⸣ʔutiba] (落ちろ) 2954 0 0 2821 htmvoc_2954.wav ウトゥン ウ⸢トゥン [ʔu⸢tun] 他動 鍋、釜、湯沸し(薬缶)などを竈の火の上から移す。下ろす。ウ⸢ティルン[ʔu⸢tiruŋ](鍋を竈から下ろす)と同じ。 ⸣ナビ ウ⸢トゥン [⸣nabi ʔu⸢tuŋ] (鍋を竈から下ろす)。 ウ⸢タヌ [ʔu⸢tanu] (下ろさない)。 ⸢イー⸣ナベー ウ⸢ティティ⸣ スー バ⸢カシ [⸢ʔiː⸣nabeː ʔu⸢titi⸣ suː ba⸢kaʃi] (羽釜<飯鍋>を竈から下ろしてお汁を炊け)。 ⸣ナビ ウ⸢トゥ⸣ ピンマー ⸣ナビ ウ⸢ティフチ⸣シ カ⸢サミ⸣バ [⸣nabi ʔu⸢tu⸣ pimmaː ⸣nabi ʔu⸢tiɸuʧi⸣ʃi ka⸢sami⸣ba] (鍋を下ろす時は鍋とり草鞋<靴>で掴みなさい)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢テー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢teː⸣ misamunu] (早く鍋を下ろせばよいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸣ナビ ウ⸢ティ⸣バ [⸣duːʃi ⸣nabi ʔu⸢ti⸣ba] (自分で鍋を竈から下ろせ)。竈から鍋を移す。鍋を竈から下ろす。ウ⸢ティルン[ʔu⸢tiruŋ](竈から鍋を移す)ともいう。 ⸣ナビ ウ⸢トゥンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ウ⸢タラヌ [⸣nabi ʔu⸢tunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ʔu⸢taranu] (鍋を竈から移そう<下ろそう>と思うが、今は移されない<下ろされない>)。 ⸣ナビ ウ⸢ティ⸣ミサカー ウ⸢トゥ⸣ クトー ⸣ナルン [⸣nabi ʔu⸢ti⸣misakaː ʔu⸢tu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (鍋を竈から移して<下ろして>よければ移す<下ろす>ことは出来る)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢テー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢teː⸣ misamunu] (早く鍋を竈から移せばいいのに)。 ア⸢バティ⸣ ナビ ウ⸢ティ [ʔa⸢bati⸣ nabi ʔu⸢ti] (急いで鍋を竈から下ろせ) 3010 0 0 2822 htmvoc_3010.wav ウドゥン ⸣ウドゥン [⸣ʔuduŋ] 名 うどん(饂飩)。石垣方言からの借用語か。鳩間島には、饂飩はなかった。年に一度か二度ほど、石垣島に行く時に、そば屋で食することができた。⸣スバ[⸣suba](そば<蕎麦>)と共に日常的に食することの出来ない、美味しい食べ物であった。 ウ⸢ドゥン⸣マー パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナーン⸣シェン [ʔu⸢dum⸣maː pḁ⸢tu⸣manaː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (饂飩は、鳩間島にはなかった) 2964 0 0 2823 htmvoc_2964.wav ウトゥングイ ウ⸢トゥングイ [ʔu⸢tuŋgui] 名 音沙汰。音信。「おとごえ(音声)」の転訛。 ウ⸢キ⸣ナーラ ノー⸢ン⸣ ウ⸢トゥングイン ナー⸣ヌヌ ⸢ヌー⸣シ ⸢ブー⸣カヤー [ʔu⸢ki⸣naːra noː⸢ŋ⸣ ʔu⸢tuŋguin naː⸣nunu ⸢nuː⸣ʃi ⸢buː⸣kajaː] (沖縄から何も音沙汰がないが、どうしているのだろうか) 3011 0 0 2824 htmvoc_3011.wav ウトゥングイン ウ⸢トゥン⸣ グイン [ʔu⸢tuŋ⸣ guiŋ] 連 音信も。音沙汰も。「音も声も」の義。 ⸢パッ⸣タ ⸢ター⸣ナ ウヌッ⸢キリ⸣ ウ⸢トゥン⸣ グイン ナー⸣ヌ [⸢pat⸣ta ⸢taː⸣na ʔunu⸢kkiri⸣ ʔu⸢tuŋ⸣ guin naː⸣nu] (行ったまま、それっきり音沙汰もない) 2956 0 0 2825 htmvoc_2956.wav ウトゥンジプス ウ⸢トゥンジ⸣プス [ʔu⸢tuʔnʤi⸣pu̥su] 名 有名人。評判の高い人。音に聞こえた人。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢トゥンジ⸣プス ヤ⸢ルンダ⸣ ムー⸢ル⸣ ッ⸢シ ブー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢tuʔnʤi⸣pu̥su ja⸢runda⸣ muː⸢ru⸣ ʃ⸢ʃibuː] (あの人は有名人だから、皆知っている) 2960 0 0 2826 htmvoc_2960.wav ウトゥンジムヌ ウ⸢トゥンジ⸣ムヌ [ʔu⸢tunʤi⸣munu] 名 評判者。有名な人。 ウ⸢ヌ プソー⸣ チニヒージェー ⸣ムネー イ⸢ザヌヌ⸣ ウタ イ⸢ザス⸣カー ⸢デージ⸣ナ ウ⸢トゥンジ⸣ムヌ [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ ʧiniçiːʤeː ⸣muneː ʔi⸢ʣanunu⸣ ʔuta ʔi⸢ʣasu⸣kaː ⸢deːʤi⸣na ʔu⸢tunʤi⸣munu] (その人は常日頃ものは言わないが、歌を歌わせたら大変な有名人だ<音に聞く歌の名人だ>) 2957 0 0 2827 htmvoc_2957.wav ウトゥンジルン ウ⸢トゥ ンジ⸣ルン [ʔu⸢tu ʔnʤi⸣ruŋ] 連 評判が響き渡る。(好評、悪評の)評判が世間に広く知れ渡る。有名になる。 ウ⸢ヌ ッふァヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ウ⸢トゥ⸣ ン⸢ジ⸣ブンダー ッ⸢サンプソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢nu ffanu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢tu⸣ ʔn⸢ʤi⸣bundaː s⸢sampu̥soː⸣ bu⸢raːnu] (その子の仕事は評判がよく広く知れ渡っているから、知らない人はいない)。 ミ⸢ジラ⸣シ ⸣クトゥバ ⸢シーティル⸣ ウ⸢トゥ⸣ ンジ⸢ベーン⸣ティ [mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣ku̥tuba ⸢ʃiːtiru⸣ ʔu⸢tu⸣ ʔnʤi⸢beːn⸣ti] (珍しい<変な、珍妙な>ことをやって、評判になっているさ<悪評が立っているよ>) 2958 0 0 2828 htmvoc_2958.wav ウトゥンズン ウ⸢トゥ⸣ ンズン [ʔu⸢tu⸣ ʔnʣuŋ] 連 評判になる。評判が響き渡る。ウ⸢トゥ ンジ⸣ルン[ʔu⸢tu ʔnʤi⸣ruŋ]と同じ。 ⸣カイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ウ⸢トゥ⸣ ンズン⸢ダー [⸣kaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ʔu⸢tu⸣ ʔnʣun⸢daː] (こんなことをすると評判になるぞ)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナシ⸣ヌ ウ⸢トゥ⸣ ンジティ ムー⸢ル⸣ ッ⸢シ ブー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢naʃi⸣nu ʔu⸢tu⸣ ʔnʤiti muː⸢ru⸣ ʃ⸢ʃi buː] (その話が評判になって、みんな知っている) 3015 0 0 2829 htmvoc_3015.wav ウナー ウ⸢ナー [ʔu⸢naː] 代 己(おのれ)。自分自身(話題の人物自身)。「~於能禮<オノレ>神さび~。万、3883」の転訛したもの。 ウ⸢ナーヤ シーサムティ⸣ プ⸢スバ⸣カー⸢ニル⸣ イ⸢ズ [ʔu⸢naːja ʃiːsamuti⸣ pu̥⸢suba⸣kaː⸢niru⸣ ʔi⸢ʣu] (己自身は出来ないくせに、他人をだけ叱る)。 ウ⸢ナー⸣ ドゥーシェー ノー⸢ン シーユーサヌ [ʔu⸢naː⸣ duːʃeː noː⸢ŋ ʃiːjuːsanu] (己自身では何事もすることができない<成し得ない>)。 ウ⸢ナール スー⸣ティ ア⸢ジ ベー [ʔu⸢naːru suː⸣ti ʔa⸢ʤi beː] (自分が<ぞ>するといっている) 3497 0 0 2830 htmvoc_3497.wav ウナー ⸣ウナー [⸣ʔunaː] 連 そこで。そこに。指示代名詞の語幹ウ[ʔu](そ)に格助詞⸣ナ[⸣na](に)と係助詞ヤ[ja](は)がついて、[ʔu+na] + [ja] → [ʔunaː](そこには)と音韻変化したもの。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣リ [⸣ʔunaː ⸢beː⸣ri] (そこに居ろ)。 ⸣ウナー ナ⸢キベー⸣ ッ⸢ふァー ター⸣ヤ [⸣ʔunaː na⸢kibeː⸣ f⸢faː taː⸣ja] (そこに泣いている子は誰か)。 ⸣ウナー ブ⸢ラーヌ [⸣ʔunaː bu⸢raːnu] (そこには居ない)。 ⸣ウナー ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔunaː taː⸢m⸣ bu⸢raːnu] (そこには誰もいない)。 ⸣ウナーティ シ⸢グトゥ シー⸣バ [⸣ʔunaːti ʃi⸢gutu ʃiː⸣ba] (そこで仕事をしなさいよ)。 ⸣ウナーン ブ⸢ラーヌ [⸣ʔunaːm bu⸢raːnu] (そこにもいない) 12181 0 1 2831 htmvoc_12181.wav ウナー ウ⸢ナー [ʔu⸢naː] 名・代 {Mn_1}自分自身。己。自分自身。己自身。その人自身。 ウ⸢ナー⸣ メー イッ⸢ケナ ゾージ⸣ヌ シジ⸢ダー [ʔu⸢naː⸣ meː ʔik⸢kena ʣoːʤi⸣nu ʃiʤi⸢daː] (自分は非常に上手のつもりだよ)。 ウ⸢ナー⸣ ドゥーシ ⸢シーティ⸣ ッ⸢サヌ⸣ティ ア⸢ジ アー⸣ク [ʔu⸢naː⸣ duːʃi ⸢ʃiːti⸣ s⸢sanuti⸣ ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (自分自身<己>でしておいて、知らないと言っているよ)。 ノー⸢ン⸣ ウ⸢ナー カッティティル⸣ ウムイ ⸢ブー⸣ユー パ⸢ナシアー⸣シン サ⸢ヌ [noː⸢n⸣ ʔu⸢naː kattitiru⸣ ʔumui ⸢buː⸣juː pa⸢naʃiʔaː⸣ʃin sa⸢nu] (何もかも自分勝手と思っているのか、話し合いもしない)。 12181 0 2 2832 htmvoc_12181.wav ウナー ウ⸢ナー [ʔu⸢naː] 名・代 {Mn_2}相手を指す<二人称的用法>。「於能礼<ォノレ>故のらえて居れば~。万、3098」。 ウ⸢ナーンツァン⸣ ナ⸢リ⸣ス ⸣ムヌバ ⸣バー ナ⸢ラン⸣ティ ク⸢トゥ⸣ヌ アン⸢トゥー [ʔu⸢naːnʦan⸣ na⸢ri⸣su ⸣munuba ⸣baː na⸢ran⸣ti ku̥⸢tu⸣nu ʔan⸢tuː] (己<お前>ですら出来るものを、私には出来ないってことがあるものか) 12012 0 0 2833 htmvoc_12012.wav ウナーター ウ⸢ナーター [ʔu⸢naːtaː] 代 己達(第三者)(複数)。自分達(話題の人物達)。ウ⸢ナー[ʔu⸢naː](己)の複数形。 ウ⸢ナーター ドゥー⸣ヌ ⸣クトゥンツァン ⸢シーユーサムティ⸣ プ⸢スヌ ソーバ シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢naːtaː duː⸣nu ⸣ku̥tunʦaŋ ⸢ʃiːjuːsamuti⸣ pu̥⸢sunu soːba ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (己達自身のことさえもすることが出来ないのに他人の心配をしている)。 ウ⸢ナーター⸣ ッ⸢シェー⸣ル ⸣クトゥーン ア⸢ラ⸣ナー イ⸢ラヌ⸣ ム⸢ニ⸣バ ⸣ユメーティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢naːtaː⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ru ⸣ku̥tuːn ʔa⸢ra⸣naː ʔi⸢ranu⸣ mu⸢ni⸣ba ⸣jumeːti ⸢ʔaː⸣ku] (己<自分たち>たちに関係のないことな<知ったことでもない>のに、余計なこと<要らぬこと>を言いふらしている)。 ウ⸢ナーター⸣ クトー ⸢ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣タカヤー ナー⸢レー [ʔu⸢naːtaː⸣ ku̥toː ⸢nuː⸣ʃi ⸢nat⸣takajaː naː⸢reː] (自分たち<己たち>のことはどうなったのかねえ) 2461 0 0 2834 htmvoc_2461.wav ウナイ ⸣ウナイ [⸣ʔunai] 名 (動)ウナギ(鰻)。河川や堰、水田(湧水のある水田、バ⸢ケーラマシ{SqBr}ba⸢keːramaʃi{/SqBr})などに棲息する川鰻や田鰻。 ⸢バン⸣テヌ ⸢クーラヌ⸣ バ⸢ケーラマシ⸣ナー ウ⸢ナイ⸣ヌ ブ⸢タン⸠ダー ⸢トーサ⸣トゥリ ⸢マイカリヌ⸣ ピン ギュー⸢ムシン フンクタン⸠ダ [⸢ban⸣tenu ⸢kuːranu⸣ ba⸢keːramaʃi⸣naː ʔu⸢nai⸣nu bu⸢tan⸠daː ⸢toːsa⸣turi ⸢maikarinu⸣ piŋ gjuː⸢muʃiŋ ɸuŋkutan⸠daː] (私の家の久浦のバケーラマシ<湧き水田>の田には鰻がいたよ{EOS}田草取りや稲刈りの時には何度も踏みつけたことがあるよ)。 ⸢ウーアミヌ⸣ ピン シ⸢キム⸣トーラ ⸢トーニ⸣ヌ ⸣ブカラヌ ウ⸢ブウナイ⸣ヌ ⸢ナーラサ⸣リ ⸣ケータン [⸢ʔuːaminu⸣ piŋ ʃi̥⸢kimu⸣toːra ⸢toːni⸣nu ⸣bukaranu ʔu⸢buʔunai⸣nu ⸢naːrasa⸣ri ⸣keːtaŋ] (大雨の時、堰の上からトーニ<田舟>くらいの大鰻が流されてきたことがある) 12258 0 0 2835 htmvoc_12258.wav ウナンザ ⸣ウナンザ [⸣ʔunanʣa] 代 そいつ野郎。己野郎。二人称の自称の卑称。 ⸣ウナンザー ⸢カッティティ⸣ ウムイ ⸢ベー⸣ パジ⸢ダー⸣ヌ イッ⸢カ⸣ アイヤー シ⸢ムヌ [⸣ʔunanʣaː ⸢kattiti⸣ ʔumui ⸢beː⸣ paʤi⸢daː⸣nu ʔik⸢ka⸣ ʔaijaː ʃi⸢munu] (そいつ自身の勝手と思っているだろうが、決してそうはさせない)。 ⸣ウナンザー ス⸢ク⸣ヌ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ナ⸢ル⸣ワ [⸣ʔunanʣaː su̥⸢ku⸣nu mu⸢nu⸣nu ⸢nuː⸣nu na⸢ru⸣wa] (そいつごとき者に何が出来るというものか<何ができるか>) 3018 0 0 2836 htmvoc_3018.wav ウナンザー ⸣ウナンザー [⸣ʔunanʣaː] 代 己野郎(卑称)。第三者を罵る時に用いる。 ⸣ウナンザー ⸣イカーラ ス⸢ク⸣ヌ プ⸢ス⸣ ヤ⸢リバル⸣ アイニ プ⸢スバ⸣ イ⸢ズワ⸠ツォー [⸣ʔunanʣaː ⸣ʔikaːra su̥⸢ku⸣nu pu̥⸢su⸣ ja⸢ribaru⸣ ʔaini pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ʣuwa⸠ʦoː] (己野郎はいかほどの人だからとて、どうしてこんなにも他人を叱ることができものかよ)。 ⸣ウナンザー イ⸢カムス⸣ク ッ⸢シェーバ⸣ル プ⸢スヨー⸣ アイニ ウ⸢ムイナ⸣シ ⸢アー⸣ク⸢ツォー [⸣ʔunanʣaː ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʃ⸢ʃeːba⸣ru pu̥⸢sujoː⸣ ʔaini ʔu⸢muina⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ku⸢ʦoː] (己奴は如何ほどものを知っているからとて、他人さまをあんなにけなして<\ruby{貶}{ケナ}して>あるくんだよ)。二人称的用法。そやつ(其奴)。人を見下げ、罵って言う。その野郎。己野郎。 ⸣ウナンザー ノー⸢ン シーユーサムティ⸣ プ⸢スバ⸣ バ⸢ライヤー⸣ク [⸣ʔunanʣaː noː⸢ŋ ʃiːjuːsamuti⸣ pu̥⸢suba⸣ ba⸢raijaː⸣ku] (己野郎<自分自身>は何も出来ないくせに、人を笑っている<笑ってあるく>) 3019 0 0 2837 htmvoc_3019.wav ウニ ⸣ウニ [⸣ʔuni] 名 畝。畑に作物を植え付けるために土を筋状に盛り上げた所。 パ⸢タキ⸣ナ ⸣ウニ バ⸢リ⸣ シ⸢キゴイ⸣ イ⸢リティ⸣ シ⸢ブル⸣ イ⸢ビ⸣バ [pḁ⸢ta⸣kina ⸣ʔuni ba⸢ri⸣ ʃi̥⸢kigoi⸣ ʔi⸢riti⸣ ʃi⸢buru⸣ ʔi⸢bi⸣ba] (畑に畝を立て<割って>堆肥を入れて冬瓜を植えなさいよ)。 ⸣ウニ ア⸢ギティ⸣ シ⸢キゴイ⸣ イ⸢リリ [⸣ʔuni ʔa⸢giti⸣ ʃi̥⸢kigoi⸣ ʔi⸢riri] (畝を上げて堆肥を入れなさい) 3021 0 1 2838 htmvoc_3021.wav ウヌ ウ⸢ヌ [ʔu⸢nu] 連体 その。代名詞ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)の連体詞。-ヌ[-nu](~の)は格助詞。{Mn_1}話し手から「それ」と指示される位置にある物・事にかかわる意味。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ター⸣ヤ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː taː⸣ja] (その人は誰か)。 ⸢キン⸣マー ウ⸢ヌ⸣ キーナ ⸣サイティ ⸣プシバ [⸢kim⸣maː ʔu⸢nu⸣ kiːna ⸣saiti ⸣pu̥ʃiba] (着物はその木に掛けて干しなさい)。 3021 0 2 2839 htmvoc_3021.wav ウヌ ウ⸢ヌ [ʔu⸢nu] 連体 {Mn_2}話題の人や事物に関することを表す。 ウ⸢ヌ プスヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ス⸢クタン [ʔu⸢nu pu̥sunu⸣ pḁ⸢na⸣ʃeː su̥⸢kutaŋ] (その人の話<噂話>は聞いたことがある)。 ウ⸢ヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸢ユン⸣シ ⸢アイッツァー⸣シ ⸢ベー⸣ツォー [ʔu⸢nu⸣ ku̥⸢tu⸣nu ⸢juŋ⸣ʃi ⸢ʔaitʦaː⸣ʃi ⸢beː⸣ʦoː] (そのことが原因で<故に>喧嘩しているそうだ)。 ウ⸢ヌ⸣ ピン [ʔu⸢nu⸣ piŋ] (その時)。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢バシキララヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢baʃikiraranu] (そのことは忘れられない) 3022 0 0 2840 htmvoc_3022.wav ウヌアタル ウ⸢ヌアタ⸣ル [ʔu⸢nuata⸣ru] 連 その程度。それくらい。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヌアタル⸣ヌ ⸣クトゥンツァン ッ⸢サヌ [⸢waː⸣ ʔu⸢nuataru⸣nu ⸣ku̥tunʦan s⸢sanu] (君はそれくらいのことすら知らないのか)。 ⸢ジンブン⸣マー ウ⸢ヌアタル⸣ル ア⸢ル⸣バン⸢ナー [⸢ʤimbum⸣maː ʔu⸢nuataru⸣ru ʔa⸢ru⸣ban⸢naː] (智恵<存分>はその程度しかないのだ<その程度があるのだ>なあ) 3026 0 0 2841 htmvoc_3026.wav ウヌアタル ウ⸢ヌ アタ⸣ル [ʔu⸢nu ʔata⸣ru] 連 それくらい。その程度(量的程度{EOS}感情、感覚的程度)。 ウ⸢ヌ アタ⸣ルンツァン ⸢シーユーサン⸣カー ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [ʔu⸢nu ʔata⸣runʦaŋ ⸢ʃiːjuːsaŋ⸣kaː ⸣jakoː ta⸢ta⸣nu] (それくらい<その程度>すらも出来なかったら役に立たない)。 ウ⸢ヌ アタル⸣ヌ ⸢ニン⸣ギン [ʔu⸢nu ʔataru⸣nu ⸢niŋ⸣giŋ] (その程度<レベル>の人間)。 ウ⸢ヌ アタ⸣ロー ⸢バン⸣ヌン ⸣ナルン [ʔu⸢nu ʔata⸣roː ⸢ban⸣nun ⸣naruŋ] (その程度は私にもできる) 3023 0 0 2842 htmvoc_3023.wav ウヌウイ ウ⸢ヌウイ [ʔu⸢nuʔui] 接 その上。さらに。それに加えて。 ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナルンケン シゥ⸢カ⸣ナイ ウ⸢ヌウイ⸣ ヤーン ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふェー⸣ティル タ⸢タ⸣シ パ⸢ラシ⸣タ⸢ダー [ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣naruŋken si̥⸢ka⸣nai ʔu⸢nuʔui⸣ jaːn su̥⸢ku⸣ri f⸢feː⸣tiru tḁ⸢ta⸣ʃi pa⸢raʃi̥⸣ta⸢daː] (大人になるまで養育し、そのうえ家も建てて<造って>やって独立させて行かせたのだよ)。⸢ウン⸣ナ[⸢ʔun⸣na](それに)、ウ⸢レー⸣ラ[ʔu⸢reː⸣ra](それから)参照 3024 0 1 2843 htmvoc_3024.wav ウヌウチ ウ⸢ヌ⸣ウチ [ʔu⸢nu⸣ʔuʧi] 副 {Mn_1}そのうち。間もなく。やがて。 ウ⸢ヌ⸣ウチ ⸢ソームヌバ カイ⸣キー ⸢オースバ⸣ マティ⸢オー⸣リバ⸢ヨー [ʔu⸢nu⸣ʔuʧi ⸢soːmunuba kai⸣kiː ⸢ʔoːsuba⸣ mati⸢ʔoː⸣riba⸢joː] (そのうちに<やがて>上等なものを買ってきて差し上げますから待っていらして下さいね)。 3024 0 2 2844 htmvoc_3024.wav ウヌウチ ウ⸢ヌ⸣ウチ [ʔu⸢nu⸣ʔuʧi] 副 {Mn_2}その中で。 ウ⸢ヌ⸣ウチナ ⸣プサル ム⸢ヌ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢イー⸣リ ミサン⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ ʔuʧina ⸣pu̥saru mu⸢nu⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢ʔiː⸣ri misan⸢daː] (その中で欲しい物があれば貰っていいよ) 3025 0 1 2845 htmvoc_3025.wav ウヌスク ウ⸢ヌ⸣スク [ʔu⸢nu⸣su̥ku] 副 {Mn_1}それほど。そのように。たいそう。非常に。 ウ⸢ヌス⸣ク ウ⸢ムッ⸣サ パ⸢ナ⸣ソールンドゥ ムサッ⸢トゥ⸣ ワ⸢カラン⸣バン [ʔu⸢nusu⸣ku ʔu⸢mus⸣sa pa⸢na⸣soːrundu musat⸢tu⸣ wa⸢karam⸣baŋ] (そのように楽しくお話になるのだが、ちっとも分からない)。 3025 0 2 2846 htmvoc_3025.wav ウヌスク ウ⸢ヌ⸣スク [ʔu⸢nu⸣su̥ku] 副 {Mn_2}それぐらい。それほど。その程度。 ウ⸢ヌ⸣スクンツァン ワ⸢カラヌ [ʔu⸢nu⸣su̥kunʦaŋ wa⸢karanu] (それぐらい<その程度>すら分からないのか) 3027 0 0 2847 htmvoc_3027.wav ウヌスコー ウ⸢ヌ⸣ スコー [ʔu⸢nu⸣ su̥koː] 連 それくらいは。その程度は。それほどには。 ウ⸢ヌ⸣ スコー ター⸢ン⸣ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢nu⸣ su̥koː taː⸢n⸣ na⸢ri⸣su] (それくらいは誰でも出来る)。 ウ⸢ヌ⸣ スコー シ⸢グトゥ シースバン [ʔu⸢nu⸣ su̥koː ʃi⸢gutu ʃiːsubaŋ] (あれほどに<あれほどすごく>仕事をするわい) 2801 0 0 2848 htmvoc_2801.wav ウヌタキ ウ⸢ヌ⸣ タキ [ʔu⸢nu⸣ taki] 連 その勢いの程度。人格や風格、能力の程度。「その丈」の義。普通はレベルの低さを表す。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヌ⸣ タ⸢キ⸣ル ア⸢ル [⸢waː⸣ ʔu⸢nu⸣ ta⸢ki⸣ru ʔa⸢ru] (君は人間的にその程度しか<ぞ>ないのか<あるのか>) 3028 0 0 2849 htmvoc_3028.wav ウヌタキ ウ⸢ヌ⸣タキ [ʔu⸢nu⸣tḁki] 連 その程度(限度)。それぐらい。そのレベル(品格)。「その丈」の義。 ヤ⸢ラビ⸣トゥン ⸢アイ⸣ヤーティ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー ワー⸣ ウ⸢ヌタキ⸣ル ア⸢ル [ja⸢rabi⸣tuŋ ⸢ʔai⸣jaːti ⸣nuːja ʔu⸢reː waː⸣ ʔu⸢nutaki⸣ru ʔa⸢ru] (子供とも喧嘩したりして何事かね、それは{EOS}君はその程度しか無い<その程度がある>のか) 3029 0 0 2850 htmvoc_3029.wav ウヌトゥール ⸣ウヌトゥール [⸣ʔunutuːru] 連 その通り。指図通り。 ⸣ウヌトゥール ス⸢ク⸣リバ [⸣ʔunutuːru su̥⸢ku⸣riba] (その通りに作れよ) 3030 0 0 2851 htmvoc_3030.wav ウヌバス ウ⸢ヌ⸣バス [ʔu⸢nu⸣basu] 連 その時。その場合。 サ⸢クシ⸣ヌ マ⸢ルタ⸣ ピン ウ⸢ヌバス⸣ヌ サ⸢ニ⸣ヤー ⸣メー ⸢バシキララヌ [sḁ⸢kuʃi⸣nu ma⸢ruta⸣ piŋ ʔu⸢nubasu⸣nu sa⸢ni⸣jaː ⸣meː ⸢baʃi̥kiraranu] (長男が生まれた時、その時の喜び、嬉しさは忘れられない) 3031 0 0 2852 htmvoc_3031.wav ウヌパンシ ウ⸢ヌパンシ [ʔu⸢nupaŋʃi] 名 その場\ruby{凌}{シノ}ぎ。言い逃れ。「その場外し」の義。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢ヌパンシヌ⸣ シ⸢グトゥ フントー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢nupaŋʃinu⸣ ʃi⸢gutu ɸuntoː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (それはその場凌ぎの仕事であって、本当仕事<本職>ではない)。 ウ⸢ヌパンシヌ⸣ ム⸢ニ⸣バカー⸢ニ⸣ イ⸢ジアーク⸣ヌ ⸢ヌンガーラリ⸣ル パ⸢ナ⸣シェー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nupaŋʃinu⸣ mu⸢ni⸣bakaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʤiʔaːku⸣nu ⸢nuŋgaːrari⸣ru pa⸢na⸣ʃeː ʔa⸢ra⸣nu] (言い逃れ<その場凌ぎ>の言葉だけ言っているが、許される<逃れる>話ではない) 3032 0 0 2853 htmvoc_3032.wav ウヌピン ウ⸢ヌ⸣ピン [ʔu⸢nu⸣piŋ] 名 そのとき(日)。当日。ある事が行われた時、また、行われる時(日)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ウ⸢ワールタ⸣ ウ⸢ヌ⸣ ピンマー ⸢ワー ギューチ ヤッタ⸣メー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔu⸢waːru⸣ta ʔu⸢nu⸣ pimmaː ⸢waː gjuːʧi jatta⸣meː] (戦争が終わったその時は、君は何歳だったかねえ、もう) 3033 0 0 2854 htmvoc_3033.wav ウヌフカ ウ⸢ヌ⸣フカ [ʔu⸢nu⸣ɸu̥ka] 連 そのほか。 ⸢プールナー⸣ヤ ウ⸢キ⸣ナー イ⸢サナキ⸣ ウ⸢ヌ⸣ フ⸢カ⸣ヌ ⸣シマジマーラン タカー⸢ニン⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マローッタン [⸢puːrunaː⸣ja ʔu⸢ki⸣naː ʔi⸢sanaki⸣ ʔu⸢nu⸣ ɸu̥⸢ka⸣nu ⸣ʃimaʤimaːran tḁkaː⸢nim⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣maroːttaŋ] (豊年祭には、沖縄、石垣、其の他の島々からも沢山の人が集まられた) 3034 0 0 2855 htmvoc_3034.wav ウヌプス ウ⸢ヌプス [ʔu⸢nupusu] 連 その人。当人。前に話題にした、話し手、聞き手に共通な人。話題の人物。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ギューチブカラヌ⸣ プ⸢ス ヤッタ⸣カヤー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː gjuːʧibukaranu⸣ pu̥⸢su jatta⸣kajaː] (その人は何歳ぐらいの人だったかね) 3454 0 0 2856 htmvoc_3454.wav ウヌプスンケー ウ⸢ヌプスン⸣ケー [ʔu⸢nupusuŋ⸣keː] 連 この方々。⸢ウッ⸣ツァー[⸢ʔut⸣ʦaː](彼ら{EOS}それら{EOS}その人たち)の敬語 3035 0 0 2857 htmvoc_3035.wav ウヌブン ⸣ウヌブン [⸣ʔunubuŋ] 副・名 非常に。かなり。それ相当程度に。「其の分」の義。 ⸣ウヌブン ⸢ビンキョー サン⸣カー シ⸢キン⸣マー ⸢トゥーラ⸣ヌ [⸣ʔunubum ⸢biŋkjoː saŋ⸣kaː ʃi̥⸢kim⸣maː ⸢tuːra⸣nu] (それ相当に、かなり勉強しないと試験には通らない<合格しない>) 3036 0 0 2858 htmvoc_3036.wav ウヌブン ウ⸢ヌ⸣ブン [ʔu⸢nu⸣buŋ] 連 其の分。 シ⸢ナムノー ジョー⸣トー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ヌ⸣ブン ⸢ダイヤー⸣ タ⸢カーン⸠ダー [ʃi⸢namunoː ʤoː⸣toː ja⸢runda⸣ ʔu⸢nu⸣bun ⸢daijaː⸣ tḁ⸢kaːn⸠daː] (品物は上等だから、其の分値段は高いよ) 3037 0 1 2859 htmvoc_3037.wav ウヌマーマ ウ⸢ヌマーマ [ʔu⸢numaːma] 名 {Mn_1}そのまま。あるがまま。 ⸢ヤー⸣ヤ ⸢タイ⸣フーナ ⸢クーサ⸣リティ ウ⸢ヌマーマ⸣ シ⸢ティ⸣シケー [⸢jaː⸣ja ⸢tai⸣ɸuːna ⸢kuːsa⸣riti ʔu⸢numaːma⸣ ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥keː] (家は台風で壊されて、そのままほったらかしにしてある)。 3037 0 2 2860 htmvoc_3037.wav ウヌマーマ ウ⸢ヌマーマ [ʔu⸢numaːma] 名 {Mn_2}(副詞的に)すぐに。その場で<そのまま>。 ⸢ウンパンシン⸣ヌ ⸢クー⸣タ ウ⸢ヌマーマ ヌーリ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ⸢kuː⸣taː ʔu⸢numaːma nuːri⸣pari ⸢naː⸣nu] (運搬船が来たので、その場で<そのまま>船に乗って行ってしまった) 3038 0 0 2861 htmvoc_3038.wav ウヌマーラ ウ⸢ヌマーラ [ʔu⸢numaːra] 名 当時。そのころ(其の頃)。話題となった遠くない過去の一時期。⸢ウンヌマーラ[⸢ʔunnumaːraː](その頃)ともいう。 ウ⸢ヌマーラー タール⸣ カ⸢ツシンヌ シン⸣ドゥ ⸢シー オーッ⸣ター [ʔu⸢numaːraː taːru⸣ kḁ⸢ʦuʃinnu ʃin⸣du ⸢ʃiː ʔoːt⸣taː] (其の頃は、誰がカツオ漁船の船頭をしておられましたか) 3039 0 1 2862 htmvoc_3039.wav ウヌマリ ウ⸢ヌマリ [ʔu⸢numari] 名 {Mn_1}本性。本質。人となり。「その生まれ」の義。生まれながらの性質。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢サ⸣ニベー ウ⸢ヌマリ⸣ ヤ⸢ルンダ ノーサラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢sa⸣nibeː ʔu⸢numari⸣ ja⸢runda noːsara⸣nu] (そいつ<その人>の朝寝坊は生まれながらの性質だから治されない)。 3039 0 2 2863 htmvoc_3039.wav ウヌマリ ウ⸢ヌマリ [ʔu⸢numari] 名 {Mn_2}運命。天命。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アッパー バ⸢カマーラ⸣シ ⸢ソーッ⸣タティ ス⸢ヌ⸣ ウ⸢ヌマリル⸣ ヤ⸢ロー⸣レール [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔappaː ba⸢kamaːra⸣ʃi ⸢soːt⸣tati su⸢nu⸣ ʔu⸢numariru⸣ ja⸢roː⸣reːru] (その家のお祖母さんは若死にされたそうだが天命<その生まれ>であられたのでしょう) 3040 0 0 2864 htmvoc_3040.wav ウヌムティ ウ⸢ヌ⸣ ムティ [ʔu⸢nu⸣ muti] 連 その旨。その段。その趣意。ことの次第。 ウ⸢ヌ⸣ムティ ⸣アジ ッ⸢サリティ⸣ アトー ⸢ヌー⸣シ ⸢サバル⸣ ミサユー シ⸢キ⸣ クー [ʔu⸢nu⸣muti ⸣ʔaʤi s⸢sariti⸣ ʔatoː ⸢nuː⸣ʃi ⸢sabaru⸣ misajuː ʃi̥⸢ki⸣kuː] (ことの次第を申し上げて、今後どうすればよいか聞いて来い) 3041 0 0 2865 htmvoc_3041.wav ウヌヨーナ ⸣ウヌヨーナ [⸣ʔunujoːna] 連体 そのような。あのような。⸣ウヌヨーヌ[⸣ʔunujoːnu](そのような)ともいう。 ⸣ウヌヨーナ ヤ⸢ラビ⸣バ ユ⸢ナカー⸣ラ シゥ⸢カイ⸣ パ⸢ラ⸣スンテー ウ⸢モーン⸣シェン [⸣ʔunujoːna ja⸢rabi⸣ba ju⸢nakaː⸣ra sï⸢kai⸣ pa⸢ra⸣sunteː ʔu⸢moːŋ⸣ʃeŋ] (そのような子供を夜中から使いにやるとは思わなかった) 3050 0 0 2866 htmvoc_3050.wav ウヌヨーニ ⸣ウヌヨーニ [⸣ʔunujoːni] 副 そのように。そんなに。 ⸣ウヌヨーニ グ⸢チ⸣ホーニ ⸢アシゥカウ⸣カー ノー⸢ンシェー⸣ル ⸢ドン⸣グン ヤ⸢ブリ⸣ス [⸣ʔunujoːni gu⸢ʧi⸣hoːni ⸢ʔasïkau⸣kaː noː⸢ŋʃeː⸣ru ⸢doŋ⸣guɲ ja⸢buri⸣su] (そのように無鉄砲に扱うと、どんな道具も壊れてしまうよ) 3042 0 0 2867 htmvoc_3042.wav ウヌヨーヌ ⸣ウヌヨーヌ [⸣ʔunujoːnu] 連体 そのような。あのような。 ⸣ウヌヨーヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ ム⸢ラズー ミーワクバ⸣ カキ イ⸢ナムヌ [⸣ʔunujoːnu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ mu⸢raʣuː miːwakuba⸣ kḁki ʔi⸢namunu] (そのような事をし出かして村中に迷惑をかけ、残念だ)。 ⸣ウヌヨーヌ ヤ⸢ラビ⸣バ パ⸢タラカシ ベー [⸣ʔunujoːnu ja⸢rabi⸣ba pḁ⸢tarakaʃi beː] (そのような幼い子供を働かせている) 3052 0 0 2868 htmvoc_3052.wav ウバースン ウ⸢バースン [ʔu⸢baːsuŋ] 他動 驚かす。びっくりさせる。 プ⸢ス⸣ ウ⸢バースン [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢baːsuŋ] (人を驚かす)。 ウ⸢バーサヌ [ʔu⸢baːsanu] (驚かさない)。 ウ⸢バーシ⸣ ミルン [ʔu⸢baːʃi⸣ miruŋ] (驚かしてみる)。 ウ⸢バース⸣ クトー ス⸢ナ [ʔu⸢baːsu⸣ ku̥toː su⸢na] (驚かすことはするな)。 ウ⸢バーシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢baːʃeː⸣ misamunu] (驚かしたらいいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢バーシ [⸢paː⸣ku ʔu⸢baːʃi] (早く驚かしなさい)。 ウ⸢バースナ [ʔu⸢baːsuna] (驚かすな) 3053 0 0 2869 htmvoc_3053.wav ウバイカバイ ウ⸢バイ⸣カバイ [ʔu⸢bai⸣kabai] 副 恐る恐る。びくびく。 ウ⸢バイ⸣カバイ [ʔu⸢bai⸣kabai] (恐れる)の重言(ABCDBC型)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ブ⸢ラーンッふァ⸣ティ ⸢シー⸣ ウ⸢バイ⸣カバイ ⸢シェー⸣ティ ⸢アーカン⸣ダー [ʔu⸢ja⸣nu bu⸢raːn ffa⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢bai⸣kabai ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːkan⸣daː] (親のいない子供だからといって、びくびくしているではないよ) 3054 0 0 2870 htmvoc_3054.wav ウバウン ウ⸢バウン [ʔu⸢bauŋ] 自動 怯える。こわ(怖)がる。「おびゆ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸣イン ⸢ホー⸣リティ ウ⸢バイ フッツォーリ ベー [⸣ʔiŋ ⸢hoː⸣riti ʔu⸢bai ɸutʦoːri beː] (犬に噛まれて怯え、ガタガタ震えている)。 ウ⸢ドーシタンティン⸣ ウ⸢バーヌ [ʔu⸢doːʃi̥tantiŋ⸣ ʔu⸢baːnu] (脅しても怖がらない)。 ウ⸢バース⸣カー ウ⸢バウン⸣ヨー [ʔu⸢baːsu̥⸣kaː ʔu⸢bauɲ⸣joː] (脅したら怖がるよ)。 ウ⸢リ⸣ ウ⸢バウ プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ri⸣ ʔu⸢bau pu̥soː⸣ bu⸢raːnu] (それ<その人>を怖がる人はいない)。 ウ⸢バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢baijaː⸣ misamunu] (怖がればよいのに)。 ン⸢ベーマー⸣ ウ⸢バイ⸣バ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʔu⸢bai⸣ba] (少しは怖がれよ)。 プ⸢ス⸣ ウ⸢バウン [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢bauŋ] (他人を怖がる)。 プ⸢ス⸣ ウ⸢バーヌ [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢baːnu] (人を怖がらない{EOS}恐れない) 3055 0 0 2871 htmvoc_3055.wav ウハラクイチ ウ⸢ハ⸣ラクイチ [ʔu⸢ha⸣rakuiʧi] 名 (地)峠の名称。「大原越地節」の中に「大原越地道<ウハラクイチミチィ>ナガ/ ユサバザヌ道<ミチィ>ナガ」(『八重山民謡誌』)と表記されている。西表島の旧崎山村と鹿川村の間にある峠。崎山村、鹿川村ともに廃村となっている 3044 1 1 2872 htmvoc_3044.wav ウビ ⸣ウビ [⸣ʔubi] 連体 {PoS_1}{Mn_1}それだけ。それほど。これだけ。これほど。分量を表す。 ⸢ジン⸣マー ウ⸢ビ⸣ル ⸣アル [⸢ʤim⸣maː ʔu⸢bi⸣ru ⸣ʔaru] (お金はこれだけしかない<これだけがある>)。 {Mn_2}ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スバ ヌー⸣シ ⸢サーリ クー⸣ター[ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢suba nuː⸣ʃi ⸢saːri kuː⸣taː](それほど多人数の人をどうやって連れてきたのか)。 ⸢ジン⸣マー ウ⸢ビ⸣ル ⸣アル [⸢ʤim⸣maː ʔu⸢bi⸣ru ⸣ʔaru] (お金はそれだけしかない<それだけがある>)。 ⸣ウビシ ⸢カーリン⸣カヤー [⸣ʔubiʃi ⸢kaːriŋ⸣kajaː] (それだけ<それぽっちの金>で買えるのかねえ)。 ⸢ダイヤー⸣ ウベー ⸢サン⸣パジ [⸢daijaː⸣ ʔubeː ⸢sam⸣paʤi] (値段はそんなにはしないはずだ)。 ⸣メー イ⸢ズナ⸣ ウビシ シ⸢マイリ [⸣meː ʔi⸢ʣuna⸣ ʔubiʃi ʃi⸢mairi] (もう、叱るな{EOS}それだけで仕舞いなさい)。 ⸢ドゥー⸣ヌ バ⸢キ⸣ダマー ウ⸢ビ⸣ル ⸣アル [⸢duː⸣nu ba⸢ki⸣damaː ʔu⸢bi⸣ru ⸣ʔaru] (自分の財産の分け前はこれだけしかない<これだけがある>)。 ⸣ウビ ア⸢ズ⸣カー ミサン [⸣ʔubi ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸣misaŋ] (それだけ言えばいい)。 ウ⸢ビ⸣ル ⸣アル [ʔu⸢bi⸣ru ⸣ʔaru] (それだけしかない<それだけぞある>)。 ⸣ウベー ⸢カーシ⸣ ミサン [⸣ʔubeː ⸢kaːʃi⸣ misaŋ] (それぐらいは売ってもよい)。それくらい<程度>。 ⸣ティマー ⸣ウビシ ⸣ミサン [⸣timaː ⸣ʔubiʃi ⸣misaŋ] (手間賃はそれだけでよい)。 ⸣ウビブカラ [⸣ʔubibukara] (それくらい{EOS}程度)。 ⸣ウビブカラシ ⸣ミサン [⸣ʔubibukaraʃi ⸣misaŋ] (それくらいでよい)。 ウ⸢ビ⸣ナー [ʔu⸢bi⸣naː] (そんなに高く<程度>) ⸢ダイヤー⸣ ウ⸢ビ⸣ナー ⸢シースー [⸢daijaː⸣ ʔu⸢bi⸣naː ⸢ʃiːsuː] (値段はそんなにも高値をするのか))。 ウ⸢ビ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu] (そんなに多くの{EOS}連体詞) ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥバ タンガ⸣シ ナ⸢ルン [ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutuba taŋga⸣ʃi na⸢ruŋ] (それだけ<それほど>の大仕事を一人で出来るのか))。それだけ<程度、範囲の限定>。 ウビ⸢バーキ⸣ル ナル ⸢マービン⸣マー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔubi⸢baːki⸣ru ⸣naru ⸢maːbim⸣maː na⸢ra⸣nu] (それだけしか出来ない{EOS}それ以上はできない)。 ⸣ウビンツァン ナ⸢ラヌ [⸣ʔubinʦan na⸢ranu] (それぐらいすら<さえ>も出来ないのか)。 ウ⸢ビ⸣ナー ⸣アジ シゥ⸢カシタンティン⸣ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢bi⸣naː ʔa⸢ʤi⸣ sï̥⸢kaʃitantin⸣ sï̥⸢kanu] (あれだけ言って教えても<聞かせても>聞かないのか)。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ニー⸣ヤ ⸢ヌー⸣シ カ⸢タム⸣ター [ʔu⸢bi⸣nu ⸢niː⸣ja ⸢nuː⸣ʃi kḁ⸢tamu⸣taː] (あれだけの荷物はどうやって担いだのか)。 ⸣ウビシ ユ⸢ラ⸣シバ [⸣ʔubiʃi ju⸢ra⸣ʃiba] (それだけで許せよ)。 ⸣ウビブカラ [⸣ʔubibukara] (それぐらい)。 3044 2 0 2873 htmvoc_3044.wav ウビ ⸣ウビ [⸣ʔubi] 副 {PoS_2}~するほどに。その程度に応じて~。~につれて。 パ⸢タラク⸣カー パ⸢タラク⸣ ウビ ⸢モー⸣ケー ン⸢ジ⸣ス [pḁ⸢taraku⸣kaː pḁ⸢taraku⸣ ʔubi ⸢moː⸣keː ʔn⸢ʤi⸣su] (働けば働くほどに儲けが出る) 3058 0 0 2874 htmvoc_3058.wav ウビ ⸣ウビ [⸣ʔubi] 名 たが(箍)。竹を細く割ってたがね<綰ね>た、桶や樽を堅く締めるのに用いる輪。 ⸢タン⸣グ ⸣ティダナ ⸣プシ サ⸢ラシター⸣ ウベー ⸢ヨー⸣リティ ミ⸢ジ⸣ムリ ⸢シースバン [⸢taŋ⸣gu ⸣tidana ⸣puʃi sa⸢raʃitaː⸣ ʔubeː ⸢joː⸣riti mi⸢ʤi⸣muri ⸢ʃiːsubaŋ] (たご<担桶>を日曝しにしておいたら箍が緩んで水漏れがするわい) 3057 0 0 2875 htmvoc_3057.wav ウビイン ウ⸢ビ⸣イン [ʔu⸢bi⸣ʔiŋ] 名 ぼいん(拇印)。「指印」の義。 ⸢インヌ ナーン⸣カー ク⸢マン⸣トンナー ウ⸢ビ⸣イン シ⸢キ ッふィーリ⸣バ [⸢ʔinnu naːŋ⸣kaː ku⸢man⸣tonnaː ʔu⸢bi⸣ʔiŋ ʃi̥⸢ki ffiri⸣ba] (印鑑が無ければ、ここの所に拇印を押して<ついて>くれよ) 3045 0 0 2876 htmvoc_3045.wav ウビカーニ ウビ⸢カーニ [ʔubi⸢kaːni] 副 ただそれだけ。たったそれだけ。ただこれだけ。分量の限定。 ⸢ジン⸣マー ウビ⸢カーニル⸣ アル [⸢ʤim⸣maː ʔubi⸢kaːniru⸣ ʔaru] (お金はたったそれだけしかない<たったそれだけがある>)。 ウビ⸢カーニル⸣ トゥ⸢ル⸣タ [ʔubi⸢kaːniru⸣ tu⸢ru⸣ta] (ただそれだけしか取らなかった<たったそれだけぞ取った>) 3062 0 0 2877 htmvoc_3062.wav ウビカキ ウ⸢ビ⸣カキ [ʔu⸢bi⸣kaki] 名 指掛け相撲。指相撲。 ワ⸢ター⸣ フ⸢ターロー タール スー⸣ワユー ウ⸢ビ⸣カキ ⸢シー⸠ミー [wa⸢taː⸣ ɸu̥⸢taːroː taːru suː⸣wajuː ʔu⸢bi⸣kaki ⸢ʃiː⸠miː] (君達二人は誰が強いか、指相撲をしてごらんよ) 3046 0 0 2878 htmvoc_3046.wav ウビサキ ウ⸢ビ⸣サキ [ʔu⸢bi⸣saki] 名 指先。指の先端。 ⸢アイイズン⸣ ウ⸢ビ⸣サキ ⸢ピッカ⸣リティ(ッ⸢サ⸣リティ) ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaiʔiʣuŋ⸣ ʔu⸢bi⸣saki ⸢pikka⸣riti(s⸢sa⸣riti) ⸣jami na⸢ra⸣nu] (アイゴの背びれの毒針に指先を刺されて痛くて堪らない) 2800 0 0 2879 htmvoc_2800.wav ウビダキ ⸣ウビダキ [⸣ʔubidaki] 副 それだけ。あれほど。それほどまで。その程度。 ⸣ウビダキ タ⸢ナム⸣タンティン シ⸢キッふィーラヌー [⸣ʔubidaki ta⸢namu⸣tantiŋ ʃi̥⸢kiffiːranuː] (あれほど頼んでも聞き入れてくれないか)。 ⸣ウビダキヌ ⸢ニン⸣ギンティ ⸣ウムーカ ウ⸢ムイキシヤッ⸣サン [⸣ʔubidakinu ⸢niŋ⸣ginti ⸣ʔumuːkaː ʔu⸢muikiʃijas⸣saŋ] (その程度<それだけ>の人間だと思えば諦め<思い切り>やすい)。 ⸣ウビダキ ⸣アルカー フ⸢ヨー コーサリン [⸣ʔubidaki ⸣ʔarukaː ɸu⸢joː koːsariŋ] (それだけあれば冬は越される)。 ⸣ウビダキシン ⸣ミサン [⸣ʔubidakiʃim ⸣misaŋ] (それぐらいでもよい) 3047 0 0 2880 htmvoc_3047.wav ウビッシ ウ⸢ビ⸣ッシ [ʔu⸢bi⸣ʃʃi] 名 後ろ指。後ろ指を指すこと。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー プ⸢スン⸣ ウ⸢ビ⸣ッシ シ⸢ラリン⸣ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢bi⸣ʃʃi ʃi⸢rarin⸣daː] (悪事を働く<する>と他人に後ろ指を指されるよ) 2799 0 0 2881 htmvoc_2799.wav ウビッチン ウ⸢ビッ⸣チン [ʔu⸢bit⸣ʧiŋ] 副 それぽっち。たったそれだけ。その程度。数量や程度が極めて少量である。 ウ⸢ビッ⸣チン カー⸢ニ⸣ティン ⸢イー⸣ヌ ッ⸢ふァーサリラー<ワー> [ʔu⸢bit⸣ʧiŋ kaː⸢ni⸣tiŋ ⸢ʔiː⸣nu f⸢faːsariraː] (たったこれぽっちだけとても飯が食べさせられようか)。 ウ⸢ビッ⸣チンブカラ バキ ッ⸢ふィーララヌー [ʔu⸢bit⸣ʧimbukara ⸣baki f⸢fiːraranuː] (それぽっちばかり分けて貰えないだろうか)。 ⸢マイヤー⸣ ウ⸢ビッチン⸣ドゥ ヌ⸢カ⸣レー [⸢maijaː⸣ ʔu⸢bitʧin⸣du nu⸢ka⸣reː] (お米はこれ<それ>っぽちしか残っていない<これっぽちが残っている>)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣ジンシェー ノー⸢ン カーラヌ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ʤiŋʃeː noː⸢ŋ kaːranu] (それ<これ>っぽちのお金では何も買えない)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトゥシ ⸢アウ⸣ナ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥tuʃi ⸢ʔau⸣na] (それ<これ>ぽっちの事で喧嘩するな)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトゥシ ⸢アウ⸣タツォー [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥tuʃi ⸢ʔau⸣taʦoː] (それぽっちのことで喧嘩したそうだ)。 ウ⸢ビッチン⸣マーンツァン ⸣バキ ッ⸢ふィーラヌ [ʔu⸢bitʧim⸣maːnʦam ⸣baki f⸢fiːranu] (それぽっちすらも分けてくれない)。 ウ⸢ビッチン⸣ナー ⸣バキ ッ⸢ふォーッ⸣タ [ʔu⸢bitʧin⸣naː ⸣baki f⸢foːt⸣ta] (これぽっちずつ<ほんの少しずつ>分けてくださった)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣ジンシ ⸢ヌー⸣ヌ ⸢カーリワ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ʤiŋʃi ⸢nuː⸣nu ⸢kaːriwa] (それぽっちのお金で何が買えるか)。 ウ⸢ビッチン⸣ドゥ ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふー [ʔu⸢bitʧin⸣du ⸢ʔiː⸣ja f⸢fuː] (それぽっちしかご飯は食べないのか<それぽっちぞ飯は食うのか>)。 シン⸢トゥ⸣ ウ⸢ビッ⸣チン カー⸢ニドゥ(ル)⸣ ヌ⸢カ⸣レー [ʃin⸢tu⸣ ʔu⸢bi⸣tʧiŋ kaː⸢nidu(ru)⸣ nu⸢ka⸣reː] (たったそれだけしか残ってない<たったそれだけぞ残っている>) 3064 0 0 2882 htmvoc_3064.wav ウビッチンツァン ウ⸢ビッ⸣チンツァン [ʔu⸢bit⸣ʧinʦaŋ] 連 これっぽちすらも。これっぽちさえも。副助詞⸣ツァン[ʦaŋ](すら{EOS}さえ)は下に打ち消しの助動詞を導き、それと呼応して打消し強調の意味を表す。 ⸢ジン⸣マー ク⸢ビッ⸣チンツァン ⸢ナーヌー [⸢ʤim⸣maː ku⸢bit⸣ʧinʦan ⸢naːnuː] (お金はこれぽっちすらも無いのか) 3060 0 1 2883 htmvoc_3060.wav ウビナー ウ⸢ビ⸣ナー [ʔu⸢bi⸣naː] 副 {Mn_1}これほど沢山。こんなに多く。分量の多いことや値段の高いことを表す。 ウ⸢ビ⸣ナー ム⸢ヌ⸣バ イ⸢タン⸣ダシェー ⸣ムティ パ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣naː mu⸢nu⸣ba ʔi⸢tan⸣daʃeː ⸣muti pa⸢rara⸣nu] (こんなに多く、ただ<徒・無料>では持って行かれない)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ウ⸢ビ⸣ナー サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [ja⸢rabi⸣nu ʔu⸢bi⸣naː sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (子供がそんなにたくさん酒を飲むと大変だよ)。 ウ⸢ビ⸣ナー ッ⸢ふィーラン⸣タンティン ⸣ミサン [ʔu⸢bi⸣naː f⸢fiːran⸣tantim ⸣misaŋ] (そんなにたくさん呉れなくてもよい)。 3060 0 2 2884 htmvoc_3060.wav ウビナー ウ⸢ビ⸣ナー [ʔu⸢bi⸣naː] 副 {Mn_2}各自がそれほどずつ多く。 ウ⸢ビ⸣ナー ⸣トゥルカー タ⸢ラーサラヌ [ʔu⸢bi⸣naː ⸣turukaː ta⸢raːsaranu] (各自がそれほど多く取ると足りなく<皆に配分出来なく>なる)。それぐらいずつ。 ウ⸢ビ⸣ナーン ⸢デー⸣カー バ⸢キラ⸣リン [ʔu⸢bi⸣naːn ⸢deː⸣kaː ba⸢kira⸣riŋ] (それくらいずつ<その程度の分量ずつ>なら分けられる)。 シン⸢トゥ⸣ ウビティン バ⸢キラリン [ʃin⸢tu⸣ ʔubitim ba⸢kirariŋ] (たったそれだけ<たったこれぽっち>とても分けられるものか<否、分けられまい>)。 3060 0 3 2885 htmvoc_3060.wav ウビナー ウ⸢ビ⸣ナー [ʔu⸢bi⸣naː] 副 {Mn_3}これほどに多く。程度が大きいことを表す。 ⸢ヌー⸣シ ウ⸢ビ⸣ナー イ⸢ズ ホーサリ⸣ター [⸢nuː⸣ʃi ʔu⸢bi⸣naː ʔi⸢ʣu hoːsari⸣taː] (どうやってそんなに沢山魚を釣ることができたのかねえ) 3048 0 0 2886 htmvoc_3048.wav ウビブカラ ⸣ウビブカラ [⸣ʔubibukara] 副 それぐらい。その程度。量や数の程度を表す。 ⸣ウビブカラ タ⸢ラーンバ⸣ カ⸢ラシッふォー⸣リ [⸣ʔubibukara ta⸢raːmba⸣ ka⸢raʃiffoː⸣ri] (それぐらい足りないので貸してください)。痛みの感覚や苦しみの感情の程度を低く表す場合は、ウ⸢ヌアタ⸣ル[ʔu⸢nuʔata⸣ru](それぐらい{EOS}その程度)を用いる。 ⸣ウビブカラル ソーン⸢ドゥ⸣ マ⸢シ [⸣ʔubibukararu soːn⸢du⸣ ma⸢ʃi] (それぐらいが丁度よい)。 ⸣ウビブカラヌ ⸢コー⸣マ [⸣ʔubibukaranu ⸢koː⸣ma] (これくらいの大きさの卵)。 ⸣ウビブカラナー ムー⸢ロー⸣ニ ⸣バキ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣ʔubibukaranaː muː⸢roː⸣ni ⸣baki f⸢faːʃi⸣ba] (これぐらいずつ皆に分けて食べさせなさいよ) 3061 0 0 2887 htmvoc_3061.wav ウビヨールン ⸣ウビ ⸢ヨー⸣ルン [⸣ʔubi ⸢joː⸣ruŋ] 連 たが(箍)が緩む。 ミ⸢ジタングヌ⸣ ウビ ⸢ヨー⸣リティ ⸢ザーラザーラ⸣シ ミ⸢ジェー⸣ ム⸢リ⸣ス [mi⸢ʤitaŋgunu⸣ ʔu⸢bi⸣nu ⸢joː⸣riti ⸢ʣaːraʣaːra⸣ʃi mi⸢ʤeː⸣ mu⸢ri⸣su] (水担桶の箍が緩んでザーザーと水は漏れるよ) 3067 0 0 2888 htmvoc_3067.wav ウビンガニ ウ⸢ビン⸣ガニ [ʔu⸢biŋ⸣gani] 名 指輪。「指がね」の義。若年層では、ウ⸢ブン⸣ガニ[ʔu⸢buŋ⸣gani](指輪)ということもある。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ビン⸣ガネー ⸣アボー ウ⸢ビン⸣ガニ ヤ⸢リバ ワー⸣ ティーナ ヌ⸢キ⸣ ミリ⸢ミー [ku⸢nu⸣ ʔu⸢biŋ⸣ganeː ⸣ʔaboː ʔu⸢biŋ⸣gani ja⸢riba waː⸣ tiːna nu⸢ki⸣ miri⸢miː] (この指輪はお母さんの指輪だから君の手に嵌めて<貫いて>ごらん) 3069 0 0 2889 htmvoc_3069.wav ウブ ウ⸢ブ- [ʔu⸢bu-] 接頭 おお(大)。「おほ<大>」の転訛したもの。⸢ウー[⸢ʔuː](大)ともいう。 ウ⸢ブ⸣ヨイ [ʔu⸢bu⸣joi] (大きな祝儀)。 ウ⸢ブシグ⸣トゥ [ʔu⸢buʃigu⸣tu] (大仕事)。 ウ⸢ブ⸣プス [ʔu⸢bu⸣pu̥su] (大人)。 ウ⸢ブ⸣マシ [ʔu⸢bu⸣maʃi] (大きな田圃)。 ウ⸢ブ⸣ヤー [ʔu⸢bu⸣jaː] (母屋) 3090 0 0 2890 htmvoc_3090.wav ウブーン ⸣ウブーン [⸣ʔubuːŋ] 他動 覚える。「おぼゆ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸢ワー⸣ ウブーカー ⸢バン⸣ヌン ⸣ウブーン [⸢waː⸣ ʔubuːkaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔubuːŋ] (君が覚えたら私も覚える)。 ⸣バー ウ⸢ボー⸣ヌ [⸣baː ʔu⸢boː⸣nu] (私は覚えない)。 ウ⸢ビ⸣ナー ウ⸢ボーラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣naː ʔu⸢boːra⸣nu] (そんなに多くは覚えられない)。 ウ⸢ブイ⸣プサカー ⸣ドゥーシ ⸣ウブイバ [ʔu⸢bui⸣pusakaː ⸣duːʃi ⸣ʔubuiba] (覚えたければ自分で覚えなさい)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ブイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢bui⸣jaː ⸣misamunu] (もっと覚えればよいのに)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ ウブークトゥ [⸣kubeː jaː⸢diŋ⸣ ʔubuːkutu] (これだけは必ず覚えること) 3080 0 0 2891 htmvoc_3080.wav ウブアッパ ウ⸢ブ⸣アッパ [ʔu⸢bu⸣ʔappa] 名 大祖母。最年長の祖母。⸣アッパ[⸣ʔappa](祖母)は両親の母の名称、呼称である。⸣ウボーッパ[⸣ʔuboːppa](大祖母)ともいう。 ⸣ナカーッパ [⸣nakaːppa] (中祖母)。 アッ⸢パー⸣マ [ʔap⸢paː⸣ma] (小祖母{EOS}一番年下の祖母)。 ク⸢レー⸣ ウ⸢ブ⸣アッパー キ⸢ソー⸣レー ⸣キン [ku⸢reː⸣ ʔu⸢bu⸣ʔappaː ki̥⸢soː⸣reː ⸣kiŋ] (これは大祖母が着られた着物だ) 3081 0 0 2892 htmvoc_3081.wav ウブアマシェー ウ⸢ブアマ⸣シェー [ʔu⸢buʔama⸣ʃeː] 名 屋号。小浜正夫氏宅。小浜家の本家。古い名家の一つ。ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː]の語源は明確ではないが、「あもしられ」系統の語を受け継ぐものと想定すると、⸢百姓の主婦に対する敬称」の義を内包する家柄ではないかと考えられる。おお・あむしられ → [ʔubuʔamuʃirari] → [ʔubu・ʔamuʃʃiː] → [ʔu⸢buʔama⸣ʃeː] のように変化したものか。 ウ⸢ブアマ⸣シェーナー ミ⸢ザ⸣シザーティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タンツォー [ʔu⸢buʔama⸣ʃeːnaː mi⸢ʣa⸣ʃiʣaːti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣tanʦoː] (本小濱家<大小濱家>には⸢目差兄さん」という人がおられたそうだ) 3070 0 0 2893 htmvoc_3070.wav ウブアミ ウ⸢ブ⸣アミ [ʔu⸢bu⸣ʔami] 名 大雨。⸢ウーアミ[⸢ʔuːami](大雨)ともいう。 ウ⸢ブアミ⸣ヌ ⸣フイ ⸢ター⸣ヤ ⸢コッふァシ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢buʔami⸣nu ⸣ɸui ⸢taː⸣ja ⸢koffaʃi⸣ pari⸢naː⸣nu] (大雨が降って田圃は押し流してしまった) 3082 0 0 2894 htmvoc_3082.wav ウブアヤ ウ⸢ブ⸣アヤ [ʔu⸢bu⸣ʔaja] 名 大きな模様。「大綾」の義。大柄。色や柄の派手な模様。 ウ⸢ブアヤ⸣ヌ ウ⸢チ⸣ル プ⸢ストゥ⸣ ウ⸢チラン⸣ プ⸢スヌ ブン⸣ダー [ʔu⸢buʔaja⸣nu ʔu⸢ʧi⸣ru pu̥⸢sutu⸣ ʔu⸢ʧiram⸣ pu̥⸢sunu bun⸣daː] (大柄の似合う<移る>人と、似合わない<移らない>人がいるよ) 3083 0 0 2895 htmvoc_3083.wav ウブアヤキン ウ⸢ブ⸣アヤキン [ʔu⸢bu⸣ʔajakiŋ] 名 大柄の着物。 ⸣カイブ ウ⸢ブ⸣アヤキンマー バ⸢カー⸣ムヌル キ⸢ス ウイプスン⸣マー キ⸢ササラヌ [⸣kaibu ʔub⸢u⸣ʔajaːkimmaː ba⸢kaː⸣munuru ki⸢su ʔuipusum⸣maː ki⸢sasaranu] (こんな大柄模様の着物は若者が着るのであって、年寄りには着せられない) 3084 0 0 2896 htmvoc_3084.wav ウブアンマー ウ⸢ブ⸣アンマー [ʔu⸢bu⸣ʔamma] 名 最年長の姉、長姉の名称。「大姉」の義。⸣ウボマー[⸣ʔubomaː](長姉)の名称、呼称。⸢ホン⸣マ[⸢hom⸣ma](長姉の名称、呼称)ともいう。⸢ホン⸣マ[⸢hom⸣ma]は石垣方言からの借用語であろう。 ワ⸢ター⸣ ブ⸢ネーヤ⸣ バーラ ア⸢ズ⸣カー ウ⸢ブ⸣アンマー ⸣ナルシジ [wa⸢taː⸣ bu⸢neːja⸣ baːra ʔa⸢ʣu⸣kaː ʔu⸢bu⸣ʔammaː ⸣naruʃiʤi] (君達の母親は私からいうとウ⸢ブ⸣アンマー<ウボマー>になるわけだ) 3086 0 0 2897 htmvoc_3086.wav ウブイ ⸣ウブイ [⸣ʔubui] 名 覚え。記憶。動詞⸣ウブーン[⸣ʔubuːŋ](覚える)の連用形からの転成名詞。 ス⸢クタ⸣ ウ⸢ブイ⸣ヤ ⸢ピッ⸣チン ⸢ナー⸣ヌ [su̥⸢kuta⸣ ʔu⸢bui⸣ja ⸢pit⸣ʧin ⸢naː⸣nu] (聞いた覚えは少しも<全く>ない) 3087 0 1 2898 htmvoc_3087.wav ウブイキ ウ⸢ブ⸣イキ [ʔu⸢bu⸣iki] 名 {Mn_1}大きな呼吸。深呼吸。「大息」の義。 ウ⸢ブ⸣イキ ⸢シー⸠ミー [ʔu⸢bu⸣ʔiki ⸢ʃiː⸠miː] (大きな呼吸<深呼吸>をしてごらん)。 3087 0 2 2899 htmvoc_3087.wav ウブイキ ウ⸢ブ⸣イキ [ʔu⸢bu⸣iki] 名 {Mn_2}ため息。 ⸢ワー⸣ ヌースンティ ⸣アイニ ウ⸢ブ⸣イキ カー⸢ニ シーベー⸣ワ [⸢waː⸣ nuːsunti ⸣ʔaini ʔu⸢bu⸣iki kaː⸢ni ʃiːbeː⸣wa] (君は何故あんなにため息ばかりついているのか)。 バ⸢カー⸣ムンヌ ノー⸢ン サムティ アーアー⸣シ ウ⸢ブ⸣イキ シキ⸢ベーン⸣ナ [ba⸢kaː⸣munnu noː⸢n samuti ʔaːʔaː⸣ʃi ʔu⸢bu⸣ʔiki ʃi̥ki⸢beːn⸣na] (若い者が何もしないで悲観して、アーアーとため息をついているでない<ため息ついているな>)。 ウ⸢カ⸣ヌ ⸢ソーバ シール⸣ ウ⸢ブ⸣イキ ⸣シキ ⸢オー⸣ル [ʔu⸢ka⸣nu ⸢soːba ʃiːru⸣ ʔu⸢bu⸣ʔiki ⸣ʃi̥ki ⸢ʔoː⸣ru] (借金の心配をして、ため息<大息>をついておられる) 3072 0 0 2900 htmvoc_3072.wav ウブイキマーイキ ウ⸢ブ⸣イキ ⸢マーイキ [ʔu⸢bu⸣ʔiki ⸢maːʔiki] 連 ちょうたんそく(長嘆息)。心配して長いため息をつくこと。 ブ⸢ネーヤ⸣ ウ⸢ブ⸣イキ ⸢マーイキ⸣ シ⸢キ⸣ル ッ⸢ふァヌ⸣ タ⸢ビヌ ソーバ⸣ ス⸢クンティ⸣ マティ ⸢オー⸣ル [bu⸢neːja⸣ ʔu⸢bu⸣ʔiki ⸢maːʔiki⸣ ʃi̥⸢ki⸣ru f⸢fanu⸣ ta⸢binu soːba⸣ su̥⸢kunti⸣ mati ⸢ʔoː⸣ru] (母親は長嘆息をつきながら、子供の消息<旅の事情>を聞こうと待っておられる) 3073 0 0 2901 htmvoc_3073.wav ウブイグリサン ウ⸢ブイグリ⸣サン [ʔu⸢buiguri⸣saŋ] 形 覚えにくい。⸣ウブーン[⸣ʔubuːŋ](覚える)の連用形に形容詞型助動詞グ⸢リ⸣サン[gu⸢ri⸣saŋ](~にくい{EOS}~づらい<辛い>)が付いて合成された派生形容詞。 カ⸢リヌ ナーヤ⸣ ウ⸢ブイグリ⸣サンドゥ ⸢ワー ナーヤ⸣ ウ⸢ブイグリ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢rinu naːja⸣ ʔu⸢buiguri⸣sandu ⸢waː naːja⸣ ʔu⸢buiguri⸣saː ⸢naː⸣nu] (彼の名は覚えにくいが、君の名は覚えにくくはない)。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ⸣ムヌ ウ⸢ブイグリ⸣サ ⸣ナルン [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ⸣munu ʔu⸢buiguri⸣sa ⸣naruŋ] (年を取ると、ものが覚えにくくなる)。 ウ⸢ブイグリ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢buiguri⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (覚えにくいことはない) 3088 0 0 2902 htmvoc_3088.wav ウブイサナキ ウ⸢ブイサ⸣ナキ [ʔu⸢buʔisa⸣naki] 固 (地)大石垣。石垣島。歌謡語。「⸢ウフイシャナギゥ[⸢ʔuɸuʔiʃanagï](大石垣{EOS}石垣集落の美称)」(古謡『まやーゆんた』)の転訛したもの 3300 0 0 2903 htmvoc_3300.wav ウブイマーキ ウ⸢ブイマー⸣キ [ʔu⸢buimaː⸣ki] 連 覚えかねて。なかなか記憶することが出来ないで。 ア⸢マン⸣グイウタ ウ⸢ブイマー⸣キ ⸢オーッ⸣タ [ʔa⸢maŋ⸣gui⸣ʔuta ʔu⸢buimaː⸣ki ⸢ʔoːt⸣ta] (雨乞い歌を覚えかねて<覚えられないで>おられた) 3074 0 0 2904 htmvoc_3074.wav ウブイユースン ウ⸢ブイユー⸣スン [ʔu⸢buijuː⸣suŋ] 他動 覚えることが出来る。「覚え得る」の義。{⸣ウブーン[⸣ʔubuːŋ](覚える)の連用形に⸢ユー⸣スン[⸢juː⸣suŋ](~得る)が付いて合成された複合動詞(派生動詞)}。 ⸣キュウズーナ ウ⸢ブイユー⸣スンカヤー [⸣kjuːʣuːna ʔu⸢buijuː⸣suŋkajaː] (今日中に覚えることができるかな)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢ブイユーサ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔu⸢buijuːsa⸣nu] (否、覚えることが出来ない) 3089 0 0 2905 htmvoc_3089.wav ウブイルン ウ⸢ブイ⸣ルン [ʔu⸢bui⸣ruŋ] 他動 覚える。記憶する。 ク⸢ヌ⸣ クトー ⸣ユー ⸣ウブイ シ⸢キ⸣リ⸢ダー [ku⸢nu⸣ ku̥toː juː ⸣ʔubui ʃi̥⸢ki⸣ri⸢daː] (このことは、よく覚えておけよ)。 アー⸢イ⸣ バー ウ⸢ブイラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ baː ʔu⸢buira⸣nu] (否だ、私は覚えない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー フ⸢ミ⸣ルカー ⸣ユー ウ⸢ブイ⸣ルン [ja⸢ra⸣beː ɸu⸢mi⸣rukaː ⸣juː ʔu⸢bui⸣ruŋ] (子供は誉めるとよく覚えるよ)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢ブイ⸣ル ⸣クトゥ [⸣kubeː jaː⸢diŋ⸣ ʔu⸢bui⸣ru ⸣ku̥tu] (これだけは必ず覚えること) ウ⸢ブイ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢bui⸣reː ⸣misamunu] (覚えればよいのに))。 ⸣キューズーナ ヤー⸢ディン⸣ クベー ウ⸢ブイ⸣リ [⸣kjuːʣuːna jaː⸢diŋ⸣ kubeː ʔu⸢bui⸣ri] (今日中に必ずこれだけは覚えなさい) 3091 0 0 2906 htmvoc_3091.wav ウブウシ ウ⸢ブ⸣ウシ [ʔu⸢bu⸣ʔuʃi] 名 大臼。大きな臼。ウ⸢シェー⸣マ[ʔu⸢ʃeː⸣ma](小さな臼{EOS}蒲鉾を作る際に用いる小臼)の対義語。米を搗いて精米するのに用いる木の臼。⸣ウシ[⸣ʔuʃi](臼)の項参照。 ⸢マイヤー⸣ ウ⸢ブ⸣ウシナ イ⸢リティ⸣ イ⸢ナ⸣シキシ ⸣ッサイバ [⸢maijaː⸣ ʔu⸢bu⸣ʔuʃina ʔi⸢riti ⸣ ʔi⸢na⸣ʃi̥kiʃi ⸣ssaiba] (米は大臼<木の臼>に入れて杵で精米<精げ>しなさいよ<杵で搗きなさいよ>) 3092 0 0 2907 htmvoc_3092.wav ウブウスマイ ウ⸢ブ⸣ウスマイ [ʔu⸢bu⸣ʔusumai] 名 曽祖父。ひいじじ。ひいじいさん。「大御主前」の義。石垣方言からの借用語。ウ⸢ブアブ⸣ジ[ʔu⸢buʔabu⸣ʤi](曽祖父)のこと。 ⸢ウン⸣ネナー ウ⸢ブ⸣ウスマイヌ ⸢オー⸣ルン [⸢ʔun⸣nenaː ʔu⸢bu⸣ʔusumainu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (その家には曽祖父<ひいじいさん>がいらっしゃる) 3093 0 0 2908 htmvoc_3093.wav ウブウタ ウ⸢ブ⸣ウタ [ʔu⸢bu⸣ʔuta] 名 沖縄の古典音楽。荘重で本格的な歌謡。節歌。古典民謡の楽譜工工四に採譜されている本格的な歌。軽快な民謡に対して荘重なメロディーの古典音楽に対していう。「大歌」の義。ウ⸢ブ⸣ウタ[ʔu⸢bu⸣ʔuta]には、ウ⸢ブブドゥ⸣ル[ʔu⸢bubudu⸣ru](古典舞踊)を伴うのが普通である。 ウ⸢ブ⸣ウタナー ウ⸢ブブドゥ⸣ロー シ⸢キ⸣ムヌティ ⸣ムカーヤ [ʔu⸢bu⸣ʔutanaː ʔu⸢bubudu⸣roː ʃi̥⸢ki⸣munuti ⸣mukaːja] (古典音楽<節歌>には古典舞踊が付随して<付いて>いるものだよ) 3094 0 0 2909 htmvoc_3094.wav ウブウドゥキ ウ⸢ブウドゥ⸣キ [ʔu⸢buʔudu⸣ki] 名 大欠損。大損。大損害。 ン⸢メーマ⸣ ユ⸢ク⸣ スクンティ ⸢アー⸣キ ウ⸢ブウドゥキ シーナー⸣ヌ [ʔm⸢meːma⸣ ju⸢ku⸣ su̥kunti ⸢ʔaː⸣ki ʔu⸢buʔuduki ʃiːnaː⸣nu] (少し欲をだそうとして<欲をつこうとして>大欠損をしてしまった) 3095 0 0 2910 htmvoc_3095.wav ウブウヤーリ ウ⸢ブウヤーリ [ʔu⸢buʔujaːri] 名 大声で叫ぶこと。怒鳴ること。 ⸣アイニ ウ⸢ブウヤーリ サン⸣タンティン シゥ⸢カリブー⸣ ウ⸢ブウヤーリ サンブリ⸣バ [⸣ʔaini ʔu⸢buʔujaːri san⸣tantin sï̥⸢karibuː⸣ ʔu⸢buʔujaːri samburi⸣ba] (あんなに怒鳴らなくても聞こえている{EOS}怒鳴るな<怒鳴ることはしないでおれ>よ) 3075 0 0 2911 htmvoc_3075.wav ウブウヤビ ウ⸢ブウヤ⸣ビ [ʔu⸢buʔuja⸣bi] 名 親指。 ウ⸢ブウヤ⸣ビシ ⸢ウシキ⸣バ [ʔu⸢buʔuja⸣biʃi ⸢ʔuʃiki⸣ba] (親指で押さえなさいよ)。 ウ⸢ブウヤ⸣ビシ ク⸢シナカ ウシキ⸣バ [ʔu⸢buʔuja⸣biʃi ku̥⸢ʃinaka ʔuʃi̥ki⸣ba] (親指で背中を押しなさい<親指で指圧しなさい>) 3105 0 0 2912 htmvoc_3105.wav ウブカカン ウ⸢ブ⸣カカン [ʔu⸢bu⸣kakaŋ] 名 \ruby{下裳}{シタ|モ}。大きなひだ(襞)をとった女性の下着用の腰巻。古典舞踊のパ⸢トゥ⸣マナカムリ[pa⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)や⸢クンノー⸣ラ[⸢kunnoː⸣ra](古見の浦)、ユ⸢チダキ[ju⸢ʧidaki](四つ竹)などの古典舞踊の衣装として着用される 3106 0 0 2913 htmvoc_3106.wav ウブカジ ウ⸢ブカジ [ʔu⸢bukaʤi] 名 台風。暴風。「大風」の義。⸢ウーカジ[⸢ʔuːkaʤi](台風)ともいう。 ウ⸢ブカジヌ⸣ フキティル ⸢ヤー⸣ヤ フ⸢キトゥバサ⸣レータティ ⸣ムカーヤ [ʔu⸢bukaʤinu⸣ ɸu̥kitiru ⸢jaː⸣ja ɸu̥⸢kitubasa⸣reːtati ⸣mukaːja] (台風<大風>が吹いて家は吹き飛ばされたのだよ) 3076 0 0 2914 htmvoc_3076.wav ウブガマジ ウ⸢ブガマ⸣ジ [ʔu⸢bugama⸣ʤi] 名 礼装用の婦人の大\ruby{髷}{マゲ}。 パ⸢トゥ⸣マナカムリン ⸣ドーレーヌ ウ⸢ブブドゥ⸣ル ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー ウ⸢ブガマ⸣ジ ⸢ユイティル ソーッ⸣タ [pḁ⸢tuma⸣nakamurin ⸣doːreːnu ʔu⸢bubudu⸣ru ⸢soː⸣ru ⸣pimmaː ʔu⸢bugama⸣ʤi ⸢juitiru soːt⸣ta] (鳩間中岡などのような儀式用の舞踊を踊る時には入れ髪をし、大きな\ruby{髷}{マゲ}を結ってなされた<踊られた>) 3107 0 0 2915 htmvoc_3107.wav ウブカマチ ウ⸢ブカマ⸣チ [ʔu⸢bukama⸣ʧi] 名 大きな竈。 ウ⸢ブカマ⸣チナール ⸢シンマイ⸣ナビ ビ⸢シティ⸣ ウン ⸢ネーソーッ⸣タ [ʔu⸢bukama⸣ʧinaːru ⸢ʃimmai⸣nabi bi⸢ʃiti⸣ ʔun ⸢neːsoːt⸣ta] (大きな竈に大鍋<四枚鍋>を据えて芋を煮られた) 3108 0 0 2916 htmvoc_3108.wav ウブギ ウ⸢ブ⸣ギ [ʔu⸢bu⸣gi] 名 おかげ。⸢ブン⸣ギ[⸢buŋ⸣gi](恩義)に接頭語⸢ウ[ʔu](御)が上接して転訛したもの。ミ⸢ブ⸣ギ[mi⸢bu⸣gi](お陰{EOS}御恩義)ともいう。「キミヌ ミブキン タレアマリ/カミン フトゥキン ウハチアギ/スヌヌ アマリヤ イタダケリ」(君主<国王>の御恩義が民に垂れ溢れ<余り>、神にも仏にも収穫のお初を供え、その残りは頂いた)」(『鳩間口説』第八連)とうたわれている 3118 0 0 2917 htmvoc_3118.wav ウブキー ウ⸢ブ⸣キー [ʔu⸢bu⸣kiː] 名 大木。ウ⸢ブキー⸣ムトゥ[ʔu⸢bukiː⸣mutu]ともいう。 ム⸢トゥ⸣ヌ ⸢ショーガッコー⸣ヌ ⸢ウンドー⸣バナー ⸣ウシキーヌ ウ⸢ブキー⸣ヌ ⸢アッタ⸣ヌ ⸢タイ⸣フーナー ブ⸢ラ⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [mu⸢tu⸣nu ⸢ʃoːgakkoː⸣nu ⸢ʔundoː⸣banaː ⸣ʔuʃikiːnu ʔu⸢bukiː⸣nu ⸢ʔatta⸣nu ⸢tai⸣ɸuːnaː bu⸢ra⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (元の小学校の運動場にアコウ<赤秀>の大木があったが、台風で折られてしまった) 3110 0 0 2918 htmvoc_3110.wav ウブキザル ウ⸢ブキザ⸣ル [ʔu⸢bukiʣa⸣ru] 名 大行事。⸣ソンガチ[⸣soŋgaʧi](正月)、⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)、ジ⸢ル⸣クンチ[ʤi⸢ru⸣kunʧi](十六日祭)、⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)、キ⸢チゴン[ki⸢ʧigoŋ](結願祭)などの祭祀行事をいう。その他は普通のキ⸢ザル[ki⸢ʣaru](年中行事)である。 ⸣ソンガチ ⸢ソーラン⸣マー ウ⸢ブキザル⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナ ⸢ペー⸣ル⸢ナー [⸣soŋgaʧi ⸢soːram⸣maː ʔu⸢bukiʣaru⸣nu ʔu⸢ʧi⸣na ⸢peː⸣ru⸢naː] (正月、お盆は大行事の中に入るねえ) 3111 0 0 2919 htmvoc_3111.wav ウブキナイ ウ⸢ブ⸣キナイ [ʔu⸢bu⸣kinai] 名 大所帯。 ⸢ウン⸣ネーヤ ウ⸢ブ⸣キナイ ヤ⸢ルンダ スー⸣タイ ⸢サン⸣カー キ⸢ナイヤー⸣ ム⸢タラン⸣ パジ⸢ダー [⸢ʔun⸣neːja ʔu⸢bu⸣kinai ja⸢runda suː⸣tai ⸢saŋ⸣kaː ki⸢naijaː⸣ mu⸢taram⸣ paʤi⸢daː] (その家は大所帯だから倹約しないと家計は立ち行かない<成り立たない>はずだよ) 3109 0 0 2920 htmvoc_3109.wav ウブキム ウ⸢ブ⸣キム [ʔu⸢bu⸣kimu] 名 大胆。「大胆(おおきも)」の義。 ウ⸢バイ⸣カバイ ⸢サンドー⸣シ ⸢チャー⸣ ウ⸢ブキム⸣バ ⸣ムテーティ プ⸢スヌ⸣ マイン ン⸢ジ⸣リ [ʔu⸢bai⸣kabai ⸢sandoː⸣ʃi ⸢ʧaː⸣ ʔu⸢bukimu⸣ba ⸣muteːti pu̥⸢sunu⸣ main ʔn⸢ʤi⸣ri] (びくびくしないで、常に大胆な気持ちを持ちながら人前にも出なさい) 3097 0 0 2921 htmvoc_3097.wav ウブクイ ウ⸢ブ⸣クイ [ʔu⸢bu⸣kui] 名 大声。 ウ⸢ブ⸣クイシ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ラブナ [ʔu⸢bu⸣kuiʃi pu̥⸢su⸣ ja⸢rabuna] (大声で人を呼ぶな)。 ウ⸢ブ⸣クイシ ⸣ウタ イ⸢ズン [ʔu⸢bu⸣kuiʃi ⸣ʔuta ʔi⸢ʣuŋ] (大声で歌を歌う)。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ウ⸢ブ⸣クイ ン⸢ザ⸣スン [ma⸢rukeːti⸣naː ʔu⸢bu⸣kui ʔn⸢ʣa⸣suŋ] (たまあに大声を出す)。 ⸣アブジェー ユクイ⸢ヨーリ⸣バ ウ⸢ブ⸣クイ ン⸢ザサン⸣ドーシ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸣ムニ イ⸢ジ⸣バ [⸣ʔabuʤeː jukui⸢joːri⸣ba ʔu⸢bu⸣kui ʔn⸢ʣasan⸣doːʃi jaː⸢rama⸣ʃi ⸣muni ʔi⸢ʤi⸣ba] (おじいさんがお休みになっておられるから、大声を出さないで柔らかく<おとなしく、静かに>話しなさい<ものを言いなさい>よ) 3113 0 0 2922 htmvoc_3113.wav ウブグシ ウ⸢ブ⸣グシ [ʔu⸢bu⸣guʃi] 名 祈願用、祝儀用の神酒。「大御酒」の義。カ⸢ザリクビン[ka⸢ʣarikubiŋ](飾り瓶子、とくり)に入れた神酒。瓶の蓋は紅白の紙を三角に折り、紅に白色が重ねて出るように作られている。 ⸢ザー⸣トゥクナー ウ⸢ブ⸣グシ カ⸢ザリ⸣シケーバ ⸢ヤーニン⸣ズ ⸢ニントゥー シティ パイ⸣サ ⸣グシ カ⸢ミ⸣リ [⸢ʣaː⸣tukunaː ʔu⸢bu⸣guʃi ka⸢ʣari⸣ʃi̥keːba ⸢jaːnin⸣ʣu ⸢nintuː ʃiti pai⸣sa ⸣guʃi ka⸢mi⸣ri] (床の間に祈願用の神酒を飾っておいてあるから、家族一同年頭の祝詞を述べて早く神酒を頂戴しなさい<おし頂きなさい>) 3115 0 0 2923 htmvoc_3115.wav ウブグヮンス ウ⸢ブグヮン⸣ス [ʔu⸢bugwan⸣su] 名 先祖伝来の大位牌。「大元祖」の義。ウ⸢ブイー⸣パイ[ʔu⸢buʔiː⸣pai](大位牌)ともいう。巾約2センチ、長さ約10センチの木牌を、二段の木製の枠に嵌め込んだ位牌のこと。 ウ⸢ブグヮン⸣ス カ⸢タミ⸣プス [ʔu⸢bugwan⸣su kḁ⸢tami⸣pu̥su] (大位牌を継ぐ<担ぐ>人)。 ⸢ウン⸣ネナー ウ⸢ブグヮンス⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸢ʔun⸣nenaː ʔu⸢bugwansu⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (あの家には大元祖<位牌>がいらっしゃる) 3119 0 0 2924 htmvoc_3119.wav ウブザー ウ⸢ブ⸣ザー [ʔu⸢bu⸣ʣaː] 名 大きな座敷。大広間。「大座」の義。ウ⸢ブ⸣ザー ピ⸢ス⸣サー[ʔu⸢bu⸣ʣaː pi̥⸢su⸣ʣaː](大座敷、広座敷)のように用いられる。 ⸣エントゥシ ン⸢カイル⸣トゥシン ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ブ⸣ザー ピ⸢ス⸣ザーナーティ ⸣ヨイ シ⸢ラリ⸣ タ⸢ボーリ [⸣jentuʃi ʔŋ⸢kairu⸣tu̥ʃiŋ ku⸢nu⸣ ʔu⸢bu⸣ʣaː pi̥⸢su⸣ʣaːna ⸣joi ʃi⸢rari⸣ taboː⸢ri] (来年、迎える年もこの大座敷、広座敷においてお祝いをされてください) 3120 0 0 2925 htmvoc_3120.wav ウブザー ⸣ウブザー [⸣ʔubuʣaː] 名 親族名称。長兄を表す、ウ⸢ボー⸣ザ[ʔu⸢boː⸣ʣa](長兄<大兄>)の訛った形。 ⸢トゥー⸣ジェヌ ⸣ウブザー [⸢tuː⸣ʤenu ⸣ʔubuʣaː] (通事家の長兄) 3121 0 0 2926 htmvoc_3121.wav ウブジ ウ⸢ブ⸣ジ [ʔu⸢bu⸣ʤi] 名 親族名称。祖父母の長兄をいう。呼称は、ウブ⸢ジェー[ʔubu⸢ʤeː]という。 ⸢ワッ⸣テヌ ウ⸢ブ⸣ジェー ミサー⸢ロールン [⸢wat⸣tenu ʔu⸢bu⸣ʤeː misaː⸢roːruŋ] (お宅のウブジおじいさん<祖父母の長兄>はお元気ですか<達者でおられますか>)。⸣ナカブジ[⸣nakabuʤi](祖父母の次兄{EOS}単にウ⸢ブ⸣ジ{SqBr}ʔu⸢bu⸣ʤi{/SqBr}ともいう)、⸣バカブジ[⸣bakabuʤi](祖父母の三兄)のように部分体系をなす 3122 0 0 2927 htmvoc_3122.wav ウブジー ウ⸢ブ⸣ジー [ʔu⸢bu⸣ʤiː] 名 西表島。「大地」の義。 パ⸢トゥ⸣マクドゥキ [pa⸢tu⸣makuduki] (鳩間口説)の囃子に/イヤイヤ シマヌアリサマ ウフチ バナリヌ アヌタカヌタヌ タカサピクサヤ トゥナミ ナランサ シジク ワシマニ スダチンチャリバ シントゥ タヌマシムヌサミ ナマヌ パヤシニ クドゥキ ユミユミ/(いやいや、島の姿ありさまは大地<西表島>、離島のあちらこちらの高さ低さは平坦にはできないものだ{EOS}続くわが島に育ってみると、誠に楽しいものだ{EOS}今の囃子に口説きを歌おう)(『鳩間口説』第三連) 3138 0 0 2928 htmvoc_3138.wav ウブシキ ウ⸢ブ⸣シキ [ʔu⸢bu⸣ʃiki] 名 満月。「大月」の義。ウ⸢ブシキンガナ⸣シ[ʔu⸢buʃikiŋgana⸣ʃi](大月様)ともいう。 ウ⸢ブシキ⸣ヌ ⸢マーウイバー⸣キ ⸢アーリオー⸣ルカー ⸢スー⸣ヤ ピ⸢シ⸣スンダ イ⸢ソー⸣ パラ⸢ナー [ʔu⸢buʃi̥ki⸣nu ⸢maːʔuibaː⸣ki ⸢ʔaːriʔoː⸣rukaː ⸢suː⸣ja pi̥⸢ʃi⸣sunda ʔi⸢soː⸣ para⸢naː] (満月が中天<真上>まで上がってこられると、潮が引くから潮干狩りに行こうねえ) 3124 0 0 2929 htmvoc_3124.wav ウブシキン ウ⸢ブ⸣シキン [ʔu⸢bu⸣ʃi̥kiŋ] 名 広い世間。「大世間」の義。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ブ⸣シキンナー イ⸢ルン⸣ナ ディ⸢キブツ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン⸢ダー⸣ シ⸢キン⸣バ ウ⸢サイヤー⸣ ナ⸢ラン⸠ダー [ku⸢nu⸣ ʔu⸢bu⸣ʃi̥kinnaː ʔi⸢run⸣na di⸢kibuʦu⸣nu ⸢ʔoː⸣run⸢daː⸣ ʃi̥⸢kim⸣ba ʔu⸢saijaː⸣ na⸢ran⸠daː] (この広い世間には、いろいろの才人がおられるものだぞ{EOS}世間を軽く見てはならんぞ) 3125 0 0 2930 htmvoc_3125.wav ウブシキンガナシ ウ⸢ブシキンガナ⸣シ [ʔu⸢buʃi̥kiŋgana⸣ʃi] 名 満月様。「大月加那志(大月様)」の義。皓々と照り輝く満月には神が宿ると信じられていた。満月の神格化表現。旧暦の十五夜には供物のフ⸢チャ⸣ギ[ɸu̥⸢ʧa⸣gi](吹上餅、俵型の餅に煮た小豆をまぶしたもの)とフ⸢カン⸣ガイ[ɸu̥⸢kaŋ⸣gai](どろどろに煮た餅)を供え、健康祈願をした。これをシ⸢キマチ⸣ル[ʃi̥⸢kimaʧi⸣ru](月祀り)という。子守唄にも/アールカーラ アーリオール ウブシキンガナシ ウキナーン ヤイマーン ティラショーリ ホーオーイーチョーオーガー(東方から上がって来られる大月加那志<お月様>、沖縄も八重山も照らしてください{EOS}ホーイチョーガ<囃子>)/と歌われている 3139 0 0 2931 htmvoc_3139.wav ウブシケー ⸣ウブシケー [⸣ʔubuʃi̥keː] 固 大城家本家(当主、大城博氏)の屋号。大城博氏の童名はア⸢ガイ⸣サー[ʔa⸢gai⸣saː]。父親の大城安正が早世したので母親のサカイに育てられ、叔父の加治工伊佐の協力を得て成長した。戦後富里キクと結婚し長男肇(琉球大学教授{EOS}副学長、学長)、次男學(琉球大学教授)、覚(中学校長)を育てた。また、大城博氏夫妻は、長年鳩間島で里親として沖縄本島から来た子供を育てて鳩間小中学校の維持発展に協力した。 ⸣ウブシケヌ ⸢アンタヌ⸣ ミ⸢ナ⸣カナー ビ⸢チル⸣ヌ ⸣アン [⸣ʔubuʃi̥kenu ⸢ʔantanu⸣ mi⸢na⸣kanaː bi⸢ʧiru⸣nu ⸣ʔaŋ] (大城家の東の庭にビチル<賓頭蘆>がある)。 ⸣ウブシケヌ ⸣アボー カ⸢ザケヌ⸣ サ⸢クシミドーン⸣ッふァ ヤ⸢ローッ⸣タ [⸣ʔubuʃi̥kenu ⸣ʔaboː ka⸢ʣakenu⸣ sḁ⸢kuʃimidoːŋ⸣ffa ja⸢roːt⸣ta] (大城家のお母さん<大城サカイ氏>は加治工家の長女であられた) 3140 0 0 2932 htmvoc_3140.wav ウブシケーヌヤシキ ⸣ウブシケーヌ ⸢ヤシ⸣キ [⸣ʔubuʃi̥keːnu ⸢jaʃi̥⸣ki] 連 屋敷名。「大城家の後ろの空き屋敷」の義。 ⸣ウマー ア⸢ラブシケーヌ インタヌ ヤシ⸣キ ⸣ナリ ⸢ブー [⸣ʔumaː ʔa⸢rabuʃi̥keːnu ʔintanu jaʃi̥⸣ki ⸣nari ⸢buː] (そこは大工家<東大城家>の西隣の屋敷になっている) 3126 0 0 2933 htmvoc_3126.wav ウブシケーマ ウブシ⸢ケー⸣マ [ʔubuʃi̥⸢keː⸣ma] 名 おはじき。サザエ貝の蓋。直径約2,5センチで半球形の石。地面に碁盤目を描き、対面して碁盤目の上を交互におはじきを弾き、領地を増やすゲーム。ジャンケンでプレーを開始し、最初のプレーヤーのおはじきが碁盤の線上にかかったら相手と交替する。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ミ⸢ナ⸣カナー ⸣シェン ピ⸢キティ⸣ ユー ウブシ⸢ケー⸣マ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː mi⸢na⸣kanaː ⸣ʃem pi̥⸢kiti⸣ juː ʔubuʃi⸢keː⸣ma ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (子供の頃には庭で地面に線を引いてオハジキをして遊んだ)。 ウブシ⸢ケー⸣マ ⸢シー⸣ ア⸢サバ⸣ディー [ʔubuʃi̥⸢keː⸣ma ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢saba⸣diː] (おはじきをして遊ぼうよ) 3123 0 0 2934 htmvoc_3123.wav ウブシマ ウ⸢ブ⸣シマ [ʔu⸢bu⸣ʃima] 名 大きな島。石垣島。 ウ⸢ブシマ⸣ヌ プ⸢ス⸣ティ ⸢シー⸣ シ⸢マーマ⸣ヌ プ⸢スヨー⸣ ウ⸢サイブタンドゥ ウンドー⸣カイナー マ⸢クター⸣ パロー ヌ⸢マラ⸣ヌティ ア⸢ゾーッ⸣タツォー [ʔu⸢buʃima⸣nu pu⸢su⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢maːma⸣nu pu̥⸢sujoː⸣ ʔu⸢saibutandu ʔundoː⸣kainaː ma⸢kutaː⸣ paroː nu⸢mara⸣nuti ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (大きな石垣島の人だから、小さな鳩間島の人を馬鹿にしていたが、運動会で負けたので、針は飲めない<飲まれない>といわれたそうだ)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢ブ⸣シマラール ⸢オー⸣レール [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢bu⸣ʃimaraːru ⸢ʔoː⸣reːru] (この人は石垣島<大島>から来られたのだ) 3143 0 0 2935 htmvoc_3143.wav ウブシラ ウ⸢ブ⸣シラ [ʔu⸢bu⸣ʃira] 名 大きな顔。「大面(おおつら)」の義。 パ⸢ジン⸣ ッ⸢サ⸣リティ ⸣シラー フ⸢クリティ⸣ ウ⸢ブ⸣シラ ナリ⸢ベー [pa⸢ʤin⸣ s⸢sa⸣riti ⸣ʃiraː ɸu̥⸢kuriti⸣ ʔu⸢bu⸣ʃira nari⸢beː] (蜂に刺されて顔は腫れ<膨れ>大きな顔になっている) 3144 0 0 2936 htmvoc_3144.wav ウブシラ ウ⸢ブシラ [ʔu⸢buʃira] 名 大きな稲叢。刈り取った稲を脱穀しないで、藁の付いたまま庭に積んで保存してあるもの。庭の前に一間四方、高さ約50センチの礎を据え、それに床を張り、筵を敷いて稲束を半球形に積み上げ、頂上をトゥ⸢マー[tu⸢maː](茅の苫)で葺いた稲叢。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー ミ⸢ナ⸣カナー ウ⸢ブ⸣シラ ス⸢ク⸣リティ タ⸢ブイヨーッ⸣タ [⸢ʣaireːmai⸣jaː mi⸢na⸣kanaː ʔu⸢bu⸣ʃira su̥⸢ku⸣riti ta⸢buijoːt⸣ta] (在来種の米<赤米>は庭に大きな稲叢を作って保存された) 3129 0 0 2937 htmvoc_3129.wav ウブジン ウ⸢ブ⸣ジン [ʔu⸢bu⸣ʤiŋ] 名 大金。 ムティミ⸢ラ⸣ン ウ⸢ブジン⸣バ ム⸢タサ⸣リティ ⸢ヌー⸣シ シゥ⸢カウバル⸣ ミサユー ザ⸢マン⸣ドゥリ ⸢ベー [mutimi⸢ra⸣ŋ ʔu⸢buʤimba⸣ mu⸢tasa⸣riti ⸢nuː⸣ʃi sï̥⸢kaubaru⸣ misajuː ʣa⸢man⸣duri ⸢beː] (持ったことのない大金を持たされて、どうやって使ったほうがよいか、頭が混乱し<うろたえ>てしまっている)。大銭。金額の大きな紙幣。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ブ⸣ジン ⸣クリティ ⸢クー⸣ジン ⸣ナシ ッ⸢ふィーリ [ku⸢nu⸣ ʔu⸢bu⸣ʤiŋ ⸣kuriti ⸢kuː⸣ʤin ⸣naʃi f⸢fiːri] (この高額の紙幣を両替<くずして>して小銭に換えて<なして>くれ) 3130 0 0 2938 htmvoc_3130.wav ウブジン ウ⸢ブジン [ʔu⸢buʤiŋ] 名 大きなお膳。「大膳」の義。 ウ⸢ブジン⸣ナー ⸣グシン ⸢コー⸣パナン イ⸢リティ⸣ シ⸢キリ⸣バ [ʔu⸢buʤin⸣naː ⸣guʃiŋ ⸢koː⸣panaŋ ʔi⸢riti⸣ ʃi̥⸢kiri⸣ba] (大きなお膳に御酒も線香や花米も入れて供えなさいよ) 3145 0 0 2939 htmvoc_3145.wav ウブシンカ ウ⸢ブシンカ [ʔu⸢buʃiŋka] 名 大人数。大勢の人。大家族。多数の乗組員。「多臣下」の義。 ウ⸢ブシンカヌ⸣ マ⸢カナイ⸣ヤー ⸢タン⸣ガシェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢buʃiŋkanu⸣ ma⸢kanai⸣jaː ⸢taŋga⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (大人数の賄いは一人ではできない) 3078 0 0 2940 htmvoc_3078.wav ウブス ウ⸢ブ⸣ス [ʔu⸢bu⸣su] 名 海水。潮水。塩水。「潮、~海水朝夕来云、宇之保(うしほ)」『和名抄』の転訛したもの。 ウ⸢ブ⸣ス フ⸢ミ⸣キー ウ⸢ブ⸣ナビナー タ⸢キティル マー⸣ソー タ⸢コーッタ⸣ル [ʔu⸢bu⸣su ɸu⸢mi⸣kiː ʔu⸢bu⸣nabinaː tḁ⸢kitiru maː⸣soː tḁ⸢koːtta⸣ru] (海水を汲んできて、大きな鍋で炊いて<ぞ>塩は製造された<炊かれた>ものだ)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ⸢マー⸣スーン ⸢ナーン⸣ベーティ ウ⸢ブス⸣バ フ⸢ミ⸣キーテイル ⸢マー⸣ス タ⸢クタ⸣ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ⸢maː⸣suːn ⸢naːm⸣beːti ʔu⸢busu⸣ba ɸu⸢mi⸣kiːtiru ⸢maː⸣su tḁ⸢kuta⸣daː] (太平洋戦争の後は塩も無いので海水を汲んで来て塩を炊いたのだよ) 3131 0 0 2941 htmvoc_3131.wav ウブスーチズー ウ⸢ブスー⸣チズー [ʔu⸢busuː⸣ʧiʣuː] 名 大潮。干満の差の大きな干潮。旧暦三月三日の大干潮の起こる時期。「大潮引潮」の義か。 ウ⸢ブスー⸣チズーヌ ン⸢ジ⸣ルカー マー⸢ズン⸣ タ⸢ク⸣ トゥリン ⸣パラ⸢ナー [ʔu⸢busuː⸣ʧiʣuːnu ʔn⸢ʤi⸣rukaː maː⸢ʣun⸣ tḁ⸢ku⸣ turim para⸢naː] (大潮干が出たら一緒に蛸を捕りに行こうなあ) 3132 0 0 2942 htmvoc_3132.wav ウブスディ ウ⸢ブ⸣スディ [ʔu⸢bu⸣sudi] 名 広袖。「大袖」の義。 ウ⸢ブ⸣スディキン [ʔu⸢bu⸣sudikiŋ] (広袖の着物)。 ク⸢ヌ キン⸣マー ウ⸢ブ⸣スディ ⸣ヌイ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [ku⸢nu kim⸣maː ʔu⸢bu⸣sudi ⸣nui f⸢fiːri⸣joː] (この着物は広袖に縫ってくれよ)。 キ⸢チゴンヌ⸣ ウブ⸢ブドゥ⸣ロー ウ⸢ブ⸣スディキン キ⸢シティル⸣ ブ⸢ドウル ソーッ⸣タ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ ʔu⸢bubudu⸣roː ʔu⸢bu⸣sudikiŋ ki̥⸢ʃitiru⸣ bu⸢duru soːt⸣ta] (結願祭の古典舞踊<大踊り>は大きな広い袖の着物をきて<ぞ>踊られた) 3180 0 0 2943 htmvoc_3180.wav ウブスブットゥ ウ⸢ブ⸣スブットゥ [ʔu⸢bu⸣subuttu] 名 大怠け者。大の無精者。 ウ⸢ブ⸣スブットー ⸣キューン サ⸢キ⸣ ヌミティ ニ⸢ビベー [ʔu⸢bu⸣subuttoː ⸣kjuːn sḁ⸢ki⸣ numiti ni⸢bibeː] (大怠け者めは、今日も酒を飲んで寝ている) 3133 0 0 2944 htmvoc_3133.wav ウブスン ウ⸢ブスン [ʔu⸢busuŋ] 名 大損。大欠損。⸢ウーズン[⸢ʔuːʣuŋ](大損)ともいうが、普通はウ⸢ブスン[ʔu⸢busuŋ]という。 ⸢アッ⸣タニ ⸢ウーモーキ スンティ アーキ⸣ル ウ⸢ブスン<⸢ウーズン>バ シー ベー⸣ル [⸢ʔat⸣tani ⸢ʔuːmoːki sunti ʔaːki⸣ru ʔu⸢busum<⸢uːʣum>ba ʃiːbeː⸣ru] (急に大儲けしようとしていて<ぞ>、大損をしているのだ) 3128 0 0 2945 htmvoc_3128.wav ウブソッコー ウ⸢ブソッ⸣コー [ʔu⸢busok⸣koː] 名 二十五年忌以上の法事。大法事。「大焼香」の義。 ⸣アッパー ニジューゴ⸢ネンキヌ⸣ ウ⸢ブソッコー⸣ヤ イ⸢チ ソー⸣ルカヤー [⸣ʔappaː niʤuːgo⸢neŋkinu⸣ ʔu⸢busokkoː⸣ja ʔi⸢ʧi soː⸣rukajaː] (お祖母さんの二十五年忌の大法事<大焼香>は何時なさかねえ) 3134 0 0 2946 htmvoc_3134.wav ウフダキ ウ⸢フ⸣ダキ [ʔu⸢ɸu⸣daki] 固 (地)大岳。小浜島の中心にある山。/小浜ティル 島(シゥマ)ヤ 果報(カフ)ヌ 島ヤリバ 大岳(ウフダギ)バ クサディ 白浜(シルパマ)前(マイ)ナシ/大岳(ウフダギ)ニ登(ヌブ)ティ ウシ下(クダ)シ見リバ 稲粟(ィニァヮ)ヌ稔(ナォ)リゥ 弥勒世果報(ミルクユ ガフ)/「小浜節」(『八重山民謡誌』) 3135 0 0 2947 htmvoc_3135.wav ウブタク ウ⸢ブ⸣タク [ʔu⸢bu⸣taku] 名 (動)オオダコ(大蛸)。幼児語では、大きな男根、おちんちん。 ⸢スー⸣チズーサーリ イ⸢ソー シー⸣ ウ⸢ブ⸣タク トゥリ⸢クー⸣タ [⸢suː⸣ʧiʣuːsaːri ʔi⸢soːʃiː⸣ ʔu⸢bu⸣tḁku turi⸢kuː⸣ta] (大潮<大潮の潮干>で潮干狩りに行って大きな蛸を捕ってきた)。⸢ウリウリ⸣ ウ⸢ブタク⸣ヌ ⸣ンジケーン[⸢ʔuriʔuri⸣ ʔu⸢butaku⸣nu ⸣ʔnʤikeːŋ](ほらほら、大蛸<おちんちん>が出てきたよ)幼児語 3137 0 0 2948 htmvoc_3137.wav ウブタニ ウ⸢ブ⸣タニ [ʔu⸢bu⸣tani] 名 大きな男根。ウ⸢ブ⸣マラ[ʔu⸢bu⸣mara](大きな摩羅、魔羅)ともいう。⸣マラ[⸣mara]は大人の男根に対して用いる。 マ⸢ラタリ⸣ムヌ [ma⸢ratari⸣munu] (陰部をはだけたままの男性{EOS}幼稚で無分別な者)。 ⸣ガザン ⸢ホー⸣リカー ウ⸢ブ⸣タニ ナルンティ⸢ダー [⸣gaʣaŋ ⸢hoː⸣rikaː ʔu⸢bu⸣tani narunti⸢daː] (蚊に噛まれると大きな男根<フィラリア>になるそうだよ) 3146 0 0 2949 htmvoc_3146.wav ウフタヌマツテー ウ⸢フタ⸣ヌ マ⸢ツ⸣テー [ʔu⸢ɸu̥ta⸣nu ma⸢ʦu⸣teː] 連 屋号。大田守清氏宅。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢マン⸣ケーザーテヌ ⸢アンタナー⸣ル ⸢アッ⸣タ [⸢ʔun⸣neːja ⸢maŋ⸣keːʣaːteːnu ⸢ʔantanaː⸣ru ⸢ʔat⸣ta] (その家は仲本満慶氏宅の東にあった) 3098 0 0 2950 htmvoc_3098.wav ウフタンヤー ウ⸢フタン⸣ヤー [ʔu⸢ɸutaŋ⸣jaː] 名 屋号。大田守太郎氏宅。鳩間村の⸢アンウムラ[⸢ʔannumura](東村)二班の一等奥の、⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東の村井戸<下り井戸>)の近く(南側)にあった家 3147 0 0 2951 htmvoc_3147.wav ウブチョーチン ウ⸢ブチョー⸣チン [ʔu⸢buʧoː⸣ʧiŋ] 名 大きな提灯。カ⸢ザリチョーチン[ka⸢ʣariʧoːʧiŋ](飾り提灯)ともいう。お盆の時に仏壇の前に吊るして飾り、それに蝋燭を灯して祖霊を迎える。 ⸢ソーラン⸣ヌ ⸣ピンマー ウ⸢ブチョー⸣チン トゥ⸢クニ⸣ナー ⸣サイティル ウ⸢ヤ⸣プス シゥ⸢カ⸣ナイ⸢オーッ⸣タ [⸢soːran⸣nu ⸣pimmaː ʔu⸢buʧoː⸣ʧin tu⸢kuni⸣naː ⸣saitiru ʔu⸢ja⸣pu̥su sï̥⸢ka⸣nai⸢ʔoːt⸣ta] (お盆<精霊会>の時には大きな提灯を仏壇に吊るし<下げ>て祖霊を接待された<養われた>) 2917 0 0 2952 htmvoc_2917.wav ウフッ ウ⸢フッ [ʔu⸢ɸuʔ] 感 \ruby{呪}{マジナ}いのことば。子供が転んで怪我をしたとき、患部に親がフッと息を吹きかけて発する言葉。 ウ⸢フッ⸣ ウ⸢フッ⸣ ヤ⸢ナ⸣ムノー カ⸢マー⸣ パリッ⸢ふォーリ ⸣クマーラル ウ⸢ブ⸣プス ナル⸢ドー [ʔu⸢ɸuʔ⸣ʔu⸢ɸuʔ⸣ ja⸢na⸣munoː ka⸢maː⸣ parif⸢fori⸣ kumaːraru ʔu⸢bu⸣pu̥su naru⸢doː] (ウ⸢フッ⸣ ウ⸢フッ⸣ 悪霊はあっちへ行ってください{EOS}ここからが大人になるんだぞ)。幼児が転んだり、怪我をした時などに母親が唱えた。 ウ⸢フッ⸣ウ⸢フッ⸣ ク⸢マン⸣トンラ ウ⸢ブ⸣プス ⸣タカプス ナ⸢ラ⸣シ タ⸢ボーリ [ʔu⸢ɸuʔ⸣ ʔu⸢ɸuʔ⸣ ku⸢man⸣tonra ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣tḁkapusu na⸢ra⸣ʃi ta⸢boːri] (ウフッ ウフッ ここの所から大きな人、高い人<大人>になしてください) 3182 0 0 2953 htmvoc_3182.wav ウブッカル ウ⸢ブッ⸣カル [ʔu⸢buk⸣karu] 名 陽光。「大きな明かり」の義。「ウブ(大)・アカル(明かり)」の転訛したもの。新生児を初めて産屋から出して太陽光を拝ませる際に言う。 ⸢トゥッカジラ⸣ ウ⸢チナ⸣スカー ウ⸢ブッ⸣カル ウ⸢ガマ⸣ソーッタン [⸢tukkaʤira⸣ ʔu⸢ʧina⸣sukaː ʔu⸢buk⸣karu ʔu⸢gama⸣soːttaŋ] (産後十日目の産屋を出る儀式を済ませたら太陽拝みをされた) 3183 0 0 2954 htmvoc_3183.wav ウブッカルウガマシ ウ⸢ブッ⸣カル ウ⸢ガマ⸣シ [ʔu⸢buk⸣karu ʔu⸢gama⸣ʃi] 連 太陽の初拝み。産婦と新生児が誕生後十日目に無事に産屋から出して太陽光を拝ませる儀式。その際、祖母が⸢ピング[⸢piŋgu](鍋墨{EOS}⸢竃黒」の義か)を新生児の眉間か額につけ、稲藁のサンを新生児の胸元に置いた。これを、⸢パン⸣ シ⸢キ⸣ルン[⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ](判をつける)という。それによって、新生児が悪霊に取り付かれることはなく、無事に当家の子供として守護されると信じられている。また、男児の場合弓と矢のミニチュアを作り、女児の場合は⸣ナビシケー[⸣nabiʃi̥keː](鍋敷き)とイ⸢ビ⸣ラ[ʔi⸢bi⸣ra](大杓文字)のミニチュアをかざし(翳し)ながらナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu⸣ku](ひんぷん{EOS}目隠しの石垣)を回ってミニチュアを玄関の軒に差しておいた。 ⸢キュー⸣ル ウ⸢ブッ⸣カル ウ⸢ガマシ⸣タ [⸢kjuː⸣ru ʔu⸢buk⸣karu ʔu⸢gamaʃi̥⸣ta] (今日がお天道様<太陽>の光を拝ませた) 3189 1 0 2955 htmvoc_3189.wav ウブッス ウ⸢ブ⸣ッス [ʔu⸢bu⸣ssu] 名 {PoS_1}「大糞」の義。大きな糞。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸢タール⸣ マ⸢ル⸣タユー ウ⸢ブッス⸣バ ⸣マリシケー [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣana ⸢taːru⸣ ma⸢ru⸣tajuː ʔu⸢bussu⸣ba ⸣mariʃi̥keː] (畑の畦に、誰が糞をたれたか大きな糞を放って<まって>ある)。 3189 2 0 2956 htmvoc_3189.wav ウブッス ウ⸢ブ⸣ッス [ʔu⸢bu⸣ssu] 感 {PoS_2}否だ。あかんべえ。 ウ⸢ブ⸣ッスヒャー ⸢ワー⸣ ムニ⸢ナー⸣ト シゥ⸢カヌ [ʔu⸢bus⸣suçaː ⸢waː⸣ muni⸢naː⸣to sï̥⸢kanu] (くそくらえ{EOS}お前の言うことなんか聞かない) 3184 0 0 2957 htmvoc_3184.wav ウブッふァイダマ ウ⸢ブッふァイ⸣ダマ [ʔu⸢buffai⸣dama] 名 大の食いしん坊。大変な卑しいん坊。 ウ⸢レー⸣メー ⸢サッコー⸣ヌ ウ⸢ブッふァイ⸣ダマ ウ⸢ヤ⸣ベー ⸢フッ⸣ツァメーティ ⸣アッパー シ⸢ベー ウイル ヨイシ⸣ヤーン マー⸢ン⸣ パル [ʔu⸢reː⸣meː ⸢sakkoː⸣nu ʔu⸢buffai⸣dama ʔu⸢ja⸣beː ⸢fut⸣ʦameːti ⸣ʔappaː ʃi⸢beː ʔuiru joiʃi⸣jaːm maː⸢m⸣ paru] (その子はもう大変な食いしん坊だ{EOS}親指を口にくわえて、お祖母さんの後にくっついて後追いをしてお祝いのある家にも何処にもついて行く) 3148 0 0 2958 htmvoc_3148.wav ウブティダ ウ⸢ブ⸣ティダ [ʔu⸢bu⸣tida] 名 太陽。「大天道」の義。ア⸢ガティダ[ʔa⸢gatida](真っ赤な太陽{EOS}灼熱の太陽)の対語。 ウ⸢ブ⸣ティダ ウ⸢ガマ⸣スン [ʔu⸢bu⸣tida ʔu⸢gama⸣suŋ] (お天道様を拝ませる) 3149 0 0 2959 htmvoc_3149.wav ウブティン ウ⸢ブ⸣ティン [ʔu⸢bu⸣tiŋ] 名 天。大空。「大天」の義。 ウ⸢ブティン⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナーテー ヤ⸢ナクトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢カン⸣マー ミシゥ⸢カーマ⸣シ ミリ⸢オー⸣ル [ʔu⸢butin⸣nu s⸢saːn⸣naː ja⸢nakutoː⸣ na⸢ra⸣nu ⸢kam⸣maː misï⸢kaːma⸣ʃi miri⸢ʔoː⸣ru] (天の下では悪事は出来ない{EOS}神はじっと注意して見ておられるのだ) 2454 0 0 2960 htmvoc_2454.wav ウブトゥー ウ⸢ブ⸣トゥー [ʔu⸢bu⸣tuː] 名 大海。大海原。海峡。「~明石大門<アカシオホト>に~。万、254」の「大門<オホト>」から転訛したもの。 ⸣シンタヌ ウ⸢ブ⸣トゥーラ ⸢ゾーキヌ⸣ ウ⸢ランザ⸣キ ⸢マーリパッ⸣タヤー [⸣ʃintanu ʔu⸢bu⸣tuːra ⸢ʣoːkinu⸣ ʔu⸢ranʣa⸣ki ⸢maːripat⸣tajaː] (島の後ろの大海から台湾航路の蒸気船が宇那利崎を迂回して航行してい行ったよ<白浜港で石炭を積みこんで行った>)。 ウ⸢ブ⸣トゥー ン⸢ジ⸣ル ⸣フネー ⸢カイ⸣ルン ウ⸢ブ⸣ヌー ン⸢ジ⸣ル ⸣フネー ⸢カイラ⸣ヌ [ʔu⸢bu⸣tuː ʔn⸢ʤi⸣ru ⸣ɸuneː ⸢kai⸣ruŋ ʔu⸢bu⸣nuː ʔn⸢ʤi⸣ru ⸣ɸuneː ⸢kaira⸣nu] (大海に向かって出航する船は帰ってくるが、野辺へ送られて出る船<棺>は帰らない<諺>) 3150 0 0 2961 htmvoc_3150.wav ウブドゥー ウ⸢ブ⸣ドゥー [ʔu⸢bu⸣duː] 名 大きな体。胴体。「大胴」の義。 ウ⸢ブ⸣ドゥ タ⸢カ⸣ドゥー ナ⸢ラ⸣シ タボー⸢リ [ʔu⸢bu⸣duː ta⸢ka⸣duː na⸢ra⸣ʃi taboː⸢ri] (大きな体、高い体になしてください) 3151 0 0 2962 htmvoc_3151.wav ウブドゥマル ウ⸢ブドゥマ⸣ル [ʔu⸢buduma⸣ru] 名 (地)「大泊」と表記されている。旧鳩間小学校跡地(現公民館)から現鳩間小中学校に至る海岸一帯の地名。 ウ⸢ブドゥマ⸣ルナー カ⸢ツシンヌ シーゾー⸣ヤーン ⸢アッ⸣タン [ʔu⸢buduma⸣runaː kḁ⸢ʦuʃinnu ʃiːʣoː⸣jaːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (大泊にはカツオ漁船のカツオ節製造工場もあった) 3152 0 0 2963 htmvoc_3152.wav ウブトゥムル ウ⸢ブトゥム⸣ル [ʔu⸢butumuru] 名 ⸢友利御嶽」。歌謡語。日常は、⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](上の御願<御嶽>)、ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](本御願<御嶽>)という。ウ⸢ブトゥム⸣ル[ʔu⸢butumu⸣ru](大友利<御嶽>)が転訛したもの。国語のイ段音に対応する石垣方言は中舌母音[i̥]であるが、鳩間方言の母音は、その中舌母音[i̥]が音韻変化(弱化)して[u]となる。/ヘイヤー ウブトゥムル ホー マブルシュー(ヘイヤー<囃子>大友利御嶽の、ホー<囃子>守護神様)/ヘイヤー ウブシクヌ ホー ウヤンガミ(ヘイヤー 大底のホー 親神様)/ヘイヤー ウユミサ ホー アラバン ヘイヤー ナユミサ ホー アラバン(ヘイヤー畏れ多くあっても、ヘイヤー勿体無いことであっても)/ヘイヤー ウスバユティ ホー ウガマ ヘイヤー チカクユティ ホー ウガマ/(ヘイヤーお側に寄って拝もう、ヘイヤーお近くに侍って拝みましょう)「豊年祭の歌」 11867 0 0 2964 htmvoc_11867.wav ウブナカラ ウ⸢ブナカラ [ʔu⸢bunakara] 名 大半。七割程度。 シ⸢グトー⸣ ウ⸢ブナカラー⸣ ウ⸢チナシ⸣ ブーバン ⸢ナー [ʃi⸢gutoː⸣ ʔubu⸢nakaraː⸣ ʔu⸢ʧinaʃi⸣ buːban⸢naː] (仕事は、大半は出来あがっているねえ)。 ⸢ジン⸣マー ウ⸢ブナカラー⸣ ヌ⸢カリ⸣ブーバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢ʤim⸣maː ʔu⸢bunakaraː⸣ nu⸢kari⸣buːba ⸢soːja naː⸣nu] (お金は大半が残っているから心配はない) 3156 0 0 2965 htmvoc_3156.wav ウブナクラーン ウ⸢ブナクラー⸣ン [ʔu⸢bunakuraː⸣ŋ] 形 そら恐ろしい。大変怖い。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢ブナクラー⸣ヌ ス⸢バ⸣ー ⸢ユーラランシェン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢bunakuraː⸣nu su⸢ba⸣ː ⸢juːraraŋʃeŋ] (その人は空恐ろしくて側に近寄ることができなかった<近寄れなかった>) 3155 0 0 2966 htmvoc_3155.wav ウブナビ ウ⸢ブ⸣ナビ [ʔu⸢bu⸣nabi] 名 大鍋。三升炊き以上の大きな鍋。ナ⸢ベー⸣マ[na⸢beː⸣ma](小鍋)の対義語。普通の家では⸣ビーナビ[⸣biːnabi](注ぎ口のある鍋)、⸢ティー⸣ナビ[⸢tiː⸣nabi](柄の付いた鍋{EOS}シ⸢ルナビ{SqBr}ʃi⸢runabi{/SqBr}<弦鍋>ともいう)を使用していた。⸣ヨイ[⸣joi](祝儀、祝い)や⸢ソッ⸣コー[⸢sok⸣koː](法事、焼香)など、大量の炊飯をする場合に⸢シンメー⸣ナビ[⸢ʃimmeː⸣nabi](四枚鍋)のウ⸢ブ⸣ナビ[ʔu⸢bu⸣nabi](大鍋)を用いた。イモを大量に煮るときもウ⸢ブ⸣ナビを用いた。 ウ⸢ブ⸣ナビナー ⸣ウン イ⸢リティ ネーシ⸣バ [ʔu⸢bu⸣nabinaː ⸣ʔuŋ ʔi⸢riti neːʃi⸣ba] (大鍋にイモを入れて煮なさい) 3157 0 0 2967 htmvoc_3157.wav ウブナン ウ⸢ブナン [ʔu⸢bunaŋ] 名 大波。津波。 ム⸢カ⸣シ ⸢ヤイマ⸣ナー ウ⸢ブナン⸣ヌ ⸢ユーシ⸣ケータンドゥ パ⸢トゥ⸣マー ⸢カン⸣ヌ ⸣シマ ヤ⸢レー⸣ティ ⸢カン⸣ヌ ⸣ティーシ ⸣ムタイ⸢オーッ⸣ター ⸢ナン⸣マー ⸣パンター フ⸢キパッ⸣タ⸢トゥ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸢jaima⸣naː ʔu⸢bunan⸣nu ⸢juːʃi⸣keːtandu pa⸢tu⸣maː ⸢kan⸣nu ⸣ʃima ja⸢reː⸣ti ⸢kan⸣nu ⸣tiːʃi mutai⸢ʔoːt⸣taː ⸢nam⸣maː ⸣pantaː ɸu⸢kipat⸣ta⸢tu⸣ʦoː] (昔八重山に大津波が押し寄せて来たけれど、鳩間島は神霊の高い島<神高い島>であるから、神が手で島を持ち上げなされたので、津波は島の南の方へ鳩間島を擦り抜けて行ったそうな)。ウ⸢ブ⸣ナミ[ʔu⸢bu⸣nami](大波)ともいう 3158 0 0 2968 htmvoc_3158.wav ウブニチ ウ⸢ブニチ [ʔu⸢buniʧi] 名 高熱。高い熱。「大熱(だいねつ)」の義。 ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣リティ ウ⸢ブニチェー⸣ ンジ ガ⸢マジ⸣ヌ ⸢キーヤ⸣ パギ⸢ナー⸣ヌ [⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ʔu⸢buniʧeː⸣ ʔnʤi ga⸢maʤi⸣nu ⸢kiːja⸣ pagi⸢naː⸣nu] (風気<マラリア>に罹って高熱を出して髪の毛は剥げ落ちてしまった)。 ウ⸢ブニチヌ⸣ ンジ タ⸢キ⸣リ⸢ベー [ʔu⸢buniʧinu⸣ ʔnʤi ta⸢ki⸣ri⸢beː] (高い熱が出て唸っている) 3159 0 0 2969 htmvoc_3159.wav ウブニンズ ウ⸢ブニンズ [ʔu⸢buninʣu] 名 大人数。多人数。⸢ウーニンズー[⸢ʔuːninʣuː](大人数)ともいう。 ウ⸢ブニンズー⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティ ⸢シーッ⸣パイ ⸢シーヨー⸣ル [ʔu⸢buninʣuː⸣ sï̥⸢ka⸣naunti ⸢ʃip⸣pai ⸢ʃiːjoː⸣ru] (大家族<大人数>を養うのに精一杯して<働いて>おられる) 3100 0 0 2970 htmvoc_3100.wav ウブニンズー ウ⸢ブニンズー [ʔu⸢buninʣuː] 名 大人数。多人数。⸢ウーニンズー[⸢ʔuːninʣuː](大人数)ともいう。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ヤーニン⸣ゾー ウ⸢ブニンズー⸣ ヤ⸢ルンダ スータイ⸣ヤー ⸢スー⸣ワンパジ⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu ⸢jaːnin⸣ʣoː ʔu⸢buninʣuː⸣ ja⸢runda suːtai⸣jaː ⸢suː⸣wam ⸣paʤi⸢daː] (あの家の家族は大人数だから家計<世帯>は厳しいはずだよ) 3160 0 0 2971 htmvoc_3160.wav ウブニンズヤー ウ⸢ブニンズヤー [ʔu⸢buninʣujaː] 名 大家族。大人数の家。 ⸢ウン⸣ネーヤ ウ⸢ブニンズヤー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スキ⸣ヌ ⸣イーン ⸢イッ⸣スシェー タ⸢ラーヌ [⸢ʔun⸣neːja ʔu⸢buninʣujaː⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢suki⸣nu ⸣ʔiːŋ ⸢ʔis⸣suʃeː ta⸢raːnu] (その家は大家族であるから一食のご飯も<ご飯を炊くのも>米一升では足りない) 3161 0 0 2972 htmvoc_3161.wav ウブヌー ウ⸢ブ⸣ヌー [ʔu⸢bu⸣nuː] 名 大野。大きな野原。 ⸣インダヌ ウ⸢ブ⸣ヌーナ ウ⸢シマキン⸣ アリティ ウ⸢シヌ⸣ウガンナーティ ウ⸢シヌ⸣ヨイン ⸢ソーッ⸣タンティ⸢ダー [⸣ʔindanu ʔu⸢bu⸣nuːna ʔu⸢ʃimakiŋ⸣ ʔariti ʔuʃ⸢inu⸣ʔugannaːti ʔu⸢ʃinu⸣join ⸢soːt⸣tati⸢daː] (伊武田の大きな原野に牛の牧場があって、牛のお嶽で牛の祝いもされたそうだよ) 3162 0 0 2973 htmvoc_3162.wav ウブヌシトゥル ウ⸢ブヌシ⸣トゥル [ʔu⸢bunuʃi⸣turu] 名 大盗人。 ウ⸢ブヌシ⸣トゥロー ⸢ピンガ⸣シティ グ⸢マヌシトゥル⸣バ カ⸢サムンティ スー⸣ クトー ⸣イカール ⸣シジヤー [ʔu⸢bunuʃi̥⸣turoː ⸢piŋga⸣ʃi̥ti gu⸢manuʃi̥turu⸣ba ka⸢samunti suː⸣ ku̥toː ⸣ʔikaːru ⸣ʃiʤijaː] (大泥棒は捕り逃がして小さな泥棒を捕らえるとは如何なるつもりか<如何なる訳か>) 3163 0 0 2974 htmvoc_3163.wav ウブヌミ ウ⸢ブヌミ [ʔu⸢bunumi] 名 たくさん飲むこと。暴飲。「大飲み」の義。 サ⸢キバ⸣ ウ⸢ブヌミ シティル⸣ サ⸢キシギリ シーベー [sḁ⸢kiba⸣ ʔu⸢bunumi ʃi̥tiru⸣ sa⸢kiʃigiri ʃiːbeː] (酒を暴飲して急性アルコール中毒<酒を飲み過ぎて仮死状態になること>になっている) 3170 0 0 2975 htmvoc_3170.wav ウブバーキ ウ⸢ブバー⸣キ [ʔu⸢bubaː⸣ki] 名 大きな竹製の\ruby{笊}{ザル}。 ウ⸢ブバー⸣キナ ⸣ウン イ⸢リティ⸣ ス⸢ブ⸣ルナ ⸣カミティ⸢パッ⸣タヤー [ʔu⸢bubaː⸣kina ⸣ʔuŋ ʔi⸢riti⸣ su⸢bu⸣runa ⸣kamiti ⸢pat⸣tajaː] (大きな竹製の笊にイモを入れて頭に載せて運んで行ったよ) 3164 0 0 2976 htmvoc_3164.wav ウブバカヤー ウ⸢ブバ⸣カヤー [ʔu⸢buba⸣kajaː] 名 屋号。「大若家」と表記されていたという。加治工太郎氏宅。鳩間村第四班の中心部に位置する。語源は、オオハカ(大捗)。⸢秋の田の吾が刈りばか<婆可>の~。万、2133」の「ハカ(捗)」、「稲を植えた一定の広さ」の義が転訛したもの。昔、「大若家」の者が公用で首里に上った際、偶々ある家の⸣ゾーンタヤー[⸣ʣoːntajaː](屋根付きの門)で雨宿りをしていたところ、その家の主人に姓名を問われて八重山鳩間島のウ⸢ブバ⸣カヤーの者と答えたところ、一門であることが判明し、歓待されて帰ったという(加治工ムヲシャ{EOS}大城サカイ{EOS}宮良ヲナリ{EOS}1958年調査)伝承がある 3165 0 0 2977 htmvoc_3165.wav ウブパク ウ⸢ブ⸣パク [ʔu⸢bu⸣pḁku] 名 大きな箱。「大箱」の義。パ⸢コー⸣マ[pḁ⸢koː⸣ma](小箱)の対義語。 パ⸢コー⸣ ギュー⸢チン⸣ ア⸢リ⸣ブタヌ ウ⸢ブ⸣パコー ム⸢ミパク⸣ フ⸢ターチル アッ⸣タ [pḁ⸢koː⸣ gjuː⸢ʧiŋ⸣ ʔa⸢ri⸣butanu ʔu⸢bu⸣pḁkoː mu⸢mipaku⸣ ɸu̥⸢taːʧiru ʔat⸣ta] (箱は幾つもあったが、大きな箱<大箱>は籾箱二つが<ぞ>あった<二つしかなかった>) 3166 0 0 2978 htmvoc_3166.wav ウブバサ ウ⸢ブ⸣バサ [ʔu⸢bu⸣basa] 名 糸芭蕉。 ウ⸢ブ⸣バサ ⸢トー⸣シ ⸣カー ⸣パギティ ウ⸢リバ ネーシ⸣ ピ⸢キスー⸣リティル ⸣バサイトー トゥ⸢ローッ⸣タ [ʔu⸢bu⸣basa ⸢toː⸣ʃi ⸣kaː ⸣pagiti ʔu⸢riba neːʃi⸣ pi̥⸢kisuː⸣ritiru ⸣basaʔitoː tu⸢roːt⸣ta] (糸芭蕉を切り倒して皮を剥いで、それを煮て割り竹で繊維を扱き取って芭蕉糸は取られた) 3168 0 1 2979 htmvoc_3168.wav ウブバタ ウ⸢ブ⸣バタ [ʔu⸢bu⸣bata] 名 {Mn_1}大きな腹。大食漢。 ウ⸢ブ⸣バタ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーシタンティン⸣ メーティ ⸢サン⸠ツォー [ʔu⸢bu⸣bata ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ f⸢faːʃitantim⸣ meːti ⸢san⸠ʦoː] (大食漢だから、いくら食わせても、もう十分と言わない)。 3168 0 2 2980 htmvoc_3168.wav ウブバタ ウ⸢ブ⸣バタ [ʔu⸢bu⸣bata] 名 {Mn_2}妊娠すること。 ⸢ウン⸣ネヌ ユ⸢メー⸣ キサー⸢ティ⸣ ウ⸢ブ⸣バタ ⸢シーベー⸣バン [⸢ʔun⸣nenu ju⸢meː⸣ ki̥saː⸢ti⸣ ʔu⸢bu⸣bata ⸢ʃiːbeː⸣baŋ] (その家の嫁は既に妊娠しているわい)。 3168 0 3 2981 htmvoc_3168.wav ウブバタ ウ⸢ブ⸣バタ [ʔu⸢bu⸣bata] 名 {Mn_3}大腸。 ⸢オー⸣ヌ ウ⸢ブ⸣バタン バ⸢ター⸣マン ⸣ユディ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ラシティティ⸣ ナ⸢カミ⸣ヌ ⸢シームヌ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢ʔoː⸣nu ʔu⸢bu⸣batam ba⸢taː⸣maŋ ⸣juditi ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢raʃi̥titi⸣ na⸢kami⸣nu ⸢ʃiːmunu⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (豚の大腸も小腸も茹でて、十分に洗って中身の吸い物を作られた) 3169 0 0 2982 htmvoc_3169.wav ウブパタ ウ⸢ブ⸣パタ [ʔu⸢bu⸣pḁta] 名 大きな旗。「大旗」の義。 カ⸢ツシンマー タイロー スー⸣カー ⸢グイルヌ⸣ ウ⸢ブ⸣パタ ア⸢ギティ カイ⸣リ ⸢クータ [kḁ⸢ʦuʃimmaː tairoː suː⸣kaː ⸢guirunu⸣ ʔu⸢bu⸣pḁta ʔa⸢giti kai⸣ri ⸢kuː⸣ta] (カツオ漁船は大漁すると五色の大旗を揚げて帰ってきた) 3171 0 0 2983 htmvoc_3171.wav ウブパナ ウ⸢ブ⸣パナ [ʔu⸢bu⸣pana] 名 神前に供える白米。ウ⸢ブパナン⸣グミ[ʔu⸢bupanaŋ⸣gumi](大初米)の義。四段重ねの上段の重箱の内側に紅白の\ruby{甲立}{コウ|ダテ}<饗立>を立てて白米を盛り上げた神前の供物。正月や米寿等の大きな祝儀に床の間に供える。 ウ⸢ブ⸣パナン ス⸢コーリ ザー⸣トゥクナー カ⸢ザリ⸣ シ⸢キティ⸣ ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ ニ⸢ガイ シキ⸣リバ [ʔu⸢bu⸣panaŋ su̥⸢koːri ʣaː⸣tu̥kuna ka⸢ʣari⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ duːpada ⸢kiŋkoː⸣ ni⸢gaiʃi̥ki⸣riba] (神前に供える大花米も準備し、床の間に飾り供え、身体の健康を祈願し<願い上げ>しなさいよ) 3167 0 0 2984 htmvoc_3167.wav ウブバライ ウ⸢ブ⸣バライ [ʔu⸢bu⸣barai] 名 大笑。爆笑。 ミ⸢ドゥ⸣モー プ⸢スヌ⸣ マイナー ⸣ドゥク ウ⸢ブバライ スームノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [mi⸢du⸣moː pu̥⸢sunu⸣ mainaː ⸣duku ʔu⸢bubarai suːmunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (女は人前では、あまり大笑いするものではない) 3172 0 0 2985 htmvoc_3172.wav ウブパン ウ⸢ブ⸣パン [ʔu⸢bu⸣paŋ] 名 象皮病で太くなった足<脛>。大きな足<脛>。「大脛」の義。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣クサ カ⸢カ⸣ルカ ウ⸢ブ⸣パン ナ⸢リ⸣シタ [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢dumu⸣nu ⸣ku̥sa kḁ⸢ka⸣rukaː ʔu⸢bu⸣pan na⸢ri⸣ʃi̥ta] (昔は女がフィラリアに罹ると大きな脚になった) 3174 0 0 2986 htmvoc_3174.wav ウブビー ウ⸢ブ⸣ビー [ʔu⸢bu⸣biː] 名 (海底地名)。西表島北岸の⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)、⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)の北にある⸢イー⸣シビー[⸢ʔiː⸣ʃibiː](角又を養殖した干瀬)の一つで、フ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma](小津口)に面した東側の干瀬の名。ここに養殖された角又は、小浜島のク⸢バザキ[ku⸢baʣaki](久場崎)とカ⸢ビ⸣ラ[ka⸢bi⸣ra](川平)から移植されたものという。 ウ⸢ブ⸣ビーナール ⸢イー⸣シェー ⸢ゴー⸣ラータ [ʔu⸢bu⸣biːnaːru ⸢ʔiː⸣ʃeː ⸢goː⸣raːta] (ウブビー<大干瀬>に<ぞ>角又は多かった) 3173 0 0 2987 htmvoc_3173.wav ウブピー ウ⸢ブ⸣ピー [ʔu⸢bu⸣piː] 名 大きな屁。大きな音のおなら。 ウ⸢ブ⸣ピー ⸣プスカー マ⸢ジムノー⸣ ウ⸢ティ⸣ルンツォー [ʔu⸢bu⸣piː ⸣pu̥sukaː ma⸢ʤimunoː⸣ ʔu⸢ti⸣runʦoː] (大きな屁を放ると、身に取り付いたまじもの<蠱物>が落ちるそうだ) 3175 0 0 2988 htmvoc_3175.wav ウブピサ ウ⸢ブ⸣ピサ [ʔu⸢bu⸣pi̥sa] 名 大きな脚。フィラリアに罹患した女性の脚。象皮病。ウ⸢ブ⸣パン[ʔu⸢bu⸣paŋ](大脚)と同じ。 ウ⸢ブ⸣ピサ ⸣ナリティ ⸣ヤミ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔu⸢bu⸣pi̥sa ⸣nariti ⸣jami ʔa⸢rakara⸣nu] (大きな脚<象皮病>になって、痛くて歩けない) 3176 0 0 2989 htmvoc_3176.wav ウブピバチ ウ⸢ブピバ⸣チ [ʔu⸢bupiba⸣ʧi] 名 大きな火鉢。「大火鉢」の義。縦約50センチ、横約70センチの木箱に、中央部に約30センチ四方の灰入れの小箱を作って据え、両脇に引き出しをつけて小物が収納できるようにした火鉢。老人のいる限られた裕福な家で用いられた。陶器製の大きな火鉢もあった。 ウ⸢ブピバチ⸣ヌ ⸢ピー⸣バ ダ⸢キ⸣ ヌ⸢クミ⸣ナライティ ムッ⸢トゥ ウーカ⸣ヌ ⸣スブットゥ ⸣ナリ ⸢ベー [ʔu⸢bupibaʧi⸣nu ⸢piː⸣ba da⸢ki⸣ nu⸢kumi⸣ naraiti mut⸢tu ʔuːka⸣nu ⸣subuttu ⸣nari ⸢beː] (大火鉢の火を抱いて暖を取り<温み>慣れて、ちっとも動かない{EOS}怠け者になっている) 3181 0 0 2990 htmvoc_3181.wav ウブふァイ ウ⸢ブ⸣ふァイ [ʔu⸢bu⸣fai] 名 食べ過ぎ。「大食い(おおくらい)」の義。 プ⸢ス⸣ケンナー ⸣アイニ ウ⸢ブ⸣ッふァイ ⸢サン⸣タンティン ⸣ミサン ター⸢ン⸣ トゥリ ッ⸢ふー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [pu̥⸢su⸣kennaː ⸣ʔaini ʔu⸢bu⸣ffai ⸢san⸣tantim ⸣misaŋ taː⸢n⸣ turi f⸢fuː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (一度にそんなに大食いしなくてもよい{EOS}ほかに誰も取って食う人はいないよ) 3185 0 0 2991 htmvoc_3185.wav ウブフイ ウ⸢ブフイ [ʔu⸢buɸui] 名 大降り。本降り。激しい降雨。 ア⸢ミ⸣ヌ ウ⸢ブフイ サン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パラ⸢ディー [ʔa⸢mi⸣nu ʔu⸢buɸui saŋ⸣keɲ ⸢jaː⸣ para⸢diː] (雨が大降りにならないうちに家に帰ろう<行こう>)。 ⸢アミマー⸣チ ⸢シーベーン⸣ケンマー ウ⸢ブフイ シー⸣ ダッ⸢カティ ゾッふェー⸣ティ ⸢ヤー パッ⸣タヤー キ⸢ムイ⸣ツァー [⸢ʔamiːmaː⸣ʧi ⸢ʃiːbeːŋ⸣kemmaː ʔu⸢buɸui ʃiː⸣ dak⸢kati ʣoffeː⸣ti ⸢jaː pat⸣tajaː ki⸢mui⸣ʦaː] (雨宿りをしていたら本降りになってしまって、びっしょりとずぶ濡れになって家へ帰っていったよ{EOS}気の毒に) 3103 0 0 2992 htmvoc_3103.wav ウブフクビ ウ⸢ブフク⸣ビ [ʔu⸢buɸu̥ku⸣bi] 名 ティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性の神人{EOS}男性神職者)の用いる帯。「大帯」の義。 ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンナーヤ ティ⸢ジリ⸣ビンケーヤ カ⸢ンプス⸣ヌ ウ⸢ブフク⸣ビ ⸢シェー⸣ティル ⸣ウガン ⸢オーッ⸣タ⸢ダー [⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnaːja ti⸢ʤiri⸣biŋkeːja ⸢kampu̥su⸣nu ʔu⸢buɸu̥ku⸣bi ⸢ʃeː⸣tiru ⸣ʔugaŋ ⸢ʔoːt⸣ta⸢daː] (豊年祭や結願祭には男性神職者達は大帯を締めて御嶽へ行かれたよ) 3188 0 0 2993 htmvoc_3188.wav ウブブサーラ ウ⸢ブブサー⸣ラ [ʔu⸢bubusaː⸣ra] 名 巨漢。大男。 ⸣ドゥーン カ⸢ダ⸣カブカラヌ ウ⸢ブブサーラ⸣ヌ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢ンーナフドゥ⸣ カー⸢ニル⸣ アル ノー⸢ン シーユーサヌ [⸣duːŋ ka⸢da⸣ka ⸣bukaranu ʔu⸢bubusaːra⸣nu ⸢beː⸣nundu ⸢nːnaɸudu⸣ kaː⸢niru⸣ ʔaru noː⸢ŋ ʃiːjuːsanu] (背丈<身長>がこれくらいもある大男がいるが、いたずらに体が大きいだけ<役に立たない体格があるだけ>で、なんにも出来ない) 3186 0 0 2994 htmvoc_3186.wav ウブブシ ウ⸢ブ⸣ブシ [ʔu⸢bu⸣buʃi] 名 古典民謡の歌曲。本格的な歌曲で歌の名に「節(曲名)」がつく。「大節」の義。 ⸣アブジェー ユ⸢ネン⸣ヌ カー⸢ジ⸣ ウ⸢ブブシ⸣バ ピ⸢コールン⸣ドゥ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サン⸢ダー [⸣ʔabuʤeː ju⸢nen⸣nu kaː⸢ʤi⸣ ʔu⸢bubuʃi⸣ba pi̥⸢koːrun⸣du ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣san⸢daː] (お祖父さんは毎晩<夕方ごとに>に古典民謡の大節を弾かれるが、大変おもしろいよ) 3177 0 0 2995 htmvoc_3177.wav ウブプス ウ⸢ブ⸣プス [ʔu⸢bu⸣pu̥su] 名 大人。成人。「大人(おおひと)」の義。 ⸣ウナー ウ⸢ブプス⸣トゥ ヤ⸢ラビ⸣トゥ フ⸢タール ブン [⸣ʔunaː ʔu⸢bupu̥su⸣tu ja⸢rabi⸣tu ɸu̥⸢taːru buŋ] (そこに大人と子供と二人いる)。 ⸢ウー⸣トートゥ ⸢パー⸣ク ウ⸢ブ⸣プス ⸣タカプス ナ⸢ラ⸣シ タ⸢ボーリ⸣ー [⸢ʔuː⸣toːtu ⸢paː⸣ku ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣tḁkapu̥su na⸢ra⸣ʃi ta⸢boːri⸣ː] (ああ尊いことよ<神様>、早く大人に、高い人<成人>になしてください) 3179 0 0 2996 htmvoc_3179.wav ウブプスマープス ウ⸢ブ⸣プス ⸢マープス [ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸢maːpu̥su] 連 真の大人。心身共に成熟した大人。「大人真人」の義。ABCDEFCD型の重言。大人を強調していう表現。 ウ⸢ブ⸣プス ⸢マープス⸣ティ ⸢ベー⸣ティ ⸣ヌーシタ ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ナ⸢ル⸣ワ [ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸢maːpu̥su⸣ti ⸢beː⸣ti ⸣nuːʃitaː ⸣ʔaibu ku⸢tu⸣nu na⸢ru⸣wa] (いい年した大人<真の大人>たるものが、どうしてあんなことができるものか) 3178 0 0 2997 htmvoc_3178.wav ウブプスムニ ウ⸢ブプス⸣ムニ [ʔu⸢bupusu⸣muni] 名 大人の言葉遣い。大人の言葉。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ウ⸢ブプスムニ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク⸢ツォー [ja⸢rabi⸣nu ʔu⸢bupu̥sumuni⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku⸢ʦoː] (子供のくせに大人の言葉遣い<大人言>をしているんだよ) 3187 0 1 2998 htmvoc_3187.wav ウブフチ ウ⸢ブ⸣フチ [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧi] 名 {Mn_1}大きい口。 ⸣スブットーヤ ウ⸢ブ⸣フチ パ⸢タッカリティ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムティ ⸢クー⸣バ ッ⸢ふンティル⸣ マティ ⸢ベー⸣バン [⸣subuttoːja ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧi pḁ⸢takkariti⸣ pu̥⸢sunu⸣ muti ⸢kuː⸣ba f⸢funtiru⸣ mati ⸢beː⸣baŋ] (怠け者は大口を開いて、他人が持ってきたら食おうと<ぞ>待っているわい)。 ウ⸢ブ⸣フチ パ⸢タッキティ⸣ バ⸢ライベー [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧi pḁ⸢takkiti⸣ ba⸢raibeː] (大口を開いて笑っている)。 3187 0 2 2999 htmvoc_3187.wav ウブフチ ウ⸢ブ⸣フチ [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧi] 名 {Mn_2}大言壮語。法螺吹き。 ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ムティ ウ⸢ブフチ⸣バ タ⸢タ⸣ケーティ ⸢アーク⸣ヌ ⸢ヌー⸣シカヤ⸢ナー [⸣jakoː tḁ⸢ta⸣muti ʔu⸢buɸu̥ʧi⸣ba tḁ⸢ta⸣keːti ⸢ʔaːku⸣nu ⸢nuː⸣ʃikaja⸢naː] (たいしたことはないのに、法螺をふいて<大言壮語して>いるがどうだろうか) 3190 0 0 3000 htmvoc_3190.wav ウブブッツ ウ⸢ブブッ⸣ツ [ʔu⸢bubut⸣ʦu] 名 でべそ。「大臍」の義。⸢ティンブッツ[⸢timbutʦu](でべそ)を多用する。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ティンブッツヌ ゴー⸣ラータンドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ナン⸣ゾー ミ⸢ララン⸣バン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢timbutʦunu goː⸣raːtandu ma⸢na⸣maː ⸢nan⸣ʣoː mi⸢raram⸣baŋ] (昔はでべそが多かったが今はそれほど見られないわい) 3192 0 0 3001 htmvoc_3192.wav ウブブドゥル ウ⸢ブブドゥ⸣ル [ʔu⸢bubudu⸣ru] 名 古典舞踊。本格的な踊り。「大踊り」の義。 パ⸢トゥ⸣マナカムリ ⸢クンノー⸣ラ バ⸢シヌトゥルン⸣ドーレーヤ ウ⸢ブブドゥ⸣ルティ ア⸢ザリブー⸠ナー [pḁ⸢tu⸣manakamuri ⸢kunnoː⸣ra ba⸢ʃinu⸣turundoːreːja ʔu⸢bubudu⸣ruti ʔa⸢ʣaribuː⸠naː] (鳩間中岡<鳩間節>、古見の浦節、鷲の鳥節などは古典舞踊<本格的な踊り、大踊り>といわれているねえ) 3194 0 0 3002 htmvoc_3194.wav ウブフニ ウ⸢ブ⸣フニ [ʔu⸢bu⸣ɸuni] 名 本船。大船。 イ⸢サナケー⸣ラ ウ⸢ブフニ⸣ヌ ⸢ペー⸣リクーカー シ⸢ナムノー⸣ アン [ʔi⸢sanakeː⸣ra ʔu⸢buɸuni⸣nu ⸢peː⸣rikuːkaː ʃi⸢namuoː⸣ ʔaŋ] (石垣島から本船が入港したら<入ってきたら>品物はある) 3193 0 0 3003 htmvoc_3193.wav ウブブラー ウ⸢ブ⸣ブラー [ʔu⸢bu⸣buraː] 名 図体ばかりが大きくて仕事をしない怠け者。仕事もしないでぶらつく間抜け者。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢ブ⸣ブラー ⸣ナリティ ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢bu⸣buraː ⸣nariti ⸣jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (彼は図体の大きな怠け者になって何の役にも立たない) 3205 0 0 3004 htmvoc_3205.wav ウブブンギ ウ⸢ブブン⸣ギ [ʔu⸢bubuŋ⸣gi] 名 大恩義。大恩。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ウ⸢ブブンギ⸣バ カ⸢ビ⸣ル マ⸢ナ⸣マ ⸣ナレーンダー ⸢ブン⸣ギ ⸢バシケー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔu⸢bubuŋgi⸣ba ka⸢bi⸣ru ma⸢na⸣ma ⸣nareːndaː ⸢buŋ⸣gi ⸢baʃi̥keː⸣ na⸢ran⸣daː] (その人の大恩義を受けて<被って>現在がある<今になれた>のだから、決して恩義を忘れてはならないぞ) 3206 0 0 3005 htmvoc_3206.wav ウブマイ ウ⸢ブ⸣マイ [ʔu⸢bu⸣mai] 名 (地)「大前」と表記されている。ナ⸢カン⸣ブレー[na⸢kam⸣bureː](中岡)とパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山)の南側の畑地一帯。 ウ⸢ブマイ⸣ヌ パ⸢タ⸣キナー ⸣ヤサイ ス⸢ク⸣リティ サ⸢カラシ⸣シケー [ʔu⸢bumai⸣nu pḁ⸢ta⸣kinaː ⸣jasai su̥⸢ku⸣riti sḁ⸢karaʃi⸣ʃi̥keː] (大前の畑に野菜を作って繁らせてある) 3195 0 0 3006 htmvoc_3195.wav ウブマシ ウ⸢ブ⸣マシ [ʔu⸢bu⸣maʃi] 名 大きな田圃。「おおます(大桝)」の義。マ⸢シェー⸣マ[ma⸢ʃeː⸣ma](小さな田圃)の対義語。 ⸣マシ [⸣maʃi] (桝)は田圃を数える際の単位(助数詞)。マ⸢ルマシ[ma⸢rumaʃi](丸い田圃)、⸣サンカクマシ[⸣sankakumaʃi](三角の田圃)、⸢ナーマシ[⸢naːma⸣ʃi](長い田圃)などがある。 ⸢ウイバルヌ⸣ ウ⸢ブ⸣マシェーラ ⸢ホーライマイ⸣ヤー ⸣ニジッピュー ン⸢ジ⸣ルンツォー [⸢ʔuibarunu⸣ ʔu⸢bu⸣maʃeːra ⸢hoːraimai⸣jaː ⸣niʤippjuː ʔn⸢ʤi⸣runʦoː] (上原の大きな田圃から蓬莱米は20俵収穫できる<20俵出る>そうだ) 3079 0 0 3007 htmvoc_3079.wav ウブマタ ウ⸢ブ⸣マタ [ʔu⸢bu⸣mata] 名 大股。大きな歩幅。⸢ウーマタ[⸢ʔuːmata](大股)ともいう。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リティ ウ⸢ブ⸣マタシ ア⸢ラ⸣キ ⸢パッ⸣タヤー [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣riti ʔu⸢bu⸣mataʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢pat⸣tajaː] (怒って、大股で歩いていったよ) 3207 0 0 3008 htmvoc_3207.wav ウブマタ ウ⸢ブマタ [ʔu⸢bumata] 名 大股。歩幅の広いこと。⸢ウーマタ[⸢ʔuːmata](大股)ともいう。 ⸢オーリムヌヌ⸣ カタチニ ⸣アイニ ウ⸢ブマタ⸣シ ア⸢ラカン⸣ブリバ [⸢ʔoːrimununu⸣ kḁtaʧini ⸣ʔaini ʔu⸢bumata⸣ʃi ʔa⸢rakam⸣buriba] (追われ者のように、あんなに大股で歩くなよ<歩かずにおれよ>) 3208 0 0 3009 htmvoc_3208.wav ウブミーアン ウ⸢ブ⸣ミーアン [ʔu⸢bu⸣miːʔaŋ] 名 大目の網。目の大きな網。ヤ⸢シ⸣ミーアン[ja⸢ʃi⸣miːʔaŋ](八十目網)ともいう。 ウ⸢ブ⸣ミーアンシル ⸢ボー⸣ダーン シ⸢ヌマー⸣ルン ガ⸢ラ⸣シ ⸢クータ⸣ル [ʔu⸢bu⸣miːʔaŋʃiru ⸢boː⸣daːŋ ʃi⸢numaː⸣ruŋ ga⸢ra⸣ʃi ⸢kuːta⸣ru] (大目の網できつねぶだいや、てんぐはぎも漁獲して<かからせて>捕ってきたものだ) 3209 0 0 3010 htmvoc_3209.wav ウブミジ ウ⸢ブ⸣ミジ [ʔu⸢bu⸣miʣi] 名 (地)大見謝川。西表北岸の南ヨシキラとケーダの中間を流れる川。西側訳50メートルの所ににケーダ川の川口が、東側約30メートルの所に⸢ユシ⸣キダミナトゥ[⸢juʃi̥⸣kidaminatu](ヨシキラ港)がある。昔は夏に旱魃が続くと、ウブミジ(大見謝川)から水を汲んで鳩間島に運んだ。「水量の多い川」の義。この川は大雨の時には越えられないほどの激流となる。古見岳に降る雨が急勾配の山間の谷間を流れ落ちるからであろう。人々は干潮を待って砂浜から歩いて渡った。 ミ⸢ジヌ⸣ シゥ⸢カラー⸣ ウ⸢ブ⸣ミジェーラン ⸢ケーダガーラヌン⸣ドゥ ⸢スー⸣ワティ ア⸢ザリブー⸣ダー [mi⸢ʤnu⸣ si̥⸢karaː⸣ ʔu⸢bu⸣miʤeːraŋ ⸢keːdagaːranun⸣du ⸢suː⸣wati ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (水の量<水の力>は大見謝川よりもケーダ川が多い<強い>といわれているよ) 3210 0 0 3011 htmvoc_3210.wav ウブミチ ウ⸢ブ⸣ミチ [ʔu⸢bu⸣miʧi] 名 大きな道。大道。村中の道。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ム⸢ラナカヌ⸣ ウ⸢ブ⸣ミチナール ア⸢サブタ⸣ティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マ ⸢ギー⸣ ミルカー ク⸢ビッチン⸣ヌ ミ⸢チェー⸣マ⸢ツォー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː mu⸢ranakanu⸣ ʔu⸢bu⸣miʧinaːru ʔa⸢sabuta⸣ti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣ma ⸢giː⸣ mirukaː ku⸢bitʧin⸣nu mi⸢ʧeː⸣ma⸢ʦoː] (子供の頃は村中の大きな道で遊んだと思ったが、今行ってみると、これぽっちの小道なんだよ)。 ⸣ユネン ⸣ナルカー ウ⸢ブ⸣ミチェーラ ア⸢ラ⸣キ [⸣junen ⸣narukaː ʔu⸢bu⸣miʧeːra ʔa⸢ra⸣ki] (夜になったら大きな道から歩きなさい) 3196 0 0 3012 htmvoc_3196.wav ウブムカシ ウ⸢ブムカ⸣シ [ʔu⸢bumuka⸣ʃi] 名 大昔。⸢ウームカシ[⸢ʔuːmukaʃi](大昔)ともいう。 ウ⸢ブムカ⸣シナール ク⸢ルシマ⸣トゥ ⸣クンラ プ⸢スヌ⸣ パ⸢トゥ⸣マー ⸢オー⸣リル ム⸢ラー⸣ タ⸢トーッ⸣タツォー [ʔu⸢bumuka⸣ʃinaːru ku⸢ruʃima⸣tu ⸣kunra pu̥⸢sunu pḁ⸢tu⸣maː ʔoː⸣riru mu⸢ra⸣ tḁ⸢toːt⸣taʦoː] (大昔に黒島と古見から人が鳩間島に来られて村を建てられたそうだ) 3215 0 0 3013 htmvoc_3215.wav ウブムニ ウ⸢ブ⸣ムニ [ʔu⸢bu⸣muni] 名 \ruby{大口}{オオ|クチ}。大言。法螺吹き。 ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラン⸣ムンヌ ウ⸢ブムニ⸣バ カー⸢ニ⸣ イ⸢ジアー⸣ク [noː⸢n⸣ na⸢ram⸣munnu ʔu⸢bumuni⸣ba kaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʤiʔaː⸣ku] (何も出来ないくせに大言壮語ばかりしている) 3216 0 0 3014 htmvoc_3216.wav ウブムラ ウ⸢ブ⸣ムラ [ʔu⸢bu⸣mura] 名 大きな村。 ウ⸢ブムラ⸣ヌ プ⸢ソー⸣ イ⸢バリティ ゴーラー⸣ヤ グ⸢マムラ⸣ヌ プ⸢スバ⸣ ウ⸢サイス [ʔu⸢bumura⸣nu pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢bariti goːraː⸣ja gu⸢mamura⸣nu pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢saisu] (大きな村の人は威張って、多くは小さな村の人を馬鹿にする<軽蔑する{EOS}おさえる>) 3217 0 0 3015 htmvoc_3217.wav ウブモーキ ウ⸢ブモーキ [ʔu⸢bumoːki] 名 大儲け。 カ⸢ツシン⸣ラ ウ⸢ブモーキ⸣ シ⸢ティル カー⸣ラヤーン ス⸢ク⸣レーティ ⸣ムカーヤ [kḁ⸢ʦuʃinra⸣ ʔu⸢bumoːki⸣ ʃi̥⸢tiru kaː⸣rajaːn su̥⸢ku⸣reːti ⸣mukaːja] (カツオ漁業で大儲けをして、瓦葺の家もつくったというわけだ) 3218 0 0 3016 htmvoc_3218.wav ウブヤー ウ⸢ブ⸣ヤー [ʔu⸢bu⸣jaː] 名 母屋。「大きな家」の義。⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](台所小屋)の対義語で、\ruby{主家}{オモ|ヤ}のこと。田の字型の間取り構造が主で、南面に表座敷を、北面に裏座敷をつくる。表座敷には一番座、二番座、三番座を配置する。一番座は客間、二番座は仏間、三番座は居間として用いられるのが普通であった。一番裏座は男の子の部屋、二番裏座は物置として、または穀物、味噌類の保管場所として利用されたり、産屋として利用されたりした。明治末期から瓦葺の家が造られるようになった。母屋の三番座の西側にはナ⸢カ⸣ザ[na⸢ka⸣ʣa](土間)を設け、西壁側に粘土でカ⸢マチ[ka⸢maʧi](竈)を設置し、竈の上にタ⸢ム⸣ヌダナ[ta⸢mu⸣nudana](薪棚)を設置して生木の燃料、薪を積み上げ、乾燥した下の薪から順に抜き取って燃やすのが一般であった。 ウ⸢ブヤー⸣ヌ イ⸢チバン⸣ザーナー ⸢ザートゥク⸣ヌ ⸣アリ ⸢ニーバン⸣ザーナー トゥ⸢クニヌ⸣ アン [ʔu⸢bujaː⸣nu ʔi⸢ʧiban⸣ʣaːnaː ⸢ʣaːtuku⸣nu ⸣ʔari ⸢niːban⸣ʣaːnaː tu̥⸢kuninu⸣ ʔaŋ] (母屋の一番座には床の間があり、二番座には仏壇がある)。仏間は父母の寝室に供されるのが普通であった。母屋の南側には⸢トゥーシ[⸢tuːʃi](縁側{EOS}⸣マンタヌ ⸣イン{SqBr}⸣mantanu⸣ʔiŋ{/SqBr}<前の縁>ともいう)を造り、東側にも⸣イン[⸣ʔiŋ](縁側)を設置した 3219 0 0 3017 htmvoc_3219.wav ウブヤーニンズ ウ⸢ブヤーニン⸣ズ [ʔu⸢bujaːnin⸣ʣu] 名 大家族。 ウ⸢ブヤーニンズ⸣ヌ フ⸢チ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティル ⸢シッ⸣パイ ⸢シーオー⸣ル [ʔu⸢bujaːninʣu⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ sï̥⸢ka⸣nauntiru ⸢ʃip⸣pai ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (大家族を養うのに<大家族の口を養うのにゾ>一所懸命<精一杯>苦労しておられるのだ) 3197 0 1 3018 htmvoc_3197.wav ウブヤツ ウ⸢ブ⸣ヤツ [ʔu⸢bu⸣jaʦu] 名 {Mn_1}治療用の大きなお灸。 ウ⸢ブ⸣ヤツ ヤ⸢クン [ʔu⸢bu⸣jaʦu ja⸢kuŋ] (大きなお灸をすえる<焼く>)。 3197 0 2 3019 htmvoc_3197.wav ウブヤツ ウ⸢ブ⸣ヤツ [ʔu⸢bu⸣jaʦu] 名 {Mn_2}厳しく懲らしめること。大きな罰を与えること。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カ ウ⸢ブ⸣ヤツ ヤ⸢カリン⸠ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː ʔu⸢bu⸣jaʦu ja⸢karin⸠daː] (悪事をはたらくと大きなお灸をすえられる<焼かれる、重い罰を受ける>ぞ) 3220 0 1 3020 htmvoc_3220.wav ウブヤッコン ウ⸢ブ⸣ヤッコン [ʔu⸢bu⸣jakkoŋ] 名 {Mn_1}大きな薬缶。 ウ⸢ブ⸣ヤッコンナー シ⸢ジフチ⸣ル イ⸢リティ⸣ シジ ヌ⸢マ⸣シバ [ʔu⸢bu⸣jakkonnaː ʃi⸢ʤiɸu̥ʧi⸣ru ʔi⸢riti⸣ ʃiʤi nu⸢ma⸣ʃiba] (大きな薬缶に煎じ薬を入れて煎じて飲ませなさい)。 3220 0 2 3021 htmvoc_3220.wav ウブヤッコン ウ⸢ブ⸣ヤッコン [ʔu⸢bu⸣jakkoŋ] 名 {Mn_2}大きな睾丸。 ム⸢カ⸣シェー ⸣クサプスティ ⸢シー⸣ ウ⸢ブ⸣ヤッコン カ⸢タミプス⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ku̥supusuti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢bu⸣jakkoŋ kḁ⸢tamipusu⸣nu ⸢ʔoːt⸣taŋ] (昔はフィラリア患者で大きな睾丸の人<睾丸を担いだ人>がおられた) 3221 0 0 3022 htmvoc_3221.wav ウブヤフ ウ⸢ブ⸣ヤフ [ʔu⸢bu⸣jaɸu] 名 大厄。大きな災い。ウ⸢ブ⸣ヤク[ʔu⸢bu⸣jaku](大厄)ともいう。 ヤ⸢フバライ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢シェー⸣チバ ウ⸢ブ⸣ヤホー ウ⸢ティ⸣シェール ⸣メー [ja⸢ɸubarai⸣nu ⸢niŋ⸣gai ⸢ʃeː⸣ʧiba ʔu⸢bu⸣jahoː ʔu⸢ti⸣ʃeːru ⸣meː] (厄払いの祈願をしたので、大厄は祓われた<落ちてある>よ{EOS}もう) 3222 0 0 3023 htmvoc_3222.wav ウフヤマトゥ ウ⸢フヤマ⸣トゥ [ʔu⸢ɸujama⸣tu] 名 大大和。日本国。歌謡語。/ウフヤマトゥ ハズミヨーリヨウ カンヤマトゥ ハズミヨウリヨウ ハーリ アミタボリ リューガナシ/(大大和の国から始めて下さい、神大和の国から始めてください{EOS}ああ、雨を下さい<賜れ>竜神様)「雨乞い歌。ハヤミク」  3223 0 0 3024 htmvoc_3223.wav ウブヤマトゥ ウ⸢ブヤマ⸣トゥ [ʔu⸢bujama⸣tu] 名 日本本土。「大大和」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ムー⸢ル⸣ ウ⸢ブヤマ⸣トゥナール パ⸢タラキブー [ja⸢ra⸣biŋkeːja muː⸢ru⸣ ʔu⸢bujama⸣tunaːru pḁ⸢tarakibuː] (子供達はみんな本土で<ぞ>働いている) 3224 0 0 3025 htmvoc_3224.wav ウブヤマング ウ⸢ブヤマン⸣グ [ʔu⸢bujamaŋ⸣gu] 名 大変な腕白者。悪戯で言うことを聞き入れない悪童。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ ウ⸢ブヤマン⸣グ ⸣ナリティ ムッ⸢トゥ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢nu ffaː⸣ ʔu⸢bujamaŋ⸣gu ⸣nariti mut⸢tu⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (その子は大変な腕白者になって、他人の言うことをちっとも聞き入れない) 3225 0 0 3026 htmvoc_3225.wav ウブヤン ウ⸢ブヤン [ʔu⸢bujaŋ] 名 大病。「大病み(おおやみ)」の義。 ウ⸢ブヤンバ シーベータン⸣ドゥ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢ノー⸣リ ⸣ウキ ア⸢ラカ⸣リン⸢ダー⸣ メー [ʔu⸢bujamba ʃiːbeːtan⸣du jat⸢tu⸣ʃi ⸢noː⸣ri ⸣ʔuki ʔa⸢raka⸣rin⸢daː⸣ meː] (大病<大病み>をしていたが、やっと治って起きて歩くことができる<歩かれる>のだよ、もう) 3226 0 0 3027 htmvoc_3226.wav ウブユクジン ウ⸢ブユク⸣ジン [ʔu⸢bujuku⸣ʤiŋ] 名 大欲張り。強欲な人。 ウ⸢ヌ⸣ ウ⸢ブユクジン⸣マー ウ⸢ビッチン⸣ヌ ムヌ⸢バー⸣キン ⸢ジン⸣バ トゥ⸢リ⸣ル ⸢カース⸣ティバン [ʔu⸢nu⸣ ʔu⸢bujukuʤim⸣maː ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣munu⸢baː⸣kin ⸢ʤim⸣ba tu⸢ri⸣ru ⸢kaːsu⸣tibaŋ] (その大欲張りは、それぽっちの物までも金を取ってしか売らない<金を取ってぞ売る>そうだよ) 3228 0 0 3028 htmvoc_3228.wav ウブンーミー ウ⸢ブンー⸣ミー [ʔu⸢buʔmː⸣mi] 名 曾祖母。石垣方言からの借用語。「大祖母」の義。 ⸣トゥヌスクトゥ ア⸢ラカー⸣ナ ウ⸢トゥザ⸣ヌ オ⸢ール⸣ヌ ウ⸢ブンー⸣メー ⸢バンター⸣ヨー ア⸢タラ⸣サ ⸢シーッふォーッ⸣タン⸢ダー [⸣tunusu̥kutu ʔa⸢rakaː⸣na ʔu⸢tuʣa⸣nu ⸢ʔoːru⸣nu ʔu⸢buʔmː⸣meː ⸢banta⸣joː ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiːffoːt⸣tan⸢daː] (登野城と新川に親戚が居られるが、そこの曾祖母が私らを可愛がって<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}しくして>くださったよ) 3227 0 0 3029 htmvoc_3227.wav ウブンガイ ウ⸢ブン⸣ガイ [ʔu⸢buŋ⸣gai] 名 胃袋。特に牛や豚、猪などの胃袋をいう。 ⸢オー⸣ヌ ウ⸢ブン⸣ガイン ⸢カイ⸣キー ⸢シームヌ⸣ ス⸢ク⸣リバ [⸢ʔoː⸣nu ʔu⸢buŋ⸣gaiŋ ⸢kai⸣kiː ⸢ʃiːmunu⸣ su̥⸢ku⸣riba] (豚の臓物の胃袋を買ってきて中身の吸い物を作りなさいよ) 3230 0 0 3030 htmvoc_3230.wav ウベー ⸣ウベー [ʔubeː] 連 それだけは。指示代名詞⸣ウビ[⸣ʔubi](それくらい{EOS}その程度{EOS}分量を表す)に取立ての係助詞⸣ヤ[⸣ja](は)が付いて、?ubi+ja(は)→ [ʔubeː](それだけは)と音韻変化したもの。対義語は、⸣クベー[⸣kubeː](これだけは)。 ⸣ウベー ⸢ワー⸣ ス⸢クブン [⸣ʔubeː ⸢waː⸣ su̥⸢kubuŋ] (それだけ<その程度>は君の職分<果たすべき義務>だ)。 ⸣クベー サ⸢クシ⸣ヌ バ⸢キ⸣ダマ ⸣ウベー ⸢ワー⸣ バ⸢キ⸣ダマ [⸣kubeː sḁ⸢kuʃi⸣nu ba⸢ki⸣dama ⸣ʔubeː ⸢waː⸣ ba⸢ki⸣dama] (これだけは長男に対する財産の分け前、それだけは君への財産の分け前だ) 2074 0 0 3031 htmvoc_2074.wav ウボー ⸣ウボー [⸣ʔuboː] 名 いべ。「威部」の義。⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽{EOS}御願{EOS}<拝み>の転訛か)の内部にある最も神聖な場所。御神体が安置されているという。サ⸢カサ[sa⸢kasa](司、神女)以外の人はそこへ入ることが厳禁されている。ウボーには香炉があり、神の依代とされる巨木や岩がある。周りに神木のクバ(蒲葵、びろう)や⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](くろつぐ)が密生している。台風などで倒木があるときなど、特に必要があって男性(ティジリビ)などがそこへ行く時は、褌の前を垂らして、無分別者であることを装う必要があるという。 ビ⸢キドゥモー⸣ ウボー ⸢ペーラ⸣ラヌ [bi⸢kidumoː⸣ ʔboː ⸢peːrara⸣nu] (男はウボーの中には入れない) 3199 0 0 3032 htmvoc_3199.wav ウボーザ ウ⸢ボー⸣ザ [ʔu⸢boː⸣ʣa] 名 長兄。ウ⸢ブアー⸣ザ[ʔu⸢buʔaː⸣ʣa](おおあに<大兄>)の融合転訛した形。⸣ナカザ[⸣nakaʣa](中兄)、アー⸢ザ⸣マ[ʔaː⸢ʣa⸣ma](末の兄)の上の兄。親族名称、呼称にいう。 ウ⸢ボー⸣ザー ⸢マー⸣ル ⸢オーッ⸣ター [ʔu⸢boː⸣ʣaː ⸢maː⸣ru ⸢ʔoːt⸣taː] (長兄は何処へ行かれたのか)。明治生まれの古老は、⸣ウブザ[⸣ʔubuʣa](長兄{EOS}大兄)ともいう。 ウ⸢ボー⸣ザー ⸢パイ⸣ター ⸢オーッ⸣タ [ʔu⸢boː⸣ʣaː ⸢pai⸣taː ⸢ʔoːt⸣ta] (長兄は南端<西表島>へ行かれた)。 ウ⸢ボーザー ジー⸣ ナ⸢ラー⸣ソーリ [ʔu⸢boːʣaː ʤiː⸣ na⸢raː⸣soːri] (大兄さん{EOS!}字を教えてください) 3200 0 0 3033 htmvoc_3200.wav ウボーダ ウ⸢ボー⸣ダ [ʔu⸢boː⸣da] 名 (地)西表島北岸の上原の西に位置する地名。現在の中野集落一帯。この一帯からは、戦前から戦後の一時期にかけてシ⸢キ⸣タン[ʃi̥⸢ki⸣taŋ](石炭)が採掘された。そこから採掘された石炭を、台湾航路の定期船⸢ゾーキ[⸢ʣoːki](蒸気船)は白浜港で補給した。ウ⸢ボー⸣ダには、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家、田代家)、⸢トゥー⸣ジェー[⸢tuː⸣ʣeː](通事家)、イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː](西原家)、⸣ナラシケー[⸣narasi̥keː](成底家)、⸢ウフタン⸣ヤー[⸢ʔuFu̥taŋ⸣jaː](大田家)等の水田があった。現在の中野集落は戦後宮古島からの移民が中心となって形成された集落である 3101 0 0 3034 htmvoc_3101.wav ウボーッパ ⸣ウボーッパ [⸣ʔuboːppa] 名 祖父母の長姉の親族名称、親族呼称いう。[ʔu⸢bu⸣・ʔappa] → [⸣ʔuboːppa] のように融合変化したもの。 ⸢バン⸣テヌ ⸣ウボーッパー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ シマソーレーン [⸢ban⸣tenu ⸣ʔuboːppaː ⸢toːkaki⸣nu ⸣joi ʃi⸢ma⸣soːreːŋ] (私の家の祖父母の長姉<ウボーッパ{EOS}大祖母>は斗掻きの祝い<米寿の祝い>はすまされた)。 ウボーッ⸢パー⸣ ミサー⸢ロールン [ʔuboːp⸢paː⸣ misaː⸢roːruŋ] (大祖母さん、お元気でいらっしゃいますか) 3201 0 0 3035 htmvoc_3201.wav ウボーッパー ⸣ウボーッパー [⸣ʔuboːppaː] 名 祖父母の長姉、⸣ウボパー[⸣ʔubopaː](大祖母<親族名称・呼称>)ともいう。親族名称、親族呼称共に、ウ⸢ブ⸣・アッパ[ʔu⸢bu⸣・ʔappa](大・祖母)が融合同化して形成されたもの。 ウボーッ⸢パー⸣ ミサー⸢ロールン [ʔuboːp⸢paː⸣ misaː⸢roːruŋ] (大祖母さん、お元気でいらっしゃいますか) 3233 0 0 3036 htmvoc_3233.wav ウボーマ ⸣ウボーマ [⸣ʔuboːma] 名 長姉。親族名称、呼称。「大姉」の転訛したもの。明治生まれの古老の言葉。⸣ウボンマー[⸣ʔubommaː](長姉)とも言う。若年層は⸢ホン⸣マ[⸢hom⸣ma](長姉)という。 ⸣ウボーマー ⸢ギューチ⸣ ナ⸢ロール⸣ワ [⸣ʔuboːmaː ⸢gjuːʧi⸣ na⸢roːru⸣wa] (長姉はお幾つになられますか)。 ウボー⸢マー マー⸣ティ ⸢オール⸣ワ [ʔuboː⸢maː maː⸣ti ⸢ʔoːru⸣wa] (お姉さん、何処へ行かれます<おわす>か) 3085 0 0 3037 htmvoc_3085.wav ウボマー ⸣ウボマー [⸣ʔubomaː] 名 最年長の伯母。「大伯母」の義。名称、呼称。ウ⸢ブ⸣アンマー[ʔu⸢bu⸣ʔammaː](最年長の姉)の転訛したもの。 ⸣ウボマー ⸢キュー⸣ヤ ⸢ヤー⸣ナ ⸢オー⸣ルンカヤー [⸣ʔubomaː ⸢kjuː⸣ja ⸢jaː⸣na ⸢ʔoː⸣ruŋkajaː] (ウボマーは今日は家におられるでしょうか)。 ウボ⸢マー マー⸣ティ ⸢オール⸣ワ [ʔubo⸢maː maː⸣ti ⸢ʔoːru⸣wa] (ウボマー姉さん、何処へいらっしゃるのですか)。 ウボ⸢マー⸣ アツァー ⸣バー マ⸢ブ⸣ル ⸣クミッ⸢ふォー⸣リ [ʔubo⸢maː⸣ ʔaʦaː ⸣baː ma⸢bu⸣ru ⸣kumi f⸢foː⸣ri] (大伯母さん、明日私の霊魂込め<マブイグミ>をしてください) 3203 0 0 3038 htmvoc_3203.wav ウボヤー ⸣ウボヤー [⸣ʔubojaː] 名 最年長の伯父。大伯父。ウ⸢ブアー⸣ヤ[ʔu⸢buʔaː⸣ja](大きい父)の融合転訛したもの。親族名称、呼称にもいう。 ⸢ヨー⸣カヤヌ ⸣ウボヤー イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナール ⸢マーラソーッ⸣タ [⸢joː⸣kajaːnu ⸣ʔubojaː ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaːru ⸢maːrasoːt⸣ta] (西原家の大伯父は戦後に亡くなられた) 3234 0 0 3039 htmvoc_3234.wav ウボン ⸣ウボン [⸣ʔuboŋ] 名 (植)黍。唐黍。トウモロコシ。「大・黍」の転訛したものか。若年層は⸣キン[⸣kiŋ](黍{EOS}「きみ<黍>{EOS}梨棗 寸三二<キミニ>粟つぎ~{EOS}万、3834」の転訛か)という。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣ウボンマー ス⸢ク⸣ローッタンカヤー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣ʔubommaː su̥⸢ku⸣roːttaŋkajaː] (鳩間島では黍は作られたかねえ) 3204 0 0 3040 htmvoc_3204.wav ウボンザラ ⸣ウボンザラ [⸣ʔubonʣara] 名 飯碗。木製の椀をいう。陶器の碗は、マ⸢カ⸣ル[ma⸢ka⸣ru](お碗)という。木製の椀は法事やお盆のときに、祭祀用に使用していた。「御飯・皿」の転訛したもの。日常生活ではマ⸢カ⸣ルを使用していた。 ⸢ソッ⸣コーナール ⸣ウボンザラー シゥ⸢カイ ヨーッ⸣タ [⸢sok⸣koːnaːru ⸣ʔubonʣaraː si̥⸢kai joːt⸣ta] (法事の際にウボンザラは使われた) 3235 0 0 3041 htmvoc_3235.wav ウボンダマ ⸣ウボンダマ [⸣ʔubondama] 名 (動物)くも(蜘蛛)。ハエトリグモ。老年層のことば。 ⸣ウボンダマヌ ⸢シー⸣ヌ ガ⸢マ⸣ジナ ⸢フシゥ⸣カリ ⸢ベー [⸣ʔubondamanu ⸢ʃiː⸣nu ga⸢ma⸣ʤina ⸢ɸusi̥⸣kari ⸢beː] (蜘蛛の巣が頭髪にくっ付いている) ウマ 3236 0 1 3042 htmvoc_3236.wav ウマ ⸣ウマ [⸣ʔuma] 代 そこ。{Mn_1}中称の指示代名詞。話者から少し離れた所を示す。 ウ⸢マ⸣ヌ ⸣トンナ ⸢ベー⸣リ [ʔu⸢ma⸣nu ⸣tonnaː ⸢beː⸣ri] (そこの所に居なさい)。 ウ⸢マ⸣ル ⸢ワッ⸣サ [ʔu⸢ma⸣ru was⸣sa] (そこが<ぞ>悪い)。 ⸣ウマー ⸢ワッサナー⸣ヌ [⸣ʔumaː ⸢wassanaː⸣nu] (そこは悪くない)。 ウ⸢マ⸣ヌ ⸣ヤーナ カ⸢ザ⸣ミ [ʔu⸢ma⸣nu ⸣jaːna ka⸢ʣa⸣mi] (そこの家に隠しなさい)。 ウ⸢マ⸣バ ⸢ミシ⸣キ [ʔu⸢ma⸣ba ⸢miʃi̥⸣ki] (そこを探せ)。 ⸣ウマナ ニ⸢ビ⸣バ [⸣ʔumana ni⸢bi⸣ba] (そこに眠れ)。 ウ⸢マ⸣ル マ⸢シ [ʔu⸢ma⸣ru ma⸢ʃi] (そこがいい)。 ⸣ウマン ⸣ミリ ッ⸢ふィーリ [⸣ʔumam ⸣miri f⸢fiːri] (そこも見てくれ)。 ウ⸢マ⸣トゥ カ⸢マ⸣トー ⸢マー⸣ル マ⸢シ⸣ヤ [ʔu⸢ma⸣tu ka⸢ma⸣toː ⸢maː⸣ru ma⸢ʃi⸣ja] (そことあそことでは何処が良いか)。 ⸣ウマーラ カ⸢マーバー⸣キ ア⸢ラ⸣キ [⸣ʔumaːra ka⸢maːbaː⸣ki ʔa⸢ra⸣ki] (そこからあそこまで歩きなさい)。 3236 0 2 3043 htmvoc_3236.wav ウマ ⸣ウマ [⸣ʔuma] 代 {Mn_2}話題の場所や事柄を指示する。 ⸢ワー⸣ パ⸢ナシヌ⸣ ウ⸢マン⸣トンル ワ⸢カラン⸣サー [⸢waː⸣ pa⸢naʃi⸣nu ʔu⸢man⸣ tonru wa⸢karan⸣saː] (君の話の、その部分<そこのところ>が分らないよ) 3496 0 0 3044 htmvoc_3496.wav ウマー ⸣ウマー [⸣ʔumaː] 連 そこは。中称の⸣ウマ[⸣ʔuma](そこ)に係助詞-ヤ[-ja](は)が付いて、[ʔuma+ja] → [ʔumaː] と音韻変化したもの。 ⸣ウマー ナ⸢クラー⸣ヌ ⸢ペーララ⸣ヌ [⸣ʔumaː na⸢kuraː⸣nu ⸢peːrara⸣nu] (そこは怖くて入られない)。 ⸣ウマン [⸣ʔumaŋ] (そこも)。 ウ⸢マ⸣ル マ⸢シ [ʔu⸢ma⸣ru ma⸢ʃi] (そこがいい)。 ウ⸢マー パッ⸣タ [ʔu⸢maː pat⸣ta] (そこへ行った)。 ⸣ウマナー プ⸢ソー⸣ タ⸢タラ⸣ヌ [⸣ʔumanaː pu̥⸢soː⸣ tḁ⸢tara⸣nu] (そこには人は生活できない<立たれない>)。 ウ⸢マ⸣ヌ プ⸢ソー [ʔu⸢ma⸣nu pu̥⸢soː] (そこの人は)。 ⸣ウマン ⸣ミリ [⸣ʔumam ⸣miri] (そこも見ろ) 3237 0 0 3045 htmvoc_3237.wav ウマーカマー ウ⸢マー⸣カマー [ʔu⸢maː⸣kamaː] 代 あちらこちら。方々。いろいろな場所を表す。「其処彼処<そこかしこ>」の義。 シゥ⸢カイヤー⸣ル ⸢ドン⸣ゴー ウ⸢マー⸣カマーナ シ⸢キラン⸣ドーシ シ⸢ズ⸣ミ シ⸢キ⸣リ [sï̥⸢kaijaː⸣ru ⸢doŋ⸣goː ʔu⸢maː⸣kamaːna ʃi̥⸢kiran⸣doːʃi ʃi⸢ʣu⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri] (使った道具はあちらこちらに置かないで片付けておきなさい) 3242 0 0 3046 htmvoc_3242.wav ウマアラキカマアラキ ウ⸢マアラキカマアラ⸣キ [ʔu⸢maʔarakikamaʔara⸣ki] 連・副 あちらこちらぶらつくさま。ぶらぶらと歩き回ること。あちらこちら歩き回ること。ABCDEFBCDE型の重言。 ウ⸢マアラキカマアラ⸣キ ⸢シェー⸣ティ ア⸢サビマール シーベー [ʔu⸢maʔarakikamaʔara⸣ki ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢sabimaːru ʃiːbeː] (あちらこちらぶらついて遊びまわっている) 3243 0 0 3047 htmvoc_3243.wav ウマシーカマシー ウ⸢マシーカマ⸣シー [ʔu⸢maʃiːkama⸣ʃiː] 連 中途半端に仕事をするさま。腰を入れずに仕事をするさま。本気で仕事をしないさま。そこを手がけ、途中から別の所を手がけるような仕事振り。表面をなでるような仕事ぶり。「そこし、あそこし」の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ シ⸢グトゥバ⸣ ウ⸢マシーカマ⸣シー ⸢スンダ ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃi⸢gutuba⸣ ʔu⸢maʃiːkama⸣ʃiː ⸢sunda daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (彼は仕事をあっちこっち中途半端にするから、信頼できない<良くない>) 3238 0 0 3048 htmvoc_3238.wav ウマシゥカッティカマシゥカッティ ウ⸢マシゥカッティ⸣ カ⸢マシゥカッ⸣ティ [ʔu⸢masï̥katti⸣ ka⸢masï̥kat⸣ti] 句 こっちぶつかり、あっちぶつかりして。「そこつかえ<閊え>、あそこつかえ<閊え>」の義。あちらこちらに突き当たって支障をきたす。 ウ⸢マシゥカッティ⸣ カ⸢マシゥカッ⸣ティ シ⸢ティ ピッ⸣チン ⸣マイ ⸢ユーザラヌ [ʔu⸢masï̥katti⸣ ka⸢masï̥kat⸣ti ʃi̥⸢ti pit⸣ʧim ⸣mai ⸢juːʣaranu] (あちらこちらに突き当たって支障をきたし、ちっとも前に進め<寄られ>ない) 3244 0 0 3049 htmvoc_3244.wav ウマナシカマナシ ウ⸢マナシカマ⸣ナシ [ʔu⸢manaʃikama⸣naʃi] 連 あっちこっちに移すさま。そこに置いたり、あそこに置いたり、工夫して位置を変える。 フ⸢ニ⸣ヌ ナ⸢カ⸣ナ ⸢ニー⸣バ ウ⸢マナシカマ⸣ナシ ⸢シェー⸣ティ シ⸢ムンドゥ⸣ ムー⸢ロー ペーラン⸣バン [ɸu⸢ni⸣nu na⸢ka⸣na ⸢niː⸣ba ʔu⸢manaʃikama⸣naʃi ⸢ʃeː⸣ti ʃi⸢mundu⸣ muː⸢roː peːram⸣baŋ] (船の中で荷をあっちになしたり、こっちになしたりして工夫して積むのだが、全部は積めない) 3245 0 0 3050 htmvoc_3245.wav ウマナディカマナディ ウ⸢マナディカマナ⸣ディ [ʔu⸢manadikama⸣nadi] 連・副 そこを撫でたり、あそこを撫でたりするさま。肌をさすりさすり、大事にするさま。 ウ⸢レー タンガ⸣ッふァ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢マナディカマ⸣ナディ サ⸢レー⸣ティ ス⸢ダティラ⸣レー⸢ダー [ʔu⸢reː taŋga⸣ffa ja⸢runda⸣ ʔu⸢manadikama⸣nadi sa⸢reː⸣ti su⸢datira⸣reː⸢daː] (彼<あれ>は一人っ子だから、あっちなでこっちなでして肌を撫でさするようにして大事に育てられたのだよ) 3246 0 0 3051 htmvoc_3246.wav ウマナリカマナリ ウ⸢マナリカマ⸣ナリ [ʔu⸢manarikama⸣nari] 連・副 落ち着かず頻繁に座席を変えるさま。あちらこちら座席を移すさま。あっち移り、こっち移りするさま。「そこになったり、あそこになったり」の義。 ウ⸢レー⸣ ナー⸢イ ドゥー⸣ヌ シ⸢キ⸣ニナ ブ⸢リサヌ⸣ ウ⸢マナリカマ⸣ナリ ⸢シー⸣ ザ⸢マバ シー ブー [ʔu⸢reː⸣ naː⸢i duː⸣nu ʃi̥⸢ki⸣nina bu⸢risanu⸣ ʔu⸢manarikama⸣nari ⸢ʃiː⸣ ʣa⸢maba ʃiːbuː] (あれ<彼>はじっと自分の席に居ることが出来ない{EOS}あちらこちら歩き回って他人の邪魔をしている) 3239 0 0 3052 htmvoc_3239.wav ウマヌマーラー ウ⸢マ⸣ヌ ⸣マーラー [ʔu⸢ma⸣nu ⸣maːraː] 連 そこらあたり。その近辺。その辺。 ウ⸢マ⸣ヌ ⸣マーラー イ⸢シヌ ゴー⸣ラーンダ パ⸢タ⸣キ ス⸢クララ⸣ヌ [ʔu⸢ma⸣nu ⸣maːraː ʔi⸢ʃinu goː⸣raːnda pḁ⸢ta⸣ki su̥⸢kurara⸣nu] (そこの辺りは石が多いので畑は作られない) 3247 0 0 3053 htmvoc_3247.wav ウマパリカマパリ ウ⸢マパリカマ⸣パリ [ʔu⸢maparikama⸣pari] 連・副 あっち行ったり、こっち行ったり。あっちこっちうろつくさま。落ち着かず頻繁に歩き回るさま。右往左往するさま。 ウ⸢マパリカマ⸣パリ ⸢サンドー⸣シ ウ⸢ティ⸣シキ ⸢ベー⸣リバ [ʔu⸢maparikama⸣pari ⸢sandoː⸣ʃi ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki ⸢beː⸣riba] (あっちこっちうろつかないで落ち着いていなさいよ)。 ウ⸢マパリカマ⸣パリ ⸢シェー⸣ティ タ⸢ナミ⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢ニン⸣ガイ シ⸢ミ オーラシ⸣タ [ʔu⸢maparikama⸣pari ⸢ʃeː⸣ti ta⸢nami⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ⸢niŋ⸣gai ʃi⸢mi ʔoːraʃi̥⸣ta] (あっち行ったりこっち行ったりして頼んで、やっとのことで祈願をさせて差し上げたのだよ) 3212 0 0 3054 htmvoc_3212.wav ウマミーカマミー ウ⸢マミー⸣ カ⸢マ⸣ミー [ʔu⸢mamiː⸣ ka⸢ma⸣miː] 連 そこをみたり、あそこを見たり。きょろきょろするさま。もの珍しく、せわしく辺りを見回すさま。 パ⸢ジミティ⸣ ウ⸢キ⸣ナー ⸢クー⸣ター ウ⸢マミー⸣ カ⸢マ⸣ミー ⸢シー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [pa⸢ʤimiti⸣ ʔu⸢ki⸣naː ⸢kuː⸣taː ʔu⸢mamiː⸣ ka⸢ma⸣miː ⸢ʃiː⸣ mut⸢tu⸣ ʔu⸢tisi̥ka⸣nu] (初めて沖縄に来たのできょろきょろして落ち着かない) 3248 0 0 3055 htmvoc_3248.wav ウマミーカマミー ウ⸢マミーカマ⸣ミー [ʔu⸢mamiːkama⸣miː] 連・副 きょろきょろするさま。あちらを見たり、こちらを見たりするさま。ABCDEBCD型の重言。「そこ見、あそこ見」の転訛したもの。 ウ⸢マミーカマ⸣ミー シ⸢ティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [ʔu⸢mamiːkama⸣miː ʃi̥⸢ti⸣ mut⸢tu⸣ ʔu⸢tisi̥ka⸣nu] (あっちを見たりこっちを見たり、きょろきょろして、ちっとも落ち着かない) 3249 0 0 3056 htmvoc_3249.wav ウマミリカマミリ ウ⸢マミリカマ⸣ミリ [ʔu⸢mamirikama⸣miri] 連・副 きょろきょろ。落ち着かず、せわしくあたりを見回すこと。情緒不安定な様。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢マミリカマ⸣ミリ ⸢シー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ティシゥカン⸣バン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔu⸢mamirikama⸣miri ⸢ʃiː⸣ mut⸢tu⸣ ʔu⸢tisi̥kam⸣baŋ] (この子はあっち見たりこっち見たりきょろきょろして、ちっとも落ち着かないわい) 3240 0 0 3057 htmvoc_3240.wav ウマンカマン ⸣ウマンカマン [⸣ʔumaŋkamaŋ] 連 そこも、あそこも。どこも(何処も)・かしこも(彼処も)。ABCDBC型の重言。 ⸢プール⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢タッ⸣テー ⸢カッ⸣テーティ ⸢ナー⸣ン ⸣ウマンカマン ムー⸢ル プール⸣ムチ ス⸢ク⸣ルンティル ⸢オー⸣ル [⸢puːru⸣nu ⸣pimmaː ⸢tat⸣teː ⸢kat⸣teːti ⸢naː⸣ŋ ⸣ʔumaŋkamam muː⸢ru puːru⸣muʧi su̥⸢ku⸣runtiru ⸢ʔoː⸣ru] (豊年祭の時は何処そこの家となく、何処もかしこ<何処の家>も皆豊年祭の餅を作ろうとしておられる) 3250 0 0 3058 htmvoc_3250.wav ウマンタ ⸣ウマンタ [⸣ʔumanta] 代 そちら。その辺り。そこら辺(中称)。⸣クマンタ[⸣kumanta](こちら{EOS}この辺{EOS}ここら辺)近称、⸣カマンタ[⸣kamanta](あちら{EOS}あの辺{EOS}あちら辺)遠称、などの代名詞の一種。 カイ⸢ブ⸣ツァー シゥ⸢カーンバ⸣ ウマンター ⸣ナシ シ⸢キ⸣リバ [kai⸢bu⸣ʦaː sï̥⸢kaːmba⸣ ʔumantaː ⸣naʃi ʃi̥⸢ki⸣riba] (こんな物は使わないから、そこら辺に片付けて<そこら辺になして>おきなさいよ) 3251 0 0 3059 htmvoc_3251.wav ウマンチュ ウ⸢マンチュ [ʔu⸢manʧu] 名 衆人。人民。大衆。歌謡語。沖縄本島首里方言の「?umaNcu(御真人・御万人{EOS}人民)」からの借用語。「/ウブシクヌ マブルシュー アミブシャヌ/ウブトゥムル カミガナシ アミブシャヌ/ウマンチュヌ ニガイヤ アミブシャヌ/アカカラジヌ ニガイヤ アミブシャヌ/(大グスクの守り神さま、雨が欲しいのです、大友利御嶽の神様、雨が欲しいのです{EOS}大衆<人民>の願いは、雨が欲しいのです、百姓の願いは、雨が欲しいのです)」(『雨乞い歌』<トゥムルウガン・ナガミク>)と歌われている 3253 0 0 3060 htmvoc_3253.wav ウミ ⸣ウミ [⸣ʔumi] 名 海。日常会話では用いない。歌謡語として用いられる。八重山地方に流布しているン⸢ゾーニンブツァー[n⸢ʣoːnimbuʦaː](無蔵念仏節)に/ウヤヌ ウグヌヤ フカキムヌ チチグヌ ウグヌヤ ヤマタカサ ハハグヌ ウグヌヤ ウミフカサ/(親のご恩は深きもの、父御のご恩は山の如く高く、母御のご恩は海のように深い)(『沖縄文化』通巻36・37号、「八重山地方に流布する念仏歌について」) 3254 0 1 3061 htmvoc_3254.wav ウミイシ ⸣ウミイシ [⸣ʔumiʔiʃi] 名 {Mn_1}珊瑚石。菊目石<海花石>にもいう。ス⸢ブル⸣イシ[su⸢buru⸣ʔiʃi](半球形の珊瑚石、キクメイシ<菊目石>)と同じ。 ⸣ウミイシヌ ア⸢リ⸣バ ⸣フネー ⸢ハーガラサン⸣ヨーニ ⸢マーシェーマーシェー シェーティ⸣ クーバ [⸣ʔumiʔiʃinu ʔa⸢ri⸣ba ⸣ɸuneː ⸢haːgarasaɲ⸣joːni ⸢maːʃeːmaːʃeː ʃeː⸣ti ⸣kuːba] (海中に菊目石があるから船を乗り上げないように回し回しして<海石を避けて{EOS}迂回させて>来なさいよ)。 3254 0 2 3062 htmvoc_3254.wav ウミイシ ⸣ウミイシ [⸣ʔumiʔiʃi] 名 {Mn_2}海の石。タ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬{EOS}島の南南東の干瀬)には海底噴火時に打ち上げられたという海石があったという。鳩間島の⸢グス⸣ク[⸢gusu̥⸣ku](石垣)は、島人がこれらの海石を運んで積み上げたものという 3255 0 0 3063 htmvoc_3255.wav ウミカジ ウ⸢ミ⸣カジ [ʔu⸢mi⸣kaʤi] 名 潮風。「海風」の義。海を渡ってそよいでくる涼しい風。 ⸢バン⸣テーヤ パ⸢マバ⸣タヤー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ミカジ⸣ヌ ⸢スイティ⸣ イッ⸢ケン⸣ ピ⸢ラ⸣ケータン [⸢ban⸣teːja pa⸢maba⸣tajaː ja⸢runda⸣ ʔu⸢mikaʤi⸣nu ⸢suiti⸣ ʔik⸢kem⸣ pi⸢ra⸣keːtaŋ] (私の家は海岸端の家だから、海風がそよいで非常に涼しかった) 3260 0 0 3064 htmvoc_3260.wav ウミキ ウ⸢ミ⸣キ [ʔu⸢mi⸣ki] 名 お神酒。「神酒」に尊敬の接頭辞ウ[ʔu](御)が付いたもの。 ウ⸢ミ⸣キン マ⸢ラソー⸣リ [ʔu⸢mi⸣kim ma⸢rasoː⸣ri] (お神酒も醸造<産まれさせ>なされませ) 3257 0 0 3065 htmvoc_3257.wav ウミザラシ ウ⸢ミザラ⸣シ [ʔu⸢miʣara⸣ʃi] 名 海晒し。織り上げた芭蕉布や麻布を海岸の海中で洗って晒すこと。 ム⸢カ⸣シェー ⸣バサキンヌン ⸣ブーキンヌン ス⸢ナカ⸣ナーティ ア⸢ライティ⸣ サ⸢ラソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣basakinnum ⸣buːkinnun su⸢naka⸣naːti ʔa⸢raiti⸣ sa⸢rasoːt⸣taʦo] (昔は芭蕉布も麻布も海の中で洗って海晒しにされたそうだ)。⸢スーザラ⸣シ[⸢suːʣara⸣ʃi](潮晒し)ともいう 3020 0 0 3066 htmvoc_3020.wav ウミナーク ウミ⸢ナーク [ʔumi⸢naːku] 副 ほっとするさま。一安心するさま。精神的に安らぐさま。「思い無く」転訛か。 ッ⸢ふァンケー⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ユン ウ⸢チナ⸣ソーリ ⸣メー ウミ⸢ナーク ソー⸣レーチバン [f⸢faŋkeː⸣nu ⸢joi⸣juŋ ʔu⸢ʧina⸣soːri ⸣meː ʔumi⸢naːku soː⸣reːʧibaŋ] (子供達のお祝いも無事に済まされてほっとされましたねえ)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ウ⸢サンギソッコーン⸣ ウ⸢チナ⸣ソーリ ウミ⸢ナーク ソー⸣レーンミー [ʔu⸢ja⸣nu ʔu⸢saŋgisokkoːŋ⸣ ʔu⸢ʧina⸣soːri ʔumi⸢naːku soː⸣reːmmiː] (親の三十三年忌焼香<法事>もうち済まされて安心なされたことでしょうね) 3258 0 0 3067 htmvoc_3258.wav ウミナークスン ウミ⸢ナーク スン [ʔumi⸢naːku suŋ] 連 ほっとする。ことが成就してほっとする。安心する。「思いなくする」の転訛か。 カ⸢ジヌ⸣ フクティ ウ⸢ヌス⸣ク ⸢ソーバ シー ベータ⸣ヌ ⸢マイカリン⸣ ウ⸢チナ⸣シ ウミ⸢ナーク シェー⸣チバン [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kuti ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢soː ʃiː beːta⸣nu ⸢maikariŋ⸣ ʔu⸢ʧina⸣ʃi ʔumi⸢naːku ʃeː⸣ʧibaŋ] (台風が吹くといって、あれほど心配していた稲刈りも無事に済ませてほっとしたわい) 3302 0 0 3068 htmvoc_3302.wav ウムータトゥール ウ⸢ムー⸣タ ⸢トゥー⸣ル [ʔu⸢muː⸣ta ⸢tuː⸣ru] 連 思った通り。予想通り。 ⸣バー ウ⸢ムー⸣タ ⸢トゥー⸣ル ⸢オーシケー ノー⸣リ ⸣ケーン [⸣baː ʔu⸢muː⸣ta ⸢tuː⸣ru ⸢ʔoːʃi̥keː noː⸣ri ⸣keːŋ] (私が思った通り、天気は良くなって<直って>きた) 3331 0 0 3069 htmvoc_3331.wav ウムームティ ⸣ウムームティ [⸣ʔumuːmuti] 副 思うほど<愛すれば愛するほど>~。思うにつれて~。思えば思うほど~。 ⸢ワー⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥ ⸣ウムーカー ⸣ウムームティ ッ⸢ふァン⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌクトゥ ⸣ウムーン [⸢waː⸣ f⸢fanu⸣ ku̥tu ⸣ʔumuːka ⸣ʔumuːmuti f⸢faŋ⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥tu ⸣ʔumuːŋ] (君が子供のことを思えば思うほど子供も親のことを思う) 3303 0 1 3070 htmvoc_3303.wav ウムーン ⸣ウムーン [⸣ʔumuːŋ] 他動 {Mn_1}思う。物事について、ある判断を表す。「~長くとぞ於毛布<オモフ>。万、4499」の転訛か。 ⸢ワー⸣ ヌーティ ウ⸢ムー⸣ワ [⸢waː⸣ nuːti ʔu⸢muː⸣wa] (君は何と<どう>思うか<疑問>)。 ⸣バー ⸣アイヤー ウ⸢モー⸣ヌ [⸣baː ⸣ʔaijaː ʔu⸢moː⸣nu] (私は、そうは思わない<否定の断定>)。 カ⸢リン⸣ アイ ⸣ウムーンカヤー [ka⸢riŋ⸣ ʔai ⸣ʔumuːŋkajaː] (彼<あれ>もそう思うかな<疑問、推測>)。 ⸢バン⸣ヌン ⸣アイ ウ⸢ムー⸣タン [⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔai ʔu⸢muː⸣taŋ] (私もそう思った<過去>)。 タ⸢ビ⸣ナ ⸢ベー⸣ティ トゥ⸢ジッふァヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイ ニ⸢バランシェン [ta⸢bi⸣na ⸢beː⸣ti tu⸢ʤiffanu⸣ ku⸢tu⸣ba ⸣ʔumui ni⸢baraŋʃen] (旅にいて妻子のことを思い、眠れなかった)。 ⸣アイヤー ウ⸢モー⸣ヌ [⸣ʔaijaː ʔu⸢moː⸣nu] (そうは思わない)。 ⸣アイ ウ⸢ムイ⸣プサン [⸣ʔai ʔu⸢mui⸣pusaŋ] (そう思いたい)。 ⸢ワーンドゥ⸣ アイ ⸣ウムーカー ⸢バン⸣ヌン ⸣アイ ⸣ウムーン [⸢waːndu⸣ ʔai ⸣ʔumuːkaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔai ⸣ʔumuːŋ] (君がそう思うなら、私もそう思う)。 ⸣アイニ ⸣ウムー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸣ʔumuː pu⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (そう思う人はいない)。 ⸣バーン ⸣カタチニ ウ⸢ムイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣baːŋ ⸣kataʧini ʔu⸢mui⸣jaː ⸣misamunu] (私のように思えばよいのに)。 ⸣カイ ⸣ウムイバ [⸣kai ⸣ʔumuiba] (こう思いなさいよ)。 3303 0 2 3071 htmvoc_3303.wav ウムーン ⸣ウムーン [⸣ʔumuːŋ] 他動 {Mn_2}愛する。心配する。 ⸣バー カ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァバル ⸣ウムイ ⸢ブー [⸣baː ka⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ ffabaru ⸣ʔumui ⸢buː] (私はあの女の子を思って<愛して>いる)。 トゥ⸢ジッふァヌ⸣ クトゥン ウ⸢ムイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu⸢ʤiffanu⸣ ku̥tuŋ ʔu⸢mui⸣jaː ⸣misamunu] (妻子のことも思えば<心配したら>良いのに)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトゥン ⸣ウムイバ [⸢duː⸣nu ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔumuiba] (自分のことも考えろ<心配しろ>)。 ⸢ワーヨー⸣ ウムイ⸢ふィール⸣ プ⸢スティン ブン⸣カヤー [⸢waː joː⸣ ʔumui⸢fiːru⸣ pu̥⸢sutim buŋ⸣kajaː] (君を愛してくれる人がいるかねえ) 3263 0 1 3072 htmvoc_3263.wav ウムイ ⸣ウムイ [⸣ʔumui] 名 {Mn_1}思い。考え。愛情。いとしく<愛しく>思うこと。動詞⸣ウムーン[⸣ʔumuːŋ](思う)の連用形からの転成名詞。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ムイ⸣ヤー ⸣バー ウ⸢ムイ⸣トー ア⸢タラヌ [⸢waː⸣ ʔu⸢mui⸣jaː ⸣baː ʔu⸢mui⸣toː ʔa⸢taranu] (君の考え<思い>は私の思い<考え>とは相容れない<当らない>)。 プ⸢スヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ウ⸢ムイ⸣ヤー ⸢ンーナウムイ⸣ティ ア⸢ザリブー [pu̥⸢sunu⸣ f⸢fa⸣ ʔu⸢mui⸣jaː ⸢ʔnːnaumui⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (他人の子を可愛がって育てる思い<愛情>は空しい愛情だ<報われない愛情だ>と言われている)。 3263 0 2 3073 htmvoc_3263.wav ウムイ ⸣ウムイ [⸣ʔumui] 名 {Mn_2}心配すること。 ⸢ソーバ シーベータン⸣ドゥ ウ⸢ムイ⸣ヌ ⸣フカ ヤ⸢シーヤシー⸣シ シ⸢マサレー⸣ツバン [⸢soːba ʃiː beːtan⸣du ʔu⸢mui⸣nu ɸu̥ka ja⸢ʃiːjaʃiː⸣ʃi ʃi⸢masa⸣reːʦubaŋ] (心配していたが、案外簡単<易々と>済まされたわい) 3264 0 0 3074 htmvoc_3264.wav ウムイアタルン ウ⸢ムイアタ⸣ルン [ʔu⸢muiʔata⸣ruŋ] 自動 思い当たる。納得する。経験的になるほどと気付く。 ム⸢カ⸣シムニ ス⸢ク⸣カー ウ⸢ムイアタ⸣ル ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アン [mu⸢ka⸣ʃimuni su̥⸢ku⸣kaː ʔu⸢muiʔata⸣ru ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔaŋ] (昔の諺を聞くと、なるほどと思い当たることがある) 3265 0 0 3075 htmvoc_3265.wav ウムイカームイ ウ⸢ムイカー⸣ムイ [ʔu⸢muikaː⸣mui] 連・副 こう思い、ああ思いすること。思いあぐねるさま。思い悩んで、逡巡すること。 ⸢キュー⸣ヤ イ⸢サナケーラ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢ペー⸣ルンダラティ ウ⸢ムイカー⸣ムイ ⸢シール パイ⸣ター パ⸢リマー⸣キ ⸢ベー⸠ツォー [⸢kjuː⸣ja ʔi⸢sanakeːra⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢peː⸣rundarati ʔu⸢muikaː⸣mui ⸢ʃiːru pai⸣taː pa⸢rimaː⸣ki ⸢beː⸠ʦoː] (今日は石垣島より船が入港するだろうか、如何だろうかと思いあぐねて西表島<南風端(はいばた)>へ行きかねているんだよ) 3266 0 0 3076 htmvoc_3266.wav ウムイカイスン ウ⸢ムイカイ⸣スン [ʔu⸢muikai⸣suŋ] 他動 思い返す。過去のことを改めて考える。 イ⸢クサユー⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムイカイ⸣シ ⸣ミルカー マ⸢タトゥ⸣ イ⸢ク⸣サ ⸢シェー⸣ ナ⸢ラン⸣ティ ウ⸢モー⸣リ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢muikai⸣ʃi ⸣mirukaː ma⸢tatu⸣ ʔi⸢ku⸣sa ⸢ʃeː⸣ na⸢ran⸣ti ʔu⸢moː⸣ri] (戦争時のことを思い返してみると、二度と戦争をしてはならないと思われる)。 ⸢サイ⸣サイ イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣クトゥ ウ⸢ムイカイ⸣スン⸢ダー [⸢sai⸣sai ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ku̥tu ʔu⸢muikai⸣sun⸢daː] (度々戦争時のことを思い返すよ) 3267 0 0 3077 htmvoc_3267.wav ウムイガカリ ウ⸢ムイガカ⸣リ [ʔu⸢muigaka⸣ri] 名 心に留めること。気掛かりなこと。何か変だと思うこと。 キ⸢ム⸣ウチナー ウ⸢ムイガカリ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢サンモー⸣ マ⸢シ [ki⸢mu⸣ʔuʧinaː ʔu⸢muigakari⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢sammoː⸣ ma⸢ʃi] (心に引っ掛かるもの<気がかりなもの>があれば、しないほうがよい) 3268 1 0 3078 htmvoc_3268.wav ウムイキシ ウ⸢ムイ⸣キシ [ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi] 名 {PoS_1}思い切り。思い切ること。断念すること。あきらめ。 ビ⸢キドゥモー⸣ ウ⸢ムイキシ⸣ル ⸢カンヌー⸣ マ⸢タ モーキラ⸣リ ⸣クトゥン ア⸢リ⸣ス [bi⸢kidumoː⸣ ʔu⸢muiki̥ʃi⸣ru ⸢kannuː⸣ ma⸢ta moːkira⸣ri ⸣ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣su] (男は思い切りが肝要だ{EOS}また儲けられることもあるものだ)。 3268 2 0 3079 htmvoc_3268.wav ウムイキシ ウ⸢ムイ⸣キシ [ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi] 副 {PoS_2}程度・分量の甚だしいさま。非常に。思う存分。思い切って。力いっぱい。動詞ウ⸢ムイ⸣キスン[ʔu⸢mui⸣ki̥suŋ](思い切る{EOS})の連用形から転成したもの。 ⸢ワー シー⸣プサン ⸣ヨーニ ウ⸢ムイ⸣キシ ⸢シー⸣ミリバ [⸢waː ʃiː⸣pusaɲ ⸣joːni ʔu⸢mui⸣kiʃi ⸢ʃiː⸣miriba] (君がしたいように思い切りやってみなさいよ)。 キ⸢ム⸣フグンケン ウ⸢ムイ⸣キシ ッ⸢ふァイ⸣バ [ki⸢mu⸣ɸuguŋkeŋ ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi f⸢fai⸣ba] (満足するまで思う存分に食べなさいよ)。 ウ⸢ムイ⸣キシ ⸢ナン⸣ギバ [ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ⸢naŋ⸣giba] (思う存分に<力いっぱい>投げなさいよ) 3269 0 1 3080 htmvoc_3269.wav ウムイキスン ウ⸢ムイ⸣キスン [ʔu⸢mui⸣ki̥suŋ] 他動 {Mn_1}思い切る。決心する。 ム⸢チ⸣キサタンティン ウ⸢ムイ⸣キシ ⸣シキン ⸣ウキミリバ [mu⸢ʧi⸣ki̥satantiŋ ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ʃi̥kiŋ ⸣ʔuki ⸣miriba] (難しくても思い切って<決心して>試験を受けてみなさいよ)。 3269 0 2 3081 htmvoc_3269.wav ウムイキスン ウ⸢ムイ⸣キスン [ʔu⸢mui⸣ki̥suŋ] 他動 {Mn_2}諦める。断念する。 ⸢ウーズンバ シーベー⸣ヌンドゥ ヌ⸢チ⸣ドゥ タ⸢カ⸣ラティ ⸢シー⸣ ウ⸢ムイ⸣キシ ⸢ベー [⸢ʔuːʣumba ʃiːbeː⸣nundu nu⸢ʧi⸣du tḁ⸢ka⸣rati ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ⸢beː] (大損をしているが、命が宝だといって、諦めている<思い切っている>)。 アス⸢ヌ⸣ ウ⸢ムイキサラ⸣ヌ [ʔa⸢sunu⸣ ʔu⸢muikisara⸣nu] (だが諦められない)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ムイ⸣キスカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ムイ⸣キスン [⸢waː⸣ ʔu⸢mui⸣ki̥sukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢mui⸣ki̥suŋ] (君が決心したら<思い切るなら>私も決心する)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ムイ⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢mui⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (早く諦めれば<決心すれば>よいのに)。 ⸣アイブムノー ウ⸢ムイ⸣キシ [⸣ʔaibumunoː ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi] (あんなものは諦めろ) 3270 0 0 3082 htmvoc_3270.wav ウムイクガリルン ウ⸢ムイクガリ⸣ルン [ʔu⸢muikugari⸣ruŋ] 自動 思い焦がれる。いちずに恋い慕う。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムイクガ⸣リティル ⸣アイニ ⸢ヨーガリ アー⸣ク ダ⸢レー [ʔu⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢muikuga⸣ritiru ⸣ʔaini ⸢joːgari ʔaː⸣ku da⸢reː] (その子のことを一途に恋い慕って、あんなに痩せ細っているのだよ)。 プ⸢スケン⸣マー ⸣アイニ ウ⸢ムイクガラリ⸣ ミ⸢リ⸣プサワ⸢ナー [pu̥⸢sukem⸣maː ⸣ʔaini ʔu⸢muikugarari⸣ mi⸢ri⸣pu̥suwa⸢naː] (一度ぐらいは、あのように思い焦がられてみたいものだねえ)。 ウ⸢ムイクガリ⸣ル プ⸢スンドゥ⸣ ブ⸢ラーン⸠ツォー [ʔu⸢muikugari⸣ru pu̥⸢sundu⸣ bu⸢raːn⸠ʦoː] (思い焦がれる人がいないのだよ)。 ター⸢ンヤラバン⸣ ウ⸢ムイクガリ⸣リバ [taː⸢ɲjarabaŋ⸣ ʔu⸢muikugari⸣riba] (誰でもいいから一途に恋い慕いなさいよ)。 ⸣アイニ ウ⸢モー⸣リカー ⸢ワー⸣ ア⸢ラン⸣タンティン ウ⸢ムイクガリ⸣ルンヨー [⸣ʔaini ʔu⸢moː⸣rikaː ⸢waː⸣ ʔa⸢ran⸣tantiŋ ʔu⸢muikugari⸣ruɲjoː] (あんなに思われたら、君でなくても思い焦がれるよ<一途に恋い慕うよ>) 3271 0 0 3083 htmvoc_3271.wav ウムイクガルン ウ⸢ムイクガ⸣ルン [ʔu⸢muikuga⸣ruŋ] 自動 思い焦がる。恋い慕って思い悩む。一途に恋しく思う。 バ⸢カーン⸣ケンマー ミ⸢ドーン⸣ッふァー ウ⸢ムイクガ⸣ルンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔu⸢muikuga⸣runda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (若い頃は女の子は一途に恋い慕う<思い焦がれる>から、気を付けなさいよ)。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ウ⸢ムイクガ⸣ル ⸣クトゥン ⸢ナー⸣ヌ [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ʔu⸢muikuga⸣ru ⸣ku̥tun ⸢naː⸣nu] (年を取ると思い焦がれることも無い) 3282 0 0 3084 htmvoc_3282.wav ウムイクムン ウ⸢ムイ⸣クムン [ʔu⸢mui⸣kumuŋ] 自動・他動 固く決心する。固く信じる。深く愛する。「思い込む」の義。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸢タシ⸣キ ⸢フォー⸣ルンティ ウ⸢ムイ⸣クミ ⸢ベー⸣タ [⸢kannumai⸣nu ⸢taʃi̥⸣ki ⸢foː⸣runti ʔu⸢mui⸣kumi ⸢beː⸣ta] (神様が助けてくださると固く信じていた)。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥム⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムイ⸣クミティル フ⸢カ⸣ヌ ミ⸢ドゥム⸣ヨー ⸢ミー⸣ムタインツァン サ⸢ヌ [ʔu⸢nu⸣ mi⸢dumu⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢mui⸣kumiti ɸu̥⸢ka⸣nu mi⸢dumu⸣joː ⸢miː⸣mutainʦan sa⸢nu] (その女のことを深く愛してしまって、他の女のことは歯牙にもかけない{EOS}見向きもしない) 3280 0 0 3085 htmvoc_3280.wav ウムイザスン ウ⸢ムイザ⸣スン [ʔu⸢muiʣa⸣suŋ] 他動 思い出す(ぞんざいな表現)。丁寧な言い方は、ウ⸢ムインザ⸣スン[ʔu⸢muinʣa⸣suŋ](思い出す)という。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ム⸢ヌバシキ⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ ウ⸢ムイザ⸣スンティ ⸢スーヌ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ムイザサラ⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː mu⸢nubaʃi̥ki⸣nu ⸢suːwa⸣nu ʔu⸢muiʣa⸣sunti ⸢suːnu⸣ mut⸢tu⸣ ʔu⸢muiʣasara⸣nu] (年をとったので、物忘れがひどくて思い出そうとするが、ちっとも思い出されない)。 ウ⸢ムイザ⸣シ ミ⸢リ⸣バ [ʔu⸢muiʣa⸣ʃi mi⸢ri⸣ba] (思い出してみると)。 ウ⸢ムイザ⸣ス クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢muiʣa⸣su ⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (思い出すことも出来ない<ならない>)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ムイザ⸣シェー ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢muiʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く思い出せばよいのに)。 ノー⸢ン ヤラバン⸣ ウ⸢ムイザ⸣シ [noː⸢ɲ jarabaŋ⸣ ʔu⸢mui⸣ʣaʃi] (何でもいいから思い出せ) 3272 0 0 3086 htmvoc_3272.wav ウムイシギ ウ⸢ムイ⸣シギ [ʔu⸢mui⸣ʃigi] 名 思い過ごし。考えすぎ。 ウ⸢レー ワー⸣ ウ⸢ムイ⸣シギ ヤ⸢リバ⸣ アイヤー ア⸢ザン⸣ ブ⸢リ⸣バ [ʔu⸢reː waː⸣ ʔu⸢mui⸣ʃigi ja⸢riba⸣ ʔaijaː ʔa⸢ʣam⸣ bu⸢ri⸣ba] (それは君の思い過ごし<考え過ぎ>だから、あんなには言わないでよ) 3283 0 0 3087 htmvoc_3283.wav ウムイスクン ウ⸢ムイ⸣スクン [ʔu⸢mui⸣su̥kuŋ] 自動 思いつく。気付く。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズタ⸣クトー ⸢ピッ⸣チン ウ⸢ムイシゥカ⸣ムティ ナー⸢イ⸣ ウ⸢リバ⸣ イ⸢ジブレー⸣バン ヌヤー [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣuta⸣ku̥toː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔu⸢muisï̥ka⸣muti naː⸢i⸣ ʔu⸢riba⸣ ʔi⸢ʤibureː⸣ban ⸣nujaː] (君が言ったことにちっとも気付かずに、ただこの子を叱っていたんだわい{EOS}何ということだ、これは)。 ⸢ワーンドゥ⸣ ウ⸢ムイ⸣スクカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ムイ⸣スクンヨー [⸢waːndu⸣ ʔu⸢mui⸣su̥kukaː ⸢ban⸣nun ʔu⸢mui⸣su̥kuɲjoː] (君が気付いたら<思いついたら>僕も気付くよ<思いつくよ>)。 ウ⸢ムイシキヤッ⸣サン [ʔu⸢muiʃi̥kijas⸣saŋ] (気付き早い<思いつきやすい>)。 ウ⸢ムイ⸣シケーミサムヌ [ʔu⸢mui⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (気付けばよいものを)。 ⸢パイ⸣サ ウ⸢ムイシキ⸣リ [⸢pai⸣sa ʔu⸢muiʃi̥ki⸣ri] (早く気付けよ) 3274 0 0 3088 htmvoc_3274.wav ウムイタトゥン ウ⸢ムイ⸣タトゥン [ʔu⸢mui⸣tatuŋ] 他動 思い立つ。ある事をしようと決意する。 プ⸢スヌ⸣ ッ⸢サン モーキザ⸣ク ウ⸢ムイ⸣タトゥ ⸣クトー ウ⸢ムイタトゥン⸣ドゥ シ⸢ビバー⸣キ ⸢トゥーシユサン⸣バン [pu̥⸢sunu⸣ s⸢sam moːkiʣa⸣ku ʔu⸢mui⸣tḁtu ⸣ku̥toː ʔu⸢muitatun⸣du ʃi⸢bibaː⸣ki ⸢tuːʃijusam⸣baŋ] (他人の知らない商売を思い立つことは思い立つが、最後まで実行する<通す>ことができない) 3275 0 0 3089 htmvoc_3275.wav ウムイダルン ウ⸢ムイ⸣ダルン [ʔu⸢mui⸣daruŋ] 自動 思い疲れる。 ナー⸢イ⸣ ウ⸢ヌクトゥ⸣バ カー⸢ニ⸣ ⸣ウムイ⸢ベータン⸣ドゥ ウ⸢ムイ⸣ダリティ ニ⸢ビナーン⸣バン [naː⸢i⸣ ʔu⸢nukutu⸣ba kaː⸢ni⸣ ʔumui⸢beːtan⸣du ʔu⸢mui⸣dariti ni⸢binaːm⸣baŋ] (じっとそのことをだけ思っていたが、思いつかれて寝てしまってワイ) 3276 0 0 3090 htmvoc_3276.wav ウムイツァーン ウ⸢ムイ⸣ツァーン [ʔu⸢mui⸣ʦaːŋ] 形 惜しい。もったいない(勿体無い)。「思い・痛さ・あり」の転訛したもの。「おめちやさ おもひいたさ」『混効験集』とある。 ク⸢ヌ キン⸣マー キ⸢サリスムヌ⸣ ウ⸢ムイツァー⸣ヌ シ⸢ティララヌ [ku⸢nu kim⸣maː ki⸢sarisumunu⸣ ʔu⸢muiʦaː⸣nu ʃi⸢tiraranu] (この着物はまだ着られるのに、もったいなくて<惜しくて>捨てられない)。 カ⸢ブ⸣ツァ ⸣ムノー ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢bu⸣ʦa ⸣munoː ʔu⸢mui⸣ʦaː ⸢naː⸣nu] (こんなものは惜しくはない)。 ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸣ナリ シ⸢ティラランバン [ʔu⸢mui⸣ʦaːnari ʃi̥⸢tirarambaŋ] (惜しくなって捨てられないわい)。 ⸣ドゥク ウ⸢ムイツァー⸣ヌ シ⸢ティダケー ナー⸣ヌ [⸣duku ʔu⸢muiʦaː⸣nu ʃi̥⸢tidakeː naː⸣nu] (あまりにも惜しくて捨てられそうにない)。 ウ⸢ムイ⸣ツァーカー シ⸢ティルナ [ʔu⸢mui⸣ʦaːkaː ʃi̥⸢tiruna] (惜しかったら捨てるな)。 ク⸢ヌ キン⸣マー ウ⸢ムイツァー⸣ヌ シ⸢ティララヌ [ku⸢nu kim⸣maː ʔu⸢muiʦaː⸣nu ʃi̥⸢tiraranu] (この着物は惜しくて捨てられない)。 ノー⸢ン⸣ ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢mui⸣ʦaː ⸢naː⸣nu] (何も惜しくはない)。 ⸣アイニ ⸣ウムーカー ウ⸢ムイ⸣ツァー ナ⸢リ⸣スバン [⸣ʔaini ⸣ʔumuːkaː ʔu⸢mui⸣ʦaː na⸢ri⸣subaŋ] (そのように思ったら惜しくなってくるワイ)。 ⸢ピッ⸣チン ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ʔu⸢mui⸣ʦaː ⸢naː⸣nu] (ちっとも惜しくない)。 ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸣クトー ウ⸢ムイ⸣ツァーンドゥ ⸢カーサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢mui⸣ʦaː ⸣ku̥toː ʔu⸢mui⸣ʦaːndu ⸢kaːsaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (惜しいことは惜しいんだが売らなければならない)。 ウ⸢ムイ⸣ツァーカー ⸢カーサン⸣ ブ⸢リ⸣バ [ʔu⸢mui⸣ʦaːkaː ⸢kaːsam⸣ bu⸢ri⸣ba] (惜しければ売るな<売らないでおきなさい>よ) 3277 0 0 3091 htmvoc_3277.wav ウムイツァムン ウ⸢ムイ⸣ツァムン [ʔu⸢mui⸣ʦamuŋ] 他動 ねたむ(妬む)。心に秘めて恨む。「思い・掴む」の義。[ʔumui]・[ʦukamu]の[ʦ]が[ʧi]となり、次の[k]が前接の狭母音[i]により、口蓋化して[ʧa]と転訛したものが再転訛して[ʦa]となったもの。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スン⸣ イ⸢ザリタ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムイ⸣ツァミティ マ⸢ナマー⸣キン ⸢バシキラン⸣ダ⸢レー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ʔi⸢ʣarita⸣ ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢mui⸣ʦamiti ma⸢namaː⸣kim ⸢baʃi̥kiran⸣da⸢reː] (その人に叱られたことを根に持って<心に深く秘めて恨んで>、未だに<今までも>忘れないのだよ)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン イ⸢ザリタ⸣ ク⸢トゥ⸣バ マ⸢ナマバー⸣キン ウ⸢ムイ⸣ツァミ ⸢ベー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣keŋ ʔi⸢ʣarita⸣ ku̥⸢tu⸣ba ma⸢namabaː⸣kiŋ ʔu⸢mui⸣ʦami ⸢beː] (子供の頃に叱られたことを今まで根に持って<妬んで>いる)。 ウ⸢レー⸣ イ⸢ザリ⸣カー ウ⸢ムイ⸣ツァムンダ ウ⸢ムイツァマラン⸣ ヨーニ パ⸢ナ⸣シバ [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʣari⸣kaː ʔu⸢mui⸣ʦamunda ʔu⸢muiʦamaraɲ⸣ joːni pa⸢na⸣ʃiba] (彼は叱られると根に持つから、妬まれないように話しなさいよ)。 カ⸢レー⸣ ウ⸢ムイ⸣ツァム プ⸢ソー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ka⸢reː⸣ ʔu⸢mui⸣ʦamu pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (あの人は、根に持つ<\ruby{妬}{ネタ}む>人ではない)。 ウ⸢ムイ⸣ツァメー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢mui⸣ʦameː ⸣misamunu] (妬めば良いのに)。 ウ⸢ムイ⸣ツァミバ [ʔu⸢mui⸣ʦamiba] (妬めよ) 3284 0 0 3092 htmvoc_3284.wav ウムイツミルン ウ⸢ムイツミ⸣ルン [ʔu⸢muiʦumi⸣ruŋ] 他動 思い詰める。一途に思いこむ。深く思い悩む。 ウ⸢レー⸣ ドゥク イ⸢ズ⸣カー ウ⸢ムイツミ⸣ルン⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ duku ʔi⸢ʣu⸣kaː ʔu⸢muiʦumi⸣run⸢daː] (彼<それ>は、あまり叱ると思いつめるよ)。 ⸢ニンギン⸣マー ター⸢ン アイマ⸣チェー ア⸢リ⸣ブ ⸣アイニ ウ⸢ムイツミラン⸣モー マ⸢シ [⸢niŋgim⸣maː taː⸢ŋ ʔaima⸣ʧeː ʔa⸢ri⸣bu ⸣ʔaini ʔu⸢muiʦumiram⸣moː ma⸢ʃi] (人間は誰にも誤りはある{EOS}あんなに思い悩まない<思い詰めない>方がいい)。 ⸣アイニ ウ⸢ムイツミ⸣ルカー ⸢デー⸣ジ ⸢シース [⸣ʔaini ʔu⸢muiʦumi⸣rukaː ⸢deː⸣ʤi ⸢ʃiːsu] (あんなに思い悩む<思い詰める>と大変なことになる)。 ウ⸢ムイツミ⸣ル ⸣クトー ス⸢ナ⸠ヨー [ʔu⸢muiʦumi⸣ru ⸣ku̥toː su⸢na⸠joː] (思い詰めることはするなよ)。 ウ⸢ムイツミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢muiʦumi⸣reː ⸣misamunu] (思い悩めば<思い詰めれば>良いのに)。 ウ⸢ムイツミ⸣リ [ʔu⸢muiʦumi⸣ri] (思い詰めろ<お恋悩め、思いこめ>) 3285 0 0 3093 htmvoc_3285.wav ウムイツムン ウ⸢ムイ⸣ツムン [ʔu⸢mui⸣ʦumuŋ] 他動 思い詰める。一途に思いこむ。思い悩む。「おもいつむ(思い詰む)下二段活用」の四段活用化し、転訛したもの。 ウ⸢ムイツマ⸣ヌ [ʔu⸢muiʦuma⸣nu] (思い詰めない)。 ウ⸢ムイ⸣ツミティ [ʔu⸢mui⸣tumiti] (思い詰めて)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ドゥク イ⸢ズ⸣カー ウ⸢ムイ⸣ツムン⸢ダー [ja⸢ra⸣beː ⸣duku ʔi⸢ʣu⸣kaː ʔu⸢mui⸣ʦumun⸢daː] (子供は、むやみに叱ると思い詰めるよ<思い悩むよ>)。 ウ⸢ムイ⸣ツム ⸣クトゥン ⸣アン [ʔu⸢mui⸣ʦumu ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (思い詰めることもある)。 ウ⸢ムイ⸣ツメー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢mui⸣ʦumeː misamunu] (思い詰めればいいのに)。 ウ⸢ムイ⸣ツミバ [ʔu⸢mui⸣ʦumiba] (一途に思い込め<思いつめろ>) 3278 0 0 3094 htmvoc_3278.wav ウムイトゥアタラヌ ウ⸢ムイ⸣トゥ ア⸢タラヌ [ʔu⸢mui⸣tu ʔa⸢taranu] 連 予想と違って。こちらの思いと対応しない。 ウ⸢リヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムイ⸣ル ⸢ナン⸣ギクローン シ⸢タヌ ドゥー⸣ヌ ウ⸢ムイ⸣トー ア⸢タラヌ⸣ フ⸢コーラサヌ⸣ プ⸢ス⸣クインツァン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢mui⸣ru ⸢naŋ⸣gikuroːŋ ʃi̥⸢tanu duː⸣nu ʔu⸢mui⸣toː ʔa⸢taranu⸣ ɸu̥⸢koːrasanu⸣ pu̥⸢su⸣kuinʦan ⸢naː⸣nu] (彼のことを思って難儀苦労もしたが、自分の思いとは違って<思いとは当たらず{EOS}思いとは裏腹に>有難うの一声すらない)。予想外である。「思いと当たらない」の義。 ク⸢トゥシェー タイリョー シー モーカ⸣リンティ ウ⸢ヤーンチ⸣ジ ⸢ベータン⸣ド ウ⸢ムイ⸣トゥ ア⸢タラヌ⸣ フ⸢リョー⸣ シ⸢ジキティ⸣ ウカ カビ⸢ナー⸣ヌ [ku̥⸢tuʃeː tairjoː ʃiː moːka⸣rinti ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤi ⸢beːtan⸣du ʔu⸢mui⸣tu ʔa⸢taranu⸣ ɸu⸢rjoː⸣ ʃi⸢ʤikiti⸣ ʔuka kabi⸢naː⸣nu] (今年は大漁して儲かると期待<念願>していたが、予想外に<思いと当たらず>不漁が続いて欠損し<借金をかぶって>てしまった) 3286 0 0 3095 htmvoc_3286.wav ウムイトゥドゥマルン ウ⸢ムイトゥドゥマ⸣ルン [ʔu⸢muituduma⸣ruŋ] 他動 考えてある行為をやめる。思いとまる。断念する。 ⸣カイブー ⸢オーシキ⸣ ヤ⸢ルムヌ⸣ イ⸢ガメー⸣ ウ⸢ムイトゥドゥマ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ウ⸢ムイトゥドゥマラン⸣シェン [⸣kaibuː ⸢ʔoːʃi̥ki⸣ ja⸢rumunu⸣ ʔi⸢gameː⸣ ʔu⸢muituduma⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ʔu⸢muitudumaraŋ⸣ʃeŋ] (こんな天気だから、イカ釣り漁は思いとどまるか<断念するか>と思ったが、思いとどまらなかった) 3287 0 0 3096 htmvoc_3287.wav ウムイトゥドゥミルン ウ⸢ムイトゥドゥミ⸣ルン [ʔu⸢muitudumi⸣ruŋ] 他動 思いとどめる。断念する。諦める。 ⸢ワー⸣ キ⸢ムチェー⸣ ワ⸢カルン⸣ドゥ ⸣ウビシ ウ⸢ムイトゥドゥミ⸣リ [⸢waː⸣ ki⸢muʧeː⸣ wa⸢karun⸣du ⸣ʔubiʃi ʔu⸢muitudumi⸣ri] (君の気持ちは分るが、これで思いとどめなさい<断念しなさい>)。 ⸢オ⸣ー ウ⸢ムイトゥドゥミ⸣ル ⸣クトー ウ⸢ムイトゥドゥミルン⸣ドゥ ⸣クベー ア⸢ザン⸣カー ウ⸢ムイトゥドゥミララ⸣ヌ [⸢ʔo⸣ː ʔu⸢muitudumi⸣ru ⸣ku̥toː ʔu⸢muitudumirun⸣du ⸣kubeː ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː ʔu⸢muitudumirara⸣nu] (はい、思いとどめることは思いとどめるが、これだけは言わないと思いとどめられ<諦められ>ない) 3273 0 0 3097 htmvoc_3273.wav ウムイナウムイナ ウ⸢ムイ⸣ナウムイナ [ʔu⸢mui⸣naʔumuina] 副 思い思いに。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸣ウナー ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー⸣ティ ウ⸢ムイ⸣ナウムイナ ッ⸢サソー⸣リ ⸢シーベー⸣タ [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸣ʔunaː ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː⸣ti ʔu⸢mui⸣naʔumuina s⸢sasoː⸣ri ⸢ʃiːbeː⸣ta] (子供達はそこに集まっていて、思い思いに草むしり<草取り>をしていた) 3289 0 0 3098 htmvoc_3289.wav ウムイナガスン ウ⸢ムイナガ⸣スン [ʔu⸢muinaga⸣suŋ] 他動 思い流す。思いを水に流す。無かったことにする。忘れ去る。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ウ⸢ムイナガ⸣シ ッ⸢ふィリ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ʔu⸢muinaga⸣ʃi f⸢fiːri] (その事は忘れ<思い流し>てくれ)。 ウ⸢ムイナガ⸣スンテー ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣アイニ ク⸢トゥヤッ⸣サ ウ⸢ムイナガ⸣ス ⸣クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢muinaga⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸣ʔaini ku̥⸢tujas⸣sa ʔu⸢muinaga⸣su ⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (忘れよう<思い流そう>と思うが、そう容易く忘れる<思い流す>ことも出来ない) 3290 0 0 3099 htmvoc_3290.wav ウムイナスン ウ⸢ムイナ⸣スン [ʔu⸢muina⸣suŋ] 他動 侮る。嘲る。馬鹿にする。ひどく扱う。 ⸢ウンザンマー ピンソー⸣ムヌティ ⸢シー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムイナサ⸣レータン [⸢ʔunʣammaː pinsoː⸣munuti ⸢ʃiː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢muinasa⸣reːtaŋ] (そやつには、貧乏者といってひどく馬鹿にされたことがある)。 ウ⸢ムイナサ⸣ヌ [ʔu⸢muinasa⸣nu] (馬鹿にしない)。 ウ⸢ムイナ⸣シ ⸢ベー [ʔu⸢muina⸣ʃi ⸢beː] (馬鹿にしている)。 ヤ⸢ラ⸣ビサコーヌ ム⸢ヌ⸣ヌ プ⸢ス⸣ ウ⸢ムイナ⸣スン [ja⸢rabi⸣sakoːnu mu⸢nu⸣nu pu⸢su⸣ ʔu⸢muina⸣suŋ] (子供ごときが<子供程度のくせに>人を馬鹿にするよ)。 ウ⸢ムイナ⸣ス ⸣クトー [ʔu⸢muina⸣su ⸣kutoː] (馬鹿にすることは)。 ウ⸢ムイナ⸣セー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢muina⸣ʃeː ⸣misamunu] (馬鹿にすればいいのに)。 ミ⸢ドゥ⸣ムティ ⸣ウムイ ナー⸢イ バイ⸣ヨー ウ⸢ムイナ⸣シバ⸢ヨー [mi⸢du⸣muti ⸣ʔumui naː⸢ji bai⸣joː ʔu⸢muina⸣ʃiba⸢joː] (女だと思って、ずっと私を馬鹿にしてなさいよ<承知しないよ>) 3291 0 0 3100 htmvoc_3291.wav ウムイヌカスン ウ⸢ムイヌカ⸣スン [ʔu⸢muinuka⸣suŋ] 他動 思い残す。未練を残す。心残りに思う。後悔する。 バ⸢カーン⸣ケンナー ⸢シー⸣プサ ⸣クトゥ ⸢サン⸣カー ウ⸢ムイヌカ⸣スン⸢ダー [ba⸢kaːŋ⸣kennaː ⸢ʃiː⸣pu̥sa ⸣ku̥tu ⸢saŋ⸣kaː ʔu⸢muinuka⸣sun⸢daː] (若い時にしたいことをしないと後悔する<思い残す>よ)。 ウ⸢ムイヌカサン⸣ ヨーニ ⸢シー⸣ケーバ ノー⸢ン⸣ ウ⸢ムイヌカ⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢muinukasaŋ⸣ joːni ⸢ʃiː⸣keːba noː⸢ŋ⸣ ʔu⸢muinuka⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (後悔し<思い残さ>ないようにしてきたから、何も思い残すことは無い) 3292 0 0 3101 htmvoc_3292.wav ウムイヌトゥール ウ⸢ムイ⸣ヌ ⸢トゥー⸣ル [ʔu⸢nui⸣nu ⸢tuː⸣ru] 連 思いの通り。思い通り。思うまま。 ク⸢レー ワー⸣ ウ⸢ムイ⸣ヌ ⸢トゥー⸣ル ⸢シー⸣ミサン [ku⸢reː waː⸣ ʔu⸢mui⸣nu ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiː⸣ misaŋ] (これは君の思い通りにしてよい) 3293 0 0 3102 htmvoc_3293.wav ウムイヌフカ ウ⸢ムイ⸣ヌフカ [ʔu⸢mui⸣nuɸuka] 副 思いの外。案外。予想外。 ウ⸢ブヤンバ シーベータン⸣ドゥ ウ⸢ムイ⸣ヌフカ ⸢パイ⸣サ ⸢ノー⸣リ キサー⸢ティ⸣ シ⸢グトゥ シーベー [ʔu⸢bujamba ʃiːbeːtan⸣du ʔu⸢mui⸣nuɸu̥ka ⸢pai⸣sa ⸢noː⸣ri ki̥saː⸢ti⸣ ʃi⸢gutu ʃiːbeː] (大病を患って<して>いたが、思いの外早く治って、もうすでに仕事をしている) 3294 0 0 3103 htmvoc_3294.wav ウムイノースン ウ⸢ムイノー⸣スン [ʔu⸢muinoː⸣suŋ] 他動 思い直す。考え直す。思いを改める。 ク⸢トゥ⸣バリ ⸢ソーッ⸣タティ ス⸢クタヌ⸣ ウ⸢ムイノー⸣シ ッ⸢ふォーララン⸣カヤー [ku̥⸢tu⸣bari ⸢soːt⸣tati su̥⸢kutanu⸣ ʔu⸢muinoː⸣ʃi f⸢foːraraŋ⸣kajaː] (断りはなされたと聞きましたが考え直してもらえませんかね)。 ⸢ワーンドゥ⸣ ウ⸢ムイノー⸣スカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ムイノー⸣スン [⸢waːndu⸣ ʔu⸢muinoː⸣su̥kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢muino⸣suŋ] (君が考え直したら僕も考え直すよ)。 ウ⸢ムイノー⸣スクトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢muinoː⸣suku̥toː na⸢ra⸣nu] (考え直すことは出来ない)。 ウ⸢ムイノー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢muinoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (考え直したらよいのに)。 ⸢ワー⸣ラ ⸢パイ⸣サ ウ⸢ムイノー⸣シ [⸢waː⸣ra ⸢pai⸣sa ʔu⸢muinoː⸣ʃi] (君から早く考え直しなさい) 3295 0 0 3104 htmvoc_3295.wav ウムイブリ ウ⸢ムイ⸣ブリ [ʔu⸢mui⸣buri] 名 恋狂い。「思い狂れること」の義。⸢クイ⸣ブリ[⸢kui⸣buri](恋狂い)というのが普通。 ム⸢カ⸣シェーラ バ⸢カー⸣ムヌヌ ウ⸢ムイ⸣ブリ ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ギュ⸢タールン ブン⸠ダー [mu⸢ka⸣ʃeːra ba⸢kaː⸣mununu ʔu⸢mui⸣buri ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ gju⸢taːrum bun⸠daː] (昔から若者で恋狂いをした人が何人もいるよ) 3296 0 1 3105 htmvoc_3296.wav ウムイブン ⸣ウムイ ⸢ブン [⸣ʔumui ⸢buŋ] 連 {Mn_1}思っている。動詞⸣ウムーン[⸣ʔumuːŋ](思う)の連用形に存在詞⸢ブン[⸢buŋ](居る)が下接して形成された派生動詞。「常に『思う』という属性、慣習を持って存在している」意を表す。 ⸣ウムイ ⸢ベー⸣ン [⸣ʔumui ⸢beː⸣ŋ] (現在そう思っている<継続進行>)。 ⸣アイ ウムイブ⸢リティ⸣ ウムイブ⸢ラーヌ⸣ティ ア⸢ジアー⸣ク [⸣ʔai ʔumuibu⸢riti⸣ ʔumuibu⸢raːnu⸣ti ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (現在そう思っていいて、思っていないと言っている)。 ⸣ウムイ ブ⸢レー⸣ミサムヌ [⸣ʔumui bu⸢reː⸣ misamunu] (思っておれば良いのに)。 3296 0 2 3106 htmvoc_3296.wav ウムイブン ⸣ウムイ ⸢ブン [⸣ʔumui ⸢buŋ] 連 {Mn_2}愛している。 ⸢ワー⸣ マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥム⸣ヌ ク⸢トゥバ⸣ル ⸣ウムイ ⸢ブー [⸢waː⸣ ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tiŋ ʔu⸢nu⸣ mi⸢dumu⸣nu ku̥⸢tuba⸣ru ⸣ʔumui ⸢buː] (君はいまだに<今もって>その女のことを<ぞ>愛しているのか) 3301 0 0 3107 htmvoc_3301.wav ウムイムヌ ウ⸢ムイ⸣ムヌ [ʔu⸢mui⸣munu] 名 心配の種。後悔の念。 ウ⸢ヌ プソー⸣ バー ⸣ヌチジューヌ ウ⸢ムイ⸣ムノー ビ⸢コーンッふァバ⸣ ナ⸢シユーサン⸣タ ⸣クトゥティ ア⸢ゾーッ⸣タ⸢ダー [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ baː ⸣nuʧiʤuːnu ʔu⸢mui⸣munoː bi⸢koːŋffaba⸣ na⸢ʃijuːsan⸣ta ⸣ku̥tuti ʔa⸢ʣoːt⸣ta⸢daː] (その人は、⸢私の生涯の後悔の念は男の子を産めなかったことだ」と言われたよ) 3298 0 0 3108 htmvoc_3298.wav ウムイヤミ ウ⸢ムイ⸣ヤミ [ʔu⸢mui⸣jami] 名 思い悩むこと。悶々とすること。後悔すること。「~使いも来ねば憶病<オモヒヤム>~。万、3811」の転訛したものか。 ⸢タンガッふァ⸣バ ユ⸢ミ⸣ ッ⸢ふィーティ⸣ イ⸢リムク⸣ トゥ⸢ラバ⸣ル マ⸢シ ヤッタ⸣ユーティ  ナー⸢イ⸣ ウ⸢ムイ⸣ヤミ ⸢シーベー [⸢taŋgaffa⸣ba ju⸢mi⸣ f⸢fiːti⸣ ʔi⸢rimuku⸣ tu⸢raba⸣ru ma⸢ʃijatta⸣juːti naː⸢i⸣ ʔu⸢mui⸣jami ⸢ʃiːbeː] (一人っ子を嫁に呉れてやって、入り婿を取った方が良かったかとなあと思い悩んで<後悔して>いるよ) 3279 0 0 3109 htmvoc_3279.wav ウムインザシッふァ ウ⸢ムインザシ⸣ッふァ [ʔu⸢muiʔnʣaʃi⸣ffa] 名 出産期が過ぎて思い出したように生まれた子供。 ク⸢ヌ⸣ トゥシ ⸣ナリティ ウ⸢ムインザシッふァ⸣ヌ マ⸢レー⸣ティ ッ⸢ふァ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティル ⸢アウ⸣レー ⸢スー⸠ツォー [ku⸢nu⸣ tu̥ʃi ⸣nariti ʔu⸢muinʣaʃif⸣fanu ma⸢reː⸣ti f⸢fa⸣ sï̥⸢ka⸣nauntiru ⸢ʔau⸣reː ⸢suːto⸠ʦoː] (この年になって思い出したように子供が出来て、子供を養育するとて難儀苦労をするのだよ) 3297 0 0 3110 htmvoc_3297.wav ウムインザシマーキ ウ⸢ムインザシマー⸣キ [ʔu⸢muiʔnʣaʃimaː⸣ki] 連 思い出せずに。思い出すことが出来ないで。思い出し兼ねて。~⸢マー⸣キ[~⸢maː⸣ki](~兼ねて)は接尾語。カ⸢キマー⸣キ[kḁ⸢kimaː⸣ki](書き兼ねて)、トゥ⸢リマー⸣キ[tu⸢rimaː⸣ki](取り兼ねて)のように、動詞の連用形に付いて、~兼ねて<~出来ないで>の意味を表す。 ⸢ターヤッタ⸣カヤーティ ウ⸢ムインザシマー⸣キ ⸢ベーン⸣ケンマー キッ⸢サ⸣ ⸢トゥー⸣リパリ ⸢ナーン⸣シェン [⸢taːjatta⸣kajaːti ʔu⸢muiʔnʣaʃimaː⸣ki ⸢beːŋ⸣kemmaː kis⸢sa tuː⸣ripari ⸢naː⸣ʃeŋ] (誰だったかと思い出しかねているうちに、とっくに通り過ぎてしまってた) 3281 0 0 3111 htmvoc_3281.wav ウムインザスン ウ⸢ムインザ⸣スン [ʔu⸢muiʔnʣa⸣suŋ] 他動 思い出す。丁寧な表現。 タ⸢ナマリ⸣タ ⸣クトゥ ウ⸢ムインザ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢ムインザサラ⸣ヌ [ta⸢namari⸣ta ⸣ku̥tu ʔu⸢muiʔnʣa⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔu⸢muiʔnʣasara⸣nu] (頼まれたことを思い出そうとするが、思い出されない)。 ウ⸢ムインザ⸣シ ッ⸢ふィーリ [ʔu⸢muiʔnʣa⸣ʃi f⸢fiːri] (思い出してくれ)。 ⸣キューズーナ ウ⸢ムインザ⸣ス ⸣クトゥ [⸣kjuːʣuːna ʔu⸢muiʔnʣa⸣su ⸣ku̥tu] (今日中に思い出すこと)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ムインザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢muiʔnʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く思い出せば良いのに)。 ウ⸢ヌ⸣ クトゥ ウ⸢ムインザ⸣シバ [ʔu⸢nu⸣ ku̥tu ʔu⸢muiʔnʣa⸣ʃiba] (そのことを思い出せよ)。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸣クトゥ ウ⸢ムインザ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢ムインザサラ⸣ヌ [mu⸢kaʃi⸣nu ⸣ku̥tu ʔu⸢muiʔnʣa⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔu⸢muiʔnʣasara⸣nu] (昔のことを思い出そうとするが、思い出されない)。 ウ⸢ムインザ⸣シ ⸣ミサカー ウ⸢ムインザ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢muiʔnʣa⸣ʃi ⸣misakaː ʔu⸢muiʔnʣa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (思い出して良ければ、思い出すことはできる)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ムインザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢muiʔnʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く思い出せば良いのに)。 ウ⸢ムインザ⸣シバ [ʔu⸢muiʔnʣa⸣ʃiba] (思い出せよ) 3328 0 0 3112 htmvoc_3328.wav ウムカー ウ⸢ム⸣カー [ʔu⸢mu⸣kaː] 名 おもかじ(面舵)。航海用語。標準語からの借用語。舳先を右へ曲げるときの舵のとりかた。対語はト⸢リ⸣カー[to⸢ri⸣kaː](取り舵、舳先を左へ向ける)。 カ⸢ツドゥルバ ウイヤー⸣ティ ⸣フニ パ⸢ラ⸣ス ⸣バソー ウ⸢ム⸣カー トゥ⸢リ⸣カーティ ウ⸢ヤー⸣レーティ パ⸢ラ⸣ソーッタ [kḁ⸢ʦuduruba ʔuijaː⸣ti ⸣ɸuni pa⸢ra⸣soːru ⸣basoː ʔu⸢mu⸣kaː tu⸢ri⸣kaːti ʔu⸢jaː⸣reːti pa⸢ra⸣soːtta] (カツオドリを追いながら船を操船される<走らされる>時は、ウムカー<右舷の方>、トゥリカー<左舷の方>と大声をあげながら操船さ<走らさ>れた)。その他に、⸢ヨー⸣ソロー[⸢joː⸣soroː](微速前進{EOS}真っ直ぐに進め)。 ⸢ゴーヘー [⸢goːheː] (全速前進)。⸢ゴーシタン[⸢goːʃitaŋ](全速後退)など、英語由来の方言化した借用語がある。サバニでは、⸢オーラー[⸢ʔoːraː](風上へ)、ッ⸢ソーマー[s⸢soːmaː](風下へ)という 3304 0 0 3113 htmvoc_3304.wav ウムカギ ウ⸢ム⸣カギ [ʔu⸢mu⸣kagi] 名 面影。顔つき。心に浮かぶ顔や姿。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ヌースンティル ヤ⸢ル⸣ユー シカーシ⸢カー⸣シ ウ⸢ヤ⸣ヌ ウ⸢ムカギ⸣ヌ ⸣タティテイ ナ⸢ラン⸣バン [⸢kjuː⸣ja ⸣nuːsuntiru ja⸢ru⸣juː ʃi̥kaːʃi̥⸢kaː⸣ʃi ʔu⸢ja⸣nu ʔu⸢mukagi⸣nu ⸣tatiti na⸢ram⸣baŋ] (今日はどういう訳だろうか、はっきりと<\ruby{確}{シカ}と>親の面影がたって懐かしく、寂しくて\ruby{堪}{タマ}らない) 3305 0 0 3114 htmvoc_3305.wav ウムカジ ウ⸢ム⸣カジ [ʔu⸢mu⸣kaʤi] 名 面影。顔つき。心に思い浮かぶ顔や姿。首里方言から転訛したもの。若年層の使用語彙。 ウ⸢ムカジ⸣ヌ ⸣タトゥン [ʔu⸢mukaʤi⸣nu ⸣tḁtuŋ] (面影が立つ) 3307 0 0 3115 htmvoc_3307.wav ウムクトゥ ウ⸢ム⸣クトゥ [ʔu⸢mu⸣kutu] 名 思慮分別。賢明さ。存分。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ム⸣クトー ⸢ナーン⸣バ ⸢カン⸣スル⸢ナー⸣ト ⸢ティー⸣ヌ トゥ⸢ドゥ⸣ク ⸣トンナー シ⸢キル⸣ナヨー [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢mu⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ba ⸢kan⸣suru⸢naː⸣to ⸢tiː⸣nu tu⸢du⸣ku ⸣tonnaː ʃi⸢kiru⸣najoː] (子供は思慮分別がないから剃刀などは手の届くところに置くなよ)。 ウ⸢ムクトゥ⸣ヌ ⸢ナー⸣ン ヤ⸢ラビ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ム ⸣アイブ ⸣クトゥシ ⸢アウター⸣ プスバカヤ [ʔu⸢mukutu⸣nu ⸢naː⸣ɲ ja⸢ra⸣bitu ju⸢nu⸣mu ⸣ʔaibuku̥tuʃi ⸢ʔautaː⸣ pu̥subakaja] (思慮分別のない子供と同様、あんなことで喧嘩したのか{EOS}外聞も<人聞きも>恥ずかしい) 3308 0 0 3116 htmvoc_3308.wav ウムクトゥナーンムヌ ウ⸢ム⸣クトゥ ⸢ナーン⸣ムヌ [ʔu⸢mu⸣kutu ⸢naːm⸣ munu] 連 思慮分別のない幼い子供。 ウ⸢ム⸣クトゥ ⸢ナーン⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢シェー⸣ル ⸣ワザ ヤ⸢リバ ヌンガーラ⸣シ ッ⸢ふォー⸣リ [ʔu⸢mu⸣ku̥tu ⸢naːm⸣ mu⸢nu⸣nu ⸢ʃeː⸣ru ⸣waʣa ja⸢riba nuŋgaːra⸣ʃi f⸢foː⸣ri] (思慮分別のない子供のなせる仕業ですので、お許し<見逃して>下さい) 3309 0 0 3117 htmvoc_3309.wav ウムシ ウ⸢ムシ [ʔu⸢muʃi] 名 おもし(重石)。物を押さえるのに用いるもの。 ム⸢チマイヌ⸣ クー ピ⸢キティ⸣ ミ⸢リキンブク⸣ルナ イ⸢ル⸣カー イ⸢ソーシバ⸣ ウ⸢ムシ⸣ シ⸢ティル⸣ クー ピ⸢サ⸣ソーッタ [mu⸢ʧimainu⸣ kuː pi̥⸢kiti⸣ mi⸢rikimbuku⸣runa ʔi⸢ru⸣kaː⸣ ʔi⸢soːʃiba⸣ ʔu⸢muʃi⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ kuː pi̥⸢sa⸣soːtta] (水に浸けてふやかした糯米を水を加えながら挽いてメリケン袋に入れると、石臼を重石にして水分を切られ<干させ{EOS}脱水させ>られた) 3310 0 0 3118 htmvoc_3310.wav ウムジ ウ⸢ム⸣ジ [ʔu⸢mu⸣ʤi] 名 (動)イイダコ(飯蛸)。西表島の北岸辺りでよく捕れる。茹でたり煮たりして食する。茹でたイイダコ(飯蛸)の腹にある米粒大の卵がさくさく感を与えて美味である。体長約25センチ。タケノコガイの殻に縄を結わえて浜辺から海中に投げ入れ、手繰り寄せると、貝にしがみついてくる。 ⸢パイタ⸣ナー ⸣タクン ウ⸢ム⸣ジン イッ⸢ケナ⸣ トゥ⸢ラリ⸣タン [⸢paita⸣naː ⸣takuŋ ʔu⸢mu⸣ʤiŋ ʔik⸢kena⸣ tu⸢rari⸣taŋ] (西表島北部<南端>には蛸もイイダコも沢山捕れたよ) 3311 0 0 3119 htmvoc_3311.wav ウムジェーマ ウム⸢ジェー⸣マ [ʔumu⸢ʤeː⸣ma] 名 (動)小さなイイダコ(飯蛸)。ウ⸢ム⸣ジ[ʔu⸢mu⸣ʤi](イイダコ)に指小辞の⸣-マ[⸣-ma](小さいもの{EOS}ガマ{SqBr}gama{/SqBr}<小>の転訛したもの)が付いた形。 ミ⸢ナーマ⸣ヌ グ⸢ルバ⸣ ナーシ フ⸢バリティ⸣ ピ⸢ザ⸣フチェーラ ⸢ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティル ウム⸢ジェー⸣マ ⸢ホー⸣ソーッタル [mi⸢naːma⸣nu gu⸢ruba⸣ naːʃi ɸu⸢bariti⸣ pi⸢ʣa⸣ɸuʧeːra ⸢naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeː⸣tiru ʔumu⸢ʤeː⸣ma ⸢hoː⸣soːttaru] (小さな貝<タケノコガイ>の殻を縄で縛って、波打ち際から投げては手繰り手繰りしてイイダコを釣られたものだ) 3314 0 1 3120 htmvoc_3314.wav ウムシル ウ⸢ム⸣シル [ʔu⸢mu⸣ʃiru] 連体 {Mn_1}面白い。楽しい。 3314 0 2 3121 htmvoc_3314.wav ウムシル ウ⸢ム⸣シル [ʔu⸢mu⸣ʃiru] 連体 {Mn_2}興味ある。歌謡語。 ウ⸢ム⸣シルムヌ [ʔu⸢mu⸣ʃirumunu] (楽しいこと)。民謡「鳩間口説」の第六連の囃子に/イヤイーヤー ユタカナルユヌ シルシサミエー アミヤトゥカグシ カジヤシジカニ シクリムジクイ マンサクソーリバ イヒンカタトゥキ ユダンヤナランサ キットゥキバリヨニセタ ウムシルムヌサミ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(イヤイーヤー、豊かなる御世の兆候というものだ{EOS}雨は十日おきに降り、風は穏やかにそよぎ、農作物は豊年満作しており、一時も片時も油断は出来ない{EOS}しっかり気張れよ若者らよ{EOS}さすれば楽しい豊な人生となる{EOS}今の囃子に鳩間口説きを歌おうよ)『鳩間誌』、『鳩間島古典民謡古謡集』。 ⸣ユー ミリ⸢ダー⸣ アイ⸢ベー⸣ティル ⸢ヤームンドー⸣ヤ ウ⸢ク⸣ル⸢ダー⸣ ウ⸢ム⸣シル ⸣ムヌ⸢ダ⸣メー [⸣juː miri⸢daː⸣ ʔai⸢beː⸣tiru ⸢jaːmundoː⸣ja ʔu⸢ku⸣ru⸢daː⸣ ʔu⸢mu⸣ʃiru ⸣munu⸢da⸣ meː] (よく見ろよ{EOS}そうやって家族喧嘩<家問答>は起こるのだぞ{EOS}興味ある、考えさせられる見物だぞ{EOS}肝に銘じておきなさい) 3333 0 0 3122 htmvoc_3333.wav ウムシルムヌ ウ⸢ム⸣シルムヌ [ʔu⸢mu⸣ʃirumunu] 名 面白いこと。愉快な事。楽しいこと。歌謡語。「○、心楽也 於毛志呂之」『新撰字鏡』の転訛したもの。話し言葉では、ウ⸢ムッ⸣サン[ʔu⸢mus⸣saŋ](形)(面白い{EOS}楽しい)という。/イヤイヤー ユタカナルユヌ シルシサミエー アミヤトゥカグシ カジヤシジカニ シクリムジクイ マンサクソーリバ イヒンカタトゥキ ユダンヤナランサキットゥ キバリヨニセタ ウムシルムヌサミ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(ああ<イヤイヤー>豊かなる御世の兆候というものだ{EOS}雨は十日越しに降り、風はそよそよと静かに吹き、稲は稔って<満作して>いるから、一時も片時も油断はできないものだ{EOS}きっと頑張れ<気張れ>若者たちよ{EOS}愉快な<嬉しい>ことだ{EOS}今の囃子に口説きを歌えよ)「鳩間口説」第6連、『鳩間島古典民謡古謡集』、『竹富町史第六巻鳩間島』 3315 0 0 3123 htmvoc_3315.wav ウムター ウ⸢ム⸣ター [ʔu⸢mu⸣taː] 固 (人名)平民子女の名前。普通は、⸣ムター[⸣mutaː]という。 ⸢ウン⸣ネナー ⸣ムターンマーヌ ⸢オーッ⸣タン ⸣ティバン ⸢ナー [⸢ʔun⸣nenaː ⸣mutaːmmaːnu ⸢ʔoːt⸣tan tiban⸢naː] (その家にはムター姉さんがおられたそうだねえ) 3312 0 0 3124 htmvoc_3312.wav ウムッサスン ウ⸢ムッ⸣サ ⸢スン [ʔu⸢mus⸣sa ⸢suŋ] 連 面白がる。「面白く・する」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ダ⸢キ⸣ ムタイティ ⸢ウイ アング⸣カー イッ⸢ケン⸣ ウ⸢ムッ⸣サ ⸢スン⸣ダー [ja⸢ra⸣baː da⸢ki⸣ mutaiti ⸢ʔui ʔaŋgu⸣kaː ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢mus⸣sa ⸢sun⸣daː] (子供は抱いて持ち上げて、上に揚げると非常に喜ぶ<面白がる>よ) 3313 0 0 3125 htmvoc_3313.wav ウムッサン ウ⸢ムッ⸣サン [ʔu⸢mus⸣saŋ] 形 面白い。見事である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ブ⸢ドゥロー⸣ アッパー ⸢ティー⸣バ ウキ⸢ブーユンダ⸣ ム⸢カ⸣シブドゥルヌ ⸣ティー ヤ⸢レー⸣テイ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サン [ku⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ bu⸢duroː⸣ ʔappaː ⸢tiː⸣ba ⸣ʔuki⸢buːjunda⸣ mu⸢ka⸣ʃibudurunu ⸣tiː ja⸢reː⸣ti ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣saŋ] (この子の踊りはお祖母さんの技法<手>を受け継いでいて、正統派の昔踊りであるから非常に見事で面白い)。 ウ⸢ムッサナー⸣ヌ [ʔu⸢mussanaː⸣nu] (面白くない)。 ウ⸢ムッ⸣サナリクン [ʔu⸢mus⸣sanarikuŋ] (面白くなってくる)。 ウ⸢ムッ⸣サル ブ⸢ドゥル [ʔu⸢mus⸣saru bu⸢duru] (面白い踊り)。 ブ⸢ドゥルヌ⸣ ウ⸢ムッ⸣サカー ⸣ミリン ⸣パルン [bu⸢durunu⸣ ʔu⸢mus⸣sakaː ⸣mirim ⸣paruŋ] (踊りが面白ければ見に行く)。 ウ⸢ムッ⸣サクトー ウ⸢ムッ⸣サンドゥ ダ⸢シ⸣ヌ タ⸢ラーヌ [ʔu⸢mus⸣sakutoː ʔu⸢mus⸣sandu da⸢ʃi⸣nu ta⸢raːnu] (面白いことは面白いが、味わい<出し>が足りない) 3319 0 1 3126 htmvoc_3319.wav ウムティ ウ⸢ム⸣ティ [ʔu⸢mu⸣ti] 名 {Mn_1}表。 ⸣ウラ ウ⸢ムティ⸣ヌ ⸣アル プ⸢ス [⸣ʔura ʔu⸢muti⸣nu ⸣ʔaru pu̥⸢su] (裏と面のある人)。 ⸣ジョーブクルヌ ウ⸢ム⸣ティナー ア⸢ティナー⸣ カキ [⸣ʤoːbukurunu ʔu⸢mu⸣tinaː ʔa⸢tinaː⸣ kaki] (状袋<封筒>の面に宛名を書きなさい)。 3319 0 2 3127 htmvoc_3319.wav ウムティ ウ⸢ム⸣ティ [ʔu⸢mu⸣ti] 名 {Mn_2}顔。おもて(面)。上品な感情を表す語。⸣シラ[⸣ʃira](顔{EOS}つら<面>)の対義語。(つら、頬「頬、豆良<つら>、一云保保<ほほ>~」『和名抄』)参照。 ⸢パイ⸣サ ⸣ウキティ ウ⸢ム⸣ティ ⸣シミ クーバ [⸢pai⸣sa ⸣ʔukiti ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimi ⸣kuːば] (早く起きて、顔<面>を洗って<清ませて>来なさいよ)。 ウ⸢ム⸣ティ ⸣シムン [ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimuŋ] (洗顔する、面を清ませる)。⸣シラ シムン[⸣ʃira ⸣ʃimun]とは言わない 3320 0 0 3128 htmvoc_3320.wav ウムティシムン ウ⸢ム⸣ティ ⸣シムン [ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimuŋ] 連 洗面する。顔を洗う。「おもて<面>・清み」の転訛したものか。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸣ウキティ ウ⸢ム⸣ティ ⸣シムカー パ⸢シットゥ スン [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸣ʔukiti ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimukaː pḁ⸢ʃittu suŋ] (朝早く起きて顔を洗う<清む・清ませる>と、気持ちがさっぱりするよ) 3214 0 0 3129 htmvoc_3214.wav ウムトゥ ウ⸢ム⸣トゥ [ʔu⸢mu⸣tu] 固 (地)おもと岳(於茂登岳)。おもと山。石垣島にある沖縄県最高の山。「大本(おおもと)」の義という。 ウ⸢ム⸣トゥダケー ウ⸢キ⸣ナーナーティ イッ⸢チン⸣ タ⸢カー⸣ ヤマ⸢トゥ⸣ツォー [ʔu⸢mu⸣tudakeː ʔu⸢ki⸣naːnaːti ʔit⸢ʧin⸣ tḁ⸢kaː⸣ jama⸢tu⸣ʦoː] (おもと岳は沖縄で一番高い山だそうだ) 3321 0 0 3130 htmvoc_3321.wav ウムトゥダキ ウ⸢ム⸣トゥダキ [ʔu⸢mu⸣tudaki] 固 (地)山の名。オモトヤマ(於茂登山)。石垣島にある沖縄県最高の山。 ウ⸢ム⸣トゥダケー ウ⸢キ⸣ナーナー イッ⸢チン⸣ タ⸢カー⸣ヤマティ ア⸢ザリブ [ʔu⸢mu⸣tudakeː ʔu⸢ki⸣naːnaː ʔit⸢ʧin⸣ ta⸢kaː⸣jamati ʔa⸢ʣaribuː] (オモトヤマ<於茂登山>は沖縄で一番高い山といわれている) 3334 0 0 3131 htmvoc_3334.wav ウムナー ウ⸢ム⸣ナー [ʔu⸢mu⸣naː] 名 (動)魚の名。和名、キツネフエフキ(体長約80センチ)。白身魚の最高級魚。⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː](島の西側の干瀬)の⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外海)で、タ⸢ティ⸣ナー[tḁ⸢ti⸣naː](一本釣り)をして釣った 3335 0 0 3132 htmvoc_3335.wav ウムナイイルン ウ⸢ム⸣ナイ イ⸢ルン [ʔu⸢mu⸣nai ʔi⸢ruŋ] 連 皺を伸ばして入れる。皺を伸ばして畳んで入れる。 ⸢シンブン⸣マー ⸢リッ⸣パニ ウ⸢ム⸣ナイ イ⸢リ⸣シケー [⸢ʃimbum⸣maː ⸢rip⸣pani ʔu⸢mu⸣nai ʔi⸢ri⸣ʃi̥keː] (新聞は立派に皺を伸ばして畳んで入れてある) 3322 0 0 3133 htmvoc_3322.wav ウムニー ウ⸢ムニー [ʔu⸢muniː] 名 重荷。重い荷物。標準語からの借用語の転訛したもの。ン⸢ブニー[ʔm⸢buniː](重荷)とも言う。 カイブー ヤ⸢ラ⸣ビン ン⸢ブニーバ⸣ カ⸢タマ⸣シ キ⸢ムイ⸣ツァー [⸣kaibuː ja⸢ra⸣bim ʔm⸢buniːba⸣ kḁ⸢tama⸣ʃi ki⸢mui⸣ʦaː] (あんな子供に重荷を担がせて、可哀相に) 3323 0 0 3134 htmvoc_3323.wav ウムリ ウ⸢ムリ [ʔu⸢muri] 名 おもり(錘)。ちんし(沈子)。釣針や魚網を沈めるために付ける鉛。 ⸢ティングス⸣ルナ ウ⸢ムリ⸣ シ⸢キラン⸣カー ⸢ムン⸣ダネー イ⸢ズン⸣トン ⸢バー⸣キ トゥ⸢ドゥカ⸣ヌ [⸢tiŋgusu⸣runa ʔu⸢muri⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ⸢mun⸣daneː ʔi⸢ʣun⸣tom ⸢baː⸣ki tu⸢du⸣kanu] (てぐす<てぐす糸{EOS}天蚕糸>に錘をつけないと餌は魚の所まで届かない) 3324 0 0 3135 htmvoc_3324.wav ウムル ウ⸢ム⸣ル [ʔu⸢mu⸣ru] 名 クバ(ビンロウジュ)の葉やクワズイモの葉で作った水汲み用の柄杓。釣瓶より小型で柄がついている。東村にある⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東の井戸)はウ⸢リ⸣カー[ʔu⸢ri⸣kaː](下り井戸{EOS}鍾乳洞の底へ下りて水汲みをする井戸)であるので、ウ⸢ム⸣ルを水汲み用の柄杓として使用した。 ム⸢カ⸣シェー ⸢アンヌカー⸣ラ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ム ⸣ピンマー ウ⸢ム⸣ルシル ミ⸢ジ⸣ フ⸢モーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔannukaː⸣ra mi⸢ʤi⸣ ka⸢ta⸣mu ⸣pimmaː ʔu⸢mu⸣ruʃiru mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢moːt⸣ta] (昔は、東の井戸から水を運ぶ<担ぐ>時はウムルで<ぞ>水を汲まれた) 3336 0 0 3136 htmvoc_3336.wav ウムンズン ウ⸢ムンズン [ʔu⸢munʣuŋ] 他動 重く見る。大切に扱う。 カ⸢レー ワー⸣ ム⸢ニ⸣バ ウ⸢ムンズンティ スンドゥ バン⸣マー ウ⸢ムンザラヌ [ka⸢reː waː⸣ mu⸢ni⸣ba ʔu⸢munʣunti sundu bam⸣maː ʔu⸢munʣaranu] (彼は君の言葉を重んじるというが、私は重んじられない)。 ⸣アイブ ⸣ムニ ヤ⸢ルヌ⸣ ウ⸢ムンジ⸣ ミサカー ウ⸢ムンズ⸣ <ウ⸢ムンジル⸣> クトー ⸣ナルン [⸣ʔaibu ⸣muni ja⸢runu⸣ ʔu⸢munʤi⸣ misakaː ʔu⸢munʣu⸣ <ʔu⸢munʤiru⸣> ku̥toː ⸣naruŋ] (あんな言葉だが、重んじてよければ、重んじることはできる)。 ン⸢ベーマー⸣ ウ⸢ムンジェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʔu⸢munʤeː⸣ misamunu] (少しは重んずればいいのに)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムネー ⸢マー⸣ビン ウ⸢ムンジ⸣バ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muneː ⸢maː⸣biŋ ʔu⸢munʤi⸣ba] (親の言う言葉はもっと重んじなさいよ) 3329 0 0 3137 htmvoc_3329.wav ウモーザハラーザ ウ⸢モー⸣ザハラーザ [ʔu⸢moː⸣ʣaharaːʣa] 副 思いもかけず。思いもよらず。意外にも。予期しないうちに。 ⸢タンガ⸣シ ⸢ベーン⸣ケンドゥ ⸢ウンザー⸣ ウ⸢モー⸣ザハラーザ ンジ⸢キー⸣ル プ⸢スバ⸣ ウ⸢バーシ⸣シケー [⸢taŋga⸣ʃi ⸢beːŋ⸣kendu ⸢ʔunʣaː⸣ ʔu⸢moː⸣ʣaharaːʣara ʔnʤi⸢kiː⸣ru pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ʃi̥keː] (一人でいるところへ彼奴は思いもかけず出て来て、人を驚かしているんだよ)。 ドゥ⸢シェー⸣ラ ウ⸢モー⸣ザハラーザヌ ク⸢トゥ⸣バ ア⸢ザリティル⸣ アッパー イ⸢ナムヌバ シー オーッ⸣タツォー [du⸢ʃeː⸣ra ʔu⸢moː⸣ʣaharaːʣanu ku̥⸢tu⸣ba ʔa⸢ʣaritiru⸣ ʔappaː ʔi⸢namunuba ʃiː ʔoːt⸣taʦoː] (友人から思いがけないことを言われて、お祖母さんは悔しがって<残念がって>おられたそうだ) 3337 0 0 3138 htmvoc_3337.wav ウモーリン ウ⸢モー⸣リン [ʔu⸢moː⸣riŋ] 自動 思われる。⸣ウムーン[⸣ʔumuːŋ](思う)の未然形に、受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が下接して形成された受身・可能の派生動詞。 ク⸢ヌ ブン⸣シェー ⸢タイフー⸣ヤ パ⸢ンチ⸣ パルンティン ウ⸢モー⸣リン [ku⸢nu buŋ⸣ʃeː ⸢taiɸuː⸣ja ⸢panʧi⸣ paruntiŋ ʔu⸢moː⸣riŋ] (この分では、台風はそれて<外れて>行くとも思われる)。 プ⸢スン マイフナー⸣ティ ウ⸢モーリ⸣ン [pu̥⸢sum maiɸunaː⸣ti ʔu⸢moː⸣riŋ] (他人に、働き者だと思われる) 3252 0 0 3139 htmvoc_3252.wav ウモーンムヌウモーシ ウ⸢モーン⸣ムヌ ウ⸢モー⸣シ [ʔu⸢moːm⸣munu ʔu⸢moː⸣ʃi] 慣 寝た子を起こす。忘れかけていた事を思い出させて悩ませる。「思い悩まずともよいことを思い起こさせる」の義。 ⸢バシキカーリ ベー⸣タムヌ ブ⸢ネーヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ ⸢シー⸣ ウ⸢モーン⸣ムヌ ウ⸢モー⸣シ ヤ⸢ラ⸣ビ ナ⸢カシ ナー⸣ヌ [⸢baʃi̥kikaːri beː⸣tamunu bu⸢neːnu⸣ pa⸢naʃi⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢moːm⸣ munu ʔu⸢moː⸣ʃi ja⸢ra⸣bi na⸢kaʃi naː⸣nu] (すっかり忘れかけていたのを、母親の話をして、忘れていたことを思い出させて、子供を泣かしてしまったよ) 3338 0 0 3140 htmvoc_3338.wav ウヤ ⸣ウヤ [⸣ʔuja] 名 親。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ ⸣ウムースコー ⸣ウヤ ⸣ウムー ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーン⸣ツォー [ʔu⸢ja⸣nu f⸢fa⸣ ʔumuːsu̥koː ⸣ʔuja ⸣ʔumuː f⸢faː⸣ bu⸢raːn⸣ʦoː] (親が子を思うほどに思う子はいないそうだ)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ⸢カン⸣ヌ ⸣クイ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣jaː ⸢kan⸣nu ⸣kui] (親の言うこと<声>は神のお告げ<声>と同じだ)(諺)。 ビ⸢ケーヌ⸣ウヤ <ビ⸢ケー> [bi⸢keːnu⸣ʔuja ] (父親)。 ブ⸢ネーヌ⸣ウヤ [bu⸢neːnu⸣ʔuja ] (母親)。 ⸣ウヤ ブ⸢ラーンッふァ [⸣ʔuja bu⸢raːŋffa] (親のいない子)。 マ⸢マウヤ [ma⸢maʔuja] (継親)。 ⸣ウヤパープジ [⸣ʔujapaːpuʤi] (先祖) 3339 0 0 3141 htmvoc_3339.wav ウヤーギルン ウ⸢ヤーギルン [ʔu⸢jaːgiruŋ] 他動 督促する。追い立てる。「追い上げる」の義。石垣方言からの借用語。ア⸢ギマースンとも言う。 ⸣ウカ ⸢カイサン⸣ナーティ ウ⸢ヤーギラリ⸣ イ⸢ミラ⸣リティ ナ⸢ラン⸣バン [⸣ʔuka ⸢kaisan⸣naːti ʔu⸢jaːgirari⸣ ʔi⸢mira⸣riti na⸢ram⸣baŋ] (借金を返せ<返さないか>と追い立てられ、督促されて困っている)。 ウ⸢ヌ プソー⸣ ン⸢メーマヌ⸣ ウカ ヤ⸢ラバン⸣ ウ⸢ヤーギ⸣ トゥ⸢リ⸣ス⸢ダー [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ ʔm⸢meːmanu⸣ ʔuka ja⸢rabaŋ⸣ ʔu⸢jaːgi⸣ tu⸢ri⸣su⸢daː] (その人は少しの借金も追い立てて取るよ)。 ⸢ピング⸣タンティン ウ⸢ヤーギルン⸣ツォー [⸢piŋgu⸣tantiŋ ʔu⸢jaːgirun⸣ʦoː] (逃げても追い立てるそうだ)。 ウ⸢リヌ⸣ ウ⸢ヤーギレー⸣ラ ⸢ヌンガーララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔu⸢jaːgireː⸣ra ⸢nuŋgaːrara⸣nu] (その人が追い立てたら逃れられない)。 マー⸢ンバー⸣キン ウ⸢ヤーギ イ⸢ミ⸣リ [maː⸢mbaː⸣kiŋ ʔu⸢jaːgi⸣ ʔi⸢mi⸣ri] (何処までも追い立て請求せよ) 3340 0 0 3142 htmvoc_3340.wav ウヤースン ウ⸢ヤースン [ʔu⸢jaːsuŋ] 他動 追い上げて不足分の仕事を埋め合わせる。後追いして補充する。不足分を補填する。「追い合わせる」の義か。 ウ⸢リヌ⸣ ジン シゥ⸢カイヤー⸣ ギュー⸢サ モーク⸣タンティン ウ⸢ヤーサラヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʤin sï̥⸢kaijoːja⸣ gjuː⸢sa moːku⸣tantiŋ ʔu⸢jaːsaranu] (その人の金遣いは、いくら儲けても後から順に補填できない<埋め合わされな>)。 ウ⸢ヤーシ⸣ ッ⸢ふィーリ [ʔu⸢jaːʃi⸣ f⸢fiːri] (後から順に補填してくれ)。 ギュー⸢サ⸣ シゥ⸢カーバン⸣ ウ⸢ヤースン [gjuː⸢sa⸣ sï̥⸢kaːbaŋ⸣ ʔu⸢jaːsuŋ] (いくら使っても次々に補填する)。 ⸣クビ ⸢バーキ⸣ル ウ⸢ヤース⸣クトー ⸣ナル [⸣kubi ⸢baːki⸣ru ʔu⸢jaːsu⸣kutoː ⸣naru] (これだけしか後から補填できない<これだけが後から補填できる>)。 ウ⸢ヤーシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢jaːʃeː⸣ misamunu] (後から補填すればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ヤーシ [⸢paː⸣ku ʔu⸢jaːʃi] (早く補填せよ) 3341 0 0 3143 htmvoc_3341.wav ウヤービ ウ⸢ヤービ [ʔu⸢jaːbi] 名 うわべ。表面。 ウ⸢ヤービ⸣ カー⸢ニ⸣ ス⸢ク⸣ライティ ナ⸢カミー⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢jaːbi⸣ kaː⸢ni⸣ su̥⸢ku⸣raiti na⸢kami⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (うわべだけ繕って中身がなければ、なんの役にもたたない<なんの養生にもならない>)。 ウ⸢ヤービカーニル カイ⸣ヤル ナ⸢カミー⸣ヤ ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢jaːbikaːniru kai⸣jaru na⸢kamiː⸣ja ⸢daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (上辺<表面>だけが美しいのであって、中身は良くない) 3342 0 0 3144 htmvoc_3342.wav ウヤーラー ⸣ウヤーラー [⸣ʔujaːraː] 名 大声で叫ぶ人。絶叫する人。 ウ⸢レー⸣ ウヤーラー ヤ⸢ルンダ⸣ ミ⸢スコーミスコー⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢シーサヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔujaːraː ja⸢runda⸣ misu̥⸢koːmisu̥koː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢ʃiːsanu] (彼は大声で叫ぶ人だから小声で<注意深く丁寧に>話すことが出来ない) 3343 0 0 3145 htmvoc_3343.wav ウヤーリカヤーリ ウ⸢ヤー⸣リカヤーリ [ʔu⸢jaː⸣rikajaːri] 名 騒々しいこと。大声をだして騒ぐこと。ABCDEBCD型の重言。 ⸣カナー ウ⸢ヤー⸣リカヤーリ ⸢シーベー⸣ヌ ヌーカヤー [⸣kanaː ʔu⸢jaː⸣rikajaːri ⸢ʃiːbeː⸣nu ⸣nuːkajaː] (あそこに大声を出して騒いでいるが何だろうか) 3344 0 0 3146 htmvoc_3344.wav ウヤールン ウ⸢ヤー⸣ルン [ʔu⸢jaː⸣ruŋ] 自動 叫ぶ。大声を出す。 ⸣カナー ウ⸢ヤー⸣リ ⸢ベー⸣モー ⸢ター⸣ヤ [⸣kanaː ʔu⸢jaː⸣ri ⸢beː⸣moː ⸢taː⸣ja] (あそこに大声で叫んでいるのは誰か)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヤー⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ヤー⸣ルン [⸢waː⸣ ʔu⸢jaː⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢jaː⸣ruŋ] (君が叫んだら私も叫ぶ)。 ウ⸢ヤー⸣ル プ⸢ソー⸣ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢jaː⸣ru pu⸢soː⸣ taː⸢m⸣ bu⸢raːnu] (大声で叫ぶ人は誰もいない)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ヤー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢jaː⸣reː ⸣misamunu] (もっと叫べばよいのに)。 ⸢ワンヌン マー⸣ビン ウ⸢ヤー⸣リ [⸢wannum maː⸣biŋ ʔu⸢jaː⸣ri] (君ももっと大声で叫べ) 3347 0 0 3147 htmvoc_3347.wav ウヤーンチズン ウ⸢ヤーンチ⸣ズン [ʔu⸢jaːnʧi⸣ʣuŋ] 他動 念願する。祈る。祈念する。期待する。「拝み手摺る」の転訛したものという(『石垣方言辞典』)説があるが、「拝み手擦りおる」が音韻法則に適合するようだ。「先人の余沢にあずかることが出来るよう祈願<念願>する」の意が強い。 ⸢カンヌ⸣マイ ⸢ティー⸣ッサイ ウ⸢ヤーンチザ⸣バ ヤー⸢ディン⸣ シ⸢キン⸣マー ア⸢タリ⸣ クー⸢ヨー [⸢kannu⸣mai ⸢tiː⸣ssai ʔu⸢jaːnʧiʣa⸣ba jaː⸢diŋ⸣ ʃi⸢kim⸣maː ʔa⸢tari⸣ kuː⸢joː] (神様に手を合わせて祈願するから、必ず試験に合格して<当って>きなさいねえ)。 ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ヤーンチ⸣ズン [⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢jaːnʧi⸣ʣuŋ] (私も祈願<念願>する)。 ター⸢ン⸣ ウ⸢ヤーンチジ⸣ プ⸢サ⸣ル [taː⸢ŋ⸣ ʔu⸢jaːnʧiʤi⸣ pu̥⸢sa⸣ru] (誰もが余沢にあずかれるよう祈願したがるものだ)。 ウ⸢ヤーンチ⸣ズ ⸣クトゥ [ʔu⸢jaːnʧi⸣ʣu ⸣ku̥tu] (念願すること)。 ウ⸢ヤーンチ⸣ジェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤeː ⸣misamunu] (念願すればよいのに)。 ⸢ワンヌン⸣ ウ⸢ヤーンチジ⸣リ [⸢wannuŋ⸣ ʔu⸢jaːnʧiʤi⸣ri] (君も余沢にあずかれるよう念願しなさい) 3348 0 0 3148 htmvoc_3348.wav ウヤーンツン ウ⸢ヤーン⸣ツン [ʔu⸢jaːn⸣ʦuŋ] 他動 念願する。祈る。祈念する。期待する。「拝み手擦る」の転訛したものか。下二段系動詞「擦れる」が「拝み・手」に複合して四段活用化したものか。 ⸣バー ウ⸢ヤーンツァ⸣バ イ⸢ジ⸣ンジ ⸣シキン ウ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸣baː ʔu⸢jaːnʦa⸣ba ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸣ʃi̥kiŋ ʔu⸢ki⸣ri⸢joː] (私が神様に祈願するから勇気を出して試験を受けなさいね)。 ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ヤーン⸣ツン [⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢jaːn⸣ʦuŋ] (私も念願する)。 ウ⸢ヤーン⸣チ ⸣ミサン [ʔu⸢jaːn⸣ʧi misaŋ] (祈願<念願>してよい)。 ウ⸢ヤーン⸣ツ ⸣クトゥ [ʔu⸢jaːn⸣ʦu ⸣ku̥tu] (祈願<念願>すること)。 ウ⸢ヤーン⸣チェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢jaːn⸣ʧeː misamunu] (念願すればよいのに)。 ウ⸢ヤーン⸣チ [ʔu⸢jaːn⸣ʧi] (祈願しなさい) 3349 0 0 3149 htmvoc_3349.wav ウヤウシ ウ⸢ヤ⸣ウシ [ʔu⸢ja⸣uʃi] 名 親牛。 ⸣インダヌ マ⸢ケー⸣ラ ウ⸢ヤ⸣ウシ ⸢トゥッカラ⸣ バキティ サ⸢キンダヌ⸣ マ⸢ケー⸣ ウ⸢ツ⸣ソーッタツォー [⸣ʔindanu ma⸢keː⸣ra ʔu⸢ja⸣ʔuʃi ⸢tukkara⸣ bakiti sḁ⸢kindanu⸣ ma⸢keː⸣ ʔu⸢ʦu⸣soːttaʦoː] (伊武田の牧から親牛を十頭<十匹>分けて崎田の牧へ移されたそうだ) 3350 0 0 3150 htmvoc_3350.wav ウヤウムイ ⸣ウヤウムイ [⸣ʔujaumui] 名 親思い。孝心の篤い子。 カ⸢リヌ⸣ スコーヌ ⸣ウヤウムイヌ ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーヌ [ka⸢rinu⸣ su̥koːnu ⸣ʔujaumuinu f⸢faː⸣ bu⸢raːnu] (彼ほどの親思い<孝心の篤い子>は他にいない) 3351 0 0 3151 htmvoc_3351.wav ウヤカール ⸣ウヤカール [⸣ʔujakaːru] 名 親代わり。 ⸢バー⸣ル ク⸢ヌ ッふァヌ⸣ ウヤカール ⸣ナリ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸣ケール [⸢baː⸣ru ku⸢nu ffanu⸣ ʔujakaːru ⸣nari sï̥⸢ka⸣nai ⸣keːru] (私がこの子の親代わりになって養育して<養って>きたのだ) 3352 0 0 3152 htmvoc_3352.wav ウヤカタ ウ⸢ヤ⸣カタ [ʔu⸢ja⸣kḁta] 名 親方。親分。カツオ漁業の経営者。自分の仕えている主人。 カ⸢ツシンヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣カタ [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔu⸢ja⸣kḁta] (カツオ船の親方)。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ツシンヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣カタ ⸢ソー⸣レー ⸢ヤー⸣ヤ ⸢カンザトゥ⸣ヤー ⸢ダイ⸣ケー ア⸢マシェー ⸢ウイカナケー ウ⸢チ⸣ネー ⸢ヤッタ⸣ナー [pḁ⸢tuma⸣nu kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔu⸢ja⸣kata ⸢soː⸣reː ⸢jaː⸣ja ⸢kanʣatu⸣jaː、⸢dai⸣keː、ʔa⸢maʃeː、⸢ʔuikanakeː、ʔu⸢ʧi⸣neː ⸢jatta⸣naː] (鳩間のカツオ船の親方をされた家は慶田城家、大工家、小浜家、浦崎家、仲伊部家であったねえ) 3353 0 0 3153 htmvoc_3353.wav ウヤガミ ⸣ウヤガミ [⸣ʔujagami] 名 親神様。島の生みの親なる守り神様。歌謡語。/ヘイヤー ウブトゥムル ホー マブルシュー ヘイヤー ウブシクヌ ホー ウヤガミ/(ヘイヤー<囃子> 大友利嶽 ホー<囃子>の守り神様 ヘイヤー 大グシク<城>の ホー 親神様)(豊年祭の歌、「大友利嶽」の第一連) 3354 0 0 3154 htmvoc_3354.wav ウヤキ ウ⸢ヤ⸣キ [ʔu⸢ja⸣ki] 名 富貴。裕福の家。資産家。「天事、オホヤケコト」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ウ⸢ヤ⸣キヤーナ ス⸢ダティラ⸣レー ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ムヌ ア⸢タラ⸣サ ⸢スンティ⸣ ッ⸢サヌ [ʔu⸢ja⸣kijaːna su⸢datira⸣reː f⸢fa⸣ ja⸢runda⸣ munu ʔa⸢tara⸣sa ⸢sunti⸣ s⸢sanu] (裕福な家に生まれた子なので物を大切にするという事を知らない)。 ウ⸢ヤ⸣キヤー [ʔu⸢ja⸣kijaː] (裕福な家)。 ウ⸢ヤ⸣キ ⸣プス [ʔu⸢ja⸣ki ⸣pu̥su] (お金持ち{EOS}資産家) 3355 0 0 3155 htmvoc_3355.wav ウヤキアカハチ ウ⸢ヤ⸣キアカハチ [ʔu⸢ja⸣kiʔakahaʧi] 固 (人)十六世紀の初頭に首里王府に対して謀反を起こした八重山の豪族。波照間島から身を起こし、石垣島へ渡って大浜を根拠に勢力を伸ばしたといわれている。 ウ⸢ヤ⸣キアカハチェー ウ⸢キナー⸣トゥ イ⸢クサ⸣バ ウ⸢ク⸣シティル フ⸢ルブサレー⸣ツォー [ʔu⸢ja⸣kiʔakahaʧeː ʔu⸢kinaː⸣tu ʔi⸢kusa⸣ba ʔu⸢ku⸣ʃi̥tiru ɸu⸢rubusareː⸣ʦoː] (ウヤキアカハチは沖縄と戦を起こして滅ぼされたそうだ) 3356 0 0 3156 htmvoc_3356.wav ウヤキスン ウ⸢ヤ⸣キ ⸢スン [ʔu⸢ja⸣ki ⸢suŋ] 連 金持ちになる。裕福になる。 カ⸢ツシンラ モーキンザ⸣シ ウ⸢ヌ プス⸣ イチダイシ ウ⸢ヤ⸣キ ⸢シェー⸣ダー [ka⸢ʦuʃinra moːkinʣa⸣ʃi ʔu⸢nu pusu⸣ ʔiʧidaiʃi ʔu⸢ja⸣ki ⸢ʃeː⸣daː] (カツオ船から儲け出して、その人一代で金持ちになったのだよ) 3357 0 0 3157 htmvoc_3357.wav ウヤキパンジョウ ウ⸢ヤ⸣キパンジョウ [ʔu⸢ja⸣kipanʤoː] 名 富貴繁盛。裕福で子孫繁盛すること。明治生まれの古老は、ウ⸢ヤ⸣キパンゾー[ʔu⸢ja⸣kipanʣoː]という。 ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣シ ウ⸢ヤ⸣キパンジョー ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リティル ニガイ⸢オーシル⸣ダー [⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ʃi ʔu⸢ja⸣kipanʤoː ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ritiru ⸣nigai ⸢ʔoːʃiru⸣daː] (体が健康で富貴繁盛をあらしめ賜りますようにと祈願申し上げるのだよ)。歌謡語に/イヤイーヤー ウスメーデー カルマキ ウラリティ ウヤクチョーデー トゥジックヮ ヤシナティ ムラトゥン ワブクニ ワルビ トゥシユリ カンカ  クドゥクヌ モチキナ モノマディ ンゾーサ ソーリバ ティンヌ ミグミヌ ウヤキパンジョー アラシミセユサ ナマヌ パヤシニ クドゥキ ユミユミ/(いやいやー御主<国王>様の公務を務めることが出来て、親子兄弟や妻子を養育して、村中が和睦に暮らし、子供も年寄りも男らも老いて妻のない男や鰥夫、寡婦まで慈しみ愛すれば天のみ恵みは富貴繁盛あらしめ賜るのだ{EOS}今の囃子に口説きを歌おう)(「鳩間口説」第一連『鳩間島誌』、『竹富町史 第六巻 鳩間島』) 3359 0 0 3158 htmvoc_3359.wav ウヤキフクジン ウ⸢ヤ⸣キフクジン [ʔu⸢ja⸣kiɸu̥kuʤiŋ] 名 大金持ちで子孫繁盛した人。⸣フクジン[⸣ɸu̥kuʤiŋ]は(福人<富裕な人)」『天草本伊曾保物語』の義。 パ⸢トゥ⸣マナテー ウ⸢ヤ⸣キフクジンティ ア⸢ズ⸣カー ⸣メー ク⸢ヌ プスバー⸣キ⸢ナー [pḁ⸢tu⸣manateː ʔu⸢ja⸣kiɸu̥kuʤinti ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸣meː ku⸢nu pu̥subaː⸣ki⸢naː] (鳩間島では大金持ちの福人といえば、もうこの人までだなあ) 3358 0 0 3159 htmvoc_3358.wav ウヤキプス ウ⸢ヤ⸣キプス [ʔu⸢ja⸣kipu̥su] 名 金持ち。金満家。富貴人。 ウ⸢キ⸣ナーナテー ミ⸢ジラ⸣シ ウ⸢ヤ⸣キプスヌ ⸢オー⸣ルンツォー [ʔu⸢ki⸣naːnateː mi⸢ʤira⸣ʃi ʔu⸢ja⸣kipu̥sunu ⸢ʔoː⸣runʦoː] (沖縄では世にも珍しい大金持ちがおられるそうだ) 3360 0 0 3160 htmvoc_3360.wav ウヤキミン ウ⸢ヤ⸣キミン [ʔu⸢ja⸣kimiŋ] 名 福耳.福相の耳。金持ちになる相の耳。耳たぶの大きな耳。 ⸢ワッ⸣テヌ プ⸢ソー⸣ ムー⸢ル⸣ ウ⸢ヤ⸣キミン ⸢シーブー⸣サ⸢ナー [⸢wat⸣tenu pu̥⸢soː⸣ muː⸢ru⸣ ʔu⸢ja⸣kimiŋ ⸢ʃiːbuː⸣sa⸢naː] (君の家の人はみんな福相の耳をしているねえ) 3361 0 0 3161 htmvoc_3361.wav ウヤキヤー ウ⸢ヤ⸣キヤー [ʔu⸢ja⸣kijaː] 名 金持ちの家。資産家。 ウ⸢ヤ⸣キヤーヌ プ⸢ソー ジンカニ⸣ヌ ⸢ソーヤ ナー⸣ンダ ウ⸢ラーミ⸣サワ⸢ナー [ʔu⸢ja⸣kijaːnu pu̥⸢soː ʤiŋkani⸣nu ⸢soːja naː⸣nda ʔu⸢raːmi⸣sawa⸢naː] (金持ちの家の人は銭金の心配はないから羨ましいねえ) 3362 0 0 3162 htmvoc_3362.wav ウヤキョーダイ ⸣ウヤキョーダイ [⸣ʔujakjoːdai] 名 親兄弟。 サ⸢ク⸣シェー ⸣ウヤキョーダイヌ ⸣クトゥン イッ⸢ケナ⸣ ウムイ ッ⸢ふィールン [sḁ⸢ku⸣ʃeː ⸣ʔujakjoːdainu ⸣ku̥tuŋ ʔik⸢kena⸣ ʔumui f⸢fiːruŋ] (長男<嫡出子>は親兄弟のことも良く心配して<配慮して>くれる) 3365 0 0 3163 htmvoc_3365.wav ウヤグニ ウ⸢ヤ⸣グニ [ʔu⸢ja⸣guni] 名 本国。鳩間島からは蔵元のある石垣島をいい、宮古・八重山からは琉球国王の居られる沖縄本島をさしていう。「親国」の義。 ウ⸢ヤ⸣グネーラ ⸢オー⸣レール プ⸢スンケー⸣ヤ ⸢マー⸣ル ⸢オーッ⸣タカヤー [ʔu⸢ja⸣guneːra ⸢ʔoː⸣reːru pu̥⸢suŋkeː⸣ja ⸢maː⸣ru ⸢ʔoːt⸣takajaː] (沖縄本島から来られた方々<人達>は何処へ行かれたのだろうか)。 ウ⸢ヤ⸣グニナール ウスン⸢ガナ⸣シェー ⸣マイヤ ⸢オー⸣ル [ʔu⸢ja⸣guninaːru ʔusuŋ⸢gana⸣ʃeː ⸣maija ⸢ʔoː⸣ru] (沖縄本島に<ぞ>国王様<御主加那志前>はいらっしゃる) 3366 0 0 3164 htmvoc_3366.wav ウヤグヮンス ⸣ウヤグヮンス [⸣ʔujagwansu] 名 ご先祖。「親元祖」の意。 ⸢クン⸣ネヌ ム⸢トゥ⸣パカナー ⸣ウヤグヮンソーラヌ ⸣クチカミヌ ビ⸢シラリティ⸣ ア⸢リ⸣ブ⸢ダー [⸢kun⸣nenu mu⸢tu⸣pḁkanaː ⸣ʔujagwansoːranu ⸣ku̥ʧikaminu bi⸢ʃirariti⸣ ʔa⸢ri⸣bu⸢daː] (この家の大きな墓<本墓>には、先祖代々<ご先祖さまから>の骨壷が据え置かれてあるよ) 3368 0 0 3165 htmvoc_3368.wav ウヤコーコー ⸣ウヤコーコー [⸣ʔujakoːkoː] 名 親孝行。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァル キョーダイ⸣サナー⸣ イッ⸢チン⸣ ウヤコーコー ⸢シー ブー [ku⸢nu⸣ f⸢faru kjoːdai⸣sanaː ʔit⸢ʧiŋ⸣ ʔujakoːkoː ⸢ʃiː buː] (この子が兄弟の中で一番親孝行をしている) 3404 0 0 3166 htmvoc_3404.wav ウヤザ ウ⸢ヤ⸣ザ [ʔu⸢ja⸣ʣa] 名 (動)ネズミ(鼠)。「おやんちよ」『琉球戯曲辞典』。鼠を表す琉球方言は、ユムヌ系(宮古諸方言)、ッエンチュ、ウヤンチュ系(沖縄本島、八重山諸方言)、ウヤザ系(八重山諸方言)、ネズミ系(奄美諸方言)のように分布している(『図説琉球語辞典』)。 ウ⸢ヤザ⸣ヌ ⸣シディティ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ウンラ ⸢ダイ⸣クニ⸢バー⸣キ ユ⸢カーラスコー⸣ シ⸢ラリナー⸣ヌ [ʔu⸢jaʣa⸣nu ⸣ʃiditi pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔunra ⸢dai⸣kuni⸢baː⸣ki ju⸢kaːrasu̥koː⸣ ʃi⸢rarinaː⸣nu] (ネズミが異常繁殖して畑の芋や大根まで相当大量に荒らされて<やられて>しまった) 3369 0 0 3167 htmvoc_3369.wav ウヤザヌニンガイ ウ⸢ヤザ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [ʔu⸢jaʣa⸣nu ⸢niŋ⸣gai] 連 鼠駆除の祈願。鼠害が発生すると、友利御嶽において鼠駆除の祈願が執り行われた。その際、ムラヤクサ(村役人)たちが鼠を捕獲して、板やクバの葉柄で作った小舟に乗せ、鶏肉や神酒、花米なども載せて、御嶽での祈願の終了とともに、島の西の崎から外海へ流した。村役人は、小舟を流す際に、ク⸢ヌ⸣ シマー ッ⸢ふァイムヌン ナー⸣ヌ ⸣シマン グ⸢マー⸣ティ ⸣クナーヤ タ⸢タラン⸣バ ⸢インヌホー⸣ナ ⸢マー⸣ビン ユ⸢チク⸣ヌ ク⸢ニヌ⸣ アリ⸢ベー⸣ティ ⸣ウマナ ⸢オー⸣リ タ⸢トー⸣リ[ku⸢nu⸣ ʃimaː f⸢faimunun naː⸣nu ⸣ʃimaŋ gu⸢maː⸣ti ⸣kunaːja tḁ⸢taram⸣ba ⸢ʔinnu hoː⸣na ⸢maː⸣biŋ ju⸢ʧiku⸣nu ku⸢ninu⸣ ʔari⸢beː⸣ti ⸣ʔumana ⸢ʔoː⸣ri tḁ⸢toː⸣ri](この島は、食べ物がありません{EOS}島も小さいので、ここでは暮らしていけません<立たれない>ので、西の方に、もっと豊かな国がありますので、そこへ行かれて暮らして行きなされ)と唱えた 3370 0 0 3168 htmvoc_3370.wav ウヤザヌパナ ウ⸢ヤザ⸣ヌパナ [ʔu⸢jaʣa⸣nupana] 名 (植)草の名。オシロイバナ。オシロイバナ科の多年草。夏から秋に数花ずつ集まり咲く。色は白や紅。鳩間島では好まれない花とされ、屋敷内に自生すると引き抜いて捨てた。 ウ⸢ヤザ⸣ヌパ⸢ナ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナー ⸢ムイ⸣ルカー ピ⸢キシティソーッ⸣タ [ʔu⸢jaʣa⸣nu pa⸢na⸣nu ⸢jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣naː ⸢mui⸣rukaː pi̥⸢kiʃitisoːt⸣ta] (オシロイバナが屋敷内に生えると引き抜いて捨てられた) 3371 0 0 3169 htmvoc_3371.wav ウヤザヤマ ウ⸢ヤ⸣ザヤマ [ʔu⸢ja⸣ʣajama] 名 ネズミ捕り器。板ばね(発条)仕掛けのネズミ捕り器が多かった。 ウ⸢ヤ⸣ザヤマ ア⸢ギティ⸣ ウ⸢ヤ⸣ザ ⸣トゥリバ [ʔu⸢ja⸣ʣajama ʔa⸢giti⸣ ʔu⸢ja⸣ʣa ⸣turiba] (ネズミ捕り器を仕掛けてネズミを捕れよ) 3372 0 0 3170 htmvoc_3372.wav ウヤジマ ウ⸢ヤ⸣ジマ [ʔu⸢ja⸣ʤima] 名 主要な島。統治者のいる島。離島からは石垣島を指していい、宮古、八重山からは沖縄本島を指していう。「親島」の義。 ウ⸢キナー⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ジマーラル ⸢ウイヌ プ⸢スヌ オー⸣レー⸢トゥ⸣ツォー [ʔu⸢kinaː⸣nu ʔu⸢ja⸣ʤimaːraru ⸢ʔuinu⸣ pu̥sunu ʔoː⸣reː⸢tu⸣ʦoː] (沖縄の親島から上の人<上級役人>が来られたそうだ) 3373 0 0 3171 htmvoc_3373.wav ウヤッふァ ウ⸢ヤッ⸣ふァ [ʔu⸢jaf⸣fa] 名 親子。 ⸢ワーター⸣ ウ⸢ヤッ⸣ふァ ⸣ミサナリ ⸢アークン [⸢waːtaː⸣ ʔu⸢jaf⸣fa ⸣misanari ⸢ʔaːkuŋ] (君たち親子は元気で過ごしているか)。 ⸢ウン⸣ネヌ ウ⸢ヤ⸣ッふァー ⸣ナカー ⸢カイ⸣ヤン [⸢ʔun⸣nenu ʔu⸢jaf⸣faː ⸣nakaː ⸢kai⸣jaŋ] (その家の親子は仲が親密である{EOS}<親子の仲が綺麗だ>)。 ウ⸢ヤッ⸣ふァ ⸢カイ⸣ヤー ッ⸢ふァー⸣ラティル ⸢デンサー⸣ブシナー アル⸢ダー [ʔu⸢jaf⸣fa ⸢kai⸣jaː f⸢faː⸣ratiru ⸢densaː⸣buʃinaː ʔa⸢rudaː] (親子の間柄の良さ<美しさ>は子供の理解の良さから、とデンサー節には歌われてあるよ) 3374 0 0 3172 htmvoc_3374.wav ウヤッふァヌサカシキ ウ⸢ヤッふァ⸣ヌ サ⸢カシキ [ʔu⸢jaffa⸣nu sḁ⸢kaʃi̥ki] 連 親子の盃。親子の固めの盃。結婚式の時の盃事。新郎は嫁方の両親と、新婦は婿方の両親と親子の固めの盃を交わす。 ⸣ニービキヌ ⸣ヨイナー ウ⸢ヤッふァ⸣ヌ サ⸢カシキ ソー⸣ルン [⸣niːbikinu ⸣joinaː ʔu⸢jaffa⸣nu sḁ⸢kaʃi̥ki soː⸣ruŋ] (結婚式のお祝いに親子の盃を交わされる) 3375 0 0 3173 htmvoc_3375.wav ウヤティンッふァティン ⸣ウヤティン ッ⸢ふァ⸣ティン [⸣ʔujatiŋ f⸢fa⸣tiŋ] 連 親とも子とも。下に打ち消しの陳述を伴って副詞句を作る。 ⸣ヌンティル ウ⸢ヤッ⸣ふァー ⸢アウ⸣タユー マ⸢ナ⸣マーラー ⸣ウヤティン ッ⸢ふァ⸣ティン ウ⸢モー⸣ヌティ ア⸢ジ ベー⸠ツォカー ピ⸢ルマ⸣サ [⸣nuntiru ʔu⸢jaf⸣faː ⸢ʔau⸣tajuː ma⸢na⸣maːraː ⸣ʔujatin f⸢fa⸣tiŋ ʔu⸢moː⸣nuti ʔa⸢ʤi beː⸠ʦokaː pi⸢ruma⸣sa] (何故に親子は喧嘩したのか、今からは親とも子とも思わないと言っているんだよ{EOS}珍しい<不思議だ>) 3376 0 0 3174 htmvoc_3376.wav ウヤドゥル ウ⸢ヤ⸣ドゥル [ʔu⸢ja⸣duru] 名 親鳥。 ッ⸢ふァサーリ⸣ ウ⸢ヤ⸣ドゥロー プ⸢スン⸣トン ン⸢カイ⸣ クンダ ナ⸢クラーン⸠ダー [f⸢fasaːri⸣ ʔu⸢ja⸣duroː pu̥⸢sun⸣toŋ ŋ⸢kai⸣ kunda na⸢kuraːn⸠daː] (雛を連れた<子連れの>親鳥は人の所に向かって来るから怖いよ) 3377 0 0 3175 htmvoc_3377.wav ウヤトゥンッふァトゥン ⸣ウヤトゥン ッ⸢ふァ⸣トゥン [⸣ʔujatuŋ f⸢fa⸣tuŋ] 連 親子の間でも。「親とも子とも」の転訛したもの。 ⸣ウヤトゥン ッ⸢ふァ⸣トゥン ⸢ジンカニ⸣ヌ ⸣クトゥ ⸣ナルカー ⸢ムン⸣ドー ウ⸢ク⸣ルン⸢ダー [⸣ʔujatuŋ f⸢fa⸣tun ⸢ʤiŋkani⸣nu ⸣ku̥tu ⸣narukaː ⸢mun⸣doː ʔu⸢ku⸣run⸢daː] (親子の間でも<親とも子とも>お金のことになると問答<争いごと>が起きるよ) 3378 0 0 3176 htmvoc_3378.wav ウヤヌクイヤカンヌクイ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤ ⸢カン⸣ヌ ⸣クイ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣ja ⸢kan⸣nu ⸣kui] 文 親の声は神の声。⸢親の言うことは神のお告げと同じだ」の義。親の意向には逆らえないの意(諺) 3380 0 0 3177 htmvoc_3380.wav ウヤヌプリムヌ ウ⸢ヤ⸣ヌ プ⸢リムヌ [ʔu⸢ja⸣nu pu⸢rimunu] 連 親ばか。子煩悩。「親の狂れ者」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ プ⸢リムヌティ⸣ ア⸢ズ⸣カー ウ⸢リバー⸣キ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣クトゥシ ⸣アイニ ⸢オーナール シーベー [ʔu⸢ja⸣nu pu⸢rimunuti⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː ʔu⸢ribaː⸣ki ja⸢rabi⸣nu ⸣ku̥tuʃi ⸣ʔaini ⸢ʔoːnaːru ʃiːbeː] (親ばかと言えば彼までだ{EOS}子供のことであんなに嫉妬している) 3381 0 0 3178 htmvoc_3381.wav ウヤヌプリムヌッふァチクショー ウ⸢ヤ⸣ヌ プ⸢リムヌ⸣ ッ⸢ふァチクショー [ʔu⸢ja⸣nu pu⸢rimunu⸣ f⸢faʧikuʃoː] 成 親は大の子煩悩で、子供は恩知らずの畜生同然である。親は自分の子供のこととなると善悪の区別を忘れるほどに思うのに、子供は親の気持ちを理解せず畜生同然であるの意。 ム⸢カ⸣シェーラ ウ⸢ヤ⸣ヌ プ⸢リムヌ⸣ ッ⸢ふァチクショー⸣ティ ア⸢ザリブー [mu⸢ka⸣ʃeːra ʔu⸢ja⸣nu pu⸢rimunu⸣ f⸢faʧikuʃoː⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (昔から親は子煩悩で子供は恩知らずの畜生同然であるといわれている) 3382 0 0 3179 htmvoc_3382.wav ウヤヌマイ ウ⸢ヤ⸣ヌマイ [ʔu⸢ja⸣numai] 名 み親。親御様。親の敬語。マイ[mai](前)は尊敬の接尾語で、「~様」の意。 ⸢カンヌ⸣マイ [⸢kannu⸣mai] (神様)。ウシュン⸢ガナ⸣シェーマイ[ʔuʃuŋ⸢gana⸣ʃeːmai](国王様)の様に用いられる。 ウ⸢ヤ⸣ヌマイヌ ア⸢ゾー⸣ルクトー マー⸢ンバー⸣キン シゥ⸢カン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣numainu ʔa⸢ʣoː⸣ruku̥toː maː⸢mbaː⸣kin sï̥⸢kaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (親御様の言われることは、どこまでも聞き届けなければならない) 3383 0 0 3180 htmvoc_3383.wav ウヤヌヤー ウ⸢ヤ⸣ヌヤー [ʔu⸢ja⸣nujaː] 名 実家。里。ウ⸢ヤン⸣ヤー[ʔu⸢jaŋ⸣jaː](実家<親の家>)ともいう。 ⸣クマー ⸣バー ウ⸢ヤ⸣ヌヤー ⸣バー ⸣クナーティル マ⸢リ⸣ ス⸢ダティラリ⸣タ [⸣kumaː ⸣baː ʔu⸢ja⸣nujaː ⸣baː ⸣kunaːtiru ma⸢ri⸣ su⸢datirari⸣ta] (ここは私の実家<親の家>です{EOS}私はここで<ぞ>生まれ、育てられました) 3386 0 0 3181 htmvoc_3386.wav ウヤパーブジ ⸣ウヤパーブジ [⸣ʔujapaːbuʤi] 名 先祖。「親大祖父」の義。曽祖父より上の代の先祖。祖先神となって常に子孫を守護していると信じられている。 ⸣ウヤパーブジヌ ア⸢ラ⸣ソーレール ⸢ヤーヤシ⸣キ ⸢ジー⸣マシ ⸢カーシェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔujapaːbuʤinu ʔa⸢ra⸣soːreːru ⸢jaːjaʃi̥⸣ki ⸢ʤiː⸣maʃeː ⸢kaːʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (先祖の作られた家屋敷、田畑<土地>は売ってはならない)。 ⸢ベー⸣ヌ ⸣ウヤパーブジナー ⸢カンザ⸣ヤーン ⸢ソー⸣リ ⸢ヤーザイ⸣クン ⸢ソー⸣レール プ⸢スン オーッ⸣タンツォー ⸣アイ ヤ⸢レーティ⸣ル カ⸢ザケー⸣ティ ア⸢ズ⸣ツォー [⸢beː⸣nu ⸣ʔujapaːbuʤinaː ⸢kanʣa⸣jaːn ⸢soː⸣ri ⸢jaːʣai⸣kun ⸢soː⸣reːru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣tanʦoː ⸣ʔai ja⸢reːti⸣ru ka⸢ʣakeː⸣ti ʔa⸢ʣu⸣ʦoː] (我が家の先祖の中には鍛冶屋もなさり、家大工の棟梁をされた人もおられたそうだ{EOS}それでカザケーというそうだ) 3387 0 0 3182 htmvoc_3387.wav ウヤビ ウ⸢ヤ⸣ビ [ʔu⸢ja⸣bi] 名 指。手足の指。老年層の言葉。 ウ⸢ヤ⸣ビシ ⸢ウッソン⸣ヌ ス⸢ブ⸣ シ⸢キふィーラン⸣ノーレー ス⸢ブ⸣ル ⸣ヤミ ニ⸢ジララン⸣バン [ʔu⸢ja⸣biʃi ⸢ʔusson⸣nu su⸢bu⸣ ʃi̥⸢kifiːran⸣noːreː su⸢bu⸣ru ⸣jami ni⸢ʤiraram⸣baŋ] (指で盆の窪のツボを突き押してくれないか{EOS}頭が痛くて<病みて>我慢できない<念ずることが出来ない>わい)。 ウ⸢ブウヤ⸣ビ [ʔu⸢buʔuja⸣bi] (親指<大指>)。「ウヤビ[ujabi](指)『八重山語彙』」。⸢ウイ⸣ビ[⸢ʔui⸣bi](指)ともいう。⸢ウイ⸣ビ[⸢ʔui⸣bi]、ウ⸢ヤ⸣ビ[ʔu⸢ja⸣bi](指)は、「指、ユビ、俗云オヨビ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢ティー⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ビシ カ⸢サミティ パンツァシ⸣バ [⸢tiː⸣nu ʔu⸢ja⸣biʃi kḁ⸢samiti panʦaʃi⸣ba] (手の指で掴んで外しなさいよ)。 ⸢パン⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ビ [⸢pan⸣nu ʔu⸢ja⸣bi] (足の指)。ウ⸢ブウヤ⸣ビ[ʔu⸢buʔuja⸣bi](親指)『八重山語彙』」。 ウヤ⸢ベー⸣マ [ʔuja⸢beː⸣ma] (小指)。「ウヤベーマ[ujab'eːma](小指)『八重山語彙』」。プ⸢スッシ⸣ウビ[pu̥⸢suʃʃi⸣ʔubi](人差し指)、⸢プス-サシ[pusu-sas'i](人差し指)『八重山語彙』」。 ナ⸢カウヤ⸣ビ [na⸢kauja⸣bi] (中指)。「ナカ・ウヤビ[naka-ujab'i](中指)」『八重山語彙』。「ナー・ナーヌ・ウヤビ[naː-naːnu-ujab'i](薬指)『八重山語彙』とある 3390 0 0 3183 htmvoc_3390.wav ウヤピュール ウ⸢ヤピュー⸣ル [ʔu⸢japjuː⸣ru] 名 祭祀、祈願行事の本日程。「おやひより(親日和)」の義。 キ⸢チゴンヌ⸣ ウ⸢ヤピュー⸣ロー ⸢クンガチ⸣ヌ ミ⸢ジニー⸣ナール ⸣トゥリシケーツォー [ki⸢ʧigonnu⸣ ʔu⸢japjuː⸣roː ⸢kuŋgaʧi⸣nu mi⸢ʤiniː⸣naːru ⸣turiʃi̥keːʦoː] (結願祭の親日和は九月の壬の日に取ってあるそうだ)。神事の日和は農業、漁業、その他の島の事情により、ウ⸢ヤピュー⸣ル[ʔu⸢japjuː⸣ru]の外に⸢マイピュー⸣ル[⸢maipjuː⸣ru](ウヤピュールの前月の同じ干支の日{EOS}前日和)と⸣アトゥピュール[⸣ʔatupjuːru](ウヤピュールの翌月の同じ干支の日{EOS}後日和)などがある 3384 0 0 3184 htmvoc_3384.wav ウヤフコー ⸣ウヤフコー [⸣ʔujaɸu̥koː] 名 親不幸。 ヤ⸢ナクトゥバ シー⸣ カ⸢サマリティ⸣ カイブ ⸣ウヤフコーテー ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢nakutuba ʃiː⸣ kḁ⸢samariti⸣ kaibu ⸣ʔujaɸu̥koːteː ⸢naː⸣nu] (悪いことをして逮捕され<掴まれて>て、こんな親不幸とては<他に>無い)。 ⸣ウヤフコームヌ [⸣ʔujaɸu̥koːmunu] (親不孝者)。 ⸢ウンザー⸣ トゥシェー ウ⸢ビ⸣ナー ⸣ナリティ ⸣ウヤン ⸢ソーバ⸣ シ⸢メー⸣ティ ⸢アー⸣ク ⸣ウヤフコームヌ [⸢ʔunʣaː⸣ tu̥ʃeː ʔu⸢bi⸣naː ⸣nariti ⸣ʔujan ⸢soːba⸣ ʃi⸢meː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku ⸣ʔujaɸu̥koːmunu] (こいつはいい年して<年はこんなになって>親に心配をかけて<心配させて>いる親不孝者だ) 3388 0 0 3185 htmvoc_3388.wav ウヤプス ウ⸢ヤ⸣プス [ʔu⸢ja⸣pusu] 名 先祖。「親人」の義か。 ウ⸢ヤ⸣プス ク⸢ヨー⸣ムンティル ム⸢チマイ⸣ ガ⸢シ⸣タク ガ⸢シ⸣イズン ス⸢コーリル⸣ イ⸢サナケー オーッ⸣タ [ʔu⸢ja⸣pu̥su ku⸢joː⸣muntiru mu⸢ʧimai⸣ ga⸢ʃi⸣taku ga⸢ʃi⸣ʔiʣun su̥⸢koːriru⸣ ʔi⸢sanakeː ʔoːt⸣ta] (先祖を拝むために<拝もうとしてぞ>糯米、燻製蛸、燻製魚も準備して石垣へ行かれた) 3389 0 0 3186 htmvoc_3389.wav ウヤプスヌマイ ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ [ʔu⸢japu̥su⸣numai] 名 ご先祖様。ご仏前。 ウ⸢ヤプス⸣ヌマイナー ⸢カウワー⸣ シキタティティ ⸢ティー⸣ヤ ウ⸢サーシティ⸣ パリバ⸢ヨー [ʔu⸢japu̥su⸣numaina ⸢kauwa⸣ ʃi̥kitatiti ⸢tiː⸣ja ʔu⸢saːʃi̥ti⸣ pariba⸢joː] (ご先祖様の前<ご仏前>に線香を点け立てて手を合わせ<合掌し>て帰り<行き>なさいね) 3385 0 0 3187 htmvoc_3385.wav ウヤブラーンッふァ ⸣ウヤ ブ⸢ラーンッふァ [⸣ʔuja bu⸢raːnffa] 連 孤児。みなしご。「親のいない子」の義。 ⸣ウヤ ブ⸢ラーンッふァ⸣ティ ア⸢ザラン⸣ヨーニ シカイ⸢トゥ ベンキョー シー⸣ダー [⸣ʔuja bu⸢raːnffati⸣ ʔa⸢ʣaraɲ⸣joːni ʃi̥kai⸢tu beŋkjoː ʃiː⸣daː] (親のない子と言われないようにしっかりと勉強しなさいよ) 3393 0 0 3188 htmvoc_3393.wav ウヤブン ウ⸢ヤ⸣ブン [ʔu⸢ja⸣buŋ] 名 親分。親方。網元。船主。 カ⸢ツシンヌ⸣ ウ⸢ヤブン⸣マー ⸢タール シーオール⸣ワ [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔu⸢jabum⸣maː ⸢taːru ʃiːʔoːru⸣wa] (カツオ船の船主<親方>は誰がしておられるか)。 ワ⸢ター ドゥー⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ブンラ ⸢ジン⸣マー カ⸢リ⸣バ [wa⸢taː duː⸣nu ʔu⸢ja⸣bunra ⸢ʤim⸣maː ka⸢ri⸣ba] (君達は自分の親分からお金は借りなさいよ) 3394 0 0 3189 htmvoc_3394.wav ウヤマール ウ⸢ヤマー⸣ル [ʔu⸢jamaː⸣ru] 名 琉球国時代の役人。地方巡検使。「親回り」の義。{⸣ウヤ[⸣ʔuja](親{EOS}役人)に⸢マー⸣ル[⸢maː⸣ru](回り、巡視、巡見)が結合して形成された複合語(合成語)}。/ウヤマーリヌ オールカージ サンピキアイヌ ユシルカージ パイバタン バタショーリ インダパマ バタショーリ~/(ウヤマール<地方巡検使>がいらっしゃる度に、検地係<算引き合い>がお寄りになる度に、南端<西表島>にお渡しして、伊武田浜へお渡しして~)「バガパトゥマジラマ、第4、5連」『鳩間島古典民謡古謡集』。 イ⸢サナケー⸣ラ ウ⸢ヤマール⸣ヌ ⸢オー⸣ルカー トゥ⸢リム⸣チ ⸢シー パイ⸣ター バ⸢タシオーラ⸣シ ⸢ターカー⸣ジ ⸢マーリティル⸣ クン シゥ⸢カソーッ⸣タツォー [ʔi⸢sanakeː⸣ra ʔu⸢jamaːru⸣nu ⸢ʔoː⸣rukaː tu⸢rimu⸣ʧi ⸢ʃiː pai⸣taː ba⸢taʃiʔoːra⸣ʃi ⸢taːkaː⸣ʤi ⸢maːritiru⸣ kuŋ sï̥⸢kasoːt⸣taʦoː] (石垣から巡検の役人いらっしゃると接待をして、南端<西表島>へお渡しし、田圃ごとに巡見をして古見村までご案内して差し上げたそうだ) 3395 0 0 3190 htmvoc_3395.wav ウヤマイクトゥバ ウ⸢ヤマイクトゥバ [ʔu⸢jamaikutuba] 名 尊敬語。「敬い言葉」の義。 ク⸢ヌグル⸣ヌ バ⸢カー⸣ムヌンケーヤ ウ⸢ヤマイクトゥバ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢サヌ [ku⸢nuguru⸣nu ba⸢kaː⸣muŋkeːja ʔu⸢jamaikutuba⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢sanu] (この頃の若者たちは敬語<敬い言葉>を話すことが出来ない) 3396 0 0 3191 htmvoc_3396.wav ウヤマイルン ウ⸢ヤマイルン [ʔu⸢jamairuŋ] 他動 敬う。ウ⸢ヤマウンとも言う。 ⸢ウイプス⸣ヨー ウ⸢ヤマイリバル⸣ トゥコー ⸢イーラ⸣リ⸢ダー [⸢ʔuipu̥su⸣joː ʔu⸢jamairibaru⸣ tu̥koː ⸢ʔiːra⸣ri⸢daː] (年寄りは敬ってこそ陰徳は貰えるものだよ)。 ウ⸢ヤマイラヌ [ʔu⸢jamairanu] (敬わない)。 ウ⸢ヤマイル⸣クトゥ [ʔu⸢jamairu⸣kutu] (敬うこと)。 ウ⸢ヤマイレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢jamaireː⸣ misamunu] (敬えばよいのに)。 ウ⸢ヤマイリ [ʔu⸢jamairi] (敬いなさい)。 ウ⸢ヤマイヤー⸣ミサムヌ [ʔu⸢jamaijaː⸣ misamunu] (敬えばよいのに) 3397 0 0 3192 htmvoc_3397.wav ウヤマウン ウ⸢ヤマウン [ʔu⸢jamauŋ] 他動 敬う。ウ⸢ヤマイルンとも言う。 プ⸢ス⸣ ウ⸢ヤマイヌ⸣ バ⸢ラ⸣サテー ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢jamainu⸣ ba⸢ra⸣sateː ⸢naː⸣nu] (他人を敬うことが悪いこということは決してない)。 ウ⸢ヤマーヌ [ʔu⸢jamaːnu] (敬わない)。 ウ⸢ヤマイ⸣ミルン [ʔu⸢jamai⸣miruŋ] (敬ってみる)。 ⸢ワー ドゥー⸣ヌ ⸣ウヤ ウ⸢ヤマウ⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ヤマウン [⸢waː duː⸣nu ⸣ʔuja ʔu⸢jamau⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢jamauŋ] (君が自分の親を敬うなら私も敬う)。 ⸣バー ウ⸢ヤマウ⸣ プ⸢ソー⸣ ク⸢ヌ⸣ プ⸢ス タン⸣ガ [⸣baː ʔu⸢jamau⸣ pu̥⸢soː⸣ ku⸢nu⸣ pu̥⸢su taŋ⸣ga] (私が敬う人はこの人一人だけだ)。 ⸢マー⸣ビン プ⸢ス⸣ ウ⸢ヤマイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pu̥⸢su⸣ ʔu⸢jamaijaː⸣ misamunu] (もっと他人を敬えばよいのに)。 ウ⸢ヤマイ⸣バ [ʔu⸢jamai⸣ba] (敬えよ) 3398 0 0 3193 htmvoc_3398.wav ウヤマサリ ウ⸢ヤマサ⸣リ [ʔu⸢jamasa⸣ri] 名 親勝り。子が親より優れていること。 ウ⸢ヤマサ⸣リ ⸣タキマサリ ⸢マイフナー⸣ マ⸢リ⸣ヨー [ʔu⸢jamasa⸣ri ⸣tḁkimasari ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢ri⸣joː] (親勝り身長体格品格の優れた立派な人になりなさいねえ)。 ウ⸢ヤマサリ⸣ヌ タ⸢キヌ⸣ ッふァ [ʔu⸢jamasari⸣nu tḁ⸢kinu⸣ ffa] (親勝りの立派な体格、優れた人格の子供) 3399 0 0 3194 htmvoc_3399.wav ウヤミサ ウ⸢ヤミ⸣サ [ʔu⸢jami⸣sa] 名 畏れ多いこと。神にお詫びし、お許しを乞うこと。「おやむめさ<恐れ多い>」(『混効験集』)の転訛したもの。 ム⸢ヌア⸣テー ⸢ナー⸣ン ヤ⸢ラビ⸣ヌ ウ⸢ガン⸣ヌ ⸢マーニ⸣バ ⸣キシ ⸣シケーバ ⸢カンヌ⸣マイ ウ⸢ヤミ⸣サ ッ⸢サリ ニン⸣ガイ ⸢シーオーシリ [mu⸢nua⸣teː ⸢naː⸣ɲ ja⸢rabi⸣nu ʔu⸢gan⸣nu ⸢maːni⸣ba ⸣ki̥ʃi ⸣ʃi̥keːba ⸢kannu⸣mai ʔu⸢jami⸣sa s⸢sari niŋ⸣gai ⸢ʃiːʔoːʃiri] (分別のない子供が御嶽のマーニ<くろつぐ>を切ってあるので、神様にお詫びを申し上げ、お許しの祈願を申し上げなさい) 3400 0 0 3195 htmvoc_3400.wav ウヤムトゥ ウ⸢ヤム⸣トゥ [ʔu⸢jamu⸣tu] 名 親元。親の住むところ。実家。 ⸢コーコー⸣ヤ ウ⸢ヤム⸣トーラ カ⸢ヨーラン ベー⸣ティル ムー⸢ル⸣ イ⸢サンケー コーシ オー⸣レー⸢ダー [⸢koːkoː⸣ja ʔu⸢jamu⸣toːra ka⸢joːram beː⸣tiru muː⸢ru⸣ ʔi⸢sanakeː koːʃi ʔoː⸣reː⸢da] (高校へは親元から通われないので皆石垣島へ引っ越して行かれたのだよ) 3401 0 0 3196 htmvoc_3401.wav ウヤムラ ウ⸢ヤ⸣ムラ [ʔu⸢ja⸣mura] 名 親村。現在の村へ分村して来る前の村。元の村。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ムラー ク⸢ルシマ⸣トゥ ⸣クンムラティ ア⸢ザリブー [pḁ⸢tuma⸣nu ʔu⸢ja⸣muraː ku⸢ruʃima⸣tu ⸣kummurati ʔa⸢ʣaribuː] (鳩間村の親村は黒島と古見村といわれている) 3402 0 0 3197 htmvoc_3402.wav ウヤユズリ ⸣ウヤユズリ [⸣ʔujajuʣuri] 名 親譲り。 ⸣ウヤユズリヌ ⸢ジーマ⸣シェー イッ⸢カナ⸣シ ⸢カーシッふァイヤー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔujajuʣurinu ⸢ʤiːma⸣ʃeː ʔik⸢kana⸣ʃi ⸢kaːʃiffaijaː⸣ na⸢ra⸣nu] (親譲りの土地田畑は決して売り払って<売って食って>はならない) 3403 0 0 3198 htmvoc_3403.wav ウヤンガサ ⸣ウヤンガサ [⸣ʔujaŋgasa] 名 悪性の出来物。背中や肩の後ろにできるよう(廱)。石垣方言からの借用語か。 ⸣ウヤンガサティ ア⸢ズ⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [⸣ʔujaŋgasati ʔa⸢ʣu⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (ウヤンガサという出来物は見たことは無かった<見てみなかった>) 3379 0 0 3199 htmvoc_3379.wav ウヤンケー ⸣ウヤンケー [⸣ʔujaŋkeː] 名 親たち。「ウヤヌ・キヤ(複数を表す接尾語)」の融合縮約した形。 ⸣ウヤンケーヌ ア⸢ツァ⸣マリ パ⸢ナシアー⸣シ ⸢シーオー⸣ル ⸣ムヌバ シ⸢キミッ⸣タン [⸣ʔujaŋkeːnu ʔa⸢ʦa⸣mari pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi ⸢ʃiːʔoː⸣rumunuba ʃi̥⸢kimit⸣taŋ] (親たちが集まって話し合っておられるのを聞いたことがあった) 3405 0 0 3200 htmvoc_3405.wav ウヤンヤー ウ⸢ヤン⸣ヤー [ʔu⸢jaŋ⸣jaː] 名 親の家。実家。里。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ウ⸢ヤン⸣ヤーラ ⸢ヤー⸣ パル ⸣ピンマー シ⸢キ⸣ウシン カ⸢タミ⸣ル ⸣パル [mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔu⸢jaŋ⸣jaːra ⸢jaː⸣ paru ⸣pimmaː ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃiŋ kḁ⸢tami⸣ru ⸣paru] (女の子は実家から家へ帰るときは搗き臼をも担いで帰る{EOS}嫁いだ娘は実家から何でも持ち帰る) 3406 0 1 3201 htmvoc_3406.wav ウユブン ウ⸢ユブン [ʔu⸢jubuŋ] 自動 {Mn_1}及ぶ。あるところに達する。追いつく。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ シー⸣ヨー ⸣ミルカー ⸢ワーナー⸣トー ウ⸢ユブ⸣ スコー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ⸢ʃiː⸣joː ⸣mirukaː ⸢waːnaː⸣toː ʔu⸢jubu⸣ su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (この人の仕事振り<仕様>を見ると君などが及ぶところではない) 3406 0 2 3202 htmvoc_3406.wav ウユブン ウ⸢ユブン [ʔu⸢jubuŋ] 自動 {Mn_2}匹敵する。叶う。 ウ⸢ヤ⸣キヤーヌ ユ⸢メー バン⸣タ⸢ナー⸣トー ⸢ウイバラヌ [ʔu⸢ja⸣kijaːnu ju⸢meː⸣ ⸢ban⸣ta ⸢naː⸣to ⸢ʔuibaranu] (金持ちの家の嫁には、私達などとても叶えられない)。 ウ⸢ユブ⸣ クトー [ʔu⸢jubu⸣ ku̥toː] (望まれることは{EOS}叶う<及ぶ>ことは) 3408 0 0 3203 htmvoc_3408.wav ウヨーンガサ ⸣ウヨーンガサ [⸣ʔujoːŋgasa] 名 うなじ(項)の中央のくぼんだ所、「盆の窪」に出来る悪質のおでき(腫れ物)。盆の窪に出来物ができると助からないという 3407 0 0 3204 htmvoc_3407.wav ウヨーンダー ⸣ウヨーンダー [⸣ʔujoːndaː] 名 先祖代々受け継いでいる田地。「親の田」の転訛したものという。 ⸢バン⸣テナーン ⸣ウヨーンダーヌ アン⸢ダー [⸢ban⸣tenaːŋ ⸣ʔujoːndaːnu ʔan⸢daː] (私の家にも先祖代々受け継いでいるウヨーンダーがあるよ)。マンカ節第五連に/ビフナファーヌ バギダマ サリミジィヌ ウヨンダー サバチャマヌ ニバンヌヤ マルマヌ クシヌ ムチィヌヤ/(男の子の分け前は サリ水の祖田を与える その上サバチャ岩礁のニバン魚の棲む所を与える{EOS}なおマルマ小島の後のムツ魚の棲む所も与えよう)(『八重山民謡誌』)とある 3409 0 0 3205 htmvoc_3409.wav ウラ ⸣ウラ [⸣ʔura] 名 浦。港。海が湾曲して入りこんだところ。 フ⸢ノー⸣ラ [ɸu⸢noː⸣ra] (船浦)。/クンヌ ウラヌ ナグナリ ミユシクヌ ウチナリ/(古見の浦<港>の海岸<波打ち際>に沿って、御世底の内海に沿って~)「バガ パトゥマ ジラマ」の第三連。このジラマには、『石垣市史叢書8』所収の「参遣状」(康煕41年、1702年)に記録された鳩間島の悲惨な状況が詠み込まれている。(『鳩間島古典民謡古謡集』) 3410 0 0 3206 htmvoc_3410.wav ウラ ⸣ウラ [⸣ʔura] 名 蔵元。琉球国時代の八重山全体の行政庁。語源については、(i) 地名(ウラカイジ)起源説『新八重山歴史』、(ii) 浦<港>起源説『八重山方言の素性』、(iii)「蔵元」起源説『八重山語彙』、(iv)「うふわ」(大蔵<ウフクラ>)起源説『宮古島旧記並史歌集解』、『石垣方言辞典』がある。(iii)、(iv) は八重山方言の音韻法則({SqBr}kura{/SqBr} → {SqBr}ffa{/SqBr})に反する。(i) はカイジ省略の理由がなく、推定の域に留まる。(ii) は可能性が高いと考えられる。民謡パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)の第七連/クウラヌ パマカラ カユウピトゥヤ ウラヌ マイヌ ピトゥグクル/(久浦の浜を往来する<通う>人はウラ<蔵元>の前の人の賑わいのようだ)と歌われている。離島各地からの貢納船の発着と、それに伴う人々の往来は港湾を中心にしてなされたものと考えるのが普通であろう 3411 0 0 3207 htmvoc_3411.wav ウラ ⸣ウラ [⸣ʔura] 名 裏。表と反対側の隠れているところ。 ⸣ウラー ⸢マームティ⸣ ナリ ⸣ヌーヤ ク⸢レー⸣ カイブ ク⸢トゥ⸣ヌ アン⸢トゥ [⸣ʔuraː ⸢maːmuti⸣ nari ⸣nuːja ku⸢reː⸣ kaibu ku⸢tu⸣nu ʔan⸢tuː] (裏が表になって<あべこべになって>一体何だこれは{EOS}こんな事があるものか) 3412 0 0 3208 htmvoc_3412.wav ウラ ⸣ウラ [⸣ʔura] 代 あなた(貴方)。君。歌謡語としてのみ用いられる。日常会話では用いない。/ウラトゥ バントゥヌ カヨーダ イバミテェーマ ナマニナリ フサバ ムイカバシ/(貴方と私とが人目を忍んで通った狭い小道は、通わない今ではもう草が生い茂っている)『八重山民謡誌』。16世紀初のハングル資料である「語音翻訳」には「'u-ra 汝」(『海東諸国紀』申叔舟、1501年)、15世紀の漢語資料では「烏喇哇 汝」(『琉球館訳語』15世紀半ば)、18世紀の漢語資料に「汝 牙」(『中山伝信録』徐保光1721年)とある。15世紀末の首里方言では、<貴方>を表す語はウラ系の語であった。八重山方言のウラ[ʔura](君)と宮古方言のッヴァ[vva](君)は15世紀の'ura(汝)に繋がる 3420 0 1 3209 htmvoc_3420.wav ウラーウムティナスン ⸣ウラー ウ⸢ム⸣ティ ⸣ナスン [⸣ʔuraː ʔu⸢mu⸣ti ⸣nasuŋ] 連 {Mn_1}裏返す。「裏を表になす」の義。 3420 0 2 3210 htmvoc_3420.wav ウラーウムティナスン ⸣ウラー ウ⸢ム⸣ティ ⸣ナスン [⸣ʔuraː ʔu⸢mu⸣ti ⸣nasuŋ] 連 {Mn_2}衣類は、⸢カイ⸣シマー[⸢kai⸣ʃimaː](裏返し)というのが 普通。 ⸢キン⸣バ ⸢カイ⸣シマーナシ キ⸢シ ベー [⸢kim⸣ba ⸢kai⸣ʃimaːnaʃi ki̥⸢ʃi beː] (着物を裏返しにして着ている) 3414 0 0 3211 htmvoc_3414.wav ウラーウラーシ ウラーウ⸢ラー⸣シ [ʔuraːu⸢raː⸣ʃi] 副 細かく。極細に。産毛のように細く柔らかく。 ム⸢チクーヤ⸣ サ⸢クマイ⸣バ ミ⸢ジ⸣ナ シ⸢キティ⸣ ウシナー ⸢シッ⸣キ バ⸢リティ⸣ シノーシ フ⸢カシティ⸣ マ⸢タ シッ⸣キティ ウラーウ⸢ラー⸣シ バ⸢リティ⸣ ナ⸢ソーッ⸣タ [mu⸢ʧikuːja⸣ sḁ⸢kumaiba⸣ mi⸢ʤi⸣na ʃi̥⸢kiti⸣ ʔuʃinaː ⸢ʃik⸣ki ba⸢riti⸣ ʃinoːʃi ɸu̥⸢kaʃiti⸣ ma⸢ta ʃik⸣kiti ʔuraː⸢uraː⸣ʃi ba⸢riti⸣ kuː na⸢soːt⸣ta] (餅粉は粳米を水に漬けて、臼で搗いて細かく割り、\ruby{篩}{フルイ}で篩って、また搗いて非常に細かく搗き割って粉にされた) 3413 0 0 3212 htmvoc_3413.wav ウラーマームテイ ⸣ウラー ⸢マームテイ [⸣ʔuraː ⸢maːmuti] 連 裏返し。正反対。あべこべ。逆。「裏は真表」の義。 ⸢ワー⸣ ムネー マ⸢ナマーキ⸣トー ア⸢タラヌ⸣ ウラー ⸢マームティ⸣ ナリ⸢ブーヌ⸣ イカーラ ⸣シジヤ [⸢waː⸣ muneː ma⸢namaːki⸣toː ʔa⸢taranu⸣ ʔuraː ⸢maːmuti⸣ nari⸢buːnu⸣ ʔikaːra ⸣ʃiʤijaː] (君の話<言葉>は今までの話とは合わない{EOS}あべこべ<逆>になっているが、如何なる訳<筋>か) 3431 0 0 3213 htmvoc_3431.wav ウラーミサスン ウ⸢ラーミ⸣サ ⸢スン [ʔu⸢raːmi⸣sa ⸢suŋ] 連 羨ましがる。羨ましくする。 ⸣アイニ プ⸢スン⸣ヤーヌ キ⸢ナイバ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サ ⸢サン⸣タンティン ⸣ミサン ⸢ドゥー⸣ヌ キ⸢ナイバ⸣ タ⸢ティノー⸣シ [⸣ʔaini pu̥⸢suɲ⸣jaːnu ki⸢naiba⸣ ʔu⸢raːmi⸣sa ⸢san⸣tantim misaŋ ⸢duː⸣nu ki⸢naiba⸣ tḁ⸢tinoː⸣ʃi] (あんなに他人の家庭<けない{EOS}家内>を羨ましくしなくてもよい{EOS}自分の家庭<家内>を立て直しなさい) 3430 0 0 3214 htmvoc_3430.wav ウラーミサン ウ⸢ラーミ⸣サン [ʔu⸢raːmi⸣saŋ] 形 羨ましい。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヤ⸣キ ⸣パンゾー ⸢シー オー⸣リ ウ⸢ラーミ⸣サワ⸢ナー [⸢waː⸣ ʔu⸢ja⸣ki ⸣panʣoː ⸢ʃiː ʔoː⸣ri ʔu⸢raːmi⸣sawa⸢naː] (貴方は富貴繁盛、子孫繁盛しておられて羨ましい限りですねえ)。 ウ⸢ラーミサナー⸣ヌ [ʔu⸢raːmisanaː⸣nu] (羨ましくない)。 ウ⸢ラーミ⸣サ ス⸢ナ⸣ヨー [ʔu⸢raːmi⸣sa su⸢na⸣joː] (羨ましく思うな<羨ましくするな>よ)。 イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (非常に羨ましい)。 ウ⸢ラーミ⸣サカー ⸢ワンヌン⸣ パ⸢タラキ⸣バ [ʔu⸢raːmi⸣sakaː ⸢wannum⸣ pḁ⸢taraki⸣ba] (羨ましかったら君も働きなさいよ)。 ⸢ワー⸣ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢ク⸣カー ウ⸢ラーミ⸣サ ナリ⸢キー⸣スバン [⸢waː⸣ pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢ku⸣kaː ʔu⸢raːmi⸣sa nari⸢kiː⸣subaŋ] (君の話を聞くと羨ましくなってくるわい) 3418 0 0 3215 htmvoc_3418.wav ウラーンタムニ ウ⸢ラーンタ⸣ムニ [ʔu⸢raːnta⸣muni] 名 英語。西洋語。「オランダことば<物言い>」の義。首里方言からの転訛。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢ラーンタ⸣ムニ イッ⸢ケナ ゾー⸣ジ ヤ⸢ロー⸣ルン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢raːnta⸣muni ʔik⸢kena ʣoː⸣ʤi ja⸢roː⸣ruŋ] (その人は英語<オランダ語{EOS}西洋語>が非常に上手であられる) 3419 0 0 3216 htmvoc_3419.wav ウラウムティ ⸣ウラウムティ [⸣ʔuraʔumuti] 名 裏と表。 ドゥ⸢シピライヤー⸣ ウラウムティ ⸢ナーン⸣ヨーニル ピラウ⸢ダー [du⸢ʃi piraijaː⸣ ʔuraʔumuti ⸢naːɲ⸣joːniru pirau⸢daː] (友達付き合いは裏と表がないように<ぞ>交際するのだよ) 3422 0 0 3217 htmvoc_3422.wav ウラガイスン ウ⸢ラガイ⸣スン [ʔu⸢ragai⸣suŋ] 他動 裏返す。ひっくり返す。覆す。 イ⸢ガヤマヌ⸣ イ⸢ガー⸣ プ⸢スマ⸣アトーラ ウ⸢ラガイ⸣シ ⸣プシバ⸢ヨー [ʔi⸢gajamanu⸣ ʔi⸢gaː⸣ pu̥⸢suma⸣ʔatoːra ʔu⸢ragai⸣ʃi ⸣puʃiba⸢joː] (烏賊を乾すために縄を数段に張った干し場の烏賊は午後から裏返して干しなさいよ)。 マ⸢ダ⸣ ウ⸢ラガイサ⸣ヌ [ma⸢da⸣ ʔu⸢ragaisa⸣nu] (まだ裏返さない)。 ウ⸢ラガイシ⸣プサン [ʔu⸢ragaiʃi⸣pu̥saŋ] (裏返したい)。 プ⸢スマ⸣アトーラ ウ⸢ラガイ⸣ス ⸣クトゥ [pu̥⸢suma⸣ʔatoːra ʔu⸢ragai⸣su ⸣ku̥tu] (午後から<烏賊を>裏返すこと)。 ウ⸢ラガイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ragai⸣ʃeː ⸣misamunu] (裏返せばよいのに)。 ⸢ワーンドゥ⸣ イ⸢ガ⸣ ウ⸢ラガイ⸣スカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ラガイ⸣スン [⸢waːndu⸣ ʔi⸢ga⸣ ʔu⸢ragai⸣su̥kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ragai⸣suŋ] (君が<ぞ>烏賊を裏返すなら私も裏返す)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ラガイ⸣シ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ragai⸣ʃi] (早く裏返せ) 3423 0 0 3218 htmvoc_3423.wav ウラグイ ウ⸢ラ⸣グイ [ʔu⸢ra⸣gui] 名 裏声。普通の発声法では出せないような甲高く脳に響く声。 ⸢ソーラン⸣ヌ ⸢アンガマ⸣ター ウ⸢ラ⸣グイ<アグ⸢ダー⸣マクイ>シル ⸣ムネー イ⸢ズ [⸢soːran⸣nu ⸢ʔaŋgama⸣taː ʔu⸢ra⸣guiʃiru ⸣muneː ʔi⸢ʣu] (お盆のアンガマたちは裏声<甘えん坊の声>で話をする) 3424 0 0 3219 htmvoc_3424.wav ウラザ ウ⸢ラ⸣ザ [ʔu⸢ra⸣ʣa] 名 裏座。家の北面にある部屋。ユ⸢コー[ju⸢koː](裏座)ともいう。イ⸢チバンウラ⸣ザ[ʔi⸢ʧibaŋʔura⸣ʣa](一番裏座)、⸢ニーバンウラ⸣ザ[⸢niːbaŋʔura⸣ʣa](二番裏座)があるのが普通である。 トゥ⸢シ⸣グル ⸣ナルカー ビ⸢コーンッふァー⸣ ウ⸢ラ⸣ザナール ニ⸢ビ⸣ウキ シ⸢タ⸣ツォー [tu̥⸢ʃi⸣guru ⸣narukaː bi⸢koːŋffaː⸣ ʔu⸢ra⸣ʣanaːru ni⸢bi⸣ʔuki ʃi̥⸢ta⸣ʦoː] (年頃になると男の子は裏座で寝起きをしたそうだ) 3425 0 0 3220 htmvoc_3425.wav ウラスン ウ⸢ラ⸣スン [ʔu⸢ra⸣suŋ] 他動 細かく刻む。葉タバコや野菜類を細かく刻む。刃物で細く切る。「Voroxi,su,iota ~大根,山葵などを下ろす」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 サ⸢クナ⸣ ク⸢マークマー⸣シ ウ⸢ラ⸣スン [sḁ⸢kuna⸣ ku⸢maːkumaː⸣ʃi ʔu⸢ra⸣suŋ] (長命草<サクナ{EOS}和名、ボタンボウフウ>を細かく刻む)。 ⸢ダイ⸣クニ ウ⸢ラ⸣スン [⸢dai⸣kuni ʔu⸢ra⸣suŋ] (大根を擂り下ろす)。 ウ⸢ラサ⸣ヌ [ʔu⸢rasa⸣nu] (すりおろさない)。 ウ⸢ラシ⸣プサン [ʔu⸢raʃi⸣pusaŋ] (すりおろしたい)。 ウ⸢ラ⸣ス ⸣ピン [ʔu⸢ra⸣su ⸣piŋ] (すりおろすとき)。 ウ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (すりおろしたらいいのに)。 ウ⸢ラ⸣シ [ʔu⸢ra⸣ʃi] (すりおろせ)。 ⸢パータバクバ⸣ ウ⸢ラ⸣シティ キ⸢ザミタバクバ⸣ ス⸢ク⸣リティル ⸣プゾーナ タ⸢ブイヨーッ⸣タ [⸢paːtabakuba⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ki⸢ʣamitabakuba⸣ su̥⸢ku⸣ritiru ⸣puʣoːna ta⸢buijoːt⸣ta] (葉タバコをおろして<刻んで>刻み煙草を作って、宝蔵<煙草入れ>に入れて蓄えられた) 3427 0 0 3221 htmvoc_3427.wav ウラスン ウ⸢ラスン [ʔu⸢rasuŋ] 他動 織らせる。{ウ⸢ルン[ʔu⸢ruŋ](織る)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が下接して形成された派生動詞(使役動詞)}。 ⸣バサキン ウ⸢ラスンティ スンドゥ⸣ <ウ⸢レー> ⸣ドゥク シ⸢ナー⸣ティ ウ⸢ラサラヌ [⸣basakiŋ ʔu⸢rasunti sndu⸣ <ʔu⸢reː> duku ʃi⸢naː⸣ti ʔu⸢rasaranu] (芭蕉着を織らせようとするが、それは<その子は>あまりにも幼いので織らされない)。 ウ⸢ラサリ⸣カー ウ⸢ラス⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢rasari⸣kaː ʔu⸢rasu⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (織らされるなら織らせることは出来る)。 ⸣バン ウ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸣baŋ ʔu⸢raʃeː⸣ misamunu] (私に織らせば良いのに)。 カ⸢リン⸣ ウ⸢ラシ [ka⸢riŋ⸣ ʔu⸢raʃi] (彼に織らせよ) 3472 0 1 3222 htmvoc_3472.wav ウラスン ウ⸢ラ⸣スン [ʔu⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_1}降ろす。下ろす。乗客を下ろす。 ⸢ティン⸣ゾーラ ⸣イツァ ウ⸢ラ⸣シ [⸢tin⸣ʣoːra ⸣ʔiʦa ʔu⸢ra⸣ʃi] (天井から板を下ろしなさい)。 ウ⸢ラ⸣シ ⸣ミリ [ʔu⸢ra⸣ʃi ⸣miri] (降ろしてみろ)。 ウ⸢ラシ⸣プサン [ʔu⸢raʃi⸣pusaŋ] (降ろしたい)。 ⸣ニー ウ⸢ラ⸣ス プ⸢スン⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣niː ʔu⸢ra⸣su pu̥⸢sum⸣ bu⸢raːnu] (荷を降ろす人もいない)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く降ろせはよいのに)。 ク⸢レー ワー タンガ⸣シ ウ⸢ラ⸣シ [ku⸢reː waː taŋga⸣ʃi ʔu⸢ra⸣ʃi] (これは君一人で降ろしなさい)。 ウ⸢ラサ⸣ヌ [ʔu⸢rasa⸣nu] (下ろさない)。 ウ⸢ラ⸣シミサン [ʔu⸢ra⸣ʃimisaŋ] (下ろしてよい)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ラ⸣スカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ラ⸣スン [⸢waː⸣ ʔu⸢ra⸣su̥kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ra⸣suŋ] (君が下ろしたら私も下ろす)。 ウ⸢ラ⸣ス ⸣クトゥ [ʔu⸢ra⸣su ⸣ku̥tu] (下ろすこと)。 3472 0 2 3223 htmvoc_3472.wav ウラスン ウ⸢ラ⸣スン [ʔu⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_2}堕胎する。 パ⸢ルミプス⸣ヌ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スンティ ⸢アー⸣キ ッ⸢ふァ⸣ ウ⸢ラ⸣シシティ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢rumipusu⸣nu pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣sunti ⸢ʔaː⸣ki f⸢fa⸣ ʔu⸢ra⸣ʃiʃi̥ti ⸢naː⸣nu] (妊婦が畑を耕していて胎児<子供>を堕胎して<下ろして>しまった)。 3472 0 3 3224 htmvoc_3472.wav ウラスン ウ⸢ラ⸣スン [ʔu⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_3}擂り卸す。 ⸢ウン⸣バ ⸣ッシ ウ⸢ラ⸣シティ ⸢ウンヌ⸣クジ ス⸢ク⸣リ [⸢ʔum⸣ba⸣ʃʃi ʔu⸢ra⸣ʃiti ⸢ʔunnu⸣kuʤi su̥⸢ku⸣ri] (芋を擂り下ろして葛粉を作れ)。 3472 0 4 3225 htmvoc_3472.wav ウラスン ウ⸢ラ⸣スン [ʔu⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_4}種子を蒔く。 タ⸢ナドゥル⸣ヌ シ⸢トゥム⸣ティナール ⸣タネー <⸣サネー> ウ⸢ラ⸣ソーッタ [ta⸢naduru⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣tinaːru ⸣taneː <⸣saneː> ʔu⸢ra⸣soːtta] (種取り祭の朝に稲の種子を蒔かれた) 3415 0 0 3226 htmvoc_3415.wav ウラハラ ウ⸢ラ⸣ハラ [ʔu⸢ra⸣hara] 名 裏腹。正反対。あべこべ。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズムニ⸣トゥ ⸢スー⸣ クトー ウ⸢ラ⸣ハラ ⸣ナリティ ムッ⸢トゥ シンヨー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ mu⸢ni⸣tu ⸢suː⸣ ku̥toː ʔu⸢ra⸣hara ⸣nariti mut⸢tu ʃiŋjoː⸣ na⸢ra⸣nu] (彼の言うこととする事は裏腹になって、ちっとも信用できない) 3429 0 0 3227 htmvoc_3429.wav ウラミ ウ⸢ラ⸣ミ [ʔu⸢ra⸣mi] 名 恨み。 プ⸢スンナー⸣ニ ⸢ヌー⸣ヌ ウ⸢ラミ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [pu̥⸢sunnaː⸣ni ⸢nuː⸣nu ʔu⸢rami⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (他人に何の恨みがあるのか) 3432 0 0 3228 htmvoc_3432.wav ウラミルン ウ⸢ラミ⸣ルン [ʔu⸢rami⸣ruŋ] 他動 恨む。 プ⸢スバ⸣ ウ⸢ラミ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ ⸣ドゥー ウ⸢ラミラ⸣レーティ ⸢アー⸣クンティ ⸣プスバカヤ [pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢rami⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ⸣duː ʔu⸢ramira⸣reːti ⸢ʔaː⸣kunti ⸣pu̥subakaja] (他人を恨みに思おうとして、逆に自分が他人に恨まれているよ<あるくよ>{EOS}人聞きがわるい<人目にも恥ずかしい>)。 ウ⸢ラミ⸣ルカー カ⸢シーカシー⸣ ウ⸢ラミ⸣レー ⸣ミサムヌ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [ʔu⸢rami⸣rukaː kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʔu⸢rami⸣reː ⸣misamunu ⸣nuːja ʔu⸢reː] (他人を恨むなら徹底的に恨めばよいものを{EOS}何だ、これは)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ラミ⸣リ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢rami⸣ri] (もっと恨めよ)。 イ⸢クサユー⸣ル ウ⸢ラミラ⸣リ⸢ツォー [ʔi⸢kusajuː⸣ru ʔu⸢ramira⸣ri⸢ʦoː] (戦争が恨まれるんだよ) 3421 0 0 3229 htmvoc_3421.wav ウラムニ ウ⸢ラ⸣ムニ [ʔu⸢ra⸣muni] 名 皮肉。あてこすり。 ⸢ヌー⸣ヤーカ ⸣ヌーティ ⸢マン⸣カー ア⸢ジェー サムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ウ⸢ラムニ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸢nuː⸣jaːka ⸣nuːti ʔa⸢ʤeː samuti⸣ naː⸢i⸣ ʔu⸢ramuni⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (何だから、なにだと直接には言わないで、ただ皮肉<あてこすり>ばかり言っている) 3433 0 0 3230 htmvoc_3433.wav ウラムン ウ⸢ラ⸣ムン [ʔu⸢ra⸣muŋ] 他動 恨む。「逢はずとも吾は不怨<ウラミジ>~。万、2629」の転訛したもの。 イ⸢ズ⸣カー ウ⸢ラ⸣ムンカヤー [ʔi⸢ʣu⸣kaː ʔu⸢ra⸣muŋkajaː] (叱ったら怨むかなあ)。 ウ⸢ラマ⸣ヌ [ʔu⸢rama⸣nu] (恨まない)。 ウ⸢ラミン⸣ギサン [ʔu⸢ramiŋ⸣gisaŋ] (恨みそうだ)。 ウ⸢ラミ⸣プサン [ʔu⸢rami⸣pusaŋ] (恨みたい)。 ウ⸢ラミ⸣グトゥ [ʔu⸢rami⸣gutu] (恨みごと)。 ウ⸢ラ⸣ム ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ra⸣mu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (恨むことはならなぬ)。 ウ⸢ラ⸣メー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ra⸣meː na⸢ra⸣nu] (恨んではならない)。 ウ⸢ヤ⸣ヨー ウ⸢ラ⸣ムカー ウ⸢ラ⸣ミミサン プ⸢スヨー⸣ イッ⸢カナ⸣シ ウ⸢ラム⸣ナ [ʔu⸢ja⸣joː ʔu⸢ra⸣mukaː ʔu⸢ra⸣mimisam pu̥⸢sujoː⸣ ʔik⸢kana⸣ʃi ʔu⸢ramu⸣na] (親を恨むなら恨んでよい{EOS}他人を決して恨むな)。 ウ⸢ラ⸣ミバ [ʔu⸢ra⸣miba] (恨めよ) 3434 0 0 3231 htmvoc_3434.wav ウラモールン ウ⸢ラ⸣モールン [ʔu⸢ra⸣moːruŋ] 他動 恨まれる。お恨みになる。{ウ⸢ラ⸣ムン[ʔu⸢ra⸣muŋ](恨む)の連用形に補助動詞⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](居られる)が下接して形成された派生動詞(敬語動詞)}。 イ⸢クサ⸣ユーナ ッ⸢ふァ⸣ シ⸢ナソー⸣レー プ⸢ソー⸣ ヌチジュー イ⸢クサ⸣バ ウ⸢ラ⸣モールン [ʔi⸢kusa⸣juːna f⸢fa⸣ ʃi⸢nasoː⸣reː pu̥⸢soː⸣ nuʧiʤuː ʔi⸢kusa⸣ba ʔu⸢ra⸣moːruŋ] (戦争で子供を死なされた人は生涯戦争を恨まれる)。 プ⸢スヨー⸣ ウ⸢ラ⸣モーラヌ イ⸢クサ⸣ル ウ⸢ラ⸣モール [pu̥⸢sujoː⸣ ʔu⸢ra⸣moːranu ʔi⸢kusa⸣ru ʔu⸢ra⸣moːru] (人はお恨みにならない{EOS}戦争を<ぞ>お恨みになる)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ラ⸣モーレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢ra⸣moːreː ⸣misamunu] (もっとお恨みになれば良いのに)。 ウ⸢ムイ⸣キシ ウ⸢ラ⸣モーリ [ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ʔu⸢ra⸣moːri] (うんとお恨みなされ) 3435 0 0 3232 htmvoc_3435.wav ウランガイシ ウ⸢ランガイ⸣シ [ʔu⸢raŋgai⸣ʃi] 名 うらがえし(裏返し)。 タ⸢タメー⸣ ティダナ イ⸢ルンカシ⸣ プシティ マ⸢タ⸣ ウ⸢ランガイ⸣シ プ⸢サバ⸣ル ⸢カーラク [ta⸢tameː⸣ tidana ʔi⸢ruŋkaʃi⸣ puʃiti ma⸢ta⸣ ʔu⸢raŋgai⸣ʃi pu⸢saba⸣ru ⸢kaːraku] (畳みは太陽に少し干して、また裏返して干してこそ<干さばぞ>乾くものだ)。ウ⸢ラガイ⸣シ[ʔu⸢ragai⸣ʃi](裏返し)ともいう 3436 0 0 3233 htmvoc_3436.wav ウランザキ ウ⸢ランザ⸣キ [ʔu⸢ranʣa⸣ki] 名 (地)宇奈利崎。現行の地図では「ニシ崎」とあるが、鳩間島では昔からウ⸢ランザ⸣キ(宇奈利崎)と称している。ここの干瀬は、カ⸢ジマール[ka⸢ʤimaːru](「風回り」の義{EOS}北風になって時化ること)になると、干瀬に砕け散る波の花が一段と高くなるので、鳩間島の人は天候の荒れを予知し、台風や時化の程度を推定した 3416 0 1 3234 htmvoc_3416.wav ウランタ ウ⸢ラン⸣タ [ʔu⸢ran⸣ta] 名 {Mn_1}欧米。西洋。「オランダ」の義。 ウ⸢ランタ⸣プス [ʔu⸢ranta⸣pusu] (欧米人{EOS}オランダ人)。 3416 0 2 3235 htmvoc_3416.wav ウランタ ウ⸢ラン⸣タ [ʔu⸢ran⸣ta] 名 {Mn_2}あだ名。体格の大きな人に対してつけたニックネーム。 トゥ⸢ムレーヌ⸣ ウ⸢ラーンタ⸣プス [tu⸢mureːnu⸣ ʔu⸢raːnta⸣ pu̥su] (友利家のウラーンタ人)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトーラル ウ⸢ラーンタ⸣プソー ミリ⸢ミッ⸣タ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoːraru ʔu⸢raːnta⸣pu̥soː miri⸢mit⸣ta] (戦後になってから初めてアメリカ人<西洋人{EOS}オランダ人>を見た) 3417 0 0 3236 htmvoc_3417.wav ウランタヤー ウ⸢ランタ⸣ヤー [ʔu⸢ranta⸣jaː] 固 友利家の屋号の別称。 ⸢ウン⸣ネナー ム⸢カ⸣シ ブ⸢サー⸣ラプスヌ ⸢オー⸣レーティル ⸣アイニ ⸢ナー⸣ シ⸢キラ⸣レータツォー [⸢ʔun⸣nenaː mu⸢ka⸣ʃi bu⸢saː⸣rapu̥sunu ⸢ʔoː⸣reːtiru ⸣ʔaini ⸢naː⸣ ʃi̥⸢kira⸣reːtaʦoː] (その家に昔体格の大きな人がおられたので<ぞ>、そのように名付けられたそうだ) 3437 0 1 3237 htmvoc_3437.wav ウリ ウ⸢リ [ʔu⸢ri] 代 {Mn_1}それ(中称、単数)。話者と聞き手の領域に属さず、話者や聞き手から遠くの領域に属しないものを指す。 ウ⸢リ⸣ トゥリ ヤ⸢ラシ [ʔu⸢ri⸣ turi ja⸢raʃi] (それを取って寄越しなさい)。 ウ⸢レー⸣ ヌーヤ [ʔu⸢reː⸣ nuːja] (それは何か)。 3437 0 2 3238 htmvoc_3437.wav ウリ ウ⸢リ [ʔu⸢ri] 代 {Mn_2}話者と聞き手が共通に認識している話題のもの。そのこと。 ウ⸢リバ⸣ ウ⸢ムイ⸣ル ウ⸢ムイキシユーサ⸣ナー ナー⸢イ⸣ シ⸢ヌッ⸣クリ ⸢べー [ʔu⸢riba⸣ ʔu⸢mui⸣ru ʔu⸢muiki̥ʃijuːsa⸣naː naː⸢i⸣ ʃi⸢nuk⸣kuri ⸢beː] (そのことを思って決断<思い切り>できずに、ただ思いあぐねて、ぐずぐずして決断しかねている<いたずらに時を過ごしている>)。 3437 0 3 3239 htmvoc_3437.wav ウリ ウ⸢リ [ʔu⸢ri] 代 {Mn_3}そのひと(話題の人物)。 ウ⸢リヌ スー⸣ シ⸢グトー マーパカラサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu suː⸣ ʃi⸢gutoː maːpakarasaː naː⸣nu] (その人のすることは全く信用できない<しっかりしていない>) 3438 0 0 3240 htmvoc_3438.wav ウリ ⸢ウ⸣リ [⸢ʔu⸣ri] 感 それ。そら。ほら。 ⸢ウ⸣リウリ ⸣カマーラ ⸢ズンサ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン⸢ドー パー⸣ク ナ⸢キヤミリ [⸢ʔu⸣riʔuri ⸣kamaːra ⸢ʣunsa⸣nu ⸢ʔoː⸣run⸢doː paː⸣ku na⸢kijamiri] (ほらほら、あそこから巡査がいらっしゃるぞ{EOS}早く泣くのを止めなさい<泣き止めよ>)。 ⸢ウ⸣リヒャー ⸢デー⸣ジ ⸢ゲ⸣ラメー [⸢ʔu⸣riçaː ⸢deː⸣ʤi ⸢ge⸣rameː] (それ見ろ、大変さ、もう<知らないよ>)。 ⸢ウ⸣リ ⸢ナー⸣ バー ア⸢ズタ トゥー⸣ル ミ⸢ツォー [⸢ʔu⸣ri ⸢naː⸣ baː ʔa⸢ʣuta tuː⸣ru mi⸢ʦoː] (ほら、ねえ、僕の言ったとおりだろう{EOS}<分かったか>) 3441 0 0 3241 htmvoc_3441.wav ウリーグトゥ ウ⸢リー⸣グトゥ [ʔu⸢riː⸣gutu] 名 憂いごと。悲しいこと。不幸。「憂いごと」の義。石垣方言からの借用語。 ⸢ウン⸣ネナー ウ⸢リーグゥトゥ⸣ヌ ⸣アレーティル ⸢ヤー⸣ラ ⸣フカー ン⸢ゾーラン⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenaː ʔu⸢riːgutu⸣nu ⸣ʔareːtiru ⸢jaː⸣ra ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʣoː⸢ran⸣ʦoː] (その家には不幸があったので、それで家から外には出られないそうだ) 3442 0 0 3242 htmvoc_3442.wav ウリーシュンギ ⸣ウリーシュンギ [⸣ʔuriːʃuŋgi] 名 「憂い祝儀」の義。結婚式。不慮の凶事に遭遇しても、予定された結婚式は延期せずに執り行うことにいう。石垣方言からの借用語。 ⸣ウリーシュンギティル ア⸢ザリブー⸣ トゥレール⸢ピュールナー⸣ル ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢シービキ⸣ティムカーヤ [⸣ʔuriːʃuŋgitiru ʔa⸢ʣaribuː⸣ tureːru ⸢pjuːru⸣naːru ⸢joi⸣jaː ⸢ʃiːbiki⸣timukaːja] (憂い祝儀<憂いごとと祝い事>といわれているのだから、取ってある<予て選んだ{EOS}日選りした>干支の日にお祝いはすべきというものだよ) 3439 0 0 3243 htmvoc_3439.wav ウリカー ウ⸢リ⸣カー [ʔu⸢ri⸣kaː] 名 鍾乳洞の井戸。⸢下り井戸」の義。 ⸢アンヌカーヤ⸣ ウ⸢リ⸣カー ヤ⸢ルンダ⸣ ス⸢コーバー⸣キ ⸣ウリティル ミ⸢ジェー⸣ フ⸢ミ ブタ⸣ダー [⸢ʔannukaːja⸣ ʔu⸢ri⸣kaː ja⸢runda⸣ su̥⸢koːbaː⸣ki ⸣ʔuritiru mi⸢ʤeː⸣ ɸu⸢mi buta⸣daː] (東村井戸は鍾乳洞の下り井戸だから、底まで降りていって水を汲んでいたよ)。 ⸢ウイヌカーン⸣ ム⸢カ⸣シェー ウ⸢リ⸣カー ⸢ヤッタヌ ショーワヌ ユー⸣ ナレーラル ⸢コン⸣クリシ ス⸢クリノー⸣ソーッタツォー [⸢ʔuinukaːm⸣ mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢ri⸣kaː ⸢jattanu ʃoːwanu juː⸣ nareːraru ⸢koŋ⸣kuriʃi su̥⸢kurinoː⸣soːttaʦoː] (上の井戸も昔は下り井戸だったが、昭和の世になってコンクリートで造り直されたそうだ)。 ⸢アンヌカーヤ⸣ マ⸢ナ⸣マン ウ⸢リ⸣カー ナリ⸢ブンダ カーヌ⸣ ス⸢クバー⸣キ ウ⸢ラン⸣カー ミ⸢ジェー⸣ フ⸢マラヌ [⸢ʔannukaːja⸣ ma⸢na⸣maŋ ʔu⸢ri⸣kaː nari⸢bunda kaːnu⸣ su⸢kubaː⸣ki ʔu⸢raŋ⸣kaː mi⸢ʤeː⸣ ɸu⸢maranu] (東の村井戸は今も降り井戸になっているから、井戸の底まで降りないと水は汲めない) 3447 0 0 3244 htmvoc_3447.wav ウリカジ ウ⸢リ⸣カジ [ʔu⸢ri⸣kaʤi] 名 南風。穏やかに吹く南の風。「降り風」の義。台風は多くの場合石垣島の東海上を北西の進むので、東北方からの強風が吹き荒れるが、台風が通過するにつれて北西、西南、東南の方に変わり、穏やかになる。北風が南風になること。 ウ⸢リ⸣カジ ⸣ナルカー ⸢オシケー ノー⸣ルン [ʔu⸢ri⸣kaʤi ⸣narukaː ⸢ʔoʃi̥keː noː⸣ruŋ] (風が南風<下り風>になると天気はよくなる)。カ⸢ジヌ⸣ ウルン(ウ⸢リ⸣ルン)[ka⸢ʤinu⸣ ʔuruŋ(ʔu⸢ri⸣ruŋ)](風が南風になる<下りる>)ともいう。反対に、南風から北風に変わることを、カ⸢ジ マールン[ka⸢ʤi maːruŋ](風が回る{EOS}北風になる{EOS}天気が崩れる)、カ⸢ジェー ヌールン[ka⸢ʤeː nuːruŋ](風が北に上る{EOS}北風になる)ともいい、熱帯低気圧が接近して荒天になることを示す 3448 0 0 3245 htmvoc_3448.wav ウリカリ ウ⸢リ⸣カリ [ʔu⸢ri⸣kari] 名 あれこれ。「それあれ」の義。 ウ⸢リ⸣カリ ⸢カン⸣ガイ ⸣ミルカー ⸢ワー⸣ ア⸢ズタ⸣ ク⸢トゥ⸣ル マ⸢シ⸣ ヤ⸢リン⸣ギサバン [ʔu⸢ri⸣kari ⸢kaŋ⸣gai mirukaː ⸢waː⸣ ʔa⸢ʣuta⸣ ku⸢tu⸣ru ma⸢ʃi⸣ ja⸢riŋ⸣gisabaŋ] (あれこれ考えて見ると君の言ったことが比較的に良い<増し>らしいワイ)。 ウ⸢リ⸣カリ ウ⸢モーン⸣ドーシ ⸢パイ⸣サ キ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ri⸣kari ʔu⸢moːn⸣doːʃi ⸢pai⸣sa ki⸢mireː⸣ misamunu] (あれこれ迷わずに<思わないで>早く決めればよいのに) 3449 0 0 3246 htmvoc_3449.wav ウリカンガイクリカンガイ ウ⸢リ カン⸣ガイ ク⸢リ カン⸣ガイ [ʔu⸢ri kaŋ⸣gai ku⸢ri kaŋ⸣gai] 連 それを思い、これを思って。あれこれ思い煩って。 ウ⸢リ カン⸣ガイ ク⸢リ カン⸣ガイ ⸢シー ソーバ シー⸣ ユ⸢ビ⸣ンサートゥ プ⸢ス⸣ミーン ニ⸢バランシェン [ʔu⸢ri kaŋ⸣gai ku⸢ri kaŋ⸣gai ⸢ʃiː soːba ʃiː⸣ ju⸢bi⸣nsaːtu pu̥⸢su⸣miːn ni⸢baraŋʃeŋ] (あれを思い、これを思い煩って、昨夜は一晩中一睡も出来なかった) 3450 0 0 3247 htmvoc_3450.wav ウリクリ ウ⸢リ⸣クリ [ʔu⸢ri⸣kuri] 名 それこれ。それやこれや。 ウ⸢リ⸣クリ ⸢スンティ ベーン⸣ケンマ ウ⸢クリナーン⸣バン [ʔu⸢ri⸣kuri ⸢sunti beːŋ⸣kemmaː ʔu⸢kurinaːm⸣baŋ] (あれやこれやのことを片付けよう<しよう>としている内に、遅れてしまったわい) 3451 0 0 3248 htmvoc_3451.wav ウリシーカリシー ウ⸢リシー⸣ カ⸢リシー [ʔu⸢riʃiː⸣ ka⸢riʃiː] 連 あれこれすること。いろいろと試みること。「それをし、あれをし」の転訛したもの。 ウ⸢リシー⸣ カ⸢リシー シー⸣ ミ⸢ルン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ マイ ⸢ユーザラヌ [ʔu⸢riʃiː⸣ ka⸢riʃiː ʃiː⸣ mi⸢run⸣du mut⸢tu⸣ mai ⸢juːʣaranu] (あれこれ試してみるが<それをし、あれをしするが>、ちっとも前に進まれない) 3452 0 0 3249 htmvoc_3452.wav ウリダチ ウ⸢リダ⸣チ [ʔu⸢rida⸣ʧi] 名 海や浜辺に降りる所。船着場へ下りる所。「下り立ち」の義。 ⸣マンタヌ ウ⸢リダ⸣チナー ア⸢ダンブラ⸣ヌ ムイ⸢ブタン [⸣mantanu ʔu⸢rida⸣ʧinaː ʔa⸢dambura⸣nu mui⸢butaŋ] (前の浜の船着場へ下りる所にアダンが生えていた)。 ⸣マンタヌ ウ⸢リダチ⸣ヌ パ⸢マ⸣ナール ⸣イダフニン ア⸢ギ⸣ イ⸢ガヤマン⸣ ス⸢ク⸣ローッタル [⸣mantanu ʔu⸢ridaʧi⸣nu pa⸢ma⸣naːru ⸣ʔidaɸuniŋ ʔa⸢gi⸣ ʔi⸢gajaman⸣ su̥⸢ku⸣roːttaru] (前の浜に下りる所の船着き場の浜にサバニも陸揚げし、烏賊の干し場も作られたものだ) 3458 0 0 3250 htmvoc_3458.wav ウリティバクイテイバ ウ⸢リティバ クイテイバ [ʔu⸢ritiba kuitiba] 連 あれとか、これとか。それやこれや。「それとかこれとか」の義。 ウ⸢リティバ クイティバ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムネー ムシ⸢トゥ⸣ ア⸢ティンガーラヌ [ʔu⸢ritiba kuitiba⸣ ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː muʃi̥⸢tu⸣ ʔa⸢tiŋgaːranu] (それだとかこれだとか言って、その人の言うことはちっとも見当がつけられない<理解できない>) 3459 0 0 3251 htmvoc_3459.wav ウリトゥン ウ⸢リトゥン [ʔu⸢rituŋ] 連 それ<彼>とも。 ⸣ドゥー ⸢タンガ⸣シ キ⸢ミランドー⸣シ ウ⸢リトゥン⸣ パ⸢ナシアー⸣シェー⸣ティ キ⸢ミリ⸣バ⸢ヨー [⸣duː ⸢taŋga⸣ʃi ki⸢mirandoː⸣ʃi ʔu⸢ritum⸣ pa⸢naʃiʔaː⸣ʃeː⸣ti ki⸢miri⸣ba⸢joː] (自分一人で決めないで、それ<彼>とも話し合いながら決めなさいよ) 3455 0 1 3252 htmvoc_3455.wav ウリヌーリ ⸣ウリヌーリ [⸣ʔurinuːri] 名 {Mn_1}乗り降り<下り上り>。 トゥ⸢シ⸣トゥリ ⸢ウイ⸣プス ⸢ナッ⸣ター(ナ⸢ル⸣ター) ク⸢シン⸣ マ⸢ガリティ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣ウリヌーリン ⸢シーマーキル アー⸣ク [tu̥⸢ʃi⸣ turi ⸢ʔui⸣pu̥su ⸢nat⸣taː(na⸢ru⸣taː)ku⸢ʃim⸣ ma⸢gariti⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔurinuːriŋ ⸢ʃiːmaːkiru ʔaː⸣ku] (年をとって老人になったので腰も曲がって、船の乗り降りも儘にならなくなった<乗り降りもしかねている>)。 3455 0 2 3253 htmvoc_3455.wav ウリヌーリ ⸣ウリヌーリ [⸣ʔurinuːri] 名 {Mn_2}上り坂や下り坂<下り上り>。 ヤ⸢マミ⸣チェー ⸣ウリヌーリヌ ⸢スー⸣ワンダ ⸢ウイ⸣プソー ア⸢ラキユー⸣ソーラヌ [ja⸢mami⸣ʧeː ⸣ʔurinuːrinu ⸢suː⸣wanda ⸢ʔui⸣pu̥soː ʔa⸢rakijuː⸣soːranu] (山道は上り下りの坂道が厳しいから、年寄りはお歩きになれない<歩きなされない>) 3456 0 0 3254 htmvoc_3456.wav ウリヒャー ⸣ウリヒャー [⸣ʔuriçaː] 感 ほらほら。そらそら。「それ!」と指示して注意を喚起する言葉。 ⸣ウリヒャー ア⸢ミ⸣ヌ フイクン⸢ドー パー⸣ク ナ⸢カー ペー⸣リ [⸣ʔuriçaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuikun⸢doː paː⸣ku na⸢kaː peː⸣ri] (それ{EOS!}雨が降るぞ{EOS}早く家の中に入れ) 3457 0 0 3255 htmvoc_3457.wav ウリヒャーウリヒャー ⸣ウリヒャー ⸣ウリヒャー [⸣ʔuriçaː ⸣ʔuriçaː] 連 さあ大変だぞ、大変だぞ。⸣ウリヒャー[ʔuriçaː]の畳語で強意表現。 ⸣ウリヒャー⸣ウリヒャー ン⸢ギウシ⸣ヌ パリクン⸢ドー パー⸣ク ⸢ピンギ⸣リ [⸣ʔuriçaː⸣ʔuriçaː ŋ⸢giuʃi⸣nu parikun⸢doː paː⸣ku ⸢piŋgi⸣ri] (さあ大変だぞ、大変だぞ、鼻綱を切って逃げた牛が走って来るぞ{EOS}早く逃げろ) 3460 0 0 3256 htmvoc_3460.wav ウリミチ ウ⸢リ⸣ミチ [ʔu⸢ri⸣miʧi] 名 下り道。下り坂の道。 ⸢ヌーリミチェーラン⸣ ウ⸢リミチ⸣ル ア⸢ラキグリ⸣サ⸢ダー [⸢nuːrimiʧeːraŋ⸣ ʔu⸢rimiʧi⸣ru ʔa⸢rakiguri⸣sa⸢daː] (登り道<坂道>よりも下り道<下り坂の道>が歩きにくいよ) 3461 0 0 3257 htmvoc_3461.wav ウリヨークリヨー ウ⸢リヨークリ⸣ヨー [ʔu⸢rijoːkuri⸣joː] 名 苦労。辛苦。やれそれよ、やれこれよと生活苦に追われること。「それよこれよ」の義。 ウ⸢リヨークリ⸣ヨー ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シル ッ⸢ふァ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ タティ⸢クー⸣タ [ʔu⸢rijoːkuri⸣joː ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃiru f⸢fa⸣ sï̥⸢ka⸣nai tḁti⸢kuː⸣ta] (それだ、これだと生活苦に追われて辛うじて<やっとのことで>子供を育て生計をたててきた)。 ウ⸢リヨークリ⸣ヨー ⸢シェー⸣テインノーン ッ⸢ふァ キョー⸣イク シ⸢ミラバーティ⸣ ウムイ ⸢ベー [ʔu⸢rijoːkuri⸣joː ⸢ʃeː⸣tinnoːŋ f⸢fa kjoː⸣iku ʃi⸢mirabaːti⸣ ʔumui ⸢beː] (やれ、それだ、やれ、これだと生活苦に追われていてでも子供は教育させようと思っている) 3462 0 1 3258 htmvoc_3462.wav ウリルン ウ⸢リ⸣ルン [ʔu⸢ri⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}下りる。 ヤ⸢マー⸣ラ ウリ⸢クーバ⸣ル ア⸢シ⸣ヌ ス⸢コールン⸣ ナル [ja⸢maː⸣ra ʔuri⸢kuːba⸣ru ʔa⸢ʃi⸣nu su̥⸢koːrun⸣ naru] (山から下りてきたらば<こそ>昼食の準備もできるのだ)。 ウ⸢リラ⸣ヌ [ʔu⸢rira⸣nu] (下りない)。 ウ⸢リパジミ⸣ルン [ʔu⸢ripajimi⸣ruŋ] (下り始める)。 ⸢ワーンドゥ⸣ ウ⸢リ⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢リ⸣ルン [⸢waːndu⸣ ʔu⸢ri⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ri⸣ruŋ] (君が下りるなら私も降りる)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢リ⸣ルクトゥ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ri⸣ru ⸣ku̥tu] (早く下りること)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢リ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔu⸢ri⸣reː ⸣misamunu] (もっと下りたらよいのに)。 ⸢パイ⸣サ ウ⸢リ⸣リ [⸢pai⸣sa ʔu⸢ri⸣ri] (早く下りれ<ろ>)。 3462 0 2 3259 htmvoc_3462.wav ウリルン ウ⸢リ⸣ルン [ʔu⸢ri⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}風が北から南に変わる。穏やかな天気になる。 カ⸢ジヌ⸣ ウ⸢リ⸣ルカー ⸢オーシケー ノー⸣ルン [ka⸢ʤinu⸣ ʔu⸢ri⸣rukaː ⸢ʔoːʃi̥keː noː⸣ruŋ] (風が北から南に変わったら<風が下りたら>、天気は良くなる<直る>) 3463 0 0 3260 htmvoc_3463.wav ウリンクリン ウ⸢リン⸣ クリン [ʔu⸢riŋ⸣ kuriŋ] 連 それもこれも。 ウ⸢リン⸣ クリン ムー⸢ル ワー⸣ ウ⸢カ⸣ギシル ⸢ガッ⸣コーン ン⸢ジラ⸣レール [ʔu⸢riŋ⸣ kurim muː⸢ru waː⸣ ʔu⸢ka⸣giʃiru ⸢gak⸣koːn ʔn⸢ʤira⸣reːru] (それもこれも総て君のお陰で<ぞ>学校も出られ<就学でき>たのだ) 3464 0 1 3261 htmvoc_3464.wav ウリンツァン ウ⸢リンツァン [ʔu⸢rinʦaŋ] 副 それすらも~ない。それさえも~ない。ウ⸢リ・ンツァン[ʔuri-ŋʦaŋ](それ・さえも<だにも>)からなる合成語。副助詞⸢ンツァン[⸢ŋʦaŋ](すらも)は、{Mn_1}文末に打ち消しの助動詞を要求し、上接語を容易なことなのにという気持ちでとりたて、打ち消し表現と呼応して否定の意味を強調する陳述副詞。 ⸢ワー⸣ ウ⸢リンツァン シーサヌ [⸢waː⸣ ʔu⸢riʦaŋ ʃiːsanu] (君はそれさえ<すら>もできないのか)。 3464 0 2 3262 htmvoc_3464.wav ウリンツァン ウ⸢リンツァン [ʔu⸢rinʦaŋ] 副 {Mn_2}、{Mn_1}が条件句を作り、どうにもならないという帰結句を強調する。 ⸢ワー⸣ ウ⸢リンツァン シーサン⸣カー ⸢ヌー⸣スワメー [⸢waː⸣ ʔu⸢rinʦaŋ ʃiːsaŋ⸣kaː ⸢nuː⸣ suwameː] (君は、それすら<さえも>出来なければ 一体どうするんだね、もう) 3471 0 0 3263 htmvoc_3471.wav ウルシマキ ウ⸢ルシ⸣マキ [ʔu⸢ruʃi⸣maki] 名 漆かぶれ。「漆負け」の義。石垣方言からの借用語。 ウ⸢ルシ⸣マキ シ⸢ティ⸣ シラー ア⸢ガミ ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ruʃi⸣maki ʃi̥⸢ti⸣ ʃiraː ʔa⸢gami biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (漆かぶれして、顔は赤らんで痒くてたまらない)。パ⸢ジマキ[pa⸢ʤimaki](漆かぶれ)ともいう 3444 0 0 3264 htmvoc_3444.wav ウルズン ウ⸢ル⸣ズン [ʔu⸢ru⸣ʣuŋ] 名 春。旧暦二、三月ごろ。バ⸢カ⸣ナチ[ba⸢ka⸣naʧi](若夏)の直前の時期。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペー⸣ローレーチバ ⸢メー⸣ ピ⸢ラ⸣コー ⸢クー⸣ヌ [ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣roːreːʧiba ⸣meː pi⸢ra⸣koː ⸢kuː⸣nu] (ウルズン<初夏>の直前の節気に入ったので、もう極寒の寒波は来ないよ) 3468 0 0 3265 htmvoc_3468.wav ウルナウン ウ⸢ル⸣ナウン [ʔu⸢ru⸣nauŋ] 他動 潤わし捏ねる。湿らして捏ねる。メリケン粉などに水を加えて練る。大正元年生まれの古老が使用していた。ほぼ死語に近い。 ミ⸢リキン⸣グ ウ⸢ル⸣ナイティ ⸣スバー ⸣ウティバ [mi⸢rikiŋ⸣gu ʔu⸢ru⸣naiti ⸣subaː ⸣ʔutiba] (メリケン粉に水を加えて捏ねてソバを打ちなさいよ) 3465 0 0 3266 htmvoc_3465.wav ウルプトゥキ ウ⸢ルプトゥ⸣キ [ʔu⸢ruputu⸣ki] 名 たむし(田虫)。白癬菌の寄生による皮膚疾患。輪状に蔓延し、痒みが甚だしい。若年層は、グ⸢ツァ⸣バ[gu⸢ʦa⸣ba](ゼニタムシ<銭癬>)ともいう。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ウ⸢ルプトゥキ⸣ヌ パ⸢ヤール⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ʔu⸢ruputuki⸣nu pa⸢jaːru⸣taŋ] (戦後にゼニタムシ<銭癬>が流行ったことがある)。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢ルプトゥ⸣キ ン⸢ジプス⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラータヌ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢ruputu⸣ki ʔn⸢ʤi pu̥su⸣nu ⸢goː⸣raːtanu ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣baŋ] (昔は田虫の出た人が多かったが、今は見られないよ) 3469 0 0 3267 htmvoc_3469.wav ウルン ⸣ウルン [⸣ʔuruŋ] 自動 下りる。「下る<おる、上二段活用>」の四段活用化したもの。ウ⸢リ⸣ルンとも言う。 ウ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ra⸣nu] (下りない)。 ウ⸢リ⸣プサン [ʔu⸢ri⸣pusaŋ] (下りたい)。 ⸢ワー⸣ ウルカー ⸢バン⸣ヌン ⸣ウルン [⸢waː⸣ ʔurukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔuruŋ] (君が下りたら私も下りる)。 マ⸢ナ⸣マ ⸣ウル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣ma ʔuru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今下りる人はいない)。 ⸢パー⸣ク ⸣ウレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ʔureː misamunu] (早く下りたらよいのに)。 ⸢ワーヤ⸣ クマーラ ⸣ウリ [⸢waːja⸣ kumaːra ⸣ʔuri] (君はここから下りろ) 3473 0 0 3268 htmvoc_3473.wav ウルン ウ⸢ルン [ʔu⸢ruŋ] 他動 織る。布を織る。 ⸢ピントゥルピン ヌーヌ⸣ ウ⸢ルンティ パンタ⸣サ ⸢シーオー⸣ル [⸢pinturupin nuːnu⸣ ʔu⸢runt panta⸣sa ʃiːʔoː⸣ru] (毎日布を織るとて忙しく<繁多さ>しておられる)。 ⸢プール⸣キン ウ⸢リ キササ⸣ナー [⸢puːru⸣kiŋ ʔu⸢ri ki̥sasa⸣naː] (豊年祭用の新しい着物を織って着せようねえ)。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ル⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ルン [⸢waː⸣ ʔu⸢ru⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ruŋ] (君が織ったら私も織る)。 ウ⸢ル プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ru pu̥soː⸣ bu⸢raːnu] (織る人はいない)。 カ⸢シーカシー⸣ ウ⸢レー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʔu⸢reː⸣misamunu] (しっかり<きちんと>と織ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢リ [⸢paː⸣ku ʔu⸢ri] (早く織れ)。 ウ⸢リプス [ʔu⸢ripusu] (織り人{EOS}織る人)。 ⸢ワンヌン⸣ ウ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢wannuŋ⸣ ʔu⸢reː⸣ misamunu] (君も織ればよいのに)。 ウ⸢リプス⸣ タ⸢ナ⸣ミ [ʔu⸢ripusu⸣ ta⸢na⸣mi] (織りてを頼め) 3474 0 0 3269 htmvoc_3474.wav ウレー ウ⸢レー [ʔureː] 連 それは。その人は。指示代名詞、ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)に係助詞-ヤ[-ja](は<とりたて強調>)が下接融合して形成されたもの。CVCV構造の上接語の末尾母音が[i]の場合、係助詞-ja(は)と融合同化して[-eː]となり、同じく[-u]の場は[-oː]となる。 ウ⸢レー ター⸣ムヌヤ [ʔu⸢reː taː⸣ munuja] (これは誰のものか)。 ウ⸢レー⸣ ヌースンティ ⸣ウナー ⸢ベー⸣ワ [⸢ʔureː⸣ nuːsunti ⸣ʔunaː ⸢beː⸣wa] (その人は何故にそこにいるのか) 3466 0 1 3270 htmvoc_3466.wav ウレーラ ウ⸢レー⸣ラ [ʔu⸢reː⸣ra] 連 {Mn_1}それから。その後。[ʔuri・kara] → [ʔurihara] → [ʔureːra] と音韻変化したもの。 ⸢ウンマー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢レー⸣ンダ ⸣ウブイ ブ⸢ラーヌヌ⸣ ウ⸢レー⸣ラ ア⸢トゥ⸣ヌ ⸣クトー ⸣ウブイ ⸢ブン [⸢ʔummaː⸣ ja⸢ra⸣bi ja⸢reː⸣nda ⸣ʔubui bu⸢raːnunu⸣ ʔu⸢reː⸣ra ʔa⸢tu⸣nu ⸣ku̥toː ⸣ʔubui ⸢buŋ] (其の頃は子供だったから覚えていないが、それから後のことは覚えている)。 3466 0 2 3271 htmvoc_3466.wav ウレーラ ウ⸢レー⸣ラ [ʔu⸢reː⸣ra] 連 {Mn_2}彼から。 ウ⸢レー⸣ラ ⸣ジン カ⸢ルナ [ʔu⸢reː⸣ra ⸣ʤiŋ ka⸢runa] (あれ<彼>からお金を借りるな) 3467 0 0 3272 htmvoc_3467.wav ウレーラン ウ⸢レー⸣ラン [ʔu⸢reː⸣raŋ] 連 それよりも。「それからも」の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ラン ク⸢リル⸣ マ⸢シ [ʔu⸢reː⸣raŋ ku⸢riru⸣ ma⸢ʃi] (それよりもこれが良い) 3475 0 0 3273 htmvoc_3475.wav ウローウローシ ウロー⸢ウロー⸣シ [ʔuroː⸢ʔuroː⸣ʃi] 副 ざらざらするように。粉などの粒が少し粗いさま。ウ⸢ロー⸣ン[ʔu⸢roː⸣ŋ](粗い<形容詞>)の語幹を重ねた副詞。 ム⸢チコー⸣ ン⸢ベーマ⸣ ウロー⸢ウロー⸣シ バ⸢リ⸣バ [mu⸢ʧikoː⸣ ʔm⸢beːma⸣ ʔuroː⸢ʔuroː⸣ʃi ba⸢ri⸣ba] (餅粉は少し粒がざらざらするように割りなさい<搗いて粗い粉にしなさい>) 3440 0 0 3274 htmvoc_3440.wav ウロイ ⸣ウロイ [⸣ʔuroi] 名 おしめり(御湿り)。「潤い」の義。⸣ウルイ[⸣ʔurui]ともいう。雨が程よく降って作物の植え付けに適する状態になること。「Vruoi,ô,ôta.ウルヲイ,ゥ、ゥタ(湿・潤ひ、ふ、うた)~、または湿り気をもっている」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢ロイ⸣ヌ ⸣アルンケンナー ⸢ウン⸣マー イ⸢ビシキラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢roi⸣nu ⸣ʔaruŋkennaː ⸢ʔum⸣maː ʔi⸢biʃikiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (御湿りのある内に芋を植え付けておかないといけない)。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸣アミシー ウ⸢ロイ⸣ヌ ⸣ンジケーチバ ス⸢クリ⸣ムヌン イ⸢キブイ⸣ ン⸢ジ⸣ス [ju⸢bi⸣nu ⸣ʔamiʃiː ʔu⸢roi⸣nu ⸣ʔnʤikeːʧiba su⸢kuri⸣munuŋ ʔi⸢kibui⸣ ʔn⸢ʤi⸣su] (昨夜の雨でお湿りが出てきたので 作物も生気<勢い>が出るよ)。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチェー ⸢ペー⸣リ ⸣アミーン タ⸢ボーラリ⸣ター パ⸢タ⸣ケーヤ イッ⸢ケン⸣ ウロイ ⸢シー ブン [ʔu⸢ruʣun⸣nu ʃi̥ʧeː ⸢peː⸣ri ⸣ʔamiːn ta⸢boːrari⸣taː pḁ⸢ta⸣keːja ʔik⸢keŋ⸣ ʔuroi ⸢ʃiːbuŋ] (初夏の季節に入り降雨も賜ったので、畑には十分に潤いがある<潤っている>) 3477 0 0 3275 htmvoc_3477.wav ウワーラスン ウ⸢ワーラスン [ʔu⸢waːrasuŋ] 他動 終えさせる。使役動詞。「終わらせる」の転訛したもの。 ユネン⸢バー⸣キナ ウ⸢ワーラスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ウ⸢ワーラサラヌ [junem⸢baː⸣kina ʔu⸢waːrasunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʔu⸢waːrasaranu] (夕方までに終えさせようとしたが、終えさせられない)。 ウ⸢ワーラシ⸣ ミサカー シ⸢グ⸣ ウ⸢ワーラス⸣ クトー ⸣ナルン [ʔu⸢waːraʃi⸣ misakaː ʃi⸢gu⸣ ʔu⸢waːrasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (終えさせて良ければ、すぐに終えさせることは出来る)。 ウ⸢ワーラシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢waːraʃeː⸣ misamunu] (終えさせれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ワーラシ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔu⸢waːraʃi⸣ba] (速く終えさせよ) 3478 0 0 3276 htmvoc_3478.wav ウワーリ ウ⸢ワーリ [ʔu⸢waːri] 名 終わり。仕舞い。終了。動詞ウ⸢ワールン[ʔu⸢waːruŋ](終わる)の連用形から転成した名詞。 ⸢キュー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ウビシ ウ⸢ワーリ⸣カヤー [⸢kjuː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ ʔubiʃi ʔu⸢waːri⸣kajaː] (今日の仕事はこれで終わりかなあ)。 ウ⸢ワーリヌ⸣ ミサカー ムー⸢ル⸣ ミサン [ʔu⸢waːrinu⸣ misakaː muː⸢ru⸣ misaŋ] (終わりが良ければ総て良し) 3479 0 0 3277 htmvoc_3479.wav ウワーリンガタ ウ⸢ワーリンガタ [ʔu⸢waːriŋgata] 名 終わり方。終わり近く。終わり頃。終了間近。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ゾーラケー⸣ ウ⸢ワーリンガタ⸣ ナ⸢リ⸣ブンダ ⸢パーレー⸣ヌ ス⸢コール シー⸣バ [⸢puːru⸣nu ⸢ʣoːrakeː⸣ ʔu⸢waːriŋgata⸣ na⸢ri⸣bunda ⸢paːreː⸣nu su̥⸢koːru ʃiː⸣ba] (豊年祭の常楽踊<西村・東村対抗の芸能のゾーラキ>は終わり方になっているから、爬竜船競漕の準備をしなさいよ) 3480 1 0 3278 htmvoc_3480.wav ウワールン ウ⸢ワールン [ʔu⸢waːruŋ] 自動 {PoS_1}終わる。 パ⸢ナ⸣シェー マ⸢ダ⸣ ウ⸢ワーラヌ [pa⸢na⸣ʃeː ma⸢da⸣ ʔu⸢waːranu] (話はまだ終わらない)。 ウ⸢ワーリヤッ⸣サン [ʔu⸢waːrijas⸣saŋ] (終わりやすい)。 ウ⸢ワーラバル⸣ パ⸢ラ⸣リ [ʔu⸢waːrabaru⸣ pa⸢ra⸣ri] (終わったらばこそ行かれる{EOS}終わってはじめて行ける)。 ⸢ワー⸣ クビシ ウ⸢ワール⸣カー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢ワールン [⸢waː⸣ kubiʃi ʔu⸢waːru⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢waːruŋ] (君がこれだけで終わるなら私も終わる)。 ウ⸢ワール⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢waːru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (終わることは出来ない)。 ⸣クビシ ウ⸢ワーレー⸣ ミサムヌ [⸣kubiʃi ʔu⸢waːreː⸣ misamunu] (これだけで終わればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ワーリ [⸢paː⸣ku ʔu⸢waːri] (早く終われ)。 ウ⸢ワーリ⸣ ミサン [ʔu⸢waːri⸣ misaŋ] (終わってよい)。 3480 2 0 3279 htmvoc_3480.wav ウワールン ウ⸢ワールン [ʔu⸢waːruŋ] 他動 {PoS_2}仕舞う。終える。終了する。 シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢ワールン [ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢waːruŋ] (仕事を終える)。 ウ⸢ワーラスン [ʔu⸢waːrasuŋ] (終わらせる{EOS}終える) 851 0 0 3280 htmvoc_851.wav ウン ⸣ウン [ʔuŋ] 名 (植)甘藷。サツマイモ。「うも」の義。芋類。「蕷・芋、伊母(いも)」『新撰字鏡』の転訛。 ⸢ウンヌダー⸣キ [⸢ʔunnudaː⸣ki] (芋を柔らかく煮て捏ねたもの)。 ⸢ウンヌ⸣カザ [⸢ʔunnu⸣kaʣa] (芋かずら)。芋の種類には、次のようなものがあった。 ア⸢ガフキ [ʔa⸢gaɸu̥ki] (赤茎、\ruby{蔓}{カズラ}の若葉が赤いことから「赤茎」という{EOS}在来種)。 ⸣カナーウン [⸣kanaːʔuŋ] (表皮は赤色、中身は白色、煮ると粉をふく)。 ⸢タイ⸣ワン [⸢tai⸣waŋ] (表皮、中身ともに白色{EOS}煮ると柔らかく水っぽい)。 ⸣トゥマイクルー [⸣tumaikuruː] (表皮は赤色、中身は紫色、煮ると柔らかく、甘みがあり、美味しい)。 ナ⸢ガ⸣ハマ [na⸢ga⸣hama] (表皮、中身ともに白色{EOS}味は落ちる)。 ミ⸢チ⸣チャー [miʧiʧaː] (三ヶ月で収穫できるのでその名があるという)。 ヒャ⸢ク⸣ゴー [ça⸢ku⸣goː] (「100号」、改良品種で多収穫{EOS}澱粉が多く煮ると粉を吹いて美味である{EOS}島で最も普及した)。ク⸢ラ⸣ガー[ku⸢ra⸣gaː](煮ると美味である)など。 ヒャ⸢ク⸣ゴーウンバ ⸢シンマイナビ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ⸢ネーシティ⸣ プスイ ⸢ミーキ⸣ ッ⸢ふータヌ⸣ ア⸢キランシェン [ça⸢ku⸣goːʔumba ⸢ʃimmainabi⸣nu ⸢pit⸣ʧin ⸢neːʃiti⸣ pu̥sui ⸢miːki⸣ f⸢fuːtanu⸣ ʔa⸢kiranʃeŋ] (百号イモを四枚鍋のいっぱい煮て一日三食、それを食べたが飽きなかった)。⸢クーフキ⸣ウン[⸢kuːɸu̥ki⸣ʔuŋ](粉ふき芋)、⸢キールウン[⸢kiːruʔuŋ](黄色い芋)なども美味であった。昭和三十年の後半ごろバイラスという芋の病気が蔓延して島の畑の芋蔓を総て焼き捨てたことがあった。 ヒャ⸢クゴー⸣ヤ ⸢ネース⸣カー ⸢クー⸣フキティ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [ça⸢kugoː⸣ja ⸢neːsu⸣kaː ⸢kuː⸣ɸu̥kiti ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (百号種の芋は煮ると澱粉質が多く<粉が噴出して>非常に美味しかった) 3493 0 1 3281 htmvoc_3493.wav ウン ⸣ウン [⸣ʔuŋ] 名 {Mn_1}鬼。仁王仏。 イ⸢サナキヌ⸣ ティ⸢ラヌ⸣ ウン ウ⸢ガマシター⸣ル ⸣ドゥーゾー ⸣ナレーティ ⸢ダー [ʔi⸢sanakinu⸣ ti⸢ranu⸣ ʔuŋ ʔu⸢gamaʃitaː⸣ru ⸣duːʣoː ⸣nareːti ⸢daː] (石垣島の寺の仁王仏像を拝ませたので健康<胴強く>になったそうだよ)。 ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥティ ⸣ナルカー ⸣ウヤー ⸣ウンニン ⸣ナルン [f⸢fanu⸣ ku̥tuti ⸣narukaː ⸣ʔujaː ⸣ʔunnin ⸣naruŋ] (子供のこととなると、親は鬼にもなる)。 3493 0 2 3282 htmvoc_3493.wav ウン ⸣ウン [⸣ʔuŋ] 名 {Mn_2}容貌や性格が鬼のように恐ろしい人。 ウ⸢リヌ クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ⸢ウン⸣ヌ ⸣シラ ⸣ナリ ナ⸢クラー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ⸢ʔun⸣nu ⸣ʃira ⸣nari na⸢kuraː⸣nu mi⸢rara⸣nu] (その人が怒ると鬼の形相になって怖くて見られない) 3494 0 0 3283 htmvoc_3494.wav ウン ⸢ウン [⸢ʔuŋ] 名 運。運命。運勢。 プ⸢スヌ ウン⸣ティ ⸢スームノー⸣ ワ⸢カラン⸣ ムヌサ⸢ナー⸣ サ⸢クシ⸣ ッふァ ⸢ピー⸣タイ トゥ⸢ラ⸣リティ ナ⸢キオーッタ⸣ヌ ウ⸢レー⸣ ヌチェー ⸣ムイ ⸢カイ⸣リキー [pu̥⸢sunu ʔun⸣ti ⸢suːumunoː⸣ wa⸢karam⸣munusa⸢naː⸣ sa⸢kuʃi⸣ffa ⸢piː⸣tai tu⸢ra⸣riti na⸢kioːtta⸣nu ʔu⸢reː⸣ nuʧeː ⸣mui ⸢kai⸣rikiː] (人の運というのは分からないものだなあ{EOS}嫡子を兵隊に取られて泣いておられたのに、その人は<それは>生きて帰ってきて) 3495 0 0 3284 htmvoc_3495.wav ウン ⸢ウン [⸢ʔuŋ] 名 その時。当時。 ⸢ウンマー ワー ヤー⸣ナ ブ⸢ラーンセヌ⸣ マナール ⸢ベー⸣タ [⸢ʔummaː waː jaː⸣na bu⸢raːŋʃenu⸣ manaːru ⸢beː⸣ta] (その時は、君は家にいなかったのだが、何処にいたのかねえ)。 ⸢ウンヌ⸣ クトー ⸢バシキルナ [⸢ʔunnu⸣ ku̥toː ⸢baʃikiruna] (その時のことは忘れるな)。 ⸢ウンラ⸣ マ⸢ナマー⸣キ ナー⸢イ ヤー⸣ナ ⸢ベー [⸢ʔunra⸣ ma⸢namaː⸣ki naː⸢i jaː⸣na ⸢beː] (その時から今までずーっと家にいる)。 ⸢ウンマー⸣ケー ヤ⸢ラビ⸣ル ヤ⸢レー⸣ンダ ノー⸢ン⸣ ウブイ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔummaː⸣keː ja⸢rabi⸣ru ja⸢reː⸣nda noː⸢ŋ⸣ ʔubui bu⸢raːnu] (その時までは子供であったから何も覚えてはいない)。 ⸢ウンマー ヌー⸣シ ⸢ブーター [⸢ʔummaː nuː⸣ʃi ⸢buːtaː] (その頃は何をしていたか{EOS}<如何だったか>)。 ⸢ウンマー⸣ イ⸢ク⸣サー マ⸢ダ⸣ パ⸢ジマリ⸣ ブ⸢ラーンシェン [⸢ʔummaː⸣ ʔi⸢ku⸣saː ma⸢da⸣ pa⸢ʤimari⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (その頃はまだ戦争は始まっていなかった) 3483 0 0 3285 htmvoc_3483.wav ウンカイスン ⸣ウン ⸢カイ⸣スン [⸣ʔuŋ ⸢kai⸣suŋ] 連 芋を掘る。⸢芋を耕す」の義。稔った畑の芋を鍬で土を掘り起こして収穫する。 ⸣ウン ⸢カイ⸣スンティ ⸢ベー⸣バ ⸢ワー ウンヌ⸣ガザ カ⸢リトー⸣リティ ピ⸢ビザン⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣ʔuŋ ⸢kai⸣sunti ⸢beː⸣ba ⸢waː ʔunnu⸣kaʣa ka⸢ritoː⸣riti pi⸢biʣaŋ⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (芋を掘ろう<耕そう>としているので、君は芋蔓を刈り取って山羊に喰わせなさいよ) 3500 0 0 3286 htmvoc_3500.wav ウンカブン ⸣ウン⸣カブン [⸣ʔuŋ ⸣kabuŋ] 連 鬼のような恐ろしい形相になる。「鬼被る」の義。鬼面になる。 ウ⸢ヌ プスヌ クン⸣ゾー ⸣ンズカー ⸣ウン ⸣カビティ ン⸢カーリ⸣スコー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu kun⸣ʣoː ⸣ʔnʣukaː ⸣ʔuŋ ⸣kabiti ʔŋ⸢kaːri⸣su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (その人が怒ると鬼のような恐ろしい形相になって、とても応対できる<向き会われる>どころでない) 3501 0 0 3287 htmvoc_3501.wav ウンキ ⸢ウンキ [⸢ʔuŋki] 名 運気。運勢のこと。人間の五運六気。運気が弱いと病気になると信じられている。毎年石垣の⸣サンギンソー[⸣saŋginsoː](易者)を訪ねて家族の運勢を占ってもらっていた。 プ⸢ソー⸣ マ⸢リドゥシ⸣ マ⸢リシケー ウンキ ヨーン ⸣ツォー [pu̥⸢soː⸣ma⸢riduʃi⸣ ma⸢riʃi̥keː ʔuŋkijoːn⸣ʦoː] (人はその生まれ年、生まれ月には運気が弱いそうだ)。 ⸢ウンキニン⸣ガイ ⸢シー オーシェー⸣チバ パシッ⸢トゥ⸣ ナ⸢リ⸣スヨー [⸢ʔuŋkiniŋ⸣gai ⸢ʃiː ʔoːʃeː⸣ʧiba pḁʃit⸢tu⸣ na⸢ri⸣sujoː] (運気祈願をしてさしあげたから元気<気分爽快>になるよ)。 ム⸢ヌシリ⸣ンヤーナ ⸢ギーティ ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ウンキ⸣ ク⸢ラ⸣シクー [mu⸢nuʃiri⸣ɲ ⸣jaːna ⸢giːti jaːninʣuː⸣nu ⸢ʔuŋki⸣ ku⸢ra⸣ʃi̥ku] (三世相、易者<物知り>の家に行って家族の運気を占って<繰って>もらって来なさい) 3507 0 0 3288 htmvoc_3507.wav ウンキクラスン ⸢ウンキ⸣ ク⸢ラ⸣スン [⸢ʔuŋki⸣ ku⸢ra⸣suŋ] 連 占わせる。「運気を繰らす」の義。⸣サンギンソー[⸣saŋginsoː](易者{EOS}三世相)やユ⸢タ[ju⸢ta](口寄せをする巫女{EOS}かんなぎ<巫・覡>)に運気祈願の日時、方法を占ってもらう。 ⸣サンギンソーヌ ⸣ヤーナ ⸢ギーティ ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ウンキ⸣ ク⸢ラ⸣シ ⸣クーバ [⸣saŋginsoːnu ⸣jaːna ⸢giːti jaːninʣuː⸣nu ⸢ʔuŋki⸣ ku⸢ra⸣ʃi ⸣kuːba] (易者の家に行って家族の運気を占ってもらってきなさい) 3502 0 0 3289 htmvoc_3502.wav ウンキクリプス ⸢ウンキクリ⸣プス [⸢ʔuŋkikuri⸣pu̥su] 名 運気を占う人。三世相。易者。 ユ⸢タ [ju⸢ta] (与太{EOS}巫女)。 イ⸢サナキ⸣ナー ⸣サンギンソーン ⸢オーリ⸣バ ⸢キータティ⸣プスン ⸢オー⸣ルンツォー [ʔi⸢sanaki⸣naː ⸣saŋginsoːŋ ⸢ʔoːri⸣ba ⸢kiːtati⸣pu̥suŋ ⸢ʔoː⸣runʦoː] (石垣島には三世相も居られれば、易者もおられるそうだ) 3503 0 0 3290 htmvoc_3503.wav ウンキクルン ⸢ウンキ⸣ クルン [⸢ʔuŋki⸣ kuruŋ] 連 運気を占う。「運気を繰る」の義か。 ⸣ヌーンティル ⸣アイニ ⸢ビョー⸣ザーユー ⸣サンギンソーヌ ⸣ヤーナーン ⸢ギー ウンキ⸣ ク⸢ラ⸣シ ミリ⸢ミー [⸣nuːntiru ⸣ʔaini ⸢bjoː⸣ʣaːjuː ⸣saŋginsoːnu jaːnaːŋ ⸢giː ʔuŋki⸣ ku⸢ra⸣ʃi miri⸢miː] (どうしてこうも病気がちなのか、三世相の家にでも行って運気を占って<繰らせて>見てごらんよ) 3504 0 0 3291 htmvoc_3504.wav ウンキニンガイ ⸢ウンキニン⸣ガイ [⸢ʔuŋkiniŋ⸣gai] 名 各家庭で健康、安全、幸福を祈願する祭祀。「運気願い」の義。年周りが悪くて、運気が厳しい時、運気を呼び込んで良い方向へ導くための祈願。その人のマ⸢リビー[ma⸢ribiː](生まれた日の干支)に合わせて佳日を選定して祈願させた。⸣ドゥーパダニンガイ[⸣duːpadaniŋgai](健康祈願、⸢胴肌願い」の義)ともいう。旧暦一月<正月>と八月に祈願された。 ⸣ソンガチヌ パ⸢チニンガイトゥ⸣ パ⸢チンガチ⸣ヌ ⸣ドゥーパダニンガイナー ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ウンキニン⸣ガイ ⸢シー オーシタ [⸣soŋgaʧinu pa⸢ʧiniŋgaitu⸣ pḁ⸢ʧiŋgaʧi⸣nu ⸣duːpadanigainaː ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸢ʔuŋkiniŋ⸣gai ⸢ʃiː ʔoːʃitaː] (正月の初祈願と八月の健康祈願で家族の運気祈願をしてさしあげたよ) 3508 0 0 3292 htmvoc_3508.wav ウンキリ ウン⸢キリ [ʔuŋ⸢kiri] 副 それっきり。丁寧にいうときは、ウヌッ⸢キリ[ʔunuk⸢kiri](それっきり)という。 ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッ⸣タルパリ ウン⸢キリ⸣ <ウヌッ⸢キリ⸣> ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢ki⸣naː ⸢pat⸣tarupari ʔuŋ⸢kiri⸣ <ʔunuk⸢kiri> mi⸢rara⸣nu] (沖縄へ行ったきり、それっきり来ない<見られない>)。 ⸣バン イ⸢ザリティ⸣ ウン⸢キリ バン⸣テー ⸢クー⸣ヌ [⸣baŋ ʔi⸢ʣariti⸣ ʔuŋ⸢kiri ban⸣teː ⸢kuː⸣nu] (私に叱られて、それっきり私の家には来ない)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢マーラソーッ⸣ター ウヌッ⸢キリ クー⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢maːrasoːt⸣taː ʔunuk⸢kiri kuː⸣nu] (親が亡くなられたので、それっきり帰ってこない) 3505 0 0 3293 htmvoc_3505.wav ウンク ⸢ウン⸣ク [⸢ʔuŋ⸣ku] 名 うみ(膿)。シッタ⸢リー⸣ ウ⸢レー⸣ ヌーヤ。 ⸢ウン⸣ク⸢ゲ⸣ラ [ʃi̥tta⸢riː⸣ ʔu⸢reː⸣ nuːja. ⸢ʔuŋ⸣ku⸢ge⸣ra] (まあ、汚い{EOS}それは何か{EOS}膿さ)。 ア⸢シ⸣ブ バ⸢リ アーシター⸣ ク⸢ビ⸣ナー ⸢ウンク⸣ヌ ⸣ンジキー ⸢ゴーリベー [ʔa⸢ʃi⸣bu ba⸢ri ʔaːʃitaː⸣ ku⸢bi⸣naː ⸢ʔuŋku⸣nu ⸣ʔnʤikiː ⸢goːribeː] (御出来を切開して膿を出したら、こんなにも膿が出てきて筋肉がごっそり削げこけて窪んでいる) 3443 0 0 3294 htmvoc_3443.wav ウンザ ⸢ウンザ [⸢ʔunʣa] 代 そいつ。そやつ<其奴>。対称の指示代名詞ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)に、ヌザ[nuʣa](人の卑語)が下接して形成された表現。人を卑しめた待遇表現。卑語。 ⸢ウンザー⸣ ヤ⸢ナフシヌ⸣ アンダー プ⸢スム⸣シェー ⸢シシキ⸣ トゥ⸢ラサン⸣カー ナ⸢ラン⸠ツォー [⸢ʔunʣaː⸣ ja⸢naɸuʃinu⸣ ʔandaː pu̥⸢sumu⸣ʃeː ⸢ʃiʃi̥ki⸣ tu⸢rasaŋ⸣kaː na⸢ran⸠ʦoː] (そいつは悪い癖があるので、一度は懲らしめて<躾けて>やらないといけないのだよ)。この野郎。対称の人称代名詞。卑称。 ⸢ウンザヌ⸣ ア⸢ズ⸣ ムネー ⸢ミーヤ ナー⸣ヌ [⸢ʔunʣanu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ muneː ⸢miːja naː⸣nu] (そいつが言うことは嘘である<中身・真実味はない>)。 ノー⸢シン ウンザヌル シェー⸣ル プ⸢スノー サヌ [noː⸢ʃiŋ ʔunʣanuru ʃeː⸣ru pu̥⸢sunoː sanu] (どうせ其奴がしたのであろう、他の人はしない) 3511 0 0 3295 htmvoc_3511.wav ウンザカンザ ⸢ウンザカンザ [⸢ʔunʣakanʣa] 代 そいつめ、あいつめ。そいつら、あいつら。⸢ウンザ[⸢ʔunʣa](そいつ)、⸢カンザ[⸢kanʣa](あいつ等)のABCDBC型構造の重言。 ⸢ウンザカンザ ターティ ナー⸣ン ア⸢ツァ⸣マリキー ⸣バー ⸢タンガ⸣バ イ⸢ズ [⸢ʔunʣakanʣa taːtinaː⸣ŋ ʔa⸢ʦa⸣marikiː ⸣baː ⸢taŋga⸣ba ʔi⸢ʣu] (あいつもこいつも、誰彼なしに集まってきては私一人を叱るのだ) 3510 0 0 3296 htmvoc_3510.wav ウンザンメー ⸢ウンザンメー [⸢ʔunʣammeː] 代 そいつら。そやつら(其奴等)。人称代名詞三人称、中称、卑称、複数を表す。 ⸢ウンザンメーヤ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢ヌー⸣シ ⸢ベー⸣ワ [⸢ʔunʣammeːja⸣ ma⸢na⸣maː ⸢nuː⸣ʃi ⸢beː⸣wa] (其奴等は今何をしているか) 3513 0 0 3297 htmvoc_3513.wav ウンシー ⸢ウンシー [⸢ʔuŋʃiː] 名 運命。「運勢」の義か。 ウビ⸢バーキ⸣ヌ ⸢ウンシードゥ⸣ ヤ⸢ロー⸣レーバ イ⸢ナムヌティン⸣ ウ⸢モーン⸣ドーシ ヌ⸢カル⸣ヌ ⸣コーヨー ⸢シー⸣バ⸢ヨー [ʔubi⸢baːki⸣nu ⸢ʔuŋʃiːdu⸣ ja⸢roː⸣reːba ʔi⸢namunu⸣tiŋ ʔu⸢moːn⸣doːʃi nu⸢karu⸣nu ⸣koːjoː ⸢ʃiː⸣ba⸢joː] (それまでの運命であられたので、残念だとばかり思わないで残りの孝養を尽くしなさいねえ) 3514 0 0 3298 htmvoc_3514.wav ウンター ⸢ウンター [⸢ʔuntaː] 名 上。上方。頂上。「上の方」の転訛したもの。⸢ウインター[⸢ʔuintaː](上方)ともいう。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ウンタ⸣ナ ⸣パトゥザヌ トゥ⸢マリ ベー [⸢jaː⸣nu ⸢ʔunta⸣na ⸣pḁtuʣanu tu⸢mari beː] (家の上に鳩がとまっている)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ウンター ヌーリ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuntaː nuːri] (もっと上に上れ) 3515 0 0 3299 htmvoc_3515.wav ウンタマ ⸢ウン⸣タマ [⸢ʔun⸣tama] 名 狡賢い者。狡猾な者。悪知恵者。 ⸢ウンザー ウン⸣タマ ヤ⸢ルンダ キーシキ⸣リ⸢ダー カシカーサリ⸣ナ⸢ダー [⸢ʔunʣaː ʔun⸣tama ja⸢runda kiːʃi̥ki⸣ri⸢daː kaʃi̥kaːsari⸣na⸢daː] (そいつは狡賢い奴だから、気をつけろよ{EOS}騙されるなよ)。 ウ⸢レー⸣ ヤ⸢ナウンタマ⸣ ム⸢ティ⸣ムヌ [ʔu⸢reː⸣ ja⸢naʔuntama⸣ mu⸢ti⸣munu] (それ<彼>は人を騙す悪智恵の持ち主だ<狡賢い奴だ>) 3516 0 0 3300 htmvoc_3516.wav ウンタマギール ⸢ウンタマギー⸣ル [⸢ʔuntamagiː⸣ru] 固 義賊。沖縄方言からの借用語。沖縄本島に居たといわれる義賊の名前。石垣島で芝居に上演されて鳩間島にも伝えられたという。 イ⸢サナキ⸣ナー シ⸢バヤーヌ⸣ キー ⸢ウンタマギー⸣ルティ ⸢スー⸣ シ⸢バヤバ シー ベータン⸣ドゥ イ⸢カムス⸣ク ウ⸢ムッ⸣サタワ⸢ツォー [ʔi⸢sanaki⸣naː ʃi⸢bajaːnu⸣ kiː ⸢ʔuntamagiː⸣ruti ⸢suː⸣ ʃi⸢baiba ʃiː beːtan⸣du ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔu⸢mus⸣satawa⸢ʦoː] (石垣島に芝居劇団が来てウンタマギールという芝居を上演していたが、どんなに面白かったことかよ<すごく面白かったよ>) 3519 0 0 3301 htmvoc_3519.wav ウンチュー ⸢ウン⸣チュー [⸢ʔun⸣ʧuː] 名 下男。首里方言の⸢ウンチュミー[⸢wunʧumiː](下男)からの借用語。 ム⸢カ⸣シ ⸢ウン⸣ネナー ⸢ウンチュ⸣ヌ ⸢タン⸣ガ ⸢オーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃi ⸢ʔun⸣nenaː ⸢ʔunʧu⸣nu ⸢taŋ⸣ga ⸢ʔoːt⸣taŋ] (昔、その家に下男が一人おられた) 3518 0 0 3302 htmvoc_3518.wav ウンチン ⸢ウンチン [⸢ʔunʧiŋ] 名 運賃。船賃。 パ⸢トゥ⸣マーラ イ⸢サナケーバーキ⸣ヌ ⸢ウンチンマー ギュー⸣サヤー [pḁ⸢tu⸣maːra ʔi⸢sanakeːbaːki⸣nu ⸢ʔunʧimmaː gjuː⸣sajaː] (鳩間から石垣島までの運賃はいくらか)。 ⸢ウンチン⸣ パライ [⸢ʔunʧim⸣ parai] (運賃を払え) 3520 0 0 3303 htmvoc_3520.wav ウンツァイ ⸣ウンツァイ [⸣ʔunʦai] 名 (植)野菜の一種。ようさい(甕菜)。ヒルガオ科植物。一年草。湿地に栽培され、茎も葉も料理に用いられる。真夏にも繁茂するので夏野菜として重宝される。西表島の水田地帯の湿地帯を利用して栽培された。葉はサツマイモの葉に似ており、長卵形で濃緑色。茎は中空で細長く、蔓性で地面を這う。煮ると柔らかくなり、カツオの頭のだし汁の生臭みをよく消し、その味をたっぷりと含む。 ⸣ウンツァイトゥ ハ⸢ラゴー⸣トゥシ ⸢チャン⸣プルー ⸢シー⸣バ [⸣ʔunʦaitu ha⸢ragoː⸣tuʃi ⸢ʧam⸣puruː ⸢ʃiː⸣ba] (ようさいとカツオの腹皮で炒めもの料理<チャンプルー>にしなさい) 3521 0 0 3304 htmvoc_3521.wav ウンディル ⸢ウン⸣ディル [⸢ʔun⸣diru] 名 芋笊。芋を入れる笊。⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʣi](トウヅルモドキ)の皮で編んで造った笊。両端に吊り紐が付いており、⸢アイ⸣ク[⸢ʔai⸣ku](天秤棒)にかけて担ぐ農具。鳩間島では⸣ティル(笊)に入れた芋を笊ごと浜辺の海に入れ、片足を笊の中に突っ込んで\ruby{扱}{コ}き洗う。ティ⸢ル⸣ヌ ⸢ブー[ti⸢ru⸣nu ⸢buː](笊の紐)を片手で引っ張ったり、緩めたりしながら笊の中の芋を回転させて洗う。 ⸢ウン⸣ディルナー ⸣ウン ⸣フナイバ [⸢ʔun⸣dirunaː ⸣ʔuŋ ⸣ɸunaiba] (芋笊に芋を詰め込みなさいよ) 3522 0 0 3305 htmvoc_3522.wav ウンドーレー ⸢ウンドーレー [⸢ʔundoːreː] 副 あんな時刻から(遅い時刻に)。「そんな時から」の義。過去の出来事に対して用いる。 ⸢ウンドーレー⸣ラ ⸢アー⸣ク ⸣ムヌ マ⸢ニアーサラン⸣ ブ⸢レー⸣ヨー [⸢ʔundoːreː⸣ra ⸢ʔaː⸣kumunu ma⸢niaːsaram⸣ bu⸢reː⸣joː] (あのように遅い時刻から行くのだから間に合わされなかったのだろうよ)。 サ⸢キバ⸣ ヌミティル ⸢ウンドーレー⸣ラ プ⸢スン⸣ヤー  シゥ⸢カッティカー⸣ティ ⸢セー⸣ティ ⸢アー⸣ク [sḁ⸢kiba⸣ numitiru ⸢ʔundoːreː⸣ra pu̥⸢suɲ⸣jaː sï̥⸢kattikaː⸣ti ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (酒を飲んで、あんなに遅い時刻から余所の家にふらつき回って、あっちこっちの家に迷惑をかけてあるくのだ) 3485 0 0 3306 htmvoc_3485.wav ウンナ ⸢ウン⸣ナ [⸢ʔun⸣na] 接 それに。そのうえ。かつ。それに加えて。 カ⸢ジヌ⸣ フキ ⸢ウン⸣ナ ⸢ウーアミバー⸣キ ⸣フイティル ⸢キーユーサン⸣シェン [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ki ⸢ʔun⸣na ⸢ʔuːamibaː⸣ki ɸuitiru ⸢kiːjuːsaŋ⸣ʃeŋ] (風が強く吹いて、そのうえ大雨までが降ったので来れなかった<来ることができなかった>) 3523 0 0 3307 htmvoc_3523.wav ウンナ ⸢ウン⸣ナ [⸢ʔun⸣na] 連体 そんな。そのような。指示代名詞ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)の連体用法。 ⸢ウン⸣ナ ⸣クトー ス⸢ナ [⸢ʔun⸣na ⸣ku̥toː su⸢na] (そんなことはするな)。 ⸢ウン⸣ナ ⸣クンナヌ ク⸢トゥ⸣バ カ⸢タジキ⸣ルンティ ⸢アー⸣クンケンマー ウ⸢クリナーン⸣バン [⸢ʔun⸣na ⸣kunnanu ku̥⸢tu⸣ba kḁ⸢taʤiki⸣runtiti ⸢ʔaː⸣kuŋkemmaː ʔu⸢kurinaːm⸣baŋ] (そんなことあんなこと<あれやこれ>を片付けようとしているうちに遅れてしまったよ)。 ⸢ウン⸣ナ ⸣クトゥ ⸢スー⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔun⸣na ⸣ku̥tu ⸢suː⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (そんな事をする人ではない) 3524 0 0 3308 htmvoc_3524.wav ウンナカンナ ⸢ウン⸣ナカンナ [⸢ʔun⸣nakanna] 連体 そんなあんな。あんなこんな。ABCDBC型の重言。⸢ウン⸣ナクンナ[⸢ʔun⸣nakunna](そんなこんな)ともいう。 ⸢ウン⸣ナカンナヌ ク⸢トゥ⸣バ フ⸢ジッ⸣クリ ン⸢ザ⸣シティ ⸢ヌー⸣ス ⸢カン⸣ガイヤ [⸢ʔun⸣nakanna ku̥⸢tu⸣ba ɸu⸢ʤik⸣kuri ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢nuː⸣su ⸢kaŋ⸣gaija] (そんなこんなの事をほじくり<穿り>出して一体どうするつもり<考え>か)。 ア⸢バ⸣サー ヤ⸢ルンダ⸣ マ⸢タ ウン⸣ナカンナ イ⸢ラザラ⸣ン ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢アーキ⸣バン⸢ナー [ʔa⸢ba⸣saː ja⸢runda⸣ ma⸢ta ʔun⸣nakanna ʔi⸢raʣara⸣m mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaːki⸣ban⸢naː] (嫌なお喋り女だから、また、そんなこんな無用なことを喋って<言って>あるき回っているんだねえ) 3525 0 0 3309 htmvoc_3525.wav ウンナクンナ ⸢ウン⸣ナクンナ [⸢ʔun⸣nakunna] 連 そんなこんな。あれこれ。あれやこれや。ABCDBC型の重言。⸢ウン⸣ナカンナ[⸢ʔun⸣nakanna](あんなこんな、そんなこんな)と同じ。 ⸢ウン⸣ナクンナヌ ⸣クトゥン パ⸢ナ⸣シ シ⸢キラン⸣カー ナ⸢ラン⸣バン⸢ナー [⸢ʔun⸣nakunnanu ⸣kutum pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː na⸢ram⸣ban⸢naː] (そんなこんなことも話しておかないといけないんだねえ) 3526 0 0 3310 htmvoc_3526.wav ウンナムヌ ⸢ウン⸣ナ ⸣ムヌ [⸢ʔun⸣na ⸣munu] 連 そんなもの。 ⸢ウン⸣ナ ⸣ムヌバ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢ヌー⸣ス ⸢カン⸣ガイヤ [⸢ʔun⸣na ⸣munuba ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢nuː⸣su ⸢kaŋ⸣gaijaː] (そんなものを集めてどうする\ruby{SqBr}g{/SqBr}{心算}{ツモリ}<心組み>か) 3527 0 0 3311 htmvoc_3527.wav ウンナリザーンナリ ⸣ウンナリ ⸢ザーン⸣ナリ [⸣ʔunnari ⸢ʣaːn⸣nari] 成 鬼にもなり、蛇にもなって。 ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥティ ⸣ナルカー ⸣ウヤー ⸣ウンナリ ⸢ザーン⸣ナリ マー⸢ンバー⸣キン パ⸢リ⸣ス [f⸢fanu⸣ ku̥tuti ⸣narukaː ⸣ʔujaː ⸣ʔunnari ⸢ʣaːn⸣nari maː⸢mbaː⸣kim pa⸢ri⸣su] (子供のこととなると親は鬼にもなり蛇にもなって、何処までも行く)。 3527 0 2 3312 htmvoc_3527.wav ウンナリザーンナリ ⸣ウンナリ ⸢ザーン⸣ナリ [⸣ʔunnari ⸢ʣaːn⸣nari] 成 {Mn_2}恐ろしい形相で。非情になって。 マ⸢ルケーティナー⸣ヤ ⸣ウンナリ ⸢ザーン⸣ナリ イ⸢ジシゥカサバル⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ タ⸢メー⸣ ナル⸢ダー [ma⸢rukeːtinaː⸣ja ⸣ʔunnari ⸢ʣaːn⸣nari ʔi⸢ʤi sï̥kasabaru⸣ f⸢fanu⸣ ta⸢meː⸣ naru⸢daː] (\ruby{偶}{タマ}には非情になって厳しく叱って教えるほうが<聞かせばぞ>子供のためになるのだ) 852 0 0 3313 htmvoc_852.wav ウンヌイー ⸢ウンヌ⸣イー [⸢ʔunnu⸣iː] 名 サツマイモを煮て、イ⸢ビ⸣ラ[ʔi⸢bi⸣ra](大型のしゃもじ、「飯箆」の義)で捏ねたもの。握ったり、そのまま碗に装って食した。 ム⸢カ⸣セー ⸢ウンヌイー⸣バ ッ⸢ふァイル⸣ フ⸢ドゥベー⸣ティ ⸣ムカーヤ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔunnuiː⸣ba f⸢fairu⸣ ɸu⸢dubeː⸣ti ⸣mukaːja] (昔は芋のご飯を食べて成長したものだよ)。サツマイモを煮て、捏ねたもの。直径約10センチほどのソフトボールの大きさに握って弁当にした。 ⸢ウンヌ⸣イー ム⸢リティ⸣ サ⸢ギティー⸣グナー イ⸢リティ⸣ サイ ⸢シ⸣キリ [⸢ʔunnu⸣ʔiː mu⸢riti⸣ sa⸢gitiː⸣gunaː ʔi⸢riti⸣ sai ʃi̥⸢ki⸣ri] (芋の飯を握って吊るし籠<下げ籠>に入れて吊るしておきなさい)。 ム⸢カ⸣シェー ⸣シンピーズー ⸢ウンヌイー⸣バ ッ⸢ふァイヤー⸣ティル ス⸢ダティラリ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʃimpiːʣu ⸢ʔunnuʔiː⸣ba f⸢faijaː⸣tiru su⸢datirari⸣ta] (昔は、毎日芋のご飯を食べながら育てられた) 3529 0 0 3314 htmvoc_3529.wav ウンヌカイ ⸢ウンヌ⸣カイ [⸢ʔunnu⸣kai] 名 芋粥。芋を粥状に炊いたもの。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸢ウンヌ⸣カイティ ⸢スームン⸣ ッ⸢ふァイ ミッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸢ʔunnu⸣kaiti ⸢suːmuŋ⸣ f⸢fai mit⸣taŋ] (終戦直後<戦世の後>に芋粥というのを食べたことがある<食べてみた>) 3530 0 0 3315 htmvoc_3530.wav ウンヌカザ ⸢ウンヌ⸣カザ [⸢ʔunnu⸣kaʣa] 名 いもかずら(芋蔓)。 ⸢ウンヌ⸣カザー ピ⸢ビザン⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢ʔunnu⸣kaʣaː pi⸢biʣan⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (芋蔓は山羊に喰わせせなさいよ) 3306 0 0 3316 htmvoc_3306.wav ウンヌカシ ⸢ウンヌ⸣カシ [⸢ʔunnu⸣kaʃi] 名 いもかす(芋粕)。サツマイモを擂り、絞って澱粉を取り、残り粕を寿司の大きさに手で握り丸めて天日乾燥したもの。非常用の食品として保存した。搗いて粉にし、小麦粉代に用いたり、米や麦、粟と混ぜ煮にして食することもあった。 ⸢ウンヌ⸣カシ ⸢シッ⸣キティ ⸢マイ⸣ナ マ⸢ザー⸣シティ ⸢ネース⸣カー ン⸢マーン⸠ダー [⸢ʔunnu⸣kaʃi ⸢ʃik⸣kiti ⸢mai⸣na ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ⸢neːsu⸣kaː ʔm⸢maːn⸠daː] (芋粕を搗いて米に混ぜて煮ると美味しいよ)。 ⸢ウン⸣バ ⸣ッシ ス⸢ブ⸣リティ ⸢ウー⸣キナ イ⸢リティ ウンヌ⸣クジェー ⸣トゥリ ⸣カシェー ⸢ニー⸣リティ ⸣ティダナ ⸣プシティル タ⸢ブータル [⸢ʔum⸣ba ⸣ʃʃi su⸢bu⸣riti ⸢ʔuː⸣kina ʔi⸢riti ʔunnu⸣kuʤeː ⸣turi ⸣kḁʃeː ⸢niː⸣riti ⸣tidana ⸣pu̥ʃitiru ta⸢buːtaru] (サツマイモは擂って搾って搾り汁を桶に入れて澱粉<芋葛>を取り、絞り糟は握って天日乾燥して保存した<蓄えた>) 3531 0 0 3317 htmvoc_3531.wav ウンヌクジ ⸢ウンヌ⸣クジ [⸢ʔunnu⸣kuʣi] 名 芋(甘藷)の澱粉。「芋の葛粉」の義。単に⸣クジ[⸣kuʣi](澱粉)といえば、甘藷や⸢キー⸣ウン[⸢kiːʔuŋ](キャッサバ)の芋の澱粉を指す。この澱粉でつくるテンプラを、⸢ウンヌ⸣クジティンプラ[⸢ʔunnu⸣kuʣitimpura](芋葛粉テンプラ)といい、誠に美味である。これで⸢ブッ⸣トゥル[⸢but⸣turu](澱粉を揚げてつくった、粘り気のあるジェリー状の食物)を作り、病人に与えて栄養食とした。子供のお八つとしても喜ばれた。サツマイモの澱粉。 ⸢ウンヌ⸣クジシ ⸢ブッ⸣トゥル タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢ʔunnu⸣kuʤiʃi ⸢but⸣turu tḁ⸢ki⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (サツマイモの澱粉でブットゥルを炊いて食べさせなさい) 3532 0 0 3318 htmvoc_3532.wav ウンヌクジティンプラ ⸢ウンヌ⸣クジティンプラ [⸢ʔunnu⸣kuʤitimpura] 名 芋の澱粉<芋葛粉>で揚げたテンプラ。 ⸢ウンヌ⸣クジティンプラー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢ʔunnu⸣kuʤitimpuraː ʔik⸢kem⸣ m⸢maː⸣taŋ] (芋葛粉のテンプラは非常に美味しかった) 3533 0 0 3319 htmvoc_3533.wav ウンヌクジブットゥル ⸢ウンヌ⸣クジブットゥル [⸢ʔunnu⸣kuʤibutturu] 名 芋の澱粉を熱湯で溶かしてゼリー状にしたものを軽く油揚げにした食品。子供のお八つにしたり、老人が黒砂糖を\ruby{塗}{マブ}して食するお茶請けに重宝された。 ⸢ウンヌ⸣クジブットゥル タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [⸢ʔunnu⸣kuʤibutturu tḁ⸢ki⸣ f⸢faːsoːt⸣taŋ] (芋葛ブットゥルを炊いて食べさせてくださった) 3490 0 0 3320 htmvoc_3490.wav ウンヌジブン ⸢ウンヌジブン [⸢ʔunnuʤibuŋ] 連 その時期。その時分。 ⸢ウンヌジブンマー ガッ⸣コーン ⸢ゾーサンキュー⸣カティ ⸢シー⸣ ヤ⸢スミ⸣シタ [⸢ʔunnuʤibummaː gak⸣koːn ⸢ʣoːsaŋkjuː⸣kati ⸢ʃiː⸣ ja⸢sumi⸣ʃi̥ta] (その時期は学校も増産休暇と<して>いって休んだ<休校した>) 3534 0 0 3321 htmvoc_3534.wav ウンヌシラ ⸢ウン⸣ヌ ⸣シラ [⸢ʔun⸣nu ⸣ʃira] 連 鬼の面(ツラ)。鬼の顔。鬼のような恐ろしい形相。 ウ⸢リヌ クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣レーラー マッ⸢タキ ウン⸣ヌ ⸣シラ [ʔu⸢rinu kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣reːraː mat⸢taki ʔun⸣nu ⸣ʃira] (あれ<彼>が怒ったらまるで<全く>鬼の顔だ) 853 0 1 3322 htmvoc_853.wav ウンヌシル ⸢ウン⸣ヌシル [⸢ʔun⸣nuʃiru] 名 {Mn_1}芋の煮汁。「甘藷の汁」の義。掘りたての芋を大鍋で煮る際、煮え上がった煮汁を切ったもの。戦前は芋の煮汁を原料にして酢を造った。それを⸢ウンヌ⸣シルパイル[⸢ʔunnu⸣ʃirupairu](芋汁酢)という。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ウンヌ⸣シルシン ⸢パイル⸣ ス⸢ク⸣ローッタン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔunnu⸣ʃiruʃim ⸢pairu⸣ su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (昔は芋の煮汁でも食酢を造られた)。 853 0 2 3323 htmvoc_853.wav ウンヌシル ⸢ウン⸣ヌシル [⸢ʔun⸣nuʃiru] 名 {Mn_2}芋の実からでる乳液状の汁。芋ほりの際、汁液が衣類や手について汚れ、なかなか落ちないので若者達はそれを嫌がった 3489 0 0 3324 htmvoc_3489.wav ウンヌシル ⸢ウンヌ⸣シル [⸢ʔunnu⸣ʃiru] 名 芋の汁。芋や芋蔓から出る汁液。芋を掘ったり、芋蔓を切ったりする際に出る汁液。手や衣類について黒いシミになる。 ⸢ウンヌシル⸣ヌ ⸣ティーナ ⸢フシゥ⸣カリ ス⸢マリティ⸣ ウ⸢ティラン⸣バン [⸢ʔunnuʃiru⸣nu ⸣tiːna ⸢ɸusï⸣kari su⸢mariti⸣ ʔu⸢tiram⸣baŋ] (芋の汁液が手にくっつき染まって落ちないわい) 3535 0 1 3325 htmvoc_3535.wav ウンヌシル ⸢ウン⸣ヌ ⸣シル [⸢ʔun⸣nu ⸣ʃiru] 連 {Mn_1}芋の汁。芋を掘ったときに出る芋の汁。手や衣服に付着すると落としにくい。 ⸢ウン⸣ヌ ⸣シルヌ ⸣キンナ ス⸢マリティ⸣ ウ⸢ティラ⸣ヌ [⸢ʔun⸣nu ⸣ʃirunu ⸣kinna su⸢mariti⸣ ʔu⸢tira⸣nu] (芋の汁が着物に染まって落ちない)。 3535 0 2 3326 htmvoc_3535.wav ウンヌシル ⸢ウン⸣ヌ ⸣シル [⸢ʔun⸣nu ⸣ʃiru] 連 {Mn_2}芋を煮た煮汁。豚の飼料を煮るのに利用した。 ⸢ウン⸣ヌシルナ イ⸢ズン⸣プニ イ⸢リティ オー⸣ヌイー バ⸢カシ⸣バ [⸢ʔun⸣nu ⸣ʃiruna ʔi⸢ʣum⸣puni ʔi⸢riti ʔoː⸣nu ⸣ʔiː ba⸢kaʃi⸣ba] (芋の煮汁に魚の骨を入れて豚の餌<飯>を炊きなさい) 3498 0 1 3327 htmvoc_3498.wav ウンヌスーワン ⸢ウンヌ スー⸣ワン [⸢ʔunnu suː⸣waŋ] 文 {Mn_1}運勢が強い。幸運である。強運である。 ⸢ワー⸣ イッ⸢ケナ ウンヌ スー⸣ワンダ シ⸢ナヌ⸣ティ ⸣アンマー ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢waː⸣ ʔik⸢kena ʔunnu suː⸣wanda ʃi⸢nanu⸣ti ⸣ʔammaː ⸢ʔaʣoːt⸣ta] (君は非常に運が強い<強運だ>から死なないとお母さんがいわれた)。 3498 0 2 3328 htmvoc_3498.wav ウンヌスーワン ⸢ウンヌ スー⸣ワン [⸢ʔunnu suː⸣waŋ] 文 {Mn_2}運のめぐり合わせが厳しい。 プ⸢スヌ⸣ マ⸢リビーヤ ウンヌ スー⸣ワンダ ⸣ユー ⸢キー ⸣シ⸢キ⸣リティ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [pu̥⸢sunu⸣ ma⸢ribiːja ʔunnu suː⸣wanda ⸣juː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣riti na⸢raː⸣soːtta] (人の生まれ日<誕生日>は運のめぐり合わせが厳しいから、よく気をつけなさいと教えられた) 3536 0 0 3329 htmvoc_3536.wav ウンヌダーキ ⸢ウンヌダー⸣キ [⸢ʔunnudaː⸣ki] 名 芋を炊いて、イ⸢ビ⸣ラ[ʔi⸢bi⸣ra](大型の杓文字{EOS}「飯箆」の義)で捏ねて作った食品。芋を潰し、捏ねて作ったご飯。お握りにしたり、そのままお碗に入れて食した。稀に米を入れて炊くこともあった。煮た芋を捏ねた状態が⸢ダー⸣キ[⸢daː⸣ki]である。 ⸢ウンヌダー⸣キ タ⸢キ⸣ ム⸢リティ⸣ヨー ⸢アン⸣スクナー ⸣フナイティ ⸢パイ⸣ター ⸢パッ⸣タ [⸢ʔunnudaː⸣ki tḁ⸢ki⸣ mu⸢riti⸣joː ⸢ʔan⸣su̥kunaː ⸣ɸunaiti ⸢pai⸣taː ⸢pat⸣ta] (ウンヌダーキを炊いて、お握りにして<盛って>ねえ、アンスクに押し込んで南端<西表島>へ行った)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ウンヌダー⸣キ カー⸢ニ⸣ ッ⸢ふァイヤー⸣ティル ス⸢ダティラリ⸣タ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔunnudaː⸣ki kaː⸢ni⸣ f⸢faijaː⸣tiru su⸢datirari⸣ta⸢daː] (昔は芋のご飯だけを食べて育てられたものだよ) 12313 0 0 3330 htmvoc_12313.wav ウンヌニージル ⸢ウン⸣ヌ ⸢ニージル [⸢ʔun⸣nu ⸢niːʤiru] 連 サツマイモの煮汁。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ウン⸣ヌ ⸢ニージル⸣シル ⸢パイロー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔun⸣nu ⸢niːʤiru⸣ʃiru ⸢pairoː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (昔はサツマイモの煮汁で酢を造られた) 3537 0 0 3331 htmvoc_3537.wav ウンヌパー ⸢ウンヌ⸣パー [⸢ʔunnu⸣paː] 名 芋の葉。サツマイモ(甘藷)の葉。野菜の少ない鳩間島では、お汁の具にすることが多かった。カツオの頭のだし汁の濃厚な味を抑えて調和した味を作り出した。また、水中眼鏡のガラスが曇るとサツマイモの葉を擦りつけて磨くと透明になった。 イ⸢ズヌ⸣ スーナ ⸢ウンヌ⸣パー イ⸢リティ⸣ バ⸢カシ⸣バ [ʔi⸢ʣunu⸣ suːna ⸢ʔunnu⸣paː ʔi⸢riti⸣ ba⸢kaʃi⸣ba] (魚のお汁に芋の葉を入れて炊きなさいよ) 3538 0 0 3332 htmvoc_3538.wav ウンヌパーズーシ ⸢ウンヌ⸣パーズーシ [⸢ʔunnu⸣paːʣuːʃi] 名 芋の葉雑炊。芋の葉と米と魚を入れて炊いた雑炊。離島では降雨の少ない夏季には青野菜が収穫できないので芋の葉を青野菜の代わりに利用した。 ナ⸢チェー パーヤサイヌ ナーン⸣ユンダ ⸢ウンヌ⸣パー カ⸢カイ⸣キーティ ⸢ズー⸣シ バ⸢カシ⸣ ン⸢コーッ⸣タ [na⸢ʧeː paːjasainu naːŋ⸣junda ⸢ʔunnu⸣paː kḁ⸢kai⸣kiːti ⸢ʣuː⸣ʃi ba⸢kaʃi⸣ ʔŋ⸢koːt⸣ta] (夏は葉野菜がないから芋蔓の葉を摘んで<捥いで>きて、雑炊に炊いて召し上がられた)。 ⸢ウンヌ⸣パーズーシェー イ⸢ズダシヌ⸣ シ⸢キティ⸣ ン⸢マー⸣タン⸢ダー [⸢ʔunnu⸣paːʣuːʃeː ʔi⸢ʣudaʃinu⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔm⸢maː⸣tan⸢daː] (芋の葉雑炊は魚の出汁が効いて美味しかったよ) 3540 0 0 3333 htmvoc_3540.wav ウンヌバス ⸢ウンヌ⸣バス [⸢ʔunnu⸣basu] 連 その時。ある事件のあった(または、ある事件の起きる)時。その場合。 ⸢ウンヌバス⸣ヌ サ⸢ニ⸣ヤー ⸣メー ⸢ティン ヌール⸣ ブカラ ⸢ヤッタ⸣ダー [⸢ʔunnubasu⸣nu sa⸢ni⸣jaː ⸣meː ⸢tin nuːru⸣bukara ⸢jatta⸣daː] (あの時<場面>の嬉しさは、天に昇る程だったよ) 3499 0 0 3334 htmvoc_3499.wav ウンヌピン ⸢ウンヌ⸣ ピン [⸢ʔunnu⸣ piŋ] 連 その時(話題の中の事件の時)。当時<話題の時>。 ⸢ウンヌ⸣ ピン ⸢シー⸣シキ ブ⸢レー⸣バ ⸣ミサタムヌ キ⸢ム⸣ヤミ ナ⸢ラン⸣サー [⸢ʔunnu⸣ piŋ ⸢ʃiː⸣ʃi̥ki bu⸢reː⸣ba ⸣misatamunu ki⸢mu⸣jami na⸢ran⸣saː] (その時やっておけばよかったのに、後悔して仕方がない) 3541 0 0 3335 htmvoc_3541.wav ウンヌピン ⸢ウンヌ⸣ピン [⸢ʔunnu⸣piŋ] 連 その時。ある事が行われた、また、ある事が行われる日(その時)。その当日。 ⸢プー⸣ルナー ⸢インタ アンタヌ ゾーラキン ソーッ⸣タン マ⸢タ ウンヌ⸣ピンナー ⸢パー⸣レーン クイ⸢ヨーッ⸣タン [⸢puː⸣runaː ⸢ʔinta ʔantanu ʣoːrakin soːt⸣taŋ ma⸢ta ʔunnu⸣pinnaː ⸢paː⸣reːŋ kui⸢joːt⸣taŋ] (豊年祭には西村、東村の常楽踊り<入れ子型芸能>もなされた{EOS}その日には爬竜船競漕も漕がれた) 3543 0 0 3336 htmvoc_3543.wav ウンヌマーラー ⸢ウンヌマーラー [⸢ʔunnu maːraː] 連 その頃(話題の時季、時刻を含む)あの頃。あの時分(会話時に近い時刻)。 ⸢ウンヌマーラー⸣ パ⸢トゥ⸣マナー カ⸢ツシンマー⸣ サンズ ブ⸢リブタ⸣ナー [⸢ʔunnumaːraː⸣ pḁ⸢tu⸣manaː kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ sanʣu bu⸢ributa⸣naː] (あの頃は鳩間島にはカツオ漁船が三艘操業していた<居りおった>ねえ)。 ⸢ウンヌマーラヌ⸣ クトゥ [⸢ʔunnumaːranu⸣ ku̥tu] (あの頃のこと) 3544 0 0 3337 htmvoc_3544.wav ウンヌミース ⸢ウンヌミー⸣ス [⸢ʔunnumiː⸣su] 名 芋の味噌。芋味噌。お汁の調味料に用いる味噌。甘藷をウ⸢ルシン⸣ガニ[ʔu⸢ruʃiŋ⸣gani](卸がね{EOS}芋すり器)で卸して蒸し、糠は⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](大鍋{EOS}四枚鍋)で炊いて、冷ました蒸し芋と混ぜてねかし、麹をたてる。出来た麹に卯の花<おから>の蒸したものを混ぜ、塩を加えてよく搗いてから甕に詰めて仕込む。一ヶ月ほど醗酵させて仕上げる。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ウンヌミー⸣ス ス⸢ク⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ⸢ʔunnumiː⸣su su̥ku⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今は芋味噌を作る人はいない) 854 0 0 3338 htmvoc_854.wav ウンヌムチ ⸢ウンヌ⸣ムチ [⸢ʔunnu⸣muʧi] 名 芋の餅。サツマイモを磨り下ろし、それを芭蕉の葉に包んで蒸し上げて作った餅。もち米がないとき、または間食用につくった。 ⸢ウンヌ⸣ムチェー ム⸢チマイヌ ナーン⸣ ピン ⸢ウン⸣バ ⸣ッシティ バ⸢サン⸣パーナ ッ⸢ス⸣ミ ン⸢ブ⸣シティル ス⸢ク⸣ローッタ [⸢ʔunnu⸣muʧeː mu⸢ʧimainu naːm⸣piŋ ⸢ʔum⸣ba ⸣ʃʃiti ba⸢sam⸣paːna s⸢su⸣mi ʔm⸢bu⸣ʃi̥tiru su̥⸢ku⸣roːtta] (芋餅はもち米がないときに芋を磨り下ろして芭蕉の葉に包み、蒸し上げて作られた)。 ウン ⸣ッシティ ⸢ウンヌ⸣ムチ ⸢ネーサ⸣ナー [⸣ʔuŋ ⸣ʃʃiti ⸢ʔunnu⸣muʧi ⸢neːsa⸣naː] (芋を摩り下ろして芋餅を作ろう<煮よう>ね) 3546 0 1 3339 htmvoc_3546.wav ウンネ ⸢ウン⸣ネ [⸢ʔun⸣ne] 名 {Mn_1}その家。話題の家。 ⸢ウン⸣ネナー タ⸢ビヌプス⸣ヌ ⸣ユー トゥ⸢マローッ⸣タン [⸢ʔun⸣nenaː ta⸢binu pu̥su⸣nu ⸣juː tu⸢maroːt⸣taŋ] (その家には旅の人がよく宿泊された)。 3546 0 2 3340 htmvoc_3546.wav ウンネ ⸢ウン⸣ネ [⸢ʔun⸣ne] 名 {Mn_2}<その家>。心理的に話者に近い。「この家」と重なる。⸢カン⸣ネ[⸢kan⸣ne](あの家<話者より遠いあの家>)の対義語。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣フニ [⸢ʔun⸣nenu ⸣ɸuni] (その家の船<サバニ>)。 ⸢ウン⸣ネーラ カ⸢リ⸣クー [⸢ʔun⸣neːra ka⸢ri⸣kuː] (その家から借りて来い)。 ⸢ウン⸣ネール マ⸢シ [⸢ʔun⸣neːru ma⸢ʃi] (その家がいい)。 ⸢ウン⸣ネーバ タ⸢ユ⸣リ ッ⸢ふァ ガッ⸣コー ン⸢ザシ⸣タ [⸢ʔun⸣neːba ta⸢ju⸣ri f⸢fa gak⸣koː ʔn⸢ʣaʃi̥⸣ta] (その家を頼って子供を進学させた<学校出した>)。 ⸢クン⸣ネ [⸢kun⸣ne] (此の家)。 ⸢カン⸣ネ [⸢kan⸣ne] (あの家) 3539 0 0 3341 htmvoc_3539.wav ウンバカシジブン ⸢ウンバカシ⸣ジブン [⸢ʔumbakaʃi⸣ʤibuŋ] 名 サツマイモを煮る<炊く>時刻(時分)。午後5~6時頃に畑から掘ってきたサツマイモを笊に入れて海へ行き、笊に片足を突っ込んで芋粗いをして泥を落とし、⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](大鍋<四枚鍋>)に入れて炊いた。 ⸢ウンバカシ⸣ジブン ナ⸢リ⸣ブバ ⸢パー⸣ク ⸣ウン ア⸢ライ⸣クー [⸢ʔumbakaʃi⸣ʤibun na⸢ri⸣buba ⸢paː⸣ku ⸣ʔuŋ ʔa⸢rai⸣kuː] (芋を炊く時刻になっているから、早く芋を洗ってきなさい) 3547 0 0 3342 htmvoc_3547.wav ウンパンシン ⸢ウンパン⸣シン [⸢ʔumpaŋ⸣ʃiŋ] 名 運搬船。昭和に入って石垣から鳩間経由西表祖内行きの定期航路に運搬船が就航した。鳩間島からは石垣向けに米や鰹節、ツノマタ、豚、薪などの貨物が運賃を支払って定期的に運ばれた。 ⸢ウンパンシン⸣マー イ⸢チ⸣ クーカヤー [⸢ʔumpaŋʃim⸣maː ʔi⸢ʧi⸣ kuːkajaː] (運搬船はいつ入港する<来る>かね) 3542 0 0 3343 htmvoc_3542.wav ウンプトゥキ ⸣ウンプトゥキ [⸣ʔumputuki] 名 石垣市桃林寺正門の両側に安置された\ruby{阿吽}{ア|ウン}の仁王像。「鬼仏」の義。鬼のような激しい形相の仏像で、拝観者の邪気を祓うと信仰されている。鳩間島では虚弱体質で病気がちな子供は一度桃林寺の仁王像を拝ませると病気が治るといわれていた。 ⸣ドゥーパダヌ ⸢ヨー⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウンプトゥキ ウ⸢ガマ⸣スカー ⸢ノー⸣ルンツォー [⸣duːpadanu ⸢joː⸣ f⸢faː⸣ ʔumpu̥tuki ʔu⸢gama⸣su̥kaː ⸢noː⸣runʦoː] (体が弱い子供は桃林寺の仁王仏を拝ませると治るそうだ) 3548 0 0 3344 htmvoc_3548.wav ウンマガータ ⸢ウンマガー⸣タ [⸢ʔummagaː⸣ta] 名 かたぐるま(肩車)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ウンドーカイ⸣ヌ ⸣ピン ⸢ウンマガー⸣タ ⸢シェー⸣ティ ハ⸢チマ⸣キ トゥ⸢リスー⸣ブ シ⸢タン⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔundoːkai⸣nu ⸣piŋ ⸢ʔummagaː⸣ta ⸢ʃeː⸣ti ha⸢ʧima⸣ki tu⸢risuː⸣bu ʃi̥⸢tan⸣daː] (昔は運動会の日に肩車をしながら鉢巻をとる競争をしたものだよ) 3261 0 0 3345 htmvoc_3261.wav ウンミサク ⸣ウンミサク [⸣ʔu⸢misaku] 名 藷酒。芋の神酒。ミ⸢サク[mi⸢saku](神酒{EOS}御酒)に、原料の藷が付いたもの。古典民謡パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)の中に歌われている。/ウンミサクン シゥクリヨリヨー アワミサクン シゥクリヨリヨー/ウンミサクヌ フカイバナヨー アワザキヌ アムリバナヨー/(芋神酒もお造りなさいませ 粟神酒もお造りなさいませ/芋神酒が最も醗酵する時、粟酒が泡を盛り上げる時)(「鳩間中岡」第十、十一連参照{EOS}『鳩間誌』) 3550 0 0 3346 htmvoc_3550.wav エー ⸢エ⸣ー [⸢je⸣~ʔe⸣ː] 感 おい。君!同輩または目下の者へ呼びかける言葉。⸢エ⸣ー[⸢ʔe⸣ː](おい{EOS}君{EOS!})ともいう。 ⸢エ⸣ー ⸢ワー⸣ ウナー ⸢ヌー⸣ スワ [⸢je⸣ː ⸢waː⸣ ʔunaː ⸢nuː⸣ suwaː] (おい、お前、そこで何をするのか)。 ⸢エ⸣ー ⸣バー ア⸢ズ⸣ムニ シ⸢キ⸣バ⸢ツォー [⸢je⸣ː ⸣baː ʔa⸢ʣu⸣muni ʃi⸢ki⸣ba⸢ʦoː] (おい、僕の言うことを聞けよ<聞けよってば>) 3552 0 0 3347 htmvoc_3552.wav エーエー ⸢エ⸣ー⸢エ⸣ー [⸢ʔe⸣ː⸢ʔe⸣ː~⸢je⸣ː⸢je⸣ː] 感 おいおい。⸢ィエ⸣ー⸢ィエ⸣ー[⸢je⸣ː⸢je⸣ː](おいおい)ともいう。目下の者へ呼びかける言葉。⸢ィエ⸣ー[⸢je⸣ː](おい)のABAB型の重言。 ⸢エ⸣ー⸢エ⸣ー カ⸢マー⸣ パリ ⸣カナー ⸢ギー⸣ ア⸢サビ [⸢je⸣ː⸢je⸣ː ka⸢maː⸣ pari ⸣kanaː ⸢giː⸣ ʔa⸢sabi] (おいおい、あっちへ行け{EOS!}あっちへ行って遊べ) 3553 0 0 3348 htmvoc_3553.wav エージ ⸢エージ [⸢ʔeːʤi] 名 (動)鮫魚の名。和名、オナガザメ(体長約4メートルに達するものがいる)。鳩間島ではあまり見られない 3551 0 0 3349 htmvoc_3551.wav エーッ エ⸢ーッ [ʔe⸢ːʔ~je⸢ːʔ] 感 驚きや感嘆した時に発する言葉。ええっ。エ⸢ーッ[je⸢ːʔ]ともいう。 エ⸢ー ヌー⸣ シタ⸢ー ナン⸣ヌ ウ⸢クリ⸣ストゥ⸢ー [ʔe⸢ːʔ nuː⸣ʃi̥ta⸢ː nan⸣nu ʔu⸢kuri⸣su̥tu⸢ː] (ええっ?、 どうしたって?津波がおこるって?) 3554 0 0 3350 htmvoc_3554.wav エン ⸣エン [⸣ʔeŋ] 名 来年。⸣ィエン[jeŋ]ともいう。⸢エン⸣マー ユ⸢クン⸣ マ⸢シヌ⸣ トゥシ ユ⸢ガフドゥシ⸣ ン⸢カイラリ⸣ タ⸢ボー⸣リ[⸢ʔem⸣maː ju⸢kum⸣ ma⸢ʃinu⸣tu̥ʃi ju⸢gaɸuduʃi⸣ ʔŋ⸢kairari⸣ ta⸢boː⸣ri](来年はより一層の増しな年、豊年がむかえられてくださいませ<迎えられて賜れ>)「ヘイヤー ヤンヌ ユーヤ ホー ナヒンダラ ヘイヤー ンカイル ユーヤ ホー ユクンダラ」(豊年祭の歌{EOS}<ピナイウガン、鬚川お嶽>の歌、第三連)『鳩間島古典民謡古謡集』。「やあに」『混効験集』の転訛か 3555 0 0 3351 htmvoc_3555.wav エントゥシ ⸣エントゥシ [⸣jentuʃi] 名 翌年。過去及び未来の一定の時を基準にして、その翌年(来年)の意。⸣エンドゥシ[⸣jenduʃi](翌年)ともいう。 イ⸢クサユー⸣ヌ エントゥシナール ⸢サンナン⸣マー マ⸢リブレー⸣バン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣jentuʃinaːru ⸢sannam⸣maː ⸣ma⸢ribureː⸣baŋ] (戦争の翌年に三男は生まれたのであった)。 ⸢エン⸣マー ⸣アボー ハチジュー⸢ゴーヌ ソーニヨイ ウンヌ⸣ エンドゥシェーヤ ⸢アー⸣ヤー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ ア⸢タリブー [⸢jem⸣maː ⸣ʔaboː hḁʧiʤuːgoːnu soːnijoi ʔunnu⸣ jenduʃeːja ⸢ʔaː⸣jaː ⸢toːkaki⸣nu ⸣joi ʔa⸢tari buː] (来年はお母さんの八十五の誕生祝い、その翌年はお父さんの斗掻<米寿>のお祝いに当っている) 3556 0 0 3352 htmvoc_3556.wav エントツ ⸢エントツ [⸢jentoʦu] 名 煙突。標準語からの借用語。鰹節製造工場が鳩間島に建設されつようになって、煙突が造られるようになった。戦前、東村の鰹節製造工場には、コンクリート造りの近代的な高い煙突があったが、戦災にあい破壊された。 ⸢アンタヌ⸣ カ⸢ツシンヌ シーゾー⸣ヤーナー ⸢エントツン⸣ ア⸢リ⸣ブタンドゥ バ⸢ク⸣ダンシ ⸢クーサ⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸢ʔantanu⸣ kḁ⸢ʦuʃinnu ʃiːʣoː⸣jaːnaː ⸢jentoʦuŋ⸣ ʔa⸢ri⸣butandu ba⸢ku⸣daŋʃi ⸢kuːsa⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (東村の鰹漁船の鰹節製造工場には煙突もあったが爆弾で破壊されてしまった) 3558 0 0 3353 htmvoc_3558.wav オー ⸣オー [⸣ʔoː] 名 (動)豚。ウワ[ʔuwa] → オー[ʔoː]のように音韻変化して形成された語。『語音翻訳』(1501年)に「猪'u'oa」、『琉球館訳語』(15世紀半ば)に「猪 烏哇」、『沖縄対話』(1880年)に「豚 ウワー」とある。「烏哇」は[ʔuwa]の漢字音表記であるから、15世紀ごろの首里方言は[ʔuwa]に近い音韻であったと考えられる。波照間方言や西表租納方言、座間味方言、喜界島方言に[ʔuwa]が分布している(『図説琉球語辞典』参照)のは上記の音韻変化を証明するものと考えられる。 ⸣オー シゥ⸢カ⸣ナウン [⸣ʔoː sï̥⸢ka⸣nauŋ] (豚を飼育する)。 ⸢オー⸣ヤ ⸢ピン⸣ギパリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoː⸣ja ⸢piŋ⸣gipari ⸢naː⸣nu] (豚は逃げてしまった)。 ⸢オー⸣ヌ ⸣ンギパル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔŋgiparuku̥toː ⸢naː⸣nu] (豚が逃げていくことはない)。 ⸢オー⸣ヌ ⸣バタ [⸢ʔoː⸣nu ⸣bata] (豚の内臓)。 ⸣オーラン ビ⸢ナー⸣ル [⸣ʔoːram bi⸢naː⸣ru] (豚よりも不潔である)。 ⸢オー⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [⸢ʔoː⸣tu ju⸢nu⸣munu] (豚と同様だ)。 オーカー⸢ニ カイ⸣クー [ʔoːkaː⸢ni kai⸣kuː] (豚だけ買ってこい)。 ⸣オーンツァン シゥ⸢カナイユーサ⸣ヌ [⸣ʔoːnʦan sï̥⸢kanaijuːsa⸣nu] (豚さえも飼育できない)。 ⸢オー⸣バ シゥ⸢カナイ⸣ヤーティル ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダティタ⸣ル [⸢ʔoː⸣ba sï̥⸢kanai⸣jaːtiru f⸢fa⸣ su⸢datita⸣ru] (豚を飼育しながらが<ぞ>それを売って子供を育てたのだ) 3560 0 0 3354 htmvoc_3560.wav オー ⸢オ⸣ー [⸢ʔo⸣ː] 感 応答する語(謙譲語)。敬語の一つで、目上の人に対して承諾した旨の返事をへりくだ(謙)って用いる語。「はい(承知致しました)」、「畏まりました(拝承知しました)」の意。⸢ウ⸣ー[⸢ʔu⸣ː](はい<拝承知しました>)より謙譲度は小さい。ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸢ワー タンガ⸣シ ⸢カイ⸣シ⸢ヨー[ku⸢nu taː⸣ja ⸢waː taŋga⸣ʃi ⸢kai⸣ʃi⸢joː](この田圃は君一人で耕しなさいね)の問いに対して、⸢オ⸣ー[⸢ʔo⸣ː](はい<承知致しました>)のように応答する。「おほう」(承ていらへる言葉なり)『混効験集』 3561 0 0 3355 htmvoc_3561.wav オー ⸢オー [⸢ʔoː] 感 応答する語(返事)。「はい?」。目上の人に呼ばれたときの返事。コー⸢ネー[koː⸢neː](坊や)、ピ⸢シェー[pi̥⸢ʃeː](娘よ)と呼ばれると、⸢オー[⸢ʔoː](はい?)と答えるように用いる。「をほう」(いらへる言葉なり)『混効験集』参照 3562 0 0 3356 htmvoc_3562.wav オーカー ⸢オーカー [⸢ʔoːkaː] 名 表皮。うわかわ(上皮)。 ⸢オーカーヤ⸣ キ⸢ジ⸣ シ⸢キ⸣ブンドゥ ⸢オーカー⸣ パグカー ナ⸢カー⸣ ノー⸢ン サヌ [⸢ʔoːkaːja⸣ ki⸢ʤi⸣ ʃi̥⸢ki⸣bundu ⸢ʔoːkaː⸣ pagukaː na⸢kaː⸣ noː⸢n sanu] (表皮は傷がついているが、表皮を剥ぐと中身は何の傷もない<なんでもない>)。 ⸢オーカーヌ⸣ ッサリティ [⸢ʔoːkaːnu⸣ ssariti] (表皮が腐れて)。 ⸢オーカーバ⸣ シジ [⸢ʔoːkaːba⸣ ʃiʤi] (表皮を煎じて)。 ⸢オーカー⸣シ ス⸢ク⸣リ [⸢ʔoːkaː⸣ʃi su̥⸢ku⸣ri] (表皮で作れ)。 ⸢オーカー⸣ナル フ⸢チ⸣ロー ⸣アル [⸢ʔoːkaː⸣naru fu̥⸢ʧi⸣roː ʔaru] (表皮にこそ薬<栄養分>はある) 3563 0 0 3357 htmvoc_3563.wav オーカクチ ⸢オーカクチ [⸢ʔoːkakuʧi] 名 うわあご(上顎)。 マー⸢ン⸣ ヤ⸢マ⸣シェー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢ブシ⸣トゥイラー ⸢オーカクチヌ⸣ ヤ⸢ム⸣ヌ ⸣ヌーカヤー [maː⸢ɲ⸣ ja⸢ma⸣ʃeː ⸢naːnu⸣nu ⸢buʃi⸣tuira ⸢ʔoːkakuʧinu⸣ ja⸢mu⸣nu ⸣nuːkajaː] (どこも痛めてはないが一昨日から上顎が痛むのだが何だろうか) 3567 0 0 3358 htmvoc_3567.wav オーカマー ⸣オーカマー [⸣ʔoːkamaː] 名 ばか者。怠け者。他人を軽く罵る言葉。 ⸣オーカマー ⸢ウンザ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムニ ⸢ピッ⸣チン シゥ⸢カヌ [⸣ʔoːkamaː ⸢ʔunʣa⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muni ⸢pit⸣ʧin sï̥⸢kanu] (ばか者めが、あいつは人の言うことをちっとも聞き入れない)。不潔で愚鈍な奴。馬鹿な奴。卑語。「豚カマ奴」の義か。 ⸣オーカマー ⸢ウンザ⸣ アイブ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジェー⸣テイ ⸢アー⸣ク [⸣ʔoːkamaː ⸢ʔunʣa⸣ ʔaibu mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (不潔で馬鹿な奴めが、あんな言葉を言いふらしてあるくよ)。 ⸣オーカマー ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン⸣シ ⸢ブー⸣ ムヌン ッ⸢ふァイス [⸣ʔoːkamaː ja⸢runda⸣ noː⸢ŋ⸣ʃi ⸢buː⸣ munun f⸢faisu] (不潔で愚鈍な奴だから、どのようなものでも<いかようにしてあるものでも>食べるよ) 3617 0 0 3359 htmvoc_3617.wav オーク ⸢オーク [⸢ʔoːku] 名 米粉。餅を作るときに、一晩水に浸けた\ruby{粳米}{ウルチ|マイ}を臼で搗いて作った粉。これを箕に広げて、\ruby[g]{蒸籠}{セイロ}で\ruby{蒸煮}{ムシ|ニ}した餅を取り、適当に成型して餅に仕上げた。 ⸢オークバ ソー⸣キナ ピ⸢ルギ⸣ シキティ ム⸢チヌ ニール⸣カー ⸢シェーロー⸣ラ ⸢ソー⸣キナ ウ⸢ティティル⸣ ム⸢チェー⸣ ス⸢ク⸣ローッタル [⸢ʔoːkuba soː⸣kina pi⸢rugi⸣ ʃi̥kiti mu⸢ʧinu niːru⸣kaː ⸢ʃeːroː⸣ra ⸢soː⸣kina ʔu⸢titiru⸣ mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢ku⸣roːttaru] (米粉を箕に広げておいて、餅が煮えたら蒸籠から箕に移して<ぞ>餅は作られたものだ) 3564 0 0 3360 htmvoc_3564.wav オークー ⸢オークー [⸢ʔoːkuː] 名 まぶす為の米粉。うきこ(浮粉)。とりこ(取り粉)。餅が手や物に粘りつかないようにまぶす(塗)米の粉。一晩水に漬けた粳米を臼に入れて杵で細かく搗き、⸣シノー[⸣ʃinoː](篩い)にかけて粗い粉を更に搗いて細かくした粉。餅を\ruby{蒸篭}{セイ|ロウ}から取り出す際に、⸢ソー⸣キ[⸢soː⸣ki](箕{EOS}竹笊)に広くまぶし(塗)ておき、その上で各種の餅型に整形する。 ム⸢チヌ オークー⸣ シキバ [mu⸢ʧinu ʔoːkuː⸣ ʃi̥kiba] (餅の取り粉を搗きなさい)。 ⸢オーコー⸣ タ⸢ラーヌ [⸢ʔoːkoː⸣ ta⸢raːnu] (取り粉は足りない)。 ⸢オークバ⸣ トゥリ [⸢ʔoːkuba⸣ turi] (取り粉を取れ)。 ⸢オークヌ⸣ タ⸢ラーヌ [⸢ʔoːkunu⸣ ta⸢raːnu] (取り粉が足りない)。 ⸢オーク⸣シ オ⸢シ⸣ロイ ⸣シキバ [⸢ʔoːku⸣ʃi ʔo⸢ʃi⸣roi ⸣ʃi̥kiba] (まぶし粉を白粉にして顔に塗りつけなさい) 3565 0 0 3361 htmvoc_3565.wav オークラサー ⸣オークラサー [⸣ʔoːkurasaː] 名 豚屠殺業者。⸣オーサー[⸣ʔoːsaː](豚屠殺業者)ともいう。石垣島には専門の業者がいたが、鳩間島では成人男性の多くが屠殺の経験があった。自家用の肉を得るため、飼育している豚を\ruby{屠}{ホフ}る必要があったからである。 イ⸢サナキナー⸣ル ⸣オークラサー ⸢オーッタ⸣ル パ⸢トゥ⸣マプソー ⸣ドゥーシル ⸢オー⸣ヤ ク⸢ラソーッ⸣タ [ʔi⸢sanakinaː⸣ru ⸣ʔoːkurasaːja ⸢ʔoːtta⸣ru pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸣duːʃiru ⸢ʔoː⸣ja ku⸢rasoːt⸣ta] (石垣島にが<ぞ>豚屠殺業者はおられたのであって、鳩間人は自分で豚を屠殺された<殺された>) 3566 0 0 3362 htmvoc_3566.wav オーサー ⸣オーサー [⸣ʔoːsaː] 名 豚屠殺業者。「豚扱い者」の義か。 イ⸢サナキヌ⸣ オーサーヤ ⸢パンタリプスヌ⸣ル ⸢ゴー⸣ラータ [ʔi⸢sanakinu⸣ ʔoːsaːja ⸢pantaripu̥sunu⸣ru ⸢goː⸣raːta] (石垣島の豚屠殺業者は太った人が多かった)。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣オーサーヤ ブ⸢ラーンシェン⸣ ムー⸢ル⸣ ドゥーシル ⸢オー⸣ヤ ク⸢ラシタ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣ʔoːsaːja bu⸢raːŋʃeŋ⸣ muː⸢ru⸣ duːʃiru ⸢ʔoː⸣ja ku⸢raʃi̥ta] (鳩間島には豚屠殺業者はいなかった{EOS}皆自分で豚を屠殺解体<殺>した) 3570 0 0 3363 htmvoc_3570.wav オーサーラ ⸢オー⸣サーラ [⸢ʔoː⸣saːra] 名 お手玉。お手玉遊び。石垣方言からの借用語か。 ム⸢カ⸣シプソー ウブシ⸢ケー⸣マシル ⸢オー⸣サーラ ⸢シー⸣ ア⸢サボーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔubuʃi̥⸢keː⸣maʃiru ⸢ʔoː⸣saːra ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢saboːt⸣taʦoː] (昔の人はおはじきでをして遊ばれたそうだ) 3569 0 0 3364 htmvoc_3569.wav オーサカーサ ⸢オーサカー⸣サ [⸢ʔoːsakaː⸣sa] 名 うわさ(噂)。人口にのぼること。何かと世間の口に上ること。 シ⸢キン⸣ヌ プ⸢スン オーサカー⸣サ シ⸢ラリ⸣ バ⸢カ⸣ヤー ナー⸢ヌー [ʃi̥⸢kin⸣nu pu̥⸢suŋ ʔoːsakaː⸣sa ʃi⸢rari⸣ ba⸢ka⸣jaː naː⸢nuː] (世間の人の噂になって、恥ずかしくないのか) 3568 0 0 3365 htmvoc_3568.wav オーザンマ ⸢オー⸣ザンマ [⸢ʔoː⸣ʣamma] 名 (人)女性の童名。「オーザ・アンマ」が融合変化して形成されたものであろう。 ム⸢カ⸣シプスヌ ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸢ナー⸣ナ ⸢オー⸣ザティ ⸢スー ナーン アッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃipu̥sunu mi⸢dumu⸣nu ⸢naː⸣na ⸢ʔoː⸣ʣati ⸢suː naːŋ ʔat⸣taŋ] (昔の人の、女性の名前にオーザという名前もあった) 3583 0 0 3366 htmvoc_3583.wav オーシェー ⸢オー⸣シェー [⸢ʔoː⸣ʃeː] 名 琉球国時代の村役場。鳩間島の国民学校跡地。現在の公民館の敷地。「明治二十九年六月十六日、初メテ当村ニ於テモ学校ヲ設立スルコトトナリ、当村事務所ノ西隣ノ僅カ九十二坪ノ地ニ、幅ガ二間、長サ三間半、総坪数七坪ノ掘立小屋ヲ作リ、就学児童二十三人ヲ収営シテ大川尋常小学鳩間分校ト称シ、雇教員大濱安能氏当分校勤務ヲ命ゼラル。此レ当村ニ於テ教育ノ嚆矢ナリ」とある「当村事務所」をさす『波濤を越えて』。 ⸢コーミンカン⸣ヌ ⸣アントンル パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢オー⸣シェ ⸢ヤッタ⸣ツォー [⸢koːmiŋkan⸣nu ⸣ʔantonru pḁ⸢tuma⸣nu ⸢ʔoː⸣ʃeː ⸢jatta⸣ʦoː] (公民館のある所が鳩間島のオーシェ<村役場>であったそうだ)。「お上からの仰せ(おおせ)が差し出される所なのでオーシェーという」(『八重山歴史』)という説がある 3571 0 0 3367 htmvoc_3571.wav オーシキ ⸢オーシキ [⸢ʔoːʃiki] 名 天気。天候。若年層は、⸢オシキ[⸢ʔoʃi̥ki](天気)ともいう。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤビティ イ⸢ソー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥kinu⸣ jabiti ʔi⸢soː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (天気が崩れて<敗れて>漁に出られない)。 ⸢オーシケー ノー⸣ルン [⸢ʔoːʃi̥keː noː⸣ruŋ] (天気は回復する<直る>)。 ⸢オーシキバ⸣ ミレーティル イ⸢ガメー⸣ ン⸢ジラ⸣リ [⸢ʔoːʃi̥kiba⸣ mireːtiru ʔi⸢gameː⸣ ʔn⸢ʤira⸣ri] (天気を見て<ぞ>烏賊釣り漁には出漁できる<出られる>)。 ⸣カイブ ⸢オーシキ⸣ナー ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸣kaibu ⸢ʔoːʃi̥ki⸣naː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (こんな天気には船は出されない)。 ⸢オーシキ カイ⸣ヤン [⸢ʔoːʃi̥ki kai⸣jaŋ] (天気がよい)。 ヤ⸢ナオーシキ [ja⸢naʔoːʃi̥ki] (悪天候) 3584 0 0 3368 htmvoc_3584.wav オーシバ ⸢オーシバ [⸢ʔoːʃiba] 名 上唇。ッ⸢サシバ[s⸢saʃiba](下唇)の対義語。 ⸢オーシバ⸣ナー ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoːʃiba⸣naː ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (上唇におできが出来て痛くてたまらない)。 ⸢オーシバヌ⸣ ア⸢シ⸣ボー ム⸢タブ⸣ナティ ア⸢ザリブー [⸢ʔoːʃibanu⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː mu⸢tabu⸣nati ʔa⸢ʣaribuː] (上唇の御出来はいじるな<弄ぶな>と言われている)。 ⸢オーシバー [⸢ʔoːʃibaː] (上唇は)。 ⸢オーシバヌ⸣ フ⸢クルン [⸢ʔoːʃibanu⸣ ɸu̥⸢kuruŋ] (上唇が腫れる)。 ⸢オーシバトゥ⸣ ッ⸢サシバ [⸢ʔoːʃibatu⸣ s⸢saʃiba] (上唇と下唇)。 ⸢オーシバ⸣ナー ピ⸢ニ モー⸣シ ⸢ベー [⸢ʔoːʃiba⸣naː pi⸢ni moː⸣ʃi ⸢beː] (上唇に鬚を生やしている) 3557 0 1 3369 htmvoc_3557.wav オーシムヌ ⸢オーシムヌ [⸢ʔoːʃimunu] 名 {Mn_1}贈り物。 ⸢ソー⸣ランシキヌ ⸣クーカー イ⸢サナキヌ⸣ ウ⸢トゥザマリヌ ヤー⸣ヌ ⸢オーシムヌ⸣ ス⸢コーラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢soː⸣raŋʃi̥kinu ⸣kuːkaː ʔi⸢sanakinu⸣ ʔu⸢tuʣamarinujaː⸣nu ⸢ʔoːʃimunu⸣ su̥⸢koːraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (お盆の月が来たら石垣の親戚の家への贈りものを準備しないといけない) 3557 0 2 3370 htmvoc_3557.wav オーシムヌ ⸢オーシムヌ [⸢ʔoːʃimunu] 名 {Mn_2}到来物。 ク⸢レー⸣ プ⸢スン⸣ヤーラヌ ⸢オーシムヌ [ku⸢reː⸣ pu̥ ⸢suɲ⸣jaːranu ⸢ʔoːʃimunu] (これは余所の家からの到来物だ) 3573 0 0 3371 htmvoc_3573.wav オージル ⸢オージル [⸢ʔoːʤiru] 名 重湯。うわじる(上汁)。 ⸢カイヌ オージルバ⸣ ス⸢クイ⸣ ヌ⸢マ⸣シェーティル ス⸢ダティ⸣タ [⸢kainu ʔoːʤiruba⸣ su̥⸢kui⸣ nu⸢ma⸣ʃeːtiru su⸢dati⸣ta] (お粥の重湯<上汁>を掬って飲ませながら育てた)。 ⸢オージロー⸣ シ⸢ティリ [⸢ʔoːʤiroː⸣ ʃi̥⸢tiri] (上汁は捨てなさい)。 ⸢オージルヌ⸣ アルカー ヌ⸢マ⸣シバ [⸢ʔoːʤirunu⸣ ʔarukaː nu⸢ma⸣ʃiba] (重湯<上汁>があったら飲ませなさいよ)。 ⸢カイヌ オージル⸣ナー ⸣サタ マ⸢ザー⸣シティ ヌ⸢マ⸣シバ [⸢kainu ʔoːʤiru⸣naː ⸣sḁta ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti nu⸢ma⸣ʃiba] (お粥の重湯に砂糖を混ぜて飲ませなさいよ)。 ⸢オージルヌ⸣ ア⸢ジ [⸢ʔoːʤirunu⸣ ʔa⸢ʤi] (重湯の味)。 ⸢オージルトゥ⸣ ヌミバ [⸢ʔoːʤirutu⸣ numiba] (重湯と飲みなさいよ) 3574 0 0 3372 htmvoc_3574.wav オーシルン ⸢オーシルン [⸢ʔoːʃiruŋ] 他動 上位の人に差し上げる。奉る。献上する。謙譲語。⸢オースン[⸢ʔoːsuŋ](差し上げる)と同じ意味だが、やや婉曲で、丁寧な意味が加わる。 ⸢シンシン⸣マー <⸢シンシン⸣ナーネー> ⸣バーラ ⸢オーシルン [⸢ʃiŋʃim⸣maː <⸢ʃiŋʃin⸣naːneː> ⸣baːra ⸢ʔoːʃiruŋ] (先生には私から差し上げます) 3576 0 0 3373 htmvoc_3576.wav オースク ⸢オース⸣ク [⸢ʔoːsu̥⸣ku] 名 いたずら(悪戯)。妨害。邪魔。障害。悪さすること。 ウ⸢リンマー⸣ ス⸢ズーコ オース⸣ク シ⸢ラリミッ⸣タン [ʔu⸢rimmaː⸣ su⸢ʣuːko ʔoːsu̥⸣ku ʃi⸢rari mit⸣taŋ] (彼にはしたたか妨害されたことがある<非常に邪魔されてみた>)。 ⸢オース⸣ク ⸢スン [⸢ʔoːsu̥⸣ku ⸢suŋ] (いたずらする{EOS}邪魔する) 3575 0 0 3374 htmvoc_3575.wav オースン ⸢オー⸣スン [⸢ʔoː⸣suŋ] 他動 実を熟させる。老いさせる。 バ⸢サン⸣ナロー ⸢マー⸣ビン ⸢オー⸣シ [ba⸢san⸣naroː ⸢maː⸣biŋ ⸢ʔoː⸣ʃi] (バナナはもっと塾させなさい)。 ⸢オーサン⸣カー ス⸢ボー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔoːsaŋ⸣kaː su⸢boː⸣nu f⸢faːranu] (熟させないと渋くて食べられない)。 ⸢オー⸣シミサカー ⸢マー⸣ビン ⸢オー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔoː⸣ʃimisakaː ⸢maː⸣biŋ ⸢ʔoː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (熟させて良ければもっと熟させることはでできる)。 ⸢オー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔoː⸣ʃeː misamunu] (熟させれば良いのに)。 バ⸢サン⸣ナロー ⸢オー⸣スンティ ⸣シケー [ba⸢san⸣naroː ⸢ʔoː⸣sunti ⸣ʃi̥keː] (バナナは成熟させようとして置いてある) 3577 0 0 3375 htmvoc_3577.wav オースン ⸢オー⸣スン [⸢ʔoː⸣suŋ] 他動 傷を完治させる。治す。成長させる。「おふ(生ふ)自動詞上二」の他動詞化したもの。 キ⸢ジェー オー⸣シティル ⸣オンダー ⸢スー⸣ダー [ki⸢ʤeː ʔoː⸣ʃitiru ⸣ʔondaː ⸢suː⸣daː] (傷は治して<完治させて{EOS}生えさせて>から泳ぐのだよ)。 ⸢オーサン⸣カー ⸣オンダー サ⸢ラヌ <シ⸢ララヌ> [⸢ʔoːsaŋ⸣kaː ⸣ʔondaː sa⸢ranu <ʃi⸢raranu>] (傷を完治させないと水泳できない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢オーシ⸣プサン [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔoːʃi⸣pusaŋ] (もっと完治させたい)。 キ⸢ジェー オー⸣スンティ フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーリベー [ki⸢ʤe ʔoːsuntiː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːri beː] (傷は完治させよう<治そう>と薬を塗っている)。 ⸢オー⸣スクトゥ [⸢ʔoː⸣suku̥tu] (完治させること)。 ⸢オー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (完治させればよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢オー⸣シバ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔoː⸣ʃiba] (もっと傷を完治させ<治し>なさいよ) 3578 1 0 3376 htmvoc_3578.wav オースン ⸢オースン [⸢ʔoːsuŋ] 他動 {PoS_1}上位の人に差し上げる。奉る。献上する。⸢与える、贈る」の謙譲語。発話者の動作の及ぶ相手を敬う。 ⸣バーラ ⸢ワーン オーサバ⸣ ウ⸢キ⸣トゥリ ッ⸢ふォー⸣リ [⸣baːra ⸢waːŋ ʔoːsaba⸣ ʔu⸢ki⸣turi f⸢foː⸣ri] (私から貴方へ差し上げますから、お受け取りください)。 ク⸢リバ ワン オースンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢オーサランシェン [ku⸢riba waŋ ʔoːsunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸢ʔoːsaranʃeŋ] (これを貴方に差し上げようと思ったが、差し上げられなかった)。 ⸣バーラ ⸢オーシ⸣ ミサカー ⸢オース⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸣baːra ⸢ʔoːʃi⸣ misakaː ⸢ʔoːsu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (私から差し上げてよければ、差し上げることは出来るよ)。 ⸢パー⸣ク ⸢オーシ [⸢paː⸣ku ⸢ʔoːʃi] (早く差し上げなさい)。 ク⸢レー ワール⸣ アブジェーン ⸢オーソーッ⸣タミー [ku⸢reː waːru⸣ ʔabuʤeːŋ ⸢ʔoːsoːt⸣tamiː] (これは貴方がおじいさんに差し上げられたのでしょうね)。 3578 2 0 3377 htmvoc_3578.wav オースン ⸢オースン [⸢ʔoːsuŋ] 補動 {PoS_2}動詞の連用形に付いて、その動作の及ぶ相手を敬う謙譲語。 ク⸢レー⸣ ヤー⸢ディン⸣ バーラ ⸣アッパン カキ⸢オースン [ku⸢reː⸣ jaː⸢dim⸣ baːra ⸣ʔappaŋ kḁki⸢ʔoːsuŋ] (これは必ず私からお祖母さんに書いて差し上げます) 3580 0 0 3378 htmvoc_3580.wav オースン ⸢オー⸣スン [⸢ʔoː⸣suŋ] 他動 負わせる。転嫁する。なすり(擦り)付ける。他動詞「負ふ」の未然形に助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる)が下接して形成された使役動詞。 プ⸢スン オーサ⸣ン⸢ドー⸣シ ⸣ドゥーシ シ⸢マチェー⸣ シ⸢キ⸣リ [pu̥⸢suŋ ʔoːsa⸣n⸢doː⸣ʃi ⸣duːʃi ʃi⸢maʧeː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (他人に責任転嫁し<負わせ>ないで、自分で処理し<始末をつけ>なさい)。 ⸢オー⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoː⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (負わせてしまった)。 プ⸢スン オー⸣スン [pu⸢suŋ ʔoː⸣suŋ] (他人に責任転嫁す<負わせ>る)。 ⸢オー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (責任転嫁す<負わせ>ることはできない)。 ウ⸢リン オー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢riŋ ʔoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (その人に負わせればよいのに)。 プ⸢スン オー⸣シ [pu̥⸢suŋ ʔoː⸣ʃi] (他人に負わせなさい{EOS}他人に責任転嫁しなさい) 3581 0 0 3379 htmvoc_3581.wav オースン ⸢オースン [⸢ʔoːsuŋ] 他動 追わせる。後追いさせる。後をつけさせる。⸢ウーン[⸢ʔuːŋ](追う)の未然形に使役の助動詞⸢スン[⸢suŋ](~す{EOS}~さす{EOS}~せる{EOS}~させる)が下接して形成された他動詞。 ⸢マー⸣ パルユー ウ⸢リヌ⸣ シ⸢ビ オースン [⸢maː⸣ parujuː ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢bi ʔoːsuŋ] (何処へ行くのか、彼の尻を追わせる<追跡させる>)。 ⸢オーサヌ [⸢ʔoːsanu] (追わさせない)。 シ⸢ビ オース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢bi ʔoːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (後を追わ<追跡さ>せることは、してはならない) 3579 0 0 3380 htmvoc_3579.wav オーソールン ⸢オーソー⸣ルン [⸢ʔoːsoː⸣ruŋ] 他動 召し上がる。「食べる」の尊敬語ン⸢コー⸣ルン[ŋ⸢koː⸣ruŋ](召し上がる)より一段上の敬語。校長先生や学校の先生、町長などの外来者(役人)等、最高に敬意を払って応対すべき人に対して用いられる。島の人に対してこの語を用いる場合は最高の敬意を払う時に用いる。 ⸣グシ ⸢オーソー⸣リ [⸣guʃi ⸢ʔoːsoː⸣ri] (神酒をお召し上りなさいませ)。 アブ⸢ジェー⸣ グシ ⸢オーソー⸣リティ ⸢バン⸣タン ⸣グシ カ⸢ミ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [ʔabu⸢ʤeː⸣ guʃi ⸢ʔoːsoː⸣riti ⸢ban⸣taŋ ⸣guʃi ka⸢mi⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (お祖父さん、お神酒をお召し上がりになって、私たちにも神酒を頂かせて<頂戴させて>ください) 3585 0 0 3381 htmvoc_3585.wav オーダン ⸢オーダン [⸢ʔoːdaŋ] 名 上の段。「上段(うわだん)」の義。ナ⸢カ⸣ダン[na⸢ka⸣daŋ](中段)、ッ⸢サダン[s⸢sadaŋ](下段)の対語。 ジ⸢ブク⸣ヌ ⸢オーダン⸣ナー ア⸢ガムチ⸣ ム⸢リ⸣バ [ʤi⸢buku⸣nu ⸢ʔoːdan⸣naː ʔa⸢gamuʧi⸣ mu⸢ri⸣ba] (重箱の上段に赤餅を盛りなさい)。 ⸢オーダンマー⸣ ヌー イ⸢ルバル⸣ マ⸢シ⸣カヤー [⸢ʔoːdammaː⸣ nuː ʔi⸢rubaru⸣ ma⸢ʃi⸣kajaː] (上段は何を入れたらよいでしょうか) 3589 0 0 3382 htmvoc_3589.wav オーナーマ オー⸢ナー⸣マ [ʔoː⸢naː⸣ma] 名 子豚。 オー⸢ナー⸣マー ⸢ギュッカラ⸣ マ⸢レー⸣ワ [ʔoː⸢naː⸣maː ⸢gjukkara⸣ ma⸢reː⸣wa] (子豚は何匹生まれたか) 3643 0 0 3383 htmvoc_3643.wav オーナマー オー⸢ナ⸣マー [ʔoː⸢na⸣maː] 名 子豚。-マー[-maː]は指小辞。 オー⸢ナマ⸣ヌ ⸢トゥッカラ⸣ マ⸢レーン⸣ツォー [ʔoː⸢nama⸣nu ⸢tukkara⸣ ma⸢reːn⸣ʦoː] (子豚が十匹生まれたそうだ) 3590 0 0 3384 htmvoc_3590.wav オーナル ⸢オーナル [⸢ʔoːnaru] 名 嫉妬。「妬、ウハナリネタミ」『色葉字類抄』の義。「後妻、宇波奈利(うはなり)」『和名抄』が、[uɸanari] → [uwanari] → [ʔoːnaru] と転訛したもの。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー サッ⸣コー ッ⸢ふァオーナル ソー⸣ル⸢ツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː sak⸣koː f⸢faʔoːnaru soː⸣ru⸢ʦoː] (その人は余所の子供に対してすごく嫉妬されるんですよ)。 イ⸢シヌ ウイ⸣ナー タ⸢タ⸣リン ⸢オーナルヌ ウイ⸣ナー プ⸢ソー⸣ タ⸢タラ⸣ヌ [ʔi⸢ʃinu ʔui⸣naː tḁ⸢ta⸣riŋ ⸢ʔoːnarunu ʔui⸣naː pu̥⸢soː⸣ tḁ⸢tara⸣nu] (石の上には生活できる{EOS}嫉妬の上には、人は生活でき<生きられ>ない) 3591 0 0 3385 htmvoc_3591.wav オーナルカーナル ⸢オーナルカー⸣ナル [⸢ʔoːnarukaː⸣naru] 名 ひどく嫉妬すること。妬み嫉みすること。ABCDEFCD型の重言。 ⸢ターニ⸣ル ⸣アイニ ⸢オーナルカー⸣ナル ⸢シー オー⸣ルユー ナ⸢クラー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [⸢taːni⸣ru ⸣ʔaini ⸢ʔoːnarukaː⸣naru ⸢ʃiː ʔoː⸣rujuː na⸢kuraː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (誰に対してあんなに\ruby{酷}{ヒド}く嫉妬をしておられるのか、怖くて近寄れない<向き合えない>)。 ⸢オーナルカーナル⸣ヌ ⸢スー⸣ワン [⸢ʔoːnarukaːnaru⸣nu ⸢suː⸣waŋ] (嫉妬が強い<ひどい>) 3592 0 0 3386 htmvoc_3592.wav オーナルスン ⸢オーナル スン [⸢ʔoːnaru suŋ] 連 嫉妬する。 トゥ⸢ジヌ⸣ ドゥク ⸢オーナル シール アイカーフン⸣カー ⸢スー⸣ツォー [tu⸢ʤinu⸣ duku ⸢ʔoːnaru ʃiːru ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢suː⸣ʦoː] (妻があまりにも嫉妬をするので夫婦喧嘩をするのだそうだ) 3582 0 0 3387 htmvoc_3582.wav オーナンジャー ⸢オーナン⸣ジャー [⸢ʔoːnanʤaː] 名 (動)魚の名。和名、ヨシキリザメ(体長約6メートル)。獰猛な鱶(鮫)といわれている。イカ釣り漁で釣り上げられることがあったが、熟練した糸満漁師でも釣り縄で手が擦り切れたりして、仕留めるのに非常に苦労したという。肉は、サバソーギリ[sa⸢basoːgiri](鱶肉の日干し乾燥した肉)にして沖縄へ輸出した。 イ⸢ガウメー⸣ラ ⸢オーナン⸣ジャー ⸢ホー⸣ソーッタ ⸣クトゥン ⸢アッタ⸣ン [ʔi⸢gaʔumeː⸣ra ⸢ʔoːnan⸣ʤaː ⸢hoː⸣soːtta ⸣ku̥toŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (イカ釣り漁からオーナンジャー<ヨシキリザメ>を釣りあげられたこともあった) 3594 0 0 3388 htmvoc_3594.wav オーニー ⸢オーニー [⸢ʔoːniː] 名 うわに(上荷)。船のデッキに積む荷。ッ⸢サニー[s⸢saniː](下荷{EOS}船底に積む荷)の対義語。 ⸣ドゥク ⸢オーニー シ⸢ム⸣カー ⸣フネー ⸢オーングロー⸣ ナ⸢リ⸣ス [⸣duku ⸢ʔoːniː⸣ ʃi⸢mu⸣kaː ⸣ɸuneː ⸢ʔoːŋguroː⸣ na⸢ri⸣su] (あんまり上荷を積むと船は安定性を欠いて横揺れするようになる)。 ⸢オーネー⸣ ウ⸢ラ⸣シティ ッ⸢サニー⸣ シ⸢キ⸣バ [⸢ʔoːneː⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti s⸢saniː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba] (上荷を下ろして下荷を積み<敷き>なさい)。 ⸢オーニーバ⸣ シ⸢ミシギティル⸣ フネー ⸢フンナケー⸣ティ⸢ダー [⸢ʔoːniːba⸣ ʃi⸢miʃigitiru⸣ ɸuneː ⸢ɸunnakeː⸣ti⸢daː] (上荷を積み過ぎたので船は沈没したそうだよ) 3611 0 0 3389 htmvoc_3611.wav オーヌール ⸢オーヌール [⸢ʔoːnuːru] 名 上塗り。 ジ⸢ブク⸣ヌ オーヌール ッ⸢ふァースン [ʤi⸢buku⸣nu ⸢ʔoːnuːru⸣ f⸢faːsuŋ] (重箱に漆の上塗りをする<喰わせる>)。 ⸢ヤー⸣ヌ ク⸢ベー ペン⸣キシ ⸢オーヌール⸣ ッ⸢ふァーサン⸣カー フ⸢トゥッ⸣チ パ⸢リ⸣ス [⸢jaː⸣nu ku⸢beː peŋ⸣kiʃi ⸢ʔoːnuːru⸣ f⸢faːsaŋ⸣kaː ɸu̥⸢tut⸣ʧi pa⸢ri⸣su] (家の壁はペンキで上塗りをしないと<上塗り喰わせないと>朽ちてしまうよ)。 ⸢オーヌールヌル ヨー⸣ル [⸢ʔoːnuːrunu joː⸣ru] (上塗りが<ぞ>弱い)。 ⸢オーヌーロー⸣ ギャン⸢ティ シー [⸢ʔoːnuːroː⸣ gjan⸢ti ʃiː] (上塗りはしっかりしなさい)。 ⸢オーヌールバ シー⸣ シキ [⸢ʔoːnuːruba ʃiː⸣ ʃi̥ki] (上塗りをしておきなさい)。 ム⸢チ⸣シ ⸢オーヌール シー⸣ シケー [mu⸢ʧi⸣ʃi ⸢ʔoːnuːru ʃiː⸣ ʃi̥keː] (漆喰で上塗りしてある) 3595 0 0 3390 htmvoc_3595.wav オーヌアバ ⸢オー⸣ヌアバ [⸢ʔoː⸣nuʔaba] 名 豚の油脂。ア⸢バッ⸣タラ[ʔa⸢bat⸣tara](脂肉{EOS}白い皮下脂肪{EOS}赤肉の付いていない部分)を鍋に入れて煎ると油が溶融してくる。これを壷に入れて保存したが、常温では白く凝固した豚脂(ラード)となる。 ⸢オー⸣ヌアバ ス⸢クイティ ティン⸣プラ ヤ⸢コーッ⸣タ [⸢ʔoː⸣nuʔaba su̥⸢kuiti tim⸣pura ja⸢koːt⸣ta] (豚の脂を掬い取って溶かしてテンプラを揚げられ<焼かれ>た)。ア⸢バ⸣カシ[ʔa⸢ba⸣kaʃi](豚の脂身を煎った残滓)は、⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)と和えて炒めると美味である。これを⸢アンダミー⸣ス[⸢ʔandamiː⸣su](脂味噌)といい、大人はお茶請け(茶の子)として食した 3612 0 0 3391 htmvoc_3612.wav オーヌイー ⸢オー⸣ヌイー [⸢ʔoː⸣nu ʔiː] 名 豚の餌。飼葉飼料。「豚の飯」の義。魚の頭や骨などを残飯類と混ぜて煮て豚の餌にした。⸢ウンヌ⸣パー[⸢ʔunnu⸣paː](芋蔓の葉)や⸣ウンツァイ[⸣ʔunʦai](えん菜)等も混ぜて与えた。屑芋などは、ア⸢ライジル[ʔa⸢raiʣiru](米のとぎ汁や魚の洗い汁)と一緒に煮て与えた。 イ⸢ズヌ⸣ ア⸢ライジル⸣ナー ⸢ウンヌ⸣パー イ⸢リ⸣ バ⸢カシティ ネーシウンバ⸣ タリティル ⸢オー⸣ヌイー ⸢ファーソーッ⸣タ [ʔi⸢ʣunu⸣ ʔa⸢raiʤiru⸣naː ⸢ʔunnu⸣paː ʔi⸢ri⸣ ba⸢kaʃiti neːʃiʔumba⸣ taritiru ⸢ʔoː⸣nuʔiː ⸢faːsoːt⸣ta] (魚の洗い汁に芋の葉を入れて炊き、それに煮た芋を潰し溶かして豚の餌にして与えた)。 ⸢ウン⸣バ ⸣ダシナ ⸢ネーシ⸣ タリティ ⸢オー⸣ヌイー ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢ʔum⸣ba ⸣daʃina ⸢neːʃi⸣ tariti ⸢ʔoː⸣nuʔiː f⸢faːʃi⸣ba] (芋を出汁で煮て潰し、溶かして豚に飯<餌>をやれ<食わせよ>よ) 3605 0 0 3392 htmvoc_3605.wav オーヌシー ⸢オー⸣ヌ ⸣シー [⸢ʔoː⸣nu ⸣ʃiː] 連 豚の出産のため、豚舎に茅やススキの葉を敷き詰めて作った\ruby{褥}{シトネ}。「豚の巣」の義。 ⸣ガヤー ⸣スリキー ⸣オンケーナ シ⸢キティ オー⸣ヌ ⸣シー ス⸢ク⸣リバ [⸣gajaː ⸣surikiː ⸣ʔoŋkeːna ʃi̥⸢kiti ʔoː⸣nu ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣riba] (茅を刈ってきて豚舎に敷き詰めて豚の\ruby{褥}{シトネ}<巣>を作りなさい) 3606 0 0 3393 htmvoc_3606.wav オーヌシー ⸢オー⸣ヌ ⸢シー [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʃiː] 連 豚の血。鱶釣り縄を豚の血で染めて蒸すと、表面が漆を塗ったようにつるつるとなり、縄の強度が増すとともに\ruby{縺}{モツ}れなくなって、夜のイカ釣りランプの薄暗い中でも扱いやすくなるという。 サ⸢バナーヤ オー⸣ヌ ⸢シー⸣シ ス⸢ミティ⸣ ン⸢ブ⸣シティ シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [sa⸢banaːja ʔoː⸣nu ⸢ʃiː⸣ʃi su⸢miti⸣ ʔm⸢bu⸣ʃi̥ti si̥⸢kaijoːt⸣ta] (鱶を釣る縄は豚の血で染めて、蒸し揚げて使用された) 3607 0 0 3394 htmvoc_3607.wav オーヌシーシ ⸢オー⸣ヌ ⸢シー⸣シ [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʃiː⸣ʃi] 連 豚の肉。⸢シー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi](肉)は「肉、之之(シシ)、肌膚之肉也」『和名抄』の転訛したもの。若年層は、⸢オー⸣ヌ ⸣ニク[⸢ʔoː⸣nu ⸣niku](豚肉)という。 ⸢オー⸣ヌ ⸢シー⸣シ ⸢マース⸣シキ シ⸢ティ⸣ タ⸢ブータン [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʃiː⸣ʃi ⸢maːsu⸣ʃi̥ki ʃi̥⸢ti⸣ ta⸢buːtaŋ] (豚肉を塩漬けにして保存した) 3597 0 0 3395 htmvoc_3597.wav オーヌスー ⸢オー⸣ヌ ⸣スー [⸢ʔoː⸣nu ⸣suː] 連 料理名。豚肉のお汁。 ⸣ソンガチトゥ ⸢ソー⸣ランナール ⸢オー⸣ヌ ⸢スー⸣ヤ ッ⸢ふァイミッ⸣タ [⸣soŋgaʧitu ⸢soː⸣rannaːru ⸢ʔoː⸣nu ⸢suː⸣ja f⸢faimit⸣ta] (正月とお盆にしか豚のお汁は食べなかった<正月とお盆にぞ豚のお汁は食わせられた>) 3608 0 0 3396 htmvoc_3608.wav オーヌッス ⸢オー⸣ヌッス [⸢ʔoː⸣nussu] 感 相手を軽蔑して、絶対に嫌だと拒絶することば。糞くらえ。あかんべえ。 ク⸢レー ワー シー⸠ヨー [ku⸢reː waː ʃiː⸠joː] (これは君がしなさいね) {Break}との依頼に対して、{Break} ⸢オー⸣ヌ ッスヒャー ⸢タール⸣ アイブ ⸣ムヌ ⸢スン⸣トゥー [⸢ʔoː⸣nu ⸣ssuçaː ⸢taːru⸣ ʔaibu ⸣munu ⸢sun⸣tuː] (糞くらえ{EOS!}あかんべー、誰があんなものをするものか{EOS}絶対にしないぞ) 3598 0 0 3397 htmvoc_3598.wav オーヌッふァ ⸢オー⸣ヌッふァ [⸢ʔoː⸣nuffa] 名 子豚。「豚の子」の義。 ⸢オー⸣ヌッふァ ⸢カイ⸣ キー シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシ⸣バ [⸢ʔoː⸣nuffa ⸢kai⸣ kiː si̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃi⸣ba] (子豚を買って来て飼育して肥育<成長>させなさいよ) 3599 0 0 3398 htmvoc_3599.wav オーヌバタヌシームヌ ⸢オー⸣ヌバタヌ ⸢シームヌ [⸢ʔoː⸣nubatanu ⸢ʃiːmunu] 連 豚臓物の吸い物。豚の内臓を大根、昆布、こんにゃく等と共に味噌で煮込んた吸い物。 ⸢オー⸣ヌバタヌ ⸢シームノー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢ʔoːnu⸣batanu ⸢ʃiːmunoː⸣ ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (豚の臓物の吸い物は非常に美味しかった) 3600 0 0 3399 htmvoc_3600.wav オーヌパンヌスー ⸢オー⸣ヌ ⸢パン⸣ヌ ⸣スー [⸢ʔoː⸣nu ⸢pan⸣nu ⸣suː] 連 料理名。豚足のお汁。若年層は首里方言からの借用語のア⸢シティ⸣ビチ[ʔa⸢ʃitibi⸣ʧi](豚足)を使用する。 ⸣キサー ⸢オー⸣ヌ ⸢パン⸣ヌ ⸣スーン マ⸢ルケーティナー⸣ル ッ⸢ふァイミッ⸣タ⸢ダー [⸣ki̥saː ⸢ʔoː⸣nu ⸢pan⸣nu ⸣suːm ma⸢rukeːtinaː⸣ru f⸢faimit⸣ta⸢daː] (以前<昔>は豚足のお汁も偶にしか食べなかった<稀にぞ食べてみたのだ>よ) 3613 0 0 3400 htmvoc_3613.wav オーヌマキ ⸢オー⸣ヌ マ⸢キ [⸢ʔoː⸣nu ⸢maki] 連 豚小屋。豚舎。石垣を積んで円字形に作った豚小屋。「豚の牧」の義。ピ⸢サウー⸣ル[pi̥⸢saʔuː⸣ru](テーブルサンゴ)でカ⸢タピサ⸣ヤー[kḁ⸢tapisa⸣jaː](片平屋根)を葺いたり、茅葺屋根を葺いたり、本格的な瓦葺にして養豚する家もあった。各家庭2~3頭の豚を肥育し、その売り上げで家計を賄うのが主婦の手腕とされた。 ⸢オー⸣ヌ マ⸢キ⸣ナー ⸣アヒャーオー シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ベー [⸢ʔoː⸣nu ma⸢ki⸣naː ⸣ʔaçaːʔoː si̥⸢ka⸣nai ⸢beː] (豚小屋で母豚<繁殖用母豚>を飼っている) 3610 0 1 3401 htmvoc_3610.wav オーヌヤー ⸢オー⸣ヌヤー [⸢ʔoː⸣nujaː] 名 {Mn_1}豚小屋。「豚の家」の義。豚舎。⸢オー⸣ヌ マ⸢キ[⸢ʔoː⸣nu ma⸢ki](豚舎{EOS}⸢豚の牧」の義か)、⸢オー⸣ヌ ⸣シー[⸢ʔoː⸣nu ⸣ʃiː](豚舎{EOS}「豚の巣」の義か)ともいう。石積みの豚舎は、屋敷の北西の角を利用して造るのが普通であった。石垣を円字形に積み、二室(二牧)にして2頭飼育したりした。豚舎の床面は石を敷き詰め、汚水が流れ出るように勾配をつけた。汚物は流出して便壷に溜まるように造られた。豚舎には茅を敷き詰めて豚に踏ませ、堆肥の原料にした。豚舎には異形のヤ⸢ダン⸣ブレ[ja⸢dam⸣bure](ソデガイの仲間)の殻を吊るして、ヌ⸢キ⸣ムヌ[nu⸢ki⸣munu](魔除け)とした。 ⸢オー⸣ヌヤーナ シ⸢キ⸣シケータ ⸣ガヤーシ シ⸢キゴイ⸣ ス⸢ク⸣リ [⸢ʔoː⸣nujaːna ʃi̥⸢ki⸣ʃi̥keːta ⸣gajaːʃi ʃi̥⸢kigoi⸣ su̥⸢ku⸣ri] (豚小屋に敷き詰めてあった茅で畑に鋤き込む堆肥を作りなさい)。 3610 0 2 3402 htmvoc_3610.wav オーヌヤー ⸢オー⸣ヌヤー [⸢ʔoː⸣nujaː] 名 {Mn_2}不潔な汚い家。 ⸢オー⸣ヌヤーヌ ⸣カタチニ ユ⸢グリティ⸣ キ⸢ムフクレー⸣ヌ ビ⸢ララヌ [⸢ʔoː⸣nujaːnu ⸣kḁtaʧini ju⸢guriti⸣ ki⸢muɸu̥kureː⸣nu bi⸢raranu] (不潔な豚小屋のように汚れていて、汚くて座っていることが出来ない) 3601 0 0 3403 htmvoc_3601.wav オーヌヤカタブニ ⸢オー⸣ヌ ヤ⸢カタ⸣ブニ [⸢ʔoː⸣nu ja⸢kata⸣buni] 連 豚の肋骨。普通は、首里方言からの借用語である⸢ソーキ⸣ブニ[⸢soːki⸣buni](豚の肋骨)を多用する。 ⸢オー⸣ヌ ヤ⸢カタブニ⸣<⸢ソーキブニ⸣>ヌ ⸢スー⸣ヤ ン⸢マーン⸣ダー [⸢ʔoː⸣nu ja⸢katabuni⸣<⸢soːkibuni⸣>nu ⸢suː⸣ja ʔm⸢maːn⸣daː] (豚の肋骨のお汁は美味しいよ) 3618 0 0 3404 htmvoc_3618.wav オーパー ⸢オーパー [⸢ʔoːpaː] 名 上歯。 ⸢オーパーヌ⸣ フ⸢トゥッ⸣チティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoːpaːnu⸣ ɸu̥⸢tut⸣ʧiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (上歯が虫歯になって<朽ちて>痛くて<病みて>たまらない)。 ⸢オーパーバ⸣ カ⸢カイティル⸣ シ⸢ラカタ⸣チ ヤ⸢ブ⸣レーティ ⸢アー⸣クンティ  [⸢ʔoːpaːba⸣ kḁ⸢kaitiru⸣ ʃi⸢rakata⸣ʧi ja⸢bu⸣reːti ⸢ʔaː⸣kunti] (上歯を抜いて<捥いで>面相<顔貌>を損ねているさ) 3619 0 0 3405 htmvoc_3619.wav オーパー ⸢オーパー [⸢ʔoːpaː] 名 上葉。ッ⸢サ⸣バー[s⸢sa⸣baː](下葉)の対義語。 ⸢ナーンパー⸣ヌ ⸢オーパーヤ⸣ グ⸢ダランケー⸣リ サ⸢カリベー⸣ンドゥ ッ⸢サバーヤ⸣ サ⸢リナー⸣ヌ [⸢naːmpaː⸣nu ⸢ʔoːpaːja⸣ gu⸢daraŋkeː⸣ri sa⸢karibeː⸣ndu s⸢sabaːja⸣ sa⸢rinaː⸣nu] (菜っ葉の上葉は青々と生い茂っているが下葉は枯れてしまった)。 ⸢オーパー⸣ カ⸢カイ⸣クー [⸢ʔoːpaː⸣ kḁ⸢kai⸣kuː] (上葉を捥いで来なさい)。 ⸢オーパール⸣ ン⸢マー [⸢ʔoːpaːru⸣ ʔm⸢maː] (上葉が美味しい)。 ⸢オーパー⸣シ ッ⸢ス⸣ミ [⸢ʔoːpaː⸣ʃi s⸢su⸣mi] (上葉で包みなさい) 3621 0 0 3406 htmvoc_3621.wav オーバタ ⸢オーバタ [⸢ʔoːbata] 名 上腹部。臍から上の腹部。ッ⸢サバタ[s⸢sabata](下腹)の対義語。 ⸢オーバタヌドゥ⸣ カ⸢ミラ⸣リ ヤム⸢ツォー [⸢ʔoːbatanu⸣ ka⸢mira⸣ri jamu⸢ʦoː] (上腹部が差し込まれるように傷むのですよ)。 ⸢オーバタヌ⸣ フ⸢クリティル⸣ ビ⸢リングリ⸣サバン [⸢ʔoːbatanu⸣ ɸu̥⸢kuritiru⸣ bi⸢riŋguri⸣sabaŋ] (上ッ腹部が膨れているので座りにくいようだよ) 3559 0 0 3407 htmvoc_3559.wav オーパヤー ⸢オーパ⸣ヤー [⸢ʔoːpa⸣jaː] 副 そんなに早く。そんなに急いで。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸣ウキテイ ⸢ヌー⸣ス ⸢カン⸣ガイヤ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸣ʔukiti ⸢nuː⸣su ⸢kaŋ⸣gaija] (そんなに早く起きてどうするつもりか<何をする考えか>)。 ⸢キュー⸣ヤ シ⸢グトゥン オーパ⸣ヤー トゥ⸢ズミラ⸣リ フ⸢コーラサ [⸢kjuː⸣ja ʃi⸢gutuŋ ʔoːpa⸣jaː tu⸢ʣumira⸣ri ɸu̥⸢koːrasa] (今日は仕事もそんなに早く終了させる<閉ぢむ『源氏物語、\ruby{賢木}{サカ|キ}』>ことが出来て有難う)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸣ウキティ ⸢マー⸣ パル ⸢カン⸣ガイヤ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸣ʔukiti ⸢maː⸣ paru ⸢kaŋ⸣gaija] (そんなに早く起きて何処へ行くつもり<考え>か)。 ⸢オーパ⸣ヤーラ ⸢クー⸣ナ [⸢ʔoːpa⸣jaːra ⸢kuː⸣na] (そんなに早くから来るなよ) 3623 0 0 3408 htmvoc_3623.wav オーピニ ⸢オーピニ [⸢ʔoːpini] 名 うわひげ(上髭)。ッ⸢サピニ[s⸢sapini](下鬚)の対義語。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー オーピニバ モー⸣シティ ⸣サシンナ ウ⸢ツァサ⸣リ ⸢オー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː ʔoːpiniba moː⸣ʃi̥ti ⸣saʃinnaː ʔu⸢ʦasa⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (その人は上髭を生やして写真に写されておられる)。 ⸢オーピニヌ⸣ ナ⸢ガー⸣ティ ⸣イー ッ⸢ふァイグリ⸣サン [⸢ʔoːpininu⸣ na⸢gaː⸣ti ⸣ʔiː f⸢faiguri⸣saŋ] (上髭が長いので、ご飯が食べにくい)。 ⸢オーピネー⸣ ス⸢リバ⸣ル マ⸢シ [⸢ʔoːpineː⸣ su⸢riba⸣ru ma⸢ʃi] (上髭は剃ったほうがよい<ましだ>) 3624 0 0 3409 htmvoc_3624.wav オーブ ⸢オーブ [⸢ʔoːbu] 名 腫れ物の一種。筋肉に出来る悪性の出来物。 ⸣ウディナー ⸢オーブヌ⸣ ンジティ ウ⸢リ⸣ バ⸢ラスンティ⸣ イ⸢サン⸣ヤー ⸢パッ⸣タ [⸣ʔudinaː ⸢ʔoːbunu⸣ ʔnʤiti ʔu⸢ri⸣ ba⸢rasunti⸣ ʔi⸢saɲ⸣jaː ⸢pat⸣ta] (腕にオーブ<悪性の腫物>ができて、それを切開させ<割らせ>に病院<医者の家>に行った)。 ⸢オーボー⸣ ヤムン⸢ダー [⸢ʔoːboː⸣ jamun⸢daː] (オーブ<筋肉腫>は痛むよ)。 ⸢オーブバ⸣ バ⸢ラシティ ノー⸣シェー プ⸢スン ブン⸣ツォー [⸢ʔoːbuba⸣ ba⸢raʃi̥ti noː⸣ʃeː pu̥⸢sum bun⸣ʦoː] (オーブ<筋肉腫>を切開させて治した人もいるそうだ) 3614 0 0 3410 htmvoc_3614.wav オーマチ ⸢オーマ⸣チ [⸢ʔoːma⸣ʧi] 名 (動)魚の名。和名、アオチビキ。体長約1メートル。高級魚。 ⸢オーマ⸣チェー ⸢インタヌ ピーヌ⸣クシェーラ タ⸢ティ⸣ナーシ ⸢ホー⸣ソーッタ [⸢ʔoːma⸣ʧeː ⸢ʔintanu piːnu⸣ku̥ʃeːra tḁ⸢ti⸣naːʃi ⸢hoː⸣soːtta] (オーマチは、島の西の干瀬の外海<\ruby{越}{コシ}>から一本釣りで釣られた) 3626 0 0 3411 htmvoc_3626.wav オーユダ ⸢オーユダ [⸢ʔoːjuda] 名 うわえだ(上枝)。樹木の上の枝。ッ⸢サユダ[s⸢sajuda](下枝)の対義語。 ⸢オーユダー⸣ キ⸢サン⸣ドーシ ッ⸢サユダー⸣ラ キシ [⸢ʔoːjudaː⸣ ki̥⸢san⸣doːʃi s⸢sajudaː⸣ra ki̥ʃi] (上枝は切らないで下枝から切れ)。 ⸢オーユダヌ⸣ パン⸢ター⸣マ [⸢ʔoːjudanu⸣ pan⸢taː⸣ma] (上枝の先端)。 ⸢オーユダバ⸣ キシ [⸢ʔoːjudaba⸣ ki̥ʃi] (上枝を切れ)。 ⸢オーユダ⸣ナ トゥ⸢マリ [⸢ʔoːjuda⸣na tu⸢mari] (上枝にとまれ)。 ⸢オーユダ⸣シ カ⸢ク⸣シ [⸢ʔoːjuda⸣ʃi kḁ⸢ku⸣ʃi] (上枝で隠せ) 3627 0 0 3412 htmvoc_3627.wav オーラー ⸢オーラー [⸢ʔoːraː] 名 かみて(上手)。風上。⸢上はら」の義。*[uwa] → [oː]の音韻変化による転訛。ッ⸢ソーマー[s⸢soːmaː](風下{EOS}下手{EOS}「裾まわり」)の対義語。 ⸣イダフネー ⸢オーラー⸣ニル マ⸢ギ⸣ パ⸢ラ⸣ス ッ⸢ソーマー⸣ネー マ⸢グナ [⸣ʔidaɸuneː ⸢ʔoːraː⸣niru ma⸢gi⸣ pa⸢ra⸣su s⸢soːmaː⸣neː ma⸢guna] (板船<サバニ>は風上に向かって曲げる<方向転回する>ように操船するのであって、風下に曲げるな)。 ⸢オーラー⸣ラ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢キッツァー⸣シ クン⸢ドー [⸢ʔoːraː⸣ra ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢kitʦaː⸣ʃi kun⸢doː] (風上の方から風が吹き荒れ<吹き散らして>てくるぞ)。 ⸢オーラー⸣ ン⸢カーシ [⸢ʔoːraː⸣ ʔŋ⸢kaːʃi] (風上の方へ向けよ) 3628 0 0 3413 htmvoc_3628.wav オーラーマーレー ⸢オーラーマーレー [⸢ʔoːraːmaːreː] 名 帆船を風上の方向へ向けながら方向転換すること。上手回転。⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː](帆桟のある帆)は片帆に風を受けて徐々に舳先を風上に向けながら方向転換することができた。 フ⸢クル⸣プーシェー ⸢オーラーマーレー⸣ ナ⸢ラン⸣シェン [ɸu̥⸢kuru⸣puːʃeː ⸢ʔoraːmaːreː⸣ na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (袋帆<中間に帆桁のない和船の帆>では帆船を風上の方へ方向転換することはできなかった) 3629 0 0 3414 htmvoc_3629.wav オーラリン ⸢オーラリン [⸢ʔoːrariŋ] 自動 追われる。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー プ⸢スン オーラリン⸣ダー [⸣ʔunaː ⸢beː⸣rukaː pu̥⸢suŋ ʔoːrarin⸣daː] (そこに居たら人に追われるよ)。 ウ⸢リヌ⸣ シ⸢ベー オーララヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢beː ʔoːraranu] (彼の後は追われない<追えない>)。 ⸢オーラリ⸣プサン [⸢ʔoːrari⸣pusan] (追われたい)。 ⸢オーラリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːrariru⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (追われることはない)。 ⸢オーラレー⸣ ミサムヌ [⸢ʔoːrareː⸣ misamunu] (追われたらいいのに) 3630 0 0 3415 htmvoc_3630.wav オーリタボーリ ⸢オー⸣リ タ⸢ボー⸣リ [⸢ʔoː⸣ri ta⸢boː⸣ri] 連 いらっしゃってください。おいでください。 ⸣アツァー サ⸢クシ⸣ヌ ⸢タンカーヨイ⸣ ヤ⸢リバ オー⸣リ タ⸢ボー⸣リ ⸢チョーミーガフー⸣ ア⸢ヤカーラ⸣シ タ⸢ボー⸣ラナー⸢ラ [⸣ʔaʦaː sḁ⸢kuʃi⸣nu ⸢taŋkaːjoi ja⸢riba ʔoː⸣ri ta⸢boː⸣ri ⸢ʧoːmiːgaɸuː⸣ ʔa⸢jakaːra⸣ʃi ta⸢boː⸣ra naː⸢ra] (明日は長男の誕生祝いですので、<拙宅へ>いらっしゃって下さって<息子に>長寿を果報を\ruby{肖}{アヤカ}らせて下さいませ) 3631 0 0 3416 htmvoc_3631.wav オーリルン ⸢オーリルン [⸢ʔoːriruŋ] 自動 追われる。追放される。⸢ウーン[⸢ʔuːŋ](追う)の受身動詞。⸢ウーン[⸢ʔuːŋ]の未然形[ʔuwa-]が融合変化して[ʔoː-]となり、それに受身の助動詞-リン[-riŋ](れる)が下接し、再活用して形成された派生動詞。⸢オーリンとも言う。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー シ⸢マー⸣ラ ⸢オーリルン⸠ダー [ja⸢naku̥tu suː⸣kaː ʃi⸢maː⸣ra ⸢ʔoːrirun⸠da] (悪い事をすると島から追われるぞ)。 ナー⸢イ ベー⸣ルカー ⸢オーララヌ [naː⸢i beː⸣rukaː ⸢ʔoːraranu] (じっとしていると追放されることは<追われ>ない)。 ⸣アイ ⸢ベー⸣ティン ⸢オーリル⸣カー ⸣メー ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔai⸢beː⸣tiŋ ⸢ʔoːriru⸣kaː ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (あんなに<おとなしく>していても追われるようならどうにも手当てが出来ない<養生つけられない>) 3632 0 1 3417 htmvoc_3632.wav オーリン ⸢オーリン [⸢ʔoːriŋ] 自動 {Mn_1}追われる。他動詞⸢ウーン[⸢ʔuːŋ](追う)の派生動詞(受身・可能動詞)。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー シ⸢マー⸣ラ ⸢オーリン⸣ダ [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ʃi⸢maː⸣ra ⸢ʔoːrin⸣daː] (そんなことをすると島から追われるぞ)。 ⸢オーリヤッ⸣サン [⸢ʔoːrijas⸣saŋ] (追われやすい)。 ナー⸢イ オーリベー⸣リ [naː⸢i ʔoːribeː⸣ri] (ただ<じっと>追われておれ)。 ウ⸢マー⸣ パルカー ⸢オーリル⸣ パジ⸢ダー [ʔu⸢maː⸣ parukaː ⸢ʔoːriru⸣ paʤi⸢daː] (そこへ行ったら追われるはずだよ)。 3632 0 2 3418 htmvoc_3632.wav オーリン ⸢オーリン [⸢ʔoːriŋ] 自動 {Mn_2}⸢ウーン[⸢ʔuːŋ](追う)の可能動詞(追うことが出来る)。 ウ⸢リヌ⸣ シ⸢ベー オーララヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢beː ʔoːraranu] (その人の後に追いつけない<後は追われない>)。 カ⸢マーバー⸣キン ⸢デー⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸢オーリン⸣ギサン [ka⸢maːbaː⸣kin ⸢deː⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔoːriŋ⸣gisaŋ] (あそこまでなら私にも追跡出来そうだ<追われそうだ>)。 ⸢バン⸣ヌン ⸢オーラリン⸣ギサン [⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔoːrariŋ⸣gisaŋ] (私にも追われ<追え>そうだ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢オーレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔoːreː⸣ misamunu] (もっと追われればよいのに)。 ⸢オーリ⸣ プ⸢ソー ウイ⸣バ [⸢ʔoːri⸣ pu⸢soː ʔui⸣ba] (追われる<追うことが出来る>人は追えよ) 3633 1 0 3419 htmvoc_3633.wav オールン ⸢オー⸣ルン [⸢ʔoː⸣ruŋ] 自動 {PoS_1}いらっしゃる。おられる。おはす(在はす)かの転訛。(「居る」、「行く」、「来る」の尊敬語)。 ⸣アッパー ⸢ヤー⸣ナ ⸢オー⸣ルンカヤー [⸣ʔappaː ⸢jaː⸣na ⸢ʔoː⸣ruŋkajaː] (お祖母さんは家に居られますかねえ)。 ⸣アブジェー ⸢マー⸣ティ ⸢オール⸣ワ [⸣ʔabuʤeː ⸢maː⸣ti ⸢ʔoːru⸣wa] (お祖父さんは何処へ行かれますか<何処へといらっしゃるのですか>)。 3633 2 0 3420 htmvoc_3633.wav オールン ⸢オー⸣ルン [⸢ʔoː⸣ruŋ] 補動 {PoS_2}動詞の連用形に下接して尊敬の意を表す。尊敬の補助動詞。「おはる。よわる」『おもろさうし』の義。 ⸢タール⸣ カキ⸢オール⸣ワ [⸢taːru⸣ kḁki⸢oːru⸣wa] (誰が書いておられるか)。 ⸣アボール ⸢シーオー⸣ル [⸣ʔaboːru ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (お母さんがしておられる>)。 ⸢シーオーラ⸣ヌ [⸢ʃiːʔoːra⸣nu] (していらっしゃらない) ⸢キュー⸣ヤ カキ⸢オーリ⸣プサンツォー [⸢kjuː⸣ja kḁki⸢ʔoːri⸣pusanʦoː] (今日は書いていらっしゃりたいそうです))。 ⸣アツァン ⸢シーオー⸣ルンツォー [⸣ʔaʦaŋ ⸢ʃiːʔoː⸣runʦoː] (明日もしていらっしゃるそうです)。 ウ⸢キ⸣ナーナ ミリ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー [ʔu⸢ki⸣naː miri⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː] (沖縄で見ていらっしゃるときは)。 ⸢ワンヌン シーオー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢wannuŋ ʃiːʔoː⸣reː ⸣misamunu] (貴方もやっていらっしゃればよいのに)。 ⸢パー⸣ク パリ⸢オー⸣リ [⸢paː⸣ku pari⸢ʔoː⸣ri] (早く走っていらっしゃい) 3634 0 0 3421 htmvoc_3634.wav オーンギ ⸢オーンギ [⸢ʔoːŋgi] 名 神衣装の上着。司の衣装の一つ。 サ⸢カサー オーンギバ⸣ キ⸢シティ⸣ ウガン ⸢オーッ⸣タ [sḁ⸢kasaː ʔoːŋgiba⸣ ki̥⸢ʃiti⸣ ʔugaŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (司は神衣装の上着を着て御嶽<お願>へ行かれた) 3603 0 0 3422 htmvoc_3603.wav オーングローン ⸢オーングロー⸣ン [⸢ʔoːŋguroː⸣ŋ] 形 船の底荷がない時、重心が高くなり、安定性が失われて横揺れするさま。ひどくローリングするさま。 ク⸢ヌ⸣ フネー ⸢オーングロー⸣ヌ ム⸢タラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ɸuneː ⸢ʔoːŋguroː⸣nu mu⸢tara⸣nu] (この船は重心が高く、横揺れ<ローリング>が激しいので操船できない<持てない>)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢オーングローナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢ʔoːŋguroːnaː⸣nu] (それほど横揺れしない)。 ⸢サッ⸣コー ⸢オーングロー⸣ン [⸢sak⸣koː ⸢ʔoːŋguroː⸣ŋ] (非常に横揺れする)。 ⸢オーングロー⸣カー ⸣フネー ム⸢トゥ⸣ナ [⸢ʔoːŋguroː⸣kaː ⸣ɸuneː mu⸢tu⸣na] (安定性がなく横揺れが激しいなら船を操縦するな<持つな>) 3636 0 0 3423 htmvoc_3636.wav オシイタ オ⸢シイタ [ʔo⸢ʃiʔita] 名 押し板。厚さ約10センチ、幅約40センチ、長さ約80センチの厚い板。衣類のシワ(皺)を伸ばし、形を整えるのに用いた板。台湾産のクスノキ(樟)やヒノキ(檜)で作られていた。アイロンや霧吹きの無かった頃、洗濯して干した衣類を夕方に取り入れて指先で少し水分を振り掛け、シワを伸ばしながら丁寧に畳んで茣蓙の下に置き、押し板で押して翌日に着用した。 ⸢ワイシャツン⸣ ズ⸢ボン⸣ユン オ⸢シイタ⸣シ ヌ⸢バ⸣シ ブ⸢リ⸣ミー イ⸢リティル⸣ キ⸢サソーッ⸣タ [⸢waiʃaʦun⸣ ʣu⸢boŋ⸣juŋ ʔo⸢ʃiʔita⸣ʃi nu⸢ba⸣ʃi bu⸢ri⸣mi ʔi⸢ritiru⸣ ki̥⸢sasoːt⸣ta] (ワイシャツもズボンモ押し板でシワを伸ばして折り目を入れて着けさせられた) 3638 0 0 3424 htmvoc_3638.wav オシイレ オ⸢シ⸣イレ [ʔo⸢ʃi⸣ʔire] 名 押入れ。標準語からの借用語か。老年層は、ユ⸢コー⸣マ[ju⸢koː⸣ma](押入れ)といっていた。 オ⸢シ⸣イレナ ⸣ウズ タ⸢ク⸣ミ イ⸢リリ [ʔo⸢ʃi⸣ʔirena ⸣ʔuʣu ta⸢ku⸣mi ʔi⸢riri] (押入れに布団を畳んで入れなさい) 3637 0 0 3425 htmvoc_3637.wav オシキ ⸢オシキ [⸢ʔoʃi̥ki] 名 天気。天候。老年層は⸢オーシキ[⸢ʔoːʃi̥ki](天気{EOS}天候)という。 ⸢オシキヌ ノー⸣ルン [⸢ʔoʃikinu noː⸣ruŋ] (天気が良くなる<回復する>) 3642 0 0 3426 htmvoc_3642.wav オッティカミルン オッ⸢ティ⸣ カ⸢ミ⸣ルン [ʔot⸢ti⸣ ka⸢mi⸣ruŋ] 連 うやうや(恭)しく頂く。恭しく頂戴する。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸣グシェー オッ⸢ティ⸣ カミティ ⸢マーシ⸣バ [⸢kannumai⸣nu ⸣guʃeː ʔot⸢ti⸣ kamiti ⸢maːʃi⸣ba] (神前に供えた神酒は恭しく頂戴して、ほかの人へ回しなさいよ) 3586 0 0 3427 htmvoc_3586.wav オンガキ ⸢オンガキ [⸢ʔoŋgaki] 名 薬味。うわおき(上置き)。あしらい。刺身の妻。料理で汁物や刺身のあしらいとして野菜の刻んだものを添える。鳩間方言では、⸢上にかける物」の義でお汁や刺身のあしらいとして添える野菜類のこと。お盆の「道歌」に/シーシェーマーヌ オールンドー アンガマターヌ オールンドー パダラヤ ナマシ ナマシヤ パイル パイルヤ フナブ オンガキーヤ シーソヌパー ソーランヤーヌ アッパター ミーザンマーザン オーショーリ/(獅子舞が来られるぞ、アンガマ達が来られるぞ、トウゴロイワシは刺身にして、刺身には酢を、酢は九年母の実を、刺身の妻には紫蘇の葉を、精霊会<お盆を迎える>家のおばあさん方、不味くても美味しくても、お召し上がりください)と歌われている 3648 0 0 3428 htmvoc_3648.wav オンギ ⸢オン⸣ギ [⸢ʔoŋ⸣gi] 名 扇。「アフギ(扇)」、「~裘<かはころも>扇不放<アフギハナタヌ>~。万、1682」の転訛したもの。*[ʔapuŋgi] → *[ʔaɸuŋgi] → [ʔawuŋgi] → *[ʔauŋgi] → [ʔoːŋgi] → [⸢ʔoŋ⸣gi] のような音韻変化の過程を経たものであろう。扇には、ク⸢バオンギ[ku⸢baoŋgi](クバの葉製の扇)、ヤ⸢マトゥオン⸣ギ[ja⸢matuoŋ⸣gi](本土製の扇や団扇{EOS})がある。人が死ぬと、蒲葵の生の葉で死者のために扇を作った。団扇<うちわ>は戦後石垣島から購入された。家庭ではクバ扇が主体で、葉が裂けても何年も使い古されていた。母親の手で煽られて送られる柔らかな風の肌触りと、時々クバ扇の先で背中をさすってくれる感触が子供に安心感を与えて眠りへ誘ってくれたものである。其の他、⸢シェン⸣スル[⸢ʃeŋ⸣suru](扇子)、ミ⸢ルクヌ オン⸣ギ[mi⸢rukunu ʔoŋ⸣gi](弥勒神の持つ軍配扇)等がある。 ⸢オン⸣ギシ ⸢アウ⸣リ [⸢ʔoŋ⸣giʃi ⸢ʔau⸣ri] (扇で\ruby{煽}{アオ}ぎなさい)。 ⸢オンギ⸣バ ス⸢ク⸣ルンティ ⸢ベー [⸢ʔoŋgi⸣ba su̥⸢ku⸣runti ⸢beː] (扇を作ろうとしている)。 ⸢オンギ⸣ヌ タ⸢ラーヌ [⸢ʔoŋgi⸣nu ta⸢raːnu] (扇が足りない)。 ⸢オン⸣ゲー ⸣マナー ア⸢ル⸣ワ [⸢ʔoŋ⸣geː ⸣manaː ʔa⸢ru⸣wa] (扇は何処にあるか) 3650 0 0 3429 htmvoc_3650.wav オンギドゥル ⸢オンギ⸣ドゥル [⸢ʔoŋgi⸣duru] 名 扇であおぐこと。「扇取り」の義か。 ア⸢マ⸣ヌ ⸣アツァティ プ⸢スユー⸣ヌ ⸣サートゥ ⸢オンギドゥル⸣バ ⸢シール⸣ ッ⸢ふァ⸣ ニ⸢バシタ⸣ダー [ʔa⸢ma⸣nu ⸣ʔaʦati pu̥⸢sujuː⸣nu ⸣saːtu ⸢ʔoŋgiduru⸣ba ⸢ʃiːru⸣ f⸢fa⸣ ni⸢baʃita⸣daː] (あまりにも暑いので、一晩中扇で煽いで子供を寝かせたのだよ)。 ⸣アボー ⸢ミー⸣ヤ ッ⸢サイ オールン⸣ドゥ ナー⸢イ オンギ⸣ドゥル ⸢シー オー⸣ル [⸣ʔaboː ⸢miː⸣ja s⸢sai ʔoːrun⸣du naː⸢i ʔoŋgi⸣duru ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (お母さんは目をつぶって居られるのだが、ずうっと扇で扇いでおられる) 3649 0 0 3430 htmvoc_3649.wav オンギヌカジ ⸢オンギ⸣ヌ カ⸢ジ [⸢ʔoŋgi⸣nu ka⸢ʤi] 連 ⸢扇の風」の義。昔から「扇で煽いで起こす風は薬」といわれている。子供に対しても適度の涼風を送ることが出来るし、病人に対しても病状に応じて涼風を送り、看病することができるからである。何よりも見守られているという安心感がスキンシップと癒し感を与えたからである。 ⸢オンギ⸣ヌ カ⸢ジェー⸣ フ⸢チ⸣ル ヤ⸢リバ⸣ アツァ ⸣ピンマー ⸢オン⸣ギ ッ⸢ふィーリ⸣バ [⸢ʔoŋgi⸣nu ka⸢ʤeː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ja⸢riba⸣ ʔaʦa ⸣pimmaː ⸢ʔoŋ⸣gi f⸢fiːri⸣ba] (扇の風は薬だから、暑い時は煽いであげなさいよ) 3651 0 0 3431 htmvoc_3651.wav オンギブドゥル ⸢オンギブドゥ⸣ル [⸢ʔoŋgibudu⸣ru] 名 古典舞踊。「扇踊り」の転訛したもの。⸢ティーブドゥ⸣ル[⸢tiːbudu⸣ru](手踊{EOS}座りながら手だけ動かしてする踊り{EOS}三線につれられて、手に何も持たないでコネリながらする踊り{EOS}モーヤー等)の対義語。 グ⸢ジン⸣フーン パ⸢トゥ⸣マナカムリン ⸢オンギブドゥ⸣ル⸢ダー [gu⸢ʤiŋ⸣ɸuːm pḁ⸢tu⸣manakamuriŋ ⸢ʔoŋgibudu⸣ru⸢daː] (御前風節も鳩間中岡節も古典舞踊<扇踊り>だよ) 3639 0 0 3432 htmvoc_3639.wav オングン ⸢オン⸣グン [⸢ʔoŋ⸣guŋ] 他動 扇ぐ。\ruby[g]{団扇}{ウチワ}などを動かして風を送る。「Auogui,u,uoida,アヲギ,グ,ida(煽ぎ,ぐ,いだ)扇であおぐ」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。⸢アウ⸣ルン[⸢ʔau⸣ruŋ](\ruby{煽}{アオ}る{EOS}団扇を動かして送風する)ともいう。 ⸣アボー ⸢ユードゥー⸣シ ⸢オンギ⸣バ ⸢オン⸣ギティル ッ⸢ふァ⸣ ニ⸢バソーッ⸣タ [⸣ʔaboː ⸢juːduː⸣ʃi ⸢ʔoŋgi⸣ba ⸢ʔoŋ⸣gitiru f⸢fa⸣ ni⸢basoːt⸣ta] (お母さんは夜通し\ruby{扇}{アオ}を扇いで子供を寝かせられた)。 ⸣バー ⸢オンガ⸣ヌ [⸣baː ⸢ʔoŋga⸣nu] (私は\ruby{扇}{アオ}がない)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢オン⸣ギミサン [ma⸢na⸣maː ⸢ʔoŋ⸣gimisaŋ] (今は扇いでいい<良い>)。 ⸢ワー オン⸣グカー ⸢バン⸣ヌン ⸢オン⸣グン [⸢waː ʔoŋ⸣gukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢ʔoŋ⸣guŋ] (君が扇いだら私も扇ぐ)。 ⸢オン⸣グ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔoŋ⸣gu pu⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (扇ぐ人はいない)。 マーン⸢ベーマ オン⸣ゲー ⸣ミサムヌ [maːm⸢beːma ʔoŋ⸣geː ⸣misamunu] (もう少し扇げばよかったのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢オン⸣ギ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔoŋ⸣gi] (もっと扇げ) 3609 0 0 3433 htmvoc_3609.wav オンケー ⸣オンケー [⸣ʔoŋkeː] 名 豚便所。かつては豚小屋と便所は一つになっており、人糞を豚に与えていた。戦後、民生府と保健所の指導により、便所が独立して作られるようになった。豚舎から出る糞尿や豚を洗う水が便壷に流入し、人糞と混合して醗酵したのを水肥として水肥桶に汲み取って野菜畑にかけた。その野菜を食した子供や大人に回虫やぎょう虫が発生し、栄養不良の子供が続出した。そこで、この回虫、ぎょう虫を駆除するために、ナ⸢ツァー⸣ラ[na⸢ʦaː⸣ra](海人草)を煎じてのませた。便所は、⸣フルヤー[⸣ɸurujaː]ともいい、フ⸢ル⸣ヌカン[ɸu⸢ru⸣nu](便所の神)は霊験あらたかであると信じられている。フ⸢ル⸣ヌカン[ɸu⸢ru⸣nukaŋ](便所の神様)は、日頃は頭を地面につけて、尻を立てて寝ているという口碑がある。夜中に外出先で悪霊に襲われたり、ひどく驚いて魂を落としたりする際、帰宅して先ず豚舎に行き、豚を起こすと憑き物(悪霊)が落ち、マ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru](魂{EOS}守り)が体内に帰るといわれている。 ⸣オンケーヤ ム⸢カ⸣シェー ⸢オー⸣ヌヤートゥ ⸢ピー⸣チ ⸢ヤッタ [⸣ʔoŋkeːja mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔoː⸣nujaːtu ⸢piː⸣ʧi ⸢jatta] (便所は昔は豚舎と一つになっていた)。 ム⸢カ⸣シェー ⸣オンケーナ ⸣ッソー ⸣マリティ ウ⸢リバ⸣ オーン ッ⸢ふァーシ オーッタ⸣ヌ ⸢センゴ⸣ トゥ⸢ミラリ ナーン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔoŋkeːna ⸣ssoː ⸣mariti ʔu⸢riba⸣ ʔoːŋ f⸢faːʃi ʔoːtta⸣nu ⸢ʃeŋgo⸣ tu⸢mirari naːŋ⸣ʃeŋ] (昔は豚便所で糞を放<ま>って、それを豚に食わしておられたが、戦後になって禁止され<止められ>てなくなった) 3641 0 0 3434 htmvoc_3641.wav オンケーヌコイ ⸣オンケーヌ ⸣コイ [⸣ʔoŋkeːnu ⸣koi] 連 便所のこやし(肥)。便所と豚舎が結合しており、豚舎から出る豚の糞尿や豚を洗った汚水を便壷に流入させて混合醗酵させ、水肥として畑の肥料に利用した。回虫や蟯虫の発生源といわれたので、ナ⸢ツァー⸣ラ[na⸢ʦaː⸣ra](海人草)を煎じて飲ませ、蟯虫駆除をした。 マ⸢ナ⸣マー ⸣オンケーヌ ⸣コイ パ⸢タ⸣ケー カ⸢タ⸣ム プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ⸣ʔoŋkeːnu ⸣koi pḁ⸢ta⸣keː kḁ⸢ta⸣mu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今は便所の肥やしを畑へ入れる<担ぐ>人はいない) 3646 0 0 3435 htmvoc_3646.wav オンダー ⸣オンダー [⸣ʔondaː] 名 海水浴。子供が海で水遊びをすること。 ドゥ⸢ルゴー⸣ダー ⸢シーベー⸣バ ⸣オンダー ⸢シー⸣ ウ⸢タ⸣シ クー [du⸢rugoː⸣daː ⸢ʃiːbeː⸣ba ⸣ʔondaː ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢ta⸣ʃi ⸣kuː] (泥まみれになっているから海水浴をして落として来なさい) 3647 0 0 3436 htmvoc_3647.wav オンダースン ⸣オンダー ⸢スン [⸣ʔondaː ⸢suŋ] 連 海水浴をする。海で水遊びをする。 ナ⸢チェー⸣ アツァンダ ⸢ピーズン⸣ オンダー ⸢シーブタ [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦanda ⸢piːʣuŋ⸣ ʔondaː ⸢ʃiːbuta] (夏は暑いので毎日海水浴をしていた)。 ⸣オンダー サ⸢ヌ [⸣ʔondaː sa⸢nu] (海水浴はしない) 3652 0 0 3437 htmvoc_3652.wav オンデー ⸢オン⸣デー [⸢ʔon⸣deː] 名  (動)魚の名。和名、ハナアイゴ。⸢アイイズ[⸢ʔaiʔiʣu](アミアイゴ)の成魚。体長20~25センチ。釣ることも出来るし、⸣ティル[⸣tiru](籠網)で漁獲することも出来る。魚肉は締まっていて、刺身にしても煮ても美味である。 ⸣ティルナ ⸣ウン イ⸢リティ⸣ ス⸢ナカ⸣ナ イ⸢リシキ⸣ルカー ⸢オンデー⸣ヤ ティ⸢ル⸣ヌ ナ⸢カー ペー⸣ルン⸢ダー [⸣tiruna ⸣ʔuŋ ʔi⸢riti⸣ su⸢naka⸣na ʔi⸢riʃi̥ki⸣rukaː ⸢ʔondeː⸣ja ti⸢ru⸣nu na⸢kaː peːru⸣tan⸢daː] (籠網に煮芋を入れて海中に沈めて<入れて>おくと、オンデー<ハナアイゴ>は籠の中に入ったよ) 3653 0 0 3438 htmvoc_3653.wav オンプール ⸣オンプール [⸣ʔompuːru] 名 豊年祭の第一日目。「お嶽<お願>豊年祭」の義か。⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通し)ともいう。友利お嶽においてサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}巫女)、ティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性神職者{EOS}神人)、バ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa](司の助手{EOS}脇司)をはじめ、⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代{EOS}部落会長{EOS}公民館長)、ヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](東村、西村の支会長)、⸢ジンバイ[⸢ʤimbai](東村、西村の配膳係各二名)、⸢ポー⸣ツァー[⸢poː⸣ʦaː](包丁人、料理責任者)村役人、村の古老や有識者が揃い、宵の祈願、夜中の祈願、朝の祈願など、夜を徹して豊年を祈願し、二日目のム⸢ラプール[mu⸢rapuːru](村豊年祭)には⸣バウ[⸣bau](棒踊り)、⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](踊り競演)、⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競漕)による竜宮より豊年を迎える祈願儀式、三日目のシ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)による豊作祈願へと移る。二日目、三日目は⸣トーピン[⸣toːpiŋ](祭りの当日)ともいわれる。 ⸣オンプーロー ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーッタ [⸣ʔompuːroː ⸢ʔuinu⸣ʔugannaːtiru ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoːt⸣ta] (お嶽の豊年祭は友利お嶽<上のお嶽>において祈願された) 3654 0 0 3439 htmvoc_3654.wav カ ⸢カ [⸢ka] 助数 日を表す造語成分。日数を表す。一日を、⸣プスイ[⸣pu̥sui](一日、「ひとひ」の義)といい、二日以上は、⸢フシゥカ[⸢ɸusï̥ka](二日)、⸢ミーカ[⸢miːka](三日)、⸢ユッカ[⸢jukka](四日)、⸢イシゥ⸣カ[⸢ʔisï̥⸣ka](五日)、⸢ムイカ[⸢muika](六日)、⸢ナン⸣カ[⸢naŋ⸣ka](七日)、⸢ヤウカ[⸢jauka](八日)、ク⸢クヌ⸣カ[ku̥⸢kunu⸣ka](九日)、⸢トゥッカ[⸢tukka](十日)という。 ⸢ギューカ [⸢gjuːka] (幾日「いくか」の義)。 ⸢ワー⸣ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢リティ ギューカ⸣ ナ⸢ル⸣ワ [⸢waː⸣ f⸢faː⸣ ma⸢riti gjuːka⸣ na⸢ru⸣wa] (君の子供は生まれて幾日になるか)。 ⸣キューシ ⸢トゥッカ⸣ ナルン⸢ダー [⸣kjuːʃi ⸢tukka⸣ narun⸢daː] (今日で十日になるよ) 3655 0 1 3440 htmvoc_3655.wav カ ⸣-カ [⸣-ka] 終助 ~か。{Mn_1}活用語の終止形に付いて疑問に用い、疑念、迷いを表す。 ブ⸢ガ⸣リ ⸢ナー⸣ンダ ⸣メー ニ⸢ブン⸣カ [bu⸢ga⸣ri ⸢naː⸣nda ⸣meː ni⸢buŋ⸣ka] (疲れてしまったから、もう寝よう<寝る>か)。 アン⸢デー⸣カ ⸢ワットゥ マーズン⸣ パ⸢ルン⸣カ [ʔan⸢deː⸣ka ⸢wattu maːʣum⸣ pa⸢ruŋ⸣ka] (それならば君と一緒に行こう<行く>か)。 3655 0 2 3441 htmvoc_3655.wav カ ⸣-カ [⸣-ka] 終助 {Mn_2}名詞に付いて推量疑念、不確かさを表す。 ⸣カナー シラー⸢シラー⸣シ ミ⸢ラ⸣リムノー プ⸢ス⸣カ [⸣kanaː ʃiraː⸢ʃiraː⸣ʃi mi⸢ra⸣ri ⸣munoː pu̥⸢su⸣ka] (あそこにうっすらと見えるものは人だろうか<人か>)。 3655 0 3 3442 htmvoc_3655.wav カ ⸣-カ [⸣-ka] 終助 {Mn_3}格助詞⸣-ナーティ[⸣-naːti](~で)に付く。 ⸢ジー⸣ カ⸢ク⸣タンティ ⸢スー モー ガッ⸣コーナー⸢ティ⸣カー [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢ku⸣tanti ⸢suː moː gak⸣koː naː⸢ti⸣ka] (字を書いたというのは学校でか)。 3655 0 4 3443 htmvoc_3655.wav カ ⸣-カ [⸣-ka] 終助 {Mn_4}副助詞カー⸢ニ[kaː⸢ni](~だけ)に付く。 ⸣トゥレー ナ⸢ラン⸣ティ ⸢スー ムノー⸣ ク⸢リ⸣ カー⸢ニ⸣カー [⸣tureː na⸢ran⸣ti ⸢suː munoː⸣ ku⸢ri⸣ kaː⸢ni⸣ka] (取ってはいけないというのは、これだけだろうか<これだけか>) 3656 0 0 3444 htmvoc_3656.wav ガ ガ [ga] 格助 所属を表す<の>。体言および体言に準ずる形について下の体言にかかる連体格助詞。一人称の代名詞に付く例に限られる。人名、親族呼称、数詞に付く例は見られない。歌謡語にのみ用いられ、日常語としては用いられない。/バガ パトゥマ クダリヨーリヨー/(我が鳩間島に降りられてください)(「雨乞い歌 早め句」23連)、/バガ パトゥマ ピキユシ オリヨー/(「雨乞い歌 早め句」28連)、/バガ パトゥマニ ヨーホー アガリョーリ/(我が鳩間島に上がって下さい)(「ユーアギジラマ」2連)、バガ ケーラドゥ ティユマス ヨー ユスケーラドゥ ナトゥラスヨー/(我が全員を豊かにし、とよま<響動ま>せ、他の島人全員を豊かにし、とよま<響動ま>せる)(「ユーアギジラマ」9連)。日常会話では親族名詞や代名詞の「はだか格」で次のように所属、所有を表す。 ⸢ベー⸣ シマ [⸢beː⸣ ʃima] (我が島<我々の島>)。 ⸣バー ⸣ヤー [⸣baː ⸣jaː] (私の家)。 ⸢ワー⸣ フニ [⸢waː⸣ ɸuni] (君の船)。 ⸢ター⸣ ムヌヤー [⸢taː⸣ munujaː] (誰のものか)。 ⸢アー⸣ヤー ⸣ター [⸢ʔaː⸣jaː ⸣taː] (お父さんの田) ⸣マツォー ⸣ムヌ [⸣maʦoː ⸣munu] (松君のもの)) 3657 0 0 3445 htmvoc_3657.wav カー ⸣カー [⸣kaː] 名 皮。皮革。「皮、賀波(かは)、被\kaeriten{㆑}体也」『和名抄』の転訛したもの。 ウ⸢シヌ⸣カーシ ⸢タイ⸣ク パ⸢ルン [ʔu⸢ʃinu⸣kaːʃi ⸢tai⸣ku pa⸢ruŋ] (牛の皮で太鼓を張る)。 フ⸢ナブ⸣ヌ ⸣カー [ɸu⸢nabu⸣nu ⸣kaː] (蜜柑の皮)。 バ⸢サン⸣ナルヌ ⸣カー [ba⸢san⸣narunu ⸣kaː] (バナナの皮)。 ア⸢カ⸣ズミキーヌ ⸣カー ⸣パギ ⸣シジティ ⸢プー⸣ ス⸢モーッ⸣タ [ʔa⸢ka⸣ʣumikiːnu ⸣kaː ⸣pagi ⸣ʃiʤiti ⸢puː⸣ su⸢moːt⸣ta] (ひるぎ<マングローブ>の樹皮を剥ぎ、煎じて船の帆を染められた)。 ⸢カー⸣ヌ ⸣シル [⸢kaː⸣nu ⸣ʃiru] (皮の汁)。 ⸢カー⸣バ ⸣パギ [⸢kaː⸣ba ⸣pagi] (皮を剥げ)。 ⸣カーシ ス⸢ク⸣リ [⸣kaːʃi su̥⸢ku⸣ri] (皮で作れ)。 ⸣カーラ ⸣パギ [⸣kaːra ⸣pagi] (皮から剥げ) 3658 0 0 3446 htmvoc_3658.wav カー ⸢カー [⸢kaː] 名 井戸。掘抜き井戸とウ⸢リ⸣カー[ʔu⸢ri⸣kaː](鍾乳洞の降り井戸)がある。⸢インヌカー[⸢ʔinukaː](西村井戸)は掘抜き井戸で、乾隆13年(1784)に黒島仁屋(仲本家の先祖)が掘削させたもの。シンタ⸢カー[ʃinta⸢kaː](村の後ろの井戸)ともいう。⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東村井戸)はウ⸢リ⸣カー(降り井戸)である。⸢ウイヌカー[⸢ʔuinukaː](⸢上の井戸」の義{EOS}ナ⸢カン⸣ブレ{SqBr}na⸢kam⸣bure{/SqBr}<中岡>の北、約200メートルの所にある井戸)は、もと鍾乳洞の降り井戸であったものを、昭和13年にコンクリート造りの掘抜き井戸に改築したものである。改築に貢献した富村校長の名を付して「富村井戸」ともいう。パ⸢チンガカー[pḁ⸢ʧiŋgakaː](「初の井戸」の義か)は⸢ウイヌカー[⸢ʔuinukaː]の南西約100メートルの所、加治工家のニ⸢シ⸣ドー[ni⸢ʃi⸣doː](西堂)の畑の側にある。サ⸢クラ⸣カー[sḁ⸢kura⸣kaː](「塩辛い井戸」の義か)は、タ⸢チ⸣バル[tḁ⸢ʧi⸣baru](立原)の⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)の畑のそばにある井戸。現在はほとんど埋まっている。 ム⸢カ⸣シェー ⸢カーヌ ソー⸣ジン ⸢ソーッ⸣タン⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kaːnu soː⸣ʤin ⸢soːt⸣tan⸢daː] (昔は井戸の掃除もなさったよ) 3659 0 1 3447 htmvoc_3659.wav カー ⸣-カー [⸣-kaː] 接助 ~なら。~たら。活用語の連体形に付いて仮定条件を表し、已然形に付いて確定条件を表す。{Mn_1}動詞の連体形に付く。 ⸣ヤドゥ ア⸢ク⸣カー イッ⸢ケン⸣ ピ⸢ラ⸣ケーン [⸣jadu ʔa⸢ku⸣kaː ʔik⸢kem⸣ pi⸢ra⸣keːŋ] (戸を開けると非常に涼しい)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー イ⸢ソー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ʔi⸢soː⸣ pa⸢rara⸣nu] (雨が降ったら潮干狩りに行けない)。 ⸢ワー⸣ パルカー パ⸢ナ⸣シェー シゥ⸢カンツァーリ⸣ス [⸢waː⸣ parukaː pa⸢na⸣ʃeː sï̥⸢kanʦaːri⸣su] (君が行くと話はこじれ<拗れ>てしまう)。 3659 0 2 3448 htmvoc_3659.wav カー ⸣-カー [⸣-kaː] 接助 {Mn_2}動詞の已然形について確定条件を表す。 ⸢ワー⸣ カケーカ ミ⸢サ⸣ルメー [⸢waː⸣ kakeːka mi⸢sa⸣rumeː] (君は書いたのなら、もう良いさ)。 3659 0 3 3449 htmvoc_3659.wav カー ⸣-カー [⸣-kaː] 接助 {Mn_3}形容詞の連体形に付く。 ⸢ピー⸣ヤカー ⸣ドゥーシ ⸣ウズ ⸣カビバ [⸢piː⸣jakaː ⸣duːʃi ⸣ʔuʣu ⸣kabiba] (寒かったら<寒ければ>自分で布団を被れよ)。 タ⸢カー⸣カー ⸢ヌーララヌ [tḁ⸢kaː⸣kaː ⸢nuːraranu] (高かったら<高ければ>登れない)。 3659 0 4 3450 htmvoc_3659.wav カー ⸣-カー [⸣-kaː] 接助 {Mn_4}打ち消しの助動詞の連体形に付く。 マ⸢ニアーン⸣カー ⸢アイ⸣ジ ⸢シー⸣バ⸢ヨー [ma⸢niaːŋ⸣kaː ⸢ʔai⸣ʤi ⸢ʃiː⸣ba⸢joː] (間に合わなかったら連絡<合図>しなさいね)。 3659 0 5 3451 htmvoc_3659.wav カー ⸣-カー [⸣-kaː] 接助 {Mn_5}過去の助動詞の連体形に付く。 ⸢ピー⸣ヤタカー ⸣ドゥーシン ⸣ウゾー ⸢サンギ⸣ カ⸢ビ⸣レール [⸢piː⸣jatakaː ⸣duːʃiŋ ⸣ʔuʣoː ⸢saŋgi⸣ ka⸢bi⸣reːru] (寒かったのなら自分で布団を引張って被っただろうよ)。 ⸢ワンヌン パッ⸣タカー ⸣ミサタムヌ [⸢wannum pat⸣takaː ⸣misatamunu] (君も行っていたら良かったのに)。 3659 0 6 3452 htmvoc_3659.wav カー ⸣-カー [⸣-kaː] 接助 {Mn_6}可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](~れる)の連体形につく。 ⸢バン⸣ヌン パ⸢ラ⸣リカー ⸣ミサムヌ [⸢ban⸣num pa⸢ra⸣rikaː ⸣misamunu] (私も行けたら良いのになあ)。 ⸢ワンヌン⸣ キ⸢ラ⸣リカー⸢ナー [⸢wannuŋ⸣ ki⸢ra⸣rika⸢naː] (君も来れたらなあ<来られたら良いのになあ>)。 ム⸢ニ⸣ヌ イ⸢ザリ⸣カー ミサムヌ⸢ナー [mu⸢ni⸣nu ʔi⸢ʣari⸣kaː misamunu⸢naː] (ものが言えたら良いのになあ) 3660 0 0 3453 htmvoc_3660.wav カー ⸣カー [⸣kaː] 助数 沖縄線香のイ⸢ツァ⸣カウ[ʔi⸢ʦa⸣kau](板香)の枚数を表す。板香一枚には6本の筋がある。プ⸢ス⸣カー[pu̥⸢su⸣kaː](一枚)、フ⸢タカー[ɸu̥⸢takaː](二枚)、⸢ミーカー[⸢miːkaː](三枚)、⸢ユーカー[⸢juːkaː](四枚)と数える。 イ⸢ツァ⸣カウ ⸢ミーカー⸣ シキ ⸣タティバ [ʔi⸢ʦa⸣kau ⸢miːkaː⸣ ʃi̥ki ⸣tḁtiba] (板香<沖縄香>三枚に火をつけて立てなさいよ) 3661 0 1 3454 htmvoc_3661.wav ガー ⸣ガー [⸣gaː] 名 {Mn_1}我。意地。 ⸣ガー パ⸢ルン [⸣gaː pa⸢ruŋ] (我を張る<意地を張る>)。 ⸢ガー⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダー ウ⸢リヌ⸣ ガー パ⸢レー⸣ラ プ⸢スヌ⸣ ノー⸢ンティ⸣ ア⸢ザバン⸣ イッ⸢カナ⸣シ シゥ⸢カヌ [⸢gaː⸣nu ⸢suː⸣wandaː ʔu⸢rinu⸣ gaː pa⸢reː⸣ra pu̥⸢sunu⸣ noː⸢nti⸣ ʔa⸢ʣabaŋ⸣ ʔik⸢kana⸣ʃi sï̥⸢kanu] (自我が強いので、その人が我を張ると他人が何と言おうとも、いっかな<決して>聞かない)。 3661 0 2 3455 htmvoc_3661.wav ガー ⸣ガー [⸣gaː] 名 {Mn_2}忍耐力。持久力。 ウ⸢レー⸣ ガー ⸢スー⸣ワン [ʔu⸢reː⸣ gaː ⸢suː⸣waŋ] (あれは忍耐力がある<我が強い>)。 ⸢ガー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ユンダ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミラバン⸣ シ⸢ビバー⸣キ ⸢トゥーシユーサ⸣ヌ [⸢gaː⸣nu ⸢naːɲ⸣junda noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirabaŋ⸣ ʃi⸢bibaː⸣ki ⸢tuːʃijuːsa⸣nu] (忍耐力がないから何をさせても最後<尻>までやり抜く<通す>ことができない<通し得ない>) 3667 0 0 3456 htmvoc_3667.wav ガーガ ⸢ガー⸣ガ [⸢gaː⸣ga] 名 おこげ(御焦げ)。鍋底に焦げ付いているこげ飯。ナ⸢マ⸣シキ[na⸢ma⸣ʃi̥ki](お焦げ)の強く焦げ付いたもの。子供たちの好物であった。 ム⸢カ⸣シェー ⸢パンガマヌ⸣ ス⸢クヌ ガー⸣ガーン シ⸢ル⸣シケー ⸢シール⸣ ン⸢コーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢paŋgamanu⸣ su̥⸢kunu gaː⸣gaːŋ ʃi⸢ru⸣ʃi̥keː ⸢ʃiːru⸣ ʔŋ⸢koːt⸣ta] (昔は羽釜の底のお焦げも茶漬けにして<汁漬け>にして召し上がられた)。 ⸢イー⸣バ ⸢ピーシゥカ⸣シティ ⸢ガー⸣ガ ⸣ナシシケー [⸢ʔiː⸣ba ⸢piːsi̥ka⸣ʃi̥ti ⸢gaː⸣ga ⸣naʃiʃi̥keː] (ご飯を焦げ付かして、ガーガ<ひどいお焦げ>にしてある) 3668 0 1 3457 htmvoc_3668.wav ガーガ ⸢ガー⸣ガ [⸢gaː⸣ga] 名 {Mn_1}穴だらけ。\ruby{隙間}{スキ|マ}だらけ。穴が大きく開いているさま。 ⸢タン⸣ゴー ⸢ミーガー⸣ガ ナリティ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タマラ⸣ヌ [⸢taŋ⸣goː ⸢miːgaː⸣ga ⸣nariti mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢tamara⸣nu] (たごおけ<担桶>は隙間だらけになって水を運べない<担われない>)。 ⸢ヤー⸣ヌ イ⸢ツァ⸣クベー ⸢ガー⸣ガ ⸣ナリティ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢キナ⸣キ ⸣キー ⸢ピーヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢jaː⸣nu ʔi⸢ʦa⸣kubeː ⸢gaː⸣ga ⸣nariti ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢kina⸣ki ⸣kiː ⸢piːja⸣nu na⸢ra⸣nu] (家の板壁は隙間だらけになって風が吹き込んできて寒くてたまらない)。 3668 0 2 3458 htmvoc_3668.wav ガーガ ⸢ガー⸣ガ [⸢gaː⸣ga] 名 {Mn_2}透けて見えるさま。 ⸢ワー キン⸣マー ヤ⸢ブ⸣リティ パダ⸢バー⸣キ ⸢ミーガーガー⸣シ ミ⸢ラリ⸣ブー [⸢waː kim⸣maː ja⸢bu⸣riti pada⸢baː⸣ki ⸢miːgaːgaː⸣ʃi mi⸢rari⸣buː] (君の着物は破けていて、肌まですっかり透けて見えているよ) 3669 0 0 3459 htmvoc_3669.wav カーガー ⸢カー⸣ガー [⸢kaː⸣gaː] 名 (動)魚の名。和名、ゴマウマズラ。体長約30センチ。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ゾー ナン⸣ゾー ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣoː nan⸣ʣoː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (この魚はあまり見たことがなかった) 3670 0 0 3460 htmvoc_3670.wav カーカベームン ⸣カーカベームン [⸣kaːkabeːmuŋ] 名 大麦(「皮被り麦」の義)。味噌の原料に用いた麦。テンプラ用にも利用された。フ⸢チ⸣ルムン[ɸu̥⸢ʧi⸣rumuŋ](薬麦)ともいう。明治生まれの老年層の使用語彙。若年層にはほとんど死語となっている。 ム⸢カ⸣シェー ⸣カーカベームンバ ス⸢ク⸣リティル ⸢ミー⸣ス ス⸢コーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣kaːkabeːmumba su̥⸢ku⸣ritiru ⸢miː⸣su su̥⸢koːt⸣ta] (昔は大麦<皮被り麦>を作って<ぞ>味噌を製造さ<漬か>れた) 3672 0 0 3461 htmvoc_3672.wav カーキ ⸢カー⸣キ [⸢kaː⸣ki] 名 ゆびきり(指切り)。げんまん(拳万)。約束を厳守する印に相手の小指とからみあわせること。 ⸣アツァン マー⸢ズン⸣ ア⸢サバ⸣ナー ⸢カー⸣キー⸢ダー [⸣ʔaʦam maː⸢ʣuŋ⸣ ʔa⸢saba⸣naː ⸢kaː⸣kiː⸢daː] (明日も一緒に遊ぼうなあ、指切りだよ) 3673 0 0 3462 htmvoc_3673.wav カーキ ⸢カー⸣キ [⸢kaː⸣ki] 名 甚だしく喉が渇くこと。かつえる(飢える)こと。⸢カー⸣クン[⸢kaː⸣kuŋ](喉が渇く)の連用中止形。 ヌ⸢ドゥカー⸣キ ⸢スン [nu⸢dukaː⸣ki ⸢suŋ] (甚だしく喉が渇く)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アッツァティ ミ⸢ジカ⸣ーキ ⸢シーナー⸣ヌ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati mi⸢ʤikaː⸣ki ⸢ʃiː naː⸣nu] (余りにも暑いので、水分欠乏<水餓え、水乾き、激しく水分を欲しがるさま>になってしまった) 3671 0 0 3463 htmvoc_3671.wav カーギ ⸢カーギ [⸢kaːgi] 名 美しい容貌。美しい容姿。美しい。「渡る日の加氣尓<カゲニ>~。万、4469」の「影」から意味派生したものか。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢カーギ カイ⸣ヤン [ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣moː ⸢kaːgi kai⸣jaŋ] (その女は容貌が美しい)。 ⸢カーゲー ナー⸣ンドゥ ⸣キモー ⸢カイ⸣ヤン [⸢kaːgeː naː⸣ndu ⸣kimoː ⸢kai⸣jaŋ] (容貌は美しくないが、心<肝>は美しい) 3955 0 0 3464 htmvoc_3955.wav ガーキ ⸢ガー⸣キ [⸢gaː⸣ki] 接尾 人数を表す語に下接して、それに匹敵する意を表す。⸢~人分、~人に匹敵する」の意味を表す。 ⸣ガキ [⸣gaki] (掛け)ともいう(老年)。「がけ(掛け)」の義。 ウ⸢レー⸣ グ⸢タイ⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ タンガ⸣シ ⸢ジューニン⸣ガキ ⸢シース [ʔu⸢reː⸣ gu⸢tai⸣nu ⸣kanai ⸢bunda taŋga⸣ʃi ⸢ʤuːniŋga⸣ki ⸢ʃiːsu] (その人は体力が優れて<叶って>いるから、一人で十人掛けの働きをする<しぞする>) 3674 0 0 3465 htmvoc_3674.wav カーキムヌ ⸢カーキ⸣ムヌ [⸢kaːki⸣munu] 名 甚だしく喉が渇いた者。 ⸢カーキムヌ⸣ヌ カタチニ ミ⸢ジバ⸣ ヌミ ⸢ベー [⸢kaːkimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini mi⸢ʤiba⸣ numi⸢beː] (甚だしく喉が渇いた者のように水を飲んでいる) 3676 0 0 3466 htmvoc_3676.wav ガーグ ⸢ガー⸣グ [⸢gaː⸣gu] 名 (幼)おんぶ(負んぶ)。背負うこと。 ボー⸢レ⸣ ボー⸢レ⸣ ダン⸢ティ⸣ キー⸢ミー⸣ アッパー ⸢ガー⸣グ ⸢ソーリ⸣バ [boː⸢re⸣ boː⸢re⸣ dan⸢ti⸣ kiː⸢miː⸣ ʔappaː ⸢gaː⸣gu ⸢soːri⸣ba] (お利口ちゃん、お利口ちゃん、早く来てごらん{EOS}おいで{EOS}お婆ちゃんが負んぶしてくださるから) 3677 0 0 3467 htmvoc_3677.wav ガーグスン ⸢ガー⸣グ ⸢スン [⸢gaː⸣gu ⸢suŋ] 連 おんぶ<負んぶ>する。 ⸢ガー⸣グ ⸢シー⸣ プサン [⸢gaː⸣gu ⸢ʃiː⸣pu̥saŋ] (負んぶしたい) 3675 0 1 3468 htmvoc_3675.wav カークン ⸢カー⸣クン [⸢kaː⸣kuŋ] 自動 {Mn_1}喉がかわく(渇く)。 ア⸢マ⸣ヌ ⸣アツァティ ⸣ヌドウ ⸢カー⸣キ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣nu ⸣ʔaʦati ⸣nudu ⸢kaː⸣ki ⸢ʃiːnaː⸣nu] (あまりにも暑いので喉が渇いてしまった)。 ⸣ヌドー ⸢カーカ⸣ヌ [⸣nudoː ⸢kaːka⸣nu] (喉は渇かない)。 ⸢カーキ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢kaːki⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (渇きやすい<渇き早い>)。 ⸣アツァカー ⸣ヌドゥ ⸢カー⸣クン [⸣ʔaʦakaː ⸣nudu ⸢kaː⸣kuŋ] (暑かったら喉が渇く)。 ヌ⸢ドゥ⸣ヌ ⸢カー⸣ケーカ ミ⸢ジ⸣ ヌミバ [nu⸢du⸣nu ⸢kaː⸣keːkaː mi⸢ʤi⸣ numiba] (喉が渇いたのなら水を飲みなさいよ)。 ⸢カー⸣キ [⸢kaː⸣ki] (渇け)。 ミ⸢ジカーキ スン [mi⸢ʣikaːki suŋ] (喉が渇く<喉渇きする>{EOS}喉がカラカラに渇くこと{EOS}水を強く欲すること)。 3675 0 2 3469 htmvoc_3675.wav カークン ⸢カー⸣クン [⸢kaː⸣kuŋ] 自動 {Mn_2}かつえる(飢える)。 ⸢ウンマー カー⸣キ ブ⸢レー⸣ンダ ノー⸢ン ホイナキ⸣シタ [⸢ʔummaː kaː⸣ki bu⸢reː⸣nda noː⸢ŋ hoinaki⸣ʃi̥ta] (その頃は飢えていたから、何でも口に掻き込んだ)。 ⸢カーキムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ム⸢ヌ⸣バ ッ⸢ふァイ ベー [⸢kaːkimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini mu⸢nu⸣ba f⸢faibeː] (飢えた者のように飯を食っている) 3678 0 0 3470 htmvoc_3678.wav ガーサガーサ ⸢ガーサガーサ [⸢gaːsagaːsa] 副 擬音語。がさがさ。乾いたものが触れ合って出す摩擦音。 タ⸢キポーキ⸣シ ミ⸢ナカ⸣バ ⸢ガーサガーサ⸣シ ⸢ポー⸣キ ⸢ベー [tḁ⸢kipoːki⸣ʃi mi⸢naka⸣ba ⸢gaːsagaːsa⸣ʃi ⸢poː⸣ki ⸢beː] (竹箒で庭をがさがさと掃いている) 3679 0 0 3471 htmvoc_3679.wav カーサバ ⸣カーサバ [⸣kaːsaba] 名 皮草履。皮革製の草履。牛馬の皮で作った草履。竹の皮で作った草履。 イ⸢サナキナー⸣ル ⸣カーサバティ ⸢スー⸣ ム⸢ノー アッ⸣タル ⸢バン⸣ター ⸣アイブ ⸣ムノー フ⸢ミ⸣ ミ⸢ラン⸣シェン [ʔi⸢sanakinaː⸣ru ⸣kaːsabati ⸢suː⸣ mu⸢noː ʔatta⸣ru ⸢ban⸣taː ⸣ʔaibu ⸣munoː ɸu⸢mi⸣ mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (石垣島に<ぞ>皮草履はあったのであって、私らはそんなのは履いてみなかった) 3680 0 0 3472 htmvoc_3680.wav カーザライ ⸢カーザライ [⸢kaːʣarai] 名 井戸ざらえ(浚)。 シ⸢マッサル⸣ヌ ⸣ピンナー ム⸢ラズーヌ⸣ バ⸢カー⸣ムンケーヌ ⸣スルイティ ⸢カーザライ ソーッ⸣タン [ʃi⸢massaru⸣nu ⸣pinnaː mu⸢raʣuːnu⸣ ba⸢kaː⸣muŋkeːnu ⸣suruiti ⸢kaːʣarai soːt⸣taŋ] (島くさらしの祭りの日に村中の若者たちが揃って井戸浚えをされた) 4456 0 0 3473 htmvoc_4456.wav ガーサラゴーサラ ⸢ガーサラゴー⸣サラ [⸢gaːsaragoː⸣sara] 副 重いものを音を立てて引きずって行くさま。 ⸢ヌーバ⸣ル ⸢ガーサラゴー⸣サラ ⸢サンゲー⸣ティ ⸢アー⸣クカヤー [⸢nuːba⸣ru ⸢gaːsara goː⸣sara ⸢saŋgeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kukajaː] (何をガーサラガーサラ音を立てて引張ってあるくのかなあ) 3681 0 1 3474 htmvoc_3681.wav カーサリン ⸢カーサリン [⸢kaːsariŋ] 自動 {Mn_1}受身動詞。売られる。他動詞⸢カースン[⸢kaːsuŋ](売る)の未然形カーサ[⸢kaːsa-]に受身、可能の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](~れる)が下接して形成された受身動詞。 ⸣ウカ ⸣カビティル シ⸢ナッ⸣ふァ ⸢シェーン⸣ケンナ イ⸢ツォーン⸣プスン ⸢カーサリタ⸣ツォー [⸣ʔuka ⸣kabitiru ʃi⸢naf⸣fa ⸢ʃeːŋ⸣kenna ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥suŋ ⸢kaːsaritta⸣ʦoː] (負債を被って幼少のときに糸満漁師に売られたそうだ)。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー プ⸢スン カーサリン⸣ツォー [⸣ʔunaː beː⸣rukaː pu̥⸢suŋ kaːsarin⸣ʦoː] (そこにいたら人に売られるそうだよ)。 ⸢カーサランシェン [⸢kaːsaraŋʃeŋ] (売られなかった)。 プ⸢スン カーサリ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢suŋ kaːsari⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (他人に売られることはない)。 ⸢カーサレー⸣ ミサムヌ [⸢kaːsareː⸣ misamunu] (売られたらいいのに)。 ⸣ワンザー ⸣ウナー ⸢ベー⸣ティ ⸢カーサリ⸣バ [⸣wanʣaː ⸣ʔunaː ⸢beː⸣ti ⸢kaːsari⸣ba] (お前野郎はそこにいて売られろよ)。 3681 0 2 3475 htmvoc_3681.wav カーサリン ⸢カーサリン [⸢kaːsariŋ] 自動 {Mn_2}可能動詞。売れる。売られる。売ることが出来る。 ⸣クベー キュー⸢ズー⸣ナ ⸢カーサリン [⸣kubeː kjuː⸢ʤuː⸣na ⸢kaːsariŋ] (これだけは今日中に売れる)。 ⸢バン⸣マー ⸢カーサラヌ [⸢bam⸣maː ⸢kaːsaranu] (私には売れない)。 ⸢バン⸣ヌン ⸢カーサリン⸣ギサン [⸢ban⸣nuŋ ⸢kaːsariŋ⸣gisaŋ] (私にも売れそうだ)。 ⸢カーサリブン [⸢kaːsaribuŋ] (売れている)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カーサレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kaːsareː⸣ misamunu] (もっと売れればよいのに)。 ⸢オーシキヌ ノー⸣ルカー ⸢ナンクク⸣ル ⸢カーサリン [⸢ʔoːʃi̥kinu noː⸣rukaː ⸢naŋkuku⸣ru ⸢kaːsariŋ] (天気が良くなれば、自然<自ずから>と売れる) 3682 0 0 3476 htmvoc_3682.wav カージ カー⸢ジ [kaː⸢ʤi] 接尾 ~ごと(毎)。~そのたびに。~ごとに。名詞や動詞の連体形に付く。 パルカー⸢ジ ヤー⸣ナ ブ⸢ラーヌ [parukaː⸢ʤi jaː⸣na bu⸢raːnu] (行くたびに家に居ない)。 ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢マーリ ヤー⸣ザライ ⸢スン [⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢maːri jaː⸣ʣarai ⸢suŋ] (家ごとに<各家>回ってお祓い<家浚え、家祓え>をする)。 プ⸢スカージ⸣ニ ⸢トゥーン [pu̥⸢sukaːʤi⸣ni ⸢tuːŋ] (人ごとに問い尋ねる)。 ⸢ゲーサウカージ⸣ グリー ⸢スン [⸢geːsaukaːʤi⸣ guriː ⸢suŋ] (行き逢うたびにお辞儀をする)。名詞、動詞の連体形に下接して、「その度に」、「~ごとに」、「いつも」の意を表す。「畳薦隔編数通者<畳こも隔て編む数>」『万葉集 2777』の「数」の義。 ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢イー⸣シ ⸣トゥリン ⸢オーッ⸣タ [⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢ʔiː⸣ʃi ⸣turiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (家ごとに<全戸>ツノマタ<角又>を採取しに行かれた)。 プ⸢スカージ⸣ニ ⸢トゥイタジ⸣ナイ ⸣ミリバ [pu̥⸢sukaːʤi⸣ni ⸢tuitaʤi⸣nai ⸣ miriba] (人ごとに<いろんな人に>問い尋ねてみてごらんよ)。 ⸢ウン⸣ネー パル⸢カージ⸣ ウ⸢レー ヤー⸣ナ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔun⸣neː paru⸢kaːʤi⸣ ʔu⸢reː jaː⸣naː bu⸢raːnu] (その人の家へ行くたびに、彼は家にいない)。 ⸣バー ⸢ジー⸣ カク⸢カージ⸣ マ⸢チガイ⸣ス [⸣baː ⸢ʤiː⸣ kḁku⸢kaːʤi⸣ ma⸢ʧigai⸣su] (私は字を書くたびに間違える) 3684 0 0 3477 htmvoc_3684.wav カーシ・キスン ⸢カーシ・キスン [⸢kaːʃi-kisuŋ] 他動 売り切る。売り尽くす。完売する。 シ⸢ナムノー⸣ キューズーナ ⸢カーシキスン [ʃi⸢namunoː⸣ kjuːʣuːna ⸢kaːʃiki̥suŋ] (品物は今日中に売り切る)。 マ⸢ダ カーシキサヌ [ma⸢da kaːʃiki̥sanu] (まだ売り切らない)。 ⸢カーシキシ⸣ プサカー ⸢カーシキス⸣ クトー ⸣ナルン [⸢kaːʃiki̥ʃi⸣ pu̥sakaː ⸢kaːʃiki̥su⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (売り切り<尽くし>たければ、売り切る<尽くす>ことはできる)。 ⸢カーシキシェー⸣ ミサムヌ [⸢kaːʃiki̥ʃeː⸣ misamunu] (売り切れば良いのに)。 ヤー⸢ディン カーシキシ [jaː⸢diŋ kaːʃiki̥ʃi] (必ず売り切れ<売り尽くせ>) 3683 0 0 3478 htmvoc_3683.wav カーシキ ⸢カーシキ [⸢kaːʃi̥ki] 名 井戸としての地相。井戸に相応しい地勢。 パ⸢カシキ [pḁ⸢kaʃi̥ki] (墓を造るに適した地勢、地相)。 ⸢カーシケー⸣ ユー ⸢カンガイ⸣ヤーティル ⸣ウナー ム⸢トゥ⸣モーレー パジ⸢ダー [⸢kaːʃi̥keː⸣ juː ⸢kaŋgai⸣jaːtiru ⸣ʔunaː mu⸢tu⸣moːreː paʤi⸢daː] (井戸の地勢<地相>はよく考えられて、そこに<現地に井戸を>求められたはずだよ) 3685 0 0 3479 htmvoc_3685.wav カーシヌカル ⸢カーシヌカル [⸢kaːʃinukaru] 名 売れ残り。 ⸢カーシヌカルンツァン⸣ ア⸢リ⸣バ ⸣ミサムヌ [⸢kaːʃinukarunʦaŋ⸣ ʔa⸢ri⸣ba ⸣misamunu] (売れ残りでもあればよいのに)。 ⸢カーシヌカルヌ⸣ アルカー ⸢カイ⸣クー [⸢kaːʃinukarunu⸣ ʔarukaː ⸢kai⸣kuː] (売れ残りがあれば買って来い)。 ⸢カーシヌカロー ナー⸣ヌ [⸢kaːʃinukaroː naː⸣nu] (売れ残りはない) 3686 0 0 3480 htmvoc_3686.wav カーシプス ⸢カーシプス [⸢kaːʃipu̥su] 名 売り手。売る人。「買わせ・人」の義。 ⸣ユネンガター イ⸢ズ カーシプスヌ マー⸣リ ⸣クーン [⸣juneŋgataː ʔi⸢ʣu kaːʃipu̥sunu maːri⸣ kuːŋ] (夕方には魚売り<魚を売る人>が回ってくる) 3687 0 0 3481 htmvoc_3687.wav カーシムヌ ⸢カーシムヌ [⸢kaːʃimunu] 名 売り物。商品。「買わせ物」の義。 ウ⸢レー ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァイユードゥ⸣ ヤ⸢ル カーシムノー⸣ ア⸢ラン⸣ダ⸢レー [ʔu⸢reː duː⸣nu f⸢faijuːdu⸣ ja⸢ru kaːʃimunoː⸣ ʔa⸢ran⸣da⸢reː] (それは自家用<自分の食い分>であって、商品<売り物>ではないですよ{EOS}それは)。 ⸢カーシムヌバ⸣ トゥリ ッ⸢ふー⸣カー マ⸢チヤーヤ トーリ⸣ス [⸢kaːʃimunuba⸣ turi f⸢fuː⸣kaː ma⸢ʧijaːja toːri⸣su] (商品<売り物>を取って食べるとお店は潰れ<倒れ>てしまうよ) 3663 0 0 3482 htmvoc_3663.wav ガーズー ⸣ガーズー [⸣gaːʣuː] 名 我の強い人。意地っ張り。 ウ⸢レー⸣ ガーズー ヤ⸢ルンダ⸣ ヤ⸢シーヤシー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː⸣ gaːʣuː ja⸢runda⸣ ja⸢ʃiːjaʃiː⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (彼は我の強い人だから、簡単には他人の言うことを聞かない) 3739 0 0 3483 htmvoc_3739.wav ガースーブ ⸣ガースーブ [⸣gaːsuːbu] 名 忍耐比べ。忍耐競争。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ム⸢チ⸣カサユンダ ⸢タール シーシェー⸣ユー ⸣ガースーブ ⸢シー⸣ミラ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ mu⸢ʧi⸣kasa jundaː ⸢taːru ʃiːʃeː⸣juː ⸣gaːsuːbu ⸢ʃiː⸣mira] (この仕事は難しいから誰がなし得るか忍耐競争をしてみよう)。 ⸣ガースーボー カ⸢リンマー⸣ マ⸢キス [⸣gaːsuːboː ka⸢rimmaː⸣ ma⸢kisu] (忍耐競争は彼には負ける)。 ⸣ガースーブン ノー⸢ン スン [⸣gaːsuːbun noː⸢n suŋ] (忍耐競争も何でもするよ)。 ⸣ガースーブ ⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸣gaːsuːbu ⸢ʃeː⸣ misamunu] (忍耐競争をすればよいのに)。 ⸣マラソンマー ⸣ガースーブ ダ⸢レ⸣ー [⸣marasommaː ⸣gaːsuːbu da⸢re⸣ː] (マラソンは根気比べだよ、それは) 3748 0 0 3484 htmvoc_3748.wav ガーズームヌ ⸣ガーズームヌ [⸣gaːʣuːmunu] 名 忍耐力の強い者。強情な者。 ⸣ガーズームヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ター⸢ンヌ⸣ ムニン シゥ⸢カヌ [⸣gaːʣuːmunu ja⸢runda⸣ taː⸢nnu⸣ munin sï̥⸢kanu] (強情な者だから誰のいうことも聞かない) 3749 0 0 3485 htmvoc_3749.wav ガーズーワン ⸢ガーズー⸣ワン [⸢gaːʣuː⸣waŋ] 形 強情である。根気強い。我が強い。「我強し」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケン ガーズー⸣ワン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢keŋ gaːʣuː⸣waŋ] (この子は非常に根気が強い<強情である>)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ガーズー⸣ワ ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢gaːʣuː⸣wa ⸢naː⸣nu] (あまり根気強くない<強情でない>)。 ⸢シンダイ ガーズー⸣ワ ⸣ナルン [⸢ʃindai gaːʣuː⸣wa ⸣naruŋ] (次第に根気強く<強情に>なる)。 ⸣アイニ ⸢ガーズー⸣ワ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢gaːʣuː⸣wa pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに根気強い<強情な>人はいない)。 マー⸢ンベーマ ガーズー⸣ワカー ⸣ミサムヌ [maː⸢ʔmbeːma gaːʣuː⸣wakaː ⸣misamunu] (もう少し根気強けれ<強情であれ>ば良いのに)。若年層は⸢ガーズー⸣ヤン[⸢gaːʣuː⸣jaŋ](我慢強い)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ ガーズー⸣ワン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena gaːʣuː⸣waŋ] (この子は非常に忍耐力が強い)。 ⸢ピッ⸣チン ガーズーワナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ⸢gaːʣuːwanaː⸣nu] (ちっとも<一つも>忍耐力がない)。 ウ⸢リヌ⸣ スコー ⸢ガーズー⸣ワ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥koː ⸢gaːʣuː⸣wa pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼ほど忍耐力のある<意地っ張りな>人はいない)。 ⸢ニン⸣ニン ⸢ガーズー⸣ワ ⸣ナルン [⸢nin⸣niŋ ⸢gaːʣuː⸣wa ⸣naruŋ] (年々忍耐強くなる)。 ⸣ガーズープス [⸣gaːʣuːpu̥su] (強情な人)。 ⸢ガーズー⸣ワ プ⸢ス [⸢gaːʣuː⸣wa pu̥⸢su] (我慢強い人{EOS}忍耐力のある人)。 マー⸢ンベーマ ガーズー⸣ワカ ⸢ナー [maː⸢mbeːma gaːʣuː⸣waka ⸢naː] (もうすこし我慢強ければなあ) 3738 0 0 3486 htmvoc_3738.wav カースン ⸢カースン [⸢kaːsuŋ] 他動 売る。「買わす」の義。「相手に買うように仕向ける」義である。 ク⸢レー ギュー⸣サシ ⸢カースワ [ku⸢reː gjuː⸣saʃi ⸢kaːsuwa] (これはいくらで売るか)。 ⸢カーサヌ [⸢kaːsanu] (売らない)。 ⸢カーシ⸣ プサンドゥ ムッ⸢トゥ カーサランバン [⸢kaːʃi⸣pu̥sandu mut⸢tu ⸢kaːsaranu] (売りたいが、ちっとも売れない)。 ク⸢リ カース⸣ ピンマー ⸣バン ⸢カーシ [ku⸢ri kaːsu⸣ pimmaː baŋ ⸢kaːʃi] (これを売るときは私に売れ)。 ⸢パイ⸣サ ⸢カーシェー⸣ ミサムヌ [⸢pai⸣sa ⸢kaːʃeː⸣ misamunu] (早く売ればよいのに)。 ⸢カーシプス [⸢kaːʃipusu] (売る人、売り手) 3740 0 0 3487 htmvoc_3740.wav カーソールン ⸢カーソー⸣ルン [⸢kaːsoː⸣ruŋ] 他動 お売りになる。⸢カースン[⸢kaːsuŋ](売る)の尊敬語。 マ⸢ナ⸣マー ⸢カーソーラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢kaːsoːra⸣nu] (今はお売りにならない)。 ウ⸢ヌ ヤー⸣ヤ ⸢カーソーリン⸣ギサン [ʔu⸢nu jaː⸣ja ⸢kaːsoːriŋ⸣gisaŋ] (この家はお売りになりそうだ)。 ⸢カーソー⸣ル ⸣ピンマー ⸣バン ⸢カーソー⸣リ [⸢kaːsoː⸣ru ⸣pimmaː ⸣baŋ ⸢kaːsoː⸣ri] (お売りになるときは私にお売りください)。 ⸢パイ⸣サ ⸢カーソー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢pai⸣sa ⸢kaːsoː⸣reː ⸣misamunu] (早くお売りになればよいのに) 3688 0 0 3488 htmvoc_3688.wav カーダ ⸢カーダ [⸢kaːda] 名 (地)西表島北部の地名。現在の中野集落と上原集落の中間にあたりに開けた水田地帯。⸢マイトゥブ⸣レー[⸢maitubu⸣reː](吉川家)、⸢トゥー⸣ジェー[⸢tuː⸣ʣeː](通事家)、⸢キンバタテー[⸢kimbatateː](通事家)、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家{EOS}田代家)などの水田があった。 ⸢カーダー ウイバルトゥ⸣ ウ⸢ボーダー⸣ヌ ⸢アイナ⸣カナール ⸣アル [⸢kaːdaː ʔuibarutu⸣ ʔu⸢boːdaː⸣nu ⸢ʔaina⸣kanaːru ⸣ʔaru] (カーダーは上原集落とウボーダー<中野集落>の間にある) 3742 0 0 3489 htmvoc_3742.wav ガータティルン ⸣ガー タ⸢ティ⸣ルン [⸣gaː tḁ⸢ti⸣ruŋ] 連 我慢する。「我を立てる」の義。 ⸣ガー タ⸢ティ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸣gaː tḁ⸢ti⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (我慢しようとして体をこわしてしまった) 3743 0 0 3490 htmvoc_3743.wav ガータトゥン ⸣ガー ⸣タトゥン [⸣gaː ⸣tḁtuŋ] 連 我慢する。こら(堪)える。 ⸣ガー ⸣タティ シ⸢グトゥ スンダル⸣ カ⸢ヤ⸣ ウ⸢ク⸣ル⸢ツォー [⸣gaː ⸣tḁti ʃi⸢gutu sundaru⸣ ka⸢ja⸣ ʔu⸢ku⸣ru⸢ʦoː] (我慢して仕事をするから肩の病がおこるのだよ)。 ⸣ドゥク ⸣ガー タ⸢トゥ⸣ナ [⸣duku ⸣gaː tḁ⸢tu⸣na] (あんまり我慢するな)。 ⸣ガー タ⸢タン⸣タンティン ⸣ミサン [⸣gaː tḁ⸢tan⸣tantim ⸣misaŋ] (我慢しなくてもよい)。 プ⸢スヌ⸣ ミルカー ⸣ガー ⸣タトゥン [pu̥⸢sunu⸣ mirukaː ⸣gaː ⸣tḁtuŋ] (人が見ると我慢する) 3744 0 0 3491 htmvoc_3744.wav カーチー ⸢カー⸣チー [⸢kaː⸣ʧiː] 名 夏至。二十四節気の一つ。太陽暦の6月22日頃。昼が最も長く、夜が最も短い。 ⸢カーチー⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペー⸣ルカー ⸢マイカリヌ バンジン⸣ ナルン [⸢kaːʧiː⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣rukaː ⸢maikarinu banʤin⸣ naruŋ] (夏至の季節に入ったら稲刈りの最盛期になる)。 ⸢カー⸣チェー イ⸢チェーラ ペール⸣ワ [⸢kaː⸣ʧeː ʔi⸢ʧeːra peːru⸣wa] (夏至の時期<節季>には\ruby{何時}{イ|ツ}から入るか) 3745 0 0 3492 htmvoc_3745.wav カーチーバイ ⸢カーチー⸣バイ [⸢kaːʧiː⸣bai] 名 風の名。夏至の頃に吹く南風。南風のやや強い風が吹き続き、天候不順になることがある。一般的には、この風が吹くと暑気が緩み、凌ぎやすくなるので、人々は稲刈りの途中にこの風が吹くのを待ち望む傾向があった。⸣イダフニに籾俵を満載して鳩間島へ運ぶ際には、この風に帆をはらませて⸢マイ⸣ヌ⸢トゥー[⸢mai⸣nu ⸢tuː](鳩間海峡{EOS}前の渡<門>)を往来した。 ⸢カー⸣チーナ ⸢カーチーバイ⸣ヌ ⸣フクン [⸢kaː⸣ʧiːna ⸢kaːʧiːbai⸣nu ⸣ɸu̥kuŋ] (夏至には夏至の南風<カーチーバイ>が吹く) 3746 0 0 3493 htmvoc_3746.wav カーチーヤブリ ⸢カーチーヤブ⸣リ [⸢kaːʧiːjabu⸣ri] 名 夏至の季節に荒れる天気。 ⸢カーチーヤブ⸣リティ ⸢シー フン⸣トー ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ブ⸣リ キー⸢ナーン⸣バン [⸢kaːʧiːjabu⸣riti ⸢ʃiː ɸun⸣toː ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bu⸣ri kiː⸢naːm⸣baŋ] (夏至の荒天といって、本当に天気が崩れて<破れて>きてしまったよ) 3754 0 0 3494 htmvoc_3754.wav カーッパリ ⸢カーッ⸣パリ [⸢kaːp⸣pari] 名 かゆ(お粥)やご飯の吹きこぼれなどが薄く乾いて皮状に張ったもの。「皮張り」の義か。 ⸢カイヌ カーッ⸣パレー ⸣トゥリ シ⸢ティリ⸣バ [⸢kainu kaːp⸣pareː ⸣turi ʃi̥⸢tiri⸣ba] (お粥の吹きこぼれの薄皮は取って捨てなさいよ) 3753 0 0 3495 htmvoc_3753.wav ガーッふァーンジブン ⸢ガーッふァーンジブン [⸢gaːffaːnʤibuŋ] 名 たそがれ(黄昏)時。「明・暗時分」の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢カー⸣ムノー ⸢ガーッふァーンジブン⸣ ナルンケン パ⸢タキシグ⸣トゥ ⸢シー ブタ⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢kaː⸣munoː ⸢gaːffaːnʤibun⸣ naruŋkem pḁ⸢takiʃigu⸣tu ⸢ʃiː buta⸣daː] (昔は、若者は\ruby{黄昏時}{タソ|ガレ|ドキ}まで畑仕事をしていたものだよ) 3762 0 0 3496 htmvoc_3762.wav ガートゥッふァートゥ ⸢ガートゥッふァー⸣トゥ [⸢gaːtuffaː⸣tu] 名 かわたれ時。暁。夜明けがた。「明かさと暗さと」の義。早朝の薄明かりが出た頃。 ⸢ガートゥッふァー⸣トーラ ⸣ウキ イ⸢ソー パッ⸣タヤー [⸢gaːtuffaː⸣toːra ⸣ʔuki ʔi⸢soː pat⸣tajaː] (かわたれ時より起きて漁に行ったよ) 3755 0 0 3497 htmvoc_3755.wav ガードゥレー ⸢ガー⸣ドゥレー [⸢gaː⸣dureː] 名 (動)鳥の名前。カモメ(鴎)。ウミネコ(海猫)。鳴き声が猫に似る。カツオ漁船の後ろに群れてくる。 カ⸢ツシンマー ガー⸣ドゥレーヌ <カ⸢ツドゥルヌ⸣> トゥ⸢ルマキバ ウイヤー⸣ティル カ⸢ツォー ホー⸣ソーッタル [kḁ⸢ʦuʃimmaː gaː⸣dureːnu tu⸢rumakiba ʔuijaː⸣tiru kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːttaru] (カツオ漁船はウミネコの鳥巻<鳥の群れ>を追いながらカツオを釣られたものだ) 3792 0 0 3498 htmvoc_3792.wav カーナー カー⸢ナー [kaː⸢naː] 終助 動詞の連体形、已然形、形容詞の語幹に付いて、仮定条件や確定条件の願望を表す。~すればよいがなあ(仮定条件の願望、詠嘆)。~たらよいのになあ(確定条件の願望、詠嘆{EOS}反実仮想)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ イキ⸢オーッ⸣タカー⸢ナー⸣ カイブ ⸢アウ⸣レー ⸢サン⸣ミサタムヌ [ʔu⸢ja⸣nu ʔiki⸢ʔoːt⸣taka⸢naː ⸣kaibu ⸢ʔau⸣reː ⸢sam⸣misatamunu] (親が生きて居られたらなあ、こんな難儀苦労はしなくて良かったのに{EOS}残念だ)。 ⸢ワー⸣ ピ⸢マー⸣ ヤ⸢ル⸣カー ⸣バー ⸢テー⸣ナイ ⸢シー フィール⸣カー ミサムヌ⸢ナー [⸢waː⸣ pi⸢maː⸣ ja⸢ru⸣kaː ⸣baː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː ffiːru⸣kaː misamunu⸢naː] (君は暇だったら、私の手伝いをしてくれると良いのになあ<願望>) 3765 0 0 3499 htmvoc_3765.wav ガーナーンムヌ ⸣ガー ⸢ナーン⸣ムヌ [⸣gaː ⸢naːm⸣munu] 連 耐久力、持久力のない者。 グ⸢タイ⸣ヤー カ⸢ナイ⸣ブンドゥ ⸣ガー ⸢ナーン⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ミララヌ [gu⸢tai⸣jaː ka⸢nai⸣bundu ⸣gaː ⸢naːm⸣munu ja⸢runda⸣ ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢miraranu] (体格はあるのだが持久力、耐久力がない者なので、この仕事はさせられない) 3758 0 0 3500 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 ~だけ。~のみ。名詞や動詞の連用形に付いて上接語の意味内容の範囲を強調、限定する。国語の⸢~しか~ない」の意味を「~だけ(ぞ)~する」のように強調限定、肯定的に表現する。 ク⸢トゥシェー⸣ アミカー⸢ニル⸣ フー [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔamikaː⸢niru⸣ ɸuː] (今年は雨だけが<ぞ>降る)。 シン⸢トゥ⸣ ミ⸢ツァール⸣ カー⸢ニル⸣ ケー [ʃin⸢tu⸣ mi⸢ʦaːru⸣ kaː⸢niru⸣ keː] (たった三人だけしかこない<たった三人だけが来た>)。 ッ⸢ふァイ⸣ カー⸢ニル スー⸣ パ⸢タラクンテー⸣ サ⸢ヌ [f⸢fai⸣ kaː⸢niru suː⸣ pḁ⸢tarakunteː⸣ sa⸢nu] (食べることしかしない<食いだけがする>、働こうとはしない)。 3758 0 0 3501 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_1}さらに係助詞⸢-ル[⸢-ru](~ぞ)が付く(強調)。 シン⸢トゥ⸣ ヒャ⸢ク⸣エン カー⸢ニル⸣ ムティ⸢ベー [ʃin⸢tu⸣ ça⸢ku⸣jeŋ kaː⸢niru⸣ muti⸢beː] (たった百円だけしか持っていない<百円だけぞ持っている>)。 3758 0 0 3502 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_2}さらに取り立ての係助詞⸢-ヤ[⸢-ja](~は)が付く(強調)。 ニ⸢ビ⸣ カー⸢ネー シン⸣ ブ⸢ララヌ [ni⸢bi⸣ kaː⸢neː ʃim⸣ bu⸢raranu] (寝てばかりはしても居られない)。 3758 0 0 3503 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_3}さらに係助詞⸢-ン[⸢-ŋ](~も)が付く(強調)。 ア⸢サビ⸣ カー⸢ニン シー⸣ ブ⸢ララヌ [ʔa⸢sabi⸣ kaː⸢niŋ ʃiː⸣ bu⸢raranu] (遊んでばかりも居られない)。 3758 0 0 3504 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_4}さらに格助詞⸣-ティ[⸣-ti]に係助詞⸣-ン[ŋ](~も)が付く(強調)。 ⸢ワー⸣ カー⸢ニ⸣ティン ⸣ティマー バ⸢タサラヌ [⸢waː⸣ kaː⸢ni⸣tin ⸣timaː ba⸢tasaranu] (君だけにとても手間賃は渡されない)。 3758 0 0 3505 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_5}さらに格助詞⸢-ヌ[⸢-nu](の)が付く(強調)。 ⸢ワー⸣ カー⸢ニヌ⸣ シ⸢キニン⸣ユン<マー> ア⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ kaː⸢ninu⸣ ʃi̥⸢kiniŋ⸣juŋ ʔa⸢ra⸣nu] (君だけの責任でもない)。 3758 0 0 3506 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_6}さらに副助詞⸢-ツァン[⸢-ʦaŋ](さえ、すら、だに)が付く(強調)。 ⸢ワー⸣ カー⸢ニンツァン⸣ イ⸢キラ⸣リカー イ⸢キ⸣リ [⸢waː⸣ kaːni⸢nʦaŋ⸣ ʔi⸢kira⸣rikaː ʔi⸢ki⸣ri] (君だけでも<君だけさえも>生きられるならば生きよ)。 3758 0 0 3507 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_7}さらに格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](~で)に、係助詞⸣-ル[⸣-ru](~ぞ)、⸣-ヤ[⸣-ja](~は)、⸣-ン[⸣-ŋ](~も)、が付く(手段の強調)。 カ⸢ナパイ⸣ カー⸢ニ⸣シル ⸢カイ⸣シタ [ka⸢napai⸣ kaː⸢ni⸣ʃiru ⸢kai⸣ʃi̥ta] (鍬だけで<ぞ>耕した)。 ⸣ウビ カー⸢ニ⸣シェー タ⸢ラーサラヌ [⸣ʔubi kaː⸢ni⸣ʃeː ta⸢raːsaranu] (それだけでは足りない<足らされない>)。 ウ⸢リ⸣ カー⸢ニ⸣シン シ⸢ララヌ [ʔu⸢ri⸣ kaː⸢ni⸣ʃiŋ ʃi⸢raranu] (それだけでもすることが出来ない)。 3758 0 0 3508 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_8}さらに格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](~で<手段格>)を介して副助詞⸣-ンツァン[⸣-nʦaŋ](~すら、~さえ、~だに)が付く(限定強調)。 ⸣キン プ⸢スッ⸣クビ カー⸢ニ⸣シンツァン ⸣ジューマンエン ⸢シースムヌ⸣ ムー⸢ル カウンティ スー⸣カー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸣kim pu̥⸢suk⸣kubi kaː⸢ni⸣ʃinʦan ⸣ʤuːmaŋjeŋ ⸢ʃiːsumunu⸣ muː⸢ru kaunti suː⸣kaː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (着物一着だけですら<だけでさえも>十万円するんだもの、全部買おうとすると大変<大事>だよさ)。 3758 0 0 3509 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_9}さらに格助詞⸣-ティ[⸣-ti](~と<引用>)に取立ての係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](~は)が付く(強調)。 ドゥ⸢クドゥク ピー⸣チ カー⸢ニ⸣テー ⸢カーリ⸣トゥワー [du⸢kuduku piː⸣ʧi kaː⸢ni⸣teː ⸢kaːri⸣tuwaː] (まさか一つだけとは買えるものか<買えまい>)。 3758 0 0 3510 htmvoc_3758.wav カーニ カー⸢ニ [kaː⸢ni] 副助 {Exp_10}さらに格助詞⸣-ニ[⸣-ni](~に)がつく(対象限定)。 ⸢ワー⸣ カー⸢ニ⸣ニ シ⸢キ⸣ニン ⸢オーサラヌ [⸢waː⸣ kaː⸢ni⸣ni ʃi̥⸢ki⸣niŋ ⸢ʔoːsaranu] (君だけに責任を負わされない) 3759 0 0 3511 htmvoc_3759.wav ガーヌー ⸢ガー⸣ヌー [⸢gaː⸣nuː] 名 茅の密生した原野。老年層の使用語彙。 ⸢ガー⸣ヌーラ ⸢マーガヤ⸣ スリ ⸣キー ナ⸢ビ⸣ヌフタ ⸣フミバ [⸢gaː⸣nuːra ⸢maːgaja⸣ suri ⸣kiː na⸢bi⸣nu ɸu̥⸢ta⸣ ɸumiba] (茅の密生した原野から長い茅<真茅>を刈ってきて鍋蓋を編みなさいよ) 3760 0 0 3512 htmvoc_3760.wav カーヌシゥカ ⸢カーヌ⸣ シゥカ [⸢kaːnu⸣ si̥ka] 連 いづつ(井筒)。井戸の地上の石囲み部分。「井戸の塚」の義か。⸢インヌカー[⸢ʔinnukaː](西村井戸)の井筒は石を円形に組み、約1メートルの高さに積み上げてある。井筒の周りに立って釣瓶で水汲みをした。 ⸢カーヌ⸣ シゥカナー ⸢ヌーレー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [⸢kaːnu⸣ si̥kanaː ⸢nuːreː⸣ na⸢ran⸣daː] (井戸の井筒に登ってはいけないよ)。 ⸢カーヌ⸣ シゥカナー シ⸢ルヌ⸣ ナー ⸣カキ シ⸢キ⸣リ [⸢kaːnu⸣ si̥kanaː ʃi⸢runu⸣ naː ⸣kḁki ʃi̥⸢ki⸣ri] (井筒に釣瓶の縄を掛けておけ) 3757 0 0 3513 htmvoc_3757.wav カーヌスクヌアウタ ⸢カーヌ スクヌ アウ⸣タ [⸢kaːnu su̥kunu ʔau⸣ta] 成 井の中のかわず<蛙>(諺)。「井戸の中の蛙」の義。 ⸢カーヌ スクヌ アウ⸣タ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢キン⸣ヌ ⸣クトー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サヌ [⸢kaːnu su̥kunu ʔau⸣ta ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢kin⸣nu ⸣ku̥toː noː⸢n⸣ s⸢sanu] (井戸の中の蛙だから世間のことは何も分からない) 3761 0 0 3514 htmvoc_3761.wav カーヌニンガイ ⸢カーヌ ニン⸣ガイ [⸢kaːnu niŋ⸣gai] 連 井戸の祈願。壬の日を選んで、年に2回祈願された。「井戸の願い」の義。第一回は、⸣ソンガチ パ⸢チミジニー[⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧimiʤiniː](旧暦正月の初壬・癸)の日に行われた。供物は、⸣グシパナ[⸣guʃipana](燗瓶に入れた神酒一対と重箱に入れた⸢サンゴー⸣パナ<三合花米>)、⸢マー⸣ス[⸢maː⸣su](塩一皿)、⸣スナイ[⸣sunai](和え物)、⸣クバン[⸣kubaŋ](魚肉の燻製品、1センチ四方で長さ約10センチに切った物数本)が供えられる。⸣スナイ[⸣sunai](和え物)は、サ⸢クナンパー[sḁ⸢kunampaː](長命草の葉)、シ⸢ナヌ⸣ミン[ʃi⸢nanu⸣miŋ](ミズナの一種)、チ⸢ク⸣サ[ʧi̥⸢ku⸣sa](野草の一種{EOS}三ヶ月の旱魃でも枯れないという野草)、⸢トゥン⸣ナ[⸢tun⸣na](アキノノゲシ)、それに⸢イーシ⸣ヌ ⸢コー⸣マ[⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢koː⸣ma](角又の寒天<ジェリー状に作ったもの>)を混ぜ、酒と味噌で和えたもので、その上にタククバン(蛸の燻製)、イズクバン(魚肉の燻製)を添えたものである。⸢インヌカー[⸢ʔinnukaː](西の村井戸)は、ナ⸢カン⸣テー[na⸢kan⸣teː](仲本家)の人が安全祈願をし、⸢ウイヌカー[⸢ʔuinukaː](上の村井戸{EOS}島中にある井戸)は、カ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の人が安全を祈願した。また、⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東の村井戸)は、ク⸢メー[ku⸢meː](小浜家)の人が井戸の安全祈願をした。 ⸢インヌカーヤ⸣ ナ⸢カン⸣テヌ プ⸢スヌ ニン⸣ガイ ⸢ヨー⸣リ ⸢ウイヌカーヤ⸣ カ⸢ザケヌ⸣ プ⸢スヌ ニン⸣ガイ ⸢ヨー⸣リ ⸢アンヌカーヤ⸣ ク⸢メーヌ⸣ プ⸢スヌル ニン⸣ガイ ⸢ヨーッ⸣タ [⸢ʔinnukaːja⸣ na⸢kan⸣tenu pu̥⸢sunu niŋ⸣gai ⸢joː⸣ri ⸢ʔuinukaːja⸣ ka⸢ʣakenu⸣ pu̥⸢sunu niŋ⸣gai ⸢joː⸣ri ⸢ʔannukaːja⸣ ku⸢meːnu⸣ pu̥⸢sunuru niŋ⸣gai ⸢joːt⸣ta] (西の村井戸は仲本家の人が祈願され、上の井戸は加治工家の人が祈願され、東の村井戸は小浜家の人が祈願された) 3689 0 0 3515 htmvoc_3689.wav カーヌパタ ⸢カーヌパタ [⸢kaːnupata] 連 井戸端。井戸の側。井戸のほとり。 ⸢カーヌパタ⸣ナ ⸢タン⸣グ ⸢ナーラビ⸣ シケー [⸢kaːnupata⸣naː ⸢taŋ⸣gu ⸢naːrabi⸣ ʃi̥keː] (井戸端にたご<担桶>を並べて置いてある) 3763 0 0 3516 htmvoc_3763.wav カーヌパタ ⸢カーヌ⸣ パ⸢タ [⸢kaːnu⸣ pḁ⸢ta] 連 井戸端。「井戸の側」の義。 ⸢インヌカーヌ カーヌ⸣ パ⸢タ⸣ナー ウ⸢ブタンク⸣ヌ ス⸢クラ⸣リ ⸢ベー⸣ン [⸢ʔinnukaːnu kaːnu⸣ pḁ⸢ta⸣naː ʔu⸢butaŋku⸣nu su̥⸢kura⸣ri ⸢beː⸣ŋ] (西村井戸の井戸端に大きな水タンクが作られている) 3766 0 0 3517 htmvoc_3766.wav ガーパジン ⸣ガーパジン [⸣gaːpaʤiŋ] 名 昆虫。蜂の一種。茅の中に巣食う蜂。「茅蜂」の義。ア⸢ガパジン[ʔa⸢gapaʤiŋ](赤蜂)ともいう。 ⸣ガヤー ⸣スルンティ ⸢アー⸣クンンケン ⸣ガーパジン ッ⸢サ⸣リティ ⸣シラー ア⸢ガミ ベー [⸣gajaː(⸣gaː<老年層の語>)⸣surunti ⸢ʔaː⸣kuŋkeŋ ⸣gaːpaʤin s⸢sa⸣riti ⸣ʃiraː ʔa⸢gami beː] (茅を刈りようとしているときに、茅蜂に刺されて顔が赤らんでいる) 3767 0 0 3518 htmvoc_3767.wav ガーパタッカリ ⸢ガーパタッカリ [⸢gaːpatakkari] 名 またぐら(股座{EOS}股間)が丸見えするように広げること。見苦しい格好でおし広げること。「がば・はだかる<開る>(『宇治拾遺物語』)」の転訛したものか。⸢ガーパタカリ[⸢gaːpatakari]ともいう。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ マンタナ ⸢ガーパタッカリ シー⸣ ビ⸢ルナ [mi⸢dumu⸣nu pu̥⸢sunu⸣ mantanaː ⸢gaːpatakkari ʃiː⸣ bi⸢runa] (女が人の前で股を広げて座るな)。 フ⸢チェー ガーパタッカリ シティ ミーヌッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧeː gaːpatakkari ʃi̥ti miːnussa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (口を大きく開けて、見苦しくて見ておれない<見られない>) 3769 0 0 3519 htmvoc_3769.wav カーバリ ⸢カー⸣バリ [⸢kaː⸣bari] 名 大豆をお汁にいれるために、水に浸けないで、石臼で挽いて皮を剥き細かく割ること。「皮割り」の義。 ⸢トー⸣フマミヌ ⸢カー⸣バリ ⸢スンティ ベー [⸢toː⸣ɸumaminu ⸢kaːba⸣ri ⸢sunti beː] (大豆を挽いて細かく割り、皮剥きをしようとしている)。 マ⸢ミ⸣ヌ ⸢カー⸣バリ [ma⸢mi⸣nu ⸢kaː⸣bari] (豆の皮むき<皮割り>) 3774 0 0 3520 htmvoc_3774.wav ガーパリムヌ ⸢ガーパリ⸣ムヌ [⸢gaːpari⸣munu] 名 意地っ張り。「我を張る者」の義。 ⸣アイブ ⸢ガーパリ⸣ムヌテー ミリミ⸢ラン⸣シェン [⸣ʔaibu ⸢gaːpari⸣munuteː mirimi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (あんな意地っ張り<我張り者>とは、これまで見たことがなかった) 3772 0 0 3521 htmvoc_3772.wav カーパルン ⸣カー パ⸢ルン [⸣kaː pa⸢ruŋ] 連 傷などが、かさぶた<瘡蓋>で覆われる。⸢皮を張る」の義。 シ⸢リ⸣パギ ⸣シケーン⸣トンマ サ⸢キ⸣シ ア⸢ライティ⸣ ッ⸢ス⸣ミ ⸣スクカー ⸣カー パ⸢ルン [ʃi⸢ri⸣pagi ⸣ʃi̥keːn ⸣tommaː sḁ⸢ki⸣ʃi ʔa⸢raiti⸣ s⸢su⸣mi ⸣su̥kuːka ⸣kaː pa⸢ruŋ] (擦り剥いてあるところは、酒で洗って包んでおくと瘡蓋で覆われる<皮を張る>) 3664 0 0 3522 htmvoc_3664.wav ガーパルン ⸣ガー ⸣パルン [⸣gaː ⸣paruŋ] 連 我を張る。自分の考えを無理に通そうとする。 ⸣ガー ⸣パリティ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [⸣gaː ⸣pariti ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (我を張って、一向に他人の言うことを聞かない) 3773 0 0 3523 htmvoc_3773.wav ガーパルン ⸣ガー パ⸢ルン [⸣gaː pa⸢ruŋ] 連 我を張る。意地をはる。信念を通す。強情を通す。 ⸢ウレー⸣ ガー パ⸢リ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː⸣ gaː pa⸢ri⸣ mut⸢tu⸣ pu̥⸢sunu⸣muni sï̥⸢kanu] (その人は我を張ってちっとも他人の言うことを聞き入れない) 3666 0 0 3524 htmvoc_3666.wav カーフクビ ⸢カーフク⸣ビ [⸢kaːɸu̥⸣kubi] 名 革帯。 ⸢タイ⸣パンラー ⸢カーフク⸣ビ ⸢カイ⸣キー ⸢フォーッ⸣タ [⸢tai⸣panra ⸢kaːɸu̥ku⸣bi ⸢kai⸣kiː ⸢foːt⸣ta] (台湾から革帯を買ってきてくださった)。 ⸢カーフクビ⸣ヌ ⸣ミー [⸢kaːɸukubi⸣nu ⸣miː] (革帯の穴)。 ⸢カーフクビ⸣ヌ ⸣キシティ ⸢ザー⸣パイ ⸢シーナー⸣ヌ [⸢kaːɸu̥kubi⸣nu ⸣ki̥ʃiti ⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiːnaː⸣nu] (革帯が切れて厄介なこと<大変なこと、始末に負えない困ったこと>になってしまった>) 3665 0 0 3525 htmvoc_3665.wav カーフクラベー ⸢カーフクラ⸣ベー [⸢kaːɸukura⸣beː] 名 (動)魚の名。和名、モンガラカワハギ。古老は、⸢トーフクラ⸣ベ[⸢toːɸu̥kura⸣be]ともいう。長菱形の体形をしてる。白の斑点があり、口回りが橙色で尾びれに数本の横縞模様がある。体長約20センチ。全体的に厚い皮状の鱗で覆われている。珊瑚礁の中に棲息していており、強い歯で甲殻類をも食いかじる。第一背びれに硬い刺がある。煮ると美味しい。 ⸢カーフクラ⸣ベー ⸣スー バ⸢カス⸣カー ン⸢マーン⸣ダー [⸢kaːɸukura⸣beː ⸣suː ba⸢kasu⸣kaː ʔm⸢maːn⸣daː] (モンガラカワハギは、お汁に炊くと美味しいよ) 3691 0 0 3526 htmvoc_3691.wav カープゾー ⸣カープゾー [⸣kaːpuʣoː] 名 皮製の煙草入れ(宝蔵)。鳩間島では、多くの人は布製の煙草入れを持っていた。 ⸣カープゾーナ キ⸢ザミタバクトゥ⸣ シ⸢キダキ⸣トゥ キ⸢シ⸣ル イ⸢リリ [⸣kaːpuʣoːna ki⸢ʣamitabakutu⸣ ʃi̥⸢kidaki⸣tu ki̥⸢ʃi⸣ru ʔi⸢riri] (布製の煙草入れに刻み煙草とマッチと煙管を入れなさい<入れろ>) 3690 0 0 3527 htmvoc_3690.wav カーブチ ⸢カーブ⸣チ [⸢kaːbu⸣ʧi] 名 (植)九年母の一種。⸢シークヮー⸣サー[⸢ʃiːkwaː⸣saː](ヒラミレモン)より実が大きく、酸味が薄くて甘味があり、美味しい。 ⸢カーブ⸣チェー パ⸢トゥ⸣マナー ⸣ムイ ブ⸢ラーンシェン [⸢kaːbu⸣ʧeː pḁ⸢tu⸣manaː ⸣mui bu⸢raːŋʃeŋ] (カーブチは、鳩間島には自生して<生えて>いなかった) 3692 0 0 3528 htmvoc_3692.wav カーブヤー ⸢カー⸣ブヤー [⸢kaː⸣bujaː] 名 凧の形態の一つ。十字に組んだ竹ひごに紙を菱形に貼って作った簡単な凧。幼児の遊具として作った。竹ひごの上と中心部に紐を結んで勾配を作って揚げた。頭部(かぶり)を左右に振るのでカーブヤーと命名したのであろう。幼児にはデイゴの枯葉に糸をつけてカーブヤーを作って揚げた。 ⸢カー⸣ブヤー ス⸢ク⸣ルモー ⸢ゾー⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaː⸣bujaː su̥⸢ku⸣rumoː ⸢ʣoː⸣saː ⸢naː⸣nu] (カーブヤー凧を作るのは簡単だ<造作もないこと>)。 ⸢カー⸣ブヤー ス⸢ク⸣リティ トゥ⸢バサ⸣ナー [⸢kaː⸣bujaː su̥⸢ku⸣riti tu⸢basa⸣naː] (カーブヤーを作って飛ばそう<凧揚げしよう>ねえ) 3768 0 0 3529 htmvoc_3768.wav ガーフラッキ ⸢ガーフラッキ [⸢gaːɸurakki] 名 穴が大きく開いていること。穴が大きく開いて内部が丸見えであること。 ⸢ミー⸣ヤ ⸢ガーフラッキ⸣ シ⸢ティ⸣ ⸢ヌー⸣バ ミリ⸢ベー⸣ユー [⸢miː⸣ja ⸢gaːɸurakki⸣ ʃi̥⸢ti nuː⸣ba miri⸢beː⸣juː] (目は大きく押し開いて何を見ているのやら)。 ⸣ヤドー ⸢ガーフラッキ⸣ シ⸢ティ⸣ ナ⸢カー⸣ ムー⸢ル⸣ ミ⸢ラリ⸣ブー [⸣jadoː ⸢gaːɸurakki⸣ ʃi̥⸢ti⸣ na⸢kaː⸣ muː⸢ru⸣ mi⸢rari⸣buː] (戸が開け放たれて、戸口が大きく開いて内部は丸見えだ<総て見えている>)。 フ⸢チェー ガーフラッキ⸣ シ⸢ティ⸣ ニ⸢ビ ベー [ɸu̥⸢ʧeː gaːɸurakki⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ni⸢bi beː] (口は大きく開いて寝ている) 3776 0 0 3530 htmvoc_3776.wav ガーブリルン ⸣ガー ブ⸢リ⸣ルン [⸣gaː bu⸢ri⸣ruŋ] 連 根負けする。我が折れる。 カ⸢リヌ⸣ ガー ブ⸢リ⸣ルンケン パ⸢ナシ⸣タン [ka⸢rinu⸣ gaː bu⸢ri⸣ruŋkem pa⸢naʃi̥⸣taŋ] (彼が根負けするほど話した) 3775 0 0 3531 htmvoc_3775.wav ガーブルウスマイ ⸣ガーブルウスマイ [⸣gaːburuʔusumai] 名 酒に酔って他人の背中に負んぶされる癖のあるお祖父さんのこと。ニックネーム。 カ⸢ザケー⸣ナ ⸣ガーブルウスマイヌ ⸢オーッ⸣タンツォー [ka⸢ʣakeː⸣na ⸣gaːburuʔusumainu ⸢ʔoːt⸣tanʦoː] (加治工家にガーブルお祖父さんがおられたそうだ) 3778 0 0 3532 htmvoc_3778.wav ガーブルガーブル ⸢ガーブルガーブル [⸢gaːburugaːburu] 名 乳児が頭を左右に振ること。「裏頭、加我不利須(かがふりす)」『新撰字鏡』の転訛したもの。乳児をあやして、次のように唱える。⸢イージュヌミー イージュヌミー ピー⸣ジン⸢トー ピー⸣ジン⸢トー ミン⸣ミン⸢ミー ミン⸣ミン⸢ミー ガーブル ガーブル[⸢ʔiːʤunumiː ʔiːʤunumiː piː⸣ʤin⸢toː piː⸣ʤin⸢toː mim⸣mim⸢miː mim⸣mim⸢miː ⸢gaːburugaːburu](<乳児の掌に人差し指を当てて>魚の目魚の目、<乳児の肘を叩いて>肘の頭ひじの頭、<乳児の耳を掴んで>お耳お耳、<乳児の頭を両手で挟んで左右に頭を振って>がーぶるがーぶる<頭頭>)と唱えてあやした 3777 0 0 3533 htmvoc_3777.wav ガーブルン ⸣ガーブルン [⸣gaːburuŋ] 自動 根負けする。「我が折れる」の義。へこたれる。降参する。 ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢ナシキ⸣ナー ⸢スーアタ⸣リ シ⸢ティ⸣ アブジェー ⸣ガーブリ ⸢オー⸣ル [⸢kundu⸣nu pa⸢naʃi̥ki⸣naː ⸢suːʔata⸣ri ⸢ʃi̥ti⸣ ʔabujeː ⸣gaːburi ⸢ʔoː⸣ru] (今度の風邪で重症になって<強くあたって>、おじいさんはすっかり弱って<根負けして>おられる)。 ク⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトゥシェー ⸢ガーブラ⸣ヌ [ku⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥tuʃeː ⸢gaːbura⸣nu] (これしきのことでは、へこたれない<降参しない>)。 ガーブリ⸢ナー⸣ヌ [gaːburi⸢naː⸣nu] (根負けしてしまった{EOS}へこたれてしまった{EOS}降参した)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣スカー ⸣ガーブルン [⸣maː ʔm⸢beːma⸣su̥kaː ⸣gaːburuŋ] (もう少しで<もう少ししたら>根負けする) 3693 0 1 3534 htmvoc_3693.wav カーマ カー⸢マ [kaː⸢ma] 副 はるか(遥か)~。ずっと~。{Mn_1}時間的、空間的に遠いさま。 ⸢タイパン⸣マー ユ⸢ノン⸣ラ カー⸢マ インタナー⸣ル ⸣アル [⸢taipam⸣maː ju⸢non⸣ra kaː⸢ma ʔintanaː⸣ru ⸣ʔaru] (台湾は与那国よりも遥か西の方に<ぞ>ある)。 3693 0 2 3535 htmvoc_3693.wav カーマ カー⸢マ [kaː⸢ma] 副 {Mn_2}時間的空間的差の程度が甚だしいさま。 ア⸢ラ⸣キ ⸣パローラ ク⸢ル⸣マーラ パ⸢ル⸣ル カー⸢マ⸣ パ⸢ヤ⸣ー シ⸢キ⸣ル [ʔa⸢ra⸣ki ⸣paroːra ku⸢ru⸣maːra pa⸢ru⸣ru kaː⸢ma⸣ pa⸢jaː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ru] (歩いて行くよりも車で行く方が遥かに早く着く) 3779 1 0 3536 htmvoc_3779.wav カーマ カー⸢マ [kaː⸢ma] 副 {PoS_1}はるかに。かなた(彼方)。時間的・空間的・心理的な隔たりの大きさを表す。 ウ⸢レー⸣ラン ク⸢リル⸣ カー⸢マ⸣ ウ⸢ムッ⸣サ [ʔu⸢reː⸣raŋ ku⸢riru⸣ kaː⸢ma⸣ ʔu⸢mus⸣sa] (それよりもこれが遥かに面白い)。 ⸢ダイヤー⸣ ウ⸢レー⸣ラン ク⸢リル⸣ カー⸢マ⸣ タ⸢カー [⸢daijaː⸣ ʔu⸢reː⸣raŋ ku⸢riru⸣ kaː⸢ma⸣ tḁ⸢kaː] (値段はそれよりもこれが遥かに高い<高額である>)。 3779 2 0 3537 htmvoc_3779.wav カーマ カー⸢マ [kaː⸢ma] 連体 {PoS_2}遥か彼方。時間的・空間的にかけ離れた所。 カー⸢マ⸣ ム⸢カシ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ [kaː⸢ma⸣ mu⸢kaʃi⸣nu pa⸢na⸣ʃi] (はるか昔の話)。 カー⸢マ アンタヌ⸣ トン [kaː⸢ma ʔantanu⸣ toŋ] (遠く離れた東の所{EOS}はるか東方の所)。 バーラ カー⸢マ⸣ シンタ⸢ナー⸣ル ⸣パレーティ ⸢アーク⸣バン [baːraŋ kaː⸢ma⸣ ʃinta⸢naː⸣ru ⸣pareːti ⸢ʔaːku⸣baŋ] (わたしよりはるか<ずっと>後方を走っているわい)。 3779 3 0 3538 htmvoc_3779.wav カーマ カー⸢マ [kaː⸢ma] 名 {PoS_3}遠称。 カー⸢マー⸣ラ ⸢ユーシ⸣ クン [kaː⸢maː⸣ra ⸢juːʃi⸣ kuŋ] (はるか遠方の所から寄せてくる)。 マー⸢ラ⸣ カー⸢マー ウイ⸣ パ⸢ラ⸣シ [maː⸢ra⸣ kaː⸢maː ʔui⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (ずうっと遠い所<ずっと向こう>へ追い払ってやれ)。 ⸢タイフー⸣ヤ カー⸢マ⸣ パンタなール ⸣アル [⸢taiɸuːja kaː⸢ma⸣ pantanaːru ⸣ʔaru] (台風は遥か南の方に<ぞ>ある) 3782 0 0 3539 htmvoc_3782.wav カーマール ⸣カーマール [⸣kaːmaːru] 名 ゴムまり(毬)。「皮毬」の義。⸣グムマール[⸣gumumaːru](ゴム毬)ともいう。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ムー⸢ル ⸣カーマール<⸣グムマール>シル ア⸢サブタ [mi⸢doːm⸣ffaː muː⸢ru ⸣ kaːmaːru<⸣gumumaːru>ʃiru ʔa⸢sabuta] (女の子は皆ゴム毬で遊んだ) 3783 0 0 3540 htmvoc_3783.wav カーマイ ⸣カーマイ [⸣kaːmai] 名 玄米。「皮米」の義。精米してない米。 ⸣カーマイバ ⸣ウシナ イ⸢リティ⸣ ッサイティル ⸢マイヌイー⸣ヤ バ⸢カス [⸣kaːmaiba ⸣ʔuʃina ʔi⸢riti⸣ ssaitiru ⸢mainuʔiː⸣ja ba⸢kasu] (玄米を臼に入れて搗いて精米して<精げてぞ>ご飯は炊くのだ)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣カーマイ ⸢カン⸣ザリ ッ⸢ふー⸣カー ⸢ウシトゥマ⸣キ ⸢シーブー⸣ティ⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu ⸣kaːmai ⸢kan⸣ʣari f⸢fuː⸣kaː ⸢ʔuʃituma⸣ki ⸢ʃiːbuː⸣ti⸢daː] (幼児が玄米をかじる<齧る>と弟見負け<母親の懐妊による栄養不良で衰弱すること>しているそうだよ) 3781 0 0 3541 htmvoc_3781.wav カーマトゥーサ カー⸢マ トゥーサ [kaː⸢ma tuːsa] 連 ずっと遠いところ。はるか彼方。 ヤ⸢マ⸣トー カー⸢マ トゥーサナー⸣ル ⸣アル [ja⸢ma⸣toː kaː⸢ma tuːsanaː⸣ru ⸣ʔaru] (大和<日本本土>は、はるか彼方に<ぞ>ある) 3780 0 0 3542 htmvoc_3780.wav カーマムカシ カー⸢マ⸣ ム⸢カ⸣シ [kaː⸢ma⸣ mu⸢ka⸣ʃi] 連 大昔。ずっと以前。はるか昔。 ウ⸢レー⸣ カー⸢マ⸣ ム⸢カシ⸣ヌ パ⸢ナシ⸣ル ⸢ヤッタル [ʔu⸢reː⸣ kaː⸢ma⸣ mu⸢kaʃi⸣nu pa⸢naʃi⸣ru ⸢jattaru] (それは遥か<ずっと>昔の話<ぞ>であったのだ) 3784 0 0 3543 htmvoc_3784.wav カーミー ⸣カーミー [⸣kaːmiː] 名 ひとえまぶた(単瞼)。ブ⸢リ⸣ミー[bu⸢ri⸣miː](二重瞼)の対語。 ⸢ベー⸣ シマプソー ⸣カーミー ナリ⸢ブー⸣ プ⸢ソー ナン⸣ゾー ブ⸢ラーンバン⸣ナー [⸢beː⸣ ʃimapu̥soː ⸣kaːmiː nari⸢buː⸣ pu̥⸢soː nan⸣ʣoː bu⸢raːmban⸣naː] (わが<聞き手を含む>島の人は、単瞼になっている人はあまりいないねえ)。 ⸣カーミーヤ ヤ⸢マトゥ⸣プスナール ⸢ゴー⸣ラー [⸣kaːmiːja ja⸢matu⸣pu̥sunaːru ⸢goː⸣raː] (単瞼は本土の人<大和人>に多い) 3785 0 0 3544 htmvoc_3785.wav カーミルン ⸢カーミ⸣ルン [⸢kaːmi⸣ruŋ] 他動 短くする。縮める。明治生まれの老年層の言葉。 カ⸢ナパイヌ ユイバ カーミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ カーミララ⸣ヌ [ka⸢napainu juiba kaːmi⸣runti ⸢sundu kaːmirara⸣nu] (鍬の柄を縮めようとするが、縮められない)。 ⸢カー⸣ミ ⸣ミサカー ⸢カーミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kaː⸣mi ⸣misakaː ⸢kaːmi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (縮めて良ければ縮めることはできる)。 ⸢カーミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢kaːmi⸣reː ⸣misamunu] (縮めれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カーミ⸣リ [⸢maː⸣biŋ ⸢kaːmi⸣ri] (もっと縮めろ) 3787 0 0 3545 htmvoc_3787.wav カームチ ⸣カームチ [⸣kaːmuʧi] 名 植物の葉で包んだ餅。「皮餅」の義。カ⸢サン⸣パームチ[ka⸢sam⸣pamuʧi](「柏の葉餅」植物の葉で包んだ餅)と同じ。バ⸢サン⸣パームチ[ba⸢sam⸣paːmuʧi](芭蕉の葉餅)、サ⸢ミンパームチ[sa⸢mimpaːmuʧi](ゲットウ<月桃>の葉餅)などがある。⸢プール⸣ムチ[⸢puːru⸣muʧi](豊年祭の餅)は芭蕉の葉餅と月桃の葉餅が多く作られた。 ⸢プール⸣ヌ カ⸢サン⸣パームチ ス⸢ク⸣ルンティル ⸢オー⸣ル [⸢puːru⸣nu kḁ⸢sam⸣paːmuʧi su̥⸢ku⸣runtiru ⸢ʔoː⸣ru] (豊年祭の柏餅を作ろうとしておられる) 3786 0 0 3546 htmvoc_3786.wav カーメザー ⸢カー⸣メザー [⸢kaː⸣meʣaː] 名 (固)人名。カーメ兄。「亀兄」の転訛したもの。 ム⸢ルスメ⸣ナー ⸢カー⸣メザーティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タン [mu⸢rusume⸣naː ⸢kaː⸣meʣaːti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣taŋ] (盛島家にカーメ兄という人がおられた) 3696 0 0 3547 htmvoc_3696.wav カーラ ⸢カーラ [⸢kaːra] 名 川。小川。「川原」の転訛したもの。 ⸢ケーダガー⸣ラー ウ⸢ブ⸣ミジェーラン ミ⸢ジヌ⸣ シゥ⸢カラー スー⸣ワンティ ア⸢ザリ ブー [⸢keːdagaː⸣raː ʔu⸢bu⸣miʤeːram mi⸢ʤinu⸣ si̥⸢karaː suː⸣wanti ʔa⸢ʣaribuː] (ケーダ川は大見謝川よりも水の力が強い<水量が多い>といわれている)。 ウ⸢ブ⸣ミジェーラン ⸢ケーダガーラ⸣ヌ ミ⸢ジヌル⸣ シゥ⸢カラー スー⸣ワティバン⸢ナー [ʔu⸢bu⸣miʤeːraŋ ⸢keːdagaːra⸣nu mi⸢ʤinuru⸣ sï̥⸢karaː suː⸣watiban⸢naː] (大見謝川よりもケーダ川の水が水の勢い<水の力{EOS}水の量>は強いんだってねえ)。 ⸢ウーアミヌ⸣ フーカー ⸢カーラヌ⸣ ミ⸢ジヌ⸣ ウ⸢ク⸣ルン [⸢ʔuːaminu⸣ ɸuːkaː ⸢kaːranu⸣ mi⸢ʤinu⸣ ʔu⸢ku⸣ruŋ] (大雨が降ると川の水が氾濫する)。 ⸢カーラヌ⸣ パ⸢タ⸣ナ ⸢ター⸣ヌ ⸣アン [⸢kaːranu⸣ pḁ⸢ta⸣naː ⸢taː⸣nu ⸣ʔaŋ] (川の側に田圃がある) 3697 0 0 3548 htmvoc_3697.wav カーラ ⸢カー⸣ラ [⸢kaː⸣ra] 名 舟の竜骨。船首から船尾にかけて貫通する船底の骨格材。キール(keel)。⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː]を張って操船する際に、波を切って風上の方へ舟を走行させる機能があるという。 ⸣フニナー ⸢カーラ⸣ヌ ⸣アルユンダ ⸢プーザンプーバ⸣ ピ⸢ケー⸣ティ ⸢オーラー⸣ ン⸢カーサリン⸣ツォー [⸣ɸuninaː ⸢kaːra⸣nu ⸣ʔarujunda ⸢puːʣampuːba⸣ pi̥⸢keː⸣ti ⸢ʔoːraː⸣ ʔŋ⸢kaːsarin⸣ʦoː] (舟には竜骨があるので、プーザン帆(帆桟式帆)を張って風上の方へ舟を向けることが出来るそうだ)。 ⸣イダフニヌ ⸢カー⸣ラー シ⸢ギキー⸣シル ス⸢クラ⸣リ ブ⸢タ⸣ダー [⸣ʔidaɸuninu ⸢kaː⸣raː ʃi⸢gikiː⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri bu⸢ta⸣daː] (板船<サバニ>の竜骨は杉材で造られていたのだよ) 3788 0 0 3549 htmvoc_3788.wav カーラ ⸢カー⸣ラ [⸢kaː⸣ra] 名 瓦。⸢ウーガー⸣ラ[⸢ʔuːgaː⸣ra](雄瓦)と⸢ミーガー⸣ラ[⸢miːgaː⸣ra](雌瓦)がある。粘土を一定の形に成型し、焼成した屋根葺き用材。屋根のユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり)に粘土を捏ねて載せ、軒から甍の方へ雌瓦を二枚ずつ重ねて並べていき、雌瓦と雌瓦の継ぎ目に粘土を載せ、その上に雄瓦を被せ連結しながら葺き上げて行く。最終的には、瓦の継ぎ目に漆喰を塗って固定させ、屋根の瓦葺を完成させる。 ⸢カー⸣ラ ⸢カイ⸣キー ⸢カー⸣ラヤー ス⸢ク⸣リ [⸢kaː⸣ra ⸢kai⸣kiː ⸢kaː⸣rajaː su̥⸢ku⸣ri] (瓦を買ってきて瓦葺の家を造れ)。 ⸣ミツァ ク⸢ナシティ⸣ ユ⸢チル⸣ナ ⸢ヌーシティ ウン⸣ナ ⸢ミーガー⸣ラ ⸢ニンマイ⸣ナー カ⸢サビ⸣ ナ⸢ラビティ⸣ ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ギフチ⸣ナー ⸣ミツァ ム⸢リティ ウーガー⸣ラ カ⸢バ⸣シェーティル ⸢カー⸣ラヤーヤ フ⸢コーッ⸣タ [⸣miʦa ku⸢naʃi̥ti⸣ ju⸢ʧiru⸣na ⸢nuːʃi̥ti ʔun⸣na ⸢miːgaː⸣ra ⸢nimmai⸣naː kḁ⸢sabi⸣ na⸢rabiti⸣ ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢giɸu̥ʧi⸣naː ⸣miʦa mu⸢riti ʔuːgaː⸣ra ka⸢ba⸣ʃeːtiru ⸢kaː⸣rajaːja ɸu̥⸢koːt⸣ta] (粘土を捏ねてエツリに載せ、それに雌瓦を二枚ずつ重ねて並べ、その継ぎ目に粘土を盛って雄瓦を被せながら瓦屋根は葺かれた) 3791 0 0 3550 htmvoc_3791.wav ガーラ ⸢ガー⸣ラ [⸢gaː⸣ra] 名 (動)魚名。和名、シマアジ。 ⸣マンタヌ パ⸢マ⸣ナーティ カ⸢ザケーヌ⸣ ウスマイヤー ⸣ユー ⸢ガー⸣ラ ⸢ホー⸣ソーッタン [⸣mantanu pa⸢ma⸣naːti ka⸢ʣakeːnu⸣ ʔusumaijaː ⸣juː ⸢gaː⸣ra ⸢hoː⸣soːttaŋ] (前の浜で加治工家のウスマイ<伊佐>さんは、よくシマアジを釣られた)。 ⸢ガーラ⸣ヌ ナ⸢マ⸣シェー ン⸢マー⸣ン [⸢gaːra⸣nu na⸢ma⸣ʃeː ʔm⸢maː⸣ŋ] (シマアジの刺身は美味しい) 3794 0 0 3551 htmvoc_3794.wav カーライシ ⸢カーライシ [⸢kaːraiʃi] 名 川の石。「河原石」の義。 ⸢ウーミジヌ⸣ ウ⸢クリ⸣ルカー ⸢カーライシン コッふァシ⸣ パ⸢リ⸣ス [⸢ʔuːmiʤinu⸣ ʔu⸢kuri⸣rukaː ⸢kaːraʔiʃiŋ koffaʃi⸣ pa⸢ri⸣su] (洪水<大水>がおこると河原の大石も根こそぎ押し流していく) 470 0 0 3552 htmvoc_470.wav カーラカーラシ ⸢カーラカーラ⸣シ [⸢kaːrakaːra⸣ʃi] 副 明々と。明るいさま。「アカラアカラ」の融合変化したもの。 カ⸢ツコーバー(⸢シーゾーヤー⸣ヤ)ユー⸣ロー ⸢デンキ⸣バ シキ ⸢カーラカーラ⸣シ ガ⸢ラシティル⸣ カ⸢ツ ネーソーッ⸣タ [ka⸢ʦukoːbaː(⸢ʃiːʣoːjaː⸣ja)juː⸣roː ⸢deŋki⸣ba ʃi̥kiti ⸢kaːrakaːra⸣ʃi ga⸢raʃi̥tiru⸣ kḁ⸢ʦu neːsot⸣ta] (鰹節工場は夜は電気をつけてこ、こうこうと照らして鰹を煮上げられた) 3795 0 0 3553 htmvoc_3795.wav カーラカスン ⸢カーラカスン [⸢kaːrakasuŋ] 他動 乾かす。 ⸣ティダナ ⸣プシ ⸢カーラカシ [⸣tidana ⸣pu̥ʃi ⸢kaːrakaʃi] (太陽に干して乾かせ)。 ⸢カーラカスンティ ベー [⸢kaːrakasunti beː] (乾かそうとしている)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー ⸣ピンマー ⸢カーラカサラヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuː ⸣pimmaː ⸢kaːrakasaranu] (雨の降る日は乾かされない)。 ⸢パー⸣ク ⸢カーラカシ⸣プサン [⸢paː⸣ku ⸢kaːrakaʃi⸣pu̥saŋ] (早く乾かしたい)。 ⸢ワー カーラカス⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸢カーラカスン [⸢waː kaːrakasu̥⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢kaːrakasuŋ] (君が乾かしたら私も乾かす)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カーラカシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kaːrakaʃeː⸣ misamunu] (もっと乾かせば良いのに)。 ⸢カーラカスムノー パー⸣ク ⸢カーラカシ [⸢kaːrakasumunoː paː⸣ku ⸢kaːrakaʃi] (乾かすものは早く乾かしなさい) 3796 0 0 3554 htmvoc_3796.wav カーラクン ⸢カーラクン [⸢kaːrakuŋ] 自動 乾く。 ⸢キン⸣マー マ⸢ダ カーラカヌ [⸢kim⸣maː ma⸢da kaːrakanu] (着物はまだ乾かない)。 ⸣クナーテー ⸢カーラキパヤー⸣ン [⸣kunaːteː ⸢kaːrakipajaː⸣ŋ] (ここでは乾き早い)。 マ⸢ナ⸣マ ⸢カーラカス⸣カー ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣アルンケンナー ⸢カーラクン [ma⸢na⸣ma ⸢kaːrakasu̥⸣kaː ti⸢da⸣nu ⸣ʔaruŋkennaː ⸢kaːrakuŋ] (今干す<乾かす>と日のあるうちに乾く)。 ⸢カーラク⸣クトー ⸢カーラクヌ⸣ ウ⸢ヌマー⸣マーヤ キ⸢サラヌ [⸢kaːraku⸣ku̥toː ⸢kaːrakunu⸣ ʔu⸢numaː⸣maːja ki̥⸢saranu] (乾くことは乾くが、そのままでは着られない)。 ⸢パー⸣ク ⸢カーラケー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢kaːrakeː⸣ misamunu] (早く乾けばよいのに)。 ⸢パイ⸣サ ⸢カーラキ [⸢pai⸣sa ⸢kaːraki] (早く乾け)。 ⸢カーラキキシェー⸣ン [⸢kaːrakiki̥ʃeː⸣ŋ] (乾ききった)。 ⸢カーラキキスン [⸢kaːrakiki̥suŋ] (乾ききる{EOS}完全に乾く) 3793 0 0 3555 htmvoc_3793.wav カーラシキ ⸢カーラ⸣シキ [⸢kaːra⸣ʃi̥ki] 名 瓦敷き。瓦で屋根を葺く際に、軒の先端部に幅約六寸の鋭三角形の板をうちつけたもの。瓦が滑り落ちるを防ぐ、瓦止めの機能を持たせた板。通常はフ⸢クンキー[ɸu̥⸢kuŋkiː](福木)の角材を対角線に製材したものを使っていた。 タ⸢ルキ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー ⸢カーラ⸣シキ ⸣ウキティ ⸢ウン⸣ナ ⸢フン⸣ ウティバ [ta⸢ruki⸣nu ⸢ʔui⸣naː ⸢kaːra⸣ʃi̥ki ⸣ʔukiti ⸢ʔun⸣na ⸢ɸun⸣ ʔutiba] (垂木の上に瓦敷きを置いて<瓦敷きを受けるようにして>、それに釘を打ちなさい) 4801 0 0 3556 htmvoc_4801.wav カーラダキ ⸢カー⸣ラダキ [⸢kaː⸣radaki] 固 (地)カラ岳。石垣島の東北海岸、白保集落の北にある山。 ⸢カー⸣ラダキヌ ⸣スバナール ヒ⸢コージョー⸣ヤ ス⸢ク⸣ロールティ⸢ダー [⸢kaː⸣radakinu ⸣subanaːru çi⸢koːʤoː⸣ja su⸢ku⸣roːruti⸢daː] (カラ岳の側に飛行場は作るそうだよ) 3797 0 0 3557 htmvoc_3797.wav ガーラダマ ⸢ガー⸣ラダマ [⸢gaː⸣radama] 名 まがたま(勾玉)。 ⸢ガー⸣ラダマティ ⸢スー⸣ ム⸢ノー⸣ ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [⸢gaː⸣radamti ⸢suː⸣ mu⸢noː⸣ miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (勾玉というものは見たことはなかった) 3699 0 0 3558 htmvoc_3699.wav カーラヌパタ ⸢カーラヌ⸣ パ⸢タ [⸢kaːranu⸣ pḁ⸢ta] 連 川の側。かわべり(川縁)。川岸。 ⸢カーラヌ⸣ パ⸢ター⸣ ア⸢カ⸣ズミキーヌ ヤ⸢マ⸣カビ ムイ⸢ベー [⸢kaːranu⸣ pḁ⸢taː⸣ ʔa⸢ka⸣ʣumikiːnu ja⸢ma⸣kabi mui⸢beː] (かわべり<川縁>にはマングローブ<ひるぎ>が密生している) 3800 0 0 3559 htmvoc_3800.wav カーラヤー ⸢カー⸣ラヤー [⸢kaː⸣rajaː] 名 瓦葺の家。「瓦家」の義。⸣ガヤヤー[⸣gajajaː](茅葺の家)の対義語。八重山の民間に瓦葺きが許可されたのは明治二十二年という。鳩間島では、昭和二年十月に鳩間小学校の瓦葺き校舎が完成した「学校日誌」『波濤を越えて』とある。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ナールミナバ ⸢コーシ⸣ カ⸢ラ⸣ス ⸣シキ ⸣ギラカラスバ シ⸢キ カーシェー⸣ティル ⸢カー⸣ラ ⸢カイ カー⸣ラヤー ス⸢ク⸣ローッタツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣naːruminaba ⸢koːʃi⸣ ka⸢ra⸣su ⸣ʃi̥ki ⸣girakarasuba ʃi̥⸢ki kaːʃeː⸣tiru ⸢kaː⸣ra ⸢kai kaː⸣rajaː su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (昔はナールミナ<フタモチヘビガイの仲間か?>の身を取って塩辛にしたり、シャコガイの塩辛を作って売りさばきながら瓦を買って瓦葺家を造られたそうだ)。 ⸢カー⸣ラヤー ス⸢ク⸣ルン [⸢kaː⸣rajaː su̥⸢ku⸣ruŋ] (瓦葺の家を造る) 3801 0 0 3560 htmvoc_3801.wav カーラヤーヌトゥラーマ ⸢カー⸣ラヤーヌ トゥ⸢ラー⸣マ [⸢kaː⸣rajaːnu tu⸢raː⸣ma] 連 すずめ(雀)。「瓦葺家の小鳥」の義。 ⸢カー⸣ラヤーヌ トゥ⸢ラー⸣マー ⸣ウヤコーコームヌ ヤ⸢レー⸣ティ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢マーラソーッ⸣タンケン ⸢ワー カー⸣ラヤーヌ ッ⸢サーン⸣ナー ⸢ベー⸣ティ ⸢マイヌ⸣ ウ⸢ティヌカ⸣ル プ⸢サイ⸣ ッ⸢ふァイ⸣ティ ア⸢ゾー⸣レーティル ユ⸢チ⸣クニ ッ⸢ふァイ ブー⸣ツォー [⸢kaː⸣rajaːnu tu⸢raː⸣maː ⸣ʔujakoːkoːmunu ja⸢reː⸣ti ʔu⸢ja⸣nu ⸢maːrasoːt⸣taŋkeŋ ⸢waː kaː⸣rajaːnu s⸢saːn⸣naː ⸢beː⸣ti ⸢mainu⸣ ʔu⸢tinuka⸣ru pu̥⸢sai⸣ f⸢fai⸣ti ʔa⸢ʣoː⸣reːtiru ju⸢ʧi⸣kuni f⸢fai buː⸣ʦoː] (スズメは親孝行者であったので、親が亡くなられた時、お前は瓦葺の家の軒下で米の落ちこぼれたものを拾って食べなさいといわれたので、裕福に食べて暮らしているそうだ)。 ⸢カー⸣ラヤヌ トゥ⸢ラー⸣マー ⸣キサー ウ⸢ヌス⸣ク ブ⸢リブタンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaː⸣rajaːnu tu⸢raː⸣ma ⸣kisaː ʔu⸢nusu̥⸣ku bu⸢ributandu⸣ ma⸢na⸣maː mi⸢raran⸣ nari⸢naː⸣nu] (スズメは以前は、あんなにたくさんいたが、今は見られなくなってしまった) 3802 0 0 3561 htmvoc_3802.wav カーラヤヌアンマ ⸢カー⸣ラヤヌアンマ [⸢kaː⸣rajanuʔamma] 名 (動)テントウムシ。「瓦屋の姉さん」の義。赤地に黒の斑点、黒地に赤の斑点のついたものが多かった。 ⸢ナーヌ⸣パーナ ⸢カー⸣ラヤーヌアンマヌ ⸢フシゥ⸣カリ べー [⸢naːnu⸣paːna ⸢kaː⸣rajaːnuʔammanu ⸢ɸusï̥⸣kari ⸢beː] (菜っ葉にテントウムシが集まって<くっついて>いる) 3701 0 0 3562 htmvoc_3701.wav ガーリ ⸢ガー⸣リ [⸢gaː⸣ri] 名 手を振って応援するすること。手を振って見送ること。動詞ガールンの転成名詞。 タ⸢ベー⸣ パル プ⸢スバ ガー⸣レーティ パ⸢ラシ⸣タ [ta⸢beː⸣ paru pu̥⸢suba gaː⸣reːti pa⸢raʃi̥⸣ta] (旅へ発つ人に手を振りながら一路平安を祈って<元気付けて>見送って行かせた) 3702 0 0 3563 htmvoc_3702.wav ガーリウタ ⸢ガーリ⸣ウタ [⸢gaːri⸣ʔuta] 名 豊年祭の歌の一種。シ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)の直前に、西村、東村の婦人達によるガーリ隊が綱引きを加勢するために、各村の村自慢のものを歌う一種の呪歌。⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta](豊年祭の歌)の項参照 3805 0 0 3564 htmvoc_3805.wav カーリカタ ⸢カーリカタ [⸢kaːrikata] 名 変わり方。 ⸣アイブ ⸢カーリカタティン⸣ ア⸢リ⸣ブーバン⸢ナー⸣ プ⸢スン カシゥカーサ⸣リティ [⸣ʔaibu ⸢kaːrikatatiŋ⸣ ʔa⸢ri⸣buːban⸢naː⸣ pu̥⸢suŋ kasï̥kaːsa⸣riti] (あんな変わり方とてもあるものだねえ、他人に騙されて{EOS}) 3703 0 1 3565 htmvoc_3703.wav カール ⸢カール [⸢kaːru] 名 {Mn_1}代わり。交替。 ⸢ワー カーロー タール スーワ [⸢waː kaːroː taːru suːwa] (君の代わりは誰がするのか)。 ⸣バー ⸢カール ワー⸣ パ⸢ラン⸣ノーレー [⸣baː ⸢kaːru waː⸣ pa⸢ran⸣noːreː] (私の代わりに君が行かないか<行ってくれないか>)。 ク⸢リヌ カーロー⸣ ギュー⸢サン⸣ アン [ku⸢rinu kaːroː⸣ gjuː⸢saŋ⸣ ʔaŋ] (これの代わりはくらでもある)。 ⸢カールヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢kaːrunu⸣ bu⸢raːnu] (代わり<の人>がいない)。 3703 0 2 3566 htmvoc_3703.wav カール ⸢カール [⸢kaːru] 名 {Mn_2}代理。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢カール⸣ シ⸢トゥミ⸣リ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢kaːru⸣ ʃi̥⸢tumi⸣ri] (親の代理を勤めよ)。 3703 0 3 3567 htmvoc_3703.wav カール ⸢カール [⸢kaːru] 名 {Mn_3}償い。代償。 ウ⸢ヌ カール⸣ ク⸢レー⸣ バン ッ⸢ふィーリ [ʔu⸢nu kaːru⸣ ku⸢reː⸣ ban f⸢fiːri] (その代わり<代償として>、これは私にくれよ) 3804 0 0 3568 htmvoc_3804.wav カールカール ⸢カールカー⸣ル [⸢kaːrukaː⸣ru] 副 代わる代わる。 ⸢カールカー⸣ルシ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣バ [⸢kaːrukaː⸣ruʃi ʔu⸢ja⸣nu ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ba] (交替で親の手伝いをしなさいよ)。入れ替わり立ち代り。 プ⸢スヌ カールカー⸣ル ⸣ンジペーリ ⸢シー⸣ ブ⸢リン⸣ギサヌ ⸢ヌー⸣ヌ ⸢アッタ⸣カヤー [pu̥⸢sunu kaːrukaː⸣ru ⸣ʔnʤipeːri ⸢ʃiː⸣ bu⸢riŋ⸣gisanu ⸢nuː⸣nu ⸢ʔat⸣takajaː] (人が代わる代わる出入りしているようだが、何があったのか<どうしたんだろうか>なあ) 3705 0 0 3569 htmvoc_3705.wav カールン ⸢カールン [⸢kaːruŋ] 自動 変わる。変化する。老年層は、⸢カウルン[⸢kauruŋ](変わる{EOS})ともいう。 ア⸢ラウタンティン⸣ イロー ⸢ピッ⸣チン ⸢カーラヌ [ʔa⸢rautantiŋ⸣ ʔiroː ⸢pit⸣ʧiŋ ⸢kaːranu(⸢kauranu)] (洗っても色はちっとも変わらない)。 ア⸢ラウ⸣カー ⸣イロー ⸢カールン [ʔa⸢rau⸣kaː ⸣ʔiroː ⸢kaːruŋ(kauruŋ)] (洗ったら色が変わる)。 ⸢カーリナー⸣ヌ [⸢kaːrinaː⸣nu] (変わってしまった)。 ⸢カール⸣ クトゥン ⸣アン [⸢kaːru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (変わることもある)。 ⸢カーレー⸣ ミサムヌ [⸢kaːreː⸣ misamunu] (変わればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢カーリ [⸢paː⸣ku ⸢kaːri] (早く変われ)。 イ⸢ル⸣ヌ ⸢カールン [ʔi⸢ru⸣nu ⸢kaːruŋ] (色が変わる)。 ⸣イロー ⸢カーラヌ [⸣ʔiroː ⸢kaːranu] (色は変わらない)。 ⸣イロー ⸢カーリ ナー⸣ヌ [⸣ʔiroː ⸢kaːri naː⸣nu] (色は変わってしまった)。 イ⸢ル⸣ヌ ⸢カール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ru⸣nu ⸢kaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (色が変わることは無い)。 ⸣イロー ⸢カーレー⸣ ミサムヌ [⸣ʔiroː ⸢kaːreː⸣ misamunu] (色は変われば良いのに) 3806 0 0 3570 htmvoc_3806.wav カールン ⸢カールン [⸢kaːruŋ] 自動 代わる。交代する。老年層では、⸢カウルン[⸢kauruŋ](代わる)ともいう。 プ⸢ストー カーララヌ ワートゥル カーリ⸣プサ [pu̥⸢sutoː kaːraranu waːturu kaːri⸣pu̥sa] (他の人とは代われない{EOS}君とが<ぞ>代わりたい)。 ⸢ワーンドゥ カール⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸢カールン [⸢waːndu kaːru⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢kaːruŋ] (君が代わるなら私も代わる)。 プ⸢ストゥ カール⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ ヤー⸢ディン⸣ ドゥーシ ⸣クー [pu̥⸢sutu kaːru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu jaː⸢din⸣ duːʃi ⸣kuː] (他人と代わること<代理>は出来ない{EOS}必ず自分自身で来い)。 ⸣ドゥーシ ⸣クンテー ⸢サンドー⸣シ ⸣ナルカー プ⸢ストゥ カーレー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ⸣kunteː ⸢sandoː⸣ʃi ⸣narukaː pu̥⸢sutu kaːreː⸣ misamunu] (自分で来ようと<来ると>しないで、出来るなら他の人と代わればよいのに)。 ⸢ワーヤ パー⸣ク プ⸢ストゥ カーリ [⸢waːja paː⸣ku pu̥⸢sutu kaːri] (君は早く他の人と代われ) 3809 0 1 3571 htmvoc_3809.wav ガールン ⸢ガー⸣ルン [⸢gaː⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}気勢をあげて自慢する。自他を鼓舞する。威勢よく掛け声を掛け合い、手を振りながら乱舞する。豊年祭に東村、西村に分かれて⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](舞踊の競演)や⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競漕)を行う際、気勢をあげて各村を自慢し、応援することこと。 ⸢プール⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢インヌムラ アンヌムラ⸣ バ⸢カ⸣リティ ウ⸢ヌス⸣ク ⸢ガー⸣ローッタヌ ⸢ナー [⸢puːru⸣nu ⸣pimmaːː ⸢ʔinnumura ʔannumura⸣ ba⸢ka⸣riti ʔu⸢nusu⸣ku ⸢gaː⸣roːttanu ⸢naː] (豊年祭の時には西村、東村に分かれて、あんなに気勢をあげて自慢しながら乱舞されたのになあ)。 3809 0 2 3572 htmvoc_3809.wav ガールン ⸢ガー⸣ルン [⸢gaː⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}手を振って見送る。 フ⸢ニ⸣ヌ ミ⸢ララン⸣ ナルンケン ⸢ガー⸣リ ⸢オーッ⸣タ [ɸu⸢ni⸣nu mi⸢raran⸣ naruŋkeŋ ⸢gaː⸣ri ⸢ʔoːt⸣ta] (船が見えなくなるまで手を振って見送っておられた)。 ⸢ガーラ⸣ヌ [⸢gaːra⸣nu] (手を振らない)。 ⸢ワー ガー⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン ⸢ガー⸣ルン [⸢waː gaː⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢gaː⸣ruŋ] (君が手を振るなら私も手を振る)。 ⸢ガー⸣ル ピンマー ⸣サジシ ⸢ガー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢gaː⸣ru pimmaː ⸣saʤiʃi ⸢gaː⸣reː ⸣misamunu] (手を振るときは手に手拭を持って振ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ガー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢gaː⸣ri] (早く手を振れ) 3810 0 0 3573 htmvoc_3810.wav カーレー ⸢カー⸣レー [⸢kaː⸣reː] 固 人名。「生れ変り」の義。父の死後に生まれた子に命名する習慣があったという。 ⸢カー⸣レザー [⸢kaː⸣reʣaː] (カーレ兄さん)。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢カー⸣レーティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タン⸢ナー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢kaː⸣reːti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣tan⸢naː] (鳩間島にカーレーという人が居られたねえ) 3811 0 0 3574 htmvoc_3811.wav カーレザー ⸢カー⸣レザー [⸢kaː⸣reʣaː] 名 (人)男性の名前。カーレー兄さん。カーレー氏。 ⸢カー⸣レザー ⸢キョーダイ⸣ヤー ギュ⸢タール オーッ⸣タカヤー [⸢kaː⸣reʣaː ⸢kjoːdai⸣jaː gju⸢taːru ʔoːt⸣taːkajaː] (カーレー兄さんの兄弟は何人おられましたかねえ) 3812 0 0 3575 htmvoc_3812.wav カーレドンドン ⸢カー⸣レドンドン [⸢kaː⸣redondoŋ] 名 岩の名。⸢ナードー[⸢naːdoː](長堂)の海岸にある岩で直径約80センチ。高さ約60センチの岩。潮流によって砂浜に埋没することがあった。昭和35年ごろまで、子供達が潮干狩りのために、この岩の側を通過して屋良辺りへ行く際には必ず小石で岩の頭を叩きながら、⸢カー⸣レドンドン ⸢バン⸣タ ⸢サンシェン⸣ドー ヤ⸢ギホン⸣マ シ⸢タ⸣ドー[⸢kaː⸣redondom ⸢ban⸣ta ⸢saŋʃen⸣doː ja⸢gihom⸣ma ʃi⸢ta⸣doː](カーレドンドン私たちはしなかったよ{EOS}痩せた長姉がしたのだよ)と唱えて行く慣わしがあった。それを唱えて行くと安全に帰宅できると親たちから教えられていた 3813 0 0 3576 htmvoc_3813.wav ガーンカーン ⸢ガーンカーン [⸢gaːŋkaːŋ] 副 がんがん。硬い物を叩いたり、切ったりする音の形容。実際の音をまねて言葉とした語。擬音語(onomatopoeia)。 ⸢ガーンカーン⸣シ カ⸢ニフン⸣ ウティ ⸢ベー⸣モー ⸢ター⸣ヤ [⸢gaːŋkaːŋ⸣ʃi ka⸢niɸuŋ⸣ ʔuti ⸢beː⸣moː ⸢taː⸣ja] (がんがんと鉄釘を打っているのは誰か) 3814 0 0 3577 htmvoc_3814.wav ガーンガーン ⸢ガーンガーン [⸢gaːŋgaːŋ] 副 がーんがーん。じゃーんじゃーん。銅鑼の音を形容する擬音語(オノマトペア)。 ⸢プール⸣ヌ バウ ⸢ゾーラキヌ⸣ ス⸢クミ スンティ ガーンガーン⸣シ ドゥ⸢ラーンバ⸣ ウティ ⸢ナーラシ ベー [⸢puːru⸣nu ⸣bau ⸢ʣoːrakinu⸣ su̥⸢kumi sunti gaːŋgaːŋ⸣ʃi du⸢raːmba⸣ ʔuti ⸢naːraʃi beː] (豊年祭の棒踊り、競演舞踊の仕組み<予行演習{EOS}リハーサル>をしようとしてガーンガーン銅鑼を打ち鳴らしている) 3798 0 0 3578 htmvoc_3798.wav カーング ⸢カーング [⸢kaːŋgu] 名 (動)淡水魚の名。フナ(鮒)。西表島の川に棲息している。鳩間島の水田のある西表島北部一帯に、水田に水を引く⸣シキ[⸣ʃi̥ki](堰{EOS}いせき<井堰>)などに棲息していた。 シ⸢キム⸣トーラ ⸢カーング⸣ シゥ⸢カ⸣ミ ⸢クー⸣タ [ʃi̥⸢kimu⸣toːra ⸢kaːŋgu⸣ si̥⸢ka⸣mi ⸢kuː⸣ta] (堰の上流からカーングを捕獲して<\ruby{捕}{ツカ}まえて>きた)。 トゥ⸢マダヌ⸣ シ⸢キ⸣ムトゥナー ⸢カーングヌ ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ ウ⸢リ⸣ シゥ⸢カ⸣ミ ⸣キー ⸣シジ ヌ⸢マシ⸣ター ⸣ニチェー サ⸢マル⸣タンティ⸢ダー [tu⸢madanu⸣ ʃi̥⸢ki⸣mutunaː ⸢kaːŋgunu beː⸣ta ⸢beː⸣ti ʔu⸢riba⸣ sï̥⸢ka⸣mi ⸣kiː ⸣ʃiʤi nu⸢maʃi̥⸣taː ⸣niʧeː sa⸢maru⸣tanti⸢daː] (トゥマダ地区の井堰にはカーング<鮒>がいたので、それを捕獲してきて煎じてのませたらば熱は下がったそうだよ) 3815 0 0 3579 htmvoc_3815.wav ガーンパターン ⸢ガーンパターン [⸢gaːmpataːŋ] 副 がたんごとん。がたんがたん。物音が高く、騒々しいさまを形容する擬音語(オノマトペア)。 イ⸢ツァフンツァ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー ヤ⸢ラビン⸣メーヌ ⸢ガーンパターン⸣シ <⸢ドーンパターン⸣シ> シ⸢マ⸣ トゥリ ア⸢サ ビベー [ʔi⸢ʦaɸunʦa⸣nu ⸢ʔui⸣naː ja⸢rabim⸣meːnu ⸢gaːmpataːŋ⸣ʃi <⸢doːmpataːŋ⸣ʃi> ʃi⸢ma⸣turi ʔa⸢sabi beː] (床板の上で子供達がガタンバタンと騒々しく相撲をとって遊んでいる)。⸢ドーンパターン[⸢doːmpataːŋ](どたんぱたん)ともいう 3764 0 0 3580 htmvoc_3764.wav カーンパタヤー ⸢カーンパタ⸣ヤー [⸢kaːmpata⸣jaː] 固 ⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工家)の別称。「井戸端の家」の義。⸢カーンパタ⸣グヮー[⸢kaːmpata⸣gwaː]ともいう。戦後西村のカツオ漁業を経営した大工定市氏の家。西村井戸の東南隣にあるのでそう呼ばれる。西村の⸢シー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi](獅子頭)を保管管理している家である。 ⸢カーンパタ⸣ヤー<⸢ダイ⸣ケー>ナール ⸢インヌムラヌ シー⸣シェー カ⸢キン⸣グ ⸢シーオー⸣ル [⸢kaːmpata⸣jaː<⸢dai⸣keː>naːru ⸢ʔinnumuranu ʃiː⸣ʃeː ka⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (井戸端の家<大工家>に西村の獅子頭は保管管理されている) 3709 0 0 3581 htmvoc_3709.wav カイ ⸢カイ [⸢kai] 名 お粥。「饘、厚粥也、加由(かゆ)」『新撰字鏡』の転訛したもの。鍋に米を入れ、水を加え、その中に手を立てて水位が掌の中ごろに達するまで水を加えて炊いたご飯。老人や食欲のない病人のために炊いた。ア⸢チ⸣ビーカイ[ʔa⸢ʧi⸣biːkai](硬めのお粥)と⸣ゾールゾールカイ[⸣ʣoːruʣoːrukai](水分の多いお粥)がある。⸢ザイレー⸣マイ[⸢ʣaireː⸣mai](在来種の赤穂米)のお粥は、脂肪分があって病人食に喜ばれた。さらっとした味で、お粥の上澄み部分にうっすらと脂肪分が浮き出る。それが薄いバターのような味を出して、淡白なお粥に一味の奥深みを感じさせる。美味であった。 フ⸢チミーザ⸣ヌ ⸣ムヌン ッ⸢ふァーランバ カイ⸣ タ⸢キミラン⸣ノーレー [ɸu̥⸢ʧimiːʣa⸣nu ⸣munun f⸢faːramba kai⸣ tḁ⸢kimiran⸣noːreː] (何を食っても不味く<口不味く>て食物が食べられないから、お粥を炊いてくれないか) 3710 0 0 3582 htmvoc_3710.wav カイ ⸣カイ [⸣kai] 副 こう(斯う)。 ⸣アイ ⸢シー⸣ カイ ⸣シール ヤッ⸢トゥ⸣シ ス⸢ダ⸣ティ ⸣ケール [⸣ʔai ⸢ʃiː⸣ kai ⸣ʃiːru jat⸢tu⸣ʃi su⸢da⸣ti ⸣keːru] (ああし、こうしして<ぞ>やっとのことで育ててきたのだ)。 ⸣アイカイ ⸢スン⸣ケン パリ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaikai ⸢suŋ⸣kem pari⸢naː⸣nu] (そうこうするうちに行ってしまった)。 ⸣カイニ ⸢シー⸣バ [⸣kaini ⸢ʃiː⸣ba] (こう<このように>しなさいよ)。 ⸣カイニ ⸢シー⸣バ [⸣kaini ⸢ʃiː⸣ba] (このように<こう>しなさいよ)。 ⸣カイ ⸢スー⸣カー マ⸢キス [⸣kai ⸢suː⸣kaː ma⸢kisu] (斯うしたら負けるよ)。 ⸣カイニ ⸣カクカー カ⸢キヤッ⸣サン [⸣kaini ⸣kḁkukaː kḁ⸢kijas⸣saŋ] (こう書いたら書きやすい)。⸣アイ[⸣ʔai](ああ{EOS}あのように)の対義語。⸣アイカイ[⸣ʔaikai](ああこう{EOS}そうこう)のように畳語化して用いられることもある。 ⸣カイニンカー ム⸢ヌ⸣ヌ ミ⸢ジラ⸣サ ⸣ピルマサ ス⸢クラリン⸣ツォーカー [⸣kainim mu⸢nu⸣nu mi⸢ʤira⸣sa ⸣pirumasa su⸢kurarin⸣ʦoːkaː] (このようにも、物が珍しくも素晴らしく作られるものかね)。 ⸣カイ ⸢スーバル ウイヌ⸣ プ⸢ス⸣ネー ⸣ブリー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kai ⸢suːbaru ʔuinu⸣ pu̥⸢su⸣neː ⸣buriː na⸢ra⸣nu] (こうしたほうが目上の人に対して失礼<無礼>にならない)。 ⸣アイカイ ⸢スン [⸣ʔaikai ⸢suŋ] (そうこうする)。 ⸣アイカイ ⸢スン⸣ケン ウ⸢ワリナーン⸣シェン [⸣ʔaikai ⸢suŋ⸣keŋ ʔu⸢warinaːŋ⸣ʃeŋ] (そうこうしているうちに終わってしまっていた)。 ⸣カイニ ⸢スー⸣カー ⸢シーヤッ⸣サン [⸣kaini ⸢suː⸣kaː ⸢ʃiːjas⸣saŋ] (このようにしたらし易い)。 ⸣カイニル ⸢ター⸣ヤ ⸢カイ⸣ス [⸣kainiru ⸢taː⸣ja ⸢kai⸣su] (このように<ぞ>田は耕すのだ) 3712 0 0 3583 htmvoc_3712.wav カイ ⸣カイ [⸣kai] 名 陰。影。 ⸢マープスマー⸣ アツァユンダ ⸢キーヌ⸣ カイナーティ ア⸢サビ⸣バ [⸢maːpu̥sumaː⸣ ʔaʦajunda ⸢kiːnu⸣ kainaːti ʔa⸢sabi⸣ba] (真昼間は暑いから木の陰で遊びなさい)。 プ⸢スヌ⸣ カイ ⸢フンクナ [pu̥⸢sunu⸣ kai ⸢ɸuŋkuna] (人の影を踏むな)。⸣カイナカー[⸣kainakaː](陰{EOS}陰の中)ともいう。 ⸣クマー ⸢キー⸣ヌ ⸣カイ ⸣ナリティ イッ⸢ケナ⸣ ピ⸢ラ⸣ケーン [⸣kumaː ⸢kiː⸣nu ⸣kai ⸣nariti ʔik⸢kena⸣ pi⸢ra⸣keːŋ] (此処は木の陰になっていて非常に涼しい)。 ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢トン⸣クカー ⸣クマー ⸣カイ ⸣ナルン [ti⸢da⸣nu kḁ⸢toŋ⸣kukaː ⸣kumaː ⸣kai ⸣naruŋ] (太陽が西に傾くと、ここは陰になる) 3816 0 0 3584 htmvoc_3816.wav カイ ⸢カイ [⸢kai] 名 甲斐。価値。効果。 ⸣アイ ⸢ブー⸣カー ス⸢ダティ⸣ル ⸢カイヤー ナー⸣ヌ [⸣ʔai ⸢buː⸣kaː su⸢dati⸣ru ⸢kaijaː naː⸣nu] (こんな状態でいるなら<こんなに居るなら>、育てる価値<甲斐>がない)。 ⸢ナン⸣ギ ⸣アウリバ ⸢シー⸣ ス⸢ダ⸣テール ⸢カイヤー⸣ ア⸢リ⸣ブバン [⸢naŋ⸣gi ⸣ʔauriba ⸢ʃiː⸣ su⸢da⸣teːru ⸢kaijaː⸣ ʔa⸢ri⸣bubaŋ] (難儀苦労<難儀哀れ>をしてして育てた甲斐がありおるわい)。 ガ⸢ク⸣ムン シ⸢メー⸣ル ⸢カイヤー⸣ アン [ga⸢ku⸣muŋ ʃi⸢meː⸣ru ⸢kaijaː⸣ ʔaŋ] (学問を受けさせただけの甲斐<価値・値打ち>はある) 3817 0 0 3585 htmvoc_3817.wav カイ ⸢カイ [⸢kai] 名 長持ち。「け(笥)」食物を盛るうつわ(器)、物を入れるうつわ(器)の義。「家有者笥爾盛飯乎(イヘニアレバケニモルイヒヲ)『万葉集』142」。「笥」は乙類の仮名[ke乙]であるから*kaiに遡ることが出来る。鳩間島方言の⸢カイ[⸢kai](笥)は、万葉語「け(笥)」の古形に繋がる可能性がある。「笥 介<ケ>、盛ル食器也」『和名抄』とあるが、鳩間方言の⸢カイ⸣キ[⸢kai⸣ki](皿)とも関係ある語か。鳩間島では木製の衣装箱を⸢カイ[⸢kai](長持)という。箪笥が家庭に普及する(大正期)以前は、この⸢カイ[⸢kai]が嫁入り道具の一つとして重宝されたという。 ク⸢ヌ カイヤー⸣ アボー ⸣ニービキ ⸢シー オーッ⸣タ ⸣バス ⸣ムティ ⸢オー⸣レール ⸣ムヌツォー [ku⸢nu kaijaː⸣ ʔaboː ⸣niːbiki ⸢ʃiː ʔoːt⸣tabasu ⸣muti ⸢ʔoː⸣reːru ⸣munuʦoː] (この長持ちは、お母さんが嫁入り<結婚>された時に持参された<持ってこられた>ものだそうだ) 3820 0 0 3586 htmvoc_3820.wav カイ ⸢カイ [⸢kai] 接頭 特定の動詞を修飾して意味を強める機能を持つ。「かき(掻き)」の義。 ⸢カイ⸣トゥルン [⸢kai⸣turuŋ] (盗む{EOS}奪い取る{EOS}略奪する{EOS}<掻き取る>)。 プ⸢スヌ⸣ ム⸢ヌ⸣バ ⸢カイ⸣トゥレー ナ⸢ラン⸣ダー [pu̥⸢sunu⸣ mu⸢nu⸣ba ⸢kai⸣tureː na⸢ran⸣daː] (他人の物を盗んではいけないよ)。 イ⸢カーラ⸣ ノー⸢ン ヤラバン⸣ アイニ ム⸢ニ⸣バ ⸢カイカサ⸣ミ プ⸢スバ⸣ イ⸢ズ⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸢アン [ʔi⸢kaːra⸣ noː⸢ɲ jarabaŋ⸣ ʔaini mu⸢ni⸣ba ⸢kaikasa⸣mi pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ʣu⸣ku̥⸢tu⸣nu ⸢ʔaŋ] (いくらなんでも、あんなにむちゃくちゃに言葉尻を掴んで他人を叱ることがあるか)。 ⸢カイスン⸣グリ [⸢kaisuŋ⸣guri] (ぶん殴り) 3821 0 0 3587 htmvoc_3821.wav カイ ⸢カイ [⸢kai] 接頭 ⸢カイ⸣ヤン[⸢kai⸣jaŋ](美しい)の語幹。そのままで特定の名詞を修飾して、その意味内容を飾り立て、「美しい」、「立派な」、「安全な」等の意味を添える。 ⸢カイ⸣タビ [⸢kai⸣tabi] (安全な航海<旅>)。 ⸢カイピュー⸣ル [⸢kaipjuː⸣ru] (吉日{EOS}いい日和)。 ⸢カイ⸣トゥキ [⸢kai⸣tuki] (好機{EOS}チャンス)。 ⸢カイ⸣ダキ [⸢kai⸣daki] (美しい山々)。 ⸢カイ⸣マリ [⸢kai⸣mari] (立派な生まれつき{EOS}優れた血統の生まれつき)。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌシタニ パリヌブリ ハイヤヨー ティバ カイダキ ティトゥルトゥ テンヨー マサティ ミグトゥ/(鳩間中岡 走って登り、クバ<蒲葵>林の下に 走って登り、南の方はとて 見れば 美しい古見の山々が手に取る如くまことに優れて美しく見事である)「パ⸢トゥ⸣マナカムリ(鳩間中岡)」『鳩間誌』 3713 0 1 3588 htmvoc_3713.wav ガイ ⸣ガイ [⸣gai] 名 {Mn_1}ご飯やお汁をすくう杓子。飯をよそう道具。 ⸢イー⸣ガイ [⸢ʔiː⸣gai] (杓子{EOS}杓文字)。「木刀、イヒカヒ」『色葉字類抄』、「Iygai.イイガイ(飯匙・飯掻)飯を椀に盛るのに用いるある小さな杓子」『邦訳日葡辞書』。の転訛したもの。 ⸢スー⸣ガイ [⸢suː⸣gai] (汁杓子)。戦後の一時期まで、西表島で通耕する際、キ⸢ザ⸣ク[ki⸢ʣa⸣ku](ヒルギシジミ貝やシレナシジミ貝)の殻に柄をつけて杓子に使っていた。 3713 0 2 3589 htmvoc_3713.wav ガイ ⸣ガイ [⸣gai] 名 {Mn_2}食べ物を掬って取る用具。匙。 ガイ⸢ヤー⸣マ [gai⸢jaː⸣ma] (小匙)。 ⸣ガイシ ユ⸢ナ⸣ク ス⸢クイ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣gaiʃi ju⸢na⸣ku su̥⸢kui⸣ f⸢fai⸣ba] (匙で麦焦がしを掬って食べなさいよ)。さじ。スプーン。 ⸢ガイ⸣ヤー ⸢ナーン⸣カー ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸢パー⸣シ ユ⸢ナ⸣ク ス⸢クイ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢gai⸣jaː ⸢naːŋ⸣kaː ga⸢ʤimaru⸣nu ⸢paː⸣ʃi ju⸢na⸣ku su̥⸢kui⸣ f⸢fai⸣ba] (匙<スプーン>が無ければガジマルの葉で麦焦がしを掬って食べなさいよ) 3823 0 0 3590 htmvoc_3823.wav ガイ ⸢ガイ [⸢gai] 名 害。毒。 キ⸢ジムティ⸣プソー ク⸢ヌ⸣ イ⸢ズ⸣ ッ⸢ふー⸣カー ⸢ガイ スン⸣ティ⸢ダー <ン⸢バウン⸣ディダー> [ki⸢ʤimuti⸣pu̥soː ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣu⸣ f⸢fuː⸣kaː ⸢gai sun⸣ti⸢daː ] (傷を持っている人<傷持ち人、怪我人>は、この魚を食べると傷が害<化膿>するってよ)。 ウ⸢ヤザ⸣トゥ ム⸢シヌ ガイヌ スー⸣ワティ パ⸢マウリソー⸣ジ ⸢ソーッ⸣タツォー [ʔu⸢jaʣa⸣tu mu⸢ʃinu gainu suː⸣wati pa⸢maʔurisoː⸣ʤi ⸢soːt⸣taʦoː] (鼠と害虫<虫>の被害が大きい<強い>のでパマウリソージ<稲の下葉に害虫が付かぬよう、村中の人が⸣サンシキ{SqBr}⸣saŋʃi̥ki{/SqBr}に集まって、サ⸢カサ{SqBr}sḁ⸢kasa{/SqBr}<司{EOS}巫女>やティ⸢ジリ⸣ビ{SqBr}ti⸢ʤiri⸣bi{/SqBr}<男性神職者>が友利御嶽で祈願をしている間、寝て過ごす、浜下り精進の祈願>をされたそうだ) 3825 0 1 3591 htmvoc_3825.wav ガイ ⸢ガイ [⸢gai] 名 {Mn_1}反抗。抵抗。フ⸢チガイ[ɸu⸢ʧigai](口答え{EOS}<口で反抗すること{EOS}「口害」の義>)と⸢ティーン⸣カイ[⸢tiːŋ⸣kai](手向かい{EOS}はむかい{EOS}腕力で反抗すること)などがある。 カ⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ヤン⸣ナーニン ⸢ガイ シース⸣ツォー [ka⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ʔu⸢jan⸣naːniŋ ⸢gai ʃiːsu⸣ʦoː] (あの子<童>は親にも反抗するそうだ)。 3825 0 2 3592 htmvoc_3825.wav ガイ ⸢ガイ [⸢gai] 名 {Mn_2}邪魔。阻害。災い。 ⸣アミン ⸢ガイ シラリティル⸣ ンジペーリン ナ⸢ラン⸣バン [⸣ʔamiŋ ⸢gai ʃiraritiru⸣ ʔnʤipeːrin na⸢ram⸣baŋ] (雨に災いされて外出<出入り>が出来ないわい) 3827 0 0 3593 htmvoc_3827.wav カイーカイ カイー⸢カイ [kaiː⸢kai] 副 (副)見事に。すっかり。完全に。綺麗に。続く用言を修飾し、その意味内容を(迷惑の受身)を強調表現する。 ⸢ウンザンマー⸣ カイー⸢カイ カシゥカーサ⸣リティル ウ⸢ル⸣ケーティ ⸢アー⸣ク ダ⸢レー [⸢ʔunʣammaː⸣ kaiː⸢kai kasï̥kaːsa⸣ritiru ʔu⸢ru⸣keːti ⸢ʔaː⸣ku da⸢reː] (あの野郎にはすっかり<きれいに>騙されて欠損をしている<あるく>んだよ) 3829 0 0 3594 htmvoc_3829.wav カイーカイシ カイー⸢カイ⸣シ [kaiː⸢kai⸣ʃi] 副 美しく。きれい(綺麗)に。⸢カイ⸣ヤン[⸢kai⸣jaŋ](美しい)の語幹を畳語化して副詞を形成したもの。 ⸢ヤー⸣ヤ イッ⸢チン⸣ カイー⸢カイ⸣シ ⸣カキソージ シ⸢ティ⸣ ドゥーパダン ア⸢ザケーアザケー⸣シ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣キ⸢ダー [⸢jaː⸣ja ʔit⸢ʧiŋ⸣ kaiː⸢kai⸣ʃi ⸣kḁkisoːʤi ʃi⸢ti⸣ duːpadaŋ ʔa⸢ʣa⸢keːʔaʣakeː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki⸢daː] (家はいつも綺麗に掃き掃除をして、体も清潔にしていなさい<~にしてあるきなさい>よ)。 トゥ⸢ジブトー⸣ ナカー カイー⸢カイ⸣シ ブ⸢リバル⸣ キ⸢ナイヤー⸣ ムティ ⸣タティ パ⸢ラ⸣リ⸢ダー [tu⸢ʤibutoː⸣ nakaː kaiː⸢kai⸣ʃi bu⸢ribaru⸣ ki⸢naijaː⸣ muti ⸣tḁti pa⸢ra⸣ri⸢daː] (夫婦は仲良く<仲をきれいに>していたほうが<して居ればこそ>家庭は維持できる<持って行かれる>のだよ) 3828 0 0 3595 htmvoc_3828.wav カイーカイヌ カイー⸢カイヌ [kaiː⸢kainu] 連体 綺麗な。「綺麗綺麗の」の義。形容詞の語幹の重複部に格助詞ヌ(の)がついて体言を修飾する。 カイー⸢カイヌ⸣ <⸢カイ⸣ヤー> キン キ⸢シ ベー [kaiː⸢kainu⸣ <⸢kai⸣jaː> kiŋ ki̥⸢ʃi beː] (綺麗な着物を着ている) 3826 0 0 3596 htmvoc_3826.wav カイオシキ ⸢カイオシ⸣キ [⸢kaiʔoʃi̥⸣ki] 名 好天。よい天気。「綺麗な天気」。 ⸢カイオシキ⸣ヌ ⸢ナーシジキ スー⸣カー ヤー⸢ディン オシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [⸢kaiʔoʃi̥ki⸣nu ⸢naːʃiʤiki suː⸣kaː jaː⸢diŋ ʔoʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣su] (好天が長続きすると、必ず天気は崩れ<破れ>る) 3830 0 0 3597 htmvoc_3830.wav カイカサムン ⸢カイカサ⸣ムン [⸢kaikasa⸣muŋ] 他動 ひっ捕まえる。とっつかまえる。強く掴む。「カイ<接頭語>・カサムン<掴む>」よりなる。 ⸢ピンガサン⸣ヨーニ ⸢ティーヌフビ⸣バ ⸢カイカサ⸣ミ ⸢サンギ サー⸣ク [⸢piŋgasaɲ⸣joːni ⸢tiːnuɸubi⸣ba ⸢kaikasa⸣mi ⸢saŋgi saː⸣ku] (逃がさないよう、手首をひっ捕まえて引張ってこい) 3714 0 0 3598 htmvoc_3714.wav カイキ ⸢カイ⸣キ [⸢kai⸣ki] 名 皿。陶磁器の皿類。「\ruby{笥}{ケ}」(物を盛り、また入れる器)の転訛したもの。「家にあれば笥尓盛飯乎<ケニモルイヒヲ>~。万、142」。「食、クヒモノ・ケ」『類聚名義抄』。⸣スルイ[⸣surui](陶磁器の小皿)ともいう。カイ⸢ケー⸣マ[kai⸢keː⸣ma](小皿)は取り皿用に用いられることが多い。 ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢ナーメーメーヌ カイ⸣キナ イ⸢リオーシリ [ʔu⸢sai⸣jaː ⸢naːmeːmeːnu kai⸣kinaː ʔi⸢ri ʔoːʃiri] (ご馳走<お菜>は銘々の皿に入れて差し上げなさい)。 ⸢カイキ⸣ヌ ⸣アル カ⸢カ⸣ラー  ムー⸢ル⸣ ン⸢ザ⸣シ [⸢kaiki⸣nu ⸣ʔaru kḁ⸢ka⸣raː muː⸢ru⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (皿のある限り総て出せ)。「ケ乙(笥)<食物を盛る器。食器>」の古形か。奈良時代のe乙類母音はaiに遡るといわれている。「キ」は石垣方言では「キゥ」となるので、甲類の仮名に対応すると考えられるから、「つき<盃>(飲食物を盛る器)『類聚名義抄』」の「キ」に対応すると考えられる。 ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢カイ⸣キナ イ⸢リティ パイ オーシ [ʔu⸢sai⸣jaː ⸢kai⸣kina ʔi⸢riti pai ʔoːʃi] (ご馳走<お菜>は小皿に入れて、配って差し上げなさい) 3832 0 0 3599 htmvoc_3832.wav カイキシキン ⸢カイ⸣キシキン [⸢kai⸣ki̥ʃikiŋ] 名 晴れ着。よそ行きの着物。普通はア⸢ラキン[ʔa⸢rakiŋ](新しい着物)といいう。「美しく着る衣」の義。対義語は、フ⸢タ⸣キシキン[ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃikiŋ](普段着)。 ⸣ソンガチ⸢ナー⸣ル ⸢カイ⸣キシキンマー(ア⸢ラキンマー) ⸢サーソーッタ⸣ル [soŋgaʧi⸢naː⸣ru ⸢kai⸣ki̥ʃikimmaː(ʔa⸢rakimmaː) ⸢saːsoːtta⸣ru] (正月にしか<~にぞ>晴れ着は作られ<新調され>なかった<作られたものだ>) 3833 0 0 3600 htmvoc_3833.wav カイキシキン ⸢カイキシキン [⸢kaiki̥ʃikiŋ] 名 着替え。「替えて着る着物」の義。 ⸣バー ⸢カイキシキンマー⸣ <ア⸢ラキンマー⸣> マナー ア⸢ル⸣ワ [⸣baː ⸢kaiki̥ʃikimmaː⸣ <ʔa⸢rakimmaː⸣> manaː ʔa⸢ru⸣wa] (私の着替えは何処にあるか) 3715 0 0 3601 htmvoc_3715.wav カイキスン ⸢カイキスン [⸢kaiki̥suŋ] 他動 着替える。「替え着る」の義。 ⸢キン⸣ヌ ⸢ゾーリ ベー⸣ティ ⸣キン ⸢カイキスンティ ベー [⸢kin⸣nu ⸢ʣoːri beː⸣ti ⸣kiŋ ⸢kaiki̥sunti beː] (着物が濡れているので、着物を着替えようとしている)。 ⸢カイキサヌ [⸢kaiki̥sanu] (着替えない)。 ⸢カイキシ⸣ ミサン [⸢kaiki̥ʃi⸣ misaŋ] (着替えてよい)。 ⸢カイキス キン⸣マー ⸣マナール ア⸢ル⸣ワ [⸢kaiki̥su kim⸣maː ⸣manaːru ʔa⸢ru⸣wa] (着替え<着替える着物>は何処にあるか)。 ⸢パー⸣ク ⸢カイキシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢kaiki̥ʃeː⸣ misamunu] (早く着替えれば良いのに)。 ⸣キン ⸢カイキシ⸣バ [⸣kiŋ ⸢kaiki̥ʃi⸣ba] (着物を着替えなさいよ)。 ⸣キン ⸢カイキスン [⸣kiŋ ⸢kaiki̥suŋ] (着物を着替える)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢カイキサンドー⸣シ ⸣アトーラ ⸢カイキシ⸣バ [ma⸢na⸣maː ⸢kaiki̥sandoː⸣ʃi ⸣ʔatoːra ⸢kaiki̥ʃi⸣ba] (今は着替えないで、後で着替えなさいよ)。 マ⸢ナ⸣マ ⸢カイキシ⸣ ミサカー ⸢カイキス⸣ クトー ⸣ナルン [ma⸢na⸣ma ⸢kaiki̥ʃi⸣ misakaː ⸢kaiki̥su⸣ kutoː ⸣naruŋ] (今着替えてよければ着替えることは出来る)。 ⸢カイキシ ベー [⸢kaiki̥ʃi beː] (着替えている) 3834 0 0 3602 htmvoc_3834.wav カイキスン ⸢カイ⸣キスン [⸢kai⸣ki̥suŋ] 他動 かっきる(掻っ切る)。「掻き切る」の転訛したもの。 サ⸢バー⸣ サ⸢バナーン カイ⸣キスン⸢ダー [sa⸢baː⸣ sa⸢banaːŋ kai⸣ki̥sun⸢daː] (鱶は鱶釣り縄をも掻っ切るよ)。 ⸢ナイ⸣ロンナー ヤ⸢ルンダ⸣ ヤ⸢シーヤシー カイキサ⸣ヌ [⸢nai⸣ronnaː ja⸢runda⸣ ja⸢ʃiːjaʃiː kaiki̥sa⸣nu] (ナイロン製の鱶釣り縄だから、やすやす<易々>とは掻っ切れない) 3836 0 0 3603 htmvoc_3836.wav カイク ⸢カイ⸣ク [⸢kai⸣ku] 名 (動)カイコ(蚕)。古老は、⸣マンムシ[⸣mammuʃi](蚕{EOS}「繭虫」の義か)ともいう『八重山語彙』。 イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥ⸢バー⸣キ ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢カイ⸣コー シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オーッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔatu⸢baː⸣ki ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢kai⸣koː si̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːt⸣taŋ] (戦後<戦世の後>まで家ごとにカイコ<蚕>を飼っておられた) 3837 0 0 3604 htmvoc_3837.wav カイクムン ⸢カイクムン [⸢kaikumuŋ] 他動 買い込む。多量に買い入れる。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヌ ス⸢コール スンダ⸣ タ⸢ニユー⸣トゥ ミ⸢リキング⸣トゥ サ⸢キバ カイクミ⸣ クー [⸢toːkaki⸣nu ⸢joi⸣nu su̥⸢koːru sunda⸣ ta⸢nijuː⸣tu mi⸢rikiŋgu⸣tu sḁ⸢kiba kaikumi⸣ kuː] (米寿のお祝いの準備をするから種油とメリケン粉と酒を買い込んで来い)。 ⸢タンガ⸣シ ⸢カイクムン [⸢taŋga⸣ʃi ⸢kaikumuŋ] (一人で買い込む)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢カイクマンドー⸣シ ⸣アトーラ ⸢カイクミ⸣バ [ma⸢na⸣maː ⸢kaikumandoː⸣ʃi ⸣ʔatoːra ⸢kaikumi⸣ba] (今は買い込まないで、後から買い込めよ)。 ⸢カイクメー⸣ ミサムヌ [⸢kaikumeː⸣ misamunu] (買い込めば良いのに) 3839 0 0 3605 htmvoc_3839.wav カイクルブン ⸢カイクル⸣ブン [⸢kaikuru⸣buŋ] 自動 勢いよく転倒する。ぶっ転ぶ。ひっくり返る。「カイ<掻き>接頭語・クルブン<転ぶ>」の義。 ス⸢バ⸣ミー ⸢シェー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ ⸢アー⸣クンケンマー イ⸢シ⸣ナー シ⸢キッ⸣クミ ⸢カイクル⸣ビ ⸢シーナー⸣ヌ [su⸢ba⸣miː ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔaː⸣kuŋkemmaː ʔi⸢ʃi⸣naː ʃi̥⸢kik⸣kumi ⸢kaikuru⸣bi ⸢ʃiːnaː⸣nu] (余所見をして歩いていると、石に突っ込んで、ひっくり返って<転倒して>しまった)。シゥ⸢カンクル⸣ブン[sï̥⸢kaŋkuru⸣buŋ](ひっくり返る)ともいう 3838 0 1 3606 htmvoc_3838.wav カイクン ⸢カイクン [⸢kaikuŋ] 名 {Mn_1}地名。西表島上原の開墾地。戦後沖縄や宮古島から移民が入植して開墾した所。中野集落。鳩間島の人は、そこを⸢カイクン(開墾地)と称した。 ウ⸢ボーダ⸣ヌ ⸣マーラー ⸢メークプスヌ カイクン ソー⸣レーミー [ʔu⸢boːda⸣nu ⸣maːraː ⸢meːkupu̥sunu kaikun soː⸣reːmiː] (ウボーダーの辺りは宮古の人が開墾されたんでしょう)。 イ⸢ゾー カイクン⸣ナーティ ⸢カーシタ [ʔi⸢ʣoː kaikun⸣naːti ⸢kaːʃi̥ta] (魚は開墾地<中野集落>で売った)。 3838 0 2 3607 htmvoc_3838.wav カイクン ⸢カイクン [⸢kaikuŋ] 名 {Mn_2}開墾。 ⸢ウイバル⸣ナール ⸢カイクン⸣ アコーッタ [⸢ʔuibaru⸣naːru ⸢kaikuŋ⸣ ʔa⸢koːt⸣ta] (上原で開墾地は開拓された) 3840 0 1 3608 htmvoc_3840.wav カイシ ⸢カイ⸣シ [⸢kai⸣ʃi] 名 {Mn_1}返礼。お返し。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸢ヨイシヌムヌ⸣ヌ ⸢カイ⸣シェー ス⸢コーレーン [⸢toːkaki⸣nu ⸢joiʃinu munu⸣nu ⸢kai⸣ʃeː su̥⸢koːreːŋ] (米寿のお祝いのお返しは準備出来たかねえ)。 3840 0 2 3609 htmvoc_3840.wav カイシ ⸢カイ⸣シ [⸢kai⸣ʃi] 名 {Mn_2}吹き返し。 ⸢タイフー⸣ヌ ス⸢ギル⸣ター ⸢カイ⸣シェー ⸢サン⸣ヌパーラ フ⸢キカバ⸣シ ⸣キー ナ⸢クラー⸣タン [⸢taiɸuː⸣nu su⸢giru⸣taː ⸢kai⸣ʃeː ⸢san⸣nupaːra ɸu̥⸢kikaba⸣ʃi ⸣kiː na⸢kuraː⸣taŋ] (台風が通過したら、吹き返しが南西<申>の方角から吹き襲ってきて怖かったよ) 3841 0 0 3610 htmvoc_3841.wav カイシ ⸢カイ⸣シ [⸢kai⸣ʃi] 名 釣銭(お釣)。 ⸢カイ⸣シェー ⸢クー⸣ジンシ ッ⸢ふォー⸣リバ [⸢kai⸣ʃeː ⸢kuː⸣ʤiŋʃi f⸢foː⸣riba] (お釣は小銭で下さいよ) 3842 0 0 3611 htmvoc_3842.wav カイシウン ⸢カイシ⸣ウン [⸢kaiʃi⸣ʔuŋ] 名 鍬で掘り起こした芋。「耕し芋」の義。普通の芋は、鍬で耕すようにして掘り出した。プ⸢リ⸣ウン[pu⸢ri⸣ʔuŋ](堀り芋)は、カ⸢ノーシ[ka⸢noːʃi](金串)で実の大きな芋だけを選んで掘り出したもの。小さな芋は残して大きくなった頃に掘りだした。 ⸢カイシウン⸣マー カ⸢ナパイ⸣シ ⸢カイ⸣シ ⸣トゥルンダ グ⸢マー⸣ン ⸢マイ⸣ヤン マ⸢ザーリ⸣ス [⸢kaiʃiʔum⸣maː ka⸢napai⸣ʃi ⸢kai⸣ʃi ⸣turunda gu⸢maː⸣m ⸢mai⸣jam ma⸢ʣaːri⸣su] (耕して掘る芋は鍬で耕して取るのだから、小さいのも大きいのも混ざってしまう) 3843 0 0 3612 htmvoc_3843.wav カイシェーマーシェー ⸢カイ⸣シェーマーシェー [⸢ka⸣iʃeːmaːʃeː] 副 繰り返して裏返すさま。何度も裏返して。「返し回し」の義。 シ⸢ナムヌバ カイ⸣シェーマーシェー ⸢シー⸣ シ⸢ラ⸣ビ フ⸢シ⸣ トゥルンティ ⸢ベー [ʃi⸢namunuba ⸢kai⸣ʃeːmaːʃeː ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢ra⸣bi ɸu̥⸢ʃi⸣ turunti ⸢beː] (品物を何度も裏返して調べ、欠点<癖>を見つけ出そう<取ろう>としている)。 ミ⸢ジラ⸣サティ ⸢カイ⸣シェーマーシェー ⸢シー⸣ ミリ ⸢ベー [mi⸢ʤira⸣sati ⸢kai⸣ʃeːmaːʃeː ⸢ʃiː⸣ miri ⸢beː] (珍しいので、ひっくり返し返しして見ている) 3854 0 0 3613 htmvoc_3854.wav カイシカイシ ⸢カイシカイ⸣シ [⸢kaiʃikai⸣ʃi] 副 繰り返し返し。再三再四。 ⸣メー ア⸢ズナ⸣ティ ア⸢ズンドゥ カイシカイ⸣シ ユ⸢ヌムニバ⸣ル ユム⸢ツォー [⸣meː ʔa⸢ʣuna⸣ti ʔa⸢ʣundu kaiʃikai⸣ʃi ju⸢numuniba⸣ru jumu⸢ʦoː] (もう言うなというけれど、繰り返し返し同じことを喋りやがるんだよ) 3850 0 0 3614 htmvoc_3850.wav カイシカジ ⸢カイシ⸣カジ [⸢kaiʃi⸣kaʤi] 名 台風の吹き返し。「返し風」の義。⸢カイ⸣シ[⸢kai⸣ʃi](吹き返し)ともいう。 ⸢カイシ⸣カジェー ⸢マービン⸣ドゥ ⸢スー⸣ワティ ア⸢ザリ ブー [⸢kaiʃi⸣kaʤeː ⸢maːbin⸣du ⸢suː⸣wati ʔa⸢ʣari buː] (吹き返しは、更に強いといわれている) 3844 0 0 3615 htmvoc_3844.wav カイシキジン ⸢カイシキ⸣ジン [⸢kaiʃi̥ki⸣ʤiŋ] 名 会席膳。祝儀の席に会席料理を乗せて出す膳。1尺2寸四方の脚のない膳。祝儀の際は朱塗りの膳、不祝儀の際は黒塗りの膳を用いた。 ⸢ヨイ⸣ヌ ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢シームヌトゥ カイシキ⸣ジンナー ⸢ヌーシティ⸣ ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸢joi⸣nu ʔu⸢sai⸣jaː ⸢ʃiːmunutu kaiʃi̥ki⸣ʤinnaː ⸢nuːʃi̥ti⸣ ʔn⸢za⸣soːtta] (お祝いの御馳走(御菜)は吸い物と会席膳に乗せて出された) 3954 0 0 3616 htmvoc_3954.wav カイシナタ ⸢カイシナ⸣タ [⸢kaiʃina⸣ta] 名 姿形。「影・姿」の義。 チ⸢カ⸣グロー ⸢カイシナ⸣ターンツァン ミ⸢ララ⸣ヌ [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢kaiʃina⸣taːnʦam mi⸢rara⸣nu] (最近は姿形<影・姿>すら見えない) 3845 0 0 3617 htmvoc_3845.wav カイシフチ ⸢カイシ⸣フチ [⸢kaiʃi⸣ɸu̥ʧi] 名 鍬で耕している真ん前。耕しいる所の真正面。「耕し口」の義。 カ⸢ナパイヌ カイシ⸣フチナ タ⸢トゥ⸣ナ [ka⸢napainu kaiʃi⸣ɸu̥ʧina tḁ⸢tu⸣na] (鍬で耕している真正面<耕し口>に立つな) 3852 0 0 3618 htmvoc_3852.wav カイシマー ⸢カイ⸣シマー [⸢kai⸣ʃimaː] 名 着物の裏返し。あべこべ。若年層は、⸢カイ⸣サマー[⸢kai⸣samaː](裏返し)ともいう。「かへさま(反様)に縫ひたるもねたし『枕草子』」の転訛か。 ⸢キン⸣バ ⸢カイ⸣シマー ナシ キ⸢スモー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢kim⸣ba ⸢kai⸣ʃimaː ⸣naʃi ki̥⸢sumoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (着物を裏返しにして着るものではない)。 ⸣ウラー ウ⸢ム⸣ティ ⸣ナシ [⸣ʔuraː ʔu⸢mu⸣ti ⸣naʃi] (裏を表になして)。ッ⸢サー ウイ⸣ ナシ[s⸢saː ʔui⸣ nasi](下は上になして)ともいう 3846 0 0 3619 htmvoc_3846.wav カイシムドゥシ ⸢カイ⸣シムドゥシ [⸢kai⸣ʃimuduʃi] 名 釣銭。おつり。「返し戻し」の義。 ⸢カイ⸣シムドゥシヌ タ⸢ラーンバ⸣ ン⸢メーマ⸣マティ⸢ヨー [⸢kai⸣ʃimuduʃinu ta⸢raːmba⸣ ʔm⸢meːma⸣ mati⸢joː] (釣銭が足りないので、少し待ってね) 3847 0 0 3620 htmvoc_3847.wav カイジョー ⸣カイジョー [⸣kaiʤoː] 名 海上。海路。⸣カイショー[⸣kaiʃoː](海上)ともいう。歌謡語。/カイショー ウダヤカ イチローヘイアン カリユシカリユシ/(海上穏やかで一路平安<航海安全>、嘉例吉嘉例吉<目出度い目出度い>) 3857 0 0 3621 htmvoc_3857.wav カイシラ ⸢カイ⸣シラ [⸢kai⸣ʃira] 名 さんじょく(産褥)が無事に経過すること。お産が軽くすむこと。産後の肥立ちが良好であること。「美しい<きれいな>産褥」の義。 ⸢チャー カイ⸣シラ ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [⸢ʧaː kai⸣ʃira ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (いつも良好な産褥<無事に産褥を経過し、産後の肥立ちを良好>にあらしめて下さい)。 ⸢カイ⸣シラ ⸣プス ヤ⸢ルンダ ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢kai⸣ʃira ⸣pu̥su ja⸢runda soːja naː⸣nu] (お産の軽い人<産褥が良好な人>だから心配はない) 3858 0 0 3622 htmvoc_3858.wav カイジン ⸢カイ⸣ジン [⸢kai⸣ʤiŋ] 名 四十九日忌。「かいげん(開眼)」の転化したもの。死者は死後四十九日<七七忌>の法事で成仏するといわれ、その日を限って白い位牌を廃し、本位牌に移した。四十九日以内に正月が来る時は、位牌に掛けた白い紙や白い花は側に寄せて、先祖代々の位牌には白い紙で斜めに\ruby{襷}{タスキ}をかけておいて正月を迎え、その後に法事を迎えるという。 パ⸢トゥ⸣マ プソー ⸣シンズク ⸢シー オーサン⸣カー ⸢カイ⸣ジン ⸢ソーラン⸣セン [pḁ⸢tu⸣ma ⸣pu̥soː ⸣ʃinʣuku ⸢ʃiː ʔoːsaŋ⸣kaː ⸢kai⸣ʤin ⸢soːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間の人は四十九日の法事をして差し上げないと⸢カイ⸣ジン<開眼>をされなかった) 3848 0 0 3623 htmvoc_3848.wav カイスン ⸢カイ⸣スン [⸢kai⸣suŋ] 他動 耕す。田や畑を耕す。「墾、カヘス」『類聚名義抄』、「耕、田皮、タカヘス」『類聚名義抄』の転訛したもの。 パ⸢タ⸣キ ⸢カイシ⸣ プサン [pḁ⸢ta⸣ki ⸢kaiʃi⸣ pu̥saŋ] (畑を耕したい)。 ⸣ター ⸢カイ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢キー⸣パイシェー ⸢カイサラ⸣ヌ [⸣taː ⸢kai⸣sunti ⸢beː⸣ndu ⸢kiː⸣paiʃeː ⸢kaisara⸣nu] (田を耕そうとしているが、木鍬では耕されない)。 ⸣ター ⸢カイ⸣シ ⸣ミサカー ⸢カイ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸣taː ⸢kai⸣ʃi ⸣misakaː ⸢kai⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (田圃を耕してよければ、耕すことはできる)。 ⸢パー⸣ク ⸢カイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢kai⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く耕せばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カイ⸣シ [⸢maː⸣biŋ ⸢kai⸣ʃi] (もっと耕せ)。 ⸢カイシグリ⸣サン [⸢kaiʃiguri⸣saŋ] (耕しにくい) 3849 0 1 3624 htmvoc_3849.wav カイスン ⸢カイ⸣スン [⸢kai⸣suŋ] 他動 {Mn_1}返す。返済する。「~敷きたへの蘇泥可弊之都追<ソデカヘシツツ>~。万、3978」の義。 カ⸢ルタ ジン⸣マー ⸢パイ⸣サ ⸢カイ⸣シ⸢ヨー [ka⸢ruta ʤim⸣maː ⸢pai⸣sa ⸢kai⸣ʃi⸢joː] (借りた金は早く返しなさいよ)。 カ⸢ルタ ジン⸣マー ⸢カイ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢カイサラ⸣ヌ [ka⸢ruta ʤim⸣maː ⸢kai⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ⸢kaisara⸣nu] (借りた金は返そうと思うが、今は返せない)。 ⸢カイ⸣シ ⸣ミサカー ⸢カイ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kai⸣ʃi ⸣misakaː ⸢kai⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (返して良ければ返すことはできる)。 ムー⸢ル カイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru kai⸣ʃeː ⸣misamunu] (全部返せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢カイ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢kai⸣ʃi] (早く返せ)。 3849 0 2 3625 htmvoc_3849.wav カイスン ⸢カイ⸣スン [⸢kai⸣suŋ] 他動 {Mn_2}裏返す。 ⸢キン⸣マー ⸢カイ⸣シティ ⸣プシバ [⸢kim⸣maː ⸢kai⸣ʃi̥ti ⸣pu̥ʃiba] (着物は裏返して干しなさいよ)。 3849 0 3 3626 htmvoc_3849.wav カイスン ⸢カイ⸣スン [⸢kai⸣suŋ] 他動 {Mn_3}戻す。帰す。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢カイサラ⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢kaisara⸣nu] (今日は帰されない<帰せない>)。 ク⸢レー⸣ ムトゥ ⸢アッ⸣タン ⸣トンナー ⸢カイ⸣シ シ⸢キラン⸣カー イ⸢ザリン⸣ダー [ku⸢reː⸣ mutu ⸢ʔat⸣tan ⸣tonnaː ⸢kai⸣ʃi ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ʔi⸢ʣarin⸣daː] (これは、元あった所に戻して置かないと叱られるぞ)。 3849 0 3 3627 htmvoc_3849.wav カイスン ⸢カイ⸣スン [⸢kai⸣suŋ] 他動 {Mn_3}耕す。掘り返す。「墾、カヘス『類聚名義抄』」の転訛か。 パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スン [pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣suŋ] (畑を耕す)。 パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣ス プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣su pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (畑を耕す人もいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kai⸣ʃeː misamunu] (もっと耕せばよいのに)。 3849 0 4 3628 htmvoc_3849.wav カイスン ⸢カイ⸣スン [⸢kai⸣suŋ] 他動 {Mn_4}他の動詞の連用形に下接して、その動作を「繰り返す」意味を表す。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ナー⸢イ⸣ ウ⸢ムイカイ⸣シ ⸢ベー [ʔu⸢ja⸣nu ku̥⸢tu⸣ba naː⸢i⸣ ʔu⸢muikai⸣ʃi ⸢beː] (親のことを、ただ思い返している)。 3849 0 5 3629 htmvoc_3849.wav カイスン ⸢カイ⸣スン [⸢kai⸣suŋ] 他動 {Mn_5}他から受けた動作に対し、相手に対し反問の動作をくり返す。 ⸢ミン⸣ヌ シゥ⸢カランドゥ ブー⸣ユー ヤー⸢ディン トゥイカイシ⸣ドゥ ⸢スー [⸢min⸣nu sï̥⸢karandu buː⸣juː jaː⸢din tuikaiʃi⸣du ⸢suː] (耳が聞こえないので<ぞ>あろうか、必ず問い返しを<ぞ>する) 3853 0 1 3630 htmvoc_3853.wav ガイスン ⸢ガイ スン [⸢gai suŋ] 連 {Mn_1}反抗する。手向かう。逆らう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニン シゥ⸢カヌ⸣ イ⸢ズ⸣カー ⸢カイ⸣テー ⸢ガイル スー [ʔu⸢ja⸣nu ⸣munin sï̥⸢kanu⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸢kai⸣teː ⸢gairu suː] (親のいうことも聞き入れない<聞かない>{EOS}叱ると、返って<逆に>反抗をする)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸢ガイ スン⸣ティ⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔu⸢jan⸣naːni ⸢gai sun⸣ti⸢daː] (この<その>子は親に反抗するそうだよ)。 3853 0 2 3631 htmvoc_3853.wav ガイスン ⸢ガイ スン [⸢gai suŋ] 連 {Mn_2}傷や出来物、腫れ物を悪化させる。体に悪く作用する。 ク⸢レー⸣ シ⸢バラムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ッ⸢ふー⸣カー ア⸢シ⸣ブナー ⸢ガイル スー [ku⸢reː⸣ ʃi⸢baramunu⸣ ja⸢runda⸣ f⸢fuː⸣kaː ʔa⸢ʃi⸣buna ⸢gairu suː] (これは傷や腫れものを悪化させやすい食物<もの>だから、食べると御出来を悪化させる) 3860 0 0 3632 htmvoc_3860.wav カイスングリ ⸢カイスン⸣グリ [⸢kaisuŋ⸣guri] 名 ぶん殴り。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ビ⸢ケーヤ カイスン⸣グリ ナ⸢ラーシ⸣ ソーッタ [ja⸢rabi⸣nu ja⸢nakutu suː⸣kaː bi⸢keːja kaisuŋ⸣guri na⸢raːʃi⸣ soːtta] (子供が悪いことをすると、父親はぶん殴って教えなされた) 3861 0 0 3633 htmvoc_3861.wav カイゾージ ⸢カイゾージ [⸢kaiʣoːʤi] 名 買い物上手。⸢買い上手」の義。 ウ⸢レー⸣ マ⸢チヤー⸣ラ マ⸢トゥミガイ シー ヤッ⸣サ ⸢カウンダ カイゾージ [ʔu⸢reː⸣ ma⸢ʧijaː⸣ra ma⸢tumigai ʃiː jas⸣sa ⸢kaunda kaiʣoːʤi] (彼<それ>はお店から纏め買いして安く買うから買い上手だ) 3865 0 0 3634 htmvoc_3865.wav カイダージー ⸢カイダージー [⸢kaidaːʤiː] 名 カイダー字。文字を知らない農民が用いた一種の象形文字。米の数量、納税記録の控えとして板に書いて用いられたという。例えば、□は一合、△は一勺、○は一表(三斗入り)。与那国島の⸢カイダージーは夙に有名である。 ⸢カイダージーヤ⸣ パ⸢トゥ⸣マナテー グ⸢サークマイ⸣ヌ ⸣フカー ⸢ナン⸣ゾー ヌ⸢カ⸣リ ブ⸢ラーヌ [⸢kaidaːʤiːja⸣ pḁ⸢tu⸣manateː gu⸢saːkumai⸣nu ɸu̥kaː ⸢nan⸣ʣoː nu⸢ka⸣ri bu⸢raːnu] (カイダー字は、鳩間島では五勺米の記録の他はあんまり残ってない) 3862 0 0 3635 htmvoc_3862.wav カイダキ ⸢カイ⸣ダキ [⸢kai⸣daki] 名 美しい山。美しい岳。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌ シタニ パリヌブリ パイヤヨーティバ カイダキ ティトユル テンヨー マサティ ミグトゥ/(鳩間中岡へ駆け上り、クバ<蒲葵>の下へ駆け上り、南の方の眺望はというと、美しい山<岳>が手に取るようで、誠に優れて見事である)「鳩間中岡」 3863 0 0 3636 htmvoc_3863.wav カイタビ ⸢カイ⸣タビ [⸢kai⸣tabi] 名 安全な旅。安全航海。「美しい旅」義。 ⸢カイ⸣タビ シ⸢ミ⸣ ッ⸢ふォー⸣リティル ⸣ニガイ ッ⸢サリル⸠ダー [⸢kai⸣tabi ʃi⸢mi⸣ f⸢foː⸣ritiru ⸣nigai s⸢sariru⸠daː] (安全航海をさせて下さいとお祈り申し上げるのだよ) 3864 0 0 3637 htmvoc_3864.wav カイダン ⸢カイダン [⸢kaidaŋ] 名 階段。長い段。標準語からの借用語。ナ⸢カン⸣ブレーミチ[na⸢kam⸣bureːmiʧi](中岡<中森>への道)や、⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)への道は、コー⸢シェー⸣マイシ[koː⸢ʃeː⸣maʔiʃi](砂岩)を削って長い階段を造ってある。 ⸢ウイヌウガン⸣ヌ ⸢ペーリ⸣フチェー ⸢カイダン⸣ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー⸠ダー [⸢ʔuinuʔugan⸣nu ⸢peːri⸣ɸu̥ʧeː ⸢kaidan⸣ su̥⸢kura⸣ri ⸢buː⸠daː] (友利御嶽の入り口は階段が造られているよ) 3868 0 0 3638 htmvoc_3868.wav カイットゥルン ⸢カイッ⸣トゥルン [⸢kait⸣turuŋ] 他動 盗む。奪う。⸣トゥルン[⸣turuŋ](盗む)の強調表現。「カイ(接頭語)・トゥルン(取る)」の義。⸢ヌシ⸣トゥルンとも言う。 プ⸢スヌ⸣ ムヌ ⸢カイッ⸣トゥレー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ munu ⸢kait⸣tureː na⸢ra⸣nu] (他人の物を盗んではならない)。 ⸣バー イッ⸢カナ⸣シ ⸢カイットゥラ⸣ヌ [⸣baː ʔik⸢kana⸣ʃi ⸢kaittura⸣nu] (私は決して盗まない)。 ⸢カイットゥリ⸣プサン [⸢kaitturi⸣ pu̥saŋ] (盗みたい)。 ⸢カイッ⸣トゥリティ ア⸢ズ⸣カー ⸢カイッ⸣トゥルン [⸢kait⸣turiti ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢kait⸣turuŋ] (盗めと言うなら盗むよ)。 ⸢カイッ⸣トゥレー ⸣ミサムヌ [⸢kait⸣tureː ⸣misamunu] (盗めばよいのに)。⸢ヌシ⸣トゥルン[⸢nuʃi̥⸣turuŋ](盗む)ともいう 3866 0 0 3639 htmvoc_3866.wav カイテー ⸢カイ⸣テー [⸢kai⸣teː] 副 かえって(却って)。逆に。あべこばに。予想や期待とは逆である。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣カー ⸢カイ⸣テー パ⸢ナ⸣シェー マ⸢トゥマラヌ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢kai⸣teː pa⸢na⸣ʃeː ma⸢tumaranu] (君がいうと却って話はまとまらない)。 ⸢カイ⸣テー ク⸢リル⸣ マ⸢シ [⸢kai⸣teː ku⸢riru⸣ ma⸢ʃi] (逆に<却って>これがいい)。 ⸢ワー⸣ パローラー ⸢カイ⸣テー パ⸢ラン⸣モー マ⸢シ [⸢waː⸣ paroːraː ⸢kai⸣teː pa⸢ram⸣moː ma⸢ʃi] (君が行くよりも、却って行かないほうがましだ)。 ク⸢レー⸣ラン ⸢カイ⸣テー カ⸢リル⸣ マ⸢シ [ku⸢reː⸣raŋ ⸢kai⸣teː ka⸢reː⸣ ma⸢ʃi] (これよりも却ってあれがいい<ましだ>) 3867 0 0 3640 htmvoc_3867.wav カイトゥキ ⸢カイ⸣トゥキ [⸢kai⸣tu̥ki] 名 祈願を行うのに絶好の時。「佳き時」の義。⸢カイピュー⸣ル[⸢kaipjuː⸣ru](佳き日{EOS}佳日)と共に、祭祀を執り行うのに絶好の日和の義。形容詞⸢カイ⸣ヤン[⸢kai⸣jaŋ](美しい)の語幹に名詞⸣トゥキ[⸣tu̥ki](時)が付いて合成された名詞。⸣トゥキ[⸣tu̥ki](時)は、トゥ⸢キユ⸣タ[tu̥⸢kiju⸣ta](祭祀の時を定めるユタ<与太>)、トゥ⸢キ⸣トリ[tu̥⸢ki⸣turi](時を刻むこと{EOS}時刻を知らせること)のように用いる 3869 0 0 3641 htmvoc_3869.wav カイトゥナル ⸢カイトゥナ⸣ル [⸢kaituna⸣ru] 名 隣近所。隣家。近隣。「近い・隣」の義。 ⸢カイトゥナ⸣ル ナリ⸢ベー⸣ティ ピ⸢ライ⸣ユン サ⸢ヌ [⸢kaituna⸣ru nari⸢beː⸣ti pi⸢rai⸣jun sa⸢nu] (隣近所同士になっていて、交際<付き合い>もしないのか) 3870 0 0 3642 htmvoc_3870.wav カイトゥルン ⸢カイ⸣トゥルン [⸢kai⸣turuŋ] 他動 盗む。奪う。強奪する。「掻き・取る」の転化したもの。 ⸢ヌシ⸣トゥロー プ⸢スヌ⸣ ムヌ ⸢カイ⸣トゥルン [⸢nuʃi̥⸣turoː pu̥⸢sunu⸣ munu ⸢kai⸣turuŋ] (泥棒は他人の物を盗む)。 ⸢カイトゥリ⸣ プサカー ⸢カイ⸣トゥル ⸣クトゥン ナ⸢リ⸣シバ ⸢カイ⸣トゥリバ [⸢kaituri⸣ pu̥sakaː ⸢kai⸣turu ⸣kutun na⸢ri⸣ʃiba ⸢kai⸣turiba] (盗みたければ盗むことも出来るから、盗みなさい)。 イッ⸢カ カイトゥラ⸣ヌ [ʔik⸢ka kaitura⸣nu] (決して盗まない)。 ⸢ギー⸣ヤ ⸣プサカー ⸢カイ⸣トゥリバ [⸢giː⸣ja ⸣pu̥sakaː ⸢kai⸣turiba] (芸は、欲しければ盗みなさいよ) 3717 0 0 3643 htmvoc_3717.wav カイナ ⸢カイ⸣ナ [⸢kai⸣na] 名 かいな(腕・肱)。二の腕。肩から肘までの間。「肘、ヒヂ・カヒナ」『類聚名義抄』、「木綿<ゆふ>たすき可比奈尓<カヒナニ>かけて~。万、420」の転訛したもの。 ⸣ドゥク ⸢カイ⸣ナ フ⸢リマーサンドー⸣シ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シバ [⸣duku ⸢kai⸣na ɸu⸢rimaːsandoː⸣ʃi pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃiba] (あまり腕を振り回さないで畑を耕しなさいよ) 3719 0 0 3644 htmvoc_3719.wav カイナカ ⸣カイナカ [⸣kainaka] 名 日陰。木陰。⸣ティダナカー[⸣tidanakaː](灼熱の陽光の中{EOS}白昼{EOS}ひるなか)の対義語。「渡る日の加氣<カゲ>に~。万、4469」の転訛したもの。「日陰の中」の義。 ⸣ティダナ プ⸢サラン⸣ドーシ ⸣カイナカー ⸢ペー⸣リバ [⸣tidana pu̥⸢saran⸣doːʃi ⸣kainakaː ⸢peː⸣riba] (日に干されないで日陰に入りなさい)。 ⸣ティダナカー ⸣アツァンダ ⸣カイナカー ⸢ペー⸣リバ [⸣tidanakaː ⸣ʔaʦanda ⸣kainakaː ⸢peː⸣riba] (ひなた<日向>は暑いから日陰に入りなさいよ) 3718 0 0 3645 htmvoc_3718.wav カイナダリ ⸢カイナ⸣ダリ [⸢kaina⸣dari] 名 腕がだるくなること。腕が疲労によってくたびれること。 ⸢カイナ⸣ダリ シ⸢ティル⸣ カ⸢ナパイユンツァン⸣ ム⸢ティユーサン⸣バン [⸢kaina⸣dariru ʃi̥⸢tiru⸣ ka⸢napaijunʦam⸣ mu⸢tijuːsam⸣baŋ] (腕がくたびれたので<ぞ>鍬さえも持ちきれないのだ<持ち得ないのだ>わい) 3720 0 0 3646 htmvoc_3720.wav カイニ ⸣カイニ [⸣kaini] 副 このように。 ⸣カイニ ⸢シー⸣バ [⸣kaini ⸢ʃiː⸣ba] (このようにしなさいよ)。 ⸣カイニル ⸣ウー [⸣kaniru ⸣ʔuː] (このように<ぞ>泳ぐのだ)。 ⸣ヤコー カイニ カ⸢サミティル⸣ クー [⸣jakoː ⸣kaini ka⸢samitiru⸣ kuː] (櫂はこのように掴んで漕ぐのだ)。 ⸢ター⸣ヤ ⸢キー⸣パイシ ⸣カイニ ⸢カイ⸣シバ [⸢taː⸣ja ⸢kiː⸣paiʃi ⸣kaini ⸢kai⸣ʃiba] (田圃は木鍬でこのように耕しなさい)。こういうふうに。このように。この通りに。 ⸣カイニ ⸣カクカー カ⸢キヤッ⸣サン [⸣kaini ⸣kḁkukaː kḁ⸢kiːjas⸣saŋ] (このように書いたら書きやすい)。 ⸣カイニ ⸢シー⸣バ [⸣kaini ⸢ʃiː⸣ba] (このようにしなさいよ) 3873 0 0 3647 htmvoc_3873.wav カイヌキマーヌキ ⸢カイ⸣ヌキ ⸢マーヌキ [⸢kai⸣nuki ⸢maːnuki] 連 全く疎遠になること。絶縁状態になること。「カイ(綺麗に{EOS}全く{EOS}完全に)接頭語・ヌキ[nu⸢ki](退く{EOS}立ち去る)連用形」の義。 ⸢パッ⸣タルパリ ウヌッ⸢キリ カイ⸣ヌキ ⸢マーヌキ シー⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢pat⸣tarupari ʔunuk⸢kiri kai⸣nuki ⸢maːnuki ʃiː⸣ mi⸢rara⸣nu] (去って行ったきり、それっきり全く疎遠になって、姿も形も見られない)。ヌ⸢キッタルヌキ[nu⸢kittarunuki](退いたまま{EOS}立ち去ったまま)ともいう 3874 0 0 3648 htmvoc_3874.wav カイヌシル ⸢カイヌ⸣ シル [⸢kainu⸣ ʃiru] 連 おもゆ(重湯)。乳児用、病人用に炊いた、お粥の糊状の汁。「粥の汁」の義。「饘、厚粥也、加由<かゆ>『新撰字鏡』・の・醨、和名之流<しる>『和名抄』」の転訛したもの。 ⸢シー⸣ヌ ⸢アイラン ベー⸣ティ ⸢カイヌ⸣ シル ヌ⸢マ⸣シェーティ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ヨーッ⸣タ [⸢ʃiː⸣nu ⸢ʔairam beː⸣ti ⸢kainu⸣ ʃiru nu⸢ma⸣ʃeːti si̥⸢ka⸣nai ⸢joːt⸣ta] (お乳が出ない<安由流{f}アユル{/f}、「実は~」万、4111の打消し形の転訛か>ので重湯を飲ませながら育てられた) 3875 0 0 3649 htmvoc_3875.wav カイピュール ⸢カイピュー⸣ル [⸢kaipjuː⸣ru] 名 佳日。佳き日和。吉日。祭祀行事を行うのに最適の日和。干支上の最高の日和。トゥ⸢キユ⸣タ[tu̥⸢kiju⸣ta](三世相{EOS}易者{EOS}売卜者)によって佳日と占い選定された日。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢カイピュー⸣ルナ ニ⸢ガイシキリ⸣バ ウ⸢ブ⸣プス ⸣タカプス ナ⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣リ [⸢kjuː⸣nu ⸢kaipjuː⸣runa ni⸢gaiʃi̥kiri⸣ba ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣takapusu na⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (今日の佳き日に願い上げますので、大きな人<大人>、高い人<高人>なしてください) 3721 0 0 3650 htmvoc_3721.wav カイブ ⸣カイブ [⸣kaibu] 連体 このような。こんな。単数を表す。 ⸣カイブ ⸣クトー ス⸢ナ⸣ヨー [⸣kaibu ⸣ku̥toː su⸢na⸣joː] (こんなことはするなよ)。 ⸣カイブ パ⸢ナシ⸣ヌ ア⸢ル⸣ヌ ⸢フン⸣トーカヤー [⸣kaibu pa⸢naʃi⸣nu ʔa⸢ru⸣nu ⸢ɸun⸣toːkajaː] (このような<こんな>話があるが本当かなねえ)。 ⸣カイブ パ⸢ナ⸣シェー イッ⸢カ⸣ シゥ⸢カヌ [⸣kaibu pa⸢na⸣ʃeː ʔik⸢ka⸣ si̥⸢kanu] (こんな話は決して聞かない)。「かにをる」から転訛したもの。予期に反する良いこと、悪いことに対して用いる。「かにある」『混効験集』の義。 ⸣カイブ ⸣ムヌバ ⸢ソームヌティ⸣ ウムイ ⸢カイ⸣キー ⸢ザー⸣パイ ⸢シーナー⸣ヌ [⸣kaibu ⸣munuba ⸢soːmunuti⸣ ʔumui ⸢kai⸣kiː ⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiːnaː⸣nu] (こんなものを本物<立派なもの>だと思って買ってきて、まったく台無し<滅茶苦茶>になってしまった)。 ⸣カイブ サ⸢ニ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kaibu sa⸢ni⸣jaː ⸢naː⸣nu] (こんな嬉しいことは外にない)。 ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー ミーワクバ⸣ カキ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸣kaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː miːwakuba⸣ kaki ʔi⸢namunu⸣dara] (こんな事をして迷惑をかけて残念だよ)。 ⸣カイブ ⸣クトゥティン ユ⸢ヌナカ⸣ナー ⸣アンカヤー [⸣kaibu ⸣ku̥tutiŋ ju⸢nunaka⸣naː ⸣ʔaŋkajaː] (このような事とても世の中にあるものかね)。 ⸣カイブ ⸣クトー ス⸢ナ⸣ヨー [⸣kaibu ⸣ku̥toː su⸢na⸣joː] (こんな事はするなよ) 3722 0 0 3651 htmvoc_3722.wav カイブツァ カイ⸢ブ⸣ツァ [kai⸢bu⸣ʦa] 連体 こんな。このような。これら。複数を表す丁寧な表現。 カ⸢ブ⸣ツァ [ka⸢bu⸣ʦa] (こんな{EOS}このような)ともいう(ぞんざいな表現)。 カイ⸢ブ⸣ツァ ⸣ムノー シゥ⸢カーランバ カウナ [kai⸢bu⸣ʦa ⸣munoː si̥⸢kaːramba kauna] (このような<こんな>物等は使えないから買うな) 3877 0 0 3652 htmvoc_3877.wav カイマース ⸢カイマー⸣ス [⸢kaimaː⸣su] 名 清浄な塩。神饌の塩。小皿に盛って神前に供える。 シ⸢ルマー⸣ス ⸢カイマース⸣ カ⸢ザリティ ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [ʃi⸢rumaː⸣su ⸢kaimaːsu⸣ ka⸢ʣariti niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (清浄な真っ白い塩、美しい塩を飾って祈願をされた) 3878 0 0 3653 htmvoc_3878.wav カイマリ ⸢カイ⸣マリ [⸢kai⸣mari] 名 佳き生まれ。優れた血統の出自。名家・名門の出。 ⸢カイマリ⸣ヌ ッ⸢ふァバ⸣ ユ⸢ミ⸣ タ⸢ボーラ⸣リ イッ⸢ケナ⸣ サ⸢ニ⸣ヤ ⸢シー ベー [⸢kaimari⸣nu f⸢faba⸣ ju⸢mi⸣ ta⸢boːra⸣ri ʔik⸢kena⸣ sa⸢ni⸣ja ⸢ʃiː beː] (名門の出の娘を嫁に頂いて大変喜んで<嬉しくして>います) 3883 0 0 3654 htmvoc_3883.wav カイミジ ⸢カイ⸣ミジ [⸢kai⸣miʤi] 名 綺麗な水。澄んだ水。清浄な水。清らかで汚れのない水。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢ジェー カイ⸣ミジ ヤ⸢ルンダ⸣ ヌ⸢マ⸣リン カ⸢ヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ ヤ⸢ナミジ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ mi⸢ʤeː kai⸣miʤi ja⸢runda⸣ nu⸢ma⸣riŋ ka⸢nu⸣ mi⸢ʤeː⸣ ja⸢namiʤi⸣ ja⸢runda⸣ nu⸢mara⸣nu] (この水は安全な<綺麗な>水だから飲める{EOS}あの水は汚い<水質の悪い>水だから飲めない) 3882 0 0 3655 htmvoc_3882.wav カイミチ ⸢カイミチ [⸢kaimiʧi] 名 買い方。買う方法。 ク⸢レー ヌー⸣シル ⸢カウ⸣ユー ⸢カイミチン⸣ ッ⸢サヌ [ku⸢reː nuː⸣ʃiru ⸢kau⸣juː ⸢kaimiʧin⸣ s⸢sanu] (これはどのようにして買うのか、買い方も分らない<知らない>) 3884 0 0 3656 htmvoc_3884.wav カイミチ ⸢カイ⸣ミチ [⸢kai⸣miʧi] 名 綺麗な道。立派な道。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢カイ⸣ミチェーラ ア⸢ラカ⸣シ ヤ⸢ナミチェーラ⸣ ア⸢ラカ⸣スカー ク⸢ルビティ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー [ja⸢ra⸣beː ⸢kai⸣miʧeːra ʔa⸢raka⸣ʃi ja⸢namiʧeːra⸣ ʔa⸢raka⸣su̥kaː ku⸢rubiti⸣ duː ja⸢ma⸣sun⸢daː] (子供は綺麗な道を<から>歩かせなさいよ{EOS}悪路を<から>歩かせると、転んで体を怪我させるぞ) 3879 0 0 3657 htmvoc_3879.wav カイムニ ⸢カイ⸣ムニ [⸢kai⸣muni] 名 きれいな言葉。縁起のいい言葉。感じのいい言葉。老年層のことば。文語的表現。⸢カイ⸣ヤムニ[⸢kai⸣jamuni](きれいなことば{EOS}俗語的{EOS}若年層の日常表現)ともいう。 ⸢ウイ⸣プソー イッ⸢チン カイムニ⸣ル イ⸢ゾー⸣ル⸢ダー⸣ <ア⸢ゾー⸣ル⸢ダー⸣> ヤ⸢ナ⸣ムネー イ⸢ゾーラン⸣ダー <ア⸢ゾーラン⸠ダー> [⸢ʔui⸣pu̥soː ʔit⸢ʧiŋ kaimuni⸣ru ʔi⸢ʣoː⸣ru⸢daː⸣ <ʔa⸢ʣoː⸣ru⸢daː⸣> ja⸢na⸣muneː ʔi⸢ʣoːran⸣daː <ʔa⸢ʣoːran⸠daː>] (年寄り<老い人>は常にきれいな言葉を使われる<言われる>ことですよ{EOS}悪い言葉は使われ<言われ>ないですよ) 3880 0 0 3658 htmvoc_3880.wav カイムヌ ⸢カイムヌ [⸢kaimunu] 名 買い物。 ⸢キュー⸣ヤ マ⸢チヤー カイムヌ シン オー⸣ルンカヤー [⸢kjuː⸣ja ma⸢ʧijaː kaimunu ʃiŋ ʔoː⸣ruŋkajaː] (今日はお店へ買い物に<買い物をしに>いらっしゃるかねえ)。 ⸢カイムノー サヌ [⸢kaimunoː sanu] (買い物はしない)。 ⸢カイムヌヌ ソー⸣ダン [⸢kaimununu soː⸣daŋ] (買い物の相談)。 ⸢カイムヌバ スンティル アー⸣ク [⸢kaimunuba suntiru ʔaː⸣ku] (買い物をしようとしている)。 ⸢カイムヌンツァン シーユーサヌ [⸢kaimununʦaŋ ʃiːjuːsanu] (買い物もすら出来ない) 3881 0 0 3659 htmvoc_3881.wav カイムヌカグ ⸢カイムヌカグ [⸢kaimunukagu] 名 買い物籠。手提げ籠の一種。竹製で、柄の付いた小型の手提げ籠。石垣方言からの借用語。戦後から用いられるようになった。 マ⸢ナ⸣マー ビ⸢ニール⸣ヌ フ⸢ク⸣ルナール イ⸢リ カースンダ カイムヌカグナー⸣トー シゥ⸢カーヌ [ma⸢na⸣maː bi⸢niːru⸣nu ɸu̥⸢ku⸣runaːru ʔi⸢ri kaːsunda kaimunukagunaː⸣toː sï̥⸢kaːnu] (今はビニールの袋に入れて売るのだから買い物籠など使わない) 3885 0 0 3660 htmvoc_3885.wav カイヤー ⸣カイヤー [⸣kaijaː] 副 こうは(斯うは)。このようには。こんな風には。 ⸣カイヤー ⸢サンドー⸣シ ⸣アイニ ⸢シー⸣バ [⸣kaijaː ⸢sandoː⸣ʃi ⸣ʔaini ⸢ʃiː⸣ba] (こうは<斯うは>しないで、あのようにしなさいよ) 3886 0 0 3661 htmvoc_3886.wav ガイヤーマ ガイ⸢ヤー⸣マ [gai⸢jaː⸣ma] 名 小さなさじ。小匙。⸣ガイ[⸣gai]は、「Cai.カイ(匙)~その米をかきまぜたり、かき回したりするのに用いる道具」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。⸢ヤー⸣マ[⸢jaː⸣ma](小)は指小辞(diminutive)⸣マ[⸣ma](小)の異形態。上接語の末尾がCVV構造の、-ai,-ui,-iiで終わる音声環境において、⸢-ヤー⸣マ[⸢-jaː⸣ma](小)が現れる。 ガイ⸢ヤー⸣マシ ユ⸢ナ⸣ク ス⸢クイ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [gai⸢jaː⸣maʃi ju⸢na⸣ku su̥⸢kui⸣ f⸢fai⸣ba] (小匙で麦焦がしを掬って食べなさいよ) 3887 0 0 3662 htmvoc_3887.wav カイヤキン ⸢カイ⸣ヤキン [⸢kai⸣jakiŋ] 名 美しい着物。 パ⸢ダ⸣ヌ シ⸢ズリ⸣ルンケン ⸢カイ⸣ヤキンバ キ⸢シル⸣ フ⸢ドゥビ⸣ ケーツォー [pa⸢da⸣nu ʃi⸢ʣuri⸣ruŋkeŋ ⸢kai⸣jakimba ki̥⸢ʃiru⸣ ɸu⸢dubi⸣ keːʦoː] (肌がずれるほど美しい着物を着て成長してきたそうだ) 3888 0 0 3663 htmvoc_3888.wav カイヤワレー ⸢カイ⸣ヤワレー [⸢kai⸣jawareː] 感 美しいことよ。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ キ⸢シベー キン⸣ヌ ⸣アイ ⸢カイ⸣ヤワレー [ʔu⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffanu ki̥⸢ʃibeː kin⸣nu ⸣ʔai ⸢kai⸣jawareː] (その女の子の着ている着物があのように何と美しいことよ) 3856 0 1 3664 htmvoc_3856.wav カイヤン ⸢カイ⸣ヤン [⸢kai⸣jaŋ] 形 {Mn_1}美しい。綺麗である。「影・さ・あり」の転化したもの。 パ⸢ナ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤワ⸢ナー [pa⸢na⸣nu ⸢kai⸣jawa⸢naː] (花が美しいねえ)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢カイヤーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢kaijaːnaː⸣nu] (それほど美しくない)。 ⸢シンダイ カイ⸣ヤ ⸣ナルン [⸢ʃindai kai⸣ja naruŋ] (次第に美しくなる)。 ⸢カイ⸣ヤ ⸣パナー ⸣マナー ア⸢ル⸣ワ [⸢kai⸣ja ⸣panaː ⸣manaː ʔa⸢ru⸣wa] (美しい花は何処にあるか)。 ⸣アイニ ⸢カイ⸣ヤカー ⸢バン⸣ヌン ⸢カイ⸣プサン [⸣ʔaini ⸢kai⸣jakaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢kai⸣pusaŋ] (そんなに美しいのなら私も買いたい)。女性の美しさは、ア⸢バ⸣レーン[ʔa⸢ba⸣reːŋ](美しい)と表現する。 ク⸢ヌ キン⸣マー イッ⸢ケン カイ⸣ヤン [ku⸢nu kim⸣maː ʔik⸢keŋ kai⸣jaŋ] (この着物は非常に美しい)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢カイヤナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢kaijanaː⸣nu] (あまり美しくない)。 ⸣ドゥク ⸢カイヤ⸣ヌ シ⸢ティラランシェン [⸣duku ⸢kaija⸣nu ʃi̥⸢tiraraŋʃeŋ] (あまりにも美しいので捨てられなかった)。 ⸢シンダイ カイ⸣ヤ ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai kai⸣ja ⸣nari ⸣keːŋ] (次第に美しくなってき)。 ⸢カイ⸣ヤ ⸢キン⸣マー ⸣ヌーヤ [⸢kai⸣ja ⸢kim⸣maː ⸣nuːja] (美しい着物は何か)。 ⸢カイ⸣ヤカー ⸢バン⸣ヌン キ⸢スン [⸢kai⸣jakaː ⸢ban⸣nuŋ ki̥⸢suŋ] (美しかったら私も着るよ)。 3856 0 2 3665 htmvoc_3856.wav カイヤン ⸢カイ⸣ヤン [⸢kai⸣jaŋ] 形 {Mn_2}仲がいい。 ⸢キョーダイ⸣サ ⸣ナカー ⸢カイ⸣ヤン [⸢kjoːdai⸣sa ⸣nakaː ⸢kai⸣jaŋ] (兄弟同士の仲は美しい<仲良しだ>)。 3856 0 3 3666 htmvoc_3856.wav カイヤン ⸢カイ⸣ヤン [⸢kai⸣jaŋ] 形 {Mn_3}良好な状態である。 ⸢オシケー カイ⸣ヤン [⸢ʔoʃi̥keː kai⸣jaŋ] (天気は良好である<天気はきれいである>)。 ⸣キム ⸢カイ⸣ヤン [⸣kimu ⸢kai⸣jaŋ] (心が優しい{EOS}親切である<肝が美しい>) 3890 0 0 3667 htmvoc_3890.wav カイラシマラバシ ⸢カイラ⸣シ ⸣マラバシ [⸢kaira⸣ʃi ⸣marabaʃi] 連 転倒させたり、つまず(躓)かせたりするさま。「かえら<反ら>せ・まろば<転ば>せる」の転訛したもの。副詞的用法。 ⸣ウヌヨーヌ ヤ⸢ラビ⸣バカー カ⸢サナイ⸣ヤー サ⸢ムティ カイラ⸣シ ⸣マラバシ ⸢シェー⸣ティ ⸢サンゲー⸣ティ ⸢アー⸣ク⸢ツォー [⸣ʔunujoːnu ja⸢rabi⸣bakaː ka⸢sanai⸣jaː sa⸢muti kaira⸣ʃi ⸣marabaʃi ⸢ʃeː⸣ti ⸢saŋgeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku⸢ʦoː] (あのような年端も行かぬ子をですよ、負ぶいはしないで、躓かせたり転倒させたりして引きずって<引っ張って>連れてあるくんですよ) 3891 0 0 3668 htmvoc_3891.wav カイリ ⸢カイ⸣リ [⸢kai⸣ri] 名 帰り。帰る時。 シ⸢グトゥヌ カイ⸣リナ ⸢マーリ⸣ クー⸢ヨー [ʃi⸢gutunu kai⸣rinaː ⸢maːri⸣ kuː⸢joː] (仕事の帰りに、寄り道して<回って>来なさいねえ)。 ッ⸢ふァヌ カイリ⸣バ ウ⸢ヌス⸣ク ウ⸢ヤーンチ⸣ジ ⸢オーッタン⸣ドゥ ミ⸢ローラ⸣ナー ⸢オー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [f⸢fanu kairi⸣ba ʔu⸢nusu̥⸣ku ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤi ⸢ʔoːttan⸣du mi⸢roːra⸣naː ⸢ʔoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (子供の帰りをあれほど待ち望んでおられたのに、ご覧になれずに<見られないで>逝かれてしまった) 3892 0 0 3669 htmvoc_3892.wav カイリミチ ⸢カイリ⸣ミチ [⸢kairi⸣miʧi] 名 帰り道。帰路。帰途。家に帰る道。ム⸢ドゥリ⸣ミチ[mu⸢duri⸣miʧi](戻り道{EOS}ある場所へ引き返す道中)ともいう。 パ⸢タ⸣ケーラヌ ⸢カイリ⸣ミチナ ⸢バンスル⸣ヌ ⸣ナル ⸢ミシ⸣キティ ⸣ブリ ⸢クー⸣タ [pḁ⸢ta⸣keːranu ⸢kairi⸣miʧina ⸢bansuru⸣nu ⸣naru ⸢miʃi̥⸣kiti ⸣buri ⸢kuː⸣ta] (畑からの帰り道に\ruby{SqBr}g{/SqBr}{蕃石榴}{バンザクロ}の実を見付けて\ruby{捥}{モ}いできた) 3893 0 0 3670 htmvoc_3893.wav カイル ⸢カイ⸣ル [⸢kai⸣ru] 名 つりせん(釣銭)。 ⸣センエン ⸢オーシバ カイ⸣ロー ⸢クー⸣ジンシ ッ⸢ふォー⸣リ [⸣ʃeɲjeŋ ⸢ʔoːʃiba kai⸣roː ⸢kuː⸣ʤiŋʃi f⸢foː⸣ri] (千円差し上げますから、お釣<釣銭>は小銭で下さい)。 ⸢クー⸣ジン ⸣クリ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢kuː⸣ʤin kuri f⸢foː⸣ri] (小銭に両替してください) 3894 0 0 3671 htmvoc_3894.wav カイル ⸣カイル [⸣kairu] 連体 こんな。このような。琉歌語の「かにある」の転訛したもの。価値の低い内容と認定される名詞を修飾する。 ⸣カイル パ⸢ナシ⸣バ ⸢フン⸣トーティ ス⸢ク⸣ プ⸢スヌ ブン [⸣kairu pa⸢naʃi⸣ba ⸢ɸun⸣toːti su̥⸢ku⸣ pu̥⸢sunu buŋ] (こんな話を本当<誠>と聞く人がいるか) 3895 0 0 3672 htmvoc_3895.wav カイルン ⸢カイ⸣ルン [⸢kai⸣ruŋ] 自動 転ぶ。転倒する。ひっくり返る。 ア⸢ガミツァー⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ヌ⸢ベーリッ⸣ツァーバ ⸢カイラ⸣ヌヨー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢gamiʦaː⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː nu⸢beːrit⸣ʦaːba ⸢kaira⸣nujoː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (赤土<赤粘土>は雨が降るとすべっこいから、転ばぬよう気をつけなさい)。 ⸢カイ⸣リティ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [⸢kai⸣riti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (転倒して体を痛めて<病まして>ある)。 ⸢ウシゥカラサリ⸣カー ⸢カイ⸣ルン [⸢ʔusï̥karasari⸣kaː ⸢kai⸣run⸢daː] (押されたら転ぶよ)。 ⸣クナーテー ⸢カイ⸣ル プ⸢スヌ ゴー⸣ラーン [⸣kunaːteː ⸢kai⸣ru pu̥⸢sunu goː⸣raːŋ] (ここでは転ぶ人が多い)。 ⸢カイ⸣レーラー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸢kai⸣reːraː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (転んだら大変だよ)。 ⸢パー⸣ク ⸢カイ⸣リバ  [⸢paː⸣ku ⸢kai⸣riba] (早く転べ)。 ⸢カイ⸣リバヒャー [⸢kai⸣ribaçjaː] (転べよ野郎、転びくされ) 3896 0 0 3673 htmvoc_3896.wav カイルン ⸢カイ⸣ルン [⸢kai⸣ruŋ] 自動 帰る。 ⸢ガッ⸣コーラ ⸢パイ⸣サ ⸢カイ⸣リ ⸣クーカー ピ⸢ビザヌ⸣ ッサ カ⸢リ⸠ダー [⸢gak⸣koːra ⸢pai⸣sa ⸢kai⸣ri ⸣kuːkaː pi⸢biʣanu⸣ ssa ka⸢ri⸠daː] (学校から早く帰ってきたら山羊の草を刈りなさいよ)。 マ⸢ダ カイラ⸣ヌ [ma⸢da kaira⸣nu] (まだ帰らない)。 ⸢カイリ⸣ プサカー ⸢カイ⸣リバ [⸢kairi⸣pu̥sakaː ⸢kai⸣riba] (帰りたければ帰れ)。 ⸢ワー カイ⸣ル ⸣ピンマー ⸢バン⸣ヌン ⸢カイ⸣ルン [⸢waː kai⸣ru ⸣pimmaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢kai⸣ruŋ] (君が帰るときは私も帰る)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢パイ⸣サ ⸢カイ⸣リ [⸢kjuː⸣ja ⸢pai⸣sa ⸢kai⸣ri] (今日は早く帰れ) 3897 0 0 3674 htmvoc_3897.wav カイルン ⸢カイルン [⸢kairuŋ] 他動 換える。替える。交換する。 ク⸢ヌ カー⸣ラー ⸢ミー⸣バリ ⸢シーベー⸣バ ⸢ミーガーラ⸣トゥ ⸢カイリ [ku⸢nu kaː⸣raː ⸢miː⸣bari ⸢ʃiːbeː⸣ba ⸢miːgaːra⸣tu ⸢kairi] (この瓦はひび割れしている<\ruby{罅}{ヒビ}が入っている>ので雌瓦と取替え<交換し>なさい)。 ウ⸢ムイツァー⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー ⸢カイララヌ [ʔu⸢muiʦaː⸣nu ma⸢na⸣maː ⸢kairaranu] (もったいない<惜しい>ので、今は替えられない)。 ク⸢リ カイル⸣カー カ⸢リン カイルン [ku⸢ri kairu⸣kaː ka⸢riŋ kairuŋ] (これを替えるなら、あれも替える)。 ク⸢レー カイ⸣ ミサカー ⸢パー⸣ク ⸢カイリ [ku⸢reː ⸢kai⸣misakaː ⸢paː⸣ku ⸢kairi] (これは替えてもよければ、早く替えろ)。 ⸢パー⸣ク ⸢カイレー⸣ <⸢カイヤー⸣> ミサムヌ ⸢ニーバ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢paː⸣ku ⸢kaireː⸣ <⸢kaijaː⸣> misamunu ⸢niːba⸣nu na⸢ra⸣nu] (早く替えればよいのに{EOS}遅くて困る) 3898 0 0 3675 htmvoc_3898.wav カイレーマラベー ⸢カイ⸣レーマラベー [⸢kai⸣reːmarabeː] 副 転んだり躓いたりして泥んこになったさま。「つまずい<躓い>たり転んだり」の転訛したもの。「頭髪蓬乱して両の手をもちて胸を推して地にまろび転<かへ>ること」『金光明最勝王経平安初期点』の転訛したものか。 ア⸢ミ⸣フイナー ⸢カイ⸣レーマラベー ⸢シェー⸣ティ パリ⸢パッ⸣タ [ʔa⸢mi⸣ɸuinaː ⸢kai⸣reːmarabeː ⸢ʃeː⸣ti pari⸢pat⸣ta] (雨の中を<雨降りに>躓いたり転んだりしながら走って行った) 3899 0 0 3676 htmvoc_3899.wav カウ ⸢カウ [⸢kau] 名 香。線香。神前、仏前に祈願するときに焚く。イ⸢ツァ⸣カウ[ʔi⸢ʦa⸣kau](板香{EOS}幅約1,2センチ、長さ約15センチ、厚さ約1,5ミリの黒色の板状の線香)、⸢ピーマチカウ[⸢piːmaʧikau](「日待ち香」の義か{EOS}長時間焚く必要のあるときに用いる香)、タ⸢キカウ[ta⸢kikau](竹香{EOS}竹ひごを線香にしたもの)などがあり、沖縄在来の線香といわれている。ヤ⸢マトゥ⸣カウ[ja⸢matu⸣kau](大和香)はあまり使わなかった。普通は線香3本を焚いて祈願するが、重要な祈願ではイ⸢ツァ⸣カウ(板香)を3枚、または5枚重ねて焚くことがある。 ⸢カウワー⸣ シキ ⸣タティティ カ⸢ラティヤーンツァン⸣ ウ⸢サーシティル⸣ パ⸢ラリ⸣ル [⸢kauwaː⸣ ʃi̥ki ⸣tḁtiti ka⸢ratiːjaːnʦaŋ⸣ ʔu⸢saːʃitiru⸣ pa⸢rari⸣ru] (線香を点け立てて、<供物がないので>せめて空の手でも合わせて<ぞ>帰ることにしよう<行かれる>)。 ⸢カウワーンツァン⸣ シキ ⸣タティティル パ⸢ラ⸣リル [⸢kauwaːnʦaŋ⸣ ʃi̥ki ⸣tḁtitiru pa⸢rari⸣ru] (線香だけでも焚いて立てて行こう<立ててぞ行かれる>) 3901 0 0 3677 htmvoc_3901.wav カウリ ⸢カウリ [⸢kauri] 副 特に。特別に。普通と違って。強調表現。「他人と変わって」の義から意味派生したもの。 ⸢ウンヌ⸣ ピンマー ⸢カウリ⸣ ナ⸢キ ベータン⸣ドゥ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤミ ブ⸢レー⸣ル⸢ナー [⸢ʔunnu⸣ pimmaː ⸢kauri⸣ na⸢ki beːtan⸣du ba⸢ta⸣nu ⸣jami bu⸢reː⸣ru⸢naː] (あの時は特にひどく泣いていたが、お腹が痛かったんだろうねえ)。 ウ⸢レー カウリ⸣ サ⸢キ⸣ ヌム⸢ツォー [ʔu⸢reː kauri⸣ sḁ⸢ki⸣ numu⸢ʦoː] (あれ<彼>は異常に<他人と変わって非常に>酒を飲むんだよ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー カウリ⸣ ム⸢ニ⸣ユムン [ku⸢nu⸣ f⸢faː kauri⸣ mu⸢ni⸣ jumuŋ] (この子は他人と変わって非常によく喋る<非常におしゃべりで、よく他人の悪口をいう>) 3725 0 0 3678 htmvoc_3725.wav カウリドゥスー ⸢カウリドゥ スー [⸢kauridu suː] 連 異常に~する。やたらと~する。「普通と変わって<ぞ>~する」の義。動詞の連体形を修飾して⸢異常に~する」の意味を表す。 ウ⸢レー カウリドゥ⸣ タ⸢バ⸣ク ⸣フク [ʔu⸢reː kauridu⸣ ta⸢ba⸣ku ⸣ɸu̥ku] (彼は異常に煙草を吸う<ヘビースモーカーである>) 3726 0 0 3679 htmvoc_3726.wav カウリドゥルブー ⸢カウリドゥル ブー [⸢kauriduru buː] 連 異常である。変である。「変わって<ぞ>いる」の義。 ウ⸢レー⸣ チ⸢カ⸣グロー ⸢カウリドゥ ブー [ʔu⸢reː⸣ ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢kauridu buː] (彼は近頃は変で<ぞ>ある{EOS}様子が変である<異常である>) 3727 0 0 3680 htmvoc_3727.wav カウリパルン ⸢カウリ⸣パルン [⸢kauri⸣paruŋ] 連 変わっていく。変化していく。⸢カウルン[⸢kauruŋ](変わる)の連用形に⸣パルン[⸣paruŋ](行く)が下接した形。 ユ⸢ヌナカー⸣ タ⸢ダーイ カウリパルン⸣ドゥ プ⸢スヌ カンガイ⸣ヤー ⸢ナン⸣ゾー ⸢カウリパラ⸣ヌ [ju⸢nunakaː⸣ ta⸢daːi kauriparun⸣du pu̥⸢sunu kaŋgai⸣jaː ⸢nan⸣ʣoː ⸢kauripara⸣nu] (世の中は次第に変わっていくが、人の考えはあまり変わっていかない) 4892 0 0 3681 htmvoc_4892.wav カウリムヌ ⸢カウリムヌ [⸢kaurimunu] 名 変わり者。変人。奇人。頑固者。性質や言動が凡人と違った人。 ウ⸢レー カウリムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː kaurimunu⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (彼は変人だから他人の言うことを聞かない<忠告を聞き入れない>)。 ウ⸢レー カウリムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムニ イッ⸢カ⸣ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː kaurimunu⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muni ʔik⸢ka⸣ sï̥⸢kanu] (その人は変人だから、他人の言うことは全く<一向に>聞かない)。 ⸣アイブ ⸢カウリムノー⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸢kaurimunoː⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (あんな変人は見たことがない<見て見ない>) 3808 0 0 3682 htmvoc_3808.wav カウルン ⸢カウルン [⸢kauruŋ] 自動 変わる。変化する。老年層のことば。若年層は⸢カールン[⸢kaːruŋ](変わる)ともいう。 カ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ムッ⸢トゥ カウランバン⸣ナー [ka⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ mut⸢tu kauramban⸣naː] (あの人は一向に変わらないねえ)。 ⸢カウリ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢kauri⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (変わりやすい<変わり早い>)。 カ⸢リヌ カウル⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸢カウルン [ka⸢rinu kauru⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ⸢kauruŋ] (あれが変わったら<変わるなら>私も変わる)。 ⸣ドゥク ⸢カウレー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duku ⸢kaureː⸣ na⸢ra⸣nu] (あんまり変わってはいけない)。 ⸢パー⸣ク ⸢カウリ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢kauri⸣ba] (早く変わりなさいよ<早く変われ>)。 ミ⸢ジ⸣ナ トゥ⸢カ⸣スカー ⸣イロー ⸢カウルンティ⸣ ス⸢クタヌ ピッ⸣チン ⸢カウラヌ [mi⸢ʤi⸣na tu̥⸢ka⸣sukaː ⸣ʔiroː ⸢kaurunti⸣ su̥⸢kutanu pit⸣ʧiŋ ⸢kauranu] (水に溶かすと色は変わると聞いたが、ちっとも<一つも>変わらない)。 ⸢カウリ ナー⸣ヌ [⸢kauri naː⸣nu] (変わってしまった)。 ⸢カウル⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kauru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (変わることはない)。 ⸢カウレー⸣ ミサムヌ [⸢kaureː⸣ misamunu] (変わればいいのに)。 ⸢カウリ [⸢kauri] (変われ) 3903 0 0 3683 htmvoc_3903.wav カウルン ⸢カウルン [⸢kaurun] 自動 代わる。交替する。 フ⸢カ⸣ヌ プ⸢ストゥ カウルンティ⸣ シ⸢タンティン カウル⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [ɸu̥⸢ka⸣nu pu̥⸢sutu kaurunti⸣ ʃi̥⸢tantiŋ kauru⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (他の人に代わろうとしても、代わる人がいない) 3905 0 0 3684 htmvoc_3905.wav カウワムイサン ⸢カウ⸣ワムイサン [⸢kau⸣wamuisaŋ] 形 くすぐったがる。くすぐったがり屋である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ カウ⸣ワムイサ ⸢スン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena kau⸣wamuisa ⸢suŋ] (その子は非常にくすぐったがる<くすぐったくする>)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢カウ⸣ワムイサー サ⸢ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢kau⸣wamuisaː sa⸢nu] (あんまり<それほど>くすぐったがらない)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢カウ⸣ワムイサ ⸢スー⸣カー グ⸢ズラサ⸣ン ブ⸢リ⸣バ [ja⸢rabi⸣nu ⸢kau⸣wamuisa ⸢suː⸣kaː gu⸢ʣurasa⸣m bu⸢ri⸣ba] (子供がくすぐったがるようなら、くすぐらすなよ) 3904 0 0 3685 htmvoc_3904.wav カウワン ⸢カウ⸣ワン [⸢kau⸣waŋ] 形 くすぐったい。こそばゆい。 バ⸢キンッサー⸣ラ グ⸢ズ⸣ルカー ⸢カウ⸣ワン [ba⸢kinssaː⸣ra gu⸢ʣu⸣rukaː ⸢kau⸣waŋ] (腋の下をくすぐると、くすぐったい)。 グ⸢ズル⸣タンティン ⸢カウワナー⸣ヌ [gu⸢ʣuru⸣tantiŋ ⸢kauwanaː⸣nu] (くすぐっても、くすぐったくない)。 ⸢シンダイ カウ⸣ワナルン [⸢ʃindai kau⸣wanaruŋ] (だんだんくすぐったくなる)。 ⸢カウ⸣ワ ⸣クトー ⸢カウ⸣ワンドゥ ニ⸢ジラ⸣リン [⸢kau⸣wa ⸣ku̥toː ⸢kau⸣wandu ni⸢ʤira⸣riŋ] (くすぐったいことはくすぐったいが、我慢できる)。 イコー⸢ラ カウ⸣ワーラバン <⸢カウ⸣ワタンティン> ⸣アイニ ム⸢ディッカーラン⸣ ブ⸢リ⸣バ [ʔikoː⸢ra kau⸣waːrabaŋ <⸢kau⸣watantiŋ> ⸣ʔaini mu⸢dikkaːram⸣ bu⸢ri⸣ba] (いくらくすぐったくても、あんなに体をねじ曲げるな<捻じれるな>よ) 3900 0 0 3686 htmvoc_3900.wav カウン ⸢カウン [⸢kauŋ] 他動 換える。替える。交換する。⸢カイルン[⸢kairuŋ](替える)ともいう。「かふ<替・換・代>下二段活用」、「敷白之袖易子少<しきたへの 袖かへし子を>『万葉集、2410』」の⸢転訛か。カイルン[⸢kairuŋ](替える{EOS}交換する)ともいう。 ク⸢レー カーン⸣タンティン <⸢カイラン⸣タンティン> ⸣ミサン [ku⸢reː kaːn⸣tantim <⸢kairan⸣tantim> ⸣misaŋ] (これは換えなくてもよい)。 ⸢ワームヌ⸣トゥ ⸢カイ⸣ミサカー ⸣ドゥーシ ⸢カウン⸠ダー [⸢waː munu⸣tu ⸢kai⸣misakaː ⸣duːʃi ⸢kaun⸠daː] (君の物と替えてもよいのなら自分で替えるよ)。 ク⸢リバ カウ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢riba kau⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これを替えてはならない<替えることは出来ない>)。 フ⸢ルミラン⸣ケン ⸢カイヤー⸣ ミサムヌ [ɸu⸢rumiraŋ⸣keŋ ⸢kaijaː⸣ misamunu] (古くならない内に替えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢カイ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢kai⸣ba] (早く替えろよ) 3906 0 0 3687 htmvoc_3906.wav カウン ⸢カウン [⸢kauŋ] 他動 買う。 マ⸢チヤー⸣ラ シ⸢ナムヌ カウン [ma⸢ʧijaː⸣ra ʃi⸢namunu kauŋ] (店から品物を買う)。 ⸢コー⸣シ ⸢カイ⸣プサンドゥ ⸢ジン⸣ヌ ⸢ナー⸣ンダ ⸢カーラヌ [⸢koː⸣ʃi ⸢kai⸣ pu̥sandu ⸢ʤin⸣nu ⸢naː⸣nda ⸢kaːranu] (菓子を買いたいが、お金がないので買えない)。 ⸢ワー カイ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢waː kai⸣ f⸢fiːri] (君が買ってくれ)。 ⸢カウ⸣ プ⸢スヌ ゴー⸣ラーティ ン⸢メーマナー⸣ル ⸢カーリタ [⸢kau⸣ pu̥⸢sunu goː⸣raːti ʔm⸢meːmanaː⸣ru ⸢kaːrita] (買う人が多いので少しずつしか買えなかった<少しずつぞ買われた>)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kaijaː⸣ misamunu] (もっと買えばよいのに)。 ⸢ヤッ⸣サンケンナー ⸢カイ⸣バ [⸢jas⸣saŋkennaː ⸢kai⸣ba] (安い内に買えよ) 3907 0 0 3688 htmvoc_3907.wav カカールン カ⸢カー⸣ルン [kḁ⸢kaː⸣ruŋ] 自動 係わる。関係する。 ヤ⸢ナドゥシトゥ⸣ カ⸢カー⸣ルカー <トゥ⸢レー⸣スカー> ヤ⸢ナミチェー サンガリンダ⸣ カ⸢カーラン⸣モー <トゥ⸢レーサン⸣モー> マ⸢シ⸠ダー [ja⸢naduʃitu⸣ kḁ⸢kaː⸣rukaː ja⸢namiʧeː saŋgarinda⸣ kḁ⸢kaːram⸣moː ma⸢ʃi⸠daː] (悪友と係わると悪い道へ引っ張られるから、係わらないのが良いよ)。 プ⸢ソー⸣ ウ⸢ヌ⸣クトゥナ カ⸢カー⸣ルンティ サ⸢バン ワー⸣ カ⸢カー⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢nu⸣ ku̥tuna ku̥⸢kaː⸣runti sa⸢baŋ waː⸣ kḁ⸢kaː⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (他の人は、そのことに係わるとしても、君は係わってはならない<関わるな>)。 カ⸢カーリ⸣ プサカー カ⸢カー⸣リバ [kḁ⸢kaːri⸣ pu̥sakaː kḁ⸢kaː⸣riba] (係わりたければ係われよ) 3908 0 0 3689 htmvoc_3908.wav カカイルン カ⸢カイルン [kḁ⸢kairuŋ] 自動 欠ける。カ⸢カウンとも言う。 ⸢シンザ⸣ヌ ⸣カー フ⸢チ⸣シ ⸣パグカー ⸣パー カ⸢カイルン⸠ダー [⸢ʃinʣa⸣nu ⸣kaː ɸu̥⸢ʧi⸣ʃi ⸣pagukaː ⸣paː kḁ⸢kairun⸠daː] (砂糖きびの皮を口で剥こうとすると、歯が欠けるぞ)。 カ⸢カイラヌ [kḁ⸢kairanu] (欠けない)。 ⸣パー カ⸢カイルン⸣ケン ⸢シン⸣ザ カミ⸢ミッ⸣タン [⸣paː kḁ⸢kairuŋ⸣keŋ ⸢ʃin⸣ʣa kami⸢mit⸣taŋ] (歯が欠けるほど砂糖きびを食べた<噛んだ>ことがある)。 ⸣パー カ⸢カイル⸣ クトゥン ⸢アッ⸣タン [⸣paː kḁ⸢kairu⸣ ku̥tuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (歯が欠けることもあった)。 カ⸢カイリ [kḁ⸢kairi] (欠けろ) 3909 0 0 3690 htmvoc_3909.wav カカイルン カ⸢カイ⸣ルン [kḁ⸢kai⸣ruŋ] 他動 抱える。両腕で囲い持つ。抱えて持ち上げる。 ⸢マイダーラ⸣ カ⸢カイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ バン⸣マー カ⸢カイララ⸣ヌ [⸢maidaːra⸣ kḁ⸢kai⸣runti ⸢sundu bam⸣maː kḁ⸢kairara⸣nu] (米俵を抱え上げようとするが、私には抱え上げられない)。 カ⸢カ⸣イミサカー ⸢タンガ⸣シン カ⸢カイ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢ka⸣i misakaː ⸢taŋga⸣ʃiŋ kḁ⸢kai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (抱え上げてよければ一人ででも抱え上げることは出来る) 3910 1 0 3691 htmvoc_3910.wav カカウン カ⸢カウン [kḁ⸢kauŋ] 他動 {PoS_1}欠く。こわす(他動)。歯を抜き取る。\ruby{捥}{モ}ぐ。「欠く(下二段)」、「照月毛 盈欠之家里<照る月も満ち欠けしけり>『万葉集 4160』」の転訛か。 ⸢ナーン⸣パー カ⸢カイ⸣キー ⸢スー バカ⸣シ [⸢naːm⸣paː kḁ⸢kai⸣kiː ⸢suː baka⸣ʃi] (菜っ葉を捥ぎとって<千切って>きてお汁を炊け<沸かせ>)。 ⸣パーシ ⸢シンザ⸣ヌ ⸣カー パ⸢グ⸣タンティン ⸢パー⸣ヤ カ⸢カーヌ <カ⸢カイラヌ> [⸣paːʃi ⸢ʃinʣa⸣nu ⸣kaː pa⸢gu⸣tantim ⸢paː⸣ja kḁ⸢kaːnu ] (歯で砂糖きびの皮を剥いでも、歯は欠けない) ⸣パー カ⸢カウン [⸣paː kḁ⸢kauŋ] (歯を欠く))。 ⸣パー カ⸢カウナ [⸣paː kḁ⸢kauna] (歯を欠くな)。 ッ⸢サンタヌ⸣ パー カ⸢カウ⸣ ピンマー ⸣イトゥシ フ⸢バリティ⸣ パラーナ ⸣カキティ ピ⸢キヌイ ソーッ⸣タ [s⸢santanu⸣ paː kḁ⸢kau⸣ pimma ⸣ʔituʃi ɸu⸢bariti⸣ paraːna ⸣kḁkiti pi̥⸢kinui soːt⸣ta] (下の歯を捥ぎ<欠き>取る時は、糸で括って柱に掛けて引き抜きなさった)。 フ⸢トゥッチパー⸣ヤ カ⸢カイヤー⸣ ミサムヌ [ɸu̥⸢tutʧipaː⸣ja kḁ⸢kaijaː⸣ misamunu] (虫歯<朽ち歯>は抜き取れば<欠けば>よいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢カイ [⸢paː⸣ku kḁ⸢kai] (早く抜き取れ<欠け>)。 3910 2 0 3692 htmvoc_3910.wav カカウン カ⸢カウン [kḁ⸢kauŋ] 自動 {PoS_2}欠ける。抜ける。 ⸣パー カ⸢カイナー⸣ヌ [⸣paː kḁ⸢kai naː⸣nu] (歯が欠けてしまった)。 ⸢パー⸣バ カ⸢カウ⸣カー ク⸢サテー⸣ニ ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ウイ ナン⸣ギ シ⸢ティルタ⸣ツォー [⸢paː⸣ba kḁ⸢kau⸣kaː ku̥⸢sateː⸣ni ⸢jaː⸣nu ⸢ʔui naŋ⸣gi ʃi̥⸢tiruta⸣ʦoː] (歯を欠くと、後ろ手にして屋根の上に投げ捨てたそうだ) 3911 0 0 3693 htmvoc_3911.wav カカシ カ⸢カ⸣シ [kḁ⸢ka⸣ʃi] 名 かかし(案山子)。鳥脅し。標準語からの借用語。田や畑の中に人形を立てて、土鳩やカラスが稲穂や豆粟を食い荒らすのを防いだ。普通は、ヌ⸢キ⸣ムヌ[nu⸢ki⸣munu](猪脅し{EOS}猪害除け{EOS}鳥の食害除け)という。 カ⸢カ⸣シ ス⸢ク⸣リ ⸣タティ ⸣シケーヌ ガ⸢ラ⸣サー ⸢ピッ⸣チン ウ⸢バーヌ [kḁ⸢ka⸣ʃi su̥⸢ku⸣ri ⸣tḁti ⸣ʃi̥keːnu ga⸢ra⸣saː ⸢pit⸣ʧiŋ ʔu⸢baːnu] (鳥の食害除けに案山子<鳥脅し>を作って立ててあるが、カラスはちっとも怖がらない) 3929 0 0 3694 htmvoc_3929.wav カカラー カ⸢カ⸣ラー [kḁ⸢ka⸣raː] 副助 ~だけ全部。~かぎり総て。活用語の連体形に下接して、及ぶ限の範囲、限度、限界を表す。 ⸣アル カ⸢カ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ムティクー [⸣ʔaru kḁ⸢ka⸣raː muː⸢ru⸣ mutikuː] (あるったけ全部持ってこい)。 パ⸢ナ⸣シェー ス⸢ク⸣ カ⸢カ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ユ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ カー⸢ニル⸣ ス⸢ク [pa⸢na⸣ʃeː sï̥⸢ku⸣ kḁ⸢ka⸣raː muː⸢ru⸣ ju⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi kaː⸢niru⸣ su̥⸢ku] (話は聞くかぎり総て同じ話だけを聞く聞く)。 ス⸢ク⸣ カ⸢カ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ヤ⸢ナ⸣ムニ ⸢タンガ⸣ル シゥ⸢カリ [su̥⸢ku⸣ kḁ⸢ka⸣raː muː⸢ru⸣ ja⸢na⸣muni ⸢taŋga⸣ru sï̥⸢kari] (聞くもの総て悪評<悪口>だけが聞こえる<聞かれる>)。 ⸢ブー⸣ カ⸢カ⸣ラー [⸢buː⸣ kḁ⸢ka⸣raː] (居るかぎり総て~{EOS}居るのは総て~)。 ⸢スー⸣ カ⸢カ⸣ラー [⸢suː⸣ kḁ⸢ka⸣raː] (する限り総て~{EOS}するのは総て~{EOS}) 3930 0 0 3695 htmvoc_3930.wav カカラスン カ⸢カラ⸣スン [kḁ⸢kara⸣suŋ] 他動 喉に棘が刺さるようにする。かかるようにする。かからせる。 イ⸢ズン⸣プニ ⸣ヌドゥナー カ⸢カラ⸣シティ ⸢イー⸣ヤ ⸣ヌドー ウ⸢ラサラ⸣ヌ [ʔi⸢ʣum⸣puni nudunaː kḁ⸢kara⸣ʃi̥ti ⸢ʔiː⸣ja ⸣nudoː ʔu⸢rasara⸣nu] (魚の骨を喉に引っ掛けてしまって食べ物が喉を下ろされない)。 ウ⸢ブ⸣フチシ ⸣スー ⸣ヌムカー ⸣プニ カ⸢カラ⸣スン⸢ダー [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧiʃi ⸣suː ⸣numukaː ⸣puni kḁ⸢kara⸣sun⸢daː] (大口でお汁を飲むと骨を喉にかからすぞ)。 ⸣プニ カ⸢カラ⸣ス ⸣ピンマー ⸣サバンナー ミ⸢ジェー⸣ イ⸢リティ⸣ パ⸢シ⸣バ ヤ⸢ラザイティ⸣ ヌ⸢マ⸣スカー ウ⸢ティ⸣ルンティ ア⸢ゾーッ⸣タ [⸣puni kḁ⸢kara⸣su̥kaː ⸣sabannaː mi⸢ʤeː⸣ ʔi⸢riti⸣ pḁ⸢ʃi⸣ba ja⸢raʣaiti⸣ nu⸢ma⸣su̥kaː ʔu⸢ti⸣runti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (魚の骨が喉に刺さった<かからせた>時は箸を十字に重ねて飲ませると刺が落ちるといわれた)。 カ⸢カラ⸣シ [kḁ⸢kara⸣ʃi] (かからせよ) 3912 0 0 3696 htmvoc_3912.wav カカリサーリ カ⸢カ⸣リサーリ [kḁ⸢ka⸣risaːri] 名 係累。「係り障り」の転訛したものか。カ⸢カ⸣ルンサールン[kḁ⸢ka⸣runsaːruŋ](係累)ともいう。 カ⸢カ⸣リサーリヌ ⸢ナーン⸣ プ⸢ソー⸣ ノー⸢ン⸣ ドゥーカッティシ ⸣ナルン [kḁ⸢ka⸣risaːrinu ⸢naːm⸣ pu̥⸢soː⸣ noː⸢n⸣ duːkattiʃi ⸣naruŋ] (係累のない人は何でも自分勝手にすることができる) 3913 0 0 3697 htmvoc_3913.wav カカリムヌ カ⸢カリ⸣ムヌ [kḁ⸢kari⸣munu] 名 憑き物。祟りをなすもの。 ⸢グヮンスグトゥ⸣ヌ ミ⸢チ⸣ フ⸢マン⸣カー カ⸢カリムヌ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンツォー [⸢gwansugutu⸣nu mi⸢ʧi⸣ ɸu⸢maŋ⸣kaː kḁ⸢karimunu⸣nu ʔn⸢ʤi⸣runʦoː] (先祖供養の道が正しくない<道を踏まない{EOS}正しくない>と祟りことが出るそうだ) 3933 0 0 3698 htmvoc_3933.wav カカリムヌ カ⸢カリ⸣ムヌ [ka⸢kari⸣munu] 名 祟りごと。「繋りもの」の義。神の祈願不足や先祖の供養が足りないときに、シ⸢ラシ[ʃi⸢raʃi](知らせ{EOS}前兆)として、子孫に災いが起こること。 ⸢ベー⸣ヌ ⸣ヤーナー カ⸢カリ⸣ムヌ ⸢ナー⸣トー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [⸢beː⸣nu ⸣jaːnaː kḁ⸢kari⸣munu ⸢naː⸣toː noː⸢n naː⸣nu] (我が家には先祖の祟りごとなどは何一つもない) 3934 0 0 3699 htmvoc_3934.wav カカリンドーリ カ⸢カ⸣リンドーリ [kḁ⸢ka⸣rindoːriː] 連 子供が気に入った人に纏いつくこと。 ヤ⸢ラ⸣ベー ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァース⸣ プ⸢スナー⸣ル カ⸢カ⸣リンドーリ ⸢スー [ja⸢ra⸣beː ʔm⸢maː⸣munu f⸢faːsu⸣ pu̥⸢sunaː⸣ru kḁ⸢ka⸣rindoːri ⸢suː] (子供は美味しいものを呉れる<食べさせる>人にまとい<纏い>つくものだ)。 ウ⸢レー ワー⸣ナール カ⸢カ⸣リンドーリ ⸢シー⸣ ブ⸢レー⸣ンダ ブ⸢ラーン⸣ ナルカー ナ⸢クン⸣ダー [ʔu⸢reː waː⸣naːru kḁ⸢ka⸣rindoːri ⸢ʃiː⸣ bu⸢reː⸣nda bu⸢raːn⸣ narukaː na⸢kun⸣daː] (あれはお前に纏いついていたから、お前がいなくなったら、泣くぞ) 3932 0 0 3700 htmvoc_3932.wav カカル カ⸢カ⸣ル [ka⸢ka⸣ru] 名 たたり(祟り)。祟りごと。神仏や怨霊などが人に災いをもたらすこと。 ウ⸢ガン⸣ヌ ⸣キー ⸣キスカー カ⸢カル⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンティ⸢ダー [ʔu⸢gan⸣nu ⸣kiː ⸣ki̥sukaː kḁ⸢karu⸣nu ʔn⸢ʤi⸣runti⸢daː] (御嶽の木を切ると祟りが出るそうだよ)。 ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソッコー⸣ヤ カイー⸢カイ⸣シ シ⸢ミ オーシェー⸣チバ ノー⸢ンヌ⸣ カ⸢カ⸣ルン ⸣サールン ⸢ナーン⸣パジ [⸢niŋ⸣gai ⸢sokkoː⸣ja kaiː⸢kai⸣ʃi ʃi⸢mi ʔoːʃeː⸣ʧiba noː⸢nnu⸣ kḁ⸢ka⸣run ⸣saːrun ⸢naːm⸣paʤi] (神願い事や法事などは完全に<きれいに>して差し上げてあるから何の祟りも差障りもないはずだ)。 ⸢ヤーニンズ⸣ヌ ⸢ビョー⸣ザーカー ノー⸢ンナー⸣カ カ⸢カルン⸣ドゥ ⸣アルティ ア⸢ザリブタ [⸢jaːninʣu⸣nu ⸢bjoː⸣ʣaːkaː noː⸢nnaː⸣ka ka⸢karun⸣du ⸣ʔaruti ʔa⸢ʣaributa] (家族<家人数>が病気がち<病弱>であったら、何かの神仏の祟りがあるといわれていた) 3935 0 1 3701 htmvoc_3935.wav カカルサール カ⸢カ⸣ルサール [ka⸢ka⸣rusaːru] 名 {Mn_1}係累。かかり障り。「係り・連れ合い」の義。カ⸢カ⸣ルンサールン[kḁ⸢ka⸣runsaːruŋ](係累・係り・連れ合い)ともいう。 カ⸢カ⸣ルサールヌ ⸢ナーン⸣ プ⸢ソー ドゥー⸣ヌ ⸢カッティ⸣シ サ⸢バン⸣ ミサン [kḁ⸢ka⸣rusaːrunu ⸢naːm⸣ pu̥⸢soː duː⸣nu ⸢katti⸣ʃi sa⸢bam⸣ misaŋ] (係累のない人は自分の勝手にしてもいい)。 3935 0 2 3702 htmvoc_3935.wav カカルサール カ⸢カ⸣ルサール [ka⸢ka⸣rusaːru] 名 {Mn_2}他への影響。当たり障り。かかり障り。 カ⸢カ⸣ルサールヌ ⸢ナーン⸣ヨーニ ⸣ムネー イ⸢ジ [kḁ⸢ka⸣rusaːrunu ⸢naːɲ⸣joːni ⸣muneː ʔi⸢ʤi] (当たり障りのないように話しなさい<ものは言え>) 3936 0 0 3703 htmvoc_3936.wav カカルピカル カ⸢カ⸣ルピカル [kḁ⸢ka⸣rupi̥karu] 名 あっち引っかかり、こっち引っかかりすること。差障りのおおいこと。支障の多いこと。親類縁者。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢グヮンス⸣グトーラ ⸢ヌー⸣ヤクイヤ カ⸢カ⸣ルピカルヌ ⸢スーワ⸣ヌ タ⸢ティグリ⸣サン⸢ダー [⸢ʔun⸣neːja ⸢gwansu⸣gutoːra ⸢nuː⸣jakuijaː kḁ⸢ka⸣rupi̥karunu ⸢suːwa⸣nu tḁ⸢tiguri⸣san⸢daː] (その家は先祖の継承問題<元祖ごと>やら、何やかやと差障りが多くて生活しずらい<独自の生計を立てるのが難しい>よ) 3914 0 1 3704 htmvoc_3914.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}罹る。罹患する。 ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣ルン [⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣ruŋ] (マラリア<風気>に罹る)。 ⸣キナイ ⸣ヌムカー ⸢プーキ⸣ カ⸢カラン⸣シェン [⸣kinai ⸣numukaː ⸢puːki⸣ kḁ⸢karaŋ⸣ʃeŋ] (キニーネを飲むとマライアに罹らなかった)。 ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣リティ ニ⸢ビ ベー [⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ni⸢bi beː] (マラリアに罹って寝ている)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今はマラリアに罹る人はいない)。 3914 0 2 3705 htmvoc_3914.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}掛かる。引っ掛かる。 ピ⸢キダマー キーヌ⸣ ユダナ カ⸢カ⸣リティ トゥ⸢ララ⸣ヌ [pi̥⸢kidamaː kiːnu⸣ judana kḁ⸢ka⸣riti tu⸢rara⸣nu] (凧は木の枝に引っ掛かって取れない)。 3914 0 3 3706 htmvoc_3914.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_3}頼る。頼む。治療してもらう。 ⸣イサン カ⸢カ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʔisaŋ kḁ⸢ka⸣reː ⸣misamunu] (医者にかかれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣イサン カ⸢カ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸣ʔisaŋ kḁ⸢ka⸣ri] (早く医者にかかれ<治療してもらえ>) 3938 0 1 3707 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}ひっかかる。 ⸣ヌドゥナー ン⸢ギヌ⸣ カ⸢カ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣nudunaː ʔŋ⸢ginu⸣ kḁ⸢ka⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (喉にとげ<刺>が引っかかって痛くてたまらない)。 ⸢タンガ⸣シェー ⸣ウキニビーン ⸢シーユーサヌ⸣ プ⸢スン⸣ カ⸢カ⸣リ ⸣ムタリ サ⸢レー⸣ティル ⸢アー⸣ク [⸢taŋga⸣ʃeː ⸣ʔukinibiːŋ ⸢ʃiːjuːsanu⸣ pu̥⸢suŋ⸣ kḁ⸢ka⸣ri mutari sa⸢reː⸣tiru ⸢ʔaː⸣ku] (一人では寝起きもままならない<できない>{EOS}他人に支えられ<よりかかり、もたれかかり>しながらやっている)。 3938 0 2 3708 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}世話になる。他人に頼る。 イ⸢クサ⸣ユーナー カ⸢カラ⸣リ プ⸢スン⸣ ブ⸢ラーヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティ ⸢アウ⸣リ ⸢シーベー⸣タ [ʔi⸢kusa⸣juːna kḁ⸢kara⸣ri pu̥⸢sum⸣ bu⸢raːnu⸣ f⸢fa⸣ sï̥⸢ka⸣naunti ⸢ʔau⸣ri ⸢ʃiːbeː⸣ta] (戦争中に頼りにできる人もなく、子供を育てるのに苦労をしていた)。 3938 0 3 3709 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_3}碇泊する。繋船する。 カ⸢ジヌ マールター⸣ フネー ⸣クン カ⸢カ⸣リ タ⸢キ⸣ドゥン カ⸢カ⸣レーティル ヤッ⸢トゥ⸣シ イ⸢サナケー パッ⸣タ [ka⸢ʤinu maːrutaː⸣ ɸuneː ⸣kuŋ kḁ⸢ka⸣ri tḁ⸢ki⸣duŋ kḁ⸢ka⸣reːtiru jat⸢tu⸣ʃi ʔi⸢sanakeː pat⸣ta] (風が向かい風になったので<回ったので>、船は古見に船繋がり<碇泊し>、竹富島に船繋がり<碇泊>しながら、やっとのことで石垣島へたどって行った)。 3938 0 4 3710 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_4}治療を受ける。医者にかかる。 ウ⸢レー⸣ イサン カ⸢カリ⸣ル ⸢ヤンマイ⸣ヤー ⸢ノー⸣シェー⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔisaŋ kḁ⸢kari⸣ru ⸢jammai⸣jaː ⸢noː⸣ʃeː⸢daː] (その人は医者にかかって病気を治したのだよ)。 3938 0 5 3711 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_5}鍵がかかる。 カ⸢ギ⸣ヌ カ⸢カ⸣リティ ア⸢カラヌ [ka⸢gi⸣nu kḁ⸢ka⸣riti ʔa⸢karanu] (鍵がかかって開かない)。 3938 0 6 3712 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_6}罠や網などにひっかかる。 ⸣クマー カ⸢マイ⸣ヌ ⸣ミチ ア⸢ラン⸣ユンダ ⸣ヤマ ア⸢グタンティン⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [⸣kumaː ka⸢mai⸣nu ⸣miʧi ʔa⸢raɲ⸣junda ⸣jama ʔa⸢gutantiŋ⸣ ka⸢kara⸣nu] (ここは猪の獣道でないから罠を仕掛けても引っかからない)。 3938 0 7 3713 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_7}ふりかかる。雨や水などを被る。 ⸢ワーン⸣トンマー ア⸢ミ⸣ヌ カ⸢カリ⸣シバ ⸣クマンター ⸢ユージ⸣クー [⸢waːn⸣tommaː ʔa⸢mi⸣nu kḁ⸢kari⸣ʃiba ⸣kumantaː ⸢juːʤi⸣kuː] (君の所は雨がかかるから、こちらへ寄って来いよ)。 3938 0 8 3714 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_8}病気や災害が身に及ぶ。ふりかかる。 ウ⸢ブヤン⸣ カ⸢カ⸣リティ シ⸢ニンゴー⸣ タ⸢タ⸣ケーティ ⸢アークタン⸣ドゥ ⸢ノー⸣レーンツォー [ʔu⸢bujaŋ⸣ kḁ⸢ka⸣riti ʃi⸢niŋgoː⸣ tḁ⸢ta⸣keːti ⸢ʔaːkutan⸣du ⸢noː⸣reːnʦoː] (大病を患って<罹って>今にも死にそうだったが治ったそうだよ)。 3938 0 9 3715 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_9}架かる。橋などが架設される。 パ⸢シ⸣ カ⸢キ⸣ルン [pḁ⸢ʃi⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ] (橋を架ける)。 3938 0 10 3716 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_10}機械が動くようになる。 カ⸢ツシンヌ⸣ キカイ カ⸢キ⸣ルンティ ス⸢ヌ⸣ カ⸢カラン⸣バン [ka⸢ʦuʃinnu⸣ ki̥kai kḁ⸢ki⸣runti su⸢nu⸣ kḁ⸢karam⸣baŋ] (鰹船の機械をかけようとするが、かからないわい)。 3938 0 11 3717 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_11}費やす。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー ナンニ⸣チブカラ カ⸢カ⸣ルカヤー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː nanni⸣ʧibukara kḁ⸢ka⸣rukajaː] (この仕事は何日ほど<ぐらい>かかるだろうか)。 3938 0 12 3718 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_12}着手する。物事をやり始める。 ⸣キュウズーナ シ⸢グトー⸣ カ⸢カラン⸣カー マ⸢ニアー⸣ヌ [⸣kjuːʣuːna ʃi⸢gutoː⸣ kḁ⸢karaŋ⸣kaː ma⸢niʔaː⸣nu] (今日中に仕事へ取り掛からないと間に合わない<期日に間に合わない>)。 3938 0 13 3719 htmvoc_3938.wav カカルン カ⸢カ⸣ルン [kḁ⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_13}目方がはかりに出る。重量を測定される。 ク⸢ヌ オー⸣ヤ ニ⸢ヒャッ⸣キン カ⸢カ⸣ルン⸢ナー [ku⸢nu ʔoː⸣ja ni⸢çak⸣kiŋ kḁ⸢ka⸣run⸢naː] (この豚は二百斤かかるなあ) 3937 0 0 3720 htmvoc_3937.wav ガカルン ガ⸢カ⸣ルン [ga⸢ka⸣ruŋ] 自動 かかる。引っかかる。物にてぶらさがる。たれさがる。 ⸢キー⸣ヌ ユ⸢ダ⸣ナー ピ⸢キダマヌ⸣ ガ⸢カ⸣リ ⸢ベー [⸢kiː⸣nu ju⸢da⸣naː pi̥⸢kidamanu⸣ ga⸢ka⸣ri ⸢beː] (木の枝に凧がかかっている)。 ⸢キン⸣ヌ フ⸢ビヌ⸣ グ⸢マー⸣カー ⸢キン⸣マー ⸣ヌビナ ガ⸢カ⸣ルン⸢ダー [⸢kin⸣nu ɸu⸢binu⸣ gu⸢maː⸣kaː ⸢kim⸣maː ⸣nubina ga⸢ka⸣run⸢daː] (着物の襟が小さいと着物は首に引っかかるよ)。 アー⸢イ⸣ ガ⸢カラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ ga⸢kara⸣nu] (いや、引っかからないよ) 3730 0 0 3721 htmvoc_3730.wav カカルンサール カ⸢カ⸣ルンサール [kḁ⸢ka⸣runsaːru] 名 自分が世話すべき両親・妻子・兄弟。係累。つなぎしばる人間関係のこと。心身を拘束する煩わしい、さしさわり(差障り)となること。当たり障り。祟りや障害となること。 カ⸢カ⸣ルンサールン ⸢ナーン⸣ プ⸢ソー⸣ マー⸢ン⸣ パ⸢ラ⸣リン [kḁ⸢ka⸣runsaːrun ⸢naːm⸣ pu̥⸢soː⸣ maː⸢m⸣ pa⸢ra⸣riŋ] (係累のない人は何処にでも行ける) 3915 0 0 3722 htmvoc_3915.wav カカルンサールーン カ⸢カ⸣ルンサールーン [kḁ⸢ka⸣runsaːruːŋ] 名 係累。自分が世話すべき両親や妻子、兄弟など。 カ⸢カ⸣ルンサールン ⸢ナーン⸣ プ⸢ソー⸣ ドゥーカッティシ ノー⸢ン シー⸣ミサ⸢ゲ⸣ラ [kḁ⸢ka⸣run ⸣saːrun ⸢naːm⸣ pu̥⸢soː⸣ duːkattiʃi noː⸢ŋ ʃiː⸣misa⸢ge⸣ra] (係累のいない人は自分勝手に何でもしていいさ) 3939 0 0 3723 htmvoc_3939.wav カカレートーリトーリ カ⸢カ⸣レー ⸢トーリトー⸣リ [kḁ⸢ka⸣reː ⸢toːritoː⸣ri] 副 慣用句。引っ掛かっては<躓いては>倒れ倒れしながら。 カ⸢カ⸣レー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティ カ⸢タ⸣ミ ⸢パッ⸣タヤー [kḁ⸢ka⸣reː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeː⸣ti kḁ⸢ta⸣mi ⸢pat⸣tajaː] (引っ掛かっては<躓いては>倒れ倒れしながら担いでいったよ) 3940 0 0 3724 htmvoc_3940.wav カカレートーレー カ⸢カ⸣レートーレー [ka⸢ka⸣reːtoːreː] 副 もたれ<凭れ>かかっては倒れ倒れして。よたよたするほど精力を出し切るさま。倒れこむほど疲れ果てるさま。疲労困憊するさま。 カ⸢カ⸣レートーレー ⸢シェー⸣ティン ッ⸢ふァバ マイフナー⸣ マ⸢ラスンティ⸣ アイニ ⸢アウ⸣リ ⸢シーベー⸠ダー [kḁ⸢ka⸣reːtoːreː ⸢ʃeː⸣tin f⸢faba maifunaː⸣ ma⸢rasunti⸣ ʔaini ⸢ʔau⸣ri ⸢ʃiːbeː⸠daː] (もたれかかっては<人様に頼っては>倒れ倒れして、疲れ果てながらも、子供を育て成功させようと、あんなに難儀苦労をしているのだよ) 3941 0 0 3725 htmvoc_3941.wav カカン カ⸢カン [ka⸢kaŋ] 名 女性の着物で、丈の長いひだスカートに似た裳。木綿の白布で作られている。丈は踝までの長さが一般である。士族女性の礼装用の衣装の一つ(「懸け裳」という説あり)。沖縄古語「かかも」の転訛したものという『沖縄古語大辞典』。パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡<鳩間節>の舞踊)のようなウ⸢ブブドゥ⸣ル[ʔu⸢bubudu⸣ru](古典舞踊{EOS}「大踊り」の義)の衣装等に用いられる。 パ⸢トゥ⸣マナカムレー カ⸢カントゥ⸣ ス⸢ディナ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー タ⸢ナシバ⸣ カキティル ブ⸢ドゥル ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manakamureː kḁ⸢kantu⸣ su⸢dina⸣nu ⸢ʔui⸣naː ta⸢naʃiba⸣ kḁkitiru bu⸢duru soːt⸣ta] (古典舞踊の鳩間中岡節舞踊は、カカンとスディナの上から\ruby{手無}{タ|ナシ}(伝統的に加治工家と寄合家に伝わる)を着て踊られている) 3947 0 1 3726 htmvoc_3947.wav カキ カ⸢キ [kḁ⸢ki] 名 {Mn_1}垣。生垣。竹やススキで作った垣根。石を積んで作った垣を⸢グス⸣ク[⸢gusu̥⸣ku](石垣)という。 ⸢ヤシキ⸣ヌ ク⸢シ⸣ナ カ⸢キ⸣シ カ⸢クイティ⸣ ヤサイ イ⸢ビ⸣ シケー [⸢jaʃi̥ki⸣nu ku̥⸢ʃi⸣na kḁ⸢ki⸣ʃi kḁ⸢kuiti⸣ jasai ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keː] (屋敷の後に垣で囲って野菜を植えてある)。垣根。 カ⸢マイ⸣ヌ カ⸢キ⸣ ス⸢ク⸣ルン [ka⸢mai⸣nu kḁ⸢ki⸣ su̥⸢ku⸣ruŋ] (猪の垣を作る)。 カ⸢キヌ⸣ ミーナ パ⸢ナ⸣ヌ ムイ⸢ベー [kḁ⸢kinu⸣ miːna pa⸢na⸣nu mui⸢beː] (垣根の間<生垣の中>に花が生えている)。 3947 0 2 3727 htmvoc_3947.wav カキ カ⸢キ [kḁ⸢ki] 名 {Mn_2}猪垣。 カ⸢マイ⸣ヌ カ⸢ケー ター⸣ヌ ⸢マール⸣ナ ⸢キー⸣バ ⸢ウイ⸣ フミティ ス⸢ク⸣ローッタヌ ⸢シーヌウチヌ⸣ カ⸢ケー グス⸣ク シ⸢マリ ブタ [ka⸢mai⸣nu kḁ⸢keː taː⸣nu ⸢maːru⸣na ⸢kiː⸣ba ⸢ʔui⸣ ɸumiti su̥⸢ku⸣roːttanu ⸢ʃiːnuʔuʧinu⸣ kḁ⸢keː gusu̥⸣ku ʃi⸢mari buta] (猪垣は田圃の回りに木を突き立て、編んで作られたが、インダ<伊武田>シーヌウチの猪垣は石垣が積まれていた)。 ⸢ター⸣ヌ カ⸢キ⸣ フムン [⸢taː⸣nu kḁ⸢ki⸣ ɸumuŋ] (田圃の猪垣を編む)。 3947 0 3 3728 htmvoc_3947.wav カキ カ⸢キ [kḁ⸢ki] 名 {Mn_3}魚垣。伊武田の海岸に積まれた魚垣は、深い所で約80センチの高さに積まれていた。1958年ごろまでは、鳩間島からトゥ⸢マダー[tu⸢madaː]や⸢ケー⸣ダ[⸢keː⸣da]へ通耕に行く場合、干潮時に遭遇すると魚垣の一部分の石垣を崩して⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟<サバニ>)を通過させ、しかる後に魚垣を積み直して修復しておいたものである。 ⸣インダパマトゥ ⸢ナーパマ⸣ フクパマナヌ ス⸢ナ⸣カナー カ⸢キヌ⸣ シ⸢マリ ブタン⸣ダー [⸣ʔindapamatu ⸢naːpama⸣ ɸu̥kupamanu su⸢naka⸣naː kḁ⸢kinu⸣ ʃi⸢mari butan⸣daː] (インダ浜と長浜、福浜の海中に魚垣が積まれていたよ) 3949 1 0 3729 htmvoc_3949.wav カキ カ⸢キ [kḁ⸢ki] 名 {PoS_1}かけら(欠片)。 サ⸢バン⸣ヌ カ⸢キヌ ポッツァーリ ベー⸣バ プ⸢サイ⸣ ア⸢ツァ⸣ミ [sa⸢ban⸣nu kḁ⸢kinu potʦaːri beː⸣ba pu̥⸢sai⸣ ʔa⸢ʦa⸣mi] (茶碗のかけら<欠片>が散らばっているから、拾い集めなさい)。 カ⸢ミ⸣ヌ カ⸢キ⸣ バ⸢リバ シッ⸣ケーティル ⸣イソーパーレー シ⸢タ⸠ダー [ka⸢mi⸣nu kḁ⸢ki⸣ ba⸢riba ʃik⸣keːtiru ⸣ʔisoːpaːreː ʃi̥⸢ta⸠da] (甕の\ruby{SqBr}g{/SqBr}{欠片}{カケラ}、割れたかけら<欠片>を打ち鳴らしつつイソーパーレーをしたのだよ)。 3949 2 0 3730 htmvoc_3949.wav カキ カ⸢キ [kḁ⸢ki] 助数 {PoS_2}物の欠けた部分(欠片)を数える単位。数量を表す語の下につく。 フ⸢ナ⸣ブ ⸣ンクカー プ⸢ス⸣カケー ⸢バン⸣ヌン ッ⸢ふァーシ [ɸu⸢na⸣bu ⸣ʔŋkukaː pu⸢su⸣kḁkeː ⸢ban⸣nuŋ f⸢faːʃi] (蜜柑<九年母>を剥いたら一欠けら<一袋>私にも頂戴よ<食べさせよ>) 3950 0 0 3731 htmvoc_3950.wav カギ ⸣カギ [⸣kagi] 名 かぎ(鍵)。若年層のことば。標準語からの借用語。老年層は⸣サシ[⸣sḁʃi](錠)といい、サ⸢シ⸣ヌッふァ[sḁ⸢ʃi⸣nuffa](鍵)という。 ⸣カギ カ⸢キ⸣ルン [⸣kagi kḁ⸢ki⸣ruŋ] (鍵をかける) 3956 0 1 3732 htmvoc_3956.wav カキアイ カ⸢キ⸣アイ [ka⸢ki⸣ai] 名 {Mn_1}掛け合い。交渉。標準語からの借用語。⸢ダンパン[⸢dampaŋ](談判)ともいう。 ウ⸢ヌ ダイ⸣シェー ⸢カーサランバ⸣ ウ⸢ヤカタ⸣トゥ ⸢マー⸣ビン カ⸢キ⸣アイ ⸢シー⸣ クー [ʔu⸢nu dai⸣ʃeː ⸢kaːsaramba⸣ ʔu⸢jakata⸣tu ⸢maː⸣biŋ kḁ⸢ki⸣ai ⸢ʃiː⸣kuː] (この値段では売れないから親方と更に交渉<掛け合い>してこい) 3956 0 2 3733 htmvoc_3956.wav カキアイ カ⸢キ⸣アイ [ka⸢ki⸣ai] 名 {Mn_2}交渉。談判。 ⸢スイサンクヮイシャ⸣トゥ カ⸢キ⸣アイ シ⸢ティ イーシ⸣ヌ ⸢ダイ⸣ キ⸢ミ⸣クー [⸢suisaŋkwaiʃa⸣tu kḁ⸢ki⸣ai ʃi̥⸢ti ʔiːʃi⸣nu ⸢dai⸣ ki⸢mi⸣kuː] (水産会社と交渉してツノマタの値段を決めてこい) 3957 1 0 3734 htmvoc_3957.wav カキアウン カ⸢キ⸣アウン [ka⸢ki⸣auŋ] 自動 {PoS_1}交渉する。談判する。抗議する。「掛け合う」の転訛。 ⸢ダイヌ ギン⸣シ ウ⸢ヤカタ⸣トゥ カ⸢キ⸣アウン [⸢dainu giŋ⸣ʃi ʔu⸢jakata⸣tu kḁ⸢ki⸣auŋ] (値段の件で親方と掛け合う<交渉する>)。 ⸢ワートー⸣ カ⸢キアー⸣ヌ [⸢waːtoː⸣ kḁ⸢kiʔaː⸣nu] (君とは掛け合わない<交渉しない>)。 ウ⸢ヤカタ⸣トゥ カ⸢キ⸣アイティ ⸢イーシ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ キ⸢ミラ⸠ディー [ʔu⸢jakata⸣tu kḁ⸢ki⸣aiti ⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ ki⸢mira⸠diː] (親方と掛け合って<交渉して>、角叉の値段は決めようよ)。 ワ⸢ターン⸣ カ⸢キ⸣アウカー ⸢バン⸣ヌン カ⸢キ⸣アウン [wa⸢taːŋ⸣ kḁ⸢ki⸣aukaː ⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢ki⸣auŋ] (君達も掛け合うなら私も掛け合う)。 ⸣クヌ ⸢ギン⸣シェー カ⸢キ⸣アウ ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸣kunu ⸢giŋ⸣ʃeː kḁ⸢ki⸣au ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (この件では<この事では>掛け合うことはないはずだ)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢キアイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢kiai⸣jaː ⸣misamunu] (もっと掛け合えばよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キ⸣アイバ [⸢paː⸣ku kḁ⸢ki⸣aiba] (早く掛け合えよ<交渉せよ>)。 3957 2 0 3735 htmvoc_3957.wav カキアウン カ⸢キ⸣アウン [ka⸢ki⸣auŋ] 他動 {PoS_2}掛け合う。 ⸢ナーブンブン クイ⸣バ カ⸢キアイ⸣ヤーティル シ⸢グトー ソーッ⸣タ [⸢naːbumbum kui⸣ba kḁ⸢kiai⸣jaːtiru ʃi⸢gutoː soːt⸣ta] (めいめいに<互いに>声を掛け合って<ぞ>仕事をなさった) 3959 0 0 3736 htmvoc_3959.wav カキアツァミルン カ⸢キアツァミ⸣ルン [kḁ⸢kiaʦami⸣ruŋ] 他動 かき集める。カ⸢キ[kḁ⸢ki](掻き)は強意の接頭語、⸢アツァミ⸣ルン[ʔa⸢ʦami⸣ruŋ](集める)に上接して複合動詞カ⸢キアツァミ⸣ルンを合成したもの。カ⸢キアツァ⸣ムン[kḁ⸢kiaʦa⸣muŋ](かき集める)と同じ。 カ⸢キアツァミラ⸣ヌ [kḁ⸢kiaʦamira⸣nu] (かき集めない)。 カ⸢キアツァミ⸣プサン [kḁ⸢kiaʦami⸣pu̥saŋ] (かき集めたい)。 カ⸢キアツァミ⸣ル ⸣クトゥ [kḁ⸢kiaʦami⸣ru ⸣ku̥tu] (かき集めること)。 カ⸢キアツァミ⸣レー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kiaʦami⸣reː ⸣misamunu] (かき集めればよいのに)。 カ⸢キアツァミ⸣リ [kḁ⸢kiaʦami⸣ri] (かき集めろ) 3958 0 0 3737 htmvoc_3958.wav カキアツァムン カ⸢キアツァ⸣ムン [kḁ⸢kiaʦa⸣muŋ] 他動 かき集める。 ⸢キーヌパー⸣ヤ カ⸢キアツァ⸣ミティ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣コイ カ⸢タ⸣ミパリ [⸢kiːnupaː⸣ja ʔa⸢ʦa⸣miti pḁ⸢taki⸣nu ⸣koi kḁ⸢ta⸣mipari] (木の葉は、かき集めて畑の肥やしに担いでいけ)。 カ⸢キアツァム⸣ナ [kḁ⸢kiaʦamu⸣na] (かき集めるな)。 カ⸢キアツァミ⸣プサン [kḁ⸢kiaʦami⸣pu̥saŋ] (かき集めたい)。 カ⸢キアツァ⸣ム クトゥ [kḁ⸢kiaʦa⸣mu ⸣ku̥tu] (かき集めること)。 カ⸢キアツァ⸣メー ミサムヌ [kḁ⸢kiaʦa⸣meː ⸣misamunu] (かき集めればよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キアツァ⸣ミバ [⸢paː⸣ku kḁ⸢kiaʦa⸣miba] (早くかき集めよ) 3961 0 0 3738 htmvoc_3961.wav カキイリルン カ⸢キイリ⸣ルン [kḁ⸢kiʔiri⸣ruŋ] 他動 書き入れる。書き込む。 ⸢クシ⸣キナー サ⸢クシ⸣ヌ ⸢ナー⸣ カ⸢キイリ⸣ルンティ タ⸢ナ⸣ミ ⸣シケー [⸢kuʃi̥⸣kinaː sḁ⸢kuʃi⸣nu ⸢naː⸣ kḁ⸢kiʔiri⸣runti ta⸢na⸣mi ⸣ʃi̥keː] (戸籍簿に嫡子の名前を書き入れようと頼んでおいてある)。 カ⸢キイリラ⸣ヌ [kḁ⸢kiʔirira⸣nu] (書き入れない)。 カ⸢キイリ⸣プサン [kḁ⸢kiʔiri⸣pu̥saŋ] (書き入れたい)。 カ⸢キイリ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢kiʔiri⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (書き入れることな出来ない)。 カ⸢キイリ⸣レー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kiʔiri⸣reː ⸣misamunu] (書き入れればよいものを)。 ク⸢レー パイ⸣サ カ⸢キイリ⸣リ [ku⸢reː pai⸣sa kḁ⸢kiʔiri⸣ri] (これは早く書き入れなさい) 3962 0 0 3739 htmvoc_3962.wav カキイリルン カ⸢キイリ⸣ルン [kḁ⸢kiʔiri⸣ruŋ] 他動 掻き入れる。 ⸢ウン⸣バ ⸢バー⸣キナ カ⸢キイリ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ムッ⸢トゥ⸣ カ⸢キイリララ⸣ヌ [⸢ʔum⸣ba ⸢baː⸣kina kḁ⸢kiʔiri⸣runti ⸢beː⸣nundu mut⸢tu⸣ kḁ⸢kiʔirirara⸣nu] (芋を笊に掻き入れようとしているが、ちっとも掻き入れられない)。 カ⸢キ⸣イリ ⸣ミサカー カ⸢キイリ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢ki⸣ʔiri ⸣misakaː kḁ⸢kiʔiri⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (掻き入れて良ければ掻き入れることは出来る)。 カ⸢キイリ⸣レー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kiʔiri⸣reː ⸣misamunu] (書き入れれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キイリ⸣リ [⸢paː⸣ku kḁ⸢kiʔiri⸣ri] (早く掻き入れろ) 3963 0 0 3740 htmvoc_3963.wav カキイルン カ⸢キ⸣イルン [kḁ⸢ki⸣iruŋ] 他動 書き入れる。カ⸢キイリ⸣ルンとも言う。 ⸣ドゥーシ カ⸢キ⸣イルンティ ⸢ベー⸣ヌ カ⸢キ⸣イリ ⸣ミサンカヤー [⸣duːʃi kḁ⸢ki⸣ʔirunti ⸢beː⸣nu kḁ⸢ki⸣ʔiri ⸣misaŋkajaː] (自分で書き入れようとしているが、書き入れて良いかねえ)。 ⸣ドゥーシェー カ⸢キイラン⸣ドーシ カ⸢キ⸣イル プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミバ [⸣duːʃeː kḁ⸢kiʔiran⸣doːʃi kḁ⸢ki⸣ʔiru pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣miba] (自分では書き入れないで書き入れる人を頼めよ)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キ⸣イレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku kḁ⸢ki⸣ʔireː ⸣misamunu] (早く書き入れれば良いのに)。 ⸣ドゥーシ カ⸢キ⸣イリバ [⸣duːʃi kḁ⸢ki⸣ʔiriba] (自分で書き入れよ) 3964 0 0 3741 htmvoc_3964.wav カキウタスン カ⸢キウタ⸣スン [kḁ⸢kiʔuta⸣suŋ] 他動 書き落とす。書き漏らす。 ⸢クシ⸣キナー ウ⸢リヌ ナーヤ ヌーリ⸣ <カ⸢キイリラ⸣リ> ブ⸢ラーヌ⸣ カ⸢キウタサリ⸣ ブー [⸢kuʃi̥⸣kinaː ʔu⸢rinu naːja nuːri⸣ bu⸢raːnu⸣ kḁ⸢kiʔutasari⸣ buː] (戸籍にはその人の名前は載っていない{EOS}書き落とされている)。 カ⸢キウタ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢kiʔuta⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (書き落としてしまった)。 カ⸢キウタ⸣ス ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [kḁ⸢kiʔuta⸣su ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (書き落とすことは無いはずだ)。 カ⸢キウタ⸣シェーラ ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [kḁ⸢kiʔuta⸣ʃeːra ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (書き落としたら大変さ)。 ク⸢レー⸣ ヤー⸢ディン⸣ カ⸢キウタ⸣シ [ku⸢reː⸣ jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢kiʔuta⸣ʃi] (これは必ず書き落とせ) 3970 0 0 3742 htmvoc_3970.wav カキウツァスン カ⸢キウツァ⸣スン [kḁ⸢kiuʦa⸣suŋ] 他動 書き写す。書写する。見本を見てその通りに書く。 ⸢ホン⸣ カ⸢キウツァ⸣スン [⸢hoŋ⸣ kḁ⸢kiuʦa⸣suŋ] (本を書き写す)。 ム⸢チキサ⸣ヌ ⸢バン⸣マー カ⸢キウツァサラ⸣ヌ [mu⸢ʧikisa⸣nu ⸢bam⸣maː kḁ⸢kiuʦasara⸣nu] (難しくて私には書き写されない)。 カ⸢キウツァシ⸣プサカカー ⸢パー⸣ク カ⸢キウツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kiuʦaʃi⸣pu̥sakaː ⸢paː⸣ku kḁ⸢kiuʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (書き写したければ早く書き写せばよいのに)。 カ⸢キウツァ⸣ス プ⸢ソー パー⸣ク カ⸢キウツァ⸣シ [kḁ⸢kiuʦa⸣su pu̥⸢soː paː⸣ku kḁ⸢kiuʦa⸣ʃi] (書き写す人は早く書き写せ) 3993 0 0 3743 htmvoc_3993.wav カギカタチ カ⸢ギカタ⸣チ [ka⸢gikata⸣ʧi] 名 姿。姿格好。「影形」の義。 ク⸢ヌ⸣グロー ウ⸢レー⸣ カ⸢ギカタ⸣チンツァン ミ⸢ララン⸠ツォー [ku⸢nu⸣guroː ʔu⸢reː⸣ ka⸢gikata⸣ʧinʦam mi⸢raran⸠ʦoː] (このごろ、あれ<彼奴>は影も形すらも見られないんだよ) 3965 0 0 3744 htmvoc_3965.wav カキグトゥ カ⸢キグ⸣トゥ [kḁ⸢kigu⸣tu] 名 賭け事。博打。 カ⸢キグ⸣トゥ ⸢スー⸣ プ⸢ソー マーパカラ⸣サー ⸢ナー⸣ヌティ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [kḁ⸢kigu⸣tu ⸢suː⸣ pu̥⸢soː maːpakara⸣saː ⸢naː⸣nuti na⸢raː⸣soːtta] (賭け事をする人はまともでない<信頼できない{EOS}不誠実である>と教えられた) 3994 0 0 3745 htmvoc_3994.wav カキクムン カ⸢キ⸣クムン [kḁ⸢ki⸣kumuŋ] 他動 書き入れる。記入する。「書き込む」の義。 ⸣クインナ ⸢ヨイ⸣ヌ ピ⸢ニチ⸣ カ⸢キ⸣クムンティ ⸢スンドゥ⸣ グ⸢マー⸣ヌ カ⸢キクマラ⸣ヌ [⸣kuinna ⸢joi⸣nu pi⸢niʧi⸣ kḁ⸢ki⸣kumunti ⸢sundu⸣ gu⸢maː⸣nu kḁ⸢kikumara⸣nu] (暦にお祝いの日を記入しようと<書き込もうと>するが、小さくて記入できない)。 ⸢クン⸣ナ カ⸢キ⸣クミ ⸣ミサカー カ⸢キ⸣クム ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kun⸣na kḁ⸢ki⸣kumi ⸣misakaː kḁ⸢ki⸣kumu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (これに書き込んでよければ書き込むことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢キ⸣クメー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢ki⸣kumeː ⸣misamunu] (もっと書き込めば良いのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キ⸣クミバ [⸢paː⸣ku kḁ⸢ki⸣kumiba] (早く書き込めよ) 3974 0 0 3746 htmvoc_3974.wav カキザー カ⸢キ⸣ザー [kḁ⸢ki⸣ʣaː] 名 柄の短い熊手。ツノマタ(角又)を採取する魚具。さで掻き。落ち葉や堆肥をかき寄せる柄の長い熊手。農具の一つ。 ⸢イー⸣シ ⸣トゥル ⸣バソー カ⸢キ⸣ザーシル ⸣ガキ トゥ⸢ル⸣タ [⸢ʔiː⸣ʃi ⸣turu ⸣basoː kḁ⸢ki⸣ʣaːʃiru ⸣gaki tu⸢ru⸣ta] (ツノマタ<角又>を採集する時は熊手で引っ掛けて取った)。 カ⸢キザー⸣ヌ ⸣シメー ⸢シンダ⸣バ マ⸢ギティ⸣ シゥ⸢カウタ [kḁ⸢kiʣaː⸣nu ⸣ʃimeː ⸢ʃinda⸣ba ma⸢giti⸣ si̥⸢kauta] (熊手の爪は鉄線<八番線ワイヤー>を曲げて使った) 3975 0 0 3747 htmvoc_3975.wav ガキザー ガ⸢キ⸣ザー [ga⸢ki⸣ʣaː] 名 自在鉤。竈の上や火鉢の上などに天井から吊るして薬缶や鍋などを掛ける鉤。⸢ガッ⸣ク[⸢gak⸣ku](鉤)ともいう。 ガ⸢キ⸣ザーナ ⸣ブラヤコン ⸣ガキティ ⸣ユー フ⸢カ⸣スン [ga⸢ki⸣ʣaːna ⸣burajakoŋ ⸣gakiti ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣suŋ] (自在鉤に法螺貝で作った薬缶を掛けてお湯を沸かす) 3969 0 1 3748 htmvoc_3969.wav カキザスン カ⸢キザ⸣スン [kḁ⸢kiʣa⸣suŋ] 他動 {Mn_1}掻き出す。容器の中の物を総て掻き出す。カ⸢キンザ⸣スンとも言う。⸢脱糞する。放尿する」など、下品な意味の付加する場合がある。 カ⸢ミ⸣ヌ ナ⸢カヌ⸣ムノー ⸢イッソー⸣ラ カ⸢キザ⸣スン [ka⸢mi⸣nu na⸢kanu⸣ munoː ⸢ʔissoː⸣ra kḁ⸢kiʣa⸣suŋ] (甕の中の物は残らず掻き出す)。 カ⸢キザサ⸣ヌ [kḁ⸢kiʣasa⸣nu] (掻き出さない)。 カ⸢キザ⸣シティ ⸣ムティクー [kḁ⸢kiʣa⸣ʃi̥ti ⸣mutikuː] (掻き出して持って来い)。 ⸣キューズーナ カ⸢キザ⸣ス ⸣クトゥ [⸣kjuːʣuːna kḁ⸢kiʣa⸣su ⸣ku̥tu] (今日中に掻き出すこと)。 カ⸢キザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kiʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (掻き出せばよいのに)。 ムー⸢ル⸣ カ⸢キザ⸣シ [muː⸢ru⸣ kḁ⸢kiʣa⸣ʃi] (全部掻き出せ)。 3969 0 2 3749 htmvoc_3969.wav カキザスン カ⸢キザ⸣スン [kḁ⸢kiʣa⸣suŋ] 他動 {Mn_2}その動作を軽蔑し、憎む意味を表す。 ⸣ユベー シ⸢バル⸣バ カ⸢キザ⸣シティル ニ⸢ビシキネー⸣ ムー⸢ル ゾッふァシ⸣ シケーバン [⸣jubeː ʃi⸢baru⸣ba kḁ⸢kiʣa⸣ʃi̥tiru ni⸢biʃi̥kineː⸣ muː⸢ru ʣoffaʃi⸣ ʃi̥keːbaŋ] (昨夜は寝小便をしくさって<小便を掻き出して>、寝床は全部濡らしておいてあるわい) 3976 0 0 3750 htmvoc_3976.wav カキザン カ⸢キ⸣ザン [kḁ⸢ki⸣ʣaŋ] 名 掛け算。標準語からの借用語。学校教育と共に明治二十九年頃から導入されてものであろう。 ⸢ガッ⸣コーナーティ カ⸢キ⸣ザン タ⸢シ⸣ザン ピ⸢キ⸣ザン ワ⸢リ⸣ザン ナ⸢ラウ⸣タン [⸢gak⸣koːnaːti kḁ⸢ki⸣ʣan tḁʃi⸣ʣam pi̥⸢ki⸣ʣan wa⸢ri⸣ʣan na⸢rau⸣taŋ] (学校で掛け算、足し算、引き算、割り算を習った) 4181 0 0 3751 htmvoc_4181.wav カキシゥクン カ⸢キ⸣シゥクン [kḁ⸢ki⸣su̥kuŋ] 自動 駆けつける。走る。「駆けつく<下二段活用>」の四段活用化したもの。カ⸢キッツァー⸣スン[kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ](駆けつける{EOS}走る{EOS}「駆け散らす」の義)ともいう。 ⸣アイニ カ⸢キシゥカン⸣ドーシ ⸢ヨーンナ⸣ パリ [⸣ʔaini kḁ⸢kisi̥kan⸣doːʃi ⸢joːnna⸣ pari] (あんなに駆けつけないでゆっくり行け)。 カ⸢キ⸣シキ ⸣パリ [kḁ⸢ki⸣ʃi̥ki ⸣pari] (走って行け)。 ア⸢バタス⸣カー カ⸢キ⸣スクン [ʔa⸢batasu⸣kaː kḁ⸢ki⸣su̥kuŋ] (急かせたら駆けつける<走る>)。 カ⸢キ⸣スク プ⸢ソー⸣ カ⸢キ⸣シキ [kḁ⸢ki⸣su̥ku pu̥⸢soː⸣ kḁ⸢ki⸣ʃi̥ki] (駆けつける人は駆けつけろ)。 カ⸢キ⸣シケー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢ki⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (駆けつければよいのに) 4180 0 0 3752 htmvoc_4180.wav カキシキルン カ⸢キシキ⸣ルン [kḁ⸢kiʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 駆けつける。走る。カ⸢キッツァー⸣スン[kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ](駆けつける)ともいう。 カ⸢キシキラン⸣ドーシ ア⸢ラ⸣キクー [ka⸢kiʃi̥kiran⸣doːʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸣kuː] (駆けつけないで歩いて来い)。 カ⸢キ⸣シキ ⸣パリ [kḁ⸢ki⸣ʃi̥ki ⸣pari] (駆けつけて行け)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢キシキ⸣ルン [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢kiʃi̥ki⸣ruŋ] (私も駆けつける)。 カ⸢キシキ⸣ル ⸣バソー カ⸢キシキ⸣リバ [kḁ⸢kiʃi̥ki⸣ru ⸣basoː kḁ⸢kiʃi̥ki⸣riba] (駆けつける時は駆けつけろよ)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku kḁ⸢kiʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (早く駆けつければよいのに) 3977 0 0 3753 htmvoc_3977.wav カキジク カ⸢キ⸣ジク [kḁ⸢ki⸣ʤiku] 名 掛け軸。若年層の言葉。老年層は、カ⸢キ⸣ムヌ[kḁ⸢ki⸣munu](掛け物)という。 ⸢ヨイ⸣ヌ カ⸢キ⸣ジコー ⸢ショーチクバイ⸣トゥ ツ⸢ルカミトゥ スー⸣カ ヌー⸣ル マ⸢シ⸣カヤー [⸢joi⸣nu kḁ⸢ki⸣ʤikoː ⸢ʃoːʧikubai⸣tu ʦu⸢rukamitu suː⸣ka nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣kajaː] (お祝いの掛け軸は、松竹梅と鶴亀とではどれが良いかね) 3916 0 0 3754 htmvoc_3916.wav カキシティルン カ⸢キシティ⸣ルン [kḁ⸢kiʃi̥ti⸣ruŋ] 他動 書きなぐる。「書き捨てる」の義。カキシ⸢トゥン[kḁkiʃi̥⸢tuŋ](書きなぐる{EOS}書き捨つ)ともいう。 ウ⸢ビ⸣ヌ ム⸢ヌ⸣バ カ⸢キシティルン⸣カティ ウ⸢ムーン⸣ドゥター カ⸢キシティララ⸣ン ⸢ベー⸣ティル ク⸢メーキ⸣ カキ⸢ベー⸣ダー [ʔu⸢bi⸣nu mu⸢nu⸣ba kḁ⸢kiʃi̥tiruŋ⸣kati ʔu⸢muːn⸣dutaː kḁ⸢kiʃitirara⸣m ⸢beː⸣tiru ku⸢meːki⸣ kḁki⸢beː⸣daː] (これだけ大量のものを、書きなぐろうかと思うのだが、書きなぐることが出来ない<書きなぐれない>ので<ぞ>、丁寧に<細かく、入念に>書いているのだよ)。 ⸣アイニ ウ⸢ムイ⸣ツァーカー カ⸢キシティ⸣ル ⸣クトー ス⸢ナ [⸣ʔaini ʔu⸢mui⸣ʦaːkaː kḁ⸢kiʃi̥ti⸣ru ⸣ku̥toː su⸢na] (そんなに惜しければ、書きなぐることはするな) 3995 0 0 3755 htmvoc_3995.wav カギジン カ⸢ギ⸣ジン [ka⸢gi⸣ʤiŋ] 名 陰膳。旅行中の人の安全を祈って、留守宅で供える食膳。出征兵士や遭難にあった家族のためにも供えた。 ⸢ピントゥルピン⸣ カ⸢ギジン⸣バ シ⸢ケー⸣ティル タ⸢ビヌウイ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ドゥーパダニンガイヤー ⸢ソーッタ⸣ル [⸢pinturupiŋ⸣ ka⸢giʤim⸣ba ʃi̥⸢keː⸣tiru ta⸢binu ʔui⸣nu pu̥⸢sunu⸣ duːpadaniŋgaijaː ⸢soːtta⸣ru] (毎日<日という日>陰膳を供えて<ぞ>旅の途上にある人の健康祈願はなされたものだ) 3917 0 0 3756 htmvoc_3917.wav カキスイルン カ⸢キスイ⸣ルン [kḁ⸢kisui⸣ruŋ] 他動 書き添える。カ⸢キ⸣タスン[kḁ⸢ki⸣tasuŋ](書き足す)ともいう。 ティ⸢ガ⸣ミナ ⸢タイフー⸣ヌ ⸣クトゥン カ⸢キスイ⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ソー スン⸣ユーティ ⸣ウムイティ カ⸢キスイラン⸣シェン [ti⸢ga⸣mina ⸢taiɸuː⸣nu ⸣ku̥tuŋ kḁ⸢kisui⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢soː suŋ⸣juːti ⸣ʔumuiti kḁ⸢kisuiraŋ⸣ʃeŋ] (手紙に台風のことも書き添えようと思ったが、心配するかと思って書き添えなかった)。 カ⸢キ⸣スイ ⸣ミサカー ⸢ピーチ⸣ フ⸢ター⸣チェー カ⸢キスイ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢ki⸣sui ⸣misakaː ⸢piːʧi⸣ ɸu̥⸢taː⸣ʧeː kḁ⸢kisui⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (書き添えて良ければ、一つ二つは書き添えることは出来る)。 ティ⸢ガミ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ナー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトゥン カ⸢キスイ⸣ルンツォー [ti⸢gami⸣nu ʃi⸢bi⸣naː ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥tuŋ kḁ⸢kisui⸣runʦoː] (手紙の最後に親のことも書き添えるそうだ)。 カ⸢キスイラ⸣ヌ [kḁ⸢kisuira⸣nu] (書き添えない)。 ク⸢リ ピー⸣チェー カ⸢キスイ⸣ プサンドゥ⸢ナー [ku⸢ri piː⸣ʧeː kḁ⸢kisui⸣ pu̥sandu⸢naː] (これ一つは書き添えたいのだがなあ)。 ヤー⸢ディン⸣ カ⸢キスイ⸣ル ⸣クトゥ [jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢kisui⸣ru ⸣ku̥tu] (書き添えること)。 ク⸢ヌ⸣ クトー カ⸢キスイ⸣レー <カ⸢キスイ⸣ヤー> ⸣ミサムヌ [ku⸢nu⸣ ku̥toː kḁ⸢kisui⸣reː ⸣misamunu] (この件<こと>は、書き添えればよいのに)。 ク⸢レー⸣ ヤー⸢ディン⸣ カ⸢キスイ⸣リ [ku⸢reː⸣ jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢kisui⸣ri] (これは必ず書き添えよ) 3951 0 0 3757 htmvoc_3951.wav カキソージ ⸣カキソージ [⸣kḁkisoːʤi] 名 掃除。「掻き掃除」の義。庭の塵を掻き集めて取ったり、掃いたりして綺麗に清掃すること。 ⸢ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣フカ ⸣カキソージン サ⸢リティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ザ⸣ケーン [⸢jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣ɸu̥ka ⸣kḁkisoːʤin sa⸢riti⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʣa⸣keːŋ] (家の内外清掃がなされていて非常に清潔である)。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣カクヌ ⸣カキソージェー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ス⸢クブン バシキルナ⸠ヨー [⸢jaː⸣nu ⸣kḁkunu ⸣kḁkisoːʤeː ja⸢rabi⸣nu su̥⸢kubum baʃikiruna⸠joː] (屋敷の掃除は子供の担当する仕事<職分>だ{EOS}忘れるなよ)。 ⸣カキソージェー シ⸢マ⸣シティル ア⸢サブティ⸣ ムカーヤ [⸣kḁkisoːʤeː ʃi⸢ma⸣ʃi̥tiru ʔa⸢sabuti⸣ mukaːja] (掃除を済ませてから遊ぶとものだよ) 3996 0 0 3758 htmvoc_3996.wav カキックナー カ⸢キッ⸣クナー [kḁ⸢kik⸣kunaː] 名 かけくら。かけっこ。走り競争。「駆け比べ」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ゾーナーティル ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸢ピー⸣ヤ ⸣ピンヌン カ⸢キッ⸣クナー ⸢シェー⸣ティル ア⸢サブタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʣoːnaːtiru ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸢piː⸣ja ⸣pinnuŋ kḁ⸢kikku⸣naː ⸢ʃeː⸣tiru ʔa⸢sabutaru] (昔は門の外の道で<ぞ>子供達は、寒い日もかけっこをしながら<ぞ>遊んだものだ) 3978 0 0 3759 htmvoc_3978.wav カキックムン カ⸢キッ⸣クムン [kḁ⸢kik⸣kumuŋ] 自動 駆け込む。走って入る。 ⸢パッツァー⸣シ カ⸢キッ⸣クムンティ シ⸢タンドゥ⸣ カ⸢キックマラン⸣シェン [⸢patʦaː⸣ʃi kḁ⸢kik⸣kumunti ʃi̥⸢tandu⸣ kḁ⸢kikkumaraŋ⸣ʃeŋ] (走って駆け込もうとしたが、駆け込めなかった)。 カ⸢キッ⸣クミ ⸣ミサカー カ⸢キッ⸣クム ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢kik⸣kumi ⸣misakaː kḁ⸢kik⸣kumu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (駆け込んで良ければ駆け込むことは出来る)。 カ⸢キッ⸣クメー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kik⸣kumeː ⸣misamunu] (駆け込めば良いのに) 3973 0 0 3760 htmvoc_3973.wav カキッケーラスン カ⸢キッケーラ⸣スン [kḁ⸢kikkeːra⸣suŋ] 他動 ひっくり返す。転倒させる。足を引っ掛けて転ばす。 ⸣アイブ ⸣ムヌバ ミ⸢チナカ⸣ナー シ⸢キ⸣ルカー プ⸢ス⸣ カ⸢キッケーラ⸣スン⸢ダー [⸣ʔaibu ⸣munuba mi⸢ʧinaka⸣naː ʃi̥⸢ki⸣rukaː pu̥⸢su⸣ kḁ⸢kikkeːra⸣sun⸢daː] (あんな物を道の中に放置して<置いて>おくと、歩行者<人>を転倒させるぞ <ひっくりかえすぞ>)。 カ⸢キッケーラサ⸣ヌ [kḁ⸢kikkeːrasa⸣nu] (転倒させない)。 カ⸢キッケーラシ⸣ プサン [kḁ⸢kikkeːraʃi⸣ pusaŋ] (転倒させたい)。 カ⸢キッケーラ⸣ス ⸣クトゥ [kḁ⸢kikkeːra⸣su ⸣ku̥tu] (転倒させること)。 カ⸢キッケーラ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢kikkeːra⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (転倒させてはならない)。 カ⸢キッケーラ⸣シ [kḁ⸢kikkeːra⸣ʃi] (転倒させろ) 4017 0 0 3761 htmvoc_4017.wav カキッツァーシパルン カ⸢キッツァー⸣シ ⸣パルン [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣paruŋ] 連 走って行く。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイ⸣バ カ⸢キッツァー⸣シ ⸢ヤー⸣ パリ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸui⸣ba kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸢jaː⸣ pari] (雨が降るから走って<駆け散らして>家に行け) 3971 0 0 3762 htmvoc_3971.wav カキッツァースン カ⸢キッツァー⸣スン [kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] 自動 駆ける。全力疾走する。早く走る。「駆けちらす」の転訛。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣クー [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣kuː] (走って来い)。 カ⸢キッツァーサン⸣ドーシ ⸢ヨーンナ⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸣クー [kḁ⸢kitʦaːsan⸣doːʃi ⸢joːnna⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸣kuː] (走らないでゆっくり歩いて来い)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢キッツァー⸣スン [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] (私も走る<全力疾走する>)。 カ⸢キッツァー⸣ス ⸣プソー イ⸢ジ⸣ンジ カ⸢キッツァー⸣シ [kḁ⸢kitʦaː⸣su ⸣pu̥soː ʔi⸢ʤi⸣nʤi kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi] (走る時は一所懸命に走れ)。 カ⸢キッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (走れば<全力疾走すれば>よいのに) 3972 0 0 3763 htmvoc_3972.wav カキッツァースン カ⸢キッツァー⸣スン [kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] 他動 殴り書きする。書き散らす。乱暴に書きなぐる。 カ⸢ビ⸣ナー ⸢ジー⸣ カ⸢キッツァー⸣スン [ka⸢bi⸣naː ⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] (紙に文字を書き散らす)。 カ⸢キッツァーサ⸣ヌ [kḁ⸢kitʦaːsa⸣nu] (書き散らさない)。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣ミサカー カ⸢キッツァー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣misakaː ka⸢kitʦaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (書き散らして良ければ書き散らすことはできる)。 カ⸢キッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (書き散らせば良いのに)。 カ⸢キッツァー⸣シバ [kḁ⸢kitʦa⸣ːʃiba] (書き散らせよ)。 ⸣アイニ カ⸢キッツァーサン⸣ドーシ カ⸢シーカシー⸣ カキバ [⸣ʔaini kḁ⸢kitʦaːsan⸣doːʃi kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ kḁkiba] (あんなに書き散らさないで、しっかり書きなさいよ)。 カ⸢キッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (書き散らせば良いのに)。 カ⸢キッツァー⸣シバ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃiba] (書き散らせ) 4019 0 0 3764 htmvoc_4019.wav カキッツァースン カ⸢キッツァー⸣スン [kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] 自動 走る。走り出す。駆ける。⸢駆け散らす」の音韻変化したもの。疾駆する。 ヤ⸢ラ⸣ベー ミ⸢チェー⸣ラン カ⸢キッツァー⸣スンダ カ⸢キッツァーサン⸣ヨーニ カ⸢サミ ベー⸣リ [ja⸢ra⸣beː mi⸢ʧeː⸣raŋ kḁ⸢kitʦaː⸣sunda kḁ⸢kitʦaːsaɲ⸣joːni kḁ⸢sami beː⸣ri] (子供は道から<路上を>駆け出すから、駆け出さないように掴んでおきなさい)。 ⸢アッ⸣タニ カ⸢キッツァー⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔat⸣tani kḁ⸢kitʦaː⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (急に駆け出すことはない)。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣ミサン ⸣トンマー カ⸢キッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣misantommaː kḁ⸢kitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (駆け出してよいところは駆け出せば良いのに)。 カ⸢キッツァー⸣シバ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃiba] (駆け出しなさい)。 カ⸢キッツァーサ⸣ヌ [kḁ⸢kitʦaːsa⸣nu] (走らない)。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣パリ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣pari] (走って行け)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢キッツァー⸣スン [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] (私も走る)。 カ⸢キッツァー⸣ス プ⸢ソー⸣ カ⸢キッツァー⸣シ [kḁ⸢kitʦaː⸣su pu̥⸢soː⸣ kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi] (走る人は走れ)。 カ⸢キッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (走ればよいのに) 3979 0 0 3765 htmvoc_3979.wav カキトゥミルン カ⸢キトゥミ⸣ルン [kḁ⸢kitumi⸣ruŋ] 他動 書き留める。記録する。カ⸢キ⸣トゥムンとも言う。 ⸢シンシ⸣ヌ ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムネー ⸢バスクン⸣ケン <⸢バシゥカン⸣ケン<若年層>> カ⸢キトゥミ⸣リ [⸢ʃiŋʃi⸣nu ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣muneː ⸢basu̥kuŋ⸣keŋ(⸢basi̥kaŋ⸣keŋ)kḁ⸢kitumi⸣ri] (先生のおっしゃる言葉は忘れないうちに書き留めろ)。 カ⸢キトゥミラ⸣ヌ [kḁ⸢kitumira⸣nu] (書き留めない)。 カ⸢キ⸣トゥミティ ウ⸢ブイ⸣リ [kḁ⸢ki⸣tumiti ʔu⸢bui⸣ri] (書き留めて覚えろ)。 カ⸢キトゥミ⸣ル ⸣クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢kitumi⸣ru ⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (書き留めることも出来ない)。 ⸢ピー⸣チ ヤ⸢ラバン⸣ カ⸢キトゥミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢piː⸣ʧi ja⸢rabaŋ⸣ kḁ⸢kitumi⸣reː ⸣misamunu] (一つでも書き留めればよいのに)。 ク⸢ヌ⸣ クトー ヤー⸢ディン⸣ カ⸢キトゥミ⸣リ [ku⸢nu⸣ ku̥toː jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢kitumi⸣ri] (このことは必ず書き留めろ) 3980 0 0 3766 htmvoc_3980.wav カキトゥムン カ⸢キ⸣トゥムン [kḁ⸢ki⸣tumuŋ] 他動 書き留める。記録する。カ⸢キトゥミ⸣ルンとも言う。 ⸢チョーメン⸣ナ カ⸢キ⸣トゥムンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ⸣ カ⸢キトゥマン⸣タンティン ⸣ミサンツォー [⸢ʧoːmen⸣naː kḁ⸢ki⸣tumunti ʔu⸢muːn⸣du kḁ⸢kituman⸣tantim ⸣misanʦoː] (帳面に書きとめようと思うが、書き留めなくても良いそうだ)。 カ⸢キ⸣トゥミ ⸣ミサカー カ⸢キ⸣トゥム ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢ki⸣tumi ⸣misakaː kḁ⸢ki⸣tumu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (書き留めてよければ書き留めることは出来る)。 カ⸢キ⸣トゥメー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢ki⸣tumeː ⸣misamunu] (書き留めれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢キ⸣トゥミバ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢ki⸣tumiba] (もっと書留ろ) 3952 0 0 3767 htmvoc_3952.wav カキナー カ⸢キ⸣ナー [kḁ⸢ki⸣naː] 名 ⸢掛け縄」の義。締め縄。茅葺の家の甍を作る際、甍に積み上げた茅にシ⸢ダ⸣ル[ʃi⸢da⸣ru](簾)を被せ、その上から⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](棕櫚の繊維で綯った綱)を⸢ヨー⸣チ[⸢joː⸣ʧi](簪{EOS}棟の両側から差し込んだティ⸢ブ⸣ク{SqBr}ti⸢bu⸣ku{/SqBr}<手矛>で、甍を固定するための、カ⸢キ⸣ナー<掛け縄>を架けるもの(⸢マーリ⸣ザ{SqBr}⸢maːri⸣ʣa{/SqBr}という))に掛け渡し、強く引き締めて固定する綱。風雨に晒されても朽ちにくい棕櫚の繊維で綯うのが普通である。 カ⸢キナー⸣ヤ ⸢フー⸣カラシル ナイ⸢ヨーッ⸣タ [kḁ⸢kinaː⸣ja ⸢ɸuː⸣karaʃiru nai⸢joːt⸣ta] (掛け縄は棕櫚の繊維で綯われた)。/ヤー イツピピルバ シミナー シー ヤーバ スクリ アンティスー/(ああ、絹縄<ひひる{EOS}蚕の糸で綯った縄>を締め縄にして家を造ってあるという)「あーぱーれー」『鳩間島古典民謡古謡集』 3918 0 0 3768 htmvoc_3918.wav カキナクン カ⸢キナ⸣クン [kḁ⸢kina⸣kuŋ] 他動 食べ物を掻きこむ。ご飯を急いで口に入れる。 カ⸢チリムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢イー⸣バ カ⸢キナ⸣キ ⸢ベー [kḁ⸢ʧirimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢ʔiː⸣ba kḁ⸢kina⸣ki beː] (餓えた者<\ruby{餓}{カツエ}者>のように飯を掻きこんでいる)。 ⸣イー カ⸢キナ⸣クン [⸣ʔiː kḁ⸢kina⸣kuŋ] (飯を掻きこむ)。 ⸢オーリムヌヌ⸣ カタチニ ム⸢ヌ⸣バ カ⸢キナ⸣キ ッ⸢ふァイ アー⸣ク [⸢ʔoːrimununu⸣ kḁtaʧini mu⸢nu⸣ba kḁ⸢kina⸣ki f⸢fai ʔaː⸣ku] (追われ者<逃亡者>のように飯を掻きこんで食っている)。 カ⸢キナカン⸣ドーシ ⸢ヨーンナ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [kḁ⸢kinakan⸣doːʃi ⸢joːnnaː⸣ f⸢fai⸣ba] (掻き込まないでゆっくり食べなよ)。 マ⸢ニアーン⸣バ カ⸢キナ⸣キ ッ⸢ふァイ [ma⸢niaːm⸣ba kḁ⸢kina⸣ki f⸢fai] (間に合わないから、掻き込んで食えよ)。 ⸢ワー⸣ カ⸢キナ⸣クカー ⸢バン⸣ヌン カ⸢キナ⸣クン [⸢waː⸣ kḁ⸢kina⸣kukaː ⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢kina⸣kuŋ] (君が掻き込んで食うなら、私も掻きこむ)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku kḁ⸢kina⸣keː ⸣misamunu] (早く掻き込めばよいのに)。 ノー⸢ン ヤラバン⸣ ミサン カ⸢キナ⸣キバ [noː⸢ɲ jarabam⸣ misaŋ kḁ⸢kina⸣kiba] (何でもいい{EOS}掻き込めよ)。 ⸢イー⸣ヤ カ⸢キナ⸣キティ ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ja kḁ⸢kina⸣kiti ⸣pari ⸢naː⸣nu] (飯を掻き込んで行ってしまった)。 カ⸢キナカン⸣ドーシ ヨー⸢ンナー⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [kḁ⸢kinakan⸣doːʃi joː⸢nnaː⸣ f⸢fai⸣ba] (飯は掻き込まないで、ゆっくり食えよ)。 カ⸢キナ⸣クンティ ⸢サンドー⸣シ ウ⸢ティ⸣シキ ッ⸢ふァイ⸣バ [kḁ⸢kina⸣kunti ⸢sandoː⸣ʃi ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki f⸢fai⸣ba] (掻き込もうとしないで、落ち着いて食えよ)。 カ⸢キナ⸣ク ⸣プソー カ⸢キナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kina⸣ku ⸣pu̥soː kḁ⸢kina⸣keː ⸣misamunu] (掻き込むときは掻き込めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キナ⸣キ [⸢paː⸣ku kḁ⸢kina⸣ki] (早く掻き込め) 3983 0 0 3769 htmvoc_3983.wav カキヌミー カ⸢キヌ⸣ ミー [kḁ⸢kinu⸣ miː] 連 垣根の中。 ⸢クーソー⸣ カ⸢キヌ⸣ ミーナー イ⸢ビ⸣ シケー [⸢kuːsoː⸣ kḁ⸢kinu⸣ miːna ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keː] (唐辛子は垣根の中に植えてある) 3984 0 0 3770 htmvoc_3984.wav カギブシ カ⸢ギ⸣ブシ [ka⸢gi⸣buʃi] 名 陰干し。日陰で干すこと。 ⸣ティダナカナ ⸣プスカー イ⸢ル⸣ヌ ウ⸢ティ⸣シバ カ⸢ギブ⸣シ ⸢シー⸣バ [⸣tidanakana ⸣pu̥sukaː ʔi⸢ru⸣nu ʔu⸢ti⸣ʃiba ka⸢gibu⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ba] (直射日光に干すと色が落ち<\ruby{褪}{サ}め>るから陰干ししなさいよ)。 ク⸢ヌ キン⸣マー ⸣ティダナカナー プ⸢サン⸣ドーシ カ⸢ギ⸣ブシ ⸢シー⸣ヨー [ku⸢nu kim⸣maː ⸣tidanakanaː pu̥⸢san⸣doːʃi ka⸢gi⸣buʃi ⸢ʃiː⸣joː] (この着物は日干しにしないで陰干しにしなさいよ) 3986 0 0 3771 htmvoc_3986.wav カキマースン カ⸢キマー⸣スン [kḁ⸢kimaː⸣suŋ] 他動 掻き回す。ぐるぐる回す。 ア⸢チスー⸣ヤ カ⸢キマー⸣シティ ⸢ピーラ⸣シバ [ʔa⸢ʧisuː⸣ja kḁ⸢kimaː⸣ʃi̥ti ⸢piːra⸣ʃiba] (熱いお汁はかき回して冷ましなさい)。 ⸣アイニ カ⸢キマーサン⸣タンティン ⸣ミサン [⸣ʔaini kḁ⸢kimaːsan⸣tantim ⸣misaŋ] (あんなにかき回さなくてもいい)。 カ⸢キマーシ⸣ プサン [kḁ⸢kimaːʃi⸣ pu̥saŋ] (かき回したい)。 ク⸢リン⸣ カ⸢キマー⸣スン [ku⸢riŋ⸣ kḁ⸢kimaː⸣suŋ] (これもかき回す)。 カ⸢キマー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢kimaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (かき回すことは出来ない<ならぬ>)。 カ⸢キマー⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kimaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (かき回せばよいのに)。 ク⸢リ⸣シ カ⸢キマー⸣シ [ku⸢ri⸣ʃi kḁ⸢kimaː⸣ʃi] (これでかき回しなさい<かき回せ>) 3999 0 0 3772 htmvoc_3999.wav カキマイ カ⸢キ⸣マイ [kḁ⸢ki⸣mai] 名 たのもし(頼母子)を落札しないで、掛け金を払うこと<掛け金>。「掛け前」の義。対義語はウ⸢クリマイ[ʔu⸢kurimai](落札後の利子を加えた掛け金)。 ム⸢エーヤ⸣ マ⸢ダ⸣ トゥ⸢ラン⸣バ カ⸢キマイ⸣ヤー ン⸢メーマ ヤッ⸣サン⸢ダー [mu⸢jeːja⸣ ma⸢da⸣ tu⸢ram⸣ba kḁ⸢kimai⸣jaː ʔm⸢meːma jas⸣san⸢daː] (頼母子はまだ落札していない<取っていない>ので掛金は少し安いよ) 4000 0 1 3773 htmvoc_4000.wav カキマカル カ⸢キマカル [kḁ⸢kimakaru] 名 {Mn_1}欠け碗。欠けた茶碗。「欠け・かなまり<金椀>『枕草子 42』」の義。 カ⸢キマカル⸣ナー ⸣イー イ⸢リ⸣ ッ⸢ふァース⸣カー ッ⸢ふァイフーヌ⸣ ウ⸢ティ⸣ルンツォー [kḁ⸢kimakaru⸣naː ⸣ʔiː ʔi⸢ri⸣ f⸢faːsu⸣kaː f⸢faiɸuːnu⸣ ʔu⸢ti⸣runʦoː] (欠け茶碗に飯を入れて食べさせると食の幸運<食い果報>が落ちるそうだ)。 4000 0 2 3774 htmvoc_4000.wav カキマカル カ⸢キマカル [kḁ⸢kimakaru] 名 {Mn_2}三男。欠けた茶碗しか財産分与されないことからの命名。 ム⸢カ⸣シェーラ ⸢サン⸣ナン カ⸢キマカラー⸣ティル ア⸢ザリ ブー [mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢san⸣naŋ kḁ⸢kimakaraː⸣tiru ʔa⸢ʣari buː] (昔から三男には欠けた茶碗一つしか財産は分与されないと言われている) 3968 0 0 3775 htmvoc_3968.wav カキマザースン カ⸢キマザー⸣スン [kḁ⸢kimaʣaː⸣suŋ] 他動 かき混ぜる。攪拌する。 ⸢ヌー⸣ヤークイヤー イ⸢リティ⸣ カ⸢キマザー⸣シティ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [⸢nuː⸣jaːkuijaː ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢kimaʣaː⸣ʃi̥ti ⸣nuːja ʔu⸢reː] (あれこれ入れてかき混ぜて、いったい何だよ{EOS}それは)。 カ⸢キマザーサ⸣ヌ [kḁ⸢kimaʣaːsa⸣nu] (かき混ぜない)。 カ⸢キマザース⸣ナ [kḁ⸢kimaʣaːsu⸣na] (かき混ぜるな)。 カ⸢キマザー⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢kimaʣaː⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (かき混ぜてはならない)。 カ⸢キマザー⸣シバ [kḁ⸢kimaʣaː⸣ʃiba] (かき混ぜよ)。 ピ⸢ルザキ⸣ナ ナ⸢マコー⸣マ カ⸢キマザー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢キマザーサラ⸣ヌ [pi⸢ruʣaki⸣na na⸢makoː⸣ma kḁ⸢kimaʣaː⸣sunti ⸢sundu⸣ kḁ⸢kimaʣaːsara⸣nu] (にんにく<大蒜>酒に生卵を掻き混ぜようとするが、掻き混ぜられない)。 カ⸢キマザーシ⸣ プサカー カ⸢キマザー⸣ス クトー ナルン⸢ダー [kḁ⸢kimaʣaːʃi⸣ pu̥sakaː kḁ⸢kimaʣaː⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (掻き混ぜたければ、掻き混ぜることはできるよ)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢キマザー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢kimaʣaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと掻き混ぜればいいのに) 4003 0 0 3776 htmvoc_4003.wav カキムエー カ⸢キ⸣ムエー [kḁ⸢ki⸣mujeː] 名 落札してない頼母子。掛金をまだ受け取ってない頼母子。 ⸣バー ム⸢エーヤ⸣ カ⸢キ⸣ムエー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リ⸣シ ⸢ジン⸣マー シゥ⸢コーラリン⸣ダー [⸣baː mu⸢jeːja⸣ kḁ⸢ki⸣mujeː ja⸢runda⸣ ʔu⸢ri⸣ʃi ⸢ʤim⸣maː su̥⸢koːrarin⸣daː] (私の頼母子は、まだ落札してない頼母子だから、それでお金は工面できる<準備することができる>よ) 3988 0 1 3777 htmvoc_3988.wav カキムヌ カ⸢キ⸣ムヌ [kḁ⸢ki⸣munu] 名 {Mn_1}書き物。書類。 ⸣アブジェー カ⸢キ⸣ムヌ ⸢スンティ オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː kḁ⸢ki⸣munu ⸢sunti ʔoː⸣ru] (お祖父さんは書き物をしようとしておられる)。 ヤ⸢ク⸣バーラヌ カ⸢キ⸣ムノー ⸣マナー ⸣シケーワ [ja⸢ku⸣baːranu kḁ⸢ki⸣munoː ⸣manaaː ⸣ʃi̥keːwa] (役場からの書類は何処においてあるか)。 3988 0 2 3778 htmvoc_3988.wav カキムヌ カ⸢キ⸣ムヌ [kḁ⸢ki⸣munu] 名 {Mn_2}絵画。掛け軸。 トゥ⸢ラヌ⸣ カ⸢キ⸣ムノー ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ルイシキ⸣ムヌツォー [tu⸢runu⸣ kḁ⸢ki⸣munoː ⸢jaː⸣nu ka⸢ruiʃi̥ki⸣ munuʦoː] (虎の掛け軸は家に果報を\ruby{齎}{モタラ}す<嘉例をつける>ものだそうだ) 3989 0 0 3779 htmvoc_3989.wav カキムヌ カ⸢キムヌ [kḁ⸢kimunu] 名 陶器の茶碗やお碗などの縁が欠けているもの。一部が欠けた陶磁器の食器類。一揃いのものの一部が欠けたもの。パ⸢タカキムヌ[pḁ⸢takakimunu](縁の欠けたもの)ともいう。 カ⸢キムヌ⸣ナー ⸣ムヌ イ⸢リティ⸣ ッ⸢ふー⸣カー ッ⸢ふァイフー⸣ パ⸢ギ⸣ルンティ⸢ダー [kḁ⸢kimunu⸣naː ⸣munu ʔi⸢riti⸣ f⸢fuː⸣kaː f⸢faiɸuː⸣ pa⸢gi⸣runti⸢daː] (縁の欠けた碗にご飯を入れて食べると、食べる幸運<食い果報>が落ちる<剥げる>そうだよ)。フ⸢チカキムヌ[ɸu̥⸢ʧikakimunu](口辺部分が欠けた陶器の器物)などがある。 カ⸢キムヌ⸣ナー ム⸢ヌ⸣バ イ⸢リティ⸣ プ⸢スンナー⸣ニ ン⸢ザ⸣スカー ブ⸢リー⸣ドゥ ⸣ナルツォー [kḁ⸢kimunu⸣naː mu⸢nu⸣ba ʔi⸢riti⸣ pu̥⸢sunnaː⸣ni ʔn⸢ʣa⸣su̥kaː bu⸢riː⸣du ⸣naruʦoː] (欠けた器に飲食物を入れて出すと失礼<無礼>になるそうだ) 4001 0 0 3780 htmvoc_4001.wav カキムヌ カ⸢キ⸣ムヌ [kḁ⸢ki⸣munu] 名 掛け物。掛け軸。カ⸢キ⸣ジク[kḁ⸢ki⸣ʤiku](掛け軸)ともいう。 ⸢ザートゥク⸣ヌ カ⸢キ⸣ムノー ⸢タール⸣ カ⸢コーッ⸣タカヤー [⸢ʣaːtuku⸣nu kḁ⸢ki⸣munoː ⸢taːru⸣ kḁ⸢koːt⸣takajaː] (床の間の掛け軸は誰が書かれたのかなあ) 3731 0 0 3781 htmvoc_3731.wav カキヤー カ⸢キ⸣ヤー [kḁ⸢ki⸣jaː] 名 イカを引っ掛けて獲る漁具。直径約2ミリの鉄線の両端を研いで、その中央から二つに折り曲げ、それぞれを更に釣り針状に折り曲げて鉤を造る。それらを直径1、2センチ、長さ約1メートルの竹竿の先端に針金で数個巻きつけ、強く縛り付けたもの。これで海面に群れてくるイカを引っ掛けて漁獲した。 カ⸢キ⸣ヤーサーリ イ⸢ガ⸣ ガキ トゥ⸢ローッ⸣タ [kḁ⸢ki⸣jaːsaːri ʔi⸢ga⸣ gaki tu⸢roːt⸣ta] (カキヤーでイカを引っ掛けて漁獲され<獲られ>た) 3919 0 0 3782 htmvoc_3919.wav カキユースン カ⸢キユー⸣スン [kḁ⸢kijuː⸣suŋ] 自動 書くことが出来る。書ける。「書き・得る」が複合して形成された可能動詞。 ム⸢チ⸣キサ ⸢ジー⸣ ヤ⸢ルヌ⸣ カ⸢キユー⸣スンカヤー [mu⸢ʧi⸣kisa ⸢ʤiː⸣ ja⸢runu⸣ kḁ⸢kijuː⸣suŋkajaː] (難しい字だが書けるかな)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ク⸢ヌ ジーヤ⸣ カ⸢キユーサ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː ku⸢nu ʤiːja⸣ kḁ⸢kijuːsa⸣nu] (子供は、この字は書けない) 3990 0 0 3783 htmvoc_3990.wav ガギラー ガ⸢ギラー [ga⸢giraː] 名 発育不全の者。発育不良のもの。痩せ細って成長が止まった動植物。卑語。 ク⸢レー⸣ ガ⸢ギラー⸣ ナリティ ⸢カーサラヌ [ku⸢reː⸣ ga⸢giraː⸣ nariti ⸢kaːsaranu] (これは成長が止まって<発育不良の物になって>売れない)。 ⸢ワー⸣ ヌーンティ ⸣アイニ ⸣ガギラー ⸣ナリ ⸢ベー⸣ワ [⸢waː⸣ nuːnti ⸣ʔaini ⸣gagiraː ⸣nari ⸢beː⸣wa] (君はどうしてあんな惨めなやせっぽになっているのか) 4006 0 0 3784 htmvoc_4006.wav ガギリムヌ ガ⸢ギリムヌ [ga⸢girimunu] 名 発育不全のもの。痩せ衰えたもの。野菜などの成長が止まったもの。 ⸢ナーンパー⸣ヌ ガ⸢ギリムノー⸣ ッ⸢ふァーランバ⸣ シ⸢ティリ⸣ヨー [⸢naːmpaː⸣nu ga⸢girimunoː⸣ f⸢faːramba⸣ ʃi̥⸢tiri⸣joː] (菜っ葉の成長が止まった、ちじれたのは食べられないから捨てなさいよ) 3920 0 1 3785 htmvoc_3920.wav カキルン カ⸢キ⸣ルン [kḁ⸢ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}かける(掛ける)。引っ掛ける。 ⸢キン⸣マー ク⸢ビヌ フン⸣ナー カ⸢キ⸣ルンティ ⸣シケー [⸢kim⸣maː ku⸢binu ɸun⸣naː ⸣kḁ⸢ki⸣runti ⸣ʃi̥keː] (着物は壁の釘に掛けようとしてある<掛けようとおいてある>)。 ⸢クン⸣ナー ヤ⸢ニヤ⸣ヌ カ⸢キララ⸣ヌ [⸢kun⸣naː ja⸢nija⸣nu kḁ⸢kirara⸣nu] (これには、汚くて掛けられない)。 カ⸢キ⸣プサカー カ⸢キ⸣ルンミー⸢ゲ⸣ラ [kḁ⸢ki⸣pu̥sakaː kḁ⸢ki⸣rummiː⸢ge⸣ra] (掛けたいのなら掛けるだろうさ)。 カ⸢キ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (掛けることは出来ない)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢ki⸣reː misamunu] (掛ければよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢キ⸣リ [⸢paː⸣ku kḁ⸢ki⸣ri] (早く掛けろ)。 ⸢キン⸣マー ⸣クナー カ⸢キル⸣ナ [⸢kim⸣maː ⸣kunaː kḁ⸢kiru⸣na] (着物はここに掛けるな)。 3920 0 2 3786 htmvoc_3920.wav カキルン カ⸢キ⸣ルン [kḁ⸢ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}重さを量る。秤で量る。 ピ⸢キ⸣シ カ⸢キラン⸣タンティン ワ⸢カ⸣ルン [pi̥⸢ki⸣ʃi kḁ⸢kiran⸣tantiŋ wa⸢ka⸣ruŋ] (秤で量らなくても分かる)。 3920 0 3 3787 htmvoc_3920.wav カキルン カ⸢キ⸣ルン [kḁ⸢ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_3}水を注ぎかける。 ⸢ナーヌ⸣パーナー ミ⸢ジ⸣ カ⸢キ⸣ルンテイ ⸢ベー [⸢naːnu⸣paːnaː mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ki⸣runti ⸢beː] (野菜<菜っ葉>に水を掛けようとしている)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢キ⸣ルン [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢ki⸣ruŋ] (私も掛ける)。 3920 0 4 3788 htmvoc_3920.wav カキルン カ⸢キ⸣ルン [kḁ⸢ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_4}相手に厄介な事を仕掛けて困らせる。 プ⸢スン ミーワク⸣ カ⸢キ⸣ル ⸣クトー ス⸢ナ⸣ヨー [pu̥⸢sum miːwaku⸣ kḁ⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː su⸢na⸣joː] (他人に迷惑を掛けることはするなよ)。 ミ⸢ジェー マー⸣ビン カ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [mi⸢ʤeː maː⸣biŋ kḁ⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (水はもっと掛ければ<撒けば>よいのに)。 ⸢マー⸣ビン ミ⸢ジ⸣ カ⸢キ⸣リ [⸢maː⸣bim mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ki⸣ri] (もっと水を掛けよ)。 ピ⸢キ⸣シ カ⸢キ⸣リ [pi̥⸢ki⸣ʃi kḁ⸢ki⸣ri] (秤で量れ)。 3920 0 5 3789 htmvoc_3920.wav カキルン カ⸢キ⸣ルン [kḁ⸢ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_5}掛け声をかける。 ⸢ヤングイ⸣ カ⸢キ⸣ルン [⸢jaŋgui⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ] (掛け声<や声>をかける) 4007 0 0 3790 htmvoc_4007.wav カキルン カ⸢キルン [kḁ⸢kiruŋ] 自動 欠ける。一部分が壊れる。一部が損じてなくなる。カ⸢クン[kḁ⸢kuŋ](欠く)ともいう。 イ⸢クサ⸣ユーナーン ⸢キョーダイ⸣サ ⸢タン⸣ガーンツァン カ⸢キランドー⸣シ ⸣ヌチ ⸣ムイケーン [ʔi⸢kusa⸣juːnaːŋ ⸢kjoːdai⸣sa ⸢taŋ⸣gaːnʦaŋ kḁ⸢kirandoː⸣ʃi ⸣nuʧi ⸣muikeːŋ] (戦争の時代<世>にも兄弟たち一人すらも欠けないで生きてきた)。 ⸢タン⸣ガー カ⸢キナー⸣ヌ [⸢taŋ⸣gaː kḁ⸢kinaː⸣nu] (一人は欠けてしまった)。 ⸢ピー⸣タイ トゥ⸢ラ⸣リカー タン⸢ガタンガー⸣ カ⸢キルン⸣ツォー [⸢piː⸣tai tu⸢ra⸣rikaː taŋ⸢gataŋgaː⸣ kḁ⸢kirun⸣ʦoː] (兵隊に取られたら誰か一人は欠けるそうだ)。 プ⸢ス⸣ローンツァン カ⸢キル⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢su⸣roːnʦaŋ kḁ⸢kiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (一人すらも<でも>欠けることは出来ない)。 カ⸢キレー⸣ <カ⸢ケー⸣> ミサムヌ [kḁ⸢kireː⸣ misamunu] (欠ければよいのに)。 カ⸢キリ [kḁ⸢kiri] (欠けろ) 4009 0 0 3791 htmvoc_4009.wav カキルン カ⸢キ⸣ルン [kḁ⸢ki⸣ruŋ] 他動 かける(賭ける)。賭け事をする。 ム⸢ヌ⸣バ カ⸢キ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ マ⸢キティ スンカブ⸣ル ⸢シー ベー [mu⸢nu⸣ba kḁ⸢ki⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ma⸢kiti suŋkabu⸣ru ⸢ʃiː beː] (物を賭けようとしていて、負けて大損している)。 カ⸢キ⸣ル ⸣クトー サ⸢ヌ [kḁ⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː sa⸢nu] (賭けることはしない) 3991 0 0 3792 htmvoc_3991.wav カギルン カ⸢ギルン [ka⸢giruŋ] 自動 欠席する。「欠ける」の義。 ⸢ガッ⸣コーヤ カ⸢ギランドー⸣シ ン⸢ジ⸣リ⸢ダー [⸢gak⸣koːja ka⸢girandoː⸣ʃi ʔn⸢ʤi⸣ri⸢daː] (学校は欠席しないで出なさいよ)。 プ⸢スイ⸣ヤーンツァン カ⸢ギラヌ [pu̥⸢sui⸣jaːnʦaŋ ka⸢giranu] (一日たりとも欠席しない<欠けない>)。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アルカー カ⸢ギ⸣ミサン [ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔarukaː ka⸢gi⸣misaŋ] (熱があるなら欠席してもよい)。 カ⸢ギル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢giru⸣ku̥。toː na⸢ra⸣nu] (欠席することは出来ない)。 ス⸢ブル⸣ヌ ⸣ヤムカー カ⸢ギレー⸣ ミサムヌ [su⸢buru⸣nu ⸣jamukaː ka⸢gireː⸣ misamunu] (頭が痛いのなら欠席すればよいのに)。 アン⸢デー⸣カー ⸢キュー⸣ヤ カ⸢ギリ [ʔan⸢deː⸣kaː ⸢kjuː⸣ja ka⸢giri] (そんなら、今日は欠席しろ<欠けよ>)。カ⸢グン[ka⸢guŋ](欠席する{EOS}欠ける)ともいう。 パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カ⸣リティ ⸢ガッ⸣コー カ⸢ギルン⸣ツォー [pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ⸢gak⸣koː ka⸢girun⸣ʦoː] (風邪をひいて学校欠席するそうだ)。 カ⸢ギラン⸣カー ⸣ミサンドゥ カ⸢ギル⸣ プ⸢ソー⸣ トゥ⸢ドゥ⸣キ ン⸢ザ⸣シ [ka⸢giraŋ⸣kaː ⸣misandu ka⸢giru⸣ pu̥⸢soː⸣ tu⸢du⸣ki ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (欠席しなければ良いが、欠席する人は届けを出しなさい)。 カ⸢ギ⸣ プサカー カ⸢ギ⸣バ [ka⸢gi⸣pu̥sakaː ka⸢gi⸣ba] (欠席したければ欠席しなさいよ) 4195 0 0 3793 htmvoc_4195.wav ガギルン ガ⸢ギルン [ga⸢giruŋ] 自動 痩せ衰える。動物や植物などが発育不良となり、痩せ衰えて縮まる。 ⸣コイ イ⸢ル⸣カー ガ⸢ギラヌ [⸣koi ʔi⸢ru⸣kaː ga⸢giranu] (肥料を入れたら痩せ衰えない)。 パ⸢ギ⸣ジーナー イ⸢ブ⸣カー ガ⸢ギルン [pa⸢gi⸣ʤiːna ʔi⸢bu⸣kaː ga⸢giruŋ] (痩せた土地<痩せ地>に植えたら痩せ衰える)。 ガ⸢ギル ムノー⸣ ム⸢シシキ⸣ムヌ [ga⸢giru munoː⸣ mu⸢ʃiʃi̥ki⸣munu] (痩せ衰えるものは虫食いもの<虫の付いたもの>)。 ガ⸢ギレー⸣ラ フ⸢ドゥバヌ [ga⸢gireː⸣ra ɸu⸢dubanu] (痩せ衰え<萎縮し>たら成長しない)。 ⸣ヤミティル ⸣アイニ ガ⸢ギリ ベー [⸣jamitiru ⸣ʔaini ga⸢giri beː] (病気してあんなに痩せ衰えているんだよ)。 アイ⸢バー⸣ケー ガ⸢ギラヌ [ʔai⸢baː⸣keː ga⸢giranu] (そんなにまでは痩せ衰えない)。 ⸣アイニ ガ⸢ギル⸣カー イ⸢キブイヤー⸣ ン⸢ジラ⸣ヌ [⸣ʔaini ga⸢giru⸣kaː ʔi⸢kibuijaː⸣ ʔn⸢ʤira⸣nu] (あんなに痩せ衰えると生気が戻らない<活力、元気、勢いが出ない>)。 ガ⸢ギレー⸣ラー [ga⸢gireː⸣raː] (痩せ衰えては)。 ⸢ペーレイヌ⸣ シ⸢ジクター ナーンパー⸣ヤ ガ⸢ギリナー⸣ヌ [⸢peːreinu⸣ ʃi⸢ʤikutaː naːmpaː⸣ja ga⸢girinaː⸣nu] (旱魃が続いたので菜っ葉は縮れてしまった)。 ピ⸢ラク⸣マキ シ⸢ティ アウナーヤ⸣ ガ⸢ギリナー⸣ヌ [pi⸢raku⸣maki ʃi̥⸢ti ʔaunaːja⸣ ga⸢girinaː⸣nu] (寒冷負けして青菜は発育不全になってしまった)。 ⸢コイ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ヤ⸢サイ⸣ヤー ガ⸢ギルン⸣ダー [⸢koi⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ja⸢sai⸣jaː ga⸢girun⸣daː] (肥料がないと野菜は発育不全になるなる<成長が止まる>よ)。 ガ⸢ギル⸣カー フ⸢ドゥバヌ [ga⸢giru⸣kaː ɸu⸢dubanu] (発育不全になったら成長しない)。 ガ⸢ギレー⸣ラー ⸢カーサラヌ [ga⸢gireː⸣raː ⸢kaːsaranu] (発育不全になったら売れない)。 ガ⸢ギリ [ga⸢giri] (発育不全になれ) 4011 0 1 3794 htmvoc_4011.wav カギン ⸣カギン [⸣kagiŋ] 名 {Mn_1}加減。\ruby{程度}{ホド|アイ}をほどよくすること。具合をよくすること。 シ⸢グトゥ⸣ナーン ⸢ノーン⸣ナーン ⸣カギンティ ⸢スー ムノー⸣ アン [ʃi⸢gutu⸣naːn ⸢noːn⸣naːŋ ⸣kaginti ⸢suː munoː⸣ ʔaŋ] (仕事にも、何事にも加減というものはある)。 サ⸢ケー⸣ カギン ⸢シェー⸣ティ ヌミ⸢ダー [sḁ⸢keː⸣ kagiŋ ⸢ʃeː⸣ti numi⸢daː] (酒は加減をしながら飲めよ)。 ノー⸢ン サバン⸣ カ⸢ギン⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー シ⸢グトー⸣ ス⸢クジリス [noː⸢n sabaŋ⸣ ka⸢gin⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ʃi⸢gutoː⸣ su̥⸢kuʤirisu] (何をするにしても程度や加減を知らなければ<程合いがなければ>仕事は失敗する<しくじる>)。 4011 0 2 3795 htmvoc_4011.wav カギン ⸣カギン [⸣kagiŋ] 名 {Mn_2}機嫌。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ カギン トゥ⸢リグリ⸣サン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ kagin tu⸢riguri⸣saŋ] (この子は機嫌とりにくい) 4012 0 0 3796 htmvoc_4012.wav カキング カ⸢キン⸣グ [kḁ⸢kiŋ⸣gu] 名 保護。「格護」の義。「Cacugo.カクゴ(覚悟・格護)、擁護.Fitouo cacugo suru.(人を格護する)」『邦訳日葡辞書』からの転訛。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢キン⸣グ [⸢jaː⸣nu kḁ⸢kiŋ⸣gu] (家の格護{EOS}暴風対策)。 イ⸢キムシ⸣ヌ カ⸢キン⸣グ [ʔi⸢kimuʃi⸣nu kḁ⸢kiŋ⸣gu] (家畜の保護)。 ⸢タイフー⸣ヌ フ⸢キ⸣バ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢キン⸣グ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taiɸuː⸣nu ɸu̥⸢ki⸣ba ⸢jaː⸣nu kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (台風が吹くから<ので>家の格護をしないといけない) 3960 0 0 3797 htmvoc_3960.wav カキンザスン カ⸢キンザ⸣スン [kḁ⸢kiʔnʣa⸣suŋ] 他動 掻き出す。カ⸢キザ⸣スン[kḁ⸢kiʣa⸣suŋ](掻き出す)ともいう。 パ⸢クヌ⸣ ナ⸢カヌ⸣ ムノー ムー⸢ル⸣ カ⸢キンザ⸣シ [pḁ⸢kunu⸣ na⸢kanu⸣ munoː muː⸢ru⸣ kḁ⸢kiʔnʣa⸣ʃi] (箱の中のものは全部掻き出せ)。 カ⸢キンザ⸣ス プ⸢スヌ ブー⸣カー ク⸢リン⸣ カ⸢キンザ⸣スン [kḁ⸢kiʔnʣa⸣su pu̥⸢sunu buː⸣kaː ku⸢riŋ⸣ kḁ⸢kiʔnʣa⸣suŋ] (掻き出す人がいたら、これも掻きだす)。 カ⸢キンザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kinʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (掻き出せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢マー⸣ビン カ⸢キンザ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢maː⸣biŋ kḁ⸢kiʔnʣa⸣ʃi] (早く、もっと掻き出せ)。 ユ⸢クンツァメー⸣ヌ フ⸢ク⸣ジ カ⸢キンザ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢キンザサラ⸣ヌ [ju⸢kunʦameː⸣nu ɸu̥⸢ku⸣ʤi kḁ⸢kiʔnʣa⸣sunti ⸢sundu⸣ kḁ⸢kiʔnʣasara⸣nu] (床下のゴミを書き出そうとするが、掻き出されない)。 カ⸢キンザシ⸣ プサカー カ⸢キンザ⸣ス ⸣クトー ナルン⸢ダー [kḁ⸢kiʔnʣaʃi⸣ pu̥sakaː kḁ⸢kiʔnʣa⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (掻き出したければ掻き出すことは出来るよ) 4021 0 0 3798 htmvoc_4021.wav カク カ⸢ク [kḁ⸢ku] 名 船乗り。舟子。水夫。「水手、加古(かこ)『和名抄』」の転訛したもの。フ⸢ナ⸣カク[ɸu⸢na⸣kḁku](船舟子{EOS}船員)ともいう。 フ⸢ナカク⸣ヌ ス⸢ルイバ⸣ル ⸣ザコー トゥ⸢リン⸣マー パ⸢ラ⸣リ [ɸu⸢nakḁku⸣nu su⸢ruiba⸣ru ⸣ʣakoː tu⸢rim⸣maː pa⸢ra⸣ri] (舟子が揃ってはじめて<揃えばぞ>餌捕りには行かれる)。 フ⸢ニ⸣ヌ カ⸢クン アシ⸣キティ ム⸢タシ⸣タ [ɸu⸢ni⸣nu kḁ⸢kuŋ ʔaʃi̥⸣kiti mu⸢taʃi̥⸣ta] (船員(舟子)に預けて送った<持たせた>) 4022 0 0 3799 htmvoc_4022.wav カク カ⸢ク [kḁ⸢ku] 名 四角。 カ⸢クザイ [kḁ⸢kuʣai] (角材)。 カ⸢クギリ [kḁ⸢kugiri] (四角に切ること)。 ⸢ダイ⸣クネー カ⸢クギリ シティ⸣ ン⸢ブ⸣シバ [⸢dai⸣kuneː kḁ⸢kugiri ʃi̥ti⸣ ʔm⸢bu⸣ʃiba] (大根は角切りにして蒸煮しなさいよ) 4023 0 0 3800 htmvoc_4023.wav カク カ⸢ク [kḁ⸢ku] 名 屋敷。囲った所。「囲い」の義。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ク [⸢jaː⸣nu kḁ⸢ku] (屋敷{EOS}「家の囲い」の義)。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナー フ⸢クンキー⸣ イ⸢ビティ⸣ カ⸢ジヌ⸣ カ⸢タ⸣カ ス⸢ク⸣リバ [⸢jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣naː ɸu̥⸢kuŋkiː⸣ ʔi⸢biti⸣ ka⸢ʤinu⸣ kḁ⸢ta⸣ka su̥⸢ku⸣riba] (屋敷内に福木を植えて防風林<台風の防ぎ>を作りなさいよ)。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢キヤシケー タッ⸣テヌ カ⸢ク⸣ヤ [ku⸢nu⸣ ʔa⸢kijaʃi̥keː tat⸣tenu kḁ⸢ku⸣ja] (この空き屋敷はどこの家の屋敷か) 4024 0 0 3801 htmvoc_4024.wav カク カ⸢ク [kḁ⸢ku] 名 不治の病。胃癌。 サ⸢キカク [sḁ⸢kikaku] (胃癌{EOS}アルコール中毒)。 ウ⸢リヌ ヤンマイ⸣ヤー カ⸢ク⸣ ナ⸢リ⸣ブーヨー [ʔu⸢rinu jammai⸣jaː kḁ⸢ku⸣ na⸢ri⸣buːjoː] (その人の病は癌になっているよ)。 ⸣アイニ サ⸢キ⸣ ヌムカー カ⸢ク⸣ ナ⸢リ⸣ス [⸣ʔaini sḁ⸢ki⸣ numukaː ka⸢ku⸣ na⸢ri⸣su] (あのように酒を飲むと<アルコール中毒>になるよ) 4025 0 1 3802 htmvoc_4025.wav カグ カ⸢グ [ka⸢gu] 名 {Mn_1}かご(籠)。竹で作った物入れ。「籠、カゴ」『文明本節用集』の転訛したもの。竹の皮を編んで作った籠。芋や穀類を入れるのに用いた。 カ⸢グ⸣ナ ア⸢ガマミ⸣ イ⸢リ⸣ シケー [ka⸢gu⸣na ʔa⸢gamami⸣ ʔi⸢ri⸣ ʃi̥keː] (籠にあずき<小豆>を入れてある)。 ガ⸢シ⸣タコー カ⸢グ⸣ナ イ⸢リティ⸣ サイ ⸣シケー [ga⸢ʃi⸣takoː ka⸢gu⸣na ʔi⸢riti⸣ sai⸣ ʃi̥keː] (炙って乾燥<焙乾>した蛸は籠に入れて下げて<吊るし>ある)。 4025 0 2 3803 htmvoc_4025.wav カグ カ⸢グ [ka⸢gu] 名 {Mn_2}鳥籠。 カ⸢グ⸣ナ ⸣パトゥザ イ⸢リティ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ベー [ka⸢gu⸣na ⸣pḁtuʣa ʔi⸢riti⸣ sï̥⸢ka⸣nai ⸢beː] (鳥籠に鳩を入れて飼っている)。 4025 0 3 3804 htmvoc_4025.wav カグ カ⸢グ [ka⸢gu] 名 {Mn_3}海に沈めてカツオの生餌を入れておく竹製の大きな籠。生け簀。縦約1メートル、横約2メートル、深さ約1,5メートルの餌籠。 ザ⸢コートゥヤー⸣ヤ カ⸢グナー⸣ル ⸣ザコー ⸣イキ ⸣シケータ [ʣa⸢koːtujaː⸣ja ka⸢gunaː⸣ru ⸣ʣakoː ⸣ʔiki ⸣ʃi̥keːta] (エサ取りは、餌籠にカツオの生餌を生けておいた) 3922 0 0 3805 htmvoc_3922.wav ガクーガクー ガ⸢クーガクー [ga⸢kugakuː] 名 (動)魚の名。和名、キヂヌの仲間(糸満方言で、チンシラー)の大型魚。体長約35センチ。それより小型の魚は、⸣シンイズ[⸣ʃiŋʔiʣu]という 4029 0 0 3806 htmvoc_4029.wav カクーン カ⸢クーン [kḁ⸢kuːŋ] 他動 囲う。囲い込む。 イ⸢ゾー⸣ アンシ カ⸢クーンティ スンドゥ⸣ カ⸢コーランバン [ʔi⸢ʣoː⸣ ʔaŋʃi kḁ⸢kuːnti sundu⸣ kḁ⸢koːrambaŋ] (魚は網で囲うとするが、囲われない)。 ⸣アンシ カ⸢クイ⸣ ミサカー カ⸢クー⸣ クトー ⸣ナルン [⸣ʔaŋʃi kḁ⸢kui⸣ misakaː kḁ⸢kuː⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (網で囲って良ければ囲うことは出来る)。 カ⸢クイヤー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢kuijaː⸣ misamunu] (囲えば良いのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢クイ⸣バ [⸢paː⸣ku kḁ⸢kui⸣ba] (早く囲えよ) 4026 0 0 3807 htmvoc_4026.wav カクイ カ⸢クイ [kḁ⸢kui] 名 囲い。囲ったもの。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢マーロー グス⸣ク シ⸢ミティ⸣ カ⸢クイ シー⸣シケー [⸢jaː⸣nu ⸢maːroː gusu̥⸣ku ʃi⸢miti⸣ kḁ⸢kui ʃiː⸣ ʃi̥keː] (家の回りは石垣を積んで囲いをしてある) 4027 0 0 3808 htmvoc_4027.wav カクイルン カ⸢クイルン [kḁ⸢kuiruŋ] 他動 囲う。囲い込む。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ブン⸣マー カ⸢クイルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ カ⸢クイララヌ [⸢duː⸣nu ⸢bum⸣maː kḁ⸢kuirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du kḁ⸢kuiraranu] (自分の分は囲おうと思うが、囲われない)。 カ⸢クイ⸣ シ⸢キ⸣ルン [kḁ⸢kui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (囲っておく)。 カ⸢クイル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢kuiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (囲うことは出来ない)。 カ⸢クイヤー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢kuijaː⸣ misamunu] (囲えばいいのに)。 カ⸢クイリ [kḁ⸢kuiri] (囲えよ) 4028 0 0 3809 htmvoc_4028.wav カクウチ カ⸢クウチ [kḁ⸢kuʔuʧi] 名 屋敷内。歌謡語では、シ⸢ルウチ[ʃi⸢ruʔuʧi](屋敷内)ともいう。 カ⸢クウチ⸣ナー ヤ⸢ラボー⸣ イ⸢ビルムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [kḁ⸢kuʔuʧi⸣naː ja⸢raboː⸣ ʔi⸢birumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nuti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (屋敷内にテリハボクを植えるものではないと昔の人はいわれた) 4030 0 0 3810 htmvoc_4030.wav ガクガクシ ガ⸢クガク⸣シ [ga⸢kugaku⸣ʃi] 副 がくがくと。酷い寒さで顎がガクガク音を立てるほど震えるさま。 ⸣ドゥク ⸢ピー⸣ヤティ ガ⸢クガク⸣シ ⸢フッツォーリ ベー [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ga⸢kugaku⸣ʃi ⸢ɸutʦoːri beː] (余にも寒いのでがくがくと震えている) 4031 0 0 3811 htmvoc_4031.wav カクガニ カ⸢クガニ [kḁ⸢kugani] 名 鉄の角材。「角鉄」の義。四角い鋼材のこと。古謡の言葉。比喩表現の一つで、鋼材のように強固な建築用材の意。カ⸢クカニバ⸣ パ⸢ラー⸣バ ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー、ウ⸢リユー ミュー⸣ナーキャームイ[kḁ⸢kuganiba⸣ pa⸢raː⸣ba ⸣ʃiː ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː](四角い鋼材を柱にして家を造ってあるという{EOS}それを見なければならない)「アーパーレー歌」『鳩間島古典民謡古謡集』。5寸角の木材で家屋建築することは、限られた裕福な人にしか出来ない、最高の喜びであった。普通は3寸5分四角の角材を使用していたという 4032 0 0 3812 htmvoc_4032.wav カクギリ カ⸢クギリ [kḁ⸢kugiri] 名 角切り。四角に切ること。 ⸢ダイ⸣クネー カ⸢クギリ⸣ シ⸢ティ⸣ ン⸢ブ⸣シバ [⸢dai⸣kuneː kḁ⸢kugiri⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔm⸢bu⸣ʃiba] (大根は角切りにして蒸し煮しなさいよ) 4033 0 0 3813 htmvoc_4033.wav カクグ カ⸢ク⸣グ [kḁku⸣gu] 名 覚悟。決心すること。諦めること。 ヤ⸢ナクトゥ シェー⸣チバ ⸣ニカー ⸢アー⸣ヤン ⸢シシキラリン⸠ダー カ⸢ク⸣グ ⸢シー ベー⸣リ [ja⸢nakutu ʃeː⸣ʧiba ⸣nikaː ⸢ʔaː⸣jaŋ ⸢ʃiʃi̥kirarin⸠daː kḁ⸢ku⸣gu ⸢ʃiː beː⸣ri] (悪い事をしてしまったから、今晩はお父さんに懲らしめ<厳しく躾け>られるぞ{EOS}覚悟していろよ) 4034 0 0 3814 htmvoc_4034.wav カクザイ カ⸢クザイ [kḁ⸢kuʣai] 名 角材。四角に削り出した材木。建築用角材。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢クンキーヤ マンナカーラ⸣ バクカー ⸢ゴッスンカクヌ⸣ カ⸢クザイ⸣ ニフン <フ⸢タムトゥ⸣> トゥ⸢ラ⸣リン [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢kuŋkiːja mannakaːra⸣ bakukaː ⸢gossuŋkakunu⸣ kḁ⸢kuʣai⸣ niɸun <ɸu⸢tamutu⸣> tu⸢ra⸣riŋ] (この福木は真中から縦に切り割ったら、五寸角の建材を二本取ることが出来る<取り出せる>) 4035 0 0 3815 htmvoc_4035.wav カクシグトゥ カ⸢クシ⸣グトゥ [kḁ⸢kuʃi⸣gutu] 名 隠し事。秘事。嘘。 トゥ⸢ジブトゥヌ⸣ ナカナー カ⸢クシ⸣グトー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [tu⸢ʤibutu⸣nu ⸣nakanaː kḁ⸢kuʃi⸣gutoː noː⸢n naː⸣nu] (夫婦の間に隠し事は何もない) 4062 0 0 3816 htmvoc_4062.wav カクシッふァ カ⸢クシ⸣ッふァ [kḁ⸢kusi⸣ffa] 名 私生児。「隠し子」の義。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アブジェー カ⸢クシッふァ⸣ヌ ユ⸢ノンラ⸣ ウ⸢ヤ⸣プス ク⸢ヨー⸣ムンティ ⸢オーッ⸣タツォー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔabuʤeː kḁ⸢kuʃiffa⸣nu ju⸢non⸣ra ʔu⸢ja⸣pu̥su ku⸢joː⸣munti ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (その家のおじいさんの隠し子が与那国から先祖を拝もう<拝む>と来られたそうだ) 4044 0 0 3817 htmvoc_4044.wav カクシフカスン カ⸢クシ⸣ フ⸢カ⸣スン [kḁ⸢kuʃi⸣ ɸu̥⸢ka⸣suŋ] 連 隠し過ぎて放置する。隠し過ぎて隠し場所が分からなくなる。「隠し放下す」の転訛。老年層は、カ⸢ザミフカ⸣スン[ka⸢ʣamiɸu̥ka⸣suŋ](隠し過ぎて隠し場所がわからなくなる)ということが多い。 カ⸢クシ⸣ フ⸢カ⸣シティ ⸣マナール ス⸢ク⸣タユー ッ⸢サヌ [kḁ⸢kuʃi⸣ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ⸣manaːru su̥⸢ku⸣tajuː s⸢sanu] (隠しすぎて、どこに隠したのか分からない<知らない>) 4045 0 0 3818 htmvoc_4045.wav カクシマーシ カ⸢クシマー⸣シ [kḁ⸢kuʃimaː⸣ʃi] 名 ひたすら隠すこと。\ruby{直隠}{ヒタ|カク}しにすること。隠し通すこと。「隠し・回し」の義。 ⸣アイニ カ⸢クシマー⸣シ ⸢サン⸣タンティン ⸣ミサン ⸢ナンクク⸣ル ワ⸢カ⸣ルン [⸣ʔaini kḁ⸢kuʃimaː⸣ʃi ⸢san⸣tantim ⸣misan ⸢naŋkuku⸣ru wa⸢ka⸣ruŋ] (あんなに直隠しにしなくてもいい{EOS}自然に知られるものだ<分かってくるものだ>) 4036 0 0 3819 htmvoc_4036.wav カクシムヌ カ⸢クシ⸣ムヌ [kḁ⸢kuʃi⸣munu] 名 隠し物。秘宝。隠匿物。隠し持っているもの。 ⸢ウン⸣ネーナ ミ⸢ジラ⸣シ カ⸢クシムヌ⸣ヌ <タ⸢カラムヌ⸣ヌ> ⸣アンツォー [⸢ʔun⸣neːna mi⸢ʤira⸣ʃi kḁ⸢kuʃimunu⸣nu ⸣ʔanʦoː] (その家には珍しい隠し物<秘宝>があるそうだ) 4046 0 0 3820 htmvoc_4046.wav カクシユクシ カ⸢ク⸣シユクシ [kḁ⸢ku⸣ʃijukuʃi] 名 嘘。嘘偽り。「隠し・よこし<讒し>」。⸢讒 与己須<よこす>『新撰字鏡』」の義。 カ⸢ク⸣シユクシ ⸢サンドー⸣シ マッ⸢トーバ⸣ アジ ッ⸢サリリ [kḁ⸢ku⸣ʃijukuʃi ⸢sandoː⸣ʃi mat⸢toːba⸣ ʔaʤi s⸢sariri] (嘘偽りを言わないで<しないで>正直に<真直ぐに>申し上げなさい)。 ⸢ティンヌ⸣ ッ⸢サーラ⸣ナー カ⸢ク⸣シユクシェー ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢カン⸣マー ミシゥ⸢カーマシ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢tinnu⸣ s⸢saːra⸣naː kḁ⸢ku⸣ʃijukuʃeː na⸢ra⸣nu ⸢kam⸣maː misi̥⸢kaːmaʃi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (天の下では嘘偽りは出来ないものだ{EOS}神様はちゃんとお見通しでいらっしゃる{EOS}<天網恢恢疎にして漏らさず>だよ) 4047 0 0 3821 htmvoc_4047.wav カクジン カ⸢クジン [kḁ⸢kuʤiŋ] 名 四角いお膳。「角膳」の義。単に⸢ジン[⸢ʤiŋ](お膳)ともいう。一辺が約35センチの正方形の板に深さ約2センチの縁を付けた物。⸢カイシキ⸣ジン[⸢kaiʃiki⸣ʤiŋ](会席膳{EOS}祝儀や法事の際に来客に出すご馳走のお膳)、タ⸢カ⸣ジン[tḁ⸢ka⸣ʤiŋ](高膳{EOS}高さ約20センチの脚を付けたお膳{EOS}家長や祖父などの日常の食事を出すのに用いたり、祝儀の主賓や神前にご馳走を供えるのに用いた)等がある 4048 0 0 3822 htmvoc_4048.wav カクスン カ⸢ク⸣スン [kḁ⸢ku⸣suŋ] 他動 隠す。秘する。人目に触れないように物陰に入れる。 ク⸢シ⸣ナー ⸢ヌー⸣バ カ⸢ク⸣シ ⸢ベー⸣ワ [ku̥⸢ʃi⸣naː ⸢nuː⸣ba kḁ⸢ku⸣ʃi ⸢beː⸣wa] (後ろに<背に>何を隠しているのか)。 ノー⸢ン⸣ カ⸢クサ⸣ヌ [noː⸢ŋ⸣ kḁ⸢kusa⸣nu] (何も隠さない)。 ⸢ワー⸣ カ⸢ク⸣スカー ⸢バン⸣ヌン カ⸢ク⸣スン [⸢waː⸣ kḁ⸢ku⸣sukaː ⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢ku⸣suŋ] (君が隠したら私も隠す)。 カ⸢ク⸣ス ⸣ムノー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [kḁ⸢ku⸣su ⸣munoː noː⸢n naː⸣nu] (隠すものは何もない)。 ン⸢メーマー⸣ カ⸢ク⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ kḁ⸢ku⸣ʃeː ⸣misamunu] (少しは隠せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢ク⸣シ [⸢paː⸣ku kḁ⸢ku⸣ʃi] (早く隠せ) 4037 0 0 3823 htmvoc_4037.wav カクチ カ⸢ク⸣チ [kḁ⸢ku⸣ʧi] 名 あご(顎)。 ⸢オーカクチ [⸢ʔoːkakuʧi] (上顎)。ッ⸢サカクチ[s⸢sakakuʧi](下顎)がある。 カ⸢クチ⸣ヌ ⸢パンチルン⸣ケン ウ⸢リンマー⸣ バ⸢ラーサ リミッ⸣タン [kḁ⸢kuʧi⸣nu ⸢panʧiruŋ⸣keŋ ʔu⸢rimmaː⸣ ba⸢raːsari mit⸣taŋ] (顎が外れるほど彼<あれ>には笑わされた<笑わされてみた>よ) 4038 0 0 3824 htmvoc_4038.wav カクチアースン カ⸢ク⸣チ ⸢アースン [kḁ⸢ku⸣ʧi ⸢ʔaːsuŋ] 連 顎を外す。顎を殴り砕く。多弁な者の顎を殴って懲らしめる(罰する)。悪口をいう者の顎を殴って話せなくする。 ⸢ウンザー⸣ フ⸢チヌ ワッサ⸣ヌ カ⸢ク⸣チ ⸢アーシ⸣ トゥ⸢ラ⸣シ [⸢ʔunʣaː⸣ ɸu̥⸢ʧinu wassa⸣nu kḁ⸢ku⸣ʧi ⸢ʔaːʃi⸣ tu⸢ra⸣ʃi] (あいつは口が悪い{EOS}顎を殴って、顎を外してものが言えないように懲らしめ<罰して>てやれ) 4039 0 0 3825 htmvoc_4039.wav カクチコールンケン カ⸢ク⸣チ ⸢コー⸣ルンケン [kḁ⸢ku⸣ʧi ⸢koː⸣ruŋkeŋ] 連 のべつ幕無しに喋り捲くる。「顎・こわる<強る>まで」(顎がこわばるほど)の義。 カ⸢クチ⸣ヌ ⸢コー⸣ルンケン ⸣ムニ ユミ⸢ミッ⸣タン [kḁ⸢kuʧi⸣nu ⸢koː⸣ruŋkem ⸣muni jumi⸢mit⸣taŋ] (顎が硬くなるまで、のべつ幕無しに喋ってみた) 4041 0 0 3826 htmvoc_4041.wav カクチコッパルン カ⸢ク⸣チ ⸢コッ⸣パルン [kḁ⸢ku⸣ʧi ⸢kop⸣paruŋ] 連 顎が強張る。顎が硬直する。 ハ⸢チョーフー⸣ カ⸢カ⸣ルカー カ⸢ク⸣チ ⸢コッ⸣パルンティ⸢ダー [ha⸢ʧoːɸuː⸣ kḁ⸢ka⸣rukaː kḁ⸢ku⸣ʧi ⸢kop⸣parunti⸢daː] (破傷風にかかったら顎が硬直するそうだよ) 4040 0 0 3827 htmvoc_4040.wav カクチヌヤゴームンケン カ⸢クチ⸣ヌ ヤ⸢ゴームン⸣ケン [kḁ⸢kuʧi⸣nu ja⸢goːmuŋ⸣keŋ] 連 顎が歪むほど。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ピー⸣タイナテー カ⸢クチ⸣ヌ ヤ⸢ゴームン⸣ケン ⸣シラ ウ⸢タリ⸣タンティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢piː⸣tainaːteː kḁ⸢kuʧi⸣nu ja⸢goːmuŋ⸣keŋ ⸣ʃira ʔu⸢tari⸣tanti⸢daː] (昔は、兵隊では顎が歪むほどびんたを食わされたそうだよ) 4042 0 0 3828 htmvoc_4042.wav カクチバルン カ⸢ク⸣チ バ⸢ルン [kḁ⸢ku⸣ʧi ba⸢ruŋ] 連 びんたを張る。顎を殴打する。「顎を割る」の義。 ⸣ドゥクナリ ⸢ブー⸣カー カ⸢ク⸣チ バ⸢リトゥラ⸣スン⸢ダー [⸣dakunari ⸢buː⸣kaː kḁ⸢ku⸣ʧi ba⸢ritura⸣sun⸢daː] (図に乗って、つけあがってひどい悪さをしているとぶん殴る<顎を割ってやる>ぞ) 4043 0 0 3829 htmvoc_4043.wav カクチフイッカースン カ⸢ク⸣チ ⸢フイッカー⸣スン [kḁ⸢ku⸣ʧi ⸢ɸuikkaː⸣suŋ] 連 顎が強張ってガクガクする。凍りつくような寒さで顎がガクガクする。⸢フイッカー⸣スンは、「喰い・合い・する」の義。 ク⸢ヌ⸣ ピ⸢ラ⸣クナー ク⸢バ⸣リティル カ⸢ク⸣チ ⸢フイッカー⸣シ ⸢ベー⸣ツォー [ku⸢nu⸣ pi⸢ra⸣kunaː ku⸢ba⸣ritiru kḁ⸢ku⸣ʧi ⸢fuikkaː⸣ʃi ⸢beː⸣ʦoː] (この寒波で凍えて顎ががくがくして<震えて>いるそうだ) 4049 0 0 3830 htmvoc_4049.wav カクッツァー カ⸢クッ⸣ツァー [kḁ⸢kut⸣ʦaː] 名 \ruby{顎}{アゴ}が尖っている人の卑称。\ruby{鰓}{エラ}が張った人の卑称。 シ⸢ラカタ⸣チェー カ⸢クッ⸣ツァー ⸣ナリティ イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢クラー⸣ン [ʃi⸢rakata⸣ʧeː kḁ⸢kut⸣ʦaː ⸣nariti ʔik⸢kena⸣ na⸢kuraː⸣ŋ] (顔貌は、顎がとがっていて非常に怖い) 4050 0 0 3831 htmvoc_4050.wav カクトゥール カ⸢クトゥール [kḁ⸢kutuːru] 名 四角いランプ。金属の枠にガラス板を嵌めて持ち運び出来るように作られたランプ。「角灯籠」の義。 ⸢ユー⸣ロー カ⸢クトゥールバ⸣ シキ ⸣ムテーティル プ⸢スン⸣ヤーン シゥ⸢カーリ パッ⸣タ⸢ダー [⸢juː⸣roː kḁ⸢kutuːruba⸣ ʃi̥ki ⸣muteːtiru pu̥⸢suɲ⸣jaːm si̥⸢kaːri pat⸣ta⸢daː] (夜は角ランプに火を灯して<火を点けて>余所の家にお使いに<使われて>行ったものだよ) 4051 0 0 3832 htmvoc_4051.wav カクバラー カ⸢クバラー [kḁ⸢kubaraː] 名 角材。四角い柱。 ヌ⸢キヤーヌ⸣ パラー ナ⸢カ⸣バラーン ⸣ムヤーバラーン ムー⸢ル⸣ カ⸢クバラーシ⸣ル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [nu⸢kijaːnu⸣ paraː na⸢ka⸣baraːm ⸣mujaːbaraːm muː⸢ru⸣ kḁ⸢kubaraːʃi⸣ru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (貫き屋の柱は中柱も母屋柱もすべて角材<角柱>で作られている) 4052 0 0 3833 htmvoc_4052.wav カクビチ カ⸢クビチ [kḁ⸢kubiʧi] 名 特別。格別。標準語「格別」の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ カ⸢クビチヌ⸣ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンナー⸣ネー ⸣ムネー イ⸢ザラヌ [ʔu⸢reː⸣ kḁ⸢kubiʧinu⸣ pu̥⸢su⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinnaː⸣neː ⸣muneː ʔi⸢ʣaranu] (その人は、特別の人だから、その人には文句はつけられない<ものは言えない>) 4054 0 0 3834 htmvoc_4054.wav カクフクビ カ⸢クフクビ [kḁ⸢kuɸukubi] 名 角帯。ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)が神前に出る際に着用する正装の帯。 ティ⸢ジリビー⸣ヤ ⸣ウガン ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー カ⸢クフクベー シーティル オーッ⸣タ [ti⸢ʤiribiː⸣ja ⸣ʔugaŋ ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː kḁ⸢kuɸu̥ku⸣beː ʃiːtiru ʔoːt⸣ta] (男性神職者は御嶽<お願>へ行かれる時は角帯を締めて行かれた) 4055 0 0 3835 htmvoc_4055.wav ガクブリ ガ⸢クブリ [ga⸢kuburi] 名 学問をして、気が狂った者。「学惚れ」の義。 ⸣ドゥク ⸢ビンキョーヌ スー⸣ワティル ガ⸢クブリ ソー⸣リ ⸢ナーン⸣センツォー [⸣duku ⸢biŋkjoːnu suː⸣watiru ga⸢kuburi soː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃenʦoː] (あまりにも勉強が過ぎて気が狂って<学惚れして>しまわれたそうだ) 4056 0 0 3836 htmvoc_4056.wav カクマースン カ⸢クマースン [kḁ⸢kumaːsuŋ] 他動 囲いこむ。囲われる。抱き抱え込む。「囲いまわす」の義。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スン⸣ カ⸢クマーサリティ ウーカラン⸣シェン [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢suŋ⸣ kḁ⸢kumaːsariti ʔuːkaraŋ⸣ʃeŋ] (あれだけの人に囲いこまれて身動き出来なかった)。 ⸣アンシ カ⸢クマーシティ ピンガス⸣ナ [⸣ʔaŋʃi kḁ⸢kumaːʃiti piŋgasu⸣na] (網で囲い込んで逃がすな)。 カ⸢クマースンティ⸣ ウムーカ カ⸢クマーシェー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢kumaːsunti⸣ ʔumuːkaː kḁ⸢kumaːʃeː⸣ misamunu] (囲いこもう<囲いこむ>と思うなら囲いこめばよいのに)。 カ⸢クマース⸣ プ⸢ソー⸣ カ⸢クマーシ [kḁ⸢kumaːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ kḁ⸢kumaːʃi] (囲いこむ人は囲いこめ) 4058 0 0 3837 htmvoc_4058.wav カクムン カ⸢クムン [kḁ⸢kumuŋ] 他動 囲む。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢マール グス⸣クシ カ⸢クマーサリ ベー [⸢jaː⸣nu ⸢maːru gusu⸣kuʃi kḁ⸢kumaːsari beː] (家の回りは石垣で囲まれている)。 カ⸢クミヤッ⸣サン [kḁ⸢kumijas⸣saŋ] (囲みやすい)。 ムー⸢ル⸣シ ⸣ヤー カ⸢クムン [muː⸢ru⸣ʃi ⸣jaː kḁ⸢kumuŋ] (皆で家を囲む)。 カ⸢クム⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢kumu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (囲むことは出来ない)。 カ⸢クメー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢kumeː⸣ misamunu] (囲めばよいのに)。 ク⸢リ⸣シ カ⸢クミ⸣バ [ku⸢ri⸣ʃi kḁ⸢kumi⸣ba] (これで囲めよ) 4057 0 0 3838 htmvoc_4057.wav ガクムン ガ⸢ク⸣ムン [ga⸢ku⸣muŋ] 名 学問。勉強すること。学芸を修めること。 ッ⸢ふァ⸣マーンケンマー ヤー⸢ディン⸣ ガ⸢ク⸣ムン シ⸢ミリ⸣ヨー [f⸢fa⸣maːŋkemmaː jaː⸢diŋ⸣ ga⸢ku⸣muŋ ʃi⸢miri⸣joː] (子孫には必ず学問をさせなさいよ) 4059 0 0 3839 htmvoc_4059.wav カクラーキ カ⸢クラー⸣キ [kḁ⸢kuraː⸣ki] 名 胸焼け。 ⸢ピントゥルピン ウンヌイー⸣トゥ イ⸢ガカラス⸣ カー⸢ニ⸣ カティ ッ⸢ふーユンダ⸣ カ⸢クラー⸣キ ⸢シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pinturupiŋ ʔunnuʔiː⸣tu ʔi⸢gakarasu⸣ kaː⸢ni⸣ kḁti f⸢fuːjunda⸣ kḁ⸢kuraː⸣ki ⸢ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (毎日芋のおにぎりと烏賊の塩辛だけを添えて食べるので胸焼けして堪らない) 4060 0 0 3840 htmvoc_4060.wav カクラン ⸣カクラン [⸣kḁkuraŋ] 名 激しい下痢、嘔吐を伴う病気。「霍乱」の義。⸢ベー⸣カー[⸢beː⸣kaː](下痢、嘔吐)ともいう。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸣カクランティ ⸢スー ヤンマイ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣リティ シ⸢ヌ プスン⸣ ブ⸢タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸣kḁkuranti ⸢suː jammai⸣nu pa⸢jaː⸣riti ʃi⸢nu pu̥sum⸣ bu⸢taŋ] (終戦後<戦世の後>に霍乱という病気が流行って死ぬ人もいた) 4061 0 0 3841 htmvoc_4061.wav カクリトゥジ カ⸢クリ⸣トゥジ [kḁ⸢kuri⸣tuʤi] 名 内縁の妻。「隠れ刀自」の義。「已麻勢波々刀自分(~いませ母刀自~)『万葉集 4342』」の義か。 ⸣アイブ プ⸢ス⸣ナーン カ⸢クリトゥジ⸣ヌ ⸢オー⸣ルンティ⸢ダー⸣ ミ⸢ジラ⸣サ [⸣ʔaibu pu̥⸢su⸣naːŋ kḁ⸢kurituʤi⸣nu ⸢ʔoː⸣runti⸢daː⸣ mi⸢ʤira⸣sa] (あんな人にも内縁の妻がおられるそうだよ{EOS}不思議なこと<珍しいこと>だ) 4063 0 0 3842 htmvoc_4063.wav カクリブトゥ カ⸢クリ⸣ブトゥ [kḁ⸢kuri⸣butu] 名 間男。密夫。「隠れ夫」の義。 ミ⸢ドゥムダ⸣ティヤー ヤ⸢ルヌ⸣ マ⸢ルケーティ⸣ナー ⸢ウン⸣ネナー ビ⸢キドゥムヌ オール⸣ヌ カ⸢クリ⸣ブトゥ ヤ⸢リン⸣ギサールバン [mi⸢dumuda⸣tijaː ja⸢runu⸣ ma⸢rukeːti⸣naː ⸢ʔun⸣nenaː bi⸢kidumunu ʔoːru⸣nu kḁ⸢kuri⸣butu ja⸢riŋ⸣gisaːrubaŋ] (女所帯の家であるが、偶にその家に男の人が居られるが、どうも間男であるらしいなあ) 4064 0 0 3843 htmvoc_4064.wav カクリルン カ⸢クリ⸣ルン [kḁ⸢kuri⸣ruŋ] 自動 隠れる。 ウ⸢レー⸣ プ⸢スヌ⸣ クーカー カ⸢クリ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ カ⸢クリラン⸣バン [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢sunu⸣ kuːkaː kḁ⸢kuri⸣runti su̥⸢kutanu⸣ kḁ⸢kuriram⸣baŋ] (あれ<彼>は他人が来ると隠れると聞いたが、隠れないよ)。 カ⸢クリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢kuri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (隠れることはない)。 カ⸢クリ⸣レー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢kuri⸣reː ⸣misamunu] (隠れたら良いのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢クリ⸣リ [⸢paː⸣ku kḁ⸢kuri⸣ri] (早く隠れろ) 4065 0 0 3844 htmvoc_4065.wav カクルン カ⸢ク⸣ルン [kḁ⸢ku⸣ruŋ] 自動 隠れる。「かくる<下二段活用>」の四段活用化したもの。「都久波夜麻 可久礼奴保刀に<筑波山隠れぬほどに>『万葉集 3389』」の転訛。 ⸣シケー ク⸢ム⸣ヌ ⸣ナカー カ⸢ク⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃi̥keː ku⸢mu⸣nu ⸣nakaː kḁ⸢ku⸣ri ⸢naː⸣nu] (月は雲間<雲の中>へ隠れてしまった)。 マ⸢ダ⸣ カ⸢クラ⸣ヌ [ma⸢da⸣ kḁ⸢kura⸣nu] (まだ隠れない)。 カ⸢ク⸣ル プ⸢ソー⸣ カ⸢ク⸣ルン [kḁ⸢ku⸣ru pu̥⸢soː⸣ kḁ⸢kua⸣ruŋ] (隠れる人は隠れる)。 ⸢パー⸣ク カ⸢ク⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku kḁ⸢ku⸣reː ⸣misamunu] (早く隠れればよいのに)。 ⸢ワー⸣ シ⸢ダキ⸣ カ⸢ク⸣リ [⸢waː⸣ ʃi⸢daki⸣ kḁ⸢ku⸣ri] (君は先に隠れろ) 4013 0 1 3845 htmvoc_4013.wav カクン ⸣カクン [⸣kḁkuŋ] 他動 {Mn_1}掛ける。「かく<下二段活用>。真杭には真玉を掛け『古事記 (下)』」、「許之伎爾波久毛能須可伎て(甑には蜘蛛の巣かきて)『万葉集 892』」の四段活用化したものか。カ⸢キ⸣ルン[kḁ⸢ki⸣ruŋ](掛ける)と同じ。 ⸢キン⸣マー ⸢クン⸣ナー ⸣カキミサンカヤー [⸢kim⸣maː ⸢kun⸣naː ⸣kḁkimisaŋkajaː] (着物は、これに掛けてよいのかねえ)。 ⸣ウナー カ⸢キ⸣プサンドゥ タ⸢カー⸣ヌ カ⸢カラ⸣ヌ <カ⸢キキラ⸣ヌ> [⸣ʔunaː kḁ⸢ki⸣pu̥sandu tḁ⸢kaː⸣nu kḁ⸢kara⸣nu ] (そこに掛けたいが、高くて掛けられない)。 ⸢ワー⸣ カクカー ⸢バン⸣ヌン ⸣カクン [⸢waː⸣ kḁkukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣kḁkuŋ] (君が掛けたら私も掛ける)。 ⸣クナー ⸢キン⸣バ ⸣カク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンダ ワーンツァン⸣ カケー ⸣ミサムヌ [⸣kunaː ⸢kim⸣ba ⸣kḁku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnda waːnʦaŋ⸣ kḁkeː ⸣misamunu] (ここに着物を掛ける人はいないから、君だけでも<すらも>掛ければよいのに)。 ター⸢ンヤラバン パー⸣ク ⸣カキバ [taː⸢ɲ jarabam paː⸣ku ⸣kḁkiba] (誰でもいい、早く掛けよ)。 ⸢キン⸣マー ⸣クナー カ⸢ク⸣ナ [⸢kim⸣maː ⸣kunaː kḁ⸢ku⸣na] (着物はここに掛けるな)。 カ⸢カ⸣ヌ [kḁ⸢ka⸣nu] (掛けない)。 ⸣カキ ⸣シキ [⸣kḁki ⸣ʃi̥ki] (掛けておけ)。 ⸢バン⸣ヌン ⸣カクン [⸢ban⸣nuŋ ⸣kḁkuŋ] (私も掛ける)。 ⸣クナー ⸣カク ⸣クトゥ [⸣kunaː ⸣kḁku ⸣ku̥tu] (ここに掛けること)。 ⸣カケー ⸣ミサムヌ [⸣kḁkeː ⸣misamunu] (掛ければよいのに)。 ⸢クン⸣ナー ⸣カキ [⸢kun⸣naː ⸣kḁki] (これに掛けよ)。 4013 0 2 3846 htmvoc_4013.wav カクン ⸣カクン [⸣kḁkuŋ] 他動 {Mn_2}秤で量る。 ピ⸢キ⸣シ ⸣カキティ ⸢カーシ⸣バ [pi̥⸢ki⸣ʃi ⸣kḁkiti ⸢kaːʃi⸣ba] (秤で量って売りなさいよ)。 4013 0 3 3847 htmvoc_4013.wav カクン ⸣カクン [⸣kḁkuŋ] 他動 {Mn_3}水を掛ける<注ぐ>。 ⸣ヤサイナ ミ⸢ジ⸣ カクン [⸣jasaina mi⸢ʤi⸣ kḁkuŋ] (野菜に水をかける<注ぐ>)。 4013 0 4 3848 htmvoc_4013.wav カクン ⸣カクン [⸣kḁkuŋ] 他動 {Mn_4}迷惑を掛ける。 プ⸢スン ミーワク⸣ カクンダ ⸢ワー パン⸣ナ [pu̥⸢sum miːwaku⸣ kḁkunda ⸢waː pan⸣na] (他人に迷惑をかけるから、君は行くな) 4066 0 1 3849 htmvoc_4066.wav カクン ⸣カクン [⸣kḁkuŋ] 他動 {Mn_1}書く。 ⸢クン⸣ナー ⸣ドゥーシ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ナー⸣ カクン [⸢kun⸣naː ⸣duːʃi ⸢duː⸣nu ⸢naː⸣ kḁkuŋ] (これに自分で自分の名前を書く)。 アー⸢イ⸣ ドゥーシェー カ⸢カ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ duːʃeː kḁ⸢ka⸣nu] (いや、自分では書かない)。 ⸣バー ⸢ナー⸣ カキ ッ⸢ふィーリ [⸣baː ⸢naː⸣ kḁki f⸢fiːri] (私の名前を書いてくれ)。 ⸣カク ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kḁku ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (書くものはない)。 ⸢ワンヌン⸣ カケー ⸣ミサムヌ [⸢wannuŋ⸣ kḁkeː ⸣misamunu] (君も書けばよいのに)。 ⸢ダンダン⸣シ ⸣カキ [⸢dandaŋ⸣ʃi ⸣kḁki] (さっさと書け)。 カ⸢キスイ⸣ルン [kḁ⸢kisui⸣ruŋ] (書き添える)。 カ⸢キウタ⸣スン [kḁ⸢kiʔuta⸣suŋ] (書き落とす)。 4066 0 2 3850 htmvoc_4066.wav カクン ⸣カクン [⸣kḁkuŋ] 他動 {Mn_2}描く。 ⸢イーカタ⸣ カ⸢キゾー⸣ジ [⸢ʔiːkata⸣ kḁ⸢kiʣoː⸣ʤi] (絵<絵形>を描くのが上手だ<描き上手だ>) 4068 0 0 3851 htmvoc_4068.wav カクン ⸣カクン [⸣kḁkuŋ] 他動 掛ける。架ける。作る。築く。 パ⸢シ⸣ カクン [pḁ⸢ʃi⸣ kḁkuŋ] (橋を架ける)。 カ⸢マチヌ ウイ⸣ナー タ⸢ナ⸣ カキティ タ⸢ム⸣ヌ シ⸢ミ⸣ シキ [ka⸢maʧinu ʔui⸣naː ta⸢na⸣ kḁkiti ta⸢mu⸣nu ʃi⸢mi⸣ʃi̥ki] (竈の上に棚を作って<架けて>、薪を積んで置け)。 ⸣クナー パ⸢シェー⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [⸣kunaː pḁ⸢ʃeː⸣ kḁ⸢kara⸣nu] (ここには橋は架けられない)。 ⸣クナー タ⸢ナ⸣ カクンツオー [⸣kunaː ta⸢na⸣ kḁkunʦoː] (ここに棚を作る<掛ける>そうだ)。 ⸣クナーティ パ⸢シ⸣ カク ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaːti pḁ⸢ʃi⸣ kḁku ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここに橋を架けることは出来ない)。 パ⸢シ⸣ カケー ⸣ミサムヌ [pḁ⸢ʃi⸣ kḁkeː misamunu] (橋を架ければよいのに)。 パ⸢シ⸣ カキバ [pḁ⸢ʃi⸣ kḁkiba] (橋を架けろよ) 4251 0 0 3852 htmvoc_4251.wav カクン ⸣カクン [⸣kakuŋ] 他動 掻く。手や貝など、その他の道具で砂を掻き寄せる。 パ⸢モー⸣ル ⸣カクン [pa⸢moː⸣ru ⸣kḁkuŋ] (渚の砂を<手で>掻いて蛤を拾う<ハマグリを掻く>)。 パ⸢モー⸣ル カ⸢カ⸣ヌ [pa⸢moː⸣ru kḁ⸢ka⸣nu] (蛤を掻かない)。 ⸣カキン ⸣パル [⸣kḁkim ⸣paru] (掻きに行く)。 ⸣カク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣kḁku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (掻く人はいない)。 ⸣カケー ⸣ミサムヌ [⸣kḁkeː ⸣misamunu] (掻けばよいのに)。 パ⸢モー⸣ル ⸣カキバ [pa⸢moː⸣ru ⸣kḁkiba] (砂を掻いて蛤を拾え<蛤を掻け>よ) 4016 0 0 3853 htmvoc_4016.wav カグン カ⸢グン [ka⸢guŋ] 自動 欠席する。欠ける。休む。「欠く<自動・下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ガッ⸣コー カ⸢ガンドー⸣シ パリ⸢ダー [⸢kjuː⸣ja ⸢gak⸣koː ka⸢gandoː⸣ʃi pari⸢daː] (今日は、学校は欠席しないで<欠げないで>行きなさいよ<行けよ>)。カ⸢グンドー⸣シ[ka⸢gundoː⸣ʃi](欠席しないで<欠けないで>)老年層。 カ⸢ジヌ⸣ フクカー カ⸢ギ⸣ミサン [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ka⸢gi⸣misaŋ] (台風が吹いたら欠席してもよい)。 ⸢ワー⸣ カ⸢グ⸣カー ⸢バン⸣ヌン カ⸢グン [⸢waː⸣ ka⸢gu⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ka⸢guŋ] (君が欠席したら私も欠席する)。 カ⸢グ⸣ ピンマー トゥ⸢ドゥキ⸣リ [ka⸢gu⸣ pimmaː tu⸢duki⸣ri] (欠席するときは届けなさい)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢ゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ka⸢geː⸣ misamunu] (もっと欠席すればよいのに)。 ⸢キュー⸣ヤ カ⸢ギ⸣バ [⸢kjuː⸣ja ka⸢gi⸣ba] (今日は欠席しろよ) 3924 0 0 3854 htmvoc_3924.wav ガクン ⸣ガクン [⸣gakuŋ] 他動 引っ掛ける。掛ける。引っ掛けて取る。 ⸢カー⸣ナ シ⸢ル⸣ ウ⸢タ⸣シティ ウ⸢リ⸣ ガクンティ ⸢ベー [⸢kaː⸣na ʃi⸢ru⸣ ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ʔu⸢ri⸣ gakunti ⸢beː] (井戸に釣瓶を落としてしまって、それを引っ掛けて取ろうとしている)。 ガ⸢カラ⸣ヌ [ga⸢kara⸣nu] (引っ掛けられない)。 ⸣ウティ ⸢ベー⸣ シ⸢ロー⸣ ガキ ⸣トゥリバ [⸣ʔuti ⸢beː⸣ ʃi⸢roː⸣ gaki ⸣turiba] (落ちている鶴瓶は引っ掛けて取りなさいよ)。 ⸣ガク ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣gaku ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (引っ掛けることは出来ない)。 ⸣ガケー ⸣ミサムヌ [⸣gakeː misamunu] (引っ掛ければよいのに)。 ⸢ナー⸣リ パ⸢ラン⸣ケン ⸣ガキバ [⸢naː⸣ri pa⸢raŋ⸣keŋ ⸣gakiba] (流れ去らぬ内に引っ掛けよ)。 ガ⸢キ⸣ザーシ ⸣ガキティ ⸢トー⸣リバ [ga⸢ki⸣ʣaːʃi ⸣gakiti ⸢toː⸣riba] (熊手で引っ掛けて手繰り寄せなさい)。 ガ⸢キ⸣ザーシ ⸣ガクンティ ⸢スーンドゥ⸣ ガ⸢カラン⸣バン [ga⸢ki⸣ʣaːʃi ⸣gakunti ⸢suːndu⸣ ga⸢karam⸣baŋ] (熊手で引っ掛けよう<引っ掛ける>とするが、引っ掛けられない)。 ⸣ガク ⸣クトー ガケー⸢スーヌ⸣ トゥ⸢ラリ⸣ル サ⸢ラヌ [⸣gaku ⸣ku̥toː gakeː⸢sunu⸣ tu⸢rari⸣ru sa⸢ranu] (引っ掛けることは引っ掛けるが取られない<取られぞされぬ>{EOS}取ることが出来ない)。 ⸢パー⸣ク ⸣ガキバ [⸢paː⸣ku ⸣gakiba] (早く引っ掛けろよ) 4070 0 1 3855 htmvoc_4070.wav カケーシムケーシ カ⸢ケー⸣シムケーシ [kḁ⸢keː⸣ʃimukeːʃi] 副 {Mn_1}かき回して混ぜあわせるさま。ごちゃ混ぜにするさま。いろいろなことが混雑したさま。 4070 0 2 3856 htmvoc_4070.wav カケーシムケーシ カ⸢ケー⸣シムケーシ [kḁ⸢keː⸣ʃimukeːʃi] 副 {Mn_2}同じようなことを何度も繰り返し言うさま。ABCDEFCD型の重言。カ⸢ケー⸣シ[kḁ⸢keː⸣ʃi]<混ぜる>の意味を強めた表現。 カ⸢ケー⸣シムケーシ ⸢ヌーバ⸣ル イ⸢リ⸣シケーワ [kḁ⸢keː⸣ʃi ⸣mukeːʃi ⸢nuːba⸣ru ʔi⸢ri⸣ʃikeːwa] (ごちゃごちゃと混ぜ合わせて何を入れてあるのか)。 ⸢ビー⸣プソー ユ⸢ヌムニ⸣バ カ⸢ケー⸣シムケーシ ア⸢ズユンダ⸣ ナ⸢ラン⸠ツォー [⸢biː⸣pu̥soː ju⸢nununi⸣ba ka⸢keː⸣ʃimukeːʃi ʔa⸢ʣujunda⸣ na⸢ran⸠ʦoː] (酔っ払いは同じようなことを繰り返し言うから困るのだ<\ruby{堪}{タマ}らない>) 4004 0 0 3857 htmvoc_4004.wav カケースン カ⸢ケー⸣スン [kḁ⸢keː⸣suŋ] 他動 かき混ぜる。「掻き・合わす」の義。 ユ⸢ナ⸣クナー ッ⸢ふ⸣サタ キ⸢ジ イリティ⸣ カ⸢ケーシバ⸣ル ン⸢マー⸠ダー [ju⸢na⸣kunaː f⸢fu⸣sata ki⸢ʤi ʔiriti⸣ kḁ⸢keːʃiba⸣ru ʔm⸢maː⸠daː] (はったい粉<麦焦がし>には黒糖を削って入れてかき混ぜたほうが<混ぜればぞ>美味しいのだよ)。 カ⸢ケーサ⸣ヌ [kḁ⸢keːsa⸣nu] (かき混ぜない)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢ケー⸣スン [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢keː⸣suŋ] (私も掻き混ぜる)。 カ⸢ケーシ⸣プサカー カ⸢ケー⸣シバ [kḁ⸢keːʃi⸣pu̥sakaː kḁ⸢keː⸣ʃiba] (掻き混ぜたければ掻き混ぜろよ)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢ケー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢keː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと掻き混ぜればよいのに)。 ピ⸢ルザキ⸣ナー ナ⸢マコー⸣マ イ⸢リティ⸣ カ⸢ケー⸣シティ ⸣ヌムカー パシッ⸢トゥ スン [pi⸢ruʣaki⸣naː na⸢makoː⸣ma ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ⸣numukaː pḁʃit⸢tu suŋ] (にんにく<大蒜>酒に生卵を入れて掻き混ぜて飲むと気分がすっきりするよ)。 ク⸢レー⸣ カ⸢ケーサラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ kḁ⸢keːsara⸣nu] (これは混ぜあわせられない)。 カ⸢ケーシ ヤッ⸣サン [kḁ⸢keːʃi jas⸣saŋ] (混ぜあわせやすい)。 ク⸢リン⸣ カ⸢ケー⸣スン [ku⸢riŋ⸣ kḁ⸢keː⸣suŋ] (これも掻き混ぜあわせる)。 ピ⸢ルザキトゥ⸣ カ⸢ケー⸣ス ⸣ムノー ⸢ヌー⸣ル マ⸢シ⸣ヤ [pi⸢ruʣakitu⸣ kḁ⸢keː⸣su ⸣munoː ⸢nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣ja] (大蒜酒と混ぜあわせるのは何がいいか)。 ⸢マー⸣ビン ⸢コー⸣マ イ⸢リティ⸣ カ⸢ケー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢koː⸣ma ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢keː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと卵を入れて掻き混ぜあわせればよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢ケー⸣シ [⸢paː⸣ku kḁ⸢keː⸣ʃi] (早く掻き混ぜあわせろ) 3953 0 0 3858 htmvoc_3953.wav カケーマ カ⸢ケー⸣マ [ka⸢keː⸣ma] 名 小さなかけら(欠片)。小片。\ruby[g]{砕片}{カケラ}。細片。 バ⸢リカミヌ⸣ カ⸢ケー⸣マ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢ヌー⸣スワ [ba⸢rikaminu⸣ ka⸢keː⸣ma ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢nuː⸣suwa] (割れ甕の欠片を集めてどうするのか)。 ⸢カーラ⸣ヌ カ⸢ケー⸣マ [⸢kaːra⸣nu kḁ⸢keː⸣ma] (瓦の\ruby{SqBr}g{/SqBr}{欠片}{カケラ}) 4072 0 0 3859 htmvoc_4072.wav カコー ⸣カコー [⸣kḁkoː] 名 ぼろ(襤褸)。古着の\ruby{襤褸}{ボ|ロ}。「かかふ(襤褸)」、「~和々気佐我礼流 可々布能尾~<わわけ下がれるカカフのみ>『万葉集 892』」の転訛か。ヤ⸢リ⸣カコー[ja⸢ri⸣kakoː](\ruby{襤褸}{ボ|ロ}切れ)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣カコーシル シ⸢ビシ⸣ケーン ス⸢ク⸣ローッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣kḁkoːʃiru ʃi⸢biʃi̥⸣keːn su̥⸢ku⸣roːtta] (昔は古着や襤褸でおむつ<むつき>を作られた)。 ヤ⸢リカコー⸣バ キ⸢シェー⸣ティル ⸢ターパタ⸣ケーヤ ⸢ソーッ⸣タ [ja⸢rikakoː⸣ba ki̥⸢ʃeː⸣tiru ⸢taːpata⸣keːja ⸢soːt⸣ta] (破れた襤褸の着物を着て田畑の仕事をなさった<田畑をなさった>) 4073 0 1 3860 htmvoc_4073.wav カコー ⸢カコー [⸢kakoː] 名 {Mn_1}適当な具合。ころあいである。適当なこと。いい具合に。いい格好。 ソーン⸢ドゥ イーカコーニ ワー⸣ キー ッ⸢ふィーレー⸣バン [soːn⸢du ʔiːkakoːni waː⸣ kiː f⸢fiːreː⸣baŋ] (丁度良い具合に君が来てくれたよ)。 ⸣イカール ⸣カコーニ ⸢スーバ⸣ マ⸢シ⸣ヤ [⸣ʔikaːru ⸣kḁkoːni ⸢suːba⸣ ma⸢ʃi⸣ja] (どんな具合にしたほうがいいか)。 4073 0 2 3861 htmvoc_4073.wav カコー ⸢カコー [⸢kakoː] 名 {Mn_2}理由。体裁。 ⸣イカール ⸣カコーシ <⸢ユン⸣シ> ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シーアーク⸣ワ [⸣ʔikaːru ⸣kḁkoːʃi <⸢juŋ⸣ʃi> ⸣kaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiːaːku⸣wa] (如何なる理由でこんなことをしているのか) 4074 0 1 3862 htmvoc_4074.wav カサ ⸣カサ [⸣kḁsa] 名 {Mn_1}笠。「小菅乃笠を<コスゲノカサヲ~>」『万葉集 2771』の義。「櫟梂、伊知比乃加佐(いちひのかさ)」『和名抄』の「カサ」が転訛したもの。 ク⸢バガサ [ku⸢bagasa] (クバの葉で作った笠)。 ⸢ムン⸣グルクバガサ [⸢mun⸣gurukubagasa] (麦藁で作った笠<麦殻クバ笠>)。ミ⸢ヌ⸣カサ[mi⸢nu⸣kḁsa](蓑笠)などがある。 ⸣カサ ⸣カビティ ⸣ター ⸢カイ⸣スン [⸣kasa ⸣kabiti ⸣taː ⸢kai⸣suŋ] (笠を被って田を耕す)。 4074 0 2 3863 htmvoc_4074.wav カサ ⸣カサ [⸣kḁsa] 名 {Mn_2}ランプにつける笠状の反射板。ガラス状の厚さ3ミリ程度の円形板。中央部に直径約6センチ程の穴があり、フ⸢ヤ[ɸu⸢ja](火屋)が突き抜けて立てられるようになっている。⸢トゥール⸣ヌ ⸣ヤマ[⸢tuːru⸣nu ⸣jama](針金で出来たランプの枠)にセットして部屋に吊るし、部屋を明るくした。それ以前はトゥ⸢ブ⸣シ[tu⸢bu⸣ʃi]を灯した。 ⸣ダンプヌ (⸢トゥール⸣ヌ) ⸣カサ ウ⸢タ⸣シ バ⸢リシティナー⸣ヌ [⸣dampunu(⸢tuːru⸣nu) ⸣kḁsa ʔu⸢ta⸣ʃi ba⸢riʃi̥tinaː⸣nu] (ランプ<⸢燈炉、トウロ、俗」『色葉字類抄』の転訛したものか>の笠を落として割ってしまった) 4075 0 0 3864 htmvoc_4075.wav カサ ⸣カサ [⸣kḁsa] 名 琉球国時代の頭職(かしらしょく)。八重山出自の役人の最高位。石垣間切、宮良間切、大浜間切の三間切の長として八重山を統治した役職。「カサ」は、kasiraの-iraのように母音間の[r]が狭母音[i、u]に先立たれると、融合変化を起こして[-ssa]となる音韻法則があるから、当該語は [kasira] → [kassa] → [kasa] と音韻変化したものである。 イ⸢サナキヌ メーラドゥンチ⸣ナール カ⸢サ⸣ヌマイヤー ⸢オーッ⸣タツォー [ʔi⸢sanakinu meːradunʧi⸣naːru kḁ⸢sa⸣numaijaː ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (石垣の宮良殿内に<ぞ>頭職様はおられたそうだ) 4076 0 0 3865 htmvoc_4076.wav カサ ⸣カサ [⸣kḁsa] 名 かさ(瘡)。梅毒。「瘡、加佐<かさ>『和名抄』」の転訛。 フ⸢シル⸣ヌ カ⸢ナイ⸣ヤーティ マ⸢ナ⸣マー ⸣カサ カ⸢カリ⸣プスティン ブ⸢ラーヌ [ɸu̥⸢ʃiru⸣nu ka⸢nai⸣jaːti ma⸢na⸣maː ⸣kḁsa kḁ⸢kari⸣pu̥sutim bu⸢raːnu] (薬が品質向上している<非常に良くなっている>ので、現在では梅毒に罹っている人もいない) 4077 0 0 3866 htmvoc_4077.wav カザ ⸣カザ [⸣kaʣa] 名 (植)カズラ(蔓)。蔓草の総称。「葛、加豆良<かづら>『新撰字鏡』」の義。 ⸢ウンヌ⸣カザ [⸢ʔunnu⸣kaʣa] (\ruby{芋蔓}{イモ|カズラ}、芋の葛)。*[kadura] → [kaʣura] → [kadʣa] → [kaʣa](芋蔓)と音韻変化したもの。 ⸢ウンヌ⸣カザ カ⸢リティ⸣ ピ⸢ビザヌ⸣ ッサ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢ʔunnu⸣kaʣa ka⸢riti⸣ pi⸢biʣanu⸣ ssa f⸢faːʃi⸣ba] (芋蔓を刈って山羊の餌<草>にして喰わせろよ)。 ⸢ウンヌカザ⸣ヌ フ⸢キ⸣バ ロ⸢ク⸣スンブカラナー ⸣キシティ カ⸢ナパイ⸣シ ⸢ジー⸣バ ウ⸢コー⸣シティ ニ⸢バセー⸣ティ イ⸢ビル⸣カー イッ⸢ケナ ミールン⸣ツォー [⸢ʔunnukaʣa⸣nu ɸu̥⸢ki⸣ba ro⸢ku⸣sumbukaranaː ⸣ki̥ʃiti ka⸢napai⸣ʃi ⸢ʤiː⸣ba ʔu⸢koːʃi̥⸣ti ni⸢baʃeː⸣ti ʔi⸢biru⸣kaː ʔik⸢kena miːrun⸣ʦoː] (芋蔓の茎を六寸ぐらいずつに切って、鍬で土を掘り起こして寝かせるように植えるとよく稔るそうだ)。 マ⸢ミ⸣カザ [ma⸢mi⸣kaʣa] (豆の蔓) 4078 0 1 3867 htmvoc_4078.wav カザ カ⸢ザ [ka⸢ʣa] 名 {Mn_1}香ばしくない匂い。ただようにおい。「かざ<香>。油揚・焼鳥のかざ<香>をだにも嗅がず『御伽草子』」の転訛したもの。多くの場合「臭気」は、ヤ⸢ナカザ[ja⸢nakaʣa](悪臭{EOS}悪い匂い)といい、カ⸢バ[ka⸢ba](芳しい香<かおり>)と区別する。 ⸣ッサリカザ [⸣ssarikaʣa] (腐った匂い{EOS}臭気)。 ⸢ヌー⸣ヌ カ⸢ザ⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ⸣アイニ カ⸢ザヌ⸣ ッ⸢サー⸣ワレー [⸢nuː⸣nu ka⸢ʣa⸣ ja⸢ru⸣juː ⸣ʔaini ka⸢ʣanu⸣ s⸢saː⸣wareː] (何の匂いだろうか、あんなに匂いが臭いことよ<臭いことよ、それは>)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ ピー⸣ヌ カ⸢ザヌ⸣ ッ⸢サー⸠ヨー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu piː⸣nu ka⸢ʣanu⸣ s⸢saː⸠joː] (その人のおなら<屁>の匂いの臭いことよ)。 カ⸢ザ⸣ カ⸢ブン [ka⸢ʣa⸣ ka⸢buŋ] (匂いを嗅ぐ)。 4078 0 2 3868 htmvoc_4078.wav カザ カ⸢ザ [ka⸢ʣa] 名 {Mn_2}匂い一般。 カ⸢ザー ナー⸣ヌ [ka⸢ʣaː naː⸣nu] (匂いはない)。 ⸢ヌー⸣ヌ カ⸢ザ⸣ヤー [⸢nuː⸣nu ka⸢ʣa⸣jaː] (何の匂いか)。 ノー⸢ン⸣ カ⸢ザー⸣ サ⸢ヌ [noː⸢ŋ⸣ ka⸢ʣaː⸣ sa⸢nu] (何も匂いはしない) 4083 0 0 3869 htmvoc_4083.wav カサーカサ カサー⸢カサ [kḁsaː⸢kasa] 副 あくまで。どこまでも。一向に。それとわかっていながら、とうとう<到頭>。打消しの陳述と呼応して、決して~しない<陳述副詞>の職能を表す。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ズ⸣ ムニン カサー⸢カサ⸣ シゥ⸢カヌ⸣ アトー ⸢ウン⸣ネヌ ユ⸢メー⸣ ナ⸢ラン⸣ティ ⸢シー⸣ ミシー⸢ミシ パン⸣クリ ⸢ナーン⸣バンヨー [ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣu⸣ muniŋ kḁsaː⸢kasa⸣ si̥⸢kanu⸣ ʔatoː ⸢ʔun⸣nenu ju⸢meː⸣ na⸢ran⸣ti ⸢ʃiː⸣ miʃiː⸢miʃi paŋ⸣kuri ⸢naːm⸣baɲjoː] (親の言うことも一向に聞かない{EOS}あとは<挙句は>、その家の嫁にはならないといって、みすみす<むざむざ>断って<跳ね返ってない>しまったわいよ) 4119 0 0 3870 htmvoc_4119.wav カザーフクローフクローシ カ⸢ザー⸣ フ⸢クローフクロー⸣シ [ka⸢ʣa⸣ ɸu̥⸢kuroːɸu̥kuroː⸣ʃi] 連 香りが馥郁としてただようさま。 ⸢ティンプラ⸣ヌ カ⸢ザヌ⸣ フク⸢ローフクロー⸣シ カ⸢バッ⸣サタン [⸢timpura⸣nu ka⸢ʣanu⸣ ɸu̥⸢kuroːɸu̥kuroː⸣ʃi ka⸢bas⸣sataŋ] (テンプラの香りが\ruby{馥郁}{フク|イク}とただよって香ばしかった) 4084 0 0 3871 htmvoc_4084.wav カサイキー カ⸢サイキー [kḁ⸢saikiː] 名 (植)木の名。ウラジロアカメガシワ。 イ⸢クサ⸣ユーナー カ⸢サイキーヌ パーバ⸣ タ⸢バク⸣ヌ ⸢カール シー⸣ タ⸢バ⸣ク ⸣フキティ ⸣バタ ヤ⸢ボー⸣レー プ⸢スヌ オーッ⸣タン [ʔi⸢kusa⸣juːnaː kḁ⸢sainupaːba⸣ ta⸢baku⸣nu ⸢kaːru ʃiː⸣ ta⸢ba⸣ku ⸣ɸu̥kiti ⸣bata ja⸢boː⸣reː pu̥⸢sunu ʔoːt⸣taŋ] (戦争中、ウラジロアカメガシワの葉を葉煙草の代わりにして、煙草を吸って<吹いて>おなかを壊された<破られた>人がおられた) 4079 0 0 3872 htmvoc_4079.wav カサカカリムヌ ⸣カサ カ⸢カリ⸣ムヌ [⸣kḁsa kḁ⸢kari⸣munu] 連 梅毒に罹った人。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣カサ カ⸢カリ⸣ムノー ブ⸢ラーンシェン⸣ツォー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣kḁsa kḁ⸢kari⸣munoː bu⸢raːŋʃen⸣ʦoː] (鳩間島には梅毒に罹った人はいなかったそうだ) 4085 0 0 3873 htmvoc_4085.wav ガサガサー ガ⸢サガ⸣サー [ga⸢saga⸣saː] 名 (動)カツオの撒餌となる、体長1~1、5センチの小魚。熱帯魚の稚魚か。カツオの撒餌の中で最低の餌といわれていた。カツオの食いつきが悪いので、他の餌が取れない時に仕方なく漁獲して出漁した。 ⸣ザコーナー ガ⸢サガサー⸣ル イッ⸢チン ワッ⸣サタ [⸣ʣakoːnaː ga⸢sagasaː⸣ru ʔit⸢ʧiŋ was⸣sata] (撒餌ではガサガサーが一番悪かった)。 ガ⸢サガ⸣サー ⸣ムテイティ イ⸢ソー パッタン⸣ドゥ カ⸢ツォー ナン⸣ゾー ッ⸢ふァーンシェン [ga⸢saga⸣saː ⸣mutiti ʔi⸢soː pattan⸣du kḁ⸢ʦoː nan⸣ʣoː f⸢faːŋʃeŋ] (ガサガサー雑魚を餌に持ってカツオ漁に出たが、カツオはあまり食い付かなった) 4090 0 0 3874 htmvoc_4090.wav カザク カ⸢ザク [ka⸢ʣaku] 名 鍛冶屋。「鍛冶工」の義。⸢カンザ⸣ヤー[⸢kanʣa⸣jaː](鍛冶屋)ともいう。 カ⸢ザケーヤ⸣ ム⸢カ⸣シェー カ⸢ザク ヤッタ⸣ティバン⸢ナー ナードーヌ⸣ パ⸢タ⸣キナー ⸢カンザヤー⸣ヌ ア⸢トゥ⸣ヌ ⸢アッタ⸣ンツォー [ka⸢ʣakeːja⸣ mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢ʣaku jatta⸣tiban⸢naː naːdoːnu⸣ pḁ⸢ta⸣kinaː ⸢kanʣajaː⸣nu ʔa⸢tu⸣nu ⸢ʔat⸣tanʦoː] (加治工屋の先祖は鍛冶工であったそうだねえ{EOS}長堂の畑には鍛冶屋の跡があったそうだよ) 4086 0 0 3875 htmvoc_4086.wav カザケー カ⸢ザケー [ka⸢ʣakeː] 名 屋号。加治工伊佐氏宅。鳩間村五班三十四番地にある。加治工伊佐は寄合赤伊志より鬚川御嶽のティジリビ(男性神職者)を受け継ぎ、在職約60年で引退した。加治工家の位牌には⸢野原親雲上」とある。伝承によると戦争中、船浦に避難していた寄合徹氏が「加治工家・寄合家一族(野原親雲上一族)」の古墓が船浦の崖下に存在したことを確認されたという。竹富町の除籍原本の「仲底ヨボシ」の欄に「安政五年三月二十日同間切同村 亡加治工屋眞二女入籍」とあるから安政五年(1859)以前に何らかの理由で「野原」姓から「加治工」姓に戸籍名が変化したことになる。「加治工」姓は鍛冶屋を家業としたことによるとも伝えられている。⸢ナードー[⸢naːdoː](長堂)の加治工家の畑には鍛冶屋跡の鉄屑が戦後の開墾時に発掘された。加治工津久利(明治15年生)は鳩間島で最初に大工の棟梁になった人物である。建築家であったため、ブ⸢ガリノー⸣シ[bu⸢garinoː⸣ʃi](疲れ治し{EOS}疲労回復)の酒を飲みすぎ、バ⸢タ⸣ヤン[ba⸢ta⸣jaŋ](腹の病{EOS}「胃癌」か)で早世したという。彼が建築した家には、⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)、⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工家)、パ⸢ナシケー[pa⸢naʃi̥keː](花城家)、⸣ユージェー[⸣juːʤeː](松竹家)などがある。津久利の孫、伊佐の長男加治工眞市は鳩間島出身で初めて山口大学助教授、沖縄県立芸術大学教授に就任した。次男の長秀は鳩間島出身で初めて沖縄県漁連の理事を務めた。 カ⸢ザケーヌ⸣ ス⸢ク⸣レザー ⸢ヤーザイ⸣ク ヤ⸢ローッ⸣タツォー [ka⸢ʣakeːnu⸣ su̥⸢ku⸣reʣaː ⸢jaːʣai⸣ku ja⸢roːt⸣taʦoː] (加治工家の津久利お父<兄>さんは大工の棟梁であられたそうだ) 4087 0 0 3876 htmvoc_4087.wav カザケーヌクニオザーテー カ⸢ザケーヌ⸣ ク⸢ニオザーテー [ka⸢ʣakeːnu⸣ ku⸢nioʣaːteː] 連 屋号。加治工国雄氏宅。 カ⸢ザケーヌ⸣ ク⸢ニオザーテーヤ⸣ ミ⸢ルクンヤー⸣ヌ ⸢マイ⸣ネー ⸣ナリ ⸢ブー [ka⸢ʣakeːnu⸣ ku⸢nioʣaːteːja⸣ mi⸢rukuŋjaː⸣nu ⸢mai⸣neː ⸣nari ⸢buː] (加治工國雄氏宅はミルクンヤーの前隣になっている) 4088 0 0 3877 htmvoc_4088.wav カザケーヌマツォザーテー カ⸢ザケーヌ⸣ マツォザーテー [ka⸢ʣakeːnu⸣ maʦoʣaːteː] 連 屋号。加治工実氏宅。⸣マツ[⸣maʦu](童名{EOS}「松」の義)に⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](「兄さん」が接尾語化したもの)が下接して⸣マツォーザー[⸣maʦoːʣaː](松兄さん{EOS}松氏)が生成された合成語 4091 0 1 3878 htmvoc_4091.wav カザスン カ⸢ザ スン [ka⸢ʣa suŋ] 連 {Mn_1}匂いがする。匂う。匂いが漂う。 ⸢ヌーン⸣ドゥ カ⸢ザ スー⸣ユー カ⸢ビ⸣ ミリ⸢ミー⸣ ッ⸢サー⸣ワレー [⸢nuːn⸣du ka⸢ʣa suː⸣juː ka⸢bi⸣ miri⸢miː⸣ s⸢saː⸣wareː] (何が匂っているのか、\ruby{嗅}{カ}いでごらん{EOS}臭いよ)。 4091 0 2 3879 htmvoc_4091.wav カザスン カ⸢ザ スン [ka⸢ʣa suŋ] 連 {Mn_2}匂いを嗅ぐ。 ⸣ッサリル ⸢ブー⸣ユー カ⸢ザ シー⸣ミラ⸢ナー [⸣ssariru ⸢buː⸣juː ka⸢ʣa ʃiː⸣mira⸢naː] (腐れているのか、匂いを嗅いで見ようねえ)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢ザ スン [⸢ban⸣nuŋ ka⸢ʣa suŋ] (私も匂いを嗅ぐ) 4092 0 0 3880 htmvoc_4092.wav カザダカーン カ⸢ザダカー⸣ン [ka⸢ʣadakaː⸣ŋ] 形 匂いが強い。「かざ<香>・高さ・有り」の義。芳香、臭気の両方にわたって用いられる。 ウ⸢キン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ザダカー⸣ン [ʔu⸢kim⸣maː ʔik⸢kena⸣ ka⸢ʣadakaː⸣ŋ] (ウコンは非常に匂い<芳香>が強い)。 イ⸢ズ⸣ バ⸢ザイティ⸣ アトー イ⸢ズヌ⸣ カ⸢ザダカーン⸠ダー [ʔi⸢ʣu⸣ ba⸢ʣaiti⸣ ʔatoː ʔi⸢ʣunu⸣ ka⸢ʣadakaːn⸠daː] (魚を\ruby{捌}{サバ}いた後は魚の匂いが体に染みついて匂いがきつい<高い>よ)。 ⸢シンダイ⸣ カ⸢ザダカー⸣ ナリケーン [⸢ʃindai⸣ ka⸢ʣadakaː⸣ narikeːŋ] (次第に匂いが強くなってきた)。 ⸣ドゥク カ⸢ザダカー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸣duku ka⸢ʣadakaː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (あまりにも匂いが強くて飲めない)。 カ⸢ザダカー⸣ ムノー ⸣トゥリ シ⸢ティリ [ka⸢ʣadakaː⸣ munoː ⸣turi ʃi̥⸢tiri] (匂いの強いのは取って捨てなさい)。 ⸣アイニ カ⸢ザダカー⸣カー ヤ⸢ラビン⸣マー ッ⸢ふァーサラヌ [⸣ʔaini ka⸢ʣadakaː⸣kaː ja⸢rabim⸣maː f⸢faːranu] (あんなに匂いが強ければ子供には食べさせられない)。 ⸣オンケーヌ カ⸢ザヌ⸣ カ⸢ザダカー⸣ヌ ミ⸢チェーバー⸣キ カ⸢ザ シース [⸣ʔoŋkeːnu ka⸢ʣanu⸣ ka⸢ʣadakaː⸣nu mi⸢ʧeːbaː⸣ki ka⸢ʣa ʃiːsu] (豚舎の臭気が強くて<高くて>、道路まで臭い匂いがする) 4094 0 0 3881 htmvoc_4094.wav カサナイ カ⸢サ⸣ナイ [ka⸢sa⸣nai] 名 おんぶ(負んぶ)。背負うこと。動詞カ⸢サ⸣ナウン[kḁ⸢sa⸣nauŋ](背負う)の連用形から転成した名詞。 ッ⸢ふァ⸣ カ⸢サナイ⸣ヤー ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ シ⸢グトゥ ヤッタル [f⸢fa⸣ kḁ⸢sanai⸣jaː mi⸢doːn⸣ffanu ʃi⸢gutu jattaru] (子守<子供を負んぶすること>は女の子の仕事であったよ) 4097 0 0 3882 htmvoc_4097.wav カサナイルン カ⸢サナイルン [kḁ⸢sanairuŋ] 他動 重ねる。「畳み薦 重編<カサネアム>数 夢にし見てむ。万、2295」から転訛したものか。カ⸢サニルン[kḁ⸢saniruŋ]、カ⸢サビルン[kḁ⸢sabiruŋ](重ねる)ともいう。 ス⸢ルイ⸣ヤー フ⸢タイラナー⸣ カ⸢サナイルン [su⸢rui⸣jaː ɸu̥⸢tairanaː⸣ kḁ⸢sanairuŋ] (皿は二枚ずつ重ねる)。 ク⸢ヌ カイ⸣ケー カ⸢サナイララヌ [ku⸢nu kai⸣keː kḁ⸢sanairaranu] (この小皿は重ねられない)。 ギュー⸢サン⸣ カ⸢サナイル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [gjuː⸢saŋ⸣ kḁ⸢sanairu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (いくらも<何枚も>重ねることは出来ない)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢サナイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢sanaijaː⸣ misamunu] (もっと重ねればよいのに)。 ⸢マー⸣ プ⸢スイ⸣ラ カ⸢サナイリ [⸢maː⸣ pu̥⸢sui⸣ra kḁ⸢sanairi] (もう一枚重ねよ) 4098 0 0 3883 htmvoc_4098.wav カサナイルン カ⸢サナイ⸣ルン [kḁ⸢sanai⸣ruŋ] 他動 負んぶする。子供を背負う。負ぶう。カ⸢サ⸣ナウン[kḁ⸢sa⸣nauŋ](負ぶう)ともいう。 ッ⸢ふァ⸣ カ⸢サナイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ グッふァ⸣ヌ カ⸢サナイララ⸣ヌ [f⸢fa⸣ kḁ⸢sanai⸣runti ⸢sundu guffa⸣nu kḁ⸢sanairara⸣nu] (子供を負んぶしようとするが、重くて負んぶできない)。 カ⸢サ⸣ナイ ⸣ミサカー カ⸢サナイ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢sa⸣nai ⸣misakaː kḁ⸢sanai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (負んぶして良ければ負んぶすることはできる)。 カ⸢サナイ⸣レー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢sanai⸣reː ⸣misamunu] (負んぶすれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ カ⸢サナイ⸣リ [jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢sanai⸣ri] (必ず負んぶしなさい) 4095 0 0 3884 htmvoc_4095.wav カサナウン カ⸢サ⸣ナウン [ka⸢sa⸣nauŋ] 他動 背負う。おんぶする。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー グッふァ⸣ヌ カ⸢サナーラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː guffa⸣nu ka⸢sanaːra⸣nu] (この子は重くて背負えない{EOS}負んぶできない)。 カ⸢サナイ⸣ プサン [kḁ⸢sanai⸣ pu̥saŋ] (背負いたい{EOS}負んぶしたい)。 カ⸢サ⸣ナウ プ⸢ソー パー⸣ク カ⸢サ⸣ナイ [kḁ⸢sa⸣nau pu̥⸢soː paː⸣ku kḁ⸢sa⸣nai] (背負う人は早く背負え)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢サナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢sanai⸣jaː ⸣misamunu] (もっと背負えばよいのに)。 ナ⸢ナッ⸣チェーラー ⸢ウシトゥ⸣ッふァ カ⸢サ⸣ナウン [na⸢nat⸣ʧeːraː ⸢ʔuʃi̥tu⸣ffa kḁ⸢sa⸣nauŋ] (七歳からは弟妹を負んぶする)。 ⸣バー ッ⸢ふァ⸣ カ⸢サナー⸣ヌ [⸣baː f⸢fa⸣ kḁ⸢sanaː⸣nu] (私は子供を負んぶしない)。 カ⸢サ⸣ナイ ⸣ミサカー カ⸢サ⸣ナウ ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢sa⸣nai ⸣misakaː kḁ⸢sa⸣nau ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (負んぶして良ければ負んぶすることは出来る)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ワー⸣ ッ⸢ふァ⸣ カ⸢サ⸣ナイ [⸢kjuː⸣ja ⸢waː⸣ f⸢fa⸣ kḁ⸢sa⸣nai] (今日は、君は子供を負んぶしろ) 4101 0 0 3885 htmvoc_4101.wav カサナウン カ⸢サナウン [kḁ⸢sanauŋ] 他動 重ねる。カ⸢サブン[kḁ⸢sabuŋ](重ねる)とも言う。 ク⸢レー⸣ カ⸢サナーラヌ [ku⸢reː⸣ kḁ⸢sanaːranu] (これは重ねられない)。 フ⸢タイラナー⸣ カ⸢サナイティ⸣ ムティパリ [ɸu̥⸢tairanaː⸣ kḁ⸢sanaiti⸣ mutipari] (二枚ずつ重ねて持って行け)。 ス⸢ルイ⸣ヤー カ⸢サナウンティ⸣ ウムーカー ⸢パー⸣ク カ⸢サナイヤー⸣ ミサムヌ [su⸢rui⸣jaː kḁ⸢sanaunti⸣ ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku kḁ⸢sanaijaː⸣ misamunu] (皿は、重ねよう<重ねる>と思ったら重ねたらよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢サナイ⸣バ [⸢paː⸣ku kḁ⸢sanai⸣ba] (早く重ねろよ) 4096 0 0 3886 htmvoc_4096.wav カサナルン カ⸢サナルン [ka⸢sanaruŋ] 自動 重なる。 サ⸢ニ⸣ヤル ク⸢トゥ⸣ヌ カ⸢サナリティ⸣ ヨイ ⸢スンティ ベー [sa⸢ni⸣jaru ku̥⸢tu⸣nu kḁ⸢sanariti⸣ joi ⸢sunti beː] (嬉しいことが重なってお祝いをしようとしているところだ)。 カ⸢サナラヌ [kḁ⸢sanaranu] (重ならない)。 カ⸢サナリヤッ⸣サン [kḁ⸢sanarijas⸣saŋ] (重なりやすい)。 ⸢ヨイ⸣ヌ カ⸢サナルン [⸢joi⸣nu kḁ⸢sanaruŋ] (お祝いが重なる)。 シ⸢グトゥヌ⸣ カ⸢サナル⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [ʃi⸢gutunu⸣ kḁ⸢sanaru⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (仕事が重なることはないはずだ)。 シ⸢グトゥヌ⸣ カ⸢サナレー⸣ラー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [ʃi⸢gutunu⸣ kḁ⸢sanareː⸣ra ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (仕事が重なったら大変さ)。 ⸢ソークトー チャー⸣ カ⸢サナリ [⸢soːku̥toː ʧaː⸣ kḁ⸢sanari] (慶事<良いこと>は、常に重なれ) 4099 0 0 3887 htmvoc_4099.wav カサニガサニ カ⸢サニガサニ [kḁ⸢sanigasani] 副 重ね重ね。日常会話では、カ⸢サビカサビ[kḁ⸢sabikasabi](重ね重ね)ということが多い。 カ⸢サニガサ⸣ニ イークトゥヌ⸣ ア⸢ロー⸣ルンティ シ⸢キティ⸣ サ⸢ニ⸣ヤ ⸢シーベー⸠ダー [kḁ⸢sanigasa⸣ni ʔiːkutunu⸣ ʔa⸢roː⸣runti ʃi̥⸢kiti⸣ sa⸢ni⸣ja ⸢ʃiːbeː⸠daː] (重ね重ね慶事<良いこと>があられると聞いて喜んでおりますよ) 4100 0 0 3888 htmvoc_4100.wav カサニルン カ⸢サニルン [kḁ⸢saniruŋ] 他動 重ねる。石垣方言からの借用語か。カ⸢サナイルン[ka⸢sanairuŋ](重ねる)ともいう。 カ⸢サニラヌ [kḁ⸢saniranu] (重ねない)。 カ⸢サニッふィーリ [kḁ⸢saniffiːri] (重ねてくれ)。 カ⸢サニル⸣ クトー ナラヌ [kḁ⸢saniru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (重ねることは出来ない)。 カ⸢サニレー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢sanireː⸣ misamunu] (重ねればよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢サニリ [⸢paː⸣ku kḁ⸢saniri] (早く重ねろ) 4103 0 0 3889 htmvoc_4103.wav カサヌール ⸣カサヌール [⸣kḁsanuːru] 名 たん(痰)。気管から吐き出される黄色い粘液性の痰。 パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カ⸣リティ ッ⸢サー⸣ク ⸢スー⸣ ピンマー ⸣ヌドーラ ⸣カサヌールヌ ン⸢ジ⸣ルン [pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣riti s⸢saː⸣ku ⸢suː⸣ pimmaː ⸣nudoːra ⸣kḁsanuːrunu ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (風邪を引いて咳をする時は喉から黄色い痰が出る)。「かさ<瘡>・のり<糊>」の転訛したものか。 パ⸢ナシキ フシゥ⸣カリティ ナー⸢イ⸣ ッ⸢サー⸣ク ⸢シー⸣ カサヌールバル パク⸢ツォー [pa⸢naʃi̥ki ɸusï̥⸣kariti naː⸢i⸣ s⸢saː⸣ku ⸢ʃiː⸣ kḁsanuːrubaru pḁku⸢ʦoː] (風邪をひいてずうっと咳をして痰を吐んだよ) 4114 0 0 3890 htmvoc_4114.wav カサバルン カ⸢サバルン [kḁ⸢sabaruŋ] 自動 重なる。二重になる。物や事の上に同じものが乗る。体積が増える。「かさばる(嵩張る)」の義。 ク⸢ヌ ウイ⸣ナ ⸢ワー⸣ ニー⸢バー⸣キ ⸢ヌース⸣カー カ⸢サバリティ⸣ ム⸢ティングリ⸣サ ⸣ナルン [ku⸢nu ʔui⸣na ⸢waː⸣ niː⸢baː⸣ki ⸢nuːsu⸣ka kḁ⸢sabariti⸣ mu⸢tiŋguri⸣sa ⸣naruŋ] (この上に君の荷物まで乗せると嵩張って持ちにくくなる)。 プ⸢ス⸣ケンナー ⸢ユーズ⸣ヌ カ⸢サバリティル⸣ ン⸢ジマイ⸣ヌ ⸢スー⸣ワ⸢ツォー [pu̥⸢su⸣kennaː ⸢juːʣu⸣nu kḁ⸢sabaritiru⸣ ʔn⸢ʤimai⸣nu ⸢suː⸣wa⸢ʦoː] (一度に行事が重なって出費が強いん<大変>だよ)。 カ⸢サバラン⸣カー ⸣ミサン [kḁ⸢sabaraŋ⸣kaː ⸣misaŋ] (重ならなかったらいいよ)。 ⸢ウンマー ユーズ⸣ヌ カ⸢サバルンダ⸣ パ⸢リユーサ⸣ヌ [⸢ʔummaː juːʣu⸣nu kḁ⸢sabarunda⸣ pa⸢rijuːsa⸣nu] (その時は行事が重なるので行けない)。 カ⸢サバル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢sabaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (重なることはないよ)。 ⸢ユーズ⸣ヌ カ⸢サバレー⸣ラー パ⸢ララ⸣ヌ [⸢juːʣu⸣nu kḁ⸢sabareː⸣raː pa⸢rara⸣nu] (行事が重なったら行けない)。 カ⸢サバリ [kḁ⸢sabari] (重なれ) 4115 0 0 3891 htmvoc_4115.wav カサビ カ⸢サビ [kḁ⸢sabi] 助数 重ねたもの。二重、三重のように重ねたものを数える単位。 ⸢プール⸣ムチェー フ⸢タカサビ ミーカサビナー⸣ フ⸢バリティ ネーシ⸣バ [⸢puːru⸣muʧeː ɸu̥⸢takasabi miːkasabinaː⸣ ɸu⸢bariti neːʃi⸣ba] (豊年祭の餅は二枚<二重ね>、三枚<三重ね>ずつにして、縛って蒸し煮しなさいよ) 4116 0 0 3892 htmvoc_4116.wav カサビヌパナ カ⸢サビヌ⸣パナ [kḁ⸢sabinu⸣pana] 名 ⸢重ねの花米」の義。重ね花米。正月や⸢トー⸣カキ[⸢toː⸣kaki](米寿の祝い{EOS}「斗掻き」)の際に、八寸重箱の五段目に、紅白の紙を重ねて鋸歯状に切ったものを重箱の内側に立てて飾り、そこに盛り米をしたもの。盛り米の上に⸣クブ[⸣kubu](昆布)と炭を載せる。幸福が山盛りに、溢れるほどありますようにとの願いをこめて米を盛るのだという。紅白の飾り紙も、昔は黄色、赤色、白色の順になっていたという 4117 0 0 3893 htmvoc_4117.wav カサビルン カ⸢サビルン [kḁ⸢sabiruŋ] 他動 重ねる。 ⸢キン⸣バ ⸢ミックビナー⸣ カ⸢サビルン [⸢kim⸣ba ⸢mikkubinaː⸣ ka⸢sabiruŋ] (着物を三着<三枚>ずつ重ねる)。 ク⸢レー⸣ カ⸢サビラヌ [ku⸢reː⸣ ka⸢sabiranu] (これは重ねない)。 カ⸢サビ⸣プサン [kḁ⸢sabi⸣pu̥saŋ] (重ねたい)。 カ⸢サビル ムノー ナー⸣ヌ [kḁ⸢sabiru munoː naː⸣nu] (重ねるものはない)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢サビレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢sabireː⸣ misamunu] (もっと重ねればよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢サビリ [⸢paː⸣ku kḁ⸢sabiri] (早く重ねろ) 4120 0 0 3894 htmvoc_4120.wav ガザフケー ⸣ガザフケー [⸣gaʣaɸu̥keː] 名 (動)野鳥の名。セッカ(雪加)。ヒバリ(雲雀)に似ている。若年層は⸣チンチン[⸣ʧinʧiŋ](雲雀{EOS}⸣チンチンと鳴くことから命名)ともいう。茅の中を潜りあるくものの義。若年層は、⸣チンチン[ʧinʧiŋ](ひばり{EOS}鳴き声から命名)という。茅原やススキ野の中に棲息し、茅やススキの枯れ葉で壷状の巣をつくる。石垣方言では、⸢ザガフケー[⸢ʣagaɸu̥keː](セッカ)というが、[g]と[ʣ]のメタテーゼ(metathesis)、音位転換。鳩間方言の⸣ガザ[⸣gaʣa]は⸣ガヤー[⸣gajaː](茅)に遡及される。⸣フケー[⸣ɸu̥keː]は、フ⸢キルン[ɸu̥⸢kiruŋ](くぐる<潜る>{EOS}「潜、ククル」『類聚名義抄』の転訛)の連用形に接尾語ヤー[jaː](~者{EOS}~人)が下接して形成されたもので、茅の中を潜り抜けるものの義。シ⸢ディ⸣ミジ[ʃi⸢di⸣miʤi](若水{EOS}孵で水)の「昔話し」参照。 ⸣ガザフケーヤ ガ⸢ヤーン⸣ミー フ⸢ケー⸣ティ ⸣パリパルン [⸣gaʣaɸu̥keːja ga⸢jaːm⸣miː ɸu̥⸢keː⸣ti ⸣pariparuŋ] (雲雀は茅の中を潜りぬけて走り去っていく) 4104 0 0 3895 htmvoc_4104.wav カサフタ カ⸢サフタ [kḁ⸢saɸu̥ta] 名 かさぶた(瘡蓋)。腫れ物や傷などが治るに従って、その上に生ずる皮。「Casafuta.カサフタ(痂)疥癬とか瘡(かさ)とかのかさぶた。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 カ⸢サフタヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー キ⸢ジェー ノー⸣ルンティ ア⸢ザリブー [kḁ⸢saɸu̥tanu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ki⸢ʤeː noː⸣runti ʔa⸢ʣari buː] (瘡蓋ができると傷は治ると言われている)。 ア⸢シ⸣ブン キ⸢ジン⸣ カ⸢サフタヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ⸢ノー⸣ル タ⸢ミ⸣シ [ʔa⸢ʃi⸣buŋ ki⸢ʤiŋ⸣ kḁ⸢saɸu̥tanu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸢noː⸣ru ta⸢mi⸣ʃi] (出来物も切り傷もかさぶた<瘡蓋>が出ると治るというわけだ) 4627 0 0 3896 htmvoc_4627.wav カサフタカブン カ⸢サフタ⸣ カブン [kḁ⸢saɸu̥⸣ta ⸣kabuŋ] 連 かさぶた(瘡蓋)ができる。「かさぶた(瘡蓋)を被る」の転訛したもの。 キ⸢ジェー⸣ カ⸢サフタ⸣ カビ ⸢ベー⸣バ ⸣メー ⸢ノーリ⸣ス [ki⸢ʤeː kḁ⸢saɸu̥ta⸣ kabi ⸢beː⸣ba ⸣meː ⸢noːri⸣su] (傷口は瘡蓋が出来ているから、もう治るよ) 4118 0 0 3897 htmvoc_4118.wav カサブン カ⸢サブン [kḁ⸢sabuŋ] 他動 重ねる。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ピー⸣ヤバ ⸢キン⸣マー カ⸢サビ⸣ キ⸢シ⸣ヨー [⸢kjuː⸣ja ⸢piː⸣jaba ⸢kim⸣maː kḁ⸢sabi⸣ ki̥⸢ʃi⸣joː] (今日は寒いから着物は重ねてきなさいよ<着れよ>)。 カ⸢サバンドー⸣シ キ⸢シ [kḁ⸢sabandoː⸣ʃi ki̥⸢ʃi] (重ねないで着なさい<着れ>)。 ⸢キン⸣バ カ⸢サブンティ⸣ ウムーカー カ⸢サビ⸣バ [⸢kim⸣ba kḁ⸢sabunti⸣ ʔumuːkaː kḁ⸢sabi⸣ba] (着物を重ねよう<重ねる>と思うなら重ねろよ)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢サベー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢sabeː⸣ misamunu] (もっと重れねばよいのに) 4129 0 0 3898 htmvoc_4129.wav カサマサスン カ⸢サマ⸣サ ⸢スン [kḁ⸢sama⸣sa ⸢suŋ] 連 うるさく(煩く)思う。わずらわしく(煩わしく)思う。煩がる。 ⸣ドゥク ウ⸢ヤー⸣ルカー カ⸢サマ⸣サ シ⸢ラリンダー [⸣duku ʔu⸢jaː⸣rukaː kḁ⸢sama⸣sa ʃi⸢rarin⸣daː] (あんまり大声をあげると煩がられるよ) 4128 0 0 3899 htmvoc_4128.wav カサマサン カ⸢サマ⸣サン [kḁ⸢sama⸣saŋ] 形 かしましい(姦しい)。やかましい(喧しい)。騒々しい。うるさい(煩い)。「耳かしましき心地『源氏物語・若菜・上』」の転訛か。 カ⸢サマサ⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣カナー ア⸢サビ [kḁ⸢samasa⸣nu ja⸢ra⸣beː ⸣kanaː ʔa⸢sabi] (うるさいから子供はあちらで遊べ)。 ⸢ナン⸣ゾー カ⸢サマサー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː kḁ⸢samasaː naː⸣nu] (それほどうるさくない)。 プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マルカー カ⸢サマ⸣サ ナリ⸢キー⸣ス [pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣marukaː kḁ⸢sama⸣sa nari⸢kiː⸣su] (人が集まると、煩くなってくる)。 カ⸢サマ⸣サー ⸣クトー カ⸢サマ⸣サンドゥ ミ⸢リ⸣プサン ア⸢リ⸣ス [kḁ⸢sama⸣saː ku̥toː kḁ⸢sama⸣sandu mi⸢ri⸣pu̥saŋ ʔa⸢ri⸣su] (\ruby{煩}{ウルサ}いことは煩いが見たくもある)。 カ⸢サマ⸣サカー ⸢ウイパラ⸣シバ [kḁ⸢sama⸣sakaː ⸢ʔuipara⸣ʃiba] (煩ければ追い払いなさいよ) 4133 0 0 3900 htmvoc_4133.wav ガサミ ガ⸢サ⸣ミ [ga⸢sa⸣mi] 名 (動物)蟹。海中に棲息する蟹。ノコギリガザミ。若年層はガ⸢サ⸣メー[ga⸢sa⸣meː]ともいう。 ガ⸢サ⸣メー ⸢ネーシティ⸣ ア⸢ガム モー⸣ ッ⸢ふァーリンドゥ⸣ ア⸢ガマンモー⸣ ッ⸢ふァーラン⸣ツォー [ga⸢sa⸣meː ⸢neːʃi̥ti⸣ ʔa⸢gamu moː⸣ f⸢faːrindu⸣ ʔa⸢gamammoː⸣ f⸢faːran⸣ʦoː] (蟹は煮て赤くなるのは食えるが、赤くならないのは食えないそうだ)。 ⸢カーラヌ⸣ ガ⸢サ⸣ミ ⸣トゥリ ⸣キー バ⸢カシ [⸢kaːranu⸣ ga⸢sa⸣mi ⸣turikiː ba⸢kaʃi] (川のガザミを獲ってきて炊きなさい)。鳩間島の人は、あまりガサミを食べなかった 4134 0 0 3901 htmvoc_4134.wav カザミグトゥ カ⸢ザミ⸣グトゥ [ka⸢ʣami⸣gutu] 名 秘めごと。秘密。秘事。「隠し事」の義。 ⸢ヤーニンズ⸣ヌ ⸣ナカナー カ⸢ザミ⸣グトー ⸢ナーン⸣ムル マ⸢シ [⸢jaːninʣu⸣nu ⸣nakanaː ka⸢ʣami⸣gutoː ⸢naːm⸣muru ma⸢ʃi] (家族の中では、隠し事はないほうがいい) 4135 0 0 3902 htmvoc_4135.wav カザミフカスン カ⸢ザミフカ⸣スン [ka⸢ʣamiɸu̥ka⸣suŋ] 他動 隠し過ぎてその所在が分からなくなる。「隠しほかす<放下す>」の義。大事に仕舞い込んで何処に片付けたか忘れる。 ⸢サイクドン⸣グ カ⸢ザミフカ⸣シティ ⸣マナール ス⸢ク⸣タユー ⸢ミシキマー⸣キ ⸢アー⸣ク⸢ツォー [⸢saikudoŋ⸣gu ka⸢ʣamiɸu̥ka⸣ʃi̥ti ⸣manaːru su̥⸢ku⸣tajuː ⸢miʃi̥kimaː⸣ki ⸢ʔaː⸣ku̥⸢ʦoː] (大工道具を仕舞い込んでしまって、何処に片付けたのか分からなくなって、探しかねているんだよ)。 ⸣ドゥク カ⸢ザ⸣ムカー カ⸢ザミフカ⸣スン⸢ダー [⸣duku ka⸢ʣa⸣mukaː ka⸢ʣamiɸu̥ka⸣sun⸢daː] (あまり隠す<隠しほかす>と何処に隠したのか分からなくなるよ)。 カ⸢ザミフカサ⸣ヌ [ka⸢ʣamiɸu̥kasa⸣nu] (<隠しすぎて>隠し場所を忘れる<隠しほかす>ことをしない)。 カ⸢ザミフカ⸣ス クトー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʣamiɸu̥ka⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (隠し過ぎて隠し場所を忘れる<隠しほかす>ことはない) 4407 0 0 3903 htmvoc_4407.wav カサミルン カ⸢サミルン [kḁ⸢samiruŋ] 他動 捕まえる。掴む。捕縛する。カ⸢サムンとも言う。 ⸢ヌシ⸣トゥル カ⸢サミルンティ アー⸣キ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [⸢nuʃi̥⸣turu kḁ⸢samirunti ʔaː⸣ki ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (盗人を捕まえようとして<捕まえるとしていて>体を痛めて<病ましておいて>ある)。 ク⸢リ⸣ カ⸢サミルンティ スンドゥ フッツォーリティ⸣ カ⸢サミララヌ [ku⸢ri⸣ kḁ⸢samirunti sundu ɸutʦoːriti⸣ kḁ⸢samiraranu] (これを掴もうとするが、震えて掴まれない)。 カ⸢サミル⸣ プ⸢ソー パー⸣ク カ⸢サミレー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢samiru⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku kḁ⸢samireː⸣ misamunu] (掴む人は、早く掴めば良いのに)。 ⸣クマ カ⸢サミリ [⸣kuma kḁ⸢samiri] (ここを掴め)。 ナ⸢クラー⸣ヌ カ⸢サミララヌ [na⸢kuraː⸣nu kḁ⸢samiraranu] (怖くて捕まえられない)。 カ⸢サミ ヤッ⸣サン [kḁ⸢sami jas⸣saŋ] (捕まえやすい)。 カ⸢サミル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢samiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (捕まえることは出来ない)。 ⸢パー⸣ク カ⸢サミリ⸣バ [⸢paː⸣ku kḁ⸢samiri⸣ba] (早く捕まえれよ) 4106 0 0 3904 htmvoc_4106.wav カザミルン カ⸢ザミ⸣ルン [ka⸢ʣami⸣ruŋ] 他動 隠す。隠匿する。仕舞う。 カ⸢ザミ⸣ルンティ ⸣ウムーカー カ⸢ザミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ル⸣ヌ ⸣クナーテー カ⸢ザミララ⸣ヌ [ka⸢ʣami⸣runti ⸣ʔumuːkaː ka⸢ʣami⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ru⸣nu ⸣kunaːteː ka⸢ʣamirara⸣nu] (隠そうと思えば隠すことは出来るが、ここでは隠されない)。 カ⸢ザ⸣ミ ⸣ミサカー ⸢パー⸣ク カ⸢ザミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ka⸢ʣa⸣mi ⸣misakaː ⸢paː⸣ku ka⸢ʣami⸣reː ⸣misamunu] (隠してよければ早く隠せばいいのに)。 ⸣ムヌ カ⸢ザミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢ザミララ⸣ヌ [⸣munu ka⸢ʣami⸣runti ⸢sundu⸣ ka⸢ʣamirara⸣nu] (物を隠そうとするが、隠されない)。 カ⸢ザミラン⸣ドーシ ムー⸢ル⸣ ン⸢ザ⸣シ [ka⸢ʣamiran⸣doːʃi muː⸢ru⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (隠さないで全部出せ)。 カ⸢ザ⸣ミ ⸣ミサカー カ⸢ザミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ka⸢ʣa⸣mi ⸣misakaː ka⸢ʣami⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (隠して良ければ隠すことは出来る)。 ⸢⸣クナー カ⸢ザミ⸣リ [⸣kunaː ka⸢ʣami⸣ri] (ここに隠せよ) 4107 0 1 3905 htmvoc_4107.wav カサムン カ⸢サムン [kḁ⸢samuŋ] 他動 {Mn_1}掴む。手で強く握る。 ク⸢リ⸣ カ⸢サムンティ スンドゥ⸣ カ⸢サマラヌ [ku⸢ri⸣ kḁ⸢samunti sundu⸣ kḁ⸢samaranu] (これを掴もうとするが掴まれない)。 ⸣クマ カ⸢サミ⸣ ミサカー カ⸢サム⸣ クトー ⸣ナルン [⸣kuma kḁ⸢sami⸣ misakaː kḁ⸢samu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (ここを掴んで良ければ掴むことはできる)。 ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サメー⸣ ミサムヌ [git⸢ti⸣ kḁ⸢sameː⸣ misamunu] (ぎゅっと掴めば良いのに)。 カ⸢サミ⸣バ [kḁ⸢sami⸣ba] (掴めよ)。触れる。 ク⸢レー⸣ イ⸢ツァー⸣ヌ カ⸢サマラヌ [ku⸢reː⸣ ʔi⸢ʦaː⸣nu kḁ⸢samaranu] (これは熱くて掴まれない)。 ⸢ワー⸣ カ⸢サムンティ⸣ ウムーカー カ⸢サミ⸣ ミサン [⸢waː⸣ kḁ⸢samunti⸣ ʔumuːkaː kḁ⸢sami⸣misaŋ] (君が掴みたいと思うのなら掴んでもいい)。 ク⸢リ⸣ カ⸢サム⸣ プ⸢ソー パー⸣ク カ⸢サミ [ku⸢ri⸣ kḁ⸢samu⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku kḁ⸢sami] (これを掴む人は早くつかめ)。 ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サメー⸣ ミサムヌ [git⸢ti⸣ kḁ⸢sameː⸣ misamunu] (ギュット掴めばよいのに)。 4107 0 2 3906 htmvoc_4107.wav カサムン カ⸢サムン [kḁ⸢samuŋ] 他動 {Mn_2}捕まえる。捕縛する。 ⸢ヌシ⸣トゥル カ⸢サムン [⸢nuʃi̥⸣turu kḁ⸢samuŋ] (泥棒を捕まえる)。 ⸢ヌシ⸣トゥル カ⸢サムン [⸢nuʃi̥⸣turu kḁ⸢samuŋ] (泥棒を捕まえる<捕縛する>)。 4107 0 3 3907 htmvoc_4107.wav カサムン カ⸢サムン [kḁ⸢samuŋ] 他動 {Mn_3}手に入れる。 ウ⸢レー⸣ ミ⸢ドゥ⸣ム カ⸢サミ ベー [ʔu⸢reː⸣ mi⸢du⸣mu kḁ⸢sami beː] (彼は女を掴んで<恋人を手に入れて>いる) 4139 0 0 3908 htmvoc_4139.wav カサムン カ⸢サムン [kḁ⸢samuŋ] 自動 かさむ(嵩む)。物の数量が増える。標準語からの借用語か。 ⸢ユーズピーズ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーカー シゥ⸢カイバー⸣ヌ カ⸢サムンダ⸣ ン⸢ザシ⸣マイ ア⸢ギラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢juːʣupiːʣu⸣nu ⸢goː⸣raːkaː sï̥⸢kaibaː⸣nu kḁ⸢samnda⸣ ʔn⸢ʣaʃi⸣mai ʔa⸢giraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (部落の神行事が多かったら入費<使い分>も\ruby{嵩}{カサ}むので、各家庭の分担金<出だし前>を値上げしないとできない<ならない>)。 ン⸢ザシマイ⸣ヤー ⸣アイヤー カ⸢サマヌ [ʔn⸢ʣaʃimai⸣jaː⸣ʔaijaː ka⸢samanu] (出費<出し分、出費>はそんなには嵩まない)。 カ⸢サミ ヤッ⸣サン [ka⸢sami jas⸣saŋ] (嵩みやすい)。 カ⸢サム⸣クトー ⸢ヌンガーラ⸣ヌ [kḁ⸢samu⸣ku̥toː ⸢nuŋgaːra⸣nu] (<出費が>嵩むことは逃れられない)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢サメー⸣ラ ⸢デー⸣ジ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢sameː⸣ra ⸢deː⸣ʤi] (もっと費用が嵩むと大変だ) 9275 0 0 3909 htmvoc_9275.wav カサムン カ⸢サムン [kḁ⸢samuŋ] 他動 捕まえる。つかむ(掴む) 4108 0 1 3910 htmvoc_4108.wav カザムン カ⸢ザ⸣ムン [ka⸢ʣa⸣muŋ] 他動 {Mn_1}隠す。 ⸣ジン カ⸢ザ⸣ムンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ カ⸢ザ⸣ムトンヌ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʣiŋ ka⸢ʣa⸣munti ʔu⸢muːn⸣du ka⸢ʣa⸣mu ⸣tonnu ⸢naː⸣nu] (お金を隠そうと思うが、隠す所がない)。 カ⸢ザ⸣ミ ⸣ミサン [ka⸢ʣa⸣mi ⸣misaŋ] (隠してもよい)。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢ドゥー⸣ヌ バ⸢タ⸣ウチナー カ⸢ザ⸣ミ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢duː⸣nu ba⸢ta⸣uʧinaː ka⸢ʣa⸣mi ʃi⸢ki⸣ri] (そのことは自分の腹の中に隠しておけ)。 ⸢パー⸣ク カ⸢ザ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ka⸢ʣa⸣meː ⸣misamunu] (早く隠せばいいのに)。 ⸣クナー カ⸢ザ⸣ミ [⸣kunaː ka⸢ʣa⸣mi] (ここに隠せ)。 ⸢ジン⸣マー カ⸢ザ⸣ミ シ⸢キ⸣リ [⸢ʤim⸣maː ka⸢ʣa⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri] (お金は隠しておけ)。 ⸣クナーテー ⸢ジン⸣マー カ⸢ザマラ⸣ヌ [⸣kunaːteː ⸢ʤim⸣maː ka⸢ʣamara⸣nu] (ここではお金は隠されない)。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢ドゥー⸣ヌ バ⸢タ⸣ウチナー カ⸢ザ⸣ムンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ カ⸢ザマン⸣ドーシ パ⸢ナ⸣スン [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢duː⸣nu ba⸢ta⸣ʔuʧinaː ka⸢ʣa⸣munti ʔu⸢muːtan⸣du ka⸢ʣamn⸣doʃi pa⸢na⸣suŋ] (その事は自分の胸中<腹の内>に隠そうと思ったが、隠さないで話す)。 バ⸢タ⸣ウチナー カ⸢ザ⸣ミ ⸣ミサカー カ⸢ザ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ba⸢ta⸣ʔuʧinaː ka⸢ʣa⸣mi ⸣misakaː ka⸢ʣa⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (胸中に隠して良ければ、隠すことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢ザ⸣ミバ [⸢maː⸣biŋ ka⸢ʣa⸣miba] (もっと隠しなさいよ)。 4108 0 2 3911 htmvoc_4108.wav カザムン カ⸢ザ⸣ムン [ka⸢ʣa⸣muŋ] 他動 {Mn_2}埋葬する。墓室に棺を納める。 イ⸢クサ⸣ユーナ ⸢マーラシタ⸣ プ⸢ソー⸣ マナール カ⸢ザ⸣ミ ス⸢コー⸣レーワ [ʔi⸢kusa⸣juːna ⸢maːraʃi̥ta⸣ pu̥⸢soː⸣ manaːru ka⸢ʣa⸣mi su̥⸢koː⸣reːwa] (戦争中に亡くなった人は何処に埋葬しておいてあられますか) 3737 0 0 3912 htmvoc_3737.wav ガサメー ガ⸢サ⸣メー [ga⸢sa⸣meː] 名 (動)ノコギリガザミ。西表島の川のマングローブ(ヒルギ)林の中に棲息するガザミ類の中の最も大きな蟹。食すると美味しい。珊瑚礁の下に生息するガ⸢サ⸣メー[ga⸢sa⸣meː](ガザミ蟹)より美味しい。 ⸢マーレーガーラトゥ⸣ ニ⸢シダミナトゥヌ⸣ ガ⸢サ⸣メー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タンツォー [⸢maːreːgːaratu⸣ ni⸢ʃidaminatunu⸣ ga⸢sa⸣meː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣tanʦoː] (マーレー川とニシダ湊のガザミは非常に美味しかったそうだ) 4137 0 0 3913 htmvoc_4137.wav ガサラガサラ ガ⸢サラガサラ [ga⸢saragasara] 副 擬音語。がさがさ。乾いたものが触れ合う音を表す語。 ウ⸢ヤザ⸣ヌ ガ⸢サラガサラ⸣シ ッ⸢ふァイグルバ⸣ ア⸢サ⸣リ ブ⸢リン⸣ギサバン [ʔu⸢jaʣa⸣nu ga⸢saragasara⸣ʃi f⸢faiguruba⸣ ʔa⸢sa⸣ri bu⸢riŋ⸣gisabaŋ] (ネズミがガサガサと残飯<食い残り{EOS}食べ滓>を漁っているようだわい) 4140 0 0 3914 htmvoc_4140.wav カザリ カ⸢ザリ [ka⸢ʣari] 名 飾り。装飾品。 ⸣ソンガチェー ⸢ザートゥク⸣ヌ カ⸢ザリン⸣ シ⸢ダーシ⸣ シ⸢キ⸣リバ [⸣soŋgaʧeː ⸢ʣaːtu̥ku⸣nu ka⸢ʣariŋ⸣ ʃi⸢daːʃi⸣ ʃi̥⸢ki⸣riba] (正月には床の間の飾りも綺麗に整えて<仕出して>おきなさいよ) 4141 0 0 3915 htmvoc_4141.wav カザリカビ カ⸢ザリカビ [ka⸢ʣarikabi] 名 飾り紙。ア⸢ガカビ[ʔa⸢gakabi](赤紙)ともいう。正月や祝いの際に、赤、黄、白の紙を少しずつずらして重ね、その上に鏡餅や重箱を載せて飾る装飾用の紙。 カ⸢ザリカビヌ ウイ⸣ナ ム⸢チ⸣ シ⸢キルン [ka⸢ʣarikabinu ʔui⸣na mu⸢ʧi⸣ ʃi̥⸢kiruŋ] (飾り紙の上に餅を置いて供える) 4142 0 0 3916 htmvoc_4142.wav カザリクビン カ⸢ザリクビン [ka⸢ʣarikubiŋ] 名 神事の際に神酒を入れて供えるのに使う錫製の大きな酒器<瓶子>。「飾り瓶子」の義。かんびん(燗瓶)の形をした、高さ約20センチの徳利形の瓶。白磁製の瓶もある。赤絵のカザリクビンは正月や祝儀の際に紅白の飾り蓋<栓>を挿し、重箱にパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)を盛って床の間の神前に供えた。白磁のカザリクビンにも紅白の紙を折って波形に重ねた⸣ザウ[⸣ʣau](飾り蓋の栓)を挿した。 ⸣ソンガチナーヤ カ⸢ザリクビン⸣ナー ⸣グシェー イ⸢リティ⸣ ア⸢ガカビトゥ⸣ ッ⸢ス⸣カビシ ⸢ザウ⸣バ ス⸢ク⸣リ ッ⸢ソーッ⸣タ⸢ダー [⸣soŋgaʧinaːja ka⸢ʣarikubin⸣naː ⸣guʃeː ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢gakabitu⸣ s⸢su⸣kabiʃi ⸢ʣau⸣ba su̥⸢ku⸣ri s⸢soːt⸣ta⸢daː] (正月には飾り瓶子に酒<神酒>を入れて赤紙と白紙で装飾用の栓<飾り蓋>を作って挿されたものだよ) 4143 0 0 3917 htmvoc_4143.wav カザリコーシ カ⸢ザリコーシ [ka⸢ʣarikoːʃi] 名 お盆や法事などで仏壇に供えて飾る菓子。落雁の一種。米粉に砂糖を入れて菊花や鯛の型等に押し込んで作った菓子。 ⸢ソー⸣ランナー カ⸢ザリコーシン⸣ マ⸢ツォーッ⸣タン [⸢soː⸣rannaː ka⸢ʣarikoːʃim⸣ ma⸢ʦoːt⸣taŋ] (お盆には落雁<飾り菓子>も供えられた) 4144 0 0 3918 htmvoc_4144.wav カザリザウ カ⸢ザリザウ [ka⸢ʣariʣau] 名 慶事、神事、仏事で神仏に供える神酒をいれた飾り瓶子に挿す紙製の蓋(栓)。飾り蓋(栓)。慶事には紅白の飾り蓋(栓)。神事、仏事には白紙の飾り蓋(栓)を用いた。 カ⸢ザリクビン⸣ナー カ⸢ザリザウ⸣ ッシティ マ⸢チ⸣バ [ka⸢ʣarikubin⸣naː ka⸢ʣariʣau⸣ ʃʃiti ma⸢ʧi⸣ba] (飾り瓶子に飾り蓋を挿して供え<祀り>なさいよ) 4145 0 0 3919 htmvoc_4145.wav カザリフチ カ⸢ザリフチ [ka⸢ʣarifuʧi] 名 のりと(祝詞)。「飾り口」の義。唱え。祈願用の一定の文句。呪文。フ⸢チカザル[ɸu̥⸢ʧikaʣaru](唱えごと{EOS}祝詞)と同じ。 ⸢ニンガイグトゥ⸣ヌ カ⸢ザリフチェー⸣ ウ⸢キ⸣トゥリ シ⸢キ⸣リ [⸢niŋgaigutu⸣nu ka⸢ʣariɸu̥ʧeː⸣ ʔu⸢ki⸣turi ʃi̥⸢ki⸣ri] (祈願行事の祝詞<飾り口、唱え>は伝授して<受取って>おきなさい) 4146 0 0 3920 htmvoc_4146.wav カザリムチ カ⸢ザリムチ [ka⸢ʣarimuʧi] 名 鏡餅。正月の飾り餅。⸣サンボー[⸣samboː](三方)に黄、赤、白の色紙を少しずつずらして敷き、その上に三段重ねの鏡餅を乗せ、餅の上にだいだい(橙)を乗せて供える供物。シゥ⸢カラシキ⸣ムチ[si̥⸢karaʃi̥ki⸣muʧi](力餅)ともいう 4147 0 0 3921 htmvoc_4147.wav カザリムヌ カ⸢ザリムヌ [ka⸢ʣarimunu] 名 供物。飾り物。神仏への供物で長時間供え、飾っておくもの。 ⸣ソンガチヌ カ⸢ザリムヌヌ⸣ ム⸢チェー⸣ サギティ ム⸢チミー⸣ス ⸣シキバ [⸣soŋgaʧinu ka⸢ʣarimununu⸣ mu⸢ʧeː⸣ sagiti mu⸢ʧimiː⸣su ⸣ʃi̥kiba] (正月の飾り物の餅を下げて餅味噌を作りなさいよ)。 ⸢ソーラン⸣ヌ カ⸢ザリムノー⸣ ム⸢ルムルトゥ シンザ⸣ル ⸣ムトゥ [⸢soːran⸣nu ka⸢ʣarimunoː⸣ mu⸢rumurutu ⸢ʃinʣa⸣ru ⸣mutu] (お盆の供え物<飾り物>はムルムルと砂糖きびが中心<基>である) 4081 0 0 3922 htmvoc_4081.wav ガザリン ガ⸢ザ⸣リン [ga⸢ʣa⸣riŋ] 連 掻かれる。引掻かれる。{⸣ガズン[⸣gaʣuŋ](掻く{EOS}引掻く)の未然形に受身、可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞、可能動詞)}。 ア⸢ダン⸣パー ⸣キスンティ ⸢ベー⸣ティ ア⸢ダンパー⸣ヌ ン⸢ギ⸣ナ ガ⸢ザ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢dam⸣paː ⸣ki̥sunti ⸢beː⸣ti ʔa⸢dampaː⸣nu ʔŋ⸢gi⸣na ga⸢ʣa⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (アダン葉を切ろうとしていて、アダン葉のとげ<刺>に引掻かれて、痛くて堪らない)。 ⸣マヤン ガ⸢ザ⸣リン [⸣majaŋ ga⸢ʣa⸣riŋ] (猫に引っ掻くかれる) 4148 0 0 3923 htmvoc_4148.wav カザルン カ⸢ザルン [ka⸢ʣaruŋ] 他動 飾る。神仏の供物として供える。 ⸢ソーラン⸣ヌ カ⸢ザリムノー⸣ シ⸢キ⸣ カ⸢ザレー⸣ン [⸢soːran⸣nu ka⸢ʣarimunoː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ ka⸢ʣareː⸣ŋ] (お盆の飾り物<供え物>は、もう仏壇に供えてかざったよ)。 ⸢シン⸣ザー ⸣バー カ⸢ザルン [⸢ʃin⸣ʣaː ⸣baː ka⸢ʣaruŋ] (砂糖きびは私が供える)。 マ⸢ナ⸣マー カ⸢ザラヌ [ma⸢na⸣maː ka⸢ʣaranu] (今は飾らない{EOS}供えない)。 カ⸢ザリ⸣ シキ [ka⸢ʣari⸣ʃi̥ki] (飾っておけ{EOS}供えておけ)。 カ⸢ザル⸣ クトー ⸣ドゥーシン ⸣ナルン [ka⸢ʣaru⸣ ku̥toː ⸣duːʃin ⸣naruŋ] (供えることは自分でも出来る)。 カ⸢ザレー⸣ ミサムヌ [ka⸢ʣareː⸣ misamunu] (供えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢ザリ [⸢paː⸣ku ka⸢ʣari] (早く供えろ) 4149 0 0 3924 htmvoc_4149.wav カザルン カ⸢ザルン [ka⸢ʣaruŋ] 他動 呪文を唱える。祈願の文句を口誦する。「呪文唱えること」を、フ⸢チカザル[ɸuʧikaʣaru](となえごと)という。 カ⸢ラティーバ⸣ ウ⸢サーシティ⸣ カ⸢ザリ⸣シケータ [ka⸢ratiːba⸣ ʔu⸢saːʃi̥ti⸣ ka⸢ʣari⸣ʃi̥keːta] (何も供えないで、ただ手を合わせて呪文を唱えておいた)。 ウ⸢ヤプス⸣ヌマイン カ⸢ザルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ カ⸢ザランドー⸣シ ティー⸢カーニ⸣ ウ⸢サーシ ベー [ʔu⸢japu̥su⸣numaiŋ ka⸢ʣarunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ka⸢ʣarandoː⸣ʃi tiː⸢kaːni⸣ ʔu⸢saːʃi beː] (先祖の霊前に祈願の呪文を唱えよう思うが、唱えないで合掌だけしている) 4150 0 0 3925 htmvoc_4150.wav ガザン ⸣ガザン [⸣gaʣaŋ] 名 (動)蚊。 ⸣ガザン ッ⸢ふァーリティ⸣ ⸢ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣gaʣan f⸢faːriti biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (蚊に噛まれて痒くてたまらない)。 ミ⸢ジクム⸣ルナー ミ⸢ジヌッふァ⸣ヌ ⸣シディ ⸢ベー⸣ンドゥ ウ⸢リル⸣ ガザン ⸣ナルティバン⸢ナー [mi⸢ʤikumu⸣runaː mi⸢ʤinuffa⸣nu ⸣ʃidi ⸢beː⸣ndu ʔu⸢riru⸣ gaʣan narutiban⸢naː] (水溜りにボウフラが湧いているが、それが蚊になるんだってねえ)。 カ⸢ツァ⸣ ピ⸢カン⸣カー ⸣ガザン ッ⸢ふァーリン⸣ダー [kḁ⸢ʦa⸣ pi̥⸢kaŋ⸣kaː ⸣gaʣaŋ f⸢faːrin⸣daː] (蚊帳を吊らないと蚊に食われるぞ) 4151 0 0 3926 htmvoc_4151.wav カザンガマイ カ⸢ザンガマイ [ka⸢ʣaŋgamai] 名 暴風対策。暴風を防ぐための備え。「風構え」の義。家の倒壊を防ぐために日ごろから家屋の四隅の柱に角材で支柱を立てたり、茅葺の屋根にはシ⸢ダ⸣ル[ʃi⸢da⸣ru](竹簾)や棕櫚縄の網をかけたりした。暴風の日には雨戸が吹き飛ばされないよう外側と内側から竹竿で挟んで縛りつけた。 ⸢ユーカドゥヌ⸣ パラーナー シゥ⸢カンギバ⸣ シゥ⸢カイティ⸣ カ⸢ザンガマイ ソーッ⸣タ [⸢juːkadunu⸣ paraːnaː sï̥⸢kaŋgiba⸣ si̥⸢kaiti⸣ ka⸢ʣaŋgamai soːt⸣ta] (家の四隅の柱に支柱<つかえばしら>を構えて暴風対策<風構え>をされた) 4152 0 0 3927 htmvoc_4152.wav ガザンヌナクンカタチニ ガ⸢ザン⸣ヌ ナ⸢クン⸣カタチニ [ga⸢ʣan⸣nu na⸢kuŋ⸣kḁtaʧini] 連 蚊の泣くように。声が小さくて聞き取りにくいさま。 ⸢ワー⸣ ムネー ガ⸢ザン⸣ヌ ナ⸢クン⸣カタチニ ⸢ピッ⸣チン シゥ⸢カラヌ [⸢waː⸣ muneː ga⸢ʣan⸣nu na⸢kuŋ⸣ kḁtaʧini ⸢pit⸣ʧin sï̥⸢karanu] (君の話し言葉<もの言い>は蚊が泣くように小さくて一つも聞き取れない) 4109 0 0 3928 htmvoc_4109.wav カサンパー カ⸢サン⸣パー [kḁ⸢sam⸣paː] 名 木の葉のおおきなもの。「カサ」は、「柏、加之波(かしは)」『和名抄』の転訛したもので、「木の葉」の意。 ム⸢チェー⸣ カ⸢サン⸣パーナ ッ⸢ス⸣ミティ ⸢ネーソーッ⸣タ [mu⸢ʧeː⸣ kḁ⸢sam⸣paːna s⸢su⸣miti ⸢neːsoːt⸣ta] (餅は芭蕉<柏>の葉に包んで煮られた)。食物を盛ったり包んだりするのに用いる植物の葉。 カ⸢サン⸣パームチ [kḁ⸢sam⸣paːmuʧi] (木の葉で包んで蒸し上げた餅)。バ⸢サン⸣パームチ[ba⸢sam⸣paːmuʧi](芭蕉の葉で包んで蒸し上げた餅)、サ⸢ミンパームチ[sa⸢mimpaːmuʧi](ゲットウ<月桃>の葉で包んで蒸し上げた餅)などがある。 ⸢プールナー⸣ヤ バ⸢サン⸣パームチバ ス⸢ク⸣ルンティ バ⸢サン⸣パー ⸣キシン ⸢ウイバロー パッ⸣タン [⸢puːrunaː⸣ja ba⸢sam⸣paːmuʧi su̥⸢ku⸣runti ba⸢sam⸣paː ki̥ʃiŋ ⸢ʔuibaroː pat⸣taŋ] (豊年祭の時には芭蕉の葉餅を作るとて芭蕉の葉を切りに西表島の上原へ行った) 4124 0 0 3929 htmvoc_4124.wav カサンパーイズ カ⸢サン⸣パーイズ [kḁ⸢sam⸣paːʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名(ハナグロチョウチョウウオ{EOS}ヤリカタギ、シチセンチョウチョウウオ、カガミチョウチョウウオ、ミカドチョウチョウウオ)などの総称。「木の葉魚」の義。体長は13~15センチのものが多い。これらの魚は、海中では美しいが、食用としては漁獲されなかった。 カ⸢サン⸣パーイゾー ア⸢ヤ⸣ヌ ⸣アンダ ⸢カイ⸣ヤンドゥ ウ⸢リ⸣ トゥリ ッ⸢ふー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [kḁ⸢sam⸣paː ⸣ʔiʣoː ʔa⸢ja⸣nu ⸣ʔanda ⸢kai⸣jandu ʔu⸢ri⸣ turi f⸢fuː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (木の葉魚<ハナグロチョウチョウウオの仲間>は縞模様があるから美しいが、それを漁獲して食う人はいなかった) 4110 0 0 3930 htmvoc_4110.wav カサンパーウキ カ⸢サン⸣パーウキ [kḁ⸢sam⸣paːʔuki] 名 たご<担桶>に水を入れて運ぶ際、水がこぼれないよう、芭蕉の葉、クワズイモの葉、ススキや桑の葉などを担桶の水に浮けるもの。ウ⸢キは「浮け」の義。 ⸢カー⸣ラ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ミクー ⸣ピンマー ⸢タン⸣グナー カ⸢サン⸣パーウキ イ⸢リティ⸣ カ⸢タム⸣タ [⸢kaː⸣ra mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣mikuː ⸣pimmaː ⸢taŋ⸣gunaː kḁ⸢sam⸣paːʔuki ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢tamu⸣ta] (井戸から水を担いで運んでくるときは、水を\ruby{零}{コボ}さぬように、植物の葉をたご<担桶>の水に浮けて運んだ) 4111 0 0 3931 htmvoc_4111.wav カサンパーフタ カ⸢サン⸣パーフタ [kḁ⸢sam⸣paːɸu̥ta] 名 植物の葉を用いた容器の蓋。甕や壷の応急用の蓋として用いた。 ⸢ミー⸣スカミヌ フ⸢ター⸣ カ⸢サン⸣パーフタ ⸢シー⸣シケーバ ⸢キーフタ⸣トゥ ⸢カイリ [⸢miː⸣su̥kaminu ɸu̥⸢taː⸣ kḁ⸢sam⸣paːɸu̥ta ⸢ʃiː⸣ʃi̥keːba ⸢kiːɸu̥ta⸣tu ⸢kairi] (味噌甕の蓋は植物の葉で応急用にしてあるから木蓋と取替えなさい)。 カ⸢サン⸣パーフター ⸢イットゥキ⸣ヌ ⸢パンシ⸣ティル ⸢シー⸣ シケール [kḁ⸢sam⸣paːɸu̥taː ⸢ʔittuki⸣nu ⸢paŋʃi⸣tiru ⸢ʃiː⸣ʃi̥keːru] (植物の葉の蓋は一時凌ぎの代用品として使用してあるのだ) 4112 0 0 3932 htmvoc_4112.wav カサンパームチ カ⸢サン⸣パームチ [kḁ⸢sam⸣paːmuʧi] 名 植物の葉で包んで蒸し上げた餅。⸢ウンヌ⸣ムチ[⸢ʔunnu⸣muʧi](芋の餅{EOS}サツマイモを摩り下ろして汁を搾り、絞り粕を握って植物の葉で包み蒸しあげて作った餅)は⸣ユナキー[⸣junakiː](オオハマボウ{EOS}ゆうな)の葉で包んだ。 ⸢プール⸣ムチェー ムー⸢ル⸣ バ⸢サン⸣パームチ ⸢ヤッタ [⸢puːru⸣muʧeː muː⸢ru⸣ ba⸢sam⸣paːmuʧi ⸢jatta] (豊年祭の餅はみんな植物(芭蕉)の葉で包んだ餅<柏餅>であった)。 カ⸢サン⸣パームチ ッ⸢ふァイ⸣ プサワ⸢ナー [kḁ⸢sam⸣paːmuʧi f⸢fai⸣ pu̥sawa⸢naː] (柏餅を食べたいなあ) 4155 0 0 3933 htmvoc_4155.wav カシ ⸣カシ [⸣kaʃi] 名 かせ。経糸。かせ(綛)糸。紡いだ糸を工の字型の枠に巻き取った経糸。「~績麻繋云 鹿脊之山<うみを<麻> か<繋>くとふ かせの山~。万、1056」の転訛か。 ⸣カシェー ス⸢コーレー⸣チバ ヌ⸢キ⸣サーギ ス⸢コール⸣カー パ⸢トゥ⸣ムノー タ⸢ティラ⸣リン [⸣kḁʃeː su̥⸢koːreː⸣ʧiba nu⸢ki⸣saːgi su̥⸢koːru⸣kaː pḁ⸢tu⸣munoː tḁ⸢tira⸣riŋ] (経糸は用意出来たから横糸さえ用意できたら織機は立てられる<機織できる>) 4156 0 0 3934 htmvoc_4156.wav カシ ⸣カシ [⸣kḁʃi] 名 味噌を作る際の麹の主原料となるもの。機織の主材料(経糸)の意から比喩的に表現したもの。補助材料の大豆や麦をヌ⸢キ[nu⸢ki](横糸)という。 ⸢マイバ⸣ カシ ⸢シー⸣ マ⸢ミ⸣トゥ ⸢ムン⸣バ ヌ⸢キ⸣ シ⸢ティル ミー⸣ス ス⸢ク⸣ローッタ [⸢maiba⸣ kaʃi ⸢ʃiː⸣ ma⸢mi⸣tu ⸢mum⸣ba nu⸢ki⸣ ʃi̥⸢tiru miː⸣su su̥⸢ku⸣roːtta] (米を主原料<経糸、カシ>とし、大豆と麦を補助材料<横糸、ヌキ>として味噌を作られた) 4162 0 1 3935 htmvoc_4162.wav カシ ⸣カシ [⸣kḁʃi] 名 {Mn_1}かす(粕)。酒の粕。残り滓。屑。劣等なもの。 ⸢ウンヌ⸣カシ [⸢ʔunnu⸣kḁʃi] (芋の澱粉を絞った残り滓)。 ⸢ウンヌ⸣カシ カ⸢タ⸣ティーシ ス⸢ブ⸣リティ ⸣ティダナー ⸣プシティ タ⸢ブイ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢ʔunnu⸣kḁʃi kḁ⸢ta⸣tiːʃi su⸢bu⸣riti ⸣tidanaː ⸣pu̥ʃiti ta⸢bui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (芋の滓を片手で絞って太陽に干して保存しなさい<保存食にしなさい>)。 ウ⸢レー ニンギン⸣ヌ ⸣カシ [ʔu⸢reː⸣ ⸢niŋgin⸣nu ⸣kḁʃi] (そいつは人間の滓だ<最低の人間だ>)。 4162 0 2 3936 htmvoc_4162.wav カシ ⸣カシ [⸣kḁʃi] 名 {Mn_2}す(鬆)。大根などの心に細い孔が生じるもの。糟。 ⸢ダイ⸣クニナ カ⸢シ⸣ヌ ⸢ペー⸣リティ ッ⸢ふァーラヌ [⸢dai⸣kunina kḁ⸢ʃi⸣nu ⸢peː⸣riti f⸢faːranu] (大根にす<鬆>が入って食べられない) 4157 0 0 3937 htmvoc_4157.wav カジ カ⸢ジ [ka⸢ʤi] 名 風。風の総称。「於伎蘇之可是爾<おきその風に>『万葉集 799』」の転訛。 ⸢パイ⸣カジ [⸢pai⸣kaʤi] (南風)。 ニ⸢シカジ [ni⸢ʃikaʤi] (北風)。 ピ⸢ラキ⸣カジ [pi⸢raki⸣kaʤi] (涼風)。 カ⸢ジヌ スーン [ka⸢ʤinu suːŋ] (風が吹く<そよぐ>)。 カ⸢ジヌ スー⸣ルン [ka⸢ʤinu suː⸣ruŋ] (風が強くなる)。 カ⸢ジェー ヌーリナー⸣ヌ [ka⸢ʤeː nuːrinaː⸣nu] (風は上って<北風になって>しまった{EOS}「時化るぞ」の意)。 カ⸢ゼー⸣ ウレーン [ka⸢ʤeː⸣ ʔureːŋ] (風は下りた<南風になった{EOS}いい天気になるよ>の意)。 カ⸢ジフキ [ka⸢ʤiɸu̥ki] (風吹き<台風{EOS}時化{EOS}荒天>になること) 4166 0 0 3938 htmvoc_4166.wav カジ ⸣カジ [⸣kaʤi] 名 数。 ⸣カジ ⸢アー⸣スン [⸣kaʤi ⸢ʔaː⸣suŋ] (数を合わせる)。 カ⸢ジ⸣ヌ タ⸢ラーヌ [ka⸢dʤi⸣nu ta⸢raːnu] (数が足りない)。 ⸣カジェー タ⸢ライヤン [⸣kaʤeː ta⸢raijaŋ] (数は足りた)。 プ⸢スヌ⸣ ス⸢ブル⸣カジシル シ⸢グトー⸣ シ⸢ラリ⸣ダー [pu̥⸢sunu⸣ su⸢buru⸣kaʤiʃiru ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢rari⸣daː] (人の頭数で<人数でこそ>仕事は成し遂げられるものだよ) 4167 0 0 3939 htmvoc_4167.wav カジ カ⸢ジ [ka⸢ʤi] 名 かじ(舵、梶、楫)。船尾に付けて船の方向を定める、bの字型の船具。 カ⸢ジヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルナー ⸢テー⸣ナイ ヌ⸢キティル⸣ フ⸢ニ⸣ヌ カ⸢ジェー⸣ トゥ⸢ル⸣タ [ka⸢ʤinu⸣ su⸢bu⸣runaː ⸢teː⸣nai nu⸢kitiru⸣ ɸu⸢ni⸣nu ka⸢ʤeː⸣ tu⸢ru⸣ta] (舵<梶>の頭部に梶棒を貫き挿して操舵<舵取りを>したものだ) 4168 0 0 3940 htmvoc_4168.wav カジ カ⸢ジ [ka⸢ʤi] 名 首筋。うなじ。えり首。「項、頸後也、宇奈自<ウナジ>『新撰字鏡』」の義。 ヌ⸢ビ⸣カジ [nu⸢bi⸣kaʤi] (首筋)。 カ⸢ジェー コー⸣リテイ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢ʤeː koː⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (首筋が凝って痛くて仕方がない<堪らない>) 4169 0 0 3941 htmvoc_4169.wav カジ ⸣カジ [⸣kaʤi] 名 す(鬆)。大根や人参のしん(心)に細い孔が生じること。すが立つこと。筋が入ること。 ク⸢ヌ ダイ⸣クネー カ⸢ジ コー⸣リティ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢nu dai⸣kuneː ka⸢ʤi koː⸣riti f⸢faːranu] (この大根は、すが立って硬くなって食べられない) 4171 0 0 3942 htmvoc_4171.wav ガシ ガ⸢シ [ga⸢ʃi] 名 飢饉。凶年。⸢餓死」の義。 ガ⸢シドゥシ [ga⸢ʃiduʃi] (凶年)。 ⸢ピーカジ⸣ヌ ⸢ギュームシン⸣ フキティル ム⸢ヌスク⸣ルン ナ⸢ラン⸣タ ⸢ベー⸣ティ ウ⸢スマ⸣サ ガ⸢シバ シー⸣ ム⸢ラドーリ シェー⸣ トンヌン ⸢アッ⸣タンツォー [⸢piːkaʤi⸣nu ⸢gjuːmuʃiŋ⸣ ɸu̥kitiru mu⸢nusu̥ku⸣run na⸢ran⸣ta ⸢beː⸣ti ʔu⸢suma⸣sa ga⸢ʃiba ʃiː⸣ mu⸢radoːri ʃeː⸣ tonnuŋ ⸢ʔat⸣tanʦoː] (雨の降らない台風<火台風>が何度も吹いて、農作物の植え付け栽培も出来なかったので、恐ろしい飢饉がして廃村になった<村倒れした>所もあったそうだ) 4159 0 0 3943 htmvoc_4159.wav カシー ⸣カシー [⸣kḁʃiː] 名 加勢。応援。助力。助勢。 ⸢ティー⸣ヌ ⸣カシー [⸢tiː⸣nu ⸣kḁʃiː] (手の加勢{EOS}労力や金銭による応援{EOS}主として労働の応援)。 キ⸢ム⸣ヌ ⸣カシー [ki⸢mu⸣nu ⸣kḁʃiː] (心の加勢{EOS}精神的な応援{EOS}相手に同情して、共に悩み、共に喜んでやること)。 ⸢バン⸣ター ⸢ピンソー⸣ムノー キ⸢ム⸣ヌ ⸣カシー ⸢タンガ⸣ル ⸣ナル [⸢ban⸣taː ⸢pinsoː⸣munoː ki⸢mu⸣nu ⸣kḁʃiː ⸢taŋga⸣ru ⸣naru] (私ら貧乏者は心の加勢<精神的な応援>しか出来ません<心の加勢だけが出来る>) 4172 0 0 3944 htmvoc_4172.wav カシーカシ カ⸢シーカシ [kḁ⸢ʃiːkaʃi] 副 しっかりと。十分に。きちんと。ちゃんと。強調表現。 シ⸢グトー⸣ カ⸢シーカシ シーバル⸣ ティマン トゥ⸢ラ⸣リ⸢ダー [ʃi⸢gutoː⸣ kḁ⸢ʃiːkaʃi ʃiːbaru⸣ timan tu⸢ra⸣ri⸢daː] (仕事はきちんとやってはじめて<きちんとすればぞ>労賃<手間賃>も貰える<取られる>のだぞ)。 カ⸢シーカシ⸣ ムネー イ⸢ジ [kḁ⸢ʃiːkaʃi⸣ muneː ʔi⸢ʤi] (しっかりと<きちんと>言葉を話しなさい)。 カ⸢シーカシ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣バ [kḁ⸢ʃiːkaʃi⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ba] (しっかりと<ちゃんと>親の手伝いをしなさい) 4160 0 0 3945 htmvoc_4160.wav カシーシープス ⸣カシー ⸢シープス [⸣kḁʃiː ⸢ʃiːpu̥su] 連 加勢する人。手伝い人。 ⸣カシー ⸢シープソー⸣ ギュ⸢タール ブーワ [⸣kḁʃiː ⸢ʃiːpu̥soː⸣ gju⸢taːru buːwa] (加勢する人<手伝い人>は何人いるか) 4082 0 0 3946 htmvoc_4082.wav カジアタル カ⸢ジアタル [ka⸢ʤiʔataru] 名 風当たり。 ⸣クマー カ⸢ジバナ⸣ ヤ⸢ルンダ ボーフーヌ⸣ バソー カ⸢ジアタルヌ スー⸣ワン [⸣kumaː ka⸢ʤibana⸣ ja⸢runda boːhuːnu⸣ basoː ka⸢ʤiatarunu suː⸣waŋ] (ここは海岸の風当たりの強い所<吹曝し>だから、暴風の時は風当たりが強い)。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チヌ スー⸣ワンダル シ⸢キン⸣ヌ カ⸢ジアタルヌ スー⸣ワ⸢ツォー⸣ フ⸢チェー⸣ チ⸢チシミリ⸣ヨー [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧinu suː⸣wandaru ʃi̥⸢kin⸣nu ka⸢ʤiʔatarunu suː⸣wa⸢ʦoː⸣ ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʧi̥⸢ʧiʃimiri⸣joː] (彼は他人に厳しいことを言う<口が強い>から、世間の風当たりが強いのだよ{EOS}口は慎めよ)。 シ⸢キン⸣ヌ カ⸢ジアタルヌ スー⸣ワティ ⸣クナーヤ タ⸢タラン⸣ツォー [ʃi̥⸢kin⸣nu ka⸢ʤiʔatarunu suː⸣wati ⸣kunaːja tḁ⸢taran⸣ʦoː] (世間の風当たりが強いから、ここでは生活でき<立っていけ>ないそうだ) 4161 0 0 3947 htmvoc_4161.wav カジイキ カ⸢ジイキ [ka⸢ʤiʔiki] 名 風の勢い。「風息」の義。 カ⸢ジイキヌ シンダイ スー⸣リ キー⸢ナー⸣ヌ ⸢パイ⸣サ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ヨー [ka⸢ʤinu ʃindai suː⸣ri kiː⸢naː⸣nu ⸢pai⸣sa ⸢jaː⸣nu kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣joː] (風の勢いが次第に強くなってきてしまった{EOS}早く家の保護<格護>対策をしなさいよ<せよ>) 3732 0 0 3948 htmvoc_3732.wav ガシイズ ガ⸢シ⸣イズ [ga⸢ʃi⸣ʔiʣu] 名 保存用に炙り燻製にした魚。竈にア⸢マ⸣ダ[ʔa⸢ma⸣da](焼きもの用の金網)を置き、その上に生魚を置いて熾火で炙って燻製にしたもの。 ガ⸢シ⸣イゾー イ⸢サナケーヌ⸣ シトゥ ⸢シー⸣バ⸢ヨー [ga⸢ʃi⸣ʔiʣoː ʔi⸢sanakeːnu⸣ ʃi̥tu ⸢ʃiː⸣ba⸢joː] (炙って燻製にした魚は石垣島へのお土産にしなさいねえ)。 ガ⸢シイズ⸣ヌ ⸣ダシ ⸣トゥリバ [ga⸢ʃiʔiʣu⸣nu ⸣daʃi ⸣turiba] (炙って燻製にした魚の出汁をとりなさい)。魚が大量に漁獲された時は、内臓を除去してア⸢マ⸣ダ[ʔa⸢ma⸣da](魚肉を焙り、燻製にする鉄製の網{EOS}金網のあぶり網)に載せ、ウ⸢キル[ʔu⸢kiru](熾火)で焙乾する。⸢ピー⸣カー[⸢piː⸣kaː](ジャバアイゴの仲間)、⸢オン⸣デー[⸢ʔon⸣deː](ジャバアイゴ)、イ⸢ラブ⸣チ[ʔi⸢rabu⸣ʧi](ブダイの仲間)、グ⸢ル⸣クン[gu⸢ru⸣kuŋ](ササムロ)、シ⸢ヌマー⸣ル[ʃi⸢numaː⸣ru](テングハギ)等は、よく焙乾して保存した。 ガ⸢シ⸣イゾー ナ⸢ガタブイ⸣ シ⸢ラリン [ga⸢ʃi⸣ʔiʣoː na⸢gatabui⸣ ʃi⸢rariŋ] (焙乾した魚は長期に保存することができる)。 ⸣アンシ イ⸢ズ イッ⸣パイ ガ⸢ラ⸣シケーティ ⸣ガシ シケー⸢ダー [⸣ʔaŋʃi ʔi⸢ʣu ʔip⸣pai ga⸢ra⸣ʃikeːti ⸣gaʃi ʃi̥keː⸢daː] (網で魚を沢山漁獲してきた<きてある>ので焙乾してあるよ) 4196 0 0 3949 htmvoc_4196.wav カジェーウイナルン カ⸢ジェー ウイ⸣ナルン [ka⸢ʤeː ʔui⸣ naruŋ] 連 風が回って北風<上>になる。天気が崩れて時化る。 カ⸢ジェー マーリ ウイ⸣ナリティ ⸢アッ⸣タニ ニ⸢シクベーラ⸣ ドゥ⸢ミンカ⸣シ ⸣ウティケーチバン [ka⸢ʤeː maːri ʔui⸣nariti ⸢ʔat⸣tani ni⸢ʃikubeːra⸣ du⸢miŋka⸣ʃi ⸣ʔutikeːʧibaŋ] (風は回り、北風に<上に>なって、急に空の北壁から雷鳴を轟かし、どよめかして強風雨が吹いて<落ちて>きてしまったわい) 4197 0 0 3950 htmvoc_4197.wav カジェーウリルン カ⸢ジェー⸣ ウ⸢リ⸣ルン [ka⸢ʤeː⸣ ʔu⸢ri⸣ruŋ] 連 風が回って南風になる。天気が穏やかになる。 カ⸢ジヌ マーリティ ウイ⸣ナルカー ⸣アトー カ⸢ジェー⸣ ウ⸢リ⸣ルン [ka⸢ʤinu maːriti ʔui⸣narukaː ⸣ʔatoː ka⸢ʤeː⸣ ʔu⸢ri⸣ruŋ] (風が回って北風になると、あとは、風は南風になる)。 カ⸢ジヌ⸣ ウ⸢リ⸣ルカー ⸢オーシケー ノー⸣ルン [ka⸢ʤinu⸣ ʔu⸢ri⸣rukaː ⸢ʔoːʃi̥keː noː⸣ruŋ] (風が下りたら<南風になったら>天気は良くなる) 4199 0 0 3951 htmvoc_4199.wav カジェーラ カ⸢ジェーラ [ka⸢ʤeːra] 名 背中の肩口。肩の上部。肩甲骨の辺り。 ⸢ピーズ⸣ ニー カ⸢タムタ⸣ル ⸣アイ ⸢ブー⸣ユー カ⸢ジェーラヌ⸣ ヤム⸠サー [⸢piːʣu⸣ niː kḁ⸢tamuta⸣ru ʔai ⸢buː⸣juː ka⸢ʤeːra⸣nu ⸣jamu⸠saː] (毎日、一日中荷を担いだからあんなになっているのだろうか、肩口の辺りが痛いよ) 4164 0 0 3952 htmvoc_4164.wav カジオーラ カ⸢ジオーラ [ka⸢ʤiʔoːra] 名 風上。「風上はら」の義。 カ⸢ジオーラ⸣ナ ⸢マイ⸣ トゥ⸢バス⸣カー ッ⸢ソーマヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ス⸢ク⸣ブ ⸣カブンダ ⸣ドゥー ⸢パス⸣コー ⸣ナルン [ka⸢ʤiʔoːra⸣na ⸢mai⸣ tu⸢basu̥⸣kaː s⸢soːmanu⸣ pu̥⸢soː⸣ su̥⸢ku⸣bu ⸣kabunda ⸣duː ⸢pasu̥⸣koː ⸣naruŋ] (風上で籾を飛ばすと風下の人はゴミ<藻屑>を被るから体がむず痒くなる)。ス⸢ク⸣ブ[su̥⸢ku⸣bu](籾殻、ごみ)は⸢スクモ」『日葡辞書』の転訛。したもの 4200 0 0 3953 htmvoc_4200.wav カシガー カ⸢シ⸣ガー [ka⸢ʃi⸣gaː] 名 南京袋の略称。 カ⸢シ⸣ガーナ ッ⸢ス⸣ミバ [kḁ⸢ʃi⸣gaːna s⸢su⸣miba] (南京袋に入れて包みなさいよ) 4202 0 0 3954 htmvoc_4202.wav カシカーサリン ⸢カシカーサ⸣リン [⸢kaʃi̥kaːsa⸣riŋ] 他動 すかさ(賺さ)れる。騙される。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ⸢カシカーサ⸣リン⸢ダー [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ⸢kaʃi̥kaːsa⸣rin⸢daː] (あれの話を聞くと騙さ<賺さ>れるよ)。 ⸣バー イッ⸢カ カシカーサラ⸣ヌ [⸣baː ʔik⸢ka kaʃi̥kaːsara⸣nu] (私は決して騙さ<賺さ>れない)。 ⸢カシカーサリ ヤッ⸣サン [⸢kaʃi̥kaːsarijas⸣saŋ] (騙さ<賺さ>れやすい)。 ⸢カシカーサリ⸣ル プ⸢スン ブン [⸢kaʃi̥kaːsari⸣ru pu̥⸢sunu buŋ] (騙さ<賺さ>れる人がいる) 4173 0 0 3955 htmvoc_4173.wav カシカーシムニ ⸢カシカーシ⸣ムニ [⸢kaʃi̥kaːʃi⸣muni] 名 うそ(嘘)。騙し言葉。他人を欺くことば。うそ他人を騙すことば。そらごと。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢カシカー⸣スニル ウ⸢ブ⸣プスニン ⸢カシカーシムニ⸣バ <ユ⸢クシムニ⸣バ> イ⸢ズ⸣ツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ja⸢ra⸣bi ⸢kaʃi̥kaː⸣suniru ʔu⸢bu⸣pu̥suniŋ ⸢kaʃi̥kaːʃimuni⸣ba ʔi⸢ʣu⸣ʦoː] (その人は、子供を騙すように大人にも嘘をつく<騙し言葉を言う>そうだ) 4201 0 0 3956 htmvoc_4201.wav カシカースン ⸢カシカー⸣スン [⸢kaʃi̥kaː⸣suŋ] 他動 すかす(賺す)。だます(騙す)。慰めなだめる。若年層の言葉。 プ⸢ス カシカー⸣スンティ ⸢ベー⸣ティ ⸢カシカーサ⸣リティ バ⸢ラーリ ベー [pu̥⸢su kaʃi̥kaː⸣sunti ⸢beː⸣ti ⸢kaʃi̥kaːsa⸣riti ba⸢raːri beː] (他人を騙そうとしていて、逆に騙されて笑われているよ)。 ⸢カシカーシ⸣ プサカー マー⸢ンバー⸣キン ⸢カシカー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢kaʃi̥kaːʃi⸣ pu̥sakaː maː⸢mbaː⸣kiŋ ⸢kaʃi̥kaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (騙したければどこまでも騙せばよいのに)。 ⸢カシカー⸣ス プ⸢ソー パー⸣ク ⸢カシカー⸣シ [⸢kaʃi̥kaː⸣su pu̥⸢soː paː⸣ku ⸢kaʃi̥kaː⸣ʃi] (騙す人は早く騙せ)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢カシカー⸣スニル パ⸢ナ⸣ス [ja⸢ra⸣bi ⸢kaʃi̥kaː⸣suniru pa⸢na⸣su] (子供を\ruby{賺}{スカ}す<宥め賺す>ように話すんですよ)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢カシカー⸣スンティ ⸢スンドゥ カシカーサラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bi ⸢kaʃi̥kaː⸣sunti ⸢sundu kaʃi̥kaːsara⸣nu] (子供を賺そうとするが、賺されない)。 ク⸢レー カシカーサ⸣リン [ku⸢reː kaʃi̥kaːsa⸣riŋ] (これは賺される<\ruby{騙}{ダマ}される>)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー カシカーシ ヤッ⸣サンダ ⸢カシカー⸣ス⸣クトー ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː kaʃi̥kaːʃi jas⸣sanda ⸢kaʃi̥kaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣wakeː ⸢naː⸣nu] (彼<その人>は賺しやすいから、騙すことは簡単だ<訳は無い>)。 ⸢カシカー⸣ス プ⸢スル ワッ⸣サ [⸢kaʃi̥kaː⸣su pu̥⸢suru was⸣sa] (騙す人が悪い)。 ⸢カシカー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢kaʃi̥kaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (騙せば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢カシカー⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢kaʃi̥kaː⸣ʃi] (早く騙せ)。 ⸢ウンザンマー⸣ ミ⸢シーミシ カシカーサ⸣リ ⸣ウカ ⸣カベーティ ⸢アー⸣クンティ [⸢ʔunʣammaː⸣ mi⸢ʃiːmiʃi kaʃi̥kaːsa⸣ri ⸣ʔukakabeːti ⸢ʔaː⸣kunti] (あの野郎には見す見す打ち騙され<賺され>て、負債を被っているさ<あるくさ>)。 プ⸢ス カシカース⸣ナ [pu̥⸢su kaʃi̥kaːsu⸣na] (他人を騙す<賺す>な)。 ⸣バー  イッ⸢カナ⸣シ ⸢カシカーサ⸣ヌ [⸣baː ʔik⸢kana⸣ʃi ⸢kaʃi̥kaːsa⸣nu] (私は決して騙さ<賺さ>ない)。 ⸢カシカー⸣スンティ ⸣ウムーカー ⸢カシカー⸣シバ [⸢kaʃi̥kaː⸣sunti ⸣ʔumuːka ⸢kaʃi̥kaː⸣ʃiba] (騙そうと<賺すと>思うなら騙<賺せ>せ)。 ⸢カシカー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢kaʃi̥kaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (騙せば<賺せば>良いのに) 4204 0 0 3957 htmvoc_4204.wav カシガーフクル カ⸢シガーフク⸣ル [ka⸢ʃigaːɸu̥ku⸣ru] 名 南京袋。麻糸を粗く織って大豆や米を入れるのに用いた袋。ル⸢クトゥダー⸣ラ[ru⸢kutudaː⸣ra](六斗俵、六斗入りの袋)、⸢ユントゥダーラ[⸢juntudaːra](四斗俵、四斗入りの袋)があった。朝鮮袋ともいった。昭和に入って⸢ホーライ⸣マイ[⸢hoːrai⸣mai](蓬莱米{EOS}台湾で開発された改良種の米)が作付けされるようになると、稲刈りした後、西表の田圃で脱穀して籾をカシガーフクル(南京袋)に詰め、⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船{EOS}サバニ)で鳩間島に運び乾燥して保存した。 ⸢マイヤー⸣ ル⸢クトゥダー⸣ラナ ⸣シミティル パ⸢トゥ⸣マー ハ⸢クボーッ⸣タ <カ⸢ヤーシタ> [⸢maijaː⸣ ru⸢kutudaː⸣rana ⸣ʃimitiru pḁ⸢tu⸣maː hḁ⸢kuboːt⸣ta ] (米は六斗俵に詰めて鳩間島に運ばれた)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー カ⸢シガーフクル⸣バ ⸣カベーティル ア⸢ミフイ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ガッ⸣コーン ⸢パッタ⸣ル [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː kḁ⸢ʃigaːɸu̥kuru⸣ba ⸣kabeːtiru ⸢gak⸣koːm ⸢patta⸣ru] (子供の頃は南京袋を被って雨降りの日には学校へも行ったものだ) 4205 0 1 3958 htmvoc_4205.wav カシカキ カ⸢シ⸣カキ [kḁ⸢ʃi⸣kḁki] 名 {Mn_1}かせかけ。かせを掛けること。経糸をかける工字型の道具を改良した物がカ⸢シカキ⸣ヤマ[kḁ⸢ʃikaki⸣jama]である。養蚕が普及した頃に導入されたものという。 4205 0 2 3959 htmvoc_4205.wav カシカキ カ⸢シ⸣カキ [kḁ⸢ʃi⸣kḁki] 名 {Mn_2}舞踊の名。沖縄本島や石垣島ではカ⸢シ⸣カキというが、鳩間島ではカ⸢ナ⸣カキ[ka⸢na⸣kḁki](琉球古典舞踊女踊「かせかけ」)という。 ウ⸢キナー⸣ヌ カ⸢シ⸣カケー パ⸢トゥ⸣マナテー カ⸢ナ⸣カキティル ア⸢ズ⸣ダー [ʔu⸢kinaː⸣nu kḁ⸢ʃi⸣kakeː pḁ⸢tu⸣manateː ka⸢na⸣kḁkitiru ʔa⸢ʣu⸣daː] (沖縄本島の古典女踊り「かせかけ」は鳩間島ではカ⸢ナ⸣カキ{SqBr}ka⸢na⸣kḁki{/SqBr}というのだよ) 4206 0 0 3960 htmvoc_4206.wav カシカキヤマ カ⸢シカキ⸣ヤマ [kḁ⸢ʃikḁki⸣jama] 名 経糸を巻いておく機織の道具。経糸をかける工字型の道具を改良したもの。 カシ⸢カキ⸣ヤマー ⸣アトーラル ⸢ペー⸣リケー ⸣ムヌ [kḁ⸢ʃikḁki⸣jamaː ⸣ʔatoːraru ⸢peː⸣rikeː ⸣munu] (カシカキヤマ<経糸を巻き取る織機の道具>は後に入ってき<導入され>たものだ) 4207 0 0 3961 htmvoc_4207.wav カシカキルン ⸣カシ カ⸢キ⸣ルン [⸣kḁʃi kḁ⸢ki⸣ruŋ] 連 かせいと(経糸)を掛ける。かせ(綛)に掛ける。一反分の経糸を張り渡して織機に掛ける。 ア⸢ボー⸣トゥ ⸣アンマトゥ フ⸢タール⸣シ ⸣バサキンヌ ⸣カシ カ⸢キ⸣ルンティ ⸢オー⸣ル [ʔa⸢boː⸣tu ⸣ʔammatu ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸣basakinnu ⸣kḁʃi kḁ⸢ki⸣runti ⸢ʔoː⸣ru] (お母さんと姉さんと二人で芭蕉着の経糸を掛けようとしておられる) 4175 0 0 3962 htmvoc_4175.wav カジカジ カ⸢ジ⸣カジ [ka⸢ʤi⸣kaʤi] 名 数々。色々。種々。様々。 イ⸢クサ⸣ユーナー ア⸢ワリ⸣ヌ カ⸢ジ⸣カジ ⸢シェー⸣ティル マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリケー⸢ダー [ʔi⸢kusa⸣juːnaː ʔa⸢wari⸣nu ka⸢ʤi⸣kaʤi ⸢ʃeː⸣tiru ma⸢na⸣ma narikeː⸢daː] (戦争時代<戦世>には難儀苦労の数々をして現在になってきているのだよ)。 カ⸢ジカジ⸣ヌ ウ⸢サイ⸣バ ン⸢マーンマー⸣シ ス⸢コーリ⸣ マ⸢チ⸣バ [ka⸢ʤikaʤi⸣nu ʔu⸢sai⸣ba ʔm⸢maːʔmmaː⸣ʃi su̥⸢koːri⸣ ma⸢ʧi⸣ba] (色々のご馳走<お采>を美味しく作って、お供えし<祀り>なさい) 4176 0 0 3963 htmvoc_4176.wav カシカシマースン ⸢カシカシマー⸣スン [⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣suŋ] 他動 うまくすかす(\ruby{賺}{スカ}す)。うまくだます(騙す)。機嫌をとってすかし\ruby{賺}{スカ}し\ruby{騙}{ダマ}す。したたかにすかす(賺す)。機嫌をとる。 ヤ⸢ラ⸣ビ カ⸢シカシマー⸣スンティ ⸢スンド⸣ イッ⸢カ カシカシマーサラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bi ⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔik⸢ka kaʃi̥kaʃimaːsara⸣nu] (子供を賺して機嫌をとろうとするが、一向に賺されない)。 ⸢カシカシマー⸣シ ⸣ミサタンティン ⸣アイニ ⸢カシカシマー⸣ス ⸣クトー ス⸢ナ [⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣ʃi ⸣misatantiŋ ⸣ʔaini ⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣su ⸣ku̥toː ⸢su⸢na] (賺し騙して良くても、あんなに賺し騙すことはするな)。 ⸢カシカシマー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (賺し騙せば良いのに)。 ⸢カシカシマー⸣シバ [⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣ʃiba] (賺し騙しなさいよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢カシカシマー⸣シェーティル シゥ⸢カーリ [ja⸢ra⸣beː ⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣ʃeːtiru si̥⸢kaːri] (子供は宥め賺しながら<ぞ>使われる)。 ⸢カシカシマー⸣スンティ ⸢スンドゥ カシカシマーサラ⸣ヌ [⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣sunti ⸢sundu kaʃi̥kaʃimaːsara⸣nu] (宥め賺そうとするが、宥め賺されない)。 ⸢カシカシマー⸣スクトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (宥め賺すことは出来ない)。 ⸢カシカシマー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (宥め賺せばよいのに)。 ⸢カシカシマー⸣シ [⸢kaʃi̥kaʃimaː⸣ʃi] (宥め賺せ) 4177 0 0 3964 htmvoc_4177.wav カシキ ⸢カシ⸣キ [⸢kaʃi̥⸣ki] 名 こわめし(強飯)。糯米や粳米を蒸篭や⸢クシ⸣キ[⸢kuʃi̥⸣ki](甑)で蒸しあげて作った強飯。多少、塩で味付けされて美味である。お盆の送りの日の夕食として、仏壇に供えた。「こわい<強飯>」のこと。「飯炊毛和須礼提<飯かしく事も忘れて>」『万葉集 892』、「可志久<かしく>、又宇牟須<うむす>『新撰字鏡』」の「可志久」の転訛。 ⸢クシ⸣キナー ム⸢チマイ⸣ イ⸢リティ カシ⸣キ フ⸢カ⸣シ [⸢kuʃi̥⸣kinaː mu⸢ʧimai⸣ ʔi⸢riti kaʃi⸣ki ɸu̥⸢ka⸣ʃi] (甑に糯米を入れて、カシキ<こわめし>に蒸し煮しなさい<蒸しなさい{EOS}ふかせ>)。 ⸢ユーボン⸣マー ⸢カシ⸣キ ス⸢コーリ⸣ マ⸢チ⸣バ [⸢juːbom⸣maː ⸢kaʃi̥⸣ki su̥⸢koːri⸣ ma⸢ʧi⸣ba] (夕飯にはカシキを炊いて供えなさいよ)。 ウ⸢ブソッ⸣コーナー ⸢カシ⸣キ バ⸢カソーッ⸣タン⸢ダー [ʔu⸢busok⸣koːnaː ⸢kaʃi̥⸣ki ba⸢kasoːt⸣tan⸢daː] (大法事<二十五年忌、三十三年忌、>には強飯を炊かれたよ) 4178 0 0 3965 htmvoc_4178.wav カシキフルマイ ⸢カシキフル⸣マイ [⸢kaʃi̥kiɸuru⸣mai] 名 慶事、法事に出すこわめし。「強飯饗応」の義。⸢ソーニヨイ[⸢soːnijoi](還暦、喜寿、米寿などの生年祝い)や二十五年忌、ウ⸢サンギソッコー[ʔu⸢saŋgisokkoː](三十三年忌)などの大きな行事に出す料理。⸢カシ⸣キ[⸢kaʃi̥⸣ki](こわめし)、豚肉または蒲鉾と野菜の汁、大根や昆布の煮つけ、魚の煮物、蛸や魚のテンンプラの⸢ユーチング[⸢juːʧiŋgu](四ツ組)の膳部。 ⸢カシキフルマイ⸣ヤー ⸣ソンガチトゥ ⸢ソーニヨイ⸣ ウ⸢ブソッ⸣コーン ⸣ドーレナール ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸢kaʃi̥kiɸurumai⸣jaː ⸣soŋgaʧitu ⸢soːnijoi⸣ ʔu⸢busok⸣koːn ⸣doːrenaːru ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (カシキフルマイ<強飯饗応>は正月と生年祝い、大法事<大焼香>等の時に<が>出された) 4246 0 0 3966 htmvoc_4246.wav カジゴーラーン ⸣カジ ⸢ゴー⸣ラーン [⸣kaʤi ⸢goː⸣raːŋ] 連 数が多い。 プ⸢スヌ⸣ カジ ⸢ゴー⸣ラーン [pu̥⸢sunu⸣ kaʤi ⸢goː⸣raːŋ] (人数<人の数>が多い)。 ⸣カジェー ⸢ゴー⸣ラー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kaʤeː ⸢goː⸣raː ⸢naː⸣nu] (数は多くない)。 ⸣カジェー ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナルン [⸣kaʤeː ⸢goː⸣raː ⸣naruŋ] (数は多くなる)。 カジ ⸢ゴー⸣ラー ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸣kaʤi ⸢goː⸣raː ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (数が多いことはないはずだ)。 ⸣カジ ⸢ゴー⸣ラーカー シ⸢ティリ⸣バ [⸣kaʤi ⸢goː⸣raːkaː ʃi̥⸢tiri⸣ba] (数が多ければ捨てろよ) 4185 0 1 3967 htmvoc_4185.wav カジコーン カ⸢ジコー⸣ン [ka⸢ʤikoː⸣ŋ] 形 {Mn_1}すがたって硬い。 ⸢ダイ⸣クネー ⸢ウイ⸣シギティ カ⸢ジコー⸣ヌ カ⸢マラ⸣ヌ [⸢dai⸣kuneː ⸢ʔui⸣ʃigiti ka⸢ʤikoː⸣nu ka⸢mara⸣nu] (大根は時期が過ぎて<老いすぎて>すが立って硬くて噛めない<噛まれない>)。 ⸢ナン⸣ゾー カ⸢ジコーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ka⸢ʤikoːnaː⸣nu] (それほど硬くない)。 シ⸢ンダイ⸣ カ⸢ジコー⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ka⸢ʤikoː⸣naruŋ] (すが立って次第に硬くなる)。 ク⸢リン⸣ カ⸢ジコー⸣ン [ku⸢riŋ⸣ ka⸢ʤikoː⸣ŋ] (これもすが立って硬い)。 カ⸢ジコー⸣ ムノー シ⸢ティリ [ka⸢ʤikoː⸣ munoː ʃi̥⸢tiri] (すが立って硬いものは捨てろ)。 カ⸢ジコー⸣カー シ⸢ティ⸣ミサン [ka⸢ʤikoː⸣kaː ʃi̥⸢ti⸣misaŋ] (すが立って硬ければ捨ててもいい)。 4185 0 2 3968 htmvoc_4185.wav カジコーン カ⸢ジコー⸣ン [ka⸢ʤikoː⸣ŋ] 形 {Mn_2}肉などの繊維が硬い。 ウ⸢シヌ シー⸣シェー カ⸢ジコー⸣ヌ カ⸢マラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃinu ʃiː⸣ʃeː ka⸢ʤikoː⸣nu ka⸢mara⸣nu] (牛肉<牛の肉>は筋が硬くて噛まれ<噛み切れ>ない) 4183 0 0 3969 htmvoc_4183.wav カジゴイ カ⸢ジゴイ [ka⸢ʤigoi] 名 堆肥。 ⸣シンタヌ カ⸢ジゴイバ⸣ カ⸢タ⸣ミ パ⸢タ⸣キナー イ⸢リティ⸣ カ⸢ブッチヌ⸣ ナイ ⸣ヤトゥイ イ⸢ビ⸣バ [⸣ʃintanu ka⸢ʤigoiba⸣ kḁ⸢ta⸣mi pḁ⸢ta⸣kinaː ʔi⸢riti⸣ ka⸢butʧinu⸣ nai ⸣jatui ʔi⸢bi⸣ba] (家の後ろの豚小屋の堆肥を運んで畑に入れて、カボチャ(南瓜)の苗を移植しなさいよ) 4186 0 0 3970 htmvoc_4186.wav カシザイ カ⸢シ⸣ザイ [ka⸢ʃi⸣ʣai] 名 酒の糟(酒粕)。酒のもろみ(諸味)を蒸留して泡盛を醸造した後の糟。 カ⸢シザイ⸣ヤー ⸢オー⸣ヌイーナ ⸣タリティ ⸢ウン⸣トゥ マ⸢ザー⸣シティ ⸣オーン ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [kḁ⸢ʃiʣai⸣jaː ⸢ʔoːnu⸣ʔiːna ⸣tariti ⸢ʔun⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃiti⸣ʔoːn f⸢faːsoːt⸣ta] (酒の糟は豚の餌に芋と混ぜこねて豚に食べさせなされた) 4208 0 0 3971 htmvoc_4208.wav カジスーン カ⸢ジ スーン [ka⸢ʤi suːŋ] 文 風がおだやかに吹く。風がそよそよと吹くこと<そよぐ>。カ⸢ジ⸣ フクン[ka⸢ʤi⸣ ɸu̥kuŋ](台風が吹く<台風が襲来する>)と意味が対立する。 ⸢キュー⸣ヤ カ⸢ジン スイティ⸣ イッ⸢ケン⸣ ピ⸢ラ⸣ケーン [⸢kjuː⸣ja ka⸢ʤin suiti⸣ ʔik⸢kem⸣ pi⸢ra⸣keːŋ] (今日は風もそよいで非常に涼しい) 4184 0 0 3972 htmvoc_4184.wav カシダイクニ ⸣カシダイクニ [⸣kaʃidaikuni] 名 すの入った大根。 ⸢ダイクニ⸣ヌ ⸢ウイシギ⸣ルカー ⸣カシダイクニ ⸣ナリティ ッ⸢ふァーラン⸠ダー [⸢daikuni⸣nu ⸢ʔuiʃigi⸣rukaː ⸣kḁʃidaikuni ⸣nariti f⸢faːran⸠daː] (大根が時期過ぎになる<老い過ぎる>と、す入り大根になって食べられないよ) 3733 0 0 3973 htmvoc_3733.wav ガシタク ガ⸢シ⸣タク [ga⸢ʃi⸣taku] 名 保存用に炙って燻製にした蛸。「乾かし蛸」の義か。熱湯で茹でて水を切り、ア⸢マ⸣ダ[ʔa⸢ma⸣da](燻製用金網)に載せて熾火で炙り燻製にした蛸。硬いので鉋や包丁で削って食べた。長期保存がきくので、石垣島や沖縄へ送る際にもこの手法で燻製にして贈った。子供の歯が生えかける頃、燻製にした蛸の手を約10センチ程度の長さに切り、皮や吸盤を削り去った後の中身をしゃぶらせる習慣があった。燻製蛸は噛むにつれて味が出るので、離乳期の子供に母乳以外の食品の味を覚えさせるのに好都合であった。燻製蛸そのものが噛むにつれて弾力性が出るので乳児の顎の力をつけさせるのに良いといわれていた。歯が生え始めた乳児は、しばしば母親の乳頭を噛むので、その頃から燻製蛸を与えていたが、最近ではこの習慣も忘れられている。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢パームイ⸣ジブン ⸣ナルカー ガ⸢シ⸣タク シ⸢ビラソーッ⸣タ [ja⸢rabi⸣nu ⸢paːmui⸣ʤibun ⸣narukaː ga⸢ʃi⸣taku ʃi⸢birasoːt⸣ta] (子供が歯の生えはじめる頃になると燻製蛸をしゃぶらされた)。 ガ⸢シ⸣タコー カムカー カム⸢シンダイ⸣ ン⸢マー⸣ ナルン [ga⸢ʃi⸣takoː ⸣kamukaː kamu⸢ʃindai⸣ ʔm⸢maː⸣naruŋ] (炙って燻製にした蛸は、噛めば噛むほど美味しくなる)。 ガ⸢シ⸣タコー タ⸢ブイラリン⸠ダー [ga⸢ʃi⸣takoː ta⸢buirarin⸠daː] (焙乾した蛸は長期保存できるよ)。 ガ⸢シ⸣タクンノーン ッ⸢ス⸣ミ イ⸢サナケーヌ⸣ シトゥ ⸣ムティパリバ [ga⸢ʃi⸣tḁkunnoːn s⸢su⸣mi ʔi⸢sanakeːnu⸣ ʃi̥tu ⸣mutipariba] (薫製蛸でも包んで石垣への土産に持って行けよ) 4188 0 0 3974 htmvoc_4188.wav カシタクン ⸣カシタクン [⸣kḁʃi⸣tḁkuŋ] 名 かせいと(綛糸)の束。麻糸などを枠に一定回数巻き、枠をはずして束ねたもの。 ⸣カシタクンマー ⸣プシティ ⸢カーラカシ⸣バ [⸣kḁʃitḁkummaː ⸣pu̥ʃiti ⸢kaːrakaʃi⸣ba] (かせいと<綛糸>の束は干して乾かしなさいよ) 4210 0 0 3975 htmvoc_4210.wav カシティラ ⸢カシ⸣ティラ [⸢kaʃi̥⸣tira] 名 カステラ(Castilla)。ポルトガル人が長崎に伝えたという。小麦粉に卵と砂糖、水飴などを混ぜて焼いた菓子。首里方言からの借用語か。 ク⸢ヌ カシ⸣ティラー ウ⸢キ⸣ナーラヌ ⸣シトゥティ ⸢カイ オー⸣レール ⸢コー⸣シツォー [ku⸢nu kaʃi̥⸣tiraː ʔu⸢ki⸣naːranu ⸣ʃi̥tuti ⸢kai ʔoː⸣reːru ⸢koː⸣ʃiʦoː] (このカステラは沖縄からのお土産として買って来られたお菓子だそうだ)。 イ⸢サナケー⸣ラ ⸢カシ⸣ティラ ⸢カイ オー⸣リ ッ⸢ふァーソーッタン⸣ドゥ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン ア⸢ラシコーシ ニーブタ [ʔi⸢sanakeː⸣ra ⸢kaʃi̥⸣tira ⸢kai ʔoː⸣ri f⸢faːsoːttan⸣du ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ ʔa⸢raʃikoːʃi niːbuta] (石垣からカステラを買ってきて食べさせてくださったが、非常に美味しかった{EOS}伝統的な蒸し菓子<アラシコーシ>に似ていた) 4211 0 0 3976 htmvoc_4211.wav カシティラカマブク ⸢カシ⸣ティラカマブク [⸢kaʃi̥⸣tirakamabuku] 名 カステラ蒲鉾。魚肉を十分に擂り潰し、澱粉と鶏卵、調味料を加えて重箱型の型枠に入れてカステラ状に蒸しあげた蒲鉾。 ⸢カシ⸣ティラカマブコー パ⸢トゥ⸣マナーテー ス⸢クラン⸣シェン [⸢kaʃi̥⸣tirakamabukoː pḁ⸢tu⸣manaːteː su̥⸢kuraŋ⸣ʃeŋ] (カステラ蒲鉾は、鳩間島では作らなかった) 4189 0 0 3977 htmvoc_4189.wav ガシドゥシ ガ⸢シドゥシ [ga⸢ʃiduʃi] 名 凶年。「餓死年」の義。 ⸢ピーカジ⸣ヌ ⸣フク ⸣トゥシェー ム⸢カ⸣シェー ガ⸢シドゥシ⸣ティ ア⸢ザリブタ [⸢piːkaʤi⸣nu ⸣ɸu̥ku ⸣tu̥ʃeː mu⸢ka⸣ʃeː ga⸢ʃiduʃi⸣ti ʔa⸢ʣaributa] (雨の降らない台風<火風、火台風>が吹く年は、昔は凶年と言われていた) 4212 0 0 3978 htmvoc_4212.wav カジトゥリ カ⸢ジトゥリ [ka⸢ʤituri] 名 無風状態になること。凪になること。風が凪ぐこと。「かぜとれ(風凪れ)」の義。 カ⸢ジトゥリ⸣ ナリティ <カ⸢ジヌ⸣ トゥ⸢リティ⸣> ⸣フネー ⸢プーピキ⸣ パ⸢ラサラ⸣ヌ [ka⸢ʤituri⸣ nariti ⸣ɸuneː ⸢puːpiki⸣ pa⸢rasara⸣nu] (凪ぎになって舟は帆を揚げて操船<走行>できない{EOS}走らされない) 4190 0 1 3979 htmvoc_4190.wav カジドゥル カ⸢ジドゥル [ka⸢ʤiduru] 名 {Mn_1}機嫌取り。 ⸢ウイプス⸣ヌ カ⸢ジドゥル スンティ⸣ ン⸢マー⸣ムヌ シゥ⸢コーリベ⸠ダー [⸢ʔuipu̥su⸣nu ka⸢ʤiduru sunti⸣ ʔm⸢maː⸣munu su̥⸢koːribeː⸠daː] (年寄りの機嫌を取ろうと、美味しいものを作っているよ)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ カ⸢ジドゥル スン [ja⸢rabi⸣nu ka⸢ʤiduru suŋ] (子供の機嫌取りをする)。 4190 0 2 3980 htmvoc_4190.wav カジドゥル カ⸢ジドゥル [ka⸢ʤiduru] 名 {Mn_2}舵取り。船の操縦。 ヤ⸢ラビ⸣ドゥ ヤ⸢ルンドゥ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ カ⸢ジドゥルン ゾー⸣ブンニ ⸢シーシタ [ja⸢rabi⸣du ja⸢rundu⸣ ɸu⸢ni⸣nu ka⸢ʤidurun ʣoː⸣bunni ⸢ʃiːʃi̥ta] (子供<童>であるがサバニの舵取り<操縦、操船>も十分に出来た<した>)。 4190 0 3 3981 htmvoc_4190.wav カジドゥル カ⸢ジドゥル [ka⸢ʤiduru] 名 {Mn_3}拍子をとる。ある動作をする際に、調子をとるように頭や身体の一部を動かすこと。 カ⸢ジドゥル サン⸣カー ア⸢ラキングリサ⸣ル [ka⸢ʤiduru saŋ⸣kaː ʔa⸢rakiŋgurisa⸣ru] (手で拍子を取らないと歩きづらい) 3926 0 1 3982 htmvoc_3926.wav カジトゥルン カ⸢ジ⸣ トゥルン [ka⸢ʤi⸣ turuŋ] 連 {Mn_1}操船する。舵を取って走らせる。 ⸣フネー ⸢オーラー⸣ニ カ⸢ジ⸣トゥリ [⸣ɸuneː ⸢ʔoːraː⸣ni ka⸢ʤi⸣ turi] (船は風上の方へ舵を取れ)。采配をふるう。 ⸢ウン⸣ネーヤ トゥ⸢ジヌ マーラシティ⸣ キ⸢ナイヌ⸣ カ⸢ジ⸣ トゥル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン ナッ⸣ター ブ⸢トー ホー⸣ローキシティ ⸢サン⸣ソー ⸢マーリナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːja tu⸢ʤinu maːraʃi̥ti⸣ ki⸢nainu⸣ ka⸢ʤi⸣ turu pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːn nat⸣taː bu⸢toː hoː⸣roːki̥ʃiti ⸢san⸣soː ⸢maːrinaː⸣nu] (その家は妻が亡くなって家庭を操縦する人がいなくなったので、夫は思慮分別を失い、うろたえておろおろしている)。 3926 0 2 3983 htmvoc_3926.wav カジトゥルン カ⸢ジ⸣ トゥルン [ka⸢ʤi⸣ turuŋ] 連 {Mn_2}機嫌を取る。 ク⸢ヌ⸣ッ⸢ふァー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ カ⸢ジトゥララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ mut⸢tu⸣ ka⸢ʤiturara⸣nu] (この子は一向に機嫌とれない) 3925 0 0 3984 htmvoc_3925.wav ガジトゥルン ⸣ガジトゥルン [⸣gaʤituruŋ] 他動 こそぎ取る。かき集めてとる。掻き取る。 ナ⸢マシキ⸣ヌ ⸢ガー⸣ガ ⸣ガジトゥルン [na⸢maʃi̥ki⸣nu ⸢gaː⸣ga ⸣gaʤituruŋ] (焦げ飯の黒焦げをこそぎ取る<掻き取る>)。 ナ⸢ビ⸣ヌ ス⸢コーラ⸣ ガジトゥリティ シ⸢ティリ [na⸢bi⸣nu su̥⸢koːra⸣ gaʤituriti ʃi⸢tiri] (鍋の底からこそぎ取って<掻き取って>捨てなさい)。 ナ⸢マ⸣シキ ガジトゥルン [na⸢ma⸣ʃi̥ki ⸣gaʤituruŋ] (おこげ<御焦げ>をこそげ取る) 4213 0 0 3985 htmvoc_4213.wav カシナー カ⸢シ⸣ナー [ka⸢ʃi⸣naː] 名 鱶釣り縄。藁縄を家葺き縄の大きさに綯い、それを3本縒り合せて(掛け合せて)約200尋の長さに綯った縄。これを⸢ミーソーガキ[⸢miːsoːgaki](三本掛け合わせた縄)という。これに数本の枝縄をつけて釣り針に餌を掛け、浮きを付けて海底に沈めるムトゥナー[mu⸢tu⸣naː](本縄)にした。 バ⸢ラフ⸣タジナバ ⸢ミーソーガキ⸣ シ⸢ティ⸣ カ⸢シ⸣ナー ⸢サーソーッ⸣タ [ba⸢raɸu⸣taʤinaba ⸢miːsoːgaki⸣ ʃi̥⸢ti⸣ kḁ⸢ʃi⸣naː ⸢saːsoːt⸣ta] (藁縄を三本縒り合わせて鱶釣り縄を作られた) 4214 0 0 3986 htmvoc_4214.wav カジニンガイ カ⸢ジニンガイ [ka⸢ʤiniŋgai] 名 順風満帆の祈願。一路平安の祈願。「風願い」の義。⸣グシ[⸣guʃi](神酒)、⸣パナ[⸣pana](神前に供える清めた花米)を床の間の神前に供え、香を焚いて祈願し、夜は女性達が集まって祈願し、夜通し歌いつつ旅の安全を祈願したという。タ⸢ビ⸣ニガイ[ta⸢bi⸣nigai](旅の安全祈願)ともいう。 ブ⸢バマン⸣ガン ブ⸢ナルンガンヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢オー⸣リ カ⸢ジニンガイバ ソー⸣リ カ⸢ルイ⸣シキ ッ⸢ふォーッ⸣タ [bu⸢bamaŋ⸣gam bu⸢naruŋgan⸣nu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢ʔoː⸣ri ka⸢ʤiniŋgaiba soː⸣ri ka⸢rui⸣ʃi̥ki f⸢foːt⸣ta] (伯叔母神、姉妹神<をなり神>が集まって来られて、旅の平安祈願<風の祈願>をなさって航海安全を祈って下さった) 4215 0 0 3987 htmvoc_4215.wav カジヌイキ カ⸢ジヌ⸣ イキ [ka⸢ʤinu⸣ ʔiki] 連 風の息。風の勢い。風速。 マ⸢ナ⸣マー カ⸢ジヌ⸣ イ⸢キ⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ ⸣フカンター ン⸢ジララ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ka⸢ʤinu⸣ ʔi⸢ki⸣nu ⸢suːwa⸣nu ⸣ɸu̥kantaː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (今は風の勢い<風の息>が強くて屋外には出られない) 4216 0 0 3988 htmvoc_4216.wav カジヌウイヌールン カ⸢ジヌ ウイ ヌールン [ka⸢ʤinu ʔui nuːruŋ] 文 風が東から上<北>に上る(好天から荒天になる{EOS}時化になる) 4217 0 0 3989 htmvoc_4217.wav カジヌウリルン カ⸢ジヌ⸣ ウ⸢リ⸣ルン [ka⸢ʤinu⸣ ʔu⸢ri⸣ruŋ] 文 (風が北から南へ降りる<荒天から好天になる>) 4218 0 0 3990 htmvoc_4218.wav カジヌスブル カ⸢ジヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル [ka⸢ʤinu⸣ su⸢bu⸣ru] 連 舵の頭。舵棒を差し込む所。 カ⸢ジヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルナ ⸢テー⸣ナイ ヌ⸢キティ⸣ ピ⸢ダ⸣レー ⸢ニーレー ウーカ⸣シェーティル ⸣フネー マ⸢ギ⸣ パ⸢ラシ⸣タ [ka⸢ʤinu⸣ su⸢bu⸣runa ⸢teː⸣nai nu⸢kiti⸣ pi⸢da⸣reː ⸢niːreː ʔuːka⸣ʃeːtiru ⸣ɸuneː ma⸢gi⸣ pa⸢raʃi̥⸣ta] (舵の頭部に梶棒を貫き差して左へ右へと動かして舟を旋回させ<曲げ>て操船し<走行させ>た) 4219 0 0 3991 htmvoc_4219.wav カジヌティー カ⸢ジヌ⸣ ティー [ka⸢ʤinu⸣ tiː] 連 雲の流れたさま。雲が風に吹き流されるように見えるさま。「風の手」の義。空に風の手が見えると時化る前兆と言われていた。 カ⸢ジヌ ティー⸣ヌ ミ⸢ラリ⸣ブーバ ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [ka⸢ʤinu tiː⸣nu mi⸢rari⸣buːba ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣su] (風の手が見えているから天気は崩れる) 4220 0 0 3992 htmvoc_4220.wav カジヌニー カ⸢ジヌ⸣ ニー [ka⸢ʤinu⸣ niː] 連 風が吹いてくる方向。「風の根」の義。 カ⸢ジヌ ニー⸣ヤ ⸢ニーヌ⸣パーラ ⸢サン⸣ヌパー ⸣ウレーチバ カ⸢ジェー⸣ トゥ⸢リス [ka⸢ʤinu niː⸣ja ⸢niːnu⸣paːra ⸢san⸣nupaː ⸣ʔureːʧiba ka⸢ʤeː⸣ tu⸢risu] (風の吹いてくる方向<風の根>が北<子の方>から西南<申の方>へ下りたから、風は凪ぐだろうよ)。 カ⸢ジヌ ニー⸣ヤ ⸣キシティ ガ⸢リブーバ⸣ カ⸢ジェー⸣ ウ⸢リ⸣ルンパジ [ka⸢ʤinu niː⸣ja ⸣ki̥ʃiti ga⸢ribuːba⸣ ka⸢ʤeː⸣ ʔu⸢ri⸣rumpaʤi] (風の根は切れて、北の空は明るくなっているから、風は南に下りるはず<好天になるはず>だ) 4236 0 0 3993 htmvoc_4236.wav カジヌミー カ⸢ジヌ⸣ ミー [ka⸢ʤinu⸣ miː] 連 風の吹き抜ける孔。風穴。 カ⸢ジヌ⸣ミーラ ⸣フキクー カ⸢ジヌ サッ⸣コー ⸢ピー⸣ヤ⸢ツォー [ka⸢ʤinu⸣miːra ⸣ɸu̥kikuː ka⸢ʤinu sak⸣koː ⸢piː⸣ja⸢ʦoː] (風穴から吹いてくる風が非常に寒いんだよ) 4221 0 0 3994 htmvoc_4221.wav カジヌミチ カ⸢ジヌ⸣ ミチ [ka⸢ʤinu⸣ miʧi] 連 風通しの良い所。「風の道」の義。 ⸣クマー カ⸢ジヌ⸣ミチ ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢ジェー スイティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ピ⸢ラ⸣ケーン [⸣kumaː ka⸢ʤinu⸣ miʧi ja⸢runda⸣ ka⸢ʤeː suiti⸣ ʔik⸢kena⸣ pi⸢ra⸣keːŋ] (ここは風通しの良い所<風の道>だから、風が吹いて<そよいで>大変涼しい)。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー カ⸢ジヌ⸣ ミチェー カ⸢ジズーワ⸣ヌ ン⸢カーラヌ [⸢taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː ka⸢ʤinu⸣ miʧeː ka⸢ʤiʣuːwa⸣nu ŋ⸢kaːranu] (台風の時は、風通しのいい所は風が強くて、風に向かって歩かれない<向かえない>) 4222 0 0 3995 htmvoc_4222.wav カジバーバー カ⸢ジバーバー [ka⸢ʤibaːbaː] 名 強風。嵐。暴風。風がびゅうびゅう吹くこと。⸢バーバー[⸢baːbaː]は擬音語。 カ⸢ジバーバー⸣ シ⸢ティ⸣ フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ka⸢ʤibaːbaː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (強風がビュービュー吹き荒れて船は出<出港>されない)。 カ⸢ジバーバー⸣ ナリティ ⸢タイフー⸣ヌ フ⸢キン⸣ギサバン [ka⸢ʤibaːbaː⸣ nariti ⸢taiɸuː⸣nu ɸu̥⸢kiŋ⸣gisabaŋ] (強風がビュービュー吹いて台風が来<吹き>そうだ) 4223 0 0 3996 htmvoc_4223.wav カジバナ カ⸢ジバナ [ka⸢ʤibana] 名 吹き曝し。風の通り道。「風端」の義か。海岸などの、風が強く吹くところ。防風林が無く、台風などが直接に吹きつける所。 ⸣クマー カ⸢ジバナ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ナ⸢チェー⸣ ピ⸢ラ⸣ケーンドゥ ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー ナ⸢クラーン⸣ダー [⸣kumaː ka⸢ʤibana⸣ ja⸢runda⸣ na⸢ʧeː⸣ pi⸢ra⸣keːndu ⸢taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː na⸢kuraːn⸣daː] (ここは吹き曝し<風端{EOS}風の通り道>だから夏は涼しいが、台風の時は怖いよ) 4224 0 0 3997 htmvoc_4224.wav カジバナヤー カ⸢ジバナヤー [ka⸢ʤibanajaː] 名 風の当たる家。吹き曝しに立つ家。 カ⸢ジバナヤーヤ タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー ナ⸢クラーン⸣ダー [ka⸢ʤibanajaːja taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː na⸢kuraːn⸣daː] (吹き曝しに立つ家は、台風の時は怖いよ) 4225 0 0 3998 htmvoc_4225.wav カジフキ カ⸢ジフキ [ka⸢ʤiɸu̥ki] 名 強風。時化の風。小さな暴風や台風になる前の熱帯低気圧による時化の強風。冬季の強い北風にもいう。「風吹き」の義。 ⸢ニンガチ⸣ カ⸢ジマール⸣ヌ カ⸢ジフキサーリ⸣ フ⸢ニ⸣バ ン⸢ザ⸣シェーティ ⸢アーキ⸣ル ⸢フンナケー⸠ダー [⸢niŋgaʧi⸣ ka⸢ʤimaːru⸣nu ka⸢ʤiɸu̥kisaːri⸣ ɸu⸢ni⸣ba ʔn⸢ʣa⸣ʃeːti ⸢ʔaːki⸣ru ⸢ɸunnakeː⸠daː] (旧暦二月の天気の崩れやすい時<二月風回り>の強風の中を、舟を出して行って転覆したんだよ) 3928 0 0 3999 htmvoc_3928.wav ガジフクラスン ガ⸢ジフクラ⸣スン [ga⸢ʤiɸu̥kura⸣suŋ] 他動 掻き腫らす。過度に皮膚を掻いて赤く腫れあがらせる。掻きまくる。 ア⸢ガーガ⸣シ ⸣ナルンケン ガ⸢ジフクラ⸣スン [ʔa⸢gaːga⸣ʃi ⸣naruŋkeŋ ga⸢ʤiɸu̥kura⸣suŋ] (真っ赤になるまで掻き腫らす)。 ガ⸢ジフクラサ⸣ヌ [ga⸢ʤiɸu̥kurasa⸣nu] (掻き腫らさない)。 ガ⸢ジフクラ⸣シ ⸣シケー [ga⸢ʤiɸu̥kura⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (掻き腫らしてある)。 ガ⸢ジフクラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [ga⸢ʤiɸu̥kura⸣su ⸣ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (掻き腫らすことはいけないそうだ)。 ガ⸢ジフクラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ka⸢kiɸu̥kura⸣ʃeː misamunu] (掻き腫らしたらよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ガ⸢ジフクラ⸣シバ [⸢maː⸣biŋ ga⸢ʤiɸu̥kura⸣ʃiba] (もっと掻き腫らせよ) 3985 0 0 4000 htmvoc_3985.wav ガジフクラスン ガ⸢ジフクラ⸣スン [ga⸢ʤiɸukura⸣suŋ] 他動 引掻く。掻き腫らす。痒いところを思いっきり掻く。爪を立てて掻く。皮膚が腫れるほど引掻く。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ビー⸣ヨーカー ⸣パダ ガ⸢ジフクラ⸣スン [ja⸢ra⸣beː ⸢duː⸣nu ⸢biː⸣joːkaː ⸣pada ga⸢ʤiɸukura⸣suŋ] (子供は体が痒いと肌を引掻く)。 ⸣パダ ガ⸢ジフクラサン⸣ドーシ フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーリ⸣バ [⸣pada ga⸢ʤiɸukurasan⸣doːʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːri⸣ba] (肌を引掻かないで薬を塗りなさい)。 ⸢ドゥー⸣バ ガ⸢ジフクラシ⸣ シケー [⸢duː⸣ba ga⸢ʤiɸu̥kura⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (体を引掻いてある)。 ガ⸢ジフクラ⸣ス ⸣トンラー ⸢シーヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルン [ga⸢ʤiɸu̥kura⸣su ⸣tonraː ⸢ʃiːnu⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (引掻くところからは血が出る)。 ガ⸢ジフクラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ga⸢ʤiɸu̥kura⸣ʃeː misamunu] (引掻けば良いのに)。 ガ⸢ジフクラ⸣シ [ga⸢ʤiɸu̥kura⸣ʃi] (引掻け)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ドゥー ガ⸢ジフクラ⸣スンダ ⸢ティー⸣ヌ ⸣シメー ⸣シミ シ⸢キ⸣リ [ja⸢ra⸣beː ⸣duː ga⸢ʤiɸu̥kura⸣sunda ⸢tiː⸣nu ⸣ʃimeː ⸣ʃimi ʃi̥⸢ki⸣ri] (子供は体<肌>をむやみに掻き\ruby{腫}{ハ}らすから、手の爪を詰めておきなさい)。 ⸢ビー⸣ワタンティン ガ⸢ジフクラ⸣ス ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢biː⸣watantiŋ ga⸢ʤiɸu̥kura⸣su ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (\ruby{痒}{カユ}くても無闇に掻くものではない) 4228 0 0 4001 htmvoc_4228.wav カジフクン カ⸢ジ⸣ フクン [ka⸢ʤi⸣ ɸu̥kuŋ] 連 台風が吹く。強風が吹く。風が強く吹く。一般的な「風がふく」の意には、カ⸢ジ スーン[ka⸢ʤi suːŋ](風<が>そよぐ)という。⸣フクン[⸣ɸu̥kuŋ]には「風が強く吹く」の意味が内包されている。 ク⸢ム⸣ヌ ⸢アーリブーギン⸣シェー カ⸢ジヌ⸣ フク⸢サー [ku⸢mu⸣nu ⸢ʔaːribuːgiŋ⸣ʃeː ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ku⸢saː] (雲が荒れているからには<のを見ると>、どうやら台風が吹くらしい)。 ⸣アツァー カ⸢ジ⸣ フクン [⸣ʔaʦaː ka⸢ʤi⸣ ɸu̥kuŋ] (明日は風<台風>が吹く) 4234 0 0 4002 htmvoc_4234.wav カジブタラーマ カ⸢ジブタラー⸣マ [ka⸢ʤibutaraː⸣ma] 名 (動)ツバメ(燕)。「風舞鳥」の義。『八重山語彙』という。単に、マッタ⸢ラー⸣マ[matta⸢raː⸣ma](燕)『八重山語彙』ともいう。 カ⸢ジヌ⸣ フクカー ウ⸢ヌス⸣ク カ⸢ジブタラーマ⸣ヌ トゥ⸢ビブタンドゥ⸣ ミ⸢ララン⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ ⸢ヌー⸣シタカヤー [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ʔu⸢nusu̥⸣ku ka⸢ʤibutaraːma⸣nu tu⸢bibutandu⸣ mi⸢raran⸣ nari⸢naː⸣nu ⸢nuː⸣ʃi̥takajaː] (風が<台風が>吹くと、あれほど飛びかっていた燕が見られなくなってしまった{EOS}一体どうしたのかなあ) 4229 0 0 4003 htmvoc_4229.wav カジボーン カ⸢ジボー⸣ン [ka⸢ʤiboː⸣ŋ] 形 風が強い。強風ではないが、多少の警戒を要する程度に風が吹くさま。室内の灯火が吹き消されやすい程度に風が吹くさま。 ⸢キュー⸣ヤ カ⸢ジボー⸣ンダ ⸣ヤドー ア⸢キルナ⸣ティ ア⸢ゾール⸣ヌ ナ⸢ン⸣ゾー カ⸢ジボーナー⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ka⸢ʤiboː⸣nda ⸣jadoː ʔa⸢kiruna⸣ti ʔa⸢ʣoːru⸣nu ⸢nan⸣ʣoː ka⸢ʤiboːnaː⸣nu] (今日は風が強いから戸を開けるなといわれるが、それほど風は強くない)。 カ⸢ジボー⸣ヌ ⸢トゥー⸣ロー シ⸢キララ⸣ヌ [ka⸢ʤiboː⸣nu ⸢tuː⸣roː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (風が強くてランプが点けられない)。 カ⸢ジボー⸣ ピンマー ⸣フネー ン⸢ザス⸣ナ [ka⸢ʤiboː⸣ pimmaː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasu⸣na] (風が強いときは舟は出すな)。 ⸢シンダイ⸣ カ⸢ジボー⸣ ナリケーン [⸢ʃindai⸣ ka⸢ʤiboː⸣ narikeːŋ] (次第に風が強くなってきた)。 カ⸢ジボー⸣カー ⸣ヤドー ア⸢キルナ [ka⸢ʤiboː⸣kaː ⸣jadoː ʔa⸢kiruna] (風が強ければ戸を開けるな) 4230 0 1 4004 htmvoc_4230.wav カジマーヤー カ⸢ジマー⸣ヤー [ka⸢ʤimaː⸣jaː] 名 {Mn_1}玩具の風車。アダンの葉を十字に編んで作った玩具の風車。 パ⸢トゥ⸣マナーテー ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸢パーヌ⸣ ン⸢ギバ⸣ キ⸢ジ⸣トゥリティ ウ⸢リバ⸣ フミティ カ⸢ジマー⸣ヤー ス⸢クル⸣タ [pḁ⸢tu⸣manaːteː ʔa⸢dambura⸣nu ⸢paːnu⸣ ʔŋ⸢giba⸣ ki⸢ʤi⸣turiti ʔu⸢riba⸣ ɸumiti ka⸢ʤimaː⸣jaː su̥⸢kuru⸣ta] (鳩間島ではアダンの葉の刺を削り取って、それを編んで<組んで>風車を作った)。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸢パー⸣シ カ⸢ジマー⸣ヤー ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふィーリ [ʔa⸢dambura⸣nu ⸢paː⸣ʃi ka⸢ʤimaː⸣jaː su̥⸢ku⸣ri f⸢fiːri] (アダンの葉で風車を作ってくれ)。 4230 0 2 4005 htmvoc_4230.wav カジマーヤー カ⸢ジマー⸣ヤー [ka⸢ʤimaː⸣jaː] 名 {Mn_2}九十七歳の生年祝い。 ⸣キサー パ⸢トゥ⸣マナー カ⸢ジマーヤー⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣レー プ⸢ソー オーラン⸣シェン⸢ナー [⸣kisaː pḁ⸢tu⸣manaː ka⸢ʤimaːjaː⸣nu ⸣joi ⸢soː⸣reː pu̥⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃen⸢naː] (以前は、鳩間島にはカジマーヤー<白寿>の祝いをなさった人はおられなかったねえ) 4132 0 0 4006 htmvoc_4132.wav カジマーヤーヌヨイ カ⸢ジマーヤー⸣ヌ ⸣ヨイ [ka⸢ʤimaːjaː⸣nu ⸣joi] 連 九十七歳の生年祝い。童心に返ってカ⸢ジマー⸣ヤー[ka⸢ʤimaː⸣jaː](風車)を持って祝う生年祝い。鳩間島でカジマーヤーの生年祝いをした人は昭和の終わりまでいなかったという。 パ⸢トゥ⸣マナテー カ⸢ジマアーヤー⸣ヌ ⸢ヨイ⸣バ ⸢ソー⸣レー プ⸢ソー オーラン⸣シェンツォー [pḁ⸢tu⸣manateː ka⸢ʤimaːjaː⸣nu ⸢joi⸣ba ⸢soː⸣reː pu̥⸢soː ʔoːraŋʃen⸣ʦoː] (鳩間島では九十七歳の生年祝いをされた人は昔は居られなかったそうだ) 4125 0 1 4007 htmvoc_4125.wav カジマール カ⸢ジマール [ka⸢ʤimaːru] 名 {Mn_1}風回り。南風が急に北風に変わって時化ること。 ⸢ニンガチカジマー⸣ル [⸢niŋgaʧikaʤimaː⸣ru] (旧暦二月の天候の崩れやすいこと)。 カ⸢ジマール シェー⸣チバ ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ブリ⸣ス [ka⸢ʤimaːru ʃeː⸣ʧiba ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢buri⸣su] (風が急変して北風になった<風回りした>ので天気は崩れる<破れる>)。 4125 0 2 4008 htmvoc_4125.wav カジマール カ⸢ジマール [ka⸢ʤimaːru] 名 {Mn_2}子供の感情が急変して\ruby{妬}{ネタ}み\ruby{嫉}{ソネ}み、愚図ること。 カ⸢ジマール シーナーン⸣バ ⸣メー プ⸢スヌ⸣ ムネー シゥ⸢カヌ [ka⸢ʤimaːru ʃiːnaːm⸣ba ⸣meː pu̥⸢sunu⸣ muneː sï̥⸢kanu] (風が急変して北風になった<急に感情を害した>ので、他人の言うことは聞きいれないよ) 4198 0 1 4009 htmvoc_4198.wav カジマールン カ⸢ジ マールン [ka⸢ʤi maːruŋ] 連 {Mn_1}「風が回る」の義。風は反時計回り東・北・西・南へと回って荒天から好天へと移る。東から北へ、風が回ると天気が急に悪化して時化る。 カ⸢ジヌ マール⸣カー ⸢オシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [ka⸢ʤinu maːru⸣kaː ⸢ʔoʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣su] (風が回る<風が北に回る>と天気は崩れ<破れ>る)。 4198 0 2 4010 htmvoc_4198.wav カジマールン カ⸢ジ マールン [ka⸢ʤi maːruŋ] 連 {Mn_2}比喩的に「感情が急に悪くなる」意に用いられる。感情を害して不機嫌になる。 キ⸢サ⸣ カ⸢ジェー マーリナーン⸣バ マ⸢ナ⸣マー ウ⸢リンナー⸣ニ ムネー イ⸢ズナ [ki̥⸢sa⸣ ka⸢ʤeː maːrinaːm⸣ba ma⸢na⸣maː ʔu⸢rinnaː⸣neː ⸣muneː ʔi⸢ʣuna] (とっくに感情を害して不機嫌になっているから、それ<彼>には話すな<ものを言うな>) 4231 0 1 4011 htmvoc_4231.wav カジマールン カ⸢ジマールン [ka⸢ʤimaːruŋ] 自動 {Mn_1}風向きが変わる。天候が悪化する。風向きが北風に変わって時化る。「風回る」の義。カ⸢ジェー ウイ ヌールン[ka⸢ʤeː ʔui nuːruŋ](風は北<上>に登る)ともいう。 ユ⸢ネン⸣マー カ⸢ジマールンダ⸣ カ⸢ジマーラン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パラ [ju⸢nem⸣maː ka⸢ʤimaːrunda⸣ ka⸢ʤimaːraŋ⸣keŋ ⸢jaː⸣ para] (夕方には風向きが北風に変わって天候が悪化するから、時化ないうちに家<鳩間島>に帰ろう)。 キサー⸢ティ⸣ カ⸢ジマーリ シー ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ ka⸢ʤimaːri ʃiː naː⸣nu] (既に風向きが変わって時化てしまった)。 カ⸢ジマール⸣ ピンマー ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ka⸢ʤimaːru⸣ pimmaː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (風向きが変わって時化るときは、舟は出されない)。 4231 0 2 4012 htmvoc_4231.wav カジマールン カ⸢ジマールン [ka⸢ʤimaːruŋ] 自動 {Mn_2}機嫌が悪くなる。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ カ⸢ジマーレー⸣ラー プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ja⸢rabi⸣nu ka⸢ʤimaːreː⸣raː pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (子供が機嫌を損ねたら他人の言うことを聞かない) 4126 0 0 4013 htmvoc_4126.wav カジマキ カ⸢ジマキ [ka⸢ʤimaki] 名 「風負け」の義。原因不明で顔面の皮膚や胸、首、腕の皮膚がかぶれること。悪い風に当たるときに起きる現象といわれている。こんな時には、煙草の煙を吹きかけて呪文を唱えると皮膚の炎症が治るといわれていた。 ヤ⸢ナ⸣カジナール ア⸢タルタ⸣ユー ウ⸢ム⸣テー ア⸢ガミティ ビーフク⸣ル ⸢シー⸣ カ⸢ジマキ シーベー⸣サー [ja⸢na⸣kaʤinaːru ʔa⸢taruta⸣juː ʔu⸢mu⸣teː ʔa⸢gamiti biːɸu̥ku⸣ru ⸢ʃiː⸣ ka⸢ʤimaki ʃiːbeː⸣saː] (悪い風に当ったのか、顔は赤らんで痒く、腫れあがっていて、風負けしているよ)。 ヤ⸢ナ⸣カジナール ア⸢タルタ⸣ユー ヌ⸢ビ⸣ヌ ⸣マーラヌ パ⸢ダ⸣ヌ ア⸢ガンターリティ ビュー⸣ワ⸢ツォー [ja⸢na⸣kaʤinaːru ʔa⸢taruta⸣juː nu⸢bi⸣nu ⸣maːranu pa⸢da⸣nu ʔa⸢gantaːriti bjuː⸣wa⸢ʦoː] (悪い風に当ったのか、首の周りの肌が赤らんで痛痒いんだよ) 4233 0 0 4014 htmvoc_4233.wav カジマラスン カ⸢ジ マラスン [ka⸢ʤi marasuŋ] 連 順風を発生させる。「風を生ませる」の義。西表島へイダフニ(板舟)で通耕する際、海上で無風状態になると口笛を吹いて風を呼んだ。そうして風を発生させることをいう。 カ⸢ジヌ⸣ トゥ⸢ル⸣カー ⸢ソー⸣フキ ⸢シェー⸣ティ カ⸢ジェー⸣ マ⸢ラシ プー⸣ ピ⸢キティ⸣ フニ パ⸢ラ⸣ソーッタ [ka⸢ʤinu⸣ tu⸢ru⸣kaː ⸢soː⸣ɸu̥ki ⸢ʃeː⸣ti ka⸢ʤeː⸣ ma⸢raʃi puː⸣ pi̥⸢kiti⸣ ɸuni pa⸢ra⸣soːtta] (風が凪ぐと口笛を吹き鳴らして風を産ませ、帆を揚げて舟を走らされた) 4138 0 0 4015 htmvoc_4138.wav ガジマル ガ⸢ジ⸣マル [ga⸢ʤi⸣maru] 名 (植)ガジマル(榕樹)。 ッ⸢ふガジマル⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナ ニ⸢ブ⸣カー ⸢キー⸣ヌ ⸣シーン ウ⸢ソーリン⸣ダー [f⸢fugaʤimaru⸣nu s⸢saːn⸣na ni⸢bu⸣kaː ⸢kiː⸣nu ⸣ʃiːŋ ʔu⸢soːrin⸣daː] (ガジマルの古木<古榕樹>の下で寝ると木の精に襲われるよ)。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ピ⸢ニ⸣シル カ⸢シラ⸣ヌ ピ⸢ニ ソーッ⸣タ [ga⸢ʤimaru⸣nu pi⸢ni⸣ʃiru kḁ⸢ʃira⸣nu pi⸢ni soːt⸣ta] (ガジマルの気根で旗頭の鬚にされた)。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸢パイバ ⸣アイ ス⸢モー⸣ル ⸣ピンマー シゥ⸢カイオーッ⸣タ [ga⸢ʤimaru⸣nu ⸢paiba⸣ ʔai su⸢moː⸣ru ⸣pimmaː si̥⸢kaiʔoːt⸣ta] (ガジマルの灰を藍染めの際には使われた)。 ガ⸢ジマル⸣ヌ シ⸢ル⸣バ ア⸢シブ⸣ヌ ⸢マール⸣ナ ⸢ヌーリ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ウ⸢リ⸣シ シ⸢ミラ⸣リティ ピン⸢トー⸣マ ⸢トゥンジティ ナンク⸣ル ⸢ウイル⸣タン⸢ダー <⸢ウー⸣タン⸢ダー> [ga⸢ʤimaru⸣nu ʃi⸢ru⸣ba ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢maːru⸣naː ⸢nuːri⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʔu⸢ri⸣ʃi ʃi⸢mira⸣riti pin⸢toː⸣ma ⸢tunʤiti naŋku⸣ru ⸢ʔuiru⸣tan⸢daː <⸢ʔuː⸣tan⸢daː>] (ガジマルの白い樹液をでき物の回りに塗っておくと、それに締め付けられて縮み、腫れがとれ、小さな口先が突き出て自然に治ったよ) 4192 0 0 4016 htmvoc_4192.wav カジムキ カ⸢ジムキ [ka⸢ʤimuki] 名 風向き。 ⸢タイフー⸣ヌ カ⸢ジムキヌ カール⸣カー ⸢カイシ⸣ヌ フクン⸢ダー [⸢taiɸuː⸣nu ka⸢ʤimukinu kaːru⸣kaː ⸢kaiʃi⸣nu ɸu̥kun⸢daː] (台風の風向きが変わると返しの風が吹くぞ) 3734 0 0 4017 htmvoc_3734.wav ガシムヌ ガ⸢シ⸣ムヌ [ga⸢ʃi⸣munu] 名 炙って燻製にしたもの。「乾かし物」の義。竈にア⸢マ⸣ダ[ʔa⸢ma⸣da](燻製用の金網、生の木の枝や竹などを数本竈に架け渡し、その上に生魚類を置いて火で炙って燻製にする器具)を架けて魚や蛸類を熾火で炙り燻製にした食品。 ⸣タクン イ⸢ズン⸣ ガ⸢シ⸣ムヌ ⸣ナシ シ⸢キ⸣ルカー タ⸢ブイラリン⸠ダー [⸣takuŋ ʔi⸢ʣuŋ⸣ ga⸢ʃi⸣munu ⸣naʃi ʃi̥⸢ki⸣rukaː ta⸢buirarin⸠daː] (蛸も魚も燻製にして置くと長期に保存<蓄えることが>できるよ)。 ガ⸢シ⸣ムノー ⸢コー⸣ヌ ⸢ウイプスン⸣マー ッ⸢ふァーラヌ [ga⸢ʃi⸣munoː ⸢koː⸣nu ⸢ʔuipusum⸣maː f⸢faːranu] (燻製物は硬くて年寄りには食べられない) 4238 0 0 4018 htmvoc_4238.wav カシャラク カ⸢シャ⸣ラク [ka⸢ʃa⸣raku] 自動 通う。歌謡語。⸢鳩間中岡節<パトゥマナカムリ>の中で用いられている語。「なゆしゃる 舟ぬど通ふだ、いかしゃる舟ぬどかしやらくが」『宮良當壮全集18』、『八重山民謡誌』とある。「カヨーダ[kajoːda](通うた)」の対語。ナユ[na⸢ju](如何なる)の項参照 4239 0 0 4019 htmvoc_4239.wav ガジユーナー ガ⸢ジユーナー [ga⸢ʤijuːnaː] 連 引掻き合い。爪を立てて引掻き合いをする。歌謡語。 ⸢ヤー⸣ マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣カタ ミ⸢リ⸣バ ガ⸢ジユーナー⸣ドゥ ⸢シーユール [⸢jaː⸣ ma⸢ja⸣nu ⸣kḁta mi⸢ri⸣ba ga⸢ʤijuːnaː⸣du ⸢ʃiːjuːru] (ああ、猫の絵を見ると爪を立てて引掻き合いをしている)(アーパーレー歌) 4179 0 0 4020 htmvoc_4179.wav カジユムン ⸣カジ ⸣ユムン [⸣kaʤi ⸣jumuŋ] 連 数を数える。 カ⸢ナパイドング ギューチ⸣ アルユーティ ウ⸢ヌ⸣ カジ ⸣ユムンティ ⸢ベー [ka⸢napaidoŋgu gjuːʧi⸣ ʔarujuːti ʔu⸢nu⸣ kaʤi ⸣jumunti ⸢beː] (鍬などの農具<鍬道具>が幾つあるのかと、その数を数えようとしている) 4240 0 0 4021 htmvoc_4240.wav カシラ カ⸢シ⸣ラ [ka⸢ʃi⸣ra] 名 旗頭。のぼり(幟)の竿頭を飾る旗頭。「Fatagaxira、ハタガシラ(旗頭)『邦訳日葡辞書』」の転訛したもの。西村のカシラは女性を象徴するといわれ、鍬形(花弁の象徴か)の中にめしべ(雌蕊)を象徴するような棒があり、その下に逆向きの剣(がく<萼>の象徴か)が土台を形成する構造となっている。東村のカシラは男性を象徴し、形は西村のそれに似るが鍬形の中の棒が単調(おしべ<雄蕊>の象徴か)である。西村のカシラには土台の下に左右一対の龍頭の枕があるのに対し、東村のカシラにはそれがない。西村のカシラの龍頭にはビンロウ樹の皮<繊維>で鬚を作り頸のところにまきつけてある。旗竿は直径約10センチ、長さ約2メートルの竹竿で、豊年祈願の幟旗をかけてある。 ⸢インヌムラヌ⸣ カ⸢シ⸣ラー ミ⸢ドゥ⸣ム ⸢アンヌムラヌ⸣ カ⸢シ⸣ラー ビ⸢キドゥムティ⸣ ア⸢ザリブー [⸢ʔinnumuranu⸣ kḁ⸢ʃi⸣raː mi⸢du⸣mu ⸢ʔannumuranu⸣ kḁ⸢ʃi⸣raː bi⸢kidumu⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (西村のカシラは女性、東村のカシラは男性といわれている) 4241 0 0 4022 htmvoc_4241.wav カシラマラスン カ⸢シ⸣ラ マ⸢ラスン [kḁ⸢ʃi⸣ra ma⸢rasuŋ] 連 旗頭を飾り立てる。「旗頭を新しく誕生させる」の義。 ア⸢ザテーヌ⸣ イ⸢チバンザー⸣ヌ ⸢トゥーシ⸣ナーティ カ⸢シラ⸣ヌ ⸣イル ⸢ヌーリ<マ⸢ミ>ティカ⸢シ⸣ラ マ⸢ラソーッ⸣タ [ʔa⸢ʣateːnu⸣ ʔi⸢ʧibanʣaː⸣nu ⸢tuːʃi⸣naːti kḁ⸢ʃira⸣nu ⸣ʔiru ⸢nuːriti⸣ kḁ⸢ʃi⸣ra ma⸢rasoːt⸣ta] (東里家の一番座の縁側で旗頭の色を塗って新しい旗頭を誕生させられた) 4242 0 0 4023 htmvoc_4242.wav カシラムチ カ⸢シラ⸣ムチ [ka⸢ʃira⸣muʧi] 名 旗頭持ち。豊年祭の旗頭を持つ人。強力の若者が選ばれて三、四人で交互に旗頭を持った。⸢ヒーヤユイ⸣サ ⸢ヒーヤユイ⸣サ[⸢çiːjajui⸣sa ⸢çiːjajui⸣sa]と掛け声を掛けながら上下に旗頭を振り上げて気勢を上げた。竿頭からは前後に縄が張られ、旗頭が倒れないように調整した。 カ⸢シラ⸣ムチェー シゥ⸢カラヌ⸣ アル バ⸢カー⸣ムンドゥ ⸣ナル⸢ダー [ka⸢ʃira⸣muʧeː sï̥⸢karanu⸣ ʔaru ba⸢kaː⸣mundu naru⸢daː] (旗頭持ちは力のある若者がなるのだ) 4165 0 0 4024 htmvoc_4165.wav カシン ⸣カシン [⸣kasiŋ] 名 (植)木の名。和名、オキナワウラジロガシ。⸣カシンキー[⸣kaʃiŋkiː](樫)ともいう。古典民謡「鳩間中岡」では、ア⸢ディン⸣ガー[ʔa⸢diŋ⸣gaː]と歌われている。高木で高さ20メートルに達する。心材は赤褐色で材質は硬い。建築用材(柱)に利用されたり、船の櫓や梶、櫂などの材料に利用された。 ⸢パイタ⸣ヌ ⸣ヤマーラ ⸣カシンキーバ ⸣キシ ン⸢ザ⸣ソーリ ウ⸢リ⸣シル トゥ⸢ム⸣ヤク ス⸢ク⸣ローッタ [⸢paita⸣nu ⸣jamaːra ⸣kḁʃiŋkiːba ⸣ki̥ʃi ʔn⸢ʣ⸣asoːri ʔu⸢ri⸣ʃiru tu⸢mu⸣jaku su̥⸢ku⸣roːtta] (西表島北岸<南方端>の山中から樫の木を伐り出されて、それで<ぞ>サバニのトゥムヤク<舵取りの櫂{EOS}艫櫂>を作られた) 4243 0 0 4025 htmvoc_4243.wav カシンガイ カ⸢シン⸣ガイ [ka⸢ʃiŋ⸣gai] 名 かすがい(鎹)。「録、加須加比<かすかひ>」『新撰字鏡』の転訛したもの。建築用の材木や⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)の底板の合わせ目を繋ぎとめ、挽き鋸で挽いて接合部をきっちりと合わせるために打ち込む、両端の曲がった大釘。タ⸢キフン[tḁ⸢kiɸuŋ](竹釘)や⸢フン⸣ドゥ[⸢ɸun⸣du](ちきりじめ<榺締>{EOS}木または石を接ぐために填め込むもの{EOS}両端が広く、中がくびれたもの)を打ち込む際に用いる。 ⸢フー⸣タイナ カ⸢シン⸣ガイ ⸣ウティ [⸢ɸuː⸣taina kḁ⸢ʃiŋ⸣gai ⸣ʔuti] (梁にかすがいを打ち込め) 4244 0 0 4026 htmvoc_4244.wav カシンキー ⸣カシンキー [⸣kḁʃiŋkiː] 名 (植)木の名。オキナワウラジロガシ(ヤエヤマガシ)。高木で高さ20メートル以上に達する。成長が早く、50年にして径30センチに達し、建築用材(柱)、船舶材(艪・櫂)に利用される『図鑑琉球列島有用樹木誌』。 ⸣カシンキーシル ⸢ヤー⸣ヌ ⸣パラーン ス⸢ク⸣リ ⸣ヤクン カ⸢ナパイヌ ユイユン⸣ ス⸢ク⸣ローッタ⸢ダー [⸣kḁʃiŋkiːʃiru ⸢jaː⸣nu ⸣paraːn su̥⸢ku⸣ri ⸣jakuŋ ka⸢napainu juijun⸣ su̥⸢ku⸣roːtta⸢daː] (カシンキーで家の柱も作り、櫂も鍬の柄も作られたのだよ) 4245 0 0 4027 htmvoc_4245.wav カズイルン カ⸢ズイ⸣ルン [ka⸢ʣui⸣ruŋ] 他動・自動 数える。新しく標準語から借用された言葉。普通は⸣ユムン[⸣jumuŋ](数を数える)という。 ⸣カジェー ⸢ギューチ⸣ アルユー カ⸢ズイラン⸣カー ⸢ダイヤー サン⸣ミン サ⸢ラヌ [⸣kaʤeː ⸢gjuːʧi⸣ ʔarujuː ka⸢ʣuiraŋ⸣kaː ⸢daijaː sam⸣min na⸢ra⸣nu] (数はいくつあるのか数えないと値段は計算できない)。 ⸢ワー⸣ カ⸢ズイ⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン カ⸢ズイ⸣ルン [⸢waː⸣ ka⸢ʣui⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ ka⸢ʣui⸣ruŋ] (君が数えたら私も数える)。 ウ⸢レー⸣ カ⸢ズイヤッ⸣サン [ʔu⸢reː⸣ ka⸢ʣuijas⸣saŋ] (それは数えやすい)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢ズイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ka⸢ʣu⸣ijaː ⸣misamunu] (もっと数えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢ズイ⸣リ [⸢paː⸣ku ka⸢ʣui⸣ri] (早く数えなさい<数えれ>) 4248 0 0 4028 htmvoc_4248.wav ガスン ⸣ガスン [⸣gasuŋ] 他動 焙乾する。火で炙って乾燥する。燻製にする。蛸は茹でた後、生魚は鱗と内臓を除去して洗った後、アマダ[ʔa⸢ma⸣da](焙乾用金網)に載せて竈に架け、おき<熾>で焙って乾燥し、長期保存用の食品に加工した。 イ⸢ズ⸣ ガスン [ʔi⸢ʣu⸣ gasuŋ] (魚を焙って燻製にする)。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ゾー⸣ ガ⸢サン⸣モー マ⸢シ [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ ga⸢sam⸣moː ma⸢ʃi] (この魚は焙って燻製にしないほうがいい)。 ク⸢レー⸣ ガ⸢シ⸣プサン [ku⸢reː⸣ ga⸢ʃi⸣pu̥saŋ] (これは焙って燻製にしたい)。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ズン⸣ ガスクトゥ [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣu⸣ gasukutu] (この魚も焙って燻製にすること)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ガシェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣gaʃeː ⸣misamunu] (もっと焙って燻製にすればよいのに)。 イ⸢ゾー ヨーラン⸣ケン ⸢パー⸣ク ⸣ガシ [ʔi⸢ʣoː joːraŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ⸣gaʃi] (魚は傷まない<弱らない>うちに早く焙って燻製にしなさい)。 イ⸢ズン⸣ タクン ⸣ガシティ タ⸢ブイ⸣ シキバ [ʔi⸢ʣun⸣ tḁkuŋ ⸣gaʃi̥ti ta⸢bui⸣ ʃi̥kiba] (魚の蛸も焙乾して保存しておけよ)。 アー⸢イ⸣ バー ガ⸢サ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ baː ga⸢sa⸣nu] (いやだ{EOS}私は焙乾しない)。 イ⸢ズ⸣ ガスカー ⸣タクン ⸣ガスン [ʔi⸢ʣu⸣ gasu̥kaː ⸣tḁkuŋ ⸣gasuŋ] (魚を焙乾するなら蛸も焙乾する)。 ⸣ガス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣gasu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (焙乾する人はいない)。 イ⸢ゾー⸣ ガシェー ⸣ミサムヌ [ʔi⸢ʣoː⸣ gaʃeː ⸣misamunu] (魚は焙乾すればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ガシ [⸢paː⸣ku ⸣gaʃi] (早く焙乾せよ) 3927 0 1 4029 htmvoc_3927.wav ガズン ⸣ガズン [⸣gaʣuŋ] 他動 {Mn_1}爪で掻く。爪または爪状のもので皮膚や物体の面をこする。 ⸣シミシ ⸣パダ ⸣ガズン [⸣ʃimiʃi ⸣pada ⸣gaʣuŋ] (爪で肌を掻く)。 ⸢ビー⸣ヨー ⸢ベー⸣ティ ク⸢シナカ⸣ ガジ ッ⸢ふィーリ [⸢biː⸣joː ⸢beː⸣ti ku̥⸢ʃinaka⸣ gaʤi f⸢fiːri] (痒いので背中を掻いてくれ)。 ⸣シミシ ⸣ガズカー ⸢ワッ⸣サバ ガ⸢ザ⸣ヌ [⸣ʃimiʃi ⸣gaʣukaː ⸢was⸣saba ga⸢ʣa⸣nu] (爪で掻いたら悪いので掻かない)。 ガ⸢ジ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ ⸣ガジバ [ga⸢ʤi⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi ⸣gaʤiba] (掻きたければ自分で掻けよ)。 ⸣ガズ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣gaʣu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (掻くことはならぬ<掻いてはいけない>)。 ⸢マー⸣ビン ⸣カジェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣gaʤeː ⸣misamunu] (もっと掻けばよいのに)。 ⸣ドゥー ⸣ガズン [⸣duː ⸣gaʣuŋ] (体を掻く)。 ガ⸢ザン⸣カー ⸢ノーリパヤー⸣ン [ga⸢ʣaŋ⸣kaː ⸢noːri pajaː⸣ŋ] (掻かなければ治り易い)。 ガ⸢ジ⸣ プサン [ga⸢ʤi⸣ pusaŋ] (掻きたい)。 ⸣ガズ ⸣ピンマー ヤ⸢ラビ [⸣gaʣu ⸣pimmaː ja⸢rabi] (掻くときは呼べ)。 ⸢パー⸣ク ⸣ガジェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣gaʤeː ⸣misamunu] (早く掻けばよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ガジ [⸢maː⸣biŋ ⸣gaʤi] (もっと掻け)。 ガ⸢ジ フクラ⸣スン [ga⸢ʤi ɸu̥kura⸣suŋ] (掻き腫らす)。 ク⸢シナカ⸣ ガズン [ku̥⸢ʃinaka⸣ gaʣuŋ] (背中を掻く)。 ク⸢シナカ⸣ ガジ ッ⸢ふィーリ [ku̥⸢ʃinaka⸣ gaʤi f⸢fiːri] (背中を掻いてくれ)。 アー⸢イ⸣ バー ガ⸢ザ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ baː ga⸢ʣa⸣nu] (いやだ{EOS}私は掻かない)。 ⸢ワー⸣ ガズカー ⸢バン⸣ヌン ⸣カズン [⸢waː⸣ gaʣukaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣gaʣuŋ] (君が掻いたら私も掻く)。 ⸣ガズ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣gaʣu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (掻く人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ガジェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣gaʤeː ⸣misamunu] (もっと掻けばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ガジ [⸢paː⸣ku ⸣gaʤi] (早く掻け)。 3927 0 2 4030 htmvoc_3927.wav ガズン ⸣ガズン [⸣gaʣuŋ] 他動 {Mn_2}熊手などで掻き寄せる。道具で物の表面を削る。 ⸢マンズイ⸣ヌ ⸣タニ ⸣ガジ ⸣トゥリ [⸢manʣui⸣nu ⸣tani ⸣gaʤi ⸣turi] (パパイアの種子を掻き取れ<削り取れ>) 4249 0 0 4031 htmvoc_4249.wav カソー ⸣カソー [⸣kḁsoː] 名 火葬。ダ⸢ビ[da⸢bi](荼毘)ともいう。標準語からの借用語か。鳩間島では火葬は無かった。伝統的な葬儀では棺を埋葬にするか、または掘り抜き墓(亀甲墓)に棺を納めて墓の入り口を密封する、一種の風葬にするかの二つの葬送法が採用された。死後三年以降に執り行われるア⸢ライクサイ[ʔa⸢raikusaino](改葬)の際に火葬を執り行って骨甕に入れ、掘り抜き墓(亀甲墓)の中に納めた 4237 0 0 4032 htmvoc_4237.wav カゾーサン カ⸢ゾー⸣サン [ka⸢ʣoː⸣saŋ] 形 風がやや強い。扇風機の強風程度の風が吹くさま。沖縄方言からの借用語か。海上の小船が警戒する程度の風が吹くさま。 ⸢キュー⸣ヤ カ⸢ゾー⸣サンダ ⸣イダフネーラ ⸣パンター バ⸢タランモー⸣ マ⸢シ⸣ヨー [⸢kjuː⸣ja ka⸢ʣoː⸣sanda ⸣ʔidaɸuneːra ⸣pantaː ba⸢tarammoː⸣ ma⸢ʃi⸣joː] (今日は風がやや強いから板舟<サバニ>で南端<西表島北岸の船浦、上原、久浦、伊武田、トゥマダ、ケーダ、ユシキダ、サキンダ>へ渡らないほうがいいよ)。 カ⸢ゾーサー ナー⸣ヌ [ka⸢ʣoːsaː naː⸣nu] (風は強くない)。 ⸢シンダイ⸣ カ⸢ゾーサ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ka⸢ʣoːsa⸣ naruŋ] (次第に風が強くなる)。 カ⸢ゾー⸣サ ⸣ピンマー イ⸢ソー パン⸣ナ [ka⸢ʣoː⸣sa ⸣pimmaː ʔi⸢soː pan⸣na] (風の強い日は漁に出るな)。 カ⸢ゾー⸣サカー ⸢パン⸣ナ [ka⸢ʣoː⸣sakaː ⸢pan⸣na] (風が強ければ行くな) 4089 0 0 4033 htmvoc_4089.wav カソーライシ カ⸢ソーライシ [ka⸢soːraiʃi] 名 笠石。テーブルサンゴ。カ⸢ソーラ[ka⸢soːra](笠石)ともいう。笠の形をした、直径約1~1、5メートル、厚さ2~3センチの広い珊瑚石。フジマレー墓の屋根や側壁に利用したり、焼いて石灰を作るのに用いたりした。 フ⸢ジマレーヌ⸣ パ⸢カー⸣ カ⸢ソーライシ⸣シ ス⸢クラ⸣リ カ⸢バサ⸣リ ブ⸢タ⸣ダー [ɸu⸢ʤimareː⸣nu pḁ⸢kaː⸣ ka⸢soːraʔiʃi⸣ʃi su̥⸢kura⸣ri ka⸢basa⸣ri bu⸢ta⸣daː] (フジマレーの墓はテーブルサンゴで作られ、屋根は被されていたよ)。 ム⸢カ⸣シパカー ⸢グス⸣ク シ⸢ミティ⸣ カ⸢ソーライシ⸣シ カ⸢バサ⸣リ ブ⸢タ⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃipḁkaː ⸢gusu̥⸣ku ʃi⸢miti⸣ kḁ⸢soːraʔiʃi⸣ʃi ka⸢basa⸣ri bu⸢ta⸣daː] (昔墓<古墓>は石垣を積んで、テーブル珊瑚で覆い被されていたのだよ) カタ 4252 0 1 4034 htmvoc_4252.wav カタ カ⸢タ [kḁ⸢ta] 名 {Mn_1}型。形。 ⸢フン⸣ドゥ ス⸢ク⸣ル ⸣ピンマー カ⸢タ⸣ トゥリティ ス⸢ク⸣リバ [⸢ɸun⸣du su̥⸢ku⸣ru ⸣pimmaː kḁ⸢ta⸣ turiti su̥⸢ku⸣riba] (サバニのちきり締め<フンドゥ>を作るときは形を写し取って作れよ)。 パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ブ⸢ドゥルヌ⸣ カ⸢ター バスクナ⸣ヨー [pḁ⸢tu⸣manakamurinu bu⸢durunu⸣ kḁ⸢taː basu̥kuna⸣joː] (鳩間中岡節の踊りの型は忘れるなよ)。 ⸢フンドゥ⸣ヌ カ⸢ター⸣ カ⸢ザケーヌ ヤー⸣バン⸢ダー [⸢ɸunduː⸣nu kḁ⸢taː⸣ ka⸢ʣakeːnu jaː⸣ban⸢daː] (ちきりじめ<滕締め>の型は加治工家の家判<家紋>だよ)。 4252 0 2 4035 htmvoc_4252.wav カタ カ⸢タ [kḁ⸢ta] 名 {Mn_2}絵。⸢イーカタ[⸢ʔiːkata](絵)、カ⸢タ[kḁ⸢ta](絵)ともいう。 プ⸢スヌ⸣ カ⸢タ⸣ カクン [pu̥⸢sunu⸣ kḁ⸢ta⸣ kḁkuŋ] (人の絵を描く)。デザイン。 ⸢ヌーヌ⸣ナ トゥ⸢ルヌ⸣ カ⸢タ⸣ ウ⸢ルン [⸢nuːnu⸣na tu⸢runu⸣ kḁ⸢ta⸣ ʔu⸢ruŋ] (布に鳥の形<模様>を織る) 4253 0 1 4036 htmvoc_4253.wav カタ カ⸢タ [kḁ⸢ta] 名 {Mn_1}方。方向。 ⸢マー⸣ヌ カ⸢ター⸣ <⸣トン> パ⸢ラバ⸣ル イ⸢ゾー ホーサ⸣リカヤー [⸢maː⸣nu kḁ⸢taː⸣ <⸣tom> pa⸢raba⸣ru ʔi⸢ʣoː hoːsa⸣rikajaː⸣] (どこの方角へいったほうが魚は釣れるのかなあ)。 ⸣アブジェー ⸢マー⸣ヌ カ⸢タ⸣ナール ビ⸢リオール⸣ワ [⸣ʔabuʤeː ⸢maː⸣nu kḁ⸢ta⸣naːru bi⸢riʔoːru⸣wa] (お祖父さんは何処の方に座っておられるのですか)。 4253 0 2 4037 htmvoc_4253.wav カタ カ⸢タ [kḁ⸢ta] 名 {Mn_2}所。場所。 ⸢マー⸣ヌ カ⸢タナー⸣ル <⸣トンナール> カ⸢ザム⸣タ [⸢maː⸣nu kḁ⸢tanaː⸣ru <⸣tonnaːru> ka⸢ʣamu⸣ta] (何処の所に隠したのか)。 4253 0 3 4038 htmvoc_4253.wav カタ カ⸢タ [kḁ⸢ta] 名 {Mn_3}味方。自分の側。助勢。 ⸢タンガ⸣ヌ カ⸢タ⸣ カー⸢ニ⸣ニ シゥクカー カ⸢タ⸣ピキ ⸢スン⸠ダー [⸢taŋga⸣nu kḁ⸢ta⸣ kaː⸢ni⸣ni sï̥kukaː kḁ⸢ta⸣pi̥ki ⸢sun⸠daː] (一人の方、片一方にだけ味方すると<付くと>、片一方にひいき<かた贔屓>する事になるぞ)。ひいき(贔屓)。 ウ⸢レー ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァヌ⸣ カ⸢タ⸣ カー⸢ニル⸣ スク [ʔu⸢reː duː⸣nu f⸢fanu⸣ kḁ⸢ta⸣ kaː⸢niru⸣ su̥ku] (彼<それ>は自分の子の味方だけにつく<贔屓する>)。 4253 0 4 4039 htmvoc_4253.wav カタ カ⸢タ [kḁ⸢ta] 名 {Mn_4}仕方。方法。動詞の連用形に下接する。 シ⸢グトゥヌ シーカタ⸣ ナ⸢ラー⸣スン [ʃi⸢gutunu ʃiːkata⸣ na⸢raː⸣suŋ] (仕事の仕方を教える) 4254 0 0 4040 htmvoc_4254.wav カタ ⸣カタ [⸣kḁta] 名 肩。 カ⸢タ⸣ヌ ⸢コー⸣リティ ⸣ティー ア⸢ギララン⸣カー ⸢ブー⸣ブー トゥ⸢ラ⸣シ⸢ミー [kḁ⸢ta⸣nu ⸢koː⸣riti ⸣tiː ʔa⸢giraraŋ⸣kaː ⸢buː⸣buː tu⸢ra⸣ʃi⸢miː] (肩が凝って手をあげることが出来なければ\ruby{瀉血}{シャ|ケツ}をして<血を採らせて>ごらんよ)。 ⸢ンーマガー⸣タ ⸢スン [⸢ʔmːmagaː⸣ta ⸢suŋ] (肩車をする) 4255 0 1 4041 htmvoc_4255.wav カタ カ⸢タ- [kḁ⸢ta-] 接頭 {Mn_1}名詞の前に付いて後接名詞を連体修飾し、「片一方の」。「対のものの一方の」の意を表す。 カ⸢タ⸣ウヤ [kḁ⸢ta⸣ʔuja] (片親)。 カ⸢タ⸣グー [kḁ⸢ta⸣guː] (一対の片方)。 カ⸢タスブ⸣ル [kḁ⸢tasubu⸣ru] (片頭、偏頭痛)。 カ⸢タ⸣ドゥー [kḁ⸢ta⸣duː] (片胴、半身<不随>)。 カ⸢タ⸣ティー [kḁ⸢ta⸣tiː] (片手)。 カ⸢タ⸣パー [kḁ⸢ta⸣paː] (片刃)。 カ⸢タ⸣バリ [kḁ⸢ta⸣bari] (片割れ)。 カ⸢タ⸣パン [kḁ⸢ta⸣paŋ] (片足)。 カ⸢タ⸣ピサ [kḁ⸢ta⸣pisa] (魚の片身、屋根の片平<斜面>)。 カ⸢タ⸣プー [kḁ⸢ta⸣puː] (片帆)。 カ⸢タ⸣ミー [kḁ⸢ta⸣miː] (片目)。 4255 0 2 4042 htmvoc_4255.wav カタ カ⸢タ- [kḁ⸢ta-] 接頭 {Mn_2}半分。中途半端。 カ⸢タ⸣シキ [kḁ⸢ta⸣ʃi̥ki] (半分聞き)。 プ⸢スヌ⸣ ム⸢ニ⸣バ カ⸢タ⸣シキ シ⸢ティル クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣レーティ ⸢アー⸣ク [pu⸢sunu⸣ mu⸢ni⸣ba kḁ⸢ta⸣ʃi̥ki ʃi̥⸢tiru kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (人の話を中途半端に聞いて立腹している) 4258 0 0 4043 htmvoc_4258.wav カタ ⸣カタ [⸣kḁta] 名 (動)イナゴ(蝗、稲子)。バッタ科の昆虫の総称。稲の害虫で稲の葉を食い荒らす。 カ⸢タ⸣ヌ ⸣シディ ⸢バイティル マイヌ パーヤ⸣ ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふァーリ ナーン⸣ツォー [kḁ⸢ta⸣nu ⸣ʃidi ⸢baitiru mainu paːja⸣ muː⸢ru⸣ f⸢faːrinaːn⸣ʦoː] (イナゴが異常に発生<孵化し、湧き出して>して稲の葉は全部喰われてしまったそうだ) 4256 0 0 4044 htmvoc_4256.wav ガタ ⸣-ガタ [⸣-gata] 接尾 人に付けて敬意を含む複数を表す。方。方々。 ウ⸢ヤ⸣ガタ [ʔu⸢ja⸣gata] (長老様方{EOS}年寄りの方々)。 トゥ⸢シ⸣ヌ ⸣ウヤガターラ ⸣グシ カ⸢モー⸣リ [tu̥⸢ʃi⸣nu ⸣ʔujagataːra ⸣guʃi ka⸢moː⸣ri] (長老様方から神前の神酒を頂戴されてください)。 ⸣シザガタ [⸣ʃiʣagata] (年寄り{EOS}年輩者の方々)。ク⸢リヤ クヌムラ⸣ トゥ⸢シヌ シザガタ⸣ ワン⸢ドゥ⸣ ダヤビル[ku⸢rija kunumura⸣ tu̥⸢ʃinu ʃiʣagata⸣ wan⸢du⸣ dajabiru](これなるは、この村の年寄り格の私でございます)「ザーピラキ」『鳩間島古典民謡古謡集』。これは首里方言であろう 4257 0 0 4045 htmvoc_4257.wav ガタ ⸣-ガタ [⸣-gata] 接尾 ころ(頃)。時分。時期。時刻を表す特定の名詞や動詞の連用形に格助詞ン[ŋ](の)を介して接続する。 ⸣ユネンガタ [⸣juneŋgata] (夕方{EOS}夕刻時分)。 ア⸢カシキン⸣ガタ [ʔa⸢kaʃi̥kiŋ⸣gata] (暁の頃{EOS}暁の時刻)。 ナ⸢シン⸣ガタ [na⸢ʃiŋ⸣gata] (産みそうな時刻{EOS}頃合い)。 マ⸢リンガタ [ma⸢riŋgata] (生まれる時刻{EOS}生まれそうな頃合)。 シ⸢ニンガタ [ʃi⸢niŋgata] (死にそうな時刻{EOS}状態)。 ⸢サーリンガタ [⸢saːriŋgata] (結婚しそうな時分{EOS}連合い<配偶者>を求める年頃)。 ユ⸢メー⸣ ナ⸢シン⸣ガタ ナ⸢リ⸣ブバン [ju⸢meː⸣ na⸢ʃiŋ⸣gata na⸢ri⸣bubaŋ] (嫁は子供を産みそうな頃合になっているわい)。 サ⸢ク⸣シェー トゥ⸢ジ サーリンガタ⸣ ナ⸢リ⸣ブ [sḁ⸢ku⸣ʃeː tu⸢ʤi saːriŋgata⸣ na⸢ri⸣bu] (長男は妻帯する年頃になっている)。 ⸣ユネンガターラ ⸢ヨイ⸣ヤー パ⸢ジマリ ブー [⸣juneŋgataːra ⸢joi⸣jaː pa⸢ʤimari buː] (夕方頃からお祝いは始まっている) 4266 0 0 4046 htmvoc_4266.wav カターカターシ カ⸢ターカター⸣シ [kḁ⸢taːkataː⸣ʃi] 副 濃く。濃いさま。渋く。渋いさま。 ⸢サー⸣ヤ カ⸢ターカター⸣シ イ⸢リ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢saː⸣ja kḁ⸢taːkatː⸣ʃi ʔi⸢riffiːri] (お茶は濃く注いで<入れて>くれ)。 カ⸢ターカター⸣シ ⸢サウ⸣カー ⸢ミーコー⸣ルン⸢ダー [kḁ⸢taːkataː⸣ʃi ⸢sau⸣kaː ⸢miːkoː⸣run⸢daː] (<茶を>濃ゆく注ぐと目が冴えて眠れなくなるぞ) 4292 0 1 4047 htmvoc_4292.wav カターン カ⸢ター⸣ン [kḁ⸢taː⸣ŋ] 形 {Mn_1}色が濃い。液体の濃度が濃い。濃い。お茶が濃い。茶が渋い。 ⸢ワー サウ サー⸣ヤ ⸢チャー⸣ カ⸢ターン⸠ダー  [⸢waː sau saː⸣ja ⸢ʧaː⸣ kḁ⸢taːn⸠daː] (君が注ぐお茶はいつも濃いよ)。 ⸢ユー⸣ロー カ⸢タサー⸣ ヌ⸢ム⸣ナ [⸢juː⸣roː kḁ⸢taːsaː⸣ nu⸢mu⸣na] (夜は、濃い茶は飲むな)。 ⸢サー⸣ヌ カ⸢ター⸣カー ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸢saː⸣nu kḁ⸢taː⸣kaː nu⸢mara⸣nu] (茶が濃いと飲めない)。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢ガイロー⸣ カ⸢ター⸣ン [ku⸢nu⸣ ʔa⸢gairoː⸣ kḁ⸢taː⸣ŋ] (この赤色は濃い)。 ク⸢ヌ サー⸣ヤ ⸢ナン⸣ゾー カ⸢ター ナー⸣ヌ [ku⸢nu saː⸣ja ⸢nan⸣ʣoː kḁ⸢taː naː⸣nu] (この茶はあまり濃くない)。 カ⸢ター⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [kḁ⸢taː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (濃くて飲めない)。 ク⸢ヌ サー⸣ヤ カ⸢ターン⸣ツォー [ku⸢nu saː⸣ja kḁ⸢taːn⸣ʦoː] (この茶は濃いそうだ)。 カ⸢ター⸣ ムノー ヌ⸢ム⸣ナ [kḁ⸢taː⸣ munoː nu⸢mu⸣na] (濃いものは飲むな)。 ⸣マー ン⸢メーマ⸣ カ⸢ター⸣カー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢meːma⸣ kḁ⸢taː⸣kaː ⸣misamunu] (もう少し濃ければよいのに)。 4292 0 2 4048 htmvoc_4292.wav カターン カ⸢ター⸣ン [kḁ⸢taː⸣ŋ] 形 {Mn_2}細かい。密である。 ⸢ナーンパー⸣ヤ ⸣ドゥク カ⸢ター⸣ マクカー サ⸢カラヌ [⸢naːmpaː⸣ja ⸣duku kḁ⸢taː⸣ makukaː sḁ⸢karanu] (菜っ葉<菜っ葉の種>はあんまり密に蒔くと茂らない) 4261 0 1 4049 htmvoc_4261.wav カタアミ カ⸢タ⸣アミ [kḁ⸢ta⸣ʔami] 名 {Mn_1}片降り。そばえ。夏の雨が片方だけに降ること。かたしぐれ(片時雨)。カ⸢タ⸣フイ[kḁ⸢ta⸣ɸui](片降り)ともいいう。 ⸢キン⸣バ ア⸢ライ⸣ プシ ⸣シケーンケンマー カ⸢タアミ⸣ヌ ⸣フイティ カ⸢タン⸣トンマー ⸢ゾッふァシナー⸣ヌ [⸢kim⸣ba⸣ ʔa⸢rai⸣ pu̥ʃi ⸣ʃi̥keːŋkemmaː kḁ⸢taʔami⸣nu ⸣ɸuiti kḁ⸢tan⸣tommaː ⸢ʣoffaʃinaː⸣nu] (着物を洗って干しておいたところ、片降りし<片雨が降っ>て、片方は濡らしてしまった)。 ナ⸢チヌ⸣ カ⸢タ⸣アメー ウ⸢シヌ⸣ カ⸢タ⸣シヌ ⸢ゾーラスン [na⸢ʧinu⸣ kḁ⸢ta⸣ʔameː ʔu⸢ʃinu⸣ kḁ⸢ta⸣ʃinu ⸢ʣoːrasuŋ] (夏の片降り<そばえ>は牛の片角をぬらす)。 4261 0 2 4050 htmvoc_4261.wav カタアミ カ⸢タ⸣アミ [kḁ⸢ta⸣ʔami] 名 {Mn_2}えこひいき(依枯贔屓)。片一方のひいき(贔屓)をする(比喩的用法)。 ⸣アイニ カ⸢タ⸣アミ ⸢ホーサン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸣ʔaini kḁ⸢ta⸣ʔami ⸢hoːsam⸣ bu⸢ri⸣ba] (あんなに片雨を降らさないでよ<片方に贔屓をするなよ>) 4268 0 0 4051 htmvoc_4268.wav カタイッポー カ⸢タイッ⸣ポー [kḁ⸢taʔip⸣poː] 名 片一方。片方。 カ⸢タ イッポー⸣ヤ ⸢ワー タンガ⸣シ ⸢イー⸣リバ [kḁ⸢taʔippoː⸣ja ⸢waː taŋga⸣ʃi ⸢ʔiː⸣riba] (片一方は君一人で貰えよ) 4269 0 0 4052 htmvoc_4269.wav カタウディ カ⸢タ⸣ウディ [kḁ⸢ta⸣ʔudi] 名 片腕。 カ⸢タ⸣ウディシェー ッ⸢ふァバ⸣ ダ⸢キ⸣ カ⸢タ⸣ウディシェー ⸢オンギ⸣ドゥル ⸢シェー⸣ティル シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバソーッ⸣タ [kḁ⸢ta⸣ʔudiʃeː f⸢faba⸣ da⸢ki⸣ kḁ⸢ta⸣ʔudiʃeː ⸢ʔoŋgi⸣duru ⸢ʃeː⸣tiru si̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubasoːt⸣ta] (片腕では子供を抱き、片腕では扇いで寝せつけて養い育てられた) 4270 0 0 4053 htmvoc_4270.wav カタウムイ カ⸢タ⸣ウムイ [kḁ⸢ta⸣ʔumui] 名 片思い。 トゥ⸢シ⸣グル ⸢ナッ⸣ター ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ク⸢トゥ⸣バ ナー⸢イ⸣カ⸢タ⸣ウムイ ⸢シー⸣ ダリティ シ⸢グトゥンツァン シーユーサヌ [tu̥⸢ʃi⸣guru ⸢nat⸣taː mi⸢doːn⸣ffanu ku̥⸢tu⸣ba naː⸢i⸣ kḁ⸢ta⸣ʔumui ⸢ʃiː⸣ dariti ʃi⸢gutunʦaŋ ʃiːjuːsanu] (年頃になったので、女の子のことをずっと片思いして、生気を失って<だれて>仕事さえも出来ない<仕事さえもし得ない>) 4271 0 0 4054 htmvoc_4271.wav カタウヤ カ⸢タ⸣ウヤ [kḁ⸢ta⸣ʔuja] 名 ビ⸢ケーヌ⸣ウヤー ⸢パイ⸣サ ⸢マーラシター⸣ カ⸢タ⸣ウヤ ⸢タンガ⸣シ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバソー⸣レー⸢ダー [bi⸢keːnu⸣ ʔujaː ⸢pai⸣sa ⸢maːraʃi̥taː⸣ kḁ⸢ta⸣ʔuja ⸢taŋga⸣ʃi si̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubasoː⸣reː⸢daː] (男の親は早くに亡くなったので、片親だけで養い成長させられたのだよ) 4275 0 1 4055 htmvoc_4275.wav カタカ カ⸢タ⸣カ [kḁ⸢ta⸣ka] 名 {Mn_1}かげ(陰)。物陰。日光、雨、風を避ける物陰。 ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ [ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta⸣ka] (太陽の陰{EOS}日蔭{EOS}日光の当たらない所)。 ア⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ ⸢スンティ⸣ シ⸢ラ⸣ナー トゥ⸢マー⸣ カキシケー [ʔa⸢mi⸣nu kḁ⸢ta⸣ka ⸢sunti⸣ ʃi⸢ra⸣naː tu⸢maː⸣ kḁkiʃi̥keː] (雨を防ぐために、いなむら<稲叢>に苫をかけてある)。 フ⸢クンキーヤ⸣ カ⸢ジヌ⸣ カ⸢タ⸣カティル イ⸢ボーッ⸣タ [ɸu̥⸢kuŋkiːja⸣ ka⸢ʤinu⸣ kḁ⸢ta⸣katiru ʔi⸢boːt⸣ta] (福木は防風林<台風除け>として植えられた)。 ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ [ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta⸣ka] (日除け)。 ア⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ [ʔa⸢mi⸣nu kḁ⸢ta⸣ka] (雨よけ)。 カ⸢ジヌ⸣ カ⸢タ⸣カ [ka⸢ʤinu⸣ kḁ⸢ta⸣ka] (風除け)。 4275 0 2 4056 htmvoc_4275.wav カタカ カ⸢タ⸣カ [kḁ⸢ta⸣ka] 名 {Mn_2}庇うこと。擁護。庇護。 ⸣アイブ ヤ⸢ビ⸣ムヌ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ウヤー ッ⸢ふァヌ⸣ カ⸢タ⸣カ ⸢スンティ シール⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー プ⸢スカージ⸣ラ イ⸢ザリオー⸣ル [⸣ʔaibu ja⸢bi⸣munu ja⸢rundu⸣ ʔujaː f⸢fanu⸣ kḁ⸢ta⸣ka ⸢sunti ʃiːru⸣ ki⸢mui⸣ʦaː pu̥⸢sukaːʤi⸣ra ʔi⸢ʣariʔoː⸣ru] (あんな不良児であるが、親は子供の擁護をしようとして、可哀相に多くの人から叱られておられる)。 ッ⸢ふァヌ⸣ カ⸢タ⸣カー ウ⸢ヤ⸣ヌ ス⸢クブン [f⸢fanu⸣ kḁ⸢ta⸣kaː ʔu⸢ja⸣nu su̥⸢kubuŋ] (子供の庇護は親の義務<職分>だ) 4273 0 0 4057 htmvoc_4273.wav カダカ カ⸢ダ⸣カ [ka⸢da⸣ka] 名 これほどの高さ。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣シンタナー カ⸢ダ⸣カブカラヌ フ⸢ナブ⸣ヌ ⸣ムイ ブ⸢タン [⸢jaː⸣nu ⸣ʃintanaː ka⸢da⸣kabukaranu ɸu⸢nabu⸣nu ⸣mui bu⸢taŋ] (家の後ろにこれほどの高さの蜜柑<九年母>の木が生えていた)。 ⸢オーパ⸣ヤー カ⸢ダ⸣カ フ⸢ドゥベー⸣ツバン⸢ナー [⸢ʔoːpa⸣jaː ka⸢da⸣ka ɸu⸢dubeː⸣ʦuban⸢naː] (もうすでに、これほどの高さに成長してしまったんだねえ)。 カ⸢ダカ⸣ヌ ⸣ムノー ⸢カーラヌ [ka⸢daka⸣nu ⸣munoː ⸢kaːranu] (こんなに値段の高いもの<高価なもの>は買えない<買われない>) 4278 0 0 4058 htmvoc_4278.wav カタカシ カ⸢タカシ [kḁ⸢takaʃi] 名 (動)魚の名。和名ヒメジ。ミナミヒメジ(イジヤンカタカシ{EOS}体長約25センチ)。インドヒメジ(アーマンカタカシ)。オウゴンヒメジ(ジンバー{EOS}体長約25センチ)。マルクチヒメジ(ジンバー{EOS}体長約25センチ)。コバンヒメジ(ジンバー{EOS}体長約35センチ)。ホウライヒメジ(ジンバー{EOS}体長約30センチ)。和名、モンツキアカヒメジ(体長約30センチ)『原色沖縄の魚』などがいる。 カ⸢タカセー⸣ ナ⸢マ⸣シ ⸢スー⸣カー ン⸢マーナー⸣ヌヌ ガ⸢シ⸣イズ ⸣ナスカー ン⸢マー⸣ナルン [kḁ⸢takaʃeː⸣ na⸢ma⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ʔm⸢maːnaː⸣nunu ga⸢ʃi⸣ʔiʣu ⸣nasukaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (ヒメジ<カタカシ>は刺身にすると美味しくないが、炙って燻製魚にすると<焙乾すると>美味しくなる)。鳩間島では、陸上のトカゲ(蜥蜴)が海にはいって、カタカシ魚になったという口碑がある 4277 0 0 4059 htmvoc_4277.wav カタカシラ カ⸢タカシ⸣ラ [kḁ⸢takaʃi⸣ra] 名 琉球国時代の成人男子の髪型の一つ。「欹髻。もとどり」、元は頭の右辺に結び、後には中央に結ぶようになった。貴族は15歳で、一般は10歳内外で結った『沖縄語辞典』。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ガッ⸣コー ス⸢ク⸣ローッタ ⸣バス ⸢シー⸣トゥンケーヌ カ⸢タカシ⸣ラ キ⸢サ⸣スンティ ⸢スー ソードーヌ アッ⸣タンツォー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢gak⸣koː su̥⸢ku⸣roːtta ⸣basu ⸢ʃiː⸣tuŋkeːnu kḁ⸢takaʃi⸣ra ki̥⸢sa⸣sunti ⸢suː soːdoːnu ʔat⸣tanʦoː] (鳩間島で学校を作られた<創立された>とき、生徒達の琉球結髪を断髪<切らせ>させようとする騒動があったそうだよ) 4276 0 1 4060 htmvoc_4276.wav カタカスン カ⸢タ⸣カ ⸢スン [kḁ⸢ta⸣ka ⸢suŋ] 連 {Mn_1}庇う。物陰を作る。 ⸢ユシ⸣キシダルバ ⸣タティティ ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ ⸢スンティ ベー [⸢juʃi̥⸣kiʃidaruba ⸣tḁtiti ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta⸣ka ⸢sunti beː] (すすき簾を立てて太陽光線を遮る物陰にしようとしている)。 4276 0 2 4061 htmvoc_4276.wav カタカスン カ⸢タ⸣カ ⸢スン [kḁ⸢ta⸣ka ⸢suŋ] 連 {Mn_2}擁護する。庇う。贔屓する。 ナ⸢ラー⸣スンティ ッ⸢ふァ⸣ イ⸢ズ⸣カー ⸣ウヤー ッ⸢ふァヌ⸣ カ⸢タカ⸣ル ⸢ソー⸣ル [na⸢raː⸣sunti f⸢fa⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸣ʔujaː f⸢fanu⸣ kḁ⸢taka⸣ru ⸢soː⸣ru] (躾けよう<教えよう>として子供を叱ると、親は子供の擁護をされる)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァヌ⸣ カ⸢タ⸣カ カー⸢ニル ソー⸣ル [⸢duː⸣nu f⸢fanu⸣ kḁ⸢ta⸣ka kaː⸢niru soː⸣ru] (自分の子の\ruby{擁護}{ヨウ|ゴ}<\ruby{贔屓}{ヒイ|キ}>ばかりなさる) 4279 0 0 4062 htmvoc_4279.wav カタカタ カ⸢タ⸣カタ [kḁ⸢ta⸣kata] 名 片方の肩。 ⸢ニーリヌ⸣ カ⸢タ⸣カタナ カー⸢ニ アイ⸣コー ア⸢タルンダ ニーリカター⸣ ヤ⸢ミ⸣ス [⸢niːrinu⸣ kḁ⸢ta⸣katana kaː⸢ni ʔai⸣koː ʔa⸢tarunda niːrikataː⸣ ja⸢mi⸣su] (右の片方の肩にだけ天秤棒<担い棒>が当たるので、右肩は痛むよ) 4280 0 1 4063 htmvoc_4280.wav ガタガタ ガ⸢タガタ [ga⸢tagata] 副 {Mn_1}擬態語。がたがた。恐怖や寒さで震えるさま。 ⸢ウンザン⸣ ウ⸢バーサリティ⸣ ベーシ⸢ティ⸣ ウ⸢ダラ⸣キティ ガ⸢タガタ⸣シ ⸢フッツォーリ ベー⸣タ [⸢ʔunʣaŋ⸣ ʔu⸢baːsariti⸣ beːʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢dara⸣kiti ga⸢tagata⸣ʃi ⸢ɸutʦoːri beː⸣ta] (あいつに驚かされて、非常に驚い<びっくり仰天し>てガタガタ震えていたよ)。 4280 0 2 4064 htmvoc_4280.wav ガタガタ ガ⸢タガタ [ga⸢tagata] 副 {Mn_2}擬音語。がたがた。 カ⸢ジヌ スール⸣タ ⸣ヤドー ガ⸢タガタ⸣シ ⸢ナーリティ⸣ カ⸢サマサ⸣ヌ ニ⸢バラヌ [ka⸢ʤinu suːru⸣taː ⸣jadoː ga⸢tagata⸣ʃi ⸢naːriti⸣ kḁ⸢samasa⸣nu ni⸢baranu] (風が強くなったので戸がガタガタと音をたてて<鳴って>うるさくて<姦しくて>眠れない) 4281 0 0 4065 htmvoc_4281.wav カタカドゥ カ⸢タ⸣カドゥ [kḁ⸢ta⸣kadu] 名 一角。片隅。一部分。「片角」の義。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢クヌ⸣ カ⸢タ⸣カドゥナー ブ⸢サー⸣ラ フ⸢クンキーヌ⸣ ムイ⸢ベー⸣タン [⸢jaː⸣nu kḁ⸢kunu⸣ kḁ⸢ta⸣kadunaː bu⸢saː⸣ra ɸu̥⸢kuŋkiːnu⸣ mui⸢beː⸣taŋ] (屋敷の一角に大きな福木が生えていた)。 ⸢ナーブク⸣ヌ カ⸢タ⸣カドゥナー ス⸢ルッ⸣ティ イ⸢リシキ⸣リバ [⸢naːbuku⸣nu kḁ⸢ta⸣kadunaː su⸢rut⸣ti ʔi⸢riʃi̥ki⸣riba] (縄箱の片隅にそっと入れておけよ) 4274 0 0 4066 htmvoc_4274.wav カダカナー カ⸢ダカ⸣ナー [ka⸢daka⸣naː] 連 こんなに高く。 カ⸢ダカ⸣ナー ⸢スー モー カーラヌ [ka⸢daka⸣naː ⸢suːmoː kaːranu] (こんなに高い値段のする物<高価なもの>は買えない<買われない>)。 ア⸢ダカ⸣ナーヌ ⸣ヤマーラル ⸢キャーンギキーヤ⸣ キシ ン⸢ザ⸣ソールツォー [ʔa⸢daka⸣naːnu ⸣jamaːraru ⸢kjaːŋgikiːja⸣ ki̥ʃi ʔn⸢ʣa⸣soːruʦoː] (あんなに高い山から槇の木は伐り出されるそうだ) 4282 0 1 4067 htmvoc_4282.wav カタキ カ⸢タ⸣キ [kḁ⸢ta⸣ki] 名 {Mn_1}かたき(敵)。仇敵。 ⸣ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー ウ⸢リバ⸣ カ⸢タ⸣キティ ⸢シー⸣ アイニ ⸢ニッふァムヌ スー⸠ツォー [⸣nuntiru ja⸢ru⸣juː ʔu⸢riba⸣ kḁ⸢ta⸣kiti ⸢ʃiː⸣ ʔaini ⸢niffamunu suː⸠ʦoː] (どういう訳か、その人を敵といって、あんなに忌み嫌い<憎らしいものに>するんだよ)。 4282 0 2 4068 htmvoc_4282.wav カタキ カ⸢タ⸣キ [kḁ⸢ta⸣ki] 名 {Mn_2}禁止事項。 ヤ⸢ミ⸣プソー サ⸢キル⸣ カ⸢タ⸣キ [ja⸢mi⸣pu̥soː sḁ⸢kiru⸣ kḁ⸢ta⸣ki] (病人には酒が厳禁<飲酒が禁止事項{EOS}敵>だ) 4283 0 0 4069 htmvoc_4283.wav カタキウチ カ⸢タキ⸣ウチ [kḁ⸢taki⸣ʔuʧi] 名 敵討。あだうち(仇討ち)をすること。沖縄芝居などからの借用語。 シ⸢バヤーヌ⸣ カ⸢タキウチ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ ウ⸢ムッ⸣サタン [ʃi⸢bajaːnu⸣ kḁ⸢takiʔuʧi⸣nu pa⸢na⸣ʃi ʔu⸢mus⸣sataŋ] (芝居の敵討の話<物語>が面白かった) 4284 0 0 4070 htmvoc_4284.wav カタキシ カ⸢タ⸣キシ [kḁ⸢ta⸣ki̥ʃi] 名 着物の偏った着方。調和の取れない着方。「片着」の義。 ⸢ワー キン⸣マー カ⸢タ⸣キシ ⸣ナリティ ⸢ホー⸣ロー ⸣キシ ⸢ミッ⸣トー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː kim⸣maː kḁ⸢ta⸣ki̥ʃi ⸣nariti ⸢hoː⸣roː ki̥ʃi ⸢mit⸣toː ⸢naː⸣nu] (君の着物は調和のない偏った着方で、常識はずれで<思慮分別に欠けて>見るに耐えない) 4287 0 0 4071 htmvoc_4287.wav カタキシ カ⸢タ⸣キシ [kḁ⸢ta⸣ki̥ʃi] 名 一片。一切れ。切断した一片。切れ端。「片切れ」の義。破砕したものは、カ⸢タ⸣バリ[ka⸢ta⸣bari](片割れ)という。半切れ。畑などのプ⸢スフン⸣キル[pu̥⸢suɸuŋ⸣kiru](一区画)の半分。 ウ⸢ブマイ⸣ヌ パ⸢タキ⸣ヌ カ⸢タ⸣キシナー シ⸢ビラ⸣ イ⸢ビ⸣ シケー [ʔu⸢bumai⸣nu pḁ⸢taki⸣nu kḁ⸢ta⸣ki̥ʃinaː ʃi⸢bira⸣ ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keː] (大前の畑の半切れにネギ<葱>を植えてある)。 ス⸢ビ⸣ヌ カ⸢タ⸣キシェー ナ⸢マ⸣シ ⸣キシバ [su⸢bi⸣nu kḁ⸢ta⸣kiʃeː na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥ʃiba] (鮪の身の一切れは刺身に切れよ)。 イ⸢ツァ⸣ヌ カ⸢タ⸣キシ [ʔi⸢ʦa⸣nu kḁ⸢ta⸣ki̥ʃi] (板の切れ端) 4286 0 0 4072 htmvoc_4286.wav カタキム カ⸢タ⸣キム [kḁ⸢ta⸣kimu] 名 一方の心。心の片方。心の片隅。心のどこか。全身からそう思うのではなく、心の片隅に別の思いがあること。「片肝」の義。 ⸣シキンナー ウ⸢カ⸣レーンティ シ⸢キティ⸣ カ⸢タ⸣キモー サ⸢ニ⸣ヤン ア⸢リ⸣ブンドゥ カ⸢タ⸣キモー ⸢ジン⸣ヌ ⸢ソール⸣ シ⸢ラリ⸠ツォー [⸣ʃi̥kinnaː ʔu⸢ka⸣reːnti ʃi̥⸢kiti⸣ kḁ⸢ta⸣kimoː sa⸢ni⸣jaŋ ʔa⸢ri⸣bundu kḁ⸢ta⸣kimoː ⸢ʤin⸣nu ⸢soːru⸣ ʃi⸢rari⸠ʦoː] (試験に合格した<受かった>と聞いて嬉しい一方<一方の心では嬉しくはあるが>、片方の心ではお金の心配がされるんですよ) 4288 0 0 4073 htmvoc_4288.wav カタグー カ⸢タ⸣グー [kḁ⸢ta⸣guː] 名 片方。一対のものの片方。揃いのものの片割れ。「片具」の義か。 ア⸢チツァ⸣ヌ <ア⸢シツァ⸣ヌ> カ⸢タ⸣グー [ʔa⸢ʧiʦa⸣nu <ʔa⸢ʃiʦa⸣nu> kḁ⸢ta⸣guː] (一足の下駄の片方) 4289 0 0 4074 htmvoc_4289.wav カタグーパンチ カ⸢タグーパン⸣チ [kḁ⸢taguːpan⸣ʧi] 名 片方はずれ。一足の履物の片方が揃わないもの。 カ⸢タグーパンツァー⸣リ [kḁ⸢taguːpanʦaː⸣ri] (片具はずれ)。 ア⸢チ⸣ツァー カ⸢タグーパン⸣チ ナリ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʧi⸣ʦaː kḁ⸢taguːpan⸣ʧi nari⸢naː⸣nu] (下駄は不揃い<片具はずれ>になってしまった) 4290 0 0 4075 htmvoc_4290.wav カタグーマンツァー カ⸢タグーマン⸣ツァー [kḁ⸢taguːman⸣ʦaː] 名 不揃いの物。一対の揃いの一組が不揃いになっているもの。男物の下駄や女物の下駄などが混ぜこぜになって不揃いであること。若年層は、カ⸢タグーマン⸣チャー[kataguːmanʧaː]という。 ⸢ワー⸣ ア⸢シ⸣ツァー カ⸢タグーマン⸣ツァー ⸣ナリ ⸢ベー [⸢waː⸣ ʔa⸢ʃi⸣ʦaː kḁ⸢taguːman⸣ʦaː ⸣nari ⸢beː] (君の下駄は不揃い<片具交じり>になっている) 4291 0 0 4076 htmvoc_4291.wav カタクトゥムニ カ⸢タクトゥ⸣ムニ [kḁ⸢takutu⸣muni] 名 片言。不完全な、たどたどしい言葉遣い。ク⸢バ⸣ムニ[ku⸢ba⸣muni](片言)ともいう。 ウ⸢キナー⸣ムニ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベーン⸣ドゥ カ⸢タクトゥ⸣ムニ ヤ⸢ルンダ⸣ バ⸢カヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢kinaː⸣muni pa⸢na⸣ʃi ⸢beːn⸣du kḁ⸢takutu⸣ muni ja⸢runda⸣ ba⸢kaja⸣nu na⸢ra⸣nu] (沖縄言葉を話しているが、片言<たどたどしい言葉遣い>だから、恥ずかしくて堪らない) 4293 0 0 4077 htmvoc_4293.wav カタクリ カ⸢タクリ [kḁ⸢takuri] 名 片栗粉。カ⸢タクリクー[kḁ⸢takurikuː](片栗粉)ともいう。老人達は、片栗粉をお湯に溶かして黒糖を削って入れて飲んでいた。 カ⸢タクリ⸣ ユーナ ⸣タリティ ヌ⸢マ⸣シバ [kḁ⸢takuri⸣ juːna ⸣tariti nu⸢ma⸣ʃiba] (片栗粉をお湯に溶かして飲ませなさいよ) 4316 0 0 4078 htmvoc_4316.wav カタサー カ⸢タサー [kḁ⸢tasaː] 名 濃い茶。ッ⸢ス⸣サー[s⸢su⸣saː](薄い茶{EOS}出涸らしの茶{EOS}「白茶」の義)の対義語。 ⸣ユネンラ カ⸢タサーバ⸣ ヌムカー ⸢ミー⸣ヤ ⸢コー⸣リティ ニ⸢バラン⸣ ナルン⸢ダー [⸣junenra kḁ⸢tasaːba⸣ numukaː ⸢miː⸣ja ⸢koː⸣riti ni⸢baran⸣ narun⸢daː] (夕方から濃い茶を飲むと目が冴えて眠れなくなるぞ) 4263 0 0 4079 htmvoc_4263.wav カタシキ カ⸢タ⸣シキ [kḁ⸢ta⸣ʃi̥ki] 名 肩当て。 ノー⸢ンナー⸣カシ カ⸢タ⸣シキ ⸢サン⸣カー カ⸢タ⸣ヌ ⸣カー ⸣パギティ ⸣ニー カ⸢タマラ⸣ヌ [noː⸢nnaː⸣kaʃi kḁ⸢ta⸣ʃi̥ki ⸢saŋ⸣kaː kḁ⸢ta⸣nu ⸣kaː ⸣pagiti ⸣niː kḁ⸢tamara⸣nu] (何かで肩当しないと肩の皮が剥げて荷物を担ぐことが出来ない<担がれない>) 4307 0 0 4080 htmvoc_4307.wav カタシキ カ⸢タ⸣シキ [kḁ⸢ta⸣ʃi̥ki] 名 型付け。型を付けて模様を描くこと。 カ⸢タ⸣シキキンティ ⸢スーモー⸣ キ⸢シミラン⸣シェン [kḁ⸢ta⸣ʃi̥kikinti ⸢suːmoː⸣ ki̥⸢ʃimiraŋ⸣ʃeŋ] (型で模様を描いた着物<型付け着物>というものは着たことがなかった<着てみなかった>) 4294 0 0 4081 htmvoc_4294.wav カタシキルン カ⸢タ⸣ シ⸢キ⸣ルン [kḁ⸢ta⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 味方する。くみ(与)する。加勢する。贔屓する。カ⸢タ⸣ スクン[kḁ⸢ta⸣ su̥kuŋ](贔屓する)ともいう。 ドゥ⸢シヌ⸣ カ⸢タ⸣ シ⸢キ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ ⸣ウヤン ス⸢ズーコ⸣ イ⸢ザレー⸣ン [du⸢ʃinu⸣ kḁ⸢ta⸣ ʃi̥⸢ki⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ⸣ʔujan su⸢ʣuːko⸣ ʔi⸢ʣareːn⸣daː] (友人の味方をしようとして、親にしたたか<強か>に叱られたのだよ) 4295 0 0 4082 htmvoc_4295.wav カタジキルン カ⸢タジキ⸣ルン [kḁ⸢taʤiki⸣ruŋ] 他動 片付ける。標準語の転訛したもの。普通はシ⸢ズミ⸣ルン[ʃi⸢ʣumi⸣ruŋ](片付ける)という。 ⸢ドーングペン⸣グ パ⸢ニポーラン⸣ドーシ カ⸢タジキ⸣リ [⸢doːŋgupeŋ⸣gu pa⸢nipoːran⸣doːʃi kḁ⸢taʤiki⸣ri] (道具類を散らかさないで片付けろ)。 アー⸢イ⸣ カ⸢タジキラ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ kḁ⸢taʤikira⸣nu] (いやだ{EOS}片付けない)。 カ⸢タジキ ヤッ⸣サン [kḁ⸢taʤiki jas⸣saŋ] (片付けやすい)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢タジキ⸣ルン [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢taʤiki⸣ruŋ] (私も片付ける)。 カ⸢タジキ⸣ル ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢taʤiki⸣ru ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (片付けるものはない)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢タジキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢taʤiki⸣reː ⸣misamunu] (もっと片付ければよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢タジキ⸣リ [⸢paː⸣ku kḁ⸢taʤiki⸣ri] (早く片付けろ<片付けれ>) 4296 0 0 4083 htmvoc_4296.wav カタジクン カ⸢タジ⸣クン [kḁ⸢taʤi⸣kuŋ] 他動 片付ける。「かたづく<下二段活用>」の四段活用化したもの。老年層は、カ⸢タ⸣スン[kḁ⸢ta⸣su̥kuŋ](片付く)という。 マ⸢ダ⸣ シ⸢グトゥ⸣ カ⸢タジカ⸣ヌ [ma⸢da⸣ ʃi⸢gutu⸣ kḁ⸢taʤika⸣nu] (まだ仕事を片付けない)。 カ⸢タジ⸣キ ⸣ミサン [ka⸢taʤi⸣ki ⸣misaŋ] (片付けてよい)。 ⸣ドゥー ⸢タンガ⸣シ カ⸢タジ⸣クン [⸣duː ⸢taŋga⸣ʃi kḁ⸢taʤi⸣kuŋ] (自分一人で片付ける)。 カ⸢タジ⸣ク ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [kḁ⸢taʤi⸣ku ⸣munoː ⸣nuːja] (片付けるものは何か)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢タジ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢taʤi⸣keː ⸣misamunu] (もっと片付ければよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢タジ⸣キバ [⸢paː⸣ku kḁ⸢taʤi⸣kiba] (早くかたづけろよ) 4315 0 0 4084 htmvoc_4315.wav カタシラ カ⸢タ⸣シラ [kḁ⸢ta⸣ʃira] 名 片頬。反面。片方の顔。「かたつら(片面)」の義。⸢マーシラ[⸢maːʃira](真正面)の片面。 ⸢トーシン⸣バイ カ⸢カ⸣リティ カ⸢タ⸣シラー フ⸢クリベー⸣ [⸢toːʃim⸣bai kḁ⸢ka⸣riti kḁ⸢ta⸣ʃiraː ɸu̥⸢kuribeː] (おたふくかぜ<流行性耳下腺炎>にかかって片頬が腫れ<膨れ>ている) 4317 0 0 4085 htmvoc_4317.wav カタスクギ カ⸢タスク⸣ギ [kḁ⸢tasuku⸣gi] 名 肩を組み合わせること。カ⸢タスクン⸣ギ[kḁ⸢tasu̥kuŋ⸣gi](肩を組みあわせる)ともいう。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ サ⸢キバ⸣ ヌミティ カ⸢タスク⸣ゲー ⸢シェー⸣ティル ⸢アーク⸣タ [ba⸢kaː⸣muŋkeːja sḁ⸢kiba⸣ numiti kḁ⸢tasu̥ku⸣geː ⸢ʃeː⸣tiru ⸢ʔaːku⸣ta] (若者達は酒を飲んで肩を組んでいたよ) 4298 0 0 4086 htmvoc_4298.wav カタスクン カ⸢タ⸣ スクン [ka⸢ta⸣ su̥kuŋ] 連 味方する。与する。加勢する。贔屓する。 イダ⸢リー ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァヌ⸣ カ⸢タ⸣ スクンティ ⸢シー⸣ ユ⸢ミバ⸣ イ⸢ジベー⸣バン [ʔida⸢riː duː⸣nu f⸢fanu⸣ kḁ⸢ta⸣ su̥kunti ⸢ʃiː⸣ ju⸢miba⸣ ʔi⸢ʤi beː⸣baŋ] (ああいやだ<まあ汚い>、自分の子供に味方しようとして<味方するとて>嫁を叱っているわい)。ッ⸢ふァヌ⸣ カ⸢タ スン[f⸢fanu⸣ kḁ⸢ta suŋ](子供の味方する)ともいう 4297 0 0 4087 htmvoc_4297.wav カタスディヌキ カ⸢タスディ⸣ヌキ [kḁ⸢tasudi⸣nuki] 名 片肌を脱ぐこと。「片袖脱ぎ」。 ⸣アツァサーリ(アツァティ) カ⸢タスディ⸣ヌキ ⸢シェー⸣ティ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シ ⸢ベー [⸣ʔaʦasaːri(⸣ʔaʦati) kḁ⸢tasudi⸣nuki ⸢ʃeː⸣ti pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi ⸢beː] (暑くて<暑いので>片肌を脱いで<片袖脱ぎして>畑を耕している) 4299 0 0 4088 htmvoc_4299.wav カタスバ カ⸢タ⸣スバ [kḁ⸢ta⸣suba] 名 片側。側。ス⸢バ⸣カタ[su⸢ba⸣kḁta](側)の音位転倒したもの。 ミ⸢チ⸣ヌ カ⸢タ⸣スバナー ウ⸢ブガジマル⸣ヌ ムイ⸢ベーン⸣トンドゥ ⸢バン⸣テヌ ⸣ヤー [mi⸢ʧi⸣nu kḁ⸢ta⸣subanaː ʔu⸢bugaʤimaru⸣nu mui⸢beːn⸣tondu ⸢ban⸣tenu ⸣jaː] (道の側に大きなガジマル<よう樹>の生えている所が私の家です) 4300 0 0 4089 htmvoc_4300.wav カタスブイルン ⸣カタ ス⸢ブイルン [⸣kḁta su⸢buiruŋ] 連 肩をすぼめる。寒いとき、風邪を引いたり、体調不良の時に無意識にする動作。 ⸣カタ ス⸢ブイヤー⸣ティ ⸢アーク⸣ヌ パ⸢ナシキスル フシゥカル⸣タカヤー [⸣kḁta su⸢buijaː⸣ti ⸢ʔaːku⸣nu pa⸢naʃikisuru ɸusï̥karu⸣takajaː] (肩をすぼめている<あるく>が風邪でも<ぞ>引いたのかなあ<風邪がくっ付いたのかなあ>) 4318 0 0 4090 htmvoc_4318.wav カタスブシ カ⸢タスブ⸣シ [kḁ⸢tasubu⸣ʃi] 名 かたひざ(片膝)。膝の片方。 カ⸢タスブシ⸣バ ⸣タティティ ビ⸢リ ベー⸣ンドゥ マ⸢ナ⸣マ ⸢トゥンタティン⸣ ギサン⸢ダー [kḁ⸢tasubuʃi⸣ba ⸣tḁtiti bi⸢ri beː⸣ndu ma⸢na⸣ma ⸢tuntatiŋ⸣ gisan⸢daː] (片膝を立てて座っているが、今にも立ち上がり<飛び立ち>そうだよ) 4301 0 0 4091 htmvoc_4301.wav カタスブル カ⸢タスブ⸣ル [kḁ⸢tasubu⸣ru] 名 頭の片側。⸢片頭」の義。 カ⸢タスブ⸣ロー ガ⸢マ⸣ジ ⸣スリティ カ⸢タスブ⸣ロー ヌ⸢カ⸣シ ⸣シケーバン [kḁ⸢tasubu⸣roː ga⸢ma⸣ʤi ⸣suriti kḁ⸢tasu⸣buroː nu⸢ka⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (頭の片側は散髪<髪を剃って>して、片側は残してあるわい)。 カ⸢タスブル⸣ヌ ⸣ヤミティ ム⸢ヌカン⸣ガイ ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢tasuburu⸣nu ⸣jamiti mu⸢nukaŋ⸣gai na⸢ra⸣nu] (偏頭痛がし<頭の片方が痛く>て何も考えられ<もの考えが出来>ない) 4302 0 0 4092 htmvoc_4302.wav カタスブルヤン カ⸢タスブル⸣ヤン [kḁ⸢tasuburu⸣jaŋ] 名 偏頭痛。 ウ⸢レー⸣ ム⸢カ⸣シェーラ カ⸢タスブルヤン⸣ヌ ⸣アルンダル シ⸢グトゥン シーユーサン⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ mu⸢ka⸣ʃeːra kḁ⸢tasuburujan⸣nu ⸣ʔarundaru ʃi⸢gutuŋ ʃiːjuːsan⸠daː] (彼は昔から偏頭痛があるので仕事も出来ない<し得ない>のだよ)。 ウ⸢レー⸣ カ⸢タスブル⸣ヤン ム⸢ティ⸣プス ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ブシグトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ kḁ⸢tasuburu⸣jam mu⸢ti⸣pu̥su ja⸢runda⸣ ʔu⸢buʃigutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (彼は偏頭痛の病気持ち<片頭病み持ち人>だから大きな仕事は出来ない) 4303 0 1 4093 htmvoc_4303.wav カタソーピキ カ⸢タソー⸣ピキ [kḁ⸢tasoː⸣piki] 名 {Mn_1}対の物の一方が長いこと。 ⸢ワー キン⸣マー カ⸢タソー⸣ピキ ⸢シーブー ノーサバ⸣ル ⸣ナル [⸢waː kim⸣maː kḁ⸢tasoː⸣pi̥ki ⸢ʃiːbuː noːsaba⸣ru naru] (君の着物は裾の一方が長くなっている{EOS}不格好である{EOS}直さないといけない<直さばぞなる>)。 4303 0 2 4094 htmvoc_4303.wav カタソーピキ カ⸢タソー⸣ピキ [kḁ⸢tasoː⸣piki] 名 {Mn_2}かたびいき(片贔屓)。「Catabijqi<カタビイキ>片贔屓。例、Catabijqiuo suru。(片贔屓をする)『邦訳日葡辞書』」。 ウ⸢レー ドゥー⸣ヌ ウ⸢トゥ⸣ザ ⸢タン⸣ガ カ⸢タソー⸣ピキ ⸢シー⸣ シ⸢グトゥン⸣ トゥミ⸢ふィール [ʔu⸢reː duː⸣nu ʔu⸢tu⸣ʣa ⸢taŋ⸣ga kḁ⸢tasoː⸣pi̥ki ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢gutun⸣ tumi ⸢fiːru] (その人は自分の親戚だけ一方的に贔屓して仕事も世話してくれる<探してくれる>) 4319 0 0 4095 htmvoc_4319.wav カタソーピキ カ⸢タソーピキ [kḁ⸢tasoːpi̥ki] 名 ひいき(贔屓)。えこひいき。気に入った者に特別に目をかけ、後援すること。 ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァカーニ⸣ カ⸢タソーピキ ⸢サンドー⸣シ ⸢マータキナー⸣ バキ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢duː⸣nu f⸢fakaːni⸣ kḁ⸢tasoː⸣pi̥ki ⸢sandoː⸣ʃi ⸢maːtakinaː⸣ baki f⸢faːʃi⸣ba] (自分の子供にだけえこひいき<依怙贔屓>しないで、同じように<同量ずつ>分けて食べさせなさいよ) 4310 0 0 4096 htmvoc_4310.wav ガタダー ガ⸢タダー [ga⸢tadaː] 名 浅田。西表北岸の海岸近くの浅い田圃。ユ⸢ビター[ju⸢bitaː](深田)の対義語。「潟田」の転訛したものか。西表北岸一帯の水田には、雌牛四五頭の角を棒に括り付けて水田に入れ、水田の泥を踏ませて田の水漏れを防いでいた。「潟田」は海岸の砂州の上に形成された水田で、「醎也、浜也、加太(かた)」『新撰字鏡』の転訛したものか。 ム⸢カ⸣シェー ガ⸢タダー⸣ナー ⸢ミー⸣ウシ ⸢ユッカラナー⸣ シ⸢ヌ⸣バ ⸣バウナー フ⸢バリティ ⸣ターナー イ⸢リ⸣ ピ⸢キマーシェー⸣ティル ⸣ター フ⸢マソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ga⸢tadaː⸣naː ⸢miː⸣ʔuʃi ⸢jukkaranaː⸣ ʃi⸢nu⸣ba ⸣baunaː ɸu⸢bariti⸣ taːnaː ʔi⸢ri⸣ pi̥⸢kimaːʃeː⸣tiru ⸣taː ɸu⸢masoːt⸣ta] (昔は、浅い田圃には雌牛を四匹ずつ角を棒に結わえて田圃の中にいれ、引き回しながら田圃の土を踏ませられた)。西表北岸の海岸端の水田は浅い田圃が多い。 ク⸢ヌ ター⸣ヤ ガ⸢タダー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣カー ⸢ター⸣ヤ バ⸢リス [ku⸢nu taː⸣ja ga⸢tadaː⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːŋ⸣kaː ⸢taː⸣ja ba⸢risu] (この田圃は浅い潟田だから雨が降らないと田圃は地割れするよ) 4304 0 1 4097 htmvoc_4304.wav カタチ カ⸢タチ [kḁ⸢taʧi] 名 {Mn_1}姿形。格好。なりふり。 ウ⸢リヌ⸣ カ⸢タチ⸣ ミルカー キ⸢ムフクレー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ kḁ⸢taʧi⸣ mirukaː ki⸢muɸu̥kureː⸣nu mi⸢rara⸣nu] (その人の姿格好をみると汚くて見ておれない<見られない>)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ カ⸢タチン カイ⸣ヤーリ ブ⸢ドゥルン ゾー⸣ジ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ kḁ⸢taʧiŋ kai⸣jaːri bu⸢durun ʣoː⸣ʤi] (その人は容姿も美しいし、踊りも上手である)。 ウ⸢レー⸣ カ⸢タチヌドゥ⸣ プ⸢スヤル⸣ ノー⸢ン⸣ ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ kḁ⸢taʧinudu⸣ pu̥⸢sujaru⸣ noː⸢ɲ⸣ jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (そいつは形が人間であるだけで、なんの役にも立たない)。 4304 0 2 4098 htmvoc_4304.wav カタチ カ⸢タチ [kḁ⸢taʧi] 名 {Mn_2}態度。そぶり。様子。気配。 カ⸢ジェー マーリティ⸣ キ⸢サーティ⸣ カ⸢タチェー⸣ ミ⸢ラ⸣レーティ ⸢アー⸣ク [ka⸢ʤeː maːriti⸣ ki̥⸢saːti⸣ kḁ⸢taʧeː⸣ mi⸢ra⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (風が回って<気分を害して>既にその不満の態度が現れて<見られて>いるよ) 4306 0 0 4099 htmvoc_4306.wav カタチアン カ⸢タチ⸣ アン [kḁ⸢taʧi⸣ ʔaŋ] 連 容姿が美しい。「形がある」の義。 カ⸢タチェー ナー⸣ヌ [kḁ⸢taʧeː naː⸣nu] (不美人である{EOS}「形がない」の義)。 ウ⸢ヌス⸣ク カ⸢タチェー⸣ ア⸢リ⸣ブンドゥ ス⸢ブルヌ⸣ カ⸢ナーン⸠ツォー [ʔu⸢nusu̥⸣ku kḁ⸢taʧeː⸣ ʔa⸢ri⸣bundu su⸢buru⸣nu ka⸢naːn⸠ʦoː] (あれほど容姿は美しいのだが頭脳が伴わない<叶わない>んだよ、勿体ない) 4312 0 0 4100 htmvoc_4312.wav カタチェーナーヌ カ⸢タチェー ナー⸣ヌ [kḁ⸢taʧeː naː⸣nu] 連 容姿が端麗でない。容貌が美しくない。「形がない」の義。 ⸢ナン⸣ゾー カ⸢タチェー ナー⸣ヌヌ ⸣キモー イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン ⸣アリ ウ⸢トゥ⸣ザムイサン ⸣アン [⸢nan⸣ʣoː kḁ⸢taʧeː naː⸣nunu ⸣kimoː ʔik⸢kena kai⸣jaŋ ⸣ʔari ʔu⸢tu⸣ʣamuisaŋ ⸣ʔaŋ] (あんまり美しくはないが、心は非常に美しくも<綺麗でも>あり、親戚思いでもある) 4308 0 0 4101 htmvoc_4308.wav カタチカーニ カ⸢タチカーニ [kḁ⸢taʧikaːni] 連 形ばかり。形式だけ。 チ⸢カ⸣グロー シチジュー⸢サン⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヌン カ⸢タチカーニヌ ヨイ⸣バ ⸢ソー⸣ル プ⸢スル ゴー⸣ラ [ʧi̥⸢ka⸣guroː ʃi̥ʧijuː⸢san⸣nu ⸢joi⸣nuŋ kḁ⸢taʧikaːninu joi⸣ba ⸢soː⸣ru pu̥⸢suru goː⸣ra] (近頃は七十三の生年祝いも形ばかりの祝いをなさる人が多い) 4309 0 1 4102 htmvoc_4309.wav カタチタンガ カ⸢タチタン⸣ガ [kḁ⸢taʧitaŋ⸣ga] 連 {Mn_1}形だけ。容貌だけ。 カ⸢タチタン⸣ガー プ⸢ス⸣ マ⸢キランドゥ⸣ ブ⸢ドゥル⸣ シ⸢ミバル⸣ メー ⸢サッ⸣コー ⸢ティーフコー⸠ツォー [kḁ⸢taʧitaŋ⸣gaː pu̥⸢su⸣ ma⸢kirandu⸣ bu⸢duru⸣ ʃi⸢mibaru⸣ meː ⸢sak⸣koː ⸢tiːɸu̥koː⸠ʦoː] (容貌だけは他人に負けないが、踊りをさせると、もう非常に不器用なんだよ)。 4309 0 2 4103 htmvoc_4309.wav カタチタンガ カ⸢タチタン⸣ガ [kḁ⸢taʧitaŋ⸣ga] 連 {Mn_2}ほんの少し。形ばかり。形式用。 カ⸢タチタンガ⸣ル ⸢シーユースー マービン⸣マー ⸢シーユーサヌ [kḁ⸢taʧitaŋga⸣ru ⸢ʃiːjuːsu maːbim⸣maː ⸢ʃiːjuːsanu] (ほんの少ししかできない<ほんの形ばかりがなし得る>、それ以上のことは出来ない<なし得ない>) 4311 0 0 4104 htmvoc_4311.wav カタチトールン カ⸢タチ トー⸣ルン [kḁ⸢taʧi toː⸣ruŋ] 連 容貌がみすぼらしくなる。痩せ衰えてやつれる。「形が倒れる」の義。 ⸢ナーワチライバ シール⸣ アイニ カ⸢タチ トー⸣レーティ ⸢アーク⸣バン [⸢naːwaʧiraiba ʃiːru⸣ ʔaini kḁ⸢taʧi toː⸣reːti ⸢ʔaːku⸣baŋ] (長患いをして<ぞ>、あんなに容貌がやつれ、みすぼらしく痩せ衰えている<あるく>わい) 4321 0 0 4105 htmvoc_4321.wav カタチニ ⸣カタチニ [⸣kḁtaʧini] 副 ~のように。ある物の姿、かっこうの如く。「形に」の義。 ウ⸢リヌ⸣ カタチニ ア⸢ラ⸣キ サ⸢ヌ [ʔu⸢rinu⸣ kḁtaʧini ʔa⸢ra⸣ki sa⸢nu] (彼のように歩けない) 4366 0 0 4106 htmvoc_4366.wav カタッポー カ⸢タッ⸣ポー [kḁ⸢tap⸣poː] 名 片方。片一方。 ウ⸢マー⸣カマーラ ⸢カイサン⸣ドーシ カ⸢タッ⸣ポーラ ク⸢メーキ カイ⸣シバ [ʔu⸢maː⸣kamaːra ⸢kaisan⸣doːʃi kḁ⸢tap⸣poːra ku⸢meːki kai⸣ʃiba] (あっちこっちから耕さないで、一方から丁寧に<入念に>耕せよ) 4322 0 1 4107 htmvoc_4322.wav カタティー カ⸢タ⸣ティー [kḁ⸢ta⸣tiː] 名 {Mn_1}片手。 ク⸢レー グッふァ⸣ヌ カ⸢タ⸣ティーシェー ム⸢タラ⸣ヌ [ku⸢reː guf⸣fanu kḁ⸢ta⸣tiːʃeː mu⸢tara⸣nu] (これは重くて片手では持てない)。 4322 0 2 4108 htmvoc_4322.wav カタティー カ⸢タ⸣ティー [kḁ⸢ta⸣tiː] 名 {Mn_2}片方。片手。みずたご(水担桶)などの一対のものの片方。フ⸢タティー[ɸu̥⸢tatiː](二手{EOS}両手)でプ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](一担い{EOS}「一担げ<ヒトカタゲ>」の義)となる。 カ⸢ザリクビンヌ⸣ カ⸢タティー⸣ヤ ⸢ヌー⸣ シター [ka⸢ʣarikubinnu⸣ kḁ⸢tatiː⸣ja ⸢nuːʃi̥⸣taː] (一対の飾り瓶の片方はどうしたのか{EOS}クビンは「Quafinクヮヒン(花瓶)『邦訳日葡辞書』」の転訛したものか) 4323 0 0 4109 htmvoc_4323.wav カタティダ カ⸢タ⸣ティダ [kḁ⸢ta⸣tida] 名 片一方に太陽光があたること。片陰。片面にだけ日が当たること。 ク⸢マン⸣ トンマー カ⸢タ⸣ティダ ⸣ナリティ プシ⸢ム⸣ノー ⸢カーラキグリ⸣サン⸢ナー [ku⸢man⸣tommaː ka⸢ta⸣tida ⸣nariti pu̥⸢ʃi⸣munoː ⸢kaːrakiguri⸣san⸢naː] (ここの所は片陰になっていて干し物は乾きにくいだろうなあ) 4324 0 1 4110 htmvoc_4324.wav カタティマ カ⸢タ⸣ティマ [kḁ⸢ta⸣tima] 名 {Mn_1}本業の余暇にする仕事。非正規雇用。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ カ⸢タ⸣ティマシ ⸣ナル シ⸢グトー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ kḁ⸢ta⸣timaʃi ⸣naru ʃi⸢gutoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (この仕事は本業の合い間に出来る仕事ではない)。 4324 0 2 4111 htmvoc_4324.wav カタティマ カ⸢タ⸣ティマ [kḁ⸢ta⸣tima] 名 {Mn_2}手間賃の半額。片手間賃。 カ⸢タ⸣ティマシンノーン パ⸢タラカシ⸣ ッ⸢ふォーッラン⸣カヤー [kḁ⸢ta⸣timaʃin ⸣noːm pḁ⸢tarakaʃi⸣ f⸢foːraraŋ⸣kajaː] (片手間賃<半額{EOS}手間賃の半額>ででも働かせて貰えないかなあ) 4325 0 0 4112 htmvoc_4325.wav カタドゥー カ⸢タ⸣ドゥー [kḁ⸢ta⸣duː] 名 半身。体の半分。 カ⸢タドゥー⸣ヤ ⸢ペンスクミティ ウーカサ⸣ラヌ [kḁ⸢taduː⸣ja ⸢pensukumiti ʔuːkasara⸣nu] (半身は痺れて<麻痺して>動かされない)。 カ⸢タドゥー⸣ヌ ⸢ウーカン⸣ベーティ ⸢キンバル⸣ イ⸢リシミタ [kḁ⸢taduː⸣nu ⸢ʔuːkam⸣beːti ⸢kimbaru⸣ ʔi⸢riʃimita] (半身が麻痺して動かないので金の鍼<\ruby{鍼術}{シン|ジュツ}に用いる針>を打って<入れさせた>貰った) 4328 0 0 4113 htmvoc_4328.wav カタトゥキ カ⸢タ⸣トゥキ [kḁ⸢ta⸣tuki] 名 かたとき(片時{EOS}一時の半分)。わずかの間。短時間。一刻(も)。 カ⸢タ⸣トゥキン ⸢パイ⸣サ シ⸢グトゥ⸣ トゥ⸢ズ⸣ミティ ⸢ヤー⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢ta⸣tu̥kim ⸢pai⸣sa ʃi⸢gutu⸣ tu⸢ʣu⸣miti ⸢jaː⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (片時も早く仕事を完了させて家に帰らないと<行かないと>いけない)。 イ⸢チヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣ル ⸢パッ⸣タユー ッ⸢サン⸣ケン カ⸢タトゥキ⸣ヌ ⸣アイナ ⸢ギーッティ⸣ ケーツバン [ʔi⸢ʧinu⸣ ma⸢du⸣ru ⸢pat⸣tajuː s⸢saŋ⸣keŋ kḁ⸢tatuki⸣nu ⸣ʔainaː ⸢giːtti⸣ keːtubaŋ] (何時の間に行ったのか知らぬ間に、短時間のうちに行って帰ってきているわいよ) 4329 0 0 4114 htmvoc_4329.wav カタトゥキン カ⸢タ⸣トゥキン [kḁ⸢ta⸣tu̥kiŋ] 副 一時も。片時も。一刻も。わずかの時間も。 カ⸢タ⸣トゥキン ⸢パイ⸣サ ⸢カイ⸣リ クー⸢ヨー [kḁ⸢ta⸣tu̥kim ⸢pai⸣sa ⸢kai⸣ri kuː⸢joː] (一刻も早く帰って来なさいよ) 4326 0 0 4115 htmvoc_4326.wav カタトン カ⸢タ⸣トン [kḁ⸢ta⸣toŋ] 名 片方。一方。片側。「片所」の義。 カ⸢タ⸣トンナ カー⸢ニ ベーラン⸣ドーシ ウ⸢マーン⸣ カマーン ⸢ギー⸣ ミリバ [kḁ⸢ta⸣tonna kaː⸢ni beːran⸣doːʃi ʔu⸢maːŋ⸣ kamaːŋ ⸢giː⸣ miriba] (片方<片一方>にだけいないで、あちこちに<そこにもあそこにも>行ってみなさいよ) 4330 0 0 4116 htmvoc_4330.wav カタナ カ⸢タ⸣ナ [kḁ⸢ta⸣na] 名 包丁。菜切り包丁。「刀」と同義で、料理に用いる片刃の刃物。刀剣の意味はない。「大刀、太知(たち)。小刀、賀太奈(かたな)『和名抄』」の転訛したもの。鰹節製造工場では、イ⸢ズバザイカタナ[ʔi⸢ʣubaʣaikatana](魚を捌く包丁)、ヨ⸢ツワリカタナ[jo⸢ʦuwarikatana](三枚下ろしにした鰹の上身と下身を四つ割りにする包丁{EOS}幅約10センチ、刀身約15センチの半円形の包丁)、サ⸢バカタナ[sa⸢bakatana](⸢鱶刀」の義{EOS}柄にぎざぎざの切込みをつけて滑り止めを施した鋭利な包丁{EOS}烏賊釣り漁に持参した)、ヤ⸢マンガラ⸣シ[ja⸢maŋgara⸣ʃi](山刀)などがあった。 イ⸢ズバザイカタナ⸣シ カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル ⸣キシ [ʔi⸢ʣubaʣaikatana⸣ʃi kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ru ⸣ki̥ʃi] (魚を捌く包丁<刀>で鰹の頭を切れ)。 ⸣トゥシナー カ⸢タ⸣ナ ⸣トゥイバ [⸣tu̥ʃinaː kḁ⸢ta⸣na ⸣tuiba] (砥石で包丁を研ぎなさいよ) 4332 0 0 4117 htmvoc_4332.wav カタナシ カ⸢タ⸣ナシ [kḁ⸢ta⸣naʃi] 名 偏った産み方。男または女の一方だけに偏って産むこと。「片生し<片産み>」の義。 ミ⸢ドーン⸣ッふァ カー⸢ニ⸣ ル⸢ク⸣ニン カ⸢タ⸣ナシ シ⸢ティ⸣ ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ビ⸣ナー ヤッ⸢トゥ⸣シ サ⸢ク⸣シ ナ⸢スタ⸣ル ウ⸢ヌス⸣ク サ⸢ニヤ ソーッ⸣タティ ⸣ムカーヤ [mi⸢doːŋ⸣ffa kaː⸢ni⸣ ru⸢ku⸣niŋ kḁ⸢ta⸣naʃi ʃi̥ti⸣ ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢bi⸣naː jat⸢tu⸣ʃi sḁ⸢ku⸣ʃi na⸢suta⸣ru ʔu⸢nusu̥⸣ku sa⸢nija soːt⸣tati ⸣mukaːja] (女の子だけ六人偏って産んで<片生しして>、その後にやっとのことで長男を産んだものだから、あんなに喜ばれた<嬉しくされた>ものだよ) 4331 0 0 4118 htmvoc_4331.wav カタナヌパー カ⸢タナ⸣ヌ ⸣パー [kḁ⸢tana⸣nu ⸣paː] 連 包丁の刃。 カ⸢タナ⸣ヌ ⸣パー ナ⸢マ⸣リティ ⸢ピッ⸣チン キ⸢シラ⸣ヌ [kḁ⸢tana⸣nu ⸣paː na⸢ma⸣riti ⸢pit⸣ʧiŋ ki̥⸢ʃira⸣nu] (包丁<刀>の刃が鈍ってちっとも切れない) 4333 0 1 4119 htmvoc_4333.wav カタニー カ⸢タ⸣ニー [kḁ⸢ta⸣niː] 名 {Mn_1}片荷。一方の荷。 ⸢ダン⸣ベーナ カ⸢タニー⸣ヤ ⸢マイバ⸣ シ⸢ミ⸣ カ⸢タニー⸣ヤ ミ⸢リキング⸣トゥ ⸢トー⸣フマミ ⸢マー⸣ス ⸣サタンドーレーバ シ⸢ミティ サンギ パッ⸣タ [⸢dam⸣beːna kḁ⸢taniː⸣ja ⸢maiba⸣ ʃi⸢mi⸣ kḁ⸢taniː⸣ja mi⸢rikiŋgu⸣tu ⸢toː⸣ɸumami ⸢maː⸣su ⸣sḁtandoːreːba ʃi⸢miti saŋgipat⸣ta] (団平船に一方の荷は米を積み、もう一方の荷はメリケン粉と大豆、塩、砂糖などを積んで引張って行った)。 4333 0 2 4120 htmvoc_4333.wav カタニー カ⸢タ⸣ニー [kḁ⸢ta⸣niː] 名 {Mn_2}一方に荷を積みすぎること。片方の荷が重いこと。 ⸢ニー⸣ヤ ⸢マータキ⸣ シ⸢マムティ⸣ カ⸢タ⸣ニー シ⸢ム⸣カー ⸣フネー ム⸢ティングリ⸣サン⸢ダー [⸢niː⸣ja ⸢maːtaki⸣ ʃi⸢mamuti⸣ kḁ⸢ta⸣niː ʃi⸢mu⸣kaː ⸣ɸuneː mu⸢tiŋguri⸣san⸢daː] (荷は均等に積まないで片方に偏って積むと船は操船しにくい<持ちにくい>よ)。 ⸢マイ⸣ニー [⸢mai⸣niː] (前荷、前に積みすぎる荷) トゥ⸢ム⸣ニー [tu⸢mu⸣niː] (艫荷、艫に積みすぎる荷)) 4334 0 0 4121 htmvoc_4334.wav カタニー カ⸢タ⸣ニー [kḁ⸢ta⸣niː] 名 片煮え。一方だけ煮えて全体が煮えないこと。 ⸢ワー イー⸣ヤ カ⸢タ⸣ニー シ⸢ティ⸣ ッ⸢ふァーラヌ [⸢waː ʔiː⸣ja kḁ⸢ta⸣niː ʃi̥⸢ti⸣ f⸢faːranu] (君が炊いたご飯<君の飯は>は片煮えして食べられない)。 ⸢ピー⸣バ カ⸢タモー⸣シ ⸢スー⸣カー ⸢イー⸣ヌン カ⸢タ⸣ニー ⸢スン⸣ダー [⸢piː⸣ba ka⸢tamoː⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ⸢ʔiː⸣nuŋ kḁ⸢ta⸣niː ⸢sun⸣daː] (火を片方にだけ燃やすと<片燃やしすると>、ご飯も片煮えするぞ) 4335 0 0 4122 htmvoc_4335.wav カタヌブリ カ⸢タ⸣ヌ ⸣ブリ [ka⸢ta⸣nu ⸣buri] 連 肩揚げ。着物のゆき(裄)を肩のところで縫い上げておくもの。「肩の折」の義。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢キン⸣マー カ⸢タ⸣ヌ ⸣ブリ シ⸢ティ⸣ ッ⸢スン⸣ ブリティ ア⸢ギシキリバ⸣ル フ⸢ドゥブ⸣ アー⸢シ⸣ ウ⸢ラ⸣シ キ⸢ササリ⸣ツォー [ja⸢rabi⸣nu ⸢kim⸣maː kḁ⸢ta⸣nu ⸣buri ʃi̥⸢ti⸣ s⸢sum⸣ buriti ʔa⸢giʃi̥kiribaru⸣ ɸu⸢dubu⸣ ʔaː⸢ʃi⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi ki̥⸢sasari⸣ʦoː] (子供の着物<衣>は肩揚げをして、裾も折り揚げておく方が成長するにつれて<合わせて>、肩揚げや裾をおろして着せられるそうだ) 4336 0 0 4123 htmvoc_4336.wav カタパー カ⸢タ⸣パー [kḁ⸢ta⸣paː] 名 片刃。片側にだけ刃をつけたもの。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢タ⸣ナー カ⸢タ⸣パー ヤ⸢ルンダ⸣ キスピンマー ウ⸢チェーニ⸣ル ン⸢カイバ⸣ テイー キ⸢サン⸣ヨー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ku⸢nu⸣ kḁ⸢ta⸣naː kḁ⸢ta⸣paː ja⸢runda⸣ munu ⸣ki̥su ⸣pimmaː ʔu⸢ʧeː⸣niru ʔŋ⸢kaiba⸣ tiː ki̥⸢saɲ⸣joː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (この包丁は片刃になっているので、切る時は内側に向かってくるから手を切らぬよう気を付けろ) 4337 0 0 4124 htmvoc_4337.wav カタパーシーグ カ⸢タパーシー⸣グ [kḁ⸢tapaːʃiː⸣gu] 名 片刃の小刀。「片刃・み・すへご」『混効験集(乾・器財)』とある。「すへご」は「鉏<サヒ>・グ」の転訛したものか。「鉏を作りテ此の岡に祭るに・・・即ち佐比<さひ>岡と号<なづ>く」『播磨風土記』。鰹節を押し削るのに用いる小刀。引き削り用の小刀はピ⸢ギシー⸣グ[pi⸢giʃiː⸣gu](へぎ<剥ぎ>・小刀)、押して削る小刀を、シ⸢キシーグ[ʃi̥⸢kiʃiːgu](突き小刀)という。 カ⸢タパーシー⸣ゴー ウ⸢ヤベー⸣マシ シゥ⸢カイ⸣ カ⸢サミティ⸣ ウ⸢ヤ⸣ビシ ⸢ウシキティル⸣ カ⸢ツブシ⸣ ピ⸢ゴーッ⸣タ [kḁ⸢tapaːʃiː⸣goː ʔu⸢jabeː⸣maʃi si̥⸢kai⸣ kḁ⸢samiti⸣ ʔu⸢ja⸣biʃi ⸢ʔuʃi̥kitiru⸣ kḁ⸢ʦubuʃi⸣ pi⸢goːt⸣ta] (片刃の小刀は小指で支え掴んで親指で押して鰹節を削られ<剥がれ>た) 4338 0 0 4125 htmvoc_4338.wav カタパーヌキル カ⸢タパーヌキ⸣ル [kḁ⸢tapaːnuki⸣ru] 名 片刃鋸。鋸の片面にだけ刃が付いているもの。山仕事や薪割り作業で、木を切るのに用いる鋸。⸢リョーバーヌキル[⸢rjoːbaːnukiru](細工道具の両刃鋸)の対義語。 ⸣チニヒージェー カ⸢タパーヌキル⸣バ シゥ⸢カイティ⸣ タ⸢ム⸣ヌン キ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʧiniçiːʤeː kḁ⸢tapaːnukiru⸣ba si̥⸢kaitiru⸣ ta⸢mu⸣nuŋ ki̥⸢soːt⸣ta] (常日頃<常平生>は片刃鋸を使って薪を切られた) 4343 0 1 4126 htmvoc_4343.wav カタパームヌ カ⸢タパー⸣ムヌ [kḁ⸢tapaː⸣munu] 名 {Mn_1}偏屈な者。かたくな(頑な)な人。「かたは(片端)。容姿性質の不完全なこと」『源氏物語 末摘花』の転訛したものか。 カ⸢タパー⸣ムノー プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [kḁ⸢tapaː⸣munoː pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (偏屈な者は人のいうことを聞かない)。 4343 0 2 4127 htmvoc_4343.wav カタパームヌ カ⸢タパー⸣ムヌ [kḁ⸢tapaː⸣munu] 名 {Mn_2}⸢イッポー⸣ギ[⸢ʔippoː⸣gi](一徹者{EOS}頑固者{EOS}偏屈な者)ともいう。 ウ⸢レー イッポー⸣ギ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ナー⸣ ア⸢ラン⸣ティ ⸢スー⸣カー プ⸢スヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムネー シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː ʔippoː⸣gi ja⸢runda⸣ ʔu⸢naː⸣ ʔa⸢ran⸣ti ⸢suː⸣kaː pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː si̥⸢kanu] (その人は頑なな人だから、己が違うと言うと、他人の言うことは聞かない) 4339 0 0 4128 htmvoc_4339.wav カタバキ カ⸢タ⸣バキ [kḁ⸢ta⸣baki] 名 偏った分け方。片方に贔屓して多く分割すること。 ⸣ムノー ⸢マータキナール⸣ バ⸢キ⸣ル ⸣アイニ カ⸢タ⸣バキ ⸢スー⸣カー ウ⸢ムッサーナー⸣ヌ [⸣munoː ⸢maːtakinaːru⸣ ba⸢ki⸣ru ⸣ʔaini kḁ⸢ta⸣baki ⸢suː⸣kaː ʔu⸢mussanaː⸣nu] (物は均等に分けるのであって、あんなに偏った分けかたをすると面白くないよ) 4340 0 0 4129 htmvoc_4340.wav カタバタ カ⸢タ⸣バタ [kḁ⸢ta⸣bata] 名 心の片方。片心。そう思う一方で、正反対のことを思うこと(悪事の企みを連想する際に用いる)。「片腹」の義。類義語の、カ⸢タ⸣キム[kḁ⸢ta⸣kimu](片肝{EOS}心の片方{EOS}一方の心)は「心配事、吉事を連想する」際に用いる。 プ⸢スバ⸣ フ⸢ミマラバ⸣シ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ウ⸢リヌ⸣ カ⸢タバ⸣ター ⸣ヌーティル ⸣ウムイ ⸢ブー⸣ユー ワ⸢カラ⸣ヌ [pu̥⸢suba⸣ ɸu⸢mimaraba⸣ʃi ⸢beː⸣nundu ʔu⸢rinu⸣ kḁ⸢taba⸣taː ⸣nuːtiru ⸣ʔumui ⸢buː⸣juː wa⸢kara⸣nu] (人を褒めちぎっているが、彼の片腹<心の片方>では何と思っているか分らないものだ) 4341 0 0 4130 htmvoc_4341.wav カタパニ カ⸢タ⸣パニ [kḁ⸢ta⸣pani] 名 片方の翼。片羽。 ⸢ガー⸣ドゥレーヌ カ⸢ジフキ⸣ナー カ⸢タ⸣パニ ブ⸢ラ⸣リティ トゥ⸢ビマーキ ベー [⸢gaː⸣dureːnu ka⸢ʤiɸu̥ki⸣naː kḁ⸢ta⸣pani bu⸢ra⸣riti tu⸢bimaːki beː] (カモメが台風に片羽を折られて飛びかねている) 4342 0 0 4131 htmvoc_4342.wav カタパバ カ⸢タ⸣パバ [kḁ⸢ta⸣paba] 名 肩幅。 カ⸢タパバ⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤーユンダ ⸢キン⸣マー ユ⸢キーユキー⸣シ ⸣ヌイ⸢ヨー [kḁ⸢tapaba⸣nu ⸢mai⸣janda ⸢kim⸣maː ju⸢kiːjukː⸣ʃi nui⸢joː] (肩幅が大きいから着物はゆったりと余裕を持って縫いなさいよ<縫えよ>) 4344 0 1 4132 htmvoc_4344.wav カタバリ カ⸢タ⸣バリ [kḁ⸢ta⸣bari] 名 {Mn_1}片割れ。半分。割れた物の片方。 イ⸢バチ⸣ヌ カ⸢タ⸣バレー カ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァン ナーリ⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ʔi⸢baʧi⸣nu kḁ⸢ta⸣bareː ka⸢nu⸣ f⸢fan naːri⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (飯初のお握りの半分は、あの子に手を差し伸べてやって食べさせなさいよ)。 4344 0 2 4133 htmvoc_4344.wav カタバリ カ⸢タ⸣バリ [kḁ⸢ta⸣bari] 名 {Mn_2}対になっているものの片方。双生児の片方。 ⸢ターチュー⸣ヌ カ⸢タ⸣バレー ヤ⸢マ⸣トー ⸢パッ⸣タ [⸢taːʧuː⸣nu kḁ⸢ta⸣bareː ja⸢ma⸣toː ⸢pat⸣ta] (双子の一人<片方>は本土<大和>行った) 4345 0 0 4134 htmvoc_4345.wav カタバル カ⸢タバル [kḁ⸢tabaru] 名 干潟。「潟原」の義。「潟」は、浦、入り江、湾、海岸など遠浅の海で、満潮時には海水に没し、干潮時には現れる砂浜。遠浅の浜。「~之保非能可多爾<潮干の潟に>。万、3595」。⸢~浜也、加太<かた>」『新撰字鏡』の義。 トゥ⸢マダヌ⸣ カ⸢タバル⸣ナー ⸢ユーリムヌヌ ユーリ⸣ケータン [tu⸢madanu⸣ kḁ⸢tabaru⸣naː ⸢juːrimununu juːri⸣keːtaŋ] (トゥマダの干潟に漂流物<寄りもの>が流れ寄ってきていた) 4346 0 0 4135 htmvoc_4346.wav カタバルゴーナー カ⸢タバルゴーナー [kḁ⸢tabarugoːnaː] 名 (動)和名、コメツキガニ(米搗蟹)。西表北岸の湾の干潟に群棲するスナガニ科の小さな蟹。甲羅の長さは約1センチで両方のはさみを上げ下げしながら砂や泥を食べ、巣の周りに砂団子を並べる習性がある。 カ⸢タバルゴーナーヤ⸣ プ⸢スヌ⸣ クーカー バ⸢ザラバザラ⸣シ ア⸢ナ⸣ヌ ナ⸢カー ペー⸣リ ⸣パル [kḁ⸢tabarugoːnaːja⸣ pu̥⸢sunu⸣ kuːkaː ba⸢ʣarabaʣara⸣ʃi ʔa⸢na⸣nu na⸢kaː peː⸣riparu] (コメツキガニは人が来るとバザラバザラと我勝ちに穴に入っていく) 4347 0 1 4136 htmvoc_4347.wav カタパン カ⸢タ⸣パン [kḁ⸢ta⸣paŋ] 名 {Mn_1}片足。 カ⸢タ⸣パンシ ⸣タティ ⸢シェー⸣ン [kḁ⸢ta⸣paŋʃi ⸣tḁti ⸢ʃeː⸣ŋ] (片足で立つことができる)。 ウ⸢リヌ⸣ カ⸢タパン⸣ヌ ⸣スコーンツァン パ⸢タラキサヌ [ʔur⸢inu⸣ kḁ⸢tapan⸣nu ⸣su̥koːnʦam pḁ⸢tarakisanu] (彼の片足ぐらいさえも働くことができない)。 4347 0 2 4137 htmvoc_4347.wav カタパン カ⸢タ⸣パン [kḁ⸢ta⸣paŋ] 名 {Mn_2}履物や箸など、一対(一組)のものの片方。カ⸢タ⸣グー[ka⸢ta⸣guː](片方)ともいう。 ⸣バー ア⸢チ⸣ツァー <ア⸢シ⸣ツァー> カ⸢タパン⸣マー ⸢タール⸣ フ⸢ミパッ⸣タカヤー [⸣baː ʔa⸢ʧi⸣ʦaː <ʔa⸢ʃi⸣ʦaː> kḁ⸢tapam⸣maː ⸢taːru⸣ ɸu⸢mipat⸣takajaː] (私の下駄の片方<一足の片方>は誰が履いて行ったのかなあ) 4348 0 0 4138 htmvoc_4348.wav カタパンツァーリ カ⸢タパンツァー⸣リ [kḁ⸢tapanʦaː⸣ri] 名 一揃い<一対、一足>の物の片方が別の物と混じること。ふぞろい(不揃い)になること。ちぐはぐになること。「片足あざり(狂リ)」の義か。「Catachigu.カタチグ(片ちぐ)対で数える物の片方あって、たとえば、履物や瓶子などの片方がもう一方と違っている場合に言う.」『邦訳日葡辞書』。 ⸣パシェー カ⸢タパンツァー⸣リ ⸢シーブ [⸣pḁʃeː kḁ⸢tapanʦaː⸣ri ⸢ʃiːbuː] (箸は不揃いである<片ちぐである>)。 ア⸢シ⸣ツァン カ⸢タパンツァー⸣リ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔa⸢ʃi⸣ʦaŋ kḁ⸢tapanʦaː⸣ri ⸢ʃiːnaː⸣nu] (下駄<足駄>も不揃いになってしまった) 4349 0 0 4139 htmvoc_4349.wav カタピキ カ⸢タ⸣ピキ [kḁ⸢ta⸣pi̥ki] 名 えこひいき(依こ怙贔屓)。かたびいき(片贔屓)。「片引き」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ カ⸢タ⸣ピキ ⸢ソー⸣ルン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ kḁ⸢ta⸣pi̥ki ⸢soː⸣ruŋ] (その人は非常に片びいき<依怙ひいき>をなさる) 4350 0 0 4140 htmvoc_4350.wav カタピキムヌ カ⸢タピキ⸣ムヌ [kḁ⸢tapi̥ki⸣munu] 名 身体障害者。かたわもの(片端者)。 カ⸢タピキ⸣ムヌティ イ⸢ザリティル⸣ ウ⸢ヌス⸣ク ⸢ニッ⸣ター ⸢ソーッ⸣タティムカーヤ [kḁ⸢tapi̥ki⸣munuti ʔi⸢ʣaritiru⸣ ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢nit⸣taː ⸢soːt⸣tatimukaːja] (かたわものと叱られて、それであんなにも\ruby{妬}{ネタ}まれたのだよ<妬まれたというものだよ、当然だが>) 4351 0 0 4141 htmvoc_4351.wav カタピサ カ⸢タ⸣ピサ [kḁ⸢ta⸣pi̥sa] 名 履物の片方。片足。⸣ピサ[⸣pi̥sa](足)は、⸣パンピサ[⸣pampi̥sa](人の足{EOS}特に踝より下)のこと。 ア⸢チツァ⸣ヌ <ア⸢シツァ⸣ヌ> カ⸢タ⸣ピサー <カ⸢タパン⸣ヤー> ⸢ヌー⸣シター ⸣トゥミクー [ʔa⸢ʧiʦa⸣nu <ʔa⸢ʃiʦa⸣nu> kḁ⸢ta⸣pi̥saː ⸢nuːʃi̥⸣taː ⸣tumikuː] (下駄の片方はどうしたのか{EOS}探してこい) 4352 0 0 4142 htmvoc_4352.wav カタピサ カ⸢タ⸣ピサ [kḁ⸢ta⸣pi̥sa] 名 両面あるものの片面(片足)。「片ひら(平)」の義。「Catafira.カタヒラ(片平)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。Cira→Cisa(C=*p)の音韻変化の法則がある。魚を三枚おろしにした上身と下身の各部分。 イ⸢ゾー⸣ ピ⸢サ⸣ ウ⸢コー⸣シティ <ン⸢コー⸣シティ> カ⸢タ⸣ピサー ナ⸢マ⸣シ ⸣キシバ [ʔi⸢ʣoː⸣ pi̥⸢sa⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi̥ti <ŋ⸢koː⸣ʃiti> kḁ⸢ta⸣pi̥saː na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥ʃiba] (魚は三枚におろして<ひらをはぎ起こして>、片方の身は刺身にしなさい<なます(膾)に切りなさい>) 4354 0 0 4143 htmvoc_4354.wav カタピサイズ カ⸢タピサ⸣イズ [kḁ⸢tapisa⸣ʔiʣu] 名 (動)魚名。カレイ。ヒラメの総称。海底の砂地に棲息している。「片ひら魚」の義。 カ⸢タピサ⸣イゾー ⸢ミーヤ ゴー⸣ラー ⸢ナーン⸣ドゥ ヤ⸢カバン ネーサバン⸣ ン⸢マー⸣ン [kḁ⸢tapisa⸣ʔiʣoː ⸢miːja goː⸣raː ⸢naːn⸣du ja⸢kaban neːsabam⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (片ひら魚<カレイ、ヒラメ>は身は多くないが、焼いても煮ても美味しい) 4355 0 0 4144 htmvoc_4355.wav カタピサヤー カ⸢タピサ⸣ヤー [kḁ⸢tapisa⸣jaː] 名 片側屋根の家。片流れ造り。「片ひら<坂。屋根>家」の義。「~此をば余母都比羅佐可<よもつひらさか>といふ『日本書紀 神代』」の「ひら」と同じ。「Catafira.(片平)家の屋根の流れの片側.」『邦訳日葡辞書』の義。 ⸢オー⸣ヌヤーン ピ⸢ビザヌ⸣ヤーン イ⸢キムシ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ カ⸢タピサ⸣ヤー ⸢ヤッタ [⸢ʔoː⸣nujaːm pi⸢biʣanu⸣jaːŋ ʔi⸢kimuʃi⸣nu ⸢jaː⸣ja muː⸢ru⸣ kḁ⸢tapisa⸣jaː ⸢jatta] (豚小屋も山羊小屋も、動物の小屋はみんな片流れ造りだった) 4358 0 0 4145 htmvoc_4358.wav カタプー カ⸢タ⸣プー [kḁ⸢ta⸣puː] 名 片帆。一つだけの帆。横風を受けて帆をはらませて操船する際に用いる帆。これによって⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟、サバニ)はマ⸢ギ⸣フニ[ma⸢gi⸣ɸuni]<ジグザグ航法>をして風上の方へ航行することができる。⸢マープー[⸢maːpuː](真帆{EOS}マ⸢シ⸣ビカジ{SqBr}ma⸢ʃi⸣bikaʤi{/SqBr}<真艫から吹く風>をうけて張る帆)の対義語。 ⸣イダフネー カ⸢タ⸣プー ピ⸢キバル⸣ ム⸢ティヤッ⸣サタ マ⸢シ⸣ビカジナー ⸢マープー⸣ ピ⸢キティ フンナケー⸣ バスン ⸢アッ⸣タン [⸣ʔidaɸuneː kḁ⸢ta⸣puː pi̥⸢kibaru⸣ mu⸢tijas⸣sata ma⸢ʃi⸣bikaʤinaː ⸢maːpuː⸣ pi̥⸢kiti ɸunnakeː⸣ basuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (板舟は片帆を揚げた<引いた>方が操船しやすかった{EOS}真後ろから吹く風<真艫吹く風>に真帆を張って<引いて>転覆させたこともあった) 4356 0 0 4146 htmvoc_4356.wav カタふァイ カ⸢タ⸣ふァイ [kḁ⸢ta⸣fai] 名 偏食。「片喰い」のぎ。 ヤ⸢サイ⸣ヤー ッ⸢ふァームティ⸣ イ⸢ズヌミー オー⸣ヌ⸢ミータン⸣ガ カ⸢タ⸣ふァイ ⸢スー⸣ フ⸢シヌンドゥ⸣ アル [ja⸢sai⸣jaː f⸢faːmuti⸣ ʔi⸢ʣunumiː⸣ ⸢ʔoː⸣nu ⸢miːtaŋ⸣gaː kḁ⸢ta⸣ffai ⸢suː⸣ fu̥⸢ʃinundu⸣ ʔaru] (野菜は食べないで魚の身<魚肉>、豚の身<豚肉>だけ偏食<片喰い>する癖がある) 4357 0 0 4147 htmvoc_4357.wav カタフイ カ⸢タ⸣フイ [kḁ⸢ta⸣ɸui] 名 片降り。雨が片方にだけ降ること。 ナ⸢チヌ⸣ アメー カ⸢タ⸣フイ ⸢スン⸠ダー [na⸢ʧinu⸣ ʔameː kḁ⸢ta⸣ɸui ⸢sun⸠daː] (夏の雨は片一方にだけ降ることも<片降り>するよ)。 ア⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ⸣フイ シ⸢ティ バン⸣テヌ キン⸢カーニ ゾーラシ⸣ シケー [ʔa⸢mi⸣nu kḁ⸢ta⸣ɸui ʃi̥⸢ti ban⸣tenu kiŋ⸢kaːni ʣoːraʃi⸣ ʃi̥keː] (雨が片降りして、私の家の着物だけを濡らしてある) 4359 0 0 4148 htmvoc_4359.wav カタプサ カ⸢タ⸣プサ [kḁ⸢ta⸣pu̥sa] 名 側。片側。 ⸣バー カ⸢タ⸣プサナ ⸢ベー⸣リ [⸣baː kḁ⸢ta⸣pu̥sana ⸢beː⸣ri] (私の側に居れ)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ カ⸢タ⸣プサナ ⸢ベー⸣ティル ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトゥン シ⸢ラレー⸣ダー [ʔu⸢ja⸣nu kḁ⸢ta⸣pu̥sana ⸢beː⸣tiru ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥tuŋ ʃi⸢rareː⸣daː] (親の側にいたので、親の世話もできた<親のこともされた>のだよ) 4353 0 0 4149 htmvoc_4353.wav カタプサーラ カ⸢タプサー⸣ラ [kḁ⸢tapu̥saː⸣ra] 副 片っ端から。一方から。次々に。手当たり次第にすべて。⸢イッソー⸣ラ[⸢ʔissoː⸣ra](片っ端から)ともいう。 ン⸢ザ⸣シ ⸣クー ⸣ムノー カ⸢タプサー⸣ラ ムー⸢ル⸣ ヌ⸢ミ⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣kuː ⸣munoː kḁ⸢tapu̥saː⸣ra muː⸢ru⸣ nu⸢mi⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (出してくるものは片っ端から全部飲んでしまった) 4360 0 0 4150 htmvoc_4360.wav カタフチ カ⸢タ⸣フチ [kḁ⸢ta⸣ɸu̥ʧi] 名 片口。入り口の片方。注ぎ口の片方。 カ⸢タ⸣フチェー ッ⸢サイティ マー⸣ カ⸢タ⸣フチェーラ ⸢ペーラ⸣シバ [kḁ⸢ta⸣ɸu̥ʧeː s⸢saiti maː⸣ kḁ⸢ta⸣ɸu̥ʧeːra ⸢peːra⸣ʃiba] (片方の入り口は塞いで、もう一方の片口から入れなさいよ) 4362 0 0 4151 htmvoc_4362.wav カタフチェーラ カ⸢タフチェー⸣ラ [kḁ⸢taɸuʧeː⸣ra] 副 片っ端から。一方から。総て。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トゥシキ⸣ル ⸣ムニ シゥ⸢カンモー⸣ カタ⸢フチェー⸣ラ ⸢ウイパラ⸣シ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tuʃi̥ki⸣ru ⸣muni si̥⸢kammoː⸣ kḁ⸢taɸu̥ʧeː⸣ra ⸢ʔuipara⸣ʃi] (親の言いつけ<訓戒>を聞かぬものは片っ端から追い払っえ<追っ払って行かせ>)。カ⸢タピサー⸣ラ[kḁ⸢tapi̥saː⸣ra]ともいう 4361 0 0 4152 htmvoc_4361.wav カタフチピケーシ カ⸢タフチピケー⸣シ [kḁ⸢taɸu̥ʧipi̥keː⸣ʃi] 名 微笑。口の片側を少し引いて微笑むこと。含み笑い。片口笑い。「片口引きあい」の義。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ シ⸢キティ⸣ カ⸢タフチピケー⸣シ ⸢シー オーッ⸣タ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢naʃi⸣ba ʃi̥⸢kiti⸣ kḁ⸢taɸu̥ʧipi̥keː⸣ʃi ⸢ʃiː ʔoːt⸣ta] (その話を聞いて微笑んで<そっと片口を引いて笑顔になって>おられた)。カ⸢タフチ⸣バライ[kḁ⸢taɸu̥ʧi⸣barai](微笑み{EOS}含み笑い)ともいう 4363 0 0 4153 htmvoc_4363.wav カタブニ カ⸢タ⸣ブニ [kḁ⸢ta⸣buni] 名 鎖骨。「肩骨」の義。 ⸣シマー ⸣トゥリ パ⸢ナン⸣ギ ⸢シーベーン⸣ケン ⸢トー⸣リティ カ⸢タ⸣ブニ ブリ⸢シティ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃimaː ⸣turi pa⸢naŋ⸣gi ⸢ʃiːbeːŋ⸣ken ⸢toː⸣riti kḁ⸢ta⸣buni buri⸢ʃi̥ti ⸢naː⸣nu] (相撲をとって悪ふざけしているうちに、倒れて鎖骨<肩骨>を折ってしまった) 4364 0 0 4154 htmvoc_4364.wav カタブリ カ⸢タ⸣ブリ [kḁ⸢ta⸣buri] 名 肩上げ。「肩折」の義。子供の着物の肩を縫い上げておくこと。 ヤ⸢ラ⸣ベー マナ⸢マンチン⸣ フ⸢ドゥビスバ キン⸣マー カ⸢タ⸣ブリ ⸢シー⸣ キ⸢サシ⸣バ [ja⸢ra⸣beː mana⸢manʧiŋ⸣ ɸu⸢dubisuba kim⸣maː kḁ⸢ta⸣buri ⸢ʃiː⸣ ki̥⸢saʃi⸣ba] (子供のすぐにも成長するから着物は肩上げして着せなさいよ) 4365 0 0 4155 htmvoc_4365.wav カタフル カ⸢タ⸣フル [kḁ⸢ta⸣ɸuru] 名 片方の睾丸。フ⸢ル[ɸu⸢ru](陰嚢)は「陰嚢、俗云、布久利<ふぐり>」『和名抄』の転訛したもの。フィラリア症による陰嚢水腫。片方の睾丸が腫れている男性。 ⸣ガザン ⸢ホー⸣リカー ⸣クサ ウ⸢ク⸣リティ カ⸢タ⸣フル ナルンティ⸢ダー [⸣gaʣaŋ ⸢hoː⸣rikaː ⸣ku̥sa ʔu⸢ku⸣riti kḁ⸢ta⸣ɸuru ⸣narunti⸢daː] (蚊に噛まれるとフィラリア症になって睾丸の片方が腫れるそうだよ) 4367 0 0 4156 htmvoc_4367.wav カタホー カ⸢タ⸣ホー [kḁ⸢ta⸣hoː] 名 下駄の片方。片一方。老年層は、カ⸢タパン⸣マー[ka⸢tapam⸣maː](片足は)という。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢シ⸣ツァー カ⸢タホー⸣ヤ ⸢カーリ ブー [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ʃi⸣ʦaː kḁ⸢tahoː⸣ja ⸢kaːri buː] (この下駄は、片方は他人のものと入れ替わっている) 4370 0 0 4157 htmvoc_4370.wav カタマーリパルン カ⸢タマー⸣リ ⸣パルン [kḁ⸢tamaː⸣ri ⸣paruŋ] 連 行きやがる。行きくさる。ほっつきまわる。相手の「行く」動作を軽蔑し、憎むことば。 ⸣ワンザー ⸣ヒャー カ⸢タマー⸣リ ⸣パリバ [⸣wanʣaː ⸣çaː kḁ⸢tamaː⸣ri ⸣pariba] (お前野郎は行きやがれ)。 カ⸢タマー⸣リ パ⸢ラ⸣ムティ ⸢ヌー⸣シ ⸢ベー⸣ワ [ka⸢tamaː⸣ri pa⸢ra⸣muti ⸢nuː⸣ʃi ⸢beː⸣wa] (行きやがらないで何をしてるんだ)。 ⸣マナール カ⸢タマー⸣リ ⸢アー⸣クカヤー [⸣manaːru kḁ⸢tamaː⸣ri ⸢ʔaː⸣kukajaː] (何処をほっつきまわっているのかねえ) 4369 0 0 4158 htmvoc_4369.wav カタマールン カ⸢タマー⸣ルン [kḁ⸢tamaː⸣ruŋ] 自動  行きやがる。うろつく。うろつき回る。ほっつきやがる。ほっつき回る。卑語。 キ⸢ビッ⸣サ ⸢トゥシキラン⸣カー ⸣キューン カ⸢マー⸣ カ⸢タマー⸣ルンティル ウ⸢モー⸣リ [ki⸢bis⸣sa ⸢tuʃi̥kiraŋ⸣kaː ⸣kjuːŋ ka⸢maː⸣ kḁ⸢tamaː⸣runtiru ʔu⸢moː⸣ri] (厳しく言いつけないと今日もあそこへほっつき回ると思われる)。 ⸢クンザー マー⸣ル カ⸢タマー⸣リ ⸢パッ⸣ター [⸢kunʣaː maː⸣ru kḁ⸢tamaː⸣ri ⸢pat⸣taː] (こいつは何処へほっつき歩いていった<行きやがった>のか)。 ウ⸢マー⸣カマーティ カ⸢タマーラン⸣ドーシ ウ⸢ティ⸣シキ パ⸢タラキ⸠ツォー [ʔu⸢maː⸣kamaːti kḁ⸢tamaːran⸣doːʃi ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki pḁ⸢taraki⸠ʦoː] (あちらこちらほっつき歩かないで落ち着いて働けってば)。 カ⸢タマー⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [kḁ⸢tamaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (うろつき回ることは無いはずだ)。 ⸣ワンザーヤ ⸣アイニ パ⸢リ⸣プサカー ⸢パー⸣ク カ⸢タマー⸣リ パリバ [⸣wanʣaːja ⸣ʔaini pa⸢ri⸣pu̥sakaː ⸢paː⸣ku kḁ⸢tamaː⸣ri ⸣pariba] (お前野郎は、そんなに行きたければ、早く行きやがれ) 4371 0 0 4159 htmvoc_4371.wav カタマスン カ⸢タマ⸣スン [kḁ⸢tama⸣suŋ] 他動 担がせる。動詞カ⸢タ⸣ムン[kḁ⸢ta⸣muŋ](担ぐ)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いて形成された派生動詞(使役動詞)。 ⸣バー ⸣ニー ウ⸢リン⸣ カ⸢タマ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢タマサラン⸣バン [⸣baː ⸣niː ʔu⸢riŋ⸣ kḁ⸢tama⸣sunti ⸢sundu⸣ kḁ⸢tamasaram⸣baŋ] (私の荷物を彼に担がせようとするが、担がされないわい)。 カ⸢タマ⸣シ ⸣ミサカー カ⸢タマ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢tama⸣ʃi ⸣misakaː kḁ⸢tama⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (担がせて良ければ担がせることは出来る)。 カ⸢リン⸣ カ⸢タマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ka⸢riŋ⸣ kḁ⸢tama⸣ʃeː ⸣misamunu] (彼に担がせればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ カ⸢タマ⸣シバ [jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢tama⸣ʃiba] (必ず担がせなさいよ) 4267 0 0 4160 htmvoc_4267.wav カタマラスン カ⸢タマラスン [kḁ⸢tamarasuŋ] 他動 固める。固くする<固まらせる>。 ⸢ウン⸣ヌ ⸣シトゥ ⸣ティダナー ⸣プシティ カ⸢タマラシ [⸢ʔun⸣nu ⸣ʃi̥tu ⸣tidanaː ⸣pu̥ʃiti kḁ⸢tamaraʃi] (芋の澱粉を日に干して固めよ<固まらせよ>)。 カ⸢タマラサヌ [kḁ⸢tamarasanu] (固めない)。 カ⸢タマラシ⸣ プサン [kḁ⸢tamaraʃi⸣ pu̥saŋ] (固めたい)。 ⸢ウー⸣キナ イ⸢リティ⸣ カ⸢タマラスン [⸢ʔuː⸣kina ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢tamarasuŋ] (桶に入れて固める)。 カ⸢タマラス⸣ プソー ⸢ヌー⸣シ ⸢スーワ [kḁ⸢tamarasu⸣ pu̥soː ⸢nuː⸣ʃi ⸢suːwa] (固める時はどうするのか)。 カ⸢タマラシェー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢tamaraʃeː⸣ misamunu] (固めればよいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢タマラシ [⸢paː⸣ku kḁ⸢tamaraʃi] (早く固めよ)。 ク⸢レー⸣ カ⸢タマラサヌ [ku⸢reː⸣ kḁ⸢tamarasanu] (これは固めない)。 ⸣キューズーナ カ⸢タマラス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kjuːʣuːna kḁ⸢tamarasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今日中に固めることは出来ない)。 ⸢カタマラシェー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢tamaraʃeː⸣ misamunu] (固めればよいのに) 4373 0 0 4161 htmvoc_4373.wav カタマリ カ⸢タマリ [kḁ⸢tamari] 名 かたまり(塊)。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ プ⸢ス カタ⸣マリ ⸣ナリ ⸢ベー [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti pu̥⸢sukata⸣mari ⸣nari ⸢beː] (あれだけの人が集まって、ひとかたまり<一塊>になっている) 4368 0 0 4162 htmvoc_4368.wav カタマルン カ⸢タマルン [kḁ⸢tamaruŋ] 自動 固まる。凝固する。 ⸢ヌー⸣ロー ⸢ピー⸣ルカー カ⸢タマルン [⸢nuː⸣roː ⸢piː⸣rukaː kḁ⸢tamaruŋ] (糊は冷める<冷える>と固まる)。 ク⸢レー ピール⸣タンテイン カ⸢タマラヌ [ku⸢reː piːru⸣tantiŋ kḁ⸢tamaranu] (これは冷めても固まらない)。 カ⸢タマリ ヤッ⸣サン [kḁ⸢tamari jas⸣saŋ] (固まりやすい)。 カ⸢タマル ムノー⸣ シ⸢ティリ [kḁ⸢tamaru munoː⸣ ʃi̥⸢tiri] (固まるものは捨てれ)。 ⸢ヌー⸣ロー カ⸢タマレー⸣ラー ウ⸢ティラ⸣ヌ [⸢nuː⸣roː kḁ⸢tamareː⸣raː ʔu⸢tira⸣nu] (糊は固まってからは落ちない)。 カ⸢タマリ [kḁ⸢tamari] (固まれ) 4376 0 0 4163 htmvoc_4376.wav カタミ カ⸢タ⸣ミ [kḁ⸢ta⸣mi] 名 形見。思い出の遺品。「安波牟日能 可多美爾世与等~<逢はむ日の 形見にせよと~>『万葉集 3753』」の義。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ カ⸢タ⸣ミティ ⸢シー⸣ ヌ⸢カ⸣シ ⸣シケー [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢ja⸣nu kḁ⸢ta⸣miti ⸢ʃiː⸣ nu⸢ka⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (それは、親の形見として残して置いてある) 4381 0 0 4164 htmvoc_4381.wav カタミ カ⸢タ⸣ミ [kḁ⸢ta⸣mi] 名 (数)。か(荷)。天秤棒の両端に水担桶などを吊るして担う分量の単位。「担ぎ」の義。その一方の分量はカ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手、片一方)という。 ミ⸢ジ⸣ プ⸢スカタ⸣ミ カ⸢タ⸣ミ ⸣クー [mi⸢ʤi⸣ pu̥⸢sukata⸣mi kḁ⸢ta⸣mi ⸣kuː] (水をいっか<一荷{EOS}水桶二杯>運んで<担いで>来い)。 ミ⸢ジカミ⸣ プ⸢スッ⸣クナー ミ⸢ジ ミーカタミ ペーッ⸣タン [mi⸢ʤikami⸣ pu̥⸢suk⸣kunaː mi⸢ʤi miːkatami peːt⸣taŋ] (水甕一個に水桶の三荷<三担い>分の水が入った) 4382 0 0 4165 htmvoc_4382.wav カタミー カ⸢タ⸣ミー [kḁ⸢ta⸣miː] 名 片目。 カ⸢タミー⸣ヤ フ⸢ラッキー⸣ カ⸢タ⸣メー ッ⸢サイティ⸣ ミリ⸢ベー [kḁ⸢tamiː⸣ja ɸu⸢rakkiː⸣ kḁ⸢ta⸣meː s⸢saiti⸣ miri⸢beː] (片目は開け、片目は閉じて見ている) 4383 0 0 4166 htmvoc_4383.wav カタミチ カ⸢タミ⸣チ [kḁ⸢ta⸣miʧi] 名 片道。⸢ギームドゥル[⸢giːmuduru]<往復。行き来>の対義語。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ カ⸢タミ⸣チ イ⸢チ⸣リ ⸢スン⸣トン ア⸢ラ⸣キ パ⸢リ⸣シタ [ja⸢rabi⸣nu kḁ⸢tami⸣ʧi ʔi⸢ʧi⸣ri ⸢sun⸣toŋ ʔa⸢ra⸣ki pa⸢ri⸣ʃita] (子供だのに片道一里の道を歩いて行ったものだよ) 4377 0 0 4167 htmvoc_4377.wav カタミティマ カ⸢タミ⸣ティマ [kḁ⸢tami⸣tima] 名 担ぎ賃。担ぎ手間。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ニー⸣ヌ カ⸢タミ⸣ティマー ⸢ワー ギュー⸣サ ⸢イール⸣ター [ʔu⸢bi⸣nu ⸢niː⸣nu kḁ⸢tami⸣timaː ⸢waː gjuː⸣sa ⸢ʔiːru⸣taː] (あれだけ沢山の荷物の運び賃<担ぎ賃>は、君は幾ら貰ったのか) 4380 0 0 4168 htmvoc_4380.wav カタミヌサカシキ カ⸢タミヌ⸣ サ⸢カシキ [kḁ⸢taminu⸣ sḁ⸢kaʃi̥ki] 連 固い約束の杯を交わすこと。「固めの杯」の義。「~天地能 加多米之久爾曾 夜麻登之麻祢波<天地の固めし国ぞ 大和島根は>『万葉集 4487』」の義。 トゥ⸢ジブトゥ⸣ カ⸢タミヌ⸣ サ⸢カシキ⸣ カ⸢ミ⸣リバ [tu⸢ʤibutu⸣ kḁ⸢taminu⸣ sḁ⸢kaʃi̥ki⸣ ka⸢mi⸣riba] (夫婦の固い契り<固め>の杯を高く持ち上げて頂きなさい) 4378 0 0 4169 htmvoc_4378.wav カタミルン カ⸢タミ⸣ルン [kḁ⸢tami⸣ruŋ] 他動 担ぐ。 ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ルヌ⸣ ミ⸢ジ⸣ プ⸢スカタ⸣ミ カ⸢ローカロー⸣シ カ⸢タミ⸣ルン⸢ツォ⸣カー [ja⸢ra⸣bi ja⸢runu⸣ mi⸢ʤi⸣ pu̥⸢sukata⸣mi ka⸢roːkaroː⸣ʃi kḁ⸢tami⸣run⸢ʦo⸣kaː] (子供だが、水を天秤棒で水担桶一荷、軽々と担ぐんですよ、<珍しい>)。 カ⸢タミラ⸣ヌ [kḁ⸢tamira⸣nu] (担がない)。 カ⸢タミ⸣ル ⸣クトゥ [kḁ⸢tami⸣ru ⸣ku̥tu] (担ぐこと)。 カ⸢タミ⸣レー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢tami⸣reː ⸣misamunu] (担げば良いのに)。 カ⸢タミ⸣リ [kḁ⸢tami⸣ri] (担げ) 4379 0 1 4170 htmvoc_4379.wav カタミルン カ⸢タミルン [kḁ⸢tamiruŋ] 他動 {Mn_1}固める。 ⸣ミツァ ク⸢ナシティ⸣ カ⸢タミルン [⸣miʦa ku⸢naʃi̥ti⸣ kḁ⸢tamiruŋ] (粘土を捏ねて固める)。 ⸢ヌー⸣ロー ⸢マー⸣ビン カ⸢タミリ [⸢nuː⸣roː ⸢maː⸣biŋ kḁ⸢tamiri] (糊はもっと固めろ)。 カ⸢タミラヌ [kḁ⸢tamiranu] (固めない)。 カ⸢タミヤッ⸣サン [kḁ⸢tamijas⸣saŋ] (固めやすい)。 カ⸢タミル⸣ ピンマー ⸢ピーラ⸣シ [kḁ⸢tamiru⸣ pimmaː ⸢piːra⸣ʃi] (固めるときは冷やせ)。 カ⸢タミル ムノー⸣ ヌーヤ [kḁ⸢tamiru munoː⸣ nuːja] (固めるものは何か)。 4379 0 2 4171 htmvoc_4379.wav カタミルン カ⸢タミルン [kḁ⸢tamiruŋ] 他動 {Mn_2}固く約束する。固く契る。 ⸢パイ⸣サ パ⸢ナ⸣シェー カ⸢タミティル⸣ サ⸢キムレー スー⸠ダー [⸢pai⸣sa pa⸢na⸣ʃeː kḁ⸢tamitiru⸣ sḁ⸢kimureː suː⸠daː] (早く話を決めて<話を固めてぞ>結納<酒盛り>はするものだよ)。 ク⸢ヌ⸣シキナー パ⸢ナ⸣シェー カ⸢タミルン [ku⸢nu⸣ ʃi̥kinaː pa⸢na⸣ʃeː kḁ⸢tamiruŋ] (今月の内に話は決める<堅く約束する>)。 パ⸢ナ⸣シェー カ⸢タミララヌ [pa⸢na⸣ʃeː kḁ⸢tamiraranu] (話は決められない<固められない>)。 カ⸢タミヤッ⸣サン [kḁ⸢tamijas⸣saŋ] (決めやすい<固めやすい>)。 カ⸢タミル⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢tamiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (決める<固める>ことは出来ない)。 ウ⸢ヌパナ⸣シェー カ⸢タミレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢nupana⸣ʃeː kḁ。⸢tamireː⸣ misamunu] (その話は決めれば<固めれば>よいのに)。 ⸢パイ⸣サ パ⸢ナ⸣シ カ⸢タミリ [⸢pai⸣sa pa⸢na⸣ʃi ka⸢tamiri] (早く話を決めろ<固めろ>) 4384 0 0 4172 htmvoc_4384.wav カタミン カ⸢タ⸣ミン [kḁ⸢ta⸣miŋ] 名 片耳。 シ⸢キン⸣ヌ ウ⸢トゥ⸣サター カ⸢タ⸣ミンナー シ⸢キブンドゥ⸣ ナー⸢イ⸣ ニジ⸢ベー [ʃi̥⸢kin⸣nu ʔu⸢tu⸣sataː kḁ⸢ta⸣minnaː ʃi̥⸢kibundu⸣ naː⸢i⸣ niʤi⸢beː] (世間の噂<風評>は小耳に<片耳に>はさんで<聞いて>いるが、じっと我慢している)。 ヤ⸢ナ⸣ムネー カ⸢タ⸣ミンラ ス⸢ク⸣カー カ⸢タ⸣ミンラー ⸢ピンガ⸣シティ ス⸢クナ [ja⸢na⸣muneː kḁ⸢ta⸣minra su̥⸢ku⸣kaː ka⸢ta⸣minra ⸢piŋga⸣ʃi̥ti su̥⸢kuna] (悪口<悪い言葉>は片耳から聞いたら片耳から逃がして聞くな) 4387 0 0 4173 htmvoc_4387.wav カタムトゥン カ⸢タ⸣ムトゥン [kḁ⸢ta⸣mutuŋ] 連 贔屓する。味方をして援助する。「肩を持つ」の義。 イ⸢ジ⸣ ナ⸢ラースン⸣ドゥ ⸣ウヤー ッ⸢ふァヌ⸣ カ⸢タ⸣ムトゥンダ ナ⸢ラーサラ⸣ヌ [ʔi⸢ʤi⸣ na⸢raːsun⸣du ⸣ʔujaː f⸢fanu⸣ kḁ⸢ta⸣mutunda na⸢raːsara⸣nu] (叱って教えようとするが、親は子供の味方をする<肩を持つ>ので教えられない)。普通は、カ⸢タ⸣ スクン[kḁ⸢ta⸣ su̥kuŋ](贔屓する{EOS}肩を持つ)ともいう 4374 0 0 4174 htmvoc_4374.wav カタムラシ カ⸢タムラシ [kḁ⸢tamuraʃi] 名 つちくれ(硬い土塊)。ミ⸢ツァムラ⸣シ[mi⸢ʦamura⸣ʃi](土塊)ともいう。 ア⸢ラシ⸣ ア⸢キ⸣ シケーティ ウ⸢ロイ⸣ヌ シ⸢ター⸣ カ⸢タムラシ⸣ バ⸢リ カイ⸣スンティ ⸢アー⸣ク [ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢ki⸣ ʃi̥keːti ʔu⸢roi⸣nu ʃi̥⸢taː⸣ kḁ⸢tamuraʃi⸣ ba⸢ri kai⸣sunti ⸢ʔaː⸣ku] (既に開墾<新仕開け>をしてあったから、折りよく御湿り<潤い>がしたので硬い土塊を鍬の頭で割ってたがやそうとしているところだよ) 4375 0 0 4175 htmvoc_4375.wav カタムラシ カ⸢タムラ⸣シ [kḁ⸢tamura⸣ʃi] 名 肩の盛り上がった筋肉。 カ⸢タムラ⸣シン ム⸢リアガリティ⸣ イッ⸢ケン⸣ シゥ⸢カラー⸣ アン [kḁ⸢tamura⸣ʃim mu⸢riʔagariti⸣ ʔik⸢ken⸣ sï̥⸢karaː⸣ ʔaŋ] (肩の筋肉も盛り上がって非常に力がある) 4265 0 0 4176 htmvoc_4265.wav カタムン カ⸢タムン [kḁ⸢tamuŋ] 他動 固める。強化する。「かたむ<下二段活用>、天地能 加多米之久爾曽『万葉集 4487』」の四段活用化したもの。 ⸢コン⸣クリシ カ⸢タムン [⸢koŋ⸣kuriʃi kḁ⸢tamuŋ] (コンクリートで固める)。 カ⸢タマヌ [kḁ⸢tamanu] (固めない)。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ユーシノー コン⸣クリシ カ⸢タミ⸣ プサン [⸢jaː⸣nu ⸢juːʃinoː koŋ⸣kuriʃi kḁ⸢tami⸣ pu̥saŋ] (家の四隅<四つ角>をコンクリートで固めたい)。 シゥ⸢カンギ⸣ イ⸢リティ⸣ カ⸢タムン [sï̥⸢kaŋgi⸣ ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢tamuŋ] (支え柱<支柱>を入れて固める)。 カ⸢タム⸣クトゥ [kḁ⸢tamu⸣ ku̥tu] (固めること)。 カ⸢タメー⸣ ミサムヌ [kḁ⸢tameː⸣ misamunu] (固めればよいのに)。 カ⸢タミ⸣バ [kḁ⸢tami⸣ba] (固めろ)。固くする。固まらせる。「~天地の加多米之<カタメシ>国ぞ~。万、4487」の義。「かたむ(固む)下二段」の転訛したもの。 ⸣ミツァカマチナ ⸣ピー ⸢モーシティ⸣ カ⸢タムンティ ベー [⸣miʦakamaʧina ⸣piː ⸢moːʃi̥ti⸣ kḁ⸢tamunti beː] (粘土の竈に火を燃やして固めようとしている)。 4265 0 2 4177 htmvoc_4265.wav カタムン カ⸢タムン [kḁ⸢tamuŋ] 他動 {Mn_2}しっかりと<口を固くして>約束を守る。 フ⸢チェー⸣ カ⸢タミティ⸣ プ⸢スンナー⸣ニ パ⸢ナス⸣ナ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ kḁ⸢tamiti⸣ pu̥⸢sunnaː⸣ni pa⸢nasu⸣na] (しっかり約束を守って<口を固めて>他人に話すな)。固く約束する。固く契る。 パ⸢ナ⸣シェー ⸢マー⸣ビン カ⸢タムンティ スンドゥ⸣ カ⸢タミララヌ [pa⸢na⸣ʃeː ⸢maː⸣biŋ kḁ⸢tamunti sundu⸣ kḁ⸢tamiraranu] (話をもっと固めようとするが、固められない)。 パ⸢ナ⸣シ カ⸢タミ⸣ ミサカー カ⸢タム⸣ クトー ⸣ナルン [pa⸢na⸣ʃi kḁ⸢tami⸣ misakaː kḁ⸢tamu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (話を固めてよければ、固めることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢タメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢tameː⸣ misamunu] (もっと固めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク カ⸢タミ⸣バ [⸢paː⸣ku kḁ⸢tami⸣ba] (早く固めよ) 4385 0 0 4178 htmvoc_4385.wav カタムン カ⸢タ⸣ムン [kḁ⸢ta⸣muŋ] 他動 担ぐ。 ⸣ニー カ⸢タ⸣ムン [⸣niː kḁ⸢ta⸣muŋ] (荷を担ぐ)。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ⸣バー カ⸢タ⸣ムン [ku⸢nu kiː⸣ja ⸣baː kḁ⸢ta⸣muŋ] (この木<<材木>は私が担ぐ)。 ⸢バン⸣マー カ⸢タマラ⸣ヌ [⸢bam⸣maː kḁ⸢tamara⸣nu] (私には担がれない)。 ⸢タンガ⸣シェー カ⸢タミ ユーサ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃeː kḁ⸢tami juːsa⸣nu] (一人では担ぎ得ない、担ぐことが出来ない)。 カ⸢タ⸣ムクトー カ⸢タムン⸣ドゥ ⸢アウ⸣ヌ ブ⸢ラバル⸣ ナル [kḁ⸢ta⸣mu ⸣ku̥toː kḁ⸢tamun⸣du ⸢ʔau⸣nu bu⸢rabaru⸣ naru] (担ぐことは担ぐが、連れの者がいてこそ可能だ<出来る>)。 ⸢ワー⸣ カ⸢タ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢waː⸣ kḁ⸢ta⸣meː ⸣misamunu] (君が担げばよいのに)。 バ⸢カー⸣ンダ ⸢ワー⸣ カ⸢タ⸣ミ [ba⸢kaː⸣nda ⸢waː⸣ kḁ⸢ta⸣mi] (若いから君が担げよ)。 ⸣ウカ カ⸢タ⸣ミティ ⸣イキーン⸣ヌビーン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔuka kḁ⸢ta⸣miti ⸣ʔikːn⸣nubiːn na⸢ra⸣nu] (負債を負わされて<担いで>、身動き出来ない<息も欠伸も出来ない>) 4388 0 0 4179 htmvoc_4388.wav カタヤン カ⸢タ⸣ヤン [kḁ⸢ta⸣jaŋ] 名 肩の痛み。「肩病み」の義。カ⸢ヤ[ka⸢ja](肩の病気)ともいう。 ⸣ドゥク ⸢グッ⸣ふァ ⸣ムヌバ カ⸢タミトゥー⸣シ ⸢ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティル カ⸢タ⸣ヤンバ ウ⸢ク⸣シェール [⸣duku ⸢guf⸣fa ⸣munuba kḁ⸢tamituː⸣ʃi ⸢beː⸣ta ⸢beː⸣tiru kḁ⸢ta⸣jamba ʔu⸢ku⸣ʃeːru] (あまりにも重い物を担ぎ通していたので肩の病を<肩病み>を起したのであろう) 4327 0 0 4180 htmvoc_4327.wav カタントン カ⸢タン⸣トン [kḁ⸢tan⸣toŋ] 名 片方。一方。片側。「片所」の義。カ⸢タ⸣トン[kḁ⸢ta⸣toŋ](片方)ともいう。 フ⸢ニ⸣ヌ カ⸢タン⸣トンナー ⸣ニー シ⸢ム⸣カー グ⸢ロー⸣ ナルン [ɸu⸢ni⸣nu kḁ⸢tan⸣tonnaː ⸣niː ʃi⸢mu⸣kaː gu⸢roː⸣ naruŋ] (舟の片側に荷を積むと<舟は>ローリングし易く<横揺れし易く>なる)。 ⸢ヤー⸣ヌ ピ⸢サヌ⸣ カ⸢タン⸣トンマー ム⸢チヌ⸣ キシティ ⸣アメー ム⸢リ⸣スバン [⸢jaː⸣nu pi⸢sanu⸣ kḁ⸢tan⸣tommaː mu⸢ʧinu⸣ ki̥ʃiti ⸣ʔameː mu⸢ri⸣subaŋ] (屋根の一方は漆喰が切れて雨漏れがする<雨が漏れる>わい) 4393 0 0 4181 htmvoc_4393.wav カチ ⸣カチ [⸣kḁʧi] 名 勝ち。 ⸢タール⸣ カチヤ [⸢taːru⸣ kḁʧija] (誰が勝ちか)。 ⸣カチ マケー イ⸢チン⸣ ア⸢リ⸣ブ [⸣kḁʧimakeː ʔi⸢ʧiŋ⸣ ʔa⸢ri⸣bu] (勝ち負けは常にあるものだ) 4394 0 0 4182 htmvoc_4394.wav ガチ ガ⸣チ [⸢ga⸣ʧi] 助数 月。若年層の月を数える助数詞。老年層は⸢-グヮ⸣チ[⸢gwa⸣ʧi](月)という。イ⸢チンガ⸣チ[ʔi⸢ʧiŋga⸣ʧi](一月)、⸢ニンガ⸣チ[⸢niŋga⸣ʧi](二月)、⸢サンガ⸣チ[⸢saŋga⸣ʧi](三月)、⸢シンガ⸣チ[⸢ʃiŋga⸣ʧi](四月)、⸢グンガ⸣チ[⸢guŋga⸣ʧi](五月)、ル⸢クンガ⸣チ[ru⸢kuŋga⸣ʧi](六月)、シ⸢チンガ⸣チ[ʃi̥⸢ʧiŋga⸣ʧi](七月)、パ⸢チンガ⸣チ[pa⸢。ʧiŋga⸣ʧi](八月)、⸢クンガ⸣チ[⸢kuŋga⸣ʧi](九月)、⸢ズンガ⸣チ[⸢ʣuŋga⸣ʧi](十月)、⸢ジュー⸣イチンガチ[⸢ʤuː⸣ʔitiŋgaʧi](十一月)、⸢ジュー⸣ニンガチ[⸢ʤuː⸣niŋgaʧi](十二月)と数える 4395 0 0 4183 htmvoc_4395.wav ガチー ⸣ガチー [⸣gaʧiː] 名 食いしん坊。いやしん坊。ガ⸢チ⸣マヤー[ga⸢ʧi⸣majaː](食いしん坊)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ガチー ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢マー⸣ムノー ミ⸢シララ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ gaʧiː ja⸢runda⸣ ʔm⸢maː⸣ munoː mi⸢ʃirara⸣nu] (あの<その>子は食いしん坊だから、美味しいものは見せられない) 4397 0 0 4184 htmvoc_4397.wav カチイクサ カ⸢チイク⸣サ [kḁ⸢ʧiʔiku⸣sa] 名 勝ち戦。マ⸢キイクサ[ma⸢kiʔikusa](負け戦)の対義語。 カ⸢チイクサ⸣バ ⸢ニンガイ⸣ル ⸢ピー⸣タイン ⸢オーッタン⸣ドゥ マ⸢キイクサ⸣ ナリティ ⸢カイ⸣リ ⸢オー⸣レーツォー [kḁ⸢ʧiʔikusa⸣ba ⸢niŋgai⸣ru ⸢piː⸣taiŋ ⸢ʔoːttan⸣du ma⸢kiʔikusa⸣ nariti ⸢kai⸣ri ⸢ʔoː⸣reːʦoː] (勝ち戦を祈願して兵隊にも行かれたが、負け戦になって帰って来られたそうだ) 4399 0 0 4185 htmvoc_4399.wav ガチガチ ガ⸢チガチ [ga⸢ʧigaʧi] 副 擬音語。がちがち。歯などの硬いものが小刻みにぶつかり合って発する音。寒さに震えて上下の歯がぶつかり合って出す音。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ ⸢フッツォーリティ⸣ ガ⸢チガチ⸣シ ⸣パー ⸢ナーラシ ベー [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ⸢ɸutʦoːriti⸣ ga⸢ʧigaʧi⸣ʃi ⸣paː ⸢naːraʃi beː] (あまりの寒さで震えてガチガチと歯を噛み鳴らしている) 4400 0 0 4186 htmvoc_4400.wav カチマキ ⸣カチマキ [⸣kaʧimaki] 名 勝ち負け。 ⸣メー キ⸢サーティ⸣ カチマケー キ⸢マリ ブー [⸣meː ki̥⸢saːti⸣ kḁʧimakeː ki⸢mari buː] (もう既に勝ち負けは決まっている) 4401 0 0 4187 htmvoc_4401.wav ガチマヤー ガ⸢チ⸣マヤー [ga⸢ʧi⸣majaː] 名 食いしん坊。卑しん坊。食い意地のはった人。「がきねこ(餓鬼猫)」の転訛したものか。飢えた猫はよく魚や蛸を盗んでいったものである。転じて、盗み食いをするような「食いしん坊」をガ⸢チ⸣マヤーと呼ぶ。ッ⸢ふァイダマー[f⸢faidamaː](食いしん坊)より卑罵の程度が軽い。 ビ⸢キドゥムヌ⸣ ガ⸢チ⸣マヤー ⸣ナリティ カ⸢マチフチヌ マーラ⸣ ア⸢サ⸣レーティ ⸢アー⸣ク [bi⸢kidumunu⸣ ga⸢ʧi⸣majaː ⸣nariti ka⸢maʧiɸu̥ʧinu maːra⸣ ʔa⸢sa⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (男のくせに餓鬼猫のようになって、台所<\ruby{竈口}{カマド|クグチ}{EOS}ソゥコゥ>の周りを漁りまわっているよ) 4402 0 0 4188 htmvoc_4402.wav カチミー カ⸢チ⸣ミー [kḁ⸢ʧi⸣miː] 名 勝ち目。勝機。勝つ見込み。 ⸣クヌ ⸢ブン⸣シェー カ⸢チ⸣メー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kunu ⸢buŋ⸣ʃeː kḁ⸢ʧi⸣meː ⸢naː⸣nu] (この様子<此の分>では勝ち目はない) 3751 0 0 4189 htmvoc_3751.wav カチリカザ カ⸢チリカザ [ka⸢ʧirikaʣa] 名 腐った匂い。腐臭。 ウ⸢レー⸣ ナ⸢マイズ⸣ヌ カ⸢チリカザヌ シーブバ⸣ シ⸢ティリ⸣ アイブ ⸣ムノー ッ⸢ふァーラヌ [ʔu⸢reː⸣ na⸢maʔiʣu⸣nu kḁ⸢ʧirikaʣanu ʃiːbuba⸣ ʃi̥⸢tiri⸣ ʔaibu ⸣munoː f⸢faːranu] (それは生魚の腐った匂いがしているから捨てなさい{EOS}あんなものは食べられない)。 ⸢シーゾーヤー⸣ヌ イ⸢ズネーシジルヌ⸣ ッサリティ カ⸢チリカザバ シー⸣ ン⸢カーラヌ [⸢ʃiːʣoːjaː⸣nu ʔi⸢ʣuneːʃiʤirunu⸣ ssariti kḁ⸢ʧirikaʣaba ʃiː⸣ ʔŋ⸢kaːranu] (製造屋<鰹節製造工場>の魚を煮た煮汁が腐れて、カチリ臭がして側に近寄れない<向かわれない>)。 ク⸢レー⸣ カ⸢チリカザヌ シーブバ⸣ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː⸣ kḁ⸢ʧirikaʣanu ʃiːbuba⸣ f⸢faːranu] (これは饐えて腐った匂いがしているので食べられない) 3750 0 0 4190 htmvoc_3750.wav カチリムヌ カ⸢チリ⸣ムヌ [kḁ⸢ʧiri⸣munu] 名 飢えた者。「かつえ(餓え者)」の転訛。 カ⸢チリムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ム⸢ヌ⸣バ ッ⸢ふァイ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [kḁ⸢ʧirimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini mu⸢nu⸣ba f⸢fai⸣ nuːja ʔu⸢reː] (飢えた者のように飯を食って、何だこれは)。 ス⸢ズーコ⸣ カ⸢チ⸣レーティ ⸢アー⸣キ ブ⸢レー⸣バン⸢ナー [su⸢ʣuːko⸣ kḁ⸢ʧi⸣reːti ⸢ʔaː⸣ki bu⸢reː⸣ban⸢naː] (ひどく餓えていた<飢えてあるいていた>のだねえ)。 カ⸢チリ⸣ムノー ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふァイス [kḁ⸢ʧiri⸣munoː noː⸢n⸣ f⸢faisu] (飢えた者は何でも食べる)。 カ⸢チリムヌ⸣ン ⸣カタチニ ム⸢ヌ⸣バ ッ⸢ふァイ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー [kḁ⸢ʧirimunu⸣ŋ ⸣kḁtaʧini mu⸢nu⸣ba f⸢fai⸣ ki⸢mui⸣ʦaː] (飢えた者のように食べ物を食べて、可哀相に) 3752 0 0 4191 htmvoc_3752.wav カチルン カ⸢チ⸣ルン [ka⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 飢える。かつえる。「飢極、カツヱコウジタリ」『文明本節用集』の転訛したもの。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ッ⸢ふァイムヌーン ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ カ⸢チ⸣リ シ⸢ヌ⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢タン⸣ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː f⸢faimunun naː⸣nu muː⸢ru⸣ kḁ⸢ʧi⸣ri ʃi⸢nu⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢tan⸣daː] (戦争の後<太平洋戦争後>は食べる物もない{EOS}皆飢えかつえて、死ぬ人もいたよ)。 ⸣ウン イ⸢バン⸣カー カ⸢チ⸣ルン⸢ダー [⸣ʔuŋ ʔi⸢baŋ⸣kaː kḁ⸢ʧi⸣run⸢daː] (芋を植えないと飢えるぞ)。 ⸣フユー ⸢サンドー⸣シ ⸣ウンサーギ イ⸢ビシキ⸣ルカー カ⸢チ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ɸujuː ⸢sandoː⸣ʃi ⸣ʔunsaːgi ʔi⸢biʃi̥ki⸣rukaː kḁ⸢ʧi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (怠けないで、芋さえ植え付けておくと飢えかつえることはない)。 カ⸢チ⸣レーラ ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふァイス [kḁ⸢ʧi⸣reːra noː⸢ŋ⸣ f⸢faisu] (飢えたら 何でも食べる)。 シ⸢グトゥン サン⸣カー ナー⸢イ ベー⸣ティ カ⸢チ⸣リバ [ʃi⸢gutun saŋ⸣kaː naː⸢i beː⸣ti kḁ⸢ʧi⸣riba] (仕事もしないのなら、ただ何もしないで飢えなさいよ)。 ⸢ウンマー⸣ ッ⸢ふァイムヌティン ナー⸣ムティ カ⸢チリ⸣ル ブ⸢タ⸣ダー [⸢ʔummaː⸣ f⸢faimunutin naː⸣muti kḁ⸢ʧiri⸣ru bu⸢ta⸣daː] (その頃は食うものもなくて、飢えていたのだよ)。 パ⸢タラク⸣カー カ⸢チラ⸣ヌ [pḁ⸢taraku⸣kaː kḁ⸢ʧira⸣nu] (働いたら飢えない)。 ⸣フネー ⸢ナーラサ⸣リティ カ⸢チ⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸣ɸuneː ⸢naːrasa⸣riti kḁ⸢ʧi⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (船は流されて、飢えてしまっていた)。 カ⸢チ⸣レー ⸣ミサムヌ [ka.⸢ʧi⸣reː ⸣misamunu] (飢えればよいのに)。「カツエコウジタル」『文明本節用集』の転訛したものか。 ⸢タイ⸣フーナー ス⸢クリ⸣ムヌン ムー⸢ル⸣ サ⸢リティ ミーラヌ⸣ ッ⸢ふァイムヌン ナーン⸣ナリ カ⸢チ⸣リ ⸢ベー [⸢tai⸣ɸuːnaː su̥⸢kuri⸣munum muː⸢ru⸣ sa⸢riti miːranu⸣ f⸢faimunun naːn⸣nari kḁ⸢ʧi⸣ri ⸢beː] (台風で作物も全部枯れて稔らない{EOS}食べ物も無くなり飢えている)。 カ⸢チラ⸣ヌ [kḁ⸢ʧira⸣nu] (飢えない)。 ッ⸢ふァイムヌヌ ナーン⸣カー カ⸢チ⸣ルン [f⸢faimununu naːŋ⸣kaː kḁ⸢ʧi⸣ruŋ] (食べ物が無いと飢える)。 ム⸢ヌスク⸣ルサーギ ⸢スー⸣カー カ⸢チ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢nusu̥ku⸣rusaːgi ⸢suː⸣kaː kḁ⸢ʧi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (農作物さえ作付けすれば飢えることはない)。 カ⸢チ⸣レー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢ʧi⸣reː ⸣misamunu] (飢えればよいのに)。 カ⸢チ⸣リ [kḁ⸢ʧi⸣ri] (飢えろ) 4410 0 0 4192 htmvoc_4410.wav カツ カ⸢ツ [kḁ⸢ʦu] 名 (動)魚名。和名、カツオ(鰹)。体長約80センチ。大きさによって、ク⸢バン[ku⸢baŋ](小判、全長約50センチ)、⸢ダイ⸣バン[⸢dai⸣baŋ](大判、体長約80センチ)、トゥ⸢ビダイ[tu⸢bidai](超大判、体長約1メートル)、ビ⸢リ⸣グヮー[bi⸢ri⸣gwaː](体長約30センチ)のカツオが漁獲された。五、六月頃の北へのぼるカツオは小判が多く、七、八月頃には大判も多く釣れた。九月頃の北から南へ下る秋鰹にはトゥビダイが釣れた。 カ⸢ツォー シーゾー⸣ヤーナーティ バ⸢ザイティ⸣ ヨ⸢ツワリ⸣ナシティ ⸢シェーロー⸣ナ ⸢ネーシ バイ⸣カン シ⸢ティ⸣ カ⸢ツブシ⸣ ス⸢ク⸣リ バ⸢タ⸣トゥ パ⸢ルン⸣マー カ⸢ラ⸣ス ⸣シキティ ⸢カーソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦoː ʃiːʣoː⸣jaːnaːti ba⸢ʣaiti⸣ jo⸢ʦuwari⸣ naʃi̥ti ⸢ʃeːroː⸣na ⸢neːʃi bai⸣kaŋ ʃi̥⸢ti⸣ kḁ⸢ʦubuʃi su̥⸢ku⸣ri ba⸢ta⸣tu pa⸢rum⸣maː ka⸢ra⸣su ⸣ʃi̥kiti ⸢kaːsoːt⸣ta] (カツオは製造屋で\ruby{捌}{サバ}いて四つ割りにし、\ruby{SqBr}g{/SqBr}{蒸籠}{セイロウ}で煮たのち\ruby{焙乾}{バイ|カン}して鰹節を造り、腸とはらみ<数の子>は塩漬けにして売られた)。カ⸢ツイズ[ka⸢ʦuʔiʣu]ともいう 4458 0 0 4193 htmvoc_4458.wav カツァ カ⸢ツァ [kḁ⸢ʦa] 名 蚊帳。麻糸で編んだ細目の網状のとばり。夏期には蚊が発生するので、寝室に蚊帳を吊るし、その中に寝た。8畳用、6畳用、4畳半用の蚊帳があった。蚊帳の四隅、または6箇所にカ⸢ツァヌ⸣ミン[kḁ⸢ʦanu⸣miŋ](蚊帳の耳{EOS}吊革)を付け、部屋の四隅に取り付けた吊り金に掛けて吊るした。 ナ⸢チェー⸣ガ⸢ザン⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ カ⸢ツァー⸣ ピ⸢キティル⸣ ニ⸢ブタ⸣ダー [na⸢ʧeː⸣ ga⸢ʣan⸣nu ⸢suː⸣wanda kḁ⸢ʦaː⸣ pi̥⸢kitiru⸣ ni⸢buta⸣daː] (夏は蚊が多い<強い>ので、蚊張を吊って<引いて>寝たんだよ)。 ガ⸢ザン⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ヤー⸢ディン⸣ カ⸢ツァー⸣ ピ⸢キティ⸣ ニ⸢ビ⸣バ⸢ヨー [ga⸢ʣan⸣nu ⸢goː⸣raːnda jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢ʦa⸣ pi̥⸢kiti⸣ ni⸢bi⸣ba⸢joː] (蚊が多いから、必ず蚊帳を吊るして<引いて>寝なさいね) 4459 0 0 4194 htmvoc_4459.wav カツァースン カ⸢ツァー⸣スン [kḁ⸢ʦaː⸣suŋ] 他動 掻き混ぜる。 ⸣ヤサイ カ⸢ツァー⸣シテ ミ⸢リキン⸣グ ⸣シキティ ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢キ⸣バ [⸣jasai kḁ⸢ʦaː⸣ʃi̥ti mi⸢rikiŋ⸣gu ⸣ʃi̥kiti ⸢tim⸣pura ja⸢ki⸣ba] (野菜を掻き混ぜてメリケン粉をつけてテンプラを揚げ<焼き>なさい)。 カ⸢ツァー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢ツァーサラ⸣ヌ [kḁ⸢ʦaː⸣sunti ⸢sundu⸣ kḁ⸢ʦaːsara⸣nu] (掻き混ぜようとするが、掻き混ぜられない)。 ⸢カツァー⸣ス ⸣ムヌ [kḁ⸢ʦaː⸣su ⸣munu] (掻き混ぜるもの)。 ⸢カツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢ʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (掻き混ぜれば良いのに)。 カ⸢ツァー⸣シバ [kḁ⸢ʦaː⸣ʃiba] (掻き混ぜなさいよ) 4460 0 0 4195 htmvoc_4460.wav カツァヌミン カ⸢ツァヌ⸣ミン [kḁ⸢ʦanu⸣miŋ] 名 ⸢蚊帳の耳」の義。蚊帳吊り。蚊帳の吊り手の先に取り付けた金属製の輪。これを部屋の四隅、又は6箇所に取り付けた吊り金<フック>に引っ掛けて蚊帳を吊った。 ニ⸢ビスクッチナー⸣ティ カ⸢ツァ⸣ カ⸢ルマ⸣キティ カ⸢ツァヌ⸣ミン ピ⸢キキシナー⸣ヌ [ni⸢bisu̥kutʧinaː⸣ti kḁ⸢ʦa⸣ ka⸢ruma⸣kiti kḁ⸢ʦanu⸣mim pi̥⸢kiki̥ʃinaː⸣nu] (寝癖が悪いので、蚊帳をぐるぐる巻いて蚊帳の吊り手を引きちぎってしまった) 4447 0 0 4196 htmvoc_4447.wav ガッカシ ⸢ガッカ⸣シ [⸢gakka⸣ʃi] 副 がくがく。ぶるぶる。厳しい寒さで体ががくがく震えるさま。驚愕したり、恐ろしさに怯えて体が震えるさま。 ⸣ドゥク ピ⸢ラク⸣ヌ ⸢スーワ⸣ティ ク⸢バ⸣リティ ⸢ガッカ⸣シ ⸢フッツォーリベー [⸣duku pi⸢raku⸣nu ⸢suː⸣wati ku⸢ba⸣riti ⸢gakka⸣ʃi ⸢ɸutʦoːri beː] (酷く寒さが厳しくて、凍えてガクガク震えている) 4411 0 0 4197 htmvoc_4411.wav カッキ ⸢カッ⸣キ [⸢kak⸣ki] 名 かっけ(脚気)。ビタミンB1の欠乏症。 ⸢カッ⸣キ カ⸢カリプスン⸣マー ⸢ゲン⸣マイ バ⸢カシ⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [⸢kak⸣ki kḁ⸢karipusum⸣maː ⸢gem⸣mai ba⸢kaʃi⸣ f⸢faːsoːt⸣ta] (脚気患者<脚気に罹った人>には玄米を炊いて食べさせなさった) 4448 0 0 4198 htmvoc_4448.wav ガック ⸢ガッ⸣ク [⸢gak⸣ku] 名 かぎ(鉤)。先の曲がった金属製の具。物を吊り下げるための金具<鉤>。 ナ⸢カザ⸣ヌ ⸢ガッ⸣クナー サ⸢ギティー⸣グ ⸣サイ シ⸢キ⸣リ [na⸢kaʣa⸣nu ⸢gak⸣kunaː sa⸢gitiː⸣gu ⸣sai ʃi̥⸢ki⸣ri] (土間の吊り下げ用の鉤に吊り手籠を吊るし<下げて>置きなさい) 4454 0 0 4199 htmvoc_4454.wav ガッケ ⸢ガッ⸣ケ [⸢gak⸣ke] 名 鎌。稲刈りや草刈りに用いる、三日月形の鉄製の刃に木製の柄をつけた農具。戦後になって、稲刈り鎌として鋸目のついた鎌が現れた。軽く、長時間使用しても鎌の刃が鈍ることはなかった。 ⸢マイカリガッケ [⸢maikarigakke] (稲刈り鎌)。 ッ⸢サカリガッ⸣ケー [s⸢sakarigak⸣keː] (草刈鎌)。 ⸢ガッ⸣ケー ⸣トゥイティ ⸢マイ⸣ カ⸢リン⸣ パラ [⸢gak⸣keː ⸣tuiti ⸢mai⸣ ka⸢rim⸣ para] (鎌を研いで稲刈りに行こうよ)。 ⸢ガッ⸣ケーシル ガ⸢ヤー⸣ヤ スル⸢ダー [⸢gak⸣keːʃiru ga⸢jaː⸣ja suru⸢daː] (鎌で茅を刈る<剃る>のだよ) 4449 0 0 4200 htmvoc_4449.wav カッコー ⸢カッコー [⸢kakkoː] 名 格好。様子。身なり。すがた。 ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァンケーヤ⸣ シ⸢ラカタ⸣チン ⸢カイ⸣ヤ タ⸢キ⸣フドゥン タ⸢カー⸣ンダ イッ⸢ケナ カッコー カイ⸣ヤン [⸢ʔun⸣nenu f⸢faŋkeː⸣ja ʃi⸢rakata⸣ʧiŋ ⸢kai⸣ja tḁ⸢ki⸣ɸudun tḁ⸢kaː⸣nda ʔik⸢kena kakkoː kai⸣jaŋ] (その家の子供たちは容貌も美しいし、身長も高いので非常に格好がいい) 4450 0 0 4201 htmvoc_4450.wav ガッコー ⸢ガッ⸣コー [⸢gak⸣koː] 名 学校。鳩間小学校沿革史によると「明治二十九年六月十六日、初メテ當村ニ於イテモ学校ヲ設立スルコトトナリ、當村事務所ノ西隣ノ僅カ九十二坪ノ地ニ、幅ガ二間、長サ三間半、総坪数七坪ノ掘立小屋ヲ作リ、就学児童二十三人ヲ収営シテ大川尋常小学鳩間分校と称シ、雇教員大濱安能氏當分校勤務ヲ明ゼラル。此レ當村ニ於いて教育ノ嚆矢ナリ」『創立百周年記念誌 波涛を越えて』とある。昭和24年新学制(6・3・3制)により中学校が併置され、新校舎は大泊582番地に新築された。村人総出による校舎新築であった。昭和30年には小学校も字大泊の現校地に移転し、現在に至っている。 ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢シー⸣トー ムー⸢ル⸣シ ギュ⸢タール ブーワ [⸢gakkoː⸣nu ⸢ʃiː⸣toː muː⸢ru⸣ʃi gju⸢taːru buːwa] (学校の生徒は全体で何人いるか)。 ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢シンシー⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸢gakkoː⸣nu ⸢ʃiŋʃiː⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (学校の先生が来られる)。 ⸢ガッ⸣コー ン⸢ジ⸣ルン [⸢gak⸣koː ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (入学する<学校に出る>)。 ⸢ガッ⸣コー シ⸢チギョー スー⸣カー カ⸢ツシン ヌールン [⸢gak⸣koː ʃi̥⸢ʧigjoː suː⸣kaː kḁ⸢ʦuʃin nuːruŋ] (学校卒業したらカツオ漁船に乗る) 4451 0 0 4202 htmvoc_4451.wav ガッコーシートゥ ⸢ガッ⸣コーシートゥ [⸢gak⸣koːʃiːtu] 名 学校生徒。生徒。⸢ガッ⸣コーヤラビ[⸢gak⸣koːjarabi](学校童{EOS}学校生徒)ともいう。 ⸢ガッ⸣コーシートゥヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー [⸢gak⸣koːʃiːtunu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː] (生徒<学校生徒>が集まっている) 4453 0 0 4203 htmvoc_4453.wav ガッコーッふァ ⸢ガッ⸣コーッふァ [⸢gak⸣koːffa] 名 児童。生徒。「学校子等」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ガッ⸣コーッふァンケーヌ ス⸢ム⸣チ ⸣ユム ⸣クイン シゥ⸢カリタンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー シ⸢キミラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gak⸣koːffaŋkeːnu su⸢mu⸣ʧi ⸣jumu ⸣kuin sï̥⸢karitandu⸣ ma⸢na⸣maː ʃi̥⸢kimiram⸣baŋ] (昔は学校生徒<学校子供>の本を読む声も聞こえたが、今は聞いたことがないよ)。⸢ガッ⸣コーヤラビ[⸢gak⸣koːjarabi](学校童)ともいう 4413 0 0 4204 htmvoc_4413.wav ガッコードング ⸢ガッ⸣コードング [⸢gak⸣koːdoŋgu] 名 学校道具。学用品。カバンや教科書、ノート、鉛筆、消しゴム、小刀など。 ⸢ガッ⸣コードング ⸢カイン⸣ パラ⸢ディー [⸢gak⸣koːdoŋgu ⸢kaim⸣ para⸢diː] (学用品<学校道具>を買いに行こうよ) 4414 0 0 4205 htmvoc_4414.wav ガッコーナー ⸢ガッコー⸣ナー [⸢gakkoː⸣naː] 名 学校で呼ばれる名前。戸籍上の名前。 ⸢タイショージダイバー⸣ケー ⸢ガッコーナー⸣トゥ ⸢ヤーナー⸣ヌ ⸢アッ⸣タン [⸢taiʃoːʤidaibaː⸣keː ⸢gakkoːnaː⸣tu ⸢jaːnaː⸣nu ⸢ʔat⸣taŋ] (大正時代までは学校名<戸籍上の名>と家名<伝統的に祖父母から貰う名{EOS}家で呼ばれる名>があった) 4452 0 0 4206 htmvoc_4452.wav ガッコーヌナー ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢ナー [⸢gakkoː⸣nu ⸢naː] 連 戸籍上の正式の名前。「学校の名」の義。⸢ヤー⸣ナー[⸢jaː⸣naː](家の名前{EOS}童名{EOS}家での呼び名{EOS}伝統的な命名法に基づく名前{EOS}長男は父方の祖父の名前を貰い、長女は父方の祖母の名前を貰って命名されたもの{EOS}次男は母方の祖父の名、次女は母方の祖母の名を貰って付ける)の対義語。 ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢ナーヤー シンイチ⸣ティ ア⸢ズヌ ヤー⸣ヌ ⸢ナーヤ⸣ ス⸢ク⸣レーティル アル⸢ダー [⸢gakkoː⸣nu ⸢naːja ⸢ʃiŋʔiʧi⸣ti ʔa⸢ʣunu jaː⸣nu ⸢naːja⸣ su̥⸢ku⸣reːtiru ʔaru⸢daː] (学校の名前は真市というが、家での呼び名<童名>は「津久里」とあるよ) 4415 0 0 4207 htmvoc_4415.wav ガッコーヤスミ ⸢ガッ⸣コーヤスミ [⸢gak⸣koːjasumi] 名 学校休み。夏休みや冬休みなどの休業。 ⸢ガッ⸣コーヤスミ ⸢ペー⸣ルカー イ⸢サンケー サーロー⸣ルンツォー [⸢gak⸣koːjasumi ⸢peːru⸣kaː ʔi⸢saŋkeː saːroː⸣runʦoː] (学校休みに入ったら石垣島へ連れて行かれるそうだ) 4455 0 0 4208 htmvoc_4455.wav ガッサガッサ ⸢ガッサガッサ [⸢gassagassa] 副 すばやく。急いで。すばやく働いたり、行動するさま。 ⸢ガッサガッサ⸣シ シ⸢グトゥ シー [⸢gassagassa⸣ʃi ʃi⸢gutu ʃiː] (さっさと仕事をしろ) 4457 0 0 4209 htmvoc_4457.wav ガッサラガサラ ⸢ガッサラガサラ [⸢gassaragasara] 副 がじがじ。歯で\ruby{齧}{カジ}ったり、ものを噛んだりするさま。 ⸢ヌーバ⸣ル ッ⸢ふァイベー⸣ユー ⸢ガッサラガサラ⸣シ ウ⸢トゥバ⸣ タティ ン⸢マーン⸣ギサシ ッ⸢ふァイベー⸠ツォー{EOS}フ⸢チジルンドゥ⸣ ン⸢ジ⸣ルサー [⸢nuːba⸣ru f⸢faibeː⸣juː ⸢gassaragasara⸣ʃi ʔu⸢tuba⸣ tḁti ʔm⸢maːŋ⸣gisaʃi f⸢faibeː⸠ʦoː{EOS}ɸu̥⸢ʧiʤirundu⸣ ʔn⸢ʤiru⸣baŋ] (何を食べているのか、ガジガジ音を立てて美味しそうに食べているよ{EOS}よだれ<涎{EOS}「口汁」>が出てくるよ) 4433 0 0 4210 htmvoc_4433.wav カツシン カ⸢ツシン [kḁ⸢ʦuʃiŋ] 名 カツオ漁船。鳩間島のカ⸢ツシン[kḁ⸢ʦuʃiŋ]は明治の末頃に沖縄本島の本部町より導入されたという。当初は⸢プーシン[⸢puːʃiŋ](帆船)で六挺櫓、八挺櫓で漕ぐ船であったという。散水機もなく、⸢スー⸣パニ[⸢suː⸣pani](潮撥ね{EOS}竹を割った物で潮をかき撥ねる道具)で散水してカツオを釣ったといわれている。発動機船(焼玉エンジン一気筒を装備した漁船)が導入されたのは昭和に入ってからである(故加治工伊佐氏直話)という。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ツシンマー⸣ ム⸢トゥ⸣ボーラ ⸢プーシンバ サーロー⸣レーツォー [pḁ⸢tuma⸣nu kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ mu⸢tu⸣boːra ⸢puːʃimba saːroː⸣reːʦoː] (鳩間の鰹船は沖縄の本部から導入され<連れてこられ>たそうだ) 4434 0 0 4211 htmvoc_4434.wav カツシンシンカ カ⸢ツシンシンカ [kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋka] 名 カツオ漁船の船員。「カツオ船臣下」の義か。フ⸢ナ⸣カク[ɸu⸢na⸣kaku](船員)ともいう。漁業組合組織にして、カ⸢ブシンカ[ka⸢buʃiŋka](株組員{EOS}株仲間{EOS}「株臣下」の義か)ともいうこともある。 カ⸢ツシンシンカ⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ ザ⸢コー⸣ トゥリン ⸣パラ [kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋka⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti ʣa⸢koː⸣ turim ⸣para] (漁船員を集めてカツオの餌<雑魚>を取りに行こう) 4416 0 0 4212 htmvoc_4416.wav カツダシ カ⸢ツダシ [kḁ⸢ʦudaʃi] 名 カツオの出汁。 カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル イ⸢リティ⸣ スー バ⸢カス⸣カー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ツダシヌ⸣ シ⸢キティ⸣ ン⸢マー⸣タン [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ru ʔi⸢riti⸣ suː ba⸢kasu⸣kaː ʔik⸢kena⸣ kḁ⸢ʦudaʃinu⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (カツオの頭を入れてお汁を炊くと非常にカツオの出汁が効いて美味しかった)。 カ⸢ツダシ⸣シ バ⸢カシバル シームノー⸣ ン⸢マー⸣ダー [kḁ⸢ʦuda⸣ʃi ba⸢kaʃibaru ʃiːmunoː⸣ ʔm⸢maː⸣daː] (カツオの出汁で炊いたほうが吸い物は美味しいのだよ) 4462 0 0 4213 htmvoc_4462.wav ガッダルガダル ガッ⸢ダルガダル [gad⸢darugadaru] 名 がたがた震えるさま。驚愕のあまり、腰を抜かしてがたがた震えるさま。 イ⸢クサ⸣ユーナ グ⸢ラマン⸣ヌ バ⸢ク⸣ダン ウ⸢タシター⸣ル ベーシ⸢ティ⸣ ウ⸢ダラ⸣キティ ダッ⸢カ⸣ティ ダ⸢ラシ⸣キ ビ⸢リティ⸣ ガッ⸢ダガッダ⸣シ ⸢フッツォーリ オーッ⸣タ [ʔi⸢kusa⸣juːna gu⸢raman⸣nu ba⸢ku⸣daŋ ʔu⸢taʃi̥taː⸣ru beːʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢dara⸣kiti dak⸢ka⸣ti bi⸢riti⸣ gad⸢darugadaru⸣ʃi ⸢ɸutʦoːri ʔoːt⸣ta] (戦争中に、グラマン機が爆弾を落としたので、ひどく驚いて腰を抜かし、べったりと座り込んだまま、がたがた震えておられた) 4870 0 0 4214 htmvoc_4870.wav カッツァー ⸢カッ⸣ツァー [⸢kat⸣ʦaː] 代 彼ら。あれら。あの人たち。三人称代名詞カ⸢リ[ka⸢ri](あれ{EOS}彼)の複数形。人、物に対して用いる。 ⸢カッ⸣ツァー ブ⸢ドゥル シープス [⸢kat⸣ʦaː bu⸢duru ʃiːpusu] (あの人たち<かれら>は踊りをする人<踊りの分担者>)。 ⸢クッ⸣ツァー シゥ⸢カーリヌ カッ⸣ツァー シゥ⸢カーラヌ [⸢kut⸣ʦaː sï̥⸢kaːrinu kat⸣ʦaː sï̥⸢kaːranu] (これらは使えるが、あれらは使えない)。 ⸢ウッ⸣ツァーニン ⸢カッ⸣ツァーニン ⸢マータキナー アーラ⸣シ ⸢ふィーリ⸣バ [⸢ʔut⸣ʦaːniŋ ⸢kat⸣tʦaːnim ⸢maːtakinaː ʔaːra⸣ʃi ⸢fiːri⸣ba] (これたちにも彼たちにも同じよう<均等>に配ってやれ<呉れなさい>よ) 4466 0 0 4215 htmvoc_4466.wav ガッツリ ガッ⸢ツリ [gat⸢ʦuri] 副 きっちり。かっきりと。ちょうど。 ⸢ゾン⸣ギシ ガッ⸢ツリ⸣ ア⸢ティティ⸣ キシバ [⸢ʣoŋ⸣giʃi gat⸢ʦuri⸣ ʔa⸢titi⸣ ki̥ʃiba] (定規できっちり当てて切れよ)。 ガッ⸢ツリ⸣ ア⸢タリ ブー [gat⸢ʦuri⸣ ʔa⸢tari buː] (きっちり当たっている) 4468 0 0 4216 htmvoc_4468.wav カッティ ⸢カッティ [⸢katti] 名 身勝手。わがまま(我儘)。思うまま。自分だけ都合のよいこと。 ⸣ドゥー ⸢カッティ⸣シ ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ ヤー⸢ディン⸣ ユ⸢ル⸣シェー ウ⸢キ⸣リ [⸣duː ⸢katti⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu jaː⸢diɲ⸣ ju⸢ru⸣ʃeː ʔu⸢ki⸣ri] (自分勝手にしてはならない{EOS}必ず許可を受けれ<受けろ>) 4472 0 0 4217 htmvoc_4472.wav ガッティン ⸢ガッ⸣ティン [⸢gat⸣tiŋ] 名 合点。承知。 ⸢ワー⸣ ウ⸢リ⸣シ ⸢ガッ⸣ティン ナ⸢ルン [⸢waː⸣ ʔu⸢ri⸣ʃi ⸢gat⸣tin na⸢ruŋ] (君はそれで承知<合点>できるかね)。 アー⸢イ ガッ⸣ティン ナ⸢ラン⸣タ シ⸢キン⸣ヌ ⸢マープスム⸣シ パ⸢ナシアー⸣シ ッ⸢ふォー⸣リ [ʔaː⸢i gat⸣tin na⸢ran⸣ta ʃi̥⸢kin⸣nu ⸢maːpu̥sumu⸣ʃi pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi f⸢foː⸣ri] (いや、承知出来ませんので、もう一度話し合って下さい) 4473 0 0 4218 htmvoc_4473.wav ガッティンスン ⸢ガッ⸣ティン ⸢スン [⸢gat⸣tin ⸢suŋ] 連 承知する。承諾する。納得する。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズタ⸣ カ⸢ツブシヌ ダイヤー バン⸣ヌン ⸢ガッ⸣ティン ⸢スンドゥ イーシ⸣ヌ ダイヤー⸣ マ⸢ダ ガッ⸣ティン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣuta⸣ kḁ⸢ʦubuʃinu daijaː ban⸣nuŋ ⸢gat⸣tin ⸢sundu ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ ma⸢da gat⸣tin na⸢ra⸣nu] (君が言った鰹節の値段は私も納得するが、ツノマタの値段は、まだ納得<合点>できない) 4436 0 0 4219 htmvoc_4436.wav カツドゥル カ⸢ツドゥル [kḁ⸢ʦuduru] 名 (動)カツオドリ。カツオドリ科の海鳥で腹は白く他は暗褐色。うみねこ(海猫)にもいう。カツオの魚群に群れて小魚を捕食するので、その群れを探して、それを目印に、カツオを追いながら魚群に船を付けて餌を撒き、カツオを釣る。 カ⸢ツドゥルバ ミシ⸣キ ウ⸢リバ ウイヤー⸣ティル カ⸢ツォー ホー⸣シタ [kḁ⸢ʦuduruba miʃi̥⸣ki ʔu⸢riba ʔuijaː⸣tiru kḁ⸢ʦoː hoː⸣ʃi̥ta] (カツオ鳥を探して、それを追いながらカツオは釣ったものだ) 4417 0 0 4220 htmvoc_4417.wav カツナマシ カ⸢ツナマシ [kḁ⸢ʦunamaʃi] 名 カツオの刺身。 カ⸢ツナマシェー ミー⸣ス ⸣タリティ ⸢クース ピッツァ⸣シ イ⸢リティ⸣ ッ⸢ふァイバル⸣ ン⸢マー⸣タ [kḁ⸢ʦunamaʃeː miː⸣su ⸣tariti ⸢kuːsu pitʦa⸣ʃi ʔi⸢riti⸣ f⸢faibaru⸣ ʔm⸢maː⸣ta] (カツオの刺身は味噌を水に溶いて唐辛子を潰し入れて食べたほうが美味しかった)。 カ⸢ツナマシ⸣ キシティ ⸢ミース⸣トゥ フ⸢ナブ⸣ヌ ⸣シー ⸣カキティ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢マー⸣ン [kḁ⸢ʦunamaʃi⸣ ki̥ʃiti ⸢miːsu⸣tu ɸu⸢nabu⸣nu ⸣ʃiː ⸣kḁkiti f⸢fuː⸣kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (カツオの刺身を切って味噌と蜜柑<九年母>の汁<酢>をかけて食べたら美味しい) 4418 0 0 4221 htmvoc_4418.wav カツヌキンパルン カ⸢ツヌ キンパルン [kḁ⸢ʦunu kimparuŋ] 連 カツオの黄色い卵巣。「カツオの黄はらみ」の義か。塩漬けにして、バ⸢タガラ⸣ス[ba⸢tagara⸣su](からすみ<鱲子>)を製造した。 カ⸢ツヌ キンパルン スー⸣シキティル ⸢カーソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦunu kimparun suː⸣ʃi̥kitiru ⸢kaːsoːt⸣ta] (カツオの卵巣も塩漬けにして販売された) 4421 0 0 4222 htmvoc_4421.wav カツヌシェーガー カ⸢ツヌ シェー⸣ガー [kḁ⸢ʦunu ʃeː⸣gaː] 連 カツオの背びれ。背びれと背皮。「カツオの背皮」の義か。単に⸢シェー⸣ガー[⸢ʃeː⸣gaː](背皮{EOS}背びれ)ともいう。 カ⸢ツヌ シェー⸣ガー ⸣パギ [kḁ⸢ʦunu ʃeː⸣gaː ⸣pagi] (カツオの背びれを剥ぎ取れ) 4424 0 0 4223 htmvoc_4424.wav カツヌズーブニ カ⸢ツヌ ズーブニ [ka⸢ʦunu ʣuːbuni] 連 カツオの尾びれ<尾骨>。 カ⸢ツヌ ズーブニ⸣ パ⸢マ⸣ナー ウ⸢ズミティ⸣ シ⸢ダ⸣スカー ⸢ヨー⸣ジ ス⸢クラ⸣リン [ka⸢ʦunu ʣuːbuni⸣ pa⸢ma⸣naː ʔu⸢ʣumiti⸣ ʃi⸢da⸣sukaː ⸢joː⸣ʤi su⸢kura⸣riŋ] (カツオの尾びれを浜に埋めて肉を落して骨をシ⸢ダ⸣スン{SqBr}ʃi⸢da⸣suŋ{/SqBr}(浄化<孵化>させる)と爪楊枝が出来る) 4423 0 0 4224 htmvoc_4423.wav カツヌスブル カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ru] 連 カツオの頭。 カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル ⸣キスン [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ru ⸣ki̥suŋ] (カツオの頭を切る) 4420 0 0 4225 htmvoc_4420.wav カツヌスブルキシ カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルキシ [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ruki̥ʃi] 連 カツオの頭切り。漁船が帰港すると、本船から釣ったカツオを⸢ティンマ⸣グヮー(小伝馬舟)で浜辺へ運ぶ。渚では、カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルキシ マ⸢ニ⸣ツァ[kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ruki̥ʃi ma⸢ni⸣ʦa](大きなカツオの頭切り俎板)を据え、数人の製造人がカツオの頭切り作業をした。その際、カツオの頭は捨てるものだから、カツオを渚から大俎板台へ載せる手伝いをした子供が貰うことになっていた。そこでは、ハ⸢ラ⸣ゴー[ha⸢ra⸣goː](腹皮{EOS}腹鰭のある腹部の皮)と⸢キンパルン[⸢kimparuŋ](カツオの卵巣)、ッ⸢ス⸣パルン[s⸢su⸣paruŋ](しらこ<白子>{EOS}「白ハラミ」の義か)を取って、カ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス[kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣su](卵巣や白子の塩漬け{EOS}からすみ<鱲子>)を製造した 4419 0 0 4226 htmvoc_4419.wav カツヌッスパルン カ⸢ツヌ⸣ ッ⸢ス⸣パルン [kḁ⸢ʦunu⸣ s⸢su⸣paruŋ] 連 カツオの白い精巣。しらこ(白子)。⸢カツオの白はらみ」の義か。塩漬けにした。 カ⸢ツヌ⸣ ッ⸢スパルン⸣マー ア⸢ジェー ナー⸣ヌ [kḁ⸢ʦunu⸣ s⸢suparum⸣maː ʔa⸢ʤeː naː⸣nu] (カツオの白い精巣<しらこ>は味がない) 4422 0 0 4227 htmvoc_4422.wav カツヌナカブニ カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢カ⸣ブニ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣buni] 連 カツオの中骨(脊髄骨{EOS}⸢ズーブニ{SqBr}⸢ʣuːbuni{/SqBr}<尾骨{EOS}尾びれ>を除いたもの)。 カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢カ⸣ブニ ⸣シジティ ⸣ダシ ⸣トゥリバ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣buni ⸣ʃiʤiti ⸣daʃi ⸣turiba] (カツオの中骨<脊髄骨>を煎じて出汁を取れよ)。 ⸢シーゾー⸣ヤーラ カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢カ⸣ブニ ⸢イー⸣リ ⸣クー [⸢ʃiːʣoː⸣jaːra kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣buni ⸢ʔiː⸣ri ⸣kuː] (鰹節製造工場<製造屋>からカツオの中骨を貰ってこい) 4425 0 0 4228 htmvoc_4425.wav カツヌナカワリ カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢カ⸣ワリ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣wari] 連 カツオの三枚卸。「カツオの中割」の義。 ク⸢バンマー⸣ カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢カ⸣ワリ シ⸢ティル⸣ カ⸢ミ⸣ブシ ス⸢ク⸣ローッタ [ku⸢bammaː⸣ kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣wari ʃi̥⸢tiru⸣ ka⸢mi⸣buʃi su̥⸢ku⸣roːtta] (カツオの小判は三枚卸にして<ぞ>亀節<小さな鰹の三枚卸にした片身を一節にした鰹節>を造られた) 12312 0 0 4229 htmvoc_12312.wav カツヌニージル カ⸢ツヌ ニージル [kḁ⸢ʦunu niːʤiru] 連 カツオの煮汁。 ⸢シーゾー⸣ヤーラ カ⸢ツヌ ニージル イー⸣リ ⸣キー ⸢オー⸣ヌ ⸣イーヌ ⸣ダシ ⸢シー⸣バ [⸢ʃiːʣoː⸣jaːra kḁ⸢ʦunu niːʤiru ʔiː⸣ri ⸣kiː ⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔiːnu ⸣daʃi ⸢ʃiː⸣ba] (鰹節製造工場からカツオの煮汁を貰ってきて豚の餌の出汁にしなさいよ) 4426 0 0 4230 htmvoc_4426.wav カツヌバタ カ⸢ツヌ⸣ バタ [kḁ⸢ʦunu⸣ bata] 連 カツオのはらわた(腸)。内臓。 カ⸢ツヌ⸣ バタン バ⸢ザイティ⸣ バ⸢タガラ⸣ス ス⸢コーッ⸣タ [kḁ⸢ʦunu⸣ batam ba⸢ʣaiti⸣ ba⸢tagara⸣su su̥⸢koːt⸣ta] (カツオの内臓<腸>も、捌いて腸の塩漬けに漬けられた) 4427 0 0 4231 htmvoc_4427.wav カツヌバタガラス カ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス [kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣su] 連 カツオの腸の塩漬け。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ソー ⸢ウンヌイー⸣ヌ カ⸢ティ⸣ムヌ ⸢ヤッタ [mu⸢ka⸣ʃeː kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣soː ⸢ʔunnuʔiː⸣nu kḁ⸢ti⸣munu ⸢jatta] (昔はカツオの腸の塩漬けは芋ご飯のおかず<御数{EOS}ご飯の采{EOS}副食物>であった) 4428 0 0 4232 htmvoc_4428.wav カツヌハラゴー カ⸢ツヌ⸣ ハ⸢ラ⸣ゴー [kḁ⸢ʦunu⸣ ha⸢ra⸣goː] 連 カツオの腹皮。カツオの胸鰭から後ろの腹部の皮。内臓を包む腹部の皮。脂がのって美味しい。塩漬けにもして販売した 4429 0 0 4233 htmvoc_4429.wav カツヌパルン カ⸢ツヌ⸣ パルン [kḁ⸢tunu⸣ paruŋ] 連 カツオの卵巣と精巣。「カツオのハラミ」の転訛したものか。⸢キンパルン[⸢kimparuŋ](黄色い卵巣)とッ⸢ス⸣パルン[s⸢su⸣paruŋ](白い精巣)がある。 カ⸢ツヌ⸣ パ⸢ルン⸣ヌン カ⸢ラ⸣ス ス⸢コーッ⸣タン [kḁ⸢ʦunu⸣ pa⸢run⸣nuŋ ka⸢ra⸣su su̥⸢koːt⸣taŋ] (カツオの卵巣、精巣をも塩漬け、からすみ<鱲子>に漬けられた) 4431 0 0 4234 htmvoc_4431.wav カツヌピーマ カ⸢ツヌ ピーマ [ka⸢ʦunu piːma] 連 カツオのえら(鰓)。 カ⸢ツヌ ピーマ⸣ トゥリティ ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ニーナ フ⸢バリティ⸣ マコヤ ⸣トゥリクー⸢ディー [kḁ⸢ʦunu piːma⸣ turiti ʔa⸢dambura⸣nu ⸣niːna ɸu⸢bariti⸣ makoja turikuː⸢diː] (カツオの鰓を取ってアダンの根に括っておいてヤシガニを捕獲して来ようよ) 4445 0 0 4235 htmvoc_4445.wav カツヌヒジガラ カ⸢ツヌ⸣ ヒ⸢ジ⸣ガラ [kḁ⸢ʦunu⸣ çi⸢ʤi⸣gara] 連 鰹節の削りくず<殻>。単にヒ⸢ジ⸣ガラ[çi⸢ʤi⸣gara]ともいう。ヒ⸢ジ⸣ガラ[çi⸢ʤi⸣gara](削り殻)は冬期の家庭用の出汁のもととして保存された。 フ⸢ヨー⸣ ヒ⸢ジガラ⸣バ ⸣シジティ ⸣ダシ トゥ⸢ローッ⸣タ [ɸu⸢joː⸣ çi⸢ʤigara⸣ba ⸣ʃiʤiti ⸣daʃi tu⸢roːt⸣ta] (冬には鰹節の削り殻を煎じてだし汁を取られた) 4430 0 0 4236 htmvoc_4430.wav カツヌミンバニ カ⸢ツヌ ミン⸣バニ [ka⸢ʦunu mim⸣bani] 連 カツオのえらぶた(鰓蓋)。 カ⸢ツヌ ミン⸣バネー ⸣キシティ ⸣スー バ⸢カシ [kḁ⸢ʦunu mim⸣baneː ⸣ki̥ʃiti ⸣suː ba⸢kaʃi] (カツオの鰓蓋を切ってお汁に炊け) 4474 0 0 4237 htmvoc_4474.wav カッパ ⸢カッ⸣パ [⸢kap⸣pa] 名 合羽。雨合羽。ポルトガル語由来の外来語が借用されたもの。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイ⸣バ ⸢カッ⸣パ ⸣カビティ ⸣パリバ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸui⸣ba ⸢kap⸣pa ⸣kabiti ⸣pariba] (雨が降るからカッパを被って行きなさいよ) 4439 0 0 4238 htmvoc_4439.wav ガッパイ ⸢ガッ⸣パイ [⸢gap⸣pai] 名 おでこ。出っ張った額。 ウ⸢レー ガッ⸣パイ ヤ⸢ルンダ⸣ ス⸢ブ⸣ロー カ⸢チ⸣ブー パジ⸢ダー [ʔu⸢reː gap⸣pai ja⸢runda⸣ su⸢bu⸣roː kḁ⸢ʧi⸣buː paʤi⸢daː] (彼はおでこだからきっと秀才だろう<頭は勝っているはずだ>よ) 4440 0 0 4239 htmvoc_4440.wav ガッパイスブル ⸢ガッ⸣パイスブル [⸢gap⸣paisuburu] 名 おでこ(額)の大きな頭。額が高く出ている頭。 ウ⸢レー ガッ⸣パイスブル ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢ケン⸣ ディ⸢キ⸣ルン パジ⸢ダー [ʔu⸢reː gap⸣paisuburu ja⸢runda⸣ ʔik⸢keŋ⸣ di⸢ki⸣rum paʤi⸢daː] (あれ<彼>は大きなおでこ頭の人だから、きっと非常によく出来る人<秀才>だはずよ) 4443 0 0 4240 htmvoc_4443.wav カツピギ カ⸢ツ⸣ピギ [kḁ⸢ʦu⸣pigi] 名 鰹節削り。「鰹節へぎ<剥ぎ>」の義。この作業は主として婦人達が担当した。専用の⸢シー⸣グ[⸢ʃiː⸣gu](小刀{EOS}「さいぐ(鉏具)」の転訛したものか)を用いた。 ⸢シーゾー⸣ヤーナテー ミ⸢ドゥムンケーヌ⸣ル ⸢シー⸣グシ カ⸢ツブシ⸣ ピ⸢ゴーッ⸣タ [⸢ʃiːʣoː⸣jaːnaːteː mi⸢dumuŋkeːnu⸣ru ⸢ʃiː⸣guʃi kḁ⸢ʦubuʃi⸣ pi⸢goːt⸣ta] (鰹節製造工場では女達が小刀で鰹節を削られた<へがれた{EOS}剥がれた>) 4444 0 0 4241 htmvoc_4444.wav カツピギシーグ カ⸢ツピギシー⸣グ [kḁ⸢ʦupigiʃiː⸣gu] 名 鰹節削り小刀。「鰹節へぎ<剥ぎ>・シーグ(さいぐ<鉏具>)」の転訛したもの。 カ⸢ツピギシー⸣グナー シ⸢キシーグ⸣ 、シ⸢キカタナ⸣、 ピ⸢キシーグ⸣、ハ⸢ラ⸣クリティ ⸢スー シーグ⸣ン ア⸢リ⸣ブタ [kḁ⸢ʦupigiʃiː⸣gunaː ʃi̥⸢kiʃiːgu⸣、 ʃi̥⸢kikatana⸣、pi̥⸢kiʃiːgu⸣、ha⸢ra⸣kuriti ⸢suː ʃiːgu⸣ŋ ʔa⸢ri⸣buta] (カツオ削り小刀には、突き小刀、突き小刀、引き削り小刀、腹刳り小刀、という小刀もありをった) 4476 0 0 4242 htmvoc_4476.wav ガッふァガッふァ ⸢ガッふァガッふァ [⸢gaffagaffa] 副 豚のように大きな口を開けて、口から食物を零しながら勢いよく食べるさま。擬音語。擬態語。がばがば。むしゃむしゃ。 ⸢オーリムヌンヌ⸣ カタチヌ ⸢イー⸣バ ⸢ガッふァガッふァ⸣シ ッ⸢ふァイ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [⸢ʔoːrimunnu⸣ kḁtaʧini ⸢ʔiː⸣ba ⸢gaffagaffa⸣ʃi f⸢fai⸣ nuːja ʔu⸢reː] (追われ者のように、ご飯を口元から落としながら、がばがば、むしゃむしゃと無作法に食べて、なんだねえこれは) 4475 0 0 4243 htmvoc_4475.wav ガッふァティ ガッ⸢ふァ⸣ティ [gaf⸢fa⸣ti] 副 がっぽりと。ぴったりと。ぱくっと。思いがけない大量の幸運がくるさま。 ク⸢ビ⸣ナーヌ ⸢ジン⸣カニ ガッ⸢ふァティ⸣ タ⸢ボーラ⸣リ フ⸢コーラサ⸣ユー [ʔu⸢bi⸣naːnu ⸢ʤiŋ⸣kani gaf⸢fati⸣ ta⸢boːra⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸣juː] (これほど沢山のお金をがっぽりと頂戴できて有難うございます)。 ガッ⸢ふァティ⸣ <ガッ⸢ツティ⸣> ハ⸢マリ⸣ブバン [gaf⸢fati⸣ ha⸢mari⸣bubaŋ] (ぴったりとはまって<嵌って>いるわい) 4630 0 0 4244 htmvoc_4630.wav ガッふァティ ガッ⸢ふァティ [gaf⸢fati] 副 ばったり。突然に対面するさま。 ウ⸢リ⸣ ヤ⸢ラビンティ⸣ パルンケン ミ⸢チ⸣ナーティ ガッ⸢ふァティ ゲーサイティ サーリ クー⸣タ [ʔu⸢ri⸣ ja⸢rabinti⸣ paruŋkem mi⸢ʧi⸣naːti gaf⸢fati geːsaiti saːri kuː⸣ta] (その人を呼びに行く途中、道中でばったり出会って連れてきたよ) 4437 0 0 4245 htmvoc_4437.wav カツブシ カ⸢ツブシ [ka⸢ʦubuʃi] 名 鰹節。鰹節には⸢ウー⸣ブシ[⸢ʔuː⸣buʃi](雄節{EOS}四つ割りにした背肉の部分)と⸢ミー⸣ブシ[⸢miː⸣buʃi](雌節{EOS}四つ割りにした腹肉の部分)、カ⸢ミ⸣ブシ[ka⸢mi⸣buʃi](亀節{EOS}ク⸢バン{SqBr}ku⸢baŋ{/SqBr}<小判{EOS}小さなカツオ>の身を三枚おろしにして、片身を一節にしたもの)がある。⸢ウー⸣ブシ(雄節)が最高品質の鰹節で、⸢ミー⸣ブシ(雌節)は二級品質、カ⸢ミ⸣ブシ(亀節)は三級品質の鰹節である。カツオを三枚におろし、四つ割りにして煮籠に並べ、それを十数枚重ねて煮釜に入れて煮る。十分に煮た後煮籠を引き上げて冷し、バ⸢ラ⸣ヌキ[ba⸢ra⸣nuki](骨の抜き取り)をして焙乾小屋に移して焙乾し、カツオ節にした。 カ⸢ツブシェー ウーブシ⸣ル ⸢ダイヤー⸣ タ⸢カー [kḁ⸢ʦubuʃeː ʔuːbuʃi⸣ru ⸢daijaː⸣ tḁ⸢kaː] (鰹節はウーブシが値段は高い) 4442 0 0 4246 htmvoc_4442.wav カツブシシーゾーヤー カ⸢ツブシ シーゾー⸣ヤー [kḁ⸢ʦubuʃi ʃiːʣoː⸣jaː] 連 鰹節の製造屋。鰹節製造工場。単に⸢シーゾー⸣ヤー[⸢ʃiːʣoː⸣jaː](製造屋)ともいう。 パ⸢トゥ⸣マナー カ⸢ツブシ シーゾーヤー⸣ヌ ⸢ユーントン アッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː kḁ⸢tubuʃi ʃiːʣoːja⸣nu ⸢juːntoŋ ʔat⸣taŋ] (鳩間島には鰹節製造工場が四箇所あった) 4441 0 0 4247 htmvoc_4441.wav カツムシ カ⸢ツムシ [kḁ⸢ʦumuʃi] 名 (動)カツオブシムシ。鰹節に寄生する甲虫。 カ⸢ツブシ⸣ ピギティ タ⸢ブイラン⸣カー カ⸢ツムシヌ⸣ シゥクン⸢ダー [kḁ⸢ʦubuʃi⸣ pigiti ta⸢buiraŋ⸣kaː ka⸢ʦumuʃinu⸣ su̥kun⸢daː] (鰹節は削って<剥いで>保存しないとカツオ虫が付くぞ)。体長1メートル級の⸢ダイ⸣バン[⸢dai⸣baŋ](大型のカツオ)の内腹部の表皮に白く長い虫が付くことが稀に見られたが、これにもカ⸢ツムシ[kḁ⸢ʦumuʃi]といった 4477 0 0 4248 htmvoc_4477.wav カツン ⸣カツン [⸣kaʦuŋ] 自動 勝つ。 ク⸢ヌ スー⸣ボー ⸣カツンカヤー [ku⸢nu suː⸣boː ⸣kḁʦuŋkajaː] (この勝負は勝つだろうか)。 カ⸢チ⸣プサー ア⸢ル⸣ヌ カ⸢ツァ⸣バン マ⸢カバン⸣ ミサバ ヤー⸢ディン シー⸣ミリバ [kḁ⸢ʧi⸣pu̥saː ʔa⸢ru⸣nu kḁ⸢ʦa⸣bam ma⸢kabam⸣ misaba jaː⸢diŋ ʃiː⸣miriba] (勝ちたくはあるが、勝っても<勝たばも>負けても<負かばも>いいから、必ずやってみろよ)。 ⸣パル プ⸢ソー⸣ ヤー⸢ディン⸣ カチバ [⸣paru pu̥⸢soː⸣ jaː⸢diŋ⸣ kḁʧiba] (行く人は必ず勝てよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸣カチェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣kḁʧeː ⸣misamunu] (もっと勝てばよいのに) 4467 0 0 4249 htmvoc_4467.wav ガツン ⸣ガツン [⸣gaʦuŋ] 名 (動)魚の名。アジの仲間。和名、メアジ(体長約30センチ)。体形は長紡錘形で、背は暗青色。腹部は銀白色を呈する。 ガ⸢ツン⸣マー カ⸢タチェー⸣ シ⸢ブ⸣ター ⸢ニーブ [ga⸢ʦum⸣maː kḁ⸢taʧeː⸣ ʃi⸢bu⸣taː ⸢niːbu] (メアジは体形はシブター<そうだがつお>に似ている)。和名、ヅナガメアジ(体長約25センチ)、和名、ホソヒラアジ(体長25センチ)にもいう。 ガ⸢ツン⸣マー ハ⸢ニビキ⸣シン ⸢ホーサリ⸣タン [ga⸢ʦum⸣maː ha⸢nibiki⸣ʃiŋ ⸢hoːsari⸣taŋ] (ガツンは引き縄釣り<ハニビキ>でも釣れた) 4469 0 0 4250 htmvoc_4469.wav カティ カ⸢ティ [kḁ⸢ti] 名 技術や要領を会得していること。経験豊かで、その道に精通していること(老年層の言葉)。若年層で⸢カッティ[⸢katti](勝手{EOS}経験豊かな人)という人もいる。 イ⸢ソーカティ [ʔi⸢soːkati] (漁業経験豊かで漁労が上手であること)。 ⸢サイク⸣カティ [⸢saiku⸣kḁti] (大工の経験者で建築技術者であること)。 ⸢サンバ⸣カティ [⸢samba⸣kḁti] (産婆の経験が豊かで、新生児を取り上げる技術があること)。 パ⸢トゥ⸣マ ⸣プソー ムー⸢ル⸣ イ⸢ソーカティヌ⸣ アンダ パル⸢カージ⸣ タクン イ⸢ズン⸣ ユー ⸣トゥリクン [pḁ⸢tu⸣ma ⸣pu̥soː muː⸢ru⸣ ʔi⸢soːkati⸣nu ⸣ʔanda paru⸢kaːʤi⸣ tḁkuŋ ʔi⸢ʣuɲ⸣ juː ⸣turikuŋ] (鳩間の人は漁業経験が豊かだから漁に行くたびに蛸も魚もよく獲ってくる)。 ⸢インヌムラ⸣ナー ⸢サンバ⸣カテー ⸢メークヤーヌ⸣ ブ⸢バートゥ⸣ ウブシケーヌ ア⸢ボー⸣トゥ フ⸢タールル オーッ⸣タ [⸢ʔinnumura⸣naː ⸢samba⸣kḁteː ⸢meːkujaːnu⸣ bu⸢baːtu⸣ ʔubuʃi̥keːnu ʔa⸢boː⸣tu ɸu̥⸢taːruru ʔoːt⸣ta] (西村では産婆勝手<産婆経験者>は宮良家のブバー<大伯母>と大城家のアボー<お母さん>の二人がおられた{EOS}東村では仲本サカイ氏と⸢トゥー⸣ジェヌ アッパー<通事家のお婆さん{EOS}通事通事隆氏の母>が⸢サンバ⸣カティであった) 4482 0 0 4251 htmvoc_4482.wav カティウシ カ⸢ティ⸣ウシ [kḁ⸢ti⸣ʔuʃi] 名 搗き臼。在来種の赤穂米の長いのぎ(芒{EOS}禾)を落とすための搗き臼。玄米を精げる臼よりも高さが低く、深めに彫られた臼で、松材で作られていた。 ⸢ザイレー⸣マイ ⸣サウカー カ⸢ティ⸣ウシナ イ⸢リ⸣ ッサイティ ⸢マイヌプー⸣ヌ ン⸢ギ⸣ ブリ ウ⸢タ⸣シバ [⸢ʣaireː⸣mai ⸣saukaː kḁ⸢ti⸣ʔuʃina ʔi⸢ri⸣ ssaiti ⸢mainupuː⸣nu ʔŋ⸢gi⸣ buri ʔu⸢ta⸣ʃiba] (在来種の赤穂米を稲扱き管で扱きおろしたら搗き臼に入れて搗い<精げ>て稲穂の芒を折り落としなさい) 4470 0 0 4252 htmvoc_4470.wav カティヌアン カ⸢ティヌ⸣ アン [kḁ⸢tinu⸣ ʔaŋ] 連 経験豊かで仕事に精通していて、上手である。 ウ⸢レー サイク⸣ヌ カ⸢ティヌ⸣ アン [ʔu⸢reː saiku⸣nu kḁ⸢tinu⸣ ʔaŋ] (あれは大工の経験があって上手である) 4398 0 0 4253 htmvoc_4398.wav カティマイ カ⸢ティ⸣マイ [kḁ⸢ti⸣mai] 名 ノギ(禾、芒)を取り去った籾。在来種の稲を脱穀して芒を落とすために臼にいれ、杵で搗いて籾にした。これを更に挽き臼にかけて玄米にし、搗き臼で搗いて精米した。芒を除去するために臼で搗くことを、⸣カトゥン[⸣kḁtuŋ](かてる<糅て>の義か)という。⸣ウシノーマイ[⸣ʔuʃinoːmai](在来種の米)やダ⸢ネー⸣ママイ[da⸢neː⸣mamai](在来種の米)には長いのげ(芒)があるので、搗臼で搗いて芒を除去する必要があり、そのことを⸣カトゥン[⸣kḁtuŋ](搗く<カツ>)というが、カティマイは、「搗いて芒を落とした籾」の義。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー カ⸢ティ⸣マイ ⸣ナシティ ⸢ウンダル⸣ ピ⸢キウシ⸣シ ピ⸢キティ⸣ ア⸢ラム⸣トー ⸢トゥッ⸣タ⸢ダー [⸢ʣaireːmai⸣jaː kḁ⸢ti⸣mai ⸣naʃi̥ti ⸢ʔundaru⸣ pi̥⸢kiʔuʃi⸣ʃi pi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢ramu⸣toː ⸢tut⸣ta⸢daː] (在来種の赤米は臼で搗いて芒を除去し、それから挽き臼で挽いて玄米にし、アラムトゥ<籾殻>は取り去ったものだよ) 4483 0 0 4254 htmvoc_4483.wav カティムヌ カ⸢ティ⸣ムヌ [ka⸢ti⸣munu] 名 副食物。おかず(御数)。和え物。「かてもの<糅てもの>」の義。「糅、まぜる。醤酢<ひしほす>に蒜<ひる>つきかてて~。万、3829」。⸢雑、マジフ・カサヌ・カツ」『類聚名義抄』」の転訛したもの。「むきやてもの 御和<カテ>物の事也『混効験集』」の義。 カ⸢ティ⸣ムノー ⸢ヌー⸣ル バ⸢カスワ [kḁ⸢ti⸣munoː ⸢nuː⸣ru ba⸢kasuwa] (おかず<御数>には何を炊くか)。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー イ⸢ソー⸣ナ ⸢ギー⸣ カ⸢ティ⸣ムヌ ⸣トゥリクー ⸢ディー [⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ʔi⸢soː⸣na ⸢giː⸣ kḁ⸢ti⸣munu ⸣turi ⸣kuː ⸢diː] (潮がひいたら漁<潮干狩り>に行って御数<糅物>になるものを獲って来ようよ、さあ) 4484 0 0 4255 htmvoc_4484.wav カティルン カ⸢ティ⸣ルン [kḁ⸢ti⸣ruŋ] 他動 御飯に副食物を和える。混ぜる。「かてる(糅てる)、推古紀」の義。 ⸢ウン⸣マー バ⸢タガラス⸣トゥ カ⸢ティ⸣ルカー ン⸢マー⸣タン [⸢ʔum⸣maː ba⸢tagarasu⸣tu kḁ⸢ti⸣rukaː ʔm⸢maː⸣taŋ] (イモはカツオの塩辛と混ぜて<かえて>食べると美味しかった)。 ⸢ウン⸣トゥ カ⸢ティ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ カ⸢クラー⸣キ ⸢スンダ⸣ カ⸢ティラン⸣ドーシ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢ʔun⸣tu kḁ⸢ti⸣runti ʔu⸢muːn⸣du kḁ⸢kuraː⸣ki ⸢sunda⸣ kḁ⸢tiran⸣doːʃi f⸢fai⸣ba] (イモをかて<糅>ようと思うが、胸焼けを起こすから、かて<糅>ないで食べなさい) 4486 0 0 4256 htmvoc_4486.wav カティルン カ⸢ティ⸣ルン [kḁ⸢ti⸣ruŋ] 他動 臼に在来種の稲を入れて搗き、のぎ(芒)を除去する。 カ⸢ティ⸣ウシナ ⸢ザイレー⸣マイ イ⸢リティ⸣ カ⸢ティ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ブ⸢ガ⸣リティ カ⸢ティララ⸣ヌ [kḁ⸢ti⸣ʔuʃina ⸢ʣaireː⸣mai ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢ti⸣runti ⸢sundu⸣ bu⸢ga⸣riti kḁ⸢tirara⸣nu] (臼に在来米を入れて搗いて芒を落とそうとするが、疲れて芒を落とされない)。 カ⸢ティ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢ti⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (搗いて芒を落とすことはできる)。 カ⸢ティ⸣レー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢ti⸣reː ⸣misamunu] (搗いて芒を落とせば良いのに)。 ⸢マイ⸣ カ⸢ティ⸣リ [⸢mai⸣ kḁ⸢ti⸣ri] (米を搗いて芒を落とせ) 4491 0 0 4257 htmvoc_4491.wav カドー ⸣カドー [⸣kadoː] 連 ⸣カドゥ[⸣kadu](こんなに遠く<空間>)に係助詞-ヤ[-ja](は{EOS}とりたて強意)が融合した形。 ⸣カドーラン ⸣シンニン ⸣ヨイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィールンティ⸣ ケーバン⸢ナー [⸣kadoːraŋ ⸣ʃinniɲ ⸣joi ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːrunti⸣ keːban⸢naː] (こんなに遠い所からもわざわざ<専念、もっぱら>お祝いをしてくれようとして来たのだねえ)。こんなに長く(時間)。 ⸣ヌンティル カ⸢ドゥ⸣ナー ミ⸢ララン⸣シェンワ [⸣nuntiru ka⸢du⸣naː mi⸢raraŋ⸣ʃeŋwa] (どうしてこんなにも長い間姿をみせなかったのか<見えなかったのか>)。 ⸣カドー パ⸢ラサラ⸣ヌ [⸣kadoː pa⸢rasara⸣nu] (こんなに遠くへはやれない<行かされない>) 4492 0 0 4258 htmvoc_4492.wav カトーシ カ⸢トーシ [kḁ⸢toːʃi] 名 梳き櫛。歯の細かい櫛。⸣ッサン[⸣ssaŋ](虱)や⸢ケー⸣サ[⸢keː⸣sa](虱の卵)を梳き落とすのに用いる櫛。左右両方に細かい櫛の歯がある。 カ⸢トーシ⸣シ ガ⸢マ⸣ジ ⸣キジティル ⸣ッサン キ⸢ジウタシ⸣タ [kḁ⸢toːʃi⸣ʃi ga⸢ma⸣ʤi ⸣kiʤitiru ⸣ssaŋ ki⸢ʤiʔutaʃi̥⸣ta] (梳き櫛<歯の細かい櫛>で髪を梳いて<ぞ>虱を梳き落とした) 4487 0 0 4259 htmvoc_4487.wav カドゥ ⸣カドゥ [⸣kadu] 名 義理。\ruby{廉}{カド}。きちんとしたけじめ。折り目正しい態度。 ウ⸢レー⸣ カドゥ ブ⸢リ⸣ムヌ [ʔu⸢reː⸣ kadu bu⸢ri⸣munu] (あいつは恥知らずだ{EOS}義理を欠く者{EOS}廉折れ者の義) 4488 0 0 4260 htmvoc_4488.wav カドゥ ⸣カドゥ [⸣kadu] 名 角。すみ(隅)。⸣シヌ[⸣ʃinu](つの)ともいう。 シ⸢チ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ユーカドゥ⸣ナー ⸢サン⸣バ ⸣ッシ シゥ⸢コーッ⸣タ [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣pimmaː ⸢jaː⸣nu ⸢juːka⸣dunaː ⸢sam⸣ba ⸣ʃʃi su̥⸢koːt⸣ta] (節祭りの日には家の四つ角にお祓いのサンを挿しておかれた)。 ジ⸢ブク⸣ヌ ⸣カドゥン ⸢ゾー⸣ブンニ ッ⸢スリ⸣バ [ʤi⸢buku⸣nu ⸣kadun ⸢ʣoː⸣bunni s⸢suri⸣ba] (重箱の角も十分に<存分に>拭きなさい)。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣カドー シゥ⸢カンキー⸣シ シゥ⸢カイ⸣ シキバ [⸢jaː⸣nu ⸣kadoː si̥⸢kaŋkiː⸣ʃi si̥⸢kai⸣ ʃi̥kiba] (家の角は支柱<つかえ柱>で支え<つかえて>ておきなさいよ) 4489 0 0 4261 htmvoc_4489.wav カドゥ ⸣カドゥ [⸣kadu] 名 歌謡語で、「村」の意。⸢琉球国時代の集落の単位で、十戸ほどを一組にしたもの。⸢フン[⸢ɸuŋ](組)ともいった。⸢アサドーヤブ⸣シゥ[⸢ʔasadoːjabu⸣sï](安里屋節)に⸢フンカドゥ[⸢ɸuŋkadu]が集落の意で歌われている」『石垣方言辞典』。「仲筋ニ走リオリ/フンカドゥニ飛ビヤオリ」安里屋節、第六連『八重山民謡誌』 4485 0 0 4262 htmvoc_4485.wav カトゥク カ⸢トゥ⸣ク [kḁ⸢tu⸣ku] 名 家督。相続すべき家の跡目。標準語からの借用語。普通は、⸣アトゥシギ[⸣ʔatuʃigi](跡継ぎ)という。 ⸢クン⸣ネヌ カ⸢トゥ⸣ク シ⸢ギプソー ター⸣ヤ [⸢kun⸣nenu kḁ⸢tu⸣ku ʃi⸢gipu̥soː taː⸣ja] (此の家の家督を継ぐ人は誰か) 4490 0 0 4263 htmvoc_4490.wav カドゥブリムヌ カ⸢ドゥブリ⸣ムヌ [ka⸢duburi⸣munu] 名 義理を欠いた者。不義理な人。「廉<かど>折れ者」の義。 ク⸢ヌ⸣ トゥシ ⸣ナリティン シ⸢キン⸣ピライ ⸢サン⸣カー カ⸢ドゥブリ⸣ムヌティ ア⸢ザリン⸣ダー [ku⸢nu⸣ tu̥ʃi ⸣naritiŋ ʃi̥⸢kim⸣pirai ⸢saŋ⸣kaː ka⸢duburi⸣munuti ʔa⸢ʣarin⸣daː] (この年になっても世間交際をしないと義理を欠いた者といわれるよ) 4479 0 0 4264 htmvoc_4479.wav カトゥン ⸣カトゥン [⸣kḁtuŋ] 他動 かつ(搗つ)。臼で搗く。「かてる(糅てる)下二段」の四段活用化したものか。稲ののぎ(芒)を搗き臼で搗いて取り除く。「搗、ツク・カツ『類聚名義抄』」の転訛したもの。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー ⸣ウシナー ⸣カティティル ピ⸢キウシ⸣シ ピ⸢クタル [⸢ʣaireːmai⸣jaː ⸣ʔuʃinaː ⸣kḁtitiru ⸢ʔunda⸣ pi̥⸢kiʔuʃi⸣ʃi pi̥⸢kutaru] (在来米<赤米>は搗き臼で搗いて、それから挽き臼で挽いたものだ)。 ⸣バー ⸢タンガ⸣シ ⸣カトゥン [⸣baː ⸢taŋga⸣ʃi ⸣kḁtuŋ] (私一人でかつ<搗つ>)。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー ⸣サイシケーバ ⸢パー⸣ク カ⸢ティ⸣リ [⸢ʣaireːmai⸣jaː ⸣saiʃi̥keːba ⸢paː⸣ku kḁ⸢ti⸣ri] (在来米<赤米>は脱穀して<\ruby{扱}{シゴ}いて>あるから、ゴ早く搗けよ<かてよ{EOS}搗てよ>) 4480 0 0 4265 htmvoc_4480.wav カトゥン ⸣カトゥン [⸣kḁtuŋ] 他動 ご飯に副食物のおかず(御数)を混ぜて食べる。混ぜる。「~醤酢(ひしほす)に蒜都伎合而<ひるつきカテテ>~。万、3829」、「雑、マジフ、カサヌ、カツ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢スー⸣ヤ ⸢ナーン⸣カー カ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラス⸣トゥ ⸢ウンヌイー⸣トゥ ⸣カティティ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢suː⸣ja ⸢naːŋ⸣kaː kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagarasu⸣tu ⸢ʔunnuʔiː⸣tu ⸣kḁtiti f⸢fai⸣ba] (お汁が無ければカツオの腸の塩辛と芋のご飯とを付け合せて食べなさい)。 バ⸢タガラス⸣トゥ ⸣カトゥンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢クラー⸣キ ⸢スンダー ウンヌイー⸣トー カティッ⸢ふァーラヌ [ba⸢tagarasu⸣tu ⸣kḁtunti ⸢sundu⸣ kḁ⸢kuraː⸣ki ⸢sundaː ʔunnuʔiː⸣toː⸣ kḁtif⸢faːranu] (腸の塩辛と付け合せて食べようとするが、胸焼けするので、芋のご飯とは付け合せで喰えない)。 ⸣カトゥ ⸣ムヌ [⸣kḁtu ⸣munu] (付け合せるもの)。 ⸣カテー ⸣ミサムヌ [⸣kateː ⸣misamunu] (付け合せればいいのに)。 ⸣カティバ [⸣kḁtiba] (付け合せろよ) 4390 0 0 4266 htmvoc_4390.wav カトンカスン カ⸢トンカ⸣スン [kḁ⸢toŋka⸣suŋ] 他動 傾ける。傾かせる。 ⸢タン⸣グ カ⸢トンカ⸣シティ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ミ⸣バ [⸢taŋ⸣gu kḁ⸢toŋka⸣ʃi̥ti mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢mi⸣ba] (水担桶を傾けて水を汲めよ)。 アー⸢イ⸣ カ⸢トンカサ⸣ヌ [ʔaː⸢i⸣ kḁ⸢toŋkasa⸣nu] (嫌だ{EOS}傾けない)。 カ⸢トンカ⸣スンティ ⸣ウムーカー カ⸢トンカ⸣シバ [kḁ⸢toŋka⸣sunti ⸣ʔumuːkaː kḁ⸢toŋka⸣ʃiba] (傾かそうと思うなら傾かせろ)。 カ⸢トンカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢toŋka⸣ʃeː ⸣misamunu] (傾かせれば良いのに)。 ス⸢ブ⸣ル カ⸢トンカ⸣スン [su⸢bu⸣ru kḁ⸢toŋka⸣suŋ] (頭<首>を傾ける)。 ⸣フニ カ⸢トンカシ⸣ プサンドゥ カ⸢トンカサラ⸣ヌ [⸣ɸuni kḁ⸢toŋkaʃi⸣ pu̥sandu kḁ⸢toŋkasara⸣nu] (舟を傾けたいが、傾けられない)。 ス⸢ブ⸣ル カ⸢トンカ⸣ス ⸣ピンマー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [su⸢bu⸣ru kḁ⸢toŋka⸣su ⸣pimmaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (頭<首>を傾ける時は気をつけなさい)。 ⸢パー⸣ク カ⸢トンカ⸣シ [⸢paː⸣ku kḁ⸢toŋka⸣ʃi] (早く傾かせよ<傾けよ>) 4391 0 0 4267 htmvoc_4391.wav カトンキアラキ カ⸢トンキアラ⸣キ [kḁ⸢toŋkiara⸣ki] 名 傾き歩き。首をかしげ<\ruby{傾}{カシ}げ>て歩くさま。首を傾げて歩く癖のある歩き方。 ⸢ワー⸣ ヌンティル ⸣アイニ カ⸢トンキアラ⸣キ ⸢シー アーク⸣ワ [⸢waː⸣ nuntiru ⸣ʔaini kḁ⸢toŋkiʔara⸣ki ⸢ʃiː ʔaːku⸣wa] (君はどうして首\ruby{傾}{カシゲ}歩きをしているのか) 4392 0 1 4268 htmvoc_4392.wav カトンクン カ⸢トン⸣クン [ka⸢toŋ⸣kuŋ] 自動 {Mn_1}傾く。傾斜する。 ⸢ナイ⸣ヌ シ⸢ター ヤー⸣ヤ カ⸢トン⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [⸢nai⸣nu ʃi̥⸢taː jaː⸣ja kḁ⸢toŋ⸣ki ⸢naː⸣nu] (地震がしたので家は傾いてしまった)。 ⸢ウシカラシタンティン⸣ カ⸢トンカ⸣ヌ [⸢ʔuʃi̥karaʃi̥tantiŋ⸣ kḁ⸢toŋka⸣nu] (押しても傾かない)。 ⸢ナイ⸣ヌ ⸢スー⸣カー ⸢ヤー⸣ヤ カ⸢トン⸣クン [⸢nai⸣nu ⸢suː⸣kaː ⸢jaː⸣ja kḁ⸢toŋ⸣kuŋ] (地震がしたら家は傾く)。 カ⸢トン⸣ク ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢toŋ⸣ku ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (傾くものはない)。 ン⸢メーマ⸣ カ⸢トン⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːma⸣ kḁ⸢toŋ⸣keː ⸣misamunu] (少しは傾けばよいのに)。 ン⸢メーマ⸣ カ⸢トン⸣キバ [ʔm⸢meːma⸣ kḁ⸢toŋ⸣kiba] (少し傾けよ)。 ⸢オーニー⸣ シ⸢ム⸣カー ⸣フネー カ⸢トンクン⸣ドゥ ウ⸢ブ⸣フネー カ⸢トンカ⸣ヌ [⸢ʔoːniː⸣ ʃi⸢mu⸣kaː ⸣ɸuneː kḁ⸢toŋkun⸣du ʔu⸢bu⸣ɸuneː kḁ⸢toŋka⸣nu] (上荷を積むと舟は傾くが、大きな船は傾かない)。 カ⸢トン⸣キ ⸢ベー [kḁ⸢toŋ⸣ki ⸢beː] (傾いている)。 カ⸢トン⸣ク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢toŋ⸣ku ku̥toː ⸢naː⸣nu] (傾くことはない)。 4392 0 2 4269 htmvoc_4392.wav カトンクン カ⸢トン⸣クン [ka⸢toŋ⸣kuŋ] 自動 {Mn_2}横になる。 ⸣アブジェー ⸢トゥーシ⸣ナ カ⸢トン⸣キ ⸢オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ⸢tuːʃi⸣na kḁ⸢toŋ⸣ki ⸢ʔoː⸣ru] (お祖父さんは縁側で横になっておられる) 4495 0 0 4270 htmvoc_4495.wav カナ カ⸢ナ [ka⸢na] 名 かんな(鉋)。大工道具の一つ。⸢ヤーザイ⸣ク[⸢jaːʣai⸣ku](家造り大工)、フ⸢ナザイ⸣ク[ɸu⸢naʣai⸣ku](船大工)、サ⸢シ⸣ムヌザイク[sḁ⸢ʃi⸣munuʣaiku](指物細工)等が用いる工具。木材や板の表面を削って平滑にする鉋や溝を作ったり、桶の側面や丸底を削ったりするのに用いるマ⸢ルカナ[ma⸢rukana](丸鉋)などがあった。カ⸢ナッ⸣クル[ka⸢nak⸣kuru](\ruby{鉋屑}{カンナ|クズ})は焚きつけに用いた。「眞鉋持<まかな持ち>『万葉集 1385』、⸢鏟、平\kaeriten{㆑}木鉄也、加奈<かな>」『新撰字鏡』」の転訛したもの。一般の鉋はヒ⸢ラカナ[çi⸢rakana](平鉋、台鉋)という。 ⸢サイク⸣ヌ カ⸢ナ⸣ ス⸢コー⸣ルカー カ⸢ナックル⸣ヌ ナー⸢ナー⸣シ キ⸢モーッ⸣サ ⸣ンジクーン [⸢saiku⸣nu ka⸢na⸣ su̥⸢koː⸣rukaː ka⸢nakkuru⸣nu naː⸢naː⸣ʃi ki⸢moːs⸣sa ⸣ʔnʤikuːŋ] (大工が鉋をかけられると鉋屑が長々と気持ちよく出てくる) 4497 0 0 4271 htmvoc_4497.wav カナ ⸣カナ [⸣kana] 名 織物用の糸を束ねたもの。⸣カシ[⸣kaʃi](経糸)を数える単位。 ⸣カナー ス⸢コーラバル⸣ パ⸢トゥ⸣ムノー タ⸢ティラ⸣リ [⸣kanaː su̥⸢koːrabaru⸣ pḁ⸢tu⸣munoː tḁ⸢tira⸣ri] (経糸を作って始めて織物は準備できる<立てられる>) 4498 0 0 4272 htmvoc_4498.wav カナ カ⸢ナ [ka⸢na] 名 仮名。平仮名。片仮名。標準語からの借用語。明治29年の鳩間尋常小学校の開設に伴って導入された語であろう。 ク⸢ヌ ジーヤ⸣ ユ⸢ミユーサン⸣バ カ⸢ナ⸣ シキ ッ⸢ふィーリ [ku⸢nu ʤiːja⸣ ju⸢mijuːsam⸣ba ka⸢na⸣ ʃi̥ki f⸢fiːri] (この字は読めないから仮名をつけて<ルビをふって>くれ) 4496 0 0 4273 htmvoc_4496.wav カナー ⸣カナー [⸣kanaː] 固 人名。男子の名。「愛し」の語幹「かな」から転じたもの。「~妻子見波 可奈之久米具之~<~めこ見れば かなしくめぐし~>『万葉集 4106』」の転訛したもの。 ⸣カナーザー [⸣kanaːʣaː] (カナー兄さん)。 ⸣カナンマー [⸣kanammaː] (カナー姉さん)。 ⸣カナー ⸢マー パッ⸣ター [⸣kanaː ⸢maː pat⸣taː] (カナーは何処へ行ったか) 4920 0 0 4274 htmvoc_4920.wav カナー ⸣カナー [⸣kanaː] 副 あそこで。あそこに。指示代名詞⸣カマ[⸣kama](あそこ)に格助詞⸣ナー[naː](で)が下接し、[kama](あそこ)+ [naː](で)→ [kanaː](あそこに)のように融合して形成された語。⸣クナー[⸣kunaː](ここに)、⸣ウナー[⸣ʔunaː](そこに)、⸣カナー[⸣kanaː](あそこに)も同様の音韻変化によって形成されたものである。 ⸣カナー ア⸢サビ⸣バ [⸣kanaː ʔa⸢sabi⸣ba] (あそこで遊べよ)。 ⸢ワー⸣ カナーティ シ⸢グトゥ シー⸣バ [⸢waː⸣ kanaːti ʃi⸢gutu ʃiː⸣ba] (君はあそこで仕事をせよ)。 ⸣ウナー ア⸢サブナ [⸣ʔunaː ʔa⸢sabuna] (そこで遊ぶな) 4502 0 0 4275 htmvoc_4502.wav カナースン カ⸢ナー⸣スン [ka⸢naː⸣suŋ] 他動 叶える。 ウ⸢ムイ⸣ヌサーギ ⸣アルカー ヌ⸢ズミグトー⸣ カ⸢ナーサ⸣リン <カ⸢ナイラ⸣リン> [ʔu⸢mui⸣nusaːgi ⸣ʔarukaː nu⸢ʣumigutoː⸣ ka⸢naːsa⸣riŋ ] (意思や情熱<思い>さえあれば希望は叶えられる)。 カ⸢ナーシ⸣プサン [ka⸢naːʃi⸣ pu̥saŋ] (叶えさせたい)。 ウ⸢ムイ⸣バ カ⸢ナー⸣スンティ ⸣ウムーカー ヤー⸢ディン⸣ カ⸢ナー⸣シ [ʔu⸢mui⸣ba ka⸢naː⸣sunti ⸣ʔumuːkaː jaː⸢diŋ⸣ ka⸢naː⸣ʃi] (希望<思い>を叶えようと思うなら、必ず叶えよ<叶わせ>)。 ウ⸢ムイ⸣バ カ⸢ナー⸣ス ⸣クトー ム⸢チ⸣キサン [ʔu⸢mui⸣ba ka⸢naː⸣su ⸣ku̥toː mu⸢ʧi⸣ki̥saŋ] (希望<思い>を叶えさせることは至難である<難しい>)。 ウ⸢ムイ⸣ヤ カ⸢ナーシェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢mui⸣jaː ka⸢naː⸣ʃeː ⸣misamunu] (思いは叶えればよいのに) 4500 0 0 4276 htmvoc_4500.wav カナーヒーテー ⸣カナーヒーテー [⸣kanaːçiːteː] 名 屋号。兼久 清氏宅。人名の⸣カナー[⸣kanaː](加那)に、接尾語⸣ヒー[⸣çiː](兄さん)が下接して → ⸣カナーヒー[⸣kanaːçiː](カナー兄さん)のように生成された合成語。⸣ヒー[⸣çiː]は糸満方言の、⸣アフィー[⸣ʔaɸiː](兄さん)が転訛したもの。 ⸣カナーヒーテーヤ イ⸢ラカザケーヌ⸣ シンタナーン ⸢アッ⸣タン [⸣kanaːçiːteːja ʔi⸢rakaʣakeːnu⸣ ʃintanaːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (兼久清氏宅は西加治工家の後ろにもあった) 4501 0 0 4277 htmvoc_4501.wav カナーヨー ⸣カナーヨー [⸣kanaːjoː] 名 琉球舞踊の雑踊り一つ、「加那よー天川」のこと。沖縄本島の舞踊が鳩間島にも伝えられている。何時、誰によって伝えられたか明確ではないが、キ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)の奉納舞踊として踊られていた。おそらく比屋根安粥(粥<シュク>{EOS}弼<ヒッ>とも)の頃から沖縄の芸能が鳩間島にも伝えられたであろうが、今日上演されているのは明治27年以後の芝居踊りが伝えられたものと考えられる。鳩間島には、他の古典舞踊の古形が伝承されていることから考えると、古形のカナヨー踊りが比屋根安粥によって伝えられていたかもしれない。彼は1821年首里当蔵に生まれ、天保九年(1838)「戌の御冠船踊方」に加わったという。安政六年(1859)年、39歳の時に綾門前で放歌高吟したかどで八重山に流罪となった『八重山鳩間島民俗誌』という。その流罪先が鳩間島であった(『八重山舞踊勤王流関係論考・資料集』、『沖縄の祭祀と民俗芸能の研究』参照)。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢キョン⸣ギンナー ウ⸢キナー⸣ムニ カー⸢ニ⸣シ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー ムヌ⸣ アン [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢kjoŋ⸣ginnaː ʔu⸢kinaː⸣muni kaː⸢ni⸣ʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buː munu⸣ ʔaŋ] (鳩間島の狂言には、沖縄方言だけで作られているものがある) 4499 0 0 4278 htmvoc_4499.wav カナアミ カ⸢ナアミ [ka⸢naʔami] 名 金網。標準語からの借用語。老年層はカ⸢ニアン[ka⸢niaŋ](金網)という。 カ⸢ナアミ⸣シ カ⸢コーリ ベーン⸣ トンマー ア⸢ミリカグン⸣ヌ ⸣キチ [ka⸢naʔami⸣ʃi kḁ⸢koːri beːn⸣ tommaː ʔa⸢mirikagun⸣nu ki̥ʧi] (金網で囲われている所はアメリカ軍の基地だ) 4503 0 0 4279 htmvoc_4503.wav カナイ ⸣カナイ [⸣kanai] 名 地租。小作料。税金。「かなひ」(貢租)『おもろさうし』。 ⸣カナイ ⸢オーサン⸣カー ナ⸢ラン⸣ティ ⸢シール⸣ ティ⸢ダ⸣ヌ ウ⸢ティ⸣ルンケン パ⸢タラコーッ⸣タツォー [⸣kanai ⸢ʔoːsaŋ⸣kaː na⸢ran⸣ti ⸢ʃiːru⸣ ti⸢da⸣nu ʔu⸢ti⸣ruŋkem pḁ⸢tarakoːt⸣taʦoː] (地租を払わないといけないといって太陽が沈むまで働かれたそうだ) 4504 0 0 4280 htmvoc_4504.wav カナイウシ カ⸢ナイ⸣ウシ [ka⸢nai⸣ʔuʃi] 名 体力のあってよく働く牛。 ⸢ウン⸣ネーナー カ⸢ナイウシ⸣ヌ ⸢ブンダ ターシグ⸣トー イッ⸢ケナ⸣ ラク ⸢ヤッタ [⸢ʔun⸣neːnaː ka⸢naiʔuʃi⸣nu ⸢bunda taːʃigu⸣toː ʔik⸢kena⸣ raku ⸢jatta] (あの家には体力のある、よく働く牛がいるので、田圃仕事は非常に楽だった) 4505 0 0 4281 htmvoc_4505.wav カナイジー ⸣カナイジー [⸣kanaiʤi] 名 自力で開墾した貢租田。「かなひ・ぢ」(貢租地)の義か。近世八重山では、人頭税納入の義務を負う年齢になると⸢ウイ⸣カダー[⸢ʔui⸣kadaː](公用田)から、本田約一反歩と苗代田約一畝歩を配分して与え、その収穫を人頭税として納入させた。その不足を自力開田した田地からの租税収穫で補ったという『石垣方言辞典』。 アッパター ⸢バー⸣ケー ⸣カナイジーヤ ア⸢リ⸣オーッタ [ʔappataː⸢baː⸣keː ⸣kanaiʤiːja ʔa⸢ri⸣oːtta] (お祖母さんたちまでは⸣カナイジー{SqBr}⸣kanaiʤiː{/SqBr}<新田貢租の田地>はございました<有っておられた>)。人頭税時代に割り当てられた上納田。 ⸢イー⸣ネヌ ⸣アッパー ⸣カナイジーヤ マ⸢ナ⸣マン アン⸢ダー [⸢ʔiː⸣nenu ⸣ʔappaː ⸣kanaiʤiːja ma⸢na⸣maŋ ʔan⸢daː] (西隣のお祖母さんの上納田は今もあるよ) 4506 0 0 4282 htmvoc_4506.wav カナイシキプス ⸣カナイ シ⸢キ⸣プス [⸣kanai ʃi̥⸢ki⸣pu̥su] 連 納税の義務を負う人。「貢租・付き・人」の義。 ⸢ジュー⸣ゴー ⸣ナルカー ビ⸢キドゥモー⸣ カナイ シ⸢キ⸣プス ナ⸢ローッ⸣タツォー [⸢ʤuː⸣goː ⸣narukaː bi⸢kidumoː⸣ kanai ʃi̥⸢ki⸣pu̥su na⸢roːt⸣taʦoː] (十五歳になったら男は納税の義務を負う人になられたそうだ) 4507 0 0 4283 htmvoc_4507.wav カナイヌーヌ ⸣カナイヌーヌ [⸣kanainuːnu] 名 貢納布。苧麻布を晒して白布に仕上げたもの。芭蕉布。 ム⸢カ⸣シェー ⸣カナイヌーノー ス⸢ナカナー⸣ル サ⸢ラソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣kanainuːnoː su⸢nakanaː⸣ru sa⸢rasoːt⸣taʦoː] (昔は貢納布は海で晒されたそうだ) 4508 0 0 4284 htmvoc_4508.wav カナイプス カ⸢ナイ⸣プス [ka⸢nai⸣pu̥su] 名 万能な人。何でも上手に出来る賢い人。知力、体力、気力、技量の備わった有能な人。「叶い人」の義。 ⸢ウン⸣ネーナー カ⸢ナイプス⸣ヌ ⸢オー⸣レーティ ⸢ターシグ⸣トゥン イ⸢ソーシグトゥン⸣ プ⸢スヌ⸣ バイ ⸢モーキ ンザ⸣ソーリ ウ⸢ヤ⸣キパンジョー ⸢シーオー⸣ル [⸢ʔun⸣neːnaː ka⸢naipu̥su⸣nu ⸢ʔoː⸣reːti ⸢taːʃigu⸣tuŋ ʔi⸢soːʃigutum⸣ pu̥⸢sunu⸣ bai ⸢moːki ʔnʣa⸣soːri ʔu⸢ja⸣kipanʤoː ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (その家には優れて有能な人が居られるので、田仕事にも漁業<磯辺の漁労>にも他の人の倍も儲け出されて富貴繁盛しておられる) 4509 0 0 4285 htmvoc_4509.wav カナイムヌ ⸣カナイムヌ [⸣kanaimunu] 名 有能な若者。体力、知力のある人。やり手。「叶い者」の義。 フ⸢チカナイ⸣ムヌ [ɸu̥⸢ʧikanai⸣munu] (口達者な人{EOS}雄弁家)。 カ⸢ナイムヌ⸣ヌ ⸢ブー ヤー⸣ヤ シ⸢グトゥン⸣ イッ⸢ケナ⸣ ハ⸢バ⸣クン [ka⸢naimunu⸣nu ⸢buː jaː⸣ja ʃi⸢gutuŋ⸣ ʔik⸢kena⸣ ha⸢ba⸣kuŋ] (体力があって、腕利きの若者がいる家は仕事も非常に\ruby{捗}{ハカド}る) 4510 0 0 4286 htmvoc_4510.wav カナイルン カ⸢ナイ⸣ルン [ka⸢nai⸣ruŋ] 自動 交尾する。つるむ。犬、猫、牛、馬、豚などが交尾することにいう。普通は、⸣ズブン[⸣ʣubuŋ](つるむ{EOS}交尾する)という。 イ⸢キムシ⸣ヌ カ⸢ナイジブン⸣マー ⸢ミー⸣ムノー ミ⸢シララ⸣ヌ ⸢アーリス [ʔi⸢kimuʃi⸣nu ka⸢naiʤibum⸣maː ⸢miː⸣munoː mi⸢ʃirara⸣nu ⸢ʔaːrisu] (動物<生き虫>の発情期には雌は見せられない{EOS}気性が荒くなって暴れる)。 ⸢イン⸣マー ⸢マーン⸣ナティーン カ⸢ナイ⸣ルン [⸢ʔim⸣maː ⸢maːn⸣natiːŋ ka⸢nai⸣ruŋ] (犬は何処でも交尾する)。 マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣フヤー ⸢スー⸣カー カ⸢ナイ⸣ル ジ⸢キ [ma⸢ja⸣nu ⸣ɸujaː ⸢suː⸣kaː ka⸢nai⸣ru ʤi⸢ki] (猫が鳴き騒ぐと発情して交尾する時期だ) 4511 0 0 4287 htmvoc_4511.wav カナイルン カ⸢ナイ⸣ルン [ka⸢nai⸣ruŋ] 他動 叶える。適える。願いを成就させる。 ⸢ワー⸣ ヌ⸢ズミ⸣ カ⸢ナイ⸣ルンティ イ⸢ジ⸣ンジ パ⸢タラキ ベー⸣ンドゥ カ⸢ナイララン⸣カー ⸢ヌー⸣スワ [⸢waː⸣ nu⸢ʣumi⸣ ka⸢nai⸣runti ʔi⸢ʤi⸣ʔnʤi pḁ⸢taraki beː⸣ndu ka⸢nairaraŋ⸣kaː ⸢nuː⸣suwa] (君の願いを叶えようと意地を出して働いているが、叶えられなければどうしようか)。 ヌ⸢ズミ⸣ カ⸢ナイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [nu⸢ʣumi⸣ ka⸢nai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (望みを叶えることは出来ない) 4512 0 1 4288 htmvoc_4512.wav カナウン ⸣カナウン [⸣kanauŋ] 自動 {Mn_1}叶う。匹敵する。相手に勝つ。優れている。 ⸢ワー アウ⸣タンティン ウ⸢リンマー⸣ カ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː ʔau⸣tantiŋ ʔu⸢rimmaː⸣ ka⸢naː⸣nu] (君は喧嘩しても彼<その人>には勝てない<叶わない>)。 カ⸢リトゥ キッ⸣ス ⸢スー⸣カー ⸣カナウンカヤー [ka⸢ritu kis⸣su ⸢suː⸣kaː ⸣kanauŋ ⸣kajaː] (彼と競争したら勝てる<叶う>かなあ)。 カ⸢ナイン⸣ギサン [ka⸢naiŋ⸣gisaŋ] (勝ちそうだ<叶いそうだ>)。 カ⸢リトゥ⸣ カナウ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ka⸢ritu⸣ kanau pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼に勝つ<叶う>人はいない)。 ⸢ワーンツァン⸣ カ⸢ナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢waːnʦaŋ⸣ ka⸢nai⸣jaː ⸣misamaunu] (君だけでも叶えば<勝てば>よいのに)。 4512 0 2 4289 htmvoc_4512.wav カナウン ⸣カナウン [⸣kanauŋ] 自動 {Mn_2}立派に条件が揃っている。適合する。しっかりしている。「~月待者 潮毛可奈比沼 今者許芸乞菜<~月待てば潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな>『万葉集 8』」の義。 ⸢スー⸣ヤ カ⸢ナイ⸣ブンダ ⸣フネー ン⸢ザサ⸣リン [⸢suː⸣ja ka⸢nai⸣bunda ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasari⸣su] (潮は十分に満ちているから船は出港できる<出される>) 4513 0 0 4290 htmvoc_4513.wav カナカキ カ⸢ナ⸣カキ [ka⸢na⸣kaki] 名 琉球古典女踊⸢カセカケ」の鳩間島独特の名称。ウ⸢キナーブドゥル⸣ヌ カ⸢シカキ⸣バ パ⸢トゥ⸣マナテー カ⸢ナ⸣カキティ ア⸢ズ⸣ツォー[ʔu⸢kinaːbuduru⸣nu kḁ⸢ʃikaki⸣ba pḁ⸢tu⸣manateː ka⸢na⸣kḁkiti ʔa⸢ʣu⸣ʦoː](沖縄古典舞踊のカセカケを鳩間ではカナカキというそうだ)『沖縄の祭祀と民俗芸能の研究』大城學著 4514 0 0 4291 htmvoc_4514.wav カナケー カ⸢ナ⸣ケー [ka⸢na⸣kaː] 名 屋号。兼久英吉氏宅。鳩間村四班の村中にある。トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利三益氏宅)の前隣、ウ⸢ブバ⸣カヤー[ʔu⸢buba⸣kajaː](大若屋{EOS}加治工太郎氏宅)の西隣にある家。昭和40年ごろに石垣島へ引っ越された。「本年、八重山島鳩間村の兼久仁也の功労を褒嘉して爵位を賞賜す(尚灝王即位元年{EOS}大清嘉慶九年甲子)」『球陽 読み下し編』とある 4515 0 0 4292 htmvoc_4515.wav カナケヌサンドーザーテー カ⸢ナ⸣ケヌ ⸢サン⸣ドーザーテー [ka⸢na⸣kenu ⸢san⸣doːʣaːteː] 連 屋号。兼久三戸氏宅。兼久家からの分家。鳩間島の東村一斑にあった家。昭和40年とに石垣島へ引っ越された 4521 0 0 4293 htmvoc_4521.wav カナサ カ⸢ナ⸣サ [ka⸢na⸣sa] 名 (人)女性の名前。「愛し<かなし>。可奈之久米久之~『万葉集 4106』」の転訛したもの。 カ⸢ナ⸣サンマ [ka⸢na⸣sammaː] (カナサ姉さん)。 ⸢ワッ⸣テヌ カ⸢ナ⸣サンマー ⸣ミサナリ ⸢オールン [⸢wat⸣tenu ka⸢na⸣sammaː ⸣misanari ⸢ʔoːruŋ] (お宅のカナサ姉さんはお元気でいらっしゃいますか) 4520 0 0 4294 htmvoc_4520.wav カナサイジ カ⸢ナサイジ [ka⸢nasaʔiʤi] 名 愛情のある叱り方。「愛しさ・叱り」の義。 ⸢ワーヨー ニッ⸣ふァーテー ア⸢ラ⸣ヌ{EOS}カ⸢ナサイジル ソーリ⸣バ ⸢ニッ⸣ターン ⸢サンドー⸣シ シ⸢キ⸣バ⸢ヨー [⸢waːjoː nif⸣faːteː ʔa⸢ra⸣nu{EOS}ka⸢nasaʔiʤiru soːri⸣ba ⸢nit⸣taːn ⸢sandoː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ba⸢joː] (君が憎いからではない{EOS}可愛いから叱り<可愛さ叱りを>なさるのだから、妬ましく思わないで<恨まないで>聞きなさいねえ) 4522 0 0 4295 htmvoc_4522.wav カナサスン カ⸢ナ⸣サ ⸢スン [ka⸢na⸣sa ⸢suŋ] 連 可愛がる。愛する。あたらしく<可惜しく>思う。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ アブジ ⸣アッパーン イッ⸢ケナ⸣ ア⸢タラ⸣サ ⸣カナサ シ⸢ラリ⸣ ス⸢ダティラ⸣レーン⸢ダー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔabuʤi ʔappaːŋ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢tara⸣sa ⸣kanasa ʃi⸢rari⸣ su⸢datira⸣reːn⸢daː] (この子はお祖父さんお祖母さんに非常に慈しまれ可愛がられて育てられたんだよ)。 プ⸢スヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ナ⸣サ ⸢スン⸠ダー [pu̥⸢sunu⸣ f⸢fa⸣ ja⸢rundu⸣ ʔik⸢kena⸣ ka⸢na⸣sa ⸢sun⸠daː] (他人の子供であるが非常に可愛がるよ) 4523 0 0 4296 htmvoc_4523.wav カナサビ カ⸢ナサビ [ka⸢nasabi] 名 かなさび(金錆)。 ヌ⸢キ⸣ル カ⸢ナン⸣ドーレー カ⸢ナサビ ホーサン⸣スコーニ ⸣アバ ッ⸢スリ⸣ シキバ [nu⸢ki⸣ru ka⸢nan⸣doːreː ka⸢nasabi hoːsan⸣su̥koːni ⸣ʔaba s⸢suri⸣ ʃi̥kiba] (鋸や鉋など金錆がつかぬ<金錆喰わぬ>よう、油を塗りつけて<油で拭いて>おきなさい) 4524 0 0 4297 htmvoc_4524.wav カナサマリ カ⸢ナサマリ [ka⸢nasamari] 名 生来の可愛い性格。生まれつき人に可愛がられる性格。「愛しさ・生まれ」の義。⸢ニッふァマリ[⸢niffamari](生来の憎まれやすい性格)の対義語。 カ⸢ナサマリ シーブ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァ ヤ⸢ルンダ⸣ ムー⸢ロー⸣ラ ア⸢タラ⸣サ シ⸢ラリ ベーン⸣ティ [ka⸢nasamari ʃiːbu⸣ mi⸢doːn⸣ffa ja⸢runda⸣ muː⸢roː⸣ra ʔa⸢tara⸣sa ʃi⸢rari beːn⸣ti] (生まれつき他人に可愛がられる性格をしている女の子だから、皆から可愛がられ大切にされているさ、ほらごらんよ) 4519 0 0 4298 htmvoc_4519.wav カナサン カ⸢ナ⸣サン [ka⸢na⸣saŋ] 形 可愛い。愛らしい。いとしい。「~可奈之久米具之(カナシクメグシ)~。万、4106」の「可奈之」の転訛したもの。 カ⸢ナ⸣サル ⸣ナカー ム⸢チ⸣ウティヨー [ka⸢na⸣saru ⸣nakaː mu⸢ʧi⸣ʔutijoː] (可愛いと思えばこそ鞭打って教えなさいよ)。 タ⸢キ⸣ヌ タ⸢ラーン ッふァ ユイル⸣ ウヤー カ⸢ナ⸣サー ⸢ソー⸣ル [tḁ⸢ki⸣nu ta⸢raːn ffajuiru⸣ ʔujaː ka⸢na⸣sa ⸢soː⸣ru] (出来の悪い子<丈の足りない子>ゆえに却って親には可愛く思われる<可愛くされる>)。 ッ⸢ふァヌ⸣ シ⸢ナ⸣ー ⸢ベー⸣ティル カ⸢ナ⸣サン ⸣アタラサン ⸢ソー⸣ル⸢ダー [f⸢fanu⸣ ʃi⸢na⸣ː ⸢beː⸣tiru ka⸢na⸣saŋ ⸣ʔatarasaŋ ⸢soː⸣ru⸢daː] (子供が幼いからこそ可愛いとも、いとしいとも思われる<なされる>のだ) 4525 0 0 4299 htmvoc_4525.wav ガナシ -ガ⸢ナ⸣シ [-ga⸢na⸣ʃi] 接尾 ~さま(様)。神仏や尊敬する人に対して、敬愛の意を表す接尾辞。ウ⸢ブトゥム⸣ル ⸣カミガ⸢ナ⸣シ ⸣アミ ブ⸢シャ⸣ヌ[ʔu⸢butumu⸣ru kamiga⸢na⸣ʃi ⸣ʔami bu⸢ʃa⸣nu](大友利御嶽の御神様、雨が欲しくて<雨を降らしてください>)/パ⸢トゥ⸣マティル シ⸢マ⸣ヤヨー バ⸢ケナー ネヌ⸣ シ⸢マ⸣ヤリヨー ⸢ハーリ⸣ ア⸢ミ⸣タボリ ⸢リュー⸣ガナシ[pḁ⸢tu⸣matiru ʃi⸢ma⸣jajoː ba⸢kenaː nenu⸣ ʃi⸢ma⸣jarijoː ⸢haːri⸣ ʔa⸢mi⸣tabori ⸢rjuː⸣ganaʃi](鳩間という島は湧き泉のない島だから、ハーリ雨を降らしてください竜神様)/「降雨願歌、ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui]<雨乞歌>」『鳩間島古典民謡古謡集』。 ピ⸢ナカンガナシ [pi⸢nakaŋganaʃi] (火の神様)。 ウシュンガ⸢ナ⸣シェーマイ [ʔuʃuŋga⸢na⸣ʃeːmai] (国王様{EOS}「国王ガナシ前」の義)。 ウ⸢ヤガナ⸣シ [ʔu⸢jagana⸣ʃi] (親ガナシ<親様>) 4526 0 0 4300 htmvoc_4526.wav カナシェーマ カ⸢ナシェー⸣マ [ka⸢naʃeː⸣ma] 名 可愛い子。いとしい子。幼児に深い愛情を込めて呼びかける言葉。 カナシェー⸢マー⸣ アドーラ ⸢タンガ⸣シ キーッ⸢シー ボー⸣レー⸢ドー [kanaʃeː⸢maː⸣ ʔadoːra ⸢taŋga⸣ʃi kiːʃ⸢ʃiː boː⸣reː⸢doː] (可愛い子<いとし子>よ、あんなに遠くから一人で来ることが出来て、お利口さんだよ) 4516 0 0 4301 htmvoc_4516.wav カナシキ カ⸢ナシキ [ka⸢naʃi̥ki] 名 鉋かけ。「鉋突き」の義。「鏟、平\kaeriten{㆑}木鉄也、加奈<カナ>『新撰字鏡』の転訛したもの。⸢真かな持ち弓削の河原の~」『万葉集 1385』の義。 カ⸢ナシキ ピー⸣チ ⸣ミル ⸣ブンシ ⸢サイク⸣ヌ ⸢ティー⸣ヤ ワ⸢カ⸣ルンティ⸢ダー [ka⸢naʃi̥ki piː⸣ʧi ⸣miru ⸣buŋʃi ⸢saiku⸣nu ⸢tiː⸣ja wa⸢ka⸣runti⸢daː] (鉋掛け一つ見るだけで大工の技量<腕>が分かるそうだよ) 4517 0 0 4302 htmvoc_4517.wav カナシキグル カ⸢ナシキグル [ka⸢naʃikiguru] 名 \ruby{鉋屑}{カンナ|クズ}。カ⸢ナッ⸣クル[ka⸢nak⸣kuru](鉋屑)ともいう。 カ⸢ナシキグル⸣ ア⸢ツァ⸣ミキー ⸣ピー ⸢タシキ⸣バ [ka⸢naʃikiguru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mikiː ⸣piː ⸢taʃiki⸣ba] (鉋屑を集めてきて火を\ruby{熾}{オコ}して焚きつけよ) 4518 0 0 4303 htmvoc_4518.wav カナシキスン カ⸢ナシキ スン [ka⸢naʃi̥ki suŋ] 連 鉋かけをする。 ⸣ムヤーバラーヌ カ⸢ナシキ スン [⸣mujaːbaraːnu ka⸢naʃi̥ki suŋ] (母屋柱の鉋掛けをする) 4527 0 0 4304 htmvoc_4527.wav カナジル カ⸢ナジル [ka⸢naʤiru] 名 「金汁」の義。水田に滲出する炭鉱排水のような金錆色の水。この水が出ると稲の発育が遅れるといって心配した。 カ⸢ナジルヌ⸣ ウリティル ⸢マイヤー ムイラン⸣バン [ka⸢naʤirunu⸣ ʔuritiru ⸢maijaː muiram⸣baŋ] (金汁が滲出して稲は発育が遅れている<発育しない>よ) 4528 0 0 4305 htmvoc_4528.wav カナダライ カ⸢ナダライ [ka⸢nadarai] 名 金属製の盥。「金盥」の義。標準語からの借用語。戦後ジュラルミンや亜鉛などで製造されたものが出回った。木製の盥は重く、乾燥すると水漏れすることもあったが、金属製の盥は軽くて普及するのが早かった。 ⸢キン⸣マー カ⸢ナダライ⸣ナー イ⸢リティ⸣ サ⸢フン⸣シ ア⸢ラシティ⸣バ [⸢kim⸣maː ka⸢nadarai⸣naː ʔi⸢riti⸣ sḁ⸢ɸuŋuŋ⸣ʃi ʔa⸢raʃi̥ti⸣ba] (着物は金盥に入れて石鹸で洗いなさいよ) 4529 0 0 4306 htmvoc_4529.wav カナックル カ⸢ナッ⸣クル [ka⸢nak⸣kuru] 名 かんなくず(鉋屑)。「鉋突き殻」の転訛したもの。木材や板に鉋をかける時に出る紙のような薄い削り屑。これを集めて焚き付けにした。 ⸢ヤースクリ⸣ヤーラ カ⸢ナッ⸣クル ⸢イー⸣リキー ⸢ピータシ⸣キ ⸢シー⸣バ [⸢jaːsu̥kuri⸣jaːra ka⸢nak⸣kuru ⸢ʔiː⸣rikiː ⸢piːtaʃi̥⸣ki ⸢ʃiː⸣ba] (新築の家<家造り家>から鉋屑を貰ってきて焚き付けにしなさいよ) 4806 0 0 4307 htmvoc_4806.wav カナックル カ⸢ナッ⸣クル [ka⸢nak⸣kuru] 名 こも(薦)や蓆を編む編み機の錘。カナックルには薦や蓆を編む縄を巻き取ってあり、編み進めながら縄を繰り出すようになっている。 ⸣ヤマナー バ⸢ラフ⸣タ ⸣シキティ カ⸢ナッ⸣クル ⸣ムタイ ⸣カマンター ⸣クマンターニ ⸢ウーカ⸣シェーティル ⸣ムソー フ⸢モーッ⸣タ [⸣jamanaː ba⸢raɸu⸣ta ⸣ʃi̥kiti ka⸢nak⸣kuru ⸣mutai ⸣kamantaː ⸣kumantaːni ⸢ʔuːka⸣ʃeːtiru ⸣musoː ɸu⸢moːt⸣ta] (織機に稲藁を置いてカナックルを持ち上げて反対側へこちら側へと移動させながら蓆は編まれた) 4530 0 0 4308 htmvoc_4530.wav カナドゥク カ⸢ナドゥク [ka⸢naduku] 名 かなとこ(金床)。かなしき(金敷)。鍛冶屋道具の一つ。板金作業をする際の鋼鉄製の台。 カ⸢ナドゥクヌ ナーン⸣カー ⸢カンザヤー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢nadukunu naːŋ⸣kaː ⸢kanʣajaː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (金床が無いと鍛冶屋の仕事は出来ない) 4531 0 0 4309 htmvoc_4531.wav カナノコ カ⸢ナノコ [ka⸢nanoko] 名 金属を切る鋸。借用語。「金鋸」の義。沖縄の慶良間や本部、久米島から発動汽船がカツオ漁船として導入されて後に、この金鋸は導入されたという。 カ⸢ナノコ⸣シェー カ⸢ニフンヌン⸣ キ⸢サ⸣リンダ ミ⸢ジラ⸣サン⸢ツォー [ka⸢nanoko⸣ʃeː ka⸢niɸunnuŋ⸣ ki̥⸢sa⸣rinda mi⸢ʤira⸣san⸢ʦoː] (金鋸では釘も切れるからめずらしいんだよ) 4532 0 0 4310 htmvoc_4532.wav カナパイ カ⸢ナパイ [ka⸢napai] 名 鍬。鉄製の平鍬。「くはい 鍬之事、(坤・器材)『混効験集』、」の義。朝鮮語のxomɐi(鋤)と同源という『岩波 古語辞典』。⸢キー⸣パイ[⸢kiː⸣pai](木製の鍬{EOS}水田専用の鍬{EOS}戦後の1962年まで西表島の鳩間の水田耕作に使用していた)の対義語。カ⸢ナパイは畑を耕すのに用いる鍬。平鍬は畑に雨が降ると粘土質の土が鍬の耳の辺りに粘着し、鍬が重くなるので、鍬を振り上げるのに力を要し、疲れやすかった。⸢ミーマタカナパイ[⸢miːmatakanapai](三叉金鍬)は、単に⸢ミーマタともいう。フ⸢タマタカナパイ[ɸu̥⸢tamatakanapai](二叉金鍬)は、単にフ⸢タマタともいう。これら三叉鍬や二叉鍬は石ころの多い畑で使用された鍬である。鍬の構造は、カ⸢ナパイヌ⸣ ミン[ka⸢napainu⸣ miŋ](鍬の耳{EOS}柄を取り付けるところ)、カ⸢ナパイヌ⸣ パー[ka⸢napainu⸣ paː](鍬の刃)、カ⸢ナパイヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル[ka⸢napainu⸣ su⸢bu⸣ru](鍬の頭部)、カ⸢ナパイヌ ユイ[ka⸢napainu jui](鍬の柄)の部分から成リ立っている 4533 0 0 4311 htmvoc_4533.wav カナパイヌスブル カ⸢ナパイヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル [ka⸢napainu⸣ su⸢bu⸣ru] 連 鍬の頭。 カ⸢ナパイヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルシ ム⸢ラシ⸣ バ⸢リ⸣バ [ka⸢napainu⸣ su⸢bu⸣ruʃi mu⸢raʃi⸣ ba⸢ri⸣ba] (鍬の頭で土塊を割れよ<土塊を細かく割れ>) 4534 0 0 4312 htmvoc_4534.wav カナパイヌパー カ⸢ナパイヌ⸣ パー [ka⸢napainu⸣ paː] 連 鍬の刃先。 カ⸢ナパイヌ⸣ パー ⸣トゥイバ [ka⸢napainu⸣ paː ⸣tuiba] (鍬の刃先を研ぎなさい) 4536 0 0 4313 htmvoc_4536.wav カナパイヌミン カ⸢ナパイヌ⸣ ミン [ka⸢napainu⸣ miŋ] 連 鍬の耳。鍬の柄を装着する所。 カ⸢ナパイヌ⸣ ミンナー ⸢ユイ⸣ ヌ⸢キティ⸣ ッ⸢サビ ホー⸣シバ [ka⸢napainu⸣ minnaː ⸢jui⸣ nu⸢kiti⸣ s⸢sabi hoː⸣ʃiba] (鍬の耳に柄を貫き通して楔を入れ<楔を食わせて固定し>ろ) 4535 0 0 4314 htmvoc_4535.wav カナパイヌユイ カ⸢ナパイヌ ユイ [ka⸢napainu jui] 連 鍬の柄。 カ⸢ナパイヌ ユイ スイラン⸣ノーレー [⸢kanapainu jui suiran⸣noːreː] (鍬の柄を据えつけてくれないか<据えないか>) 4542 0 0 4315 htmvoc_4542.wav カナバル カ⸢ナバル [ka⸢nabaru] 名 唇や足の踵のあかぎれ(皸)。寒い冬に唇や足の踵の皮膚にできるきれつ(皸裂)。老年層は、カ⸢ラバル[ka⸢rabaru](あかぎれ<皸>)という。 ⸢パン⸣ヌ ⸣アトゥ カ⸢ナバル⸣ シ⸢ティ⸣ ヤ⸢ミ⸣ス [⸢pan⸣nu ⸣ʔatu ka⸢nabaru⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ja⸢mi⸣su] (足の踵があかぎれ<皸>して痛む<病む>) 4543 0 0 4316 htmvoc_4543.wav カナバル カ⸢ナバル [ka⸢nabaru] 名 夕顔(瓢箪)の成熟果実の果肉を取りり去って乾燥して作った容器。水筒などに用いた。ひさご。 カ⸢ナバル⸣ナー ミ⸢ジェー⸣ イ⸢リティ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸣ムティ ⸢パッ⸣タ [ka⸢nabaru⸣naː mi⸢ʤeː⸣ ʔi⸢riti⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸣muti ⸢pat⸣ta] (瓢箪の容器に水を入れて畑に持っていった) 4538 0 0 4317 htmvoc_4538.wav カナミ カ⸢ナミ [ka⸢nami] 名 かなめ(要)。最重要なもの。 ⸢キョーダイ⸣ヤ サ⸢クシ⸣ル カ⸢ナ⸣ミ⸠ダー [⸢kjoudai⸣jaː sḁ⸢kuʃi⸣ru ka⸢nami⸠daː] (兄弟は長男が要だよ) 4544 0 0 4318 htmvoc_4544.wav カナミ カ⸢ナミ [ka⸢nami] 名 義理。「要」の義か。 カ⸢ナミヌ ナー⸣ン ⸢ニンギン⸣マー ⸢マーパカラサー ナー⸣ヌ [ka⸢minu naː⸣n ⸢niŋgim⸣maː ⸢maːpakarasaː naː⸣nu] (義理のない人間は無能な人間で信頼できない{EOS}愚か者である) 4537 0 0 4319 htmvoc_4537.wav カナミー カ⸢ナミー [ka⸢namiː] 名 ⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)の帆柱の先端にある、ミ⸢ナー[mi⸢naː](水縄)を通す金具の穴。真鍮製の輪のついたキャップを帆柱の先端部に填めたもの。「金目」の義か。 ミ⸢ナーヤ⸣ カ⸢ナミーラ トゥー⸣シティ ⸢プー⸣ ピ⸢キ⸣バ [mi⸢naːja⸣ ka⸢namiːra tuː⸣ʃi̥ti ⸢puː⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (\ruby{水縄}{ミ|ナワ}は帆柱の金具の穴に通して帆を張り<引き上げ>なさいよ) 4539 0 0 4320 htmvoc_4539.wav カナムヌ カ⸢ナムヌ [ka⸢namunu] 名 金物。金属製の器具。家具に取り付ける金具。 カ⸢ナムノー⸣ ノー⸢ン⸣ イ⸢サンケーラ⸣ル ⸢カイクー⸣タ [ka⸢namunoː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʔi⸢saŋkeːra⸣ru ⸢kaikuː⸣ta] (金物は何でも石垣から買ってきた) 4545 0 0 4321 htmvoc_4545.wav カナムヌドーング カ⸢ナムヌドーング [ka⸢namunudoːŋgu] 名 金物。金属製の器具。「金物道具」の義。 カ⸢ナムヌドーンゴー⸣ ス⸢ローサバ⸣ル シ⸢グトー⸣ パ⸢ジミラリ [ka⸢namunudoːŋgoː⸣ su⸢roːsaba⸣ru ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢ʤimirari] (金物道具<金属製の器具類>を揃えないと<揃えてこそ>仕事は始められない<仕事は始められる>) 4540 0 0 4322 htmvoc_4540.wav カナムヌヤー カ⸢ナムヌヤー [ka⸢namunujaː] 名 金物屋。金物店。 ⸣ナビカマーン イ⸢サンケーヌ⸣ カ⸢ナムヌヤー⸣ナ ⸢ギール カイクー⸣タ [⸣nabikamaːŋ ʔi⸢saŋkeːnu⸣ ka⸢namunujaː⸣na ⸢giːru kaikuː⸣ta] (鍋・釜も石垣の金物屋に行って買ってきた) 4547 0 0 4323 htmvoc_4547.wav カニ カ⸢ニ [ka⸢ni] 名 鉄。金、銀、銅など。金属の総称。「金<かね>」の義。「鉄、クロガネ」『類聚名義抄』の転訛したもの。/カ⸢クガニバ⸣ パ⸢ラー⸣バ ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティスー ウ⸢リユー ミュー⸣ナーキャームイ[ka⸢kuganiba⸣ pa⸢raː⸣ba ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔantisuː ʔu⸢rijuː mjuː⸣naːkjaːmui](四角の鉄鋼材を柱にして家を造ってあるという{EOS}それを見なければ)「新室寿ぎ歌アーパーレー<ナガミク>」『鳩間島古典民謡古謡集』 4548 0 1 4324 htmvoc_4548.wav カニ カ⸢ニ [ka⸢ni] 名 {Mn_1}鐘。 ウ⸢タン⸣ カ⸢ネー ナーラヌ [ʔu⸢taŋ⸣ ka⸢neː ⸢naːranu] (打たない鐘はならない<言わぬ言葉が出るわけがない>諺)。 ティ⸢ラヌ⸣ カ⸢ニ [ti⸢ranu⸣] (寺の鐘)。 4548 0 2 4325 htmvoc_4548.wav カニ カ⸢ニ [ka⸢ni] 名 {Mn_2}銅鑼。 ドゥ⸢ラーンガニ [du⸢raːŋgani] (銅鑼)。 4548 0 3 4326 htmvoc_4548.wav カニ カ⸢ニ [ka⸢ni] 名 {Mn_3}時鐘。 ⸢ガッコー⸣ヌ カ⸢ニ ナーラスン [⸢gakkoː⸣nu ka⸢ni naːrasuŋ] (学校の鐘を鳴らす)。 カ⸢ニヌ ナールン [ka⸢ninu naːruŋ] (鐘が鳴る)。 カ⸢ニヌ ナール⸣カー ⸢ガッ⸣コー パ⸢ジマルン [ka⸢ninu naːru⸣kaː ⸢gak⸣koː pa⸢ʤimaruŋ] (鐘が鳴ったら学校が始まる) 4549 0 0 4327 htmvoc_4549.wav カニ カ⸢ニ [ka⸢ni] 名 義理。正常な直感。基準となる感覚。「勘」の転訛したもの。 ⸣トゥシ トゥ⸢ローッ⸣ター カ⸢ニ パンツォー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢roːt⸣taː ka⸢ni panʦoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (年をとられたので耄碌されて<基準となる感覚、勘が外れて>しまわれた)。 カ⸢ニパンチムヌ [ka⸢nipanʧimunu] (耄碌した者)。 カ⸢ニパンチムニ [ka⸢nipanʧimuni] (筋の通らない言葉{EOS}基準となる感覚、勘の外れた、耄碌した物言い) 4552 0 0 4328 htmvoc_4552.wav ガニ ⸣-ガニ [⸣-gani] 接尾 接尾敬称辞。童名について敬意を表す。「かね 童名の下に付ける詞。たとへは太郎かね松かね之類也」『混効験集(坤・言語)』。/松金<マチィンガニ>ヌ イーハーイ(囃) マイフナ ヤタディヤ ヤーラムチィ ムチヤイ/(松金という 優れ者の 家建ては) マ⸢チン⸣ガニ ⸣ユンタ[ma⸢ʧiŋ⸣gani junta](松金ユンタ)『八重山古謡(上)』。石垣方言からの借用語 4546 0 0 4329 htmvoc_4546.wav カニー ⸣カニー [⸣kaniː] 名 十干の庚<かのえ>、辛<かのと>の日。 ⸢ピーロー⸣ サ⸢キピールヌ⸣ カニーナール トゥ⸢ラ⸣レーティバン⸢ナー [⸢piːroː⸣ sḁ⸢kipiːrunu⸣ kaniː ⸣naːru tu⸢ra⸣reːtiban⸢naː] (日和は先の庚<かのえ>の日に取られたってねえ)。 ⸢ニンガイ⸣グトー ⸣カニーナーン ナ⸢リ⸣スパジェー ア⸢ラン⸣カヤー [⸢niŋgai⸣gutoː ⸣kaniːnaːn na⸢ri⸣su ⸣paʣeː ʔa⸢raŋ⸣kajaː] (祭祀<祈願ごと>は庚・辛の日にも出来るのではないかねえ) 4550 0 0 4330 htmvoc_4550.wav カニアン カ⸢ニアン [ka⸢niʔaŋ] 名 金網。 ウ⸢ヤザ⸣ヌ ⸢ペーリ⸣ ⸣クー ⸣トンマー カ⸢ニアン⸣ パ⸢リシキ⸣リ [ʔu⸢jaʣa⸣nu ⸢peː⸣ri ⸣kuː ⸣tommaː ka⸢niʔaŋ⸣ pa⸢riʃi̥ki⸣ri] (ネズミが入ってくる所は金網を張っておきなさい) 4553 0 0 4331 htmvoc_4553.wav カニガニ カ⸢ニ⸣ガニ [ka⸢ni⸣gani] 副 かねがね(予予)。かねて。以前から。カ⸢ニテー⸣ラ[ka⸢niteː⸣ra](予てから)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー カ⸢ニ⸣ガニ シ⸢キブタンドゥ フン⸣トーテー ウ⸢モーラン⸣シェン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ka⸢ni⸣gani ʃi̥⸢kibutandu ɸun⸣toːteː ʔu⸢moːraŋ⸣ʃeŋ] (その話はかねがね聞いていたけれど、本当とは思え<思われ>なかった) 4554 0 0 4332 htmvoc_4554.wav カニク カ⸢ニ⸣ク [ka⸢ni⸣ku] 名 砂地。土地台帳では、通常は「兼久」と表記される。 ⸣クマー カ⸢ニ⸣ク ヤ⸢ルンダ ウン⸣マー ⸢ミーラヌ [⸣kumaː ka⸢ni⸣ku ja⸢runda ʔum⸣maː ⸢miːranu] (ここは砂地だから芋は実らない) 4555 0 0 4333 htmvoc_4555.wav カニクジー カ⸢ニク⸣ジー [ka⸢niku⸣ʤiː] 名 砂地。 カ⸢ニク⸣ジー ヤ⸢レー⸣ティ ウ⸢ロイ⸣ヌ ⸢サン⸣カー ス⸢クリ⸣ムノー ディ⸢キラン⸣シェン [ka⸢niku⸣ʤiː ja⸢reː⸣ti ʔu⸢roi⸣nu ⸢saŋ⸣kaː su̥⸢kuri⸣munoː di⸢kiraŋ⸣ʃeŋ] (砂地だから、雨が降って湿り気<潤い>がないと作物は稔らなかった) 4557 0 0 4334 htmvoc_4557.wav カニジン カ⸢ニジン [ka⸢niʤiŋ] 名 硬貨。金属で鋳造された貨幣。小銭。カ⸢ビジン[ka⸢biʤiŋ](紙幣)の対義語。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ティマー カ⸢ニジン⸣シ ⸣ミサンヨー カ⸢ビジンマー ゴーラー⸣ルヨー [ja⸢rabi⸣nu ⸣timaː ka⸢niʤiŋ⸣ʃi ⸣misaɲjoː ka⸢biʤimmaː goːraː⸣rujoː] (子供の手間賃は硬貨でいいよ{EOS}紙幣<紙銭>では金額が多いよ)。 カ⸢ビジン⸣ ムティ ⸢ギー⸣ カ⸢ニジン⸣ <⸢クー⸣ジン> ク⸢ラ⸣シ ⸣クー [ka⸢biʤim⸣ muti ⸢giː⸣ ka⸢niʤiŋ⸣ <⸢kuː⸣ʤin> ku⸢ra⸣ʃi ⸣kuː] (紙幣を持っていって、硬貨<小銭>に両替させてきなさい) 4556 0 0 4335 htmvoc_4556.wav カニソー カ⸢ニ⸣ソー [ka⸢ni⸣soː] 名 勘が働くこと。直感が正常であること。正しい判断力があること。⸢ソーカニ[⸢soːkani](正常な勘<判断力>)ともいう。 ⸣トゥシ ⸣トゥルカー ター⸢ン⸣ カ⸢ニ⸣ソー ⸢パンチス [⸣tu̥ʃi ⸣turukaː taː⸢ŋ⸣ ka⸢ni⸣soː ⸢panʧisu] (年を取ったら誰でも勘がはずれる<耄碌する>)。 カ⸢ニ⸣ソー ⸢パンチムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ユー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ka⸢ni⸣soː ⸢panʧimunu⸣ ja⸢runda⸣ juː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (正常な判断の出来ない者だから十分にともいう気をつけなさい) 4558 0 0 4336 htmvoc_4558.wav カニティ カ⸢ニティ [ka⸢niti] 副 かねて。あらかじめ。前もって。「可加良牟等 可祢テ思理世婆~<かからむとかねて知りせば~>『万葉集 3959』」の義。 ⸢ヤン⸣マイ カ⸢カ⸣ル ⸢マイ⸣ヌ カ⸢ニティヌ ヨーゾー⸣ル イッ⸢チン カンユー⸣ティ <⸢カンヌー⸣ティ> ア⸢ザリ ブー [⸢jam⸣mai kḁ⸢ka⸣ru ⸢mai⸣nu ka⸢nitinu joːʣoː⸣ru ʔit⸢ʧiŋ kaɲjuː⸣ti <⸢kannuː⸣ti> ʔa⸢ʣaribuː] (病気<病>に罹る前の、予ての養生こそが一番肝要であるといわれている) 4560 0 0 4337 htmvoc_4560.wav カニナール カ⸢ニナール [ka⸢ninaːru] 名 \ruby{甲高}{カン|ダカ}い音。金属音のように高く響く音。西瓜などをたたいた時、完熟したものが出す甲高い音。ス⸢クナール[su̥⸢kunaːru](底鳴り)の対義語。 ク⸢レー⸣ カ⸢ニナール シーブーバ ウーミ⸣ ブーヨー [ku⸢reː⸣ ka⸢ninaːru ʃiːbuːba ʔuːmi⸣ buːjoː] (これは甲高い鳴り方をしているから熟しているよ) 4559 0 0 4338 htmvoc_4559.wav カニナビ カ⸢ニナビ [ka⸢ninabi] 名 鉄製の鍋。金属製の鍋。 カ⸢ニナビヌ ピッ⸣キティル ⸣クー シ⸢ミルンティ⸣ シケー [ka⸢nibabinu pik⸣kitiru ⸣kuː ʃi⸢mirunti⸣ ʃi̥keː] (鉄鍋が孔があいた<ほげた>ので孔を\ruby{塞}{フサ}がせようとしている) 4561 0 0 4339 htmvoc_4561.wav カニパンチムニ カ⸢ニパンチムニ [ka⸢nipanʧimuni] 名 \ruby{辻褄}{ツジ|ツマ}の合わない言葉。でたらめな言葉。筋の通らない言葉。「勘外れ物言い」の義か。耄碌した者のいう辻褄の合わない言葉。 ⸣アブジェー トゥ⸢シ⸣ トゥ⸢ローッ⸣ター カ⸢ニパンチムニ⸣ イ⸢ゾー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː tu̥⸢ʃi⸣ tu⸢roːt⸣taː ka⸢nipanʧimuni⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (おじいさんは年をとられた<年老いた>ので辻褄の合わない言葉を話されるようになってしまった) 4562 0 0 4340 htmvoc_4562.wav カニパンツン カ⸢ニパンツン [ka⸢nipanʦuŋ] 自動 耄碌する。辻褄の合わないことを言う。「勘が外れる」の義。カ⸢ニパンチルン[ka⸢nipanʧiruŋ](耄碌する)ともいう。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ター⸢ン⸣ カ⸢ニパンツン [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː taː⸢ŋ⸣ ka⸢nipanʦuŋ] (年をとると誰も耄碌する)。 バ⸢カーン⸣ケンラ イ⸢ズバ⸣ ッ⸢ふァイル⸣ ケーユンダ カ⸢ニパンツァヌ [ba⸢kaːŋ⸣kenra ʔi⸢ʣuba⸣ f⸢fairu⸣ keːjunda ka⸢nipanʦanu] (若いときから魚を食べて来たのだから耄碌しない)。 ビ⸢キドゥムル⸣ カ⸢ニパンチヤッ⸣サティバン [bi⸢kidumuru⸣ ka⸢nipanʧijas⸣satibaŋ] (男の方が耄碌しやすいってよ)。 カ⸢ニパンツ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢nipanʦu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (耄碌することはない)。 カ⸢ニパンチェー⸣ラ ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [ka⸢nipanʧeː⸣ra ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (耄碌したら大変さ)。 カ⸢ニパンチ⸣バ [ka⸢nipanʧi⸣ba] (耄碌しろ) 4563 0 0 4341 htmvoc_4563.wav カニブー カ⸢ニブー [ka⸢nibuː] 名 (動)、昆虫。コガネムシ。夏の夜、ランプの光に突っ込んできて人を悩ませる害虫である。 ナ⸢チェー⸣ アツァンダ ⸢ユー⸣ル ⸣ヤドゥ ア⸢ク⸣カー カ⸢ニブーヌ⸣ トゥ⸢ビ⸣キー ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラン⸣シェン [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦanda ⸢juː⸣ru ⸣jadu ʔa⸢ku⸣kaː ka⸢nibuːnu⸣ tu⸢bi⸣kiː ⸢joː⸣ʣoː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (夏は暑いので、夜戸を開けるとコガネムシが飛んできて堪らなかった) 4564 0 0 4342 htmvoc_4564.wav カニブーヤー カ⸢ニブーヤー [ka⸢nibuːjaː] 名 鋼材で造った家。歌謡語。 ウ⸢クダ⸣カ ⸢エンヤー⸣ カ⸢ニブーヤー⸣ヌ ⸢サイ⸣ヤ⸢リ [ʔu⸢kuda⸣ka ⸢ʔeŋjaː⸣ ka⸢nibuːjaː⸣nu ⸢sai⸣ ja⸢ri] (これだけの数のものが鋼材で造った家の守護神である)(アーパーレー歌) 4565 0 0 4343 htmvoc_4565.wav カニフン カ⸢ニフン [ka⸢niɸuŋ] 名 釘。「金釘」の義。「~久留尓久枳作之<~くるにクギサシ>~。万、4390」の「久枳」の転訛したもの。「釘、クギ」『類聚名義抄』と同じ。*[kungi] → [ɸungi] → [ɸuŋ] の音韻変化による。タ⸢キフン[tḁ⸢kiɸuŋ](竹釘)、⸢キー⸣フン[⸢kiː⸣ɸuŋ](木釘)、ピ⸢サフン[pi̥⸢saɸuŋ](平釘、⸢ティンマ{SqBr}⸢timma{/SqBr}<伝馬船>や大型木造船に用いる釘)の対義語。⸢イッスン⸣クギ[⸢ʔissuŋ⸣kugi](一寸釘)、⸢サンズン⸣クギ[⸢sanʣuŋ⸣kugi](三寸釘)、⸢ゴッスンクギ[⸢gossuŋkugi](五寸釘)などもあるが、標準語からの借用語であろう。 カ⸢ニフン⸣ ウティティ トゥ⸢ミシキ⸣リ [ka⸢niɸuŋ⸣ ʔutiti tu⸢miʃi̥ki⸣ri] (釘を打って留めておきなさい)。 ⸣イダフニナー タ⸢キフンル⸣ シゥ⸢カイオー⸣ル カ⸢ニフンマー⸣ シゥ⸢カイオーラ⸣ヌ [⸣ʔidaɸuninaː tḁ⸢kiɸunru⸣ sï̥⸢kaiʔoː⸣ru ka⸢niɸummaː⸣ si̥⸢kaiʔoːra⸣nu] (板舟には竹釘が<ぞ>使われる{EOS}鉄釘は使われない) 4568 0 0 4344 htmvoc_4568.wav カニマースン カ⸢ニマースン [ka⸢nimaːsuŋ] 他動 成し遂げる。切り盛りしてやりぬく。 ウ⸢ビ⸣ヌ キ⸢ナイヌ スータイ⸣バ ⸢タンガ⸣シ カ⸢ニマースンティ⸣ ア⸢ワ⸣リ ⸢シーベー [ʔu⸢bi⸣nu ki⸢nainu suːtai⸣ba ⸢taŋga⸣ʃi ka⸢nimaːsunti⸣ ʔa⸢wa⸣ri ⸢ʃiːbeː] (あれだけの家族の生計を一人で切り盛りして成し遂げようと苦労をしている)。 ⸢タンガ⸣シェー カ⸢ニマーサラヌ [⸢taŋga⸣ʃeː ka⸢nimaːsaranu] (一人では切り盛り出来ない)。 ⸢ワー タンガ⸣シ カ⸢ニマーシ⸣ ミリバ [⸢waː taŋga⸣ʃi ka⸢nimaːʃi⸣ miriba] (君一人で切り盛りして成し遂げてみなよ)。 ⸢タンガ⸣シ カ⸢ニマース⸣ クトゥン ナ⸢ラヌ [⸢taŋga⸣ʃi ka⸢nimaːsu⸣ ku̥tun na⸢ranu] (一人で成し遂げることも出来ないのか)。 カ⸢ニマーシェー⸣ ミサムヌ [ka⸢nimaːʃeː⸣ misamunu] (切り盛りしてやり遂げればよいのに)。 ⸢タンガ⸣シ カ⸢ニマーシ [⸢taŋga⸣ʃi ka⸢nimaːʃi] (一人で切り盛りして成し遂げよ) 4551 0 0 4345 htmvoc_4551.wav カニムイ ⸢カニムイ [⸢kanimui] 固 人名。女の名前。 カ⸢ニムイ⸣ティ ⸢スー⸣ ブ⸢バーマ⸣ヌ ⸢オーッタン⸣ドゥ イ⸢クサ⸣ユーナー マ⸢ラリ⸣ヤ カ⸢カ⸣リティ ⸢マーラソー⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [ka⸢nimui⸣ti ⸢suː⸣ bu⸢baːma⸣nu ⸢ʔoːttan⸣du ʔi⸢kusa⸣juːna ma⸢rari⸣ja kḁ⸢ka⸣riti ⸢maːrasoː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (カニムイという叔母がおられたが、戦争中、マラリアに罹患して亡くなられてしまった) 4569 0 0 4346 htmvoc_4569.wav カニヤッコン カ⸢ニヤッコン [ka⸢nijakkoŋ] 名 鉄瓶。鉄製の湯沸し<薬缶>。鋳物の湯沸し<薬缶>。「金薬缶」の義。⸣ブラヤッコンン[⸣burajakkoŋ](法螺貝を利用した湯沸し{EOS}西表の田圃小屋で稲刈りや田草取り、田打ちなどの農作業に従事する際に利用した)の対義語。単に⸣ヤコン[⸣jakoŋ](湯沸し{EOS}薬缶)ともいう。 カ⸢ニヤッコン⸣ナー シ⸢ジフチ⸣ル イ⸢リティ⸣ シジバ [ka⸢nijakkon⸣naː ʃi⸢ʤiɸu̥ʧi⸣ru ʔi⸢riti⸣ ʃiʤiba] (鉄瓶に煎じ薬を入れて煎じなさいよ) 4566 0 0 4347 htmvoc_4566.wav カニルン カ⸢ニルン [ka⸢niruŋ] 他動 兼ねる。一つで二つ以上の用をする。 ⸢タンガ⸣シ フ⸢ターチヌ⸣ シ⸢グトー⸣ カ⸢ニララヌ [⸢taŋga⸣ʃi ɸu̥⸢taːʧinu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ka⸢niraranu] (一人で二つの仕事は兼ねられない)。 ウ⸢レー⸣ バー シ⸢グトゥ⸣ カ⸢ニルンティ⸣ ア⸢ズンドゥ ヌー⸣シカヤー カ⸢ニル⸣ クトー ⸣ナルンカヤー [ʔu⸢reː⸣ baː ʃi⸢gutu⸣ ka⸢nirunti⸣ ʔa⸢ʣundu nuː⸣ʃi̥kajaː ka⸢niru⸣ ku̥toː ⸣naruŋkajaː] (彼は私の仕事を兼務す<兼ね>ると言うが、如何だろうか{EOS}兼ねることは出来るだろうかね) 4567 0 0 4348 htmvoc_4567.wav カニン ⸣カニン [⸣kaniŋ] 名 (植)和名、エビツル。ブドウ科植物。野ぶどう。原野の雑木林の中のガジマル[ga⸢ʤi⸣maru](木容樹)や⸢ゴーナ⸣キ[⸢goːna⸣ki](桑の木)などに巻きつくように生えて、直径約1センチほどの球状の実をつける。未熟の実は緑色を呈するが完熟する濃い赤紫色になり、甘く美味である。長さ15~17センチの房いっぱいに実をつける。カニンの蔓を切って、その樹液を目に入れると眼病が治るといわれていて、目ヤニが出ると眼病の薬として樹液を目にさして利用していた。 ⸢ソー⸣ランナー ⸣カニン ⸣ブリキー ム⸢ルムル⸣ナー イ⸢ルタン [⸢soː⸣rannaː ⸣kanim ⸣burikiː mu⸢rumuru⸣naː ʔi⸢rutaŋ] (お盆には野ブドウを捥いで<折って>来て、お盆のムルムルに入れたものだ) 4570 0 0 4349 htmvoc_4570.wav カニンカザ ⸣カニンカザ [⸣kaniŋkaʣa] 名 植物。エビヅルのかずら(蔓)。野葡萄の蔓。 イ⸢ラ⸣ブレーヌ ⸣シンタヌ ⸢ヤシキ⸣ヌ ガ⸢ジ⸣マルキーナ ⸣カニンカザヌ カ⸢ラマ⸣キティ ⸣ムイ ⸢ベー⸣タン [ʔi⸢ra⸣bureːnu ⸣ʃintanu ⸢jaʃi̥ki⸣nu ga⸢ʤi⸣marukiːna ⸣kaniŋkaʣanu ka⸢rama⸣kiti ⸣mui ⸢beː⸣taŋ] (西原家の後ろの屋敷のガジマル木に野葡萄の蔓が巻き付いて生えていた) 4571 0 0 4350 htmvoc_4571.wav カニンマ カ⸢ニンマ [ka⸢niʔmma] 名 自転車。「鉄馬<かねうま>」の義。石垣方言からの借用語。⸢キーン⸣マ[⸢kiːʔm⸣a](竹馬)の対義語。 イ⸢サナキプソー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビン カ⸢ニンマ ヌーリス [ʔi⸢sanakipu̥soː⸣ ja⸢ra⸣biŋ ka⸢niʔmma nuːrisu] (石垣の人は子供も自転車<鉄馬>に乗るよ) 4572 0 0 4351 htmvoc_4572.wav カヌ カ⸢ヌ [ka⸢nu] 連体 あの。かの。 カ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ター⸣ヤ [ka⸢nu⸣ pu̥⸢soː taː⸣ja] (あの人は誰か)。 ク⸢レー⸣ カ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムヌ [ku⸢reː⸣ ka⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ munu] (これはあの人の物だ)。 カ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ パルカー ⸢バン⸣ヌン ⸣パルン [ka⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ parukaː ⸢ban⸣num ⸣paruŋ] (あの人が行くなら私も行く)。 ⸣バー カ⸢ヌ⸣ プ⸢ス⸣ ッ⸢シェー⸣ン [⸣baː ka⸢nu⸣ pu̥⸢su⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ŋ] (私はあの人を知っている) 4573 0 0 4352 htmvoc_4573.wav カヌカムラ カ⸢ヌ⸣カムラ [ka⸢nu⸣kamura] 名 鹿川村(廃村)。船浮湾の裏<南>海岸にあった古村。 カ⸢ヌ⸣カムラー ム⸢カ⸣シナ ム⸢ラドーリ シー⸣ マ⸢ナ⸣マー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ka⸢nu⸣kamuraː mu⸢ka⸣ʃina mu⸢radoːri ʃiː⸣ ma⸢na⸣maː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (鹿川村は昔に村倒れして<廃村になって>、今は人はいない) 4574 0 0 4353 htmvoc_4574.wav カヌカワン カ⸢ヌ⸣カワン [ka⸢nu⸣kawaŋ] 名 地名。鹿川湾。西表島船浮湾の反対側、南海岸の入り江。廃村になった鹿川村の南海岸。 カ⸢ツシンヌ⸣ ザコー ⸣トゥリンティ カ⸢ヌ⸣カワン ⸢バー⸣キン ⸢オーッ⸣タンティ ⸢ダー [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʣakoː ⸣turinti ka⸢nu⸣kawam ⸢baː⸣kiŋ ⸢ʔoːt⸣tanti⸢daː] (カツオ船の餌<雑魚>を獲りに鹿川湾まで行かれたそうだよ) 4575 0 0 4354 htmvoc_4575.wav カヌシャーマ カ⸢ヌシャー⸣マ [ka⸢nuʃaː⸣ma] 名 男性からいう女性の恋人。いとしく可愛いひと。「愛<かな>しき人」。石垣方言からの借用語。「可奈之久米具之~<~かなしくめぐし~>『万葉集 4106』」の義。/ナカドウ道カラ 七ケラ 通ユルケ 仲筋カヌシャマ 相談ヌ ナラヌ(囃子)イラ、ンゾーシーヌ、カヌシャマヨウ/「トゥバラーマ節」『八重山民謡誌』 4579 0 0 4355 htmvoc_4579.wav カヌチバウ カ⸢ヌチバウ [ka⸢nuʧibau] 名 ⸢閂棒」の義。「かんぬき(貫木{EOS}閂)・棒」の転訛したもの。豊年祭の綱引きで雄綱と雌綱の大綱を合わせて、その耳に貫き通す棒のこと。単に⸣バウ[⸣bau](棒)ともいう。 シ⸢ナ⸣ヌミンナー カ⸢ヌチバウバ⸣ ヌ⸢キティル⸣ シナー ピ⸢コーッ⸣タ [ʃi⸢nanu⸣minnaː ka⸢nuʧibauba⸣ nu⸢kitiru⸣ ʃinaː pi̥⸢koːt⸣ta] (綱の耳に閂棒を貫き通して<ぞ>綱は引かれた) 4576 0 0 4356 htmvoc_4576.wav カヌトゥ カ⸢ヌトゥ [kanutu] 名 かのと(辛)。「金の弟」の義。十干<じっかん>の第七、⸣キニー(木の兄・木の弟)、⸣ピニー(火の兄・弟)、シ⸢チ⸣ニー(土の兄、弟)、⸣カニー(金の\ruby{兄}{エ}・\ruby{弟}{ト})、ミ⸢ジニー(水の兄・弟)の第8の「⸣カニーの弟(辛)」に当たる日。十干の辛。 ク⸢レー⸣ カ⸢ヌトゥ ニー⸣ヌ ⸣ピンナー ス⸢クラ⸣レー ⸣ムヌ [ku⸢reː⸣ ka⸢nutu niː⸣nu pinnaː su⸢kura⸣reː ⸣munu] (これは辛<かのと>の年に作られたものだ) 4577 0 0 4357 htmvoc_4577.wav カヌプス カ⸢ヌ プス [ka⸢nu pu̥su] 連 あの人。彼。「彼の人」の義。 カ⸢ヌ プソー ター⸣ヤ [ka⸢nu pu̥soː taː⸣ja] (あの人<彼>は誰か) 4578 0 0 4358 htmvoc_4578.wav カヌユー カ⸢ヌ ユー [ka⸢nu juː] 名 あの世。「彼の世」の義。⸣グソー[gusoː]ともいう。 カ⸢ヌ ユー⸣ティ ア⸢ズ⸣ ム⸢ノー フン⸣トー ⸣アンカヤー [ka⸢nu juː⸣ti ʔa⸢ʣu⸣ mu⸢noː ɸun⸣toː ⸣ʔaŋkajaː] (あの世というものは本当にあるのかなあ) 4582 0 0 4359 htmvoc_4582.wav カノーシ カ⸢ノーシ [ka⸢noːʃi] 名 鉄製の芋を掘る器具。農具の一つ。「金・掘串<ふくし>」の転訛したもの。「堀串<フクシ>」は、「~布久思毛與 美夫君志持」『万葉集 1』の「布久志」の義。芋畑の草取りや芋を掘るのに用いる鉄製の堀串。長さ約30センチ、直径約2センチの鉄筋の先端部を尖らせ、片方に匙状の頭をつける。この部分を右手の掌に当てて握り、土を突き起こすようにして左手で除草する。硬い土塊などは叩いたり、突いたりして細かく砕くのに用いる。芋ほりをする際は、これで地中の芋をを探り当て、実の大きいのを選んで掘り出した。 カ⸢ノーシ⸣シ ⸣ウン ⸣プリバ [ka⸢noːʃi⸣ʃi ⸣ʔum ⸣puriba] (金堀串で芋を掘れよ)。 カ⸢ノーシ⸣シ ⸣ッサ ⸢ソーリ [ka⸢noːʃi⸣ʃi ⸣ssa ⸢soːri] (かなふ串で畑の雑草を除草しなさい<さくれ・\ruby{刳}{サク}り取れ>) 4583 0 0 4360 htmvoc_4583.wav カバ カ⸢バ [ka⸢ba] 名 芳香。 カ⸢バッ⸣サ カ⸢バヌ スン [ka⸢bas⸣sa ka⸢banu suŋ] (香ばしい香がする) 4586 0 0 4361 htmvoc_4586.wav ガバー ⸣ガバー [⸣gabaː] 名 あか(垢)。汚れ。「かび」の転訛で、転意したもの『石垣方言辞典』という。 ⸣ガバー ⸣フーン [⸣gabaː ⸣ɸuːŋ] (垢がつく<垢喰う>)。 ⸣ガバー ウ⸢タ⸣シ [⸣gabaː ʔu⸢ta⸣ʃi] (垢を落とせ)。 ⸢キン⸣ヌ ⸣ガバー [⸢kin⸣nu ⸣gabaː] (衣服のよがれ)。 ⸣オンダー シ⸢ティ⸣ ガバー ウ⸢タ⸣シ ⸣クーバ [⸣ʔondaː ʃi̥⸢ti⸣ gabaː ʔu⸢ta⸣ʃi ⸣kuːba] (海で泳いで垢を落としてこいよ)。 ⸣ガバー ⸢フシゥカリ⸣ムヌ [⸣gabaː ⸢ɸusï̥kari⸣ munu] (汚れた<垢がくっついた>人) 4585 0 0 4362 htmvoc_4585.wav カバーカバーシ カ⸢バーカバー⸣シ [ka⸢baːkabaː⸣ʃi] 副 香ばしく。\ruby{馥郁}{フク|イク}と。 ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢コー⸣ル カ⸢ザヌ⸣ カ⸢バーカバー⸣シ カ⸢バサリン [⸢tim⸣pura ja⸢koː⸣ru ka⸢ʣanu⸣ ka⸢baːkabaː⸣ʃi ka⸢basariŋ] (テンプラを揚げる<焼く>匂いが香ばしく\ruby{嗅}{カ}がれる) 4607 0 0 4363 htmvoc_4607.wav カバーカバーシ カバー⸢カバー⸣シ [kabaː⸢kabaː⸣ʃi] 副 良い香りがする。馥郁と香る。 ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢キオー⸣ルユー カバー⸢カバー⸣シ カ⸢ザヌ シー⸣ フ⸢チジル⸣ ン⸢ジ⸣スバン [⸢tim⸣pura ja⸢kioː⸣rujuː kabaː⸢kabaː⸣ʃi ka⸢ʣanu ʃiː⸣ ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ʔn⸢ʤi⸣subaŋ] (テンプラを揚げて<焼いて>おられるのか、美味しそうな香りが漂ってきて、涎<口汁>がでるよ) 4595 0 0 4364 htmvoc_4595.wav ガバーフー ⸣ガバーフー [⸣gabaːɸuː] 名 思いがけない幸運。こぼれざいわい(零れ幸い)。ぎょうこう(僥倖)。 ⸢ワー⸣ メー ⸢ソートゥジバ ミシキラ⸣リ ⸣ガバーフー シ⸢キ⸣ブバン [⸢waː⸣ meː ⸢soːtuʤiba miʃi̥kira⸣ri ⸣gabaːɸuː ʃi̥⸢ki⸣bubaŋ] (君は、もう、立派な妻を娶ることが出来て<見つけられて>、思いがけない幸運が付いているよ)。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ガバーフーバ シ⸢キ⸣ブー [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ gabaːɸuːba ʃi̥⸢ki⸣buː] (彼は非常な幸運に巡りあえた<思わぬ幸運が付いている>) 4596 0 0 4365 htmvoc_4596.wav ガバーフーン ⸣ガバー ⸣フーン [⸣gabaː ⸣ɸuːŋ] 連 垢がつく<垢が喰う>。汚れる。 ⸢ユー⸣フルーン ア⸢マムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ガバー ⸢フイ⸣ヤーティ ⸢アー⸣ク [⸢juː⸣ɸuruːŋ ʔa⸢mamuti⸣ naː⸢i⸣ gabaː ⸢ɸui⸣jaːti ⸢ʔaː⸣ku] (風呂にも入らないで<風呂も浴びないで>、ただ汚れたままにして<垢をつけて>いる<あるく>) 4594 0 0 4366 htmvoc_4594.wav ガバーフイムヌ ガ⸢バーフイ⸣ムヌ [ga⸢baːɸui⸣munu] 名 垢まみれの者。汚れだらけのもの。不潔な者。⸣ガバーフヤー[⸣gabaːɸujaː](垢まみれの不潔者)ともいう。 ガ⸢バーフイ⸣ムヌ ⸣ナリティ キ⸢ムフクレー⸣ヌ ⸢マー⸣ビン アザ⸢ケーアザケー⸣シ ⸢アー⸣キ [ga⸢baːɸui⸣munu ⸣nariti ki⸢muɸu̥kureː⸣nu ⸢maː⸣biŋ ʔaʣa⸢keːʔaʣakeː⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ki] (垢まみれの不潔者になってしまって、きたない{EOS}もっときちっと清潔にしておれ<あるけ>) 4597 0 0 4367 htmvoc_4597.wav ガバーフヤー ⸣ガバーフヤー [⸣gabaːɸujaː] 名 垢にまみれた物。垢まみれの不潔もの。 ⸣ガバーフヤーヌ ⸣ムティクー ⸣ムノー ビ⸢ナー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸣gabaːɸujaːnu ⸣mutikuː ⸣munoː bi⸢naː⸣nu f⸢faːranu] (垢まみれの不潔者が持ってくるものは、不潔で食べられない) 4589 0 0 4368 htmvoc_4589.wav ガバーンガバーンシ ガ⸢バーンガバーン⸣シ [ga⸢baːŋgabaː⸣ʃi] 副 硬いものがぶつかり合って出す音。擬音語(onomatopoeia)。がたんがたん。 サ⸢ケー⸣ ヌミティ ガ⸢バーンガバーン⸣シ ⸢ヤー⸣バリ ⸢シーベー⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ⸢アッ⸣タカヤー [sḁ⸢keː⸣ numiti ga⸢baːŋgabaːŋ⸣ʃi ⸢jaː⸣bari ⸢ʃiːbeː⸣nu ⸢nuː⸣nu ⸢ʔat⸣takajaː] (酒を飲んでがたんがたんと家を打ち壊<家割り>しているが、なにがあったのだろうか) 4588 0 0 4369 htmvoc_4588.wav カバアバ カ⸢バ⸣アバ [ka⸢ba⸣ʔaba] 名 香油。香りのよい髪油。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸢ユールナー⸣ヤ ガ⸢マ⸣ジナ カ⸢バ⸣アバ ⸣シキティ ⸢アーキ⸣バ イ⸢カムス⸣ク カ⸢バッ⸣サタワ⸢ツォー [ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸢juːrunaː⸣ja ga⸢ma⸣ʤina ka⸢ba⸣ʔaba ⸣ʃi̥kiti ⸢ʔaːki⸣ba ʔi⸢kamusu̥⸣ku ka⸢bas⸣satawa⸢ʦoː] (若者達は夜には髪の毛に香油をつけてあるくので、どんなに香ばしかったことか) 4584 0 0 4370 htmvoc_4584.wav カパカパシ カ⸢パカパ⸣シ [kḁ⸢pakapa⸣ʃi] 副 カパカパと。パリパリと。洗濯して糊付けした衣類などがパリパリと固く乾いたさま。 ⸣キン ア⸢ライティ ヌー⸣ル シ⸢ティ⸣ プシ ⸣シケーター カ⸢パカパ⸣シ ⸢カーラキ ベー [⸣kiŋ ʔa⸢raiti nuː⸣ru ʃi̥⸢ti⸣ pu̥ʃi ⸣ʃi̥keːtaː kḁ⸢pakapa⸣ʃi ⸢kaːraki beː] (着物を洗って糊付けして干しておいたら、カパカパと固くなって乾いている) 4591 0 0 4371 htmvoc_4591.wav カバサリン カ⸢バサリン [ka⸢basariŋ] 他動 嗅がされる。カ⸢バスン[ka⸢basuŋ](匂いを嗅ぐ)の未然形カ⸢バサ[ka⸢basa]に受身・可能・自発の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](れる)が下接して形成された、受身・可能動詞。 ウ⸢リトゥ ベー⸣ルカー ッ⸢サリ⸣ピー カ⸢バサリン⸣ダー [ʔu⸢ritu beː⸣rukaː s⸢sari⸣piː ka⸢basarin⸣daː] (彼と一緒にいると臭い屁を嗅がされるよ)(受身)。 ⸣クナーティン ッ⸢サリピー⸣ヌ カ⸢ザー⸣ カ⸢バサリン [⸣kunaːtin s⸢saripiː⸣nu ka⸢ʣaː⸣ ka⸢basariŋ] (ここでも臭い屁の臭いは嗅がれる<嗅ぐことができる>)(可能) 4592 1 0 4372 htmvoc_4592.wav カバスン カ⸢バスン [ka⸢basuŋ] 自動 {PoS_1}匂いがする。「臭い・する」の義。 ⸢ティンプラ⸣ヌ カ⸢バスン [⸢timpura⸣nu ka⸢basuŋ] (テンプラの匂いがする)。 4592 2 0 4373 htmvoc_4592.wav カバスン カ⸢バスン [ka⸢basuŋ] 他動 {PoS_2}嗅ぐ。嗅がせる。 ⸢ヌー⸣ヌ カ⸢ザ⸣ユーティ カ⸢リン⸣ カ⸢バシミタ [⸢nuː⸣nu ka⸢ʣa⸣juːti ka⸢riŋ⸣ ka⸢baʃimita] (何の臭いか、彼に嗅がせた)。 カ⸢バ スンティ スンドゥ⸣ パ⸢ナ⸣ シ⸢マ⸣リティ カ⸢バ⸣ サ⸢ラヌ [ka⸢ba sunti sundu⸣ pa⸢na⸣ ʃi⸢ma⸣riti ka⸢ba⸣ sa⸢ranu] (匂いを嗅ごうとするが、鼻が詰まって匂いを嗅ぐことが出来ない) 4593 0 0 4374 htmvoc_4593.wav カバスン カ⸢バ⸣スン [ka⸢ba⸣suŋ] 他動 かぶせる。覆う。上からかける。 ナ⸢ビ⸣ヌ フ⸢タ⸣ カ⸢バ⸣スン [na⸢bi⸣nu ɸu̥⸢ta⸣ ka⸢ba⸣suŋ] (鍋の蓋をかぶせる)。 ⸢ピー⸣ヤバ ⸣ウズ カ⸢バ⸣シバ [⸢piː⸣jaba ⸣ʔuʣu ka⸢ba⸣ʃiba] (寒いから布団をかけ<被せ>なさい)。 ⸣バー カ⸢バサ⸣ヌ [⸣baː ka⸢basa⸣nu] (私はかぶせない)。 マ⸢ナ⸣マ カ⸢バ⸣シ ⸣ミサンカヤー [ma⸢na⸣ma ka⸢ba⸣ʃi ⸣misaŋkajaː] (今被せてもいいかねえ)。 カ⸢バ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢ba⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (被せてはならない{EOS}<被せるることはならない>)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢バ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ka⸢ba⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと被せたらよいのに) 4590 0 1 4375 htmvoc_4590.wav カバッサン カ⸢バッ⸣サン [ka⸢bas⸣saŋ] 形 {Mn_1}香ばしい。かんばしい。「香細寸 花橘乎<カグハシキ 花橘を~>。万、1967』」の義。 ウ⸢ヌ⸣ パナー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢バッ⸣サン [ʔu⸢nu⸣ panaː ʔik⸢kena⸣ ka⸢bas⸣saŋ] (この花は非常に香ばしい)。 ノー⸢ン⸣ カ⸢バッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [noː⸢ŋ⸣ ka⸢bas⸣saː ⸢naː⸣nu] (ちっとも香ばしくない)。 ⸢シンダイ⸣ カ⸢バッ⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ka⸢bas⸣sa ⸣naruŋ] (次第に香ばしくなる)。 カ⸢バッ⸣サル ⸣パナーラ ⸢カイ⸣バ [ka⸢bas⸣saru ⸣panaːra ⸢kai⸣ba] (香ばしい花から買えよ)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢バッ⸣サカー ⸢カーサリン [⸢maː⸣biŋ ka⸢bas⸣sakaː ⸢kaːsariŋ] (もっと香ばしかったら売れる<売られる>)。 4590 0 2 4376 htmvoc_4590.wav カバッサン カ⸢バッ⸣サン [ka⸢bas⸣saŋ] 形 {Mn_2}上品である。 ⸣アイニ ウ⸢リヌ⸣ ム⸢ニ⸣ヌ カ⸢バッ⸣サワレー [⸣ʔaini ʔu⸢rinu⸣ mu⸢ni⸣nu ka⸢bas⸣sawareː] (何とあんなにも彼の言葉が上品なことよ)。 ⸢バンスル⸣ヌ ⸢ウーミ⸣カザー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢バッ⸣サン フ⸢チジル⸣ ン⸢ジ⸣ス [⸢bansuru⸣nu ⸢ʔuːmi⸣kaʣaː ʔik⸢kena⸣ ka⸢bas⸣saŋ ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ʔn⸢ʤi⸣su] (グワバの熟れた香は非常に香ばしい{EOS}涎が出るよ) 4598 0 0 4377 htmvoc_4598.wav カバムニ カ⸢バムニ [ka⸢bamuni] 名 上品な言葉遣い。匂やかな物言い。「香ばしい物言い」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢チン⸣ カ⸢バムニ⸣ル ア⸢ゾー⸣ル ヤ⸢ナ⸣ムニ ⸢ソーッ⸣ター シ⸢キミラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔit⸢ʧiŋ⸣ ka⸢bamuni⸣ru ʔa⸢ʣoː⸣ru ja⸢na⸣muni ⸢soːt⸣taː ʃi̥⸢kimira⸣nu] (その人はいつも上品な言葉遣いをなさるのであって、下品な悪い言葉遣いをされたのを聞いたことがない) 4599 0 0 4378 htmvoc_4599.wav ガバラ ガ⸢バ⸣ラ [ga⸢ba⸣ra] 名 かけや(掛矢)。樫などで作った大槌。建築工具。家屋建築の際に用いる大槌。木材を繋ぎ合わせたり、ほぞあな(枘穴)に木材の接合部を入れる際に打ち込むのに用いる大槌。⸢バンギ[⸢baŋgi](「板木」の義か{EOS}敷き木{EOS}丸太<円形の固い回転木>をその上に乗せ、カツオ漁船を陸揚げする際に用いる)のコ⸢ロ[ko⸢ro](回転木)を打つ際にも用いた。 ガ⸢バ⸣ラシル ⸢グイユン⸣ ウティ ヌ⸢キ ヤーヌ⸣ パラーン ⸢シッ⸣キ ⸢ペーラ⸣ソーッタ [ga⸢ba⸣raʃiru ⸢guijuŋ⸣ ʔuti nu⸢ki jaːnu⸣ paraːŋ ⸢ʃik⸣ki ⸢peːra⸣soːtta] (掛矢でもって杭をも打ち、貫木家の柱も打ちこんで入れられた) 4600 0 0 4379 htmvoc_4600.wav ガバラ ガ⸢バ⸣ラ [ga⸢ba⸣ra] 名 (動)魚名。和名、スズメダイの仲間(デハスズメ、クラカオスズメダイ、シリスズメダイ、オキナワスズメ、スズメダイ、モンスズメダイ、アマミスズメ、ロクセンスズメダイ、オヤビッチャ)の総称。枝珊瑚の中に群棲している。釣り糸の餌を盗み食いする。食用にはほとんど利用されない。 ム⸢チイズ ホー⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ガ⸢バラ⸣ヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸣キー ⸢ムン⸣ダニ ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふァイナー⸣ヌ [mu⸢ʧiʔiʣu hoː⸣sunti ⸢beː⸣nundu ga⸢bara⸣nu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸣kiː ⸢mun⸣dani muː⸢ru⸣ f⸢fainaː⸣nu] (ノコギリダイを釣ろうとしているのに、ガバラが集まってきて餌をみんな食べてしまった) 4606 0 0 4380 htmvoc_4606.wav ガバラーッティ ガバ⸢ラーッティ [gaba⸢raːtti] 副 がばっと跳ね起きるさま。 ⸣キュウ シ⸢トゥム⸣テー ⸣ヌーティ ウ⸢ムー⸣タユー ガバ⸢ラーッティ⸣ ウキティ パ⸢タ⸣ケー パリ⸢ナー⸣ヌ [⸣kjuː ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸣nuːti ʔu⸢muː⸣tajuː gaba⸢raːtti⸣ ʔukiti pḁ⸢ta⸣keː pari⸢naː⸣nu] (今朝は何を思ったのか急にがばっと跳ね起きて畑へ行ってしまった) 4602 0 0 4381 htmvoc_4602.wav ガバラガバラ ガ⸢バラガバラ [ga⸢baragabara] 副 硬いものがガラガラと音を立てるさま。 ⸢キーパク⸣バ ガ⸢バラガバラ⸣シ ク⸢ルバシ パッ⸣タ [⸢kiːpaku⸣ba ga⸢baragabara⸣ʃi ku⸢rubaʃi pat⸣ta] (木箱をガラガラと転がしていった) 3770 0 0 4382 htmvoc_3770.wav ガバラガバラシ ガ⸢バラガバラ⸣シ [ga⸢baragabara⸣ʃi] 副 擬音語。ごろごろと。がらがらと。重くて硬いものが音を立てて転がっていく様子。 ミ⸢チェー⸣ラ ガ⸢バラガバラ⸣シ ⸢サンギ⸣ パルモー ⸣ヌーカヤー [mi⸢ʧeː⸣ra ga⸢baragabara⸣ʃi ⸢saŋgi⸣ parumoː ⸣nuːkajaː] (道からがらがらごろごろ音を立てながら引張って行くのは何かなあ) 4605 0 1 4383 htmvoc_4605.wav ガバラグブル ガ⸢バラグブル [ga⸢baraguburu] 副 {Mn_1}雷の音。硬くて大きなものが崩れ落ちる音。 ⸢カンナール⸣ヌ ガ⸢バラグブル⸣シ ⸢ナール⸣カー ⸢クヮー⸣ヌシチャ ⸢クヮー⸣ヌシチャティ ア⸢ゾーッ⸣タツォー [⸢kannaːru⸣nu ga⸢baraguburu⸣ʃi ⸢naːru⸣kaː ⸢kwaː⸣nuʃi̥ʧa ⸢kwaː⸣nu ʃi̥ʧati ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (雷がごろごろと鳴ると「桑の下桑の下」と唱えたそうだ)。 4605 0 2 4384 htmvoc_4605.wav ガバラグブル ガ⸢バラグブル [ga⸢baraguburu] 副 {Mn_2}大きな浮遊物が流れていく音。がらりころり。どぶりんどぶりん。 ⸣シザバナリヌ サ⸢キ⸣ナー キ⸢ライ⸣ヌ ⸣ガバラグブルシ ⸢ナー⸣リキー ⸢ベータン⸣ドゥ シ⸢ヌ⸣ヌ イ⸢シ⸣ナ シゥ⸢カッティティル パシゥクル⸣タツォー [⸣ʃiʣabanarinu sḁ⸢ki⸣naː ki⸢rai⸣nu ⸣gabaraguburuʃi ⸢naː⸣rikiː ⸢beːtan⸣du ʃi⸢nu⸣nu ʔi⸢ʃi⸣na sï̥⸢kattitiru pasï̥kuru⸣taʦoː] (西表島北岸の下離れの崎に機雷がドブリンドブリン流れてきていたが、角<信管>が石に触れて炸裂したそうだ) 4603 0 0 4385 htmvoc_4603.wav ガバラパタラ ガ⸢バラパタラ [ga⸢barapatara] 副 がたごとと騒がしく動き回るさま。 ⸢アー⸣ネーナ ヤ⸢ラ⸣ビンケーヌ ガ⸢バラパタラ⸣シ ⸢アーリティ⸣ ン⸢ガマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaː⸣neːna ja⸢ra⸣biŋkeːnu ga⸢barapatara⸣ʃi ⸢ʔaːriti⸣ ʔŋ⸢gamasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (東隣の家で子供たちががたごとと騒がしく立ち騒いで騒がしくて堪らない) 3771 0 0 4386 htmvoc_3771.wav ガバラパタラシ ガ⸢バラパタラ⸣シ [ga⸢barapatara⸣ʃi] 副 擬態語。慌て騒ぐさま。がらがらばたばたと。がらがらと音をたてながら立ち働く様子。 ⸣ムネー イ⸢ザンドー⸣シ ガ⸢バラパタラ⸣シ パ⸢タラキ [⸣muneː ʔi⸢ʣandoː⸣ʃi ga⸢barapatara⸣ʃi pa⸢taraki] (無駄口をたたかないで<ものを言わずに>ばたばたと働け)。擬音語。がらりころりと。がらころがらころと。 ガ⸢バラパタラ⸣<ガ⸢バラガバラ⸣>シ ア⸢チ⸣ツァ ⸢ナーラシェー⸣ティ フ⸢ミ アー⸣ク [ga⸢barapatara⸣ʃi ʔa⸢ʧi⸣ʦa ⸢naːraʃeː⸣ti ɸu⸢miʔaː⸣ku] (下駄をがらころと音を立てながら履いている) 4604 0 0 4387 htmvoc_4604.wav ガバララー ガバラ⸢ラー [gabara⸢raː] 副 ガラガラッ(擬音語)。積み上げてあるものが一瞬に崩れ落ちる音。 ⸢ナイ⸣ヌ ウ⸢クル⸣ター ⸢マイグス⸣コー ガバラ⸢ラーッ⸣ティ ⸢クー⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸢nai⸣nu ʔu⸢kuru⸣taː ⸢maigusu⸣koː gabara⸢raːt⸣ti ⸢kuː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (地震が起こったので前の石垣がガラガラッと崩れてしまった<なくなった>よ) 4608 0 0 4388 htmvoc_4608.wav ガバンミカスン ガ⸢バンミカ⸣スン [ga⸢bammika⸣suŋ] 他動 ガバンと音をたてるようにする。擬声語ガ⸢バン[ga⸢baŋ]に、接尾語のミ⸢カ⸣スン[mi⸢ka⸣suŋ](~めかす{EOS}~のようにする)がついて形成された語。 ⸢ドンミカ⸣スン [⸢dommika⸣suŋ] (ドーンと音が出るほど打ちのめす)。 ⸢バンミカ⸣スン [⸢bammika⸣suŋ] (バーンと音が出るほど打ち据える) 4609 0 0 4389 htmvoc_4609.wav カビ カ⸢ビ [ka⸢bi] 名 紙。 ア⸢バ⸣カビ [ʔa⸢ba⸣kabi] (油紙)。 ッ⸢ス⸣カビ [s⸢su⸣kabi] (白紙)。 ッ⸢ふ⸣カビ [f⸢fu⸣kabi] (黒い紙)。 ア⸢ガカビ [ʔa⸢gakabi] (赤紙)。ウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](法事に焼いて供える紙銭)などがある。 ⸢ソッコーヤー⸣ヌ ム⸢チェー⸣ カ⸢ビ⸣ナー ッ⸢ス⸣ミティ ⸣シトゥ ム⸢タ⸣シ [⸢sokkːjaː⸣nu mu⸢ʧeː⸣ ka⸢bi⸣naː s⸢su⸣miti ⸣ʃi̥tu mu⸢ta⸣ʃi] (法事の餅は紙に包んでお土産<つと>に持たせなさい)。 ア⸢バ⸣カビシ ⸣ブーブー ス⸢ク⸣ルカ イッ⸢ケン ナールン [ʔa⸢ba⸣kabiʃi ⸣buːbuː su̥⸢ku⸣rukaː ʔik⸢ken naːruŋ] (油紙で凧の鳴き紙を作ると非常によく鳴る) 4614 0 0 4390 htmvoc_4614.wav カビウズ カ⸢ビ⸣ウズ [ka⸢bi⸣ʔuʣu] 名 掛け布団。「被り布団」の義。 フ⸢ユヌ ピー⸣ヤ ⸣ピンマー オ⸢シ⸣イレーラ カ⸢ビ⸣ウズ ウ⸢ラ⸣シ カ⸢ブ⸣タン [ɸu⸢junu piː⸣ja ⸣pimmaː ʔo⸢ʃi⸣ʔireːra ka⸢bi⸣ʔuʣu ʔu⸢ra⸣ʃi ka⸢bu⸣taŋ] (冬の寒い時は押入れから掛け布団を下ろして被った)。子供らは布団を頭から被って寝たので、冬期には唇がカ⸢ラバル[ka⸢rabaru](あかぎれ<皸>状に切れること)することが多かった 4615 0 0 4391 htmvoc_4615.wav カビオンギ カ⸢ビオンギ [ka⸢biʔoŋgi] 名 うちわ(団扇)。「紙扇」の義。幅約1、5センチ、長さ約30センチの竹を、柄の部分に約10センチ残し、他の部分を細く裂いて骨とし、紙を張って半円形の団扇に仕上げたもの。 カ⸢ビオンゲー カイ⸣ヤー ア⸢ル⸣ヌ シ⸢グ⸣ ヤ⸢リ⸣シタ ク⸢バオンギル⸣ マ⸢シ ヤッタ [ka⸢bioŋgeː kai⸣jaː ʔa⸢ru⸣nu ʃi⸢gu⸣ ja⸢ri⸣ʃi̥ta ku⸢baoŋgiru⸣ ma⸢ʃi jatta] (紙扇は美しくはあるが、直ぐに破れた{EOS}蒲葵の葉扇が良かった<増しであった>) 4610 0 0 4392 htmvoc_4610.wav カビシキンガニ カ⸢ビシキンガニ [ka⸢biʃi̥kiŋgani] 名 法事の際に死者のために焼いて供える後生の紙銭、ウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi]を作る際に⸢銭型」を打ちつける器具。木製と鉄製がある。直径約1、5センチ長さ約12センチの円柱状の型棒、または円筒状の金具。底部は銭型の鋳型になっている。 ⸢ワー⸣ ピ⸢マー⸣ ヤ⸢ル⸣カー カ⸢ビシキンガニ⸣シ ウ⸢ティン⸣ガビ シ⸢キ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢waː⸣ pi⸢maː⸣ ja⸢ru⸣kaː ka⸢biʃikiŋgani⸣ʃi ʔu⸢tiŋ⸣gabi ʃi̥⸢ki⸣ f⸢fiːri] (君は、\ruby{暇}{ヒマ}なら紙銭突き器具で紙銭を突いて<押して>くれ) 4611 0 0 4393 htmvoc_4611.wav カビジン カ⸢ビジン [ka⸢biʤiŋ] 名 紙幣。「紙銭」の義。カ⸢ニジン[ka⸢niʤiŋ](硬貨)の対義語。 カ⸢ビジン⸣ ン⸢ザ⸣シティ ⸢クー⸣ジン ⸣クリキー ッ⸢ふィーリ [ka⸢biʤin⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢kuː⸣ʤiŋ ⸣kurikiː f⸢fiːri] (紙幣を出して小銭に両替してきてくれ) 4612 0 0 4394 htmvoc_4612.wav カビッスン カ⸢ビッスン [ka⸢bissuŋ] 名 紙包み。 ク⸢レー⸣ カ⸢ビッスン⸣ナー ク⸢メーキ⸣ ッ⸢ス⸣ミティ ⸣ムティパリバ [ku⸢reː⸣ ka⸢bissun⸣naː ku⸢meːki⸣ s⸢su⸣miti ⸣mutipariba] (これは紙包みに丁寧に包んで持っていってくれ)。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ビッスン⸣ナー ⸢ヌー⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ⸢ブーワ [ku⸢nu⸣ ka⸢missun⸣naː ⸢nuː⸣nu ⸢peː⸣ri ⸢buːwa] (この紙包みには、何が入っているか) 4613 0 0 4395 htmvoc_4613.wav カビファイムシ カ⸢ビファイムシ [ka⸢bifaimuʃi] 名 (動)シミ。「紙喰い虫」の義。 ⸢ホンバク⸣ナー カ⸢ビふァイムシヌ⸣ シディティ ⸢ホンヌ⸣ カ⸢ベー⸣ ッ⸢ふァーリ ナー⸣ヌ [⸢hombaku⸣naː ka⸢bifaimuʃinu⸣ ʃiditi ⸢honnu⸣ ka⸢beː⸣ f⸢faːri naː⸣nu] (本箱にシミが発生<孵化>して、本の紙は喰われてしまった) 4226 0 0 4396 htmvoc_4226.wav カビフクル カ⸢ビフクル [ka⸢biɸu̥kuru] 名 紙風船。「風袋」の義。普通は、ゴム風船は⸢プー⸣カー[⸢puː⸣kaː]という。出来ものが腫れあがることにも⸢プー⸣カー ⸣ナルン[⸢puː⸣kaː ⸣naruŋ](御出来がパンパンに腫れあがる)という。 カ⸢ビ⸣シ ⸢プー⸣カー ス⸢ク⸣リ ア⸢サブン [ka⸢bi⸣ʃi ⸢puː⸣kaː su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢sabuŋ] (紙で風船玉を作って遊ぶ)。 カ⸢ビフクル⸣ ス⸢ク⸣リ ア⸢サブン [ka⸢b7iɸu̥kuru⸣ su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢sabuŋ] (風船を作って遊ぶ)。 ⸢ヨイシヤー⸣ヌ ⸣シトー カ⸢ビフクル⸣ナ イ⸢リティ オーシ⸣バ [⸢joiʃiːjaː⸣nu ⸣ʃi̥toː ka⸢biɸukuru⸣na ʔi⸢riti ʔoːʃi⸣ba] (お祝いの家からのつと<苞>は紙袋に入れて差し上げなさい) 4617 0 1 4397 htmvoc_4617.wav カビムヌ カ⸢ビ⸣ムヌ [ka⸢bi⸣munu] 名 被り物の総称。{Mn_1}頭に被るもの<帽子、笠>。頭上に覆うもの<傘>。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイ⸣バ カ⸢ビ⸣ムヌ ⸣カサ ヤ⸢ラバン⸣ カビパリ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸui⸣ba ka⸢bi⸣munu ⸣kasa ja⸢rabaŋ⸣ kabipari] (雨が降るから被り物、傘でも差して<かぶって>行け)。 4617 0 2 4398 htmvoc_4617.wav カビムヌ カ⸢ビ⸣ムヌ [ka⸢bi⸣munu] 名 {Mn_2}体にかけるもの。体を覆うもの<寝具、夜具>。 パ⸢ダピー⸣ヤ ⸣ナリケーチバ カ⸢ビ⸣ムノー ⸣ウズ ン⸢ザ⸣シ カ⸢バ⸣シティ ニ⸢バシ⸣バ [pa⸢dapiː⸣ja ⸣narikeːʧiba ka⸢bi⸣munoː ⸣ʔuʣu ʔn⸢ʣa⸣ʃi ka⸢ba⸣ʃi̥ti ni⸢baʃi⸣ba] (肌寒くなってきたので被り物<寝具>は布団を出して掛けて<被せて>寝かしなさい) 4618 0 0 4399 htmvoc_4618.wav カビヤー カ⸢ビヤー [ka⸢bijaː] 名 紙屋。紙を売る家。紙店。 カ⸢ビヤー⸣ラ ⸢ソージカビ カイ⸣キー ⸢ソージ⸣ パ⸢リ⸣バ [ka⸢bijaː⸣ra ⸢soːʤikabi kai⸣kiː ⸢soːʤi⸣ pa⸢ri⸣ba] (紙店から障子紙を買ってきて障子を張れよ) 4619 0 0 4400 htmvoc_4619.wav カビヤキムヌ カ⸢ビヤキムヌ [ka⸢bijakimunu] 名 紙銭を焼きあげる器具。小型の金盥に載せて使う。長さ約1尺に切った2本のバ⸢サ⸣ヌ ⸣ウディ[ba⸢sa⸣nu ⸣ʔudi](芭蕉の葉柄)を、長さ約1尺に切った2本の⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](ススキの生木)で貫き刺し、井の字型に作ったもの。長さ約1尺の⸢ユシ⸣キパシ[⸢juʃi̥⸣kipaʃi](ススキ箸)で紙銭を挟みながら焼いた 4620 0 0 4401 htmvoc_4620.wav カビラ カ⸢ビ⸣ラ [ka⸢bi⸣ra] 名 (地)川平村。石垣島の西北海岸、名蔵湾裏側の川平湾に面した美しい集落で石垣市中心部から約四里の里程にある。⸣マユンガナシ[⸣majuŋganaʃi]の神事が伝わる歴史の古い集落といわれている。 パ⸢トゥマ⸣プソー カ⸢ビ⸣ラーラ ⸢イーシ⸣ヌ ⸣タニ トゥ⸢ロー⸣リ ⸢ダイ⸣クビー ウ⸢ブ⸣ビー ⸢イーリジマー⸣ナ イ⸢ボーッ⸣タツォー [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ka⸢bi⸣raːra ⸢ʔiːʃi⸣nu ⸣tani tu⸢roː⸣ri ⸢dai⸣kubiː ʔu⸢bu⸣biː ⸢ʔiːriʤimaː⸣na ʔi⸢boːt⸣taʦoː] (鳩間の人が川平からツノマタ<角叉>の種苗を採取されて⸢ダイ⸣クビー、⸢イーリジマー、ウ⸢ブ⸣ビーの干瀬に養殖された<植えられた>そうだ) 4624 0 0 4402 htmvoc_4624.wav カブ ⸣カブ [⸣kabu] 名 (人)「加部」と表記されている男性の名前。 パ⸢トゥ⸣メーナー ⸣カブティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣meːnaː ⸣kabuti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣taŋ] (鳩間家にカブという人がおられた)。⸣カブヤッチー[⸣kabujatʧiː](カブ兄)→ カ⸢ブッチー[ka⸢butʧiː](カブ兄)と音韻変化し、カ⸢ブッチ[ka⸢buʧi](南瓜)とニックネームに呼ばれゆようになった 4625 0 0 4403 htmvoc_4625.wav カブ カ⸢ブ [ka⸢bu] 名 撒き餌。魚をおびき寄せるために撒く餌。 パ⸢ローマ⸣バ ⸢シッ⸣キティ イ⸢ノントゥ⸣ カ⸢ケー⸣シティ カ⸢ブ⸣ マ⸢コーッ⸣タ [pa⸢roːma⸣ba ⸢ʃik⸣kiti ʔi⸢nontu⸣ kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ka⸢bu⸣ ma⸢koːt⸣ta] (ツノメガニをシャコ貝の殻に入れて搗き、砂を混ぜ合わせて撒き餌にした) 4626 0 0 4404 htmvoc_4626.wav カブ ⸣カブ [⸣kabu] 助数 出漁回数を表す。数を表す語の下に付いて数える対象となる物の性質、回数、形状などを表す。 プ⸢ス⸣カブ [pu̥⸢su⸣kabu] (一度出漁)。 フ⸢タカブ [ɸu̥⸢takabu] (二度出漁)。 ⸢ミーカブ [⸢miːkabu] (三度出漁)。 カ⸢ツシンマー タイロー スー⸣ ピンマー ⸣プスイ フ⸢タカブナー⸣ ン⸢ジ⸣ソーッタ [kḁ⸢ʦuʃimmaː tairoː suː⸣ pimmaː ⸣pusui ɸu̥⸢takabunaː⸣ ʔn⸢ʤi⸣soːtta] (カツオ漁船は、大漁する時は一日に二度、漁場に出られた<2カブ出漁された>) 4622 0 0 4405 htmvoc_4622.wav カフー ⸣カフー [⸣kḁɸuː] 名 果報。幸福。 ウ⸢レー⸣ カ⸢フー⸣バ タ⸢ボーラ⸣リ サ⸢クシッふァ⸣ヌ マ⸢リサカリン⸣ ア⸢ラ⸣センツォー [ʔu⸢reː⸣ kḁ⸢ɸuː⸣ba ta⸢boːra⸣ri sḁ⸢kuʃiffa⸣nu ma⸢risakariŋ⸣ ʔa⸢ra⸣ʃenʦoː] (その人は幸運<果報>を賜って長男の誕生<生まれ栄え>もできた<あらせた>そうだ) 4623 0 0 4406 htmvoc_4623.wav カフーヌプス カ⸢フーヌ⸣ プ⸢ス [kḁ⸢ɸuː⸣nu pu̥⸢su] 連 媒酌人。人徳があり、富貴繁昌を肖ることのできる人を媒酌人(「果報の人」の義)に頼んだ。カ⸢ドゥ⸣ヌプス[ka⸢du⸣nupu̥su]ともいう。 カ⸢フー⸣ヌ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ シ⸢キ⸣リ [kḁ⸢ɸuː⸣nu pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri] (媒酌人を頼んでおきなさい) 4621 0 0 4407 htmvoc_4621.wav カブシンカ カ⸢ブシンカ [ka⸢buʃiŋka] 名 株仲間。カツオ漁業の組合員。「株臣下」の義。昭和に入ってから発動機船が導入され、組合も株組織に編成さらたという。ウ⸢ヤ⸣カタ[ʔu⸢ja⸣kata](親方)を中心に、その親戚を(約20名)集めて組合を組織し、組合員が小額ずつ出資したいう。各組合に所属する組員を⸢シン⸣カ[⸢ʃiŋka](仲間、「臣下」の義)と称した。 カ⸢ブシンカ⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ カ⸢ツシンヌ⸣ ス⸢コール ソー⸣ラ [ka⸢buʃiŋka⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ su̥⸢koːru soː⸣ra] (株仲間を集めてカツオ漁業の準備をしましょう) 4628 0 0 4408 htmvoc_4628.wav ガフタ ⸢ガフ⸣タ [⸢gaɸu⸣ta] 名 ざんばら髪。伸び放題の乱れた髪のままにいること。手入れをしない見苦し頭髪。 ⸢ガフ⸣タ ⸣カベーティ ⸢アー⸣クム ⸣ミルカー ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢gaɸu̥⸣ta ⸣kabeːti ⸢ʔaː⸣kumu ⸣mirukaː ⸢miːnussa⸣nu na⸢ra⸣nu] (ざんばら髪で出歩くのを見ると、見苦しくて堪らない) 4629 0 0 4409 htmvoc_4629.wav カブッチ カ⸢ブッチ [ka⸢butʧi] 名 (植)カボチャ(南瓜)。苗床に苗をおろして育苗し、シ⸢ブル[ʃi⸢buru](冬瓜)と同じように、本圃へ移植する。花が咲くとオシベの花粉をメシベにつけて受粉させた。実は、普通直径約30センチの球形になった。収穫した果実は、⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)、または母屋の裏座やユ⸢クンツァ⸣メー[ju⸢kunʦa⸣meː](床下)などに、藁で作った⸣シケー[⸣ʃi̥keː](ゆりわ<揺輪>)を置き、その上に置いてタ⸢ブータン⸣ダー[ta⸢buːtan⸣daː](保存したよ)。 パ⸢トゥ⸣マナー カ⸢ブッチェー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢ル⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː ka⸢butʧeː⸣ ʔik⸢kena⸣ na⸢ru⸣taŋ] (鳩間島ではカボチャは非常に良く稔った)。 カ⸢ブッチェー⸣ ユ⸢コー⸣ナーン ユ⸢クンツァ⸣メナーン ⸣シケー シ⸢カシ⸣ ビ⸢シティル⸣ タ⸢ブイヨーッ⸣タ [ka⸢butʧeː⸣ ju⸢koː⸣naːɲ ju⸢kunʦa⸣meːnaːŋ ⸣ʃi̥keː ʃi̥⸢kaʃi⸣ bi⸢ʃitiru⸣ ta⸢buijoːt⸣ta] (カボチャは裏座にも床下にもゆりわ<揺輪>を敷いて、その上に据えておいて保存された) 4631 0 1 4410 htmvoc_4631.wav ガフティ ガフ⸢ティ [gaɸu̥⸢ti] 副 {Mn_1}ぴったり。ガッ⸢ツティとも言う。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズタ⸣ ム⸢ニ⸣トゥ ガフ⸢ティ⸣ ア⸢タリブー [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣuta⸣ mu⸢ni⸣tu gaɸu̥⸢ti⸣ ʔa⸢taribuː] (君が言った話<言葉>とぴったり合致している)。 ⸢サンミン⸣マー ガフ⸢ティ⸣ ア⸢タリ ブー [⸢sammim⸣maː gaɸu̥⸢ti⸣ ʔa⸢tari buː] (計算はぴったりと当っている)。 4631 0 2 4411 htmvoc_4631.wav ガフティ ガフ⸢ティ [gaɸu̥⸢ti] 副 {Mn_2}ぱくっと。口を大きく開けて食いつくこと。 ウ⸢ヌ⸣ イン ガフ⸢ティ ホー⸣リティ ナ⸢キベー [ʔu⸢nu⸣ ʔiŋ gaɸu̥⸢ti hoː⸣riti na⸢kibeː] (この犬にぱくっと咬まれて泣いている) 4632 0 0 4412 htmvoc_4632.wav ガブヌン ガ⸢ブヌン [ga⸢bunuŋ] 名 がぶ飲み。酒や水をがぶがぶ飲むこと。若年層はガ⸢ブヌミ[ga⸢bunumi]ともいう。 ミ⸢ジバ⸣ ガ⸢ブヌン スー⸣カー ン⸢ツァイルン⸠ダー [mi⸢ʤiba⸣ ga⸢bunun suː⸣kaː ʔn⸢ʦairun⸠daː] (水をがぶ飲みするとむせ<咽>て咳き込むぞ) 4635 0 0 4413 htmvoc_4635.wav カブルキー ⸣カブルキー [⸣kaburukiː] 名 (植)木の名。若年層は、ビンダ⸢ロー⸣マキー[binda⸢roː⸣makiː]ともいう。和名、オオバイヌビワ。 ⸣カブルキーヌ ッ⸢サーン⸣ナ ⸢ブー⸣ マコヤー ⸢ビー⸣ルンティ⸢ダー⸣ ウ⸢レー⸣ ッ⸢ふーナ⸣ヨー [⸣kaburukiːnu s⸢saːn⸣na ⸢buː⸣ makojaː ⸢biː⸣runti⸢daː⸣ ʔu⸢reː⸣ f⸢fuːna⸣joː] (オオバイヌビワの下にいるヤシガニは食中毒する<酔う>そだよ{EOS}それは食べるなよ) 4636 0 0 4414 htmvoc_4636.wav カブルン カ⸢ブ⸣ルン [ka⸢bu⸣ruŋ] 他動 損する。背負い込む。⸢被る」の義。 タ⸢カダイ⸣ シキ ⸢カウター⸣ カ⸢ブ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [tḁ⸢kadai⸣ ʃi̥ki ⸢kautaː⸣ ka⸢bu⸣ri ⸢naː⸣nu] (高値をつけて買ったので損をしてしまった)。 ギュー⸢サ⸣シ ⸢カーバン⸣ カ⸢ブラ⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ʃi ⸢kaːbaŋ⸣ ka⸢bura⸣nu] (いくらで買っても損しない)。 ⸢タンガ⸣シ カ⸢ブ⸣ルンティ ⸣ウムイ [⸢taŋga⸣ʃi ka⸢bu⸣runti ⸣ʔumui] (自分一人損する<一人で負債を被る>と思え)。 カ⸢ブ⸣ルクトー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢bu⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (損する<一人でひっかぶる>ことはない)。 カ⸢ブ⸣レー ⸣ミサムヌ [ka⸢bu⸣reː ⸣misamunu] (損すればよいのに)。 カ⸢ブ⸣リバ [ka⸢bu⸣riba] (損しろ) 4634 0 0 4415 htmvoc_4634.wav カブレー カ⸢ブ⸣レー [ka⸢bu⸣reː] 名 (動)コウモリ(蝙蝠)。「蝙蝠、カハボリ『類聚名義抄』」の義。 ナ⸢チェー⸣ ユネン ⸣ナルカー フ⸢クンヌ⸣ ナル ッ⸢ふンティル⸣ カ⸢ブレー⸣ヤー ウ⸢ヌス⸣ク トゥ⸢ビ クータ⸣ル [na⸢ʧeː⸣ junen ⸣narukaː ɸu̥⸢kunnu⸣ naru f⸢funtiru⸣ ka⸢bureː⸣ja ʔu⸢nusu̥⸣ku tu⸢bi kuːta⸣ru] (夏は、夜になると福木の実を食べようとして蝙蝠はあんなに沢山飛んで来たものだ) 4637 0 1 4416 htmvoc_4637.wav カブン ⸣カブン [⸣kabuŋ] 他動 {Mn_1}かぶる(被る)。帽子や面をかぶる。 ⸣アツァバ ⸣カサ ⸣カビ [⸣ʔaʦaba ⸣kasa ⸣kabi] (暑いから笠を被れ)。 4637 0 2 4417 htmvoc_4637.wav カブン ⸣カブン [⸣kabuŋ] 他動 {Mn_2}布団を被る。「~麻被 引可賀布利<~麻ふすま引きかがふり>『万葉集 892』」の義か。 ⸣ウズ カ⸢バン⸣カー ⸢ピーヤ⸣ヌ ニ⸢バラヌ [⸣ʔuʣu ka⸢baŋ⸣kaː ⸢piːja⸣nu ni⸢baranu] (布団を被らないと寒くて眠れない)。 4637 0 3 4418 htmvoc_4637.wav カブン ⸣カブン [⸣kabuŋ] 他動 {Mn_3}傘をさす。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイ⸣バ ⸣サナー カ⸢バン⸣カー ⸢ゾールン⸣ダー [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸui⸣ba ⸣sanaː ka⸢baŋ⸣kaː ⸢ʣoːrun⸣daː] (雨が降るから傘を差さない<被らない>と濡れるぞ)。 4637 0 4 4419 htmvoc_4637.wav カブン ⸣カブン [⸣kabuŋ] 他動 {Mn_4}浴びる。水をかぶる。 ス⸢ブ⸣ローラ ミ⸢ジェー⸣ カビティ ⸣ティダナカーラ パリ⸢パッ⸣タ [su⸢bu⸣roːra mi⸢ʤeː⸣ kabiti ⸣tidanakaːra pari⸢pat⸣ta] (頭から水を被って太陽光線をあびて走って行った)。 4637 0 5 4420 htmvoc_4637.wav カブン ⸣カブン [⸣kabuŋ] 他動 {Mn_5}罪や負債を被る。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー プ⸢スヌ⸣ バ⸢チ⸣ カブン⸢ダー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː pu̥⸢sunu⸣ baʧi kabun⸢daː] (あんな事をすると、他人の罰が当たる<罰を被る>ぞ) 4638 0 0 4421 htmvoc_4638.wav カブン カ⸢ブン [ka⸢buŋ] 他動 嗅ぐ。 カ⸢ザ⸣ カ⸢ブン [ka⸢ʣa⸣ ka⸢buŋ] (匂いを嗅ぐ)。 パ⸢ナ⸣ シ⸢マ⸣リティ カ⸢ザー⸣ カ⸢バラヌ [pa⸢na⸣ ʃi⸢ma⸣riti ka⸢ʣa⸣ ka⸢baranu] (鼻が詰まって匂いが嗅がれない)。 カ⸢ザ⸣ カ⸢ビ⸣ ミサン [ka⸢ʣa⸣ ka⸢bi⸣ misaŋ] (匂いを嗅いでもいい)。 ッ⸢サー⸣ムノー カ⸢ブ プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [s⸢saː⸣ munoː ka⸢bu pu̥soː⸣ bu⸢raːnu] (臭いものを嗅ぐ人はいない)。 カ⸢ベー⸣ ミサムヌ [ka⸢beː⸣ misamunu] (嗅げばよいのに)。 ク⸢ヌ⸣カ ⸢ザ⸣ カ⸢ビ⸣バ [ku⸢nu⸣ ka⸢ʣa⸣ ka⸢bi⸣ba] (この匂いを嗅げよ) 4639 0 0 4422 htmvoc_4639.wav カマ カ⸢マ [ka⸢ma] 名 かま(釜)。 ⸣ナビカマ [⸣nabikama] (鍋釜{EOS}炊飯器)。鰹節工場のカツオを煮る大きな釜。 イ⸢ズネーシカマ [ʔi⸢ʣuneːʃikama] (カツオを煮る大きな釜{EOS}直径約110センチ、深さ約150センチの大きな鉄製の釜{EOS}鰹節工場の土間を約2メートル掘り下げて特設竈を作って大きな釜を設置した)。この釜には、ナ⸢カ⸣ワリ[na⸢ka⸣wari](三枚下ろし)、ヨ⸢ツ⸣ワリ[jo⸢ʦu⸣wari](四つ割り)にしたカツオを、直径約100センチ、高さ約10センチのカ⸢グ[ka⸢gu](煮篭)に詰め、その篭の12~3枚を釜に入れて煮た。 ⸢シーゾー⸣ヤーナー イ⸢ズネーシカマー ミーチブカラ スイシキラリ ブタ [⸢ʃiːʣoː⸣jaːnaː ʔi⸢ʣuneːʃikamaː miːʧibukara suiʃi̥kirari buta] (製造屋にはカツオを煮る釜が三基ほど据えつけられていた) 4640 0 1 4423 htmvoc_4640.wav カマ ⸣カマ [⸣kama] 名 {Mn_1}接合部分。両方の継ぎ合わせ目。 ク⸢レー⸣ カマー ⸢ホー⸣シティ シ⸢ナイ [ku⸢reː⸣ kamaː ⸢hoː⸣ʃi̥ti ʃi⸢nai] (これは継ぎ目を合わせて繋げよ)。 4640 0 2 4424 htmvoc_4640.wav カマ ⸣カマ [⸣kama] 名 {Mn_2}つじつま(辻褄)。 ⸢ワー⸣ ムネー ⸢ピッ⸣チン ⸣カマー ⸣フイ ブ⸢ラーヌ⸣ カマー ⸢ホー⸣ヌ [⸢waː⸣ muneː ⸢pit⸣ʧiŋ ⸣kamaː ⸣ɸui bu⸢raːnu⸣ kamaː ⸢hoː⸣nu] (君の話はちっとも辻褄があっていない{EOS}辻褄が合わない) 4644 0 0 4425 htmvoc_4644.wav カマ ⸣カマ [⸣kama] 代 あそこ。遠称の指示語。 ⸣カマナ ⸢ベー⸣リ [⸣kamana ⸢beː⸣ri] (あそこに居れ)。 カ⸢マ⸣ヌ ⸣トン [ka⸢ma⸣nu ⸣toŋ] (あそこの所)。 カ⸢マー⸣ パリ [ka⸢maː⸣ pari] (あそこへ行け)。 ⸣カマーラ ⸣クーン [⸣kamaːra ⸣kuːŋ] (あそこから来る)。 カ⸢マ⸣ル マ⸢シ [ka⸢ma⸣ru ma⸢ʃi] (あそこがよい<ましだ>)。 ク⸢マ⸣トゥ カ⸢マ⸣トー ⸢マー⸣ル マ⸢シ⸣ユー ワ⸢カラ⸣ヌ [ku⸢ma⸣tu ka⸢ma⸣toː ⸢maː⸣ru ma⸢ʃi⸣juː wa⸣⸢kara⸣nu] (こことあそことでは、何処が良いか分からない)。 ⸣カマナ ⸢ベー⸣リ [⸣kamana ⸢beː⸣ri] (あそこに居れ) 4643 0 0 4426 htmvoc_4643.wav ガマ ガ⸢マ [ga⸢ma] 名 洞窟。鍾乳洞。天然の横穴。洞穴(竪穴)にはア⸢ブ[ʔa⸢bu]といい、ガ⸢マ[ga⸢ma]とは言わない。 ⸣インダガマ [⸣ʔindagama] (西表島北岸の伊武田にある洞窟{EOS}戦争中、鳩間島の人が避難したところ{EOS}洞窟の奥に石垣囲いで人骨を納めてあった{EOS}平家の落ち武者の骨という伝説がある) ピ⸢ナイサキヌ ガマ [pi⸢naisakinu gama] (船浦のピナイ崎にある鍾乳洞{EOS}戦争中、鳩間島の人が避難したところ{EOS}小さな蝙蝠が群棲していた))。 ⸢ナーパマヌ ガマ [⸢naːpamanu gama] (伊武田の長浜の上にある洞窟)。 ⸢クーラー⸣ラ ⸢アンタ ユシ⸣キダー サ⸢キンダバーキ⸣ヌ ⸢シー⸣トゥンケーヤ ⸣インダガマナール ⸢ガッ⸣コー ン⸢ズ⸣タ ⸢バン⸣ター シン⸢トゥ⸣ プスイカー⸢ニヌ⸣ イ⸢チネンセイ ヤタル [⸢kuːraː⸣ra ⸢ʔanta juʃi̥⸣kidaː sḁ⸢kindabaːki⸣nu ⸢ʃiː⸣tuŋkeːja ⸣ʔindagamanaːru ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʣu⸣ta ⸢ban⸣taː ʃin⸢tu⸣ pu̥suikaː⸢ninu⸣ ʔi⸢ʧineŋʃei⸣ ja⸢taru] (久浦から東、ヨシキダ、崎田までの生徒達はインダガマで学校をでた{EOS}私たちは、たった一日だけの一年生だったよ) 4658 0 0 4427 htmvoc_4658.wav カマークマー カ⸢マー⸣クマー [ka⸢maː⸣kumaː] 代 あちこち(彼方此方)。あちらこちら。⸣ウマーカマー[⸣ʔumaːkamaː](そこここ)の対語。ク⸢マー⸣カマーナとも言う。 カ⸢マー⸣クマーナ ⸢ポーリ⸣ シゥ⸢カン⸣ドーシ シ⸢ズ⸣ミ ⸣シキバ [ka⸢maː⸣kumaːna ⸢poːri⸣ si̥⸢kan⸣doːʃi ʃi⸢ʣu⸣mi ⸣ʃi̥kiba] (あちこちに散らかしておかないで片付けておけよ) 4641 0 0 4428 htmvoc_4641.wav カマーフーン ⸣カマー ⸣フーン [⸣kamaː ⸣ɸuːŋ] 連 辻褄があう。食い違いがなく、筋道が通る。 ⸣アイ ヤ⸢ルンデー⸣カー パ⸢ナ⸣シェー ⸣カマー ⸣フーン [⸣ʔai ja⸢rundeː⸣kaː pa⸢na⸣ʃeː ⸣kamaː ⸣ɸuːŋ] (そうであるならば話は辻褄があう<筋が通っている>)。 ⸣アイニ パ⸢ナ⸣スカー ⸣カマー ⸣フーン [⸣ʔaini pa⸢na⸣su̥kaː ⸣kamaː ⸣ɸuːŋ] (そのように話すと辻褄があう) 4642 0 0 4429 htmvoc_4642.wav カマーホースン ⸣カマー ⸢ホー⸣スン [⸣kamaː ⸢hoː⸣suŋ] 連 辻褄を合わせる。筋道をたてる。理路整然とする。 ⸣カマー ⸢ホーシ⸣ル ⸣ムネー イ⸢ズ⸣ダー [⸣kamaː ⸢hoːʃi⸣ru muneː ʔi⸢ʣu⸣daː] (辻褄を合わせて、道理にかなうように話はする<ものは言う>ものだ)。 ⸣ユー ⸣カマー ⸢ホー⸣シェーティ ⸣ムネー イ⸢ザン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [⸣juː ⸣kamaː ⸢hoː⸣ʃeːti ⸣muneː ʔi⸢ʣaŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (よく辻褄を合わせてものを言わないといけないよ) 4646 0 0 4430 htmvoc_4646.wav カマーラサン カ⸢マーラ⸣サン [ka⸢maːra⸣saŋ] 形 悲しい。わびしい。物悲しい。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣クトゥ ⸣ウムーカー カ⸢マラーサ⸣ヌ ナ⸢キル⸣ シ⸢ラリ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ku̥tu ⸣ʔumuːkaː ka⸢maraːsa⸣nu na⸢kiru⸣ ʃi⸢rari] (戦争時代のことを思うと悲しくて泣けてくる)。 ⸢ワー⸣ カ⸢マラーサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌティ ア⸢ズヌ⸣ カ⸢マラー⸣サル ⸣クトー ムー⸢ル⸣ ユ⸢ヌ⸣ムヌティムカーヤ [⸢waː⸣ ka⸢maːrasa⸣nu na⸢ra⸣nuti ʔa⸢ʣunu⸣ ka⸢maːra⸣saru ⸣ku̥toː muː⸢ru⸣ ju⸢nu⸣munutimukaːja] (君は悲しいと言うが、悲しいことは皆同じということだよ)。 ム⸢カシ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣ヌ ウ⸢ムインザサ⸣リティ カ⸢マーラサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢kaʃi⸣nu ku̥⸢tu⸣nu ʔu⸢muiʔnʣasa⸣riti ka⸢maːrasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (昔のことが思い出されてもの悲しくてなって、たまらない)。 カ⸢マーラ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢maːra⸣saː ⸢naː⸣nu] (もの悲しくはない)。 イッ⸢ケナ⸣ カ⸢マーラ⸣サン [ʔik⸢kena⸣ ka⸢maːra⸣saŋ] (非常にもの悲しい)。 カ⸢マーラ⸣サカー ナ⸢カバン⸣ ミサン [ka⸢maːra⸣sakaː na⸢kabam⸣ misaŋ] (もの悲しかったら泣いても良い)。 ア⸢スン⸣ケン カ⸢マーラ⸣サ ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ナ⸢ダ⸣ヌ ⸣パルサー [ʔa⸢suŋ⸣keŋ ka⸢maːra⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu na⸢da⸣nu ⸣parusaː] (そんなに悲しいことはない<悲しくない>が涙がでる<走る>よ) 4690 0 0 4431 htmvoc_4690.wav ガマーラサン -ガ⸢マーラ⸣サン [-ga⸢maːra⸣saŋ] 接尾 ~し勝ちである。よく~する。 チ⸢カ⸣グロー ⸣ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー イ⸢ミガマーラサ⸣ヌ ⸢ソーシ⸣ ナ⸢ラン⸣サー [ʧi⸢ka⸣guroː ⸣nuntiru ja⸢ru⸣juː ʔi⸢migamaːrasa⸣nu na⸢ran⸣saː] (最近は何故か夢みがちで、心配で仕方がないよ)。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ヤンガマーラ⸣サ カー⸢ニル⸣ アル⸢ツォー [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ⸢jaŋgamaːra⸣sa kaː⸢niru⸣ ʔaru⸢ʦoː] (年をとったので病気がちであるんだよ)。 ア⸢ミガマーラ⸣サティ ⸣ンジン ⸣ペーリン ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢migamaːra⸣sati ⸣ʔnʤim ⸣peːrin na⸢ra⸣nu] (雨降り続きで<雨降りがちで>外出もままならない<出たり入ったりも出来ない>) 4645 0 0 4432 htmvoc_4645.wav カマアギ カ⸢マアギ [ka⸢maʔagi] 名 釜揚げ。鰹節製造工場の大釜で、円い蒸籠に並べて煮たカツオを釜より引き上げること。 カ⸢マアギ⸣ シ⸢ティ ピーラ⸣シティル バ⸢ラ⸣ヌギ ⸢ソーッ⸣タ [ka⸢maʔagi⸣ ʃi̥⸢ti piːra⸣ʃi̥tiru ba⸢ra⸣nugi ⸢soːt⸣ta] (釜揚げして冷ましてからバラヌギ<\ruby{棘}{トゲ}抜き{EOS}小骨抜き{EOS}「\ruby{荊棘}{バ|ラ}抜き」>をされた) 4647 0 0 4433 htmvoc_4647.wav カマイ ⸣カマイ [⸣kamai] 名 いのしし(猪)。「○羊、加万之々(かましし)、大ニ於羊一而大角者也」『和名抄』の転訛したものか。西表島の山中には猪が多数棲息しており、夏の稲の収穫時には猪害が発生した。この猪害を防ぐために、田圃の周囲を猪垣でめぐらさなければならなかった。カ⸢キ[kḁ⸢ki](垣)は、直径約4センチ、長さ約2メートルの⸣キチ[⸣ki̥ʧi](若木、木の枝)を約4センチ間隔で編みあげて作る。 カ⸢マイ⸣ヌ カ⸢キ スンティ パイ⸣ター ⸢パッ⸣タ [ka⸢mai⸣nu kḁ⸢ki sunti pai⸣taː ⸢pat⸣ta] (猪の垣を作る<垣をする>といって西表北岸の田んぼ<南端>へ行った) 4648 0 0 4434 htmvoc_4648.wav カマイ カ⸢マイ [ka⸢mai] 名 構え。構造。間取り。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢マイヤー⸣ イッ⸢ケナ ガン⸣ゾー ス⸢クラリ⸣ブー [⸢jaː⸣nu ka⸢maijaː⸣ ʔik⸢kena gan⸣ʣoː su̥⸢kurari⸣buː] (家の構えは非常に頑丈に作られている)。カ⸢ザンガマイ[ka⸢ʣaŋgamai](暴風対策)として、家の四隅に支柱を建てた 4649 0 0 4435 htmvoc_4649.wav カマイトゥリプス ⸣カマイ トゥ⸢リ⸣プス [⸣kamai tu⸢ri⸣pu̥su] 連 猪を獲る人。猟人。猪のかりゅうど(猟人)。 イ⸢ラムティ⸣ナー ⸣シンニン ⸣カマイ トゥ⸢リプス⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン [ʔi⸢ramuti⸣naː ⸣ʃinniŋ ⸣kamai tu⸢ripu̥su⸣nu ⸢ʔoːt⸣taŋ] (西表には専ら猪を獲る\ruby{猟人}{リョウ|ジン}がおられた) 4650 0 0 4436 htmvoc_4650.wav カマイヌカキ カ⸢マイ⸣ヌ カ⸢キ [ka⸢mai⸣nu kḁ⸢ki] 連 猪の垣。猪の害を防ぐために田圃の周りに若木や竹を編んで張り巡らした垣。直径約4センチ、長さ約6尺の若木や竹を、上、中、下段に横木を渡してトウズルモドキの皮で編んだ垣根。 カ⸢マイ⸣ヌ カ⸢キ⸣ ス⸢クランカー⸣ カ⸢マイ⸣ヤー フ⸢シガラン⸣シェン [ka⸢mai⸣nu kḁ⸢ki⸣ su̥⸢kuraŋ⸣kaː ka⸢mai⸣jaː ɸu̥⸢ʃigaraŋ⸣ʃeŋ] (猪の垣を作らないと猪の害は防げ<防がれ>なかった) 4651 0 0 4437 htmvoc_4651.wav カマイヌキム カ⸢マイ⸣ヌ ⸣キム [ka⸢mai⸣nu ⸣kimu] 連 猪の胆嚢。「猪の肝」の義。猛烈な苦味を有するが胃薬として重宝されていた。乾燥した猪の胆嚢を煎じて服用すると、胃潰瘍などの胃の病気に効くといわれていた。 バ⸢タ⸣ヤン ム⸢ティ⸣プソー カ⸢マイ⸣ヌ ⸣キム ⸣シジティ ヌ⸢モーッ⸣タ [ba⸢ta⸣jam mu⸢ti⸣pu̥soː ka⸢mai⸣nu ⸣kimu ⸣ʃiʤiti nu⸢moːt⸣ta] (胃病<腹の病>持ちの人は乾燥した猪の胆嚢を煎じて服用された<飲まれた>) 4652 0 0 4438 htmvoc_4652.wav カマイヌシー カ⸢マイ⸣ヌ ⸣シー [ka⸢mai⸣nu ⸣ʃiː] 連 猪の巣。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸣シー ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [ka⸢mai⸣nu ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ri ʃi̥keː] (猪が巣を作ってある) 4653 0 0 4439 htmvoc_4653.wav カマイヌミン カ⸢マイ⸣ヌ ⸣ミン [ka⸢mai⸣nu ⸣miŋ] 連 猪の耳。猪の耳のように聡い耳。小さな物音にも敏感に反応する耳のこと。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸢ミン⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢サッ⸣コー ⸢ミン パヤー⸣ン <⸣ミン パ⸢ヤー⸣ン> [ka⸢mai⸣nu ⸢min⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢sak⸣koː ⸢mim pajaː⸣ŋ <⸣mim pa⸢jaː⸣ŋ>] (猪の耳のように非常に耳が聡い<耳が早い>) 4654 0 0 4440 htmvoc_4654.wav カマイヤマ ⸣カマイヤマ [⸣kamaijama] 名 猪の罠。猪を捕獲する仕掛け。獣道を探して、猪の好む餌を撒いて罠へ導き、罠の中に入ったところを、上に揚げておいた木の枠を落として捕獲する仕掛け。仕掛けは、タ⸢ル⸣キ[ta⸢ru⸣ki](垂木、棰)を戸板状に編み、その上に重い石を載せ、片面を吊るし上げて支柱で支えておき、猪がその中に入ったとたんに戸板が落下して猪を押えて捕獲するようにしたもの。 ⸣カマイヤマ ア⸢ギティ⸣ カマイ ⸣トゥルン [⸣kamaijama ʔa⸢giti⸣ kamai ⸣turuŋ] (猪を捕る仕掛けをして猪を捕獲する) 4655 0 0 4441 htmvoc_4655.wav カマイヨー カ⸢マイ⸣ヨー [ka⸢mai⸣joː] 名 構造。家の構え。「構え様」の義。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢マイ⸣ヨー ⸣ミルカー ユ⸢カラプス⸣ヌ ⸢ヤー⸣ル ヤ⸢ローリン⸣ギサバン [⸢jaː⸣nu ka⸢mai⸣joː ⸣mirukaː ju⸢karapusu⸣nu ⸢jaː⸣ru ja⸢roːriŋ⸣gisabaŋ] (家の構え<家の構造>を見ると士族の家であられるようだわい) 4656 0 0 4442 htmvoc_4656.wav カマイルン カ⸢マイ⸣ルン [ka⸢mai⸣ruŋ] 自動 構える。身構える。 ⸢プール⸣ヌ サ⸢ク⸣ボー ⸣ウトゥピンマー ガ⸢マ⸣コー イ⸢リティ⸣ カ⸢マイ⸣ル⸢ダー [⸢puːru⸣nu sḁ⸢ku⸣boː ⸣ʔutu ⸣pimmaː ga⸢ma⸣koː ʔi⸢riti⸣ ka⸢mai⸣ru⸢daː] (豊年祭のサクボー<剣を持って打つ棒踊り>を打つ時は腰<ガマク>を入れて構えるのだよ)。 ⸣アイネー カ⸢マイララ⸣ヌ [⸣ʔaineː ka⸢mairara⸣nu] (そのようには構えられない)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢マイ⸣ルン [⸢ban⸣nuŋ ka⸢mai⸣ruŋ] (私も構える)。 カ⸢マイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢mai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (構える事は出来ない)。 ⸢パー⸣ク カ⸢マイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ka⸢mai⸣jaː ⸣misamunu] (早く構えればよいのに)。 ⸣カイニ カ⸢マイ⸣リ [⸣kaini ka⸢mai⸣ri] (このように構えろ) 4657 0 0 4443 htmvoc_4657.wav カマイルン カ⸢マイ⸣ルン [ka⸢mai⸣ruŋ] 自動 吠える。 ク⸢ヌ イン⸣マー プ⸢スヌ⸣ クーカー ⸢ギーバー⸣ ン⸢ザ⸣シティ カ⸢マイ⸣ルン⸢ダー [ku⸢nu ʔim⸣maː pu̥⸢sunu⸣ kuːkaː ⸢giːbaː⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ka⸢mai⸣run⸢daː] (この犬は人が来ると牙を出して吠えるぞ)。 カ⸢マイラ⸣ヌ [ka⸢maira⸣nu] (吠えたてない) 4659 0 0 4444 htmvoc_4659.wav カマウン ⸣カマウン [⸣kamauŋ] 自動 犬が牙を剥いて吠える。身構えて吠え立てる。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢イン⸣マー ッ⸢サン⸣ プ⸢スヌ⸣ クーカー カ⸢マウン⸣ドゥ ッ⸢シプスヨー⸣ <ッシプスネー> カ⸢マー⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenu ⸢ʔim⸣maː s⸢sam⸣ pu̥⸢sunu⸣ kuːkaː ka⸢maun⸣du ʃ⸢ʃipusujoː⸣ <ʃʃipusuneː> ka⸢maː⸣nu] (あの家の犬は知らない人が来ると吠えるが、知人をば吠えない)。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢イン⸣ヌ ⸣カマイティ ナ⸢クラー⸣ヌ ⸢ペーララ⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːja ⸢ʔin⸣nu ⸣kamaiti na⸢kuraː⸣nu ⸢peːrara⸣nu] (犬が吠えて、怖くては入れない)。 ッ⸢シプス⸣ネー ⸣カマウ ⸣クトー サ⸢ヌ [ʃ⸢ʃipusu⸣neː ⸣kamau ⸣ku̥toː sa⸢nu] (知人<知っている人>には吠えることはしない) 4660 0 0 4445 htmvoc_4660.wav ガマク ガ⸢マ⸣ク [ga⸢ma⸣ku] 名 腰周りの細くくびれた部分。ウエスト。 サ⸢ク⸣ボーン ル⸢クサク⸣ボーン ガ⸢マ⸣ク イ⸢リラン⸣カー <イランカー> ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [sḁ⸢ku⸣boːn ru⸢kusaku⸣boːŋ ga⸢ma⸣ku ʔi⸢riraŋ⸣kaː ⸢miːnussa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (サクボー演武も六尺棒演武もカマク<ウエスト>を入れないと見苦しくて見ておれない) 4661 0 0 4446 htmvoc_4661.wav ガマコーマ ガマ⸢コー⸣マ [gama⸢koː⸣ma] 名 ほっそりしたウエスト。細腰。細くくびれた腰周り。リブ(肋骨)とヒップ(腰)の間の胴のくびれた所。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ガ⸢マコー⸣マー イ⸢カムス⸣ク ⸢カイ⸣ヤワ⸢ツォー [mi⸢doːŋ⸣ffanu gama⸢koː⸣maː ʔi⸢kamusu̥⸣ku ⸢kai⸣jawa⸢ʦoː] (女の子のほっそりしたウエストはどんなに美しいことかってば) 4662 0 0 4447 htmvoc_4662.wav カマサー カ⸢マ⸣サー [ka⸢ma⸣saː] 名 (動)魚の名。和名、オオカマス(体長約1、5メートル)。和名、ヤマトカマス(体長約30センチ)の総称。 カ⸢ツシンラ⸣ パ⸢ニビキ シー⸣ クンケン ⸢カマサー⸣ヌ ⸣フイケータンツォー [kḁ⸢ʦuʃinra⸣ pa⸢nibiki ʃiː⸣ kuŋkeŋ ka⸢masaː⸣nu ⸣ɸuikeːtanʦoː] (カツオ船から擬餌鉤を引いて<引き縄漁をして>きたところオオカマスが釣れた<喰い付いてきた>そうだ) 4663 0 0 4448 htmvoc_4663.wav カマジ カ⸢マ⸣ジ [ka⸢ma⸣ʤi] 名 かます。藁蓆を二重にし、二つ折りにして作った袋。穀物や塩を入れるのに用いられた。石垣島から農業用化学肥料の⸢リュー⸣アン[⸢rjuː⸣aŋ](硫安<金肥>)や⸢チッ⸣ソ[⸢ʧis⸣so](窒素肥料)を入れて送るのにも用いられた。 カ⸢マ⸣ジナール ⸢マー⸣ソー イ⸢リラリティ⸣ ウ⸢クラリ クー⸣タ [ka⸢ma⸣ʤinaːru ⸢maː⸣soː ʔi⸢rirariti⸣ ʔu⸢kurari kuː⸣ta] (かますに塩は入れられて送られてきた) 431 0 1 4449 htmvoc_431.wav ガマジ ガ⸢マ⸣ジ [ga⸢ma⸣dʒi] 名 {Mn_1}頭髪。「かもじ」(<髪>「女房言葉」)の転か。 ガ⸢マ⸣ジ ⸢ユーン [ga⸢ma⸣dʒi ⸢juːŋ] (髪を結う)。 ガ⸢マ⸣ジ ⸣キズン [ga⸢ma⸣dʒi ⸣kiʣuŋ] (髪を梳る)。 ガ⸢マ⸣ジ ⸢ナームイ シー ナー⸣ヌ [ga⸢ma⸣ʤi ⸢naːmui ʃiː naː⸣nu] (髪の毛が長く伸びてしまった)。 ⸢ダン⸣パチヤーナ ⸢ギー⸣ ガ⸢マ⸣ジ ⸣シミ ⸣クー [⸢dam⸣paʧijaːna ⸢giː⸣ ga⸢ma⸣ʤi ⸣ʃimi ⸣kuː] (理髪店<断髪屋>に行って髪を摘んでこい)。 ガ⸢マ⸣ジ ⸣シミン ⸢ダン⸣パチヤー ⸢パッ⸣タ [ga⸢ma⸣ʤi ⸣ʃimin ⸢dam⸣paʧijaː ⸢pat⸣ta] (髪を刈りに<髪を詰めに>床屋<断髪屋>へ行った)。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢リ⸣カンシル ガ⸢マ⸣ジェー シ⸢ムタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢ri⸣kaŋʃiri ga⸢ma⸣ʤeː ʃi⸢muta⸣ru] (昔はバリカンで髪を刈った<摘んだ>ものだ)。 431 0 2 4450 htmvoc_431.wav ガマジ ガ⸢マ⸣ジ [ga⸢ma⸣dʒi] 名 {Mn_2}頭。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ga⸢maʤi⸣nu ⸣jami na⸢ra⸣nu] (頭痛がしてたまらない) 403 0 0 4451 htmvoc_403.wav ガマジキジ ガ⸢マ⸣ジキジ [ga⸢ma⸣dʒikidʒi] 名 髪梳き。髪をすくこと。 ⸢マイカリヌ パンタ⸣サー ガ⸢マ⸣ジキジンツァン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maikarinu panta⸣saː ga⸢ma⸣ʤikiʤinʦan na⸢ra⸣nu] (稲刈りの忙しさで<繁多さで>髪梳きすら出来ない) 433 0 0 4452 htmvoc_433.wav ガマジシミルン ガ⸢マ⸣ジ ⸣シ⸢ミ⸣ルン [ga⸢ma⸣ʤi ʃi⸢mi⸣ruŋ] 連 ガ⸢マ⸣ジ ⸣シムン[ga⸢ma⸣ʤi ⸣ʃimuŋ]と同じ。 ⸣ドゥーシ ガ⸢マ⸣ジ シ⸢ミ⸣ルンティ ⸢ベーン⸣ドゥ シ⸢ミララン⸣バン [⸣duːʃi ga⸢ma⸣ʤi ʃi⸢mi⸣runti ⸢beːn⸣du ʃi⸢miraram⸣baŋ] (自分で髪を刈り<詰め>ようとしているが、刈りられ<詰められ>ないんだよ) 4666 0 0 4453 htmvoc_4666.wav ガマジスミルン ガ⸢マ⸣ジ ス⸢ミルン [ga⸢ma⸣ʤi su⸢miruŋ] 連 髪の毛を染める。 ガ⸢マ⸣ジ ス⸢ミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ス⸢ミクーヌ ナー⸣ヌ [ga⸢ma⸣ʤi su⸢mirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du su⸢mikuːnu naː⸣nu] (髪の毛を染めようと思うが、染粉がない) 4667 0 0 4454 htmvoc_4667.wav ガマジヌアバ ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣アバ [ga⸢maʤi⸣nu ⸣ʔaba] 連 髪の油。髪油。びんつけあぶら。ポマード。シ⸢キ⸣アバ[ʃi̥⸢ki⸣ʔaba](つけあぶら)ともいう。 ム⸢カシ⸣ヌ ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣アバー カ⸢バッ⸣サタン [mu⸢kaʃi⸣nu ga⸢maʤi⸣nu ⸣ʔabaː ka⸢bas⸣sataŋ] (昔の付け油は香ばしかった) 434 0 0 4455 htmvoc_434.wav ガマジヌグル ガ⸢マジ⸣ヌ グ⸢ル [ga⸢maʤi⸣nu gu⸢ru] 連 断髪して切り落とした髪の毛。「髪の殻」の義。 ガ⸢マジ⸣ヌ グ⸢ロー⸣ ムティ ⸢ギー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣コイ ⸢シー⸣バ ⸢ヨー [ga⸢maʤi⸣nu gu⸢roː⸣ muti ⸢giː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣koi ʃiː⸣ba ⸢jo] (刈り落とした髪の毛を畑に持って行って畑の肥やしにしなさいね) 435 0 0 4456 htmvoc_435.wav ガマジヌヤン ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣ヤン [ga⸢maʤi⸣nu ⸣jaŋ] 連 頭の病。頭痛。「頭の病み」の転か。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸢ヤン⸣バ ワ⸢チライティ⸣ バー シ⸢グトゥン シーユーサヌ [ga⸢maʤi⸣nu ⸢jam⸣ba wa⸢ʧiraiti⸣ baː ʃi⸢gutuŋ ʃiːjuːsanu] (頭痛を患って、私は仕事もすることが出来ない) 436 0 0 4457 htmvoc_436.wav ガマジフキルン ガ⸢マ⸣ジ フ⸢キルン [ga⸢ma⸣ʤi ɸu̥⸢kiruŋ] 連 結い髪がとける。 ガ⸢マジ⸣ヌ フ⸢キルン⸣ケン ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ イ⸢ニッ⸣サイ シ⸢ティ⸣ ブ⸢ガ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ga⸢maʤi⸣nu ɸu̥⸢kiruŋ⸣keŋ ⸢kis⸣su ʃiː ʔi⸢ni⸣ ssai ʃi̥⸢ti⸣ bu⸢ga⸣ri ⸢naː⸣nu] (結い髪がとけるまで一所懸命に稲搗きをして疲れてしまった) 437 0 0 4458 htmvoc_437.wav ガマジヤムン ガ⸢マ⸣ジ ⸣ヤムン [ga⸢ma⸣ʤi ⸣jamuŋ] 連 頭が痛い。頭痛がする。「頭が病む」の義。ス⸢ブ⸣ル ⸣ヤムン[su⸢bu⸣ru ⸣jamuŋ](頭が痛)とも。 ⸢キュー⸣ヤ ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣ヤミティ シ⸢グトー⸣ ン⸢ジラリ⸣ダケー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ga⸢maʤi⸣nu ⸣jami ʃi⸢gutoː⸣ ʔn⸢ʤirari⸣dakeː ⸢naː⸣nu] (今日は頭痛がして<頭が病みて>仕事に出られそうにはない) 4668 0 0 4459 htmvoc_4668.wav ガマジヤン ガ⸢マジ⸣ヤン [ga⸢maʤi⸣jaŋ] 名 頭痛。「かもじ病み」の転訛したもの。 ガ⸢マジ⸣ヤンヌ ウ⸢ク⸣リティ ⸣ムヌ ウ⸢モーラ⸣ヌ [ga⸢maʤi⸣jannu ʔu⸢ku⸣riti ⸣munu ʔu⸢moːranu] (頭痛の病気が起きて、何も考えら<もの思わ>れない) 4669 0 0 4460 htmvoc_4669.wav ガマジユーン ガ⸢マ⸣ジ ⸢ユーン [ga⸢ma⸣ʤi ⸢juːŋ] 連 髪を結う。 サ⸢カサンケー⸣ヤ マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ガ⸢マ⸣ジェー ⸢ユイル オー⸣ル [sḁ⸢kasaŋkeː⸣ja ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tiŋ ga⸢ma⸣ʤeː ⸢juiru ʔoː⸣ru] (司の方々は、今でも髪を結っておられる) 4670 0 0 4461 htmvoc_4670.wav カマチ カ⸢マチ [ka⸢maʧi] 名 かまど(竈)。鍋や釜をかけて炊飯するところ。へっつい。竈は粘土を捏ねて炊事場のナ⸢カ⸣ザ[na⸢ka⸣ʣa](土間)の西側壁面の前に造った。ウ⸢ブカマ⸣チ[ʔu⸢bukama⸣ʧi](大竈{EOS}⸢シンマイ⸣ナビ{SqBr}⸢ʃimmai⸣nabi{/SqBr}<四枚鍋{EOS}芋を煮る大型の鍋>用の竈)、ナ⸢カカマ⸣チ[na⸢kakama⸣ʧi](中竈{EOS}⸢イー⸣ナビ{SqBr}⸢ʔiː⸣nabi{/SqBr}<飯鍋{EOS}ご飯を炊く鍋>、⸢スー⸣ナビ{SqBr}⸢suː⸣nabi{/SqBr}<汁鍋{EOS}お汁を炊く鍋>用の竈)、カ⸢マチェー⸣マ[ka⸢maʧeː⸣ma](小竈{EOS}⸣ヤコン{SqBr}⸣jakoŋ{/SqBr}<薬缶{EOS}湯沸し>用の竈)の三種の竈を造り、それぞれの竈の前面に「水」の文字を刻印するのが慣わしであった。竈の後方には、山石、野石、海石の三個を置き、ピ⸢ナカン[pi⸢nakaŋ](火の神)として信仰した。 ピ⸢ナカンマー⸣ イ⸢シ ミック⸣ ビ⸢シティ⸣ ウ⸢ガ⸣モーッタ [pi⸢nakammaː⸣ ʔi⸢ʃi mikku⸣ bi⸢ʃiti⸣ ʔu⸢ga⸣moːtta] (火の神は山の石、野の石 海の石の三個を据え供えて信仰され<拝まれ>た) 4671 0 0 4462 htmvoc_4671.wav カマチ カ⸢マ⸣チ [ka⸢ma⸣ʧi] 名 かまち(框)。玄関の上がり口。床の間、縁側などの床面の端を隠すための化粧横木。 ク⸢ル⸣キシ ⸢ザートゥク⸣ヌ カ⸢マ⸣チ ス⸢クラ⸣リ ⸢ベー [ku⸢ru⸣kiːʃi ⸢ʣaːtuku⸣nu ka⸢ma⸣ʧi su̥⸢kura⸣ri ⸢beː] (黒木<黒檀>で床の間の化粧横木はつくられている) 4672 0 0 4463 htmvoc_4672.wav カマチェーマ カ⸢マチェー⸣マ [ka⸢maʧeː⸣ma] 名 小さな竈。湯沸し用の竈。 カ⸢マチェー⸣マナ ⸣ヤコン ビ⸢シティ⸣ ユー フ⸢カ⸣シバ [ka⸢maʧeː⸣mana ⸣jakom bi⸢ʃiti⸣ juː ɸu̥⸢ka⸣ʃiba] (小さな竈に湯沸し<薬缶>を据えて湯を沸かしなさいよ) 4683 0 0 4464 htmvoc_4683.wav カマチヌシン カ⸢マチヌ⸣ シン [ka⸢maʧinu⸣ ʃiŋ] 連 竈の消し炭。 カ⸢マチヌ⸣ シンナー ⸣ピー ⸢タシキティ⸣ タ⸢バク⸣ブンナー ウ⸢ティ⸣クー [ka⸢maʧinu⸣ ʃinnaː ⸣piː ⸢taʃi̥kiti⸣ ta⸢baku⸣bunnaː ʔu⸢ti⸣kuː] (竈の炭に火を焚きつけて、煙草盆に移して運んでこい) 4673 0 0 4465 htmvoc_4673.wav カマチフチ カ⸢マチフチ [ka⸢maʧiɸu̥ʧi] 名 台所。「竈口」の義。シ⸢ム[ʃi⸢mu](台所{EOS}下)ともいう。 ビ⸢コーンッふァー⸣ カ⸢マチフチマール スームノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [bi⸢koːffaː⸣ ka⸢maʧifuʧimaːru suːmunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (男の子は台所回りをするものではない)。⸢マーキ[⸢maːki](薪{EOS}木を割って乾燥させた薪)以外にも燃えやすい⸢ユシ⸣キキー[⸢juʃi̥⸣kikiː](枯れたススキの燃料)も燃料として利用したので、竈の前は火事にならぬよう、特に気を配った。竈の前には桶に水を入れて置いた。竈の前面には水の字を彫り込んでいた。 カ⸢マチフチ⸣ナー ⸢ユシ⸣キキーンドレー ⸢ポーリ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢ピー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルン⸢ダー [ka⸢maʧiɸu̥ʧi⸣naː ⸢juʃi̥⸣kikiːndoːreː ⸢poːri⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢piː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣run⸢daː] (竈口の周りにススキの薪を散らかしておくと火事になるぞ<火が出るぞ>) 4674 0 0 4466 htmvoc_4674.wav カマデー カ⸢マデー [ka⸢madeː] 名 人名。女の名。 カ⸢マデー マー パッ⸣タ [ka⸢madeː maː pat⸣ta] (カマデーは何処へ行ったか)。 パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ [pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta] (畑へ行った) 4675 0 0 4467 htmvoc_4675.wav カマドー カ⸢マドー [ka⸢madoː] 名 人名。女の名。 カ⸢マドー⸣ イ⸢ニ⸣ッサイ ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [ka⸢madoː⸣ ʔi⸢ni⸣ssai ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːri⸣joː] (カマドー{EOS!}米搗き<稲精げ>の手伝いしてくれよ) 4692 0 0 4468 htmvoc_4692.wav ガマナーリ ガ⸢マナーリ [ga⸢manaːri] 名 反響を伴って鳴り響くこと。洞窟の中で反響するように鳴り響くこと。 ⸢ヤーン⸣ナカナー ウ⸢ヤー⸣ルカー ガ⸢マナーリ スン [⸢jaːn⸣nakanaː ʔu⸢jaː⸣rukaː ga⸢manaːri suŋ] (家の中で叫ぶと反響して鳴り響く) 4676 0 0 4469 htmvoc_4676.wav ガマナール ガ⸢マナール [ga⸢manaːru] 名 大反響。がらんどう(伽藍堂)の室内で声が大きく反響すること。 ガ⸢マヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナー ⸣ムニ イ⸢ズ⸣カー ⸢クイ⸣ヤー ガ⸢マナール スン⸣ダー [ga⸢manu⸣ na⸢ka⸣naː ⸣muni ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸢kui⸣jaː ga⸢manaːru sun⸣daː] (洞窟の中で話す<ものを言う>と大きく反響するよ)。グヮーングヮーンと反響音を響かせて鳴る音。 ⸢コン⸣クリヤーヤ ⸣ムニ イ⸢ズバン⸣ ガ⸢マナール スンダ⸣ ミン ク⸢ジリンギサ⸣ル [⸢koŋ⸣kurijaːja ⸣muni ʔi⸢ʣubaŋ⸣ ga⸢manaːru sunda⸣ miŋ ku⸢ʤiriŋgisa⸣ru] (コンクリート建ての家は話をするだけでも反響音が鳴り響くから耳が潰れそうだ) 4691 0 0 4470 htmvoc_4691.wav ガマナキ ガ⸢マナキ [ga⸢manaki] 名 悲しみにくれて泣くこと。大声で泣き喚くこと。 ッ⸢ふァバ⸣ シ⸢ナシティ⸣ ガ⸢マナキ シーベー⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムイツァー⸣ヌ ⸣ミリ ⸢ベーララ⸣ヌ [f⸢faba⸣ ʃi⸢naʃiti⸣ ga⸢manaki ʃiːbeː⸣ munu ⸣mirukaː ki⸢muiʦaː⸣nu ⸣miri ⸢beːrara⸣nu] (子供を失って<死なせて>悲嘆に暮れて大声で泣いている姿<の>を見ると気の毒で<可哀相で>見ておれない) 4677 0 0 4471 htmvoc_4677.wav カマヌティダイ カ⸢マ⸣ヌ ⸣ティダイ [ka⸢ma⸣nu ⸣tidai] 連 先方のおごり。「あそこのおごり<饗応>だ」の義。 ⸢キュー⸣ヤ カ⸢マ⸣ヌ ⸣ティダイ ヤ⸢ルンダ⸣ バ⸢タ⸣ミツンケン ⸣ヌミバ [⸢kjuː⸣ja ka⸢ma⸣nu ⸣tidai ja⸢runda⸣ ba⸢ta⸣miʦuŋken ⸣numiba] (今日は先方のおごりだから、満腹するまで飲めよ) 4693 0 0 4472 htmvoc_4693.wav カマヌパタ カ⸢マ⸣ヌ パ⸢タ [ka⸢ma⸣nu pḁ⸢ta] 連 あちら側。 ⸣アイブー ⸣ムノー カ⸢マ⸣ヌ パ⸢タ⸣ナ シ⸢キ⸣リ ク⸢マー⸣ トゥ⸢グ⸣ナ [⸣ʔaibuː ⸣munoː ka⸢ma⸣nu pḁ⸢ta⸣na ʃi̥⸢ki⸣ri ku⸢maː⸣ tu⸢gu⸣na] (あんな物はあちら側に置きなさい{EOS}此処へは持ってくるな) 4678 0 0 4473 htmvoc_4678.wav ガマヌミー ガ⸢マヌ⸣ ミー [ga⸢manu⸣ miː] 連 洞窟の中。 ガ⸢マヌ⸣ ミーナ プ⸢スヌ⸣ プ⸢ニ⸣ヌ ⸢アッ⸣タン [ga⸢manu⸣ miːna pu̥⸢sunu⸣ pu⸢ni⸣nu ⸢ʔat⸣taŋ] (洞窟の中に人の骨があった) 4684 0 0 4474 htmvoc_4684.wav カマブク カ⸢マブク [ka⸢mabuku] 名 蒲鉾。魚肉を臼で搗き、それに⸢パイ⸣ザイ[⸢pai⸣ʣai](繋ぎの配剤{EOS}でんぷん)に⸣クジ[⸣kuʤi](葛粉{EOS}澱粉)か、ミ⸢リキン⸣グ[mi⸢rikiŋ⸣gu](メリケン粉)を加えて搗き、成形し煮て仕上げる。 イ⸢ラブ⸣チン シ⸢ヌマー⸣ルン ピ⸢サー⸣ ン⸢コー⸣シティ ⸣プネー ⸣トゥリティ ⸣ウシナー ⸢シッ⸣キティ カ⸢マブク⸣ ス⸢ク⸣リバ [ʔi⸢rabu⸣ʧiŋ ʃi⸢numaː⸣rum pi̥⸢saː⸣ ʔŋ⸢koː⸣ʃi̥ti ⸣ʔuʃinaː ⸢ʃik⸣kiti ka⸢mabuku⸣ su̥⸢ku⸣riba] (スジブダイやテングハギも三枚下ろしにして骨を除去して、臼で搗いて蒲鉾を作れよ)。 マ⸢ルカマブク [ma⸢rukamabuku] (円蒲鉾{EOS}祝儀用、法事用) ア⸢ガカマブク [ʔa⸢gakamabuku] (赤蒲鉾{EOS}祝儀用の丸い蒲鉾))。 ッ⸢スカマ⸣ブク [s⸢sukama⸣buku] (白蒲鉾{EOS}法事用の蒲鉾)。⸣イツァカマブク[⸣ʔiʦakamabuku](板蒲鉾{EOS}蒲鉾の枠板に練り捏ねた魚肉を詰めて作った祝儀用、法事用の薄い蒲鉾)などがある。蒲鉾の枠板を、カ⸢マブクヌ⸣シー[ka⸢mabukunu⸣ʃiː](蒲鉾の鞘{EOS}型枠)という。これで造った蒲鉾は、ピ⸢サカマブク[pi̥⸢sakamabuku](平蒲鉾)ともいう 4685 0 0 4475 htmvoc_4685.wav カマブクシッキウシ カ⸢マブクシッキ⸣ウシ [ka⸢mabukuʃikki⸣ʔuʃi] 名 蒲鉾搗き臼。松の幹を切って作った。直径約20センチ、高さ約50センチの臼。魚肉を入れて杵で搗き、澱粉の⸢パイ⸣ザイ[⸢pai⸣ʣai](いもの澱粉やメリケン粉)をいれ、搗き捏ねて蒲鉾を作るのに用いる臼。 カ⸢マブクシッキ⸣ウシナー イ⸢ズヌ⸣ ピ⸢サー⸣ ン⸢コー⸣シ イ⸢リティ⸣ カ⸢マブク シッ⸣キバ [ka⸢mabukuʃikki⸣ʔuʃinaː ʔi⸢ʣunu⸣ pi̥⸢saː⸣ ʔŋ⸢koː⸣ʃi ʔi⸢riti⸣ ka⸢mabuku ʃik⸣kiba] (蒲鉾搗き臼に、魚の肉を三枚下ろしにして入れて、蒲鉾を搗けよ) 4686 0 0 4476 htmvoc_4686.wav カマブクヌシー カ⸢マブクヌ⸣ シー [ka⸢mabukunu⸣ ʃiː] 連 蒲鉾の型枠。「蒲鉾の鞘」の義。ピ⸢サカマブク[pi̥⸢sakamabuku](平蒲鉾)を造るのに用いる木製の型枠。長さ約15センチ、厚さ約1、5センチ、幅約7センチの枠。 ピ⸢サカマブコー⸣ カ⸢マブクヌ⸣ シーシ カ⸢ター⸣ トゥリティ ス⸢ク⸣ローッタ [pi̥⸢sakamabukoː⸣ ka⸢mabukunu⸣ ʃiːʃi kḁ⸢taː⸣ turiti su̥⸢ku⸣roːtta] (平蒲鉾は蒲鉾の型枠<鞘>で型をとって作られた) 4694 0 0 4477 htmvoc_4694.wav カマリン カ⸢マ⸣リン [ka⸢ma⸣riŋ] 他動 噛むことが出来る。食べることが出来る。食える。⸣カムン[⸣kamuŋ](噛む・食う)の未然形に受身・可能の助動詞⸣-リン[⸣-riŋ](~れる)が下接して形成された受身・可能動詞。 ガ⸢シタク⸣ヌ ⸢ティー⸣ヤ カ⸢マ⸣リン [ga⸢ʃitaku⸣nu ⸢tiː⸣ja ka⸢ma⸣riŋ] (燻製の蛸の手は噛める)(可能)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢ふァーン⸣カー プ⸢スン⸣ カ⸢マ⸣リン⸢ダー [⸢paː⸣ku f⸢faːŋ⸣kaː pu̥⸢suŋ⸣ ka⸢ma⸣rin⸢daː] (早く食べないと他人に食べられるよ)(受身) 4679 0 0 4478 htmvoc_4679.wav カマレー カ⸢マ⸣レー [ka⸢ma⸣reː] 名 人名。男の名。 ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢オー⸣レー プ⸢スヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ナー カ⸢マ⸣レーティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タン [ʔu⸢ki⸣naːra ⸢ʔoː⸣reː pu̥⸢sunu⸣ f⸢fa⸣naː ka⸢ma⸣reːti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣taŋ] (沖縄から来られた人の子供にカマレーという名の人がおられた) 4680 0 0 4479 htmvoc_4680.wav カマレザー カ⸢マ⸣レザー [ka⸢ma⸣reʣaː] 名 人名。⸢カマレ兄さん」の義。 カ⸢マ⸣レザー ⸢マー オーッ⸣ター [ka⸢ma⸣reʣaː ⸢maː ʔoːt⸣taː] (カマレ兄さんは何処へ行かれたのか) 4681 0 0 4480 htmvoc_4681.wav カマンタ ⸣カマンタ [⸣kamanta] 名 (動)魚の名。和名、イトマキエイ科の軟骨魚の総称。マンタエイ。アカエイ。大きいのは約3メートルに達する。ユ⸢ノーラミズ[ju⸢noːramiʣu](小浜島と西表島の間の水道{EOS}潮の流れが速い難所である)や鳩間島と西表島の間の鳩間水道に大型のアカエイが現れる。鳩間島のリーフの内には体長70~80センチのカマンタが捕獲された。尾は細長く、ムチ状で毒針をもつので恐れられていた。 ⸣カマンター ⸢ズー⸣ナー ⸣ドゥクンギヌ アリ⸢ベー⸣ティ ⸢ズーヤ⸣ キシ ウ⸢タシ⸣ソーッタ [⸣kamantaː ⸢ʣuː⸣na ⸣dukuʔŋginu ʔari⸢beː⸣ti ⸢ʣuːja⸣ ki̥ʃi ʔu⸢taʃi⸣soːtta] (アカエイは尾に毒針<毒のぎ>があるので尾はすぐ切り落とされた)。首里方言のkamaNta(大鍋の蓋)に似ることから命名されたという。 ⸣マンタヌ ⸢トゥー⸣ナー ⸣ユー ⸣カマンタヌ ミ⸢ラ⸣リン [⸣mantanu ⸢tuː⸣naː ⸣juː ⸣kamantanu mi⸢ra⸣riŋ] (前の\ruby{渡}{ト}<深い海峡>にはよくカマンタ<アカエイ>が見られる) 4682 0 0 4481 htmvoc_4682.wav カマンタ ⸣カマンタ [⸣kamanta] 代 あちら。あそこら。向こう側。あちら側。 ⸣カマンタナー ビ⸢リベー⸣リ [⸣kamantanaː bi⸢ribeː⸣ri] (あそこら側に座っておれ)。 ⸢マー⸣ビン ⸣カマンター ⸣ナリ [⸢maː⸣biŋ ⸣kamantaː ⸣nari] (もっとあちら側になれ) 4696 0 0 4482 htmvoc_4696.wav カマンター ⸣カマンター [⸣kamantaː] 連 あちら側へ。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸣カマンター ⸣ナリ ビ⸢リ⸣バ [ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸣kamantaː ⸣nari bi⸢ri⸣ba] (若者たちはあちら側へいって座りなさいよ)。 ⸢ワー⸣ カマンター ⸣パリ [⸢waː⸣ kamantaː ⸣pari] (君はあちら側へ行きなさい<行け>) 4697 0 0 4483 htmvoc_4697.wav カミ ⸣カミ [⸣kami] 名 神。神様。⸣カン[⸣kaŋ](神)ともいう。 ⸢ティンヌ⸣ カメー(カンマー) ⸢ウイヌウガン⸣ヌ ク⸢バヌ⸣ キーラル ウ⸢ロー⸣ルツォー [⸢tinnu⸣ kameː (⸢kam⸣maː)⸢ʔuinuʔugan⸣nu ku⸢banu⸣ kiːraru ʔu⸢roː⸣ruʦoː] (天の神様は友利御嶽のクバ<蒲葵>の木から<木を伝わって>天下りなさるそうだ) 4698 0 0 4484 htmvoc_4698.wav カミ ⸣カミ [⸣kami] 名 かめ(甕)。 ミ⸢ジカミ [mi⸢ʤikami] (水甕)。 ⸢ミース⸣カミ [⸢miːsu⸣kami] (味噌甕)。 シ⸢タ⸣ディカミ [ʃi⸢ta⸣dikami] (醤油甕)。 ア⸢バ⸣カミ [ʔa⸢ba⸣kami] (油甕)。 サ⸢キカミ [sḁ⸢kikami] (酒甕)。 ⸢マー⸣スカミ [⸢maː⸣sukami] (塩甕)。 ⸣クチカミ [⸣ku̥ʧikami] (骨甕{EOS}骨壷)。 ビ⸢ソーミ [bi⸢soːmi] (据付てある水甕)。 ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸣キー ミ⸢ジカミ⸣ ミ⸢ツァ⸣シ [mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣mi ⸣kiː mi⸢ʤikami⸣ mi⸢ʦa⸣ʃi] (水を<水桶で>担いで運んできて水甕を満たせ) 4699 0 0 4485 htmvoc_4699.wav カミ カ⸢ミ [ka⸢mi] 名 (動)、カメ(亀)。海亀。 カ⸢ミヌ⸣ クー [ka⸢minu⸣ kuː] (亀の甲羅)。 カ⸢ミヌ コー⸣マ [ka⸢minu koː⸣ma] (亀の卵)。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢アンタヌ⸣ パ⸢マ⸣ナー カ⸢ミヌ⸣ ユー ⸢コー⸣マ ナ⸢ス⸣タン [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢ʔantanu⸣ pa⸢ma⸣naː ka⸢minu⸣ juː ⸢koː⸣ma na⸢su⸣taŋ] (鳩間の東の浜には亀がよく卵を産んだよ) 4701 0 0 4486 htmvoc_4701.wav カミアキナイ カ⸢ミアキ⸣ナイ [ka⸢miʔaki⸣nai] 名 商品を頭に載せて行商すること。石垣の糸満女性は頭上に塩や魚などを載せて売りあるいた。 イ⸢サンケー⸣ナー カ⸢ミアキ⸣ナイ ⸢ソー⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン [ʔi⸢saŋkeː⸣naː ka⸢miaki⸣nai ⸢soː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (石垣には頭上に商品を載せて行商される人もおられた) 4702 0 0 4487 htmvoc_4702.wav カミガナシ カミガ⸢ナ⸣シ [kamiga⸢na⸣ʃi] 名 神様。歌謡語。日常語では、カンガ⸢ナ⸣シ[kaŋga⸢na⸣ʃi](神様)ともいう。/ウブトゥムル カミガナシ アミブシャヌ/、/ガラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/雨降願歌(雨乞歌)『鳩間島古典民謡古謡集』 4703 0 0 4488 htmvoc_4703.wav カミクルスン カ⸢ミクル⸣スン [ka⸢mikuru⸣suŋ] 他動 噛み殺す。食い殺す。 カ⸢マイ⸣ヤー パ⸢ブン⸣ カ⸢ミクル⸣スンティ⸢ダー [ka⸢mai⸣jaː pa⸢buŋ⸣ ka⸢mikuru⸣sunti⸢daː] (猪はハブをも噛み殺すそうだよ) 4704 0 0 4489 htmvoc_4704.wav カミザー カ⸢ミ⸣ザー [ka⸢mi⸣ʣaː] 名 上座。 ⸣シザウヤンケーヌ ⸢オー⸣ル カ⸢ミ⸣ザーナー ⸢ゴーサ⸣ヌ ビ⸢リベーララ⸣ヌ [⸣ʃiʣaʔujaŋkeːnu ⸢ʔoː⸣ru ka⸢mi⸣ʣaːnaː ⸢goːsa⸣nu bi⸢ribeːrara⸣nu] (親や長老の方々、ご年配の方々がいらっしゃる上座には、恐れ多くて座っておられません) 4705 0 0 4490 htmvoc_4705.wav カミシミルン カ⸢ミシミ⸣ルン [ka⸢miʃimi⸣ruŋ] 他動 酒などを頂かせる。神酒などを額の位置まで持ち上げて頂くようにさせる。長寿を肖るための献杯をさせる際、また、神前に供えた⸣グシ[⸣gusi](神酒{EOS}御酒)を恭しく持ち上げて頂かせる際にいう。 ⸢ワンヌン⸣ グシ カ⸢ミシミ⸣ルン [⸢wannuŋ⸣ guʃi ka⸢miʃimi⸣ruŋ] (君にも神酒を頂戴させる<頂かせる>)。 ⸣グシ カ⸢ミシ⸣モーリ [⸣guʃi ka⸢miʃi⸣moːri] (神酒を頂戴させてください) 4706 0 0 4491 htmvoc_4706.wav カミシム カ⸢ミ⸣シム [ka⸢mi⸣ʃimu] 名 上下。職務の上下。立場の上下。身分の上下。 マー⸢ン⸣ナーン カ⸢ミ⸣シムティ ⸢スームノー⸣ ア⸢リバ⸣ル プ⸢ソー ウーカサ⸣リ [maː⸢n⸣naːŋ ka⸢mi⸣ʃimuti ⸢suːmunoː⸣ ʔa⸢riba⸣ru pu̥⸢soː ʔuːkasa⸣ri] (何処でも上下というのがあってこそ(あればこそ<あればぞ>)人は動かすことができるものだ) 4707 0 0 4492 htmvoc_4707.wav カミニンガイ カ⸢ミニン⸣ガイ [ka⸢miniŋ⸣gai] 名 神への祈願。「神願い」の義。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ミニンガイ⸣ヤー シ⸢キング⸣トゥ ア⸢リ⸣オーッタ [pḁ⸢tuma⸣nu ka⸢miniŋgai⸣jaː ʃi̥⸢kiŋgu⸣tu ʔa⸢ri⸣ʔoːtta] (鳩間の神願い<神事>は毎月<月毎に>ございました<有り御座した>) 4708 0 0 4493 htmvoc_4708.wav カミニントゥー カ⸢ミニン⸣トゥー [ka⸢minin⸣tuː] 名 神様への年頭の挨拶。「神年頭」の義。旧暦の元旦の朝、サ⸢カサ(司)やティ⸢ジリ⸣ビー(男性神職者{EOS}「手摩り部」の義か)たちが正装をして御嶽の神様に対して行う年始の挨拶。新年の報告、新年度中の村人の健康と村の繁栄とを祈願する。新暦の正月には、カ⸢ミニン⸣トゥーは行わない。新暦の正月に統一された後も、神職者の家では旧正月を行った。 ⸢キューヌ⸣ ソンガチナール カ⸢ミニン⸣トー ⸢ソーッタ⸣ル [⸢kjuːnu⸣ soŋgaʧinaːru ka⸢minin⸣toː ⸢soːtta⸣ru] (旧暦の正月に<ぞ>神様への年頭の挨拶はなさったものだ) 4711 0 0 4494 htmvoc_4711.wav カミヌクー カ⸢ミヌ⸣ クー [ka⸢minu⸣ kuː] 連 亀の甲。亀の甲羅。 カ⸢ミヌ⸣クーヨーチ [ka⸢minu⸣kuːjoːʧi] (亀の甲羅で作った簪{EOS}\ruby{鼈甲}{ベッ|コウ}製の\ruby{簪}{カンザシ})。 カ⸢ミヌ⸣クーパカ [ka⸢minu⸣kuːpaka] (亀甲墓)。 カ⸢ミヌ⸣クーシ ⸢ヨー⸣チン ⸣フチン ス⸢ク⸣ローッタ [ka⸢minu⸣kuːʃi ⸢joː⸣ʧiŋ ⸣ɸu̥ʧin su̥⸢ku⸣roːtta] (\ruby{鼈甲}{ベッ|コウ}で\ruby{簪}{カンザシ}も\ruby{櫛}{クシ}も作られた) 4712 0 0 4495 htmvoc_4712.wav カミヌクーウジ カ⸢ミヌ⸣クーウジ [ka⸢minu⸣kuːʔuʣi] 名 (動)魚の名。和名、ウツボの仲間。ニセゴイシ(体長約1メートル{EOS}体表は茶褐色の亀甲模様におおわれている)。浅い珊瑚礁の中に棲息する。ウツボの仲間で最も凶暴といわれている。 カ⸢ミヌ⸣クーウジェー ユ⸢クン⸣ユン マ⸢ギティ ピン⸣ギ パ⸢リ⸣ス [ka⸢minu⸣kuː⸣ʔuʤeː ju⸢kuŋ⸣jum ma⸢giti piŋ⸣gi pa⸢ri⸣su] (ニセゴイシウツボは\ruby{銛}{モリ}をもへし曲げて逃げていくものだ) 4713 0 0 4496 htmvoc_4713.wav カミヌクーパカ カ⸢ミヌ⸣クーパカ [ka⸢minu⸣kuːpḁka] 名 亀甲墓。屋根が亀の甲の形をした沖縄の伝統的な墓。ナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡)の西側の岡に発達した砂岩の南面に亀甲墓が作られている。明治以降、沖縄からの寄留民の手によって掘られたという。 ア⸢ラ⸣カーウガンヌ ⸢インタナー⸣ル カ⸢ミヌ⸣クーパカー ⸢ゴー⸣ラー [ʔa⸢ra⸣kaːʔugannu ⸢ʔintanaː⸣ru ka⸢minu⸣kuːpḁkaː ⸢goː⸣raː] (新川御嶽の西側に亀甲墓は多い) 4714 0 0 4497 htmvoc_4714.wav カミヌシビバーキンピーチ カ⸢ミ⸣ヌ シ⸢ビバー⸣キン ⸢ピー⸣チ [ka⸢mi⸣nu ʃi⸢bibaː⸣kim ⸢piː⸣ʧi] 成 瓶の底までも一つ(諺)。仲の良い夫婦は死後にも一つの骨壷に納まるの意。 トゥ⸢ジブトー⸣ カ⸢ミ⸣ヌ シ⸢ビバー⸣キン ⸢ピー⸣チティ ウ⸢モーン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [tu⸢ʤibutoː⸣ ka⸢mi⸣nu ʃi⸢bibaː⸣kim ⸢piː⸣ʧiti ʔu⸢moːŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (夫婦は骨壷の中まで一つと思わないといけないよ) 4700 0 0 4498 htmvoc_4700.wav カミヌズー カ⸢ミヌズー [ka⸢minuʣuː] 名 子供の後頭部の盆の窪にうぶがみ(産髪)を剃り残してある髪の毛。「亀の尾」の義。子供のお守りとして、大切にされていた。 ⸢ウッソン⸣ヌ カ⸢ミヌズーヤ⸣ ス⸢ラン ブリ⸣バ [⸢ʔusson⸣nu ka⸢minuʣuːja⸣ su⸢ram buri⸣ba] (盆の窪に剃り残した亀の尾の産髪は剃るなよ<剃らないでおれよ>)。 ⸣ヌンティル ヤ⸢ラビ⸣ヌ カ⸢ミヌズーヤ⸣ ス⸢ラン⸣シェンカヤー [⸣nuntiru ja⸢rabi⸣nu ka⸢minuʣuːja⸣ su⸢raŋ⸣ʃeŋkajaː] (どうして<何とてぞ>子供の産髪は剃らなかったのかねえ) 4715 0 0 4499 htmvoc_4715.wav カミヌナダヌカタチニ カ⸢ミヌ⸣ ナ⸢ダ⸣ヌ ⸣カタチニ [ka⸢minu⸣ na⸢da⸣nu ⸣kḁtatini] 連 亀が大粒の涙を流すように。非常に悲しいことの比喩表現。 カ⸢ミヌ⸣ ナ⸢ダ⸣ヌ ⸣カタチニ ウ⸢ブ⸣ナダ ウ⸢タ⸣シ ナ⸢キベー⸣ワ キ⸢ムイ⸣ツァー [ka⸢minu⸣ na⸢da⸣nu ⸣kḁtaʧini ʔu⸢bu⸣nada ʔu⸢ta⸣ʃi na⸢kibeː⸣wa ki⸢mui⸣ʦaː] (亀の涙のように大粒の涙を流して泣いているのは、なんとも可哀相だ) 4709 0 0 4500 htmvoc_4709.wav カミヌバリ カ⸢ミ⸣ヌ バ⸢リ [ka⸢mi⸣nu ba⸢ri] 連 甕の\ruby[g]{欠片}{カケラ}。 シ⸢マッサル⸣ヌ ⸣ピンマー カ⸢ミ⸣ヌ バ⸢リバ シッ⸣ケーティル ⸣イソーパーレー シ⸢タ⸣ダー [ʃi⸢massaru⸣nu ⸣pimmaː ka⸢mi⸣nu ba⸢riba ʃik⸣keːtiru ⸣ʔisoːpaːreː ʃi̥⸢ta⸣daː] (シ⸢マッサ⸣ル<島クサラシ祭>の時は甕の欠片を打ち鳴らしながらイソーパーレーをしたものだよ) 4717 0 0 4501 htmvoc_4717.wav カミヌミン カ⸢ミ⸣ヌ ⸣ミン [ka⸢mi⸣nu ⸣miŋ] 連 瓶の耳。「無用の長物」の意。瓶の耳は単に装飾用として付いているのみで、実用に供されないことからの比喩表現。 カ⸢ミ⸣ヌ ⸢ミン⸣マー カ⸢ザリユーティル⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢ブー⸣ ノー⸢ン⸣ シゥ⸢カイミチェー ナー⸣ヌ [ka⸢mi⸣nu ⸢mim⸣maː ka⸢ʣarijuːtiru⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢buː⸣ noː⸢n⸣ sï̥⸢kaimiʧeː naː⸣nu] (瓶の耳は飾り用として付いている{EOS}なんにも利用価値<使い道>はない) 4716 0 0 4502 htmvoc_4716.wav カミブシ カ⸢ミ⸣ブシ [ka⸢mi⸣buʃi] 名 鰹節の一つ。小判のカツオを三枚に下ろして、上身と下身を四つ割りにしないままで、一節の鰹節に製造したもの。上等の鰹節より一ランク下のカツオ節。 カ⸢ミブ⸣シェー ⸢ダイヤー ヤッサ⸣ンダ ⸢モーカラ⸣ヌ [ka⸢mibu⸣ʃeː ⸢daijaː jassa⸣nda ⸢moːkara⸣nu] (亀節は値段が安いから儲からない) 4710 0 0 4503 htmvoc_4710.wav カミラリヤン カ⸢ミラリ⸣ヤン [ka⸢mirari⸣jaŋ] 名 差し込むように痛む胃の病。 カ⸢ミラリヤン⸣ヌ ウ⸢クリ⸣ルカー ニ⸢ジララン⸣スコー ヤムン⸢ダー [ka⸢mirarijan⸣nu ʔu⸢kuri⸣rukaː ni⸢ʤiraran⸣su̥koː jamun⸢daː] (差し込むように痛む胃の病が起きると我慢できないほどにいたむよ) 4718 0 1 4504 htmvoc_4718.wav カミルン カ⸢ミ⸣ルン [ka⸢mi⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}頭に載せる。 ⸢バー⸣キナ ⸢ウン⸣バ イ⸢リ⸣ ス⸢ブ⸣ルナ ⸣カミティ ⸢クータ⸣ル [⸢baː⸣kina ⸢ʔum⸣ba ʔi⸢ri⸣ su⸢bu⸣runa ⸣kamiti ⸢kuːta⸣ru] (竹製の笊に芋を入れ、頭に載せて来たものだよ)。 ク⸢レー⸣ バー カ⸢ミ⸣ルン [ku⸢reː⸣ baː ka⸢mi⸣ruŋ] (これは私が頭に載せる)。 ⸢グッふァ⸣ヌ ⸢バン⸣マー カ⸢ミララ⸣ヌ [⸢guffa⸣nu ⸢bam⸣maː ka⸢mirara⸣nu] (重くて私には頭に載せられない)。 ク⸢レー⸣ カ⸢ミ⸣ルクトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ka⸢mi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これは頭に載せることは出来ない)。 ス⸢ブ⸣ルナー カ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [su⸢bu⸣runaː ka⸢mi⸣reː ⸣misamaunu] (頭に載せればよいのに)。 4718 0 2 4505 htmvoc_4718.wav カミルン カ⸢ミ⸣ルン [ka⸢mi⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}おし頂く。頂戴する。 ⸣グシェー オッ⸢ティ⸣ カ⸢ミ⸣リバ [⸣guʃeː ʔot⸢ti⸣ ka⸢mi⸣riba] (神酒は神妙にかしこまって頭の上まで押し上げて頂戴しなさいよ) 4719 0 0 4506 htmvoc_4719.wav カミルン カ⸢ミ⸣ルン [ka⸢mi⸣ruŋ] 自動 錐を差し込むように痛む。 バ⸢タヌ⸣ドゥ カ⸢ミラ⸣リ ヤム⸢ツォー [ba⸢tanu⸣du ka⸢mira⸣ri jamu⸢ʦoː] (腹が差し込むように痛むんですよ)。 ⸢ヤー⸣サ ⸣ピンマー ⸣バター カ⸢ミ⸣ル ⸣ヤムンダ ニ⸢ジララ⸣ヌ [⸢jaː⸣sa ⸣pimmaː ⸣bataː ka⸢mi⸣ru ⸣jamunda ni⸢ʤirara⸣nu] (空腹の時はお腹は差し込むように痛むので我慢できない)。 マ⸢ナ⸣マー カ⸢ミラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ka⸢mira⸣nu] (今は差し込むように痛まない)。 バ⸢タ⸣ヌ カ⸢ミ⸣ルン [ba⸢ta⸣nu ka⸢mi⸣ruŋ] (お腹が差し込むように痛む)。 カ⸢ミラリヤン⸣ヌ ⸢スー⸣カー ム⸢チ⸣カサンティ⸢ダー [ka⸢mirarijan⸣nu ⸢suː⸣kaː mu⸢ʧi⸣kasanti⸢daː] (差し込まれるような傷みがすると、病気は重い<難しい>そうだよ) 4726 0 0 4507 htmvoc_4726.wav カムーン カ⸢ムーン [ka⸢muːŋ] 自動 かまう。関わる。面倒をみる。関与する。「構ひ」の転訛したもの。 ウ⸢リヌ⸣ クトー カ⸢モーン⸣タンティン ⸣ミサン ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトゥ ⸢タン⸣ガ ⸢シー [ʔu⸢rinu⸣ ku̥toː ka⸢moːn⸣tantim ⸣misan ⸢duː⸣nu ⸣ku̥tu ⸢taŋ⸣ga ⸢ʃiː] (その人のことは構わなくてもよい{EOS}自分のことだけせよ)。 カ⸢ムイ ッふィーリ [ka⸢mui ffiːri] (かまってくれ{EOS}面倒みてくれ)。 カ⸢ムー⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢muː⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (かまうことは出来ない)。 カ⸢ムーンティ⸣ ア⸢ズタンティン⸣ シ⸢キ⸣ニン ム⸢ティユーサ⸣ヌ [ka⸢muːnti⸣ ʔa⸢ʣutantiŋ ʃi̥⸢ki⸣nim mu⸢tijuːsa⸣nu] (面倒を見ると言っても責任は持つことが出来ない)。 ン⸢ベーマー⸣ カ⸢ムイヤー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ka⸢muijaː⸣ misamunu] (少しは面倒をみてくれれば<構えば>よいのに)。 ⸣ドゥーシ カ⸢ムイ⸣バ [⸣duːʃi ka⸢mui⸣ba] (自分で面倒をみれよ) 4723 0 0 4508 htmvoc_4723.wav カムイ カ⸢ムイ [ka⸢mui] 名 鴨居。敷居の上部に渡した、溝をつけた横木。襖、障子などを立てるために敷居の上に渡した溝のある横木。「高欄\ruby{鴨居}{カモ|イ}」『延喜式』の転訛したもの。 カ⸢ムイ⸣ナー ⸢ソージ フッカー⸣リティ ア⸢キララヌ [ka⸢mui⸣naː ⸢soːʤi ɸukkaː⸣riti ʔa⸢kiraranu] (鴨居に障子が挟まって開けられない) 4724 0 0 4509 htmvoc_4724.wav カムイ カ⸢ムイ [ka⸢mui] 名 係。担当。「構ひ」の義。「さきざきまでかまふといふ事~」『仮名草子・清水物語』の転訛したものか。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ バー カ⸢ムイヤー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ワー カムイルヤル [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ baː ka⸢muijaː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢waː kamuiru jaru] (この仕事は私の担当ではない{EOS}君の担当だ)。 ⸢ナー⸣ カ⸢ムイカムイヌ⸣ シ⸢グトゥル スー⸣ プ⸢スヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ス⸢ナ [⸢naː⸣ ka⸢muikamuinu⸣ ʃi⸢guturu suː⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ su⸢na] (各自の担当<分担>の仕事をするのであって、他人の仕事はするな) 4725 0 0 4510 htmvoc_4725.wav カムラーマ カ⸢ムラー⸣マ [ka⸢muraː⸣ma] 名 豊年祭に豊穣予祝芸能の神の一団として出現する東村の芸能神。西村の弥勒神と対をなす。カムラー[kamuraː]は、「かぶろ(禿)、カムロに転。童、ワラハ・カブロ『類聚名義抄』」の義で、語源は「禿、无髪、加夫呂奈利」『新撰字鏡』と解され、「かむろき(神漏岐)、かむろみ(神漏美)」に繋がる言葉と解される。子孫繁栄を予祝する「おかっぱの童神」の意か。-マ[-ma]は接尾指小辞。カムラーマの一団は、翁神と童神七・八人で構成されてた芸能団である。翁には、代々東村の小浜家の人が扮する。頭に茶褐色の棕櫚の鬚で作った三角の帽子を被り<後に黄色い布を被るようになった>、裸足のまま、クバ扇を右手に持ち、黄色い衣装を纏って、右足を上げると扇を左に払い、左足を上げると扇を右に払う仕草で前進してカ⸢ムラーマ⸣ヌ ッ⸢ふァ[ka⸢muraːma⸣nu f⸢fa](カムラーマの子供)をリードする。童神は黄色い袖無しの陣羽織を着、カムラーマの歌に合わせて両手を肩の上に乗せたり払い上げたりする所作を繰り返しつつ翁に導かれて反時計回りに円陣をつくる。翁が円陣の中央に立つ頃、カムラーマ歌は第二連まで歌い終わる。そこで翁神が「ヘイ」という掛け声を入れ、「ホーイ、ホーイ」と声をかけて童神たちを呼び集める。童神たちは翁神の足元へ転びまろび寄ってくる。それを翁神はクバの葉扇で撫でる。カムラーマのこのシーンが村人の爆笑を誘うのであった。続いて直ぐにカムラーマ歌が始まると童神たちは元の陣形に戻り、第三連、第四連の歌に合わせて楽屋へと引かれていく。桟敷の舞台には村人たちの歓え誇る哄笑が子孫繁盛予祝の余韻を残すのであった。/パトゥマユーヌ ナウラバ トゥムルユーヌミギラバ カムラマーヌ アマイヤ ミリクユーバ タボラリ/タルトゥユードゥ ティユマス ジリトゥユードゥ ナトゥラス カムラマーヌ アマイヤ ウヤキユーバ タボラリ/マブルシュードゥ ティユマス ウヤガミドゥ ナトゥラス カムラマーヌ アマイヤ ミリクユーバ タボラリ/カムラマーヌ アマイヤ ヌーフサティル アマイル カマウラマーヌ アマイヤ アカカラジフサティル アマイル カムラマーヌ アマイヤ ウヤキユーバ タボラリ/(カムラーマヌ ウタ)『鳩間島古典民謡古謡集』 4720 0 0 4511 htmvoc_4720.wav カムン ⸣カムン [⸣kamuŋ] 他動 噛む。食べる。 ⸣ムノー ⸣カミティ <ッ⸢ふァイティ> ⸣パリバ [⸣munoː ⸣kamiti ⸣pariba] (ご飯を食べて<ものを食べて>から行けよ)。 ⸢パー⸣ヌ ⸣ヤミティ ⸣ムノー カマラヌ [⸢paː⸣nu ⸣jamiti ⸣munoː ka⸢mara⸣nu] (歯が痛くてご飯は食べられない<噛めない>)。 ⸣クヌ ⸢ブン⸣シェー カ⸢ミユーサ⸣ヌ [⸣kunu ⸢buŋ⸣ʃeː ka⸢mijuːsa⸣nu] (このままでは噛み得ない)。 ⸣バー カ⸢ムン⸣ドゥ ⸣フカナー ⸣カム プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣baː ka⸢mun⸣du ⸣ɸu̥kanaː ⸣kamu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (私は噛むが、ほかに噛む人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣カメー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣kameː ⸣misamunu] (もっと噛めばよいのに)。 ⸢ワンヌン パー⸣ク ⸣カミ [⸢wannum paː⸣ku ⸣kami] (君も早く噛め) 4721 0 0 4512 htmvoc_4721.wav カムン ⸣カムン [kamuŋ] 他動 頂く。頂戴する。おし頂く。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸣グシェー オッ⸢ティ⸣ カミバ [⸢kannumai⸣nu ⸣guʃeː ʔot⸢ti⸣ kamiba] (神前に供えた神酒は恭しく頭の位置まで押し上げて頂戴しなさい) 4722 0 1 4513 htmvoc_4722.wav カムン ⸣カムン [kamuŋ] 自動 {Mn_1}籾摺り臼の上下の歯がよく噛みあう。よく籾摺りが出来る。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸢パー⸣ヤ イッ⸢ケナ⸣ カムン [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸢paː⸣ja ʔik⸢kena⸣ kamuŋ] (籾摺り臼の歯がよく噛みあう{EOS}籾殻がよく摺り落とされる)。 4722 0 2 4514 htmvoc_4722.wav カムン ⸣カムン [kamuŋ] 自動 {Mn_2}酒などのもろみ(諸味、醪)がよく醗酵する。 ム⸢ルン⸣マー マ⸢ダ⸣ カ⸢マ⸣ヌ [mu⸢rum⸣maː ma⸢da⸣ ka⸢ma⸣nu] (諸味はまだ醗酵しない) 4727 0 0 4515 htmvoc_4727.wav カモーッピテー ⸣カモーッピテー [⸣kamoːppiteː] 名 屋号。大城加茂氏宅。⸢アッピー[⸢ʔappiː](兄さん)は糸満方言。人名の⸣カム[⸣kamu](加茂)に⸣アッピー[ʔappiː]が下接して生成された合成語⸢カモーッピー[⸢kamoːppiː](加茂兄さん)に、接尾辞⸣テー[⸣teː](~の家)が付いたもの。三男の大城安一氏と四男の大城盛喜氏は沖縄県警察署に勤務した。 ⸣カモーッピテーヌ マ⸢サエーヤ バン⸣ター ユ⸢ヌ⸣シリ [⸣kamoːppiteːnu ma⸢sajeːja ban⸣taː ju⸢nu⸣ʃiri] (大城加茂氏宅の政江は私達の同級生<同輩>だ) 4728 0 0 4516 htmvoc_4728.wav カヤ カ⸢ヤ [ka⸢ja] 名 腕。肘から肩の付け根あたり。二の腕。「~木綿たすき可比奈尓<カヒナニ>かけて~。万、420」の転訛したもの。 カ⸢ヤ⸣ ウ⸢ク⸣ルン [ka⸢ja⸣ ʔu⸢ku⸣ruŋ] (腕から肩の付け根の痛みがおこる)。ウ⸢ディ⸣バ ⸣ヤミ ムリ⸢ヒューバ⸣<腕が痛むほど子守してくれるから> カ⸢ヤバ⸣ヤミ ダ⸢キヒューバ<かいなの痛むほど抱いて子守りしてくれるから>(アガロウザ節)『八重山民謡誌』 4736 0 1 4517 htmvoc_4736.wav カヤー ⸣カヤー [⸣kajaː] 終助 ~だろうか。~かな。~かしら。疑問の意を表す。語源的には、疑問の終助詞「か」に間投助詞の「ヤー」が融合して形成されたもの。{Mn_1}活用語の終止形につく。例。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣パルンカヤー [⸢kjuː⸣ja ⸣paruŋkajaː] (今日はいくかな)。 ウ⸢レー カイ⸣ヤンカヤー [ʔu⸢reː kai⸣jaŋkajaː] (それは美しいかな)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢カ⸣リンカヤー [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢ka⸣riŋkajaː] (私にも書ける<書かれる>かなあ)。 4736 0 2 4518 htmvoc_4736.wav カヤー ⸣カヤー [⸣kajaː] 終助 {Mn_2}活用語の連体形に付く。 ⸣ヌンティル ナ⸢ク⸣カヤー [⸣nuntiru na⸢ku⸣kajaː] (どうして<ぞ>泣くのかな)。 ⸣ヌンティル ⸣アイニ パ⸢ヤー⸣カヤー [⸣nuntiru ⸣ʔaini pa⸢jaː⸣kajaː] (どうしてそんなに早いのかな)。 ⸣ヌンティル ⸢ワンマー⸣ ミ⸢ラリ⸣タカヤー [⸣nuntiru ⸢wammaː⸣ mi⸢rari⸣takajaː] (どうして君には見えたのかな)。 4736 0 3 4519 htmvoc_4736.wav カヤー ⸣カヤー [⸣kajaː] 終助 {Mn_3}体言、体言に準ずる形(準体助詞)につく。 ⸣カナー ⸢ベー⸣ モー ⸢ター⸣カヤー [⸣kanaː ⸢beː⸣moː ⸢taː⸣kajaː] (あそこに居るのは誰だろうか)。 ⸢アンター⸣ラ ⸣クー ⸣ムノー ⸣フニカヤー [⸢ʔantaː⸣ra ⸣kuːmunoː ⸣ɸunikajaː] (東の方からくるのは船だろうか)。 ク⸢リン⸣ カクムーカヤー [ku⸢riŋ⸣ kakumuːkajaː] (これも書くものだろうか)。 4736 0 4 4520 htmvoc_4736.wav カヤー ⸣カヤー [⸣kajaː] 終助 {Mn_4}格助詞につく。 ⸣キュー ⸣ケー プ⸢ソー⸣ ウ⸢キ⸣ナーラカヤー [⸣kjuː ⸣keː pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢ki⸣naːrakajaː] (今日来た人は沖縄からかな)。 4736 0 5 4521 htmvoc_4736.wav カヤー ⸣カヤー [⸣kajaː] 終助 {Mn_5}副助詞につく。 ヌ⸢カ⸣レーモー ⸢ミーチブカラ⸣カヤー [nu⸢ka⸣reːmoː ⸢miːʧibukara⸣kajaː] (残っているのは三つぐらいだろうか)。 4736 0 6 4522 htmvoc_4736.wav カヤー ⸣カヤー [⸣kajaː] 終助 {Mn_6}係助詞につく。 ⸣カクムノー ク⸢リン⸣カヤー [⸣kḁku ⸣munoː ku⸢riŋ⸣kajaː] (書くのはこれもかな) 4729 0 0 4523 htmvoc_4729.wav ガヤー ⸣ガヤー [⸣gajaː] 名 (植)茅。茅葺家の屋根を葺く材料、シ⸢ラ[ʃi⸢ra](稲叢)のトゥ⸢マー[tu⸢maː](苫)を編む材料。 ⸢マーガヤー [⸢maːgajaː] (「真茅」の義か)。「萱、和名、加夜<かや>」『和名抄』の転訛したもの。マーガヤは150センチほどの長さがあり、ナ⸢ビン⸣フタ[na⸢biŋ⸣ɸu̥ta](鍋蓋)、⸢フイ⸣バ[⸢ɸui⸣ba](米や豆等の穀物入れ)などを編み上げる際の材料となる。 ⸣ガヤー ⸣スリキー トゥ⸢ルン⸣ヤー フ⸢カ⸠ディー [⸣gajaː ⸣surikiː tu⸢ruɲ⸣jaː ɸu⸢ka⸠diː] (茅を刈ってきて鶏舎を葺こうよ) 4730 0 0 4524 htmvoc_4730.wav ガヤーアイプス ⸣ガヤー ⸢アイプス [⸣gajaː ⸢ʔaipu̥su] 連 茅葺屋根を葺く際に茅を屋根に投げ上げる人。 ⸣ガヤー ⸢アイプソー⸣ ガヤー プ⸢スマラキ⸣ナー フ⸢ルマーシ ナン⸣ギ ⸢アイオーッ⸣タ [⸣gajaː ⸢ʔaipu̥soː⸣ gajaː pu̥⸢sumaraki⸣naː ɸu⸢rumaːʃi naŋ⸣gi ⸢ʔaioːt⸣ta] (茅を屋根に上げる人は、茅を一丸ずつ振り回して投げ上げられた) 4731 0 0 4525 htmvoc_4731.wav ガヤークビ ガ⸢ヤー⸣クビ [ga⸢jaː⸣kubi] 名 茅で葺いた壁。「茅壁」の義。現在は板壁が多いが、昔は母屋の壁も茅で葺いた家が多かったという。「新室の壁草刈りにいまし給はね~『万葉集 2351』」はそれを忍ばせる。壁にする部分に桟を入れ、柱と柱を連結して竹やススキでユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり)を編む。その上に、下から順に茅を並べてティ⸢ブ⸣ク[ti⸢bu⸣ku](木矛)で押さえ、締め縄で締め結わえて順に上へ葺き上げて行く。 ⸢トー⸣ラーヤ ⸢ゴー⸣ラー ガ⸢ヤー⸣クビ サ⸢リブタ [⸢toː⸣raːja ⸢goː⸣raː ga⸢jaː⸣kubi sa⸢ributa] (炊事小屋は、多くは茅壁にされていた) 4738 0 0 4526 htmvoc_4738.wav ガヤーシキ ガ⸢ヤー⸣シキ [ga⸢jaː⸣ʃi̥ki] 名 茅野。茅が一面に広がっている野原。「茅敷」の義。 ク⸢ヌ⸣ ガ⸢ヤー⸣シケーラ <ガ⸢ヤー⸣ヌーラ> ⸣ガヤー ⸣スリティ ⸣ヤー フ⸢キ⸣バ [ku⸢nu⸣ ga⸢jaː⸣ʃi̥keːra ⸣gajaː ⸣suriti ⸣jaː ɸu̥⸢ki⸣ba] (この茅野から茅を刈って屋根を葺きなさい) 4732 0 0 4527 htmvoc_4732.wav ガヤースリ ガ⸢ヤー⸣スリ [ga⸢jaː⸣suri] 名 茅刈り。⸢ガー⸣スリ[⸢gaː⸣suri](茅刈り)ともいう。 ⸢ジュー⸣ニン ⸣ブカラシ ガ⸢ヤー⸣スリ ⸢サン⸣カー ⸢ヤーフキ⸣ガヤー ⸢オーサラヌ [⸢ʤuː⸣nim ⸣bukaraʃi ga⸢jaː⸣suri ⸢saŋ⸣kaː ⸢jaːɸu̥ki⸣gajaː ⸢ʔoːsaranu] (十人ぐらいで茅刈りしないと、屋根葺き用の茅は準備<対応>できない) 4733 0 0 4528 htmvoc_4733.wav ガヤースリプス ガ⸢ヤースリ⸣プス [ga⸢jaːsuri⸣pu̥su] 名 茅葺屋根を葺く際に頼む結い作業の茅刈り人。茅を刈る人。 ガ⸢ヤースリ⸣プス タ⸢ナ⸣ミティ ⸢ヤーフキ⸣ガヤー ス⸢ラ⸣シ [ga⸢jaːsuri⸣pu̥su ta⸢na⸣miti ⸢jaːɸu̥ki⸣gajaː su⸢ra⸣ʃi] (茅を刈る人を頼んで家葺き用の茅を刈らせなさい) 4734 0 0 4529 htmvoc_4734.wav ガヤースルン ⸣ガヤー ⸣スルン [⸣gajaː ⸣suruŋ] 連 茅を刈る。「茅を剃る」の義。 ⸣ガヤー ⸣スリティ マ⸢ラキ⸣ シケー [⸣gajaː suriti ma⸢raki⸣ ʃi̥keː] (茅を刈って大きく束ねて<丸げて>ある) 4739 0 0 4530 htmvoc_4739.wav カヤースン カ⸢ヤースン [ka⸢jaːsuŋ] 他動 荷を運搬する。荷を担いで往復する。若年層は、カ⸢ヨースン[ka⸢joːsuŋ]ともいう。「通わす」の義。 ヤ⸢マー⸣ラ ⸢ザイ⸣ギ カ⸢タ⸣ミ カ⸢ヤースンティ⸣ <ウ⸢ラ⸣スンティ> ッ⸢ス⸣フキ ⸢ベー [ja⸢maː⸣ra ⸢ʣai⸣gi kḁ⸢ta⸣mi ka⸢jaːsunti⸣ <ʔu⸢ra⸣sunti> s⸢su⸣ɸu̥ki ⸢beː] (山から材木を担いで往復<運搬>しようとして<下ろそうとして>、生糞が出る(脱糞する)ほど苦労している)。 ギュー⸢ムシン⸣ カ⸢ヤーサラヌ [gjuː⸢muʃiŋ⸣ ka⸢jaːsaranu] (何度も荷を担いで往復できない)。 カ⸢ヤーシ⸣ ミサカー カ⸢ヤース⸣ クトー ⸣ナルン [ka⸢jaːʃi⸣ misakaː ka⸢jaːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (荷を担いで通わして良ければ通わせることはできる)。 カ⸢ヤーシェー⸣ ミサムヌ [ka⸢jaːʃeː⸣ misamunu] (荷を担いで通わせば良いのに)。 ⸢タンガ⸣シ カ⸢ヤーシ [⸢taŋga⸣ʃi ka⸢jaːʃi] (一人で荷を担いで往復しなさい) 4740 0 0 4531 htmvoc_4740.wav ガヤーティンゾー ⸣ガヤーティンゾー [⸣gajaːtinʣoː] 名 板張りにしてない天井。梁に竹竿の桟を掛け渡し、その上に蓆や茅で編んだこも(薦)状の敷物を張った天井。 ⸣ガヤーティンゾー ヤ⸢ルンダ⸣ ニ⸢ビベーン⸣ケン ミ⸢ツム⸣ヌ ⸢ペーリ⸣ス [⸣gajaːtinʣoː ja⸢runda⸣ ni⸢bibeːŋ⸣kem mi⸢ʦumu⸣nu ⸢peːri⸣su] (蓆張りの天井だから寝ているうちに目にゴミ<塵>が入るよ) 4735 0 1 4532 htmvoc_4735.wav ガヤーヌー ガ⸢ヤー⸣ヌー [ga⸢jaː⸣nuː] 名 {Mn_1}茅の繁茂している原野。「茅野」の義。⸢ガー⸣ヌー[⸢gaː⸣nuː](茅野)ともいう。原野一般をさす。 ガ⸢ヤー⸣ヌーラ ⸣ガヤー ⸣スリ ⸣クーバ [ga⸢jaː⸣nuːra ⸣gajaː ⸣suri ⸣kuːba] (原野<茅野>から茅を刈ってきなさいよ)。 4735 0 2 4533 htmvoc_4735.wav ガヤーヌー ガ⸢ヤー⸣ヌー [ga⸢jaː⸣nuː] 名 {Mn_2}畑が放置され、雑草や茅が繁茂するようになった、荒れた状態の土地。 ウ⸢シクラシムノー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサーンツァン ⸢ソーラムティ⸣ ガ⸢ヤー⸣ヌー ⸣ナシ ⸣シケー [ʔu⸢ʃikuraʃimunoː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssaːnʦan ⸢soːramuti⸣ ga⸢jaː⸣nuː ⸣naʃi ⸣ʃi̥keː] (怠け者めが、畑の草も取らずに<除草もせず>茅野にしてある<畑を荒れさせて放置してある>) 4741 0 0 4534 htmvoc_4741.wav ガヤーパジン ⸣ガヤーパジン [⸣gajaːpaʤiŋ] 名 (動)蜂の一種。⸣ガーパジン[⸣gaːpaʤiŋ](茅蜂)、⸣アガパジン[⸣ʔagapaʤiŋ](赤い蜂)ともいう。茅の中に巣を作る小さな蜂。⸣ッふパジン[⸣ffupaʤiŋ](黒蜂)より毒は弱い。茅を刈りに行って、よく刺されたものである。 ⸣ガヤー ⸣スルンティ ⸢アー⸣クンケン ⸣ガヤーパジン ッ⸢サ⸣リティ ヤ⸢ミ⸣ス [⸣gajaː ⸣surunti ⸢ʔaː⸣kuŋkeŋ ⸣gajaːpaʤin s⸢sa⸣riti ja⸢mi⸣su] (茅を刈ろうとして茅蜂に刺されて傷むよ) 4743 0 0 4535 htmvoc_4743.wav ガヤーンミー ガ⸢ヤーン⸣ ミー [ga⸢jaːm⸣ miː] 連 茅原の中。茅の密生した原野の中。 ⸣ガザフケーヤ ガ⸢ヤーン⸣ミーナール ⸣シー ス⸢ク⸣ル [⸣gaʣaɸu̥keːja ga⸢jaːm⸣miːnaːru ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ru] (雲雀は茅の密生した原野の中にが<ぞ>巣を作る) 4742 0 0 4536 htmvoc_4742.wav ガヤヤー ⸣ガヤヤー [⸣gajajaː] 名 茅葺きの家。「茅家」の義。⸢カー⸣ラヤー[⸢kaː⸣rajaː](瓦葺きの家{EOS}瓦家)の対義語。 ⸣ガヤヤーナール マ⸢リ⸣ ス⸢ダティラ⸣レーンダ ヤー⸢ディン カー⸣ラヤーバ ス⸢ク⸣リ ⸣ウヤン ⸢オースンティル ギーバルタ⸣ダー [⸣gajajaːnaːru ma⸢ri⸣ su⸢datira⸣reːnda jaː⸢diŋ kaː⸣rajaːba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔujaŋ ⸢ʔoːsuntiru giːbaruta⸣daː] (茅葺の家に生まれ育てられたのだから、きっと瓦葺きの家を造って親に差し上げようと<ぞ>頑張ったのだよ) 4744 0 0 4537 htmvoc_4744.wav カユーン カ⸢ユーン [ka⸢juːŋ] 自動 通う。行き来する。往来する。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ゾー⸣ヌ ⸢タウムン⸣ケン カ⸢ユイル⸣ トゥ⸢ジ クイ⸣ヤー⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu ⸢ʣoː⸣nu ⸢taumuŋ⸣keŋ ka⸢juiru⸣ tu⸢ʤi kui⸣jaː⸢daː] (その家の前の道が窪むほど歩き通って妻にして<乞うて>あるのだよ)。 カ⸢ヨーヌ [ka⸢joːnu] (通わない)。 カ⸢ユイ⸣プサタンティン ⸣クマー カ⸢ユー プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ka⸢jui⸣pu̥satantiŋ ⸣kumaː ka⸢juː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (通いたくてもここは通う人はいない)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢ユーン [⸢ban⸣nuŋ ka⸢juːŋ] (私も通う)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢ユイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ka⸢juijaː⸣ misamunu] (もっと通えばよいのに)。 ア⸢ツァー⸣ラ ⸢ワンヌン⸣ カ⸢ユイ⸣バ [ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢wannuŋ⸣ ka⸢jui⸣ba] (明日からきみも通えよ)。/クラヌパマカラ カユーピトゥヤ ウラヌマイヌ ピトゥグクル/(久浦の浜から通う人は、蔵元の前の人のようだ<行き交うひとが多い>)鳩間中岡。『鳩間島古典民謡古謡集』 4745 0 0 4538 htmvoc_4745.wav カヨーリン カ⸢ヨーリン [ka⸢joːriŋ] 自動 通われる。通うことが出来る。通える。カ⸢ユーン[ka⸢juːŋ](通う)の未然形に受身、可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が付いて派生した可能動詞。 マ⸢ナ⸣マー カ⸢ヨーラヌ [ma⸢na⸣maː ka⸢joːranu] (今は通われない)。 ⸣エンブカラーラ カ⸢ヨーリン⸣ギサン [⸣jembukaraːra ka⸢joːriŋ⸣gisaŋ] (来年あたりからは通えそうだ)。 カ⸢ヨーリ⸣ プ⸢ソー トゥー⸣ヤタンティン カ⸢ユイ⸣バ [ka⸢joːri⸣ pu̥⸢soː tuː⸣jatantiŋ ka⸢jui⸣ba] (通える人は遠くても通えよ)。 ⸢ワーヤ マー⸣ビン カ⸢ヨーレー⸣ ミサムヌ [⸢waːja maː⸣biŋ ka⸢joːreː⸣ misamunu] (君はもっと通えたらよいのに) 4737 0 0 4539 htmvoc_4737.wav カヨーン ⸣カヨーン [⸣kajoːŋ] 名 (植)キールンヤマノイモ。葉の間に、ウン⸢ナー⸣マ[ʔun⸢naː⸣ma](ぬかご<零余子>)がある。ぬかごは、ご飯やおかゆに混ぜて炊いた。 ⸣カヨーンマー ス⸢ク⸣ル プ⸢ソー ナン⸣ゾー ブ⸢ラーンセン⸣ ナー⸢イ⸣ ヤ⸢マ⸣ナール ⸣ムイ ブ⸢タ⸣ダー [⸣kajoːmmaː ⸢nan⸣ʣoː su̥⸢ku⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃen⸣ naː⸢i⸣ ja⸢ma⸣naːru ⸣mui bu⸢ta⸣daː] (ぬかご<零余子>は植える<作る>人はあまりいなかった{EOS}ただ林や森、山の中に生えていただけだよ) カラ 4747 0 0 4540 htmvoc_4747.wav カラ カ⸢ラ [ka⸢ra] 名 から(空)。からっぽ。何もないこと。⸢ンーナガラ[⸢ʔnːnagara](空っぽ)ともいう。 カ⸢ミ⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ シゥ⸢カイキシ⸣ カメー カ⸢ラ⸣ ナリ⸢ナーン⸣バ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸣カミ ミ⸢ツァ⸣シ [ka⸢mi⸣nu mi⸢ʤeː⸣ sï̥⸢kaiki̥ʃi⸣ kameː ka⸢ra⸣ nari⸢naːm⸣ba mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣mi ⸣kami mi⸢ʦa⸣ʃi] (瓶の水は使い切ってしまって、瓶は空になってしまったので、水を担いで瓶を満たせ)。 ⸣フネー カ⸢ラ⸣ニー ⸢シー⸣ ケーバン [⸣ɸuneː ka⸢ra⸣niː ⸢ʃiː⸣ keːbaŋ] (舟は不漁<空荷>で帰港してきているよ)。 カ⸢ラバタ⸣ナー サ⸢キ⸣ ヌム ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ka⸢rabata⸣naː sḁ⸢ki⸣ numu ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (空腹<腹に何も入れないで>に酒を飲むものではない)。茶請け、茶菓子、点心などを伴わないお茶のこと。 カ⸢ラサーンツァン⸣ ヌミティ ⸣パリバ [ka⸢rasaːnʦan⸣ numiti ⸣pariba] (空茶<茶請けや菓子類を伴わないお茶>だけでも飲んでから行きなさいよ) 4748 0 0 4541 htmvoc_4748.wav カラ カ⸢ラ [ka⸢ra] 名 乳児の頭に鱗のように垢が重なってこびりついているもの。それを剥がすことはしないで、ぬるま湯で柔らかく洗っていた。 ⸢シーッふァイッふァ⸣ヌ ス⸢ブ⸣ルナー カ⸢ラヌ⸣ アン [⸢ʃiːffaiffa⸣nu su⸢bu⸣runaː ka⸢ranu⸣ ʔaŋ] (乳飲み子の頭にはカラがある) 4750 0 0 4542 htmvoc_4750.wav カラ カ⸢ラ [ka⸢ra] 名 体格。体力。 ウ⸢レー⸣ カ⸢ラヌ ナーン⸣ユンダ ヤ⸢マシグ⸣トー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ka⸢ranu naːɲ⸣junda ja⸢maʃigu⸣toː na⸢ra⸣nu] (彼<それ>は体力がないから山仕事はできないよ)。 カ⸢ラバ⸣ ミ⸢リ⸣ル ⸣ムコー トゥ⸢ミ⸣ル⸢ダー [ka⸢raba⸣ mi⸢ri⸣ru ⸣mukoː tu⸢mi⸣ru⸢daː] (体格や人柄をみて婿はさがすものだよ)。 マ⸢リトーラ⸣ カ⸢ラヌ ヨー⸣ンダ ガ⸢ク⸣ムンシ ⸢ミー⸣ タ⸢ティラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢ritoːra⸣ ka⸢ranu joː⸣nda ga⸢ku⸣muŋʃi ⸢miː⸣ tḁ⸢tiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (生まれつき体格が弱いから、学問で立身出世しないと<身を立てないと>いけない) 4751 0 0 4543 htmvoc_4751.wav カラ ⸣カラ [⸣kara] 助数 動物を数える単位。家畜類、家禽類、野獣、魚類、爬虫類、昆虫類、蝶類、虫類を数えるのに用いる。 ウ⸢シ⸣ プ⸢スッ⸣カラ [ʔu⸢ʃi⸣ pu̥⸢suk⸣kara] (牛一匹<頭>)。 フ⸢タッカラ [ɸu̥⸢takkara] (二匹)。 ⸣オー ⸢ミッカラ [⸣ʔoː ⸢mikkara] (豚三匹) トゥ⸢ル ユッカラ [tu⸢ru jukkara] (鶏四羽))。 ⸣パトゥザ イ⸢チッ⸣カラ [⸣pḁtuʣa ʔi⸢ʧik⸣kara] (鳩五羽)。 イ⸢ズ ムッカラ [ʔi⸢ʣu mukkara] (魚六尾)。 ⸣タク ⸢ヤッカラ [⸣taku ⸢jakkara] (蛸八匹)。 イ⸢ラ⸣ブ ク⸢ヌッ⸣カラ [ʔi⸢ra⸣bu ku⸢nuk⸣kara] (エラブうみへび九匹)。 パ⸢ジンヌ トゥッカラ [pa⸢ʤinnu tukkara] (蜂が十匹)。 ウ⸢シ⸣ プ⸢スッ⸣カラ シゥ⸢カ⸣ナウン [ʔu⸢ʃi⸣ pu̥⸢suk⸣kara sï̥⸢ka⸣nauŋ] (牛を一匹<頭>飼育する<養う>) 4752 0 0 4544 htmvoc_4752.wav ガラ ガ⸢ラ [ga⸢ra] 名 人柄。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ガ⸢ラヌ ワッ⸣サンダ ク⸢ヌ⸣ プ⸢ストー⸣ ピ⸢ラウ⸣ナ⸢ヨー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ga⸢ranu was⸣sanda ku⸢nu⸣ pu̥⸢sutoː⸣ pi⸢rau⸣na⸢joː] (この人は人柄が悪いから、この人とは交際するなよ) 4753 0 0 4545 htmvoc_4753.wav ガラ ガ⸢ラ [ga⸢ra] 名 柄。図柄。模様。デザイン。 ク⸢ヌ キン⸣ヌ ガ⸢ラー⸣ ジ⸢ミ [ku⸢nu kin⸣nu ga⸢raː⸣ ʤi⸢mi] (この着物の柄<模様・デザイン>は地味だ) 4761 0 0 4546 htmvoc_4761.wav ガラ ガ⸢ラ [ga⸢ra] 名 抜け殻。あきがら。 パ⸢ブヌ⸣ シ⸢ディガラ⸣ヌ ⸣アン [pa⸢bunu⸣ ʃi⸢digara⸣nu ⸣ʔaŋ] (ハブの抜け殻<脱皮した抜け殻>がある)。 ム⸢ミガラー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣コイ ⸣ナシ [mu⸢migaraː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣koi ⸣naʃi] (籾殻は畑の肥料になしなさい)。 ナ⸢ツァーラ⸣ヌ シ⸢ジ⸣ガラ [na⸢ʦaːra⸣nu ʃi⸢ʤi⸣gara] (海人草の煎じ糟) 4754 0 0 4547 htmvoc_4754.wav カラーカラーシ カラー⸢カラー⸣シ [karaː⸢karaː⸣ʃi] 副 辛く。非常に辛く。ABCABCD型の重言。 ナ⸢マ⸣シナー カラー⸢カラー⸣シ ⸢クース ピッツァ⸣シ イ⸢リバル⸣ ン⸢マー⸣ダー [na⸢ma⸣ʃinaː karaː⸢karaː⸣ʃi ⸢kuːsu pitʦa⸣ʃi ʔi⸢ribaru⸣ ʔm⸢maː⸣daː] (刺身には非常に辛く唐辛子を潰して入れたほうが<入ればぞ>美味しいのだよ) 4755 0 0 4548 htmvoc_4755.wav カラーカラーシ カ⸢ラーカラー⸣シ [ka⸢raːkaraː⸣ʃi] 副 軽々と。軽く。ABCABCD型の重言。若年層は、カ⸢ローカロー⸣シ[ka⸢roːkaroː⸣ʃi](軽々と)という。 バ⸢カー⸣ムノー ル⸢クトゥダー⸣ラン カ⸢ラーカラー⸣シル カ⸢タ⸣ミ ⸣パル [ba⸢kaː⸣munoː ru⸢kutudaː⸣raŋ ka⸢raːkaraː⸣ʃiru kḁ⸢ta⸣mi ⸣paru] (若者は六斗俵も軽々と担いでいく) 4779 0 0 4549 htmvoc_4779.wav カラーン カ⸢ラー⸣ン [ka⸢raː⸣ŋ] 形 辛い。⸢クース[⸢kuːsu](唐辛子)やワ⸢サ⸣ビ[wa⸢sa⸣bi](山葵)の辛さにいう。 ナ⸢マ⸣シナ ⸢クース⸣ イ⸢ルター⸣ カ⸢ラー⸣ヌ フ⸢チ パス⸣クリ ⸢ナー⸣ヌ [na⸢ma⸣ʃina ⸢kuːsu⸣ ʔi⸢rutaː⸣ ka⸢raː⸣nu ɸu̥⸢ʧi pasu̥⸣kuri ⸢naː⸣nu] (刺身に唐辛子をいれたところ、辛くて口がはじけてしまった)。 ⸢シンダイ⸣ カ⸢ラー⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ka⸢raː⸣ naruŋ] (次第に辛くなる)。 ⸢クーソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ラー⸣ン [⸢kuːsoː⸣ ʔik⸢kena⸣ ka⸢raː⸣ŋ] (唐辛子は非常に辛い)。 カ⸢ラー⸣ル ⸢クーソーラ⸣ イ⸢ラ⸣ビ ムティ ⸣クー [ka⸢raː⸣ru ⸢kuːsoːra⸣ ʔi⸢ra⸣bi ⸣muti ⸣kuː] (辛い唐辛子から選んで持ってこい)。 ⸣アイニ カ⸢ラー⸣カー ッ⸢ふァーラヌ [⸣ʔaini ka⸢raː⸣kaː f⸢faːranu] (あんなに辛かったら食べられない)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢ラー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ka⸢raː⸣reː ⸣misamunu] (もっと辛ければいいのに)。 ⸢クーソー⸣ カ⸢ラー⸣ンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ク⸢レー⸣ カ⸢ラー ナー⸣ヌ [⸢kuːsoː⸣ ka⸢raː⸣nti ʔu⸢muːta⸣nu ku⸢reː⸣ ka⸢raːnaː⸣nu] (唐辛子は辛いと思ったが、これは辛くない)。 カ⸢ラー⸣ ムノー ッ⸢ふァーラヌ [ka⸢raː⸣ munoː f⸢faːranu] (辛いものは食えない)。 ⸣ドゥク カ⸢ラー⸣カー ッ⸢ふァーンブリ⸣バ [⸣duku ka⸢raː⸣kaː f⸢faːmburi⸣ba] (あまりにも辛かったら食べるなよ) 4845 0 0 4550 htmvoc_4845.wav カライー カ⸢ライー [ka⸢raʔiː] 名 お汁や副食物の付かないご飯。 カ⸢ライー⸣ カー⸢ニ⸣テー ッ⸢ふァーラヌ⸣ バ⸢タガラ⸣スンツァン ン⸢ザ⸣シバ [ka⸢raʔiː⸣ kaː⸢ni⸣teː f⸢faːranu⸣ ba⸢tagara⸣sunʦaŋ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (副食物のないご飯だけでは食べられないよ{EOS}カツオの腸の塩漬けでも出せよ) 12137 0 0 4551 htmvoc_12137.wav カライキ カ⸢ライキ [ka⸢raiki] 名 絶え絶えの息遣い。やっとで呼吸しているような息遣い。「空息」の転訛か。 ヤ⸢ミプス⸣ヌ カ⸢ライキ シェー⸣ラー ⸢ナームテー サン⸣ツォー [ja⸢mipusu⸣nu ka⸢raʔiki ʃeː⸣raː ⸢naːmuteː san⸣ʦoː] (病人が絶え絶えの息遣いをすると長持ちしないそうだ)。 カ⸢ライキ⸣ カー⸢ニ シーベー⸣ンダ ナ⸢ガムテー サン⸣パジ [ka⸢raiki⸣ kaː⸢ni ʃiːbeː⸣nda na⸢gamuteː sam⸣paʤi] (絶え絶えの呼吸をだけしているから、長生きはしないはずだ) 4764 0 0 4552 htmvoc_4764.wav カライシ カ⸢ラ⸣イシ [ka⸢ra⸣ʔiʃi] 名 かるいし(軽石)。海底火山から湧出した溶岩が急速冷却されて形成された岩石。鍋や釜などの錆落しに使用された。昭和の初期頃に鳩間島の東約4㎞、高那の北約4㎞の海底火山が噴火して大量の軽石が湧出し、鳩間水道は軽石で塞さがれて台北、石垣、那覇間の定期蒸気船が航行不能になったことがあったという。そのとき打ち上げられた軽石が今も西表北岸や鳩間島の海岸に残っている。 ⸢パイタ⸣ヌ パ⸢マヌ⸣ ヤ⸢マン⸣ミーナー マ⸢ナマー⸣キン カ⸢ライ⸣シェー アン⸢ダー [⸢paita⸣nu pa⸢manu⸣ ja⸢mam⸣miːnaː ma⸢namaː⸣kiŋ ka⸢raʔi⸣ʃeː ʔan⸢daː] (西表島の浜の雑木林には今も軽石があるよ) 4765 0 1 4553 htmvoc_4765.wav カライルン カ⸢ライ⸣ルン [ka⸢rai⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}からげる(絡げる)。まくり上げる。 ⸣ガザン ⸢ペーラサン⸣ヨーニ カ⸢ツァー⸣ フ⸢ルシティティル⸣ カ⸢ライ⸣ル [⸣gaʣam ⸢perasaɲ⸣ joːni ka⸢ʦaː⸣ ɸu⸢ruʃititiru⸣ ka⸢rai⸣ru] (蚊を入れないよう、蚊帳を振るってから絡げるのだ)。 ⸢グッふァ⸣ヌ ⸢タンガ⸣シェー カ⸢ライララ⸣ヌ [⸢guffa⸣nu ⸢taŋga⸣ʃeː ka⸢rairara⸣nu] (重くて一人では絡げられない)。 ク⸢リン⸣ カ⸢ライ⸣ルン [ku⸢riŋ⸣ ka⸢rai⸣ruŋ] (これも絡げる)。 カ⸢ライ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢rai⸣ru ⸣kutoː na⸢ra⸣nu] (絡げることは出来ない)。 カ⸢ライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ka⸢rai⸣jaː ⸣misamunu] (絡げればよいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸣カライ [⸣duːʃi ⸣karai] (自分でからげよ)。 4765 0 2 4554 htmvoc_4765.wav カライルン カ⸢ライ⸣ルン [ka⸢rai⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}裾を捲くり上げる。 ⸢キン⸣ヌ シ⸢ベー⸣ カライティ パ⸢タラキ [⸢kin⸣nu ʃi⸢beː⸣ karaiti pa⸢taraki] (着物の裾<尻>を絡げて働け)。たくしあげる。 ス⸢デー⸣ カ⸢ライラン⸣カー ⸢ゾールン⸣ダー [su⸢deː⸣ ka⸢raːŋ⸣kaː ⸢ʣorun⸣daː] (袖をたくしあげないと\ruby{濡}{ヌ}れるぞ) 4762 0 0 4555 htmvoc_4762.wav カラウン カ⸢ラウン [ka⸢ra ʔuŋ] 名 おかずがなくて、芋だけで食事をすませること。 カ⸢ティ⸣ムノー ⸢ナーン⸣バ ⸣アシェー カ⸢ラウン⸣シ シ⸢マ⸣シバメー [kḁ⸢ti⸣munoː ⸢naːm⸣ba ⸣ʔaʃeː ka⸢raʔuŋ⸣ʃi ʃi⸢ma⸣ʃibameː] (おかずがないから昼食は芋だけで済ませなさいよ) 4766 0 0 4556 htmvoc_4766.wav カラウン ⸣カラウン [⸣karauŋ] 他動 からげる(絡げる)。裾を捲くり上げる。袖をたくし上げる。カ⸢ライ⸣ルンとも言う。 ⸣バー ス⸢デー⸣ カ⸢ラー⸣ヌ [⸣baː su⸢deː⸣ ka⸢raː⸣nu] (私は袖をからげない)。 ク⸢レー⸣ カ⸢ライ ヤッ⸣サン [ku⸢reː⸣ ka⸢rai jas⸣saŋ] (これ絡げやすい)。 ヤー⸢ディン⸣ ス⸢ディ⸣ カラウン [jaː⸢din⸣ su⸢di⸣ karauŋ] (必ず袖を\ruby{絡}{カラ}げる)。 ス⸢ディ⸣ カラウ ⸣クトゥ [su⸢di⸣ karau ⸣ku̥tu] (袖を絡げること)。 ス⸢デー⸣ カ⸢ライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [su⸢deː⸣ ka⸢rai⸣jaː ⸣misamunu] (袖を絡げばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣カライ [⸢paː⸣ku ⸣karai] (早く絡げよ) 4768 0 0 4557 htmvoc_4768.wav カラカーラヌ カ⸢ラカーラヌ [ka⸢rakaːranu] 連 手に負えない。対応できない。付き合えない。カ⸢ラカウン[ka⸢rakauŋ](対応する{EOS}相手にする{EOS}宥める)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リン[riŋ](~れる)の未然形が付いた形。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ パ⸢ダキネー⸣ヌ ⸢バン⸣マー カ⸢ラカーラヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pa⸢dakineː⸣nu ⸢bam⸣maː ka⸢rakaːranu] (この子は\ruby{SqBr}g{/SqBr}{悪戯}{イタズラ}が過ぎる<腕白過ぎる>ので、私には手に負えない)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ミ⸢ドゥ⸣ムン カ⸢ラカーリン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː mi⸢du⸣muŋ ka⸢rakaːriŋ] (この程度は女にも対応できる<手に負える>) 4772 0 1 4558 htmvoc_4772.wav カラカウン カ⸢ラカウン [ka⸢rakauŋ] 他動 {Mn_1}言い争う。相手にして争い\ruby{宥}{ナダ}める。応対する。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢フンダイバ⸣ シ⸢ティル⸣ ウ⸢リトゥ⸣ カ⸢ラカウンティ⸣ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢rabi⸣nu ⸢ɸundaiba⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ʔu⸢ritu⸣ ka⸢rakaunti⸣ ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (子供が駄々を捏ねて、それを相手になだめようとして仕事が出来ない)。 カ⸢ラカーラヌ⸣ ナルスコー ア⸢ラ⸣ヌ [ka⸢rakaːranu⸣ narusu̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (応対して宥められない{EOS}取り付く島がない<成るどころではない>)。 ⸢タンガ⸣シル カ⸢ラカイヤッ⸣サ [⸢taŋga⸣ʃiru ka⸢rakaijas⸣sa] (一人でするのが応対しやすい)。 4772 0 2 4559 htmvoc_4772.wav カラカウン カ⸢ラカウン [ka⸢rakauŋ] 他動 {Mn_2}人をなぶる<嬲る>。人を揶揄する。冗談を言って困らせる。笑いものにする。 プ⸢スバ⸣ カ⸢ラカウ⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [pu̥⸢suba⸣ ka⸢rakau⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (人をからかい、冷やかすことはするなよ)。 カ⸢ラカイヤー⸣ ミサムヌ [ka⸢rakaijaː⸣ misamunu] (揶揄すればよいのに{EOS}からかえば<冷やかせば>いいのに)。 カ⸢ラカイ⸣バ [ka⸢rakai⸣ba] (冷やかせよ) 4769 0 0 4560 htmvoc_4769.wav ガラガラ ガ⸢ラガラ [ga⸢ragara] 副 空っぽのさま。がらんどう。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ヤーナ プ⸢ソー⸣ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラームティ⸣ ガ⸢ラガラ⸣シ ⸢シー⸣シケー [ʔu⸢bi⸣nu ⸣jaːna pu̥⸢soː⸣ taː⸢m⸣ bu⸢raːmuti⸣ ga⸢ragara⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ʃi̥keː] (あれだけの大きな家に人は誰もいないでガラガラ<がらんどう>にしてある) 4770 0 0 4561 htmvoc_4770.wav ガラガラー ガ⸢ラ⸣ガラー [ga⸢ra⸣garaː] 名 乳幼児の玩具で、カラカラと振り鳴らして遊ぶもの。戦後、石垣島から入ってきた。 ガ⸢ラ⸣ガラー ム⸢カ⸣シェー ⸢ナーン⸣シェン イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー イ⸢サナケーラ ペー⸣リ ケー⸢ダー [ga⸢ra⸣garaː mu⸢ka⸣ʃeː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ʔi⸢sanakeːra peː⸣ri keː⸢daː] (ガラガラーは昔はなかった{EOS}戦後石垣から入ってきたのだよ) 4773 0 0 4562 htmvoc_4773.wav カラカンナール カ⸢ラカンナール [ka⸢rakannaːru] 名 雨を伴わない雷。「空雷」の義。 ⸢カンナー⸣ロー ⸢ナーリ ブンドゥ⸣ アメー ⸢ホーン⸣バン カ⸢ラカンナールユン [⸢kannaː⸣roː ⸢naːribundu⸣ ʔameː ⸢hoːm⸣baŋ ka⸢rakannaːrujuŋ] (雷は鳴っているが雨は降らないワイ{EOS}空雷だよ) 4774 0 0 4563 htmvoc_4774.wav カラグ カ⸢ラグ [ka⸢ragu] 名 錨。現在は⸢アン⸣カー[⸢ʔaŋ⸣kaː](錨)という人が多い。カ⸢ラグ[ka⸢ragu](錨)を知る人は八十歳以上の、限られた人である。鳩間島では、日露戦争の頃に海軍へ入隊した人(通事家の人)が海軍式の航海用語を流行らせたという(加治工伊佐氏直話)。⸢アン⸣カージナ[⸢ʔaŋ⸣kaːʤina](anchor-rope)という合成語を本来の鳩間方言と思っているほどである。その他、⸢ゴーヘー[⸢goːheː](前進せよ{EOS}go ahead)、⸢ゴーシターン[⸢goːʃitaːŋ](後進せよ{EOS}go astern)、⸢ソーローソーロー[⸢soːroːsoːroː](微速前進せよ{EOS}slow)なども本来の鳩間方言と思われている 4771 0 0 4564 htmvoc_4771.wav カラクジ カ⸢ラクジ [ka⸢rakuʤi] 名 空くじ。パ⸢ギ⸣クジ[pa⸢gi⸣kuʤi](はずれ\ruby{籤}{クジ}{EOS}<禿籤>)ともいう。 ⸣バー ⸣クジ ⸢コー⸣ンダ カ⸢ラクジ⸣ カー⸢ニ⸣ ピ⸢キバ⸣ クジ ⸢ヤー⸣ラー プ⸢スン⸣ ピ⸢カシ⸣バ [⸣baː ⸣kuʤi ⸢koː⸣nda ka⸢rakuʤi⸣ kaː⸢ni⸣ pi̥⸢kiba⸣ kuʤi ⸢jaː⸣raː pu̥⸢sum⸣ pi̥⸢kaʃi⸣ba] (私は籤運に弱いので外れ籤<空籤>だけ引くから、籤運の強い<籤に柔らかい>人に引かせなさいよ) 3799 0 0 4565 htmvoc_3799.wav ガラクトートゥ ガ⸢ラ⸣ク⸢トートゥ [ga⸢ra⸣ku⸢toːtu] 感 なにとぞ、なにとぞ。是非とも是非とも。⸢タン⸣ディ⸢トートゥ[⸢tan⸣di⸢toːtu](願わくば是非とも)と重ねて用いられる。/タンディトートゥ マブルシュヨー/ガラクトートゥ カミガナシ ハーリ アミタボリ リューガナシ/(恐れながらお願い申し上げます守り神さま、どうか、どうぞ、是非とも是非とも神様、ハーリ雨を賜りませ竜宮の神様)「アマングイ」(雨乞い歌{EOS}早め句第2連)『鳩間島古典民謡古謡集』 4749 0 0 4566 htmvoc_4749.wav カラクリ カ⸢ラ⸣クリ [カ⸢ラ⸣クリ] 名 三味線の弦を引き締める糸巻き。てんじゅ(転手)。⸢ウー⸣ジル[⸢ʔuː⸣ʤiru](雄弦)、ナ⸢カ⸣ジル[na⸢ka⸣ʤiru](中弦)、⸢ミー⸣ジル[⸢miː⸣ʤiru](雌弦)の三本の弦を締める専用の転手がある。左側に一本、右側に二本の転手が装着されている。 ⸢サンシンヌ⸣ シ⸢ロー⸣ カ⸢ラ⸣クリシル シ⸢ミ⸣ル [⸢saŋʃinnu⸣ ʃi⸢roː⸣ ka⸢ra⸣kuriʃiru ʃi⸢mi⸣ru] (三味線の弦は\ruby{転手}{テン|ジュ}で<ぞ>締める)。 ⸢サンシンヌ⸣ カ⸢ラ⸣クレー ク⸢ル⸣キーシ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢saŋʃinnu⸣ ka⸢ra⸣kureː ku⸢ru⸣kiːʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (三線の転手<糸巻き>は黒檀で作られている) 4785 0 0 4567 htmvoc_4785.wav ガラサ ガ⸢ラ⸣サ [ga⸢ra⸣sa] 名 (動)カラス(烏)。雑食性で非常に食欲旺盛な害鳥。黒い鳥で不吉を連想されるといわれている。⸢ユーガラ⸣サー[⸢juːgara⸣saː]<夜烏>は不吉の象徴とされている。烏は他の鳥よりも知能指数が高く、人を怖がらないことから悪知恵の働くずるい人間にたとえられる。 ⸢マイカリヌ⸣ ピンナ ガ⸢ラサ⸣ヌ ⸣ウリキー ⸢マイ⸣ プシ ⸣シケームバ カ⸢キッツァーサ⸣リティ スズー⸢コ オ(ー)ス⸣ク シ⸢ラリミッ⸣タン [⸢maikarinu⸣ pinna ga⸢rasa⸣nu ⸣ʔurikiː ⸢mai⸣ pu̥ʃi ⸣ʃi̥keːmuba kḁ⸢kitʦaːsa⸣riti suʣuː⸢ko ʔo(ː)su⸣ku ʃi⸢rarimit⸣taŋ] (稲刈りの時に、烏が下りてきて稲を干してあるのを掻き散らされて、ひどくなぶられたことがる) 4802 0 0 4568 htmvoc_4802.wav カラサー カ⸢ラサー [ka⸢rasaː] 名 茶請けがなく、茶だけの接待。「空茶」の義。⸢ンーナサー[⸢ʔnːnasaː](空茶)ともいう。 カ⸢ラサー⸣ カー⸢ニ⸣ ヌ⸢マサ⸣リティ ⸣サービー ⸢シーナー⸣ヌ [ka⸢rasaː⸣ kaː⸢ni⸣ nu⸢masa⸣riti ⸣saːbiː ⸢ʃiːnaː⸣nu] (茶請けのない茶だけ飲まされてお茶酔いしてしまった)。 カ⸢ラサーンツァン⸣ ヌミティ ⸣パリバ [ka⸢rasaːnʦan⸣ numiti ⸣pariba] (お茶だけ<空茶だけ>でも飲んで行きなさいよ) 4803 0 0 4569 htmvoc_4803.wav カラサーシツ カ⸢ラ⸣サーシツ [ka⸢ra⸣saːʃi̥ʦu] 名 (動)魚の名。和名、オキナメジナ(体長約35センチ)。シ⸢ツ[ʃi̥⸢ʦu]ともいう。西表島の⸢イーリイマ干瀬でよく漁獲された。高級魚の一つで美味である 4782 0 0 4570 htmvoc_4782.wav カラザキ カ⸢ラザキ [ka⸢raʣaki] 名 \ruby{肴}{サカナ}無しで飲む酒。「からざけ(空酒)」の義。 カ⸢ラザケー⸣ ヌ⸢マン⸣ドーシ ⸣ムヌーン ッ⸢ふァイヤー⸣ティ サ⸢ケー⸣ ヌ⸢マン⸣カー ⸢ヤン⸣マイ シ⸢キ⸣ルン⸢ダー [ka⸢raʣakeː⸣ nu⸢man⸣doːʃi ⸣munuːn f⸢faijaː⸣ti sa⸢keː⸣ nu⸢maŋ⸣kaː ⸢jam⸣mai ʃi̥⸢ki⸣run⸢daː] (\ruby{肴}{サカナ}無しで酒を飲まなずに、食い物を食べながら酒を飲まないと病気になるよ<病気が付くよ>) 4783 0 0 4571 htmvoc_4783.wav ガラサニーバル ガ⸢ラ⸣サニーバル [ga⸢ra⸣saniːbaru] 名 (動)魚の名。和名、イシガキダイ(体長45センチ) 4784 0 0 4572 htmvoc_4784.wav ガラサヌコーマ ガ⸢ラサ⸣ヌ ⸢コー⸣マ [ga⸢rasa⸣nu ⸢koː⸣ma] 連 (動)うに(海栗)。「烏の卵」の義。直径5~7センチの球形または厚い円盤状の殻の外面が長い\ruby{刺}{トゲ}に覆われて、海底の砂の上を移動したり岩に吸着したりしている。 パ⸢トゥ⸣マプソー ガ⸢ラサ⸣ヌ ⸢コーマ⸣ヨー ッ⸢ふァイムヌ⸣テー ッ⸢サンセン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ga⸢rasa⸣nu ⸢koːma⸣joː f⸢faimunu⸣teː s⸢saŋʃeŋ] (鳩間人は、うに<海栗>を食べられるものとは<食べるものと>知らなかった) 4790 0 0 4573 htmvoc_4790.wav ガラサヌフチ ガ⸢ラサ⸣ヌ フ⸢チ [ga⸢rasa⸣nu ɸu̥⸢ʧi] 連 口角炎。「烏の口」の義。口角に生ずる\ruby{糜爛性}{ビ|ラン|セイ}の炎症。「烏の口角」に似ることからいう。 チ⸢カ⸣グロー ッ⸢ふァイムヌヌ⸣ カナイ ⸢ブンダ⸣ ガ⸢ラサ⸣ヌ フ⸢チ⸣ ンジ ⸢ブー⸣ プ⸢ソー⸣ ミ⸢ララン⸣バン [ʧi̥⸢ka⸣guroː f⸢faimununu⸣ kanai ⸢bunda⸣ ga⸢rasa⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔnʤi ⸢buː⸣ pu̥⸢soː⸣ mi⸢raram⸣baŋ] (近頃は食べ物が豊かだから<叶っているから>口角炎の出ている人は見当たらない<見られない>わい) 4791 0 0 4574 htmvoc_4791.wav ガラサパブ ガ⸢ラ⸣サパブ [ga⸢ra⸣sapabu] 名 (動)蛇の一種。サキシマヒバー。「カラスハブ」の義。⸢マーパブ[⸢maːpabu](毒蛇)の対義語。体長40~50センチ。無毒。鼠や蛙などの小動物を捕食している。鳩間島では雨の後に、非常に稀に見られることがあった。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣ドゥクパボー ブ⸢ラーヌヌ⸣ ガ⸢ラ⸣サパボー タ⸢マーニ⸣ ミ⸢ラリ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣dukupaboː bu⸢raːnunu⸣ ga⸢ra⸣sapaboː ta⸢maːni⸣ mi⸢rari⸣taŋ] (鳩間島には毒蛇はいないが、ガラスハブは極稀にみられた) 4792 0 0 4575 htmvoc_4792.wav ガラサマール ガ⸢ラ⸣サマール [ga⸢ra⸣samaːru] 名 手の指や足の指の痙攣。手足の痙攣。「烏曲がり」の義。 ⸢ペンシキビリ シー ベーン⸣ケン ⸢パン⸣ヌ ウ⸢ヤビ⸣ヌ ガ⸢ラ⸣サマール ⸢シー⸣ タ⸢タラン⸣シェン [⸢peŋʃikibiri ʃiː beːŋ⸣kem ⸢pan⸣nu ʔu⸢jabi⸣nu ga⸢ra⸣samaːru ⸢ʃiː⸣ tḁ⸢taraŋ⸣ʃeŋ] (ひざまずき<正座>していると足の親指が痙攣して立てなかった)。 ⸢ティー⸣ヌ ウ⸢ヤビ⸣ヌ ガ⸢ラ⸣サマール ⸢シェー⸣ラ ⸣ムヌ カ⸢サマラヌ [⸢tiː⸣nu ʔu⸢jabi⸣nu ga⸢ra⸣samaːru ⸢ʃeː⸣ra ⸣munu ka⸢samaranu] (手の親指が痙攣したら物を掴むことが出来ない)。 ⸢ティー⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ベー ガ⸢ラ⸣サマール シ⸢ティ⸣ ムヌ カ⸢サマラヌ [⸢tiː⸣nu ʔu⸢ja⸣beː ga⸢ra⸣samaːru ʃi̥⸢ti⸣ munu kḁ⸢samaranu] (手の指が痙攣して、物を掴むことができない<掴まれない>) 4776 0 0 4576 htmvoc_4776.wav ガラサマイ ガ⸢ラ⸣サマイ [ga⸢ra⸣samai] 名 (植)稲の品種名。「カラス米」の義。実が黒いことからその名があるという。 マ⸢ナ⸣マー ガ⸢ラ⸣サマイヤー ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ga⸢ra⸣samaijaː ⸢naː⸣nu] (今はカラス米はない) 4786 0 0 4577 htmvoc_4786.wav カラジー カ⸢ラジー [ka⸢raʤiː] 名 地べた。何も敷いてない裸の地面。「からぢ<空地>」の義。 ノー⸢ン⸣ シ⸢カムティ⸣ カ⸢ラジー⸣ナ ビ⸢リベー [noː⸢ŋ⸣ ʃi̥⸢kamuti⸣ ka⸢raʤiː⸣na bi⸢ri beː] (何も敷かないで地べたに座っている)。 ヤ⸢ラ⸣ベー カ⸢ラジー⸣ナー ビ⸢ダーキビリ シティ⸣ ア⸢サビ ベー [ja⸢ra⸣beː ka⸢raʤiː⸣naː bi⸢daːkibiri ʃi̥ti⸣ ʔa⸢sabi beː] (子供は地べたにべったりと座って遊んでいる) 4787 0 0 4578 htmvoc_4787.wav カラシーシ カ⸢ラシーシ [ka⸢raʃiːʃi] 名 体は小さいが筋肉がしまって頑健な人。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ フ⸢ドー⸣ グ⸢マー⸣ンドゥ カ⸢ラシーシ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シゥ⸢カラー⸣ ター⸢ン⸣ラン ⸢スーワ⸣ル ⸣アル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ɸu⸢doː⸣ gu⸢maː⸣ndu ka⸢raʃiːʃi⸣ ja⸢runda⸣ sï̥⸢karaː⸣ taː⸢n⸣ran ⸢suːwa⸣ru ⸣ʔaru] (その人は体は小さいが筋肉のしまった頑健な人だから力は誰よりも強い<強くぞある>) 4788 0 0 4579 htmvoc_4788.wav カラシチン カ⸢ラシチン [ka⸢raʃiʧiŋ] 名 貸し料。貸し賃。 ⸢ヤーヤシキ⸣バ プ⸢スン⸣ カ⸢ラシティ⸣ カ⸢ラシチン⸣シル ッ⸢ふァー⸣ ス⸢ダ⸣テーティ⸢ダー [⸢jaːjaʃi̥ki⸣ba pu̥⸢suŋ⸣ ka⸢raʃi̥ti⸣ ka⸢raʃiʧiŋ⸣ʃiru f⸢faː⸣ su⸢da⸣teːti⸢daː] (家屋敷を他人に貸して、貸し賃で子供を育てたそうだよ) 4778 0 0 4580 htmvoc_4778.wav カラシニ カ⸢ラ⸣シニ [ka⸢ra⸣ʃini] 名 すね(脛)。向う脛。はぎ(脛)。下肢の膝からくるぶし(踝)に至る部分。「からすね<骸脛>」の転訛か。脛を卑しめていう言葉。 カ⸢ラ⸣シニ キ⸢リマラバシ⸣ティ ナ⸢キベーン⸣ティ [ka⸢ra⸣ʃini ki⸢rimaraba⸣ʃi̥ti na⸢kibeːn⸣ti] (向う脛を蹴り飛ばして痛くて泣いているさ)。 イ⸢シガンパラミチ⸣ナー シ⸢キッ⸣クミ ⸢カイ⸣リティル カ⸢ラ⸣シニ シ⸢リ⸣パギ ⸣シケーバン [ʔi⸢ʃigamparamiʧi⸣naː ʃi̥⸢kik⸣kumi ⸢kai⸣ritiru ka⸢ra⸣ʃini ʃi⸢ri⸣pagi ʃi̥keːbaŋ] (石ころ道に突っ込み転んで裸の脛を擦り剥いてあるよ)。 カ⸢ラ⸣シニ キ⸢ラ⸣リティル ビ⸢ダーキ⸣ ビ⸢リベー [ka⸢ra⸣ʃini ki⸢ra⸣ritiru bi⸢daːki⸣ bi⸢ribeː] (向う脛を蹴られて、ひしゃげて<痛みに耐えかねて>地べたにどかっと座っているよ) 4793 0 0 4581 htmvoc_4793.wav カラシヤー カ⸢ラシヤー [ka⸢raʃijaː] 名 貸家。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣シンニン カ⸢ラシヤー ソー⸣ル プ⸢ソー オーラン⸣シェン ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢シン⸣シンケーヤ イ⸢チバンザー⸣トゥ ユ⸢コーバ⸣ カ⸢リル オーッタ⸣ル [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣ʃinniŋ ka⸢raʃijaː soː⸣ru pu̥⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ ⸢gakkoː⸣nu ⸢ʃiŋ⸣ʃiŋkeːja ʔi⸢ʧibanʣaː⸣tu ju⸢koːba⸣ ka⸢riru ʔoːtta⸣ru] (鳩間島には専ら貸家をなさる人はおられなかった{EOS}学校の先生方は一番座と裏座を借りておられた)。 ⸢ウシトゥンケー⸣ヤ カ⸢ラシヤーバ⸣ カ⸢リティ ヤーウチ⸣リ ⸢シー パッ⸣タ [⸢ʔuʃi̥tuŋkeː⸣ja ka⸢raʃijaːba⸣ ka⸢riti jaːʔuʧi⸣ri ⸢ʃiː pat⸣ta] (弟たちは貸し屋を借りて引越して<屋移りして>行った) 4842 0 0 4582 htmvoc_4842.wav カラシュー カ⸢ラシュー [ka⸢raʃuː] 名 からつゆ(空梅雨)。 ク⸢トゥシェー⸣ カ⸢ラシュー⸣ティ ア⸢ザリブーヌ⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣カー ⸢ヌー⸣スカヤー [ku̥⸢tuʃeː⸣ ka⸢raʃuː⸣ti ʔa⸢ʣaribuːnu⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːŋ⸣kaː ⸢nuː⸣sukajaː] (今年はから梅雨といわれているが、雨が降らなければどうしようか) 4794 0 0 4583 htmvoc_4794.wav カラス カ⸢ラ⸣ス [ka⸢ra⸣su] 名 塩辛。イカやカツオの内臓を塩漬けにして醗酵させたもの。カ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス[kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣su](カツオの内臓の塩漬け)、イ⸢ガカラス[ʔi⸢gakarasu](烏賊の塩漬け)、イ⸢ガヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス[ʔi⸢ganu⸣ ba⸢tagara⸣su](烏賊の内臓の塩漬け)などがある。 カ⸢ラ⸣ス ス⸢クン [ka⸢ra⸣su su̥⸢kuŋ] (塩辛を漬ける)。 カ⸢ラ⸣ソー フ⸢ユヌ⸣ カ⸢ティ⸣ムヌ ⸢ヤッタ [ka⸢ra⸣soː ɸu⸢junu⸣ kḁ⸢ti⸣munu ⸢jatta] (塩漬けは冬のおかずであった) 4795 0 0 4584 htmvoc_4795.wav カラスー カ⸢ラスー [ka⸢rasuː] 名 小潮の期間。潮のあまり引かない期間。ゆみはりづき(弦月)の頃の潮。⸢ウー⸣スー[⸢ʔuː⸣suː](大潮)の対義語。月と太陽とが地球に対して互いに直角の方向に位置する場合の潮があまり引かない期間。 マ⸢ナ⸣マー カ⸢ラスー⸣ ヤ⸢ルンダ ナン⸣ゾー ⸢スー⸣ヤ ピ⸢サ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ka⸢rasuː⸣ ja⸢runda nan⸣ʣoː ⸢suː⸣ja pi̥⸢sa⸣nu] (今は小潮だから、あまり潮は引かない<\ruby{干}{ヒ}ない>) 4796 0 0 4585 htmvoc_4796.wav カラズーワン カ⸢ラズー⸣ワン [ka⸢raʣuː⸣waŋ] 形 体力がある。体が強い。抵抗力が強い。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー カ⸢ラズー⸣ワンダ パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ka⸢raʣuː⸣wanda pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢kara⸣nu] (この子供は体力があり、抵抗力が強いから風邪をひかない) 4797 0 0 4586 htmvoc_4797.wav カラスン カ⸢ラスン [ka⸢rasuŋ] 他動 貸す。借りさせる。「借る」の使役形に対応する形。金銭や食糧をなどを貸す意。返済は借りた金銭や食料と同額、同量とし、利子利息一切なしとするのが常識であった。 プ⸢スンマー⸣ カ⸢ラサラヌ [pu̥⸢summaː⸣ ka⸢rasaranu] (他人には貸せない)。 プ⸢スン⸣ カ⸢ラシ⸣ミサン [pu̥⸢suŋ⸣ ka⸢raʃi⸣misaŋ] (他人に貸してもいい)。 カ⸢ラスンティ⸣ ウムーカー カ⸢ラシ⸣バ [ka⸢rasunti⸣ ʔumuːkaː ka⸢raʃi⸣ba] (貸すと思うなら貸せよ)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ カ⸢ラス⸣ クトゥ [⸣kubeː jaː⸢diŋ⸣ ka⸢rasu⸣ ku̥tu] (これだけは必ず貸すこと)。 ⸣クベーンツァン カ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸣kubeːnʦaŋ ka⸢raʃeː⸣ misamunu] (これだけでも貸せばよいのに) 465 0 1 4587 htmvoc_465.wav ガラスン ガ⸢ラスン [ga⸢rasuŋ] 他動 {Mn_1}明るくする。明かりを灯す。照らす。 ッ⸢ふァーン⸣ トン ガ⸢ラシ [f⸢faːn⸣ toŋ ga⸢raʃi] (暗い所を照らせ)。 ッ⸢ふァー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ ⸢トゥー⸣ル ⸢マー⸣ビン ガ⸢ラシ [f⸢faː⸣nu mi⸢rara⸣nu ⸢tuː⸣ru ⸢maː⸣biŋ ga⸢raʃi] (暗くて見えない{EOS}灯火をもっと明るくしなさい)。 465 0 2 4588 htmvoc_465.wav ガラスン ガ⸢ラスン [ga⸢rasuŋ] 他動 {Mn_2}夜を明かす。 プ⸢スユー⸣ン ⸣サートゥ ニ⸢バラムティ⸣ ユー ガ⸢ラシ ナーン⸣セン [pu̥⸢sujuː⸣ŋ ⸣saːtu ni⸢baramuti⸣ juː ga⸢raʃi naːŋ⸣ʃeŋ] (一晩じゅう眠れないで夜を明かしてしまった)。 プ⸢スユー⸣ヌ サートゥ ウ⸢リヌ トゥンザ⸣ク ⸢スンティ⸣ ユー ガ⸢ラシ ナーン⸣セン [pu̥⸢sujuː⸣nu ⸣saːtu ʔu⸢rinu tunʣa⸣ku ⸢sunti⸣ juː ga⸢raʃi naːŋ⸣ʃeŋ] (一晩中、その人の看病をしようとして夜を明かしてしまった) 3931 0 0 4589 htmvoc_3931.wav ガラスン ガ⸢ラ⸣スン [ga⸢ra⸣suŋ] 他動 かからせる(繋らせる)。ひっかからせる。引っ掛ける。魚を網に引っ掛けて獲る。[kḁkarasuŋ] → [k'arasunŋ] → [garasuŋ] の音韻変化による。 ⸣アン ウ⸢ラ⸣シティ イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣スン [⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣suŋ] (漁網を海に下ろして魚を引っ掛けて捕る)。 ⸢ナン⸣ヌ ⸢スー⸣ワティ イ⸢ゾー⸣ ガ⸢ラサラ⸣ヌ [⸢nan⸣nu ⸢suː⸣wati ʔi⸢ʣoː⸣ ga⸢rasara⸣nu] (波が荒いので<強いので>魚は網で引っ掛けて獲れない)。 イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラシ⸣プサン [ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢raʃi⸣pu̥saŋ] (網に魚をかからせて獲りたい)。 イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣ス ⸣ピン [ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣su ⸣piŋ] (魚を網に魚をかからせて獲るとき)。 ⸢マー⸣ビン ガ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ga⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと漁網に魚をかからせて獲ればよいのに)。 イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣シ [ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣ʃi] (魚を漁網にかからせよ)。 ⸣クナーテー イ⸢ゾー⸣ ガ⸢ラサラ⸣ヌ [⸣kunaːteː ʔi⸢ʣoː⸣ ga⸢rasara⸣nu] (ここでは、魚は網で漁獲できない<網に引っ掛けられない>)。 イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (魚を網で漁獲する<網に引っかからす>人はいない)。 シ⸢ヌマー⸣ル ⸣アンシ ガ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢numaː⸣ru ⸣ʔaŋʃi ga⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (テングハギを網で巻き取ればいいのに) 4799 0 0 4590 htmvoc_4799.wav カラタ カ⸢ラ⸣タ [ka⸢ra⸣ta] 名 体。⸢ドゥー⸣タイ[⸢duː⸣tai](胴体)ともいう。 ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァー⸣ ムー⸢ル⸣ カ⸢ラタ⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [⸢ʔun⸣nenu f⸢faː⸣ muː⸢ru⸣ ka⸢rata⸣nu ⸣kanai ⸢bunda⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (その家の子供はみんな体が頑丈<叶っている>だから非常に羨ましい) 4775 0 0 4591 htmvoc_4775.wav カラッサーク カ⸢ラッサーク [ka⸢rassaːku] 名 からせき(空咳)。痰の出ない乾いた咳で喉が切れるように痛む病気。 カ⸢ラッサークバ シール⸣ ヌ⸢ドゥ⸣ヌ ヤム⸢ツォー [ka⸢rassaːkuba ʃiːru⸣ nu⸢du⸣nu jamu⸢ʦoː] (痰の出ない乾いた空咳をするので喉が痛むんですよ) 4824 0 0 4592 htmvoc_4824.wav カラッス カ⸢ラッス [ka⸢rassu] 名 胎便。出生後2~4日間に嬰児が排泄する糞便。「空糞」の義。カ⸢ラッソー⸣マ[ka⸢rassoː⸣ma](小さな胎便{EOS}小さな空糞)ともいう。 カ⸢ラッソー⸣ マレーンカヤー [ka⸢rassoː⸣ mareːŋkajaː] (胎便は排泄したかね) 4807 0 0 4593 htmvoc_4807.wav カラッスリ カ⸢ラッスリ [ka⸢rassuri] 名 から拭き。布巾を水に濡らさないで拭くこと。 ジ⸢ブ⸣コー カ⸢ラッスリ シー⸣シキ⸢ヨー [ʤi⸢bu⸣koː ka⸢rassuri ʃiː⸣ ʃi̥ki⸢joː] (重箱はから拭きしておきなさい)。 ⸢シームヌバンヌン カーラケー⸣カー カ⸢ラッスリ⸣ シ⸢ティ⸣ シ⸢ズ⸣ミ シ⸢キ⸣リバ [⸢ʃiːmunubannuŋ kaːrakeː⸣kaː ka⸢rassuri⸣ ʃi⸢ti⸣ ʃi⸢ʣu⸣mi ʃi⸢ki⸣riba] (吸い物椀も乾いたのなら、から拭きして片付けておきなさい) 4808 0 0 4594 htmvoc_4808.wav ガラッティ ガラッ⸢ティ [garat⸢ti] 副 がらっと。がらりと。急変するさま。すっかり変わるさま。 プ⸢スヌ クー⸣ター ガラッ⸢ティ⸣ キモー ⸢カウリティ⸣ ピン ⸢シーナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu kuː⸣taː garat⸢ti⸣ kimoː ⸢kauriti⸣ piŋ ⸢ʃiːnaː⸣nu] (他人が来たのですっかり心が変わってしまって、拗ねてひねくれてしまった)。 マー⸢ズン⸣ パルンティ ⸢シーベータン⸣ドゥ ガラッ⸢ティ カウリ ンー⸣バ⸢トゥ⸣ツォー [maː⸢ʣum⸣ parunti ⸢ʃiːbeːtan⸣du garat⸢ti kauri ʔmː⸣ba⸢tu⸣ʦoː] (一緒に行くと言っていたのに<していたのに>急変して、いやだとさ) 4809 0 0 4595 htmvoc_4809.wav カラティー カ⸢ラティー [ka⸢ratiː] 名 空手(術)。標準語からの借用語か。普通は、⸣ティー[⸣tiː](空手)という。 カ⸢ラティー⸣ ナラウン [ka⸢ratiː⸣ narauŋ] (空手を習う)。 ⸣ティー シゥ⸢カウン [⸣tiː si̥⸢kauŋ] (空手を使う) 4810 0 0 4596 htmvoc_4810.wav カラドゥー カ⸢ラドゥー [ka⸢raduː] 名 手ぶら。何も持参せず、体一つで。⸢ンーナドゥー[⸢ʔnːnaduː](手ぶら)というのが普通である。 ア⸢バタサリティール⸣ ノー⸢ン⸣ ム⸢タ⸣ナー カ⸢ラドゥー⸣シ ケー⸢ダー [ʔa⸢batasaritiru⸣ noː⸢m⸣ mu⸢ta⸣naː ka⸢ra⸣duːʃi keː⸢daː] (急がされて、何も持たずに手ぶらで来てしまったのですよ) 4811 0 0 4597 htmvoc_4811.wav カラナキ カ⸢ラナキ [ka⸢ranaki] 名 涙を出さない声だけの泣き方。「空泣き」の義。 ⸣ナダー ウ⸢タサ⸣ムテイ クイカー⸢ニ⸣ ン⸢ザ⸣シ カ⸢ラナキ スー⸣ プ⸢スヌ⸣カ ⸢ブン⸣ツォー [⸣nadaː ʔu⸢tasa⸣muti kuikaː⸢ni⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi ka⸢ranaki suː⸣ pu̥⸢sunu ⸣ka ⸢bun⸣ʦoː] (涙は落とさ<出さ>ないで、声だけ出して空泣きする人がいるもんかね<いないよ>) 4812 0 0 4598 htmvoc_4812.wav カラニー カ⸢ラ⸣ニー [ka⸢ra⸣niː] 名 軽い荷。「軽荷」の義。ン⸢ブニー[ʔm⸢buniː](重荷)の対義語。 ナ⸢カラ⸣ニー [na⸢kara⸣niː] (半分荷)。 ⸣フネー マ⸢ダ⸣ カ⸢ラ⸣ニー ヤ⸢ルンダ マー⸣ビン ⸢ニー⸣ヤ シ⸢マリン⸣ダー [⸣ɸuneː ma⸢da⸣ ka⸢ra⸣niː ja⸢runda maː⸣bin ⸢niː⸣ja ʃi⸢marin⸣daː] (船の荷はまだ軽い荷だから、もっと荷を積むことができる<積まれる>ぞ)。 カ⸢ラ⸣ニーシェー ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ka⸢ra⸣niːʃeː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (軽荷では船は出港できない<出されない>) 4813 0 0 4599 htmvoc_4813.wav カラネーシ カ⸢ラネーシ [ka⸢raneːʃi] 名 水を入れないで煮ること。からだき(空焚き)の義。魚や南瓜、冬瓜、甘藷などを角切りにし、水を入れないで煮ること。 カ⸢ブッチェー⸣ カ⸢ラネーシ⸣ サ⸢バル⸣ ン⸢マー⸣ツォー [ka⸢butʧeː⸣ ka⸢raneːʃi⸣ sa⸢baru⸣ ʔm⸢maː⸣ʦoː] (南瓜は水を入れずに煮た<空焚き>ほうが美味しいそうだ) 4814 0 0 4600 htmvoc_4814.wav カラパイ カ⸢ラパイ [ka⸢rapai] 名 竈の灰。薪の灰。「からばい(空灰)」の義。竈の灰には魔除け、悪避けの力があるといわれており、葬列が通過する際には門口に竈の灰で線を引いておいて悪霊の侵入を防ぐ習慣があった。 ⸣ドゥク ヤ⸢ナ⸣ムニ プ⸢スッふァイムニバ⸣ ユムカー ⸢ウンザー⸣ カ⸢ラパイ⸣ シゥ⸢カンッふァー⸣シ [⸣duku ja⸢na⸣muni pu̥⸢suffaimuniba⸣ jumukaː ⸢ʔunʣaː⸣ ka⸢rapai⸣ sï̥⸢kaŋffaː⸣ʃi] (あんまり人を罵ったり、陥れるようなことを言うなら、奴に竈の灰をうち喰らわせてやれ) 4815 0 0 4601 htmvoc_4815.wav カラパク カ⸢ラパク [ka⸢rapaku] 名 空箱。空き箱。⸢ンーナパク[⸢ʔnːnapaku](空箱)ともいう。 カ⸢ラパク⸣ナ カ⸢ツブシバ⸣ シミティ イ⸢サンケー⸣ ウ⸢クリ⸣バ [ka⸢rapaku⸣na kḁ⸢ʦubuʃiba⸣ ʃimiti ʔi⸢saŋkeː⸣ ʔu⸢kuri⸣ba] (空箱に鰹節を詰めて石垣へ送りなさいよ) 4816 0 1 4602 htmvoc_4816.wav カラバタ カ⸢ラバタ [ka⸢rabata] 名 {Mn_1}空き腹。「からわた(空腸)」の義。⸢ンーナバタ[⸢ʔnːnabata](空腹)ともいう。 イ⸢ソープソー ヤー⸣サ ⸣カラバタシル ⸢オーリ⸣バ ⸢パー⸣ク ⸣イー ン⸢カシ [ʔi⸢soːpu̥soː jaː⸣sa ⸣karabataʃiru ⸢ʔoːri⸣ba ⸢paː⸣ku ⸣ʔiː ʔŋ⸢kaʃi] (漁に出られた人は空腹で、ひもじい思いでいらっしゃるから早くご飯を差し上げよ)。 カ⸢ラバタサーリ⸣ サ⸢キ⸣ ヌム ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ka⸢rabatasaːri⸣ sa⸢ki⸣ numu ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (空きっ腹に酒を飲むものではない)。 カ⸢ラバター⸣ バ⸢タッ⸣ふァーン [ka⸢rabataː⸣ ba⸢taf⸣faːŋ] (空複になると怒りっぽくなる<腹暗い>)。 4816 0 2 4603 htmvoc_4816.wav カラバタ カ⸢ラバタ [ka⸢rabata] 名 {Mn_2}妊娠していない女性のお腹。 トゥ⸢ジェー⸣ マ⸢ナ⸣マー カ⸢ラバタ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ンシェー⸣ル シ⸢グトゥン スンティル スー [tu⸢ʤeː⸣ ma⸢na⸣maː ka⸢rabata⸣ ja⸢⸣runda⸣ noː⸢ŋʃeː⸣ru ʃi⸢gutun suntiru suː] (妻は、今は妊娠していない<腹が空っぽ>だから、如何なる仕事もしようとする) 4817 0 0 4604 htmvoc_4817.wav カラバッツァーン カ⸢ラバッツァー⸣ン [ka⸢rabatʦaː⸣ŋ] 形 すばしこい。敏捷である。すばやい。はしこい。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ラバッ⸣ツァーン [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ʔik⸢kena⸣ ka⸢rabat⸣ʦaːŋ] (この子は非常にすばしこい)。 ⸣ドゥク カ⸢ラバッツァー ナー⸣ヌ [⸣duku ka⸢rabatʦaː naː⸣nu] (あまりすばしこくない)。 フ⸢ドゥブタール⸣ カ⸢ラバッ⸣ツァー ナリケール [ɸu⸢dubutaːru⸣ ka⸢rabatʦaː⸣ narikeːru] (成長したのですばしこくなってきたのだ)。 カ⸢ラバッツァー⸣ヌ カ⸢サマラヌ [ka⸢rabatʦaː⸣nu kḁ⸢samaranu] (すばしこくて捕まえられない)。 カ⸢ラバッ⸣ツァー ッ⸢ふァー⸣ ダ⸢カラヌ [ka⸢rabat⸣ʦaː f⸢faː⸣ da⸢karanu] (すばしこい子供は抱けない)。 ⸣ドゥク カ⸢ラバッ⸣ツァーカー ⸢サーリ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣duku ka⸢rabat⸣ʦaːkaː ⸢saːri⸣ pa⸢rara⸣nu] (あまりすばしこかったら、連れて行けない<行かれない>) 4818 0 0 4605 htmvoc_4818.wav カラパナシキ カ⸢ラパナシキ [ka⸢rapanaʃi̥ki] 名 軽い風邪。 カ⸢ラパナシキ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ラリン [ka⸢rapanaʃi̥ki⸣ ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢rariŋ] (軽い風邪だから仕事は出来る) 4819 0 0 4606 htmvoc_4819.wav カラバリ カ⸢ラバリ [ka⸢rabari] 名 手足の皮膚のひび割れ。あかぎれ(皸)。冬の寒い時期に手足の指の間にひび割れが生じ、血がにじみ出て痛む。また唇にも亀裂が生じて血がにじみ出て痛む。老年層はカ⸢ラバル[ka⸢rabaru](あかぎれ<皸>)ともいう。 ピ⸢ラク⸣ヌ シ⸢ジクター ティーパン⸣ヌ ウ⸢ヤビ⸣ヌ ⸣マター カ⸢ラバレー シー シーン⸣ パリティ ヤ⸢ミ⸣スバン [pi⸢raku⸣nu ʃi⸢ʤikutaː tiːpan⸣nu ʔu⸢jabi⸣nu ⸣mataː ka⸢rabareː ʃiː ʃiːm⸣ pariti ja⸢mi⸣subaŋ] (寒波が続いたので手足の指の股があかぎれ<皸>して血も出て痛むわい) 4541 0 0 4607 htmvoc_4541.wav カラバル カ⸢ラバル [ka⸢rabaru] 名 羅針盤。「唐針」の義か。単に、⸣パル[⸣paru](針{EOS}羅針盤)ともいう。 イ⸢ガメー オー⸣ル ⸣バソー ヤー⸢ディン⸣ カ⸢ラバル⸣ ム⸢ティ⸣ル ⸢オーッ⸣タ [ʔi⸢gameː ʔoː⸣ru ⸣basoː jaː⸢diŋ⸣ ka⸢rabaru⸣ mu⸢ti⸣ru ⸢ʔoːt⸣ta] (烏賊釣り漁に出られるときは必ず羅針盤を持参された<持って行かれた>) 402 0 0 4608 htmvoc_402.wav カラパン カ⸢ラパン [ka⸢rapaŋ] 名 裸足。むき出しの足。「からはぎ(空脛)」の転訛。 ヨー⸢ヨー⸣ カ⸢ラパン⸣シ ア⸢ラ⸣ケーティ ⸢アー⸣キ タ⸢マ⸣ヌ バ⸢リ⸣ナ パン ヤ⸢マス⸣ナ⸢ヨー [⸣joː⸢joː⸣ ka⸢rapaŋ⸣ʃi ʔa⸢ra⸣keːti ⸢ʔaː⸣ki ta⸢ma⸣nu ba⸢ri⸣na ⸣paŋ ⸢jamasu⸣na⸢joː] (注意してよ、裸足で歩いていてガラスの破片で足を怪我するな<病ますな>よ)。 カ⸢ラパン⸣ キ⸢ザ⸣パンシ ナ⸢カー ペール⸣ナ [ka⸢rapaŋ⸣ ki⸢ʣa⸣paŋʃi na⸢kaː peru⸣na] (何も履かない足、裸足、土足で中へ入るな)。 カ⸢ラパン⸣ キ⸢ザパン⸣マー ス⸢ナカ⸣ナー ア⸢ラシティティル ヤー⸣ヌ ⸣ナカー ⸢ペー⸣ル⸢ダー [ka⸢rapaŋ⸣ ki⸢ʣapam⸣maː su⸢naka⸣naː ʔa⸢raʃi̥titiru jaː⸣nu ⸣nakaː ⸢peː⸣ru⸢daː] (裸足、汚れ足は海の水で洗ってから家の中へは入るのだよ) 4821 0 0 4609 htmvoc_4821.wav カラビーバキ カ⸢ラビーバキ [ka⸢rabiːbaki] 名 からえずき(空嘔吐き)。嘔吐をもようし、むかむかする状態。むかついて戻しそうになる状態。「から・ゑばき(空穢吐き)」の義か。 フ⸢ナイ⸣バ ⸢シー⸣ ムー⸢ル⸣ パキ ン⸢ザ⸣シティ ⸣アトー カ⸢ラビーバキル⸣ シ⸢タル [ɸu⸢nai⸣ba ⸢ʃiː⸣ muː⸢ru⸣ pa⸢kiʔnʣa⸣ʃi̥ti ⸣ʔatoː ka⸢rabiːbakiru⸣ ʃi̥⸢taru] (船酔いをして、全部吐き出した後は空えずきをした<嘔吐しそうでむかむかした状態であった>) 4822 0 0 4610 htmvoc_4822.wav カラピサ カ⸢ラピサ [ka⸢rapisa] 名 裸足。履物を履かずに歩くこと。カ⸢ラパン[ka⸢rapaŋ](からはぎ<空脛>{EOS}からあし<空足>)、カ⸢ラピサ[ka⸢rapira](空足)のように用いられる。⸣ピサ[⸣pi̥sa](ひら<平>)は「踝より下」のこと。踝より下の足に何も履かない汚れた足の状態をカ⸢ラピサ[ka⸢rapisa]という。 ノー⸢ン⸣ フ⸢マムティ⸣ カ⸢ラピサ⸣ナリ ⸢アーキ⸣ル ⸣パン ヤ⸢マ⸣シェー⸢ダー [noː⸢ŋ⸣ ɸu⸢mamuti⸣ ka⸢rapisa⸣nari ⸢ʔaːki⸣ru ⸣paɲ ja⸢ma⸣ʃeː⸢daː] (何も履かないで裸足で歩いていたので<ぞ>足を痛めてあるのだ) 4825 0 0 4611 htmvoc_4825.wav カラピシ カ⸢ラピシ [ka⸢rapiʃi] 名 潮があまり引かないこと。 ⸢ウー⸣スー ア⸢ラン⸣カー カ⸢ラピシ スンダ⸣ イ⸢ソー⸣ パ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔuː⸣suː ʔa⸢raŋ⸣kaː ka⸢rapiʃi sunda⸣ ʔi⸢soː⸣ pa⸢ra⸣nu] (大潮でないと潮もあまり引かないから潮干狩りには行かない) 4767 0 0 4612 htmvoc_4767.wav カラフキ カ⸢ラフキ [ka⸢raɸuki] 名 雨を伴わない台風。「空吹き」の義。 カ⸢ジヌ⸣ カ⸢ラフキ シター ウンヌ⸣パーラ ⸢ナーン⸣パー ⸢バー⸣キ ムー⸢ル⸣ サ⸢リキシ ナー⸣ヌ [ka⸢ʤinu⸣ ka⸢raɸuki ʃi̥taː ʔunnu⸣paːra ⸢naːm⸣paː ⸢baː⸣ki muː⸢ru⸣ sa⸢riki̥ʃinaː⸣nu] (雨の降らない台風が吹いたので、芋かずらから菜っ葉までみんな枯れきってしまった)。 カ⸢ラフキ シー⸣ ス⸢クリ⸣ムノー サ⸢リナー⸣ヌ [ka⸢raɸu̥ki ʃiː⸣ su̥⸢kuri⸣munoː sa⸢rinaː⸣nu] (空吹き<雨を伴わない台風>して作物は総て枯れてしまった)。 カ⸢ラフキ スー⸣カー ガ⸢シヌ⸣ クーン [ka⸢raɸu̥ki suː⸣kaː ga⸢ʃinu⸣ kuːŋ] (雨を伴わない台風<空吹き>がくると飢饉がやってくる)。 カ⸢ラフキ スー⸣カー ス⸢クリ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ ア⸢ガサリ シース [ka⸢raɸu̥ki suː⸣kaː su̥⸢kuri⸣munoː muː⸢ru⸣ ʔa⸢gasari ʃiːsu] (雨の伴わない台風が襲来する<空吹きする>と作物は潮風で皆赤く枯れてしまう<赤枯れする>) 4827 0 0 4613 htmvoc_4827.wav カラフチ カ⸢ラフチ [ka⸢raɸuʧi] 名 塩辛いものを好むこと。ア⸢マフチ[ʔamaɸuʧi](甘口{EOS}またその人)の対義語。「辛口」の義。サ⸢クラフチ[sḁ⸢kuraɸuʧi](塩辛味好み)ともいう 4828 0 1 4614 htmvoc_4828.wav カラプニ カ⸢ラ⸣プニ [ka⸢ra⸣puni] 名 {Mn_1}痩せこけて骨と皮だけになった体格。 カ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ヨーガリティ⸣ カ⸢ラ⸣プニ ナリ⸢ベー [ka⸢nu⸣ pu̥⸢soː joːgariti⸣ ka⸢ra⸣puni nari⸢beː] (あの人は痩せて骨と皮だけになっている)。 4828 0 2 4615 htmvoc_4828.wav カラプニ カ⸢ラ⸣プニ [ka⸢ra⸣puni] 名 {Mn_2}白骨。 イ⸢ラ⸣カマイヌ フ⸢ジマレー⸣ナー カ⸢ラスブル<サ⸢リスブル>ン⸣ カ⸢ラ⸣プニ<サ⸢リプニ>ン ⸢アッ⸣タンテイ⸢ダー [ʔi⸢ra⸣kamainu ɸu⸢ʤiimareː⸣naː ka⸢rasuburu(sa⸢risuburu)ŋ⸣ ka⸢ra⸣puni(sa⸢ripuni)ŋ ⸢ʔat⸣tanti⸢daː] (イラカマイのフジマレーには人のされこうべ<髑髏>も白骨もあったそうだよ) 4829 0 0 4616 htmvoc_4829.wav カラフンツァ カ⸢ラフン⸣ツァ [ka⸢raɸun⸣ʦa] 名 敷物を敷いてない板床や板の縁。または竹で編んだままの床や縁。⸢フン⸣ツァ[⸢ɸun⸣ʦa](床{EOS}縁)は「踏み板」の義。 カ⸢ラフンツァ⸣ナ ビ⸢ラソーラン⸣ドーシ ⸣ムスンノーン ノー⸢ンヤラバン⸣ シ⸢キ オーシ [ka⸢raɸunʦa⸣na bi⸢rasoːran⸣doːʃi ⸣musunnoːn noː⸢ɲjarabaŋ⸣ ʃi̥⸢ki ʔoːʃi] (床に直に座らせ<腰を掛けさせ>なさらないで、蓆でも何でもよいから敷いて差し上げなさいよ) 4830 0 0 4617 htmvoc_4830.wav カラマース カ⸢ラマース [ka⸢ramaːsu] 名 健康祈願のため、真っ白な塩を盃に入れて山形に成形し、皿に移してお膳に並べ、床の間の⸢コン⸣ジン[⸢kon⸣ʣiŋ](根神)に供えたもの。「力塩(健康祈願の塩)」の義。正月元旦に家族一同床の前にうち揃い、神前に礼拝をした後、家長から⸣グシ[⸣guʃi](神酒{EOS}御屠蘇の一種)を頂いて、さらに箸でカ⸢ラマース(力塩)を摘んでもらい、頂戴する慣わしがある。訪問者もそれを頂いて一年中の健康と嘉例を付けてもらうのが慣わしである。 ⸣グシーン ⸣カミ カ⸢ラマースン⸣ カミバ [⸣guʃiːŋ ⸣kami ka⸢ramaːsuŋ⸣ kamiba] (お神酒も頂いて、力塩も頂戴しなさいよ) 4831 0 0 4618 htmvoc_4831.wav カラマースン カ⸢ラマースン [ka⸢ramaːsuŋ] 他動 牛耳る。追いたてる。意のままに操る。 ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ カ⸢リ タン⸣ガン カ⸢ラマーサ⸣リティル シ⸢グトー シェー⸣ダー [ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ka⸢ri taŋ⸣gaŋ ka⸢ramaːsa⸣ritiru ʃi⸢gutoː ʃeː⸣daː] (あれだけの人数の人が彼一人に牛耳られ、追い立てられて仕事をしたのだよ)。 カ⸢ラマーサヌ [ka⸢ramaːsanu] (牛耳らない)。 カ⸢ラマーシ⸣ プサン [ka⸢ramaːʃi⸣ pusaŋ] (意のままに操りたい)。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢ラマースン [⸢ban⸣nuŋ ka⸢ramaːsuŋ] (私も牛耳る)。 カ⸢ラマース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢ramaːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (牛耳ることは出来ない)。 カ⸢ラマーシェー⸣ ミサムヌ [ka⸢ramaːʃeː⸣ misamunu] (牛耳ればよいのに)。 カ⸢ラマーシ [ka⸢ramaːʃi] (牛耳れ{EOS}意のままに操れ) 4835 0 0 4619 htmvoc_4835.wav カラマーリ カ⸢ラマーリ [ka⸢ramaːri] 名 空転。空回り。エンジンの回転が推進力に転換されていない状態。 キ⸢カイ⸣ヤー ナー⸢イ⸣ カ⸢ラマーリ シーブー [ki̥⸢kai⸣jaː naː⸢i⸣ ka⸢ramaːri ʃiːbuː] (機械はただ空回りしている)。 ⸣ドゥー ⸢タンガ⸣シ カ⸢ラマーリ サンドー⸣シ プ⸢スン⸣ タ⸢ナ⸣メーティ シ⸢グトゥ シー⸣バ [⸣duː ⸢taŋga⸣ʃi ka⸢ramaːri sandoː⸣ʃi pu̥⸢sun⸣ ta⸢na⸣meːti ʃi⸢gutu ʃiː⸣ba] (自分ひとりで空回りしないで、他人も頼みながら仕事をしなさいよ) 4833 0 0 4620 htmvoc_4833.wav カラマクン カ⸢ラマ⸣クン [ka⸢rama⸣kuŋ] 他動 絡め巻く。巻きつける。カ⸢ルマ⸣クン[ka⸢ruma⸣kuŋ](巻き付ける)ともいう。 ⸢ナー⸣ヤ ⸣パラーナ カ⸢ラマ⸣キ シ⸢キ⸣リ [⸢naː⸣ja ⸣paraːna ka⸢rama⸣ki ʃi̥⸢ki⸣ri] (縄は柱に巻きつけておけ)。 カ⸢ラマ⸣クンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢ラマカラ⸣ヌ [ka⸢rama⸣kunti ⸢sundu⸣ ka⸢ramakara⸣nu] (巻き付けようとするが、巻き付けられない)。 カ⸢ラマ⸣ク クトゥ [ka⸢rama⸣ku ⸣ku̥tu] (巻きつけること)。 ク⸢レー⸣ カ⸢ラマ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ku⸢reː⸣ ka⸢rama⸣keː ⸣misamunu] (これは巻き付ければよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢クン⸣ナ カ⸢ラマ⸣キ [⸢paː⸣ku ⸢kun⸣na ka⸢rama⸣ki] (早くこれに巻きつけよ) 4834 0 0 4621 htmvoc_4834.wav カラマクン カ⸢ラマ⸣クン [ka⸢rama⸣kuŋ] 自動 絡み付く。巻きつく。 ピ⸢バツン⸣マー ⸢グス⸣クナー カ⸢ラマ⸣キ ⸢ベー [pi⸢batum⸣maː ⸢gusu̥⸣kunaː ka⸢rama⸣ki ⸢beː] (ヒハツモドキは石垣に巻き付いている)。 カ⸢ラマカ⸣ヌ [ka⸢ramaka⸣nu] (巻き付かない)。 カ⸢ラマキン⸣ギサン [ka⸢ramakiŋ⸣gisaŋ] (巻き付きそうだ)。 ピ⸢バツン⸣マー ⸢グス⸣クナ カ⸢ラマ⸣クン [pi⸢baʦum⸣maː ⸢gusu̥⸣kunaː ka⸢rama⸣kuŋ] (ヒハツモドキは石垣に巻き付く) 4836 0 0 4622 htmvoc_4836.wav カラマルン カ⸢ラマ⸣ルン [ka⸢rama⸣ruŋ] 自動 絡まる。巻きつく。からみつく。 ス⸢クイ⸣ヌ ⸢ブー⸣ヤ カ⸢ジン⸣ トゥ⸢バサリ⸣カー カ⸢ラマ⸣ルンダ カ⸢ラマラン⸣ヨーニ ウ⸢スイ⸣ シキ [su̥⸢kui⸣nu ⸢buː⸣ja ka⸢ʤin⸣ tu⸢basari⸣kaː ka⸢rama⸣runda ka⸢ramaraŋ⸣joːni ʔu⸢sui⸣ ʃi̥ki] (おけ<麻笥>の麻糸は風に飛ばされると絡まるから、絡まらないように被せておけ)。 カ⸢ラマリヤッ⸣サン [ka⸢ramarijas⸣saŋ] (絡まりやすい)。 カ⸢ラマ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢rama⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (絡まることはない) 4837 0 1 4623 htmvoc_4837.wav カラミルン カ⸢ラミ⸣ルン [ka⸢rami⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}絡める。巻きつける。 ク⸢ヌ⸣ イトー イ⸢トゥマ⸣キナー カ⸢ラミル⸣ナ <マ⸢クナ> [ku⸢nu⸣ ʔitoː ʔi⸢tuma⸣kinaː ka⸢ramiru⸣na ] (この糸は糸巻きに巻きつけるな)。 ウ⸢レー⸣ カ⸢ラミララ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ka⸢ramirara⸣nu] (それは巻き付けられない)。 ⸢クン⸣ナー カ⸢ラミ⸣ルン [⸢kun⸣naː ka⸢rami⸣ruŋ] (これに巻きつける)。 カ⸢ラ⸣ミ ⸣シケー [ka⸢ra⸣mi ⸣ʃikeː] (巻き付けておいてある)。 カ⸢ラミ⸣ル ⸣クトゥ [ka⸢rami⸣ru ⸣ku̥tu] (巻きつけること)。 4837 0 2 4624 htmvoc_4837.wav カラミルン カ⸢ラミ⸣ルン [ka⸢rami⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}縛る。捕らえる。 ノー⸢ン⸣シー ⸢シン クンザー⸣ カ⸢ラミ⸣レー ⸣ミサムヌ [noː⸢ŋ⸣ʃiː ⸢ʃiŋ kunʣaː⸣ ka⸢rami⸣reː ⸣misamunu] (どうにかしてでも、こいつは捕らえればよいのに)。 ⸣キューズーナ カ⸢ラミ⸣リ [⸣kjuːʣuːna ka⸢rami⸣ri] (今日中に捕らえろ) 4840 0 0 4625 htmvoc_4840.wav カラムヌ カ⸢ラムヌ [ka⸢ramunu] 名 空っぽのもの。空の容器。「からもの(空物)」の義。⸢ンーナムヌ[⸢ʔnːnamunu](空っぽのもの)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢コー⸣ カ⸢ラ⸣ムヌ⸢ダー⸣ ノー⸢ン ペー⸣リ ブ⸢ラーヌ [ku⸢nu⸣ pa⸢koː⸣ ka⸢ra⸣munu⸢daː⸣ noː⸢m peː⸣ri bu⸢raːnu] (この箱は空っぽだよ{EOS}何も入っていない) 4838 0 1 4626 htmvoc_4838.wav カラムン カ⸢ラ⸣ムン [ka⸢ra⸣muŋ] 他動 {Mn_1}絡める。巻きつける。 ⸢クン⸣ナ カ⸢ラ⸣ムン [⸢kun⸣na ka⸢ra⸣muŋ] (これに巻きつける)。 ク⸢レー⸣ カ⸢ラマラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ka⸢ramara⸣nu] (これは巻かれない)。 カ⸢ラミヤッ⸣サン [ka⸢ramijas⸣saŋ] (巻き付けやすい)。 カ⸢ラ⸣ム ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [ka⸢ra⸣mu ⸣munoː ⸣nuːja] (巻きつけるものは何か)。 カ⸢ラ⸣メー ミサムヌ [ka⸢ra⸣meː ⸣misamunu] (巻きつけばよいのに)。 ⸢クン⸣ナ カ⸢ラ⸣ミ [⸢kun⸣na ka⸢ra⸣mi] (これに巻きつけろ)。 4838 0 2 4627 htmvoc_4838.wav カラムン カ⸢ラ⸣ムン [ka⸢ra⸣muŋ] 他動 {Mn_2}縛る。捕らえる。 ⸢クンザー⸣ カ⸢ラ⸣ミ トゥ⸢ラ⸣シ [⸢kunʣaː⸣ ka⸢ra⸣mi tu⸢ra⸣ʃi] (こいつは捕縛してやれ) 4839 0 1 4628 htmvoc_4839.wav カラムン カ⸢ラ⸣ムン [ka⸢ra⸣mun] 自動 {Mn_1}からま(絡ま)る。 ⸢ナー⸣ヤ ⸣ティーナ カ⸢ラ⸣ムンダ カ⸢ラマン⸣ヨーニ タ⸢ク⸣ミバ [⸢naː⸣ja ⸣tiːna ka⸢ra⸣munda ka⸢ramaŋ⸣joːni ta⸢ku⸣miba] (縄は手に絡まるから、絡まないように畳みなさい)。 ク⸢ヌ⸣ イトー カ⸢ラミヤッサン [ku⸢nu⸣ ʔitoː ka⸢ramijas⸣saŋ] (この糸は絡まりやすい)。 サ⸢バナーヤ⸣ カ⸢ラ⸣ム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [sa⸢banaːja⸣ ka⸢ra⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (鱶釣り用の縄は絡むことはない<豚の血で染めてあるから>)。 4839 0 2 4629 htmvoc_4839.wav カラムン カ⸢ラ⸣ムン [ka⸢ra⸣mun] 自動 {Mn_2}まといつく。 ッ⸢ふァン⸣ カ⸢ラマ⸣リン [ffaŋ ka⸢rama⸣riŋ] (子供にまといつかれる) 4841 0 0 4630 htmvoc_4841.wav カラヤン カ⸢ラヤン [ka⸢rajaŋ] 名 軽い病気。「軽病み」の義。 ⸢ワー ヤン⸣マー カ⸢ラヤンドゥ⸣ ヤ⸢レー⸣バン ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢waː jam⸣maː ka⸢rajandu⸣ ja⸢reː⸣ban ⸢soːja naː⸣nu] (君の病気は軽い病気であったよ{EOS}心配はないよ)。対語、ン⸢ブヤン[ʔm⸢bujaŋ](重病{EOS}大病) 4843 0 0 4631 htmvoc_4843.wav カラワザ カ⸢ラワザ [ka⸢rawaʣa] 名 曲芸。サーカス。⸢軽業」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー カ⸢ラワザ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢キー⸣ヌ パン⸢ター⸣マナ ⸢ヌーリ⸣ ア⸢サビアーク⸣ヌ キ⸢ムピラケー⸣ヌナ⸢ラン⸣バン [ja⸢ra⸣beː ka⸢rawaʣanu⸣ kḁtaʧini ⸢kiː⸣nu pan⸢taː⸣mana ⸢nuːri⸣ ʔa⸢sabiʔaːku⸣nu ki⸢mupirakeː⸣nu na⸢ram⸣baŋ] (子供は曲芸のように木のてっぺんに登って遊んでいるが、冷や冷やして<肝を冷やして>たまらんよ) 4844 0 0 4632 htmvoc_4844.wav カランブシ カ⸢ランブシ [ka⸢raʔmbuʃi] 名 からむし(空蒸し)。水を入れないで蒸すこと。⸢ドゥー⸣ジル[⸢duː⸣ʤiru](食材に含まれる水分)だけで蒸し上げること。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ゾー⸣ ビ⸢トゥラー⸣ンダ ⸢トゥンナン⸣パーバ シ⸢キティ⸣ カ⸢ランブシ シー⸣バ [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ bi⸢tu⸣raːnda ⸢tunnam⸣paːba ʃi̥⸢kiti⸣ ka⸢raʔmbuʃi ʃiː⸣ba] (この魚は脂っこいからハルノノゲシの葉を敷いて空蒸しにしなさいよ<せば>) 4846 0 1 4633 htmvoc_4846.wav カリ カ⸢リ [ka⸢ri] 代 {Mn_1}あれ。彼。三人称代名詞。男女共にいう。人にも物にもつかう。「~支見我弥不根可母加礼『万葉集 4045』」の義。 カ⸢リル⸣ バー ⸢ウシ⸣トゥ [ka⸢riru⸣ baː ⸢ʔuʃi⸣tu] (あれ<彼>が私の弟です)。 カ⸢リヌ⸣ ッ⸢シェー⸣ ワケー(パジェー) ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢rinu⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ wakeː(paʤeː) ⸢naː⸣nu] (彼が知っている訳<はず>がない)。 カ⸢レー⸣ ッ⸢サヌ [ka⸢reː⸣ s⸢sanu] (彼は知らない)。 4846 0 2 4634 htmvoc_4846.wav カリ カ⸢リ [ka⸢ri] 代 {Mn_2}指示代名詞(遠称)。人、物に用いられる。参考。 ク⸢リ [ku⸢ri] (これ<近称>) ウ⸢リ [ʔu⸢ri] (それ<中称>) カ⸢リ [ka⸢ri] (あれ<遠称>))。 カ⸢リ⸣ トゥリクー [ka⸢ri⸣ turikuː] (あれを取ってこい)。 カ⸢リル⸣ マ⸢シ [ka⸢riru⸣ ma⸢ʃi] (あれ<物>がいい)。 ⸢クン⸣ドー カ⸢リル ワッ⸣サタ [⸢kun⸣doː ka⸢riru was⸣sata] (今度はあれ<彼>が悪かった) 4848 0 0 4635 htmvoc_4848.wav カリ カ⸢リ [ka⸢ri] 名 負債。「借り」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソーラ ギューサ⸣ヌ カ⸢リヌ⸣ ア⸢ル⸣ワ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soːra gjuːsa⸣nu ka⸢rinu⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (その人から幾らの借りがあるのか) 4861 0 0 4636 htmvoc_4861.wav カリザク カ⸢リザク [ka⸢riʣaku] 名 刈り入れ時。十分に熟して収穫に適した時。最適の借り入れ時期。 ク⸢ヌ ター⸣ヌ ⸢マイヤー⸣ カ⸢リザク⸣ ナ⸢リ⸣ブー [ku⸢nu taː⸣nu ⸢maijaː⸣ ka⸢riʣaku⸣ na⸢ri⸣buː] (この田圃の稲は完熟して借り入れ時になっている) 4860 0 0 4637 htmvoc_4860.wav カリジー カ⸢リジー [ka⸢riʤiː] 名 借地。「借り地」の義。 ク⸢ヌ ヤシ⸣ケー カ⸢リジー ヤッタンドゥ カースンティ ソーッ⸣ター⸢ベー⸣ティ ⸢カウタ⸣ヨー [ku⸢nu jaʃi⸣keː ka⸢riʤiː jattandu kaːsunti soːt⸣ta⸢beː⸣ti ⸢kauta⸣joː] (この屋敷は借地だったが、売る<買わせる>といわれたので買ったよ) 4862 0 0 4638 htmvoc_4862.wav カリジブン カ⸢リジブン [ka⸢riʤibuŋ] 名 刈り時分。刈り入れ時。収穫時期。 ⸢マイヌ⸣ カ⸢リジブンマー ユシ⸣キダーラン ⸢ウイバルンドゥ⸣ パ⸢ヤー [⸢mainu⸣ ka⸢riʤibummaː juʃi̥⸣kidaːraŋ ⸢ʔuibarundu⸣ pa⸢jaː] (稲の刈り入れ時期はヨシキダー地区よりも上原地区が早い) 4863 0 0 4639 htmvoc_4863.wav カリダカ カ⸢リダカ [ka⸢ridaka] 名 収穫高。稲、粟などの穀物の刈り取高。ン⸢ジダ⸣カ[ʔn⸢ʤida⸣ka](実入り高{EOS}精米した時の穀物の出来高)ともいう。 ク⸢トゥシヌ マイヌ⸣ カ⸢リダカー ギュー⸣サブカラ ⸢アッ⸣タカヤー [ku̥⸢tuʃinu mainu⸣ ka⸢ridakaː gjuː⸣sabukara ⸢ʔat⸣takajaː] (今年の米の収穫<刈り高>はどれほど<いくらぐらい>あったかね) 4864 0 0 4640 htmvoc_4864.wav ガリピカリ ガ⸢リピカリ [ga⸢ripikari] 名 明るく光り輝いているさま。浩浩と明るいさま。すっかり明るくなっているさま。 ⸣ティダー ガ⸢リピカリ シーベー [⸣tidaː ga⸢ripikari ʃiːbeː] (太陽は浩浩と照り輝いている) 4865 0 0 4641 htmvoc_4865.wav カリプス カ⸢リプス [ka⸢ripusu] 名 借り手。借りる人。 ⸣ヤー カ⸢リプソー⸣ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣jaː ka⸢ripusoː⸣ taː⸢m⸣ bu⸢raːnu] (家を借りる人<借り手>は誰もいない) 4849 0 0 4642 htmvoc_4849.wav カリムヌ カ⸢リムヌ [ka⸢rimunu] 名 借り物。 ク⸢ヌ ドン⸣ゴー カ⸢リムヌ⸣ ヤ⸢リバ⸣ ミス⸢コーミスコー⸣シ ⸢アシゥカイ⸣ヨー [ku⸢nu doŋ⸣goː ka⸢rimunu⸣ ja⸢riba⸣ misu̥⸢koːmisu̥koː⸣ʃi ⸢ʔasi̥kai⸣joː] (この道具は借り物だから気をつけて丁寧に扱えよ) 4866 0 0 4643 htmvoc_4866.wav カリヤー カ⸢リヤー [ka⸢rijaː] 名 借家。「借り家」の義。 ク⸢ヌ⸣ トゥシ ⸣ナルンケン ⸢ヤー⸣ユン ス⸢クリユーサ⸣ナ マ⸢ナマー⸣キ カ⸢リヤー⸣ナール ⸢ブー⸣ダー [ku⸢nu⸣ tuʃi ⸣naruŋkeŋ ⸢jaː⸣jun su̥⸢kurijuːsa⸣na ma⸢namaː⸣ki ka⸢rijaː⸣naːru ⸢buː⸣daː] (この年になるまで家をも造りえないで、今まで借家にいるんだよ) 4850 0 0 4644 htmvoc_4850.wav ガリユーナー ガ⸢リユーナー [ga⸢rijuːnaː] 連 照り輝き合い。明るく輝くさま。歌謡語。ガ⸢ルン[ga⸢ruŋ](明る{EOS}照る{EOS}照り輝く)の連用形に動作の継続を表す接尾辞⸢ユーナー[⸢juːnaː](~し合う)が下接した形。 ⸢ヤー⸣ シ⸢キ⸣ヌ カ⸢タ⸣ ミ⸢リ⸣バ ガ⸢リユーナードゥ シーユール [⸢jaː⸣ ʃi̥⸢ki⸣nu kḁ⸢ta⸣ mi⸢ri⸣ba ga⸢rijuːnaːdu ʃiːjuːru] (ああ、月の絵<形>を見ると、明るく照り輝き合っている)(アーパーレー歌) 4874 0 0 4645 htmvoc_4874.wav カリユシ カ⸢リユ⸣シ [ka⸢rijuʃi] 名 航海安全。海上平安。伝統的に「嘉例吉」で表記されている。 ⸢カンヌ⸣マイ ⸢ニンガイシキリ⸣バ ウ⸢キナー⸣タビ カ⸢リユ⸣シ ⸢シー オー⸣リバ⸢ヨー [⸢kannu⸣mai ⸢niŋgaiʃi̥kiri⸣ba ʔu⸢kinaː⸣tabi ka⸢riju⸣ʃi ⸢ʃiːʔoː⸣riba⸢joː] (神様にお祈りしますから沖縄への旅は航海安全、海上平安の嘉例でいらっしゃって下さい)。 カ⸢リユシ⸣ヌ タ⸢ビ ソー⸣リ⸢ヨー [ka⸢rijuʃi⸣nu ta⸢bi soː⸣ri⸢joː] (航海安全、一路平安の旅をしてくださいね) 4867 0 0 4646 htmvoc_4867.wav ガリンガタ ガ⸢リンガタ [ga⸢riŋgata] 名 明け方。夜明け方。 ガ⸢リンガタ カンナール⸣ヌ ⸢ナーリティ ウーアミヌ フー⸣タン [ga⸢riŋgata kannaːru⸣nu ⸢naːriti ʔuːʔaminu ɸuː⸣taŋ] (明け方に雷が鳴って大雨が降った) 4868 0 0 4647 htmvoc_4868.wav カリンクリン カ⸢リン⸣クリン [ka⸢riŋ⸣kuriŋ] 連 あれもこれも。あれやこれや。あれこれ。 ソンガチ⸢バー⸣キナー カ⸢リン⸣クリン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ムヌ アン⸢サー [⸣soŋgaʧi⸢baː⸣kinaː ka⸢riŋ⸣kurin ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣munu ʔan⸢saː] (正月までには、あれもこれもしなければならないのがあるよ)。 カ⸢リン⸣クリン ス⸢ロー⸣シ ⸣シキ [ka⸢riŋ⸣kurin su⸢roː⸣ʃi ⸣ʃi̥ki] (あれもこれも揃えておけ) 4872 0 0 4648 htmvoc_4872.wav ガル ガ⸢ル [ga⸢ru] 名 あかり(明かり)。灯火。明るい所。 ⸢トゥール⸣ヌ ガ⸢ルヌ⸣ ミ⸢ラ⸣リン [⸢tuːru⸣nu ga⸢runu⸣ mi⸢ra⸣riŋ] (ランプ<灯籠>の明かりが見える)。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢デンキ⸣ヌ シゥ⸢カリ⸣ター パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヌ ガ⸢ロー ウイバロー⸣ラン フ⸢ノー⸣ララン ミ⸢ラ⸣リン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢deŋki⸣nu si̥⸢kari⸣taː pḁ⸢tuma⸣nu ⸢jaː⸣nu ga⸢roː ʔuibaroː⸣raŋ ɸu⸢noː⸣raram mi⸢ra⸣riŋ] (鳩間島に電気が点けられたので鳩間の家の明かりは上原からも、船浦からも見える<見られる>)。 ッ⸢ふァーン⸣ トンナー ブ⸢ラーンドー⸣シ ガ⸢ロー⸣ ン⸢ジ⸣リ [f⸢faːn⸣ tonnaː bu⸢raːndoː⸣ʃi ga⸢roː⸣ ʔn⸢ʤi⸣ri] (暗がり<暗い所>にいないで明るい所に出なさい) 4873 0 0 4649 htmvoc_4873.wav ガル ⸣ガル [⸣garu] 名 \ruby{鉤}{カギ}。\ruby{銛}{モリ}の先端部にある返し針のような曲がった鉤。⸢ガッ⸣ク[⸢gak⸣ku](吊り下げ用の大きな鉤{EOS}自在鉤)は物を掛けておくのに用いる大きな鉤。 ⸣ガルユクン [⸣garujukuŋ] (先端に鉤のある銛{EOS}蛸を漁獲する際に用いる銛)。 ガ⸢ル⸣ヌ ⸢ナー⸣ン ⸢シー⸣シェー⸣ イ⸢ゾー ホーサラ⸣ヌ ⸢パンチ パリ⸣ス [ga⸢ru⸣nu ⸢naː⸣ŋ ⸢ʃiː⸣ʃeː ʔi⸢ʣoː hoːsara⸣nu ⸢panʧi pari⸣su] (鉤のない釣り針<返し針のない釣り針>では魚は釣れない{EOS}はずれて逃げていってしまう) 4851 0 0 4650 htmvoc_4851.wav カルイ ⸣カルイ [⸣karui] 名 嘉例。吉例。幸運。めでたいこと。神のご加護。縁起のよいこと。 ⸢ヨイ⸣グトー カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣アルヨーニル ⸢スー⸣ダー [⸢joi⸣gutoː ka⸢rui⸣nu ⸣ʔarujoːniru ⸢suː⸣daː] (祝い事はめでたい嘉例があるようにするものだ)。 ⸣グシェー ⸣カミティ ⸣カルイ シ⸢キ⸣リ [⸣guʃeː ⸣kamiti ⸣karui ʃi̥⸢ki⸣ri] (神前に供えた神酒をおし頂いて、めでたいこと<幸運>がありますよう嘉例をつけなさい)。 カ⸢ルイ⸣ヌ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミバ [ka⸢rui⸣nu pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣miba] (媒酌人<肖るべき富貴万福の人{EOS}子孫繁盛の人を仲人>を頼みなさいよ)。 イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ルイ ⸣スクン [ʔik⸢kena⸣ ka⸢rui ⸣su̥kuŋ] (非常に幸運に恵まれる<非常に幸運がつく>)。幸運。縁起の良いこと。「嘉例」と表記される 4852 0 0 4651 htmvoc_4852.wav カルイオールン ⸣カルイ ⸢オー⸣ルン [⸣karui ⸢ʔoːru⸣ŋ] 連 嘉例をつけておられる。ご加護なさっておられる。 ⸢カンヌマイ⸣ヤー ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ カルイ ⸢オー⸣ルン [⸢kannumai⸣jaː ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ karui ⸢ʔoː⸣ruŋ] (神様は家族の健康を加護しておられる) 4876 0 0 4652 htmvoc_4876.wav カルイシゥクン カ⸢ルイ⸣シゥクン [ka⸢rui⸣sïkuŋ] 他動 幸運が付くよう祈願する。守護するよう祈る。吉例が付くよう祈る。「嘉例をつける」の義。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダ ⸢キンコーユ⸣ ニガイ カ⸢ルイシキル⸣バ ⸣ドゥーゾーニ ⸢シー ギーバリ⸣ クーバ⸢ヨー [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpada ⸢kiŋkoːju⸣ nigai ka⸢ruiʃi̥kiru⸣ba ⸣duːʣoːni ⸢ʃiː giːbari⸣ kuːba⸢joː] (家族皆の体<胴肌>の健康を祈願し、嘉例<長寿延命の幸運>を付ける祈願をするから、健康<胴強く>で頑張って<気張って>きなさいね) 4853 0 0 4653 htmvoc_4853.wav カルイシキルン ⸣カルイ シ⸢キ⸣ルン [⸣karui ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 嘉例をつける。幸運を授ける祈願をする。「嘉齢をつける」(長寿延命の幸運を授けるよう祈願する)の転訛したもの。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸣グシ ⸣カミティ ⸣カルイ シ⸢キ⸣ルンティ ⸢ベー [⸢kannumai⸣nu ⸣guʃi ⸣kamiti ⸣karui ʃi̥⸢ki⸣runti ⸢beː] (神前に供えた神酒を頂いて嘉例をつけよう<幸運・長寿を頂こう>としている) 4854 0 0 4654 htmvoc_4854.wav カルイタボールン ⸣カルイ タ⸢ボー⸣ルン [⸣karui ta⸢boː⸣ruŋ] 連 嘉例を賜る。幸運を賜る。目出度いことを賜る。ご加護賜る。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸣カルイ タ⸢ボー⸣ルンダ ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢kannumai⸣nu ⸣karui ta⸢boː⸣runda noː⸢n soːja naː⸣nu] (神様がご加護なさって幸運を賜るから、何も心配はない) 4855 0 0 4655 htmvoc_4855.wav カルイヌグシ カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣グシ [ka⸢rui⸣nu ⸣guʃi] 連 嘉例の神酒。神の加護を賜る神酒。長寿者に肖る神酒。御流れの神酒。 カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣グシ オッ⸢ティ⸣ カ⸢ミ⸣リ [ka⸢rui⸣nu ⸣guʃi ʔot⸢ti⸣ ka⸢mi⸣ri] (神のご加護の神酒をかしこまって<畏まって{EOS}うやうやしく>頂戴しなさい) 4877 0 0 4656 htmvoc_4877.wav カルイマースン カ⸢ルイマー⸣スン [ka⸢ruimaː⸣suŋ] 他動 背負って歩き回る。マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠め)の呪文などで、ピ⸢キマーシ⸣ カ⸢ルイマー⸣シのように対句的に用いられる。「Carui,u,uta カルイ、ウ、ウタ(かるひ、ふ、うた) 物を背負う.下の語.上(Cami)ではVoi(負ひ、ふ)と言う」『邦訳日葡辞書』の転訛した語 4878 0 0 4657 htmvoc_4878.wav カルイルン カ⸢ルイ⸣ルン [ka⸢rui⸣ruŋ] 他動 幸運を祈る。守護する。嘉例を祈る。吉例を祈る。 ⸣ドゥーパダヌ ⸢キンコートゥ⸣ ス⸢クサイユ⸣ カ⸢ルイ⸣ル⸢ダー [⸣duːpadanu ⸢kiŋkoːtu⸣ su̥⸢kusaiju⸣ ka⸢rui⸣ru⸢daː] (体<胴肌>の健康と息災を祈るのだよ)。 カ⸢ルイラ⸣ヌ [ka⸢ruira⸣nu] (健康を祈らない)。 カルイッ⸢ふォー⸣リ [karuif⸢foː⸣ri] (健康を祈ってください)。 カ⸢ルイ⸣ルンティ ⸣ウムーカー カ⸢ルイ⸣リ [ka⸢rui⸣runti ⸣ʔumuːkaː ka⸢rui⸣ri] (嘉例を祈ろうと思うなら祈れ)。 カ⸢ルイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ka⸢rui⸣jaː misamunu] (嘉例を祈ればよいのに) 4832 0 0 4658 htmvoc_4832.wav ガルマキ ガ⸢ルマ⸣キ [ga⸢ruma⸣ki] 他動 勤める。仕える。勤務する。歌謡語。ガ⸢ルマ⸣シと表記されている『鳩間島古典民謡古謡集』は、首里方言のgaramicuN(奉仕する{EOS}勤める)の転訛したものであろう。「がらめき 勤め営む事也」『混効験集』とある。/イヤイーヤ ウスーメーデー ガルマシ ウラリティ ウヤクチョーデー トゥジックヮ ヤシナティ~/(いやいや<弥々>囃子{EOS}国王様の公務を勤めることが出来て、親子兄弟、妻子を養って~)鳩間口説節 4856 0 0 4659 htmvoc_4856.wav カルマクン カ⸢ルマ⸣クン [ka⸢ruma⸣kuŋ] 他動 巻き付ける。絡める。カ⸢ラマ⸣クン[ka⸢rama⸣kuŋ](巻き付ける)ともいう。 ⸣イトー タ⸢キ⸣ナ カ⸢ルマ⸣クンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢ルマカラ⸣ヌ [⸣ʔitoː tḁ⸢ki⸣na ka⸢ruma⸣kunti ⸢sundu⸣ ka⸢rumakara⸣nu] (糸は竹に巻きつけようとするが、巻きつけられない)。 カ⸢ルマ⸣キ ⸣ミサカー カ⸢ルマ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [ka⸢ruma⸣ki ⸣misakaː ka⸢ruma⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (巻き付けて良ければ巻き付けることは出来る)。 カ⸢ルマ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ka⸢ruma⸣keː ⸣misamunu] (巻き付ければ良いのに)。 ムー⸢ル⸣ カ⸢ルマ⸣キ [muː⸢ru⸣ ka⸢ruma⸣ki] (全部巻き付けよ) 4879 0 0 4660 htmvoc_4879.wav カルムン カ⸢ル⸣ムン [ka⸢ru⸣muŋ] 他動 軽くする。軽く扱う。 ⸢グッ⸣ふァカー ン⸢ベーマ <ン⸢メーマ> カ⸢ルミ⸣リバ [⸢guf⸣fakaː ʔmbeːmaː <ʔmmeːmaː> ka⸢rumi⸣riba] (重かったら、少し軽くしなさい<軽めなさい>よ)。 カ⸢ルミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ カ⸢ルミララ⸣ヌ [ka⸢rumi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ka⸢rumirara⸣nu] (軽くしようと思うが、軽められない)。 ン⸢メーマ⸣ カ⸢ル⸣ミ ⸣ミサカー カ⸢ルミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʔm⸢meːma⸣ ka⸢ru⸣mi ⸣misakaː ka⸢rumi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (少し軽くして<軽めて>良ければ軽くする<軽める>ことは出来る)。 ン⸢ベーマ⸣ カ⸢ル⸣メー<カ⸢ルミリ⸣バ> ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣ ka⸢ru⸣meː ⸣misamunu] (少し軽くすれ<軽めれ>ば良いのに) 4880 0 0 4661 htmvoc_4880.wav ガルユクン ⸣ガルユクン [⸣garujukuŋ] 名 鉤のある銛。鉤のあるやす(\ruby{簎}{ヤス}・\ruby{矠}{ヤス})。主として⸣タク[⸣tḁku](蛸)を獲るのに用いる。穴の中にいるフ⸢クラ⸣ベー[ɸu̥⸢kura⸣beː](タスキモンガラ)や⸣ウジ[⸣ʔuʤi](ウツボ)などは、この銛で漁獲した。 ⸣ガルユクンシ ⸣タク シ⸢キ⸣バ [⸣garujukuŋʃi ⸣tḁku ʃi̥⸢ki⸣ba] (鉤のある銛で蛸を突きなさいよ) 4882 0 0 4662 htmvoc_4882.wav カルン カ⸢ルン [ka⸢ruŋ] 他動 借りる。金銭や穀物類を借り、それと同額、同質、同量のものを返済する際に用いる。家や土地などの不動産を有償、無償の条件で借りる際にも用いる。⸣クーン[⸣kuːŋ](貰う{EOS}乞う)とは意味が異なり、石垣方言のような使い分けはない。 ⸣ウヤーラ ⸣ジン カ⸢ルン [⸣ʔujaːra ⸣ʤiŋ ka⸢ruŋ] (親からお金を借りる)。 ⸢ジン⸣マー カ⸢ララヌ [⸢ʤim⸣maː ka⸢raranu] (お金は借りられない)。 ⸣ジン カ⸢リ⸣プサンドゥ カ⸢ラシ⸣ ッ⸢ふォー⸣ルンカヤー [⸣ʤiŋ ka⸢ri⸣pu̥sandu ka⸢raʃi⸣ f⸢foː⸣ruŋkajaː] (お金を借りたいが貸して下さるかな)。 ⸢ジン⸣マー カ⸢ル⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʤim⸣maː ka⸢ru⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (お金は借りてはならない)。 ン⸢メーマ⸣ カ⸢レー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːma⸣ ka⸢reː⸣ misamunu] (少しは借りればよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ カ⸢リ⸣バ [jaː⸢diŋ⸣ ka⸢ri⸣ba] (必ず借れよ) 4883 0 0 4663 htmvoc_4883.wav カルン カ⸢ルン [ka⸢ruŋ] 他動 刈る。 ⸢アー⸣ヤー ⸢マイ⸣ カ⸢ルンティル オー⸣ル [⸢ʔaː⸣jaː ⸢mai⸣ ka⸢runitiru ʔoː⸣ru] (お父さんは稲<米>を刈ろうとしておられる)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢マイヤ⸣ カ⸢ラヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢maija⸣ ka⸢ranu] (雨が降ったら稲は刈らない)。 ⸢フー⸣タンティン カ⸢リ⸣プサン [⸢ɸuː⸣tantiŋ ka⸢ri⸣pu̥saŋ] (<雨が>降っても刈りたい)。 ⸢マイ⸣ カ⸢ル⸣ プソー ⸢オーシキ⸣ ミリ [⸢mai⸣ ka⸢ru⸣ pu̥soː ⸢ʔoːʃi̥ki⸣ miri] (稲<米>を刈るときは天気を見ろ)。 ⸢キュー⸣ヤ カ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢kjuː⸣ja ka⸢reː⸣ misamunu] (今日は<稲を>刈ればよいのに)。 ⸣ウベー ⸢ワー タンガ⸣シ カ⸢リ⸣バ [⸣ʔubeː ⸢waː taŋga⸣ʃi ka⸢ri⸣ba] (これだけは君一人で刈れよ) 548 0 1 4664 htmvoc_548.wav ガルン ガ⸢ルン [ga⸢ruŋ] 自動 {Mn_1}明るくなる。光り輝く。 ⸢デン⸣ケー イッ⸢ケン⸣ ガ⸢ルン [⸢deŋ⸣keː ʔik⸢keŋ⸣ ga⸢ruŋ] (電灯は非常に明るく輝く)。 ク⸢ヌ トゥー⸣ロー イッ⸢ケナ⸣ ガ⸢ルン [ku⸢nu tuː⸣roː ʔik⸢kena⸣ ga⸢ruŋ] (このランプ<灯籠>は非常によく輝く<明るい>)。 ⸢ナン⸣ゾー ガ⸢ラヌ [⸢nan⸣ʣoː ga⸢ranu] (あまり輝かない<明るくない>)。 ガ⸢リ⸣ ピ⸢カ⸣リ ⸢ベー [ga⸢ri⸣ pi̥⸢ka⸣ri ⸢beː] (明るく輝いている)。 カ⸢レー⸣ラン ク⸢リル⸣ ガ⸢リダー [ka⸢reː⸣raŋ ku⸢riru⸣ ga⸢ridaː] (あれよりもこれがより明るく輝く)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣ブカラ ガ⸢リ⸣バ [ti⸢da⸣nu ⸣bukara ga⸢ri⸣ba] (太陽くらいに輝け<明るくなれ>)。 ク⸢ヌ トゥー⸣ロー ⸣ユー ガ⸢ルン⸣サ⸢ナー [ku⸢nu tuː⸣roː ⸣juː ga⸢run⸣sa⸢naː] (このランプ<灯篭>は、よく光り輝くよねえ)。 548 0 2 4665 htmvoc_548.wav ガルン ガ⸢ルン [ga⸢ruŋ] 自動 {Mn_2}明ける。夜が明ける。 ⸢ユー⸣ヤ ガ⸢レーン⸠ダー ⸢パー⸣ク ウ⸢キ⸣リ [⸢juː⸣ja ga⸢reːn⸠daː ⸢paː⸣ku ʔu⸢ki⸣ri] (夜は明けたぞ{EOS}早く起きなさい<起きれ>)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ スカー ⸢ユー⸣ワ ガ⸢ルン [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ sukaː ⸢juː⸣wa ga⸢ruŋ] (もう少ししたら夜が明ける)。 マ⸢ダ⸣ ガ⸢ラヌ [ma⸢da⸣ ga⸢ranu] (まだ夜が明けない)。 キ⸢サーティ⸣ ガ⸢リ ナー⸣ヌ <ガレーン> [ki̥⸢saːti⸣ ga⸢ri naː⸣nu ] (既に夜が明けてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ガ⸢ル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ga⸢ru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く夜が明けることはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ユー⸣ワ ガ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢juː⸣wa ga⸢reː⸣ misamunu] (早く夜が明けたらいいのに) 4885 0 0 4666 htmvoc_4885.wav カルンガキララヌ カ⸢ルンガキララヌ [ka⸢ruŋgakiraranu] 他動 抱きかかえて制止できいない。カ⸢ルンガキルン[ka⸢ruŋgakiruŋ](抱きかかえて制止する)の未然形。 ヤ⸢ラ⸣ベー マー⸢ンベーマ⸣ フ⸢ドゥブ⸣カー ブ⸢ネー⸣シェーカ⸢ルンガキララン⸣ パジ⸢ダー [ja⸢ra⸣beː maː⸢mbeːma⸣ ɸu⸢dubu⸣kaː bu⸢neː⸣ʃeː ka⸢ruŋgakiraram⸣ paʤi⸢daː] (子供は、もう少し成長すると母親では抱きかかえて制止することが出来なくなるはずだよ) 4886 0 0 4667 htmvoc_4886.wav カルンジルン カ⸢ルンジルン [ka⸢runʤiruŋ] 他動 軽んじる。軽くあしらう。ないがしろにする。 ウ⸢ヤ⸣バ カ⸢ルンジルンティ アー⸣キ ⸣ドゥーン ッ⸢ふァン⸣ カ⸢ルンジラリ アー⸣クンティ [ʔu⸢ja⸣ba ka⸢runʤirunti ʔaː⸣ki ⸣duːŋ f⸢faŋ⸣ ka⸢runʤirari ʔaː⸣kunti] (親を軽んじ、粗略に扱おうとして、自分も己の子に粗略に扱われているさ)。 カ⸢ルンジララヌ [ka⸢runʤiraranu] (軽んじられない)。 カ⸢ルンジヤッ⸣サン [ka⸢runʤijas⸣saŋ] (軽んじやすい)。 カ⸢ルンジル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢runʤiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (軽んじることは出来ない)。 カ⸢ルンジレー⸣ ミサムヌ [ka⸢runʤireː⸣ misamunu] (軽んじればよいのに)。 カ⸢ルンジリ [ka⸢runʤiri] (軽んじろ) 4887 0 0 4668 htmvoc_4887.wav カルンズン カ⸢ルンズン [ka⸢runʣuŋ] 他動 軽んず。軽く扱う。粗略に扱う。ないがしろにする。見下げる。 プ⸢スバ⸣ カ⸢ルンズンティ アー⸣キ プ⸢スン⸣ カ⸢ルンザリ ベーン⸣ティ [pu̥⸢suba⸣ ka⸢runʣunti ʔaː⸣ki pu̥⸢suŋ⸣ ka⸢runʣari beːn⸣ti] (他人を軽く扱おうとして、却って他人に軽くあしらわれているさ、ほらごらんよ) 4888 0 1 4669 htmvoc_4888.wav カレー カ⸢レー [ka⸢reː] 連 {Mn_1}あの人は。彼は。あれは。代名詞、カ⸢リ[ka⸢ri](あれ{EOS}彼{EOS}あの人)に係助詞-ヤ[-ja](は{EOS}とりたて強調)が下接して、[kari](あれ)+ [ja](は)→ [kareː](あれは{EOS}彼は)のように音韻変化した形。 カ⸢レー ター⸣ヤ [ka⸢reː taː⸣ja] (あの人<あれ{EOS}彼>は誰か)。 カ⸢レー⸣ バー ⸢ウシ⸣トゥ [ka⸢reː⸣ baː ⸢ʔuʃi̥⸣tu] (彼<あれ>は私の弟<だ>)。 カ⸢レー ター⸣ヤ [ka⸢reː taː⸣ja] (彼は誰か)。 カ⸢レー⸣ バー ⸣シザ [ka⸢reː⸣ baː ⸣ʃiʣa] (彼は私の兄です)。 4888 0 2 4670 htmvoc_4888.wav カレー カ⸢レー [ka⸢reː] 連 {Mn_2}あれ。指示代名詞。 ク⸢レー⸣ プサンドゥ カ⸢レー⸣ プサ ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢reː⸣ pu̥sandu ka⸢reː⸣ pu̥sa ⸢naː⸣nu] (これは欲しいが、あれは欲しくない) 4780 0 0 4671 htmvoc_4780.wav カローカローシ カ⸢ローカロー⸣シ [ka⸢roːkaroː⸣ʃi] 副 軽々と。軽く。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イダフニユン カ⸢ローカロー⸣シ ムタウン⸢ダー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔidaɸunijuŋ ka⸢roːkaroː⸣ʃi mutaun⸢daː] (この子は、サバニをも軽々と持ち上げるよ) 4857 0 0 4672 htmvoc_4857.wav カローカローシ カロー⸢カロー⸣シ [karoː⸢karoː⸣ʃi] 副 軽々と。軽く。老年層は、カラー⸢カラー⸣シ[karaː⸢karaː⸣ʃi](軽々と)ともいう。 ⸣アイニ ⸢グッ⸣ふァ ⸣ムヌバ カロー⸢カロー⸣シ カ⸢タ⸣ミ パル⸢ツォー [⸣ʔaini ⸢guf⸣fa munuba karoː⸢karoː⸣ʃi ka⸢ta⸣mi paru⸢ʦoː] (あんなに重いものを軽がると担いで行くんだよ) 4781 0 0 4673 htmvoc_4781.wav カローン カ⸢ロー⸣ン [ka⸢roː⸣ŋ] 形 軽い。 ⸢ナン⸣ゾー カ⸢ローナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ka⸢roːnaː⸣nu] (それほど軽くない)。 カ⸢ロー⸣ヌ ム⸢ティングリサ⸣ルバン [ka⸢roː⸣nu mu⸢tiŋgurisa⸣rubaŋ] (軽くて持ちにくいわい)。 ⸢ヨーガルター⸣ カ⸢ロー⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸢joːgarutaː⸣ ka⸢roː⸣ nari⸢naː⸣nu] (痩せたので軽くなってしまった)。 ク⸢リン⸣ カ⸢ロー⸣ン [ku⸢riŋ⸣ ka⸢roː⸣ŋ] (これも軽い)。 カ⸢ロー⸣ ムノー ⸣トゥリ シ⸢ティリ [ka⸢roː⸣ munoː turi ʃi̥⸢tiri] (軽いものは取って捨てろ)。 カ⸢ロー⸣カー カ⸢タマ⸣リン [ka⸢roː⸣kaː kḁ⸢tama⸣riŋ] (軽かったら担ぐことができる<担がれる>)。軽い。 ウ⸢レー ヨーガリ ブンダ⸣ カ⸢ローン⸣ミー [ʔu⸢reː joːgaribunda⸣ ka⸢roːm⸣miː] (彼は痩せているから軽いだろうね)。 アー⸢イ⸣ カ⸢ロー ナー⸣ヌ [ʔaː⸢ji⸣ ka⸢roː naː⸣nu] (いや、軽くない)。 ⸢シンダイ⸣ カ⸢ロー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ka⸢roː⸣ naruŋ] (次第に軽くなる)。 ⸣ドゥク カ⸢ロー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [⸣duku ka⸢roː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (あまりにも軽くて使えない)。 カ⸢ロー⸣ ムノー ヌ⸢カ⸣シ [ka⸢roː⸣ munoː nu⸢ka⸣ʃi] (軽いものは残せ)。 カ⸢ロー⸣カー シ⸢ティリ [ka⸢roː⸣kaː ʃi̥⸢tiri] (軽かったら捨てろ) 341 0 0 4674 htmvoc_341.wav ガローン ガ⸢ロー⸣ン [ga⸢roː⸣ŋ] 形 明るい。光が十分にさしこんであかるい。 ッ⸢ふァーン⸣ トンナー ユ⸢マン⸣ドーシ ガ⸢ローン⸣ トンナーティ ⸣ユミバ [f⸢faːn⸣tonnaː ju⸢man⸣doːʃi ga⸢roːn⸣tonnaːti ⸣jumiba] (暗い所で読まないで、明るいところで読みなさいよ)。 ク⸢ヌ トゥー⸣ロー イッ⸢ケナ⸣ ガ⸢ロー⸣ン [ku⸢nu tuː⸣roː ʔik⸢kena⸣ ga⸢roː⸣ŋ] (このランプ<灯篭>は非常に明るい)。 ゴ⸢ブ⸣ランポー ⸢ナン⸣ゾー ガ⸢ローナー⸣ヌ <ガ⸢ラヌ> [bo⸢bu⸣rampoː ⸢nan⸣ʣoː ga⸢roːnaː⸣nu ] (五分ランプはあまり明るくない)。 ガ⸢ロー⸣ ランプ シ⸢キ⸣リバ [ga⸢roː⸣ rampu ʃi̥⸢ki⸣riba] (明るいランプを点けなさい)。 ⸢ズングヤー⸣ヌ ⸣シケー イッ⸢ケン⸣ ガ⸢ロー⸣ン [⸢ʣuŋgujaː⸣nu ⸣ʃi̥keː ʔik⸢keŋ⸣ ga⸢roː⸣ŋ] (十五夜の月は非常に明るい) 4890 0 0 4675 htmvoc_4890.wav カワスン カ⸢ワスン [ka⸢wasuŋ] 他動 変える。変化させる。 ⸣ムネー <ムニイジョー> カ⸢ワスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ヤ⸢シーヤシー⸣ カ⸢ワサラヌ [⸣muneː ka⸢wasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ja⸢ʃiːjaʃiː⸣ ka⸢wasaranu] (言葉遣いを変えよう<表現を変えよう>と思うが、容易くは変えられない)。 ム⸢ニ⸣バ カ⸢ワシ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [mu⸢ni⸣ba ka⸢waʃi⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (言葉遣いを変えて<表現を変えて>話している)。 カ⸢ワス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢wasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (変えることは出来ない)。 カ⸢ワシェー⸣ ミ⸢サムヌ [ka⸢waʃeː⸣ misamunu] (変えればいいのに)。 カ⸢ワシ⸣バ [ka⸢waʃi⸣ba] (変えろよ)。/~ナマヌ ヒキバヤ ウタユ カワシバ/(~今の引き羽は歌を変えろよ)「鳩間口説」『鳩間島古典民謡古謡集』 4891 0 0 4676 htmvoc_4891.wav カワッタクトゥ カ⸢ワッタ⸣ クトゥ [ka⸢watta⸣ ku̥tu] 連 変わったこと。珍妙なこと。珍しいこと。 ミ⸢ジラ⸣サ カ⸢ワッタ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ シケーティバン⸢ナー⸣ ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー [mi⸢ʤira⸣sa ka⸢watta⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ʃi̥keːtiban⸢naː⸣ ku⸢nu⸣ f⸢faː] (珍しく変わったことをしでかしてあるそうだなあ、この子は) 4893 0 0 4677 htmvoc_4893.wav カン ⸣カン [⸣kaŋ] 名 勘。直感。 ⸢カントーリ⸣ムヌ [⸢kantoːri⸣munu] (耄碌したひと<勘倒れ者>)。 ⸢カン ヨー⸣ルン [⸢kaɲ joː⸣ruŋ] (直感力がにぶる{EOS}判断力が鈍る<痴呆になりかける>)。 ⸣アブジェー ⸣トゥシ トゥ⸢ローッ⸣ター ⸢カンヨー⸣リ ⸢ソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː ⸣tu̥ʃi tu⸢roːt⸣taː ⸢kaɲjoː⸣ri ⸢soː⸣ri ⸢naː⸣nu] (おじいさんは年をとられたので判断力が弱くなってしまわれた<痴呆が始まった>)。 ⸢カン⸣ トゥルン [⸢kan⸣ turuŋ] (感得する{EOS}直感的に理解する)。 ⸢カントゥリ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢kanturi⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (感得するのが早い{EOS}理解・会得するのが早い) 4895 0 0 4678 htmvoc_4895.wav カン ⸣カン [⸣kaŋ] 名 乾燥。 ⸢ザイ⸣ゲー ⸢キー⸣ヤーナー ⸢サン⸣ニンブカラ ⸣カン シ⸢ミティル⸣ シゥ⸢カーリ⸣ダー [⸢ʣai⸣geː ⸢kiːjaː⸣naː ⸢san⸣nimbukara ⸣kaŋ ʃi⸢mitiru⸣ sï̥⸢kaːri⸣daː] (材木は木小屋に三年ばかり乾燥させてから使えるのだ)。 ⸢スー⸣カン [⸢suː⸣kaŋ] (潮乾{EOS}材木を干潮時の浜の中に埋めて海水に浸け、白蟻対策を講ずること) 4896 0 0 4679 htmvoc_4896.wav カン ⸣カン [⸣kaŋ] 名 寒。寒さ。寒気。 ⸢ダイ⸣カン [⸢dai⸣kaŋ] (大寒{EOS}非常に寒いこと{EOS}二十四節気の一つ{EOS}太陽暦の1月21日頃)。 ⸢ショー⸣カン [⸢ʃoː⸣kaŋ] (小寒{EOS}二十四節気の一つ{EOS}太陽暦の1月5日頃)。 ク⸢トゥシェー カン⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ ⸢ターシグ⸣トー ク⸢バリンギサ⸣ル [ku̥⸢tuʃeː kan⸣nu ⸢suːwa⸣nu ⸢taːʃigu⸣toː ku⸢bariŋgisa⸣ru] (今年は寒気が強くて田仕事は凍えそうだ) 4897 0 0 4680 htmvoc_4897.wav カン ⸣カン [⸣kaŋ] 名 神。普通は接尾語ガ⸢ナ⸣シ[ga⸢na⸣ʃi](様)、⸢ヌ⸣マイ[⸢nu⸣mai](の御前)をつけて、カンガ⸢ナ⸣シ[kaŋga⸢na⸣ʃi](神様)、⸢カンヌ⸣マイ[⸢kannu⸣mai](神の御前)という。神は、「~大夫爾 認有神曾~(ますらおに つきたる神ぞ)『万葉集 406』」の義。姿が見えず、威力を持ち、人に取り付き神がかりし、海、山、川、森、草、木、家、屋敷、道など森羅万象を領有し鎮座して人々に威力をふるい、雨や風をつかさどるものと信じられている。 ⸢カンシラ⸣シ [⸢kaŋʃira⸣ʃi] (神の知らせ<神のお告げ>)。 ⸢リューグー⸣ヌカン [⸢rjuːguː⸣nu ⸣kaŋ] (竜宮の神) ヤ⸢マ⸣ヌ ⸣カン [ja⸢ma⸣nu ⸣kaŋ] (山の神) ⸢ヤシキ⸣ヌ ⸣カン [⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸣kaŋ] (屋敷の神) ピ⸢ナカン [pi⸢nakaŋ] (火の神) ミ⸢ジヌ⸣ カン [mi⸢ʤinu⸣ kaŋ] (水の神) パ⸢ナシキヌ⸣ カン [pa⸢naʃi̥kinu⸣ kaŋ] (風邪の神))。 ⸢カンヌ⸣マイ [⸢kannu⸣mai] (神様{EOS}<神の御前>)。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ カ⸢ルイ⸣シキ タ⸢ボー⸣ルンツォー [⸢kannumai⸣nu ka⸢rui⸣ʃi̥ki ta⸢boː⸣runʦoː] (神様が加護して<嘉例付け>くださるそうだ) 4898 0 0 4681 htmvoc_4898.wav ガン ⸢ガン [⸢gaŋ] 名 がん(龕)。棺を納めて墓へ運ぶこし(輿)。⸢ガンダルゴー[⸢gandarugoː]ともいう。 ⸢ガンマー⸣ シンタ ⸣マンタ ユ⸢タールナーシ⸣ル カ⸢タ⸣モーッタ [⸢gammaː⸣ ʃinta ⸣manta ju⸢taːrunaːʃi⸣ru kḁ⸢ta⸣moːtta] (ガン<龕>は前後四人ずつ<前四人、後四人>で担がれた) 4905 0 0 4682 htmvoc_4905.wav カンアタル ⸢カンアタ⸣ル [⸢kaŋʔata⸣ru] 名 神罰。神の罰として打たれた痕跡が体に現れる症状。無自覚のうちに青黒い痣が体に現れる症状。⸢カントゥン⸣ガー[⸢kantuŋ⸣gaː](神罰{EOS}⸢神科」の義)ともいう。御嶽の樹木を伐ると神罰を受けるといわれている。また、⸢カン⸣ヌ ⸣ミチ[⸢kan⸣nu ⸣miʧi](神の道)で神に遭遇すると神罰を受けるともいわれている。 ⸢カンアタル⸣ドゥ シ⸢タ⸣ユー ⸢ティー⸣パンナー ッ⸢ふアザ⸣ヌ ンジ⸢ベー⸣サー [⸢kaŋʔataru⸣du ʃi̥⸢ta⸣juː ⸢tiː⸣pannaː f⸢fuʔaʣa⸣nu ʔnʤi⸢beː⸣saː] (神罰に当ったのか手足に黒痣が出ているよ)。 ⸢カン⸣ヌ ⸣ミチェーラ ⸢アー⸣クンケン ⸢カンアタ⸣ル シ⸢キラ⸣リティ ウ⸢ヤミ⸣サ ッ⸢サルタ [⸢kan⸣nu ⸣miʧeːra ⸢ʔaː⸣kuŋkeŋ ⸢kaŋʔata⸣ru ʃi̥⸢kira⸣riti ʔu⸢jami⸣sa s⸢saruta] (神の道を<から>歩いていると、神罰を付けられたので、お詫びのお祈りを申し上げた<祈願をした>)。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸢トゥー⸣ロール ⸣ミチナー ⸢ゲーサウ⸣カー ⸢カンアタ⸣ル ⸢スン⸣ツォー [⸢kannumai⸣nu ⸢tuː⸣roːru ⸣miʧinaː ⸢geːsau⸣kaː ⸢kaŋʔata⸣ru ⸢sun⸣ʦoː] (神様が通られる道に遭遇する<行き交う>と神当たり<神罰を受けること>するそうだ) 4906 0 0 4683 htmvoc_4906.wav カンガイ ⸢カン⸣ガイ [⸢kaŋ⸣gai] 名 考え。考え方。思慮。 ⸢ワー カンガイ⸣ヤー ⸢ヌー⸣シヤー [⸢waː kaŋgai⸣jaː ⸢nuːʃi⸣jaː] (君の考えはどうか)。 ⸣アイブ ⸢カンガイ⸣ヤー ⸢サンモー⸣ マ⸢シ [⸣ʔaibu ⸢kaŋgai⸣jaː ⸢sammoː⸣ ma⸢ʃi] (あんな考えはしないほうが増しだ) 4907 0 0 4684 htmvoc_4907.wav カンガイグトゥ ⸢カンガイ⸣グトゥ [⸢kaŋ⸣gaigutu] 名 考え事。心配事。 ⸢カンガイグトゥ⸣バ ⸢シー ベー⸣ティ ヤ⸢クスクヌ⸣ ジ⸢カン⸣ スラー⸢ク バシキナーン⸣シェン [⸢kaŋgaigutu⸣ba ⸢ʃiː beː⸣ti ja⸢kusu̥kunu⸣ ʤi⸢kam⸣ suraː⸢ku baʃi̥kinaːŋ⸣ʃeŋ] (考え事をしていて、約束の時間をすっかり<きれいに>忘れてしまっていた) 4908 0 0 4685 htmvoc_4908.wav カンガイクムン ⸢カンガイ⸣クムン [⸢kaŋgai⸣kumuŋ] 自動 一途に考え込む。考え悩む。 ウ⸢レー カンガイ⸣クム フ⸢シヌ⸣ アルンダ ⸣ドゥク イ⸢ズナ⸣ヨー [ʔu⸢reː kaŋgai⸣kumu ɸu̥⸢ʃinu⸣ ʔarunda ⸣duku ʔi⸢ʣuna⸣joː] (彼は一途に考え込む癖があるから、あまり叱るなよ)。 イ⸢ズ⸣カー ⸢カンガイ⸣クムン [ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸢kaŋgai⸣kumuŋ] (叱ったら考え込む)。 ⸢カンガイクマン⸣ドーシ パ⸢タラ⸣キバ [⸢kaŋgaikuman⸣doːʃi pḁ⸢taraki⸣ba] (考えこまないで働けよ) 4910 0 0 4686 htmvoc_4910.wav カンガイチガイ ⸢カンガイ⸣チガイ [kaŋgai⸣ʧigai] 名 考え違い。思い違い。判断ミス。論理的な考え方の間違い。ウ⸢ムイ⸣チガイ[ʔu⸢mui⸣ʧigai](誤解{EOS}心得違い{EOS}感情的な判断の間違い)とはやや語感が違う。 ウ⸢リンナー⸣ニ タ⸢ナム⸣タ ⸣クトー ウ⸢ル⸣キ ⸢ナー⸣ヌ ⸢カイ⸣テー タ⸢ナマン⸣シェーカー ⸣ミサタムヌ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢カンガイ⸣チガイ ヤ⸢レー⸣バン [ʔu⸢rinnaː⸣ni ta⸢namu⸣ta ⸣ku̥toː ʔu⸢ru⸣ki ⸢naː⸣nu ⸢kai⸣teː ta⸢namaŋ⸣ʃeːkaː ⸣misatamunu ⸢duː⸣nu ⸢kaŋgai⸣ʧigai ja⸢reː⸣baŋ] (彼に頼んだところ、欠損してしまった{EOS}却って頼まなかったらよかったのに{EOS}自分の考え違い<判断ミス>であったわい) 4912 0 0 4687 htmvoc_4912.wav カンガイノースン ⸢カンガイノー⸣スン [⸢kaŋgainoː⸣suŋ] 他動 考え直す。再考する。 ⸢カンガイノー⸣スンティ ⸣ウムーカー ⸢カンガイノー⸣シ ⸣ミサン [⸢kaŋgainoː⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ⸢kaŋgainoː⸣ʃi ⸣misaŋ] (考え直すと思うなら考え直してよい)。 ⸢ワー カンガイノーサン⸣カー ⸢カンガイノー⸣ス プ⸢ソーラル ⸢カーリ [⸢waː kaŋgainoːsaŋ⸣kaː ⸢kaŋgainoː⸣su pu̥⸢soːraru kaːri] (君が考え直さなければ、考え直す人からが買われる<買うことが出来る>) 4909 0 0 4688 htmvoc_4909.wav カンガイブスク ⸢カンガイブス⸣ク [⸢kaŋgaibusu̥⸣ku] 名 考え不足。思慮不足。短慮。 ⸣アイブ ム⸢ニ⸣バ ウ⸢ヤン⸣ナーニ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリ ワー カンガイブス⸣ク ヤ⸢レー⸣バン⸢ナー⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸣ʔaibu mu⸢ni⸣ba ʔu⸢jan⸣naːni ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sari waː kaŋgaibusu̥⸣ku ja⸢reː⸣ban⸢naː⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (あんな悪い言葉を親に向かって申し上げるなんて、君の思慮不足だったんだねえ、残念だよ) 4911 0 0 4689 htmvoc_4911.wav カンガイムヌ ⸢カンガイ⸣ムヌ [⸢kaŋgai⸣munu] 名 考えるべきこと。熟慮すべきこと。 サ⸢クシッふァ⸣バ ⸣アトゥトゥリ シ⸢ミラムティ⸣ ヤ⸢マ⸣トー パ⸢ラ⸣スンティ ⸢スーヌ⸣ ウ⸢レー カンガイ⸣ムヌ⸢ダー [sḁ⸢kuʃiffa⸣ba ⸣ʔatuturi ʃi⸢miramuti⸣ ja⸢ma⸣toː pa⸢ra⸣sunti ⸢suːnu⸣ ʔu⸢reː kaŋgai⸣munu⸢daː] (長男を跡取りにしないで本土<大和>へ行かせるというが、それは考えるべき重要な<一考を要する>ことだ) 4913 0 0 4690 htmvoc_4913.wav カンガイルン ⸢カンガイ⸣ルン [⸢kaŋgai⸣ruŋ] 他動 考える。思う。思考する。思案する。 ⸣ドゥーシ ⸢カンガイ⸣ルンティ ⸢スーヌンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ カンガイララ⸣ヌ [⸣duːʃi ⸢kaŋgai⸣runti ⸢suːnundu⸣ mut⸢tu kaŋgairara⸣nu] (自分で考えようとするのだが、ちっとも考えられない)。 ⸢タンガ⸣シ ⸢カンガイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ベーティル ⸢カンガイヤッサ⸣ヨーニ ⸣ナラウンティ ⸢アー⸣ク⸢ダー [⸢taŋga⸣ʃi ⸢kaŋgai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ram⸣beːtiru ⸢kaŋgaijas⸣sajoːni ⸣naraunti ⸢ʔaː⸣ku⸢daː] (一人で考えることは出来ないので、考えやすいように習おうとしている<してあるく>のだよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カンガイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kaŋgai⸣reː ⸣misamunu] (もっと考えればよいのに)。 ヤー⸢ディン カンガイ⸣リ [jaː⸢diŋ kaŋgai⸣ri] (必ず考えろ) 4914 0 0 4691 htmvoc_4914.wav カンガインザスン ⸢カンガインザ⸣スン [⸢kaŋgaiʔnʣa⸣suŋ] 他動 考え出す。新案を生み出す。新しい工夫や着想を案出する。 ミ⸢ジラ⸣シ ⸢ドング⸣バ ⸢カンガインザ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ムッ⸢トゥ カンガインザサラン⸣バン [mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣doŋguba ⸢kaŋgaiʔnʣa⸣sunti ⸢beː⸣ndu mut⸢tu kaŋgaiʔnʣasaram⸣baŋ] (珍しい道具を考え出そうとしているが、ちっとも考え出されない) 4915 0 0 4692 htmvoc_4915.wav カンガウン ⸢カン⸣ガウン [⸢kaŋ⸣gauŋ] 他動 考える。思考する。思案する。カンガフ(下二段活用)。「宿曜のかしこき道の人にかんがへさせ給ふ『源氏物語 桐壺』」の四段活用化したものか。 ⸣ドゥーシ ⸢カン⸣ガウンティ ⸢スーヌンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ カンガーラ⸣ヌ [⸣duːʃi ⸢kaŋ⸣gaunti ⸢suːnundu⸣ mut⸢tu kaŋgaːra⸣nu] (自分で考えようとするが、ちっとも考えられない)。 ウ⸢レー⸣ バー ⸢カン⸣ガイ ⸣ミサン [ʔu⸢reː⸣ baː ⸢kaŋ⸣gai ⸣misaŋ] (それは私が考えてもいい)。 ⸢カン⸣ガウ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢kaŋ⸣gau pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (考える人はいない)。 ⸢ワー カンガイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢waː kaŋgai⸣jaː ⸣misamunu] (君が考えればよいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢カン⸣ガイ [⸣duːʃi ⸢kaŋ⸣gai] (自分で考えよ) 4917 0 0 4693 htmvoc_4917.wav カンカカリムヌ ⸢カンカカリ⸣ムヌ [⸢kaŋkakari⸣munu] 名 神がかりもの。神にとりつかれた<乗り移られた>人。 ⸢ワー⸣ ヌースンティ ⸢カンカカリムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ム⸢ニユム⸣ワ [⸢waː⸣ nuːsunti ⸢kaŋkakarimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini mu⸢nijumu⸣wa] (君はなぜ神にとりつかれた者のように喋るのか) 4900 0 0 4694 htmvoc_4900.wav カンガカル ⸢カンガカ⸣ル [⸢kaŋgaka⸣ru] 名 かみがかり(神憑り)。神霊が人に乗り移り、神意を告げること 4916 0 0 4695 htmvoc_4916.wav カンガカル ⸢カンガカ⸣ル [⸢kaŋgaka⸣ru] 名 神がかりによる神託。神事に関する祈願ごとの不足が神の託宣によって知らされること。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アッパー ⸢カンガカ⸣リ ⸢ソー⸣リティル ミ⸢ジラ⸣シ ム⸢ニ⸣バ ユ⸢モー⸣レーギサンドゥ ⸢コンジン⸣ヌ ⸢カンガカル⸣ヌ ア⸢リン⸣サ ⸢フージー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢kaŋgaka⸣ri ⸢soː⸣ritiru mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣muniba ju⸢moː⸣reːgisandu ⸢konʤin⸣nu ⸢kaŋgakaru⸣nu ʔa⸢rin⸣sa ⸢ɸuːʤiː] (その家のお祖母さんが神がかりされて、変な話を述べられた<妙なことを言われた>そうだが、どうも金神の神がかり<神事>がありそうな様子<風情>だ)。フ⸢ダマリ[ɸu⸢damari](神憑り)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ カンガカ⸣ル ⸢ソー⸣リティール ⸢ウン⸣ネーナ ⸢カングトゥ⸣ヌ ⸣アルティ ン⸢ザ⸣ソーッタツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu kaŋgaka⸣ru ⸢soː⸣ritiːru ⸢ʔun⸣neːna ⸢kaŋgutu⸣nu ⸣ʔaruti ʔn⸢ʣa⸣soːttaʦoː] (その人が神憑りされて、その家に残された果たすべき神事があると神のお告げを出されたそうだ) 4918 0 0 4696 htmvoc_4918.wav カンガナシ ⸢カンガナ⸣シ [⸢kaŋgana⸣ʃi] 名 神様。カミ⸢ガナ⸣シ[kami⸢gana⸣ʃi](神様)とおなじ。-ガナシ[-ganaʃi](様)は接尾敬称辞。/ウ⸢ブトゥムル⸣ヌ ⸣カミガナシ ア⸢ミブシャ⸣ヌ/(大友利御嶽の神様、雨が欲しいです)「雨乞い歌」『鳩間島古典民謡古謡集』 4919 0 0 4697 htmvoc_4919.wav カンカミルン ⸣カン カ⸢ミ⸣ルン [⸣kaŋ ka⸢mi⸣ruŋ] 連 神を信仰する。「神を戴く」の義。 サ⸢カサン⸣ケー ティ⸢ジリ⸣ビンケーヤ ムー⸢ル⸣ カン カ⸢ミ⸣ル ⸢オー⸣ル [sḁ⸢kasaŋ⸣keː ti⸢ʤiri⸣biŋkeːja muː⸢ru⸣ kaŋ ka⸢mi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (司達や男性神職者<手ずり部>達はみんな神様を信仰しておられる<神をおし戴いておられる>)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢ヤーム⸣トゥナーティ ⸢フン⸣ジン カ⸢ミ⸣ルンティ ス⸢コーリ ベー [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢jaːmu⸣tunaːti ⸢ɸun⸣ʤiŋ ka⸢mi⸣runti su̥⸢koːri beː] (女の子は本家<実家>で根神を拝もう<産土神の神霊を受け継ごう>と準備している) 3942 0 0 4698 htmvoc_3942.wav カンカラーマ カン⸢カラー⸣マ [kaŋ⸢karaː⸣ma] 名 ブリキ製の小さな缶。小さな缶詰の空き缶。 ム⸢カ⸣シェー カン⸢カラーマ⸣バ ⸣キレーティ ア⸢サブタン [mu⸢ka⸣ʃeː kaŋ⸢karaːma⸣ba ⸣kireːti ʔa⸢sabutaŋ] (昔は小さなブリキ缶を蹴って遊んだものだ) 3943 0 0 4699 htmvoc_3943.wav カンカン ⸢カンカン [⸢kaŋkaŋ] 名 缶詰の空き缶。 ⸢カンカン⸣ナ ⸢ユイ⸣ シキティ フ⸢ダ⸣ル ス⸢クル⸣タ [⸢kaŋkan⸣na ⸢jui⸣ ʃi̥kiti ɸu⸢da⸣ru su̥⸢kuru⸣ta] (缶詰の空き缶に柄を付けて柄杓を作った) 4921 0 0 4700 htmvoc_4921.wav カンカン ⸣カンカン [⸣kaŋkaŋ] 名 かくかく。しかじか。こうこう。 ⸣カンカンヌ ⸣クトゥシ ウ⸢キ⸣ナー パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラン⸣タ シ⸢キン⸣ドゥ(ヌ) イ⸢トゥ⸣マ トゥ⸢ラ⸣シ ッ⸢ふォー⸣リ [⸣kaŋkannu ⸣ku̥tuʃi ʔu⸢ki⸣naː pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ran⸣ta ʃi̥⸢kin⸣du(nu) ʔi⸢tu⸣ma tu⸢ra⸣ʃi f⸢foː⸣ri] (かくかくしかじかの訳で<ことで>、沖縄へ行かなければならないので暇をとらせてください) 4922 0 0 4701 htmvoc_4922.wav カンガン ⸢カン⸣ガン [⸢kaŋ⸣gaŋ] 名 鏡。 ⸢カンガン⸣マー ミ⸢ドゥム⸣ヌ タ⸢カ⸣ラティ ア⸢ザリ ブー [⸢kaŋgam⸣maː mi⸢dumu⸣nu tḁ⸢ka⸣rati ʔa⸢ʣari buː] (鏡は女の宝といわれている)。 ⸢カン⸣ガン ⸣ミリティ ピ⸢ニ⸣ スリバ [⸢kaŋ⸣gam ⸣miriti pi⸢ni⸣ suriba] (鏡を見て鬚を剃れよ)。 ⸢カン⸣ガン ⸣ミレーティ ピ⸢ニ⸣ ス⸢ラン⸣カー ナ⸢クラー⸣ヌ ス⸢ララ⸣ヌ [⸢kaŋ⸣gam ⸣mireːti pi⸢ni⸣ su⸢raŋ⸣kaː na⸢kuraː⸣nu su⸢rara⸣nu] (鏡を見ながら鬚を剃らないと、怖くて剃れないよ)。 ⸢カンガン⸣マー ヤ⸢ナムヌ⸣ヌ ヌ⸢キ⸣ムヌティ ア⸢ザリブー [⸢kaŋgam⸣maː ja⸢namunu⸣nu nu⸢ki⸣munuti ʔa⸢ʣaribuː] (鏡は魔物の魔除け<除け物>と言われている)。 ⸢カンガン⸣マー タ⸢マガラ⸣スシ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢kaŋgam⸣maː ta⸢magara⸣suʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (鏡は玉ガラスで作られている) 4923 0 0 4702 htmvoc_4923.wav カンガン ⸢カン⸣ガン [⸢kaŋ⸣gaŋ] 名 とさか(鶏冠)。雄鶏の頭に発達した朱色の冠状の突起。 ビ⸢キドゥルヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルナー アガー⸢アガーヌ カンガン⸣ヌ ⸣アン [bi⸢kidurunu⸣ su⸢bu⸣runaː ʔagaː⸢ʔagaːnu kaŋgan⸣nu ⸣ʔaŋ] (雄鶏の頭に真っ赤な鶏冠がある) 4924 0 0 4703 htmvoc_4924.wav ガンガン ⸣ガンガン [⸣gaŋgaŋ] 名 ブリキ\ruby{缶}{カン}(blik{EOS}オランダ語{EOS}錫を\ruby{SqBr}g{/SqBr}{鍍金}{メッキ}した薄い鉄板)。 ⸣ガンガンタング [⸣gaŋgantaŋgu] (ブリキ\ruby{缶}{カン}で作った水桶{EOS}水担桶)。 シ⸢キユーカン⸣マー ⸣ガンガンシ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブーユンダ⸣ ウ⸢リ⸣シン ミ⸢ジタング⸣ ス⸢クル⸣タン [ʃi̥⸢kijuːkam⸣maː ⸣gaŋgaŋʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buːjunda⸣ ʔu⸢ri⸣ʃiŋ mi⸢ʤitaŋgu⸣ su̥⸢kuru⸣taŋ] (石油缶はブリキ板で作られているから、それでも水担桶を作った)。 ⸣ガンガンマー ⸢ペン⸣キ ⸢ヌーラン⸣カー サ⸢ビパヤー⸣ン [⸣gaŋgammaː ⸢peŋ⸣ki ⸢nuːraŋ⸣kaː sa⸢bipajaː⸣ŋ] (鉄板はペンキを塗らないと錆び早い) 4925 0 0 4704 htmvoc_4925.wav カンガンイツァ ⸢カンガン⸣イツァ [⸢kaŋgaŋ⸣ʔiʦa] 名 \ruby{欄間}{ラン|マ}の板。\ruby{小壁}{コ|カベ}。仏壇の正面の板。「鏡板」の義。 ⸢カンガン⸣イツァティ ⸢スー モー⸣ チ⸢カ⸣グルシェーラル ⸢ペー⸣リ ⸣ケール ム⸢カ⸣シェー ⸢ナーン⸣シェン [⸢kaŋgaŋ⸣ʔiʦati ⸢suː moː⸣ ʧi̥⸢ka⸣guruʃeːraru ⸢peː⸣ri keːru mu⸢ka⸣ʃeː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (欄間の板は近頃になって入ってきたものだ{EOS}昔はなかった) 4926 0 0 4705 htmvoc_4926.wav ガンカンシ ⸢ガンカン⸣シ [⸢gaŋkaŋ⸣ʃi] 副 きちんきちんと。正確に。 パ⸢ライビキ⸣ヌ ⸢ジン⸣マー ヤ⸢クスク トゥール ガンカン⸣シ パライ⸢ダー [pa⸢raibiki⸣nu ⸢ʤim⸣maː ja⸢kusu̥ku tuːru gaŋkaŋ⸣ʃi parai⸢daː] (支払うべき金は約束通りきちんきちんと支払えよ)。 ⸣アブジェー ⸢ガンカン⸣シ ム⸢ヌパナ⸣シ ⸢ソー⸣ルンダ ナ⸢クラーン⸣ダー [⸣ʔabuʤeː ⸢gaŋkaŋ⸣ʃi mu⸢nupana⸣ʃi ⸢soː⸣runda na⸢kuraːn⸣daː] (お祖父さんはきちんきちんと厳格に話されるので怖いよ) 4927 0 0 4706 htmvoc_4927.wav ガンガンシ ⸢ガンガン⸣シ [⸢gaŋgaŋ⸣ʃi] 副 元気な様。頑丈でバリバリと働く様。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アブジェー マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン パ⸢タ⸣キナー ⸢ガンガン⸣シ ⸢ウー⸣ケーティ ⸢オー⸣ル [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔabuʤeː ma⸢na⸣ma ʃi⸢ki⸣tim pa⸢ta⸣kinaː ⸢gaŋkaŋ⸣ʃi ⸢ʔuː⸣keːti ⸢ʔoː⸣ru] (その家のお祖父さんは今でも畑でバリバリ働いて<動いて>おられる) 4928 0 0 4707 htmvoc_4928.wav ガンガンシ ⸢ガンガン⸣シ [⸢gaŋgaŋ⸣ʃi] 副 ずきんずきんと。頭がずきんずきんと痛む形容。 ス⸢ブルン⸣ドゥ ⸢ガンガン⸣シ ヤム⸢ツォー⸣ フ⸢チ⸣ル ヌ⸢マ⸣ソーリ [su⸢burun⸣du ⸢gaŋgaŋ⸣ʃi ⸣jamu⸢ʦoː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru nu⸢ma⸣soːri] (頭がずきんずきんと痛むんですよ{EOS}薬を飲ませてください) 4929 0 0 4708 htmvoc_4929.wav ガンガンシル ⸣ガンガンシル [⸣gaŋgaŋʃiru] 名 アルミ板やブリキ缶で作った釣瓶。 ⸣ガンガンシルシ ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ム⸣カー ヤ⸢ナンゴーリ⸣シタヌ ク⸢バンパーシル⸣シ フ⸢ム⸣カー ヤ⸢ナンゴーラン⸣シェン [⸣gaŋgaŋʃiruʃi ⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢mu⸣kaː ja⸢naŋgoːri⸣ʃi̥tanu ku⸢bampaːʃiru⸣ʃi ɸu⸢mu⸣kaː ja⸢naŋgoːraŋ⸣ʃeŋ] (ブリキ缶の釣瓶で井戸水を汲むと<水は>濁ったが、クバの葉釣瓶で汲むと濁らなかった) 3946 0 0 4709 htmvoc_3946.wav ガンガンタング ⸣ガンガンタング [⸣gaŋgantaŋgu] 名 金属製の一斗缶で作った担桶。石油缶の1斗缶等を利用して作った(\ruby{担桶}{タゴ|オケ})。 ⸣ガンガンシ ス⸢ク⸣ル ミ⸢ジタンゴー⸣ ガンガンタングティ ア⸢ズタ⸣ダー [⸣gaŋgaŋʃi su̥⸢ku⸣ru mi⸢ʤitaŋ⸣goː ⸣ gaŋgantaŋguti ʔa⸢ʣuta⸣daː] (石油缶の1斗缶で作るたごおけ<担桶>をガンガンタングと言ったよ) 4930 0 0 4710 htmvoc_4930.wav ガンガンパク ⸣ガンガンパク [⸣gaŋgampaku] 名 アルミ板やブリキ板で作られた一斗缶。タ⸢ニ⸣ユー[ta⸢ni⸣juː](菜種油)やシ⸢キ⸣ユー[ʃi̥⸢ki⸣juː](石油)を入れた缶。 タ⸢ニユー⸣ヤ ⸣ガンガンパクナール イ⸢ラリブタ [ta⸢nijuː⸣ja ⸣gaŋgampakunaːru ʔi⸢raributa] (菜種油はブリキ板の一斗缶に入れられていた) 4931 0 0 4711 htmvoc_4931.wav カンガンムチ ⸢カンガン⸣ムチ [⸢kaŋgam⸣muʧi] 名 鏡餅。正月に、床の間に供える三段重ねの餅。石垣島から導入されたもの。カ⸢ザリムチ[ka⸢ʣarimuʧi](飾り餅)ともいう。 ウ⸢ブ⸣ソンガチ ⸢ソー⸣レーラル ⸢カンガン⸣ムチェー イ⸢サンケーラ ペー⸣リ ⸣ケール⸢ナー [ʔu⸢bu⸣soŋgaʧi ⸢soː⸣reːraru ⸢kaŋgam⸣muʧeː ʔi⸢sanakeːra peː⸣ri ⸣keːru⸢naː] (大正月<新暦の正月>をされるようになってから、鏡餅は石垣から入ってきたのだろうね) 4932 0 0 4712 htmvoc_4932.wav カンキー ⸢カンキー [⸢kaŋkiː] 名 関係。関わり。標準語の「関係」が転訛したもの。古老は、⸢マールカー⸣ル[⸢maːrukaː⸣ru](回り係り)ともいう。 ⸢ベー⸣ヤートゥ ⸢ウン⸣ネートー ⸣イカール ⸢カンキーヌ⸣ ア⸢ル⸣ワ [⸢beː⸣jaːtu ⸢ʔun⸣neːtoː ⸣ʔikaːru ⸢kaŋkiːnu⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (我が家とその家とは如何なる関係があるのか) 4933 0 0 4713 htmvoc_4933.wav カンキスン ⸢カン⸣キスン [⸢kaŋ⸣kisuŋ] 他動 噛み切る。食いちぎる。 サ⸢バー⸣ サ⸢バナー カン⸣キシ ⸢ピン⸣ギ ⸣パリ⸢ナー⸣ヌ [sa⸢baː⸣ sa⸢banaː kaŋ⸣ki̥ʃi ⸢piŋ⸣gi pari⸢naː⸣nu] (鮫は鮫釣り縄を噛み切って逃げていってしまった)。 ⸢カンキサラ⸣ヌ [⸢kaŋkisara⸣nu] (噛み切れない)。 ⸢カン⸣キシ ⸣ミリバ [⸢kaŋ⸣ki̥ʃi ⸣miriba] (噛み切ってみろよ)。 ク⸢レー⸣ バー ⸢カン⸣キスン [ku⸢reː⸣ baː ⸢kaŋ⸣ki̥suŋ] (これは私が噛み切る)。 ⸢カン⸣キス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kaŋ⸣ki̥su ⸣kutoː na⸢ra⸣nu] (噛み切ることは出来ない)。 ⸢カン⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸢kaŋ⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (噛み切ればよいのに)。 ⸣パーシ ⸢カン⸣キシ [⸣paːʃi ⸢kaŋ⸣ki̥ʃi] (歯で噛み切れ) 4934 0 0 4714 htmvoc_4934.wav ガンキョー ⸢ガン⸣キョー [⸢gaŋ⸣kjoː] 名 めがね(眼鏡)。 ⸢ミーガン⸣キョー [⸢miːgaŋ⸣kjoː] (水中眼鏡)。 ク⸢クヌ⸣トゥグンジュー ⸢ナッ⸣ター ⸢ガン⸣キョー カ⸢カン⸣カー ⸢ジーヤ⸣ ユ⸢マラ⸣ヌ [ku̥⸢kunu⸣tugunʤuː ⸢nat⸣taː ⸢gaŋ⸣kjoː kḁ⸢kaŋ⸣kaː ⸢ʤiːja⸣ ju⸢mara⸣nu] (四十九歳になったので眼鏡を掛けないと字は読めない<読まれない>) 4935 0 0 4715 htmvoc_4935.wav ガンク ⸢ガン⸣ク [⸢gaŋku] 名 頑固。頑固者。 ⸢ガンク⸣ウスマイ [⸢gaŋku⸣ʔusumai] (頑固じいさん)。 ⸣アイブ ⸢ガン⸣コー ユ⸢ヌナカ⸣ナー⸢フタール⸣テー ブ⸢ラーン⸣パジ [⸣ʔaibu ⸢gaŋ⸣koː ju⸢nunaka⸣naː ɸu̥⸢taːru⸣teː bu⸢raːm⸣paʤi] (あんな頑固者は、この世の中で二人とはおらぬはず) 4936 0 0 4716 htmvoc_4936.wav カングク ⸢カング⸣ク [⸢kaŋgu⸣ku] 名 監獄。標準語からの転訛したもの。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢カング⸣クナー ク⸢ミラ⸣リンティ⸢ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː ⸢kaŋgu⸣kunaː ku⸢mira⸣rinti⸢daː] (悪事を働くと<悪い事をすると>監獄に押し込められるそうだよ) 4937 0 0 4717 htmvoc_4937.wav カングトゥ ⸢カング⸣トゥ [⸢kaŋgu⸣tu] 名 神事。神行事。 ⸢カング⸣トゥ ⸢スンティル⸣ アイニ ⸢パンタ⸣サ ⸢シーオー⸣ル [⸢kaŋgu⸣tu ⸢suntiru⸣ ʔaini ⸢panta⸣sa ⸢ʃiːoː⸣ru] (神行事をしようとして、あんなに繁忙を極めておられる<忙しくしておられる>)。 ⸢カングトゥ⸣バ ハ⸢バ⸣クンティ ム⸢ヌシリ⸣ヌ ⸣ヤー ム⸢ヌ⸣ナライ ⸢シン オーッ⸣タ [⸢kaŋgutu⸣ba ha⸢ba⸣kunti mu⸢nuʃiri⸣nu ⸣jaː mu⸢nu⸣narai ⸢ʃiŋ ʔoːt⸣ta] (神事を処理しようとユタ<物知り>の家に神事を習いに行かれた) 4942 0 0 4718 htmvoc_4942.wav カンクムチ ⸢カンクム⸣チ [⸢kaŋkumu⸣ʧi] 名 神前への供物。「神供物」の義。 ⸢カンクム⸣チェー ス⸢コーリル ニンガイ⸣ヤー ⸢ソー⸣ル [⸢kaŋkumu⸣ʧeː su̥⸢koːriru niŋgai⸣jaː ⸢soː⸣ru] (神前への供物は準備し<作り供え>てから祈願<神願い>はなさるのだ) 4945 0 0 4719 htmvoc_4945.wav カンコーロー ⸢カンコー⸣ロー [⸢kaŋkoː⸣roː] 名 歴代その家に伝わる家の根神の香炉。⸢カンサカ⸣サ[⸢kansaka⸣sa](神司)、ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者<手摺り部>)の家系に伝わる。各家庭には一定の年齢に達した家族各人の香炉があった。香炉を備える事を、⸢コン⸣ジン カ⸢ミ⸣ルン[⸢kon⸣ʤiŋ ka⸢mi⸣ruŋ](根神を戴いて信仰する)という。 サ⸢カサヌ⸣ ヤーナーン ⸢カンプス⸣ヌ ⸣ヤーナーン ⸢カンコー⸣ロー ア⸢リ⸣ブタ [sa⸢kasanu⸣ jaːnaːŋ ⸢kampusu⸣nu ⸣jaːnaːŋ ⸢kaŋkoː⸣roː ʔa⸢ri⸣buta] (司の家にもティジリビの家にも神香炉はあった<ありおった>) 4881 0 0 4720 htmvoc_4881.wav カンザ ⸢カンザ [⸢kanʣa] 代 あいつ。あいつめ。あの野郎。三人称単数代名詞、カ⸢リ[ka⸢ri](あれ{EOS}彼{EOS}あの人)の卑称。カヌ・ンザ[kanu・nʣa](彼の奴)の約まった形。 ⸢カンザンドゥ⸣ ヤ⸢ブ⸣レール ⸢バン⸣ター シゥ⸢カーンシェン [⸢kanʣandu⸣ ja⸢bu⸣reːru ⸢ban⸣taː sï̥⸢kaːŋʃeŋ] (あいつが壊したのだろうよ、私らは使わなかった)。 ⸢カンザヌ シェー⸣ クトー ⸢ダーッサ ナー⸣ヌ [⸢kanʣanu ʃeː⸣ ku̥toː ⸢daːssa naː⸣nu] (あいつがやったことはよろしくない<真っ当でない>)。 ヨー⸢ヨー カンザンナー⸣トー ⸢カシカーサ⸣レー ナ⸢ラン⸣ダー [joː⸢joː kanʣannaː⸣toː ⸢kaʃi̥kaːsa⸣reː na⸢ran⸣daː] (よくよく注意しろよ{EOS}彼奴などに騙され<賺され>てはならないぞ)。卑しめていう場合に用いる。 ⸢カンザヌル ワッ⸣サ ⸢クンザー ワッサナー⸣ヌ [⸢kunʣanuru was⸣sa ⸢kunʣaː wassanaː⸣nu] (かやつ<彼奴>が悪い{EOS}こいつは悪くない) 4974 0 0 4721 htmvoc_4974.wav カンサカサ ⸢カンサカ⸣サ [⸢kansaka⸣sa] 名 女性の神職者。司。神女。「神司」の義。 ⸢カンサカサ⸣ヌ ⸢ピュールバ⸣ バ⸢リ⸣ トゥ⸢ローリ⸣ル ⸢ニンズーヌ⸣ カ⸢ミニンガイ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タ [⸢kansakasa⸣nu ⸢pjuːruba⸣ ba⸢ri⸣ tu⸢roːri⸣ru ⸢ninʣuːnu⸣ ka⸢miniŋgai⸣jaː ⸢soːt⸣ta] (神司が神事の日和を籤で決めて<御籤を割って取られて>、年中の神願いはなされた)。 ⸢カンサカ⸣サー ⸢カンヌ⸣ドゥ ウ⸢タイ⸣ マ⸢ラソーッ⸣タ [⸢kansaka⸣saː ⸢kannu⸣du ʔu⸢tai⸣ ma⸢rasoːt⸣ta] (神司は神が告げられて誕生させられた)。 ⸣ウガンカージナ ⸢カンサカ⸣サー ⸢オーッ⸣タン [⸣ʔugaŋkaːʤina ⸢kansaka⸣saː ⸢ʔoːt⸣taŋ] (御嶽ごとに神司はおられた) 4939 0 0 4722 htmvoc_4939.wav カンサツ ⸢カン⸣サツ [⸢kan⸣saʦu] 名 鑑札。免許証。壮年層は⸢カン⸣シチ[⸢kaŋʃi̥ʧi](鑑札)ともいう。 ⸢カンサツ⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルカー マ⸢チヤー シー⸣ ミサンツォー [⸢kansaʦu⸣nu ʔu⸢ri⸣rukaː ma⸢ʧijaː ʃiː⸣ misanʦoː] (鑑札が下りたらお店を開いて<しても>もいいそうだ) 4940 0 0 4723 htmvoc_4940.wav カンザトゥヤー ⸢カンザトゥ⸣ヤー [⸢kanʣatu⸣jaː] 名 屋号。慶田城勇氏宅。鳩間村七班の海岸に面した屋敷。現在の船着場の上にある。慶田城勇氏は戦前の竹富村の村会議員を歴任され、カツオ漁船の魁丸でカツオ節製造工場を経営された。戦後昭和23年頃まではカツオ漁船の建国丸でカツオ節製造業を経営されたが、以後大工定市氏が引き継いで経営された。長男の慶田代亨氏は鳩間島出身で最初に沖縄県師範学校を卒業され、島の教育に従事された後、陸軍に召集された。終戦直後に除隊されて帰郷し、厳しい状況下で島の児童生徒の英才教育に従事し、多くの優れた生徒を育てられ、小中学校長を最後に定年された。次男の慶田城勇吉氏は青年期に義兄の大城昇氏とアラビア石油のタンカー船に乗船して活躍し、定年後は在那覇鳩間島郷友会の会長として活躍された。 ⸢カンザトゥヤー⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣プスンケーン ⸢メイジジダイ⸣ナー ⸢ウイバロー⸣ラ パ⸢トゥ⸣マー ⸢オー⸣レーツォー [⸢kanʣatujaː⸣nu ʔu⸢ja⸣pu̥suŋkeːm ⸢meiʤiʤidai⸣naː ⸢ʔuibaroː⸣ra pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔoː⸣reːʦoː] (慶田城家の先祖の方々も明治時代に上原から鳩間島に来られたそうだ) 4193 0 0 4724 htmvoc_4193.wav カンザヤー ⸢カンザ⸣ヤー [⸢kanʣa⸣jaː] 名 鍛冶屋。自給自足の時代には各字に鍛冶屋があったといわれている。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢カンザ⸣ヤー ⸢アッ⸣タンティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣manaːŋ ⸢kanʣa⸣jaː ⸢ʔat⸣tanti⸢daː] (昔は鳩間島にも鍛冶屋があったそうだよ)。 カ⸢ザケーヤ⸣ ム⸢カ⸣シェー ⸢カンザ⸣ヤー ⸢ヤッタ⸣ツォー [ka⸢ʣakeːja⸣ mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kanʣa⸣jaː ⸢jatta⸣ʦoː] (加治工家は昔は鍛冶屋だったそうだ)。 ⸢ウイバル⸣ナー チ⸢カ⸣グル ⸢バー⸣キン ⸢カンザヤー⸣ヤ ア⸢リ⸣ブタ [⸢ʔuibaru⸣naː ʧi̥⸢ka⸣guru ⸢baː⸣kiŋ ⸢kanʣajaː⸣ja ʔa⸢ri⸣buta] (上原には最近までも鍛冶屋はあった<ありおった>)。「本年、八重山島鬚川村の伊志登新城を褒嘉して赤冠を賞賜す。八重山島鬚川村の伊志登新城は、上届三十午年、令に従りて鍛鈶工職に充任し、~」『球陽 読み下し編』とあるから、明治6年頃までは鬚川村に鍛冶屋があったと推定される 4948 0 0 4725 htmvoc_4948.wav カンザルン ⸢カン⸣ザルン [⸢kan⸣ʣaruŋ] 他動 上下の歯で噛み砕く。噛みつぶす。咀嚼する。「噛みちらす」の転訛。 ⸢コー⸣ ムノー ⸣ユー ⸢カン⸣ザリティ ッ⸢ふァイ⸣ヨー [⸢koː⸣ munoː ⸣juː ⸢kan⸣ʣariti f⸢fai⸣joː] (固い物はよく噛んで食べなさいよ)。 ⸢カン⸣ザルンティ ⸢スンドゥ パー⸣ヌ ⸣ヤミティ ⸢カンザララ⸣ヌ [⸢kan⸣ʣarunti ⸢sundu paː⸣nu ⸣jamiti ⸢kanʣarara⸣nu] (噛み砕こうとするが、歯が痛いので噛み砕かれない)。 ⸢カン⸣ザル ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸢カン⸣ザレー ⸣ミサムヌ [⸢kan⸣ʣaru ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸢kan⸣ʣareː ⸣misamunu] (噛み砕くものは早く噛み砕けばいいのに)。 ヤー⸢ディン カン⸣ザリ⸢ダー [jaː⸢diŋ kan⸣ʣari⸢daː] (必ず噛み砕けよ)。 ッ⸢ふァイムノー⸣ ユー ⸢カン⸣ザリ ッ⸢ふァイバル⸣ マ⸢シ⸣ツォー [⸢faimuoː⸣ juː ⸢kan⸣ʣari f⸢faibaru⸣ ma⸢ʃi⸣ʦoː] (食べ物はよく噛んで食べたほうがいいそうだ)。 ⸣ドゥク ⸢カンザラ⸣ヌ [⸣duku ⸢kanʣara⸣nu] (あんまり噛み砕かない)。 ⸢カン⸣ザルンティ ⸣ウムーカー ⸢カン⸣ザレー ⸣ミサムヌ [⸢kan⸣ʣarunti ⸣ʔumuːkaː ⸢kan⸣ʣareː ⸣misamunu] (噛み砕こうと思うなら噛み砕けばよいのに)。 ⸢カン⸣ザル ⸣ムヌン ⸢ナー⸣ヌ [⸢kan⸣ʣaru ⸣munun ⸢naː⸣nu] (噛むのも無い)。 ク⸢リ カン⸣ザリ [ku⸢ri kan⸣ʣari] (これを噛み砕け) 4949 0 0 4726 htmvoc_4949.wav カンシチ ⸢カン⸣シチ [⸢kaŋ⸣ʃi̥ʧi] 名 鑑札。商店経営の許可証。 ⸢カンシチ⸣ヌ ⸣ユレーカ マ⸢チヤー⸣ ナ⸢リ⸣ス [⸢kaŋʃi̥ʧi⸣nu ⸣jureːka ma⸢ʧijaː⸣ na⸢ri⸣su] (鑑札が許可された<下りた{EOS}許された>のなら商店<町家>ができる<開店できる>) 4950 0 0 4727 htmvoc_4950.wav カンシバ ⸢カン⸣シバ [⸢kaŋ⸣ʃiba] 名 カンシバ(神芝)の義か。豊年祭の当日、友利御嶽から司やティジリビー、スーダイ<総代>、ムラヤクサ達がミチウタ(道歌)を歌いながらサンシキ(桟敷)へ降りていく際に、頭に巻きつけるマーニ(クロツグ)の葉。神前に供えて祈願をし、神霊を宿しているといわれている<神の\ruby{憑代}{ヨリ|シロ}>。 ⸢カン⸣プスンケーラ ヤ⸢ク⸣サンケー ⸢バー⸣キ ムー⸢ル⸣ ⸢カン⸣シバー ⸢ユイティ⸣ ミ⸢チウタバ⸣ イ⸢ジェー⸣ティル ッ⸢サンター⸣ ウ⸢ローッ⸣タ [⸢kam⸣pu̥suŋkeːra ja⸢ku⸣saŋkeː ⸢baː⸣ki muː⸢ru⸣ ⸢kaŋ⸣ʃibaː ⸢juiti⸣ miʧiʔutaba⸣ ʔi⸢ʤeː⸣tiru s⸢santaː⸣ ʔu⸢roːt⸣ta] (神職者から村役人たちまで、皆カンシバを頭に結って、道歌を歌いながら村中の桟敷<下の方>へ降りてこられた<下りられた>)。 ⸢カン⸣シバー ⸢マーニ⸣ヌ ⸢パー⸣シル ス⸢ブ⸣ルナ マ⸢コーッ⸣タ [⸢kaŋ⸣ʃibaː ⸢maːni⸣nu ⸢paː⸣ʃiru su⸢bu⸣runaː ma⸢koːt⸣ta] (神芝はマーニの葉で頭に巻かれた) 4951 0 0 4728 htmvoc_4951.wav カンシビルン ⸢カンシビ⸣ルン [⸢kaŋʃibi⸣ruŋ] 他動 噛んで吸う。「噛み吸う」の義。 ⸢パームイジブン⸣マー ⸢シー⸣ヌフチ ⸢カンシビ⸣ルンダ ガ⸢シ⸣タク シ⸢ビラシ [⸢paːmuiʤibum⸣maː ⸢ʃiː⸣nuɸu̥ʧi ⸢kaŋʃibi⸣runda ga⸢ʃi⸣taku ʃi⸢biraʃi] (歯が生え始める時分は乳首を噛んで吸うから、焙乾したタコをしゃぶらせなさい)。 ⸢カンシビラ⸣ヌ [⸢kaŋʃibira⸣nu] (噛んで吸わない)。 ⸢カンシビ⸣ル ⸣クトゥン ⸣アン [⸢kaŋʃibi⸣ru ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (噛み吸うこともある)。 ⸢カンシビ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢kaŋʃibi⸣reː ⸣misamunu] (噛み吸えばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カンシビ⸣リ [⸢maː⸣biŋ ⸢kaŋʃibi⸣ri] (もっと噛み吸え)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣パー ⸢ムイパジミル⸣ター ⸢シーヌ⸣ フチ ⸢カンシビラ⸣リティ ヤ⸢ミ⸣スバン [ja⸢rabi⸣nu ⸣paː ⸢muipaʤimiru⸣taː ⸢ʃiːnu⸣ ɸu̥ʧi ⸢kaŋʃibira⸣riti ja⸢mi⸣subaŋ] (子供の歯が生え始めたので、乳首を噛み吸われて痛いよ) 4952 0 0 4729 htmvoc_4952.wav ガンジミ ⸢ガン⸣ジミ [⸢gan⸣ʤimi] 名 釘抜き。「蟹爪」の義。 ⸢ガン⸣ジミ カ⸢リ⸣キー ク⸢ヌ フン⸣ ヌイ ッ⸢ふィーラン⸣ノーレー [⸢gan⸣ʤimi ka⸢ri⸣kiː ku⸢nu ɸun⸣ nui f⸢fiːran⸣noːreː] (釘抜きを借りてきて、この釘を抜いてくれないかねえ)。 ⸢ガン⸣ジミシ フ⸢トゥッチ⸣パー ⸢フッカー⸣シティ ⸣ヌイバ [⸢gan⸣ʤimiʃi ɸu̥⸢tutʧi⸣paː ⸢ɸukkaː⸣ʃi̥ti ⸣nuiba] (釘抜き<蟹爪>で虫歯を挟んで抜きなさい) 4959 0 0 4730 htmvoc_4959.wav カンジョー ⸢カン⸣ジョー [⸢kan⸣ʤoː] 名 勘定。計算。標準語からの借用語。普通は、⸢サン⸣ミン[⸢sam⸣miŋ](計算)という。 ⸣クビシ ⸢ダイヤー ギュー⸣サ ⸣ナルユー ⸢カン⸣ジョー ⸢シー⸠ミー [⸣kubiʃi ⸢daijaː gjuː⸣sa ⸣narujuː ⸢kan⸣ʤoː ⸢ʃiː⸠miː] (これで値段はいくらになるか勘定してみよ(ごらん)) 4953 0 0 4731 htmvoc_4953.wav カンシラシ ⸢カンシラ⸣シ [⸢kaŋʃira⸣ʃi] 名 神のお告げ。神託。神女(巫女)が⸢カンダー⸣リ[⸢kandaː⸣ri](神がかり)して告げたり、ユ⸢タ[ju⸢ta](巫げき)の占いによって知らされたりする。夢によって知らされることもある。「神知らせ」の義。 ⸢カンシラシ⸣ヌ ア⸢ロー⸣リキー ⸢ニン⸣ガイ シ⸢ミルンティ ベー [⸢kaŋʃiraʃi⸣nu ʔa⸢roː⸣rikiː ⸢niŋ⸣gai ʃi⸢mirunti beː] (神のお告げ<神知らせ>があったので祈願をさせようとしている) 4954 0 0 4732 htmvoc_4954.wav ガンズー ⸢ガン⸣ズー [⸢gan⸣ʣuː] 名 元気。達者。⸢頑丈」の転訛。 ⸢ガン⸣ズーシ ⸢オーッタン [⸢gan⸣ʣuːʃi ⸢ʔoːttaŋ] (お元気でいらっしゃいましたか)。 ⸢ガン⸣ズーシ パ⸢タラキ⸣ヨー [⸢gan⸣ʣuːʃi pḁ⸢taraki⸣joː] (元気で働きなさいよ) 4955 0 0 4733 htmvoc_4955.wav ガンズーマリ ⸢ガンズー⸣マリ [⸢ganʣuː⸣mari] 名 頑丈な生まれ。健康に生まれついていること。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ ガンズー⸣マリ ⸢シー ブーバン⸣ ウ⸢ラーミ⸣サワレー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena ganʣuː⸣mari ⸢ʃiː buːbaŋ⸣ ʔu⸢raːmi⸣sawareː] (この子は非常に頑丈な生まれつき<頑健な生まれつき>をしているわい{EOS}羨ましいことよ) 4956 0 0 4734 htmvoc_4956.wav ガンズームヌ ⸢ガンズー⸣ムヌ [⸢ganʣuː⸣munu] 名 頑丈な者。元気な者。剛健な者。 ウ⸢レー ガンズー⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ ウン⸣ナー パ⸢ナシケー フシゥカラ⸣ヌ [ʔu⸢reː ganʣuː⸣munu ja⸢runda ʔun⸣naː pa⸢naʃi̥keː ɸusi̥kara⸣nu] (彼は頑丈者<剛健な者>だから、彼は風邪を引かない<彼には風邪はくっ付かない>)。 ウ⸢レー ガンズー⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ シゥ⸢カーバン⸣ グ⸢タイ⸣ヤー ピ⸢ナラヌ [ʔu⸢reː ganʣuː⸣munu ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ sï̥⸢kaːbaŋ⸣ gu⸢tai⸣jaː pi⸢naranu] (彼は頑健な者だから、いくら使っても体力<五体>は減らない) 4963 0 0 4735 htmvoc_4963.wav ガンズールン ⸢ガンズー⸣ルン [⸢ganʣuː⸣ruŋ] 自動 丈夫になる。体が強くなる。 ⸣ドゥーズーリ ⸢ガンズー⸣リ ⸢シー キー⸣ブバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣duːʣuːri ⸢ganʣuː⸣ri ⸢ʃiː kiː⸣buba ⸢soːja naː⸣nu] (体力もつき、丈夫<頑丈>になってきているから心配ない)。 ⸢ガンズー⸣ルンティドゥ ⸢ガー⸣バ ⸣タティ ⸢ファイムヌン ファイ ヨー⸣ゾーン ⸢シーベー [⸢ganʣuː⸣runtidu ⸢gaː⸣ba ⸣tati ⸢faimunuŋ fai joː⸣ʣoːŋ ⸢ʃiːbeː] (丈夫になろうとして我慢をして食べ物も食べて養生もしているよ) 4961 0 0 4736 htmvoc_4961.wav カンズーワン ⸢カンズー⸣ワン [⸢kanʣuː⸣waŋ] 形 記憶力が強い。直感力がつよい。「勘強い」の義。 ⸣トゥシェー ⸣トゥリ ⸢オールン⸣ドゥ シカイ⸢トゥ カンズー⸣ワ ア⸢ローリ⸣ブバン⸢ナー [⸣tuʃeː ⸣turi ⸢ʔoːrun⸣du ʃi̥kai⸢tu ⸢kanʣuː⸣wa ʔa⸢roːri⸣buban⸢naː] (年はとっておられるが、非常に<しかと>記憶力が強くあられますねえ)。 ⸢ドゥー⸣ワ ⸢ヨーリ⸣ブンドゥ ス⸢ブ⸣ロー ⸢カンズー⸣ワン⸢ダー [⸢duː⸣wa ⸢joːri⸣bundu su⸢bu⸣roː ⸢kanʣuː⸣wan⸢daː] (体は弱っているが頭は記憶力が強いよ) 4975 0 0 4737 htmvoc_4975.wav カンスクン ⸢カン⸣スクン [⸢kan⸣su̥kuŋ] 自動 感じ取る。感得する。気付く。 ⸢ウンヌ⸣ クトー ⸢バシキティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ムインザサラン⸣シェンドゥ ⸣サシン ミ⸢ラシター⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢ター⸣ティ ⸢カンスク⸣タ⸢ダー [⸢ʔunnu⸣ ku̥toː ⸢baʃi̥kiti⸣ mut⸢tu⸣ ʔu⸢muiʔnʣasaraŋ⸣ʃendu ⸣saʃim mi⸢raʃitaː⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ⸢taː⸣ti ⸢kansu̥ku⸣ta⸢daː] (そのときのことは忘れてしまって全く<少しも>思い出せなかったが、写真を見せたので、やっとのことで誰だと気付いた<感づいた>よ)。 ⸣バークトー マ⸢ダ カンシゥカ⸣ヌ [⸣baː ⸣ku̥toː ma⸢da kansï̥ka⸣nu] (私のことはまだ気付づかない)。 ⸢カンシキ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢kaŋʃi̥ki⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (感づき<気付き>早い)。 ⸣カイ ⸢スー⸣カー ⸢カン⸣スクンパジ [⸣kai ⸢suː⸣kaː ⸢kan⸣su̥kum ⸣paʤi] (こうしたら気づくはずだ)。 ⸢カン⸣スク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kan⸣su̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (気づくことはない)。 ⸢バイ⸣ヨー ⸢ター⸣ティ ⸢カン⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢bai⸣joː⸢taː⸣ti ⸢kaŋ⸣ʃi̥keː misamunu] (私を誰だと気付けばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢カン⸣シキバ [⸢paː⸣ku ⸢kaŋ⸣ʃi̥kiba] (早く気付けよ)。 ⸣ウビ ア⸢ズ⸣カー ⸢カン⸣スクン パジ⸢ダー⸣ヌ マ⸢ダ カンシゥカン⸣バン [⸣ʔubi ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢kan⸣su̥kum ⸣paʤi⸢daː⸣nu ma⸢da kansi̥kam⸣baŋ] (これだけ言えば気付くはずだろうが、まだ気付かないよ)。 ⸢カン⸣シキ ⸢シェーン⸣カヤー [⸢kaŋ⸣ʃi̥ki ⸢ʃeːŋ⸣kajaː] (気付ききれるだろうかねえ)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢カン⸣スク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢kan⸣su̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く気付くことはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢カン⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢kaŋ⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (早く気付けば良いのに)。 ⸢カン⸣シキバ [⸢kaŋ⸣ʃi̥kiba] (気づけよ) 4976 0 0 4738 htmvoc_4976.wav カンズミ ⸢カン⸣ズミ [⸢kan⸣ʣumi] 名 缶詰。終戦後から米軍の配給物資として出回るようになった。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナール ⸢カン⸣ズメー ミリ⸢ミッ⸣タ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaːru ⸢kan⸣ʣumeː miri⸢mit⸣ta] (戦後<戦世の後>に<ぞ>缶詰は見てみた) 4964 0 0 4739 htmvoc_4964.wav カンスル ⸢カン⸣スル [⸢kan⸣suru] 名 剃刀。「剃刀、カミゾリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢カン⸣スルシ ピ⸢ニ⸣ スルン [⸢kan⸣suruʃi pi⸢ni⸣ suruŋ] (剃刀で鬚を剃る)。 ⸣ニチ ⸣パッサン シ⸢ミルンティ カン⸣スルシ フ⸢タイ パン⸣キティ バ⸢サ⸣ヌ ⸣シルシ ⸢シー⸣ ッ⸢スリ⸣ トゥ⸢ローッ⸣タ [⸣niʧi ⸣passaŋ ʃi⸢mirunti kan⸣suruʃi ɸu̥⸢tai paŋ⸣kiti ba⸢sa⸣nu ⸣ʃiruʃi ⸢ʃiː⸣ s⸢suri⸣ tu⸢roːt⸣ta] (熱を発散させようとして剃刀で額を軽く切って<弾いて>、芭蕉の汁で血を拭き取られた)。 ⸢カン⸣スロー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ティー⸣ヌ トゥ⸢ドゥ⸣クン ⸣トンナー ス⸢ク⸣ナ [⸢kan⸣suroː ja⸢rabi⸣nu ⸢tiː⸣nu tu⸢du⸣kun ⸣tonnaː su̥⸢ku⸣na] (剃刀は子供の手の届く所に置くな) 4965 0 0 4740 htmvoc_4965.wav カンゾー ⸢カンゾー [⸢kanʣoː] 名 植物。かんぞう(萱草)。ユリ科の多年草。忘れ草。根の部分の煎じ汁には睡眠の薬効があるとされ、昔は経産婦に豚の肝臓と共に煮て食させたという。 ⸢カンゾーヤ オー⸣ヌ キ⸢ム⸣トゥ バ⸢カシティ⸣ ッ⸢ふァナシ⸣プスン ッ⸢ふァーソーッ⸣タティ⸢ダー [⸢kanʣoːja ʔoː⸣nu ki⸢mu⸣tu ba⸢kaʃi̥ti⸣ f⸢fanaʃi⸣pu̥suŋ f⸢faːsoːt⸣tati⸢daː] (かんぞう<萱草>は豚の肝臓と煮て経産婦に食させたそうだ) 4957 0 0 4741 htmvoc_4957.wav ガンゾーガンゾーシ ガン⸢ゾーガンゾー⸣シ [gan⸢ʣoːganʣoː⸣ʃi] 副 元気で。元気に。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マランドー⸣シ ガン⸢ゾーガンゾー⸣シ パ⸢タラキ⸣バ⸢ヨー [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢marandoː⸣ʃi gan⸢ʣoːganʣoː⸣ʃi pḁ⸢taraki⸣ba⸢joː] (風邪を引かないで<風邪に塗られないで>元気で働きなさいよね) 4958 0 0 4742 htmvoc_4958.wav ガンゾーン ⸢ガン⸣ゾーン [⸢gan⸣ʣoːŋ] 形 健康である。元気である。「頑丈である」の転訛。 ク⸢レー⸣ イッ⸢ケナ ガン⸣ゾーン [ku⸢reː⸣ ʔik⸢kena gan⸣ʣoːŋ] (これ<この人>は非常に頑丈<頑健>である)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ガンゾーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢ganʣoːnaː⸣nu] (あまり頑丈ではない)。 ⸢ガン⸣ゾー ⸣ナルン [⸢gan⸣ʣoː ⸣naruŋ] (健康<頑丈>になる)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ ガン⸣ゾー プ⸢ス⸣ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena gan⸣ʣoː pu̥⸢su⸣daː] (その人は非常に頑丈な人だよ)。 ⸢ウイ⸣プソー ⸢ガン⸣ゾーカー ⸣ミサ ⸣シジ [⸢ʔui⸣pusoː ⸢gan⸣ʣoːkaː ⸣misa ⸣ʃiʤi] (老人は頑丈なら好いってことよ)。 ⸢ヤーニン⸣ズー ムー⸢ル ⸢ガン⸣ゾーンミー [⸢jaːnin⸣ʣuː muː⸢ru gan⸣ʣoːmmiː] (家族皆元気だろうね)。 バ⸢カーン⸣ケンマー ⸢ガン⸣ゾータンドゥ ⸢ウイ⸣プス ナ⸢ル⸣ター ⸢ガン⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː ⸢gan⸣ʣoːtandu ⸢ʔui⸣pu̥su na⸢ru⸣taː ⸢ganʣoː⸣ ⸢naː⸣nu] (若い時は元気だったが、老い人になったので元気<頑丈>でない)。 ⸢シンダイ ガン⸣ゾー ⸣ナルン [⸢ʃindai gan⸣ʣoː ⸣naruŋ] (次第に元気<頑丈>になる)。 ⸣アイニ ⸢ガン⸣ゾー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢gan⸣ʣoː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに元気<頑丈>な人はいない) 4966 0 1 4743 htmvoc_4966.wav カンター ⸢カン⸣ター [⸢kan⸣taː] 名 {Mn_1}\ruby{結}{ユ}わずに乱れたままにした髪。ざんばら髪。おかっぱ。 ガ⸢マ⸣ジ ア⸢ライティル カン⸣ター カビ⸢ベー [ga⸢ma⸣ʤi ʔa⸢raitiru kan⸣taː kabi⸢beː] (髪を洗ってざんばら髪にしてい<ざんばら髪を被ってい>る)。 4966 0 2 4744 htmvoc_4966.wav カンター ⸢カン⸣ター [⸢kan⸣taː] 名 {Mn_2}成年男子の髪型。たてがみ。両耳の辺りから後頭部にかけて刈り上げる髪型。⸢マイガン⸣ター[⸢maigan⸣taː]ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢マイガン⸣ター ⸢シー⸣ シケーバ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢タラ⸣サン [ja⸢ra⸣beː ⸢maigan⸣taː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːba ʔi⸢kkena⸣ ʔa⸢tara⸣saŋ] (子供はおかっぱ<たてがみ>にしてあるので非常に可愛い)。 チ⸢カ⸣グロー ビ⸢キドゥモー⸣ ムー⸢ル マイガンター⸣ル ⸢スー [ʧi̥⸢ka⸣guroː bi⸢kidumoː⸣ muː⸢ru maigantaː⸣ru ⸢suː] (近頃は、男は皆たてがみ<立髪>の髪型をする) 4967 0 0 4745 htmvoc_4967.wav カンダーリ ⸢カンダー⸣リ [⸢kandaː⸣ri] 名 神がかり。「カムガカリ」(神懸り)の転訛したもの。若年層は、カ⸢ミダー⸣リ[kamidaːri](神懸り)ともいう。神霊が人に憑依して神意を告げること。失神状態で神意を告げるという。そのようになることを、フ⸢ダマルン[ɸu⸢damaruŋ](神霊が憑依する)という。 ム⸢カ⸣シェー サ⸢カサヌ⸣ マ⸢ロー⸣ル ⸣ピンマー ⸢カンダー⸣リ ⸢シーソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː sḁ⸢kasanu⸣ ma⸢roː⸣ru ⸣pimmaː ⸢kandaː⸣ri ⸢ʃiːsoːt⸣taʦoː] (昔は、司が誕生される時は神霊が憑依されたそうだ)。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アッパー ⸢カンダー⸣リ シ⸢ティ⸣ シ⸢タ⸣タカ ム⸢ニ⸣バ ユ⸢マサ⸣リ ⸢カンムーマ⸣リ サ⸢リティル⸣ キ⸢タ⸣シキ ⸢オー⸣ルツォー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢kandaː⸣ri ʃi̥⸢ti⸣ ʃi̥⸢ta⸣taka mu⸢ni⸣ba ju⸢masa⸣ri ⸢kammuːma⸣ri sa⸢ritiru⸣ ki̥⸢ta⸣ʃi̥ki ⸢ʔoː⸣ruʦoː] (その家のお祖母さんは神がかりして、たくさん\ruby{喋}{シャベ}らされ、神霊にもみくちゃにもまれて、ぐったりと疲れ衰弱しておられるそうだ) 4968 0 0 4746 htmvoc_4968.wav カンダカーイシ ⸢カンダカー⸣イシ [⸢kandakaː⸣ʔiʃi] 名 霊石。「神高石」の義。多くは東の庭のビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](\ruby{SqBr}g{/SqBr}{賓頭盧}{ビンズル})にあった。霊験あらたかな神として拝む石。子供達には、その上に昇ったりしてはならないと厳しく\ruby{戒}{イマシ}められていた。 ⸢アンタヌ⸣ ミ⸢ナカ⸣ヌ ビ⸢チ⸣ルナー ⸢カンダカーイシ⸣ヌ ア⸢リ⸣バ ⸢ウン⸣ナー ⸢ヌールナ⸣ダー [⸢ʔantanu⸣ mi⸢naka⸣nu bi⸢ʧi⸣runaː ⸢kandakaːʔiʃi⸣nu ʔa⸢ri⸣ba ⸢ʔun⸣naː ⸢nuːruna⸣daː] (東の庭のビチルに霊石があるから、その上に乗るなよ) 4969 0 0 4747 htmvoc_4969.wav カンダカーン ⸢カンダカー⸣ン [⸢kandakaː⸣ŋ] 形 神の霊験が高い。「神高さあり」の義。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢カンダカー⸣ル ⸣シマティ ア⸢ザリブー [pḁ⸢tu⸣maː ⸢kandakaː⸣ru ⸣ʃimati ʔa⸢ʣaribuː] (鳩間島は霊験高い島といわれている)。 ⸣クマー ⸢カンダカー⸣ヌ ⸢ペーララ⸣ヌ [⸣kumaː ⸢kandakaː⸣nu ⸢peːrara⸣nu] (ここは霊験高くて入れない)。 ⸣クマー イッ⸢ケン カンダカー⸣ン [⸣kumaː ʔik⸢keŋ kandakaːa⸣ŋ] (ここは非常に霊験高い)。 ⸣クマー ⸢カンダカー⸣カー ⸢ペーララ⸣ヌ [⸣kumaː ⸢kandakaː⸣kaː ⸢peːrara⸣nu] (ここは霊験高かったら入れない) 4902 0 0 4748 htmvoc_4902.wav ガンダラゴー ⸢ガンダラゴー [⸢gandaragoː] 名 \ruby{棺}{ヒツギ}(棺箱)を入れて運ぶ屋形のみこし(御輿)。前4人(2×2)、後4人(2×2)の男8人で担いだ。軒とナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu̥⸣ku](ヒンプン)の間の距離は、ガンダラゴーの御輿が入る長さをとって作られてある。⸢ガンダルゴー[⸢gandarugoː]ともいう。霊柩車。八歳以上の人が死んだときにガンダラゴーに棺を載せて葬式を出すといわれていた。ガンダラゴーを保管する小屋(⸢ガンダラゴーヤー{SqBr}⸢gandaragoːjaː{/SqBr})が西村の村はずれにあった。1960年頃まで利用されていたが過疎化により担ぐ若者が減ったことと、石垣島における火葬の普及により、利用されなくなった。幼児は朱塗りのガンダラゴーを恐れて西村の村はずれを出て一人で農道を行くことは出来なかった。畑へ行く母親の着物の裾にしがみついて追いすがって来ても、ガンダラゴー保管小屋の前で親と別れて家に帰らざるを得なかった。 ⸢ガンダラゴーヤ ヤーチ⸣ ナ⸢ラバ⸣ル カ⸢タ⸣モーッタツォー [⸢gandaragoːja jaːʧi⸣ na⸢raba⸣ru kḁ⸢ta⸣moːttaʦoː] (ガンダラゴーは八歳になったらば<ぞ>棺を載せて担がれたそうだ) 4903 0 0 4749 htmvoc_4903.wav ガンダラゴーカタミプス ⸢ガンダラゴー⸣ カ⸢タミ⸣プス [⸢gandaragoː⸣ kḁ⸢tami⸣pu̥su] 連 棺を収めて墓へ運ぶ木製のかご(轎)を担ぐ人(前後四人ずつ、計八人)。⸢龕」の転訛したもの。 ⸢ガンダラゴー⸣ カ⸢タミ⸣プソー ⸣マンター ユ⸢タール⸣ シンタン ユ⸢タール⸣シル カ⸢タ⸣モーッタ [⸢gandaragoː⸣ kḁ⸢tami⸣pu̥soː ⸣mantaː ju⸢taːru⸣ ʃintaŋ ju⸢taːru⸣ʃiru kḁ⸢ta⸣moːtta] (龕<轎>を担ぐ人は、前方は四人、後方も四人で担がれた) 4904 0 0 4750 htmvoc_4904.wav ガンダラゴーヤー ⸢ガンダラゴーヤー [⸢gandaragoːjaː] 名 ⸢ガンダラゴーを保管する小屋。 イ⸢ザ⸣テヌ ⸢インタナー⸣ル ⸢ガンダラゴーヤーヤ アッ⸣タ [ʔi⸢ʣa⸣teːnu ⸢ʔintanaː⸣ru ⸢gandaragoːjaːja ʔat⸣ta] (西花家<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{入里屋}{イザテー}>の西にガンダラゴー小屋はあった) 4194 0 0 4751 htmvoc_4194.wav カンダンイシ ⸢カンダン⸣イシ [⸢kandaŋ⸣ʔiʃi] 名 かずらいし(葛石)の一種。軒下に置き、それを踏んで縁側に登ったり、履物を並べておく石。軒下の犬走りの縁取りに並べ、雨垂れの落ちるのを受ける石。山石や砂岩を削って利用した。家の南面の軒下に設置していた。 ⸣アッパー ウ⸢ブヤー⸣ヌ ⸢カンダン⸣イシナー ビ⸢リティ⸣ ティダ ヌ⸢ク⸣ミ ⸢オーッ⸣タ [⸣ʔappaː ʔu⸢bujaː⸣nu ⸢kandaŋ⸣ʔiʃinaː bi⸢riti⸣ tida nu⸢ku⸣mi ⸢ʔoːt⸣ta] (お婆さんは、母屋のかずら石に腰掛けて<座って>日向ぼっこをしておられた<太陽に当って温まっておられた>)。 ⸢カンダン⸣イシナー フ⸢ミムノー⸣ ナ⸢ラビ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢kandaŋ⸣ʔiʃinaː ɸu⸢mimunoː⸣ na⸢rabi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (縁側の踏み石に履物を並べておけ)。 ヤ⸢ドゥ⸣フチェーラ ク⸢ルビ⸣ウティティ ⸢カンダン⸣イシナ ス⸢ブ⸣ル バ⸢リ⸣シケー [ja⸢du⸣ɸu̥ʧeːra ku⸢rubi⸣ʔutiti ⸢kandaŋ⸣ʔiʃina su⸢bu⸣ru ba⸢ri⸣ʃi̥keː] (縁側<戸口>から転び落ちて、縁石に頭を打ってある) 4973 0 0 4752 htmvoc_4973.wav カンダンドー ⸢カンダン⸣ドー [⸢kandan⸣doː] 固 (地)観音堂。老年層は⸢カンナン⸣ドー[⸢kannan⸣doː](観音堂)というのが普通。石垣市西方の富崎(ふさき)にある拝所。航海安全、大漁祈願をするところ。カ⸢ツシンヌ⸣ ス⸢ビニガイ[ka⸢ʦuʃinnu⸣ su⸢binigai](カツオ漁船の大漁祈願と感謝の祈願{EOS}⸢首尾願」の義)が行われるところ。 カ⸢ツシンヌ ナー⸣ン ⸢ナッ⸣ター マ⸢ナ⸣マー ⸢カンダン⸣ドー ウ⸢ガ⸣ム プ⸢スン⸣ ブ⸢ラーン⸣ナー [kḁ⸢ʦuʃinnu naː⸣n ⸢nat⸣taː ma⸢na⸣maː ⸢kandan⸣doː ʔu⸢ga⸣mu pu̥⸢sum⸣ bu⸢raːn⸣naː] (カツオ漁船<カツオ漁業>がなくなったので、今では観音堂のお宮<御願>を拝む人もいないねえ) 4977 0 0 4753 htmvoc_4977.wav カンチガイ ⸢カン⸣チガイ [⸢kan⸣ʧigai] 名 勘違い。考え違い。 ウ⸢レー⸣ バー ⸢カン⸣チガイ ヤ⸢レー⸣バ ⸢マー プス⸣ケン パ⸢ナシアー⸣シ ⸣ミラ [ʔu⸢reː⸣ baː ⸢kan⸣ʧigai ja⸢reː⸣ba ⸢maː pu̥su⸣kem pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi ⸣mira] (それは私の勘違い<誤解>であったから、もう一度話し合ってみようよ) 4978 0 0 4754 htmvoc_4978.wav カンチョー ⸢カン⸣チョー [⸢kan⸣ʧoː] 名 かんちょう(浣腸)すること。標準語からの借用語。戦後から使用されるようになった。 シ⸢ビコー⸣リティ ⸣ッス マ⸢リユーサン⸣ベーティ ⸢カン⸣チョー シ⸢ミルタ [ʃi⸢bikoː⸣riti ⸣ssu ma⸢rijuːsam⸣beːti ⸢kan⸣ʧoː ʃi⸢miruta] (便秘して排便できないので浣腸させた) 4988 0 0 4755 htmvoc_4988.wav カンツァーアサビ ⸢カン⸣ツァーアサビ [⸢kan⸣ʦaːʔasabi] 名 昔は司やティジリビ達がユーニンガイの後に神歌を習い覚えるためにヨーカヤー(西原家)に集まって神歌の練習をされたという神遊び。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ユーニンガイヌ⸣ アトゥナー ⸢カン⸣プスンケーヤー ⸢ヨー⸣カヤーナーティ ⸢カン⸣ツァーアサビ ⸢ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢juːniŋgainu⸣ ʔatunaː ⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢joː⸣kajaːnaːti ⸢kan⸣ʦaːʔasabi ⸢soːt⸣taʦoː] (昔はユーニンガイの後に神職者<司・ティジリビー>達はヨーカヤー<西原家>で神歌を習い覚える「神遊び」をされたそうだ) 4971 0 0 4756 htmvoc_4971.wav カンツァースン ⸢カンツァー⸣スン [⸢kanʦaː⸣suŋ] 他動 噛み散らす。散散に噛み砕く。「噛み散らす」の義。「~ツァースン」(~散らす)は動詞の連用形に下接して動作を強調し、「散散に~する」意を添える。 ⸣アイニ ⸢カンツァーサン⸣ドーシ カ⸢シーカシー⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣ʔaini ⸢kanʦaːsan⸣doːʃi ka⸢ʃiːkaʃiː⸣ f⸢fai⸣ba] (あんなに噛み散らさないで、ちゃんとしっかり食べなさいよ)。 ⸢ワー カンツァー⸣シ ッ⸢ふー⸣カー カ⸢リン カンツァー⸣スン⸢ダー [⸢waː kanʦaː⸣ʃi f⸢fuː⸣kaː ka⸢riŋ kanʦaː⸣sun⸢daː] (君が噛み散らして食べると、彼も噛み散らすよ)。 ⸢アッ⸣タル ⸣ムヌバ ⸢カンツァー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔat⸣taru ⸣munuba ⸢kanʦaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (惜しむべき<勿体無い>ものを噛み散らすことはいけない)。 ⸢カンツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢kanʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (噛み散らしたらいいのに)。 ⸣カイブ ⸣ムノー ⸢カンツァー⸣シ [⸣kaibu ⸣munoː ⸢kanʦaː⸣ʃi] (こんな物は噛み散らせ) 4979 0 0 4757 htmvoc_4979.wav カンティー ⸢-カンティー [⸢-kantiː] 接尾 ~かねること。~できないこと。~することがむずかしい。動詞の連用形について、不可能、困難、躊躇などの意を表す。「~流るる涙 等騰未可祢都母<~トドミカネツモ>『万葉集 4160』」の義。 ⸢グッ⸣ふァティ ム⸢ティカン⸣ティー ⸢シーベー [⸢guf⸣fati mu⸢tikan⸣tiː ⸢ʃiːbeː] (重いので持ちかねて<持つことが出来ないで>いる)。 ⸢パンタ⸣サティ パ⸢リカン⸣ティー ⸢シーベー [⸢panta⸣sati pa⸢rikan⸣tiː ⸢ʃiːbeː] (忙しいので行きかねて<行くことが出来ないで>いる)。 マ⸢ティカン⸣ティ [ma⸢tikan⸣ti] (待ちかねて)。 ⸢シーカンティ [⸢ʃiːkanti] (しかねる)。 ア⸢ラキカン⸣ティ [ʔa⸢rakikan⸣ti] (歩きかねる)。 バ⸢カリカン⸣ティ [ba⸢karikan⸣ti] (別れかねて)。 ウ⸢キカン⸣ティ [ʔu⸢kikan⸣ti] (起きかねる) 4994 0 0 4758 htmvoc_4994.wav カンドー ⸣カンドー [⸣kandoː] 名 (地)鳩間島の中岡の北西部、タチバル[tḁ⸢ʧi⸣baru](立原)の東側の地名。 ⸣ウブシケーヌ ⸣カンドーヌ パ⸢タ⸣キナー ⸢ウン⸣バ イ⸢ビティ ミーラシ⸣ シケー [⸣ʔubuʃi̥keːnu ⸣kandoːnu pḁ⸢ta⸣kinaː ⸢ʔum⸣ba ʔi⸢biti miːraʃi⸣ ʃi̥keː] (大城家のカンドーの畑に芋を植えて稔らせて<実入らせて>おいてある) 4995 0 0 4759 htmvoc_4995.wav ガンドーヌキル ⸢ガンドーヌキル [⸢gandoːnukiru] 名 横引き鋸(のこぎり)。もくめ(木理)と直角にきる鋸。普通は薪を伐る際に用いる。 ⸢ガンドーヌキル⸣シ ⸢キー⸣バ ⸣キシティル タ⸢ム⸣ノー バ⸢ルタ [⸢gandoːnukiru⸣ʃi ⸢kiː⸣ba ⸣ki̥ʃitiru ta⸢mu⸣noː ba⸢ruta] (ガンドー鋸で木を切って薪は割った) 4996 0 0 4760 htmvoc_4996.wav ガンドーリムヌ ⸢ガンドーリ⸣ムヌ [⸢gandoːri⸣munu] 名 元気のない者。覇氣のない者。気力のない者。⸢ガンドー⸣ラー[⸢gandoː⸣raː](元気のない奴)は卑語。 ヌー⸢スンティル⸣ アイニ ⸢ガンドーリ⸣ムヌ ⸣ナレーティ ⸢アーク⸣ワ [nuː⸢suntiru⸣ ʔaini ⸢gandoːri⸣munu ⸣nareːti ⸢ʔaːku⸣wa] (どうしてあんなに元気のない者になっている<あるく{EOS}~している>のか) 4997 0 0 4761 htmvoc_4997.wav ガンドールン ⸢ガンドー⸣ルン [⸢gandoː⸣ruŋ] 自動 元気がなくなる。落胆する。悄然とする。気落ちして沈む。しおれる。しょんぼりする。ぐったり力を落とす。 ⸣ヌンティ ⸢ガンドー⸣レーティ ⸢アーク⸣ワ [⸣nunti ⸢gandoː⸣reːti ⸢ʔaːku⸣wa] (どうして気落ちしているのか)。 ノー⸢ンティ⸣ イ⸢ゾーラ⸣バン ⸢ガンドーラン⸣ドーシ ⸢シーッ⸣パイ シ⸢グトゥ シー⸣ヨー [noː⸢nti⸣ ʔi⸢ʣoːra⸣baŋ ⸢gandoːran⸣doːʃi ⸢ʃiːp⸣pai ʃi⸢gutu ʃiː⸣joː] (なんとお叱りになられても、しょんぼり気落ち<落胆>しないで精一杯仕事をしなさい<せ>よ)。 イ⸢ザリ⸣カー ター⸢ン ガンドー⸣ルンティル ウ⸢モー⸣リ [ʔi⸢ʣari⸣kaː taː⸢ŋ gandoː⸣runtiru ʔu⸢moː⸣ri] (叱られたら誰でもしおれると思われる)。 イ⸢ザリター ガンドー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʣaritaː gandoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (叱られたのでしおれて気落ちしてしまった)。 ⸢ガンドー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢gandoː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (気落ちすることはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ガンドー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢gandoː⸣reː ⸣misamunu] (もっと気落ちすれば良いのに) 4990 0 0 4762 htmvoc_4990.wav カンドゥ ⸢カン⸣ドゥ [⸢kan⸣du] 名 寒露。太陽暦の十月八日ごろ。 ⸢カンドゥ⸣ヌ ⸣シチ イ⸢レー⸣チバ ⸢ナーッ⸣ス ス⸢クラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kandu⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ʔi⸢reː⸣ʧiba ⸢naːs⸣su su̥⸢kuraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (寒露の季節に入ったから苗代を作らないといけない) 4894 0 0 4763 htmvoc_4894.wav カントゥブン ⸣カン トゥ⸢ブン [⸣kan tu⸢buŋ] 連 失念する。記憶を失う。ぼける。耄碌する。「勘飛ぶ」の義。 ⸢ウイ⸣プス ⸣ナルカー ター⸢ン⸣ カントゥ⸢ブン [⸢ʔui⸣pu̥su ⸣narukaː taː⸢ŋ⸣ kan tu⸢buŋ] (老人になると誰でも耄碌する<勘が飛ぶ>)。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸣カン トゥ⸢ビティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ムインザサラ⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ⸣kan tu⸢biti⸣ mut⸢tu⸣ ʔu⸢muiʔnʣasara⸣nu] (年を取ったので記憶力を失って<勘が飛んで>、ちっとも思い出されない)。⸣カン ⸢トー⸣ルン[⸣kan ⸢toː⸣ruŋ](勘倒れる)ともいう。 ⸣トゥシ トゥ⸢ローッ⸣ター カン トゥ⸢ビティ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ シラン ⸢バシゥコー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢roːt⸣taː ⸣kan tu⸢biti⸣ f⸢fanu⸣ ʃiram ⸢basu̥koː⸣ri ⸢naː⸣nu] (年をとられたので、耄碌して子供の顔も忘れてしまわれた) 4991 0 0 4764 htmvoc_4991.wav カンドゥヤブリ ⸢カンドゥヤブ⸣リ [⸢kandujabu⸣ri] 名 寒露の季節に時化ること。「寒露破れ」の転訛したもの。晩秋から初冬の間に吹き荒れる季節風。 ⸢カンドゥヤブ⸣レー ⸢アッ⸣タニ ニ⸢シクベーラ⸣ ウティクーンダ ナ⸢クラーン⸣ダー [⸢kandujabu⸣reː ⸢ʔat⸣tani ni⸢ʃikubeːra⸣ ʔutikuːnda na⸢kuraːn⸣daː] (寒露の時化は急に北壁から吹き降ろして<落ちて>くるから怖いよ) 4992 0 0 4765 htmvoc_4992.wav カントゥルン ⸢カン⸣トゥルン [⸢kan⸣turuŋ] 他動 感じとる。感得する。気付く。「勘取る」の義。 ⸢ティーヨー⸣ ピ⸢サ⸣ヨー ⸢シー⸣ ミ⸢シルン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ カントゥリユーサン⸣バン [⸢tiːjoː⸣ pi̥⸢sa⸣joː ⸢ʃiː⸣ mi⸢ʃirun⸣du mut⸢tu kanturijuːsam⸣baŋ] (手まね足まねして見せるのだが、相手はちっとも理解することが<感じ取ることが>出来ないよ)。 ⸢カントゥララ⸣ヌ [⸢kanturara⸣nu] (理解できない{EOS}感得出来ない)。 ⸢カン⸣トゥル プ⸢ソー カン⸣トゥルンツォー [⸢kan⸣turu pu̥⸢soː kan⸣turunʦoː] (気付く人は気付くそうだ)。 ⸢カン⸣トゥレー ⸣ミサムヌ [⸢kan⸣tureː ⸣misamaunu] (気付けばよいのに)。 ⸢パイ⸣サ ⸢カン⸣トゥリ [⸢pai⸣sa ⸢kan⸣turi] (早く感じ取れ<気付けよ>) 4993 0 0 4766 htmvoc_4993.wav カントゥンガー ⸢カントゥン⸣ガー [⸢kantuŋ⸣gaː] 名 神罰。⸢神科」の義。聖域、神域を穢したり、神職を穢したりすると神罰を受けるといわれている。ウガン(お願)の樹木を伐ったり、乗馬して鳩間島の道路を進んだり、勝手に神職を継承したり、辞めたりすると⸢カントゥン⸣ガー(神罰)を受けるといわれている。 ⸣ドゥーカッティシ サ⸢カサ ソー⸣ルカー ⸢カントゥン⸣ガー ア⸢ティラリン⸣ティ⸢ダー [⸣duːkattiʃi sḁ⸢kasa soː⸣rukaː ⸢kantuŋ⸣gaː ʔa⸢tirarin⸣ti⸢daː] (自分勝手に司の神職を勤められると神罰を当てられるそうだよ)。 ウ⸢ガン⸣ヌ ⸣キー ⸣キスカー ⸢カントゥン⸣ガー ア⸢ティラリン⸣ダー [ʔu⸢gan⸣nu ⸣kiː ⸣ki̥sukaː ⸢kantuŋ⸣gaː ʔa⸢tirarin⸣daː] (御嶽の木を切ると神罰<神科>を受ける<当てられる>ぞ)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン ⸢バン⸣ター ミ⸢ツァール⸣シ ⸢ウガン⸣ヌ ⸢マーニ⸣バ ⸣キシティ ⸢ケンバ⸣ ス⸢ク⸣リ ア⸢サビベー⸣ティ ミ⸢ツァールヌ⸣ ウ⸢ヤッ⸣ふァー ⸢フー⸣カラジナシ フ⸢バラリティ カンヌ⸣マイ ウ⸢ヤミ⸣サ ッ⸢サリ ニン⸣ガイ シ⸢テイル カントゥン⸣ガー ⸢ヌンガー⸣レータティ⸢ダー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kem ⸢ban⸣taː mi⸢ʦaːru⸣ʃi ʔu⸢gan⸣nu ⸢maːni⸣ba ⸣ki̥ʃiti ⸢kemba⸣ su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢sabibeː⸣ti mi⸢ʦaːrunu⸣ ʔu⸢jaf⸣faː ⸢ɸuː⸣karaʤinaʃi ɸu⸢barariti kannu⸣mai ʔu⸢jami⸣sa s⸢sari niŋ⸣gai ʃi̥⸢tiru kantuŋ⸣gaː ⸢nuŋgaː⸣reːtati⸢daː] (子供の頃、私たち三人で御嶽のマーニを切って剣を作って遊んでいたので、三人の親子は棕櫚縄で縛られて、神様にお詫びを申し上げ、お許し願いの祈願をして<ぞ>神罰は免れたそうだ) 4998 0 0 4767 htmvoc_4998.wav カンナール ⸢カンナー⸣ル [⸢kannaː⸣ru] 名 雷。「襲芳舎、加美奈利乃豆保(かみなりのつほ)『和名抄』」の転訛。 ⸢カンナール⸣ヌ ⸢ナール⸣カー ム⸢カ⸣シプソー ⸢クヮー⸣ヌ ⸣シチャ ⸢クヮー⸣ヌ ⸣シチャティ ア⸢ゾーッ⸣タツォー [⸢kannaːru⸣nu ⸢naːru⸣kaː mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢kwaː⸣nuʃi̥ʧa ⸢kwaː⸣nuʃi̥ʧati ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (雷が鳴ると昔の人は桑の下、桑の下といわれたそうだ)。 ⸢カンナー⸣ロー イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢クラー⸣タン [⸢kannaː⸣roː ʔik⸢kena⸣ na⸢kuraː⸣taŋ] (雷は非常に怖かった) 5000 0 0 4768 htmvoc_5000.wav カンニガイ ⸢カン⸣ニガイ [⸢kan⸣nigai] 名 神への祈願。祈願。「神願い」の義。 イ⸢クサ⸣ユーナーン ⸢クーシューヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣バ パ⸢カ⸣レーティ ⸢カンニン⸣ガイ ⸢スンティ カン⸣プスンケーヤ パ⸢トゥ⸣マー ⸢オーッ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢kusa⸣juːnaːŋ ⸢kuːʃuːnu⸣ ma⸢du⸣ba pḁ⸢ka⸣reːti ⸢kanniŋ⸣gai ⸢sunti kam⸣pu̥suŋkeːja pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔoːt⸣ta⸢daː] (戦争中にも空襲の合い間をぬって<見計らって>神願いをしようと神職者<司や手摺部>たちは鳩間島へ渡られた<行かれた>よ) 4943 0 0 4769 htmvoc_4943.wav カンヌクー ⸢カン⸣ヌ ⸣クー [⸢kan⸣nu ⸣kuː] 連 神司の交替の儀式を行う際に使う米の粉。交替の儀式を行う家の庭に、⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](トウヅルモドキ)を⸣カンヤマ[⸣kaŋjama](御嶽{EOS}<神の山>)より採取してきて、注連縄も張り巡らす。祈願をしている間にシ⸢ル[ʃi⸢ru](代{EOS}注連縄の中)で屈強の男が米粉を搗いて神に供え、それを参会者に配る 5001 0 0 4770 htmvoc_5001.wav カンヌクムル ⸢カン⸣ヌ ク⸢ム⸣ル [⸢kan⸣nu ku⸢mu⸣ru] 連 堰の川上にある池(\ruby{水籠}{ミズ|コモリ})。谷間にできた自然の小池。水深1~2メートル程度の池が多い。保水力が弱く、旱魃が続くと干上がることがある。 ⸢カン⸣ヌ ク⸢ムル⸣ヌ ミ⸢ジヌ⸣ ピ⸢シ⸣ルンケン ⸢ペーレー スー⸣ ピンヌン ⸢アッ⸣タン [⸢kan⸣nu ku⸢muru⸣nu mi⸢ʣinu⸣ pi̥⸢ʃi⸣ruŋkem ⸢peːreː suː⸣ pinnuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (川上の池の水が干上がるほど旱魃することもあった) 5002 0 0 4771 htmvoc_5002.wav カンヌシ ⸢カン⸣ヌシ [⸢kan⸣nuʃi] 名 神主。御嶽の管理をしたり、朔日十五日の祈願をする司やティジリビ。 ピ⸢ナイウガン⸣ヌ ⸢カン⸣ヌシェー パ⸢ナシケヌ⸣ イガンマトゥ カ⸢ザケヌ⸣ ウスマイル ⸢シーオーッ⸣タ [pi⸢naiʔugan⸣nu ⸢kan⸣nuʃeː pa⸢naʃikenu⸣ ʔigammatu ka⸢ʣakenu⸣ ʔusumairu ⸢ʃiːʔoːt⸣ta] (ピナイ御嶽の神主は花城家のイガお母さん<司>と加治工家の伊佐ウスマイ<手摺部>が努めておられた<しておられた>) 5003 0 0 4772 htmvoc_5003.wav カンヌッふァ ⸢カンヌ⸣ッふァ [⸢kannu⸣ffa] 名 神に仕える女性。サ⸢カサ[sa⸢kasa](司)やバ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa](脇司{EOS}司の補佐職)のこと。 ⸢カンヌッふァ⸣ヌ マ⸢ロー⸣レーンツォー [⸢kannuffa⸣nu ma⸢roː⸣reːnʦoː] (神女<司>が誕生されたそうだ) 5004 0 0 4773 htmvoc_5004.wav カンヌマイ ⸢カンヌ⸣マイ [⸢kannu⸣mai] 名 神様。「神の御前」の義。⸣-マイ[⸣-mai](~様<御前>)は接尾語。 ⸢カンヌマイ⸣ヤー ミシゥ⸢カーマ⸣シル ⸢オー⸣ル⸢ダー [⸢kannumai⸣jaː misï̥⸢kaːma⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru⸢daː] (神様はいつも<\ruby{密}{ミソカ}に{EOS}こっさりと>見守っておられるのだよ) 5005 0 0 4774 htmvoc_5005.wav カンヌミチ ⸢カン⸣ヌ ⸣ミチ [⸢kan⸣nu ⸣miʧi] 連 「神の道」の義。伝承によると、フ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](船原浜)から⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)へ通ずる道は神の古道で、村建ての際に神々が通られた道だという(鳩間真吉氏伝承)。また、⸢ウイヌ⸣ウガンから⸢ヨー⸣カヤー[⸢joː⸣kajaː](西原家)の東庭のビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](東庭の聖域)へ通じる⸢カン⸣ヌ ⸣ミチ[⸢kan⸣nu ⸣miʧi](神の道)があって、戦前までは、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](手摩り部{EOS}男性神職者)の⸢カン⸣プス[⸢kam⸣pu̥su](神人{EOS}神職者)たちが、そこを通って西原家に集まり、⸢カンアサ⸣ビ[⸢kaŋʔasa⸣bi](神遊び)をされ、神歌の練習をされたという。 フ⸢ナ⸣バローラ ⸢ウイヌ⸣ウガン ⸢バー⸣ケー ⸢カン⸣ヌ ⸣ミチヌ アンティ⸢ダー [ɸu⸢na⸣baroːra ⸢ʔuinu⸣ʔugam ⸢baː⸣keː ⸢kan⸣nu ⸣miʧinu ʔanti⸢daː] (船原浜から友利御嶽までは神の古道があるそうだよ) 5006 0 0 4775 htmvoc_5006.wav カンヌユー ⸢カン⸣ヌ ⸣ユー [⸢kan⸣nu ⸣juː] 連 神の世。神代。太古。豊穣で平和な不老長寿の理想郷として憧れた神の御世。 ミ⸢ルクユー カン⸣ヌユーバ タ⸢ボーラ⸣リ ウ⸢ヤ⸣キパンジョー ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [mi⸢rukujuː kan⸣nu ⸣juːba ta⸢boːra⸣ri ʔu⸢ja⸣kipanʤoː ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (弥勒の世、神の世を賜って富貴繁盛をあらしめて下さい) 5007 0 0 4776 htmvoc_5007.wav カンネ ⸢カン⸣ネ [⸢kan⸣ne] 連 あの家。⸢ウン⸣ネ[⸢ʔun⸣ne](その家)、⸢クン⸣ネ[⸢kun⸣ne](此の家)と対立する。 ⸢クン⸣ネーヤ ⸢カン⸣ネーラヌ バ⸢カ⸣リミー [⸢kun⸣neːja ⸢kan⸣neːranu ba⸢ka⸣rimiː] (此の家はあの家からの分家<別れ>でしょう?) 5009 0 0 4777 htmvoc_5009.wav ガンパジ ⸢ガン⸣パジ [⸢gam⸣paʤi] 名 がんはすし(願外し)。老年層は⸢グヮン⸣パジ[⸢gwam⸣paʤi]という。生前に神様に感謝の祈願をしていない者や神職の隠居願いをしてないで死去した場合、死者に代わって願外し(隠居願い)の祈願をすること。 ⸢マーラソーッ⸣タ プ⸢スヌ ガン⸣パジ ⸢シーオースンティ ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [⸢maːrasoːt⸣ta pu̥⸢sunu gam⸣paʤi ⸢ʃiːʔoːsunti niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (亡くなられた人の願外しの祈願<願解きの祈願>をして差し上げようとして祈願をされた) 5011 0 0 4778 htmvoc_5011.wav カンパチ ⸢カンパチ [⸢kampaʧi] 名 はげ(禿げ)。頭の傷跡にできる赤く光る皮膚。沖縄本島方言からの借用語。伝統的な鳩間方言では、ピ⸢ジ⸣ル[pi⸢ʤi⸣ru](頭の禿げ)という。 ⸢キーヌ パン⸣ターラ ⸣ウティティ ス⸢ブ⸣ル ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケータンドゥ キ⸢ジヌ ウイル⸣ター ⸢カンパチ⸣ ナリ⸢ベー [⸢kiː nupan⸣taːra ⸣ʔutiti su⸢bu⸣ru ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːtandu ki⸢ʤinu ʔuiru⸣taː ⸢kampaʧi⸣ nari⸢beː] (木の枝の先から落ちて頭を痛めてあったが傷が治ったので傷跡がカンパチになっている) 5012 0 0 4779 htmvoc_5012.wav カンバチェーヨーンナー ⸢カン⸣バチェー ⸢ヨーンナー [⸢kam⸣baʧeː ⸢joːnnaː] 連 ⸢カン⸣バチェー ⸢ヨーンナー⸣ティル ア⸢ザリ ブー⸣ダー [⸢kam⸣baʧeː ⸢joːnnaː⸣tiru ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (神罰はゆっくり来ると言われているよ<諺>) 4944 0 0 4780 htmvoc_4944.wav カンバヤーン ⸢カンバヤー⸣ン [⸢kambajaː⸣ŋ] 形 感じ方が早い。理解が早い。勘が鋭い。直観力がある。 ⸢カンバヤー⸣ティ プ⸢スム⸣シ ナ⸢ラー⸣スカー シ⸢グ カントゥリ⸣ス [⸢kampajaː⸣ti pu̥⸢sumu⸣ʃi na⸢raː⸣sukaː ʃi⸢gu kanturi⸣su] (勘が鋭いので、一度教えたらすぐ会得する<感得する>)。 イッ⸢ケナ カンバヤー⸣ン [ʔik⸢kena kambajaː⸣ŋ] (非常に理解が早い)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢カンバ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢kambaja⸣ː ⸢naː⸣nu] (それほど理解が早くない)。 ⸢シンダイ カンバヤー⸣ ナリケーン [⸢ʃindai kambajaː⸣ narikeːŋ] (次第に勘が鋭く<理解が早く>なってきた)。 ⸣カイニ ⸢カンバヤー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣kaini ⸢kambajaː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (こんなに勘の鋭い<理解の早い>人はいない) 5010 0 0 4781 htmvoc_5010.wav カンパヤーン ⸢カンパヤー⸣ン [⸢kampajaː⸣ŋ] 形 感じ方が早い。理解が早い。敏感である。「勘早い」の義。 ⸢ピー⸣チ ⸣アジ シゥ⸢カス⸣カー ⸢トゥーヤ⸣ バ⸢カ⸣ルスコー ⸢カンパヤー⸣ン [⸢piː⸣ʧi ⸣ʔaʤi sï̥⸢kasu⸣kaː ⸢tuːja⸣ ba⸢ka⸣rusu̥koː ⸢kampajaː⸣ŋ] (一つ言って教えたら<聞かせたら>、十は分かるほど理解が早い<勘が早い>) 5013 0 0 4782 htmvoc_5013.wav ガンパラ ⸢ガンパラ [⸢gampara] 名 岩だらけのところ。 タ⸢チバル⸣ヌ ス⸢ムスコー ガンパラ⸣ ナリティ パ⸢タ⸣キ ス⸢クララ⸣ヌ [tḁ⸢ʧibaru⸣nu su⸢musukoː gampara⸣ nariti pḁ⸢ta⸣ki su̥⸢kurara⸣nu] (立原の最北端<下底>は岩だらけになっていて畑は作られない) 4601 0 0 4783 htmvoc_4601.wav ガンパラミチ ⸢ガンパラミチ [⸢gamparamiʧi] 名 石ころ道。石だらけの道。石のでこぼこ道。 ⸢ガンパラミチェーラ⸣ パリ ⸢クー⸣ナ⸢ダー⸣ ク⸢ルベーラ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー [⸢gamparamiʧeːra⸣ pari ⸢kuː⸣na⸢daː⸣ ku⸢rubeːra⸣ duː ja⸢ma⸣sun⸢daː] (石ころ道を走って来るなよ{EOS}転んだら怪我するよ<胴を病ますよ>)。 ⸢ニーシキイシ⸣ヌ ⸣アル ミ⸢チ⸣バ ⸢ガンパラミチ⸣ティ ア⸢ズ⸣ミー [⸢niːʃi̥kiʔiʃi⸣nu ⸣ʔaru mi⸢ʧi⸣ba ⸢gamparamiʧi⸣ti ʔa⸢ʣu⸣miː] (根付き石<地中に深く根ざした岩や石>のある道を岩だらけの道<岩原道>という) 5015 0 0 4784 htmvoc_5015.wav ガンバリ ⸢ガン⸣バリ [⸢gam⸣bari] 名 いたずら(悪戯)。⸢ガン⸣マリ[⸢gam⸣mari](悪戯)ともいう。 ⸢ガン⸣バリ ⸢スン [⸢gam⸣bari ⸢suŋ] (悪戯<を>する)。 ⸢ミー⸣ヌ ⸢ガン⸣バレー サ⸢バン ティー⸣ヌ ⸢ガン⸣バレー ス⸢ナ [⸢miː⸣nu ⸢gam⸣bareː sa⸢ban tiː⸣nu ⸢gam⸣bareː su⸢na] (見るだけの悪戯はしてもよいが、手を出しての悪戯はするな<諺>) 5019 0 0 4785 htmvoc_5019.wav カンピュー ⸢カン⸣ピュー [⸢kam⸣pjuː] 名 干し大根。切干大根。「干瓢」の義。干瓢が意味変化して切干大根の意となったもの。 ⸢カンピュー⸣ヤ イ⸢サナケーラル カイクータ⸣ル [⸢kampjuː⸣ja ʔi⸢sanakeːraru kaikuːta⸣ru] (カンピョーは石垣島から買ってきたものだ) 5020 0 0 4786 htmvoc_5020.wav カンピュール ⸢カンピュー⸣ル [⸢kampjuː⸣ru] 名 神日和。神事をとり行うのに選定された日。旧暦の七月は神事を執り行ってはならないといわれていた。ミ⸢ジニー[mi⸢ʤiniː](壬、癸)に神行事が執り行われることが普通であった。 ⸢カンピュー⸣ロー ミ⸢ジニーナー⸣ル トゥ⸢ローッ⸣タ [⸢kampjuː⸣roː mi⸢ʤiniːnaː⸣ru tu⸢roːt⸣ta] (神行事の日和は壬、癸の日に取られた) 5022 0 0 4787 htmvoc_5022.wav カンビョー ⸢カン⸣ビョー [⸢kam⸣bjoː] 名 看病。標準語からの借用語。伝統方言では⸢トゥンザ⸣ク[⸢tunʣa⸣ku](看病{EOS}「頓着」の転訛したものか)という。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢カン⸣ビョー ⸢シェー⸣ティ ヤー⸢ディン ヤン⸣マー ⸢ノー⸣シ⸢ヨー [ʔu⸢ja⸣nu ⸢kam⸣bjoː ⸢ʃeː⸣ti jaː⸢diɲ jam⸣maː ⸢noː⸣ʃi⸢joː] (親の看病をしながら必ず病気は治せよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢カンビョー⸣ル イッ⸢チン⸣ フ⸢チ⸣ル [ja⸢ra⸣beː ⸢kambjoː⸣ru ʔit⸢ʧiŋ⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru] (子供は看病が一番の薬だ) 5023 0 0 4788 htmvoc_5023.wav カンビョーブガリ ⸢カンビョーブガ⸣リ [⸢kambjoːbuga⸣ri] 名 看病疲れ。 ⸢カンビョーブガ⸣リ ⸢シール⸣ アイニ ⸢ヨーガリ アー⸣ク [⸢kambjoːbuga⸣ri ⸢ʃiːru⸣ ʔaini ⸢joːgari ʔaː⸣ku] (看病疲れをしてあんなに痩せているのだ) 5021 0 0 4789 htmvoc_5021.wav カンピラ ⸣カンピラ [⸣kampira] 名 (地)浦内川上流のカンピラ滝のある地名。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢ラッチガーラ⸣ヌ ⸣カンピラ⸢バー⸣キ ⸣パル プ⸢ソー ナン⸣ゾー ブ⸢ラーンシェン [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢ratʧigaːra⸣nu ⸣kampira⸢baː⸣ki ⸣paru pu̥⸢soː nan⸣ʣoː bu⸢raːŋeŋ] (昔は浦内川のカンピラまで行く人はあまりいなかった) 5017 0 0 4790 htmvoc_5017.wav カンビラキ ⸢カンビラ⸣キ [⸢kambira⸣ki] 名 司(巫女)が修習をおえて正式に就任すること。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](本御嶽{EOS}友利御嶽)において就任の祈願をし、家の床の神にも祈願をして⸢カン⸣ヨイ[⸢kaɲ⸣joi](就任の神祝い)をした。神職者が高齢になって引退する際には⸢インクニガイ[⸢ʔiŋkunigai](隠居願いの祈願)をし、神職者や村の幹部、親戚、隣人、友人を招待して感謝の宴をもった。 サ⸢カサヌ カンビラ⸣ケー イ⸢チ ソーッ⸣タカヤー [sḁ⸢kasanu kambira⸣keː ʔi⸢ʧi soːt⸣takajaː] (司の就任祈願はいつなさったのかねえ)。⸣ヤマ ダ⸢コー⸣ルン[⸣jama da⸢koː⸣ruŋ](御嶽を抱かれる)ともいう。 ⸢カンビラ⸣キ ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー イ⸢チバンザー⸣ヌ カ⸢ムイ⸣ナ ⸢クージ⸣バ ⸢ミーソーナ⸣ パ⸢リソーッ⸣タ [⸢kambira⸣ki ⸢soː⸣ru ⸣pimmaː ʔi⸢ʧibanʣaː⸣nu ka⸢mui⸣na ⸢kuːʤi⸣ba ⸢miːsoːna⸣ pa⸢risoːt⸣ta] (神司就任される時は一番座の鴨居にトーズルモドキを三重に張り巡らされた) 5018 0 0 4791 htmvoc_5018.wav カンビン ⸢カン⸣ビン [⸢kam⸣biŋ] 名 徳利。かんびん(燗壜)。 ⸢カン⸣ビン フ⸢タック⸣ナー サ⸢ケー⸣ イ⸢リティ⸣ ッ⸢ス⸣カビシ ⸣ザウ ス⸢ク⸣リ ⸣ッシティ ⸢ジン⸣ナー パ⸢ナングミ⸣トゥ サ⸢カシキバ⸣ シキティ マ⸢チ⸣バ [⸢kam⸣biŋ ɸu̥⸢takku⸣naː sḁ⸢keː⸣ ʔi⸢riti⸣ s⸢su⸣kabiʃi ⸣ʣau su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃʃiti ⸢ʤin⸣naː pa⸢naŋgumi⸣tu sḁ⸢kaʃi̥kiba⸣ ʃi̥kiti ma⸢ʧi⸣ba] (燗壜二個に酒を入れて白紙で栓を作って挿して、お膳には花米と杯とを置いて供えなさい) 5025 0 0 4792 htmvoc_5025.wav カンプー ⸢カン⸣プー [⸢kam⸣puː] 名 沖縄女性の伝統的髪型。 ム⸢カ⸣シェー ⸣アッパター ムー⸢ル カン⸣プー ⸢ユイル オーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔappataː muː⸢ru kam⸣puː ⸢juiru ʔoːt⸣ta] (昔は、お婆さんたちは皆カンプーを結っておられた) 5026 0 0 4793 カンプー ⸢カンプー [⸢kampuː] 名 船のみよし(舳)。和船の船首材。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸢アン⸣カージナー ⸢カンプー⸣ナ フ⸢バリ⸣ シキ [ɸu⸢ni⸣nu ⸢ʔaŋ⸣kaːʤinaː ⸢kampuː⸣na ɸu⸢bari⸣ ʃi̥ki] (船の綱<アンカー綱>はみよし<舳>に縛って<\ruby{括}{クビ}って>おきなさい) 5016 0 0 4794 htmvoc_5016.wav カンプス ⸢カン⸣プス [⸢kam⸣pu̥su] 名 神に仕える人。神職者。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}巫女)やティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性神職者{EOS}手摺部)をいう。特にティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʣiri⸣biː](手擦り部)に対して、⸢⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽)の維持管理をする男性神職者」の意味で指すことがある。「神人」の義。 ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸢ニン⸣ガイ ⸣ニンガイヌ ⸣アトー ⸢カンプス⸣ヌ ⸣ヤーナ ア⸢ツァ⸣マローリティ ⸢カンウタ⸣バ イ⸢ジ⸣ ニ⸢ガイ⸣フチ ウ⸢キトゥリ⸣シモーッタ [⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢niŋ⸣gai ⸣niŋgainu ⸣ʔatoː ⸢kampu̥su⸣nu ⸣jaːna ʔa⸢ʦa⸣maroːriti ⸢kaŋʔuta⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi ʔu⸢kituri⸣ʃimoːtta] (神職者たちは祈願祈願の後に神職者の家に集まられて神歌を歌い、祈願文<願い口>を伝授せしめられた) 5027 0 0 4795 htmvoc_5027.wav カンフチ ⸢カン⸣フチ [⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi] 名 祝詞。神への祈願の言葉。「神口<かみくち>」の義。⸢ニンガイ⸣フチ[⸢niŋgai⸣ɸu̥ʧi](願い口)、ニ⸢ガイ⸣フチ[ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi](願い口)ともいう。 バ⸢カー⸣ル サ⸢カサン⸣ケーヤ キ⸢ザルキザルヌ⸣ アトー ⸢カン⸣フチ ⸢ニンガイ⸣フチ ウ⸢キ⸣トゥルンティ ⸢ウイヌ⸣ サ⸢カサン⸣ケーラ ⸣ナライ ⸢オーッ⸣タ⸢ダー [ba⸢kaː⸣ru sḁ⸢kasaŋ⸣keːja ki⸢ʣaru kiʣarunu⸣ ʔatoː ⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi ʔu⸢ki⸣turunti ⸢ʔuinu⸣ sḁ⸢kasaŋ⸣keːra ⸣narai ⸢ʔoːt⸣ta⸢daː] (若い司達は行事行事の後には祝詞、願い口<祈願の詞章{EOS}願文>を伝承しようと年上の司方から習っておられたよ) 5028 0 0 4796 htmvoc_5028.wav カンプトゥキ ⸢カンプトゥ⸣キ [⸢kamputu⸣ki] 名 神仏。鳩間島では、人が死んで三十三年忌を済ませると神になると信じられている。仏壇に祀られているが、⸣ウヤパープジ[⸣ʔujapaːpuʤi](祖先神{EOS}「親大母大父」の義)と称えられ、神として子孫を守護していると信じられている。 ウ⸢サンギソッコー シーオース⸣カー ウ⸢ヤ⸣プソー ⸢カンプトゥ⸣キ ナ⸢ロー⸣ルツォー [ʔu⸢saŋgisokkoː ʃiːʔoːsu⸣kaː ʔu⸢ja⸣pu̥soː ⸢kampu̥tu⸣ki na⸢roː⸣ruʦoː] (三十三年忌の<押し上げ焼香>法事をして差し上げると先祖たちは神仏になられるそうだ)。 ⸢カンプトゥ⸣キティン ⸢オーラン⸣ドゥ ⸢ブー⸣ユー ⸣ヌスンティ ⸣カイニ ク⸢チ⸣サカヤー [⸢kampu̥tu⸣kitiŋ ⸢ʔoːran⸣du ⸢buː⸣juː ⸣nuːsunti ⸣kaini ku̥⸢ʧi⸣sakajaː] (神仏とてもおられぬものでしょうか{EOS}何故にこうも苦しいのでしょう) 5030 0 0 4797 htmvoc_5030.wav カンブリ ⸢カン⸣ブリ [⸢kam⸣buri] 名 神がかりしたように気が狂れること。狂信すること。「神狂れ<かみふれ>」の義。 ⸢カン⸣ブレー ⸢シーティル⸣ ユ⸢タカイ シーマーリ⸣ ヤーン キ⸢ナイン⸣ イ⸢カシタティ ナー⸣ヌ [⸢kam⸣bureː ⸢ʃiːtiru⸣ ju⸢takai ʃiːmaːri⸣ jaːŋ ki⸢naiŋ⸣ ʔi⸢kaʃi̥tati naː⸣nu] (神がかりしたように気がふれて、ユタを買いまくって家庭も家族のことも忘れて顧みようとしない) 5031 0 0 4798 htmvoc_5031.wav ガンボーシ ⸣ガンボーシ [⸣gamboːʃi] 名 (植)雑草の名。畑に生える雑草で生命力が強く、除草しても次々に生えてくるので農民に嫌われる雑草である。幅5~8ミリ、高さ12~15センチの雑草。力草の茎に似ている。 パ⸢タ⸣キナー ⸣ガンボーシヌ ⸢ムイカバ⸣シティ ⸢ウン⸣マー ⸢ピッ⸣チン ⸢ミーランバン [pḁ⸢ta⸣kinaː ⸣gamboːʃinu ⸢muikaba⸣ʃi̥ti ⸢ʔum⸣maː ⸢pit⸣ʧim ⸢miːrambaŋ] (畑には雑草のガンボーシが一面に覆いかぶさるように繁茂して、芋はちっとも稔らないワイ) 5032 0 0 4799 htmvoc_5032.wav カンマキ ⸢カン⸣マキ [⸢kam⸣maki] 名 寒負け。寒冷のために植物の発育が弱ること。明治生まれの老年層は、ピ⸢ラ⸣クマキ[pi⸢ra⸣kumaki](寒冷負け)というのがふつうである。 ⸢カン⸣マキ シ⸢ティ⸣ ヤ⸢サイ⸣ヤー ムー⸢ル⸣ ガ⸢ギリナー⸣ヌ [⸢kam⸣maki ʃi̥⸢ti⸣ ja⸢sai⸣jaː muː⸢ru⸣ ga⸢girinaː⸣nu] (寒さのために<寒冷負けして>野菜は全部縮れて発育不良になってしまった) 5034 0 0 4800 htmvoc_5034.wav ガンマラー ⸢ガン⸣マラー [⸢gam⸣maraː] 名 悪戯っ子。⸢ガン⸣マリ[⸢gam⸣mari](悪戯)に、⸢~する人」の意味の接尾辞⸢ヤー[jaː]が付いて形成された語。相手に対し多少の卑下した気持ちを表す。 ウ⸢レー サッコー⸣ヌ ⸢ガン⸣マラー⸢ダー [ʔu⸢reː sakkoː⸣nu ⸢gam⸣maraː⸢daː] (あいつ<あれは>は\ruby{酷}{ヒドイ}い悪戯っ子だよ) 5036 0 0 4801 htmvoc_5036.wav ガンマラーン ⸢ガン⸣マラーン [⸢gam⸣maraːŋ] 形 よく悪戯する。悪戯っぽい。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー ⸢ガン⸣マラーン⸢ダ - [ku⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː ⸢gam⸣maraːn⸢daː] (この子は非常に悪戯っぽいよ)。 カ⸢リヌ⸣ スコー ⸢ガンマラー ナー⸣ヌ [ka⸢rinu⸣ su̥koː ⸢gammaraː naː⸣nu] (あの子ほど悪戯っぽくない)。 ⸢シンダイ ガン⸣マラー ナルン [⸢ʃindai gam⸣maraː ⸣naruŋ] (次第に悪戯っぽくなる)。 ⸣ドゥク ⸢ガン⸣マラーティ ⸢マーズンマー⸣ ア⸢サバラヌ [⸣duku ⸢gam⸣maraːti ⸢maːʣummaː⸣ ʔa⸢sabaranu] (あまりにも悪戯するので一緒には遊べない)。 ⸣アイニ ⸢ガン⸣マラー ッ⸢ふァー⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢gam⸣maraː f⸢faː⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (あんな悪戯っぽい子は見たことがない) 5033 0 0 4802 htmvoc_5033.wav ガンマリ ⸢ガン⸣マリ [⸢gam⸣mari] 名 いたずら(悪戯)。やんちゃ。⸢ガン⸣バリ[⸢gam⸣bari](悪戯)ともいう。 ⸢ミー⸣ヌ ⸢ガン⸣マレー サ⸢バン ティー⸣ヌ ⸢ガン⸣マレー ス⸢ナ [⸢miː⸣nu ⸢gam⸣mareː sa⸢ban tiː⸣nu ⸢gam⸣mare su⸢na] (目で見るだけの悪戯はしてもよいが、手で触れてする悪戯はするな)。 ⸢ガン⸣マリ ⸢シー⸣ナ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢gam⸣mari ⸢ʃiː⸣na na⸢ra⸣nu] (悪戯して困る<堪らない>) 5035 0 0 4803 htmvoc_5035.wav ガンマリスン ⸢ガン⸣マリ ⸢スン [⸢gam⸣mari ⸢suŋ] 連 悪戯する。ふざける。 ナー⸢イ ガン⸣マリカー⸢ニ シー⸣ ア⸢サバンドー⸣シ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢テー⸣ナインツァン ⸢シー⸣バ [naː⸢ji gam⸣marikaː⸢ni ʃiː⸣ ʔa⸢sabandoː⸣ʃi ʔu⸢ja⸣nu ⸢teː⸣nainʦaŋ ⸢ʃiː⸣ba] (ただ悪戯だけして遊ばないで親の手伝いでもせよ) 5038 0 0 4804 htmvoc_5038.wav ガンヤー ⸢ガンヤー [⸢gaŋjaː] 名 がん(龕)を納めて保管する小屋。「龕屋」の転訛したもの。若年層は、⸢ガンダラゴーヤー[⸢gandaragoːjaː]ともいう。 ⸢ガンヤーヤ⸣ イ⸢ザ⸣テヌ ⸢インタヌ ナードーヌ⸣ ヤ⸢マン⸣ミーナール ⸢アッ⸣タ [⸢gaŋjaːja⸣ ʔi⸢ʣa⸣tenu ⸢ʔintanu naːdoːnu⸣ ja⸢mam⸣miːnaːru ⸢ʔat⸣ta] (龕小屋は西花家<西里家>の西側のナードー<長堂>の林の中にが<ぞ>あった) 5039 0 0 4805 htmvoc_5039.wav カンユー ⸢カンユー [⸢kaɲjuː] 名 肝要。肝心。大切。重用。標準語からの借用語。カンヌー⸣とも言う。 ノー⸢ン⸣ラン ⸢キンコール カンユー⸣ダー ⸢キンコー⸣ ア⸢リバ⸣ル ⸣ウムークトゥン ノー⸢ン⸣ ナル [noː⸢n⸣raŋ ⸢kiŋkoːru kaɲjuː⸣daː ⸢kiŋkoː⸣ ʔa⸢riba⸣ru ⸣ʔumuːkutun noː⸢n⸣ naru] (何よりも健康が大切だよ{EOS}健康であればこそ思うことも何事も出来るのだ) 5041 0 0 4806 htmvoc_5041.wav カンヨールン ⸢カンヨー⸣ルン [⸢kaɲjoː⸣ruŋ] 自動 耄碌しかける。物忘れがひどくなる。判断力が低下する。「勘弱る」の義。 ⸣アブジェー ⸣トゥシ トゥ⸢ローッ⸣ター ダイ⸢ブン カンヨー⸣リ ⸢ソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː⸣tu̥ʃi tu⸢roːt⸣taː dai⸢buŋ kaɲjoː⸣ri ⸢soː⸣ri ⸢naː⸣nu] (お祖父さんは年をとられたので大分耄碌しかけてしまわれた) 5040 0 0 4807 htmvoc_5040.wav カンヨイ ⸢カン⸣ヨイ [⸢kaɲ⸣joi] 名 神職に就任したとき、神職を退任したときに行う祝い。 ⸢カンプス⸣ヌ ⸣カン カ⸢モー⸣ル ⸣ピントゥ ⸢インクニガイ ソー⸣ル ⸣ピン ⸢カン⸣ヨイ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢kampu̥su⸣nu ⸣kaŋ ka⸢moː⸣ru ⸣pintu ⸢ʔiŋkunigai soː⸣ru ⸣piŋ ⸢kaɲ⸣joi ⸢soːt⸣taʦoː] (神職者が神を戴いて神職に就かれる時と隠居願いをされる<引退される>時に祝いをされたそうです) 5042 0 0 4808 htmvoc_5042.wav カンルー ⸢カン⸣ルー [⸢kan⸣ruː] 名 寒露。二十四節気の一つ。太陽暦の10月9日頃(旧暦の9月ごろ)に当る。晩秋から初冬の間。⸢カン⸣ドゥー[⸢kan⸣duː](甘露)ともいう。 ⸢カンルーヌ ⸣シチ ⸢ペー⸣ルカー タ⸢ナドゥル⸣ヌ ⸢オー⸣ルンダ ア⸢ロー⸣ナー ⸢シー⸣ シ⸢キラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢nruː⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣rukaː ta⸢naduru⸣nu ⸢ʔoː⸣runda ʔa⸢roː⸣naː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (寒露の季節に入ったら種取り祭が来られるのだから、それまでに田の初耕し<荒ごなし>をしておかないといけない) 5043 0 0 4809 htmvoc_5043.wav カンルーヤブリ ⸢カンルーヤ⸣ブリ [⸢kanruːjabu⸣ri] 名 寒露の節に天気が荒れること。しばしば猛烈な台風となることがある。十月台風は大型台風になるといわれて、恐れられている。 ⸢カンルーヤブ⸣リティ ア⸢ザリブンダ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ タ⸢ベー ⸣ユー ⸢キー⸣ シケーティ ⸢アー⸣キ⸢ダー [⸢kanruːjabu⸣riti ʔa⸢ʣaribunda⸣ ɸu⸢ni⸣nu ta⸢beː⸣ juː ⸢kiː⸣ ʃi̥keːti ⸢ʔaː⸣ki⸢daː] (寒露の節は天気が荒れる<寒露荒れ>といわれているから、船の旅はよく気をつけながらいきなさいよ) 5048 0 0 4810 htmvoc_5048.wav キ ⸣キ [⸣ki] 接尾 食。「け<笥>から転じて食物、食事」を表す。食事を数える単位。「食、クヒモノ・ケ」『類聚名義抄』の転訛したもの。ア⸢サ⸣キ[ʔa⸢sa⸣ki](朝食)「朝食、アサケ『饅頭屋本節用集』」の義。 プ⸢ス⸣キ [pu̥⸢su⸣ki] (一食)。 フ⸢タキ [ɸu̥⸢taki] (二食)。 ⸢ミーキ [⸢miːki] (三食)。 ⸣プスイ ⸢ミーキ ウン⸣バ ッ⸢ふァイル⸣ フ⸢ドゥビ⸣ケール [⸣pu̥sui ⸢miːki ʔum⸣ba f⸢fairu⸣ ɸu⸢dubi⸣keːru] (一日三食芋を食べて成長してきたのである) 5044 0 0 4811 htmvoc_5044.wav キー ⸣キー [⸣kiː] 名 (植)木。樹木。薪。 ナ⸢マ⸣キー [na⸢ma⸣kiː] (生木{EOS}乾ききらない木)。 ⸢マーキー [⸢maːkiː] (樹木を切り、割って薪にしたもの)。 サ⸢リキー [sa⸢rikiː] (枯れ木)。 ⸢ユシ⸣キキー [⸢juʃi̥⸣kikiː] (ススキの薪)。 ⸢コーン⸣ギ [⸢koːŋ⸣gi] (桑の木)。 ⸢キーン⸣マ [⸢kiːʔm⸣ma] (木馬{EOS}木材や荷物運搬に用いる\ruby{橇}{ソリ})。⸢キーヌナル⸣ヌ パ⸢チパチバ⸣ ブリ カ⸢ザリ⸣ ナ⸢リキー⸣ヌ シ⸢ナジナバ⸣ トゥリ カ⸢ザリ[⸢kiːnunaru⸣nu pḁ⸢ʧipḁ。ʧiba⸣ buri ka⸢ʣari⸣ na⸢rikiː⸣nu ʃi⸢naʤinaba⸣ turi ka⸢ʣari](種々の木の実の初生りを\ruby{捥}{モ}いで供え、実の生る木の品々を取って供え)「七月念仏歌。ウシトゥヌクイ<弟の声>」『鳩間島古典民謡古謡集』 5045 0 0 4812 htmvoc_5045.wav キー ⸢キー [⸢kiː] 名 毛。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸢キー [ga⸢maʤi⸣nu ⸢kiː] (髪の毛)。 ⸢キームイ⸣ プス [⸢kiːmui⸣ pusu] (毛の濃い人)。 ス⸢ブル⸣ヌ ⸢キー [su⸢buru⸣nu ⸢kiː] (頭の毛<髪>)。 ⸢パン⸣ヌ ⸢キー⸣ スルン [⸢pan⸣nu ⸢kiː⸣ suruŋ] (足の毛を剃る)。 ⸢キーヌ ムイ⸣ルン [⸢kiːnu mui⸣ruŋ] (毛が生える)。 ⸢キーバ⸣ ス⸢ミルン [⸢kiːba⸣ su⸢miruŋ] (毛を染める)。 ピ⸢ビザヌ キー⸣シ フ⸢ディ⸣ ス⸢ク⸣ルン [pi⸢biʣanu kiː⸣ʃi ɸu⸢di⸣ su̥⸢ku⸣ruŋ] (山羊の毛で筆を作る) 5046 0 0 4813 htmvoc_5046.wav キー ⸢キー [⸢kiː] 名 (け)卦。占い。 ⸢キー⸣ ウ⸢ク⸣スン [⸢kiː⸣ ʔu⸢ku⸣suŋ] (占いをする<卦をおこす>)。 ⸢キー⸣ タ⸢ティ⸣ルン [⸢kiː⸣ tḁ⸢ti⸣ruŋ] (占いをしてもらう)。 ⸢キーラ⸣ル ⸣アイニ ⸣ンジケーツォー [⸢kiːra⸣ru ⸣ʔaini ⸣ʔnʤikeːʦoː] (占い<卦>からそのように出てきているそうだ) 5162 0 0 4814 htmvoc_5162.wav キー ⸢キー [⸢kiː] 名 気。心。気持ち。 ⸢キーヤ⸣ シ⸢ズ⸣ミティ ⸣ユー ウ⸢ティ⸣シケーティ パ⸢ナシアー⸣シ [⸢kiːja⸣ ʃi⸢ʣu⸣miti ⸣juː ʔu⸢ti⸣ʃi̥keːti pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi] (気を静めて、よくよく落ち着いて話し合いしなさい<話し合え>)。 ⸢フン⸣トー シ⸢グトゥ スー キーヤ⸣ アンカヤー [⸢ɸun⸣toː ʃi⸢gutu suː kiːja⸣ ʔaŋkajaː] (本当に仕事をする気持ちはあるのかなあ) 5049 0 0 4815 htmvoc_5049.wav ギー ⸣ギー [⸣giː] 名 芸。 ⸣ギームチ [⸣giːmuʧi] (芸持ち{EOS}芸能人)。 ⸣ギー ⸣ゾージ [⸣giːʣoːʤi] (芸達者、芸上手)。 ウ⸢レー⸣ ギームチ ヤ⸢ルンダ⸣ ザー パ⸢ネーカシ⸣プス [ʔu⸢reː⸣ giːmuʧi ja⸢runda⸣ ʣaː pa⸢neːkaʃi⸣ pu̥su] (彼は芸達者だから祝いの座を華やかす人だ) 5163 0 0 4816 htmvoc_5163.wav ギー ⸢ギー [⸢giː] 名 意地。言い分。道理。信条。正義。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ギール ギー⸣ティ ⸢シー⸣ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [⸢duː⸣nu ⸢giːru giː⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣muni sï̥⸢kanu] (自分の言い分が正義だといって、一向に他人の意見<ことば{EOS}言うこと>を聞き入れない<聞かない>) 5141 0 0 4817 htmvoc_5141.wav キーアイク ⸢キーアイ⸣ク [⸢kiːʔai⸣ku] 名 木のおうご(朸)。担い棒。天秤棒(朸)。両端に荷物をかけて担ぐ木製の朸。「朷、和名阿布古(あふこ)、杖名也」『和名抄』の転訛したもの。タ⸢キアイク[tḁ⸢kiʔaiku](竹製のおうご<朸>)の対義語。⸣カシンキー[⸣kaʃiŋkiː](オキナワウラジロガシ)やシ⸢ター⸣マキー[ʃi̥⸢taː⸣makiː](エゴノキ)の若木を利用して天秤棒を作った。 ⸢キーアイ⸣クシ ミ⸢ジタング⸣ カ⸢タ⸣ミ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ミ⸣クー [⸢kiːʔai⸣kuʃi mi⸢ʤitaŋgu⸣ kḁ⸢ta⸣mi mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢mi⸣kuː] (天秤棒で水担桶を担いで水を汲んでこい)。 ⸢キーアイ⸣クシ ミ⸢ジタン⸣グ カ⸢タム⸣タ [⸢kiːʔai⸣kuʃi mi⸢ʤitaŋ⸣gu kḁ⸢tamu⸣ta] (木製の朷で水たご<担桶・たどおけ>を担いだ) 5142 0 0 4818 htmvoc_5142.wav キーアイダチ ⸢キーアイダ⸣チ [⸢kiːʔaida⸣ʧi] 名 木槌。 ⸢キーアイダ⸣チシ ⸣ヌン ⸢シッ⸣キティ パ⸢ラー⸣ヌ ⸣アナ プ⸢ローッ⸣タ [⸢kiːʔaida⸣ʧiʃi ⸣nuŋ ⸢ʃik⸣kiti pa⸢raː⸣nu ⸣ʔana pu⸢roːt⸣ta] (木槌で鑿を搗き叩いて柱のほぞあな<枘穴>を掘られた) 5165 0 0 4819 htmvoc_5165.wav キーイリ ⸢キーイリ [⸢kiːʔiri] 名 気に入り。心にかなうこと。 ⸣アブジェー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢キーイリヌ⸣ マーッふァカー⸢ニル⸣ ア⸢タラサ ソー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ⸢duː⸣nu ⸢kiːʔirinu⸣ maːffakaː⸢niru⸣ ʔa⸢tarasa soː⸣ru] (お祖父さんは自分の気に入りの孫だけを可愛がられる) 5050 0 0 4820 htmvoc_5050.wav キーウール ⸢キーウー⸣ル [⸢kiːʔuː⸣ru] 名 (植)和名、キウリ(胡瓜、木瓜)。畑で栽培したり家庭菜園で栽培していた。畑で栽培する場合は露地栽培にするが、菜園で栽培する際は竹棚や木の棚を架けて栽培した。カツオの刺身やイ⸢ノー⸣イズ[ʔi⸢noːʔiʣu](環礁内の魚)の刺身のつまにすると美味であった。 ⸢キーウー⸣ロー ⸣キサー タ⸢ナー⸣ カ⸢カン⸣ドーシ ⸢ジー⸣ナー ⸢パー⸣シ ナ⸢ラ⸣ソーッタ [⸢kiːʔuː⸣roː ⸣ki̥saː ta⸢naː⸣ kḁ⸢kan⸣doːʃi ⸣ʤiːna ⸢paː⸣ʃi na⸢ra⸣soːtta] (キューリは以前は棚を架けないで地面に這わせて実をつけさせた<生らせた>)。 ⸢キーウール⸣ヌ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸣ナレーン [⸢kiːʔuːru⸣nu ja⸢masï̥⸣ka ⸣nareːŋ] (きうりが沢山生った) 5051 0 0 4821 htmvoc_5051.wav キーウシ ⸢キー⸣ウシ [⸢kiː⸣ʔuʃi] 名 木臼。松の木で作った臼で、ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](碾き臼)とシ⸢キ⸣ウシ[ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi](搗き臼、米搗き臼)がある。対義語はイ⸢ソーシ[ʔi⸢soːʃi](石臼)。 ⸢キー⸣ウシェー ⸣マチキーシル ス⸢ク⸣ローッタ⸢ナー [⸢kiː⸣ʔuʃeː ⸣maʧikiːʃiru su̥⸢ku⸣roːtta⸢naː] (木臼は松の木で作られたよねえ) 5161 0 0 4822 htmvoc_5161.wav キーウン ⸢キー⸣ウン [⸢kiː⸣ʔuŋ] 名 (植)キャッサバ。タピオカ。「木芋」の義。葉は掌状に中裂し、約2メートルの高さに成長する。サツマイモに似た、30~40センチの巨大な塊根を稔らせる。塊根を摩り下ろして絞り、汁を桶に入れて一晩放置すると真っ白な澱粉が沈殿する。これを箕に剥ぎ取って乾燥させたものが⸢キーウン⸣ヌ ⸣クジ[⸢kiːʔun⸣nu ⸣kuʤi](キャッサバの澱粉)である。ミ⸢リキン⸣グ[mi⸢rikiŋ⸣gu](小麦粉)が簡単に入手出来なかった頃、小麦粉の代用として利用され重宝された。絞り粕も握り寿司の大きさに握って乾燥させ、臼で搗いて粉にし、芋や米に混ぜて食した。ただ、⸢キー⸣ウンを作付けした畑は土地が痩せるといわれ、連作されなかった。 ⸢キーウン⸣ヌ ⸢ティン⸣プラー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢kiːʔun⸣nu ⸢tim⸣puraː ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (キャッサバ澱粉のテンプラは非常に美味しかった) 5052 0 0 4823 htmvoc_5052.wav ギーカイ ⸢ギーカイ [⸢giːkai] 名 行き来。往来。往還。「行き通い」の義。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢パイ⸣ター ⸣イダフネーラ ⸢ギーカイ シェー⸣ティル ⸢マイヤー⸣ ス⸢ク⸣ローッタル [pḁ⸢tu⸣maː ⸢pai⸣taː ⸣ʔidaɸuneːra ⸢giːkai ʃeː⸣tiru ⸢maijaː⸣ su̥⸢ku⸣roːttaru] (鳩間島へ、南端<西表島北岸>へとサバニ<板船>で行き来しながら稲作され<米は作ら>れた) 5053 0 0 4824 htmvoc_5053.wav ギーカイリ ⸢ギーカイリ [⸢giːkairi] 名 行き返り。往来。往還。 フ⸢ヨー⸣ イダフネーラヌ ⸢パイター⸣ヌ ⸢ギーカイレー⸣ ナ⸢クラー⸣タン [ɸu⸢joː⸣ ʔidaɸuneːranu ⸢paitaː⸣nu ⸢giːkaireː⸣ na⸢kuraː⸣taŋ] (冬は、サバニ<イダフニ>からの南端<西表島>への往来は怖かった) 5055 0 0 4825 htmvoc_5055.wav キーカザ ⸢キー⸣カザ [⸢kiː⸣kaʣa] 名 木の香り。材木の香り。 ア⸢ラヤー⸣ ス⸢ク⸣ルンティ ドゥ⸢ス⸣ヌキーバ カ⸢ナ⸣シ キ⸢ジオールン⸣ドゥ ⸢キーカザ⸣ヌ カ⸢バッ⸣サティ ナー⸢イ⸣ カ⸢ビベー⸣タ [ʔa⸢rajaː⸣ su̥⸢ku⸣runti du⸢su⸣nukiːba ka⸢na⸣ʃi ki⸢ʤioːrun⸣du ⸢kiːkaʣa⸣nu ka⸢bas⸣sati naː⸢i⸣ ka⸢bibeː⸣ta] (家を新築しようとタイワンオガタマノキを鉋で削っておられるのだが、木の香りが香ばしいので、じっと嗅いでいた) 5056 0 0 4826 htmvoc_5056.wav キーカサカサー ⸢キーカサカサー [⸢kiːkasakasaː] 名 物事が思うように進まず腹立たしいさま。落ち着かない様子。気がいらいら(苛苛)すること。 ウ⸢リヌ シーヨー⸣ ミルカー ⸢キーカサカサー シース [ʔu⸢rinu ʃiːjoː⸣ mirukaː ⸢kiːkasakasaː ʃiːsu] (彼の仕方を見ると、いらいらする) 5166 0 0 4827 htmvoc_5166.wav ギーギー ⸢ギーギー [⸢giːgiː] 副 厳しく責めつけるさま。厳しく指導するさま。 ⸢ヤー⸣ナーテーラ ⸣ウヤン ⸢ギーギー⸣シ ナ⸢ラーサ⸣リ ⸣ケー ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢ケナ マイフナー⸣ マ⸢リブー [⸢jaː⸣naːteːra ⸣ʔujaŋ ⸢giːgiː⸣ʃi na⸢raːsa⸣ri ⸣keː f⸢fa⸣ ja⸢runda⸣ ʔik⸢kena maiɸunaː⸣ ma⸢ribuː] (実家において親に厳しく躾けられ、指導されてきた子だから非常に利発で働きものに育っているよ) 5058 0 0 4828 htmvoc_5058.wav ギーギーシ ⸢ギーギー⸣シ [⸢giːgiː⸣ʃi] 副 (擬音語)ぎいぎいと。ぎいぎいときし(軋)むさま。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸣ヤドー ⸢ギーギー⸣シ ⸢ナーリス [⸢taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː ⸣jadoː ⸢giːgiː⸣ʃi ⸢naːrisu] (台風の時は戸はギーギーと軋んで鳴るよ) 5183 0 1 4829 htmvoc_5183.wav ギーギーシ ⸢ギーギー⸣シ [⸢giːgiː⸣ʃi] 副 (擬態語){Mn_1}絞られるように痛むさま。ぎゅうっぎゅうっと痛むさま。 ⸢ギーギー⸣シ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤムサー ⸣ヌーカヤー [⸢giːgiː⸣ʃi ba⸢ta⸣nu ⸣jamusaː ⸣nuːkajaː] (ぎゅうっぎゅうっと腹が痛むのだよ{EOS}なんだろうかねえ)。 5183 0 2 4830 htmvoc_5183.wav ギーギーシ ⸢ギーギー⸣シ [⸢giːgiː⸣ʃi] 副 (擬音語){Mn_2}ぎりぎりと歯軋<はぎしり>りするさま。 ニ⸢ビベーン⸣ドゥ ⸢ギーギー⸣シ ⸢パー⸣バ ⸣フイ ナ⸢クラーン⸠ダー [ni⸢bibeːn⸣du ⸢giːgiː⸣ʃi ⸢paː⸣ba ⸣ɸui na⸢kuraːn⸠daː] (寝ているが、ぎりぎりと\ruby{歯軋}{ハ|ギシ}りして怖いよ) 5120 0 0 4831 htmvoc_5120.wav キーキシヌキル ⸢キーキシヌキ⸣ル [⸢kiːkiʃinuki⸣ru] 名 丸太などを切るのに用いる鋸。「薪伐り鋸」の義。薪などを切るのに用いられ、それにはきこり(樵)用の山鋸の劣化したものを利用した。 ⸢キーキシヌキ⸣ロー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢ターン⸣ カ⸢ラシタ⸣カヤー [⸢kiːki̥ʃinuki⸣roː ⸢naːnu⸣nu ⸢taːŋ⸣ ka⸢raʃi̥ta⸣kajaː] (薪伐り鋸は無くなっているが<無いが>、誰に貸したのかなあ) 5059 0 0 4832 htmvoc_5059.wav キーク ⸢キー⸣ク [⸢kiː⸣ku] 名 素晴らしい表現。優れた技量。 グイ⸢ユー⸣ ウ⸢レータ キーク⸣ユン ⸣アイニ ウ⸢ムッ⸣サワレー [gui⸢juː⸣ ʔu⸢reːta kiːku⸣juŋ ⸣ʔaini ʔu⸢mus⸣sawareː] (何とまあ、これはまた素晴らしい技だよ{EOS}なんとあんなにも面白いことか) 5060 0 0 4833 htmvoc_5060.wav キーク ⸢キー⸣ク [⸢kiː⸣ku] 名 稽古。練習。 ⸢プールゾーラ⸣キ ⸢キー⸣ク ⸢シー⸣ヨー [⸢puːruʣoːra⸣ki ⸢kiː⸣ku ⸢ʃiː⸣joː] (豊年祭の踊りを稽古しなさいよ)。 ノー⸢ン キー⸣ク サ⸢バル⸣ プ⸢スマイヤー⸣ ナ⸢ラ⸣リティ ⸣ムカーヤ [noː⸢ŋ kiː⸣ku sa⸢baru⸣ pu̥⸢sumaijaː⸣ na⸢ra⸣riti ⸣mukaːja] (何事も稽古してこそ人の前になれる<他人よりも上になれる>ものだ)。 マ⸢リットーラヌ ゾー⸣ジテー ブ⸢ラーヌ キーク⸣ヌ ⸢ウイナー⸣ル ⸢ゾー⸣ジェー マ⸢リル [ma⸢rittoːranu ʣoː⸣ʤiteː bu⸢raːnu kiːku⸣nu ⸢ʔuinaː⸣ru ⸢ʣoː⸣ʤeː ma⸢riru] (生まれつきの上手とては居ないものだ{EOS}稽古の上に<ぞ>上手は生まれるものだ) 5168 0 0 4834 htmvoc_5168.wav ギーグイ ⸢ギーグイ [⸢giːgui] 名 愚痴。不平不満。文句。苦情。「義声<正義の声>」の義か。不平不満をいうこと。 ⸢ウンザー⸣ パ⸢タラカムティ サッ⸣コー ⸢ギーグイ スン⸣ダー [⸢ʔunʣaː⸣ pḁ⸢tarakamuti sak⸣koː ⸢giːgui sun⸣daː] (そいつは働かないで、よく不平不満を言う<愚痴を言う>よ)。 ⸢ギーグヤー [⸢giːgujaː] (よく愚痴をこぼす人)。 サ⸢マネー⸣ ア⸢ジユーサムティ⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー  ⸢ギーグイ⸣カー⸢ニル スー [sa⸢maneː⸣ ʔa⸢ʤijuːsamuti⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢giːgui⸣kaː⸢niru suː] (しらふ<素面>では言えないで酒を飲むとよく愚痴る) 5062 0 0 4835 htmvoc_5062.wav ギーグヤー ⸢ギーグヤー [⸢giːgujaː] 名 愚痴っぽい人。不平不満をいう人。 ウ⸢レー ギーグヤー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ タ⸢ナマン⸣モー マ⸢シ [ʔu⸢reː giːgujaː⸣ ja⸢runda⸣ ta⸢namam⸣moː ma⸢ʃi] (彼は不平不満を言う人<不平家>だから、頼まないほうが良いよ) 5064 0 0 4836 htmvoc_5064.wav ギーゴームヌ ⸢ギーゴー⸣ムヌ [⸢giːgoː⸣munu] 名 強情者。頑なに自我を通そうとする者。意地っ張り。 ⸢ウンザー ギーゴー⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムニ シゥ⸢カヌ [⸢ʔunʣaː giːgoː⸣munu ja⸢runda⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muni si̥⸢kanu] (そいつ<其奴>は強情者だから、他人の言うことを聞かない) 5169 0 0 4837 htmvoc_5169.wav ギーゴームヌ ⸢ギーゴームヌ [⸢giːgoːmunu] 名 強情者。頑固者。意地っ張り。 ⸣アイブ ⸢ギーゴームヌテー⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸢giːgoːmunuteː⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (あんな強情者は見たことがない) 5063 0 0 4838 htmvoc_5063.wav ギーゴーン ⸢ギーゴー⸣ン [⸢giːgoː⸣ŋ] 形 強情である。意地っ張りである。「義・こはし<磽、己波志(こはし)『新撰字鏡』>さ・あり」の転訛したものか。 ウ⸢レー ギーゴー⸣ンダ プ⸢スム⸣シ ア⸢ズ⸣カー トゥ⸢ミララヌ [ʔu⸢reː giːgoː⸣nda pu̥⸢sumu⸣ʃi ʔa⸢ʣu⸣kaː tu⸢miraranu] (彼は強情だから、一度言ったら止められない)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ギーゴーナーン⸣シェンドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ギーゴー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢giːgoːnaːŋ⸣ʃendu ma⸢na⸣maː ⸢giːgoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (昔は強情でなかったが、今は強情で堪らない)。 ⸣アイニ ⸢ギーゴー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢giːgoː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに強情な人はいない)。 ウ⸢レー ⸢サッ⸣コー ⸢ギーゴー⸣ン [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸢giːgoː⸣ŋ] (その人は非常に強情である)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ギーゴーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢giːgoːnaː⸣nu] (それほど強情ではない)。 ⸢ギーゴー⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢giːgoː⸣nu pa⸢na⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (強情で、意地っ張りで話が出来ない)。 ⸢ギーゴー⸣カー [⸢giːgoː⸣kaː] (強情なら)。 ⸢ギーゴー⸣ バソー [⸢giːgoː⸣ basoː] (強情な時は)。 ⸢ギーゴー⸣カー タ⸢ナム⸣ナ [⸢giːgoː⸣kaː ta⸢namu⸣na] (強情なら頼むな) 5245 0 0 4839 htmvoc_5245.wav キーシゥカイ ⸢キーシゥカイ [⸢kiːsï̥kai] 名 気遣い。 ⸢ヌー⸣ヤークイヤー ⸢キシゥカイ サンドー⸣シ イ⸢ジン⸣ジ シ⸢グトゥギーバリ⸣ヨー [⸢nuː⸣jakuijaː ⸢kiːsï̥kai sandoː⸣ʃi ʔi⸢ʤin⸣ʤi ʃi⸢gutu giːbari⸣joː] (あれこれ気遣いしないで精出して仕事を気張れよ) 5184 0 0 4840 htmvoc_5184.wav キーシキミルン ⸢キー⸣シキ ⸣ミルン [⸢kiː⸣ʃi̥ki ⸣miruŋ] 連 気をつけて見る。 ⸢ジーヌ⸣ グ⸢マー⸣ンダ ⸢キー⸣シキ ミリ⸢ヨー [⸢ʤiːnu⸣ gu⸢maː⸣nda ⸢kiː⸣ʃi̥ki miri⸢joː] (文字が小さいから気をつけて見なさいよ) 5067 0 0 4841 htmvoc_5067.wav キーシキルン ⸢キーシキ⸣ルン [⸢kiːʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 気付く。気が付く。感づく。 ⸢キーシキ⸣ルンカヤーティ ⸣マティ ⸢ベーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ キーシキラン⸣バン [⸢kiːʃi̥ki⸣ruŋkajaːti ⸣mati ⸢beːn⸣du mut⸢tu kiːʃi̥kiram⸣baŋ] (気付くだろうかと待っているが、ちっとも気付かないよ)。 ⸢バイ⸣ヨー ⸢ターティ キーシキ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [⸢bai⸣joː ⸢taːti kiːʃi̥ki⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (私を誰と気付く人はいなかった)。 ⸢キーシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢kiːʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (気付けば良いのに)。 ヤー⸢ディン キーシキ⸣リ [jaː⸢diŋ kiːʃi̥ki⸣ri] (必ず<きっと>必気づけよ) 5181 0 0 4842 htmvoc_5181.wav キーシキルン ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 注意する。気をつける。用心する。 ッ⸢ふァヨーンサーリ⸣ ミ⸢チェー⸣ラ ア⸢ラ⸣キクー ⸣ピンマー ク⸢ルバン⸣ヨーニ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ダー [f⸢fajoːnsaːri⸣ mi⸢ʧeː⸣ra ʔa⸢ra⸣kikuː ⸣pimmaː ku⸢rubaɲ⸣joːni ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢daː] (暗闇で道を歩いてくるときは転ばぬよう気をつけれよ)。 ⸢ター⸣ヌ ⸣アザ ア⸢ラ⸣ク ⸣ピンマー パ⸢ブヌ ブン⸣ユー ッ⸢サンダ チャー キー⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢taː⸣nu ⸣ʔaʣa ʔa⸢ra⸣ku ⸣pimmaː pa⸢bunu buŋ⸣juː s⸢samda ʧaː kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (田の畦を歩く時は毒蛇がいるかも知れないから、いつも気をつける) 5066 0 0 4843 htmvoc_5066.wav キーシチ ⸢キーシチ [⸢kiːʃi̥ʧi] 名 警察。「警察」の転訛したもの。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢ズンサ⸣ヌ ⸢オー⸣リ ⸢キーシチェー サンガリン⸠ダー [ja⸢naku̥tu suː⸣kaː ⸢ʣunsa⸣nu ⸢ʔoː⸣ri ⸢kiːʃi̥ʧeː saŋgarin⸠daː] (悪事を働くと<悪いことをすると>巡査が来られて警察へ引張られるぞ)。 ヨー⸢ヨー キーシチヌ ヤッカイ⸣ムヌ ⸣ナレー ナ⸢ラン⸠ダー [joː⸢joː kiːʃi̥ʧinu jakkai⸣munu ⸣nareː na⸢ran⸠daː] (よくよく注意しろよ{EOS}警察の厄介者になってはいけないぞ) 5065 0 0 4844 htmvoc_5065.wav キーズ ⸢キーズ [⸢kiːʣu] 名 系図。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢キーズヌ⸣ アル ⸢ヤー⸣ヤ ⸢ナー⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢kiːʣunu⸣ ʔaru ⸢jaː⸣ja ⸢naː⸣nu] (鳩間島に系図のある家はない)。 ⸢キーズ⸣ ス⸢ク⸣リバ [⸢kiːʣu⸣ su̥⸢ku⸣riba] (系図を作りなさいよ) 5069 0 0 4845 htmvoc_5069.wav キースールン ⸢キー スー⸣ルン [⸢kiː suː⸣ruŋ] 連 元気になる。気分がすっきりする。気が強くなる。自信がつく。自負する。うぬぼれ(自惚れ)る。「気強まる」の義。 プ⸢ス⸣フチ サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢キー スー⸣ルン [pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧi sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢kiː suː⸣ruŋ] (一口酒を飲むと元気になる) 5070 0 1 4846 htmvoc_5070.wav キーズーワン ⸢キーズー⸣ワン [⸢kiːʣuː⸣waŋ] 形 {Mn_1}気が強い。強情である。意地っ張りである。 ミ⸢ドゥ⸣ム ヤ⸢ルンドゥ⸣ イッ⸢ケン キーズー⸣ワン [mi⸢du⸣mu ja⸢rundu⸣ ʔik⸢keŋ kiːʣuː⸣waŋ] (女性だが非常に気が強い<強情である>)。 ⸢ワー⸣ スコー ⸢キーズーワ ナー⸣ヌ [⸢waː⸣su̥koː ⸢kiːʣuwa naː⸣nu] (君ほど気が強くない)。 ⸣アイニ ⸢キーズー⸣ワ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢kiːʣuː⸣wa pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのように気の強い人はいない)。 ⸢キーズー⸣ワ ⸣ナルン [⸢kiːʣuː⸣wa ⸣naruŋ] (気が強くなる)。 5070 0 2 4847 htmvoc_5070.wav キーズーワン ⸢キーズー⸣ワン [⸢kiːʣuː⸣waŋ] 形 {Mn_2}心強い。頼れて安心である。⸢キーズー⸣ヤン[⸢kiːʣuː⸣jaŋ]ともいう。 ⸢ワー オー⸣リ ッ⸢ふォー⸣ルンダ イッ⸢ケナ キーズー⸣ワン [⸢waː ʔoː⸣ri f⸢foː⸣runda ʔik⸢kena kiːʣuː⸣waŋ] (貴方がいらっしゃってくださるから非常に心強い)。 ⸢キーズーワナー⸣ヌ [⸢kiːʣuːwanaː⸣nu] (心強くない)。 ⸢キーズー⸣ワカー [⸢kiːʣuː⸣wakaː] (心強かったら)。 ⸢アウ⸣ヌ ⸢ブー⸣カー ユ⸢ナカー⸣ラ ア⸢ラカ⸣バン ⸢キーズー⸣ワン⸢ツォー [⸢ʔau⸣nu ⸢buː⸣kaː ju⸢nakaː⸣ra ʔa⸢raka⸣baŋ ⸢kiːʣuː⸣wan⸢ʦoː] (連れ<同伴者>がいると、たとえ<仮令>夜中から歩いて行っても安心である<心強い>よ) 5172 0 0 4848 htmvoc_5172.wav ギーズーワン ⸢ギーズー⸣ワン [⸢giːʣuː⸣waŋ] 形 意地っ張りである。「義・強し」の義。普通は、⸢ギーンゴー⸣ン[⸢giːŋgoː⸣ŋ](意地っ張りである{EOS}義理堅い)という。 ウ⸢レー ギーズー⸣ワンダ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː giːʣuː⸣wanda pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (彼は意地っ張りだから他人の言うことを聞かない) 5071 0 1 4849 htmvoc_5071.wav キースクン ⸢キー⸣スクン [⸢kiː⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_1}気付く。気が付く。感づく。⸢キーシキ⸣ルン[⸢kiːʃi̥ki⸣ruŋ](気付く)ともいう。 ⸢アイ⸣ジ ⸢スー⸣カー ⸢キー⸣スクンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ キー⸣ シゥ⸢カン⸣バン [⸢ʔai⸣ʤi ⸢suː⸣kaː ⸢kiː⸣su̥kunti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da kiː⸣ sï̥⸢kam⸣baŋ] (合図したら気付くと思ったが、まだ気付かないわい)。 ウ⸢レー⸣ キ⸢サーティ キーシキ⸣ ブー [ʔu⸢reː⸣ ki̥⸢saːti kiːʃi̥ki⸣ buː] (彼は既に気付いている)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢キー⸣スク ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢キー⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢kiː⸣su̥ku ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢kiː⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (そんなに早く気付くことはないはずだが、気付けば良いのに)。 ⸢キー⸣シキバ [⸢kiː⸣ʃi̥kiba] (気づけよ)。 ⸣ティーシ ⸢アイ⸣ジ ⸢スンドゥ キーシゥカン⸣バン [⸣tiːʃi ⸢ʔai⸣ʤi ⸢sundu kiːs̥ïkam⸣baŋ] (手で合図するのだが気付かないわい)。 パ⸢タ⸣ フ⸢ル⸣カー ⸢キー⸣シゥクンパジ [pḁ⸢ta⸣ ɸu⸢ru⸣kaː ⸢kiː⸣su̥kumpaʤi] (旗を振ると気付くはずだ)。 ⸢キー⸣シキ ⸢ベー⸣ン [⸢kiː⸣ʃi̥ki ⸢beː⸣ŋ] (気付いている)。 ⸢キー⸣シゥク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢kiː⸣su̥ku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (気付く人はいない)。 ⸢キー⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢kiː⸣ʃi̥keː misamunu] (気付けばよいのに)。 ⸢パイ⸣サ ⸢キー⸣シキ [⸢pai⸣sa ⸢kiː⸣ʃi̥ki] (早く気づけよ)。 ⸣マー ン⸢ベーマ パイ⸣サ ⸢キーシキバ⸣ル ヤ⸢タンドゥ⸣ ウ⸢クリナーン⸣バン [⸣maː ʔm⸢beːma pai⸣sa ⸢kiːʃi̥kiba⸣ru ja⸢tandu⸣ ʔu⸢kurinaːm⸣baŋ] (もう少し早く気付けばよかったのだが、遅れてしまった)。 5071 0 2 4850 htmvoc_5071.wav キースクン ⸢キー⸣スクン [⸢kiː⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_2}正気にもどる。意識を取り戻す。 ブ⸢チ⸣クン シ⸢ティ⸣ マ⸢ダ キーシゥ⸣カヌ [bu⸢ʧi⸣kuŋ ʃi̥⸢ti⸣ ma⸢da kiːs̥ïka⸣nu] (気絶して<人事不省に陥って>、まだ意識を取り戻さない<気付かない>) 5173 0 0 4851 htmvoc_5173.wav キースラスン ⸢キー スラ⸣スン [⸢kiː sura⸣suŋ] 連 気を晴らす。憂さを晴らす。ふさいだ気分を晴らして快活にする。 ⸢ヤーングマ⸣ル ⸢タン⸣ガ ⸢サンドー⸣シ プ⸢スケン⸣ナー ⸣フカーユン ⸣ンジ ⸢キー スラ⸣シ [⸢jaːŋguma⸣ru ⸢taŋ⸣gaː ⸢sandoː⸣ʃi pu̥⸢suken⸣naː ⸣ɸu̥kaːjun ⸣ʔnʤi ⸢kiː sura⸣ʃi] (家の中にだけ籠もっていないで、偶には<一度ぐらいは>外にも出て気を晴らしなさい)。 ⸢キー スラサラ⸣ヌ [⸢kiː surasara⸣nu] (気が晴らされない)。 ⸢キー スラシ⸣ プサン [⸢kiː suraʃi⸣ pu̥saŋ] (気を晴らしたい)。 ⸢キー スラ⸣スンティ ⸣ウムーカ ミ⸢ナ⸣カー ⸣ンジキー ⸢キー スラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢kiː sura⸣sunti ⸣ʔumuːka mi⸢na⸣kaː ʔnʤikiː ⸢kiː sura⸣ʃeː ⸣misamunu] (気を晴らそうと思うなら、庭に出てきて気を晴らせばよいのに)。 ⸢ヤーン⸣ナカナテー ⸢キー スラ⸣ス ⸣クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢jaːn⸣nakanateː ⸢kiː sura⸣su ⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (家の中では気を晴らすことも出来ない) 5072 0 0 4852 htmvoc_5072.wav キーソー ⸢キーソー [⸢kiːsoː] 名 卦の書物。卦をたてる書物。占いをするための書物。「卦書」の転訛したものか。 ⸢キーソー⸣ラ ⸣ヌーティル ⸣ンジェータユー シ⸢キ⸠ミー [⸢kiːsoːra⸣ nuːtiru ⸣ʔnʤeːtajuː ʃi̥⸢ki⸠miː] (占いで<卦書から>何と出たのか、答えを聞いてみてごらん<みれ>) 5174 0 0 4853 htmvoc_5174.wav キーダカーン ⸢キーダカー⸣ン [⸢kiːdakaː⸣ŋ] 形 気位が高い。威張っているさま。「気高い」の義。キ⸢ムダカー⸣ン[ki⸢mudakaː⸣ŋ](気位が高い{EOS}「肝高い」の義)ともいう。 ⸢キーダカー ナー⸣ヌ [⸢kiːdakaː naː⸣nu] (気位が高くない)。 ⸢キーダカー⸣ヌ プ⸢ストゥ⸣ ア⸢タラヌ [⸢kiːdakaː⸣nu pu̥⸢sutu⸣ ʔa⸢taranu] (気位が高くて他人と気が合わない)。 カ⸢レー⸣ イッ⸢ケン キーダカー⸣ン [ka⸢reː⸣ ʔik⸢keŋ kiːdakaː⸣ŋ] (あの人は非常に気位が高い)。 ⸢キーダカー⸣ プ⸢ソー⸣ ピ⸢ライグリ⸣サン [⸢kiːdakaː⸣ pu̥⸢soː⸣ pi⸢raiguri⸣saŋ] (気位の高い人は付き合いにくい)。 ⸣アイニ ⸢キーダカー⸣カー ピ⸢ラーラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢kiːdakaː⸣kaː pi⸢raːra⸣nu] (あんなに気位が高ければ付き合えない) 5073 0 0 4854 htmvoc_5073.wav キータティプス ⸢キータティ⸣プス [⸢kiːtati⸣pu̥su] 名 易者。吉凶を判断する人。「卦(け)立て人」の義。⸢キースヌ⸣ヤー[⸢kiːsunu⸣jaː](易者の家)、⸢キータティ⸣ヤー[⸢kiːtati⸣jaː](易者の家<卦立て家>)ともいう。 ⸢キータティプス⸣ヌ ⸣ムニ ⸢タンガ⸣ル ス⸢ク⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ⸢ナー⸣トー シゥ⸢カヌ [⸢kiːtatipusu⸣nu muni⸢tnaga⸣ru su̥⸢ku⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni⸢naː⸣toː sï̥⸢kanu] (易者の言うことだけしか聞かない<~言うことだけが聞く>{EOS}他の人の言うことなど聞かない)。⸣サンギンソー[⸣saŋginso](三世相)ともいう。 ⸢キータティ⸣ヤーナ ⸢ギー ウンキ⸣ ク⸢ラ⸣シ ⸣クー [⸢kiːtati⸣jaːna ⸢giː ʔuŋki⸣ ku⸢ra⸣ʃi ⸣kuː] (易者の家<卦を立てる家>に行って運気を占ってもらってこい) 5074 0 0 4855 htmvoc_5074.wav キータティヤー ⸢キータティ⸣ヤー [⸢kiːtati⸣jaː] 名 占いをする家。易者の家。「卦立て家」の義。 ⸢ヤーニンズ⸣ヌ ⸢ウンキ⸣ ク⸢ラ⸣シン イ⸢サナキヌ キータティ⸣ヤー ⸢パッ⸣タ [⸢jaːniʣu⸣nu ⸢ʔuŋki⸣ ku⸢ra⸣ʃiŋ ʔi⸢sanakinu kiːtati⸣jaː ⸢pat⸣ta] (家族の運気を見立ててもらいに<繰らせに>、石垣島の易者の家に行った) 5075 0 0 4856 htmvoc_5075.wav キータティルン ⸢キータティ⸣ルン [⸢kiːtati⸣ruŋ] 他動 占う。吉凶を判断する。「卦をたてる」の義。 ⸣サンギンソーヤー ⸢キータティ⸣ルンティ ス⸢ムチ⸣バ ⸣クリ ⸢オー⸣ル [⸣saŋginsoːja ⸢kiːtati⸣runti su⸢muʧi⸣ba ⸣kuri ⸢ʔoː⸣ru] (易者<三世相>は運気を占おうと書物を繰っておられる)。 ⸢キータティララ⸣ヌ [⸢kiːtatirara⸣nu] (占えない)。 ⸢キータティ⸣ル ⸣ピン [⸢kiːtati⸣ru ⸣piŋ] (占うとき)。 ⸢キータティ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢kiːtati⸣reː ⸣misamunu] (占えばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢キータティ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢kiːtati⸣ri] (早く占え) 5176 0 0 4857 htmvoc_5176.wav キータティルン ⸢キー⸣ タ⸢ティ⸣ルン [⸢kiː⸣ tḁ⸢ti⸣ruŋ] 連 易者に易学の書物を見てもらって、卦、風水、運勢、ひえり(日択り)をすること。⸢キー⸣ タトゥン[⸢kiː⸣ tḁtuŋ](卦を立てる{EOS}運勢を占う)ともいう。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢キー⸣ タ⸢ティ⸣ルンティ ⸣ウムーカ イ⸢サナキヌ⸣ サンギンソーヌ ⸣ヤー ⸢ギー⸣ ミリバ [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸢kiː⸣ ta⸢ti⸣runti ⸣ʔumuːkaː ʔi⸢sanakinu⸣ saŋginsoːnu ⸣jaː ⸢giː⸣ miriba] (家族の運気<運勢>を占って<見立てて>みようと思うなら石垣島の易者の家に行ってごらんよ) 5077 0 0 4858 htmvoc_5077.wav キータトゥン ⸢キー⸣ タトゥン [⸢kiː⸣ tḁtuŋ] 連 占いをする。占いをして吉凶を判断する。「卦をたてる」の転訛したもの。 ⸢キー⸣ タトゥンティ ⸢オールン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ ⸢キー⸣ タ⸢タラン⸣ツォー [⸢kiː⸣tḁtunti ⸢ʔoːrun⸣du ⸢kjuː⸣ja ⸢kiː⸣ tḁ⸢taran⸣ʦoː] (占いをしようとしておられるが、今日は占えないそうだ)。 ⸢キー⸣ タティミサカー ⸣タトゥ ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kiː⸣ tḁtimisakaː ⸣tḁtu ⸣kutoː ⸣naruŋ] (占ってよければ占うことは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢キー⸣ タテー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢kiː⸣ tḁteː ⸣misamunu] (早く占えば良いのに)。 ⸢キー⸣ タティバ [⸢kiː⸣ tḁtiba] (占えよ) 5177 0 0 4859 htmvoc_5177.wav キータトゥン ⸢キー⸣ タトゥン [⸢kiː⸣ tatuŋ] 連 意気が上がる。気合が入る。気力が出る。気概が上がる。てきぱきしている。「気が立つ」の義。 ⸣ダレーティ ⸢アーカン⸣ドーシ ⸢キー⸣ タティ シ⸢グトゥ シー [⸣dareːti ⸢ʔaːkan⸣doːʃi ⸢kiː⸣ tati̥ ʃi⸢gutu ʃiː] (だらだらしないで気合を入れて、集中して仕事をせよ)。 ⸢サンシンヌ⸣ ウ⸢トゥヌ⸣ シゥ⸢カリ⸣カー ⸢キー⸣タティティ シ⸢ベー⸣ ム⸢タイ⸣ナムタイナ ⸢シー⸣ ナー⸢イ ベーリユーサ⸣ヌ [⸢saŋʃinnu⸣ ʔu⸢tunu⸣ sï̥⸢kari⸣kaː ⸢kiː⸣ tḁtiti ʃi⸢beː⸣ mu⸢tai⸣namutaina ⸢ʃiː⸣ naː⸢i beːrijuːsa⸣nu] (三味線の音が聞こえてくると意気が上がり、うきうきして<尻を上げたり下げたいして>じっとしていることが出来ない) 5080 0 0 4860 htmvoc_5080.wav キータムヌ ⸢キータム⸣ヌ [⸢kiːtamu⸣nu] 名 薪。生木や枯れ木を切って薪にしたもの。⸢ユシ⸣キキー[⸢juʃi̥⸣kikiː](枯れたススキの薪)、ヤ⸢キバイ[ja⸢kibai](ススキ林を焼き払い、燃え残ったススキを刈って薪にしたもの)の対義語。鳩間島の人は西表島の田圃の回りや海岸端の雑木を伐って自家用の薪にしたり、丸太を長さ約40センチに切って斧で割り、直径約16センチの束にして石垣島へ売ったりした。輸出用の薪は、薪の束を高さ約150センチ、長さ約2メートルに積んで、それをプ⸢ス⸣ヤマ[pu̥⸢su⸣jama](一山)と称して入札にかけ、値段を決めて売買していた。 ⸢キータム⸣ノー バ⸢リタムヌ⸣ティン ア⸢ジティ⸣ ウ⸢リバ キー⸣タナナ シ⸢ミティ モーシタ [⸢kiːtamu⸣noː ba⸢ritamunu⸣tiŋ ʔa⸢ʤiti⸣ ʔu⸢riba kiː⸣tanana ʃi⸢miti moːʃita] (木の薪は割り薪とも言い、それを薪棚に積んで乾燥させて燃やしたものだ) 5081 0 0 4861 htmvoc_5081.wav キーダリ ⸢キーダリ [⸢kiːdari] 名 落胆。がっかりすること。疲労感、脱力感に襲われること。「けだるい(気怠い)」の転訛したもの。 ⸣シケンナー ⸣ウティティル ⸢キーダリ シー ベー⸣バン ⸣ヌヤー [⸣ʃi̥kennaː ⸣ʔutitiru ⸢kiːdari ʃiː beː⸣ban ⸣nujaː] (不合格になって<試験に落ちて><ぞ>落胆しているわいな、何かと思ったら)。 サ⸢キムイ シー⸣ シケータンドゥ ⸢パンクラ⸣リティ ⸢キーダリ シーベー [sḁ⸢kimui ʃiː⸣ ʃi̥keːtandu ⸢paŋkura⸣riti ⸢kiːdari ʃiːbeː] (結納をしておいたのに断られて落胆している) 5082 0 0 4862 htmvoc_5082.wav キーダリスン ⸢キーダリ スン [⸢kiːdari suŋ] 連 落胆する。気落ちする。がっかりする。「けだるい(気怠い)感じがする」の義。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カス⸣カー ⸢キーダリ スンダ⸣ ウ⸢ヤン⸣ナーネー イッ⸢カ⸣ パ⸢ナス⸣ナ⸢ヨー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi si̥⸢kasu⸣kaː ⸢kiːdari sunda⸣ ʔu⸢jan⸣naːneː ʔik⸢ka⸣ pa⸢nasu⸣na⸢joː] (その話を聞かせると落胆する<がっかりする>から、親には絶対<一向に>に話すなよ)。 ウ⸢リン⸣ ウ⸢バーサリティ キーダリ シー ドゥー⸣ヤ ⸢ウーカサラ⸣ヌ [ʔu⸢riŋ⸣ ʔu⸢baːsariti kiːdari ʃiː duː⸣ja ⸢ʔuːkasara⸣nu] (その人に驚かされて、気力が抜けて体が動かされない)。 ⸣ドゥク ウ⸢バーサリ⸣カー プ⸢ソー キーダリ スン⸠ダー [⸣duku ʔu⸢baːsari⸣kaː pu̥⸢soː kiːdari sun⸠daː] (ひどく驚かされると人は気落ちして脱力するぞ) 5083 0 0 4863 htmvoc_5083.wav キーダリムヌ ⸢キーダリ⸣ムヌ [⸢kiːdari⸣munu] 名 気抜けしてだらだらした者。活力のない者。ぼんやり者。 ⸢ワー⸣ ヌンティ ⸣アイニ ⸢キーダリ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ベー⸣ワ [⸢waː⸣ nunti ⸣ʔaini ⸢kiːdari⸣munu ⸣nari ⸢beː⸣wa] (君は何故あんなに気抜けしたぼんやり者になっているのか) 5180 0 0 4864 htmvoc_5180.wav キーダルン ⸢キー⸣ダルン [⸢kiː⸣daruŋ] 自動 気落ちする。「気だれる」の義。 ⸣ドゥク イ⸢ザリ⸣カー ⸢キー⸣ダルン⸠ダー⸣ プ⸢ソー [⸣duku ʔi⸢ʣari⸣kaː ⸢kiː⸣darun⸠daː⸣ pu̥⸢soː] (あんまり叱られると気落ちするぞ、人は)。 ⸢キーダラ⸣ヌ [⸢kiːdara⸣nu] (気落ちしない)。 ⸢キー⸣ダリティ シ⸢グトゥン サラヌ [⸢kiː⸣dariti ʃi⸢gutun saranu] (気落ちして仕事が出来ない)。 イ⸢ザリタンティン キー⸣ダル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʣaritantiŋ kiː⸣daru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (叱られても気落ちすることはない) 5118 0 0 4865 htmvoc_5118.wav キーッカラ ⸢キーッ⸣カラ [⸢kiːk⸣kara] 名 木屑。木の削り屑。「木・欠片(き・かけら)」の義か。丸太をはつっ<削っ>て粗削りし、角材にする際にできる削り屑。大きなフ⸢クンキー[ɸu⸢kuŋkiː](福木)の丸太などを、先ず⸢ブー⸣ヌ[⸢buː⸣nu](斧)で削る。その際、目測で15~20センチ間隔に丸太の横っ腹に削り目を打ち、それに従って斧ではつり<削り>、角材にする。その時に出来る木屑が⸢キーッ⸣カラ[⸢kiːk⸣kara]である。次に⸢チョー⸣ナ[⸢ʧoː⸣na](手斧)や⸢トゥイ⸣ヌ[⸢tui⸣nu](手斧{EOS}平たい鑿状の堅牢な鉄の刃に柄を付けた斧{EOS}平面を削る斧)で削り、更にカ⸢ナ[ka⸢na](鉋)をかけて仕上げる。 ⸢キーッ⸣カラー ア⸢ツァ⸣ミ ⸣プシティ ⸢モーシ⸣バ [⸢kiːk⸣karaː ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣pu̥ʃiti ⸢moːʃi⸣ba] (木屑を集め、干して燃やし<燃料にし>なさいよ) 5185 0 0 4866 htmvoc_5185.wav ギーッキーシ ⸢ギーッキー⸣シ [⸢giːkkiː⸣ʃi] 副 きゅっきゅっと。力強く引き締めるさま。 ⸢マイマラケー ギーッキー⸣シ ⸣シミ マ⸢ラカン⸣カー フ⸢キウティ⸣ルン⸢ダー [⸢maimarakeː giːkkiː⸣ʃi ⸣ʃimi ma⸢rakaŋ⸣kaː ɸu̥⸢kiuti⸣run⸢daː] (米丸ぎ<稲束30束を一まとめに縛りつけた単位>は力強く締めないと抜け落ちるよ) 5167 0 0 4867 htmvoc_5167.wav ギーッティ ギーッ⸢ティ [giːt⸢ti] 副 ぎゅっと握り締めるさま。しっかりと握り締めるさま。りんしょく(吝嗇)なさま。ギッ⸢ティ[git⸢ti](ぎゅっと)の強調表現。 フ⸢ク⸣ベー ギーッ⸢ティ⸣ シミティ パ⸢ラン⸣カー ア⸢ラ⸣キ ⸣パルンケン フ⸢キルン⸣ダー [ɸu̥⸢ku⸣beː giːt⸢ti⸣ ʃimiti pa⸢raŋ⸣kaː ʔa⸢ra⸣ki ⸣paruŋkeŋ ɸu̥⸢kirun⸣daː] (帯びはぎゅっと引き締めて行かないと歩いて行くうちにほどける<抜ける>ぞ)。 ウ⸢レー ジン⸣マー ギーッ⸢ティ⸣ カ⸢サミティ⸣ ク⸢ビッ⸣チンツァン パ⸢ナサ⸣ヌ [ʔu⸢reː ʤim⸣maː giːt⸢ti⸣ kḁ⸢samiti⸣ ku⸢bitʧim⸣maːnʦam pa⸢nasa⸣nu] (その人は、お金はぎゅっと握り締めて<掴んで>これぽっちたりとも手放さない)。 ギーッ⸢ティ ティー⸣バ ⸢ニー⸣リ [giːt⸢ti tiː⸣ba ⸢niː⸣ri] (ぎゅっと手を握れ)。 ギーッ⸢ティ⸣ シミ [giːt⸢ti⸣ ʃimi] (ぎゅっと締めなさい) 5119 0 0 4868 htmvoc_5119.wav キートーシ ⸢キートー⸣シ [⸢kiːtoː⸣ʃi] 名 伐採。「木倒し」の義。畑を新しく開墾する際には雑木を切り倒して枯らせ、それを焼いて切株<切杭>を掘り起こし、除去して耕した。 ク⸢ヌ⸣ ター カ⸢クタン⸣ケンマー ⸢キートー⸣シーン ⸢タンガ⸣シル シ⸢タ⸣ダー [ku⸢nu⸣ taː kḁ⸢kutaŋ⸣kemmaː ⸢kiːtoː⸣ʃiːn ⸢taŋga⸣ʃiru ʃi̥⸢ta⸣daː] (この田圃を開墾した時は伐採も切株おこしも一人でしたんだよ) 5084 0 0 4869 htmvoc_5084.wav キートゥラリン ⸢キー⸣ トゥ⸢ラ⸣リン [⸢kiː⸣ tu⸢ra⸣riŋ] 連 気を取られる。注意を他のものに奪われる。 ⸣ウタサンシンヌ ウ⸢ムッ⸣サティ ⸢ウン⸣ナ ⸢キー⸣ トゥ⸢ラ⸣リ ⸢ベーン⸣ケンマー ヤ⸢クスクヌ⸣ ジ⸢カン バシキナー⸣ヌ [⸣ʔutasaŋʃinnu ʔu⸢mus⸣sati ⸢ʔun⸣na ⸢kiː⸣ tu⸢ra⸣ri ⸢beːŋ⸣kemmaː ja⸢kusu̥kunu⸣ ʤi⸢kam baʃi̥kinaː⸣nu] (歌三味線が面白くて、それに気を取られているうちに約束の時間を忘れてしまった) 5085 0 0 4870 htmvoc_5085.wav キートゥリノースン ⸢キー⸣ トゥ⸢リノー⸣スン [⸢kiː⸣ tu⸢rinoː⸣suŋ] 連 気を取り直す。落胆した状態から思い直して元気を出す。 ア⸢キ⸣ナイ ウ⸢ル⸣キティ マ⸢ガリ ベータン⸣ドゥ ⸢キー⸣ トゥ⸢リノーシ⸣ティ パ⸢タラキ ベー [ʔa⸢ki⸣nai ʔu⸢ru⸣kiti ma⸢gari beːtan⸣du ⸢kiː⸣ tu⸢rinoː⸣ʃi̥ti pḁ⸢taraki beː] (商売で大欠損をして曲がり縮まっていたが、気を取り直して働いているよ) 5315 0 0 4871 htmvoc_5315.wav キーニイリ ⸢キーニイリ [⸢kiːniʔiri] 名 気に入り。その人の心にかなう人やもの。可愛がられる人やもの。 ⸣アッパー ⸢キーニイリヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ サ⸢クシ⸣ッふァ ⸢タン⸣ガ [⸣ʔappaː ⸢kiːniʔirinu ffaː⸣ sa⸢kuʃi⸣ffa ⸢taŋ⸣ga] (お祖母さんの気に入りの子は長男一人だけだ) 5089 0 0 4872 htmvoc_5089.wav キーヌーリ ⸢キーヌー⸣リ [⸢kiːnuː⸣ri] 名 木登り。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸣ユー ⸢キーヌー⸣リ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸣juː ⸢kiːnuː⸣ri ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (子供の頃はよく木登りして遊んだ) 5086 0 0 4873 htmvoc_5086.wav キーヌアバ ⸢キー⸣ヌ ⸣アバ [⸢kiː⸣nu ⸣ʔaba] 連 樹脂。「木の油(脂)」の義。まつやに(松脂)やテリハボクの樹脂など。 ム⸢カ⸣シェー ⸣マチキーラ ⸣アバ ス⸢ブ⸣ローッタツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣maʧikiːra ⸣ʔaba su⸢bu⸣roːtaʦoː] (昔は松の木から油を搾られて<搾油された>そうだ) 5087 0 0 4874 htmvoc_5087.wav キーヌアヤ ⸢キー⸣ヌ ⸣アヤ [⸢kiː⸣nu ⸣ʔaja] 連 年輪。木目。「木の綾」の義。 シ⸢ギキーヌ⸣ アヤ [ʃi⸢gikiːnu⸣ ʔaja] (杉の木目)。 ⸣マチキーヌ ⸣アヤー イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [⸣maʧikiːnu ⸣ʔajaː ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (松の木目は非常に美しい) 5088 0 0 4875 htmvoc_5088.wav キーヌアラーン ⸢キーヌ⸣ ア⸢ラー⸣ン [⸢kiːnu⸣ ʔa⸢raː⸣ŋ] 連 気が荒い。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸢キーヌ⸣ ア⸢ラー⸣ンダ ウ⸢リトー⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ララヌ [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸢kiːnu⸣ ʔa⸢raː⸣nda ʔu⸢ritoː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢raranu] (彼は非常に気が荒いので彼とは<一緒に>仕事は出来ない) 5090 0 0 4876 htmvoc_5090.wav キーヌカー ⸢キーヌ⸣カー [⸢kiːnu⸣kaː] 名 樹の皮。 ⸢キー⸣ヌ ⸣カー [⸢kiː⸣nu ⸣kaː] (「木の皮」は連語)。 ム⸢チンキーヌ キー⸣ヌ ⸣カー ⸢シッ⸣キティ ム⸢チン⸣ ス⸢ク⸣リティ メ⸢ジ⸣ロ シ⸢ビシキ⸣ シゥ⸢カム⸣タン [mu⸢ʧiŋkiːnu kiːnu⸣kaː ⸢ʃik⸣kiti mu⸢ʧin⸣ su̥⸢ku⸣riti me⸢ʤi⸣ro ʃi⸢biʃi̥ki⸣ si̥⸢kamu⸣taŋ] (モチノキ<黐の木>の皮を搗いてとりもち<鳥黐>を作ってメジロをひっつけて捕まえた) 5092 0 0 4877 htmvoc_5092.wav キーヌカイ ⸢キー⸣ヌ ⸣カイ [⸢kiː⸣nu ⸣kai] 連 木陰。木の陰。 ⸣アツァユンダ ⸢キー⸣ヌ ⸣カイ ⸢ペー⸣リバ [⸣ʔaʦajunda ⸢kiː⸣nu ⸣kai ⸢peː⸣riba] (暑いから木陰に入りなさい)。 ⸢キーヌカイ⸣ヌ ヌ⸢ビ⸣ルカー ⸣ティダー ⸢イールティダ⸣ ナリ ⸢ヨーリ⸣ス [⸢kiːnukai⸣nu nu⸢bi⸣rukaː ⸣tidaː ⸢ʔiːrutida⸣ nari ⸢joːri⸣su] (木陰が伸びると太陽は西日になって暑さも弱くなる<やわらぐ>)。⸣カイナカ[⸣kainaka](陰{EOS}陰中)、⸢キー⸣ヌ ⸣カイナカ[⸢kiː⸣nu ⸣kainaka](木陰{EOS}木の陰中)ともいう 5093 0 0 4878 htmvoc_5093.wav キーヌキシ ⸢キー⸣ヌ ⸣キシ [⸢kiː⸣nu ⸣kiʃi] 連 木の切れ。木の切れ端。 ⸢ヤースクリヤー⸣ヌ ⸢キー⸣ヌ ⸣キシ ア⸢ツァ⸣ミ ⸣キー タ⸢ム⸣ヌ ⸢シー⸣バ [⸢jaːsu̥kurijaː⸣nu ⸢kiː⸣nu ⸣ki̥ʃi ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣kiː ta⸢mu⸣nu ⸢ʃiː⸣ba] (新築中の家の木の切れ端を集めてきて薪にしなさい<せ>よ)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣キシェー シゥ⸢カーリン⸣ ム⸢ニ⸣ヌ ⸣キシェー シゥ⸢カーラヌ [⸢kiː⸣nu ⸣ki̥ʃeː si̥⸢kaːriŋ⸣ mu⸢ni⸣nu ⸣ki̥ʃeː si̥⸢karanu] (木の切れ端は使える{EOS}言葉の切れ端は使えない<余計な言葉で身を滅ぼす>) 5094 0 0 4879 htmvoc_5094.wav キーヌキシ ⸢キーヌ⸣キシ [⸢kiːnu⸣ki̥ʃi] 名 木片。木っ端。アクセントの違いにより一語と認定される。 ⸢キーヌキシ⸣ヌ ⸣アン [⸢kiːnukiʃi⸣nu ⸣ʔaŋ] (木片がある)。 ⸢キーヌ⸣キシェー シ⸢ティランドー⸣シ タ⸢ム⸣ヌ ⸢シー⸣バ [⸢kiːnu⸣ki̥ʃeː ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ta⸢mu⸣nu ⸢ʃiː⸣ba] (木片は捨てずに薪にしなさいよ) 5095 0 0 4880 htmvoc_5095.wav キーヌシー ⸢キー⸣ヌ ⸢シー [⸢kiː⸣nu ⸢ʃiː] 連 木の精。古木に宿ると考えられている木の精霊。ガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](榕樹)の古木には生霊が宿っているといわれている。鬱蒼と繁った大木の下に行くと、総身に鳥肌が立って樹木の精を感じるという。 ウ⸢ブキー⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナ ニ⸢ブ⸣カー ⸢キー⸣ヌ ⸢シーン⸣ ウ⸢ソーリン [ʔu⸢bukiː⸣nu s⸢saːn⸣na ni⸢bu⸣kaː ⸢kiː⸣nu ⸢ʃiːŋ⸣ ʔu⸢soːriŋ] (大木の下に寝ると、木の精に襲われる) 5096 0 0 4881 htmvoc_5096.wav キーヌシル ⸢キー⸣ヌ ⸣シル [⸢kiː⸣nu ⸣ʃiru] 連 樹液。「木の汁」の義。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸢キー⸣ヌ シ⸢ル⸣バ ア⸢シ⸣ブナ ⸢ヌーリ⸣ シケー [ga⸢ʤimaru⸣nu ⸢kiː⸣nu ʃi⸢ru⸣ba ʔa⸢ʃi⸣buna ⸢nuːri⸣ ʃikeː] (ガジマル<榕樹>の樹液を御出来<あせも>の周囲に塗っておいてある) 5097 0 0 4882 htmvoc_5097.wav キーヌスラ ⸢キー⸣ヌ ⸣スラ [⸢kiː⸣nu ⸣sura] 連 木の枝の先。こずえ(梢)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣スラナ ⸣パトゥザヌ トゥ⸢マリ ベー⸣ン [⸢kiː⸣nu ⸣surana ⸣pḁtuʣanu tu⸢mari beː⸣ŋ] (木の枝の先に鳩がとまっている) 5098 0 0 4883 htmvoc_5098.wav キーヌナル ⸢キーヌ⸣ナル [⸢kiːnu⸣naru] 名 木の実。果実。果物。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ナル [⸢kiː⸣nu ⸣naru] (木の実{EOS}<連語>)。「果、日本紀私記云古乃美<このみ>、俗云久太毛乃<くだもの>『和名抄』」の義。 ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムロー キーナナル⸣ヌ パ⸢チパチバ⸣ トゥリ⸢キー⸣ル カ⸢ザルタ [⸢soːran⸣nu mu⸢rumuroː kiːnunaru⸣nu pḁ⸢ʧipaʧiba⸣ turi ⸢kiː⸣ru ka⸢ʣaruta] (お盆のムルムルは木の実の初生りを取って来て供えた) 5099 0 0 4884 htmvoc_5099.wav キーヌナル ⸢キー⸣ヌ ⸣ナル [⸢kiː⸣nu ⸣naru] 連 木の実。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ナロー ⸢タイ⸣フーナ ⸢アイ⸣ウティ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kiː⸣nu ⸣naroː ⸢tai⸣ɸuːna ⸢ʔai⸣uti ⸢naː⸣nu] (木の実は台風で\ruby{捥}{モ}がれて落ちてしまった) 5100 0 0 4885 htmvoc_5100.wav キーヌニー ⸢キー⸣ヌ ⸣ニー [⸢kiː⸣nu ⸣niː] 連 木の根。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ニー⸣ヤ ⸢デー⸣ジ⸢ダー コン⸣クリーン バ⸢ルン⸣ダー [⸢kiː⸣nu ⸢niː⸣ja ⸢deː⸣ʤi⸢daː koŋ⸣kuriːm ba⸢run⸣daː] (木の根は大変だよ{EOS}コンクリートをも割るよ) 5101 0 0 4886 htmvoc_5101.wav キーヌパー ⸢キーヌ⸣パー [⸢kiːnu⸣paː] 名 木の葉。「~夕闇乃 木葉隠有月待如<~夕闇の木の葉隠れる月待つ如し>『万葉集 2667』」の義。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣アトー ⸢キーヌ⸣パー ⸢ポー⸣キ ア⸢ツァ⸣ミティ パ⸢タ⸣ケー ⸣ムティ⸢ギー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣コイ ⸢ナシタ⸣ル [⸢taiɸuː⸣nu ⸣ʔatoː ⸢kiːnu⸣paː ⸢poː⸣ki ʔa⸢ʦa⸣miti pḁ⸢ta⸣keː ⸣muti ⸢giː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣koi ⸢naʃita⸣ru] (台風の後は木の葉を掃き集めて、畑へ持って行き、畑の肥やしにしたものだ) 5102 0 0 4887 htmvoc_5102.wav キーヌバイ ⸢キー⸣ヌ ⸣バイ [⸢kiː⸣nu ⸣bai] 連 木の芽。若芽。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペール⸣ター ⸢キー⸣ヌ ⸣バイン ンジ⸢キー⸣ ブー [ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peːru⸣taː ⸢kiː⸣nu ⸣baiŋ ⸣ʔnʤi ⸢kiː⸣ buː] (初夏の季節に入ったので木の芽も出てきている) 5110 0 0 4888 htmvoc_5110.wav キーヌパンタ ⸢キーヌパン⸣タ [⸢kiːnupan⸣ta] 名 梢。「木の先端」の転訛したもの。 ⸢キーヌパン⸣タナ ⸣パトゥザヌ ⸣シー ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸢kiːnupan⸣tana ⸣pḁtuʣanu ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (梢に鳩が巣を作ってある) 5103 0 0 4889 htmvoc_5103.wav キーヌパンターマ ⸢キー⸣ヌ パン⸢ター⸣マ [⸢kiː⸣nu pan⸢taː⸣ma] 連 木の最先端。 ⸢キー⸣ヌ パン⸢ター⸣マナ ⸢ヌーリ⸣ ア⸢サビベー⸣ティ ⸣ウマーラ ウ⸢ティ⸣ルカー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー [⸢kiː⸣nu pan⸢taː⸣mana ⸢nuːri⸣ ʔa⸢sabibeː⸣ti ⸣ʔumaːra ʔu⸢ti⸣rukaː ⸣duː ja⸢ma⸣sun⸢daː] (木の先端部に登って遊んでいて、そこから落ちたら怪我するぞ) 5104 0 0 4890 htmvoc_5104.wav キーヌマガレー ⸢キー⸣ヌ マ⸢ガレー [⸢kiː⸣nu ma⸢gareː] 連 木の曲がったもの。木の曲がり。 ⸢キー⸣ヌ マ⸢ガレー ノーサ⸣リン プ⸢スヌ⸣ マ⸢ガレー ノーサラ⸣ヌ [⸢kiː⸣nu ma⸢gareː noːsa⸣riŋ pu̥⸢sunu⸣ ma⸢gareː noːsara⸣nu] (木の曲がったのはなせる{EOS}人の曲がりは直せない<諺>) 5105 0 0 4891 htmvoc_5105.wav キーヌマタ ⸢キー⸣ヌ ⸣マタ [⸢kiː⸣nu ⸣mata] 連 木の股。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン ⸢キー⸣ヌ ⸣マタナー ⸢ヌーリ⸣ ア⸢サビベーン⸣ケン ⸣ウマーラ ⸣ウティティ ス⸢ブル⸣バ ⸢ピッ⸣キ ⸣シケータル [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣keŋ ⸢kiː⸣nu ⸣matanaː ⸢nuːri⸣ ʔa⸢sabi beːŋ⸣keŋ ⸣ʔumaːra ⸣ʔutiti su⸢buru⸣ba ⸢pik⸣ki ⸣ʃi̥keːtaru] (子供の頃、木の股に上って遊んでいたが、そこから落ちて頭に傷をつけて<孔を開けて>しまっていたよ) 5091 0 0 4892 htmvoc_5091.wav キーヌミー ⸢キー⸣ヌ ⸣ミー [⸢kiː⸣nu ⸣miː] 連 林の中。雑木林の中。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ミーナール パ⸢ボー ブー⸣ダー [⸢kiː⸣nu ⸣miːnaːru pa⸢boː buː⸣daː] (雑木林の中に<ぞ>ハブはいるのだよ) 5106 0 0 4893 htmvoc_5106.wav キーヌムシ ⸢キーヌ⸣ムシ [⸢kiːnu⸣muʃi] 名 木の虫。材木の中に棲み、材質を食う虫。 ⸢キーヌムシ⸣ヌ ⸢ペー⸣リティ ⸢キー⸣ヌ ⸢シン⸣マー ⸣ッサリ ⸢ユーゾーナー⸣ヌ [⸢kiːnumuʃi⸣nu ⸢peː⸣riti ⸢kiː⸣nu ⸢ʃim⸣maː ⸣ssari ⸢juːʣoːnaː⸣nu] (木の虫が入って木の芯が腐れ、役に立たない{EOS}木の芯を虫が食って材木は台無しである) 5109 0 0 4894 htmvoc_5109.wav ギーヌムヌ ⸢ギー⸣ヌ ⸣ムヌ [⸢giː⸣nu ⸣munu] 連 下等な物。「下の物」の義。かつて鳩間島でも米や芋、南瓜、西瓜、瓜などの農産物、豚や山羊などの畜産、その他織物工芸品などの品評会で上、中、下の品質の判定が行われた。 ク⸢レー ダーッ⸣サ ⸢ナーン⸣バン{EOS}⸢ギー⸣ヌ ム⸢ヌ⸣ユン [ku⸢reː daːs⸣sa ⸢naːm⸣baŋ{EOS}⸢giː⸣nu mu⸢nu⸣juŋ] (これは良くないワイ{EOS}下等な物だよ)。 ⸣スブットゥヌル ⸢ギー⸣ヌ ⸣ムノー ス⸢ク⸣ル ⸢マイフナーヌ⸣ ス⸢ク⸣ルムノー ⸢チャー ゾー⸣ヌ ⸣ムヌ [⸣subuttunuru ⸢giː⸣nu ⸣munoː su̥⸢ku⸣ru ⸢maiɸunaːnu⸣ su̥⸢ku⸣ru ⸣munoː ⸢ʧaː ʣoː⸣nu ⸣munu] (怠け者が下の物<農作物>を作る{EOS}働き者が作る作物は常に上の物<農産品>だ) 5111 0 0 4895 htmvoc_5111.wav キーヌヤー ⸢キー⸣ヌ ⸣ヤー [⸢kiː⸣nu ⸣jaː] 連 建築用材を積んで乾燥させておく小屋。木小屋。⸢キー⸣ヤー[⸢kiː⸣jaː](木小屋)ともいう。昔は長期計画で建築用材を山出しした。西表島北岸での農作業の合い間にヤ⸢マ⸣フミ[ja⸢ma⸣ɸumi](山踏み{EOS}山に入り、木材を探すこと)をして上質の建築用材を伐り出し、島に運んで約一年間⸢スー⸣カン[⸢suː⸣kaŋ](海中に沈めたり、海の砂に埋めて潮乾燥)をした後、木小屋で保管した。 ⸢キー⸣ヤ ⸢スー⸣カン シ⸢ティ キー⸣ヌ ⸣ヤーナ シ⸢ミ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ム⸢シェー ペーラン⸣シェン [⸢kiː⸣ja ⸢suː⸣kaŋ ʃi̥⸢ti kiː⸣nu ⸣jaːna ʃi⸢mi⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː mu⸢ʃeː peːra⸣ŋʃeŋ] (材木は海水に沈めて潮乾燥して、木小屋に積み上げておくと虫は入らなかった) 5112 0 0 4896 htmvoc_5112.wav キーヌユダ ⸢キーヌ⸣ユダ [⸢kiːnu⸣juda] 名 木の枝。枝。 ⸢キーヌ⸣ユダー ⸣キシ ウ⸢タ⸣シバ [⸢kiːnu⸣judaː ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ta⸣ʃiba] (木の枝は切り落としなさいよ) 5113 0 0 4897 htmvoc_5113.wav ギーバー ⸢ギーバー [⸢giːbaː] 名 八重歯。犬歯。「牙、キバ・キ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ア⸢バ⸣レーンドゥ バ⸢ラウ⸣カー ⸢ギーバーヌ⸣ ンジティ ナ⸢クラー⸣ン [ʔu⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔa⸢ba⸣reːndu ba⸢rau⸣kaː ⸢giːbaːnu⸣ ʔnʤiti na⸢kuraː⸣ŋ] (その女の子は美しいんだが、笑うと八重歯が出て怖いよ)。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸢ギーバー [ka⸢mai⸣nu ⸢giːbaː] (猪の牙)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ギーバーヌ トゥンジベー [ku⸢nu⸣ f⸢faː giːbaːnu tunʤibeː] (この子は犬歯<牙>が突き出ている) 5114 0 0 4898 htmvoc_5114.wav キーパイ ⸢キー⸣パイ [⸢kiː⸣pai] 名 こくわ(木鍬)。木で作った鍬。沖縄古語に「くはい 鍬の事」『混効験集』とある。カ⸢ナパイ[ka⸢napai](鍬{EOS}「鉄鍬」の義)の対義語。田打ちに用いる鍬をいう。硬質の木を刳り削って作った田鍬。刃幅約25センチ、長さ約35センチ、柄の長さ約130センチの田打ち鍬は昭和40年頃まで使用されていた。刃の内側はゆるいV字形に刳り込むが、柄を差し込む部分は厚みをもたせてある。かなりの重量があるため、戦後は薄い鉄板を利用して木製の⸢キー⸣パイ[⸢kiː⸣pai]の形に田鍬を作ったが、これに対しても⸢キー⸣パイ[⸢kiː⸣pai]と称した。⸢キー⸣パイはユ⸢ビター[ju⸢bitaː](深田)を耕す際に使用した。 ⸢キーパイ⸣ヤ ⸢グッ⸣ふァンダ ウ⸢リ⸣シ ⸣ター ⸢カイ⸣スピンマー ブ⸢ガ⸣リ ナ⸢ラン⸣シェン [⸢kiːpai⸣jaː ⸢guf⸣fandaː ʔu⸢ri⸣ʃi ⸣taː ⸢kai⸣su ⸣pimmaː bu⸢ga⸣ri na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (木鍬は重いから、それで田を耕すときは疲れて堪らなかった<ならなかった>) 5121 0 0 4899 htmvoc_5121.wav キーパガー ⸢キーパガー [⸢kiːpagaː] 名 毛の抜けた人。頭髪の禿げた人。禿頭。キーパギ(毛禿げ)に接尾語のヤー(人)が下接して形成された合成語。 ウ⸢ブヤンバ シーティル⸣ アイニ ⸢キーパガー⸣ ナリ ⸢ベー⸣ル [ʔu⸢bujamba ʃiːtiru⸣ ʔaini ⸢kiːpagaː⸣ nari ⸢beː⸣ru] (大病をして、あのように頭髪の禿げた人<禿頭>になっているのだ) 5115 0 0 4900 htmvoc_5115.wav キーバキタナ ⸢キーバキ⸣タナ [⸢kiːbaki⸣tana] 名 木材を木挽き鋸で挽き割る装置。製材棚。立ち木の適当な枝に2本の材木を斜めに掛け、それに横木を渡して固定したもの。その横木に製材する材木を載せ、一人はその材木の上に乗り、一人は地上に立って、双方力を合わせて一本の木挽き鋸を挽いて製材した。重労働であった。 ⸢キーバキ⸣タナ ⸣カキティ フ⸢タール⸣シ ⸣キー ⸣バキティ ⸣イツァン ⸣パラーン ス⸢ク⸣ローッタ [⸢kiːbaki⸣tana ⸣kḁkiti ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸣kiː ⸣bakiti ⸣ʔiʦam ⸣paraːn su̥⸢ku⸣roːtta] (木材を鋸で挽き割る装置<棚>を掛けて、二人で材木を挽き割って板も柱も製材され<作られ>た) 5116 0 0 4901 htmvoc_5116.wav キーバキヌキル ⸢キーバキヌキ⸣ル [⸢kiːbakinuki⸣ru] 名 木挽き鋸。「木分<ヮキ>鋸」の義。材木を挽いて板を製材するのに用いる巾の広い大鋸。 ⸢キーバキヌキ⸣ルシ フ⸢クンキーラ⸣ イツァ バ⸢コーッ⸣タ [⸢kiːbakinuki⸣ruʃi ɸu̥⸢kuŋkiːra⸣ ʔiʦa ba⸢koːt⸣ta] (木挽き鋸で福木を挽き分けて板を製材された) 5122 0 0 4902 htmvoc_5122.wav キーバキプス ⸢キーバキ⸣プス [⸢kiːbaki⸣pu̥su] 名 木挽き。木材をおが(大鋸)で挽く人。「工」の字型の木枠に鋸身を張った、縦挽用の大きな鋸を用いて木材を挽く人。二人一組で挽く。一人挽きの大型柄鋸(えのこ)もあったが、それを二人で挽くことが多かった。 ⸢キーバキ⸣プス タ⸢ナ⸣ミティ ⸣イツァ バ⸢カ⸣シ [⸢kiːbaki⸣pu̥su ta⸢na⸣miti ⸣ʔiʦa ba⸢ka⸣ʃi] (木挽きを頼んで木材を板に挽いてもらいなさい) 5123 0 0 4903 htmvoc_5123.wav キーパク ⸢キー⸣パク [⸢kiː⸣pḁku] 名 木箱。杉板で作った箱。⸣ガンガンパク[⸣gaŋgampḁku](アルミ板や鉄板で作った箱)の対義語。 ⸣ガンガンパコー サ⸢ビ フイ⸣スンダ ⸢キー⸣パクナ イ⸢リリ⸣ヨー [⸣gaŋgampakoː sa⸢bi ɸui⸣sunda ⸢kiː⸣pḁkuna ʔi⸢riri⸣joː] (鉄板の箱は錆がつく<錆食う>から、木箱に入れなさいよ) 5188 0 0 4904 htmvoc_5188.wav キーバクン ⸢キー⸣ バクン [⸢kiː⸣ bakuŋ] 連 材木を縦に挽いて製材する。材木から板を製材する。 ⸢キーバキヌキ⸣ルシ フ⸢クンキー⸣ バキティ ⸢フンツァイツァ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢kiːbakinuki⸣ruʃi ɸu̥⸢kuŋkiː⸣ bakiti ⸢ɸunʦaʔiʦa⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (縦挽き鋸で福木を挽き分けて床板を作られた) 5124 0 0 4905 htmvoc_5124.wav キーパシ ⸢キー⸣パシ [⸢kiː⸣pḁʃi] 名 木製の箸。上品な箸。祝い用の箸。日常生活に用いる箸はタ⸢キパシ[tḁ⸢kipaʃi](竹箸)を用いた。⸢ユシ⸣キパシ[⸢juʃi̥⸣kipḁʃi](ススキ箸)は、ウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](紙銭)を焼く際に用いた。 ⸢キー⸣パシェー イ⸢サンケーラ カイヨーッ⸣タ [⸢kiː⸣pḁʃeː ʔi⸢saŋkeːra kaijoːt⸣ta] (木箸は石垣島から買ってこられた)。 ⸣チニヒージェー タ⸢キパシル⸣ シゥ⸢カウタ [⸣ʧinihiːʤeː tḁ⸢kipaʃiru⸣ si̥⸢kauta] (常日頃は竹箸を使った) 5189 0 0 4906 htmvoc_5189.wav キーパチムヌ ⸢キーパチ⸣ムヌ [⸢kiːpaʧi⸣munu] 名 活気のある人。活力のある人。生き生きした元気な人。 ウ⸢レー キーパチ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトゥン⸣ ユ⸢ダン サンドー⸣シ タ⸢デー⸣マンチン トゥ⸢ズミ⸣ス [ʔu⸢reː kiːpaʧi⸣munu ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutuŋ⸣ ju⸢dan sandoː⸣ʃi ta⸢deː⸣manʧin tu⸢ʣumi⸣su] (彼は活力のある人だから、仕事も油断しないで即座に<すぐさま{EOS}只今のうちに>終わらせる) 5117 0 0 4907 htmvoc_5117.wav キーパツァーン ⸢キーパツァー⸣ン [⸢kiːpaʦaː⸣ŋ] 形 せっかち<急勝>である。性急である。 ク⸢レー キーパツァー⸣ンダ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミバン⸣ プ⸢ソーラ パイ⸣サ シ⸢グトゥ シー⸣ トゥ⸢ズミス [ku⸢reː kiːpaʦaː⸣ndaː noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mibam⸣ pu̥⸢soːra pai⸣sa ʃi⸢gutu ʃiː⸣ tu⸢ʣumisu] (この人<これ>はせっかちな性分だから、何をさせても他人より早く仕事を完成<し終え>させる)。 ⸢キーパツァーナー⸣ヌ [⸢kiːpaʦaːnaː⸣nu] (せっかちでない)。 ⸢キーパツァー⸣ プス [⸢kiːpaʦaː⸣ pu̥su] (せっかちな人)。気が早くてきぱきと行動する。 ⸢キーパツァー⸣ プ⸢ソー⸣ シ⸢グトー⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢kiːpḁʦaː⸣ pu̥⸢soː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (せっかちな人は仕事は早い)。 ⸢キーパツァー⸣ンティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー ⸢キーパツァー ナー⸣ヌ [⸢kiːpḁʦaː⸣nti su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː ⸢kiːpaʦaː naː⸣nu] (せっかちだと聞いたがあまりせっかちではない)。 ⸢キーパツァー⸣ ナリ ⸢キー⸣ブバン [⸢kiːpaʦaː⸣ nari ⸢kiː⸣bubaŋ] (せっかちになってきているよ)。 ⸣マー ン⸢ベーマ キーパツァー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma kiːpaʦaː⸣reː ⸣misamunu] (もう少しせっかちだったら良いのに) 5191 0 0 4908 htmvoc_5191.wav キーパヤーン ⸢キーパヤー⸣ン [⸢kiːpajaː⸣ŋ] 形 気が早い。気早い。せっかちである。気短でてきぱきと行動する。 ウ⸢レー キーパヤー⸣ンダ シ⸢グトゥ⸣ タ⸢ナ⸣ムカー タ⸢デー⸣マンチン ⸢シー⸣ ッ⸢ふィールン [ʔu⸢reː kiːpajaː⸣nda ʃi⸢gutu⸣ ta⸢na⸣mukaː ta⸢deː⸣manʧiŋ ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːruŋ] (彼は気が速いから仕事を頼むとすぐさま<只今の内に>してくれる)。 ウ⸢レー キーパヤー⸣ンダー ナー⸢イ⸣ ブ⸢リサヌ⸣ ケーンティ ⸣ウムーカー シ⸢グ⸣ パ⸢リ⸣ス [ʔu⸢reː kiːpajaː⸣ndaː naː⸢i⸣ bu⸢risanu⸣ keːnti ⸣ʔumuːkaː ʃi⸢gu⸣ pa⸢ri⸣su] (その人は気が早い<せっかちだ>から、ただじっとして居れない<性分だ>{EOS}来たと思ったらすぐ行ってしまう)。 ⸣ドゥク ⸢キーパヤー⸣ヌ ウ⸢ティシゥカ⸣ヌ [⸣duku ⸢kiːpajaː⸣nu ʔu⸢tisï̥ka⸣nu] (あまりにも気が早くて<せっかちだが>落ち着かない)。 ⸣アイヤー ⸢キーパヤーナー⸣ヌ [⸣ʔaijaː ⸢kiːpajaːnaː⸣nu] (そんなに気が早くない<せっかちでない>)。 ⸢キーパヤー⸣ プ⸢ソー⸣ ヤ⸢トーラ⸣ヌ [⸢kiːpajaː⸣ pu̥⸢soː⸣ ja⸢toːra⸣nu] (気の早い<せっかちな>人は雇うことができない<雇われない>) 5126 0 0 4909 htmvoc_5126.wav キーパルン ⸢キー⸣ パルン [⸢kiː⸣ paruŋ] 連 消えていく。 ティ⸢ガ⸣ミ ⸣アミナ ⸢ゾーラス⸣カー ⸢ジーヤ キー⸣パルン [ti⸢ga⸣mi ⸣ʔamina ⸢ʣoːrasu⸣kaː ⸢ʤiːja kiː⸣paruŋ] (手紙を雨に濡らすと文字は消えていく) 5192 0 0 4910 htmvoc_5192.wav ギーバルン ⸢ギーバルン [⸢giːbaruŋ] 自動 気張る。元気を出す。頑張る。精を出す。「Qibari,u,atta.キバリ,ル,ッタ(気張り,る,つた)物事をするのに一層力を出す.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢タンガ⸣シ ⸢ギーバルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ギーバララヌ [⸢taŋga⸣ʃi ⸢giːbarunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢giːbararanu] (一人で頑張ろうと思うが、頑張られない)。 ⸢ギーバリ⸣ ミサカー ⸢ギーバル⸣ クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢ワンヌン ギーバレー⸣ ミサムヌ [⸢giːbari⸣ misakaː ⸢giːbaru⸣ ku̥toː na⸢run⸣du ⸢wannuŋ giːbareː⸣ misamunu] (頑張って良ければ頑張ることは出来るが、君も頑張れば良いのに)。 イ⸢ジン⸣ジ ⸢ギーバリ⸣ヨー [ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸢giːbari⸣joː] (一生懸命に頑張れよ)。 シ⸢グトー タンガ⸣シン ⸢ギーバルン [ʃi⸢gutoː⸣ ⸢taŋga⸣ʃim ⸢giːbaruŋ] (仕事は一人ででも頑張る)。 ⸢ギーバラン⸣タンティン ⸣ミサン [⸢giːbaran⸣tantim ⸣misaŋ] (頑張らなくてもいい)。 ⸢ギーバリ⸣ プサン [⸢giːbari⸣ pu̥saŋ] (頑張りたい)。 ⸢ギーバル⸣ クトゥ [⸢giːbaru⸣ ku̥tu] (頑張ること)。 ⸢ギーバレー⸣ ミサムヌ [⸢giːbareː⸣ misamunu] (頑張ればよいのに)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ヤー⸢ディン ギーバリ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ jaː⸢diŋ giːbari] (この仕事は必ず頑張れ) 5127 0 0 4911 htmvoc_5127.wav キープサイ ⸢キー⸣プサイ [⸢kiː⸣pu̥sai] 名 薪拾い。 ⸢バン⸣トゥ ⸢マーズン キー⸣プサイン パラ⸢ディー [⸢ban⸣tu ⸢maːʣuŋ kiː⸣pu̥saim para⸢diː] (私と一緒に薪拾いに行こうよ) 5193 0 0 4912 htmvoc_5193.wav キープサウン ⸣キー プ⸢サウン [⸣kiː pu̥⸢sauŋ] 連 薪取りをする。薪拾いをする。 パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シティ ⸣アトー ⸣キー プ⸢サウン [pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi̥ti ⸣ʔatoː ⸣kiː pu̥⸢sauŋ] (畑を耕した後に薪拾いをする<薪を拾う>) 5194 0 0 4913 htmvoc_5194.wav キープゾー ⸢キー⸣プゾー [⸢kiː⸣puʣoː] 名 木製の煙草入れ。「木宝蔵」の義。直径約10センチ、高さ約15センチの円筒状に木材を刳り込んで造った煙草入れ。漁師が烏賊釣り漁やカツオ釣り漁に出る際に、木製の煙草入れにマッチを入れ、さらに煙草入れを⸢ナーブ⸣ク[⸢naːbu⸣ku](板製の縄箱)に入れてカ⸢キン⸣グ[kḁ⸢kiŋ⸣gu](格護{EOS}保護{EOS}保管)した。 ⸢キー⸣プゾーナール シ⸢キダ⸣キン イ⸢リティル⸣ イ⸢ソー オーッ⸣タ [⸢kiː⸣puʣoːnaːru ʃi̥⸢kidaki⸣ŋ ʔi⸢ritiru⸣ ʔi⸢soː ʔoːt⸣ta] (木製の煙草入れ<木宝蔵>にマッチ<付け竹>をも入れて漁には行かれた) 5128 0 0 4914 htmvoc_5128.wav キーフタ ⸢キー⸣フタ [⸢kiː⸣ɸu̥ta] 名 木製の蓋。「木蓋」の義。⸢スー⸣ナビ[⸢suː⸣nabi](汁鍋)や⸢イー⸣ナビ[⸢ʔiː⸣nabi](飯鍋)の蓋は木製の蓋をつかったが、芋を煮る⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](大鍋{EOS}「四枚鍋」の義)は、萱で編んだ円錐形の鍋蓋を用いた。 ⸢イーナビ⸣ヌ ⸢キーフタ⸣ヌ ア⸢チメー⸣ ア⸢ツァン⸣ドゥ ⸢スーナビ⸣ヌ フ⸢タヌ⸣ ア⸢チメー⸣ ピサン [⸢ʔiːnabi⸣nu ⸢kiːɸu̥ta⸣nu ʔa⸢ʧimeː⸣ ʔa⸢ʦan⸣du ⸢suːnabi⸣nu ɸu̥⸢tanu⸣ ʔa⸢ʧimeː⸣ pi̥saŋ] (飯鍋の木蓋の厚みは厚いが、汁鍋の蓋の厚さは薄い) 5129 0 0 4915 htmvoc_5129.wav キーブッター ⸢キーブッター [⸢kiːbuttaː] 名 毛深い人(男)。毛むくじゃらの人。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー タッ⸣テヌ マ⸢リル⸣ シ⸢タ⸣ユー ⸣アイニ ⸢キーブッター⸣ ナリ ⸢ブー⸣ツォー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː tat⸣tenu ma⸢riru⸣ ʃi̥⸢ta⸣juː ⸣ʔaini ⸢kiːbuttaː⸣ nari ⸢buː⸣ʦoː] (この人は何処の家の血統を受けて生まれた<何処の家の生まれをした>のか、あんなに毛むくじゃらになっているのだよ) 5130 0 0 4916 htmvoc_5130.wav キープトゥキ ⸢キープトゥ⸣キ [⸢kiːpu̥tu⸣ki] 名 木仏。木彫の仏像。 ⸢ウイヌ⸣ ウガンナー ⸢キープトゥキ⸣ヌ マ⸢ツァリ オー⸣ルン [⸢ʔuinu⸣ ʔugannaː ⸢kiːpu̥tuki⸣nu ma⸢ʦari ʔoː⸣ruŋ] (友利御嶽には木仏が祀られ<奉祀され>ておられる) 5577 0 0 4917 htmvoc_5577.wav キーブル ⸢キーブル [⸢kiːburu] 名 身の毛立つこと。鳥肌。悪寒。「毛震い」の義か。 ⸢キーブル スン [⸢kiːburu suŋ] (鳥肌が立つ{EOS}身震いする) 5186 0 0 4918 htmvoc_5186.wav キーブルスン ⸢キーブルスン [⸢kiːburusuŋ] 自動 身の毛が弥立って身震いする。身の毛がよだつ。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キティ⸣ ナ⸢クラー⸣ヌ ⸢キーブル シーナーン⸣シェン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kiti⸣ na⸢kurː⸣nu ⸢kiːburu ʃiːnaːŋ⸣ʃeŋ] (その話を聞いて驚いて身の毛が弥立ち、身震いしてしまった)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン ヤラバン キーブルスン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ɲ jarabaŋ kiːburusuŋ] (その話を聞くと誰でも身の毛が弥立つ)。 ⸢キーブル サヌ [⸢kiːburu sanu] (身震いしない)。 ⸢キーブルスー⸣ プス [⸢kiːburusuː⸣ pu̥su] (身震いするとき) 5578 0 0 4919 htmvoc_5578.wav キーブルスン ⸢キーブル スン [⸢kiːburu suŋ] 連 恐怖感で身の毛がよだつ。ぞっとする。鳥肌が立つ。身震いする。 ⸢ウンヌ⸣ クトゥ ⸣ウムーカー マ⸢ナ⸣マン ⸢キーブル シース [⸢ʔunnu⸣ ku̥tu ⸣ʔumuːkaː ma⸢na⸣maŋ ⸢kiːburu ʃiːsu] (その時のことを思うと、今でも恐怖感でぞっとするよ)。 ウ⸢ヌ パナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ⸢キーブルスン [ʔu⸢nu pana⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ⸢kiːburu suŋ] (その話を聞くと鳥肌が立つ)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ナ⸢クラー⸣ヌ ⸢キーブル シース [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː na⸢kuraː⸣nu ⸢kiːburu ʃiːsu] (その話を聞くと、恐ろしくて鳥肌が立つよ) 5143 0 0 4920 htmvoc_5143.wav キーフン ⸢キー⸣フン [⸢kiː⸣ɸuŋ] 名 木釘。「栓、 岐久岐 木釘也『和名抄』」の転化したもの。柱や桁材に直径約2センチ程の孔をあけ、それに⸣カシンキー[⸣kaʃiŋkiː](オキナワウラジロガシ)で作った棒状の木釘を打ち込んでジョイント部分を強化するのに用いた木釘。 ⸢キー⸣フン ⸣ウティ シ⸢キ⸣ルカー ⸣キター ⸢パンチラヌ [⸢kiː⸣ɸuŋ ⸣ʔuti ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣ki̥taː ⸢panʧiranu] (木釘を打っておくと桁材は<柱から>外れない) 5144 0 0 4921 htmvoc_5144.wav キーボーン ⸢キーボー⸣ン [⸢kiːboː⸣ŋ] 形 煙たい。 ⸣クマー ⸢キーボー⸣ン [⸣kumaː ⸢kiːboː⸣ŋ] (此処は煙たい)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢キーボーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢kiːboːnaː⸣nu] (あまり煙たくない)。 ⸢シンダイ キー⸣ボー ⸣ナルン [⸢ʃindai kiː⸣boː ⸣naruŋ] (次第に煙たくなる)。 ⸣ドゥク ⸢キーボー⸣カー カ⸢マー⸣ パリバ [⸣duku ⸢kiːboː⸣kaː ka⸢maː⸣ pariba] (あまりに煙たかったら、向こうへ行けよ)。 ⸢キーボー⸣ トンマー ⸢クー⸣ナ [⸢kiːboː⸣ tommaː ⸢kuː⸣na] (煙たい所へは来るな)。 ⸣アイ ⸢スン⸣ケン ⸢キーボー⸣カー ⸢ワー⸣ カ⸢マチフチェー クーン⸣ ブリバ [⸣ʔai ⸢suŋ⸣keŋ ⸢kiːboː⸣kaː ⸢waː⸣ ka⸢maʧiɸu̥ʧeː kuːm⸣ buriba] (そんなに<それ程に>煙たければ、君は竈口<へっついの辺り>にうろつくな<来るな>よ) 5586 0 0 4922 htmvoc_5586.wav キーボーン ⸢キー⸣ボーン [⸢kiː⸣boːŋ] 形 煙たい。けぶい。 キ⸢ボーシ⸣ フ⸢チ⸣マリティ ⸢キーボー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣mariti ⸢kiːboː⸣nu na⸢ra⸣nu] (煙が燻って煙たくてたまらない)。 ⸢キーボーナー⸣ヌ [⸢kiːboːnaː⸣nu] (煙たくない)。 ⸣クマン ⸢キー⸣ボーン [⸣kumaŋ ⸢kiː⸣boːŋ] (ここも煙たい)。 ⸢キー⸣ボー ⸣クトー ⸢キー⸣ボーンドゥ ⸣ニジバ [⸢kiː⸣boː ⸣ku̥toː ⸢kiː⸣boːndu ⸣niʤiba] (煙たいことは煙たいが、我慢しなさい)。 ⸢キー⸣ボーカー [⸢kiː⸣boːkaː] (煙たいなら) 5145 0 0 4923 htmvoc_5145.wav キーマッふァ ⸢キーマッ⸣ふァ [⸢kiːmaf⸣fa] 名 木枕。「敷細 吾木枕<~しきたへの吾が木枕<コマクラ>は~>『万葉集 2630』」の義。芳香のある木を利用して枕に作ったもの。台湾産の楠木は樟脳の芳香を有し、頭痛やのぼせなどの持病に効くといって枕の材料に重用された。パ⸢クマッふァ[pḁ⸢kumaffa](箱形の枕)、ヤ⸢キ⸣ムヌマッふァ[ja⸢ki⸣munumaffa](陶磁器製の枕)もあった。ヤ⸢キ⸣ムヌマッふァ[ja⸢ki⸣munumaffa](陶磁器製の枕)は涼しいといって夏季に好まれた。 ⸢キーマッ⸣ふァ ⸢サン⸣カー ヌ⸢ビカジ⸣ヌ ⸢コー⸣リティ ⸣ユー ニ⸢バラヌ [⸢kiːmaf⸣fa ⸢saŋ⸣kaː nu⸢bikaʤi⸣nu ⸢koː⸣riti ⸣juː ni⸢baranu] (木枕をしないと首筋が凝ってよく寝ることが出来ない) 5347 0 0 4924 htmvoc_5347.wav キームインガーリ ⸢キームインガー⸣リ [⸢kiːmuiŋgaː⸣ri] 名 動物の毛が生え変わること。 ⸢イン⸣ヌ ⸢キーン⸣ マ⸢ヤ⸣ヌ ⸢キーン⸣ ム⸢インガー⸣リ ⸢スン [⸢ʔin⸣nu ⸢kiːm⸣ ma⸢ja⸣nu ⸢kiːm muiŋgaː⸣ri ⸢suŋ] (犬の毛も猫の毛も生え変わる<生え変わりする{EOS}再生する>) 5146 0 0 4925 htmvoc_5146.wav キームシ ⸢キームシ [⸢kiːmuʃi] 名 毛虫。毛の密生した虫。 ⸢キームシェー⸣ プ⸢ス⸣ ッスンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢kiːmuʃeː⸣ pu̥⸢su⸣ ssunda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (毛虫は人を刺すから、気をつけなさいよ) 5195 0 0 4926 htmvoc_5195.wav キームチ ⸢キームチ [⸢kiːmuʧi] 名 陽気な人。活発な人。賑やかな人。活力に溢れた人。活気に溢れた人。 ウ⸢レー キームチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢ナ⸣シン ウ⸢ムッ⸣サ ⸣ザームチン ⸢ゾー⸣ジ [ʔu⸢reː kiːmuʧi⸣ ja⸢runda⸣ pa⸢na⸣ʃiŋ ʔu⸢mus⸣sa ⸣ʣaːmuʧin ⸢ʣoː⸣ʤi] (その人は陽気な人だから話も面白く、座持ち<座に興を添えること>も上手である)。 ⸢キームチヌプソー サンシンヌ ウトゥヌ⸣ シゥ⸢カリ⸣カー シ⸢グ トゥンタティ⸣ ブ⸢ドゥル シース [⸢kiːmuʧipu̥soː saŋʃinnu ʔutunu⸣ si̥⸢kari⸣kaː ʃi⸢gu tuntati⸣ bu⸢duru ʃiːsu] (活気に溢れた人は三味線の音を聞くと、すぐさま立ち上がって踊りをする) 5108 0 0 4927 htmvoc_5108.wav ギームチ ⸢ギーム⸣チ [⸢giːmu⸣ʧi] 名 芸達者。「芸持ち」の義。⸣ギームチ[⸣giːmuʧi]ともいう。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢ギームチ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ⸢ターティナー⸣ン ⸢サンシンマー⸣ ピ⸢キス [pḁ⸢tu⸣ma ⸣pu̥soː ⸢giːmuʧi⸣nu ⸢goː⸣raːnda ⸢taːti naː⸣n ⸢saŋʃimmaː⸣ pi̥⸢kisu] (鳩間島の人は芸達者が多いから、誰でも<誰彼無しに>三味線が弾ける)。 ⸣ギームチナー ヤ⸢ナプソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣giːmuʧinaː ja⸢napu̥soː⸣ bu⸢raːnu] (芸持ちに悪人はいない) 5054 0 0 4928 htmvoc_5054.wav ギームドゥル ⸢ギームドゥル [⸢giːmuduru] 名 行き帰り。行き戻り。往来。 ⸣イダフニナー ⸢ニー⸣バ マ⸢ジ⸣ミティ ⸢パイ⸣ター ⸢ギームドゥル スー⸣ ピン ⸢ジンプーヌ⸣ マ⸢ラン⸣カー ⸣イダフニ ⸣クーンティ ⸢ナン⸣ギ シ⸢タン⸣ダー [⸣ʔidaɸuninaː ⸢niː⸣ba ma⸢ʤi⸣miti ⸢pai⸣taː ⸢giːmuduru suː⸣ pimmaː ⸢ʤimpuː⸣ ma⸢raŋ⸣kaː ⸣ʔidaɸuni ⸣kuːnti ⸢naŋ⸣gi ʃi̥⸢tan⸣daː] (サバニに荷を積んで南端へ行き帰りする時は順風にならない<順風が生まれない>とサバニを漕ぐのに難儀したものだよ)。 ⸢パイ⸣ターヌ ⸢ギームドゥロー⸣ イダフニバ ⸢クイ⸣ヤーティル ⸢オーッタ⸣ル [⸢pai⸣taːnu ⸢giːmuduroː⸣ ʔidaɸuniba ⸢kui⸣jaːtiru ⸢ʔoːtta⸣ru] (南端<西表島>への往来はサバニ<板舟>を漕ぎながら行かれたものだ) 5079 0 0 4929 htmvoc_5079.wav キーヤマ キー⸢ヤ⸣マ [kiː⸢ja⸣ma] 名 小さな木。小木。小枝。潅木。 ⸣シンタヌ カ⸢ク⸣ナー キー⸢ヤ⸣マ イ⸢ビ⸣バ [⸣ʃintanu ka⸢ku⸣naː kiː⸢ja⸣ma ʔi⸢bi⸣ba] (後ろの屋敷に小木を植えなさいよ)。 サ⸢リキーヤー⸣マーンツァン プ⸢サイ⸣キー ⸢モーサン⸣ ノーレー [sa⸢rikiːjaː⸣maːnʦam pu̥⸢sai⸣kiː ⸢moːsan⸣noːreː] (枯れた潅木でも拾ってきて燃やしなさいよ<燃やさないか>) 5047 0 0 4930 htmvoc_5047.wav キール ⸢-キー⸣ル [⸢-kiː⸣ru] 助 接続助詞連語。~ので<ぞ>。~から<ぞ>。動詞の連用形に下接して、原因、理由の強調を表す。大正生まれまでの老年層で多用される。若年層では用いない。 ⸢ワー⸣ ドゥク イ⸢ジキー⸣ル ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ムチ⸣ ⸣ヤビ シ⸢テー⸣ ダー [⸢waː⸣ duku ʔi⸢ʤikiː⸣ru ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢muʧi⸣ jabi ʃi̥⸢teː⸣daː] (貴方は、あまりにも酷く叱るので<ぞ>、子供の気持ちを損ね<破っ>てしまったのだよ)。 プ⸢スヌ⸣ バイ パ⸢タラキキー⸣ル ウ⸢ヤ⸣キン ⸢シェー⸣ル パ⸢タラカン⸣カー ⸢モーキララ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ bai pḁ⸢tarakikiː⸣ru ʔu⸢ja⸣kiŋ ⸢ʃeː⸣ru pḁ⸢tarakaŋ⸣kaː ⸢moːkirara⸣nu] (他人の倍も働いたので金持ちにもなったのであって、働かなければ儲けられない) 5483 0 0 4931 htmvoc_5483.wav キール ⸢キール [⸢kiːru] 名 黄色。 ⸢キールムチ [⸢kiːrumuʧi] (黄色い餅、ういきょう<うい香>の実で黄色の着色をした)。 ⸢キールキン [⸢kiːrukiŋ] (黄色い着物)。 カム⸢ラー⸣マ [ka⸢muraː⸣ma] (豊年祭に出現する\ruby{繁盛}{ハン|ジョウ}の神、かむろ\ruby{祇}{ギ}の衣装は黄色い着物である)。 カ⸢ムラーマ⸣ヌ ⸢キン⸣マー フ⸢クンヌ⸣カー シジティ ⸢キンキン⸣シ ス⸢ミラリ ブー [ka⸢mu⸢raːma⸣nu ⸢kim⸣maː ɸu̥⸢kunnu⸣kaː ⸣ʃiʤiti ⸢kiŋkiŋ⸣ʃi su⸢mirari buː] (カムラーマの衣装は福木の皮を煎じて黄色く染められている) 5148 0 0 4932 htmvoc_5148.wav キールムチ ⸢キールムチ [⸢kiːrumuʧi] 名 黄色い餅。祝儀用の餅。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイナー ⸢キールムチン⸣ ス⸢ク⸣ローッタン [⸢toːkaki⸣nu ⸣joinaː ⸢kiːrumuʧin⸣ su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (米寿の祝いには黄色い餅も作られた) 5485 0 0 4933 htmvoc_5485.wav キールムン ⸢キールムン [⸢kiːrumuŋ] 自動 黄ばむ。黄色くなる。「黄色む」の義。 キン⸢キン⸣シ ⸢キールムン [kiŋ⸢kiŋ⸣ʃi ⸢kiːrumuŋ] (金色のように黄ばむ)。 ⸣キナイ ヌ⸢ム⸣ター ⸢ドゥー⸣ヤ ⸢キールミ ベー [⸣kanai nu⸢mu⸣taː ⸢duː⸣ja ⸢kiːrumi beː] (キニーネを飲んだので体が黄ばんでいる) 5149 0 0 4934 htmvoc_5149.wav キールン ⸢キールン [⸢kiːruŋ] 自動 消える。火が消える。 ⸢ピー⸣ヤ ⸢キーラヌ [⸢piː⸣ja ⸢kiːranu] (火は消えない)。 キ⸢サーティ キーナー⸣ヌ [ki̥⸢saːti kiːnaː⸣nu] (既に消えてしまった)。 ⸢キール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kiːru⸣ kutoː ⸢naː⸣nu] (消えることはない)。 ⸢キール⸣カー [⸢kiːru⸣kaː] (消えたら)。 ⸢キーヤー⸣ ミサムヌ [⸢kiːjaː⸣ misamunu] (消えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢キーレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢kiːreː⸣ misamunu] (早く消えればいいのに)。 ⸢キーリ [⸢kiːri] (消えろ{EOS}消えれ)。 ⸢キーン⸣ギサン [⸢kiːŋ⸣gisaŋ] (消えそうだ)。 ギュー⸢サ⸣ ミ⸢ジ⸣ カキ ⸢ケーシタンティン キーラヌ [gjuː⸢sa⸣ mi⸢ʤi⸣ kaki ⸢keːʃitantiŋ ⸢kiːranu] (いくら水をかけて消しても消えない)。 ミ⸢ジ⸣ カクカー ⸢キールン⸣ツォー [mi⸢ʤi⸣ kḁkukaː ⸢kiːrun⸣ʦoː] (水をかけたら消えるそうだ) 5150 0 0 4935 htmvoc_5150.wav キールンコー ⸢キールンコー [⸢kiːruŋkoː] 名 カステラのような菓子。「鶏卵糕(けいらんこう)」。 マ⸢ナ⸣マー ⸢キールンコー⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢ソー⸣レー プ⸢ソー オーラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢kiːruŋkoː⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢soː⸣reː pu̥⸢soː ʔoːra⸣nu] (今は、キールンコー菓子を作れる人は居られない) 5198 0 0 4936 htmvoc_5198.wav ギーンゴーン ⸢ギーンゴー⸣ン [⸢giːŋgoːŋ] 形 強情である。我が強い。老年層のことば。⸢ギーゴー⸣ン[⸢giːgoː⸣ŋ](強情である)と同じ。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸢ギーンゴーン⸣ダー [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸢giːŋgoːn⸣daː] (彼は非常に強情だよ)。 ⸣アイニ ⸢ギーンゴー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢giːŋgoː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに強情な人はいない)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ギーンゴー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢giːŋgoː naː⸣nu] (あまり強情ではない)。 ⸢シンダイ ギーン⸣ゴー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃindai giːŋgoː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (次第に意地っ張り<強情>になってしまった)。 ⸣アイニ ⸢ギーンゴー⸣カー サ⸢ケー⸣ ヌ⸢マサラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢giːŋgoː⸣kaː sḁ⸢keː⸣ nu⸢masara⸣nu] (あんなに強情で我が強かったら酒は飲まされない) 5160 0 0 4937 htmvoc_5160.wav キーンマ ⸢キーン⸣マ [⸢kiːʔm⸣ma] 名 木製のそり(橇)。材木や米俵などの重いものを積んで牛や馬に曳かせて運ぶ道具。 ⸢キーン⸣マナ ⸢マイダーラ⸣ シ⸢ミテイ⸣ ク⸢バシ⸣ターラ ⸢クーラミナトー⸣ ウ⸢シン サンガシ⸣ ウ⸢ラシ⸣タ [⸢kiːʔm⸣mana ⸢maidaːra⸣ ʃi⸢miti⸣ ku⸢baʃi̥⸣taːra ⸢kuːraminatoː⸣ ʔu⸢ʃin saŋgaʃi⸣ ʔu⸢raʃi̥⸣ta] (木橇に米俵を積んでクバシタから久浦港まで牛に曳かせて下ろした) 5199 0 0 4938 htmvoc_5199.wav キガ ⸣キガ [⸣kiga] 名 怪我。若年層の言葉。老年層は⸢ドゥーヤマ⸣シ[⸢duːjama⸣ʃi](怪我{EOS}<胴病まし>)という。 イ⸢フナ⸣ ア⸢サビバ シーベー⸣ティ ⸣キガ ⸢スン⸠ダー <⸣ドゥ ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー> [ʔi⸢ɸuna⸣ ʔa⸢sabiba ʃiːbeː⸣ti ⸣kiga ⸢sun⸠daː <⸣du ja⸢ma⸣sun⸢daː>] (妙な遊びをしていて、怪我をするぞ)。 ⸢ウイ⸣プソー ク⸢ルブ⸣カー ⸣キガ ⸢ソーリ⸣スバ ミス⸢コーミスコー⸣シ ア⸢ラ⸣コーリ [⸢ʔui⸣pu̥soː ku⸢rubu⸣kaː ⸣kiga ⸢soːri⸣suba misu̥⸢koːmisu̥koː⸣ʃi ʔa⸢ra⸣koːri] (老人は転んだら怪我をされるから、注意深く慎重に歩いてください<お歩きなされまし>) 5200 0 0 4939 htmvoc_5200.wav キカイ ⸣キカイ [⸣ki̥kai] 名 器械。器具。機械。断髪器具。バリカン。 ガ⸢マ⸣ジ ⸢フッツァシ⸣ キカイ カ⸢リ⸣キー ガ⸢マ⸣ジ ⸢フッツァ⸣シバ [ga⸢ma⸣ʤi ⸢ɸutʦaʃi⸣ ki̥kai ka⸢ri⸣kiː ga⸢ma⸣ʤi ⸢ɸutʦa⸣ʃiba] (髪を刈る<詰める>器械を借りてきて髪を刈りなさい) 5202 0 0 4940 htmvoc_5202.wav キガイ キ⸢ガイ [ki⸢gai] 名 根性。意気地。意地。標準語の「気概」の転訛。 ウ⸢レー ピッ⸣チン キ⸢ガイヌ ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː pit⸣ʧiŋ ki⸢gainu naː⸣nu] (彼は少しもやる気<遣る気{EOS}気概{EOS}気骨>がない)。 イ⸢カナ⸣ ム⸢チ⸣カサール シ⸢グトゥ⸣ ヤ⸢ラバン シー⸣ミラティ ⸢スー⸣ キ⸢ガイヌ⸣サーギ ⸣アルカー シ⸢ララン⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢kana⸣ mu⸢ʧi⸣kasaːru ʃi⸢gutu⸣ ja⸢rabaŋ ʃiː⸣mirati ⸢suː⸣ ki⸢gainu⸣saːgi ⸣ʔarukaː ʃi⸢raraŋ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (如何に難しい仕事であっても、やってみようという根性がさえあれば出来ないことはない) 5478 0 0 4941 htmvoc_5478.wav キガイ キ⸢ガイ [ki⸢gai] 名 着替え。「着替え」の転訛したもの。老年層は、⸢カイキシキン[⸢kaiki̥ʃikiŋ](替え着{EOS}着替えの着物)ともいう。 ⸣アミナー ⸢ゾッふィティ⸣ キ⸢ガイ⸣ トゥミキー キ⸢スンティ ベー [⸣ʔaminaː ⸢ʣoffiti⸣ ki⸢gai⸣ tumikiː ki̥⸢sunti beː] (雨に濡れて着替えを探して着ようとしている) 5507 0 0 4942 htmvoc_5507.wav キカイシン キ⸢カイ⸣シン [ki̥⸢kai⸣ʃiŋ] 名 発動汽船。「機械船」の義。焼玉エンジン搭載の船。一気筒と二気筒の焼玉エンジンを搭載した漁船があった。⸢プーシン[⸢puːʃiŋ](帆船)の対義語。 ⸢タイショーヌ⸣ ジ⸢ダイ⸣ ナリテーラル カ⸢ツシンマー⸣ キ⸢カイ⸣シン ナレー⸢ダー [⸢taiʃoːnu⸣ ʤi⸢dai⸣ nariteːraru kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ki̥⸢kai⸣ʃin nareː⸢daː] (大正の時代になってから、カツオ漁船は機械船になったのだよ)。鳩間島で発動汽船による鰹釣漁が開始されたのは大正に入ってからである。焼玉式一気筒エンジンを搭載していたが、昭和18年頃には二気筒エンジンが導入されていた。これをダーブルと言っていた。 ⸢ベー⸣ヌ ⸣アチャター バ⸢カー⸣ロータケン ⸢ダーブルバ サーソー⸣リティ カ⸢ツシン ソーッ⸣タティ⸢ダー [⸢beː⸣nu ⸣ʔaʧataː ba⸢kaː⸣roːttaken ⸢daːburuba saːsoː⸣riti ka⸢ʦuʃin soːt⸣tati⸢daː] (我が家のお父さん達が若かった時、二気筒式エンジン<ダブルシリンダーエンジン>を搭載した船を新造して鰹漁業をされたそうだよ) 5203 0 0 4943 htmvoc_5203.wav キガニン キ⸢ガ⸣ニン [ki⸢ga⸣niŋ] 名 怪我人。負傷者。「怪我人」の転訛。老年層は、⸢ドゥーヤマシ⸣プス[⸢duːjamaʃi⸣pu̥su](怪我人<胴病まし人>)という。 ⸢ダイダマ⸣ヌ ⸢パス⸣クリティ キ⸢ガニン⸣ヌ ⸣ンジェーン ティバン⸢ナー [⸢daidama⸣nu ⸢pasu̥⸣kuriti ki⸢ganin⸣nu ⸣ʔnʤeːn tiban⸢naː] (ダイナマイトが爆発して怪我人が出たそうだねえ) 5509 0 0 4944 htmvoc_5509.wav キガラスン キ⸢ガラスン [ki⸢garasuŋ] 他動 けがす(汚す)。よごす。名誉、名声を傷つける。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ナーバ⸣ キ⸢ガラシ⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢naːba⸣ ki⸢garaʃi⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (あんな事をして、親の名を汚して残念でならないよ) 5510 0 0 4945 htmvoc_5510.wav キガリムヌ キ⸢ガリムヌ [ki⸢garimunu] 名 成仏しない死霊。妖怪。もののけ(物の怪)。「穢れ者」の義。 ヤ⸢ナシニ シェー⸣ティル キ⸢ガリムヌ⸣ ナリ ⸢アー⸣クティ⸢ダー [ja⸢naʃini ʃeː⸣tiru ki⸢garimunu⸣ nari ⸢ʔaː⸣kuti⸢daː] (変死したので成仏できずに死霊怨霊になっているそうだよ) 5204 0 0 4946 htmvoc_5204.wav キガリルン キ⸢ガリルン [ki⸢gariruŋ] 自動 子供に強く責めたてられる。他人から責めたてられる。他動詞キ⸢グン[ki⸢guŋ](責めたてる)の未然形にリルン[⸢-riruŋ](~られる)が下接して形成された受身動詞。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢フンダイ スー⸣ ピンマー ⸢コー⸣シ ッ⸢ふァーシ⸣ティ ⸢シー⸣ キ⸢ガリルン⸠ダー [ja⸢rabi⸣nu ⸢ɸundai suː⸣ pimmaː ⸢koː⸣ʃi f⸢faːʃi⸣ti ⸢ʃiː⸣ ki⸢garin⸠daː] (子供が拗ねてわがまま(我儘、放題)する時は、お菓子を呉れといって責めたてられるよ) 5205 0 0 4947 htmvoc_5205.wav キガリン キ⸢ガリン [ki⸢gariŋ] 自動 子供に強く責めたてられる。他動詞キ⸢グン[ki⸢guŋ](責めたてる)の未然形に、受身・可能の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](れる)下接して形成された、受身・可能動詞。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァン⸣ キ⸢ガリン [ku⸢nu⸣ f⸢faŋ⸣ ki⸢gariŋ] (この子に責めたてられる) 5511 0 0 4948 htmvoc_5511.wav キガルン キ⸢ガルン [ki⸢garuŋ] 自動 穢れる。汚れる。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ キ⸢ガルン⸣ダー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ⸢duː⸣nu ⸢naːŋ⸣ ki⸢garun⸣daː] (あんな事をすると、自分の名前も汚れるぞ)。 キ⸢ガラヌ [ki⸢garanu] (汚れない)。 キ⸢ガリナー⸣ヌ [ki⸢garinaː⸣nu] (汚れてしまった)。 キ⸢ガリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢gariru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (汚れることはない)。 キ⸢ガレー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢gareː⸣ na⸢ra⸣nu] (汚れてはならない)。 キ⸢ガリリ [ki⸢gariri] (汚れろ<れ>) 5132 0 0 4949 htmvoc_5132.wav キカンチョー キ⸢カン⸣チョー [ki̥⸢kan⸣ʧoː] 名 機関長。標準語からの借用語。カツオ漁業の発動汽船が導入された時に借用された語であろう。一気筒の焼玉エンジンや二気筒の焼玉エンジンの操作担当者。 キ⸢カンチョー⸣ヌ ⸢キン⸣マー ⸣アバゴーダー ⸢シーブタ [ki̥⸢kanʧoː⸣nu ⸢kim⸣maː ⸣ʔabagoːdaː ⸢ʃiːbuta] (機関長の着物はエンジンオイルがべとついていた) 5215 0 0 4950 htmvoc_5215.wav キキョーザラ キ⸢キョーザラ [ki̥⸢kjoːʣara] 名 蓋付きの漆器製壷皿(小さく深い食器)。 ⸢ドーング⸣ブン [⸢doːŋgu⸣buŋ] (仏前に供える一式の膳に使用される{EOS}石垣方言よりの借用語{EOS}「霊供盆」の転訛か)。 ア⸢ロー⸣ル ⸢ヤー⸣ヌ ウ⸢ブソッコー⸣ヤ イ⸢サナキプスヌ⸣ カタチニ ⸢ドーング⸣ブンナー キ⸢キョーザラバ⸣ シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [ʔa⸢roː⸣ru ⸢jaː⸣nu ʔu⸢busokkoː⸣ja ʔi⸢sanakipusunu⸣ kḁtaʧini ⸢doːŋgu⸣bunnaː ki̥⸢kjoːʣaraba⸣ sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (裕福な家の年忌焼香<十三回忌以上の法事>には、石垣島の人のようにキキョーザラ<桔梗皿>を⸢ドーング⸣ブン{SqBr}⸢doːŋgu⸣buŋ{/SqBr}<霊供盆>に使われた) 5513 0 0 4951 htmvoc_5513.wav キギン キ⸢ギン [ki⸢giŋ] 名 機嫌。 ⸣アブジェー ⸢キュー⸣ヤ キ⸢ギンマー⸣ ミサー ア⸢ロー⸣ルンカヤー [⸣ʔabuʤeː ⸢kjuː⸣ja ki⸢gimmaː⸣ misaː ʔa⸢roː⸣ruŋkajaː] (お祖父さんは今日はご機嫌如何でしょうか<機嫌は良くあられますでしょうか>)。 キ⸢ギンヌ ワッ⸣サカー パ⸢ナス⸣ナ [ki⸢ginnu was⸣sakaː pa⸢nasu⸣na] (機嫌が悪ければ話すな)。 ⸣アブジェー キ⸢ギンヌ ワッ⸣サカー ⸣ウキピントー ⸢ソーラ⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː ki⸢ginnu was⸣sakaː ⸣ʔukipintoː ⸢soːra⸣nu] (お祖父さんは機嫌が悪いと返事<受け答え>をされない) 5207 0 0 4952 htmvoc_5207.wav キク ⸣キク [⸣ki̥ku] 名 (植)。菊。キク科キク属の多年草。 キ⸢ク⸣ヌ ⸣パナ パ⸢ナ⸣イキナ ⸣イキティ カ⸢ザリ⸣バ [ki̥⸢ku⸣nu ⸣pana pa⸢na⸣ʔikina ⸣ʔikiti ka⸢ʣari⸣ba] (菊の花を花瓶<花活け>に生けて飾りなさいよ) 5514 0 0 4953 htmvoc_5514.wav キクザキ キ⸢クザ⸣キ [ki̥⸢kuʣa⸣ki] 名 菊酒。重陽の日(旧暦九月九日)に盃に菊の葉を浮けて健康を祈願し、祝って飲む酒。 ⸢クンガ⸣チ ⸣クニチェー キ⸢ク⸣ヌ ⸢パーバ⸣ サ⸢カシキ⸣ナ イ⸢リティ⸣  キ⸢ク⸣ザキ⸣ ヌ⸢モーッ⸣タ [⸢kuŋga⸣ʧi ⸣kuniʧeː ki̥⸢ku⸣nu ⸢paːba⸣ sa⸢kaʃiki⸣na ʔi⸢riti⸣ ki⸢ku⸣zaki nu⸢moːt⸣ta] (九月九日は、菊の葉を盃に入れて菊酒を飲まれた) 5208 0 0 4954 htmvoc_5208.wav キクッツァーン キ⸢クッ⸣ツァーン [ki̥⸢kut⸣ʦaːŋ] 形 暑苦しい。息苦しい。蒸し暑い。 キ⸢クッツァー⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヌナカナー ⸢ベーララ⸣ヌ [ki̥⸢kutʦaː⸣nu ⸢jaː⸣nu ⸣nakanaː ⸢beːrara⸣nu] (暑苦しくて家の中には居れない)。 ⸢ナン⸣ゾー キ⸢クッツァーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ki̥⸢kutʦaː naː⸣nu] (それほど暑苦しくない)。 ティ⸢ダ⸣ヌ プ⸢スマ⸣ ナル⸢アーシ シンダイ⸣ キ⸢クッ⸣ツァー ⸣ナルン [ti⸢da⸣nu pu̥⸢suma⸣ naru⸢ʔaːʃi ʃindai⸣ ki̥⸢kut⸣ʦaː naruŋ] (太陽が真昼になるにつれて次第に暑苦しくなる)。 ⸣クマー イッ⸢ケナ⸣ キ⸢クッ⸣ツァーン [⸣kumaː ʔik⸢kena⸣ ki̥⸢kut⸣ʦaːŋ] (ここは非常に暑苦しい)。 キ⸢クッ⸣ツァー ⸣ピンマー ⸣カイナカー ⸢ペー⸣リ [ki̥⸢kut⸣ʦaː ⸣pimmaː ⸣kainakaː ⸢peː⸣ri] (暑苦しい時は木陰に入れ)。 キ⸢クッ⸣ツァーカー ミ⸢ジ⸣ ヌミバ [ki̥⸢kut⸣ʦaːkaː mi⸢ʤi⸣ numiba] (暑苦しかったら水を飲めよ)。 ⸣カイブ ⸣アッツァ ⸣ピンナー ⸢アーシキン⸣バ キ⸢ササリティ⸣ キ⸢クッツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kaibu ⸣ʔatʦa ⸣pinnaː ⸢ʔaːʃikim⸣ba ki̥⸢sasariti⸣ ki̥⸢kutʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (こんなに暑い日に袷の着物を着せられて暑く、息苦しくて堪らない)。 キ⸢クッツァー ナー⸣ヌ [ki̥⸢kutʦaː naː⸣nu] (暑苦しくない)。 キ⸢クッ⸣ツァー ⸣プソー [ki̥⸢kut⸣ʦaː ⸣pu̥soː] (暑苦しい時は)。 ⸣アイニ キ⸢クッ⸣ツァーレーラ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [⸣ʔaini ki̥⸢kut⸣ʦaːreːra ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (あんなに暑苦しければ、そこには居れない) 5209 0 0 4955 htmvoc_5209.wav キグン キ⸢グン [ki⸢guŋ] 他動 責めたてる。子供が親を責めたてる。駄々を捏ねる。「\ruby{希求}{ケ|グ}(呉音)」の転訛か。キ⸢ヌン[ki⸢nuŋ](責めたてる)ともいう。 ヤ⸢ナナラーシ⸣ サ⸢レー⸣ ッ⸢ふァー⸣ プ⸢ス⸣ キ⸢グン [ja⸢nanaraːʃi⸣ sa⸢reː⸣ f⸢faː⸣ pu̥⸢su⸣ ki⸢guŋ] (悪い躾をされた子は駄々を捏ねて他人を責めたてる)。 ⸢ナン⸣ゾー プ⸢ス⸣ キ⸢ガヌ [⸢nan⸣ʣoː pu̥⸢su⸣ ki⸢ganu] (あまり駄々を捏ねて責めたてない)。 ⸣アイニ プ⸢ス⸣ キ⸢グ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini pu̥⸢su⸣ ki⸢gu⸣ f⸢faː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに駄々を捏ねて他人を責めたてる子はいない)。幼児が親を責め立てる。幼児が駄々を捏ねて母親に無理な要求をする。 ⸢コーシ⸣ル ッ⸢ふー⸣ティ キ⸢ガリ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢koːʃi⸣ru f⸢fuː⸣ti ki⸢gari⸣ na⸢ra⸣nu] (菓子を食べるんだと駄々を捏ね、責め立てられて困る)。 ブ⸢ネーバ⸣ キ⸢ギベー [bu⸢neːba⸣ ki⸢gibeː] (母親を責め立てている)。 ⸢サッ⸣コー キ⸢グン⸣ダ⸢レー [⸢sak⸣koː ki⸢gun⸣da⸢reː] (ひどく責め立てるんだよ)。 ⸣ウヤ キ⸢グ⸣ ッ⸢ふァ [⸣ʔuja ki⸢gu⸣ f⸢fa] (親を責め立てる子)。 ⸣ウヤ キ⸢ゲー⸣ラ ⸢デー⸣ジ [⸣ʔuja ki⸢geː⸣ra ⸢deː⸣ʤi] (親を責め立てたら大変だ)。 ⸢パー⸣ク キ⸢ギ⸣バ [⸢paː⸣ku ki⸢gi⸣ba] (早く責め立てなさいよ) 5216 0 0 4956 htmvoc_5216.wav キサ ⸣キサ [⸣ki̥sa] 名 先刻。さっき。最前。以前。 ⸣キサーラ シ⸢キベーン⸣ドゥ ⸢ワー⸣ ユ⸢ヌパナシバ⸣ル ⸢シーブー [⸣ki̥saːra ʃi̥⸢kibeːn⸣du ⸢waː⸣ ju⸢nupanaʃiba⸣ru ⸢ʃiːbuː] (先刻より聞いているが、君は同じ話を<ぞ>話している<している>)。 キ⸢サ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー ⸣アイヤー ア⸢ラン⸣シェンワー⸢ヌー [ki̥⸢sa⸣nu pa⸢na⸣ʃeː ⸣ʔaijaː ʔa⸢raŋ⸣ʃeŋwaː⸢nuː] (さっきの話は、そうではなかったのではないか)。 キ⸢サ⸣トゥ マ⸢ナ⸣マー [ki̥⸢sa⸣tu ma⸢na⸣maː] (最前と今では) 5217 0 0 4957 htmvoc_5217.wav キサ キ⸢サ [ki̥⸢sa] 副 既に。さっき。とっくに。強調すると、キッ⸢サ[kis⸢sa](既に)ともいう。 ⸢ワー⸣ タ⸢ナム⸣タ シ⸢グトー⸣ キ⸢サ⸣ トゥ⸢ズ⸣メーン [⸢waː⸣ ta⸢namu⸣ta ʃi⸢gutoː⸣ ki̥⸢sa⸣ tu⸢ʣu⸣meːŋ] (君が頼んだ仕事は既に済ませ<完了し>た) 5528 0 0 4958 htmvoc_5528.wav キザ ⸣キザ [⸣kiʣa] 名 ひづめ(蹄)。「けづめ(蹴爪)」の転訛したものか。 ウ⸢シェー⸣ キ⸢ザ⸣ヌ ⸢ヨー⸣カー パ⸢タラキユーサヌ [ʔu⸢ʃeː⸣ ki⸢ʣa⸣nu ⸢joː⸣kaː pḁ⸢tarakijuːsanu] (牛は\ruby{蹄}{ヒヅメ}が弱いと働くことができない) 5529 0 0 4959 htmvoc_5529.wav ギサー ⸣ギサー [⸣gisaː] 名 平民男子の名。「儀佐」と表記されることが多い。古典民謡「鳩間節」の原歌「鳩間中岡」には、鳩間家のギ⸢サ⸣マシュ[gi⸢sa⸣maʃu](儀佐真主)が作詞作曲したという伝承がある。 ⸣ギサー ⸢パイ⸣ター ア⸢ロー⸣ナ ⸢シン パッ⸣タ [⸣gisaː ⸢pai⸣taː ʔa⸢roː⸣na ⸢ʃim pat⸣ta] (儀佐は西表北島岸<南端>へ田圃を耕し<アローナー{EOS}荒こなし>に行った) 5219 0 0 4960 htmvoc_5219.wav キザーサリン キ⸢ザーサリン [ki⸢ʣaːsariŋ] 他動 掻き乱される。掻き混ぜられる。撹乱される。キ⸢ザースン[ki⸢ʣaːsuŋ](掻き乱す)の未然形に、受身・可能の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](~れる)が下接して形成された受身・可能の派生動詞。 ⸢ター⸣ヌ ⸢マイヤー⸣ カマイン キ⸢ザーサリティ ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢taː⸣nu ⸢maijaː⸣ kamaiŋ ki⸢ʣaːsariti juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (田圃の稲は猪に撹乱されて台無しになってしまった<養生はなくなった>) 5220 0 0 4961 htmvoc_5220.wav キザーシ キ⸢ザーシ [ki⸢ʣaːʃi] 名 眉間やこめかみ等を、炎で炙って消毒した剃刀やガラス瓶の鋭利な破片で浅く傷つけて血を抜くこと。そのような民間療法。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣ヤム ⸣ピンマー フ⸢タイ⸣ キ⸢ザーシ シーソーッ⸣タ [ga⸢maʤi⸣nu ⸣jamu ⸣pimmaː ɸu̥⸢tai⸣ ki⸢ʣaːʃi ⸢ʃiːsoːt⸣ta] (頭痛がする時は、剃刀で額に軽く傷をつけて血を抜く療法を施された) 7680 0 0 4962 htmvoc_7680.wav キザーシムヌ キ⸢ザーシムヌ [ki⸢ʣaːʃimunu] 名 悪化<化膿>させるもの。蹴散らすもの。かき乱すもの。撹乱するもの。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ゾー⸣ キ⸢ジ⸣ キ⸢ザーシムヌ⸣ ヤ⸢リバ⸣ ッ⸢ふァースナ [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ ki⸢ʤi⸣ ki⸢ʣaːʃimunu⸣ ja⸢riba⸣ f⸢faːsuna] (この魚は傷を悪化<化膿>させるものだから、食べさせるな) 5221 0 0 4963 htmvoc_5221.wav キザースン キ⸢ザースン [ki⸢ʣaːsuŋ] 他動 掻き乱す。引っ掻き回す。掻き混ぜる。攪乱する。 マ⸢ナ⸣マ ⸢ムン⸣ドー ウ⸢ク⸣スカー ⸢ヤー⸣キナイ キ⸢ザースン⸣ダー [ma⸢na⸣ma ⸢mun⸣doː ʔu⸢ku⸣sukaː ⸢jaː⸣kinai ki⸢ʣaːsun⸣daː] (今、喧嘩<問答>を起すと家庭を掻き乱すよ)。 カ⸢マイ⸣ヌ パ⸢タ⸣キ キ⸢ザース⸣ カタチニ キ⸢ザーシ⸣ シケーバン [ka⸢mai⸣nu pḁ⸢ta⸣ki ki⸢ʣaːsu⸣ kḁtaʧini ki⸢ʣaːʃi⸣ ʃi̥keːbaŋ] (猪が畑を攪乱するように掻き乱してあるわい)。 ⸣アイニ プ⸢スヌ⸣ ン⸢ニウチ⸣ キ⸢ザーサン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸣ʔaini pu̥⸢sunu⸣ ʔn⸢niʔuʧi⸣ ki⸢ʣaːsam⸣ bu⸢ri⸣ba] (そんなに他人の胸中を掻き乱すな<掻き乱さずに居れ>よ)。 ⸢マー⸣ビン キ⸢ザーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ki⸢ʣaːʃeː⸣ misamunu] (もっと掻き乱せばいいのに)。 キ⸢ザーシ⸣バ [ki⸢ʣaːʃi⸣ba] (掻き乱せよ) 5222 0 0 4964 htmvoc_5222.wav キサーティ キサー⸢ティ [ki̥saː⸢ti] 副 とっくに。既に。 ⸣バー ⸣パルンケンマー カ⸢レー⸣ キサー⸢ティ⸣ ンジパリ ⸢ナーン⸣シェン [⸣baː ⸣paruŋkemmaː ka⸢reː⸣ ki̥saː⸢ti⸣ ʔnʤipari ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (私が行った時には<行くと>彼は既に出て行ってしまっていた) 5230 0 0 4965 htmvoc_5230.wav キザク キ⸢ザ⸣ク [ki⸢ʣa⸣ku] 名 (動)フネガイ科の貝。シレナシジミ。和名、アカガイ。殻長約12センチ。よく膨らんだ、やや扇形の丸い殻。西表島の船浦辺りの川口の泥地やヒルギの気根の下りる泥地に棲息していた。殻は祭祀に用いる⸢トゥイ⸣ミョー[⸢tui⸣mjoː](灯明)のタ⸢ニ⸣ユー[ta⸢ni⸣juː](菜種油)を入れる容器として用いられる。戦前までは御玉杓子(ォタマジャクシ)に利用されていた。貝そのものは、昔はよく食したようだが、戦後はあまり食用に供されなかったようである。 キ⸢ザク⸣ヌ ガ⸢ラ⸣シ ⸢トゥイ⸣ミュー ス⸢ク⸣リ、⸢スーガイ⸣ユン ウ⸢リ⸣シル ス⸢ク⸣ローッタ [ki⸢ʣaku⸣nu ga⸢ra⸣ʃi ⸢tui⸣mjuː su̥⸢ku⸣ri、⸢suːgai⸣juŋ ʔu⸢ri⸣ʃiru su̥⸢ku⸣roːtta] (キザク貝の殻で灯明を作り、玉杓子もそれで造られた) 5530 0 0 4966 htmvoc_5530.wav キザク キ⸢ザ⸣ク [ki⸢ʣa⸣ku] 名 しんちゅう(真鍮)。石垣方言からの借用語か。 ⸢バン⸣テナー キ⸢ザク⸣ヌ パ⸢ナイキ⸣ヌ ⸢アッ⸣タンティ⸢ダー [⸢ban⸣tenaː ki⸢ʣaku⸣nu pa⸢naiki⸣nu ⸢ʔat⸣tanti⸢daː] (私の家に真鍮製の花活けがあったそうだよ) 5210 0 0 4967 htmvoc_5210.wav キサスン キ⸢サ⸣スン [ki⸢sa⸣suŋ] 他動 来させる。寄越す。 ⸣バー ⸢カール⸣ ッ⸢ふァ⸣ キ⸢サ⸣スンティ ウ⸢ムー⸣ヌ キ⸢サ⸣シ ⸣ミサンカヤー [⸣baː ⸢kaːru⸣ f⸢fa⸣ ki̥⸢sa⸣sunti ʔu⸢muː⸣nu ki̥⸢sa⸣ʃi ⸣misaŋkajaː] (私の代わりに子供を来させよう<寄越そう>と思うが、来させ<寄越し>て良いだろうか) 5211 0 1 4968 htmvoc_5211.wav キサスン キ⸢サ⸣スン [ki̥⸢sa⸣suŋ] 他動 {Mn_1}切らせる。切断させる。 ク⸢ヌ⸣ キー キ⸢サ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ユ⸢リー⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー キ⸢ササラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ kiː ki̥⸢sa⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ju⸢riː⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ki⸢sasara⸣nu] (この木を切らせようと思うが、許可がないと切らせられない)。 キ⸢ササ⸣ヌ [ki̥⸢sasa⸣nu] (切らせない)。 キ⸢サ⸣シ ⸣ミサカー キ⸢サ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ki̥⸢sa⸣ʃi ⸣misakaː ki̥⸢sa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (切らせて良ければ切らせることは出来る)。 ⸢パー⸣ク キ⸢サ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ki̥⸢sa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く切らせば良いのに)。 ク⸢レー⸣ ヤー⸢ディン⸣ キ⸢サ⸣シ [ku⸢reː⸣ jaː⸢diŋ⸣ ki̥⸢sa⸣ʃi] (これは必ず切らせろ)。絶やせる。売り切れてしまう。 プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミティ ⸢キーヌ⸣ ユダ キ⸢サ⸣スン [pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣miti ⸢kiːnu⸣ juda ki⸢sa⸣suŋ] (他人に頼んで木の枝を切らせる{EOS}枝打ちさせる)。 キ⸢サシ⸣ プサン [ki̥⸢saʃi⸣ pu̥saŋ] (切らせたい)。 キ⸢サ⸣ス ⸣ピン [ki̥⸢sa⸣su ⸣piŋ] (切らせる時)。 5211 0 2 4969 htmvoc_5211.wav キサスン キ⸢サ⸣スン [ki̥⸢sa⸣suŋ] 他動 {Mn_2}酢が十分に醗酵して酸味が強くなるように熟成させる。 ア⸢マザキ⸣ カミナ ニ⸢バシティ⸣ キ⸢サ⸣スン [ʔa⸢maʣaki⸣ kamina ni⸢baʃi̥ti⸣ ki̥⸢sa⸣suŋ] (酢を甕に寝かして十分に醗酵、熟成<酸味を強くする>させる) 5212 0 0 4970 htmvoc_5212.wav キサスン キ⸢サスン [ki̥⸢sasuŋ] 他動 着せる。着させる。 ッ⸢ふァン⸣ キン キ⸢サスン [f⸢faŋ⸣ kiŋ ki̥⸢sasuŋ] (子供に着物を着せる)。 マ⸢ナ⸣マー キ⸢ササヌ [ma⸢na⸣maː ki̥⸢sasanu] (今は着せない)。 ⸣キン キ⸢サシ⸣ ミサカー キ⸢サス⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸣kiŋ ki̥⸢saʃi⸣ misakaː ki̥⸢sasu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (着物を着せてよければ着させることは出来るよ)。 ⸢パー⸣ク キ⸢サシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ki̥⸢saʃeː⸣ misamunu] (早く着せれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク キ⸢サシ [⸢paː⸣ku ki̥⸢saʃi] (早く着せろ)。 キ⸢サシティ [ki̥⸢saʃiti] (着せて)。 キ⸢サス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ki̥⸢sasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (着させる人はいない)。 ⸣キン プ⸢スッ⸣クベー キ⸢サセー⸣ ミサムヌ [⸣kim pu̥⸢suk⸣kubeː ki̥⸢saʃeː⸣ misamunu] (着物一着は着せればよいのに) 5223 0 0 4971 htmvoc_5223.wav キサスン キ⸢サ⸣スン [ki̥⸢sa⸣suŋ] 他動 酢をつくる。酢を熟成させる。酒や豆腐はマ⸢ラスン[ma⸢rasuŋ](生ませる)という。 ⸢ウン⸣ヌ ⸢ネーシジル⸣ナー ⸢パイルヌ⸣ ッふァ イ⸢リティ パイル⸣ キ⸢サ⸣シティ シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [⸢ʔun⸣nu ⸢neːʃiʤiru⸣naː ⸢pairunu⸣ ffa ʔi⸢riti pairu⸣ ki⸢sa⸣ʃi̥ti sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (芋の煮汁に酢のたね<酢の子{EOS}酢の種>を入れて、酢を熟成させて<切らせて>使われた) 5242 0 0 4972 htmvoc_5242.wav キザパン キ⸢ザ⸣パン [ki⸢ʣa⸣paŋ] 名 はだし(裸足)。すあし(素足)。泥のついたままの足(土足)。「げざ(下坐)・はぎ(脛)」の転訛したものか。足を卑しめた語。 キ⸢ザ⸣パンサーリ ⸢ヤーン⸣ナカー ⸢ペール⸣ナ [ki⸢ʣa⸣pansaːri ⸢jaːn⸣nakaː ⸢peːru⸣na] (土足で家の中に入るな)。 キ⸢ザ⸣パンシ ⸢ヤーン⸣ ナカー ⸢ペール⸣ナ [ki⸢ʣa⸣paŋʃi ⸢jaːn⸣ nakaː ⸢peːru⸣na] (裸足で家の中に入るな)。 キ⸢ザパン⸣バ プ⸢スヌ⸣ マイ ⸢ナーリ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ki⸢ʣapam⸣ba pu̥⸢sunu⸣ mai ⸢naːri⸣ nuːja ʔu⸢reː] (汚れた足を人様の前に出して、何だこれは<失礼だぞ>)。 ウ⸢ヌ⸣ キ⸢ザパン⸣マー ス⸢ナカ⸣ナー ⸢ギー⸣ ア⸢ライ⸣ クー [ʔu⸢nu⸣ ki⸢ʣapam⸣maː su⸢naka⸣naː ⸢giː⸣ ʔa⸢rai⸣kuː] (この泥だらけの汚れた脚は海に行って洗ってこいよ) 5475 0 0 4973 htmvoc_5475.wav キザミイツァ キ⸢ザミイツァ [ki⸢ʣamiʔiʦa] 名 刻み板。葉煙草を刻む際に下に敷く台板。 キ⸢ザミイツァー⸣ シ⸢キティ⸣ タ⸢バ⸣コー ク⸢マークマー⸣シ ウ⸢ラ⸣シバ [ki⸢ʣamiʔiʦa⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ta⸢ba⸣koː ku⸢maːkumaː⸣ʃi ʔu⸢ra⸣ʃiba] (刻み板を敷いて煙草は細かく刻み<下ろし>なさいよ) 5473 0 0 4974 htmvoc_5473.wav キザミクブ キ⸢ザミクブ [ki⸢ʣamikubu] 名 刻んだ昆布。刻み昆布。 キ⸢ザミクブトゥ⸣ カ⸢マブクヌ⸣ イ⸢ラキ⸣ムノー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [ki⸢ʣamikubutu⸣ ka⸢mabukunu⸣ ʔi⸢raki⸣munoː ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (刻み昆布と蒲鉾の炒め物は非常に美味しい) 5134 0 0 4975 htmvoc_5134.wav キザミタバク キ⸢ザミタバク [ki⸢ʣamitabaku] 名 刻み煙草。乾燥した⸢パータバク[⸢paːtabaku](葉煙草)の葉柄と葉の中心の葉脈を取り除いた部分を何枚か重ねて包丁で細かくおろしたもの。これをキ⸢シ⸣ル[ki̥⸢ʃi⸣ru](煙管)のス⸢ブ⸣ル[su⸢bu⸣ru](頭)に詰め、タ⸢バク⸣ブン[ta⸢baku⸣buŋ](煙草盆)のウ⸢キル[ʔu⸢kiru](熾火)に当て、着火して煙草をすった。戦後十数年ほどまでキザミタバクを紙袋に詰めて販売していたが現在ではほとんど見られない。 ⸣キサー シ⸢マ⸣ナテー ムー⸢ル⸣ キ⸢ザミタバクバル⸣ フキ ⸢オーッタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララ⸣ヌ [⸣ki̥saː ʃi⸢ma⸣nateː muː⸢ru⸣ ki⸢ʣamitabakubaru⸣ ɸu̥ki ⸢ʔoːtta⸣nu ma⸢na⸣maː mi⸢rara⸣nu] (以前は、島では皆刻み煙草を吸って<吹いて>おられたが、今では見られない)。⸢パータバク[⸢paːtabaku](葉煙草)を細かく刻んで下ろした煙草。キ⸢シ⸣ル[ki⸢ʃi⸣ru](煙管)に詰めて吸ったが最近ではほとんど見られない。 ⸣キサー キ⸢ザミタバクバ⸣ プゾーナ イ⸢レー⸣ティ フ⸢コーッタン⸣ドゥ ク⸢ヌ⸣グロー ミ⸢ララン⸣サ⸢ナー [⸣ki̥saː ki⸢ʣamitabakuba⸣ puʣoːna ʔi⸢reː⸣ti ɸu̥⸢koːttan⸣du ku⸢nu⸣guroː mi⸢raran⸣sa⸢naː] (以前は刻み煙草を煙草入れ<宝蔵>に入れて持参して吸っておられたが、このごろでは見られないねえ) 5226 0 0 4976 htmvoc_5226.wav キザミポーツァー キ⸢ザミポーツァー [ki⸢ʣamipoːʦaː] 名 刻み包丁。葉タバコを刻む包丁。 キ⸢ザミポーツァー⸣シ ⸢パータバク⸣ ウ⸢ラ⸣スンティ ⸢ベー⸣ダー [ki⸢ʣamipoːʦaː⸣ʃi ⸢paːtabaku⸣ ʔu⸢ra⸣sunti ⸢beː⸣daː] (刻み包丁で葉タバコを下ろそう<細かく刻もう>としている) 5227 0 0 4977 htmvoc_5227.wav キザミルン キ⸢ザミルン [ki⸢ʣamiruŋ] 他動 刻む。細かく切る。 ク⸢マークマー⸣シ キ⸢ザミルンティ スンドゥ⸣ キ⸢ザミララン⸣サー [ku⸢maːkumaː⸣ʃi ki⸢ʣamirunti sundu⸣ ki⸢ʣamiraran⸣saː] (細かく刻もうとするが刻まれない)。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢タ⸣ナシェー キ⸢ザミル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ kḁ⸢ta⸣naʃeː ki⸢ʣami⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (この包丁<刀>では刻むことは出来ない)。 ク⸢リ⸣シ キ⸢ザミレー⸣ ミサムヌ [ku⸢ri⸣ʃi ki⸢ʣamireː⸣ misamunu] (これで刻めば良いのに)。 ⸢パー⸣ク キ⸢ザミリ [⸢paː⸣ku ki⸢ʣamiri] (早く刻めよ) 5228 0 0 4978 htmvoc_5228.wav キザムン キ⸢ザムン [ki⸢ʣamuŋ] 他動 刻む。細かく切る。 クマー⸢クマー⸣シ キ⸢ザムン [kumaː⸢kumaː⸣ʃi ki⸢ʣamuŋ] (非常に細かく刻む)。 キ⸢ザマヌ [ki⸢ʣamanu] (刻まない)。 キ⸢ザミ⸣ プサン [ki⸢ʣami⸣ pu̥saŋ] (刻みたい)。 キ⸢ザム⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢ʣamu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (刻むことは出来ない)。 キ⸢ザメー⸣ ミサムヌ [ki⸢ʣameː⸣ misamunu] (刻めばよいのに)。 バカー⸢バカー⸣シ キ⸢ザミ [bakaː⸢bakaː⸣ʃi ki⸢ʣami] (細く刻め) 5229 0 0 4979 htmvoc_5229.wav キザリグスク キ⸢ザリグスク [ki⸢ʣarigusuku] 名 アワイシ(粟石{EOS}砂岩)を削って積み上げた石垣。「削り石垣」の義か。 イ⸢サナキヌ ム⸢カ⸣シドゥンチヌ ⸢ヤー⸣ヤ キ⸢ザリグスクル⸣ シ⸢マリブー [ʔi⸢sanakinu⸣ mu⸢ka⸣ʃidunʧinu ⸢jaː⸣ja ki⸢ʣarigusu̥kuru⸣ ʃi⸢maribuː] (石垣島の昔殿内の家はアワイシ<砂岩>の石垣が積まれている) 5135 0 0 4980 htmvoc_5135.wav キザル キ⸢ザル [ki⸢ʣaru] 名 祭祀行事。年中行事。旧暦の一月から十二月まで、ほぼ毎月決まって行われた村の祭祀・行事。その中で、ウ⸢ブキザ⸣ル[ʔu⸢bukiʣa⸣ru](大祭祀・行事)と称されるものが⸣ソンガチ[⸣soŋgaʧi](正月)、ジ⸢ル⸣クンチ[ʤi⸢ru⸣kunʧi](十六日祭)、⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)、⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)、キ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)、⸣シチ[⸣ʃi̥ʧi](節祭り)等である。 パ⸢トゥ⸣マー ム⸢カ⸣シェーラ キ⸢ザルヌ ゴー⸣ラール ⸣シマ ⸢ヤッタ [pḁ⸢tu⸣maː mu⸢ka⸣ʃeːra ki⸢ʣarunu goː⸣raːru ⸣ʃima ⸢jatta] (鳩間島は昔から祭祀行事<年中行事>の多い島であった)。 キ⸢ザルキザルヌ ピューロー⸣ サ⸢カサヌ⸣ アッパタール ク⸢ロー⸣リティ ⸢スー⸣ダイ ヤ⸢ク⸣サンケートゥ パ⸢ナシアー⸣シティ ⸣アトゥピュール サ⸢キピュール⸣ティ キ⸢モーッ⸣タ [ki⸢ʣarukiʣarunu pjuːroː⸣ sḁ⸢kasanu⸣ ʔappataːru ku⸢roː⸣riti ⸢suː⸣dai ja⸢ku⸣saŋkeːtu pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi̥ti ⸣ʔatupjuːru sḁ⸢kipjuːru⸣ti ki⸢moːt⸣ta] (祭祀行事の日取りは、司のお婆さん方が佳日を調べて<繰られて>、村の総代や役人たちと話し合って、後日和にするか、先日和にするかを決められた) 5233 0 0 4981 htmvoc_5233.wav キザルキザル キ⸢ザルキザル [ki⸢ʣarukiʣaru] 連 祭祀毎の。年中行事毎の。 キ⸢ザルキザルヌ ニンガイ⸣ヤー ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [ki⸢ʣarukiʣarunu niŋgai⸣jaː ⸢ʔuinu⸣ʔugannaːtiru ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (年中祭祀毎の祈願は友利御嶽<上のお願>で祈願をなされた) 5244 0 0 4982 htmvoc_5244.wav キザン ⸣キザン [⸣kiʣaŋ] 名 (動)卵から孵化したばかりの虱の幼虫。 ⸢ワー⸣ ガ⸢マ⸣ジナ キ⸢ザン⸣ヌ ⸣シディ ⸢ベー [⸢waː⸣ ga⸢ma⸣ʤina ki⸢ʣan⸣nu ⸣ʃidi ⸢beː] (君の髪に虱の幼虫が孵化している)。 カ⸢トーシ⸣シ ⸣キザン シ⸢キ ウタ⸣シ [kḁ⸢toːʃi⸣ʃi ⸣kiʣaŋ ʃi̥⸢ki ʔuta⸣ʃi] (歯の細かい櫛<梳き櫛>で虱の幼虫を梳き落とせ) 5234 0 0 4983 htmvoc_5234.wav ギサン ⸣ギサン [⸣gisaŋ] 助動 ~しそうである。~するらしい。活用語の連用形に付いて形容詞型活用をする。老年層は、-ン⸣ギサン[-ŋ⸣gisaŋ](~そうだ{EOS}~らしい)という。 カ⸢キン⸣ギサン [kḁ⸢kiŋ⸣gisaŋ] (書きそうだ)。 カ⸢キン⸣ギサタンドゥ カ⸢カン⸣シェン [kḁ⸢kiŋ⸣gisatandu kḁ⸢kaŋ⸣ʃeŋ] (書きそうだったが書かなかった)。 パ⸢リン⸣ギサ ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢riŋ⸣gisa ⸢naː⸣nu] (行きそうにない)。 カ⸢キン⸣ギサ プ⸢ソー ター⸣ヤ [kḁ⸢kiŋ⸣gisa pu̥⸢soː taː⸣ja] (書きそうな人は誰か) 5517 0 0 4984 htmvoc_5517.wav ギサン ⸣ギサン [⸣gisaŋ] 名 (動)アタマジラミ(頭虱)の幼虫。 ⸢ケー⸣サ [⸢keː⸣sa] (虱の卵)。 ⸢ケー⸣サーラ ギ⸢サン⸣ヌ ⸣シディティ シ⸢ディックル⸣ヌ ギャン⸢ティ⸣ カ⸢タマリ フシゥ⸣カリ ⸢ベー [⸢keː⸣saːra gi⸢san⸣nu ⸣ʃiditi ʃi⸢dikkuru⸣nu gjan⸢ti⸣ ka⸢tamari ɸusi̥⸣kari ⸢beː] (虱の卵からアタマジラミの幼虫が孵化して、その抜け殻がぎっしり固まって<凝集>してくっついている) 5235 0 0 4985 htmvoc_5235.wav キザンムヌ キ⸢ザン⸣ムヌ [ki⸢ʣam⸣munu] 名 施餓鬼用のお盆の供物。「刻み物」の義。歌謡語。鳩間島に伝わる念仏歌(シ⸢ザ⸣ヌ ⸣クイ{SqBr}ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui{/SqBr}<兄の声{EOS}歌>)に歌いこまれている。砂糖黍の茎、ウリ、ナスビを細かく賽の目に刻み、小豆、米を混ぜて皿に入れ、水を少量垂らしておき、⸣マヤーブー[⸣majaːbuː](メドハギを2,3本束ねたもの)で朝、昼、晩の食事を仏壇に供える前に、それを戸外へ撥ね飛ばして施餓鬼とする供物。日常の方言では、ミ⸢ジヌ⸣クー[mi⸢ʤinu⸣kuː](「水の子」の義か{EOS}無縁仏への施しの食物{EOS}施餓鬼の食べ物)という。/ウギヌスラ ウリ ナスビ キザンムヌ シスイヌ ウハンキヌ スイヌ ミジ/(砂糖黍の茎、ウリ、ナスビを刻んだもの、添えの撥ね飛ばす水を添えて)「七月念仏歌(兄の声)」 5246 0 0 4986 htmvoc_5246.wav キシ ⸣キシ [⸣ki̥ʃi] 名 \ruby{崖}{ガケ}。断崖。切り立った所。「涯、岸、水辺曰\kaeriten{㆑}涯、涯陗而高曰\kaeriten{㆑}岸、和名岐之(きし)」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢ユシ⸣キダミナトゥヌ ⸣パンタヌ キ⸢シ⸣ヌ ⸢ウイラ⸣ キー ⸣キシ ウ⸢タシ⸣ティ ⸣イダフニナ ⸢ヌーシタ [⸢juʃi⸣kidaminatunu ⸣pantanu ki̥⸢ʃi⸣nu ⸢ʔuira⸣ kiː ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ⸣ʔidaɸunina ⸢nuːʃita] (ヨキシダ港の南の断崖<岸>の上から、木を伐って落としてサバニ<板舟>に積んだ<載せた>) 5247 0 1 4987 htmvoc_5247.wav キシ ⸣キシ [⸣ki̥ʃi] 名 {Mn_1}一区切り。一定の広さの畑。畑一枚。「切れ」の義。畑を数える単位。 プ⸢ス⸣キシ [pu̥⸢su⸣ki̥ʃi] (一区切り{EOS}一枚)。 フ⸢タキシ [ɸu̥⸢takiʃi] (二区切り{EOS}二枚)。 パ⸢タ⸣キ ⸢ミーキシ⸣ナ ア⸢ガマミ⸣ イ⸢ビ⸣シケー [pḁ⸢ta⸣ki ⸢miːkiʃi⸣na ʔa⸢gamami⸣ ʔi⸢bi⸣ʃi̥keː] (畑三枚に小豆をうえてある)。枚。畑を数える単位。 プ⸢ス⸣ キシ [pu̥⸢su⸣ ki̥ʃi] (畑一枚<一切れ>)。 フ⸢タ キシ [ɸu̥⸢ta kiʃi] (畑二枚<二切れ>)。 パ⸢タ⸣キ プ⸢ス⸣キシナー シ⸢ビラバ⸣ イ⸢ビ⸣ プ⸢ス⸣キシナーヤ ビ⸢ラ⸣バ イ⸢ビ⸣シケー [pḁ⸢taki⸣nu pu̥⸢su⸣ki̥ʃinaː ʃi⸢biraba⸣ ʔi⸢bi⸣ pu̥⸢su⸣ki̥ʃinaːja bi⸢ra⸣ba ʔi⸢bi⸣ʃi̥keː] (畑の一枚にはネギ<葱>を植え、一枚にはニラ<韮>を植えてある)。 5247 0 2 4988 htmvoc_5247.wav キシ ⸣キシ [⸣ki̥ʃi] 名 {Mn_2}切れ端。 ⸢キー⸣ヌ ⸣キシ ア⸢ツァ⸣ミティ タ⸢ム⸣ヌ ⸢サー⸣ディー [⸢kiː⸣nu ⸣ki̥ʃi ʔa⸢ʦa⸣miti ta⸢mu⸣nu ⸢saː⸣diː] (木の切れ端を集めて薪にしようよ)。 ⸢トーフー⸣ヌ ⸣キシ [⸢toːɸuː⸣nu ⸣ki̥ʃi] (豆腐の切れ端{EOS}一切れ)。 カ⸢マブクヌ⸣ キシ [ka⸢mabukunu⸣ ki̥ʃi] (蒲鉾の切れ{EOS}一切れ)。 ⸢トーフー⸣ヌ ⸣キシンノーン イ⸢リテイ⸣ スー バ⸢カシ⸣バ [⸢toːɸuː⸣nu ⸣ki̥ʃinnoːŋ ʔi⸢riti⸣ suː ba⸢kaʃi⸣ba] (豆腐の切れ端でも入れてお汁を炊けよ)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣キシ [⸢kiː⸣nu ⸣ki̥ʃi] (木の切れ端)。 イ⸢ツァ⸣ヌ ⸣キシ [ʔi⸢ʦa⸣nu ⸣ki̥ʃi] (板の切れ端) 5248 0 0 4989 htmvoc_5248.wav キジ キ⸢ジ [ki⸢ʤi] 名 傷。 ⸢パン⸣ヌ キ⸢ジヌ ウー⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [⸢pan⸣nu ki⸢ʤinu ʔuː⸣mi ⸢naː⸣nu] (足の傷が化膿してしまった)。 キ⸢ジェー ノー⸣レーン [ki⸢ʤeː noː⸣reːŋ] (傷は治った)。「呰、岐受(きず)」『華厳経音義私記』の転訛したもの。 ⸢パン⸣ヌ キ⸢ジェー ピン⸣グル ⸢ペーリヤッ⸣サンダー ピ⸢ルザキ⸣シ トゥ⸢イットー⸣シ [⸢pan⸣nu ki⸢ʤeː piŋ⸣guru ⸢peːrijas⸣sandaː pi⸢ruʣaki⸣ʃi ⸢tuittoː⸣ʃi] (足の傷は破傷風菌が入りやすいから大蒜酒で消毒して拭きとっておきなさい<摺りこんでおけ>)。 ヨー⸢ヨー⸣ ミ⸢ドーンッふァ⸣ヌ ⸣シラナ ⸢ナー⸣ト キ⸢ジ⸣ シケー ナ⸢ラン⸣ダー [joː⸢joː⸣ mi⸢doːŋffa⸣nu ⸣ʃirana ⸢naː⸣to ki⸢ʤi⸣ ʃi̥keː na⸢ran⸣daː] (よくよく注意しろよ{EOS}女の子の顔に傷などをつけてはならないぞ) 5521 0 0 4990 htmvoc_5521.wav ギシ ⸣ギシ [⸣giʃi] 名 下男下女。使用人。身分の低い者。「下司」の転訛。首里方言では「平侍。また平役人。下級官吏。げす(下司・下衆)に対応する語か。按司({SqBr}ʔazi{/SqBr})などの高官に対する」『沖縄語辞典』とある。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ナー⸢イ⸣ プ⸢スン⸣ヤーヌ ⸣ギシ ⸣ナリ シゥ⸢カーリオーッ⸣タ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ naː⸢i⸣ pu̥⸢suɲ⸣jaːnu ⸣giʃi ⸣nari sï̥⸢kaːrioːt⸣ta] (あの人はずっと余所の家の使用人として使われておられた)。 プ⸢スヌ⸣ ギシ ナ⸢ル⸣ナ [pu̥⸢sunu⸣ giʃi na⸢ru⸣na] (他人の使用人<下男下女>になるな)。 プ⸢スヌ⸣ ギシ ⸣ナリティ ナー⸢イ⸣ プ⸢スン⸣ シゥ⸢カーリ ベー [pu̥⸢sunu⸣ giʃi ⸣nariti naː⸢i⸣ pu̥⸢sun⸣ s̥ï⸢kaːri beː] (他人の下使い<下男>になって、ただ他人に扱き使われ<酷使され>ている)。 イ⸢チンバー⸣キン プ⸢スヌ⸣ ギシ ⸣ナレーティ ⸢アーク⸣ナ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kim pu̥⸢sunu⸣ giʃi ⸣nareːti ⸢ʔaːku⸣na] (何時までも他人の下男<使用人>になっているな) 5524 0 0 4991 htmvoc_5524.wav キシェーマ キ⸢シェー⸣マ [ki⸢ʃeː⸣ma] 名 切れ。切れ端。⸣キシ[⸣ki̥ʃi](切れ)に指小辞の-マ[-ma](小さい観念、親愛の情を表す接尾辞)が下接したもの。 イ⸢ツァ⸣ヌ キ⸢シェー⸣マシ パ⸢コー⸣マ ス⸢ク⸣リバ [ʔi⸢ʦa⸣nu ki⸢ʃeː⸣maʃi pa⸢koː⸣ma su̥⸢ku⸣riba] (板の切れ端で小箱を作りなさいよ)。 ⸢ヌーヌヌ⸣ キ⸢シェー⸣マ ア⸢ツァ⸣ミ ⸣クー [⸢nuːnunu⸣ ki̥⸢ʃeː⸣ma ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣kuː] (布の切れ端を集めてこい) 5057 0 0 4992 htmvoc_5057.wav キシキ ⸢キシキ [⸢kiʃi̥ki] 名 景色。風景。眺望。/パトゥマナカムリ パリヌブリ ユムヌ キシキユ ナガムリバ イヌチナガカル クバヌシタ イヤイーヤ ピトゥヌ イヌチヤ サンアティ ナランサ ヌチヌアリワドゥ チムヌ ウムティン ククルヌ アルティン ジュージュー サマザマ カナワティ イカリサ ナマヌパヤシニ クドゥキ ユミユミ/(鳩間中岡に走り登って四方の景色を眺めると寿命が長くなるような檳榔樹の下の景色だ{EOS}いやいーや 人の寿命は計算して予測できないものだ{EOS}命があればこそ胸の想いも心に思うように種々様々に叶えていけるものだ{EOS}今の囃子に口説きを歌おうよ)「鳩間口説」『鳩間島古典民謡古謡集』 5522 0 0 4993 htmvoc_5522.wav ギシキ ⸢ギシ⸣キ [⸢giʃi̥⸣ki] 名 儀式。神事や仏事、祝儀、不祝儀などで執行される一定の決まりごと。 ⸢プール⸣ヌ ⸢パー⸣レーナーン シ⸢ナ⸣ピキナーン ム⸢カ⸣シェーラヌ ⸢ギシキ⸣ヌ ア⸢リ⸣ブンダ ウ⸢リ バシキルナ⸣ダー [⸢puːru⸣nu ⸢paː⸣reːnaːŋ ʃi⸢na⸣pi̥kinaːm mu⸢ka⸣ʃeːranu ⸢giʃi̥ki⸣nu ʔa⸢ri⸣bunda ʔu⸢ri baʃi̥kiruna⸣daː] (豊年祭の爬竜船競漕や綱引きにも昔からの儀式があるから、それを忘れるなよ) 5250 0 0 4994 htmvoc_5250.wav ギシギシ ギ⸢シギシ [gi⸢ʃigiʃi] 副 歯軋りするさま。歯軋りして鳴らす音。 ギ⸢シギシ⸣シ ⸣パー ⸣フーン [gi⸢ʃigiʃi⸣ʃi ⸣paː ⸣ɸuːŋ] (ギシギシと\ruby{歯軋}{ハ|ギシ}りする<歯を噛む>) 5251 0 0 4995 htmvoc_5251.wav キシククチ キ⸢シククチ [ki̥⸢ʃikukuʧi] 名 着心地。 ナ⸢チェー⸣ バサキンヌ キ⸢シククチェー ヌー⸣シカヤー ピ⸢ラ⸣ケーンカヤー [na⸢ʧeː⸣ basakinnu ki̥⸢ʃikukuʧeː nuː⸣ʃikajaː pi⸢ra⸣keːŋkajaː] (夏は、芭蕉着の着心地はどうだろうか{EOS}涼しいだろうか)。 ク⸢レー⸣ キ⸢シククチヌ ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ki̥⸢ʃikukuʧinu daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (これは着心地がよろしくない) 5252 0 0 4996 htmvoc_5252.wav ギシシゥカイ ⸣ギシシゥカイ [⸣giʃisi̥kai] 名 したづかい(下使)。下司のように扱ぎ使われること<下司使い>。酷使されること。 ⸢ウン⸣ネーナ ナー⸢イ⸣ ギシシゥカイバ シ⸢ラリ ベー [⸢ʔun⸣neːna naː⸢i⸣ giʃisi̥kaiba ʃi⸢rari beː] (その家にずうっと下使いをさせられている<下司のように酷使されている>) 5253 0 0 4997 htmvoc_5253.wav キジシキルン キ⸢ジシキ⸣ルン [ki⸢ʤiʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 傷つける。身体や器物に傷を負わせる。 ⸢ガン⸣バリ ⸢シー ベー⸣ティ ⸣パラーナ キ⸢ジシキ⸣ルン⸢ダー [⸢gam⸣bari ⸢ʃiː beː⸣ti ⸣paraːna ki⸢ʤiʃi̥ki⸣run⸢daː] (悪戯をしていて、柱に傷つけるぞ)。 マ⸢カ⸣ルドンゴー ⸢ウッツァー⸣スカー パ⸢タカキ⸣ キ⸢ジシキ⸣ルン⸢ダー [ma⸢ka⸣rudoŋgoː ⸢ʔutʦaː⸣sukaː pḁ⸢takaki⸣ ki⸢ʤiʃi̥ki⸣run⸢daː] (お碗類はぶつける<打ち合わせる>と縁が欠けて傷をつけるよ)。 ⸢ウッツァーサ⸣バン キ⸢ジ⸣ シ⸢キラ⸣ヌ [⸢ʔutʦaːsa⸣baŋ ki⸢ʤeː⸣ ʃi̥⸢kira⸣nu] (ぶつけ<打ち合わせ>ても傷をつけない) 5254 0 0 4998 htmvoc_5254.wav キシシティルン キ⸢シシティ⸣ルン [ki⸢ʃiʃi̥ti⸣ruŋ] 他動 切り捨てる。切って捨てる。 ムー⸢ル⸣シ ⸣バキティ タ⸢ラーンモー⸣ キ⸢シシティ⸣ルンティ ウ⸢ムー⸣ヌ キ⸢シ⸣シティ ⸣ミサンカヤー [muː⸢ru⸣ʃi ⸣bakiti ta⸢raːmmoː⸣ ki̥⸢ʃiʃiti⸣runti ʔu⸢muː⸣nu ki⸢ʃi⸣ʃi̥ti ⸣misaŋkajaː] (全部分けて足りない分は切り捨てようと思うが、切り捨てて良いかね) 5255 0 0 4999 htmvoc_5255.wav キジスクン キ⸢ジ⸣ スクン [ki⸢ʤi⸣ su̥kuŋ] 連 傷をつける。 イ⸢ツァ⸣クビナ カ⸢ニフン⸣シ キ⸢ジ⸣ スクン [ʔi⸢ʦa⸣kubina ka⸢niɸuŋ⸣ʃi ki⸢ʤi⸣ su̥kuŋ] (板壁に鉄釘で傷をつける) 5558 0 0 5000 htmvoc_5558.wav キシッツァースン キ⸢シッツァー⸣スン [ki̥⸢ʃitʦaː⸣suŋ] 他動 切り刻む。切りまくる。「切り散らす」の転訛したもの。 ⸢アッ⸣タル シ⸢ナ⸣バ キ⸢シッツァー⸣シ ⸣シケー [⸢ʔat⸣taru ʃi⸢na⸣ba ki̥⸢ʃitʦaː⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (あたら<可惜>綱を切り散らして<切り刻んで>ある)。 キ⸢シッツァーサン⸣ドーシ シゥ⸢カイ⸣バ [ki̥⸢ʃitʦaːsan⸣doːʃi sï̥⸢kai⸣ba] (切り散らさないで使えよ)。 キ⸢シッツァー⸣シ ⸣ミサカー キ⸢シッツァー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ki̥⸢ʃitʦaː⸣ʃi misakaː ki̥⸢ʃitʦaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (切り散らしてよければ切り散らすことは出来る)。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ムー⸢ル⸣ キ⸢シッツァー⸣スン [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː muː⸢ru⸣ ki̥⸢ʃitʦaː⸣suŋ] (怒ったら全部切りまくる)。 キ⸢シッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ki̥⸢ʃitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (切りまくれば良いのに)。 ⸣ヌーティ ⸢ナー⸣ン <ヌーン クイン> ムー⸢ル⸣ キ⸢シッツァー⸣シバ [⸣nuːti ⸢naː⸣m muː⸢ru⸣ ki̥⸢ʃitʦaː⸣ʃiba] (何もかも全部きりまくれ)。ぶった切る。散々に切る。切り捲る。「切り散らす」の転訛したもの。 ⸢マイ⸣ヤー グ⸢マ⸣ー ⸢カンガーン⸣ドーシ イ⸢ゾー⸣ キ⸢シッツァー⸣シ ⸣ナビナー イ⸢リティ⸣ スー バ⸢カシ⸣バ [⸢mai⸣jaː gu⸢ma⸣ː ⸢kaŋgaːn⸣doːʃi ʔi⸢ʣoː⸣ ki̥⸢ʃitʧaː⸣ʃi ⸣nabinaː ʔi⸢riti⸣ suː ba⸢kaʃi⸣ba] (大きい小さいを考えずに魚をぶった切りにして、鍋に入れてお汁を炊きなさい<炊け>)。 キ⸢シッツァーサ⸣ヌ [ki̥⸢ʃitʦaːsa⸣nu] (ぶった切らない)。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ⸣ヌーンクイン キ⸢シッツァー⸣スン [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ⸣nuːŋkuiŋ ki̥⸢ʃitʦaː⸣suŋ] (怒ったら何もかもぶった切る) 5257 0 0 5001 htmvoc_5257.wav キシッツァールン キ⸢シッツァー⸣ルン [ki̥⸢ʃitʦaː⸣ruŋ] 自動 千切れる。切れ切れになる。「切れ散れる」の転訛したもの。 ⸢アン⸣マー キ⸢シッツァー⸣リティ ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔam⸣maː ki̥⸢ʃitʦaː⸣riti ⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (網は千切れて使い物にならない<養生、手当てできない>)。 キ⸢シッツァーラ⸣ヌ [ki̥⸢ʃitʦaːra⸣nu] (千切れない)。 ⸣アイニ グ⸢チ⸣ホーニ ピ⸢キスク⸣カー キ⸢シッツァー⸣ルン⸢ダー [⸣ʔaini gu⸢ʧi⸣hoːni pi̥⸢kisuku⸣kaː ki̥⸢ʃitʦaː⸣run⸢daː] (あんなに強引に<無鉄砲に>引張ると千切れるぞ)。 キ⸢シッツァー⸣ル ⸣ムノー [ki̥⸢ʃitʦaː⸣ru ⸣munoː] (千切れるものは)。 ⸣アイブ ⸣ムノー キ⸢シッツァー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ki̥⸢ʃitʦaː⸣reː ⸣misamunu] (千切れればよいのに)。 ⸢パー⸣ク キ⸢シッツァーリ⸣リ [⸢paː⸣ku ki̥⸢ʃitʦaːri⸣ri] (早く千切れろ) 5258 0 0 5002 htmvoc_5258.wav キシットースン キ⸢シットー⸣スン [ki̥⸢ʃittoː⸣suŋ] 他動 切り倒す。伐り払う。薙ぎ倒す。 ⸢キー⸣ヤマー キ⸢シットー⸣シティ サ⸢ラシ⸣ ヤ⸢キティル カイクン⸣ ア⸢コーッ⸣タ⸢ダー [⸢kiː⸣jamaː ki̥⸢ʃittoː⸣ʃiti sa⸢raʃi⸣ ja⸢kitiru kaikuŋ⸣ ʔa⸢koːt⸣ta⸢daː] (森<木の山>を伐り払って、木を枯らし、焼いて<ぞ>開墾地は開拓されたものだよ)。 ⸢タンガ⸣シェー キ⸢シットーサラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃeː ki̥⸢ʃittoːsara⸣nu] (一人では切り倒せない)。 カ⸢マーバー⸣キ キ⸢シットー⸣スン [ka⸢maːbaː⸣ki ki̥⸢ʃittoː⸣suŋ] (あそこまで切り倒す)。 キ⸢シットー⸣スン ⸣トン [ki̥⸢ʃittoː⸣suntoŋ] (切り倒すところ)。 キ⸢シットー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ki̥⸢ʃittoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (切り倒せばよいのに)。 キ⸢シットー⸣シ [ki̥⸢ʃittoː⸣ʃi] (切り倒せ) 5259 0 0 5003 htmvoc_5259.wav キシドーリ キ⸢シドーリ [ki⸢ʃidoːri] 名 着倒れ。 キ⸢シドーリ スン⸣ケン ⸣キン ⸢サーソー⸣ル プ⸢スン オー⸣ルンティ⸢ダー [ki̥⸢ʃidoːri suŋ⸣keŋ ⸣kiŋ ⸢saːsoː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoː⸣runti⸢daː] (着倒れするほど着物を新調される人もいらっしゃるそうだよ) 5525 0 0 5004 htmvoc_5525.wav キシトゥルン ⸣キシトゥルン [⸣ki̥ʃituruŋ] 他動 切り取る。 ア⸢マ⸣ル ⸢ブン⸣マー ⸣キシトゥリティ ⸢カーシ⸣バ [ʔa⸢ma⸣ru ⸢bum⸣maː ⸣ki̥ʃituriti ⸢kaːʃi⸣ba] (余るぶんは切り取って売りなさいよ)。 キシトゥ⸢ラ⸣ヌ [ki̥ʃitu⸢ra⸣nu] (切り取らない)。 ⸣クベー キシトゥルン⸢ドー [⸣kubeː ki̥ʃiturun⸢doː] (これだけは切り取るよ)。 ⸣キシトゥル ⸣ムヌ [⸣ki̥ʃituru munu] (切り取るもの)。 ⸣キシトゥレー ⸣ミサムヌ [⸣ki̥ʃitureː ⸣misamunu] (切り取ればよいのに)。 ⸣キシトゥリ [⸣ki̥ʃituri] (切り取れ) 5526 0 0 5005 htmvoc_5526.wav キシパイル キ⸢シパイ⸣ル [ki⸢ʃipai⸣ru] 名 酸味の強い酢。酢の酸味は、⸣キスン[⸣kisuŋ](きれる{EOS}酢が非常に効く)。キ⸢シ⸣ルン[ki̥⸢ʃi⸣ruŋ](きれる{EOS}酢が非常に効く)のようにいう。 キ⸢シパイ⸣ロー ン⸢メーマ⸣ナー ミ⸢ジバ⸣ イ⸢リ バイティ⸣ シゥ⸢カイ⸣ヨー [ki̥⸢ʃipai⸣roː ʔm⸢meːma⸣naː mi⸢ʤiba⸣ ʔi⸢ri baiti⸣ sï̥⸢kai⸣joː] (酸味の強い酢は少しずつ水を加え、薄めて<希釈して>使いなさいよ) 5260 0 0 5006 htmvoc_5260.wav キシパダ キ⸢シパダ [ki̥⸢ʃipada] 名 着飾りたがる年頃。⸣パダ[⸣pada](肌)は「肌」が原義であるが、<若い年頃>の意味を派生させている。若者以上の人に対しては、「パダ(年頃)」は用いられない。ヤ⸢ラビ⸣パダ[ja⸢rabi⸣pada](子供の頃)、ウ⸢ビ⸣パダ ⸢スン⸣ケン[ʔu⸢bi⸣pada ⸢suŋ⸣keŋ](その年ごろ<十二、三歳頃>になるまで)のように用いられる。 パ⸢タチヌ マングロー<マーラー>⸣ キ⸢シパダ ヤリバ⸣ ア⸢ラキン サーシ⸣ キ⸢サシ⸣バ [pḁ⸢taʧinu maŋguroː⸣ ki⸢ʃipada jariba⸣ ʔa⸢rakin saːʃi⸣ ki⸢saʃi⸣ba] (二十歳のころは着飾りたい年頃だから、新しい着物を新調して着せなさいよ) 5476 0 0 5007 htmvoc_5476.wav キシパンスン キ⸢シパン⸣スン [ki̥⸢ʃipan⸣suŋ] 他動 切断する。切り抜ける。乗り切る。「切り外す」の義。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ナン⸣ギ ⸣アウリサーギ キ⸢シパンサ⸣リカー ⸢ソーヤ ナーン⸠ツォー [ma⸢nama⸣nu ⸢naŋ⸣gi ⸣ʔawarisaːgi ki⸢ʃipansa⸣rikaː ⸢soːja naːn⸠ʦoː] (今の難儀苦労さえ切り抜けることが出来れば<切り外せたら>心配は無いのだがなあ) 5266 0 0 5008 htmvoc_5266.wav キシフクラスン キ⸢シフクラスン [ki̥⸢ʃiɸu̥kurasuŋ] 他動 着脹れさせる。重ね着して脹れあがらせる。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ドゥク キ⸢シフクラサンバル⸣ ドゥーガンゾー マ⸢リル [ja⸢ra⸣beː ⸣duku ki̥⸢ʃiɸu̥kurasambaru⸣ duːganʣoː ma⸢riru] (子供は、あまり着脹れさせないほうが健康に成長する<胴頑丈に生まれる>) 5264 0 0 5009 htmvoc_5264.wav キシフクリ キ⸢シフクリ [ki̥⸢ʃiɸukuri] 名 着膨れ。贅沢に着ること。飽きるほどに着ること。 キ⸢シフクリ シー ブンダ⸣ ア⸢ラキン⸣ プサンテー ウ⸢モー⸣ヌ [ki̥⸢ʃiɸukuri ʃiː bunda⸣ ʔa⸢rakim⸣ pu̥santeː ʔu⸢moː⸣nu] (贅沢に着ているから、新しい着物を欲しいとは思わない)。 キ⸢シフクリ⸣ シ⸢ティ⸣ キン ア⸢タラサ スンティ⸣ クトゥ ッ⸢サヌ [ki̥⸢ʃiɸukuri⸣ ʃi̥⸢ti⸣ kiŋ ʔa⸢tarasa sunti⸣ ku̥toː s⸢sanu] (着飽きて着物を大事にする<惜しむ>ことを知らない)。 ⸢アーシ⸣キン ⸢ミーカサビ⸣ キ⸢スター⸣ キ⸢シフクリ⸣ シ⸢ティ ウーキグリサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔaːʃi⸣kim ⸢miːkasabi⸣ ki̥⸢sutaː⸣ ki̥⸢ʃiɸukuri⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ⸢ʔuːkigurisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (袷を三枚重ね着したら着膨れして動きづらくてたまらない<どうにもならない>) 5267 0 1 5010 htmvoc_5267.wav キシフチ キ⸢シフチ [ki̥⸢ʃiɸuʧi] 名 {Mn_1}着方。着る方法。 ⸢ヌー⸣シル キ⸢ス⸣ユー ⸢キン⸣ヌ キ⸢シフチンツァン⸣ ッ⸢サヌ [⸢nuː⸣ʃiru ki̥⸢su⸣juː ⸢kin⸣nu ki̥⸢ʃiɸuʧinʦan⸣ s⸢sanu] (どうやって着るのか、着物の着方すらも知らない)。キ⸢シミチ[ki̥⸢ʃimiʧi](着方)ともいう。 5267 0 2 5011 htmvoc_5267.wav キシフチ キ⸢シフチ [ki̥⸢ʃiɸuʧi] 名 {Mn_2}着た時。 イ⸢チヌ⸣マドゥナー キ⸢スタ⸣ユー ウ⸢リヌ⸣ キン キ⸢シフチン⸣ ッ⸢サンシェン [ʔi⸢ʧinu⸣ madunaːru ki̥⸢suta⸣juː ʔu⸢rinu⸣ kiŋ ki̥⸢ʃiɸuʧin⸣ s⸢saŋʃeŋ] (何時の間に着たのか、彼が着物を着た時も知らなかった) 5268 0 0 5012 htmvoc_5268.wav キシフチ キ⸢シ⸣フチ [ki̥⸢ʃi⸣ɸu̥ʧi] 名 切り口。切れ目。切り方。 キ⸢シ⸣フチェー ス⸢ロー⸣シティ ナ⸢ラビ⸣バ [ki̥⸢ʃi⸣ɸu̥ʧeː su⸢roː⸣ʃi̥ti na⸢rabi⸣ba] (切り口を揃えて並べなさい)。 キ⸢シフチ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカー ギャン⸢ティ⸣ ハ⸢マラ⸣ヌ [ki̥⸢ʃiɸu̥ʧi⸣nu ⸢was⸣sakaː gjan⸢ti⸣ ha⸢mara⸣nu] (切り口が悪いときっちりとはまら<填ら>ない)。キ⸢シ⸣ミチ[ki̥⸢ʃi⸣miʧi](切り方)ともいう 5214 0 0 5013 htmvoc_5214.wav キシムヌ キ⸢シ⸣ムヌ [ki̥⸢ʃi⸣munu] 名 切れ者。敏腕家。腕利き。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ キ⸢シ⸣ムヌティ ア⸢ザリブー⸠ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ki̥⸢ʃi⸣munuti ʔa⸢ʣaribuː⸠daː] (その人は切れ者だといわれているよ)。 トゥ⸢シ⸣トゥ ア⸢タラン⸣ キ⸢シムヌ⸣ ユン ⸢ナー [tu⸢ʃi⸣tu ʔa⸢taraŋ⸣ ki⸢ʃimunu⸣ jun⸢naː] (若いのに<年に似合わず>切れ者だなあ)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ シマズーヌ キ⸢シ⸣ムヌティ ア⸢ザリブー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʃimaʣuːnu ki⸢ʃi⸣munuti ʔa⸢ʣaribuː] (その人は、島中で一番の切れ者といわれている) 5136 0 0 5014 htmvoc_5136.wav キシル キ⸢シ⸣ル [ki⸢ʃi⸣ru] 名 きせる(煙管)。キセル(煙管)。カンボジア語の[khsier]から転訛したものという(Eサトー説)。刻み煙草を詰めて火をつけ、喫煙するのに用いる器具。頭と吸い口は金属で作られており、中間は長さ約30センチの竹の管で連結されている。煙草のやに(脂)がたまると藁の芯を吸い口の方から入れて頭の方から出してやに(脂)を除去した。 キ⸢シル⸣ヌ フ⸢キン⸣グチェーラ バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸣シン ヌ⸢キティ⸣ キ⸢シル⸣ヌ ⸣ッス サ⸢ライ⸣バ [ki̥⸢ʃiru⸣nu ɸu̥⸢kiŋ⸣guʧeːra ba⸢raɸu̥ta⸣nu ⸣ʃin nu⸢kiti⸣ ki̥⸢ʃiru⸣nu ⸣ssu sa⸢rai⸣ba] (煙管の吸い口から稲藁の芯を貫き通して煙草のやに<糞>をとって煙管を浚えなさい) 5535 0 0 5015 htmvoc_5535.wav キシルヌサウ キ⸢シル⸣ヌ ⸣サウ [ki̥⸢ʃiru⸣nu ⸣sau] 連 キセル(煙管)の竿。⸢ラウ[⸢rau](キセル<煙管>の竹製の管{EOS}\ruby{羅宇}{ラ|ウ})ともいう。煙管のがん首<雁首>と吸い口とを繋ぐ約30センチの竹管。 ⸣アブジェー キ⸢シル⸣ヌ ⸢サウ⸣ヤー ⸣アッパー ⸣モーラン ナ⸢ガー⸣ル ⸣アル [⸣ʔabuʤeː ki⸢ʃiru⸣nu ⸢sau⸣jaː ⸣ʔappaː ⸣moːran na⸢gaː⸣ru ⸣ʔaru] (お祖父さんの煙管の竿<羅宇>はお祖母さんのものより長い<長くぞある>) 5534 0 0 5016 htmvoc_5534.wav キシルヌサラ キ⸢シル⸣ヌ サ⸢ラ [ki⸢ʃiru⸣nu sa⸢ra] 連 キセル(煙管)の雁首。 キ⸢シル⸣ヌ サ⸢ラ⸣ナー キ⸢ザミタバク⸣ ッ⸢シナ⸣キ ⸢ピー⸣バ ⸣シキティ タ⸢バ⸣ク フ⸢コーッ⸣タ [ki̥⸢ʃiru⸣nu sa⸢ra⸣naː ki⸢ʣamitabaku⸣ ʃ⸢ʃina⸣kiti ⸢piː⸣ba ⸣ʃi̥kiti ta⸢ba⸣ku ɸu̥⸢koːt⸣ta] (煙管の雁首に刻み煙草を詰め込んで火をつけて煙草を吸われた) 5536 0 0 5017 htmvoc_5536.wav キシルヌッス キ⸢シル⸣ヌ ⸣ッス [ki⸢ʃiru⸣nu ⸣ssu] 連 キセル(煙管)のやに(脂)。「煙管の糞」の義。 キ⸢シル⸣ヌ ⸣ッソー バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸣シンシル ⸢ソー⸣ジ シ⸢タル [ki̥⸢ʃiru⸣nu ⸣ssoː ba⸢raɸuta⸣nu ⸣ʃiŋʃiru ⸢soː⸣ʤi ʃi̥⸢taru] (煙管のやに<脂>は稲藁の芯で掃除したものだ) 5480 0 0 5018 htmvoc_5480.wav キシルン キ⸢シ⸣ルン [ki⸢ʃi⸣ruŋ] 自動 切れる。品物が無くなる。 ⸢ナー⸣ヤ ⸣ドゥク ピ⸢キスク⸣カー キ⸢シ⸣ルン⸢ダー [⸢naː⸣ja ⸣duku pi̥⸢kisuku⸣kaː ki̥⸢ʃi⸣run⸢daː] (縄はあんまり強く引張ると切れるぞ)。 ピ⸢キスクバン⸣ キ⸢シラ⸣ヌ [pi̥⸢kisukubaŋ⸣ ki̥⸢ʃira⸣nu] (引張っても切れない)。 キ⸢シヤッ⸣サン [ki̥⸢ʃijas⸣saŋ] (切れやすい)。 キ⸢シ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢ʃi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (切れることはない)。 キ⸢シ⸣レー ⸣ミサムヌ [ki̥⸢ʃi⸣reː ⸣misamunu] (切れればよいのに)。 ⸢パー⸣ク キ⸢シ⸣リ [⸢paː⸣ku ki̥⸢ʃi⸣ri] (早く切れろ)。 シ⸢ナムヌヌ⸣ キ⸢シ⸣ルカー シ⸢グ⸣ ア⸢ナ⸣ミ ⸢カイ⸣クー [ʃi⸢namununu⸣ ki⸢ʃi⸣rukaː ʃi⸢gu⸣ ʔa⸢na⸣mi ⸢kai⸣kuː] (品物が切れたら、すぐ探して買ってこい) 5537 0 1 5019 htmvoc_5537.wav キシルン キ⸢シ⸣ルン [ki⸢ʃi⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}切れる。 ピ⸢キスク⸣カー キ⸢シ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ キ⸢シラン⸣バン [pi̥⸢kisuku⸣kaː ki̥⸢ʃi⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ki̥⸢ʃiram⸣baŋ] (引っ張ったら切れると聞いたが、切れないよ)。 ⸣クマーラ キ⸢シ⸣ル ⸣パジェー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kumaːra ki⸢ʃi⸣ru ⸣paʤeː ⸢naː⸣nu] (ここから切れるはずが無い)。 ⸣ドゥク ピ⸢キスク⸣カー ⸣シナー キ⸢シ⸣ルン⸢ダー [⸣duku pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː ⸣ʃinaː ki⸢ʃi⸣run⸢daː] (あんまり強く引張ると綱は切れるよ)。 ピ⸢キシゥカバン⸣ キ⸢シラ⸣ヌ [pi̥⸢kisï̥kabaŋ⸣ ki̥⸢ʃira⸣nu] (引張っても切れない)。 キ⸢シヤッ⸣サン [ki⸢ʃijas⸣saŋ] (切れやすい)。 ギュー⸢ムシン⸣ キ⸢シ⸣ルピンマー [gjuː⸢muʃiŋ⸣ ki⸢ʃi⸣ru ⸣pimmaː] (何度も切れるときは)。 ⸣アイニ ⸣キシェーラー シゥ⸢カーラヌ [⸣ʔaini ⸣kiʃeːra sï̥⸢kaːranu] (あんなに切れたら使えない)。 ⸢パイ⸣サ キ⸢シ⸣リ [⸢pai⸣sa ki⸢ʃi⸣ri] (早く切れろ)。 5537 0 2 5020 htmvoc_5537.wav キシルン キ⸢シ⸣ルン [ki⸢ʃi⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}絶える。 ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢サン⸣カー ウ⸢ヌ ヤー⸣ヤ ⸣タネー キ⸢シ⸣ルンティ ウ⸢モー⸣リ [f⸢fa⸣ na⸢saŋ⸣kaː ʔu⸢nu jaː⸣ja ⸣taneː ki̥⸢ʃi⸣runti ʔu⸢moː⸣ri] (子供を生まないと、その家は断絶<種が切れる>すると思われる) 5270 0 0 5021 htmvoc_5270.wav キスク キ⸢スク [ki̥⸢suku] 名 規則。きまり。おきて。 ⸢マーン⸣ナーン キ⸢スコー⸣ ア⸢リ⸣ ブー キ⸢スクヌ ナーン⸣カー ⸣イキ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢maːn⸣naːŋ ki̥⸢sukoː⸣ ʔa⸢ri⸣buː ki̥⸢sukunu naːŋ⸣kaː ⸣ʔiki pa⸢rara⸣nu] (何処にも規則はあるものだ<有り居る>{EOS}規則が無いと生きていけない) 5236 0 0 5022 htmvoc_5236.wav キスクン ⸢キス⸣クン [⸢kisu̥kuŋ] 他動 凝視する。じっと見つめる。 プ⸢スバ キス⸣クン [pu̥⸢suba kisu̥⸣kuŋ] (人を凝視する)。 ⸣アイニ ⸢キシゥカン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸣ʔaini ⸢kisu̥kam⸣ bu⸢ri⸣ba] (そんなに凝視するな<しないでおれ>よ)。 ⸢キシ⸣キ ⸣ミリ [⸢kiʃi̥⸣ki ⸣miri] (凝視しろ<気を付けて見よ>)。 ⸢キス⸣ク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢kisu̥⸣ku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (凝視する人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢キシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kiʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (もっと凝視すればいいのに)。 ナー⸢イ キシ⸣キ [naː⸢ji kiʃi̥⸣ki] (じっと見つめろ) 5237 0 1 5023 htmvoc_5237.wav キスクン ⸢キス⸣クン [⸢kisu̥⸣kuŋ] 自動 {Mn_1}気付く。感づく。 ⸣ウナー プ⸢スヌ ベー⸣ンティ ⸢キス⸣クンカヤー [⸣ʔunaː pu̥⸢sunu beːn⸣ti ⸢kisu⸣kuŋkajaː] (そこには今人がいると気付くかねえ)。 ⸣バー ⸢ピッ⸣チン ⸢キシゥカン⸣シェン [⸣baː ⸢pit⸣ʧiŋ ⸢kisukaŋ⸣ʃeŋ] (私はちっとも気付かなかった)。 キサー⸢ティ キシ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [kisaː⸢ti kiʃi̥⸣ki ⸢naː⸣nu] (既に気付いてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤ ⸢キス⸣ク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢kisu̥⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く気付くことはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢キシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢kiʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (早く気付けば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢キシ⸣キバ [⸢paː⸣ku ⸢kiʃi̥⸣kiba] (早く気づけよ)。 5237 0 2 5024 htmvoc_5237.wav キスクン ⸢キス⸣クン [⸢kisu̥⸣kuŋ] 自動 {Mn_2}正気に戻る。 ブ⸢チ⸣クン ⸢シー ベータン⸣ドゥ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢キシ⸣ケーン [bu⸢ʧi⸣kuŋ ⸢ʃiː beːtan⸣du jat⸢tu⸣ʃi ⸢kiː⸣ ʃi̥keːŋ] (気絶していたが、やっとで正気に戻った) 5271 0 1 5025 htmvoc_5271.wav キスン ⸣キスン [⸣ki̥suŋ] 他動 {Mn_1}(他動)切る。伐る。断つ。「延太伎里於呂之~<~枝キリオロシ>『万葉集 3603』」の転訛したもの。鳩間方言には、kiruの-r-がiruのように狭母音に挟まれると [r] → [s] の音韻変化を起こす音韻法則がある。 ⸣キー ⸣キスン [⸣kiː ⸣ki̥suŋ] (木を切る)。 キ⸢サン⸣タンティン ⸣ミサン [ki̥⸢san⸣tantim ⸣misaŋ] (切らなくてもいい)。 ⸣キシ ⸣ミサンカヤー [⸣ki̥ʃi ⸣misaŋkajaː] (切ってよいかなあ)。 キ⸢シ⸣ プサン [ki̥⸢ʃi⸣ pu̥saŋ] (切りたい)。 ⸢タンガ⸣シ ⸣キスクトゥ [⸢taŋga⸣ʃi ki̥su ⸣ku̥tu] (一人で切ること)。 ⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (切ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣キシ [⸢paː⸣ku ⸣ki̥ʃi] (早く切れ)。分断する。伐採する。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢タ⸣ナシェー キ⸢サラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ kḁ⸢ta⸣naʃeː ki̥⸢sara⸣nu] (この包丁では切れない<切られない>)。 ⸣クマーラ キ⸢シパジミ⸣リ [⸣kumaːra ki̥⸢ʃipaʤimi⸣ri] (ここから切り始めよ)。 ク⸢リ⸣シ ⸣キスン [ku⸢ri⸣ʃi ⸣ki̥suŋ] (これで切る)。 ⸣キス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ki̥su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (切る人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (もっと切ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣キシ [⸢paː⸣ku ⸣ki̥ʃi] (早く切れ)。 5271 0 2 5026 htmvoc_5271.wav キスン ⸣キスン [⸣ki̥suŋ] 他動 {Mn_2}補助動詞。動詞の連用形に下接して、「~尽くす。完全に~する」の意味を表す。 ⸢タンガ⸣シ ヌ⸢ミ⸣キシ ⸢ナーン⸣ボヨー [⸢taŋga⸣ʃi nu⸢mi⸣kiʃi ⸢naːm⸣bojoː] (一人で飲みきってしまってあるわいな) 5272 0 0 5027 htmvoc_5272.wav キスン ⸣キスン [⸣ki̥suŋ] 自動 切れる。老年層は、⸣ッスン[⸣ssuŋ](切る{EOS}切れる)、ッ⸢シ⸣ルン[ʃ⸢ʃi⸣ruŋ](切れる)ともいう。 ⸣イトー ピ⸢キスク⸣カー キスン⸢ダー [⸣ʔitoː pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː ki̥sun⸢daː] (糸を引っ張ると切れるよ)。 ピ⸢キシゥカバン⸣ イッ⸢カ⸣ キ⸢サ⸣ヌ [pi̥⸢kisi̥kabaŋ⸣ ʔik⸢ka⸣ ki̥⸢sa⸣nu] (引っ張っても絶対に切れない)。 ⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (切れてしまった)。 ⸣キス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ki̥su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (切れることは無い)。 ⸢パー⸣ク ⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (早く切れたら良いのに) 5273 0 0 5028 htmvoc_5273.wav キスン キ⸢スン [ki̥⸢suŋ] 自動 着る。「~之多邇毛伎余等<下にもキヨト~>『万葉集 3585』」、⸢衣、キ・キイ『類聚名義抄』」の転訛したもの。 ⸣キン キ⸢スン [⸣kiŋ ki̥⸢suŋ] (着物を着る)。 ⸢キン⸣マー キ⸢サヌ [⸢kim⸣maː ki̥⸢sanu] (着物は着ない)。 キ⸢シ⸣ プサン [ki̥⸢ʃi⸣ pu̥saŋ] (着たい)。 ⸢タンガ⸣シ キ⸢ス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃi ki̥⸢su⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (一人で着ることは出来ない)。 ク⸢リ⸣ キ⸢シェー⸣ ミサムヌ [ku⸢ri⸣ ki̥⸢ʃeː⸣ misamunu] (これを着ればよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ク⸢ヌ⸣ キン キ⸢シ [jaː⸢dŋ⸣ ku⸢nu⸣ kiŋ ki̥⸢ʃi] (必ずこの着物を着よ<着れ>) 5276 0 0 5029 htmvoc_5276.wav キスン ⸣-キスン [⸣-ki̥suŋ] 補動 ~切る。~し切る。~し尽くす。~し終える。~し終える。動詞の連用形に下接して「完全に~する」の意を表す。 カ⸢キ⸣キスン [kḁ⸢ki⸣ki̥suŋ] (書き終える<書き切る>)。 ユ⸢ミ⸣キスン [ju⸢mi⸣ki̥suŋ] (読み終える<読み切る>)。 ⸢シーキスン [⸢ʃiːkisuŋ] (し終える)。 ッ⸢ふァイキスン [f⸢faikisuŋ] (食べ終える)。 ッ⸢ふァイキサン⸣ケンナ ⸣バキトゥリ [f⸢faikisaŋ⸣kenna ⸣bakituri] (食べ尽くさないうちに分けて取れ)。 ッ⸢ふァイキシナー⸣ヌ [f⸢faiki̥ʃinaː⸣nu] (食べ尽くしてしまった)。 ⸣キューズーナ ッ⸢ふァイキスン [⸣kjuːʣuːna f⸢faikisuŋ] (今日中に食べ尽くす)。 ッ⸢ふァイキス⸣ プ⸢ソー [f⸢faikisu⸣ pu̥⸢soː] (食べ尽くす人は)。 ッ⸢ふァイキシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faikiʃeː⸣ misamunu] (食べ尽くせばよいのに)。 ⸣キューズーナ ⸢ファイキシリ [⸣kjuːʣuːna f⸢faiki̥ʃiri] (今日中に食べ尽くせ) 5274 0 1 5030 htmvoc_5274.wav キズン キ⸢ズン [ki⸢ʣuŋ] 他動 {Mn_1}削る。薄くそぎ取る。 カ⸢ナ⸣シ ⸣イツァ キ⸢ジ⸣プサンドゥ ⸢バン⸣マー キ⸢ザラヌ [ka⸢na⸣ʃi ⸣ʔiʦa ki⸢ʤi⸣pusandu ⸢bam⸣maː ki⸢ʣaranu] (鉋で板を削りたいが、私には削られない<削れない>)。 キ⸢ズンティ⸣ ウムーカー キ⸢ズ⸣クトー ⸣ナルン [ki⸢ʣunti⸣ ʔumuːka ki⸢ʣu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (削ろうと思うならば削ることはできる)。[⸢paː⸣ku ki⸢ʤeː⸣ misamunu](早く削ればいいのに)。 キ⸢ジ⸣バ [ki⸢ʤi⸣ba] (削れよ)。 ⸢ザイギ⸣バ カ⸢ナ⸣シ キ⸢ズンティ ベーン⸣ドゥ キ⸢ザラヌ [⸢ʣaigi⸣ba ka⸢na⸣ʃi ki⸢ʣunti beːn⸣du ki⸢ʣaranu] (材木を鉋で削ろうとしているが、削られない)。 キ⸢ジヤッ⸣サ ⸣ムノーラ キ⸢ジ⸣バ [ki⸢ʤijas⸣sa ⸣munoːra ki⸢ʤi⸣ba] (削り易いものから削れよ)。 キ⸢ズ プソー パー⸣ク キ⸢ジェー⸣ ミサムヌ [ki⸢ʣu pu̥soː paː⸣ku ki⸢ʤeː⸣ misamunu] (削る人は早く削ればいいのに)。 カ⸢ツブシ⸣ キ⸢ズン [kḁ⸢ʦubuʃi⸣ ki⸢ʣuŋ] (鰹節を削る)。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ⸣マー ン⸢メーマ⸣ キ⸢ザバル⸣ シゥ⸢カーリ [ku⸢nu kiː⸣ja ⸣maː ʔm⸢meːma⸣ ki⸢ʣabaru⸣ sï̥⸢kaːri] (この材木はもう少し削らないと使えない<削ればぞ使われる>)。 キ⸢ジ⸣プサン [ki⸢ʤi⸣pu̥saŋ] (削りたい)。 ⸣ドゥーシ キ⸢ズン [⸣duːʃi ki⸢ʣuŋ] (自分で削る)。 キ⸢ズ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢ʣu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (削ることは出来ない)。 ⸢マー⸣ビン キ⸢ジェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ki⸢ʤeː⸣ misamunu] (もっと削ればよいのに)。 ⸣クマンターラ ⸢パー⸣ク キ⸢ジ⸣バ [⸣kumantaːra ⸢paː⸣ku ki⸢ʤi⸣ba] (ここから早く削れよ)。 {Mn_2}梳る。「朝寝髪 可伎母気頭良受~『万葉集 4101』」の義。 ⸣フチシ ガ⸢マ⸣ジ ⸣キズン [⸣ɸu̥ʧiʃi ga⸢ma⸣ʤi ⸣kiʣuŋ] (櫛で髪を梳る) 5275 0 0 5031 htmvoc_5275.wav キズン ⸣キズン [⸣kiʣuŋ] 他動 梳る。櫛で髪の毛を梳く。「~朝寝髪 掻きも氣頭良受(ケヅラズ)~。万、4101」の転訛したもの。 カ⸢トーシ⸣シ ガ⸢マ⸣ジ ⸣キズン [ka⸢toːʃi⸣ʃi ga⸢ma⸣ʤi ⸣kiʣuŋ] (梳き櫛<歯の細い櫛>で髪の毛を梳る)。 カ⸢トーシ⸣シ ガ⸢マ⸣ジ キ⸢ジ⸣ プサンド ⸣クナーテー キ⸢ズ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢toːʃi⸣ʃi ga⸢ma⸣ʤi ki⸢ʤi⸣ pu̥sandu ⸣kunaːteː ki⸢ʣu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (梳き櫛で髪の毛を梳きたいが、此処では梳くことが出来ない)。 ⸢パー⸣ク キ⸢ジェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ki⸢ʤeː⸣ misamunu] (早く梳れば良いのに)。 ⸣ドゥーシ キ⸢ジ⸣バ [⸣duːʃi ki⸢ʤi⸣ba] (時分で削れよ)。「~朝寝髪 掻きも氣頭良受<ケヅラズ>~。万、4101」の転訛したもの。 ガ⸢マ⸣ジ ⸣キズン [ga⸢ma⸣ʤi ⸣kiʣuŋ] (髪をとく<梳く{EOS}梳る>)。 ガ⸢マ⸣ジ キ⸢ザヌ [ga⸢ma⸣ʤi ki⸢ʣanu] (髪を梳かない)。 ⸣キジ⸣ミサカー キ⸢ズ ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kiʤi ⸣misakaː ki⸢ʣu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (梳ってよければ梳ることはできる)。 ガ⸢マ⸣ジェー キ⸢ジェー⸣ ミサムヌ [ga⸢ma⸣ʤeː ki⸢ʤeː⸣ misamunu] (髪は梳ればいいのに)。 ガ⸢マ⸣ジ キ⸢ジ⸣バ [ga⸢ma⸣ʤi ki⸢ʤi⸣ba] (髪を梳きなさいよ<梳れよ>) 9081 0 0 5032 htmvoc_9081.wav キズン キ⸢ズン [ki⸢ʣuŋ] 他動 梳る。髪をとかす。 ⸣フチシ ガ⸢マ⸣ジ ⸣キズン [⸣ɸu̥ʧiʃi ga⸢ma⸣ʤi ki⸢ʣuŋ] (櫛で髪の毛をとかす<\ruby{梳}{クシケズ}る>) 5238 0 0 5033 htmvoc_5238.wav キソー キ⸢ソー [ki⸢soː] 名 気性。気だて。心だて。気質。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ キ⸢ソーヌ⸣ ア⸢ラー⸣ンダ ピ⸢ライグリ⸣サン [ku⸢nu⸣ pu⸢soː⸣ ki⸢soːnu⸣ ʔa⸢raː⸣nda pi⸢raiguri⸣saŋ] (この人は気性が荒いから付き合いにくい)。 バ⸢タッふァー⸣ル キ⸢ソー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ク⸢ビッ⸣チンツァン イ⸢ザラヌ⸣ シ⸢グ クン⸣ゾー ウ⸢クリ⸣ス [ba⸢taf⸣faːru ki̥⸢soː⸣ ja⸢runda⸣ ku⸢bit⸣ʧinʦaŋ ʔi⸢ʣaranu⸣ ʃi⸢gu kun⸣ʣoː ʔu⸢kuri⸣su] (怒りっぽい気性だから、これぽっちも叱られない{EOS}すぐ怒り出す) 5151 0 0 5034 htmvoc_5151.wav キタ ⸣キタ [⸣ki̥ta] 名 桁。桁材。梁。屋根を支えるために柱の上に横に渡す材木の総称。 ⸢ンニギタ [⸢ʔnnigita] (「棟桁」の義か{EOS}棟木のこと)。 ⸢カー⸣ラヤーヌ ⸣キター ⸣イゾイキー シゥ⸢カーン⸣カー ム⸢タ⸣ヌ [⸢kaː⸣rajaːnu ⸣ki̥taː ⸣ʔiʣoikiː sï̥⸢kaːŋ⸣kaː mu⸢ta⸣nu] (瓦葺家の桁材は、イゾイ<モッコク{EOS}木斛>を使用しないともたない<瓦の重さに耐えられない>)。 ⸢サンバンザー⸣ヌ ⸣キター ク⸢ヌ⸣ フ⸢クンキー⸣ シゥ⸢カーラン⸣カヤー [⸢sambanʣaː⸣nu ⸣ki̥taː ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢kuŋki⸣ sï̥⸢kaːraŋ⸣kajaː] (三番座の桁材にはこの福木を使えないかな) 5278 0 1 5035 htmvoc_5278.wav キタ ⸣キタ [⸣ki̥ta] 名 {Mn_1}網を数える単位。桁(張り)。 プ⸢ス⸣キタ [pu̥⸢su⸣ki̥ta] (1桁)。 フ⸢タキタ [ɸu̥⸢takita] (2桁) ⸢ミーキタ [⸢miːkita] (3桁) ⸢ユーキタ [⸢juːkita] (4桁) イ⸢チ⸣キタ [ʔi⸢ʧi⸣ki̥ta] (5桁))。 ⸣アン フ⸢タキタ⸣ カ⸢タ⸣ミティ イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣シン ⸢パッ⸣タ [⸣ʔaŋ ɸu̥⸢takita⸣ kḁ⸢ta⸣miti ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣ʃim ⸢pat⸣ta] (網を2桁<張り>担いで魚を獲り<網で引っ掛け>に行った)。 ⸣タカアン ⸢ミーキタトゥ⸣ キタアン ⸢ユーキタ⸣ ムティティ ⸢アン⸣シゥカイ ⸢シン パッ⸣タ [⸣tḁkaʔam ⸢miːki̥tatu⸣ ki̥taʔaɲ ⸢juːkita⸣ mutiti ⸢ʔan⸣sï̥kai ⸢ʃim pat⸣ta] (高網を3桁と低い桁網を4桁を持って追い込み漁<網使い>をしに行った)。 5278 0 2 5036 htmvoc_5278.wav キタ ⸣キタ [⸣ki̥ta] 名 {Mn_2}縄を測る単位。五十尋で一桁。(助数)縄の一束(長さ約20尋を単位とするものと、長さ約30尋を単位とするものがある) 5240 0 0 5037 htmvoc_5240.wav キダ キ⸢ダ [ki⸢da] 名 (植)琉球黒檀。ク⸢ル⸣キー[ku⸢ru⸣kiː](黒木)ともいう。床の間のシ⸢キー[ʃi⸢kiː](敷居)やカ⸢ムイ[ka⸢mui](鴨居)などに用いられた。芯材は⸢サンシン[⸢saŋʃiŋ](三線{EOS}三味線)の棹に利用され、重宝された。 キ⸢ダヌ⸣ シンシ ⸢サンシンヌ⸣ サウ ス⸢ク⸣ローッタ [ki⸢danu⸣ ʃiŋʃi ⸢saŋʃinnu⸣ sau su̥⸢ku⸣roːtta] (琉球黒檀の芯材で三線<三味線>の棹を作られた)。黒檀の実は紡錘形で長さ8~14ミリ。7~9月ごろに黄金色に色づいて美しい。黒褐色に完熟すると熟れた柿の実のように美味である。これを子供達は木の上でよく食べた。黄色い実はお盆のム⸢ルムル[mu⸢rumuru]の飾りつけとして砂糖きびの束にさして飾った。 キ⸢ダーヤ⸣ ク⸢ル⸣キーティン ア⸢ザリティ キームトゥ⸣ヌ ⸢シン⸣マー ⸢コー⸣ンダー ム⸢カ⸣シェーラ ウ⸢リ⸣シル ⸢サンシンヌ⸣ サウ ス⸢ク⸣ローッタ [ki⸢daːja⸣ ku⸢ru⸣kiːtiŋ ʔa⸢ʣariti kiːmutu⸣nu ⸢ʃim⸣maː ⸢koːn⸣daː mu⸢ka⸣ʃeːra ʔu⸢ri⸣ʃiru ⸢saŋʃinnu⸣ sau su⸢ku⸣roːtta] (キダはクルキともいわれ、木材の芯は堅い材質だから昔からそれで三味線の竿を作られた) 5137 0 0 5038 htmvoc_5137.wav キタアン ⸣キタアン [⸣ki̥taʔaŋ] 名 桁網。高さ約1メートル、長さ約10メートルの低い網。⸣タカアン[⸣tḁkaʔaŋ](高網)に繋いで用いる。網は通常、上記の長さを単位として作製され、それを⸣キタ[⸣ki̥ta](桁)で表した。それを、プ⸢ス⸣キタ[pu̥⸢su⸣kita](一桁)、フ⸢タキタ[ɸu̥⸢takita](二桁)、⸢ミーキタ[⸢miːkita](三桁)と数えた。各種の網はフ⸢クル⸣アン[ɸu̥⸢kuru⸣ʔaŋ](袋網)を中心にして左右に、⸣タカアン[⸣tḁkaʔaŋ](高網)に袖状に3~4桁繋ぎ、それにッサジナ[s⸢sa⸣ʤina](草綱{EOS}魚脅し綱)を繋いで魚を袋網へと誘導した。 ⸣キタアンマー ア⸢サーン⸣ トンナール シゥ⸢カイヨーッタ [⸣ki̥taʔammaː ʔa⸢saːn⸣ tonnaːru si̥⸢kaijoːt⸣ta] (桁網は水深の浅い所で<ぞ>使われた) 5281 0 0 5039 htmvoc_5281.wav キタイルン キ⸢タイ⸣ルン [ki̥⸢tai⸣ruŋ] 他動 鍛える。 ⸢ウン⸣ドー シ⸢ティ⸣ ドゥー キ⸢タイルン [⸢ʔun⸣doː ʃi̥⸢ti⸣ duː ki̥⸢tairuŋ] (運動をして体を鍛える)。 バ⸢カーン⸣ ケンナー ⸣ドゥー キ⸢タイラン⸣カー トゥ⸢シ⸣ トゥリテーラー キ⸢タイララヌ [ba⸢kaːŋ⸣ kennaː ⸣duː ki̥⸢tairaŋ⸣kaː tu̥⸢ʃi⸣ turiteːraː ki̥⸢tairara⸣nu] (若い時に体を鍛えないと、年を取ってからでは鍛えられない)。 キ⸢タイル⸣ クトゥ [ki̥⸢tairu⸣ ku̥tu] (鍛えること)。 キ⸢タイリ [ki̥⸢tairi] (鍛えろ) 5284 0 0 5040 htmvoc_5284.wav キタシキルン キ⸢タシキ⸣ルン [ki̥⸢taʃiki⸣ruŋ] 自動 衰弱する。重篤になる。 ⸣ヤミ キ⸢タシキ⸣ルンケン ⸣イサン カ⸢カラ⸣ナ ⸢ベー [⸣jami ki̥⸢taʃiki⸣ruŋkeŋ ⸣ʔisaŋ kḁ⸢kara⸣na ⸢beː] (衰弱するまで医者にかからないでいる)。 ク⸢ビ⸣ナー キ⸢タシキ⸣ルカー ⸣メー ナ⸢ガイケー サラヌ [ku⸢bi⸣naː ki̥⸢taʃi̥ki⸣rukaː ⸣meː na⸢gaʔikeː saranu] (こんなに極度に衰弱しては長生きは出来ない) 5282 0 0 5041 htmvoc_5282.wav キダシケー キ⸢ダシケー [ki⸢daʃi̥keː] 固 屋号。石嶺伊佐氏宅。イ⸢シミネ⸣テー[ʔi⸢ʃimine⸣teː](石嶺家)ともいう。石嶺純市氏は鳩間出身で最初の弁護士である。 キ⸢ダシケーヤ⸣ イ⸢ラ⸣ブレーヌ ⸢アー⸣ネー ⸣ナリ ⸢ブー [ki⸢daʃikeːja⸣ ʔi⸢ra⸣bureːnu ⸢ʔaː⸣neː ⸣nari ⸢buː] (石嶺家は西原家の東隣の家になっている)。ケ⸢ダグスク[ke⸢dagusu̥ku](慶田城)・ヤー[⸢jaː] → [ki⸢dasu̥kujaː] → [ki⸢daʃi̥keː](慶田城家)のように音韻変化して生成された合成語。 ⸣ウブシケーヌ ⸢イー⸣ネール キ⸢ダシケー ヤッタ [⸣ʔubuʃi̥keːnu ⸢ʔiː⸣neːru ki⸢daʃi̥keː jatta] (大城家の西隣が石嶺家であった) 5285 0 1 5042 htmvoc_5285.wav キタスクン キ⸢タ⸣スクン [ki̥⸢ta⸣sukuŋ] 自動 {Mn_1}衰弱する。重篤になる。 ⸣ヤミティ キ⸢タ⸣シキ ⸢オー⸣ル [⸣jamiti ki̥⸢ta⸣ʃi̥ki ⸢ʔoː⸣ru] (病んで重篤になって<衰弱して>おられる)。 ウ⸢ブヤン シェー⸣カー キ⸢タ⸣スクンティ ウ⸢モー⸣リ ⸢ナー [ʔu⸢bujaŋ ʃeː⸣kaː ki̥⸢ta⸣sukunti ʔu⸢moː⸣ri⸢naː] (重病をしたのなら衰弱すると思われるねえ)。 ヤ⸢ム⸣タンティン キ⸢タシゥカ⸣ヌ [ja⸢mu⸣tantiŋ ki̥⸢tasï̥ka⸣nu] (病気しても衰弱しない)。 バ⸢カー⸣ンダ キ⸢タス⸣ク ⸣クトオー ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢kaː⸣nda ki̥⸢ta⸣su̥ku ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (若いから衰弱することはない)。 キ⸢タ⸣シケーラ ⸢デー⸣ジ [ki̥⸢ta⸣ʃi̥keːra ⸢deː⸣ʤi] (衰弱したらたいへんだ)。 キ⸢タ⸣シキ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥⸢taʃi⸣ki ⸢naː⸣nu] (衰弱しまった)。 キ⸢タス⸣ク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki̥⸢ta⸣su̥ku ku̥toː ⸢naː⸣nu] (極度に衰弱することは無い)。 キ⸢タシ⸣ケーラ ⸢デー⸣ジ [ki̥⸢ta⸣ʃi̥keːra ⸢deː⸣ʤi] (衰弱したら大変だ)。 ⸣メー キ⸢タシキ⸣ル ⸢オー⸣ル ナ⸢ガムテー ソーラ⸣ヌ [⸣meː ki̥⸢taʃi̥ki⸣ru ⸢ʔoː⸣ru na⸢gamuteː soːra⸣nu] (もう衰弱しておられる{EOS}長生きなさることはない)。 5285 0 2 5043 htmvoc_5285.wav キタスクン キ⸢タ⸣スクン [ki̥⸢ta⸣sukuŋ] 自動 {Mn_2}疲労困憊する。 ブ⸢ガ⸣リ キ⸢タ⸣シキティ ⸢ウーキユーサ⸣ヌ [bu⸢ga⸣ri ki̥⸢ta⸣ʃi̥kiti ⸢ʔuːkijuːsa⸣nu] (疲労困憊して動けない) 5241 0 0 5044 htmvoc_5241.wav キダヌナル キ⸢ダヌ⸣ ナル [ki⸢danu⸣ naru] 連 黒檀の実。直径約8ミリ、長さ約1.5センチの紡錘形の実をつける。未熟果は黄色を呈するが、完熟すると黒褐色になる。未熟果は渋柿の味がするが、完熟すると甘柿の味を呈し、美味である。お盆には、仏壇に供えるム⸢ルムル[mu⸢rumuru](砂糖キビを約15センチに切り、七八本束ねたものを⸣サンボー{SqBr}⸣samboː{/SqBr}<三方>に載せ、それに果物や木の実を挿して供えるもの)に挿したりするのに用いた。 キ⸢ダヌ⸣ ナル ⸣ブリ ⸣キー ム⸢ルムル⸣ナ ⸣ッシバ [ki⸢danu⸣ naru ⸣buri ⸣kiː mu⸢rumuru⸣naː ⸣ʃʃiba] (黒檀の実を折ってきてムルムルに挿しなさいよ) 5547 0 0 5045 htmvoc_5547.wav キダヌナル キ⸢ダヌ⸣ナル [ki⸢danu⸣naru] 名 リュウキュウ黒檀の実。黒木の実。実は紡錘形で長さ8~14ミリ 5138 0 0 5046 htmvoc_5138.wav キダバナ キ⸢ダバナ [ki⸢dabana] 固 地名。タカスク山からインダ崎に張り出した台地は、トゥ⸢マダタバルの西側に崖状をなして切り落ちている。そして崖の岩間を縫うように階段状の山道を作り、それを利用して上り下りしていた。そこを、キ⸢ダバナミチ[ki⸢dabanamiʧi](「切り落ち端<断崖先端>道」の義か{EOS}←キンタバナ<断崖先端>→ティンダハナタ<天蛇鼻{EOS}与那国方言>と考えられる)という。地滑りを起こして赤い地層を露出させた所。脱穀機を担いでこの坂道を登ることは大変な苦労であった。 ⸢ベー⸣ヌ ⸣アチャー ⸢ダッコッキ⸣バ カ⸢タ⸣ミティ キ⸢ダバナミチバ ヌーリ⸣ ウリ ⸢スンティ アウ⸣リ ⸢ソーッ⸣タン⸢ダー [⸢beː⸣nu ⸣ʔaʧaː ⸢dakkokki⸣ba ka⸢ta⸣miti ki⸢dabanamiʧiba nuːri⸣ ʔuri ⸢sunti ʔau⸣ri ⸢soːt⸣tan⸢daː] (我が家のお父さんは脱穀機を担いでキダバナ道を上り下りするのに大変な苦労をされたよ) 5152 0 0 5047 htmvoc_5152.wav キチ ⸣キチ [⸣ki̥ʧi] 名 垂木の一種。瓦葺屋根の桁材の上を、棟から各桁材、軒へ掛け渡した木材。フ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)等が⸣キチによく利用された。⸣キチは、普通縦約6センチ、横約8センチ、長さ約4メートルに製材した角材を用いる。茅葺き屋根の場合は、タ⸢ル⸣キ[ta⸢ru⸣ki](垂木{EOS}「木衰、太流岐」『和名抄』の義)といい、直径約8センチ、長さ約4メートルの、シ⸢ター⸣マ[ʃi̥⸢taː⸣ma](エゴノキ)の樹皮を剥いだ丸太が多く使用された。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣キチ キ⸢シ⸣プス タ⸢ナマ⸣リ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [⸢jaː⸣nu ⸣ki̥ʧi ki̥⸢ʃi⸣pu̥su ta⸢nama⸣ri f⸢fiːri⸣joː] (新築する家の垂木を切る人に頼まれてくれよねえ) 5287 0 0 5048 htmvoc_5287.wav キチ ⸣キチ [⸣ki̥ʧi] 名 瓦葺屋根の垂木。棟から軒へかけわたした材木。よく利用される樹種に、シ⸢ター⸣マキー[ʃi̥⸢taː⸣makiː](エゴノキ)がある。⸣キチ[⸣ki̥ʧi]は、普通は約8センチ角の長さ約3メートルに製材した材木を用い、茅葺き屋根のタ⸢ル⸣キ[ta⸢ru⸣ki](垂木)は、直径約8センチの丸太を用いた。瓦葺屋根に竹のえつり(桟)を載せるために棟から軒先へ渡す材木。直径約10センチ、長さ約3メートルに製材した角材が多く使用された。茅葺屋根の場合はタ⸢ル⸣キ[ta⸢ru⸣ki](垂木)という。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣キチェー ⸢キャーンギキー⸣ プ⸢スカタ⸣ル シゥ⸢カーリブー [⸢ʔun⸣nenu ⸢jaː⸣nu ⸣ki̥ʧeː ⸢kjaːŋgikiː⸣ pu̥⸢sukata⸣ru sï̥⸢kaːribuː] (その家の垂木はいぬまき(犬槇)の木一方のみしか使用されてない<一方がぞ使用されている>)。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣キチ ⸣キシン ⸣パラ [⸢jaː⸣nu ⸣ki̥ʧi ⸣ki̥ʃim ⸣para] (家の垂木を伐りに行こう) 5288 0 0 5049 htmvoc_5288.wav ギチ ギ⸢チ [gi⸢ʧi] 名 指図。命令。「京畿七道に下知して~。」『続日本紀延暦一・閏一・二』の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ギ⸢チ サン⸣カー ムッ⸢トゥ ウーカ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ gi⸢ʧi saŋ⸣kaː mut⸢tu ʔuːka⸣nu] (この子は指図しないとちっとも働かない<動かない>)。 ウ⸢レー⸣ ギ⸢チ サン⸣カー シ⸢グトゥ サンバン [ʔu⸢reː⸣ gi⸢ʧi saŋ⸣kaː ʃi⸢gutu sambaŋ] (彼は指図しないと仕事をしないよ)。 プ⸢スン⸣ ギ⸢チ⸣ シ⸢ラレー⸣ティ カー⸢ニ アーカン⸣ドーシ ⸣ドゥーシ ⸢カンガイ⸣ヤーティ シ⸢グトゥ シー⸣バ [pu̥⸢suŋ⸣ gi⸢ʧi⸣ ʃi⸢rareː⸣ti kaː⸢ni ʔaːkan⸣doːʃi ⸣duːʃi ⸢kaŋgai⸣jaːti ʃi⸢gutu ʃiː⸣ba] (他人から指図をされてばかりいないで、自分で考えながら仕事をしなさいよ)。 ギ⸢チ スン [gi⸢ʧi suŋ] (命令<下知>する) 5552 0 0 5050 htmvoc_5552.wav キチカザ キ⸢チカザ [ki̥⸢ʧikaʣa] 名 鼻を突くきつい臭気。 ⸢ヌー⸣ヌ カ⸢ザ⸣カヤー ⸣アイニ キ⸢チカザヌ スーヌ [⸢nuː⸣nu ka⸢ʣa⸣kajaː ⸣ʔaini ki̥⸢ʧikaʣanu suːnu] (何の臭いかねえ{EOS}あんなに鼻をつくきつい臭いがするんだが) 5553 0 0 5051 htmvoc_5553.wav キチゴン キ⸢チゴン [ki̥⸢ʧigoŋ] 名 結願祭。一年を通して祈願した豊年、豊漁の祈願、健康祈願、家庭繁盛祈願等の諸々の祈願の⸢グヮンプトゥ⸣キ[⸢gwampu̥tu⸣ki](願解)が⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)で執り行われる村祭りである。旧暦九月の壬の日から三日間にわたって行われる。初日は⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通し)、二日目は⸣トーピン[⸣toːpiŋ](当日<祭り本番>)、三日目はトゥ⸢ズミ[tu⸢ʣumi](終結)の三日間で祭りは完結する。⸢ユードゥー⸣シにはユ⸢ネン⸣ヌ ⸣パイ[ju⸢nen⸣nu ⸣pai](宵の拝<祈願>{EOS}午後八時ごろ開始)、ユ⸢ナカ⸣ヌ ⸣パイ[ju⸢naka⸣nu ⸣pai](夜中の拝礼<祈願>午前零時ごろ開始)、シ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸣パイ[ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸣pai](朝<つとめて>の拝礼<祈願>午前五時ごろ開始)の三度の礼拝と神遊びからなる祈願があり、友利御嶽の本殿ウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](母屋)内においてサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}巫女)、ティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](手摺り部{EOS}男性神職者)、バ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa](脇司)、ム⸢ラヤクサ[mu⸢rajakusa](村の役人)達により厳粛な祈願がなされる。⸣トーピン[⸣toːpiŋ](結願祭当日)は午前十一時頃から、サ⸢カサ、バ⸢キサカ⸣サ ティ⸢ジリ⸣ビー達により⸢パイ⸣ディン[⸢pai⸣diŋ](拝殿)に於いて祈願が始まる。祈願が終わると本殿ウブヤーに舞踊団が入り、そこは楽屋に変化する。午後からは本殿ウブヤーから拝殿側へ張り出すように作られた舞台上で奉納芸が上演され、午後五時頃まで続いて祭りは終了した。この日の余興を村人達は舞台の東と西に座席を作り、⸣ウサイ[⸣ʔusai](御馳走)の弁当持参で鑑賞した。子供達は鎮守の森のマーニで剣を作って一日中遊んだ。三日目はトゥズミ[tu⸢ʣumi](完結{EOS}終わり)で村役人たちの一種の慰労会であり、祭りが準備から本番まで順調に進行したことに対する村役人たちへの感謝とお礼と宴会であった 5554 0 0 5052 htmvoc_5554.wav キチッサーク キ⸢チッサー⸣ク [ki̥⸢ʧissaː⸣ku] 名 苦しい咳。きつい咳。重い咳。 カ⸢ラッサーク⸣ キ⸢チッサーク⸣バ ⸢シール⸣ ヌ⸢ドゥ⸣バ ヤ⸢マ⸣シー ⸣ムニ イ⸢ザラヌ [ka⸢rassaːku⸣ ki̥⸢ʧissaːku⸣ba ⸢ʃiːru⸣ nu⸢du⸣ba ja⸢ma⸣ʃi ⸣muni ʔi⸢ʣaranu] (痰の伴わない空咳、苦しい咳をしたので喉を痛めて、声が出して話をすることが出来ない<ものが言えない>) 5289 0 0 5053 htmvoc_5289.wav ギチナー ギ⸢チ⸣ナー [gi⸢ʧi⸣naː] 名 (動)魚の名。和名、イソモンガラ(体長約50センチ)。キヘリモンガラ(体長約60センチ)の総称。 ギ⸢チ⸣ナー フ⸢クラ⸣ベーラン ⸢パー⸣ヤ ⸢スー⸣ワン [gi⸢ʧi⸣naː ɸu̥⸢kura⸣beːram ⸢paː⸣ja ⸢suː⸣waŋ] (ギチナー<イソモンガラ>はフクラベー<タスキモンガラ>よりも歯は強い) 5555 0 0 5054 htmvoc_5555.wav キチニン キ⸢チ⸣ニン [ki̥⸢ʧi⸣niŋ] 名 厳格な人。厳しい人。気難しい人。 ⸣アブジェー ミ⸢ジラ⸣シ キ⸢チニン⸣ ヤ⸢ロー⸣ルンダー ナ⸢クラーン⸣ダー [⸣ʔabuʤeː mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣ki̥ʧiniŋ ja⸢roː⸣rundaː na⸢kuraːn⸣daː] (お祖父さんは珍しい厳格な人であられるから怖いよ) 5556 0 0 5055 htmvoc_5556.wav キツァムニ キ⸢ツァムニ [ki̥⸢ʦamuni] 名 きつい言葉。厳しい言葉。文句や苦情。苦言。諫め言葉。 ウ⸢ヤ⸣ヌ キ⸢ツァ⸣ムニ ア⸢ゾール⸣バティ キ⸢ライヤー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ⸢カン⸣ヌ ⸣クイティ ア⸢ザリブーバ⸣ ユー シゥ⸢カナ⸣ー [ʔu⸢ja⸣nu ki̥⸢ʦa⸣muni ʔa⸢ʣoːru⸣bati ki⸢raijaː⸣ na⸢ran⸣daː ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣ja ⸢kan⸣nukuiti ʔa⸢ʣaribuːba⸣ juː sï̥⸢kana⸣ː] (親が苦言を言われるからとて嫌がってはならないよ{EOS}親の声は神の声<言葉>と言われているから、よく聞かなくては) 5239 0 1 5056 htmvoc_5239.wav キツァン キ⸢ツァ⸣ン [ki⸢ʦa⸣ŋ] 形 {Mn_1}きつい。厳しい。厳格である。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ドゥク キ⸢ツァ⸣ティ ッ⸢ふァンケー⸣ヤ マ⸢ガリティ⸣ ヌ⸢ビラン⸣バン [ʔu⸢ja⸣nu ⸣duku ki⸢ʦa⸣ti f⸢faŋkeː⸣ja ma⸢gariti⸣ nu⸢biram⸣baŋ] (親があまりにも厳格だから子供は縮みこまって伸びないよ)。厳格である。⸣キツァン[⸣ki̥ʦaŋ]ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー サッ⸣コー キ⸢ツァ⸣ンダー ター⸢ン⸣ ナライン パ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː sak⸣koː ki̥⸢ʦa⸣ndaː taː⸢n⸣ naraim pa⸢ra⸣nu] (あの人は非常に厳しいから誰も習いに行かない)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸣キツァー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸣ki̥ʦaː ⸢naː⸣nu] (それほど厳しくない)。 ⸣キツァカー ナ⸢ラーサラ⸣ヌ [⸣ki̥ʦakaː na⸢raːsara⸣nu] (厳しかったら人を教えられない<習わされない>)。 5239 0 2 5057 htmvoc_5239.wav キツァン キ⸢ツァ⸣ン [ki⸢ʦa⸣ŋ] 形 {Mn_2}味や色、香りなどが濃厚すぎて不快である。 カ⸢ザヌ⸣ キ⸢ツァ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マーナー⸣ヌ [ka⸢ʣanu⸣ ki⸢ʦa⸣nu ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maːnaː⸣nu] (匂いがきつくて、あまり美味しくない)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸣キツァー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸣kiʦaː ⸢naː⸣nu] (あまりきつくない)。 ⸢シンダイ⸣ キ⸢ツァー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ki⸢ʦaː⸣naruŋ] (次第にきつくなる)。 カ⸢ザヌ⸣ キ⸢ツァー⸣ ムノー ⸢カーヌ [ka⸢ʣanu⸣ ki⸢ʦaː⸣ munoː ⸢kaːnu] (匂いのきついものは買わない)。 カ⸢ザヌ⸣ キ⸢ツァ⸣カー ッ⸢ふァーン ブリ⸣バ [ka⸢ʣanu⸣ ki⸢ʦa⸣kaː f⸢faːmburi⸣ba] (匂いがきつかったら食べるなよ<食べずにいろよ>)。 カ⸢ザヌ⸣ キ⸢ツァ⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ka⸢ʣanu⸣ ki̥⸢ʦa⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (匂いがきつくて堪らない<顔が向けられない>)。 カ⸢ザヌ⸣ キ⸢ツァ⸣ムノー ⸢カウナ [ka⸢ʣanu⸣ ki̥⸢ʦa⸣ munoː ⸢kauna] (匂いのきついのは買うな) 5508 0 0 5058 htmvoc_5508.wav キッカラ ⸢キッ⸣カラ [⸢kik⸣kara] 名 材木の削り殻。こっぱ(木っ端)。こけら(木屑)。「柿、和名古介良<こけら>『和名抄』」の転訛か。⸢キーッ⸣カラ[⸢kiːk⸣kara](木っ端{EOS}木の削り殻)ともいう。 ⸢キッ⸣カラ プ⸢サイ⸣キー ⸣ユー フ⸢カ⸣シ ⸣サー イ⸢リリ [⸢kik⸣kara pu̥⸢sai⸣kiː ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi ⸣saː ʔi⸢riri] (木の削りからを拾ってきて湯を沸かして茶を入れなさい<入れれ>) 5290 0 0 5059 htmvoc_5290.wav ギッキュー ⸢ギッキュー [⸢gikkjuː] 名 月給。明治29年の尋常小学校開校以後に標準語から転訛したものであろう。1957年の小学校助教諭の月給は3210円であった。 ⸢ワー ギッキューヤ ギュー⸣サ トゥ⸢ル⸣ワ [⸢waː gikkjuːja gjuː⸣sa tu⸢ru⸣wa] (君は、月給は幾ら取るか)。 ⸢シューセンゴヌ シンシー⸣ヌ ⸢ギッキューヤ ヒャ⸣ク ハ⸢チジュー⸣エン、 サ⸢ケー イッ⸣ス ⸢ヒャ⸣ク ハ⸢チジュー⸣エン ⸢ヤッタ⸣ ツォー [⸢ʃuːʃeŋgonu ⸢ʃiŋʃiː⸣nu ⸢gikkjuːja ça⸣ku ha⸢ʧiʤuː⸣eŋ, sa⸢ki ʔis⸣su ⸢ça⸣ku ha⸢ʧiʤuː⸣eɲ ⸢jat⸣taʦoː] (終戦後の先生の月給は百八十円、酒一升が百八十円だったそうだ)。 ⸢ギッキュー⸣ トゥ⸢リ⸣プス ナリ⸢ヨー [⸢gikkjuː⸣ tu⸢ri⸣pu̥su nari⸢joː] (月給取り<月給取人>になりなさいねえ) 5291 0 0 5060 htmvoc_5291.wav キッサ キッ⸢サ [kis⸢sa] 副 既に。キ⸢サ[ki⸢sa](既に)の強調表現。 ウ⸢レー⸣ キッ⸢サ⸣ ッ⸢ふァイティ⸣ シケール [ʔu⸢reː⸣ kis⸢sa⸣ f⸢faitiru⸣ ʃi̥keːru] (それはとっくに食べて<ぞ>おいてある) 5292 0 0 5061 htmvoc_5292.wav キッス ⸢キッ⸣ス [⸢kis⸣su] 名 競争すること。一生懸命に励むこと。努力すること。「競う」の義。 シ⸢トゥム⸣テーラ ユネン⸢バー⸣キ ⸣シマズーヌ プ⸢ソー キッ⸣ス ⸢シェー⸣ティ ⸢イー⸣シ トゥ⸢ローッ⸣タ [ʃ。i⸢tumu⸣teːra junem⸢baː⸣ki ⸣ʃimaʣuːnu pu̥⸢soː kis⸣su ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔiː⸣ʃi tu⸢roːt⸣ta] (朝から夕方まで島中の人は競争してツノマタ<角叉>を採取された) 5559 0 0 5062 htmvoc_5559.wav キッツァースン ⸢キッツァー⸣スン [⸢kitʦaː⸣suŋ] 他動 蹴り散らす。蹴りまくる。蹴り合いをする。キ⸢リッツァー⸣スン[ki⸢ritʦaː⸣suŋ](蹴り散らす)ともいう。 ⸢ンー⸣マー ⸣アウカー ⸣アトゥパンシ ⸢キッツァー⸣スン [⸢ʔmː⸣maː ⸣ʔaukaː ⸣ʔatupaŋʃi ⸢kitʦaː⸣suŋ] (馬は喧嘩すると後足で蹴りまくる) 5293 0 1 5063 htmvoc_5293.wav ギッティ ギッ⸢ティ [git⸢ti] 副 {Mn_1}ぎゅっと。力をこめて、締めたり握ったりするさま。 ギッ⸢ティ⸣ フ⸢バリ [git⸢ti⸣ ɸu⸢bari] (ぎゅっと強く縛れ)。 ⸣バー ⸢ティー⸣バ ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サミティ⸣ パ⸢ナサ⸣ヌ [⸣baː ⸢tiː⸣ba git⸢ti⸣ kḁ⸢samiti⸣ pa⸢nasa⸣nu] (私の手をぎゅっと掴んで放さない)。 ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サミティ パンツァスナ [git⸢ti⸣ kḁ⸢samiti panʦasuna] (ぎゅっと掴んで離すな)。 5293 0 2 5064 htmvoc_5293.wav ギッティ ギッ⸢ティ [git⸢ti] 副 {Mn_2}じっと。動かずにいるさま。 ギッ⸢ティ⸣ ス⸢ク⸣マリティ ⸢ウーカ⸣ヌ [git⸢ti⸣ su̥⸢ku⸣mariti ⸢ʔuːka⸣nu] (じっとすくまって<\ruby{竦}{スクマ}って{EOS}うずくまって>動かない) 5294 0 0 5065 htmvoc_5294.wav キットゥ ⸢キットゥ [⸢kittu] 副 きっと。必ず。確実に。しっかり。歌謡語。/イヤイヤ ユタカナルユヌ シルシサミエー アミヤ トゥカグシ カジヤ シジカニ シクリムジクイ マンサク ソーリバ イヒンカタトゥキ ユダンヤ ナランサ キットゥ キバリヨ ニセタ ウムシルムヌサミ ナマヌ パヤシニ クドゥキ ユミユミ/(いよいよ<弥々>、豊かなる世<豊年>の兆候だ{EOS}雨は十日越しに降り、風は静かに吹いて、作物は満作<豊作>するので、少しも片時も油断は出来ないものだ{EOS}きっと<しっかり>気張れよ、若者たちよ{EOS}愉快ではないか{EOS}ただ今の囃子に口説きを歌おうよ) 5561 0 0 5066 htmvoc_5561.wav キットゥ キッ⸢トゥ [kit⸢tu] 副 きっと(屹度)。必ずや。しっかり。話者の、相手に対する要望が強いことを表現する。/~イヒン カタトゥキ ユダンヤ ナランサ キットゥ キバリヨ ニセタ~/(~少しも片時も油断はならないものだ{EOS}しっかり<屹度>気張れよ若者たちよ)「鳩間口説」『鳩間島古典民謡古謡集』 5078 0 0 5067 htmvoc_5078.wav キットゥー ⸢キットゥー [⸢kittuː] 名 毛布。「毛糸」の転訛したものか。 イ⸢ツォーン⸣プソー ⸢キットゥー⸣シ イ⸢ソーキン サーソー⸣リ キ⸢ソーッタ⸣ヌ イッ⸢ケン ヌッ⸣サタン [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː ⸢kittuː⸣ʃi ʔi⸢soːkin saːsoːtta⸣nu ʔik⸢ken nus⸣sataŋ] (糸満漁師は毛布で漁に出るときの着物を作られたが非常に温かった) 5295 0 0 5068 htmvoc_5295.wav キットゥー ⸢キットゥー [⸢kittuː] 名 血統。血筋。⸢タックイ[⸢takkui](血統{EOS}DNA)ともいう。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢チョーミーヌ キットゥー [⸢ʔun⸣neːja ⸢ʧoːmiːnu kittuː] (あの家は長寿の血統だ)。血筋。 ⸢キットゥーヌ カイ⸣ヤル ⸣ヤーラ シ⸢ラ⸣ベーティ ユ⸢メー⸣ クイ⸢オーッ⸣タ [⸢kittuːnu kai⸣jaru ⸣jaːra ʃi⸢ra⸣beːti ju⸢meː⸣ kui⸢oːt⸣ta] (血統の素晴らしい<美しい>家から、調べて嫁をもらわれた<乞われた>) 5562 0 0 5069 htmvoc_5562.wav キットゥー ⸢キッ⸣トゥー [⸢kit⸣tuː] 名 毛布。近代以後の借用語。「ブランケット(blanket)」の「ケット」(毛布)の転訛したもの。 ⸢ピー⸣ヤティ ウ⸢ズ⸣ヌ ッ⸢サンター⸣ラ ⸢キットゥーバ⸣ カビティル ニ⸢ブタル [⸢piː⸣jati ʔu⸢ʣu⸣nu s⸢santaː⸣ra ⸢kittuːba⸣ kabitiru ni⸢butaru] (寒いので布団の下から毛布を被って寝たものだよ) 5564 0 0 5070 htmvoc_5564.wav キットゥバスン ⸢キットゥバ⸣スン [⸢kittuba⸣suŋ] 他動 蹴飛ばす。蹴って飛ばす。キ⸢リットゥバ⸣スン[ki⸢rittuba⸣suŋ](蹴飛ばす)ともいう。 ⸢キットゥバスン⸣カティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢キットゥバサラン⸣シェン [⸢kittubasuŋ⸣kati ʔu⸢muːtan⸣du ⸢kittubasaraŋ⸣ʃeŋ] (蹴飛ばそうかと思ったが、蹴飛ばされなかった)。 ⸢キットゥバ⸣シ ⸣ミサカー ⸢キットゥバ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kittuba⸣ʃi ⸣misakaː ⸢kittuba⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (蹴飛ばしてよければ、蹴飛ばすことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸢キットゥ⸣バシェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kittuba⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと蹴飛ばせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢キットゥバ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢kittuba⸣ʃi] (早く蹴飛ばせ) 5565 0 0 5071 htmvoc_5565.wav キッパイ ⸢キッパイ [⸢kippai] 名 様子。人のなりふり。人のそぶり。身のこなし。人の容姿。「気配」の転訛したものか。 ウ⸢リヌ キッパイ⸣ ミ⸢リバ⸣ル ⸣メー バ⸢カヤ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣シェン [ʔu⸢rinu kippai⸣ mi⸢riba⸣ru ⸣meː ba⸢kaja⸣nu na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (その人のそぶりを見ていると、もうどうにも可笑しくてたまらなかったよ)。 ウ⸢リヌ キッパイ⸣ ミ⸢リバ⸣ル ⸢サッ⸣コー バ⸢カ⸣ヤー⸢ツォー [ʔu⸢rinu kippai⸣ mi⸢riba⸣ru ⸢sak⸣koː ba⸢ka⸣ja⸢ʦoː] (あの人の様子を見ると非常に滑稽<おかしい>なんだよ) 5296 0 0 5072 htmvoc_5296.wav キップ ⸢キッ⸣プ [⸢kip⸣pu] 名 切符。乗船切符。標準語からの借用語。戦前は直接に運賃を払って乗船していた。戦争中に切符が使われるようになり、昭和四十年代ごろから切符が使用されだした。 ⸢ウンパンシン⸣ヌ ⸢キッ⸣プ ⸢カイティ イ⸢サンケー パッ⸣タ [⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ⸢kip⸣pu ⸢kaiti⸣ ʔi⸢saŋkeː pat⸣ta] (運搬船の切符を買って石垣島へ行った) 5298 0 0 5073 htmvoc_5298.wav キティン キ⸢ティン [ki̥⸢tiŋ] 名 機転。機知。頓知。標準語からの借用語。 カ⸢レー⸣ キ⸢ティンヌ⸣ アルユンダ ⸢チャー⸣ イ⸢ザリヌンガール タン⸣ガー ⸢シー アー⸣ク [ʔu⸢reː⸣ ki̥⸢tinnu⸣ ʔarujunda ⸢ʧaː⸣ ʔi⸢ʣarinuŋgaːru taŋ⸣gaː ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (彼は機転が利く<ある>から、いつも叱られ逃れ<言われ逃れ>ばかりしている)。気が利くこと。時に応じて正しい判断が出来ること。標準語からの転訛。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ キ⸢ティンヌ⸣ スクンダ ウ⸢ヤ⸣カターラン ⸢シンヨー⸣ シ⸢ラリ ブン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ki̥⸢tinnu⸣ su̥kunda ʔu⸢ja⸣kataːraŋ ⸢ʃiŋjoː⸣ ʃi⸢rari buŋ] (この子は機転が利くから親方からも信用されている) 5301 0 0 5074 htmvoc_5301.wav キトー キ⸢トー [kitoː] 名 祈祷。お祓い。標準語からの借用語。普通は、ウ⸢ハ⸣ライ[ʔu⸢ha⸣rai](お祓い)、⸢ヤー⸣ザライ[⸢jaː⸣ʣarai](お祓い{EOS}「家浚え」の義)ともいう。 ⸢スー⸣ヌ ⸣パナ フ⸢ミ⸣キー ⸣マキ ⸢マー⸣ス ⸢パン⸣キティ ⸢ヤー⸣ヌ キ⸢トー シー⸣バ [⸢suː⸣nu ⸣pana ɸu⸢mi⸣kiː ⸣maki ⸢maː⸣su ⸢paŋ⸣kiti ⸢jaː⸣nu ki̥⸢toː ʃiː⸣ba] (人が足を踏み入れないときの海水<潮の花>を汲んできて撒き、塩を撒いて家の祈祷<お祓い>をしなさい<せよ>) 5567 0 0 5075 htmvoc_5567.wav キドゥ キ⸢ドゥ [ki⸢du] 名 親戚関係。血縁関係。血族関係。 ⸢ウン⸣ネートー ヤ⸢マシ⸣カ キ⸢ドー⸣ ヌ⸢キル ブー [⸢ʔun⸣neːtoː ja⸢maʃi⸣ka ki⸢doː⸣ nu⸢kiru buː] (その家とは随分親戚関係が隔たって<遠退いて>いる)。キ⸢ドゥ ヌクン[ki⸢du nukuŋ](疎遠になる)ともいう 5299 0 0 5076 htmvoc_5299.wav キドゥヌクン キ⸢ドゥ ヌクン [ki⸢du nukuŋ] 連 疎遠になる。間遠になる。訪問することが稀になること。 チ⸢カ⸣グロー ⸢ウン⸣ネートー キ⸢ドゥ ヌキル ブー⸣ツォー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢ʔun⸣neːtoː ki⸢du nukiru buː⸣ʦoː] (近頃はあの家とは疎遠になっているそうだ) 5300 0 0 5077 htmvoc_5300.wav キドゥヌムヌ キ⸢ドゥヌ⸣ ムヌ [ki⸢dunu⸣ munu] 連 魔物。「外道の者」の転訛か。マ⸢ドゥヌ⸣ ムヌ[ma⸢dunu⸣ munu](魔道の者)の対語として用いられる。普通、供養する人のいない死者の霊がさ迷い出て人間に祟ると信じられている。祟りをもたらす霊をマ⸢ドゥヌ⸣ムヌ(魔道のもの) キ⸢ドゥヌ⸣ムヌ(外道のもの)という。お盆の仏壇に食事を供える前にミ⸢ジヌ⸣クーを撒くのは、マ⸢ドゥヌ⸣ムヌ キ⸢ドゥヌ⸣ムヌへのお布施といわれている 5572 0 0 5078 htmvoc_5572.wav キナーン キ⸢ナー⸣ン [ki⸢naː⸣ŋ] 形 疎ましい。嫌らしい。貧しい。 シ⸢ラカタチ⸣ン キ⸢ナー⸣ンティ イ⸢ザリティ⸣ ナ⸢キベー [ʃi⸢rakata⸣ʧiŋ ki⸢naː⸣nti ʔi⸢ʣariti⸣ na⸢kibeː] (容貌<顔形>からして嫌らしいと叱られて泣いている)。 ⸣ドゥク キ⸢ナー⸣ティ ウ⸢リンマー⸣ タ⸢ナマン⸣シェン [⸣duku ki⸢naː⸣ti ʔu⸢rimmaː⸣ ta⸢namaŋ⸣ʃeŋ] (あまりにも嫌らしいので、その人には頼まなかった) 5302 0 1 5079 htmvoc_5302.wav キナイ キ⸢ナイ [ki⸢nai] 名 {Mn_1}⸢Qenai.ケナイ(家内)Iyeno Vchi(家の内)家族,または,家中の人々.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 キ⸢ナイヌ⸣ ドゥーパダニンガイヤ ⸢ソー⸣レーンカヤー [ki⸢nainu⸣ duːpadaningaija ⸢soː⸣reːŋkajaː] (家族の健康祈願はなされたかねえ)。 キ⸢ナイムティ ゾー⸣ジ [ki⸢naimuti ʣoː⸣ʤi] (家庭経営<家庭持ち>が上手だ)。 キ⸢ナイヤー ヌー⸣シ ム⸢タバ⸣ル ⸣ミサカヤー [ki⸢naijaː nuː⸣ʃi mu⸢taba⸣ru ⸣misakajaː] (家庭は如何に運営した<持ったら>らよいのだろうか)。 5302 0 2 5080 htmvoc_5302.wav キナイ キ⸢ナイ [ki⸢nai] 名 {Mn_2}家庭。世帯。一家中。家庭。所帯。一家。「家内」の義。 キ⸢ナイムティ⸣プス [ki⸢naimuti⸣pu̥su] (所帯持ち{EOS}家庭持ち)。 キ⸢ナイ カイ⸣ヤー ユ⸢ミヌ ッふァー⸣ラーティル ム⸢カ⸣シムネー ⸣アル [ki⸢nai kai⸣jaː ju⸢minu ffaː⸣ratiru mu⸢ka⸣ʃimuneː ⸣ʔaru] (家庭が立派に<美しく>経営されるには先ず嫁子の態度から始まると先賢<昔>の言葉にある) 5303 0 0 5081 htmvoc_5303.wav キナイ ⸣キナイ [⸣kinai] 名 キニーネ。マラリアの特効薬。厚さ約2ミリ、直径約3ミリの円形の黄色い錠剤。これを服用すると顔の色もだんだん黄色になった。戦後米軍の八重山民政府から支給された。 ⸣キナイ ⸣ヌムカー マ⸢ラリ⸣ア カ⸢カラン⸣シェン [⸣kinai ⸣numukaː ma⸢rari⸣a ka⸢karaŋ⸣ʃeŋ] (キニーネを飲むとマラリアに罹らなかった)。 マ⸢ラリ⸣ヤナー キ⸢ナイ⸣ル イッ⸢ケナ⸣ ス⸢クタ⸠ダー [ma⸢rari⸣janaː ki⸢nai⸣ru ʔik⸢kena⸣ su̥⸢kuta⸠daː] (マラリアにはキニーネという薬がよく効いたものだよ) 5304 0 0 5082 htmvoc_5304.wav キナイカージ キ⸢ナイカージ [ki⸢naikaːʤi] 連 家庭毎。各家。「家内数」の転訛したもの。 キ⸢ナイカージ⸣ラ グ⸢サーク⸣マイ ン⸢ザ⸣ソーッタン [ki⸢naikaːʤi⸣ra gu⸢saːku⸣mai ʔn⸢ʣa⸣soːttaŋ] (各家庭から供物の五勺米を出された) 5305 0 0 5083 htmvoc_5305.wav キナイズー キ⸢ナイズー [ki⸢naiʣuː] 名 家族全員。家族中。 ⸢キナイズーヌ⸣ ドゥーパダニンガイ ⸢ソー⸣ルン [ki⸢naiʣuːnu⸣ duːpadaniŋgai ⸢soː⸣ruŋ] (家族全員の健康祈願をなさる) 5569 0 0 5084 htmvoc_5569.wav キナイダティ キ⸢ナイダティ [ki⸢naidati] 名 分家して独立すること。「家内立て」の義。 ⸣ニービキ ⸢シェー⸣チバ キ⸢ナイダティ⸣ シ⸢ミラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣niːbiki ⸢ʃeː⸣ʧiba ki⸢naidati⸣ ʃi⸢miraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (結婚したから分家して独立させないといけない) 5306 0 0 5085 htmvoc_5306.wav キナイドング キ⸢ナイドング [ki⸢naidoŋgu] 名 家財道具。家具。「家内道具」の義。 キ⸢ナイドンゴー⸣ ス⸢ロー⸣シティル ⸢ヤーバカ⸣リ ⸢スー⸣ダー [ki⸢naidoŋgoː⸣ su⸢roː⸣ʃitiru ⸢jaːbaka⸣ri ⸢suː⸣daː] (家具類を揃えてから分家<家別れ>するのだよ) 5570 0 0 5086 htmvoc_5570.wav キナイニンズ キ⸢ナイニン⸣ズ [ki⸢nainin⸣ʣu] 名 家族。「家内人数」の義。⸢ヤーニン⸣ズ[⸢jaːnin⸣ʣu](家族{EOS}家人数)ともいう。 キ⸢ナイニン⸣ズー ⸣ビーン ⸣サビーン シ⸢キ⸣シミ タ⸢ボーラン⸣スクニ カ⸢ルイ⸣シキ タ⸢ボー⸣ローリ [ki⸢nainin⸣ʣuː ⸣biːn ⸣sabiːŋ ʃi̥⸢ki⸣ʃimi ta⸢boːran⸣sukuni ka⸢rui⸣ʃi̥ki ta⸢boː⸣roːri] (家族一同に災いも不幸も<水垢も錆びも>与え給わらないで<付け給わらないで>健康と幸福を予祝<嘉例付け>して下さい<給われ>) 5307 0 0 5087 htmvoc_5307.wav キナイニンズー キ⸢ナイニンズー [ki⸢naininʣuː] 名 家族一同。家族全員。歌謡語。「家内人数」の転訛したもの。⸢ヤーニン⸣ズー[⸢jaːnin⸣ʣuː](家族{EOS}「家人数」の義)と言うのが普通。 キ⸢ナイニンズー⸣ ムー⸢ル⸣ ミサンミー [ki⸢naininʣuː⸣ muː⸢ru⸣ misammiː] (家族全員元気<良い>でしょうね)。 フ⸢コーラサ⸣ ウ⸢カ⸣ギシ キ⸢ナイニンズー⸣ ミサナリ ⸢アー⸣クン⸢ダー [ɸu̥⸢koːrasa⸣ ʔu⸢ka⸣giʃi ⸢kinaininʣuː⸣ misanari ⸢ʔaː⸣kun⸢daː] (有難う{EOS}お陰で家族全員元気で暮らしている<あるく>よ) 5308 0 0 5088 htmvoc_5308.wav キナイムチ キ⸢ナイムチ [ki⸢naimuʧi] 名 家庭持ち。家庭経営。家計の維持。家庭の切り盛り。 キ⸢ナイムチ⸣ ヤ⸢ルンダ ンーナパタラケー⸣ ナラヌ [ki⸢naimuʧi⸣ ja⸢runda ʔnːnapatarakeː⸣ na⸢ra⸣nu] (家庭持ちだから、ただ働き<\ruby{空働}{ムナ|ハタラキ}>は出来ない) 5309 0 0 5089 htmvoc_5309.wav キナイムチザク キ⸢ナイムチ⸣ザク [ki⸢naimuʧi⸣ʣaku] 名 家庭を持つ時期。結婚適齢期。 ミ⸢ドーン⸣ッふァーヤ キ⸢ナイムチ⸣ザク ナ⸢リ⸣ブーバ ⸢パー⸣ク ⸣ドゥー ム⸢タ⸣シ [mi⸢doːŋ⸣ffaːja ki⸢naimuti⸣ʣaku na⸢ri⸣ buːba ⸢paː⸣ku ⸣duː mu⸢ta⸣ʃi] (女の子は家庭を持つ時期<結婚適齢期>になっているので、早く結婚させ<胴を持たせ>なさい)。家庭を持つ時期。所帯を持つ時期。結婚適齢期。年頃。 ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァー⸣ キ⸢ナイムチ⸣ザク ナ⸢リ⸣ブバン [⸢ʔun⸣nenu f⸢faː⸣ ki⸢naimuʧi⸣ʣaku na⸢ri⸣bubaŋ] (その家の子供は家庭を持つ時期<結婚適齢期>になっているワイ) 5310 0 0 5090 htmvoc_5310.wav キナイムチゾージ キ⸢ナイムチゾー⸣ジ [ki⸢naimuʧiʣoː⸣ʤi] 名 家庭持ち上手。家庭の切り盛り上手。家庭経営上手。家計の遣り繰り上手。 トゥ⸢ジェー⸣ キ⸢ナイムチゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ ソーヤ ナー⸣ヌ [tu⸢ʤeː⸣ ki⸢naimuʧiʣoː⸣ʤi ja⸢runda soːja naː⸣nu] (妻は家庭経営上手だから心配はない) 5311 0 0 5091 htmvoc_5311.wav キナイムトゥン キ⸢ナイ⸣ ムトゥン [ki⸢nai⸣ mutuŋ] 連 家庭を持つ。所帯を持つ。分家して独立する。 ⸢エン⸣マー ⸢ヤー⸣ユン ス⸢ク⸣リティ ⸢ドゥー⸣ヌ キ⸢ナイ⸣ ムトゥンティ ⸢カン⸣ガイ ⸢ベー [⸢jem⸣maː ⸢jaː⸣jun su̥⸢ku⸣riti ⸢duː⸣nu ki⸢nai⸣ mutunti ⸢kaŋ⸣gai ⸢beː] (来年は家も新築して自分の家庭を持とうと考えている) 5312 0 0 5092 htmvoc_5312.wav キナイムンドー キ⸢ナイムンドー [ki⸢naimundoː] 名 家内騒動。家庭内の喧嘩。「家内問答」の義。普通は、⸢ヤームン⸣ドー[⸢jaːmun⸣doː](家庭問答<喧嘩>)という。 トゥ⸢ジヌ⸣ ア⸢サ⸣ニベー キ⸢ナイムンドー⸣ヌ ⸣ムトゥティ ア⸢ザリ ブー [tu⸢ʤinu⸣ ʔa⸢sa⸣nibeː ki⸢naimundoː⸣nu ⸣mututi ʔa⸢ʣari buː] (妻の朝寝坊は家内騒動<家内喧嘩>の元と言われている) 5313 0 0 5093 htmvoc_5313.wav キナッふァ キ⸢ナッ⸣ふァ [ki⸢naf⸣fa] 名 嫌われている子。憎まれっ子。 マ⸢マウヤン⸣ キ⸢ナッ⸣ふァ シ⸢ラリティ⸣ イッ⸢ケン⸣ ク⸢チ⸣サタン [ma⸢maʔujaŋ⸣ ki⸢naf⸣fa ʃi⸢rariti⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ku̥⸢ʧi⸣sataŋ] (まま親<継母>に憎まれっ子にされて、非常に苦しかった)。憎まれっ子。嫌われている子。疎んぜられている子。 キ⸢ムイ⸣ツァー ⸣アイニ キ⸢ナッふァ シラリ⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [ki⸢mui⸣ʦaː ⸣ʔaini ki⸢naffa ʃirari⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (可哀相に、あんなに憎まれっ子になって、残念だよ) 5574 0 0 5094 htmvoc_5574.wav キナマリ キ⸢ナマリ [ki⸢namari] 名 生まれつきの憎まれっ子。うまれつき人に嫌われる性格。⸢ニッふァマリ[⸢niffamari](うまれつきの憎まれっ子)ともいう。 キ⸢ナマリ シール⸣ アイ⸢ブー⸣ユー ム⸢ニヌ⸣ル ⸢サッ⸣コー ヤ⸢ニ⸣ヤ⸢ツォー [ki⸢namari ʃiːru⸣ ʔai ⸢buː⸣juː mu⸢ninu⸣ru ⸢sak⸣koː ja⸢ni⸣ja⸢ʦoː] (憎まれっ子に生まれ付いているからあんなだろうか、言葉遣いがあまりにも汚いのですよ) 5575 0 0 5095 htmvoc_5575.wav キナムニ キ⸢ナ⸣ムニ [ki⸢na⸣muni] 名 憎まれ口。にくていぐち(憎体口)。憎憎しい物言い。嫌な言葉。 ⸢ワー⸣ ヌンティ ワ⸢ザットゥ⸣ キ⸢ナムニ⸣バ カー⸢ニ⸣ イ⸢ズワ⸠ツォー [⸢waː⸣ nunti wa⸢ʣattu⸣ ki⸢namuni⸣ba kaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʣuwa⸠ʦoː] (君は何故にわざと憎まれ口だけをいうのか{EOS}疑問の終助詞ʦo:の前の下がり目のアクセントは中段階まで下がる{EOS}低段階まで下がると、伝聞の終助詞⸣ʦo:<~だそうだ>となる) 5314 0 0 5096 htmvoc_5314.wav キニー ⸣キニー [⸣kiniː] 名 十干の甲、乙(木の兄{EOS}木の弟)。十干の第一と第二。 ⸢ピューロー⸣ キニーナール ⸣トゥリ ⸣シケー [⸢pjuːroː⸣ kiniːnaːru ⸣turi ⸣ʃi̥keː] (行事の日和は十干の甲、乙<キノエ、キノト>の日にとってある) 5316 0 0 5097 htmvoc_5316.wav キヌン キ⸢ヌン [ki⸢nuŋ] 他動 駄々を捏ねて責めたてる。ごねる。ごねて困らせる。分別のない子供が母親にものをせがんで責めたてる。物をねだって母親の着物の裾を引っ張って泣き喚いて困らせる。沖縄古語「けぎ・うける」(かき混ぜる)『沖縄古語大辞典』の転訛したものか。この語には、愛児に責めたてられて困惑しきった母親の気持ちが感じられる。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ プ⸢ス⸣ キ⸢ヌン⸣ダー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pu̥⸢su⸣ ki⸢nun⸣daː] (この子は駄々を捏ねて他人を責めたてるよ)。 ア⸢ラキン カイ⸣ ッ⸢ふィーラン⸣ナーティ ⸢シー⸣ アイニ プ⸢ス⸣ キ⸢ヌ⸠ツォー [ʔa⸢rakiŋ kai⸣ f⸢fiːran⸣naːti ⸢ʃiː⸣ ʔaini pu̥⸢su⸣ ki⸢nu⸠ʦoː] (新しい着物を買ってくれよといって、あのように人<私>を責めたてるんですよ)。無理にねだる。地団太踏んでせがむ。子供がものをねだって責め立てる。子供が我儘を言ってものを要求し困らせる。 ⸢コー⸣シ ⸢カイ ファーサン⸣カティ ⸢シー⸣ ウ⸢リン⸣ キ⸢ナリ⸣ ムヌ ウ⸢モーラ⸣ヌ [⸢koː⸣ʃi ⸢kai faːsaŋ⸣kati ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢riŋ⸣ ki⸢nari⸣ munu ʔu⸢moːra⸣nu] (お菓子を買って食べさせろといって、子供に地団太踏んでせがまれて、堪らない<困り果てて、何も考えられない>)。 プ⸢ス⸣ キ⸢ヌン [pu̥⸢su⸣ ki⸢nuŋ] (他人に無理にねだる{EOS}他人を責め立てる)。 ク⸢リヌ⸣ プ⸢ス⸣ キ⸢ネー⸣ラ トゥ⸢マラヌ [ku⸢rinu⸣ pu̥⸢su⸣ ki⸢neː⸣ra tu⸢maranu] (この子が親<他人>に地団太踏んでせがんだら止まらない) 5317 0 0 5098 htmvoc_5317.wav キノー ⸣キノー [⸣kinoː] 名 昨日。 キ⸢ノー⸣ル ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢クー⸣タ [ki⸢noː⸣ru ʔu⸢ki⸣naːra ⸢kuːta⸣ru] (昨日<ぞ>沖縄から来たよ)。 シ⸢グトー⸣ キ⸢ノー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナー トゥ⸢ズ⸣ミ ⸣シケーン [ʃi⸢gutoː⸣ ki⸢noː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣naː tu⸢ʣu⸣mi⸣ʃi̥keːŋ] (仕事は昨日のうちに完了<閉めて>してある)。 キ⸢ノー⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ヌー⸣シ ⸢ヤッター⸣カヤー [ki⸢noː⸣nu ⸢joi⸣jaː ⸢nuː⸣ʃi ⸢jatta⸣kajaː] (昨日のお祝いはどうだったかねえ) 5318 0 0 5099 htmvoc_5318.wav キノーキュー ⸣キノーキュー [⸣kinoːkjuː] 名 昨日今日。昨今。最近。 ク⸢ヌ⸣ クトー ⸣キノーキューヌ パ⸢ナ⸣シェー ア⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ku̥toː ⸣kinoːkjuːnu pa⸢na⸣ʃeː ʔa⸢ra⸣nu] (このことは昨日今日<昨今>の話ではない) 5319 0 0 5100 htmvoc_5319.wav キノーヌユー キ⸢ノー⸣ヌ ⸣ユー [ki⸢noː⸣nu ⸣juː] 連 一昨夜。「昨日の夜」の義。 キ⸢ノー⸣ヌ ⸣ユーラ ユビ⸢バー⸣キ カ⸢ジェー⸣ フ⸢キトゥーシ⸣ブタ [ki⸢noː⸣nu ⸣juːra jubi⸢baː⸣ki ka⸢ʤeː⸣ ɸu̥⸢kituːʃi⸣buta] (一昨夜から昨夜まで台風<風>は吹き続けて<吹き通して>いた) 5320 0 0 5101 htmvoc_5320.wav キノーブシトゥイ キノー⸢ブシ⸣トゥイ [kinoː⸢buʃi̥⸣tui] 名 昨日一昨日。一昨日。昨今。先日。 キノー⸢ブシ⸣トゥイラ ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティ シ⸢グトー⸣ パ⸢ララン⸣バン [⸣kinoː ⸢buʃi̥⸣tuira ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤiti ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢raram⸣baŋ] (昨日一昨日から熱が出て仕事に出られないワイ) 5581 0 0 5102 htmvoc_5581.wav キバナーン キ⸢バナー⸣ン [ki⸢banaː⸣ŋ] 形 貧しい。貧乏である。キ⸢バラー⸣ン[ki⸢baraː⸣ŋ](貧しい)ともいう。 ⸢ウン⸣ネーヤ ム⸢カ⸣シェー ⸢ファイムヌン ナー⸣ン ⸣ピールボール ⸢シー⸣ キ⸢バナー⸣タン [⸢ʔun⸣neːja mu⸢ka⸣ʃeː ⸢faimunun naː⸣m ⸣piːriboːru ⸢ʃiː⸣ ki⸢banaː⸣taŋ] (その家は、昔は食べ物もなく、冷え冷えとして貧しかった)。 キ⸢バナー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢banaː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (貧しくなってしまった)。 キ⸢バナー⸣ル ⸣ヤーナ マ⸢リ [ki⸢banaː⸣ru ⸣jaːna ma⸢ri] (貧しい家に生まれて)。 マ⸢ナ⸣マン イッ⸢ケナ⸣ キ⸢バナー⸣ン [ma⸢na⸣maŋ ʔik⸢kena⸣ ki⸢banaː⸣ŋ] (今も非常に貧しい{EOS}極貧である{EOS}ひどく貧しい)。 キ⸢バナー⸣カー [ki⸢banaː⸣kaː] (貧しかったら) 5323 0 0 5103 htmvoc_5323.wav キビ ⸣キビ [⸣kibi] 名 (動)魚の名。カタクチイワシ科。和名、ミズスルル(体長約10センチ) 5324 0 1 5104 htmvoc_5324.wav キビッサン キ⸢ビッ⸣サン [ki⸢bis⸣saŋ] 形 {Mn_1}厳しい。厳格である。 ビ⸢ケーヌ⸣ウヤー キ⸢ビッ⸣サンティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー キ⸢ビッサ ナー⸣ヌ [bi⸢keː⸣nuʔujaː ki⸢bis⸣santi su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː ki⸢bissa naː⸣nu] (父親は厳しいと聞いたが、それほど厳しくない)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ キ⸢ビッサ⸣ヌ キ⸢ビッ⸣サ プ⸢ストー⸣ ブ⸢ララヌ [ʔu⸢ja⸣nu ki⸢bissa⸣nu ki⸢bis⸣sa pu̥⸢sutoː⸣ bu⸢raranu] (親が厳しくて{EOS}厳しい人とは居れない)。 ⸣ドゥク キ⸢ビッ⸣サカー ⸢サン ブリ⸣バ [⸣duku ki⸢bis⸣sakaː ⸢samburi⸣ba] (あまり厳しいようだったらするなよ<しないでいろよ>)。 5324 0 2 5105 htmvoc_5324.wav キビッサン キ⸢ビッ⸣サン [ki⸢bis⸣saŋ] 形 {Mn_2}\ruby{酷}{ヒド}い。苦しい。 ム⸢カシ⸣ヌ ク⸢ラシェー⸣ キ⸢ビッ⸣サタン [mu⸢kasi⸣nu ku⸢raʃeː⸣ ki⸢bis⸣sataŋ] (昔の暮らしは酷かった<苦しかった>) 5583 0 0 5106 htmvoc_5583.wav キフー キ⸢フー [ki̥⸢ɸuː] 名 水蒸気。湯気。 キ⸢フーヌ⸣ ンジ⸢ベー [ki̥⸢ɸuːnu⸣ ʔnʤi⸢beː] (湯気が出ている)。 ⸢スーヌ⸣ フ⸢トゥッ⸣ツカー キ⸢フーヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルン [⸢suː⸣nu ɸu̥⸢tut⸣ʦukaː ki̥⸢ɸuːnu⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (お汁が沸騰したら湯気が出る) 5587 0 0 5107 htmvoc_5587.wav キブラ キ⸢ブ⸣ラ [ki⸢bu⸣ra] 名 生い茂りすぎた樹木の枝。辺りが薄暗くなるほど繁茂した樹木の枝。垂れ下がった木々の枝。 ⸢ゾー⸣ヌ ガ⸢ジマル⸣ヌ キ⸢ブ⸣ラー ア⸢マ⸣チ ウ⸢タ⸣シバ [⸢ʣoː⸣nu ga⸢ʤimaru⸣nu ki⸢bu⸣raː ʔa⸢ma⸣ʧi ʔu⸢ta⸣ʃiba] (門の外の垂れ下がったガジマルの下枝は切り落とし<枝きり{EOS}剪定>しなさいよ) 5154 0 0 5108 htmvoc_5154.wav キブル キ⸢ブ⸣ル [ki⸢bu⸣ru] 助数 軒。家を数える語。「煙、気夫利<けぶり>」『華厳音義私記』の転訛。「炊事の煙」を表すことから転じて戸数を数える助数詞となったもの。 プ⸢スキブ⸣ル [pu̥⸢sukibu⸣ru] (一軒)。 フ⸢タキブル [ɸu̥⸢takiburu] (二軒) ⸢ミーキブル [⸢miːkiburu] (三軒))。 ⸢ユーキブル [⸢juːkibiru] (四軒)。 イ⸢チキブ⸣ル [ʔi⸢ʧikibu⸣ru] (五軒)。 ⸢ムーキブル [⸢muːkiburu] (六軒)。 ナ⸢ナキブ⸣ル [na⸢nakibu⸣ru] (七軒)。 ⸢ヤーキブル [⸢jaːkiburu] (八軒)。 ク⸢ヌキブ⸣ル [ku⸢nukibu⸣ru] (九軒)。 ⸢トゥーキブル [⸢tuːkiburu] (十軒)。 キ⸢ブルカージヌ ヤーニン⸣ゾー ギュ⸢タールナー オー⸣ルユー ユミ⸢ミー [ki⸢burukaːʤinu jaːnin⸣ʣoː gju⸢taːrunaː ʔoː⸣rujuː jumi⸢miː] (各戸<煙数>の家族は何人ずつ居られるか、数えてごらん) 5325 0 0 5109 htmvoc_5325.wav キブン キ⸢ブン [ki⸢buŋ] 名 気分。機嫌。気持ち。感情。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢オーシキン カイ⸣ヤー ア⸢ロール⸣ヌ ⸣アブジェー キ⸢ブンマー ヌー⸣シ ヤ⸢ロー⸣ルカヤー [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔoːʃikiŋ kai⸣jaː ʔa⸢roːru⸣nu ⸣ʔabuʤeː ki⸢bummaː nuː⸣ʃi ja⸢roː⸣rukaja] (今日は天気もよろしゅうございますが、お祖父さんのご気分はいかがでしょうか) 5155 0 0 5110 htmvoc_5155.wav キボーシ キ⸢ボーシ [ki⸢boːʃi] 名 煙。「烟、介布利『最勝王経音義』」の義。[keburi] → [kibuʃi] → [kiboːʃi] と音韻変化したもの。狭母音に挟まれた国語の⸢~uri」、「~iru」のような音声環境の[r]は、鳩間方言では⸢~usi」のように変化する音韻法則がある。 キ⸢ボーシ⸣ フ⸢チ⸣マリティ ⸢キーボー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣mariti ⸢kiːboː⸣nu na⸢ra⸣nu] (煙がくすぶって煙たくてたまらない)。 キ⸢ボーシ フ⸢チ⸣マルン [ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣maruŋ] (煙が盛んに出てくすぶる<燻る>)。「烟、介布利『倭名類聚鈔』。煙、気夫利<けぶり>『華厳音義私記』。<けむり>の古形」の転訛。 キ⸢ボーシ⸣ フ⸢チ⸣マルン [ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣maruŋ] (薪などが湿って、よく燃えずに煙が出てくすぶる<燻る>)。 カ⸢マチェーラ⸣ キ⸢ボーシヌ⸣ ンジティ ⸢ティン⸣ゾー ⸢マールンダ⸣ ッ⸢サー⸣ロー ⸢ペーラ⸣ヌ [ka⸢maʧeːra⸣ ki⸢boːʃinu⸣ ʔnʤiti ⸢tin⸣ʣoː ⸢maːrunda⸣ s⸢saː⸣roː ⸢peːra⸣nu] (竈から煙が出て天井へ回るから白蟻は入らない) 5585 0 0 5111 htmvoc_5585.wav キボーシアミ キ⸢ボーシアミ [ki⸢boːʃiʔami] 名 ぬかあめ(糠雨)。こぬかあめ。きりさめ(霧雨)。「煙雨」の義。 シ⸢トゥム⸣テーラ キ⸢ボーシアミヌ⸣ フイティ ダッ⸢カティ ゾーリナー⸣ヌ [ʃi̥⸢tumu⸣teːra ki⸢boːʃiʔaminu⸣ ɸuiti dak⸢kati ʣoːrinaː⸣nu] (今朝から霧雨が降って、びっしょりと濡れてしまった)。 ウ⸢ル⸣ズンナー ⸣ユー キ⸢ボーシアミヌ フー⸣タン [ʔu⸢ru⸣ʣunnaː ⸣juː ki⸢boːʃiaminu ɸuː⸣taŋ] (晩春にはよく霧雨<糠雨>が降った) 5156 0 0 5112 htmvoc_5156.wav キボーシカザ キ⸢ボーシカザ [ki⸢boːʃikaʣa] 名 燻した匂い。いぶる<燻る>匂い。くすぶる<燻る>匂い。「煙の臭い」の義。 キ⸢ボシカザヌ スーヌ⸣ マナール ⸢ピー⸣ヤ ⸢ムイ ベー⸣カヤー [ki⸢boːʃikaʣanu suːnu⸣ manaːru ⸢piː⸣ja ⸢mui beː⸣kajaː] (煙の臭いがするが、どこで火は燃えているのだろうか) 5157 0 0 5113 htmvoc_5157.wav キボーシヌミー キ⸢ボーシヌ⸣ ミー [ki⸢boːʃinu⸣ miː] 連 煙突。「煙の穴」の転訛したもの。 カ⸢マチェー⸣ キ⸢ボーシヌ⸣ ミー ス⸢クラン⸣カー キ⸢ボーシ⸣ フ⸢チマリ⸣ス [ka⸢maʧeː⸣ ki⸢boːʃinu⸣miː su̥⸢kuraŋ⸣kaː ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧimari⸣su] (竈は煙突<煙の穴>を作らないと、煙が燻る<薪が燃えずにくすぶる>) 5326 0 0 5114 htmvoc_5326.wav キママ キ⸢ママ [ki⸢mama] 名 きまま(気儘)。気儘かって。自由勝手な振る舞い。 ⸣ヌーンクイン ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ウムー ⸢トゥー⸣ル キ⸢ママニル シーブ [⸣nuːŋkuin ⸢duː⸣nu ⸣ʔumuː ⸢tuː⸣ru ki⸢mamaniru ʃiːbu] (何もかも自分の思う通り、気儘勝手にやっている) 5589 0 0 5115 htmvoc_5589.wav キマリ キ⸢マリ [ki⸢mari] 名 決まり。規則。 マー⸢ン⸣ナーン キ⸢マリ⸣ティ ⸢スームノー⸣ ア⸢リ⸣ブンダ キ⸢マレー⸣ マ⸢ム⸣リバ [maː⸢n⸣naːŋ ki⸢mari⸣ti ⸢suːmunoː⸣ ʔa⸢ri⸣bunda ki⸢mareː⸣ ma⸢mu⸣riba] (何処にも決まりというのはあるから、規則は守れよ) 5327 0 0 5116 htmvoc_5327.wav キマルン キ⸢マルン [ki⸢maruŋ] 自動 物事が決まる。決定する。定まる。 ク⸢リ⸣シ ⸢スー⸣ボー キ⸢マルン⸣カヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ キ⸢マランバン [ku⸢ri⸣ʃi ⸢suː⸣boː ki⸢maruŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ki⸢marambaŋ] (これで勝負は決まるだろうかと思ったが、決まらないよ)。 ⸢スー⸣ボー キ⸢サーティ⸣ キ⸢マリ ブー [⸢suː⸣boː ki̥⸢saːti⸣ ki⸢maribuː] (勝負は既に決まっている)。 プ⸢スム⸣シシ キ⸢マル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢sumu⸣ʃiʃi ki⸢maru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (一度で決まることはない)。 ⸢パー⸣ク キ⸢マレー⸣ ミサムヌ⸢ナー [⸢paː⸣ku ki⸢mareː⸣ misamunu⸢naː] (早く決まればいいのになあ)。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ピューロー⸣ キュー⸢ズー⸣ナ キ⸢マルン [⸢puːru⸣nu ⸢pjuːroː⸣ kjuː⸢ʣuː⸣na ki⸢maruŋ] (豊年祭の日取り<日程>は今日中に決まる)。 マ⸢ダ⸣ キ⸢マラヌ [ma⸢da⸣ ki⸢maranu] (まだ決まらない)。 キ⸢マリン⸣ギサン [ki⸢mariŋ⸣gisaŋ] (決まりそうだ)。 キ⸢マル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢maru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (決まることはない)。 ⸣キューズーナ キ⸢マレー⸣ ミサムヌ [⸣⸣kjuːʣuːna ki⸢mareː⸣ misamunu] (今日中に決まればよいのに)。 キサー⸢ティ⸣ キ⸢マリ ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ ki⸢mari naː⸣nu] (既に決まってしまった) 5591 0 0 5117 htmvoc_5591.wav キミシキルン キ⸢ミシキルン [ki⸢miʃi̥kiruŋ] 他動 決め付ける。固く約束する。取り決める。決めておく。 ⸣アイニ キ⸢ミシキランドー⸣シ ッ⸢ふァヌ⸣ パ⸢ナ⸣シン シ⸢キ⸣バ [⸣ʔaini ki⸢miʃi̥kirandoː⸣ʃi f⸢fanu⸣ pa⸢na⸣ʃiŋ ʃi̥⸢ki⸣ba] (そんなに決め付けないで子供の話も聞きなさいよ)。 キュー⸢ズー⸣ナ キ⸢ミシキ⸣ルンティ ウムイ⸢ベー [⸣kjuːʣuːna ki⸢miʃi̥ki⸣runti ʔumui⸢beː] (今日中に取り決めよう<決めておく>と思っている)。 キ⸢ミシキ⸣ル ⸣クトゥ [ki⸢miʃiki⸣ru ⸣kutu] (決めておく{EOS}約束すること)。 キ⸢ミシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ki⸢miʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (取り決めれ<決めておけ>ばよいのに)。 キ⸢ミシ⸣キリ [ki⸢miʃi̥ki⸣ri] (取り決めろ<決めておけ>) 5601 0 0 5118 htmvoc_5601.wav キミスクン キ⸢ミスクン [ki⸢misu̥kuŋ] 他動 決め付ける。固く約束する。取り決める。 ギャ⸢ンティ⸣ キ⸢ミシゥカン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [gjan⸢ti⸣ ki⸢misï̥kaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (かっちりと取り決めておかないといけない)。 キ⸢ミ⸣シキ ⸣ミサン [ki⸢mi⸣ʃi̥ki ⸣misaŋ] (取り決めておいてよい)。 キ⸢ミ⸣スクンティ ⸣ウムーカー ⸢パイ⸣サ キ⸢ミ⸣シキバ [ki⸢mi⸣su̥kunti ⸣ʔumuːkaː ⸢pai⸣sa ki⸢mi⸣ʃi̥kiba] (決めておこうと思うなら、早く決めておけよ)。 キ⸢ミ⸣シケー ⸣ミサムヌ [ki⸢mi⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (決めておけばよいのに)。 ⸢パー⸣ク キ⸢ミ⸣シキ [⸢paː⸣ku ki⸢mi⸣ʃi̥ki] (早く決めておけ) 5328 0 0 5119 htmvoc_5328.wav キミルン キ⸢ミルン [ki⸢miruŋ] 他動 決める。決定する。定める。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトー ⸣ドゥーシ キ⸢ミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー キ⸢ミララヌ [⸢duː⸣nu ⸣ku̥toː ⸣duːʃi ki⸢mirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ki⸢miraranu] (自分のことは自分で決めようと思うが、一人では決められない)。 ⸣ドゥーシ キ⸢ミ⸣ ミサカー キ⸢ミル⸣ クトー ⸣ナルン [⸣duːʃi ki⸢mi⸣ misakaː ki⸢miru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (自分で決めてよければ決めることは出来る)。 ⸢パー⸣ク キ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ki⸢mireː⸣ misamunu] (早く決めればいいのに)。 ⸣ドゥーシ キ⸢ミリ [⸣duːʃi ki⸢miri] (自分で決めろ<決めれ>)。 ⸢ダイヤー⸣ ドゥーシ キ⸢ミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢カッティニ⸣ キ⸢ミララヌ [⸢daijaː⸣ duːʃi ki⸢mirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢kattini⸣ ki⸢miraranu] (値段は自分で決めようと思うが、勝手に決められない)。 マ⸢ナ⸣マ キ⸢ミ⸣ ミサカー キ⸢ミル⸣ クトー ⸣ナルン [ma⸢na⸣ma ki⸢mi⸣ misakaː ki⸢miru⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (早く決めて良ければ決めることは出来る)。 ⸣ドゥーシ キ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ki⸢mireː⸣ misamunu] (自分で決めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク キ⸢ミリ [⸢paː⸣ku ki⸢miri] (早く決めろ) 5329 0 1 5120 htmvoc_5329.wav キム ⸣キム [⸣kimu] 名 {Mn_1}肝。肝臓。「吾伎毛母 御奈麻須波夜之~<吾が肝も御膾~>~。万、3885」の義。 ⸢オー⸣ヌ ⸣キモー ⸢ミース⸣トゥ カ⸢ケー⸣シティ ビ⸢ラ⸣トゥ イ⸢ラ⸣クカー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢ʔoː⸣nu ⸣kimoː ⸢miːsu⸣tu ka⸢keː⸣ʃi̥ti bi⸢ra⸣tu ʔi⸢ra⸣kukaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (豚の肝臓は味噌と和えて、\ruby{韮}{ニラ}と煎ると非常に美味しい)。レバー。 ⸢オー⸣ヌ ⸣キモー フ⸢チ⸣ル ヤ⸢ルンダ⸣ シジティ イ⸢ラキ⸣ムヌ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢ʔoː⸣nu ⸣kimoː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ja⸢runda⸣ ʃiʤiti ʔi⸢raki⸣munu ⸢ʃiː⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (豚の肝臓は薬だから、煎じて炒め物<炒り物>にして食べさせなさいよ)。 5329 0 2 5121 htmvoc_5329.wav キム ⸣キム [⸣kimu] 名 {Mn_2}こころ。精神。気持ち。 ナー⸢イ⸣ キ⸢ム⸣ナー ⸣ウムイ ⸢ベー [naː⸢i⸣ ki⸢mu⸣naː ⸣ʔumui ⸢beː] (じっとこころに思っている)。 ⸢マー⸣ヌ ⸣キムシ ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣ヌ シ⸢ラリター [⸢maː⸣nu ⸣kimuʃi ⸣kaibu ku⸢tu⸣nu ʃi⸢raritaː] (どんな気持ちでこんなことがしでかされたのか)。 ⸣キモー ウ⸢ティシゥカ⸣シ ⸢サー⸣ユン ⸣ヌミテーラ トゥ⸢クットゥ⸣シ パ⸢ナ⸣シ [⸣kimoː ʔu⸢tisï̥ka⸣ʃi ⸢saː⸣jun ⸣numiteːra tu⸢kuttu⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi] (心を落ち着けて、お茶も飲んで、穏やかに、ゆっくり話しなさい)。心。愛情。意欲。精神。 ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ふァ⸣ナー ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː f⸢fa⸣naː ⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (あまり子供に愛情がない) 5346 0 0 5122 htmvoc_5346.wav キムーキムシ キムー⸢キム⸣シ [kimuː⸢kimu⸣ʃi] 副 己が満足するほど丁寧に。真心を籠めて。心の底から。誠意を尽くして。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トゥン⸣ザク キムー⸢キム⸣シ ⸢シー オーシリ⸣ダー イ⸢チンバー⸣ケー ⸢オーラン⸣ダー [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tunʣa⸣ku kimuː⸢kimu⸣ʃi ⸢ʃiː ʔoːʃiri⸣daː ʔi⸢ʧimbaː⸣keː ⸢ʔoːran⸣daː] (親の看病は真心を籠めてやって差し上げなさいねえ{EOS}親はいつまでもおられないからねえ) 5330 0 0 5123 htmvoc_5330.wav キムアースン ⸣キム ⸢アー⸣スン [⸣kimu ⸢ʔaː⸣suŋ] 連 心を合わせる。心を一つにする。気を合わせる。「肝をあわせる」の義。 ⸢キョーダイ⸣サー ⸣ユー ⸣キム ス⸢ロー⸣シ ⸢アーサン⸣カー カ⸢ツシンシンカー⸣ マ⸢トゥミララン⸣ダー [⸢kjoːdai⸣saː ⸣juː ⸣kimu su⸢roː⸣ʃi ⸢ʔaːsaŋ⸣kaː kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋkaː⸣ ma⸢tumiraran⸣daː] (親類兄弟同士はよく心を一致させ、合わせないと鰹漁船の船員は\ruby{纏}{マト}められないよ) 5593 0 0 5124 htmvoc_5593.wav キムアーリ キ⸢ムアー⸣リ [ki⸢muʔaː⸣ri] 名 胸騒ぎ。不安。心配して心が落ち着かないこと。若年層は、キ⸢ムサワ⸣ギ[ki⸢musawa⸣gi](胸騒ぎ{EOS}心臓騒ぎ<肝騒ぎ>)という。 ⸢キュー⸣ヤ キ⸢ムアー⸣リ ⸢シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ki⸢muʔaː⸣ri ⸢ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (今日は胸騒ぎしてならない)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢クター⸣ キ⸢ムアー⸣リ シ⸢ティ⸣ ニ⸢バランシェン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢kutaː⸣ ki⸢muʔaː⸣ri ʃi̥⸢ti⸣ ni⸢baraŋʃeŋ] (その話を聞いて、胸騒ぎがして眠れなかった) 5331 0 0 5125 htmvoc_5331.wav キムアールン ⸣キム ⸢アールン [⸣kimu ʔaːruŋ] 連 胸騒ぎする。不安になる。気が急く。「肝暴れする」の義。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢クタール⸣ キモー ⸢アーリティ⸣ ウ⸢ティ⸣シキ ⸢ベーララン⸣セン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢kutaːru⸣ kimoː ⸢ʔaːriti⸣ ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki ⸢beːraraŋʃeŋ] (その話を聞いて胸騒ぎをして<肝が暴れて>落ち着いておれなかった)。 ⸣キモー ⸢アーリティ ヌー⸣ル ⸣ヌー ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢ティンガーラヌ [⸣kimoː ⸢ʔaːriti nuː⸣ru ⸣nuː ja⸢ru⸣juː ʔa⸢tiŋgaːranu] (胸騒ぎがして<肝が暴れて>何がなんだかわからない) 5334 0 0 5126 htmvoc_5334.wav キムアサーン キ⸢ムアサー⸣ン [ki⸢muʔasaː⸣ŋ] 形 情が薄い。薄情である。「肝浅・あり」の義。 ⸢ウンザー⸣ キ⸢ムアサー⸣ンダ プ⸢スヌ⸣ クトゥ⸢ナー⸣ト ⸢カンガー⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ki⸢muʔasaː⸣ndaː pu̥⸢sunu⸣ kutu⸢naː⸣to ⸢kaŋgaː⸣nu] (あいつは薄情な奴だから他人のことなど考えない)。 キ⸢ムアサー⸣ヤ ⸢ナーヌ⸣ヌ [ki⸢muʔasaː⸣ja ⸢naːnu⸣nu] (情は薄くはないが~)。 キ⸢ムアサー⸣ナルン [ki⸢muʔasaː⸣naruŋ] (薄情になる)。 キ⸢ムアサー⸣ プ⸢ス [ki⸢muʔasaː⸣ pu̥⸢su] (情の薄い人)。 ⸣アイニ キ⸢ムアサー⸣カー ウ⸢リトー⸣ ピ⸢ララーラ⸣ヌ [⸣ʔaini ki⸢muʔasaː⸣kaː ʔu⸢ritoː⸣ pi⸢raːra⸣nu] (あんなに薄情ならそいつとは交際できない) 5335 0 0 5127 htmvoc_5335.wav キムアタルン ⸣キム ア⸢タルン [⸣kimu ʔa⸢taruŋ] 連 気が合う。心が通う。「肝当る」の義。 ⸣シキンナーヤ ⸣キム ア⸢タル⸣ プ⸢スン ブリ⸣ キム ア⸢タラン⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢リブ [⸣ʃi̥kinnaːja ⸣kimu ʔa⸢taru⸣ pu̥⸢sum buri⸣ kimu ʔa⸢taram⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢ribu] (世間には気が合う人もおり、気の合わない人もいる<居り居る>) 5336 0 0 5128 htmvoc_5336.wav キムアツァーン キ⸢ムアツァー⸣ン [ki⸢muʔaʦaː⸣ŋ] 形 情が深い。愛情がある。情が厚い。「肝厚さ・あり」の義。 ⸣バー ドゥ⸢シェー⸣ イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムアツァー⸣ン [⸣baː du⸢ʃeː⸣ ʔik⸢kena⸣ ki⸢muʔaʦaː⸣ŋ] (私の友人は非常に情が深い)。 キ⸢ムアツァー ナー⸣ヌ [ki⸢muʔaʦaː naː⸣nu] (情が厚くない)。 ⸣ピラウカー キ⸢ムアツァー⸣ ナルン [⸣piraukaː ki⸢muʔaʦaː⸣ naruŋ] (交際したら情が深く<情が厚く>なるよ)。 キ⸢ムアツァー⸣ プ⸢ス [ki⸢muʔaʦaː⸣ pu̥⸢su] (情の深い人)。 マーン⸢ベーマ⸣ キ⸢ムアツァー⸣カー [maːm⸢beːma⸣ ki⸢muʔaʦaː⸣kaː] (もう少し情が深かったら) 5339 0 0 5129 htmvoc_5339.wav キムアンガリ キ⸢ムアン⸣ガリ [ki⸢muʔaŋ⸣gari] 名 おごり(驕り)高ぶること。思い上がること。高慢になること。 ウ⸢ナール⸣ イッ⸢チン⸣ ア⸢バ⸣レーティ キ⸢ムアン⸣ガレー ⸢シー バン⸣タ⸢ナー⸣ト ⸢ミームタイ⸣ヤーンツァン ⸢サンシェン [ʔu⸢naːru⸣ ʔit⸢ʧiŋ kai⸣jati ki⸢muʔaŋ⸣gareː ⸢ʃiː ban⸣ta⸢naː⸣to ⸢miːmutai⸣jaːnʦan ⸢saŋʃeŋ] (己が一番美しい<美人だ>と驕り高ぶって私なんか見向きさえもしなかった) 5340 0 0 5130 htmvoc_5340.wav キムイカラーン キ⸢ムイカラー⸣ン [ki⸢muʔikaraː⸣ŋ] 形 気分が悪く、吐き気がこみ上げる。吐き気がして気分が変である。むかむかする。 ⸢イン⸣ヌ ク⸢ラサリ⸣ シ⸢ニベー⸣ムヌバ ⸣ミルカー キ⸢ムイカラー⸣ヌ ⸢ビーバキンギサ⸣ル [⸢ʔin⸣nu ku⸢rasari⸣ ʃi⸢nibeː⸣munuba ⸣miriukaː ki⸢muʔikaraː⸣nu ⸢biːbakiŋgisa⸣ru] (犬が殺されて死んでいるのを見ると、吐き気がして気分が変で嘔吐しそうである)。 キ⸢ムイカラー⸣ ナルンケン ⸣サタ ッ⸢ふァイ ミッ⸣タン [ki⸢muʔikaraː⸣ naruŋken ⸣sata f⸢fai mit⸣taŋ] (吐き気がするほど砂糖を食べたことがある)。 ⸢フントー⸣ヤ キ⸢ムイカラー⸣ンドゥ キ⸢ムイカラー ナー⸣ヌティ ア⸢ジアー⸣ク [⸢ɸuntoː⸣ja ki⸢muʔikaraː⸣ndu ki⸢muikaraː naː⸣nuti ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (本当は吐き気がするのだが、吐き気がしないといっている)。 ⸣アイブ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢ク⸣カー キ⸢ムイカラー⸣ ナ⸢リ⸣ス [⸣ʔaibu pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢ku⸣kaː ki⸢muʔikaraː⸣ na⸢ri⸣su] (あんな話を聞くと心が痛んで体調が変になりそうだ)。 ⸣アイブ ⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムイカラーン⸠ダー [⸣ʔaibu ⸣munu ⸣mirukaː ki⸢muʔikaraːn⸠daː] (あんなものを見ると心痛のあまり体調がおかしいよ) 5342 0 0 5131 htmvoc_5342.wav キムイツァースン キ⸢ムイ⸣ツァー ⸢スン [ki⸢mui⸣ʦaː ⸢suŋ] 連 気の毒がる。気の毒に思う。同情する。 イ⸢ク⸣サナ ウ⸢ヤ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣ ッ⸢ふァバ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー ⸢シー⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ マ⸢ナ⸣マ ナシェー⸢ダー [ʔi⸢ku⸣sana ʔu⸢ja⸣nu bu⸢raːn⸣ f⸢faba⸣ ki⸢mui⸣ʦaː ⸢ʃiː⸣ sï̥⸢ka⸣nai ma⸢na⸣ma ⸣naʃeː⸢daː] (戦争で親のいない子供を気の毒に思って養い育てて今日になしてあるのだよ) 5341 0 0 5132 htmvoc_5341.wav キムイツァーン キ⸢ムイ⸣ツァーン [ki⸢mui⸣ʦaːŋ] 形 かわいそう<可哀相>である。気の毒である。\ruby{不憫}{フ|ビン}である。「肝痛・有り」の義。 キ⸢ムイ⸣ツァーンティ ⸣ウムーカー マー⸢ズン サーリ⸣パリバ [ki⸢mui⸣ʦaːnti ⸣ʔumuːkaː maː⸢ʣun saːri⸣pariba] (かわいそうだと思うなら一緒に連れていけよ)。 ノー⸢ン⸣ キ⸢ムイツァーナー⸣ヌ [noː⸢ŋ⸣ ki⸢muiʦaːnaː⸣nu] (ちっとも可哀相ではない)。 ⸣ドゥク キ⸢ムイツァー⸣ヌ ミリ⸢ベーララ⸣ヌ [⸣duku ki⸢muiʦaː⸣nu miri⸢beːrara⸣nu] (あまりにも可哀相で見てはおれない)。 キ⸢ムイ⸣ツァー ⸣ナルン [ki⸢mui⸣ʦaː ⸣naruŋ] (可哀相になる)。 キ⸢ムイ⸣ツァー ⸣プソー ⸢タシ⸣キ ⸢ッふィーリ⸣バ [ki⸢mui⸣ʦaː ⸣pu̥soː ⸢taʃi̥⸣ki f⸢fiːri⸣ba] (可哀相なときには助けてやれ)。 キ⸢ムイ⸣ツァーカー [ki⸢mui⸣ʦaːkaː] (可哀相だったら) 5343 0 0 5133 htmvoc_5343.wav キムイツァムヌ キ⸢ムイツァムヌ [ki⸢muiʦamunu] 名 気の毒な者。 プ⸢スカージヌ⸣ イ⸢ザリムヌ⸣ バ⸢ラーリムヌバ⸣ サ⸢レー⸣ティ ⸢アー⸣クムヌ ⸣ミルカー ⸢サッ⸣コー キ⸢ムイツァムヌ⸣ダー [pu̥⸢sukaːʤinu⸣ ʔi⸢ʣarimunu⸣ ba⸢raːrimunuba⸣ sa⸢reː⸣ti ⸢ʔaː⸣kumunu ⸣mirukaː ⸢sak⸣koː ki⸢muiʦamunu⸣daː] (多くの人<人毎>の叱られもの、笑われものにされているのを見ると、非常に気の毒な者なのだよ) 5344 0 0 5134 htmvoc_5344.wav キムイリ キ⸢ム⸣イリ [ki⸢mu⸣ʔiri] 名 気に入り。可愛がること。愛顧を受けること。「肝入り」の義。 ⸣アブジェー キ⸢ムイリ⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢レー⸣ティ ン⸢マー⸣ムヌン ムー⸢ル⸣ カ⸢タピ⸣ケー ⸢シール ッ⸢ふァーソー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ki⸢muʔiri⸣nu f⸢fa⸣ ja⸢reː⸣ti ʔm⸢maː⸣munum muː⸢ru⸣ kḁ⸢tapi⸣keː ⸢ʃiːru faːsoː⸣ru] (お祖父さんの気に入りの子であるので美味しいものも総て一方にひいき<贔屓>をして食べさせられる) 5345 0 0 5135 htmvoc_5345.wav キムイルン ⸣キム イ⸢ルン [⸣kimu ʔi⸢ruŋ] 連 念を入れる。入念に仕事をする。心を籠める。「肝入れる」の義。 ⸣ユー ⸣キモー イ⸢レー⸣ティル ノー⸢ン⸣ シ⸢グトー スー⸠ダー [⸣juː ⸣kimoː ʔi⸢reː⸣tiru noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢gutoː suː⸠daː] (よくよく心を籠めて如何なる仕事もするものだよ) 5348 0 1 5136 htmvoc_5348.wav キムウクン ⸣キム ウ⸢クン [⸣kimu ʔu⸢kuŋ] 連 {Mn_1}気が浮く。心がはずむ。⸣キモー ウ⸢クン[⸣kimoː ʔu⸢kuŋ](心は浮き立つ)ともいう。 ⸣シケンナ ウ⸢カ⸣レーンティ ス⸢クター⸣ キモー ウ⸢キティ ヤー⸣ パリ⸢パッ⸣タ [⸣ʃi̥kenna ʔu⸢ka⸣reːnti su̥⸢kutaː⸣ kimoː ʔu⸢kiti jaː⸣ pari⸢pat⸣ta] (試験に受かった<合格した>と聞いて、心が浮き立って、家へ走って行った)。 5348 0 2 5137 htmvoc_5348.wav キムウクン ⸣キム ウ⸢クン [⸣kimu ʔu⸢kuŋ] 連 {Mn_2}そわそわして落ち着かない。平静さを失う。おろおろして手につかない。 ッ⸢ふァヌ⸣ ヤ⸢ム⸣ター ブ⸢ネーヤ⸣ キモー ウ⸢キティ⸣ ノー⸢ン シーユーサン ベー⸣ティ ⸣アッパール ⸢オー⸣リ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢ソーッ⸣タ [f⸢fanu⸣ ja⸢mu⸣taː bu⸢neːja⸣ kimoː ʔu⸢kiti⸣ noː⸢ŋ ʃiːjuːsambeː⸣ti ⸣ʔappaːru ⸢ʔoː⸣ri ⸢tunʣa⸣ku ⸢soːt⸣ta] (子供が病気したので母親はおろおろして何も手につかないので、お祖母さんが来られて子供の看病をなさった) 5353 0 0 5138 htmvoc_5353.wav キムウダラキ キ⸢ムウダ⸣ラキ [ki⸢muʔudara⸣ki] 名 心の衝撃。ひどく驚くこと。びっくり仰天すること。 ⸢キーヌ パン⸣ターラ ⸣ウティティ キ⸢ムウダラ⸣キ ⸢シール⸣ タ⸢マ⸣シ シ⸢テーン⸣ギサール [⸢kiːnu pan⸣taːra ⸣ʔutiti ki⸢muʔudara⸣ki ⸢ʃiːru⸣ ta⸢ma⸣ʃi ʃi̥⸢teːŋ⸣gisaːru] (木のてっぺんから落ちて、びっくり仰天して魂を落としたらしい) 5354 0 0 5139 htmvoc_5354.wav キムウダラキンニウダラキ キ⸢ムウダラ⸣キ ン⸢ニウダラキ [ki⸢muʔudara⸣ki ʔn⸢niʔudaraki] 連 びっくり仰天すること。「肝驚き・胸驚き」の義。ひどく驚くこと。ABCDEF・GHCDEF型の重言。神口や祝詞の中に現れ、リズミカルな表現を作り上げている。 ~ア⸢サビブリバ シー アー⸣クンケン キ⸢ムウダラ⸣キ ン⸢ニウダラキ シー ベー⸣ティ~ [~ʔa⸢sabiburiba ʃiː ʔaː⸣kuŋkeŋ ki⸢muʔudara⸣ki n⸢niʔudaraki ʃiː beː⸣ti~] (~遊び惚けているときに、肝驚き胸驚きをしているので~) 5349 0 0 5140 htmvoc_5349.wav キムウチ キ⸢ム⸣ウチ [ki⸢mu⸣ʔuʧi] 名 心中。内心。胸中。ク⸢クル⸣ウチ[ku̥⸢kuru⸣ʔuʧi](心うち)ともいう。 ⸢ワー⸣ キ⸢ム⸣ウチナ ウムイ⸢ブー⸣ クトゥ パ⸢ナ⸣シ⸢ミー [⸢waː⸣ ki⸢mu⸣ʔuʧina ʔumui⸢buː⸣ ku̥tu pa⸢na⸣ʃi⸢miː] (君の胸中に思っていることを話し手ごらん)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢ワー タンガ⸣ヌ キ⸢ム⸣ウチナー ウ⸢サ⸣ミ ⸣シキ ッ⸢ふィーリ⸠ヨー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢waː taŋga⸣nu ki⸢mu⸣ʔuʧinaː ʔu⸢sa⸣mi ʃiki f⸢fiːri⸠joː] (その話は君一人の心中に納めておいてくれよ<他言しないでくれ>) 5463 0 0 5141 htmvoc_5463.wav キムウティシゥカスン ⸣キム ウ⸢ティシゥカ⸣スン [⸣kimu ʔu⸢tisï̥ka⸣suŋ] 連 心を落ち着かせる。 ⸣キム ウ⸢ティシゥカ⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ プ⸢スヌ⸣ マイナーテー ⸢ピッ⸣チン ⸣キム ウ⸢ティシゥカサラン⸣サー [⸣kimu ʔu⸢tisï̥ka⸣sunti ⸢beː⸣nundu pu̥⸢sunu⸣ mainaːteː ʔu⸢tisï̥kasaran⸣saː] (落ち着かせようとしているが、人前では心が落ち着かされないさ) 5352 0 0 5142 htmvoc_5352.wav キムウティスン キ⸢ム⸣ウティ ⸢スン [ki⸢mu⸣ʔuti ⸢suŋ] 連 落胆する。気落ちする。「肝落ちする」の義。 ⸢クン⸣ドー ナ⸢ラン⸣タンティン キ⸢ム⸣ウティ ス⸢ナ⸣ヨー ⸢マー⸣ プ⸢ス⸣ケンティン ア⸢リ⸣ブンダー [⸢kun⸣doː na⸢ran⸣tantiŋ ki⸢mu⸣ʔuti su⸢na⸣joː ⸢maː⸣ pu̥⸢su⸣kentiŋ ʔa⸢ri⸣bundaː] (今度できなくても落胆するなよ{EOS}再度<もう一度>ということもあるから) 5351 0 0 5143 htmvoc_5351.wav キムウトゥン ⸣キム ⸣ウトゥン [⸣kimu ʔutuŋ] 連 \ruby{動悸}{ドウ|キ}がする。胸がどきどきする。「肝が打つ」の義。 ウ⸢バウ⸣カー ⸢ドーントーン⸣シ ⸣キム ウトゥン⸢ダー [ʔu⸢bau⸣kaː ⸢doːntoːŋ⸣ʃi ⸣kimu ⸣ʔutun⸢daː] (驚いたら、ドントンと動悸がする<肝が打つ>よ) 5355 0 0 5144 htmvoc_5355.wav キムガーリ キ⸢ムガー⸣リ [ki⸢mugaː⸣ri] 名 心変わり。変心。老年層は、キ⸢ムンガー⸣リ[ki⸢muŋgaː⸣ri](心変わり{EOS}<肝変わり>)という。 ウ⸢ヌス⸣ク アッ⸢ツァ⸣ー ピライ ブ⸢タンドゥ⸣ ク⸢ヌ⸣グロー ⸢カイシナ⸣ターンツァン ミ⸢ララヌ⸣ヌ キ⸢ムガーリ⸣ル シ⸢タ⸣カヤー ⸣イナムヌ [ʔu⸢nusï̥⸣ku ʔat⸢ʦa⸣ː pirai bu⸢tandu⸣ ku⸢nu⸣guroː ⸢kaiʃina⸣tanʦam mi⸢rara⸣nu ki⸢mugaːri⸣ru ʃi̥⸢ta⸣kajaː ⸣ʔinamunu] (あんなに親しく<篤く>交際していたのに、最近では<この頃は>影も姿も見られない{EOS}心変わりを<ぞ>したのかなあ{EOS}残念だなあ) 5356 0 0 5145 htmvoc_5356.wav キムカールン ⸣キム ⸢カールン [⸣kimu ⸢kaːruŋ] 連 心が変わる。心変わりする。 ヤ⸢クスク⸣ シ⸢ティ⸣ ドゥク マ⸢タ⸣スカー プ⸢ソー⸣ キム ⸢カールン⸣ダー [ja⸢kusu̥ku⸣ ʃi̥⸢ti⸣ duku ma⸢ta⸣sukaː pu̥⸢soː⸣ kimu ⸢kaːrun⸣daː] (約束してあまり待たせると人は心が変わるよ) 5357 0 0 5146 htmvoc_5357.wav キムカイヤン キ⸢ムカイ⸣ヤン [ki⸢mukai⸣jaŋ] 形 心が優しい。「心が美しい」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムカイ⸣ヤン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ ki⸢mukai⸣jaŋ] (この子は非常に心が優しい)。 キ⸢ムカイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mukai⸣jaː ⸢naː⸣nu] (心が優しくない)。 ⸣アイニ キ⸢ムカイ⸣ヤル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ki⸢mukai⸣jaru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに心優しい人はいない)。 マーン⸢ベーマ⸣ キ⸢ムカイ⸣ヤカー ⸣ミサムヌ [maːm⸢beːma⸣ ki⸢mukai⸣jakaː ⸣misamunu] (もう少し心優しかったら良いのだが) 5358 0 0 5147 htmvoc_5358.wav キムカイルン ⸣キム ⸢カイ⸣ルン [⸣kimu ⸢kai⸣ruŋ] 連 急に気分が悪くなり、吐き気を催す。キ⸢ムバカー⸣ ナルン[ki⸢mubakaː⸣ naruŋ](吐き気を催す)ともいう。甘いのを食べ過ぎたり、脂っこい物を食べ過ぎた時に起こる生理現象。 ⸢オー⸣ヌ ア⸢バッタラ⸣ヌ ビ⸢トゥラー⸣ムヌバ ッ⸢ふァイシギル⸣カー キ⸢ムカイ⸣ルン⸢ダー [⸢ʔoː⸣nu ʔa⸢battara⸣nu bi⸢turaː⸣ munuba f⸢faiʃigiru⸣kaː ki⸢mukai⸣run⸢daː] (豚の脂身の脂っこいものを食べ過ぎると吐き気を催すよ) 5359 0 0 5148 htmvoc_5359.wav キムガカリ キ⸢ムガカ⸣リ [ki⸢mugaka⸣ri] 名 気掛り。心配。懸念。気遣い。若年層の言葉。老年層はキ⸢ムガッ⸣カイ[ki⸢mugak⸣kai](気掛かり)という。 タ⸢ビ⸣ナー ⸢ベー⸣ ッ⸢ふァンケー⸣ヌ ク⸢トゥ⸣ル ナー⸢イ⸣ キ⸢ムガカ⸣リ ⸢シーベー⸠ツォー [ta⸢bi⸣naː ⸢beː⸣ f⸢faŋkeː⸣nu ku⸢tu⸣ru naː⸢ji⸣ ki⸢mugaka⸣ri ⸢ʃiːbeː⸠ʦoː] (旅にいる子供達のことが、ただ気掛りなのです<気掛りにしているんです>)。 ウ⸢ヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ル イッ⸢チン⸣ キ⸢ムガカ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ku⸢tu⸣ru ʔit⸢ʧiŋ⸣ ki⸢mugaka⸣ri] (そのことが一番の気掛り<心配事>だ) 5362 0 0 5149 htmvoc_5362.wav キムガサーン キ⸢ムガサー⸣ン [ki⸢mugasaː⸣ŋ] 形 気が\ruby{急}{セ}く気性である。気があせる気性である。せっかちである。性急である。 ウ⸢レー⸣ キ⸢ムガサー⸣ンダー ウ⸢リンマー⸣ ク⸢マシグトー⸣ シ⸢ミララヌ [ʔu⸢reː⸣ ki⸢mugasaː⸣ndaː ʔu⸢rimmaː⸣ ku⸢maʃigutoː⸣ ʃi⸢miraranu] (あれはせっかちだから、あれには細かな仕事はさせられない)。 キ⸢ムガサー ナー⸣ヌ [ki⸢mugasaː naː⸣nu] (せっかちでない)。 キ⸢ムガサー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢mugasaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (せっかちでたまら<堪ら>ない)。 キ⸢ムガサー⸣ プ⸢ス [ki⸢mugasaː⸣ pu̥⸢su] (せっかちな人)。 ⸣アイニ キ⸢ムガサー⸣カー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔaini ki⸢mugasaː⸣kaː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (あんなにせっかちなら大変だよ) 5360 0 0 5150 htmvoc_5360.wav キムガサガサスン キ⸢ムガサガ⸣サ ⸢スン [ki⸢mugasaga⸣sa ⸢suŋ] 連 心が焦る。気がいらいらする。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ティーフコー⸣ティ キ⸢ムガサガ⸣サ ⸢シー⸣ アトー ⸣メー ⸣ウヤー ⸣ドゥーシ ピ⸢キトゥリティ ソー⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [du⸢ku⸣nu ⸢tiːɸu̥koː⸣ti ki⸢mugasaga⸣sa ⸢ʃiː⸣ ʔatoː ⸣meː ⸣ʔujaː ⸣duːʃi pi̥⸢kituriti soː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (あまりにも手つきが鈍いので、いらいらして、後はもう我慢できずに親は自分で引き取ってやってしまわれた) 5361 0 0 5151 htmvoc_5361.wav キムカサマサン キ⸢ムカサマ⸣サン [ki⸢mukasama⸣saŋ] 形 気が焦り、いらだたしい(苛立たしい)。心がいらいら<苛苛>する。しつこくてやりきれない。煩雑で面倒だ。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー フンダイサ⸣ヌ ⸢サッ⸣コー キ⸢ムカサマ⸣サン⸢ダー [ku⸢nu⸣ f⸢faː fundaisa⸣nu ⸢sak⸣koː ki⸢mukasama⸣san⸢daː] (この子はわがままっ子で、やりたい放題で非常に\ruby{苛立}{イラ|ダ}たしいよ)。 キ⸢ムカサマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢mukasamasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (苛立たしく、\ruby{煩}{ワズラワシ}くて堪らない)。 キ⸢ムカサマ⸣サ ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mukasama⸣sa ⸢naː⸣nu] (苛立たしくない)。 キ⸢ムカサマ⸣サ ⸣ナルン [ki⸢mukasama⸣sa ⸣naruŋ] (苛立たしくなる)。 キ⸢ムカサマ⸣サー ⸣プソー [ki⸢mukasama⸣saː ⸣pu̥soː] (苛立たしいときは)。 ⸣アインドゥ キ⸢ムカサマ⸣サーカ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [⸣ʔaindu ki⸢mukasama⸣saːka ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (あんなに苛立たしかったら、そこには居れないよ) 5363 0 0 5152 htmvoc_5363.wav キムガタガター キ⸢ムガタガ⸣ター [ki⸢mugataga⸣taː] 連 胸がどきどきして\ruby{震}{フル}えるさま。 ウ⸢ブナイ⸣ヌ ⸢パッタ⸣ル ウ⸢ダラ⸣キティ キ⸢ムガタガター⸣シ ⸢フッツォーリ ベー⸣タ [ʔu⸢bunai⸣nu ⸢pattaː⸣ru ʔu⸢daraki⸣ti ki⸢mugatagataː⸣ʃi ⸢ɸutʦoːri beː⸣ta] (大地震が通過した<走った>ので驚いて胸がどきどきして震えていた) 5364 0 0 5153 htmvoc_5364.wav キムガッカイ キ⸢ムガッ⸣カイ [ki⸢mugak⸣kai] 名 気掛かり。心配。懸念。老年層の言葉。 シ⸢ケン⸣マー ⸢ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣タユー ウ⸢ヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ キ⸢ムガッ⸣カイ ⸢シー⸣ ナ⸢ラン⸠ツォー [ʃi̥⸢kem⸣maː ⸢nuː⸣ʃi ⸢nat⸣tajuː ʔu⸢nu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ki⸢mugak⸣kai ⸢ʃiː⸣ na⸢ran⸠ʦoː] (試験はどうなったのか、そのことを気に掛けて<そのことが気掛かりで>堪らないのだよ) 5365 0 0 5154 htmvoc_5365.wav キムガマーラサン キ⸢ムガマーラ⸣サン [ki⸢mugamaːra⸣saŋ] 形 なんとなく悲しい。物悲しい。うら悲しい。 ⸣アッパー ク⸢トゥ⸣ヌ ウ⸢ムインザサ⸣リティ キ⸢ムガマーラサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔappaː ku⸢tu⸣nu ʔu⸢muiʔnʣasa⸣riti ki⸢mugamaːrasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (お祖母さんのことが思い出されて、もの悲しくて堪らない)。 シ⸢マ⸣ナー プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ ナ⸢ル⸣ター イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムガマーラ⸣サン [ʃi⸢ma⸣naː pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːn⸣ na⸢ru⸣taː ʔik⸢kena⸣ ki⸢mugamaːra⸣saŋ] (島に人がいなくなったので、すごく物悲しい)。 キ⸢ムガマーラサ ナー⸣ヌ [ki⸢mugamaːrasa naː⸣nu] (うら悲しくない)。 キ⸢ムガマーラ⸣サール ⸣ピンマー ナ⸢キル⸣ シ⸢ラリ [ki⸢mugamaːra⸣saːru ⸣pimmaː na⸢kiru⸣ ʃi⸢rari] (うら悲しいときは泣けてくる) 5333 0 0 5155 htmvoc_5333.wav キムガルン ⸣キム ガ⸢ルン [⸣kimu ga⸢ruŋ] 連 気が晴れて\ruby{爽}{サワ}やかとなる。気が清清する。心が晴れ晴れとなる。 ウ⸢ナー⸣ プサムヌバ キ⸢ム⸣ヌ フ⸢グン⸣ケン ⸢カイッふィーッター⸣ キモー ガ⸢リベーン⸣ティ [ʔu⸢naː⸣ pu̥samunuba ki⸢mu⸣nu ɸu⸢guŋ⸣keŋ ⸢kaiffiːttaː⸣ kimoː ga⸢ribeːn⸣ti] (己の欲しいものを満足するほど買ってやったら、気が晴れて清清しているよ)。 ッ⸢ふァヌ ヤン⸣ヌ ⸢ノー⸣レーンティ ⸢スー サウヌ⸣ シゥ⸢カリ⸣カー ⸣キム ガ⸢ルン⸣パジ [f⸢fanu jan⸣nu ⸢noː⸣reːnti ⸢suː saunu⸣ si̥⸢kari⸣kaː ⸣kimu ga⸢rum⸣paʤi] (子供の病気が治ったという便り<さう・左右>が聞けたら心が晴れ晴れするはずだ) 5368 0 0 5156 htmvoc_5368.wav キムグクル キ⸢ムグク⸣ル [ki⸢muguku⸣ru] 名 心。精神。「きもこころ(肝心)」の義。「肝心も砕けて~『宇治拾遺物語』」の義。 ⸢ニンギン⸣マー キ⸢ムグクル⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤ ⸣ムヌル ⸢ダイイチ [⸢niŋgim⸣maː ki⸢mugukuru⸣nu ⸢kai⸣ja ⸣munuru ⸢daiʔiʧi] (人間は心の美しいのが第一重要<肝要>である)。 キ⸢ムグクル⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤバル シ⸢キン⸣マー バ⸢タラリ [ki⸢mugukuru⸣nu ⸢kai⸣jabaru ʃi⸢kim⸣maː ba⸢tarari] (心が美しくなければ世間は渡れない<心が美しければこそ世間は渡れるものだ>) 5369 0 0 5157 htmvoc_5369.wav キムグマー キ⸢ムグマー [ki⸢mugumaː] 名 小心者。 ビ⸢キドゥヌ⸣ キ⸢ムグマー⸣ ナリティ ウ⸢バイ⸣カバイ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [bi⸢kidumunu⸣ ki⸢mugumaː⸣ nariti ʔu⸢bai⸣kabai ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (男のくせに<男が>小心者になって、びくびくしているよ) 5370 0 0 5158 htmvoc_5370.wav キムグマーン キ⸢ムグマー⸣ン [ki⸢mugumaː⸣ŋ] 形 小心である。小胆である。度胸がない。「肝が小さい」の義。 キ⸢ムグマー⸣ンダ ノー⸢ン シーユーサヌ [ki⸢mugumaː⸣nda noː⸢ŋ ʃiːjuːsanu] (小心であるから何も出来ない)。 キ⸢ムグマーナー⸣ヌ [ki⸢mugumaːnaː⸣nu] (度胸は小さくない<小心でない>)。 キ⸢ムグマー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ki⸢mugumaː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (度胸がなくて<小胆者で>使えない)。 キ⸢ムグマー⸣ プ⸢ス [ki⸢mugumaː⸣ pu̥⸢su] (度胸のない者<小胆である人>)。 ⸣ドゥク キ⸢ムグマー⸣カー タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸣duku ki⸢mugumaː⸣kaː ta⸢namara⸣nu] (あんまり度胸がなかったら頼めない<頼まれない>) 5371 0 0 5159 htmvoc_5371.wav キムクラシ キ⸢ムクラ⸣シ [ki⸢mukura⸣ʃi] 名 気苦労すること。苦悩すること。心労すること。思い悩むこと。「肝殺し」の義か。 ブ⸢ネーヤ⸣ ビ⸢コーンッふァヌ⸣ クトゥシ ナー⸢イ⸣ キ⸢ムクラ⸣シ ⸢シーオー⸣ル [bu⸢neːja⸣ bi⸢koːnffanu⸣ ku̥tuʃi naː⸢i⸣ ki⸢mukura⸣ʃi ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (母親は男の子のことで、いつも悩んで<苦悩をして>おられる) 5373 0 0 5160 htmvoc_5373.wav キムグリサン キ⸢ムグリ⸣サン [ki⸢muguri⸣saŋ] 形 気の毒である。可哀相である。哀れで胸が締め付けられる思いである。見るに忍びない。「肝苦し」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー キ⸢ムグリサ⸣ヌ シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ki⸢mugurisa⸣nu sï̥⸢karanu] (その人の話は哀れで胸が締め付けられるほど気の毒で、聞くことができない)。 イッ⸢ケン⸣ キ⸢ムグリ⸣サン [ʔik⸢keŋ⸣ ki⸢muguri⸣saŋ] (非常に気の毒である)。 キ⸢ムグリ⸣サル パ⸢ナ⸣シ [ki⸢muguri⸣saru pa⸢na⸣ʃi] (気の毒な話)。 ⸣アイニ キ⸢ムグリ⸣サカー シゥ⸢カウナ [⸣ʔaini ki⸢muguri⸣sakaː sï̥⸢kauna] (そんなに気の毒に思うなら使うな)。 ッ⸢ふァヌ オーラ⸣ン ⸢ウイプス⸣ヌ ⸢アウ⸣リナンギ ⸢シー オー⸣ル ⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムグリサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢fanu ʔoːra⸣ŋ ⸢ʔuipusu⸣nu ⸢ʔau⸣rinaŋgi ⸢ʃiː ʔoː⸣ru ⸣munu ⸣mirukaː ki⸢mugurisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (子供のいない年寄りの難儀苦労を見ると気の毒でたまらない)。 ⸢ワー タン⸣ガン ⸢アウ⸣リ シ⸢ミル⸣カー キ⸢ムグリ⸣サンダ キ⸢ムグリサ ナーン⸣ヨーニ ⸢バン⸣ヌン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː taŋ⸣gaŋ ⸢ʔau⸣ri ʃi⸢miru⸣kaː ki⸢muguri⸣sanda ki⸢mugurisa naːɲ⸣joːni ⸢ban⸣nun ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (君一人に苦労をさせると気の毒だから、気の毒に思わないように私も<何か>しないといけない)。 キ⸢ムグリサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢mugurisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (不憫で堪らない)。 ⸣アイニ キ⸢ムグリ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaini ki⸢muguri⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (あんなに不憫なことはない) 5372 0 0 5161 htmvoc_5372.wav キムグリムヌ キ⸢ムグリ⸣ムヌ [ki⸢muguri⸣munu] 名 気の毒なこと。哀れなこと。\ruby{憐憫}{レン|ビン}の情に耐えないこと。 ⸢タンガッふァ⸣バ イ⸢ク⸣サナ シ⸢ナシティ⸣ ナ⸢キオール⸣ シ⸢ナタ⸣ ミルカー ⸢フン⸣トー キ⸢ムグリ⸣ムヌ⸢ダー [⸢taŋgaffa⸣ba ʔi⸢ku⸣sana ʃi⸢naʃi̥ti⸣ na⸢kiʔoː⸣ru ʃi⸢nata⸣ mirukaː ⸢ɸun⸣toː ki⸢muguri⸣munu⸢daː] (一人子を戦争で亡くしてしまって泣いておられる姿を見ると、誠に気の毒なことだよ) 5374 0 0 5162 htmvoc_5374.wav キムサーサー キ⸢ムサー⸣サー [ki⸢musaː⸣saː] 副 神霊を感じて心が落ち着かないさま。 ⸢キュー⸣ヤ シ⸢トゥム⸣テーラ キ⸢ムサーサー⸣シ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ティシゥカラン⸣ベーティ ⸢カンヌ⸣マイ ⸢ティー ウサー⸣シ ⸢ベー⸠ダー [⸢kjuː⸣ja ʃi̥⸢tumu⸣teːra ki⸢musaːsaː⸣ʃi mut⸢tu⸣ ʔu⸢tisi̥karam⸣beːti ⸢kannu⸣mai ⸢tiː ʔusaː⸣ʃi ⸢beː⸠daː] (今日は朝から神霊を感じてちっとも落ち着かないので、神前に手を合わせているよ) 5376 0 0 5163 htmvoc_5376.wav キムザニヤプス キ⸢ムザニ⸣ヤプス [ki⸢muʣani⸣japu̥su] 名 快活で楽しい人。明るく楽しい人。 ⸣アブジェーヤ イッ⸢ケン⸣ キ⸢ムザニ⸣ヤプス ヤ⸢ローッ⸣タ [⸣ʔabuʤeːja ʔik⸢keŋ⸣ ki⸢muʣani⸣japu̥su ja⸢roːt⸣ta] (お祖父さんは非常に明るくて楽しい人であられた) 5375 0 0 5164 htmvoc_5375.wav キムサニヤン キ⸢ムサニ⸣ヤン [ki⸢musani⸣jaŋ] 形 心が晴れ晴れとして楽しい。明るく楽しい。嬉しい。「肝嬉し」の義。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢イー ソーヌ⸣ シゥ⸢カリ⸣ イッ⸢ケン⸣ キ⸢ムサニ⸣ヤン [⸢kjuː⸣ja ⸢ʔiː soːnu⸣ si̥⸢kari⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ki⸢musani⸣jaŋ] (今日は良い消息<左右>が聞けて心が晴れ晴れとして非常に嬉しい)。 キ⸢ムサニヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢musanija⸣nu na⸢ra⸣nu] (嬉しくて堪らない) 5377 0 0 5165 htmvoc_5377.wav キムサビサン キ⸢ムサビ⸣サン [ki⸢musabi⸣saŋ] 形 うらさびしい(心淋しい)。なんとなく淋しい。 ⸣ウヤンケーヌ ⸢オーラ⸣ン ⸣ヤーナ ⸢タン⸣ガ ヌ⸢カ⸣リティ キ⸢ムサビサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔujaŋkeːnu ⸢ʔoːra⸣ŋ ⸣jaːna ⸢taŋ⸣ga nu⸢ka⸣riti ki⸢musabisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (親たちが居られない家に一人残されて、心淋しくて堪らない)。 キ⸢ムサビ⸣サ ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢musabi⸣sa ⸢naː⸣nu] (心淋しくない)。 キ⸢ムサビ⸣サ ⸣ピンマー ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢キティ⸣ パ⸢トゥ⸣マナカムリ イ⸢ゾー⸣ルツォー [ki⸢musabi⸣sa ⸣pimmaː ⸢saŋʃimba⸣ pi̥⸢kiti⸣ pḁ⸢tu⸣manakamuri ʔi⸢ʣoː⸣ruʦoː] (心淋しい時は三線を弾いて鳩間節を歌われるそうだ) 5378 0 0 5166 htmvoc_5378.wav キムサラーン キ⸢ムサラー⸣ン [ki⸢musaraː⸣ŋ] 形 あっさりしている。高ぶらず、もったいぶらない。てらわず、飾り立てない。他人を優しく扱う。 ウ⸢ヤ⸣キプス ヤ⸢ルンドゥ⸣ イッ⸢ケン⸣ キ⸢ムサラー⸣ン ター⸢ントゥン⸣ ユー ⸣ピライ ッ⸢ふィールン [ʔu⸢ja⸣kipu̥su ja⸢rundu⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ki⸢musaraː⸣ŋ taː⸢ntuɲ⸣ juː ⸣pirai f⸢fiːruŋ] (金持ちだが非常にあっさりした性格で、高ぶらない{EOS}誰とでもよく付き合ってくれる)。 キ⸢ムサラー⸣ル プ⸢ス [ki⸢musaraː⸣ru pu̥⸢su] (あっさりした、勿体ぶらない人) 5379 0 0 5167 htmvoc_5379.wav キムサワギ キ⸢ムサワ⸣ギ [ki⸢muwawa⸣gi] 名 胸騒ぎ。凶事の予感がして落ち着かないこと。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー キ⸢ムサワ⸣ギ ⸢シー⸣ ナ⸢ラン⸣サー [⸢kjuː⸣ja ⸣nuntiru ja⸢ru⸣juː ki⸢musawa⸣gi ⸢ʃiː⸣ na⸢ran⸣saː] (今日は何故か胸騒ぎがしてならない)。不安。心配して心が落ち着かないこと。キ⸢ムアー⸣リ[ki⸢muʔaː⸣ri](胸騒ぎ)と同じ 5386 0 0 5168 htmvoc_5386.wav キムシカラーン キ⸢ムシカラー⸣ン [ki⸢muʃikaraː⸣ŋ] 形 うら寂しい。ものさびしい。\ruby{侘}{ワビ}しい。\ruby{寂寞}{セキ|バク}としてる。キ⸢ムシカラー⸣サン[ki⸢muʃikaraː⸣saŋ]ともいう。 ッ⸢ふァン⸣ケン ムー⸢ル⸣ タ⸢ベー⸣ パ⸢ラシ⸣ティ タ⸢ンガ⸣シ ⸢ベー⸣ヌンドゥ キ⸢ムシカラー⸣ヌ ニ⸢バラヌ [f⸢faŋ⸣kem muː⸢ru⸣ ta⸢beː⸣ pa⸢ra⸣ʃi̥ti ⸢taŋga⸣ʃi ⸢beː⸣nundu ki⸢muʃikaraː⸣nu ni⸢baranu] (子供達をみんな旅に出して<行かせて>一人でいるが、うら寂しくて寝ることができない)。 キ⸢ムシカラー⸣サ ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢muʃikaraː⸣sa ⸢naː⸣nu] (うら寂しくない)。 キ⸢ムシカラ⸣サー ⸣プソー サ⸢キル⸣ ヌム [ki⸢muʃikara⸣saː pu̥soː sa⸢kiru⸣ numu] (心さびしいときは酒を飲む)。 キ⸢ムシカラーサ⸣カー ウ⸢キ⸣ナー ⸣パリバ [ki⸢muʃikaraːsa⸣kaː ʔu⸢ki⸣naː ⸣pariba] (うら寂しかったら沖縄へ行きなさいよ) 5382 0 0 5169 htmvoc_5382.wav キムシナースン ⸣キム シ⸢ナー⸣スン [⸣kimu ʃi⸢naː⸣suŋ] 連 心を合わせる。心をそろえる。心を一つにする。 ⸢キョーダイ⸣サ ⸣キム シ⸢ナー⸣シェーティ ⸣タティパリ⸢ダー [⸢kjoːdai⸣sa ⸣kimu ʃi⸢naː⸣ʃeːti ⸣tatipari⸢daː] (兄弟仲良く心を合わせて暮らしていきなさいよ) 5381 0 0 5170 htmvoc_5381.wav キムシナウン ⸣キム シ⸢ナウン [⸣kimu ʃi⸢nauŋ] 連 機嫌を取る。「心を調和させる。心を合わせる」の義。 ⸢フンダイナキ スー⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ キム シ⸢ナウンティ コーシ⸣バ ⸢カイオー⸣ル [⸢ɸundainaki suː⸣ f⸢fanu⸣ kimu ʃi⸢naunti koːʃi⸣ba ⸢kaiʔoː⸣ru] (我儘で勝手放題の子供の機嫌を取るために菓子を買っておられる)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣キム シ⸢ナウンティ シー ベー⸣ンドゥ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢ナーラヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣kimu ʃi⸢naunti ʃiː beː⸣ndu mut⸢tu⸣ ʃi⸢naːranu] (親の機嫌をとろうとしているのだが、ちっとも機嫌が取れない) 5383 0 0 5171 htmvoc_5383.wav キムシピリスン キ⸢ムシピ⸣リ ⸢スン [ki⸢muʃipi⸣ri ⸢suŋ] 連 胃の具合が悪くなり、絞られるように感じる。 ⸢コー⸣ムヌバ ウ⸢ブ⸣ファイ ⸢スー⸣カー キ⸢ムシピ⸣リ ⸢スン⸣ダー [⸢koː⸣munuba ʔu⸢bu⸣fai ⸢suː⸣kaː ki⸢muʃipi⸣ri ⸢sun⸣daː] (固いものを大食いすると胃の具合が悪くなり、絞られるように感じるよ) 5387 0 0 5172 htmvoc_5387.wav キムシララヌ キ⸢ムシララ⸣ヌ [ki⸢muʃirara⸣nu] 連 我慢できない。心が落ち着かない。耐えられない。 ア⸢ムサ⸣ヌ キ⸢ムシララム⸣ティル イ⸢サン⸣ヤー パレー⸢ツォー [ʔa⸢musa⸣nu ki⸢muʃirara⸣mutiru ʔi⸢saɲ⸣jaː pareː⸢ʦoː] (頭痛がして気分が悪く我慢できなかったので病院へ行ったのだよ)。 キ⸢ムシララン⸣ドゥ ⸢ブー⸣ユー ⸢パー⸣ フイ ⸢ベー [ki⸢muʃiraran⸣du ⸢buː⸣juː ⸢paː⸣ɸui ⸢beː] (我慢できないのか、歯ぎしりして<歯をこすり合わせて>いる) 5384 0 0 5173 htmvoc_5384.wav キムシル キ⸢ム⸣シル [ki⸢mu⸣ʃiru] 名 ぐずつく(愚図つく)こと。ぐずる(愚図る)こと。子供がむずかること。子供がじれて泣く。すねて逆らうこと。気がくしゃくしゃすること。気が\ruby{苛立}{イラ|ダ}つこと。「肝・摺り」の後接語の母音[i]と[u]が音位転倒(metathesis)を起したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢ブンティンマー⸣ ヤー⸢ディン⸣ キ⸢ム⸣シル ⸢シー⸣ ナ⸢キス [ja⸢ra⸣beː ni⸢buntimmaː⸣ jaː⸢diŋ⸣ ki⸢mu⸣ʃiru ⸢ʃiː⸣ na⸢kisu] (子供は寝るときには必ずむずかって泣く)。子供がじれ(焦れ)て泣くこと。すねてさからうこと。「肝摺りの義」との説がある『石垣方言辞典』。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ キ⸢ム⸣シル ⸢スー⸣ ピンマー ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アルパジ ⸢ダー⸣バ キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ja⸢rabi⸣nu ki⸢mu⸣ʃiru ⸢suː⸣ pimmaː ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔarupaʤi ⸢daː⸣ba ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣rijoː] (子供がむずかる時は熱があるはずだろうから気をつけろよ)。 ニ⸢ブンティル⸣ キ⸢ム⸣シル ⸢シェー⸣ル⸢ナー [ni⸢buntiru⸣ ki⸢mu⸣ʃiru ⸢ʃeː⸣ru⸢naː] (寝ようとしてむずかっていたのだなあ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルガー キ⸢ム⸣シル ⸢スン⸣ダー [ja⸢ra⸣beː ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ki⸢mu⸣ʃiru ⸢sun⸣daː] (子供は熱が出るとぐずつくよ<ぐずるよ>) 5385 0 0 5174 htmvoc_5385.wav キムシルカーシルスン キ⸢ムシルカー⸣シル ⸢スン [ki⸢muʃirukaː⸣ʃiru ⸢suŋ] 連 気がくしゃくしゃする。気が\ruby{苛立}{イラ|ダ}つ。むしゃくしゃする。キ⸢ム⸣シル[ki⸢mu⸣ʃiru]のABCDEFCD型の重言。「肝摺り・皮摺り」の義か。 ヤ⸢ラ⸣ベー ン⸢メーマ⸣ パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マル⸣カー キ⸢ムシルカー⸣シル ⸢スン [ja⸢ra⸣beː ʔm⸢meːma⸣ pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢maru⸣kaː ki⸢muʃirukaː⸣ʃiru ⸢suŋ] (子供は、ちょっと風邪をひくと、気がいらだって\ruby{拗}{ス}ねて泣いて逆らってくしゃくしゃする) 5596 0 0 5175 htmvoc_5596.wav キムシルスン キ⸢ム⸣シル ⸢スン [ki⸢mu⸣ʃiru ⸢suŋ] 連 むずかる(憤)。子供がじれ(焦れ)て泣く。 ⸢フンダイ スー⸣ ッ⸢ふァー ドゥー⸣ヌ ⸣ウムー ⸣トゥール ナ⸢ラン⸣カー キ⸢ム⸣シル ⸢スン⸠ダー [⸢ɸundai suː⸣ f⸢faː duː⸣nu ⸣ʔumuː ⸣tuːru na⸢raŋ⸣kaː ki⸢mu⸣ʃiru ⸢sun⸠daː] (我儘っこ<駄々っ子>は自分の思い通りにならなかったらむずかる<憤>よ) 5388 0 0 5176 htmvoc_5388.wav キムズーワン キ⸢ムズー⸣ワン [ki⸢muʣuː⸣waŋ] 形 心強い。頼もしい。キ⸢ムズー⸣ヤン[ki⸢muʣuː⸣jaŋ]ともいう。 ッ⸢ふァヌ ブー⸣カー イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムズー⸣ワン [f⸢fanu buː⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ki⸢muʣuː⸣waŋ] (子供がいたら非常に心強い)。 キ⸢ムズーワナー⸣ヌ [ki⸢muʣuːwanaː⸣nu] (心強くない)。 キ⸢ムズー⸣ワ ⸣ナルン [ki⸢muʣuː⸣wa ⸣naruŋ] (心強くなる)。 キ⸢ムズー⸣ワル プ⸢ソー⸣ ミサンドゥ [ki⸢muʣuː⸣waru pu̥⸢soː⸣ misandu] (心強い人はいいけれど)。 キ⸢ムズー⸣ワカー タンガシン ⸢ベーラ⸣リン [ki⸢muʣuː⸣wakaː ⸢taŋga⸣ʃim ⸢beːra⸣riŋ] (心強ければ一人でもいることができる<居られる>)。心強い。安心である。心丈夫である。 ⸢ワーンドゥ⸣ アウ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィール⸣カー キ⸢ムズー⸣ワン⸢ツォー [⸢waːndu⸣ ʔau ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːru⸣kaː ki⸢muʣuː⸣wan⸢ʦoː] (君が私の連れ<道連れ{EOS}同伴者>をしてくれたら心強いんだよ) 5389 0 0 5177 htmvoc_5389.wav キムスクッツァーサリン ⸣キム ス⸢クッツァーサリン [⸣kimu su̥⸢kutʦaːsariŋ] 連 心がちぢ(千千)に乱される。気が狂いそうにされる。心が打ち砕かれる。心の思いがス⸢クッツァーサリン[su̥⸢kutʦaːsariŋ](打ち砕かれる{EOS}粉々に砕かれる)の義。 ウ⸢リンマー⸣ キム ス⸢クッツァーサリティル⸣ ナ⸢カヤブ⸣リ ⸢シェー⸣ダー [ʔu⸢rimmaː⸣ kimoː su̥⸢kutʦaːsaritiru⸣ na⸢kajabu⸣ri ⸢ʃeː⸣daː] (そいつに心の思いを打ち砕かれて中途でぐれてしまった<中途やぶれ{EOS}非行化>したのだ) 5390 0 0 5178 htmvoc_5390.wav キムスラスン ⸣キム ス⸢ラ⸣スン [⸣kimu su⸢ra⸣suŋ] 連 気分を晴れ晴れとさせる。\ruby{清清}{スガ|スガ}しい気分にする。気分を\ruby{爽}{サワ}やかにする。清清する。 ン⸢マー⸣ムノー ッ⸢ふァイティ⸣ ヤ⸢ナクトー バシキ⸣ キム ス⸢ラ⸣シバ [ʔm⸢maː⸣munoː f⸢faiti⸣ ja⸢nakutoː baʃi̥ki⸣ kimu su⸢ra⸣ʃiba] (美味しい物を食べて、嫌な、悪いことを忘れて気分<心>を\ruby{清清}{スガ|スガ}しくさせなさい<晴れ晴れとさせなさい>)。 ⸢ユー⸣フルン ア⸢ミ⸣ カ⸢ジン⸣ フ⸢カ⸣リティ ⸣キム ス⸢ラ⸣スンティ ⸢ベー [⸢juː⸣ɸuruŋ ʔa⸢mi⸣ ka⸢ʤiŋ⸣ ɸu̥⸢ka⸣riti ⸣kimu su⸢ra⸣sunti ⸢beː] (風呂にも入り<湯も浴び>、そよ風に吹かれて気分を\ruby{爽}{サワ}やかにしようとしている) 5391 0 0 5179 htmvoc_5391.wav キムスリルン ⸣キム ス⸢リ⸣ルン [⸣kimu su⸢ri⸣ruŋ] 連 元気になる。元気づく。心が晴れる。快活になる。すがすがしい<清清しい>気分になる。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢キベー⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ヌ ミ⸢ラ⸣リカー ⸣キムン ス⸢リ⸣ルンパジ [ja⸢ra⸣beː na⸢kibeː⸣nu ʔu⸢ja⸣nu mi⸢ra⸣rikaː ⸣kimun su⸢ri⸣rumpaʤi] (子供は泣いているが、親が見えたら心も晴れて元気になるでしょう) 5392 0 0 5180 htmvoc_5392.wav キムズルイ キ⸢ム⸣ズルイ [ki⸢mu⸣ʣurui] 名 心を合わせること。協力すること。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢キョーダイ⸣サー キ⸢ム⸣ズルイ ⸢シー オー⸣ルンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu ⸢kjoːdai⸣saː ki⸢mu⸣ʣurui ⸢ʃiːʔoː⸣runda ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢raːmi⸣san⸢daː] (その家の兄弟達は心を合わせて協力しておられるので非常に羨ましいよ) 5393 0 0 5181 htmvoc_5393.wav キムダーリ キ⸢ムダー⸣リ [ki⸢mudaː⸣ri] 名 うたたね(転寝)。座ったままで寝てしまうこと。「肝・たはれ<戯れ>」の転訛か。「たはれ」は⸢~多波礼<タハレテ>てありける。万、1738」の義か。 マー⸢ズン⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベータン⸣ドゥ イ⸢チヌ⸣ マ⸢ドウ⸣ル ニ⸢ブタ⸣ユー キ⸢ムダー⸣リ ⸢シーベー [maː⸢ʣum⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢beːtan⸣du ʔi⸢ʧinu⸣ ma⸢du⸣ru ni⸢buta⸣juː ki⸢mudaː⸣ri ⸢ʃiːbeː] (一緒に話していたが、いつの間に寝たのか、\ruby{転寝}{ウタタ|ネ}して<座ったまま寝てしまって>いるよ)。⸣キモー ⸢タールン[⸣kimoː ⸢taːruŋ](うたたねする{EOS}熟睡する)ともいう 5397 0 0 5182 htmvoc_5397.wav キムダーリスン キ⸢ムダー⸣リ ⸢スン [ki⸢mudaː⸣ri ⸢suŋ] 連 うとうとする。うつらうつらする。とろとろと居眠りする。熟睡する。 パ⸢ナシ⸣ヌ ウ⸢ムッ⸣サティ キ⸢ムダー⸣リ ⸢スン⸣ケン シ⸢キ ベー⸣タ [pa⸢naʃi⸣nu ʔu⸢mus⸣sati ki⸢mudaː⸣ri ⸢suŋ⸣keŋ ʃi̥⸢ki beː⸣ta] (話が面白いので、とろとろと居眠りするまで聞いていた) 5394 0 0 5183 htmvoc_5394.wav キムダカーン キ⸢ムダカー⸣ン [ki⸢mudakaː⸣ŋ] 形 気位が高い。キ⸢ムダカー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸣ヤー ム⸢タ⸣ヌティル ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ[ki⸢mudakaː⸣ mi⸢du⸣moː ⸣jaː mu⸢ta⸣nutiru mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta](気位の高い女は家庭を持つことが出来ないと昔の人はいわれた{EOS}/パラダカフニヤ シィマトゥラヌ キィムタカミドゥンヤ ヤームチャヌ/ デンサー節<上原>)『八重山民謡誌』 5395 0 0 5184 htmvoc_5395.wav キムタラーシ キ⸢ムタラー⸣シ [ki⸢mutaraː⸣ʃi] 名 \ruby{寛恕}{カン|ジョ}。相手を思いやること。相手の欠点を善意に解釈し、補って許してやること。「肝たらはし<足>。韓国爾 由伎多良波之<ユキタラハシ>て~『万葉集 4262』」の義か。 ⸢キョーダイ⸣サー ⸢ナー⸣ タ⸢ラーシタラーシ⸣ キ⸢ムタラー⸣シ ⸢シェー⸣ティル ⸣タティパル⸢ダー [⸢kjoːdai⸣saː ⸢naː⸣ ta⸢raːʃi⸣ ta⸢raːʃi⸣ ki⸢mutaraː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣tiru ⸣tatiparu⸢daː] (兄弟は互いに補い合って、相手の欠点を補い許しあって生活していくのだよ) 5396 0 0 5185 htmvoc_5396.wav キムダリ キ⸢ム⸣ダリ [ki⸢mu⸣dari] 名 気抜け。脱力。気落ち。意気\ruby{沮喪}{ソ|ソウ}すること。意気消沈すること。体から力が抜けてだらりとなること。 ⸢クン⸣ドー ⸢フー⸣ヤ ⸢ナーン⸣セーンタンティン キ⸢ム⸣ダレー ⸢サンドー⸣シ ⸢マー⸣ プ⸢ス⸣ケンティン ア⸢リ⸣ブンダ ア⸢ツァー⸣ラ ⸢ギーバリ⸣ヨー [⸢kun⸣doː ⸢ɸuː⸣ja ⸢naːŋ⸣ʃeːntantiŋ ki⸢mu⸣dareː ⸢sandoː⸣ʃi ⸢maː⸣ pu̥⸢su⸣kentiŋ ʔa⸢ri⸣bunda ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢giːbari⸣joː] (今回は果報<良い結果>はなかったが気落ちしないで、もう一度あるから、明日から頑張れよ) 5398 0 0 5186 htmvoc_5398.wav キムダルン ⸣キム ⸣ダルン [⸣kimu ⸣daruŋ] 連 気抜けする。気落ちする。脱力する。意気消沈する。 ウ⸢ブキザ⸣ル ウ⸢チナシ⸣ター ウミ⸢ナーク⸣ シ⸢ティ⸣ キ⸢ム⸣ダリ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔu⸢bukiʣa⸣ru ʔu⸢ʧinaʃi̥⸣taː ʔumi⸢naːku⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ki⸢mu⸣dari ⸢ʃiːnaː⸣nu] (大きな祭り行事を打ち済ませたらほっとして<安心して>気抜けしてしまったよ) 5399 0 0 5187 htmvoc_5399.wav キムチ キ⸢ムチ [ki⸢muʧi] 名 気持ち。心地。シ⸢ムチ[ʃi⸢muʧi]ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ウタ シ⸢キバル⸣ メー ⸢イー キムチ⸠ツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔuta ʃi̥⸢kibaru⸣ meː ⸢ʔiː kimuʧi⸠ʦoː] (その人の話を聞けば<ぞ>もう、実にいい気持ちなんだよ)。 キ⸢ムチヌサーギ⸣ <キ⸢ム⸣ヌサーギ> アルカー ノー⸢ン⸣ ナルン [ki⸢muʧinusaːgi⸣ ʔarukaː noː⸢n⸣ naruŋ] (気持ち<意欲>がさえあれば人は何でもできる)。老年層は、単に⸣キム[⸣kimu](肝{EOS}心)ともいう。 ⸣ムヌ ア⸢タラ⸣サ ⸢スー⸣ キ⸢ムチヌ ナー⸣ヌ [⸣munu ʔa⸢tara⸣sa ⸢suː⸣ ki⸢muʧinu naː⸣nu] (物を惜しむ<大事にする{EOS}可愛がる{EOS}勿体無いと思う>気持ちが無い) 5424 0 0 5188 htmvoc_5424.wav キムトゥラリン ⸣キム トゥ⸢ラ⸣リン [⸣kimu tu⸢ra⸣riŋ] 連 心を奪われる。あることがらに夢中になる。あることに魅せられる。 ク⸢レー⸣ シ⸢バヤーミドゥム⸣ナー ⸣キモー トゥ⸢ラ⸣リティ シ⸢バヤーカユイバ シー ピッ⸣チン ⸢ヤー ガカラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ʃi⸢bajaːmidumu⸣naː ⸣kimoː tu⸢ra⸣riti ʃi⸢bajaːkajuiba ʃiː pit⸣ʧiɲ ⸢jaː gakara⸣nu] (この人は芝居女に心奪われて、芝居小屋通いをしてちっとも家にいない<家に留まることがない>) 5400 0 0 5189 htmvoc_5400.wav キムトゥルン キ⸢ム⸣ トゥルン [ki⸢mu⸣ turuŋ] 連 機嫌をとる。気に入るようにする。 ッ⸢ふァヌ⸣ キ⸢ム⸣ トゥルンティ イ⸢ル⸣ジナムヌバ ⸢カイオー⸣レーンドゥ ⸢ミームタイ⸣ヤーンツァン サ⸢ヌ [f⸢fanu⸣ ki⸢mu⸣ turunti ʔi⸢ru⸣ʤinamunuba ⸢kaiʔoː⸣reːndu ⸢miːmutai⸣jaːnʦan sa⸢nu] (子供の機嫌を取ろうと、いろいろな物を買ってこられたが、見向きすらしない) 5598 0 0 5190 htmvoc_5598.wav キムドンドンスン ⸣キム ⸣ドンドン ⸢スン [⸣kimu ⸣dondon ⸢suŋ] 連 胸<心臓>がドキドキする。 ツ⸢ゲー ドゥー⸣ヌ ⸢バン⸣ヌ ⸣クーカヤーティ ⸣ウムーカ ⸣キムドンドン ⸢シース [ʦu⸢geː duː⸣nu ⸢ban⸣nu ⸣kuːkajaːti ⸣ʔumuːka ⸣kimu ⸣dondoŋ ⸢ʃiːsu] (次は自分の順番が来るかと思うと胸がどきどきするよ) 5455 0 0 5191 htmvoc_5455.wav キムナーカカルン キ⸢ム⸣ナー カ⸢カ⸣ルン [ki⸢mu⸣naː kḁ⸢ka⸣ruŋ] 連 気にかかる。心から離れず心配である。 ⸢タンガッふァ⸣バ タ⸢ベー⸣ パ⸢ラ⸣シティ ウ⸢ヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ キ⸢ム⸣ナー カ⸢カリ⸣ル シ⸢グトゥン⸣ シ⸢ララン⸣ツォー [⸢taŋgaffa⸣ba ta⸢beː⸣ pa⸢ra⸣ʃi̥ti ʔu⸢nu⸣ ku⸢tu⸣nu ki⸢mu⸣naː ka⸢kari⸣ru ʃi⸢gutuŋ⸣ ʃi⸢raran⸣ʦoː] (一人っ子を旅に行かせて、そのことが心配で心から離れず仕事も出来ないそうだ) 5457 0 0 5192 htmvoc_5457.wav キムナースマルン キ⸢ム⸣ナー ス⸢マルン [ki⸢mu⸣naː su⸢maruŋ] 連 心に染みる。肝に銘ずる。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムネー キ⸢ム⸣ナー ス⸢マリティ バシキララヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muneː ki⸢mu⸣naː su⸢mariti baʃi̥kiraranu] (親の言葉が心に染み付いて忘れられない)。 キ⸢ム⸣ナー ス⸢ミリ [ki⸢mu⸣naː su⸢miri] (肝に刻み込みなさい<肝に染めよ>) 5413 0 0 5193 htmvoc_5413.wav キムナーヌ ⸣キム ⸢ナー⸣ヌ [⸣kimu ⸢naː⸣nu] 連 興味関心がない。その気がない。心がない。愛情が無い。⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ[⸣kimoː ⸢naː⸣nu](愛情が無い{EOS}関心がない)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ シ⸢グトゥ⸣ナー ⸢ナン⸣ゾー ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʃi⸢gutu⸣naː ⸢nan⸣ʣoː ⸣kimu ⸢naː⸣nu] (この人は、仕事にはあまり興味関心がない<情熱がない>)。 ⸣キモー ⸢ナーン⸣ シ⸢グトー⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [⸣kimoː ⸢naː⸣ŋ ʃi⸢gutoː⸣ su⸢na⸣joː] (情熱のこもらない仕事はするなよ)。 ウ⸢レー ピッ⸣チン ッ⸢ふァ⸣ナー ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː pit⸣ʧiŋ f⸢fa⸣naː ⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (彼はちっとも子供に愛情が無い<子供を愛しない>) 5401 0 0 5194 htmvoc_5401.wav キムナガーン キ⸢ムナガー⸣ン [ki⸢munagaː⸣ŋ] 形 呑気である。気が長い。辛抱強い。 キ⸢ムナガー⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ギマーシェー⸣ティル シゥ⸢カウ⸣ダー [ki⸢munagaː⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢gimaːʃeː⸣tiru sï̥⸢kau⸣daː] (呑気な人は\ruby{急}{セ}きたて追廻しながら使うものだよ)。 ア⸢スン⸣ケン キ⸢ムナガー ナー⸣ヌ [ʔa⸢suŋ⸣keŋ ki⸢munagaːnaː⸣nu] (それほど\ruby{呑気}{ノン|キ}でない)。 キ⸢ムナガー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ki⸢munagaː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (呑気すぎて使えない)。 イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムナガー⸣ン [ʔik⸢kena⸣ ki⸢munagaː⸣ŋ] (非常に呑気である)。 ⸣アイニ キ⸢ムナガー⸣カー シゥ⸢カーラヌ [⸣ʔaini ki⸢munagaː⸣kaː sï̥⸢kaːranu] (あんなに呑気だったら使う<働かせる>ことはできない)。 ウ⸢レー⸣ キ⸢ムナガー⸣ンダ プ⸢ストゥヌ⸣ ヤ⸢クスク⸣ マ⸢ムラ⸣ン ⸣クトゥン ⸣アン [ʔu⸢reː⸣ ki⸢munagaː⸣nda pu̥⸢sutunu⸣ ja⸢kusu̥ku⸣ ma⸢mura⸣ŋ ⸣ku̥tuŋ ʔaŋ] (彼は呑気物だから他人との約束を守らないこともある) 5337 0 0 5195 htmvoc_5337.wav キムヌアン キ⸢ム⸣ヌ ⸣アン [⸣kimu ʔaŋ] 連 気がある。愛情がある。関心がある。意欲がある。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ スン⸣ティ ⸢スー⸣ キ⸢ム⸣ヌ ⸣アンユー ⸢トゥイ⸣ シ⸢キ⸣ミリ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu sun⸣ti ⸢suː⸣ ki⸢mu⸣nu ⸣ʔaɲjuː ⸢tui⸣ ʃi̥⸢ki⸣miri] (この仕事をしよう<する>という気があるか、問い尋ねて<聞いて>みれ) 5607 0 0 5196 htmvoc_5607.wav キムヌウムティン キ⸢ム⸣ヌ ウ⸢ム⸣ティン [ki⸢mu⸣nu ʔu⸢mu⸣tiŋ] 連 心に思うことも。「肝に思っても」の転化したもの。/~ヌチヌ アリワドゥ チムヌ ウムティン ククルヌ アルティン ジュージュー サマザマ カナワティ イカリサ~/(~命があればこそ、胸に願っていることも、心に思うことも重ね重ね幾重にも適えさせていけるものだ~)「鳩間口説」 5406 0 0 5197 htmvoc_5406.wav キムヌカル キ⸢ムヌカ⸣ル [ki⸢munuka⸣ru] 名 心残り。未練に思うこと。残念に思うこと。 カ⸢クビチ⸣ キ⸢ムヌカ⸣ロー ⸢ナー⸣ヌンドゥ ブ⸢ネーヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トー⸣カキ シ⸢ミ オーシユサンタ⸣ ク⸢トゥ⸣ル キ⸢ムヌカ⸣ル ナリ⸢ブー [kḁ⸢kubiʧi⸣ ki⸢munuka⸣roː ⸢naː⸣nundu bu⸢neːnu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢toː⸣kaki ʃi⸢mi ʔoːrasan⸣ta ku⸢tu⸣ru ki⸢munuka⸣ru nari⸢buː] (格別心残りはないが、母親の米寿の誕生祝いをして差し上げられなかったことが心残りだ) 5608 0 0 5198 htmvoc_5608.wav キムヌシンジ キ⸢ム⸣ヌ ⸢シン⸣ジ [ki⸢mu⸣nu ⸢ʃin⸣ʤi] 連 心底よりの信仰。本心からの信仰。 キ⸢ム⸣ヌ ⸢シンジ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ⸢カンプトゥ⸣ケーヌ ⸢ニンガイ⸣ヤ トゥ⸢ドゥカ⸣ヌ [ki⸢mu⸣nu ⸢ʃinʤi⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸢kampu̥tu⸣keːnu ⸢niŋgai⸣jaː tu⸢duka⸣nu] (心底よりの信仰が無いと神仏への願いは届かない) 5407 0 0 5199 htmvoc_5407.wav キムヌソー キ⸢ム⸣ヌ ⸢ソー [ki⸢mu⸣nu ⸢soː] 連 心配事。「心の心配<世話。さう。左右>」の義か。あれこれ心配して心を砕く意。 ッ⸢ふァムチェー⸣ イッ⸢チン ナッ⸣タンティン キ⸢ム⸣ヌ ⸢ソーカーニル⸣ アル キ⸢ム⸣ヌ ⸣ユリテー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢famuʧeː⸣ ʔit⸢ʧin nat⸣tantiŋ ki⸢mu⸣nu ⸢soːkaːniru⸣ ʔaru ki⸢mu⸣nu ⸣juriteː ⸢naː⸣nu] (子持ちは何時になっても心配事だけだ{EOS}心配事からの開放される<心を緩める{EOS}安心すること>ことはない) 5408 0 0 5200 htmvoc_5408.wav キムヌタダリスク キ⸢ム⸣ヌ タ⸢ダリ⸣スク [ki⸢mu⸣nu ta⸢dari⸣su̥ku] 連 断腸の思いをするほど。胸が\ruby{爛}{タダ}れ焦がれるほど。「肝が爛れるほど」の義。 ブ⸢ラーン⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ キ⸢ム⸣ヌ タ⸢ダリ⸣スク ⸣ウムイ ナ⸢クタンティン⸣ ム⸢ドゥ⸣リ ⸢クー⸣ヌ [bu⸢raːŋ⸣ f⸢fanu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ki⸢mu⸣nu ta⸢dari⸣su̥ku ⸣ʔumui na⸢kutantim⸣ mu⸢du⸣ri ⸢kuː⸣nu] (亡くなった子供の事を胸が爛れるほど思い、泣き暮らしても戻って来ない) 5411 0 0 5201 htmvoc_5411.wav キムヌッふァ キ⸢ムヌ⸣ ッふァ [ki⸢munu⸣ ffa] 連 \ruby{寵愛}{チョウ|アイ}している子。心から愛している子。 サ⸢ク⸣シェーヤ ⸣アトゥトゥリ ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢ナ⸣サ ⸢ソール⸣ヌ キ⸢ムヌ⸣ ッふァーヤ ジ⸢ナンドゥ⸣ ヤ⸢ル [sḁ⸢ku⸣ʃeːja ⸣ʔatuturi ja⸢runda⸣ ka⸢na⸣sa ⸢soːru⸣nu ki⸢munu⸣ ffaːja ʤi⸢nandu⸣ ja⸢ru] (長男は跡取りだから可愛がられるが、寵愛しているのは次男だ) 5609 0 0 5202 htmvoc_5609.wav キムヌッふァ キ⸢ムヌ⸣ッふァ [ki⸢munu⸣ffa] 名 最愛の子。心底から可愛がっている子。 ⸢アー⸣ヤ キ⸢ムヌッふァ⸣ヌ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢カイ⸣リケーティ イッ⸢ケナ⸣ サ⸢ニヤ シーオー⸣ル [⸢ʔaː⸣ja ki⸢munuf⸣fanu ʔu⸢ki⸣naːra ⸢kai⸣rikeːti ʔik⸢kena⸣ sa⸢nija ʃiːʔoː⸣ru] (お父さんの最愛の子が沖縄から帰ってきたので、非常に喜んでおられる) 5610 0 0 5203 htmvoc_5610.wav キムヌドゥムノーミル キ⸢ムヌ⸣ドゥ ⸣ムノー ⸣ミル [ki⸢munu⸣du ⸣munoː ⸣miru] 連 心が物を見る。見ようという気持ちがあるからこそ見ることが出来るのだ。 キ⸢ムヌ⸣ドゥ ⸣ムノー ⸣ミル キ⸢ム⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢アッ⸣タンティン ミ⸢リユーサヌ [ki⸢munu⸣du ⸣munoː ⸣miru ki⸢mu⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː mu⸢nu⸣nu ⸢ʔat⸣tantim mi⸢rijuːsa⸣nu] (心<肝>が物を見るのだ{EOS}心が無ければ物があっても見ることは出来ない) 5409 0 0 5204 htmvoc_5409.wav キムヌヌビ キ⸢ム⸣ヌ ⸣ヌビ [ki⸢mu⸣nu ⸣nubi] 連 耐え忍んで許すこと。\ruby{寛大}{カン|ダイ}に許すこと。怒りを堪えること。 ⸣アイニ プ⸢スン⸣ イ⸢ジフザレー⸣ティン ⸢クン⸣ゾー ン⸢ザサ⸣ヌ イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ム⸣ヌ ヌ⸢ビ⸣ヌ ⸣アル プ⸢ス⸣ダー [⸣ʔaini pu̥⸢suŋ⸣ ʔi⸢ʤiɸuʣareː⸣tiŋ ⸢kun⸣ʣoː ʔn⸢ʣasa⸣nu ʔik⸢kena⸣ ki⸢mu⸣nu nu⸢bi⸣nu ⸣ʔaru pu̥⸢su⸣daː] (あんなに他人に叱りとばされても腹を立て<立腹し>ない{EOS}非常に耐え忍んで許すことのできる人だよ) 5611 0 0 5205 htmvoc_5611.wav キムヌバザールン キ⸢ム⸣ヌ バ⸢ザールン [ki⸢mu⸣nu ba⸢ʣaːruŋ] 連 気がはやる。心が浮き立つ。気持ちが勢いづく。 ⸢サンシンヌ⸣ ウ⸢トゥ⸣ ス⸢ク⸣カー キ⸢ム⸣ヌ バ⸢ザーリティ トゥンタティ⸣ ブ⸢ドゥル シース [⸢saŋʃinnu⸣ ʔu⸢tu⸣ si̥⸢ku⸣kaː ki⸢mu⸣nu ba⸢ʣaːriti tuntati⸣ bu⸢duru ʃiːsu] (三線の音を聞くと心が浮き立って、飛び出て躍りだす<踊りをする>) 5612 0 0 5206 htmvoc_5612.wav キムヌベー キ⸢ムヌベ⸣ー [⸢kimunube⸣ː] 名 呑気な人。気の長い人。のんびり屋。怠け者。キ⸢ムヌビ⸣ムヌ[ki⸢munubi⸣munu](呑気物{EOS}怠け者)ともいう。 ウ⸢レー⸣ キ⸢ムヌベ⸣ー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ タ⸢ナマ⸣ラヌ [ʔu⸢reː⸣ ki⸢munube⸣ː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ta⸢namara⸣nu] (彼<それ>は呑気な怠け者だから、彼には頼めない) 5410 0 0 5207 htmvoc_5410.wav キムヌベーン キ⸢ムヌベー⸣ン [ki⸢munubeː⸣ŋ] 形 気が長く油断しがちである。悠長で怠惰である。呑気で怠けがちである。「肝・延び・あり」の義。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ キ⸢ムヌベー⸣ンダ ⸣ユー ⸢トゥシ⸣キ シゥ⸢カシェー⸣ティ シゥ⸢カーン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ki⸢munubeː⸣ndaː juː ⸢tuʃi̥⸣ki si̥⸢kaʃeː⸣ti sï̥⸢kaːŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (この人は呑気で怠惰だから、よく言いつけて使用しないといけないよ)。 ⸢キムヌベ⸣ー ⸢ナーン⸣シェンドゥ ⸢シンダイ キムヌベー⸣ ナリキー ⸢ナー⸣ヌ/ ⸣アイニ ⸢キ⸢ムヌベー⸣ プ⸢ソー⸣ タ⸢ナム⸣ナ [⸢kiːnube⸣ː ⸢naːŋ⸣ʃendu ⸢ʃindai kiːnubeː⸣ narikiː ⸢naː⸣nu/ ⸣ʔaini ⸢kiːnubeː⸣ pu̥⸢soː⸣ ta⸢namu⸣na] (呑気で油断しがちはなかったが次第に呑気になって怠けるようになってしまった{EOS}あんなに呑気で怠惰な人は頼むな) 5613 0 0 5208 htmvoc_5613.wav キムヌベーン ⸢キムヌベー⸣ン [ki⸢munubeː⸣ŋ] 形 呑気で油断しがちである。「肝延びさあり」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ キ⸢ムヌベー⸣ンダ ⸣ユー ⸢トゥシ⸣キ ギ⸢チ シェー⸣ティ シゥ⸢カイ⸣ヨー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ki⸢munubeː⸣nda ⸣juː ⸢tuʃi̥⸣ki gi⸢ʧi ʃeː⸣ti si̥⸢kai⸣joː] (この子は呑気で油断しがちだから、よく注意して指図しながら使いなさいよ)。 キ⸢ムヌベーナー⸣ヌ [ki⸢munubeː naː⸣nu] (呑気ではない)。 キ⸢ムヌベー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ki⸢munubeː⸣nu si̥⸢kaːranu] (呑気すぎて使えない)。 ⸣アイニ キ⸢ムヌベー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ki⸢munubeː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのように呑気で油断しがちな人はいない) 5412 0 1 5209 htmvoc_5412.wav キムヌユリ キ⸢ムヌ⸣ ユリ [ki⸢munu⸣ juri] 連 {Mn_1}油断。「心の緩み」の義。 イ⸢ガメー⸣ ン⸢ジ⸣ルカー キ⸢ムヌ⸣ユレー ティ⸢キ⸣ダー [ʔi⸢gameː⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ki⸢munu⸣ jureː ti̥⸢ki⸣daː] (烏賊釣り漁に出たら油断は禁物<敵>だよ)。 5412 0 2 5210 htmvoc_5412.wav キムヌユリ キ⸢ムヌ⸣ ユリ [ki⸢munu⸣ juri] 連 {Mn_2}安心。心を許すこと。 ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダティ⸣バナー キ⸢ム⸣ヌ ⸣ユリティ ⸢スー ムノー ナーン⸣シェン [f⸢fa⸣ su⸢dati⸣banaː ki⸢mu⸣nu ⸣juri ⸢suː munoː naːŋ⸣ʃeŋ] (子育ての最中<最盛期>には安心などと言うものはなかった) 5414 0 0 5211 htmvoc_5414.wav キムノーシ キ⸢ムノー⸣シ [ki⸢munoː⸣ʃi] 名 機嫌直し。気晴らし。 ⸢イー⸣ユン ッ⸢ふァイ⸣ サ⸢キン⸣ ヌミティ キ⸢ムノー⸣シ ⸢シー⸣バ [⸢ʔiː⸣juŋ f⸢fai⸣ sḁ⸢kin⸣ numiti ki⸢munoː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ba] (ご飯も食べ、酒も飲んで機嫌直しをしなさいよ) 5402 0 0 5212 htmvoc_5402.wav キムノースン ⸣キム ⸢ノー⸣スン [⸣kimu ⸢noː⸣suŋ] 連 機嫌を直す。相手の気分や感情を良くする。 ッ⸢ふァヌ⸣ キム ⸢ノー⸣スンティ ⸢コー⸣シ ⸢カイ クー⸣タ [f⸢fanu⸣ kimu ⸢noː⸣sunti ⸢koː⸣ʃi ⸢kai kuː⸣ta] (子供の機嫌を直そう<機嫌をとろう>として、お菓子を買ってきた)。 イ⸢ザリティ ニッ⸣ターン パジ⸢ダー⸣ヌ ク⸢リ⸣シ サ⸢キン⸣ノーン ⸣ヌミ ⸣キム ⸢ノー⸣シティ パ⸢タラキ⸣バ⸢ヨー [ʔi⸢ʣariti nit⸣taːm paʤi⸢daː⸣nu ku⸢ri⸣ʃi sḁ⸢kin⸣noːm ⸣numi ⸣kimu ⸢noː⸣ʃi pḁ⸢taraki⸣ba⸢joː] (叱られて妬ましくもあるだろうが、これで酒でも飲んで機嫌を直して、働きなさいねえ) 5403 0 0 5213 htmvoc_5403.wav キムノールン ⸣キム ⸢ノー⸣ルン [⸣kimu ⸢noː⸣ruŋ] 連 機嫌がなおる。機嫌をとる。相手の気分や感情が良くなる。 ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァース⸣カー ⸣キム ⸢ノー⸣ルンカヤー [ʔm⸢maː⸣munu f⸢faːsu⸣kaː ⸣kimu ⸢noː⸣ruŋkajaː] (美味しいのを食べさせたら機嫌は直るかねえ) 5417 0 0 5214 htmvoc_5417.wav キムバカーン キ⸢ムバカー⸣ン [ki⸢mubakaː⸣ŋ] 形 胸がむかむかするさま。吐き気をもよおす。胃がむかつく。 ウ⸢ヌ⸣ カ⸢ザ⸣ カ⸢ブ⸣カー キ⸢ムバカー⸣ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢nu⸣ ka⸢ʣa⸣ ka⸢bu⸣kaː ki⸢mubakaː⸣ na⸢ri⸣su] (その匂いを嗅ぐと吐き気をもよおす)。 キ⸢ムバカ⸣ー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mubaka⸣ː ⸢naː⸣nu] (胸はむかむかしない)。 キ⸢ムバカー⸣ンドゥ ニ⸢ジ⸣ル ⸢ベー⸠ダー [ki⸢mubakaː⸣ndu ni⸢ʤi⸣ru ⸢beː⸠daː] (吐き気をもよおすが、我慢して<念じて>いるんだよ)。 キ⸢ムバカー⸣ ピンマー [ki⸢mubakaː⸣ pimmaː] (胸がむかむかする時は)。 ⸣ドゥク キ⸢ムバカー⸣カー ⸣パキバ [⸣duku ki⸢mubakaː⸣kaː ⸣pḁkiba] (あまりにも吐き気をもよおすなら吐きなさいよ) 5419 0 0 5215 htmvoc_5419.wav キムバクン ⸣キム バ⸢クン [⸣kimu ba⸢kuŋ] 連 心が勇み立つ。気力が奮い立つ。嬉しくなる。勢い込む。心がはずんで落ち着かない。「肝が沸く<発酵する。盛んに起る>」の義。⸣キモー バ⸢クン[⸣kimoː ba⸢kuŋ](心は勇み立つ)ともいう。 プ⸢スン⸣ フ⸢ミラリ⸣ター ⸣キモー バ⸢キティ⸣ ブ⸢ドゥルン⸣ ノー⸢ン シーンギサーッ⸣タ [pu̥⸢suŋ⸣ ɸu⸢mirarit⸣taː ⸣kimoː ba⸢kiti⸣ bu⸢durun⸣ noː⸢ŋ ʃiːŋgisaːt⸣ta] (他人に誉められて心が勇み立ち、踊りでも何でもやりそうだった) 5420 0 0 5216 htmvoc_5420.wav キムバザールン ⸣キム バ⸢ザールン [⸣kimu ba⸢ʣaːruŋ] 連 せい<急い>て気をもむ。いらだつ。怒る。「肝が勢いづく」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニン シゥ⸢カムティ⸣ ア⸢サビマール シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク シ⸢ナタ⸣ ミリティ ⸣キモー バ⸢ザーリドゥ オー⸣ル [ʔu⸢ja⸣nu ⸣munin sï̥⸢kamuti⸣ ʔa⸢sabimaːru ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku ʃi⸢nata⸣ miriti ⸣kimoː ba⸢ʣaːridu ʔoː⸣ru] (親のいうことも聞かずに遊びまわっている姿を見て気がいらだって<怒って>おられる) 5614 0 0 5217 htmvoc_5614.wav キムバムトゥン キ⸢ム⸣バ ⸣ムトゥン [ki⸢mu⸣ba ⸣mutuŋ] 連 心がける。思って行動する。 ⸣アイブ キ⸢ム⸣バ ⸣ムテー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ki⸢mu⸣ba ⸣muteː na⸢ra⸣nu] (あのような気持ちを持ってはならない<あんな心を持って行動すること>は良くない) 5416 0 0 5218 htmvoc_5416.wav キムパヤーン キ⸢ムパヤー⸣ン [ki⸢mupajaː⸣ŋ] 形 気が早い。 キ⸢ムパヤー⸣ンダー ⸣バー ア⸢ザン⸣ケンナー キ⸢サーティ⸣ キ⸢ミ⸣シケー [ki⸢mupajaː⸣ndaː ⸣baː ʔa⸢ʣaŋ⸣kennaː kisaː⸢ti⸣ ki⸢mi⸣ʃi̥keː] (気が早いから、私が言わないうちに既に決めてある)。 キ⸢ムパヤ⸣ー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mupaja⸣ː ⸢naː⸣nu] (気が早くない)。 ⸣ドゥク キ⸢ムパヤー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duku ki⸢mupajaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (あまりにもせっかちで<気が早くて>\ruby{堪}{タマ}らない)。 ⸣アイニ キ⸢ムパヤー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ki⸢mupajaː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなにせっかちな<気の早い>人はいない) 5421 0 0 5219 htmvoc_5421.wav キムパリルン ⸣キム パ⸢リ⸣ルン [⸣kimu pa⸢ri⸣ruŋ] 連 気が晴れる。心が晴れる。心のわだかまりが解けてさわやかになる。 キ⸢ム⸣ウチナー ウ⸢ムイ⸣ル ⸣クトゥ ムー⸢ル⸣ アジ ッ⸢サル⸣カー ⸣キモー パ⸢リ⸣ルン⸢ダー [ki⸢mu⸣ʔuʧinaː ʔu⸢mui⸣ru ⸣ku̥tu muː⸢ru⸣ ʔaʤi s⸢saru⸣kaː ⸣kimoː pa⸢ri⸣run⸢daː] (心に思っている事を総て申し上げたら気が晴れてさっぱりするよ) 5434 0 0 5220 htmvoc_5434.wav キムピーチ キ⸢ムピー⸣チ [ki⸢mupiː⸣ʧi] 名 心を一つにすること。心を合わせること。 ム⸢ラズー⸣ キ⸢ムピー⸣チ ⸣ナリ ニガイ ⸢オー⸣ラ [mu⸢raʣuː⸣ ki⸢mupiː⸣ʧi ⸣nari ⸣nigai ⸢ʔoː⸣ra] (村中の人が心を一つにして祈願しましょう)。/ユスヌ カミガナシ キムピーチ ムスビョーリ/ハーリ アミタボリ リューガナシ/(四方の神様 心を一つに結んで下さい{EOS}ハーリ<囃子>雨をお恵み下さい、竜神さま )「雨乞い歌 『鳩間島古典民謡古謡集』」 5425 0 0 5221 htmvoc_5425.wav キムピーラスン ⸣キム ⸢ピーラ⸣スン [⸣kimu ⸢piːra⸣suŋ] 連 感情を落ち着かせる。心を落ち着かせる。 イ⸢ザリタ イットゥ⸣ケー ⸢ニッ⸣ふァータンドゥ ⸣キム ⸢ピーラ⸣シティ ⸣ウムーカー ア⸢ゾー⸣ル ⸢トゥール⸣ユン [ʔi⸢ʣarita ʔittu⸣keː ⸢nif⸣faːtandu⸣kimu ⸢piːra⸣ʃi̥ti ⸣ʔumuːkaː ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸢tuːru⸣juŋ] (叱られた一時は憎かったが、心を落ち着かせて考えると、言われる通りだよ) 5615 0 0 5222 htmvoc_5615.wav キムピキ キ⸢ム⸣ピキ [ki⸢mu⸣pi̥ki] 名 贔屓。「肝引き」の転訛したもの。個人的感情で<心情的に、気分的に>気に入った者を特別に援助すること。私的関係で後援すること。 ⸣ドゥーマーラヌ ッ⸢ふァン⸣ケー ⸢タン⸣ガ キ⸢ム⸣ピキ ⸢サンドー⸣シ ムー⸢ル⸣ マー⸢タキナー⸣ バキ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣duːmaːranu f⸢faŋ⸣keː ⸢taŋ⸣ga ki⸢mu⸣pi̥ki ⸢sandoː⸣ʃi muː⸢ru⸣ maː⸢takinaː⸣ baki f⸢faːʃi⸣ba] (身内<自分の周り>の子供たちだけを\ruby{贔屓}{ヒイ|キ}しないで、みんなに同等に分けて食べさせなさい)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スバ⸣ ナー⸢イ⸣ キ⸢ム⸣ピキ ⸢シー ベー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢suba⸣ naː⸢i⸣ ki⸢mu⸣pi̥ki ⸢ʃiː beː] (この人をただえこひいきしている)。 キ⸢ム⸣ピキ ⸢スン [ki⸢mu⸣pi̥ki ⸢suŋ] (\ruby{贔屓}{ヒイ|キ}する) 5429 0 0 5223 htmvoc_5429.wav キムビシルン ⸣キム ビ⸢シルン [⸣kimu bi⸢ʃiruŋ] 連 落ち着かせる。度胸を据えさせる<座らせる>。 ⸣キム ビ⸢シルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ プ⸢スヌ⸣ マンター ン⸢ジ⸣ルカー ⸣キム ビ⸢シラランバン [⸣kimu bi⸢ʃirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du pu̥⸢sunu⸣ mantaː ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣kimu bi⸢ʃirarambaŋ] (己を落ち着かせようと思うんだが、人前に出ると落ち着けないわい) 5427 0 0 5224 htmvoc_5427.wav キムピダティ キ⸢ムピダ⸣ティ [ki⸢mupida⸣ti] 名 心隔て。睦みあわないこと。心が打ち解けないこと。 ユ⸢ヌ⸣ シマプスル ヤ⸢ル⸣ キ⸢ムピダ⸣ティ ⸢ソーラン⸣ドーシ アチー⸢アチー⸣ ピライ ッ⸢ふォー⸣リ [ju⸢nu⸣ ʃimapu̥suru ja⸢ru⸣ ki⸢mupida⸣ti ⸢soːran⸣doːʃi ʔaʧiː⸢ʔaʧiː⸣ pirai f⸢foː⸣ri] (同じ島出身の人間です{EOS}心隔てなさらずに親密に交際して下さい) 5433 0 0 5225 htmvoc_5433.wav キムピダミ キ⸢ムピダ⸣ミ [ki⸢mupida⸣mi] 名 心隔て。かたびいき。\ruby[g]{依怙贔屓}{エコヒイキ}。睦みあわないこと。打ち解けない心。 キ⸢ムピダ⸣ミ ⸢サンドー⸣シル ⸣ピライケー シ⸢ムル⸣ ヤ⸢タンドゥ⸣ カ⸢タ⸣ピキティ ウ⸢モー⸣リ ブ⸢レー⸣バン [ki⸢mupida⸣mi ⸢sandoː⸣ʃiru ⸣piraikeː ʃi⸢muru⸣ ja⸢tandu⸣ kḁ⸢ta⸣pikiti ʔu⸢moː⸣ri bu⸢reː⸣baŋ] (心隔てしないで付き合ってきたつもりであったが、依怙贔屓と思われていたんだわい) 5435 0 0 5226 htmvoc_5435.wav キムピャーンガルン ⸣キム ⸢ピャーン⸣ガルン [⸣kimu ⸢pjaːŋ⸣garuŋ] 連 びっくり仰天する。肝を\ruby{潰}{ツブ}す。「肝<が>飛び上がる<跳ね上がる>」の義。 ッ⸢ふァヨーンサーリ⸣ ミ⸢チ⸣ナー ウ⸢リトゥ⸣ ガッ⸢ふァティ ゲーサイティ⸣ キム ⸢ピャーン⸣ガリ⸢ベー⸣タ [f⸢fajoːnsaːri⸣ mi⸢ʧi⸣naː ʔu⸢ritu⸣ gaf⸢fati geːsaiti⸣ kimu ⸢pjaːŋ⸣gari ⸢beː⸣ta] (暗闇でその人とばったりでくわし<出会わし>てびっくり仰天して<肝が跳ね上がって>いたよ) 5422 0 0 5227 htmvoc_5422.wav キムピラケーン キ⸢ムピラ⸣ケーン [ki⸢mupira⸣keːŋ] 形 怖い。危険を感じて背筋が寒くなる。恐怖感でひやりとする。肝を冷やす。高所から見下ろした時など、恐怖感でぞっとする。「肝涼しい」の義。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢カン⸣スル ム⸢タ⸣ビ ⸢ベー⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムピラケー⸣ヌ ⸣ミリ ブ⸢ララヌ [ja⸢rabi⸣nu ⸢kan⸣suru mu⸢ta⸣bi ⸢beː⸣munu ⸣mirukaː ki⸢mupirakeː⸣nu ⸣miri bu⸢raranu] (子供が剃刀をいじって<\ruby{弄}{モテアソ}んで>いるのを見ると、ぞっとするような恐怖感で、怖くて見ておれない)。 キ⸢ムピラ⸣ケー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mupira⸣keː ⸢naː⸣nu] (怖くない)。 ⸢ヤー⸣ヌ ティ⸢ジ ヌール⸣カー キ⸢ムピラ⸣ケー ⸣ナルン [⸢jaː⸣nu ti⸢ʤi nuːru⸣kaː ki⸢mupira⸣keː ⸣naruŋ] (家の頂きに登ると恐怖感でぞっとする)。 ⸢キーヌ パン⸣ター ⸢ヌール⸣カー キ⸢ムピラ⸣ケーン [⸢kiːnu pan⸣taː ⸢nuːru⸣kaː ki⸢mupira⸣keːŋ] (木のてっぺんに登るとぞっとして背筋が寒くなるほど怖い)。 キ⸢ムピラ⸣ケーカー ⸣ウリバ [ki⸢mupira⸣keːkaː ⸣ʔuriba] (恐怖感でぞっとするようだったら降りなさい) 5428 0 0 5228 htmvoc_5428.wav キムビルン ⸣キム ビ⸢ルン [⸣kimu bi⸢ruŋ] 連 落ち着く。度胸がある。「肝が座る」の義。 ウ⸢レー⸣ キモー ビ⸢リブンダ ターン⸣ ノー⸢ンティ⸣ ア⸢サバン⸣ ウ⸢バウムノー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ kimoː bi⸢ribunda taːn⸣ noː⸢nti⸣ ʔa⸢ʣabaŋ⸣ ʔu⸢bau munoː naː⸣nu] (その人は肝が座っていて度胸があるから、誰が何と言おうと怖がるものはない) 5430 0 0 5229 htmvoc_5430.wav キムフク キ⸢ム⸣フク [ki⸢mu⸣ɸuku] 名 心。「肝・肺」の義。 キ⸢ム⸣フク ⸢ピー⸣チ ⸣ナシ [ki⸢mu⸣ɸu̥ku ⸢piː⸣ʧi ⸣naʃi] (心を一つにせよ) 5431 0 0 5230 htmvoc_5431.wav キムフクレー キムフク⸢レー [kimuɸu̥ku⸢reː] 感 まー汚い。なんと汚いことか。 キムフク⸢レー⸣ アイブ ⸣ムヌ ッ⸢ふァーリン⸠トゥー [kimuɸu̥ku⸢reː⸣ ʔaibu ⸣munu f⸢faːrin⸠tuː] (まー汚い{EOS}あんなものが食べられるか) 5432 0 0 5231 htmvoc_5432.wav キムフクレーン キ⸢ムフク⸣レーン [ki⸢muɸu̥ku⸣reːŋ] 形 汚い。汚らしい。穢い。けがらわしい。 ウ⸢レー サッ⸣コー キ⸢ムフク⸣レーン [ʔu⸢reː sak⸣koː ki⸢muɸu̥ku⸣reːŋ] (それは非常に汚い)。 キ⸢ムフクレー⸣ヌ カ⸢サマラヌ [ki⸢muɸu̥kureː⸣nu kḁ⸢samaranu] (汚くて掴めない)。 キ⸢ムフク⸣レー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢muɸu̥kureː naː⸣nu] (汚くない)。 キ⸢ムフクレー⸣ ムヌ [ki⸢muɸu̥kureː⸣ munu] (汚いもの)。 ⸣アイニ キ⸢ムフク⸣レーカー カ⸢サムナ [⸣ʔaini ki⸢muɸu̥ku⸣reːkaː kḁ⸢samuna] (あんあに汚ければ掴むな) 5436 0 0 5232 htmvoc_5436.wav キムフグン キ⸢ム⸣フグン [ki⸢mu⸣ɸuguŋ] 自動 満足する。納得する。 ⸢ワー⸣ キ⸢ム⸣フグンケン ッ⸢ふァイ⸣ミサン [⸢waː⸣ ki⸢mu⸣ɸuguŋkeŋ f⸢fai⸣ misaŋ] (君が満足するほど食べて良い)。 マ⸢ダ⸣ キ⸢ムフガ⸣ヌ [ma⸢da⸣ ki⸢muɸuga⸣nu] (まだ満足しない)。 キ⸢ム⸣フギティ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キベー [ki⸢mu⸣ɸugiti pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki beː] (満足して話を聞いている)。 キ⸢ム⸣フグ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mu⸣ɸugu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (満足することはない)。 キ⸢ム⸣フゲー ⸣ミサムヌ [ki⸢mu⸣ɸugeː ⸣misamunu] (満足すればいいのに)。 ⸣ウビシ キ⸢ム⸣フギバ [⸣ʔubiʃi ki⸢mu⸣ɸugiba] (これで満足せよ) 5437 0 0 5233 htmvoc_5437.wav キムフグン ⸣キム フ⸢グン [⸣kimu ɸu⸢guŋ] 連 満足する。納得する。⸣キム[⸣kimu](肝)に、フ⸢グン[ɸu⸢guŋ](「ほき<祝き・禱き>{EOS}少名御神<すくなみかみ>の、神<かむ>ほき祝きくるほし」『古事記、歌謡』、「~君がやどにし千年保久等曾<チトセ ホクトゾ>{EOS}万、4289」、「祠、春祭也、保加不<ほかふ>」『新撰字鏡』)が下接した「キモ・ホギ」から転訛したものか。良い結果が出るように、祝いいうことから、「心に引っ掛かるものがなく、すっきりと納得できるようになること。満足して納得できること」へ意味派生したものか。 ⸣キム フ⸢グン⸣ケン ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイミッ⸣タン [⸣kimu ɸu⸢guŋ⸣kem ʔm⸢maː⸣munu f⸢faimit⸣taŋ] (満足するほど美味しいご馳走<もの>を食べたことがある)。 ⸣ウビシェー ⸣キモー フ⸢ガヌ [⸣ʔubiʃeː ⸣kimoː ɸu⸢ganu] (これだけでは満足しない)。 ⸣キム フ⸢グ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kimu ɸu⸢gu⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (満足することはない)。 ⸣キム フ⸢ゲー⸣カー ナ⸢クナ [⸣kimu ɸu⸢geː⸣kaː na⸢kuna] (満足したら泣くな)。 ⸣ウビシ ⸣キム フ⸢ギ [⸣ʔubiʃi ⸣kimu ɸu⸢gi] (これで満足しなさい) 5438 0 0 5234 htmvoc_5438.wav キムフトゥフトゥー ⸣キム フ⸢トゥフトゥー [⸣kimu ɸu̥⸢tuɸutuː] 連 ぶるぶる。がたがた。怒りで心が震えるさま。怒りで震えが抑えられないさま。 ⸣キム フ⸢トゥフトゥー スン⸣ケン イ⸢ザリ ベー⸣タ [⸣kimu ɸu̥⸢tuɸu̥tuː suŋ⸣keŋ ʔi⸢ʣari beː⸣ta] (怒りでぶるぶる震えるほど叱られていた) 5439 0 0 5235 htmvoc_5439.wav キムフラックン ⸣キム フ⸢ラックン [⸣kimu ɸu⸢rakkuŋ] 連 気が晴れる。朗らかになる。心が広々となる。「肝が開く」の義。 シ⸢ラフク⸣リ ⸢シー ベータン⸣ドゥ ウ⸢キ⸣ナー パ⸢ラ⸣スンティ ア⸢ズター⸣ キモー フ⸢ラッキティ⸣ サ⸢ニーサニー⸣シ ⸢ベーン⸣ティ [ʃi⸢raɸu̥ku⸣ri ⸢ʃiːbeːtan⸣du ʔu⸢ki⸣naː pa⸢ra⸣sunti ʔa⸢ʣutaː⸣ kimoː ɸu⸢rakkiti⸣ sa⸢niːsaniː⸣ʃi ⸢beːn⸣ti] (脹れっ面をしていたが沖縄へ行かせると言うと、気が晴れて嬉しそうにしているよ、ほら) 5440 0 0 5236 htmvoc_5440.wav キムブリ キ⸢ム⸣ブリ [ki⸢mu⸣buri] 名 心迷い。心が乱れること。男女が惚れること。 ⸣アイブ ヤ⸢ラ⸣ビナ キ⸢ム⸣ブリ ⸢マーブリバ シェー⸣ティ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー ウイプス⸣ヌ ⸢フージェー ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu ja⸢ra⸣bina ki⸢mu⸣buri ⸢maːburiba ʃeː⸣ti ⸣nuːja ʔu⸢reː ʔuipusu⸣nu ⸢ɸuːʤeː naː⸣nu] (あんな子供<童>に心迷いし、真剣に惚れるなんて何事だそれは{EOS}年寄りのくせに全く体裁が悪い<風情がない>) 5441 0 0 5237 htmvoc_5441.wav キムマイヤン キ⸢ムマイ⸣ヤン [ki⸢mumai⸣jaŋ] 形 大胆である。度胸が大きい。肝っ玉が大きい。「肝が大きい」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ キ⸢ムマイ⸣ヤンダ イッ⸢カ⸣ プ⸢スウバイ⸣ サ⸢ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ki⸢mumai⸣janda ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢suʔubai⸣ sa⸢nu] (ここ子は度胸が大きいから、ちっとも<いっこうに、全く>人\ruby{怖}{オ}じしない)。 キ⸢ムマイ⸣ヤ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mumaijanaː⸣nu] (度胸が大きくない)。 キ⸢ムマイ⸣ヤナルン [ki⸢mumai⸣ja ⸣naruŋ] (度胸が大きくなる)。 キ⸢ムマイ⸣ヤ プ⸢ス [ki⸢mumai⸣ja pu⸢su] (度胸の大きい人)。 キ⸢ムマイ⸣ヤカー [ki⸢mumai⸣jakaː] (度胸が大きければ) 5442 0 0 5238 htmvoc_5442.wav キムミサン キ⸢ム⸣ミサン [ki⸢mu⸣misaŋ] 形 心優しい。気立てが優しい。心根が優しい。キ⸢ムカイ⸣ヤン[ki⸢mukai⸣jaŋ](心が優しい)ともいう。 ウ⸢ヤ⸣キプスティン ウ⸢モーラ⸣ヌ イッ⸢ケン⸣ キ⸢ム⸣ミサン [ʔu⸢ja⸣kipu̥sutiŋ ʔu⸢moːra⸣nu ʔik⸢keŋ⸣ ki⸢mu⸣misaŋ] (金持ちとも思えない、非常に気立てが優しい)。 キ⸢ム⸣ミサー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mu⸣misaː ⸢naː⸣nu] (心優しくない)。 キ⸢ム⸣ミサンギサン [ki⸢mu⸣misaŋgisaŋ] (気立てが優しそうだ)。 キ⸢ム⸣ミサー プ⸢ス [ki⸢mu⸣misaː pu̥⸢su] (心優しい人)。 キ⸢ム⸣ミサカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ki⸢mu⸣misakaː ⸢soːja naː⸣nu] (心が優しければ心配はない) 5443 0 0 5239 htmvoc_5443.wav キムムチムヌ キ⸢ムムチ⸣ムヌ [ki⸢mumuʧi⸣munu] 名 感情を持っているもの。心のあるもの。「肝持ち者」の義。 キ⸢ムムチ⸣ムヌドゥ ヤ⸢ル⸣ アイニ プ⸢スバ⸣ ウ⸢ムイナサリ⸣ラ ⸢ナー [ki⸢mumuʧi⸣munudu ja⸢ru⸣ ʔaini pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢muinasari⸣ra ⸢naː] (感情を持っている者であるのを、あんなにも人を侮り軽んじられ<侮辱できる>るものかね) 5444 0 0 5240 htmvoc_5444.wav キムヤカシッふァ キ⸢ムヤカシ⸣ッふァ [ki⸢mujakaʃi⸣ffa] 名 親の胸を痛ませる子。親の心を悩ませる子。「肝焼かせ子」の義。 ウ⸢ヌスクナー⸣ヌ ⸣ウヤーラン キ⸢ムヤカシッふァ⸣ヌ マ⸢リスバン⸣ ピ⸢ルマ⸣サ [ʔu⸢nusu̥kunaː⸣nu ⸣ʔujaːraŋ ki⸢mujakaʃiffa⸣nu ma⸢risubam⸣ pi⸢ruma⸣sa] (あれほど立派な親からも親の心を悩ませる子が生まれるものだなあ、珍しいことよ) 5445 0 0 5241 htmvoc_5445.wav キムヤクン ⸣キム ヤ⸢クン [⸣kimu ja⸢kuŋ] 連 肝を焼く。心を悩ます。 ッ⸢ふァヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイ ナー⸢イ⸣ キ⸢ム⸣バ ヤ⸢キ⸣ ナ⸢キカザリオー⸣ル [f⸢fanu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸣ʔumui naː⸢i⸣ ki⸢mu⸣ba ja⸢ki⸣ na⸢kikaʣariʔoː⸣ru] (子供のことを思い、ずっと心を悩まして、泣きながら思いの丈を述べ立てておられる) 12299 0 0 5242 htmvoc_12299.wav キムヤッサ キ⸢ムヤッ⸣サ [ki⸢mujas⸣sa] 副 優しくするさま。これが融合変化して、形容詞キ⸢モーッ⸣サン[ki⸢moːs⸣saŋ](気持ちよい)となる。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムヤッ⸣サ ⸢シー⸣ ッ⸢ふォー⸣ルン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ ki⸢mujas⸣sa ⸢ʃiː⸣ f⸢foː⸣run⸢daː] (あの家の人は大変優しくして下さるよ) 5446 0 0 5243 htmvoc_5446.wav キムヤッサン キ⸢ムヤッ⸣サン [ki⸢mujas⸣saŋ] 形 心安い。気がおけない。気づかいしなくてもよい。付き合いやすい。簡単である。 イッ⸢ケン⸣ キ⸢ムヤッ⸣サ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ ソー サン⸣タンティン ⸣ミサン [ʔik⸢keŋ⸣ ki⸢mujas⸣sa pu̥⸢su⸣ ja⸢runda soː san⸣tantim ⸣misaŋ] (大変気のおけない<心安い>人だから、心配しないでも良い)。 ドゥ⸢シン⸣ケー ヤ⸢ルンダ⸣ キ⸢ムヤッ⸣サン [du⸢ʃiŋ⸣keː ja⸢runda⸣ ki⸢mujas⸣saŋ] (友人同士だから気がおけない)。 キ⸢ムヤッ⸣サ プ⸢ス [ki⸢mujas⸣sa pu̥⸢su] (気がおけない人{EOS}付き合いやすい人) 5447 0 0 5244 htmvoc_5447.wav キムヤニヤン キ⸢ムヤニ⸣ヤン [ki⸢mujani⸣jaŋ] 形 意地が悪い。心がきたない。根性が悪い。心根が悪い。「肝汚い」の義。 ウ⸢レー サッ⸣コー キ⸢ムヤニ⸣ヤンダー ウ⸢リンナー⸣ネー タ⸢ナム⸣ナ [ʔu⸢reː sakk⸣koː ki⸢mujani⸣jandaː ʔu⸢rinnaː⸣neː ta⸢namu⸣na] (その人は非常に心がきたないから、その人には頼むな)。キム⸢ヤン⸣ヤン[kimu ⸢jan⸣jaŋ]ともいう。 ⸣アイ ⸢スー⸣スコー キ⸢ムヤニ⸣ヤ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔai ⸢suː⸣su̥koː ki⸢mujani⸣ja ⸢naː⸣nu] (それほど根性悪くない)。 キ⸢ムヤニヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢mujanija⸣nu na⸢ra⸣nu] (根性が悪くてたまらない)。 ⸣アイニ キ⸢ムヤニ⸣ヤ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ki⸢mujani⸣ja pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに心の汚い人はいない)。 キ⸢ムヤニ⸣ヤカー ウ⸢リン⸣トン ⸢パン⸣ナ [ki⸢mujani⸣jakaː ʔu⸢rin⸣tom ⸢pan⸣na] (根性悪ければ彼の所に行くな) 5448 0 0 5245 htmvoc_5448.wav キムヤビルン ⸣キム ヤ⸢ビ⸣ルン [⸣kimu ja⸢bi⸣ruŋ] 連 不愉快にする。感情を害する。機嫌をそこねる。「肝やぶる」の義。 ヤッ⸢トゥ⸣シ キム ⸢ノー⸣シシケー ⸣ムヌバ カ⸢タ⸣ピキ ⸢スー⸣カー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣キム ヤ⸢ビ⸣ルン⸢ダー [jat⸢tu⸣ʃi ⸣kimu ⸢noː⸣ʃiʃi̥keː ⸣munuba kḁ⸢ta⸣pi̥ki ⸢suː⸣kaː ja⸢ra⸣beː ⸣kimu ja⸢bi⸣run⸢daː] (ようやくなだめて機嫌を直して、<取り成して>おいてあるのに、依怙贔屓したら子供は機嫌をそこねるよ)。⸣キム ⸣ヤブン[⸣kimu ⸣jabuŋ](機嫌をそこねる{EOS}感情を害する)ともいう 5449 0 0 5246 htmvoc_5449.wav キムヤマスン ⸣キム ヤ⸢マ⸣スン [⸣kimu ja⸢ma⸣suŋ] 連 胸を痛める。心を痛める。心痛をさせる。「肝病ます」の義。 イ⸢フナー クトゥバ シー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣キム ヤ⸢マ⸣ス ⸣クトゥカー⸢ニル スー⸣ツォー ク⸢ヌ⸣ッ⸢ふァー [ʔi⸢ɸunaː kutuba ʃiː⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣kimu ja⸢ma⸣su ⸣ku̥tukaː⸢niru suː⸣ʦoː ku⸢nu⸣ f⸢faː] (変なことをして、親の心を痛めることだけをしでかす<する>んだよ、この子は)。 アガ⸢ヤー⸣ イ⸢ラザラン⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ キ⸢ム⸣バ ヤ⸢マ⸣シ⸢ナー [ʔaga⸢jaː⸣ ʔi⸢raʣara⸣ŋ ku⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ f⸢fanu⸣ ki⸢mu⸣ba ja⸢ma⸣ʃi⸢naː] (ああ、かわいそうに、余計なことをして子供の胸を痛めてしまって<心を苦しめて>) 5450 0 0 5247 htmvoc_5450.wav キムヤミ キ⸢ム⸣ヤミ [ki⸢mu⸣jami] 名 後悔。心痛。心を痛めること。「肝病み」の義。 ウ⸢ヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ナー⸢イ⸣ キ⸢ム⸣ヤミ ⸢シーベー [ʔu⸢nu⸣ ku̥⸢tu⸣ba naː⸢i⸣ ki⸢mu⸣jami ⸢ʃiːbeː] (そのことを、ずっと後悔している) 5451 0 0 5248 htmvoc_5451.wav キムヤムン キ⸢ム⸣ヤムン [ki⸢mu⸣ jamuŋ] 自動 後悔する。残念がる。悔やむ。悲しむ。心を痛める。「肝が痛む<病む>」の義。 ⸣ジン カ⸢ルンティ オー⸣レームヌ ⸢カイ⸣シ ⸢オーラ⸣スカー ⸣アトー キ⸢ム⸣ヤムン⸢ダー [⸣ʤiŋ ka⸢runti ʔoː⸣reːmunu ⸢kai⸣ʃi ⸢ʔoːra⸣su̥kaː ki⸢mu⸣jamun⸢daː] (お金を借りに来られたのに、断ってお帰ししたら後で後悔するよ)。 ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸢ゴーグ⸣チ シ⸢ティ⸣ キ⸢ム⸣ヤミ ⸢ベー [ʔu⸢jan⸣naːni ⸢goːgu⸣ʧi ʃi̥⸢ti⸣ ki⸢mu⸣jami ⸢beː] (親に反抗して内心悔やんで<後悔して>いる)。 ウ⸢リン⸣ キ⸢ムヤマサ⸣リティ ナ⸢キ ベー [ʔu⸢riŋ⸣ ki⸢mujamasa⸣riti na⸢ki beː] (彼に後悔させられて<心を痛められて>泣いているよ)。 ノー⸢ン⸣ キ⸢ム⸣ヤム クトー ⸢ナー⸣ヌ [noː⸢ŋ⸣ ki⸢mu⸣jamu ku̥toː ⸢naː⸣nu] (何も後悔することはない)。 ⸣アイブ ⸣クトゥシ イッ⸢カ⸣ キ⸢ム⸣ヤメー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸣ku̥tuʃi ʔik⸢ka⸣ ki⸢mu⸣jameː na⸢ra⸣nu] (あんなことで決して後悔してはならない)。 ⸣シンニン ⸣バー ⸣ミルンティ ⸣ケータティ ア⸢ズヌ⸣ ミ⸢ラ⸣ナー パ⸢ラ⸣シティル キ⸢ム⸣ヤミ ⸢ベー [⸣ʃinnim ⸣baː ⸣mirunti ⸣keːtati ʔa⸢ʣunu⸣ mi⸢ra⸣naː pa⸢ra⸣ʃi̥tiru ki⸢mu⸣jami ⸢beː] (わざわざ私に会いに来たというのに、会わずに帰してしまって後悔している)。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ シ⸢ティ⸣ キ⸢ムヤマン⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ⸣ ター⸢ン ヤラバン⸣ キ⸢ム⸣ヤムン [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ʃi̥⸢ti⸣ ki⸢mujamam⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu⸣ taː⸢ŋ⸣ ja⸢rabaŋ⸣ ki⸢mu⸣jamuŋ] (あんな事をして後悔しない人はいない{EOS}誰であっても後悔する)。 キ⸢ム⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢mu⸣jami na⸢ra⸣nu] (後悔してならない)。 ⸢ワーバー⸣キン キ⸢ム⸣ヤム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waːbaː⸣kiŋ ki⸢mu⸣jamu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (君までも悔やむことは無い)。 ⸢マー⸣ビン キ⸢ム⸣ヤメー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ki⸢mu⸣jameː ⸣misamunu] (もっと後悔すれば良いのに) 5452 0 0 5249 htmvoc_5452.wav キムユラシ キ⸢ムユラ⸣シ [ki⸢mujura⸣ʃi] 名 安心。油断。「心許し」の義。 ⸢ヤンマイ⸣ヤー シ⸢キ⸣パナナ ⸢ノーサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ キ⸢ムユラ⸣シ ⸢スー⸣カー ナ⸢ガビクン [⸢jammai⸣jaː ʃi̥⸢ki⸣panana ⸢noːsaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu ki⸢mujura⸣ʃi ⸢suː⸣kaː na⸢gabikuŋ] (病は初期<付き端>に治さなければならない{EOS}油断すると長引く) 5423 0 0 5250 htmvoc_5423.wav キムユラスン ⸣キム ユ⸢ラ⸣スン [⸣kimu ju⸢ra⸣suŋ] 連 心を許す。安心する。相手を信頼する。相手を受け入れる。 ミ⸢ドゥム⸣トゥ ビ⸢キドゥムヌ⸣ ナカー ⸢ミートゥン⸣ダ ⸣ナルンケンマー イッ⸢カナ⸣シ キ⸢ムユラ⸣シ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラン⸣ダー [mi⸢dumu⸣tu bi⸢kidumunu⸣ nakaː ⸢miːtun⸣da ⸣naruŋkemmaː ʔik⸢kana⸣ʃi ki⸢mujura⸣ʃi pa⸢na⸣ʃeː na⸢ran⸣daː] (男と女の中は、夫婦になるまでは決して心を許して話してはいけないよ)。 ヤ⸢マ⸣トー ⸣パルカー ノー⸢ン⸣ナーン ⸣キム ユ⸢ラサン⸣ドーシ ⸢ギーバリ⸣ダー [ja⸢ma⸣toː ⸣parukaː noː⸢n⸣naːŋ ⸣kimu ju⸢rasan⸣doːʃi ⸢giːbari⸣daː] (本土<大和>へ行ったら何にも心を許さないで、注意して頑張れよ)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ストー⸣ キム ユ⸢ラ⸣シ ピ⸢ラーラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢sutoː⸣ kimu ju⸢ra⸣ʃi pi⸢raːra⸣nu] (この人とは心を許して付き合えない) 5454 0 0 5251 htmvoc_5454.wav キムユリスン キ⸢ム⸣ユリ ⸢スン [ki⸢mu⸣juri⸢suŋ] 連 気が緩む。油断する。安心する。「肝緩みする」の義。キ⸢ム⸣ヌ ⸣ユリ[ki⸢mu⸣nu ⸣juri](心の緩み{EOS}安堵感{EOS}心の油断)ともいう。 ン⸢ベーマ⸣ ミサ ⸣ナレーバティ ⸢シー⸣ キ⸢ム⸣ユリ ス⸢ナ⸣ヨー [ʔm⸢beːma⸣ misa ⸣nareːbati ⸢ʃiː⸣ ki⸢mu⸣juri su⸢na⸣joː] (少し回復したからといって油断する<心の緩みをみせる{EOS}安心する>なよ) 5603 0 0 5252 htmvoc_5603.wav キムン キ⸢ムン [ki⸢muŋ] 他動 決める。定める。決定する。確定する。「きむ<下二段活用>」の四段活用に転訛したもの。 ウ⸢ヌ⸣ クトー マ⸢ダ⸣ キ⸢マヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ma⸢da⸣ ki⸢manu] (そのことは、まだ決めない)。 ⸣ドゥーシ キ⸢ミ⸣ ミサン [⸣duːʃi ki⸢mi⸣misaŋ] (自分で決めてよい)。 ⸢タンガ⸣シ キ⸢ムンティ⸣ ウムーカ キ⸢ミ⸣バ [⸢taŋga⸣ʃi ki⸢munti⸣ ʔumuːka ki⸢mi⸣ba] (一人で決めようと思ったら決めなさいよ)。 ⸣ドゥーシ キ⸢ム⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duːʃi ki⸢mu⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (自分で決めることは出来ない)。 ⸢タンガ⸣シ キ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸢taŋga⸣ʃi ki⸢meː⸣ misamunu] (一人で決めればよいのに) 5404 0 0 5253 htmvoc_5404.wav キムンガーリ キ⸢ムンガー⸣リ [ki⸢muŋgaː⸣ri] 名 心変わり。心が他に移ること。変心すること。 ⸢タール⸣ シ⸢ムチ⸣ ヤ⸢ブル⸣タユー ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー キ⸢ムンガー⸣リ ⸢シーナーン⸣ティバーヤ [⸢taːru⸣ ʃi⸢muʧi⸣ ja⸢buru⸣tajuː ʔu⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ki⸢muŋgaː⸣ri ⸢ʃiːnaːn⸣tibaːja] (誰が気持ちを損ねた<破った>のか、その女の子は心変わりをしてしまったそうな)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ キ⸢ムンガー⸣リ ⸢シー ナーン⸣ティバーヤ [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ki⸢muŋgaː⸣ri ⸢ʃiː naːn⸣tibaːja] (その子は心変わりをしてしまったそうだよ) 5460 0 0 5254 htmvoc_5460.wav キムンカウン ⸣キム ン⸢カウン [⸣kimu ʔŋ⸢kauŋ] 連 気が向く。気が進む。「肝が向かう」の義。 ⸣キム ン⸢カーン⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ミランムル⸣ マ⸢シ [⸣kimu ʔŋ⸢kaːŋ⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢mirammuru⸣ ma⸢ʃi] (気が進まない仕事はさせないほうがいい)。 ウ⸢リヌ⸣ キム ン⸢カウ⸣ シ⸢グトゥヌ⸣ アンカヤー [ʔu⸢rinu⸣ kimu ʔŋ⸢kau⸣ ʃi⸢gutunu⸣ ʔaŋkajaː] (彼が気の向く<気に入る{EOS}好きな>仕事はあるかなあ) 5456 0 0 5255 htmvoc_5456.wav キムンガカリ キ⸢ムンガカ⸣リ [ki⸢muŋgaka⸣ri] 名 気掛り。懸念。心配。心残り。未練に思うこと。「肝がかり」の義。 ⸢ヤー⸣ヌ キ⸢ムンガカ⸣レー ⸢ソーラン⸣ドーシ イ⸢ジン⸣ジ ⸢ヤン⸣マイ ⸢ノー⸣ス ⸢トゥンザ⸣ク ⸢ソー⸣リ [⸢jaː⸣nu ki⸢muŋgaka⸣reː ⸢soːran⸣doːʃi ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸢jam⸣mai ⸢noː⸣su ⸢tunʣa⸣ku ⸢soː⸣ri] (家の心配はなさらずに、精を出して病気を治すための看病<頓着>をなさってください) 5405 0 0 5256 htmvoc_5405.wav キムンキムナラヌ ⸣キムン キ⸢ムナラ⸣ヌ [⸣kimuŋ ki⸢munara⸣nu] 連 悲しみに打ちひしがれて耐えられない。残念で諦めきれない。心配で堪らない。 ⸢タンガッふァ⸣バ ⸢ピー⸣タイ トゥ⸢ラ⸣リ シ⸢ナシティ⸣ ウ⸢リバ⸣ ウムーカー ⸣キムン キ⸢ムナラ⸣ヌ ナ⸢キトゥーシ ベー [⸢taŋgaffa⸣ba ⸢piː⸣tai tu⸢ra⸣ri ʃi⸢naʃi̥ti⸣ ʔu⸢riba⸣ ʔumuːkaː ⸣kimuŋ ki⸢munara⸣nu na⸢kituːʃi beː] (一人っ子を兵隊に取られて死なせてしまい、それを思うと悲しみに耐えられず、泣きとおしている)。 ⸢アッ⸣タニ ニ⸢シカジヌ⸣ ウティ フ⸢キカバ⸣シ ⸢クータ⸣ル イ⸢ソープスヌ ソーバ シー⸣ キムーン キ⸢ムナラ⸣ヌ [⸢ʔat⸣tani ni⸢ʃikaʤinu⸣ ʔuti ɸu̥⸢kikaba⸣ʃi ⸢kuːta⸣ru ʔi⸢soːpusunu soːba ʃiː⸣ kimuːŋ ki⸢munara⸣nu] (急に北風が落ちて吹き荒れてきたので、漁に出た人のことが心配で気が気でない<落ち着いておれない>) 5458 0 0 5257 htmvoc_5458.wav キムングチ キ⸢ムング⸣チ [ki⸢mungu⸣ʧi] 名 みぞおち(鳩尾)。胸の中央前面のくぼんだところ。 キ⸢ムングチ⸣ヌ <ウ⸢トゥシ⸣ヌ> ⸣マーラヌ ヤム⸢サー [ki⸢muŋguʧi⸣nu <ʔu⸢tuʃi⸣nu> ⸣maːranu jamu⸢saː] (みずおちの辺りが傷むよ) 5350 0 0 5258 htmvoc_5350.wav キモーウッケールン ⸣キモー ⸢ウッケー⸣ルン [⸣kimoː ⸢ʔukkeː⸣ruŋ] 連 びくついて意気そそう<沮喪>する。心変わりする。「肝がひっくり返る」の義。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ シキン ⸣ウキティ ⸢ミンキョー⸣ トゥ⸢ラバ⸣ル ナルティ ア⸢ズター⸣ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キティ⸣ キサー⸢ティ⸣ キモー ⸢ウッケー⸣リ ⸢ベー [ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi̥kiŋ ⸣ʔukiti ⸢miŋkjoː⸣ tu⸢raba⸣ru naruti ʔa⸢ʣutaː⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢kiti⸣ ki̥saː⸢ti⸣ kimoː ⸢ʔukkeː⸣ri ⸢beː] (その仕事は試験を受けて免許を取得しなければならないといったら、話を聞いて、もう既にびくついて意欲を失って<心変わりして>いるよ) 5462 0 0 5259 htmvoc_5462.wav キモーサキナリ ⸣キモー サ⸢キ⸣ナリ [⸣kimoː sḁ⸢ki⸣nari] 連 心が焦る。心がはやる。気がはやる。せいて気をもむ。「肝が先になって」の義。 ⸢パー⸣ク ⸢ヤー⸣ パ⸢ラン⸣カティ ⸣ウムイ ⸣キモー サ⸢キ⸣ナリ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢パンヌ⸣ドゥ ⸢ウーカサラ⸣ヌ [⸢paː⸣ku ⸢jaː⸣ pa⸢raŋ⸣kati ⸣ʔumui ⸣kimoː sa⸢ki⸣nari ⸢beː⸣ndu ⸢pannu⸣du ⸢ʔuːkasara⸣nu] (早く家に帰ろうと思って心は焦っているが足が動かされない)。⸣キモー ア⸢バトゥン[⸣kimoː ʔa⸢batuŋ](心がはやる{EOS}気が急く)ともいう 5625 0 0 5260 htmvoc_5625.wav キモーッサ キ⸢モーッ⸣サ [ki⸢moːs⸣sa] 副 気持ちよく。愉快に。気分よく。楽しく。快く。「チム・ウッシャン(心楽しい{EOS}嬉しい)」の転訛したものか。 ⸣アイニ キ⸢モーッ⸣サ パ⸢タラク⸣ プ⸢ソー⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ki⸢moːs⸣sa pḁ⸢taraku⸣ pu̥⸢soː⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (あんなに気持ちよく働く人は見たことがない)。 キ⸢モーッ⸣サ サ⸢キ⸣ ヌムン [ki⸢moːs⸣sa sḁ⸢ki⸣ numuŋ] (気持ちよさそうに酒を飲む) 5465 0 0 5261 htmvoc_5465.wav キモーッサン キ⸢モーッ⸣サン [ki⸢moːs⸣saŋ] 形 気持ちがいい。気分\ruby{爽快}{ソウ|カイ}である。「キム・ウッシャン(肝・嬉しい)」の転訛したもの。 ガ⸢マ⸣ジ ⸣キズカー イッ⸢ケナ⸣ キ⸢モーッ⸣サン [ga⸢ma⸣ʤi ⸣kiʣukaː ʔik⸢kena⸣ ki⸢moːs⸣saŋ] (髪を梳ると非常に気持ちがいい)。 キ⸢モーッ⸣サ ニ⸢ビベー [ki⸢moːs⸣sa ni⸢bibeː] (気持ちよく寝ている)。 キ⸢モーッ⸣サ ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢moːs⸣sa ⸢naː⸣nu] (気持ちよくない)。 キ⸢モーッ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢moːs⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (気持ちいいことはない)。 キ⸢モーッ⸣サカー [ki⸢moːs⸣sakaː] (気持ちよければ) 5338 0 1 5262 htmvoc_5338.wav キモーナーヌ ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kimoː ⸢naː⸣nu] 連 {Mn_1}気がない。愛情がない。興味関心がない。意欲がない。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ドゥー⸣ヌ シ⸢グトゥ⸣ナー ⸢ピッチン⸣マーンツァン ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː duː⸣nu ʃi⸢gutu⸣naː ⸢pitʧim⸣maːnʦaŋ ⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (この人は自分の仕事にこれぽっちも愛情がない<意欲が無い>)。 ッ⸢ふァ⸣ナー ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢fa⸣naː ⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (子供に愛情が無い)。 5338 0 2 5263 htmvoc_5338.wav キモーナーヌ ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kimoː ⸢naː⸣nu] 連 {Mn_2}熱心でない。誠意がない。 ⸣ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ナ ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu⸣na ⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (この仕事に熱心でない)。 キモー ⸢ナー⸣ン ム⸢ニ⸣バ イ⸢ズナ [⸣kimoː ⸢naː⸣m mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʣuna] (誠意のないことを言うな) 5464 0 0 5264 htmvoc_5464.wav キモーマイマイシ ⸣キモー ⸢マイマイ⸣シ [⸣kimoː ⸢maimai⸣ʃi] 連 自信をを持って。\ruby{誇}{ホコ}らかに。胸を張って。人怖じしないで。「肝を大きくして」の義。 ⸢ジン⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ⸣キモー ⸢マイマイ⸣シ ⸣ムテーティ ⸢アーカラ⸣ヌ [⸢ʤin⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸣kimoː ⸢maimai⸣ʃi ⸣muteːti ⸢ʔaːkara⸣nu] (お金がないと自信を持って居れない<あるけない>) 5380 0 0 5265 htmvoc_5380.wav キモーラ キ⸢モー⸣ラ [ki⸢moː⸣ra] 副 心から。衷心より。心を込めて。 ⸢ワー⸣ ク⸢トゥ⸣バ キ⸢モー⸣ラ ⸣ウムイ ⸢ブー⸣ プ⸢ソー⸣ バーラ ⸣フカナー ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーン⸣パジ [⸢waː⸣ ku̥⸢tu⸣ba ki⸢moː⸣ra ⸣ʔumui ⸢buː⸣ pu̥⸢soː⸣ baːra ⸣ɸu̥kanaː taː⸢m⸣ bu⸢raːm⸣paʤi] (君のことを心から思っている人は、私のほかに誰もいないはずだ) 5620 0 0 5266 htmvoc_5620.wav キャー ⸣-キャー [⸣-kjaː] 接尾 人の複数を表す接尾語の敬語(歌謡語)。⸢~がた(方)」。「~方(司<巫女{EOS}神女>、手摺部<男性神職者>、先祖)」の複数をあらわす敬語。日常会話では、⸣-ケー[⸣-keː](~方{EOS}~達)という。/(五)、ヘイヤー<囃子> サカサキャードゥ<司の方を> ホー ティユマス<轟かす。讃える> ヘイヤー ティジリキャードゥ<手すり部。男性神職者がたを> ホー ナトゥラス<讃える>(六)、ヘイヤー サカサキャーヌ ホー アトゥンヤー ヘイヤー ティジリキャーヌ ホー アトゥンヤー (七)、ヘイヤー ユムチキャードゥ ホー ティユマス ヘイヤー シマムチキャードゥ ホー ナトゥラス(以下略)/。豊年祭の歌(みちううた)『鳩間島古典民謡古謡集』 5626 0 0 5267 htmvoc_5626.wav ギャー ⸢ギャ⸣ー [⸢gja⸣ː] 終助 ~さ。終助詞⸢ゲ⸣ラ[⸢ge⸣ra](~さ{EOS}丁寧な表現{EOS}老年層が多用する)の縮約形(ぞんざいな表現)。若年層が多く用いる。 ⸢バン⸣ヌン パリ⸢ギャ⸣ー<⸢ゲ⸣ラ> [⸢ban⸣num pari⸢gja⸣ː<⸢ge⸣ra>] (私も行くさ)。 ウ⸢レー バー⸣ ムヌ⸢ギャ⸣ー<⸢ゲ⸣ラ> [ʔu⸢reː baː⸣ munu⸢gja⸣ː<⸢ge⸣ra>] (それは私のものさ)。 ク⸢レー マー⸣ビン ⸢カイ⸣ヤ⸢ギャ⸣ー<⸢ゲ⸣ラ> [ku⸢reː maː⸣biŋ ⸢kai⸣ja⸢gja⸣ː<⸢ge⸣ra>] (これはもっと美しいさ<綺麗さ>)。 アイ⸢ギャ⸣ー ⸣メー [ʔai⸢gja⸣ː ⸣meː] (そうさ、もう) 5621 0 0 5268 htmvoc_5621.wav ギャーギャーシ ⸢ギャーギャー⸣シ [⸢gjaːgjaː⸣ʃi] 副 (擬音語)がやがやと。やかましく。 バ⸢カー⸣ムンケーヌ サ⸢キバ⸣ ヌミティ ⸢ギャーギャー⸣シ ウ⸢ヤー⸣リ ⸢ベー [ba⸢kaː⸣muŋkeːnu sḁ⸢kiba⸣ numiti ⸢gjaːgjaː⸣ʃi ʔu⸢jaː⸣ri ⸢beː] (若者達が酒を飲んでギャーギャーと大声を出している)。豚の泣き叫ぶ声。 ⸣ユネンガタ ⸣ナルカー ⸢オー⸣ヤ ⸢ヤー⸣サティ ⸢ギャーギャー⸣シ ン⸢ガマ⸣サ ⸣スコー ナ⸢クン [⸣juneŋgata ⸣narukaː ⸢ʔoː⸣ja ⸢jaː⸣sati ⸢gjaːgjaː⸣ʃi ʔŋ⸢gama⸣sa ⸣su̥koː na⸢kuŋ] (夕方になると、豚はひもじいのでギャーギャーと\ruby{煩}{ウルサ}いほど鳴く) 5622 0 0 5269 htmvoc_5622.wav キャーンギ ⸢キャーンギ [⸢kjaːŋgi] 名 (植)樹木の名。イヌマキ(犬槇)。「けや・の・木<際立って他と異なる木。立派な木>。~心毛計夜爾 所念<心もけやに思ほゆる>『万葉集 3875』」の義か。材質が堅く、白蟻の食害が無いといわれ、建築用材として最高級といわれている。 ⸢キャーンギパラー⸣ プ⸢ス⸣カタシ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー ヤー⸣ヌ ⸣アン [⸢kjaːŋgiparaː⸣ pu̥⸢su⸣kataʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buː jaː⸣nu ⸣ʔaŋ] (イヌマキ<犬槇>の柱一種類だけで造られている家がある)。 ⸢バン⸣テヌ ⸢ヤー⸣ヤ ⸢キャーンギ⸣シル ⸣パラー ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢ban⸣tenu ⸢jaː⸣ja ⸢kjaːŋgi⸣ʃiru ⸣paraː su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (私の家は槙の木で柱は作られている) 5623 0 0 5270 htmvoc_5623.wav キャーンギヌナル ⸢キャーンギヌ⸣ ナル [⸢kjaːŋginu⸣ naru] 連 イヌマキ(犬槙)の実。 ⸢キャーンギヌ⸣ ナ⸢ル⸣ヌ ⸣ナレーン [⸢kjaːŋginu⸣ na⸢ru⸣nu ⸣nareːŋ] (犬槙の実が生った) 5624 0 0 5271 htmvoc_5624.wav キャーンギバラー ⸢キャーンギバラー [⸢kjaːŋgibaraː] 名 イヌマキ(犬槙)の柱。「犬槙柱」の義。 ⸢キャーンギバラー⸣ ッ⸢サー⸣ルン シゥ⸢カ⸣ンダ ⸢ナームティ スン [⸢kjaːŋgibaraː⸣ s⸢saː⸣run si̥⸢ka⸣nda ⸢naːmuti suŋ] (犬槙の柱は白蟻がつかないので長持ちする) 5628 0 0 5272 htmvoc_5628.wav ギャーンキャーンシ ⸢ギャーンキャーン⸣シ [⸢gjaːŋkjaːŋ⸣ʃi] 副 犬が甲高い声で鳴くさま。きゃんきゃんと。 ⸢イン⸣ヌ ⸢ギャーンキャーン⸣シ ナ⸢キティ⸣ ン⸢ガマサ⸣ヌ ニ⸢バラヌ [⸢ʔin⸣nu ⸢gjaːŋkjaːŋ⸣ʃi na⸢kiti⸣ ʔŋ⸢gamasa⸣nu ni⸢baranu] (犬がきゃんきゃんと鳴いて、うるさくて眠れない) 5631 0 1 5273 htmvoc_5631.wav キャハン キャ⸢ハン [kja⸢haŋ] 名 {Mn_1}きゃはん(脚絆)。歩きやすくするために脛にまとう布。軍隊はゲートル(仏蘭西語)と言っていた。 ⸢ピー⸣タインケーヤ ムー⸢ル⸣ キャ⸢ハン⸣ マ⸢キティ⸣ フカー ン⸢ゾーッ⸣タ [⸢piː⸣taiŋkeːja muː⸢ru⸣ kja⸢ham⸣ ma⸢kiti⸣ ɸu̥kaː ʔn⸢ʣoːt⸣ta] (兵隊たちは皆脚絆を巻いて外へ出られた)。 5631 0 2 5274 htmvoc_5631.wav キャハン キャ⸢ハン [kja⸢haŋ] 名 {Mn_2}軽快な舞踊や棒踊りの際、脛にまとうコスチュームの一つ。 ⸣ボー <⸣バウ> ⸣ウトゥ ⸣ピンマー ⸣パンナ キャ⸢ハン⸣ マ⸢キシタ [⸣boː <⸣bau> ⸣ʔutu ⸣pimmaː ⸣panna kja⸢ham⸣ ma⸢kiʃita] (棒踊りをする<棒をうつ>時は足に脚絆を巻いた) 5632 0 0 5275 htmvoc_5632.wav キャラ ⸢キャラ [⸢kjara] 名 香木の名。沈香(じんこう)。沈香からとった黒いつやのある優良な天然香料。「伽羅、キャラ、香の名」『文明本節用集』の転化したもの。歌謡語。/スディフラバ サトゥヌシ ジンキャラヌ ニウイ ショウリ イチィン スマル ニウイ/(袖を振ると里主様、沈香製の伽羅の香がして、何時までも私に染まっていく匂いです)「古見の浦節」『八重山民謡誌』参照 5629 0 0 5276 htmvoc_5629.wav ギャンキャンシ ⸢ギャンキャン⸣シ [⸢gjaŋkjaŋ⸣ʃi] 副 きちんきちんと。厳密に。正確に。 ウ⸢サミビキ⸣ヌ ⸣ムノー ⸢ギャンキャン⸣シ ウ⸢サミ⸣リ [ʔu⸢samibiki⸣nu ⸣munoː ⸢gjaŋkjaŋ⸣ʃi ʔu⸢sami⸣ri] (納めるべきものは、きちんきちんと納めなさい) 5630 0 0 5277 htmvoc_5630.wav ギャンギャンシ ⸢ギャンギャン⸣シ [⸢gjaŋgjaŋ⸣ʃi] 副 ぴんぴんと。健康で元気なさま。飛び跳ねるほど元気なさま。頑健なさま。⸢ガンガン⸣シ[⸢gaŋgaŋ⸣ʃi](ぴんぴんと)ともいう。 ⸣トゥシェー ⸣トゥリ ⸢オールン⸣ドゥ ⸢ギャンギャン⸣シ シ⸢グトー シール オー⸣ル⸢ダー [⸣tuʃeː ⸣turi ⸢ʔoːrun⸣du ⸢gjaŋgjaŋ⸣ʃi ʃi⸢gutoː ʃiːru ʔoː⸣ru⸢daː] (年はとっておられるが、ぴんぴんとして元気で仕事をしておられるよ) 4980 0 0 5278 htmvoc_4980.wav ギャンティ ギャンティ [gjan⸢ti] 副 ぴったりと(隙間なく密着している様{EOS}ものごとが的中している様)。ぎゅっと。びっしりと(たくさんのものが隙間なく詰まっているさま{EOS}密生している様)。 フ⸢ター⸣ ギャン⸢ティ⸣ シ⸢マ⸣リティ ミ⸢ジェー⸣ ム⸢リラ⸣ヌ [ɸu̥⸢taː⸣ gjan⸢ti⸣ ʃi⸢ma⸣riti mi⸢ʤeː⸣ mu⸢ri⸣ranu] (蓋はぴったり<ぎゅっ>と閉まっていて、水は漏れない)。 パ⸢タ⸣キナー ⸣ガンボーシヌ ギャン⸢ティ⸣ ムイ⸢ベー [pḁ⸢ta⸣kinaː ⸣gamboːʃinu gjan⸢ti⸣ mui⸢beː] (畑には雑草のガンボーシが密生している) 5633 0 1 5279 htmvoc_5633.wav ギャンティ ギャン⸢ティ [gjan⸢ti] 副 {Mn_1}びっしり。ぎっしり。強く。いっぱい詰まっているさま。結び目などを強く締めるさま。 フ⸢ク⸣ベー ギャン⸢ティ⸣ フ⸢バリ [ɸu̥⸢ku⸣beː gjan⸢ti⸣ ɸu⸢bari] (帯びはきつく\ruby{括}{クク}れ<強く縛れ>)。 パ⸢タ⸣キナー ⸣ガンボーシヌ  ギャン⸢ティ⸣ ムイティ ⸢ナーンパー⸣ヤ ガ⸢ギリ ベー [pḁ⸢ta⸣kinaː ⸣gamboːʃinu gjan⸢ti⸣ muiti ⸢naːmpaː⸣ja ga⸢giribeː] (畑には雑草のガンボーシがびっしりと密生して、菜っ葉は生長が止まって<発育不良になって>いる)。 5633 0 2 5280 htmvoc_5633.wav ギャンティ ギャン⸢ティ [gjan⸢ti] 副 {Mn_2}ぴったり。完全に一致するさま。 ⸢ジン⸣ヌ サ⸢ンミン⸣マー ギャン⸢ティ⸣ ア⸢タリブタ [⸢ʤin⸣nu ⸢sammim⸣maː gjan⸢ti⸣ ʔa⸢taributa] (お金の計算はぴったりと当っていた) 5634 0 0 5281 htmvoc_5634.wav キュー ⸣キュー [⸣kjuː] 名 今日。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢マー⸣ パ⸢ル⸣ワ [⸢kjuː⸣ja ⸢maː⸣ pa⸢ru⸣wa] (今日は何処へ行くか)。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣クトー ⸢バスクナ [⸢kjuː⸣nu ⸣ku̥toː ⸢basu̥kuna] (今日のことは忘れるな)。 ⸢キュー⸣ル ⸢ワー⸣ マ⸢リビー [⸢kjuː⸣ru ⸢waː⸣ ma⸢ribiː] (今日が<ぞ>君の誕生日<生まれ日>だ)。 ⸣キューン ミ⸢ララ⸣ヌ [⸣kjuːm mi⸢rara⸣nu] (今日も見られない)。 ⸢キョー⸣ラ パ⸢ジミリ [⸢kjoː⸣ra pa⸢ʤimiri] (今日から始めよ) 5635 0 0 5282 htmvoc_5635.wav キュー ⸢キュー [⸢kjuː] 名 旧暦。⸢キューヌ⸣ シキ[⸢kjuːnu⸣ ʃi̥ki](旧の月{EOS}旧暦)ともいう。 ⸢キューヌ⸣ シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチナー ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢ヤプスン⸣マイ ⸢サー⸣ドー ⸢ソーッ⸣タン [⸢kjuːnu⸣ ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧinaː jaː⸢diŋ⸣ ʔu⸢japusum⸣mai ⸢saː⸣doː ⸢soːt⸣taŋ] (旧暦のついたち<朔日>、十五日には必ず先祖の前に茶湯をされた) 5639 0 0 5283 htmvoc_5639.wav キュー ⸢キュー [⸢kjuː] 名 急なこと。突然なこと。標準語からの借用語。 ⸢キューヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ヤ⸢レースヌ⸣ ドー⸢ディン⸣ シ⸢キトゥドゥキ⸣ タ⸢ボー⸣ラナー⸢ラ <タ⸢ボー⸣リ> [⸢kjuːnu⸣ pa⸢na⸣ʃi ja⸢reːsunu⸣ doː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢kituduki⸣ ta⸢boː⸣ranaː⸢ra ] (急な話でありますが、どうぞお聞き届け下さいませんでしょうか<お聞き届け賜りますように>) 2088 0 0 5284 htmvoc_2088.wav ギュー ⸢ギュー [⸢gjuː] 接頭 いく(幾)。名詞や接尾語の前に付いて数量、程度などの不明の意や疑問の意を表す。 ⸢ギューチ [⸢gjuːʧi] (幾つ)。 ⸢ギューカ [⸢gjuːka] (幾日)。 ギュ⸢タール [gju⸢taːru] (何人{EOS}幾たり)。 ⸢ギュームトゥ [⸢gjuːmutu] (幾本)。 ⸢ギューマカル [⸢gjuːmakaru] (幾まかり、何杯)。 ⸢ギュームシ [⸢gjuːmuʃi] (幾度、何回)。 ⸢ギュッカラ [⸢gjukkara] (幾から、何匹)。 ⸢ギューケーラ [⸢gjuːkeːra] (幾返り、何回)。[iku-]の[k]が狭母音[i]により口蓋化されて[-kj-]となり、第一拍の[i]が脱落した結果の代償として口蓋化した[-kj-]が無気喉頭化して[kʔj-]となり、さらに[gj-]と音韻変化したと考えられる。 ⸣ウナー ギュ⸢タール ベー⸣ワ [⸣ʔunaː gju⸢taːru beː⸣wa] (そこに何人いるか)。 ⸢ギューチ⸣ ナ⸢ル⸣ワ [⸢gjuːʧi⸣ na⸢ru⸣wa] (幾つになるか{EOS}何歳か) 5643 0 0 5285 htmvoc_5643.wav キューアツァ ⸣キューアツァ [⸣kjuːʔaʦa] 名 今日明日。ごく近いうち。近日中。 ⸣キュウアツァヌ ウ⸢チ⸣ナー ⸣パライ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [⸣kjuːʔaʦanu ʔu⸢ʧi⸣naː ⸣parai f⸢fiːri⸣joː] (今日明日中に支払ってくれよなあ)。 ⸣ウカー パ⸢ラーン⸣カー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ⸣キューアツァヌ ⸣クトー ア⸢ラン⸣バ ⸢アールナ [⸣ʔukaː pa⸢raːŋ⸣kaː na⸢ranu⸣nu ⸣kjuːʔaʦanu ⸣ku̥toː ʔa⸢ram⸣ba ⸢ʔaːruna] (借金は返済しなければならないが、今日明日のことではないから騒ぐな<慌てるな>) 2095 0 0 5286 htmvoc_2095.wav ギューカ ⸢ギューカ [⸢gjuːka] 名 幾日。何日。「いくか<幾日>」の義。 ⸣アッパー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣レーラ ⸢ギューカ⸣ ナ⸢ル⸣ワ [⸣ʔappaː ⸢toːkaki⸣nu ⸣joi ⸢soː⸣reːra ⸢gjuːka⸣ na⸢ru⸣wa] (お祖母さんの米寿<斗掻き>の祝いをなさってから幾日になりますか<何日過ぎましたか>) 5636 0 0 5287 htmvoc_5636.wav ギューケーラ ⸢ギューケーラ [⸢gjuːkeːra] 名 不定の回数を表す。いくど(幾度)。何回。何度。「いくかへり(幾帰り<回>)。ただひとかへり舞ひて入りぬるは『源氏物語<若菜下>』」の転訛。 ⸢タンガ⸣シ ⸢ギューケーラナー⸣ ミ⸢ジェー⸣ カ⸢タマバ⸣ル ⸣ナルカヤー [⸢taŋga⸣ʃi ⸢gjuːkeːranaː⸣ mi⸢ʤeː⸣ ka⸢tamaba⸣ru ⸣narukajaː] (一人で何回ずつ水を担がないといけない<担げばぞなる>のかなあ) 5640 0 0 5288 htmvoc_5640.wav ギューサ ⸢ギュー⸣サ [⸢gjuː⸣sa] 名 いくら(ものの値段)。 ⸢オー⸣ヤ ⸢イッキン ギュー⸣サ ⸢スー⸣カヤー [⸢ʔoː⸣ja ⸢ʔikkiŋ gjuː⸣sa ⸢suː⸣kajaː] (豚は、一斤でいくらするかなあ)。 ⸢ダイヤー ギュー⸣サブカラ パ⸢ラウバ⸣ル ⸣ミサカヤー [⸢daijaː gjuː⸣sabukara pa⸢rauba⸣ru ⸣misakajaː] (代金<値段>はいかほど支払えばよいのかねえ) 5644 0 0 5289 htmvoc_5644.wav キュージ ⸢キュー⸣ジ [⸢kjuː⸣ʤi] 名 給仕。雑用係。明治29年の学校設置以降、標準語からの借用語。 ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢キュー⸣ジ ⸢シーベー⸣テイ ⸢ビンキョーバ シー⸣ ⸢シンシー⸣ヌ ⸢ミンジョー トゥッ⸣タツォー [⸢gakkoː⸣nu ⸢kjuː⸣ʤi ⸢ʃiːbeː⸣ti ⸢biŋkjoːba ʃiː ʃiŋʃiː⸣nu ⸢minʤoː tut⸣taʦoː] (学校の給仕をして先生の免状を取ったそうだ) 5645 0 0 5290 htmvoc_5645.wav キューシトゥムティ ⸣キュー シ⸢トゥム⸣ティ [⸣kjuː ʃi̥⸢tumu⸣ti] 連 今朝。今日の朝。「今日・つとめて」の転訛したもの。 ⸣キュー シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サーラ ⸢ウーアミヌ⸣ フイティ パ⸢タ⸣ケー パ⸢ララ⸣ヌ [⸣kjuː ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣saːra ⸢ʔuːʔaminu⸣ ɸuiti pḁ⸢ta⸣keː pa⸢rara⸣nu] (今朝早くから大雨が降って畑に行けない) 5642 0 0 5291 htmvoc_5642.wav ギューシナ ⸢ギューシナ [⸢gjuːʃina] 連 幾種類。幾種類。「幾品」の義。 ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢ギューシナ⸣ ス⸢コールワ [ʔu⸢sai⸣jaː ⸢gjuːʃina⸣ su̥⸢koːruwa] (ご馳走は幾品作る<こしらえる>か) 5646 0 0 5292 htmvoc_5646.wav キューダイ ⸢キューダイ [⸢kjuːdai] 名 及第。進級すること。明治29年の鳩間尋常小学校設置以降、標準語からの借用したことば。ラ⸢クダイ[ra⸢kudai](落第{EOS}進級出来ないこと)の対義語。明治33年に第1回卒業生が誕生しているから、その間に借用された語であろう。 ⸢キューダイ シェー⸣カー ⸢マイフナー⸣ ドー [⸢kjuːdai ʃeː⸣kaː ⸢maiɸunaː⸣doː] (及第したのならお利口さん<立派なもの>だよ) 5641 0 1 5293 htmvoc_5641.wav ギューチ ⸢ギューチ [⸢gjuːʧi] 名 いくつ(幾つ)。{Mn_1}不定個数を表したり、または個数を問うのに用いる。 シ⸢グトー タンガ⸣シ ギュー⸢チン サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢gutoː taŋga⸣ʃi guː⸢ʧin saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (仕事は一人で幾つもしなければならない)。 ⸢ワッ⸣テナー ⸢サイクドン⸣ゴー ⸢ギューチ⸣ ア⸢ル⸣ワ [⸢wat⸣tenaː ⸢saikudoŋ⸣goː ⸢gjuːʧi⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (君の家には、大工道具は幾つあるか)。 5641 0 2 5294 htmvoc_5641.wav ギューチ ⸢ギューチ [⸢gjuːʧi] 名 {Mn_2}何歳。年齢を問うのに用いる。 ⸢ワー ギューチ⸣ヤー [⸢waː gjuːʧi⸣jaː] (君はいくつか)。 カ⸢レー ギューチ⸣ ナ⸢ル⸣ワ [ka⸢reː gjuːʧi⸣ na⸢ru⸣wa] (あの人<あれ>は幾つ<何歳>になるか) 5647 0 0 5295 htmvoc_5647.wav ギューティ ⸢ギューティ [⸢gjuːti] 名 いくとし。何年。いくとせ(幾年)。過去や将来にわたる年数を表す。 ⸣アブジェー ⸢マーラソー⸣レーラ ⸢ギューティ⸣ ナ⸢ル⸣ワ [⸣ʔabuʤeː ⸢maːrasoː⸣reːra ⸢gjuːti⸣ na⸢ru⸣wa] (おじいさんが亡くなられてから何年になるかねえ)。 ウ⸢ブソッコー⸣ヤ ⸢マー ギュー⸣ティヤ [ʔu⸢busokkoː⸣ja ⸢maː gjuː⸣tija] (大焼香<大法事>は、あと何年後か) 5648 0 0 5296 htmvoc_5648.wav キューヌシキ ⸢キューヌ⸣ シキ [⸢kjuːnu⸣ ʃi̥ki] 連 旧暦の月。⸢シン⸣ヌ ⸣シキ[⸢ʃin⸣nu ⸣ʃi̥ki](新暦の月)の対義語。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ユーズピー⸣ゾー ⸢キューヌ⸣ シキナール ⸢ソーッ⸣タ [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢juːʣupiː⸣ʣoː ⸢kjuːnu⸣ ʃi̥kinaːru ⸢soːt⸣ta] (鳩間島の祭祀<年中行事>は旧暦で実施された) 5649 0 0 5297 htmvoc_5649.wav キューヌピー ⸢キュー⸣ヌ ⸣ピー [⸢kjuː⸣nu ⸣piː] 連 今日の日。今日という日。本日。日常会話では、⸢キュー⸣ヌ ピ⸢ニチ[⸢kjuː⸣nu pi⸢niʧi](今日の日)という。/アー⸢パーレー キューヌ ピー⸣バ ム⸢トゥ⸣バ⸢シー/(あーぱーれー<ああ素晴らしことよ、今日の日を本<礎>にして)「アーパーレー<新室寿ぎ歌。ハヤミク>」『鳩間島古典民謡古謡集』。『沖縄文化』第6巻、第3、4号。「鳩間島古謡の一つ・新室寿歌アーパーレーについて」 5650 0 0 5298 htmvoc_5650.wav キューヌピニチ ⸢キュー⸣ヌ ピ⸢ニチ [⸢kjuː⸣nu pi⸢niʧi] 連 今日の日。今日の佳日(嘉日)。今日のめでたい日。 ⸢キュー⸣ヌ ピ⸢ニチ⸣ナー ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢ピュール⸣ トゥリシキ [⸢kjuː⸣nu pi⸢niʧi⸣naː ⸢joi⸣nu ⸢pjuːru⸣ turiʃi̥ki] (今日の佳日にお祝いの日取りを決めておけ<日取りを取っておけ>)。 ⸢キュー⸣ヌ ピ⸢ニチェー⸣ ヌー ⸣ニーヤ [⸢kjuː⸣nu pi⸢niʧeː⸣ nuː ⸣niːja] (今日の日は、何の日<干支の何の日に当たる>か) 5651 0 0 5299 htmvoc_5651.wav キューヌユー ⸢キュー⸣ヌ ⸣ユー [⸢kjuː⸣nu ⸣juː] 連 今日の夜。今晩。今夜。普通は、⸣ニカ[⸣nika](今晩)という。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ⸣マーッふァヌ ⸢ゴーカクヨイ ソー⸣ラ⸢ナー [⸢kjuː⸣nu ⸢juː⸣ja ⸣maːffanu ⸢goːkakujoi soː⸣ra⸢naː] (今夜は孫の合格祝いをしましょうね) 5638 0 0 5300 htmvoc_5638.wav ギュームシ ⸢ギュームシ [⸢gjuːmuʃi] 名 不定の回数を表す。いくど(幾度)。幾たび。何度。 ⸢ワー ギュームシ⸣ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タム⸣ター [⸢waː gjuːmuʃi⸣ mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢tamu⸣taː] (君は何度<幾度>水を担いだか)。 ⸢ギュームシン⸣ シキン ウ⸢クタン⸣ドゥ カ⸢カラン⸣バン(⸢トゥーラン⸣バン) [⸢gjuːmuʃiŋ⸣ ʃi̥kiŋ ʔu⸢kutan⸣du kḁ⸢karam⸣baŋ(⸢tuːram⸣baŋ)] (何度も試験を受けたが受からないわい<かからないわい{EOS}(通らないわい)>) 5637 0 0 5301 htmvoc_5637.wav ギュタール ギュ⸢タール [gju⸢taːru] 名 いくたり(幾人)。何人。 ⸢タール [taːru] (たり{EOS}人数を数える接尾語)。 ギュ⸢タール⸣シル パ⸢タ⸣ケー ⸢カイス⸣ター [gju⸢taːru⸣ʃiru pḁ⸢ta⸣keː ⸢kaisu⸣taː] (何人<幾たり>で<ぞ>畑は耕したのか)。 ギュ⸢タールヌ⸣ プ⸢ス⸣シ ス⸢ワー⸣ マ⸢シ⸣ヤ [gju⸢taːrunu⸣ pu̥⸢su⸣ʃi su⸢waː⸣ ma⸢ʃi⸣ja] (何人の<幾たりの>人ですればよいのか) 5652 0 0 5302 htmvoc_5652.wav ギュック ⸢ギュック [⸢gjukku] 名 何個。 トゥ⸢ロー キュー⸣ヤ ⸢コー⸣マ ⸢ギュック⸣ ナシェーユー ユミ⸢ミー [tu⸢roː kjuː⸣ja ⸢koː⸣ma ⸢gjukku⸣ naʃeːjuː jumi⸢miː] (鶏は、今日は卵を何個産んだか数えてごらん) 5653 0 0 5303 htmvoc_5653.wav キユミルン キ⸢ユミ⸣ルン [ki⸢jumi⸣ruŋ] 他動 清める。 ⸢マー⸣ス ⸢パン⸣キ ⸣ヤー キ⸢ユミ⸣リ [⸢maː⸣su ⸢paŋ⸣ki ⸣jaː ki⸢jumi⸣ri] (塩を撒いて家を清めなさい)。 キ⸢ユミラ⸣ヌ [ki⸢jumira⸣nu] (清めない)。 ⸢スーヌ⸣パナシ ⸣ヤー キ⸢ユミ⸣ルン [⸢suːnu⸣panaʃi ⸣jaː ki⸢jumi⸣ruŋ] (潮の花で家を清める)。 キ⸢ユミ⸣ル ⸣トンマ ⸣マーヤ [ki⸢jumi⸣ru ⸣tomma ⸣maːja] (清める所は何処か)。 キュ⸢ユミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ki⸢jumi⸣reː ⸣misamunu] (清めればよいのに)。 キ⸢ユミ⸣リ [ki⸢jumi⸣ri] (清めよ<清めれ>) 5654 0 0 5304 htmvoc_5654.wav キユムン キ⸢ユ⸣ムン [ki⸢ju⸣muŋ] 他動 清める。「清む<下二段活用>、~麻都呂倍奴 比等乎母夜波之 波吉伎欲米~(まつろ<服従>はぬ人をもやは<和>し 掃き清め)『万葉集 4465』」の四段活用に転訛したもの。 ⸣ヤー キ⸢ユマバ⸣ル ナル [⸣jaː ki⸢jumaba⸣ru ⸣naru] (家を清めないといけない<清めばぞなる>)。 キ⸢ユミ⸣プサン [ki⸢jumi⸣pu̥saŋ] (清めたい)。 ⸣ヤー キ⸢ユ⸣ムン [⸣jaː ki⸢ju⸣muŋ] (家を清める)。 キ⸢ユ⸣ム ⸣クトゥ [ki⸢ju⸣mu ⸣ku̥tu] (清めること)。 キ⸢ユ⸣メー ⸣ミサムヌ [ki⸢ju⸣meː ⸣misamunu] (清めればよいのに)。 キ⸢ユ⸣ミ [ki⸢ju⸣mi] (清め) 5656 0 0 5305 htmvoc_5656.wav キョーダイ ⸢キョー⸣ダイ [⸢kjoː⸣dai] 名 兄弟姉妹。標準語からの借用語。本来は、ブ⸢ナルビキル[bu⸢narubikiru](をなり・えけり)という。 ビ⸢キドゥムキョーダイ [bi⸢kidumukjoːdai] (男兄弟) ミ⸢ドゥムキョー⸣ダイ [mi⸢dumukjoː⸣dai] (姉妹{EOS}女兄弟) ⸣ムクキョーダイ [⸣mukukjoːdai] (婿兄弟))。 ⸢キョー⸣ダイサ ⸢カイ⸣ヤー ⸢ウシ⸣トーラティル ム⸢カ⸣シムネー アル⸢ダー [⸢kjːdai⸣sa ⸢kai⸣jaː ⸢ʔuʃi̥⸣toːratiru mu⸢ka⸣ʃimuneː ʔaru⸢daː] (兄弟姉妹の仲が良くなるのは弟から<弟次第>だと昔の言葉<先賢の言葉{EOS}諺>にあるよ)。 ⸢キョー⸣ダイ ム⸢チマ⸣サン [⸢kjoː⸣dai mu⸢ʧima⸣saŋ] (兄弟仲睦ましい) 5657 0 0 5306 htmvoc_5657.wav キョーダイサ ⸢キョーダイ⸣サ [⸢kjoːdai⸣sa] 名 兄弟姉妹。兄弟姉妹同士。 ⸢キョーダイ⸣サ ナリ⸢ベー⸣ティ ⸢アイカーフン⸣カー ⸢サンブリ⸣バ [⸢kjoːdai⸣sa nari⸢beː⸣ti ⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢samburi⸣ba] (兄弟姉妹同士で喧嘩騒動するなよ)。 ⸢キョーダイ⸣サ ⸣ナカー ⸢カイ⸣ヤン [⸢kjoːdai⸣sa ⸣nakaː ⸢kai⸣jaŋ] (兄弟同士は仲睦まじい<仲が美しい>) 5658 0 0 5307 htmvoc_5658.wav キョーダイムイサン ⸢キョー⸣ダイムイサン [⸢kjoː⸣daimuisaŋ] 形 兄弟思いである。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢キョー⸣ダインケーヤ ムー⸢ル キョー⸣ダイムイサン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu ⸢kjoː⸣daiŋkeːja muː⸢ru kjoː⸣daimisan⸢daː] (あの家の兄弟たちは皆兄弟思いだよ) 5655 0 0 5308 htmvoc_5655.wav キョームン ⸢キョー⸣ムン [⸢kjoː⸣muŋ] 名 経文。お経。歌謡語。⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)の伝播に伴って鳩間島に定着した言葉。/ニシカイ ムカユティ キョームンバ ユミ ヒガシニ ムカユティ キョームンバ カキ ユムタル キョームンヤ ウヤヌタミ カキタル キョームンヤ ハハヌタミ ウキトゥリ タマワリヨー チチヌヤ ウキサシ タマワリヨー ハハヌウヤ ナムアミダブチヨー ウクリンデームヌ/(西に向かって経文<お経>を読み、東に向かって経文を書き、読み上げた経文は父親のため、書きあげた経文は母親のため、受け取りくださいお父さま、受け差し下さいお母さま{EOS}南無阿弥陀仏、お送りですから)。ン⸢ゾーニンブツァー[ʔn⸢ʣoːnimbuʦaː]<無常念仏歌・シ⸢ザ⸣ヌクイ[ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui](兄の声・歌)>『鳩間島古典民謡古謡集』。「八重山地方に流布する念仏歌について」『沖縄文化』通巻36・37号 5659 0 0 5309 htmvoc_5659.wav ギョーリツ ⸢ギョーリツ [⸢gjoːriʦu] 名 行列。標準語からの借用語。 ⸢ウンドー⸣カイナ ⸢ガッ⸣コーシートゥヌ ⸢ギョーリツ⸣ ス⸢ク⸣リ ア⸢ラ⸣クム ⸣ミルカー イッ⸢ケン カイ⸣ヤタン [⸢ʔundoː⸣kaina ⸢gak⸣koːʃiːtunu ⸢gjoːriʦu⸣ su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢ra⸣kumu ⸣mirukaː ʔik⸢keŋ kai⸣jataŋ] (運動会で学校生徒が行列を作って行進する<歩く>のを見ると非常に美しかった) 5660 0 0 5310 htmvoc_5660.wav キョンギン ⸢キョン⸣ギン [⸢kjoŋ⸣giŋ] 名 狂言。演劇。「Qiovguen.キヤゥゲン(狂言)~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 キ⸢チゴン⸣ナー ブ⸢ドゥル キョンギンマー⸣ マイ⸢トゥシ⸣ ヤー⸢ディン シーソーッ⸣タ [ki⸢ʧigon⸣naː bu⸢duru kjoŋgimmaː⸣ mai⸢tuʃi⸣ jaː⸢diŋ ʃiːsoːt⸣ta] (結願祭には、踊りや狂言<芝居{EOS}劇>は毎年必ず上演なされた<しなさった>) 5197 0 1 5311 htmvoc_5197.wav ギラ ⸣ギラ [⸣gira] 名 {Mn_1}(動)貝の名。シャコガイ(車庫貝)の総称。⸢マーギラ[⸢maːgira](オオジャコ{EOS}ヒレジャコ{EOS}海底の砂の上に生息する{EOS}殻長80センチから1メートルに成長するものもいた{EOS}最近は30センチ程度のものが獲れる)とサ⸢ク⸣ラギラ[sa⸢ku⸣ragira](ヒメジャコ{EOS}珊瑚礁の岩に穴をあけて棲息する{EOS}殻長10~15センチのものが多い{EOS}海中で口を開けているところを刃物を入れて貝柱を切り、中身を取って殻は海中に放置していた)がいる。サ⸢ク⸣ラギラ[sḁ⸢ku⸣ragira](マーギラの一種)は「下げ薬(のぼせを下げる薬)」として重宝された。 イ⸢シギラ [ʔi⸢ʃigira] (「石しゃこ貝」の義か{EOS}海中の珊瑚礁の石の中にはまり込んでいるため、長さ10センチ程度に成長する)。女性たちは潮干狩りの際、⸢ティンガラー⸣マ[⸢tiŋgaraː⸣ma](小さなかなてこ{EOS}金てこ{EOS}片方の先端は平たくなっていて、岩の中から貝やしゃこ貝を掻き出すのに用いられる)でしゃこ貝を掘りおこして取った。 ⸣ギラー サ⸢ギフチ⸣ル ヤ⸢リバ⸣ シジ ⸣ヌミバ [⸣giraː sa⸢giɸu̥ʧi⸣ruti ja⸢riba⸣ ʃiʤi ⸣numiba] (しゃこ貝は下げ薬だから煎じて飲みなさい)。ノボセに効く、利尿剤として重宝される)がいる。 ⸣ギラ ⸢コーシ⸣キー ⸣シジ ⸣ヌミバ [⸣gira ⸢koːʃi⸣ kiː ⸣ʃiʤi ⸣numiba] (シャコ貝を掘り起こしてきて煎じて飲みなさいよ)。 5197 0 2 5312 htmvoc_5197.wav ギラ ⸣ギラ [⸣gira] 名 {Mn_2}隠語で女性性器をさす 5662 0 0 5313 htmvoc_5662.wav キラーリン キ⸢ラーリン [ki⸢raːriŋ] 他動 嫌われる。他動詞、キ⸢ラウン[ki⸢rauŋ](嫌う)の未然形に、受身の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](~れる)が下接して形成された受身の派生動詞(受身動詞)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢スー⸣カー ⸢ワン⸣ キ⸢ラーリンダ⸣ キ⸢ラーラン⸣ヨーニ ⸢ジン⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー サ⸢ヌ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ⸢waŋ⸣ ki⸢raːrinda⸣ ki⸢raːraŋ⸣joːni ⸢ʤin⸣nu pa⸢na⸣ʃeː sa⸢nu] (その話をしたら君に嫌われるから、嫌われないように、お金の話はしない)。 ⸣バー キ⸢ラーリ⸣ ミサンダ キ⸢ラーリル⸣ パ⸢ナ⸣シン マ⸢ナマ⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナ ⸢ワン⸣ ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カサ⸣ナー [⸣baː ki⸢raːri⸣ misanda ki⸢raːriru⸣ pa⸢na⸣ʃim ma⸢nama⸣nu ʔu⸢ʧi⸣na ⸢waŋ⸣ ʔa⸢ʤi⸣ si̥⸢kasa⸣naː] (私は嫌われても良いから、嫌われる話を今のうちに君に言って聞かせようね)。 キ⸢ラーレー⸣ ミサムヌ [ki⸢raːreː⸣ misamunu] (嫌われれば良いのに)。 プ⸢スン⸣ キ⸢ラーリリ⸣バ [pu̥⸢suŋ⸣ ki⸢raːriri⸣ba] (他人に嫌われろよ) 5467 0 1 5314 htmvoc_5467.wav キラウン キ⸢ラウン [ki⸢rauŋ] 他動 {Mn_1}嫌う。除去する。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー プ⸢スン⸣ キ⸢ラーリン⸠ダー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː pu̥⸢suŋ⸣ ki⸢raːrin⸠daː] (あんなことをすると他人に嫌われるぞ)。 キ⸢ライ⸣ ミサン [ki⸢rai⸣ misaŋ] (嫌ってもよい)。 キ⸢ラウ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢rau⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (嫌うことは出来ない)。 ウ⸢レー⸣ キ⸢ラウンティ⸣ ア⸢ザリブンドゥ ッふァイミラバ⸣ル ワ⸢カ⸣ルティ ⸣ムカーヤ [ʔu⸢reː⸣ ki⸢raunti⸣ ʔa⸢ʣaribundu f⸢faimiraba⸣ru wa⸢ka⸣ruti mukaːja] (それは嫌う<禁止する>と言われているが、食べてみないと分からない<食べてみればぞ分かる>)。 キ⸢ラウ ムノー ナー⸣ヌ [ki⸢rau munoː naː⸣nu] (嫌うものはない)。 キ⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [ki⸢raijaː⸣ misamunu] (嫌ったらいいのに)。忌み嫌う。 フ⸢チル⸣バ キ⸢ライティル ヤンマイ⸣ヤ ⸢ノーサラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧiru⸣ba ki⸢raitiru jammai⸣ja ⸢noːsara⸣nu] (薬を嫌って<ぞ>病気を治せない)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ フ⸢チ⸣ル キ⸢ラウンダ⸣ ッ⸢ふァン⸣ キ⸢ラーン⸣ クトー ⸢ナーン⸣ヨー [ʔu⸢ja⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru ki⸢raunda⸣ f⸢faŋ⸣ ki⸢raːŋ⸣ ku̥toː ⸢naːŋ⸣joː] (親が薬を嫌うから、子供も<薬を>嫌わないことは無いよ)。 フ⸢チ⸣ル キ⸢ラウ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ki⸢rau⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (薬を嫌うことは無い)。 5467 0 2 5315 htmvoc_5467.wav キラウン キ⸢ラウン [ki⸢rauŋ] 他動 {Mn_2}断つ。避ける。 ⸣ヤミ ⸢ブー⸣ ピンマー サ⸢ケー⸣ キ⸢ライリ [⸣jami ⸢buː⸣ pimmaː sḁ⸢keː⸣ ki⸢rairi] (病気のとき<病んでいるとき>は酒は避けよ<断て>)。 ア⸢バ⸣ムヌ キ⸢ライリ [ʔa⸢ba⸣munu ki⸢rairi] (脂肪分の多いものを断て<避けよ>)。断つ。嗜好品の摂取を断つ。 ン⸢ベーマー⸣ フ⸢チキライヤー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ɸu̥⸢ʧikiraijaː⸣ misamunu] (少しは嗜好品の摂取を断てば良いのに)。 シ⸢バラムノー⸣ キ⸢ライリ [ʃi⸢baramunoː⸣ ki⸢rairi] (傷を化膿させ、病気に悪影響を及ぼす食品は摂取を断て) 5664 0 0 5316 htmvoc_5664.wav ギラガラス ⸣ギラガラス [⸣giragarasu] 名 しゃこ貝の塩漬け。 ⸢ウン⸣マー ⸣ギラガラストゥ ⸣カティ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢ʔum⸣maː ⸣giragarasutu ⸣kati f⸢fai⸣ba] (芋はしゃこ貝の塩漬けとかてて<糅て>て食べなさい) 5468 0 0 5317 htmvoc_5468.wav ギラギラ ギ⸢ラギラ [gi⸢ragira] 副 ぎらぎら。油などの光るさま。 ⸢ミー⸣ヤ ギ⸢ラギラ⸣シ ピ⸢カ⸣リティ イ⸢カムス⸣ク ナ⸢クラー⸣ワ⸢ツォー [⸢miː⸣ja gi⸢ragira⸣ʃi pi̥⸢ka⸣riti ʔi⸢kamusu⸣ku na⸢kuraː⸣wa⸢ʦoː] (目はぎらぎらと光って、どんなに怖いかってば、ねえ) 5469 0 0 5318 htmvoc_5469.wav キラリン キ⸢ラ⸣リン [ki⸢ra⸣riŋ] 自動 来られる。来ることが出来る。カ行変革動詞⸣クーン[⸣kuːŋ](来る)に、受身・可能の助動詞⸢ラ⸣リン[⸢-ra⸣riŋ](~られる)が下接して形成された可能動詞。 ⸢バン⸣ヌン ⸣アツァー キ⸢ラ⸣リン [⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔaʦaː ki⸢ra⸣riŋ] (私も明日は来られる)。 キ⸢ララン⸣カー キ⸢ラ⸣リ ⸣ピンナ ⸣クーバ [ki⸢raraŋ⸣kaː ki⸢ra⸣ri ⸣pinna ⸣kuːba] (来られなかったら、来られる時に来なさいよ) 5470 0 0 5319 htmvoc_5470.wav キラリンギサン キ⸢ラリン⸣ ギサン [ki⸢rariŋ⸣ gisaŋ] 連 来られそうだ。 ⸣アツァー キ⸢ラリン⸣ ギサン [⸣ʔaʦaː ki⸢rariŋ⸣ gisaŋ] (明日は来られそうだ) 5665 0 1 5320 htmvoc_5665.wav ギリ ギ⸢リ [gi⸢ri] 名 {Mn_1}義理。道徳。人間としてふみ行うべき正しい道。 ⸣アイブ ヤ⸢ナクトゥバ シー ウンザー⸣ ギ⸢リン⸣ パジン ⸢ナーン⸣ ムヌ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu ja⸢nakutuba ʃiː ʔunʣaː⸣ gi⸢rim⸣ paʤin ⸢naːm⸣ munu nari⸢naː⸣nu] (あんな悪事を働いて、彼奴は義理も恥もない者になってしまった)。 5665 0 2 5321 htmvoc_5665.wav ギリ ギ⸢リ [gi⸢ri] 名 {Mn_2}交際上の義務。 ⸢ウン⸣ネートー ⸢ブン⸣ギ ⸢カイ⸣ス ギ⸢リヌ⸣ ア⸢リ⸣ブバ ウ⸢リ バスクナ⸣ヨー [⸢ʔun⸣neːtoː ⸢buŋ⸣gi ⸢kai⸣su gi⸢rinu⸣ ʔa⸢ri⸣buba ʔu⸢ri basu̥kuna⸣joː] (あの家とは恩義を返す義理がある<有り居る>から、それを忘れるなよ) 5666 0 0 5322 htmvoc_5666.wav キリカイ キ⸢リ⸣カイ [ki⸢ri⸣kai] 名 切り替え。転換すること。 カ⸢ツシンマー タイショーヌ ユー⸣ナ ⸢プーシン⸣ラ キ⸢カイ⸣シン キ⸢リ⸣カイ ⸢オーッ⸣タツォー [kḁ⸢ʦuʃimmaː taiʃoːnu juː⸣na ⸢puːʃin⸣ra ki̥⸢kai⸣ʃiŋ ki⸢ri⸣kai ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (カツオ漁船は大正の時代<世>に帆船から発動汽船<機械船>に切り替えなされたそうだ) 5667 0 0 5323 htmvoc_5667.wav キリカイスン キ⸢リカイ⸣スン [ki⸢rikai⸣suŋ] 他動 蹴り返す。 プ⸢スン⸣ キ⸢ラ⸣リカー キ⸢リカイスン⸣ドゥ ⸢クン⸣ドー キ⸢リカイサヌ [pu̥⸢suŋ⸣ ki⸢ra⸣rikaː ki⸢rikaisun⸣du ⸢kun⸣doː ki⸢rikaisa⸣nu] (他人に蹴られたら蹴り返すが、今度は蹴り返さない)。 キ⸢リカイ⸣シ ⸣ミサカー キ⸢リカイ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ki⸢rikai⸣ʃi ⸣misakaː ki⸢rikai⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (蹴り返して良ければ、蹴り返すことは出来る)。 キ⸢リカイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ki⸢rikai⸣ʃeː ⸣misamunu] (蹴り返せば良いのに)。 キ⸢リカイ⸣シバ [ki⸢rikai⸣ʃiba] (蹴り返せよ) 5668 0 0 5324 htmvoc_5668.wav ギリガターン ギ⸢リガター⸣ン [gi⸢rigataː⸣ŋ] 形 義理堅い。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ギ⸢リガター⸣ンティ ス⸢クタヌ⸣ カ⸢ルタ ジン⸣ユン ⸢カイサ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ギ⸢リガター ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ gi⸢rigataː⸣nti su̥⸢kutanu⸣ ka⸢ruta ʤiŋ⸣juŋ ⸢kaisa⸣nu ⸢pit⸣ʧiŋ gi⸢rigataː naː⸣nu] (この人は義理堅いと聞いたが、借りた金をも返さない{EOS}ちっとも義理堅くない)。 ギ⸢リガター⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [gi⸢rigataː⸣nu na⸢ra⸣nu] (義理堅くて堪らない)。 ギ⸢リガター⸣ ナルン [gi⸢rigataː⸣ naruŋ] (義理堅くなる)。 ウ⸢リン⸣ カタチニ ギ⸢リガター⸣ プ⸢ソー⸣ ブラーヌ [ʔu⸢riŋ⸣ kḁtaʧini gi⸢rigataː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (その人のように義理堅い人はいない) 5471 0 0 5325 htmvoc_5471.wav キリガヤ キ⸢リ⸣ガヤ [ki⸢ri⸣gaja] 名 茅束の根元を切り揃えたもの。「切り茅」の義。茅葺屋根の甍を仕上げる際に、甍の両端へ切り揃えた茅の根元を向け、積み重ねて成形し、竹簾を掛け、くろつぐ<桄榔>の縄で引き締めて甍を作った。 ⸣ガヤヤーヌ イ⸢ラ⸣カ ス⸢ク⸣ル ⸣ピンマー ガ⸢ヤータバル⸣ヌ ⸣ニー ⸣キシ ⸣スルイティ キ⸢リ⸣ガヤ ⸣ナシティ イ⸢ラ⸣カナー シ⸢ミティ⸣ ス⸢クル⸣タ [⸣gajajaːnu ʔi⸢ra⸣ka su̥⸢ku⸣ru ⸣pimmaː ga⸢jaːtabaru⸣nu ⸣niː ⸣ki̥ʃi ⸣suruiti ki⸢ri⸣gaja ⸣naʃiti ʔi⸢ra⸣kanaː ʃi⸢miti⸣ su̥⸢kuru⸣ta] (茅葺家の甍を作る時は茅束の根元を切り揃えて切り茅にし、甍に積み重ねて作った) 5669 0 0 5326 htmvoc_5669.wav キリキザムン キ⸢リキザ⸣ムン [ki⸢rikiʣa⸣muŋ] 他動 細かく刻む。「切り刻む」の義。 ヤ⸢サイ⸣バ キ⸢リキザ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ キ⸢リキザマラ⸣ヌ [ja⸢sai⸣ba ki⸢rikiʣa⸣munti ⸢sundu⸣ ki⸢rikiʣamara⸣nu] (野菜を切り刻もうとするが、切り刻まれない)。 キ⸢リキザ⸣ミ ⸣ミサカー キ⸢リキザ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ki⸢rikiʣa⸣mi ⸣misakaː ki⸢rikiʣa⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (切り刻んで良ければ切り刻むことは出来る)。 キ⸢リキザ⸣メー ⸣ミサムヌ [ki⸢rikiʣa⸣meː ⸣misamunu] (切り刻めば良いのに)。 ムー⸢ル⸣ キ⸢リキザ⸣ミ [muː⸢ru⸣ ki⸢rikiʣa⸣mi] (全部切り刻め) 5670 0 0 5327 htmvoc_5670.wav キリキジ キ⸢リ⸣キジ [ki⸢ri⸣kiʤi] 名 切り傷。 ビ⸢コーンッふァー⸣ パ⸢ダ⸣ラーンダ ク⸢ルビティ⸣ キ⸢リキジ⸣ヌ ⸣キシテー ⸢ナー⸣ヌ [bi⸢koːŋffaː⸣ pa⸢da⸣raːnda ku⸢rubiti⸣ ki⸢rikiʤi⸣nu ⸣ki̥ʃiteː ⸢naː⸣nu] (男の子は腕白ですばしこいから、切り傷の切れる<無くなる>ことはない) 5675 0 0 5328 htmvoc_5675.wav ギリギリヤー ギ⸢リギリ⸣ヤー [gi⸢rigiri⸣jaː] 名 ひきもの(挽物)屋。ろくろかんな(轆轤鉋)で挽いて食器類や家庭用器具、遊具類を造る職業。鳩間島には無く、石垣島に注文して購入していた。 ギ⸢リギリヤー⸣ヤ パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナーン⸣シェン [gi⸢rigirijaː⸣ja pḁ⸢tu⸣manaː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (ギリギリ屋<挽き物屋>は鳩間島には無かった) 5671 0 0 5329 htmvoc_5671.wav キリックナー キ⸢リッ⸣クナー [ki⸢rik⸣kunaː] 名 蹴り勝負。蹴り合い。「蹴り比べ」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸣ゾーナ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢マール⸣ヌ キ⸢リッ⸣クナー ⸢シー⸣ ア⸢サビ ベー [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸣ʣoːna ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢maːru⸣nu ki⸢rik⸣kunaː ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabi beː] (子供達は家の外の道に集まって、毬の蹴り合いをして遊んでいる) 5672 0 0 5330 htmvoc_5672.wav キリックルスン キ⸢リックル⸣スン [ki⸢rikkuru⸣suŋ] 他動 蹴り殺す。 ン⸢ギ⸣ウシェー ⸣アトゥパンシ プ⸢ス⸣ キ⸢リックル⸣スンティ⸢ダー [ʔŋ⸢gi⸣ʔuʃeː ⸣ʔatupaŋʃi pu̥⸢su⸣ ki⸢rikkuru⸣sunti⸢daː] (牛舎から逃げた牛は後ろ足で人を蹴り殺すそうだよ) 5472 0 0 5331 htmvoc_5472.wav キリッケーラスン キ⸢リッケーラ⸣スン [ki⸢rikkeːra⸣suŋ] 他動 蹴飛ばす。「蹴り返らす」の義。 プ⸢スバ⸣ キ⸢リッケーラ⸣スンティ ⸢アー⸣キティ プ⸢スン⸣ キ⸢リッケーラサ⸣リ ⸢ベー [pu̥⸢suba⸣ ki⸢rikkeːra⸣sunti ⸢ʔaː⸣kiti pu̥⸢suŋ⸣ ki⸢rikkeːrasa⸣ri ⸢ʔaː⸣ku] (他人を蹴飛ばそうとしていて、他人に蹴飛ばされている)。 キ⸢リッケー⸣ラシ ⸣ミサカー キ⸢リッケーラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ki⸢rikkeːra⸣ʃi ⸣misakaː ki⸢rikkeːra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (蹴飛ばしてよければ、蹴飛ばすことはできる)。 ⸢マー⸣ビン キ⸢リッケーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ki⸢rikkeːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと蹴飛ばせばいいのに)。 キ⸢リッケーラ⸣シバ [ki⸢rikkeːra⸣ʃiba] (蹴飛ばせよ)。 サ⸢キバ⸣ ヌミティ ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ⸣ヌーンクイン キ⸢リッケーラ⸣スン [sḁ⸢kiba⸣ numiti ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ⸣nuːŋkuiŋ ki⸢rikkeːra⸣suŋ] (酒を飲んで怒ると何もかも蹴り飛ばす)。 キ⸢リッケーラサ⸣リン [ki⸢rikkeːrasa⸣riŋ] (蹴り飛ばされる)。 キ⸢リッケーラサリヤッ⸣サン [ki⸢rikkeːrasarijas⸣saŋ] (蹴り飛ばされやすい)。 キ⸢リッケーラサリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢rikkeːrasari⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (蹴り飛ばされることは無い)。 キ⸢リッケーラ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢rikkeːra⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (蹴飛ばしてはならない)。 キ⸢リッケーラ⸣シ [ki⸢rikkeːra⸣ʃi] (蹴っ飛ばせ) 5674 0 0 5332 htmvoc_5674.wav キリッツァースン キ⸢リッツァー⸣スン [ki⸢ritʦaː⸣suŋ] 他動 蹴散らす。 ⸣ドゥークンゾーバ ⸣ンジティル ヌーテー⸢ナー⸣ン キ⸢リッツァー⸣シ パ⸢ニポー⸣リ ⸣シケー [⸣duːkunʣoːba ⸣ʔnʤitiru nuːteː⸢naː⸣ŋ ki⸢ritʦaː⸣ʃi pa⸢nipoː⸣ri ʃi̥keː] (怒りの矛先が己に向いて<自分自身に腹が立って>、手当たり次第に<何を特定するでもなく>蹴飛ばして、そこら一面に乱雑に蹴散らかしてある)。 キ⸢リッツァーサ⸣ヌ [ki⸢ritʦaːsa⸣nu] (蹴散らさない) 5676 0 0 5333 htmvoc_5676.wav キリットースン キ⸢リットー⸣スン [ki⸢rittoː⸣suŋ] 他動 蹴倒す。⸢蹴り倒す」の義。 ⸣パンシ キ⸢リットー⸣スン [⸣paŋʃi ki⸢rittoː⸣suŋ] (足で蹴り倒す)。 シ⸢マ⸣バ ⸣トゥリティ キ⸢リットーサ⸣リ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ʃi⸢ma⸣ba ⸣turi ki⸢rittoːsa⸣riti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (相撲をとって蹴倒されて、体に怪我をして<胴を病ましておいて>ある)。 キ⸢リットーサラ⸣ヌ [ki⸢rittoːsara⸣nu] (蹴倒されない) 5677 0 0 5334 htmvoc_5677.wav キリットゥバスン キ⸢リットゥバ⸣スン [ki⸢rittuba⸣suŋ] 他動 蹴飛ばす。「蹴り飛ばす」の義。 ウ⸢レー⸣ キ⸢リットゥバサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ki⸢rittubasara⸣nu] (それは蹴飛ばされない)。 キ⸢リットゥバシ⸣ プサン [ki⸢rittubaʃi⸣ pu̥saŋ] (蹴飛ばしたい)。 キ⸢リットゥバ⸣スンティ ⸣ウムーカー キ⸢リットゥバ⸣シバ [ki⸢rittuba⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ki⸢rittuba⸣ʃiba] (蹴飛ばそうと思うなら蹴っ飛ばせよ)。⸢キットゥバ⸣スン[⸢kittuba⸣suŋ](蹴っ飛ばす)ともいう。 ⸢キットゥバ⸣ス ⸣クトゥ [⸢kittuba⸣su ⸣ku̥tu] (蹴飛ばすこと)。 ⸢キットゥバ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢kittuba⸣ʃeː ⸣misamunu] (蹴飛ばせばよいのに) 5678 0 0 5335 htmvoc_5678.wav キリビラ キ⸢リ⸣ビラ [ki⸢ri⸣bira] 名 (植)にら(韮)。⸣ビラ[⸣bira](韮)ともいう。「薤、ミラ、ニラ、ヒル」『類聚名義抄』に接頭語、キ⸢リ-[kiri-](切り)が付いて形成だれた合成語。 キ⸢リ⸣ビラーンツァン ⸣スリ ⸣キー ⸢スー⸣ヌ ⸢オーンガキ シー⸣バ [ki⸢ri⸣biraːnʦan ⸣suri ⸣kiː ⸢suː⸣nu ⸢ʔoːŋgaki ʃiː⸣ba] (韮でも剃ってきて、お汁の薬味<うわおき>にしなさいよ) 5679 0 0 5336 htmvoc_5679.wav キリボシ キ⸢リ⸣ボシ [ki⸢ri⸣boʃi] 名 ⸢切り干し」の義。イモ類を薄く輪切りにして乾燥した物。キリボシは長期保存できるので、非常用食品として保存された。カ⸢シガーフク⸣ル[kḁ⸢ʃigaːɸu̥ku⸣ru](南京袋)に入れて保存し、必要に応じて臼で搗き、粉にして米に混ぜて炊いた。芋の澱粉が米と適当に混じりあい、粘り気が出て旨味をだす効果があった。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸢ウン⸣ヌ キ⸢リ⸣ボシン ス⸢クル⸣タン⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸢ʔun⸣nu ki⸢ri⸣boʃin su̥⸢kuru⸣tan⸢daː] (終戦後には芋の切り干しも作ったものだよ) 5477 0 0 5337 htmvoc_5477.wav キリマス キ⸢リ⸣マス [ki⸢ri⸣masu] 名 枡に盛った穀物を斗掻できっちりと切り均した枡。石垣方言からの借用語。対語は、ム⸢リマス[mu⸢rimasu](盛り枡)。 マ⸢チヤーヌ⸣ プ⸢ソー⸣ キ⸢リ⸣マスシル ノー⸢ン カーソー⸣ル [ma⸢ʧijaːnu⸣ pu̥⸢soː⸣ ki⸢ri⸣masuʃiru noː⸢ŋ kaːsoː⸣ru] (店の人は何でも切り枡で量って売られる) 5680 0 0 5338 htmvoc_5680.wav キリマラバスン キ⸢リマラバ⸣スン [ki⸢rimaraba⸣suŋ] 他動 散々に蹴って打ち据える。打ちのめす。強打する。⸢蹴まろばす<転ばす>」の義。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢ヌンガーラサ⸣ヌ キ⸢リマラバ⸣スン [ja⸢naku̥tu suː⸣kaː ⸢nuŋgaːrasa⸣nu ki⸢rimaraba⸣suŋ] (悪事を働くと許さない{EOS}散々に蹴って打ち据える)。 キ⸢リマラバサ⸣リ ⸢ベー [ki⸢rimarabasa⸣ri ⸢beː] (散々に打ち据えられている) 5681 0 0 5339 htmvoc_5681.wav キリユーナー キ⸢リユー⸣ナー [ki⸢rijuː⸣naː] 連 蹴り合い。 ⸢ヤー ンーマ⸣ヌ カ⸢タ⸣ ミ⸢リ⸣バ キ⸢リユーナー⸣ドゥ ⸢シーユール [⸢jaː ʔmːma⸣nu kḁ⸢ta⸣ mi⸢ri⸣ba ki⸢rijuːnaː⸣du ⸢ʃiːjuːru] (ああ、馬の絵を見ると、蹴り合いを<ぞ>している)(アーパーレー歌) 5682 0 0 5340 htmvoc_5682.wav キルン ⸣キルン [⸣kiruŋ] 他動 蹴る。「蹴散、倶穢<くゑ>はららかす」『日本書紀 神代上』、「Qe,ru,eta.ケ、ケル、ケタ(蹴、ける、けた)足で前方へ蹴る」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ク⸢レー⸣ キ⸢ララ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ki⸢rara⸣nu] (これは蹴られない)。 ⸢マー⸣ル ⸣パンシ ⸣キルンティ ⸣ウムーカー ⸣キリバ [⸢maː⸣ru ⸣paŋʃi ⸣kirunti ⸣ʔumuːkaː ⸣kiriba] (鞠を足で蹴ようと思うなら蹴りなさい<蹴れよ>)。 ⸢マー⸣ル キ⸢リ⸣プサン [⸢maː⸣ru ki⸢ri⸣ pu̥saŋ] (鞠を蹴りたい)。 ⸢マー⸣ル ⸣キル ⸣バス [⸢maː⸣ru ⸣kiru ⸣basu] (鞠を蹴るとき)。 ⸣パンシ ⸣キレー ⸣ミサムヌ [⸣paŋʃi ⸣kireː ⸣misamusu] (足で蹴ればよいのに) 5683 0 0 5341 htmvoc_5683.wav キワ ⸣キワ [⸣kiwa] 名 ある行動や状態に移る限界点。瞬間。どたんば。~のきわ(際)。~の羽目。老年層は、⸣キファ[⸣kiɸa]という。 ウ⸢カ⸣ヌ ⸣ミーシ ⸢ヤー⸣ヤ ⸣サシウサイ サ⸢リル⸣ キワ ⸣ナリ ⸢キー⸣ル プ⸢ステー⸣ バ⸢タシェー⸣ティムカーヤ [ʔu⸢ka⸣nu ⸣miːʃi ⸢jaː⸣ja ⸣saʃiʔusai sa⸢riru⸣ kiwa ⸣nari ⸢kiː⸣ru pu̥⸢suteː⸣ ba⸢taʃeː⸣timukaːja] (借金のかた<抵当>に家が差し押さえされる際になったので人手に渡したということだよ)。 ナ⸢ガヤンマイ シー オーッタン⸣ドゥ ⸢マーラス⸣ キワ⸣ナリ ⸢オー⸣ルツォー [na⸢gajammai ʃiː ʔoːttan⸣du ⸢maːrasu⸣ kiwa ⸣nari ⸢ʔoː⸣ruʦoː] (長患い<長病み>しておられたが、亡くなる際になっておられるそうだ) 5684 0 0 5342 htmvoc_5684.wav キワミティ キ⸢ワミティ [ki⸢wamiti] 副 定めて。必ず。きまって。「極めて」の転訛したもの。歌謡語。/アサニシヨル ユナグ アサピキィ シヨルミドゥン ウリカラドゥ キハミティ ブトゥヤ ユダンシミユル/(朝寝坊の女性と朝食用の芋堀に行く婦人の家庭では夫は常に油断しがちで家運は衰退する)。⸢デンサ節」『八重山民謡誌』 5486 0 0 5343 htmvoc_5486.wav キン ⸣キン [⸣kiŋ] 名 着物。衣服。「足掻きの水に伎奴々礼爾家里<キヌ ヌレニケリ>。万、4022」。「素、キヌ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣キン キ⸢スン [⸣kiŋ ki̥⸢suŋ] (着物を着る)。 ⸣キン パズン [⸣kim ⸣paʣuŋ] (着物を脱ぐ)。 パ⸢ダ⸣キン [pa⸢da⸣kiŋ] (肌着)。 ナ⸢チ⸣キン [na⸢ʧi⸣kiŋ] (夏着)。 フ⸢ユ⸣キン [ɸu⸢ju⸣kiŋ] (冬着)。 ⸢アーシ⸣キン [⸢ʔaːʃi⸣kiŋ] (袷)。 シ⸢グトゥキン [ʃi⸢gutukiŋ] (仕事着)。 イ⸢ソーキン [ʔi⸢soːkiŋ] (漁に出る際の衣服{EOS}「磯着」の転訛か)。 フ⸢タ⸣キシキン [ɸu̥⸢ta⸣kiʃikiŋ] (普段着)。 ⸢クーシ⸣キン [⸢kuːʃi⸣kiŋ] (継ぎ当てした着物)。 ヤ⸢リ⸣キン [ja⸢ri⸣kiŋ] (破れ衣)。 ア⸢ラキン [ʔa⸢rakiŋ] (新しい着物)。 ッ⸢ふ⸣キン [f⸢fu⸣kiŋ] (古着)。 ヤ⸢リ⸣カコー [ja⸢ri⸣kakoː] (破れかかふ)。 フ⸢ク⸣ダー [ɸu̥⸢ku⸣daː] (\ruby{襤褸}{ボ|ロ}着) 5487 0 0 5344 htmvoc_5487.wav キン ⸣キン [⸣kiŋ] 名 (植)キビ(黍)。五穀の一つ。鳩間島ではあまり栽培されなかった。 ⸢キン⸣マー パ⸢トゥ⸣マナテー ⸢ナン⸣ゾー ス⸢ク⸣ロー⸢ラン⸣シェン [⸢kim⸣maː pḁ⸢tu⸣manateː ⸢nan⸣ʣoː su̥⸢ku⸣roː⸢raŋ⸣ʃeŋ] (黍は鳩間島ではあまり栽培されなかった<作られなかった>) 5685 0 0 5345 htmvoc_5685.wav キン ⸢キン [⸢kiŋ] 助数 斤。重量をあらわす単位。 ⸢イッキン [⸢ʔikkiŋ] (一斤)。 ⸢ニッ⸣キン [⸢nik⸣kiŋ] (二斤)。 ⸣サンギン [⸣saŋgiŋ] (三斤)。 ⸢ヨンキン [⸢joŋkiŋ] (四斤)。 ゴ⸢キン [go⸢kiŋ] (五斤)。 ⸢ロッ⸣キン [⸢rok⸣kiŋ] (六斤)。 シ⸢チ⸣キン [ʃi̥⸢ʧi⸣kiŋ] (七斤)。 ハ⸢チ⸣キン [ha⸢ʧi⸣kiŋ] (八斤)。 ⸢キューキン [⸢kjuːkiŋ] (九斤)。 ⸣ジッキ [⸣ʤikki] (十斤)。 ⸣ニジッキ [⸣niʤikki] (二十斤)。 ⸢ピャッ⸣キ [⸢pjak⸣ki] (百斤) ⸣シンギ [⸣ʃiŋgi] (千斤))。 ⸣マンギ [⸣maŋgi] (万斤)。 ⸢オー⸣ヤ ニ⸢ヒャッ⸣キ ⸢バー⸣キ フ⸢ドゥバシティル カーシタル [⸢ʔoː⸣ja ni⸢hjak⸣ki ⸢baː⸣ki ɸu⸢dubaʃi̥tiru kaːʃitaru] (豚は二百斤まで肥育してから<ぞ>売ったものだ) 5694 0 0 5346 htmvoc_5694.wav ギン ⸢ギン [⸢giŋ] 名 件。事柄。例のこと。一件。 ウ⸢ヌ ギン⸣シェー ウヤ⸢バー⸣キ ⸢ガッ⸣コー ヤ⸢ラバーリル⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ ユ⸢ラー⸣レー<ユ⸢ルサ⸣レー>⸢ダー [ʔu⸢nu giŋ⸣ʃeː ʔuja⸢baː⸣ki ⸢gak⸣koː ja⸢rabaːriru⸣ jat⸢tu⸣ʃi ju⸢raː⸣reː⸢daː] (その件では親まで学校に呼ばれてやっとのことで許してもらえた<許された>のだよ)。 ク⸢リティル ギンマー⸣ メー イッ⸢カ⸣ ユ⸢ラ⸣スクトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ritiru gimmaː⸣meː ʔik⸢ka⸣ ju⸢ra⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これということ<この件>ばかりは、もう決して<一向に>許すことは出来ない) 5488 0 0 5347 htmvoc_5488.wav キンアライ ⸢キン⸣アライ [⸢kiŋ⸣ʔarai] 名 洗濯。「衣洗い」の義。 ミ⸢ジヌ ナー⸣ン ⸣シマナテー ⸢キンアライ⸣ヤー ウ⸢ブシグトゥ ヤッタ [mi⸢ʤinu naː⸣ŋ ⸣ʃimanateː ⸢kiŋʔarai⸣jaː ʔu⸢buʃigutu jatta] (水のない島では洗濯<衣洗い>は大仕事であった) 5489 0 0 5348 htmvoc_5489.wav キンアライタライ ⸢キンアライ⸣タライ [⸢kiŋʔarai⸣tarai] 名 洗濯用盥。「衣洗い盥」の転訛。 ⸢キンアライ⸣タライナ ⸢キン⸣マー イ⸢リティ⸣ フ⸢クラシ⸣ シキ [⸢kiŋʔarai⸣taraina ⸢kim⸣maː ʔi⸢riti⸣ ɸu̥⸢kuraʃi⸣ʃi̥ki] (洗濯用盥に着物を入れて、水に浸けてふやかして<ふくれさせて>おけ) 5490 0 0 5349 htmvoc_5490.wav キンカー ⸣キンカー [⸣kiŋkaː] 名 衣類。衣服。「衣皮」の転訛か。 ⸣キンカーン タカー⸢ニン⸣ アリ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣kiŋkaːn tḁkaː⸢niŋ⸣ ʔari ⸢soːja naː⸣nu] (衣類も沢山あり、心配はない)。 キ⸢ス⸣ キンカーティン ノー⸢ン ナー⸣ヌ [ki̥⸢su⸣ kiŋkaːtin noː⸢n naː⸣nu] (着る着物とても何もない) 5139 0 0 5350 htmvoc_5139.wav キンキン ⸢キンキン [⸢kiŋkiŋ] 名 黄色。黄々。 カ⸢ムラー⸣マー ⸢キンキンヌ キン⸣バ キ⸢ソーッ⸣タ [ka⸢muraː⸣maː ⸢kiŋkinnu kim⸣ba ki̥⸢soːt⸣ta] (カムラーマは黄色の着物を着けられた)。強調するとカム⸢ラー⸣マ[kamu⸢raː⸣ma]ともいう 5492 0 0 5351 htmvoc_5492.wav キンキンシ キン⸢キン⸣シ [kiŋ⸢kiŋ⸣ʃi] 副 黄色く。 ⸣イロー キン⸢キン⸣シ ス⸢ミバル⸣ マ⸢シ [⸣ʔiroː kiŋ⸢kiŋ⸣ʃi su⸢mibaru⸣ ma⸢ʃi] (色は黄色く染めたほうがよい<染めればぞましだ>) 5686 0 0 5352 htmvoc_5686.wav キンキンシ ⸢キンキン⸣シ [⸢kiŋkiŋ⸣ʃi] 副 黄色に。⸢真黄色に」の義。「黄色黄色」の転訛したもの。 フ⸢クンヌ⸣ カー ⸣シジティ ⸢キンキン⸣シ ス⸢ミ⸣シケー [ɸu̥⸢kunnu⸣kaː ⸣ʃiʤiti ⸢kiŋkiŋ⸣ʃi su⸢mi⸣ʃi̥keː] (福木の皮を煎じて真黄色に染めてある) 5687 0 0 5353 htmvoc_5687.wav キンク ⸢キンク [⸢kiŋku] 名 金庫。標準語からの借用語。老年層は、普通は⸢ジン⸣グラ[⸢ʤiŋ⸣guru](金蔵)という。 ウ⸢ヤ⸣キプソー ⸢キンクナー⸣ル ⸢ジン⸣マー カ⸢キン⸣グ ⸢ソーッ⸣タツォー [ʔu⸢ja⸣kipu̥soː ⸢kiŋkunaː⸣ru ⸢ʤim⸣maː ka⸢kiŋ⸣gu ⸢soːt⸣taʦoː] (金持ちは金庫に<ぞ>お金を保管されたそうだ)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢キンクバ ジン⸣グラティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kiŋkuba ʤiŋ⸣gurati ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (昔は金庫をジングラ<銭倉>といわれたものだ) 5491 0 0 5354 htmvoc_5491.wav キンクー ⸢キンクー [⸢kiŋkuː] 名 金庫。標準語からの借用語。 ⸢ウン⸣ネーナ ⸢キンクーン⸣ アンティ⸢ダー [⸢ʔun⸣neːna ⸢kiŋkuːŋ⸣ ʔanti⸢daː] (あの家には金庫もあるそうだよ) 5688 0 0 5355 htmvoc_5688.wav キンクーレー ⸢キンクーレー [⸢kiŋkuːreː] 名 (動)魚の名。和名、アヤコショウダイ(体長約60センチ)。鳩間島では30~40センチの⸢キンクーレーが漁獲されていた。鰓蓋の辺りから尾びれにかけて黒の丸い斑点が並び、上体部から背びれにかけて黒のストライプが斜めに並んで、背びれや尾びれ、口元が淡いオレンジ色に染まった美しい魚である 5689 0 0 5356 htmvoc_5689.wav キンコー ⸢キンコー [⸢kiŋkoː] 名 健康。標準語からの転訛。普通は、⸣ドゥーガンズー[⸣duːganʣuː](胴頑丈)という。 ⸢キンコー⸣ ア⸢ラバ⸣ル ⸣ウムークトゥーン ノー⸢ン⸣ ナル [⸢kiŋkoː⸣ ʔa⸢raba⸣ru ⸣ʔumuːkutuːn noː⸢n⸣ naru] (健康であってこそ思うこともなにもかも叶う<出来る>のだ)。 パ⸢チング⸣チナール ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー ニガイヤー ソーッ⸣タ [pḁ⸢ʧiŋgu⸣ʧinaːru ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpada ⸢kiŋkoː nigaijaː soːt⸣ta] (八月に家族の身体健康祈願をされた)。 ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣リ [⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (体<胴肌>を健康にして<有らして>ください) 5494 0 0 5357 htmvoc_5494.wav キンコースクサイ ⸢キンコースクサイ [⸢kiŋkoːsu̥kusai] 名 健康息災。健康で身にさわりのないこと。無病息災であること。主として神仏に祈願する、⸢カン⸣フチ ニ⸢ガイ⸣フチ[⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi](神口・願い口<祝詞>)の中で唱えられるが、日常の挨拶言葉の中でも用いられる。 ⸢カンヌ⸣マイ ニ⸢ガイシキラ⸣バ ⸢キンコースクサイ⸣ ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [⸢kannu⸣mai ni⸢gaiʃi̥kira⸣ba ⸢kiŋkoːsu̥kusai⸣ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (神様の御前に祈願申し上げますから健康息災あらしめてください) 5690 0 0 5358 htmvoc_5690.wav キンコースクサイ ⸢キンコー⸣ ス⸢クサイ [⸢kiŋkoː⸣ su̥⸢kusai] 連 ⸢健康、息災」の転訛。無病息災であること。 ⸢キンコー⸣ ス⸢クサイユ⸣ ニ⸢ガイシキラ⸣バ イ⸢ジン⸣ジ パ⸢タラキ⸣バ⸢ヨー [⸢kiŋkoː⸣ su̥⸢kusaiju⸣ ni⸢gaiʃi̥kira⸣ba ʔi⸢ʤin⸣ʤi pḁ⸢taraki⸣ba⸢joː] (健康と息災をお祈り<願いつけ>しますから、頑張って働きなさいねえ) 5691 0 0 5359 htmvoc_5691.wav キンコーニガイ ⸢キンコーニガイ [⸢kiŋkoːnigai] 名 健康祈願。健康祈願の行事。⸣ソンガチ パ⸢チニンガイ[⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧiniŋgai](正月の初祈願)やパ⸢チンガチニン⸣ガイ[pḁ⸢ʧiŋgaʧiniŋ⸣gai](八月祈願)の際に健康祈願を行った。本人のマ⸢リビー[ma⸢ribiː](生まれた干支の日)に⸢クームチ[⸢kuːmuʧi](神に供える一式の供物)を供えて、サ⸢カサ[sa⸢kasa](司{EOS}巫女)に頼んで健康祈願をしてもらった。⸣ドゥーパダニンガイ[⸣duːpadaniŋgai](身体<胴肌>健康祈願)、トゥ⸢シ⸣ビーニンガイ[tu̥⸢ʃi⸣biːniŋgai](生まれた干支の日に行う健康祈願)ともいう 5692 0 0 5360 htmvoc_5692.wav キンサ ⸢キン⸣サ [⸢kin⸣sa] 名 検査。標準語からの転訛。老年層は、⸣トゥリシラビ[⸣turiʃirabi](取調べ{EOS}検査)という。 ⸢グイ⸣フゾーノーヌ ⸢キン⸣サ [⸢gui⸣ɸuʣoːnoːnuː ⸢kin⸣sa] (貢納布<御庸布>の検査)。 ⸢ピータイキン⸣サ [⸢piːtaikin⸣sa] (徴兵検査<兵隊検査>)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢グイ⸣フゾーノーヌ ⸢キン⸣サ ⸢トゥーラ⸣ン ミ⸢ドゥ⸣モー パ⸢マウリソージ⸣ヌ ⸣ピン ⸣サンシキナーティ ム⸢ラズーヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ マイナー ビ⸢ササリソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːnu ⸢kin⸣sa ⸢tuːra⸣m mi⸢du⸣moː pa⸢maʔurisoːʤi⸣ni ⸣pin ⸣saŋʃi̥kinaːti mu⸢raʣuːnu⸣ pu̥⸢sunu⸣ mainaː bi⸢sasarisoːt⸣taʦoː] (昔は、御庸布上納<納税>の検査に合格しない<通らない>女は浜下り精進の日に桟敷において、村人全員の前に座らされたそうだ) 5495 0 0 5361 htmvoc_5495.wav キンザン ⸢キン⸣ザン [⸢kin⸣ʣaŋ] 名 (動)ころもじらみ(衣虱)。きものじらみ(着物虱)。着物に付くシラミ(虱)。「⸢キン・ッサン[⸢kin⸣ssaŋ]<衣・虱>」の[n]により[-ss-]が有声化し、[⸢kin⸣ʣaŋ]と転訛したもの。終戦後、西表島の避難小屋から鳩間島に帰ったとき、着物虱が湧き出るように発生<孵化>してマラリアアと共に苦しめられたが、米軍によるDDT散布により駆除することができた。 ⸢キンザン⸣ヌ ⸣シディティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラン⸣シェタンドゥ ⸢ディーディー⸣ティー マ⸢クター⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ウ⸢サマ⸣レータル [⸢kinʣan⸣nu ⸣ʃiditi ⸢joː⸣ʣoː na⸢raŋ⸣ʃeːtandu ⸢diːdiː⸣tiː ma⸢ku⸣taː jat⸢tu⸣ʃi ʔu⸢sama⸣reːtaru] (衣虱が発生して<孵化し湧き出て>手が付けられなかった<養生、手当てができなかった>がDDTを頭から全身、全集落散布をしたら、やっとで収まった)。 ⸢キンザン⸣マー ⸢キン⸣ヌ ブ⸢リ⸣ミ ⸢ヌイ⸣ミーナ ⸣ユー ⸣シディ ブ⸢タンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ブ⸢ラーヌ [⸢kinʣam⸣maː ⸢kin⸣nu bu⸢ri⸣miː ⸢nui⸣miːna ⸣juː ʃidibu⸢tandu⸣ ma⸢na⸣maː bu⸢raːnu] (衣虱は衣類の折り目、縫い目によく発生<孵化>していたが、今はいない) 5695 0 0 5362 htmvoc_5695.wav ギンシェー ⸢ギン⸣シェー [⸢giŋ⸣ʃeː] 連 ~からには。~する以上。前条件を受けて、下に当然起こり得る、起こり得た未然の、既に起きた出来事を表す。 バ⸢ライベ⸣ー ⸢ギン⸣シェー ⸢ゴーカク シェー⸠ナー [ba⸢raibe⸣ː ⸢giŋ⸣ʃeː ⸢goːkaku ʃeː⸠naː] (笑っているからには、合格したんだな) 5496 0 0 5363 htmvoc_5496.wav キンシタダル ⸢キンシタダル [⸢kiŋʃi̥tadaru] 名 黄色が濃いこと。黄金色の果実が鈴なりに生るさま。「黄味滴り」の義。 フ⸢ナブ⸣ヌ キ⸢ンシタダル スン⸣ケン ナリ⸢ベー [ɸu⸢nabu⸣nu ⸢kiŋʃi̥tadaru suŋ⸣ken nari⸢beː] (蜜柑<九年母>が黄金色が滴るほどに、鈴生りに生っている) 5696 0 0 5364 htmvoc_5696.wav キンズ ⸢キンズ [⸢kinʣu] 名 近所。標準語「近所」の転訛。トゥ⸢ナル[tu⸢naru](隣)、又は⸢ヤートゥナ⸣ル[⸢jaːtuna⸣ru](近所{EOS}家隣)というのが普通。⸢キンズ[⸢kinʣu](近所)単独で用いることは少ない。トゥ⸢ナルキンズ[tu⸢narukinʣu](隣近所)のように複合語の形で用いられることが多い。 トゥ⸢ナルキンズトー⸣ ユー ピ⸢ライバ⸣ル キ⸢ナイヤー⸣ ム⸢ティヤッ⸣サ⸢ダー [tu⸢narukinʣutoː⸣ juː pi⸢raiba⸣ru ki⸢naijaː⸣ mu⸢tijas⸣sa⸢daː] (隣近所とはよく付き合ってこそ家庭は経営しやすいものだよ) 5697 0 0 5365 htmvoc_5697.wav キンスー ⸢キンスー [⸢kinsuː] 名 斤数。斤量。斤目。目方。 ク⸢ヌ⸣ ス⸢ビ⸣ヌ ⸢キンスー ギュー⸣サ カ⸢カ⸣ルユー パ⸢カ⸣リ⸢ミー [ku⸢nu⸣ su⸢bi⸣nu ⸢kinsuː gjuː⸣sa kḁ⸢ka⸣rujuː pḁ⸢ka⸣ri⸢miː] (このマグロの斤数<斤量>いくらかかるか、計ってごらん)。 ク⸢ヌ オー⸣ヌ ⸢キンソー ギュー⸣サ ⸣ブカラ カ⸢カ⸣ルユー パ⸢カ⸣リ⸢ミー [ku⸢nu ʔoː⸣nu ⸢kinsoː gjuː⸣sa ⸣bukara kḁ⸢ka⸣rujuː pḁ⸢ka⸣ri⸢miː] (この豚の斤数は幾らほど<どれぐらい>かかるか量ってごらん) 5698 0 0 5366 htmvoc_5698.wav キンタ ⸢キン⸣タ [⸢kin⸣ta] 名 がけ(崖)。キ⸢ダバナ[ki⸢dabana](断崖の先端)ともいう。「切り・ひら<坂>」(傾斜地や斜面を「ひら・へら」という)『全国方言辞典』。「切り・ひら<坂>」の合成語か。⸢黄泉平坂」『古事記上』とも関係ある語か。⸢現在も坂のことをフィラという『沖縄古語大辞典』」。「嶽の嶽のぼてひらのひらおりて~『琉歌全集 1273』」。「黄泉平坂。泉津平坂、此をば余母都比羅佐可<よもつひらさか>といふ」『日本書紀 神代上』の転訛か。 ティ⸢ドゥ⸣クヤマヌ ⸢キン⸣ターラ ⸢キャーンギキーバ⸣ キシ ウ⸢ラ⸣ソーッタ [ti⸢du⸣ku jamanu ⸢kin⸣taːra ⸢kjaːŋgikiːba⸣ ki̥ʃi ʔu⸢ra⸣soːtta] (西表島のティドゥク山の崖からイヌ槇の木を伐り下ろされた) 5497 0 0 5367 htmvoc_5497.wav キンタールン ⸢キンタールン [⸢kintaːruŋ] 自動 黄ばむ。黄色になる。「黄にてあり」の転訛か。 ⸣ウキンバ ⸣シジ ⸣ヌミ ⸢シッ⸣キティ ⸣ドゥーナ ッ⸢シットー⸣スカー ⸣パダー ⸢キンタールン⸣ダー [ʔu⸢kim⸣ba ⸣ʃiʤi ⸣numi ⸢ʃik⸣kiti ⸣duːna ʃ⸢ʃittoː⸣su̥kaː ⸣padaː ⸢kintaːrun⸣daː] (うこん<鬱金>を煎じて飲み、搗いて体<胴体>に擦り付けると肌は黄ばむよ)。 ⸢キンターラヌ [⸢kintaːranu] (黄ばまない)。 ⸢キンターリティ [⸢kintaːriti] (黄ばんで)。 ⸢キンタール ムヌ [⸢kintaːru munu] (黄ばむもの)。 ⸢キンターレー⸣ ミサムヌ [⸢kintaːreː⸣ misamunu] (黄ばめばよいのに)。 ⸢キンターリリ [⸢kintaːriri] (黄ばめ) 5140 0 0 5368 htmvoc_5140.wav キンダイクニ ⸢キンダイクニ [⸢kindaikuni] 名 (植)和名、ニンジン(人参)。この植物は、民俗分類学的にはアブラナ科の大根類に入っている。大根と共に鳩間島でよく栽培されていた。豚汁や魚の汁と共に煮て食した。シ⸢ミ⸣ムー[ʃi⸢mi⸣muː](煮しめ物)の食材として必需品であった。子供は一般的に好まなかったが、親たちは積極的に子供に与えなかった。 ク⸢トゥシェー キンダイクニヌ⸣ イッ⸢ケナ ミーレー⸣ン [ku̥⸢tuʃeː kindaikuninu⸣ ʔik⸢kem miːreː⸣ŋ] (今年は人参が非常に豊作だ<非常によく稔った>)。(植)人参。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢キンダイクネー ナン⸣ゾー ッ⸢ふァーヌ [ja⸢ra⸣beː ⸢kindaikuneː nan⸣ʣoː f⸢faːnu] (子供は人参はあまり食べない)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸢キンダイクネー ナン⸣ゾー ン⸢マーナーン⸣シェン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸢kindaikuneː nan⸣ʣoː ʔm⸢maːnaːŋ⸣ʃeŋ] (子供の頃は、人参はあまり美味しくなかった) 5499 0 0 5369 htmvoc_5499.wav キンダン ⸢キン⸣ダン [⸢kin⸣daŋ] 名 地団太踏んで泣きわめく。激しく暴れまわる。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ビ ウーンティ⸣ ナ⸢キ キン⸣ダン ⸢シーベー [ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢bi ʔuːnti⸣ na⸢ki kin⸣daŋ ⸢ʃiːbeː] (親の後追いをしようとして、地団太踏んで泣きわめき暴れている) 5700 0 0 5370 htmvoc_5700.wav キンダン ⸢キン⸣ダン [⸢kin⸣daŋ] 名 子供が暴れまわること。駄駄をこねる。子供が機嫌をそこねて引っ掻き乱すこと。地団太ふむこと。 ヤ⸢ラ⸣ベー カ⸢ジェー マーリティ キン⸣ダン ⸢シーベー [ja⸢ra⸣beː ka⸢ʤeː maːriti kin⸣daŋ ⸢ʃiːbeː] (子供は機嫌をそこねて<⸢風が回って吹き荒れること」の比喩表現>暴れまわり、引っ掻き回ししている) 5703 0 0 5371 htmvoc_5703.wav キンチョー ⸢キン⸣チョー [⸢kin⸣ʧoː] 名 県庁。 ⸣バー マ⸢ナ⸣マー ⸢キン⸣チョーナ シ⸢トゥ⸣ミ ⸢ベー [⸣baː ma⸢na⸣maː ⸢kin⸣ʧoːna ʃi̥⸢tu⸣mi ⸢beː] (私は今県庁に勤めている) 5702 0 0 5372 htmvoc_5702.wav キンツァースン ⸢キンツァースン [⸢kinʦaːsuŋ] 他動 踏み散らす。かき乱す。 ン⸢ギウシ⸣ヌ パ⸢タ⸣キ ⸢キンツァーシ⸣ シケー [ʔŋ⸢giʔuʃi⸣nu pḁ⸢ta⸣ki ⸢kinʦaːʃi⸣ ʃi̥keː] (逃げた牛が畑を踏み散らかしてある)。⸢キン[⸢kiŋ]は沖縄古語の「けぐ」(掻き混ぜる)の転訛したもの。接尾語⸢ツァースン[⸢ʦaːsuŋ](散らかす)が複合して形成された合成語。 ヤ⸢ラ⸣ベー パ⸢タ⸣キ ⸢キンツァースンダ サーパン⸣ナ [ja⸢ra⸣beː pḁ⸢ti⸣ki ⸢kinʦaːsunda saːpan⸣na] (子供は畑を踏み散らすので連れて行くな)。 ⸢キンツァーサヌ [⸢kinʦaːsanu] (掻き混ぜない)。 パ⸢タ⸣キ ⸢キンツァース モー⸣ カマイ⸢ゲ⸣ラ [pḁ⸢ta⸣ki ⸢kinʦaːsu moː⸣ kamai⸢ge⸣ra] (畑を踏み散らかすのは猪さ)。 ⸢キンツァシェー⸣ ミサムヌ [⸢kinʦaʃeː⸣ misamunu] (踏み散らかせば良いのに)。 ⸢キンツァーシ⸣バ [⸢kinʦaːʃi⸣ba] (踏み散らかせよ) 5484 0 0 5373 htmvoc_5484.wav キンツァーン ⸢キンツァー⸣ン [⸢kinʦaː⸣ŋ] 形 黄色い。⸢キーロー⸣ン[⸢kiːroː⸣ŋ](黄色い)ともいう。 ⸢サッ⸣コー ⸢キンツァー⸣ン [⸢sak⸣koː ⸢kinʦaː⸣ŋ] (非常に黄色い)。 ⸢キンツァーナー⸣ヌ [⸢kinʦaːnaː⸣nu] (黄色くない)。 ⸣ドゥク ⸢キンツァー⸣ヌ ⸢キールムチェー⸣ ッ⸢ふァーラヌ [⸣duku ⸢kinʦaː⸣nu ⸢kiːrumuʧeː⸣ f⸢faːranu] (あまりに黄色いので、黄色餅は食べられない)。 ⸢キンツァー⸣ル ム⸢チェー カウナ [⸢kinʦaː⸣ru mu⸢ʧeː kauna] (黄色い餅は買うな)。 ⸢キンツァー⸣カー ⸢カウナ [⸢kinʦaː⸣kaː ⸢kauna] (黄色かったら買うな) 5704 0 0 5374 htmvoc_5704.wav キントー ⸢キントー [⸢kintoː] 名 検討。 ムー⸢ル⸣シ ⸢キントー サン⸣カー <パ⸢ナシ アーサン⸣カー> キ⸢ミララヌ [muː⸢ru⸣ʃi ⸢kintoː saŋ⸣kaː ki⸢miraranu] (皆で検討しないと決められない) 5705 0 0 5375 htmvoc_5705.wav ギンニ ⸢ギンニ [⸢ginni] 副 実際に。現実に。誠に。本当に。「現に」の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シクトゥバー ⸢ギンニ <⸢フン⸣トー> アッタ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ム⸢トゥ⸣バ ⸢シール⸣ ア⸢ザリ ブーユンダ⸣ ス⸢ムカラン⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃikutubaː ⸢ginni <⸢ɸun⸣toː> ʔat⸣ta ku⸢tu⸣ba mu⸢tu⸣ba ⸢ʃiːru⸣ ʔa⸢ʣaribuːjunda⸣ su⸢mukaran⸣daː] (昔の諺は実際にあった事に基づいて<本にして>いわれているから、教えに背かれない<逆らえない>よ)。 ⸢ギンニ <⸢フン⸣トー> ワー⸣ ア⸢ズタ トゥー⸣ル ⸣ナリ ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢ヌー⸣ サバル マ⸢シ⸣ヤ [⸢ginni <⸢ɸun⸣toː> waː⸣ ʔa⸢ʣuta tuː⸣ru ⸣nari ⸢naːnu⸣nu ⸢nuː⸣ sabaru ma⸢ʃi⸣ja] (実際に、君が言った通りになってしまったが、どうすればいいのか) 5500 0 0 5376 htmvoc_5500.wav キンヌイパル ⸢キンヌイ⸣パル [⸢kinnui⸣paru] 名 縫い針。裁縫用の針。 ⸢ミー⸣ヌ ⸢ムイティ キンヌイパル⸣ヌ ⸣ミー ⸣イトゥ ヌ⸢キユーサヌ [⸢miː⸣nu ⸢muiti kinnui paru⸣nu ⸣miː ⸣ʔitu nu⸢kijuːsanu] (目がジラジラ燃えるように老眼になって、針の目に縫い糸を通すことが出来ない) 5706 0 0 5377 htmvoc_5706.wav キンヌイプス ⸢キンヌイ⸣プス [⸢kinnui⸣pu̥su] 名 縫い子。針子。仕立て屋。⸢衣縫い人」の義。 ⸣バー ⸢ヨーサイ⸣テンナー ⸢キンヌイプス⸣バ ⸢シェー⸣ティル ⸢ガッ⸣コー ン⸢ズ⸣タ [⸣baː ⸢joːsai⸣tennaː ⸢kinnuipu̥su⸣ba ⸢ʃeː⸣tiru ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʣu⸣ta] (私は洋裁店で縫い子をしながら学校を出た<通学した>) 5263 0 0 5378 htmvoc_5263.wav キンヌキシ ⸢キンヌ⸣キシ [⸢kinnu⸣ki̥ʃi] 名 衣類の切れ端。布の切れ端。 ⸢キンヌキシ⸣バ ⸢ヌイアー⸣シェーティ ⸢キンヌ⸣クー ⸢シー⸣ シケー [⸢kinnukiʃi⸣ba ⸢nuiʔaː⸣ʃeːti ⸢kin⸣nu ⸣kuː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (衣類の切れ端を縫い合わせて着物の繕い<補修>をしてある) 5501 0 0 5379 htmvoc_5501.wav キンヌッス ⸢キン⸣ヌ ッ⸢ス [⸢kin⸣nu s⸢su] 連 着物の裾。 ⸢キン⸣ヌ ッ⸢スヌ⸣ ナ⸢ガー⸣ン [⸢kin⸣nu s⸢sunu⸣ na⸢gaː⸣ŋ] (着物の裾が長い)。 ⸢キン⸣ヌ ッ⸢スヌ⸣ ユ⸢グリルン [⸢kin⸣nu s⸢sunu⸣ ju⸢guriruŋ] (着物の裾が汚れる) 5502 0 0 5380 htmvoc_5502.wav キンヌフビ ⸢キン⸣ヌ フ⸢ビ [⸢kin⸣nu ɸu⸢bi] 連 着物の襟。 ⸢キン⸣ヌ フ⸢ビヌ マイ⸣ヤン [⸢kin⸣nu ɸu⸢binu mai⸣jaŋ] (着物の襟が大きい)。 ⸢キン⸣ヌ フ⸢ビ⸣ ブリティ キ⸢シ⸣バ [⸢kin⸣nu ɸu⸢bi⸣ buriti ki̥⸢ʃi⸣ba] (着物の襟を折って着なさい) 5503 0 0 5381 htmvoc_5503.wav キンヌマチ ⸢キン⸣ヌ マ⸢チ [⸢kin⸣nu ma⸢ʧi] 連 着物のまち(\ruby{襠}{マチ})。「Facamano machiuo iruru『邦訳日葡辞書』」の転訛か。 ⸢キン⸣ヌ マ⸢チ⸣ ア⸢ティラン⸣カー ⸣マター ヤ⸢リ⸣ス [⸢kin⸣nu ma⸢ʧi⸣ ʔa⸢tiraŋ⸣kaː ⸣mataː ja⸢ri⸣su] (着物の\ruby{襠}{マチ}を当てないと股が破れるよ) 5707 0 0 5382 htmvoc_5707.wav ギンノー ⸢ギン⸣ノー [⸢gin⸣noː] 名 かなづち(金槌)。げんのう(玄翁)。カ⸢ニチチ[ka⸢niʧiʧi](金槌)ともいう。若年層の人は、⸢ゲン⸣ノー[⸢gen⸣noː](玄翁)というようになった。 ⸢ギン⸣ノーシ カ⸢ニフン⸣ ウティ [⸢gin⸣noːʃi ka⸢niɸuŋ⸣ ʔuti] (玄翁で鉄釘を打ち込め<打て>) 5708 0 0 5383 htmvoc_5708.wav キンバー ⸢キンバー [⸢kimbaː] 名 金歯。標準語からの借用語。 フ⸢トゥッチ⸣パー ⸣ヌイティ ⸢キンバー ウイ⸣シケー [ɸu̥⸢tutʧi⸣paː ⸣nuiti ⸢kimbaː ʔui⸣ʃi̥keː] (虫歯を抜いて金歯を植えておいてある)。 ⸢キンバー⸣ カ⸢バ⸣シ [⸢kimbaː⸣ ka⸢ba⸣ʃi] (金歯をかぶせなさい)。 ⸢キンバー ウイルムノー ギュー⸣サ カ⸢カル⸣ワ [⸢kimbaː ʔuirumunoː gjuː⸣sa kḁ⸢karu⸣wa] (金歯を植えるのに<お金は>いくら掛るか) 5709 0 0 5384 htmvoc_5709.wav ギンバイ ⸢ギンバイ [⸢gimbai] 名 体に銀色の光沢を持つ大型の蝿。 イ⸢ズヌ⸣ ッサリティ ⸢ギンバイヌ⸣ シディ ⸢ベー [ʔi⸢ʣunu⸣ ssariti ⸢gimbainu⸣ ʃidi ⸢beː] (魚が腐って、銀蝿が発生<孵化>している) 5262 0 0 5385 htmvoc_5262.wav キンパダ ⸣キンパダ [⸣kimpada] 名 衣類。着物。「衣肌」の義。 ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァン⸣ケーヤ ⸣キンパダヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ アツァピーヤティ ⸢スームノー⸣ ッ⸢サヌ [⸢ʔun⸣nenu f⸢faŋkeː⸣ja ⸣kimpadanu ⸣kanai ⸢bunda ⸣ʔaʦapiːjati ⸢suːmunoː⸣ s⸢sanu] (その家の子供達は衣類が十分に揃っているから暑さ寒さの苦労というのは知らない) 5710 0 0 5386 htmvoc_5710.wav キンバタテー ⸢キンバタテー [⸢kimbatateː] 名 屋号。通事安二郎氏宅。通事安二郎氏はカツオ漁船の⸢シン⸣ドゥー[⸢ʃin⸣duː](船頭{EOS}船長)をしていた。 ⸢キンバタテーヤ ウフタン⸣ヤーヌ ⸣マンタナル ⸢アッ⸣タ [⸢kimbatateːja ʔuɸu̥taŋ⸣jaːnu ⸣mantanaːru ⸢ʔat⸣ta] (通事安二郎氏宅は大田家の前<南>にあった) 5711 0 0 5387 htmvoc_5711.wav キンバトゥ ⸢キンバトゥ [⸢kimbatu] 名 (動物)。鳥の名。リュウキュウキンバト。八重山群島に生息するハト科の鳥。体長約25センチ。翼と背に金属光沢の緑色の美しい羽毛がある。国指定の天然記念物。 パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢キンバトー⸣ ユー ミ⸢ラリ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaːŋ ⸢kimbatoː⸣ juː mi⸢rari⸣taŋ] (鳩間島にもキンバトはよく見られた<見ることができた>) 5712 0 0 5388 htmvoc_5712.wav キンパナ ⸢キンパナ [⸢kimpana] 名 こうじ(麹)の一種。金色の麹。味噌、醤油を製造する際の麹菌。⸣パナ[⸣pana]は「花」の義。コウジカビ(麹黴)の先端に多数の黄色い胞子を形成することからの命名。ッ⸢ふ⸣パナ[f⸢fu⸣pana](黒麹)は酒の醸造に用いる。 ⸢キンパナ⸣ マ⸢ラシティ ミー⸣ス ス⸢ク⸣ラ⸢ディー [⸢kimpana⸣ ma⸢raʃi̥ti miː⸣su su̥⸢ku⸣ra⸢diː] (金麹を発生さ<産ま>せて味噌を造ろうよ) 5713 0 0 5389 htmvoc_5713.wav キンバニ ⸢キンバニ [⸢kimbani] 名 (動)魚の名。和名、フウライボラ(体長約60センチ)。別名、ア⸢カバニブラ[ʔa⸢kabanibura]ともいう 5714 0 0 5390 htmvoc_5714.wav キンバニスビ ⸢キンバニ⸣スビ [⸢kimbani⸣subi] 名 (動)魚の名。和名、キハダ(体長約2メートル)。鳩間島では、イカ釣り漁の時期にイカを生餌にして釣った 5715 0 0 5391 htmvoc_5715.wav キンバル ⸢キンバル [⸢kimbaru] 名 はり(鍼)。鍼術に用いる金製の医療用具の鍼。⸢キンパル[⸢kimparu](はり<鍼>)ともいう。 ヤ⸢ブバ⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸢キンバル⸣ ウ⸢タシタ⸣ル ク⸢シヌ ヤン⸣マー ピ⸢ケー⸣ダー [ja⸢buba⸣ ta⸢na⸣mi ⸢kimbaruba⸣ ʔu⸢taʃi̥ta⸣ru ku̥⸢ʃinu jam⸣maː pi̥⸢keː⸣daː] (藪医者<鍼灸の経験者>に頼んで金の鍼を打ってもらったので腰の痛みは退いた<消えた>のだ) 5504 0 0 5392 htmvoc_5504.wav キンパル ⸢キンパル [⸢kimparu] 名 金針。⸢キンバル[⸢kimbaru](金針)ともいう。 ⸢キンパル⸣ イ⸢リシミタル⸣ ク⸢シヌ ヤン⸣マー ピ⸢ケー⸣ダー [⸢kimparu⸣ ʔi⸢riʃimitaru⸣ ku⸢ʃinu jam⸣maː pi̥⸢keː⸣daː] (金針を打たした<入れさせた>ので腰痛は治まった<引いた>のだ) 5716 0 0 5393 htmvoc_5716.wav キンパルン ⸢キンパルン [⸢kimparuŋ] 名 カツオの筋子。 ⸢キンパルンマー マー⸣スナ シ⸢キティ⸣  パ⸢ルン⸣ヌ カ⸢ラ⸣ス ス⸢ク⸣ローッタ [⸢kimparummaː maː⸣suna ʃi̥⸢kiti⸣ pa⸢run⸣nu ka⸢ra⸣su su̥⸢ku⸣roːtta] (カツオの黄色い筋子は塩に漬けて筋子の塩辛を作られた) 5717 0 0 5394 htmvoc_5717.wav キンピー ⸢キン⸣ピー [⸢kim⸣piː] 名 憲兵。標準語からの転訛。戦時中住民生活全体を監視し、取り締まって恐れられた軍人。 ⸢キンピー⸣タイ [⸢kimpiː⸣tai] (憲兵隊)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢キンピー⸣ヤ ナ⸢クラー⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣pimmaː ⸢kimpiː⸣ja na⸢kuraː⸣taŋ] (戦争の時代<第二次世界大戦中>には憲兵は怖かった) 5718 0 0 5395 htmvoc_5718.wav キンビリ ⸢キンビリ [⸢kimbiri] 名 かけべり(掛減り)。めべり(目減り)。「斤減り」の義。収穫時の産物の目方が時間の経過とともに目減りすること。 ナ⸢マ⸣ムノー ⸣ティダナー ⸣プシ ⸢カン⸣ソー ⸢スー⸣カー ノー⸢ン キンビリ シース [na⸢ma⸣munoː ⸣tidanaː ⸣pu̥ʃi ⸢kan⸣soː ⸢suː⸣kaː noː⸢ŋ kimbiri ʃiːsu] (生ものは太陽に干して乾燥すると、何でも目方が減る<斤減りする>) 5719 0 0 5396 htmvoc_5719.wav キンビン ⸢キン⸣ビン [⸢kim⸣biŋ] 名 菓子の名。首里方言の⸢チンビン[⸢ʧimbiŋ](巻餅)に同じ。国語のカ行イ段、エ段音に対応する鳩間方言の音韻は口蓋化しないので[ki]となり、首里方言は口蓋化するので[ʧi]となる。⸢キン⸣ビンは小麦粉を水でこね、黒砂糖と卵を混ぜて油を引いた鍋で丸形に焼いてくるくると巻いたもの。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン マ⸢ルケーティ⸣ナー ⸢キン⸣ビン ヤ⸢キ ッふァーソーッ⸣タン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kem ma⸢rukeːti⸣naː ⸢kim⸣biɲ ja⸢ki ffaːsoːt⸣taŋ] (子供の頃、偶にチンビンを焼いてくださった<焼いて食べさせられた>) 5158 0 0 5397 htmvoc_5158.wav キンプシサウ ⸢キンプシ⸣サウ [⸢kimpuʃi⸣sau] 名 物干し竿。「着物干し竿」の義。竹竿や木の竿があった。庭に二本の股木を立て、それらに竹竿や木の竿をかけて洗濯物を干すのに用いた。 ⸢キン⸣マー ア⸢ライ⸣ ブ⸢ナシティティ キンプシ⸣サウナー ヌ⸢キティ⸣ プシバ⸢ヨー [⸢kim⸣maː ʔa⸢rai⸣ bu⸢naʃi̥titi kimpuʃi⸣saunaː nu⸢kiti⸣ pu̥ʃiba⸢joː] (着物は洗って、ゆすいで<濯いで>物干し竿に貫き通して干しなさいよ<干せよ>ねえ) 5159 0 0 5398 htmvoc_5159.wav キンプシトン ⸢キンプシ⸣トン [⸢kimpuʃi⸣toŋ] 名 洗濯物干し場。「着物干し所」の義。普通は、ナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu̥⸣ku](目隠し{EOS}ヒンプン)の内側や⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)の南側に干し場を作った。物干し竿に貫き通して干すのが普通だが、終戦直後まで洗濯物を⸢グス⸣ク[⸢gusu̥⸣ku](石垣)やナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu̥⸣ku](ヒンプン{EOS}目隠し)にかけて干すこともあった。 ⸢キンプシ⸣トンマー ⸣マナー ア⸢ル⸣ワ [⸢kimpuʃi⸣tommaː ⸣manaː ʔa⸢ru⸣wa] (洗濯干し場は何処にあるか) 5721 0 0 5399 htmvoc_5721.wav キンブツ ⸢キンブ⸣ツ [⸢kimbu⸣ʦu] 名 見物。標準語からの転訛。 ヤ⸢ス⸣ミ ⸢ペー⸣ルカー イ⸢サナケー キンブ⸣ツ ⸢シン⸣ パラ⸢ナー [ja⸢su⸣mi ⸢peː⸣rukaː ʔi⸢sanakeː kimbu⸣ʦu ⸢ʃim⸣ para⸢naː] (夏休みになったら<入ったら>、石垣島へ見学に行こうねえ) 5722 0 0 5400 htmvoc_5722.wav ギンマイ ⸢ギン⸣マイ [⸢gim⸣mai] 名 玄米。標準語からの転訛。若年層が多用する。老年層は⸣カーマイ[⸣kaːmai](皮米)という。 ⸢ギンマイ⸣ヤ ッ⸢サイ⸣マイラン ビ⸢タミン⸣マー ⸢ゴー⸣ラーンドゥ ン⸢マー ナー⸣ヌ [⸢gimmai⸣ja s⸢sai⸣mairam bi⸢tamim⸣maː ⸢goː⸣raːndu ʔm⸢maː naː⸣nu] (玄米は白米<精げ米>よりもビタミンは多いが美味しくない) 5724 0 0 5401 htmvoc_5724.wav キンミ ⸢キンミ [⸢kimmiː] 名 斤目。目方。 マ⸢チヤーヌ⸣ プ⸢ソー⸣ シ⸢ナムヌ カウ⸣ ピンマー ピ⸢キヌ サウ⸣ヌ ⸢アンガル⸣スコー ⸢キンミーヤ スー⸣ワ パ⸢カ⸣ルン [ma⸢ʧijaːnu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʃi⸢namunu kau⸣ pimmaː pi̥⸢kinu sau⸣nu ⸢ʔaŋgaru⸣su̥koː ⸢kimmiːja suː⸣wa pa⸢ka⸣ruŋ] (店の人は品物を買う<仕入れる>時は秤の竿が跳ね上がるほど斤目を強めに厳しく量る) 5723 0 0 5402 htmvoc_5723.wav ギンミ ⸢ギン⸣ミ [⸢gim⸣mi] 名 吟味。協議。詮議。相談。 ム⸢ラギンミ [mu⸢ragimmi] (集落の年次総会での吟味{EOS}村協議)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ニンズーヌ⸣ キ⸢ザロー⸣ ム⸢ラズー⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢ギン⸣ミ ⸢シェー⸣ティル キ⸢モーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ninʣuːnu⸣ ki⸢ʣaroː⸣ mu⸢raʣuː⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢gim⸣mi ⸢ʃeː⸣tiru ki⸢moːt⸣ta] (昔は一年中の年中行事<神行事>は村中の人が集まって吟味をしながら決められた) 5725 0 0 5403 htmvoc_5725.wav キンヤク ⸢キンヤ⸣ク [⸢kiŋja⸣ku] 名 倹約。節約。標準語からの転訛。普通は⸢スー⸣タイ ⸢スン[⸢suː⸣tai ⸢suŋ](節約<所帯>する{EOS}つづまやか<約やか>にする)という。 ⸢キンヤ⸣ク ⸢サン⸣カー キ⸢ナイヤー⸣ ムティ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢kiŋja⸣ku ⸢saŋ⸣kaː ki⸢naijaː⸣ muti pa⸢rara⸣nu] (倹約しないと家計は維持できない<家庭生活は持っていけない>) 5505 0 0 5404 htmvoc_5505.wav キンヤン ⸢キンヤン [⸢kiɲjaŋ] 名 おうだん(黄疸)。「黄病み」の義。⸢アウダン[⸢ʔaudaŋ](黄疸)ともいう。 ⸢キンヤン⸣ カ⸢カリ⸣プス [⸢kiɲjaŋ⸣ ka⸢kari⸣pu̥su] (黄疸患者{EOS}黄疸かかり人)。 ⸢キンヤン⸣ カ⸢カリ⸣プソー ⸣アシン キン⸢キン⸣シ ン⸢ジ⸣ルティ⸢ダー [⸢kiɲjaŋ⸣ ka⸢kari⸣pu̥soː ⸣ʔaʃiŋ kiŋ⸢kiŋ⸣ʃi ʔn⸢ʤi⸣ruti⸢daː] (黄疸にかかった人は汗も黄色く出るそうだよ) 5726 0 0 5405 htmvoc_5726.wav キンラー ⸢キンラー [⸢kinraː] 名 \ruby[g]{自惚}{ウヌボ}れる人(女)。自負心の高い女。お高くとまる女性。「権利意識の高い人」の転訛したもの。 ウ⸢レー キンラー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ユ⸢メー コーラ⸣ヌ [ʔu⸢reː kinraː⸣ ja⸢runda⸣ ju⸢meː koːra⸣nu] (あれは自負心の高い人だから、嫁には貰え<乞われ>ない)。 ⸢キンラーミドゥム [⸢kinraːmidumu] (うぬぼれる女) 5727 0 0 5406 htmvoc_5727.wav キンリ ⸢キンリ [⸢kinri] 名 権利。権勢。実権。威勢。自尊心。プライド。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸣アブジェー ⸢ヨー⸣シ ヤ⸢ロー⸣レーティ ⸣アッパール ⸢キンレー スー⸣ワ ア⸢ロー⸣ル [⸢ʔun⸣neːja ⸣ʔabuʤeː ⸢joː⸣ʃi ja⸢roː⸣reːti ⸣ʔappaːru ⸢kinreː suː⸣wa ʔa⸢roː⸣ru] (その家は、お祖父さんは養子であられるので、お祖母さんが実権は強くていらっしゃる)。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢サッ⸣コー ⸢キンラー [ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣moː ⸢sak⸣koː ⸢kinraː] (その女は非常にプライドが高い<権勢家だ>) 5728 0 0 5407 htmvoc_5728.wav ク ⸣ク [⸣ku] 接尾 個。石、卵、芋、甕、瓶、急須、茶碗等を数える単位。 ⸢コー⸣マ プ⸢スッ⸣ク [⸢koː⸣ma pu̥⸢suk⸣ku] (卵一個)。 フ⸢タック [ɸu̥⸢takku] (二個)。 ⸢ミック [⸢mikku] (三個)。 ⸢ユック [⸢jukku] (四個)。 イ⸢チッ⸣ク [ʔi⸢ʧik⸣ku] (五個)。 ⸢ムック [⸢mukku] (六個)。 ナ⸢ナッ⸣ク [na⸢nak⸣ku] (七個)。 ⸢ヤック [⸢jakku] (八個)。 ク⸢ヌッ⸣ク [ku⸢nuk⸣ku] (九個)。 ⸢トゥック [⸢tukku] (十個) 5776 0 0 5408 htmvoc_5776.wav ク ⸢ク [⸢ku] 名 数の名。数量や順序を表す。九。 ク⸢ニン [ku⸢niŋ] (九人)。 ⸢クン⸣ゴー [⸢kuŋ⸣goː] (九合)。 ⸢クンガ⸣チクニチ [⸢kuŋga⸣ʧikuniʧi] (九月九日{EOS}重陽の節句) 5729 0 0 5409 htmvoc_5729.wav グ ⸣グ [⸣gu] 接頭 ご(御)。敬意を表す。「御」の付く語例は少なく、次のような漢語系の語に限られている。 グ⸢ブ⸣リー [gu⸢bu⸣riː] (ご無礼{EOS}失礼)。 ⸣グリー [⸣guriː] (お礼{EOS}お辞儀)。 ⸣グシ [⸣guʃi] (お酒<御水>)。 グ⸢フー⸣ク [gu⸢ɸuː⸣ku] (ご奉公)。 ⸣グハイロー [⸣guhairoː] (御拝領{EOS}長寿者が行政の長から戴く賞<金杯>のこと{EOS}官庁から賞を戴くこと)。 ⸣グユー [⸣gujuː] (御用{EOS}用件) 5781 0 0 5410 htmvoc_5781.wav グ ⸣グ [⸣gu] 名 五。五つ。 グ⸢サー⸣ク [gu⸢saː⸣ku] (五勺)。 ⸢グン⸣ゴー [⸢guŋ⸣goː] (五合)。 グ⸢ス [gu⸢su] (五升)。 グトゥ [gu⸢tu] (五斗)。 グ⸢クク [gu⸢kuku] (五石)。 グ⸢キン [gu⸢kiŋ] (五斤)。 グ⸢ニン [gu⸢niŋ] (五年)。 グ⸢ニン [gu⸢niŋ] (五人)。 グ⸢スー [gu⸢suː] (五艘)。 グ⸢ニチ [gu⸢niʧi] (五日)。 グ⸢カン [gu⸢kaŋ] (五貫)。 グ⸢スン [gu⸢suŋ] (五寸) 5769 0 0 5411 htmvoc_5769.wav クー ⸣クー [⸣kuː] 名 甲羅。甲。 カ⸢ミヌ⸣クー [ka⸢minu⸣ kuː] (亀の甲)。 カ⸢ミヌ⸣クーシ ⸣フチ ス⸢ク⸣リ [ka⸢minu⸣kuːʃi ⸣ɸu̥ʧi su̥⸢ku⸣ri] (亀の甲で櫛を作れ) 5770 0 0 5412 htmvoc_5770.wav クー ⸣クー [⸣kuː] 名 粉。こな。 ⸢ムンヌ⸣クー [⸢munnu⸣kuː] (麦粉)。 ⸢マイヌ⸣クー [⸢mainu⸣kuː] (米粉{EOS}\ruby{上糝粉}{ジョウ|シン|コ})。餅を作る際に用いる粉は、一晩水に浸けた粳米をサ⸢ギティー⸣グ[sa⸢gitiː⸣gu](竹製の吊るし笊)に移して水切りし、臼で搗いて粉にした。麦粉は、石臼で挽いて造った。 イ⸢ソーシ⸣シ ⸢ムンヌ⸣クー ピ⸢クン [ʔi⸢soːʃi⸣ʃi ⸢munnu⸣kuː pi̥⸢kuŋ] (石臼で煎った麦を挽く)。 ⸢ムンヌ⸣クーナ ッ⸢ふ⸣サタ キ⸢ジ イリティ⸣ ユ⸢ナ⸣ク ス⸢ク⸣リ [⸢munnu⸣kuːna f⸢fu⸣sata ki⸢ʤi ʔiriti⸣ ju⸢na⸣ku su̥⸢ku⸣ri] (麦粉に黒砂糖を削って入れて麦焦がしを作れ) 5774 0 1 5413 htmvoc_5774.wav クー ⸣クー [⸣kuː] 名 {Mn_1}鍋の穴を塞ぐこと。 ナ⸢ビ⸣ヌ ⸣クー ⸢スン [na⸢bi⸣nu ⸣kuː ⸢suŋ] (鍋の穴を塞ぐ)。漢語の「錮」<金属を溶かして隙間をふさぐ。鋳掛けて閉じ込める>の義由来の語であろう。 5774 0 2 5414 htmvoc_5774.wav クー ⸣クー [⸣kuː] 名 {Mn_2}衣服の破れや傷んだところに継ぎを当てること。 ⸢キン⸣ヌ ⸣クー ⸢スン [⸢kin⸣nu ⸣kuː ⸢suŋ] (着物のつぎ<継ぎ>を当てる) 5777 0 0 5415 htmvoc_5777.wav クー ⸢クー [⸢kuː] 接頭 小。名詞や名詞相当句に上接して「小さいもの」の意を表す。形容詞⸢クー⸣サン[⸢kuː⸣saŋ](小さい)の語幹。 ⸢クー⸣ザラ [⸢kuː⸣ʣara] (小皿)。 ⸢クー⸣ジン [⸢kuː⸣ʤiŋ] (小銭)。 ⸣クビン [⸣kubiŋ] (瓶{EOS}小瓶)。 ア⸢ガリ⸣グヤー [ʔa⸢gari⸣gujaː] (東の小屋{EOS}石垣市字登野城の海岸にあった糸満漁師たちの小屋)。 イ⸢リ⸣グヤー [ʔi⸢ri⸣gujaː] (西の小屋{EOS}石垣市字新川の海岸にあった糸満漁師たちの小屋) 5778 0 1 5416 htmvoc_5778.wav グー ⸣グー [⸣guː] 名 {Mn_1}組。仲間。相棒。漢語の「伍<くみ。なかま。五人または五家を一組とした昔の制度>」の義に由来する語であろう。 ⸢バン⸣トゥ ⸣グー シ⸢ティ⸣ ジン ⸢モー⸣カ ⸢ナー [⸢ban⸣tu guː⸢ʃiti⸣ ʤim ⸢moː⸣ka⸢naː] (私と組して金儲けしようねえ)。 ⸢ベー⸣ グー⸢ダー [⸢beː⸣ guː⸢daː] (我々は仲間<相棒>だよ)。 5778 0 2 5417 htmvoc_5778.wav グー ⸣グー [⸣guː] 名 {Mn_2}伴侶。夫婦。カップル。連れ。伴侶。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ キサー⸢ティ⸣ グー ナ⸢リ⸣ブー [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ki̥saː⸢ti⸣ guː na⸢ri⸣buː] (あれら二人はとっくに夫婦<カップル>になっているよ) 5779 0 0 5418 htmvoc_5779.wav グー ⸣グー [⸣guː] 名 ⸣イノー[⸣ʔinoː](礁内湖)海域で、干潮時に現れる海底珊瑚礁の岩盤。⸢アー⸣サ[⸢ʔaː⸣sa](あおさ)などの海草が密生しており、色々な貝類が棲息しているところ 5780 0 0 5419 htmvoc_5780.wav グー ⸣グー [⸣guː] 名 碁。囲碁。 ⸣グー ⸣ウトゥン [⸣guː ⸣ʔutuŋ] (碁を打つ)。 ⸣グー ⸣ウトゥカー ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ニミー⸣ナ ⸢アーラン⸣ツォー [⸣guː ⸣ʔutukaː ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢nimiː⸣na ⸢ʔaːran⸣ʦoː] (囲碁を打つと親の死に目に会えないそうだ) 5783 0 0 5420 htmvoc_5783.wav クーイシ ⸢クー⸣イシ [⸢kuː⸣ʔiʃi] 名 水成岩の一種。コー⸢シェー⸣マイシ[koː⸢ʃeː⸣maʔiʃi]ともいう。ナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡)の下やパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山)にある。墓山の南斜面の水成岩には伝統的な⸢フインチ⸣バカ[⸢ɸuinʧi⸣baka](掘抜き墓{EOS}亀甲墓)が作られている。 パ⸢カヤマヌ クー⸣イシナー パ⸢カヌ⸣ プ⸢ラ⸣リ ⸢ベー [pa⸢kajamanu kuː⸣ʔiʃinaː pḁ⸢kanu⸣ pu⸢ra⸣ri ⸢beː] (墓山の水成岩には亀甲墓が掘られている) 5799 0 0 5421 htmvoc_5799.wav グーイシ ⸢グー⸣イシ [⸢guː⸣ʔiʃi] 名 碁石。 ⸢タール グー⸣イシ パ⸢ニポール⸣タユー ⸢ザー⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ⸢ポッツァーリベー [⸢taːru guː⸣ʔiʃi pa⸢nipoːru⸣tajuː ⸢ʣaː⸣nu ⸢pit⸣ʧim ⸢potʦaːribeː] (誰が碁石を投げ散らかしたのか、座一杯に散らかっている) 5771 0 0 5422 htmvoc_5771.wav クーガーシ ⸢クーガー⸣シ [⸢kuːgaː⸣ʃi] 名 落雁。蒸し菓子。お盆の際に仏壇に供える蒸し菓子。バラの花や魚の型枠に入れて、型押しして作った菓子。⸢コーガー⸣シ[⸢koːgaː⸣ʃi]ともいう。糯米を水に浸けて水切りをし、搗き臼に入れて搗き、米粉にしたものに砂糖を混ぜて型枠で成形し蒸し上げて造った菓子。 ⸢ソー⸣ランナー マ⸢ツ クーガー⸣シ ⸢カイ⸣クーバ [⸢soː⸣rannaː ma⸢ʦu kuːgaː⸣ʃi ⸢kai⸣kuːba] (お盆に供える蒸し菓子を買ってきなさいよ) 5784 0 0 5423 htmvoc_5784.wav クーコーシ ⸣クーコーシ [⸣kuːkoːʃi] 名 らくがん(落雁)。「粉菓子」の義。⸢ソッ⸣コー[⸢sok⸣koː](焼香{EOS}法事)や⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆{EOS}精霊祭)の時に作って仏壇に供えた。 ⸣クーコーシェー イ⸢サナケーラ カイ⸣キーティル ⸢ソー⸣ランナー マ⸢ツォーッ⸣タ [⸣kuːkoːʃeː ʔi⸢sanakeːra kai⸣kiːtiru ⸢soː⸣rananː ma⸢ʦoːt⸣ta] (落雁<粉菓子>は石垣島から買ってきて<ぞ>お盆には供えられた) 6284 0 0 5424 htmvoc_6284.wav クーサ ⸢クーサ [⸢kuːsa] 名 幼少。小さいこと。貧しいこと。 ⸢クーサ⸣ケンラ <グ⸢マーン⸣ケンラ> イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ワ⸣リナンギバ ⸢シール⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリケー⸢ダー [⸢kuːsa⸣kenra ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢wa⸣rinaŋgiba ⸢ʃiːru⸣ ma⸢na⸣ma narikeː⸢daː] (幼少の頃から非常に難儀苦労をして現在に至っている<今になってきている>のだよ) 5786 0 0 5425 htmvoc_5786.wav クーサアワリ ⸢クー⸣サアワリ [⸢kuː⸣saʔawari] 名 貧困。貧苦。悲哀。貧困の苦しさ。 ⸢クー⸣サアワリヌ ナ⸢カー⸣ラ ⸢モーキ⸣ ン⸢ザ⸣シ ⸣ドゥー ⸣イチダイシ ク⸢ビ⸣ヌ ⸣ザイサン ア⸢ラ⸣シェー⸢ダー [⸢kuː⸣saʔawarinu na⸢kaː⸣ra ⸢moːki⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣duː ⸣ʔiʧidaiʃi ku⸢bi⸣nu ⸣ʣaisaŋ ʔa⸢ra⸣ʃeː⸢daː] (貧困の中から儲け出して、自分一代でこれほどの財産を築いたのだ) 5787 0 0 5426 htmvoc_5787.wav クーサスダティ ⸢クーサスダティ [⸢kuːsasudati] 名 貧乏育ち。 ⸢クーサスダティ⸣ シ⸢ラリ⸣ ケーユンダ イッ⸢ケナ⸣ ク⸢マー⸣ン [⸢kuːsasudati⸣ ʃi⸢rari⸣ keːjunda ʔik⸢kena⸣ ku⸢maː⸣ŋ] (貧乏育ちをしてきたから、非常に緻密である<細かい>) 5795 0 0 5427 htmvoc_5795.wav クーサビラー ⸢クーサビ⸣ラー [⸢kuːsabi⸣raː] 名 継ぎ接ぎだらけの着物。石垣方言の⸢クーシャ⸣ビラー[⸢kuːʃabira](継ぎ当てした着物)から転訛したもの。⸣ビラー[⸣biraː]は「夫恋に比例布利之(ヒレフリシ)より~。万、871」の「ひれ」(領巾)の義か。 ⸣バー ⸢キン⸣マー ⸢クーサビ⸣ラー ⸣ナリティ バ⸢カヤ⸣ヌ キ⸢サラヌ [⸣baː ⸢kim⸣maː ⸢kuːsabi⸣raː ⸣nariti ba⸢kaja⸣nu ki̥⸢saranu] (私の着物は継ぎ接ぎだらけになって恥ずかしくて着られない)。 シ⸢グトゥキンマー⸣ ムー⸢ル クーサビ⸣ラー ⸢ヤッタル [ʃi⸢gutukimmaː⸣ muː⸢ru kuːsabi⸣raː ⸢jattaru] (作業着は全部継ぎはぎだらけの着物だったものだ) 5775 0 0 5428 htmvoc_5775.wav クーサビラーキン ⸢クーサビ⸣ラーキン [⸢kuːsabi⸣raːkiŋ] 名 継ぎ接ぎだらけの着物 5788 0 0 5429 htmvoc_5788.wav クーザラ ⸢クー⸣ザラ [⸢kuː⸣ʣara] 名 小皿。直径5~6センチ程の皿。銘々皿。大皿より料理を取り分けるのに用いる皿。ナ⸢カ⸣ザラ[na⸢ka⸣ʣara](中皿)、⸢チュー⸣ザラ[⸢ʧuː⸣ʣara](中皿)、⸢ウー⸣ザラ[⸢ʔuː⸣ʣara](大皿)等に対するもの。 ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢クー⸣ザラナ ⸣バキティ ⸢オーシ⸣バ [ʔu⸢sai⸣jaː ⸢kuː⸣ʣarana ⸣bakiti ⸢ʔoːʃi⸣ba] (お菜<惣菜{EOS}副食物{EOS}料理{EOS}ご馳走>は小皿に分けとって差し上げなさい) 5785 0 1 5430 htmvoc_5785.wav クーサン ⸢クー⸣サン [⸢kuː⸣saŋ] 形 {Mn_1}幼い。小さい。幼少である。沖縄方言からの借用語か。 ⸢クーサ⸣ケーラヌ <ヤ⸢ラ⸣ビ⸢シェーン⸣ケーラヌ> ドゥ⸢シ [⸢kuːsa⸣keːranu du⸢ʃi] (幼少からの友人)。 5785 0 2 5431 htmvoc_5785.wav クーサン ⸢クー⸣サン [⸢kuː⸣saŋ] 形 {Mn_2}如才が無い。手抜かりが無い。詳しい。/クリヤ クムムラ ムジクイ クーサー<クーシェー> ハマサチドゥ ヤル/(罷り出でたるは<これは>この村の耕作<もの作り>に詳しい浜崎という者である)。⸣ピラ[⸣pira](狂言<へら>)『鳩間島古典民謡古謡集』。 5785 0 3 5432 htmvoc_5785.wav クーサン ⸢クー⸣サン [⸢kuː⸣saŋ] 形 {Mn_3}貧しい。貧乏である。 ⸢クーサムヌ⸣ティ <⸢ピンソー⸣ムヌティ> ウ⸢サイラリ⸣ ケー ⸣クトー ⸢バシキララヌ [⸢kuːsamunu⸣ti <⸢piŋsoːmunu⸣ti> ʔu⸢sairari⸣ keː ⸣ku̥toː ⸢baʃi̥kiraranu] (貧乏者とさげずまれ<\ruby{蔑}{サゲス}まれ>てきたことは忘れられない) 5792 0 0 5433 htmvoc_5792.wav クージ ⸢クー⸣ジ [⸢kuː⸣ʤi] 名 (植)トウヅルモドキ。茎の直径約1センチ。長さは10~16メートルに達する蔓性植物。雑木に巻きついて伸びている。茎は強靭で弾力に富み。割いて芯を除き、表皮で笊を編みあげ、芋を入れて運ぶのに用いる。また茅葺の家を葺く際には柱を結わえたり、垂木を結わえ、ユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり)を編んだりするのに用いた。 ⸢クー⸣ジェー ⸣サキ ⸣バター ⸣トゥリティ ⸣カーシル ⸢ウン⸣ディロー フ⸢モーッ⸣タ [⸢kuː⸣ʤeː ⸣saki ⸣bataː ⸣turiti ⸣kaːʃiru ⸢ʔun⸣diroː ɸu⸢moːt⸣ta] (トウヅルモドキは割いて芯を除去し、表皮で芋笊を編まれた) 5789 0 0 5434 htmvoc_5789.wav クーシカーシ ⸢クー⸣シカーシ [⸢kuː⸣ʃikaːʃi] 名 継ぎ合わせ、接ぎ合わせすること。継ぎ接ぎすること。継をあてること。 ⸢キン⸣マー ⸢クー⸣シカーシ ⸢シェー⸣ティ キ⸢シアー⸣ク [⸢kim⸣maː ⸢kuː⸣ʃikaːʃi ⸢ʃeː⸣ti ki̥⸢ʃiaː⸣ku] (着物は\ruby{継}{ツ}ぎ\ruby{接}{ハ}ぎして繕って着ている)。 ⸢クー⸣シカーシ ⸢シー [⸢kuː⸣ʃikaːʃi ⸢ʃiː] (継ぎ接ぎせよ{EOS}継当てしなさい) 5791 0 0 5435 htmvoc_5791.wav クーシキ ⸣クー ⸣シキ [⸣kuː ⸣ʃi̥ki] 連 来月。「来る月」の義。 ⸣クー ⸣シケー ⸢ワー⸣ マ⸢リビー⸣ ヤ⸢リバ⸣ ミス⸢コー ミスコー⸣シ ⸢アー⸣キ⸢ヨー [⸣kuː ⸣ʃi̥keː ⸢waː⸣ ma⸢ribiː⸣ ja⸢riba⸣ misu⸢koːmisukoː⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ki⸢joː] (来月は君の誕生日<生まれ日>だから慎重に、用心深くして過ごしなさい<あるきなさい>よ) 5790 0 0 5436 htmvoc_5790.wav クーシキン ⸢クーシ⸣キン [⸢kuːʃi⸣kiŋ] 名 継ぎ接ぎした着物。継ぎ当てした着物。 シ⸢グトゥキンマー クーシキン⸣ル キ⸢ソーッタ⸣ル [ʃi⸢gutukimmaː kuːʃikin⸣ru ki⸢soːtta⸣ru] (仕事着には継ぎ当てした着物を着用され<着られ>た) 5796 0 0 5437 htmvoc_5796.wav クーシビー ⸢クー⸣シビー [⸢kuː⸣ʃibiː] 名 (海底地名)。干瀬の名。鳩間島の西側、やや北寄りの干瀬の名。連続して島を取り巻く環礁の一部位の名。フ⸢チマチル[ɸu̥⸢ʧimaʧiru]漁の行われる干瀬である 5797 0 0 5438 htmvoc_5797.wav クージン ⸢クー⸣ジン [⸢kuː⸣ʤiŋ] 名 小銭。グ⸢マ⸣ジン[gu⸢ma⸣ʤiŋ](小銭)ともいう。 ⸢クー⸣ジン ⸣クリ ッ⸢ふィーリ [⸢kuː⸣ʤiŋ ⸣kuri f⸢fiːri] (小銭に両替してくれ)。 ⸢カイ⸣レー ⸢クー⸣ジン⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸢kai⸣reː ⸢kuː⸣ʤiŋʃi f⸢fiːri] (釣銭は小銭でくれ) 5946 0 0 5439 htmvoc_5946.wav クース ⸢クース [⸢kuːsu] 名 唐辛子。「胡椒」の転訛。果皮や種子に刺激性の強い辛味があり、刺身に入れて食するのにこのまれる。各家の庭に2~3本植栽されている。果実は未熟の間は濃緑色を呈し、熟すると赤味をおびる。 ⸢クーソー ヤーカー⸣ジナ イ⸢ビラリティ⸣ ナ⸢マ⸣シナ イ⸢リティ⸣ ン⸢コーッ⸣タ [⸢kuːsoː jaːkaː⸣ʤina ʔi⸢birariti⸣ na⸢ma⸣ʃina ʔi⸢riti⸣ ʔŋ⸢koːt⸣ta] (唐辛子は家ごとに植えられていて、刺身に入れて召し上がられた)。 カ⸢ツナマシェー ミー⸣ス ⸣タリティ ⸢クースン ピッツァ⸣シ イ⸢リティ ッふー⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [kḁ⸢ʦunamaʃeː miː⸣su ⸣tariti ⸢kuːsum pitʦa⸣ʃi ʔi⸢riti ffuː⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (カツオの刺身は味噌を水で溶いて唐辛子も潰し入れて食べると大変に美味しい) 5947 0 0 5440 htmvoc_5947.wav クース ⸢クース [⸢kuːsu] 名 古酒。 ア⸢ドー⸣ヌ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢オー⸣レーツムヌ ⸢クースーバ⸣ ン⸢ザ⸣シ ⸢オーシ⸣バ [ʔa⸢doː⸣nu ʔu⸢ki⸣naːra ⸢ʔoː⸣reːʦumunu ⸢kuːsuːba⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸢ʔoːʃi⸣ba] (あんなに遠い沖縄からいらっしゃったのだから、古酒を出して差し上げなさい)。⸢クース[⸢kuːsu](古酒)は限られた一部の家にしかなかった 5800 0 1 5441 htmvoc_5800.wav クーズメ ⸢クーズメ [⸢kuːʣume] 名 {Mn_1}(動物)貝の一種。和名、ヨメガガサか。卵形の平たい貝。海岸の岩にくっ付いている貝。食べられるが美味ではない。 ⸢クーズメーヤ⸣ フ⸢チ⸣ルティ ス⸢クタヌ⸣ ッ⸢ふァイ⸣ ミ⸢ラン⸣シェン [⸢kuːʣumeːja⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ruti su̥⸢kutanu⸣ f⸢fai⸣ mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (クーズメー貝は薬だと聞いたが、食べたことはなかった)。 5800 0 2 5442 htmvoc_5800.wav クーズメ ⸢クーズメ [⸢kuːʣume] 名 {Mn_2}一箇所にくっ付いて、あまり動かないことから、転じて「引きこもりの人」、「外に出ないで閉じこもる人」を指していう。 ウ⸢レー クーズメ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スン⸣ヤー パ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː kuːʣume⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢suŋ⸣jaː pa⸢ra⸣nu] (あれ<彼>はクーズメ<引きこもり>だから、よその家には行かない) 5793 0 1 5443 htmvoc_5793.wav クースン ⸣クー ⸢スン [⸣kuː ⸢suŋ] 連 {Mn_1}鍋の穴を塞ぐ。 ナ⸢ビ⸣ヌ ⸣クー ⸢スン [na⸢bi⸣nu ⸣kuː ⸢suŋ] (鍋の穴を塞ぐ)。 5793 0 2 5444 htmvoc_5793.wav クースン ⸣クー ⸢スン [⸣kuː ⸢suŋ] 連 {Mn_2}継を当てる。 ⸢キン⸣ヌ ⸣クー ⸢スン [⸢kin⸣nu ⸣kuː ⸢suŋ] (着物の継ぎを当てる{EOS}着物の繕いをする)。 ⸣クー ⸢サンドー⸣シ キ⸢シ ベー [⸣kuː ⸢sandoː⸣ʃi ki̥⸢ʃi beː] (着物の継ぎを当てないで着ている)。衣類の乏しかった頃、着物の尻や服の尻、袖の肘のあたりに穴があくと、布地を当てて継ぎ当てをした。 ⸢キン⸣ヌ ⸣クー シ⸢ティ⸣ キ⸢シ⸣バ [⸢kin⸣nu ⸣kuː ʃi̥⸢ti⸣ ki̥⸢ʃi⸣ba] (着物の継ぎを当てて着なさい)。 ⸢キン⸣ヌ ⸣クー ⸢スー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣kin⸣nu ⸣kuː ⸢suː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (着物の継ぎを当てる人はいない)。 ⸣クー ⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸣kuː ⸢ʃeː⸣ misamunu] (継ぎを当てればいいのに)。 ⸣クー ⸢シー⸣バ [⸣kuː ⸢ʃiː⸣ba] (継ぎを当てなさい) 5794 0 0 5445 htmvoc_5794.wav クースン ⸢クー⸣スン [⸢kuː⸣suŋ] 他動 崩す。 ッ⸢ふ⸣ヤー ⸢クー⸣スン [f⸢fu⸣jaː ⸢kuː⸣suŋ] (古家を崩す)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢カッティニ クーサラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢kattini kuːsara⸣nu] (今は勝手に崩されない)。 ⸣アツァー ⸢クー⸣シ ⸣ミサンカヤー [⸣ʔaʦaː ⸢kuː⸣ʃi ⸣misaŋkajaː] (明日崩していいかねえ)。 ⸣エン ⸢バー⸣ケー ⸢クー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣jem ⸢baː⸣keː ⸢kuː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (来年までは崩すことは出来ない)。 ⸢パー⸣ク ⸢クー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢kuː⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く崩せばよいのに)。 ヤー⸢ディン クー⸣シ [jaː⸢diŋ kuː⸣ʃi] (必ず崩せ)。 ッ⸢ふ⸣ヤー ⸢クー⸣シティ ア⸢ラヤー⸣ ス⸢ク⸣ルツォー [f⸢fu⸣jaː ⸢kuː⸣ʃi̥ti ʔa⸢rajaː⸣ su̥⸢ku⸣ruʦoː] (古い家を崩して新しい家を造るそうだ) 5801 0 0 5446 htmvoc_5801.wav クードゥー ⸢クー⸣ドゥー [⸢kuː⸣duː] 名 小鼓。「小胴」の義。⸢ウー⸣ドゥー[⸢ʔuː⸣duː](大きい鼓)の対義語。 ⸣トゥヌスクヌ ⸣アジャー ⸢クー⸣ドゥー ウ⸢トー⸣ルンティ⸢ダー [⸣tunusu̥kunu ⸣ʔaʤaː ⸢kuː⸣duː ʔu⸢toː⸣runti⸢daː] (石垣市登野城の兄さん<佐村用明氏>は小鼓を打たれるそうですよ) 5802 0 0 5447 htmvoc_5802.wav クートゥシ ⸣クートゥシ [⸣kuːtuʃi] 名 来年。「来る年」の義。 ⸣クートゥシェー ⸢マービン⸣ヌ ユ⸢ガフ⸣ ニ⸢ガイシキ⸣ルン⸢ユー [⸣kuːtuʃeː ⸢maːbin⸣nu ju⸢gaɸu⸣ ni⸢gaiʃi̥ki⸣ruɲ⸢juː] (来年<来る年>は尚一層の豊年<世果報>をお祈り致します) 5803 0 0 5448 htmvoc_5803.wav グーナー ⸣グーナー [⸣guːnaː] 名 びっこ(跛)。びっこを引くこと。足の怪我や故障によって歩行の釣合いがとれないこと。若年層のことば。老年層は、⸣ネーガー[⸣neːgaː](びっこ)という。 イ⸢ク⸣サナ ⸢ティップ⸣シ ⸣パン イ⸢ラリティ⸣ グーナー ⸣ナリ ⸢ベー [ʔi⸢ku⸣sana ⸢tippu⸣ʃi ⸣paŋ ʔi⸢rariti⸣ guːna ⸣nari ⸢beː] (戦争で、鉄砲で足を撃たれてびっこ<跛>になっている) 5805 0 1 5449 htmvoc_5805.wav グーナルン ⸣グー ナルン [⸣guː ⸣naruŋ] 連 {Mn_1}仲間になる。味方になる。 ⸢ワンヌン バン⸣ター ⸣グー ナリ⸢ヨー [⸢wannum ban⸣taː ⸣guː nari⸢joː] (君も僕らの仲間になれよなあ)。 5805 0 2 5450 htmvoc_5805.wav グーナルン ⸣グー ナルン [⸣guː ⸣naruŋ] 連 {Mn_2}男女が結ばれる。情を交わす。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ キサー⸢ティ⸣ グー ⸣ナリティ ミ⸢ドゥ⸣モー パ⸢ル⸣ミ ⸢ベー⸣ダー [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ki̥saː⸢ti⸣ guː ⸣nariti mi⸢du⸣moː pa⸢ru⸣mi ⸢beː⸣daː] (あれら二人はとっくに結ばれていて、女は妊娠して<孕んで>いるよ) 5807 0 0 5451 htmvoc_5807.wav クーヌサミ ⸢クー⸣ヌ サ⸢ミ [⸢kuː⸣nu sa⸢mi] 連 砕け米。籾摺りや精白の際、または水に浸けた粳米を臼で搗いて上新粉を作る際、篩で篩った後に残る米粒の砕けたもの<砕米>や粗い米粉。 ⸢クー⸣ヌ サ⸢メー⸣ シ⸢トゥンドー⸣シ トゥ⸢ルン⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢kuː⸣nu sa⸢meː⸣ ʃi̥⸢tundoː⸣ʃi tu⸢run⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (砕け米や粗い粉は捨てないで鶏に食べさせなさいよ) 5806 0 0 5452 htmvoc_5806.wav クーネーシ ⸢クーネー⸣シ [⸢kuːneː⸣ʃi] 名 調理法の名。「皮煮」の転訛したものか。ハリセンボンなど、はらわたを取って、皮のまま煮ること。薬効があるといって、妊婦や生理不順の女性に煎じて与えていた。 ア⸢バ⸣サー ⸢クーネー⸣シ サ⸢バル⸣ フ⸢チ⸣ル ナルティ⸢ダー [ʔa⸢ba⸣saː ⸢kuːneː⸣ʃi sa⸢baru⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru naruti⸢daː] (ハリセンボンは皮付きのまま煮た方が薬効がある<薬になる>そうだよ) 5809 0 0 5453 htmvoc_5809.wav クーバイ ⸢クー⸣バイ [⸢kuː⸣bai] 名 勾配。「勾配」からの転訛。傾斜面の斜度。屋根の斜度。 ⸢クーバイ⸣ヌ タ⸢カー⸣カー カ⸢ジアタルヌ スー⸣ワンダ ⸣ドゥク タ⸢カー⸣ トゥ⸢ル⸣ナ⸢ヨー [⸢kuːbai⸣nu tḁ⸢kaː⸣kaː ka⸢ʤiatarunu suː⸣wanda ⸣duku tḁ⸢kaː⸣ tu⸢ru⸣na⸢joː] (勾配が高いと風当たり強いから、あまり高くとるなよ) 5808 0 0 5454 htmvoc_5808.wav クーバリ ⸢クー⸣バリ [⸢kuː⸣bari] 名 製粉すること。上新粉を作ること。「粉割」の義。水に漬けた粳米をシ⸢キ⸣ウシ[ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi](搗き臼{EOS}木臼)に入れて杵で搗き、製粉すること。搗いた粉を⸣シノー[⸣ʃinoː](篩{EOS}小麦粉用の篩)で篩って漉し、粗いものを更に搗いてメリケン粉のような細かい粉に製粉した。それを箕の上に振りかけ、まぶしておき、蒸し揚げた餅を成形する際に振りかけ、まぶし<塗し>て用いた。 ム⸢チヌ ニールン⸣ケン ⸢クー⸣バリ ⸢サー⸠ディー [mu⸢ʧinu niːruŋ⸣keŋ ⸢kuː⸣bari ⸢saː⸠diː] (餅が煮えるまで米粉を製粉<粉割>しようよ)。 ⸢マイヌ⸣ クー バ⸢ルン [⸢mainu⸣ kuː ba⸢ruŋ] (米粉を製粉する<割る>) 5811 0 0 5455 htmvoc_5811.wav グーパンチャー ⸢グーパン⸣チャー [⸢guːpan⸣ʧaː] 名 不揃いのもの。対をなして揃うべきものの片方が欠けているもの。 ⸣カイブ ⸢グーパンチャー⸣バ ⸢カイ⸣キー ⸢ヌー⸣ スー ⸢カン⸣ガイヤ [⸣kaibu ⸢guːpanʧaː⸣ba ⸢kai⸣kiː ⸢nuː⸣ suː ⸢kaŋ⸣gaija] (こんな不揃いのものを買ってきて何をするつもりかね) 5810 0 1 5456 htmvoc_5810.wav グーパンツァーリムヌ ⸢グーパンツァーリ⸣ムヌ [⸢guːpanʦaːri⸣munu] 名 {Mn_1}対を成さないもの。不揃いのもの。「偶外れ物」の義。 ク⸢ヌ⸣ パシェー ⸢グーパンツァーリ⸣ムヌ ナ⸢リ⸣ブー [ku⸢nu⸣ pḁʃeː ⸢guːpanʦaːri⸣munu na⸢ri⸣buː] (この箸は不揃いのもの<対を成さないもの>になっている)。 5810 0 2 5457 htmvoc_5810.wav グーパンツァーリムヌ ⸢グーパンツァーリ⸣ムヌ [⸢guːpanʦaːri⸣munu] 名 {Mn_2}配偶者の欠けた者。やもめ(寡婦{EOS}鰥夫「鰥夫、無妻曰\kaeriten{㆑}鰥、和名夜無乎<やもを>『和名抄』」)。 ク⸢ヌ⸣ ビ⸢キドゥモー⸣ トゥ⸢ジヌ マーラシター グーパンツァーリ⸣ムヌ ナリ⸢ベー [ku⸢nu⸣ bi⸢kidumoː⸣ tu⸢ʤinu maːraʃi̥taː guːpanʦaːri⸣munu nari⸢beː] (この男は妻が亡くなったので\ruby{鰥夫}{ヤモ|オ}になっている) 5772 0 0 5458 htmvoc_5772.wav クーピキ ⸢クー⸣ピキ [⸢kuː⸣pi̥ki] 名 製粉。「粉挽き」の義。ム⸢チマイ[mu⸢ʧimai](糯米)を一晩水に\ruby{浸}{ツ}けてふやかし、⸢ウー⸣キ[⸢ʔuː⸣ki](桶)の上にア⸢ジ⸣マー[ʔa⸢ʤi⸣maː](十文字に組んだ台木)を置いてイ⸢ソーシ[ʔi⸢soːʃi](石臼)を載せ、それに糯米を入れて石臼をまわす。水を少量ずつ流しながら挽く。乳液状の汁が桶に溜まると袋に入れて水切りをする。袋の上に石臼を乗せておくと一晩で水切りが完了し、澱粉がとれる。その澱粉を成形して蒸すと餅ができあがる。 ⸢タンガ⸣シ ⸢クー⸣ピキ ⸢シーベー [⸢taŋga⸣ʃi ⸢kuː⸣pi̥ki ⸢ʃiːbeː] (一人で餅を作るための粉挽きをしている)。 ⸢ヨイ⸣ヌ ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣ルンティ ⸢クー⸣ピキ ⸢シー オー⸣ル [⸢joi⸣nu mu⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣runti ⸢kuː⸣pi̥ki ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (お祝いの餅を作るとて、糯米の粉を石臼で挽いておられる) 5813 0 0 5459 htmvoc_5813.wav クーピキウーキ ⸢クーピキウー⸣キ [⸢kuːpi̥kiʔuː⸣ki] 名 「粉挽き桶」の義。石臼で糯米や大豆を挽くのに用いる桶。桶の上にア⸢ジ⸣マー[ʔa⸢ʤi⸣maː](十字に交差した支え棒)を掛け、その上に石臼を据えて糯米や大豆を挽いた。 ⸢クーピキウー⸣ケー ⸣ティダナー サ⸢ラスナ⸠ヨー [⸢kuːpi̥kiʔuː⸣keː ⸣tidanaː sa⸢rasuna⸠joː] (粉挽き桶は太陽に晒す<干す>なよ) 5773 0 0 5460 htmvoc_5773.wav クーピクン ⸣クー ピ⸢クン [⸣kuː pi̥⸢kuŋ] 連 製粉する。糯米を一晩水につけてふやかし、石臼で水を少しずつ加えながら挽く。 ム⸢チマイヌ⸣ クー ピ⸢クンティ オー⸣ル [mu⸢ʧimainu⸣ kuː pi̥⸢kunti ʔoː⸣ru] (糯米の粉を挽こうとしておられる) 5814 0 0 5461 htmvoc_5814.wav クーフキウン ⸢クーフキ⸣ウン [⸢kuːɸu̥ki⸣ʔuŋ] 名 (植)サツマイモの一種。「粉ふき芋」の義。澱粉が多く、ふかす<蒸かす>と粉がふきでるように、ふかふかして美味なサツマイモ。 ⸢クーフキウン⸣マー バ⸢カス⸣カー ⸢クー⸣ フキティ ン⸢マー⸣タン [⸢kuːɸu̥kiʔum⸣maː ba⸢kasu⸣kaː ⸢kuː⸣ɸu̥kiti ʔm⸢maː⸣taŋ] (粉ふき芋は炊くと粉がふきだして美味しかった) 5815 0 0 5462 htmvoc_5815.wav クーフクン ⸣クー ⸣フクン [⸣kuː ⸣ɸu̥kuŋ] 連 粉がふく。サツマイモをふかす(蒸かす)と澱粉質が粉のようにふかふかする。 ヒャ⸢クゴー⸣ヤ バ⸢カス⸣カー ⸣クー ⸣フキティ イ⸢カス⸣ク ン⸢マー⸣ワ⸢ツォー [ça⸢kugoː⸣ja ba⸢kasu̥⸣kaː ⸣kuː ⸣ɸu̥kiti ʔi⸢kasu⸣ku ʔm⸢maː⸣wa⸢ʦoː] (百号<台中百号種の芋>は蒸かすと粉をふいて、どんなに美味しいことか) 6415 0 0 5463 htmvoc_6415.wav クーフシル ⸢クーフシ⸣ル [⸢kuːɸuʃi⸣ru] 名 粉薬。散薬。「こぐすり」の義。⸢クーフチ⸣ル[⸢kuːɸu̥ʧi⸣ru](粉薬)とも言う。ミ⸢ジフチ⸣ル[mi⸢ʤiɸuʧi⸣ru](水薬)の対義語。 ⸢クーフシ⸣ル ⸣ヌムンティ シ⸢ター⸣ ッ⸢サー⸣ク シ⸢ティ⸣ フ⸢キンザ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kuːɸu̥ʃi⸣ru ⸣numunti ʃi̥⸢taː⸣ s⸢saː⸣ku ʃi̥⸢ti⸣ ɸu̥⸢kiʔnʣa⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (粉薬を飲もうとしたところ、咳をして口から噴き出してしまった) 5804 0 0 5464 htmvoc_5804.wav クーフチル ⸢クーフチ⸣ル [⸢kuːɸu̥ʧi⸣ru] 名 こぐすり(粉薬)。⸢クーフシ⸣ル[⸢kuːɸuʃi⸣ru]ともいう。ミ⸢ジフチ⸣ル[mi⸢ʤiɸuʧi⸣ru](水薬)の対義語。 ⸢クーフチ⸣ル ⸣ヌムンティ ⸢アー⸣キ ン⸢ツァイテイ⸣ ムー⸢ル⸣ フ⸢キトゥバ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kuːɸuʧi⸣ru ⸣numunti ⸢ʔaː⸣ki ʔn⸢ʦaiti⸣ muː⸢ru⸣ ɸu̥⸢kituba⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (粉薬を飲もうとして喉に詰まらせて、咳き込んで全部吹き飛ばしてしまった)。 ⸢クーフチ⸣ル ⸣ヌムン [⸢kuːɸu̥ʧi⸣ru ⸣numuŋ] (粉薬を飲む)。 ク⸢ヌ クーフチ⸣ロー バ⸢タ⸣ヤンナ ス⸢クン [ku⸢nu kuːɸu̥ʧi⸣roː ba⸢ta⸣jannaː su̥⸢kuŋ] (この粉薬は腹痛に効く) 5817 0 0 5465 htmvoc_5817.wav クーマイ ⸣クーマイ [⸣kuːmai] 名 砕けまい。砕米。粒が砕けた米。 ⸢ハイキューマイ⸣ヤ ⸣クーマイ ⸣ナリティ ン⸢マーナーン⸣シェン [⸢haikjuːmai⸣ja ⸣kuːmai ⸣nariti ʔm⸢maː naːŋ⸣ʃen] (配給米はクーマイ<砕米>になっていて、美味しくなかった) 5818 0 0 5466 htmvoc_5818.wav グーマンチャー ⸣グーマンチャー [⸣guːmanʧaː] 名 不揃い。ちぐはぐなもの。 ⸢グーパンツァー⸣リムヌ [⸢guːpanʦaːri⸣munu] (具・外れもの、不揃いのもの)。箸や下駄など、一式のが不揃いであるもの。沖縄方言からの借用語か。「具・混じり」の転訛したもの。鳩間方言では、普通は⸢グーパンツァー⸣リムヌ[⸢guːpanʦaːri⸣munu](不揃い物{EOS}「具・外れ物」の義)ともいう。カタグーマンチャー[ka⸢taguːmanʧaː](不揃い物)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢チ⸣ツァー ⸢グーマン⸣チャー <グーパンチャー> ⸣ナリティ フ⸢マラヌ [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ʧi⸣ʦaː ⸢guːman⸣ʧaː ⸣nariti ɸu⸢maranu] (この下駄は不揃いになって履けない) 5819 0 0 5467 htmvoc_5819.wav クームチ ⸢クームチ [⸢kuːmuʧi] 名 供物。神に供える一式の品物。若年層はク⸢ムチ[ku⸢muʧi](供物)ともいう。イ⸢キ⸣パナ[ʔi⸢ki⸣pana](生け花{EOS}イ⸢ツァン⸣パイキー{SqBr}ʔi⸢ʦam⸣paikiː{/SqBr}<まさき>の小枝を活けた)一対。ア⸢ライパナ[ʔa⸢raipana](洗米{EOS}精米した粳米を水で洗って茶碗に盛ったもの)一対。⸢サー⸣ドー[⸢saː⸣doː](茶湯)一対。⸢トゥイ⸣ミョー[⸢tui⸣mjoː](灯明{EOS}キザク貝の殻に種油を入れ、約10センチのこより<紙縒>を灯心としたもの)一対。ウ⸢ツァナ⸣ク[ʔu⸢ʦana⸣ku](白玉粉で作った小さな餅)一対。 ミ⸢キ [mi⸢ki] (神酒{EOS}⸢カン⸣ビン{SqBr}⸢kam⸣biŋ{/SqBr}<燗瓶の義か>一対、盃一対)。⸣クバン[⸣kubaŋ](焙乾にした魚肉を1センチ角、長さ約10センチに切ったもの)七本ないし九本ずつ結わえたム⸢リクバン[mu⸢rikubaŋ]<盛りクバン>を皿に入れ、塩とピ⸢ル ミーカキ[pi⸢ru miːkaki](大蒜三片)を入れたもの。一対。これら一式の供物の中から、各種の祈願に必要な供物をバ⸢キトゥリ⸣ブン[ba⸢kituri⸣buŋ](通い盆{EOS}供物を入れて運び、供えるのに用いる細長いお膳)に入れて祈願に供えた。バ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa]がその任に当たった。 ⸢クームチェー⸣ ス⸢コーレー⸣ン [⸢kuːmuʧeː⸣ su̥⸢koːreː⸣ŋ] (供物は準備できた) 5820 0 0 5468 htmvoc_5820.wav クーラ ⸢クーラ [⸢kuːra] 名 (地)西表島北岸の伊武田地区の西に広がる水田地帯。⸢久浦」と表記されている。⸢クーラガーラ[⸢kuːragaːra](クーラ川)からウ⸢ボル⸣ダー[ʔu⸢boru⸣daː]、⸣ウシダー[⸣ʔuʃidaː]、⸢クーラ[⸢kuːra]、⸢ナーダ[⸢naːda]、⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離)に至る水田地帯。⸢トゥー⸣ジェ[⸢tuː⸣ʤe](通事家)、ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː](小浜家)、イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː](西原家)、ナ⸢カン⸣テー[na⸢kan⸣teː](仲本家)、カ⸢ナ⸣ケー[ka⸢na⸣keː](兼久家)、⸢ウイカナケー[⸢ʔuikanakeː](浦崎家<上兼久家>)、ク⸢メー[ku⸢meː](小浜家)、⸣ユージェー[⸣juːʣeː](松竹家)、カ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)、ナ⸢カシ⸣ケー[na⸢kaʃi̥⸣keː](仲底家)、パ⸢トゥ⸣メー[pḁ⸢tu⸣meː](鳩間家)、⸢ウイザテー[⸢ʔuiʣateː](上里家)、ム⸢ルスメー[mu⸢rusumeː](盛島家)、⸣ナラシケー[⸣naraʃi̥keː](成底家)などの水田があった。 ⸢バン⸣テヌ ⸢クーラヌ⸣ バ⸢ケーラマシ⸣ナー ⸢ターウナイ⸣ヌ ブ⸢タン⸣ダー [⸢ban⸣tenu ⸢kuːranu⸣ ba⸢keːramaʃi⸣naː ⸢taːʔunai⸣nu bu⸢tan⸣daː] (私の家のクーラのバケーラマシ<湧き水の湧き出る田圃>には田圃鰻がいたよ)。/マンカパイバタ ミワタシバ パマヌ ミルスヤ クーラヌパマ/(真向かいの南端を見渡すと、浜が見える所<の>は小浦<久浦>の浜だ)(鳩間中岡節) 5821 0 0 5469 htmvoc_5821.wav クーラミナトゥ ⸢クーラミナトゥ [⸢kuːraminatu] 名 クーラ川の川口。⸢久浦港」の義。伊武田の西側と久浦田原の境を流れる川の河口。古見岳の西側、タ⸢カ⸣スクヤマ[tḁ⸢ka⸣su̥kujama](タカスク山)とティ⸢ドゥ⸣クヤマ[ti⸢du⸣kujama](ティドゥク山)から流れる雨水を集めて流れる⸢クーラガーラ[⸢kuːragaːra](久浦川)の河口は海砂が堆積して干潮時には船の通行ができない。満潮時に伝馬船やサバニを河口から乗り入れて荷物の積み下ろしをした 5822 0 1 5470 htmvoc_5822.wav クーリ ⸢クーリ [⸢kuːri] 名 {Mn_1}氷。 ニ⸢チ⸣ヌ タ⸢カー⸣カ ⸢クーリ⸣シ ヒ⸢ヤ⸣シバ [ni⸢ʧi⸣nu tḁ⸢kaː⸣ka ⸢kuːri⸣ʃi ⸢çi⸢ja⸣ʃiba] (熱が高かったら氷で冷せよ)。 5822 0 2 5471 htmvoc_5822.wav クーリ ⸢クーリ [⸢kuːri] 名 {Mn_2}氷砂糖。⸢クーリザタ[⸢kuːriʣata](氷砂糖)の略。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ウイ⸣プソー ⸣ユー ⸣サーナ ⸢クーリ⸣ イ⸢リティ⸣ ヌ⸢モーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔui⸣pu̥soː ⸣juː ⸣saːna ⸢kuːri⸣ ʔi⸢riti⸣ nu⸢moːt⸣taŋ] (昔は老人は、よくお茶に氷砂糖を入れて飲まれたものだ) 6349 0 0 5472 htmvoc_6349.wav クーリ ⸢クーリ [⸢kuːri] 名 柳行李。 ヤ⸢マトゥ⸣タビ ⸢タイパン⸣タビ ⸢ソー⸣ル プ⸢ソー クーリ⸣ナ ⸣キンカー イ⸢リティ⸣ ム⸢トーッ⸣タ [ja⸢matu⸣tabi ⸢taipan⸣tabi ⸢soː⸣ru pu̥⸢soː kuːri⸣na ⸣kiŋkaː ʔi⸢riti⸣ mu⸢toːt⸣ta] (日本本土への旅行、台湾への旅行をされる人は柳行李に衣類を入れて持っていかれた) 5824 0 0 5473 htmvoc_5824.wav クーリザタ ⸢クーリザタ [⸢kuːriʣata] 名 氷砂糖。 ⸢クーリザタ⸣ サーナ トゥ⸢カ⸣シ ⸣ヌミバ [⸢kuːriʣataː⸣ saːna tu̥⸢ka⸣ʃi ⸣numiba] (氷砂糖をお茶に溶かして飲めよ) 5825 0 0 5474 htmvoc_5825.wav クーリミジ ⸢クーリミジ [⸢kuːrimiʤi] 名 氷水。 ⸢クーリミジ⸣ ヌ⸢ミ⸣ プサン [⸢kuːrimiʤi⸣ nu⸢mi⸣ pu̥saŋ] (氷水を飲みたい) 5829 0 0 5475 htmvoc_5829.wav クーリルン ⸢クーリ⸣ルン [⸢kuːri⸣ruŋ] 自動 崩れる。崩壊する。⸢クー⸣ルンとも言う。 ウ⸢ブアミヌ⸣ フーカー ⸢サン⸣ガラー ⸢クーリ⸣ルン [ʔu⸢buʔaminu⸣ ɸuːkaː ⸢saŋ⸣garaː ⸢kuːri⸣ruŋ] (大雨が降ると崖が崩れる)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣タンティン ⸢クーリラ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣tantiŋ ⸢kuːrira⸣nu] (雨が降っても崩れない)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢クーリヤッ⸣サン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢kuːrijas⸣saŋ] (雨が降ると崩れやすい)。 ⸢クーリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kuːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (崩れることはない)。 ⸢クー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢kuː⸣reː ⸣misamunu] (崩れればよいのに)。 ⸣カイブ ⸣トンマー ⸢パー⸣ク ⸢クーリ⸣リ [⸣kaibu ⸣tommaː ⸢paː⸣ku ⸢kuːri⸣ri] (こんな所は早く崩れろ)。 ⸢ナイ⸣ヌ ウ⸢クル⸣ター ⸢グス⸣コー ⸢クー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢nai⸣nu ʔu⸢kuru⸣taː ⸢gusu̥⸣koː ⸢kuː⸣ri ⸢naː⸣nu] (地震が起こったので石垣が崩れてしまった)。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ジ⸣ナーン ⸢ヤー⸣ヤ ⸢クーリラン⸣セン [ku⸢nu⸣ ka⸢ʤi⸣naːɲ ⸢jaː⸣ja ⸢kuːriraŋ⸣ʃeŋ] (この台風にも家は崩れなかった<壊れなかった>)。 ウ⸢ヌアタル⸣ヌ カ⸢ジ⸣ナー ⸢クーリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ⸢ダー⸣ヌ ⸢クーリ⸣ルンティ ウ⸢ムイ⸣ル カ⸢キン⸣ゴー ⸢スー⸠ダー [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ka⸢ʤi⸣naː ⸢kuːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi⸢daː⸣nu ⸢kuːri⸣runti ʔu⸢mui⸣ru kḁ⸢kiŋ⸣goː ⸢suː⸠daː] (その程度の台風で崩れることは無いはずだが、崩れると思って保護対策<格護>はするのだよ)。 ⸢クーリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢kuːri⸣reː ⸣misamunu] (崩れればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢クーリ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢kuːri⸣ri] (早く崩れろ) 5826 0 0 5476 htmvoc_5826.wav クール ⸢クール [⸢kuːru] 名 (植)紅露。山地に自生する蔓性の植物で、1~3キロの丸い長芋の根茎をつける。八重山特産の赤色染料。 ム⸢カ⸣シェー ⸢クール⸣シ ⸢ヌーヌ⸣ ス⸢モーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kuːru⸣ʃi ⸢nuːnu⸣ su⸢moːt⸣taʦoː] (昔は\ruby{黄櫨}{コウ|ロ}で布を染められたそうだ) 5827 0 0 5477 htmvoc_5827.wav クール ⸢クール [⸢kuːru] 名 「\ruby{庫裡}{ク|リ}」の転訛か。籾を積んで保管しておくところ。ユ⸢コー[ju⸢koː](裏座の片隅)や⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)の一角に穀類の保管場所を作る家もあった。老年層(80歳以上)の人が使用する語である。 ⸢ベー⸣ヌ ⸢クーロー⸣ ウ⸢ブヤー⸣ヌ ⸢サン⸣ヌパー ⸣シヌナール ⸢アッ⸣タ⸢ナー [⸢beː⸣nu ⸢kuːroː⸣ ʔu⸢bujaː⸣nu san⸣nupaː ⸣ʃinunaːru ⸢ʔat⸣ta⸢naː] (我が家の庫裡<米蔵>は母屋の南西<申>の方角の角にあったねえ) 5830 0 0 5478 htmvoc_5830.wav クールン ⸢クー⸣ルン [⸢kuː⸣ruŋ] 自動 崩れる。「崩る<下二段活用>」の四段活用に転訛したもの。 ⸢グス⸣コー ⸢クー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢gusu̥⸣koː ⸢kuː⸣ri ⸢naː⸣nu] (石垣は崩れてしまった)。 ⸢ナイ⸣ヌ ウ⸢ク⸣ルカー ⸢グス⸣クン ⸢クー⸣ルン [⸢nai⸣nu ʔu⸢ku⸣rukaː ⸢gusu̥⸣kuŋ ⸢kuː⸣ruŋ] (地震が起こると石垣も崩れる)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホー⸣バン <⸢フー⸣バン> ⸢クーラ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoː⸣baŋ <⸢ɸuː⸣baŋ> ⸢kuːra⸣nu] (雨が降っても崩れない)。 ⸢グスク⸣ヌ ⸢クー⸣ル ⸣ピンマー ナ⸢クラーン⸣ダー [⸢gusu̥ku⸣nu ⸢kuː⸣ru ⸣pimmaː na⸢kuraːn⸣daː] (石垣が崩れる時は怖いよ)。 ヤ⸢ナ トンマー クー⸣レー ⸣ミサムヌ [ja⸢na tommaː kuː⸣reː ⸣misamunu] (悪いところは崩れればよいのに)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸢クーリ⸣リ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸢kuːri⸣ri] (あんなのは早く崩れろ<崩れれ>)。 ⸢クーラン⸣ティ ウ⸢ムイ⸣ヤー ス⸢ヌ クー⸣ルンティ ⸣ウムイティ カ⸢キン⸣ゴー サ⸢バル⸣ ナル [⸢kuːran⸣ti ʔu⸢mui⸣jaː su⸢nu kuː⸣runti ⸣ʔumuiti kḁ⸢kiŋ⸣goː sa⸢baru⸣ naru] (崩れないと思いはするが、崩れると思って保護対策<格護>をしたほうがよい<すればぞ事はよくなる>)。 ⸢クー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kuː⸣ri ⸢naː⸣nu] (崩れてしまった)。 ⸢クー⸣ルクトゥン ⸣アン [⸢kuː⸣ru ⸣kutuŋ ⸣ʔaŋ] (崩れることもある) 5831 0 0 5479 htmvoc_5831.wav クーレー ⸢クー⸣レー [⸢kuː⸣reː] 名 (動)魚の名。和名、チョウチョウコショウダイ。体長約60センチに達するという。和名、ムスジコショウダイ(体長約35センチ)、和名、クロコショウダイ(体長約35センチ)、和名、オシャレコショウダイ(体長約40センチ)、コロダイ(体長約50センチ)などの総称。鳩間島では35~40センチの成魚が釣れた。⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː](島の西側にある干瀬)の⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外海)あたりで漁獲された 5766 0 1 5480 htmvoc_5766.wav クーン ⸣クーン [⸣kuːŋ] 自動 カ変。{Mn_1}来る(こちらへ向かって近づく)。「之多比己之 伊毛我己許呂乃~<慕い来し妹が心の>『万葉集 796』」の義。 ⸣カマーラ プ⸢スヌ⸣ クーン [⸣kamaːra pu̥⸢sunu⸣ kuːŋ] (向こうから人が来る)。 ター⸢ン クー⸣ヌ(⸢コー⸣ヌ) [taː⸢ŋ kuː⸣nu(⸢koː⸣nu)] (誰も来ない)。 ⸣アツァー ⸢キー⸣プサンツォー [⸣ʔaʦaː ⸢kiː⸣ pu̥sanʦoː] (明日は来たいそうだ)。 ⸣クー プ⸢ソー パイ⸣サ ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸣kuː pu̥⸢soː pai⸣sa ⸣keː ⸣misamunu] (来る人は早く来ればよいのに)。 タ⸢デー⸣マンチン <マ⸢ナ⸣マ シ⸢グ⸣> ⸣クー [ta⸢deː⸣manʧiŋ ⸣kuː] (今すぐ<唯今の内に>来い)。 5766 0 2 5481 htmvoc_5766.wav クーン ⸣クーン [⸣kuːŋ] 自動 {Mn_2}<目的地に話者の意識を置いた、来る>行く。「倭爾者 鳴而か來良武~<大和には鳴きてか来らむ>『万葉集 70』」の義。 ⸣アツァー クー⸢ナー [⸣ʔaʦaː kuː⸢naː] (明日来よう<そちらへ行く>ねえ) 5767 0 0 5482 htmvoc_5767.wav クーン ⸣クーン [⸣kuːŋ] 他動 こぐ(漕ぐ)。櫓や櫂を動かして船を進める。「麻萬能宇良末乎 許具布祢能~<眞間の浦回を漕ぐ船の>『万葉集 3349』」の義。 ⸣イダフニ ⸣クーン [⸣ʔidaɸuni ⸣kuːŋ] (板船<サバニ>を漕ぐ)。 ⸣フネー ⸢コー⸣ヌ [⸣ɸuneː ⸢koː⸣nu] (船は漕がない)。 ⸣フニ クイ⸢サヌ [⸣ɸuni kui⸢sanu] (船を漕ぎきれない)。 ⸢ワー⸣ クー ⸣フネー ⸣ヌーヤ [⸢waː⸣ kuː ⸣ɸuneː ⸣nuːja] (君が漕ぐ舟はどれか)。 ⸢マー⸣ビン ⸢クイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kui⸣jaː ⸣misamanu] (もっと漕げばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣クイ [⸢paː⸣ku ⸣kui] (早く漕げ)。 ⸢パー⸣レー ⸣クイ ⸣ミサカー ⸣クー ⸣クトー ⸣ナルン [⸢paː⸣reː ⸣kui ⸣misakaː ⸣kuː ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (爬虫竜舟を漕いで良ければ、漕ぐことは出来る)。 ⸢ワンヌン クイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢wannuŋ kui⸣jaː ⸣misamunu] (君も漕げば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣クイバ [⸢paː⸣ku ⸣kuiba] (早く漕げよ) 5768 0 1 5483 htmvoc_5768.wav クーン ⸣クーン [⸣kuːŋ] 他動 {Mn_1}乞う。求める。貰う。 ユ⸢ミ⸣ クイン ⸢オーッ⸣タ [ju⸢mi⸣ kuiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (嫁を乞いに<貰いに>行かれた)。 ⸢ウン⸣ネーラー ユ⸢メー コー⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːraː ju⸢meː koː⸣nu] (その家からは嫁は貰わない)。 ⸢ウン⸣ネーラ ユ⸢ミ クーン [⸢ʔun⸣neːra ju⸢mi⸣ kuːŋ] (その家から嫁を貰う)。 ユ⸢ミ⸣ クー ⸣プス [ju⸢mi⸣ kuː ⸣pu̥su] (嫁を貰うとき)。 ⸢カン⸣ネーラ ユ⸢ミ クイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢kan⸣neːra ju⸢mi kui⸣jaː ⸣misamunu] (あの家から嫁を貰えばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢ミ⸣ クイ [⸢paː⸣ku ju⸢mi⸣ kui] (早く嫁を貰え)。 5768 0 2 5484 htmvoc_5768.wav クーン ⸣クーン [⸣kuːŋ] 他動 {Mn_2}借りる。 ⸢シー⸣ネーラ カ⸢ナパイ⸣ クイクー [⸢ʃiː⸣neːra ka⸢napai⸣ kuikuː] (後ろ隣の家から鍬を借りてこい) 5833 0 0 5485 htmvoc_5833.wav クーン ⸢クーン [⸢kuːŋ] 他動 越える。ものごとの上を越える。障害物を乗り越える。⸢クイルン[⸢kuiruŋ](越える)ともいう。「~あしひきの山坂古延弖<コエテ>~。万、3962」の転訛したもの。 ⸣キューズーナ ⸣ヤマー ⸢クーン [⸣kjuːʣuːna ⸣jamaː ⸢kuːŋ] (今日中に山を越える)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢コーラヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢koːranu] (今日は越えられない)。 ⸣キューズーナ ⸢クイ⸣ プサン [⸣kjuːʣuːna ⸢kui⸣ pu̥saŋ] (今日中に越えたい)。 ⸣ヤマ ⸢クー プソー パイ⸣サ ⸣パリ [⸣jama ⸢kuː pu̥soː pai⸣sa ⸣pari] (山を越える人は早く行け)。 ⸢クイヤー⸣ ミサムヌ [⸢kuijaː⸣ misamunu] (越えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢クイ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢kui⸣ba] (早く越えなさいよ)。 ⸢コーヌ [⸢koːnu] (超えない)。 ダ⸢ディ⸣クダキ ⸢クーンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ⸢コーララヌ [da⸢di⸣kudaki ⸢kuːnti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ⸢koːraranu] (ダディク岳を越えようと思うが、私には越えられない)。 ⸢クイ⸣ ミサカー ⸢クー⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸢kui⸣ misakaː ⸢kuː⸣ ku̥toː narun⸢daː] (超えて良ければ越えることは出来るよ)。 ⸢クイヤー⸣ ミサムヌ [⸢kuijaː⸣ misamunu] (越えたら良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢クイ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢kui⸣ba] (早く越えなさいよ) 5730 0 0 5486 htmvoc_5730.wav クイ ⸣クイ [⸣kui] 名 恋。 ム⸢カ⸣シェー ⸢クイ⸣ヌ ⸣ミチ ッ⸢サン⸣カー ⸢キンダイクネー⸣ ッ⸢ふーナ⸣ティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kui⸣nu ⸣miʧi s⸢saŋ⸣kaː ⸢kindaikuneː⸣ f⸢fuːna⸣ti ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (昔は、恋の道を知らなければ人参を食べるなといわれたものだ) 5731 0 0 5487 htmvoc_5731.wav クイ ⸣クイ [⸣kui] 名 声。 ⸢クイ⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤン [⸢kui⸣nu ⸢mai⸣jaŋ] (声が大きい)。 ⸢クイ⸣バ ン⸢ザ⸣シ [⸢kui⸣ba ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (声を出せ)。 ⸣クイシ ⸢ターティ⸣ ワ⸢カ⸣ルン [⸣kuiʃi ⸢taːti⸣ wa⸢ka⸣ruŋ] (声で誰だと分かる)。 ク⸢リヌ⸣ ウター ⸣クイナー ヌ⸢ビ⸣ヌ ⸣アリティ シ⸢キグトゥ [ku⸢rinu⸣ ʔutaː ⸣kuinaː nu⸢bi⸣nu ⸣ʔariti ʃi̥⸢kigutu] (これ<この人>の歌は、声に伸びがあって<美声で>素晴らしい<聞きごとである>) 5733 0 0 5488 htmvoc_5733.wav グイ ⸢グイ [⸢gui] 名 杭。地中に打ち込む棒。直径約4センチ、長さ約80センチの垂木の先端部を削って土中に打ち込んで支柱に使用するもの。畑の畦などに打ち込んで藁縄を張り、畑に侵入する者を防ぐ。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸢グイ⸣ ウティ シ⸢キ⸣リ [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢gui⸣ ʔuti ʃi̥⸢ki⸣ri] (畑の畦に杭を打っておけ) 5734 0 0 5489 htmvoc_5734.wav グイ ⸢グイ [⸢gui] 名 みおつくし(澪標)。水路標識。「水脈(みお)の串」の義。通行する船に深い水脈を知らせるために立てた杭。タ⸢カビー⸣ヌ フ⸢チ[tḁ⸢kabiː⸣nu ɸu̥⸢ʧi](高干瀬の津口)から桟橋に至る数箇所の浅瀬に立てた杭。戦後は寄合三戸氏が運搬船の水路標識として松の枝を立てた。それを、ユ⸢レーヌ アー⸣ヤ ⸢ブイ[ju⸢reːnu ʔaː⸣ja ⸢bui](寄合家のお父さんの浮標)といっていた 5735 0 0 5490 htmvoc_5735.wav クイイズ ⸣クイイズ [⸣kuiʔiʣu] 名 (動)鯉。「鯉魚」の義。⸢カーング[⸢kaːŋgu](「川鯉」の義か)ともいう。鳩間島には鯉は棲息していなかった。西表島の川や田圃のシ⸢キム⸣トゥ[ʃi̥⸢kimu⸣tu](水源池にはカーングが棲息していた)。 ⸣クイイゾー パ⸢トゥ⸣マナー ブ⸢ラーンシェン [⸣kuiʔiʣoː pḁ⸢tu⸣manaː bu⸢raːŋʃeŋ] (鯉は鳩間島にはいなかった) 5732 0 0 5491 htmvoc_5732.wav クイガーリ ⸢クイガー⸣リ [⸢kuigaː⸣ri] 名 声変わり。変声。変声期。⸢クインガー⸣リ[⸢kuiŋgaː⸣ri](声変わり)ともいう。 ビ⸢コーンッふァー⸣ ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナルカー ⸢クイガー⸣リ ⸢スン  [bi⸢koːŋffaː⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣narukaː ⸢kuigaː⸣ri ⸢suŋ] (男の子は成人したら<大人になったら>声変わりする) 5736 0 0 5492 htmvoc_5736.wav クイガリ ⸢クイ⸣ガリ [⸢kui⸣gari] 名 しわがれ声(嗄れ声)。しゃがれごえ。「声枯れ」の義。 ウ⸢ヤー⸣リ ⸣ウタ イ⸢ズター クイ⸣ガリ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔu⸢jaː⸣ri ⸣ʔuta ʔi⸢ʣutaː kui⸣gari ⸢ʃiːnaː⸣nu] (大声で歌を歌ったのでしわがれ声になった<声枯れしてしまった>) 5737 0 0 5493 htmvoc_5737.wav クイガルン ⸢クイ⸣ガルン [⸢kui⸣garuŋ] 自動 しゃがれる。しわがれる(嗄れる)。声がかれ(嗄れる)る。「ガルン」は、「死、カル」『類聚名義抄』、「~朝毎にしぼみ可礼由苦<カレユク>~。万、4122」の転訛したものか。 ⸣ドゥク ウ⸢ブ⸣クイシ ウ⸢ヤー⸣ルカー ⸢クイ⸣ガルンティ ス⸢ヌ⸣ バー ⸢クイガラ⸣ヌ [⸣duku ʔu⸢bu⸣kuiʃi ʔu⸢jaː⸣rukaː ⸢kui⸣garunti su⸢nu⸣ baː ⸢kuigara⸣nu] (あまり大声で叫ぶとしわがれるというが、私はしわがれない)。 ⸢クイ⸣ガリティ ⸣ムニ シゥ⸢カラヌ [⸢kui⸣gariti ⸣muni si̥⸢karanu] (声がかれて言葉は聞こえない)。 ウ⸢ヤーラ⸣バン ⸢クイ⸣ガル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢jaːra⸣baŋ ⸢kui⸣garu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (大声で叫んでもしゃがれることはない)。 ⸢クイ⸣ガレー ⸣ミサムヌ [⸢kui⸣gareː ⸣misamunu] (しゃがれたら良いのに)。ウ⸢ヤー⸣ルン[ʔu⸢jaː⸣ruŋ](動)大声で叫ぶ 5739 0 0 5494 htmvoc_5739.wav クイクーン ⸢クイ⸣ クーン [⸢kui⸣ kuːŋ] 連 越えて来る。 ティ⸢ドゥ⸣クヤマ ⸢クイ⸣ クーン [ti⸢du⸣kujama ⸢kui⸣ kuːŋ] (ティドゥク山を越えてくる)。 フ⸢ノーラミナ⸣トー ⸢ヌー⸣シ ⸢クイ クー⸣ター [ɸu⸢noːra mina⸣toː ⸢nuː⸣ʃi ⸢kui kuː⸣taː] (船浦湾<港>をどうやって越えて<渡って>来たのか) 5740 0 0 5495 htmvoc_5740.wav クイクーン ⸣クイ ⸣クーン [⸣kui ⸣kuːŋ] 連 漕いで来る。「漕ぎ来る」の義。 ⸢パイター⸣ラ ⸣イダフニ ⸣クイ ⸣クーン [⸢paitaː⸣ra ⸣ʔidaɸuni ⸣kui ⸣kuːŋ] (南端<西表島>から板舟<サバニ>を漕いで来る) 5738 0 0 5496 htmvoc_5738.wav クイクガリルン ⸢クイクガリ⸣ルン [⸢kuikugari⸣ruŋ] 自動 恋焦がれる。恋しさにもだえ苦しむ。耐え難いほど恋い慕う。 ウ⸢ムイ⸣ツメーラ ⸢クイクガリ⸣ルンケン ウムーンティ⸢ダー [ʔu⸢mui⸣ʦumeːra ⸢kuikugari⸣ruŋkeŋ ʔumuːnti⸢daː] (思い詰めたら恋焦がれるほど思うそうだ)。 ⸢クイクガ⸣リティ シ⸢ヌタ⸣ティ ⸢スー⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢クタン [⸢kuikuga⸣riti ʃi⸢nuta⸣ti ⸢suː⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢kutaŋ] (恋い焦がれて死んだという話を聞いたことがある)。 ⸢クイクガリ⸣ル プ⸢ソー ヌー⸣シ ⸢ブー⸣ プ⸢ス⸣カヤー [⸢kuikugari⸣ru pu̥⸢soː nuː⸣ʃi ⸢buː⸣ pu̥⸢su⸣kajaː] (恋焦がれる人はどんな人かなあ)。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ティ ナー⸢イ クイクガリ⸣リバ [⸣ʔunaː ⸢beː⸣ti naː⸢i kuikuga⸣riba] (其処にいて、ただ恋焦がれていろ) 5743 0 0 5497 htmvoc_5743.wav クイグマーン ⸣クイ グ⸢マー⸣ン [⸣kui gu⸢maː⸣ŋ] 連 声が小さい。小声である。 ウ⸢リヌ⸣ ムネー ⸣クイ グ⸢マー⸣ヌ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢キトゥララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ muneː ⸣kui gu⸢maː⸣nu mut⸢tu⸣ ʃi̥⸢kiturara⸣nu] (彼<それ>の話は声が小さくてちっとも聞き取れない) 5741 0 0 5498 htmvoc_5741.wav クイダー ⸣クイダー [⸣kuidaː] 名 (固)。平民の女の子の名。 ⸣クイダーヤ ミ⸢ドーン⸣ッふァ⸣ヌ ⸢ナー ヤッタ [⸣kuidaːja mi⸢duŋ⸣ffanu ⸢naː jatta] (クイダーは女の子の名前だった) 5746 0 0 5499 htmvoc_5746.wav クイチ ⸢クイ⸣チ [⸢kui⸣ʧi] 名 峠。「越地(こえち)」の転訛したもの。ウ⸢ハ⸣ラクイチィ[ʔu⸢ha⸣rakuiʦï]の峠は西表島の崎山村と鹿川村との間にある峠。歌謡語。/ウハラクイチミチィナガ ユサバサヌ ミチィナガ/(大原と称する峠道に、ユサバサと、となえる坂道に)「大原越地節<ウハラクイチィブシ>(西表)」『八重山民謡誌』。鳩間島ではウ⸢ハ⸣ラクイチブシ[ʔu⸢ha⸣rakuiʧibuʃi](大原越地節)という 5742 0 0 5500 htmvoc_5742.wav クイックナー ⸢クイックナー [⸢kuikkunaː] 名 越え競争。子供の遊戯の一つ。高飛びのバー等を飛び越えるのを競う遊び。越え競(こえくらべ)の転訛したもの。 ⸢ガッ⸣コーナーティ タ⸢カ⸣トゥビ ⸢クイックナー シー⸣ ア⸢サブタン [⸢gak⸣koːnaːti tḁ⸢ka⸣tubi ⸢kuikkunaː ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (学校で高飛びの飛び越え競争をして遊んだものだ)。 ⸢キュー⸣ヤ マー⸢ズン クイックナー シー⸣ ア⸢サバ⸠ディー [⸢kjuː⸣ja maː⸢ʣuŋ kuikkunaː ʃiː⸣ ʔa⸢saba⸠diː] (今日は一緒に縄跳びをして遊ぼうよ)。 フ⸢タール⸣シ ⸢クイックナー スン [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸢kuikkunaː suŋ] (二人で縄跳びをする) 5747 0 0 5501 htmvoc_5747.wav グイッティ グイッ⸢ティ [⸢guit⸢ti] 副 ごくりと。ぐいと。残さず。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸣グシ グイッ⸢ティ⸣ ヌミバ [⸢kannumai⸣nu ⸣guʃi guit⸢ti⸣ numiba] (神前に供えた神酒をぐいと飲みなさいよ) 5755 0 0 5502 htmvoc_5755.wav クイツバーオン ⸢クイツ⸣バーオン [⸢kui⸣ʦubaːʔoŋ] 名 石垣島にある御嶽の名。⸢クイ⸣ツバー[⸢kui⸣ʦubaː](人名{EOS}⸢ナー⸣タフージの妹)を祀ってあるという。 ⸢クイ⸣ツバーオンマー イ⸢サナキヌ⸣ ウ⸢ガン⸣ドゥ ヤ⸢ル [⸢kui⸣ʦubaːʔommaː ʔi⸢sanakinu⸣ ʔu⸢gan⸣du ja⸢ru] (クイツバーオンは石垣島の御嶽で<ぞ>あるのだ) 5748 0 0 5503 htmvoc_5748.wav クイパルン ⸣クイ ⸣パルン [⸣kui ⸣paruŋ] 連 漕いで行く。舟を漕いで行く。 カ⸢ジヌ⸣ トゥ⸢ル⸣カー ⸢パイ⸣ター ⸣クイ ⸣パルン [ka⸢ʤinu⸣ tu⸢ru⸣kaː ⸢pai⸣taː ⸣kui ⸣paruŋ] (凪ぐと南端<西表島>へ漕いで行く) 5757 0 0 5504 htmvoc_5757.wav グイフ ⸢グイ⸣フ [⸢gui⸣ɸu] 名 ごようふ(御用布)。平民女子の貢納布。苧麻布や芭蕉布。対語は⸣カナイヌヌ[⸣kanainunu](士族女子の貢納布{EOS}極細の⸣ブー{SqBr}⸣buː{/SqBr}<からむし{EOS}苧麻>の糸で織る最高の布)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢グイ⸣フゾーノーヌ ⸢キン⸣サ ⸢トゥーラン⸣カー パ⸢マウリソージ⸣ヌ ⸣ピン ⸣サンシキナー ム⸢ラズーヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ マイナー ビ⸢シラリシタ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːnu ⸢kin⸣sa ⸢tuːraŋ⸣kaː pa⸢maurisoːʤi⸣nu ⸣pin ⸣saŋʃi̥kinaː mu⸢raʣuːnu⸣ pu̥⸢sunu⸣ mainaː bi⸢ʃirariʃi̥ta⸣ʦoː] (昔は御庸布<御用布>の検査に合格しないと<通らないと>、その女は浜下り精進の日に桟敷において村中の人の前に座らされたそうだ) 5758 0 0 5505 htmvoc_5758.wav グイフゾーノー ⸢グイ⸣フゾーノー [⸢gui⸣ɸuʣoːnoː] 名 御庸布。「御庸布上納」の義か。 ム⸢カ⸣シェー ⸢グイ⸣フゾーノー ウ⸢サミ⸣ルンティル ウ⸢ヌス⸣ク ⸢アウ⸣リナンギ ⸢ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoː ʔu⸢sami⸣runtiru ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢ʔau⸣rinaŋgi ⸢soːt⸣taʦoː] (昔は御庸布上納を納めるために、あれほどに難儀苦労をされたそうだ) 5759 0 0 5506 htmvoc_5759.wav グイフマイ ⸢グイ⸣フマイ [⸢gui⸣ɸumai] 名 上納米。 ビ⸢キドゥモー ジュー⸣ゴーラ ⸢グイ⸣フゾーノー ウ⸢サミ⸣シタツォー [bi⸢kidumoː ʤuː⸣goːra ⸢gui⸣ɸuʣoːnoː ʔu⸢sami⸣ʃi̥taʦoː] (男は十五から上納米を納めたそうだ) 5761 0 0 5507 htmvoc_5761.wav クイブリ ⸢クイ⸣ブリ [⸢kui⸣buri] 名 恋狂い。邪恋に身を持ち崩すこと。「恋惚れ」の義。 ⸢アッ⸣タル バ⸢カー⸣ムヌ ⸢クイ⸣ブリ ⸢シーナーン⸣バン [⸢ʔat⸣taru ba⸢kaː⸣munu ⸢kui⸣bureː ⸢ʃiːnaː⸣nu] (あたら<可惜>若者が、邪恋に身を持ち崩してしまって、もったいないことだ) 5762 0 0 5508 htmvoc_5762.wav クイブリヨー ⸢クイブリ⸣ヨー [⸢kuiburi⸣joː] 名 節回し。「声折り」の転訛したもの。 ウ⸢レー クイ⸣ヤー タ⸢カー⸣ンドゥ ⸢クイブリヨー⸣ヌ ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ンダ ウ⸢リヌ⸣ ウター ⸣ダシェー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː kui⸣jaː tḁ⸢kaː⸣ndu ⸢kuiburijoː⸣nu ⸢daːs⸣saː ⸢naː⸣nda ʔu⸢rinu⸣ ʔutaː ⸣daʃeː ⸢naː⸣nu] (彼は声は高いが節回しが良くないので、彼の歌は出汁<しみじみとした情感>がない) 5760 0 0 5509 htmvoc_5760.wav クイムク ⸢クイム⸣ク [⸢kuimu⸣ku] 名 こいむこ(請婿)。入り婿。女性の方から所望してもらった婿。 ⸢クイム⸣ク シ⸢ラリル⸣ ユ⸢メー サーレー⸣ティ⸢ダー [⸢kuimu⸣ku ʃi⸢rariru⸣ ju⸢meː saːreː⸣ti⸢daː] (女性の家から婿に所望されて、嫁を連れた<もらった>そうだよ) 5749 0 0 5510 htmvoc_5749.wav グイユー グイ⸢ユー [gui⸢juː] 感 あらまあ。何とまあ。 グイ⸢ユー⸣ ア⸢ブネーム シーブバン [gui⸢juː⸣ ʔa⸢buneːmu ʃiːbubaŋ] (何とまあ{EOS!}大変な<危ない>ことになっているワイ) 5750 0 0 5511 htmvoc_5750.wav グイル ⸢グイル [⸢guiru] 名 カツオ漁船の大漁旗の一つ。 カ⸢ツシンマー グイル⸣ タティティ ⸢カイ⸣リ ⸣ケーン [kḁ⸢ʦuʃimmaː guiru⸣ tḁtiti ⸢kai⸣ri ⸣keːŋ] (カツオ漁船は五色の大漁旗を立てて帰ってきた) 5763 0 0 5512 htmvoc_5763.wav クイルン ⸢クイルン [kuiruŋ] 他動 越える。またぐ(跨ぐ)。 ⸣ヤマ ⸢クイルン [⸣jama ⸢kuiruŋ] (山を越える)。 ク⸢ヌ⸣ ヤマー ⸢クイララヌ [ku⸢nu⸣ jamaː ⸢kuiraranu] (この山は越えられない)。 ⸢クイ⸣ ミサン [⸢kui⸣ misaŋ] (越えてよい)。 ⸢クイル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kuiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (越えることは出来ない)。 ⸢クイレー⸣ ミサムヌ [⸢kuireː⸣ misamunu] (越えればよいのに)。 ⸢クイリ [⸢kuiri] (越えろ<れ>) 6285 0 0 5513 htmvoc_6285.wav クイン ⸣クイン [⸣kuiŋ] 名 暦。「暦 古与美<こよみ>『和名抄』」からの転訛。 ク⸢トゥシヌ プー⸣ロー ⸣ヌーニーナ ア⸢タル⸣ユー ク⸢イン⸣バ ⸣クリ ミリ⸢ミー [ku̥⸢tuʃinu puː⸣roː ⸣nuːniːna ʔa⸢taru⸣juː ⸢kuim⸣ba ⸣kuri miri⸢miː] (今年の豊年祭は干支の何の日に当たるのか暦を捲って見てごらん<見てみれ>) 5745 0 0 5514 htmvoc_5745.wav クインガーリ ⸢クインガー⸣リ [⸢kuiŋgaː⸣ri] 名 声変わり。変声期。⸢クイガー⸣リ[⸢kuigaː⸣ri](声変わり{EOS}変声期)ともいう。 ビ⸢コーンッふァー ジュー⸣ゴーラ ⸢クインガー⸣リ ⸢スン⸠ダー [bi⸢koːŋffaː ʤuː⸣goːra ⸢kuiŋgaː⸣ri ⸢sun⸠daː] (男の子は十五歳から声変わりするよ)。 ⸢クインガー⸣レー ⸢シー⸣ シカイ⸢トゥ⸣ ウ⸢ブ⸣プス ナ⸢リ⸣ブーバン [⸢kuiŋgaː⸣reː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥kai⸢tu⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su na⸢ri⸣buːbaŋ] (声変わりはして、すっかり大人になっているわい) 5836 0 0 5515 htmvoc_5836.wav クガイズ ⸣クガイズ [⸣kugaʔiʣu] 名 (動)魚の名。渚に群れて寄る小魚。稚魚は体長約5センチ。成魚の体長は約15センチ。頭のところに棘があって毒を含む。 ⸣クガイズ シゥ⸢カ⸣ムンティ ⸢ベーン⸣ケン ン⸢ギ⸣ナ ッ⸢サ⸣リティ フ⸢クリ ベー [⸣kugaʔiʣu si̥⸢ka⸣munti ⸢beːŋ⸣keŋ ʔŋ⸢gi⸣na s⸢sa⸣riti ɸu̥⸢kuri beː] (クガイズを捕獲<掴もうと>しようとしているときに棘に刺されて腫れている) 5837 0 1 5516 htmvoc_5837.wav クガニ ク⸢ガニ [ku⸢gani] 名 {Mn_1}こがね(黄金)。金。 ク⸢ガニヨー⸣チ [ku⸢ganijoː⸣ʧi] (黄金の\ruby{簪}{カンザシ})。 ク⸢ガニカニ [ku⸢ganikani] (黄金の鋼材)。/クガニカニバ パラーバシー ヤーバシクリ アンティスー ウリユー ミューナーキャームイ/(黄金を柱にして家を造ってあるという{EOS}それを見なければなるまい)「アーパーレー<新室寿ぎ歌。ナガミク>」『鳩間島古典民謡古謡集』。 5837 0 2 5517 htmvoc_5837.wav クガニ ク⸢ガニ [ku⸢gani] 名 {Mn_2}接頭語。黄金のように貴重な。大切な。立派な。 ク⸢ガニッふァ [ku⸢ganiffa] (黄金のように大切な子)。 ク⸢ガニピーバ⸣ ム⸢トゥ⸣バシー [ku⸢ganipiːba⸣ mu⸢tu⸣ba ⸣ʃiː] (黄金のような佳き日をもとにして~) 5838 0 0 5518 htmvoc_5838.wav クガニカニ ク⸢ガニカニ [ku⸢ganikani] 名 黄金。黄金の鋼材。「黄金の鉄」の義。歌謡語。ク⸢ガニカニバ⸣ キ⸢チ⸣バ ⸣シー~[ku⸢ganikaniba⸣ ki̥⸢ʧi⸣ba ⸣ʃiː~](黄金の鋼材を桁にして~)「アーパーレー(新室寿歌)」 5841 0 0 5519 htmvoc_5841.wav クガニッふァ ク⸢ガニッふァ [ku⸢ganiffa] 名 黄金のように大切な子。ク⸢ガナー[ku⸢ganaː](黄金のような大切な子)ともいう。 ⸢マイフナー⸣ マ⸢リリ⸣ヨー ク⸢ガニッふァ [⸢maiɸunaː⸣ ma⸢riri⸣joː ku⸢ganiffa] (立派な人に成長しなさいよ、黄金のような大切な子よ) 5839 0 0 5520 htmvoc_5839.wav クガニピー ク⸢ガニピー [ku⸢ganipiː] 名 吉日。佳日。最良の日。⸢黄金日」の義。⸢カイピュー⸣ル[⸢kaipjuː⸣ru](佳日)と同じ。祝詞や歌謡に用いられる。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢カイピュール⸣バ ム⸢トゥ⸣バ ⸣シー ク⸢ガニピーバ⸣ ム⸢トゥ⸣バ ⸣シー ウ⸢ガミトゥー⸣シ ア⸢ギル⸣ ニ⸢ガイ⸣ヤー ドー⸢ディン⸣ ピ⸢ナカンガナシヌ⸣マイ シ⸢キウ⸣キ トゥ⸢リウ⸣キ タ⸢ブ⸣ローリ [⸢kjuː⸣nu ⸢kaipjuːru⸣ba mu⸢tu⸣ba ⸣ʃiː ku⸢ganipiːba⸣ mu⸢tu⸣ba ⸣ʃiː ʔu⸢gamituː⸣ʃi ʔa⸢giru⸣ ni⸢gai⸣jaː doː⸢dim⸣ pi⸢nakaŋganaʃinu⸣mai ʃi̥⸢kiʔu⸣ki tu⸢riʔu⸣ki ta⸢bu⸣roːri] (今日の佳日をもとにして、黄金日をもとにして祈願申し上げる願いは、どうぞ火の神さま、お聞き届け、お受け取り賜りますように)。/アーパーレー キューヌピーバ ムトゥバシー アーパレー クガニピーバ ニシキシー/(ああなんと素晴らしいことか{EOS}今日の日を元にして、ああなんと素晴らしいことか{EOS}黄金の日を礎にして)「アーパーレー<新室寿ぎ歌。ハヤミク>」『鳩間島古典民謡古謡集』 5840 0 0 5521 htmvoc_5840.wav クガニピュール ク⸢ガニピュール [ku⸢ganipjuːru] 名 黄金の日。吉日。佳日。「黄金の日和<日選り>」の義。物事を執り行うのに選りすぐった吉日。干支の組み合わせで定められた最高の吉日。 ク⸢ガニピュールバ⸣ トゥ⸢リ⸣ル ⸢ニン⸣ガイ ⸢オー⸣ル [ku⸢ganipjuːruba⸣ tu⸢ri⸣ru ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoː⸣ru] (黄金の吉日をとって祈願される) 5842 0 0 5522 htmvoc_5842.wav クガニマース ク⸢ガニマース [ku⸢ganimaːsu] 名 黄金の塩。「黄金塩」の義。正月に床の間に盛り塩を供えて健康祈願をし、それを戴いて健康と長寿をあやかる(肖る)。⸢ナンツァマー⸣ス[⸢nanʦamaː⸣su](銀の塩)、シゥ⸢カラマース[si̥⸢karamaːsu](力塩{EOS}健康を付ける塩)ともいう。 ク⸢ガニマース⸣ カミティ ⸢チョーミーガフ⸣ ア⸢ヤカー⸣リ [ku⸢ganimaːsu⸣ kamiti ⸢ʧoːmigaɸu⸣ ʔa⸢jakaː⸣ri] (黄金塩を戴いて長寿の嘉報<果報>を肖りなさい) 5843 0 0 5523 htmvoc_5843.wav クガラスン ク⸢ガラスン [ku⸢garasuŋ] 他動 こがす(焦がす)。心労する。心配する。 ⸣キム ク⸢ガラスン [⸣kimu ku⸢garasuŋ] (胸を焦がす)。 ⸢ウンザン⸣ キム ク⸢ガラサリティル⸣ ナ⸢キ オー⸣ル [⸢ʔunʣaŋ⸣ kimu ku⸢garasaritiru⸣ na⸢ki ʔoː⸣ru] (あいつに心労させられて<肝を焦がされて>泣いておられる) 5844 0 1 5524 htmvoc_5844.wav クガリルン ク⸢ガリルン [ku⸢gariruŋ] 自動 {Mn_1}焦がれる。深く思い慕う。 ⸣ウムイ ク⸢ガリティル シン⸣ケー ⸣ナレーティバーヤ [⸣ʔumui ku⸢garitiru ʃiŋ⸣keː ⸣nareːtibaːja] (思い焦がれて<ぞ>精神を病まれたんだってば)。 ク⸢ガリラヌ [ku⸢gariranu] (焦がれない)。 ⸣ウムイ ク⸢ガリルン [⸣ʔumui ku⸢gariruŋ] (思い焦がれる)。 ク⸢ガリル⸣ クトー [ku⸢gariru⸣ ku̥toː] (焦がれることは)。 ク⸢ガリリ [⸣ʔumui ku⸢gariri] (思い焦がれろ)。 5844 0 2 5525 htmvoc_5844.wav クガリルン ク⸢ガリルン [ku⸢gariruŋ] 自動 {Mn_2}焦げる。 バ⸢クダン⸣ヌ ⸣ウティティ ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ヤー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ ヤ⸢キ⸣ ク⸢ガリティ⸣ ノー⸢ン⸣ ヌ⸢カラ⸣ヌ [ba⸢kudan⸣nu ⸣ʔutiti ⸢ʔun⸣nenu ⸢jaː⸣ja muː⸢ru⸣ ja⸢ki⸣ ku⸢gariti⸣ noː⸢ŋ⸣ nu⸢kara⸣nu] (爆弾が落ちて、あの人の家は全部焼け焦がれて何も残らない) 5845 0 0 5526 htmvoc_5845.wav クガルン ク⸢ガルン [ku⸢garuŋ] 自動 焦がれる。「こがる(焦る)<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ク⸢ガルン [ku⸢garuŋ] (焦がれる)。 ク⸢ガラヌ [ku⸢garanu] (焦がれない)。 ク⸢ガリティ [ku⸢gariti] (焦がれて)。 ク⸢ガル⸣ プ⸢ソー [ku⸢garu⸣ pu̥⸢soː] (焦がれる人は)。 ク⸢ガレー ⸣ミサムヌ [ku⸢gareː⸣ misamunu] (焦がればよいのに)。 ⸣ウムイ ク⸢ガリ⸣バ [⸣ʔumui ku⸢gari⸣ba] (思い焦がれろ) 5847 0 0 5527 htmvoc_5847.wav クク ⸣クク [⸣ku̥ku] 名 石。10斗。体積を表す単位。主として米穀を量るのに用いる。 ム⸢カ⸣シ ⸣クトゥバナー ⸢ムンドー⸣ヤ ⸣シングクシン ⸢カイシティリティル⸣ アル⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ku̥tubanaː ⸢mundoː⸣ja ⸣ʃiŋgukuʃiŋ ⸢kaiʃitiritiru⸣ ʔaru⸢daː] (昔の諺<昔言葉>に「喧嘩騒動<問答>は米千石でも買って捨てろ」と言われているよ) 5846 0 0 5528 htmvoc_5846.wav グク グ⸢ク [gu⸢ku] 名 極み。最低、最高の状況、状態。最悪、最善の状況、状態。「極(ゴク)」の転訛したもの。善悪の両極端(得手・不得手)であることを表す。 ア⸢ワリ⸣ヌ グ⸢ク⸣ シキ ⸢ミッ⸣タン [ʔa⸢wari⸣nu gu⸢ku⸣ ʃi̥ki ⸢mit⸣taŋ] (難儀苦労の極みを経験した<就いてみた>)。 ウ⸢ヤキ⸣ヌ グ⸢クトゥ ピンソー⸣ヌ グ⸢ク⸣ シキ ⸢ミッ⸣タンティダー [ʔu⸢jaki⸣nu gu⸢kutu pinsoː⸣nu gu⸢ku⸣ ʃi̥ki ⸢mit⸣tannti⸢daː] (最高の富貴と極貧を経験してみたそうだ) 5848 0 0 5529 htmvoc_5848.wav クグサイナー ク⸢グサイ⸣ナー [ku⸢gusai⸣naː] 名 小型の魚を狙って釣るのに用いる釣り縄。ナ⸢カダン⸣グ[na⸢kadaŋ⸣gu](中道具)ともいう 5853 0 0 5530 htmvoc_5853.wav グクシキルン グ⸢クシキ⸣ルン [gu⸢kuʃiki⸣ruŋ] 自動 精根尽き果てる。疲労困憊する。窮する。グ⸢ク⸣スクン[gu⸢ku⸣su̥kuŋ]ともいう。 ⸢ダイ⸣カンナー ⸣ター イ⸢ビルンティ シー ピー⸣ヤ ⸣ブガラサヌ グ⸢クシキ⸣ルンティ ⸢アーク⸣タ [⸢dai⸣kannaː ⸣taː ʔi⸢biruti ʃiː⸣ gu⸢kuʃi̥ki⸣runti ⸢ʔaːku⸣ta] (大寒の季節に田植えをしようとして、寒さと疲労で精根尽きるところだった)。 グ⸢クシキラ⸣ヌ [gu⸢kuʃi̥kira⸣nu] (精根尽き果てない)。 グ⸢クシキ⸣ル ⸣クトー [gu⸢kuʃi̥ki⸣ru kutoː] (精根尽きることは)。 グ⸢クシキ⸣レーカー [gu⸢kuʃiki⸣reːː] (精根尽きれば<精根尽きたら、尽きたのなら>)。 グ⸢クシキ⸣リ [gu⸢kuʃi̥ki⸣ri] (精根尽き果てろ) 5850 0 0 5531 htmvoc_5850.wav グクスクン グ⸢ク⸣ スクン [gu⸢ku⸣ su̥kuŋ] 連 疲労困憊する。苦労や苦しみの極みに達する。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ター⸣バ ⸢タンガ⸣シ ⸢カイ⸣スカー グ⸢ク⸣ スクン⸢ダー [ʔu⸢bi⸣nu ⸢taː⸣ba ⸢taŋga⸣ʃi ⸢kai⸣su̥kaː gu⸢ku⸣ su̥kun⸢daː] (あれだけの大きな田圃を一人で耕すと疲労困憊するよ) 5854 0 0 5532 htmvoc_5854.wav グクスクン グ⸢ク⸣スクン [gu⸢ku⸣su̥kuŋ] 自動 精根尽き果てる。疲労困憊する。窮する。 ⸢ピーヤ⸣ヌ グ⸢ク⸣スクンティ ⸢アーク⸣タ [⸢piːja⸣nu gu⸢ku⸣su̥kunti ⸢ʔaːku⸣ta] (寒くて精根尽き果てようとしていた)。 グ⸢クシゥカ⸣ヌ [gu⸢kusïka⸣nu] (疲労困憊しない)。 グ⸢ク⸣シキ ⸢ナー⸣ヌ [gu⸢ku⸣ʃiki ⸢naː⸣nu] (疲労困憊した)。 グ⸢ク⸣スク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [gu⸢ku⸣su̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (疲労困憊することはない)。 グ⸢ク⸣シケー ⸣ミサムヌ [gu⸢ku⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (疲労困憊すればよいのに)。 グ⸢ク⸣シキ [gu⸢ku⸣ʃi̥ki] (疲労困憊しろ) 5851 0 0 5533 htmvoc_5851.wav ククダカ ク⸢クダカ [ku̥⸢kudaka] 名 こくだか(石高)。米など穀類の生産高。 ⸢リュー⸣アンティ ⸢スー⸣ ヒ⸢リョー⸣ヌ ン⸢ズ⸣ター ユ⸢ヌ⸣ ターラヌ ⸢マイヌ⸣ ク⸢クダカー ゴー⸣ラー ナ⸢リ⸣ブー [⸢rjuː⸣ʔanti ⸢suː⸣ çi⸢rjoː⸣nu ʔn⸢ʣu⸣taː ju⸢nu⸣ taːranu ⸢mainu⸣ ku̥⸢kudakaː goː⸣raː na⸢ri⸣buː] (硫安という肥料が出たので同じ田からの米の石高は多くなっている) 5852 0 0 5534 htmvoc_5852.wav ククチ ク⸢ク⸣チ [ku̥⸢ku⸣ʧi] 名 心地。気分。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチン ⸢ペー⸣リ ⸢イー ククチ イー⸣ パ⸢ダム⸣チ ⸣ナリ ⸢キー⸣ブ [ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣ri ⸢ʔiː⸣ ku̥⸢kuʧi ʔiː⸣ pa⸢damu⸣ʧi ⸣nari ⸢kiː⸣bu] (初夏の季節に入り、いい気分、いい肌具合<肌持ち、肌触り>の季節になってきている) 5855 0 0 5535 htmvoc_5855.wav ククヌカ ク⸢クヌ⸣カ [ku̥⸢kunu⸣ka] 名 九日。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤ ク⸢クヌ⸣カシン ⸢タンガ⸣シェー ⸢カイサラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu ⸢taː⸣ja ku̥⸢kunu⸣kaʃin ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢kaisara⸣nu] (あれだけの田は九日でも一人では耕されない) 5857 0 0 5536 htmvoc_5857.wav ククヌク ク⸢クヌ⸣ク [ku̥⸢kunu⸣ku] 名 九個。ク⸢ヌッ⸣ク[ku⸢nuk⸣ku]ともいう。「ここの・こ。大欲寸 九 児等哉<おほほしき ここの児らや>。万、3794」の義。 ⸢コー⸣マー ク⸢クヌ⸣ク ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ン [⸢koː⸣maː ku⸢kunu⸣ku nu⸢ka⸣ri ⸢beː⸣ŋ] (卵は九残っている) 5849 0 0 5537 htmvoc_5849.wav ククヌシチ ク⸢クヌ⸣シチ [ku̥⸢kunu⸣ ʃi̥ʧi] 連 穀雨の季節。二十四節気の一つ。清明の次の季節で春の季節の最後。四月廿日頃。春雨が降って百穀を潤す意味があるという。 ク⸢クヌ⸣ シチン ⸢ペー⸣ローレーチバ ウ⸢ロイ⸣ヌン ア⸢リ⸣ス ⸣パジ [ku̥⸢kunu⸣ ʃi̥ʧim ⸢peː⸣roreːʧiba ʔu⸢roi⸣nuŋ ʔa⸢ri⸣su ⸣paʤi] (穀雨の季節に入られたので恵の雨<潤い>もあることでしょう) 5856 0 0 5538 htmvoc_5856.wav ククヌチ ク⸢クヌ⸣チ [ku̥⸢kunu⸣ʧi] 名 九つ。九歳。ク⸢ヌ⸣チ[ku⸢nu⸣ʧi](九つ)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ナカーラ ク⸢クヌ⸣チェー ⸣バキトゥリバ [ku⸢nu⸣ nakaːra ku̥⸢kunu⸣ʧeː ⸣bakituriba] (この中から九つは分けて取りなさい)。 ⸣トゥシェー ク⸢トゥシ⸣ ク⸢クヌ⸣チ ナルン⸢ダー [⸣tuʃeː ku̥⸢tuʃi⸣ ku̥⸢kunu⸣ʧi narun⸢daː] (年は、今年で九歳になるよ) 5858 0 0 5539 htmvoc_5858.wav ククヌチン ク⸢クヌ⸣チン [ku̥⸢kunu⸣ʧiŋ] 名 九つ。九個。ここの・つ(箇)。 ム⸢チェー⸣ ク⸢クヌチン⸣ナー カ⸢ザリ⸣バ [mu⸢ʧeː⸣ ku̥⸢kunuʧin⸣naː ka⸢ʣari⸣ba] (餅は九つずつ供えなさい) 5859 0 0 5540 htmvoc_5859.wav ククヌトゥグンジュー ク⸢クヌ⸣トゥグンジュー [ku̥⸢kunu⸣tugunʤuː] 名 四十九歳。厄年といわれて、厄払いと健康祈願が行われた。また人頭税時代には、成人としての納税の義務を果たす最後の年で人生の重要な境目であった。 ム⸢カ⸣シェーク⸢クヌ⸣トゥグンジューヌ ⸢ヨイ⸣ヤー ヤー⸢ディン シーソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ku̥⸢kunu⸣tugunʤuːnu ⸢joi⸣jaː jaː⸢diŋ ʃiːsoːt⸣ta] (昔は四十九歳の生年祝い<厄払いと健康祈願>は必ずなさった) 5860 0 0 5541 htmvoc_5860.wav ククムン ク⸢クムン [ku̥⸢kumuŋ] 他動 口に含む。口の中に含ませる。 フ⸢チ⸣ナ ク⸢クムンティ スンドゥ⸣ フ⸢チヌ⸣ ヤミティ ク⸢クマラヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣na ku̥⸢kumunti sundu⸣ ku̥⸢kumaranu] (口に含もうとするが、含まれない)。 フ⸢チ⸣ナ ク⸢クミ⸣ ミサカー ク⸢クム⸣ クトー ⸣ナルン [ɸu̥⸢ʧi⸣na ku̥⸢kumi⸣ misakaː ku̥⸢kumu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (口に含んで良ければ含むことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢クメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ku̥⸢kumeː⸣ misamunu] (もっと含めばいいのに)。 ク⸢クミ [ku̥⸢kumi] (含め) 5862 0 1 5542 htmvoc_5862.wav グクラク グ⸢クラ⸣ク [gu⸢kura⸣ku] 名 {Mn_1}極楽。極楽浄土。全く苦患<くげん>のない安楽な世界で念仏行者は死後にそこに生まれるという。 ⸢イークトゥ スー⸣カー グ⸢クラ⸣ク パ⸢ラ⸣リンツォー [⸢ʔiːkutu suː⸣kaː gu⸢kura⸣ku pa⸢ra⸣rinʦoː] (善行をつめば極楽に行けるそうだ)。 5862 0 2 5543 htmvoc_5862.wav グクラク グ⸢クラ⸣ク [gu⸢kura⸣ku] 名 {Mn_2}極楽往生すること。成仏すること。 グ⸢クラ⸣ク ⸢ソー⸣リ⸢ヨー [go⸢kura⸣ku ⸢soː⸣ri⸢joː] (極楽往生<成仏>してくださいよ) 5863 0 1 5544 htmvoc_5863.wav ククル ク⸢ク⸣ル [ku⸢ku⸣ru] 名 {Mn_1}心。「心、ココロ、五臓之一也」『色葉字類抄』。意思のはたらき。 ⸢イーククル [⸢ʔiːkukuru] (良い心)。 ヤ⸢ナククル [ja⸢nakukuru] (悪い心)。 ク⸢クル⸣ウチ [ku̥⸢kuru⸣ʔuʧi] (心中、内心{EOS}胸中)。 5863 0 2 5545 htmvoc_5863.wav ククル ク⸢ク⸣ル [ku⸢ku⸣ru] 名 {Mn_2}望み。こころざし(志)。意向。「多麻可豆良 多延武能己許呂<玉蔓 絶えむの心>~」『万、3507』の義。「世の中の人これを例にてこころ高くなりぬべき頃なめり」『源氏物語 若菜下』。/イヤイーヤ ピトゥヌイヌチヤ サンアティナランサ ヌチヌアリワドゥ チムヌウムティン ククルヌアルティン ジュージューサマザマ カナワティイカリサ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(いやいや<弥弥>、人の命は予測できる<計算して頼れる>ものではないよ{EOS}命があればこそ希望や望み、意志があるのも、いろいろとその形にに叶えていけるものだ{EOS}今の囃子に口説きを歌おうよ)<鳩間口説>『鳩間島古典民謡古謡集』 5864 0 0 5546 htmvoc_5864.wav ククルアティ ク⸢クル⸣アティ [ku⸢kuru⸣ʔati] 名 心当て。心積もり。心中にあてにすること。心に思って頼みにすること。 シゥカイ⸢トゥ⸣ ヤ⸢クスコー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌヌ ⸢ピー⸣チ ク⸢クルアティ⸣ヌ ⸣アン [si̥kai⸢tu⸣ ja⸢kusu̥koː⸣ na⸢ra⸣nunu ⸢piː⸣ʧi ku̥⸢kuruʔati⸣nu ⸣ʔaŋ] (しかとは約束は出来ないが、一つ心当てがある) 5865 0 0 5547 htmvoc_5865.wav ククルウチ ク⸢クル⸣ウチ [ku̥⸢kuru⸣ʔuʧi] 名 心中。内心。心の中。胸中。石垣方言からの借用語か。老年層は、キ⸢ム⸣ウチ[ki⸢mu⸣ʔuʧi](心中{EOS}⸢肝内」の義)という。 ク⸢クル⸣ウチナー ウ⸢ムイ⸣ル ⸣クトー ムー⸢ル⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸣ミリバ [ku̥⸢kuru⸣ʔuʧinaː ʔu⸢mui⸣ru ⸣kutoː muː⸢ru⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸣miriba] (胸中に思っていることを全部話してみなさいよ) 5866 0 0 5548 htmvoc_5866.wav ククルガーリ ク⸢クルガー⸣リ [ku̥⸢kurugaː⸣ri] 名 心変わり。変心すること。愛情が他の人に移ること。老年層はキ⸢ムンガー⸣リ[ki⸢muŋgaː⸣ri](心変わり)という。 ユ⸢ミ⸣ トゥル ヤ⸢クスク シー⸣ シケータンドゥ ク⸢クルガー⸣リ ⸢シー ナーン⸣ツォー [ju⸢mi⸣ turu ja⸢kusuku ʃiː⸣ ʃi̥keːtandu ku̥⸢kurugaː⸣ri ⸢ʃiː naːn⸣ʦoː] (嫁を取る約束をしてあったが、心変わりしてしまったそうだ) 5867 0 0 5549 htmvoc_5867.wav ククルガキ ク⸢クルガ⸣キ [ku̥⸢kuruga⸣ki] 名 心掛け。心構え。標準語からの転訛。老年層は、キ⸢ム⸣ヌ ム⸢ティ⸣ヨー[ki⸢mu⸣nu mu⸢ti⸣joː](心掛け{EOS}「肝の持ち様」)という。 ⸢ウイ⸣プス ウ⸢ヤマイル⸣ ク⸢クルガキ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ユ⸢ヌナカー⸣ マ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔui⸣pu̥su ʔu⸢jamairu⸣ ku̥⸢kurugaki⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ju⸢nunakaː⸣ ma⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (年寄り<老人>を敬う心掛けがなかったら世の中は良くならない) 5868 0 0 5550 htmvoc_5868.wav ククルガキルン ク⸢クルガキ⸣ルン [ku̥⸢kurugaki⸣ruŋ] 他動 心掛ける。標準語から転訛したもの。老年層は、キ⸢ム⸣バ ⸣ムトゥン[ki⸢mu⸣ba ⸣mutuŋ](心掛ける{EOS}「肝を持つ」)という。 ⸢ピントゥルピン⸣ ア⸢サ⸣ニビ ⸢サン⸣ヨー <サ⸢ヌ⸣ヨー> ク⸢クルガキ⸣ルン [⸢pinturupiŋ⸣ ʔa⸢sa⸣nibi ⸢saɲ⸣joː ku̥⸢kurugaki⸣ruŋ] (毎日朝寝坊をしないよう心掛ける)。 ク⸢クルガキラ⸣ヌ [ku̥⸢kurugakira⸣nu] (心掛けない)。 ク⸢クル⸣ガキティ [ku̥⸢kuru⸣gakiti] (心掛けて)。 ク⸢クルガキ⸣ル ⸣クトゥ [ku̥⸢kurugaki⸣ru kutu] (心掛けること)。 ク⸢クルガキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku̥⸢kuruga⸣keː misamunu] (心掛ければよいのに)。 ク⸢クルガキ⸣リ [ku̥⸢kurugaki⸣ri] (心掛けよ) 5869 0 1 5551 htmvoc_5869.wav ククルザシ ク⸢クル⸣ザシ [ku̥⸢kuru⸣ʣaʃi] 名 {Mn_1}志。目標。標準語から転訛したもの。老年層は、ヌ⸢ズミ[nu⸢ʣumi](志{EOS}「望み」)という。 バ⸢カーン⸣ケンマー ク⸢クルザ⸣シェー マ⸢ギーマギー⸣シ ⸣ムティ ⸢アー⸣キ [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː ku̥⸢kuruʣa⸣ʃeː ma⸢giːmagiː⸣ʃi ⸣muti ⸢ʔaː⸣ki] (若い時には志は大きく持っておれ<あるけ>)。 5869 0 2 5552 htmvoc_5869.wav ククルザシ ク⸢クル⸣ザシ [ku̥⸢kuru⸣ʣaʃi] 名 {Mn_2}厚意。気持ちばかり。寸志。 シン⸢トゥヌ⸣ ク⸢クルザ⸣シ ヤ⸢レースヌ ヨイ⸣ヌ キ⸢ムチ⸣ユー [ʃin⸢tunu⸣ ku̥⸢kuruʣa⸣ʃi ja⸢reːsunu joi⸣nu ki⸢muʧi⸣juː] (ほんの心許りのもの<寸志>ですがお祝いの気持ちです) 5871 0 0 5553 htmvoc_5871.wav ククルミルン ク⸢クルミ⸣ルン [ku̥⸢kurumi⸣ruŋ] 他動 試みる。ためしてみる。老年層は、タ⸢ミ⸣スン[ta⸢mi⸣suŋ](試す)を多用する。 ⸢ヌー⸣ル シゥ⸢カイヤッ⸣サユー シゥ⸢カイ⸣ ク⸢クルミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣クナーテー ク⸢クルミララ⸣ヌ [⸢nuː⸣ru si̥⸢kaijas⸣sajuː si̥⸢kai⸣ ku̥⸢kurumi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸣kunaːteː ku̥⸢kurumirara⸣nu] (何が使いやすいか、使って試みようと思うが、此処では試みられない) 5870 0 1 5554 htmvoc_5870.wav ククルムチ ク⸢クルム⸣チ [ku̥⸢kurumu⸣ʧi] 名 {Mn_1}性格。性情。標準語から転訛したもの。老年層は、シ⸢ムチ[ʃi⸢muʧi](性格{EOS}「肝持ち」)という。 ⸢イー⸣ ク⸢クルムチヌ⸣ プ⸢ス [⸢ʔiː⸣ ku̥⸢kurumuʧinu⸣ pu̥⸢su] (よい性格の人)。 ヤ⸢ナ⸣ ク⸢クルムチ⸣ ス⸢カウナ <ム⸢トゥ⸣ナ> [ja⸢na⸣ ku̥⸢kurumuʧi⸣ si̥⸢kauna ] (悪意<悪い性格>を持つな<使うな>)。 5870 0 2 5555 htmvoc_5870.wav ククルムチ ク⸢クルム⸣チ [ku̥⸢kurumu⸣ʧi] 名 {Mn_2}ほんの少し。やや。標準語から転訛したもの。 ク⸢クルム⸣チ <ン⸢メーマ> ⸢ヤン⸣マー ピ⸢ケー⸣ン [ku̥⸢kurumu⸣ʧi ⸢jam⸣maː pi̥⸢keː⸣ŋ] (ほんの少し<心持>痛みは減った<ひいた>) 5872 0 0 5556 htmvoc_5872.wav クサ ⸣クサ [⸣ku̥sa] 名 フィラリア。象皮病。「Cusa.クサ(くさ)突然に起こる熱病のような病気.下の語.例Cusauo furu.(くさを震う) このような病気にかかる.Ximogusa.(下ぐさ)股根(ももね)とか睾丸とかにできる腫物のような病気.婦人の間でCamicusa(上くさ)と言うのは、頭痛のことである。」『邦訳日葡辞書』。 ⸢シー⸣クサ [⸢ʃiː⸣ku̥sa] (乳房が赤くはれるフィラリア症)。 ⸣クサ ウ⸢ク⸣ルン [⸣ku̥sa ʔu⸢ku⸣ruŋ] (フィラリア症が発症する<起こる>) 5876 0 0 5557 htmvoc_5876.wav グサーク グ⸢サー⸣ク [gu⸢saː⸣ku] 名 五勺。容積の単位。一合の半分。お米を計量するのに用いる。 イ⸢チンゴーナカムル⸣バ カ⸢トンカ⸣シティ グ⸢サー⸣コー パ⸢カ⸣ローッタ [ʔi⸢ʧiŋgoːnakamuru⸣ba kḁ⸢toŋka⸣ʃi̥ti gu⸢saː⸣koː pḁ⸢ka⸣roːtta] (一合枡を45度斜めに傾けて五勺の分量は計られた) 5782 0 0 5558 htmvoc_5782.wav グサークマイ グ⸢サーク⸣マイ [gu⸢saːku⸣mai] 名 五勺米。{⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)やキ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)などの神行事に各家庭より十五歳以上の人数分供出するパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)} 5943 0 0 5559 htmvoc_5943.wav グサークマイ グ⸢サーク⸣マイ [gu⸢saːku⸣mai] 名 五勺米。村の神行事のために各戸から、その家の八歳以上の家族の人数分徴収される米のこと。 グ⸢サークマイ⸣ヤー キ⸢ザルヌ⸣ マイナー ヤ⸢ク⸣サンケール ア⸢ツァ⸣モーッタ [gu⸢saːkumai⸣jaː ki⸢ʣarunu⸣ mainaː ja⸢ku⸣saŋkeːru ʔa⸢ʦa⸣moːtta] (五勺米は行事の前に村役人たちが<ぞ>徴収され<集められ>た)。神行事のパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)に使用され、祭祀の終了後、ム⸢ラヤクサ[mu⸢rajakusa](村の役人)たちによって、イ⸢チ⸣ヤマ[ʔi⸢ʧi⸣jama](五箇所の御嶽)のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)に配分された。豊年祭には、各⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽{EOS}お願)において祈願が行われるので、グ⸢サーク⸣マイ[gu⸢saː⸣kumai]も事前に各⸣ウガン[⸣ʔugaŋ]にはいぶんされる。 グ⸢サークマイ⸣ヤー ⸢ヤーカー⸣ジェーラ ヤ⸢ク⸣サンケーヌ ア⸢ツァ⸣モーッタ [gu⸢saːkumai⸣jaː ⸢jaːkaː⸣ʤeːra ja⸢ku⸣saŋkeːnu ʔa⸢ʦa⸣moːtta] (五勺米は各家から村役人達が集められた) 5879 0 0 5560 htmvoc_5879.wav クサーテー ク⸢サーテー [ku̥⸢saːteː] 名 右手を背中の後ろへ持っていき、その手を更に右方へ捻り回すようにして物品を霊界のものに手渡すこと。人間に対する行為としては禁じ手である。「腰手へ」の転訛したものか。幼児が無意識に、ふざけてク⸢サーテーを使うと、祖父母に厳しく咎められ、⸢ティーダラ⸣シ[⸢tiːdara⸣ʃi](手を叩くこと)された。 ク⸢サーテー⸣ニ ム⸢ヌ⸣バ トゥ⸢ラ⸣ス ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢saːteː⸣ni mu⸢nu⸣ba tu⸢ra⸣su ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (手を腰の後ろから右方に回して他人に物を手渡すものではない) 5873 0 1 5561 htmvoc_5873.wav クサイルン ク⸢サイルン [ku̥⸢sairuŋ] 他動 {Mn_1}道路や畦道の除草をして整備する。不要なものを除去して整える。こしらえる(拵える)。整える。「誘、古之良布(こしらふ)」『華厳経音義私記』の転訛したもの。 ⸣ミチ ク⸢サイルン [⸣miʧi ku̥⸢sairuŋ] (道の草を刈り、雑木の枝を落として道路を修理、整備する)。 ア⸢ザ⸣バライ シ⸢ティ ター⸣ヌ ⸣アザ ク⸢サイルン [ʔa⸢ʣa⸣barai ʃi̥⸢ti taː⸣nu ⸣ʔaʣa ku̥⸢sairuŋ] (畦の草刈りをして田の畦を修理、整備する)。 5873 0 2 5562 htmvoc_5873.wav クサイルン ク⸢サイルン [ku̥⸢sairuŋ] 他動 {Mn_2}砂糖黍などの葉や節の皮などを落としてきれいに整える。 ⸢シン⸣ザ ク⸢サイティ⸣ ム⸢ルムル⸣ ス⸢コーリ [⸢ʃin⸣ʣa ku̥⸢saiti⸣ mu⸢rumuru⸣ su̥⸢koːri] (砂糖きびの皮を落としてきれいに整え、ムルムルを準備しなさい) 5958 0 0 5563 htmvoc_5958.wav クサウン ク⸢サウン [ku̥⸢sauŋ] 他動 拵える。魚を捌く。手を加えて仕上げる。「拵へ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸣ドゥーシ イ⸢ゾー⸣ ク⸢サウン [⸣duːʃi ʔi⸢ʣoː⸣ ku̥⸢sauŋ] (自分で魚を\ruby{捌}{サバ}く)。 ⸢シン⸣ザ ク⸢サウン [⸢ʃin⸣ʣa ku̥⸢sauŋ] (砂糖きびを拵える)。 ク⸢サウ⸣ クトゥ [ku̥⸢sau⸣ku̥tu] (拵えること)。 ⸣バー ク⸢サーヌ [⸣baː ku̥⸢saːnu] (私は捌かない)。 ク⸢サイ⸣プサン [ku̥⸢sai⸣pu̥saŋ] (捌きたい)。 イ⸢ズ⸣ ク⸢サウ⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔi⸢ʣu⸣ ku̥⸢sau⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (魚を捌く人はいない)。 ⸢ワー⸣ ク⸢サイヤー⸣ ミサムヌ [⸢waː⸣ ku̥⸢saijaː⸣ misamunu] (君が捌けばよいのに)。 ⸢シン⸣ザ ク⸢サイ [⸢ʃin⸣ʣa ku̥⸢sai] (砂糖きびの枯葉や鬚を落としてきれいに拵えなさい) 5880 0 0 5564 htmvoc_5880.wav クサクサースン ⸣クサクサー ⸢スン [⸣ku̥saku̥saː ⸢suŋ] 連 くしゃくしゃする。思い通りにことが運ばず、不愉快になる。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ウムイドゥール ナ⸢ラ⸣ン ⸢ベー⸣ティ ⸣クサクサー ⸢シー⸣ プ⸢スバ⸣ イ⸢ジッツァーシ ベー [⸢duː⸣nu ⸣ʔumuiduːru na⸢ra⸣m ⸢beː⸣ti ⸣ku̥saku̥saː ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ʤitʦaːʃi beː] (自分の思い通りに出来ないので、くしゃくしゃして、訳もなく他人を叱り散らしている) 5875 0 0 5565 htmvoc_5875.wav クサティ ク⸢サティ [ku̥⸢sati] 名 うしらだて(後ろ盾)。「腰当」の義。/クモマティル シマヤ カフヌシマ ヤリバ ウフダキバ クサティ シルパマ マイナシ/(小浜という島は果報の島であるから 大嶽を腰当にし、白浜を前面にして)「小浜節」『八重山民謡誌』  5878 0 0 5566 htmvoc_5878.wav クサティー ク⸢サティー [ku̥⸢satiː] 名 うしろで(後ろ手)。両手を背にまわすこと。 ⸣アブジェー ⸢ティー⸣ヤ ク⸢サティー⸣ ナシティ パ⸢タキ⸣ヌ ⸢ミーマール シーオー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ⸢tiː⸣ja ku̥⸢sati⸣ naʃi̥ti pḁ⸢taki⸣nu ⸢miːmaːru ʃiːoː⸣ru] (お祖父さんは両手を腰にして畑の見回りをしておられる) 5884 0 0 5567 htmvoc_5884.wav クサマキカーマキ ク⸢サマキカー⸣マキ [ku̥⸢samakikaː⸣maki] 副 ひねくれ(捻くれ)て憤慨するさま。ねじけ(拗け)て怒るさま。拗けて自暴自棄になるさま。 イ⸢ザリター⸣ ク⸢サマキカー⸣マキ ⸢シー⸣ シラー フ⸢クリティ ウーカ⸣ヌ [ʔi⸢ʣaritaː⸣ ku̥⸢samakikaː⸣maki ⸢ʃiː⸣ ʃiraː ɸu̥⸢kuriti ʔuː⸣kanu] (叱られたので捻くれて憤慨し、顔を膨らませて怒って動かない) 5882 0 0 5568 htmvoc_5882.wav クサマキムニ ク⸢サマキ⸣ムニ [ku̥⸢samaki⸣muni] 名 ひねくれた物言い。ねじけ(拗け)て、不平がましく、人の言う事を聞かない物言い。癪に障るような物言い。ク⸢サ⸣ムニ[ku̥⸢sa⸣muni]ともいう。 ク⸢サマキ⸣ムニ カー⸢ニ⸣ イ⸢ジ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニーン シゥ⸢カヌ [ku̥⸢samaki⸣muni kaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʤi⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣muniːn sï̥⸢kanu] (ひねくれた物言いだけ言って、親の言うことも聞き入れない) 5883 0 0 5569 htmvoc_5883.wav クサマクン ク⸢サマ⸣クン [ku̥⸢sama⸣kuŋ] 自動 ひねくれて憤慨する。癪にさわって、ねじけ(拗け)る。思うようにいかず、すね(拗ね)て怒る。 ⸣ドゥク イ⸢ズ⸣カー ク⸢サマ⸣クンダー イ⸢ズナ⸣ヨー [⸣duku ʔi⸢ʣu⸣kaː ku̥⸢sama⸣kundaː ʔi⸢ʣuna⸣joː] (あんまり叱るとねじけ<拗け>て怒るから、叱るなよ)。 ク⸢サマカ⸣ヌ [ku̥⸢samaka⸣nu] (\ruby{拗}{ネジ}けて怒らない)。 ク⸢サマ⸣キティ ⸣ムニーン イ⸢ザヌ [ku̥⸢sama⸣kiti ⸣muniːŋ ʔi⸢ʣanu] (拗けて怒ってものもいわない)。 ク⸢サマ⸣ク ⸣クトー⸢ナー⸣ヌ [ku̥⸢sama⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (拗けて怒ることはない)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢サマ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ku̥⸢sama⸣keː ⸣misamunu] (もっと拗けて怒ればいいのに)。 ク⸢サマ⸣キ [ku̥⸢sama⸣ki] (拗けて怒れ) 5959 0 0 5570 htmvoc_5959.wav クサラー ク⸢サラー [ku̥⸢saraː] 名 (動)魚の名。和名、ニジョウサバ(体長約60センチ) 5885 0 0 5571 htmvoc_5885.wav グザラー グ⸢ザラー [gu⸢ʣaraː] 名 小者。取るに足りない小さなもの。 ⸣グザラーヌ ⸣メーヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー⸣ヌ ⸢ノーンガサ シン⸣ギサ ⸢フージユン [⸣guʣaraːnu ⸣meːnu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː⸣nu noː⸢ŋgasa ʃiŋ⸣gisaru ⸢ɸuːʤijuŋ] (小者たちが集まっているが、何かをしでかすつもりらしい<風情だ>) 5887 0 0 5572 htmvoc_5887.wav グザラーブジェークムル グ⸢ザラーブジェー⸣ ク⸢ム⸣ル [gu⸢ʣarabuʤeː⸣ ku⸢mu⸣ru] 連 (海底地名)。グザラー祖父さんの漁場(礁池)。ニ⸢シムレー[ni⸢ʃimureː](米盛家)の祖父さんが漁をした所と伝えられている。魚が、グザラグザラと沢山漁獲できたので命名されたという。島中浜の⸣ピー[⸣piː](干瀬)よりやや東に寄った所にある大きなク⸢ム⸣ル[ku⸢mu⸣ru](礁池) 5886 0 0 5573 htmvoc_5886.wav グザラグザラ グ⸢ザラグザラ [gu⸢ʣaraguʣara] 副 沢山のものが群がるさま。うようよ。 グ⸢ザラグザラ⸣シ ⸣ウジェー ⸢バイティ⸣ キ⸢ムフクレー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [gu⸢ʣaraguʣara⸣ʃi ⸣ʔuʤeː ⸢baiti⸣ ki⸢muɸu̥kureː⸣nu na⸢ra⸣nu] (うようよと蛆が湧いて汚くて我慢できない) 5888 0 0 5574 htmvoc_5888.wav クサン ⸣クサン [⸣ku̥saŋ] 名 漁法の名。この漁法を糸満の漁師は、⸢ヒータマラ⸣サ[⸢çiːtamara⸣sa]というという。鳩間島のタ⸢チ⸣バルパマ[tḁ⸢ʧi⸣barupama](立原浜)から⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の頂上部)へ続く珊瑚礁(a coralreef)は左側の⸢フンシキ[⸢ɸunʃi̥ki]との間に約40センチ程の段差がある。そこは干潮時には、海水が滝のように流れ落ちる。満潮時にリーフの頂上部で海草を食べていた魚は引き潮に乗ってフンシキの方へと下がっていく。その自然の流れを利用し、魚網を入れて漁獲する漁法を⸣クサン[⸣ku̥saŋ]といい、袋網を入れる水深1~2メートルの礁池を⸣クサンクムル[⸣ku̥saŋkumuru](クサン礁池{EOS}「籠<コモリ>」の義)という 5889 0 1 5575 htmvoc_5889.wav グサン ⸣グサン [⸣gusaŋ] 名 {Mn_1}杖。「くにごしやん(国を御する力のある杖)」『おもろ語辞典』。「みごしやん(乾・器材)」『混効験集』。「グサー⸢ニ」『沖縄今帰仁方言辞典』。「こさんちく(鼓山竹)の略」『石垣方言辞典』。 ⸢キー⸣グサン [⸢kiː⸣gusaŋ] (木の杖)。タ⸢キグサン[tḁ⸢kigusaŋ](竹の杖)等がある。 ⸣アブジェー ⸣グサン シ⸢ケー⸣ティル ア⸢ラコ⸣ール [⸣ʔabuʤeː ⸣gusaŋ ʃi̥⸢keː⸣tiru ʔa⸢ra⸣koːru] (お祖父さんは杖をついて<ぞ>歩かれる)。 5889 0 2 5576 htmvoc_5889.wav グサン ⸣グサン [⸣gusaŋ] 名 {Mn_2}⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](盂蘭盆)の供物として供える砂糖黍の長い棒。お盆の供物を土産として担いで帰る際の天秤棒と言われている 5961 0 0 5577 htmvoc_5961.wav クサンクムル ⸣クサンクムル [⸣kusaŋkumuru] 名 ⸣クサン漁で袋網を設置する礁池を⸣クサンクムル[⸣kusaŋkumuru]という。西村の⸣クサンクムルはタ⸢チ⸣バルパマ[tḁ⸢ʧi⸣barupama](立原浜)の⸢ズンズン[⸢ʣunʣuŋ]の西側にあり、東村のそれは、フ⸢カバ⸣カパマ[ɸu̥⸢kaba⸣kapama](外若浜)の⸢ズンズン[⸢ʣunʣuŋ]の南側にある。タ⸢チ⸣バルの⸢フンシキ[⸢ɸuŋʃi̥ki](礁内湖の枝サンゴ地帯)には、⸣ウブシケーヌ ⸢アー⸣ヤ ク⸢ム⸣ル[⸣ʔubuʃi̥keːnu ⸢ʔaː⸣ja ku⸢mu⸣ru](大城家のお父さんの籠もり池<礁池>)、又は⸢クシケーヌ⸣ アブジェー ク⸢ム⸣ル[⸢kuʃi̥keːnu⸣ ʔabuʤeː ku⸢mu⸣ru](小底家のお祖父さんの籠もり池<礁池>)と呼ばれている礁池があり、伝統的にその礁池に袋網を入れてクサン漁をした。シ⸢マナカヌ⸣ ピー[ʃi⸢manakanu⸣ piː](島仲の干瀬)にはグ⸢ザラブジェー⸣ ク⸢ム⸣ル[gu⸢ʣarabuʤeː⸣ ku⸢mu⸣ru](米盛家の先祖が袋網を入れて、グザラグザラするほど漁獲したと伝えられる所{EOS}ヤ⸢トゥ{SqBr}ja⸢tu{/SqBr}<干瀬の裂け目>へ繋がる籠もり池)がある 5890 0 0 5578 htmvoc_5890.wav クサンダキ ⸣クサンダキ [⸣ku̥sandaki] 名 鼓山竹。⸢ポー⸣キダキ[⸢poː⸣kidaki](箒竹)ともいう。竹箒に利用された。 ⸣クサンダキシン タ⸢キポーケー⸣ ス⸢ク⸣ローッタン [⸣ku̥sandakiʃin tḁ⸢kipoːkeː⸣ su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (鼓山竹でも竹箒は作られた) 5901 0 1 5579 htmvoc_5901.wav クシ ク⸢シ [ku̥⸢ʃi] 名 {Mn_1}腰。背中。背中全体。「腰、許志爾多何祢提<腰にたがねて>~。『万葉集 804』」の転訛したもの。 ク⸢シヌ⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢ʃinu⸣ jami na⸢ra⸣nu] (腰が痛くて堪らない)。 ク⸢シヌ⸣ マ⸢ガルン⸣ケン パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スン [ku̥⸢ʃinu⸣ ma⸢garuŋ⸣kem pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣suŋ] (腰が曲がるまで畑を耕す)。 ク⸢シヌ ビー⸣ヨーン [ku̥⸢ʃinu biː⸣joːŋ] (背中が痒い)。 5901 0 2 5580 htmvoc_5901.wav クシ ク⸢シ [ku̥⸢ʃi] 名 {Mn_2}背後。背面。後ろ。 ⸢ヤー⸣ヌ ク⸢シ⸣ナー バ⸢サン⸣ナルヌ ナリ⸢ベー⸣ン [⸢jaː⸣nu ku̥⸢ʃi⸣naː ba⸢san⸣narunu ⸣nari ⸢beː⸣ŋ] (家の背後にバナナ<芭蕉の実>が生っている) 5896 0 1 5581 htmvoc_5896.wav クジ ⸣クジ [⸣kuʤi] 名 {Mn_1}くじ(籤)。神意を占うこと。ウ⸢ク⸣ジ[ʔu⸢ku⸣ʤi](「御籤」の義{EOS}「ウ(御)」は接頭語。神前に祈願し、一掴みの米粒をお膳に置き、対になるよう並べて神意を占うもの)。 ウ⸢ク⸣ジ バ⸢ルン [ʔu⸢ku⸣ʤi ba⸢ruŋ] (神意を占う籤を起こす<割る>)。 5896 0 2 5582 htmvoc_5896.wav クジ ⸣クジ [⸣kuʤi] 名 {Mn_2}事柄を決定するために紙片や竹片に符号を付したものを引き当てること。 ⸣クジ ピ⸢クン [⸣kuʤi pi̥⸢kuŋ] (籤を引く)。 ア⸢タリクジ⸣ ピ⸢キティ ウーモーキ シーベ⸣ー [ʔa⸢tarikuʤi⸣ pi̥⸢kiti ʔuːmoːki ʃiːbe⸣ː] (当たり籤を引き当てて大儲けしている)。 ア⸢タリクジ [ʔa⸢tarikuʤi] (当たり籤)。 パ⸢ギ⸣クジ [pa⸢gi⸣kuʤi] (外れ籤) 5904 0 0 5583 htmvoc_5904.wav クジ ⸣クジ [⸣kuʤi] 名 くずこ(葛粉)。でんぷん(澱粉)。⸣シトゥ[⸣ʃi̥tu](澱粉)ともいう。 ⸢ウンヌ⸣クジ [⸢ʔunnu⸣kuʤi] (サツマイモの葛粉)。 ⸢キーウン⸣ヌ ⸣クジ [⸢kiːʔun⸣nu ⸣kuʤi] (キャッサバの澱粉{EOS}葛粉)。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣クジ [ʃi̥tutʧi⸣nu ⸣kuʤi] (蘇鉄の実の澱粉{EOS}葛粉)。 ⸢ウンヌ⸣クジ ⸣タリティ ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢キ⸣バ [⸢ʔunnu⸣kuʤi ⸣tariti ⸢tim⸣pura ja⸢ki⸣ba] (芋の葛粉を水に溶いてテンプラを揚げ<焼き>なさい) 5900 0 0 5584 htmvoc_5900.wav グシ ⸣グシ [⸣guʃi] 名 酒。特に神仏に供える酒(神酒)のこと。「御酒」の転訛か。サ⸢キ[sḁ⸢ki](酒)は酒一般の名称。⸣グシ カ⸢ミ⸣リ[⸣guʃi ka⸢mi⸣ri](神仏の前に供えた酒を恭しく頭の上まで持ち上げて頂きなさい)という。儀式や改まった場面では、⸣グシを用い、日常的場面では、サ⸢キを用いる。 サ⸢キ⸣ ヌミ [sḁ⸢ki⸣ numi] (酒をのめ)。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸣グシ ピ⸢キ⸣キー ⸢ヤーニン⸣ズーン カ⸢ミシミ⸣リ [⸢kannumai⸣nu ⸣guʃi pi̥⸢ki⸣kiː ⸢jaːnin⸣ʣuːŋ ka⸢miʃimi⸣ri] (神前に供えた神酒を下げてきて家族みんなに頂戴<両手で持ち、目より高く持ち上げて頂く>させなさい) 5908 0 0 5585 htmvoc_5908.wav グシ グ⸢シ [gu⸢ʃi] 接尾 ~おきにすること。~ごとに。「越すこと」の義。時間や日数等を表す数詞に下接して、その数量ずつ間隔を置いて動作、行為が行われ、現象が起きる意をあらわす。歌謡語。日常会話では、⸢ゴー⸣シ[⸢goː⸣ʃi](~おき)という。 プ⸢スインゴー⸣シシ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン [pu̥⸢suiŋgoː⸣ʃiʃi ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ] (一日おきに雨が降る)。/ミルクユーヌ シルシ トゥカグシヌ ユアミ カキブサイ ミソリ シマヌアルジ シマヌアルジ/(弥勒世のしるし<兆候>は十日おきに降る夜の雨{EOS}その雨を掛け<降らせ>て下さい神様<島の主様>)。ミリ(ル)クウタ<弥勒節>『鳩間島古典民謡古謡集』 5909 0 0 5586 htmvoc_5909.wav グシ グ⸢シ [gu⸢ʃi] 名 くし(串)。竹串。箸のように先を尖らせた木や竹の切れ端。細長くて物を貫きさすのに用いる物。「堀串<ふくし>、~布久思毛與 美夫君志持 此岳爾~。『万葉集 1』」の転訛。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ グ⸢シバ⸣ ムテーティ ⸢パッツァー⸣シ ⸣パリ ⸢アーク⸣ヌ ⸢カイ⸣ルカー ⸣ミー ⸢ピッ⸣クン⸢ダー⸣ パ⸢ダカウ⸣ワワレー [ja⸢rabi⸣nu gu⸢ʃiba⸣ muteːti ⸢patʦaː⸣ʃi ⸣pari ⸢ʔaːku⸣nu ⸢kai⸣rukaː ⸣miː ⸢pik⸣kun⸢daː⸣ pa⸢dakau⸣wawareː] (小児が竹串を持ちながら走っているよ{EOS}転ぶと竹串で目を突くぞ{EOS}危なっかしくて{EOS}鳥肌がたつよ<肌が痒ゆくてたまらない>) 5892 0 1 5587 htmvoc_5892.wav グジ グ⸢ジ [gu⸢ʤi] 名 {Mn_1}\ruby{肉刺}{マ|メ}。 ⸢ティー⸣ヌ グ⸢ジヌ ピッ⸣チティ カ⸢ナパイ⸣ ムトゥカー ヤ⸢ミ⸣ス [⸢tiː⸣nu gu⸢ʤinu pit⸣ʧiti ka⸢napai⸣ mutukaː ja⸢mi⸣su] (手の肉刺が潰れて、鍬を持つと痛む)。 5892 0 2 5588 htmvoc_5892.wav グジ グ⸢ジ [gu⸢ʤi] 名 {Mn_2}たこ(\ruby{胼胝}{タ|コ})。てのひら(掌)や足の裏などの表皮が激しい作業などの圧迫により角質化して厚くなったもの。 ⸢ティー⸣ヌ グ⸢ジ [⸢tiː⸣nu gu⸢ʤi] (手の\ruby{胼胝}{タ|コ}、\ruby{肉刺}{マ|メ})。 ⸢パン⸣ヌ グ⸢ジ [⸢pan⸣nu gu⸢ʤi] (足裏の胼胝、肉刺)。 ⸣ティーナ グ⸢ジヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルンケン ⸢ターパタ⸣キ ⸢カイシ⸣ル マ⸢ナ⸣マ ⸣ナレー⸢ダー [⸣tiːna gu⸢ʤinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋken ⸢taːpata⸣ki ⸢kaiʃi⸣ru ma⸢na⸣ma nareː⸢daː] (手に胼胝が出来るほど田畑を耕して今になっているのだよ)。 ⸣ミンナー グ⸢ジヌ ムイ⸣ルンケン ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カスンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ シゥ⸢カヌ [⸣minnaː gu⸢ʤinu mui⸣ruŋkeŋ ʔa⸢ʤi⸣ si̥⸢kasundu⸣ mut⸢tu⸣ si̥⸢kanu] (耳にたこ<胼胝>ができるほど話してやる<言って聞かせる>が、ちっとも聞き入れようとしない) 5893 0 0 5589 htmvoc_5893.wav グジ ⸣グジ [⸣guʤi] 名 (植)樹木の名。デイゴ。⸢ズグ[⸢ʣugu](デイゴ)<石垣方言>の頭子音[ʣ]と末尾音節の子音[g]が音位転倒(metathesis)を起こしたもの。⸣グジキー[⸣guʤikiː]ともいう。 ⸣グジキーヤ ⸢ヤー⸣ラーンダ ウ⸢リシ⸣ル ⸢シー⸣シェー ス⸢ク⸣ローッタル [⸣guʤikiːja ⸢jaː⸣raːnda ʔu⸢riʃi⸣ru ⸢ʃiː⸣ʃeː su̥⸢ku⸣roːttaru] (デイゴの木は柔らかいから、それで<ぞ>獅子頭は作られたのだ) 5911 0 0 5590 htmvoc_5911.wav クシアミ ク⸢シアミ [ku̥⸢ʃiʔami] 名 「腰浴び」の義。夏の暑い時に帯から上の衣服を脱ぎ、上半身水浴びすること。女性がはだぬぎ<肌脱ぎ>して前屈みになり、背中に水をかけてもらって水浴びすること。 ドゥ⸢ク⸣ヌ キ⸢クッ⸣ツァティ ク⸢シアミシーティル ベー⸠ダー [du⸢ku⸣nu ki̥⸢kut⸣ʦati ku̥⸢ʃiami ʃiːtiru beː⸠daː] (あまりにも暑苦しいので、肌脱ぎして上半身水浴びを済ませているんだよ) 5942 0 0 5591 htmvoc_5942.wav クシェー ク⸢シェー [ku̥⸢ʃeː] 名 後方。背面。ク⸢シ[ku̥⸢ʃi](背中、後ろ)に接尾辞⸢ヤー[jaː](もの、ところ)が下接して形成されたもの。 ⸣マイラン ク⸢シェー⸣ラン シ⸢ミラ⸣リティ ⸢ウーカラ⸣ヌ [⸣mairaŋ ku̥⸢ʃeː⸣raŋ ʃi⸢mira⸣riti ⸢ʔuːkara⸣nu] (前からも後ろからも攻められて動かれない) 5910 0 0 5592 htmvoc_5910.wav グシェーマ グ⸢シェー⸣マ [gu⸢ʃeː⸣ma] 名 小串。爪楊枝。 グ⸢シェー⸣マシ ⸢パー⸣ヌ ⸣ッス ⸣トゥルン [gu⸢ʃeː⸣maʃi ⸢paː⸣nu ⸣ssu ⸣turuŋ] (小串で歯垢<はくそ{EOS}歯の糞{EOS}食べ滓>を取る) 5929 0 0 5593 htmvoc_5929.wav クシカキ ク⸢シカキ [ku̥⸢ʃikaki] 名 腰掛。標準語からの借用語。普通は、ビ⸢リダイ[bi⸢ridai](座り台)という。 ク⸢ヌ⸣ ク⸢シカキ⸣ナー ビ⸢リ⸣バ [ku⸢nu⸣ ku̥⸢ʃikaki⸣naː bi⸢ri⸣ba] (この腰掛に座りなさいよ) 5905 0 0 5594 htmvoc_5905.wav グシカミルン ⸣グシ カ⸢ミ⸣ルン [⸣guʃi ka⸢mi⸣ruŋ] 連 神前に供えた神酒を恭しく頂く。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸣グシ カ⸢ミ⸣ルンティ ⸢クー⸣タ [⸢kannumai⸣nu ⸣guʃi ka⸢mi⸣runti ⸢kuː⸣ta] (神前に供えた神酒を頂きに<頂こうと>来ました) 5751 0 0 5595 htmvoc_5751.wav クシキ ⸢クシ⸣キ [⸢kuʃi̥⸣ki] 名 戸籍。 ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢ル⸣カー ブ⸢トゥヌ クシ⸣キナ ⸢ヌーサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢fanu⸣ ma⸢ru⸣kaː bu⸢tunu kuʃi̥⸣kina ⸢nuːsaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (子供が生まれると、夫の戸籍に載せないといけない) 5752 0 1 5596 htmvoc_5752.wav クシキ ⸢クシ⸣キ [⸢kuʃi̥⸣ki] 名 {Mn_1}\ruby{甑}{コシキ}。\ruby[g]{蒸籠}{セイロ}。米などを蒸すのに用いる器具。旧来の甑はビロー樹(蒲葵樹)の芯を刳り抜いて筒形の蒸し器につくったものである。「許之伎爾波 久毛能須可伎て『万葉集 892』。甑、古之岐<こしき>炊飯器也『和名抄』」の転訛したもの。⸣グジクシキ[⸣guʤikuʃi̥ki](デイゴの幹を刳り抜いて作った蒸し器)やク⸢バクシキ[ku⸢bakuʃi̥ki](蒲葵の幹を刳り抜いて作った蒸し器)を⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](大鍋{EOS}四枚鍋)にア⸢ジ⸣マー[ʔa⸢ʤi⸣maː](石臼を載せるに用いる十字形の木の枠)を架けて、その上に載せ、蒸気が漏れないように密閉して米や餅などを蒸し煮した。戦後になって四角い板製の上品な甑も使用された。 ⸢クシ⸣キシル ⸢プール⸣ムチン ⸢ネーソーッ⸣タ [⸢kuʃi⸣kiʃiru ⸢puːru⸣muʧin ⸢neːsoːt⸣ta] (甑で豊年祭の餅も煮られた)。 5752 0 2 5597 htmvoc_5752.wav クシキ ⸢クシ⸣キ [⸢kuʃi̥⸣ki] 名 {Mn_2}甑飯。こわいい(強飯)。 ⸢シンマイ⸣ナビナー ⸢クシ⸣ケー ビ⸢シティ⸣ ミ⸢ジ⸣ナー フ⸢クラシ⸣シケー ⸢マイバ⸣ イ⸢リティ⸣ フ⸢カ⸣シティ ⸢カシ⸣キ ス⸢ク⸣ローッタ [ʃimmai⸣nabinaː ⸢kuʃi̥⸣keː bi⸢ʃiti⸣ mi⸢ʤi⸣naː ɸu̥⸢kuraʃi⸣ʃi̥keː ⸢maiba⸣ ʔi⸢riti⸣ ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ⸢kaʃi̥⸣ki su̥⸢ku⸣roːtta] (大鍋<四枚鍋>に甑を据えて、水に浸けてふやかしてある米を入れ、蒸かしてこわ飯を炊かれた<作られた>) 5931 0 0 5598 htmvoc_5931.wav クシキ ⸢クシ⸣キ [⸢kuʃi̥⸣ki] 名 戸籍。 ⸢クシ⸣キ ⸢ヌーシルン [⸢kuʃi̥⸣ki ⸢nuːʃiruŋ] (戸籍に載せる{EOS}戸籍に入れる)。⸢クシ⸣キ ⸢ヌースン[⸢kuʃi̥⸣ki ⸢nuːsuŋ](戸籍に載す<下二段に対応>)ともいう。 ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢ルター クシ⸣キ ⸢ヌーシン⸣ イ⸢サンケー パッ⸣タ [f⸢fanu⸣ ma⸢rutaː kuʃi̥⸣ki ⸢nuːʃiŋ⸣ ʔi⸢saŋkeː pat⸣ta] (子供が生まれたので入籍届けに<戸籍に載せに>石垣島へ行った)。 ⸢クシ⸣キ ⸣ヌグン [⸢kuʃi̥⸣ki ⸣nuguŋ] (戸籍を抜く) 5894 0 0 5599 htmvoc_5894.wav グジキー ⸣グジキー [⸣guʤikiː] 名 デイゴの木。 ⸣グジキーヤ サ⸢カリパヤー⸣ン [⸣guʤikiːja sḁ⸢karipajaː⸣ŋ] (デイゴの木は成長が早い) 5753 0 1 5600 htmvoc_5753.wav クシキルン ⸢クシキルン [⸢kuʃi̥kiruŋ] 他動 {Mn_1}腰紐に差し込んで着る。したひも(下紐)に差し込む。⸣ウシンチ―[⸣ʔuʃinʧiː]ともいう。 フ⸢ク⸣ベー ⸢サンドー⸣シ ⸢クシキリ⸣バ [ɸu̥⸢ku⸣beː ⸢sandoː⸣ʃi ⸢kuʃi̥kiri⸣ba] (帯びはしないで腰に差し込めよ)。 ⸢クシキルンティ ベー⸣ヌンドゥ ⸢クシキラランバン [⸢kuʃi̥kirunti beː⸣nundu ⸢kuʃi̥kirarambaŋ] (腰に差し込もうとするんだが、差し込まれない)。 5753 0 2 5601 htmvoc_5753.wav クシキルン ⸢クシキルン [⸢kuʃi̥kiruŋ] 他動 {Mn_2}腰に携える。腰に差して携帯する。引っ提げる。 ヤ⸢マー⸣ パルカー ヤー⸢ディン⸣ ヌ⸢キル⸣トゥ ヤ⸢マンガラシ⸣バー ⸢クシキ⸣パリ [ja⸢maː⸣ parukaː jaː⸢din⸣ nu⸢kiru⸣tu ja⸢maŋgaraʃi⸣ba ⸢kuʃi̥ki⸣pari] (山へ行くなら必ず鋸と山刀を携帯して<腰に差して>行け)。 ⸢クシキラヌ [⸢kuʃi̥kiranu] (腰に差さない)。 ⸢クシキル⸣ バス [⸢kuʃi̥kiru⸣ basu] (腰に差すとき)。 ⸢クシキレー⸣ ミサムヌ [⸢kuʃi̥kireː⸣ misamunu] (腰に差せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢クシキリ [⸢paː⸣ku ⸢kuʃi̥kiri] (早く腰に差せ) 5927 0 1 5602 htmvoc_5927.wav クシクイ ク⸢シクイ [ku̥⸢ʃikui] 名 {Mn_1}田植えなどの「ゆい(結)」でする農作業の仕事納めに酒食をともにして互いの労苦をねぎらうこと。仕事納めの慰労会。「腰・憩い」の転訛したもの。 ⸢マイイビン⸣ シ⸢マ⸣シェーチバ ⸣ニカー マー⸢ズン⸣ ク⸢シクイ ソー⸣ラ⸢ナー [⸢maiʔibin ʃi⸢ma⸣ʃeːʧiba ⸣nikaː maː⸢ʣuŋ⸣ ku̥⸢ʃikui soː⸣ra⸢naː] (田植えも済ませましたから、今夜は一緒に仕事納めの慰労会をしましょうよ) 5927 0 2 5603 htmvoc_5927.wav クシクイ ク⸢シクイ [ku̥⸢ʃikui] 名 {Mn_2}休憩。腰休め。中休み。 ⸢イットゥ⸣ケー ⸢ティー⸣ヤ ウ⸢ツァ⸣ナイ ⸢オー⸣リティ ク⸢シクイ ソー⸣リバ [⸢ʔittu⸣keː ⸢tiː⸣ja ʔu⸢ʦa⸣nai ⸢ʔoː⸣riti ku̥⸢ʃikui soː⸣riba] (いっとき<一時>手を休めて<手をおいて>おかれて、お休みをなされませ) 5895 0 0 5604 htmvoc_5895.wav グジクシキ ⸣グジクシキ [⸣guʤikuʃi̥ki] 名 デイゴの木で作った甑。 ⸣グジクシキバ ⸢シンマイ⸣ナビナー ビ⸢シティ カシ⸣キ ア⸢ガラソーッ⸣タ [⸣guʤikuʃi̥kiba ⸢ʃimmai⸣nabinaː bi⸢ʃiti kaʃi̥⸣ki ʔa⸢garasoːt⸣ta] (甑を大鍋<四枚鍋>に据えて、おこわ<蒸し飯>を蒸しかしいだ<炊いだ>) 5899 0 0 5605 htmvoc_5899.wav クジクバーン ⸣クジ ク⸢バー⸣ン [⸣kuʤi ku⸢baː⸣ŋ] 連 籤運が悪い 5912 0 0 5606 htmvoc_5912.wav グシクビン ⸣グシクビン [⸣guʃikubiŋ] 名 神仏に供える神酒や酒を入れる小瓶。「御酒小瓶」の転訛したもの。錫合金製のカ⸢ニクビン[ka⸢nikubiŋ](金属製の小瓶)、陶製のクビン[⸣kubiŋ](小瓶)、首の細長い、チ⸢ルビン[ʧi⸢rubiŋ](鶴瓶)、カ⸢ザリクビン[ka⸢ʣarikubiŋ](飾り小瓶)等があった。 ⸣グシクビンナ ⸣グシ イ⸢リティ⸣ マ⸢チ⸣バ [⸣guʃikubinna ⸣guʃi ʔi⸢riti⸣ ma⸢ʧi⸣ba] (御酒瓶に神酒を入れて供え<祀り>なさい)。ア⸢サクビン[ʔa⸢sakubiŋ](神事や法事に供物の酒を入れる、裾の広がった瓶)などがある。 ⸣グシクビンナー ⸣グシ イ⸢リティ⸣ マ⸢チ⸣バ [⸣guʃikubinnaː ⸣guʃi ʔi⸢riti⸣ ma⸢ʧi⸣ba] (酒を入れて供える瓶に酒を入れてお供えしなさい) 5913 0 0 5607 htmvoc_5913.wav クシケー ⸢クシケー [⸢kuʃi̥keː] 名 屋号。小底太郎氏宅。鳩間島西村の網元の家。小底家を中心にして⸢シン⸣カ[⸢ʃiŋ⸣ka](組員{EOS}メンバー)を集め、シ⸢ナカキ⸣ヤー[ʃi⸢nakaki⸣jaː](追い込み漁)をされた。タ⸢チ⸣バル[tḁ⸢ʧi⸣baru](立ち原)の⸢フンシキ[⸢ɸuŋʃiki]に⸢クシケー アー⸣ヤ ク⸢ム⸣ル[⸢kuʃi̥keːnu ʔaː⸣ja ku⸢mu⸣ru](小底家のお祖父さんの籠もり池<礁池>)という漁場がある。ピ⸢ナイウガン[pi⸢naiʔugaŋ](鬚川御嶽)の北向かいにある。 ⸢クシケヌ アンタヌ⸣ ビ⸢チ⸣ロー ⸢カンダカーン⸣ツォー [⸢kuʃi̥kenu ʔantanu⸣ bi⸢ʧi⸣roː ⸢kandakaːn⸣ʦoː] (小底家の東庭のビチル<賓頭蘆>は霊威が高い<神高い>そうだ) 5914 0 0 5608 htmvoc_5914.wav クシケーヌサンドーザーテー ⸢クシケーヌ サン⸣ドーザーテー [⸢kuʃi̥keːnu san⸣doːʣaːteː] 連 屋号。小底三戸氏宅。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸣ウブシケーヌ ⸢アー⸣ネール ⸣ナリ ⸢ブー [⸢ʔun⸣neːja ⸣ʔubuʃi̥keːnu ⸢ʔaː⸣neːru ⸣nari ⸢buː] (その家は大城博氏家の東隣に<ぞ>なっている) 5898 0 0 5609 htmvoc_5898.wav クジコーン ⸣クジ ⸢コー⸣ン [⸣kuʤi ⸢koː⸣ŋ] 連 籤運が悪い。籤が当らない。「籤・硬い」の義。 ⸣バー ⸣クジ ⸢コー⸣ユンダ ⸢ワール⸣ クジ ピ⸢クモー⸣ マ⸢シ [⸣baː ⸣kuʤi ⸢koː⸣junda ⸢waːru⸣ kuʤi pi̥⸢kumoː⸣ ma⸢ʃi] (私は籤運が悪いので、君が籤を引いたほうが良い<ましだ>) 5934 0 0 5610 htmvoc_5934.wav クジコーン ⸣クジ ⸢コー⸣ン [⸣kuʤi ⸢koː⸣ŋ] 連 くじ<籤>運が悪い。籤がなかなか当らない。「籤・強し」の義。老年層は、⸣クジ ク⸢バー⸣ン[⸣kuʤi ku⸢baː⸣ŋ](籤運が強し)という。⸣クジ ⸢ヤー⸣ラーン[⸣kuʤi ⸢jaː⸣raːŋ](籤運が柔い{EOS}よく籤に当たる)、⸣クジ ヤ⸢バー⸣ン[⸣kuʤi ja⸢baː⸣ŋ](籤運が柔い)と同義語。 ⸣クジ ⸢コー⸣ンダ ⸣バー ⸣クジ ピ⸢カヌ [⸣kuʤi ⸢koː⸣nda ⸣baː ⸣kuʤi pi̥⸢kanu] (籤運が悪いので私は籤を引かない) 5935 0 0 5611 htmvoc_5935.wav グシゾーグ ⸣グシゾーグ [⸣guʃiʣoːgu] 名 酒上戸。酒好き。「御酒上戸」の義。 ク⸢レー⸣ グシゾーグ ギュー⸢サ⸣ ヌ⸢マサ⸣バン タ⸢ラーヌ⸣ バ⸢リカミ [ku⸢reː⸣ guʃikiʣoːgu gjuː⸢sa⸣ nu⸢masa⸣ban ta⸢raːnu⸣ ba⸢rikami] (これ<この人>は酒上戸だ{EOS}いくら飲ませても足りない{EOS}割れ\ruby{瓶}{カメ}同然だ) 5906 0 0 5612 htmvoc_5906.wav クジタルン ⸣クジ ⸣タルン [⸣kuʤi ⸣taruŋ] 連 澱粉を溶かして煮る。 ⸣クジ ⸣タリティ ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァーシ⸣ シ⸢ビシキ⸣バ [⸣kuʤi ⸣tariti ⸢nuː⸣ru f⸢faːʃi⸣ ʃi⸢biʃi̥ki⸣ba] (澱粉を溶かして煮て、糊をつけてくっつけなさいよ) 5907 0 0 5613 htmvoc_5907.wav クシナカ ク⸢シナカ [ku̥⸢ʃinaka] 名 背中。背の中央。 ク⸢シナカ⸣ナー ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジティ ヤ⸢ミ⸣ス [ku̥⸢ʃinaka⸣naː ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤiti ja⸢mi⸣su] (背中に御出来がでて痛むよ)。 ク⸢シナカ ビーワ⸣ヌ <ビーヨー⸣ヌ> ⸣ガジ ッ⸢ふィーリ [ku̥⸢ʃinaka biːwa⸣nu ⸣gaʤi f⸢fiːri] (背中が痒いので掻いてくれ)。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ラ⸣ベー ク⸢シナカ⸣ナー カ⸢サナイ⸣ヤーティル フ⸢ドゥバシタル [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ra⸣beː ku̥⸢ʃinaka⸣naː kḁ⸢sanai⸣jaːtiru ɸu⸢dubaʃitaru] (昔は、子供は背中に背負いながら育て<成長させ>たものだ) 5902 0 0 5614 htmvoc_5902.wav クシヌバスン ク⸢シ⸣ ヌ⸢バ⸣スン [ku̥⸢ʃi⸣ nu⸢ba⸣suŋ] 連 腰を伸ばす。 ⸢コー⸣グ ⸣ナリ ⸢ベー⸣ティ ク⸢シ⸣ ヌ⸢バ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ヌ⸢バサラ⸣ヌ [⸢koː⸣gu ⸣nari ⸢beː⸣ti ku̥⸢ʃi⸣ nu⸢ba⸣sunti ⸢sundu⸣ nu⸢basara⸣nu] (せむし<脊柱後湾>になっているので、腰を伸ばそうとするが、伸ばされない) 5915 0 0 5615 htmvoc_5915.wav クシパダカ ク⸢シパダカ [ku̥⸢ʃipadaka] 名 もろはだぬぎ(諸肌脱ぎ)。上半身裸になること。 ナ⸢チェー⸣ アツァユンダ ク⸢シパダカ⸣ ナレーティル シ⸢グトー⸣ シ⸢タル [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦajunda ku̥⸢ʃipadaka⸣ nareːtiru ʃi⸢gutoː⸣ ʃi̥⸢taru] (夏は暑いから諸肌脱いで仕事をしたものだ) 5936 0 0 5616 htmvoc_5936.wav グシパナ ⸣グシパナ [⸣guʃipana] 名 神仏に供える酒と花米。「御酒花」の義か。神事や仏事の際に供えられる。酒は白磁製の⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](燗壜)にいれ、白紙を折って蓋をしたものを⸢イッチー[⸢ʔitʧiː](一対)、パ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)はジ⸢ブ⸣ク[ʤi⸢bu⸣ku](重箱)一枚に米一合、叉は三合、五合、九合のように入れたもの。他に、ウ⸢ブ⸣グシ[ʔu⸢bu⸣guʃi](祝儀用の神酒{EOS}大酒)、ウ⸢ブ⸣パナ[ʔu⸢bu⸣pana](正式のパナングミ<花米>{EOS}四つ重ねの重箱に花米を盛って二十八宿の\ruby{甲立}{コウ|ダテ}で囲ってあるもの)と中皿に盛ったものがある。 ⸣グシパナン ス⸢コーリ⸣ マ⸢チ⸣バ [⸣guʃipanan su̥⸢koːri⸣ ma⸢ʧi⸣ba] (神仏に供えるお酒や花米を準備してお供えしなさい) 5937 0 0 5617 htmvoc_5937.wav クジバルン ⸣クジ バ⸢ルン [⸣kuʤi ba⸢ruŋ] 連 神意を占う。籤を引く。「籤を割る」の義。神前で祈願をして供物のパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)を一掴み取ってお膳の上に並べて神意を占うこと。ウ⸢ク⸣ジ バ⸢リ⸣ マ⸢ラソー⸣ルン[ʔu⸢ku⸣ʤi ba⸢ri⸣ ma⸢rasoː⸣ruŋ](お籤を割って、神意を誕生させられる)という 5916 0 0 5618 htmvoc_5916.wav クジビキ ク⸢ジビ⸣キ [ku⸢ʤibi⸣ki] 名 くじ引き。抽籤。籤を引くこと。 ウ⸢キ⸣ナー ⸣パル プ⸢ソー⸣ ク⸢ジビ⸣キシ キ⸢ミラ⸣ナー [ʔu⸢ki⸣naː ⸣paru pu̥⸢soː⸣ ku⸢ʤibi⸣kiʃi ki⸢mira⸣naː] (沖縄へ行く人は籤引きで決めようね)。 イコー⸢ラ⸣ パ⸢ナシアー⸣シ サ⸢バン⸣ キ⸢ミラランバ⸣ ク⸢ジビ⸣キシ キ⸢ミラ⸣ナー [ʔikoː⸢ra⸣ pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi sa⸢baŋ⸣ ki⸢miraramba⸣ ku⸢ʤibi⸣kiʃi ki⸢mira⸣naː] (いくら話し合いをしても決められないから、籤引きをして決めようねえ) 5919 0 0 5619 htmvoc_5919.wav クシブニ ク⸢シブニ [ku̥⸢ʃibuni] 名 背骨。脊椎。「腰骨」の義。 ク⸢シブニバ⸣ ヤ⸢マ⸣シティ ア⸢ラキマー⸣キ ⸢シーアー⸣クン [ku̥⸢ʃibuniba⸣ ja⸢ma⸣ʃi̥ti ʔa⸢rakimaː⸣ki ⸢ʃiː ʔaː⸣kuŋ] (腰骨を痛めて歩き兼ねている) 5917 0 0 5620 htmvoc_5917.wav クシマキ ク⸢シマキ [ku̥⸢ʃimaki] 名 腰巻。女性が和服の下に腰から脚部にかけてまとう\ruby{布帛}{フ|ハク}。おこし。結願祭や豊年祭の舞踊の衣装として着用された。 ア⸢ガーガヌ⸣ ク⸢シマケー⸣ キ⸢シティル⸣ ブ⸢ドゥルキンマー⸣ キ⸢ソーッ⸣タ [ʔa⸢gaːganu⸣ ku̥⸢ʃimakeː⸣ ki̥⸢ʃitiru⸣ bu⸢durukimmaː⸣ ki̥⸢soːt⸣ta] (真っ赤な腰巻を着けて<ぞ>踊り衣装は着られた)。 パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ブ⸢ドゥル ソー⸣ル ⸣プソー ク⸢シマキン⸣ キ⸢ソーッ⸣タンミー [pḁ⸢tu⸣manakamurinu bu⸢duru soː⸣ru ⸣pimmaː ku̥⸢ʃimakiŋ⸣ ki̥⸢soːt⸣tammiː] (鳩間中岡の踊りをされる時は腰巻も着られたでしょう?) 5925 0 0 5621 htmvoc_5925.wav クシミチ ク⸢シミチ [ku̥⸢ʃimiʧi] 名 裏通り。後ろの道。「腰<後>道」の義。 ⸣マイミチェー ア⸢ラキヤッ⸣サヌ ク⸢シミチェー⸣ ッ⸢サ⸣ヌ ヤ⸢マ⸣カビティ <⸢ムイ⸣カビティ> ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣maimiʧeː ʔa⸢rakijas⸣sanu ku̥⸢ʃimiʧeː⸣ s⸢sa⸣nu ja⸢ma⸣kabiti <⸢mui⸣kabiti> ʔa⸢rakara⸣nu] (前通り<前の道>は歩きやすいが裏通りは草が山のように生い茂って歩けない)。⸣シンタミチ[⸣ʃintamiʧi](後道{EOS}裏道)ともいう。 ⸢ウイヌウガン⸣ヌ ク⸢シミチェーラ⸣ ニ⸢シ⸣ドー パ⸢ラ⸣リンミー [⸢ʔuinuʔugan⸣nu ku̥⸢ʃimiʧeːra⸣ ni⸢ʃi⸣doː pa⸢ra⸣rimmiː] (友利御嶽の裏道から西堂へ行けるでしょう?) 5941 0 0 5622 htmvoc_5941.wav クジムチ ク⸢ジ⸣ムチ [ku⸢ʤi⸣muʧi] 名 くずもち(葛餅)。⸢ウンヌ⸣クジ[⸢ʔunnu⸣kuʤi](芋葛<澱粉>)や⸢キーウン⸣ヌ ⸣クジ[⸢kiːʔun⸣nu ⸣kuʤi](キャッサバの葛<澱粉>)を熱湯でこね<捏ね>て蒸したもの。キ⸢ザル[ki⸢ʣaru](祭祀行事)の時のお茶請けとして食した。 ⸢ウンヌ⸣クジシ ⸣クジムチェー ス⸢クル⸣タ [⸢ʔunnu⸣kuʤiʃi ⸣kuʤimuʧeː su̥⸢kuru⸣ta] (いもくず<芋葛>で葛餅は作った)。 ク⸢ジム⸣チ ス⸢ク⸣リティ ⸢サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シ [ku⸢ʤimu⸣ʧi su̥⸢ku⸣riti ⸢saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (葛餅を作ってお茶請けに出しなさい) 5897 0 0 5623 htmvoc_5897.wav クジヤーラーン ⸣クジ ⸢ヤー⸣ラーン [⸣kuʤi ⸢jaː⸣raːŋ] 連 籤運がいい。よく籤に当たる。「籤・柔らかい」の義。 ⸢ワール⸣ クジ ⸢ヤー⸣ラーバ ⸢ワー⸣シ ⸣クジ ピ⸢キ⸣バ [⸢waːru⸣ kuʤi ⸢jaː⸣raːba ⸢waː⸣ʃi ⸣kuʤi pi̥⸢ki⸣ba] (君が籤運はいいから、君が籤を引きなさいよ) 5944 0 0 5624 htmvoc_5944.wav クジヤバーン ク⸢ジヤバー⸣ン [ku⸢ʤijabaː⸣ŋ] 形 くじ(籤)運が強い。籤に当たりやすい。ク⸢ジヤー⸣ラーン[ku⸢ʤijaː⸣raːŋ](籤運が強い{EOS}<籤柔らかい>)ともいう。 ウ⸢レー サッ⸣コー ク⸢ジヤバー⸣ン [ʔu⸢reː sak⸣koː ku⸢ʤijabaː⸣ŋ] (その人は非常に籤運がいい)。 ク⸢ジヤバーナー⸣ヌ [ku⸢ʤijabaːnaː⸣nu] (籤運が良くない)。 ク⸢ジヤバー⸣ティ [ku⸢ʤijabaː⸣ti] (籤運が良いので)。 ク⸢ジヤバー⸣ プソー [ku⸢ʤijabaː⸣ pu̥soː] (籤運のいいときは) 5920 0 0 5625 htmvoc_5920.wav クシヤムン ク⸢シ⸣ ヤムン [ku̥⸢ʃi⸣ jamuŋ] 連 腰が痛む(病む)。 ⸣プスイピーズ ウ⸢スビティ マイ⸣ イ⸢ブ⸣カー ク⸢シ⸣ ヤムン [⸣pu̥suipiːʣu ʔu⸢subiti mai⸣ ʔi⸢bu⸣kaː ku̥⸢ʃi⸣ jamuŋ] (一日中うつむい<俯い>て稲<米>を植えると腰が痛む) 5921 0 0 5626 htmvoc_5921.wav クジラー ⸣クジラー [⸣kuʤiraː] 名 成長が止まったもの。発育が止まった人や動物。背の低い人。矮小性のもの。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ クジラー ⸣ナリティ フ⸢ドゥバンバン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ kuʤiraː ⸣nariti ɸu⸢dubambaŋ] (この子は発育不良の背の低い人になって、成長しないよ)。 ⸢ウン⸣マー ⸣クジラー ⸣ナリティ ⸢ピッ⸣チン ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔum⸣maː ⸣kuʤiraː ⸣nariti ⸢pit⸣ʧin f⸢faːranu] (芋は成長が止まり、固く萎縮してちっとも食べられない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ドゥク <ア⸢マ⸣ヌ> ヤ⸢ナアシゥカイ⸣ サ⸢リティル⸣ <シ⸢ラリティル⸣> クジラー ナリ⸢ベ⸣ー [ja⸢ra⸣beː ⸣duku <ʔa⸢ma⸣nu> ja⸢naʔasïkai⸣ sa⸢ritiru⸣ <ʃi⸢raritiru⸣> kuʤiraː nari⸢be⸣ː] (子供は、ひどく悪い扱い方をされて<ぞ>成長が止まって固く萎縮した人になっている) 5957 0 0 5627 htmvoc_5957.wav クシライルン ク⸢シライルン [ku̥⸢ʃirairuŋ] 他動 こしらえる(拵える)。魚をさばく(捌く)。食べられるように仕上げる。手を加えて細工する。「誘、古之良布<こしらふ>『華厳経音義私記』」の意味派生したもの。 イ⸢ゾー ヨーラン⸣ケン パー⸣ク ク⸢シライティ⸣ カ⸢マブク シッ⸣キ [ʔi⸢ʣoː joːraŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ku̥⸢ʃiraiti⸣ ka⸢mabuku ʃik⸣ki] (魚は腐敗し<弱ら>ないうちに捌いて蒲鉾に搗き揚げなさい<搗いて蒲鉾を作れ>) 5922 0 0 5628 htmvoc_5922.wav グジラフタイ グ⸢ジラ⸣フタイ [gu⸢ʤira⸣ɸu̥tai] 名 (動)ぶだいの仲間。背びれの付近は薄紫色の体色で、腹部は灰色に近い。体調1メートルに成長するものがいるという。鳩間島では体長50~60センチの成魚がよく網にかかった。頭の形が鯨の頭に似ることから命名されたものという。⸢アウピナカン[⸢ʔaupinakaŋ](なんようぶだい{EOS}体色は紺色に近い)に似るが体色が異なる。 グ⸢ジラフタイ⸣ヤー ⸢アウピナカン⸣ラン ⸢マー⸣ビン ⸢マイヤ⸣ル ⸣アル [gu⸢iraɸutai⸣jaː ⸢ʔaupinakan⸣ram ⸢maː⸣bim ⸢maija⸣ru ⸣ʔaru] (グジラフタイは、ナンヨウブダイよりももっと大きい) 5923 0 0 5629 htmvoc_5923.wav クジリウン ク⸢ジリ⸣ウン [ku⸢ʤiri⸣ʔuŋ] 名 成長が止まった小さな芋。矮小性の芋。病気等による生育不良の芋。⸣クジラー[⸣kuʤiraː](生育不良のもの{EOS}発育不良のもの)ともいう。「崩れ芋」の転訛したものか。 ク⸢ジリウン⸣マー ⸢オー⸣ヌイール ⸣ナル [ku⸢ʤiriʔum⸣maː ⸢ʔoː⸣nuʔiːru ⸣naru] (発育不良の芋は豚の飼料にしかならない<~飼料にぞなる>) 6019 0 0 5630 htmvoc_6019.wav クジリムヌ ク⸢ジリ⸣ムヌ [ku⸢ʤiri⸣munu] 名 発育不良のもの。成長が止まって萎縮したもの。人間をはじめ、他の動物、植物にもいう。「崩れる」の転訛したものか。 ク⸢ジリ⸣ウン [ku⸢ʤiri⸣ʔuŋ] (発育不良の芋)。 ク⸢ジリ⸣プス [ku⸢ʤiri⸣pu̥su] (発育不良の人)。 ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ター ウン⸣ヌン ク⸢ジ⸣リティ ⸢ミーラヌ [⸢peːreːnu⸣ ʃi̥⸢taː ʔun⸣nuŋ ku⸢ʤi⸣riti ⸢miːranu] (旱魃が続いたので芋も発育不良になって稔らない<芋の塊根が成長しない{EOS}実が入らない>) 5924 0 0 5631 htmvoc_5924.wav クジルン ク⸢ジ⸣ルン [ku⸢ʤi⸣ruŋ] 自動 発育停止する。成長が止まる。萎縮する。子供を生まなくなる。「崩れる」の転訛したものか。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ク⸢ジ⸣リティ フ⸢ドゥバンバン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ku⸢ʤi⸣riti ɸu⸢dubambaŋ] (この子は発育が止まって成長しないわい)。 パ⸢タ⸣ケー パ⸢ギ⸣ジー ⸣ナリティ ⸢ウン⸣ヌン ⸢ミーラヌ ナーン⸣パーン ク⸢ジ⸣リティ サ⸢カラヌ [pḁ⸢ta⸣keː pa⸢gi⸣ʤiː ⸣nariti ⸢ʔun⸣num ⸢miːranu naːm⸣paːŋ ku⸢ʤi⸣riti sḁ⸢karanu] (畑は痩せ地になって芋も稔らない{EOS}菜っ葉も委縮して繁茂しない<盛らない>)。 パ⸢ギ⸣ジーナ イ⸢ブ⸣カー ク⸢ジ⸣ルン [pa⸢gi⸣ʤiːna ʔi⸢bu⸣kaː ku⸢ʤi⸣ruŋ] (痩せた土地に植えると成長が止まって萎縮する)。 マ⸢ミ⸣グルナ イ⸢ブ⸣カー ス⸢クリ⸣ムノー ク⸢ジラン⸣ドーシ サ⸢カルン⸣ツォー [ma⸢mi⸣guruna ʔi⸢bu⸣kaː su̥⸢kuri⸣munoː ku⸢ʤiran⸣doːʃi sḁ⸢karun⸣ʦoː] (豆を収穫したあとの畑に植えると作物は萎縮しないで繁茂するそうだ)。 ⸢ウン⸣マー ク⸢ジ⸣リティ ⸢ミーラヌ [⸢ʔum⸣maː ku⸢ʤi⸣riti ⸢miːranu] (芋は成長が止まって稔らない)。 ミ⸢ジ⸣ マクカー ク⸢ジラ⸣ヌ [mi⸢ʤi⸣ makukaː ku⸢ʤi⸣ranu] (水を撒くと成長が止まって萎縮することはない)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣カー ム⸢ヌスク⸣ロー <ス⸢クリ⸣ムノー> ク⸢ジ⸣ルンティル ウ⸢モー⸣リ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːŋ⸣kaː mu⸢nusu̥ku⸣roː ku⸢ʤi⸣runtiru ʔu⸢moː⸣ri] (雨が降らないと作物は成長が止まって萎縮するとおもわれる)。 ク⸢ジ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢ʤi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (成長が止まって萎縮することはない)。 ク⸢ジ⸣レーラー ⸢デー⸣ジ [ku⸢ʤi⸣reːraː ⸢deː⸣ʤi] (成長が止まって萎縮したら大変だ)。 ク⸢ジ⸣リ [ku⸢ʤi⸣ri] (成長が止まって萎縮しろ) 5945 0 0 5632 htmvoc_5945.wav グジンフー グ⸢ジン⸣フー [gu⸢ʤiŋ⸣ɸuː] 名 沖縄(首里)の古典芸能の名。「かぎやで風節」。一名「御前風」。古老は、グ⸢ジヌ⸣フー[gu⸢ʤinu⸣ɸuː](御前風)といった。 ウ⸢キ⸣ナーナテー ⸢ヨイ⸣ヌ パ⸢ジメー⸣ グ⸢ジン⸣フー ヤ⸢ルヌ⸣ パ⸢トゥ⸣マナテー パ⸢トゥ⸣マナカムリラル パ⸢ジマル [ʔu⸢ki⸣naːnateː ⸢joi⸣nu pa⸢ʤimareː⸣ gu⸢ʤiŋ⸣ɸuː ja⸢runu⸣ pḁ⸢tu⸣manateː pḁ⸢tu⸣manakamuriraru pa⸢ʤimaru] (沖縄ではお祝いの始まりは「御前風節」であるが、鳩間島では⸢鳩間中岡節」である) 5962 0 0 5633 htmvoc_5962.wav クズ ⸣クズ [⸣kuʣu] 名 こぞ(去年)。昨年。「許序能秋 安比見之末爾末~。『万葉集 4117』」。「去年・昔歳、コソ『類聚名義抄』」の転訛。 ク⸢ズ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マ ⸣グロー ⸢マイカリ スンティ シーッ⸣パイ ⸢シー⸣ ブ⸢レー⸣バン [ku⸢ʣu⸣nu ma⸢na⸣maguroː ⸢maikari sunti ʃiːp⸣pai ⸢ʃiː⸣ bu⸢reː⸣baŋ] (去年の今頃は稲刈りをするとて一所懸命していたんだなあ) 5948 0 0 5634 htmvoc_5948.wav クスク ⸢クス⸣ク [⸢kusu̥⸣ku] 名 (動)魚の名。和名、メガネクロハギ(体長約16センチ)、キイロハギの変種(体長約18センチ)、クログチニザ(体長約20センチ)の仲間の総称。和名、クログチニザは、ブ⸢ナー[bu⸢naː]ともいう。和名、クロモンツキは、⸢ビンクス⸣ク[⸢biŋkusu̥⸣ku]ともいう。鳩間島では島の西側にある干瀬の⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː]で、潮の満ち干を利用して⸢クス⸣ク[⸢kusu̥⸣ku]を網で巻いて漁獲した。干瀬の上の海草を食っている魚が引き潮と共に外洋へ下がるところを巻き獲る漁法である。 ⸢クス⸣ク ガ⸢ラ⸣シン パラ⸢ディー [⸢kusu̥⸣ku ga⸢ra⸣ʃim para⸢diː] (クスクを網で巻き獲りに行こうよ) 5964 0 0 5635 htmvoc_5964.wav グスク ⸢グス⸣ク [⸢gusu̥⸣ku] 名 石垣。石を積み上げて屋敷を囲ってあるもの。屋敷の前方の、⸢マイグス⸣ク[⸢maigusu̥⸣ku](前石垣)は二重に積み、ナ⸢カフク⸣ル[na⸢kaɸu̥ku⸣ru](「中袋」の義{EOS}中間部)にはバ⸢タ⸣イシ[ba⸢ta⸣iʃi](腹石)という小石を詰めて崩れないように積み上げてあったが、後方及び両側の石垣にはバ⸢タ⸣イシを詰めないで二重積にしたものが多かった。キ⸢ザリグスク[ki⸢ʣarigusu̥ku](石を削って積み上げた美しい石垣{EOS}ア⸢ワ⸣イシ{SqBr}ʔa⸢wa⸣iʃi{/SqBr}<砂岩>を削って積み上げた美しい石垣{EOS}石垣島に多い)は鳩間島にはない。 ナ⸢カグス⸣ク [na⸢kagusu̥⸣ku] (目隠しの石垣{EOS}沖縄本島方言のヒンプン)。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢グス⸣コー ⸣グガン ス⸢ク⸣ローッタ ⸣バス ⸣ザラ ス⸢ク⸣ルンティル シゥ⸢カイオーッ⸣タツォー [pa⸢tuma⸣nu ⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢gusu̥⸣koː ⸣gugan su̥⸢ku⸣roːtta ⸣basu ⸣ʣara su̥⸢ku⸣runtiru sï̥⸢kaioːt⸣taʦoː] (鳩間島の屋敷の石垣は護岸を作られたとき、砂利を作るために使われたそうだ)。 ⸢マイグス⸣クナーヤ バ⸢タ⸣イシ ⸣シミティ シ⸢ムンダ ガン⸣ゾータン ヤ⸢シーヤシ クーリ⸣ル ⸣クトゥーン ⸢ナーン⸣シェン [⸢maigusu̥⸣kunaːja ba⸢ta⸣iʃi ⸣ʃimiti ʃi⸢munda gan⸣ʣoːtaɲ ja⸢ʃiːjaʃiː kuːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (前石垣には腹石を詰めて積み上げるから頑丈だった{EOS}簡単に<易々と>崩れることはなかった) 5949 0 0 5636 htmvoc_5949.wav グズグズ グ⸢ズグズ [gu⸢ʣuguʣu] 副 くすぐる時の形容。こちょこちょ。乳幼児を抱き上げ、グ⸢ズグズティ⸣ グ⸢ズ⸣ルン[gu⸢ʣuguʣu⸣ti gu⸢ʣu⸣ruŋ](こちょこちょとくすぐる)といってあやす 5754 0 1 5637 htmvoc_5754.wav クスクン ⸢クスクン [⸢kusu̥kuŋ] 他動 {Mn_1}腰紐に差し込んで着る。下紐に差し込む。 ⸢クスクンティ⸣ ウムーカー ⸢クシゥカリン [⸢kusu̥kunti⸣ ʔumuːkaː ⸢kusï̥kariŋ] (下帯に差し込もうと思えば差し込める)。 5754 0 2 5638 htmvoc_5754.wav クスクン ⸢クスクン [⸢kusu̥kuŋ] 他動 {Mn_2}腰に差して携行する。腰に差し込んで持ち運ぶ。 ノー⸢ン ヤラバン ヤー⸣ヌ ⸣シトゥ ⸢クシキ⸣パリバ [noː⸢ɲ jarabaɲ jaː⸣nu ⸣ʃi̥tu ⸢kuʃi̥ki⸣pariba] (何でもいいから家へのお土産<つと>を腰に携えて行け)。⸢ガッ⸣ケ[⸢gak⸣ke](鎌)やヤ⸢マンガラ⸣シ[ja⸢maŋgara⸣ʃi](山刀)、ヌ⸢キ⸣ル[nu⸢ki⸣ru](鋸)等の農耕用の刃物を腰に差す。 ク⸢シ⸣ナ ⸢ガッ⸣ケー ⸢クシキティ マー⸣ティ ⸢オール⸣ワ [ku̥⸢ʃi⸣na ⸢gak⸣keː ⸢kuʃi̥kiti maː⸣ti ⸢ʔoːru⸣wa] (腰に鎌を差して、何処へいらっしゃるのですか)。 ク⸢シ⸣ナ ⸢クスクンティ スンドゥ クシゥカランバン [ku̥⸢ʃi⸣na ⸢kusu̥kunti sundu kusi̥karambaŋ] (腰に差そうとするが、差されない)。 ⸢クスク⸣ クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kusu̥ku⸣ ku̥tun na⸢ra⸣nu] (腰に差すことも出来ない)。 ク⸢シ⸣ナ ⸢クシケー⸣ ミサムヌ [ku⸢ʃi⸣na ⸢kuʃi̥keː⸣ misamunu] (腰に差せば良いのに)。 ク⸢シ⸣ナ ⸢クシキ⸣バ [ku̥⸢ʃi⸣na ⸢kuʃi̥ki⸣ba] (腰に差せよ)。 ヤ⸢マンガラ⸣シ ⸢クスクン [ja⸢maŋgara⸣ʃi ⸢kusu̥kuŋ] (山刀を腰に差す)。 ⸢クシゥカヌ [⸢kusu̥kanu] (腰に差さない)。 ⸢クシキ⸣ミサン [⸢kuʃi̥ki⸣misaŋ] (腰に差してよい)。 ⸢クスク⸣ クトー [⸢kusu̥ku⸣ ku̥toː] (腰に差すことは)。 ⸢クシケー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kuʃi̥keː⸣ na⸢ra⸣nu] (腰に差してはならない)。 ⸢パー⸣ク ⸢クシキ [⸢paː⸣ku ⸢kuʃi̥ki] (早く腰に差せ) 5950 0 0 5639 htmvoc_5950.wav クズズー ⸣クズズー [⸣kuʣuʣuː] 名 去年中。昨年中。 シ⸢グトー⸣ ⸣クズズーナ トゥ⸢ズミ⸣ シケーンドゥ ⸢キンサ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ ウ⸢ワーランバン [ʃi⸢gutoː⸣ kuʣuʣuːna tu⸢ʣumi⸣ ʃi̥keːndu ⸢kinsa⸣nu ma⸢da⸣ ʔu⸢waːrambaŋ] (仕事は昨年中に完成させておいてあるが、検査がまだ終わらないよ) 5966 0 0 5640 htmvoc_5966.wav クスックレー ク⸢スッ⸣クレー [ku̥⸢suk⸣kureː] 感 くしゃみをする時に唱える\ruby{呪}{マジナイ}。くしゃみをすると、これを唱えて魔物を祓う。一説に「休息万命<くそくまんみょう>」、略して「休息命<くそくみょう>」とも。 ク⸢スッ⸣クレヒャー [ku̥⸢suk⸣kureçaː] (糞喰らえ野郎{EOS!})。ッ⸢スッ⸣ふァイ[s⸢suf⸣fai](糞食らえ{EOS}嫌だ)は相手を罵倒し、反抗する際に用いるものとは異なる 5967 0 0 5641 htmvoc_5967.wav グスミクン グ⸢スミ⸣クン [gu⸢sumi⸣kuŋ] 自動 痰が絡まって激しく咳き込む。喉がジェージェーと鳴るように激しく咳き込む。 ⸢ピーマキヌ⸣ ウ⸢ク⸣ルカー グ⸢スミ⸣クン [⸢piːmakinu⸣ ʔu⸢ku⸣rukaː gu⸢sumi⸣kuŋ] (喘息の発作が起こるとジェージェーと激しく咳き込む)。 ⸢ナン⸣ゾー グ⸢スミカ⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː gu⸢sumika⸣nu] (あまり咳き込まない)。 ⸣キサー グ⸢スミ⸣キティ イ⸢キザー⸣サタンドゥ マ⸢ナ⸣マー グ⸢スミ⸣ク⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ki̥saː gu⸢sumi⸣kiti ʔi⸢kiʣaː⸣satandu ma⸢na⸣maː gu⸢sumi⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (以前はジェージェーと激しく咳き込んで息苦しかったが、今は激しく咳き込むことはない) 5968 0 0 5642 htmvoc_5968.wav グスルピクン グ⸢スル⸣ ピ⸢クン [gu⸢suru⸣ pi̥⸢kuŋ] 連 痰が気管に詰まって呼吸のたびにゼイゼイと異常音が聞こえる。 ⸢ピーマキヌ⸣ ウ⸢ク⸣リティ ⸢ピーズ ジェージェー⸣シ グ⸢ス⸣ル ピ⸢キル オー⸣ル [⸢piːmakinu⸣ ʔu⸢ku⸣riti ⸢piːʣu ʤeːʤeː⸣ʃi gu⸢su⸣ru pi̥⸢kiru ʔoː⸣ru] (喘息を患って毎日ゼーゼーと痰が気管に詰まった異常音を出しておられる) 5951 0 0 5643 htmvoc_5951.wav グズルン グ⸢ズ⸣ルン [gu⸢ʣu⸣ruŋ] 他動 くすぐる(擽る)。腋の下を刺激してむずがゆい感じを起こさせる。「擽、己曾久留(こそくる)」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ⸢ワー⸣ グ⸢ズ⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン グ⸢ズ⸣ルン [⸢waː⸣ gu⸢ʣu⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ gu⸢ʣu⸣ruŋ] (君が\ruby{擽}{コソグ}ると私もくすぐるよ)。 ⸣バー グ⸢ズラ⸣ヌ [⸣baː gu⸢ʣura⸣nu] (私は擽らない)。 グ⸢ズリ⸣プサン [gu⸢ʣuri⸣ pusaŋ] (擽りたい)。 グ⸢ズ⸣レー ⸣ミサムヌ [gu⸢ʣu⸣reː ⸣misamunu] (擽ればよいのに)。 グ⸢ズ⸣リ [gu⸢ʣu⸣ri] (擽れ)。 グ⸢ズ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ グ⸢ズラサ⸣ヌ [gu⸢ʣu⸣runti ⸢sundu⸣ gu⸢ʣurasa⸣nu] (擽ろうとするが、擽らせない)。 グ⸢ズ⸣リ ⸣ミサカー グ⸢ズ⸣ル⸣クトー ⸣ナルン [gu⸢ʣu⸣ri ⸣misakaː gu⸢ʣu⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (擽って良ければ擽ることはできる)。 グ⸢ズ⸣リバ [gu⸢ʣu⸣riba] (擽れよ)。 グ⸢ズラン⸣ブリバ [gu⸢ʣuram⸣buriba] (くすぐるな<擽らずに居れよ>) 5970 0 0 5644 htmvoc_5970.wav グスローッティ グス⸢ローッティ [gusu⸢roːtti] 副 ごそっと。硬い物が一気に崩れてこすれるさま。 ⸢サン⸣ガラーラ ウ⸢ブイシ⸣ヌ グス⸢ローッティ クー⸣リ ⸢サンガリ⸣ キー⸢ベー [⸢saŋ⸣garaːra ʔu⸢buʔiʃi⸣nu gusu⸢roːtti kuː⸣ri ⸢saŋgari⸣ kiː⸢beː] (崖から大きな石がごそっと崩れ落ち、引きずられて来ているよ) 5971 0 0 5645 htmvoc_5971.wav クスン ク⸢スン [ku̥⸢suŋ] 他動 越す。引っ越す。移転する。 イ⸢サンケー⸣ ク⸢スンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ク⸢サラヌ [ʔi⸢saŋkeː⸣ ku̥⸢sunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ku̥⸢saranu] (石垣へ引っ越そうと思うが、今は引っ越されない)。 ク⸢シ⸣ ミサカー ⸣アツァナーン ク⸢ス⸣ クトー ⸣ナルン [ku̥⸢ʃi⸣ misakaː ⸣ʔaʦanaːŋ ku̥⸢su⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引っ越してよければ、明日にも引っ越すことはできる)。 ⸢パー⸣ク ク⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ku̥⸢ʃeː⸣ misamunu] (早く引っ越せばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ク⸢シ [jaː⸢diŋ⸣ ku̥⸢ʃi] (必ず引っ越せ) 5972 0 0 5646 htmvoc_5972.wav クスン ク⸢スン [ku̥⸢suŋ] 他動 こす(漉す)。 ⸢ミー⸣ソー ク⸢シティ⸣ バ⸢カシ⸣バ [⸢miː⸣soː ku̥⸢ʃiti⸣ ba⸢kaʃi⸣ba] (味噌は漉してから炊きなさい)。 ク⸢サラヌ [ku̥⸢saranu] (漉せない)。 ク⸢スンティ⸣ ウムーカー ク⸢シ⸣バ [ku̥⸢sunti⸣ ʔumuːkaː ku̥⸢ʃi⸣ba] (漉そうと思うなら漉しなさい)。 ヤー⸢ディン⸣ ク⸢ス⸣ クトゥ [jaː⸢diŋ⸣ ku̥⸢su⸣ ku̥tu] (必ず漉すことだ)。 ⸢パー⸣ク ク⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ku̥⸢ʃeː⸣ misamunu] (早く漉せばよいのに) 5952 0 0 5647 htmvoc_5952.wav グソー ⸣グソー [⸣gusoː] 名 後生。死後の世界。後の世。「後生」の転訛したもの。グ⸢ソーン⸣プス[gu⸢soːm⸣pu̥su](後生の人{EOS}死者{EOS}死出の旅)などという。 ⸢ソーラン⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣プスンケーヤ ⸢シンザ⸣バ ⸢アイ⸣ク ⸢シー⸣ グ⸢ソー⸣ヌ ⸣シトゥ カ⸢タ⸣ミ ⸢オー⸣ルツォー [⸢soːran⸣nu ʔu⸢ja⸣pu̥suŋkeːja ⸢ʃinʣa⸣ba ⸢ʔai⸣ku ⸢ʃiː⸣ gu⸢soː⸣nu ⸣ʃi̥tu kḁ⸢ta⸣mi ⸢ʔoː⸣ruʦoː] (お盆の祖霊たちは砂糖きびを担ぎ棒にして後生<あの世>への土産<つと>を担いで行かれるそうだ) 5953 0 0 5648 htmvoc_5953.wav グソーシタフ グ⸢ソーシタ⸣フ [gu⸢soːʃita⸣ɸu] 名 後生(あの世)へ行く支度。死者に着せる着物。しにしょうぞく(死装束)。 プ⸢スヌ マーラス⸣カー グ⸢ソーシタ⸣フ シ⸢モー⸣ルン [pu̥⸢sunu maːrasu⸣kaː gu⸢soːʃi̥ta⸣ɸu ʃi⸢moː⸣ruŋ] (人が亡くなると死装束を着せられる) 5954 0 0 5649 htmvoc_5954.wav グソータビ グ⸢ソー⸣タビ [gu⸢soː⸣tabi] 名 死出の旅。死ぬこと。亡くなる。 ⸢アー⸣ネヌ ⸣アブジェー ナ⸢ガヤン シー オーッタ⸣ヌ イ⸢サ⸣ヌ フ⸢チ⸣ルン シゥ⸢カヌ⸣ グ⸢ソー⸣タビ ⸢ソー⸣リ ⸢ナーン⸣ツォー [⸢ʔaː⸣nenu ⸣ʔabuʤeː na⸢gajaŋ ʃiː ʔoːtta⸣nu ʔi⸢sa⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣run su̥⸢kanu⸣ gu⸢soː⸣tabi ⸢soː⸣ri ⸢naːn⸣ʦoː] (東隣のお祖父さんは長患い<長病み>しておられたが、医者の薬も効かず<薬石効無く>死出の旅につかれた<亡くなられた>そうだ) 5955 0 0 5650 htmvoc_5955.wav グソーヌパナ グ⸢ソー⸣ヌ ⸣パナ [gu⸢soː⸣ nu⸣pana] 連 (植)ブッソウゲ(仏桑花)。ハイビスカス。戦前は多く墓地に植栽され、墓前に供えられる花であったのでそういう。屋敷内にはほとんど植栽されなかった。 グ⸢ソー⸣ヌパナー パ⸢カナー⸣ル イ⸢ボーッタ⸣ル [gu⸢soː⸣nu ⸣panaː pḁ⸢kanaː⸣ru ʔi⸢boːtta⸣ru] (ブッソウゲの花は墓地に<ぞ>植えられたものだよ) 5956 0 0 5651 htmvoc_5956.wav グソーヌプス グ⸢ソーヌ⸣プス [gu⸢soːnu⸣pu̥su] 名 後生の人。あの世の人。死者。マ⸢ジムヌ[ma⸢ʤimunu](マジモノ{EOS}魔物)は「死者が悪霊と化したもの」をさすのに対し、グ⸢ソーヌ⸣プスは、守護霊をさす場合が多く、先祖の霊に対して用いられる。 グ⸢ソーヌプス⸣ヌ ⸣シトゥ マ⸢チ オーシ [gu⸢soːnupu̥su⸣nu ⸣ʃi̥tu ma⸢ʧi ʔoːʃi] (祖霊のつと<苞>を供えて差し上げよ) 9581 0 0 5652 htmvoc_9581.wav グターッティ グターッ⸢ティ [gutaːt⸢ti] 副 ぐったり。ぐたっと。 ⸢マイイビ⸣ シ⸢マウター⸣ グターッ⸢ティ⸣ ブ⸢ガ⸣リティ シ⸢ビフチ⸣ ッ⸢サン⸣ケン ニ⸢ビナーン⸣シェン [⸢maiʔibi⸣ ʃi⸢mautaː⸣ gutaːt⸢ti⸣ bu⸢ga⸣riti ʃi⸢biɸu̥ʧi⸣ s⸢saŋ⸣ken ni⸢binaːŋ⸣ʃeŋ] (田植えが終わったのでぐったりと疲れて、前後が分からないほどに<前後不覚に>寝入ってしまった)。 ブ⸢ガ⸣リティ グターッ⸢ティ シー ベー [bu⸢ga⸣riti gutaːt⸢ti ʃiːbeː] (疲れてぐったりしている) 5974 0 0 5653 htmvoc_5974.wav グタイ ⸣グタイ [⸣gutai] 名 五体。身体を構成する五つの部分。転じて身体。頑健な体格。 グ⸢タイ⸣ヌ カナイ⸢ブンダ⸣ ノー⸢ンシェー⸣ル シ⸢グトゥン シース [gu⸢tai⸣nu kanai⸢bunda⸣ noː⸢ŋʃeː⸣ru ʃi⸢gutuŋ ʃiːsu] (身体が頑健だ<五体が叶っている>から如何なる仕事もできる<する>) 5975 0 0 5654 htmvoc_5975.wav グタイヌギルン ⸣グタイ ヌ⸢ギ⸣ルン [⸣gutai nu⸢gi⸣ruŋ] 連 ぐったり疲れる。全身の力が抜ける。体力が消耗する。疲労困憊する。 ⸢シーミラ⸣ン ヤ⸢マシグ⸣トゥ シ⸢ティ⸣ グタイ ヌ⸢ギ⸣ルンティ ⸢アーク⸣タ [⸢ʃiːmira⸣ŋ ja⸢maʃigu⸣tu ʃi̥⸢ti⸣ gutai nu⸢gi⸣ruti ⸢ʔaːku⸣ta] (したことの無い山仕事をして、やがて疲労困憊するところであった) 5976 0 0 5655 htmvoc_5976.wav クタイルン ク⸢タイ⸣ルン [ku̥⸢tai⸣ruŋ] 他動 答える。返事をする。ピントースンとも言う。 ⸢ワー トゥイスク⸣カー ⸣バー ク⸢タイ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ク⸢タイラ⸣ヌ [⸢waː tuisu̥ku⸣kaː ⸣baː ku̥⸢tai⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ku̥⸢taira⸣nu] (君が問い尋ねたら<問い聞いたら>、私は答えると思うが、今は答えない)。 ク⸢タイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (答えることはならない<出来ない>)。 ヤー⸢ディン⸣ ク⸢タイ⸣リ [jaː⸢diŋ⸣ ku̥⸢tai⸣ri] (必ず答えよ) 5977 0 0 5656 htmvoc_5977.wav クタイルン ク⸢タイ⸣ルン [ku̥⸢tai⸣ruŋ] 自動 身にしみる。骨身にしみる。体にこたえる。くたびれる。 ヤ⸢マシグトゥ⸣ヌ ⸢アウ⸣リナンゲー ⸣ドゥーナ ク⸢タイ⸣ルン [ja⸢maʃigutu⸣nu ⸢ʔau⸣rinaŋgeː ⸣duːna ku̥⸢tai⸣ruŋ] (山仕事の難儀苦労は身にしみる<胴体に応える>) 5979 0 0 5657 htmvoc_5979.wav クダキ ク⸢ダ⸣キ [ku⸢da⸣ki] 名 かけら。砕けた欠片。砕け米。クダ⸢ケー⸣マ[kuda⸢keː⸣ma](細かい欠片)ともいう。 ⸢マイヌ⸣ ク⸢ダ⸣ケー トゥ⸢ルン⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢mainu⸣ ku⸢da⸣keː tu⸢run⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (米の砕け<砕米>は鶏に食わせなさいよ) 5980 0 0 5658 htmvoc_5980.wav クダキムヌ ク⸢ダキ⸣ムヌ [ku⸢daki⸣munu] 名 破片。砕片。「砕け物」の義。 タ⸢マガラス⸣ヌ ク⸢ダキ⸣ムノー プ⸢スン⸣トンナ ⸢ポー⸣キ ア⸢ツァミ⸣リ [ta⸢magarasu⸣nu ku⸢daki⸣munoː pu̥⸢sun⸣tonna ⸢poː⸣ki ʔa⸢ʦami⸣ri] (ガラスの破片は一箇所に掃いて集めなさい<集めれ>) 5982 0 0 5659 htmvoc_5982.wav クダキルン ク⸢ダキ⸣ルン [ku⸢daki⸣ruŋ] 自動 砕ける。ス⸢クッチルン、⸢バッツァールンとも言う。 ⸣クビン ウ⸢タ⸣スカー バ⸢リ⸣ ク⸢ダキ⸣ルン⸢ダー [⸣kubiŋ ʔu⸢ta⸣su̥kaː ba⸢ri⸣ ku⸢daki⸣run⸢daː] (瓶を落とすと割れて砕けるよ)。 ウ⸢タサ⸣バン ク⸢ダキラ⸣ヌ [ʔu⸢tasa⸣baŋ ku⸢dakira⸣nu] (落としても砕けない)。 ク⸢ダキヤッ⸣サン [ku⸢dakijas⸣saŋ] (砕けやすい)。 ク⸢ダキ⸣ル ⸣ムノー [ku⸢daki⸣ru ⸣munoː] (砕けるものは)。 ク⸢ダキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢daki⸣reː ⸣misamunu] (砕ければよいのに)。 ク⸢ダキ⸣リ [ku⸢daki⸣ri] (砕けれ) 5983 1 0 5660 htmvoc_5983.wav クダクン ク⸢ダ⸣クン [ku⸢da⸣kuŋ] 自動 {PoS_1}砕ける。 タ⸢マガラ⸣ス ウ⸢タ⸣スカー ク⸢ダ⸣クン [ta⸢magara⸣su ʔu⸢ta⸣sukaː ku⸢da⸣kuŋ] (ガラスを落とすと砕ける)。 5983 2 0 5661 htmvoc_5983.wav クダクン ク⸢ダ⸣クン [ku⸢da⸣kuŋ] 他動 {PoS_2}砕く。ス⸢クッツァスンとも言う。 パ⸢ローマ⸣トゥ ⸣アミツァヌ ⸣シミ ⸢シッ⸣キ ク⸢ダ⸣キティル カ⸢ブ⸣ ス⸢クル⸣タ [pa⸢roːma⸣tu ⸣ʔamiʦanu ⸣ʃimi ⸢ʃik⸣ki ku⸢da⸣kitiru ka⸢bu⸣ su̥⸢kuru⸣ta] (ツノメガニとヤドカリの爪を搗いて砕いて撒き餌を作った)。 ク⸢ダカ⸣ヌ [ku⸢daka⸣nu] (砕かない)。 ク⸢ダ⸣クンティ ⸣ウムーカー ク⸢ダ⸣キバ [ku⸢da⸣kunti ⸣ʔumuːkaː ku⸢da⸣kiba] (砕こうと思うなら砕けよ)。 ク⸢ダ⸣ク⸣ムヌ [ku⸢da⸣ku ⸣munu] (砕くもの)。 ⸢パー⸣ク ク⸢ダ⸣ケー ミサムヌ [⸢paː⸣ku ku⸢da⸣keː ⸣misamunu] (早く砕けばよいのに) 5981 0 0 5662 htmvoc_5981.wav クダケーマ ク⸢ダケー⸣マ [ku⸢dakeː⸣ma] 名 小さな破片。細片。 タ⸢マガラス⸣ヌ ク⸢ダケー⸣マン ⸢ドゥーヤマシ⸣ムヌ ヤル⸢ンダ⸣ ヌ⸢カサン⸣ヨーニ ⸣トゥリ シ⸢ティリ⸣ヨー [ta⸢magarasu⸣nu ku⸢dakeː⸣man ⸢duːjamaʃi⸣munu ja⸢runda⸣ nu⸢kasaɲ⸣joːni ⸣turi ʃi̥⸢tiri⸣joː] (ガラスの細片も怪我のもと<胴病ましもの>だから残さぬように取り捨てよ)。 ッ⸢ふサタ⸣ヌ ク⸢ダケー⸣マ [f⸢fusata⸣nu ku⸢dakeː⸣ma] (黒砂糖の細片) 5984 0 0 5663 htmvoc_5984.wav クダシ ク⸢ダシ [ku⸢daʃi] 名 下痢。腹下し。「下し」の義。 ⸣ヌーナール ア⸢タルタ⸣ユー ク⸢ダシティ ウーカラ⸣ヌ [⸣nuːnaːru ʔa⸢taruta⸣juː ku⸢daʃiti ʔuːkara⸣nu] (何に当ったのか、下痢<腹下し>して動かれない<動けない>)。バ⸢タクダ⸣シ[ba⸢takuda⸣ʃi](腹下し)ともいう 5985 0 0 5664 htmvoc_5985.wav クダシフチル ク⸢ダシフチル [ku⸢daʃiɸu̥ʧiru] 名 下し薬。下剤。 シ⸢ビコーリ⸣プソー ク⸢ダシフチル⸣ ヌミバ [ʃi⸢bikoːri⸣pu̥soː ku⸢daʃiɸu̥ʧiru⸣ numiba] (便秘の人は下剤を飲みなさい) 5986 0 0 5665 htmvoc_5986.wav クダスン ク⸢ダスン [ku⸢dasuŋ] 自動 下痢する。下す。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢チ⸣ル ⸣ヌムカー ク⸢ダスン [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numukaː ku⸢dasuŋ] (この薬を飲むと下痢をする<下す>)。 ギュー⸢サ⸣ ヌ⸢マ⸣バン ク⸢ダサヌ [gjuː⸢sa⸣ nu⸢ma⸣baŋ ku⸢dasanu] (いくら飲んでも下痢しない)。 ク⸢ダシヤッ⸣サン [ku⸢daʃijas⸣saŋ] (下痢しやすい)。 ク⸢ダス⸣ クトー [ku⸢dasu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (下痢することはない)。 ク⸢ダシェー⸣ ミサムヌ [ku⸢daʃeː⸣ misamunu] (下痢すればよいのに)。 ク⸢ダシ⸣バ [ku⸢daʃi⸣ba] (下痢せよ) 5987 0 0 5666 htmvoc_5987.wav グダランケーリ グ⸢ダランケー⸣リ [gu⸢daraŋkeː⸣ri] 副 青々と。葉野菜などが青々と生い茂っているさま。瑞々しく。 ⸢ナーンパー⸣ヤ グ⸢ダランケー⸣リ ⸣ムイ サ⸢カリベー [⸢naːmpaː⸣ja gu⸢daraŋkeː⸣ri ⸣mui sa⸢karibeː] (菜っ葉は青々と生い茂っ<繁茂し>ている)。 ⸢ナーヌ⸣パーン グ⸢ダランケー⸣リ サ⸢カリティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マーン⸣ ギサン [⸢naːnu⸣paːŋ gu⸢daraŋkeː⸣ri sḁ⸢kariti⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maːŋ⸣ gisaŋ] (菜っ葉も青々と生い茂って非常においしそうだ) 5988 0 1 5667 htmvoc_5988.wav クダルン ク⸢ダ⸣ルン [ku⸢da⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}下る。「美豆保国乎 安麻久太利~<瑞穂の国を天下り>『万葉集 4094』」の義。⸣ウルン、ウ⸢リ⸣ルンとも言う。 ティ⸢ドゥ⸣クダキ ク⸢ダ⸣ルンティ ⸢スン⸣ケン [ti⸢du⸣kudaki ku⸢da⸣runti ⸢suŋ⸣keŋ] (ティドゥク岳を下ろうとすると)。 ク⸢ダ⸣リ ⸣クンケン [ku⸢da⸣ri ⸣kuŋkeŋ] (下ってくると)。 5988 0 2 5668 htmvoc_5988.wav クダルン ク⸢ダ⸣ルン [ku⸢da⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}北(沖縄本島)から南(八重山・鳩間島)へ「下る」。「安麻射加流 比奈爾久太理伎<天離る鄙に下り来>『万葉集 3962』」の義。/ヤイマシマ クダリヨーリヨー ウフイサナキ クダリヨーリヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ/(八重山島へ下って御出で下さい{EOS}大石垣へ下って御出でください{EOS}ハーリ、雨を降らせて下さい竜神さま)。/バガパトゥマ クダリヨーリヨー フナバマニ フナシキヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ/(鳩間島に下られて、船原浜に船着きなされ、ハーリ雨を降らせてください竜神さま)「アマングイ<雨乞い神歌>」『鳩間島古典民謡古謡集』 5989 0 0 5669 htmvoc_5989.wav クタンディ ク⸢タン⸣ディ [ku̥⸢tan⸣di] 名 疲れはて。疲れ果てること。疲労困憊。「くたびれ(草臥れ)」の義。「憔悴、クタハル」『類聚名義抄』の連用形から転成名詞化したもの。 ブ⸢ガ⸣リ クタンディヌ ⸢スーワ⸣ヌ ⸢パン⸣マーンツァン ⸢ウーカシユーサ⸣ヌ [bu⸢ga⸣ri ⸣ku̥tandinu ⸢suːwa⸣nu ⸢pam⸣maːnʦaŋ ⸢ʔuːkaʃijuːsa⸣nu] (疲れ草臥れが激しくて足をさえも動かし得ない) 5990 0 0 5670 htmvoc_5990.wav クタンディノーシ ク⸢タンディノー⸣シ [ku̥⸢tandinoː⸣ʃi] 名 疲れ直し。くたびれなおし。田植えや稲刈りなど重労働で疲れ果てた体を休めるために酒食をとること。 ウ⸢ブシグトゥン⸣ ウ⸢チナ⸣ソーレチバ ⸣ニカー ク⸢タンディノー⸣シ ⸢ソー⸣ラ⸢ナー [ʔu⸢buʃigutuŋ⸣ ʔu⸢ʧina⸣soːreːʧiba ⸣nikaː ku⸢tandinoː⸣ʃi ⸢soː⸣ra⸢naː] (大仕事も完了しましたから今夜は疲れなおし<草臥れなおし>をしましょうねえ) 5991 0 0 5671 htmvoc_5991.wav クタンディルン ク⸢タンディ⸣ルン [ku̥⸢tandi⸣ruŋ] 自動 疲れ果てる。くたびれる(草臥れる)。「憔悴、クタハル」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ター ⸢タンガ⸣シ ⸢カイ⸣スカー ター⸢ン ヤラバン⸣ ク⸢タンディ⸣ルンヨー [ʔu⸢bi⸣nu ⸣taː ⸢taŋga⸣ʃi ⸢kai⸣sukaː taː⸢ɲ jarabaŋ⸣ ku̥⸢tandi⸣ruɲjoː] (あれだけの田圃を一人で耕したら誰でも草臥れるよ)。 ク⸢タンディラ⸣ヌ [ku̥⸢tandira⸣nu] (草臥れない)。 ク⸢タン⸣ディ ⸢ナー⸣ヌ [ku̥⸢tan⸣di ⸢naː⸣nu] (草臥れてしまった)。 ク⸢タンディ⸣ル ⸣クトー [ku̥⸢tandi⸣ru ⸣ku̥toː] (草臥れることは)。 ク⸢タンディ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku̥⸢tandi⸣reː ⸣misamunu] (草臥ればよいのに)。 ク⸢タンディ⸣リ [ku̥⸢tandi⸣ri] (草臥れよ<くたびれれ>) 5992 0 0 5672 htmvoc_5992.wav クタンドゥン ク⸢タン⸣ドゥン [ku̥⸢tan⸣duŋ] 自動 疲れ果てる。くたびれる(草臥れる)。ク⸢タンディ⸣ルンとも言う。 ク⸢タン⸣ディティ ⸢ウーカラ⸣ヌ [ku̥⸢tan⸣diti ⸢ʔuːkara⸣nu] (草臥れて動けない)。 ⸣ウビシェー ク⸢タンダ⸣ヌ [⸣ʔubiʃeː ku⸢tanda⸣nu] (それだけでは草臥れない)。 ク⸢タン⸣ドゥンティル ウ⸢モー⸣リ [ku̥⸢tan⸣duntiru ʔu⸢moː⸣ri] (草臥れると<ぞ>思われる)。 ク⸢タン⸣ドゥ ⸣プソー [ku̥⸢tan⸣du pu̥soː] (草臥れるときは)。 ク⸢タン⸣デー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢tan⸣deː na⸢ra⸣nu] (草臥れてはいけない)。 ク⸢タン⸣ディバ [ku̥⸢tan⸣diba] (草臥れろ) 5993 0 0 5673 htmvoc_5993.wav グタンブー グ⸢タンブー [gu⸢tambuː] 名 五反帆の帆船。長さ七尋(約12.6m)、幅二尋二尺五寸(約4.35m)の船。 ム⸢カ⸣シェー グ⸢タンブー⸣ ル⸢クタンブー⸣ヌ ⸢プーシン⸣シル カ⸢ツシン ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː gu⸢tambuː⸣ ru⸢kutambuː⸣nu ⸢puːʃiŋ⸣ʃiru kḁ⸢ʦuʃin soːt⸣ta] (昔は五反帆、六反帆の帆船でカツオ釣漁<カツオ漁船>をされた) 5994 0 0 5674 htmvoc_5994.wav クチ ⸣クチ [⸣ku̥ʧi] 名 骨。死者の骨。 ⸣ウヤパープジヌ ク⸢チ⸣バ ア⸢ライクサイ⸣ シ⸢ティル⸣ クチカミナー ウ⸢サム⸣タ [⸣ʔujapaːpuʤinu ku⸢ʧi⸣ba ʔa⸢raikusai⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ku̥⸢ʧikaminaː ʔu⸢samu⸣ta] (掘り抜き墓に棺を入れて葬ってある先祖のお骨を洗骨葬に付してから<ぞ>骨壷に納めた) 5995 0 0 5675 htmvoc_5995.wav グチ ⸣グチ [⸣guʧi] 名 文句。小言。ぐち(愚痴)。不平不満。言っても仕方の無いことを言って嘆くこと。 プ⸢スカージヌ⸣ グチ ス⸢クン [pu̥⸢sukaːʤinu⸣ guʧi su̥⸢kuŋ] (皆の<人数の>文句を聞く)。 グ⸢チ⸣ フーン [gu⸢ʧi⸣ ɸuːŋ] (反抗する{EOS}不平不満をいう)。 ⸣グチ <⸢ガイ> ⸢スン [⸣guʧi <⸢gai> ⸢suŋ] (文句をいう{EOS}反抗する) 5997 0 0 5676 htmvoc_5997.wav クチカミ ⸣クチカミ [⸣ku̥ʧikami] 名 骨壷。洗骨葬をした後に骨を納める甕。「骨甕」の義。 パ⸢カヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナー ⸣クチカメー ナ⸢ラビラリ ブー [pḁ⸢kanu⸣ na⸢ka⸣naː ku̥ʧikameː na⸢rabirari buː] (墓の中に骨壷が並べられている)。 ア⸢ライクサイ⸣ シ⸢ティ⸣ クチェー ⸣クチカミナール ウ⸢サ⸣ミ ス⸢コーッ⸣タ [ʔa⸢raikusai⸣ ʃi̥⸢ti⸣ kuʧeː ⸣kuʧi̥kaminaːru ʔu⸢sa⸣mi su̥⸢koːt⸣ta] (洗骨をして、お骨は骨壷に<ぞ>納めておかれた) 5998 0 0 5677 htmvoc_5998.wav クチグヮー ク⸢チ⸣グヮー [ku̥⸢ʧi⸣gwaː] 名 (海底地名)。「小津口」の義。⸢ウーグ⸣チ[⸢ʔuːgu⸣ʧi](大津口)と⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː](クーシ干瀬)の間にある小さな干瀬の入り口。水深が浅いのでカツオ漁船は、平時は使用しない。大潮の満潮時に利用することがある 6001 0 0 5678 htmvoc_6001.wav クチサ ク⸢チ⸣サ [ku̥⸢ʧi⸣sa] 名 苦しさ。苦しみ。苦労。 ク⸢チ⸣サ ⸢スン [ku̥⸢ʧi⸣sa ⸢suŋ] (苦しむ)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ク⸢チ⸣サー マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ⸢バシキララヌ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ku̥⸢ʧi⸣saː ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tim ⸢baʃi̥kiraranu] (戦争時<戦世>の苦労は今だに<今においても>忘れられない)。 フ⸢ク⸣ビシ ⸣シムカー ク⸢チサ⸣ドゥ(ル)⸣アル [ɸu̥⸢ku⸣biʃi ⸣ʃimukaː ku̥⸢ʧisa⸣du(ru)⸣ʔaru] (帯で引き締めると苦しい<苦しくぞある>)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ア⸢ワ⸣リクチサー ア⸢タリ⸣ ミレール プ⸢ス⸣ ア⸢ラン⸣カー ッ⸢サン⸣パジ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔa⸢wa⸣rikuʧisaː ʔa⸢tari⸣ mireːru pu̥⸢su⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː s⸢sam⸣paʤi] (戦争中<戦世>の難儀苦労は経験した<当たってみた>人でなければ分からないはずだ) 6002 0 0 5679 htmvoc_6002.wav クチサスン ク⸢チ⸣サ ⸢スン [ku̥⸢ʧi⸣sa ⸢suŋ] 連 苦しむ。「苦しさ・する」の転訛したもの。 イ⸢クサ⸣ユーナ シ⸢ヌタ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥ ⸣ウムーカ ク⸢チ⸣サ ⸢スンダ⸣ パ⸢ナス⸣ナ [ʔi⸢kusa⸣juːna ʃi⸢nuta⸣ f⸢fanu⸣ ku̥tu ⸣ʔumuːka ku̥⸢ʧi⸣sa ⸢sunda⸣ pa⸢nasu⸣na] (戦争で死んだ子供のことを思うと苦しむから話すな) 6317 0 0 5680 htmvoc_6317.wav クチサン ク⸢チ⸣サン [ku̥⸢ʧi⸣saŋ] 形 苦しい。精神的にも肉体的に苦しいときにいう。 ア⸢ガティダン⸣ プ⸢サ⸣レーティヌ ⸢ターシグ⸣トー イッ⸢ケン⸣ ク⸢チ⸣サン⸢ダー [ʔa⸢gatidam⸣ pu̥⸢sa⸣reːtinu ⸢taːʃigu⸣toː ʔik⸢keŋ⸣ ku̥⸢ʧi⸣san⸢daː] (炎天下<真っ赤な太陽に乾されて>での田圃仕事は非常に苦しいよ)。 ⸢ナン⸣ゾー ク⸢チ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ku⸢ʧi⸣saː ⸢naː⸣nu] (それほど苦しくはない)。 ⸢シンダイ⸣ ク⸢チ⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ ku̥⸢ʧi⸣sa ⸣naruŋ] (次第に苦しくなる)。 ク⸢チ⸣サ ⸣クトー ク⸢チ⸣サン [ku̥⸢ʧi⸣sa ⸣ku̥toː ku̥⸢ʧi⸣saŋ] (苦しいことは苦しい)。[⸢maː⸣biŋ ku̥⸢ʧi⸣sakaː ⸣misamunu](もっと苦しければよいのに)。 ⸣イキ シ⸢マ⸣リティ ク⸢チサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔiki ʃi⸢ma⸣riti ku̥⸢ʧisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (息が詰まって苦しくてたまらない)。 イッ⸢ケナ⸣ ク⸢チ⸣サンギサン [ʔik⸢kena⸣ ku̥⸢ʧi⸣saŋgisaŋ] (非常に苦しそうだ)。 ク⸢チ⸣サ ⸣クトー ⸢バシキリ [ku̥⸢ʧi⸣sa ⸣ku̥toː ⸢baʃi̥kiri] (苦しいことは忘れなさい)。 ⸣アイニ ク⸢チ⸣サカー ⸢サンブリ⸣バ [⸣ʔaini ku̥⸢ʧi⸣sakaː ⸢samburi⸣ba] (あんなに苦しければするなよ<しないでおれ>) 5996 0 0 5681 htmvoc_5996.wav グチスン ⸣グチ ⸢スン [⸣guʧi ⸢suŋ] 連 文句をいう。苦情を言う。不平不満をいって反抗する。強情になる。 パ⸢タラケー⸣ サ⸢ムティ⸣ グチカー⸢ニ スー [pḁ⸢tarakeː⸣ sa⸢muti⸣ guʧikaː⸢ni suː] (働きはしないで不平不満ばかり言って反抗する) 6007 0 0 5682 htmvoc_6007.wav クチタルン ⸣クチタルン [⸣ku̥ʧitaruŋ] 自動 朽ちる。朽ち溶ける。 パ⸢カヌ⸣ ナ⸢カヌ⸣ ム⸢カ⸣シプスヌ ⸣プネー ⸣クチタリ ⸢ナー⸣ヌ [pḁ⸢kanu⸣ na⸢kanu⸣ mu⸢ka⸣ʃipu̥sunu ⸣puneː ⸣ku̥ʧitari ⸢naː⸣nu] (墓の中の昔人の骨は朽ち溶けてしまった)。 サ⸢リキーヤ⸣ ア⸢ミ⸣カジナー ⸣クチタリ ⸢ナー⸣ヌ [sa⸢rikiːja⸣ ʔa⸢mi⸣kaʤinaː ⸣ku̥ʧitari ⸢naː⸣nu] (枯れ木は風雨で<によって>朽ち溶けてしまった) 6004 0 0 5683 htmvoc_6004.wav クチプサイ ⸣クチプサイ [⸣ku̥ʧi pu̥⸢sai] 名 骨を拾うこと。骨拾い。洗骨した骨を拾って骨壺に納めること。 シ⸢チニン⸣キ ⸢スー⸣カー ア⸢ライクサイ シー⸣ クチプサイ ⸢シーティル⸣ クチカミナ ウ⸢サ⸣モーッタ [ʃi̥⸢ʧiniŋ⸣ki ⸢suː⸣kaː ʔa⸢raikusai ʃiː⸣ ku̥ʧipu̥sai ⸢ʃiːtiru⸣ ku̥ʧikamina ʔu⸢sa⸣moːtta] (七年忌をしたら洗骨をし、骨拾いをして骨壷に納められた) 6009 0 0 5684 htmvoc_6009.wav クチプニ ⸣クチプニ [⸣ku̥ʧipuni] 名 遺骨。死者の骨。「こつほね」の義。 ム⸢カ⸣シプスヌ ⸣クチプネー ア⸢ライクサイ⸣ シ⸢ティル⸣ マ⸢タカザミ ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥sunu ⸣kuʧi̥puneː ʔa⸢raikusai⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ma⸢takaʣami soːt⸣ta] (死者の遺骨は洗骨してから改葬された) 6005 0 0 5685 htmvoc_6005.wav グチホー グ⸢チ⸣ホー [gu⸢ʧi⸣hoː] 名 無鉄砲な者。むやみやたらにする人。強引な人。粗野な人。 ウ⸢レー サッ⸣コー グ⸢チ⸣ホー [ʔu⸢reː sak⸣koː gu⸢ʧi⸣hoː] (あいつは非常に無鉄砲な奴だ)。 ⸢ウンザー⸣ グ⸢チホー⸣ムヌ [⸢ʔunʣaː⸣ gu⸢ʧihoː⸣munu] (あいつは無鉄砲者だ) 6006 0 0 5686 htmvoc_6006.wav グチホーニ グ⸢チ⸣ホーニ [gu⸢ʧi⸣hoːni] 副 無鉄砲に。力任せに。むやみに。強引に。無礼に。 ウ⸢ヤン⸣ナーニ グ⸢チ⸣ホーニ ⸣ムネー イ⸢ズナ [ʔu⸢jan⸣naːni gu⸢ʧi⸣hoːni ⸣muneː ʔi⸢ʣuna] (親に対して無礼にものを言うな<無礼な物言いをするな>)。 ⸣アイニ グ⸢チ⸣ホーニ ピ⸢キスクナ [⸣ʔaini gu⸢ʧi⸣hoːni pi̥⸢kisu̥kuna] (あんなに無鉄砲に引張るな) 6011 0 0 5687 htmvoc_6011.wav クチャ ⸣クチャ [⸣ku̥ʧa] 名 土壌の名。腐植土。 ク⸢チャ⸣ヌ ⸣ジーナーヤ ⸢ウン⸣マー ス⸢クリヤッ⸣サタン [ku̥⸢ʧa⸣nu ⸣ʤiːnaːja ⸢ʔum⸣maː su̥⸢kurijas⸣sataŋ] (クチャ土壌にはサツマイモは栽培し<作り>やすかった) 6008 0 0 5688 htmvoc_6008.wav クチラクン ク⸢チラクン [ku̥⸢ʧirakuŋ] 自動 打開する。切り開く。斡旋する。助言する。口添えする。世話する。「口開く」の転訛か。 シ⸢グトゥヌ⸣ ク⸢チラキ スンティ⸣ イ⸢サナケー パッ⸣タ [ʃi⸢gutunu⸣ ku̥⸢ʧiraki sunti⸣ ʔi⸢sanakeː pat⸣ta] (仕事を探しに<斡旋してもらいに>石垣島へ行った)。 ⸣アイブ シ⸢グトー⸣ ク⸢チラカラヌ [⸣ʔaibu ʃi⸢gutoː⸣ ku̥⸢ʧirakaranu] (あんな仕事は斡旋できない)。 シ⸢グトゥ⸣ ク⸢チラクンティ⸣ ヤ⸢ク⸣バー ⸢パッ⸣タ [ʃi⸢gutu⸣ ku̥⸢ʧirakunti⸣ ja⸢ku⸣baː ⸢pat⸣ta] (仕事を斡旋してもらいに役場へ行った)。 ク⸢チラカスン [ku̥⸢ʧirakasuŋ] (斡旋させる)。 ク⸢チラク⸣ クトー ⸣ナルン [ku̥⸢ʧiraku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (斡旋することはできる)。 ク⸢チラケー⸣ ミサムヌ [ku̥⸢ʧirakeː⸣ misamunu] (斡旋すればいいのに)。 シ⸢グトゥ⸣ ク⸢チラキ [ʃi⸢gutu⸣ ku̥⸢ʧiraki] (仕事を斡旋しろ) 6029 0 0 5689 htmvoc_6029.wav クチルン ク⸢チ⸣ルン [ku̥⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 朽ちる。物が腐食して壊れる。⸢Cuchi,tçuru,itaクチ,ツル,チタ(朽ち,つる,ちちた)腐る.多くの場合樹木,竹,材木に関して言う.」『邦訳日葡辞書』の転訛か。 ア⸢ナ⸣プリヤーヌ パ⸢ラー⸣ヌ ク⸢チ⸣ルンケン ッ⸢サール⸣ヌ ⸣シディ ⸢ベー⸣タ [ʔa⸢na⸣purijaːnu pa⸢raː⸣nu ku̥⸢ʧi⸣ruŋken s⸢saːru⸣nu ⸣ʃidi ⸢beː⸣ta] (掘建て小屋の柱が朽ちるほど白蟻が発生<孵化して>いた)。 ⸢スー⸣カン ⸢スー⸣カー パ⸢ラー⸣ヤ ク⸢チラ⸣ヌ [⸢suː⸣kan ⸢suː⸣kaː pa⸢raː⸣ja ku̥⸢ʧira⸣nu] (海水に材木を長期間浸けて<潮乾>すると柱は朽ちないよ)。 ク⸢チヤッ⸣サン [ku̥⸢ʧijas⸣saŋ] (朽ち易い)。 ク⸢チ⸣ルクトー ⸢ナー⸣ヌ [ku̥⸢ʧi⸣ruku̥toː ⸢naː⸣nu] (朽ちることはない)。 ムー⸢ル⸣ ク⸢チ⸣レー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru⸣ ku̥⸢ʧi⸣reː ⸣misamunu] (全部朽ちればよいのに)。 ク⸢チ⸣リ [ku̥⸢ʧi⸣ri] (朽ちろ) 6014 0 0 5690 htmvoc_6014.wav クツァスン ク⸢ツァ⸣スン [ku̥⸢ʦa⸣suŋ] 他動 腐らせる。くたす(腐す)。腐敗させる。木の葉や茅、ススキなどを積んで腐らせ、堆肥を作る。 ⸢キーヌ⸣パーン ⸣ガヤーン ク⸢ツァ⸣シティル シ⸢キゴイヤ⸣ ス⸢ク⸣ル [⸢kiːnu⸣paːŋ ⸣gajaːŋ ku̥⸢ʦa⸣ʃi̥tiru ʃi̥⸢kigoijaː⸣ su̥⸢ku⸣ru] (木の葉も茅も腐して堆肥は作るのだ) 6012 0 0 5691 htmvoc_6012.wav グツァバ グ⸢ツァ⸣バ [gu⸢ʦa⸣ba] 名 皮膚病の名。たむし<田虫。頑癬>。白癬菌の寄生によって生じる皮膚病。老年層は、ウ⸢ルプトゥ⸣キ[ʔu⸢ruputu⸣ki](たむし)ともいう。 グ⸢ツァ⸣バ ン⸢ジプス⸣ヌ ⸣キン ⸢サウル⸣カー グ⸢ツァ⸣バ ウ⸢チ⸣ルンティ ア⸢ザリ ブタ [gu⸢ʦa⸣ba ʔn⸢ʤipusu⸣nu ⸣kin ⸢sauru⸣kaː gu⸢ʦa⸣ba ʔu⸢ʧi⸣runti ʔa⸢ʣari buta] (田虫に罹患した人の着物に触ると田虫に感染する<移る>と言われていた)。皮膚病の一種。 ⸣ティーナ グ⸢ツァバ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸢ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣tiːna gu⸢ʦaba⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸢biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (手にタムシが出て痒くてたまらない) 6013 0 0 5692 htmvoc_6013.wav グッカン グッ⸢カン [guk⸢kaŋ] 名 極寒。非常に寒いこと。 グッ⸢カンヌ⸣ ピ⸢ラ⸣クサーリ ⸢マイイビ スンティ シー⸣ ク⸢バ⸣リ シ⸢ヌンティ アーク⸣タ ⸢ドー⸣スカーヤ [guk⸢kannu⸣ pi⸢ra⸣kusaːri ⸢maiibi sunti ʃiː⸣ ku⸢ba⸣ri ʃi⸢nunti ʔaːku⸣ta ⸢doːsu⸣kaːja] (極寒の寒さの中で田植えをしようとして、すんでのところで凍え死にするところだったんだってばよ) 6017 0 0 5693 htmvoc_6017.wav クッチルン ⸢クッチルン [⸢kutʧiruŋ] 自動 崩壊する。ばらばらに崩れる。⸣クツンとも言う。 ⸢ネーサバン クッチラヌ [⸢neːsabaŋ kutʧiranu] (煮ても煮崩れしない<崩れない>)。 ⸢ネーシター クッチナー⸣ヌ [⸢neːʃitaː kutʧinaː⸣nu] (煮たら崩れてしまった)。 ⸢ネース⸣カー ⸢クッチルン [⸢neːsu⸣kaː ⸢kutʧiruŋ] (煮たら荷崩れする<崩れる>)。 ⸢クッチル⸣ バソー [⸢kutʧiru⸣ basoː] (崩れる時は)。 ⸢クッチレー⸣ ミサムヌ [⸢kutʧireː⸣ misamunu] (崩れたらいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢クッチリ [⸢paː⸣ku ⸢kutʧiri] (早く崩れろ) 6023 0 0 5694 htmvoc_6023.wav クッツァー ⸢クッ⸣ツァー [⸢kut⸣ʦaː] 代 これら。指示代名詞ク⸢リ[ku⸢ri](これ)の複数形。ク⸢リ⸣ター[ku⸢ri⸣taː]の転訛。 ⸢クッ⸣ツァー パ⸢ラ⸣シテーラ ⸢ベーヤ⸣ マー⸢ズン⸣ ン⸢コー⸣ラ⸢ナー [⸢kut⸣ʦaː pa⸢ra⸣ʃi̥teːra ⸢beːja⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ŋ⸢koː⸣ra⸢naː] (この人たちを出発させ<行かせ>てから、私たちは一緒にたべ<召しあがり>ましょうよねえ)。 ⸢クッ⸣ツァー ⸢カーサランバ⸣ ムティパリバ [⸢kut⸣ʦaː ⸢kaːsaramba⸣ mutipariba] (これらは売れないから、持って帰れよ)。 ⸢クッ⸣ツァー グ⸢マー⸣ンダ ⸢カーサラヌ [⸢kut⸣ʦaː gu⸢maː⸣nda ⸢kaːsaranu] (これらは小さいから売れない)。 ⸢クッツァー⸣ル ⸢シェー⸣ル ⸢カッ⸣ツァー ⸣アイブ ⸣クトー ⸢サヌ [⸢kutʦaː⸣ru ⸢ʃeː⸣ru ⸢kat⸣ʦaː ⸣ʔaibu ⸣ku̥toː ⸢sanu] (この人達<これら>がしたのであって、彼等はあんな事はしない)。 ⸢クッ⸣ツァー グ⸢マー⸣ンダ ⸢カーサラヌ [⸢kut⸣ʦaː gu⸢maː⸣nda ⸢kaːsaranu] (これらは小さいから売れない) 6024 0 0 5695 htmvoc_6024.wav クッツァースン ⸢クッツァー⸣スン [⸢kutʦaː⸣suŋ] 他動 ばらばらに崩す。ばらばらに破壊する。めちゃくちゃにする。 ⸣アガヤー ⸢アッ⸣タルムン<⸢アッ⸣タルムヌ>バ ⸢クッツァーシ ナー⸣ヌ [⸣ʔagajaː ⸢ʔat⸣tarumum<⸢ʔat⸣tarumunu>ba ⸢kutʦaːʃi naː⸣nu] (ああ残念{EOS!}もったいないものを、ばらばらに崩してしまったよ)。 ⸣アイニ ⸢クッツァーサンブリ⸣バ [⸣ʔaini ⸢kutʦaːsamburi⸣ba] (あんなにばらばらに破壊するなよ)。 ⸢クッツァースンティ⸣ ウムーカー ⸢クッツァーシ⸣バ [⸢kutʦaːsunti⸣ ʔumuːkaː ⸢kutʦaːʃi⸣ba] (めちゃくちゃに壊そうと思うなら壊しなさい)。 ⸢クッツァース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kutʦaːsu⸣ kutoː na⸢ra⸣nu] (ばらばらに壊すことはいけない)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸢クッツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸢kutʦaːʃeː⸣ misamunu] (あんな物は早くばらばらに崩せばよいのに) 6018 0 0 5696 htmvoc_6018.wav クッツン ⸢クッツン [⸢kutʦuŋ] 自動 崩壊する。ばらばらに崩れる。「くづる<下二段活用>。勢多の橋みなくづれて」『更級日記』の転訛か。⸢クッツンとも言う。 ミ⸢ジウー⸣ケー ⸣ティダナ ⸣プシ サ⸢ラス⸣カー ⸢クッツン⸠ダー [mi⸢ʤiʔuː⸣keː ⸣tidana ⸣pu̥ʃi sa⸢rasu⸣kaː ⸢kutʦun⸠daː] (水桶は太陽に干して晒すとばらばらに崩れるよ)。 ⸢クッツァヌ [⸢kutʦanu] (崩れない)。 ⸢クッチヤッ⸣サン [⸢kutʧijas⸣saŋ] (崩れやすい)。 ⸢クッツ⸣ ピン [⸢kutʦu⸣ piŋ] (崩れるとき)。 ⸢クッツェー⸣ ミサムヌ [⸢kutʧeː⸣ misamunu] (崩ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢クッチ [⸢paː⸣ku ⸢kutʧi] (早く崩れろ) 6026 0 0 5697 htmvoc_6026.wav グッふァグッふァシ グッ⸢ふァグッふァ⸣シ [guf⸢faguffa⸣ʃi] 副 重そうに。 ヤ⸢ラ⸣ベー プ⸢スカタミ⸣ヌ ミ⸢ジバ⸣ グッ⸢ふァグッふァ⸣シ カ⸢タ⸣ミ ⸢パッ⸣タヤー [ja⸢ra⸣beː pu̥⸢sukatami⸣nu mi⸢ʤiba⸣ guf⸢faguffa⸣ʃi kḁ⸢ta⸣mi ⸢pat⸣tajaː] (子供は、一荷の水<天秤棒の両端に水を満たした水桶をかけたもの>を重そうに担いで行ったよ) 6025 0 0 5698 htmvoc_6025.wav グッふァン ⸢グッ⸣ふァン [⸢guf⸣faŋ] 形 重い。 ク⸢レー⸣ イッ⸢ケン グッ⸣ふァン [ku⸢reː⸣ ʔik⸢keŋ guf⸣faŋ] (これは非常に重い)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢グッ⸣ふァー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢gu⸣ffaː ⸢naː⸣nu] (あまり重くない)。 ⸢シンダイ グッ⸣ふァー ⸣ナルン [⸢ʃindai guf⸣faː ⸣naruŋ] (次第に重くなる)。 ⸢グッふァ⸣ヌ カ⸢タマラ⸣ヌ [⸢guffa⸣nu kḁ⸢tamara⸣nu] (重くて担がれない)。 ⸢グッ⸣ふァー ⸣ムノー カ⸢タム⸣ナ [⸢guf⸣faː ⸣munoː kḁ⸢tamu⸣na] (重いのは担ぐな)。 ⸢グッ⸣ふァーカー シ⸢トゥバン⸣ ミサン [⸢guf⸣faːkaː ʃi̥⸢tubam⸣ misaŋ] (重かったら捨てても良い) 6027 0 0 5699 htmvoc_6027.wav グッふァンギサン ⸢グッ⸣ふァンギサン [⸢guf⸣faŋgisaŋ] 連 重そうだ。 ⸣ミルカー  ⸢グッ⸣ふァンギサンダ ⸣バー カ⸢タマ⸣ヌ [⸣mirukaː ⸢guf⸣faŋgisanda ⸣baː kḁ⸢tama⸣nu] (見ると重そうだから、私は担がない) 6030 0 0 5700 htmvoc_6030.wav クツン ⸣クツン [⸣ku̥ʦuŋ] 自動 朽ちる。「くつ<上ニ段活用>」の四段活用化したもの。「獨寝等 薦朽目八方<独り寝<ぬ>と薦朽ちめやも>『万葉集 2538』」の義。 ク⸢ツァ⸣ヌ [ku̥⸢ʦa⸣nu] (朽ちない)。 クチ⸢ナー⸣ヌ [ku̥ʧi⸢naː⸣nu] (朽ちてしまった)。 ⸣ジーナ ウ⸢ズミ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸣クツン [⸣ʤiːnaː ʔu⸢ʣumi⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣ku̥ʦuŋ] (地中に埋めておくと朽ちる)。 ⸣クツクトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ku̥ʦu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (朽ちることはない)。 ⸢パー⸣ク ⸣クチェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ku̥ʧeː ⸣misamunu] (早く朽ちればよいのに)。 ⸣クチバ [⸣ku̥ʧiba] (朽ちよ) 6031 0 0 5701 htmvoc_6031.wav クティ ⸣クティ [⸣ku̥ti] 名 異なること。別。別物。別個。 ⸣ウヤー ⸣クティ ッ⸢ふァー⸣ クティ ナ⸢シ⸣ル <⸣ナシティル> ⸢スータイ⸣ヤー ⸣ムティ ⸢オー⸣ル [⸣ʔujaː ⸣ku̥ti f⸢faː⸣ ku̥ti na⸢ʃi⸣ru <⸣naʃitiru> ⸢suːtai⸣jaː ⸣muti ⸢ʔoː⸣ru] (親は別、子供は別にして所帯を持っておられる) 6034 0 0 5702 htmvoc_6034.wav クティナスン ⸣クティ ⸣ナスン [⸣ku̥ti ⸣nasuŋ] 連 別にする。別物にする。「異(こと)になす」の転訛したもの。 ウ⸢リトゥ⸣ ク⸢リトー⸣ マ⸢ザーサン⸣ドーシ ⸣クティ ⸣ナシ シ⸢キ⸣リ <⸣シキ> [ʔu⸢ritu⸣ ku⸢ritoː⸣ ma⸢ʣaːsan⸣doːʃi ⸣ku̥ti ⸣naʃi ʃi̥⸢ki⸣ri <⸣ʃiki>] (それとこれとは混ぜないで別にしておきなさい) 6035 0 0 5703 htmvoc_6035.wav クティナビ ク⸢ティ⸣ナビ [ku̥⸢ti⸣nabi] 名 別鍋。病人食や特別な他人を接待するために食事を作ること。特別炊飯。「ことなべ<異鍋>」の義。 ⸣アッパーモー ク⸢ティ⸣ナビ シ⸢キティル カイバ⸣ タ⸢キティ オーシタル [⸣ʔappaːmoː ku̥⸢ti⸣nabi ʃi̥⸢kitiru kaiba⸣ tḁ⸢kiti ʔoːʃi̥taru] (お祖母さんのは別鍋を用意して<据えて>、お粥を炊いて差し上げたものよ) 6036 0 0 5704 htmvoc_6036.wav クティバタ ク⸢ティ⸣バタ [ku̥⸢ti⸣bata] 名 腹違い。異腹。「ことはら」の義。 ク⸢ティバタ⸣ヌ <ハ⸢ラチガイ⸣ヌ> ⸢キョーダイ⸣ヤー ⸢ゴー⸣ラー ⸢グンボーッ⸣ふァ ⸢ヤッタ⸣ナー [ku̥⸢tibata⸣nu ⸢kjoːdai⸣jaː ⸢goː⸣raː ⸢gumboːf⸣fa ⸢jatta⸣naː] (腹違いの兄弟は多くは士族と平民の混血児だったねえ) 6033 0 0 5705 htmvoc_6033.wav クティムニ ク⸢ティ⸣ムニ [ku̥⸢ti⸣muni] 名 別の言葉。二枚舌。 ク⸢ティ⸣プス [ku̥⸢ti⸣pu̥su] (別人{EOS}別の人) 6037 0 0 5706 htmvoc_6037.wav クティムニユクムニ ク⸢ティ⸣ムニ ⸣ユクムニ [ku̥⸢ti⸣muni ⸣jukumuni] 連 事実と異なる言葉。別の言葉。うそ(虚言)。 ⸢フントー⸣ヌ ⸣クトー ア⸢ザムティ⸣ ク⸢ティ⸣ムニ ⸣ユクムニバ ア⸢ジ アー⸣ク [⸢ɸuntoː⸣nu ⸣ku̥toː ʔa⸢ʣamuti⸣ ku̥⸢ti⸣muni ⸣jukumuniba ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (本当のことを言わないで、事実と異なること<嘘>を言っている) 6038 0 0 5707 htmvoc_6038.wav クティムヌ ク⸢ティ⸣ムヌ [ku̥⸢ti⸣munu] 名 別物。 ユ⸢ヌ⸣ シ⸢ナ⸣ムヌ ⸢チュー⸣ムン シ⸢タヌ⸣ ク⸢ティムヌ⸣バ <ク⸢トゥムヌ⸣バ> ウ⸢クリ⸣ ケーバン [ju⸢nu⸣ ʃi⸢na⸣munu ⸢ʧuː⸣muŋ ʃi̥⸢tanu⸣ ku̥⸢timunu⸣ba ʔu⸢kuri⸣ keːbaŋ] (同じ品物を注文したが、別物を送ってきてあるよ) 6041 0 0 5708 htmvoc_6041.wav クディン ⸣クディン [⸣kudiŋ] 名 要領。こつ<骨>。かんどころ。秘訣。「くでん<口伝>」のように、意味派生したものか。 ノー⸢ン⸣ サ⸢バン⸣ ク⸢ディン⸣ヌ ア⸢リ⸣ル ⸣ムノー ⸢スー [noː⸢n sabaŋ⸣ ku⸢din⸣nu ʔa⸢ri⸣ru ⸣munoː ⸢suː⸣] (何事をするにしても要領<口伝>があって、<それに従って>物事はするものだ) 6039 0 0 5709 htmvoc_6039.wav クティンクティン ⸣クティンクティン [⸣kutiŋkutiŋ] 名 別々。 ⸢サンミン⸣マー ⸢ブックマンドー⸣シ ⸣クティンクティン ⸣ナシ シ⸢キ⸣リ [⸢sammim⸣maː ⸢bukkumandoː⸣ʃi ⸣ku̥tiŋku̥tin ⸣naʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (計算は合算しないで、別々にしておきなさい) 6042 0 0 5710 htmvoc_6042.wav クディントゥルン ⸣クディン ⸣トゥルン [⸣kudin ⸣turuŋ] 連 機嫌を取る。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ クディン ⸣トゥルンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ クディン トゥ⸢ララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ kudin ⸣turunti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ kudin tu⸢rara⸣nu] (この子は、機嫌を取ろうとするが、一向に機嫌が取れない) 6043 0 1 5711 htmvoc_6043.wav クトゥ ⸣クトゥ [⸣ku̥tu] 名 {Mn_1}事。ことがら。様子。⸢イークトゥ[⸢ʔiːkutu](良いこと)、ヤ⸢ナクトゥ[ja⸢nakutu](悪いこと)のように形容詞の語幹について名詞をつくる。 ⸢ヨイグ⸣トー マギー⸢マギー⸣シ [⸢joigu⸣toː magiː⸢magiː⸣ʃi] (祝い事は大きく)。 ク⸢トゥ⸣ヌ イ⸢サイユ⸣ ク⸢マークマー⸣ パ⸢ナ⸣シ ッ⸢サリリ [ku̥⸢tu⸣nu ʔi⸢saiju⸣ ku⸢maːkumaː⸣ pa⸢na⸣ʃi s⸢sariri] (事件の詳細な事情を細かく申し上げなさい)。 ク⸢トゥ⸣ヌ ユ⸢タ⸣サ ビ⸢ナ⸣サー ⸢シーミラバ⸣ル ワ⸢カ⸣ル [ku̥⸢tu⸣nu ju⸢ta⸣sa bi⸢na⸣saː ⸢ʃiːmiraba⸣ru wa⸢ka⸣ru] (ことの良し悪しは、してみないと分らない<してみたらばぞ分る>)。 6043 0 2 5712 htmvoc_6043.wav クトゥ ⸣クトゥ [⸣ku̥tu] 名 {Mn_2}事件。異変。異様なことがら。 ウ⸢キ⸣ナーナ ク⸢トゥ⸣ヌ ウ⸢ク⸣リ ブ⸢リン⸣ギサ⸢サー [ʔu⸢ki⸣naːna ku̥⸢tu⸣nu ʔu⸢ku⸣ri bu⸢riŋ⸣gisa⸢saː] (沖縄では事変が起きているようだ<らしい>よ) 6044 0 0 5713 htmvoc_6044.wav クトゥ ⸣クトゥ [⸣ku̥tu] 名 琴。 ⸢クン⸣ネーナーヤ ⸣クトゥン ⸢サンシンヌン アッ⸣タン [⸢kun⸣neːnaːja ku̥tun ⸢saŋʃinnuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (この家には琴も三味線<を>もあった)。 ⸣クトゥ ピ⸢キシェー⸣ン [⸣ku̥tu pi̥⸢kiʃeː⸣ŋ] (琴を弾くことができる) 6045 0 0 5714 htmvoc_6045.wav クトゥ ⸣クトゥ [⸣ku̥tu] 接助 ~したところで~ない。~しても~ない。活用語の過去形に下接して未来の動作、作用を逆態接続的に表す。後続の文や句が先行する文や句の予想や推論と異なる接続表現。 ウ⸢リヌ パッ⸣タクトゥ ⸢ターシタガーヤ [ʔu⸢rinu pat⸣taku̥tu ⸢taːʃitagaːja] (その人が行ったところで、だれが知ったことか) 6046 0 0 5715 htmvoc_6046.wav クトゥ ク⸢トゥ [ku̥⸢tu] 接頭 別の。他の。「こと(異)」の義。 ク⸢トゥ⸣ムヌ [ku̥⸢tu⸣munu] (別物)。 ク⸢トゥ⸣ムヌ⸣ユクムヌ [ku̥⸢tu⸣munu ⸣jukumunu] (別物)。 ク⸢トゥ⸣ムニ [ku̥⸢tu⸣muni] (別の言葉{EOS}嘘言)。 ク⸢トゥ⸣ムヌ ⸣ユクムノー カ⸢クサラ⸣バン ク⸢レー⸣ カ⸢クサラ⸣ヌ [ku̥⸢tu⸣munu ⸣jukumunoː kḁ⸢kusara⸣baŋ ku⸢reː⸣ kḁ⸢kusa⸣ranu] (別のことは隠せても、これは隠せない)。 ⸢バー⸣ネー ⸣カイ ア⸢ジティ⸣ プ⸢ス⸣ネー ク⸢トゥムニ⸣バ イ⸢ジアー⸣ク [⸢baː⸣neː ⸣kai ʔa⸢ʤiti⸣ pu̥⸢su⸣neː ku̥⸢tumuni⸣ba ʔi⸢ʤiʔaː⸣ku] (私にはこう言って、他人には別の言葉<虚言>を言っている<言って歩く>) 6048 0 0 5716 htmvoc_6048.wav グトゥ ⸢グ⸣トゥ [⸢gu⸣tu] 接尾 ~たびに。~毎に。動詞の終止形に付いて、「その度に~」の意味を表す。 ⸢ウン⸣ネー パルン⸢グトゥ ヤー⸣ナ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔun⸣neː paruŋ⸢gutu jaː⸣na bu⸢raːnu] (その<彼の>家に行く度に家にいない) 6049 0 0 5717 htmvoc_6049.wav グトゥイ ⸣グトゥイ [⸣gutui] 名 (動)力の強い牡牛。こというし(特牛)。耕牛。「事負乃牛之 倉上之瘡<ことひの牛の鞍の上の瘡>」『万葉集 3838』。⸢特牛、俗語云、古度比<ことひ>」『和名抄』。「Cotoi、コトイ<特牛>『邦訳日葡辞書』」。「こてい『混効験集』」の転訛したもの。 ヤ⸢マー⸣ラ ⸢キー⸣バ ⸣キシティ ⸣グトゥイン ⸢サンガシ⸣ ウ⸢ラ⸣ソーッタ [ja⸢maː⸣ra ⸢kiː⸣ba ⸣ki̥ʃiti ⸣gutuin ⸢saŋgaʃi⸣ ʔu⸢ra⸣soːtta] (山から木を伐って特牛に曳かせて下ろされた) 6050 0 0 5718 htmvoc_6050.wav クドゥキ ク⸢ドゥ⸣キ [ku⸢du⸣ki] 名 口説。ク⸢ドゥ⸣キンともいう。琉歌の一形態。長歌形式で七、五調の連続を基調にした一定の曲調の歌謡。/サティムユタカヌ パトゥマムラ フーキマンプク ウチチジク ユユムカワラヌ パトゥマムラ/<さても豊かな鳩間村富貴万福うち続く世々に変わらぬ鳩間村>「鳩間本口説」。/ギニヤユタカヌ パトゥマムラ シマヌナガリユ ミワタシバ ルクヌイチジニ チカクアリ。(囃子)イヤイーヤ ウスーメーデー ガルマキウラリティ ウヤクチョーデー トゥジックヮ ヤシナティ ムラトゥンワブクニ ワルビトゥシユリ カンカウドゥクヌ ムジキナムヌサミ ンゾサソーリバ ティンヌミグミヌ ウヤキパンジョー アラシミセユサ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/<誠に豊かな鳩間村、島の形(流れ)を見渡すと禄の一字に字画あり。囃子。いやいーや、御主みへていがらみち おらりて親と兄弟妻子を養て村とん和睦に、童年寄 \ruby{鰥寡孤独}{カン|カ|コ|ドク}のもちきなものまで無蔵さ志うり王、天の恵みのうやき繁盛阿らしみ志へよさ、今の囃子に口説きを歌おう>「鳩間口説」。/バンドゥパトゥマニ ナウタチュル インダシクドゥン クヌシマヌ トゥシヌシジャガタ バンドゥヤル/<私が鳩間に名だたる伊武田筑登之で、この島における年長者(長老)とはこの私である>「伊武田口説」『鳩間島古典民謡古謡集』などがある 6051 0 0 5719 htmvoc_6051.wav クドゥキパヤシ ク⸢ドゥキパヤ⸣シ [ku⸢dukipaja⸣ʃi] 名 ⸢口説」の中の「囃子」の部分。舞い方が舞いながら三味線に合わせて唱えるもの 6052 0 0 5720 htmvoc_6052.wav クトゥキム ク⸢トゥ⸣キム [ku̥⸢tu⸣kimu] 名 \ruby{脇心}{ワキ|ゴコロ}。別心。「異肝」の義。他の男や女に惹かれる心。あたしごころ。 ユ⸢クキム [ju⸢kukimu] (\ruby{脇心}{ワキ|ゴコロ}{EOS}別心)。 ⸢ワー⸣ フカナー ク⸢トゥ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː⸣ ɸu̥kanaː ku̥⸢tu⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (貴方以外に脇心はありません) 6053 0 0 5721 htmvoc_6053.wav グトゥク グ⸢トゥ⸣ク [gu⸢tu⸣ku] 名 「五徳」の義。⸣シチリン[⸣ʃiʧiriŋ](七輪)やウ⸢ブピバ⸣チ[ʔu⸢bupiba⸣ʧi](大火鉢)の中に鉄瓶などをかける輪型の三脚。老人のいる家では、冬期になると五徳に⸣ヤコン[⸣jakoŋ](薬缶)をかけて炭火を起こし、湯を沸かして飲むのが楽しみといわれた。 ピ⸢バ⸣チナ グ⸢トゥ⸣ク ビ⸢シティ⸣ ヤコン ⸣カキティ ⸢タン タシキ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸣ユー フ⸢ク⸣タン [pi⸢ba⸣ʧina gu⸢tu⸣ku bi⸢ʃiti⸣ jakoŋ ⸣kḁkiti ⸢tan taʃi̥ki⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣juː ɸu̥⸢ku⸣taŋ] (大火鉢に五徳を据えて薬缶をかけておいて、炭火を焚きつけておくと、湯は沸いたよ) 6054 0 0 5722 htmvoc_6054.wav クトゥケン ク⸢トゥ⸣ケン [ku̥⸢tu⸣keŋ] 名 日頃。平常。平生。普段。いつも。常日頃。「今回とは別の時」の意。「異時」の義『八重山語彙』。現在の異常な状態を取り上げて話す際に、現在が特異な状態であり、現在以外の時、つまり「異時」が正常であるという意で、「日頃、平常」の意味となる。 ク⸢トゥケン⸣マー ⸣アイヤー ブ⸢ラーヌヌ キュー⸣ヤ ⸣ヌンティ ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢ムサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tukem⸣maː ⸣ʔaijaː bu⸢raːnunu kjuː⸣ja ⸣nunti ja⸢ru⸣juː ʔa⸢musa⸣nu na⸢ra⸣nu] (普段はそうではないが、今日は何故か気分が悪くて<頭痛がして>我慢できない)。 ク⸢トゥケン⸣トー ⸢カウリ ブー [ku̥⸢tuken⸣toː ⸢kauri buː] (平常とは変わっている) 6055 0 0 5723 htmvoc_6055.wav クトゥサラ ク⸢トゥ⸣サラ [ku̥⸢tu⸣sara] 副 わざわざ。わざと。故意に。特に。「殊更」の転訛したもの。 ム⸢カシ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリ ク⸢トゥ⸣サラ フ⸢ジッ⸣クリ ン⸢ザ⸣シ ⸢ヌー⸣ス ⸢カン⸣ガイヤ [mu⸢kaʃi⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ma⸢na⸣ma ⸣nari ku̥⸢tu⸣sara ɸu⸢ʤik⸣kuri ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸢nuː⸣su ⸢kaŋ⸣gaija] (昔のことを今になって故意に穿り出して如何するつもり<考え>か) 6056 0 0 5724 htmvoc_6056.wav クトゥシ ク⸢トゥシ [ku̥⸢tuʃi] 名 今年。「是歳、コトシ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ク⸢トゥシヌ マイヤー⸣ イッ⸢ケン ノー⸣レーン [ku̥⸢tuʃinu maijaː⸣ ʔik⸢ken noː⸣reːŋ] (今年の稲<米>は非常によく稔っている)。 ク⸢トゥシェー⸣ ア⸢ミ⸣ドゥシ ヤ⸢リバ⸣ ミ⸢ジェー ソーヤ ナー⸣ヌ [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔa⸢mi⸣duʃi ja⸢riba⸣ mi⸢ʤeː soːja naː⸣nu] (今年は雨年だから水は心配ない)。 ク⸢トゥシン⸣ ユ⸢ガフ⸣ タ⸢ボーラ⸣レーン [ku̥⸢tuʃiɲ⸣ ja⸢gaɸu⸣ ta⸢boːra⸣reːŋ] (今年も豊年満作と豊漁<世果報>を賜った)。 ク⸢トゥシン⸣ パルン [ku̥⸢tuʃim⸣ paruŋ] (今年も行く) 6057 0 0 5725 htmvoc_6057.wav クトゥジキルン ク⸢トゥジキ⸣ルン [ku̥⸢tuʤiki⸣ruŋ] 他動 人に頼んで言いやる。伝言する。「ことづける<言付ける>」の転訛。人に頼んで物を届ける。 ⸢ウンパンシン⸣ヌ ⸢シン⸣ドゥン ク⸢トゥジキ⸣ルンティ ウ⸢ムーンドゥ⸣ イ⸢スガサ⸣ヌ ク⸢トゥジキララ⸣ヌ [⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ⸢ʃin⸣duŋ ku̥⸢tuʤiki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ʔi⸢sugasa⸣nu ku̥⸢tuʤikirara⸣nu] (運搬船の船長に頼んで預けようと思うが、忙しくて預けられない)。 ク⸢トゥジ⸣キ ⸣ミサカー ク⸢トゥジキ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ku̥⸢tuʤi⸣ki ⸣misakaː ku̥⸢tuʤiki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (預けて良ければ、預けることは出来る) 6058 0 0 5726 htmvoc_6058.wav クトゥバ ク⸢トゥ⸣バ [ku̥⸢tu⸣ba] 名 言葉。標準語からの転訛。普通は、⸣ムニ[⸣muni](ことば<物言い>)という。宮古、八重山の諸方言に対しては、⸢メークムニ[⸢meːkumuni](宮古ことば<物言い>)。 ⸢ヤイマムニ [⸢jaimamuni] (八重山ことば<物言い>)。イ⸢サナキムニ[ʔi⸢sanakimuni](石垣ことば<物言い>)といい、首里、那覇方言に対しては ⸣スイクトゥバ[⸣suiku̥tuba](首里ことば)、⸣ナハクトゥバ[⸣nahaku̥tuba](那覇ことば)のようにいう。同じ沖縄方言でも糸満方言に対しては、イ⸢ツマン⸣ムニ[ʔi⸢ʦumam⸣muni](糸満ことば<物言い>)、⸢ヤン⸣バルムニ[⸢jam⸣barumuni](山原ことば<物言い>)のようにいう 6059 0 0 5727 htmvoc_6059.wav クトゥバルン ク⸢トゥ⸣バルン [ku̥⸢tu⸣baruŋ] 他動 断る。拒絶する。辞退する。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ク⸢トゥ⸣バルンティ ⸣ウムーカー ク⸢トゥ⸣バリ ミサン⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ku̥⸢tu⸣barunti ⸣ʔumuːkaː ku̥⸢tu⸣bari ⸣misan⸢daː] (その話は断ろうと思うなら断っていいんだよ)。 マ⸢ナ⸣マー ク⸢トゥバララ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ku̥⸢tubarara⸣nu] (今は断れない)。 ク⸢トゥ⸣バル プ⸢ソー⸣ ク⸢トゥ⸣バレー ⸣ミサムヌ [ku̥⸢tu⸣baru pu̥⸢soː⸣ ku̥⸢tu⸣bareː ⸣misamunu] (断る人は断ればよいのに)。 ⸢ダンダン⸣シ ク⸢トゥ⸣バリ [⸢dandaŋ⸣ʃi ku̥⸢tu⸣bari] (さっさと断れ) 6060 0 0 5728 htmvoc_6060.wav クトゥプス ク⸢トゥ⸣プス [ku̥⸢tu⸣pu̥su] 名 別人。別の人。他人。「異人」の義。「ことひとと見なさむは『源氏物語 胡蝶』」の義。 ク⸢トゥ⸣プス ⸣ユクプステー ウ⸢モーラ⸣ヌ ユ⸢ヌ⸣プスティル ウ⸢モー⸣リ [ku̥⸢tu⸣pu̥su ⸣jukupu̥suteː ʔu⸢moːra⸣nu ju⸢nu⸣pu̥sutiru ʔu⸢moː⸣ri] (他人別人とは思われない{EOS}同じ人としか思われない<同じ人とぞ思われる>) 6061 0 0 5729 htmvoc_6061.wav クトゥムニ ク⸢トゥ⸣ムニ [ku̥⸢tu⸣muni] 名 別のことば。別言。 ク⸢トゥ⸣ムニ ⸣ユクムネー ア⸢ザバン⸣ ク⸢ヌ⸣ クトー ア⸢ジェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tu⸣muni ⸣jukumuneː ʔa⸢ʣabaŋ⸣ ku⸢nu⸣ku̥toː ʔa⸢ʤeː⸣ na⸢ra⸣nu] (別の話や他の言葉<異言、別言>は言ってもいいが、このことは言ってはならない) 6062 0 0 5730 htmvoc_6062.wav クトゥムヌ ク⸢トゥ⸣ムヌ [ku̥⸢tu⸣munu] 名 別物。こともの(異物)。別の物。 ク⸢トゥ⸣ムヌ ⸣ユクムノー ミ⸢ラ⸣バン ⸣カイブ ⸣ムノー ⸣ミレー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tu⸣munu ⸣jukumunoː mi⸢ra⸣baŋ ⸣kaibu ⸣munoː ⸣mireː na⸢ra⸣nu] (他の物、別の物は見てもいいが、こんなものは見てはならない) 6063 0 0 5731 htmvoc_6063.wav クトゥムヌユクムヌ ク⸢トゥ⸣ムヌユクムヌ [ku̥⸢tu⸣munu ⸣jukumunu] 連 異物・別物。別件の重言(畳語)。ABCDEFCD型の重言。 ク⸢トゥ⸣ムヌユクムヌン ⸢デー⸣カー ⸢ヌンガーラサリン⸣ドゥ ク⸢レー ヌンガーラサラ⸣ヌ [ku̥⸢tu⸣munu jukumunun ⸢deː⸣kaː ⸢nuŋgaːrasarin⸣du ku⸢reː nuŋgaːrasara⸣nu] (別のことなら許せる<見逃せる>が、これは許せ<見逃せ>ない) 6064 0 0 5732 htmvoc_6064.wav クトゥヤッサン ク⸢トゥヤッ⸣サン [ku⸢tujas⸣saŋ] 形 たやすい(容易い)。易しい。簡単である。容易である。「事易さ・あり」の融合変化したもの。 シ⸢キン⸣マー ク⸢トゥヤッ⸣サンティ ア⸢ザリブタヌ⸣ ク⸢トゥヤッ⸣サー ⸢ナーン⸣シェン [ʃi̥⸢kim⸣maː ku̥⸢tujas⸣santi ʔa⸢ʣaributanu⸣ ku̥⸢tujas⸣saː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (試験は易しいといわれていたが、容易くはなかった)。 ク⸢トゥヤッ⸣サル シ⸢グトゥテー⸣ ノー⸢ン ナー⸣ヌ [ku̥⸢tujas⸣saru ʃi⸢gututeː⸣ noː⸢n naː⸣nu] (容易い仕事とて何もない) 6065 0 0 5733 htmvoc_6065.wav クトゥワキ ク⸢トゥ⸣ワキ [ku̥⸢tu⸣waki] 名 謝罪。詫び。言い訳。弁解。「ことわけ(事訳)」の義。 ⸢シー⸣ネヌ カ⸢ナパイヌ ユイバ⸣ ブリティル ク⸢トゥ⸣ワキ ⸢シン ギーティ クー⸣タ [⸢ʃiː⸣nenu ka⸢napainu juiba⸣ buritiru ku̥⸢tu⸣waki ⸢ʃiŋ giːti kuː⸣ta] (後ろの家の鍬の柄を折ってしまって、それで謝り<謝罪>に行ってきた)。 ク⸢トゥワキ⸣ヌ ⸢ダン⸣ダン ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリシタンドゥ⸣ ス⸢コーラン⸣シェン [ku̥⸢tuwaki⸣nu ⸢dan⸣daŋ ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sariʃi̥tandu⸣ su̥⸢koːraŋ⸣ʃeŋ] (謝罪の限りを尽くしたが聴いて下さらなかった) 6066 0 0 5734 htmvoc_6066.wav クトゥワザ ク⸢トゥ⸣ワザ [ku̥⸢tu⸣waʣa] 名 ほかのこと。別のこと。余事。他事。「異業(Vaza『邦訳日葡辞書』)」の義。 ユ⸢クワザ⸣ ク⸢トゥワザ⸣ル ⸢スー⸣ ドゥクー⸢ドゥク⸣ カイブ ワ⸢ザ⸣バ ⸢シー⸠ナー [ju⸢kuwaʣa⸣ ku̥⸢tuwaʣa⸣ru ⸢suː⸣ dukuː⸢duku⸣ kaibu wa⸢ʣa⸣ba ⸢ʃiː⸠naː] (他のこと、別の事を<ぞ>するのであって、見す見すこんなことを仕出かしてねえ) 6067 0 1 5735 htmvoc_6067.wav クトゥワリ ク⸢トゥ⸣ワリ [ku⸢tu⸣wari] 名 {Mn_1}断り。拒絶すること。老年層はク⸢トゥ⸣バリ[ku̥⸢tu⸣bari](断り)という。 ク⸢トゥワリ⸣ヌ ティ⸢ガミ⸣ヌ ⸣ケーン [ku̥⸢tuwari⸣nu ti⸢gami⸣nu ⸣keːŋ] (断りの手紙がきた)。 ク⸢レー カーサヌ⸣ティ ⸢スー⸣ ク⸢トゥワリ⸣ヌ カ⸢ビ⸣ パ⸢リ⸣ シ⸢キ⸣リ [ku⸢reː kaːsanu⸣ti ⸢suː⸣ ku̥⸢tuwari⸣nu ka⸢bi⸣ pa⸢ri⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (これは売らないと言う断りの紙を貼っておきなさい)。 6067 0 2 5736 htmvoc_6067.wav クトゥワリ ク⸢トゥ⸣ワリ [ku⸢tu⸣wari] 名 {Mn_2}申し訳。言いわけ。事前に理由を告げること。 ヌ⸢シン⸣ナーニン ク⸢トゥ⸣ワリ ア⸢ザムティ カッティニ⸣ シゥ⸢カイ ベー [nu⸢ʃin⸣naːniŋ ku̥⸢tu⸣wari ʔa⸢ʣamuti kattini⸣ si̥⸢kai beː] (持ち主にも断りを言わないで、勝手に使っている) 6069 0 0 5737 htmvoc_6069.wav クナー ⸣クナー [⸣kunaː] 代 此処に。⸣クマナ[⸣kumana](ここ・に)の縮約転訛したもの。 ⸢ワー⸣ クナー ⸢ベー⸣リ [⸢waː⸣ kunaː ⸢beː⸣ri] (君は此処に居れ)。 ⸢ワー⸣ クナーティ ⸣ヌー ⸢スー カン⸣ガイヤ [⸢waː⸣ kunaːti ⸣nuː ⸢suː kaŋ⸣gaija] (君は此処で何をするつもり<考え>か)。 ⸣クナー ⸣マティ ⸢ベー⸣リ [⸣kunaː ⸣mati ⸢beː⸣ri] (此処に待っておれ)。 ⸣クナーン ⸣マコヤー ⸢ブン⸣カヤー [⸣kunaːm ⸣makojaː ⸢buŋ⸣kajaː] (此処にもヤシガニは棲息しているかなあ) 6070 0 0 5738 htmvoc_6070.wav クナー ⸣クナー [⸣kunaː] 接尾 くらべ(競べ)。競争。「くら(競)」の転訛。動詞の連用形に下接して「競争する」意に用いる。 ⸢ジー⸣ カ⸢キッ⸣クナー [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kik⸣kunaː] (字書き競争)。 ⸣ウタ イ⸢ジックナー [⸣ʔuta ʔi⸢ʤikkunaː] (歌うたい競争)。 イ⸢ジックナー [ʔi⸢ʤikkunaː] (自慢競争{EOS}豊年祭に西村と東村に分かれて行われる余興の一つで、村自慢競争)。 ⸢イー ッふァイ⸣クナー [⸢ʔiː ffai⸣kkunaː] (飯食い競争{EOS}早食い競争)。 ⸢ウイッ⸣クナー [⸢ʔuik⸣kunaː] (泳ぎ競争)。 ⸢ウイックナー [⸢ʔuikkunaː] (鬼ごっこ<追い競争>) 6071 0 0 5739 htmvoc_6071.wav クナイルン ク⸢ナイ⸣ルン [ku⸢nai⸣ruŋ] 他動 こらえる(堪える)。忍耐する。我慢する辛抱する。 ノー⸢ンティ⸣ イ⸢ザラバン⸣ バー ク⸢ナイ⸣ルン [noː⸢nti⸣ ʔi⸢ʣarabam⸣ baː ku⸢nai⸣ruŋ] (何と叱られようとも私は堪える)。 ク⸢チ⸣サラバン ク⸢ナイ⸣リ⸢ダー [ku̥⸢ʧi⸣sarabaŋ ku⸢nai⸣ri⸢daː] (苦しくても堪えなさいよ)。 ウビ⸢バーキ⸣ル ク⸢ナイラ⸣リ ⸣メー ク⸢ナイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔubi⸢baːki⸣ru ku⸢naira⸣ri ⸣meː ku⸢nai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここまでしか堪えられない<ここまでが堪えられる>{EOS}もう堪えることは出来ない)。 イ⸢ザラバン⸣ ナー⸢イ⸣ クナイ ⸢ベー⸣リ [ʔi⸢ʣaraban⸣ naː⸢i⸣ kunai ⸢beː⸣ri] (叱られても、じっと堪えていなさい)。 マーン⸢ベーマ⸣ ク⸢ナイ⸣レー ⸣ミサムヌ [maːm⸢beːma⸣ ku⸢nai⸣reː ⸣misamunu] (もう少し堪えればよいのに) 6072 0 0 5740 htmvoc_6072.wav クナシダー ク⸢ナシダー [ku⸢naʃidaː] 名 よく耕した田。何度も耕し、土を砕いて柔らかくした田。「こなし<熟し>田」の義。「Conaxi<こなし>、Tçuchiuo conasu<土をこなす>『邦訳日葡辞書』」の義。 ク⸢ナシダーヌ マイヤー⸣ イッ⸢ケナ ノー⸣ルン [ku⸢naʃidaːnu maijaː⸣ ʔik⸢kena noː⸣ruŋ] (よく耕した田の稲はよく稔る) 6073 0 1 5741 htmvoc_6073.wav クナスン ク⸢ナスン [ku⸢nasuŋ] 他動 {Mn_1}こなす(熟す)。土を砕いて細かくする。「Conaxi<こなし>、Tçuchiuo conasu<土をこなす>『邦訳日葡辞書』」の義。 ⸣ミツァ ク⸢ナスン [⸣miʦa ku⸢nasuŋ] (土をこなす)。 ⸢コー⸣ヌ ク⸢ナサラヌ [⸢koː⸣nu ku⸢nasaranu] (固くてこなされない)。 ク⸢ナシヤッ⸣サン [ku⸢naʃijas⸣saŋ] (こなしやすい)。 ク⸢ナス プス [ku⸢nasu pu̥su] (こなす<熟す>人)。 ク⸢ナシェー⸣ ミサムヌ [ku⸢naʃeː⸣ misamunu] (こなせばよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢ナシ [⸢maː⸣biŋ ku⸢naʃi] (もっとこなせ)。 6073 0 2 5742 htmvoc_6073.wav クナスン ク⸢ナスン [ku⸢nasuŋ] 他動 {Mn_2}煮た芋などを捏ねる。粉などに水分を加えて捏ねる。 ⸢ウン⸣バ ⸢ネーシティ⸣ ク⸢ナス⸣カー ス⸢ブ⸣リティ ユ⸢ナン⸣パーナ ッ⸢ス⸣ミ [⸢ʔum⸣ba ⸢neːʃiti⸣ ku⸢nasu⸣kaː su⸢bu⸣riti ju⸢nam⸣paːʃi s⸢su⸣mi] (芋を煮て捏ねたら握って<両手で絞って>ユーナの葉で包みなさい) 6075 0 0 5743 htmvoc_6075.wav クナフチル ク⸢ナフチ⸣ル [ku⸢naɸu̥ʧi⸣ru] 名 粉薬。散薬。ミ⸢ジフチ⸣ル[mi⸢ʤiɸu̥ʧi⸣ru](水薬)の対義語。 ク⸢ナフチ⸣ル ⸣ヌムンティ ⸢アー⸣キ ン⸢ツァイティ ミー⸣パナナ フ⸢キ⸣カキ ⸣シケーバン [ku⸢naɸu̥ʧi⸣ru ⸣numunti ⸢ʔaː⸣ki ʔn⸢ʦaiti miː⸣panana ɸu̥⸢ki⸣kḁki ⸣ʃi̥keːbaŋ] (粉薬を飲もうとして、喉を詰まらせ、噴き出して顔に吹きかけてあるよ) 6076 0 0 5744 htmvoc_6076.wav クナリルン ク⸢ナリルン [ku⸢nariruŋ] 自動 こなれる(熟れる)。細かくなる。砕かれて粉になる。 ア⸢ガミツァー⸣ ミ⸢ジ⸣ カキティ ⸣パンシ ク⸢ナス⸣カー イッ⸢ケン⸣ ク⸢ナリルン [ʔa⸢gamiʦaː⸣ mi⸢ʤi⸣ kḁkiti ⸣paŋʃi ku⸢nasu⸣kaː ʔik⸢keŋ⸣ ku⸢nariruŋ] (赤土は水をかけて足でこなすと良くこなれる)。 マ⸢ダ⸣ ク⸢ナリラヌ [ma⸢da⸣ ku⸢nariranu] (まだこなれない)。 ヤ⸢シーヤシー⸣シ ク⸢ナリル⸣ ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ʃiːjaʃiː⸣ʃi ku⸢nariru⸣ munoː ʔa⸢ra⸣nu] (簡単にこなれるものではない) 6077 0 0 5745 htmvoc_6077.wav クナルン ク⸢ナルン [ku⸢naruŋ] 自動 こなる(熟る)。こなれる。 ⸣パンシ ⸢フンツァース⸣カー ク⸢ナルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ ク⸢ナランバン [⸣paŋʃi ⸢ɸunʦaːsu⸣kaː ku⸢narunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ma⸢da⸣ ku⸢narambaŋ] (足で踏みつける<踏み散らす>とこなれ<熟れ>る思ったが、まだこなれないよ) 6078 0 0 5746 htmvoc_6078.wav グナン グ⸢ナン [gu⸢naŋ] 名 五男。 ビ⸢コーンッふァー⸣ サ⸢ク⸣シェーラ グ⸢ナンバー⸣キ ⸢ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣ソーレーン [bi⸢koːŋffaː⸣ sḁ⸢ku⸣ʃeːra gu⸢nambaː⸣ki ⸢ʔuinu gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣soːreːŋ] (男の子は長男から五男まで上の学校を出された<進学させられた>) 6080 0 1 5747 htmvoc_6080.wav クニ ク⸢ニ [ku⸢ni] 名 {Mn_1}国。⸢フン[⸢ɸuŋ](国)ともいう。「須賣呂伎乃 之伎麻須久爾能<天皇の敷きます国の>『万葉集 4122』」の転訛。 ヤ⸢マトゥ⸣ヌ ク⸢ニ [ja⸢matu⸣nu ku⸢ni] (大和の国)。 ⸢トー⸣ヌ ク⸢ニ [⸢toː⸣nu ku⸢ni] (唐の国)。 ク⸢ニヌ カウル⸣カー プ⸢ソー⸣ シ⸢ラカタ⸣チン ⸢カウリ⸣ パ⸢ナ⸣ス ⸣ムニン ⸢カウリス [ku⸢ninu kauru⸣kaː pu⸢soː⸣ ʃi⸢rakata⸣ʧiŋ ⸢kauri⸣ pa⸢na⸣su ⸣muniŋ ⸢kaurisu] (国が変わると人は顔貌も変わるし、話す言葉も変わる)。 6080 0 2 5748 htmvoc_6080.wav クニ ク⸢ニ [ku⸢ni] 名 {Mn_2}生まれた国、故郷。「鴈鳴者 本郷思都追(雁がねは本郷<くに>思ひつつ)『万葉集 4144』」の義。/クニムトゥヌ マブルシュー アミブシャヌ ウヤムトゥヌ カミガナシ アミブシャヌ/(国もと<鳩間島>の守り神様、雨が欲しいです{EOS}親元先祖代々の神様、雨が欲しいです)『鳩間島古典民謡古謡集』 6081 0 0 5749 htmvoc_6081.wav クニチ ク⸢ニチ [ku⸢niʧi] 名 九日。老年層は、ク⸢クヌ⸣カ[ku̥⸢kunu⸣ka](九日)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー タンガ⸣シ ク⸢ニチ⸣ カ⸢カリ⸣ル トゥ⸢ズミラリタ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː taŋga⸣ʃi ku⸢niʧi⸣ kḁ⸢kari⸣ru tu⸢ʣumirarita] (この仕事は一人で九日かかって<ぞ>完了できた<終えられた>)。 ⸢クンガ⸣チ ⸣クニチ [⸢kuŋga⸣ʧi ⸣kuniʧi] (九月九日{EOS}重陽の節句の日に⸢ウン⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ{SqBr}⸢ʔun⸣nu ⸢niŋ⸣gai{/SqBr}<甘藷の豊作祈願>を菊酒で祈願し、祝う) 6082 0 0 5750 htmvoc_6082.wav グニチ グ⸢ニチ [gu⸢niʧi] 名 五日。老年層は、⸢イシゥ⸣カ[⸢ʔisi̥⸣ka](いつか<五日>)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢キ⸣ヌ グ⸢ニチ⸣ナー フ⸢ニ⸣ヌ ス⸢ラウラ⸣シ ⸢ソー⸣ルンツォー [ku⸢nu⸣ ʃi̥⸢ki⸣nu gu⸢niʧi⸣naː <ɸu⸢ni⸣nu> su⸢raura⸣ʃi ⸢soː⸣runʦoː] (今月の5日に新造船の進水式をされるそうだ) 6083 0 0 5751 htmvoc_6083.wav クニチヨイ ク⸢ニチヨイ [ku⸢niʧijoi] 名 九月九日の祝い。重陽の節句の日に村では酒に菊を浮かべて⸢ウン⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢ʔun⸣nu ⸢niŋ⸣gai](甘藷の豊作祈願)とタ⸢ク⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[tḁ⸢ku⸣nu ⸢niŋ⸣gai](蛸の豊漁祈願)が行われる。各家庭でも芋の豊作と蛸の豊漁を祈願して菊酒が振舞われた。 ⸢クンガ⸣チ ⸣クニチナー ⸢ウン⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣トゥ タ⸢ク⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣バ ⸢ソーッ⸣タ [⸢kuŋga⸣ʧi ⸣kuniʧinaː ⸢ʔun⸣nu ⸢niŋgai⸣tu tḁ⸢ku⸣nu ⸢niŋgai⸣ba ⸢soːt⸣ta] (九月九日には芋の豊作祈願と蛸の豊漁祈願をなさった) 6084 0 0 5752 htmvoc_6084.wav クヌ ク⸢ヌ [ku⸢nu] 連体 この。 ク⸢ヌ プスル⸣ バー ⸣ウヤ [ku⸢nu pu̥suru⸣ baː ⸣ʔuja] (この人が私の親だ)。 ク⸢ヌ⸣ ム⸢ニ⸣バ シ⸢キトゥミリ [ku⸢nu⸣ mu⸢ni⸣ba ʃi̥⸢kitumiri] (この言葉を肝に銘じて<聞きとめて>おけ)。 ク⸢ヌ⸣ クトー イッ⸢カ バシキラヌ [ku⸢nu⸣ ku̥toː ʔik⸢ka baʃi̥kiranu] (この事は決して<いっかな>忘れない) 6085 1 0 5753 htmvoc_6085.wav クヌウイ ク⸢ヌウイ [ku⸢nuʔui] 名 {PoS_1}このうえ<これ以上>。 ⸣ナシパンジョーティル ⸣アル ウ⸢ヌウイヌ⸣ ユ⸢ル⸣クビテー ⸢ナー⸣ヌ [⸣naʃipanʤoːtiru ⸣ʔaru ku⸢nuʔuinu⸣ ju⸢ru⸣kubiteː ⸢naː⸣nu] (子孫繁盛<生まれ繁盛>と昔から尊ばれている{EOS}これ以上の喜びはない)。 6085 2 0 5754 htmvoc_6085.wav クヌウイ ク⸢ヌウイ [ku⸢nuʔui] 副 {PoS_2}さらに。この上。 マ⸢ナマバー⸣キ ス⸢ダ⸣ティ ッ⸢ふォー⸣リ マ⸢タ⸣ ク⸢ヌウイ⸣ バ⸢キ⸣ダマ ⸢バー⸣キ タ⸢ボーラ⸣リ シカイッ⸢トゥ⸣ フ⸢コーラサ⸣ユー [ma⸢namabaː⸣ki su⸢da⸣ti f⸢foː⸣ri ma⸢ta⸣ ku⸢nuʔui⸣ ba⸢kidama ⸢baː⸣ki ta⸢boːra⸣ri ʃi̥kait⸢tu⸣ ɸu̥⸢koːrasa⸣juː] (今まで育てて頂き、また更に<この上>財産分与まで賜り誠に<しかと>有難うございます) 6086 0 0 5755 htmvoc_6086.wav クヌウチ ク⸢ヌウ⸣チ [ku⸢nuʔu⸣ʧi] 副 その内。間もなく。やがて。近日中に。 ク⸢ヌウ⸣チ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢イー ソーン⸣ シゥ⸢カリス⸣ パジ [ku⸢nuʔu⸣ʧi ʔu⸢ki⸣naːra ⸢ʔiː soːŋ⸣ si̥⸢karisu⸣ paʤi] (間もなく沖縄からいい知らせも聞ける<聞かれる>ことでしょう) 6087 0 0 5756 htmvoc_6087.wav クヌグル ク⸢ヌ⸣グル [ku⸢nu⸣guru] 名 このごろ。近頃。最近。「穂に出し君が見延奴己能許呂<見えぬ此の頃>。万、3506」の転訛。 ク⸢ヌグル⸣ヌ バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸢スー⸣ クトー ムッ⸢トゥ⸣ ア⸢ティンガーラヌ [ku⸢nuguru⸣nu ba⸢kaː⸣mununu ⸢suː⸣ ku̥toː mut⸢tu⸣ ʔa⸢tiŋgaːranu] (最近の若者のすることはちっとも分からない<見当がつかない>)。 ク⸢ヌ⸣グロー ミ⸢ララヌ⸣ヌ ⸢ヌー⸣シタカヤー [ku⸢nu⸣guroː mi⸢raranu⸣nu ⸢nuː⸣ʃi̥takajaː] (最近は姿が見られないが、どうしたのかなあ)。 ク⸢ヌ⸣グルシェー タ⸢キ⸣フドゥン ⸢スー⸣リティ ア⸢ラ⸣クン⸢ダー ⸣メー [ku⸢nu⸣guruʃeː tḁ⸢ki⸣ɸudun ⸢suː⸣riti ʔa⸢ra⸣kun⸢daː ⸣meː] (此の頃では身長も伸びて<成長して>、もう歩くよ<歩くことが出来るよ、もう>)。 ク⸢ヌグロー ヌー⸣シ ⸢オーッ⸣ター [ku⸢nuguroː nuː⸣ʃi ⸢ʔoːt⸣taː] (近頃は如何でしたか<如何しておられましたか>)。 ク⸢ヌ⸣グロー ⸣ミサナリ ⸢オーッタン⸣ドゥ ⸣キノーラ ⸢ヤン⸣ヌ ⸢フッカイ シーナー⸣ヌ [ku⸢nuguroː⸣ misanari ⸢ʔoːttan⸣du ⸣kinoːra ⸢jan⸣nu ⸢ɸukkai ʃiːnaː⸣nu] (此の頃はずっと元気でおられたが、昨日から病気が再発して<ぶり返して>しまった) 6090 0 0 5757 htmvoc_6090.wav クヌシキ ク⸢ヌ⸣ シキ [ku⸢nu⸣ ʃi̥ki] 連 この月。今月。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢キ⸣ヌ ン⸢ザシ⸣マイ [ku⸢nu⸣ ʃi̥⸢ki⸣nu ʔn⸢ʣaʃi⸣mai] (この月の支払い<出し前{EOS}割り当て額>)。 ク⸢ヌ⸣ シケー キ⸢ザルヌ ゴー⸣ラーン [ku⸢nu⸣ ʃi̥keː ki⸢ʣarunu goː⸣raːŋ] (今月は祭祀行事が多い) 6091 0 0 5758 htmvoc_6091.wav クヌシキ ク⸢ヌ⸣シキ [ku⸢nu⸣ʃi̥ki] 名 九ヶ月。 ク⸢ヌ⸣シキシ マ⸢リル⸣ ッ⸢ふァー⸣ グ⸢マー⸣ン [ku⸢nu⸣ʃi̥kiʃi ma⸢riru⸣ f⸢faː⸣ gu⸢maː⸣ŋ] (九ヶ月で生まれる子は<体が>小さい) 6088 0 0 5759 htmvoc_6088.wav クヌシチ ク⸢ヌシチ [ku⸢nuʃi̥ʧi] 名 このたび。今回。このごろ。近頃。「此の節」の義。 ク⸢ヌシチェー⸣ メー ⸢カン⸣ボーン ビ⸢スンカーリティ⸣ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラン⸣シェン [ku⸢nuʃi̥ʧeː⸣ meː ⸢kam⸣boːm bi⸢suŋkaːriti⸣ noː⸢n⸣ na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (この度は、もう感冒に打ちのめされて何もできなかった)。 ク⸢ヌシチェー⸣ ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー ⸢タイフー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーバン [ku⸢nuʃi̥ʧeː⸣ nuntiru ja⸢ru⸣juː ⸢taiɸuː⸣nu ⸢goː⸣raːbaŋ] (此の頃は何故か台風が多いワイ) 6092 0 0 5760 htmvoc_6092.wav クヌスク ク⸢ヌ⸣スク [ku⸢nu⸣su̥ku] 名 これほど(是程)。これくらい。この程度。こんなにまで。 ク⸢ヌ⸣スクンツァン ⸢ウイユーサ⸣ヌ [ku⸢nu⸣su̥kunʦaŋ ⸢ʔuijuːsa⸣nu] (この程度すらも泳げない)。 ク⸢ヌスク⸣ヌ ス⸢ブ⸣ルシェー ⸢ウイヌ ガッコー⸣ヌ シ⸢キン⸣マー ⸢トゥーラ⸣ヌ [ku⸢nusu̥ku⸣nu su⸢bu⸣ruʃeː ⸢ʔuinu gakkoː⸣nu ʃi̥⸢kim⸣maː ⸢tuːra⸣nu] (この程度の頭<学力>では上級学校の試験には受からない<通らない>) 6093 0 0 5761 htmvoc_6093.wav クヌック ク⸢ヌッ⸣ク [ku⸢nuk⸣ku] 名 九個。 トゥ⸢ルヌ コー⸣マ ク⸢ヌッ⸣ク バ⸢ラフ⸣タッスンヌ ⸣シトゥ シ⸢ラリ⸣ ウ⸢クラリ⸣ ケーン [tu⸢runu koː⸣ma ku⸢nuk⸣ku ba⸢raɸu̥⸣tassunnu ʃi̥tu ʃi⸢rari⸣ ʔu⸢kurari⸣ keːŋ] (鶏の卵を九個、わらづと<藁苞>の土産物にされて送られてきた) 6094 0 0 5762 htmvoc_6094.wav クヌッコー ク⸢ヌッ⸣コー [ku⸢nuk⸣koː] 名 こんな(このざま)。このようなありさま。連体詞的に、下に省略された悪い意味内容の名詞を修飾する。 ⸢ウンザン カシカーサ⸣リティル ク⸢ヌッ⸣コー ⸣ナリ ⸢ベー⸠ダー [⸢ʔunʣaŋ kaʃi̥kaːsa⸣ritiru ku⸢nuk⸣koː ⸣nari ⸢beːトdaː] (あの野郎に騙されて、このざまになっているのだよ)。 ク⸢ヌッ⸣コーヌ ム⸢ヌ⸣ヌ ア⸢ズ⸣ ム⸢ニ⸣バ シ⸢キ アー⸣ク [ku⸢nuk⸣koːnu mu⸢nu⸣nu ʔa⸢ʣu⸣ mu⸢ni⸣ba ʃi̥⸢ki ʔaː⸣ku] (こん奴の言うことを聞いている) 6095 0 0 5763 htmvoc_6095.wav クヌッチ ク⸢ヌッ⸣チ [ku⸢nut⸣ʧi] 名 九つ。九歳。ク⸢クヌ⸣チ[ku̥⸢kunu⸣ʧi](九つ)の縮約形。 サ⸢クシ⸣ヌ マ⸢リティ⸣ ク⸢ヌッ⸣チ ⸣ナルンケン ⸢ウシトゥ⸣ッふァー マ⸢ランシェン [sḁ⸢kuʃi⸣nu ma⸢riti⸣ ku⸢nut⸣ʧi ⸣naruŋkeŋ ⸢ʔuʃitu⸣ffaː ma⸢raŋʃeŋ] (長男が生まれて九つになるまで、弟<下の子>は生まれなかった) 6096 0 0 5764 htmvoc_6096.wav クヌティーカヌティー ク⸢ヌティー⸣ カ⸢ヌティー⸣ [ku⸢nutiː⸣ ka⸢nutiː⸣] 連 あの手この手。「此の手・彼の手」の義。いろいろと手段を講じること。 ク⸢ヌティー⸣ カ⸢ヌティー⸣バ シゥ⸢カイ⸣ プ⸢ス カシゥカー⸣スンティ ⸢アー⸣ク [ku⸢nutiː⸣ ka⸢nutiː⸣ba si̥⸢kai⸣ pu̥⸢su kasi̥kaː⸣sunti ⸢ʔaː⸣ku] (あの手この手を使って人を騙そうとしている) 6104 0 0 5765 htmvoc_6104.wav クヌトゥール ク⸢ヌトゥー⸣ル [ku⸢nutuː⸣ru] 名 このとおり(此の通り)。同様。 ク⸢ヌトゥー⸣ル ⸣カクカー マ⸢チガー⸣ヌ [ku⸢nu tuː⸣ru ⸣kḁkukaː ma⸢ʧigaː⸣nu] (この通りに書いたら間違わない) 6097 0 0 5766 htmvoc_6097.wav クヌトン ク⸢ヌ⸣トン [ku⸢nu⸣toŋ] 連 連体詞クヌ[kunu](この)に、場所を表すトン[toŋ](所)が付いた(この所{EOS}ここ{EOS}此の場所)。ウ⸢ヌ⸣トン[ʔu⸢nu⸣toŋ](その所{EOS}そこ)、カ⸢ヌ⸣トン[ka⸢nu⸣toŋ](あの所{EOS}あそこ)の対義語。 ク⸢ヌ⸣トンナール ミ⸢ジカメー⸣ ビ⸢サーリ⸣ ブ⸢タ⸣ナー [ku⸢nu⸣tonnaːru mi⸢ʤikameː⸣ bi⸢saːri⸣ bu⸢ta⸣naː] (ここに<此の場所にぞ>水甕は据えられていたよねえ) 6105 0 0 5767 htmvoc_6105.wav クヌマーマ ク⸢ヌマー⸣マ [ku⸢nu maː⸣ma] 名 このまま(此の儘)。今のまま。 ク⸢ヌマーマ⸣ヌ ⸢シーヨー⸣シェー ウ⸢ドゥキ⸣スバ ⸢シー⸣ヨー ⸢カイリ [ku⸢numaːma⸣nu ⸢ʃiːjoː⸣ʃeː ʔu⸢duki⸣suba ⸢ʃiː⸣joː ⸢kairi] (今の儘のやり方では欠損するから、方法<やり方>を変えなさい) 6098 0 0 5768 htmvoc_6098.wav クヌママ ク⸢ヌマ⸣マ [ku⸢numa⸣ma] 名 このまま。今のまま。 ク⸢ヌママ⸣ヌ ⸢トゥー⸣ル カ⸢ジヌ⸣ フクカー ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ku⸢numama⸣nu ⸢tuː⸣ru ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (このままの状態で<通りに>風が吹くと舟は出されない) 6100 0 1 5769 htmvoc_6100.wav クヌムン ク⸢ヌ⸣ムン [ku⸢nu⸣muŋ] 他動 {Mn_1}好む。好きである。 カ⸢レー⸣ サ⸢ケー⸣ ク⸢ヌムン⸣ドゥ ア⸢マムノー⸣ ク⸢ヌマ⸣ヌ [ka⸢reː⸣ sḁ⸢keː⸣ ku⸢numun⸣du ʔa⸢mamunoː⸣ ku⸢numa⸣nu] (彼は酒は好むが、甘い物は好まない)。 サ⸢ケー⸣ ク⸢ヌミン⸣ギサンティ ア⸢ズンドゥ⸣ ク⸢ヌ⸣ム ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [sḁ⸢keː⸣ ku⸢numiŋ⸣gisanti ʔa⸢ʣundu⸣ ku⸢nu⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (酒を好みそうだと言うが、好むことはないはずだ)。 ⸢ワー⸣ ク⸢ヌミ⸣ヌ ⸣ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリ [⸢waː⸣ ku⸢numi⸣nu ⸣munoːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turi] (君の好みのものから選んで取れ)。 ⸣バー ⸣アイブー ⸣ムノー ク⸢ヌマヌ⸣ヌ ク⸢ヌ⸣ム プ⸢スン ブン⸣パジ [⸣baː⸣ʔaibuː ⸣munoː ku⸢numanu⸣nu ku⸢nu⸣mu pu̥⸢sum buŋ⸣paʤi] (私は、あんな物は好まないが、好む人もいる)。 ター⸢ン⸣ ク⸢ヌ⸣ミ ブ⸢ラーヌ [taː⸢ŋ⸣ ku⸢nu⸣mi bu⸢raːnu] (誰も好んでいない)。 6100 0 2 5770 htmvoc_6100.wav クヌムン ク⸢ヌ⸣ムン [ku⸢nu⸣muŋ] 他動 {Mn_2}企てる。もくろむ。計画する。たくらむ。考え出す。 ⸢ヌー⸣バ ク⸢ヌ⸣ムンティ <⸢スンティ⸣> ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー⸣ワ [⸢nuː⸣ba ku⸢nu⸣munti <⸢sunti⸣> ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː⸣wa] (何を企てようと集まっているのか)。 ヤ⸢ナクトゥバ⸣ ク⸢ヌ⸣ミ ⸢ベー [ja⸢nakutuba⸣ ku⸢nu⸣mi ⸢beː] (悪事をたくらんでいる) 6101 0 0 5771 htmvoc_6101.wav クヌユー ク⸢ヌ ユー [ku⸢nu juː] 連 この世。現世。 ク⸢ヌ ユー⸣ラ イ⸢ク⸣サティ ⸢スー ムヌヌ ナーン⸣ナルカー ⸣ミサムヌティ ウ⸢モー⸣リ [ku⸢nu juː⸣ra ʔi⸢ku⸣sati ⸢suː mununu naːn⸣narukaː ⸣misamunuti ʔu⸢moː⸣ri] (この世から戦争というものが無くなればよいのにと思われる)。 ⸢ソー⸣ランナーヤ ⸣ウヤパープジンケーヌ ⸣グソーラ ⸢オー⸣リ ク⸢ヌ ユー⸣ナーティ トゥ⸢リム⸣チ サ⸢リティ⸣ グソーヌ シ⸢トゥ⸣バ カ⸢タミ⸣ル ⸢カイ⸣ロールツォー [⸢soː⸣rannaːja ⸣ʔujapaːpuʤiŋkeːnu ⸣gusoːra ⸢ʔoː⸣ri ku⸢nu juː⸣naːti tu⸢rimu⸣ʧi sa⸢riti⸣ gusoːnu ʃi̥⸢tu⸣ba kḁ⸢tami⸣ru ⸢kai⸣roːruʦoː] (お盆にはご先祖様たちがあの世<後生>から来られてこの世で接待されて、後生への土産<つと>を担いで帰られるそうだ) 6102 0 0 5772 htmvoc_6102.wav クヌヨーナ ⸣クヌヨーナ [⸣kunujoːna] 連体 このような。 ⸣クヌヨーナ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー ヌー⸣ スー ⸢カン⸣ガイヤ [⸣kunujoːna ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː nuː⸣ suː ⸢kaŋ⸣gaija] (このような事をして<為出かして>どうするつもりか<どうする考えか>) 6103 0 0 5773 htmvoc_6103.wav クヌヨーニ ⸣クヌヨーニ [⸣kununoːni] 副 このように。 ⸣クヌヨーニ ⸣ナルンテー イ⸢ミ⸣サラーンツァン ウ⸢モーン⸣シェン [⸣kunujoːni ⸣narunteː ʔi⸢mi⸣saraːnʦaŋ ʔu⸢moːŋ⸣ʃeŋ] (このようになろうとは夢だにも<夢にさえも>思わんかった) 6458 0 0 5774 htmvoc_6458.wav クヌヨーヌ ⸣クヌヨーヌ [⸣kunujoːnu] 連体 このような。こういう。こんな。かかる。若年層は、⸣クヌヨーナ[⸣kunujoːna](このような)ともいう。 ⸣クヌヨーヌ ⸣クトー イッ⸢カ シェー⸣ ナ⸢ラン⸣ クトゥ [⸣kunujoːnu ⸣ku̥toː ʔik⸢ka ʃeː⸣ na⸢raŋ⸣ ku̥tu] (このようなことは絶対にしてはならないことだ) 6106 0 0 5775 htmvoc_6106.wav クノースン ク⸢ノー スン [ku⸢noː suŋ] 連 苦悩する。苦しみ悩む。標準語からの借用語。 イ⸢クサ⸣ユーナ ッ⸢ふァバ⸣ シ⸢ナシティル⸣ アイニ ク⸢ノー シーオー⸣ルツォー [ʔi⸢kusa⸣juːna f⸢faba⸣ ʃi⸢naʃi̥tiru⸣ ʔaini ku⸢noː ʃiːʔoː⸣ruʦoː] (戦争で子供を失って<死なせて>ぞ、あのように苦悩しておられるそうだ) 6108 0 0 5776 htmvoc_6108.wav クバ ク⸢バ [ku⸢ba] 名 (植)ビロウ(蒲葵)。古名、あじまさ。ヤシ科の一属で亜熱帯性常緑高木。高さ約15メートルに達するという。びんろう(檳榔)樹とは別属。葉は円形で直径約1メートル。掌状に分裂して幹頂に叢生する。鳩間中岡<なかもり>には蒲葵の群落があったが、明治の中期に測量のため伐採されという。民謡パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pa⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)に歌われて有名である。また蒲葵は神木、神のよりしろ(依代{EOS}憑代)といわれており、友利御嶽の拝殿の側にも高さ十数メートルの蒲葵が一本自生している。口碑によると、この蒲葵の樹を伝って神が降臨されるという 6115 0 0 5777 htmvoc_6115.wav クバークバーシ クバー⸢クバー⸣シ [kubaː⸢kubaː⸣ʃi] 副 不器用で。危なっかしく。たどたどしく。 クバー⸢クバー⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [kubaː⸢kubaː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (たどたどしく話している)。 ウ⸢リヌ シー⸣グ シゥ⸢カイヨーヤー⸣ ク⸢バークバー⸣シティ ナ⸢クラー⸣ヌ ⸣ミリ ブ⸢ララヌ [ʔu⸢rinu ʃiː⸣gu si̥⸢kaijoːja⸣ ku⸢baːkubaː⸣ʃi̥ti na⸢kuraː⸣nu ⸣miri bu⸢raranu] (彼が小刀を使うのは全く不器用で、心配で見ておれない) 6114 0 1 5778 htmvoc_6114.wav クバーン ク⸢バー⸣ン [ku⸢baː⸣ŋ] 形 {Mn_1}仲が悪い。そり<剃り>が合わない。 ⸢キョーダイ⸣サ ⸣ナカー ク⸢バー⸣ン [⸢kjoːdai⸣sa ⸣nakaː ku⸢baː⸣ŋ] (兄弟の仲は悪い)。 ア⸢スン⸣ケン ク⸢バーナー⸣ヌ [ʔa⸢suŋ⸣keŋ ku⸢baːnaː⸣nu] (それほど仲は悪くない)。 ⸢シンダイ⸣ ク⸢バー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ku⸢baː⸣naruŋ] (次第に仲が悪くなる)。 ナ⸢カ⸣ヌ ク⸢バー⸣ プ⸢ストー マーズンマー⸣ シ⸢ララヌ [na⸢ka⸣nu ku⸢baː⸣ pu̥⸢sutoː maːʣummaː⸣ ʃi⸢raranu] (仲の悪い人は一緒には出来ない)。 ⸣アイニ ク⸢バー⸣カー ユ⸢ヌ⸣ トンナー シ⸢キララ⸣ヌ [⸣ʔaini ku⸢baː⸣kaː ju⸢nu⸣tonnaː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (あんなに仲が悪いと同じ所には置いておけない)。 6114 0 2 5779 htmvoc_6114.wav クバーン ク⸢バー⸣ン [ku⸢baː⸣ŋ] 形 {Mn_2}不器用である。のろい<鈍い>。動作、作業がおそい。不慣れである。未熟である。 フ⸢チ クバー⸣ン [ɸu̥⸢ʧikubaː⸣ŋ] (話べたである)。 ⸢ティー⸣ ク⸢バー⸣ユンダ ⸣ヌー シ⸢ミラバン ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢tiː⸣ ku⸢baː⸣junda ⸣nuː ʃi⸢miraban daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (不器用だから<手仕事が鈍いから>何をさせても様にならない) 6109 0 0 5780 htmvoc_6109.wav クバイゾー ⸣クバイゾー [⸣kubaiʣoː] 名 地名。クーラ川河口の右方、伊武田寄りの低丘陵地。ク⸢バシ⸣ター[ku⸢baʃi̥⸣taː]からクーラ川河口へ下りてきた所の右側。ク⸢バシ⸣ターから産出する稲の積み出し地(⸢ニー⸣ウレー{SqBr}⸢niː⸣ʔureː{/SqBr}<荷下ろし所>)。 ⸣クバイゾーラ パ⸢マダー⸣チ ア⸢ラキ⸣ル バ⸢ケーラマシェー オーッ⸣タ [⸣kubaiʣoːra pa⸢madaː⸣ʧi ʔa⸢raki⸣ru ba⸢keːramaʃeː ʔoːt⸣ta] (クバイゾーから浜沿いに歩いて<ぞ>バ⸢ケーラマシ<湧き水の田圃>へ行かれた) 6117 0 0 5781 htmvoc_6117.wav クバイルン ク⸢バイ⸣ルン [ku⸢bai⸣ruŋ] 他動 加える。 ク⸢マ⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー シ⸢マ⸣ソーレーチバ ⸣サギティ ⸢マー⸣ プ⸢スヤマ⸣ヌ ⸣ブン ⸣グシェー ク⸢バイ⸣リバ <タ⸢シ⸣バ> [ku⸢ma⸣nu ⸢niŋgai⸣jaː ʃi⸢ma⸣soːreːʧiba ⸢maː⸣ pu̥⸢sujama⸣nu ⸣buŋ ⸣guʃeː ku⸢bai⸣riba ] (ここの祈願は済まされたから<供物は>下げて、もう一御嶽<一山>の分、神酒<御酒>を加えよ)。 ク⸢バイラン⸣タンティン ⸣ミサン [ku⸢bairan⸣tantim misaŋ] (加えなくてもいい)。 ク⸢バイヤッ⸣サン [ku⸢baijas⸣saŋ] (加え易い)。 ク⸢バイ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ク⸢バイ⸣ル ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢bai⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ku⸢bai⸣ru ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (加えようと思うのだが加えるものがない)。 ク⸢バイ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢bai⸣reː ⸣misamunu] (加えたらよいのに) 6118 0 0 5782 htmvoc_6118.wav グハイロー ⸣グハイロー [⸣guhairoː] 名 ⸢ご拝領」の転訛した語。昭和五十年ごろから長寿者に対して官(町長)から贈られるようになった金杯。村をあげて長寿を祝い、村民が長寿を肖った。 ナ⸢ガイキバ ⸢シーベー⸣ティ ⸣グハイローン タ⸢ボーラ⸣リ シ⸢ディガ⸣フー ⸢ユー [na⸢gaikiba ʃiːbeː⸣ti guhairoːn ta⸢boːra⸣ri ʃi⸢diga⸣ɸuː ⸢juː] (長生きをしていてご拝領の金杯も賜り、最高の幸運<果報者>です) 6111 0 0 5783 htmvoc_6111.wav クバオンギ ク⸢バオンギ [ku⸢baoŋgi] 名 ビロウ(蒲葵)の葉で作ったうちわ(団扇)。ク⸢バ[ku⸢ba](蒲葵)の葉を切って2,3日陰干しにした後、水を打って押し板で押し拡げ、一枚の葉を二等分にし、半円形に成形して団扇に仕上げたもの。軽くて、よく風を送るので最高の団扇である。長持ちするし、母親がこの団扇で子供の背中や腹部を軽く撫でつつ扇いでやると誠に気持ちがいい。夏の夜など縁側で子供を寝かせながら、サーッ、サーッと扇いでくれる母親の側で、子供は平和で幸福な眠りにつくのが常であった。生の蒲葵の葉扇は死者の扇と言われている。 ク⸢バオンゲー⸣ カ⸢ロー⸣ン ⸣アリ ⸢オンギドゥル⸣ヌ カ⸢ジン⸣ ピ⸢ラ⸣ケーンダ イッ⸢ケナ⸣ ニ⸢ビヤッ⸣サタン [ku⸢baʔoŋgeː⸣ ka⸢roː⸣ŋ ⸣ʔari ⸢ʔoŋgiduru⸣nu ka⸢ʤim⸣ pi⸢ra⸣keːnda ʔik⸢kena⸣ ni⸢bijas⸣sataŋ] (蒲葵扇は軽くもあり、扇ぐときの風も涼しいので非常に寝やすかった) 6113 0 0 5784 htmvoc_6113.wav クバガサ ク⸢バガサ [ku⸢bagasa] 名 かさ(笠)。蒲葵の葉で作った笠。「クバ(蒲葵)笠」の義。農耕用の笠は肩幅を覆うほどに笠のつば<鍔>が広く、漁師用の笠は、つば<鍔>が狭いのでカツオ釣などの船上での作業に適していた。農業用の笠は、蒲葵の葉で作った⸣ミヌ[⸣minu](蓑)と一対をなすものであった。蒲葵笠は通風がよくて涼しく、炎天下での作業に適していた。ク⸢バガサは、意味が拡張して笠一般を示すようになり、⸢ムン⸣グルクバガサ[⸢muŋ⸣gurukubagasa](麦藁の笠{EOS}沖縄本島からの輸入製品)、タ⸢キヌ⸣カークバガサ[tḁ⸢kinu⸣kaːkubagasa](竹の皮笠{EOS}台湾や本土からの輸入製品)のように複合語を作って他の製品の⸢笠の名」に用いられた。輸入品は島で作るクバガサ(蒲葵笠)のように実用的でなかった。 ク⸢バガサ⸣ カ⸢バン⸣カー ア⸢ガティダヌ⸣ ッ⸢サーン⸣ナー シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢bagasa⸣ ka⸢baŋ⸣kaː ʔa⸢gatidanu⸣ s⸢saːn⸣naː ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (蒲葵笠を被らないと炎天下では仕事は出来ない) 6119 0 0 5785 htmvoc_6119.wav クバクシキ ク⸢バクシキ [ku⸢bakuʃi̥ki] 名 クバ甑。ク⸢バ[ku⸢ba](蒲葵)の幹を刳り抜いて作った、直径約30センチ、高さ約60センチの円筒状の甑。糯米を蒸して⸢カシ⸣キ[⸢kaʃi⸣ki](こわ飯)を作ったり、麦、粟、豆などを蒸すのに用いた。⸢ミー⸣ス[⸢miː⸣su](味噌)やシ⸢タ⸣ディ[ʃi̥⸢ta⸣di](醤油{EOS}下地{EOS}「助枝、之太知」『倭名類聚鈔』)の麹を作る際に穀類を蒸して煮るのにも用いた。 ク⸢バクシキ⸣ナー ⸢トー⸣フマミ ン⸢ブ⸣シ [ku⸢bakuʃi̥ki⸣naː ⸢toː⸣ɸumami ʔm⸢bu⸣ʃi] (蒲葵甑で大豆を蒸しなさい) 6120 0 0 5786 htmvoc_6120.wav クバサンシン ク⸢バサンシン [ku⸢basaŋʃiŋ] 名 クバ(蒲葵)の葉柄で作った三味線。蒲葵の柄三味線。子供の玩具として作った。 ヤ⸢ラ⸣ベー ク⸢バサンシンバ⸣ ム⸢タ⸣ベーティ ア⸢サブタ [ja⸢ra⸣beː ku⸢basaŋʃimba⸣ mu⸢ta⸣beːtiru ʔa⸢sabuta] (子供は蒲葵の柄三味線をいじって<弄って{EOS}>遊んだ) 6121 0 0 5787 htmvoc_6121.wav クバシター ク⸢バシ⸣ター [ku⸢baʃi̥⸣taː] 名 (地)西表島北岸伊武田地区の山裾の原野にある水田地帯。タ⸢カ⸣スクの原野からクーラ川に台地が緩やかに傾斜していき、川岸で急に台地が落ち込んでいる。その原野の中間に谷状に窪んだ所がある。そこを開拓して水田にしたところをいう。幅約80メートル、長さ約1500メートルの谷間の上流部に、カ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)と、イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː](西原家)の水田があった。 ⸣アチャトゥ ⸣アンマー ク⸢バシター⸣ヌ ⸣ター ア⸢キ⸣ ス⸢ク⸣ルンティ イッ⸢ケナ アウ⸣リ ⸢ソーッ⸣タン [⸣ʔaʧatu ⸣ʔammaː ku⸢baʃitaː⸣nu ⸣taː ʔa⸢ki⸣ su̥⸢ku⸣runti ʔik⸢kena ʔau⸣ri ⸢soːt⸣taŋ] (お父さんとお母さんはクバシターの水田を開墾して耕作するのに、非常に難儀苦労をされた) 6122 0 0 5788 htmvoc_6122.wav クバスン ク⸢バ⸣スン [ku⸢ba⸣suŋ] 他動 こぼす(零す)。 ミ⸢ジ⸣ ク⸢バ⸣スン [mi⸢ʤi⸣ ku⸢ba⸣suŋ] (水を零す)。 ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ ク⸢バサラ⸣ヌ [⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤeː⸣ ku⸢basara⸣nu] (水桶の水は零されない)。 ⸣クナー ク⸢バ⸣シ ⸣ミサン [⸣kunaː ku⸢ba⸣ʃi ⸣misaŋ] (ここに零していい)。 ク⸢バ⸣ス ⸣ムノー ク⸢バ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ku⸢ba⸣su ⸣munoː ku⸢ba⸣ʃeː ⸣misamunu] (零すものは零せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ク⸢バ⸣シ [⸢paː⸣ku ku⸢ba⸣ʃi] (早く\ruby{零}{コボ}せ) 6123 0 0 5789 htmvoc_6123.wav クバデーサー ク⸢バデー⸣サー [ku⸢badeː⸣saː] 名 (植)樹木の名。モモタマナ(コバデイシ)。冬になると落葉する高木で、高さ20メートル以上に達する。建築材、家具材、造船材に利用される。墓地に植える木とされ、屋敷に植えることを嫌った。 ク⸢バデーサー⸣ヤ パ⸢トゥ⸣マナー ミリミ⸢ラン⸣シェン [ku⸢badeːsaː⸣ja pḁ⸢tu⸣manaː mirimi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (コバデイシの樹は鳩間島では見たことはなかった) 6124 0 0 5790 htmvoc_6124.wav クバヌウディ ク⸢バヌ⸣ ウディ [ku⸢banu⸣ ʔudi] 連 ビロウ(蒲葵)の葉柄。子供は枯れた蒲葵の葉柄を切って約20センチの舟を作り、竹ひごで帆柱を作って立て、フ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)の葉で帆を作って帆柱に貫き差し、竹を削って梶を作り船尾に挿して海に浮かべ、帆走させて遊んだ。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ク⸢バヌ⸣ ウディシ フ⸢ニ⸣バ ス⸢ク⸣リティ ス⸢ナカ⸣ナー パ⸢ラ⸣シェーティ ア⸢サブタル [ja⸢ra⸣biŋkeːja ku⸢banu⸣ ʔudiʃi ɸu⸢ni⸣ba su̥⸢ku⸣riti su⸢naka⸣naː pa⸢ra⸣ʃeːtiru ʔa⸢sabutaru] (子供達は蒲葵の葉柄で舟を作り、海上に走らせて遊んだものだ) 6125 0 0 5791 htmvoc_6125.wav クバヌパーウムル ク⸢バヌパーウムル [ku⸢banupaːʔumuru] 名 ビロウ(蒲葵)の葉で作った、水を汲む容器、ひしゃく(柄杓)。下り井戸から湧水を汲み取るのに用いた柄杓。ク⸢バヌパーシル[ku⸢banupaːʃiru](蒲葵の葉釣瓶)に似た、小さな釣瓶の柄杓。 ⸢アンヌカー⸣ラ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣モール ⸣ピンマー ⸢カーヌ⸣ ス⸢ク⸣ナー ⸢タン⸣ゴー ビ⸢シ⸣ シキティ ウ⸢ム⸣ルシル ミ⸢ジェー⸣ ス⸢クイ⸣ フ⸢モーッ⸣タ [⸢ʔannukaː⸣ra mi⸢ʤi⸣ ka⸢ta⸣moːru ⸣pimmaː ⸢kaːnu⸣ su̥⸢ku⸣naː ⸢taŋ⸣goː bi⸢ʃi⸣ ʃi̥kiti ʔu⸢mu⸣ruʃiru mi⸢ʤeː⸣ su̥⸢kui⸣ ɸu⸢moːt⸣ta] (東の村井戸<下り井戸>から水を担がれる<運搬される>ときは、井戸の底にたごおけ<水担桶>を据え置いて、ク⸢バヌパーウムル<蒲葵の葉で作った柄杓>で水を掬って汲まれたものだ) 6126 0 0 5792 htmvoc_6126.wav クバヌパーオンギ ク⸢バヌパーオン⸣ギ [ku⸢banupaːʔoŋ⸣gi] 名 ビロウ(蒲葵)の葉で作った扇。うちわ(団扇)。ク⸢バンパーオンギ[ku⸢bampaːʔoŋgi](蒲葵の葉扇)ともいう。ク⸢バオンギ[ku⸢baʔoŋgi](蒲葵団扇)と同じ。 ⸢クバヌパーオンゲー⸣ カ⸢ロー⸣ン ⸣アリ ウ⸢リ⸣シ ⸢オンガ⸣リ カ⸢ジェー⸣ ピ⸢ラ⸣ケーンダ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢フンスクル⸣ナ ⸢ブー⸣ カタチニ ⸢ナシゥカ⸣サ ウ⸢モー⸣リン [ku⸢baʔoŋgeː⸣ ka⸢roː⸣ŋ ⸣ʔari ʔu⸢ri⸣ʃi ⸢ʔoŋga⸣ri ka⸢ʤeː⸣ pi⸢ra⸣keːnda ʔu⸢ja⸣nu ⸢ɸunsu̥kuru⸣na ⸢buː⸣ kḁtaʧini ⸢nasi̥ka⸣sa ʔu⸢moː⸣riŋ] (蒲葵の葉団扇は軽くもあり、それで煽がれる風は涼しいので、親の懐にいるように懐かしく思われる) 6112 0 0 5793 htmvoc_6112.wav クバヌパーシル ク⸢バヌパーシル [ku⸢banupaːʃiru] 名 ビロウ(蒲葵)の葉で作った釣瓶。ク⸢バンパーシル[ku⸢bampaːʃiru](蒲葵の葉釣瓶)ともいう。⸢蒲葵の葉釣瓶」の義。蒲葵の葉を葉柄(長さ約30センチ)ごと切って2、3日陰干しにした後、水を打って柔らかくし、両膝で押して葉の部分を丸く曲げて絞り込み、葉柄を曲げて絞り込んだ葉の部分に強く結びつけて釣瓶に仕上げたもの。その釣瓶に縄を結んで井戸から湧水を汲みあげた。釣瓶の絞込みの部分に小石を結わえておくと、釣瓶が一定の方向に傾くので水汲みに便利であった。 ク⸢バヌパーシロー⸣ ヤ⸢リヤッ⸣サンダー グ⸢チ⸣ホーニ ⸢アシゥカウナ⸣ヨー [ku⸢banupaːʃiroː⸣ ja⸢rijas⸣sandaː gu⸢ʧi⸣hoːni ⸢ʔasï̥kauna⸣joː] (蒲葵の葉釣瓶は破れ易いので無鉄砲に扱うなよ<乱暴に扱うなよ>) 6129 0 0 5794 htmvoc_6129.wav クバヌパームチ ク⸢バヌパームチ [ku⸢bampaːmuʧi] 名 ビロウ(蒲葵)の葉で包んだ餅。⸢蒲葵の葉餅」の義。与那国島の特産の餅。鳩間島ではバ⸢サン⸣パームチ[ba⸢sam⸣paːmuʧi](芭蕉の葉で包んだ餅)、サ⸢ミンパームチ[sa⸢mimpaːmuʧi](月桃の葉餅)がよく作られた。 ユ⸢ノンマー⸣ ク⸢バヌ ゴー⸣ラーンダ ⸣ユー ク⸢バンパー⸣シ ク⸢バンパームチ⸣ ス⸢ク⸣ローッタン [ju⸢nommaː⸣ ku⸢banu goː⸣raːnda ⸣juː ku⸢bampaː⸣ʃi ku⸢bampaːmuʧi⸣ su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (与那国島にはビロウ<蒲葵>が多いので、よく蒲葵の葉で蒲葵の葉餅を作られた) 6130 0 0 5795 htmvoc_6130.wav クバフニ ク⸢バフニ [ku⸢baɸuni] 名 玩具の名。クバ(蒲葵)の葉柄で作った舟。上部を削り、福木の葉を竹箸で通して差し、竹で梶を作って海に浮かべたり、水に浮けたりして遊んだ。 ク⸢バフニ⸣ ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふィーラ⸣ナー [ku⸢baɸuni⸣ su̥⸢ku⸣ri f⸢fiːra⸣naː] (蒲葵舟を作ってあげようね) 6132 0 0 5796 htmvoc_6132.wav クバミルン ク⸢バミ⸣ルン [ku⸢bami⸣ruŋ] 他動 節約する。倹約する。少しずつ分けて出す。小まめに出す。ク[ku](小)に接尾語バム[bamu](そのような性質、状態を帯びる意)が付いてク⸢バ⸣ムン[ku⸢ba⸣muŋ](小さく分ける{EOS}節約する)が形成され、そのラ行四段化したものか。 ク⸢バミラン⸣カー タ⸢ラーサラヌ [ku⸢bamiraŋ⸣kaː ta⸢raːsaranu] (少しずつ分けて、節約しないと充足できない)。 ク⸢バミ⸣ルクトー ク⸢バミルン⸣ドゥ ノー⸢ン⸣シタンティン タ⸢ラーヌ [ku⸢bami⸣ruku̥toː ku⸢bamirun⸣du noː⸢ŋ⸣ʃi̥tantin ta⸢raːnu] (少しずつ分けて節約することは節約するが、どうやっても<何としても>足りない)。 ク⸢バミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢bami⸣reː ⸣misamunu] (節約すればよいのに)。 ク⸢バミリバ⸣ル <ク⸢バミバ⸣ル> タ⸢ラーサリル [ku⸢bamiriba⸣ru ta⸢raːsariru] (節約すれば<ぞ>足らされる)。 ヤー⸢ディン⸣ ク⸢バミ⸣リ [jaː⸢diŋ⸣ ku⸢bami⸣ri] (必ず節約しなさい) 6134 0 0 5797 htmvoc_6134.wav クバムトゥ ク⸢バムトゥ [ku⸢bamutu] 名 ビロウ(蒲葵)の幹。⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)の⸢パイ⸣ディン[⸢pai⸣diŋ](拝殿)の側に一本のク⸢バ[ku⸢ba](蒲葵)が生えている。その蒲葵の、クバ⸢ムトーラ⸣ル ⸢カンヌマイ⸣ヤー ウリ⸢オー⸣ルツォー[ku⸢bamutoːra⸣ru ⸢kannumai⸣jaː ⸣ʔuri ⸢ʔoː⸣ruʦoː](蒲葵の幹を伝って<蒲葵本から>神様は降臨される<降りて来られる>そうだ) 6116 0 1 5798 htmvoc_6116.wav クバムニ ク⸢バ⸣ムニ [ku⸢ba⸣muni] 名 {Mn_1}たどたどしいィ話し方。片言。ろれつ(呂律)の回らない話し方。「こわ物言い」の義。 ク⸢バ⸣ムニン イ⸢ジッシ⸣ イッ⸢ケナ スー⸣リ ⸣キー ア⸢タラ⸣サン [ku⸢ba⸣muniŋ ʔi⸢ʤiʃʃi⸣ ʔik⸢kena suː⸣ri ⸣kiː ʔa⸢tara⸣saŋ] (片言ながら話せるようになり、ずいぶん成長してきていて可愛いよ)。 6116 0 2 5799 htmvoc_6116.wav クバムニ ク⸢バ⸣ムニ [ku⸢ba⸣muni] 名 {Mn_2}筋の通らない、おかしな話。 ク⸢バムニ⸣バ イ⸢ジアーク⸣ヌ ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢ミーヤ ナー⸣ヌ [ku⸢bamuni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaːku⸣nu ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢miːja naː⸣nu] (筋の通らない、おかしな話をしているが、その人の言う事は真実味が無い<中身が無い{EOS}嘘だ>) 6133 0 0 5800 htmvoc_6133.wav クバムン ク⸢バ⸣ムン [ku⸢ba⸣muŋ] 他動 節約する。倹約する。少しずつ分けて蓄える。 ⸢マイヤー⸣ プスイ イ⸢チンゴー⸣ナー ク⸢バ⸣ミ [⸢maijaː⸣ pu̥sui ʔi⸢ʧiŋgoː⸣naː ku⸢ba⸣mi] (お米は一日一合ずつに節約しなさい)。 ク⸢バミ⸣プサンドゥ ク⸢バマラ⸣ヌ [ku⸢bami⸣pu̥sandu ku⸢bamara⸣nu] (節約したいが節約出来ない)。 ク⸢バ⸣ムンティ ⸣ウムーカー ク⸢バ⸣ムクトー ナレー⸢スヌ⸣ キ⸢ムイツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ba⸣munti ⸣ʔumuːkaː ku⸢ba⸣mu ⸣ku̥toː nareː⸢sunu⸣ ki⸢muiʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (節約しようと思えば節約することは出来るが可哀相でたまらない<ならない>)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢バ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ku⸢ba⸣meː misamunu] (もっと節約すればよいのに) 6131 0 0 5801 htmvoc_6131.wav クバメーカバメースン ク⸢バ⸣メーカバメー ⸢スン [ku⸢ba⸣meːkabameː ⸢suŋ] 連 倹約節約し、小出しにして使う。金銭や食品などを倹約して、少しずつ使うこと。ABCDEBCD型の畳語(重言)。 ⸢ジン⸣マー シン⸢トゥ⸣ ク⸢ビ⸣ル ヌ⸢カ⸣レーバ ク⸢バ⸣メーカバメー ⸢シー⸣ シゥ⸢カイ⸣ヨー [⸢ʤim⸣maː ʃin⸢tu⸣ ku⸢bi⸣ru nu⸢ka⸣reːba ku⸢ba⸣meːkabameː ⸢ʃiː⸣ sï̥⸢kai⸣joː] (お金はたったこれだけしか残っていない<これだけが残っている>ので、倹約節約して使いなさいよ) 6135 0 0 5802 htmvoc_6135.wav クバヤマクイチブシ ク⸢バヤマクイチ⸣ブシ [ku⸢bajamakuiʧi⸣buʃi] 名 石垣島の古典民謡「久場山越地節」。 ク⸢バヤマクイチ⸣ブシェー ヌ⸢ス⸣クムラヌ ⸢ユンチュヌル⸣ ス⸢ク⸣ローッタティ ⸢アザリブー [ku⸢bajamakuiʧi⸣buʃeː nu⸢su⸣kumuranu ⸢junʧunuru⸣ su̥⸢ku⸣roːttati ʔa⸢ʣaribuː] (久場山越地節は野底村の与人が<ぞ>作られたといわれている)。 ク⸢バヤマクイチ⸣ブシェー イ⸢サナキヌ⸣ ウタ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢ナン⸣ゾー イ⸢ゾーラ⸣ヌ [ku⸢bajamakuiʧi⸣buʃeː ʔi⸢sanakinu⸣ ʔuta ja⸢runda⸣ pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢nan⸣ʣoː ʔi⸢ʣoːra⸣nu] (久場山越地節は石垣の歌だから鳩間島の人はあまり歌われない) 6137 0 0 5803 htmvoc_6137.wav クバリピラク ク⸢バリピラ⸣ク [ku⸢baripira⸣ku] 名 凍えるような寒さ。厳しい寒さ。「こはばり(強張り)・冷え」の転訛したものか。ク⸢バリピラ⸣フ[ku⸢baripira⸣ɸu](凍えるような寒さ)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ク⸢バリピラ⸣フナー ス⸢ナカ⸣ヌ イ⸢ズン⸣ ブ⸢チ⸣クン シ⸢ティ イッ⸣パイ ウ⸢ケーリ ベー [ku⸢nu⸣ ku⸢baripira⸣kunaː su⸢naka⸣nu ʔi⸢ʣum⸣ bu⸢ʧi⸣kuŋ ʃi̥⸢ti ʔip⸣pai ʔu⸢keːri beː] (この厳しい寒さで海の魚も気絶して<仮死状態になって>沢山浮いている) 6138 0 0 5804 htmvoc_6138.wav クバリンガターナリブー ク⸢バリン⸣ガター ナ⸢リ⸣ ブー [ku⸢bariŋ⸣gataː na⸢ri⸣ buː] 連 凍えそうになっている。 ⸢ピーヤ⸣ヌ ク⸢バリン⸣ガター ナ⸢リ⸣ ブー [⸢piːja⸣nu ku⸢bariŋ⸣gataː na⸢ri⸣buː] (寒くて凍えそうになっている) 6136 0 1 5805 htmvoc_6136.wav クバルン ク⸢バ⸣ルン [ku⸢ba⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}凍える。かじかむ。寒さで硬直する。「こわばる<強張る>」の転訛したもの。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ピ⸢ラ⸣クナー ク⸢バ⸣リティ シ⸢ニンガター⸣ ナリ ⸢ベー⸣タ [⸢kundu⸣nu pi⸢ra⸣kunaː ku⸢ba⸣riti ʃi⸢niŋgataː⸣ nari ⸢beː⸣ta] (このたびの厳しい寒さでは凍えて死にそうになっていたよ)。 ⸢アーシ⸣キン ⸢ミックビ⸣ キ⸢スター⸣ ク⸢バランセン [⸢ʔaːʃi⸣kim ⸢mikkubi⸣ ki̥⸢sutaː⸣ ku⸢baraŋ⸣ʃeŋ] (袷を三着重ね着したので凍えかった)。 パ⸢ダ⸣キン プ⸢スッ⸣クビ カー⸢ニ⸣ キ⸢シティ⸣ ク⸢バ⸣リ ⸢ナーン⸣セン [pa⸢da⸣kim pu̥⸢suk⸣kubi kaː⸢ni⸣ ki̥⸢ʃiti⸣ ku⸢ba⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (肌着一枚だけ着て凍えてしまった)。 ⸣キン キ⸢サン⸣カー ク⸢バ⸣ルン⸢ダー [⸣kiŋ ki̥⸢saŋ⸣kaː ku⸢ba⸣run⸢daː] (着物を着ないと凍えるぞ)。 ク⸢バ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢ba⸣ru ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (凍えることはない)。 ク⸢バ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢ba⸣reː ⸣misamunu] (凍えればよいのに)。 アイ⸢ベー⸣ティ ク⸢バ⸣リバ [ʔai⸢beː⸣ti ku⸢ba⸣riba] (そうやっていて凍えろよ)。 6136 0 2 5806 htmvoc_6136.wav クバルン ク⸢バ⸣ルン [ku⸢ba⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}吃る。 フ⸢チェー⸣ ク⸢バ⸣リティ ⸣ムネー イ⸢ザラヌ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ ku⸢ba⸣riti muneː ʔi⸢ʣaranu] (口が吃って話が出来ない<ものが言えない>)。 フ⸢チクバリ⸣ムニ イ⸢ズン [ɸu̥⸢ʧikubari⸣muni ʔi⸢ʣuŋ] (声がつかえて吃ることば<吃り言葉>を話す<言う>) 6139 0 0 5807 htmvoc_6139.wav クバルン ク⸢バ⸣ルン [ku⸢ba⸣ruŋ] 自動 こぼれる(零れる)。あふれおちる(溢れ落ちる)。 ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジヌ⸣ ク⸢バ⸣ルンダ ク⸢バラン⸣ ヨーニ ウ⸢キ⸣ イ⸢リティ⸣ カ⸢タ⸣ミバ [⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤinu⸣ ku⸢ba⸣runda ku⸢baraŋ⸣ joːni ʔu⸢ki⸣ ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢ta⸣miba] (たご<担桶>の水が零れるから、零れないように浮きを入れて担ぎなさいよ)。 ムー⸢ル⸣ ク⸢バ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [muː⸢ru⸣ ku⸢ba⸣ri ⸢naː⸣nu] (全部零れてしまった)。 ク⸢バ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [ku⸢ba⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (零れることは無いはずだ)。 ムー⸢ル⸣ ク⸢バ⸣レー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru⸣ ku⸢ba⸣reː ⸣misamunu] (全部零れたら良いのに) 6140 0 1 5808 htmvoc_6140.wav クバルン ク⸢バ⸣ルン [ku⸢ba⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}配る。手配する。手配りする。標準語からの転訛。 イ⸢ソーシンカ⸣ ク⸢バ⸣ルンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢シンカ⸣ヌ タ⸢ラーンバン [ʔi⸢soːʃiŋka⸣ ku⸢ba⸣runti ⸢beːn⸣du ⸢ʃiŋka⸣nu ta⸢raːmbaŋ] (漁撈の人数を手配しよう<配ろう>としているが、人数が足りないよ)。 6140 0 2 5809 htmvoc_6140.wav クバルン ク⸢バ⸣ルン [ku⸢ba⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}配布する。分配する。配る。老年層は⸢パウン[⸢pauŋ](配る)ともいう。 イ⸢ソーシンカヌ⸣ タ⸢マシ⸣ ムー⸢ルン⸣ ク⸢バ⸣リ ⸢オーシ [ʔi⸢soːʃiŋkanu⸣ ta⸢maʃi⸣ muː⸢ruŋ⸣ ku⸢ba⸣ri ⸢ʔoːʃi] (出漁仲間の配分を全員に配って差し上げなさい)。 ムー⸢ルンマー⸣ ク⸢バララ⸣ヌ [muː⸢rummaː⸣ ku⸢barara⸣nu] (全員には配られない)。 ク⸢バ⸣ルンティ ⸣ウムーカー ⸢パイ⸣サ ク⸢バ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢ba⸣runti ⸣ʔumuːkaː ⸢pai⸣sa ku⸢ba⸣reː ⸣misamunu] (配ろうと思うなら早く配ればよいのに)。 ク⸢バ⸣ル プ⸢ソー⸣ ⸢パー⸣ク ク⸢バ⸣リ [ku⸢ba⸣ru pu̥⸢soː paː⸣ku ku⸢ba⸣ri] (配る人は早く配れ)。 ⸢シン⸣カー ギュ⸢タールナー⸣ ク⸢バラリ⸣ワ [⸢ʃiŋ⸣kaː gju⸢taːrunaː⸣ ku⸢barari⸣wa] (仲間<人員>は何人ずつ配分出来る<配られる>か) 6141 0 0 5810 htmvoc_6141.wav クバン ⸣クバン [⸣kubaŋ] 名 神饌の一つ。昔は牛肉の薫製を用いたというが、戦争直前ごろから魚の薫製を用いるようになったという。燻製の魚肉を約1センチ角で長さ約10センチに切ったもの。それを7本、または9本に束ねてクバン皿に入れ、塩とピ⸢ル[pi⸢ru](大蒜)三片を添えたもの。クバンを束ねたものを、ム⸢リクバン[mu⸢rikubaŋ](盛りクバン)という。 ム⸢カ⸣シェー ク⸢バン⸣マー ウ⸢シヌ⸣ニク ⸣ガシティル シゥ⸢カイオーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ku⸢bam⸣maː ʔu⸢ʃinu⸣niku ⸣gaʃitiru sï̥⸢kaioːt⸣taʦoː] (昔は、クバンは牛肉<牛の肉>を燻製にして<ぞ>使われた)。イ⸢ズクバン[ʔi⸢ʣukubaŋ](魚クバン)、⸣タククバン[⸣tḁkukubaŋ](燻製蛸のクバン)などがある 6142 0 0 5811 htmvoc_6142.wav クバン ク⸢バン [ku⸢baŋ] 名 「小判」の義。カツオ(鰹)の大きさを示す語。4、5斤ほどのカツオ。それより小さいカツオをビ⸢リ⸣グヮー[bi⸢ri⸣gwaː](最小のカツオ)という。⸢ダイ⸣バン[⸢dai⸣baŋ](大判)は12、3斤のカツオ。トゥ⸢ビダイ[tu⸢bidai](超大判)は15、6斤以上のカツオをいう。 ク⸢バン⸣シェー カ⸢ミブシ⸣ル ス⸢クラ⸣リ [ku⸢baŋ⸣ʃeː ka⸢mibuʃi⸣ru su̥⸢kura⸣ri] (鰹の小判では亀節しか造れない<亀節ぞ造られる>) 6127 0 0 5812 htmvoc_6127.wav クバンパーッスン ク⸢バンパーッスン [ku⸢bampaːssuŋ] 名 ビロウ(蒲葵)の葉包み。味噌や漬物、魚などの焙乾したものを蒲葵の葉で包んでお土産としたもの。 プ⸢シイガ⸣ヌ ク⸢バンパーッスン ピー⸣チェー イ⸢サンケーヌ⸣ シトゥ ム⸢タ⸣シバ [pu̥⸢ʃiʔiga⸣nu ku⸢bampaːssum piː⸣ʧeː ʔi⸢saŋkeːnu⸣ ʃi̥tu mu⸢ta⸣ʃiba] (干し烏賊を包んだ蒲葵の葉包を一つ石垣島への土産<つと>に持たせなさい) 6128 0 0 5813 htmvoc_6128.wav クバンパービー ク⸢バンパービー [ku⸢bampaːbiː] 名 蒲葵の葉樋。蒲葵の葉を桑や福木の幹に巻きつけて、樹木に降った雨水を受けて水甕に導くようにしたもの。 ム⸢カ⸣シェー フ⸢クンキー⸣ナ ク⸢バンパービー⸣ マ⸢キ⸣シキティ シゥ⸢カイミジ⸣ カミナー タ⸢モーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ɸu̥⸢kuŋkiː⸣naː ku⸢bampaːbiː⸣ ma⸢ki⸣ʃi̥kiti si̥⸢kaimiʤi⸣ kaminaː ta⸢moːt⸣ta] (昔は福木の幹に蒲葵の葉樋を巻きつけて日常用水を水甕に溜められた) 6143 0 0 5814 htmvoc_6143.wav クビ ク⸢ビ [ku⸢bi] 名 壁。「壁、加閉<かべ>、室之屏蔽也」『和名抄』の転訛したもの。 イ⸢ツァ⸣クビ [ʔi⸢ʦa⸣kubi] (板壁)。ガ⸢ヤー⸣クビ[ga⸢jaː⸣kubi](茅壁)などがある。板壁に用いる⸢サンブ⸣イツァ[⸢sambu⸣ʔiʦa](三分板)は本土産の杉板を購入していたが、それ以前はフ⸢クイキー[ɸu̥⸢kuikiː](ウラジロエノキ)などの柔らかい材質の木材を⸣バキティ[⸣bakiti](製材して)用いていた。⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)は茅で壁を葺いていた。竹やススキを網代に組んで茅壁に当て、ティ⸢ブ⸣ク[ti⸢bu⸣ku](竹矛)で押さえ、締め縄で締めて固定した。 ⸢カー⸣ラヤーナーヤ イ⸢ツァクビ⸣ル フ⸢コー⸣ル ガ⸢ヤー⸣クベー フ⸢コーラ⸣ヌ [⸢kaː⸣rajaːnaːja ʔi⸢ʦakubi⸣ru ɸu̥⸢koː⸣ru ga⸢jaː⸣kubeː ɸu̥⸢koːra⸣nu] (瓦葺きの家には板壁を<ぞ>張られる<葺かれる>、茅壁は葺かれない) 6144 0 0 5815 htmvoc_6144.wav クビ ⸣クビ [⸣kubi] 名 これだけ。これ位。これほど。体積や量の程度を表す。 ク⸢ビ⸣ル バ⸢キラ⸣リ [ku⸢bi⸣ru ba⸢kira⸣ri] (これだけしか分けられない<これだけぞ分けられる>)。 ⸣クベー ⸢カーシ⸣ミサン [⸣kubeː ⸢kaːʃi⸣ misaŋ] (これだけは売ってもいい)。 ク⸢ビ⸣ヌ ム⸢ヌ⸣バ シ⸢ティララヌ [ku⸢bi⸣nu mu⸢nu⸣ba ʃi̥⸢tiraranu] (これほどのものを、勿体無くて捨てられない)。 ⸣クビシェー タ⸢ラーヌ [⸣kubiʃeː ta⸢raːnu] (これだけでは足りない)。 ⸣クベー バ⸢キ⸣リバ [⸣kubeː ba⸢ki⸣riba] (これだけは分けなさいよ)。 ⸣クビシ ⸣ミサン ⸣メー ⸣ドゥク イ⸢ズナ [⸣kubiʃi ⸣misam ⸣meː ⸣duku ʔi⸢ʣuna] (これでよい{EOS}もう、あまり叱るな) 5978 0 0 5816 htmvoc_5978.wav クビダキ ⸣クビダキ [⸣kubidaki] 名 これだけ。これしき。量的少程度。 ⸣クビダキヌ <ク⸢ビッチン⸣ヌ> ⸣クトゥシ ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣レー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kubidakinu ⸣ku̥tuʃi ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣reː na⸢ra⸣nu] (これだけのことで腹を立ててはならない)。これほども。物事の形態的内容、質的程度の限定。 ⸣クビダキ <ク⸢ビ⸣ナー> ⸣アジ シゥ⸢カサバン⸣ バー ア⸢ズ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [⸣kubidaki ⸣ʔaʤi sï̥⸢kasabam⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muni sï̥⸢kanu] (これほど言って諭しても<言い聞かせても>私の助言<言うこと>を聞き入れないのか) 6148 0 0 5817 htmvoc_6148.wav クビタンガ クビ⸢タン⸣ガ [kubi⸢taŋ⸣ga] 連 これだけ。「これ一つ」の義。「これだけ」と限定・強調する表現。クビ⸢カーニル[kubi⸢kaːniru](これだけしか<これだけぞ>)ともいう。 クビ⸢タンガ⸣ル ⸣ムティ キ⸢ラリ⸣タ [⸣kubi ⸢taŋga⸣ru ⸣muti ki⸢rari⸣ta] (これだけしか<これだけぞ>持ってこられなかった<持ってこられた>)。 クビ⸢タン⸣ガーンツァン バ⸢キララヌ [kubi⸢taŋ⸣gaːnʦam ba⸢kiraranu] (これだけすらも分けられないのか) 6146 0 0 5818 htmvoc_6146.wav クビッチン ク⸢ビッ⸣チン [ku⸢bit⸣ʧiŋ] 名 これぼっち。 ⸢バン⸣マー ク⸢ビッ⸣チン カー⸢ニル⸣ バキ ッ⸢ふィーッタ [⸢bam⸣maː ku⸢bit⸣ʧiŋ kaː⸢niru⸣ baki f⸢fiːtta] (私にはこれぼっちだけしか分けてくれなかった<これぼっちだけぞ分けてくれた>)。 ク⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトゥシ ⸢アウター [ku⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥tuʃi ⸢ʔautaː] (これぼっちのことで喧嘩したのか)。 ⸣バー ⸣ムネー ク⸢ビッチン⸣マーンツァン シゥ⸢カヌ [⸣baː ⸣muneː ku⸢bitʧim⸣maːnʦan si̥⸢kanu] (私の言うこと<言葉>はこれぼっちも聞かない) 6147 0 0 5819 htmvoc_6147.wav クビブカラ ⸣クビブカラ [⸣kubibukara] 連 これ位。この程度。このくらい(両手で形を限定して指し示す)。⸣ウビブカラ[⸣ʔubibukara]<それくらい。やや漠然と示す>よりも明確に明示的に指示する表現。名詞⸣クビ[⸣kubi](これだけ)に副助詞⸣ブカラ[⸣bukara](くらい{EOS}体言、活用語の連体形、格助詞などについて、おおよその程度、分量、範囲を表す)の付いた形。 ⸣クビブカラヌ ウ⸢ブ⸣イズ ⸢ホー⸣シ ⸣ケーン [⸣kubibukaranu ʔu⸢bu⸣ʔiʣu ⸢hoː⸣ʃi ⸣keːŋ] (これくらいの大きな魚を釣ってきた)。 ⸣クビブカラ ⸣バキ ⸢カーソー⸣リ [⸣kubibukara ⸣baki ⸢kaːsoː⸣ri] (これくらい分けて売ってください)。 ⸣クビブカラー ヌ⸢マリ⸣ス [⸣kubibukaraː nu⸢mari⸣su] (これくらいは飲まれ<飲め>るよ) 6149 0 0 5820 htmvoc_6149.wav クビラナー ク⸢ビラ⸣ナー [ku⸢bira⸣naː] 名 イカを餌にしてカジキやヒラクサー、サバ(鱶)などを釣る際に用いる釣り縄。 ム⸢カ⸣シェー ク⸢ビラナー⸣シル サ⸢バー ホー⸣ソーッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ku⸢biranaː⸣ʃiru sa⸢baː hoː⸣soːtta] (昔はクビラ縄で鱶をを釣られた) 6150 0 0 5821 htmvoc_6150.wav クビン ⸣クビン [⸣kubiŋ] 名 瓶。「Quafinクヮヒン」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 サ⸢キクビン [sḁ⸢kikubiŋ] (酒瓶)。 ⸢イッス⸣クビン [⸢ʔissu⸣kubiŋ] (一升瓶)。 ⸢サンゴー⸣クビン [⸢saŋgoː⸣kubiŋ] (三合瓶)。 イ⸢ガメーヤ イッス⸣クビンナー ミ⸢ジェー⸣ イ⸢リティル⸣ ム⸢トーッ⸣タ [ʔi⸢gameːja ʔissu⸣kubinnaː mi⸢ʤeː⸣ ʔi⸢ritiru⸣ mu⸢toːt⸣ta] (烏賊釣り漁へは一升瓶に水を入れて持って行かれた) 6151 0 0 5822 htmvoc_6151.wav クビンヌザウ ク⸢ビン⸣ヌ ⸣ザウ [ku⸢bin⸣nu ⸣ʣau] 連 瓶の栓。 ク⸢ビン⸣ヌ ⸣ザウ ⸣ッシバ [ku⸢bin⸣nu ⸣ʣau ⸣ʃʃiba] (瓶の栓を差せ<差し込め>よ) 6152 0 0 5823 htmvoc_6152.wav クビンヌバリ ク⸢ビン⸣ヌ バ⸢リ [ku⸢bin⸣nu ba⸢ri] 連 ガラス製瓶の破片。「瓶の割れ」の義。 イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥ⸢バー⸣ケー ク⸢ビン⸣ヌ バ⸢リバ⸣ ピーナ ヤ⸢キティ⸣ ウ⸢リ⸣シル ア⸢シ⸣ボー バ⸢ローッ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔatu⸢baː⸣keː ku⸢bin⸣nu ba⸢riba⸣ piːna ja⸢kiti⸣ ʔu⸢ri⸣ʃiru ʔa⸢ʃi⸣boː ba⸢roːt⸣ta⸢daː] (終戦後までは、ガラス瓶の破片を火で焼いて、それでお出来を<はれもの>を切開された<割られて>ものだよ) 6153 0 0 5824 htmvoc_6153.wav クブ ⸣クブ [⸣kubu] 名 (植)海草の昆布。干し昆布。本土から輸入された。クブは昔から祝儀、不祝儀の料理に欠く事の出来ない食材である。ク⸢ブ⸣マキ[ku⸢bu⸣maki](魚の昆布巻き)やム⸢スビクブ[mu⸢subikubu](大きな結び昆布)の料理にしたり、炒め物に入れたりして食した。また、正月には⸢ザー⸣トゥク[⸢ʣaː⸣tuku](床の神)に供える、こうだて(甲立て)したジ⸢ブ⸣ク[ʤi⸢bu⸣ku](重箱)のパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)の上に立てて、その家に慶事が招来されることを祈願する。 ⸣ヨイナーン ⸢ソッ⸣コーナーン ⸣クブシ ⸣ウサイ ス⸢ク⸣ローッタ⸢ダー [⸣joinaːn ⸢sok⸣koːnaːŋ ⸣kubuʃi ⸣ʔusai su̥⸢ku⸣roːtta⸢daː] (お祝いにも法事<焼香>にも昆布でご馳走<料理>を作られたのだよ) 6154 0 0 5825 htmvoc_6154.wav クブ ⸣クブ [⸣kubu] 名 こぶ(瘤)。たんこぶ。筋肉が異常に固まって盛り上がったもの。 ク⸢シナカヌ⸣ ク⸢ブ⸣バ バ⸢ラスンティ⸣ イ⸢サナキヌ⸣ イ⸢サン⸣ヤー ⸢オーッ⸣タ [ku⸢ʃinakanu⸣ ku⸢bu⸣ba ba⸢rasunti⸣ ʔi⸢sanakinu⸣ ʔi⸢saɲ⸣jaː ʔoːt⸣ta] (背中の瘤を切開させに石垣島の病院<医者の家>へ行かれた) 6155 0 0 5826 htmvoc_6155.wav クブ ⸣クブ [⸣kubu] 名 (動)くも(蜘蛛)。若年層は、⸣クム[⸣kumu](蜘蛛)ともいう。 ガ⸢マ⸣ジナ ク⸢ブ⸣ヌ ⸢シー⸣ヌ ⸢フシゥ⸣カリ ⸢ベー [ga⸢ma⸣ʤina ku⸢bu⸣nu ⸢ʃiː⸣nu ⸢ɸusi̥⸣kari ⸢beː] (髪の毛に蜘蛛の巣がくっ付いている) 6157 0 0 5827 htmvoc_6157.wav グフーク グ⸢フー⸣ク [gu⸢ɸuː⸣ku] 名 ご奉公。主家に対して奉仕すること。他家に住み込んで家事、家業に従事すること。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢マトー⸣ラ ⸢サンガリ⸣ ケー プ⸢スンケー⸣ヤ ⸣タンコーナ グ⸢フー⸣ク シ⸢ミラリ⸣ ブ⸢タ⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢matoː⸣ra ⸢saŋgari⸣ keː pu̥⸢suŋkeː⸣ja ⸣taŋkoːna gu⸢ɸuː⸣ku ʃi⸢mirari⸣ bu⸢ta⸣daː] (昔は、大和から引っ張られてきた人達は炭坑に奉公させられていたよ) 6164 0 0 5828 htmvoc_6164.wav クブイラキ ク⸢ブイラ⸣キ [ku⸢bu⸢ʔira⸣ki] 名 昆布の炒め物。昆布を細かく下ろし、蒲鉾や魚、コブシメ、野菜などと一緒に炒めた料理。祝儀料理にも不祝儀料理にも調理された一般的な料理。「昆布煎り」の転訛したもの。イ⸢ラキ⸣ムヌ[ʔi⸢raki⸣munu](炒め物<煎り物>)ともいう。 ク⸢ブイラ⸣キン ナ⸢マ⸣シン ス⸢コーリ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [ku⸢buʔira⸣kin na⸢ma⸣ʃin su̥⸢koːri⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (昆布の炒めものも刺身も作って<用意して>出しなさいよ) 6158 0 0 5829 htmvoc_6158.wav グブグブ グ⸢ブグブ [gu⸢bugubu] 名 互角。半分。確率五分。優劣のつけられないさま。「五分五分」の義。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸢セン⸣キョー カ⸢カ⸣ルンユー ⸢ヌー⸣シユー ワ⸢カラ⸣ヌ グ⸢ブグブ⸣ ヤ⸢リン⸣ギサ [⸢kundu⸣nu ⸢ʃeŋ⸣kjoː kḁ⸢ka⸣ruŋjuː ⸢nuːʃi⸣juː wa⸢kara⸣nu gu⸢bugubu⸣ ja⸢riŋ⸣gisa] (今度の選挙は当選するか、どうか分らない{EOS}五分五分<互角>のようだ) 6159 0 0 5830 htmvoc_6159.wav グブトゥール グ⸢ブトゥール [gu⸢butuːru] 名 灯心が五分幅のランプ。「五分灯籠」の義。若年層はグ⸢ブ⸣ランプ[gu⸢bu⸣rampu](五分ランプ)と言っていた。 グ⸢ブトゥーロー⸣ ハ⸢チブトゥール⸣ヌ ⸣スコー ガ⸢ラヌ [gu⸢butuːroː⸣ hḁ⸢ʧibutuːru⸣nu ⸣su̥koː ga⸢rau] (五分ランプは八分ランプほど明るくならない<輝かない>) 6162 0 0 5831 htmvoc_6162.wav クブヌシー ク⸢ブ⸣ヌ ⸣シー [ku⸢bu⸣nu ⸣ʃiː] 連 蜘蛛の巣。古老は⸣グブンダニヌ ⸣シー[⸣gubundaninu ⸣ʃiː](蜘蛛の巣)という。 ⸢ティンゾー⸣ヌ ⸢ソー⸣ジ シ⸢ター⸣ ガ⸢マ⸣ジナー ク⸢ブ⸣ヌ ⸢シー⸣ヌ カ⸢ルマ⸣キティ キ⸢ムフクレー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tinʣoː⸣nu ⸢soː⸣ʤi ʃi̥⸢taː⸣ ga⸢maʤi⸣naː ku⸢bu⸣nu ⸢ʃiː⸣nu ka⸢ruma⸣kiti ki⸢muhukureː⸣nu na⸢ra⸣nu] (天井の掃除をしたら髪の毛に蜘蛛の巣が絡み付いて汚くてたまらぬ) 6163 0 0 5832 htmvoc_6163.wav クブマキ ク⸢ブマ⸣キ [ku⸢buma⸣ki] 名 昆布巻き。魚肉や烏賊、蛸を芯にして昆布で巻き、味付けをして煮付けたもの。 ⸣アボー ス⸢ク⸣ロール ク⸢ブ⸣マケー イ⸢カムス⸣ク ン⸢マー⸣タワ⸢ツォー [⸣ʔaboː su̥⸢ku⸣roːru ku⸢bu⸣makeː ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔm⸢maː⸣tawa⸢ʦoː] (お母さんが作られる昆布巻きはどんなに美味しかったことか) 6156 0 0 5833 htmvoc_6156.wav クブミ ク⸢ブミ [ku⸢bumi] 名 くぼみ(窪み)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ミ⸢チ⸣ヌ ク⸢ブミ⸣ナー ミ⸢ジヌ⸣ タ⸢マルン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː mi⸢ʧi⸣nu ku⸢bumi⸣naː mi⸢ʤinu⸣ ta⸢maruŋ] (雨が降ると道の窪みには水が溜まる) 6165 0 0 5834 htmvoc_6165.wav グブリー グ⸢ブ⸣リー [gu⸢bu⸣riː] 名 ご無礼。失礼。 ⸢マー⸣ビン ⸢パイ⸣サ ⸣キー ク⸢ヨーマバ⸣ル ヤ⸢ルンドゥ キーユーサ⸣ナ グ⸢ブ⸣リー ⸣ナリ ⸢ブー⸣ユー [⸢maː⸣bim ⸢pai⸣sa ⸣kiː ku⸢joːmamba⸣ru ja⸢rundu kiːjuːsa⸣na gu⸢bu⸣riː nari ⸢buː⸣juː] (もっと早く来てご機嫌伺い致すべきところですが、来ることが出来ずにご無礼致しております<ご無礼になっております>) 6197 0 0 5835 htmvoc_6197.wav グブローッティ グブローッ⸢ティ [guburoːt⸢ti] 副 一気に水を流し込むさま。 グブローッ⸢ティ⸣ ミ⸢ジェー ノー⸣シティ マ⸢タ⸣ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ミン ⸢パッ⸣タヤー [guburoːt⸢ti⸣ mi⸢ʤeː noː⸣ʃi̥ti ma⸢ta⸣ mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣mim ⸢pat⸣tajaː] (一気に水担桶の水を移して<ゴボロッと注ぎいれて>、また水を運びに<担ぎに>行ったよ) 6160 0 0 5836 htmvoc_6160.wav グブンダニ ⸣グブンダニ [⸣gubundani] 名 (動)蜘蛛(古老のことば)、『八重山語彙』。⸣クブ[⸣kubu](蜘蛛)ともいう。 ⸢バン⸣テヌ アチャター⸢バー⸣ケー ク⸢ブ⸣バ ⸣クブンダニティ ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢ban⸣tenu ʔaʧataː⸢baː⸣keː ku⸢bu⸣ba ⸣kubundaniti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (私の家のお父さん達までは蜘蛛のことをクブンダニと言われた) 6166 0 0 5837 htmvoc_6166.wav クマ ⸣クマ [⸣kuma] 名 こま(独楽)。子供の玩具。 ⸣ソンガチ ⸣ナルカー ⸣クマ ⸢マーシ⸣ ア⸢サブタン [⸣soŋgaʧi ⸣narukaː ⸣kuma ⸢maːʃi⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (正月になると独楽を回して遊んだ) 6167 0 0 5838 htmvoc_6167.wav クマ ⸣クマ [⸣kuma] 代 ここ(此処)。場所を表す。空間的に話し手のいる所、また、それにごく近い所を指す。近称の代名詞。⸣ウマ[⸣ʔuma](そこ<其処>{EOS}中称)、⸣カマ[⸣kama](あそこ{EOS}遠称)の対義語。「此・間<コ・マ>」の義。 ⸣クマー ⸣マーヤ [⸣kumaː ⸣maːja] (ここ<此処>はどこ<何処>か)。 ク⸢マー⸣ クー [ku⸢maː⸣ kuː] (此処へ来い)。 ⸢ニー⸣ヤ ⸣クマナ シ⸢キ⸣リ [⸢niː⸣ja ⸣kumana ʃi̥⸢ki⸣ri] (荷物は此処に置け)。 ⸣クマーラ ン⸢ジ⸣リ [⸣kumaːra ʔn⸢ʤi⸣ri] (ここから出ろ)。 ア⸢バティ⸣ ク⸢マー⸣ クー [ʔa⸢bati⸣ ku⸢maː⸣ kuː] (急いで此処へ来い)。 ⸣クマナー ⸣タティ ⸢ベー⸣リ [⸣kumanaː ⸣tḁti ⸢beː⸣ri] (此処に立っておれ)。 ク⸢マ⸣ヌ イ⸢ゾー⸣ ン⸢マー⸣ン [ku⸢ma⸣nu ʔi⸢ʣoː⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (此処の魚は美味しい)。 ク⸢マ⸣トゥ ⸣カマ [ku⸢ma⸣tu ⸣kama] (此処とあそこ)。 ⸣クマーラ ⸢ペー⸣リ [⸣kumaːra ⸢peː⸣ri] (ここから入れ)。 ク⸢マ⸣ル マ⸢シ [ku⸢ma⸣ru ma⸢ʃi] (ここが<ぞ>いい<ましだ>)。 ⸣クマー ピ⸢ラ⸣ケーン [⸣kumaː pi⸢ra⸣keːŋ] (此処は涼しい)。 ⸣クマン ⸢ピー⸣ヤン [⸣kumam ⸢piː⸣jaŋ] (ここも寒い) 6168 0 0 5839 htmvoc_6168.wav グマ ⸣グマ [⸣guma] 名 (植)。ごま(胡麻)。うごま(胡麻)。「胡麻、五万、訛云、宇古末(うごま)」『和名抄』の転訛したもの。餅の餡に用いられ、美味である。 グ⸢マ⸣バ イ⸢ソーシ⸣シ ピ⸢キティ⸣ ッ⸢ふサタ⸣トゥ マ⸢ザー⸣シティ ⸣グマアンヌ バ⸢タム⸣チ ス⸢ク⸣ローッタ [gu⸢ma⸣ba ʔi⸢soːʃi⸣ʃi pi̥⸢kiti⸣ f⸢fusata⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ⸣gumaʔannu ba⸢tamu⸣ʧi su̥⸢ku⸣roːtta] (胡麻を石臼で挽いて黒砂糖と混ぜて胡麻餡の餡餅を作られた)。ッ⸢ス⸣グマ[s⸢su⸣guma](白胡麻)、ッ⸢ふ⸣グマ[f⸢fu⸣guma](黒胡麻)などがある。 ム⸢カ⸣シェー ⸣アーン ⸣グマン ス⸢ク⸣ローッタン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔaːŋ ⸣guman su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (昔は、粟も胡麻も栽培された<作られた>)。 ⸣グマー フ⸢クラシティ ダイ⸣パーナ ⸣ッシティ グ⸢マドー⸣フ ス⸢ク⸣ローッタ [⸣gumaː ɸu̥⸢kuraʃi̥ti dai⸣paːna ⸣ʃʃiti gu⸢madoː⸣ɸu su̥⸢ku⸣roːtta] (胡麻はふやかし、擂鉢で擂って胡麻豆腐を造られた) 6169 0 0 5840 htmvoc_6169.wav グマ グ⸢マ [gu⸢ma] 接頭 小さな。形容詞グ⸢マー⸣ン[gu⸢maː⸣ŋ](小さい)の語幹から転成したもの。 グ⸢マ⸣クイ [gu⸢ma⸣kui] (小さい声{EOS}小声{EOS}低い声)。 グ⸢マ⸣ムヌ [gu⸢ma⸣munu] (小さな物{EOS}小物)。 グ⸢マ⸣イズ [gu⸢ma⸣ʔiʣu] (小さな魚{EOS}小魚)。 グ⸢マ⸣ムヌ [gu⸢ma⸣munu] (小さいもの)。 グ⸢マ⸣プス [gu⸢ma⸣pu̥su] (小さい人{EOS}子供)。 グ⸢マ⸣ソンガチ [gu⸢ma⸣soŋgaʧi] (旧暦の正月{EOS}小正月)。 グ⸢マシグ⸣トゥ カー⸢ニル シーユース⸣ ウ⸢ブシグ⸣トー ⸢シーユーサヌ [gu⸢maʃigu⸣tu kaː⸢niru ʃiːjuːsu⸣ ʔu⸢buʃigu⸣toː ⸢ʃiːjuːsanu] (小さな仕事だけしか出来ない<だけがし得る>、大きな仕事は出来ない<し得ない>) 6204 0 0 5841 htmvoc_6204.wav グマー ⸣グマー [⸣gumaː] 名 小さいもの。小物。 ウ⸢レー⸣ グマー <グ⸢マ⸣ムヌ> ヤ⸢ルンダ⸣ シゥ⸢カイユーゾー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ gumaː ja⸢runda⸣ sï̥⸢kaijuːʣoː naː⸣nu] (それは小さいものだから使い道がない)。 グ⸢マー⸣ヤ <グ⸢マ⸣ムノー> シ⸢ティリ [gu⸢maː⸣ja ʃi̥⸢tiri] (小物は捨てなさい) 6220 0 0 5842 htmvoc_6220.wav クマーカマー ク⸢マー⸣カマー [ku⸢maː⸣kamaː] 代 ここかしこ(此処彼処)。あちこち(彼方此方)。 ク⸢マー⸣カマーラ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢オー⸣ル プ⸢ソー⸣ フ⸢タテー⸣ニ ナリティ シ⸢ナ⸣ピキ ⸢ソーッ⸣タ [ku⸢maː⸣kamaːra ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢ʔoː⸣ru pu̥⸢soː⸣ ɸu̥tateː⸣ni nariti ʃi⸢na⸣piki ⸢soːt⸣ta] (彼方此方から集まって来られた人が二手に分かれて綱引きをされた) 6217 0 0 5843 htmvoc_6217.wav クマークマ ク⸢マークマ [ku⸢maːkuma] 副 こまごまと(細細)。詳しく。詳細に。委細に。細かく。強調すると、クマー⸢クマ[kumaː⸢kuma]となる。 クマー⸢クマ⸣ パ⸢ナ⸣シ ッ⸢サリ⸣バ [kumaː⸢kuma⸣ pa⸢na⸣ʃi s⸢sari⸣ba] (詳細にお話し申し上げなさいよ)。 ク⸢ヌ⸣ クトー クマー⸢クマー⸣シ シ⸢ラ⸣ビテーラル ケー⸢ラ⸣ネー パ⸢ナサ⸣リ [ku⸢nu⸣ ku̥toː kumaː⸢kumaː⸣ʃi ʃi⸢ra⸣biteːraru keː⸢ra⸣neː pa⸢nasa⸣ri] (この事は詳細に調べてからでないと皆さんには話されない<調べてからぞ、皆さんには話される>) 6172 0 0 5844 htmvoc_6172.wav クマークマーシ ク⸢マークマー⸣シ [ku⸢maːkumaː⸣ʃi] 副 細かく。詳細に。 ⸢フンムヌ⸣トゥ ビッ⸢ツティ ネーシ⸣ ク⸢マークマー⸣シ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸢ɸummunu⸣tu bit⸢ʦuti neːʃi⸣ ku⸢maːkumaː⸣ʃi su̥⸢ku⸣ri ʃi̥keː] (本物とそっくりに似せて詳細に作ってある)。 ク⸢マークマー⸣シ シ⸢ラ⸣ビ [ku⸢maːkumaː⸣ʃi ʃi⸢ra⸣bi] (詳細に調べよ)。 ク⸢マークマー⸣シ ク⸢ダ⸣キ [ku⸢maːkumaː⸣ʃi ku⸢da⸣ki] (細かく砕け)。 ナ⸢リウ⸣チェー ク⸢マークマー⸣シ パ⸢ナ⸣シ ッ⸢サリ⸣バ [na⸢riʔu⸣ʧeː ku⸢maːkumaː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi s⸢sari⸣ba] (事情<内情>を詳細に話して差し上げなさい<申し上げなさい>) 6173 0 0 5845 htmvoc_6173.wav グマーグマーシ グ⸢マーグマー⸣シ [gu⸢maːgumaː⸣ʃi] 副 小さく。 ム⸢チェー⸣ グ⸢マーグマー⸣シ ス⸢クリバ⸣ル ッ⸢ふァイヤッ⸣サ [mu⸢ʧeː⸣ gu⸢maːgumaː⸣ʃi su̥⸢kuriba⸣ru f⸢faijas⸣sa] (餅は小さく作ったほうが食べやすい) 6174 0 0 5846 htmvoc_6174.wav グマーグマーヌ グ⸢マーグマーヌ [gu⸢maːgumaːnu] 連体 小さな。 グ⸢マーグマーヌ⸣ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルヌ カンガイ⸣ヤー ⸢マイ⸣ヤン [gu⸢maːgumaːnu⸣ pu̥⸢su⸣ ja⸢runu kaŋgai⸣jaː ⸢mai⸣jaŋ] (小さな人だが、考えは大きい)。 グ⸢マーグマーヌ⸣ フネーラ ⸢クー⸣タ [gu⸢maːgumaː⸣nu ⸣ɸuneːra ⸢kuː⸣ta] (小さな舟で<舟から>来た) 6218 0 0 5847 htmvoc_6218.wav クマークマシ クマー⸢クマ⸣シ [kumaː⸢kuma⸣ʃi] 副 こまごま(細々)と。詳しく。細かく<微細に>。 クマー⸢クマ⸣シ パ⸢ナ⸣シ ッ⸢サリ⸣バ [kumaː⸢kuma⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi s⸢sari⸣ba] (細かく<詳細に>お話し申し上げなさい)。 ⸢ティー⸣グ クマー⸢クマ⸣シ ⸣フミ ⸣シケー [⸢tiː⸣gu kumaː⸢kuma⸣ʃi ⸣ɸumi ⸣ʃi̥keː] (竹篭を細かく<微細に>編んである) 6176 0 0 5848 htmvoc_6176.wav グマームヌ グ⸢マー⸣ムヌ [gu⸢maː⸣munu] 名 小さいもの。小さな物。 ク⸢ツン⸣ ア⸢シ⸣ツァン グ⸢マー⸣ ムノー フ⸢マラヌ [ku̥⸢ʦuŋ⸣ ʔa⸢ʃi⸣ʦaŋ gu⸢maː⸣ munoː ɸu⸢maranu] (靴も下駄も小さいものは履けない) 6207 0 1 5849 htmvoc_6207.wav クマーン ク⸢マー⸣ン [ku⸢maː⸣ŋ] 形 {Mn_1}細かい。細い。 ⸢カイク⸣ヌ ⸣イトー イッ⸢ケン⸣ ク⸢マー⸣ン [⸢kaiku⸣nu ⸣ʔitoː ʔik⸢keŋ⸣ ku⸢maː⸣ŋ] (蚕の糸は非常に細い)。 ⸢ナン⸣ゾー ク⸢マー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ku⸢maː naː⸣nu] (あまり細かくない)。 ク⸢マー⸣ ナルン [ku⸢maː⸣ naruŋ] (細くなる)。 ク⸢マー⸣ イトー シゥ⸢カーヌ [ku⸢maː⸣ ʔitoː sï̥⸢kaːnu] (細い糸は使わない)。 6207 0 2 5850 htmvoc_6207.wav クマーン ク⸢マー⸣ン [ku⸢maː⸣ŋ] 形 {Mn_2}つましい。倹約家である。 ク⸢マー⸣ プ⸢スル⸣ ウ⸢ヤ⸣ケー ⸢スー [ku⸢maː⸣ pu̥⸢suru⸣ ʔu⸢ja⸣keː ⸢suː] (つましい<細かい>人が金持ちにはなる)。几帳面である。倹約家である。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケン⸣ ク⸢マーン [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ku⸢maː⸣ŋ] (この人は非常に細かい<几帳面である>)。 6207 0 3 5851 htmvoc_6207.wav クマーン ク⸢マー⸣ン [ku⸢maː⸣ŋ] 形 {Mn_3}細かい。緻密である。きめ細かい。入念である。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ ティー クマー⸣ン [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena tiː kumaː⸣ŋ] (この人は非常に仕事が緻密である<手が細かい>)。 ⸢ティー⸣ヤ ク⸢マーナー⸣ヌ [⸢tiː⸣ja ku⸢maːnaː⸣nu] (仕事が緻密でない<手が細かくない>)。 ⸢ティー クマー⸣ ナリケーン [⸢tiː kumaː⸣ narikeːŋ] (仕事が緻密に<手が細かく>なってきた)。 ク⸢リヌ⸣ スコー ⸢ティー⸣ ク⸢マー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢rinu⸣ su̥koː ⸢tiː⸣ ku⸢maː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (この人くらい仕事の緻密な<手の細かい>人はいない)。 ⸣マー ン⸢ベーマ ティー⸣ ク⸢マー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma tiː⸣ ku⸢maː⸣kaː ⸣misamunu] (もう少し仕事が緻密だったらいいのだが) 6171 0 0 5852 htmvoc_6171.wav グマーン グ⸢マー⸣ン [gu⸢maː⸣ŋ] 形 小さい。物の形や容積が小さい。音声など音量が小さい。度量が狭い。 フ⸢ドー⸣ グ⸢マー⸣ンドゥ シゥ⸢カラー スー⸣ワン [ɸu⸢doː⸣ gu⸢maː⸣ndu sï̥⸢karaː suː⸣waŋ] (体は小さいが力は強い)。 ⸢ナン⸣ゾー グ⸢マーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː gu⸢maːnaː⸣nu] (あまり小さくない)。 ⸢シンダイ⸣ グ⸢マー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ gu⸢maː⸣ naruŋ] (次第に小さくなる)。 ⸣ドゥク グ⸢マー⸣ プ⸢ソー⸣ ヤ⸢トー⸣ヌ [⸣duku gu⸢maː⸣ pu̥⸢soː⸣ ja⸢toː⸣nu] (あまり小さい人は雇わない)。 パ⸢トゥ⸣マー ⸣シマー グ⸢マー⸣ンドゥ ウ⸢サイララヌ [pa⸢tu⸣maː ⸣ʃimaː gu⸢maː⸣ndu ʔu⸢sairaranu] (鳩間は島は小さいが侮れない<抑えられない>)。 グ⸢マー ナー⸣ヌ [gu⸢maː naː⸣nu] (小さくない)。 トゥ⸢シ⸣トゥ ⸢アーシ⸣ル グ⸢マー⸣ ナリクー [tu̥⸢ʃi⸣tu ⸢ʔaːʃi⸣ru gu⸢maː⸣ narikuː] (年齢に伴ってぞ<合わせて>小さくなってくる)。 グ⸢マー⸣ ムノー ⸢カーサラヌ [gu⸢maː⸣munoː ⸢kaːsaranu] (小さいのは売れない)。 ン⸢ベーマ⸣ <マーン⸢ベーマ⸣> グ⸢マー⸣カー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣ gu⸢maː⸣kaː ⸣misamunu] (少し小さかったらよいのに) 6178 0 0 5853 htmvoc_6178.wav グマーンギサン グ⸢マーン⸣ギサン [gu⸢maːŋ⸣gisaŋ] 連 小さそうだ。小さいようだ。見るからに小さそうだ。 ビ⸢コーンッふァー⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァーラン フ⸢ドー⸣ グ⸢マーン⸣ギサンドゥ シゥ⸢カラー スーワ⸣ルバン⸢ナー [bi⸢koːŋffaː⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaːraŋ ɸu⸢doː⸣ gu⸢maː⸣ŋgisandu si̥⸢karaː suːwa⸣ruban⸢naː] (男の子は女の子よりも体は小さいようだが、力は強いんだねえ) 6219 0 0 5854 htmvoc_6219.wav グマアシサイルン グ⸢マ⸣アシ ⸢サイ⸣ルン [gu⸢ma⸣ʔaʃi ⸢sai⸣ruŋ] 連 こあし<小足>で歩く。小さな歩幅で歩く。足並みを細かく刻んで歩く。「Coaxini ayumu<小足に歩む>『邦訳日葡辞書』」の義。 グ⸢マ⸣アシ ⸢サイ⸣ヤーティル ヤッ⸢トゥ⸣シ ア⸢ラ⸣キ キ⸢ラリタ⸣ル [gu⸢ma⸣ʔaʃi ⸢sai⸣jaːtiru jat⸢tu⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ki⸢rarita⸣ru] (チョコチョコと足並みを細かく刻んで、やっとで歩いて来られたよ) 6175 0 0 5855 htmvoc_6175.wav クマアミ ク⸢マアミ [ku⸢maʔami] 名 糠雨。霧雨。こぬかあめ。 ク⸢マアミヌ⸣ フーンダ ⸣プシ ⸣シケール ⸢キン⸣マー ⸢パー⸣ク ⸢ペーラ⸣シ [ku⸢maʔaminu⸣ ɸuːnda ⸣pu̥ʃi ⸣ʃi̥keːru ⸢kim⸣maː ⸢paː⸣ku ⸢peːra⸣ʃi] (糠雨が降るので、干してある着物は早く取り入れなさい)。キ⸢ボーシアミ[ki⸢boːʃiʔami](霧雨{EOS}煙雨)ともいう。 ⸣カイブ ク⸢マアミ⸣シェー ウ⸢ロイ⸣ヤー ⸢サン⸣ヨー [⸣kaibu ku⸢maʔami⸣ʃeː ʔu⸢roi⸣jaː ⸢saɲ⸣joː] (こんな小雨では、畑の潤いはしないよ) 6177 0 0 5856 htmvoc_6177.wav グマアン ⸣グマアン [⸣gumaʔaŋ] 名 ごま餡。胡麻の餡。挽き胡麻に黒砂糖を削ったのを混ぜて作った餡。 ⸣バタムチェー ⸣グマアンル イッ⸢チン⸣ ン⸢マー⸣タ [⸣batamuʧeː ⸣gumaʔanru ʔit⸢ʧim⸣ ʔm⸢maː⸣ta] (餡餅は、胡麻餡が一番美味しかった) 6232 0 0 5857 htmvoc_6232.wav グマアン ⸣グマアン [⸣gumaʔaŋ] 名 ごまあん(胡麻餡)。 ム⸢チヌ⸣ バター ⸣グマアンル マ⸢シ [mu⸢ʧinu⸣ bataː ⸣gumaʔanru ma⸢ʃi] (餅の餡<腸>は胡麻餡が良い) 6179 0 0 5858 htmvoc_6179.wav グマイシ グ⸢マ⸣イシ [gu⸢ma⸣ʔiʃi] 名 小さな石。小石。イ⸢シェー⸣マ[ʔi⸢ʃeː⸣ma](小石)ともいう。 ⸢グスク⸣ヌ バ⸢タ⸣イシェー グ⸢マイシバ⸣ル イ⸢ローッ⸣タ [⸢gusu̥ku⸣nu ba⸢ta⸣ʔiʃeː gu⸢maʔiʃiba⸣ru ʔi⸢roːt⸣ta] (石垣の腹石には小さな石を入れられた) 6180 0 0 5859 htmvoc_6180.wav グマウシ グ⸢マ⸣ウシ [gu⸢ma⸣ʔuʃi] 名 小さな臼。魚肉を搗いて蒲鉾を作るのに用いる臼。ウ⸢シェー⸣マ[ʔu⸢ʃeː⸣ma](小臼)ともいう。 カ⸢マブコー⸣ グ⸢マ⸣ウシナール ⸢シック⸣タ [ka⸢mabukoː⸣ gu⸢ma⸣ʔuʃinaːru ⸢ʃikku⸣ta] (蒲鉾は小さな臼で搗いた) 6210 0 0 5860 htmvoc_6210.wav クマキ ク⸢マ⸣キ [ku⸢ma⸣ki] 名 細かいかけら(欠片)。細かい断片。砕片。物の砕けた細片。 ッ⸢ふサタ⸣ヌ ク⸢マ⸣キ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸣サーナ イ⸢リ⸣ ヌミバ [f⸢fusata⸣nu ku⸢ma⸣ki ʔa⸢ʦa⸣miti ⸣saːna ʔi⸢ri⸣ numiba] (黒糖のかけらを集めて茶に入れて飲めよ) 6211 0 0 5861 htmvoc_6211.wav クマキナスン ク⸢マ⸣キ ⸣ナスン [ku⸢ma⸣ki ⸣nasuŋ] 連 粉々にする。細かい断片にする。 マ⸢カ⸣ル ウ⸢タ⸣シティ ク⸢マ⸣キ ⸣ナスンケン バ⸢リシティ ナー⸣ヌ [ma⸢ka⸣ru ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ku⸢ma⸣ki ⸣nasuŋkem ba⸢riʃi̥ti naː⸣nu] (お椀を落として粉々にするまで割ってしまった) 6181 0 0 5862 htmvoc_6181.wav グマクイ グ⸢マ⸣クイ [gu⸢ma⸣kui] 名 小声。小さな声。 ウ⸢ブ⸣クイシ パ⸢ナサン⸣ドーシ グ⸢マ⸣クイシ パ⸢ナ⸣シバ [ʔu⸢bu⸣kuiʃi pa⸢nasan⸣doːʃi gu⸢ma⸣kuiʃi pa⸢na⸣ʃiba] (大声で話さないで、小声で話せよ) 6212 0 0 5863 htmvoc_6212.wav クマケーマ ク⸢マケー⸣マ [ku⸢makeː⸣ma] 名 ごく細かいかけら(欠片)。極細かい砕片。極細かい断片。 タ⸢マガラス⸣ヌ ク⸢マ⸣ケー ⸢ドゥーヤマシ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ク⸢マケー⸣マ ⸢バー⸣キ ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ミ ッ⸢スリ⸣ シ⸢ティリ [ta⸢magarasu⸣nu ku⸢ma⸣keː ⸢duːjamaʃi⸣munu ja⸢runda⸣ ku⸢makeː⸣ma ⸢baː⸣ki muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mi s⸢suri⸣ ʃi̥⸢tiri] (ガラスの細かい欠片は怪我の元<体を病ますもの>だから極細かいかけら<欠片>までも全部集めて、拭いて捨てなさい) 6182 0 0 5864 htmvoc_6182.wav クマジー ク⸢マ⸣ジー [ku⸢ma⸣ʤiː] 名 細字。細かい文字。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ガン⸣キョー カ⸢キラン⸣カー ク⸢マジー⸣ヤ ユ⸢ミユーサ⸣ヌ [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ⸢gaŋ⸣kjoː kḁ⸢kiraŋ⸣kaː ku⸢maʤiː⸣ja ju⸢mijuːsa⸣nu] (年を取ったので、眼鏡をかけないと細字は読めない) 6183 0 0 5865 htmvoc_6183.wav グマジー グ⸢マ⸣ジー [gu⸢ma⸣ʤiː] 名 小さい土地。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ グ⸢マジー⸣バ バ⸢キ⸣ダマティ ⸢イー⸣リティ ⸣ヌーシゥカイ ⸢スーワレー [ʔu⸢bitʧin⸣nu gu⸢maʤiː⸣ba ba⸢ki⸣damati ⸢ʔiː⸣riti ⸣nuːsi̥kai ⸢suːwareː] (これっぽっちの土地を財産分与として貰ったって、何に利用出来るというのかね<何使いするかね>) 6221 0 0 5866 htmvoc_6221.wav グマシグトゥ グ⸢マシグ⸣トゥ [gu⸢maʃigu⸣tu] 名 小さな仕事。手間のかからない仕事。 ウ⸢ブシグ⸣トー ナ⸢ラヌ⸣ヌ グ⸢マシグ⸣トー ⸣ナルン [ʔu⸢buʃigu⸣toː na⸢ranu⸣nu gu⸢maʃigu⸣toː ⸣naruŋ] (大仕事は出来ないが、小さな仕事は出来る) 6223 0 0 5867 htmvoc_6223.wav グマシジェーマ グ⸢マシジェー⸣マ [gu⸢maʃiʤeː⸣ma] 名 小粒。小さな粒。 ク⸢トゥシヌ トー⸣フマメー グ⸢マシジェー⸣マ ⸣ナリティ ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ku̥⸢tuʃinu toː⸣ɸumameː gu⸢maʃiʤeː⸣ma ⸣nariti ⸢daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (今年の大豆は小粒になっていて良くないよ) 6185 0 0 5868 htmvoc_6185.wav グマシマ グ⸢マ⸣シマ [gu⸢ma⸣ʃima] 名 小島。シ⸢マー⸣マ[ʃi⸢maː⸣ma](小島{EOS}小さな島)ともいう。 パ⸢トゥ⸣マーラ ⸢ダイガク⸣ヌ ガ⸢クチョーン⸣ マ⸢ロー⸣リ グ⸢マ⸣シマティ ア⸢ナンドゥララヌ [pḁ⸢tu⸣maːra ⸢daigaku⸣nu ga⸢kuʧoːm⸣ ma⸢roː⸣ri gu⸢ma⸣ʃimati ʔa⸢nanduraranu] (鳩間島から大学の学長も誕生され、小島と侮られない) 6184 0 0 5869 htmvoc_6184.wav グマジン グ⸢マ⸣ジン [gu⸢ma⸣ʤiŋ] 名 小さなお金。小額のお金。⸢クー⸣ジン[⸢kuː⸣ʤiŋ](小銭{EOS}少額の貨幣)とは異なる。 グ⸢マジン⸣マー ン⸢ザサリン⸣ドゥ ウ⸢ブジン⸣マー ン⸢ザシユーサ⸣ヌ [gu⸢maʤim⸣maː ʔn⸢ʣasarin⸣du ʔu⸢buʤim⸣maː ʔn⸢ʣaʃijuːsa⸣nu] (小額のお金<小銭>は出せるが、大金は出すことが出来ない)。 ⸢クー⸣ジン クリッ⸢ふィーリ [⸢kuː⸣ʤiŋ kuri f⸢fiːri] (小銭に両替してくれ)。小額の金銭。少ない金。ウ⸢ブジン[ʔu⸢buʤiŋ](大金)の対義語。 グ⸢マ⸣ジンラル ウ⸢ブジンマー⸣ ナス ⸢イットゥ⸣キシ ウ⸢ブモーキ スンティ⸣ ウムーカー ウ⸢ルキ⸣ルン⸢ダー [gu⸢ma⸣ʤinraru ʔu⸢buʤimmaː⸣ nasu ⸢ʔittu⸣kiʃi ʔu⸢bumoːki sunti⸣ ʔumuːkaː ʔu⸢ruki⸣run⸢daː] (小額の金から大金になすものだ{EOS}一時に大儲けしようと思うと大損するぞ) 6186 0 0 5870 htmvoc_6186.wav グマジンブン グ⸢マジン⸣ブン [gu⸢maʤim⸣buŋ] 名 こさい(小才)。ちょっとした才知。 ウ⸢レー⸣ グ⸢マジンブン⸣ヌ ⸣アルンダ ⸢ジンモー⸣ケー ⸢ゾー⸣ジ [ʔu⸢reː⸣ gu⸢maʤimbun⸣nu ⸣ʔarunda ⸢ʤimmoː⸣keː ⸢ʣoː⸣ʤi] (彼<それ>は小才がきく<ある>から、金儲けは上手だ) 6187 0 0 5871 htmvoc_6187.wav グマスクリ グ⸢マスク⸣リ [gu⸢masuku⸣ri] 名 こがら(小柄)。からだつきの小さいこと。「こづくり(小作り)」の転訛したもの。グ⸢マ⸣マリ[gu⸢ma⸣mari](小さな生まれ)ともいう。 ⸢ドゥー⸣ヤ グ⸢マスク⸣リ ヤ⸢ルンドゥ⸣ カ⸢ラー スー⸣ワン [⸢duː⸣ja gu⸢masuku⸣ri ja⸢rundu⸣ ka⸢raː suː⸣waŋ] (体は小柄<小作り>だが、体格は強い) 6225 0 0 5872 htmvoc_6225.wav グマッふァーマ グ⸢マッふァー⸣マ [gu⸢maffaː⸣ma] 名 小さな子供。幼児。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ヨーチ⸣エンナー グ⸢マッふァー⸣マンケー ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢ヒョージュン⸣ゴシ ナ⸢ラーシ⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸢シンダイ⸣ シマムネー ⸢バシキラレー⸠ナー [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢joːʧi⸣jennaː gu⸢maffaː⸣maŋkeː ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢çoːʤuŋ⸣goʃi na⸢raːʃi⸣ta ⸢beː⸣ti ⸢ʃindai⸣ ʃimamuneː ⸢baʃi̥kirareː⸠naː] (鳩間島の幼稚園で幼児を集めて標準語で教えたので、次第に島言葉<鳩間方言>は忘れられたのだろうね) 6230 0 0 5873 htmvoc_6230.wav クマトゥ ク⸢マトゥ [ku⸢matu] 名 質の細かい砥石。緻密な質の砥石。ア⸢ラトゥ[ʔa⸢ratu](粗砥石)の対義語。 ア⸢ラトゥ⸣ナ ⸣トゥイティ ⸣アトー ク⸢マトゥ⸣ナ ⸣トゥイバ [ʔa⸢ratu⸣na ⸣tuiti ⸣ʔtoː ku⸢matu⸣na ⸣tuiba] (質の粗い砥石で研いだ後、質の細かい砥石で研げよ)。 カ⸢ナー⸣ ア⸢ラトゥイ シティ⸣ アトー ク⸢マトゥ⸣ナ ⸢トゥイバ⸣ル キ⸢シ⸣ル [ka⸢naː⸣ ʔa⸢ratui ʃi̥ti⸣ ʔatoː ku⸢matu⸣na ⸢tuiba⸣ru ki̥⸢ʃi⸣ru] (鉋は粗研ぎして後は質の細かい砥石で研いだほうがよく削れる<切れる>) 6188 0 0 5874 htmvoc_6188.wav グマドング グ⸢マドン⸣グ [gu⸢madoŋ⸣gu] 名 小道具。こまごまとした道具。鑿や鉋、小刀などの工具類や、鎌や箆などの小さな農具類。 ⸢サイクドング⸣ヌ グ⸢マドン⸣グ カ⸢ラス⸣カー ⸢バシキティ⸣ ム⸢ドゥサン⸣ プ⸢スヌ ブンダ⸣ カ⸢ラスナ [⸢saikudoŋgu⸣nu gu⸢madoŋ⸣gu ka⸢rasu⸣kaː ⸢baʃi̥kiti⸣ mu⸢dusam⸣ pu̥⸢sunu bunda⸣ ka⸢rasuna] (大工道具小道具<細工道具>を貸したら、忘れて返さない<戻さない>人がいるから、貸すな) 6189 0 0 5875 htmvoc_6189.wav グマヌシトゥル グ⸢マヌシ⸣トゥル [gu⸢manuʃi̥⸣turu] 名 こそ泥。⸢細盗人」の義。ウ⸢ブヌシ⸣トゥル[ʔu⸢bunuʃi̥⸣turu](大泥棒)の対義語。ヌシトゥ⸢ロー⸣マ[nuʃi̥tu⸢roː⸣ma](こそ泥)ともいう。 グ⸢マヌシ⸣トゥローラル ウ⸢ブヌシ⸣トゥロー ⸣ナル [gu⸢manuʃi̥⸣turoːraru ʔu⸢bunuʃi̥⸣turoː ⸣naru] (こそ泥から大泥棒になるのだ) 6190 0 0 5876 htmvoc_6190.wav グマバタ ⸣グマバタ [⸣gumabata] 名 ごま餡(胡麻餡)。⸣バタ[⸣bata](腹)は餅の腹(中身)の義で、餡の意。餅の餡に胡麻を利用したもの。 ク⸢ヌ⸣ バタムチェー ⸣グマバタ ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢マー⸣ン [ku⸢nu⸣ batamuʧeː ⸣gumabata ja⸢runda⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (この餡餅は胡麻餡<腹>だから、美味しい)。 ム⸢チ⸣ヌ ⸣バター ⸣グマバタル イッ⸢チン⸣ ン⸢マー⸣タ [mu⸢ʧinu⸣ bataː ⸣gumabataru ʔit⸢ʧim⸣ ʔm⸢maː⸣ta] (餅の餡は、胡麻餡が一番美味しかった) 6191 0 0 5877 htmvoc_6191.wav グマバタ グ⸢マ⸣バタ [gu⸢ma⸣bata] 名 小さなお腹。バ⸢ター⸣マ[ba⸢taː⸣ma](小腹)とも言う。ウ⸢ブ⸣バタ[ʔu⸢bu⸣bata](たいこばら<太鼓腹>)の対義語。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣バター グ⸢マ⸣バタ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ビ⸣ナー ッ⸢ふァイサヌ [ja⸢rabi⸣nu ⸣bataː gu⸢ma⸣bata ja⸢runda⸣ ʔu⸢bi⸣naː f⸢faisanu] (子供のお腹は小さなお腹だから、こんなには食べきれない<食べることが出来ない>) 6192 0 0 5878 htmvoc_6192.wav グマフイ グ⸢マ⸣フイ [gu⸢ma⸣ɸui] 名 こぶり(小降り)。雨の降り方がわずかなこと。ウ⸢ブフイ[ʔu⸢buɸui](大降り{EOS}雨が激しく降ること)の対義語。 ア⸢ミ⸣ヌ グ⸢マフイ シェーン⸣ケンナ ⸢ヤー⸣ パラ⸢ディー [ʔa⸢mi⸣nu gu⸢maɸui ʃeːŋ⸣kennaː ⸢jaː⸣ para⸢diː] (雨が小降りしているうちに、家へ帰ろうよ) 6234 0 0 5879 htmvoc_6234.wav グマフイ グ⸢マフイ [gu⸢maɸui] 名 小降り。 ア⸢ミ⸣ヌ グ⸢マフイ シェーン⸣ケンナー ⸢ヤー⸣ パ⸢ライ [ʔa⸢mi⸣nu gu⸢maɸui ʃeːŋ⸣kennaː ⸢jaː⸣ pa⸢rai] (雨が小降りになっている間に<小降りしているうちに>家に帰るね)。 ⸣アメー ウ⸢ブフイヤー⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ グ⸢マフイ⸣ カー⸢ニ シーベー [⸣ʔameː ʔu⸢buɸuijaː⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ gu⸢maɸui⸣ kaː⸢ni ʃiːbeː] (雨は大降りはしないで、ただ小降りだけしている) 6233 0 0 5880 htmvoc_6233.wav グマプス グ⸢マ⸣プス [gu⸢ma⸣pu̥su] 名 小さな人。 グ⸢マ⸣プソーラル ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナリ フ⸢ドゥブユンダ⸣ イ⸢ジ⸣ンジ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシ⸣ヨー [gu⸢ma⸣pu̥soːraru ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣nari ɸu⸢dubujunda⸣ ʔi⸢ʤi⸣nʤi sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃi⸣joː] (小さな人から<ぞ>大人<大きな人>になるのだから、一所懸命養育して成長させなさいよ) 6226 0 0 5881 htmvoc_6226.wav グマフディ グ⸢マ⸣フディ [gu⸢ma⸣ɸudi] 名 小筆。細字用の小さな筆。フ⸢デー⸣マ[ɸu⸢deː⸣ma](小筆)ともいう。 マ⸢ギ⸣フディシェー カ⸢カラン⸣バ グ⸢マ⸣フディシ ⸣カキバ [ma⸢gi⸣ɸudiʃeː kḁ⸢karam⸣ba gu⸢ma⸣ɸudiʃi ⸣kḁkiba] (大筆では書けないから、小さな筆で書けよ) 6227 0 0 5882 htmvoc_6227.wav グマフニ グ⸢マ⸣フニ [gu⸢ma⸣ɸuni] 名 小舟。小さな舟。フ⸢ネー⸣マ[ɸu⸢neː⸣ma](小舟)ともいう。マ⸢ギ⸣フニ[ma⸢gi⸣ɸuni](大きな船)の対義語。 ⸣イダフニンドーレーヌ グ⸢マ⸣フネーラル ⸢パイ⸣ター バ⸢タリ タースク⸣ル ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʔidaɸunindoːreːnu gu⸢ma⸣ɸuneːraru ⸢pai⸣taː ba⸢tari taːsu̥ku⸣ru ⸢soːt⸣ta] (板舟<サバニ>等の小舟で<から>南端<西表北岸>へ渡り稲作<田造り>をなされた) 6235 0 0 5883 htmvoc_6235.wav グママタ グ⸢マ⸣マタ [gu⸢ma⸣mata] 名 小股。歩幅のせまいこと。せかせかと気ぜわしく歩くさま。ウ⸢ブ⸣マタ[ʔu⸢bu⸣mata](大股)の対義語。 ⸣カマーラ グ⸢マ⸣マタシ ア⸢ラ⸣キ ⸣クー プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸣kamaːra gu⸢ma⸣mataʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸣kuː pu̥⸢soː taː⸣ja] (あそこから小股でせかせか歩いてくるのは誰か) 6228 0 0 5884 htmvoc_6228.wav グママヤ グ⸢マ⸣マヤ [gu⸢ma⸣maja] 名 子猫。小さな猫。マ⸢ヤー⸣マ[ma⸢jaː⸣ma](子猫)ともいう。 グ⸢マ⸣マヤーヤ ⸢ミー⸣マヤ、ウ⸢ブ⸣マヤーヤ ビ⸢キマヤ⸣ ヤ⸢リン⸣ギサ [gu⸢ma⸣majaːja ⸢miː⸣maja ʔu⸢bu⸣majaːja bi⸢kimaja⸣ ja⸢riŋ⸣gisa] (どうやら小さな猫は雌猫、大きな猫は雄猫のようだ) 6236 0 0 5885 htmvoc_6236.wav グママリ グ⸢ママリ [gu⸢mamari] 名 生来小さな体に生まれていること。体格の小さな生まれつき。 グ⸢ママレー シーブンドゥ⸣ タ⸢マ⸣シェー イ⸢リ⸣ イッ⸢ケナ マイフナー⸠ダー [gu⸢mamareː ʃiːbundu⸣ ta⸢ma⸣ʃeː ʔi⸢ri⸣ ʔik⸢kena maiɸunaː⸠daː] (体格の小さな人に生まれついているが、心根がしっかりして<魂が入って>いて、よく働く利口者だよ) 6193 0 0 5886 htmvoc_6193.wav クマミ ク⸢マミ [ku⸢mami] 名 (植)緑豆。リョクズ。やえなり(八重生)。「細豆」の義。マ⸢ミ⸣ナー[ma⸢mi⸣naː](もやし)の原料として栽培された。 ク⸢マメー⸣ マ⸢ミ⸣ナー ス⸢クリ⸣ユーティ ン⸢メーマナー⸣ル ス⸢ク⸣ローッタル [ku⸢mameː⸣ ma⸢mi⸣naː su̥⸢kuri⸣juːti ʔm⸢meːmanaː⸣ru su̥⸢ku⸣roːttaru] (緑豆は萌やしを作るための原料として<萌やし作り用として>少しずつ栽培さ<作ら>れたものだった)。マ⸢ミ⸣ナー[ma⸢mi⸣naː](もやし<萌やし>)を作るのに用いる他、ぜんざい、お粥、豆ご飯の食材として利用される。 マ⸢ミナー⸣ヤ ク⸢マミバ⸣ ミ⸢ジ⸣ナ フ⸢クラシティ⸣ ス⸢ク⸣ル ⸣ムヌル ン⸢マー⸣タ [ma⸢minaː⸣ja ku⸢mamiba⸣ mi⸢ʤi⸣na ɸu̥⸢kuraʃi̥ti⸣ su̥⸢ku⸣ru ⸣munuru ʔm⸢maː⸣ta] (萌やしは緑豆を水でふやかして作るのが美味しかった) 6239 0 0 5887 htmvoc_6239.wav グマミチ グ⸢マ⸣ミチ [gu⸢ma⸣miʧi] 名 小道。幅の狭い道。 グ⸢マ⸣ミチェー ア⸢ラキングリ⸣サンダ ウ⸢ブ⸣ミチェーラ パリバ⸢ヨー [gu⸢ma⸣miʧeː ʔa⸢rakiŋguri⸣sanda ʔu⸢bu⸣miʧeːra pariba⸢joː] (小道は歩きにくいから大きな道から行きなさいね) 6240 0 0 5888 htmvoc_6240.wav クマミヌカイ ク⸢マミヌ カイ [ku⸢maminu kai] 連 緑豆のお粥。お米に緑豆を混ぜて炊いたお粥。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ク⸢マミヌ カイ⸣ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [ma⸢rukeːti⸣naː ku⸢maminu kai⸣ tḁ⸢ki⸣ f⸢faːsoːt⸣taŋ] (たまに<偶に{EOS}稀に>緑豆のお粥を炊いて食べさせられた<食べさせてくださった>) 6241 0 0 5889 htmvoc_6241.wav グマムニ グ⸢マ⸣ムニ [gu⸢ma⸣muni] 名 小声で話すことば。内緒ばなし。「小・物言い」の義。⸢ミシゥカムニ[⸢misi̥kamuni](みそか<密>物言い{EOS}ないしょ話)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ クトー グ⸢マ⸣ムニシル ア⸢ザリ⸣ ウ⸢ブ⸣ムニシェー ア⸢ザラヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː gu⸢ma⸣muniʃiru ʔa⸢ʣari⸣ ʔu⸢bu⸣muniʃeː ʔa⸢ʣaranu] (そのことは内緒<小声>でしか話せない{EOS}大げさに<大声で>は話せない) 6242 0 0 5890 htmvoc_6242.wav クマラスン ク⸢マラ⸣スン [ku⸢mara⸣suŋ] 他動 困らせる。相手を苦しめる。処置に苦しめる。相手を責めたてる。 ⸣アイブー ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー プ⸢ス⸣ ク⸢マラ⸣スンダ ク⸢マラサン⸣ ヨーニ ⸢シー [⸣ʔaibuː ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː pu̥⸢su⸣ ku⸢mara⸣sunda ku⸢marasaŋ⸣ joːni ⸢ʃiː] (あんなことをすると他人を困らせるから、困らせないようにしろ<せい>) 6222 0 0 5891 htmvoc_6222.wav グマリクッチ グ⸢マリクッチ [gu⸢marikutʧi] 名 こさい(小才)。ちょっとしたずるい知恵。対義語は、ヤ⸢ナリクッチ[ja⸢narikutʧi](悪知恵{EOS}奸知)。 ⸢ウンザー⸣ グ⸢マリクッチヌ⸣ アンダー ウ⸢リン カシカーサリ⸣ナ⸢ダー [⸢ʔunʣaː⸣ gu⸢marikutʧinu⸣ ʔandaː ʔu⸢riŋ kaʃikaːsari⸣na⸢daː] (あいつは小才のきく人だから、あいつに騙されるなよ) 6194 0 0 5892 htmvoc_6194.wav クマリコーイ ク⸢マリコー⸣イ [ku⸢marikoː⸣i] 名 隠れん坊(『八重山語彙』)。 ム⸢カ⸣シプソー カ⸢クレンボー⸣バ ク⸢マリコー⸣イティル ア⸢ゾー⸣リ ブ⸢レーン⸣ギサール [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː kḁ⸢kuremboː⸣ba ku⸢marikoː⸣itiru ʔa⸢ʣoː⸣ri bu⸢reːŋ⸣gisaːru] (昔の人は隠れん坊を「クマリコーイ」といって居られたようです)。隠れん坊。『八重山語彙』参照。現在は使用されない 6195 0 0 5893 htmvoc_6195.wav クマリックナー ク⸢マリック⸣ナー [ku⸢marikku⸣naː] 名 かくれんぼう(隠れん坊)。ク⸢マリコー⸣イ[ku⸢marikoː⸣i](隠れん坊)ともいう『八重山語彙』。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸣ゾーナー ア⸢ツァ⸣マリティ ク⸢マリック⸣ナー ⸢シー⸣ ア⸢サビ ベー [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸣ʣoːna ʔa⸢ʦa⸣mariti ku⸢marikku⸣naː ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabi beː] (子供達は外の道に集まって隠れん坊をして遊んでいる) 6245 0 0 5894 htmvoc_6245.wav クマリックナー ク⸢マリッ⸣クナー [ku⸢marik⸣kunaː] 名 隠れん坊。 ク⸢マリッ⸣クナー ⸢シー⸣ ア⸢サブン [ku⸢marik⸣kunaː ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabuŋ] (隠れん坊をして遊ぶ) 6243 0 0 5895 htmvoc_6243.wav クマルン ク⸢マ⸣ルン [ku⸢ma⸣ruŋ] 自動 こもる(籠る)。隠れる。家にいて外出しない。中に充満する。「若草の妻もこもれり我もこもれり『古今和歌集17』」、「玉かぎる岩垣淵の隠庭<コモリニハ>『万葉集 2700』」の義。 バ⸢カ⸣ヤティ ユ⸢コー⸣ナ ク⸢マ⸣リ ⸢ベー [ba⸢ka⸣jati ju⸢koː⸣na ku⸢ma⸣ri ⸢beː] (恥ずかしいので裏座に籠っている)。 ⸢ヤー⸣ナ カー⸢ニ⸣ ク⸢マラン⸣ドーシ ミ⸢チェー⸣ン ン⸢ジ⸣リバ [⸢jaː⸣na kaː⸢ni⸣ ku⸢maran⸣doːʃi mi⸢ʧeː⸣n ʔn⸢ʤi⸣riba] (家にだけ籠らないで道にも出なさい)。 ク⸢マ⸣ルンティ ⸣ウムーカ ク⸢マ⸣リバ [ku⸢ma⸣runti ⸣ʔumuːka ku⸢ma⸣riba] (籠る<隠れる>と思うなら籠れよ)。 ク⸢マ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢ma⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (籠る<隠れる>人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ku⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (もっと籠れ<隠れれ>ばよいのに)。 ⸢ヤーン⸣ ナカナー キ⸢ボーシヌ⸣ ク⸢マ⸣リティ ⸢キー⸣ボー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢jaːn⸣ nakanaː ki⸢boːʃinu⸣ ku⸢ma⸣riti ⸢kiːboː⸣nu na⸢ra⸣nu] (家の中に煙が籠って<充満して>煙たくてたまらない) 6244 0 0 5896 htmvoc_6244.wav クマルン ク⸢マ⸣ルン [ku⸢ma⸣ruŋ] 自動 困る。処置に苦しむ。標準語からの転訛。若年層が用いる。普通は⸢ザー⸣パイ ⸢シーナー⸣ヌ[⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiːnaː⸣nu](困ったことになった{EOS}始末に負えなくなった{EOS}手に負えなくなった)、⸢ザーパイ⸣ユン[⸢ʣaːpai⸣juŋ](困ったことだ)という。 シ⸢ナムヌヌ ダイ⸣ パ⸢ラーン⸣カー マ⸢チヤーヌ⸣ ク⸢マ⸣ルンダ ⸢パー⸣ク ⸣パライバ [ʃi⸢namununu dai⸣ pa⸢raːŋ⸣kaː ma⸢ʧijaːnu⸣ ku⸢ma⸣runda ⸢paː⸣ku ⸣paraiba] (品物の代金を払わないとお店が困るから、早く払えよ)。パ⸢ラーン⸣タンティン ク⸢マラ⸣ヌ。ク⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ[pa⸢raːn⸣tantiŋ ku⸢mara⸣nu。ku⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu](支払わなくても困らない{EOS}困ることはない) 6229 0 0 5897 htmvoc_6229.wav クマンタ ⸣クマンタ [⸣kumanta] 代 こちら。こちら側。このあたり。 ⸢ワー⸣ クマンター ⸣クーバ [⸢waː⸣ kumantaː ⸣kuːba] (君はこちらへ来なさいよ)。⸣カマンター[⸣kamantaː](あちら{EOS}あちら側)の対義語。 ⸣クマンタナ シ⸢キ⸣リ [⸣kumantana ʃi̥⸢ki⸣ri] (こちら側に置け) 6247 0 0 5898 htmvoc_6247.wav クマントン ク⸢マン⸣トン [ku⸢man⸣toŋ] 代 ここの所。この場所。 ク⸢マン⸣トンナー ⸣シケータンドゥ ⸢タール⸣ ムティ⸢パッ⸣タユー ⸢ナーン⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢man⸣tonnaː ʃi̥keːtandu ⸢taːru⸣ muti⸢pat⸣tajuː ⸢naːn⸣nari ⸢naː⸣nu] (ここの所に置いたのだが、誰が持って行ったのか、無くなってしまった)。 ク⸢マン⸣トンマー ⸢ペー⸣レー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢man⸣tommaː ⸢peː⸣reː na⸢ra⸣nu] (この場所は入ってはならない) 6248 0 1 5899 htmvoc_6248.wav クミ ⸣クミ [⸣kumi] 名 {Mn_1}組。組合。 カ⸢ツシンマー インタ アンタヌ⸣ ク⸢ミ⸣バ ス⸢ク⸣リティ ⸢パイヨーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː ʔinta ʔantanu⸣ ku⸢mi⸣ba su̥⸢ku⸣riti ⸢paijoːt⸣ta] (カツオ漁船は西村、東村の組合を作って造船された<接がれた>)。標準語からの借用語。普通は、⸣グー[⸣guː](組{EOS}「偶」の義)という。 ⸢ワー⸣ ヌーグミヤー [⸢waː⸣ nuːgumijaː] (君は 何組か)。 ⸢バン⸣ター ⸣クミ ⸢ペーラヌー [⸢ban⸣taː ⸣kumi ⸢peːranuː] (僕達<聞き手を含まない>の組に入らないか)。 ⸢ベー⸣(⸢ベーター) ユ⸢ヌ⸣クミ ナラ⸢ディー [⸢beː⸣(⸢beːtaː) ju⸢nu⸣kumi nara⸢diː] (我々<聞き手を含む僕達>は同じ組になろうよ)。 6248 0 2 5900 htmvoc_6248.wav クミ ⸣クミ [⸣kumi] 名 {Mn_2}対。\ruby{足}{ソク}。揃い。複数のものを組み合わせたものを表す単位(助数詞)。 ⸣ソンガチアシツァ イ⸢チッ⸣クミ ⸢カイ⸣クーバ [⸣soŋgaʧiʔaʃi̥ʦa ʔi⸢ʧik⸣kumi ⸢kai⸣kuːba] (正月用下駄を五組<五足>買って来なさいよ) 6249 0 0 5901 htmvoc_6249.wav グミ ⸣グミ [⸣gumi] 名 ごみ。塵芥。標準語の「ごみ(塵・芥)」の転訛したもの。普通は、フ⸢ク⸣ジ[ɸu̥⸢ku⸣ʤi](塵)、フ⸢クイ[ɸu̥⸢kui](ほこり<埃>)という。 ⸣グミ プ⸢サウン [⸣gumi pu̥⸢sauŋ] (ごみを拾う) 6250 0 0 5902 htmvoc_6250.wav クミアイ ク⸢ミ⸣アイ [ku⸢mi⸣ai] 名 組合。 カ⸢ツシンヌ⸣ ク⸢ミ⸣アイ ス⸢ク⸣リティ カ⸢ツシン ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ku⸢mi⸣ai su̥⸢ku⸣riti kḁ⸢ʦuʃin soːt⸣ta] (カツオ船の組合を作ってカツオ漁業を操業された) 6251 0 0 5903 htmvoc_6251.wav クミカン ⸣クミカン [⸣kumikaŋ] 名 こめかみ。「蟀谷、古米加美(こめかみ)」『和名抄』の転訛したもの。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣ヤミティ ⸣クミカンヌ ⸣トンラ ⸢ドントン⸣シ ⸢メーク⸣ヌ ⸣ウトゥン [ga⸢maʤi⸣nu ⸣jamiti ⸣kumikannu ⸣tonra ⸢dontoŋ⸣ʃi ⸢meːku⸣nu ⸣ʔutuŋ] (頭痛がして<かもじが病んで>こめかみの所からトントンと脈がうつ) 6252 0 0 5904 htmvoc_6252.wav クミカンコーヤク ⸣クミカンコーヤク [⸣kumikaŋkoːjaku] 名 頭痛薬の塗り薬。「こめかみ膏薬」の義。こめかみの辺りに塗布した。樟脳の芳香で頭痛の鎮痛効果があった。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣ヤムカー ⸣クミカンコーヤクバ ⸢ヌーリ⸣ シキバ [ga⸢maʤi⸣nu ⸣jamukaː ⸣kumikaŋkoːjakuba ⸢nuːri⸣ ʃikiba] (頭痛がしたらクミカン膏薬を塗っておけよ) 6253 0 0 5905 htmvoc_6253.wav クミジマ ク⸢ミ⸣ジマ [ku⸢mi⸣ʤima] 固 島の名。久米島。沖縄本島の西方約100キロメートルにある離島。古くは、御冠船や進貢船の中継基地であったという 6254 0 0 5906 htmvoc_6254.wav クミタティルン ク⸢ミタティ⸣ルン [ku⸢mitati⸣ruŋ] 他動 組み立てる。 ⸣パラー ク⸢ミタティ⸣ルンティ ⸢スンドゥ タンガ⸣シェー ク⸢ミタティララ⸣ヌ [⸣paraː ku⸢mitati⸣runti ⸢sundu taŋga⸣ʃeː ku⸢mitatirara⸣nu] (柱を組み立てようとするが、一人では組み立てられない)。 ⸣キューズーナ ク⸢ミタティ⸣ル ⸣クトゥ [⸣kjuːʣuːna ku⸢mitati⸣ru ⸣ku̥tu] (今日中に組み立てること)。 ク⸢ミタティ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢mitati⸣reː ⸣misamunu] (組み立てれば良いのに)。 ⸢タンガ⸣シ ク⸢ミタティ⸣リ [⸢taŋga⸣ʃi ku⸢mitati⸣ri] (一人で組み立てろ) 6255 0 0 5907 htmvoc_6255.wav クミタトゥン ク⸢ミ⸣タトゥン [ku⸢mi⸣tḁtuŋ] 他動 組み立てる。 ⸣パラー ク⸢ミ⸣タトゥンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢キュー⸣ヤ ク⸢ミタタ⸣ヌ [⸣paraː ku⸢mi⸣tatunti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢kjuː⸣ja ku⸢mitata⸣nu] (柱を組み立てようと思ったが、今日は組み立てない)。 ク⸢ミ⸣タティ ⸣ミサカー ク⸢ミ⸣タトゥ ⸣クトー ⸣ナルン [ku⸢mi⸣tḁti ⸣misakaː ku⸢mi⸣tḁtu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (組み立てて良ければ組み立てることは出来る)。 ク⸢ミ⸣タテー ⸣ミサムヌ [ku⸢mi⸣tḁteː ⸣misamunu] (組み立てれば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ク⸢ミ⸣タティバ [⸣duːʃi ku⸢mi⸣tḁtiba] (自分で<自力で>組み立てよ) 6256 0 0 5908 htmvoc_6256.wav クミヌヤイダキ ク⸢ミ⸣ヌ ⸢ヤイダキ [ku⸢mi⸣nu ⸢jaidaki] 連 古見の連山。歌謡語。「古見の八重岳」の義。/アレニ ミユルワ ウムトゥダキ ヤラブ タキドゥン クバマダキ クミヌ ヤイダキ パトゥバナリ/(あれ<彼方>に見えるは於茂登岳、屋良部、竹富、小浜岳、古見の八重岳、鳩離島)「鳩間口説」 6257 0 1 5909 htmvoc_6257.wav クミルン ク⸢ミ⸣ルン [ku⸢mi⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}こめる(籠める)。閉じ込める。隠す。 マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣ルンティ シゥ⸢コーリベー⸣バ ⸢ニン⸣ガイ ッ⸢ふォー⸣リ [ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣runti sï̥⸢koːribeː⸣ba ⸢niŋ⸣gai f⸢foː⸣ri] (魂籠めをしようと準備しているので祈願をして下さい)。 ク⸢ミラ⸣ヌ [ku⸢mira⸣nu] (籠めない)。 マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣プサン [ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣pu̥saŋ] (魂籠めしたい<マブイを籠めたい>)。 マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣ル プ⸢ソー ター⸣ヤ [ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣ru pu̥⸢soː taː⸣ja] (魂籠めする人は誰か)。 マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (魂籠めすればよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣リ [jaː⸢dim⸣ ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣ri] (必ず魂籠めをしなさい<籠めれ>)。 ウ⸢ズ⸣ヌ ⸣バタ ク⸢ミ⸣ルン [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣bata ku⸢mi⸣ruŋ] (布団に綿を込める<入れる>)。 6257 0 2 5910 htmvoc_6257.wav クミルン ク⸢ミ⸣ルン [ku⸢mi⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}弾丸をこめる(つめる)。 ⸢ティップヌ⸣ タマ ク⸢ミ⸣ルン [⸢tipunu⸣ tama ku⸢mi⸣ruŋ] (鉄砲の弾をこめる) 6258 0 0 5911 htmvoc_6258.wav クム ⸣クム [⸣kumu] 名 雲。「み空由久 々母々使と~。万、4410」の義。「Cumo.クモ(雲).Cumoga faruru.(雲が晴るる)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ッ⸢ふ⸣クム [f⸢fu⸣kumu] (真っ黒の雨雲)。 ヌ⸢リクム [nu⸢rikumu] (乗り雲{EOS}入道雲)。 ッ⸢ス⸣クム [s⸢su⸣kumu] (白雲)。 イ⸢ラキ⸣グム [ʔi⸢raki⸣gumu] (鱗雲)。 ニ⸢シクベー⸣ラ ッ⸢ふクム⸣ヌ カ⸢バ⸣シ ⸣クン [ni⸢ʃikubeː⸣ra f⸢fukumu⸣nu ka⸢ba⸣ʃi ⸣kuŋ] (北の空<北壁>から真っ黒な雨雲が覆い被ってくる) 6259 0 0 5912 htmvoc_6259.wav クム ク⸢ム [ku⸢mu] 名 こも(菰)。藁やススキで編んだ木炭を入れる俵。「薦、コモ、ムシロ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢ユシ⸣キシ ク⸢ム⸣ フムン [⸢juʃi̥⸣kiʃi ku⸢mu⸣ ɸumuŋ] (ススキで菰を編む) 6260 0 0 5913 htmvoc_6260.wav グム ⸣グム [⸣gumu] 名 ゴム(gom<オランダ語>)。標準語からの借用語。 ⸣グムシ ⸢ミーカンガン⸣ヌ ⸢ブー⸣ ス⸢ク⸣リバ [⸣gumuʃi ⸢miːkaŋgan⸣nu ⸢buː⸣ su̥⸢ku⸣riba] (ゴムで水中眼鏡の紐を作りなさいよ) 6261 0 0 5914 htmvoc_6261.wav グムカン ⸣グムカン [⸣gumukaŋ] 名 遊具の一種。ゴム鉄砲。Y字形の木の枝にゴム紐をつけて小石を挟み、強く引き飛ばして小鳥を撃つのに用いる遊具。 ⸣グムカンシ ⸣パトゥザ ア⸢トゥン [⸣gumukaŋʃi ⸣pḁtuʣa ʔa⸢tuŋ] (ゴム鉄砲で山鳩を撃つ<当てる>) 6267 0 0 5915 htmvoc_6267.wav クムシ ク⸢ム⸣シ [ku⸢mu⸣ʃi] 名 (動)ゴキブリ。普通は、ヤ⸢マトゥクム⸣シ[ja⸢matukumu⸣ʃi](ゴキブリ)という。 ク⸢ムシェー⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤンダ ッ⸢ふァイムヌ⸣ナー シ⸢カッタサンヨー⸣シ ⸢ウイパラ⸣シ [ku⸢muʃeː⸣ ja⸢ni⸣janda f⸢faimunu⸣naː ʃi̥⸢kattasaɲjoː⸣ʃi ⸢ʔuipara⸣ʃi] (ゴキブリは汚いから食べ物に触れさせないように追い払え) 6268 0 0 5916 htmvoc_6268.wav クムチ ク⸢ムチ [ku⸢muʧi] 名 供物。⸢クームチ[⸢kuːmuʧi](供物)の項参照 6262 0 0 5917 htmvoc_6262.wav クムヌニー ク⸢ム⸣ヌ ⸣ニー [ku⸢mu⸣nu ⸣niː] 連 雲の根。雲が湧き出てくる方向の根元にある雲。 ク⸢ム⸣ヌ ⸢ニー⸣ヌ キ⸢シラン⸣ダー ⸣アメー ヤ⸢マヌ [ku⸢mu⸣nu ⸢niː⸣nu ki̥⸢ʃiran⸣daː ⸣ʔameː ja⸢manu] (雲の根が切れないから雨は止まない) 6263 0 0 5918 htmvoc_6263.wav グムマール ⸣グムマール [⸣gumumaːru] 名 ゴムまり(鞠)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣グムマールバ ⸣ウティティ ア⸢サブタ [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣gumumaːruba ⸣ʔutiti ʔa⸢sabuta] (女の子はゴム鞠をついて<打って>遊んだ) 6269 0 0 5919 htmvoc_6269.wav クムリ ク⸢ム⸣リ [ku⸢mu⸣ri] 名 曇り。曇天。標準語からの転訛。 ア⸢ツァ⸣ヌ ⸢オーシケー⸣ ク⸢ム⸣リ [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸢ʔoːʃikeː⸣ ku⸢mu⸣ri] (明日の天気は曇り<曇天>だ) 6214 0 0 5920 htmvoc_6214.wav クムル ク⸢ム⸣ル [ku⸢mu⸣ru] 名 ふち(淵、潭)。川や環礁、干瀬などの深いところ。 ウ⸢ブミジ⸣ヌ ⸣カンナー ク⸢ムル⸣ヌ ⸣アン [ʔu⸢bumiʤi⸣nu ⸣kannaː ku⸢muru⸣nu ⸣ʔaŋ] (大見謝川の川上に淵がある)。 ⸢インタヌ⸣ フキクムルナール ⸣アン ウ⸢ラ⸣ソーッタ [⸢ʔintanu⸣ ɸu̥kikumurunaːru ⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣soːtta] (島の西側のフキクムル<環礁の中に出来た深い所>に網を下ろされた<網を仕掛けられた>) 6270 0 0 5921 htmvoc_6270.wav クムル ク⸢ム⸣ル [ku⸢mu⸣ru] 名 沼。池。水溜り。潮溜まり。礁内湖の深い所。 ウ⸢ブミジ⸣ヌ ⸣カンナー マ⸢ギ⸣ ク⸢ムル⸣ヌ アン⸢ダー [ʔu⸢bumiʤi⸣nu ⸣kannaː ma⸢gi⸣ ku⸢muru⸣nu ʔan⸢daː] (大見謝川の川上に大きな池<深い水溜り>があるよ)。ピ⸢ナカンクムル[pi⸢nakaŋkumuru](島の東南東の⸢ナーバレー{SqBr}⸢naːbareː{/SqBr}の干瀬から南東のタ⸢カ⸣ビ{SqBr}ta⸢ka⸣bi{/SqBr}へ行く途中の干瀬の頂きにある礁内池)、⸣フキクムル[⸣ɸu̥kikumuru](島の西北部にある礁内湖の深い所)などのク⸢ム⸣ル[ku⸢mu⸣ru]がある 6264 0 0 5922 htmvoc_6264.wav クムルン ク⸢ム⸣ルン [ku⸢mu⸣ruŋ] 自動 曇る。標準語からの転訛。普通は、ッ⸢ふァムン[f⸢famuŋ](暗む)という。 カ⸢ジヌ マール⸣カー ⸢ティンマー⸣ ク⸢ムルン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ ク⸢ムラン⸣バン [ka⸢ʤinu maːru⸣kaː ⸢timmaː⸣ ku⸢murun⸣du(f⸢famundu) ⸢kjuː⸣ja ku⸢muram⸣baŋ(f⸢famambaŋ)] (風が北風に回ると空は曇るが、今日は曇らないよ)。 ⸢ティンマー⸣ ニ⸢シクベーラ⸣ ク⸢ム⸣リ ⸣キー ⸢ウーアミヌ フイン⸣ギサバン [⸢timmaː⸣ ni⸢ʃikubeːra⸣ ku⸢mu⸣ri(f⸢famari) ⸣kiː ⸢ʔuːaminu ɸuiŋ⸣gisabaŋ] (空は北壁から曇ってきて大雨が降りそうだ)。 ク⸢ム⸣ル ⸣ピンマー ⸢キン⸣マー ⸢カーラカヌ [ku⸢mu⸣ru ⸣pimmaː ⸢kim⸣maː ⸢kaːrakanu] (曇る日は、着物は乾かない)。 ク⸢ム⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢mu⸣reː ⸣misamunu] (曇れば良いのに) 6271 0 0 5923 htmvoc_6271.wav クムローマ ク⸢ムロー⸣マ [ku⸢muroː⸣ma] 名 海中の小さな礁池。 ク⸢ムロー⸣マナ イ⸢ズヌ⸣ ク⸢ミラ⸣リ ⸢ベー [ku⸢muroː⸣mana ʔi⸢ʣunu⸣ ku⸢mira⸣ri ⸢beː] (海中の小さな礁池に魚が閉じ込められている) 6265 0 0 5924 htmvoc_6265.wav クムン ⸣クムン [⸣kumuŋ] 他動 こめる(籠める)。閉じ込める。隠す。「こむ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 マ⸢ブ⸣ル ⸣クムン [ma⸢bu⸣ru ⸣kumuŋ] (魂籠めをする<魂を籠む>)。 ク⸢マ⸣ヌ [ku⸢ma⸣nu] (籠めない)。 マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣プサン [ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣pusaŋ] (魂を籠めたい)。 マ⸢ブ⸣ル ⸣クム プ⸢ス [ma⸢bu⸣ru ⸣kumu pu̥⸢su] (魂を籠める人)。 マ⸢ブ⸣ル ⸣クメー ⸣ミサムヌ [ma⸢bu⸣ru ⸣kumeː ⸣misamunu] (魂を籠めればよいのに)。 ⸢ビョー⸣ザーンダ マ⸢ブ⸣ル ⸣クミバ [⸢bjoː⸣ʣaːnda ma⸢bu⸣ru ⸣kumiba] (病弱だから<病気がちだから>魂籠めをしなさいよ) 6266 0 0 5925 htmvoc_6266.wav クムン ⸣クムン [⸣kumuŋ] 自動 組む。手足を絡み合わせる。仲間になる。 ⸣ウディ ⸣クムン [⸣ʔudi ⸣kumuŋ] (腕を組む)。 ⸣ウデー ク⸢マ⸣ヌ [⸣ʔudeː ku⸢ma⸣nu] (腕は組まない)。 ⸣クミ ⸣ミサカー ⸣クム ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kumi ⸣misakaː ⸣kumu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (組んで良ければ組むことは出来る)。 ⸣クメー ⸣ミサムヌ [⸣kumeː ⸣misamunu] (組めば良いのに)。 ⸣クミバ [⸣kumiba] (組めよ)。 サ⸢キンダヌ⸣ マ⸢ケー ユシ⸣キダータバルトゥ サ⸢キンダタバルヌ⸣ プ⸢スンケー⸣ヌ ⸣グー ⸣クミティ ⸣インダヌ マ⸢ケーラ⸣ バ⸢カル⸣タツォー [sḁ⸢kindanu⸣ ma⸢keː juʃi̥⸣kidatabarutu sḁ⸢kindatabarunu⸣ pu̥⸢suŋkeː⸣nu ⸣guː ⸣kumiti ⸣ʔindanu ma⸢keːra⸣ ba⸢karu⸣taʦoː] (崎田の牧場はヨシキラ田原と崎田田原の人たちが組を組んで<組合を作って>伊武田の牧場から別れたそうだ) 6213 0 0 5926 htmvoc_6213.wav クメー ク⸢メー [ku⸢meː] 固 小浜家。小浜家一族。 ク⸢メーヌ ノー⸣ザザーテー [ku⸢meːnu noː⸣ʣaʣaːteː] (小浜真那氏宅)。老年層は、その屋敷名をク⸢モーヤー[ku⸢moːjaː](小浜家)ともいう。東村の⸢シー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi](獅子頭)を保管している家。 ⸢アンヌムラヌ シー⸣シェー ク⸢メーナー⸣ル カ⸢キン⸣グ ⸢シー オー⸣ル [⸢ʔannumuranu ʃiː⸣ʃeː ku⸢meːnaː⸣ru kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (東村の獅子頭は小浜家に<ぞ>保管<格護>しておられる) 6215 0 1 5927 htmvoc_6215.wav クメーキルン ク⸢メーキルン [ku⸢meːkiruŋ] 他動 {Mn_1}細心にする。入念にする。丁寧にする。ク⸢メークンとも言う。 パ⸢タキシグ⸣トゥン ク⸢メーキラン⸣カー ス⸢クリ⸣ムノー ⸢ミーラン⸠ダー [pḁ⸢takiʃigu⸣tum ku⸢meːkiraŋ⸣kaː su̥⸢kuri⸣munoː ⸢miːran⸠daː] (畑仕事の入念にしないと作物は稔らないよ)。 ク⸢メーキ⸣ ミルン [ku⸢meːki⸣ miruŋ] (入念にしてみる)。 ク⸢メーキルンティ⸣ ウムーカー ク⸢メーキリ⸣バ [ku⸢meːkirunti⸣ ʔumuːkaː ku⸢meːkiri⸣ba] (入念にしようと思うなら入念にしなさいよ)。 ク⸢メーキル⸣ クトゥ [ku⸢meːkiru⸣ ku̥tu] (入念にすること)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢メーキレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ku⸢meːkireː⸣ misamunu] (もっと入念にすればよいのに)。入念に仕事をする。細かく仕事をする。 イッ⸢ケナ⸣ ク⸢メーキルン [ʔik⸢kena⸣ ku⸢meːkiruŋ] (非常に入念に仕事をする)。 ⸢ピッ⸣チン ク⸢メーキラヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ku⸢meːkiranu] (ちっとも仕事に念を入れない)。 シ⸢グトー⸣ ク⸢メーキリバル⸣ ナル [ʃi⸢gutoː⸣ ku⸢meːkiribaru⸣ naru] (仕事は入念にしなければならない)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢メーキリ [⸢maː⸣biŋ ku⸢meːkiri] (もっと仕事を入念にしろ)。 6215 0 2 5928 htmvoc_6215.wav クメーキルン ク⸢メーキルン [ku⸢meːkiruŋ] 他動 {Mn_2}節約する。 ⸢スータイ⸣ヤー ⸢マー⸣ビン ク⸢メーキラバル⸣ ナル [⸢suːtai⸣jaː ⸢maː⸣biŋ ku⸢meːkirabaru⸣ naru] (家庭経済<所帯>はもっと節約しないと維持できない<節約したらぞ成る>) 6274 0 0 5929 htmvoc_6274.wav クメークン ク⸢メークン [ku⸢meːkuŋ] 他動 念を入れる。入念に仕事をする。精密にする。委細にする。細かくする。丁寧にする。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ シ⸢グトゥ⸣ ク⸢メークン [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʃi⸢gutu⸣ ku⸢meːkuŋ] (この人は非常に入念に仕事をする)。 シ⸢グトー⸣ ク⸢メーキリ [ʃi⸢gutoː⸣ ku⸢meːkiri] (仕事は入念に、細かくしなさい)。 ク⸢メーカン⸣タンティン ⸣ミサン [ku⸢meːkan⸣tantim ⸣misaŋ] (入念にしなくてもよい)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢メーキ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢maː⸣biŋ ku⸢meːki⸣ f⸢fiːri] (もっと入念に、精密にしてくれ)。 ウ⸢リヌ⸣ スコー ク⸢メーク⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥koː ku⸢meːku⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼ぐらい念入りにする人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢メーケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ku⸢meːkeː⸣ misamunu] (もっと入念に、細かくすればよいのに) 6216 0 0 5930 htmvoc_6216.wav クメーヌクムル ク⸢メーヌ⸣ ク⸢ム⸣ル [ku⸢meːnu⸣ ku⸢mu⸣ru] 連 (海底地名)。小浜家の籠もり池(礁内湖)。{フ⸢カバ⸣カパマ[ɸu̥⸢kaba⸣kapama](外若浜)とフ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](舟原浜)の中間の海岸にあるク⸢ム⸣ル[ku⸢mu⸣ru](礁内湖)}。小浜家の人が網を入れて漁獲したところ 6275 0 0 5931 htmvoc_6275.wav クメーヌノーザザーテー ク⸢メーヌ ノー⸣ザザーテー [ku⸢meːnu noː⸣ʣaʣaːteː] 連 屋号。ク⸢モーヤー[ku⸢moːjaː](小浜真那氏宅{EOS}小浜家)、ク⸢メー[ku⸢meː](小浜家)ともいう。東村の⸢シー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi](獅子頭)を保管している家。⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)の中日の夜に⸢シーシマチ⸣リ[⸢ʃiːʃimaʧi⸣ri](獅子頭祭り{EOS}獅子頭の祈願)をして東村の家々を巡回して祖霊を慰め、悪霊祓えをした 6276 0 0 5932 htmvoc_6276.wav クメーヌマンダラッパーテー ク⸢メーヌ マン⸣ダラッパーテー [ku⸢meːnu man⸣darappaːteː] 連 屋号。小浜マンダル氏宅。名前の⸢マン⸣ダル[⸢man⸣daru](真・樽)に、⸣アッパー[⸣ʔappaː](お祖母さん)が下接し、接尾語⸣テー[⸣teː](~の家)が付いた合成語 6277 0 0 5933 htmvoc_6277.wav クモーマ ク⸢モーマ [ku⸢moːma] 固 (地)小浜島。西表島東部の古見村から古くに分村したといわれ、クン⸢マー⸣マ[kum⸢maː⸣ma](小さな古見)と称されていたのが転訛したものという。伝統的秘祭「アカマター・クロマターの祭り」も古見村から小浜島、新城島、宮良村へと伝播したといわれている。小浜島は地下水の豊富な島で海岸の砂浜を掘ると真水が湧出するほどで、昔から水田耕作も盛んである。古典民謡「小浜節」は島の見事な景観や稲作の豊穣を歌って名曲の誉れが高い。また瓦葺建築用のユ⸢チルダキ[ju⸢ʧirudaki](えつり<桟>竹)の産地として有名である。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ツシンマー⸣ ク⸢モーマバー⸣キ ザ⸢コー⸣ トゥリン ⸢オーッ⸣タンツォー [pḁ⸢tuma⸣nu kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ku⸢moːmabaː⸣ki ʣa⸢koː⸣ turiŋ ⸢ʔoːt⸣tanʦoː] (鳩間島のカツオ漁船は餌を獲り<雑魚を獲りに>に小浜島まで行かれたそうだ) 6278 0 0 5934 htmvoc_6278.wav クモーマダキ ク⸢モーマダキ [ku⸢moːmadaki] 名 (植)カンザンチク。小浜島産の竹。細い竹は建築用材のエツリ(桟)に用い、太い竹はタ⸢キフンツァ[ta⸢kiɸunʦa](竹床)に使用した。⸢ダイ⸣マーダキ[⸢dai⸣maːdaki](大名竹、大明竹)ともいう。 タ⸢キフンツァー ゴー⸣ラー ク⸢モーマダキバル⸣ シゥ⸢カイオーッ⸣タ [tḁ⸢kiɸunʦaː goː⸣raː ku⸢moːmadakibaru⸣ sï̥⸢kaioːt⸣ta] (竹床には多くは小浜島産の大名竹を使われた) 6279 0 0 5935 htmvoc_6279.wav クヤー ⸣クヤー [⸣kujaː] 固 (人)女子の名前。ク⸢ヤー⸣マ[ku⸢jaː⸣ma](クヤーの愛称)ともいう。 イ⸢ラ⸣ブレーナール ク⸢ヤー⸣マンマー ⸢オーッ⸣タ [ʔi⸢ra⸣bureːnaːru ku⸢jaː⸣mammaː ⸢ʔoːt⸣ta] (西原家に<ぞ>クヤマー姉さんはおられた) 6281 0 0 5936 htmvoc_6281.wav クヤミ ク⸢ヤ⸣ミ [ku⸢ja⸣mi] 名 お悔やみ。弔問。 ク⸢ヤ⸣ミ ⸢シン⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ja⸣mi ⸢ʃim⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (お悔やみしに行かないとならない) 6280 0 0 5937 htmvoc_6280.wav クヤンマー ⸣クヤンマー [⸣kujammaː] 固 (人)女子の名前。 ア⸢ザテナー⸣ル ⸣クヤンマー ⸢オーッ⸣タ [ʔa⸢ʣatenaː⸣ru ⸣kujammaː ⸢ʔoːt⸣ta] (東里家に<ぞ>クヤンマー<クヤ姉さん>はおられた) 6282 0 0 5938 htmvoc_6282.wav グユー グ⸢ユー [gu⸢juː] 名 御用。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ヌー⸣ヌ グ⸢ユー⸣ヌ ア⸢ロー⸣ルネー⸢ラ [⸢kjuː⸣ja ⸢nuː⸣nu gu⸢juː⸣nu ʔa⸢roː⸣runeː⸢ra] (今日は何の御用がおありでしょうか) 6283 0 0 5939 htmvoc_6283.wav クユサ ク⸢ユ⸣サ [ku⸢ju⸣sa] 名 幼少。歌謡語。イ⸢ミ⸣サカラ ク⸢ユ⸣サカラ[ʔi⸢mi⸣sakara ku⸢ju⸣sakara](子供の頃から、幼少のころから)のように用いられる。/トゥバラマトゥ バントゥヤ カヌシャマトゥ クリトゥヤ イミシャカラ クユサカラ ムチリィトゥラ/(チィンダラ節)『八重山民謡誌』 6286 0 0 5940 htmvoc_6286.wav クヨー ク⸢ヨー [ku⸢joː] 名 苦労。「苦労」の転訛したもの。 バ⸢カーン⸣ケンラ ク⸢ヨーヌ <ク⸢ローヌ> ゴー⸣カジェー ⸢シール モーキンザ⸣シ ウ⸢ヤ⸣キヤー ナレーティ⸢ダー [ba⸢kaːŋ⸣kenra ku⸢joːnu goː⸣kaʤeː ⸢ʃiːru moːkiʔnʣa⸣ʃi ʔu⸢ja⸣kijaː ⸣nareːti⸢daː] (若い時から苦労かぎりを経験して儲けだして金持ちになったそうだよ) 6287 0 0 5941 htmvoc_6287.wav クヨー ク⸢ヨー [ku⸢joː] 名 供養。⸢ソッ⸣コー[⸢sok⸣koː](焼香)などをして死者の霊に供物を供え、供養を尽くすこと。 ウ⸢ヤプス⸣ヌ ク⸢ヨーバ シー オースンティ ベー [ʔu⸢japu̥su⸣nu ku⸢joːba ʃiː ʔoːsunti beː] (先祖の供養をして差し上げようとしている) 6288 0 0 5942 htmvoc_6288.wav クヨーマナーラ ク⸢ヨー⸣マナー⸢ラ [ku⸢joː⸣manaː⸢ra] 感 こんにちは。「拝顔致します。お目にかかります」の義。校長や村長、学校の先生、郵便局長、巡査など島外から来られる地位の高い人、知名の士に対して使う挨拶ことば。 ク⸢ヨー⸣マナー⸢ラ コー⸣チョーシンシー [ku⸢joː⸣manaː⸢ra koː⸣ʧoːʃiŋʃiː] (こんにちは<お目にかかります>校長先生)。島内の長老や目上の人に対しては、ミサローッ⸢タン[misaroːt⸢taŋ](お元気でいらっしゃいましたか)という 6289 0 0 5943 htmvoc_6289.wav クヨームン ク⸢ヨー⸣ムン [ku⸢joː⸣muŋ] 他動 拝顔する。お目にかかる。老年層の言葉。 ⸢コー⸣チョーシンシー ク⸢ヨー⸣ムンティ ⸢クータン⸣ドゥ ク⸢ヨーマラ⸣ヌ [⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiː ku⸢joː⸣munti ⸢kuːtan⸣du ku⸢joːmara⸣nu] (校長先生にお目にかかりに参りましたが、お目にかかれません)。 ⸢シン⸣シー ク⸢ヨー⸣ミン ⸢パッ⸣タ [⸢ʃiŋ⸣ʃiː ku⸢joː⸣mim ⸢pat⸣ta] (先生にお目にかかり<ご挨拶>に行った)。 ク⸢ヨーミ⸣プサカー ク⸢ヨー⸣メー ⸣ミサムヌ [ku⸢joːmi⸣ pu̥sakaː ku⸢joː⸣meː ⸣misamunu] (お目にかかりたければ、お目にかかればよいのに)。 ク⸢ヨー⸣ム プ⸢ソー パー⸣ク ク⸢ヨー⸣ミバ [ku⸢joː⸣mu pu̥⸢soː paː⸣ku ku⸢joː⸣miba] (お目にかかる人は早くお目にかかりなさい) 6290 0 0 5944 htmvoc_6290.wav クラ ⸣クラ [⸣kura] 名 米や穀物を入れる所。「新墾田の鹿猪田の稲を 倉にあげて~。万、3848」からの借用語か。裏座に約四尺四方、高さ約五尺の\ruby{填}{ハ}め込み式の板箱を作って籾米を保管したところ。モ⸢ミグラ[mo⸢miguru](米倉)ともいう。 ⸢マイヤー⸣ ティダナー ⸣プシティ ユ⸢コーヌ⸣ クラナー タ⸢ブイ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢maijaː⸣ tidanaː pu̥ʃiti ju⸢koːnu⸣ kuranaː ta⸢bui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (米は太陽に干して乾燥させ、裏座の倉に入れて保管しておきさい) 6291 0 0 5945 htmvoc_6291.wav クライ ク⸢ライ [ku⸢rai] 名 位。標準語からの借用語。日常的にはほとんど使用しない。 ⸢ガッ⸣コーナーテー ⸢コー⸣チョーシンシール ク⸢ライヤー⸣ タ⸢カー⸣ロールミー [⸢gak⸣koːnaːteː ⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiːru ku⸢raijaː⸣ ta⸢kaː⸣roːrumiː] (学校では校長先生が位は高くいらっしゃるでしょうねえ) 6292 0 0 5946 htmvoc_6292.wav グライ ⸣グライ [⸣gurai] 副助 くらい(位)。⸣ブカラ[⸣bukara](ぐらい{EOS}程度)、ア⸢タ⸣ル[ʔa⸢ta⸣ru](ぐらい{EOS}程度)と同じ意味。体言や活用語の連体形、格助詞などに付いて大体の程度、分量、範囲を表す。 ⸣ウビグライヤー ナ⸢リ⸣スパジ [⸣ʔubiguraijaː na⸢ri⸣su ⸣paʤi] (これぐらいは出来るはずだ)。 パ⸢ナ⸣ス グ⸢ライヤー⸣ ナルン [pa⸢na⸣su gu⸢raijaː⸣ naruŋ] (話す程度は出来る)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ グ⸢ライヤー⸣ ム⸢タ⸣リン [ja⸢rabi⸣nu gu⸢raijaː⸣ mu⸢ta⸣riŋ] (子供の程度は持てる<持たれる>) 6293 0 0 5947 htmvoc_6293.wav クライルン ク⸢ライ⸣ルン [ku⸢rai⸣ruŋ] 他動 堪える。我慢する。辛抱する。許す。勘弁する。ク⸢ナイ⸣ルン[ku⸢nai⸣ruŋ](堪える)の項参照。ニ⸢ジ⸣ルンとも言う。 サ⸢キヌミ⸣ヌ ⸢ウイヌ⸣ クトゥ ヤ⸢リバ ニッ⸣ターン ⸢サンドー⸣シ ク⸢ライ⸣リ⸢ダー [sḁ⸢kinumi⸣nu ⸢ʔuinu⸣ ku̥tu ja⸢riba nit⸣taːn ⸢sandoː⸣ʃi ku⸢rai⸣ri⸢daː] (酒を飲んでのことなので、妬ましく思わないで堪えてくれ<堪えろ>よなあ)。 ク⸢ライ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢クン⸣ドゥ ⸢カーネー⸣ ク⸢ライララ⸣ヌ [ku⸢rai⸣runti ⸢beː⸣nundu ⸢kun⸣du ⸢kaːneː⸣ ku⸢rairara⸣nu] (堪えようと思うのだが、今度だけは堪えられない)。 ク⸢ライ⸣ル ⸣クトー ク⸢ライ ヤッ⸣サン [ku⸢rai⸣ru ⸣ku̥toː ku⸢rai jas⸣saŋ] (堪えることは堪えやすい)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ ク⸢ライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ ku⸢rai⸣jaː ⸣misamunu] (もう少し堪えればよいのに) 6294 0 0 5948 htmvoc_6294.wav クラガーウン ク⸢ラガー⸣ウン [ku⸢ragaː⸣ʔuŋ] 名 (植)サツマイモの品種名。中身は白く、外皮は赤い。甘味があり美味である。読谷村クラガー(暗川)地区から広まったのでその名があるという。ハ⸢ナクラ⸣ガー[ha⸢nakura⸣gaː](甘藷の名)ともいう。 ク⸢ラガーウン⸣マー ⸣ユー ⸢ミーリーン シー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン ⸢アッ⸣タン [ku⸢ragaː ʔum⸣maː ⸣juː ⸢miːriːŋ ʃiː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (クラガー芋はよく稔りもし、非常に美味しくもあった) 6374 0 0 5949 htmvoc_6374.wav グラグラタギルン ⸣グラグラ タ⸢ギルン [⸣guragura ta⸢giruŋ] 連 ぐつぐつ沸騰する。 ヤ⸢コン⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ⸣グラグラ タ⸢ギラシティ サイ⸣バ [ja⸢kon⸣nu ⸢juː⸣ja ⸣guragura ta⸢giraʃi̥ti sai⸣ba] (薬缶の湯はぐつぐつ沸騰させて<から>注ぎなさい) 6296 0 0 5950 htmvoc_6296.wav クラシ ク⸢ラシ [ku⸢raʃi] 名 生活。生計。「暮らし」の義。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢キュー⸣ヌ ク⸢ラシ⸣ アツァー ア⸢ツァ⸣ヌ ク⸢ラシヌ⸣ アルユンダ ⸢ナンクク⸣ル ⸢ナーメーメーヌ⸣ ク⸢ラシェー⸣ ナ⸢リ⸣ス [⸢kjuː⸣ja ⸢kjuː⸣nu ku⸢raʃi⸣ ʔaʦaː ʔa⸢ʦa⸣nu ku⸢raʃinu⸣ ʔarujunda ⸢naŋkuku⸣ru ⸢naːmeːmeːnu⸣ ku⸢raʃeː⸣ na⸢ri⸣su] (今日は今日の暮らし、明日は明日の暮らしがあるから<明日は明日の風が吹くから>、おのずと各自それぞれの<銘銘の>暮らしが出来るよ) 6297 0 0 5951 htmvoc_6297.wav クラシガタ ク⸢ラシガタ [ku⸢raʃigata] 名 暮らし。生活の仕方。生計。くちすぎ。すぎわい(生業)。 ⸣アイニ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢ダイヌ⸣ タ⸢カー⸣カ ⸢ヌー⸣シル ク⸢ラシガタン⸣ ムティパルユー ッ⸢サン⸠ツォー [⸣ʔaini mu⸢nu⸣nu ⸢dainu⸣ ta⸢kaː⸣kaː ⸢nuː⸣ʃiru ku⸢raʃigatam⸣ mutiparujuː s⸢san⸠ʦoː] (あんなに物価<ものの値段>が高いと、どうやって生計を維持して<持って>いくのか分からないのだよ) 6298 0 0 5952 htmvoc_6298.wav クラスン ク⸢ラスン [ku⸢rasuŋ] 自動 生活する。暮らす。「長春日乎 念晩久<長き春日を思ひ暮さく>『万葉集 1936』」の義。 マ⸢ナ⸣マー ユキー⸢ユキー⸣シ ク⸢ラシ ベー⸣ン [ma⸢na⸣maː jukiː⸢jukiː⸣ʃi ku⸢raʃi beː⸣ŋ] (今はゆったりと<余裕を持って>暮らしている)。 ⸣クビシェー ク⸢ラサラヌ [⸣kubiʃeː ku⸢rasaranu] (これだけでは暮らされない)。 ター⸢ン⸣ ユ⸢チ⸣クニ ク⸢ラスンティル⸣ ウムー [taː⸢ɲ⸣ ju⸢ʧi⸣kuni ku⸢rasuntiru⸣ ʔumuː] (誰でも裕福に暮らしたいと<ぞ>思うものだ)。 ⸣クナー ク⸢ラスプソー⸣ ク⸢ラシ⸣バ [⸣kunaː ku⸢rasu pu̥soː⸣ ku⸢raʃi⸣ba] (ここに暮らす人は暮らせ)。 ⸣クナー ク⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː ku⸢raʃeː⸣ misamunu] (此処で暮らせばいいのに) 6299 0 1 5953 htmvoc_6299.wav クラスン ク⸢ラスン [ku⸢rasuŋ] 他動 {Mn_1}殺す。 ⸣オー ク⸢ラスン [⸣ʔoː ku⸢rasuŋ] (豚を屠る<屠殺する>)。 ⸢カッティニ⸣ ク⸢ラサラヌ [⸢kattini⸣ ku⸢rasaranu] (勝っ手に屠殺できない)。 ⸣ソンガチオー ク⸢ラシ⸣ プサン [⸣soŋgaʧiʔoː ku⸢raʃi⸣ pu̥saŋ] (正月用の豚を屠殺したい)。 ⸣オー ク⸢ラス プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔoː ku⸢rasu pu̥soː⸣ bu⸢raːnu] (豚を屠殺する人はいない)。 ⸢クラシェー⸣ ミサムヌ [ku⸢raʃeː⸣ misamunu] (屠殺すればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣オー ク⸢ラシ [⸢paː⸣ku ⸣ʔoː ku⸢raʃi] (早く豚を屠れ<屠殺せよ>)。 6299 0 2 5954 htmvoc_6299.wav クラスン ク⸢ラスン [ku⸢rasuŋ] 他動 {Mn_2}打つ。殴る。「懲、コロス『類聚名義抄』」の転訛したもの。 ⸣アイニ プ⸢ス⸣ ク⸢ラスナ [⸣ʔaini pu̥⸢su⸣ ku⸢rasuna] (あんなに強く他人を打つな<殴るな>)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シ⸢カンムノー⸣ シ⸢ビ⸣ タ⸢タックラ⸣シ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kammunoː⸣ ʃi⸢bi⸣ tḁ⸢takkura⸣ʃi] (親の言う事を聞かない奴はお尻をぶっ叩け) 6079 0 0 5955 htmvoc_6079.wav クラビルン ク⸢ラビルン [ku⸢rabiruŋ] 他動 比べる。比較する。老年層はフ⸢ラビルン[ɸu⸢rabiruŋ](比べる)という。「くらべ来し振り分け髪も『伊勢物語』」の転訛したもの。 ク⸢レー⸣ フ⸢カ⸣ヌ ム⸢ヌ⸣トー ク⸢ラビララヌ [ku⸢reː⸣ ɸu̥⸢ka⸣nu mu⸢nu⸣toː ku⸢rabiraranu] (これは他のものとは比べられない)。 ク⸢ラビヤッ⸣サン [ku⸢rabijas⸣saŋ] (比べやすい)。 ク⸢ラビルンティ⸣ ウムーカー ク⸢ラビリ⸣バ [ku⸢rabirunti⸣ ʔumuːkaː ku⸢rabiri⸣ba] (比べようと思うなら比べなさいよ)。 ク⸢ラビル⸣ クトゥ [ku⸢rabiru⸣ ku̥tu] (比べること)。 ク⸢ラビレー ⸣ミサムヌ [ku⸢rabireː⸣ misamunu] (比べればよいのに)。 ⸢ヌー⸣ル タ⸢カー⸣ユー ク⸢ラビ⸣ ミルン [⸢nuː⸣ru tḁ⸢kaː⸣juː ku⸢rabi⸣ miruŋ] (どれが高いか、比べてみる)。 ク⸢ラビルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ク⸢ラビララヌ [ku⸢rabirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ku⸢rabiraranu] (比べようと思うのだが比べられない)。 ク⸢ラビルムノー ナー⸣ヌ [ku⸢rabirumunoː naː⸣nu] (比べるものがない)。 ク⸢ラビレー⸣ ミサムヌ [ku⸢rabireː⸣ misamunu] (比べればよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ク⸢ラビリ [jaː⸢diŋ ku⸢rabiri] (必ず比べなさい<比べれ>) 6301 0 0 5956 htmvoc_6301.wav クラブン ク⸢ラブン [ku⸢rabuŋ] 他動 比べる。比較する。照合する。老年層の人は、フ⸢ラブン[ɸu⸢rabuŋ](比べる)という。「くらぶ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ク⸢レー⸣ ク⸢ラビヤッ⸣サン [ku⸢reː⸣ ku⸢rabijas⸣saŋ] (これは比べやすい)。 ⸣ヌンティ ク⸢ラバンワ [⸣nunti ku⸢rabaŋwa] (何故比べないか)。 ク⸢ラブンティ⸣ ウムーカー ⸢パー⸣ク ク⸢ラビ⸣バ [ku⸢rabunti⸣ ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku ku⸢rabi⸣ba] (比べようと思うなら早く比べなさいよ)。 ク⸢ラブ プソー パー⸣ク ク⸢ラベー⸣ ミサムヌ [ku⸢rabu pu̥soː paː⸣ku ku⸢rabeː⸣ misamunu] (比べる人は早く比べればよいのに) 6302 0 0 5957 htmvoc_6302.wav クラムトゥ ク⸢ラ⸣ムトゥ [ku⸢ra⸣mutu] 名 琉球国時代の宮古・八重山に設置された行政官庁。⸣ウラ[⸣ʔura](蔵元)ということがおおい。 ク⸢ラム⸣トゥナール ⸢グイ⸣フゾーノーヤ ウ⸢サ⸣モーッタツォー [ku⸢ramu⸣tunaːru ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːja ʔu⸢sa⸣moːttaʦoː] (蔵元で御用布・上納は納められたそうだ)。/クラヌパマカラ カユピトゥヤ ウラヌマイヌ ピトゥグクル/<久浦の浜から通う人は行政官庁蔵元の前の賑やかな人通りのようだ>「鳩間中森<岡>」『鳩間島古典民謡古謡集』 6303 0 1 5958 htmvoc_6303.wav クリ ク⸢リ [ku⸢ri] 代 指示代名詞。これ(単数)。 ⸢クッ⸣ツァー [⸢kut⸣ʦaː] (これ等)(複数)。{Mn_1}空間的・時間的・心理的に話し手領域に属し、話しての近くにあると認められる「もの」や「こと」を指し示す語。「吾に得しめし夜麻都刀曾許礼『万葉集 4293』」の義。 ク⸢リヌ⸣ クーカー シ⸢グトー⸣ ナルン [ku⸢rinu⸣ kuːkaː ʃi⸢gutoː⸣ naruŋ] (これが来たら仕事はできる)。 ク⸢リン⸣ クーパジ [ku⸢riŋ⸣ kuːpaʤi] (これ<この人>も来るはずだ)。 ク⸢レー⸣ラ ⸢ワー⸣ マ⸢シェー⸣ムヌ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリバ [ku⸢reː⸣ra ⸢ʔwaː⸣ ma⸢ʃeː⸣munu ʔi⸢ra⸣bi ⸣turiba] (これ<この中>から、君がいい物のを選んで取りなさい)。 ク⸢レー ター⸣ムヌヤ [ku⸢reː taː⸣munuja] (これは誰のものか) 6324 0 0 5959 htmvoc_6324.wav グリ グ⸢リ [gu⸢ri] 名 リンパ腺の腫れたもの。ぐりぐり。腋下部や腿のつけね(鼠径部)にできる大豆の大きさに腫れたリンパ腺。手足に外傷のある時にできた。 バ⸢キンッサー⸣ラナ グ⸢リ⸣ヌ ⸣ンジ ⸢ベー⸣ヌ ⸣ヌーカヤー [ba⸢kinssaː⸣rana gu⸢ri⸣nu ⸣ʔnʤi ⸢beː⸣nu ⸣nuːkajaː] (腋の下にぐりぐりが出来ている<出ている>が、何だろうか) 6305 0 0 5960 htmvoc_6305.wav グリー ⸣グリー [⸣guriː] 名 礼。お辞儀。「御礼」の義。 ピサー⸢ピサ⸣ グ⸢リー⸣バ ⸢シー オーッ⸣タ [pi̥saː⸢pisa⸣ gu⸢riː⸣ba ⸢ʃiː ʔoːt⸣ta] (頭を非常に低く下げてお辞儀をしておられた)。 ⸢ミーウイ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ マイナーテー ヤー⸢ディン⸣ グレー ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣キ [⸢miːʔui⸣nu pu̥⸢sunu⸣ mainaː jaː⸢diŋ⸣ gureː ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki] (目上の人の前ではお辞儀をしておれ<お辞儀をしてあるけ>)。 ⸣シザンケーニ ⸣グリー ⸢シー⸣バ [⸣ʃiʣaŋkeːni ⸣guriː ⸢ʃiː⸣ba] (年長者の方にお辞儀をしなさい) 6310 0 0 5961 htmvoc_6310.wav クリカイスン ク⸢リカイ⸣スン [ku⸢rikai⸣suŋ] 他動 繰り返す。「手染之糸乎 絡反<手染の糸をくりかへし>『万葉集 1316』」の義。 ユ⸢ヌムニ⸣バ ク⸢リカイ⸣スン [ju⸢numuni⸣ba ku⸢rikai⸣suŋ] (同じ話<言葉>を繰り返す)。 ク⸢リカイサラ⸣ヌ [ku⸢rikaisara⸣nu] (繰り返されない)。 ク⸢リカイ⸣シ ⸣ミサン [ku⸢rikai⸣ʃi misaŋ] (繰り返してもいい)。 ク⸢リカイ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢rikai⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (繰り返すことはいけない)。 ク⸢リカイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ku⸢rikai⸣ʃeː ⸣misamunu] (繰り返せばよいのに)。 ク⸢リカイ⸣シ [ku⸢rikai⸣ʃi] (繰り返せ) 6311 0 0 5962 htmvoc_6311.wav クリカリ ク⸢リ⸣カリ [ku⸢ri⸣kari] 代 これかれ(此彼)。あれこれ。これやあれや。ク⸢リン⸣カリン[ku⸢riŋ⸣kariŋ](あれも此れも)ともいう。 ク⸢リ⸣カリ シゥ⸢カイミッタン⸣ドゥ ⸢ヌー⸣ル マ⸢シェー⸣ユー シカイ⸢トー⸣ ア⸢ティンガーラヌ [ku⸢ri⸣kari sï̥⸢kaimittan⸣du ⸢nuː⸣ru ma⸢ʃeː⸣juː ʃi̥kai⸢toː⸣ ʔa⸢tiŋgaːranu] (あれこれ使ってみたけれど、どれがいいのか見当<予想>がつかない) 6306 0 0 5963 htmvoc_6306.wav グリグリ ⸣グリグリ [⸣guriguri] 名 腋の下に出来る丸い塊。手足に傷があると腿の付け根や腋の下に丸い塊が出来た。これが出来るとピ⸢ル[pi⸢ru](にんにく<大蒜>)を擂り潰して塩と混ぜ、傷口に塗って治療した。 バ⸢キンッサー⸣ラナ ⸣グリグリヌ ⸣ンジ ⸢ベー [ba⸢kinssaː⸣rana ⸣gurigurinu ⸣ʔnʤi ⸢beː] (腋の下にぐりぐりが出ている) 6312 0 0 5964 htmvoc_6312.wav グリサン ⸢グリ⸣サン [⸢guri⸣saŋ] 助動 ~づらい。~(し)づらい、~にくい。形容詞型活用。⸢ングリ⸣サン[⸢ŋguri⸣saŋ](~づらい)の項参照 6308 0 0 5965 htmvoc_6308.wav クリタ ク⸢リ⸣タ [ku⸢ri⸣ta] 名 樽や桶、水担桶を組み立てる板。 ⸢ウーキ⸣ヌ ク⸢リ⸣ター ⸢ミーガー⸣ガー ⸣ナリティ ム⸢リ⸣ス [⸢ʔuːki⸣nu ku⸢ri⸣taː ⸢miːgaː⸣gaː nariti mu⸢ri⸣su] (桶のクレ板は隙間が開いて水漏れする) 6314 1 0 5966 htmvoc_6314.wav クリフドゥ ⸣クリフドゥ [⸣kuriɸudu] 名 {PoS_1}これぐらい。歌謡語。 ⸣クリフドゥヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シーシェー⸣ プ⸢ソー⸣ パ⸢トゥ⸣マナー ブ⸢ラーヌ [⸣kuriɸudunu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiːʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ pḁ⸢tu⸣manaː bu⸢raːnu] (これ程の事をし得る人は、鳩間島にはいない)。 6314 2 0 5967 htmvoc_6314.wav クリフドゥ ⸣クリフドゥ [⸣kuriɸudu] 副 {PoS_2}歌謡語。これほどに。この程度(特に程度が高いこと)。/クリフドゥ ウヤニ ウムワリティ/(是程親に思われて)「無蔵念仏節」『八重山民謡誌』 6309 0 0 5968 htmvoc_6309.wav クリマーシシゥカイマーシ ク⸢リマー⸣シ シゥ⸢カイマーシ [ku⸢rimaː⸣ʃi sï̥⸢kaimaːʃi] 連 やりくりする(遣り繰り)すること。「繰り回し、使い回し」の義。少ない物を融通しあうこと。 ク⸢リマー⸣シ シゥ⸢カイマーシ シェー⸣ティドゥ シ⸢ヌギ⸣ケー⸢ダー [ku⸢rimaː⸣ʃi sï̥⸢kaimaːʃi ʃeː⸣tidu ʃi⸢nugi⸣keː⸢daː] (遣り繰りしあって凌いできたのだよ) 6315 0 0 5969 htmvoc_6315.wav クリルン ク⸢リルン [ku⸢riruŋ] 自動 狂う。色欲に溺れる。情欲に狂う。獣類のように発情する。 バ⸢カーン⸣ ケンマー ミ⸢ドゥ⸣ムナー ク⸢リル⸣ クトゥン ⸣アン [ba⸢kaːŋ⸣ kemmaː mi⸢du⸣muna ku⸢riru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (若い時は女に狂うこともある)。 ⸢アッ⸣タル バ⸢カー⸣ムヌヌ ミ⸢ドゥ⸣ムナ ク⸢リティ ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [⸢ʔat⸣taru ba⸢kaː⸣mununu mi⸢du⸣muna ku⸢riti joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (あたら<可惜>若者が色欲に溺れて、手のつけようがない<養生できない>) 6319 0 0 5970 htmvoc_6319.wav グリン グ⸢リン [gu⸢riŋ] 名 五厘銭。グ⸢リンミー[gu⸢rimmiː](五厘目)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー グ⸢リン⸣シ ⸢マイ⸣ イ⸢チン⸣ゴー ⸢カーリタン⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː gu⸢riŋ⸣ʃi ⸢mai⸣ ʔi⸢ʧiŋ⸣goː ⸢kaːritan⸣ʦoː] (昔は五厘銭で米一合買えたそうだ)。 ⸣イッシング⸢リン⸣シ ⸢ピー⸣タイ ⸢サンガリ パッ⸣タ [⸣ʔiʃʃiŋ gu⸢riŋ⸣ʃi ⸢piː⸣tai ⸢saŋgari pat⸣ta] (一千五厘で兵隊に引っ張られて行った) 6320 0 0 5971 htmvoc_6320.wav クリンカリン ク⸢リン⸣ カリン [ku⸢riŋ⸣ kariŋ] 連 あれもこれも。 ⸢スー⸣タイ ⸣ムトゥカー ク⸢リン⸣ カリン ス⸢ローサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢suː⸣tai ⸣mutukaː ku⸢riŋ⸣ karin su⸢roːsaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (所帯を持つなら、あれもこれも揃えないといけない) 6321 0 0 5972 htmvoc_6321.wav クル ⸣クル [⸣kuru] 名 色の黒い人のあだ名。黒い人。新しく沖縄方言から借用された語。鳩間方言の[kuro](黒)の狭母音[i、u]と広母音[a]や半広母音[o]が[r]を挟むと、法則的にkurV → ffVのように音韻変化を起こす。従って、⸣クルスー[⸣kurusuː](色の黒い男)は、非鳩間方言の特徴で、沖縄方言からの借用語といえる。 ⸢イー⸣シ ⸣トゥルンティ ⸣ティダナ プ⸢サ⸣リティ ⸣クルスー ナリ⸢ベー [⸢ʔiː⸣ʃi ⸣turunti ⸣tidana pu̥⸢sa⸣riti ⸣kurusuː nari ⸢beː] (ツノマタを採取しようとして太陽に焼かれて<干されて>黒い人になっている) 6304 0 0 5973 htmvoc_6304.wav グル グ⸢ル [gu⸢ru] 名 容器の底に溜まった汚れた液体。汚れた残り水。泥混じりの残り水。飲み残し。残り滓。 ⸢タング⸣ヌ ス⸢クヌ⸣ グ⸢ロー⸣ シ⸢ティリ [⸢taŋgu⸣nu su̥⸢kunu⸣ gu⸢roː⸣ ʃi̥⸢tiri] (水担桶の底の泥混じりの残り水は捨てなさい<捨てれ>)。 ヌ⸢ミ⸣グル [nu⸢mi⸣guru] (飲み残しの水) 6322 0 0 5974 htmvoc_6322.wav グル ⸣グル [⸣guru] 名 ころ(頃)。時分。時間や季節のある時点を漠然と指す語。「我念君之 不所見比者鴨<我が思ふ君が見えぬ頃かも>『万葉集 2972』」の義。 ク⸢ズ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マグル [ku⸢ʣu⸣nu ma⸢na⸣maguru] (去年の今頃)。 イ⸢チグルヌ⸣ パ⸢ナ⸣シヤ [ʔi⸢ʧigurunu⸣ pa⸢na⸣ʃija] (何時頃の話か)。 ク⸢ヌ⸣グロー ⸢ヌー⸣シヤ ミ⸢サン [ku⸢nu⸣guroː ⸢nuː⸣ʃija mi⸢saŋ] (最近は<此の頃>はどうか{EOS}元気か<いいか>) 6323 0 1 5975 htmvoc_6323.wav グル グ⸢ル [gu⸢ru] 名 {Mn_1}から(殻)。あきがら。抜け殻。 ⸣アミツァヌ グ⸢ル [⸣ʔamiʦanu gu⸢ru] (ヤドカリの抜け殻)。 ⸢アー⸣グル [⸢ʔaː⸣guru] (粟を刈り取った後の畑)。 ⸢ムン⸣グル [⸢muŋ⸣guru] (麦を刈り取った後の畑)。 マ⸢ミ⸣グル ⸢カイ⸣シティ ⸣ウン イ⸢ビ⸣シケーター⸣ イッ⸢ケン ミーレー⸣ン [ma⸢mi⸣guru ⸢kai⸣ʃi̥ti ⸣ʔuŋ ʔi⸢bi⸣ʃi̥keːta ʔik⸢kem miːreː⸣ŋ] (豆を刈り取った後の畑を耕して芋を植えておいたら非常に実っている)。 ⸢ワー⸣ ガ⸢マ⸣ジェー ⸣アミツァヌ グ⸢ル⸣ ナリ ⸢ベー [⸢waː⸣ ga⸢ma⸣ʤeː ⸣ʔamiʦanu gu⸢ru⸣ nari ⸢beː] (君の髪の毛は不揃いに刈られて、ヤドカリの殻のように、まだらに<斑>になっている)。 6323 0 2 5976 htmvoc_6323.wav グル グ⸢ル [gu⸢ru] 名 {Mn_2}食べ残し。飲み残し。おり(澱)。容器の底に沈んでいる滓。 プ⸢スヌ⸣ ヌ⸢ミグル⸣バ ⸣バン ヌ⸢マ⸣スンティ ⸢アー⸣ク [pu̥⸢sunu⸣ nu⸢miguru⸣ba ⸣ban nu⸢ma⸣sunti ⸢ʔaː⸣ku] (他人の飲み残しを私に飲ませようとしている) 6307 0 0 5977 htmvoc_6307.wav グルイシ グ⸢ル⸣イシ [gu⸢ru⸣ʔiʃi] 名 小石。こぶし(拳)ほどの大きさの石。二重積みの石垣を積む際に、バ⸢タ⸣イシ[ba⸢ta⸣ʔiʃi](腹石{EOS}中間に詰める小石)として使用する小石。 グ⸢ルイシ⸣バ ア⸢ツァ⸣ミキー ⸢グスク⸣ヌ バ⸢タ⸣イシ ⸢シー⸣バ [gu⸢ruʔiʃi⸣ba ʔa⸢ʦa⸣mikiː ⸢gusu̥ku⸣nu ba⸢ta⸣iʃi ⸢ʃiː⸣ba] (小石を集めてきて石垣の詰め石にしなさい) 6325 0 0 5978 htmvoc_6325.wav クルキ ク⸢ル⸣キ [ku⸢ru⸣ki] 名 (植)樹木の名。リュウキュウコクタン。黒檀の一種。鳩間方言では、普通は、キ⸢ダ[ki⸢da](リュウキュウコクタン)という。キ⸢ダヌ⸣ナル[ki⸢danu⸣naru](リュウキュウコクタンの実)は旧暦7月~8月ごろに熟する。8ミリ~14ミリの大きさで、未熟な実の色は黄色を呈し、味は渋い。実が完熟すると暗紫色になり、甘味が増して柿の実のように美味になる。お盆の供物(ムルムルの砂糖きびの束)に挿して飾り供える。芯材は黒光りするので三味線の棹材として珍重され、床柱、家具用材としても重宝されている。 キ⸢ダヌ シン⸣マー ク⸢ル⸣キティ ⸢シー⸣ ウ⸢リ⸣シ ⸢サンシンヌ⸣ サウ ス⸢ク⸣ローッタ [ki⸢danu ʃim⸣maː ku⸢ru⸣kiti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢ri⸣ʃi ⸢saŋʃinnu⸣ sau su̥⸢ku⸣roːtta] (リュウキュウコクタン<キ⸢ダ>の芯材はク⸢ル⸣キ<黒木{EOS}黒檀>といって、それで三味線の竿を作られた) 6326 0 0 5979 htmvoc_6326.wav グルグル ⸣グルグル [⸣guruguru] 副 ぐるぐる。幾重にも巻きつけるさま。何度も回転するさま。 ⸣ナーシ ⸣グルグル マ⸢クン [⸣naːʃi ⸣guruguru ma⸢kuŋ] (縄でぐるぐる巻く)。 ⸣グルグル ⸢マースン [⸣guruguru ⸢maːsuŋ] (ぐるぐる回す) 6295 0 0 5980 htmvoc_6295.wav グルグルシ グ⸢ルグル⸣シ [gu⸢ruguru⸣ʃi] 副 目を大きく見開いて見回すさま。 ウ⸢ダラ⸣キティ ⸢ミー⸣ヤ グ⸢ルグル⸣シ ⸢ベー [ʔu⸢dara⸣kiti ⸢miː⸣ja gu⸢ruguru⸣ʃi ⸢beː] (びっくりして<驚いて>、目を大きく見開いて辺りを見回している) 6327 0 0 5981 htmvoc_6327.wav グルクン グ⸢ル⸣クン [gu⸢ru⸣kuŋ] 名 (動)魚名。タカサゴの仲間。沖縄本島糸満方言からの借用語。『原色沖縄の魚』の写真番号91⸢くまささはなむろ」は、ウ⸢クー[ʔukuː](グルクンの一種)。写真番号92⸢たかさご」は、⸢コー⸣サー[⸢koː⸣saː](グルクンの一種)。写真番号93「うめいろもどき」は、ム⸢レー⸣ジ[mu⸢reː⸣ʤi](グルクンの一種)という。写真番号94「ささむろ」は、ヒ⸢ラー[çi⸢raː](平たい体でやや大きい{EOS}グルクンの一種)。写真番号95「はなたかさご」、写真番号96「ゆめうめいろ」には、ヒ⸢ラー[çi⸢raː](グルクンの一種)という(加治工伊佐氏談)。グルクンは沖縄県の県魚に指定されており、油で揚げると美味である。煮魚、蒲鉾の原料にも利用される。 グ⸢ルクン⸣マー パ⸢トゥ⸣マプソー ム⸢カ⸣シェーラ ム⸢レー⸣ジティル ア⸢ゾーッ⸣タ⸢ナー [gu⸢rukum⸣maː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː mu⸢ka⸣ʃeːra mu⸢reː⸣ʤitiru ʔa⸢ʣoːt⸣ta⸢naː] (グルクンには、鳩間の人は昔からム⸢レー⸣ジ<⸢群れ魚」の転訛>といっていたねえ)。ム⸢レー⸣ジイズ[mu⸢reː⸣ʤiʔiʣu](群れ魚{EOS}グルクン)ともいう 6328 0 0 5982 htmvoc_6328.wav クルシマ ク⸢ル⸣シマ [ku⸢ru⸣ʃima] 固 (地)黒島。古老は、フ⸢シ⸣マ[ɸu̥⸢ʃi⸣ma](黒島)ともいう。保里、宮里、仲本、東筋、伊古の集落があった。現在は牧畜が盛んである。 ク⸢ル⸣シマナー ム⸢カ⸣シ サ⸢バン タシキラ⸣レータ プ⸢スヌ オーッ⸣タンツォー [ku⸢ru⸣ʃimanaː mu⸢ka⸣ʃi sa⸢ban taʃi̥kira⸣reːta pu̥⸢sunu ʔoːt⸣tanʦoː] (黒島には昔、鱶に助けられた人がおられたそうだ) 6329 0 0 5983 htmvoc_6329.wav クルシマクドゥキ ク⸢ル⸣シマクドゥキ [ku⸢ru⸣ʃimakuduki] 名 黒島口説。黒島を代表する民謡と民俗舞踊の一つ。7・5・7・5の口説き形式の歌詞と7・7調の囃子があり、軽快な民俗舞踊と対をなして形成されている。囃子の部分には島の生活様式がリアルに描写されていて、豊年を寿ぐものになっている。 ク⸢ル⸣シマクドゥキヌ ブ⸢ドゥロー⸣ イッ⸢ケン⸣ ウ⸢ムッ⸣サン [ku⸢ru⸣ʃimakudukinu bu⸢duroː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢mus⸣saŋ] (黒島口説の踊は非常に面白い) 6161 0 0 5984 htmvoc_6161.wav クルスメー ク⸢ル⸣スメー [ku⸢ru⸣sumeː] 名 (動)コブシメ。胴長約40センチ。背中に船形の固い甲を持つ。肉は厚く美味である。刺身、和え物、煮物にして食す。腕は太く短い。2本の長い蝕腕は柔らかく先端が太い。 ク⸢ルスメー⸣ヤ ⸣マンタヌ パ⸢マ⸣ナーティ イ⸢ガジーバ ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティ ⸣ユー ⸢ホーシ⸣タン [ku⸢rusumeː⸣ja ⸣mantanu pa⸢ma⸣naːti ʔi⸢gaʤiːba naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeːti⸣ juː ⸢hoːʃi̥⸣taŋ] (コブシメは前の浜で餌木を投げては手繰り手繰りしながら、よく釣ったものだ) 6336 0 0 5985 htmvoc_6336.wav グルッカ グルッ⸢カ [guruk⸢ka] 副 ころりと。ころっと。ぐるっと。丸みのあるものが一回転する様子。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ク⸢ルブタンティン⸣ グルッ⸢カ⸣ティ ⸢カイ⸣リ ウキ ⸢キー⸣ス [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ku⸢rubutantiŋ⸣ guruk⸢ka⸣ti ⸢kai⸣ri ʔuki⸢kiː⸣su] (この子供は転んでも、ころっ<くるり>と一回転して起きてくることができるよ)。 ⸣マイニン ク⸢シェー⸣ニン グルッ⸢カ⸣ティ ⸢カイ⸣ルン [⸣mainiŋ ku̥⸢ʃeː⸣niŋ guruk⸢ka⸣ti ⸢kai⸣ruŋ] (前方にも後方ろにもぐるっ<くるり>と一回転出来る<前転・後転できる>) 6337 0 0 5986 htmvoc_6337.wav グルッカイスン グ⸢ルッカイ⸣スン [gu⸢rukkai⸣suŋ] 他動 ひっくり返す。裏返す。覆す。転覆させる。 ⸢イー⸣シェー プ⸢スマ⸣ アトー グ⸢ルッカイ⸣シ ⸣プシ [⸢ʔiː⸣ʃeː pu̥⸢suma⸣ ʔatoː gu⸢rukkai⸣ʃi ⸣pu̥ʃi] (角叉は午後<昼間後>には、ひっくり返して干せ)。 グ⸢ルッカイ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ グ⸢ルッカイサラ⸣ヌ [gu⸢rukkai⸣sunti ⸢sundu⸣ gu⸢rukkaisara⸣nu] (ひっくり返そうとするが、ひっくり返されない)。 グ⸢ルッカイ⸣シ ⸣ミサン [gu⸢rukkai⸣ʃi ⸣misaŋ] (ひっくり返してよい)。 グ⸢ルッカイ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [gu⸢rukkai⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ひっくり返すことは出来ない)。 グ⸢ルッカイ⸣シェー ミサムヌ [gu⸢rukkai⸣ʃeː ⸣misamunu] (ひっくり返せばよいのに)。 マ⸢ナ⸣マ グ⸢ルッカイ⸣シ [ma⸢na⸣ma gu⸢rukkai⸣ʃi] (今ひっくり返せ)。 キ⸢メー⸣ クトゥ グ⸢ルッカイ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ グ⸢ルッカイサラ⸣ヌ [ki⸢meː⸣ ku̥tu⸣ gu⸢rukkai⸣sunti ⸢sundu⸣ gu⸢rukkaisara⸣nu] (決めたことをひっくり返そうとするが、ひっくり返されない)。 グ⸢ルッカイ⸣シ ⸣ミサカー グ⸢ルッカイ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [gu⸢rukkai⸣ʃi ⸣misakaː gu⸢rukkai⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (ひっくり返して良ければひっくり返すことはできる)。 グ⸢ルッカイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [gu⸢rukkai⸣ʃeː ⸣misamunu] (ひっくり返せば良いのに)。 グ⸢ルッカイ⸣シバ [gu⸢rukkai⸣ʃiba] (ひっくり返せよ) 6338 0 0 5987 htmvoc_6338.wav グルッカイルン グ⸢ルッカイ⸣ルン [gu⸢rukkai⸣ruŋ] 自動 ひっくり返る。寝返る。転覆する。くつがえる(覆る)。若年層は、グ⸢ルッケー⸣ルン[gu⸢rukkeː⸣ruŋ]ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ユーシキ⸣ ナルカー⸣ ドゥーシ グ⸢ルッカイ⸣ルンツォー [ja⸢ra⸣beː ⸢juːʃiki⸣ narukaː ⸣duːʃi gu⸢rukkai⸣runʦoː] (子供は四ヶ月になると自力でひっくり返る<寝返る>そうだ)。 マ⸢ダ⸣ グ⸢ルッカイラ⸣ヌ [ma⸢da⸣ gu⸢rukkaira⸣nu] (まだひっくり返らない)。 グ⸢ルッカイリ ヤッ⸣サン [gu⸢rukkairi jas⸣saŋ] (ひっくり返りやすい)。 グ⸢ルッカイ⸣ル ⸣クトゥ [gu⸢rukkai⸣ru ⸣ku̥tu] (ひっくり返ること)。 グ⸢ルッカイ⸣レー ⸣ミサムヌ [gu⸢rukkai⸣reː ⸣misamunu] (ひっくり返ればよいのに)。 ⸣クナーティ グ⸢ルッカイ⸣リ [⸣kunaːti gu⸢rukkai⸣ri] (ここでひっくり返れ)。 ⸣シンター グ⸢ルッカイ⸣ルン [⸣ʃintaː gu⸢rukkai⸣ruŋ] (後方へひっくり返る)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢ク⸣カー ⸣シンター グ⸢ルッカイ⸣ルン [ja⸢ra⸣beː na⸢ku⸣kaː ⸣ʃintaː gu⸢rukkai⸣ruŋ] (子供は泣くと後に反り返る)。 グ⸢ルッカイラ⸣ヌ [gu⸢rukkaira⸣nu] (ひっくり返らない)。 グ⸢ルッカイ⸣リ ⸣ミサカー グ⸢ルッカイ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [gu⸢rukkai⸣ri ⸣misakaː gu⸢rukkai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (ひっくり返ってよければ、ひっくり返ることは出来る)。 ⸣ドゥーシ グ⸢ルッカイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi gu⸢rukkai⸣reː ⸣misamunu] (自分でひっくり返れば良いのに) 6339 0 0 5988 htmvoc_6339.wav グルッカグルッカ グ⸢ルッカグルッカ [gu⸢rukkagurukka] 副 ぐらぐら。ぐらりぐらり揺れるさま。ゆらゆら。ゆらりゆらり揺れるさま。ABCDABCD型の重言(畳語)。 ク⸢ヌ⸣ ビ⸢リダイヤー⸣ グ⸢ルッカグルッカ⸣ シティ ビ⸢リングリ⸣サワレー [ku⸢nu⸣ bi⸢ridaijaː⸣ gu⸢rukkagurukka⸣ ʃi̥ti bi⸢riŋguri⸣sawareː] (この椅子<座り台>はぐらぐらして座り心地がわるいねえ)。 ⸢バーキ⸣ヌ ⸢ピッチ⸣ン ⸢ウン⸣バ イ⸢リティ⸣ ス⸢ブ⸣ルナー カ⸢ム⸣ター ⸣ヌベー グ⸢ルッカグルッカ⸣ シティ ク⸢ルビンギサ⸣タル [⸢baːki⸣nu ⸢pit⸣ʧiŋ ⸢ʔum⸣ba ʔi⸢riti⸣ su⸢bu⸣runa ka⸢mu⸣taː ⸣nubeː gu⸢rukkagurukka⸣ʃi̥ti ku⸢rubiŋgisa⸣taru] (竹笊の一杯芋を入れて頭に載せて担いだら首がぐらぐらして転びそうだったよ) 6340 0 0 5989 htmvoc_6340.wav グルッケールン グ⸢ルッケー⸣ルン [gu⸢rukkeːruŋ] 自動 ひっくり返る。若年層の言葉。グ⸢ルッカイ⸣ルン[gu⸢rukkai⸣ruŋ](ひっくり返る)と同じ。 グ⸢ルッケーラ⸣ヌ [gu⸢rukkeːra⸣nu] (ひっくり返らない)。 グ⸢ルッケー⸣リ ⸣ミサン [gu⸢rukkeː⸣ri ⸣misaŋ] (ひっくり返ってよい)。 グ⸢ルッケー⸣ル ⸣クトゥ [gu⸢rukkeː⸣ru ⸣ku̥tu] (ひっくり返ること)。 グ⸢ルッケー⸣レー ⸣ミサムヌ [gu⸢rukkeː⸣reː ⸣misamunu] (ひっくり返れば良いのに)。 グ⸢ルッケー⸣リ [gu⸢rukeː⸣ri] (ひっくり返れ) 6341 0 1 5990 htmvoc_6341.wav グルッティ グルッ⸢ティ [gurut⸢ti] 副 {Mn_1}ぐるっと。くるっと。一回りするさま。丸くなるさま。 カ⸢ジェー⸣ グルッ⸢ティ マーリナー⸣ヌ [ka⸢ʤeː⸣ gurut⸢ti maːrinaː⸣nu] (風はぐるりと回ってしまった)。 ア⸢ミサー⸣リ ア⸢ガミツァ⸣ナー グルッ⸢ティ⸣ マ⸢ラビティ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ʔa⸢misaː⸣ri ʔa⸢gamiʦa⸣naː gurut⸢ti⸣ ma⸢rabiti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (雨で赤土<赤粘土>にぐるっと滑って転んで体を痛めてある)。 6341 0 2 5991 htmvoc_6341.wav グルッティ グルッ⸢ティ [gurut⸢ti] 副 {Mn_2}ころりと。ころっと。物が転がるさま。 ⸢ユー⸣ボン ッ⸢ふァイティ⸣ グルッ⸢ティ⸣ ク⸢ルビ⸣ ニ⸢ブタター⸣ナ ⸢チャー⸣ニビ ⸢シーナー⸣ヌ [⸢juː⸣bon ふ⸢faiti⸣ gurut⸢ti⸣ ku⸢rubi⸣ ni⸢butataː⸣na ⸢ʧaː⸣nibi ⸢ʃiːnaː⸣nu] (夕食を食べて、ころりと転がって寝たまま、ずっと寝込んで熟睡してしまった) 6342 0 0 5992 htmvoc_6342.wav クルバサー ク⸢ルバ⸣サー [ku⸢ruba⸣saː] 名 水田の土をこなすのに用いる農具。直径約一尺。長さ約4尺ほどの硬質の大木(普通は、ドゥ⸢ス⸣ヌ{SqBr}du⸢su⸣nu{/SqBr}<オガタマノキ>や⸣マチ{SqBr}⸣maʧi{/SqBr}<松>の幹を使用した)に歯車状の深い歯を作り、木枠に心棒を固定し、牛に引かせて回転させ、田の土を砕くのに用いる農具。 タ⸢カ⸣スクナー ウ⸢ブマチ⸣ヌ イッ⸢ケナ⸣ ムイ⸢ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸣ウナーティ マ⸢チ⸣バ ⸣キシティ ク⸢ルバ⸣サー ス⸢ク⸣ロー⸣タツォー [tḁ⸢ka⸣su̥kunaː ʔu⸢bumaʧi⸣nu ʔik⸢kena⸣ mui⸢beː⸣ta ⸢beː⸣ti ⸣ʔunaːti ma⸢ʧi⸣ba ⸣ki̥ʃiti ku⸢ruba⸣saː su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (タカスク<地名>には大きな松が沢山生えていたので、そこ<タカスク>で松の木を切ってクルバサーを作られたそうだ) 6343 0 0 5993 htmvoc_6343.wav クルバシカーバシ ク⸢ルバシカー⸣バシ [ku⸢rubaʃikaː⸣baʃi] 副 転ばすさま。ごろごろ転ばして。ABCDEFCD型の重言。 カ⸢タマラン⸣ ベーティ ク⸢ルバシカー⸣バシ ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢サンギ クー⸣タ [kḁ⸢tamaram⸣ beːti ku⸢rubaʃikaː⸣baʃi ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ⸢saŋgi kuː⸣ta] (担げない<担がれない>ので、ごろごろ転ばして、やっとで引張ってきた) 6344 0 0 5994 htmvoc_6344.wav クルバスン ク⸢ルバスン [ku⸢rubasuŋ] 他動 転ばす。転がす。 ⸢ウシゥカラシティ⸣ ク⸢ルバスン [⸢ʔusï̥karaʃiti⸣ ku⸢rubasuŋ] (押し倒して転ばす)。 ⸢グッふァ⸣ヌ ク⸢ルバサラヌ [⸢guffa⸣nu ku⸢rubasaranu] (重くて転ばされない)。 ク⸢レー⸣ ク⸢ルバシ⸣ ミサン [ku⸢reː⸣ ku⸢rubaʃi⸣ misaŋ] (此れは転ばしてもいい)。 ク⸢リバ⸣ ク⸢ルバス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢riba⸣ ku⸢rubasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (此れを転ばす人はいない)。 ク⸢ルバシェー⸣ ミサムヌ [ku⸢rubaʃeː⸣ misamunu] (転ばせばよいのに)。 ⸣ドゥーシ ク⸢ルバシ [⸣duːʃi ku⸢rubaʃi] (自分で転ばしなさい) 6348 0 0 5995 htmvoc_6348.wav クルパン ク⸢ル⸣パン [ku⸢ru⸣paŋ] 名 菓子の名。黒褐色の平たい丸い菓子。黒いパン。ミ⸢リキン⸣グ[mi⸢rikiŋ⸣gu](メリケン粉)に黒糖を混ぜて焼き上げた菓子。⸢マイボー⸣ル[⸢maiboː⸣ru]と同じ。 イ⸢サナケーナー⸣ル ク⸢ルパン⸣マー ⸢カーシ オーッ⸣タ [ʔi⸢sanakeːnaː⸣ru ku⸢rupam⸣maː ⸢kaːʃi ʔoːt⸣ta] (石垣島で<ぞ>クルパンは売っておられた) 6345 0 0 5996 htmvoc_6345.wav クルビニブン ク⸢ルビニブン [ku⸢rubinibuŋ] 自動 ごろ寝する。ごろりと横になる。寝じたくをしないで寝転ぶ。 ⸣ドゥク ブ⸢ガ⸣ルカー ク⸢ルビニブン⸠ダー [⸣duku bu⸢ga⸣rukaː ku⸢rubinibun⸠daː] (ひどく疲れたらごろ寝するよ) 6346 0 0 5997 htmvoc_6346.wav クルブン ク⸢ルブン [ku⸢rubuŋ] 自動 転ぶ。転がる。転倒する。 イ⸢シ⸣ナ ⸣パン ⸣キリティ ク⸢ルビ ベー [ʔi⸢ʃi⸣na ⸣paŋ ⸣kiriti ku⸢rubi beː] (石に蹴躓いて<足を蹴って>転んで<転倒して>いる)。 イカー⸢ラ <イコー⸢ラ> ビーラ⸣バン ク⸢ルバヌ [ʔikaː⸢ra <ʔikoː⸢ra> biːra⸣baŋ ku⸢rubanu] (どんなに酔っても転倒しない)。 ⸣ビータルカー ク⸢ルブン⸠ダー [⸣biːtarukaː ku⸢rubun⸠daː] (酔っ払うと転倒するよ)。 ク⸢ルブ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢rubu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (転ぶ<転倒する>ことはない)。 ク⸢ルベー⸣ ミサムヌ [ku⸢rubeː⸣ misamunu] (転べば<転倒すれば>よいのに)。 ⸢パー⸣ク ク⸢ルビ [⸢paː⸣ku ku⸢rubi] (早く転べ) 6347 0 0 5998 htmvoc_6347.wav クルベーマラベー ク⸢ルベー⸣マラベー [ku⸢rubeː⸣marabeː] 副 倒れ転ぶさま。滑ったり転んだり。「転轉<コイマロビ>恋は死ぬとも~。万、2274」、「地に宛<まろ>び転<かへ>ること~」『金光明最勝王経 平安初期点』の転訛したものか。 ⸣アミン ⸢ゾッふァーリ⸣ ク⸢ルベー⸣マラベー ⸢シェー⸣ティ パリ⸢パッ⸣タヤー [⸣ʔamin ⸢ʣoffaːri⸣ ku⸢rubeː⸣marabeː ⸢ʃeː⸣ti pari⸢pat⸣tajaː] (雨に濡れて、滑ったり転んだり<転びまろび>しながら走って行ったよ) 6350 0 0 5999 htmvoc_6350.wav クルマ ク⸢ル⸣マ [ku⸢ru⸣ma] 名 車。荷車。 ⸢ニーグル⸣マ [⸢niːguru⸣ma] (荷車)。 ⸢シートーグルマ [⸢ʃiːtoːguruma] (製糖車)。バ⸢シャグルマ[ba⸢ʃaguruma](馬車)などがある。 ⸣サタダロー バ⸢シャグルマ⸣ナー ⸢ヌーシティル⸣ カ⸢ヨーシタル [⸣sḁtadaroː ba⸢ʃaguruma⸣naː ⸢nuːʃitiru⸣ ka⸢joːʃitaru] (砂糖樽は馬車に載せて運んだ<通わせた>) 6351 0 0 6000 htmvoc_6351.wav クルマイール ク⸢ルマイー⸣ル [ku⸢rumaʔiː⸣ru] 名 まいぎり(舞錐)。まわしぎり。軸の上部に穴をあけて、紐を通し、その両端を腕木の両端に結び、腕木を上下させて軸を回転させる錐。 ク⸢ルマイー⸣ルシ ⸣ミー ⸢ピッ⸣クカー ⸢ピッキヤッ⸣サン [ku⸢rumaʔiː⸣ruʃi ⸣miː ⸢pik⸣kukaː ⸢pikkijas⸣saŋ] (舞錐で穴をあけるとあけやすい) 6353 0 0 6001 htmvoc_6353.wav グルミャーウ グル⸢ミャー⸣ウ [guru⸢mjaː⸣u] 名 (幼)猫。ごろごろ喉を鳴らす猫。 ⸣ウリウリ ナ⸢キベーン⸣ケンマー ⸣グルミャーウヌ クン⸢ダー パー⸣ク ナ⸢キヤミリ [⸣ʔuriʔuri na⸢kibeːŋ⸣kemmaː ⸣gurumjaːunu kun⸢daː paː⸣ku na⸢kijamiri] (それそれ、泣いていると<泣いているときには>ゴロゴロ喉を鳴らす猫がくるぞ{EOS}早く泣くのを止めなさい) 6354 0 0 6002 htmvoc_6354.wav クルムン ク⸢ル⸣ムン [ku⸢ru⸣muŋ] 他動 包み巻き込む。くるむ。つつむ。 ⸢フイヤキ スー⸣カー ⸣ウズシ ク⸢ル⸣ムン⸢ダー [⸢ɸuijaki suː⸣kaː ⸣ʔuʣuʃi ku⸢ru⸣mun⸢daː] (マラリアの高熱で震えが起きると<震え熱発すると>布団で包むよ)。 ⸢ンーネー⸣ ク⸢ルマン⸣ドーシ ス⸢ブ⸣ル ヒ⸢ヤ⸣シ [⸢ʔnːneː⸣ ku⸢ruman⸣doːʃi su⸢bu⸣ru çi⸢ja⸣ʃi] (胸はくるまないで頭を冷せ)。 ⸢パン⸣マー ⸣ウズシ ク⸢ル⸣ミティ ア⸢ツァ⸣シ [⸢pam⸣maː ⸣ʔuʣuʃi ku⸢ru⸣miti ʔa⸢ʦa⸣ʃi] (足は布団でくるんで暖めよ) 5823 0 0 6003 htmvoc_5823.wav クルン ⸣クルン [⸣kuruŋ] 他動 刳りぬく。えぐる(抉る)。形を写して刳りぬく。 ⸢ミーカンガン⸣マー ッ⸢スイキーバ⸣ クリティ ス⸢ク⸣ロッタ [⸢miːkaŋgam⸣maː s⸢suikiːba⸣ kuriti su̥⸢ku⸣roːtta] (水中眼鏡はモンパノキを刳り抜いて作られた)。 ⸣マチキー ⸣クルン [⸣maʧikiː ⸣kuruŋ] (松の木を\ruby{刳}{ク}る)。 ⸢コー⸣ティ ク⸢ララ⸣ヌ [⸢koː⸣ti ku⸢rara⸣nu] (硬くて刳られない)。 ⸣クルクトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kuru ku̥toː na⸢ra⸣nu] (刳ることは出来ない)。 ⸣クレー ⸣ミサムヌ [⸣kureː ⸣misamunu] (刳ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣クリ [⸢paː⸣ku ⸣kuri] (早く刳れ)。 ⸢トー⸣ネー <フ⸢ノー⸣ロー> ア⸢カンキーバ⸣ クリティ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢toː⸣neː <ɸu⸢noː⸣roː> ʔa⸢kaŋkiːba⸣ kuriti su̥⸢ku⸣roːtta] (田舟<豚の飼葉桶>は赤木を刳って作られた)。 ⸣マチフネー ⸣マチキーバ ⸣クリティ ス⸢ク⸣ローッタ [⸣maʧiɸuneː ⸣maʧikiːba ⸣kuriti su̥⸢ku⸣roːtta] (松舟<松の刳り舟>は松の木を刳り抜いて作られた)。 ⸣クマー ク⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaː ku⸢ra⸣nu] (ここは刳らない<えぐらない>)。 ⸣ヌンシ ⸣クリミサカー ⸣クル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣nuŋʃi ⸣kurimisakaː ⸣kuru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (鑿で刳って良ければ刳ることは出来る)。 ⸣クレー ⸣ミサムヌ [⸣kureː ⸣misamunu] (刳れば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸣クリバ [⸢maː⸣biŋ ⸣kuriba] (もっと刳れよ) 5828 0 0 6004 htmvoc_5828.wav クルン ⸣クルン [⸣kuruŋ] 他動 両替する。紙幣を小銭に替える。 ⸣ジン ⸣クルン [⸣ʤiŋ ⸣kuruŋ] (お金を両替する)。 ⸣クナーテー ⸣ジン ク⸢ララ⸣ヌ [⸣kunaːteː ⸣ʤiŋ ku⸢rara⸣nu] (ここでは両替できない)。 ク⸢リ⸣ プサン [ku⸢ri⸣ pusaŋ] (両替したい)。 ⸣クル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kuru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (両替することは出来ない)。 ⸣クナーティ ⸣クレー ⸣ミサムヌ [⸣kunaːti ⸣kureː ⸣misamunu] (ここで両替すればよいのに)。 ⸣ジン ⸣クリバ [⸣ʤiŋ ⸣kuriba] (お金を両替しなさいよ)。 ⸢クー⸣ジン ⸣クリ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢kuː⸣ʤiŋ ⸣kuri f⸢foː⸣ri] (小銭に両替して<繰って>ください)。 ⸢クー⸣ジン ⸣クルンティ ⸢クータ⸣ヌ ク⸢ララン⸣ツォー [⸢kuː⸣ʤiŋ ⸣kurunti ⸢kuːta⸣nu ku⸢raran⸣ʦoː] (小銭に両替しようとやって来たが両替できないそうだ) 6355 0 1 6005 htmvoc_6355.wav クルン ⸣クルン [⸣kuruŋ] 他動 {Mn_1}繰る。糸を巻き取る。 ⸣イトゥ ⸣クルン [⸣ʔitu ⸣kuruŋ] (糸を繰る)。 6355 0 2 6006 htmvoc_6355.wav クルン ⸣クルン [⸣kuruŋ] 他動 {Mn_2}暦の日をめくる。順々に日を数えて佳日を選ぶ。 ピ⸢ニチェー⸣ クリティ ⸢カイピニ⸣チ イ⸢ラ⸣ビバ [pi⸢niʧeː⸣ kuriti ⸢kaipini⸣ʧi ʔi⸢ra⸣biba] (日にちを繰って佳日を選びなさいよ)。 ピ⸢ニチ⸣ クルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ク⸢ララ⸣ヌ [pi⸢niʧi⸣ kurunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ku⸢rara⸣nu] (日にちを繰ろうと思うが、私には繰られない)。 ピ⸢ニチ⸣ クル プ⸢スヌ オーラ⸣ヌ [pi⸢niʧi⸣ kuru pu̥⸢sunu ʔoːra⸣nu] (日にちを繰る人がいらっしゃらない)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ニチ⸣ クレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku pi⸢niʧi⸣ kureː ⸣misamunu] (早く良い日を繰ればいいのに)。 ⸣ドゥーシ ピ⸢ニチ⸣ クリバ [⸣duːʃi pi⸢niʧi⸣ kuriba] (自分で日にちを繰りなさいよ) 6358 0 0 6007 htmvoc_6358.wav クレー ク⸢レー [ku⸢reː] 連 これは。指示代名詞ク⸢リ[ku⸢ri](此れ)に係助詞ヤ[ja]<とりたて>が付いて融合変化した形。 ク⸢レー⸣ ヌーヤ [ku⸢reː⸣ nuːja] (此れは何か)。 ク⸢レー ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː⸣ f⸢faːranu] (此れは食べられない<食えない>) 6359 0 0 6008 htmvoc_6359.wav クレーラ ク⸢レーラ [ku⸢reːra] 連 これより。これから。[kuri] + [kara] → [kurihara] → [kuriara] → [kureːra] のように融合変化したもの。 ⸣バー ク⸢レーラ⸣ン カ⸢リル⸣ マ⸢シ [⸣baː ku⸢reːra⸣ŋ ka⸢riru⸣ ma⸢ʃi] (私はこれよりもあれが良い) 6360 0 0 6009 htmvoc_6360.wav クレクレ ク⸢レ⸣クレ [ku⸢re⸣kure] 感 これこれ。おいおい(呼びかけ)。目下の者に対していう。老年層の言葉。 ク⸢レ⸣クレ コー⸢ネー⸣ ク⸢マー⸣ キー⸢ミリ [ku⸢reː⸣kureː koː⸢neː⸣ ku⸢maː⸣ kiː⸢miri] (これこれ、坊や、ここへ来てごらん<来てみれ>) 6361 0 0 6010 htmvoc_6361.wav クロー ク⸢ロー [ku⸢roː] 名 苦労。標準語からの借用語。ア⸢ワ⸣リクチサ[ʔa⸢wa⸣ri ⸣ku̥ʧisa](難儀苦労)ともいう。 キ⸢ム⸣ヌ ク⸢ロー ティーパン⸣ヌ ク⸢ローバ⸣ ウヤン カ⸢キ⸣ル タ⸢キ⸣フドゥ イ⸢リ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリケー [ki⸢mu⸣nu ku⸢roː tiːpan⸣nu ku⸢roːba⸣ ʔujaŋ kḁ⸢ki⸣ru tḁ⸢ki⸣ɸudu ʔi⸢ri⸣ ma⸢na⸣ma ⸣narikeː] (精神的<心の>苦労、肉体的<手足の>苦労を親にかけて成長して現在に至っている) 6335 0 1 6011 htmvoc_6335.wav グローン グ⸢ロー⸣ン [gu⸢roː⸣ŋ] 形 {Mn_1}船の横揺れが激しい。横揺れして不安定である。座りが悪い。船がローリングする。 ク⸢ヌ⸣ フネー グ⸢ロー⸣ン [ku⸢nu⸣ ɸuneː gu⸢roː⸣ŋ] (この舟は横揺れが激しい)。 ⸢ナン⸣ゾー グ⸢ローナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː gu⸢roːnaː⸣nu] (あまり横揺れしない)。 フ⸢ニ⸣ヌ グ⸢ロー⸣カー ⸢ヌーララヌ [ɸu⸢ni⸣nu gu⸢roː⸣kaː ⸢nuːraranu] (舟の横揺れが激しいと乗れない)。 ⸢ナン⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣フネー グ⸢ロー⸣ ナルン [⸢nan⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣ɸuneː gu⸢roː⸣naruŋ] (時化て波が出ると舟は横揺れが激しくなる)。 グ⸢ロー⸣ フニナー ⸢ヌールナ [gu⸢roː⸣ ɸuninaː ⸢nuːruna] (横揺れの激しい舟には乗るな)。 6335 0 2 6012 htmvoc_6335.wav グローン グ⸢ロー⸣ン [gu⸢roː⸣ŋ] 形 {Mn_2}すばしこい。敏捷である。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー パ⸢ダグロー⸣ヌ カ⸢サマラヌ [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː pa⸢daguroː⸣nu ka⸢samaranu] (この子は敏捷でつかまらない) 6352 0 0 6013 htmvoc_6352.wav クロマター ⸣クロマター [⸣kuromataː] 名 古見村の豊年祭に出現する草装神。秘祭のアカマラター祭に、⸣アカマター[⸣ʔakamataː](赤い面の草装神)、⸣シロマター[⸣ʃiromataː](白面の草装神)と共に来訪され、各氏子の家々を回って村人を祝福し、豊年を予祝して夕刻頃に名残を惜しまれつつ村人に見送られて山へ帰る神。 ⸣アカマターン ⸣クロマターン ⸣シロマターン ⸢クー⸣ジシ ⸢ドゥー⸣ヤ マ⸢カリティ <カ⸢ルマカ⸣リティ> メンバ⸣ カビティ ⸢バウ⸣バ ⸣ムティティ <ヤ⸢マー⸣ラ> ウ⸢ローッ⸣タ [⸣ʔakamataːŋ ⸣kuromataːŋ ⸣ʃiromataːŋ ⸢kuː⸣ʤiʃi ⸢duː⸣ja ma⸢kariti memba⸣ kabiti ⸢bau⸣ba ⸣mutiti ja⸢maː⸣ra ʔu⸢roːt⸣ta] (赤マターも黒マターも、白マターもトウズルモドキで全身を巻かれてお面を被り、棒を持って山奥から降りて来られた) 6362 0 0 6014 htmvoc_6362.wav クヮー ⸣クヮー [⸣kwaː] 名 (植)桑。沖縄本島方言の借用語か。⸢ゴーナ⸣キー[⸢goːna⸣kiː](桑の木)<若年層>、⸢コーン⸣ギ[⸢koːŋ⸣gi](桑の木)<老年層>ともいう。地震避けの呪文として、⸢クヮー⸣ヌ シチャ ⸢クヮー⸣ヌ シチャ[⸢kwaː⸣nu ⸣ʃi̥ʧa ⸢kwaː⸣nu ⸣ʃi̥ʧa](桑の下、桑の下)と唱えた。葉は養蚕用に、材は固く老木になるに従い黒褐色となり、光沢を有するので装飾的高級用材に利用される。芯材は三味線の竿にも利用される。実は熟すると赤褐色を呈し甘味をますので、子供の好物となった 6363 0 0 6015 htmvoc_6363.wav クヮースン ⸢-クヮー⸣スン [⸢-kwaː⸣suŋ] 接尾 「~過ぎる」の意。沖縄本島方言からの借用語か。特定の動詞の連用形に下接して「~過ぎる」の意味を表す。 ⸢ハイクヮー⸣スン [⸢haikwaː⸣suŋ] (行き過ぎる{EOS}超過する)。ッ⸢ふァイクヮースン[f⸢faikwaːsuŋ](食べ過ぎる)、イ⸢ジックヮースン[ʔi⸢ʤikkwaːsuŋ](言い過ぎる{EOS}叱り過ぎる)のように言う 6371 0 0 6016 htmvoc_6371.wav グヮイ ⸣グヮイ [⸣gwai] 名 具合。状態。調子。都合。標準語からの借用語。 ⸢グヮイ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サティ ⸢ヤー⸣ナ ニ⸢ビ ベー [⸢gwai⸣nu ⸢was⸣sati ⸢jaː⸣na ni⸢bi beː] (具合<体調>が悪くて、家で寝ている)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢グヮイ⸣ヤー ⸢ヌー⸣シカヤー [⸢kjuː⸣ja ⸢gwai⸣jaː ⸢nuː⸣ʃikajaː] (今日は具合<都合>は如何だろうかねえ) 6372 0 0 6017 htmvoc_6372.wav クヮイシキ ⸢クヮイ⸣シキ [⸢kwai⸣ʃi̥ki] 名 会席膳の料理。一の膳、二の膳を略して一つの膳に盛るようにした簡略化した料理。八重山では大正三年頃「結婚式の料理始めて会席料理に改まる」『八重山生活誌』というから、鳩間島へは昭和期に導入されたのであろう。 ム⸢カ⸣シェー ⸢クヮイ⸣シキティ ⸢スームノー ファイミラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kwai⸣ʃi̥kiti ⸢suːmunoː faimiraŋ⸣ʃeŋ] (昔は会席料理というものは食べたことはなかった<食べてみなかった>)。⸢ユーチングー[⸢juːʧiŋguː](四つ組料理)はめったに食することはできなかった 6373 0 0 6018 htmvoc_6373.wav クヮイシキジン ⸢クヮイシキ⸣ジン [⸢kwaiʃi̥ki⸣ʤiŋ] 名 会席膳。会席料理を盛り付ける膳。脚がなく、赤(祝儀用膳)、黒(不祝儀用膳)の塗り物と木地にニス塗りの膳があったが、日常はニス塗りの膳を多用した。石垣方言からの借用語か。若年層は、⸢カイシキ⸣ジン[⸢kaiʃi̥ki⸣ʤiŋ](会席膳)という。 ⸢ヨイ⸣ヌ ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢クヮイシキ⸣ジンナ ム⸢リティ⸣ ン⸢ザ⸣シ [⸢joi⸣nu ʔu⸢sai⸣jaː ⸢kwaiʃi̥ki⸣ʤinna mu⸢riti⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (お祝いのご馳走<御菜>は会席膳に盛って出しなさい)。 ⸢クヮイシキジン⸣マー ⸢ヌール⸣ムノー ア⸢ロー⸣ル ⸣ヤーナー ⸢アッタ⸣ヌ ⸣チニヒージェー ッ⸢スジンバ⸣ル シゥ⸢カイ オーッ⸣タ [⸢kwaiʃi̥kiʤim⸣maː ⸢nuːru⸣munoː ʔa⸢roː⸣ru ⸣jaːnaː ⸢ʔatta⸣nu ⸣ʧiniçiːʤeː s⸢suʤimba⸣ru sï̥⸢kai ʔoːt⸣ta] (会席膳は、漆塗りのものはお金持ちの家にはあったが、平生は白膳<ニス塗りの膳>をば<ぞ>使っておられた) 6365 0 0 6019 htmvoc_6365.wav クヮイシャ ⸢クヮイ⸣シャ [⸢kwai⸣ʃa] 名 会社。標準語からの借用語。老年層は⸢クヮイ⸣サ[⸢kwai⸣sa]という。 イ⸢サナキヌ スイサンクヮイ⸣シャーラ ⸣ジン カ⸢リクー⸣タツォー [ʔi⸢sanakinu suisaŋkwai⸣ʃaːra ⸣ʤiŋ ka⸢rikuː⸣taʦoː] (石垣の水産会社から金を借りてきたそうだ) 6366 0 0 6020 htmvoc_6366.wav クワイルン ク⸢ワイ⸣ルン [ku⸢wai⸣ruŋ] 他動 加える。加入させる。添加する。重ね添える。標準語からの借用語の転訛したもの。物の場合は⸢スイルン(イ⸢リルン)[⸢suiruŋ(ʔi⸢rirun)](加える{EOS}添える<入れる>)を多用し、仲間に入れる場合は、⸣グー ⸣ナスン(⸢ペーラ⸣スン)[⸣guː ⸣ナスン(⸢peːra⸣suŋ)](仲間にする<組に入れる>)を多用する。 ミ⸢ジェー マー⸣ビン ク⸢ワイ⸣リ <イ⸢リリ> [mi⸢ʤeː maː⸣biŋ ku⸢wai⸣ri <ʔi⸢riri>] (水はもっと加えなさい) 6367 0 0 6021 htmvoc_6367.wav クヮッチ ⸢クヮッ⸣チ [⸢kwat⸣ʧi] 名 ご馳走。老年層のことば。首里方言からの借用語。若年層は、⸢コッ⸣チ[⸢kot⸣ʧi](ご馳走)ともいう。「活計(歓楽{EOS}奢侈{EOS}贅沢)に対応する語か」『沖縄語辞典』という。 ⸢クヮッ⸣チー タ⸢ボーラリ⸣タン [⸢kwat⸣ʧiː ta⸢boːrari⸣taŋ] (ご馳走様でした<ご馳走を賜りました>) 6375 0 0 6022 htmvoc_6375.wav クヮン ⸣クヮン [⸣kwaŋ] 名 官。役所。政府。 ⸢クヮン⸣ヌ シ⸢グトゥ [⸢kwan⸣nu ʃi⸢gutu] (役所<官>の仕事)。 トゥ⸢シ⸣バ ⸣トゥリ ⸢クヮン⸣ヌ ⸢ヤッ⸣カイ カ⸢カ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [tu̥⸢ʃi⸣ba ⸣turi ⸢kwan⸣nu ⸢jak⸣kai kḁ⸢ka⸣ri ⸢naː⸣nu] (年をとって役所の世話<厄介に>になってしまった) 6378 0 0 6023 htmvoc_6378.wav クヮン ⸣クヮン [⸣kwaŋ] 助数 重さの単位。貫。千もんめ(匁)。3、75キログラム。 ク⸢ヌ⸣グロー ⸢イッ⸣クヮン ⸣ニクヮンティ ⸢スー⸣ ムネー シ⸢キミラン⸣バン⸢ナー [ku⸢nu⸣guroː ⸢ʔik⸣kwan nikwanti ⸢suː⸣ muneː ʃi̥⸢kimiram⸣ban⸢naː] (最近は、一貫二貫という言葉は聞いたことがないねえ) 6379 0 0 6024 htmvoc_6379.wav グヮン ⸣グヮン [⸣gwaŋ] 名 願。祈願。若年層は、⸣ガン[⸣gaŋ](願{EOS}祈願)という。 ク⸢トゥシズーヌ ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダニンガイ ⸢キンコーニンガイバ カンヌ⸣マイ ⸣グヮン ⸣タティ ⸢ニン⸣ガイ ッ⸢サルバ⸣ シ⸢キウキ⸣ タ⸢ブ⸣ローリ [ku̥⸢tuʃiʣuːnu jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpadaniŋgai ⸢kiŋkoːniŋgaiba kannu⸣mai ⸣gwan ⸣tḁti ⸢niŋ⸣gai s⸢saruba⸣ ʃi̥kiuki⸣ ta⸢bu⸣roːri] (今年中の家族の体<胴肌>の祈願、健康祈願を神様の前に願を立て、祈願申し上げますので、お聞き届け賜りますように<お聞き届け賜れ>) 6380 0 0 6025 htmvoc_6380.wav グヮンクー ⸢グヮン⸣クー [⸢gwaŋ⸣kuː] 名 頑固。若年層は、⸢ガン⸣クー[⸢gaŋ⸣kuː](頑固)という。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アブジェー ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢グヮン⸣クー ヤ⸢ロー⸣レーティ ムー⸢ル⸣ ウ⸢バイ⸣カバイ ⸢シェー⸣ティル ⸣ムネー イ⸢ゾーッ⸣タ [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔabuʤeː du⸢ku⸣nu ⸢gwaŋ⸣kuː ja⸢roː⸣reːti muː⸢ru⸣ ʔu⸢bai⸣kabai ⸢ʃeː⸣tiru ⸣muneː ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (その家のお祖父さんは、非常な頑固者であられたので、みんなびくびくされながら<ぞ>話をなさったものだ) 6368 0 0 6026 htmvoc_6368.wav グヮンス ⸢グヮン⸣ス [⸢gwan⸣su] 名 祖先。先祖。先祖の位牌。「元祖」の義。 ⸢グヮンス⸣グトゥ [⸢gwansu⸣gutu] (先祖を祀る法事{EOS}「元祖事」の義)。 ⸢グヮンス⸣ムチ [⸢gwansu⸣muʧi] (先祖供養をすべき位牌を継承している人)。 ⸢グヮンスサバ⸣キ [⸢gwansusaba⸣ki] (元祖を探すこと{EOS}血筋をただして元祖を祀ること{EOS}ユ⸢タ{SqBr}ju⸢ta{/SqBr}や⸣サンギンソー{SqBr}⸣saŋginsoː{/SqBr}などのム⸢ヌ⸣シリ{SqBr}mu⸢nu⸣ʃiri{/SqBr}<物知り{EOS}祈祷や占いをする人>に依頼して先祖供養の不足を調べて補足したりした)。⸣ウヤグヮンス[⸣ʔujagwansu](先祖)ともいう。 ⸢グヮン⸣ス サ⸢バカ⸣スンティ イ⸢サナケー ギー⸣ ユ⸢タ⸣ シゥ⸢カイクー⸣タツォー [⸢gwan⸣su sa⸢baka⸣sunti ʔi⸢sanakeː giː⸣ ju⸢ta⸣ sï̥⸢kaikuː⸣taʦoː] (元祖を調べようと石垣島へ行って、ユタ<巫女>を訪ねて使って来たそうだ) 6382 0 0 6027 htmvoc_6382.wav グヮンスパカ ⸢グヮンス⸣パカ [⸢gwansu⸣paka] 名 元祖墓。ム⸢トゥ⸣パカ[mu⸢tu⸣paka](本墓)というのが普通。旧暦一月十六日のジ⸢ル⸣クニチ[ʤi⸢ru⸣kuniʧi](十六日祭)には親族が墓前に集まって先祖を祭る墓。 ジ⸢ル⸣クンチェー グ⸢ソー⸣ヌ ⸣ソンガチティ ア⸢ザリ⸣ ム⸢ラズー メーメーヌ グァンス⸣パカナー ッ⸢ふァ⸣マー ウ⸢トゥザマリ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢ソッ⸣コー ⸢ソーッ⸣タ [ʤi⸢ru⸣kunʧeː gu⸢soː⸣nu soŋgaʧiti ʔa⸢ʣari⸣ mu⸢raʣuː meːmeːnu gwansu⸣pakanaː f⸢fa⸣maː ʔu⸢tuʣamari⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢sok⸣koː ⸢soːt⸣ta] (十六日祭は後生の正月と言われており、村中の人が銘銘の元祖墓に子孫、親戚一同が集まって焼香をされた) 6383 0 0 6028 htmvoc_6383.wav グヮンタティ ⸢グヮン⸣タティ [⸢gwan⸣tati] 名 立願。発願。「願立て」の義。神仏に願をかけること。 ⸣ソンガチ パ⸢チニガイ⸣ナー ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダニガイヌ ⸢グヮンタティ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [⸣soŋgaʧi pa⸢ʧinigai⸣naː ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpadanigainu ⸢gwantati⸣nu ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (正月初祈願の祭祀に家族の健康祈願<胴肌願い>を祈る立願の祈願をなされた) 6384 0 0 6029 htmvoc_6384.wav グヮンタン ⸢グヮン⸣タン [⸢gwan⸣taŋ] 名 元旦。元日。 ⸢グヮンタン⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テー シ⸢ディ⸣ミジシ ウ⸢ム⸣テー ア⸢ライテイル ニントー ソーッ⸣タ [⸢gwantan⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣teː ʃi⸢di⸣miʤiʃi ʔu⸢mu⸣teː ʔa⸢raitiru nintoː soːt⸣ta] (元旦の朝は若水<孵で水>で顔を洗ってから新年の年始の挨拶<年頭の挨拶は>をされた) 6385 0 0 6030 htmvoc_6385.wav グヮンニチ ⸢グヮン⸣ニチ [⸢gwan⸣niʧi] 名 元日。元旦。歌謡語。石垣方言からの転訛。「ションガジゥヌ シゥトゥムティ グヮンニチゥヌ アサパナ~」(正月の早朝、元日の朝まだき)「鷲の鳥節」 6386 0 0 6031 htmvoc_6386.wav クヮンニン ⸢クヮン⸣ニン [⸢kwan⸣niŋ] 名 官人。役人。 ヤ⸢クバ⸣ヌ ⸢クヮンニン⸣ヌ ⸢オー⸣リ シ⸢マ⸣ヌ ⸣クトゥ シ⸢ラ⸣ビティ ⸢カイ⸣ローッタ [ja⸢kuba⸣nu ⸢kwannin⸣nu ⸢ʔoː⸣ri ʃi⸢ma⸣nu ⸣ku̥tu ʃi⸢ra⸣biti ⸢kai⸣roːtta] (役場の役人<官人>がいらっしゃって、島の事を調べて帰られた) 5008 0 0 6032 htmvoc_5008.wav クヮンヌユーフル ⸢クヮン⸣ヌ ⸢ユー⸣フル [⸢kwan⸣nu ⸢juː⸣ɸuru] 連 海水浴。「官の湯風呂」の義。誰でも無料で入浴できることから公共の風呂と考えたことに基づく命名であろう。 ス⸢ナカ⸣ナー ⸣オンダー ⸢スームバ⸣ ム⸢カ⸣シプソー ⸢クヮン⸣ヌ ⸢ユー⸣フル ア⸢ミン⸣ パルティ ア⸢ゾーッ⸣タ [su⸢naka⸣naː ⸣ʔondaː ⸢suːmuba⸣ mu⸢ka⸣ʃipusoː ⸢kwan⸣nu ⸢juː⸣ɸuru ʔa⸢mim⸣ paruti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (海で海水浴することを昔の人は「官の風呂に入浴し<浴び>に行く」といわれた)。 ⸣オンダーヤ ⸢クヮン⸣ヌ ⸢ユー⸣フル ヤ⸢リバ⸣ ター⸢ン カッティニ ペーラ⸣リン [⸣ʔondaːja ⸢kwan⸣nu ⸢juː⸣ɸuru ja⸢riba⸣ taː⸢ŋ kattini peːra⸣riŋ] (海水浴は官の風呂だから、誰でも勝手に入浴できる<入られる>) 6377 0 0 6033 htmvoc_6377.wav クヮンバク ⸢クヮンバク [⸢kwambaku] 名 棺。棺桶。「棺箱」の義。 ⸣アブジェー ⸢クヮンバク⸣ナー ニ⸢バシ オーラ⸣シ ⸣シケーバ ⸣ミリ ⸢オーシ⸣バ [⸣ʔabuʤeː ⸢kwambaku⸣naː ni⸢baʃi ʔoːra⸣ʃi ⸣ʃi̥keːba ⸣miri ⸢ʔoːʃi⸣ba] (お祖父さんはお棺に休ませて<寝かせてさしあげて>あるから、見て差し上げなさい)。 ⸢クヮンバコー ガンダラゴー⸣ナ イ⸢リティル⸣ カ⸢タ⸣モーッタ [⸢kwambakoː gandaragoː⸣na ʔi⸢ritiru⸣ kḁ⸢ta⸣moːtta] (棺箱はガンダラゴー<輿>にのせて担がれた<\ruby{舁}{カ}かれた>) 5029 0 1 6034 htmvoc_5029.wav グヮンプトゥキ ⸢グヮンプトゥ⸣キ [⸢gwampu̥tu⸣ki] 名 がんほどき(願解き)。老年層の言葉。若年層は⸢ガンプトゥ⸣キ[⸢gampu̥tu⸣ki]という。{Mn_1}一月から六月までの間に友利御嶽で祈願したことによって豊年満作と健康繁盛を迎えたことに対する神への感謝の祈願をすること。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ユードゥー⸣シナーヤ ⸢グヮンプトゥ⸣キ ⸢ソー⸣リティー ⸢ナーツァー⸣ イェントゥシヌ ユ⸢ガフバ⸣ ニガイ⸢ヨー⸣ルツォー [⸢puːru⸣nu ⸢juːduː⸣ʃinaːja ⸢gwampu̥tu⸣ki ⸢soː⸣riti ⸢naːʦaː⸣ jenduʃinu ju⸢gaɸuba⸣ nigai⸢joː⸣ruʦoː] (豊年祭のユードゥーシ<徹夜の祈願>には一月から六月までの諸祈願に対するお礼の祈願をされて、翌日は来年<新年>の世果報<豊年>を祈願されるそうだ)。 ⸢ニンガイグトゥ⸣ヌ ⸢グヮンプトゥ⸣ケー キ⸢チゴン⸣ナーティル ⸢ソーッ⸣タミー [⸢niŋgaigutu⸣nu ⸢gwamputu⸣keː ki̥⸢ʧigon⸣naːru ⸢soːt⸣tamiː] (祈願ごとの願解きは結願祭においてなされたのですね)。 5029 0 2 6035 htmvoc_5029.wav グヮンプトゥキ ⸢グヮンプトゥ⸣キ [⸢gwampu̥tu⸣ki] 名 {Mn_2}願ほどき<解き>。死者が生前において神仏に祈願したことが成就していたのに、神仏へのお礼の祈願がなされていないときなどに、近親の者が代わってお礼の祈願をすること。⸢ガンプトゥ⸣キ[⸢gamputu⸣ki](願解き)と同じ 6390 0 0 6036 htmvoc_6390.wav クン ⸢クン [⸢kuŋ] 名 紺。紺色。 ク⸢ヌ ヌーノー クン⸣ <⸢クンイル⸣> ス⸢ミル⸣カー ⸢カイ⸣ヤン ⸣パジ [ku⸢nu nuːnoː kun⸣ <⸢kuŋʔiru⸣> su⸢miru⸣kaː ⸢kai⸣jam ⸣paʤi] (この布は紺(紺色)に染めたら美しいはずだ)。 ⸢クンジキン [⸢kunʤikiŋ] (紺地の着物) 6391 0 0 6037 htmvoc_6391.wav クン ⸢クン [⸢kuŋ] 名 こん(根)。根気。精根。元気。⸣ガー[⸣gaː](意志力{EOS}我慢強さ{EOS}「我」の義)ともいうのが普通。 ⸢クン スー⸣ブ [⸢kun suː⸣bu] (根競べ{EOS}頑張り競争<勝負>)。 ⸢マー⸣ムヌ ⸢ファイ クン⸣ <クンキ⸣> シ⸢キ⸣リ [⸢maː⸣munu ⸢fai kuŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (滋養のある美味しいものを食べて根気<根>をつけなさい) 6395 0 0 6038 htmvoc_6395.wav クン ⸣クン [⸣kuŋ] 名 古見村。西表島東部に開けた最も古い村。「慶長検地記録」(1610年)によると、「高 九拾八石三斗壱升三合九勺三才 鳩間村」は当時古見間切りに属していた」『八重山の御嶽』という。⸢クンノー⸣ラブシ[⸢kunnoː⸣rabuʃi](古見の浦節)は有名。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸣クンラーン バ⸢カ⸣リ ⸢オー⸣レーンティ⸢ダー [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸣kunraːm ba⸢ka⸣ri ⸢ʔoː⸣reːnti⸢daː] (鳩間の人は古見からも分かれて来られたそうだよ) 6392 0 0 6039 htmvoc_6392.wav クンイル ⸢クンイル [⸢kuŋʔiru] 名 紺色。 ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンナー キ⸢ソー⸣ル ⸢カン⸣プスケンヌ ⸢キン⸣マー ⸢クンイルヌ クンジキン⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ⸢ナー [⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnaː ki̥⸢soː⸣ru ⸢kam⸣pu̥sukennu ⸢kim⸣maː ⸢kuŋʔirunu kunʤikiɲ⸣ ja⸢roːt⸣ta⸢naː] (豊年祭に着られる神職者<司、ティジリビ>方の着物は、紺色の紺地染めでございましたねえ<あられましたねえ>)。 ティ⸢ジリ⸣ビーンケーヤ ⸢クンイルヌ キン⸣ル キ⸢ソーッ⸣タ [ti⸢ʤiri⸣biːŋkeːja ⸢kuŋʔirunu kin⸣ru ki̥⸢soːt⸣ta] (ティジリビー<男性神職者>の方々は紺色の着物を着られた) 6398 0 0 6040 htmvoc_6398.wav クンガチ ⸢クンガ⸣チ [⸢kuŋga⸣ʧi] 名 九月。老年層は、⸢クングヮ⸣チ[⸢kuŋgwa⸣ʧi](九月)ともいう。 ⸢クンガ⸣チシキヌ ⸣タトゥカー イ⸢ガメール⸣ ン⸢ゾーッ⸣タ [⸢kuŋga⸣ʧiʃi̥kinu ⸣tḁtukaː ʔi⸢gameːru⸣ ʔn⸢ʣoːt⸣ta] (九月になる<九月の月が立つ>とイカ釣り漁に出られた) 6420 0 0 6041 htmvoc_6420.wav グンガチ ⸢グンガ⸣チ [⸢guŋga⸣ʧi] 名 五月。旧暦五月十五日頃には稲の初穂祭りのス⸢ク⸣マ[su̥⸢ku⸣ma](稲の初穂祭り)が執り行われた。若年層は、グ⸢カ⸣チ[gu⸢ga⸣ʧi](五月)ともいう。 ⸢グンガチ⸣ヌ ナ⸢カ⸣グルナー ス⸢ク⸣マー ⸢ソーッ⸣タ⸢ナー [⸢guŋgaʧi⸣nu na⸢ka⸣gurunaː su̥⸢ku⸣maː ⸢soːt⸣ta⸢naː] (五月の中ごろにスクマ<稲の初穂祭り>は執り行われたねえ) 6400 0 0 6042 htmvoc_6400.wav グンガチイビ ⸢グンガチ⸣イビ [⸢guŋgaʧi⸣ʔibi] 名 五月植え。芋を五月に植え付けたもの。老年層は、⸢グングヮチ⸣イビ[⸢guŋgwaʧi⸣ʔibi](五月植え)ともいう。 ⸢ウン⸣マー ⸢グンガチイビ⸣ル ⸢ミーリダー [⸢ʔum⸣maː ⸢guŋgaʧiʔibi⸣ru ⸢miːridaː] (芋は五月植えがより多く稔る) 6402 0 0 6043 htmvoc_6402.wav クンガチクニチ ⸢クンガ⸣チクニチ [⸢kuŋga⸣ʧikuniʧi] 名 旧暦九月九日。重陽の節句。老年層は、クングヮチクニチ[⸢kuŋgwa⸣ʧikuniʧi](重陽の節句)ともいう。 ⸢クンガ⸣チクニチナー ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸣グシパナー シ⸢キティ ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タン [⸢kuŋga⸣ʧikuniʧinaː ⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸣guʃipanaː ʃi̥⸢kiti niŋ⸣gai ⸢soːt⸣taŋ] (旧暦九月九日には、神職者<神人>方は神酒や花米を供えて祈願をなさった) 6421 0 0 6044 htmvoc_6421.wav グンガチグニチ ⸢グンガ⸣チグニチ [⸢guŋga⸣ʧiguniʧi] 名 旧暦五月五日。学校教育(明治29年以降)を通して導入された端午の節句。紙で鯉幟を作って立てた。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸢グンガ⸣チグニチナー ⸢コイノボ⸣リン ス⸢ク⸣リ タ⸢トゥ⸣タン⸢ダー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸢guŋga⸣ʧiguniʧinaː ⸢koinobo⸣rin su̥⸢ku⸣ri tḁ⸢tu⸣tan⸢daː] (子供の頃は五月五日には鯉幟も作って立てたよ) 6401 0 0 6045 htmvoc_6401.wav グンガチャー ⸢グンガ⸣チャー [⸢guŋga⸣ʧaː] 名 五月植えの芋。老年層は、⸢グングヮ⸣チャー[⸢guŋgwa⸣ʧaː](五月植えの芋)ともいう。 ⸢グンガ⸣チャー イッ⸢ケン ミーレー⸣ン [⸢guŋga⸣ʧaː ʔik⸢kem miːreː⸣ŋ] (五月植えの芋は非常に実っている) 6422 0 0 6046 htmvoc_6422.wav グンガチユッカ ⸢グンガ⸣チユッカ [⸢guŋga⸣ʧijukka] 名 旧暦五月四日。糸満の人たちが石垣島でハーレー(爬龍船競漕)をして豊漁祈願と健康祈願を行った。 ⸢グンガ⸣チユッカー イ⸢ツォーンプス⸣ヌ キ⸢ザルル⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢ソーラン⸣シェン [⸢guŋga⸣ʧijukkaː ʔi⸢ʦoːmpu̥su⸣nu ki⸢ʣaruru⸣ ja⸢roːt⸣ta pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢soːraŋ⸣ʃeŋ] (旧暦五月四日は糸満の人の祭りでした{EOS}鳩間人は祭りをされなかった) 6403 0 0 6047 htmvoc_6403.wav クンガニ ⸢クン⸣ガニ [⸢kuŋgani] 名 黄金。黄金のように大切な子。ク⸢ガニ[ku⸢gani](黄金)ともいう。 ウ⸢ブ⸣プス ⸣タカプス ⸣ナリ ⸢マイフナー⸣ マ⸢リ⸣ヨー ⸢クン⸣ガニッふァー [ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣tḁkapu̥su ⸣nari ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢ri⸣joː ⸢kuŋ⸣ganiffaː] (大人になり、背の高い人に成長して、よく働く賢い人になりなさいよ{EOS}黄金の子、可愛い子よ) 6404 0 0 6048 htmvoc_6404.wav クンキ ⸢クンキ [⸢kuŋki] 名 根気。精力。気力。スタミナ。 ⸢クンキブスク⸣ ヤ⸢リバ⸣ イ⸢ジン⸣ジ ⸢マー⸣ムノー ッ⸢ふァイヤー⸣ティ ⸢クンキ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢kuŋkibusu̥ku⸣ ja⸢riba⸣ ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸢maː⸣munoː f⸢faijaː⸣ti ⸢kuŋki⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (根気不足だから、一所懸命に美味しいものを食べて精力<根気>をつけなさい) 6405 0 0 6049 htmvoc_6405.wav クンキシキムヌ ⸢クンキシキ⸣ムヌ [⸢kuŋkiʃi̥ki⸣munu] 名 滋養食品。滋養物。スタミナ食品。「根気付け物」の義。鶏肉や鶏卵、豚肉や魚肉など。鶏肉や鶏卵、魚肉などは手っ取り早い滋養食品として病み上がりの人に供された。 トゥ⸢ルンコー⸣マ ア⸢チ⸣ビカイナ カ⸢ケー⸣シティ ⸢クンキシキ⸣ムヌティ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [tu⸢ruŋkoː⸣ma ʔa⸢ʧi⸣bikaina kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ⸢kuŋkiʃi̥ki⸣munuti ⸢ʃiː⸣ f⸢faːsoːt⸣ta] (鶏卵を熱いお粥に掻き混ぜて滋養食品として食べさせられた<食べさせてくださった>)。 イ⸢ジン⸣ジ ⸢クンキシキムヌ⸣バ ッ⸢ふァイバル ヤンマイ⸣ヤー ⸢パイ⸣サ ⸢ノーサ⸣リ⸢ダー [ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸢kuŋkiʃi̥ki⸣munu f⸢faibaru jammai⸣jaː ⸢pai⸣sa ⸢noːsa⸣ri⸢daː] (精一杯<一所懸命>滋養物を食べたほうが<食えばぞ>早く病気を治せるのだよ) 6406 0 0 6050 htmvoc_6406.wav クンキシキルン ⸢クンキ⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢kuŋki⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 栄養を取って元気<精力>をつける。 ⸢ヤンマイ⸣ヌ ⸣アトゥ ウ⸢シヌ⸣ シー ⸣ヌミティ ⸢クンキ⸣ シ⸢キ⸣ルンティ ⸢ベー [⸢jammai⸣nu ⸣ʔatu ʔu⸢ʃinu⸣ ʃiː ⸣numiti ⸢kuŋki⸣ ʃi̥⸢ki⸣runti ⸢beː] (病気の後に牛乳<牛の乳>を飲んで精力<元気>をつけようとしている) 6407 0 0 6051 htmvoc_6407.wav クンキスクン ⸢クンキ⸣ スクン [⸢kuŋki⸣ su̥kuŋ] 連 栄養をとって精力<元気>がつく。 パ⸢ナシキ フシゥ⸣カル ⸣ピンマー ピ⸢ルザキ⸣ナー ⸢コー⸣マ ⸢ピッツァ⸣シ イ⸢リティ⸣ カ⸢ケー⸣シティ ⸣ヌムカー イッ⸢ケナ クンキ⸣ スクン [pa⸢naʃi̥ki ɸusï̥⸣karu ⸣pimmaː pi⸢ruʣaki⸣naː ⸢koː⸣ma ⸢pitʦa⸣ʃi ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ⸣numukaː ʔik⸢kena kuŋki⸣ su̥kuŋ] (風邪を引く<風邪が取り付く>時は、大蒜酒に卵をつぶして入れて、掻き混ぜて飲むと非常に精力<元気>がつく)。⸢根気が付く」の義。栄養がついて元気になる。 ⸢オー⸣ヌ キ⸢ム⸣トゥ シ⸢ビラバ⸣ ⸢ミー⸣スナ イ⸢ラ⸣キティ ⸢ッふー⸣カー イッ⸢ケナ クンキ⸣ スクンツォー [⸢ʔoː⸣nu ki⸢mu⸣tu ʃi⸢biraba miː⸣suna ʔi⸢ra⸣kiti ⸢ffuː⸣kaː ʔik⸢kena kuŋki⸣ su̥kunʦoː] (豚のレバー<肝臓>と韮を味噌で炒めて食べると滋養になる<根気がつく>そうだ) 6408 0 0 6052 htmvoc_6408.wav クンキダーリ ⸢クンキダーリ [⸢kuŋkidaːri] 名 栄養不良。元気のないこと。根気不足。「根気倒れ」の義。 ⸢ヤン⸣ヌ ⸣アトゥ ヤ⸢ルンダ クンキダーリ⸣ シ⸢ティ⸣ シ⸢グトー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ラランバン [⸢jan⸣nu ⸣ʔatu ja⸢runda kuŋkidaːri⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʃi⸢gutoː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢rarambaŋ] (病気の後だから、栄養不足で<根気倒れして>、仕事は何もできないよ) 6409 0 0 6053 htmvoc_6409.wav クンキバー ⸢クンキバー [⸢kuŋkibaː] 名 バイラス<ウイルス>に罹って、芋の葉や野菜の葉がちぢれ<縮れ>たもの。⸢クンキャー⸣バー[⸢kuŋkjaː⸣baː]の転訛したもの。終戦後の一時期バイラスが蔓延して芋の蔓を焼却処分したことがある。「ハンセン病の葉」の義『石垣方言辞典』。 ⸢ウンヌ⸣カザー ムー⸢ル クンキバー⸣ ナリ ⸢ベー⸣ティ ヤ⸢キシティラン⸣カー ナ⸢ラン⸣シェン [⸢ʔunnu⸣kaʣaː muː⸢ru kuŋkibaː⸣ nari ⸢beː⸣ti ja⸢kiʃi̥tiraŋ⸣kaː na⸢raŋʃeŋ] (芋蔓はみんなバイラスに罹っているので、焼き捨てないといけなかった<ならなかった>) 6410 0 0 6054 htmvoc_6410.wav クンキブスク ⸢クンキブスク [⸢kuŋkibusu̥ku] 名 精力不足。栄養不良。「根気不足」の義。 ア⸢ドゥ⸣ナー ヤミ ブ⸢レー⸣ンダー ⸢クンキブスク⸣ ナ⸢リ⸣スヨー [ʔa⸢du⸣naː ⸣jami bu⸢reː⸣ndaː ⸢kuŋkibusu̥ku⸣ na⸢ri⸣sujoː] (あんなに長期間にわたって病気して<病んで>いたのだから、栄養不良に<根気不足>になるよ)。 ⸢ファイムヌヌ マーダーッサー ナー⸣ン ⸢ベー⸣ティル ⸢クンキブスク ⸣ナリ ⸢ベー [⸢faimununu maːdaːssaː naː⸣m ⸢beː⸣tiru ⸢kuŋkibusu̥ku⸣ nari ⸢beː] (食べ物が立派に、きちんと摂取されてない<食事として相応しくない>から栄養不良になっている) 6370 0 0 6055 htmvoc_6370.wav クンキブラーリ ⸢クンキブラーリ [⸢kuŋkiburaːri] 名 不元気なこと。「根気折られ」の義か。貧血気味で根気がなく、気だるく、ふらふらするさま。ふらつく様子。めまい(眩暈)症状をおこすこと。 ⸢フシゥカヌ⸣ アイ ニ⸢チ⸣ ンジティ ⸢イー⸣ユン ッ⸢ふァーラムティ クンキブラーリ シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ɸusï̥ka⸣nu ⸣ʔai ni⸢ʧi⸣ʔnʤiti ⸢ʔiː⸣juŋ f⸢faːramuti kuŋkiburaːri ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (二日の間、発熱してして飯<を>も食べられずに、ふらふらして眩暈がしてたまらない<仕様がない>)。 ナ⸢ガヤンバ⸣ シ⸢ティル⸣ ムヌーン ッ⸢ふァーラムティ クンキブラーリ シー⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [na⸢gajamba⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ munuːŋ f⸢faːramuti kuŋkiburaːri ʃiː⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (長患い<長病み>をして、食事も出来ず<ものも食べられないで>、眩暈して歩くことが出来ない<歩かれない>) 6412 0 0 6056 htmvoc_6412.wav クンキマキ ⸢クンキマキ [⸢kuŋkimaki] 名 根気負け。根負け。 ギュー⸢サ⸣ アジ シゥ⸢カサバン⸣ シゥ⸢カヌ⸣ ウ⸢ドーサバン⸣ ウ⸢ダラカ⸣ヌ ウ⸢リトー クンキマキル⸣ シ⸢ラリ [gjuː⸢sa⸣ ʔaʤi si̥⸢kasabaŋ⸣ si̥⸢kanu⸣ ʔu⸢doːsabaŋ⸣ ʔu⸢daraka⸣nu ʔu⸢ritoː kuŋkimakiru⸣ ʃi⸢rari] (いくら言って聞かせても聞き入れない{EOS}威しても怖がらない<驚かない>{EOS}こいつとは根負けしていまう<根負けぞされる>) 6413 0 1 6057 htmvoc_6413.wav クンキャー ⸢クン⸣キャー [⸢kuŋ⸣kjaː] 名 {Mn_1}ハンセン病患者。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢クンキャー⸣ヤ ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢kuŋkjaː⸣ja bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島にはハンセン病患者はいなかった)。 6413 0 2 6058 htmvoc_6413.wav クンキャー ⸢クン⸣キャー [⸢kuŋ⸣kjaː] 名 {Mn_2}他人を罵るときに使う卑語。 ⸢クン⸣キャー ⸢マーシ⸣ノ [⸢kuŋ⸣kjaː ⸢maːʃi⸣no] (クンキャー猿めが) 6414 0 0 6059 htmvoc_6414.wav グンギンドー ⸢グンギン⸣ドー [⸢guŋgin⸣doː] 名 権現堂。石垣市字石垣にある桃林寺。ティ⸢ラ[ti⸢ra](寺)ともいう。1614年に創建されたという。子供が病弱の場合、桃林寺の仁王佛を拝ませると健康になるといわれていた。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ビョー⸣ザーカー イ⸢サナケー サーギ⸣ グンギンドーヌ ティ⸢ラヌ⸣ ウンプトゥキ ウ⸢ガマ⸣スカー パ⸢シットゥ スン⸣ティ⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu ⸢bjoː⸣ʣaːkaː ʔi⸢sanakeː saːgi⸣ guŋgindoːnu ti⸢ranu⸣ ʔumpu̥tuki ʔu⸢gama⸣su̥kaː pḁ⸢ʃittu sun⸣ti⸢daː] (子供が病弱だと石垣島へ連れて行って、権現堂の寺の仁王様を拝ませるとすっきりとなり、元気になるそうだよ) 6417 0 0 6060 htmvoc_6417.wav グングルマーシェー ⸢グングルマー⸣シェー [⸢guŋgurumaː⸣ʃeː] 名 輪回し遊び。グ⸢ルグルマー⸣シェー[gu⸢rugurumaː⸣ʃeː](輪回し)ともいう。「ぐるぐる回すもの」の義。桶や樽の竹製または金属製のたが(箍)を鉤の付いた棒で押して回す遊び。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸢グングルマー⸣シェー ⸢シール⸣ ア⸢サブタル [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸢guŋgurumaː⸣ʃeː ⸢ʃiːru⸣ ʔa⸢sabutaru] (子供の頃は輪回しをして遊んだものだよ) 6416 0 1 6061 htmvoc_6416.wav グングルマースン ⸢グングルマー⸣スン [⸢guŋgurumaː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}掻き回す。かき乱す。攪乱する。「ぐるぐる回す」の義。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢フンダイバ シー⸣ プ⸢スユー⸣ヌ ⸣サートゥ ウ⸢リン グングルマーサ⸣リ ニ⸢バランシェン [ja⸢rabi⸣nu ⸢ɸundaiba ʃiː⸣ pu̥⸢sujuː⸣nu ⸣saːtu ʔu⸢riŋ guŋgurumaːsa⸣ri ni⸢baraŋʃeŋ] (子供がわがまま<我儘>し放題で、これに掻き回されて一晩中眠れなかった)。 ⸢グングルマーシ⸣ プサン [⸢guŋgurumaːʃi⸣pu̥saŋ] (かき回したい)。 ⸢グングルマー⸣スンティ ⸣ウムーカー ⸢グングルマー⸣シバ [⸢guŋgurumaː⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ⸢guŋgurumaː⸣ʃiba] (掻き回すと思うなら掻き回せよ)。 ⸢グングルマー⸣ス プ⸢ソー グングルマー⸣セー ⸣ミサムヌ [⸢guŋgurumaː⸣su pu̥⸢soː guŋgurumaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (掻き回す人は掻き回せばよいのに)。 6416 0 2 6062 htmvoc_6416.wav グングルマースン ⸢グングルマー⸣スン [⸢guŋgurumaː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}牛耳る。操る。 ⸢ウシ⸣トゥン ⸢グングルマーサ⸣レーティ ⸢アー⸣ク [⸢ʔuʃi̥⸣tuŋ ⸢guŋgurumaːsa⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (弟に牛耳られている) 6424 0 0 6063 htmvoc_6424.wav グンクローマ グン⸢クロー⸣マ [guŋ⸢kuroː⸣ma] 名 こもづち(薦槌)。こも(菰)を編む縄を巻きつけたおもり(錘)。直径約4センチ、長さ約10センチの円筒状木片を中央部の直径が約2センチになるように、両端から斜めに削って作った縄巻きの錘。菰編み機の桁の約10センチ間隔に刻み込んだ所に吊るし、内側、外側へと交互に送り越して編むのに用いる。 ア⸢ダン⸣パームス ⸣フム ⸣ピンマー グン⸢クロー⸣マ ⸢カールガール ウーカ⸣シェーティル ⸣フム [ʔa⸢dam⸣paːmusu ⸣ɸumu ⸣pimmaː guŋ⸢kuroː⸣ma ⸢kaːrugaːru ʔuːka⸣ʃeːtiru ⸣ɸumu] (アダン葉筵を編む時は、グンクローマ<薦槌>を交互に動かして編むのだ) 6418 0 0 6064 htmvoc_6418.wav クングヮチ ⸢クングヮ⸣チ [⸢kuŋgwa⸣ʧi] 名 九月。⸢クンガ⸣チ[⸢kuŋga⸣ʧi](九月{EOS}<若年層>)ともいう。若年層はク⸢ガ⸣チ[ku⸢ga⸣ʧi](九月)ともいう。 ⸢クングヮ⸣チナール キ⸢チゴンマー ソーッ⸣タ⸢ナー [⸢kuŋgwa⸣ʧinaːru ki̥⸢ʧigommaː soːt⸣ta⸢naː] (九月に結願祭は行われたよねえ<なされたよねえ>) 6419 0 0 6065 htmvoc_6419.wav クングヮチクニチ ⸢クングヮ⸣チクニチ [⸢kuŋgwa⸣ʧi ⸣kuniʧi] 名 旧暦の九月九日。⸢ウン⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢ʔun⸣nu ⸢niŋ⸣gai](甘藷の豊作祈願)とタ⸢ク⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[tḁ⸢ku⸣nu ⸢niŋ⸣gai](蛸の豊漁祈願)が行われる。 ⸢ウイヌ⸣ ウガンナーティル ⸢ウン⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣トゥ タ⸢ク⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʔuinu⸣ ʔugannaːtiru ⸢ʔun⸣nu ⸢niŋgai⸣tu tḁ⸢ku⸣nu ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (友利御嶽<上の御嶽>において<ぞ>甘藷の豊作祈願と蛸の豊漁祈願はなされた)。一般の家庭では花米と神酒<菊酒>を床の神に供え、健康長寿と豊年豊漁を祈願して菊酒を飲んだ 6423 0 0 6066 htmvoc_6423.wav クンクンシ ⸢クンクン⸣シ [⸢kuŋkuŋ⸣ʃi] 名 琉球音楽の三線演奏用の楽譜。曲譜。伝統的に「工工四」の字を当てる。 キ⸢チゴンヌ⸣ ジーシンカー ⸢クンクンシー⸣バ ⸣ミレーティル ⸢ジーウタイ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ ʤiːʃiŋkaː ⸢kuŋkuŋʃiː⸣ba ⸣mireːtiru ⸢ʤiːʔutai⸣jaː ⸢soːtta⸣ru] (結願祭の地謡の仲間は工工四を見ながら地謡をなさった) 6425 0 0 6067 htmvoc_6425.wav グンゴー ⸢グン⸣ゴー [⸢guŋ⸣goː] 名 五合。一升の半分。 ⸢タンガ⸣シ ⸣プスイ ⸢グンゴー⸣ヌ ⸣イー ッ⸢ふァイシェー⸣ン [⸢taŋga⸣ʃi ⸣pu̥sui ⸢guŋgoː⸣nu ⸣ʔiː f⸢faiʃeː⸣ŋ] (一人で一日五合の御飯を食べることができる) 6427 0 0 6068 htmvoc_6427.wav グンゴーナカムル ⸢グンゴーナカ⸣ムル [⸢guŋgoːnaka⸣muru] 名 五合枡。一升枡は、⸢イッス⸣サー[⸢ʔissu⸣saː]という。五合枡がない時は立方体の一升枡の底の角を中心にして45度に傾けて量った。 ⸢グンゴーナカムル⸣ヌ ⸢ナーン⸣ピンマー ⸢イッスサー⸣バ カ⸢トンカ⸣シティル パ⸢カ⸣ローッタル [⸢guŋgoːnakamuru⸣nu ⸢naːm⸣ pimmaː ⸢ʔissusaː⸣ba kḁ⸢toŋka⸣ʃi̥tiru pḁ⸢ka⸣roːttaru] (五合枡が無いときは一升枡を傾けて量られたよ) 6426 0 0 6069 htmvoc_6426.wav グンゴーパナ ⸢グンゴー⸣パナ [⸢guŋgoː⸣pana] 名 五合の花米。⸣パナ[⸣pana]は、パ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)の略。精米五合を一つの重箱に入れ、⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](燗瓶)一対の神酒と共に神前に供えるもの。 ⸢グンゴー⸣パナー ス⸢コーリ⸣ シ⸢キリ⸣バ [⸢guŋgoː⸣panaː su̥⸢koːri⸣ ʃi̥⸢kiri⸣ba] (五合の花米を準備して神前に供えなさいよ) 6428 0 0 6070 htmvoc_6428.wav クンザ ⸢クンザ [⸢kunʣa] 代 こいつ。こやつ(此奴)。近称卑称の代名詞。<単数>ク⸢ヌ⸣ ンザ[ku⸢nu⸣ ʔnʣa](この下郎<奴>)の縮約融合したもの。人を軽侮したり、相手を罵倒していう語。 ⸢クンザン⸣ キ⸢ニラ⸣リ シ⸢ミラ⸣レーラー ⸣イ⸢キーン ⸣ヌビ シ⸢ララヌ [⸢kunʣaŋ⸣ ki⸢nira⸣ri ʃi⸢mira⸣reːraː ⸣ʔikiːn ⸣nubiːn ʃi⸢raranu] (こいつにせがまれ、責め立てられたら何もできない<息もつけない、欠伸も出来ない>\ruby{堪}{タマ}らない)。 ⸢クンザヌ⸣ ア⸢ズ⸣ ムネー ⸢ピッ⸣チン ⸢ミーヤ ナー⸣ヌ [⸢kunʣanu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː ⸢pit⸣ʧim ⸢miːja naː⸣nu] (此奴のいうことには一つも真実味<中身>がない)。 ⸢クンザー イッ⸢カ ヌンガーラサ⸣ヌ [⸢kunʣaː⸣ ʔik⸢ka nuŋgaːrasa⸣nu] (こいつは決して許さない)。⸢クンザンメー[⸢kunʣammeː](こつら)<複数>。 ⸢クンザヌ シェー⸣ クトー ⸢ピッ⸣チン ⸢マーパカラーサー ナー⸣ヌ [⸢kunʣanu ʃeː⸣ ku̥toː ⸢pit⸣ʧim ⸢maːpakarasaː naː⸣nu] (こいつのしたことは、一つもまとも<正道な{EOS}真っ当な>なもなものは無い<信用できない>)。 ⸢クンザー シシキ⸣ トゥ⸢ラ⸣シ [⸢kunʣaː ʃiʃi̥ki⸣ tu⸢ra⸣ʃi] (こいつめ懲らしめてやれ)。⸢ウンザ[⸢ʔunʣa](そいつ<其奴>{EOS}そやつ{EOS}その野郎)、⸢カンザ[⸢kanʣa](あの野郎{EOS}かやつ<彼奴>{EOS}あいつ{EOS}きゃつ)の対義語。ンザ[nʣa](奴{EOS}野郎)は、人を卑しめていう語。 ⸢クンザー⸣ ユ⸢ラ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kunʣaː⸣ ju⸢ra⸣ʃeː] (この野郎<こいつ>は許してはならない) 3512 0 0 6071 htmvoc_3512.wav グンザンマヤー ⸢グンザンマヤー [⸢gunʣammajaː] 名 (幼)恐ろしい山猫。恐ろしい西表山猫。子供が拗ねて聞き分けない時、脅かすのに用いる語。幼児は凶悪な山猫を想像し、その想像上の山猫に連れ去られるのが怖くて親の言う事を聞き分けるようになったものである。 ⸢ウリウリ⸣ ウナー ナ⸢キベーン⸣ケンマー ⸢グンザンマヤーヌ⸣ クン⸢ダー [⸢ʔuriʔuri⸣ ʔunaː na⸢kibeːŋ⸣kemmaː ⸢gunʣammajaːnu⸣ kun⸢daː] (それそれ、そこで泣いているうちにグンザンマヤー<恐ろしい山猫>が出てくるぞ{EOS}<知らないよ{EOS}大変だぞ>) 6334 0 0 6072 htmvoc_6334.wav クンザンメー ⸢クンザンメー [⸢kunʣammeː] 名 こいつらめ。卑称(複数)。 ⸢クンザンメーヤ⸣ イッ⸢カ ヌンガーラサ⸣ヌ [⸢kunʣammeːja⸣ ʔik⸢ka nuŋgaːrasa⸣nu] (こいつらめは決して許さない)。 ⸢クンザンメール⸣ ヤ⸢ナクトー シェー⸣ナー [⸢kunʣammeːru⸣ ja⸢nakutoː ʃeː⸣naː] (こいつらが悪事を働いた<した>のだなあ)。 ⸢クンザンメール⸣ ア⸢ツァ⸣マリキー ウ⸢ヤー⸣リ ⸢ベー⸣バン [⸢kunʣammeːru⸣ ʔa⸢ʦa⸣marikiː ʔu⸢jaː⸣ri ⸢beː⸣baŋ] (こいつらが集まってきて大声をだしているわい) 6430 0 0 6073 htmvoc_6430.wav クンジ ⸢クンジ [⸢kunʤi] 名 紺地。紺染め。 ⸢クンジキン [⸢kunʤikiŋ] (紺染めの着物)。 ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸢プール⸣トゥ キ⸢チゴンナー⸣ヤ ⸢クンジキンバル⸣ キ⸢ソーッ⸣タ [⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢puːru⸣tu ki̥⸢ʧigonnaː⸣ja ⸢kunʤikimbaru⸣ ki̥⸢soːt⸣ta] (男性神職者<ティジリビー>の方々は豊年祭と結願祭には紺染めの着物を着られた) 6393 0 0 6074 htmvoc_6393.wav クンジキン ⸢クンジキン [⸢kunʤikiŋ] 名 紺地の着物。「紺地衣」の義。 ⸣アッパー バ⸢カーン⸣ケン キ⸢ソーッ⸣タ ⸢クンジキンマー⸣ マ⸢ナマー⸣キン アン⸢ダー [⸣ʔappaː ba⸢kaːŋ⸣keŋ ki̥⸢soːt⸣ta ⸢kunʤikimmaː⸣ ma⸢namaː⸣kiŋ ʔan⸢daː] (お祖母さんが着られた紺地の着物は、今まで残っている<今まである>よ)。 ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸢クンジキンバ⸣ キ⸢シティル⸣ ウガン ⸢オーッ⸣タ [⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢kunʤikimba⸣ ki̥⸢ʃitiru⸣ ⸣ʔugaŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (ティジリビー<神人>の方々は紺地の着物を着て御嶽<お願>へ行かれた) 6433 0 0 6075 htmvoc_6433.wav グンジュ ⸢グン⸣ジュ [⸢gun⸣ʤu] 名 五十。五十歳。 ⸢バン⸣ターン ク⸢トゥシェー グン⸣ジュー ナルン⸢ダー [⸢ban⸣taːŋ ku̥⸢tuʃeː gun⸣ʤuː narun⸢daː] (私たち<聞き手を含まない>も今年は五十歳になるよ) 6434 0 0 6076 htmvoc_6434.wav グンジューフダユリ ⸢グン⸣ジュー ⸣フダユリ [⸢gun⸣ʤuː ⸣ɸudajuri] 連 五十歳免税。五十歳から人頭税が免除になること。「五十札許り」の義。四十九歳が人頭税や夫役のなどの納税義務の年限で、五十歳からは「頭迦(ずはずれ)」となって納税の義務を免除されたという。 ム⸢カ⸣シェー ⸢グン⸣ジュー ⸣フダユリティ ⸢シー ウイ⸣プス ナ⸢ローッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gun⸣ʤuː ⸣ɸudajuriti ⸢ʃiː ʔui⸣pu̥su na⸢roːt⸣taʦoː] (昔は五十札許りといって、老人になられたそうだ) 6432 0 0 6077 htmvoc_6432.wav クンジン ⸢クン⸣ジン [⸢kun⸣ʤiŋ] 名 根神。娘が成人したら床の間に香炉を据えて拝み、嫁したらそれを婚家へ移した。 ⸢コン⸣ジン カ⸢ミ⸣リ [⸢kon⸣ʤiŋ ka⸢mi⸣ri] (根神を信仰しなさい) 6435 0 0 6078 htmvoc_6435.wav クンスーブ ⸢クンスーブ [⸢kunsuːbu] 名 根競べ。根気強さ競争。忍耐勝負。我慢勝負。「根勝負」の義。根気の強さを競うこと。 バ⸢カー⸣タンケンマー ⸣ユー ⸢ガー⸣バ ⸣タティ ⸢クンスーブ シー⸣ パ⸢タラクタン [ba⸢kaː⸣takemmaː ⸣juː ⸢gaː⸣ba ⸣tḁti ⸢kunsuːbu ʃiː⸣ pḁ⸢tarakutaŋ] (若かった頃はよく我慢ををし、根競べして働いたものだ) 6436 0 0 6079 htmvoc_6436.wav クンズミ ⸢クンズミ [⸢kunʣumi] 名 紺染め。 ⸣アッパー ⸢クンズミヌ キンバ⸣ル ブ⸢ドゥルキン ソーッ⸣タ [⸣ʔappaː ⸢kunʣuminu kimba⸣ru bu⸢durukin soːt⸣ta] (お祖母さんの紺染めの着物を踊り衣装<踊り衣>にされた) 6437 0 0 6080 htmvoc_6437.wav クンゾー ⸢クン⸣ゾー [⸢kun⸣ʣoː] 名 怒り。立腹すること。怒りっぽい人。「根性」の義。 ⸢クン⸣ゾー ⸣ンズン [⸢kun⸣ʣoː ⸣ʔnʣuŋ] (怒る{EOS}「怒りがでる」の義)。 ⸢クン⸣ゾー ン⸢ズ⸣ナ [⸢kun⸣ʣoː ʔn⸢ʣu⸣na] (怒るな)。 ⸢クン⸣ゾーン ッ⸢ふァーリ⸣ ムニ イ⸢ズ⸣カー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣スン⸢ダー [⸢kun⸣ʣoːn f⸢faːri⸣ muni ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸢duː⸣nu ⸣sun⸢daː] (怒りに任せて<怒りに食われて>話したら<ものを言うと>自分の損だよ)。 ⸢クンザー サッ⸣コー ⸢クン⸣ゾー⸢ダー [⸢kunʣaː sak⸣koː ⸢kun⸣ʣoː⸢daː] (こいつは非常に怒りっぽい人だよ)。 ⸢クン⸣ゾー ン⸢ジラン⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢kun⸣ʣoː ʔn⸢ʤiram⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (怒らない<怒りの出ない>人はいない) 6438 0 0 6081 htmvoc_6438.wav クンゾーウクルン ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルン [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ruŋ] 連 立腹する。怒る。「根性起こる」の義。⸣サク ウ⸢ク⸣ルン[⸣sḁku ʔu⸢ku⸣ruŋ](立腹する{EOS}「癪起こる」)ともいう。 ⸣アイニ イ⸢ザリ⸣カー ター⸢ン クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルン [⸣ʔaini ʔi⸢ʣari⸣kaː taː⸢ŋ kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ruŋ] (あんなに叱られたら誰でも立腹する)。 ウ⸢リ⸣ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン クン⸣ゾー ウ⸢クリ⸣スヨー [ʔu⸢ri⸣ su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ŋ kun⸣ʣoː ʔu⸢kuri⸣sujoː] (それを聞いたら、誰でも立腹する<怒る>よ) 6443 0 0 6082 htmvoc_6443.wav クンゾーバタ ⸢クンゾー⸣バタ [⸢kunʣoː⸣bata] 名 かんしゃくもち(癇癪持ち)。怒りっぽい人。「根性腹」の義か。 ウ⸢レー クンゾー⸣バタ ヤ⸢ルンダ クン⸣ゾー ン⸢ザ⸣シェーラ ⸢デー⸣ジ⸢ダー [ʔu⸢reː kunʣoː⸣bata ja⸢runda kun⸣ʣoː ʔn⸢ʣa⸣ʃeːra ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (彼は癇癪持ちだから怒らせたら大変だぞ) 6444 0 0 6083 htmvoc_6444.wav クンゾームチ ⸢クン⸣ゾームチ [⸢kun⸣ʣoːmuʧi] 名 癇癪持ち。怒りっぽい人。「根性持ち」の義。 ク⸢レー クンゾー⸣ムチ ヤ⸢ルンダ⸣ ドゥク イ⸢ズナ⸣ヨー [ʔu⸢reː kunʣoː⸣muʧi ja⸢runda⸣ duku ʔi⸢ʣuna⸣joː] (これ<この人>は癇癪持ちだから、あんまり叱るなよ) 6439 0 0 6084 htmvoc_6439.wav クンゾーワッサン ⸢クン⸣ゾー ⸢ワッ⸣サン [⸢kun⸣ʣoː ⸢was⸣saŋ] 連 怒りっぽい。性格が悪い。「根性悪い」の義。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケン クン⸣ゾー ⸢ワッ⸣サン [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢keŋ kun⸣ʣoː ⸢was⸣saŋ] (彼は非常に怒りっぽい) 6440 0 0 6085 htmvoc_6440.wav クンゾーンザスン ⸢クン⸣ゾー ン⸢ザ⸣スン [⸢kun⸣ʣoː ʔn⸢ʣa⸣suŋ] 連 怒る。怒らせる。癇癪を起こす。「根性を出す」の義。 ⸢クンザー⸣ バー バ⸢タ⸣バ ⸣フジ ⸢クン⸣ゾー ン⸢ザ⸣ス ⸢カンガイ⸣ユン⸢ナー [⸢kunʣaː⸣ baː ba⸢ta⸣ba ⸣ɸuʤi ⸢kun⸣ʣoː ʔn⸢ʣa⸣su ⸢kaŋgai⸣jun⸢naː] (こいつは、わざと私の気持ちを不愉快にさせて<腹を\ruby{抉}{クジ}って>怒らせるつもり<心算>だな) 6441 0 0 6086 htmvoc_6441.wav クンゾーンジルン ⸢クン⸣ゾー ン⸢ジ⸣ルン [⸢kun⸣ʣoː ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] 連 怒る。腹を立てる。怒りが出る。立腹する。癇癪がでる。「根性いでる<出でる>」の義。ウ⸢ク⸣ルンとも言う。⸢クン⸣ゾー ⸣ンズン[⸢kun⸣ʣoː ⸣ʔuʣuŋ](怒る{EOS}腹を立てる)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン クン⸣ゾー ン⸢ジ⸣ルン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ŋ kun⸣ʣoː ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (その話を聞いたら誰でも怒る<腹を立てる>) 6442 0 0 6087 htmvoc_6442.wav クンゾーンズン ⸢クン⸣ゾー ⸣ンズン [⸢kun⸣ʣoː ⸣ʔuʣuŋ] 連 怒る。「根性出づ」の義。 ⸣アイブ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ⸢クン⸣ゾー ⸣ンズンダ シゥ⸢カンモー⸣ マ⸢シ [⸣ʔaibu pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ⸢kun⸣ʣoː ⸣ʔnʣunda si̥⸢kammoː⸣ ma⸢ʃi] (あんな話を聞くと怒る<腹が立つ>から、聞かないほうがましだ) 6445 0 0 6088 htmvoc_6445.wav クンダ ⸢クン⸣ダ [⸢kun⸣da] 名 こむら(腓)。こぶら。ふくらはぎ。脛の後の膨れたところ。「腓、古無良<こむら>、脚腓也『和名抄』」の義。 ⸢クンダ⸣ヌ ⸣ヤムン [⸢kunda⸣nu ⸣jamuŋ] (こむらが痛む)。 ⸢クンダアガ⸣リ シ⸢ティ⸣ ヤミ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢kundaʔaga⸣ri ʃi̥⸢ti⸣ jami ʔa⸢rakara⸣nu] (こむら返りして、痛くて歩かれ<歩け>ない) 6447 0 0 6089 htmvoc_6447.wav クンダアガリ ⸢クンダアガ⸣リ [⸢kundaʔaga⸣ri] 名 こむら返り。ふくらはぎ(脹脛)の痙攣。 ⸢アッ⸣タニ カ⸢キッツァー⸣シ ⸣パリパルンケンドゥ ⸢クンダアガ⸣リ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸢ʔat⸣tani kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣paruŋkendu ⸢kundaʔaga⸣ri ⸢ʃiː naː⸣nu] (急に競争して走っていったところ、こむら返りをしてしまった) 6454 0 0 6090 htmvoc_6454.wav クンダキ ⸣クンダキ [⸣kundaki] 名 山岳の名。古見岳。西表島東部にある、島で最も高い山。標高469、5メートル。 ティ⸢ドゥ⸣クダキヌ ⸢アンタナー⸣ル ⸣クンダケー ⸣アル [ti⸢du⸣kudakinu ⸢ʔantanaː⸣ru ⸣kundakeː ⸣ʔaru] (ティドゥク岳の東に<ぞ>古見岳はある) 6446 0 0 6091 htmvoc_6446.wav クンダヌガラサマール ⸢クンダ⸣ヌ ガ⸢ラ⸣サマール [⸢kunda⸣nu ga⸢ra⸣samaːru] 連 こむら(腓)の痙攣。ふくらはぎ(脹脛)の痙攣。 ⸢クンダ⸣ヌ ガ⸢ラ⸣サマール ⸢スー⸣カー ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢kunda⸣nu ga⸢ra⸣samaːru ⸢suː⸣kaː ʔa⸢rakara⸣nu] (こむら<腓>が痙攣すると歩かれない) 6449 0 0 6092 htmvoc_6449.wav グンダンタギラスン ⸢グンダン⸣ タ⸢ギラスン [⸢gundan⸣ ta⸢girasuŋ] 連 酒に酔ってくどくどという。くだを巻く。 ⸢クンザヌ⸣ サ⸢キ⸣ ヌミティ ⸢ビー⸣ルカー ⸢グンダン⸣ タ⸢ギラスンダ パー⸣ク ⸢ヤー⸣ パ⸢ラ⸣シ [⸢kunʣanu⸣ sḁ⸢ki⸣ numiti ⸢biː⸣rukaː ⸢gundan⸣ ta⸢girasunda paː⸣ku ⸢jaː⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (こいつが酒を飲んで酔うとくだを巻くから、早く家に帰せ<行かせ>) 6448 0 0 6093 htmvoc_6448.wav グンダンマーレー ⸢グンダンマーレー [⸢gundammaːreː] 名 転びまわること。寝返りしながら転がること。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ⸢グンダンマーレー シー⸣ カマンタナ ク⸢ルビ⸣ ニ⸢ビベー [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ⸢gundammaːreː ʃiː⸣ kaman⸢ta⸣naː ni⸢bibeː] (あまりの暑さで、転びまわって、ずっとあちら側まで転んでいって寝ているよ) 6099 0 0 6094 htmvoc_6099.wav クンデー ⸢クン⸣デー [⸢kun⸣deː] 名 この前。先日。数日前。この間。以前。 ⸢クン⸣デーラ ⸢ミー⸣マイ ⸢シン⸣ パ⸢ラン⸣カーティ ウムイ⸢ベータン⸣ドゥ ⸢キーマー⸣キ ⸢ベー⸣ティ ⸢キュー⸣ル キ⸢ラリ⸣タ⸢ユー [⸢kun⸣deːra ⸢miː⸣mai ⸢ʃim⸣ pa⸢raŋ⸣kaːti ⸣ʔumui ⸢beːtan⸣du ⸢kiːmaː⸣ki ⸢beː⸣ti ⸢kjuː⸣ru ki⸢rari⸣ta⸢juː] (この前からお見舞いしに行かなければと思っていましたが、来かねていて、やっと今日来ることが出来ました<今日来られました>です)。 ⸢クンデー⸣ヌ ⸣クトー ⸢バシキ ナー⸣ヌ [⸢kundeː⸣nu ⸣ku̥toː ⸢baʃi̥ki naː⸣nu] (先日のことは忘れてしまった)。 ⸢クン⸣デー ウ⸢キ⸣ナーラ ン⸢マー⸣ムヌヌ ウ⸢クラリ⸣ ケーティル ウ⸢リバ⸣ ムティ ⸢クータ⸣ル [⸢kun⸣deː ʔu⸢ki⸣naːra ʔm⸢maː⸣mununu ʔu⸢kurari⸣ keːtiru ʔu⸢riba⸣ muti ⸢kuːta⸣ru] (先日、沖縄から美味しいものが送られて来たので、それを持ってきたよ) 6456 0 0 6095 htmvoc_6456.wav クンドゥ ⸢クン⸣ドゥ [⸢kun⸣du] 名 今度。今回。このたび。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ウ⸢キナー⸣タベー ⸢オーシキン カイ⸣ヤバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢kundu⸣nu ʔu⸢kinaː⸣tabeː ⸢ʔoːʃikiŋ kai⸣jaba ⸢soːja naː⸣nu] (今度の沖縄旅行<沖縄への旅>は天気が良いから<きれいだから>心配はない)。 ⸢クン⸣ドー ⸢マー⸣ パ⸢ル⸣ワ [⸢kun⸣doː ⸢maː⸣ pa⸢ru⸣wa] (今度は何処へ行くか) 6457 0 0 6096 htmvoc_6457.wav クンナ ⸢クン⸣ナ [⸢kun⸣na] 連体 こんな。このような。 ⸢クン⸣ナ ⸣カンナヌ ⸣クトゥ [⸢kun⸣na ⸣kannanu ⸣ku̥tu] (こんなあんなのこと)。 ⸢ウン⸣ナカンナヌ ⸣クトゥ [⸢ʔun⸣nakannanu ku̥tu] (そんなこんなのこと)。 ⸢ワータル ムンヌ⸣ ドゥクー⸢ドゥク クン⸣ナ ⸣クトゥバ ⸢シー⸣ヨー [⸢waːtaru munnu⸣ dukuː⸢duku kun⸣na ⸣ku̥tuba ⸢ʃiː⸣joː] (君ともあろうものが、余りにも期待を裏切って、思慮分別もなく、こんな事をしでかすなんて、ねえ) 6460 0 0 6097 htmvoc_6460.wav クンニャク ⸢クンニャ⸣ク [⸢kunɲa⸣ku] 名 こんにゃく(蒟蒻)。標準語からの借用語。 ム⸢カ⸣シェー ⸢クンニャ⸣コー ⸢ナーン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢konɲa⸣koː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (昔は、蒟蒻は無かった) 6461 0 0 6098 htmvoc_6461.wav クンノーラ ⸢クンノー⸣ラ [⸢kunnoː⸣ra] 名 古典民謡の「古見の裏節」。古典民謡の名曲⸢クンノー⸣ラブシ[⸢kunnoː⸣rabuʃi](古見の浦節)には古典舞踊の「古見の浦舞踊」が対を成していて、\ruby{雅}{ミヤビ}やかな宮廷舞踊の様式美が認められる。 ク⸢ンノー⸣ラー イッ⸢ケン⸣ ウ⸢ムッ⸣サン [⸢kunnoː⸣raː ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢mus⸣saŋ] (古見の浦節<踊り>は非常に面白い) 6462 0 0 6099 htmvoc_6462.wav クンピピル ⸣クンピピル [⸣kumpipiru] 名 黒のヒヒル(黒絹糸{EOS}「蛾、比比流」『和名抄』の転訛)。 ⸣クンピピルバ カ⸢キ⸣ナー ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー [⸣kumpipiruba kḁ⸢ki⸣naː ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (黒の棕櫚縄<絹糸>を掛け縄にして家を造ってあるという)(アーパーレー歌) 6463 0 0 6100 htmvoc_6463.wav グンボー ⸢グン⸣ボー [⸢gum⸣boː] 名 (植)ゴボウ(牛蒡)。石垣方言からの借用語か。鳩間島には産しない。フ⸢ノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦)や⸢ウイバル[⸢ʔuibaru](上原)あたりで栽培されていた。あまり食べなかった。 ⸢グンボー⸣ヤ シ⸢チ⸣ビーシチビーヌ シ⸢ミ⸣ムンナール イ⸢ローッタ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ふァイミラン⸣シェン [⸢gumboː⸣ja ʃi̥⸢ʧi⸣biːʃi̥ʧibiːnu ʃi⸢mi⸣munnaːru ʔi⸢roːtta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː f⸢faimiraŋ⸣ʃeŋ] (牛蒡は月々の祭祀行事の煮しめもの料理に入れられたが、あまり食することはなかった) 6464 0 0 6101 htmvoc_6464.wav グンボーッふァ ⸢グンボー⸣ッふァ [⸢gumboː⸣ffa] 名 混血児。妾腹の子。士族の役人と任地の平民女性<賄い女>との間に生まれた子。⸢グン⸣ボー[⸢gum⸣boː]ともいう。 パ⸢トゥ⸣マナー イ⸢サナキグンボー⸣ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸢オー⸣ルン⸢ダー [pḁ⸢tu⸣manaː ʔi⸢sanakigumboː⸣ ja⸢masï̥⸣ka ⸢ʔoː⸣run⸢daː] (鳩間島には、石垣島から着任した役人と鳩間の賄い女性との間で生まれた子供が大分<かなり>いらっしゃるよ) 6465 0 0 6102 htmvoc_6465.wav クンムラ ⸣クンムラ [⸣kummura] 名 古見村。 ム⸢カ⸣シェー ⸢グイ⸣フゾーノーヤ ⸣クンムラナール ン⸢ザ⸣ソーッタツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːja ⸣kummuranaːru ʔn⸢ʣa⸣soːttaʦoː] (昔は御用布、上納<上納米>は古見村で納められたそうだ) 6466 0 0 6103 htmvoc_6466.wav クンリーヨイ ⸣クンリーヨイ [⸣kunriːjoi] 名 婚礼祝い。石垣方言からの借用語か。普通は⸣ニービキヨイ[⸣niːbikijoi](結婚祝い)という。 イ⸢サナキプソー ⸣ニービキヨイバ ⸣クンリーヨイティル ア⸢ゾー⸣ル [ʔi⸢sanakipu̥soː ⸣niːbikijoiba ⸣kunriːjoitiru ʔa⸢ʣoː⸣ru] (石垣の人は結婚祝いを婚礼祝いと言われる) 6467 0 1 6104 htmvoc_6467.wav ケー ⸣ケー [keː] 接尾 ~達。~方。~等。⸣ケン[⸣keŋ](達、方)ともいう。人や先祖などの名詞に同格の助詞ヌ[nu](の)を介して下接する複数の接尾辞で敬意を表す。キア[kia]が融合変化してケー[keː]となったもの。鳩間方言は口蓋化しないのが普通である。従って[kia] → [kjaː] → [ʧaː] の口蓋化は起こっていない。複数の接尾辞は、{Mn_1}ン[ŋ]<の>を介して名詞につく。 ⸣ウヤンケー [⸣ʔujaŋkeː] (親御達)。 ⸣シザンケー [⸣ʃiʣaŋkeː] (年長者がた)。 ビ⸢キルン⸣ケー [bi⸢kiruŋ⸣keː] (兄弟達)。 ブ⸢ナルン⸣ケー [bu⸢naruŋ⸣keː] (姉妹達)。 ッ⸢ふァン⸣ケー [f⸢faŋkeː] (子供さん達)。 ⸢カン⸣プスンケー [⸢kam⸣pu̥suŋkeː] (神職者がた)。 ウ⸢ヤ⸣プスンケー [ʔu⸢ja⸣pu̥suŋkeː] (ご先祖達)。 ドゥ⸢シン⸣ケー [du⸢ʃiŋ⸣keː] (友人達)。 6467 0 2 6105 htmvoc_6467.wav ケー ⸣ケー [keː] 接尾 {Mn_2}指示代名詞には、⸣ケー[⸣keː](~達)の代わりに、⸣ツァー[⸣ʦaː](~達<敬意を含まない>{EOS}ター{SqBr}taː{/SqBr}<達{EOS}敬意を含まない>)の転訛したものがつく。⸣ター[⸣taː](~達)は、上接語の語末に狭母音[i]が立つと口蓋化して⸣ツァー[⸣ʦaː]となる。人称代名詞の語尾が[i]母音以外の語には、⸣ター[⸣taː](達)がが付く。 ⸢クッ⸣ツァー [⸢kut⸣ʦaː] (これら) ⸢ウッ⸣ツァー [⸢ʔut⸣ʦaː] (それら) ⸢カッ⸣ツァー [⸢kat⸣ʦaː] (かれら))。 ⸢バン⸣ター [⸢ban⸣taː] (僕たち<聞き手を含まない>) ⸢ベーター [⸢beːtaː] (私達<聞き手を含む>) ⸢ワター [⸢wataː] (君たち) ⸢ターター [⸢taːtaː] (誰たち)) 6469 0 0 6106 htmvoc_6469.wav ゲーゲーシ ⸢ゲーゲー⸣シ [⸢geːgeː⸣ʃi] 副 ゲーゲーと。擬音語。船酔い等で、激しく嘔吐するさま。 フ⸢ナイ⸣バ ⸢シー ゲーゲー⸣シ ム⸢ヌ⸣パキ ⸢ベー [ɸu⸢nai⸣ba ⸢ʃiː geːgeː⸣ʃi mu⸢nu⸣pḁki ⸢beː] (船酔いをして、ゲーゲーと嘔吐して<ものを吐いて>いる) 6470 0 0 6107 htmvoc_6470.wav ケーサ ⸢ケー⸣サ [⸢keː⸣sa] 名 しらみ(虱)の卵。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ⸢ターティ ナー⸣ン ガ⸢マ⸣ジナ ⸢ケーサ⸣ヌ ⸣シディ ⸣ッサリティ ヤ⸢ニ⸣ヤタン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ⸢taːtinaː⸣ŋ ga⸢ma⸣ʤina ⸢keːsa⸣nu ⸣ʃidi ⸣ssariti ja⸢ni⸣jataŋ] (戦後は誰彼となく、皆の髪の毛に虱の卵が沢山発生<孵化>して汚かった) 6472 0 1 6108 htmvoc_6472.wav ゲーサウン ⸢ゲーサウン [⸢geːsauŋ] 自動 {Mn_1}出会う。遭遇する。出くわす。 ⸣ミチナー ⸢ゲーサウン [⸣miʧinaː ⸢geːsauŋ] (道で出会う{EOS}行き会う)。 マ⸢ナ⸣マ ⸣パルカー ⸢ゲーサーヌ [ma⸢na⸣ma ⸣parukaː ⸢geːsaːnu] (今行ったら出くわさない)。 ⸢ゲーサイ⸣ ミサン [⸢geːsai⸣ misaŋ] (出くわしてもいい)。 ⸢ゲーサウ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢geːsau⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (出くわすことはない)。 ⸢ゲーサイヤー⸣ ミサムヌ [⸢geːsaijaː⸣ misamunu] (出くわせばよいのに)。 ⸢ゲーサイリ [⸢geːsairi] (出くわせ)。 ミ⸢チ⸣ナー ⸢ゲーサイティ サーリクー⸣タ [mi⸢ʧi⸣naː ⸢geːsaiti saːrikuː⸣ta] (道中で出会って、連れて来た)。 6472 0 2 6109 htmvoc_6472.wav ゲーサウン ⸢ゲーサウン [⸢geːsauŋ] 自動 {Mn_2}擦れ違う。行き違う。 イ⸢サンケー⸣ パル フ⸢ニ⸣トゥ パ⸢トゥ⸣マー ⸣パル ⸣フネー ク⸢モーマン⸣ トンナー ⸢ゲーサウン [ʔi⸢saŋkeː⸣ paru ɸu⸢ni⸣tu pḁ⸢tu⸣maː ⸣paru ⸣ɸuneː ku⸢moːman⸣ tonnaː ⸢geːsauŋ] (石垣へ行く船と鳩間島へ行く船は小浜島の所で行き違う) 6475 0 0 6110 htmvoc_6475.wav ゲーサラカーサラ ⸢ゲーサラカー⸣サラ [⸢geːsarakaː⸣sara] 副 人がぞろぞろと歩いて行き来するさま。 プ⸢スヌ ゲーサラカー⸣サラ ⸢シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ヌ ⸢ヌー⸣バ ⸣ミルンティ ⸢アー⸣クカヤー [pu̥⸢sunu geːsarakaː⸣sara ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣nu ⸢nuː⸣ba ⸣mirunti ⸢ʔaː⸣kukajaː] (人がぞろぞろと歩いて\ruby{行}{ユ}き\ruby{交}{カ}っているが、何を見ようとしているのだろうか) 6471 0 0 6111 htmvoc_6471.wav ケージ ⸢ケージ [⸢keːʤi] 名 (植)樹木の名。落葉高木。和名、マルバチシャノキ。高さ約10メートルに達する。葉の表面には粗毛があり、裏面には小さな固い毛<繊毛>が密生しているので、床や柱などの汚れ落とすのに使用した。これで洗うとサンドペーパーをかけたようになった。ビ⸢キケージ[bi⸢kikeːʤi](雄株)と⸢ミーケー⸣ジ[⸢miːkeː⸣ʤi](雌株)がある。庭園樹として、⸣ユージェー[⸣juːʤeː](松竹家)の屋敷内に植えられていたのが一番大きかった。実はやや球形で直径約2センチ。黄褐色に熟した。渋みがある果肉で美味ではなかった。 ⸢ケージヤ⸣ ビ⸢キケージトゥ ミーケージ⸣ヌ ⸢アッ⸣タン ⸢ケージヌ パー⸣シ ⸢トゥーシ⸣ ッシティ ⸣ガバー ウ⸢タシ⸣タ [⸢keːʤija⸣ bi⸢kikeːʤitu miːkeːʤi⸣nu ʔat⸣taŋ ⸢keːʤinu paː⸣ʃi ⸢tuːʃi⸣ ʃʃiti ⸣gabaː ʔu⸢taʃi̥⸣ta] (マルバチシャノキには雌と雄があった{EOS}マルバチシャノキの葉で縁側の床板をこすって汚れを落とした)。ケージの葉で机の表面をこすって汚れを落としたものである 6473 0 0 6112 htmvoc_6473.wav ケースン ⸢ケースン [⸢keːsuŋ] 他動 消す。 ⸣ピー ⸢ケースン [⸣piː ⸢keːsuŋ] (火を消す)。 ⸢ピー⸣ヤ ⸢ケーサヌ [⸢piː⸣ja ⸢keːsanu] (火は消さない)。 ⸢ケーシ⸣ ミサン [⸢keːʃi⸣ misaŋ] (消してもいい)。 ⸣バー ⸣ドゥーシ ⸢ケースン [⸣baː ⸣duːʃi ⸢keːsuŋ] (私は自分で消す)。 ⸢ケース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢keːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (消すことはいけない<ならぬ>)。 ⸢ケーシェー⸣ ミサムヌ [⸢keːʃeː⸣ misamunu] (消せばよいのに)。 ウ⸢キロー⸣ カ⸢マチェーラ⸣ ン⸢ザ⸣シティ ⸢パー⸣ク ⸢ケーシ [ʔu⸢kiroː⸣ ka⸢maʧeːra⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢paː⸣ku ⸢keːʃi] (熾は竈から出して早く消せ)。 ク⸢レー ケーシヤッ⸣サン [ku⸢reː keːʃijas⸣saŋ] (これは消しやすい)。 ⸢ケース⸣ プ⸢ソー ケーシ⸣バ [⸢keːsu⸣ pu̥⸢soː keːʃi⸣ba] (消す人は消しなさい)。 ウ⸢キロー⸣ カ⸢マチェー⸣ラ カ⸢キンザ⸣シティ ミ⸢ジ⸣ ウティティ ⸢ケーシ⸣ヨー [ʔu⸢kiroː⸣ ka⸢maʧeː⸣ra ka⸢kiʔnʣa⸣ʃi̥ti mi⸢ʤi⸣ ʔutiti ⸢keːʃi⸣joː] (熾は竈から掻きだして、水を打って消しなさい)。 ク⸢レー ケースナ [ku⸢reː keːsuna] (これは消すな) 6477 0 0 6113 htmvoc_6477.wav ケーダ ⸢ケー⸣ダ [⸢keː⸣da] 固 (地)。慶田。大見謝川の西側にある⸢ケーダガー⸣ラ[⸢keːdagaː⸣ra](ケーダ川{EOS}慶田川)の流域(北西流域)に発達した美田地帯。昔は、この辺一帯の水田は西表村の人たちの所有する水田であったという。これとウ⸢タ⸣ラ[ʔu⸢ta⸣ra](浦内川流域、浦内湾沿岸の水田地帯)にあった鳩間村の水田と交換されたという口碑がある(宮良ヲナリ氏、加治工ムヲシヤ氏、大城サカイ氏伝承)。ア⸢ラブシケー[ʔa⸢rabuʃi̥keː](大工家<東大城家>)、⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工家)、イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː](西原家)、パ⸢ナシケー[pa⸢naʃi̥keː](花城家)などの水田がある。 ウ⸢ブミジ⸣ヌ ⸢インタナー⸣ル ⸢ケー⸣ダー ⸣アル [ʔu⸢bumiʣi⸣nu ⸢ʔintanaː⸣ru ⸢keː⸣daː ⸣ʔaru] (大見謝川の西に<ぞ>ケーダはある) 6478 0 0 6114 htmvoc_6478.wav ケーダガーラ ⸢ケーダガー⸣ラ [⸢keːdagaː⸣ra] 固 ケーダ川。この辺りでは最も水量の豊かな川。ウ⸢ブ⸣ミジ[ʔu⸢bu⸣miʤi](大見謝川)と共にティ⸢ドゥ⸣クダキ(ティドゥク山)の北側に流出する川。ティドゥク岳やタ⸢カ⸣スク[ta⸢ka⸣su̥ku]の野、ブ⸢ナージマ[bu⸢naːʤima]の野一帯に降る雨を集めて流れる川であるから、ウ⸢ブ⸣ミジ(大見謝川)の流水が枯れるような旱魃にも、この川の水は枯れないといわれている。この川の流域に発達した美田地帯が⸢ケーダタバ⸣ル[⸢keːdataba⸣ru](ケーダ田原<⸢田袋」の義か>)である。下流の両岸一帯にはア⸢カ⸣ズミキー[ʔa⸢ka⸣ʣumikiː](ひるぎ{EOS}マングローブ)が群落密生する 6479 0 0 6115 htmvoc_6479.wav ケーダタバル ⸢ケーダタバ⸣ル [⸢keːdataba⸣ru] 固 地名。ケーダ田原(ケーダ田袋)。⸢ケーダガー⸣ラ[⸢keːdagaː⸣ra](ケーダ川)の西側流域に発達した水田地帯。⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工家)、ア⸢ラブシケー[ʔa⸢rabuʃi̥keː](東大城家<大工家>)、イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː](西原家)、パ⸢ナシケー[pa⸢naʃi̥keː](花城家)の水田があった。 ⸢ケーダタバ⸣ロー イッ⸢ケナ マイ ノー⸣ルン [⸢keːdataba⸣roː ʔik⸢kena mai noː⸣ruŋ] (ケーダ田原<田袋>は非常に稲が稔る) 6474 0 0 6116 htmvoc_6474.wav ゲーッケーシ ⸢ゲーッケー⸣シ [⸢geːkkeː⸣ʃi] 副 嘔吐するさま。げえげえと。擬音語。 カ⸢ツシン⸣ナーティ フ⸢ナイ⸣バ ⸢シー ゲーッケー⸣シ ム⸢ヌ⸣バ パキ ⸢ベー [ka⸢ʦuʃin⸣naːti ɸu⸢nai⸣ba ⸢ʃiː geːkkeː⸣ʃi mu⸢nu⸣ba ⸣pḁki ⸢beː] (カツオ漁船で船酔いをして、げえげえと嘔吐して<ものを吐いて>いる) 6476 0 0 6117 htmvoc_6476.wav ゲーッティ ゲーッ⸢ティ [geːt⸢ti] 副 ものを吐くさま。げーっと。嘔吐するとき、喉から出る音を形容して、そのように吐くさま。(擬音語)。 ムヌ⸢パキッ⸣ツァーカー フ⸢チンナカー ティー⸣バ ウ⸢シナキティ⸣ ゲーッ⸢ティ⸣ パ⸢キザ⸣シバ [mu⸢nupakit⸣ʦaːkaː ɸu̥⸢ʧinnakaː tiː⸣ba ʔu⸢ʃinakiti⸣ geːt⸢ti⸣ pa⸢kiʣa⸣ʃiba] (むかむかして嘔吐しそうだったら、口の中に手を突っ込んで、げーっと吐き出しなさいよ)。ゲーッと。のど(喉)の鳴るさま。擬音語。満腹して胃の中のガスが口外に出るときに鳴る音。 ⸢ンーニ⸣ ス⸢クン⸣ケン ッ⸢ふァイティ⸣ バ⸢タフク⸣ル シ⸢ティル⸣ ゲーッ⸢ティ⸣ ヌドゥ ⸢ナーラシ ベー [⸢ʔnːni⸣ su̥⸢kuŋ⸣keŋ f⸢faiti⸣ ba⸢taɸu̥ku⸣ru ʃi̥⸢tiru⸣ geːt⸢ti⸣ nudu ⸢naːraʃi beː] (胸につかえる<痞える>ほど食べて、お腹が張って<腹膨れして>、ゲーっと喉を鳴らしている) 6481 0 0 6118 htmvoc_6481.wav ケーラ ケー⸢ラ [keː⸢ra] 名 私たち皆。全員。すべての皆さん。皆様。丁寧は表現。人間以外には用いない。ケー⸢ラネーラ[keː⸢raneːra](私たち全員{EOS}「吾等全員」の丁寧な言い方)ともいう。 シ⸢マ⸣ヌ ケー⸢ラヌ⸣ タ⸢ミバ⸣ ウ⸢ムイ⸣ル ⸢シェー⸣クトゥ⸢ユー [ʃi⸢ma⸣nu keː⸢ranu⸣ ta⸢miba⸣ ʔu⸢mui⸣ru ⸢ʃeː⸣ku̥tu⸢juː] (島の皆の為<利益>を思ってやったことでございます)。 ケー⸢ラネーラヌ⸣ ドゥーパダニンガイ ⸢シー オースン [keː⸢raneːra⸣nu ⸣duːpadaniŋgai ⸢ʃiː ʔoːsuŋ] (島の皆さん<全員>の健康祈願をしてさしあげます) 6482 0 0 6119 htmvoc_6482.wav ケーラ ⸢ケー⸣ラ [⸢keː⸣ra] 接尾 回。度。回数、度数を数える語。「ただひとかへり舞ひて入りぬるは『源氏物語(若菜)』」の転訛したもの。 プ⸢スケー⸣ラ フ⸢タケーラ⸣ ヤ⸢ル⸣カー ⸣ミサンドゥ ⸣カイニ ギュー⸢ムシン⸣ イ⸢ミラ⸣リカー ター⸢ン クン⸣ゾー ン⸢ジ⸣ス [pu̥⸢sukeː⸣ra ɸu̥⸢takeːra⸣ ja⸢ru⸣kaː ⸣misandu ⸣kaini gjuː⸢muʃiŋ⸣ ʔi⸢mira⸣rikaː taː⸢ŋ kun⸣ʣoː ʔn⸢ʤi⸣su] (一度や二度であればよいが、このように何度もせびられると誰でも怒る<根性が起こる>)。 ⸢ミーケーラ [⸢miːkeːra] (三度)。 ⸢ユーケーラ [⸢juːkeːra] (四度)。 イ⸢チケー⸣ラ [ʔi⸢ʧikeː⸣ra] (五度)。 ⸢ムーケーラ [⸢muːkeːra] (六度)。 ナ⸢ナケー⸣ラ [na⸢nakeː⸣ra] (7度)。 ⸢ヤーケーラ [jaːkeːra] (八度)。 ク⸢ヌケー⸣ラ [ku⸢nukeː⸣ra] (九度)。 ⸢トゥーケーラ [⸢tuːkeːra] (十度) 6488 0 0 6120 htmvoc_6488.wav ゲーラーゲーラーシ ゲー⸢ラーゲーラー⸣シ [geː⸢raːgeːraː⸣ʃi] 副 貧相なさまで。みすぼらしい様子で。粗末に。 ⸢ヤー⸣ユン ゲー⸢ラーゲーラー⸣シ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸢jaː⸣juŋ geː⸢raːgeːraː⸣ʃi su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (家もみすぼらしく作ってある) 6487 0 0 6121 htmvoc_6487.wav ゲーラーン ⸢ゲー⸣ラーン [⸢geː⸣raːŋ] 形 物量が少ない。幼稚である。未熟である。 イ⸢ズーン⸣ タクーン ⸢ゲー⸣ラーンダ バ⸢キララ⸣ヌ [ʔi⸢ʣuːn⸣ tḁkuːŋ ⸢geː⸣raːnda ba⸢kirara⸣nu] (魚も蛸も少ないので分けられない)。 ⸣アイ ⸢スン⸣ケン ⸢ゲーラーナー⸣ヌ [⸣ʔai ⸢suŋ⸣keŋ ⸢geːraːnaː⸣nu] (それほど未熟ではない)。 ⸣ドゥク ⸢ゲーラー⸣ヌ バ⸢キララ⸣ヌ [⸣duku ⸢geːraː⸣nu ba⸢kirara⸣nu] (あまりにも少ないので分けられない)。 ⸢ゲー⸣ラー ⸣ムノーラー バ⸢キララ⸣ヌ [⸢geː⸣raː ⸣munoːraː ba⸢kirara⸣nu] (少ないものからは分けられない)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホー⸣ンダル ヤ⸢サイ⸣ヌン ガ⸢ギリティ ⸢サッ⸣コー ⸢ゲー⸣ラーツォー [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːn⸣daru ja⸢sai⸣nun ga⸢giriti ⸢sak⸣koː ⸢geː⸣raːʦoː] (雨が降らないので野菜も痩せて非常に未熟だそうだ) 6484 0 0 6122 htmvoc_6484.wav ケーラスン ⸢ケーラ⸣スン [⸢keːra⸣suŋ] 他動 ひっくり返す。転倒させる。勢いよく倒す。老年層は、⸢カイラ⸣スン[⸢kaira⸣suŋ](ひっくり返す)という。 ア⸢バトゥ⸣カー ⸢サー⸣ブン ⸢ケーラ⸣スン⸢ダー [ʔa⸢batu⸣kaː ⸢saː⸣buŋ ⸢keːra⸣sun⸢daː] (あわてる<慌てる>と茶盆をひっくり返すよ)。 ⸢ケーラサ⸣ヌ [⸢keːrasa⸣nu] (ひっくり返さない)。 ⸢ケーラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢keːra⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (ひっくり返してしまった) 6485 0 0 6123 htmvoc_6485.wav ケーラネーラ ケー⸢ラネーラ [keː⸢raneːra] 名 皆々様。 ケー⸢ラネーラヌ⸣ ニ⸢ガイ⸣シキ タ⸢ブ⸣ローッタ ウ⸢カ⸣ギシ ⸢ウイヌ ガッ⸣コーン ⸢ペーラ⸣リ マイ⸢ダン⸣ フ⸢コーラサ⸣ユー [keː⸢raneːranu⸣ ni⸢gai⸣ʃi̥ki ta⸢bu⸣roːtta ʔu⸢ka⸣giʃi ⸢ʔuinu gak⸣koːm ⸢peːra⸣ri mai⸢daŋ⸣ ɸu̥⸢koːrasa⸣juː] (皆々様がご祈願くださいましたお陰で上級学校に入ることが出来まして、誠に有難うございます) 6489 0 0 6124 htmvoc_6489.wav ケールン ⸢ケー⸣ルン [⸢keː⸣ruŋ] 他動 叩き切る。ぶった切る。ぶっきる。ヤ⸢マンガラ⸣シ[ja⸢maŋgara⸣ʃi](山刀)や⸣ナタ[⸣nata](鉈)などを振り下ろして切る。 ⸢キーヌ⸣ユダ ⸢ケー⸣リ ウ⸢タ⸣シ [⸢kiːnu⸣juda ⸢keː⸣ri ʔu⸢ta⸣ʃi] (木の枝を叩き切って落とせ)。 ⸢ケーララ⸣ヌ [⸢keːrara⸣nu] (叩き切れない)。 ク⸢リ⸣シ ⸢シン⸣ザ ⸢ケー⸣ルンティ ⸣ウムーカー ⸢ケー⸣リバ [ku⸢ri⸣ʃi ⸢ʃin⸣ʣa ⸢keː⸣runti ⸣ʔumuːkaː ⸢keː⸣riba] (これで砂糖きびを叩き切ろうと思うなら叩き切れ)。 ⸢ケー⸣ル ⸣ムノー ⸢ケー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢keː⸣ru ⸣munoː ⸢keː⸣reː ⸣misamunu] (叩き切るものは叩き切ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ケー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢keː⸣reː ⸣misamunu] (早くぶった切ればいいのに)。 ⸢ケー⸣リバ [⸢keː⸣riba] (ぶった切れ) 6486 0 0 6125 htmvoc_6486.wav ケットー ⸢ケットー [⸢kettoː] 名 血統。血筋。新しく標準語から借用された語。普通は⸣シジ[⸣ʃiʤi](筋、血筋)という。 ⸢ウン⸣ネーヤ ディ⸢キヤー⸣ヌ ⸢ケットー <タックイ> [⸢ʔun⸣neːja di⸢kijaː⸣nu ⸢kettoː ] (その家は秀才の血統だ) 6483 0 1 6126 htmvoc_6483.wav ゲラ ⸢ゲ⸣ラ [⸢ge⸣ra] 終助 ~さ。~よ。若年層は、⸢ギャ⸣ー[⸢gja⸣ː](~さ{EOS}~よ)ともいう。いろいろな語に付く。{Mn_1}名詞に付く。 ク⸢レー⸣ ヌーヤ{EOS}イ⸢ズゲ⸣ラ [ku⸢reː⸣ nuːja{EOS}ʔi⸢ʣuge⸣ra] (これは何か{EOS}魚さ)。 ウ⸢レー⸣ フニ⸢ゲ⸣ラ [ʔu⸢reː⸣ ɸuni⸢ge⸣ra] (それは舟さ)。 6483 0 2 6127 htmvoc_6483.wav ゲラ ⸢ゲ⸣ラ [⸢ge⸣ra] 終助 {Mn_2}文末の動詞の連用形に下接する。同等又は目下に対して用いられ、軽い断定の意を、ぞんざいな感じで表現する。 ⸢バン⸣ヌン パリ⸢ゲ⸣ラ <パリ⸢ギャ⸣ー> [⸢ban⸣num pari⸢ge⸣ra ] (私も行くさ)。 ⸣アツァー カキ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔaʦaː kḁki⸢ge⸣ra] (明日は書くさ)。 ⸣ドゥーシ パ⸢ナ⸣シ⸢ゲ⸣ラ [⸣duːʃi pa⸢na⸣ʃi⸢ge⸣ra] (自分で話すさ)。 ⸣ドゥーシ タティ⸢ゲ⸣ラ [⸣duːʃi tḁti⸢ge⸣ra] (自分で立つさ)。 シ⸢ティシキ⸣ルカー シ⸢ニゲ⸣ラ [ʃi̥⸢tiʃi̥ki⸣rukaː ʃi⸢nige⸣ra] (放置しておくと死ぬさ)。 ⸣ドゥーシ トゥリ⸢ゲ⸣ラ [⸣duːʃi turi⸢ge⸣ra] (自分で取るさ)。 ⸢タンガ⸣シン ユミ⸢ゲ⸣ラ [⸢taŋga⸣ʃiŋ jumi⸢ge⸣ra] (一人ででも読むさ)。 ⸣アツァン キー⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔaʦaŋ kiː⸢ge⸣ra] (明日も来るさ)。 ア⸢ザン⸣タンティン ⸢シーゲ⸣ラ [ʔa⸢ʣan⸣tantiŋ ⸢ʃiːge⸣ra] (言わなくたってするさ)。 6483 0 3 6128 htmvoc_6483.wav ゲラ ⸢ゲ⸣ラ [⸢ge⸣ra] 終助 {Mn_3}形容詞の連体形に付く。 ク⸢リル カイ⸣ヤ⸢ゲ⸣ラ [ku⸢riru kai⸣ja⸢ge⸣ra] (これが<ぞ>美しいさ)。 6483 0 4 6129 htmvoc_6483.wav ゲラ ⸢ゲ⸣ラ [⸢ge⸣ra] 終助 {Mn_4}助動詞の連体形に付く。 ウ⸢レー⸣ キノー ⸢ワー⸣ カ⸢ク⸣タ⸢ゲ⸣ラ [ʔu⸢reː⸣ kinoː ⸢waː⸣ kḁ⸢ku⸣ta⸢ge⸣ra] (それは昨日君が書いたさ) 6490 0 0 6130 htmvoc_6490.wav ケン ⸣ケン [⸣keŋ] 名 尺貫法で、長さを表す単位。六尺(約1、818メートル)。柱と柱の間。 ⸢イッケン [⸢ʔikkeŋ] (一間)。 ⸢ニッ⸣ケン [⸢nik⸣keŋ] (二間)。 ⸣サンゲン [⸣saŋgeŋ] (三間)。 ⸢ヨンケン [⸢joŋkeŋ] (四間)。 ゴ⸢ケン [go⸢keŋ] (五間)。 ⸢ロッ⸣ケン [⸢rok⸣keŋ] (六間)。 ナ⸢ナ⸣ケン [na⸢na⸣keŋ] (七間)。 ⸢ハッ⸣ケン [⸢hak⸣keŋ] (八間)。 ⸢キューケン [⸢kjuːkeŋ] (九間)。 ⸣ジッケン [⸣ʤikkeŋ] (十間)。 ウ⸢ブヤー⸣ヤ サンゲン⸢ハン⸣ナ ⸢ヨンケンハンヌ カー⸣ラヤー [ʔu⸢bujaː⸣ja saŋgeŋ⸢han⸣na ⸢joŋkeŋhannu kaː⸣rajaː] (母屋は三間半に四間半の瓦葺家だ) 6491 0 0 6131 htmvoc_6491.wav ケン ⸣ケン [⸣keŋ] 接尾 回。回数。たび。度。 プ⸢ス⸣ケンシ ム⸢タラ⸣ヌ [pu̥⸢su⸣keŋʃi mu⸢tara⸣nu] (一度に持てない)。 フ⸢タケン⸣シェー ム⸢タ⸣リン [ɸu̥⸢takeŋ⸣ʃeː mu⸢ta⸣riŋ] (二度では運べる<持てる>) 6492 0 0 6132 htmvoc_6492.wav ケン ⸣ケン [⸣keŋ] 接尾 複数を表す。~たち。~ら<等>。~がた<方>。~⸣ケー[⸣keː](~たち{EOS}~がた<方>)ともいう。 ウ⸢トゥ⸣ザンケンヌ ⸣カナイ ⸢オー⸣ルン [ʔu⸢tu⸣ʣaŋkennu ⸣kanai ⸢ʔoː⸣ruŋ] (親戚の方々がしっかりして<敵って>おられる)。 ⸣シザンケン [⸣ʃiʣankeŋ] (年輩方{EOS}年上の人々)。 ⸣ウヤンケン ⸣ラク シ⸢ミオーラ⸣シ [⸣ʔujaŋken ⸣raku ʃi⸢miʔoːra⸣ʃi] (親達に楽をさせて差し上げなさい<おわさせよ>) 6493 0 1 6133 htmvoc_6493.wav ケン ⸣-ケン [⸣-keŋ] 副助 ~まで。動作動詞、状態動詞の終止形に付いて、{Mn_1}動作、作用が時間的、空間的に到達する点(到達点)を表す。 ⸣バー ⸢イー⸣ ッふンケン ⸣マティ ⸢ベー⸣リ [⸣baː ⸢ʔiː⸣ ffuŋkem ⸣mati ⸢beː⸣ri] (私が飯を食うまで待っておれ)。 サ⸢クラヌ⸣ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクンケン⸢バー⸣キナ ス⸢クラ⸣リンパジ [sḁ⸢kuranu⸣ pa⸢na⸣nu sḁkuŋkem⸢baː⸣kina su̥⸢kura⸣rimpaʤi] (桜の花の咲く頃までには作られるはずだ)。 キ⸢ム⸣ヌ フ⸢グン⸣ケン ア⸢サバシティ サーク⸣タ [ki⸢mu⸣nu ɸu⸢guŋ⸣keŋ ʔa⸢sabaʃi̥ti saːku⸣ta] (満足する<肝が祝ぐ>まで遊ばせて連れ帰った)。 ⸢ウー⸣ケーラ ミ⸢ジヌ⸣ ア⸢バッカイルン⸣ケン ミ⸢ジ⸣ パ⸢ラ⸣シ ⸣シケー [⸢ʔuː⸣keːra mi⸢ʤinu⸣ ʔa⸢bakkairuŋ⸣kem mi⸢ʤi⸣ pa⸢ra⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (桶から水が溢れるまで水を流して<走らせて>おいてある)。 6493 0 2 6134 htmvoc_6493.wav ケン ⸣-ケン [⸣-keŋ] 副助 {Mn_2}~の間に。~までに。 ヌ⸢チ⸣ヌ ⸣アルンケンナー ⸣ヌーンクイン ⸣カキ ヌ⸢カサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [nu⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaruŋkennaː ⸣nuːŋkuiŋ ⸣kḁki nu⸢kasaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (命がある間に何もかも書き残さないといけない) 6494 0 1 6135 htmvoc_6494.wav ケン ⸣-ケン [⸣-keŋ] 接助 {Mn_1}~と。~すると。~とそのとき。~うちに。~あいだに。活用語の終止形に下接して、前件のある動作が起きたときに、後件の事件や動作が起きることを表す。 ⸢ター⸣ヌ ⸢ミーマー⸣ル ⸢シン⸣ パルンケン パ⸢ブン ホー⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸢taː⸣nu ⸢miːmaː⸣ru ⸢ʃim⸣ paruŋkem pa⸢buŋ hoː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (田圃の見回りをしに行くと<その時に>、ハブに咬まれてしまった)。 ⸣ヤドゥ ア⸢キルン⸣ケン ⸣ウナー プ⸢スヌ⸣ タティ ⸢ベー⸣タ [⸣jadu ʔa⸢kiruŋ⸣keŋ ⸣ʔunaː pu̥⸢sunu⸣ tati ⸢beː⸣ta] (戸を開けると、そこに人が立っていた) 6495 0 0 6136 htmvoc_6495.wav ケング ⸢ケン⸣グ [⸢keŋ⸣gu] 名 踊り。狂言。⸢キョン⸣ギン[⸢kjoŋ⸣giŋ](踊り{EOS}狂言{EOS}芝居)のくだけたた言い方。 ⸢ケン⸣グ ⸢シー⸠ミー [⸢keŋ⸣gu ⸢ʃiː⸠miː] (踊りをしてごらん<してみれ>)。 キ⸢チゴンナー⸣ヤ ブ⸢ドゥルケングン⸣ ス⸢クミティル ソーッタ⸣ル [ki⸢ʧigonnaː⸣ja bu⸢durukeŋgun⸣ su̥⸢kumitiru soːtta⸣ru] (結願祭には踊り狂言をも仕組んでなさったものだ) 6496 0 0 6137 htmvoc_6496.wav ケンツァ ⸢ケン⸣ツァ [⸢ken⸣ʦa] 名 片足とび遊び。地面に六、七段の一定の区画図を描き、出発点から最も遠いところを天国とする。⸢ゾン⸣ギ[⸢ʣoŋ⸣gi](定規{EOS}瓦の破片でつくる円盤)を投げて一段から順次各段の区画に入れる。定規のある区画は飛び超えて天国へ行き、帰りに定規を取って出発点に戻り得点する。これを繰り返して得点を競う遊び。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸣ユー ⸢ケン⸣ツァー ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː juː ⸢ken⸣ʦaː ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (子供の頃はよく片足とび遊びをして遊んだ) 6497 0 0 6138 htmvoc_6497.wav ケンナー ⸢ケンナー [⸢kennaː] 名 間縄。稲を植え付ける最適間隔の目印を施した縄。これを田圃に張って真っ直ぐに田植えをした。 ⸢ケンナー⸣ パ⸢リティ マイ⸣ イ⸢ブ⸣カー バ⸢カー⸣ムヌンケーン ミ⸢ドゥムン⸣ケーン マッ⸢シグ⸣ イ⸢ブ⸣クトー ⸢ナッ⸣タン [⸢kennaː⸣ pa⸢riti mai⸣ ʔi⸢bu⸣kaː ba⸢kaː⸣muŋkeːm mi⸢dumuŋ⸣keːm maʃ⸢ʃigu⸣ ʔi⸢bu⸣ku̥toː ⸢nat⸣taŋ] (間縄を張って稲を植えると若者達も女性達も真っ直ぐに稲を植えることが出来た) 6498 0 0 6139 htmvoc_6498.wav ゲンノー ⸢ゲン⸣ノー [⸢gen⸣noː] 名 げんのう(玄翁)。金槌。鉄製の槌。道具の導入に伴い、新しく借用された語。頭部のみ鉄製で、柄は木で出来ているものもある。頭が四角錐形のものや、羽形の釘抜きになっているものもある。 ウ⸢ブゲン⸣ノー [ʔu⸢bugen⸣noː] (大きな玄翁)。 ゲン⸢ノー⸣マ [gen⸢noː⸣ma] (小さな玄翁)。 ⸢ゲン⸣ノーシ ⸢フン⸣ ウティ [⸢gen⸣noːʃi ⸢ɸuŋ⸣ ʔuti] (玄翁で釘を打て) 6505 0 0 6140 htmvoc_6505.wav コー ⸢コー [⸢koː] 名 孝。孝行。 イ⸢ジン⸣ジ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢コー シーオーサバル マイフナー⸣ マ⸢リル⸣ダー [ʔi⸢ʤin⸣ʤi ʔu⸢ja⸣nu ⸢koː ʃiː ʔoːsabaru maiɸunaːja⸣ ma⸢riru⸣daː] (一所懸命親に孝を尽くし<孝行をして差し上げ>たらばこそ立派な人になることが出来る<生まれる{EOS}成長する>のだぞ) 6506 0 0 6141 htmvoc_6506.wav コー ⸢コー [⸢koː] 接頭 形容詞⸢コー⸣ン[⸢koː⸣ŋ](硬い)の語幹。接頭語。⸢硬い。厳しい」の意味。「こはし(強)、己波志<こはし>『新撰字鏡』」の転訛したもの。 ⸢コー⸣ムヌ [⸢koː⸣munu] (硬いもの)。 ⸢コー⸣ムニ シゥ⸢カイベー [⸢koː⸣muni si̥⸢kaibeː] (厳しい表現<硬い言葉>を使っている<喧嘩の前兆だ>)。 ⸢コー⸣イー [⸢koː⸣ʔiː] (強めし<強飯>{EOS}米の御飯)。 ⸢コーズー⸣シー [⸢koːʣuː⸣ʃiː] (硬い雑炊{EOS}硬いおじや) 6507 0 0 6142 htmvoc_6507.wav ゴー ⸣ゴー [⸣goː] 助数 合。容積の単位を表す。一升の10分の1。 イ⸢チン⸣ゴー [ʔi⸢ʧiŋ⸣goː] (一合)。 ⸢ニン⸣ゴー [⸢niŋ⸣goː] (二合)。 ⸢サン⸣ゴー [⸢saŋ⸣goː] (三合)。 ⸢シン⸣ゴー [⸢ʃiŋ⸣goː] (四合)。 ⸢グン⸣ゴー [⸢guŋ⸣goː] (五合)。 ル⸢クン⸣ゴー [ru⸢kuŋ⸣goː] (六合)。 シ⸢チン⸣ゴー [ʃi̥⸢ʧiŋ⸣goː] (七合)。 パ⸢チン⸣ゴー [pa⸢ʧiŋ⸣goː] (八合)。 ⸢クン⸣ゴー [⸢kuŋ⸣goː] (九合)。⸢イッ⸣スー[⸢ʔis⸣suː](一升)と数える 6508 0 0 6143 htmvoc_6508.wav コーイー ⸢コー⸣イー [⸢koː⸣ʔiː] 名 おこわ。こわいい(強飯)。硬めに炊いた米飯。「強飯、コハイヒ、飯字亦作餅」『色葉字類抄』。「強飯、コワイイ、或云赤飯<せきはん>」『文明本節用集』。「Couaiiy.コワイイ(強い飯)→ Xeqifan.couaiiy.セキハン、または、コワイイィ(赤飯{EOS}または、強い飯)熱湯の湯気で蒸した糯米(もちごめ)の飯」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ピ⸢サシ⸣イー [pi̥⸢saʃi⸣ʔiː] (硬めに炊いた米飯{EOS}「水分を干させた飯」の義{EOS}通常の米飯ともいう)。 ⸢マイヌ コーイー⸣ヤー マ⸢ルケーティナー⸣ル バ⸢カソーッ⸣タ [⸢mainu koːʔiː⸣ja ma⸢rukeːtinaː⸣ru ba⸢kasoːt⸣ta] (お米のご飯(強飯)はたま<偶>に<ぞ>炊かれた)。 ヤ⸢ミプスン⸣マー ⸢コー⸣イーラン ⸢カイ⸣ ッ⸢ふァースル⸣ マ⸢シ⸠ダー [ja⸢mipusum⸣maː ⸢koː⸣ʔiːraŋ ⸢kai⸣ f⸢faːsuru⸣ ma⸢ʃi⸠daː] (病人にはご飯<強飯>よりもお粥を食べさせるのがよい) 6509 0 0 6144 htmvoc_6509.wav コーガー ⸢コー⸣ガー [⸢koː⸣gaː] 名 疲労困憊して、眼の\ruby{隈}{クマ}ができ、力がなくぼんやりしていること。 ブ⸢ガ⸣リティ ⸢ミーコー⸣ガー ナリ⸢ベー [bu⸢ga⸣riti ⸢miːkoː⸣gaː nari⸢beː] (疲れ果てて、眼の隈ができてぼんやりしている) 6510 0 0 6145 htmvoc_6510.wav コーガーキ ⸢コーガー⸣キ [⸢koːgaː⸣ki] 名 頬被り。覆面。「顔掛け」の義。タオルで頬被りすること。 ⸢ソーラン⸣ヌ ⸢アン⸣ガマ ⸣カブ ⸣ピンマー ウ⸢スッ⸣ふァイシ ⸢コーガー⸣ケー ⸢シェー⸣ティル ⸢ソーッ⸣タ [⸢soːran⸣nu ⸢ʔaŋ⸣gama ⸣kabu ⸣pimmaː ʔu⸢suf⸣faiʃi ⸢koːgaː⸣keː ⸢ʃeː⸣tiru ⸢soːt⸣ta] (お盆のアンガマ踊りをする<アンガマを被る>ときは風呂敷で頬被りをしてなさった) 6511 0 0 6146 htmvoc_6511.wav コーカイシン ⸢コーカイ⸣シン [⸢koːkai⸣ʃiŋ] 名 定期船。運搬船。⸢航海船」の転訛したもの。 ⸢コーカイシン⸣マー <⸢ウンパンシン⸣マー> ⸢フシゥカゴーシ⸣シル ⸣クー [⸢koːkaiʃim⸣maː <⸢ʔumpaŋʃim⸣maː> ⸢ɸusi̥kagoːʃi⸣ʃiru ⸣kuː] (定期船は二日おきにしか来ない<二日おきにぞ来る>) 6512 0 0 6147 htmvoc_6512.wav ゴーカジ ⸢ゴー⸣カジ [⸢goː⸣kaʤi] 名 種々。数々。色々。ありったけ。 シ⸢ナムヌヌ ゴー⸣カジ ⸣ヌーンクイン ス⸢ルイ⸣ブ [ʃi⸢namununu goː⸣kaʤi ⸣nuːŋkuiŋ su⸢rui⸣bu] (品物のありったけ<数々>、あらゆる物が揃っている)。 ⸢カーシムヌヌ⸣ シ⸢ナカジ ゴー⸣カジ カ⸢ザラリ ベー [⸢kaːʃimununu⸣ ʃi⸢nakaʤi goːka⸣ʤi ka⸢ʣarari beː] (売り物<商品>のあらゆる種類を取り揃えて並べられて<飾られて>いる)。 ⸢ゴーグチ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ [⸢goːguʧi⸣nu ⸢goːka⸣ʤi] (罵詈雑言のありったけ) 6513 0 0 6148 htmvoc_6513.wav コーキー ⸢コー⸣キー [⸢koː⸣kiː] 名 硬い木。木質の硬い木。 ⸢コーキーヌ⸣ル ブ⸢リ⸣ル ⸢ヤー⸣ラー ⸣キーヤ ブ⸢リラ⸣ヌ [⸢koːkiːnu⸣ru bu⸢ri⸣ru ⸢jaː⸣raː ⸣kiːja bu⸢rira⸣nu] (硬い木が折れる<折れやすい>{EOS}軟らかい木は折れない<健康に自信のある人が病に倒れやすい{EOS}一病息災>{EOS}諺) 6514 0 0 6149 htmvoc_6514.wav コーグ ⸢コー⸣グ [⸢koː⸣gu] 名 腰の曲がった者。背骨が弓状に湾曲すること。その病気。 ⸢コー⸣グ マ⸢ガルン [⸢koː⸣gu ma⸢garuŋ] (背骨が湾曲する)。 ⸣トゥシ ⸢トゥッ⸣ター ⸢コー⸣グ マ⸢ガリティ⸣ ア⸢ラキユーサ⸣ヌ [⸣tuʃi ⸢tut⸣taː ⸢koː⸣gu ma⸢gariti⸣ ʔa⸢rakijuːsa⸣nu] (年をとったので背骨が曲がって歩けない<歩きえない>) 6516 0 0 6150 htmvoc_6516.wav ゴーグチ ⸢ゴーグ⸣チ [⸢goːgu⸣ʧi] 名 罵詈雑言。強い苦情。盛んに悪口を言うこと。不平不満の悪口。強く反抗すること。「こわぐち(強口)」の義。 ウ⸢リン ゴーグ⸣チ サ⸢リ⸣カー ナ⸢クラーン⸣ダー [ʔu⸢riŋ goːgu⸣ʧi sa⸢ri⸣kaː na⸢kuraːn⸣daː] (この人に罵詈雑言をいわれたら怖いよ) 6517 0 0 6151 htmvoc_6517.wav コーコー ⸢コーコー [⸢koːkoː] 名 孝行。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢コーコーヤ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ス⸢クブン [ʔu⸢ja⸣nu ⸢koːkoːja⸣ f⸢fanu⸣ su̥⸢kubuŋ] (親の孝行は子供の義務<職分>だ) 6518 0 0 6152 htmvoc_6518.wav ゴーゴー ⸢ゴーゴー [⸢goːgoː] 副 ぐうぐう。ぐっすり眠るさま。いびき(鼾)をかいて眠るさま。 ⸢ゴーゴー⸣シ ニ⸢ビ ターリベー [⸢goːgoː⸣ʃi ni⸢bi taːribeː] (ぐうぐうと寝入っている{EOS}熟睡している)。 ⸢ゴーゴー⸣シ パ⸢ナ⸣フキ ニ⸢ビベー [⸢goːgoː⸣ʃi pa⸢na⸣ɸu̥ki ni⸢bibeː] (ぐうぐう\ruby{SqBr}g{/SqBr}{鼾}{イビキ}をかいて眠っている) 6519 0 0 6153 htmvoc_6519.wav コーコーシ ⸢コーコー⸣シ [⸢koːkoː⸣ʃi] 副 硬く。硬めに。形容詞⸢コー⸣ン[⸢koː⸣ŋ](硬い{EOS}「磽、己波志<こはし>」『新饌字鏡』からの転訛)の語幹重複形(畳語)に格助詞シ[ʃi](~と)が付いて状態や様子を表す副詞。 ⸢イー⸣ヤ ⸢コーコー⸣シ バ⸢カシ [⸢ʔiː⸣ja ⸢koːkoː⸣ʃi] (御飯は硬めに<強強と>) 6520 0 0 6154 htmvoc_6520.wav ゴーゴーシ ⸢ゴーゴー⸣シ [⸢goːgoː⸣ʃi] 副 ぐうぐうと。老年層は⸢ゴールゴール⸣シ[⸢goːrugoːru⸣ʃi](こおろこおろと{EOS}ぐうぐうと)という。 ⸢ゴーゴー⸣シ パ⸢ナ⸣フキ ニ⸢ビ ベー [⸢goːgoː⸣ʃi pa⸢na⸣ɸu̥ki ni⸢bi beː] (ぐうぐうと\ruby{鼾}{イビキ}をかいて眠っている)。 ⸢ゴールゴール⸣シ パ⸢ナ⸣フキ ニ⸢ビ ベー [⸢goːrugoːru⸣ʃi pa⸢na⸣ɸu̥ki ni⸢bi beː] (こおろこおろといびき<鼾>をかいて寝ている) 6523 0 0 6155 htmvoc_6523.wav ゴーサ ⸢ゴー⸣サ [⸢goː⸣sa] 名 かいせん(疥癬)。伝染性皮膚病の一種。 ⸢ゴー⸣サー ⸣カキティ ⸢ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラン⸣ツォー [⸢goː⸣saː ⸣kakiti ⸢biːjoː⸣nu na⸢ran⸣ʦoː] (疥癬にかかって\ruby{痒}{カユ}くてたまらないそうだ) 6522 0 0 6156 htmvoc_6522.wav コーサー ⸢コー⸣サー [⸢koː⸣saː] 名 拳骨。握り拳で打つこと。 ⸢コー⸣サー ッ⸢ふァースン [⸢koː⸣saː f⸢faːsuŋ] (拳骨を食らわす)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カンモー コー⸣サー ッ⸢ふァーシ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kammoː koː⸣saː f⸢faːʃi] (親の言うことを聞かない奴は拳骨を食らわせ) 6524 0 0 6157 htmvoc_6524.wav コーサー ⸢コー⸣サー [⸢koː⸣saː] 名 (動)魚の名。和名、タカサゴ(体長約25センチ)。グ⸢ル⸣クン[gu⸢ru⸣kuŋ]の仲間。グ⸢ル⸣クンは沖縄方言からの借用語。⸢コー⸣サーグルクンともいう 6525 0 1 6158 htmvoc_6525.wav ゴーサゴーサ ⸢ゴーサゴーサ [⸢goːsagoːsa] 副 {Mn_1}がさがさ。ごうしごうし。物を引きずるさま。擬音語。脚を引きずるさま。 ⸢ヌー⸣バ ⸣アイニ ⸢ゴーサゴーサ⸣シ ⸢サンゲー⸣ティ ⸢アーク⸣ワ [⸢nuː⸣ba ⸣ʔaini ⸢goːsagoːsa⸣ʃi ⸢saŋgeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣wa] (何をそんなにごうしごうしと引きずっているのか)。 6525 0 2 6159 htmvoc_6525.wav ゴーサゴーサ ⸢ゴーサゴーサ [⸢goːsagoːsa] 副 {Mn_2}ごしごしと。勢いよく体を洗ったり、物を洗ったりするさま。 ユ⸢グリ ブン⸣トンマー ⸢ゴーサゴーサ⸣ トゥ⸢イットー⸣シ ア⸢ライ⸣バ [ju⸢guri bun⸣tommaː ⸢goːsagoːsa⸣ tu⸢ittoː⸣ʃi ʔa⸢rai⸣ba] (汚れているところは、ごしごしと研ぎ洗いしなさい)。 タ⸢ワ⸣シシ ⸢ゴーサゴーサ⸣シ ⸣ナビ ア⸢ライベー [ta⸢wa⸣ʃiʃi ⸢goːsagoːsa⸣ʃi ⸣nabi ʔa⸢rai beː] (たわし<束子>でごしごしと鍋を洗っている)。 ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ⸢シーゾー⸣ヤーナーティ カ⸢ツピギシー⸣グシ ⸢ゴーサゴーサ⸣ キ⸢モーッ⸣サ カ⸢ツ⸣ ピ⸢ゴーッ⸣タン [mi⸢dumuŋkeː⸣ja ⸢ʃiːʣoː⸣jaːnaːti ka⸢ʦupigiʃiː⸣guʃi ⸢goːsagoːsa⸣ ki⸢moːs⸣sa ka⸢ʦu⸣ pi⸢goːt⸣taŋ] (女性たちは製造屋で、鰹節削り小刀でゴーサゴーサと気持ちよさそうに鰹節を削られた<へぐ{EOS}剥がれた>) 570 0 0 6160 htmvoc_570.wav ゴーサスン ⸢ゴー⸣サ ⸢スン [⸢goː⸣sa ⸢suŋ] 連 恐れ入る。畏まる。畏れ多く思う。 ブ⸢リー⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ シ⸢ティ ゴー⸣サ ⸢シー⸣ ク⸢トゥ⸣ワキ ⸢シーンツァン⸣ パ⸢リユーサン⸠ツォー [bu⸢riː⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ʃi̥⸢ti goː⸣sa ⸢ʃiː⸣ ku̥⸢tu⸣waki ⸢ʃiːnʦam⸣ pa⸢rijuːsan⸠ʦoː] (無礼なことをして、恐れ多くて、お侘びしにすら行けないんですよ<行き得ないのですよ>) 571 0 0 6161 htmvoc_571.wav ゴーサビナサ ⸢ゴー⸣サビナサ [⸢goː⸣sabinasa] 名 恐れ多いこと。畏まるべきこと。畳語。 ⸢ドゥー⸣ヌ タキン ッ⸢サヌ ゴー⸣サビナサティ ア⸢ズムヌン⸣ ッ⸢サムティ⸣ ノー⸢ンティン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ アー⸣ク⸢ツォー [⸢duː⸣nu tḁkin s⸢sanu goː⸣sabinasati ʔa⸢ʣumunun⸣ s⸢samuti⸣ noː⸢ntim⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢dʒi ʔaː⸣ku⸢ʦoː] (自分の身の丈も知らない、恐れ慎むべきことも知らないで、何とでもものを言っているよ<言ってあるくよ>) 6526 0 0 6162 htmvoc_6526.wav ゴーサラゴーサラ ⸢ゴーサラゴー⸣サラ [⸢goːsaragoː⸣sara] 副 がさごそと。ぞろぞろと。蟹や亀、ヤドカリなどが列を作って這いずりまわるさま。 ⸣マコヤヌ ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ミー ⸢ゴーサラゴー⸣サラ ⸢ペー⸣リ ⸢パッ⸣タヤー [⸣makojanu ʔa⸢dambura⸣nu ⸣miː ⸢goːsaragoː⸣sara ⸢peː⸣ri ⸢pat⸣tajaː] (ヤシガニががさごそと<ぞろぞろと>アダン林の中へ入って行ったよ) 6527 0 0 6163 htmvoc_6527.wav ゴーサン ⸢ゴー⸣サン [⸢goː⸣saŋ] 形 畏れ多い。相手に対して己はけがらわしい<汚らわしい>。神様のような崇高な、高貴なものに対して自分は礼を失し畏れ多い。近寄ることの出来ない\ruby{汚}{ケガ}らわしい存在で、勿体ないの意。⸢ゴー⸣サビナサ[⸢goː⸣sabinasa](畏れ多く、近寄りがたい{EOS}己が汚らわしい)のように畳語化して用いられる。 ⸢ソー⸣ランシケー ⸢ゴーサ⸣ヌ カ⸢ミグ⸣トー パ⸢ナサラ⸣ヌ [⸢soː⸣raŋʃi̥keː ⸢goːsa⸣nu ka⸢migu⸣toː pa⸢nasara⸣nu] (お盆の月は汚らわしく、畏れ多くて神事に関することは話せない)。 ⸢カンヌマイ⸣ヤー イッ⸢ケナ ゴー⸣サ ⸢シー アー⸣キ⸢ヨー [⸢kannumai⸣ja ʔi⸢kena goː⸣sa ⸢ʃiː ʔaː⸣ki⸢joː] (神様の前は大変に恐れ畏まって、慎んで行動しなさいよ<恐れ多くしてあるけよ>)。 ⸣カイブ ⸣クトゥ⸢バー⸣ケー ⸢ゴーサ⸣ヌ タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸣kaibu ku̥tu⸢baː⸣keː ⸢goːsa⸣nu ta⸢namara⸣nu] (こんなことまでは恐れ多くて頼めない<頼まれない>)。大変有り難くもったいない。敬いつつしむさま。 ⸢ゴーサ⸣ヌ ⸢カンヌ⸣マイ ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢goːsa⸣nu ⸢kannu⸣mai ʔn⸢ʤirara⸣nu] (畏れ多くて神様の御前に出られない)。 ⸢ゴー⸣サンティ ウ⸢ムイ⸣ブンドゥ ⸢ニン⸣ガイ ッ⸢サリルン⸣ユー [⸢goː⸣santi ʔu⸢mui⸣bundu ⸢niŋ⸣gai s⸢sariruŋ⸣juː] (畏れ多いとは思っていますが祈願致<お祈り申し上げます>します) 6528 0 0 6164 htmvoc_6528.wav コーシ ⸢コー⸣シ [⸢koː⸣ʃi] 名 菓子。[kwaʃi] → [kuaʃi] → [koːʃi] と音韻変化して形成された語。ア⸢ミダマ[ʔa⸢midama](飴玉)、⸢シン⸣ビーコーシ[⸢ʃim⸣biːkoːʃi](煎餅)は新しく借用された語。ア⸢ラシコーシ[ʔa⸢raʃikoːʃi](甑で蒸し上げた菓子)、パ⸢ツァ⸣グミ[pḁ⸢ʦa⸣gumi](おこし{EOS}糯米を蒸し、乾して炒り、砂糖を加えて四角に固めた菓子)、⸢クーガー⸣シ[⸢kuːgaː⸣ʃi](お盆の時に仏前に供える菓子)などは石垣島から購入してきた。 ⸢コー⸣シ ⸢カイ⸣クー [⸢koː⸣ʃi ⸢kai⸣kuː] (菓子を買ってこい)。 ⸢コー⸣シ ⸣ミルカー ⸢ッふァイプサ⸣ヌ フ⸢チジル⸣ ン⸢ジ⸣スバン [⸢koː⸣ʃi ⸣mirukaː f⸢faːipu̥sa⸣nu fu̥⸢ʧiʤiru⸣ ʔn⸢ʤi⸣subaŋ] (お菓子を見ると食べたくて、涎<口汁>が出てくるわい)。「Quaxi.クヮシ(菓子)果実.特に食後の果物をいう」『邦訳日葡辞書』とある。⸢中世まではおもに果実を用いたのでいう。近世では、米・小麦の粉・餅などに、砂糖・ 餡などを加えた食品をもいった」『岩波古語辞典』。従って、[kwasi] → [kuasi] → [koːsi] → [koːʃi] のように音韻変化したものであろう。 ⸢コー⸣シ ッ⸢ふァーソー⸣リ [⸢koː⸣ʃi f⸢faːsoː⸣ri] (お菓子をください<菓子を食べさせてください>) 6533 0 0 6165 htmvoc_6533.wav コーシ ⸢コー⸣シ [⸢koː⸣ʃi] 名 格子。格子戸。 ウ⸢ラッチ⸣ヌ ⸣タンコーナー ⸢コー⸣シマドゥヌ ⸣ヤーン ⸢アッ⸣タン [ʔu⸢ratʧi⸣nu ⸣taŋkoːnaː ⸢koː⸣ʃimadunu ⸣jaːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (浦内の炭鉱には格子戸の家もあった) 6529 0 0 6166 htmvoc_6529.wav コージ ⸢コージ [⸢koːʤi] 名 麹。味噌や醤油を造る際に、米や麦を煮て⸣ムス[⸣musu](筵)に広げ、麹の種を蒔いてねかせ、黴を密生させたもの。繁殖した黴の種類によって、ッ⸢ふ⸣パナ[f⸢fu⸣pana](黒黴)、⸢キンパナ[⸢kimpana](黄黴)などといわれた。 ⸢コージ⸣ タティティ ⸢ミー⸣ス ス⸢ク⸣ラ⸢ナー [⸢koːʤi⸣ tḁtiti ⸢miː⸣su su̥⸢ku⸣ra⸢naː] (麹をたてて味噌を造ろうね) 6535 0 0 6167 htmvoc_6535.wav ゴーシ ⸢ゴー⸣シ [⸢goː⸣ʃi] 接尾 ~おき(置き)。数量を表す語に下接して、その数量ずつの間隔をおく意を表す。標準語の「~ごし(越し)」が上接語の数量の間中続いてきたことを表すのに対し、鳩間方言は、「その数量ずつの間隔を置く」の意である。プ⸢スインゴー⸣シ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン[pu̥⸢suiŋgoː⸣ʃi ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ](一日置きに雨が降る)/ミルクユヌ シルシ トゥカグシヌ ユアミ カキブサイミソリ シマヌアルジ シマヌアルジ/(弥勒世果報の徴候は十日置きに降る夜雨である{EOS}雨を降らせて<掛けさせて{EOS}あびせて{EOS}撒き注いで>下さい、島の主さま<神様>)「ミルクうた(弥勒節)」『鳩間島古典民謡古謡集』 6534 0 0 6168 htmvoc_6534.wav コーシアヤ ⸢コー⸣シアヤ [⸢koː⸣ʃiʔaja] 名 格子模様。 ⸢コー⸣シアヤヌ ⸣キン キ⸢シティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ピ⸢ラ⸣ケーンギサン [⸢koː⸣ʃiʔajanu ⸣kiŋ ki̥⸢ʃiti⸣ ʔik⸢kena⸣ pi⸢ra⸣keːŋgisaŋ] (格子模様の着物を着て非常に涼しそうだ) 6563 0 0 6169 htmvoc_6563.wav コーシェーマ コー⸢シェー⸣マ [koː⸢ʃeː⸣ma] 名 小さな菓子。ちょっとした菓子。マ[ma]は接尾指小辞。 マ⸢ルケーティナー⸣ル ⸣クームヌ コー⸢シェー⸣マーンツァン ⸢カイ⸣ キー ッ⸢ふァーシ⸣バ [ma⸢rukeːtinaː⸣ru ⸣kuːmunu koː⸢ʃeː⸣maːnʦaŋ ⸢kai⸣ kiː f⸢faːʃi⸣ba] (稀にしか来ない<偶に来る>んだもの、お菓子でも買って来て食べさせなさいよ) 6530 0 0 6170 htmvoc_6530.wav コージカザ ⸢コージカザ [⸢koːʤikaʣa] 名 かび臭い匂い。 ク⸢ヌ⸣ ウゾー ⸢コージカザヌ⸣ ッ⸢サー⸣ヌ ⸣ティダナ プ⸢サン⸣カー カ⸢バラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʔuʣoː ⸢koːʤikaʣanu⸣ s⸢saː⸣nu ⸣tidana pu̥⸢saŋ⸣kaː ka⸢bara⸣nu] (この布団はかび臭くて、太陽に干さないと掛け<被せ>られない) 6560 0 0 6171 htmvoc_6560.wav ゴーシゴーシ ⸢ゴーシゴーシ [⸢goːʃigoːʃi] 副 鋸を引いて物を切るさま。また、その音。 ヌ⸢キ⸣ルシ ⸢ゴーシゴーシ⸣ タ⸢ム⸣ヌ ⸣バキ ⸢ベー [nu⸢ki⸣ruʃi ⸢goːʃigoːʃi⸣ ta⸢mu⸣nu ⸣baki ⸢beː] (鋸でゴーシゴーシと薪を<一定の長さに>切っている) 6561 0 0 6172 htmvoc_6561.wav コーシザラ ⸢コー⸣シザラ [⸢koː⸣ʃiʣara] 名 菓子皿。菓子を盛る蓋付きの漆器。 ⸢コー⸣シザラナ ⸢コー⸣シ イ⸢リティ⸣ ムティ⸣クーバ [⸢koː⸣ʃiʣarana ⸢koː⸣ʃi ʔi⸢riti⸣ muti ⸣kuːba] (菓子皿に菓子を入れて持ってきなさいよ) 6532 0 0 6173 htmvoc_6532.wav コーシシンザ ⸢コー⸣シシンザ [⸢koː⸣ʃiʃinʣa] 名 砂糖きびの一種。「菓子砂糖黍」の義。黍の表皮は紫色で硬い。糖度が高くて美味しい砂糖きびである。 ⸢コー⸣シシンザー ⸢カー⸣ヤ ⸢コー⸣ンドゥ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢ジマー⸣ン [⸢koː⸣ʃiʃinʣaː ⸢kaː⸣ja ⸢koː⸣ndu ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ʤimaː⸣ŋ] (菓子砂糖黍は、表皮は硬いが非常に甘い) 6582 0 0 6174 htmvoc_6582.wav ゴーシターン ⸢ゴーシターン [⸢goːʃitaːŋ] 感 船を後退させよ。英語の、go asternの訛ったもの。海軍を退役し人が流行らせたという。今では本来の鳩間島方言と思われている。 ⸢ゴーシターン ゴーシターン [⸢goːʃi̥taːŋ goːʃi̥taːŋ] (後退、後退)。 ⸣フネー ⸢ゴーシターン⸣ シ⸢ミリ [⸣ɸuneː ⸢goːʃi̥taːŋ⸣ ʃi⸢miri] (船は後退させなさい) 6536 0 0 6175 htmvoc_6536.wav ゴーシタン ⸢ゴーシタン [⸢goːʃitaŋ] 名 後進せよ。船を後進させること。英語(go astern)からの借用語。大正の中期に帝国海軍を除隊した通事家の先祖が海軍航海用語を流行させたという伝承(加治工伊佐)がある。同氏は1,2年の兵役で「鳩間方言は全部忘れた」と公言するほどの徹底ぶりだったという。大正末期から昭和初期にかけて鰹漁業の発動汽船が導入されるようになり、操船用語が海軍より伝播したという。⸢ゴーヘー[⸢goːheː](前進せよ{EOS}<英語のgo aheadより)、⸢アン⸣カー[⸢ʔaŋ⸣kaː](錨{EOS}<英語のanchorより)、⸢デッコー[⸢dekkoː](投錨せよ<英語のlet goより)、ソ⸢ロー[so⸢roː](微速前進<英語のslowより)、⸢フルゴーヘー[⸢ɸurugoːheː](全速前進<英語のfull go aheadより)、⸢ホイル[⸢hoiru](焼玉エンジンの車輪<英語のwheelより)、⸣ペラ[⸢pera](推進器{EOS}プロペラ{EOS}<英語のpropellerより)、ブ⸢リッ⸣ジ[bu⸢rid⸣ʤi](船室<英語のbridgeより)、⸢ディッ⸣キ[⸢dik⸣ki](船の甲板<英語のdeckより)等がある 6538 0 0 6176 htmvoc_6538.wav ゴーシティ ゴーシ⸢ティ [goːʃi̥⸢ti] 副 ごそっと。ことごとく。一時に大量の物が音を立てて崩壊するさま。 ⸢サンガラ⸣ヌ ゴーシ⸢ティ ⸢クー⸣リ ⸢パッ⸣タ [⸢saŋgara⸣nu goːʃi̥⸢ti kuː⸣ri ⸢pat⸣ta] (崖がごそっと崩れていった) 6539 0 0 6177 htmvoc_6539.wav コーシトゥナイ ⸢コーシトゥ⸣ナイ [⸢koːʃi̥tu⸣nai] 名 かたねり(固練り)。粘土や漆喰等を搗いて固めに捏ねること。シ⸢トゥ⸣ナウン[ʃi̥⸢tu⸣nauŋ](\ruby{敲}{タタ}く{EOS}敲いて捏ねる)の連用形に接頭語の⸢コー[⸢koː](固{EOS}「強<コハシ>」の語幹)が付いて形成された合成語。 ⸢ワー⸣ ミツァー ⸢コーシトゥ⸣ナイ サ⸢リブーバ⸣ ミ⸢ジェー⸣ イ⸢リティ ヤーラシトゥナイ シー⸣バ [⸢waː⸣ miʦaː ⸢koːʃitu⸣nai sa⸢ribuːba⸣ mi⸢ʤeː⸣ ʔi⸢riti jaːraʃitunai ʃiː⸣ba] (君の粘土は固練りされているから、水を加えて柔らか練りしなさいよ) 6540 0 0 6178 htmvoc_6540.wav コージニバスン ⸢コージ⸣ ニ⸢バスン [⸢koːʤi⸣ ni⸢basuŋ] 連 こうじ(麹)をねかせる。 ユ⸢コー⸣ナ ⸢コージ⸣ ニ⸢バシ⸣ シケーン [ju⸢koː⸣na ⸢koːʤi⸣ ni⸢baʃi⸣ ʃi̥keːŋ] (裏座に麹をねかせておいてある)。 ⸢コージ⸣ ニ⸢バスンティ⸣ シゥ⸢コーリ ベー [⸢koːʤi⸣ ni⸢basunti⸣ su̥⸢koːri beː] (麹をたてよう<ねかせようと>準備している) 6541 0 0 6179 htmvoc_6541.wav コージヌパナ ⸢コージヌ⸣ パナ [⸢koːʤinu⸣ pana] 連 麹の黴。こうじかび(麹黴)。 ⸢コージヌ⸣ パナ タ⸢ティ⸣ルン [⸢koːʤinu⸣ pana tḁ⸢ti⸣ruŋ] (麹の黴を発生させる)。 ⸢コージヌ⸣ パナ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤ マ⸢レー⸣ン [⸢koːʤinu⸣ pana ʔik⸢kena kai⸣ja ma⸢reːŋ] (麹の黴が大変みごとに<きれいに生まれた>発生した) 6531 0 0 6180 htmvoc_6531.wav コーシヤー ⸢コー⸣シヤー [⸢koː⸣ʃijaː] 名 菓子店。「菓子屋」の義。 イ⸢サナキヌ コー⸣シヤーナー マ⸢ダ⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ラサ ⸣コーシヌ ⸢カーサリ⸣ ブ⸢タン⸣ダー [ʔi⸢sanakinu koː⸣ʃijaːnaː ma⸢da⸣ miri mi⸢ra⸣nu mi⸢ʤira⸣sa ⸣koːʃinu ⸢kaːsari⸣ bu⸢tan⸣daː] (石垣の菓子店に、まだ見たことのない珍しい菓子が売られていたよ)。 イ⸢サンケーナー⸣ル ⸢コー⸣シヤーヤ ⸢アッタ⸣ル パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナーン⸣シェン [ʔi⸢saŋkeːnaː⸣ru ⸢koː⸣ʃijaːja ⸢ʔatta⸣ru pḁ⸢tu⸣manaːja ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (石垣島に<ぞ>菓子屋はあったのだ{EOS}鳩間島にはなかった) 6545 0 0 6181 htmvoc_6545.wav コーシンガナシ ⸢コー⸣シンガナシ [⸢koː⸣ʃiŋganaʃi] 固 孔子様。 ⸣ガナシ [⸣ganaʃi] (様{EOS}「加那志」と表記される{EOS}「愛し」の転訛)。「妻子見波 可奈之久米具之<かなしくめぐし>『万葉集 4106』」の義から、派生した<敬愛する人、~様>の敬称接尾辞。 ⸣アブジェー ⸣ユー ⸢コー⸣シンガナシ ⸢モー⸣シンガナシヌ パ⸢ナ⸣シ ⸢シー⸣ シ⸢カソーッ⸣タン [⸣ʔabuʤeː ⸣juː ⸢koː⸣ʃiŋganaʃi ⸢moː⸣ʃiŋganaʃinu pa⸢na⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ si̥⸢kasoːt⸣taŋ] (おじいさんは、よく孔子様と孟子様の話をして聞かされた) 6546 0 0 6182 htmvoc_6546.wav コーズーシ ⸢コーズー⸣シ [⸢koːʣuː⸣ʃi] 名 五目飯。「こわぞうすい(強雑炊)」の義。加薬飯。ピ⸢サシズー⸣シ[pi̥⸢saʃiʣuː⸣ʃi]ともいう。鶏肉や豚肉、魚肉、蒲鉾、牛蒡、イモ類、野菜などを具として炊き込んだ味付け飯。⸢ピン⸣ガン[⸢piŋ⸣gaŋ](彼岸)には、⸢ピン⸣ガンズーシー[⸢piŋ⸣ganʣuːʃiː](彼岸雑炊{EOS}春分や秋分の日に炊く五目飯)を炊き、⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)には、ン⸢カイズーシー[ʔŋ⸢kaiʣuːʃiː](精霊迎えの五目飯{EOS}ウンケージューシー)を炊いて仏前に供えた。 ⸢コーズー⸣シェー ⸢オー⸣ヌ ⸣ニク カ⸢マブク キンダイクニ⸣ ヤ⸢マ⸣ウンドーレーバ キ⸢ザミ⸣ マ⸢ザー⸣シティ シ⸢タ⸣ディシ ア⸢ジェー⸣ シキティ バ⸢カソーッ⸣タ [⸢koːʣuː⸣ʃeː ⸢ʔoː⸣nu ⸣niku ka⸢mabuku kindaikuni⸣ ja⸢ma⸣undoːreːba ki⸢ʣami⸣ ma⸢ʣaː⸣ʃiti ʃi̥⸢ta⸣diʃi ʔa⸢ʤeː⸣ ʃi̥kiti ba⸢kasoːt⸣ta] (五目飯<強雑炊>は豚の肉、蒲鉾、人参、山芋などを賽の目に刻んで混ぜ、下地<醤油>で味を付けて炊かれた) 6542 0 0 6183 htmvoc_6542.wav コースクライ ⸢コースク⸣ライ [⸢koːsuku⸣rai] 名 咳払い。他家を訪問する際に咳払いをすること。「こわづくろひ(声作ろい)」の義。「『宿直<とのゐ>申しさぶらふ』とこわづくる<声作る>なり」『源氏物語、賢木』の転訛したもの。 ⸢ウリウ⸣リ ⸣アブジェー ⸢コースク⸣ライ ⸢シー オー⸣ルン⸢ドー ダンダン⸣シ パ⸢タ⸣ケー パリ⸢ヨー [⸢ʔuriʔu⸣ri ⸣ʔabuʤeː ⸢koːsu̥ku⸣rai ⸢ʃiː ʔoː⸣run⸢doː dandaŋ⸣ʃi pḁ⸢ta⸣keː pari⸢joː] (それそれ、お祖父さんが咳払いをして来られるぞ{EOS}さっさと畑へいきなさいよ) 6543 0 1 6184 htmvoc_6543.wav コースン ⸢コースン [⸢koːsuŋ] 他動 {Mn_1}根こそぎにする。引き抜く。すっかり取り除く。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ニー ⸢コースン [⸢kiː⸣nu ⸣niː ⸢koːsuŋ] (木の根をすっかり取り除く<引き抜く>)。 ⸢タンガ⸣シェー ⸢コーサラヌ [⸢taŋga⸣ʃeː ⸢koːsaranu] (一人では根こそぎに出来ない)。 ク⸢ヌ キー⸣ヌ ⸣ニー ⸢コーシ⸣プサン [ku⸢nu kiː⸣nu ⸣niː ⸢koːʃi⸣ pu̥saŋ] (この木の根をすっかり取り除き<根こそぎし>たい)。 ⸢コース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢koːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (根こそぎにすることは出来ない)。 ク⸢レー コーシェー⸣ ミサムヌ [ku⸢reː koːʃeː⸣ misamunu] (これは根こそぎにすればいいのに)。 ⸢コーシ [⸢koːʃi] (根こそぎにせよ)。 6543 0 2 6185 htmvoc_6543.wav コースン ⸢コースン [⸢koːsuŋ] 他動 {Mn_2}越す。越えさせる。 ⸣トゥシ ⸢コースン [⸣tu̥ʃi ⸢koːsuŋ] (年を越す)。 ⸣ヤホー ⸣トゥシ ⸢コーシェー⸣チバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣jahoː ⸣tuʃi ⸢koːʃeː⸣ʧiba ⸢soːja naː⸣nu] (厄は年を越したから心配はない)。 イ⸢シマシェー コーサリン⸣ プ⸢スマシェー コーサラヌ [ʔi⸢ʃimaʃeː koːsarim⸣ pu̥⸢sumaʃeː koːsaranu] (石垣<石牧>は越されるが人垣<人格>は越されない<人を馬鹿にしてはならない>) 6547 0 0 6186 htmvoc_6547.wav コースン ⸢コースン [⸢koːsuŋ] 他動 越す。 ⸢ヤー⸣ヌ ティ⸢ジ コースン [⸢jaː⸣nu ti⸢ʤi koːsuŋ] (家の頂を越す)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣タケー マ⸢ダ コーサヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣tḁkeː ma⸢da koːsanu] (親の身長<丈>はまだ越さない)。 ⸢コーシ⸣ パルン [⸢koːʃi⸣ paruŋ] (越して行く)。 ⸢コース⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢コーシェー⸣ ミサムヌ [⸢koːsu⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢koːʃeː⸣ misamunu] (越すことはないが、越せば良いのに)。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ラ ⸢コーシ [⸢kiː⸣nu ⸢ʔui⸣ra ⸢koːʃi] (木の上から越せ) 6544 0 0 6187 htmvoc_6544.wav コーソーリ ⸢コー⸣ソーリ [⸢koː⸣soːri] 連 下さい。頂きたい。「乞ひ」(~吾は祈奈牟<コヒナム>~{EOS}万、379)の未然形に使役の助動詞「す」の連用形が下接し、それに「在せ」が付いたものが転訛したものか。お盆の精霊送りの後、村の子供達は家々を回り、裏声を使って⸢シン⸣ザ ⸢コー⸣ソーリ[⸢ʃin⸣ʣa ⸢koː⸣sori](砂糖きびを下さい)と唱えて、供物の砂糖きびを貰って食べるのを楽しんでいた。家の中からは戸外へ砂糖きびを投げ与えたものである。これも施餓鬼の一つと云われていた 6549 0 0 6188 htmvoc_6549.wav ゴーダー ⸢-ゴー⸣ダー [⸢-goː⸣daː] 接尾 汚れたものを表す語に下接して、⸢~だらけ」、⸢~まみれ」の意味を表す。 ⸣アバゴーダー ⸢スン [⸣ʔabagoːdaː ⸢suŋ] (油だらけ<油まみれ>になる)。 ⸢シーゴーダー スン [⸢ʃiːgoːdaː suŋ] (血だらけ<血まみれ>になる)。 ドゥ⸢ルゴー⸣ダー ⸢スン [du⸢rugoː⸣daː ⸢suŋ] (泥だらけになる)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ベー⸣ ッスゴーダー ⸢シーベー⸣バ ア⸢ラシティリ [ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢beː⸣ ssugoːdaː ⸢ʃiː beː⸣ba ʔa⸢raʃi̥tiri] (子供の尻は糞まみれになっているから洗ってやりなさい) 6550 0 1 6189 htmvoc_6550.wav ゴーダースン ⸢ゴー⸣ダー ⸢スン [⸢goː⸣daː ⸢suŋ] 連 {Mn_1}まみれる(\ruby{塗}{マミレ}る)。 ドゥ⸢ルミチ⸣ナー ク⸢ルブ⸣カー ドゥ⸢ルゴー⸣ダー ⸢スン⸠ダー [du⸢rumiʧi⸣naː ku⸢rubu⸣kaː du⸢rugoː⸣daː ⸢sun⸠daː] (泥んこ道で転ぶと泥まみれになるよ)。 6550 0 2 6190 htmvoc_6550.wav ゴーダースン ⸢ゴー⸣ダー ⸢スン [⸢goː⸣daː ⸢suŋ] 連 {Mn_2}いっぱい付ける。塗りたくる。~\ruby{塗}{マミレ}にする。 ピ⸢サビ⸣バ ⸣シラナー ⸢ゴー⸣ダー ⸢シー⸣ シケー [pi̥⸢sabi⸣ba ⸣ʃiranaː ⸢goː⸣daː ⸢ʃiː⸣ʃi̥keː] (鍋墨<へぐろ{EOS}「竃錆び」の義か>を顔いっぱいに塗りたくってある) 6548 0 0 6191 htmvoc_6548.wav ゴーダカーダ ⸢ゴー⸣ダカーダ [⸢goː⸣dakaːda] 副 液体や粘着物がべっとり付着して汚れているさま。 ドゥ⸢ルヌ ゴー⸣ダーカーダシー ⸢フシゥ⸣カリティ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [du⸢runu goː⸣daːkaːdaːʃi ⸢ɸusï̥⸣kariti ja⸢nija⸣nu na⸢ra⸣nu] (泥がべっとりくっついて汚くてたまらない) 6551 0 0 6192 htmvoc_6551.wav コーダティ ⸢コーダ⸣ティ [⸢koːda⸣ti] 名 こうだて(甲立)。きょうだて(饗立)。正式の饗膳の時、盛り物の周囲に立てる折り紙。パ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)を重箱に盛る際、重箱の内側に沿って立てて飾る紅白の紙。二十八宿を表すため、二十八本の鋸歯状に作る。 ⸣ソンガチナーヤ ⸢ザートゥク⸣ヌ パ⸢ナン⸣グメー ア⸢ガカビトゥ⸣ ッ⸢ス⸣カビサーリ ⸢コーダ⸣ティ ス⸢ク⸣リティ カ⸢ザローッ⸣タ [⸣soŋgaʧinaːja ⸢ʣaːtuku⸣nu pa⸢naŋ⸣gumeː ʔa⸢gakabitu⸣ s⸢su⸣kabisaːri ⸢koːda⸣ti su̥⸢ku⸣riti ka⸢ʣaroːt⸣ta] (正月には床の間の花米に赤紙と白紙で甲立てを作って飾られた) 6552 0 0 6193 htmvoc_6552.wav コーチョーシンシー ⸢コー⸣チョーシンシー [⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiː] 名 校長先生。明治29年以降に学校設置に伴って標準語から借用された語。 ⸣カマーラ ⸢コー⸣チョーシンシーヌ ⸢オー⸣ルン [⸣kamaːra ⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiːnu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (向こう<あそこ>から校長先生がいらっしゃる<来られる>) 6564 0 0 6194 htmvoc_6564.wav コーッタルムヌ ⸢コーッタルムヌ [⸢koːttarumunu] 感 ままよ(儘よ)。どうにでもなれ。なんとでもなれ。施す術がなく自暴自棄になった時に発する語。⸢コッタルムン[⸢kottarumuŋ](ままよ)を強調した形。 ⸣マトゥ ⸢ブン⸣ドゥ マ⸢タ⸣リ ⸢コーッタルムヌ クーン⸣カー ⸢ターシタガーヤ⸣ メー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣スン ⸢ゲ⸣ラ [⸣matu ⸢bun⸣du ma⸢ta⸣ri ⸢koːttarumunu kuːŋ⸣kaː ⸢taːʃitagaːja⸣ meː ⸢duː⸣nu suŋ⸢ge⸣ra] (待つだけ待った<待つ分しか待たれない>、儘よ、来なければ誰がしるものか{EOS}もう<来なければ>自分の損だ) 6553 0 0 6195 htmvoc_6553.wav ゴーッティ ゴーッ⸢ティ [goːt⸢ti] 副 ごくりと。水などの液体を音を立てて一息に飲み干すさま。老年層は、ゴン⸢ティ[gon⸢ti](ごくりと)ともいう。 ン⸢ガフチ⸣ロー ⸢ミー⸣ヤ ッ⸢サーリティ⸣ ゴーッ⸢ティ⸣ ヌミバ [ʔŋ⸢gaɸuʧi⸣roː ⸢miː⸣ja s⸢saːriti⸣ goːt⸢ti⸣ numiba] (苦い薬は目をつぶって<瞑って>ごくりと飲めよ) 6556 0 0 6196 htmvoc_6556.wav ゴーッふァゴーッふァ ⸢ゴーッふァゴーッふァ [⸢goːffagoːffa] 副 こっくりこっくり。頭を前に垂れたり上げたりして、さも気持ちよさそうに居眠りするさま。 ナー⸢イ⸣ ス⸢クイ⸣バ ダ⸢キ⸣ ブー ⸢ウー⸣ミ ⸢オーッタン⸣ドゥ ⸢ゴーッふァゴーッふァ ニーヌブル ソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [naː⸢i⸣ su̥⸢kui⸣ba da⸢ki⸣ buː ⸢ʔuː⸣mi ⸢ʔoːttan⸣du ⸢goːffagoːffa niːnuburu soː⸣ri ⸢naː⸣nu] (ただ麻桶を抱いて麻を績んでおられたが、こっくりこっくりと居眠りをされてしまった<居眠りをなさってしまった>) 6629 0 0 6197 htmvoc_6629.wav ゴーッふァゴーッふァ ⸢ゴーッふァゴーッふァ [⸢goːffagoːffa] 副 こくりこくり。居眠りをするさま。気持ちよさそうに居眠りをするさま。ABCDABCD型の重言。 ⸣ブー ⸢ウーミンテン⸣ナー ⸢ゴーッふァゴーッふァ⸣シ ⸢ニーヌブル シーオーッ⸣タ [⸣buː ⸢ʔuːminteː⸣naː ⸢goːffagoːffa⸣ʃi ⸢niːnuburu ʃiː ʔoːt⸣ta] (麻糸を紡ぎ<績み>ながらこっくりこっくり居眠りをしておられた) 6555 0 0 6198 htmvoc_6555.wav ゴーッふァスン ⸢ゴーッふァスン [⸢goːffasuŋ] 他動 根こそぎにする。ごっそり流される。ごっそり持ち去られる。老年層は、⸢コッふァースン[⸢kofffaːsuŋ](根こそぎにする)ともいう。 ⸢タイ⸣フーナ ウ⸢ブナン⸣ヌ ⸢ユーシ⸣キーティ ⸢アンタヌ⸣ パマー ⸢ゴーッふァサリ ナーン⸣シェン [⸢tai⸣ɸuːna ʔu⸢bunan⸣nu ⸢juːʃi⸣ kiːti ⸢ʔantanu⸣ pamaː ⸢goːffasari naːŋ⸣ʃeŋ] (台風で大波が寄せてきて、東の浜はごっそり流されてしまった)。 ⸢ゴーッふァシ⸣ パルン [⸢goːffaʃi⸣ paruŋ] (ごっそり流していく)。 ウ⸢ブナン⸣ヌ ⸢ユース⸣カー ムー⸢ル ゴーッふァスン [ʔu⸢bunan⸣nu ⸢juːsu⸣kaː muː⸢ru goːffasuŋ] (大波が寄せると何もかもごっそり流出する<根こそぎにする>) 6565 0 0 6199 htmvoc_6565.wav コーディン ⸢コー⸣ディン [⸢koː⸣diŋ] 名 香典。戦後、標準語からの借用語。昭和30年ごろまでは、⸢コー⸣パナ[⸢koː⸣pana](線香・花米)、⸢ソッコー⸣ムヌ[⸢sokkoː⸣munu](「焼香もの」と言った{EOS}普通の法事には、イ⸢ツァ⸣カウ{SqBr}ʔi⸢ʦa⸣kau{/SqBr}<板香>3枚と白米3合、ウ⸢ティン⸣ガビ{SqBr}ʔu⸢tiŋ⸣gabi{/SqBr}<紙銭>3枚)を送るのが慣わしであった。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトーラル ⸢コー⸣ディンティ ⸢シー ジン⸣バ ッ⸢ス⸣モール ⸣ヨーニ ⸣ナレー⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoːraru ⸢koː⸣dinti ⸢ʃiː ʤim⸣ba s⸢su⸣moːru ⸣joːni nareː⸢daː] (戦後になってから<戦世の後からぞ>香典といってお金を包まれるようになったのだよ) 6566 0 0 6200 htmvoc_6566.wav ゴーナキー ⸢ゴーナ⸣キー [⸢goːna⸣kiː] 名 (植)桑の木。和名、シマグワ。老年層は⸢コーン⸣ギー[⸢koːŋ⸣giː](桑の木)という。「~母がそのなる桑尚<クハスラニ~>。万、1352」の転訛したもの。[kuɸanoki] → [kuwanoki] → [koːnakiː] → [koːŋgiː] と音韻変化したもの。若年層は、⸢ゴーナ⸣キー[⸢goːna⸣kiː](桑の木)を多用する。ナイロン製品が出回る以前の昭和26年ごろまでは養蚕が行われていた。桑の葉は養蚕用に供された。桑の材質は緻密で木目が美しい。従って床柱や床縁に用いられたり、三味線の棹に用いられたりした。実は赤いが完熟すると赤黒を呈し美味である。子供達は木の上で唇が赤く染まるまで食べた。 ⸢ゴーナキー⸣ヌ ⸣ナロー ⸢ウー⸣ムカー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢goːnakiː⸣nu ⸣naroː ⸢ʔuː⸣mukaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (桑の実は熟れると非常に美味しかった) 6567 0 0 6201 htmvoc_6567.wav ゴーナキヌナル ⸢ゴーナキ⸣ヌ ⸣ナル [⸢goːnaki⸣nu ⸣naru] 連 桑の実。「桑の木の実」の義。 ⸢ゴーナキ⸣ヌ ナ⸢ル⸣ヌ ア⸢ガシタダル スン⸣ケン ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー [⸢goːnaki⸣nu na⸢ru⸣nu ʔa⸢gaʃitadaru suŋ⸣keŋ ⸢ʔuː⸣mi ⸢beː] (桑の木の実が赤黒くなって、今にも落ちそうになるほど熟れている) 6568 0 0 6202 htmvoc_6568.wav コーネー ⸣コーネー [⸣koːneː] 名 男の子。男児の名称、呼称。坊や。坊ちゃん。 ⸢ワー タッ⸣テヌ ⸣コーネーヤー [⸢waː tat⸣tenu ⸣koːneːjaː] (君は何処の家の男の子か)。 コー⸢ネー⸣ ダン⸢ティ⸣ ク⸢マー⸣ キー ミ⸢リ [koː⸢neː⸣ dan⸢ti⸣ ku⸢maː⸣ kiː mi⸢ri] (坊や、急いで此処へ来てごらん) 6569 0 0 6203 htmvoc_6569.wav コーネマ コー⸢ネ⸣マ [koː⸢ne⸣ma] 名 坊ちゃん。坊や。男の子の愛称。 ⸢ウン⸣ネナー コー⸢ネマ⸣ヌ マ⸢レー⸣ン [⸢ʔun⸣nenaː koː⸢nema⸣nu ma⸢reː⸣ŋ] (その家に坊ちゃんが生まれた) 6634 0 0 6204 htmvoc_6634.wav コーネマー コー⸢ネ⸣マー [koː⸢ne⸣maː] 名 男の子の愛称。坊ちゃん。⸢コーネー[⸢koːneː](男の子{EOS}少年)に愛称の指小辞⸣マー[maː]が下接したもの。対義語はピ⸢シェー⸣マ[pi⸢ʃeː⸣ma](お嬢ちゃん)。 コー⸢ネマー⸣ ダン⸢ティ⸣ ク⸢マー⸣ キー ミ⸢リ [koː⸢nemaː⸣ dan⸢ti⸣ ku⸢maː⸣ kiː mi⸢ri] (坊っちゃん、すぐこっちへ来てごらん<来てみれ>) 6571 0 0 6205 htmvoc_6571.wav コーバ ⸢コーバ [⸢koːba] 名 工場。鰹節製造工場。⸢シーゾー⸣ヤー[⸢ʃiːʣoː⸣jaː](製造屋)ともいう。 ⸢コーバナー⸣ル カ⸢ツォー ネーソーッ⸣タ [⸢koːbanaː⸣ru kḁ⸢ʦoː neːsoːt⸣ta] (工場でが<ぞ>カツオは煮られた) 6575 0 0 6206 htmvoc_6575.wav コーパナ ⸢コー⸣パナ [⸢koː⸣pana] 名 こうばな。香花。「香華(こうげ)」の義。仏前に供える供物。神事にはア⸢ライパナ[ʔa⸢raipana](米を水に漬けてふやかしたもの{EOS}洗米)を供える。⸢イツァ⸣カウ[ʔi⸢ʦa⸣kau](沖縄線香、板香)1枚または3枚と白米1合または3合(法事にはウ⸢ティン⸣ガビ{SqBr}ʔu⸢tiŋ⸣gabi{/SqBr}<紙銭>3枚を添える)をウ⸢トゥザマリ[ʔu⸢tuʣamari](親戚)間の法事で贈るのが慣わしであった。遠い親戚にはイ⸢チンゴー⸣パナ[ʔi⸢ʧiŋgoː⸣pana](白米1合のコーパナ)、近い親戚には⸢サンゴー⸣パナ[⸢saŋgoː⸣pana](白米3合に板香3枚、紙銭3枚のコーパナ)が贈られた。 ⸢ソッコームヌ⸣ヌ ⸢コー⸣パナ シゥ⸢コーリ⸣ ム⸢タ⸣シ [⸢sokkoːmunu⸣nu ⸢koː⸣pana sï̥⸢koːri⸣ mu⸢ta⸣ʃi] (焼香用のコーパナを用意して贈り<持たせ>なさい) 6576 0 0 6207 htmvoc_6576.wav コーパンタリ ⸢コーパン⸣タリ [⸢koːpan⸣tari] 名 硬太り。乳幼児の筋肉が引き締まって成長している状態。対義語はミ⸢ジパン⸣タリ[mi⸢ʤipan⸣tari](水太り{EOS}脂肪太り)。 サッ⸢ティー⸣ ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ コーパン⸣タリ ⸢シェー⸣クトゥ⸢ヨー⸣ ウ⸢ラーミ⸣サ [sat⸢tiː⸣ ku⸢nu⸣ f⸢fanu koːpan⸣tari ⸢ʃeː⸣ku̥tu⸢joː⸣ ʔu⸢raːmi⸣sa] (なんとまあ{EOS!}この子の硬太りしていることよ{EOS}羨ましい{EOS!}) 6572 0 0 6208 htmvoc_6572.wav コーフ ⸢コー⸣フ [⸢koː⸣ɸu] 名 (動)魚の名。和名、オオクチサギ(体長約25センチ)。⸢コー⸣フイズ[⸢koː⸣ɸuiʣu]ともいう。大寒の冷え込みで浅海魚のコーフが凍死して海岸に打ち寄せられることがしばしばあった 6515 0 0 6209 htmvoc_6515.wav コーフイズ ⸢コー⸣フイズ [⸢koː⸣ɸuʔiʣu] 名 (動)魚名。セイタカヒイラギの一種。海岸端で釣れる。海水温が10度を下ると仮死状態になって浮き上がるのを拾って漁獲した。 ⸢コー⸣フイゾー パ⸢マー⸣ラ ⸣ユー ⸢ホーシ⸣タン [⸢koː⸣ɸu ⸣ʔiʣoː pa⸢maː⸣ra ⸣juː ⸢hoːʃi⸣taŋ] (コーフ魚は浜からよく釣り上げた)。 ⸢ダイカン⸣ヌ ⸣マーラヌ ⸢ウーピラ⸣クナー ⸢コー⸣フイゾー ク⸢バ⸣リティ ⸢ユーリ クー⸣タン [⸢daikan⸣nu ⸣maːranu ⸢ʔuːpira⸣kunaː ⸢koː⸣ɸuʔiʣoː ku⸢ba⸣riti ⸢juːri kuː⸣taŋ] (大寒の頃の冷え込みにコーフイズは凍えて仮死状態で流れ寄ってきたものだ) 6574 0 0 6210 htmvoc_6574.wav コーブク ⸢コーブ⸣ク [⸢koːbu⸣ku] 名 香箱。こうごう(香合)。香を入れる箱。幅約14センチ、高さ約10センチ、長さ約30センチの蓋付きの箱。司(神女)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)はシ⸢キダ⸣チ[ʃi̥⸢kida⸣ʧi](朔日、ついたち)、⸣ズングニチ[⸣ʣuŋguniʧi](十五日)に線香やマッチ等を香箱に入れて⸢ウガン[⸢ʔugaŋ](御嶽)へ持参し、祈願をして掃除した。 ⸢カン⸣プスンケーヤ シ⸢キダ⸣チズングニチナー ⸢コーブク⸣バ ⸣ムティティル ⸣ウガンマー ⸢オーッタ⸣ル [⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ʃi̥⸢kida⸣ʧi ʣuŋguniʧinaː ⸢koːbuku⸣ba ⸣mutitiru ⸣ʔugammaː ⸢ʔoːtta⸣ru] (神職者の方々は香箱を持って⸣ウガン{SqBr}⸣ʔugaŋ{/SqBr}(御嶽)へいらっしゃったものだよ) 6580 0 0 6211 htmvoc_6580.wav ゴーヘー ⸢ゴーヘー [⸢goːheː] 感 船を前進させよ。英語の、go aheadが訛ったもの。通事家の先祖が大正年間に帝国海軍に徴兵され、除隊した際に海軍航海用語を流行らせたという伝承がある(加治工伊佐)。 ⸢フル ゴーヘー [⸢ɸuru goːheː] (全速前進せよ{EOS}full go aheadの転訛) 6581 0 0 6212 htmvoc_6581.wav ゴーベーゴーベー ゴー⸢ベーゴーベー [goː⸢beːgoːbeː] 副 ゆるく(緩く)。弱々しく。力を抜いて手加減して。緩みを持たせて。粗末に。 ⸢ニー⸣ヤ ゴー⸢ベーゴーベー⸣シ フ⸢バリ⸣ シケー [⸢niː⸣ja goː⸢beːgoːbeː⸣ʃi ɸu⸢bari⸣ ʃi̥keː] (荷は緩く縛っておいてある) 6578 0 0 6213 htmvoc_6578.wav コーマ ⸢コー⸣マ [⸢koː⸣ma] 名 卵。「かひ<卵>、貝<カヒ>と同根」、「殻、和名与貝<かひ>同、虫乃皮甲也」『和名抄』という。⸢カフィ・マ」、*[kaɸi・ma] → [kawima] → [koːma] の音韻変化によるもの。 トゥ⸢ルヌコー⸣マ [tu⸢runukoː⸣ma] (鶏卵{EOS}鶏の卵)。⸣パトゥザヌ ⸢コー⸣マ(鳩の卵)。 カ⸢ミヌコー⸣マ [ka⸢minukoː⸣ma] (亀の卵)。 ピ⸢ルザキ⸣ナー ⸢コー⸣マ カ⸢ケー⸣シ ⸣ヌミティ パ⸢ナシキ ノー⸣シ [pi⸢ruʣaki⸣naː ⸢koː⸣ma ka⸢keː⸣ʃi ⸣numiti pa⸢naʃiki noː⸣ʃi] (大蒜酒に卵を混ぜて飲んで風邪を治しなさい) 6579 0 0 6214 htmvoc_6579.wav コーマッスン ⸢コー⸣マッスン [⸢koː⸣massuŋ] 名 ⸢卵包み」の義。バ⸢ラフ⸣タッスン[ba⸢ra⸣ɸu̥tassuŋ](藁包み)ともいう。卵のわらづと(藁苞)。藁を束ねて反転させたものに卵を数個縦に並べて外れないように縛って包み、それを3~4本まとめて石垣島の親類への土産にしたもの。 ⸢コー⸣マッスン トゥ⸢ドゥ⸣キ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [⸢koː⸣massun tu⸢du⸣ki f⸢fiːri⸣joː] (卵包み<卵の藁苞>を届けてくれよね) 6583 0 0 6215 htmvoc_6583.wav コームニ ⸢コー⸣ムニ [⸢koː⸣muni] 名 怒鳴り声。「強物言い」の義。強い調子の物言い。硬い口調で議論すること。我を押し通す物言い。喧嘩口調の物言い。 ⸣アイニ ⸢コー⸣ムネー ⸢サンドー⸣シ マーン⸢ベーマ⸣ ヤー⸢ラヤーラ⸣シ ⸣ムネー イ⸢ザラヌ [⸣ʔaini ⸢koː⸣muneː ʔi⸢ʣandoː⸣ʃi maːm⸢beːma⸣ jaː⸢rajaːra⸣ʃi ⸣muneː ʔi⸢ʣaranu] (あんなに喧嘩口調でものを言わずに、もっと柔らかく<優しく>ものは言えないのかね) 6584 0 0 6216 htmvoc_6584.wav コーモリガサ ⸢コーモリ⸣ガサ [⸢koːmori⸣gasa] 名 こうもりがさ(蝙蝠傘)。洋がさ。標準語からの借用語。金持ちの人が持っていた。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター ⸢コーモリ⸣ガサ ⸣カビティ ⸢パッ⸣タ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ⸢koːmori⸣gasa ⸣kabiti ⸢pat⸣ta] (雨が降ったので蝙蝠傘を差して<被って>行った) 6585 0 0 6217 htmvoc_6585.wav ゴーヤー ⸢ゴー⸣ヤー [⸢goː⸣jaː] 名 (植)和名、ニガウリ(苦瓜)。ウリ科植物。[nigauri・jaː] → [nigoːrjaː] → [ŋgoːjaː] → [goːjaː] の変化過程を経て形成されたものと考えられる。ゴーヤーは、鳩間島では戦後多くの人に食されるようになった。戦前は各家の菜園で栽培されていたが、子供達は苦味を忌み嫌って食べなかった。子供の嫌悪感と反比例して、この野菜は何処でも、グ⸢ダランケー⸣リ ⸣ナリ フ⸢チジルヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルスコー サ⸢カリシタ[gu⸢daraŋkeː⸣ri ⸣nari ɸu̥⸢ʧiʤirunu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rusu̥koː sḁ⸢kariʃi̥ta](瑞々しく生い茂り、実をつけ、涎が出るほど実が生り、繁茂したものだ)。ゴーヤーはチャンプルーにしたり、湯掻いて刺身のけんにしたりして食する。夏場の野菜として重宝される 6586 0 0 6218 htmvoc_6586.wav ゴーヤーチャンプルー ⸢ゴーヤーチャン⸣プルー [⸢goːjaːʧam⸣puruː] 名 料理名。ニガウリに豚肉、豆腐、鶏卵などを混ぜて炒めた料理。ゴーヤーのほろ苦味と豆腐の味が調和して美味である。その他、豚のポーク缶詰、蛸や\ruby{剥}{ム}き海老などの食材もゴーヤーチャンプルーに利用され、夏のビタミン補給の料理として重宝される。 ナ⸢チェー⸣ ヤ⸢サイ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ユンダー ⸢ゴーヤーチャン⸣プルー カー⸢ニ ファーソーッ⸣タ [na⸢ʧeː⸣ ja⸢sai⸣nu naːŋ⸣junda ⸢goːjaːʧam⸣puruː kaː⸢ni faːsoːt⸣ta] (夏は野菜がないからゴーヤーチャンプルーだけ食べさせなされた) 6587 0 0 6219 htmvoc_6587.wav コーヤク ⸢コーヤ⸣ク [⸢koːja⸣ku] 名 膏薬。膏<あぶら>で練って\ruby{軟膏}{ナン|コウ}にし、外傷や出来物に塗布して治療する薬剤。⸣クミカンコーヤク[⸣kumikaŋkoːjaku](こめかみに塗って頭痛に効く膏薬)、ユ⸢ビダシコーヤク[ju⸢bidaʃikoːjaku](化膿を吸い出す膏薬)、⸢オーシコー⸣ヤク[⸢ʔoːʃikoː⸣jaku](「生<お>やし膏薬」の義{EOS}傷を治す膏薬{EOS}傷薬)などがある。 ア⸢シ⸣ブナー ⸢コーヤ⸣ク シ⸢キ⸣ルカー ⸢パイ⸣サ ⸢ノー⸣ルン [ʔa⸢ʃi⸣bunaː ⸢koːja⸣ku ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢pai⸣sa ⸢noː⸣ruŋ] (出来もの<あせも>に膏薬をつけると早く治る) 6588 0 0 6220 htmvoc_6588.wav コーヨー ⸣コーヨー [⸣koːjoː] 名 孝養。親に孝行を尽くすこと。死んだ親の法要<供養>を営むこと。 ⸢マイフナー マリ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣コーヨーヤ ⸣ユー ⸢シー オーシリ⸣ヨー [⸢maiɸunaː mari⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣koːjoːja ⸣juː ⸢ʃiː ʔoːʃiri⸣joː] (一人前の立派な男になって親の孝養はよくして差し上げなさいよ)。 ⸢ソーラン⸣マー ウ⸢ヤプス⸣ヌ ⸣コーヨー ⸢スンティル⸣ ムー⸢ル シッ⸣パイ ⸢シー オー⸣ル⸢ダー [⸢soːram⸣maː ʔu⸢japusu⸣nu ⸣koːjoː ⸢suntiru⸣ muː⸢ru ʃip⸣pai ⸢ʃiː ʔoː⸣ru⸢daː] (お盆は祖霊の孝養を尽くそうと皆精一杯<一生懸命>頑張っておられるのだ) 6589 0 0 6221 htmvoc_6589.wav ゴーラー ⸢ゴーラー [⸢goːraː] 名 悪性の化膿性の出来物。膿みただれ(爛れ)て患部の筋肉が陥没する。⸢ゴールン[⸢goːruŋ](陥没して穴が開く)に⸢ヤー[⸢jaː](「~もの{EOS}~やつ」の意の接尾辞)か下接して形成された語。 6589 0 2 6222 htmvoc_6589.wav ゴーラー ⸢ゴーラー [⸢goːraː] 名 {Mn_2}陥没した穴。ヤ⸢マトゥゴー⸣ラー[ja⸢matugoːraː](「大和悪性出来物」の義{EOS}最も悪性の化膿性出来物)は治癒困難な出来物としておそれられた。 ⸢ワー⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸣ゴーラー ⸣ナリ ⸢ベー⸣バ ⸣イサ カ⸢カリ⸣ル ⸢ノーサ⸣リ ⸣ドゥートゥンザクシェー ⸢ノーサラ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸣goːraː ⸣nari ⸢beː⸣ba ⸣ʔisa kḁ⸢kari⸣ru ⸢noːsa⸣ri ⸣duːtunʣakuʃeː ⸢noːsara⸣nu] (君の御出来は悪性の、化膿して穴の開いた出来物になっているから医者に掛かってぞ治される{EOS}自己養生<自己流の治療>では治されない) 6590 0 0 6223 htmvoc_6590.wav ゴーラー ⸢ゴー⸣ラー [⸢goː⸣raː] 副 多くは。大方は。大概は。⸣チニヒージェー ⸢ヌー⸣バ ッ⸢ふーター。ピーゾー ゴー⸣ラー ⸢ウンヌイー⸣ル ッ⸢ふァイブタル。マイヌイー⸣ヤ マ⸢ルケーティナー⸣ル ッ⸢ふァーリタル[⸣ʧiniçiːʤeː ⸢nuː⸣ba f⸢fuːtaː、 piːʣoː goː⸣raː ⸢ʔunnuiː⸣ru f⸢faibutaru。mainuʔiː⸣ja ma⸢rukeːtinaː⸣ru f⸢faːritaru](常日頃は何を食べたか{EOS}いつもは、多くは芋のご飯を<ぞ>食べていた{EOS}米飯は稀にしか食べられなかった<稀にぞ食べられた>) 6591 0 0 6224 htmvoc_6591.wav ゴーラーナスン ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナスン [⸢goː⸣raː ⸣nasuŋ] 連 他動詞的用法。多くなす。増やす。 イ⸢ジン⸣ジ ⸢モー⸣キティ ⸢マー⸣ビン ⸣ザイサンユン ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナシティ ⸣ウヤ ユ⸢ルクバ⸣シバ [ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸢moː⸣kiti ⸢maː⸣bin ⸣ʣaisaŋjuŋ ⸢goː⸣raː ⸣naʃiti ⸣ʔuja ju⸢rukuba⸣ʃiba] (一生懸命儲けて、もっと財産をも増やして親を喜ばせなさいよ) 6592 0 0 6225 htmvoc_6592.wav ゴーラーナルン ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナルン [⸢goː⸣raː ⸣naruŋ] 連 自動詞的用法。多くなる。増える。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ッ⸢サイ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナリキー ⸢ナー⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː s⸢sai⸣nu ⸢goː⸣raː ⸣narikiː ⸢naː⸣nu] (年を取ったので白髪が増えて<多くなって>きてしまった) 6593 0 0 6226 htmvoc_6593.wav ゴーラーン ⸢ゴー⸣ラーン [⸢goː⸣raːŋ] 形 多い。~より多い。 サ⸢クマイ⸣ル ⸢ゴー⸣ラー [sḁ⸢kumai⸣ru ⸢goː⸣raː] (粳米が<ぞ>多い)。 サ⸢クマイ⸣ヤー ⸢ゴー⸣ラーンドゥ ム⸢チマイヤー ゴー⸣ラー ⸢ナー⸣ヌ [sḁ⸢kumai⸣jaː ⸢goː⸣raːndu mu⸢ʧimaijaː goː⸣raː ⸢naː⸣nu] (粳米は多いが、糯米は多くない)。 ⸢エン⸣マー ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナルン [⸢jem⸣maː ⸢goː⸣raː ⸣naruŋ] (来年は多くなる)。 ア⸢マ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーティ ムー⸢ロー⸣ ム⸢タラン⸣シェン [ʔa⸢ma⸣nu ⸢goː⸣raːti muː⸢roː⸣ mu⸢taraŋ⸣ʃeŋ] (あまりにも多いので全部は持てなかった<持たれなかった>)。 ⸢ゴー⸣ラー ⸣ムノーラ ⸢カーシ⸣バ [⸢goː⸣raː ⸣munoːra ⸢kaːʃi⸣ba] (多いものから売りなさい)。 ⸢ゴー⸣ラーカー ⸣ミサンドゥ [⸢goː⸣raːkaː ⸣misandu] (多かったらいいのだが)。 ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナスン [⸢goː⸣raː ⸣nasuŋ] (多くなす{EOS}増やす)。 ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナルン [⸢goː⸣raː ⸣naruŋ] (多くなる{EOS}増える) 6594 0 0 6227 htmvoc_6594.wav コーラクン ⸢コーラ⸣クン [⸢koːra⸣kuŋ] 自動 固まる。硬くなる。凝固する。 ⸢コン⸣クレー ⸢ヌーリティ⸣ プスイ ⸣タトゥカー ⸢コーラ⸣クンカヤー [⸢koŋ⸣kureː ⸢nuːriti⸣ pu̥sui ⸣tḁtukaː ⸢koːra⸣kuŋkajaː] (コンクリートは塗ってから一日経つたら固まるかなあ)。 ⸢コーラカ⸣ヌ [⸢koːraka⸣nu] (固まらない)。 ⸢コーラキパヤー⸣ン [⸢koːrakipajaː⸣ŋ] (固まり早い)。 ⸢パイ⸣サ ⸢コーラク⸣ ムノーラ ⸣トゥリバ [⸢pai⸣sa ⸢koːraku⸣ munoːra ⸣turiba] (早めに固まるものから取れよ)。 ⸢コーラケー⸣カー ⸣トゥリミサン [⸢koːrakeː⸣kaː ⸣turimisaŋ] (固まったら取ってもいい)。 ⸢コーラク⸣カー ⸢コーラキ⸣ ⸢ターシタガーヤ [⸢koːraku⸣kaː ⸢koːraki⸣ ⸢taːʃitagaːja] (固まるなら固まれ、誰がしるものか) 6595 0 0 6228 htmvoc_6595.wav ゴーラザ ⸢ゴー⸣ラザ [⸢goː⸣raʣa] 名 ゴイサギ。夜飛びながらカーカーと鳴く烏。老年層は、⸢ヨーラ⸣サー[⸢joːra⸣saː]ともいう。若年層は、⸢ユーガラ⸣サー[⸢juːgara⸣saː](夕烏{EOS}ゴイサギ)という。 ⸢ゴー⸣ラザーヌ ナ⸢ク⸣カー カ⸢ラウシ シッ⸣キティ ⸣ナーマヤーヌ ッ⸢ふァー⸣マ⸢ドー⸣ティ ウ⸢ヤーリ⸣シタ [⸢goː⸣raʣaːnu na⸢ku⸣kaː ka⸢raʔuʃi ʃik⸣kiti ⸣naːmajaːnu f⸢faː⸣ma⸢doː⸣ti ʔu⸢jaːri⸣ʃi̥ta] (ゴイサギが鳴くと空の臼を叩いて、ナーマヤーの子孫だよ、と叫んだ) 6596 0 0 6229 htmvoc_6596.wav コーラシ ⸢コーラ⸣シ [⸢koːra⸣ʃi] 接尾 あたかも~の素振りで。さながら~振りをして。まるで~様子で。 ッサン⸢コーラ⸣シ ミリ⸢ベー [ssaŋ⸢koːra⸣ʃi miri⸢beː] (知らんふりして見ている)。 イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢シェー⸣ン⸢コーラ⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [ʔik⸢kena⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ŋ⸢koːra⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (あたかもよく知っている振りをして話している)。 ッ⸢サンコーラ⸣シ ⸢ベー [s⸢saŋkoːra⸣ʃi ⸢beː] (知らん振りしている) 6577 0 1 6230 htmvoc_6577.wav コーラシゥクン ⸢コーラ⸣シゥクン [⸢koːra⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_1}固まる。凝固する。硬くなる。 ⸢キーウン⸣バ ⸢ウー⸣キナ ⸣ッシ ⸣クジタリティ ⸣シケーター ス⸢ク⸣ナー カ⸢タマリ コーラ⸣シキ ⸢ベー [⸢kiːum⸣ba ⸢ʔuː⸣kina ⸣ʃʃi ⸣kuʤitariti ⸣ʃi̥keːtaː su̥⸢ku⸣naː kḁ⸢tamari koːra⸣ʃi̥ki ⸢beː] (キャッサバの芋を桶に擂って澱粉をとっておいたら、桶の底に沈殿して固まり、凝固している)。 マ⸢ダ コーラシゥカ⸣ヌ [ma⸢da koːrasi̥ka⸣nu] (まだ凝固していない)。 ⸢コーラシ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [⸢koːraʃi̥⸣ki ⸢naː⸣nu] (凝固してしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢コーラス⸣ク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢koːrasu̥⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く凝固することはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢コーラシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢koːraʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (早く凝固すればよいのに)。 6577 0 2 6231 htmvoc_6577.wav コーラシゥクン ⸢コーラ⸣シゥクン [⸢koːra⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_2}乳児がよく成長・発育する。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢リティ⸣ プ⸢スシキ⸣ル ナ⸢ルン⸣ドゥ イッ⸢ケナ コーラシキ⸣ ブーバン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ma⸢riti⸣ pu̥⸢suʃi̥ki⸣ru na⸢run⸣du ʔik⸢kena koːraʃi̥ki⸣ buːbaŋ] (この子は生まれて一月しか経たない<一月ぞ経つ>がよく発育している) 6601 0 0 6232 htmvoc_6601.wav コーラシキルン ⸢コーラシキ⸣ルン [⸢koːraʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 強張る。硬直する。 ⸣アゴー ⸢コーラ⸣シキティ ⸣ムネー イ⸢ジユーソーラ⸣ヌ [⸣ʔagoː ⸢koːra⸣ʃi̥kiti ⸣muneː ʔi⸢ʤijuːsoːra⸣nu] (顎は硬直して話をすることが出来ない)。 カ⸢クチ⸣ヌ ⸢コーラシキラン⸣ヨーニ ⸢ヤー⸣ラ ⸣ムヌバ ン⸢カシ オーラシタン⸣ドゥ ⸢コーラ⸣シキ ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢kuʧi⸣nu ⸢koːraʃikiraɲ⸣joːni ⸢jaː⸣ramunuba ʔŋ⸢kaʃi ʔoːraʃitan⸣du ⸢koːra⸣ʃi̥ki ⸢naː⸣nu] (顎が硬直しないように柔らかいものを召し上がらせたが、硬直してしまった) 6602 0 0 6233 htmvoc_6602.wav コーラスクン ⸢コーラ⸣スクン [⸢koːra⸣su̥kuŋ] 自動 強張る。硬直する。固まる。 ⸢ティーパン⸣マー ⸢コーラ⸣シキティ マ⸢ギララヌ [⸢tiːpam⸣maː ⸢koːra⸣ʃi̥kitiː ma⸢giraranu] (手足が硬直して曲げられない)。 ス⸢ブシヌ コーラス⸣クカー ア⸢ラカラン⸣バ ⸢コーラシゥカン⸣ヨーニ ⸣ユーシ タ⸢ディ⸣バ [su⸢buʃinu koːra⸣su̥kukaː ʔa⸢rakaram⸣ba ⸢koːrasï̥⸢kaɲ⸣joːni ⸣juːʃi ta⸢di⸣ba] (膝が硬直すると歩かれないから、硬直化しないようにお湯で温め<温湿布し>なさいよ)。 ⸢コーラス⸣ク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢koːrasu⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (硬直することはない)。 ⸢コーラ⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢koːra⸣ʃi̥keː misamunu] (硬直すればよいのに)。 ⸢パイ⸣サ ⸢コーラ⸣シキ [⸢pai⸣sa ⸢koara⸣ʃi̥ki] (早く硬直せよ) 6603 0 1 6234 htmvoc_6603.wav コーラスン ⸢コーラ⸣スン [⸢koːra⸣suŋ] 他動 {Mn_1}固くする。軟らかい物を硬くする。凝固させる。 ム⸢チェー ピーラ⸣シティ ⸢コーラ⸣スン [mu⸢ʧeː piːra⸣ʃi̥ti ⸢koːra⸣suŋ] (餅は冷やして固める)。 ⸢コーラ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢コーラサラン⸣バン [⸢koːra⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢koːrasaram⸣baŋ] (固めようと思うのだが固められない)。 ク⸢レー コーラシヤッ⸣サン [ku⸢reː koːraʃijas⸣saŋ] (これは固めやすい)。 ⸢コーラ⸣ス ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [⸢koːra⸣su ⸣munoː ⸣nuːja] (固めるのは何か)。 ⸢マー⸣ビン ⸢コーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢koːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと固めればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢コーラ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢koːra⸣ʃi] (早く固めよ)。 ⸢ウン⸣ヌ ⸣シトゥ ⸣ティダナ ⸣プシティ ⸢コーラ⸣スン [⸢ʔun⸣nu ⸣ʃi̥tu ⸣tidana ⸣pu̥ʃiti ⸢koːra⸣suŋ] (芋の澱粉を太陽に干して固くする)。 ⸢コーラサ⸣ヌ [⸢koːrasa⸣nu] (固くしない)。 ⸢コーラ⸣シ ⸣ミサカー ⸢コーラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢koːra⸣ʃi misakaː ⸢koːra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (固くして良ければ固くすることは出来る)。 ⸢コーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢koːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (固くすれば良いのに)。 ⸢コーラ⸣シ [⸢koːra⸣ʃi] (固くしろ)。 6603 0 2 6235 htmvoc_6603.wav コーラスン ⸢コーラ⸣スン [⸢koːra⸣suŋ] 他動 {Mn_2}成長させる。強くする。 ヤ⸢ラ⸣ベー ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァーシティ⸣ ドゥー ⸢コー⸣ラシ [ja⸢ra⸣beː ʔm⸢maː⸣munu f⸢faːsiti⸣ duː ⸢koːra⸣ʃi] (子供は美味しいものを食べさせて成長させ<体を硬く成長させ>なさい) 6598 0 0 6236 htmvoc_6598.wav コーリ ⸢コーリ [⸢koːri] 名 行李。竹の皮や柳を編んで箱形に作り、蓋付きの衣類入れとしたもの。日露戦争で兵役に就いた人が内地より導入したといわれている。戦前まで台湾旅行に行く人が必ず持参していった。ヤ⸢ナギゴー⸣リ[ja⸢nagigoː⸣ri](柳行李)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸢コーリナー⸣ル ⸣キンカーン イ⸢リテイ⸣ タ⸢ベー オーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢koːrinaː⸣ru ⸣kiŋkaːŋ ʔi⸢riti⸣ ta⸢beː ʔoːt⸣ta] (昔は行李に衣類を入れて旅に行かれた) 6599 0 0 6237 htmvoc_6599.wav ゴーリ ⸢ゴーリ [⸢goːri] 名 窪んだ所。陥没した穴。御出来の\ruby{膿}{ウミ}が出て筋肉が窪んだ所。⸢ゴールン[⸢goːruŋ](陥没する)の連用形からの転成名詞。 イ⸢シェー⸣マーンドーレーヤ ク⸢マ⸣ヌ ⸢ゴーリ⸣ナー イ⸢リリ⸣バ [ʔi⸢ʃeː⸣mandoreːja ku⸢ma⸣nu ⸢goːri⸣naː ʔi⸢riri⸣ba] (小石などは此処の陥没した穴に入れなさいよ) 6604 0 0 6238 htmvoc_6604.wav コーリッス ⸢コーリ⸣ッス [⸢koːri⸣ssu] 名 硬い糞。便秘の際に出る固まった大便。 ナ⸢マバン⸣スル ッ⸢ふー⸣カー シ⸢ビ コー⸣リティ ⸢コーリ⸣ッス マルン⸢ダー [na⸢maban⸣suru f⸢fuː⸣kaː ʃi⸢bi koː⸣riti ⸢koːri⸣ssu marun⸢daː] (未熟のグヮバ<蕃石榴>を食べると便秘して<尻が固くなって>硬い大便を出すぞ) 6605 0 0 6239 htmvoc_6605.wav ゴーリバンスル ⸢ゴーリバンスル [⸢goːribansuru] 名 完熟して雀や雲雀に食べられて大きく穴の開いたバンジロウ<蕃石榴>。 パ⸢タキ⸣ヌ アザナー ⸢バンスル⸣ヌ ⸢ウー⸣ミ ⸢ベータン⸣ドゥ ⸣チンチン(⸣ガザフケーン) ッ⸢ふァーリティ ゴーリバンスル⸣ ナリ ⸢ベー [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢bansuru⸣nu ⸢ʔuː⸣mi ⸢beːtan⸣du ⸣ʧinʧin(⸣gaʣaɸukeːn)f⸢faːriti goːribansuru⸣ nari ⸢beː] (畑の畦にバンジロウが熟していたが雲雀に突っついて食べられて穴の開いたバンジロウになっているよ) 6606 0 0 6240 htmvoc_6606.wav ゴーリルン ⸢ゴーリルン [⸢goːriruŋ] 自動 出来物が化膿して筋肉が陥没する。悪性の出来物が膿んで潰れて筋肉が陥没する。陥没して穴が開く。ごっそり削り取られる。 ⸣ニーブター ⸣ナリ ⸢ウー⸣ムカー ⸢ゴーリルン⸣ティ⸢ダー [⸣niːbutaː ⸣nari ⸢ʔuː⸣mukaː ⸢goːrirun⸣ti⸢daː] (根太<臀部などにできる悪性の腫れ物{EOS}せつ>になって化膿すると筋肉が陥没するってよ)。 ⸢ゴーリラヌ [⸢goːriranu] (化膿して陥没しない)。 ⸢ゴーリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢goːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (化膿して陥没することはない)。 ⸢ゴーリル ムンデー⸣カー ⸢ゴーリリ [⸢goːriru mundeː⸣kaː ⸢goːriri] (化膿して筋肉が陥没するものなら陥没しろ) 6600 0 0 6241 htmvoc_6600.wav ゴールゴール ⸢ゴールゴール [⸢goːrugoːru] 副 いびき(鼾)をかくさま。 ⸢ゴールゴール⸣シ パ⸢ナ⸣フキ ニ⸢ビベー [⸢goːrugoːru⸣ʃi pa⸢na⸣ɸu̥ki ni⸢bibeː] (ゴーロゴーロと鼾をかいて寝ている)。腹の鳴るさま。 ⸢ヤー⸣サティル ⸣バター ⸣アイニ ⸢ゴールゴール⸣シ ⸢ナール⸣ヨー [⸢jaː⸣satiru ⸣bataː ⸣ʔaini ⸢goːrugoːru⸣ʃi ⸢naːru⸣joː] (腹がすいて<ひもじいので>、お腹はあんなにもゴーロゴーロと鳴るのだよ) 6608 0 1 6242 htmvoc_6608.wav コールン ⸢コー⸣ルン [⸢koː⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}固まる。硬くなる。 ⸢ヌー⸣ロー ⸢ピール⸣ター ⸢コー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢nuː⸣roː ⸢piːru⸣taː ⸢koː⸣ri ⸢naː⸣nu] (糊は冷えたから固まってしまった)。 マ⸢ダ コーラ⸣ヌ [ma⸢da koːra⸣nu] (まだ固まらない)。 ⸢ピーラ⸣スカー ⸢コー⸣ルン [⸢piːra⸣su̥kaː ⸢koː⸣ruŋ] (冷やしたら固まる)。 ⸢コー⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ [⸢koː⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (固まるのは捨てろ)。 ⸢コー⸣レーラー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [⸢koː⸣reːraː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (固まったら大変だぞ)。 6608 0 2 6243 htmvoc_6608.wav コールン ⸢コー⸣ルン [⸢koː⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}成長する。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ コーリ⸣ ブーバン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena koːri⸣ buːbaŋ] (この子は非常に成長しているわい)。 6608 0 3 6244 htmvoc_6608.wav コールン ⸢コー⸣ルン [⸢koː⸣ruŋ] 自動 {Mn_3}意地を張る。強く主張する。 サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸣ムニ ⸢コー⸣ルン [sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸣muni ⸢koː⸣ruŋ] (酒を飲んだら意地を張る<もの言いが硬くなる>)。 ⸣ドゥク ⸣アイ ⸢コーラン⸣ドーシ プ⸢スヌ⸣ ムニン シ⸢キ⸣バ [⸣duku ⸣ʔai ⸢koːran⸣doːʃi pu̥⸢sunu⸣ muniŋ ʃi⸢ki⸣ba] (そうあんまり意地を張らないで他人の話も聞きなさいよ)。 マー⸢ンバー⸣キン ⸢コーリ⸣バ⸢ヨー [maː⸢mbaː⸣kiŋ ⸢koː⸣riba⸢joː] (どこまでも強く主張しなさいよ<意地をはれよ>) 6607 0 0 6245 htmvoc_6607.wav ゴールン ⸢ゴールン [⸢goːruŋ] 自動 出来物が化膿して筋肉が陥没する。ごっそり削り取られる。肉が\ruby{削}{ソ}げ落ちる。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢ウー⸣ミタリティ ⸢ゴーリ ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢ʔuː⸣mitariti ⸢goːri naː⸣nu] (出来物<汗も>が化膿し過ぎて、潰れて筋肉が陥没してしまった)。 ク⸢ヌ コー⸣ヤク ⸢ヌーリ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢ゴーラヌ [ku⸢nu koː⸣jaku ⸢nuːri⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢goːranu] (この膏薬を塗っておくと筋肉が化膿して陥没しない)。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸢ヨー⸣ゾー ⸢サン⸣カー ⸢ゴールン⸣ティ⸢ダー [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢joː⸣ʣoː ⸢saŋ⸣kaː ⸢goːrun⸣ti⸢daː] (この御出来は手当てをしないと化膿して筋肉が陥没するってよ)。 ⸢ゴール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢goːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (化膿して筋肉が陥没することはない)。 ⸢ゴーレー⸣ラー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸢goːreː⸣raː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (化膿して筋肉が陥没したら大変だよ)。 ⸢ゴール⸣カー ⸢ゴーリバ [⸢goːru⸣kaː ⸢goːri⸣ba] (化膿して筋肉が陥没するなら陥没しろ) 6609 0 0 6246 htmvoc_6609.wav コーロー ⸢コー⸣ロー [⸢koː⸣roː] 名 香炉。神や祖霊を祀るために線香を立てるのに用いる陶磁器の器。人の足跡のない砂浜から砂を運び、篩にかけて細かい砂を選別して香炉に入れた。直径約18センチ、高さ約12センチの広口碗型の器がウ⸢ブコー⸣ロ[ʔu⸢bukoː⸣roː](大香炉)といわれており、香炉は大型の物ほど子孫繁栄に繋がるといって喜ばれる。一番座の⸢ザー⸣トゥク[⸢ʣaː⸣tuku](床の間)の香炉は、⸢コン⸣ジン[⸢kon⸣ʤiŋ](「根神」の義か)といわれ、家の香炉として継承される。家には、代々の香炉と妻が嫁入りした際に里から分けて建てた香炉や、家の女達の香炉がある。個人の香炉を建てることを、⸢コン⸣ジン タ⸢ティ⸣ルン[⸢kon⸣ʤin tḁ⸢ti⸣ruŋ](金神を立てる)という。娘が嫁入りして行く場合、里の香炉を廃してその灰を持参して婚家で新たに香炉を建てるが、里の香炉を廃することを、⸢コン⸣ジン ピ⸢クン[⸢kon⸣ʤim pi̥⸢kuŋ]という。 ⸢コー⸣ローナー ⸢カウワー⸣ シキ タ⸢ティ⸣リ [⸢koː⸣roːnaː ⸢kauwaː⸣ ʃi̥ki tḁ⸢ti⸣ri] (香炉に線香の<は>火を付けて立てなさい) 6611 0 0 6247 htmvoc_6611.wav コーン ⸢コー⸣ン [⸢koː⸣ŋ] 形 硬い。「磽、己波志(こはし)」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ⸢コー⸣ンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ⸢コーナー⸣ヌ [ku⸢nu kiː⸣ja ⸢koː⸣nti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː ⸢koːnaː⸣nu] (この木は硬いと思ったが、あまり硬くない)。 ⸢シンダイ コー⸣ ナルン [⸢ʃindai koː⸣ naruŋ] (次第に硬くなる)。 ク⸢レー コー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː koː⸣nu f⸢faːranu] (これは硬くて食えない)。 ⸢ウイ⸣プソー ⸢コー⸣ ムノー ッ⸢ふァイ ユーサヌ [⸢ʔui⸣ pu̥soː ⸢koː⸣ munoː f⸢fai juːsanu] (年寄りは硬いものは食べきれない)。 ⸢シン⸣ザー ⸢コー⸣ヌ カ⸢マラ⸣ヌ [⸢ʃin⸣ʣaː ⸢koː⸣nu ka⸢mara⸣nu] (砂糖黍は固くて噛んで食べることが出来ない<噛まれない>)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢コーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢koːnaː⸣nu] (あまり固くない)。 ⸢シンダイ コー⸣ ナルン [⸢ʃindai koː⸣ naruŋ] (次第に固くなる)。 ⸢コー⸣ ムノー ⸢カウナ [⸢koː⸣ munoː ⸢kauna] (固いものは買うな)。 ⸢マー⸣ビン ⸢コー⸣カー カ⸢マラ⸣ヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢koː⸣kaː ka⸢mara⸣nu] (もっと固ければ噛めない) 6612 0 0 6248 htmvoc_6612.wav コーンギ ⸢コーン⸣ギ [⸢koːŋ⸣gi] 名 桑。「桑の木」の義。⸢ゴーナ⸣キー[⸢goːna⸣kiː](桑の木)ともいう。葉は養蚕用に、堅くて木目の美しい材質は床柱や床縁、三味線の棹に利用された。実は完熟すると赤褐色から黒褐色を呈して美味である。子供は木の上で唇が赤く染まるまでとって食べた。台風の後、落葉すると結実した。養蚕が廃止されると桑の葉は山羊の飼料に利用された。 ⸢コーンギー⸣ヌ ⸢パーヤ⸣ ピ⸢ビザー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ふータン [⸢koːŋgi⸣nu ⸢paːja⸣ pi⸢biʣaː⸣ ʔik⸢kena⸣ f⸢fuːtaŋ] (桑の葉は、山羊はよく食べた) 6613 0 1 6249 htmvoc_6613.wav ゴーンコーン ⸢ゴーンコーン [⸢goːŋkoːŋ] 副 {Mn_1}堅い木材を叩く音の形容。擬音語。 ⸢ゴーンコーン⸣シ ウ⸢トゥヌ⸣ シゥ⸢カリヌ タッ⸣テヌ プ⸢スヌ⸣ ヤー ス⸢ク⸣ロールカヤー [⸢goːŋkoːŋ⸣ʃi ʔu⸢tunu⸣ sï̥⸢karinu tat⸣tenu pu̥⸢sunu⸣ jaː su̥⸢ku⸣roːrukaja] (コーンコーンと大槌で木材を打つ音が聞こえるが、何処の家の人が家を新築される<造られる>のかなあ)。 6613 0 2 6250 htmvoc_6613.wav ゴーンコーン ⸢ゴーンコーン [⸢goːŋkoːŋ] 副 {Mn_2}咳き込む音の形容。 ⸢ゴーンコーン⸣シ ッ⸢サーク⸣ヌ シゥ⸢カリヌ⸣ パ⸢ナシキヌ⸣ パ⸢ヤー⸣リ ⸢アー⸣クカヤー [⸢goːŋkoːŋ⸣ʃi s⸢saːku⸣nu sï̥⸢karinu⸣ pa⸢naʃi̥kinu⸣ pa⸢jaː⸣ri ⸢ʔaː⸣kukajaː] (ごほんごほんと咳き込む音<声>が聞こえるが、風邪が流行っているのかなあ) 6499 0 0 6251 htmvoc_6499.wav コイ ⸣コイ [⸣koi] 名 肥やし。肥料。「肥、古由<こゆ>」『華厳音義私記』の転訛か。 ⸣オンケーヌ ⸣コイ [⸣ʔoŋkeːnu ⸣koi] (便所の肥やし{EOS}人糞肥料)。 ミ⸢ジ⸣ゴイ [mi⸢ʤi⸣goi] (水肥やし)。 カ⸢ジ⸣ゴイ [ka⸢ʤi⸣goi] (堆肥)。 ⸣コイ カ⸢タ⸣ミ [⸣koi ka⸢ta⸣mi] (肥やしを運べ<担げ>)。 ⸢ワンヌン⸣ コイタングナ ミ⸢ジ⸣ゴイ イ⸢リティ⸣ パ⸢タ⸣ケー カ⸢タ⸣ミ ⸣パリ⸢ヨー [⸢wannuŋ⸣ koitaŋguna mi⸢ʤi⸣goi ʔi⸢riti⸣ pa⸢ta⸣keː ka⸢ta⸣mi ⸣pari⸢joː] (水肥桶に水肥を入れて畑へ担いで行きなさいねえ) 6501 0 0 6252 htmvoc_6501.wav コイスブ ⸣コイスブ [⸣koisubu] 名 肥え壷。肥え溜め。水肥を蓄えて発酵させる壷(穴)。普通は便所の裏に作られていた。 ヨー⸢ヨー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸣コイスブヌ ア⸢リ⸣バ ウ⸢ティル⸣ナ⸢ダー [joː⸢joː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸣koisubunu ʔa⸢ri⸣ba ʔu⸢tiru⸣na⸢daː] (よくよく注意してよ{EOS}畑の畦に肥え壷があるから落ちるなよ) 6500 0 0 6253 htmvoc_6500.wav コイタング ⸣コイタング [⸣koitaŋgu] 名 肥え桶。肥えたご(担桶)。 ⸣コイタング カ⸢リ⸣キー ミ⸢ジ⸣ゴイ カ⸢タミ⸣リ [⸣koitaŋgu ka⸢ri⸣kiː mi⸢ʤi⸣goi ka⸢tami⸣ri] (肥え担桶を借りてきて水肥を運べ<担げ>)。 ⸣コイタンゴー プ⸢ス⸣ター サ⸢リティ⸣ ム⸢リ⸣スバン [⸣koitaŋgoː pu̥⸢su⸣taː sa⸢riti⸣ mu⸢ri⸣subaŋ] (水肥桶は日に干しておいたから乾燥してしまって<枯れてしまって>漏れるわいよ) 6502 0 0 6254 htmvoc_6502.wav コイナー ⸣コイナー [⸣koinaː] 名 (動)鳥の名。歌謡語。コイナーユンタに歌われている鳥。正体不明の鳥。「アジサシの一種」という『石垣方言辞典』 6503 0 0 6255 htmvoc_6503.wav コイフダル ⸣コイフダル [⸣koiɸudaru] 名 こえびしゃく(肥柄杓)。糞尿を汲み取る柄杓。 ム⸢カ⸣シェー ⸣オンケーヌ ⸣コイスボーラ ⸣コイフダルシル ⸣コイ フ⸢モーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔoŋkeːnu ⸣koisuboːra ⸣koiɸudaruʃiru ⸣koi ɸu⸢moːt⸣ta] (昔は豚便所の肥え壷から肥柄杓で肥えを汲み取られた) 6504 0 0 6256 htmvoc_6504.wav コイマキ ⸣コイマキ [⸣koimaki] 名 水肥によるかぶれ。農作業で直接に肥えが手足に触れて発疹や炎症をおこすこと。「肥え負け」の義。 キ⸢ムイ⸣ツァー ⸣コイマケー ⸢シー パン⸣マー ア⸢ガーアガー⸣シ フ⸢クリ ベー [ki⸢mui⸣ʦaː ⸣koimakeː ⸢ʃiː pam⸣maː ʔa⸢gaːʔagaː⸣ʃi ɸu̥⸢kuri beː] (可哀相に、肥えにかぶれて手足が赤く腫れている) 6614 0 0 6257 htmvoc_6614.wav ゴコゴッコーー ゴ⸢コゴッコー⸣ー [go⸢kogokkoː⸣ː] 副 こけこっこう。鶏鳴の形容。雄鶏の鳴く声。 ゴ⸢ケゴッコー⸣ーティ イ⸢チバンドゥル⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー マ⸢ジムノー ピン⸣ギ パ⸢リ⸣スティ ⸢スンダー ウンダー⸣ ノー⸢ン⸣ ナ⸢クラーラー ナーン⸣シェン [go⸢kogokkoː⸣ːti ʔi⸢ʧibanduru⸣nu na⸢ku⸣kaː ma⸢ʤimunoː piŋ⸣gi pa⸢ri⸣suti ⸢sundaː⸣ noː⸢n⸣ na⸢kuraː naːŋ⸣ʃeŋ] (こけこっこうと一番鳥が鳴くと、マジモノ<魔物>は逃げていくというから、それからは何も怖くなかった) 6615 0 0 6258 htmvoc_6615.wav ゴザ ⸣ゴザ [⸣goʣa] 名 ござ(茣蓙)。輸入品の高級筵。ハ⸢ナ⸣ゴザ[ha⸢na⸣goʣa](花模様の付いた高級筵)は来客用に用いた。標準語からの借用語。普通は、パ⸢ダ⸣ムス[pa⸢da⸣musu](肌筵)という。寝る時に敷く筵。夏は暑いので縁側に筵を敷いて寝ると、床板の冷気が熟睡を誘うのであった。茣蓙は来客がある際に敷いて用いた。普通は、ア⸢ダン⸣パームス[ʔa⸢dam⸣paːmusu](あだん葉で編んだ筵)か、⸢サーラムス[⸢saːramusu](藺草で編んだ筵)を用いた。 ⸣ゴザ シ⸢キティ⸣ ユクイ ⸢オーラ⸣シ [⸣goʣa ʃi̥⸢kiti⸣ jukui ⸢ʔoːra⸣ʃi] (茣蓙を敷いてお休みになっていただきなさい) 6616 0 0 6259 htmvoc_6616.wav ゴシティ ゴシ⸢ティ [goʃi̥⸢ti] 副 ばっさり。刃物で勢いよく切るさま。 イ⸢ズヌ⸣ ス⸢ブ⸣ロー ゴシ⸢ティ⸣ キシティ ピ⸢サ⸣ ウ⸢コー⸣シバ [ʔi⸢ʣunu⸣ su⸢bu⸣roː goʃi̥⸢ti⸣ ki̥ʃiti pi̥⸢sa⸣ ʔu⸢koː⸣ʃiba] (魚の頭をばっさりと切り落として、三枚に卸しなさいよ) 6617 0 0 6260 htmvoc_6617.wav コッカー ⸢コッ⸣カー [⸢kok⸣kaː] 名 ほおずき(酸漿)。⸢ホッ⸣カー[⸢hok⸣kaː]ともいう。昔は⸣シラプス[⸣ʃirapu̥su](産婦)が⸣シラムヨー[⸣ʃiramujoː](産気づく)とほおずき(酸漿)を煎じて飲ませた。サ⸢ギフチ⸣ル[sa⸢giɸu̥ʧi⸣ru](下し薬)の煎じ薬。日常生活でも女の子たちは\ruby[g]{酸漿}{ホオズキ}の実が熟れると\ruby{捥}{モ}いで食した。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドーン⸣ッふァンケーヤ ⸢コッ⸣カー フ⸢チ⸣ナー フ⸢ク⸣メーティ ⸣ユー ⸢ナーラシ⸣ ア⸢サブン⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢doːn⸣ffaŋkeːja ⸢kok⸣kaː fu⸢ʧi⸣naː ɸu̥⸢ku⸣meːti ⸣juː ⸢naːraʃi⸣ ʔa⸢sabutan⸣daː] (昔は女の子供達はほおずき<酸漿>を口にふくみながら、よく鳴らして遊んだものだ)。 ⸢コッ⸣カーヤ パ⸢タ⸣キナー ⸣ムイ ブ⸢タン [⸢kokaː⸣ja pḁ⸢ta⸣kinaː ⸣mui ⸢butaŋ] (ほおずき<酸漿>は畑に生えていた) 6618 0 0 6261 htmvoc_6618.wav ゴッカル ⸣ゴッカル [⸣gokkaru] 名 鳥の名。アカショウビン(赤翡翠)。背は朱色、腰は瑠璃色、腹は黄褐色。嘴が大きい。ア⸢ガ⸣ゴッカル[ʔa⸢ga⸣gokkaru]ともいう。鳩間島では初夏のころに友利御嶽の森や西村井戸の後背部の林、⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東村井戸<ウ⸢リ⸣カー{SqBr}ʔu⸢ri⸣kaː{/SqBr}下り井戸>)の林の中などに現れた。時々、⸣アミツァ[⸣ʔamiʦa](ヤドカリ)の殻を嘴で割って捕食するのもいた。 ⸣ゴッカロー ⸢インヌカーヌ キー⸣ヌミー ⸢ウイヌウガン⸣ヌ ⸢キーヌ⸣ミーナ ミ⸢ラリ⸣タン⸢ダー [⸣gokkaːroː ⸢ʔinnukaːnu kiː⸣numiː ⸢ʔuinuʔugan⸣nu ⸢kiː⸣numiːna mi⸢rari⸣tan⸢daː] (アカショウビンは西村井戸の林の中、友利御嶽の林の中に見ることができた<見られた>よ) 6619 0 0 6262 htmvoc_6619.wav コッキー ⸢コッ⸣キー [⸢kok⸣kiː] 名 ご馳走。「活計」の転訛したものか。⸢コッ⸣チー[⸢kot⸣ʧiː](ご馳走)ともいう。 ⸢キュー⸣ヤ ユ⸢カーラ コッキー⸣ タ⸢ボーラ⸣リ フ⸢コーラサ⸣ ヌチ ⸢ムイ⸣ヤーツバン [⸢kjuː⸣ja ju⸢kaːra kokkiː⸣ ta⸢boːra⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸣ nuʧi ⸢mui⸣jaːʦubaŋ] (今日は大変なご馳走を頂いて有難う{EOS}生き返った<命が生えた、蘇った>よ) 6621 0 0 6263 htmvoc_6621.wav コッコーッふァー ⸢コッコー⸣ッふァー [⸢kokkoː⸣ffaː] 名 孝行の子。孝行者。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー コッコー⸣ッふァー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトゥーン ⸣ユー ⸢スン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː kokkoː⸣ffaː ja⸢runda⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥tuːɲ ⸣juː ⸢suŋ] (その子は孝行の子<親孝行な子>であるから親にもよく尽くす<親のことも良くする>) 6620 0 0 6264 htmvoc_6620.wav コッコーマ ⸢コッコー⸣マ [⸢kokkoː⸣ma] 名 お利口さん。孝行な子。愛しい子。子供を慈しんで呼びかける言葉。 コッコー⸢マー ワー タンガ⸣シ ⸢クーター [kokkː⸢maː waː taŋga⸣ʃi ⸢kuːtaː] (愛しい子よ、お前一人で来たのか{EOS}「よくひとりで来ることができたねえ{EOS}いらいよ」の含意がある) 6622 0 0 6265 htmvoc_6622.wav ゴッスンクギ ⸢ゴッスンクギ [⸢gossuŋkugi] 名 五寸釘。屋根のタ⸢ル⸣キ[ta⸢ru⸣ki](垂木)を桁材に打ち付けるのに用いる釘。⸢ゴッスンフン[⸢gossuŋɸuŋ](五寸釘)ともいう。 ⸢ヤー⸣ヌ ヤ⸢ドゥパシ⸣ロー ⸢ゴッスンフン⸣シ ⸣ウティ ⸣シケーバ ⸢タイフー⸣ヌ ⸢クー⸣バン ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢jaː⸣nu ja⸢dupaʃi⸣roː ⸢gossuŋɸuŋ⸣ʃi ⸣ʔuti ⸣ʃi̥keːba ⸢soːja naː⸣nu] (家の雨戸は五寸釘で打ちつけてあるので、台風が来ても心配ない) 6623 0 0 6266 htmvoc_6623.wav コッタルムヌ ⸢コッタルムヌ [⸢kottarumunu] 感 ままよ(儘よ)。なるようになれ。どうなろうと知るものか。不都合なことが惹起して残念がったり、なす術がなくなり、怒ったり自暴自棄に陥ったりするときに発することば。 ⸢コーッタルムヌ⸣ ウビ⸢バーキ⸣ル イ⸢ジ⸣ ナ⸢ラー⸣シン シ⸢ラリル⸣ ドゥーシ ⸢ノーサン⸣カー ⸢ターシタガーヤー⸣ メー [⸢koːttarumunu⸣ ʔubi⸢baːki⸣ru ʔi⸢ʤi⸣ na⸢raː⸣ʃiŋ ʃi⸢rariru⸣ duːʃi ⸢noːsaŋ⸣kaː ⸢taːʃitagaːja⸣ meː] (ままよ{EOS}これだけしか<が>叱って教えることも出来ない<出来る>{EOS}己自身で治さなければ、誰が知ったことか<俺は知らんぞ>)。 ⸢コーッタルムヌ⸣ アイブ ム⸢ヌン⸣ナーニ ア⸢ザンブレー⸣バ ⸣ミサタムヌ [⸢koːttarumunu⸣ ʔaibu mu⸢nun⸣naːni ʔa⸢ʣambureː⸣ba ⸣misatamunu] (どうにでもなれ<えい、ままよ>{EOS}あんな奴に言わなければよかったのに) 6624 0 0 6267 htmvoc_6624.wav コッチー ⸢コッ⸣チー [⸢kot⸣ʧiː] 名 ご馳走。老年層は、⸢クヮッ⸣チー[⸢kwat⸣ʧiː](ご馳走)という。⸢クヮッ⸣チー[⸢kwat⸣ʧiː]の項参照 6625 0 0 6268 htmvoc_6625.wav コッチャン ⸢コッチャン [⸢kotʧaŋ] 固 浦崎英七氏の童名。「お坊ちゃん」の義。石垣方言の⸢コー⸣ニー[⸢koː⸣niː](男の子{EOS}士族男子の名)の愛称で、コッ⸢チ[kot⸢ʧi](ちんちん{EOS}男の子)に由来するものであろう。 ⸢ウイカナケーヌ エイシチャザー⸣ ヤ⸢ラビナー⸣ヤ ⸢コッチャン⸣ティル ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸢ʔuikanakeːnu jeiʃi̥ʧaːʣaː⸣ ja⸢rabinaː⸣ja ⸢kotʧan⸣tiru ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (浦崎家の英七兄さんは、童名はコッチャンとぞ言われたよ) 6626 0 0 6269 htmvoc_6626.wav コッパチャー ⸢コッパ⸣チャー [⸢koppa⸣ʧaː] 名 硬い物。頭の固い人。我の強い人。 ク⸢レー コッパ⸣チャー ⸣ナリティ カ⸢マラ⸣ヌ [ku⸢reː koppa⸣ʧaː ⸣nariti ka⸢mara⸣nu] (これは硬い物になって食べられない)。 ⸣アイブ ⸢コッパ⸣チャーティン プ⸢スヌ ブン⸣ツォー ⸢ピッ⸣チン プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カヌ [⸣ʔaibu ⸢koppa⸣ʧaːtim pu̥⸢sunu bun⸣ʦoː ⸢pit⸣ʧim pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢kanu] (あんな堅物って、人たるものがいるものかよ{EOS}一つも他人の話を聞き入れない<聞かない>) 6627 0 1 6270 htmvoc_6627.wav コッパリムヌ ⸢コッパリ⸣ムヌ [⸢koppari⸣munu] 名 {Mn_1}固くなったもの。凝固したもの。 ⸢コッパリ⸣ムノー ミ⸢ジ⸣ナ イ⸢リティ⸣ フ⸢クラシ ヤーラカシ [⸢kopari⸣munoː mi⸢ʤi⸣na ʔi⸢ri⸣ ɸu̥⸢kuraʃi jarakaʃi] (固くなった物は水に入れて膨らませて軟らかくしなさい)。 6627 0 2 6271 htmvoc_6627.wav コッパリムヌ ⸢コッパリ⸣ムヌ [⸢koppari⸣munu] 名 {Mn_2}強張っているもの。 プ⸢スヌ⸣ マンター ン⸢ジ⸣ルカー ⸢コッパリ⸣ムヌ ⸣ナリティ ⸣ムニ イ⸢ジサヌ [pu̥⸢sunu⸣ mantaː ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸢koppari⸣munu ⸣nariti ⸣muni ʔi⸢ʤisanu] (人前に出ると堅物<強張ったもの>になって物が言えない) 6570 0 0 6272 htmvoc_6570.wav コッパルン ⸢コッ⸣パルン [⸢kop⸣paruŋ] 自動 硬くなる。硬直する。「強張る」の義。 ム⸢チェー コーッ⸣パリティ カ⸢マラ⸣ヌ [mu⸢ʧeː koːp⸣pariti ka⸢mara⸣nu] (餅は硬くなって噛めない)。 ⸢ピーラシ⸣タンティン ⸢コッパラ⸣ヌ [⸢piːraʃi⸣tantiŋ ⸢koppara⸣nu] (冷やしても硬くならない<強張らない>)。 ⸢ピーラ⸣スカー ⸢コッ⸣パルクトー ⸢コッパルン⸣ドゥ ヤ⸢ク⸣カー ⸢ヤーラクン⸣ダー [⸢piːra⸣su̥kaː ⸢kop⸣paruku̥toː ⸢kopparun⸣du ja⸢ku⸣kaː ⸢jaːrakun⸣daː] (冷やすと硬くなる<強張る>ことは硬くなるが<強張るが>、焼くと柔らかくなる<やわらぐ>よ)。 ⸢コッ⸣パレー ⸣ミサムヌ [⸢kop⸣pareː ⸣misamunu] (硬くなれば<強張れば>よいのに)。 ⸢コッ⸣パリ [⸢kop⸣pari] (硬くなれ)。 ム⸢チェー コッ⸣パリティ ッ⸢ふァーラヌ [mu⸢ʧeː kop⸣pariti f⸢faːranu] (餅は硬くなって食べられない)。 マ⸢ダ コッパラ⸣ヌ [ma⸢da koppara⸣nu] (まだ硬くならない)。 ⸢ピーラ⸣スカー ⸢コッ⸣パルン [⸢piːra⸣su̥kaː ⸢kop⸣praruŋ] (冷やしたら硬くなる)。 ⸢コッ⸣パルムノー ⸢コッパラ⸣シ [⸢kop⸣paru ⸣munoː ⸢koppara⸣ʃi] (硬くなる<固まる>ものは硬くなせ<固まらせ>)。 ⸢マー⸣ビン ⸢コッ⸣パレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢kop⸣pareː ⸣misamunu] (もっと硬くなれば<硬直すれば>よいのに)。 ⸢タンガ⸣プス ヤ⸢ロー⸣レーティ ⸢マーラシティ コッ⸣パルンケン ター⸢ン⸣ ッ⸢サンシェン⸣ツォー [⸢taŋga⸣pu̥su ja⸢roː⸣reːti ⸢maːraʃiti kop⸣paruŋken taː⸢n⸣ s⸢saŋʃen⸣ʦoː] (一人暮らしでおられた<一人身であられた>ので、亡くなって硬直するまで誰も知らなかったそうだ) 6554 0 0 6273 htmvoc_6554.wav コッふァスン ⸢コッふァスン [⸢koffasuŋ] 他動 根こそぎにする。 ⸢タイ⸣フーナ ⸢ウーナン⸣ヌ ⸢ユーシ⸣キー ⸢サンバ⸣シェー ⸢コッふァシ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌゥ [⸢tai⸣ɸuːna ⸢ʔuːnan⸣nu ⸢juːʃi⸣kiː ⸢samba⸣ʃeː ⸢koffaʃi⸣ pari⸢naː⸣nu] (台風で大波が押し寄せて、桟橋は根こそぎ、ごっそり押し流されてしまった)。 ⸢ウーナン⸣マー ノー⸢ン コッふァスン [⸢ʔuːnam⸣maː noː⸢ŋ koffasuŋ] (大波は何でも根こそぎにする)。 ⸢コッふァサラヌ [⸢koffasaranu] (根こそぎにされない)。 ⸢コッふァス⸣ クトゥン ⸣アン [⸢koffasu⸣ ku̥tuŋ ʔaŋ] (根こそぎにすることもある)。 ⸢コッふァシェー⸣ ミサムヌ [⸢koffaʃeː⸣ misamunu] (根こそぎにすればいいのに)。 ⸢コッふァシ [⸢koffaʃi] (根こそぎにせよ) 6631 0 0 6274 htmvoc_6631.wav コッふァスン ⸢コッふァスン [⸢koffasuŋ] 他動 根こそぎにする。ごっそり掘り起こして持ち去る。ことごとくぶっ壊して持ち去る。根こそぎ鋤き起こしたように持ち去る。雪崩れ込む。 ⸢ウーミジヌ⸣ ウ⸢ク⸣リティ ⸢ター⸣ヌ ⸣アザー ⸢コッふァシ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔuːmiʤinu⸣ ʔu⸢ku⸣riti ⸢taː⸣nu ⸣ʔaʣaː ⸢koffaʃi⸣ pari⸢naː⸣nu] (洪水<大水>が起って田の畦は根こそぎに掘り起こして押し流してしまった)。 ⸢ウーミジェー⸣ ノー⸢ン コッふァスン [⸢ʔuːmiʤeː⸣ noː⸢ŋ koffasuŋ] (洪水は何もかも根こそぎ鋤き起こしたように流し去る)。 ⸢コッふァサラヌ [⸢koffasaranu] (根こそぎにされない)。 ⸢ウーミジヌ⸣ ター ⸢コッふァス⸣ ピンマー ⸢イットゥ⸣キシル ⸢コッふァス⸣ダー [⸢ʔuːmiʤinu⸣ taː ⸢koffasu⸣ pimmaː ⸢ʔittu⸣kiʃiru ⸢koffasu⸣daː] (洪水が田を根こそぎに破壊するときは、一瞬の間にぶっ壊して流し去るのだ) 6632 0 0 6275 htmvoc_6632.wav ゴッふァスン ⸢ゴッふァスン [⸢goffasuŋ] 他動 幼児が額を物にゴツンと当てる。 フ⸢タイ ゴッふァスン [ɸu̥⸢tai goffasuŋ] (額を物にゴツンと当てる)。 ⸢ゴッふァサヌ [⸢goffasanu] (額を打ち付けない)。 ゴッ⸢ふェー⸣ティ ⸢ゴッふァス⸣ ピンマー ⸢ヤーラマ⸣シ ⸢ゴッふァシ⸣バ [gof⸢feː⸣ti ⸢goffasu⸣ pimmaː ⸢jaːrama⸣ʃi ⸢goffaʃi⸣ba] (ゴツンと額をぶつける時は柔らかくぶつけなさいよ) 6630 0 1 6276 htmvoc_6630.wav ゴッふァティ ゴッ⸢ふァティ [gof⸢fati] 副 {Mn_1}ごつんと。 ゴッ⸢ふァティ⸣ フ⸢タイ⸣ バ⸢リ⸣ シケー [gof⸢fati⸣ ɸu̥⸢tai⸣ ba⸢ri⸣ ʃi̥keː] (ゴツンと額を打ちつけてある)。 6630 0 2 6277 htmvoc_6630.wav ゴッふァティ ゴッ⸢ふァティ [gof⸢fati] 副 {Mn_2}ごっそり。根こそぎにするさま。ことごとく。余すところなく。 ウ⸢ブアミヌ フー⸣ター ⸢ウーミジヌ⸣ ウ⸢ク⸣リティ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザー ゴッふァティ サンガリ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢buaminu ɸuː⸣taː ⸢ʔuːmiʤinu⸣ ʔu⸢ku⸣riti pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣaː gof⸢fati saŋgari⸣ pari⸢naː⸣nu] (大雨が降ったので洪水<大水>が起こって畑の畦は根こそぎ流されて<引張られて>いってしまった) 6633 0 0 6278 htmvoc_6633.wav ゴッふェー ゴッ⸢ふェー [gof⸢feː] 感 ゴッツンコ。母親が乳幼児の額に母親の額を軽く当ててあやすこと。愛情をこめた一種のスキンシップ。 ゴッ⸢ふェー⸣ゴッ⸢ふェー⸣ ウ⸢ブ⸣プス タ⸢カ⸣プス ナリ⸢ヨー [gof⸢feː⸣ gof⸢feː⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su tḁ⸢ka⸣pu̥su nari⸢joː] (ゴッツンコ、大きくなれよ、高くなれよ) 6635 0 0 6279 htmvoc_6635.wav コテ ⸣コテ [⸣kote] 名 こて(鏝)。漆喰を塗る際に用いる道具。標準語からの借用語か。 ⸣コテシ ⸢カーラ⸣ヌ ム⸢チ ヌールンティ ベー [⸣koteʃi ⸢kaːra⸣nu mu⸢ʧi nuːrunti beː] (鏝で瓦の漆喰を塗ろうとしている) 6636 0 0 6280 htmvoc_6636.wav ゴブヌン ゴ⸢ブヌン [go⸢bunuŋ] 名 五分鑿。細工の工具。五分巾の鑿。柱のほぞ穴を掘る際に用いる鑿。 ゴ⸢ブヌン⸣シル パ⸢ラー⸣ヌ ⸣アナー プ⸢ル⸣タ [go⸢bunuŋ⸣ʃiru pa⸢raː⸣nu ⸣ʔanaː pu⸢ru⸣ta] (五分鑿で<ぞ>柱のほぞ穴は掘った) 6637 0 0 6281 htmvoc_6637.wav ゴムカン ⸣ゴムカン [⸣gomukaŋ] 名 パチンコ。⸣グムカン[⸣gumukaŋ]ともいう。二股の小枝の両端にゴムひもを結わえ、小石を挟んで飛ばす玩具。子供達は、これでスズメやメジロ、アオバト等を打ち落として狩りを楽しんだ。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸣ゴムカンシ ⸣ユー ⸣パトゥザ ア⸢トゥタン [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸣gomukaŋʃi ⸣juː ⸣patuʣa ʔa⸢tutaŋ] (子供達はゴムカンでよく鳩を撃った) 6610 0 0 6282 htmvoc_6610.wav コロ コ⸢ロ [ko⸢ro] 名 ころ(転)。下に敷いて転がすのに用いる堅く丸い棒。鰹漁船を陸揚げしたり、下ろしたりする際に⸢バンギ[⸢baŋgi](「板木」の義か)の上置き、その上に船体を載せて転がし、陸揚げや船おろし<進水>するのに用いる、直径約15センチ、長さ約2メートルの堅くて丸い棒。鰹漁船は漁期が終了すると陸揚げされ、翌年の漁期に船下ろしされた。 カ⸢ツシン アンギル⸣ ピンマー ⸢バンギ⸣ シ⸢キティ⸣ ウ⸢リトゥ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ス⸢ク⸣ナー コ⸢ロ⸣ カ⸢マ⸣シティル ⸣ビービーシ マ⸢キティ アンゴーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃiŋ ʔaŋgiru⸣ pimmaː ⸢baŋgi⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔu⸢ritu⸣ ɸu⸢ni⸣nu su̥⸢ku⸣naː ko⸢ro⸣ ka⸢ma⸣ʃi̥tiru ⸣biːbiːʃi ma⸢kiti ʔaŋgoːt⸣ta] (鰹漁船を陸揚げする時は板木を敷いて、それと船底にコロをかませて巻上げ機を回して引張って陸に揚げられた) 6639 0 0 6283 htmvoc_6639.wav ゴンゴン ⸢ゴンゴン [⸢goŋgoŋ] 副 ぐるぐる。勢い良く回転するさま。 ⸢ゴンゴン⸣シ ⸣ヤマー ⸢マーセー⸣ティ ⸣フダー マ⸢コーッ⸣タ [⸢goŋgoŋ⸣ʃi ⸣jamaː ⸢maːʃeː⸣ti ⸣ɸudaː ma⸢koːt⸣ta] (ぐるぐる糸車をまわして、管に糸を巻きとられた<くだを巻かれた>) 6638 0 1 6284 htmvoc_6638.wav ゴンコンシ ⸢ゴンコン⸣シ [⸢goŋkoŋ⸣ʃi] 副 {Mn_1}ごくりごくりと。ごくんごくんと。擬音語。水など、液体を音を立てて一息に飲むさま。 ⸣アイニ ⸢ゴンコン⸣シ ミ⸢ジ⸣ ヌム ⸢ギン⸣シェー イッ⸢ケナ⸣ ヌ⸢ドゥカー⸣キ ⸢シー⸣ ブ⸢レーン⸣ギサーバン⸢ナー [⸣ʔaini ⸢goŋkoŋ⸣ʃi mi⸢ʤi⸣ numu ⸢giŋ⸣ʃeː ʔik⸢kena⸣ nu⸢dukaː⸣ki ⸢ʃiː⸣ bu⸢reːŋ⸣gisaːban⸢naː] (あんなにがぶがぶ<ごくんごくんと音を立てて>水を飲むようでは相当に喉が渇いていたようだなあ)。 6638 0 2 6285 htmvoc_6638.wav ゴンコンシ ⸢ゴンコン⸣シ [⸢goŋkoŋ⸣ʃi] 副 {Mn_2}擬音語。硬い木材などをコンコンと打つ音。 ⸢ゴンコン⸣シ ⸢ヌン⸣バ ⸢シッ⸣ケーティ ⸢ザイギ⸣ナ ア⸢ナ⸣バ ⸣プリ ⸢ベー [⸢goŋkoŋ⸣ʃi ⸢num⸣ba ⸢ʃik⸣keːti ⸢ʣai⸣gina ʔa⸢na⸣ba ⸣puri ⸢beː] (コンコンと鑿を叩いて材木に穴を掘っている) 6640 0 0 6286 htmvoc_6640.wav コンジン ⸢コン⸣ジン [⸢kon⸣ʤiŋ] 名 「根神」の義か。⸢クン⸣ジン[⸢kun⸣ʤiŋ]ともいう。床の間の香炉に継承される神。その家の女が香炉を建てて信仰する。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢ヤーム⸣トゥナーティ ⸢コン⸣ジン ⸣タティ ス⸢コー⸣リティ ⸢ヤーバカ⸣リ ⸢スー⸣ ピンドゥ バ⸢カ⸣ソーッタ [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢jaːmu⸣tunaːti ⸢kon⸣ʤin ⸣tḁti su̥⸢koː⸣riti ⸢jaːbaka⸣ri ⸢suː⸣ pindu ba⸢ka⸣soːtta] (女の子は里<本家>で根神を立てて置いて、嫁ぐ<家分する>時に里の根神を分けられた) 6641 0 0 6287 htmvoc_6641.wav コンジン ⸢コン⸣ジン [⸢kon⸣ʤiŋ] 名 「金神」の義か。寅の方角の神をいう。その方角に向かって嫁入りしたり、移転することを、⸢コン⸣ジン カ⸢ミ⸣ルン[⸢kon⸣ʤiŋ ka⸢mi⸣ruŋ](金神の方角に向かう<金神を頂く>)といって忌み嫌う。 ⸢コンジン⸣バ ⸣カミ ⸢ヤーウチ⸣リ ⸢スームノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢konʤim⸣ba ⸣kami ⸢jaːuʧi⸣ri ⸢suːmunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (金神の方角に転居<家移り>するものではない) 6642 0 0 6288 htmvoc_6642.wav ゴンティ ゴン⸢ティ [gon⸢ti] 副 ごくっと。一気に飲み下ろすさま。擬態語。 ヌ⸢ミグリ⸣サーラバン ゴン⸢ティ⸣ プ⸢ス⸣イキサーリ ⸣ヌムカー ヌ⸢マ⸣リン [nu⸢miguri⸣saːrabaŋ gon⸢ti⸣ pu⸢sui⸣kisaːri ⸣numukaː nu⸢ma⸣riŋ] (飲みづらくてもゴクント一息で飲めば飲める{EOS}飲まれる) 6643 0 0 6289 htmvoc_6643.wav コンピタ ⸣コンピタ [⸣kompita] 名 (動)、貝の名。和名、リュウキュウアマガイ(『原色沖縄海中動物生態図鑑』白石祥平)。海岸の海水のかかる岩礁にくっついている。満潮時は岩礁が水面下に没するので、岩礁の表面に出ているが、干潮時には岩礁の下部や海水の水溜りのところに集まっている。満潮時は岩礁のノッチ部分の海水の溜まった所に集まっている。お汁にすると美味である。 イ⸢シバナヌ⸣ ッ⸢サーラ⸣ラー ⸣コンピター プ⸢サイ⸣ キー ⸢スー バカ⸣シ [ʔi⸢ʃibananu⸣ s⸢saːra⸣raː ⸣kompitaː pu̥⸢sai⸣ kiː ⸢suː baka⸣ʃi] (海岸の岩礁の下からコンピターを拾ってきてお汁に炊きなさい) 6644 0 0 6290 htmvoc_6644.wav サー ⸣サー [⸣saː] 名 神の霊威。 ⸣サーダカマリ [⸣saːdakamari] (生来、神霊威を授かっている女性)。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ウ⸢ガン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ サー タ⸢カー⸣ ア⸢ロー⸣ルンティ⸢ダー [pḁ⸢tuma⸣nu ʔu⸢gam⸣maː ʔik⸢kena⸣ saː tḁ⸢kaː⸣ ʔa⸢roː⸣runti⸢daː] (鳩間島の御願<御嶽>は非常に神霊威が高くあられるそうだよ)。 ⸢ヤシキ⸣ヌ ビ⸢チ⸣ロー ⸣サー タ⸢カーン⸣トンティ ア⸢ザリブー [⸢jaʃi̥ki⸣nu bi⸢ʧi⸣roː ⸣saː tḁ⸢kaːn⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (屋敷の東側にあるビチル{SqBr}bi⸢ʧi⸣ru{/SqBr}<「賓頭櫨」の義か>は神霊威の高い所だと言われている) 6646 0 0 6291 htmvoc_6646.wav サー ⸣サー [⸣saː] 名 ます(枡)。度量衡器の一つ。液体や粉、粒状穀物を計量するのに使用される。 ⸢イッス⸣サー [⸢ʔissu⸣saː] (一升枡)。 ⸢イッス⸣サーシ パ⸢カ⸣リバ [⸢ʔissu⸣saːʃi pḁ⸢ka⸣ribaː] (一升枡で計りなさい)。 ⸢グンゴーナカ⸣ムル [⸢guŋgoːnaka⸣muru] (五合枡)。イ⸢チンゴーナカ⸣ムル[ʔi⸢ʧiŋgoːnaka⸣muru](一合枡)などがある 6647 0 0 6292 htmvoc_6647.wav サー ⸣サー [⸣saː] 名 茶。お茶。 ヤ⸢マトゥ⸣サー [ja⸢matu⸣saː] (「大和茶」の義{EOS}緑茶)。 ⸢タイパン⸣サー [⸢taipan⸣saː] (台湾茶{EOS}煎茶{EOS}戦前は台湾より輸入されていた)。 ⸢サーサー⸣ドー [⸢saːsaː⸣doː] (仏壇に供える茶湯)。 カ⸢タサー [kḁ⸢tasaː] (濃い茶)。 ⸢ミーパギ⸣サー [⸢miːpagi⸣saː] (出涸らしの茶{EOS}非常に薄い茶)。 カ⸢ラサー [ka⸢rasaː] (茶請けのない、お茶{EOS}お茶だけ)。 ⸢サーサー⸣フキ [⸢saːsaː⸣ɸu̥ki] (茶請け{EOS}茶菓子)。 ⸣サー フ⸢カ⸣シ [⸣saː ɸu̥⸢ka⸣suŋ] (茶を沸かす)。 ⸣サー ⸢サイ⸣バ [⸣saː ⸢sai⸣ba] (茶を注ぎなさいよ) 6648 0 0 6293 htmvoc_6648.wav サー ⸢サー [⸢saː] 副 いつも。常に。老年層は、⸢チャー[⸢ʧaː](常に)ともいう。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢サー⸣ <⸢チャー⸣> ウ⸢ヌ⸣ クトゥシル ⸢ムン⸣ドー ウ⸢ク⸣ス⸢ツォー [⸢ʔun⸣neːja ⸢saː⸣ <⸢ʧaː⸣> ʔu⸢nu⸣ ku̥tuʃiru ⸢mun⸣doː ʔu⸢ku⸣su⸢ʦoː] (その家は、いつもこのことで家庭騒動を起こすのだよ) 6649 0 0 6294 htmvoc_6649.wav サー ⸣サー [⸣saː] 終助 ~よ。~さ(様態)。軽い断定を含む詠嘆の意。 ⸣アイブ ⸣クトー ⸣バー ッ⸢サン⸣サー [⸣ʔaibu ⸣ku̥toː ⸣baː s⸢san⸣saː] (あんなことは、私は知らないさ<よ>)(軽い断定)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギササー <⸢フイン⸣ギサバン> [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisasaː <⸢ɸuiŋ⸣gisabaŋ>] (どうも雨が降りそうだよ<さ>) 6650 0 0 6295 htmvoc_6650.wav ザー ⸣ザー [⸣ʣaː] 名 座。座敷。 ⸢ザー⸣ヌ ピ⸢ソー⸣ン [⸢ʣaː⸣nu pi̥⸢soː⸣ŋ] (座敷が広い)。 ⸢ザー⸣ヌ シ⸢バー⸣ン [⸢ʣaː⸣nu ʃi⸢baː⸣ŋ] (座敷が狭い)。 イ⸢チバン⸣ザー [ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː] (一番座、床の間)。 ⸢ニーバン⸣ザー [⸢niːban⸣ʣaː] (二番座、仏間)。 ⸢サンバン⸣ザー [⸢samban⸣ʣaː] (三番座、居間)。 ⸢ヨイ⸣ザー [⸢joi⸣ʣaː] (祝いの座敷)。 ⸢ザームチ [⸢ʣaːmuʧi] (「座持ち」の義{EOS}酒宴の座を賑わす人{EOS}酒宴の座に興を添える人)。 ウ⸢ラ⸣ザー [ʔu⸢ra⸣ʣaː] (⸢裏座」の義{EOS}奥座敷) 6651 0 0 6296 htmvoc_6651.wav ザー ⸢ザー [⸢ʣaː] 名 じゃ(蛇)。へび。⸢ジャー[⸢ʤaː]ともいう(若年層)。⸣ウン[⸣ʔuŋ](鬼)と重ねて用いられ、繰り返し強調の特別用法がある。 ッ⸢ふァヌ⸣ タ⸢ミ⸣シェー ⸣ウヤー ウン ⸣ナリー ⸢ザーン⸣ <⸢ジャーン⸣> ナルン [f⸢fanu⸣ ta⸢mi⸣ʃeː ⸣ʔujaː ⸣ʔun ⸣nariː ⸢ʣaːn⸣ <⸢ʤaːn⸣> naruŋ] (子供のためには親は鬼にもなり、蛇にもなる)。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ パ⸢ティ⸣ルカー ⸢ザー⸣ <⸢ジャー⸣> ナルン [mi⸢dumu⸣nu pḁ⸢ti⸣rukaː ⸢ʣaː⸣ <⸢ʤaː⸣> naruŋ] (女が思い極まると<極限状況になって決意すると>蛇になる) 6652 0 0 6297 htmvoc_6652.wav ザーアタル ⸢ザーアタ⸣ル [⸢ʣaːʔata⸣ru] 名 座敷担当。「座当たり」の義。最下級の村役人。小学校卒業したての少年が西村、東村より各1名選ずつ選出された。ヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人)の下で、その指示の下に⸢ジンバイ[⸢ʣimbai](お膳配り{EOS}膳担当{EOS}東、西村より各1名選出)と一緒に働いた。豊年祭や結願祭のような大きな村行事の際には、桟敷の準備、舞台設営、友利御嶽での⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通し祈願)の準備などを取り仕切った。また、ヤクサの指導の下に、グ⸢サーク⸣マイ[gu⸢saːku⸣mai](5勺米)の徴収に従事したり、供物のカ⸢マブク[ka⸢mabuku](蒲鉾)や⸣クバン[⸣kubaŋ](焙乾した魚肉の供物)の準備に当たったりした。 キ⸢チゴンヌ⸣ ピンマー ⸢ザーアタ⸣ロー ⸢ヤーカー⸣ジェーラ ⸣ムス カ⸢リ⸣キー マ⸢タ カイ⸣ス シ⸢グトゥン シーシタ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ pimmaː ⸢ʣaːʔata⸣roː ⸢jaːkaː⸣ʤeːra ⸣musu ka⸢ri⸣kiː ma⸢ta kai⸣su ʃi⸢gutuŋ ʃiːʃi̥ta] (結願祭の時は座席係は家々から筵を借りてきて、また返済する仕事もしたものだ) 6656 0 0 6298 htmvoc_6656.wav ザーアツァスン ⸣ザー ア⸢ツァ⸣スン [⸣ʣaː ʔa⸢ʦa⸣suŋ] 連 一座を面白く、楽しくする。一座を楽しませる。「座をあたためる」の義。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ムニ ウ⸢ムッ⸣サユンダー ク⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ム⸢ヌパナシ⸣ パ⸢ジミル⸣カー ⸣ザー ア⸢ツァ⸣スン⸢ツォー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ muni ʔu⸢mus⸣sajundaː ku⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ mu⸢nupana⸣ʃi pa⸢ʤimiru⸣kaː ⸣ʣaː ʔa⸢ʦa⸣sun⸢ʦoː] (この人は話が面白いから、この人が話を始めると一座を楽しませるんだよ)。 プ⸢スヌ ゴー⸣ラーバル ⸢ザー⸣ヤ ア⸢ツァサ⸣リ [pu̥⸢sunu goː⸣raːbaru ⸢ʣaː⸣ja ʔa⸢ʦasa⸣ri] (人が多かったらばこそ一座は賑やかに出来る) 6653 0 0 6299 htmvoc_6653.wav ザーカ ⸢ザー⸣カ [⸢ʣaː⸣ka] 副 水が桶や船底よりザーザーと漏れるさま。ザーザーと雨が降るさま。擬声語。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ザー⸣カ ⸣フイケーン [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ʣaː⸣ka ⸣ɸuikeːŋ] (雨がザーザーと降ってきた)。 ミ⸢ジタンゴー⸣ サ⸢リティ⸣ ミ⸢ジェー ザー⸣カ ム⸢リ⸣ス [mi⸢ʤitaŋgoː⸣ sa⸢riti⸣ mi⸢ʤeː ʣaː⸣ka mu⸢ri⸣su] (水桶は枯れて<太陽に干されて桶板の合わせ目が開いて>、水はザーザー漏れる) 6654 0 0 6300 htmvoc_6654.wav サーカシ ⸢サー⸣カシ [⸢saː⸣kḁʃi] 名 ちゃかす(茶滓)。ちゃがら(茶殻)。茶を煎じた残りかす。 ⸢サー⸣カシ ⸢ザシ⸣キナ ⸣マキティ ⸢ポーキンザ⸣スカー フ⸢クイン⸣ ク⸢マークマ ポーキンザサ⸣リン⸢ダー [⸢saː⸣kḁʃi ⸢ʣaʃi̥⸣kina ⸣makiti ⸢poːkiʔnʣa⸣su̥kaː ɸu̥⸢kuiŋ⸣ ku⸢maːkuma poːkiʔnʣasa⸣rin⸢daː] (茶滓を座敷に撒いて掃き出すと、埃も非常に細かく掃き出すことが出来るよ) 6655 0 0 6301 htmvoc_6655.wav ザーガラスン ⸣ザー ガ⸢ラスン [⸣ʣaː ga⸢rasuŋ] 連 一座を明るくする。一座を華やかにする。一座を楽しませる。 ⸣アブジェー ⸢オー⸣ルカー ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢キティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ザー ガ⸢ラソーッ⸣タン [⸣ʔabuʤeː ⸢ʔoː⸣rukaː ⸢saŋʃimba⸣ pi̥⸢kiti⸣ ʔik⸢kena⸣ ʣaː ga⸢rasoːt⸣taŋ] (お祖父さんが来られると三線を弾いて、非常に一座を明るくされた) 6657 0 0 6302 htmvoc_6657.wav サーギ ⸣サーギ [⸣saːgi] 副助 ~さえ。 6657 0 0 6303 htmvoc_6657.wav サーギ ⸣サーギ [⸣saːgi] 副助 {Exp_1}体言や活用語の連用形に付いて仮定条件を表す句の中に用いられ、そのことだけで条件が満たされれば他は不問にする意を表す。 ⸣ジンサーギ ⸣アルカー ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣ʤinsaːgi ⸣ʔarukaː noː⸢n soːja naː⸣nu] (お金さえあれば何も心配はない)。 ⸢ワー⸣ カキサーギ ⸢スー⸣カー ⸣ミサン [⸢waː⸣ kḁkisaːgi ⸢suː⸣kaː ⸣misaŋ] (君は書きさえしたらいい)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ア⸢バ⸣レーサーギ <⸢カイ⸣ヤサーギ>アルカー ⸢イー⸣ロール プ⸢ソー オー⸣ルン [mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔa⸢ba⸣reːsaːgi <⸢kai⸣jasaːgi>⸣ʔarukaː ⸢ʔiː⸣roːru pu̥⸢suŋ ʔoː⸣ruŋ] (女の子は美しくさえあれば貰ってくださる人もおられる)。 6657 0 0 6304 htmvoc_6657.wav サーギ ⸣サーギ [⸣saːgi] 副助 {Exp_2}格助詞ヌ[nu](~が)、ニ[ni](~に)、ン[n](~に)、バ[ba](~を)、ラ[ra](~から)、トゥ[tu](~と)、ナー[naː](~に)に下接する。 プ⸢スヌ サーギ⸣ ア⸢ツァ⸣マルカー ⸣アン ウ⸢ラサ⸣リン [pu̥⸢sunu saːgi⸣ ʔa⸢ʦa⸣marukaː ⸣ʔaŋ ʔu⸢rasa⸣riŋ] (人がさえ集まれば、追い込み漁をする<網を下ろす>ことが出来る)。 ユ⸢ク⸣ プ⸢スンサーギ⸣ ア⸢ザン⸣カー ⸣ミサン [ju⸢ku⸣ pu̥⸢sunsaːgi⸣ ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː ⸣misaŋ] (他人にさえ言わなければいい)。 ク⸢リバ⸣サーギ カ⸢タジキ⸣ルカー ヌ⸢カ⸣ロー ⸣アツァ サ⸢バン⸣ ミサン [ku⸢riba⸣saːgi ka⸢taʤiki⸣rukaː nu⸢ka⸣roː ⸣ʔaʦa sa⸢bam⸣ misaŋ] (これをさえ片付けたら残りは明日してもいい)。 ⸣ウヤーラサーギ タ⸢ナ⸣モールカー ⸢ンー⸣バテー ア⸢ザヌ [⸣ʔujaːrasaːgi ta⸢na⸣moːrukaː ⸢ʔmː⸣bateː ʔa⸢ʣanu] (親からさえ頼まれたら、否とはいわない)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢トゥウヤトゥ⸣サーギ ピライ⸢シェー⸣カー ター⸢ントゥン⸣ ピ⸢ラー⸣リン [ku⸢nu⸣ ʃi̥⸢tuʔujatu⸣saːgi pirai⸢ʃeː⸣kaː taː⸢ntum⸣ pi⸢raː⸣riŋ] (この姑とさえうまく付き合えたら、誰とでも付き合える)。 パ⸢トゥ⸣マナーサーギル ⸣アル イ⸢サナキ⸣ナー ⸢ナーン⸣テー <⸢ナーン⸣クトー> ⸢ナー⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣manasaːgiru ⸣ʔaru ʔi⸢sanaki⸣naː ⸢naːn⸣teː <⸢naːŋ⸣kutoː> ⸢naː⸣nu] (鳩間島にさえあるのだ{EOS}石垣島にないということはない)。 6657 0 0 6305 htmvoc_6657.wav サーギ ⸣サーギ [⸣saːgi] 副助 {Exp_3}格助詞ヌ[nu](~の)に上接する。 ⸣クビサーギヌ シ⸢グトゥンツァン⸣ ナ⸢ラ⸣ムティ ⸢ヌー⸣ヌ ナ⸢ル⸣ワ [⸣kubisaːginu ʃi⸢gutunʦan⸣ na⸢ra⸣muti ⸢nuː⸣nu na⸢ru⸣wa] (これしきの<これさえの>仕事すら出来ないで、一体何が出来るのか)。 6657 0 0 6306 htmvoc_6657.wav サーギ ⸣サーギ [⸣saːgi] 副助 {Exp_4}係助詞ル[ru](~ぞ)、ン[n](~も)を下接して限定強調の条件文をつくり、続く疑問文にかかる。 サ⸢ケー ワー⸣ ウンシサーギル ⸣タリ ス⸢ク⸣ル ⸢マイ⸣シェー パ⸢ナザ⸣キン ス⸢クラ⸣リ⸢ゲ⸣ラ [sḁ⸢keː waː⸣ ʔuŋʃisaːgiru ⸣tari su̥⸢ku⸣ru ⸢mai⸣ʃeː pa⸢naʣa⸣kin su̥⸢kura⸣ri⸢ge⸣ra] (酒は君、芋でさえも<ぞ>醸造される{EOS}米では花酒も作れるさ)。 ヤ⸢ラ⸣ビンサーギン ナ⸢リ⸣ス ⸣ムヌバ ウ⸢ブプス⸣ヌ ナ⸢ラン⸣テー <ナ⸢ラン⸣ティクトー> ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣binsaːgin na⸢ri⸣su ⸣munuba ʔu⸢bupu̥su⸣nu na⸢ran⸣teː ⸢naː⸣nu] (子供にさえも出来るものを、大人が出来ないことはない) 6660 0 0 6307 htmvoc_6660.wav サーク ⸢サーク [⸢saːku] 名 仕事。職。職業。老年層は、ッ⸢サーク[s⸢saːku](仕事)という。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤビティ ムッ⸢トゥ⸣ サークン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoːʃiki⸣nu ⸣jabiti mut⸢tu⸣ saːkun⸣ na⸢ra⸣nu] (天候が崩れてちっとも<一向に>仕事が出来ない)。 ⸢ワー ヌー⸣シル ⸢サークバ シー アーク⸣ワ [⸢waː nuː⸣ʃiru ⸢saːkuba ʃiː ʔaːku⸣wa] (君はどんな仕事をしているのか) 6662 0 0 6308 htmvoc_6662.wav サーサー ⸢サーサー [⸢sːsaː] 副 気分が落ち着かないさま。霊感が働いて心が落ち着かないさま。擬態語。 ⸣キモー ⸢サーサー⸣シティ ウ⸢ティ⸣シキ ⸢ベーララ⸣ヌ [⸣kimoː ⸢saːsaː⸣ ʃi̥ti ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki ⸢beːrara⸣nu] (霊的に感じるものがあって、心がわさわさして落ち着いて居られない) 6661 0 0 6309 htmvoc_6661.wav ザーザー ⸢ザーザー [⸢ʣaːʣaː] 副 ざあざあ。雨が勢いよく降る音。擬音語。 ⸢ザーザー⸣シ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイ ダッ⸢カティ ゾッふィナー⸣ヌ [⸢ʣaːʣaː⸣ʃi ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸui dak⸢kati ʣoffinaː⸣nu] (ざあざあと雨が降ってびっしょりと濡れてしまった) 6665 0 0 6310 htmvoc_6665.wav サーザートゥ サーザー⸢トゥ [saːʣaː⸢tu] 副 すっきり。さっぱり。さわやか(爽やか)に。すがすがし(清清し)く。はればれと。爽快に。擬態語。 バ⸢タ⸣ウチナー ⸣ウムー ク⸢トゥ⸣バ ムー⸢ル⸣ パ⸢キザ⸣スカー <パ⸢キンザ⸣スカー> サーザー⸢トゥ スン⸠ダー [ba⸢ta⸣ʔuʧinaː ⸣ʔumuː ku̥⸢tu⸣ba muː⸢ru⸣ pḁ⸢kiʣa⸣sukaː saːʣaː⸢tu sun⸠daː] (心に思う事を全部吐き出すとすっきりするよ)。 キ⸢クッ⸣ツァタンドゥ ピ⸢ラキ⸣ミジ ア⸢ムター⸣ サーザー⸢トゥ シェー⸣チバン [ki̥⸢kut⸣ʦatandu pi⸢raki⸣miʤi ʔa⸢mutaː⸣ saːʣaː⸢tu ʃeː⸣ʧibaŋ] (暑苦しかったが冷たい水を浴びたらばさっぱりしたよ) 6663 0 0 6311 htmvoc_6663.wav サースブ ⸢サー⸣スブ [⸢saː⸣subu] 名 茶筒。「茶壷」の義。⸢ジン⸣ギリ[⸢ʤiŋ⸣giri](ブリキ製の茶筒)ともいう。茶を入れておく木製、またはブリキ製の茶筒。 ⸢サー⸣スブナー ⸢サー⸣ヤ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベーン⸣カヤー [⸢saː⸣subunaː ⸢saː⸣ja nu⸢ka⸣ri ⸢beːŋ⸣kajaː] (茶壷にお茶は残っているかねえ) 6664 0 0 6312 htmvoc_6664.wav サースン ⸢サースン [⸢saːsuŋ] 他動 新しく作る。着物を新調する。 ア⸢ラキン サースン [ʔa⸢rakin saːsuŋ] (新しい着物を作る)。 ⸢サーサヌ [⸢saːsanu] (新しく作らない{EOS}新調しない)。 ⸢サーシ⸣ プサン [⸢saːʃi⸣ pu̥saŋ] (新調したい)。 ア⸢ラキン サース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔa⸢rakin saːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (新しい着物を新調する人はいない)。 ⸣キン プ⸢スッ⸣クビ ⸢サーシェー⸣ ミサムヌ [⸣kim pu̥⸢suk⸣kubi ⸢saːʃeː⸣ misamunu] (着物を一着新調すれば良いのに)。 ヤー⸢ディン サーシ⸠ヨー [jaː⸢din saːʃi⸠joː] (必ず新調しなさいよ) 7966 0 0 6313 htmvoc_7966.wav サースン ⸢サースン [⸢saːsuŋ] 他動 仕立てる。着物を新調する。老年層は、(着物を仕立てる)という。 ア⸢ラキン⸣ ⸢サースンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢イッ⸣タンシェー サーサラン⸣ツォー [ʔa⸢rakiŋ⸣ ⸢saːsunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʔit⸣taŋʃeː saːsaran⸣ʦoː] (新しい着物を仕立てようと思うが、一反では仕立てられないそうだ)。 ⸢サース⸣ クトー ⸣ナルン [⸢saːsu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (仕立てることはできる)。 ⸢サーシェー⸣ ミサムヌ [⸢saːʃeː⸣ misamunu] (仕立てれば良いのに)。 シ⸢タティリ [ʃi̥⸢tatiri] (仕立てろ) 6666 0 0 6314 htmvoc_6666.wav サーダイ ⸢サー⸣ダイ [⸢saː⸣dai] 名 ちゃたく(茶托)。「茶台」の義。木製の茶托が多かった。 ⸢サー⸣ダイナ ⸣サバン ⸢ヌーシティ⸣ サー ⸢サイ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [⸢saː⸣daina ⸣saban ⸢nuːʃi̥ti⸣ saː ⸢sai⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (茶托に茶碗を載せて、お茶を注いで出しなさいよ) 6667 0 0 6315 htmvoc_6667.wav サーダカーン サーダ⸢カー⸣ン [saːda⸢kaː⸣ŋ] 形 霊感能力が高い。霊験があらたかである。シジダ⸢カー⸣ン[ʃiʤida⸢kaː⸣ŋ](霊験があらたかである)と同じ。 ⸢サーダカーン⸣ トンマー ⸢ゴーサ⸣ヌ ⸢ペーララ⸣ヌ [⸢saːdakaːn⸣ tommaː ⸢goːsa⸣nu ⸢peːrara⸣nu] (神霊の高いところ<霊験があらたかな所>は、畏れ多くて入ることは出来ない<入られない>)。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ガン⸣ヌ ⸢カン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ サーダ⸢カー⸣ ア⸢ロー⸣ルンティ⸢ダー [ku⸢nu⸣ ʔu⸢gan⸣nu ⸢kam⸣maː ʔik⸢kena⸣ saːda⸢kaː⸣ ʔa⸢roː⸣runti⸢daː] (このお宮<御嶽>の神様は非常に霊験あらたかであられるそうだ) 6645 0 0 6316 htmvoc_6645.wav サーダカマリ ⸣サーダカマリ [⸣saːdakamari] 名 生来、神の霊威を授かっている女性。神や祖先の霊と交信する能力があると信じられている女性。 ブ⸢ナルンガンマー⸣ サーダカマリティ ア⸢ザリブーユンダ⸣ ウ⸢ムンジリ⸣ダー [bu⸢naruŋgammaː⸣ saːdakamariti ʔa⸢ʣaribuːjunda⸣ ʔu⸢munʤiri⸣daː] (ヲナリガミは生まれつき神の霊威を授かっていると言われているから大事にし<重んじ>なさい)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ サーダカマリ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ ムネー ⸣ユー シ⸢キ⸣ヨー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ saːdakamari ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣muneː ⸣juː ʃi̥⸢ki⸣joː] (この人は生まれつき霊感能力の高い人だから、その人のいうことはよく聞けよ)。 ⸣サーダカマリ ⸢シー ブー⸣ プ⸢ソー⸣ ユー ⸣ムヌ ミルン⸢ダー [⸣saːdakamari ⸢ʃiː buː⸣ pu̥⸢soː⸣ juː ⸣munu mirun⸢daː] (生まれつき霊力<霊感能力>の高い人は、よく生霊や死霊をみるよ) 6669 0 1 6317 htmvoc_6669.wav ザーッサーリ ⸢ザーッサー⸣リ [⸢ʣaːssaː⸣ri] 名 {Mn_1}満室。総ての部屋が満杯になること。「座塞がり」の転訛したもの。 ヤ⸢ドゥヤー⸣ヤ ムー⸢ル ザーッサー⸣リ シ⸢ティ⸣ トゥ⸢マララヌ [ja⸢dujaː⸣ja muː⸢ru ʣaːssaː⸣ri ʃi̥⸢ti⸣ tu⸢mararanu] (宿屋は全部屋が満室になって宿泊できない<泊まれない>)。 6669 0 2 6318 htmvoc_6669.wav ザーッサーリ ⸢ザーッサー⸣リ [⸢ʣaːssaː⸣ri] 名 {Mn_2}部屋の入り口を塞ぐこと。 ⸢ワー ザーッサー⸣リ ⸢シー ベー⸣ンダ ナ⸢カー ペーララ⸣ヌ [⸢waː ʣaːssaː⸣ri ⸢ʃiː beː⸣nda na⸢kaː peːrara⸣nu] (君は部屋の入り口を塞いでいるから中へは入れない) 6670 0 0 6319 htmvoc_6670.wav ザーッツァーシ ⸢ザーッツァー⸣シ [⸢ʣaːtʦaː⸣ʃi] 副 びりびり。紙や布などが引き裂かれるさま。擬音語、擬態語。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リティ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢キン⸣バ ⸢ザーッツァー⸣シ ⸣ヤリ シ⸢ティナー⸣ヌ [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣riti ⸢duː⸣nu ⸢kim⸣ba ⸢ʣaːtʦaː⸣ʃi ⸣jari ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (腹を立てて<怒って>自分の着物をびりびりと破り捨ててしまった) 6676 0 0 6320 htmvoc_6676.wav サードー ⸢サー⸣ドー [⸢saː⸣doː] 名 ちゃとう(茶湯)。「Chato.チャタウ(茶湯) ある場所、すなわち、死者の名前をしるした小さな板(位牌)の前に供えてその人に捧げる茶(Cha)と湯」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。毎月の朔日、十五日には床の間の神前と仏壇の先祖に茶湯を供えた。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチェー ⸢サーサー⸣ドー ⸢バシキランドー⸣シ シ⸢キ オーシ [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧeː ⸢saːsaː⸣doː ⸢baʃi̥irandoː⸣ʃi ʃi̥⸢ki ʔoːʃiri] (朔日、十五日には茶湯を忘れずにお供えして差し上げなさい) 6677 0 0 6321 htmvoc_6677.wav サードーサバン ⸢サー⸣ドーサバン [⸢saː⸣doːsabaŋ] 名 茶湯用茶碗。「茶湯茶碗」の義。床の間、仏壇に備え付けられてある茶湯専用の茶碗。⸣フカサバン[⸣ɸu̥kasabaŋ](深い茶碗)が一対ずつ供え付けられるのが一般的であった。 ⸢サー⸣ドーサバンマー ⸣ユー ア⸢ラーン⸣カー ⸣ビー シ⸢キ⸣ルン⸢ダー [⸢saː⸣doːsabammaː ⸣juː ʔa⸢raːŋ⸣kaː ⸣biː ʃi̥⸢ki⸣run⸢daː] (茶湯茶碗はよく洗わないと茶渋がつくよ) 6674 0 0 6322 htmvoc_6674.wav サートゥ ⸣サートゥ [⸣saːtu] 接尾 その間ずっと。~じゅう(中)。 プ⸢スユー⸣ヌサートゥ ⸢ビー⸣プスン ワ⸢チラーサリティ⸣ プ⸢スミー⸣ヤンツァン ニ⸢ビミララン⸣シェン [pu̥⸢sujuː⸣nusaːtu ⸢biː⸣pu̥suŋ wa⸢ʧiraːsariti⸣ pu̥⸢sumiː⸣janʦan ni⸢bimiraraŋ⸣ʃeŋ] (一晩中、酔っ払いに煩わされて一睡すらも出来なかった<一目すら眠られなかった>) 6675 0 0 6323 htmvoc_6675.wav ザートゥク ⸢ザー⸣トゥク [⸢ʣaː⸣tu̥ku] 名 床の間。一番座に設けられた、その家の神を祀ったところ。床を一段高くし、正面の壁に書画の\ruby{幅}{フク}(掛物、軸物)をかけ、花瓶、茶碗、香炉を設置して床の神、⸢コン⸣ジン[⸢kon⸣ʤiŋ](「根神」の義か)を祀る。嫁は里の香炉から分けてきた灰を自分用の小さな香炉入れて仕立て、⸢コン⸣ジン[⸢kon⸣ʤiŋ](「根神」の義か)として拝んだ。姉妹たちも各自の小さな香炉を作って並べ、⸢コン⸣ジン タ⸢ティ⸣ルン[⸢kon⸣ʤin tḁ⸢ti⸣ruŋ](根神を立てる)といって、コンジン(根神)を拝んだ。娘が嫁ぐ際には、⸢コン⸣ジン ピ⸢クン[⸢kon⸣ʤim pi̥⸢kuŋ](根神を引く)といって、本人の香炉を下げて嫁ぎ先の床の間に移した。掛軸には「福禄寿」が好まれ、掛絵には、虎、鶴亀、松竹梅、共白髪の夫婦像、などを掛けて富貴、繁盛、長寿を祈願した。花瓶には朔日、十五日に虎の尾が好んで活けられた。 ⸢バン⸣テヌ ⸢ザー⸣トゥコー ⸢カンダカー⸣ティ ⸢パン⸣バ ⸢ナーリ⸣ ニ⸢バランシェン⸠ダー [⸢ban⸣tenu ⸢ʣaː⸣tu̥koː ⸢kandakaː⸣ti ⸢pam⸣ba ⸢naːri⸣ ni⸢baraŋʃen⸠daː] (私の家の床の間は神霊あらたか<灼>だったので、足を向けて寝られなかったよ)。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチェー ⸢ザートゥク⸣ヌ ⸣パナー  ⸢カイリ [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧeː ⸢ʣaːtuku⸣nu ⸣panaː ⸢kairi] (朔日十五日は床の間の花を活け換えなさい<換えれ>) 6678 0 0 6324 htmvoc_6678.wav ザーニンズ ⸢ザーニン⸣ズ [⸢ʣaːnun⸣ʣu] 名 一座の人。職場の者一同。 ⸢ザーニン⸣ズ ムー⸢ル⸣ キ⸢ム⸣ズルイ サ⸢バル⸣ ノー⸢ン⸣ サ⸢バン⸣ ウ⸢ムッ⸣サ⸢ツォー [⸢ʣaːnin⸣ʣu muː⸢ru⸣ ki⸢mu⸣ʣurui sa⸢baru⸣ noː⸢n⸣ sa⸢baŋ⸣ ʔu⸢mus⸣sa⸢ʦoː] (一座の人は皆心を一つにしてこそ<肝揃えすればぞ>何をしても楽しいのだ) 6679 0 0 6325 htmvoc_6679.wav サーヌイル ⸢サー⸣ヌ ⸣イル [⸢saː⸣nu ⸣ʔiru] 連 茶の色。茶色。 ッ⸢ス⸣キンナ ⸢サー⸣ヌ イ⸢ル⸣ヌ ス⸢マリティ⸣ ウ⸢ティラ⸣ヌ [s⸢su⸣kinnaː ⸢saː⸣nu ʔi⸢ru⸣nu su⸢mariti⸣ ʔu⸢tira⸣nu] (白い着物に茶の色が染まって落ちない) 6680 0 0 6326 htmvoc_6680.wav サーヌカシ ⸢サー⸣ヌ ⸣カシ [⸢saː⸣nu ⸣kḁʃi] 連 ちゃかす(茶滓)。ちゃがら(茶殻)。 ⸢サー⸣ヌ ⸣カシェー ナ⸢カ⸣ザナ ⸣マキティ シ⸢トゥッ⸣チポーキシ ⸢ポー⸣キバ [⸢saː⸣nu ⸣kḁʃeː na⸢ka⸣ʣana ⸣makiti ʃi̥⸢tut⸣ʧipoːkiʃi ⸢poː⸣kiba] (茶殻を台所の土間に撒いて、蘇鉄の葉箒で掃きなさいよ) 6681 0 0 6327 htmvoc_6681.wav サーヌグル ⸢サー⸣ヌ グ⸢ル [⸢saː⸣nu gu⸢ru] 連 茶のおりかす(澱滓)。茶の飲み残し。茶碗の底に残るお茶のおどみ(澱)。 ⸢サー⸣ヌ グ⸢ロー⸣ シ⸢ティティ マー⸣ プ⸢ス⸣サバン ⸣サー ⸢サイ⸣バ [⸢saː⸣nu gu⸢roː⸣ ʃi̥⸢titi maː⸣ pu̥⸢su⸣saban ⸣saː ⸢sai⸣ba] (茶の澱滓を捨てて、もう一杯<もう一茶碗>お茶を注ぎなさい) 6682 0 0 6328 htmvoc_6682.wav サーヌシン ⸢サー⸣ヌ ⸣シン [⸢saː⸣nu ⸣ʃiŋ] 名 茶柱。「茶の芯」の義。 ⸢サー⸣ヌ ⸢シン⸣ヌ ⸣タティ ⸢ベー ギン⸣シェー ⸢イークトゥヌル⸣ ア⸢リン⸣ギサバン [⸢saː⸣nu ⸢ʃin⸣nu ⸣tḁti ⸢beː giŋ⸣ʃeː ⸢ʔiːkutunuru⸣ ʔa⸢riŋ⸣gisabaŋ] (茶の芯が立っていることからすると、どうやら良いことがありそうだわい) 6683 0 0 6329 htmvoc_6683.wav サーヌパナ ⸢サー⸣ヌ ⸣パナ [⸢saː⸣nu ⸣pana] 連 茶の花。まつりか(茉莉花)。ジャスミン茶の中の花。 ⸢タイパン⸣サーナ ⸢サー⸣ヌ パ⸢ナ⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ⸢ブンダ⸣ イッ⸢ケン⸣ カ⸢バッ⸣サン [⸢taipan⸣saːna ⸢saː⸣nu pa⸢na⸣nu ⸢peː⸣ri ⸢bunda⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ka⸢bas⸣saŋ] (台湾茶の中に茶の花<茉莉花>が入っているので非常に香ばしい) 6684 0 0 6330 htmvoc_6684.wav サーヌミアウ ⸢サーヌミ⸣アウ [⸢saːnumi⸣ʔau] 名 茶飲み相手。老人の連れ合い。 ⸢ウイ⸣プソー ⸢サーヌミアウ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー サ⸢ビサ⸣ヌ タ⸢ンガ⸣シェー イ⸢キララ⸣ヌ [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸢saːnumiʔau⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː sa⸢bisa⸣nu ⸢taŋga⸣ʃeː ʔi⸢kirara⸣nu] (老人は茶飲相手<連れ合い>がいないと寂しくて、一人では生きられない) 6685 0 0 6331 htmvoc_6685.wav サーヌミドゥシ ⸢サーヌミ⸣ドゥシ [⸢saːnumi⸣duʃi] 名 茶飲友達。 ⸢サーヌミドゥシ⸣ヌ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢サンシン⸣ ピ⸢キ オー⸣ル [⸢saːnumiduʃi⸣nu ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kioː⸣ru] (茶飲友達が集まって三線を弾いておられる) 6686 0 0 6332 htmvoc_6686.wav サーヌミパナシ ⸢サーヌミパナ⸣シ [⸢saːnumipana⸣ʃi] 名 茶飲話。茶を飲みながらする雑談。 ⸣ニカー ⸢ベー⸣ スルイティ ⸢サーヌミパナ⸣シ ⸢サー⸣ディー [⸣nikaː ⸢beː⸣ suruiti ⸢saːnumipana⸣ʃi ⸢saː⸣diː] (今夜は、われわれ集まって<打ち揃って>茶飲み話をしようよ) 6693 0 0 6333 htmvoc_6693.wav ザーパイ ⸢ザー⸣パイ [⸢ʣaː⸣pai] 名 始末に負えないこと。困ること。ぶちこわし。台無し。 キュー⸢ズー⸣ナ ⸢オー⸣ルンティ ⸢シー⸣ プ⸢スバ⸣ ア⸢ティ⸣ シ⸢ミティ オーラン⸣カー ⸢ザー⸣パイ ⸢スン⸠ダー メー [kjuː⸢ʣuː⸣na ⸢ʔoː⸣runti ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢ti⸣ ʃi⸢miti ʔoːraŋ⸣kaː ⸢ʣaː⸣pai ⸢sun⸠daː ⸣meː] (今日中にいらっしゃる<来られる>といって、人を当てにさせておいて、いらっしゃらないと全く困ること<ぶち\ruby{毀}{コワシ}し>になるよ、もう)。 ⸢ザー⸣パイ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiː naː⸣nu] (ぶち毀して<台無しにして>しまった) 6688 0 0 6334 htmvoc_6688.wav サーバカスン ⸣サー ⸢バカスン [⸣saː ba⸢kasuŋ] 連 茶を沸かす。湯を沸かして茶をたてる。⸣ユー フ⸢カ⸣スン[⸣juː ɸu̥⸢ka⸣suŋ](湯を沸かす)ともいう。バ⸢カスン[ba⸢kasuŋ](沸かす)は、「煖、阿太々牟、又、和可須(わかす)」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ⸣ヤコンナ ⸣サー バ⸢カサバ⸣ ヌミティ ⸣パリバ [⸣jakonna ⸣saː ba⸢kasaba⸣ numiti ⸣pariba] (薬缶で茶を沸かしたら<沸かすから>飲んで行きなさいよ) 6689 0 0 6335 htmvoc_6689.wav サーパナシ ⸢サーパナ⸣シ [⸢saːpana⸣ʃi] 名 さわ(茶話)。茶飲み話。 ⸢サンバン⸣ザーナーティル ウ⸢トゥザマリヌ ウイ⸣プスンケーヤ シ⸢トゥムティ⸣ ユ⸢ネン⸣ナー ア⸢ツァ⸣マリ ⸢サーパナ⸣シ <ム⸢ヌパナ⸣シ> ⸢ソーッ⸣タン [⸢samban⸣ʣaːnaːru ʔu⸢tuʣamarinu ʔuipusuŋkeː⸣ja ʃi̥⸢tumuti⸣ ju⸢nen⸣naː ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢saːpana⸣ʃi ⸢soːt⸣taŋ] (三番座に<ぞ>親戚の年寄りたちは朝夕集まって茶飲み話をされたものだ) 6690 0 0 6336 htmvoc_6690.wav サービー ⸣サービー [⸣saːbiː] 名 茶酔い。茶を飲みすぎて食傷気味になること。茶を飲みすぎて気分が悪くなること。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァサーリ ⸣サー カー⸢ニ⸣ ヌミ ⸢ベー⸣タクトー ⸣サービー ⸢シー ナー⸣ヌ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦasaːri ⸣saː kaː⸢ni⸣ numi ⸢beː⸣ta ⸣ku̥toː ⸣saːbiː ⸢ʃiːnaː⸣nu] (あまりの暑さでお茶だけを飲んでいたところ、茶を飲みすぎて食傷気味になって<茶酔いをして>しまった) 6692 0 0 6337 htmvoc_6692.wav ザーピラキ ⸢ザーピラ⸣キ [⸢ʣaːpira⸣ki] 名 「座開き」の義。祝宴を始めること。開宴の歌。祝宴にふさわしい目出度い歌を三線で演奏しながら祝宴を開始した。鳩間島では先ず、パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](「鳩間中岡」<本節>、「鳩間節」ともいう)から始まり、パ⸢トゥ⸣マブシ[pḁ⸢tu⸣mabuʃi](鳩間節)<早節>、バ⸢シヌ⸣トゥル[ba⸢ʃinu⸣turu](鷲の鳥節)、⸣アカンマブシ[⸣ʔakaʔmmabuʃi](赤馬節)または、⸢クンノー⸣ラ[⸢kunnoː⸣ra](古見の浦節)等へと演奏展開された後に自由に歌曲を演奏して祝宴を盛り上げるのが慣わしであった。 ⸢ザーピラ⸣ケー イッ⸢チン⸣ パ⸢ジメー⸣ パ⸢トゥ⸣マナカムリバ ピ⸢キティル⸣ パ⸢ジモーッ⸣タ [⸢ʣaːpira⸣keː ʔit⸢ʧim⸣ pa⸢ʤimeː⸣ pḁ⸢tu⸣manakamuriba pi̥⸢kitiru⸣ pa⸢ʤimoːt⸣ta] (座開き<開宴>は、一番初めには⸢鳩間中岡本節」を弾いてから始められた) 6698 0 0 6338 htmvoc_6698.wav サーフーフー ⸢サーフーフー [⸢saːɸuːɸuː] 名 ほろ酔い。ほろ酔い機嫌。 ウ⸢ブ⸣ムニ ⸢ソー⸣ル ⸢ギン⸣シェー キサー⸢ティ⸣ ⸣サーフーフー ⸢シール オー⸣ル⸢ナー [ʔu⸢bu⸣muni ⸢soː⸣ru ⸢giŋ⸣ʃeː ki̥saː⸢ti⸣ saːɸuːɸuː ⸢ʃiːru ʔoː⸣ru⸢naː] (大言壮語されるようだから、既にほろ酔いしておられるんだなあ) 6697 0 0 6339 htmvoc_6697.wav サーフキ ⸢サー⸣フキ [⸢saː⸣ɸu̥ki] 名 茶請け。茶菓子。くちとり(口取)。茶を飲む時に食べる菓子。 ッ⸢ふ⸣サタ ヤ⸢ラバン サーサーフ⸣キ ン⸢ザサン⸣ノーレー [f⸢fu⸣sḁta ja⸢raban saːsaː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣasan⸣noːreː] (黒砂糖でもお茶請けに出してくれないか)。 ⸢ウイ⸣プソー ⸢サー⸣ヌ ⸣アウ ⸢サーフキ⸣ヌ ア⸢ラバ⸣ル ⸢サー⸣ユン ン⸢マー⸣ティ ン⸢コー⸣ル <ヌ⸢モー⸣ル> [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸢saː⸣nu ⸣ʔau ⸢saːɸu̥ki⸣nu ʔa⸢raba⸣ru ⸢saː⸣jum ʔm⸢maː⸣ti ʔŋ⸢koː⸣ru ] (年寄りはお茶の伴として茶請け<茶の子>があってこそ<有らばこそ>お茶をも美味しいといって召し上がるものだ)。 ピ⸢シェー サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シ [pi̥⸢ʃeː saː⸣ɸu̥ki ʔu⸢ʣa⸣ʃi] (ピシ<娘の一般的な呼称>ちゃん、お茶請けを出しなさいよ) 6699 0 0 6340 htmvoc_6699.wav サーフケーイズ ⸢サーフ⸣ケーイズ [⸢saːɸu̥⸣keːʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、サザナミハゼ(体長約15センチ) 6691 0 0 6341 htmvoc_6691.wav サープスサバン ⸣サー プ⸢ス⸣サバン [⸣saː pu̥⸢su⸣sabaŋ] 連 茶一杯。「茶一茶碗」の義。お茶一杯だけ飲むのは不吉とされ、必ずもう一杯飲んでから行くように勧めたものである。 ⸣サー プ⸢ス⸣サバン カー⸢ニ⸣テー ⸣ヌム ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌティ ム⸢カ⸣シプソー ナ⸢ラー⸣ソーッタ [⸣saː pu̥⸢su⸣sabaŋ kaː⸢ni⸣teː ⸣numu ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nuti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː na⸢raː⸣soːtta] (お茶を一杯だけとは飲むものではないと先祖<昔の人>は教えられた) 6700 0 0 6342 htmvoc_6700.wav サーブラ ⸣サーブラ [⸣saːbura] 名 (動)貝の名。ホラガイ(法螺貝)。殻高約40センチ。殻口は大きく、肉は食用にし、殻は湯沸しに用いた。⸣ブラ[⸣bura]ともいう。 ⸢パイタ⸣ナーテー イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥ⸢バー⸣キ ⸣サーブラシル ⸢ユー⸣ヤ フ⸢カ⸣ソーッタル [⸢paita⸣naːteː ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔatu⸢baː⸣ki ⸣saːburaʃiru ⸢juː⸣ja ɸu̥⸢ka⸣soːttaru] (南端<西表北岸>では戦後までホラガイでお湯を沸かされたものだ) 7069 0 0 6343 htmvoc_7069.wav ザーブルザーブルシ ⸢ザーブルザーブル⸣シ [⸢ʣaːburuʣaːburu⸣ʃi] 副 ざぶざぶと。じゃぶじゃぶ。水中で泳いだり歩いたりする時の水の音の形容。擬音・擬態語。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤー ピ⸢ザ⸣フチナー ⸢ザーブルザーブル⸣シ ⸣オンダー ⸢シーベー [ja⸢ra⸣biŋkeːja pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧinaː ⸢ʣaːburuʣaːburu⸣ʃi ⸣ʔondaː ⸢ʃiːbeː] (子供達は渚でじゃぶじゃぶと音をたてて泳いでいる<水遊びしている>) 6701 0 0 6344 htmvoc_6701.wav サーブン ⸢サー⸣ブン [⸢saː⸣buŋ] 名 茶盆。茶器を載せて用いるお盆。直径約30センチの木の幹を厚さ3~4センチに切って中を刳り、お盆につくったもの。急須や茶碗を入れて客に出し、接待するのに用いた。茶托を揃えた家はあまりなかったので、普通は茶盆に茶碗を置いたまま湯茶を注いで客に出した。 ⸢サー⸣ブンナー ⸣サバン ⸢スッ⸣カー ウ⸢スンフカシティ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢saː⸣bunnaː ⸣saban ⸢suk⸣kaː ʔu⸢suŋɸu̥kaʃiti⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (茶盆に茶碗や急須を伏せておきなさい)。 ⸢サー⸣ブンナ ⸣サバン ⸢スッ⸣カー ウ⸢スバシティ⸣ ムティ ⸣クーバ [⸢saː⸣bunna ⸣saban ⸢suk⸣kaː ʔu⸢subaʃi̥ti⸣ muti ⸣kuːba] (茶盆に茶碗や急須を伏せて持ってきなさいよ) 6702 0 0 6345 htmvoc_6702.wav サーブンシキ ⸢サーブン⸣シキ [⸢saːbuŋ⸣ʃi̥ki] 名 一種の茶托。代用茶托。約8センチ四方、厚さ約3ミリの板や布で作った茶托。賓客のある場合に出した。 サ⸢バン⸣マー ⸢サーブン⸣シキナ ⸣シキティ ン⸢ザ⸣シ⸢ヨー [sa⸢bam⸣maː ⸢saːbuŋ⸣ʃi̥kina ⸣ʃi̥kiti ʔn⸢ʣa⸣ʃi⸢joː] (茶碗は茶托<代用茶托>に置いて出しなさいよ) 6695 0 0 6346 htmvoc_6695.wav サーミジ ⸢サー⸣ミジ [⸢saː⸣miʤi] 名 お茶用の水。井戸水は硬水であるからお茶を立てるのに不向きである。天水を溜めてお茶を立てるのに用いた。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ティンシーバ⸣ タ⸢ミティル サー⸣ミジ シゥ⸢カウタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢tiŋʃiːba⸣ ta⸢mitiru saː⸣miʤi si̥⸢kautaru] (昔は天水<雨水>を溜めてお茶用の水に使ったものだ)。 ⸢カーヌ ミジェー サー⸣ミジ シゥ⸢カーラヌ [⸢kaːnu miʤeː saː⸣miʤi si̥⸢kaːranu] (井戸水はお茶用の水には使えない) 6703 0 0 6347 htmvoc_6703.wav サーミルン ⸢サーミルン [⸢saːmiruŋ] 他動 奪い取る。盗み取る。分捕る。荒す。 ⸢マイヤー⸣ カマイン ⸢サーミラリ ナー⸣ヌ [⸢maijaː⸣ kamain ⸢saːmirari naː⸣nu] (稲は猪に荒らされてしまった)。 ⸢サーミ ヤッ⸣サン ⸣トンマー カ⸢マイ⸣ヤー ⸢チャー サーミルンティ⸣ カマイ ⸢ブンダー⸣ カ⸢ケー スーミ⸣リ [⸢saːmi jas⸣san ⸣tommaː ka⸢mai⸣jaː ⸢ʧaː saːmirunti⸣ kamai ⸢bundaː⸣ kḁ⸢keː suːmi⸣ri] (荒らしやすい<盗みやすい>所は、猪は常に荒らそうと構えているから、猪垣は強化<強めろ>せよ)。 プ⸢スヌ⸣ ムヌ ⸢サーミル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ munu ⸢saːmiru⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (他人のものを奪い取る<盗む>ことはいけない)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢サーミレー⸣ ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢saːmireː⸣ misamunu] (あんなのは奪い取れば<盗めば>いいのに)。 ⸢サーミリ [⸢saːmiri] (奪い取れ{EOS}盗み取れ) 6696 0 0 6348 htmvoc_6696.wav ザームチ ⸢ザームチ [⸢ʣaːmuʧi] 名 一座を楽しくする人。一座に興を添える人。祝いの座を賑やかにする人。「座持ち」の義。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウタゾージ パ⸢ナ⸣シゾージ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ザームチ⸢ツォー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔutaʣoːʤi pa⸢na⸣ʃiʣoːʤi ja⸢runda⸣ ʔik⸢kena⸣ ʣaːmuʧi⸢ʦoː] (この人は歌上手で話上手だから非常に一座を賑やかにする人なんだよ) 6706 0 0 6349 htmvoc_6706.wav ザームチ ⸣ザームチ [⸣ʣaːmuʧi] 名 ざもち(坐持ち)。その座に興を添えること、またその巧みな人。 ウ⸢レー⸣ ザームチ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ ブー⸣カー イ⸢カムス⸣ク ウ⸢ムッ⸣サワ⸢ツォー [ʔu⸢reː⸣ ʣaːmuʧi ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu buː⸣kaː ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔu⸢mus⸣sawa⸢ʦoː] (彼<それ>は座持ちだから、彼がいるとどんなに<いかほど>面白い<楽しい>ことか) 6707 0 0 6350 htmvoc_6707.wav ザームチナリ ⸢ザームチ⸣ナリ [⸢ʣaːmuʧi⸣nari] 名 席替わり。座席移動。 ⸢ワー⸣ ユ⸢ヌ⸣トンナ カー⸢ニ ベーラン⸣ドーシ ⸣カマンター ⸢ザームチ⸣ナリ ⸢シー⸣バ [⸢waː⸣ ju⸢nu⸣tonna kaː⸢ni beːran⸣doːʃi ⸣kamantaː ⸢ʣaːmuʧi⸣nari ⸢ʃiː⸣ba] (君は同じところにだけいないで、あちら側へ座席移動<席替わり>しなさいよ) 6704 0 0 6351 htmvoc_6704.wav ザームトゥ ⸢ザー⸣ムトゥ [⸢ʣaː⸣mutu] 名 座元。頼母子講の責任者。 ム⸢エーヌ ザー⸣ムトー シ⸢ルクヌ⸣ アル プ⸢スンドゥ⸣ ナル [mu⸢jeːnu ʣaː⸣mutoː ʃi⸢rukunu⸣ ʔaru pu̥⸢sundu⸣ naru] (頼母子講の座元は資力のある人が<ぞ>出来る) 6705 0 0 6352 htmvoc_6705.wav サームン ⸢サームン [⸢saːmuŋ] 他動 奪い取る。盗み取る。荒す。 ⸢サーマリ ナー⸣ヌ [⸢saːmari naː⸣nu] (やられてしまった{EOS}奪われてしまった)。 ⸢サーミヤッ⸣サン [⸢saːmi jas⸣saŋ] (奪いやすい{EOS}盗みやすい)。 ⸢サームンティ⸣ ウムーカ ⸢サーマリンドゥ サーム⸣クトー ⸢ワッ⸣サンダ ⸢サーメー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢saːmunti⸣ ʔumuːkaː ⸢saːmarindu ⸢saːmu⸣ ku̥toː ⸢was⸣sanda ⸢saːmeː⸣ na⸢ra⸣nu] (奪い取ろう<盗もう>と思えば奪い取れる<盗める>が、奪い取る<盗む>ことは悪いから奪い取って<盗んで>はならない)。 ⸢サーミ [⸢saːmi] (奪い取れ<盗め>) 6708 0 0 6353 htmvoc_6708.wav サーユー ⸢サー⸣ユー [⸢saː⸣juː] 名 さゆ(白湯)。 フ⸢チ⸣ロー ⸢サー⸣ユーシ ヌ⸢ミバ⸣ル ス⸢ク⸣ティ⸢ダー [ɸu̥⸢ʧi⸣roː ⸢saː⸣juːʃi nu⸢miba⸣ru su̥⸢ku⸣ti⸢daː] (薬は白湯で飲んだほうが効くそうだよ) 6709 0 0 6354 htmvoc_6709.wav サーラ ⸢サー⸣ラ [⸢saː⸣ra] 名 (植)サンカクイ(三角藺)。シチトウイ。筵に編んだり、畳の表に利用される。西表島の田の畦や休耕田などに栽培されていた。高さ1~1、5メートルに成長する。 ⸢バン⸣テヌ トゥ⸢マダヌ ター⸣マーラ ⸢サーラ⸣バ ⸣スリ ⸣キー ⸣プシティ ウ⸢リ⸣シル ⸣ムソー フ⸢モーッタ⸣ル [⸢ban⸣tenu tu⸢madanu ⸢taː⸣maːra ⸢saːra⸣ba ⸣suri ⸣kiː ⸣pu̥ʃiti ʔu⸢riʃi⸣ru ⸣musoː ɸu⸢moːtta⸣ru] (私の家のトゥマダの小さな田圃からサーラ<三角い草>を刈ってきて干して、それで筵を編まれたものだ) 6710 0 0 6355 htmvoc_6710.wav サーラ ⸢サーラ [⸢saːra] 名 (動)魚の名。和名、ヨコシマサワラ(体長約1、5メートル)。オキザワラ(体長約2メートル)の2種類の総称。鰹漁船で漁場への行き帰りの時にピ⸢キナー[pi̥⸢kinaː](引き縄、牛の角で造った擬餌針を流して釣ること)でよく釣れた。⸢ユーリキー[⸢juːrikiː](流木)のあるところで釣れた。 イ⸢ガウメー オー⸣ル ⸣ピンマー ⸣ユー ⸢サー⸣ラン ウ⸢キザー⸣ラン ⸢ホー⸣ソーッタン [ʔi⸢gaumeː ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ⸣juː ⸢saː⸣raŋ ʔu⸢kiʣaː⸣raŋ ⸢hoː⸣soːttaŋ] (イカ釣漁に行かれる時には、よくオキザワラも、ウ⸢キザー⸣ラ<鮫>も釣られたよ) 6713 0 1 6356 htmvoc_6713.wav サーラサーラ ⸢サーラサーラ [⸢saːrasaːra] 副 {Mn_1}さらさら。浅い川の水が淀みなく流れる音<擬音語>。 ⸢カーラヌ⸣ ミ⸢ジヌ サーラサー⸣ラシ ⸢ナー⸣リ ⸣パルン [⸢kaːranu⸣ mi⸢ʤinu saːrasaːra⸣ʃi ⸢naː⸣ri ⸣paruŋ] (川の水がさらさらと流れていく)。 6713 0 2 6357 htmvoc_6713.wav サーラサーラ ⸢サーラサーラ [⸢saːrasaːra] 副 {Mn_2}流れるように文字や絵を描くさま<擬態語>。若年層は⸢サーラ⸣ナイ[⸢saːra⸣nai](さらさらと)ともいう。 ⸢ティー⸣ヤ ⸢フッツォーリ ブンドゥ⸣ ン⸢メーマ⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢サーラサーラ⸣シ ⸢ジー⸣ カクン [⸢tiː⸣ja ⸢ɸutʦoːri bundu⸣ ʔm⸢meːma⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢saːrasaːra⸣ʃi ⸢ʤiː⸣ kḁkuŋ] (手は震えているが、少し酒を飲むとさらさらと文字を書く) 6714 0 0 6358 htmvoc_6714.wav ザーラザーラ ⸢ザーラザーラ [⸢ʣaːraʣaːra] 副 ざあざあ。大粒の雨が激しく降るさま。擬音語。土砂降りのさま。米や豆などの粒状のものが音を立てて大量に落ちるさま。 ⸢ザーラザーラ⸣シ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイティ ダッ⸢カティ ゾーリナー⸣ヌ [⸢ʣaːraʣaːra⸣ʃi ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuiti dak⸢kati ʣoːrinaː⸣nu] (ざあざあと雨が降って、びっしょり濡れてしまった) 6711 0 0 6359 htmvoc_6711.wav サーラスン ⸢サーラスン [⸢saːrasuŋ] 連 連れさせる。同行させる。⸢サールン[⸢saːruŋ](連れる{EOS}同行する{EOS}連れ立つ)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](せる{EOS}させる)が下接して形成された使役動詞。 ミ⸢ドーン⸣ッふァン ⸢サーラシ⸣ パ⸢ラシ⸣タ [mi⸢doːn⸣ffan ⸢saːraʃi⸣ pa⸢raʃi̥⸣ta] (女の子に連れさせて行かせた)。 ⸢サーラサヌ [⸢saːrasanu] (連れさせない)。 ウ⸢リン サーラス⸣ クトゥ [ʔu⸢rin saːrasu⸣ ku̥tu] (その人に連れさせること) 6716 0 0 6360 htmvoc_6716.wav サーラダク ⸣サーラダク [⸣saːradaku] 名 (動)蛸の一種で、真蛸より腕が細く長い。真蛸が痩せこけた感じの蛸で、鳩間島では決して食しない。食中毒を起すという。 ⸣サーラダコー ⸢ヨーガリタク⸣ ナリティ ⸢ビー⸣ルンダ パ⸢トゥ⸣マプソー ウ⸢レー⸣ ッ⸢ふァーヌ [⸣saːradakoː ⸢joːgaritaku⸣ nariti ⸢biː⸣runda pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ʔu⸢reː⸣ f⸢faːnu] (サーラ蛸は痩せ蛸になっていて、食中毒をおこすから、鳩間島の人は、それは食べない) 6735 0 0 6361 htmvoc_6735.wav サーラヌ ⸢サーラ⸣ヌ [⸢saːra⸣nu] 連 足りない。不足する。「触らぬ」の意味が「かかわる。よりつく」の意に派生転訛したものか。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ム⸢ヌ⸣バ ⸣バクカー フ⸢チン サーラ⸣ヌ [ʔu⸢bitʧin⸣nu mu⸢nu⸣ba ⸣bakukaː ɸu̥⸢ʧin saːra⸣nu] (これぽっちのものを分けると、少なすぎて口にする<食べるには>には足りない<当たらない>) 6715 0 0 6362 htmvoc_6715.wav サーラマキ ⸢サーラマキ [⸢saːramaki] 名 つわり(悪阻)。 ⸢サーラマケー シール⸣ ムノー ⸢ファイユーサナ ヨーガレー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸢saːramakeː ʃiːru⸣ munoː ⸢faijuːsana joːgareː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (つわりをしてご飯を食べることが出来ないで、痩せ細っている) 6712 0 0 6363 htmvoc_6712.wav サーラミジ ⸢サーラ⸣ミジ [⸢saːra⸣miʤi] 名 滝。西表島北岸のピ⸢ナイサーラ[pi⸢naisaːra](ピナイ<鬚川>滝)のこと。/マエニミユルワ ピナイサラ ウミニナガユル タツカワワ ユユムカワラン ウムシルヤ/(前に見えるのはピナイ滝、海へと流れ落ちる立つ川<滝>は世々も変わらず見事である)「鳩間口説」『鳩間島古典民謡古謡集』 6717 0 0 6364 htmvoc_6717.wav サーラムス ⸢サーラ⸣ムス [⸢saːra⸣musu] 名 サーラ(三角藺<カヤツリグサ科の多年草>)を干して編んだ筵。 ナ⸢チェー⸣ アツァンダ ⸢トゥーシ⸣ナ ⸢サーラ⸣ムス シ⸢キティ⸣ ニ⸢ブタ [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦanda ⸢tuːʃi⸣na ⸢saːra⸣musu ʃi̥⸢kiti⸣ ni⸢buta] (夏は暑いから縁側にサーラ筵を敷いて寝た) 6718 0 1 6365 htmvoc_6718.wav サーリ ⸣サーリ [⸣saːri] 格助 {Mn_1}~で<手段>を表す。名詞や代名詞に付いて手段格関係を表す。 ク⸢リ⸣サーリ ⸢シー⸣ ミリ⸢ミー [ku⸢ri⸣saːri ⸢ʃiː⸣ miri⸢miː] (これでやって<して>みてごらん)。 6718 0 2 6366 htmvoc_6718.wav サーリ ⸣サーリ [⸣saːri] 格助 {Mn_2}~で<をもって><材料>を表す。 イ⸢ガバーケー⸣ タ⸢キ⸣サーリル ス⸢ク⸣ル [ʔi⸢gabaːkeː⸣ tḁ⸢ki⸣saːriru su̥⸢ku⸣ru] (烏賊釣り漁の笊は竹で作る)。 6718 0 3 6367 htmvoc_6718.wav サーリ ⸣サーリ [⸣saːri] 格助 {Mn_3}~と<と共に><動作作用の相手に添加>をあらわす。 ク⸢リ⸣ カー⸢ニ⸣ ア⸢ラン⸣ドーシ ⸣ジンサーリ ッ⸢ス⸣ミ ム⸢タ⸣シバ [ku⸢ri⸣ kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ran⸣doːʃi ⸣ʤinsaːri s⸢su⸣mi mu⸢ta⸣ʃiba] (これだけ<のみ、だけ>でなく、お金といっしょに包んで<お金を添えて一緒に包んで>持たせてやりなさい)。 ウ⸢リサーリル クー⸣タ [ʔu⸢risaːriru kuː⸣ta] (彼<それ>と一緒に来た) 6719 0 0 6368 htmvoc_6719.wav サーリ ⸣-サーリ [⸣-saːri] 接助 ~ので。~くて。動詞の連用形に下接して、原因・理由を表す。 ⸣ドゥク カ⸢ジヌ⸣ フキ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイサーリ マー⸢ン⸣ パ⸢ララン⸣シェン [⸣duku ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ki ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuisaːri maː⸢m⸣ pa⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (あまりにも風が強く吹き、雨が降るので、何処にも行かれなかった) 6720 0 0 6369 htmvoc_6720.wav ザーリ ⸢ザーリ [⸢ʣaːri] 名 うろ(虚{EOS}洞)。木のうろ。木が朽ちて開いた穴。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸢ザーリ⸣ナール ⸣パトゥザヌ ⸣シー ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [ga⸢ʤimaru⸣nu ⸢ʣaːri⸣naːru ⸣pḁtuʣanu ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (ガジマルの木のうろ<洞>に土鳩が巣を作ってある) 6721 0 0 6370 htmvoc_6721.wav ザーリキー ⸢ザーリキー [⸢ʣaːrikiː] 名 朽木。うつろぎ(空ろ木)。芯の朽ちた木。 ク⸢レー ザーリキー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢reː ʣaːrikiː⸣ ja⸢runda⸣ si̥⸢kaːranu] (これは\ruby{空}{ウ}ろ木<中心が空ろになっている木>だから使えない) 6722 0 0 6371 htmvoc_6722.wav サーリキスン ⸢サーリキスン [⸢saːriki̥suŋ] 他動 注ぎつくす。お茶や水などを他の容器に注ぎつくす。「注ぎきる」の義。 ⸢スッカー⸣ヌ ⸢サー⸣ヤ ⸢サーリキシティ⸣ シ⸢キ⸣リバ [⸢sukkaː⸣nu ⸢saː⸣ja ⸢saːriki̥ʃiti⸣ ʃi̥⸢ki⸣riba] (急須のお茶は注ぎきっておきなさいよ)。 ⸢サーリキサン⸣カー ⸢ミー⸣ザ ⸣ナルン⸢ダー [⸢saːriki̥saŋ⸣kaː ⸢miː⸣ʣa ⸣naruŋ⸢daː] (注ぎきらないと不味くなるよ)。 ⸢サーリキシ⸣ ミサン [⸢saːriki̥ʃi⸣ misaŋ] (注ぎきってよい)。 ⸢サーリキス⸣ クトゥ [⸢saːriki̥su⸣ ku̥tu] (注ぎきること)。 ⸢サーリキシェー⸣ ミサムヌ [⸢saːriki̥ʃeː⸣ misamunu] (注ぎきれば良いのに)。 ⸢サーリキシ⸣バ [⸢saːriki̥ʃi⸣ba] (注ぎきれよ) 6723 0 0 6372 htmvoc_6723.wav サーリクーン ⸢サーリ⸣ クーン [⸢saːri⸣ kuːŋ] 連 連れてくる。 ⸣アツァー シ⸢マー⸣ラ ッ⸢ふァン⸣ケー ⸢サーリ⸣ クーンツォー [⸣ʔaʦaː ʃi⸢maː⸣ra f⸢faŋ⸣keː ⸢saːri⸣kuːnʦoː] (明日島から子供たちを連れて来るそうだ) 6727 0 0 6373 htmvoc_6727.wav ザーリグイ ⸢ザーリグイ [⸢ʣaːrigui] 名 しわがれ声。どら声。「朽ちたしわがれ声」の義か。 ウ⸢ヤーリ⸣シギティル ⸢クイ⸣ヤー ⸢ザーリグイ⸣ ナリ⸢ベー [ʔu⸢jaːri⸣ʃigitiru ⸢kui⸣jaː ⸢ʣaːrigui⸣ nari⸢beː] (大声を出しすぎて、声はしわがれ声になっている) 6726 0 0 6374 htmvoc_6726.wav サーリジブン ⸢サーリジブン [⸢saːriʤibuŋ] 名 男の結婚適齢期。「嫁を貰う<連れる>時分」の義。女性は⸢ヤームティ⸣ジブン[⸢jaːmuti⸣ʤibuŋ](家庭を持つ時期<時分>)、または、ム⸢ティ⸣ジブン[mu⸢ti⸣ʤibuŋ](持ち時分)という。 ⸢サーリジブン⸣ ナ⸢リ⸣ブバ ⸢パイ⸣サ トゥ⸢ジ⸣  トゥミ ⸢フィーラン⸣カ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢saːriʤibun⸣ na⸢ri⸣buba ⸢pai⸣sa tu⸢ʤi⸣ tumi ⸢fiːraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (結婚適齢期になっているので、早く嫁<妻>を探してやらないといけない) 6728 0 0 6375 htmvoc_6728.wav ザーリドゥー ⸢ザーリドゥー [⸢ʣaːriduː] 名 弱って、がたがたになった体。子供を多く産んだ女の体。「腐れ胴」の義か。 ッ⸢ふァナシ⸣ ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸢ドゥー⸣ヤ ⸢ザーリドゥー⸣ ヤ⸢リバ⸣ ドゥー ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ パ⸢タラキ⸣ヨー [f⸢fanaʃi⸣ mi⸢dumu⸣nu ⸢duː⸣ja ⸢ʣaːriduː⸣ ja⸢riba⸣ duː ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢taraki⸣joː] (出産した女の体は体がガタガタに弱った体だから、体を大切にして<いたわって>働きなさいよ) 6724 0 0 6376 htmvoc_6724.wav サーリパルン ⸢サーリ⸣ パルン [⸢saːri⸣ paruŋ] 連 連れて行く。 ビ⸢コーンッふァー⸣ マー⸢ズン⸣ イ⸢ソー サーリ⸣ パルン [bi⸢koːŋffaː⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ʔi⸢soː saːri⸣ paruŋ] (男の子は一緒に漁に連れて行く) 6763 0 0 6377 htmvoc_6763.wav サーリミジ ⸢サーリミジ [⸢saːrimiʤi] 名 ⸢流し水」の義。容器に水を溜めないで、流しっぱなしにすること。流しっぱなしで物を洗うこと。薬缶の湯を注ぐように、水がなくなるまで流すこと。 ⸢サーリミジ サンドー⸣シ ⸢ビン⸣ダライナー ミ⸢ジェー⸣ イ⸢リティ⸣ ア⸢ライ⸣バ [⸢saːrimiʤi sandoː⸣ʃi ⸢bin⸣darainaː mi⸢ʤeː⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢rai⸣ba] (流しっぱなしにしないで、洗面器に水を入れて洗いなさいよ) 6729 0 0 6378 htmvoc_6729.wav ザーリルン ⸢ザーリルン [⸢ʣaːriruŋ] 自動 朽ちて穴があく。 ⸢ウイキー⸣ヤ ブ⸢シ⸣ヌ ⸣トンラ フ⸢トゥッ⸣ツカー ⸢ザーリルン⸣ティ ウ⸢モー⸣リ [⸢ʔuikiː⸣ja bu⸢ʃi⸣nu ⸣tonra ɸu̥⸢tut⸣ʦukaː ⸢ʣaːrirun⸣ti ʔu⸢moː⸣ri] (老木は節の所から朽ちると腐って穴が開いて\ruby{洞}{ウロ}になると思われる) 6725 0 1 6379 htmvoc_6725.wav サール ⸢サール [⸢saːru] 名 {Mn_1}、付き物。「連れ」の義か。付録。伴侶。子供。御供。 ウ⸢ヌ ヤンマイ⸣ヤー ⸢ウイプス⸣ヌ ⸢サール [ʔu⸢nu jammai⸣jaː ⸢ʔuipusu⸣nu ⸢saːru] (その病は老人の付きもの<\ruby{連}{ツ}れ>だ)。 ⸢サールヌ ブンダ⸣ マー⸢ン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢saːrunu bunda⸣ maː⸢m⸣ pa⸢rara⸣nu] (手数のかかる連れ<子供や伴侶>がいるから何処にも行けない)。 6725 0 2 6380 htmvoc_6725.wav サール ⸢サール [⸢saːru] 名 {Mn_2}おうつり(御移り)。贈り物を受けたとき、容器に何かを入れて返礼にするもの。野菜や乾燥した蛸の手などを包んで入れて贈った。 イ⸢サンケーラヌ⸣ シ⸢トゥ⸣ヌ ⸢サール⸣ パ⸢リタク⸣ ム⸢タシ⸣タ [ʔi⸢saŋkeːranu⸣ ʃi̥⸢tu⸣nu ⸢saːru⸣ pa⸢ritaku⸣ mu⸢taʃi̥⸣ta] (石垣島からの苞<土産>の御釣りに乾燥張り蛸を持たせてやった) 6730 0 0 6381 htmvoc_6730.wav サール ⸢サール [⸢saːru] 名 さわり(触り)。差障り。霊的なたたり(祟り)。 ⸢ヌー⸣ヌ ⸢サールヌ アッ⸣タカヤー [⸢nuː⸣nu ⸢saːrunu ʔat⸣takajaː] (どんな<何の>差障り<祟り>があったのかねえ) 6732 0 0 6382 htmvoc_6732.wav サールン ⸢サールン [⸢saːruŋ] 自動 触る。手で触れる。老年層は、⸢サウルン[⸢sauruŋ](触る)ともいう。 ⸣ティーシェー ナ⸢クラー⸣ンダ ⸢サーララヌ [⸣tiːʃeː na⸢kuraː⸣nda ⸢saːraranu] (手では怖いから触れない)。 ⸣クマー ⸢サーリ⸣ ミサン [⸣kumaː ⸢saːri⸣misaŋ] (此処は触ってよい)。 ⸣ティーシ ⸢サールン [⸣tiːʃi ⸢saːruŋ] (手で触る)。 ⸢サール⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢saːru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (触ることは出来ない)。 ⸢サーレー⸣ ミサムヌ [⸢saːreː⸣ misamunu] (触ればよいのに)。 ⸣ティーシ ⸢サーリ [⸣tiːʃi ⸢saːri] (手で触れ) 6733 0 0 6383 htmvoc_6733.wav サールン ⸢サールン [⸢saːruŋ] 他動 連れる。子守をする。めとる(娶る)。 ク⸢ヌ ッふァ ワー サー⸢ルン [ku⸢nu ffaː waː saː⸢ruŋ] (この子は君が連れる<子守する>⸣か)。 アー⸢イ⸣ バー ⸢サーラヌ [ʔaː⸢i⸣ baː ⸢saːranu] (いや、僕は連れない<子守しない>)。 ヤー⸢ディン サーリ⸣パリ [jaː⸢din saːri⸣pari] (是非とも<必ず>連れて行け)。 ッ⸢ふァ サール⸣ プ⸢スンドゥ⸣ <プ⸢スヌ> ブ⸢ラーヌ [f⸢fa saːru⸣ pu̥⸢sundu⸣ bu⸢raːnu] (子供を連れる<子守する>人がいない)。 ⸢サーレー⸣ ミサムヌ [⸢saːreː⸣ misamunu] (連れれば<子守すれば>よいのに)。 ⸢ワー サーリ⸣バ [⸢waː saːri⸣ba] (君が連れなさい<子守をしなさい>よ) 6734 0 0 6384 htmvoc_6734.wav サールン ⸢サールン [⸢saːruŋ] 自動 腫れ物の腫れが引く(ピ⸢クンとも言う)。痩せる(⸢ヨーガルンとも言う)。 ア⸢シ⸣ブナ ユ⸢ビダシコーヤク ヌーリ⸣ スクカー ⸢サールン⸣ダー [ʔa⸢ʃi⸣bunaː ju⸢bidaʃikoːjaku nuːri⸣ su̥kukaː ⸢saːrun⸣daː] (おでき<出来物>に吸い出し膏薬を塗っておくと腫れが引くよ)。 マ⸢ダ サーランバン [ma⸢da saːrambaŋ] (まだ腫れが引かないよ)。 ⸣ルガイナ ⸢マー⸣ス ⸢ヌーリティ⸣ パ⸢リ⸣スクカー ⸢サール⸣ クトゥン ⸣アン [⸣rugaina ⸢maː⸣su ⸢nuːriti⸣ pa⸢ri⸣su̥kukaː ⸢saːru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (アロエに塩を塗って腫れ物に貼り付けておくと腫れが引くこともあるよ)。 ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢ス⸣ター⸢ミーッサラン⸣スコー ⸢サーリ ナー⸣ヌ [f⸢fa⸣ na⸢su⸣taː ⸢miːssaran⸣su̥koː ⸢saːri naː⸣nu] (子供を産んだので、見分けがつかないほどに痩せてしまった) 6736 0 0 6385 htmvoc_6736.wav サールン ⸢サールン [⸢saːruŋ] 他動 注ぐ。残らず注ぐ。薬缶や急須などの水を注ぎ尽くす。芋の煮汁を他の容器に移し注ぐ。⸢サウンとも言う。 ヤ⸢コン⸣ヌ ⸣ユー ⸢サールンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ティー⸣ヌ ⸢フッツォーリティ⸣ ムッ⸢トゥ サーララヌ [ja⸢kon⸣nu ⸣juː ⸢saːrunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢tiː⸣nu ⸢ɸutʦoːriti⸣ mut⸢tu saːraranu] (薬缶のお湯を注ごうと思うのだが、手が震えて一向に注がれない)。 ⸢サーリナー⸣ヌ [⸢saːrinaː⸣nu] (注いでしまった)。 ノー⸢シン サール⸣ クトゥン⸢デー⸣カー ⸢パイ⸣サ ⸢サーレー⸣ ミサムヌ [noː⸢ʃin saːru⸣ ku̥tun⸢deː⸣kaː ⸢pai⸣sa ⸢saːreː⸣ misamunu] (どうせ注ぐことなら、早く注げばよいのに)。 ⸣ユー ⸢サーリ [⸣juː ⸢saːri] (お湯を注げ) 6731 0 0 6386 htmvoc_6731.wav ザールン ⸢ザールン [⸢ʣaːruŋ] 自動 朽ちて穴があく。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ⸢シン⸣マー ⸢ザーリティ⸣ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢nu kiː⸣ja ⸢ʃim⸣maː ⸢ʣaːriti⸣ sï̥⸢kaːranu] (この木は芯が朽ちて穴が開き<\ruby{洞}{ウロ}になって>、使用できない)。 ⸢キャーンゲー ザーラヌ [⸢kjaːngeː ʣaːranu] (犬槇は芯が朽ちない)。 ユ⸢ダ⸣ ウ⸢タ⸣シェントンマー ⸢ザールン [ju⸢da⸣ ʔu⸢ta⸣ʃentommaː ⸢ʣaːruŋ] (枝を落としたところは朽ちて穴が開く<洞になる>)。 ⸢ザール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʣaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (朽ちて穴が開くことはない)。 ⸢ザーレー⸣ラー ⸢デー⸣ジ [⸢ʣaːreː⸣raː ⸢deː⸣ʤi] (朽ちて穴が開いたら大変だ)。 ⸢ザール⸣カー ⸢ザーリ⸣バ [⸢ʣaːru⸣kaː ⸢ʣaːri⸣ba] (朽ちて穴があくなら朽ちろ) 6738 0 0 6387 htmvoc_6738.wav サーレー ⸢サーレー [⸢saːre⸣ː] 終助 ~だろうよ。~でしょうよ。「~サ・ウレー」(~そうだ、それは)の融合縮約した形。推量の意を表す。 ⸣ウヌ ⸢ブン⸣シェー ⸣アツァン ア⸢ミ⸣ヌ フー⸢サーレ⸣ー [⸣ʔunu ⸢buŋ⸣ʃeː ⸣ʔaʦaŋ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuː ⸢saːre⸣ː] (この分では明日も雨が降るでしょうよ) 6739 0 0 6388 htmvoc_6739.wav ザーン ⸣ザーン [⸣ʣaːŋ] 接尾 同士。名詞について、それと同じ種類、同じ関係にあることを表す。 ⸢キョーダイ⸣サザーン パ⸢ナシアー⸣シ ⸢シェー⸣ティル ム⸢ヌグ⸣トー キ⸢ミル⸣ダー [⸢kjoːdai⸣saʣaːm pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣tiru mu⸢nugu⸣toː ki⸢miru⸣daː] (兄弟同士で相談<話し合い>しながら物事は決めるのだよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ヤ⸢ラ⸣ビザーンドゥ ア⸢サブ [ja⸢ra⸣beː ja⸢ra⸣biʣaːndu ʔa⸢sabu] (子供は子供同士で遊ぶ) 9340 0 0 6389 htmvoc_9340.wav ザーン ザーン [ʣaːnŋ] 名 同士 6671 0 0 6390 htmvoc_6671.wav ザーンツァンシ ⸢ザーンツァン⸣シ [⸢ʣaːnʦaŋ⸣ʃi] 副 ざくっと。ざっくり。ザンと。斧を振り下ろして薪を割る音の形容。擬音語。 タ⸢ブキー タムヌ⸣ シ⸢ター⸣マキー ⸣タムノー バ⸢リヤッ⸣サンダ ⸢ザーンツァーン⸣シ バ⸢リ⸣バ [ta⸢bukiː tamunu⸣ ʃi̥⸢taː⸣makiː ⸣tamunoː ba⸢rijas⸣sanda ⸢ʣaːnʦaːŋ⸣ʃi ba⸢ri⸣ba] (タブノキ<タ⸢ブキー>の薪やエゴノキ<シ⸢ター⸣マキー>の薪は割りやすいから、ざっくりざっくりと割りなさいよ) 6747 0 0 6391 htmvoc_6747.wav サイ ⸢サイ [⸢sai] 名 加勢すること。味方になること。支え。守り。守護神。援護すること。 ウ⸢リヌ サイバ スンティ アー⸣クンケン <⸢アー⸣キ> イ⸢ザリ⸣ ア⸢ダーサリティ スンカブ⸣ル ⸢シェー⸣チバン [ʔu⸢rinu saiba sunti ʔaː⸣kuŋkeŋ <⸢ʔaː⸣ki> ʔi⸢ʣari⸣ ʔa⸢daːsariti suŋkabu⸣ru ⸢ʃeː⸣ʧibaŋ] (そいつの加勢をしようとしていて叱られ、どやされて大損<損被り>してしまったよ) 6748 0 0 6392 htmvoc_6748.wav ザイ ⸢ザイ [⸢ʣai] 名 舞踊の小道具の一つ。⸢麾(キ)。軍隊の指揮者の持つ旗」を沖縄の古典舞踊では、⸢ザイ・ゼイ」と言っている。白紙や色紙を末広に切って篠竹の先に結わえたもの。沖縄本島では「ゼイ踊り」に用いられるが、鳩間島では豊年祭のイ⸢ジックナー[ʔi⸢ʤikkunaː](村誉めの言い合い{EOS}言挙げ)をする⸢ガー⸣リー[⸢gaː⸣riː]踊りで用いられる。「サイ(采)」の転訛したものか。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ガー⸣リナール ⸢ザイバ⸣ ムティティ ⸢ガー⸣ローッタ [⸢puːru⸣nu ⸢gaː⸣rinaːru ⸢ʣaiba⸣ mutiti ⸢gaː⸣roːtta] (豊年祭のガーリ踊りでザイを持って踊られた) 6749 0 0 6393 htmvoc_6749.wav ザイ ⸣ザイ [⸣ʣai] 接尾 ~に専念すること。~を専らにすること。名詞や動詞の連用形に下接して⸢~に専念することで精一杯(他事無し、余念が無い)」の意を表す。 ⸢マイカリジブンマー パンタサ⸣ヌ ⸣ドゥーザイル ⸣ナル プ⸢スヌ⸣ クトゥ⸢バー⸣ケー ⸢ティー⸣ヤ ⸢マーラヌ [⸢maikariʤibummaː pantasa⸣nu ⸣duːʣairu ⸣naru pu̥⸢sunu⸣ ku̥tu⸢baː⸣keː ⸢tiː⸣ja ⸢maːranu] (稲刈り時分は忙しくて<繁多さで>自分のことしか出来ない<自分のことで精一杯だ>{EOS}他人のことまでは手が回らない)。 ⸢イーッふァイザイ⸣ル ⸣ナル ⸢ウイヌ ガッ⸣コー⸢ナー⸣トー ン⸢ザシユーサ⸣ヌ [⸢ʔiːffaiʣai⸣ru ⸣naru ⸢ʔuinu gak⸣koː⸢naː⸣toː ʔn⸢ʣaʃijuːsa⸣nu] (食べて生活するだけで精一杯だ<飯を食うことしか出来ない>{EOS}上級の学校へは出せない)。 パ⸢タラキザイバ シーベー⸣ティ ッ⸢ふァンケー⸣トゥ ム⸢ヌパナ⸣シン ⸢シーユーサヌ [pḁ⸢tarakiʣaiba ʃiːbeː⸣ti f⸢faŋkeː⸣tu mu⸢nupana⸣ʃiŋ ⸢ʃiːjuːsanu] (働くことだけに専念していて、子供たちと話し合いをすることが出来ない) 9053 0 0 6394 htmvoc_9053.wav ザイ =ザイ [-ʣai] 接尾 名詞や動詞の連用形に付いて、⸢~に没頭するだけで、他のことに気がまわらない」の意を表す。 プ⸢スザイ [pu̥⸢suʣai] (客の接待に没頭するだけ~)。 ッ⸢ふァザイル⸣ ナル [f⸢faʣairu⸣ naru] (子育てに没頭するだけで他のことは考えられない) 6750 0 0 6395 htmvoc_6750.wav ザイギ ⸢ザイ⸣ギ [⸢ʣai⸣gi] 名 材木。建築用材木。普通は、西表島の山から伐りだした。山で粗削りをし、牛に引かせるか、二、三人で担いで下ろし、鳩間島に運んで砂浜に埋め、⸢スー⸣カン[⸢suː⸣kaŋ](潮乾{EOS}海水に浸けて木汁を抜き取る)をした。半年ほど海水に浸けた後、陸上に揚げ、水洗いをして⸢キー⸣ヤー[⸢kiː⸣jaː](材木小屋)に入れ、二、三年間自然乾燥をさせて建築用材に使った。 ⸣ヤー ス⸢ク⸣ルンティ ⸢パイタ⸣ヌ ヤ⸢マー⸣ラ ⸢ザイ⸣ギ ⸣キシ ウ⸢ラ⸣ソーッタ⸢トゥ⸣ツォ [⸣jaː su̥⸢ku⸣runti ⸢paita⸣nu ja⸢maː⸣ra ⸢ʣai⸣gi ⸣kiʃi ʔu⸢ra⸣soːtta⸢tu⸣ʦoː] (家を新築しようと西表島の山から材木を伐って下ろされたってさ) 6751 0 0 6396 htmvoc_6751.wav サイク ⸢サイ⸣ク [⸢sai⸣ku] 名 大工。 ⸢ヤーザイ⸣ク [⸢jaːʣai⸣ku] (家大工{EOS}建築大工)。 フ⸢ナザイ⸣ク [ɸu⸢naʣai⸣ku] (船大工)。サ⸢シ⸣ムヌザイク[sḁ⸢ʃi⸣munuʣaiku](指物師{EOS}家具類を作る人)等の類義語がある。 ⸢サイ⸣ク タ⸢ナ⸣ミティ ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ヨー⸣リ ⸢ノーシミ⸣ラ [⸢sai⸣ku ta⸢na⸣miti ⸢jaː⸣nu ⸢joː⸣ri ⸢noːʃimi⸣ra] (大工を頼んで家の弱っているところを直させよう) 6752 0 0 6397 htmvoc_6752.wav サイクカティ ⸢サイク⸣カティ [⸢saiku⸣kati] 名 大工の経験者。大工仕事に通じている人。 ⸢サイクカティ⸣ヌ ⸣アルユンダ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸣クチェー ッ⸢シ⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン⸣ プ⸢ス⸣ラ マ⸢キラヌ [⸢saikukati⸣nu ⸣ʔarujunda mu⸢nu⸣nu ⸣ku̥ʧeː ʃ⸢ʃi⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirabam⸣ pu̥⸢su⸣ra ma⸢kiranu] (大工仕事の経験があるから物事のコツ<要領{EOS}勘所>を心得ていて<知っていて>、何をさせても他人に負けない) 6753 0 0 6398 htmvoc_6753.wav サイクシグトゥ ⸢サイクシグ⸣トゥ [⸢saikuʃigu⸣tu] 名 大工仕事。 ⸢ベー⸣ヌ ⸢アー⸣ヤー ⸢サイクシグ⸣トゥ ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ローッ⸣タツォー [⸢beː⸣nu ⸢ʔaː⸣jaː ⸢saikuʃigu⸣tu ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢roːt⸣taʦoː] (我が家のお祖父さんは大工仕事が上手であられたそうだ) 6754 0 0 6399 htmvoc_6754.wav サイクドング ⸢サイクドン⸣グ [⸢saikudoŋ⸣gu] 名 大工道具。鋸。鉋。鑿。斧。手斧。錐。玄翁など。 ⸢サイクドン⸣ゴー ⸢ドング⸣パクナー イ⸢リティ ⸣ユー ⸢ティー⸣リ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー [⸢saikudoŋ⸣goː ⸢doŋgu⸣pḁkunaː ʔi⸢riti ⸣juː ⸢tiː⸣ri ⸢saŋ⸣kaː na⸢ran⸠daː] (大工道具は道具箱に入れて、よく手入れをしないといけないよ) 6760 0 0 6400 htmvoc_6760.wav サイクヌオーナール ⸢サイク⸣ヌ ⸢オーナール [⸢saiku⸣nu ⸢ʔoːnaːru] 成 大工の嫉妬(諺)。大工は互いによく嫉妬するの意。イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーナール[ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːnaːru](医者の嫉妬<諺>)ともいう。 ⸢サイク⸣ヌ ⸢オーナールティ⸣ ア⸢ザリブー [⸢saiku⸣nu ⸢ʔoːnaːruti⸣ ʔa⸢ʣaribuː] (大工の嫉妬と言われているように、大工は互いによく嫉妬するという) 6761 0 0 6401 htmvoc_6761.wav サイクヌキル ⸢サイクヌキ⸣ル [⸢saikunuki⸣ru] 名 大工用鋸。細工用鋸。⸢キーバキヌキ⸣ル[⸢kiːbakinuki⸣ru](山鋸{EOS}「木切り鋸」の義)に比べて鋸の刃が小さい。⸢リョーバーヌキル[⸢rjoːbaːnukiru](両刃鋸{EOS}片側は縦びき、片側は横引きとなっている)は繊細な木工細工に対応する鋸である。特に指物細工などが用いる鋸をいう。 ヤ⸢シ⸣ルシ ⸢サイクヌキル⸣ヌ ⸣パー ⸣タトゥンティ <タ⸢ティ⸣ルンティ> ⸢ベー [ja⸢ʃi⸣ruʃi ⸢saikunukiru⸣nu ⸣paː ⸣tḁtunti ⸢beː] (鑢で大工用鋸の歯を研ごうと<たてようと>している) 6762 0 0 6402 htmvoc_6762.wav サイクピンソー ⸢サイ⸣ク⸣ピンソー [⸢sai⸣ku⸣pinsoː] 成 大工は貧乏(諺)。大工は他人の仕事ばかりして、自分の家の事を顧みないから、自分の家を飾り立てることはできないので貧乏にみえるの意。 ⸢ユー⸣ル ⸢サイ⸣クピンソーティ ア⸢ザリブー⸣サー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヤ イ⸢カシタテー ナー⸣ヌ [⸢juː⸣ru ⸢sai⸣ku⸣pinsoːti ʔa⸢ʣaribuː⸣saː ⸢duː⸣nu ⸢jaː⸣ja ʔi⸢kaʃi̥tateː naː⸣nu] (よくぞ、「大工は貧乏」といわれているものだよ{EOS}自分の家のことはほったらかしだ<どうするかとも考えない>) 6755 0 0 6403 htmvoc_6755.wav サイサイ ⸢サイ⸣サイ [⸢sai⸣sai] 副 再々。度々。幾度も。何度も。 イ⸢ガ カイプスヌ⸣ イ⸢サナケー⸣ラ ⸢サイ⸣サイ ⸢オーッ⸣タン⸢ダー [ʔi⸢ga kaipu̥sunu⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ra ⸢sai⸣sai ⸢ʔoːt⸣tan⸢daː] (烏賊買い商人が石垣から度々来られたよ)。 ⸣アイ ⸢サイ⸣サイ ティ⸢ダイラリ⸣カー⸢ニ シーベー⸣ティ ⸢ドゥーグリサ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣バンメー [⸣ʔai ⸢sai⸣sai ti⸢daira⸣rikaː⸢ni ʃiːbeː⸣ti ⸢duːgurisa⸣nu na⸢ram⸣baŋ] (そう何度も奢られてばかりしていて、恐縮の極みでだよ<心苦しくてならないわい>) 6756 0 0 6404 htmvoc_6756.wav サイサン ⸢サイ⸣サン [⸢sai⸣saŋ] 副 再三。何度も。たびたび(度々)。しばしば。 ⸢サイ⸣サン ア⸢ズンドゥ⸣ シゥ⸢カンバン [⸢sai⸣saŋ ʔa⸢ʣuundu⸣ sï̥⸢kambaŋ] (再三<なんども>言うけれど、聞き入れないわい) 6757 0 0 6405 htmvoc_6757.wav ザイサン ⸣ザイサン [⸣ʣaisaŋ] 名 財産。 ⸣ヤーザイサン [⸣jaːʣasaŋ] (家財産)。不動産の土地には、普通は⸢ジーマ⸣シ[⸢ʤiːma⸣ʃi](土地枡)といって、⸣ザイサン[⸣ʣaisaŋ]とは言わない。琉球国時代の昔、土地の個人所有は認められていなかった事を表しているのであろう。明治37年以降は、ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ラ⸣ソーレール ⸣ザイサンマー ⸢カーシェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ[ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ra⸣soːreːru ⸣ʣaisammaː ⸢kaːʃeː⸣ na⸢ra⸣nu](親が作られた財産は売ってはならない)という 6758 0 0 6406 htmvoc_6758.wav サイスク ⸢サイ⸣スク [⸢sai⸣su̥ku] 名 催促。標準語からの転訛。老年層は、イ⸢ミ⸣リ[ʔi⸢mi⸣ri](催促{EOS}ねだり{EOS}要求)、イ⸢ミ⸣ルン[ʔi⸢mi⸣ruŋ](催促する{EOS}ねだる{EOS}要求する)という。 ⸢サイクドン⸣グ カ⸢リ パッタン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ カイサ⸣ヌ ⸢サイ⸣スク ⸢サン⸣カー ⸢カイサン⸣バン [⸢saikudoŋ⸣gu ka⸢ri pattan⸣du mut⸢tu kaisa⸣nu ⸢sai⸣su̥ku ⸢saŋ⸣kaː ⸢kaisam⸣baŋ] (大工道具を借りていったが、一向に返却しない{EOS}催促しないと返さないわい) 6746 0 0 6407 htmvoc_6746.wav サイトゥビムヌ ⸢サイトゥビムヌ [⸢saitubimunu] 名 才知に長けた者。才知が優れている者。才気ばしっている者。 ウ⸢レー サイトゥビムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンナー⸣ネー ウ⸢カットゥ⸣シ ⸣ムネー イ⸢ザラヌ [ʔu⸢reː saitubimunu⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinnaː⸣neː ʔu⸢kattu⸣ʃi ⸣muneː ʔi⸢ʣaranu] (その人は才知に長けた人だから、その人には迂闊にものが言えない) 6764 0 0 6408 htmvoc_6764.wav サイナン ⸢サイナン [⸢sainaŋ] 名 災難。災い。標準語からの借用語。 ⸢ウン⸣ネーナー ⸣クゾー プ⸢ス⸣ケンナー ⸢サイナンヌ⸣ ウ⸢ク⸣レータン [⸢ʔun⸣neːnaː ⸣kuʣuː pu̥⸢su⸣kennaː ⸢sainannu⸣ ʔu⸢ku⸣reːtaŋ] (あの家には、去年は一度に災難が起こった) 6759 0 0 6409 htmvoc_6759.wav ザイバン ⸣ザイバン [⸣ʣaibaŋ] 名 在番。琉球国時代に首里王府より宮古、八重山へ派遣された行政長官。一時期は薩摩藩からの在番もいたという(『石垣方言辞典』)。 ム⸢カ⸣シェー イ⸢サナキ⸣ナー ⸣ザイバンヌ ⸢オー⸣リ ⸢グイ⸣フゾーノー ⸣トゥリシラビ ⸢ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔi⸢sanaki⸣naː ⸣ʣaibannu ⸢ʔoː⸣ri ⸢gui⸣ɸuʣoːnoː ⸣turiʃirabi ⸢soːt⸣taʦoː] (昔は石垣島に在番がおられて、御庸布、上納の取調べをされたそうだ) 6765 0 0 6410 htmvoc_6765.wav サイヤリ ⸢サイ⸣ ヤリ [⸢sai⸣ jari] 連 支えである。守護神。歌謡語。 ウ⸢クダ⸣カ ⸣エンヤー カ⸢ニブーヤー⸣ヌ ⸢サイ⸣ヤリ [ʔu⸢kuda⸣ka ⸣jeŋjaː ⸢kanibuːjaː⸣nu ⸢sai⸣jari] (この数<ここに挙げた数の動物>がこの鋼材で造った家<新室>の支え<守護神>である) 6766 0 0 6411 htmvoc_6766.wav サイルン ⸢サイ⸣ルン [⸢sai⸣ruŋ] 他動 下げる。吊るす。ぶら下げる。 ⸢キン⸣マー ⸢ナーラ⸣シナー ⸢サイル⸣ナ [⸢kim⸣maː ⸢naːra⸣ʃinaː ⸢sairu⸣na] (着物は軒に吊るすな)。 タ⸢カー⸣ヌ ⸢サイララ⸣ヌ [tḁ⸢kaː⸣nu ⸢sairara⸣nu] (高くて吊るされない)。 ⸣クナー ⸢サイ⸣ルン [⸣kunaː ⸢sai⸣ruŋ] (此処に吊るす)。 ⸣クナー ⸣サイミサカー ⸢サイ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kunaː ⸣saimisakaː ⸢sai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (ここに下げて<吊るして>良ければ、下げる<吊るす>ことは出来る)。 ⸣クナー ⸢サイ⸣リ [⸣kunaː ⸢sai⸣ri] (此処に吊るせ)。 ⸢キン⸣マー ⸢ナーラ⸣シナ ⸢サイ⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢サイララ⸣ヌ [⸢kim⸣maː ⸢naːraʃi⸣na ⸢sai⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢sairara⸣nu] (着物は軒下のなげしに吊るそうと思ったが吊るされない) 6767 0 0 6412 htmvoc_6767.wav ザイレー ⸢ザイ⸣レー [⸢ʣai⸣reː] 名 (植)稲の品種名。在来種の稲。穂の先に長い芒がある。 ピ⸢ジルマイ [pi⸢ʤirumai] (米粒が小さく、一等美味で、多収穫の品種) ⸣ウシノーマイ [⸣ʔuʃinoːmai] (米粒は黒褐色{EOS}米粒が大きく、味は不味いので長く貯蓄された))。ダ⸢ネー⸣ママイ[da⸢neː⸣mamai](米粒は赤褐色{EOS}味は美味で、お粥にすると脂分が浮き出た)等の品種が作付けされていた。 ザ⸢イレーマイ⸣ヤー ⸣プーナ ン⸢ギヌ⸣ アルンダ カ⸢マイ⸣ヤー ッ⸢ふァーンシェン [⸢ʣaireːmai⸣jaː ⸣puːna ʔŋ⸢ginu⸣ ʔarundaː ka⸢mai⸣jaː f⸢faːŋʃeŋ] (在来種の稲は穂に長い芒があるから、猪は食べなかった) 6768 0 1 6413 htmvoc_6768.wav サウ ⸢サウ [⸢sau] 名 {Mn_1}正気。意識。正しい判断力。明治、大正生まれの老年層の言葉。若年層は、⸢ソー[⸢soː](正気、意識)という。[sau] → [soː] の音韻変化法則に基づく。 ⸢サウ⸣ シ⸢ティルン⸣ケン サ⸢キ⸣ ヌ⸢ム⸣ナ [⸢sau⸣ ʃi̥⸢tiruŋ⸣ken sḁ⸢ki⸣ nu⸢mu⸣na] (正気<意識>を失うほど酒を飲むな)。 ブ⸢チ⸣クン ⸢シー ベータン⸣ドゥ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢サウヤー⸣ シケーン [bu⸢ʧi⸣kuŋ ⸢ʃiːbeːtan⸣du jat⸢tu⸣ʃi ⸢saujaː⸣ ʃi̥keːŋ] (人事不省に陥っていたが、やっとで意識が回復した<意識がついた>)。 6768 0 2 6414 htmvoc_6768.wav サウ ⸢サウ [⸢sau] 名 {Mn_2}音信。 ッ⸢ふァンケー⸣ヌ ⸢サウバ⸣ ス⸢クンティ クータ⸣ル [f⸢faŋkeː⸣nu ⸢sauba⸣ su̥⸢kunti kuːta⸣ru] (子供達の音信<便り>を聞こうとやって来たのだ) 6769 0 0 6415 htmvoc_6769.wav サウ ⸣サウ [⸣sau] 名 竿。竹竿。枝葉を落とした竹の幹。みさを(水竿)。「~朝凪に楫引きのぼり夕汐に佐乎佐之久太理~『万葉集 4360』」の転訛。 ⸣サウ ス⸢クン [⸣sau su̥⸢kuŋ] (棹をさす)。 ⸣フネーラ ⸣サウ シ⸢ケー⸣ティ ⸣タク シ⸢キ⸣ トゥ⸢ローッ⸣タン [⸣ɸuneːra ⸣sau ʃi̥⸢keː⸣ti ⸣tḁku ʃi̥⸢ki⸣ tu⸢roː⸣taŋ] (サバニから竿をつきながらタコを突いて獲られた)。 パ⸢タザウ [pḁ⸢taʣau] (旗竿)。 ⸢キンプシ⸣サウ [⸢kimpuʃi⸣sau] (着物干し竿)。 カ⸢ツホーシ⸣サウ [kḁ⸢ʦuhoːʃi⸣sau] (カツオ釣り竿) 6770 0 0 6416 htmvoc_6770.wav ザウ ⸣ザウ [⸣ʣau] 名 栓。瓶など細長い容器に差し込む栓。若年層の中には⸣ゾー[⸣ʣoː](栓)と言う人もいる。 ク⸢ビン⸣ヌ ⸣ザウ ⸣ッシバ [ku⸢bin⸣nu ʣau ⸣ʃʃiba] (瓶に栓をしなさい<栓を差込みなさい>)。 ア⸢ガカビ⸣シ カ⸢ザリクビンヌ ザウ⸣バ ⸣ブリティ ⸣ッシバ [ʔa⸢gakabi⸣ʃi ka⸢ʣarikubinnu ʣau⸣ba ⸣buriti ⸣ʃʃiba] (赤色の紙を、神前に供える神酒入れ用の瓶子<飾り瓶>の栓として三角に折って差し込みなさい) 6772 0 0 6417 htmvoc_6772.wav サウガスン ⸢サウガスン [⸢saugasuŋ] 他動 騒がす。やかましくさせる。騒動させる。⸢アーラスンとも言う。 ⸣アイブー パ⸢ナ⸣シ ⸢スー⸣カ プ⸢ス サウガスンダ サウガサン⸣ヨーニ ⸢シー⸣バ [⸣ʔaibuː pa⸢na⸣ʃi ⸢suː⸣kaː pu̥⸢su saugasunda saugasaŋ⸣joːni ⸢ʃiː⸣ba] (あんな話をすると人を騒動させるから、騒動させないようにしなさいよ)。 シ⸢キン⸣バ ⸢サウガシ⸣ シケー [ʃi̥⸢kim⸣ba ⸢saugaʃi⸣ ʃi̥keː] (世間を騒がしてある)。 シ⸢キン⸣バ ⸢サウガス⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [ʃi̥⸢kim⸣ba ⸢saugasu⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (世間を騒がすことはするなよ)。 ⸢サウガシェー⸣ ミサムヌ [⸢saugaʃeː⸣ misamunu] (騒がせばいいのに)。 ⸢サウガシ⸣バ [⸢saugaʃi⸣ba] (騒がせなさいよ)。 ⸣シキン ⸢サウガス⸣ プ⸢ソー⸣ ドゥーシェー ⸢サウガスンティ⸣ ウ⸢モーン ダー⸣ヌ ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー シ⸢キン⸣マー ⸢サウガサリス [⸣ʃi̥kin ⸢saugasu⸣ pu̥⸢soː⸣ duːʃeː ⸢saugasunti⸣ ʔu⸢moːn daː⸣nu ⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ʃi̥⸢kim⸣ma ⸢saugasarisu] (世間を騒がす人は、自分では騒がそうとは思わないだろうが、あんな事をしたら世間は騒がされる)。 ⸣シキン ⸢サウガシ⸣ プサカー ⸢サウガシ⸣バ [⸣ʃi̥kin ⸢saugaʃi⸣ pu̥sakaː ⸢saugaʃi⸣ba] (世間を騒がしたかったら騒がしなさいよ)。 ⸢マー⸣ビン ウ⸢ダラカ⸣シ ⸣シキン ⸢サウガシェー⸣ ミサムヌ [⸢maːbiŋ ʔu⸢daraka⸣ʃi ⸣ʃi̥kin ⸢saugaʃeː⸣ misamunu] (もっと驚かせて、世間を騒がせばよいのに) 6771 0 0 6418 htmvoc_6771.wav サウガッサン ⸢サウガッ⸣サン [⸢saugas⸣saŋ] 形 騒がしい。物音や声などがやかましい。⸢サウガ⸣サン[⸢sauga⸣saŋ](騒がしい)、ン⸢ガマ⸣サン[ʔŋ⸢gama⸣saŋ](やかましい)ともいう。 ⸣クマー プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢サウガッ⸣サンダ ⸢サウガッサナーン⸣ トン パラ⸢ディー [⸣kumaː pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢saugas⸣sanda ⸢saugassanaːn⸣ tom para⸢diː] (ここは人が集まって騒がしいから、騒がしくない所へ行こうよ)。 ⸢シンダイ サウガッ⸣サ ⸣ナリケーン [⸢ʃindai saugas⸣sa ⸣narikeːŋ] (次第に騒がしくなってきた)。 ⸢サウガッ⸣サン ⸣トン [⸢saugas⸣san ⸣toŋ] (騒がしい所)。 ⸣アイニ ⸢サウガッ⸣サカー ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [⸣ʔaini ⸢saugas⸣sakaː ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (あのように騒がしければ、そこには居られない) 6773 0 1 6419 htmvoc_6773.wav サウグン ⸢サウグン [⸢sauguŋ] 自動 {Mn_1}騒ぐ。多数のものが集まって騒々しくなる。「~あぢ群佐和伎<サワキ>~。万、3991」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢サウギ ベー⸣ヌ ⸢サウガサンドー⸣シ ア⸢サバシ [ja⸢ra⸣biŋkeːnu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢saugi beː⸣nu ⸢saugasandoː⸣ʃi ʔa⸢sabaʃi] (子供たちが集まって騒いでいるが、騒がさないで遊ばせ)。 ⸢バン⸣ヌン ⸢サウグン [⸢ban⸣nun ⸢sauguŋ] (私も騒ぐ)。 ⸢サウグ⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢サウゲー⸣ ミサムヌ [⸢saugu⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢saugeː⸣ misamunu] (騒ぐことはないが、騒げばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢サウギ [⸢maː⸣bin ⸢saugi] (もっと騒げ)。 プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢サウギ ベー [pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢saugi beː] (人が集まって騒いでいる)。 ⸢サウグ プスヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢サウグンティ⸣ シ⸢タンティン サウガラヌ [⸢saugu pu̥sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢saugunti⸣ ʃi̥⸢tantin saugaranu] (騒ぐ人がいなければ騒ごう<騒ぐ>としても騒がれない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢サウゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢saugeː⸣ misamunu] (もっと騒げばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢サウギ [⸢paː⸣ku ⸢saugi] (早く騒げ)。騒動がおこる。 イ⸢サナキ⸣ナーヤ ⸢シェンキョ⸣ヌ ⸣クトゥシ ⸢サウギ ブー⸣ティバン [ʔi⸢sanakinaː⸣ja ⸢ʃeŋkjo⸣nu ⸣ku̥tuʃi ⸢saugi buː⸣tibaŋ] (石垣島では選挙のことで騒動しているそうだよ)。 6773 0 2 6420 htmvoc_6773.wav サウグン ⸢サウグン [⸢sauguŋ] 自動 {Mn_2}思い乱れる。 ⸢ンーニヌ サウギティ⸣ ウ⸢ティシゥカラ⸣ヌ [⸢ʔnːninu saugiti⸣ ʔu⸢tiʃi̥kara⸣nu] (胸騒ぎして<胸が騒いで>落ち着かれない) 9393 0 0 6421 htmvoc_9393.wav サウシキムヌ ⸢サウシキ⸣ムヌ [⸢sauʃi̥ki⸣munu] 名 気付薬(気付け物) 6774 0 0 6422 htmvoc_6774.wav サウスクン ⸢サウ⸣ スクン [⸢sau⸣ su̥kuŋ] 連 正気づく。意識が正常に戻る。⸢ソー⸣ スクン[⸢soː⸣ su̥kuŋ](正気づく)ともいう。 ブ⸢チ⸣クン ⸢スー⸣ バソー ミ⸢ジ⸣ フ⸢ク⸣ミティ ⸣シラナー フ⸢キカキ⸣ルカー ⸢サウ⸣ スクン [bu⸢ʧi⸣kun ⸢suː⸣ basoː mi⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢ku⸣miti ⸣ʃiranaː ɸu̥⸢kikaki⸣ruka ⸢sau⸣ su̥kuŋ] (気絶する時は水を口に含んで顔に吹きかけると正気づく) 6775 0 0 6423 htmvoc_6775.wav サウスクン ⸣サウ ス⸢クン [⸣sau su̥⸢kuŋ] 連 竿をさす。 ⸣サウ シ⸢ケー⸣ティ ⸣バターラ ⸢マーリ⸣ パリバ [⸣sau ʃi̥⸢keː⸣ti ⸣bataːra ⸢maːri⸣ pariba] (竿を刺しながら湾伝いに回って行きなさい) 6776 0 0 6424 htmvoc_6776.wav サウパサン ⸣サウパサン [⸣saupasaŋ] 名 「竿挟み」の義。竿挟みに縛ること。台風対策として戸の外側と部屋の柱の側に竿を渡して挟み、強く縛って戸を固定し、風圧に耐えるようにすること。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸢スー⸣リ ⸢キー⸣バ ⸣ヤドー ウ⸢チ⸣フカーラ ⸣サウパサン ⸢シー⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢シー [⸢taiɸuː⸣nu ⸢suː⸣ri ⸢kiː⸣ba ⸣jadoː ʔu⸢ʧi⸣ɸu̥kaːra ⸣saupasaŋ ⸢ʃiː⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː] (台風が強くなってくるから、戸は内外から竿で竿挟みにして台風対策<格護>しなさい) 6777 0 1 6425 htmvoc_6777.wav サウリ ⸢サウリ [⸢sauri] 名 {Mn_1}さしさわり(差し障り)。支障。 ク⸢リ ウーカ⸣スカー ビ⸢チ⸣ヌトンナ ⸢サウリヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルンダ ⸣クマー ⸢ノーサラ⸣ヌ [ku⸢ri ʔuːka⸣su̥kaː bi⸢ʧi⸣nu ⸣tonna ⸢saurinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣runda ⸣kumaː ⸢noːsara⸣nu] (これを動かすと別の所に障り<支障>が出るから、ここは直されない)。 6777 0 2 6426 htmvoc_6777.wav サウリ ⸢サウリ [⸢sauri] 名 {Mn_2}さわり(障り)ごと。神仏の祟り。 ⸢カッティニ⸣ パ⸢カ ウーカ⸣スカー ⸢サウリヌ⸣ <タ⸢タリ⸣ヌ> ン⸢ジ⸣ルンティ⸢ダー [⸢kattini⸣ pḁ⸢ka ʔuːka⸣su̥kaː ⸢saurinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣runti⸢daː] (勝手に墓を動かすと祟りが出るそうだよ) 7138 0 0 6427 htmvoc_7138.wav サウリグトゥ ⸢サウリグトゥ [⸢saurigutu] 名 障りごと。たたり(祟り)。悪い報い。 ユ⸢タヌ⸣ ヤーナ ⸢ゲー⸣タ ⸢サウリグトゥ  ヌ⸣ ア⸢リ⸣バ ⸢ニン⸣ガイ ⸢シーバル⸣ ナルツォー [ju⸢tanu⸣ jaːna ⸢geː⸣ta ⸢saurigutunu⸣ ʔa⸢ri⸣ba ⸢niŋ⸣gai ⸢ʃiːbaru⸣ naruʦoː] (ユタ<口寄せする巫げき>の家に行ってみたところ、障りごとがあるので祈願をする必要がある<祈願をすればぞなる>そうだ) 7139 0 1 6428 htmvoc_7139.wav サウルン ⸢サウルン [⸢sauruŋ] 自動 {Mn_1}触る。 プ⸢スヌ⸣ ドゥーナ ⸢サウルナ [pu̥⸢sunu⸣ duːna ⸢sauruna] (他人の体に触るな)。 ⸢サウリ⸣ プサンンティ ウ⸢ムー⸣タンティン ⸢サウル⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢サウララヌ [⸢sauri⸣ pu̥santi ʔu⸢muː⸣tantin ⸢sauru⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢sauraranu] (触りたいと思っていも触る人がいなければ触られない)。 ⸢サウリ⸣ プサカー ⸢サウリ⸣バ [⸢sauri⸣ pu̥sakaː ⸢sauri⸣ba] (触りたければ触れ)。 ⸣クマー ⸢サウレー⸣ ミサムヌ [⸣kumaː ⸢saureː⸣ misamunu] (此処は触ればよいのに)。⸢サールン[⸢saːruŋ](触る)ともいう。 イ⸢ツァー⸣ヌ ⸣ティーシェー ⸢サウララヌ [ʔi⸢ʦaː⸣nu ⸣tiːʃeː ⸢sauraranu] (熱いから素手では触れない)。 ⸣ティーシ ⸢サウリ⸣ ミリ⸢ミー [⸣tiːʃi ⸢sauri⸣ miri⸢miː] (手で触ってみてごらん)。 ⸢サウルンティ⸣ ウムーカー ⸢サウレー⸣ ミサムヌヌ <ミサムヌバ> ⸢サウル⸣ プ⸢ソー⸣ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢saurunti⸣ ʔumuːkaː ⸢saureː⸣ misamununu ⸢sauru⸣ pu̥⸢soː⸣ taː⸢m⸣ bu⸢raːnu] (触ろうと思うなら触ればよいものを、触る人は誰もいない)。 ⸢サウリ⸣バ [⸢sauri⸣ba] (触れよ)。 7139 0 2 6429 htmvoc_7139.wav サウルン ⸢サウルン [⸢sauruŋ] 自動 {Mn_2}障る。障害となる。差し支える。 ナ⸢マ⸣ムノー キ⸢ジ⸣ナー ⸢サウルン⸣ティ⸢ダー⸣ ン⸢バイルン⸣ツォー [na⸢ma⸣munoː ki⸢ʤi⸣naː ⸢saurun⸣ti⸢daː⸣ ʔm⸢bairun⸣ʦoː] (生ものは傷に障るってよ{EOS}傷が化膿して悪化するそうだ)。 7139 0 3 6430 htmvoc_7139.wav サウルン ⸢サウルン [⸢sauruŋ] 自動 {Mn_3}神仏が祟る。 ⸣アイブー ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ⸢グヮンス⸣グトゥナ ⸢サウルン⸣ティ⸢ダー [⸣ʔaibuː ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ⸢gwansu⸣gutuna ⸢saurun⸣ti⸢daː] (あんなことをすると、元祖の祭りごとに祟るそうだよ) 6778 0 0 6431 htmvoc_6778.wav サウワーナーヌ ⸢サウワー ナー⸣ヌ [⸢sauwaː naː⸣nu] 連 正気がない。意識がない。前後不覚に陥る。記憶を失う。⸢サウ⸣ シ⸢ティルン[⸢sau⸣ ʃi̥⸢tiruŋ](記憶<意識>を失う)ともいう。 ⸢ウンザー⸣ ビータリティ ⸢サウワー ナー⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ biːtariti ⸢sauwaː naː⸣nu] (こいつは酔いつぶれて意識がない) 6741 0 0 6432 htmvoc_6741.wav サウン ⸣サウン [⸣sauŋ] 他動 稲をこく<扱く>。フ⸢ドー⸣シ[ɸu⸢doː⸣ʃi](稲を扱く竹管)を片手で握って、他の手で稲を引いて脱穀する。 ⸢マイ⸣ サウン [⸢mai⸣ sauŋ] (稲を\ruby{扱}{シゴ}く)。 ⸢マイ サイ⸣ プサンドゥ ク⸢リ⸣シェー ⸢サーラン⸣バ ⸣サウ プ⸢ス⸣ トゥミ ⸣キー ⸢サイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢mai sai⸣ pu̥sandu ku⸢ri⸣ʃeː ⸢saːram⸣ba ⸣sau pu̥⸢su⸣ tumi ⸣kiː ⸢sai⸣jaː ⸣misamunu] (稲を\ruby{扱}{コ}きたいが、これでは扱けないから\ruby{扱}{シゴ}く人を捜してきて扱けばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣サイ [⸢paː⸣ku ⸣sai] (早く扱け)。 ⸢マイ⸣ サウン [⸢mai⸣ sauŋ] (稲を扱く)。 ク⸢リ⸣シェー ⸢サーラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ʃeː ⸢saːra⸣nu] (これでは扱かれない)。 ⸢マイ⸣ サイッ⸢ふィーリ [⸢mai⸣ saif⸢fiːri] (稲を扱いてくれ)。 ⸢マイ⸣ サウ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢mai⸣ sau pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu⸣] (稲を\ruby{扱}{コ}く人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢サイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢sai⸣jaː ⸣misamunu] (もっと\ruby{扱}{シゴ}けばよいのに)。 ⸢マイ⸣ サイバ [⸢mai⸣ saiba] (稲を扱けよ) 6742 0 0 6433 htmvoc_6742.wav サウン ⸣サウン [⸣sauŋ] 他動 下げる。吊るす。「下げ<下二段活用>」の四段活用化したもの。⸢サイ⸣ルン[⸢sai⸣ruŋ](下げる{EOS}吊るす)ともいう。 ⸢ナーラ⸣シナー ⸢サーン⸣ドーシ ⸢キンプシ⸣サウナー ⸣サイミサカー ⸣バー サウン⸢ダー [⸢naːra⸣ʃinaː ⸢saːn⸣doːʃi ⸢kimpuʃi⸣sauna ⸣saimisakaː ⸣baː saun⸢daː] (軒には吊るさないで、着物干し竿に吊るしてよければ、私は吊るすよ)。 ⸣サウ ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸢サイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣saumunoː ⸢paː⸣ku ⸢sai⸣jaː ⸣misamunu] (吊るすものは早く吊るせば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ⸣サイ [⸣duːʃi ⸣sai] (自分で吊るせ)。 ⸢ナーラ⸣シナー ⸣サウン [⸢naːra⸣ʃinaː ⸣sauŋ] (軒に吊るす)。 ⸣クナー ⸢サーラ⸣ヌ [⸣kunaː ⸢saːra⸣nu] (此処には吊るせない)。 ⸣クナール ⸢サイ⸣ プサ⸢ツォー [⸣kunaːru ⸢sai⸣ pu̥sa⸢ʦoː] (ここに<ぞ>吊るしたいのだよ)。 ⸣クナー ⸣サウ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaː ⸣sauku̥toː na⸢ra⸣nu] (此処には、吊るしてはならない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢サイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢sai⸣jaː ⸣misamunu] (もっと吊るせばよいのに)。 ⸣クナー ⸣サイバ [⸣kunaː ⸣saiba] (此処に吊るせ) 6743 0 0 6434 htmvoc_6743.wav サウン ⸢サウン [⸢sauŋ] 他動 注ぐ。 サ⸢キ サウン [sḁ⸢ki sauŋ] (酒を注ぐ)。酒を注ぐ。 サ⸢キ サウンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢トゥーヤ⸣ヌ ⸢サーラヌ [sḁ⸢ki saunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢tuːja⸣nu ⸢saːranu] (酒を注ごうと思うが遠いので注げない)。 ⸢サイ⸣ ミサカー ⸢サウ⸣ クトー ⸣ナルン [⸢sai⸣ misakaː ⸢sau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (注いで良ければ注ぐことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢サイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢saijaː⸣ misamunu] (もっと注げば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢サイ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢sai⸣ba] (早く注げよ)。 ⸣サー ⸢サイ⸣バ [⸣saː ⸢sai⸣ba] (お茶を注げよ)。 ⸢クン⸣ナー サ⸢ケー サーラヌ [⸢kun⸣naː sḁ⸢keː saːranu] (これには酒は注がれない)。 ⸣サー ⸢サイ⸣ プサンドゥ ⸢サウ プスヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣saː ⸢sai⸣ pu̥sandu ⸢sau pu̥sunu⸣ bu⸢raːnu] (お茶を注ぎたいが、注ぐ人がいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢サイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢saijaː⸣ misamunu] (もっと注げばよいのに) 6744 0 0 6435 htmvoc_6744.wav サウン ⸣サウン [⸣sauŋ] 他動 裂く。麻の繊維を細かく裂く。芭蕉の繊維を裂く。若年層は⸣サクン[sakuŋ]という。 ⸢ブー⸣ヤ ク⸢マークマー⸣シ ⸣サイティル ⸢ウー⸣モール [⸢buː⸣ja ku⸢maːkumaː⸣ʃi ⸣saitiru ⸢ʔuː⸣moːru] (麻は細かく裂いて<ぞ>績まれる) 6782 0 0 6436 htmvoc_6782.wav サカ サ⸢カ [sḁ⸢ka] 名 坂。傾斜のある道。「佐可<坂>越えて~。万、3523」の義。 サ⸢カミチ クイルンティ ナン⸣ギ ⸣アウリ ⸢シー ベー [sḁ⸢kamiʧi kuirunti naŋ⸣gi ⸣ʔauri ⸢ʃiː beː] (坂道を越えようとして難儀苦労をしている) 6783 0 0 6437 htmvoc_6783.wav ザカ ⸣ザカ [⸣ʣaka] 名 (動)ジャコウネズミ。 ⸣ザカー カ⸢ザヌ⸣ ッ⸢サーン⸣ダ シ⸢グ⸣ ワ⸢カ⸣ルン [⸣ʣakaː ka⸢ʣanu⸣ s⸢saː⸣nda ʃi⸢gu⸣ wa⸢ka⸣ruŋ] (ジコウネズミは匂いが臭いからすぐそれと分かる)。 ⸢ワー ミー⸣ヤ ザ⸢カ⸣ヌ ⸣ミー ⸢ニーブ [⸢waː miː⸣ja ʣa⸢ka⸣nu ⸣miː ⸢niːbuː] (君の目はジャコウネズミの目に似ている{EOS}目が小さいのをいう) 6745 0 0 6438 htmvoc_6745.wav サガー サ⸢ガー [sa⸢gaː] 名 (動)鳥の名。サギ(鷺)。鷺のように痩せてすらりとしている人。 ⸢マイカリジブンマー ター⸣ナ ⸣ユー サ⸢ガーヌ⸣ ウリ ⸢クー⸣タン [⸢maikariʤibummaː taː⸣na ⸣juː sa⸢gaːnu⸣ ʔuri ⸢kuː⸣taŋ] (稲刈りの時分には田圃によく鷺が降りてきたものだ)。 バ⸢ツァ⸣ミ ⸣シケー ウ⸢シヌ ウイ⸣ナーン サ⸢ガーヌ⸣ トゥ⸢マリ ベー⸣ン [ba⸢ʦa⸣mi ⸣ʃi̥keː ʔu⸢ʃinu ʔui⸣naːn sa⸢gaːnu⸣ tu⸢mari beː⸣ŋ] (繋いである牛の上にも鷺が止まっている)。白鷺。 サ⸢ガーヌ ター⸣ナ ⸣ウリティ ⸢ナーッ⸣ス キ⸢ザーシ⸣ シケー [sa⸢gaːnu taː⸣na ⸣ʔiriti ⸢naːs⸣su ki⸢ʣaːʃi⸣ ʃi̥keː] (白鷺が田圃に下りて苗代を攪乱してある) 6785 0 0 6439 htmvoc_6785.wav サカイ サ⸢カイ [sḁ⸢kai] 名 栄え。繁昌。 ウ⸢ヤ⸣キパンジョー サ⸢カイパンジョー⸣ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣リ [ʔu⸢ja⸣kipanʤoː sḁ⸢kaipanʤoː⸣ ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (富貴繁昌、栄え繁昌<子孫繁昌>あらしめて下さい) 6786 0 0 6440 htmvoc_6786.wav サカイミ サ⸢カイミ [sa⸢kaʔimi] 名 逆夢。実際とは正反対のことを見る夢。吉凶を占う時、実際には逆のことが起こるとされる夢。 ⸣イメー サ⸢カイミティル⸣ アルユンダ⸣ ⸢ソーヤ サン⸣タンテイン ⸣ミサン [⸣ʔimeː sa⸢kaʔimitiru⸣ ʔarujunda ⸢soːja san⸣tantim ⸣misaŋ] (夢は逆夢といわれているから、心配しないでもよい) 6787 0 0 6441 htmvoc_6787.wav サカイルン サ⸢カイルン [sḁ⸢kairuŋ] 自動 栄える。繁栄する。 ⸣ウヤコーコー ⸢スー⸣カー ッ⸢ふァ⸣マー サ⸢カイルン [⸣ʔujakoːkoː ⸢suː⸣kaː f⸢fa⸣maː sḁ⸢kairuŋ] (親孝行すると子孫が栄える)。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー サ⸢カイラヌ [ja⸢nakutu suː⸣kaː sḁ⸢kairanu] (悪事をすると栄えない)。 イッ⸢ケン⸣ サ⸢カイル ヤー⸣ヌ ⸣アン [ʔik⸢ken⸣ sḁ⸢kairu jaː⸣nu ⸣ʔaŋ] (非常に栄える家がある) 6791 0 0 6442 htmvoc_6791.wav サカキジ サ⸢カキジ [sḁ⸢kakiʤi] 名 逆削り。逆さに削ること。鰹節を尾部から頭部へ削ること。逆削りすると、ささくれ立つて削れなくなる。鰹の魚体は頭部から尾部へかけて流線形をなして細くなっているので、鰹節もその流れに沿って削るのが伝統的な削り方であると言われている。 カ⸢ツブシェー⸣ サ⸢カキジ スー⸣カー ⸢ゾー⸣ブンニ キ⸢ザラヌ [kḁ⸢ʦubuʃeː⸣ sḁ⸢kakiʤi suː⸣kaː ⸢ʣoː⸣bunni ki⸢ʣaranu] (鰹節は逆削りすると、うまく<上手に>削れない) 6792 0 0 6443 htmvoc_6792.wav サカサ サ⸢カサ [sḁ⸢kasa] 名 司。女性の神職者。⸢カン⸣プス[⸢kam⸣pu̥、su](神職者{EOS}「神人」の義)で、担当する⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](お願{EOS}御嶽)の⸣ウボー[⸣ʔubou](威部{EOS}霊域)を護る神女。毎月の朔日、十五日には⸣ウガン[ʔugaŋ]にお参りをして祈願をした。キ⸢ザル[ki⸢ʣaru](村の祭祀)には神事の中心となって、担当する⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](お願{EOS}御嶽)で祈願をする。⸣サーダカマリ[⸣saːdakamari](セジ高い生まれ{EOS}生来霊感のすぐれた人)で、カ⸢ンダー⸣リ[ka⸢ndaː⸣ri](神懸り)したり、フ⸢ダマリ[ɸu⸢damari](神懸り{EOS}体調を崩したりして寝込んでいて、急に神が憑依して常人と異なる言動をし、神託を告げるようになること)  によって就任する。⸣シジ[⸣siʣi](血筋)、ピ⸢キ[pi̥⸢ki](御嶽を中心とする血統)によって所属する御嶽(お願)のサカサが誕生する。サカサ(司)に就任することを、⸣ヤマ ダ⸢クン[⸣jama da⸢kuŋ](山を抱く)という。特定の⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽)でサカサの欠員が生じた場合、それぞれのピ⸢キ[pi̥⸢ki](血統)の御嶽で祈願をし、ウ⸢ク⸣ジ バ⸢リ[ʔu⸢ku⸣ʣi ba⸢ri](神籤を占い)、後継者を決定した。また、⸣シジダカマリ[⸣ʃiʣidakamari](セジ高い人)で病弱な状態が続いた場合、石垣島の⸣サンギンソー[⸣saŋginsoː](三世相{EOS}易者)やユタ[ju⸢ta](かんなぎ{EOS}口寄せする巫女{EOS}霊能者)に観てもらい、継ぐべき神職を決めてもらうこともあった。また本人が神がかり状態になって、神司職を継ぐべき御嶽の神意を告げることもあった。神懸り状態になることを、フ⸢ダマルン[ɸu⸢damaruŋ]という。 サ⸢カサー カンダー⸣リ シ⸢ティ⸣ ウ⸢ガ⸣モール プ⸢スン オー⸣リ フ⸢ダマリティ⸣ ナ⸢ロー⸣ル プ⸢スン オー⸣ルン [sḁ⸢kasaː kandaː⸣ri ʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢ga⸣moːru pu̥⸢suŋ ʔoː⸣ri ɸu⸢damariti⸣ na⸢roː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoː⸣ruŋ] (司は神懸りして拝まれる人もおられ、フダマリ<神懸り>して神託によって成られる人も居られる)。1970年頃の司は、⸢ウイヌ⸣ウガン[ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽{EOS}加治工千代氏)、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川御嶽{EOS}花城イガ氏)、ニ⸢シ⸣ドーウガン[ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ](西堂御嶽、米盛クヤ氏)、ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽、吉川信子氏)であった 6793 0 0 6444 htmvoc_6793.wav サカザー サ⸢カザー [sḁ⸢kaʣaː] 名 「酒座」の義。飲酒の座席。 サ⸢カザー⸣ナテー ヤ⸢ナ⸣ムネー ア⸢ザンドー⸣シ ウ⸢ムッ⸣サ パ⸢ナ⸣シカー⸢ニ シー⸠ツォー [sa⸢kaʣaː⸣naːteː ja⸢na⸣muneː ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi ʔu⸢mus⸣sa pa⸢na⸣ʃikaː⸢ni ʃiː⸠ʦoː] (酒の座では悪い話はしないで、面白い話だけしなさいよ<しなさいってば>) 6794 0 0 6445 htmvoc_6794.wav サカサマー サ⸢カサマー [sa⸢kasamaː] 名 逆さま。逆様。さかしま。さかさ。 ⸢ワー⸣ ムノー サ⸢カサマー⸣ ナ⸢リ⸣ブバ ⸢ノー⸣シ⸢ヨー [⸢waː⸣ munoː sa⸢kasamaː⸣ na⸢ri⸣buba ⸢noː⸣ʃi⸢joː] (君のは逆さまになっているので、直しなさいねえ) 6795 0 0 6446 htmvoc_6795.wav サカシキ サ⸢カシキ [sa⸢kaʃi̥ki] 名 さかずき(盃・杯)。「~誰か浮かべし佐加豆岐<サカヅキ>の上<へ>に。万、840」の転訛したもの。 サ⸢カシキ⸣ナー サ⸢ケー サイティ⸣ オッ⸢ティ⸣ カ⸢ミ⸣リ [sa⸢kaʃi̥ki⸣naː sa⸢keː saiti⸣ ʔot⸢ti⸣ ka⸢mi⸣ri] (盃に酒を注いで、有難く<尊く>おし頂きなさい) 6799 0 0 6447 htmvoc_6799.wav サカッふァ サ⸢カッふァ [sḁ⸢kaffa] 名 逆子。足の方から生まれてくる新生児。 サ⸢カッふァ⸣ ヤ⸢タンティン⸣ マ⸢ナ⸣マー ナ⸢シ⸣シキ ⸣ナルカー ⸢ノーサ⸣リンティバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [sḁ⸢kaffa⸣ ja⸢tantim⸣ ma⸢na⸣maː na⸢ʃi⸣ʃi̥ki ⸣narukaː ⸢noːsa⸣rintiba ⸢soːja naː⸣nu] (逆子であっても今では臨月<産み月>になったら正常に直されるそうだから心配はないよ) 6796 0 0 6448 htmvoc_6796.wav サカナ サ⸢カナ [sḁ⸢kana] 名 さかな(肴)。酒を飲むときに添えて食べるもの。「酒菜(さかな)」の義か。「酉音、サカナ『類聚名義抄』」の義。⸣ウサイ[⸣ʔusai](御菜{EOS}副食物)ともいう。 ガ⸢シタク⸣ヌ ⸢ティー⸣ヤンツァン ⸣キシキー サ⸢キヌ⸣ サ⸢カナン⸣ノーン サン⸣ノーレー [ga⸢ʃitaku⸣nu ⸢tiː⸣janʦaŋ ⸣ki̥ʃikiː sḁ⸢ki⸣nu sḁ⸢kanan⸣noːn ⸢san⸣noːreː] (燻製蛸の手でも切ってきて酒の肴にでも<なりとも>しないかね) 6797 0 0 6449 htmvoc_6797.wav サカナキ サ⸢カナキ [sḁ⸢kanaki] 名 めんどり(雌鶏)が通常と違った鳴き方をすること。「逆さ鳴き」の義。不吉の兆しとして嫌われた。 ⸢ミードゥル⸣ヌ サ⸢カナキ シーベー⸣ヌ ⸢マー⸣ル ン⸢カイ⸣ ナ⸢キベー⸣ワ [⸢miːduru⸣nu sḁ⸢kanaki ʃiːbeː⸣nu ⸢maː⸣ru ʔŋ⸢kai⸣ na⸢kibeː⸣wa] (雌鶏が逆さ鳴きしているが、何処の方向に向かってないているか)。雌鶏の逆さ鳴きする方向に不吉なことが起きるといわれていた。中国雲南省元陽県全福庄の少数民族ハニ族や、ラオスのカムー族にも鶏の頭で吉凶を占う習慣がある事を県立芸術大学附属研究所の東南アジア研究会でラオスと雲南省を現地調査して確認した 6798 0 0 6450 htmvoc_6798.wav サカナシ サ⸢カナシ [sḁ⸢kanaʃi] 名 逆子を出産すること。「逆産し」の義。 ッ⸢ふァバ⸣ サ⸢カナシ シーティル⸣ イッ⸢ケナ ナンザン シー ブレー⸣ンギサール [f⸢faba⸣ sḁ⸢kanaʃi ʃiːtiru⸣ ʔi⸢kkena nanʣaŋ ʃiː burː⸣ŋgisaːru] (子供を逆子で生んで<逆産みして>、非常に難産をしていたそうだよ) 6802 0 0 6451 htmvoc_6802.wav サカナヤー サ⸢カナヤー [sḁ⸢kanajaː] 名 料亭。遊郭。「酉音、サカナ」『類聚名義抄』に、ヤー[jaː](屋)の付いた語か。 カ⸢ツシンヌ モー⸣ケー サ⸢カナヤー カユイバシー⸣ ッ⸢ふァイシティ ナー⸣ヌ [kḁ⸢ʦuʃinnu moː⸣keː sḁ⸢kanajaː kajuibaʃiː⸣ f⸢faiʃi̥ti naː⸣nu] (鰹漁船の儲けは料亭通いをして食いつぶしてしまった)。 サ⸢カナヤーミドゥムバ⸣ トゥ⸢ジ⸣ティ ⸢シー サーリオー⸣レー プ⸢スン オーッ⸣タン [sḁ⸢kanajaːmidumuba⸣ tu⸢ʤi⸣ti ⸢ʃiː saːrioː⸣reː pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (料亭の女を妻といって身請けして<連れ出して>こられた来られた人も居られた) 6803 0 0 6452 htmvoc_6803.wav サカナヤーッふァイムヌ サ⸢カナヤーッふァイムヌ [sḁ⸢kanajaːffaːmunu] 名 料亭に入り浸るもの。遊蕩児。「料亭喰らいもの」の義。 サ⸢カナヤーッふァイムヌ⸣ ナリ ⸢ヤー⸣ヤ ⸢トー⸣シ シ⸢ティナー⸣ヌ [sḁ⸢kanajaːffaimunu⸣ nari ⸢jaː⸣ja ⸢toː⸣ʃi ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (遊蕩児になって家を潰して<倒して>しまった) 6804 0 0 6453 htmvoc_6804.wav サカナヤーミドゥム サ⸢カナヤーミドゥム [sḁ⸢kanajaːmidumu] 名 料亭の女。酌婦。娼婦。 サ⸢カナヤーミドゥム⸣バ ⸢サーリ⸣キーティル ⸢ヤームン⸣ドー ⸢シーオー⸣ル [sḁ⸢kanajaːmidumu⸣ba ⸢saːri⸣kiːtiru ⸢jaːmun⸣doː ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (料亭女を<妻として>連れてきて、家庭騒動を起こしておられる) 6805 0 0 6454 htmvoc_6805.wav ザカヌミー ザ⸢カ⸣ヌ ⸣ミー [ʣḁ⸢ka⸣nu ⸣miː] 連 ジャコウネズミの目のように小さな目。モグラの目。 ウ⸢リヌ ミー⸣ヤ ザ⸢カ⸣ヌ ⸣ミー ⸣ナリティル ⸢サッ⸣コー バ⸢カ⸣ヤー⸢ツォー [ʔu⸢rinu miː⸣ja ʣa⸢ka⸣nu ⸣miː ⸣naritiru ⸢sak⸣koː ba⸢ka⸣ja⸢ʦoː] (その人の目はジャコウネズミの目のように小さくなって非常に滑稽で可笑しいんだよ) 6800 0 0 6455 htmvoc_6800.wav サカバラー サ⸢カバラー [sḁ⸢kabaraː] 名 さかさま(逆さま・逆様)。さかしま。上下の向きが反対であること。 ⸢ワー⸣ ムネー サ⸢カバラー⸣ ナリ ⸢ブーバ⸣ イ⸢ジノーシ⸣バ [⸢waː⸣ muneː sḁ⸢kabaraː⸣ nari ⸢buːba⸣ ʔi⸢ʤinoːʃi⸣ba] (君の話は逆さまになっているから、言い直しなさいよ) 6801 0 0 6456 htmvoc_6801.wav サカバラーウイ サ⸢カバラーウイ [sḁ⸢kabaraːʔui] 名 上と下がひっくり返っていること。逆転していること。逆さま。 ⸢ワー⸣ ムノー サ⸢カバラーウイ⸣ ナ⸢リベー [⸢waː⸣ munoː sḁ⸢kabaraː ʔui⸣ na⸢ribeː] (君の物は逆さまになっている) 6806 0 0 6457 htmvoc_6806.wav サカフバリ サ⸢カフバリ [sa⸢kaɸubari] 名 「逆縛り」の義。相手に本音を吐かせるために、誘導して言わせること。結論の証拠となる前提部分を先に言わせて縛りつけ、本音を言わざるを得ないようにすること。 ウ⸢リヌ⸣ ム⸢ニイジヨーヤ⸣ マン⸢カーマ⸣ ア⸢ザムティ⸣ プ⸢スバ⸣ サ⸢カフバレー シーティル⸣ ムネー イ⸢ズユンダ⸣ ウ⸢リン⸣ カ⸢サマレーラ ピンギララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ mu⸢niʔiʤijoː⸣ja maŋ⸢kaːma⸣ ʔa⸢ʣamuti⸣ pu̥⸢suba⸣ sa⸢kaɸubareː ʃiːtiru⸣ muneː ʔi⸢ʣujunda⸣ ʔu⸢riŋ⸣ kḁ⸢samareːra ⸢piŋgirara⸣nu] (彼の議論の仕方<ものの言いよう>は、正攻法では言わずに逆縛り<他人の本音とするところを先に言わせておいて、それを楯にとって結論へ誘導する論法>をして進めるので、彼に捕まったら逃れられない) 6807 0 0 6458 htmvoc_6807.wav サカマチ サ⸢カマチ [sḁ⸢kamaʧi] 名 さかまつげ(逆睫毛)。目の内側へ向いて生える睫毛。 サ⸢カマチヌ⸣ ムイティル ⸣ミー シ⸢キ⸣ナー ナ⸢ラン⸣バン [sḁ⸢kamaʧinu⸣ muitiru ⸣miː ʃi̥⸢ki⸣naː na⸢ram⸣baŋ] (逆睫毛が生えて、それが目をつついてこまるよ) 6808 0 0 6459 htmvoc_6808.wav サカマリ サ⸢カマリ [sḁ⸢kamari] 名 逆子で生まれること。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ サ⸢カマリ⸣ ヤ⸢タンドゥ⸣ マー⸢ン⸣ ヤ⸢マサ⸣ナー ⸢ゾー⸣ブンニ マ⸢レーン⸣ツォー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ sḁ⸢kamari⸣ ja⸢tandu⸣ maː⸢ɲ⸣ ja⸢masa⸣naː ⸢ʣoː⸣bunni ma⸢reːn⸣ʦoː] (その子は逆子で生まれたが何処も傷めずに立派に生まれたそうだ) 6809 0 0 6460 htmvoc_6809.wav サカミジ サ⸢カミジ [sḁ⸢kamiʤi] 名 「逆水」の義。水に湯を入れたもの。死者に湯浴みをさせるとき、水を先に入れ、後から湯を加えて湯浴みさせることによる。通常は湯に水を加えて湯浴みするので、その逆を意味していう。標準語の「逆水」(逆流するみず)とは意味が異なる。 サ⸢カミジバ シー⸣ ミ⸢ジ バイ⸣ ヌ⸢マス⸣ナ [sḁ⸢kamiʤiba ʃiː⸣ mi⸢ʤi bai⸣ nu⸢masu⸣na] (逆水にして、水を湯で割って<薄めて>飲ませるな) 6810 0 0 6461 htmvoc_6810.wav サカミチ サ⸢カミチ [sḁ⸢kamiʧi] 名 坂道。 ク⸢バシター⸣ヌ ⸢マイ アースンティ⸣ アチャー ⸢ダッコッ⸣キ カ⸢タ⸣ミティ⸣ サ⸢カミチ ヌーローッ⸣タ [ku⸢baʃi̥taː⸣nu ⸢mai ʔaːsunti⸣ ʔaʧaː ⸢dakkok⸣ki kḁ⸢ta⸣miti sḁ⸢kamiʧi nuːroːt⸣ta] (クバシタの田圃の稲を脱穀するために、お父さんは脱穀機を担いで坂道を登られた) 6811 0 0 6462 htmvoc_6811.wav サカヤ サ⸢カ⸣ヤ [sḁ⸢ka⸣ja] 名 平民女子の名。 ⸣アボー ⸢ナーヤ⸣ サ⸢カ⸣ヤティル ア⸢ゾーッ⸣タミー [⸣ʔaboː ⸢naːja⸣ sḁ⸢ka⸣jatiru ʔa⸢ʣoːt⸣tamiː] (お母さんの名前はサカヤといわれたんでしょう?) 6788 0 0 6463 htmvoc_6788.wav サカヤー サ⸢カ⸣ヤー [sḁ⸢ka⸣jaː] 名 女の子の名前(名称、呼称)。公簿にはサカイと記録されている。 サ⸢カ⸣ヤンマー [sa⸢ka⸣jammaː] (サカヤ姉さん)。 サ⸢カヤー⸣ ダン⸢ティ⸣ キー ⸣ユー フ⸢カ⸣シ [sḁka⸢jaː⸣ dan⸢ti⸣ kiː ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi] (サカヤーよ、急いで来てお湯を沸かせ<湯を立てよ>) 6812 0 0 6464 htmvoc_6812.wav サカヤー サ⸢カヤー [sḁ⸢kajaː] 名 酒屋。酒を醸造する家。その店。「はしたての 熊来酒屋爾~『万葉集 3879』」の転訛。 サ⸢カヤーヤ⸣ イ⸢サナキナー⸣ル ⸣アル [sḁ⸢kajaːja⸣ ʔi⸢sanakinaː⸣ru ⸣ʔaru] (酒屋は石垣島に<ぞ>ある)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ⸢ナーメーメー⸣シ サ⸢キ⸣ タリ⸢オーッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ⸢naː meːmeː⸣ʃi sḁ⸢ki⸣ tari⸢ʔot⸣taŋ] (戦後は各家庭で<銘銘で>酒を醸造しておられた) 6813 0 0 6465 htmvoc_6813.wav サガラシアキナイ サ⸢ガラシアキ⸣ナイ [sa⸢garasiʔaki⸣nai] 名 掛け売り商売。 パ⸢トゥ⸣マナテー マ⸢チヤーヤ イーシ⸣ヌ ⸢ダイヌ ペー⸣ルンケン イ⸢ガウミヌ モー⸣キ カ⸢ツシンヌ モーキ⸣ヌ ⸢ペー⸣ルンケン サ⸢ガラシアキ⸣ナイ ⸢ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manateː ma⸢ʧijaːja ʔiːʃi⸣nu ⸢dainu peː⸣ruŋkeŋ ʔi⸢gauminu moː⸣ki kḁ⸢ʦuʃinnu moːki⸣nu ⸢peː⸣ruŋken sa⸢garaʃiʔaki⸣nai ⸢soːt⸣ta] (鳩間島では、お店はツノマタ収穫の代金が入るまで、烏賊釣り漁の儲け、鰹漁船の儲けが入るまでといって、掛売り商売をされた) 6815 0 0 6466 htmvoc_6815.wav サガラシカーシ サ⸢ガラシカー⸣シ [sa⸢garaʃikaː⸣ʃi] 名 掛売り。 サ⸢ガラシカー⸣シカー⸢ニ スー⸣カー マ⸢チヤーヤ シー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [sa⸢garaʃikaː⸣ʃikaː⸢ni suː⸣kaː ma⸢ʧijaːja ʃiː⸣ pa⸢rara⸣nu] (掛売りだけしたら、店は経営していけない<やっていけない>) 6790 0 0 6467 htmvoc_6790.wav サカラスン サ⸢カラスン [sḁ⸢karasuŋ] 他動 繁茂させる。盛らせる。繁昌させる。 ッ⸢ふァ⸣ ナシ サ⸢カラスン [f⸢fa⸣ naʃi sḁ⸢karasuŋ] (子を産んで繁昌させる<盛らせる>)。 ⸣クナーテー ⸢ナーンパー⸣ヤ サ⸢カラサラヌ [⸣kunaːteː ⸢naːmpaː⸣ja sḁ⸢karasaranu] (此処では菜っ葉は繁茂させられない<盛らせない>)。 サ⸢カラシヤッ⸣サン [sḁ⸢karaʃijas⸣saŋ] (繁茂させやすい)。 サ⸢カラサス⸣ クトー ム⸢チ⸣カサン [sḁ⸢karasu⸣ ku̥toː mu⸢ʧi⸣kasaŋ] (繁茂させることは難しい)。 ⸢マー⸣ビン サ⸢カラシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin sḁ⸢karaʃeː⸣ misamunu] (もっと繁茂させればよいのに)。 ⸢イッ⸣パイ サ⸢カラシ [⸢ʔip⸣pai sḁ⸢karaʃi] (沢山繁茂させなさい<盛らせよ>) 6814 0 0 6468 htmvoc_6814.wav サガラスン サ⸢ガラ⸣スン [sa⸢gara⸣suŋ] 他動 掛買いする。掛売りする。「下がらす<記帳してつるしておく>」の義か。 ウ⸢ビ⸣ナー サ⸢ガラサラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣naː sa⸢garasara⸣nu] (そんなに沢山掛売りできない<下がらされない>)。 サ⸢ガラ⸣シ ⸢カイ⸣クー [sa⸢gara⸣ʃi ⸢kai⸣kuː] (掛けで買ってこい)。 サ⸢ガラ⸣スンティ ⸣ウムーカー ⸢パー⸣ク サ⸢ガラ⸣シ [sa⸢gara⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku sa⸢gara⸣ʃi] (掛けで買おうと思うなら早く掛けで買え)。 サ⸢ガラ⸣ス ⸣ムノー ⸢マー⸣ビン サ⸢ガラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [sa⸢gara⸣su ⸣munoː ⸢maː⸣bin sa⸢gara⸣ʃeː ⸣misamunu] (掛け買いするものは、もっと沢山掛買いすればいいのに)。 サ⸢ガラ⸣シ ⸢カーソー⸣リ [sa⸢gara⸣ʃi ⸢kaːsoː⸣ri] (掛売りして下さい) 6816 0 0 6469 htmvoc_6816.wav サカリ サ⸢カリ [sḁ⸢kari] 名 盛り。最盛期。 カ⸢ツシンヌ⸣ サ⸢カレー⸣ グ⸢ルクガ⸣チ [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ sḁ⸢kareː⸣ gu⸢rukuga⸣ʧi] (カツオ漁船の最盛期は5、6月頃だ)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ サ⸢カレー⸣ パ⸢タチグル [mi⸢doːŋ⸣ffanu sḁ⸢kareː⸣ pḁ⸢taʧiguru] (女の子の盛りは二十歳ごろだ) 6817 0 0 6470 htmvoc_6817.wav サガリオシキ サ⸢ガリオシ⸣キ [sa⸢gariʔoʃi̥⸣ki] 名 雨の降りそうな天気(空模様)。 サ⸢ガリオシ⸣キ ⸣ナリ ア⸢ツァー⸣ラ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギササー [sa⸢gariʔoʃi̥⸣ki ⸣nari ʔa⸢ʦaː⸣ra ʔa⸢mi⸣nu ɸu⸢iŋ⸣gisasaː] (下り天気になって<雨が降りそうな空模様>になって、明日から雨が降りそうだ) 6819 0 0 6471 htmvoc_6819.wav サガリカジ サ⸢ガリ⸣カジ [sa⸢gari⸣kaʤi] 名 北風から南風に変わって吹く風。ウ⸢リ⸣カジ[ʔu⸢ri⸣kaʤi](下り風)ともいう。「下がり風」の義。風が北から南に変わると。天気が良くなるといわれている。 カ⸢ジヌ⸣ ウ⸢リ⸣ルン [ka⸢ʤinu⸣ ʔu⸢ri⸣ruŋ] (風が下りる<南風になる>) 6824 0 0 6472 htmvoc_6824.wav サガリティダ サ⸢ガリ⸣ティダ [sa⸢gari⸣tida] 名 落日。夕日。没する太陽。⸢アーリティダ[⸢ʔaːritida](昇る太陽)の対義語。 ⸢アーリティダル⸣ ウ⸢ガ⸣ム サ⸢ガリ⸣ティダー ウ⸢ガマ⸣ヌ [⸢ʔaːritidaru⸣ ʔu⸢ga⸣mu sa⸢gari⸣tidaː ʔu⸢gama⸣nu] (昇る太陽を拝むのであって、落日は拝まない<諺:寄らば大樹のもと>) 6825 0 0 6473 htmvoc_6825.wav サカリバナ サ⸢カリバナ [sa⸢karibana] 名 最盛期。「盛り端」の義。働き盛りであること。 サ⸢カリバナヌ キョーダイサ⸣ヌ ⸣スルイ ⸢ブンダ ウン⸣ネヌ ⸣ウヤー ⸢ソーヤ⸣ ア⸢ローラ⸣ヌ [sa⸢karibananu kjoːdaisa⸣nu ⸣surui ⸢bunda ʔun⸣nenu ⸣ʔujaː ⸢soːja⸣ ʔa⸢roːra⸣nu] (働き盛りの兄弟が揃っているから、その家の親は何の心配もございません<あられない>) 6818 0 0 6474 htmvoc_6818.wav サカリパンジョー サ⸢カリパンジョー [sḁ⸢karipanʤoː] 名 子孫繁昌。「盛り繁昌」の義。 ⸢ヤーキナイ⸣ヤー サ⸢カリパンジョーヌ⸣ ア⸢リバ⸣ル ⸣ウヤパープジンケーヤ サ⸢ニヤ ソー⸣ル [⸢jaːkinai⸣jaː sḁ⸢karipanʤoːnu⸣ ʔa⸢riba⸣ru ⸣ʔujapaːpuʤiŋkeːja sa⸢nija soː⸣ru] (家庭の子孫繁昌があればこそ先祖様は喜ばれる) 6821 0 0 6475 htmvoc_6821.wav サガル サ⸢ガ⸣ル [sa⸢ga⸣ru] 名 お下がり。着古し。古着。キ⸢シパジリ[ki⸢ʃipaʤiri](古着)ともいう。年上の兄や姉の着古したものを弟妹が着用したことをいう。 シ⸢ザ⸣ヌ サ⸢ガ⸣ル カー⸢ニル⸣ キ⸢スタル⸣ ア⸢ラキンマー⸣ キ⸢シミラン⸣シェン [ʃi⸢ʣa⸣nu sa⸢ga⸣ru kaː⸢niru⸣ ki̥⸢sutaru⸣ ʔa⸢rakimmaː⸣ ki̥⸢ʃimiraŋ⸣ʃeŋ] (年上<兄・姉>のお下がりだけを着た{EOS}新しい着物は着た事がない<着てみなかった>)。 ア⸢ラキンマー カイユーサンベー⸣ティ シ⸢ザ⸣ヌ サ⸢ガル⸣バ キ⸢シェー⸣ティル フ⸢ドゥビ⸣ ケー⸢ダー [ʔa⸢rakimmaː kaijuːsambeː⸣ti ʃi⸢ʣa⸣nu sa⸢garu⸣ba ki̥⸢ʃeː⸣tiru ɸu⸢dubi⸣ keː⸢daː] (新しい着物は買えないので、兄のお下がり<古着>を着ながら成長してきたのだよ) 6789 0 1 6476 htmvoc_6789.wav サカルン サ⸢カルン [sḁ⸢karuŋ] 自動 {Mn_1}栄える。盛る。繁栄する。植物が繁茂する。 ク⸢ヌ ヤシ⸣キナー プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ サ⸢カルン [ku⸢nu jaʃi̥⸣kinaː pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ sḁ⸢karuŋ] (この屋敷では人はよく繁昌する{EOS}栄える)。 ⸢ナン⸣ゾー サ⸢カラヌ [⸢nan⸣ʣoː sḁ⸢karanu] (あまり繁昌しない{EOS}栄えない)。 ⸢シンダイ⸣ サ⸢カリ⸣ パルン [⸢ʃindai⸣ sḁ⸢kari⸣paruŋ] (次第に繁昌して<栄えて>いく)。 サ⸢カル ヤー⸣ヤ ミ⸢チ⸣ブー [sḁ⸢karu jaː⸣ja mi⸢ʧi⸣buː] (繁昌する<栄える>家は沢山ある<満ちている>)。 ⸢マー⸣ビン サ⸢カレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin sḁ⸢kareː⸣ misamunu] (もっと繁昌すれば<栄えれば>よいのに)。 サ⸢カリリ [sḁ⸢kariri] (繁昌せよ<栄えれ>)。 ⸢ジー⸣ヌ フキ⸢ベー⸣ティ ⸣コイ イ⸢ラン⸣タンティン グ⸢ダランケー⸣リ サ⸢カリベー [⸢ʤiː⸣nu ɸu̥ki⸢beː⸣ti ⸣koi ʔi⸢ran⸣tantiŋ gu⸢daraŋkeː⸣ri sḁ⸢karibeː] (土地が肥えているので、肥やしを入れなくても青々と生い茂っている)。 フ⸢キ⸣ジー ヤ⸢ルンダ⸣ ム⸢ヌスク⸣ロー ノー⸢ン⸣ サ⸢カルン [ɸu̥⸢ki⸣ʤiː ja⸢runda⸣ mu⸢nusu̥ku⸣roː noː⸢n⸣ sḁ⸢karuŋ] (肥えた土地<肥え地>だから、作物は何でも繁茂する)。 ⸢ナーンパー⸣ヤ サ⸢カラヌ [⸢naːmpaː⸣ja sḁ⸢karanu] (菜っ葉は繁茂しない)。 ⸢ナーンパー⸣ヤ グ⸢ダランケー⸣リ サ⸢カリティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マーン⸣ギサン [⸢naːmpaː⸣ja gu⸢daraŋkeː⸣ri sḁ⸢kariti⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maːŋ⸣gisaŋ] (菜っ葉は青々と生い茂って美味しそうだ)。 サ⸢カル⸣ ピンマー バ⸢カ⸣シ⸢ヨー [sḁ⸢karu⸣ pimmaː ba⸢ka⸣ʃi⸢joː] (繁茂するときは株分けしなさいよ)。 ⸣ガンボーシヌ ⸣ムイ サ⸢カレーラー シー⸣ヨー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣gamboːʃinu ⸣mui sḁ⸢kareːra ʃiː⸣joː na⸢ra⸣nu] (ガンボー草が生え盛ると手がつけられない<仕様がない>)。 サ⸢カリ⸣ヨー [sḁ⸢kari⸣joː] (繁茂せよ)。 6789 0 2 6477 htmvoc_6789.wav サカルン サ⸢カルン [sḁ⸢karuŋ] 自動 {Mn_2}動物が発情する。 ウ⸢シヌ⸣ サ⸢カリティ ミー⸣ウシ ミ⸢シララ⸣ヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ sḁ⸢kariti miː⸣ʔuʃi mi⸢ʃirara⸣nu] (牛が発情して牝牛を見せられない)。動物が発情する。 マ⸢ヤ⸣ヌ サ⸢カリ⸣ シキティ ⸣フヤー ⸢シーベー [ma⸢ja⸣nu sḁ⸢kari⸣ ʃi̥kiti⸣ ɸujaː ⸢ʃiːbeː] (猫が発情して吠えている) 6822 0 1 6478 htmvoc_6822.wav サガルン サ⸢ガ⸣ルン [sa⸢ga⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}下がる。 ⸣ニチェー サ⸢ガ⸣ルン [⸣niʧeː sa⸢ga⸣ruŋ] (熱は下がる)。 シ⸢キユー⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ サ⸢ガラン⸣バン [ʃi̥⸢kijuː⸣nu ⸢daijaː⸣ mut⸢tu⸣ sa⸢garam⸣baŋ] (石油の値段がちっとも下がらないよ)。 イ⸢ズヌ ダイヤー⸣ サ⸢ガ⸣リティ ⸢モーカラ⸣ヌ [ʔi⸢ʣunu daijaː⸣ sa⸢ga⸣riti ⸢moːkara⸣nu] (魚の値段が下がって儲からない)。 ⸢タイロー スー⸣カー イ⸢ズヌ ダイヤー⸣ ム⸢タ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ サ⸢ガ⸣ルンティル ウ⸢モー⸣リ [⸢tairoː suː⸣kaː ʔi⸢ʣunu daijaː⸣ mu⸢ta⸣nu ⸢daijaː⸣ sa⸢ga⸣runtiru ʔu⸢moː⸣ri] (大漁すると魚の値段はつかない{EOS}値段は下がると<ぞ>思われる)。 ⸢ダイヌ⸣ サ⸢ガ⸣ル ⸣ピンマー ⸢カーサラヌ [⸢dainu⸣ sa⸢ga⸣ru ⸣pimmaː ⸢kaːsaranu] (値段が下がるときは売れない)。 ⸢ダイヤー マー⸣ビン サ⸢ガ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢daijaː maː⸣bin sa⸢ga⸣reː ⸣misamunu] (値段はもっと下がれば<安くなれば>よいのに)。 サ⸢ガリ⸣リ [sa⸢gari⸣ri] (下がれれ<安くなれ>)。 6822 0 2 6479 htmvoc_6822.wav サガルン サ⸢ガ⸣ルン [sa⸢ga⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}退く。 ⸢ニンガイ⸣ヤー シ⸢マ⸣シェーチバ ⸢ワー⸣ メー サ⸢ガ⸣リ ミサン⸢ダー [⸢niŋgai⸣jaː ʃi⸢ma⸣ʃeːʧiba ⸢waː⸣ meː sa⸢ga⸣ri misan⸢daː] (お祈りはすんだ<済ませた>から、君はもう退いても<下がっても>いいよ) 6823 0 0 6480 htmvoc_6823.wav サカンキ サ⸢カンキ [sḁ⸢kaŋki] 名 さかむけ(逆剥け)。爪の生え際の皮膚が剥けること。 シ⸢ミ⸣ヌ ⸢カー⸣ヌ サ⸢カンキ シティ⸣ ヤ⸢ミ⸣ス [ʃi⸢mi⸣nu ⸢kaː⸣nu sḁ⸢kaŋki ʃi̥ti⸣ ja⸢mi⸣su] (爪の生え際の皮膚が逆剥けして痛いよ) 6828 0 0 6481 htmvoc_6828.wav サキ サ⸢キ [sḁ⸢ki] 名 酒。「一土不乃濁酒乎<ヒトツキノ ニゴレルサケヲ> 可飲有良師<ノムベクアルラシ>。万、338」の義。白米を煮て麹をたて、⸣ムルン[⸣muruŋ](もろみ{EOS}諸味)を作り、それを蒸留して造った酒。蒸留した残り滓をカ⸢シ⸣ザイ[kḁ⸢ʃi⸣ʣai](残滓)といい、味噌や漬物に利用していた。パ⸢ナザ⸣キ[pa⸢naʣa⸣ki](蒸留して最初に取れる度数の高い酒)のアルコール度数は45度程度あった。⸢ブー⸣ブ[⸢buː⸣bu](瀉血)をする際は、竹筒に度数の高い酒を入れて点火し、それを背中に吸着させてッ⸢ふ⸣シー[f⸢fu⸣ʃiː](黒い血)を取った。 サ⸢キ⸣ タルン [sḁ⸢ki⸣ taruŋ] (酒を醸造する)。 サ⸢キカミナー⸣ル サ⸢ケー⸣ イ⸢リティ⸣ タ⸢ブイ⸣ ス⸢コー⸣レー [sḁ⸢kikaminaː⸣ru sḁ⸢keː⸣ ʔi⸢riti⸣ ta⸢bui⸣ su̥⸢koː⸣reː] (酒瓶に酒は入れて保存して置いてある)。 サ⸢キッふァイムヌ⸣ ナリティ ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [sḁ⸢kiffaimunu⸣ nariti ⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (酒くらいになって役に立たない<養生できない{EOS}どうにもならない>) 6831 0 1 6482 htmvoc_6831.wav サキ サ⸢キ [sḁ⸢ki] 名 {Mn_1}岬。崎。 ウ⸢ランザ⸣キ [ʔu⸢ranʣa⸣ki] (西表島の宇奈利崎)。 ピ⸢ナイサキ [pi⸢naisaki] (西表島船浦の北岸、\ruby{SqBr}g{/SqBr}{鬚川}{ピナイ}崎)。 ヤ⸢ラ⸣ブザキ [ja⸢ra⸣buʣaki] (石垣島の屋良部崎)。 ウ⸢ガンザ⸣キ [ʔu⸢ganʣa⸣ki] (石垣島の御神崎)。ヒ⸢ラ⸣クブザキ[çi⸢ra⸣kubuʣaki](平久保崎)のように地名を構成する要素となる。 ヤ⸢マ⸣トゥ ⸢ピーグルマー⸣ヌ ウ⸢ランザ⸣キ ⸢マーリパッ⸣タンドー [ja⸢ma⸣tu ⸢piːgurumaː⸣nu ʔu⸢ranʣa⸣ki ⸢maːripat⸣tandoː] (大和<内地>の蒸気船<火車>が宇奈利崎を回って<回航して>行ったよ)。戦前は鹿児島、那覇、石垣、台湾航路の大型貨客船が燃料の石炭を補給するために白浜港へ回航するのが鳩間島から手に取るように見えた。 6831 0 2 6483 htmvoc_6831.wav サキ サ⸢キ [sḁ⸢ki] 名 {Mn_2}先端部。尖った所。先。前方。前途。 ユ⸢クン⸣ヌ サ⸢キ⸣シ ⸢ピッ⸣キバ [ju⸢kun⸣nu sḁ⸢ki⸣ʃi ⸢pik⸣kiba] (銛の先<先端>で突けよ)。 ⸢ワー⸣ サ⸢キ⸣ ナリ ⸣パリバ [⸢waː⸣ sḁ⸢ki⸣ nari ⸣pariba] (君は先に行けよ)。先の方。突き出た部分。 ウ⸢ヤビ⸣ヌ サ⸢キ⸣シ カ⸢サミ⸣バ [ʔu⸢jabi⸣nu sḁ⸢ki⸣ʃi kḁ⸢sami⸣ba] (指の先で掴みなさい)。 ク⸢ヌ⸣ サ⸢キ⸣ナー ⸢ヌー⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [ku⸢nu⸣ sḁ⸢ki⸣naː ⸢nuː⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (この先に何があるか)。 {Mn_3}先。前。時間、空間ともにいう。進んで行く前方。 ⸢ワー⸣ サ⸢キ⸣ナリ ア⸢ラ⸣キ [⸢waː⸣ sḁ⸢ki⸣nari ʔa⸢ra⸣ki] (君は先になって歩け)。 ク⸢ヌ⸣ サ⸢ケー ヌー⸣ヌ ウ⸢ク⸣ルユー ワ⸢カラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ sḁ⸢keː nuː⸣nu ʔu⸢ku⸣rujuː wa⸢kara⸣nu] (この先何が起こるか分らない) 6848 0 0 6484 htmvoc_6848.wav サキカク サ⸢キカク [sḁ⸢kikaku] 名 酒中毒。アルコール中毒。カ⸢ク[ka⸢ku](不治の病に罹ること{EOS}胃癌)は単独でも用いられる。 ⸢ヤンマイ⸣ヤー カ⸢ク⸣ ナリ ⸢ナーン⸣ツォー [⸢jammai⸣jaː kḁ⸢ku⸣nari ⸢naːn⸣ʦoː] (病気は癌になってしまったそうだ) 6874 0 0 6485 htmvoc_6874.wav サキカザ サ⸢キカザ [sḁ⸢kikaʣa] 名 酒臭み。酒の悪臭。 ウ⸢リヌ⸣ スバ ⸣パルカー サ⸢キカザヌ⸣ ッ⸢サー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ʔu⸢rinu⸣ suba ⸣parukaː sḁ⸢kikaʣanu⸣ s⸢saː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (彼の側に行くと酒の悪臭が臭くてたまらない<側に向かわれない>) 6829 0 0 6486 htmvoc_6829.wav サキカシ サ⸢キカシ [sḁ⸢kikaʃi] 名 酒粕。 サ⸢キカシェー⸣ シ⸢ティランドー⸣シ ⸢オー⸣ヌイーナ マ⸢ザー⸣ソーッタ [sḁ⸢kikaʃeː⸣ ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ⸢ʔoː⸣nuʔiːna ma⸢ʣaː⸣soːtta] (酒粕は捨てないで、豚の飼料に混ぜられた) 6830 0 1 6487 htmvoc_6830.wav サキカミ サ⸢キカミ [sḁ⸢kikami] 名 {Mn_1}酒瓶。酒を入れる瓶。 サ⸢キ⸣ タル ⸣ピンマー サ⸢キカミ⸣ナー ム⸢ルン⸣バ イ⸢リ⸣ カ⸢マ⸣シティ ⸣ナビナー ⸢ネーシティ⸣ タ⸢ローッ⸣タ [sḁ⸢ki⸣ taru ⸣pimmaː sḁ⸢kikami⸣naː mu⸢rum⸣ba ʔi⸢riti⸣ ka⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣nabinaː ⸢neːʃi̥ti⸣ ta⸢roːt⸣ta] (酒を醸造するときは酒瓶にもろみ<諸味>を入れて、\ruby{醸}{カ}ませて、鍋で煮て醸造された<蒸気を冷やして酒の雫を垂らされた>)。 6830 0 2 6488 htmvoc_6830.wav サキカミ サ⸢キカミ [sḁ⸢kikami] 名 {Mn_2}酒豪 6850 0 0 6489 htmvoc_6850.wav サキクイ サ⸢キ⸣クイ [sḁ⸢ki⸣kui] 名 どら声。だみ声。「裂け声」の義。ヤ⸢リ⸣クイ[ja⸢ri⸣kui](破れ声)ともいう。 ⸣ドゥク ウ⸢ヤー⸣リティル サ⸢キ⸣クイ ⸣ナリ⸢ベーン⸣ティ [⸣duku ʔu⸢jaː⸣ritiru sa⸢ki⸣kui ⸣nari ⸢beːn⸣ti] (あんまり大声を出しすぎてだみ声になっているよ) 6839 0 0 6490 htmvoc_6839.wav サキクビン サ⸢キクビン [sḁ⸢kikubiŋ] 名 酒を入れるガラス製の瓶。酒瓶。⸢ニンゴー⸣ビン[⸢niŋgoː⸣biŋ](二合瓶)、⸢サンゴー⸣ビン[⸢saŋgoː⸣biŋ](三合瓶)、⸢イッス⸣ビン[⸢ʔissu⸣biŋ](一升瓶)、⸢イッス⸣クビン[⸢ʔissu⸣kubiŋ]ともいう、等がある。 サ⸢キクビン⸣ナー サ⸢ケー⸣ ヌ⸢カ⸣レー⸢ン [sḁ⸢kikubin⸣naː sḁ⸢keː⸣ nu⸢ka⸣reː⸢ŋ] (酒瓶に酒は残っているか)。 ⸣ユネン ナ⸢ル⸣ター サ⸢キクビン⸣ナー サ⸢キバ⸣ イ⸢リティ ピーヤー⸣ティル ⸢オー⸣ル [⸣junen na⸢ru⸣taː sḁ⸢kikubin⸣naː sḁ⸢kiba⸣ ʔi⸢ritiru piːjaː⸣ti ⸢ʔoː⸣ru] (夕方になったので、酒瓶に酒を入れて、持ち運んでおられる) 6832 0 0 6491 htmvoc_6832.wav サキシギリ サ⸢キシギリ [sḁ⸢kiʃigiri] 名 急性アルコール中毒。「酒過ぎれ」の義か。未成年者が酒を飲みすぎて人事不省に陥ること。 ⸣ウスマイヤー ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン サ⸢キシギリ シティ⸣ イダフネーラ イ⸢サナケー サーリ⸣ パルンケン ク⸢モーマヌ⸣ ニ⸢シンタ⸣ナーティル イ⸢キガイ⸣ローッタツォー [⸣ʔusumaijaː ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣ken sḁ⸢kiʃigiri ʃi̥ti⸣ ʔidaɸuneːra ʔi⸢sanakeː saːri⸣ parunkeŋ ku⸢moːmanu⸣ ni⸢ʃinta⸣naːtiru ʔi⸢kigai⸣roːttaʦoː] (ウスマイさんは子供の頃急性アルコール中毒になってサバニで(から)石垣島へ連れて行くときに小浜島の北側で意識回復された<生き返えられた>そうです) 6859 0 0 6492 htmvoc_6859.wav サキスクリ サ⸢キスク⸣リ [sḁ⸢kisu̥ku⸣ri] 名 酒造り。米を炊いて麹を造り、諸味を造り、醸造する全作業過程を含めて言う。 サ⸢キスク⸣レー ⸢デージ⸣ナ ピ⸢マダーリムヌ [sḁ⸢kisu̥ku⸣reː ⸢deːʤi⸣na pi⸢madaːrimunu] (酒造りは大変な手間隙のかかる仕事だ<隙絶やすもの>) 6860 0 0 6493 htmvoc_6860.wav サキスッカー サ⸢キスッカー [sḁ⸢kisukkaː] 名 酒を入れる土瓶。酒を入れる急須。土瓶状の、小型の急須。陶磁製のものが多い。 サ⸢キスッカー⸣ラ サ⸢キ サイ オーシ⸣バ [sḁ⸢kisukkaː⸣ra sḁ⸢ki sai ʔoːʃi⸣ba] (急須から酒を注いで差し上げなさい)。 ⸢イッス⸣ビンラ サ⸢キスッカー⸣ サ⸢キ サイ⸣ ウ⸢ツァ⸣シ ⸣シキ [⸢ʔissu⸣binra sḁ⸢kisukkaː⸣ sḁ⸢ki sai⸣ ʔu⸢ʦa⸣ʃi] (一升瓶から酒急須に酒を注いで移せ) 6861 0 0 6494 htmvoc_6861.wav サギソーキ サ⸢ギソー⸣キ [sa⸢gisoː⸣ki] 名 下げ籠。「吊り下げ箕」の義。竹の皮を編んで作った箕に吊手を付けたもの。吊り下げられるように柄を付けて編んだ竹製の箕。竹の皮で箕の型に編み、箕より深めに仕上げた柄付きの竹籠。揚げ豆腐や揚げ魚、てんぷら、お握りなどの食品を腐敗させぬように軒や台所に吊るしておく。蝿を防ぎ、網目から空気の流通があるので食品の腐敗が防げる。 サ⸢ギソー⸣キナー ガ⸢シ⸣タクン カ⸢マブクン⸣ イ⸢リティ⸣ サイ シ⸢キ⸣リバ [sa⸢gisoː⸣kinaː ga⸢ʃi⸣tḁkuŋ ka⸢mabukuŋ⸣ ʔi⸢riti⸣ sai ʃi⸢ki⸣riba] (下げ籠に燻製蛸も蒲鉾も入れて軒に吊るして<下げて>おきなさい) 6833 0 0 6495 htmvoc_6833.wav サキゾーグ サ⸢キゾーグ [sḁ⸢kiʣoːgu] 名 酒上戸。大酒飲み。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キゾーグ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ サ⸢ケー⸣ ミ⸢シララ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢kiʣoːgu⸣ ja⸢runda⸣ sḁ⸢keː⸣ mi⸢ʃirara⸣nu] (彼<その人>は酒上戸だから彼には酒は見せられない) 6834 0 0 6496 htmvoc_6834.wav サキダイ サ⸢キダイ [sḁ⸢kidai] 名 酒代。 ⸢ドゥー⸣ヌ サ⸢キダイヤンツァン モーキユーサ⸣ヌ [⸢duː⸣nu sḁ⸢kidaijanʦam moːkijuːsa⸣nu] (自分の酒代すらも儲けることが出来ない)。 サ⸢キダイヌ⸣ タ⸢マリベー⸣バ ウ⸢リ⸣ パ⸢ラーン⸣カー サ⸢ケー⸣ ヌ⸢マラ⸣ヌ [sḁ⸢kidainu⸣ ta⸢maribeː⸣ba ʔu⸢ri⸣ pa⸢raːŋ⸣kaː sḁ⸢keː⸣ nu⸢mara⸣nu] (酒代の支払いが溜まっているので、それを支払わないと酒は飲めない) 6856 0 0 6497 htmvoc_6856.wav サキタリ サ⸢キ⸣タリ [sḁ⸢ki⸣tari] 名 醸造。酒造り。「酒垂れ」の義。⸣タリは、⸣タルン[⸣taruŋ](酒や醤油を醸して造る{EOS}豚の脂を炒って油を抽出する)の連用中止形。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢ヤーカー⸣ジ サ⸢キ⸣タリ ⸢シーオーッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː pḁ⸢tu⸣manaːɲ ⸢jaːkaː⸣ʤi sḁ⸢ki⸣tari ⸢ʃiːoːt⸣taŋ] (戦後には鳩間島にも家毎に酒を醸造<酒垂れ>しておられた) 6857 0 0 6498 htmvoc_6857.wav サキタリナビ サ⸢キタリ⸣ナビ [sa⸢kitari⸣nabi] 名 酒を醸造する大型の鍋。各家庭の⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](四枚鍋)を利用して、⸣ムルン[⸣muruŋ](諸味)を煮立て、蒸気を冷却する装置を付けて醸造した鍋。 ⸢シンマイナビバ⸣ル サ⸢キタリ⸣ナビ ⸢シー オーッタ⸣ル [⸢ʃimmainabiba⸣ru sḁ⸢kitari⸣nabi ⸢ʃiːoːtta⸣ru] (大型鍋<四枚鍋>を醸造鍋にしておられたよ) 6835 0 0 6499 htmvoc_6835.wav サキタルン サ⸢キ⸣ タルン [sḁ⸢ki⸣ taruŋ] 連 酒を醸造する。⸣ムルン[⸣muruŋ](もろみ)を蒸留して冷却し、酒を醸造した。⸣タルン[⸣taruŋ](垂れる{EOS}したたる)の義で、「~奈美太 多利<ナミダ タリ>~。万、4408」の転訛したもの。 イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥ⸢バー⸣ケー パ⸢トゥ⸣マナーン サ⸢ケー⸣ タ⸢ローッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔatu⸢baː⸣keː pḁ⸢tu⸣manaːn sḁ⸢keː⸣ ta⸢roːt⸣taŋ] (終戦後までは鳩間島でも酒を醸造され<垂られ>た)。 サ⸢キ⸣ タルンティル ⸢コージバ⸣ タティシケー⸢ダー [sḁ⸢ki⸣ taruntiru ⸢koːʤiba⸣ tatiʃi̥keː⸢daː] (酒を醸造しようと麹をたててあるよ) 6862 0 0 6500 htmvoc_6862.wav サキッサーン サ⸢キッサー⸣ン [sḁ⸢kissaː⸣ŋ] 形 酒臭い。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キッサーン⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢kissaːn⸠daː] (彼<それ>は酒臭いよ)。 ⸢ナン⸣ゾー サ⸢キッサー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː sḁ⸢kissaː naː⸣nu] (あまり酒臭くない)。 ⸢ユージ⸣クーカ サ⸢キッサー⸣ ナルン [⸢juːʤi⸣kuːka sḁ⸢kissaː⸣ naruŋ] (寄って来たら酒臭くなる)。 サ⸢キッサー⸣ プ⸢ソー サーク⸣ナ [sḁ⸢kissaː⸣ pu̥⸢soː saːku⸣na] (酒臭い人は連れて来るな) 6836 0 0 6501 htmvoc_6836.wav サキッツァースン サ⸢キッツァー⸣スン [sḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] 他動 ずたずたに引き裂く。⸢裂き散らす」の転訛。 ⸢シッカ⸣ク <⸢アッ⸣タラ> ⸣カケー ⸣ムヌバ サ⸢キッツァー⸣シ ⸣シケー [⸢ʃikka⸣ku <⸢ʔat⸣tara> ⸣kḁkeː ⸣munuba sḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (折角書いたものを、ずたずたに引き裂いてある)。 サ⸢キッツァー⸣スンティ ⸣ウムーカー サ⸢キッツァーサリン⸣ドゥ ⸣アイニ サ⸢キッツァー⸣シェー ナ⸢ラン⸣ティ ウ⸢ムイ⸣ル カ⸢ザ⸣ミ ⸣シケー [sḁ⸢kitʦaː⸣sunti ⸣ʔumuːkaː sḁ⸢kitʦaːsarin⸣du ⸣ʔaini sḁ⸢kitʦaː⸣ʃeː na⸢ran⸣ti ʔu⸢mui⸣ru ka⸢ʣa⸣miʃi̥keː] (裂き散らそうと思えば裂き散らされるが、あんなに裂き散らしてはならないと思って隠してある)。 サ⸢キッツァー⸣ス ⸣ムノー ⸢パー⸣ク サ⸢キッツァー⸣シバ [sḁ⸢kitʦaː⸣su ⸣munoː ⸢paː⸣ku sḁ⸢kitʦaː⸣ʃiba] (引き裂き散らすものは早く引き裂き散らせよ)。ずたずたに引き裂く。 ⸣アウカー ⸣キン サ⸢キッツァー⸣スン [⸣ʔaukaː ⸣kin sḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] (喧嘩すると着物をずたずたに引き裂く)。 ⸢キン⸣マー サ⸢キッツァーサヌ⸣ヌ サ⸢キッツァー⸣シ ⸣ミサカー サ⸢キッツァー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kim⸣maː sḁ⸢kitʦaːsanu⸣nu sḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣misakaː sa⸢kitʦaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (着物は引き裂くことはしないが、引き裂いて良ければ引き裂くことはできる) 6873 0 0 6502 htmvoc_6873.wav サキッふァイムヌ サ⸢キッふァイムヌ [sḁ⸢kiffaimunu] 名 大酒飲み。 サ⸢キッふァイムヌティ⸣ ッ⸢シナガラ⸣ ヌンティル ⸣アイニ サ⸢キ⸣ ヌ⸢マシ⸣ター [sḁ⸢kiffaimunu⸣ ʃ⸢ʃinagara⸣ nuntiru ⸣ʔaini sḁ⸢ki⸣ nu⸢maʃi̥⸣ta] (大酒のみと知りつつ、何故あんなに酒を飲ませたのか) 6863 0 0 6503 htmvoc_6863.wav サギティーグ サ⸢ギティー⸣グ [sa⸢gitiː⸣gu] 名 下げ籠。「吊り下げ手籠」の義。竹のひご<籤>で編んだ籠に吊手を付けたもの。吊り下げられるように柄を付けて編んだ竹製の籠。サ⸢ギソー⸣キ[sa⸢gisoː⸣ki]と同様に食品保存のために軒や台所などに吊るして使用された。竹ひごを使用しているので、がっちりと強固に仕上がっている。竹ひごの織り成す綾がうつくしい。 サ⸢ギティー⸣グナー イ⸢リティ⸣ サイ シ⸢キ⸣ルカー ⸣ッサラヌ [sa⸢gitiː⸣gunaː ʔi⸢riti⸣ sai ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣ssaranu] (下げ籠に入れて吊るしておくと腐れない) 6837 0 0 6504 htmvoc_6837.wav サキトゥジ サ⸢キトゥジ [sḁ⸢kituʤi] 名 先妻。 サ⸢キトゥジェー⸣ イ⸢クサ⸣ユーナー マ⸢ラリ⸣ヤ カ⸢カリ⸣ル ⸢マーラシェー⸣ダー [sḁ⸢kituʤeː⸣ ʔi⸢kusa⸣juːnaː ma⸢rari⸣ja ka⸢kari⸣ru ⸢maːraʃeː⸣daː] (先妻は戦争でマラリアに罹患して<ぞ>亡くなられたのだ) 6864 0 0 6505 htmvoc_6864.wav サキナリシンダイ サ⸢キナリシン⸣ダイ [sḁ⸢kinariʃin⸣dai] 連 先になり次第。 プ⸢ス⸣ マ⸢タン⸣ティン ⸣ミサバ サ⸢キナリシン⸣ダイ パリバ⸢ヨー [pu̥⸢su⸣ ma⸢tan⸣tantim ⸣misaba sḁ⸢kinariʃin⸣dai pariba⸢joː] (他人を待たなくても良いから、先になり次第行きなさいね) 6838 0 0 6506 htmvoc_6838.wav サキナルン サ⸢キ⸣ ナルン [sḁ⸢ki⸣ naruŋ] 連 先になる(時間的)。前になる(空間的)。「前年之 先年従 至今年<おととしの先つ年より>『万葉集 783』」の義。 プ⸢ソーラ⸣ サ⸢キ⸣ ナリ パ⸢タ⸣ケー ⸣パリ ティ⸢ダ⸣ヌ ウ⸢ティ⸣ルンケン シ⸢グトゥ シェー⸣ティル ッ⸢ふァ⸣ー フ⸢ドゥバシタ [pu̥⸢soː⸣ra sḁ⸢ki⸣ nari pḁ⸢ta⸣keː ⸣pari ti⸢da⸣nu ʔu⸢ti⸣ruŋkeŋ ʃi⸢gutu ʃeː⸣tiru f⸢faː⸣ ɸu⸢dubaʃita] (他人よりも先になって畑へ行き、太陽が没する<落ちる>まで仕事をしながら子供を育てた<成長させた>)。 ⸣アトゥナリ サ⸢キ⸣ナリ ⸢キッ⸣ス ⸢シェー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ ⸢パッ⸣タヤー [⸣ʔatunari sḁ⸢ki⸣nari ⸢kis⸣su ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki ⸢pat⸣tajaː] (後になり先になりしながら、競争して歩いて行ったよ)。先に行く。 ⸣バー サ⸢キ⸣ ナ⸢ル⸣バ ⸢ワーター⸣ アトーラ クーバ⸢ヨー [⸣baː sḁ⸢ki⸣ na⸢ru⸣ba ⸢waːtaː⸣ ʔatoːra kuːba⸢joː] (私は先に行くから、君たちは後から来なさいね) 6866 0 0 6507 htmvoc_6866.wav サキヌザー サ⸢キヌ⸣ ザー [sḁ⸢kinu⸣ ʣaː] 連 酒の座。酒宴の座。酒盛り。 サ⸢キヌ⸣ ザーナーティヌ ⸣クトゥ ヤ⸢リバ ヌンガーラ⸣シ ッ⸢ふォー⸣リ [sḁ⸢kinu⸣ ʣaːnaːtinu ⸣ku̥tu ja⸢riba nuŋgaːra⸣ʃi f⸢foː⸣ri] (酒の座におけることでありますから許して<見逃して>下さい) 6841 0 0 6508 htmvoc_6841.wav サキヌサカナ サ⸢キヌ⸣ サ⸢カナ [sḁ⸢kinu⸣ sḁ⸢kana] 連 酒の肴。 イ⸢ガーンツァン⸣ ヤ⸢キティ⸣ サ⸢キヌ⸣ サ⸢カナ⸣ ン⸢ザサン⸣ノーレー [ʔi⸢gaːnʦaŋ⸣ ja⸢kiti⸣ sḁ⸢kinu⸣ sḁ⸢kana⸣ ʔn⸢ʣasan⸣noːreː] (スルメイカでも焼いて酒の肴にして出してくれないか) 6867 0 0 6509 htmvoc_6867.wav サキヌマー サ⸢キ⸣ヌマー [sḁ⸢ki⸣numaː] 名 大酒飲み。サ⸢キッふァイムヌ[sḁ⸢kiffaimunu](酒食らい{EOS}酒食らい者)ともいう。 ウ⸢レー デージ⸣ヌ サ⸢キ⸣ヌマー [ʔu⸢reː deːʤi⸣nu sḁ⸢ki⸣nu⸣maː] (彼は大変な大酒のみ)。 ⸣ワンザー⸣ バ⸢カー⸣ムヌヌ サ⸢キ⸣ヌマー ⸣ナリティ ⸢ヌー⸣ス ⸢カン⸣ガイヤ [⸣wanʣaː ba⸢kaː⸣mununu sḁ⸢ki⸣numaː ⸣nariti ⸢nuː⸣su ⸢kaŋ⸣gaija] (お前めは、若者のくせに酒食らいになってどうするつもりか) 6868 0 0 6510 htmvoc_6868.wav サキヌミドゥシ サ⸢キヌミ⸣ドゥシ [sḁ⸢kinumi⸣duʃi] 名 酒飲み友達。 サ⸢キヌミドゥシ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーユンダ ⸢ピーズン⸣ サ⸢キ⸣ ヌ⸢ミン⸣ドゥ ⸢サーラリ⸣ パル [sḁ⸢kinumiduʃi⸣nu ⸢goː⸣raːjunda ⸢piːʣun⸣ sḁ⸢ki⸣ nu⸢min⸣du ⸢saːrari⸣ paru] (酒飲み友達が多いので、いつも酒を飲みに<ぞ>誘われて<連れられて>行く) 6869 0 0 6511 htmvoc_6869.wav サキバイ サ⸢キバイ [sḁ⸢kibai] 名 さきがけ(魁)。他人に先立って行動すること。 ユ⸢ク⸣バ ⸣シキ プ⸢スヌ⸣ サ⸢キバイ シー モー⸣クンティ ⸢アー⸣キ カ⸢ブ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ju⸢ku⸣ba ⸣ʃi̥ki pu̥⸢sunu⸣ sḁ⸢kibai ʃiː moː⸣kunti ⸢ʔaː⸣ki ka⸢bu⸣ri ⸢naː⸣nu] (欲張って他人に先駆けて儲けようとしていて、欠損してしまった) 6842 0 0 6512 htmvoc_6842.wav サキパヤーン サ⸢キパヤー⸣ン [sḁ⸢kipajaː⸣ŋ] 連 花の咲くのがはやい。「咲き早い」の義。 ク⸢ヌ⸣ パナー サ⸢キパヤー⸣ン [ku⸢nu⸣panaː sḁ⸢kipajaː⸣ŋ] (この花は咲くのが早い) 6843 0 0 6513 htmvoc_6843.wav サキバルテー サ⸢キバルテー [sḁ⸢kibaruteː] 名 屋号。「崎原家」の義。 ⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸢アンタヌ ヤシ⸣キナール サ⸢キバルテーヤ アッ⸣タ [⸢jaoː⸣kajaːnu ⸢ʔantanu jaʃi̥⸣kinaːru sa⸢kibaruteːja ʔat⸣ta] (ヨーカヤーの東の屋敷に崎原家はあった) 6870 0 0 6514 htmvoc_6870.wav サキパンタリ サ⸢キパンタリ [sḁ⸢kipantari] 名 酒太り。 サ⸢キパンタリバ シール⸣ シラン ア⸢ガメー⸣ティ ⸢アー⸣クンティ [sḁ⸢kipantariba ʃiːru⸣ ʃiraŋ ʔa⸢gameː⸣ti ⸢ʔaː⸣kunti] (酒太りをして顔も赤らんでいるさ) 6871 0 0 6515 htmvoc_6871.wav サキビー サ⸢キビー [sḁ⸢kibiː] 名 酒酔い。 サ⸢キカザ⸣ カ⸢ブ⸣ ウビシン サ⸢キビー シース [sḁ⸢kikaʣa⸣ ka⸢bu⸣ ʔubiʃin sḁ⸢kibiː ʃiːsu] (酒の匂いを嗅ぐだけでも酒酔いするよ)。イ⸢ズビー[ʔi⸢ʣubiː](魚毒にあたる{EOS}魚の食中毒)の対義語 6872 0 0 6516 htmvoc_6872.wav サキピュール サ⸢キピュール [sḁ⸢kipjuːru] 名 先日和。神行事などの日程を決める際、その月の前半に当たる干支の日和。⸣アトゥピュール[⸣ʔatupjuːru](後日和{EOS}その月の後半に当たる干支の日和)の対義語。 ク⸢トゥシェー⸣ サ⸢キピュールナー⸣ル ⸢プー⸣ロー ⸢ソー⸣ルツォー [ku̥⸢tuseː⸣ sḁ⸢kipjuːrunaː⸣ru ⸢puː⸣roː ⸢soː⸣ruʦoː] (今年は先日和に豊年祭をされるそうだ) 6844 0 0 6517 htmvoc_6844.wav サキビン サ⸢キビン [sḁ⸢kibiŋ] 名 せんびん(先便)。前便。前回の便り。⸣アトゥビン[⸣ʔatubiŋ](後便)の対義語。 サ⸢キビン⸣ラ ウ⸢クルタ ジン⸣マー トゥ⸢ドゥ⸣ケーンカヤー [sḁ⸢kibin⸣ra ʔu⸢kuruta ʤim⸣maː tu⸢du⸣keːŋkajaː] (先便で送ったお金は届いたかねえ) 6849 0 0 6518 htmvoc_6849.wav サキフシ サ⸢キフシ [sa⸢kiɸuʃi] 名 酒癖。 サ⸢キフシヌ ワッ⸣サンダ カ⸢リンマー⸣ ドゥク サ⸢キ⸣ ヌ⸢マス⸣ナ⸢ヨー [sḁ⸢kiɸuʃinu was⸣sanda ka⸢rimmaː⸣ duku sḁ⸢ki⸣ nu⸢masu⸣na⸢joː] (酒癖が悪いから、彼にはあまり酒を飲ませるなよ)。 ⸣シンピーゾー ⸢ミンダリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンドゥ⸣ サ⸢キフシヌル ワッ⸣サ⸢ツォー [⸣ʃimpiːʣoː ⸢mindari⸣munu ja⸢rundu⸣ sḁ⸢kiɸuʃinu was⸣sa⸢ʦoː] (常日頃は大人しい人<耳垂れ者{EOS}従順な人>であるが酒癖が悪いんだよ) 6845 0 0 6519 htmvoc_6845.wav サキフチ サ⸢キフチ [sḁ⸢kiɸu̥ʧi] 名 せんくち(先口)。先約。他人より先に発言する。 ⸢バー⸣ル<⸢バン⸣ドゥ> サ⸢キフチ⸣ ヤ⸢リバ⸣ バーラ<⸣バンラ> シ⸢ダキ⸣ アジッ⸢サラー [⸢baː⸣ru<⸢ban⸣du> sḁ⸢kiɸuʧi⸣ ja⸢riba⸣ baːra<⸣banra> ʃi⸢daki⸣ ʔaʤis⸢sara] (私が先口だから、私から先に申し上げましょう) 6877 0 0 6520 htmvoc_6877.wav サキフチ サ⸢キ⸣フチ [sa⸢ki⸣ɸu̥ʧi] 名 ⸢裂け口」の義。裂け目。裂け始めた所。 サ⸢キ⸣フチェー グ⸢マー⸣タンティン ⸣ウマーラル ⸢ミー⸣バレー ⸢シー⸣ サキパル⸢ダー [sḁ⸢ki⸣ɸu̥ʧeː gu⸢maː⸣tantiŋ ⸣ʔumaːraru ⸢miː⸣bareː ⸢ʃiː⸣ sakiparu⸢daː] (裂け目は小さくても、そこからひび割れして裂けていくんだよ) 6876 0 0 6521 htmvoc_6876.wav サギフチル サ⸢ギフチ⸣ル [sa⸢giɸuʧi⸣ru] 名 「下げ薬」の義。頭痛や、のぼせを下げる薬。便秘に効く薬。利尿剤。下剤。 ⸢マーギラ⸣ サ⸢ク⸣ラギラー ム⸢カ⸣シェーラ サ⸢ギフチ⸣ルティ ア⸢ザリブンダ⸣ シジ ヌ⸢マ⸣シバ [⸢maːgira⸣ sḁ⸢ku⸣ragiraː mu⸢ka⸣ʃeːra sa⸢giɸuʧi⸣ruti ʔa⸢ʣaribunda⸣ ʃiʤi nu⸢ma⸣ʃiba] (シラナミ<しゃこ貝の一種>やヒメジャコ<しゃこがいの一種>は昔から利尿剤といわれているので、煎じて飲ませなさいよ)。 ア⸢バ⸣サーン サ⸢ギフチ⸣ルティ⸢ダー [ʔa⸢ba⸣saːn sa⸢giɸu̥ʧi⸣ruti⸢daː] (ハリセンボンも下げ薬<利尿剤>だそうだよ) 6878 0 0 6522 htmvoc_6878.wav サキブッター サ⸢キブッター [sḁ⸢kibuttaː] 名 先が太くなったもの。先太。サ⸢キトゥガ⸣ヤー[sḁ⸢kituga⸣jaː](先が尖ったもの)の対義語。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キブッター⸣ ナリティ ⸢ペーラサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢kibuttaː⸣ nariti ⸢peːrasara⸣nu] (それは先が太くなっていて、入れられない) 6846 0 0 6523 htmvoc_6846.wav サキブトゥ サ⸢キブトゥ [sḁ⸢kibutu] 名 前夫。先夫。前の夫。 ウ⸢ヌ プスヌ⸣ サ⸢キブトー⸣ イ⸢ク⸣サナー ⸢マーラソー⸣リティ マ⸢ナマ⸣ヌ ブ⸢トゥトー ウンダ⸣ ヤー⸢タ⸣シティル マー⸢ズン⸣ ナ⸢ロー⸣レール [ʔu⸢nu pu̥sunu⸣ sḁ⸢kibutoː⸣ ʔi⸢ku⸣sanaː ⸢maːrasoː⸣riti ma⸢nama⸣nu bu⸢tutoː ʔunda⸣ jaː⸢ta⸣ʃi̥tiru maː⸢ʣun⸣ na⸢roː⸣reːru] (その人の先夫は戦争で亡くなられて、今の夫とは、それから暫くしてから<ぞ>一緒になられたのだ) 6847 0 0 6524 htmvoc_6847.wav サキマール サ⸢キマール [sḁ⸢kimaːru] 名 先回り。 ⸢ワーヤ⸣ サ⸢キマール シー ギーベー⸣ティ シ⸢グトゥヌ ダン⸣ドゥリ ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢waːja⸣ sḁ⸢kimaːru ʃiːbeː⸣ti ʃi⸢gutunu dan⸣duri ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (君は先回りして行っていて、仕事の準備をしておけ)。 ウ⸢レー⸣ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キティ⸣ キサー⸢ティ⸣ サ⸢キマール シー⸣ マティ ⸢ベー [ʔu⸢reː⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢kiti⸣ ki̥saː⸢ti⸣ sḁ⸢kimaːru ʃiː⸣ mati ⸢beː] (彼は話を聞いて、既に先回りして待っている) 6881 0 0 6525 htmvoc_6881.wav サギミー サ⸢ギ⸣ミー [sa⸢gi⸣miː] 名 下がり目。「下げ目」の義。目尻の下がった目。垂れ目。サ⸢ガリ⸣ミー[sa⸢gari⸣miː]ともいう。 サ⸢ギミー⸣ヌ プ⸢ソー⸣ ウ⸢トゥナッ⸣サンティ⸢ダナー [sa⸢gimiː⸣nu pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢tunas⸣santida⸢naː] (下がり目の人は大人しいってねえ) 6880 0 0 6526 htmvoc_6880.wav サキムイ サ⸢キムイ [sa⸢kimui] 名 結納。婚約をして婿の家から祝いの品を揃えて嫁方へ納める儀式。「酒盛り」の転訛したもの。 サ⸢キムイヤー⸣ ム⸢ク⸣ヌ ブ⸢ネーヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢パンビン⸣バ ヤ⸢キティ⸣ バー⸢ケー⸣マナー ム⸢リティ アウ⸣ヌ プ⸢ス タン⸣ガ ⸢サーリ⸣ サ⸢キ サン⸣ゴー ⸣ムティティ ユ⸢ミ⸣ヌヤー ⸢オー⸣リ フ⸢コーラサ ソーッ⸣タ [sḁ⸢kimuijaː⸣ mu⸢ku⸣nu bu⸢neːnu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢pambim⸣ba ja⸢kiti⸣ baː⸢keː⸣mana mu⸢riti ʔau⸣nu pu̥⸢su taŋ⸣ga ⸢saːri⸣ sḁ⸢ki saŋ⸣goː ⸣mutiti ju⸢minu⸣jaː ⸢ʔoː⸣ri ɸu̥⸢koːrasa soːt⸣ta] (結納は婿の母親がはんぺん<テンプラ>を揚げて<焼いて>、小さな竹笊に盛って入れ、供の人を一人連れて、三合瓶の酒を持って嫁の家に行き、婚約承諾の御礼をされた) 6882 0 0 6527 htmvoc_6882.wav サギムヌ サ⸢ギ⸣ムヌ [sa⸢gi⸣munu] 名 「下げ物」の義。シ⸢ル⸣イカ[ʃi⸢ru⸣ika](ッ⸢ス⸣イカ{SqBr}s⸢su⸣ika{/SqBr}ともいう{EOS}和名、アオリイカ{EOS}シロイカともいう{EOS}餌木で釣る)、サ⸢ク⸣ラギラ[sa⸢ku⸣ragira](ヒメジャコ{EOS}車庫貝の仲間)は、のぼせを下げ、利尿効果があるといわれている。 サ⸢ク⸣ラギラトゥ ッ⸢ス⸣イカンドーレー サ⸢ギ⸣ムヌティ ⸢シー⸣ シジ ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [sa⸢ku⸣ragiratu s⸢sui⸣kandoreː sa⸢gi⸣munuti ⸢ʃiː⸣ ʃiʤi f⸢faːsoːt⸣taŋ] (ヒメジャコとアオリイカ<白烏賊>などは、下げ薬として煎じて食べさせられた) 6883 0 0 6528 htmvoc_6883.wav サギヤー サ⸢ギ⸣ヤー [sa⸢gi⸣jaː] 名 ⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)の両舷外側に付ける「浮き」の一種。竹のフロート。「下げるもの」の義で、糸満方言からの借用語。直径8~10センチ、長さ約3メートルの竹竿。ローリングを防ぐための一種のアウトリガー(outrigger)の機能を果たす。外洋へ出漁する際、又は多少波の立つ日に西表島へ往来するする際に装着した。 サ⸢ギ⸣ヤー ⸣サウカー ⸣イダフネー ヨー⸢ニ フンナカヌ [sa⸢gi⸣jaː ⸣saukaː ⸣ʔidaɸuneː joː⸢ni ɸunnakanu] (サギヤーを装着したら<吊るしたら>イダフニ(サバニ{EOS}舟)は容易に沈没<転覆>しない) 6884 0 0 6529 htmvoc_6884.wav サキヤマ サ⸢キ⸣ヤマ [sa⸢ki⸣jama] 名 地名。崎山部落。人頭税制下の1755年に琉球王府の強制移住政策によって波照間島から西表島西南部に分村された新村であるが、1948年に廃村となった。有名な「崎山節」は、新村の人々がユクイ山の頂きにのぼって故郷波照間島の父母を偲ぶ心情を切々と歌いあげたもので、西表島を代表する民謡の一つである。 サ⸢キ⸣ヤマムラー イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナール ⸢トー⸣レーツォー [sḁ⸢ki⸣jamamuraː ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatuaːru toː⸣reːʦoː] (崎山村は戦後に廃村<村倒れした>になったそうだ) 6885 0 0 6530 htmvoc_6885.wav サキヤマブシ サ⸢キ⸣ヤマブシ [sḁ⸢ki⸣jamabuʃi] 名 崎山節。人頭税制時代の1775年に、首里王府の寄百姓政策によって波照間島から強制的に「道切り」移住させられた人々の崎山村創建にまつわる悲しい歴史を歌った歌。/崎山ヌ新村ユ建ティダス 誰ルヌ主ヌ ジリヌ親ヌドゥ 建ティダネ ナンヌ故 イキャヌチゥニヤンドゥ 建ティダネ~/『八重山民謡誌』。 サ⸢キ⸣ヤマブシ ス⸢ク⸣カー ⸢フン⸣トー ナ⸢キル⸣ シ⸢ラリ [sḁ⸢ki⸣jamabuʃi su̥⸢ku⸣kaː ⸢ɸun⸣toː na⸢kiru⸣ ʃi⸢rari] (崎山節を聴くと、本当に涙が出る<泣きぞされる>) 6886 0 0 6531 htmvoc_6886.wav サキルン サ⸢キ⸣ルン [sḁ⸢ki⸣ruŋ] 自動 裂ける。 ⸢キー⸣ヌ ユ⸢ダヌ⸣ サ⸢キ⸣ルン [⸢kiː⸣nu ju⸢danu⸣ sḁ⸢ki⸣ruŋ] (木の枝が裂ける)。 ピ⸢キスクタンティン⸣ サ⸢キラ⸣ヌ [pi̥⸢kisu̥kutantin⸣ sḁ⸢kira⸣nu] (引張っても裂けない)。 ⸢タイ⸣フーナー ⸢キー⸣ヌ ユ⸢ダン⸣ サキパリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢tai⸣ɸuːnaː ⸢kiː⸣nu ju⸢dan⸣ sḁkipari ⸢naː⸣nu] (台風で木の枝も裂けていってしまった)。 サ⸢キ⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ [sḁ⸢ki⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (裂けるものは捨てれ) 6887 0 1 6532 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}下げる。「つるす、ぶらさげる」の意味は単独用法にはない。それには⸢サイ⸣ルン[⸢sai⸣ruŋ](吊るす)という。{Mn_1}下げる。 6887 0 2 6533 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}低くする。 6887 0 3 6534 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_3}高い所から低い所へ位置を移す。 ⸣ニチ サ⸢ギ⸣ルンティ ヒ⸢ヤ⸣シ ⸢ベー [⸣niʧi sa⸢gi⸣runti çi⸢ja⸣ʃi ⸢beː] (熱を下げようと冷している)。 ピ⸢ダリティー⸣ヤ サ⸢ギ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ サ⸢ギララ⸣ヌ [pi⸢daritiː⸣ja sa⸢gi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du mut⸢tu⸣ sa⸢girara⸣nu] (左手は下げようと思うが下げられない)。 サ⸢ギ⸣ル ⸣ムノー サ⸢ギ⸣レー ⸣ミサムヌ [sa⸢gi⸣rumunoː sa⸢gi⸣reː ⸣misamunu] (下げるものは下げればよいのに)。 サ⸢ギ⸣ プサカー ⸢パー⸣ク サ⸢ギ⸣リ [sa⸢gi⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku sa⸢gi⸣ri] (下げたいなら早く下げよ<下げれ>)。 6887 0 3 6535 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_3}後退させる。 シ⸢ナヌミン⸣マー ⸢イーラー⸣ サ⸢ギ⸣リ [ʃi⸢nanumim⸣maː ⸢ʔiːraː⸣ sa⸢gi⸣ri] (シナヌミン<綱の耳>は西側へ後退させよ)。 6887 0 4 6536 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_4}神前仏前の供物を下げる<移す>。 ⸣ウサンダイヤー ⸣サギ ⸣ミサン [⸣ʔusandaijaː ⸣sagi ⸣misaŋ] (供物は引き下げても<移しても>よい)。 6887 0 5 6537 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_5}下げ渡す。 6887 0 6 6538 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_6}金を引き出す<下ろす>。 ヤ⸢ク⸣バーラ ⸣ジン サ⸢ギ⸣ルンティ ⸢クータ⸣ル [ja⸢ku⸣baːra ⸣ʤin sa⸢gi⸣runti ⸢kuːta⸣ru] (役場から金を引き下ろそうとやってきたよ)。 6887 0 7 6539 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_7}見下げる<けなす>。 プ⸢スヨー ミーサギル⸣ナ [pu̥⸢sujoː miːsagiru⸣na] (他人を見下すな)。 6887 0 9 6540 htmvoc_6887.wav サギルン サ⸢ギ⸣ルン [sa⸢gi⸣ruŋ] 他動 {Mn_9}下痢する。くだす(瀉)。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌムカー サ⸢ギ⸣ルンパジ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numukaː sa⸢gi⸣rumpaʤi] (薬を飲んだら下げる<下痢する>はずだ) 6853 0 0 6541 htmvoc_6853.wav サキンジルン サ⸢キンジ⸣ルン [sḁ⸢kiʔnʤi⸣ruŋ] 連 咲き出す。「咲き出る」の義。 パ⸢ナ⸣ヌ サ⸢キンジ⸣ルン [pa⸢na⸣nu sḁ⸢kiʔnʤi⸣ruŋ] (花が咲き出す) 6888 0 0 6542 htmvoc_6888.wav サキンダ サ⸢キンダ [sḁ⸢kinda] 名 地名。「崎田」の義か。西表島北部、ガ⸢バナレー[ga⸢banareː](赤離)とシ⸢タ⸣ダレー[ʃi̥⸢ta⸣dareː](地名{EOS}水の滴り落ちる所)の中間に開けた水田地帯。⸢ヨー⸣カヤー[⸢joː⸣kajaː](西原家)、カ⸢ナ⸣ケー[ka⸢na⸣kaː](兼久家)などの水田があった。 サ⸢キンダ⸣ナー ⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸢ター⸣ヌ ⸣アン [sḁ⸢kinda⸣naː ⸢joː⸣kajaːnu ⸢taː⸣nu ⸣ʔaŋ] (サキンダには西原家の水田がある) 6852 0 0 6543 htmvoc_6852.wav サキンダタバル サ⸢キンダタバル [sḁ⸢kindatabaru] 名 (地)「崎田田原」の義。サ⸢キンダの水田地帯。 サ⸢キンダタバルナー⸣ヤ ⸢タッ⸣テタッテヌ ⸢ター⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [sḁ⸢kindatabarunaː⸣ja ⸢tat⸣tetattenu ⸢taː⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (崎田田原<水田地帯>には何処何処の家の水田があるのか)。サキンダ(崎田)水田地帯。「崎田田袋(崎田\ruby{田墾}{タ|ハリ})」の義か。 シ⸢タ⸣ダレーラ ニ⸢シェーキ⸣ナール サ⸢キンダタバロー⸣ アル [ʃi̥⸢ta⸣dareːra ni⸢ʃeːkinaː⸣ru sḁ⸢kindatabaroː⸣ ʔaru] (シタダレーから北側にサキンダ水田地帯はある) 6854 0 0 6544 htmvoc_6854.wav サキンダヌマキ サ⸢キンダヌマキ [sḁ⸢kindanumaki] 名 崎田田原の上の原野にあった鳩間島のウ⸢シマキ[ʔu⸢ʃimaki](牛の放牧場)。 サ⸢キンダヌマケー⸣ インダヌ マ⸢ケーラヌ⸣ バ⸢カ⸣リ ⸢ヤッタ⸣ツォー [sḁ⸢kindanumakeː⸣ ʔindanu ma⸢keːranu⸣ ba⸢ka⸣ri ⸢jatta⸣ʦoː] (崎田の牧場は伊武田牧場からの分れだったそうだ) 6894 0 0 6545 htmvoc_6894.wav サク ⸣サク [⸣sḁku] 名 腹立ち。怒り。かんしゃく(癇癪)。「癪」の義。⸣サクバタ[⸣sḁkubata](立腹しやすい人{EOS}神経過敏で立腹し易い人)と同じ。 ⸣サク ウ⸢ク⸣ルン [⸣sḁku ʔu⸢ku⸣ruŋ] (立腹する{EOS}腹が立つ)。 ⸣アブジェー ⸣サク ウ⸢ク⸣ローレーラー ナ⸢クラー⸣ンダー ⸢パー⸣ク ⸣パリ [⸣ʔabuʤeː ⸣sḁku ʔu⸢ku⸣roːreːraː na⸢kuraː⸣nda ⸢paː⸣ku ⸣pari] (お祖父さんが立腹されたら怖いから早く行け) 6895 0 0 6546 htmvoc_6895.wav サク ⸣サク [⸣sḁku] 名 いとめ(糸目)。凧の表面につけ、上がり具合や勾配等、つりあいを調節する糸。 ピ⸢キダマヌ⸣ サク ア⸢ティルン [pi̥⸢kidamanu⸣ sḁku ʔa⸢tiruŋ] (凧の糸目(勾配)を当てて調節する<シャクを当てる>)。⸣サク ⸢アトゥン[⸣sḁku ʔa⸢tuŋ](凧の勾配を当てる)ともいう 6896 0 0 6547 htmvoc_6896.wav サク ⸣サク [⸣sḁku] 名 程度。ほど。頃合。おおよその程度。時間的、空間的、観念的な広がりの程度。 ム⸢ヌグトゥ⸣ナー ノー⸢ン⸣ サクティ ⸢スー⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ア⸢リ⸣ブンダー グ⸢チ⸣ホーニ ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢nugutu⸣naː noː⸢n⸣ sḁkuti ⸢suː⸣ mu⸢nu⸣nu ʔa⸢ri⸣bundaː gu⸢ʧi⸣hoːni ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (物事には何でも程度というものがあるから、無鉄砲<むこうみず>にしてはならない) 6897 0 0 6548 htmvoc_6897.wav サク ⸣サク [⸣sḁku] 助数 尺。尺貫法における長さの単位。若年層は、⸣シャク[⸣ʃḁku](尺)ともいう。 ⸢イッ⸣サク [⸢ʔis⸣saku] (一尺)。 ニ⸢サ⸣ク [ni⸢sa⸣ku] (二尺)。 ⸣サンザク [⸣sanʣaku] (三尺)。 ⸣サンジャクバサンナル [⸣sanʤkubasannaru] (三尺芭蕉のバナナ)。 ル⸢クサク⸣ボー [ru⸢kusaku⸣boː] (六尺棒{EOS}豊年祭の奉納芸の一つの棒踊り) 6898 0 0 6549 htmvoc_6898.wav サク ⸣サク [⸣sḁku] 助数 勺。一合の十分の一。⸣シャク[⸣ʃaku](勺)、⸢サー⸣ク[⸢saː⸣ku](勺)ともいう。 グ⸢サーク⸣マイ [gu⸢saːku⸣mai] (五勺米{EOS}村の神行事に八歳以上の家族の人数に割り当てて供出する花米)。日常生活では一勺、二勺、三勺、四勺は、それを計量する枡がないので使わないが、五勺は一合枡を斜めに傾けて計量できるので日常的に使用される。 グ⸢サークマイ⸣ヤー イ⸢チンゴーナカ⸣ムル カ⸢トンカシ⸣ティル パ⸢カ⸣ローッタ [gu⸢saːkumai⸣jaː ʔi⸢ʧiŋgoːnaka⸣muru kḁ⸢toŋka⸣ʃi̥tiru pḁ⸢ka⸣roːtta] (五勺米は一合枡を斜めに傾けて計量された<量られた>) 6924 0 1 6550 htmvoc_6924.wav サク ⸣サク [⸣sḁku] 名 {Mn_1}程度。ほど。⸣スク[⸣su̥ku](程度{EOS}ほど)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ サクカー⸢ニ⸣ アリティ ウ⸢ブムニ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢nu⸣ sḁkukaː⸢ni⸣ ʔariti ʔu⸢bumuni⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (この程度しかなくて<この程度だけあって>、おお法螺をふいている<大言している>)。 6924 0 2 6551 htmvoc_6924.wav サク ⸣サク [⸣sḁku] 名 {Mn_2}取立ての係助詞-ヤ[-ja](は)が下接すると母音が融合変化して、⸣サコー[⸣sakoː](ぐらい、ぐらいは)となる。 ウ⸢ヌ⸣サコー ター⸢ン⸣ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢nu⸣sḁkoː taː⸢n⸣ na⸢ri⸣su] (これぐらいは誰でもできるよ) 7058 0 0 6552 htmvoc_7058.wav サクアー サ⸢ク⸣アー [sa⸢ku⸣ʔaː] 名 うるちあわ(粳粟)。ム⸢チアー[mu⸢ʧiʔaː](糯粟)の対義語。果実は小粒で黄色。米と混ぜたり、芋と混ぜたりして⸢アーヌ⸣イー[⸢ʔaːnu⸣iː](粟飯{EOS}「粟の飯」の義)を炊いた。鳩間島では水田耕作に力を注いで畑作の粟はあまり作らなかった。 サ⸢クアー⸣ヤ ⸢マイ⸣ナー マ⸢ザー⸣シティ ⸢アーヌ⸣イー バ⸢カソーッ⸣タ [sa⸢kuʔaː⸣ja ⸢mai⸣naː ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ⸢ʔaːnu⸣iː ba⸢kasoːt⸣ta] (粳粟は米に混ぜて粟飯を炊いた)。 サ⸢クアー⸣ヤ ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マーナー⸣ヌ [sḁ⸢kuʔaː⸣ja ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maːnaː⸣nu] (粳の粟はあまり美味しくない) 7059 0 0 6553 htmvoc_7059.wav サクウキ サ⸢ク⸣ウキ [sa⸢ku⸣ʔuki] 名 「酌受け」の義。三々九度の盃を受けること。 サ⸢ク⸣ウキン シ⸢マ⸣ソーリ ウミ⸢ナーク ソー⸣レーンミー [sḁ⸢ku⸣ʔukiŋ ʃi⸢ma⸣soːri ʔumi⸢naːku soː⸣reːmmiː] (三々九度の盃を受けることも済まされ、安心<思い無く>されたでしょうね) 6899 0 0 6554 htmvoc_6899.wav サクウクルン ⸣サク ウ⸢ク⸣ルン [⸣sḁku ʔu⸢ku⸣ruŋ] 連 腹が立つ。立腹する。怒る。「癪起こる」の義。 プ⸢スン⸣ イ⸢ザリ⸣カー ター⸢ン⸣ サク ウ⸢ク⸣ルン [pu̥⸢suŋ⸣ ʔi⸢ʣari⸣kaː taː⸢n⸣ sḁku ʔu⸢ku⸣ruŋ] (他人に叱られたら誰でも腹が立つ<怒る>) 6900 0 0 6555 htmvoc_6900.wav サクシ サ⸢ク⸣シ [sḁ⸢ku⸣ʃi] 名 嫡子。長男。正妻の子で家督を継ぐ男子。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ サ⸢ク⸣シ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ウヤ ミ⸢リユーサン⸣ ベーティ ジ⸢ナンヌル ウン⸣ネヌ ⸣アトゥシギ ⸢シー ブー⸣ツォー [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ sḁ⸢ku⸣ʃi ja⸢rundu⸣ ʔuja mi⸢rijuːsam⸣ beːti ʤi⸢nannuru ʔun⸣nenu ⸣ʔatuʃigi ⸢ʃiːbuː⸣ʦoː] (その人は長男であるが、親を世話できない<見得ない>ので、次男がその家の跡継ぎをしているそうだ) 6901 0 0 6556 htmvoc_6901.wav サクシウシクミ サ⸢クシウシ⸣クミ [sḁ⸢kuʃiʔuʃi⸣kumi] 名 嫡子(長男)以外の人が家督を継ぐこと。「嫡子押し込め」の義。 サ⸢クシウシ⸣クミ ⸢スー⸣カー タ⸢メー ナー⸣ンティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [sḁ⸢kuʃiʔuʃi̥⸣kumi ⸢suː⸣kaː ta⸢meː naː⸣nti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (長男以外の人が家督を継ぐ<嫡子押し込め>ことは家のためにならないと昔の人はいわれた) 6902 0 0 6557 htmvoc_6902.wav サクシッふァ サ⸢クシ⸣ッふァ [sḁ⸢kuʃi⸣ffa] 名 長男。嫡子。 ⸢マイ⸣ネーナ サ⸢クシッふァ⸣ヌ マ⸢レーン⸣ツォー [⸢mai⸣neːna sḁ⸢kuʃiffa⸣nu ma⸢reːn⸣ʦoː] (前隣の家に嫡子が生まれたそうだ) 6903 0 0 6558 htmvoc_6903.wav サクシマー サ⸢クシ⸣マー [sḁ⸢kuʃi⸣maː] 名 嫡孫。長男の長男。 ウ⸢ヤーンチ⸣ジ ⸢ベー⸣タ サ⸢クシマー⸣ヌ マ⸢レー⸣ティル ⸣ヨイ ⸢スンティ アー⸣ク⸢ダー [ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤi ⸢beː⸣ta sḁ⸢kuʃimaː⸣nu ma⸢reː⸣tiru ⸣joi ⸢sunti ʔaː⸣ku⸢daː] (待望していた長男孫が生まれたので、お祝いをしようとしているんですよ) 6904 0 0 6559 htmvoc_6904.wav サクシミドーンッふァ サ⸢クシミドーン⸣ッふァ [sḁ⸢kuʃimidoːn⸣ffa] 名 長女<名称>。「嫡子女の子」の義。 ⸢ホン⸣マ [⸢hom⸣ma] (長姉{EOS}「大姉」<名称、呼称>の義)。⸣シザマリ[⸣ʃiʣamari](年長者{EOS}年上)ともいう。 サ⸢クシミドーン⸣ッふァー キサー⸢ティ⸣ ドゥームティ ⸣パレーン [sḁ⸢kuʃi⸣ mi⸢doːn⸣ffaː kisaː⸢ti⸣ duːmuti ⸣pareːŋ] (長女はすでに嫁いで<体を持って>いった) 7064 0 0 6560 htmvoc_7064.wav サクナ サ⸢クナ [sḁ⸢kuna] 名 (植)薬草の名。海岸の砂地に自生している。和え物、酢の物などにいれる。鶏肉と共に煮て食べると万病に効くといわれていた。刺身に和える際には細かく下ろして味噌和えにして食した。最近は長命草と命名し、薬草として栽培されている。 サ⸢クナー⸣ クマー⸢クマー⸣シ ウ⸢ラ⸣シティ イ⸢ズナマシ⸣ナ イ⸢リティ ミース⸣トゥ カ⸢ケー⸣スカー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [sḁ⸢kunaː⸣ kumaː⸢kumaː⸣ʃi ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ʔi⸢ʣunamaʃi⸣na ʔi⸢riti miːsu⸣tu kḁ⸢keː⸣sukaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (長命草は細かく下ろして魚の刺身に入れて味噌と混ぜると非常に美味しい)。 サ⸢クナー⸣ ム⸢カ⸣シェー パ⸢マン⸣パタナー ⸣ムイ ブ⸢タンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー フ⸢チ⸣ルティ ⸢シール⸣ イ⸢ビル オー⸣ル [sḁ⸢kunaː⸣ mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢mam⸣pḁtanaː ⸣mui bu⸢tandu⸣ ma⸢na⸣maː ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiːru⸣ ʔi⸢biru ʔoː⸣ru] (ボタンニンジンは、昔は海岸端に生えていたが、今では薬として栽培して<植えて>おられる) 6905 0 0 6561 htmvoc_6905.wav サクバイ サ⸢クバイ [sḁ⸢kubai] 名 しゃっくり(吃逆)。さくり。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ サ⸢クバイヤー⸣ ミ⸢ジヌマ⸣スカー ⸢ノー⸣ルン [ja⸢rabi⸣nu sḁ⸢kubaijaː⸣ mi⸢ʤi⸣ nu⸢ma⸣sukaː ⸢noː⸣ruŋ] (子供のしゃっくりは水を飲ませると治る) 6907 0 0 6562 htmvoc_6907.wav サクバタ ⸣サクバタ [⸣sḁkubata] 名 怒りっぽい人。癇癪持ち。「癪腹」の義。 ウ⸢レー⸣ サクバタ ヤ⸢ルンダ クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ナ⸢クラーン⸣ダー [ʔu⸢reː⸣ sḁkubata ja⸢runda kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː na⸢kuraːn⸣daː] (この人は癇癪持ちだから、怒ったら怖いよ) 6908 0 0 6563 htmvoc_6908.wav サクブニ ⸣サクブニ [⸣sḁkubuni] 名 たこ(凧)の頭骨。⸣ブーブーブニ[⸣buːbuːbuni](糸で竹の頭骨を曲げ、紙を貼ってブーブーと鳴らすもの)ともいう。 サ⸢ク⸣ブニ ⸢ナー⸣マシ マ⸢ギティ ウン⸣ナ カ⸢ビ⸣ パ⸢リティ⸣ ブーブー ⸢ナーラシタ [sḁ⸢ku⸣buni ⸢naː⸣maʃi ma⸢giti ʔun⸣na ka⸢bi⸣ pa⸢riti⸣ buːbuː ⸢naːraʃi̥ta] (凧の頭骨を細い縄で曲げて、それに紙を貼ってブーブー鳴らした) 6909 0 0 6564 htmvoc_6909.wav サクボー サ⸢ク⸣ボー [sḁ⸢ku⸣boː] 名 棒術(棒踊り)の一種。木刀を持ち、二人一組で演武する西村の棒術。 サ⸢クボー⸣ヤ ⸣バウウティ ⸢シーヤッ⸣サンダ イッ⸢チン⸣ バ⸢カー⸣ムンドゥ ウ⸢トゥ⸣ター [sḁ⸢kuboː⸣ja ⸣bauʔuti ⸢ʃiːjas⸣sanda ʔit⸢ʧim⸣ ba⸢kaː⸣mundu ʔu⸢tu⸣ta] (サクボーは演武しやすいから、一番若い者が打った) 6893 0 0 6565 htmvoc_6893.wav サクマイ サ⸢ク⸣マイ [sḁ⸢ku⸣mai] 名 粳米。うるしね。炊いた時、糯米のように粘りけを持たない米。普通は、この米を炊飯して⸢マイヌ⸣イー[⸢mainu⸣ʔiː](米のご飯)にした。ム⸢チマイ[mu⸢ʧimai](糯米)の対義語。 ム⸢チマイラー⸣ サ⸢クマイ⸣ル ⸢ゴー⸣ラー ス⸢ク⸣ロール [mu⸢ʧimairaː⸣ sḁ⸢kumai⸣ru ⸢goː⸣raː su̥⸢ku⸣roːru] (糯米よりも粳米の方を多く作られる)。 サ⸢ク⸣マイシェー ム⸢チェー⸣ ス⸢クララ⸣ヌ [sḁ⸢ku⸣maiʃeː mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢kurara⸣nu] (粳米では餅は作られない)。 イ⸢チンマー⸣ サ⸢クマイバ⸣ル ⸢ゴー⸣ラー イ⸢ボー⸣ル [ʔi⸢ʧimmaː⸣ sḁ⸢kumai⸣ru ⸢goː⸣raː ʔi⸢boː⸣ru] (いつもは粳米を多く栽培される<植えられる>) 6910 0 0 6566 htmvoc_6910.wav サクムチ ⸣サクムチ [⸣sḁkumuti] 名 怒りっぽい人。癇癪持ち。 ⸢ウンザー サッ⸣コー ⸣サクムチ⸢ダー [⸢ʔunʣaː sak⸣koː ⸣sḁkumuʧi⸢daː] (そいつは大変な癇癪持ち<怒りっぽい人>だよ) 6911 0 0 6567 htmvoc_6911.wav サグヤー サ⸢グ⸣ヤー [sa⸢gu⸣jaː] 名 夜這い。若い男が自分の気持ちを若い娘に打ち明けるため、夜中に意中の娘の寝床に忍び込んでいく風習。中国の少数民族、ハニ族の高床式家屋では、階段の脇に年頃の娘の寝室が配置してあって、夜這いに好都合な構造になっていた。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢カー⸣ムンケーヤ サ⸢グ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢kaː⸣muŋkeːja sa⸢gu⸣jaː ⸢soːt⸣tanʦoː] (昔は、若者たちは夜這いをされたそうだ)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥ⸢バー⸣ケー バ⸢カー⸣ムンケーヤ サ⸢グ⸣ヤー ⸢シン オーッ⸣タンティ⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatu⸢baː⸣keː ba⸢kaː⸣muŋkeːja sa⸢gu⸣jaː ⸢ʃiŋ ʔoːt⸣tanti⸢daː] (戦後までは若者達は夜這いをしに行かれたそうだよ) 6912 0 0 6568 htmvoc_6912.wav サクラ サ⸢クラ [sḁ⸢kura] 名 (植)木の名。桜。 イ⸢サナキヌ⸣ ム⸢トゥ⸣ヤーンドーレーナー サ⸢クラヌ⸣ イ⸢ビラリブタン [ʔi⸢sanakinu⸣ mu⸢tu⸣jaːndoːreːnaː sḁ⸢kuranu⸣ ʔi⸢biraributaŋ] (石垣島の本家筋などには、桜の木が植えられていた) 6913 0 0 6569 htmvoc_6913.wav ザクラ ザ⸢ク⸣ラ [ʣa⸢ku⸣ra] 名 (植)木の名。ざくろ(石榴)。⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工家)、⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)、パ⸢ナシケー[pa⸢naʃi̥keː](花城家)、⸢ウイカナケー[⸢ʔuikanakeː](浦崎家)などに観賞用ととして植栽されていた。種皮は生食されていたが、美味ではなかった。 ザ⸢クラ⸣ヌ ⸣ナロー ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マーン⸣テー ウ⸢モーラン⸣シェン [ʣa⸢kura⸣nu ⸣naroː ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maːn⸣teː ʔu⸢moːraŋ⸣ʃeŋ] (ザクロの実はあまり美味しいとは思われなかった) 6914 0 0 6570 htmvoc_6914.wav サクラーマ サ⸢クラー⸣マ [sḁ⸢kuraː⸣ma] 名 (動)魚の名。和名、ヒメメナダ(体長15~20センチ)。西表島の北岸の水田地帯で稲作作業の傍ら、投網で漁獲して食した。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢タースク⸣ル ⸢シンテーナ⸣ ウツァンシ サ⸢クラー⸣マ カ⸢バ⸣シティ カ⸢ティ⸣ムヌ ⸢ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢taːsu̥ku⸣ru ⸢ʃinteːna⸣ ʔuʦanʃi sḁ⸢kuraː⸣ma ka⸢ba⸣ʃiti kḁ⸢ti⸣munu ⸢soːt⸣ta] (鳩間の人は稲作をしながら投網でサクラーマを投げ被せて漁獲し、おかずにされた) 6916 0 0 6571 htmvoc_6916.wav サクラーン サ⸢クラー⸣ン [sḁ⸢kuraː⸣ŋ] 形 塩辛い。 ク⸢リヌ⸣ バ⸢カス スー⸣ヤ サ⸢クラーン⸠ダー [ku⸢rinu⸣ ba⸢kasu suː⸣ja sḁ⸢kuraːn⸠daː] (これ<この人>が炊くお汁は塩辛いよ)。 ク⸢ヌ スー⸣ヤ サ⸢クラー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ku⸢nu suː⸣ja sḁ⸢kuraː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (このお汁は塩辛くて飲まれない)。 ⸢ナン⸣ゾー サ⸢クラーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː sḁ⸢kuraːnaː⸣nu] (それほど塩辛くない)。 ⸢シンダイ⸣ サ⸢クラー⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ sḁ⸢kuraː⸣ naruŋ] (次第に塩辛くなる)。 サ⸢クラー⸣ ムノー ッ⸢ふーナ [sḁ⸢kuraː⸣ munoː f⸢fuːna] (塩辛いものは食うな)。 サ⸢クラー⸣カー ッ⸢ふァーラヌ [sḁ⸢kuraː⸣kaː f⸢faːranu] (塩辛ければ食えない) 6919 0 1 6572 htmvoc_6919.wav サクラカー サ⸢クラ⸣カー [sḁ⸢kura⸣kaː] 固 {Mn_1}ブ⸢シン⸣ヤー[bu⸢ʃiŋ⸣jaː](武士の家)の近くにあった洞穴の井戸の名。湧水が少し塩辛かったことから命名されたという。⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)の先祖は、畑仕事の際に、この井戸から水を汲んで湯を沸かして飲んだという。 6919 0 2 6573 htmvoc_6919.wav サクラカー サ⸢クラ⸣カー [sḁ⸢kura⸣kaː] 固 {Mn_2}地名。サ⸢クラ⸣カー[sḁ⸢kura⸣kaː](塩辛い井戸)の側の畑の名。タ⸢チ⸣バル[ta⸢ʧi⸣baru](立原{EOS}地名)のブ⸢シン⸣ヤー[bu⸢ʃiŋ⸣jaː](武士の家)の近くにある⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)の畑一帯の地名。畑の畦に自然に形成された洞穴の井戸があって、その井戸の水が塩辛かったことによる命名という。この井戸は戦後になって土砂の流入により半分埋まったという。 ⸣ウブシケーヌ サ⸢クラカー⸣ヌ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸢カーヌ アッタン⸣ドゥ ウ⸢ヌ カーヌ ミジェー⸣ ン⸢メーマ⸣ サ⸢クラー⸣タンツォー [⸣ʔubuʃikeːnu sḁ⸢kurakaː⸣nu pa⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢kaːnu ʔattan⸣du ʔu⸢nu kaːnu miʤeː⸣ ʔm⸢beːma⸣ sḁ⸢kuraː⸣tanʦoː] (大城家のサクラカーの畑の畦に洞穴の井戸があったが、その井戸の水は多少塩辛かったそうだ) 6915 0 0 6574 htmvoc_6915.wav サクラギラ サ⸢ク⸣ラギラ [sḁ⸢ku⸣ragira] 名 (動)シャコガイ(硨磲貝)の一種。オオジャコ。貝殻はア⸢ザ⸣カイ[ʔa⸢ʣa⸣kai](貝殻)という。殻長20センチ~130センチに成長するという。戦後、殻長40センチを越えるシャコ貝は、鳩間島の近海ではあまり漁獲されていない。しかし鳩間島のタ⸢カ⸣ビ[ta⸢ka⸣bi](高干瀬)の海底からは、殻長が世界最大といわれるシャコ貝の古い殻が発見された。鳩間島の屋敷の石垣の中には殻長60~70センチのオオジャコの貝殻がよく見られた。養豚をしていたころ、殻長60~70センチのア⸢ザ⸣カイ[ʔa⸢ʣa⸣kai](貝殻)を飼葉桶に使用していた。 ウ⸢ブアザ⸣カイナール ⸢オー⸣ヌ ⸣イー イ⸢リティ ファーソーッタ⸣ル [ʔu⸢buʔaʣa⸣kainaːru ⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔiː ʔi⸢riti⸣ f⸢faːsoːtta⸣ru] (大きなシャコ貝の殻に豚の餌を入れて食わせられたよ) 6917 0 0 6575 htmvoc_6917.wav サクラグチ サ⸢クラグチ [sḁ⸢kuraguʧi] 名 海底地名。石垣島の東南方のリーフの切れ目<津口>。 イ⸢サナキヌ⸣ カ⸢ツシンマー⸣ サ⸢クラグチェーラ⸣ ンジペーリ シ⸢タン⸣ダー [ʔi⸢sanakinu⸣ ka⸢ʦuʃimmaː⸣ sḁ⸢kuraguʧeːra⸣ ʔnʤipeːri ʃi̥⸢tan⸣daː] (石垣の鰹漁船はサクラグチ<津口>から船が出入りをしたよ) 6918 0 0 6576 htmvoc_6918.wav サクラフチ サ⸢クラフチ [sḁ⸢kuraɸuʧi] 名 かん味(塩辛い味)を好むこと。塩辛い味付けを好む人。 ウ⸢レー⸣ サ⸢クラフチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス スー⸣ヤ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢kuraɸuʧi⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu suː⸣ja nu⸢mara⸣nu] (あの人は塩辛い味付けを好む人だから、彼の炊く<沸かす>お汁は飲まれない<飲めない>) 6920 0 0 6577 htmvoc_6920.wav サクルン サ⸢ク⸣ルン [sḁ⸢ku⸣ruŋ] 他動 切り裂く。削り取る。こそげる。「さくる<刳る>」の義。 イ⸢ズ⸣ サ⸢ク⸣リ<バ⸢ザイ> [ʔi⸢ʣu⸣ sḁ⸢ku⸣ri] (魚を切り裂け)。 カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢カ⸣ブニ サ⸢ク⸣リティ シ⸢ル⸣ク ⸢シッ⸣キ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣buni sḁ⸢ku⸣riti ʃi⸢ru⸣ku ⸢ʃik⸣ki] (鰹の中骨から肉をこそぎとって鰹節補修材シルクを臼で搗いて作れ)。 ヌ⸢キ⸣ルシ ⸣パン サ⸢クラ⸣リ ⸢ベー [nu⸢ki⸣ruʃi ⸣pan sa⸢kura⸣ri ⸢beː] (鋸で脚を切り裂かれて<筋肉が削りとられて>いる)。 ⸣ガイシ イ⸢ズヌミー⸣ サ⸢ク⸣ルン [⸣gaiʃi ʔi⸢ʣunu miː⸣ sḁ⸢ku⸣ruŋ] (匙で魚の身<肉>をこそげる)。 ク⸢リ⸣シェー サ⸢ク⸣ルクトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ʃeː sḁ⸢ku⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これでは削り取ることはできない)。 ク⸢リ⸣シ サ⸢ク⸣レー ⸣ミサムヌ [sḁ⸢ku⸣reː misamunu] (これで削りとればよいのに) 6921 0 0 6578 htmvoc_6921.wav サグルン サ⸢グルン [sa⸢guruŋ] 他動 探る。 ⸣ティーシ サ⸢グルンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ サ⸢グララヌ [⸣tiːʃi sa⸢gurundu⸣ mut⸢tu⸣ sa⸢guraranu] (手で探るのだが、ちっとも探られない)。 サ⸢グリ ヤッ⸣サン [sa⸢guri jas⸣saŋ] (探りやすい)。 ウ⸢ヌ⸣ フカー サ⸢グル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ɸu̥kaː sa⸢guru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (その他は探ることはならぬ)。 ⸢マー⸣ビン サ⸢グレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin sa⸢gureː⸣ misamunu] (もっと探ればよいのに)。 ッ⸢ふァヨーンヌ⸣ イ⸢シガンパラミチェー⸣ パンシ サ⸢グレーティ⸣ル ア⸢ラカ⸣リ [f⸢fajoːnnu⸣ ʔi⸢ʃigamparamiʧeː⸣ paŋʃi sa⸢gureː⸣tiru ʔa⸢raka⸣ri] (暗闇の中の石の多い道は、足で探りながら<ぞ>歩かれる)。 ⸣ティーシ サ⸢グリ [⸣tiːʃi sa⸢guri] (手で探れ) 6890 0 0 6579 htmvoc_6890.wav サクン ⸣サクン [⸣sḁkuŋ] 自動 咲く。花が咲く。花のつぼみ<蕾>が開く。「~時毎に佐加牟<サカム>花をし~。万、4314」の転訛したもの。 パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクン [pa⸢na⸣nu ⸣sḁkuŋ] (花が咲く)。 ⸣パナー マ⸢ダ⸣ サ⸢カ⸣ヌ [⸣panaː ma⸢da⸣ sḁ⸢ka⸣nu] (花はまだ咲かない)。 サ⸢キ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [sḁ⸢ki⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (咲くのが早い<咲き早い>)。 パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サク ⸣ピンマー カ⸢バッ⸣サン [pa⸢na⸣nu ⸣sḁku ⸣pimmaː ka⸢bas⸣saŋ] (花の咲くときは香ばしい)。 ⸢パー⸣ク ⸣サケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣sḁkeː ⸣misamunu] (早く咲けば良いのに)。 ⸣サキバ [⸣sḁkiba] (咲けよ)。 パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクン [pa⸢na⸣nu ⸣sḁkuŋ] (花が咲く)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣カー ⸣パナー サ⸢カ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːŋ⸣kaː ⸣panaː sḁ⸢ka⸣nu] (雨が降らないと花は咲かない)。 ⸣パナー ⸣サク ⸣クトー サ⸢クン⸣ドゥ シ⸢グ アイ⸣ ウ⸢ティ⸣ス [⸣panaː ⸣sḁku ⸣ku̥toː sḁ⸢kun⸣du ʃi⸢gu ʔai⸣ ʔu⸢ti⸣su] (花は咲くことは咲くが、すぐ散ってしまう)。 ⸢パー⸣ク ⸣サキ [⸢paː⸣ku ⸣sḁki] (早く咲け) 6891 0 1 6580 htmvoc_6891.wav サクン ⸣サクン [⸣sḁkuŋ] 他動 {Mn_1}裂く。細かく破り、引き離す。刃物で切り開く。 ⸣ブー ⸣サキティ ⸢ウー⸣ムン [⸣buː ⸣sḁkiti ⸢ʔuː⸣muŋ] (麻を裂いて紡ぐ)。裂く。引き破る。切り割る。「割、サク」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣ブー ⸣サクンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢ミー⸣ヤ ⸢ムイティ⸣ サ⸢カラ⸣ヌ [⸣buː ⸣sḁkunti ⸢beːn⸣du ⸢miː⸣ja ⸢muiti⸣ sḁ⸢kara⸣nu] (麻を裂こうとしているが、目は老眼になって一向に裂け<裂かれ>ない)。 ⸣サキ ⸣ミサカー ⸣サク ⸣クトー ナ⸢リ⸣スンダ ⸢パーク⸣ サケー ⸣ミサムヌ [⸣sḁki ⸣misakaː ⸣sḁku ⸣ku̥toː na⸢ri⸣sunda ⸢paː⸣ku ⸣sḁkeː ⸣misamunu] (裂いてよければ裂くことは出来のだから、早く裂けば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣サキ [jaː⸢dim⸣ ma⸢na⸣ma ⸣sḁki] (必ず今裂け)。 6891 0 2 6581 htmvoc_6891.wav サクン ⸣サクン [⸣sḁkuŋ] 他動 {Mn_2}二人の仲をむりやりに引き離す。 トゥ⸢ジブトゥヌ⸣ ナカー サ⸢ク⸣ナ [tu⸢ʤibutunu⸣ nakaː sḁ⸢ku⸣na] (夫婦仲を裂くな) 6926 0 0 6582 htmvoc_6926.wav サグン ⸣サグン [⸣saguŋ] 他動 下げる。下方へ垂らす。「さぐ(下二)」の転訛したもの。 カ⸢ジヌ スー⸣ヤンダ ⸢プー⸣ サグンティ ⸢スンドゥ⸣ ミ⸢ナーヌ⸣ カ⸢カ⸣リティ サ⸢ガラ⸣ヌ [ka⸢ʤinu suː⸣janda ⸢puː⸣ sagunti ⸢sundu⸣ mi⸢naːnu⸣ kḁ⸢ka⸣riti sa⸢gara⸣nu] (風が強いので帆を下げようとするが、水縄<みなわ>が引っかかって下げられない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣サギミサカー ⸣サグ ⸣クトー ⸣ナルン [⸢maː⸣bin ⸣sagi ⸣misakaː ⸣sagu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (もっと下げてよければ、下げることは出来る)。 ⸣サゲー ⸣ミサムヌ [⸣sageː ⸣misamunu] (下げればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣サギ [⸢paː⸣ku ⸣sagi] (早く下げよ) 6927 0 0 6583 htmvoc_6927.wav ザコー ⸣ザコー [⸣ʣakaː] 名 カツオの餌となる稚魚。「雑魚」の転訛したもの。 ⸢シー⸣ラ [⸢ʃiː⸣ra] (ミナスキビナゴ『原色沖縄の魚』{EOS}体長6~7センチ)。 バ⸢カザ⸣コー [ba⸢kaʣa⸣koː] (体長4~5センチ、体幅約3ミリの細長い鰯の稚魚{EOS}最も一般的なカツオの餌) ガ⸢サガ⸣サー [ga⸢saga⸣saː] (熱帯魚の稚魚{EOS}下級の餌))。 サ⸢ネー⸣ラ [sa⸢neː⸣ra] (最上級の餌{EOS}ム⸢レー⸣ジ{SqBr}mu⸢reː⸣ʤi{/SqBr}(グルクン)の稚魚といわれ、深い海底の岩の穴<巣>に棲息する)。 カ⸢ツシンマー⸣ シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸣ザコー ⸣トゥリティ ⸣ウケー ン⸢ゾーッ⸣タ [ka⸢ʦuʃimmaː⸣ ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸣ʣakoː ⸣turiti ⸣ʔukeː ʔn⸢ʣu⸣ta] (カツオ漁船は朝早く雑魚<カツオの餌>と捕って沖へ出た) 6928 0 0 6584 htmvoc_6928.wav ザコーカグ ザ⸢コー⸣カグ [ʣa⸢koː⸣kagu] 名 餌籠。鰹の餌となる稚魚を活けておく竹製の大きな籠。幅約1、5メートル、長さ約2メートル、深さ約1、5メートルの竹製の籠。石垣島の餌取り専門の糸満漁師が使用した。鳩間島の漁師は自前で餌取りをした。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ツシンマー⸣ ザ⸢コー⸣カグ シゥ⸢カーンシェン [p⸢tuama⸣nu kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʣa⸢koː⸣kagu si̥⸢kaːŋʃeŋ] (鳩間島のカツオ漁船は餌を活ける籠を使わなかった) 6929 0 0 6585 htmvoc_6929.wav ザコートゥリ ザ⸢コー⸣トゥリ [ʣa⸢koː⸣turi] 名 カツオ漁の餌取り。島の前の⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)の周辺海域、西表島北岸一帯の干瀬の周りで餌取りをした。石垣島の漁船のように、漁師による専属のザ⸢コー⸣トゥヤー[ʣa⸢koː⸣tujaː](餌取り)がいないので、乗組員全員で餌取りをして出漁した。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ツシンマー⸣ ザ⸢コー⸣トゥレー ヤ⸢トーン⸣シェン [pḁ⸢tuma⸣nu kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʣa⸢koː⸣tureː ja⸢toːŋ⸣ʃeŋ] (鳩間のカツオ漁船は、専属の餌取りは雇わなかった) 6930 0 0 6586 htmvoc_6930.wav ザコーバ ザ⸢コー⸣バ [ʣa⸢koː⸣ba] 名 カツオの餌<生餌。雑魚>を獲る場所。餌取り場。「雑魚場」の転訛したもの。 ⸢キュー⸣ヌ ザ⸢コー⸣バー ⸣マーヤ [⸢kjuː⸣nu ʣa⸢koː⸣baː ⸣maːja] (今日の餌取り場はどこか) 6931 0 0 6587 htmvoc_6931.wav ザコーバチ ザ⸢コー⸣バチ [ʣa⸢koː⸣baʧi] 名 カツオの餌<生餌。雑魚>を入れる木製の枡形の容器。「雑魚鉢」の義。カツオ漁船がカツオの魚群に船をつけて撒き餌をする際に、活け間(生け簀)より生餌をタ⸢ブ[ta⸢bu](たも網)で掬って入れる木の容器。 ザ⸢コー⸣バチナ ⸣ザコー ス⸢クイ⸣ イ⸢リ⸣バ [ʣa⸢koː⸣baʧina ⸣ʣakoː su̥⸢kui⸣ ʔi⸢ri⸣ba] (生餌を入れる木鉢<雑魚鉢>に生餌を入れなさいよ) 6932 0 0 6588 htmvoc_6932.wav サザミナ ⸣サザミナ [⸣saʣamina] 名 (動)貝の名。リュウテン科。和名チョウセンサザエ。さざえ(栄螺)。貝殻は拳の大きさで、殻口は丸い。直径約3センチ大の、石灰質で硬く渦巻き状に形成された円形の蓋(ウブシ⸢ケー⸣マ{SqBr}ʔubuʃi̥⸢keː⸣ma{/SqBr}<満月形のおはじき玉>)を有する。子供は、このウブシ⸢ケー⸣マ[ʔubuʃi̥⸢keː⸣ma]でおはじきをして遊ぶ。肉は煮たり茹でたりして食すると美味である。殻は終戦後までは貝ボタンの材料として輸出されていたが、プラスチック製品が出回るようになって昭和30年中期ごろには売れなくなった。 イ⸢ソー シン⸣ パルカー ⸢ピーヌ⸣クシナー ⸣サザミナー ⸣ユー プ⸢サーリタン [ʔi⸢soː ʃim⸣ parukaː ⸢piːnu⸣ku̥ʃinaː ⸣saʣaminaː ⸣juː pu̥⸢saːritaŋ] (漁り<潮干狩り>をしに行くと干瀬の上では、さざえ貝はよく拾われた)。 ⸣サザミナ プ⸢サイ⸣ クー⸢ディー [⸣saʣamina pu̥⸢sai⸣ kuː⸢diː] (さざえ貝を拾ってこようよ) 6937 0 0 6589 htmvoc_6937.wav サシ ⸣サシ [⸣saʃi] 名 錠。錠前。老年層のことば。 ⸣サシ イ⸢リルン [⸣saʃi ʔi⸢riruŋ] (鍵を掛ける<錠をおろす{EOS}鍵を入れる>) 6939 0 0 6590 htmvoc_6939.wav サジ ⸣サジ [⸣saʤi] 名 てぬぐい(手拭)。鉢巻き。顔や手、体を拭う布。「割出、サイデ、布切也」『易林本節用集』の転訛したものか。⸢ティーッス⸣ル[⸢tiːssu⸣ru](手拭き)ともいう。女性はサジを広げて「姉さん被り」にし、その上に⸣シケー[⸣ʃi̥keː](揺り輪{EOS}頭上運搬の際のクッション)を置いて芋の入った笊や米俵などを頭上に載せて運んだ。男は手拭を頭に巻いて用いた。 ⸣サジシ ⸢コーガー⸣キ ⸢サン⸣カー ア⸢ツァ⸣ヌ ⸣ティダナカナー シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣saʤiʃi ⸢koːgaː⸣ki ⸢saŋ⸣kaː ʔa⸢ʦa⸣nu ⸣tidanakanaː ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (手拭で頬被りしないと暑くて、強い日差しの中では、仕事は出来ない)。 ⸣サジ ス⸢ブ⸣リティ ⸣ドゥー ッ⸢スリ [⸣saʤi su⸢bu⸣riti ⸣duː s⸢suri] (手拭を絞って体を拭きなさい) 6940 0 0 6591 htmvoc_6940.wav サジ ⸣サジ [⸣saʤi] 名 さじ(匙)。標準語からの借用語。スプーン。普通は⸣ガイ[⸣gai](匙)という。 ⸢カイヤー⸣ サジシ ス⸢クイティ⸣ ヌ⸢マ⸣シバ [⸢kaijaː⸣ ⸣gaiʃi su̥⸢kuiti⸣ nu⸢ma⸣ʃiba] (お粥は匙で掬って飲ましなさいよ)。 サ⸢ジ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸢パー⸣シ ユ⸢ナ⸣コー ス⸢クイ⸣バ [sa⸢ʤi⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ga⸢ʤimaru⸣nu ⸢paː⸣ʃi ju⸢na⸣koː su̥⸢kui⸣ba] (匙がなければガジマル<木容樹>の葉で麦焦がしは掬いなさいよ) 6933 0 0 6592 htmvoc_6933.wav サシカジ サ⸢シカ⸣ジ [sḁ⸢ʃika⸣ʤi] 名 帆船の長い舵。着脱自由な舵で泊中は抜いて船上に上げておき、帆走する際に舵穴に差し込んで使った。「差し舵」の義か。 ⸢プーシンヌ⸣ カ⸢ジェー⸣ サ⸢シカ⸣ジ ヤ⸢ルンダ⸣ ミ⸢ナトゥ⸣ナーテー ⸣ヌイティ ⸢アンギ⸣ ス⸢ク⸣タ [⸢puːʃinnu⸣ ka⸢ʤeː⸣ sḁ⸢ʃika⸣ʤi ja⸢runda⸣ mi⸢natu⸣naːteː ⸣nuiti ⸢ʔaŋgi⸣ su̥⸢ku⸣ta] (帆船の舵は差込式の舵だから、港では抜き取って上げておいた) 6941 0 0 6593 htmvoc_6941.wav サジカブン ⸣サジ ⸣カブン [⸣saʤi ⸣kabuŋ] 連 タオルを頭に巻く。タオルを被る。 ⸢ピー⸣ヤカー ⸣サジ ⸣カブン [⸢piː⸣jakaː ⸣saʤi ⸣kabuŋ] (寒かったらタオルを被る) 6942 0 0 6594 htmvoc_6942.wav ザシキ ⸢ザシ⸣キ [⸢ʣaʃi̥⸣ki] 名 座敷。普通は、⸣ザー[⸣ʣaː](座)という。イ⸢チバン⸣ザー[ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː](一番座)、⸢ニーバン⸣ザー[⸢niːban⸣ʣaː](二番座)のように、来客を接待する部屋。 ⸢コー⸣チョーシンシー ⸢ザシ⸣ケー ⸢アン⸣ナイ ッ⸢サリ [⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiː ⸢ʣaʃi̥⸣keː ⸢ʔan⸣nai s⸢sari] (校長先生を座敷へご案内申し上げなさい)。 ⸣シザウヤンケーヤ ⸢ウイヌ ザシ⸣ケー シゥ⸢カシ [⸣ʃiʣaʔujaŋkeːja ⸢ʔuinu ʣaʃi̥⸣keː si̥⸢kaʃi] (長老方は上座の方へご案内<お通し>しなさい)。 ⸢ザシキ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢オー⸣ルン [⸢ʣaʃi̥ki⸣nu ⸢pit⸣ʧim pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢ʔoːru⸣ŋ] (座敷一杯人が集まっておられる) 6943 0 0 6595 htmvoc_6943.wav サシゲタ サ⸢シゲ⸣タ [sa⸢ʃige⸣ta] 名 さしげた(差下駄)。標準語からの借用語。高下駄。歯の高い下駄。戦後の一時期まで若者の間に流行していた。普通は、タ⸢カアシ⸣ツァ[ta⸢kaʔaʃi⸣ʦa](高下駄)という。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー サ⸢シゲ⸣タ フ⸢ミ⸣ パリバ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː sa⸢ʃige⸣ta ɸu⸢mi⸣ pariba] (雨が降ったら差下駄を履いて行けよ) 6949 0 0 6596 htmvoc_6949.wav サシシゥカイ ⸣サシシゥカイ [⸣sḁʃisi̥kai] 名 差し支え。支障。標準語から転訛したもの。 ⸣サシシゥカイヌ ⸣アルカー パ⸢ナサン⸣タンティン ⸣ミサン [⸣saʃisi̥kainu ⸣ʔarukaː pa⸢nasan⸣tantim ⸣misaŋ] (差支えがあったら話さなくても良い) 6950 0 0 6597 htmvoc_6950.wav サシシゥカイルン サ⸢シシゥカイ⸣ルン [sa⸢ʃisï̥kai⸣ruŋ] 自動 差し支える。都合が悪くなる。妨げとなる。 ⸢ワー クーン⸣カー シ⸢グトゥ⸣ナー サ⸢シシゥカイ⸣ルンティ ア⸢ゾーッタン⸣ドゥ サ⸢シシゥカイラン⸣ パジ [⸢waː kuːŋ⸣kaː ʃi⸢gutu⸣naː sa⸢ʃisï̥kai⸣runti ʔa⸢ʣoːttan⸣du sa⸢ʃisï̥kairam⸣paʤi] (君が来なかったら仕事に差し支えると言われたが、差し支えないはずだ)。 ⸢クン⸣ドー サシ⸢シゥカイ⸣ヤー ⸢ナーヌ⸣ヌ<⸢ナーン⸣シェヌ> ⸣アツァン カ⸢ギル⸣カー サ⸢シシゥカイ⸣ル ⸣クトゥン ⸣アン パジ⸢ダー [⸢kun⸣doː sa⸢ʃisï̥kai⸣jaː ⸢naːnu⸣nu<⸢naːŋ⸣ʃenu> ⸣ʔaʦaŋ ka⸢giru⸣kaː sa⸢ʃisï̥kai⸣ru ⸣kutuŋ ⸣ʔam ⸣paʤi⸢daː] (今度は差し支えはないが、明日も欠席する<欠ける>と差し支えることもあるはずだよ) 6938 0 0 6598 htmvoc_6938.wav サシヌッふァ サ⸢シ⸣ヌ ッ⸢ふァ [sa⸢ʃi⸣nu f⸢fa] 連 鍵。「錠(鎖)の子」の義。錠の孔に差し入れてこれを開閉する道具。 サ⸢シ⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ シ⸢トゥーン⸣ヨーニ ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ヨー [sḁ⸢ʃi⸣nu f⸢faː⸣ ʃi̥⸢tuːɲ⸣joːni ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiː⸣joː] (鍵<錠の子>を無くさないように<捨てないように{EOS}紛失しないように>大切に<可惜しさ>しなさい) 6944 0 0 6599 htmvoc_6944.wav サジヌナイ サ⸢ジ⸣ヌ ⸣ナイ [sa⸢ʤi⸣nu ⸣nai] 連 手拭の長さ。短いものの比喩表現。 ⸢ウイヌムラテイ⸣ ア⸢ザバン⸣ サ⸢ジ⸣ヌ ⸢ナイ⸣ル ⸣アル ダン⸢ティ ギーッティ⸣ クー [⸢ʔuinumurati⸣ ʔa⸢ʣaban⸣ sa⸢ʤi⸣nu ⸢nai⸣ru ⸣ʔaru dan⸢ti giːtti⸣ kuː] (上の村といっても手拭の長さぐらいの<手拭の長さぞある>ところだ{EOS}さっと行ってこい) 6945 0 0 6600 htmvoc_6945.wav サシマタ サ⸢シ⸣マタ [sa⸢ʃi⸣mata] 名 鍬形。兜の前立て物として用いられた、慈姑<くわい>の形を切り抜いて頭飾としたもの。 ⸢プー⸣ルナー ⸣ボー ⸣ウトゥ ⸣ピンマー ビ⸢キドゥモー⸣ ス⸢ブ⸣ルナ ハ⸢チマ⸣キ ⸣シミティ ⸢ウン⸣ナー サ⸢シ⸣マタ ッ⸢ソーッ⸣タ [⸢puː⸣runaː ⸣boː ⸣ʔutu ⸣pimmaː bi⸢kidumoː⸣ su⸢bu⸣runa hḁ⸢ʧima⸣ki ⸣ʃimiti ⸢ʔun⸣naː sḁ⸢ʃi⸣mata s⸢soːt⸣ta] (豊年祭に棒を打つ<棒踊りをする>時は、男は頭に鉢巻をしめて、それにサシマタ<鍬形>を差し込まれた) 6946 0 0 6601 htmvoc_6946.wav サシムヌ サ⸢シ⸣ムヌ [sḁ⸢ʃi⸣munu] 名 さしもの(指物)。たんす(箪笥)、長持、お膳、重箱など。釘を用いず、板を差し合わせて作った器具。 サ⸢シ⸣ムノー イ⸢サナキヌ⸣ サ⸢シ⸣ムヌヤーナー⸣ル ス⸢クラ⸣ソーッタ [sḁ⸢ʃi⸣munoː ʔi⸢sanakinu⸣ sḁ⸢ʃi⸣munujaːnaːru su̥⸢kura⸣soːtta] (指物は石垣島の指物屋で<ぞ>作らされた) 6947 0 0 6602 htmvoc_6947.wav サシムヌザイク サ⸢シ⸣ムヌザイク [sḁ⸢ʃi⸣munuʣaiku] 名 指物細工。指物師。 カ⸢レー⸣ サ⸢シ⸣ムヌザイク ヤ⸢ルンダ ティー⸣ヤ イッ⸢ケナ⸣ ク⸢マー⸣ン [ka⸢reː⸣ sḁ⸢ʃi⸣munuʣaiku ja⸢runda tiː⸣ja ʔik⸢kena⸣ ku⸢maː⸣ŋ] (あの人は指物細工だから技術<腕>は緻密である<細かい>) 6948 0 0 6603 htmvoc_6948.wav サシムヌヤー サ⸢シ⸣ムヌヤー [sḁ⸢ʃi⸣munujaː] 名 指物細工。「指物屋」の義。指物師は、鳩間島にはいなかった。細工の心得のある者が自己流に調度品を作っていた。石垣島には、サ⸢シ⸣ムヌヤー[sḁ⸢ʃi⸣munujaː](指物屋)やギ⸢リギリ⸣ヤー[gi⸢rigiri⸣jaː](挽物屋{EOS}轆轤で挽いて食器類を作る所)があった。 サ⸢シ⸣ムヌヤーナ ジ⸢ブク⸣トゥ ⸢ジンバ⸣ ア⸢チ⸣ライ ⸣シケー [sḁ⸢ʃi⸣munujaːna ʤi⸢buku⸣tu ⸢ʣimba⸣ ʔa⸢ʧi⸣rai ⸣ʃi̥keː] (指物屋に重箱とお膳を注文して<誂えて>おいてある) 6951 0 0 6604 htmvoc_6951.wav サシン ⸣サシン [⸣saʃiŋ] 名 写真。 ⸣サシン ウ⸢ツァ⸣スン [⸣saʃiŋ ʔu⸢ʦa⸣suŋ] (写真を写す<撮影する>) 6952 0 0 6605 htmvoc_6952.wav サタ ⸣サタ [⸣sḁta] 名 噂。風評。評判。世間の取り沙汰。「沙汰」の義。 ⸣アガヤー プ⸢スヌ⸣ フ⸢チ⸣ナー ⸢ヌーリ⸣ サタ シ⸢ラリ⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸣ʔagajaː pu̥⸢sunu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣naː ⸢nuːri⸣ sḁta ʃi⸢rari⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (ああ{EOS!}人の噂話の話題になって<人の口にのぼって>、いろいろ取り沙汰されて残念だ)。 プ⸢スン⸣ サタ シ⸢ラルン⸣ヨーシ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣キ [pu̥⸢sun⸣ sḁta ʃi⸢raruɲ⸣joːʃi ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki] (世間の人に取り沙汰されぬように、しっかりしてあるけ) 6953 0 0 6606 htmvoc_6953.wav サタ ⸣サタ [⸣sḁta] 名 砂糖。ッ⸢ふ⸣サタ[f⸢fu⸣sḁta](黒糖)、ッ⸢ス⸣サタ[s⸢su⸣sḁta](白糖)、ザ⸢ラ⸣メー[ʣa⸢ra⸣meː](粗目糖)などがあった。 ッ⸢ふ⸣サター ⸢シン⸣ザ ス⸢ブ⸣リティ ⸣シル タ⸢キティ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [f⸢fu⸣sḁtaː ⸢ʃin⸣ʣa su⸢bu⸣riti ⸣ʃiru tḁ⸢kiti⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (黒糖は砂糖黍を搾って、汁を炊いて<煮て>造られた) 6965 0 0 6607 htmvoc_6965.wav サタ ⸣サタ [⸣sata] 名 砂糖。ッ⸢ス⸣サタ[s⸢su⸣sata](白砂糖)、ッ⸢ふ⸣サタ[f⸢fu⸣sata](黒砂糖)、ザ⸢ラ⸣ミ[ʣa⸢ra⸣mi](ざらめ<粗目>糖)の総称。戦前の一時期、鳩間島にも製糖組合が結成されて黒糖生産をしていた。戦前には台湾からザ⸢ラ⸣ミ[ʣa⸢ra⸣mi](ざらめ糖)が輸入されていた。 ⸣サタ ⸣タルン [⸣sata ⸣taruŋ] (砂糖黍の汁を加熱して黒砂糖を製造する)。 ッ⸢ふ⸣サタ ⸣タリティ ン⸢ガフチル⸣トゥ マ⸢ザー⸣シ ヌ⸢マ⸣シバ [f⸢fu⸣sata ⸣tariti ʔŋ⸢gaɸuʧiru⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi nu⸢ma⸣ʃiba] (黒砂糖を溶かして苦い薬と混ぜて飲ませよ) 6954 0 0 6608 htmvoc_6954.wav サタグルマ ⸣サタグルマ [⸣sḁtaguruma] 名 砂糖黍圧搾機。「砂糖車」の義。砂糖黍を圧搾して汁を搾る歯車。三連の歯車の梶棒を牛に牽かせて回し、歯車の間に砂糖黍を差し込んで搾った汁を釜に入れ、煮込んで黒糖を製造した。 ⸣サタグルマシ ⸢シン⸣ザ ス⸢ブ⸣ルン [⸣sḁtagurumaʃi ⸢ʃin⸣ʣa su⸢bu⸣ruŋ] (砂糖車で砂糖黍を搾る<圧搾する>) 6966 0 0 6609 htmvoc_6966.wav サタゾーグ ⸣サタゾーグ [⸣sḁtaʣoːgu] 名 砂糖が大好きな者。「砂糖上戸」の義。 バ⸢カーン⸣ケンラ ⸣サタゾーグ ヤ⸢レー⸣ティ ⸢パー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ フ⸢トゥッチ⸣パー ⸣ナリ ⸢ベー [ba⸢kaːŋ⸣kenra ⸣sḁtaʣoːgu ja⸢reː⸣ti ⸢paː⸣ja muː⸢ru⸣ ɸu̥⸢tutʧi⸣paː ⸣nari ⸢beː] (若い頃から砂糖が大好き<砂糖上戸>だったから、歯は全部虫歯になっている) 6968 0 0 6610 htmvoc_6968.wav サタタムヌ ⸣サタタムヌ [⸣sḁtatamunu] 名 製糖用の薪。 ⸣サタタムノー ⸢パイター⸣ラ プ⸢サイ⸣ トゥ⸢ゴーッ⸣タ [⸣sḁtatamunoː ⸢paitaː⸣ra pu̥⸢sai⸣ tu⸢goːt⸣ta] (製糖用の薪は南端<西表島>から拾って持ってこられた) 6969 0 0 6611 htmvoc_6969.wav サタタリ ⸣サタタリ [⸣sḁtatari] 名 製糖。砂糖黍の汁を煮込んで黒糖を製造すること。「砂糖・垂れ」の転訛したものか。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸣サタタリ シ⸢グトー セイコー サンシェン⸣ツォー [pḁ⸢tuma⸣nu ⸣sḁtatari ʃi⸢gutoː ʃeikoː saŋʃen⸣ʦoː] (鳩間島での製糖業<砂糖を製造する仕事>は成功しなかったそうだ) 6967 0 0 6612 htmvoc_6967.wav サタタリジブン ⸣サタ タ⸢リ⸣ジブン [⸣sḁta ta⸢ri⸣ʤibuŋ] 連 砂糖を製造する時期。製糖期。「砂糖垂れ時分」の転訛したものか。 ⸣サタ タ⸢リ⸣ジブン ⸣ナルカー ⸣サタ ⸣タル カ⸢ザヌ⸣ イッ⸢ケン⸣ カ⸢バッ⸣サタン [⸣sḁta ta⸢ri⸣ʤibun ⸣narukaː ⸣sḁta ⸣taru ka⸢ʣanu⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ka⸢bas⸣sataŋ] (製糖期になると砂糖黍の煮汁の匂いが非常に香ばしかった) 6970 0 0 6613 htmvoc_6970.wav サタダル ⸣サタダル [⸣sḁtadaru] 名 砂糖樽。黒砂糖を入れる樽。 ッ⸢ふ⸣サター ⸣サタダルナール ⸣シミティ イ⸢サナケー⸣ ウ⸢クローッ⸣タ [f⸢fu⸣sataː ⸣satadarunaːru ⸣ʃimiti ʔi⸢sanakeː⸣ ʔu⸢kuroːt⸣ta] (黒砂糖は、砂糖樽に<ぞ>詰めて石垣へ送られた) 6971 0 0 6614 htmvoc_6971.wav サタタルン ⸣サタ ⸣タルン [⸣sḁta ⸣taruŋ] 連 黒砂糖を製造する。 プ⸢ス⸣パナー パ⸢トゥ⸣マナーン ⸣サタ ⸣タルンティ ク⸢ミ⸣アイ ス⸢ク⸣ローッタティ ス⸢ヌ ダーッ⸣サー ⸢ナーン⸣シェンツォー [pu̥⸢su⸣panaː pḁ⸢tu⸣manaːn ⸣sḁta ⸣tarunti ku⸢mi⸣ai su̥⸢ku⸣roːttati su⸢nu daːs⸣saː ⸢naːŋ⸣ʃenʦoː] (一時期は鳩間島にも黒糖を製造しようと組合を作られたというが、うまくいかなかったそうだ) 6972 0 0 6615 htmvoc_6972.wav サタティンプラ ⸣サタティンプラ [⸣sḁtatimpura] 名 砂糖テンプラ。小麦粉を水に溶いて鶏卵を掻き混ぜ、それに黒糖を鉋で削って加え、味付けして鶏卵の大きさに成形し、脂鍋で揚げたもの。普通は直径約4センチほどのボール状に揚げる。上部に裂け目が生じるように揚げるのが良いといわれている。祝儀の際は、ソフトボール大に揚げて目出度さを表現する習慣がある。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸣サタティンプラン ア⸢ゴーッ⸣タン [⸢joi⸣nu ⸣pimmaː ⸣sḁtatimpuraŋ ʔa⸢goːt⸣taŋ] (お祝いの時は砂糖テンプラも揚げられた) 6973 0 0 6616 htmvoc_6973.wav サタナビ ⸣サタナビ [⸣satanabi] 名 黒砂糖を作るのに使用する大鍋。 ⸢カーヌ⸣ マンタナー ⸣サタヤーバ ス⸢ク⸣リ ⸣ウナー⸣ サタナビバ ビ⸢シティ⸣ サター タ⸢ローッ⸣タ [⸢kaːnu⸣ mantanaː ⸣satajaːba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔunaː ⸣satanabiba bi⸢ʃiti⸣ sataː su̥⸢ku⸣roːtta] (西村の井戸の前に砂糖小屋を作って、そこに砂糖鍋を据えて砂糖を作られた) 6974 0 0 6617 htmvoc_6974.wav サタニー ⸣サタニー [⸣sataniː] 名 ぜんざい。「砂糖煮」の義。緑豆(やえなり)と黒砂糖を煮て白玉餅を加えたもの。戦後は⸢ジェン⸣ザイ[⸢ʤen⸣ʣai]というようになった。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ⸣サタニー バ⸢カシ ッふァーソーッ⸣タン [ma⸢rukeːti⸣naː ⸣sataniː ba⸢kaʃi ffaːsoːt⸣taŋ] (稀にゼンザイを炊いて食べさせられた) 6975 0 0 6618 htmvoc_6975.wav サタパンビン ⸣サタパンビン [⸣satapambiŋ] 名 砂糖てんぷら。小麦に卵を加えて練り、黒砂糖を削って混ぜ合わせ、直径3~4センチの球形に手で搾り出し、油で揚げたもの。⸣サタティンプラ[⸣satatimpura](砂糖てんぷら)ともいう。祝儀の時に作った。 ⸣サタパンビンマー ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピンナール ⸣ユー ス⸢ク⸣ローッタ [⸣sḁtapambimmaː ⸢joi⸣nu ⸣pinnaːru ⸣juː su̥⸢ku⸣roːtta] (砂糖てんぷらは、お祝いのときによく作られた) 6976 0 0 6619 htmvoc_6976.wav サダマルン サ⸢ダ⸣マルン [sa⸢da⸣maruŋ] 自動 定まる。確定する。きまる。「~大君にまつらふものと定有<サダマレル>~。万、4214」の転訛したもの。キ⸢マルンとも言う。 ア⸢ツァバー⸣キナ ⸢タール⸣ ス⸢ク⸣ルティ サ⸢ダ⸣マルンテー ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔa⸢ʦabaː⸣kina ⸢taːru⸣ su̥⸢ku⸣ruti sa⸢da⸣marunteː ʔu⸢moːra⸣nu] (明日までに誰が作ると決まるとは思われない)。 ⸣ヤー シ⸢ギプソー ナンク⸣ル サ⸢ダマ⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ サ⸢ダマラン⸣バン [⸣jaː ʃi⸢gi⸣ pu̥⸢soː naŋku⸣ru sa⸢dama⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da⸣ sa⸢damaram⸣baŋ] (家を継ぐ人は、自然と<自ずから>定まると思ったが、まだ定まらないわい)。 キサー⸢ティ⸣ サ⸢ダマリ⸣ ブー [ki̥saː⸢ti⸣ sa⸢damari⸣ buː] (既に決まっている)。 サ⸢ダマ⸣ル ⸣ピンマー イ⸢チ⸣カヤー [sa⸢dama⸣ru ⸣pimmaː ʔi⸢ʧi⸣kajaː] (決まる時は何時かね)。 サ⸢ダマ⸣レー ⸣ミサムヌ [sa⸢dama⸣reː ⸣misamunu] (決まれば良いのに) 6956 0 1 6620 htmvoc_6956.wav サダミ サ⸢ダ⸣ミ [sa⸢da⸣mi] 名 {Mn_1}定め。決定。 ム⸢ラヌ⸣ サ⸢ダ⸣ミ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢カター ナー⸣ヌ シゥ⸢カン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢ranu⸣ sa⸢da⸣mi ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢kataː naː⸣nu sï̥⸢kaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (村の定め<決定>だからし方がない{EOS}聞かないといけない)。定め。決定。決まり。おきて。規則。 ム⸢カ⸣シェーラヌ ム⸢ラヌ⸣ サ⸢ダ⸣ミ ヤ⸢ルンダ⸣ マ⸢ム⸣リ⸢ヨー [mu⸢ka⸣ʃeːranu mu⸢ranu⸣ sa⸢da⸣mi ja⸢runda⸣ ma⸢mu⸣ri⸢joː] (昔からの村の決まり<おきて>だから、守りなさいよ)。 6956 0 2 6621 htmvoc_6956.wav サダミ サ⸢ダ⸣ミ [sa⸢da⸣mi] 名 {Mn_2}運命。 ⸣ヌンティル ⸢オーパ⸣ヤー シ⸢ヌタ⸣カヤーティ ⸢ピーズ⸣ キ⸢ム⸣バ ヤ⸢マ⸣シ ⸢オーッタン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ウ⸢ビ⸣ヌ サ⸢ダミ⸣ル ヤ⸢レー⸣ルティ ⸢シー⸣ ウ⸢ムイ⸣キシ ⸢オー⸣ルツォー [⸣nuntiru ⸢ʔoːpa⸣jaː ʃi⸢nuta⸣kajaːti ⸢piːʣu⸣ ki⸢mu⸣ba ja⸢ma⸣ʃi ⸢ʔoːttan⸣du ma⸢na⸣maː ʔu⸢bi⸣nu sa⸢dami⸣ru ja⸢reː⸣ruti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢mui⸣kiʃi ⸢ʔoː⸣ruʦoː] (何故そんなに早く死んだのだろかと、毎日心を痛めて悲しんでおられたが、今はそれだけの運命<定め>であったのだろうと諦めて<思い切って>おられるそうだ)。運命。 ⸢マー⸣ ン⸢ベーマ スー⸣カー ⸢ピャー⸣ク ナ⸢ローリ⸣ シタヌ ウ⸢リル⸣ サ⸢ダ⸣ミ ヤ⸢ロー⸣レール [⸢maː⸣ ʔm⸢beːma suː⸣kaː ⸢pjaː⸣ku na⸢roːri⸣ ⸣ʃi̥tanu ʔu⸢riru⸣ sa⸢da⸣mi ja⸢roː⸣reːru] (もう少ししたら百歳になられたのだが、それが定め<運命>であられたのでしょう) 6957 0 0 6622 htmvoc_6957.wav サダミティ サ⸢ダミ⸣ティ [sa⸢dami⸣ti] 副 定めて。きっと。かならず。間違いなく。おそらく。 ユ⸢ミヌ⸣ ア⸢サ⸣ニビーラル サ⸢ダミ⸣ティ ⸢ヤームンドー⸣ヤ ウ⸢ク⸣ルティ ム⸢カ⸣シムネー ⸣アル [ju⸢minu⸣ ʔa⸢sa⸣nibiːraru sa⸢dami⸣ti ⸢jaːmundoː⸣ja ʔu⸢ku⸣ruti mu⸢ka⸣ʃimuneː ⸣ʔaru] (嫁の朝寝坊から<ぞ>、必ず家内騒動は起ると昔の諺にある) 6958 0 0 6623 htmvoc_6958.wav サダミルン サ⸢ダミ⸣ルン [sa⸢dami⸣ruŋ] 他動 定める。決める。キ⸢ミルン、キ⸢ムンとも言う。 ⸢ウイダル⸣ヌ ⸣クトー ⸢ベーカーニ⸣シ サ⸢ダミ⸣ルンティ シ⸢タンティン⸣ サ⸢ダミララ⸣ヌ [⸢ʔuidaru⸣nu ⸣ku̥toː ⸢beːkaːni⸣ʃi sa⸢dami⸣runti ʃi̥⸢tantin⸣ sa⸢damirara⸣nu] (神行事のことは我々だけで決めようとしても決められない)。 サ⸢ダミ⸣ル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢ベーカーニ⸣シ サ⸢ダ⸣ミ ⸣ミサンカヤー [sa⸢dami⸣ru pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢beːkaːni⸣ʃi sa⸢da⸣mi ⸣misaŋkajaː] (決める人がいないなら、我々だけで決めていいのかねえ)。 ⸢パー⸣ク サ⸢ダミ⸣リ [⸢paː⸣ku sa⸢dami⸣ri] (早く決めれ)。 ⸢ワターカーニ⸣シ サ⸢ダミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢wataːkaːni⸣ʃi sa⸢dami⸣reː ⸣misamunu] (君たちだけで決めればいいのに) 6959 0 0 6624 htmvoc_6959.wav サダムン サ⸢ダ⸣ムン [sa⸢da⸣muŋ] 他動 定める。「さだむ(定む)、下二段活用」の四段活用化したもの。「上つ毛野 佐野田の苗の占なへに許登波佐太米都『万葉集 3418』」の義。 ピ⸢ニチェー⸣ ドゥーシ サ⸢ダ⸣ミ ⸣ミサム⸢ヌ⸣ユー ア⸢ティンガーラヌ [pi⸢niʧeː⸣ duːʃi sa⸢da⸣mi ⸣misa mu⸢nu⸣juː ʔa⸢tiŋgaːranu] (日程<日にち>は自分で決めてよいものか見当がつかない)。 ⸢タンガ⸣シ サ⸢ダ⸣ム ⸣ピンマー ⸢ダンダン⸣シ サ⸢ダ⸣ミバ [⸢taŋga⸣ʃi sa⸢da⸣mu ⸣pimmaː ⸢dandaŋ⸣ʃi sa⸢da⸣miba] (一人で決めるときは、さっさと決めよ)。 ク⸢トゥシヌ イー⸣シトゥリヌ ピ⸢ニチ⸣ サ⸢ダ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー サ⸢ダマラン⸣バ ⸣アトーラ サ⸢ダ⸣ミバ [ku̥⸢tuʃinu ʔiː⸣ʃiturinu pi⸢niʧi⸣ sa⸢da⸣munti ⸢sundu⸣ ma⸢na⸣maː sa⸢damaram⸣ba ⸣ʔatoːra sa⸢da⸣miba] (今年のツノマタ採取の日を定めようとするが、定まらないから、後で定めなさいよ)。 ⸢パー⸣ク サ⸢ダ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku sa⸢da⸣meː ⸣misamunu] (早く決めればよいのに) 6979 0 0 6625 htmvoc_6979.wav サタユー ⸣サタユー [⸣satajuː] 名 「砂糖湯」の義。黒砂糖や氷砂糖をお湯に溶かし、生姜汁を加えた飲み物。風邪で体力が落ちたり、喉の痛みがある時などに鎮痛用、体力回復用として飲ませた。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マリティ⸣ ヌ⸢ドゥ⸣ヌ ⸣ヤム ⸣ピン ⸣サタユー ヌ⸢マ⸣スカー ⸢ノー⸣ルン [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢mariti⸣ nu⸢du⸣nu ⸣jamu ⸣pin ⸣sḁtajuː nu⸢ma⸣sukaː ⸢noː⸣ruŋ] (風邪に罹って喉が痛むとき砂糖湯を飲ませる治る) 6980 0 0 6626 htmvoc_6980.wav サタラ サ⸢タ⸣ラ [sḁ⸢ta⸣ra] 名 一房。バナナの実が一茎に群がり生じているものを数える単位。 バ⸢サン⸣ナル プ⸢スサタ⸣ラ ⸣キシ ⸣シトゥ ム⸢タ⸣シバ [ba⸢san⸣naru pu̥⸢susata⸣ra ⸣ki̥ʃi ⸣ʃi̥tu mu⸢ta⸣ʃiba] (バナナを一房切ってお土産に持たせてあげなさいよ) 6960 0 0 6627 htmvoc_6960.wav ザッカザッカ ⸣ザッカザッカ [⸣ʣakkaʣakka] 副 湿っている状態の形容(擬態語)。じとじと。じめじめ。 ⸢ナーアミヌ フー⸣ター パ⸢タ⸣ケー ⸣ザッカザッカ ⸢シー ペーララ⸣ヌ [⸢naːʔaminu ɸuː⸣taː pḁ⸢ta⸣keː ⸣ʣakkaʣakka ⸢ʃiː peːra⸣ranu] (長雨が降ったので畑はじめじめして入られない)。 ⸢マー⸣ソー ⸣ザッカザッカ ⸢スン⸣ケン シ⸢ミッケー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢maː⸣soː ⸣ʣakkaʣakka ⸢suŋ⸣keŋ ʃi⸢mikkeː⸣ri ⸢naː⸣nu] (塩はじとじとするほど湿ってしまった) 6961 0 0 6628 htmvoc_6961.wav サッコー ⸢サッ⸣コー [⸢sak⸣koː] 副 非常に。大層。甚だしく。あまりに。法外に。過度に。 ウ⸢レー サッ⸣コー ユ⸢コー⸣ユンダ ⸣イッシンマーンツァン カ⸢ラサヌ [ʔu⸢reː sak⸣koː ju⸢koː⸣jundaː ⸣ʔiʃʃimmaːnʦaŋ ka⸢rasanu] (あれは非常に欲が深いから<吝嗇家だから>、一銭すらも貸さない)。 ⸢サッ⸣コー ッ⸢ふァイダマー⸣ユンダ ウ⸢リンマー⸣ ミ⸢シル⸣ナ⸢ヨー [⸢sak⸣koː f⸢faidamaː⸣junda ʔu⸢rimmaː⸣ mi⸢ʃiru⸣na⸢joː] (あまりにも食いしん坊だから、あれには見せるなよ) 6962 0 0 6629 htmvoc_6962.wav サッサシ ⸢サッサ⸣シ [⸢sassa⸣ʃi] 副 さっさと。すばやく。急いで。速やかに。 ⸢ユン⸣タク ⸢サンドー⸣シ ⸢サッサ⸣シ <⸢ダンダン⸣シ> ア⸢ラ⸣キ [⸢jun⸣taku ⸢sandoː⸣ʃi ⸢sassa⸣ʃi <⸢dandaŋ⸣ʃi> ʔa⸢ra⸣ki] (お喋りしないで、さっさと歩け) 6964 0 0 6630 htmvoc_6964.wav サッスク サッ⸢スク [sas⸢suku] 副 速やかに。すぐに。さっそく。標準語からの借用語「早速」の転訛したもの。本来は、シ⸢グ[ʃi⸢gu](すぐ)、ユ⸢ドゥマ⸣ナー[ju⸢duma⸣naː](淀まずに{EOS}滞らず{EOS}ためらわず)、トゥ⸢キユドゥマ⸣ナー[tu⸢kijuduma⸣naː](すぐさま{EOS}時を移さず{EOS}手間取らず)のようにいう。 ⸢ワー⸣ ナ⸢ラー⸣ソーッタ ⸢トゥー⸣ル サッ⸢スク⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢ミッタン⸣ドゥ ⸢ゾー⸣ブンニ ス⸢クリユーサン⸣シェン [⸢waː⸣ na⸢raː⸣soːtta ⸢tuː⸣ru sas⸢suku⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢mittan⸣du ⸢ʣoː⸣bunni su̥⸢kurijuːsaŋ⸣ʃeŋ] (貴方が教えて下さった<習わされた>通りに、さっそく作ってみたけれど上手に作れません<作り得ません>でした) 6963 0 0 6631 htmvoc_6963.wav サッスン ⸢サッスン [⸢sassuŋ] 他動 察する。推察する。同情する。石垣方言からの借用語か。 ⸢サッス⸣ クトー ⸢サッスンドゥ フントー⸣ヌ ⸣キム ⸢サッシユースン⸣ユー ⸢ヌー⸣シカヤー ナ⸢レ [⸢sassu⸣ ku̥toː ⸢sassundu ɸuntoː⸣nu ⸣kimu ⸢saʃʃijuːsuɲ⸣juː ⸢nuː⸣ʃikajaː na⸢re] (察することは察するが本当の気持ちを察しうるか、どうかなあ)。 ⸢バー⸣ネー ノー⸢ン⸣ パ⸢ナサ⸣ユンダ キ⸢ム⸣ウチェー ⸢バン⸣マー ⸢サッサラヌ [⸢baː⸣neː noː⸢m⸣ pa⸢nasa⸣junda ki⸢muʔu⸣ʧeː ⸢bam⸣maː ⸢sassaranu] (私には何も話さないから、心の内は私には察せられ<察することができ>ない)。 ア⸢ザン⸣タンティン ⸢サッシェー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʣan⸣tantin ⸢saʃʃeː⸣ misamunu] (言わなくても察すればよいのに)。 ⸢ワー⸣シ ⸢サッシ [⸢waː⸣ʃi ⸢saʃʃi] (君で察しなさい) 6672 0 0 6632 htmvoc_6672.wav サッティー サッ⸢ティー [sat⸢tiː] 感 なんとまあ。なんだと。とんでもない。何を言うか。「さてもあやしや」『源氏物語 柏木』と同系統の語。「Satemo.サテモ(偖も)驚嘆の感動詞」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。驚き呆れて強く反問するときに用いる。サッティサッ⸢ティー[sattisat⸢tiː]と畳語化して強い驚きを表すのに用いられる。 サッティサッ⸢ティー⸣ ヌーティ ⸢スンティ⸣ー⸢ー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸢ガイル スー⸣トゥ⸢ー [sattisat⸢tiː⸣ nuːti ⸢sunti⸣ː⸢ː⸣ ja⸢rabi⸣nu ʔu⸢jan⸣naːni ⸢gairu suː⸣tu⸢ː] (とんでもない、何をいうか{EOS}子供のくせに親に対して反抗をするってえっ?) 6673 0 0 6633 htmvoc_6673.wav サッティムサッティムー サッティムサッ⸢ティムー [sattimusat⸢timuː] 感 なんとまあ。ほんとにまあとんでもない。強調表現。重言。驚き呆れて発することば。「さてもさても」の義か。 サッティムサッ⸢ティムー⸣ マナール ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢ナー⸣ト ⸣バー イッ⸢カナ⸣シ ユ⸢ラサ⸣ヌ [sattimusat⸢timuː⸣ manaːru ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ru⸣waː ⸣ʔaibu ku̥tu⸢naː⸣to ⸣baː ʔik⸢kana⸣ʃi ju⸢rasa⸣nu] (なんとまあ、とんでもない{EOS}いったい何処にあんなことがあるものか{EOS}あんなことなど私は決して許さない)。何と何と。ほんとにまあ。何とまったく。「サッティム」を重ねた強調表現(畳語)。驚いたり、呆れたりする時にいう語。 サッティムサッ⸢ティムー⸣ ヌーティ⸢スンティ⸣ー⸢ー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸢ガイ⸣ シ⸢タ⸣ー⸢ー [sattimusat⸢timuː⸣ nuːti⸢sunti⸣ː⸢ː⸣ ja⸢rabi⸣nu ʔu⸢jan⸣naːni ⸢gai⸣ ʃi̥⸢ta⸣ː⸢ː] (何とまあ、呆れた<何ということか>{EOS}子供が親に対して反抗したってえ{EOS!}) 6984 0 1 6634 htmvoc_6984.wav ザットゥ ザッ⸢トゥ [ʣat⸢tu] 副 {Mn_1}あらまし。おおかた。おおまかに。簡単に。簡素に。格式ばらないさま。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー ザッ⸢トゥ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢toːkaki⸣nu ⸢joi⸣jaː ʣat⸢tu⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (米寿の祝いは簡単にはできない)。 6984 0 2 6635 htmvoc_6984.wav ザットゥ ザッ⸢トゥ [ʣat⸢tu] 副 {Mn_2}外見を飾らないこと。物事にこだわらないこと。無頓着なこと。質素なこと。質朴なこと。 ウ⸢ヌ プソー⸣ ザッ⸢トゥヌ プス⸣ ヤ⸢ロー⸣ルンダ イッ⸢ケナ⸣ パ⸢ナシヤッ⸣サン [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ ʣat⸢tunu pu̥su⸣ ja⸢roː⸣runda ʔik⸢kena⸣ pa⸢naʃijas⸣saŋ] (あの人は外見を飾らない質素な人だから非常に話しやすい) 6985 0 0 6636 htmvoc_6985.wav ザットゥヌパンシ ザッ⸢トゥヌ パンシ [ʣat⸢tunu paŋʃi] 連 ほんのちょっとのつもりで。気軽なつもりで。 ザッ⸢トゥヌ パンシティ⸣ ウ⸢ムイ⸣ル カ⸢ルタンドゥ⸣ カイ ナリ⸢ナー⸣ヌ [ʣat⸢tunu paŋʃiti⸣ ʔu⸢mui⸣ru ka⸢rutandu⸣ kai ⸣nari⸢naː⸣nu] (ほんのちょっとのつもりで借りたのだが、こうなってしまった) 6986 0 0 6637 htmvoc_6986.wav ザットゥヌプス ザッ⸢トゥヌ プス [ʣat⸢tunu pu̥su] 連 格式ばらない人。質素な人。見栄を張らない人。好い加減な人。ほどほどの人。 ザッ⸢トゥヌプソー⸣ ア⸢ラン⸣ダ ⸢マイカニ⸣テーラ ギャン⸢ティ⸣ パ⸢ナシアー⸣シ シ⸢キ⸣リ [ʣat⸢tunu pu̥su⸣ ʔa⸢ran⸣da ⸢maikani⸣teːra gjan⸢ti⸣ pa⸢nasiʔaː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (物事に厳しい人だ<好い加減な人ではない>から、前もってきちんと話し合っておけ) 6988 0 0 6638 htmvoc_6988.wav ザッふァザッふァ ⸢ザッふァザッふァ [⸢ʣaffaʣaffa] 副 ざっくざっくと。柔らかいものを突き刺す音の形容。鍬で土を耕す音の形容。 パ⸢タ⸣ケー マ⸢タカイシ⸣ ヤ⸢レー⸣ティ ⸢ザッふァザッふァ⸣シ ⸢カイシヤッ⸣サタン [pḁ⸢ta⸣keː ma⸢takaiʃi⸣ ja⸢reː⸣ti ⸢ʣaffaʣaffa⸣ʃi ⸢kaiʃijas⸣sataŋ] (畑は又耕し<二度目の耕し>だから、ざっくざっくと耕し易かった) 6989 0 0 6639 htmvoc_6989.wav サッフン ⸣サッフン [⸣saɸɸuŋ] 名 石鹸。ポルトガル語からの借用語、シャボン[sabão]の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー ⸣サッフンマー ⸢ナン⸣ゾー ⸢ナーン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣saɸɸummaː ⸢nan⸣ʣoː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (昔は、石鹸はあまりなかった) 6982 0 0 6640 htmvoc_6982.wav サティ ⸢サ⸣ティ [⸢sa⸣ti] 感 はてさて。それにしても。いやはや。感心した時に発する語。歌謡語。/アワヤ シミタティ サティ ミグトゥ/(粟は積み立てて、いやはや 見事である)「鳩間中岡」 6990 0 0 6641 htmvoc_6990.wav サディプス ⸣サディプス [⸣sadipu̥su] 名 さるどし(申年)生まれの人。「申年人」の義。 ブ⸢トー⸣ サディプス トゥ⸢ジェー トゥンディプス ヤッタ⸣ツォー [bu⸢toː⸣ sadipu̥su tu⸢ʤeː tundipusu jatta⸣ʦoː] (夫は申年生まれの人、妻は酉年生まれの人であったそうです) 6992 0 0 6642 htmvoc_6992.wav サディマリ ⸣サディマリ [⸣sadimari] 名 申年生まれ。申年生まれの人。 ⸢クン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ウヤン ッ⸢ふァン⸣ サディマリ ユン⸢ナー [⸢kun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔujan f⸢fan⸣ sadimarijun⸢naː] (この家の人は親も子も申年生まれだねえ) 6983 0 0 6643 htmvoc_6983.wav サティム サ⸢ティム [sa⸢timu] 感 ほんとうにまあ。何とまあ。喜び、驚きなどの感情を表す。歌謡語で、文頭に立つ。日常会話では、⸣サッティム[⸣sattimu](何とまあ)という。/サティムユタカヌ パトゥマムラ フウキマンプク ウチチジク ユユムカワラヌ パトゥマムラ/(誠に<何とまあ>豊かな鳩間村は、富貴万福がうち続く、代々に変わらぬ鳩間村である)「鳩間本口説」『鳩間島古典民謡古謡集』 6994 0 0 6644 htmvoc_6994.wav サトゥヌシ サ⸢トゥ⸣ヌシ [sa⸢tu⸣nuʃi] 名 士族の男性をいう。歌謡語。日常語として用いられない。/スディフラバ サトゥヌシ ジンキャラヌ ニウイショーリ イチン スマル ニウイ/(袖を振ると里主の袖から伽羅沈香の香りが漂い何時までも染まるようだ)「古見の浦節」『八重山民謡誌』 6995 0 0 6645 htmvoc_6995.wav サドゥリカドゥリ サ⸢ドゥリカドゥ⸣リ [sa⸢durikadu⸣ri] 副 闇の中を手探りするさま。 ッ⸢ふァヨーンヌ⸣ ナカーラ サ⸢ドゥリカドゥ⸣リ ⸢シェー⸣ティ タ⸢ドゥ⸣リ ⸢クー⸣タ⸢ダー [f⸢fajoːnnu⸣ nakaːra sa⸢durikadu⸣ri ⸢ʃeː⸣ti ta⸢du⸣ri ⸢kuː⸣ta⸢daː] (暗闇の中を<から>手探りしながらたどって<辿って>来たのだよ) 6996 0 0 6646 htmvoc_6996.wav サトゥルン サ⸢トゥ⸣ルン [sḁ⸢tu⸣ruŋ] 自動 悟る。気付く。察知する。知覚する。 ⸢カンヌマイ⸣ヌ イ⸢ミシラシ⸣ヌ ⸢アッタン⸣ドゥ サ⸢トゥリユーサン⸣ ブ⸢レー⸣バン [⸢kannumai⸣nu ʔi⸢miʃiraʃi⸣nu ⸢ʔattan⸣du sḁ⸢turijuːsam⸣ bu⸢reː⸣baŋ] (神様の夢の託宣があったのだが悟り得な<察知できな>かったのだわい)。 ⸣イミラー サ⸢トゥララヌ [⸣ʔimiraː sa⸢turaranu] (夢からは悟られない)。 ウ⸢マ⸣クマーヤー サ⸢トゥ⸣ル ⸣クトー サ⸢トゥルン⸣ドゥ ⸢フントー⸣ヌ ⸣クトー サ⸢バカラ⸣ヌ<ッ⸢サヌ> [ʔu⸢ma⸣kumaːja sḁ⸢tu⸣ru ⸣ku̥toː sḁ⸢turun⸣du ⸢ɸuntoː⸣nu ⸣ku̥toː sa⸢bakara⸣nu] (ところどころは察知することは察知するが、本当のことは解明できない<捌かれない>) 6997 0 0 6647 htmvoc_6997.wav サドゥルン サ⸢ドゥルン [sa⸢duruŋ] 他動 探る。目に見えないものを手探りして求める。探知する。 ッ⸢ふァヨーン⸣ナ ⸣パンシ サ⸢ドゥリ⸣ カドゥリ ⸢シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢クー⸣タ [f⸢fajoːn⸣naː ⸣paŋʃi sa⸢duri⸣ kaduri ⸢ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuː⸣ta] (暗闇の中を足で探り探りしながら<ぞ>、やっとのことで歩いてきた)。 ⸣ティーシェー サ⸢ドゥララヌ [⸣tiːʃeː sa⸢duraranu] (手では探られない)。 ⸣ティーシル サ⸢ドゥリヤッ⸣サ [⸣tiːʃiru sa⸢durijas⸣sa] (手で<ぞ>探りやすい)。 ⸣ティーシン サ⸢ドゥル⸣クトー サ⸢ドゥルンドゥ⸣ ア⸢ティンガーラヌ [⸣tiːʃin sa⸢duru⸣kutoː sa⸢durundu⸣ ʔa⸢tiŋgaːranu] (手でも探る事は探るが、見当がつかない)。 ⸣ティーシ サ⸢ドゥレー⸣ ミサムヌ [⸣tiːʃi sa⸢dureː⸣ misamunu] (手で探ればよいのに)。 ⸣ドゥーシ サ⸢ドゥリ [⸣duːʃi sa⸢duri] (自分で探れ) 6998 0 0 6648 htmvoc_6998.wav サナ ⸣サナ [⸣sana] 名 からかさ(唐傘)。「み-さあなあ」(御傘)『混効験集』の義。漢語の「傘(san)」がCVCV構造の琉球語に借用される際に母音[a]が付いて/sana/(傘)が形成されたもの。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイ⸣バ ⸣サナー カ⸢リ⸣ カビ ⸢ギーティ ⸣アツァー ⸢カイ⸣シバ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸui⸣ba ⸣sanaː ka⸢ri⸣ kabi ⸢giːti ⸣ʔaʦaː ⸢kai⸣ʃiba] (雨が降るから傘を借りて被って行って明日返しなさい) 6999 0 0 6649 htmvoc_6999.wav サナイ ⸣サナイ [⸣sanai] 名 ふんどし(褌)。男性用褌。語源を「種着(さねぎ)」とする説『石垣方言辞典』がある。⸢メー⸣カン[⸢meː⸣kaŋ](女性用褌)の対義語。⸢マーサナイ[⸢maːsanai](六尺褌{EOS}鱶の襲来を防ぐために着用するという)などがある。 ⸢マーサナイヤー⸣ サ⸢バ⸣ ウ⸢ドーシムヌ⸣ティ ⸢シール⸣ キ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢maːsanijaː⸣ sa⸢ba⸣ ʔu⸢doːʃimunu⸣ti ⸢ʃiːru⸣ ki̥⸢soːt⸣taʦoː] (六尺褌は鱶を避ける物<鱶脅し物>として着用されたそうだ) 7001 0 0 6650 htmvoc_7001.wav サナカ サ⸢ナ⸣カ [sa⸢na⸣ka] 名 最中。もなか。まっさかり。 ナ⸢チヌ マイカリパンタヌ⸣ サ⸢ナ⸣カナー ッ⸢ふァバ⸣ ナシティル ⸢アウ⸣リ ⸢シェー⸣ダー [na⸢ʧinu maikaripantanu⸣ sa⸢na⸣kanaː f⸢faba⸣ naʃitiru ⸢ʔau⸣ri ⸢ʃeː⸣daː] (夏の稲刈り繁多さの最中に子供を産んで<ぞ>難儀苦労をしたのだよ)。 ユ⸢ナカサナ⸣カーラ ⸢ビー⸣プスン ウ⸢コーサ⸣リティ ⸢ニフター⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ju⸢nakasana⸣kaːra ⸢biː⸣pu̥suŋ ʔu⸢koːsa⸣riti ⸢niɸu̥taː⸣nu na⸢ra⸣nu] (真夜中<夜中最中>から酔っ払いに起こされて、眠たくてたまらない) 7002 0 0 6651 htmvoc_7002.wav サニ ⸣サニ [⸣sani] 名 種。種子。さね(実、核)。⸣タニ[⸣tani](種)ともいう。 ク⸢レー⸣ サニ ⸣トゥリ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ku⸢reː⸣ sani ⸣turi ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (これは種子を取っておきなさいね)。 ⸢ダイクニ⸣ヌ ⸣サニ [⸢daikuni⸣nu ⸣sani] (大根の種子) 7003 0 0 6652 htmvoc_7003.wav サニ ⸣サニ [⸣sani] 名 干支のさる(申)の日。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣サニー ヤ⸢ルンダ ワー⸣ マ⸢リビー⸣ ア⸢タリブー [⸢kjuː⸣ja ⸣saniː ja⸢runda waː⸣ ma⸢ribiː⸣ ʔa⸢taribuː] (今日は干支の申の日だから、君の誕生日<生まれ日>に当っている) 7005 0 0 6653 htmvoc_7005.wav サニーサニーシ サニー⸢サニー⸣シ [saniː⸢saniː⸣ʃi] 副 嬉しそうに。楽しそうに。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢シー オーシター⸣ アブジェー サニー⸢サニー⸣シル ⸢オー⸣ル [⸢toːkaki⸣nu ⸣joi ⸢ʃiː ʔoːʃi̥taːru⸣ ʔabuʤeː saniː⸢saniː⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru] (米寿のお祝いをして差し上げたのでお祖父さんは嬉しそうにしていらっしゃる)。 ブ⸢ネーヌ⸣ ミ⸢ラリ⸣ター ヤ⸢ラ⸣ベー サニー⸢サニー⸣シ ブ⸢ダッカレー⸣ティ ⸣パリクンティー [bu⸢neːnu⸣ mi⸢rari⸣taː ja⸢ra⸣beː saniː⸢saniː⸣ʃi bu⸢dakkareː⸣ti ⸣parikuntiː] (母親が見えたので、子供は嬉しそうに飛び跳ねて走ってくるさ) 7004 0 0 6654 htmvoc_7004.wav サニオー サ⸢ニ⸣オー [sa⸢ni⸣ʔoː] 名 (動)種豚。繁殖用の種付け豚。⸣アヒャーオー[⸣ʔaçaːʔoː](繁殖用母豚)の対義語。 サ⸢ニ⸣オー シゥ⸢カ⸣ナウ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [sa⸢ni⸣ʔoː sï̥⸢ka⸣nau pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (繁殖用の種付け豚を飼育する人はいなかった) 7007 0 0 6655 htmvoc_7007.wav サニキム サ⸢ニキム [sa⸢nikimu] 名 嬉しい気持ち。明るい気持ち。 ⸣カイニ ⸢アウ⸣リ ⸣ナンギバ ⸢シーベー⸣ティ ⸢ヌー⸣シ サ⸢ニキムヌ⸣ ム⸢タリ⸣ワ [⸣kaini ⸢ʔau⸣ri ⸣naŋgiba ⸢ʃiːbeː⸣ti ⸢nuː⸣ʃi sa⸢nikimunu⸣ mu⸢tari⸣wa] (こんなに難儀苦労をしていてどうやって嬉しい気持ちが持て<持たれ>ようか) 7008 0 0 6656 htmvoc_7008.wav サニグトゥ サ⸢ニグトゥ [sa⸢nigutu] 名 嬉しいこと。愉快なこと。 サニー⸢サニー⸣シ ⸢ベー⸣ン ⸢ギン⸣シェー サ⸢ニグトゥヌドゥ⸣ アリ ブ⸢レーン⸣ギサバン [⸣saniː⸢saniː⸣ʃi ⸢beː⸣ŋ ⸢giŋ⸣ʃeː sa⸢nigutunudu⸣ ʔari bu⸢reːŋ⸣gisabaŋ] (嬉しそうにしているからには<様子では>、嬉しいことがあったようだわい) 7006 0 0 6657 htmvoc_7006.wav サニジラ サ⸢ニジラ [sa⸢niʤira] 名 嬉しそうな顔。楽しそうな顔。明るい顔。 ⸣カイブ プ⸢スバ⸣ サ⸢ニジラ⸣シ ン⸢カイッふィーティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ フ⸢コーラサ⸣タン [⸣kaibu pu̥⸢suba⸣ sa⸢niʤira⸣ʃi ʔŋ⸢kaiffiːti⸣ ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢koːrasa⸣taŋ] (こんな人を明るい顔で嬉しそうに迎えてくれて非常に有難かった) 7009 0 0 6658 htmvoc_7009.wav サニチ サ⸢ニチ [sa⸢niʧi] 名 旧暦3月3日の女の節句。一年で最も潮のひく日であるので、女子はこぞって干潮時に潮干狩りに行く風習がある。菱形のヨモギモチ(蓬餅)を作って女の子に食べさせた。女子が潮干狩りをするのは、海水で身を清めるためだといわれている。それについて次の口碑が伝えられている。昔、蛇の化身の子を身ごもった娘がいた。不審に思った老女が娘に対して夜のうちに化身の髪に績いだ糸を挿しておくように命じた。翌朝糸をたどっていくと、大きな洞窟の中入っていた。老女は、化身が仲間に自慢話をしているのを聞き、さらに娘が浜に降りて白砂を踏み、潮水に手足を濡らして珊瑚礁の上を飛び越えていくと胎内の子は流産するとの話も聞いた。そこで老女は大急ぎ娘を浜に連れ出し、件の如くして身を清めさせたという。そのときに流出したのがウミヘビだという。 サ⸢ニチェー⸣ ミ⸢ドーンッ⸣ふァヌ ヤ⸢ク⸣バライティ ⸢シール⸣ イ⸢ソー⸣ パルティ⸢ダー [sa⸢niʧeː⸣ mi⸢doːn⸣ffanu ja⸢ku⸣baraiti ⸢ʃiːru⸣ ʔi⸢soː⸣ paruti⸢daː] (三月三日は女の子の厄払いといって、潮干狩りに行くのだそうだよ) 7015 0 0 6659 htmvoc_7015.wav サニナキ サ⸢ニナキ [sa⸢ninaki] 名 嬉し泣き。 シ⸢ニシタ⸣カヤーティ ウ⸢ムイ⸣キシ ⸢オーッタン⸣ドゥ ⸢ピー⸣タイラー ヌ⸢チ⸣バ ⸣ムイ ⸢カイ⸣リ ⸢クータ⸣ル ウ⸢ヌス⸣ク サ⸢ニナキ ソーッ⸣タ⸢ツォー [ʃi⸢niʃi̥ta⸣kajaːti ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ⸢ʔoːttan⸣du ⸢piː⸣taira nu⸢ʧi⸣ba ⸣mui ⸢kai⸣ri ⸢kuːta⸣ru ʔu⸢nusu̥⸣ku sa⸢ninaki soːt⸣ta⸢ʦoː] (死んだだろうかと思って諦めて<思い切って>おられたが、兵隊から生き還って<命を萌やして帰って>きたので、あれほどに嬉し泣きされたんだよ) 7010 0 0 6660 htmvoc_7010.wav サニプス サ⸢ニプス [sa⸢nipusu] 名 愛嬌の良い人。愛嬌者。愛想の良い人。明るい性格の人。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸣アブジェー イッ⸢ケナ⸣ サ⸢ニプス⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ⸢ダー [⸢wat⸣tenu ⸣ʔabuʤeː ʔik⸢kena⸣ sa⸢nipu̥su⸣ ja⸢roːt⸣ta⸢daː] (お宅のお祖父さんは大変愛嬌の良い人であられたよ) 7016 0 0 6661 htmvoc_7016.wav サニマイ ⸣サニマイ [⸣sanimai] 名 種籾。「種米」の義。 ム⸢チマイヌ⸣ サニマイヤー ⸣アンカヤー [mu⸢ʧimainu⸣ sanimaijaː ⸣ʔaŋkajaː] (糯米の種籾はあるかなあ) 7017 0 0 6662 htmvoc_7017.wav サニマキ ⸣サニマキ [⸣sanimaki] 名 種蒔き。穀物の種を播くこと。⸣スジマキ[⸣suʣimaki](筋蒔き{EOS}麦や白菜などの種を播く際に、種子を蒔く溝を浅く掘って蒔く方法)と、バ⸢ラ⸣マキ[ba⸢ra⸣maki](ばら蒔き{EOS}小豆などのように、整地した畑に直に散布するように蒔く方法)がある。⸢ナーッ⸣ス[⸢naːs⸣su](苗代)には、蜜にバ⸢ラ⸣マキ[ba⸢ra⸣maki](ばら蒔き)をした。 マ⸢ミ⸣ヌ ⸣サニマケー イ⸢チル ソール⸣ワ [ma⸢mi⸣nu ⸣sanimakeː ʔi⸢ʦiru soːru⸣wa] (豆の種蒔きは何時なさるのですか) 7018 0 0 6663 htmvoc_7018.wav サニマリ ⸣サニマリ [⸣sanimari] 名 父親に似た顔つき。「種生まれ」の転訛したもの。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ サニマリ ⸢シーブバン⸣ナー [ku⸢nu ffaː⸣ sanimari ⸢ʃiːbuban⸣naː] (この子は父親似だね<種生まれしているわいね>) 7019 0 0 6664 htmvoc_7019.wav サニマリ サ⸢ニマリ [sa⸢nimari] 名 愛嬌者。 ⸢ワッ⸣テヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ムー⸢ル⸣ サ⸢ニマリ シーベー⸣バ ア⸢タラ⸣サワレー ⸢フン⸣トー ウ⸢ラーミサ⸣ルバン [⸢wat⸣tenu mi⸢doːŋ⸣ffaː muː⸢ru⸣ sa⸢nimari ʃiːbeː⸣ba ʔa⸢tara⸣sawareː ⸢ɸun⸣toː ʔu⸢raːmisa⸣rubaŋ] (お宅<君のところ>の娘さん<女の子>は皆愛嬌者に育って<生まれて>可愛いことよ{EOS}本当に羨ましいよ) 7020 0 0 6665 htmvoc_7020.wav サニムニ サ⸢ニムニ [sa⸢nimuni] 名 嬉しいことば。楽しいことば。 ヤ⸢ナ⸣ムネー シ⸢キプサー ナー⸣ヌ サ⸢ニムニル⸣ シ⸢キ⸣プサ [ja⸢na⸣muneː ʃi̥⸢kipusaː naː⸣nu sa⸢nimuniru⸣ ʃi̥⸢ki⸣pusa] (嫌な言葉は聞きたくない{EOS}嬉しい言葉が聞きたいのだ) 7021 0 0 6666 htmvoc_7021.wav サニムヌ サ⸢ニムヌ [sa⸢nimunu] 名 嬉しいこと。喜ぶこと。嬉しがること。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ミ⸢シ⸣ルカー サ⸢ニムヌ⸣ バ⸢ライッツォーレー⸣ティル ム⸢ヌパナ⸣シン ⸢スー⸣ツォー [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ mi⸢ʃi⸣rukaː sa⸢nimunu⸣ ba⸢raitʦoːreː⸣tiru mu⸢nupana⸣ʃin ⸢suː⸣ʦoː] (その人は、酒を見せると嬉しがる<嬉しいことである>{EOS}にこにこと微笑みながら話もするんだよ) 7022 0 0 6667 htmvoc_7022.wav サニムミ サ⸢ニ⸣ムミ [sa⸢ni⸣mumi] 名 種籾。 サ⸢ニ⸣ムメー ヌ⸢カ⸣シティル ⸢カース⸣ダー [sa⸢ni⸣mumeː nu⸢ka⸣ʃitiru ⸢kaːsu⸣daː] (種籾は残してから売るんだよ) 7011 0 0 6668 htmvoc_7011.wav サニヤ サ⸢ニ⸣ヤ [sa⸢ni⸣ja] 名 嬉しさ。サ⸢ニ⸣ヤン[sa⸢ni⸣jaŋ](嬉しい)の語幹部が独立して体言化したもの。 ⸢キュー⸣ヌ サ⸢ニ⸣ヤー ⸣ヌーニール タ⸢トゥイ⸣ルカヤー [⸢kjuː⸣nu sa⸢ni⸣jaː ⸣nuːniːru ta⸢tui⸣rukajaː] (今日の嬉しさは何に譬えるかねえ) 7014 0 0 6669 htmvoc_7014.wav サニヤスン サ⸢ニ⸣ヤ ⸢スン [sa⸢ni⸣ja ⸢suŋ] 連 喜ぶ。楽しむ「嬉しさ・する」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣シラ ミ⸢ラ⸣リカー サ⸢ニ⸣ヤ ⸢スン [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʃira mi⸢ra⸣rikaː sa⸢ni⸣ja ⸢suŋ] (子供は親の顔が見えると喜ぶ) 7012 0 0 6670 htmvoc_7012.wav サニヤン サ⸢ニ⸣ヤン [sa⸢ni⸣jaŋ] 形 嬉しい。楽しい。「む月たち春の来らば~多努之岐乎倍米<タノシキヲヘメ>。万、815」。⸢イ昌<楽>、太乃之<たのし>、又佐加由<さかゆ>、又、由太介之<ゆたけし>」『新撰字鏡』」の義。「楽しさ・あり」→ ⸢サ⸣ニシャーン[⸢sa⸣niʃaːŋ] → サ⸢ニ⸣ヤン[sa⸢ni⸣jaŋ]の音韻変化をへたものであろう(タ{SqBr}ta{/SqBr} → スァ{SqBr}r̥a{/SqBr}久高島方言参照)。 ⸢キュー⸣ヤ イッ⸢ケナ⸣ サ⸢ニ⸣ヤン [⸢kjuː⸣ja ʔik⸢kena⸣ sa⸢ni⸣jaŋ] (今日は非常に嬉しい)。 ッ⸢ふァマー⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー サ⸢ニヤー ナー⸣ヌ [f⸢famaː⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː sa⸢nijaː naː⸣nu] (子孫がいないと嬉しくない)。 ⸢シンダイ⸣ サ⸢ニ⸣ヤ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ sa⸢ni⸣ja ⸣naruŋ] (次第に嬉しくなる)。 サ⸢ニヤ⸣ヌ ナー⸢イ ベーララ⸣ヌ [sa⸢nija⸣nu naː⸢i beːrara⸣nu] (嬉しくてじっとしておれない)。 ウ⸢リバ⸣ シ⸢キティ⸣ サ⸢ニ⸣ヤ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢riba⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ sa⸢ni⸣ja pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (それを聞いて嬉しい人はいない)。 サ⸢ニ⸣ヤカー ⸣ウタンツァン イ⸢ジ⸣バ [sa⸢ni⸣jakaː ⸣ʔutanʦaŋ ʔi⸢ʤi⸣ba] (嬉しかったら歌でも歌えよ) 7013 0 0 6671 htmvoc_7013.wav ザニヤン ⸢ザニ⸣ヤン [⸢ʣani⸣jaŋ] 接尾 愛嬌がある。 プ⸢スザニ⸣ヤン [pu̥⸢suʣani⸣jaŋ] (愛嬌がある{EOS}人に会うのが楽しそうである)。 ム⸢ニ ザニ⸣ヤン [mu⸢ni ʣani⸣jaŋ] (楽しそうに話す{EOS}話すことが楽しそうである) 7023 0 0 6672 htmvoc_7023.wav サニンガーリムヌ サ⸢ニンガーリ⸣ムヌ [sa⸢niŋgaːri⸣munu] 名 植物の変種。かわりだね。血統の違う人。変人。突然変異したもの。「種変わり・もの」の義。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢タックイ⸣ナー ⸣アイブ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン⸣ ウ⸢レー⸣ サ⸢ニンガーリ⸣ムヌヨー [⸢ʔun⸣nenu ⸢takkui⸣naː ⸣ʔaibu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ⸣ ʔu⸢reː⸣ sa⸢niŋgaːri⸣munujoː] (あの家には、あんな人はいなかった{EOS}あれは変り種<変人>だよ) 7024 0 0 6673 htmvoc_7024.wav サニンケールン サ⸢ニンケールン [sa⸢niŋkeːruŋ] 自動 心から喜ぶ。嬉しがる。楽しむ。嬉々としている。満足して喜ぶ。 ブ⸢ネートゥ⸣ マー⸢ズン ヤル⸣カー サ⸢ニンケールンドゥ⸣ マー⸢ズン⸣ ア⸢ラン⸣カー ム⸢タビ⸣ムヌ トゥ⸢ラサ⸣バン サ⸢ニンケーラヌ [bu⸢neːtu⸣ maː⸢ʣuɲ⸣ ja⸢ru⸣kaː sa⸢niŋkeːrundu⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː mu⸢tabi⸣munu tu⸢rasa⸣ban sa⸢niŋkeːranu] (母親と一緒だと心から喜ぶが、一緒でないと玩具を与えても心から喜ばない)。 ⸣ウヤサーリ サ⸢ニンケーリ⸣ ア⸢サブン [⸣ʔujasaːri sa⸢niŋkeːri⸣ ʔa⸢sabuŋ] (親と楽しそうに遊ぶ)。 サ⸢ニンケール⸣ クトゥン ア⸢リ⸣ブ [sa⸢niŋkeːru⸣ ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣bu] (心から喜ぶこともある)。 キ⸢モー⸣ラ サ⸢ニンケーレー⸣ ミサムヌ [ki⸢moː⸣ra sa⸢niŋkeːreː⸣ misamunu] (心から喜べばよいのに)。 サ⸢ニンケーリ⸣バ [sa⸢niŋkeːri⸣ba] (心から喜べよ) 7025 0 0 6674 htmvoc_7025.wav サバ サ⸢バ [sa⸢ba] 名 草履。⸣カーサバ[⸣kaːsaba](皮革製の最上級品の草履)、ア⸢ダン⸣パーサバ[ʔa⸢dam⸣paːsaba](アダン葉草履)がある。鳩間島の人はア⸢ダン⸣パーサバ[ʔa⸢dam⸣paːsaba](アダン葉草履)を履いた。 ム⸢カ⸣シ ⸣アッパター サ⸢ババ⸣ フ⸢メーティ⸣ル マー⸢ン オーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔappataː sa⸢baba⸣ ɸu⸢meːti⸣ru maː⸢ŋ ʔoːt⸣ta] (昔のおばあさん達は草履を履いて何処へも行かれた) 7026 0 0 6675 htmvoc_7026.wav サバ サ⸢バ [sa⸢ba] 名 (動)鮫。鱶。 ⸢エージ [⸢ʔeːʤi] (おながざめ{EOS}体長約4メートル)。 ⸢イーパイサバ [⸢ʔiːpaisaba] (しゅもくざめ{EOS}体長約3メートル)。 ⸢ウー⸣バニ [⸢ʔuː⸣bani] (よごれ{EOS}体長約4メートル)。 ⸢オーナン⸣ジャー [⸢ʔoːnan⸣ʤaː] (よしぎりざめ{EOS}体長約6メートル)。 ウ⸢キザー⸣ラ [ʔu⸢kiʣaː⸣ra] (あおざめ{EOS}体長約7メートル)。 ⸢ミン⸣ダナー [⸢min⸣danaː] (めじろざめ{EOS}体長約7メートル)。 ⸢イッ⸣チョー [⸢ʔit⸣ʧoː] (ほほじろざめ{EOS}体長約9メートル)。 ミ⸢ジサバ [mi⸢ʤisaba] (じんべいざめ{EOS}体長約12メートル)。イッチョーやミジサバ、ミンダナーなどはめったに漁獲さらなかったという。 イ⸢ガメージブン⸣ ナルカー サ⸢バン ホー⸣ソールンダ サ⸢バソーギリ⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢カーソーッ⸣タン [ʔi⸢gameːʤibun⸣ narukaː sa⸢baŋ hoː⸣soːrunda sa⸢basoːgiri⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢kaːsoːt⸣taŋ] (烏賊釣り漁の時期になると鮫も釣り上げられるから、鮫肉の切干や塩漬けを作って売られたものだ) 7039 0 0 6676 htmvoc_7039.wav サパーサパーシ サ⸢パーサパー⸣シ [sḁ⸢paːsapaː⸣ʃi] 副 もろく砕けやすいさま。ふかふかしたさま。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢ガラシコーシェー⸣ サ⸢パーサパー⸣シティ ッ⸢ふァイヤッ⸣サン [ku⸢nu⸣ ʔa⸢garaʃikoːʃeː⸣ sḁ⸢paːsapaː⸣ʃi̥ti f⸢faijas⸣saŋ] (この蒸し菓子はふかふかして食べやすい) 7040 0 0 6677 htmvoc_7040.wav サパールン サ⸢パールン [sḁ⸢paːruŋ] 自動 粘り気が無く、サクサクする。ほろほろする 7042 0 0 6678 htmvoc_7042.wav サバーン サ⸢バー⸣ン [sa⸢baː⸣ŋ] 形 もろい。裂けやすい。折れやすい。サ⸢パー⸣ン[sḁ⸢paː⸣ŋ](もろい)ともいう。 ⸣グジキーヤ サ⸢バー⸣ クトー サ⸢バー⸣ンドゥ キ⸢ジ ヤッ⸣サン [⸣guʤikiːja sa⸢baː⸣ ku̥toː sa⸢baː⸣ndu ki⸢ʤijas⸣saŋ] (デイゴの木はもろいことはもろいが、削りやすい)。 サ⸢バー キー⸣ヤ シゥ⸢カーラヌ [sa⸢baː kiː⸣ja si̥⸢kaːranu] (もろい木は使えない) 7041 0 0 6679 htmvoc_7041.wav サパーン サ⸢パー⸣ン [sḁ⸢paː⸣ŋ] 形 もろい。裂けやすい。折れやすい。サ⸢バー⸣ン[sa⸢baː⸣ŋ](もろい{EOS}折れやすい{EOS}こわれやすい)ともいう。 ⸣グジキーヤ サ⸢パー⸣ンダ ⸢ヤーザイ⸣ギーナ シゥ⸢カーラヌ [⸣guʤikiːja sḁ⸢paː⸣nda ⸢jaːʣai⸣giːna si̥⸢kaːranu] (デイゴ<梯梧>の木は脆いから建材には使えない)。 ⸣ドゥク サ⸢パー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [⸣duku sḁ⸢paː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (あまりにも脆くて使えない)。 サ⸢パー⸣ ムノー シ⸢ティリ [sḁ⸢paː⸣ munoː ʃi̥⸢tiri] (脆いものは捨てれ)。 サ⸢パー⸣カー シ⸢ティリ [sḁ⸢paː⸣kaː ʃi̥⸢tiri] (脆かったら捨てれ)。 ⸢ナン⸣ゾー サ⸢パーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː sḁ⸢paːnaː⸣nu] (それほど脆くない)。 サ⸢リル⸣カー サ⸢パー⸣ ナルン [sa⸢riru⸣kaː sḁ⸢paː⸣ naruŋ] (枯れたら脆くなる)。 ク⸢レー⸣ サ⸢パー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢reː⸣ sḁ⸢paː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (これは脆くて使えない)。 サ⸢パー⸣カー ブ⸢リヤッ⸣サン [sḁ⸢paː⸣kaː bu⸢rijas⸣saŋ] (脆ければ折り易い) 7027 0 0 6680 htmvoc_7027.wav サバアバ サ⸢バ⸣アバ [sa⸢ba⸣ʔaba] 名 鱶油。鱶や鮫の肝臓を煎じて抽出する油。強烈な匂いがある。これを⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船{EOS}サバニ)に塗布して船体の腐食劣化を防いだ。舟を陸揚げして乾燥させ、サ⸢バ⸣アバ[sa⸢ba⸣ʔaba](鱶脂)をすりこんだ。それによって舟体が長持ちすると同時に、船足も早くなった。 ⸣イダフニナー サ⸢バ⸣アバ ッ⸢ふァーソー⸣ル ⸣ピンマー ッ⸢サー⸣ヌ フ⸢シガラン⸣セン [⸣ʔidaɸuninaː sa⸢ba⸣ʔaba f⸢faːsoː⸣ru ⸣pimmaː s⸢saː⸣nu ɸu̥⸢ʃigaraŋ⸣ʃeŋ] (サバニに鱶油を塗布する<食わせる>時は臭くてたまらなかった) 7028 0 0 6681 htmvoc_7028.wav サバガキヤー サ⸢バガキ⸣ヤー [sa⸢bagaki⸣jaː] 名 釣った鱶や鮫、大魚を引っ掛ける漁具。カ⸢キ⸣ヤー[kḁ⸢ki⸣jaː](引っ掛ける漁具)ともいう。鱶やマグロを釣り上げる際に、鱶やマグロの頭部をサ⸢バガキ⸣ヤーで引っ掛けて船べりに引き寄せるのに用いる漁具。船べりに鱶やマグロを固定し、サ⸢バカタナ[sa⸢bakatana](鱶の頭を切る包丁)で鱶やマグロの頭部を切って殺した 7034 0 0 6682 htmvoc_7034.wav サバカスン サ⸢バカ⸣スン [sa⸢baka⸣suŋ] 他動 捌かせる。入り組んだものを解き明かす。元祖などを捜し求める。絡まったものを処理する。 ユ⸢タヌ⸣ ヤーナ ⸢ギー⸣ ウヤパープジ サ⸢バカ⸣シ ⸣クー [ju⸢tanu⸣jaː ⸢giː⸣ ʔujapaːpuʤi sa⸢baka⸣ʃi ⸣kuː] (ふげき<巫 巫見{EOS}占いを業とする人{EOS}ユタ>の家に行って先祖の関係を解き明かさせて来い)。 ⸣シジ サ⸢バカスン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ サ⸢バカサラ⸣ヌ [⸣ʃiʤi sa⸢bakasun⸣du mut⸢tu⸣ sa⸢bakasara⸣nu] (血統を捌かせるのだが、ちっとも捌かされない)。 ⸣シジ サ⸢バカ⸣ス プ⸢ソー⸣ サ⸢バカ⸣シ [⸣ʃiʤi sa⸢baka⸣su pu̥⸢soː⸣ sa⸢baka⸣ʃi] (血統を捌かせる人は捌かせ)。 ⸢マー⸣ビン クマー⸢クマ⸣ サ⸢バカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kumaː⸢kumaː⸣ sa⸢baka⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと詳細に捌かせればよいのに) 7030 0 0 6683 htmvoc_7030.wav サバカタナ サ⸢バカタナ [sa⸢bakatana] 名 鱶(鮫)の頭を切って殺す専用の包丁。鱶を釣って船べりに引き寄せ、サ⸢バガキヤーで頭部を引っ掛けて船べりに固定し、専用の包丁で頭部を切って殺すのに用いた。鱶の皮は硬くて切りにくいので、手の\ruby{滑}{リ}止めとして、包丁の柄の部分を総て波形に切り込んである。 サ⸢バカタナヌ ユイヤー⸣ ス⸢ベーラン⸣ヨーニ ⸣ギザギザシ キ⸢ザマリ ブー [sa⸢bakatananu juijaː⸣ su⸢beːraŋ⸣ joːni ⸣giʣagiʣaʃi ki⸢ʣamari buː] (鱶包丁の柄は手が滑らぬようにギザギザに刻まれている) 7035 0 0 6684 htmvoc_7035.wav サバキカバキ サ⸢バ⸣キカバキ [sa⸢ba⸣kikabaki] 副 複雑に入り組んだものを解き明かして。尋ね探して。ABCDBC型の重言。強調表現。 イ⸢サナケー⸣ラ ウ⸢キ⸣ナー⸢バー⸣キ サ⸢バ⸣キカバキ ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣ムトゥ サ⸢バ⸣キ ⸢クー⸣タ [ʔi⸢sanakeː⸣ra ʔu⸢ki⸣naː⸢baː⸣ki sa⸢ba⸣kikabaki ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ⸣mutu sa⸢ba⸣ki ⸢kuː⸣ta] (石垣から沖縄まで尋ね探して、やっとで元祖<元>を解き明かして来た) 7037 0 0 6685 htmvoc_7037.wav サバクン サ⸢バ⸣クン [sa⸢ba⸣kuŋ] 他動 尋ね探す。探し求める。探し当てる。解き明かす。 ⸢ウン⸣ネーヤ サ⸢バ⸣クンティ ウ⸢ムー⸣タンティン サ⸢バカラ⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːja sa⸢ba⸣kunti ʔu⸢muː⸣tantin sa⸢bakara⸣nu] (その家は尋ね探そうと思っても探されない)。 ⸢バン⸣ヌン サ⸢バ⸣ク ⸣クトー サ⸢バ⸣キ ミ⸢ルン⸣ドゥ ⸢ワンヌン⸣ ドゥーシ サ⸢バ⸣キバ [⸢ban⸣nun sa⸢ba⸣ku ⸣ku̥toː sa⸢ba⸣ki mi⸢run⸣du ⸢wannun⸣ duːʃi sa⸢ba⸣kiba] (私も尋ね探すことは探すが、君も自分で探せよ)。先祖を捜し当てる。 ⸢グヮン⸣ス サ⸢バ⸣クンティ ⸢ゲータ⸣ヌ サ⸢バカラン⸣シェン [⸢gwan⸣su sa⸢ba⸣kunti ⸢geːta⸣nu sa⸢bakaraŋ⸣ʃeŋ] (元祖の家を探しに行ったが探し当てられなかった)。 サ⸢バキ⸣ プサカー サ⸢バ⸣ク ⸣クトー ナルン⸢ダー [sa⸢baki⸣ pu̥sakaː sa⸢ba⸣ku ⸣ku̥toː narun⸢daː] (探し当てたければ探し当てることは出来るよ)。 ⸣ドゥーシ サ⸢バ⸣キバ [⸣duːʃi sa⸢ba⸣kiba] (自分で探し当てなさい)。 ⸢パー⸣ク サ⸢バ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku sa⸢ba⸣keː ⸣misamunu] (早く探せばよいのに) 7038 0 0 6686 htmvoc_7038.wav サバクン サ⸢バ⸣クン [sa⸢ba⸣kuŋ] 他動 さばく(捌く)。三枚におろす。魚や鳥などを解体し、肉や骨に分ける。錯綜した物事をきちんと処理する。 イ⸢ゾー⸣ バ⸢ザイティ⸣ プ⸢ニ⸣トゥ ⸣カー サ⸢バ⸣クンティ ⸢スンドゥ ゾー⸣トゥニ サ⸢バカラ⸣ヌ [ʔi⸢ʣoː⸣ ba⸢ʣaiti⸣ pu⸢ni⸣tu ⸣kaː sa⸢ba⸣kunti ⸢sundu ʣoː⸣tuni sa⸢bakara⸣nu] (魚を三枚におろして、骨と皮に捌こうとするが、上手に捌かれない)。 サ⸢バ⸣キ ッ⸢ふィーリ [sa⸢ba⸣ki f⸢fiːri] (捌い<解体して>てくれ) 7029 0 0 6687 htmvoc_7029.wav サバソーギリ サ⸢バソーギリ [sa⸢basoːgiri] 名 鱶肉の切干。鱶肉を幅約3センチ、長さ約15センチに切り、塩を塗して天日乾燥したもの。島の特産品として沖縄本島へ輸出した。鱶肉はサクサクして不味いが、ソーギリにすると長期保存ができる上に、火に焼いて食すると茶漬けの味が出て美味であった。 サ⸢バソーギレー⸣ ピーナ ヤ⸢キティ⸣ ッ⸢ふー⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [sa⸢basoːgireː⸣ piːna ja⸢kiti⸣ f⸢fuː⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (サバソーギリは火に焼いて食べる非常に美味しかった) 7036 0 0 6688 htmvoc_7036.wav サバソーギリ サ⸢バソー⸣ギリ [sa⸢basoː⸣giri] 名 鱶の肉を巾約4センチ、長さ約20センチに切り、塩をふって天日干しにしたもの。焼き魚にすると美味である。 サ⸢バソーギレー⸣ フ⸢ユヌ⸣ カ⸢ティ⸣ムヌティ ⸢シー カーソーッ⸣タ [sa⸢basoːgireː⸣ ɸu⸢junu⸣ kḁ⸢ti⸣munuti ⸢ʃiː kaːsoːt⸣ta] (鱶肉の天日干しは冬の副食物として売られた) 7031 0 0 6689 htmvoc_7031.wav サバナー サ⸢バナー [sa⸢banaː] 名 鱶釣り縄。普通の鱶釣り縄では、鱶つりの際の格闘によって手先が擦り切れて怪我をすることがある。漁師たちは、その怪我を防ぐためと釣り縄の強化のために、縄を豚の血で煮染めて蒸しあげることを繰り返した。従ってサ⸢バナー(鱶釣り縄)は豚の血でコーティングされることになり、長持ちっするとともに縺れないという特徴を備えた。 サ⸢バナー オー⸣ヌ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァーサリ ブンダ スー⸣ワン [sa⸢banaː ʔoː⸣nu ⸢ʃiː⸣ f⸢faːsari bunda suː⸣waŋ] (鱶釣り縄は豚の血で煮染められ、コーティングされ<食わされ>ているから強い) 7043 0 0 6690 htmvoc_7043.wav サバフチ サ⸢バフチ [sa⸢baɸuʧi] 名 人を陥れる者。「鱶口」の義。サ⸢バ[sa⸢ba](鱶、鮫)は人を襲い喰うことから、人を破滅させる物言いをする口を持つ人をいう。プ⸢スッふァイムヌ[pu̥⸢suffaimunu](人喰い者)ともいう。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢バフチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リトー アウ⸣ナ⸢ヨー⸣ アウカー ッ⸢ふァーリン⸣ダー [⸢ʔunʣaː⸣ sa⸢baʧuʧi⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢ritoː ʔau⸣na⸢joː⸣ ʔaukaː f⸢faːrin⸣daː] (あいつ<彼奴>は人を陥れる奴だから、彼奴とは喧嘩するなよ{EOS}喧嘩したら彼奴に陥れられる<食われる>ぞ) 7068 0 0 6691 htmvoc_7068.wav サバラクン サ⸢バラクン [sa⸢barakuŋ] 他動 密林や叢の草木を伐りはらって道を通す。伐採する。 ヤ⸢マ⸣ミチェー サ⸢キ⸣ナル プ⸢スヌ⸣ サ⸢バラカン⸣カー ア⸢ラカラ⸣ヌ [ja⸢ma⸣miʧeː sḁ⸢ki⸣naru pu̥⸢sunu⸣ sa⸢barakaŋ⸣kaː ʔa⸢rakara⸣nu] (山道は先頭になる人が草木を伐採しないと歩かれない)。 サ⸢バラキ⸣ミサカー サ⸢バラクンドゥ⸣ サ⸢バラク⸣ クトー ム⸢チ⸣キサン⸢ダー [sa⸢baraki⸣ misakaː sa⸢barakundu⸣ sa⸢baraku⸣ ku̥toː mu⸢ʧi⸣kisan⸢daː] (草木を伐採してよければ伐採するが、伐採することは難しいよ)。 ⸢ワー⸣ サ⸢バラケー⸣ ミサムヌ [⸢waː⸣ sa⸢barakeː⸣ misamunu] (君は草木を伐採すれば良いのに)。 サ⸢バラキ⸣バ [sa⸢baraki⸣ba] (草木を伐採せよ) 7044 0 0 6692 htmvoc_7044.wav サバン ⸣サバン [⸣sabaŋ] 名 ゆのみぢゃわん(湯呑み茶碗)。「茶碗」の義。 ⸣フカサバン [⸣ɸu̥kasabaŋ] (底の深い円筒形の茶碗)。 ⸢ミートゥ⸣サバン [⸢miːtu⸣sabaŋ] (夫婦茶碗)。 ⸢サー⸣ドーサバン [⸢saː⸣doːsabaŋ] (神前、仏前に供えるお茶湯用の茶碗)。妊婦は、フ⸢チカカイサバン[ɸu̥⸢ʧikakaisabaŋ](口欠け茶碗{EOS}茶碗の縁が欠けた茶碗)でお茶を飲まない、といわれている。 サ⸢バン⸣バ ウ⸢タ⸣シティ バ⸢リシティ ナー⸣ヌ [sa⸢bam⸣ba ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ba⸢riʃi̥ti naː⸣nu] (茶碗を落として割ってしまった)。 フ⸢チカキサバン⸣ナー ⸣サー ⸣ヌムカー トゥ⸢ク⸣ヌ ピ⸢ナルン⸣ツォー [ɸu̥⸢ʧikakisaban⸣naː ⸣saː ⸣numukaː tu̥⸢ku⸣nu pi⸢narun⸣ʦoː] (飲み口の欠けた茶碗で茶を飲むと、果報が減るそうだ) 7032 0 0 6693 htmvoc_7032.wav サバンパニ サ⸢バンパニ [sa⸢bampani] 名 ふかひれ(鱶鰭)。「鱶の鰭」の義。鱶鰭は胸鰭、背びれ、尾びれを天日乾燥して中華料理の食材として香港や中国に輸出された。鳩間島の人はこれが食材になるということ自体を不思議に思っていた。 ⸣カイブ ⸣ムヌヌ ッ⸢ふァーリン⸣ティ シ⸢バ⸣ ピ⸢ルマ⸣サワレー [⸣kaibu ⸣mununu f⸢faːrin⸣ti ʃi⸢ba⸣ pi⸢ruma⸣sawareː] (このような物が食べられるというから不思議なことよ) 7046 0 1 6694 htmvoc_7046.wav サビ サ⸢ビ [sa⸢bi] 名 {Mn_1}さび(錆)。 カ⸢ナサビ [ka⸢nasabi] (金属の錆)。 サ⸢ビ⸣ フーン [sa⸢bi⸣ ɸuːŋ] (錆が付く<錆が喰う>)。 ⸢サイクドン⸣グ サ⸢ビ ホース⸣ナ [⸢saikudoŋ⸣gu sa⸢bi hoːsu⸣na] (大工道具に錆をつかせるな)。 7046 0 2 6695 htmvoc_7046.wav サビ サ⸢ビ [sa⸢bi] 名 {Mn_2}災い。災厄。 ッ⸢ふァ⸣マーンケナー ⸣ビーン ⸣サビーン シ⸢キ⸣シミ タ⸢ボーラン⸣スクニ マ⸢ブ⸣リ タ⸢ブ⸣ローリティル ⸣ニガイ ッ⸢サリル⸣ユー [f⸢fa⸣maːŋkenaː ⸣biːn ⸣sabiːŋ ʃi̥⸢ki⸣ʃimi ta⸢buroːran⸣su̥kuni ma⸢bu⸣ri ta⸢bu⸣roːritiru nigai s⸢sariru⸣juː] (子孫には垢<穢れ{EOS}水垢>も災厄ももたらして下されませんようにとお祈り申し上げます) 7045 0 0 6696 htmvoc_7045.wav ザヒ ザ⸢ヒ [ʣa⸢çi] 名 蛇皮張りの三味線。「蛇皮」の義。ザ⸢ヒバリ[ʣa⸢çibari](蛇皮張り)ともいう。最上級の三味線。ス⸢ブバリ[su⸢bubari](渋張り)の対義語。 ⸢サンシンマー⸣ ザ⸢ヒル ナーリダー [⸢saŋʃimmaː⸣ ʣa⸢çiru naːridaː] (三味線は蛇皮張りがよりよく鳴る) 7049 0 1 6697 htmvoc_7049.wav サビーサビーシ サ⸢ビーサビー⸣シ [sa⸢biːsabiː⸣ʃi] 副 {Mn_1}淡白に。あっさりと。 ⸢コッチー⸣ヌ ⸣アトー サ⸢ビーサビー⸣シ バ⸢カサバルイー⸣ヤ ン⸢マー [⸢koːtʧiː⸣nu ⸣ʔatoː sa⸢biːsabiː⸣ʃi ba⸢kasabaru ʔiː⸣ja ʔm⸢maː] (ご馳走の後は淡白に炊いた方がご飯は美味しい)。 7049 0 2 6698 htmvoc_7049.wav サビーサビーシ サ⸢ビーサビー⸣シ [sa⸢biːsabiː⸣ʃi] 副 {Mn_2}ひっそりと。侘しく。寂寞として。物足りなく感じられて。「さび<寂>し」の義。 トゥ⸢ジヌ オーラ⸣ン ⸢ナッ⸣ター ⸢タンガ⸣シ サ⸢ビーサビー⸣シ ク⸢ラシオー⸣ル [tu⸢ʤinu ʔoːra⸣n ⸢nat⸣taː ⸢taŋga⸣ʃi sa⸢biːsabiː⸣ʃi ku⸢raʃi ʔoː⸣ru] (妻が亡くなられた<おられなくなった>ので、一人でひっそりと暮らしておられる) 7047 0 0 6699 htmvoc_7047.wav サビキ サ⸢ビ⸣キ [sa⸢bi⸣ki] 名 さびき釣りの擬餌針。カツオのさびき釣りに用いる擬餌針。ピ⸢キナー[pi̥⸢kinaː](引き縄釣り{EOS}疑似餌を引いて釣る漁法)に用いる擬餌針。 ヒ⸢ローサ⸣ヌ イ⸢ラキ⸣トゥ ⸢ドーギ⸣ヌ パ⸢ニ⸣シル サ⸢ビ⸣キ ス⸢ク⸣ローッタ [çi⸢roːsa⸣nu ʔi⸢raki⸣tu ⸢doːgi⸣nu pa⸢ni⸣ʃiru sa⸢bi⸣ki su̥⸢ku⸣roːtta] (めがねもちのうお<ベラ科の魚、体長約1メートル>の鱗と雄鶏の羽で擬餌針を作られた) 7048 0 0 6700 htmvoc_7048.wav サビサスン サ⸢ビ⸣サ ⸢スン [sa⸢bi⸣sa ⸢suŋ] 連 寂しく思う。寂しがる。「寂しさ・する」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー サ⸢ビ⸣サ ⸢スン⸣ダー [ja⸢ra⸣beː pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː sa⸢bi⸣sa ⸢sun⸣daː] (子供は人がいないと寂しがるよ) 7050 0 0 6701 htmvoc_7050.wav サビサン サ⸢ビ⸣サン [sa⸢bi⸣saŋ] 形 寂しい。 ッ⸢ふァンケー⸣ヌ タ⸢ベー⸣ パ⸢リキス⸣ター サ⸢ビサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢faŋkeː⸣nu ta⸢beː⸣ pa⸢riki̥su⸣taː sa⸢bisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (子供達がみな旅に行ってしまったので寂しくてたまらない)。 マ⸢ナバー⸣ケー サ⸢ビ⸣サー ⸢ナーン⸣シェンドゥ ⸢シンダイ⸣ サ⸢ビ⸣サ ナリ ⸢キー⸣ス [ma⸢nabaː⸣keː sa⸢bi⸣saː ⸢naːŋ⸣ʃendu ⸢ʃindai⸣ sa⸢bi⸣sa ⸣nari ⸢kiː⸣su] (今までは寂しくはなかったが、次第に寂しくなってくるよ)。 サ⸢ビ⸣サ ⸣クトー サ⸢ビ⸣サンドゥ ⸣マナール シ⸢カタヌ⸣ ア⸢ル⸣ワ ⸣メー [sa⸢bi⸣sa ⸣ku̥toː sa⸢bi⸣sandu ⸣manaːru ʃi̥⸢katanu⸣ ʔa⸢ru⸣wa ⸣meː] (寂しいことは寂しいが、いったい何処に仕方があるものか、もう) 7051 0 0 6702 htmvoc_7051.wav サビジル サ⸢ビ⸣ジル [sa⸢bi⸣ʤiru] 名 出汁の効かない汁。魚介類、肉類の出汁のない汁。 サ⸢ビ⸣ジルカー⸢ニ ッふァーサンドー⸣シ パ⸢モー⸣ル ヤ⸢ラバン⸣ カキキー ⸣ギラ ヤ⸢ラバン コーシ⸣キー バ⸢カシ⸣バ [sa⸢bi⸣ʤirukaː⸢ni ffaːsandoː⸣ʃi pa⸢moː⸣ru ja⸢rabaŋ⸣ kḁkikiː ⸣gira ja⸢rabaŋ koːʃi⸣kiː ba⸢kaʃi⸣ba] (出汁の効かない汁だけ食べさせないで、蛤でも掻いて拾ってきて、シャコ貝でも掻き起して炊きなさいよ) 7053 0 0 6703 htmvoc_7053.wav サビスクン サ⸢ビ⸣ スクン [sa⸢bi⸣ su̥kuŋ] 連 錆がつく。老年層は、サ⸢ビ⸣フーン[sa⸢bi⸣ɸuːŋ](錆喰う)という。 ⸢パー⸣ムノー ⸣トゥイティ ⸣アバ ッ⸢ふァーサン⸣カー サ⸢ビ⸣ スクン⸢ダー [⸢paː⸣munoː ⸣tuiti ⸣ʔaba f⸢faːsaŋ⸣kaː sa⸢bi⸣ su̥kun⸢daː] (刃物は研いで油をひかない<食わさない>と錆がつくぞ) 7052 0 0 6704 htmvoc_7052.wav ザヒバリ ザ⸢ヒバリ [ʣa⸢çibari] 名 蛇皮張り。ニシキヘビの蛇皮で張った三味線(三線)。ス⸢ブバリ[su⸢bubari](芭蕉の渋で張った三線)の対義語。 ⸢ベー⸣ヌ ザ⸢ヒバレー ウイカナケーバー⸣キ シゥ⸢カリ⸣スコー ⸢ナールタベー⸣ティル ヤ⸢クニン⸣ヌ ザ⸢ヒバリサンシントゥ⸣ トゥ⸢リ⸣カイ シ⸢ミローッ⸣タティ⸢ダー [⸢beː⸣nu ʣa⸢çibareː ʔuikanakeːbaː⸣ki sï̥⸢kari⸣su̥koː ⸢naːrutabeː⸣tiru ja⸢kunin⸣nu ʣa⸢çibarisaŋʃintu⸣ tu⸢ri⸣kai ʃi⸢miroːt⸣tati⸢daː] (我が家の蛇皮張り三線は浦崎家<上兼久家>まで聞こえるほど鳴ったので、役人の蛇皮張り三線と交換させられたそうだよ) 7054 0 0 6705 htmvoc_7054.wav サビフーン サ⸢ビ⸣フーン [sa⸢bi⸣ɸuːŋ] 自動 錆びる。「錆び喰う」の義。 ⸢ガッ⸣ケーン カ⸢ナパイン⸣ サ⸢ビ⸣フイ ⸢ナー⸣ヌ [⸢gak⸣keːŋ ka⸢napain⸣ sa⸢bi⸣ɸui ⸢naː⸣nu] (鎌も鍬も錆びてしまった)。 サ⸢ビ⸣フーンティ ⸣ウムーカー サ⸢ビホーン⸣ヨーニ ⸣アバ ピ⸢キ⸣ シキバ [sa⸢bi⸣ɸuːnti ⸣ʔumuːkaː sa⸢bihoːɲ⸣joːni ⸣ʔaba pi̥⸢ki⸣ʃi̥kiba] (錆びる<錆び喰う>と思うなら錆びないように<錆び喰わぬように>油をひいておけ)。 サ⸢ビ⸣フー ⸣ムノー ナー⸢イ⸣ サ⸢ビホー⸣シ [sa⸢bi⸣ɸuː ⸣munoː naː⸢i⸣ sa⸢bihoː⸣ʃi] (錆びるものは放置して錆びつかせ<錆び喰わせ>よ)。 サ⸢ビフイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [sa⸢biɸui⸣jaː ⸣misamunu] (錆びれば<錆喰えば>よいのに) 7055 0 0 6706 htmvoc_7055.wav サビフン サ⸢ビフン [sa⸢bihuŋ] 名 錆びた釘。「錆釘」の義。 サ⸢ビフン フンク⸣カー ハ⸢ショーフ⸣ カ⸢カ⸣ルンティ⸢ダー [sa⸢biɸuŋ ɸuŋku⸣kaː ha⸢ʃoːɸu⸣ kḁ⸢ka⸣runti⸢daː] (錆びた釘を誤って踏みつけると破傷風<病気>に罹るそうだよ) 7060 0 0 6707 htmvoc_7060.wav サフキ ⸢サフ⸣キ [⸢saɸu̥⸣ki] 名 先の尖ったもの。 ウ⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ムティ⸢ベー⸣ グ⸢シェー サフ⸣キ ⸢ナーリ ベー⸣バ ⸣トゥリ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ja⸢rabi⸣nu muti⸢beː⸣ gu⸢ʃeː saɸu̥⸣ki ⸢naːri beː⸣ba ⸣turi ʃi̥⸢ki⸣ri] (子供が持っている竹串は先が鋭く尖っているから取り上げておけ) 7061 0 0 6708 htmvoc_7061.wav サフクン ⸢サフクン [⸢saɸu̥kuŋ] 他動 尖らす。先端を研いで鋭利にする。 ⸢キーヌ⸣ ユダ キ⸢ジティ サフクンティ スンドゥ⸣ ク⸢リ⸣シェー ⸢サフカラヌ [⸢kiːnu⸣ juda ki⸢ʤiti saɸu̥kunti sundu⸣ ku⸢ri⸣ʃeː ⸢saɸu̥karanu] (木の枝を削って尖らそうとするが、これでは尖らされない) 7070 0 0 6709 htmvoc_7070.wav サフクン ⸢サフクン [⸢saɸu̥kuŋ] 他動 鋭利な物で突く。突き刺す。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢ヌ⸣アテー ⸢ナー⸣ンダ グ⸢シ⸣シ⸣ミー ⸢サフクン⸣ダー [ja⸢ra⸣beː mu⸢nu⸣ʔateː ⸢naː⸣nda gu⸢ʃi⸣ʃi ⸣miː ⸢saɸu̥kun⸣daː] (幼児は分別がないから、小串で目を突き刺すよ)。 タ⸢キグシ⸣シ ⸣パン ⸢サフカリティ⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [tḁ⸢kiguʃi⸣ʃi ⸣pan ⸢sḁɸukariti⸣ jami na⸢ra⸣nu] (竹串で足を突き刺されて痛くて堪らない) 7062 0 0 6710 htmvoc_7062.wav サフケーマ サフ⸢ケー⸣マ [saɸu̥⸢keː⸣ma] 名 小さく尖ったもの。小さくて鋭く尖ったもの。-マ[-ma](小さいもの、親愛なるものを表す語)は指小辞(diminutive)。 サフ⸢ケー⸣マ ⸢トゥン⸣ガリ ⸢ブー ムノー⸣ パ⸢ダカウワ⸣ヌ シ⸢ティリ [saɸu̥⸢keː⸣ma ⸢tuŋ⸣gari ⸢buː munoː⸣ pa⸢dakauwa⸣nu ʃi̥⸢tiri] (先が鋭く尖っているものは、見るだけで肌がむずむずする<肌が痒い{EOS}肌がすくむ>ので捨てなさい)。 タ⸢キパシヌ⸣ サ⸢キ⸣ キ⸢ジテイ⸣ サフ⸢ケー⸣マ ⸣ナシ ⸣シケー [tḁ⸢kipaʃinu⸣ sḁ⸢ki⸣ ki⸢ʤiti⸣ saɸu̥⸢keː⸣ma ⸣naʃi ⸣ʃi̥keː] (竹箸の先を削って鋭利なものにしてある) 7063 0 0 6711 htmvoc_7063.wav ザフティ ザフ⸢ティ [ʣaɸu̥⸢ti] 副 ぐさりと。ざくっと。柔らかいものを突き刺すさま。 ⸢マンズイ⸣ヌ ⸣ナル ⸣ユクンシ ザフ⸢ティ ピッ⸣キティ ⸢アーシウタ⸣シバ [⸢manʣui⸣nu ⸣naru ⸣jukuŋʃi ʣaɸu̥⸢ti pik⸣kiti ⸢ʔaːʃiʔuta⸣ʃiba] (パパイヤの実を銛でぐさりと突いて、捥ぎおとしなさいよ)。 ⸢シー⸣メーユクンシ イ⸢ラブ⸣チ ザフ⸢ティ⸣ シ⸢キピッ⸣キ [⸢ʃiː⸣meːjukuŋʃi ʔi⸢rabu⸣ʧi ʣaɸu̥⸢ti⸣ ʃi̥⸢ki pik⸣ki] (スジブダイを鉤のない銛でぐさりと突き刺しなさい) 7072 0 0 6712 htmvoc_7072.wav サフン ⸣サフン [⸣saɸuŋ] 名 石鹸。⸣サッフン[⸣saɸɸuŋ](石鹸)ともいう。 ポルトガル語のシャボン [sabão] (石鹸)の転訛したもの (『広辞苑』)。石垣方言からの借用語か。石鹸の無かった昔は、⸢ウンヌ⸣カザ[⸢ʔunnu⸣kaʣa](芋蔓)の葉などを揉んで、その青汁で髪を洗ったり、ア⸢ガミツァ[ʔa⸢gamiʦa](赤粘土{EOS}「赤にた<湿地>」の義)で女性は長い髪を洗った。明治生まれの古老の言葉。若年層では死語化しつつある。 ⸢ティー⸣ヤ ⸣サフンシ シカイ⸢トゥ⸣ ア⸢ライ⸣ヨー [⸢tiː⸣ja ⸣saɸuŋʃi ʃi̥kai⸢tu⸣ ʔa⸢rai⸣joː] (手は石鹸でしっかりと洗いなさいよ) 7073 0 0 6713 htmvoc_7073.wav ザブンティ ザ⸢ブンティ [ʣa⸢bunti] 副 ざぶんと。水が激しく打ちつけられる音。擬音語。 ザ⸢ブンティ⸣ ス⸢ナ⸣カー トゥ⸢ビクムタ [ʣa⸢bunti⸣ su⸢na⸣kaː tu⸢bikumuta] (ざぶんと海中に飛び込んだ) 7074 0 0 6714 htmvoc_7074.wav サボーリルン サ⸢ボーリルン [sa⸢boːriruŋ] 自動 さびれる。衰えて見る影もなくなる。荒廃する。荒れ果てる。 プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ⸣シマー サ⸢ボーリルン [pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː ⸣ʃimaː sa⸢boːriruŋ] (人がいないと島は寂れる)。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢ヌス⸣ク サ⸢カリブタ⸣ ヤー ヤ⸢ルヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ブ⸢ラーン ナッ⸣ター サ⸢ボーリ ナー⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢nusu̥⸣ku sa⸢kaributa⸣ jaː ja⸢runu⸣ f⸢fanu⸣ bu⸢raːnnat⸣taː sa⸢boːri naː⸣nu] (昔はあれ程に繁昌していた家であるが、子供がいなくなったので寂れてしまった)。 サ⸢ボーリランティ⸣ ア⸢ザバン⸣ ナシパンジョーヌ ⸢ナーン⸣カー サ⸢ボーリルン⸣ダー [sa⸢boːriranti⸣ ʔa⸢ʣaban⸣ naʃipanʤoːnu ⸢naːŋ⸣kaː sa⸢boːrirun⸣daː] (寂れないとは言っても、子孫繁昌が無くては寂れるよ)。 サ⸢ボーリル ヤー⸣ヤ サ⸢ボーリリ [sa⸢boːriru jaː⸣ja sa⸢boːriri] (寂れる家は寂れろ) 7075 0 0 6715 htmvoc_7075.wav サボールン サ⸢ボールン [sa⸢boːruŋ] 自動 寂れる。落ちぶれる。零落する。「さびる<寂びる>下二段活用」の四段活用化したもの。 プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン ヤー⸣ヤ ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣シティ サ⸢ボーリベー [pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːɲ jaː⸣ja ⸣s⸢sa⸣nu ⸢muikaba⸣ʃi̥ti sa⸢boːri beː] (人のいない家は、草が伸び放題で寂れている)。 ⸢ティー⸣リ ⸢サン⸣カー サ⸢ボールン⸣ダー [⸢tiː⸣ri ⸢saŋ⸣kaː sa⸢boːrun⸣daː] (手入れしないと寂れるよ)。 ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ナルカー ⸣シマー サ⸢ボールン⸣ティ シ⸢タヌ⸣ ⸢フン⸣トー サ⸢ボーリ ナー⸣ヌ [⸢gakkoː⸣nu ⸢naːn⸣narukaː ⸣ʃimaː sa⸢boːrun⸣ti ʃi̥⸢tanu ɸun⸣toː sa⸢boːri naː⸣nu] (学校が無くなると島は寂れるといったが、本当に寂れてしまったなあ)。 プ⸢スヌ⸣サーギ ⸢ブー⸣カー サ⸢ボーラヌ⸣ サ⸢ボール⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [pu̥⸢sunu⸣saːgi ⸢buː⸣kaː sa⸢boːranu⸣ sa⸢boːru⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (人がさえいたら寂れない{EOS}寂びれることはないはずだ)。 サ⸢ボーレー⸣ ミサムヌ [sa⸢boːreː⸣ misamunu] (寂びればよいのに)。 サ⸢ボール⸣ トンマー サ⸢ボーリ [sa⸢boːru⸣ tommaː sa⸢boːri] (寂れるところは寂れろ) 7076 0 0 6716 htmvoc_7076.wav ザボーンザボーンシ ザ⸢ボーンザボーン⸣シ [ʣa⸢boːnʣaboːŋ⸣ʃi] 副 ざぶんざぶんと。水中で飛び跳ねるさま。 ザ⸢ボーンザボーン⸣シ ⸣オンダー ⸢シーベー [ʣa⸢boːnʣaboːŋ⸣ʃi ⸣ʔondaː ⸢ʃiːbeː] (ざぶんざぶんと泳ぎ回っている<海水浴をしている>) 7077 0 0 6717 htmvoc_7077.wav サマ サ⸢マ [sa⸢ma] 名 しらふ(素面)。酒を飲んでいない平常の状態。 ⸢ビープスン⸣ナーニ ノー⸢ンティ⸣ ア⸢ザバン ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ サ⸢マヌ⸣ ピンナー ア⸢ジ シゥカシ [⸢biːpusun⸣naːni noː⸢nti⸣ ʔa⸢ʣabaɲ juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu sa⸢manu⸣ pinnaː ʔa⸢ʤi si̥kaʃi] (酔っ払い<酔人>には何を言っても役にたたない<何の養生にもならない>{EOS}素面のときに言って聞かせなさい<教え諭しなさい>)。 サ⸢マネー⸣ ウ⸢シダマリティ⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカータ フ⸢チブシ [sa⸢maneː⸣ ʔu⸢ʃidamariti⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaːta ɸu̥⸢ʧibuʃi] (しらふ<素面>では押し黙っていて、酒を飲むと饒舌家<口武士>になる) 7078 0 0 6718 htmvoc_7078.wav ザマ ザ⸢マ [ʣa⸢ma] 名 様。有様。体裁。おもむき。なりふり。対象をあざけっていう場合にいう。 ザ⸢マー ナー⸣ン ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ アー⸣ク [ʣa⸢maː naː⸣m mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (体裁のない言葉<訳のわからないこと{EOS}責任の持てない話>を話している)。 ウ⸢ヌザマー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ʔu⸢nu ʣamaː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (そのていたらく<体たらく>は何事だ)。 ⸣ウヌ ⸣ザマ ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔunu ⸣ʣama ⸣nari⸢naː⸣nu] (その体たらくになってしまった) 7079 0 0 6719 htmvoc_7079.wav ザマ ザ⸢マ [ʣa⸢ma] 名 邪魔。さまたげ(妨げ)。妨害。障害。 プ⸢スヌ⸣ ザ⸢マー サンブリ⸣バ [pu̥⸢sunu⸣ ʣa⸢maː samburi⸣ba] (他人の邪魔はするな<しないでおれ>よ)。 ⸣ウナー ⸣タトゥカー ザ⸢マ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢マー⸣ マ⸢ダ⸣キ [⸣ʔunaː ⸣tḁtukaː ʣa⸢ma⸣ ja⸢runda⸣ ka⸢maː⸣ ma⸢da⸣ki] (そこに立つと邪魔だから、あそこへ退きなさい) 7082 0 0 6720 htmvoc_7082.wav ザマーナーヌ ザ⸢マー ナー⸣ヌ [ʣa⸢maː naː⸣nu] 連 みっともない。体裁が悪い。結果がそれに相応しくない。けじめをつけない。始末が悪い。無責任である。 ザ⸢マー ナーン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジアーク [ʣa⸢maː naːm⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤiʔaː⸣ku] (始末のわるい、無責任なことを言っている)。 ザ⸢マー ナーン⸣ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [ʣa⸢maː naːm⸣ pu̥⸢su⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ta⸢namara⸣nu] (無責任な<けじめのない>人だから、彼には頼まれない) 7080 0 0 6721 htmvoc_7080.wav サマザマ サ⸢マ⸣ザマ [sa⸢ma⸣ʣama] 名 いろいろ。種々。様々。歌謡語。/~ヌチヌ アリワドゥ チムヌ ウムティン ククルヌ アルティン ジュウージュー サマザマ カナティ イカリサ~/(命があればこそ胸中の思いも心中の望みも重々様々<重々無尽>に叶えて行けるものだ)「鳩間口説」 7083 0 0 6722 htmvoc_7083.wav サマシフチル サ⸢マシフチ⸣ル [sa⸢maʃiɸuʧi⸣ru] 名 熱冷まし。解熱剤。「冷まし薬」の義。 サ⸢マシフチ⸣ル ⸣ヌミティ ⸣ニチ サ⸢マ⸣シバ [sa⸢maʃiɸuʧi⸣ru ⸣numiti ⸣niʧi sa⸢ma⸣ʃiba] (解熱剤を飲んで熱を冷ましなさい) 7084 0 1 6723 htmvoc_7084.wav サマスン サ⸢マ⸣スン [sa⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_1}冷ます。冷やす。 ⸣ニチ サ⸢マ⸣スン [⸣niʧi sa⸢ma⸣suŋ] (熱を冷ます)。 ⸣ニチ サ⸢マ⸣スンティ ウ⸢ムー⸣タンティン フ⸢チル⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー サ⸢マサラ⸣ヌ [⸣niʧi sa⸢ma⸣sunti ʔu⸢muː⸣tantiŋ ɸu̥⸢ʧiru⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː sa⸢masara⸣nu] (熱を冷まそうと思っても薬がないと冷まされない)。 ⸣ニチ サ⸢マ⸣ス ⸣クトゥグライヤー<ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢タロー> ⸣ドゥーシ サ⸢マ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣niʧi sa⸢ma⸣su ⸣ku̥tuguraijaː ⸣duːʃi sa⸢ma⸣ʃeː ⸣misamunu] (熱を冷ますことぐらいは自分で冷ませばよいのに)。 ⸣ニチ サ⸢マシ⸣ プサカー ⸢ダンダン⸣シ ⸣ドゥーシ サ⸢マ⸣シ [⸣niʧi sa⸢maʃi⸣ pu̥sakaː ⸢dandaŋ⸣ʃi ⸣duːʃi sa⸢ma⸣ʃi] (熱を冷ましたければ、さっさと自分で冷ませ)。 7084 0 2 6724 htmvoc_7084.wav サマスン サ⸢マ⸣スン [sa⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_2}覚ます。迷いを解く。悟らせる。 ユ⸢ナカー⸣ラ ⸢ミー⸣ サ⸢マ⸣シティ ニ⸢バランセン [ju⸢nakaː⸣ra ⸢miː⸣ sa⸢ma⸣ʃi̥ti ni⸢baraŋʃeŋ] (夜中から目を覚まして眠れなかった)。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢サン⸣ジナー ヤー⸢ディン⸣ ミー サ⸢マ⸣スン シ⸢バルン⸣ドゥ ミー サ⸢マサ⸣リ⸢ツォー<ウ⸢コーサ⸣リ⸢ツォー> [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢san⸣ʤinaː jaː⸢dim⸣ miː sa⸢ma⸣suŋ ʃi⸢barun⸣du ⸣miː sa⸢masa⸣ri⸢ʦoː<ʔu⸢koːsa⸣ri⸢ʦoː>] (午前3時に必ず目を覚ます{EOS}尿意で目が覚まされるんですよ)。 ⸢ミー⸣ サ⸢マ⸣ス プ⸢ソー パー⸣ク ⸢ミー⸣ サ⸢マ⸣シ [⸢miː⸣ sa⸢ma⸣su pu̥⸢soː paː⸣ku ⸢miː⸣ sa⸢ma⸣ʃi] (目を覚ます人は早く目を覚ませ)。 ⸢ミー⸣ サ⸢マ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢miː⸣ sa⸢ma⸣ʃeː ⸣misamunu] (目を覚ませばよいのに) 7085 0 0 6725 htmvoc_7085.wav サマタギルン サ⸢マタギ⸣ルン [sa⸢matagi⸣ruŋ] 他動 妨げる。邪魔する。 ウ⸢リヌ⸣ シ⸢グトー⸣ サ⸢マタギ⸣ルンティ シ⸢タンティン⸣ サ⸢マタギララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢matagi⸣runti ʃi̥⸢tantin⸣ sa⸢matagirara⸣nu] (彼の仕事を妨げようとしても妨げられない)。 サ⸢マタギ⸣ル プ⸢ソー⸣ サ⸢マ⸣タギ ⸣ミサン [sa⸢matagi⸣ru pu̥⸢soː⸣ sa⸢ma⸣tagimisaŋ] (妨げる人は妨げてもいい)。 プ⸢スヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ サ⸢マタギ⸣レーラー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢gutu⸣ sa⸢matagi⸣reːraː ⸢deː⸣ʤi ⸢ge⸣ra] (他人の仕事を邪魔したら大変さ)。 ク⸢レー⸣ サ⸢マタギ⸣リ [ku⸢reː⸣ sa⸢matagi⸣ri] (これは妨げよ) 7086 0 0 6726 htmvoc_7086.wav サマタグン サ⸢マ⸣タグン [sa⸢ma⸣taguŋ] 他動 妨げる。邪魔する。妨害する。「妨ぐ<下二段活用>」の四段活用化したもの。サ⸢マタギ⸣ルンとも言う。 ウ⸢リヌ⸣ シ⸢グトー⸣ イッ⸢カ⸣ サ⸢マタガン⸣ティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ サ⸢マ⸣タギ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔik⸢ka⸣ sa⸢matagan⸣ti ʔu⸢muːtan⸣du sa⸢ma⸣tagi ⸢naː⸣nu] (彼の仕事は決して妨げないと思ったが、妨げてしまった)。 サ⸢マ⸣タグ ⸣クトー サ⸢マタグン⸣ドゥ プ⸢スヌ⸣ シ⸢グトゥバ⸣ サ⸢マ⸣タゲー ナ⸢ラ⸣ヌ [sa⸢ma⸣tagu ⸣kutoː sa⸢matagun⸣du pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢gutuba⸣ sa⸢ma⸣tageː na⸢ra⸣nu] (妨げることは妨げるが、他人の仕事ば妨げてはならない)。 ⸢ワー タンガ⸣シ サ⸢マ⸣タギ [⸢waː taŋga⸣ʃi sa⸢ma⸣tagi] (君一人で妨げよ) 7088 0 0 6727 htmvoc_7088.wav サマダリムヌ サ⸢マダリ⸣ムヌ [sa⸢madari⸣munu] 名 衣服の帯が解けてだらしなくなった者。 サ⸢キバ⸣ ヌミ ⸣ビータリティ サ⸢マダリ⸣ムヌ ⸣ナリティ ⸣ヌーヤー ウ⸢レー フージェーナー⸣ン [sa⸢kiba⸣ numi ⸣biːtariti sa⸢madari⸣munu ⸣nariti ⸣nuːjaː ʔu⸢reː ɸuːʤeː naː⸣ŋ] (酒を飲んで酔いつぶれて、衣服の帯びも解け、だらしのない者になって何だこれは{EOS}みっともない<風儀がない{EOS}風情がない>) 7087 0 0 6728 htmvoc_7087.wav サマダレー サ⸢マ⸣ダレー [sa⸢ma⸣dareː] 名 衣服がだらしなくなった者。帯を締めずに前を開けて裾をぶらつかせるさま。思慮分別のない者。放心状態の者。サ⸢マダリ⸣ムヌ[sa⸢madari⸣munu](衣服の帯がだらけて、だらしの無い者)ともいう。「酩酊、恵比佐万太留(ゑひさまたる)」『新撰字鏡』の転訛したものか。 フ⸢ク⸣ビン フ⸢カシティ⸣ サ⸢マ⸣ダレー ⸣ナリ ⸢アー⸣クムヌ ⸣ミリ ⸢ッふィーリ⸣バ [ɸu⸢ku⸣biŋ ɸu̥⸢kaʃi̥ti⸣ sa⸢ma⸣dareː ⸣nari ⸢ʔaː⸣kumunu ⸣miri f⸢fiːri⸣ba] (帯びもほどけて、衣服がだらしなくなっているんだもの、見てやってくれよ) 7092 0 0 6729 htmvoc_7092.wav サマルン サ⸢マ⸣ルン [sa⸢ma⸣ruŋ] 他動 縛る。結わえる。くくる。 ⸢キーヌ⸣ ユダ サ⸢マ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢バン⸣マー サ⸢マララ⸣ヌ [⸢kiː⸣nu ⸣juda sa⸢ma⸣runti ⸢beː⸣nundu ⸢bam⸣maː sa⸢marara⸣nu] (木の枝を結わえよう<縛る>としているが、私には結わえら<縛れ>れない)。 サ⸢マ⸣ル ⸣ムノー プ⸢スタバル⸣ナー サ⸢マ⸣リ ⸣シキ [sa⸢ma⸣ru ⸣munoː pu̥⸢sutabaru⸣naː sa⸢ma⸣ri ʃi̥ki] (結わえる<縛る>ものは、一束ずつ結わえ<縛っ>ておけ)。 グマー⸢グマー⸣シ サ⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [gumaː⸢gumaː⸣ʃi sa⸢ma⸣reː misamunu] (小さく結わえ<縛>ればよいのに)。 バ⸢ラフ⸣タジナシ サ⸢マ⸣リ [ba⸢raɸu⸣taʤinaʃi sa⸢ma⸣ri] (藁縄で縛れ) 7093 0 0 6730 htmvoc_7093.wav サマルン サ⸢マ⸣ルン [sa⸢ma⸣ruŋ] 自動 冷める。熱が下がる。「さむ<下二段>」の四段活用に転訛したもの。 フ⸢チン⸣パー ⸢シッ⸣キティ ⸣シル ス⸢ブ⸣リ ヌ⸢マ⸣スカー ⸣ニチェー サ⸢マ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧim⸣paː ⸢ʃik⸣kiti ⸣ʃiru su⸢bu⸣ri nu⸢ma⸣su̥kaː ⸣niʧeː sa⸢ma⸣ruŋ] (蓬の葉を搗いて汁を絞って飲ますと熱が下がる<冷める>)。 マ⸢ナ⸣マー ⸣ニチェー サ⸢マラン⸣タンティン フ⸢チ⸣ル ヌ⸢マ⸣スカー サ⸢マリ パジミ⸣ルン [ma⸢na⸣maː ⸣niʧeː sa⸢maran⸣tantin fu̥⸢ʧi⸣ru nu⸢ma⸣sukaː sa⸢mari paʤimi⸣ruŋ] (今は熱が冷めなく<冷まらなく>ても薬を飲ませると冷め<冷まり>始める)。 ニ⸢チ⸣ヌ サ⸢マ⸣ル ⸢マイ⸣ヤー ア⸢シ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンダー ン⸢メーマンツァン⸣ サ⸢マ⸣レー ミサムヌヌ [ni⸢ʧi⸣nu sa⸢ma⸣ru ⸢mai⸣jaː ʔa⸢ʃi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rundaː ʔm⸢meːmanʦan⸣ sa⸢ma⸣reː ⸣misamununu] (熱が下がる<冷まる>前には汗が出るから、少しでも下がれば<冷まれば>いいのだが) 7089 0 0 6731 htmvoc_7089.wav ザマンドゥリカジ ザ⸢マンドゥリ⸣カジ [ʣa⸢manduri⸣kaʤi] 名 方向の定まらない風。 ⸢マイ⸣ トゥ⸢バスンティ ベー⸣ヌンドゥ ザ⸢マンドゥリカジ⸣ヌ フ⸢キ⸣ル トゥ⸢バサランバン [⸢mai⸣ tu⸢basunti beː⸣nundu ʣa⸢mandurikaʤi⸣nu ɸu̥⸢ki⸣ru tu⸢basarambaŋ] (\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}を風で飛ばそうとしているが、方向の定まらない風が吹いて\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}を飛ばされないよ) 7090 0 0 6732 htmvoc_7090.wav ザマンドゥリカマンドゥリ ザ⸢マン⸣ドゥリカマンドゥリ [ʣa⸢man⸣durikamanduri] 副 さまよう(さ迷う)さま。うろうろする。心が安定せずあちらこちらを歩く。 ⸣ミチン ッ⸢サヌ⸣ ッ⸢シェー⸣ プスン ブ⸢ラーン⸣ トンナー ザ⸢マン⸣ドゥリ ⸣カマンドゥリ ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣トゥミ ⸢クー⸣タ [⸣miʧin s⸢sanu⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ pu̥sum bu⸢raːn⸣ tonnaː ʣa⸢man⸣duri ⸣kamanduri ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ⸣tumi ⸢kuː⸣ta] (道も知らない、知っている人もいないところで、さ迷いながらやっとのことで探し当ててきた) 7091 0 0 6733 htmvoc_7091.wav ザマンドゥルン ザ⸢マン⸣ドゥルン [ʣa⸢man⸣duruŋ] 自動 さ迷う。まごつく。頭が混乱する。不意の出来事でうろたえる。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢マーラシター⸣ ザ⸢マン⸣ドゥリ ⸢ナー⸣ヌ [u⸢ja⸣nu ⸢maːraʃi̥taː⸣ ʣa⸢man⸣duru ⸢naː⸣nu] (親が亡くなったのでうろたえてしまった)。 ⸣アイブ ⸣ピンマー ター⸢ン ヤラバン⸣ ザ⸢マン⸣ドゥルン ザ⸢マンドゥラン⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaibu ⸣pimmaː taː⸢ɲ jaraban⸣ ʣa⸢man⸣durun ʣa⸢manduram⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (そのような時は誰であってもうろたえる{EOS}うろたえない人はいない)。 ザ⸢マン⸣ドゥル ⸣ピンマー ザ⸢マン⸣ドゥレー ミサムヌ [ʣa⸢ma⸣duru ⸣pimmaː ʣa⸢man⸣dureː ⸣misamunu] (うろたえる時はうろたえればよいのに)。 ン⸢ベーマー⸣ ザ⸢マン⸣ドゥリ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʣa⸢man⸣duri] (少しはうろたえろ) 7094 0 0 6734 htmvoc_7094.wav サミ サ⸢ミ [sa⸢mi] 名 砕け米。精白の際に米粒が数個に砕けたもので、粉ではない。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ⸢ソー⸣キナー サ⸢ミン⸣ プ⸢サイヤー⸣ティ ⸢カイバ⸣ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ⸢soː⸣kinaː sa⸢mim⸣ pu̥⸢saijaː⸣ti ⸢kaiba⸣ tḁ⸢ki⸣ f⸢faːsoːt⸣ta] (戦後はソーキ<竹製の浅い笊>に砕け米を拾いながら、それでお粥を炊いて食べさせられた) 7095 0 0 6735 htmvoc_7095.wav サミ サ⸢ミ [sa⸢mi] 名 (植)ゲットウ(月桃)。ショウガ科の多年草。葉の長さ約70センチ、大きさ約13センチ。芳香を有し、餅や握り飯を包むのに用いられる。 サ⸢ミンパームチェー⸣ サ⸢ミヌ パー⸣シ ッ⸢ス⸣ミテイ ⸢ネーソー⸣ルンダ カ⸢バッ⸣サン ⸣アリー ン⸢マー⸣ン ⸢アッ⸣タン [sa⸢mimpaːmuʧeː⸣ sa⸢minu paː⸣ʃi s⸢su⸣miti ⸢neːsoː⸣runda ka⸢bas⸣saŋ ⸣ʔari ʔm⸢maː⸣ŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (月桃餅は、月桃の葉で包んで蒸し煮されるのだから、香ばしくもあり美味しくもあった) 7096 0 0 6736 htmvoc_7096.wav サミゴーサ サ⸢ミゴーサ [sa⸢migoːsa] 名 皮膚病の名。かいせん(疥癬)の一種。人疥癬虫が、皮膚の柔らかいところに寄生して起こる発疹。乾燥肌にぶつぶつが出来て膿みは無く、掻くと白くなり、痒い。 ウ⸢レー⸣ サ⸢ミゴーサ⸣ ガジ⸢ベー⸣ティ ⸢ウン⸣ナー シ⸢カットゥ⸣カー ウ⸢チ⸣ルン⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ sa⸢migoːsa⸣ gaʤi⸢beː⸣ti ⸢ʔun⸣naː ʃi̥⸢kattu⸣kaː ʔu⸢ʧi⸣run⸢daː] (彼は乾燥肌の疥癬に罹患して<疥癬をを掻いて>いるから、それに触る<接触する>と伝染するよ) 7081 0 0 6737 htmvoc_7081.wav サミゴーサー サ⸢ミゴーサー [sa⸢migoːsaː] 名 乾性の疥癬。皮膚病の名。膿みはなくて痒く、掻くと白くなる。⸢疥癬(scabies)人疥癬虫が、皮膚の柔らかいところに寄生しておこる発疹」『医学沖縄語辞典』。⸢ゴー⸣サー[⸢goː⸣sa]は「こせがさ」の転訛したもの。「こせ(瘡)」は「かさ(瘡)、加佐『和名抄』」の義か。サ⸢ミ[sa⸢mi](砕米粒{EOS}米粉になる前の細かい粒状のもの)は、⸢ゴー⸣サ[⸢goː⸣sa]に係る修飾語。サ⸢ミゴーサ[sa⸢migoːsa]は合成語で<サ⸢ミ[sa⸢mi]のような、ざらざらした疥癬>の義。 サ⸢ミゴーサー⸣ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン [sa⸢migoːsaː⸣ ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣baŋ] (乾性の疥癬は、今は見られないよ) 7097 0 0 6738 htmvoc_7097.wav サミヌパナ サ⸢ミヌ⸣ パナ [sa⸢minu⸣ pana] 連 ゲットウ(月桃)の花。 サ⸢ミヌ⸣ パナー ッ⸢ソーッソー⸣シティ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [sa⸢minu⸣ panaː s⸢soːssoː⸣ʃi̥ti ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (ゲットウ<月桃>の花は真っ白で<白々として{EOS}清浄潔白で>非常に美しい<綺麗だ>) 7098 0 1 6739 htmvoc_7098.wav サミルン サ⸢ミ⸣ルン [sa⸢mi⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}覚める。酔いが醒める。 ⸢トゥンナキン⸣ナー ヤー⸢ディン⸣ ミー サ⸢ミルン⸣ドゥ サ⸢キ⸣ ヌミティ ニ⸢ブ⸣カー ⸢ミー⸣ヤ サ⸢ミラ⸣ヌ [⸢tunnakin⸣naː jaː⸢dim⸣ miː sa⸢mirun⸣du sḁ⸢ki⸣ numiti ni⸢bu⸣kaː ⸢miː⸣ja sa⸢mira⸣nu] (暁<鶏鳴の時>には必ず目が覚めるが酒を飲んで寝ると目は覚めない)。 ⸣ミー サ⸢ミ⸣ル ⸣プソー ユ⸢ナカー⸣ラ ⸣ミー ⸣サミティ ニ⸢バラヌ [⸣miː sa⸢mi⸣ru ⸣pu̥soː ju⸢nakaː⸣ra ⸣miː ⸣samitiː ni⸢baranu] (目が覚めるときは夜中から目が覚めて眠れない)。 ⸢パイ⸣サ ⸣ミー サ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢pai⸣sa ⸣miː sa⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (早く目が覚めればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ミー サ⸢ミ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸣miː sa⸢mi⸣ri] (早く目覚めよ)。 7098 0 2 6740 htmvoc_7098.wav サミルン サ⸢ミ⸣ルン [sa⸢mi⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}熱が冷める。「Same、uru eta、サメ、ムル、メタ(冷・覚・醒め、むる、めた)熱い物が冷える」『邦訳日葡辞書』からの転訛か。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌムカー ⸣ニチェー サ⸢ミ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numukaː ⸣niʧeː sa⸢mi⸣ruŋ] (薬を飲んだら熱は冷める) 7102 0 0 6741 htmvoc_7102.wav サミンパームチ サ⸢ミンパームチ [sa⸢mimpaːmuʧi] 名 月桃の葉餅。月桃の葉で包んで蒸した餅。 サ⸢ミンパームチェー⸣ バ⸢サン⸣パームチェーラン カ⸢バッ⸣サン ⸣アリ ン⸢マー⸣ン ア⸢リ⸣ブー [sa⸢mimpaːmuʧeː⸣ ba⸢sam⸣paːmuʧeːraŋ ka⸢bas⸣saŋ ⸣ʔari ʔm⸢maː⸣ŋ ʔa⸢ri⸣buː] (月桃の葉餅は芭蕉の葉餅よりも香ばしくもあり、美味しくもある) 7099 0 0 6742 htmvoc_7099.wav サムティ サ⸢ムティ [sa⸢muti] 連 ~しないで。(i) 打ち消した状態を維持する意を表して連用修飾したり、(ii) 条件文を中止して反語表現を作る。動詞⸢スン[⸢suŋ](する)の未然形⸢サ[⸢sa](しない)に、打消しの助動詞ン[m](~ない<ぬ>)+接続助詞ティ[ti](~て)が下接したもの。(i) シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ ンーナッふァイ シー ベー[ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti ʔnːnaffai ʃiːbeː](仕事はしないで、無駄食いしている)。(ii) シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ ヌー⸣スワ[ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti nuː⸣suwa](仕事はしないで、どうするのか<如何するつもりか>) 7100 0 0 6743 htmvoc_7100.wav サムライ サ⸢ムライ [sa⸢murai] 名 さむらい(侍)。武士。士族。 パ⸢トゥ⸣マナー サ⸢ムライヤー オーラン⸣シェン ムー⸢ル⸣ アカカラジ ヤ⸢ローッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manaː sa⸢muraijaː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ muː⸢ru⸣ ʔakakaraʤi ja⸢roːt⸣ta] (鳩間島には侍<士族>は居られなかった{EOS}みんな百姓でいらっしゃった<あられた>) 7101 0 1 6744 htmvoc_7101.wav サムン ⸣サムン [⸣samuŋ] 自動 {Mn_1}熱が冷める。熱が引く。 7101 0 2 6745 htmvoc_7101.wav サムン ⸣サムン [⸣samuŋ] 自動 {Mn_2}冷める。覚める。醒める。「さむ<冷む。覚む。醒む>下二段活用」の四段活用へ転訛したもの。 ⸣ニチェー マ⸢ダ⸣ サ⸢マ⸣ヌ [⸣niʧeː ma⸢da⸣ sa⸢ma⸣nu] (熱はまだ下がらない<冷めない>)。 サ⸢ミ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [sa⸢mi⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (冷め早い)。 ⸣ニチェー ⸣サムクトー サ⸢ムン⸣ドゥ ⸢マー⸣ビン ⸢パイ⸣サ ⸣サメー ⸣ミサムヌ⸢ツォー [⸣niʧeː ⸣samukutoː sa⸢mun⸣du ⸢maː⸣bim ⸢pai⸣sa sameː⸣misamunu⸢ʦoː] (熱は冷めることは冷めるが、もっと早く冷めればよいのにさ)。 ミ⸢ジ⸣ ヌミティ ⸣ビー サ⸢ミリ [mi⸢ʤi⸣ numiti ⸣biː sa⸢mi⸣ri] (水を飲んで酔いから醒めよ) 7103 0 1 6746 htmvoc_7103.wav サヤ サ⸢ヤ [sa⸢ja] 名 {Mn_1}さや(莢)。 マ⸢ミ⸣ヌ プ⸢ス⸣サヤナー ⸣マメー ⸢ギューシジ ペー⸣リ ⸢ブーワ [ma⸢mi⸣nu pu̥⸢su⸣sajanaː ⸣mameː ⸢gjuːʃiʤi peː⸣ri ⸢buːwa] (豆の一\ruby{莢}{サヤ}に豆の実が幾粒入っているか)。 7103 0 2 6747 htmvoc_7103.wav サヤ サ⸢ヤ [sa⸢ja] 名 {Mn_2}刀の鞘。 ⸣サヤンガタナ [⸣sajaŋgatana] (伝説上の、鞘の付いた刀剣{EOS}日本刀)。鞘のことを普通は、カ⸢タナ⸣ヌ ⸣シー[ka⸢rana⸣nu ⸣ʃiː](刀の巣<鞘>)という 7104 0 0 6748 htmvoc_7104.wav サヤマミ ⸣サヤマミ [⸣sajamami] 名 (植)エンドウ(豌豆)。 ⸣サヤマメー パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢ナン⸣ゾー イ⸢ボーラン⸣シェン [⸣sajamameː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢nan⸣ʣoː ʔi⸢boːraŋ⸣ʃeŋ] (エンドウは鳩間島の人はあんまり栽培しなかった) 7105 0 0 6749 htmvoc_7105.wav サヤンガタナ ⸣サヤンガタナ [⸣sajaŋgatana] 名 鞘の付いた刀剣。「鞘の刀」の義。日本刀。鳩間村を創建したという伝説上の人物(儀佐真主)は⸣サヤンガタナ[⸣sajaŋgatana](鞘の付いた刀剣)を宮古の仲宗根豊見親から頂いたという(鳩間真吉氏伝承)。 ニ⸢シ⸣ドーウガンナー ⸣サヤンガタナトゥ サ⸢カシキヌ アッ⸣タンツォー [ni⸢ʃi⸣doːʔugannaː ⸣sajaŋgatanatu sḁ⸢kaʃi̥kinu ʔat⸣tanʦoː] (西堂御嶽には⸣サヤンガタナ{SqBr}⸣sajaŋgatana{/SqBr}(鞘の付いた刀<日本刀>)と盃があったそうだ) 7106 0 1 6750 htmvoc_7106.wav サラ ⸣サラ [⸣sara] 名 {Mn_1}皿。普通は、⸢カイ⸣キ[⸢kai⸣ki](皿{EOS}け<笥>、万葉集 142)という。 ⸢ウー⸣ザラ [⸢ʔuː⸣ʣara] (大皿)。 ⸢チュー⸣ザラ [⸢ʧuː⸣ʣara] (中皿)。⸢クー⸣ザラ[⸢kuː⸣ʣaru](小皿)等がある。 ⸢ウー⸣ザラナ ン⸢ブシ⸣ムヌ イ⸢リ⸣ シケーバ ⸢ナーメーメーヌ クー⸣ザラナ ⸣バキ ⸣トゥリバ [⸢ʔuː⸣ʣarana ʔm⸢buʃi⸣munu ʔi⸢ri⸣ ʃikeːba ⸢naːmeːmeːnu kuː⸣ʣarana ⸣baki ⸣turiba] (大皿に蒸し煮したものを入れてあるから、各自の小皿に分けて取りなさい)。 7106 0 2 6751 htmvoc_7106.wav サラ ⸣サラ [⸣sara] 名 {Mn_2}皿の形状をしたもの、ひざざら(膝蓋骨)や頭頂骨、くるぶし(踝)など。 ク⸢ルビティル⸣ ス⸢ブシヌ⸣ サ⸢ラ⸣バ バ⸢リ⸣ シケーバン [ku⸢rubitiru⸣ su⸢businu⸣ sa⸢ra⸣ba ba⸢ri⸣ ʃi̥keːbaŋ] (転んで膝の膝皿を強打して<割って>あるよ)。 ⸢パン⸣ヌ サ⸢ラー⸣マ ⸣パラーナ ⸣キリ ア⸢ティティ⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu sa⸢raː⸣ma ⸣paraːna ⸣kiri ʔa⸢titi⸣ jami na⸢ra⸣nu] (踝を柱に蹴り当てて痛くてたまらない) 7107 0 0 6752 htmvoc_7107.wav サラ サ⸢ラ [sa⸢ra] 接頭 さら(更)。まっさら(真っ新)。混じりけのない。石垣方言からの借用語か。 サ⸢ラミー⸣ムヌ ヤ⸢ルヌ⸣ ッ⸢ふムヌ⸣ン ⸣カタチニル ミ⸢ラ⸣リ  [sa⸢ramiː⸣munu ja⸢rundu⸣ f⸢fumunu⸣ŋ ⸣kḁtaʧiniru mi⸢ra⸣ri] (真っ新の新品であるが古物のように見える) 7122 0 0 6753 htmvoc_7122.wav ザラ ⸣ザラ [⸣ʣara] 名 砂利。枝珊瑚が死んで、その死骸が砂利状になったものにもいう。鳩間島と西表島上原の中間に海中に、枝珊瑚の砂利が集積されて出来た島のような洲がある。終戦直後までは周囲約200メートル程の島状の洲をなしていた。これを鳩間島ではユ⸢ニ[ju⸢ni](「寄丹」、「寄土」の義か)という。戦後の一時期、これをコンクリート用の砂利に使用したため、コンクリートの鉄骨が塩分で酸化し劣化したので、現在は使用していない。 パ⸢トゥ⸣マレーヌ ⸢インタヌ⸣ ユ⸢ネーラ⸣ル パ⸢トゥ⸣マ ⸣プソー ⸣ザラ ト⸢ロー⸣リ ⸢コン⸣クリー ス⸢ク⸣ローッタ [pḁ⸢tu⸣mareːnu ⸢ʔintanu⸣ ju⸢neːra⸣ru pḁ⸢tu⸣ma ⸣pu̥soː ⸣ʣara tu⸢roː⸣ri ⸢koŋ⸣kuriː su̥⸢ku⸣roːtta] (鳩離島の西のユニ<砂利が堆積して出来た砂洲>から鳩間の人は砂利を取ってコンクリートを造られた) 7110 0 0 6754 htmvoc_7110.wav サラーン サ⸢ラー⸣ン [sa⸢raː⸣ŋ] 形 水分が無く、さらさらしている。 カ⸢ニクジー⸣ヤ ミ⸢ジ⸣ サ⸢ラー⸣ヌ ⸢マイ⸣ ス⸢クララ⸣ヌ [ka⸢nikuʤiː⸣ja mi⸢ʤi⸣ sa⸢raː⸣nu ⸢mai⸣ su̥⸢kurara⸣nu] (砂地<兼久地>はさらさらして水が留まらないから、稲は作られない)。 ア⸢ガミツァー⸣ ム⸢チンダーリティ⸣ サ⸢ラー ナー⸣ヌ [ʔa⸢gamiʦaː⸣ mu⸢ʧindaːriti⸣ sa⸢raː naː⸣nu] (赤粘土は粘っこくてさらさしていない)。 サ⸢ラーン⸣ トンラ ⸢カイ⸣シバ [sa⸢raːn⸣ tonra ⸢kai⸣ʃiba] (さらさらしている所から耕せよ)。 ク⸢ヌ ジー⸣ヤ サ⸢ラー⸣ クトー サ⸢ラー⸣ン [ku⸢nu ʤiː⸣ja sa⸢raː⸣ ku̥toː sa⸢raː⸣ŋ] (この土地はさらさらしていることは、さらさらしている) 7111 0 1 6755 htmvoc_7111.wav サラーン サ⸢ラー⸣ン [sa⸢raː⸣ŋ] 形 {Mn_1}流暢である。滑らかである。よどみなく喋る。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー イッ⸢ケナ⸣ ムニ サ⸢ラー⸣ン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ muni sa⸢raː⸣ŋ] (この子は非常に言葉が流暢である)。 ⸢シンダイ⸣ ムニ サ⸢ラー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ muni sa⸢raː⸣ naruŋ] (次第に言葉が流暢になる)。 ム⸢ニ⸣ サ⸢ラー ナー⸣ンダ プ⸢スヌ⸣ マイナー ⸣ムニ イ⸢ジユーサヌ [mu⸢ni⸣ sa⸢raː naː⸣nda pu̥⸢sunu⸣ mainaː ⸣muni ʔi⸢ʤijuːsanu] (言葉が滑らかでないから人前で話しが出来ない)。 ム⸢ニ サラー⸣ル ッ⸢ふァ [mu⸢ni saraː⸣ru f⸢fa] (言葉の流暢な子)。 7111 0 2 6756 htmvoc_7111.wav サラーン サ⸢ラー⸣ン [sa⸢raː⸣ŋ] 形 {Mn_2}敏捷である。仕事などが手際よくでする。機敏に処理する。 ⸢ティー⸣ サ⸢ラーン⸣ダ シ⸢グトー⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢tiː⸣ sa⸢raː⸣nda ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (手が敏捷だから、仕事は速い) 7108 0 0 6757 htmvoc_7108.wav サライルン サ⸢ライルン [sa⸢rairuŋ] 他動 さらえる(浚える)。 シ⸢マッサル⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢カーン⸣ サ⸢ライ オーッ⸣タン [ʃi⸢massaru⸣nu ⸣pimmaː ⸢kaːn⸣ sa⸢raioːt⸣taŋ] (島ッサルの祭祀の日には村井戸も浚えられた)。 ⸢カー⸣ サ⸢ライルンティ ベー⸣ヌ ⸢クーリンギサ⸣ヌ サ⸢ライララヌ [⸢kaː⸣ sa⸢rairunti beː⸣nu ⸢kuːriŋgisa⸣nu sa⸢rairaranu] (井戸浚えしようとしているが、崩れそうで浚えられない)。 サ⸢ライル⸣ バ⸢カー⸣ムヌヌ ブ⸢ラーンバ ワー⸣シ サ⸢ライリ [sa⸢rairu⸣ ba⸢kaː⸣mununu bu⸢raːmba waː⸣ʃi sa⸢rairi] (浚える若者がいないから、君が浚えなさい) ⸣ドゥーシ サ⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi sa⸢raijaː⸣ misamunu] (自分で浚えばよいのに))。 7108 0 2 6758 htmvoc_7108.wav サライルン サ⸢ライルン [sa⸢rairuŋ] 他動 {Mn_2}厄祓いする。 ⸣イソーパーレー ⸢シー⸣ ム⸢ラ⸣ サ⸢ライリ  [⸣ʔisoːpaːreː ⸢ʃiː⸣ mu⸢ra⸣ sa⸢rairi] (イソーパーレーをして村の厄を祓え) 7109 0 1 6759 htmvoc_7109.wav サラウン サ⸢ラウン [sa⸢rauŋ] 他動 {Mn_1}浚う。 7109 0 2 6760 htmvoc_7109.wav サラウン サ⸢ラウン [sa⸢rauŋ] 他動 {Mn_2}さらえる(浚える)。「さらへ(下二段)」の転訛したもの。 ⸢カー⸣ サ⸢ラウン [⸢kaː⸣ sa⸢rauŋ] (井戸を浚う<浚える>)。 サ⸢ラウ⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢カーヤ⸣ サ⸢ライ⸣ プサタンティン サ⸢ラーラヌ [sa⸢rau⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢kaːja⸣ sa⸢rai⸣ pu̥satantin sa⸢raːranu] (浚える人がいないと、井戸は浚えたくても浚えない<浚えられない>)。 ⸣ドゥーシ サ⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi sa⸢raijaː⸣ misamunu] (自分で浚えばよいのに)。 ⸢パー⸣ク サ⸢ライ⸣バ [⸢paː⸣ku sa⸢rai⸣ba] (早く浚えよ)。 ⸣ミズ サ⸢ラウン [⸣miʣu sa⸢rauŋ] (溝を浚う<浚える>) 7112 0 0 6761 htmvoc_7112.wav サラカキ サ⸢ラ⸣カキ [sa⸢ra⸣kaki] 名 (植)いばら。刺のある潅木 7114 0 0 6762 htmvoc_7114.wav サラサラーッティ サ⸢ラサラーッ⸣ティ [sa⸢rasaraːt⸣ti] 副 さっさと。手際よく。ものごとが流れるように進むさま。 ⸢キュー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ サ⸢ラサラーッ⸣ティ シ⸢マシバ⸣ル ⸣マイヤー ⸢ユーザリ⸣ダー [⸢kjuː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢rasaraːt⸣ti ʃi⸢maʃiba⸣ru ⸣maijaː ⸢juːʣari⸣daː] (今日の仕事はさっさと済ませてこそ前進できる<前へ寄れる>のだよ) 7113 0 0 6763 htmvoc_7113.wav ザラザラシ ザ⸢ラザラ⸣シ [ʣa⸢raʣara⸣ʃi] 副 ざらざらと。粒状のものが擦れ合う音の形容(擬音語)。手触りや肌触りが粗く感じられるさま(擬態語)。 イ⸢ツァフン⸣ツァナー イ⸢ノンヌ ポーラリティ⸣ ザ⸢ラザラ⸣ シティ ビ⸢ララヌ [ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦanaː ʔi⸢nonnu poːrariti⸣ ʣa⸢raʣara⸣ ʃi̥ti bi⸢raranu] (板床に砂が撒き散らされて、ざらざらして座ることが出来ない<座れない>) 7115 0 0 6764 htmvoc_7115.wav サラサラジー ⸣サラサラジー [⸣sarasaraʤiː] 名 さらさらしている土地。 カ⸢ニクジー⸣ヤ ⸣サラサラジー ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣タンティン ム⸢ツァーリ⸣ ドゥ⸢ルゴー⸣ダー サ⸢ヌ [ka⸢nikuʤiː⸣ja ⸣sarasaraʤiː ja⸢runda⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣tantim mu⸢ʦaːri⸣ du⸢rugoː⸣daː sa⸢nu] (砂地<兼久地>はさらさらした土地だから、雨が降っても粘っこくなって泥んこになることはない) 6935 0 0 6765 htmvoc_6935.wav サラスン サ⸢ラスン [sa⸢rasuŋ] 他動 漂白する。「晒す」の義。日光や風雨に晒す。海水に晒す。 ⸢ヌーヌ⸣ サ⸢ラスンティ ベーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ サ⸢ラサランバン [⸢nuːnu⸣ sa⸢rasunti beːn⸣du mut⸢tu⸣ sa⸢rasarambaŋ] (布を晒そうとしているんだが、ちっとも晒されない)。 ⸢ヌーヌ⸣ サ⸢ラシ⸣ プサカー ス⸢ナカ⸣ナー サ⸢ラシ⸣バ [⸢nuːnu⸣ sa⸢raʃi⸣ pu̥sakaː su⸢naka⸣naː sa⸢raʃi⸣ba] (布を晒したいなら海で晒せよ)。 サ⸢ラス⸣ ピンマー ⸢オーシキバ⸣ ミレーティ サ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [sa⸢rasu⸣ pimmaː ⸢ʔoːʃi̥kiba⸣ mireːti sa⸢raʃeː⸣ misamunu] (晒すときは天気を見ながら晒せばよいのに)。 ッ⸢サ⸣ザリ ⸢スン⸣ケン ナー⸢イ キン⸣バ ⸢グス⸣クナー ⸣カキシケー [s⸢sa⸣ʣari ⸢suŋ⸣ken naː⸢i kim⸣ba ⸢gusu̥⸣kunaː ⸣kḁkiʃi̥keː] (漂白され過ぎて朽ちかけるまで、着物を石垣にかけ捨て放置してある)。太陽光に当てて放置する。風雨に晒す。乾燥する。 ⸢ウー⸣ケー ⸣ティダナー サ⸢ラサンドー⸣シ ⸢カーラカシ⸣. サ⸢ラシェー⸣ラ ム⸢リ⸣ス [⸢ʔuː⸣keː ⸣tidanaː sa⸢rasandoː⸣ʃi ⸢kaːrakaʃi⸣, sa⸢raʃeː⸣ra mu⸢ri⸣su] (桶は太陽に干し晒さないで乾かせ{EOS}晒してしまったら漏れるよ)。 ⸢ウー⸣キ サ⸢ラスプソー⸣ ブ⸢ラーン⸠ダー サ⸢ラシ⸣ プサカー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ウー⸣キ サ⸢ラシ⸣バ [⸢ʔuː⸣ki sa⸢rasu ⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːn⸠daː sa⸢raʃi⸣ pu̥sakaː ⸢duː⸣nu ⸢ʔuː⸣ki sa⸢raʃi⸣ba] (桶を晒す人はいないよ{EOS}晒したければ自分の桶を晒せ) 7117 0 0 6766 htmvoc_7117.wav サラスン サ⸢ラスン [sa⸢rasuŋ] 他動 枯らす。枯れさせる。 ス⸢クリ⸣ムノー ミ⸢ジカキラン⸣カー サ⸢ラスン⸣ダー [su̥⸢kuri⸣munoː mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢kiraŋ⸣kaː sa⸢rasun⸣daː] (作物は水をかけないと枯らすぞ)。 ⸢キーヌ⸣ユダ ⸣キシティ サ⸢ラシ [⸢kiːnu⸣ juda ⸣ki̥ʃiti sa⸢raʃi] (木の枝を切って枯らせ)。 ス⸢クリ⸣ムノー サ⸢ラサン⸣ヨーニ ミ⸢ジ⸣ カ⸢キ⸣リ [su̥⸢kuri⸣munoː sa⸢rasaŋ⸣joːni mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ki⸣ri] (作物は枯れさせないように水をかけてやりなさい)。 サ⸢ラス⸣ クトー ス⸢ナ⸠ヨー [sa⸢rasu⸣ ku̥toː su⸢na⸠joː] (枯れさせることはするなよ)。 ⸢マー⸣ビン サ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin sa⸢raʃeː⸣ misamunu] (もっと枯れさせれば良いのに) 7118 0 0 6767 htmvoc_7118.wav サラッティ サ⸢ラッティ [sa⸢ratti] 副 さっと。素早く。急に。 サラッ⸢ティ⸣ ッ⸢スリ [sa⸢ratti⸣ s⸢suri] (さっと拭け)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ムー⸢ル⸣シ サラッ⸢ティ スー⸣カー タ⸢デー⸣マンチン ナ⸢リ⸣ス [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ muː⸢ru⸣ʃi sarat⸢ti suː⸣kaː ta⸢deː⸣manʧin na⸢ri⸣su] (この仕事は皆で素早くやれば短時間の内に<今すぐに{EOS}「唯今の内に」の義>できる) 7119 0 0 6768 htmvoc_7119.wav サラティーンーナティー サ⸢ラ⸣ティー ⸢ンーナティー [sa⸢ra⸣tiː ⸢ʔnːnatiː] 連 手に何も持たないこと。手ぶら。徒手。「からて(空手)」の義。 ⸣アドーラ ⸣ケームヌ サ⸢ラ⸣ティー ⸢ンーナティー⸣シェー パ⸢ラサラ⸣ヌ ガ⸢シ⸣タクーンツァン ⸣シトゥ ム⸢タ⸣シバ [⸣ʔadoːra ⸣keːmunu sa⸢ra⸣tiː ⸢ʔnːnatiː⸣ʃeː pa⸢rasara⸣nu ga⸢ʃi⸣takuːnʦaŋ ⸣ʃi̥tu mu⸢ta⸣ʃiba] (あんなに遠方から来たのだから、何も持たさずに手ぶらでは帰さ<行かさ>れない{EOS}燻製蛸でもお土産に持たせなさいよ) 7120 0 0 6769 htmvoc_7120.wav サラバシキ サ⸢ラバシ⸣キ [sa⸢rabaʃi̥⸣ki] 名 どわすれ(度忘れ)。すっかり忘れて思い出せない。サ⸢ラ[sa⸢ra](完全に{EOS}全く)は強意の接頭辞 7121 0 0 6770 htmvoc_7121.wav サララーッティ サラ⸢ラーッティ [sara⸢raːtti] 副 さっさと。さっと。すばやく。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ララーッティ⸣ カ⸢タジ⸣キティ ア⸢サビ⸣バ [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢raraːtti⸣ ka⸢taʤi⸣kiti ʔa⸢sabi⸣ba] (仕事はさっさと片付けて遊びなさい)。 イ⸢チヌマドゥ⸣ル ⸢パッ⸣タユー サラ⸢ラーッティ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʧinuma⸣duru ⸢pat⸣tajuː sara⸢raːtti⸣ pari ⸢naː⸣nu] (何時の間に行ったのか、さっさと行ってしまった) 7123 0 0 6771 htmvoc_7123.wav サリーザリー サ⸢リーザリー [sa⸢riːʣariː] 副 乾燥した状態。 ナ⸢ガアミヌ⸣ アトゥ ヤ⸢ルヌ⸣ ミ⸢ナ⸣カー サ⸢リーザリー⸣ シティ イッ⸢ケン⸣ ア⸢ザ⸣ケーン [na⸢gaʔaminu⸣ ʔatu ja⸢runu⸣ mi⸢na⸣kaː sa⸢riːʣariː⸣ ʃi̥ti ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢ʣa⸣keːŋ] (長雨の後だが、庭は乾燥して非常に清潔である) 7124 0 0 6772 htmvoc_7124.wav サリキー サ⸢リキー [sa⸢rikiː] 名 枯れ木。 サ⸢リキー⸣ナ ⸣パトゥザヌ ⸣シー ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [sa⸢rikiː⸣na ⸣pḁtuʣanu ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (枯れ木に鳩が巣を作ってある) 7125 0 0 6773 htmvoc_7125.wav サリキスン サ⸢リキスン [sa⸢rikisuŋ] 自動 すっかり枯れてしまう。枯れ尽す。「枯れ切る」の義。 ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジク⸣カー ス⸢クリ⸣ムヌン サ⸢リキスンドゥ⸣ フ⸢チン⸣パー ⸢カーネー⸣ サ⸢リキサンドー⸣シ ⸣ムイ ⸢ベーン⸣ツォー [⸢peːreː⸣nu ʃi⸢ʤiku⸣kaː su̥⸢kuri⸣munun sa⸢rikisundu⸣ ɸu̥⸢ʧim⸣paː kaː⸢neː⸣ sa⸢rikisandoː⸣ʃi ⸣mui ⸢beːn⸣ʦoː] (旱魃が続くと作物もすっかり枯れ尽くす<枯れきってしまう>が、蓬だけは枯れ尽さない<枯れきらない>で生えているそうだ) 7131 0 0 6774 htmvoc_7131.wav サリスブル サ⸢リスブル [sa⸢risuburu] 名 風雨に曝されて白けた頭蓋骨。されこうべ(髑髏)。「されこうべ(曝頭)」の転訛したもの。 イ⸢ラ⸣カマイヌ フ⸢ジマレー⸣ナー サ⸢リスブルン アッ⸣タン [ʔi⸢ra⸣kamainu ɸu⸢ʤimareː⸣naː sa⸢risuburuŋ ʔat⸣taŋ] (イラカマイ<地名>の石積み古墓にはされこうべ<髑髏>もあった) 7126 0 0 6775 htmvoc_7126.wav サリタムヌ サ⸢リタムヌ [sa⸢ritamunu] 名 枯れた薪。ナ⸢マタム⸣ヌ[na⸢matamu⸣nu](生の薪)の対義語。 サ⸢リタムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢ケナ ムイルン [sa⸢ritamunu⸣ ja⸢runda⸣ ʔik⸢kena muiruŋ] (枯れた薪だから非常によく燃える) 7127 0 0 6776 htmvoc_7127.wav サリッサ サ⸢リッサ [sa⸢rissa] 名 枯れ草。 サ⸢リッサー⸣ パ⸢タ⸣キナ ア⸢ツァ⸣ミ ⸢モーシ⸣バ [sa⸢rissaː⸣ pḁ⸢ta⸣kina ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢moːʃi⸣ba] (枯れ草を畑に集めて燃やしなさいよ) 7128 0 0 6777 htmvoc_7128.wav サリパー サ⸢リパー [sa⸢ripaː] 名 かれは(枯葉)。枯れた葉。 サ⸢リパー⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢モーシ [sa⸢ripaː⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢moːʃi] (枯葉を集めて燃やせ) 7129 0 0 6778 htmvoc_7129.wav サリフトゥッチルン サ⸢リフトゥッチ⸣ルン [sa⸢riɸututʧi⸣ruŋ] 自動 枯れ朽ちる。朽ち果てる。 フ⸢クンキーヤ⸣ ヤ⸢マン⸣ミーナ ⸣キシ ⸢トー⸣シ シ⸢キ⸣ルカー ッ⸢サール⸣ヌ ⸢ペー⸣リティ  サ⸢リフトゥッチ⸣ルン [ɸu̥⸢kuŋkiːja⸣ ja⸢mam⸣miːna ki̥ʃi ⸢toː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣rukaː s⸢saːru⸣nu ⸢peː⸣riti sa⸢riɸututʧi⸣ruŋ] (福木は山の中に切って倒しておくと白蟻が入って朽ち果てる) 7132 0 0 6779 htmvoc_7132.wav サリプニ サ⸢リプニ [sa⸢ripuni] 名 白骨。 フ⸢ジマレー⸣ナー サ⸢リプニン アッ⸣タン [ɸu⸢ʤimareː⸣naː sa⸢ripuniŋ ʔat⸣taŋ] (フジマレー<大昔の人を葬った無縁墓>には白骨もあった) 7130 0 0 6780 htmvoc_7130.wav サリユダ サ⸢リユダ [sa⸢rijuda] 名 枯れ枝。 ⸢キー⸣ヌ サ⸢リユダバ⸣ プ⸢サイ⸣ クー [⸢kiː⸣nu sa⸢rijudaba⸣ pu̥⸢sai⸣ kuː] (木の枯れ枝を拾ってこい) 6936 0 0 6781 htmvoc_6936.wav サリルン サ⸢リルン [sa⸢riruŋ] 自動 乾燥する。「枯れる」の義。風雨や太陽光線に晒される。 ⸢ウー⸣ケー ⸣ティダナー ⸣プスカー サ⸢リルン⸣ダー [⸢ʔuː⸣keː ⸣tidanaː ⸣pu̥sukaː sa⸢rirun⸣daː] (桶は日に干すと乾燥して水漏れするぞ)。 プ⸢ス⸣タンティン サ⸢リラヌ [pu̥⸢su⸣tantin sa⸢riranu] (干しても乾燥して水漏れしない)。 ⸢ウー⸣ケー サ⸢リティ⸣ ム⸢リ⸣ス [⸢ʔuː⸣keː sa⸢riti⸣ mu⸢ri⸣su] (桶は乾燥して水漏れするよ)。 サ⸢リル⸣ ピンマー ミ⸢ジ⸣ナー フ⸢クラシ [sa⸢riru⸣ pimmaː mi⸢ʤi⸣naː ɸu̥⸢kuraʃi] (乾燥するときは水に浸けてふやかせ<膨らませ>)。 プ⸢スム⸣シ サ⸢レー⸣ラ シゥ⸢カーランバ⸣ メー サ⸢リリ⸣バ [pu̥⸢sumu⸣ʃi sa⸢reː⸣ra sï̥⸢kaːramba⸣ meː sa⸢ririba] (一度乾燥したら使えないから、もう勝手に乾燥しろ) 7133 0 1 6782 htmvoc_7133.wav サリルン サ⸢リルン [sa⸢riruŋ] 自動 {Mn_1}枯れる。「枯れる<下一段活用>。燥 加留『新撰字鏡』」の義。 ⸢キー⸣ヌ ⸣カー ⸣パグカー サ⸢リルン⸣ダー [⸢kiː⸣nu ⸣kaː ⸣pagukaː sa⸢rirun⸣daː] (木の皮を剥ぐ戸と枯れるよ)。 サ⸢リル キー⸣ヤ サ⸢リカキル⸣カー サ⸢リラン⸣ヨーニ ⸢ピンピン⸣ ミ⸢ジ⸣ カ⸢キ⸣リ [sa⸢riru kiː⸣ja sa⸢rikakiru⸣kaː sa⸢riraɲ⸣joːni ⸢pimpim⸣ mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ki⸣ri] (枯れる木は、枯れかけると枯れないように毎日水を遣れ<掛けれ>)。 サ⸢レー⸣ ミサムヌ [sa⸢reː⸣ misamunu] (枯れればいいのに)。 サ⸢リリ [sa⸢riri] (枯れろ)。 7133 0 2 6783 htmvoc_7133.wav サリルン サ⸢リルン [sa⸢riruŋ] 自動 {Mn_2}乾燥する。桶などが乾燥して水漏れする。 ⸢ウー⸣キ ⸣ティダナー ⸣プスカー サ⸢リルン [⸢ʔuː⸣ki ⸣tidanaː ⸣pu̥sukaː sa⸢riruŋ] (桶を太陽に干すと乾燥して水漏れする)。 7133 0 3 6784 htmvoc_7133.wav サリルン サ⸢リルン [sa⸢riruŋ] 自動 {Mn_3}晒される。海水や日光に晒されて白く変色する。 ⸣バサキンマー ス⸢ナカ⸣ナー サ⸢ラス⸣カー ッソーッ⸢ソー⸣シ サ⸢リルン [⸣basakimmaː su⸢naka⸣naː sa⸢rasu⸣kaː ssoːs⸢soː⸣ʃi sa⸢riruŋ] (芭蕉着は海の潮水で晒すと白く晒される) 7134 0 0 6785 htmvoc_7134.wav サル ⸣サル [⸣saru] 名 さる(申)。十二支の第九番目。 ⸣サディプス [⸣sadipu̥su] (申年生まれの人)。 ⸣サディマリ [⸣sadimari] (申年生まれ)。 ⸢サン⸣ヌパー ⸣シヌ [⸢san⸣nupaː ⸣ʃinu] (申の方角{EOS}西南西の方角)。 ⸢サン⸣ヌパー ⸣シノー ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ シ⸢ティントン [⸢san⸣nupaː ⸣ʃinoː mi⸢doːŋ⸣ffanu ʃi̥⸢tintoŋ] (西南西の方角は、女の子の捨てどころ<諺>{EOS}屋敷の南西の方角には女の子の家を建ててもよいとのこと) 7135 0 1 6786 htmvoc_7135.wav サルン サ⸢ルン [sa⸢ruŋ] 自動 {Mn_1}枯れる。乾燥する。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホー⸣ンダ ⸢マイヤー⸣ サ⸢ルンティ⸣ ウムイティ サ⸢ラサン⸣ヨーニ ⸣シキ バ⸢リ⸣ ミ⸢ジ⸣ ピ⸢クタ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoː⸣nda ⸢maijaː⸣ sa⸢runti⸣ ʔumuiti sa⸢raŋ⸣joːni ⸣ʃi̥ki ba⸢ri⸣ mi⸢ʤi⸣ pi̥⸢kuta] (雨が降らないので稲は枯れると思って、枯れないように、堰を掘って水を引いた)。 サ⸢ル⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ サ⸢リ⸣ パ⸢ヤー⸣ンダー サ⸢レー⸣ラー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [sa⸢ru⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu sa⸢ri⸣ pa⸢jaː⸣ndaː sa⸢reː⸣raː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (枯れることはないが、枯れ早い<枯れ易い>から、枯れたら大変だ)。 ⸣アイブ ⸣ムノー サ⸢リリ [⸣ʔaibu ⸣munoː sa⸢riri] (あんなものは枯れろ)。 7135 0 2 6787 htmvoc_7135.wav サルン サ⸢ルン [sa⸢ruŋ] 自動 {Mn_2}晒される。日光や風雨に当たって白くなる。 ⸣ティダナ ⸣プスカー サ⸢ルンダー(サ⸢リルン⸣ダー) [⸣tidana ⸣pu̥sukaː sa⸢run⸣daː(sa⸢rirun⸣daː)] (太陽に干したら晒されるよ) 7140 0 0 6788 htmvoc_7140.wav ザルン ⸣ザルン [⸣ʣaruŋ] 接尾 激しくおこなう。盛んにする。~散らす。⸣カムン[kamuŋ](噛む)、⸢フンクン[ɸuŋkuŋ](踏む)、ケールン[⸢keː⸣ruŋ](ぶった切る)などの動詞の連用形に下接して「盛んに~ちらす。激しく~する」の意味を表す。 ⸢カン⸣ザルン [⸢kan⸣ʣaruŋ] (盛んに噛む{EOS}盛んに噛み砕く)。 ⸢フンザルン [⸢ɸunʣaruŋ] (盛んに踏む{EOS}盛んに踏みつける)。⸢ケーン⸣ザルン[⸢keːn⸣ʣaruŋ](切り刻む)等。 ⸢コー⸣ ムノー ⸣ユー ⸢カン⸣ザリティ ッ⸢ふァイ⸣ヨー [⸢koː⸣ munoː ⸣juː ⸢kan⸣ʣariti f⸢fai⸣joː] (硬い物はよく噛み砕いてから食べなさいよ) 7141 0 0 6789 htmvoc_7141.wav サン ⸣サン [⸣saŋ] 名 桟。戸や障子などの骨。 ア⸢カルヌ⸣ サン ⸣ブリ シ⸢ティナー⸣ヌ [ʔa⸢karu⸣nu ⸣sam ⸣buri ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (障子の桟をを折ってしまった)。 ヤ⸢ドゥ⸣ヌ ⸢サン⸣マー シ⸢ギル⸣ マ⸢シ [ja⸢du⸣nu ⸢sam⸣maː ʃi⸢giru⸣ ma⸢ʃi] (戸の桟は杉材がよい) 7142 0 1 6790 htmvoc_7142.wav サン ⸣サン [⸣saŋ] 名 {Mn_1}まじない<呪い>の標。藁やススキの茎の先をとんぼ結び<十字形>に結んだもの。種蒔きした田や畑に挿したり、食べ物を戸外に持ち運ぶ際に添えたりして魔除けとした呪符。⸣シチ[ʃi̥ʧi](節祭り)の時は、それに桑の枝を添えて家の四隅の軒に差した。 ⸣マメー ⸣マキティ パ⸢タキ⸣ヌ ⸢フンキル⸣ヌ ⸣カドーラ ⸢ミーパン⸣ ナ⸢カー ペー⸣リ ⸣サン ⸢ユイ⸣ タ⸢ティ⸣リ [⸣mameː ⸣makiti ⸢ɸuŋkiru⸣nu ⸣kadoːra ⸢miːpan⸣ na⸢kaː peː⸣ri ⸣san ⸢jui⸣ ta⸢ti⸣ri] (豆を蒔いて畑の一切れの角から三歩内入ってサンを立てなさい<立てれ>)。 7142 0 2 6791 htmvoc_7142.wav サン ⸣サン [⸣saŋ] 名 {Mn_2}自己の所有権を示す印。 ヤ⸢マ⸣ナー ⸣キシェー ⸣キーナー⸣ヤ ⸢パン イリティ サン⸣バ ⸢ユイ⸣ シキ [ja⸢ma⸣naː ⸣kiʃeː ⸣kiːnaːja ⸢paŋ ʔiriti sam⸣ba ⸢jui⸣ ʃi̥ki] (山で伐った材木には印を入れてサンを結んでおけ) 7143 0 0 6792 htmvoc_7143.wav サン ⸣サン [⸣saŋ] 名 三。 ⸢サングヮ⸣チ [⸢saŋgwa⸣ʧi] (三月)。 ⸢サン⸣ゴー [⸢saŋ⸣goː] (三合)。 ⸢サン⸣ス [⸢san⸣su] (三升)。 ⸣サンダン [⸣sandaŋ] (三段)。 ⸢サン⸣トゥ [⸢san⸣tu] (三斗)。 ⸢サン⸣ニン [⸢san⸣niŋ] (三人)。 ⸣サンブン [⸣sambuŋ] (三本)。 サ⸢キ サン⸣ゴー ⸢カーソー⸣リ [sḁ⸢ki saŋ⸣goː ⸢kaːsoː⸣ri] (酒を三合売って下さい) 7144 0 0 6793 htmvoc_7144.wav ザン ⸣ザン [⸣ʣaŋ] 名 (動)ジュゴン(儒艮)。海草のウミショウブを餌とする哺乳動物。「沖縄では知念半島東方海から中城湾一帯、八重山諸島の石垣、黒島、新城島の周辺海域でジュゴン漁が近代まで行われていた」(『沖縄古語大辞典』)という。現在、名護市辺野古の新基地建設反対闘争の理由の一つに、希少動物ジュゴンの保護が挙げられている。昔から滅多に捕獲できない動物で、その肉や皮は不老の妙薬として王府へ献上され、八重山新城島では租税の一つとされていた。八重山からの献上品は、その皮、肉を煮て天日乾燥して贈ったという(『石垣方言辞典』)。 ⸢ザン⸣マー ム⸢カ⸣シェー パ⸢ナ⸣レーラル ⸢グイ⸣フゾーノーティ ⸢シー⸣ ウ⸢サ⸣モーッタツォー [⸢ʣam⸣maː mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢na⸣reːraru ⸢gui⸣ɸuʣonoːti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢sa⸣moːttaʦoː] (ジュゴン<儒艮>は、昔は新城島<パナリ>から上納品として納められたそうだ) 7145 0 0 6794 htmvoc_7145.wav サンイチ ⸣サンイチ [⸣saŋʔiʧi] 名 三分の一。⸢ミーチヌ ピー⸣チ[⸢miːʧinu piː⸣ʧi](三つの一つ)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣サンイチェー ⸣バー バ⸢キ⸣ダマ [ku⸢nu⸣ pa⸢taki⸣nu ⸣saŋʔiʧeː ⸣baː ba⸢ki⸣dama] (この畑の三分の一は私の相続分<分け前>だ) 7146 0 0 6795 htmvoc_7146.wav サンウラシ ⸢サンウラ⸣シ [⸢saŋʔura⸣ʃi] 名 やまおろし(山颪)。山から吹きおろす風。 ⸢カーチーバイ⸣ヌ ⸣ピンマー ティ⸢ドゥ⸣コーラヌ ⸢サンウラシ⸣ヌ ア⸢ミカジ⸣ヌ ⸢スー⸣ワティ ⸢マイヤー⸣ カ⸢ララヌ [⸢kaːʧiːbai⸣nu ⸣pimmaː ti⸢du⸣koːranu ⸢saŋʔuraʃi⸣nu ʔa⸢mikaʤi⸣nu ⸢suː⸣wati ⸢maijaː⸣ ka⸢raranu] (夏至の強風の時はティドゥク山からの山颪の雨風が強くて稲刈りは出来ない<米は刈られない>) 7147 0 0 6796 htmvoc_7147.wav サンカク ⸣サンカク [⸣saŋkaku] 名 三角。 ⸣サンカクマシ [⸣saŋkakumaʃi] (三角形の田地{EOS}⸢三角枡」の義)。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ベー⸣ サンカクニ ⸣ブリティ ⸢カンビン⸣ヌ ⸣ザウ ス⸢ク⸣リバ [ku⸢nu⸣ ka⸢beː⸣ saŋkakuni ⸣buriti ⸢kambin⸣nu ⸣ʣau su̥⸢ku⸣riba] (この紙は三角に折って徳利<燗壜>の栓に作れよ) 7148 0 0 6797 htmvoc_7148.wav サンガマチ ⸢サンガマ⸣チ [⸢saŋgama⸣ʧi] 名 戸や障子、天井に用いる桟。約5センチ四方、長さ約3メートル角材。「桟框」の義か。 ⸢ティンゾー⸣ヌ ⸢サンガマ⸣チェー フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ナーン⸣バ トゥ⸢リカイラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tinʣoː⸣nu ⸢saŋgama⸣ʧeː ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢naːm⸣ba tu⸢rikairaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (天井のサンガマチ<桟>は朽ちてしまったので取り替えないといけない) 7149 0 0 6798 htmvoc_7149.wav サンガラ ⸢サン⸣ガラ [⸢saŋ⸣gara] 名 断崖。がけ(崖)。 トゥ⸢マダーヌ インター サン⸣ガラ ⸣ナリ ⸢ブー [tu⸢madaːnu ʔintaː saŋ⸣gara ⸣nari ⸢buː] (トゥマダーの西側は崖になっている) 7150 0 0 6799 htmvoc_7150.wav サンガラミチ ⸢サン⸣ガラミチ [⸢saŋ⸣garamiʧi] 名 崖の道。 ⸢サン⸣ガラミチェーラ カ⸢ユイヤー⸣ティル ク⸢バシター⸣ヌ ⸢ター⸣ヤ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢saŋ⸣garamiʧeːra ka⸢juijaː⸣tiru ku⸢baʃi̥taː⸣nu ⸢taː⸣ja su̥⸢ku⸣roːtta] (崖の道を通いながらクバシターの田圃は作られた) 7151 0 0 6800 htmvoc_7151.wav サンギパルン ⸢サンギ⸣ パルン [⸢saŋ⸣gi ⸣paruŋ] 連 引っ張って行く。引きずって行く。牽引して行く。 カ⸢ツシンマ⸣ イ⸢ガメー⸣ イダフニバ ⸢サンギ⸣ パルン [kḁ⸢ʦuʃimma⸣ ʔi⸢gameː⸣ ʔidaɸuniba ⸢saŋgi⸣paruŋ] (カツオ漁船はイカ釣り漁へサバニを引っ張って<牽引して>行く) 7152 0 0 6801 htmvoc_7152.wav ザンギリ ⸢ザン⸣ギリ [⸢ʣaŋ⸣giri] 名 坊主刈り。丸刈りにした男の髪型。戦前の小中学校男子生徒の髪型。 ア⸢メリカユー⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤー ⸢ガッ⸣コーッふァンケーヤ ムー⸢ル ザン⸣ギリ ⸢ヤッタ [ʔa⸢merikajuː⸣nu ⸢mai⸣jaː ⸢gak⸣koːffaŋkeːja muː⸢ru ʣaŋ⸣giri ⸢jatta] (米国統治以前は学校の男生徒達は皆ザンギリ<坊主刈り>だった) 7153 0 0 6802 htmvoc_7153.wav サンギンザスン ⸢サンギ⸣ ン⸢ザ⸣スン [⸢saŋgi⸣ ʔn⸢ʣa⸣suŋ] 連 引っ張り出す。引きずり出す。 ⸢サンギ⸣ ン⸢ザ⸣シ ⸢サーリ⸣パリ [⸢saŋgi⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸢saːri⸣ pari] (引きずり出してつれて行け)。 ⸢サンギ⸣ ン⸢ザ⸣スンティ ⸢スーヌ サンギ⸣  ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢saŋgi⸣ ʔn⸢ʣa⸣sunti ⸢suːnu saŋgi⸣ ʔn⸢ʣasara⸣nu] (引っ張り出そうとするが、引っ張り出されない) 7154 0 0 6803 htmvoc_7154.wav サンギンソー ⸣サンギンソー [⸣saŋginsoː] 名 易者。「三世相」の義。沖縄本島方言からの借用語。普通は、ム⸢ヌ⸣シリ[mu⸢nu⸣ʃiri](物知り)という。 ⸣サンギンソーヌ ⸣ヤーナ ⸢ギー ウンキ⸣ ク⸢ラ⸣シ ⸣クー [⸣saŋginsoːnu ⸣jaːna ⸢giː ʔuŋki⸣ ku⸢ra⸣ʃi ⸣kuː] (易者<三世相>の家に行って、運気を占って<繰らして>もらってこい) 7155 0 0 6804 htmvoc_7155.wav サングナー ⸢サン⸣グナー [⸢saŋ⸣gunaː] 名 淫らな女。淫売女。罵詈表現。沖縄本島方言からの借用語。 ⸢サングァン [⸢saŋgwan] (三貫、六銭)で密かに売春をしたので、その名があるという(辻君{EOS}街娼{EOS}『沖縄語辞典』)。 ⸣アイブ ⸢サン⸣グナーッテー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸢saŋ⸣gunaːtteː ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (あんな淫らな女は見たことがない)。 ⸢サングナー⸣ヒャー [⸢saŋgunaː⸣ çaː] (淫らな女野郎) 7157 0 0 6805 htmvoc_7157.wav サングナースン ⸢サン⸣グナー ⸢スン [⸢saŋ⸣gunaː ⸢suŋ] 連 密通する。姦通する。 ク⸢ビッチン⸣ヌ ⸣シマナー ⸢サン⸣グナー ⸢スンダー⸣ シマズーヌ プ⸢ソー⸣ ムー⸢ル⸣ ッ⸢シブー [ku⸢bitʧin⸣nu ⸣ʃimanaː ⸢saŋ⸣gunaː ⸢sundaː⸣ ʃimaʣuːnu pu̥⸢soː⸣ muː⸢ru⸣ ʃ⸢ʃibuː] (これぽっちの小さな島で密通をするのだから、島中の人は皆知っている) 7156 0 0 6806 htmvoc_7156.wav サングナーン ⸢サン⸣グナーン [⸢saŋ⸣gunaːŋ] 形 淫らである。男女関係がだらしない。女性に関して用いられる語。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ナン⸣ゾー ⸢サン⸣グナー ア⸢ラン⸣シェンドゥ チ⸢カ⸣グロー ⸢サッ⸣コー ⸢サン⸣グナーンティ バ⸢ラーリ ブー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢nan⸣ʣoː ⸢saŋ⸣gunaː ʔa⸢raŋ⸣ʃendu ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢sak⸣koː ⸢saŋ⸣gunaːnti ba⸢raːri buː] (昔はそれほど淫らではなかったが、近頃はあまりにも淫らであると笑われている)。 ⸢サン⸣グナール ⸣ムノー キ⸢ナイ⸣ ム⸢ティユーサ⸣ヌ [⸢saŋ⸣gunaːru ⸣munoː ki⸢nai⸣ mu⸢tijuːsa⸣nu] (淫らな女は家庭を作ることは出来ない) 7158 0 0 6807 htmvoc_7158.wav サングニチ ⸢サングニ⸣チ [⸢saŋguni⸣ʧi] 名 産後の熱。医師のいない島の、衛生環境の良くない地炉での出産であるから、分娩時の処置による細菌感染によって発熱することがあった。それが過去における妊産婦死亡の主因であったという『医学沖縄語辞典』。鳩間島でも⸢サングニ⸣チは恐れられていた。 ⸢サングニ⸣チ カ⸢カ⸣ルカー ⸢デー⸣ジ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢ジン⸣ジ ⸢ピーヌク⸣ミティ ⸣アシ パ⸢ラ⸣シティ ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢saŋguni⸣ʧi kḁ⸢ka⸣rukaː ⸢deː⸣ʤi ja⸢runda⸣ ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸣piː nu⸢ku⸣miti ⸣ʔaʃi pa⸢ra⸣ʃiti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (産後の熱に罹ったら大変だから、頑張って地炉の火に当たって体を温めなさいといわれた) 7159 0 0 6808 htmvoc_7159.wav サングヮチ ⸢サングヮ⸣チ [⸢saŋgwa⸣ʧi] 名 三月<老年層>。⸢サンガ⸣チ[⸢saŋga⸣ʧi](三月{EOS}<若年層>)ともいう。 ⸢サングヮ⸣チヌ ⸣シケー ウ⸢ル⸣ズン ⸢ペー⸣ルン [⸢saŋgwaʧi⸣nu ⸣ʃi̥keː ʔu⸢ru⸣ʣum ⸢peː⸣ruŋ] (三月の月はウルズン<初夏>にはいる) 7160 0 0 6809 htmvoc_7160.wav サングヮチサニチ ⸢サングヮ⸣チサニチ [⸢saŋgwa⸣ʧisaniʧi] 名 旧暦三月三日の行事。⸢サンガ⸣チサニチ[⸢saŋga⸣ʧisaniʧi]<若年層>ともいう。菱形のフ⸢チン⸣パームチ[ɸu̥⸢ʧim⸣paːmuʧi](蓬餅)を作って女の子の健康祈願をした。一年のうちで最も大きく潮が引く日といわれ、女の子は干潮時に皆海へ出て潮干狩りをし、厄祓いをした 7161 0 0 6810 htmvoc_7161.wav サングヮンヌシームヌ ⸣サングヮンヌ ⸢シームヌ [⸣saŋgwannu ⸢ʃiːmunu] 連 供物の吸い物。⸢三願の吸い物」の義か。大きな祭祀等で神前や仏前に祈願する際に供える吸い物。イ⸢チバンシー⸣ムヌ[ʔi⸢ʧibaŋʃiː⸣munu](一番吸い物)、⸢ニーバンシー⸣ムヌ[⸢niːbaŋʃiː⸣munu](二番吸い物)、⸢サンバンシー⸣ムヌ[⸢sambaŋʃiː⸣munu](三番吸い物)が供えられる。魚肉の塩煮したものを、3、5、7切れの奇数個と餅、モヤシ、昆布、野菜二切れは一番吸い物、三番吸い物に必要な食品で、二番吸い物には豆腐三切れを入れた椀一対だけである。 ⸣サングヮンヌ ⸢シームノー⸣ ウ⸢ブニン⸣ガイナール ス⸢ク⸣ローッタ [⸣saŋgwannu ⸢ʃiːmunoː⸣ ʔu⸢buniŋ⸣gainaːru su̥⸢ku⸣roːtta] (三願の吸い物は大きな祈願の際に作られた) 7162 0 0 6811 htmvoc_7162.wav サングン ⸢サングン [⸢saŋguŋ] 他動 引張る。牽引する。引きずる。力ずくで引く。しょっぴく。「Sobiqi,u,ijta.ソビキ,ク,イタ(そびき,く,いた)無理に引っ張る。」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ⸣イダフニ ⸢サング フンシン⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢サンギ⸣ プサタンティン ⸢サンガラヌ⸣ イ⸢ガメー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [⸣ʔidaɸuni ⸢saŋgu ɸuŋʃin⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢saŋgi⸣ pu̥satantin ⸢saŋgaranu⸣ ʔi⸢gameː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (板船<サバニ>を引張る本船がいないと引張りたくても引張られない)。 ⸢サングンティ⸣ ウムーカー ノー⸢シ シン サンギ [⸢saŋgunti⸣ ʔumuːkaː noː⸢ʃi ʃin saŋgi] (引張ると思うなら、いかようにしてでも引張れ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢サンゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢saŋgeː⸣ misamunu] (もっと引張ればいいのに) 7163 0 0 6812 htmvoc_7163.wav サンゴービン ⸢サンゴー⸣ビン [⸢saŋgoː⸣biŋ] 名 三合瓶。⸢サンゴー⸣クビン[⸢saŋgoː⸣kubiŋ](三合小瓶)の転訛したもの。⸢ヨイ⸣ヌムヌ[⸢joi⸣numunu](祝儀の贈り物)や、⸢ソッコー⸣ムヌ[⸢sokkoː⸣munu](焼香物{EOS}法事の際に、親戚筋から贈られる、⸣グシパナ{SqBr}⸣guʃipana{/SqBr}<酒、花米>と⸢カウ{SqBr}⸢kau{/SqBr}<板香{EOS}線香>)が供えられるが、酒は三合瓶に入れて供える風習があった。また、ユ⸢ミ⸣ クイン ⸣パル ⸣ピン[ju⸢mi⸣ kuim ⸣paru ⸣pimmaː](嫁を乞い<貰い>に行く際には)、サ⸢キムイ[sḁ⸢kimui](「酒盛り」の義{EOS}結納の準備段階の儀式)と称して、男の側から二、三人の男が⸢サンゴウ⸣ビン[⸢saŋgoː⸣biŋ](三合瓶)の酒を持参して女性側の家に行き、嫁取りの話を内々にまとめた。 ⸢サンゴー⸣ビン ⸢ピーティ⸣ ユ⸢ミ⸣ クイン ⸢オーッ⸣タ [⸢saŋgoː⸣bim ⸢piːti⸣ ju⸢mi⸣ kuiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (三合瓶を引っさげて嫁を乞いに行かれた) 7164 0 0 6813 htmvoc_7164.wav サンサギ ⸢サン⸣サギ [⸢san⸣sagi] 名 三下がり。三線演奏上の調子<音程>。第三の糸<女弦>を下げて演奏するもの。 ク⸢ヌ⸣ ウター ⸢サン⸣サギシェー ピ⸢カラヌ [ku⸢nu⸣ ʔutaː ⸢san⸣sagiʃeː pi̥⸢karanu] (この歌は三下げでは弾かれない) 7165 0 0 6814 htmvoc_7165.wav サンサナー ⸢サンサ⸣ナー [⸢sansa⸣naː] 名 おてんば(お転婆)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サンサ⸣ナー ⸣ナリティ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː sansa⸣naː ⸣nariti ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (その子はお転婆になって一向に人の忠告<言うこと>を聞かない) 7166 0 0 6815 htmvoc_7166.wav ザンザラゴー ⸢ザンザラ⸣ゴー [⸢ʣanʣara⸣goː] 名 散り散りになること。粉粉に割ること。 ⸣マカルダナーラ マ⸢カ⸣ル ウ⸢ラ⸣スンティ ⸢アー⸣クンケン マ⸢カ⸣ル ウ⸢タ⸣シティ ⸢ザンザラ⸣ゴー ⸣ナシ シ⸢ティナー⸣ヌ [⸣makarudanaːra ma⸢ka⸣ru ʔu⸢ra⸣sunti ⸢ʔaː⸣kuŋkem ma⸢ka⸣ru ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ⸢ʣanʣa⸣ragoː ⸣naʃi ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (水棚<お椀棚>からお椀を下ろそうとしていて、お椀を落として粉粉にしてしまった) 7167 0 0 6816 htmvoc_7167.wav サンサン ⸣サンサン [⸣sansaŋ] 名 (動)せみ(蝉)。油蝉。夏樹上でジージーと鳴く。捕獲しようとすると、小便を放出して飛び立つ。 ナ⸢チヌ⸣ シチ ⸢ペー⸣ルカー パ⸢タ⸣キナー ⸣サンサンヌ ナ⸢キ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニン シゥ⸢カラヌ [na⸢ʧinu⸣ ʃi̥ʧi ⸢peː⸣rukaː pḁ⸢ta⸣kinaː ⸣sansannu na⸢ki⸣ pu̥⸢sunu⸣ munin sï̥⸢karanu] (夏の季節に入ると畑では蝉が鳴いて人の話<言葉>も聞き取れない<聞かれない>) 7168 0 0 6817 htmvoc_7168.wav サンザン ⸢サン⸣ザン [⸢san⸣ʣaŋ] 副 散々に。したたかに。甚だしく。 ⸢アン⸣バ ⸢パンツァシティ⸣ イ⸢ゾー⸣ ムー⸢ル ピンガ⸣シティ ⸢サン⸣ザン<シ⸢タ⸣タカ> イ⸢ザリティ⸣ マ⸢ガリベー [⸢ʔam⸣ba ⸢panʦaʃi̥ti⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ muː⸢ru piŋga⸣ʃi̥ti ⸢san⸣ʣaŋ<ʃi⸢ta⸣taka> ʔi⸢ʣariti⸣ ma⸢garibeː] (網を手放して魚を総て逃がしてしまって、散々に叱られて縮こまっているよ) 7169 0 0 6818 htmvoc_7169.wav サンサンクド ⸣サンサンクド [⸣sansaŋkudo] 名 三三九度。標準語から転訛したもの。祝言の際の献杯の礼。三つ組の酒杯で三度ずつ三回酒杯を献酬すること。 ⸣ニービキヨイナー ⸣サンサンクドヌ サ⸢カシキ⸣ ウ⸢コーッ⸣タン [⸣niːbikijoinaː ⸣sansaŋkudonu sḁ⸢kaʃiki⸣ ʔu⸢koːt⸣taŋ] (結婚式のお祝いには三三九度の盃を受けられた) 7170 0 0 6819 htmvoc_7170.wav サンザンクンザン ⸢サンザンクン⸣ザン [⸢sanʣaŋkun⸣ʣaŋ] 副 散々に。したたかに。⸢サン⸣ザン[⸢san⸣ʣaŋ]のABCDEBCD型の重言。強調表現。 ウ⸢カ⸣ヌ ⸢ソーヤンツァン ヌー⸣シカヤーティ ⸣ウムイ ⸢ベー⸣カー ヤン⸢バー⸣キ カ⸢カ⸣リ ⸣キモー ⸢サンザンクン⸣ザン ナリ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ka⸣nu ⸢soːjanʦan nuː⸣ʃikajaːti ⸣ʔumui ⸢beː⸣kaː ⸣jam⸢baː⸣ki kḁ⸢ka⸣ri ⸣kimoː ⸢sanʣaŋkun⸣ʣan nari⸢naː⸣nu] (借金の心配ですら、どうなるだろうと思っていたら病気にまで罹ってしまって、心は千千に思い乱れてしまった) 7172 0 0 6820 htmvoc_7172.wav サンシキ ⸣サンシキ [⸣saŋʃi̥ki] 名 さじき(桟敷)の義。⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)の⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](奉納芸能)が上演されるのを見物するところ。村のサ⸢カサ[sa⸢kasa](司{EOS}神女)やティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性神職者)が前列に座り、その後ろに村の有識者や招待客が座して奉納芸能を観覧する。その周囲を一般の人々が囲んで奉納芸を立ち見する。海岸道路と東村、西村の境界道路の交わる⸢アイ⸣ザムトゥ[⸢ʔai⸣ʣamutu](合流点{EOS}交差点)の東南の空間で、イ⸢ラカザケー[ʔi⸢rakaʣakeː](西加治工家)、ナ⸢カザーヒー⸣テー[na⸢kaʣaːçiː⸣teː](大城家)の南側、⸣マイトゥゼー[⸣maituzeː](通事家)の西側、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](ピナイ<鬚川>御嶽)の東側に位置する。1953年頃まで、周囲約3メートルのア⸢コーキー[ʔa⸢koːkiː](アコウ)の巨木が2本生えていて、海岸の方へ大きく枝を伸ばしていたが、大型のキット台風で折れてしまった。ピナイ御嶽のヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](テリハボク)の巨木も同じ台風で折れた。豊年祭には、この空間で東村、西村のカ⸢シ⸣ラ[ka⸢ʃi⸣ra](旗頭)を立てておき、東村西村対抗の⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](奉納芸能{EOS}入子型芸能{EOS}「常楽」の転訛か)の競演が行われた後、サンシキの浜へ移動して⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船)を漕ぎ、竜宮の神より豊穣を招く儀式が執り行われる。豊年祭の二日目も、この場所で東西に分かれてシ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)が行われる 7193 0 0 6821 htmvoc_7193.wav サンシキ ⸣サンシキ [⸣saŋʃi̥ki] 名 お産の月。産み月。「産月」の義。普通は、ナ⸢シ⸣シキ[na⸢ʃi⸣si̥ki](産み月)という。 ⸣サンシキ ナ⸢リ⸣ブバ ⸣ドゥク シゥ⸢カラシグトー⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [⸣saŋʃi̥ki na⸢ri⸣buba ⸣duku ʃi̥⸢karaʃigutoː⸣ su⸢na⸣joː] (産み月になっているから、あまり力の要る仕事はするなよ) 7173 0 0 6822 htmvoc_7173.wav サンシキヌウタ ⸣サンシキヌウタ [⸣saŋʃikinuʔuta] 名 桟敷の歌。神歌の一種。豊年祭に歌われる。⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta]の項参照 7171 0 0 6823 htmvoc_7171.wav サンジヌサーフキ ⸢サンジ⸣ヌ ⸢サー⸣フキ [⸢sanʤi⸣nu ⸢saː⸣ɸu̥ki] 連 3時の茶請け。 ⸢サンジ⸣ヌ ⸢サー⸣フキ ノー⸢ン⸣ ヤ⸢ラバン⸣ ン⸢ザサン⸣ノーレー [⸢sanʤi⸣nu ⸢saː⸣ɸu̥ki noː⸢ŋ⸣ ja⸢raban⸣ ʔn⸢ʣasan⸣noːreː] (3時のお茶請けに何でも良いから出してくれ<出さないか>) 7174 0 0 6824 htmvoc_7174.wav サンジャクバサンナル ⸣サンジャクバサンナル [⸣sanʤakubasannaru] 名 (植)台湾バナナ。台湾芭蕉。高さ約150センチと背が低く、実が大きいので支柱で支える。「三尺バナナ」の義。 ⸣サンジャクバサンナロー ⸢タイ⸣パンラル ⸣ムティケーティ⸢ダー [⸣sanʤakubasannaroː ⸢tai⸣panraru ⸣mutikeːti⸢daː] (三尺バナナは台湾から導入された<持ってきた>そうだよ) 7175 0 0 6825 htmvoc_7175.wav サンジャクマドゥ ⸣サンジャクマドゥ [⸣sanʤakumadu] 名 ⸢三尺窓」の義。洋風建築の窓で、壁の上半分に作られた窓。タ⸢カ⸣マッドゥ[tḁ⸢ka⸣madu](高窓)ともいう。この種の窓は鰹節製造工場が建てられるようになって、ナ⸢ヤ[na⸢ja](納屋)に高窓が設置されたことから始まったという。 ⸣サンジャクマドー カ⸢ツシンヌ⸣ ナ⸢ヤナー⸣ル ス⸢クラ⸣リ ブ⸢タ [⸣sanʣakumadoː kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ na⸢janaː⸣ru su̥⸢kura⸣ri bu⸢ta] (三尺窓はカツオ漁船の鰹節製造工場の納屋にが<ぞ>造られていた) 7176 0 0 6826 htmvoc_7176.wav サンジャコーマ サンジャ⸢コー⸣マ [sanʤa⸢koː⸣ma] 名 南向きの家の三番座の南西隅。三尺四方の空間。「三尺小間」の義。嫁がずに死去した娘の位牌を設置する棚を作る所という。 ⸣ドゥー ム⸢タ⸣ン ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸢イーパイヌ⸣ タ⸢ナー⸣ サンジャ⸢コー⸣マナール ス⸢ク⸣ローッタツォー [⸣duː mu⸢ta⸣m mi⸢doːŋ⸣ffanu ⸢ʔiːpainu⸣ ta⸢naː⸣ sanʤa⸢koː⸣manaːru su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (嫁がない女の子の位牌の棚は三尺小間に作られたそうだ) 7177 0 0 6827 htmvoc_7177.wav サンジューサンニンキ サンジュー⸢サンニン⸣キ [sanʤuː⸢sanniŋ⸣ki] 名 三十三年忌。最後の法事で、死者の霊は三十三年忌の後、昇天して神になるといわれている。ウ⸢サンギソッコー[ʔu⸢saŋgisokkoː](「押し上げ焼香」の義か)ともいう。 サンジュー⸢サンニン⸣キ ⸢スー⸣カー ウ⸢ヤ⸣プソー ⸣カン ナ⸢ロー⸣ルツォー [sanʤuː⸢sanniŋ⸣ki ⸢suː⸣kaː ʔu⸢ja⸣pusoː ⸣kan na⸢roː⸣ruʦoː] (三十三年忌をすると祖霊は神になられるそうだ) 7179 0 0 6828 htmvoc_7179.wav サンシン ⸢サン⸣シン [⸢saŋ⸣ʃiŋ] 名 「再饌」の義かという『八重山語彙』。飲食物の御代り。法事の際に供える正式の食事の他に、茶碗に盛り飯して供えるものは、⸢ブー⸣ソー[⸢buː⸣soː](\ruby{SqBr}g{/SqBr}{仏食向}{ブッショウ}の転訛か)という 7180 0 0 6829 htmvoc_7180.wav サンシン ⸢サンシン [⸢saŋʃiŋ] 名 三味線。「三線」の義。三線楽器は、⸣シガ[⸣ʃiga](胴)と⸣サウ[⸣sau](棹)に分かれる。棹の上部はス⸢ブ⸣ル[su⸢bu⸣ru](天<面>)といわれ、天と乳袋の間に調弦用の装置、男弦掛け、女弦掛け、中弦掛けのカ⸢ラ⸣クリ[ka⸢ra⸣kuri](巻き締め器{EOS}黒檀の材に装飾を施されたもの)がある。胴の上には⸢ンー⸣マ[⸢ʔmː⸣ma](駒)が立てられて、弦を張る役を果たす。弦の根はイ⸢トゥ⸣カキ[ʔi⸢tu⸣kaki](糸掛け)に結ばれて猿尾にかけられる。撥は水牛の角でできている。 ⸢サンシンマー⸣ ザ⸢ヒバリ⸣ シ⸢ミル⸣カー イッ⸢ケナ ナールン [⸢saŋʃimmaː⸣ ʣa⸢çibari⸣ ʃi⸢miru⸣kaː ʔik⸢ken naːruŋ] (三線は胴を蛇皮張りにすると、非常によく鳴る) 7181 0 0 6830 htmvoc_7181.wav サンシンヌシル ⸢サンシンヌ⸣ シ⸢ル [⸢saŋʃinnu⸣ ʃi⸢ru] 連 三味線の弦。 ⸢サンシンヌ⸣ シ⸢ロー ウー⸣ジル ナ⸢カ⸣ジル ⸢ミー⸣ジルシ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢saŋʃinnu⸣ ʃi⸢roː ʔuː⸣ʤiru na⸢ka⸣ʤiru ⸢miː⸣ʤiruʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (三味線の弦は男弦、中弦、女弦で作られている) 7182 0 0 6831 htmvoc_7182.wav サンシンヌンーマ ⸢サンシンヌ ンー⸣マ [⸢saŋʃinnu ʔmː⸣ma] 連 三味線の駒。「三線の馬」の義。単に、⸢ンー⸣マ[⸢ʔmː⸣ma](駒)ともいう。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢サンシンヌ ンー⸣マー タ⸢キ⸣シル ス⸢ク⸣ローッタ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢saŋʃinnu ʔmː⸣maː tḁ⸢ki⸣ʃiru su̥⸢ku⸣roːtta] (鳩間の人は、三線の駒は竹で<ぞ>作られた) 7183 0 0 6832 htmvoc_7183.wav サンシンパク ⸢サンシンパク [⸢samʃimpaku] 名 三線箱。三線を収納する家紋をいれた木箱。床の間に置いて保管した。 ⸢サンシンマー サンシンパク⸣ナ イ⸢リティ⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢サン⸣カー ザ⸢ヒバレー⸣ キ⸢シ⸣ス [⸢saŋʃimmaː saŋʃimpaku⸣na ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢saŋ⸣kaː ʣa⸢çibareː⸣ ki̥⸢ʃi⸣su] (三線は三線箱に入れて保管しないと蛇皮張は裂ける) 7184 0 0 6833 htmvoc_7184.wav サンシンピキ ⸢サンシンピキ [⸢saŋʃimpiki] 名 三線弾き。三線演奏者。⸣ジーシンカ[⸣ʤiːʃiŋka](ジカタ<地方>)ともいう。 キ⸢チゴンヌ⸣ ピンマー ⸢サンシンピキヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ブ⸢ドゥロー⸣ シ⸢ララヌ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ pimmaː ⸢saŋʃimpikinu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː bu⸢duroː⸣ ʃi⸢raranu] (結願祭の時は三線弾き<地方>がいないと踊りは出来ない) 7185 0 0 6834 htmvoc_7185.wav サンシンビラ ⸢サンシン⸣ビラ [⸢saŋʃim⸣bira] 名 しゃもじ(杓文字)。「再饌飯箆」の義。老年層の言葉。イ⸢ビ⸣ラ[ʔi⸢bi⸣ra](飯箆)は大きな杓文字で、煮た芋を捏ねるのに用いた。ご飯を掬う杓文字は、⸢イー⸣ガイ[⸢ʔiː⸣gai](飯匙)という。日常的にはこの語を多用する。 ム⸢カ⸣シプソー イ⸢ビラ⸣バ ⸢サンシン⸣ビラティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔi⸢bira⸣ba ⸢saŋʃim⸣birati ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は、しゃもじ<飯箆>をサンシンビラ<再饌箆>といわれた) 7178 0 0 6835 htmvoc_7178.wav サンスダキ ⸢サンス⸣ダキ [⸢sansu⸣daki] 名 三升炊き。米三升炊くことの出来る釜。 ⸢サンス⸣ダキナール バ⸢コーシンカ⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ バ⸢カサリル [⸢sansu⸣dakinaːru ba⸢koːʃiŋka⸣nu ⸢ʔiː⸣ja ba⸢kasariru] (三升炊きの釜に<ぞ>共同作業人員の飯は炊かれる) 7186 0 0 6836 htmvoc_7186.wav サンズヌカーラ ⸢サンズ⸣ヌ ⸢カーラ [⸢sanʣu⸣nu ⸢kaːra] 連 三途の川。死者が死んで七日目に渡るという、冥土の途中にあるといわれる川。積善の功あるものは楽に渡り、悪事をつんだものは苦しんで渡るという。 ⸣アブン ⸢アー⸣ヤン ⸢サンズ⸣ヌ ⸢カーラー⸣ バ⸢タリ⸣ グ⸢クラ⸣ク ⸢シーオー⸣ル [⸣ʔabuŋ ⸢ʔaː⸣jan ⸢sanʣu⸣nu ⸢kaːra⸣ ba⸢tari⸣ gu⸢kura⸣ku ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (お母さんもお父さんも三途の川を渡って極楽しておられる) 7187 0 0 6837 htmvoc_7187.wav サンズンクギ ⸢サンズン⸣クギ [⸢sanʣuŋ⸣kugi] 名 三寸釘。標準語からの借用語。 タ⸢ル⸣キンドーレーナーヤ ⸢サンズンクギ⸣バ ウ⸢トーッ⸣タ [ta⸢ru⸣kindoːreːnaːja ⸢sanʣuŋkugi⸣ba ʔu⸢toːt⸣ta] (垂木等には三寸釘を打たれた) 7188 0 0 6838 htmvoc_7188.wav サンソーマールン ⸢サン⸣ソー ⸢マールン [⸢san⸣soː ⸢maːruŋ] 連 うろたえる。周章狼狽する。どうしてよいか分からず、うろたえ騒ぐ。頭が混乱して、まごつく。てんてこ舞いする。 ⸢アッ⸣タニ ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ヤ⸢ク⸣バーラ ⸢オー⸣ルンティ シ⸢キティ ヌー⸣シル トゥ⸢ル⸣ムチ ⸢スー⸣ユーティ ⸢サン⸣ソー ⸢マーリ べー [⸢ʔat⸣tani ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ja⸢ku⸣baːra ⸢ʔoː⸣runti ʃi̥⸢kiti nuː⸣ʃiru tu⸢ru⸣muʧi ⸢suː⸣juːti ⸢san⸣soː ⸢maːri beː] (急にあれだけの多くの人が役場から来られると聞いて、どうやって接待してよいか分からずうろたえ騒いでいる)。 ⸢サン⸣ソー ⸢マーリティ⸣ ム⸢ヌカン⸣ガイ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢san⸣soː ⸢maːriti⸣ mu⸢nukaŋ⸣gai na⸢ra⸣nu] (頭が混乱して、ちゃんと考えることが出来ない{EOS}<考えられない>) 7189 0 0 6839 htmvoc_7189.wav サンダー ⸢サン⸣ダー [⸢san⸣daː] 固 人名の一つ。三郎。目下の者に対する見下げた呼び方。沖縄方言からの転訛。鳩間島固有の人名は、⸢サン⸣ドー[⸢san⸣doː](三戸)と表記される。 ⸢サン⸣ドーザー [⸢san⸣doːʣaː] (三戸兄さん)。⸢サン⸣ダーヒー[⸢san⸣daːçiː](三郎兄さん)は沖縄糸満方言からの借用語であろう 7191 0 0 6840 htmvoc_7191.wav サンダン ⸢サン⸣ダン [⸢san⸣daŋ] 名 算段。工面。手段を工夫すること。 ⸢ジン⸣ヌ ⸢サン⸣ダン ⸢スンティ ベー⸣ヌンドゥ ナ⸢リン⸣ギサ ⸢ナーン⸣バン [⸢ʤin⸣nu ⸢san⸣dan ⸢sunti beː⸣nundu na⸢riŋ⸣gisa ⸢naːm⸣baŋ] (お金の工面をしようとしているが、出来そうにないよ) 7192 0 1 6841 htmvoc_7192.wav サンダンブー ⸣サンダンブー [⸣sandambuː] 名 {Mn_1}帆の大きさの名称。布三反分の大きさの帆。三反帆船。長い径が五尋、短い径が 二尋の帆船。帆の長径、短径が次のようになっていて、それぞれの名がある。すなわち、四反帆は長径五尋三尺に短径二尋五寸。五反帆は長径七尋に短径二尋ニ尺五寸。六反帆は長径八尋に短径二尋四尺。七反帆は長径九尋に短径三尋一尺。八反帆は長径九広に短径三尋一尺六寸『石垣方言辞典』。 7192 0 2 6842 htmvoc_7192.wav サンダンブー ⸣サンダンブー [⸣sandambuː] 名 {Mn_2}帆船の大きさによる名称。三反帆の舟。サンタンブーの舟には四十石の積載能力があったという。 ⸣サンタンブーナー ⸢グイ⸣フゾーノーヤ シ⸢ミティル⸣ イ⸢サナケー⸣ ウ⸢サ⸣モーッタツォー [⸣sandambuːnaː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːja ʃi⸢mitiru⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ ʔu⸢sa⸣moːttaʦoː] (三反帆船に御庸布、上納は積んで石垣島へ納められたそうだ) 7194 0 0 6843 htmvoc_7194.wav ザンツァルン ⸢ザン⸣ツァルン [⸢ʣan⸣ʦaruŋ] 自動 粉粉になる。散り散りに砕ける。砕け散る。 ⸣マカルドング タ⸢ナー⸣ラ ウ⸢タシ⸣ター ⸢ザン⸣ツァリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣makarudoŋgu ta⸢naː⸣ra ʔu⸢taʃi̥⸣taː ⸢ʣan⸣ʦari ⸢naː⸣nu] (お椀類を棚から落としたら、粉々に砕けてしまった)。 タ⸢カーン⸣ トンラ ウ⸢タ⸣スカー ⸢ザン⸣ツァルン パジ⸢ダー⸣ヌ ク⸢ビッチン⸣ トンラ ウ⸢タサ⸣バン ⸢ザンツァリ⸣ス [tḁ⸢kaːn⸣ tonra ʔu⸢ta⸣sukaː ⸢ʣan⸣ʦarum paʤi⸢daː⸣nu ku⸢bitʧin⸣ tonrara⸣ ʔu⸢tasa⸣ban ⸢ʣanʦari⸣su] (高い所から落としたら砕け散るはずだろうが、たったこれだけの所からは落としても砕け散るよ)。 ⸢ザン⸣ツァリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʣan⸣ʦari ⸢naː⸣nu] (砕け散ってしまった)。 シ⸢カットゥダキ⸣シ<シ⸢カットゥ⸣ウビシ> ⸢ザン⸣ツァル ムヌン⸢デー⸣カー ⸢カウナ [ʃi̥⸢kattudaki⸣ʃi<ʃi⸢kattu⸣ubiʃi> ⸢ʣan⸣ʦaru munun⸢deː⸣kaː ⸢kauna] (触るだけで砕ける散る物であるなら買うな)。 ⸢ザン⸣ツァレー ⸣ミサムヌ [⸢ʣan⸣ʦareː ⸣misamunu] (砕け散ればよいのに)。 ⸢ザン⸣ツァリ [⸢ʣan⸣ʦari] (砕け散れ) 7195 0 1 6844 htmvoc_7195.wav ザンツァンシ ⸢ザンツァン⸣シ [⸢ʣanʦaŋ⸣ʃi] 副 {Mn_1}相手に負けずに堂々と議論する。激しく口論するさま。 ヤ⸢マトゥプス⸣トゥン ヤ⸢マトゥ⸣ムニシ ⸢ザンツァン⸣シ タ⸢タカー⸣シ マ⸢キランシェン [ja⸢matupu̥su⸣tuɲ ja⸢matu⸣muniʃi ⸢ʣanʦaŋ⸣ʃi tḁ⸢takaː⸣ʃi ma⸢kiraŋʃeŋ] (本土の人<大和人>とも標準語<大和言葉>で堂々と議論を戦わせて負けなかったよ)。 7195 0 2 6845 htmvoc_7195.wav ザンツァンシ ⸢ザンツァン⸣シ [⸢ʣanʦaŋ⸣ʃi] 副 {Mn_2}ざくざくと刈り取るさま。ちょきちょきと切り取るさま。てきぱきと仕事をこなす。 バ⸢カー⸣タン ⸣ケンマー ⸢ザンツァン⸣シ ⸢マイヤ⸣ カ⸢リシタンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ク⸢シヌ⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣taŋ ⸣kemmaː ⸢ʣanʦaŋ⸣ʃi ⸢maija⸣ka⸢riʃi̥tandu⸣ ma⸢na⸣maː ku̥⸢ʃinu⸣ jami na⸢ra⸣nu] (若かった頃はざくざくと稲を刈り込んだものだが、今は腰が痛くてたまらない)。 7195 0 3 6846 htmvoc_7195.wav ザンツァンシ ⸢ザンツァン⸣シ [⸢ʣanʦaŋ⸣ʃi] 副 {Mn_3}頭がずきんずきんと痛む。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アルユー ⸢ザンツァン⸣シ ス⸢ブル⸣ヌ<ガ⸢マジ⸣ヌ> ⸣ヤム [ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔarujuː ⸢ʣanʦaŋ⸣ʃi su⸢buru⸣nu ⸣jamu] (熱があるのか、ずきんずきんと頭が<髪>が痛む) 7196 0 0 6847 htmvoc_7196.wav ザンティ ザン⸢ティ [ʣan⸢ti] 副 擬態語。ぷつんと。ぷつりと。糸や綱、縄などが切れるさま。刃物で物を切断する形容。 カ⸢ジヌ スー⸣ワティ フ⸢バリ⸣シケータ トゥ⸢ム⸣ジナー ザン⸢ティ⸣ キシパリ ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʤinu suː⸣wati ɸu⸢bari⸣ʃi̥keːta tu⸢mu⸣ʤinaː ʣan⸢ti⸣ ki̥ʃipari ⸢naː⸣nu] (風が強くて、括っておいた艫綱はぷつんと切れていってしまった) 7201 0 0 6848 htmvoc_7201.wav サンドー ⸢サン⸣ドー [⸢san⸣doː] 名 男子の名前。戸籍簿の名前とは別の伝統的な名前(祖父の名を受け継ぐ名前)。 ⸢サン⸣ドーヤ ⸢ヤー⸣ナー ⸢ヤッタ [⸢san⸣doːja ⸢jaː⸣naː ⸢jatta] (三戸は伝統的な家の名前<童名>であった) 7197 0 0 6849 htmvoc_7197.wav サントースン ⸢サントースン [⸢santoːsuŋ] 他動 ぎゅうぎゅう詰めにする。袋の中に杵で搗きながら詰め込む。 カ⸢シガーフク⸣ルナー ⸢イー⸣シ ⸢サントーシ⸣ イ⸢リリ [kḁ⸢ʃigaːɸuku⸣runaː ⸢ʔiː⸣ʃi ⸢santoːʃi⸣ ʔi⸢riri] (朝鮮袋に乾燥ツノマタを詰め込んで入れよ)。 カ⸢シガーフク⸣ルナー ⸢サントースンティ ベー⸣ヌンドゥ ⸢サントーサラヌ [kḁ⸢ʃigaːɸuku⸣runaː ⸢santoːsunti beː⸣nundu ⸢santoːsaranu] (朝鮮袋に詰め込もうとしているが詰め込まれない)。 ⸢サントース⸣ プソー ⸣パンシ ⸢サントーシ⸣バ [⸢santoːsu⸣ pu̥soː ⸣paŋʃi ⸢santoːʃi⸣ba] (詰め込む時は足で踏み込んで詰め込めよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢サントーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢santoːʃeː⸣ misamunu] (もっと詰め込めばよいのに) 7198 0 0 6850 htmvoc_7198.wav サントゥ ⸢サン⸣トゥ [⸢san⸣tu] 名 三斗。三十升。 ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ルンドゥ サントゥダー⸣ラ カ⸢タ⸣ムン⸢ダー [ja⸢ra⸣bi ja⸢rundu santudaː⸣ra kḁ⸢ta⸣mun⸢daː] (子供だが三斗入り俵を担ぐよ) 7199 0 0 6851 htmvoc_7199.wav サントゥ ⸢サン⸣トゥ [⸢san⸣tu] 名 三度目の田打ち作業。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ター⸣ヤ ア⸢ロー⸣ナ マ⸢トーナ サン⸣トゥ ⸢バー⸣ケー ヤー⸢ディン シーソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢taː⸣ja ʔa⸢roː⸣na ma⸢toːna san⸣tu ⸢baː⸣keː jaː⸢diŋ ʃiːsoːt⸣ta] (昔は、田圃は荒こなし<荒打ち>、二度耕し、三度耕しまでは必ずなさった<し為さった>) 7200 0 0 6852 htmvoc_7200.wav サントゥルサー ⸢サン⸣トゥルサー [⸢san⸣turusaː] 名 (動)カマキリ(蟷螂)。昆虫。頭は三角形をし、前肢は鎌状をなし、これで他の虫を捕食する。体色は緑色。子供はこれを捕まえて、⸢タンコーマーヤー[⸢taŋkoːmaːjaː](炭鉱はどこか)と尋ねると、蟷螂が鎌状の前肢をしきりに動かして炭鉱の方角を示す動きをするのを楽しんだ。従って、子供は蟷螂を⸢タンコーマーヤー[⸢taŋkoːmaːjaː]という。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸢サン⸣トゥルサーバ シゥ⸢カ⸣ミティ ⸣タンコーマーヤーティ ア⸢ジェー⸣ティル ア⸢サブタル [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸢san⸣turusaːba sï̥⸢ka⸣miti ⸣taŋkoːmaːjaːti ʔa⸢ʤeː⸣tiru ʔa⸢sabutaru] (子供の頃は蟷螂を捕まえて「炭鉱はどこか」と言いながら遊んだものだよ) 7203 0 0 6853 htmvoc_7203.wav ザンナルン ⸣ザン ⸣ナルン [⸣ʣan ⸣naruŋ] 連 太る。「ジュゴンになる」の義。ジュゴンのように丸々と太ること。 ⸢ヌー⸣バ ッ⸢ふァイル⸣ アイニ ⸢パン⸣タリ ⸣ザン ⸣ナリ ⸢ベー⸣カヤー [⸢nuː⸣ba f⸢fairu⸣ ʔaini ⸢pan⸣tari ⸣ʣan ⸣nari ⸢beː⸣kajaː] (何を食べて、あのように太って、ジュゴンのようになっているのかね) 7204 0 0 6854 htmvoc_7204.wav サンナン ⸢サン⸣ナン [⸢san⸣naŋ] 名 三男。 ク⸢レー⸣ バー ⸢サン⸣ナン⸢ダー [ku⸢reː⸣ baː ⸢san⸣nan⸢daː] (これは私の三男だよ)。 ⸢サンナン⸣ カ⸢キマカ⸣ラーティ ア⸢ザリ ブー [⸢sannaŋ⸣ kḁ⸢kimaka⸣raːti ʔa⸢ʣari buː] (三男は欠けた椀<欠けた椀しか相続できない>といわれている) 7202 0 0 6855 htmvoc_7202.wav サンナンカキマカル ⸢サン⸣ナン カ⸢キマカル [⸢san⸣naŋ ka⸢kimakaru] 成 三男は欠け茶碗。三男は欠けた茶碗しか財産分与できないの意。 ム⸢カ⸣シェーラ ⸢サン⸣ナン カ⸢キマカルティ⸣ ア⸢ザリティ⸣ ザイサンマー ⸢ナーン⸣ユンダ マー⸢ン⸣ナーティン ⸣タティミサタン [mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢san⸣naŋ kḁ⸢kimakaruti⸣ ʔa⸢ʣariti⸣ ʣaisammaː ⸢naːŋ⸣jundaː maː⸢n⸣naːtin ⸣tatimisataŋ] (昔から⸢三男は欠け茶碗」といわれて財産はないから、何処でも暮らしてよかった) 7205 0 0 6856 htmvoc_7205.wav サンニンキ ⸢サンニン⸣キ [⸢sanniŋ⸣ki] 名 三年忌。死後満二年目の法事。⸢ミーティヌ ソッ⸣コー[⸢miːtinu sok⸣koː](三年の焼香)とおいう。 ⸣アボー ⸢サンニン⸣ケー イ⸢チ ソーッ⸣タカヤー [⸣ʔaboː ⸢sanniŋ⸣keː ʔi⸢ʧi soːt⸣takajaː] (お母さんの三年忌はいつされたかね) 7206 0 0 6857 htmvoc_7206.wav サンヌティジ ⸢サン⸣ヌ ティ⸢ジ [⸢san⸣nu ti⸢ʤi] 連 山の頂上。 ⸢ケーダ⸣ヌ ⸢サン⸣ヌ ティ⸢ジ⸣ナー ⸢キャーンギキーヌ⸣ ヤ⸢マシ⸣カ ムイ⸢ベーン⸣ティ⸢ダー [⸢keːda⸣nu ⸢san⸣nu ti⸢ʤi⸣naː ⸢kjaːŋgikiːnu⸣ ja⸢maʃi̥⸣ka mui⸢beːn⸣ti⸢daː] (ケーダ水田地帯の山の頂上には犬槇の木が沢山生えているそうだよ)。 ⸢サン⸣ヌ ティ⸢ジェー⸣ラ ⸣フキ ウ⸢ラ⸣ス カ⸢ジヌ スー⸣ワティ ⸢マイヤー⸣ ムー⸢ル トー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢san⸣nu ti⸢ʤeː⸣ra ⸣ɸu̥ki ʔu⸢ra⸣su ka⸢ʤinu suː⸣wati ⸢maijaː⸣ muː⸢ru toː⸣ri ⸢naː⸣nu] (山の頂上から吹き降ろす風が強くて、稲はみんな倒れてしまった) 7207 0 0 6858 htmvoc_7207.wav サンヌパー ⸢サン⸣ヌパー [⸢san⸣nupaː] 名 申の方角。南西の方角。「さるのはう(申の方)」の義。 カ⸢ジェー サン⸣ヌパー ⸢マーリ⸣ パレーン [ka⸢ʤeː san⸣nupaː ⸢maːri⸣ pareːŋ] (風は南西の方へ回っていった) 7208 0 0 6859 htmvoc_7208.wav サンヌパーカジ ⸢サン⸣ヌパーカジ [⸢san⸣nupaːkaʤi] 名 申の方角から吹く風。穏やかに吹く風の一種。 ⸢サン⸣ヌパーカジ ⸣ナレーチバ ⸢オーシケー ノー⸣ルン [⸢san⸣nupaːkaʤi ⸣nareːʧiba ⸢ʔoːʃi̥keː noː⸣ruŋ] (西南西<申の方角>の風になったから、天気は良くなる) 7209 0 0 6860 htmvoc_7209.wav サンヌパーシヌ ⸢サン⸣ヌパー ⸣シヌ [⸢san⸣nupaː ⸣ʃinu] 連 申の方角の片隅。南西の方角。 ⸢サン⸣ヌパー ⸣シノー ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ シ⸢ティントン⸣ティ ア⸢ザリ ブー [⸢san⸣nupaː ⸣ʃinoː mi⸢doːŋ⸣ffanu ʃi̥⸢tinton⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (屋敷の南西の角は嫁がない女の子の捨て所<諺>、屋敷の南西の方角の片隅には女の子の家を建ててもよい、といわれている) 7210 0 0 6861 htmvoc_7210.wav サンバ ⸢サン⸣バ [⸢sam⸣ba] 名 産婆。戦後に標準語から借用された語。鳩間島には産婆はおらず、経験豊かな取り上げ婆が西村と東村にいた。これを⸢カッティ[⸢katti](取り上げ婆経験者{EOS}自己流{EOS}「勝手」の義か)という。西村では宮良ヲナリ氏と大城サカイ氏が昭和四十年頃まで産婆の役<取り上げ婆>を果たしていた。その後保健所の指導により妊婦は石垣島の産婆の世話になって出産するようになった。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢サン⸣バー ⸢オーラン⸣ベーティ ⸢カッティバ⸣ タ⸢ナミ⸣ル ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢sam⸣baː ⸢ʔoːram⸣beːti ⸢kattiba⸣ ta⸢nami⸣ru f⸢fa⸣ na⸢soːt⸣ta] (鳩間島には産婆がいらっしゃらなかったので、カッティ<お産経験者{EOS}取り上げ婆>を頼んでお産をされた<子供を生まれた>) 7211 0 0 6862 htmvoc_7211.wav サンバーレー ⸢サンバー⸣レー [⸢sambaː⸣reː] 名 神歌の一種。豊年祭に旗頭をトゥニムトゥ(宗家)に納める際に歌われる。⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta](豊年祭の歌)の項参照 7212 0 0 6863 htmvoc_7212.wav サンバガッコー ⸢サン⸣バガッコー [⸢sam⸣bagakkoː] 名 ⸢産婆学校」の義。戦後米軍統治下の沖縄本島の中部病院で設置されてた看護婦養成機関。 ⸢クシケヌ⸣ ヒ⸢ロコネーサンマー サンバガッ⸣コー ン⸢ゾー⸣リティ イ⸢ラムティ⸣ナーティ タ⸢ケ⸣トミチョーヌ ジョ⸢サン⸣シ ナ⸢ローッ⸣タツォー [⸢kuʃi̥keːnu⸣ çi⸢rokoneːsammaː sambagak⸣koː ʔn⸢ʣoː⸣riti ʔi⸢ramuti⸣naːti tḁ⸢ke⸣tomiʧoːnu ʤo⸢saŋ⸣ʃi na⸢roːt⸣taʦoː] (小底家の弘子姉さんは産婆学校を出られて西表で竹富町の助産師になられたそうだ) 7213 0 0 6864 htmvoc_7213.wav サンバカッティ ⸢サンバカッ⸣ティ [⸢sambakat⸣ti] 名 取り上げ婆。⸢産婆経験者」の義。 ⸢イー⸣ネヌ ブ⸢バートゥ⸣ ウブシケーヌ ⸣アボー ⸢サンバカッ⸣ティ ヤ⸢ローッ⸣タ [⸢ʔiː⸣nenu bu⸢baːtu⸣ ʔubuʃi̥keːnu ⸣ʔaboː ⸢sambakat⸣ti ja⸢roːt⸣ta] (西隣の家の伯母さんと大城家のお母さんは取り上げ婆さん<産婆経験者>であられた) 7214 0 0 6865 htmvoc_7214.wav サンバシ ⸢サンバ⸣シ [⸢samba⸣ʃi] 名 桟橋。1934(昭和9)年、鳩間島の護岸の完成と共に桟橋も完成し、石垣、鳩間、西表祖納への⸢ウンパン⸣シン[⸢ʔumpaŋ⸣ʃiŋ](定期運搬船)も就航するようになって、島の生活も便利になった。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー ⸢ウンパンシン⸣マー ⸣サンバシナー シ⸢キララン⸣シェン [⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ⸢ʔumpaŋʃim⸣maː ⸣sambaʃinaː ʃi̥⸢kiraraŋ⸣ʃeŋ] (潮が引くと運搬船は桟橋に着けられなかった) 7215 0 0 6866 htmvoc_7215.wav サンバンウラザ ⸢サンバンウラ⸣ザ [⸢sambaŋʔura⸣ʣa] 名 三番裏座。 ⸢サンバンウラ⸣ザナール ⸣ジロー ス⸢ク⸣ローッタ [⸢sambaŋʔura⸣ʣanaːru ⸣ʤiroː su̥⸢ku⸣roːtta] (三番裏座に地炉は作られた) 7216 0 0 6867 htmvoc_7216.wav サンバンザー ⸢サンバン⸣ザー [⸢samban⸣ʣaː] 名 三番座。ナ⸢カ⸣ザ[na⸢ka⸣ʣa](台所の土間)に面した居間兼食事部屋。主婦の部屋。親戚や隣人達は、ここに上がりこんで雑談をする。この部屋の北側の隅には⸢ミー⸣スカミ[⸢miː⸣sukami](味噌瓶)や⸢マー⸣スカミ[⸢maː⸣sukami](塩瓶)、⸣ミンスブ[⸣minsubu](⸢耳壷」の義か{EOS}調味料を入れる壷)などが置かれていた。 ⸢サンバン⸣ザーナール ⸢イー⸣ユン ッ⸢ふァイ ヤーニンズー⸣ヌ パ⸢ナシアー⸣シン ⸣ウナーティル ⸢ソーッタ⸣ル [⸢samban⸣ʣaːnaːru ⸢ʔiː⸣jun f⸢fai jaːninʣuː⸣nu pa⸢naʃiʔaː⸣ʃiŋ ⸣ʔunaːtiru ⸢soːtta⸣ru] (三番座で<ぞ>飯も食べ、家族の話し合いも、そこでなされたものだ) 7217 0 0 6868 htmvoc_7217.wav ザンパンタリ ⸣ザンパンタリ [⸣ʣampantari] 名 でぶ。⸣ザン[⸣ʣaŋ](ジュゴン)のようにまるまると太っていること。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣ザンパンタリ ⸢スー⸣カー ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢サ⸣ヌティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [mi⸢dumu⸣nu ⸣ʣampantari ⸢suː⸣kaː f⸢fa⸣ na⸢sa⸣nuti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (女がジュゴンのように太ると子供を産まない、と昔の人はいわれた) 7218 0 0 6869 htmvoc_7218.wav サンバンドゥル ⸢サンバン⸣ドゥル [⸢samban⸣duru] 名 さんばんどり(三番鶏)。チ⸢リドゥル[ʧi⸢riduru](連れ鶏)ともいう。夜明けに一斉に鳴く鶏。イ⸢チバン⸣ドゥル[ʔi⸢ʧiban⸣duru](一番鶏)、⸢ニーバン⸣ドゥル[⸢niːban⸣duru](二番鶏)に続いて鳴く鶏。 ⸢サンバンドゥル⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ⸣ウキティ ア⸢サキ⸣ヌ ス⸢コール ソーッ⸣タ [⸢sambanduru⸣nu na⸢ku⸣kaː ⸣ʔukiti ʔa⸢saki⸣nu su̥⸢koːru soːt⸣ta] (三番鳥が鳴くと起きて朝食の準備をされた) 7219 0 0 6870 htmvoc_7219.wav サンピキ ⸣サンピキ [⸣sampiki] 名 道具の名。幅約6センチ、長さ約30センチの板の先に左右対称に2本ずつ釘を4本打ちつけて、アダン葉の左右の刺と中央の刺をを取り除くように作られた器具。これでアダン葉を約1センチ幅に裂き採り、乾燥してア⸢ダン⸣パーゾーリ[ʔa⸢dam⸣paːʣori](アダン葉草履)を編んだ。 ⸣サンピキシ ア⸢ダン⸣パー ⸣サキ ⸣プシティ ⸢ゾー⸣リ フ⸢モーッ⸣タ [⸣sampikiʃi ʔa⸢dam⸣paː ⸣sḁki ⸣pu̥ʃiti ⸢ʣoː⸣ri ɸu⸢moːt⸣ta] (サンピキでアダン葉を裂き、干してアダン葉草履を編まれた) 7220 0 0 6871 htmvoc_7220.wav サンピンサー ⸣サンピンサー [⸣sampinsaː] 名 台湾から輸入された銘茶。「香片茶」の訛ったもの。 ⸣サンピンサーバ ⸢カイ⸣ ケーンドゥ イッ⸢ケナ⸣ カ⸢バッ⸣サン [⸣sampinsaːba ⸢kai⸣ keːndu ʔik⸢kena⸣ ka⸢bas⸣saŋ] (香片茶を買ってきてあるが、非常に香ばしいよ) 7221 0 0 6872 htmvoc_7221.wav サンブイツァ ⸢サンブ⸣イツァ [⸢sambu⸣ʔiʦa] 名 三分板。厚さ三分(約9ミリメートル)の杉板。家の壁板に用いる杉板。 イ⸢ツァクビ⸣ヌ ⸣イツァー シ⸢ギヌ サンブイツァバ⸣ル シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [ʔi⸢ʦakubi⸣nu ⸣ʔiʦaː ʃi⸢ginu sambuʔiʦaba⸣ru si̥⸢kaijoːt⸣ta] (板壁用の板は杉板の三分板を使われた) 7222 0 0 6873 htmvoc_7222.wav サンブヌン ⸢サンブ⸣ヌン [⸢sambu⸣nuŋ] 名 三分鑿。極小の穴を掘るのに用いる巾三分の鑿。 ⸢ソージヌ⸣ サンナー ⸢サンブ⸣ヌンシル ⸣アナー プ⸢ル⸣タ [⸢soːʤinu⸣ sannaː ⸢sambu⸣nuŋʃiru ⸣ʔanaː pu⸢ru⸣ta] (障子の桟には三分鑿で<ぞ>\ruby{枘穴}{ホゾ|アナ}は掘った) 7223 0 0 6874 htmvoc_7223.wav サンボー ⸣サンボー [⸣samboː] 名 さんぽう(三方)。祭具名。神仏への供物を載せる台。前面、左右面に丸い孔があけてある。 ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムロー⸣ サンボーナー ⸢シン⸣ザ ⸣シキティ ⸢ウン⸣ナー ⸢バン⸣スル キ⸢ダヌ⸣ナル フ⸢ナ⸣ブンドーレー ⸣ッシティ カ⸢ザローッ⸣タ [⸢soːran⸣nu mu⸢rumuroː⸣ samboːnaː ⸢ʃin⸣ʣa ⸣ʃi̥kiti ⸢ʔun⸣naː ⸢ban⸣suru ki⸢danu⸣naru ɸu⸢na⸣bundoːreː ⸣ʃʃiti ka⸢ʣaroːt⸣ta] (お盆の供物のムルムルは、三方に砂糖きびを置いて、それに蕃石榴<グワバ>、黒檀の実、蜜柑などを挿して飾られた) 7224 0 0 6875 htmvoc_7224.wav ザンマイ ⸢ザン⸣マイ [⸢ʣam⸣mai] 名 夢中になること。一心不乱に事をするさま。「さんまい(三昧)」の転訛したもの。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ヨイ⸣ヌ ス⸢コール スンティ⸣ ク⸢ヌ⸣グロー ブ⸢ドゥルザンマイ シー オー⸣ル [⸢ʔun⸣neːja ⸢joi⸣nu su̥⸢koːru sunti⸣ ku⸢nu⸣guroː bu⸢durudammai ʃiː ʔoː⸣ru] (あの<その>家はお祝いの準備をするとて近頃は踊り三昧にしておられる) 7233 0 0 6876 htmvoc_7233.wav サンマイナビ ⸢サンマイ⸣ナビ [⸢sammai⸣nabi] 名 五升炊きの鍋。グ⸢スタキ[gu⸢sutaki](五升炊き)ともいう。鍋を製作するのに鉄板を三枚要することからの命名という『石垣方言辞典』。 ⸢ヤースクリヤー⸣ヌ バ⸢コーシンカ⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ ⸢サンマイ⸣ナビナール バ⸢カサリル [⸢jaːsu̥kurijaː⸣nu ba⸢koːʃiŋka⸣nu ⸢ʔiː⸣ja ⸢sammai⸣nabinaːru ba⸢kasariru] (家屋を建築する家の共同作業員のご飯は三枚鍋で<ぞ>炊かれる<炊くことが出来る>) 7225 0 0 6877 htmvoc_7225.wav サンマギリ ⸢サンマギ⸣リ [⸢sammagi⸣ri] 名 三間切(さんまぎり)。琉球国時代の石垣、大浜、宮良の三つの間切(現在の村に相当)。明治三十五年ごろは、石垣間切に十一の村、大浜間切には九つの村、宮良間切には十一の村があった『石垣方言辞典』という。鳩間村は宮良間切に属していた。 パ⸢トゥ⸣マムラー ⸢メーラ マギリナー⸣ル ⸢ペー⸣リ ブ⸢タ⸣ツォー [pa⸢tu⸣mamuraː ⸢meːra magirinaː⸣ru ⸢peː⸣ri bu⸢ta⸣ʦoː] (鳩間村は宮良間切に入っていたそうだ) 7226 0 0 6878 htmvoc_7226.wav サンミン ⸢サン⸣ミン [⸢sam⸣miŋ] 名 計算。勘定。 カ⸢ツシンヌ モー⸣キ ⸢ギューサ⸣ナ ア⸢タル⸣ユー ⸢サン⸣ミン ⸢シー⸣ミリ [kḁ⸢ʦuʃinnu moː⸣ki ⸢gjuːsa⸣naː ʔa⸢taru⸣juː ⸢sam⸣miŋ ⸢ʃiː⸣miri] (カツオ漁船の儲けはいくらずつ配当されるか<当たるか>計算してみよ)。 ク⸢レー⸣ マ⸢ナ⸣マー サンミン⸣マー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ma⸢na⸣maː ⸢sammim⸣maː na⸢ra⸣nu] (これは、今は計算はできない)。 ⸢サン⸣ミン ⸢シー⸣ミリ⸢ミー モーキ⸣ル ⸢ブー⸣ユー カ⸢ブリ⸣ル ⸢ブーユー [⸢sam⸣miŋ ⸢ʃiː⸣miri⸢miː moːki⸣ru ⸢buː⸣juː ka⸢buri⸣ru ⸢buː⸣juː] (計算してごらんよ{EOS}儲けているのか、損をしているのか) 7227 0 0 6879 htmvoc_7227.wav サンミン ⸢サン⸣ミン [⸢sam⸣miŋ] 名 蚕の三眠。蚕は四眠して後に繭を作った。 ⸢カイコ⸣ヤ ⸢サン⸣ミン ⸢スー⸣カー ⸢ゴーナキー⸣ヌ ⸢パー⸣ ヤ⸢マシゥ⸣カ ッ⸢ふァイシタ [⸢kaiko⸣ja ⸢sam⸣min ⸢suː⸣kaː ja⸢masi̥⸣ka ⸢goːnakiː⸣nu ⸢paː⸣ f⸢faiʃi̥ta] (蚕は三眠すると大量に桑の葉を食べた) 7228 0 0 6880 htmvoc_7228.wav サンミンスン ⸢サン⸣ミン ⸢スン [⸢sam⸣min ⸢suŋ] 連 計算する。 ク⸢レー⸣ バー ⸣ドゥーシ ⸢サン⸣ミン ⸢スン [ku⸢reː⸣ baː ⸣duːʃi ⸢sam⸣min ⸢suŋ] (これは私自身で計算する) 7229 0 0 6881 htmvoc_7229.wav サンミンバッパイ ⸢サンミンバッ⸣パイ [⸢sammimbap⸣pai] 名 計算違い。⸢サンミンチガ⸣イ[⸢samminʧiga⸣i](計算違い)ともいう。 ⸢サンミンバッ⸣パイ シ⸢ティ⸣ パ⸢ライ⸣シギ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸢sammimbap⸣pai ʃi̥⸢ti⸣ pa⸢rai⸣ʃigi ⸢ʃiː naː⸣nu] (計算違いして、払い過ぎてしまった) 7230 0 0 6882 htmvoc_7230.wav サンムスビ ⸢サンムス⸣ビ [⸢sammusu⸣bi] 名 ⸣サン[⸣saŋ](しめ<標{EOS}注連>)の形に結んだもの。とんぼ結び。 バ⸢ラフ⸣タシ ヤ⸢ラバン サンムス⸣ビ シ⸢ティ⸣ ッ⸢ふァイムヌヌ ウイ⸣ナー ⸣シキティ ム⸢タ⸣シバ [ba⸢ra⸣ɸu̥taʃi ja⸢raban sammusu⸣bi ʃi̥⸢ti⸣ f⸢faimununu ʔui⸣naː ⸣ʃi̥kiti mu⸢ta⸣ʃiba] (藁ででもサン結び<とんぼ結び>をして食べ物の上において持たせてやれよ) 7231 0 0 6883 htmvoc_7231.wav サンムヨー ⸢サン⸣ムヨー [⸢sam⸣mujoː] 名 産気づくこと。「産模様」の義。 ナ⸢シ⸣シケー マ⸢ダ クーン⸣パジ ⸢ダー⸣ヌ ⸢オーパ⸣ヤー ⸢サン⸣ムヨー ⸢シー⸣ ブ⸢リン⸣ギサバン [na⸢ʃi⸣ʃi̥keː ma⸢da kuːm⸣paʤi ⸢daː⸣nu ⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢sam⸣mujoː ⸢ʃiː⸣ bu⸢riŋ⸣gisabaŋ] (産み月はまだ来ないはずだが、そんなに早く産気づいて<産模様して>いるようだ) 7232 0 0 6884 htmvoc_7232.wav サンユーン ⸣サン ⸢ユーン [⸣saŋ ⸢juːŋ] 連 藁やススキの茎でサンを結う。注連縄を結う。トンボ結びの片方結びをする。 ⸢ユシキ⸣ヌ ⸣フキシ ⸣サン ⸢ユイティ⸣ パ⸢タ⸣キナ ⸣ッシシケー [⸢juʃi̥ki⸣nu ⸣ɸu̥kiʃi ⸣saŋ ⸢juiti⸣ pḁ⸢ta⸣kina ⸣ʃʃiʃi̥keː] (ススキの茎で注連を結って畑に刺してある) 7234 0 0 6885 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Exp_1}体言及び体言に準ずる形に付く。{Ref_Mn_1}、{Ref_Mn_2}、{Ref_Mn_3}、{Ref_Mn_4}参照。 7234 0 0 6886 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Exp_2}格助詞⸢-トゥ[-tu](と<相手格>)につく。 ⸢ワットゥ バン⸣トゥシ ス⸢ク⸣レール ⸢ヤー⸣キナイ サ⸢カラシ⸣ パラ [⸢wattu ban⸣tuʃi su̥⸢ku⸣reːru ⸢jaː⸣kinai sḁ⸢karaʃi⸣ para] (君と僕とで作った家庭を繁昌させていこう)。 7234 0 0 6887 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Exp_3}副助詞カー⸢ニ[kaː⸢ni](だけ)、⸣-スク[⸣-suku](ほど)、⸣-ブカラ[⸣-bukara](ほど)、-ア⸢タ⸣ル[-ʔa⸢ta⸣ru](ぐらい)、⸣-ダキ[⸣-daki](だけ)につく。 ⸢ワーカーニ⸣シ シゥ⸢カウナ [⸢waːkaːni⸣ʃi sï̥⸢kauna] (君だけで使うなよ)。 ウ⸢ヌ⸣スクシ プ⸢スヌ⸣ マイヤー ナ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣su̥kuʃi pu̥⸢sunu⸣ maijaː na⸢rara⸣nu] (この程度で人の前に立てない)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルシ ⸢ヌー⸣ヌ ナ⸢ル⸣ワ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣ruʃi ⸢nuː⸣nu na⸢ru⸣wa] (この程度で何ができるものか)。 ⸣ウビ ダ⸢キ⸣シェー ⸢ヌンガーラサラ⸣ヌ [⸣ʔubi da⸢ki⸣ʃeː ⸢nuŋgaːrasara⸣nu] (これだけでは許されない)。 7234 0 0 6888 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Exp_4}係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](は)、⸣-ル[⸣-ru](ぞ)、⸣-ン[⸣-m,n,ŋ](も)が付く。 7234 0 0 6889 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Exp_4}の例、ク⸢リ⸣シェー ム⸢チェー⸣ ス⸢クララ⸣ヌ[ku⸢ri⸣ʃeː mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢kurara⸣nu](これでは餅は作られない)。 タ⸢キ⸣シル ⸢バー⸣ケー ス⸢ク⸣ル [ta⸢ki⸣ʃiru ⸢baː⸣keː su̥⸢ku⸣ru] (竹でが<ぞ>バーキー笊は作るのだ)。 ウ⸢ヌ ユイ⸣シル ⸢ムンドー⸣ヤ ウ⸢ク⸣レータ [ʔu⸢nu jui⸣ʃiru ⸢mundoː⸣ja ʔu⸢ku⸣reːta] (そのような訳で<ぞ>喧嘩<問答、紛争>が起きたのだ)。 ⸢クー⸣ジシン ⸣ティロー ス⸢クラ⸣リン [⸢kuː⸣ʤiʃin ⸣tiroː su̥⸢kura⸣riŋ] (トウズルモドキでも笊は作られる)。 7234 0 0 6890 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Exp_5}副助詞⸣-ツァン[⸣-ʦaŋ](すら)、⸣サーギ[⸣saːgi](さえ)、カー⸢ニ[kaː⸢ni](だけ)、⸢-ナー⸣ト[⸢-naː⸣to](など)が付く。 ク⸢リ⸣シンツァン ス⸢クララン⸣カー ⸣ヌーシル ス⸢ク⸣ルカヤー [ku⸢ri⸣ʃinʦan su̥⸢kuraraŋ⸣kaː ⸣nuːʃiru su̥⸢ku⸣rukajaː] (これですらも作られなかったら、何で作られるのかなあ)。 ク⸢リ⸣シサーギ ス⸢クラ⸣リカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ku⸢ri⸣ʃisaːgi su̥⸢kura⸣rikaː ⸢soːja naː⸣nu] (これでさえ作られれば心配はない)。 イ⸢ズ⸣シカー⸢ニ⸣ ス⸢クラン⸣ドーシ ⸣クジン マ⸢ザー⸣シティ カ⸢マブク⸣ ス⸢ク⸣リバ [ʔi⸢ʣu⸣ʃikaː⸢ni⸣ su⸢kuran⸣doːʃi ⸣kuʤim ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ka⸢mabuku⸣ su̥⸢ku⸣riba] (魚だけで作らないで、澱粉<くず、⸢葛」の義か>も混ぜて作れよ)。 サ⸢バヌ ミー⸣シ⸢ナー⸣ト カ⸢マブク シッ⸣ケー ナ⸢ラン⸣ダー サ⸢バヌ ミーヤ バックリス⸠ダー [sa⸢banu miː⸣ʃi⸢naː⸣to ka⸢mabuku ʃik⸣keː na⸢ran⸣daː sa⸢banu miːja bakkurisu⸠daː] (鮫の身でなど蒲鉾を搗いてはならんぞ{EOS}鮫の身は粘り気がなくて割れ砕けてしまうぞ) 7234 0 1 6891 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 ~で。{Mn_1}材料を表す。 ク⸢ヌ バー⸣ケー タ⸢キヌ⸣カーシ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ku⸢nu baː⸣keː ta⸢kinu⸣kaːʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (この笊は竹の皮で作られている)。 ⸣ガヤーシ ⸣ヤー フ⸢クン [⸣gajaːʃi ⸣jaː ɸu̥⸢kuŋ] (茅で家<屋根>を葺く)。 7234 0 2 6892 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Mn_2}手段、方法を表す。 フ⸢ディ⸣シ ⸢ジー⸣ カクン [ɸu⸢di⸣ʃi ⸢ʤiː⸣ kḁkuŋ] (筆で字を書く)。 ⸣ティーシ ク⸢リ⸣ カ⸢サミ [⸣tiːʃi ku⸢ri⸣ kḁ⸢sami] (手でこれを掴め)。 イ⸢ガジー⸣シ イ⸢ガ ホー⸣スン [ʔi⸢gaʤiː⸣ʃi ʔi⸢ga hoː⸣suŋ] (餌木でアオリイカ<烏賊>を釣る)。 7234 0 3 6893 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Mn_3}数を表す語について、用言の表す動作を行う人数や数を表す。 フ⸢タール⸣シ ⸣ムトゥン [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸣mutuŋ] (二人で持つ)。 7234 0 4 6894 htmvoc_7234.wav シ ⸣-シ [⸣-ʃi] 格助 {Mn_4}原因、理由を表す。~のために、~の故に。 ウ⸢ブアミ⸣シ キ⸢ララン⸣シェン [ʔu⸢buami⸣ʃi ki⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (大雨で来れなかった)。[接続関係] 7238 0 1 6895 htmvoc_7238.wav シー ⸣シー [⸣ʃiː] 名 {Mn_1}巣。 ⸣パトゥザヌ ⸣シー [⸣patuʣanu ⸣ʃiː] (鳩の巣)。 トゥ⸢ルヌ⸣ シー [tu⸢runu⸣ ʃiː] (鶏の巣)。 ⸣パトゥザヌ ⸣シー [⸣pḁtudʣanu ⸣ʃiː] (土鳩の巣)。 トゥ⸢ルヌ⸣ シーナ ⸢コー⸣マ ⸣ナシ ⸣シケーン [tu⸢runu⸣ ʃiːna ⸢koː⸣ma ⸣naʃi ⸣ʃi̥keːŋ] (鶏が巣に卵を産んである)。 パ⸢ジンヌ⸣ シー [pa⸢ʤinnu⸣ ʃiː] (蜂の巣)。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸣シー [ka⸢mai⸣nu ⸣ʃiː] (猪の巣)。 ッ⸢サール⸣ヌ ⸣シー ⸢ミシゥ⸣クカー フ⸢チ⸣ル ⸣マキ シ⸢キ⸣リ [s⸢saːru⸣nu ⸣ʃiː ⸢misu̥⸣kukaː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣maki ʃi̥⸢ki⸣ri] (白蟻の巣を見付けたら駆除薬<薬>を撒いておけ)。 7238 0 2 6896 htmvoc_7238.wav シー ⸣シー [⸣ʃiː] 名 {Mn_2}鞘。 ヤ⸢マンガラ⸣シェー ⸣シーナ ⸣ッシティル ム⸢トーッ⸣タ⸢ダー [ja⸢maŋgara⸣ʃeː ⸣ʃiːna ⸣ʃʃitiru mu⸢toːt⸣ta⸢daː] (山刀は鞘に差して持参され<持たれ>たよ)。 7238 0 3 6897 htmvoc_7238.wav シー ⸣シー [⸣ʃiː] 名 {Mn_3}収納箱。 ⸢シームヌバンヌ⸣ シー [⸢ʃiːmunubannu⸣ ʃiː] (吸い物椀の箱) 7239 0 0 6898 htmvoc_7239.wav シー ⸢シー [⸢ʃiː] 名 血。血液。 ⸢シー⸣ パルン [⸢ʃiː⸣ paruŋ] (血が出る<流れる>)。 ⸢シーヌ サッ⸣コー タ⸢カー⸣ティ ⸢ブー⸣ブ トゥ⸢ラシ⸣タ [⸢ʃiːnu sak⸣koː tḁ⸢kaː⸣ti ⸢buː⸣buː tu⸢raʃi⸣ta] (血圧<血>が非常に高い<多い>ので、瀉血させた<血液を取らせた>)。 ⸢シーヤ⸣ マ⸢ザーリ⸣ ブー [⸢ʃiːja⸣ ma⸢ʣaːri⸣ buː] (混血している<血は混じっている>)。 ⸢オー⸣ヌ ⸢シーバ⸣ トゥリティ キ⸢ム⸣トゥ カ⸢ケー⸣シティ イ⸢ラキ⸣ムヌ ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʃiːba⸣ turiti ki⸢mu⸣tu kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ʔi⸢raki⸣munu ⸢soːt⸣ta] (豚の血を採って肝臓と混ぜて炒めものにされた) 7240 0 0 6899 htmvoc_7240.wav シー ⸢シー [⸢ʃiː] 名 精霊。もののけ。「精」の義。 ⸢キー⸣ヌ ⸢シー [⸢kiː⸣nu ⸢ʃiː] (木の精)。ガジマルの古木、大木には精霊が宿っているといわれている。昼でも、ガジマルや福木の大木の下で昼寝をすると、木の精に襲われて、全身が金縛りの状態になることがある。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナ ニ⸢ブ⸣カー ⸢キー⸣ヌ ⸢シーン⸣ ウ⸢ソーリン⸣ダー [ga⸢ʤimaru⸣nu s⸢saːn⸣na ni⸢bu⸣kaː ⸢kiː⸣nu ⸢ʃiːŋ⸣ ʔu⸢soːrin⸣daː] (ガジマル<榕樹>の下で寝ると木の精に襲われるよ) 7241 0 1 6900 htmvoc_7241.wav シー ⸣シー [⸣ʃiː] 名 {Mn_1}乳房。「緑児の~乳飲哉君之<チノメヤキミガ>~。万、2925」の「乳<チ>」の転訛したもの。 ウ⸢ブ⸣シー [ʔu⸢bu⸣ʃiː] (大きな乳)。 シー⸢ヤー⸣マ [ʃiː⸢jaː⸣ma] (小さな乳)。ジッ⸢チェー⸣マ[ʤit⸢ʧeː⸣ma](子供の小さな乳房{EOS}発育不全の乳房)などがある。 7241 0 2 6901 htmvoc_7241.wav シー ⸣シー [⸣ʃiː] 名 {Mn_2}乳。乳汁。 ⸣シー ⸢アイルン [⸣ʃiː ⸢ʔairuŋ] (乳が出る)。 ⸢シー⸣ヌ ⸢アイラヌ [⸢ʃiː⸣nu ⸢ʔairanu] (乳が出ない)。 ⸢シーッふァイッふァ⸣ヌ ⸢ブンダー⸣ マー⸢ン ウーカラ⸣ヌ [⸢ʃiːffaiffa⸣nu ⸢bunda⸣ maː⸢ŋ ʔuːkara⸣nu] (乳飲み子がいるので何処にも動け<行け>ない)。 ⸢シー⸣バ ⸣クイ ヌ⸢マ⸣シェーティル フ⸢ドゥバシェー⸣ダー [⸢ʃiː⸣ba ⸣kui nu⸢ma⸣ʃeːtiru ɸu⸢dubaʃeː⸣daː] (乳を貰って飲ませて育てたのだよ)。 ⸣シーン ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣ʃiːŋ f⸢faːʃi⸣ba] (乳も飲ませ<食べさせよ>)。 ⸣シー フ⸢クマ⸣スン [⸣ʃiː ɸu̥⸢kuma⸣suŋ] (乳を与える<乳首を口にくくませる>) 7242 0 0 6902 htmvoc_7242.wav シー ⸢シー [⸢ʃiː] 名 釣り針。「其の故の鉤<ち>を責<はた>る『日本書紀 神代下』」の転訛したもの。 ⸣アミツァバ ⸢ムン⸣ダニ シ⸢ティ シー⸣ナ ⸣カキティ ム⸢チイズ ホー⸣スン [⸣ʔamiʦaba ⸢mun⸣dani ʃi̥⸢ti ʃiː⸣na ⸣kakiti mu⸢ʧiʔiʣu hoː⸣suŋ] (ヤドカリを餌にして釣り針にかけてノコギリダイを釣る) 7301 0 0 6903 htmvoc_7301.wav シー ⸢シー [⸢ʃiː] 名 尿。小便。おしっこ(幼児語)。シ⸢バ⸣ル。 ⸣クナーティ ⸣シー ⸢シー⸣バ [⸣kunaːti ⸣ʃiː ⸢ʃiː⸣ba] (此処でおしっこしなさいよ) 7305 0 0 6904 htmvoc_7305.wav シー ⸢シー [⸢ʃiː] 名 四。ガ行音の助数詞の前では長音脱落し、撥音化する。 ⸢シン⸣ゴー [⸢ʃiŋ⸣goː] (四合)。 ⸢シンマイ⸣ナビ [⸢ʃimmai⸣nabi] (四枚鍋{EOS}大鍋) 7244 0 0 6905 htmvoc_7244.wav ジー ⸢ジー [⸢ʤiː] 名 文字。漢字。仮名。 ⸢ジー⸣ カクン [⸢ʤiː⸣ kḁkuŋ] (字を書く)。 ⸢ジー⸣ トゥ⸢ミ⸣ スクン [⸢ʤiː⸣ tu⸢mi⸣ su̥kuŋ] (文字を書き留めておく)。 ⸢ジー⸣ ユムン [⸢ʤiː⸣ jumuŋ] (文字を読む)。 ⸢ジー⸣ ナラウン [⸢ʤiː⸣ narauŋ] (字を習う)。 ⸢ジー⸣ ナ⸢ラー⸣スン [⸢ʤiː⸣ na⸢raː⸣suŋ] (字を教える) 7245 0 0 6906 htmvoc_7245.wav ジー ⸣ジー [⸣ʤiː] 名 地面。土地。田畑。 ク⸢マ⸣ヌ ⸢ジー⸣ヤ フ⸢キ⸣ジー ヤ⸢ルンダ ウン⸣マー イッ⸢ケン ミールン [ku⸢ma⸣nu ⸢ʤiː⸣ja ɸu̥⸢ki⸣ʤiː ja⸢runda ʔum⸣maː ʔik⸢kem miːruŋ] (ここの土地は肥沃な土地だから、芋は非常に良く実る)。 ⸢ジー⸣ヤ ⸣パギティ ノー⸢ン ムイラ⸣ヌ [⸢ʤiː⸣ja ⸣pagiti noː⸢m muira⸣nu] (土地が痩せて何も生えない)。 パ⸢ギ⸣ジー [pa⸢gi⸣ʤiː] (痩せ地)。 ク⸢ヌ ジー⸣ヤ ⸢タッ⸣テヌ ⸣ジーヤ [ku⸢nu ʤiː⸣ja ⸢tat⸣tenu ⸣jiːja] (この土地は何処の家の土地<田畑>か) 7246 0 1 6907 htmvoc_7246.wav ジー ⸣ジー [⸣ʤiː] 名 {Mn_1}ずい(髄)。 カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢カブニ⸣ヌ ⸣ジーナーン ⸣ダシェー ⸣アン [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢kabuni⸣nu ⸣ʤiːnaːn ⸣daʃeː ⸣ʔaŋ] (カツオの中骨の髄にも出汁がある)。 ウ⸢リトゥ⸣ トゥ⸢レー⸣スカー プ⸢ニ⸣ヌ ジー⸢バー⸣キ ヌ⸢ガ⸣リン⸢ダー [ʔu⸢ritu⸣ tu⸢reː⸣sukaː pu⸢ni⸣nu ʤiː⸢baː⸣ki nu⸢ga⸣rin⸢daː] (彼<それ>と付き合って遊ぶ<連れ立って遊ぶ>と骨の髄まで搾り取られる<抜かれる>ぞ)。 7246 0 2 6908 htmvoc_7246.wav ジー ⸣ジー [⸣ʤiː] 名 {Mn_2}植物の芯。 バ⸢サ⸣ヌ ⸢ジー⸣ヤ シゥ⸢カーラヌ [ba⸢sa⸣nu ⸢ʤiː⸣ja si̥⸢kaːranu] (芭蕉の芯は使えない) 7398 0 0 6909 htmvoc_7398.wav ジー ⸢ジー [⸢ʤiː] 名 痔。肛門の病気で、痛み、出血がある『医学沖縄語辞典』。 ⸢ジーヌ⸣ ヤミティル ビ⸢リン⸣ シ⸢ララヌ [⸢ʤiːnu⸣ jamitiru bi⸢riŋ⸣ ʃi⸢raranu] (痔が痛くて座りも出来ない)。 ⸢ジーヌ⸣ アルユンダ ナ⸢ガビリ シーユーサヌ [⸢ʤiːnu⸣ ʔarujunda na⸢gabireː ʃiːjuːsanu] (痔があるので長く座ることは出来ない) 7247 0 0 6910 htmvoc_7247.wav シーアースン ⸣シー ⸢アースン [⸣ʃiː ⸢ʔaːsuŋ] 連 乳を搾り出す。搾乳する。 ⸣シー ⸢アースンティ ベーン⸣ドゥ ⸢アイランバン シー⸣ヌ ⸢アイル ッふァイムノー ナーン⸣カヤー [⸣ʃiː ⸢ʔaːsunti beːn⸣du ⸢ʔairambaŋ ʃiː⸣nu ⸢ʔairu faimunoː naːŋ⸣kajaː] (乳を出そうとしているが、出ないよ{EOS}乳のよく出る食べ物はないかなあ)。 ⸣シー ⸢アーシティ⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ミー⸣ヌ ⸣ッス ⸢ヤーラカシ⸣ トゥリバ [⸣ʃiː ⸢ʔaːʃiti⸣ ja⸢rabi⸣nu ⸢miː⸣nu ⸣ssu ⸢jaːrakaʃi⸣ turiba] (母乳を搾って子供の目やにを柔らかくして除去し<取り>なさい) 7249 0 0 6911 htmvoc_7249.wav シーアイルン ⸣シー ⸢アイルン [⸣ʃiː ⸢ʔairuŋ] 連 乳が出る。 ⸣シー ⸢アイルン [⸣ʃiː ⸢ʔairuŋ] (乳は出るか)。 ⸢シー⸣ヤ イッ⸢ケナ アイルン⸣ダー [⸢ʃiː⸣ja ʔik⸢kena ʔairun⸣daː] (乳はよく出るよ)。 ⸣シー ⸢アイラヌ [⸣ʃiː ⸢ʔairanu] (乳が出ない) 7250 0 0 6912 htmvoc_7250.wav シーアウン ⸣シー ⸢アウン [⸣ʃiː ⸢ʔauŋ] 連 乳が出る。乳汁が滴り落ちる。「乳零ゆ」の義。「~香ぐはしみ 置きて枯らしみ 安由流実波 玉に貫きつつ『万葉集 4111』」の転訛したものか。 ⸣シー ⸢アーヌ [⸣ʃiː ⸢ʔaːnu] (乳が出ない)。 ⸢シー⸣ヤ ⸢アイティ⸣ キン ⸢ゾーラシナー⸣ヌ [⸢ʃiː⸣ja ⸢ʔaiti⸣ kin ⸢ʣoːraʃinaː⸣nu] (乳が出て着物を濡らしてしまった)。 ⸢シー⸣ヌ ⸢アウ⸣ ピンマー ⸢イッ⸣パイ ヌ⸢マ⸣シバ [⸢ʃiː⸣nu ⸢ʔau⸣ pimmaː ⸢ʔip⸣pai nu⸢ma⸣ʃi] (乳が出る時は沢山飲ませ) 7252 0 0 6913 htmvoc_7252.wav シーアカリ ⸢シーアカ⸣リ [⸢ʃiːʔaka⸣ri] 名 乳離れ。離乳。牛や豚、山羊などの家畜の離乳にいう。特に子豚が離乳したものには、ア⸢カラー⸣オー[ʔa⸢karaː⸣ʔoː](離乳した子豚)といって売買された。一般家庭ではこのア⸢カラー⸣オーを購入して肥育し、石垣島へ輸出した。 ⸢オー⸣ヌッふァヌ ⸢シーアカ⸣リ ⸢シェー⸣ムーバ ⸢カイ⸣キー フ⸢ドゥバシティ カースタ [⸢ʔoː⸣nuffanu ⸢ʃiːʔaka⸣ri ⸢ʃeː⸣muːba ⸢kai⸣kiː ɸu⸢dubaʃi̥ti kaːsuta] (豚の子の離乳したのを買ってきて肥育して<成長させて>売った) 7033 0 0 6914 htmvoc_7033.wav ジーアバ ⸢ジー⸣アバ [⸢ʤiː⸣ʔaba] 名 動物の脳みそ。カツオの頭の脳みそ。 カ⸢ツシンジブンマー⸣ カ⸢ツンスブル⸣ヌ ⸢ジー⸣アバン ⸢ミン⸣タマン フ⸢ジ⸣リ ッ⸢ふータン [ka⸢ʦuʃinʤibummaː⸣ ka⸢ʦunsuburu⸣nu ⸢ʤiː⸣ʔabam ⸢min⸣tamaɲ ɸu⸢ʤi⸣ri f⸢fuːtaŋ] (カツオの漁期にはカツオの頭の脳みそも目の玉もほじくって<穿って>食べたよ) 7402 0 0 6915 htmvoc_7402.wav ジーイキ ⸢ジー⸣イキ [⸢ʤiː⸣ʔiki] 名 ちりょく(地力)。土地の生産力。「地息」の義か。 ⸣クマー ⸢ジーイキ⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダー ⸢コイ⸣ヤー イ⸢ラン⸣タンティン ス⸢クリ⸣ムノー イッ⸢ケン ムイ⸣ルン [⸣kumaː ⸢ʤiːiki⸣nu ⸢suː⸣wandaː ⸢koi⸣jaː ʔi⸢ran⸣tantin su̥⸢kuri⸣munoː ʔik⸢kem mui⸣ruŋ] (ここは地力が強いので肥やしを入れなくても作物は非常によく生える<萌える>) 7258 0 0 6916 htmvoc_7258.wav シーイラキムヌ ⸢シーイラキ⸣ムヌ [⸢ʃiːʔiraki⸣munu] 名 豚の血を肝臓や肉、韮などの野菜と一緒に炒めた料理。「血炒り物」の義。 ⸢オー⸣ヌ ⸢シーバ⸣ キ⸢ム⸣トゥ ⸣ビラ マ⸢ザー⸣シティ ⸢シーイラキ⸣ムヌ ス⸢ク⸣ルカー ン⸢マーン⸣ダー [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʃiːba⸣ ki⸢mu⸣tu ⸣bira ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ⸢ʃiːʔiraki⸣munu su̥⸢ku⸣rukaː ʔm⸢maːn⸣daː] (豚の血を肝と韮に混ぜて血炒めもの<血炒り>に作ると美味しいよ) 7403 0 0 6917 htmvoc_7403.wav シーイルン ⸣シー イ⸢ルン [⸣ʃiː ʔi⸢ruŋ] 連 すが立つ。大根や牛蒡などにすが立つ。「すが入る」の義。 ク⸢ヌ ダイ⸣クネー ⸣シー イ⸢リティ コー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢nu dai⸣kuneː ⸣ʃiː ʔi⸢riti koː⸣nu f⸢faːranu] (この大根はすが立って、硬くて食べられない) 7356 0 0 6918 htmvoc_7356.wav シーウクスン ⸢シー⸣ ウ⸢ク⸣スン [⸢ʃiː⸣ ʔu⸢ku⸣suŋ] 連 猪防除の石垣を造る<起こす。再建する>。 ク⸢トゥシン⸣ カ⸢マイ⸣ヌ ⸢ガイヌ スーワ⸣ヌ ⸢シー⸣ ウ⸢クサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃiŋ⸣ ka⸢mai⸣nu ⸢gainu suːwa⸣nu ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢kusaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (今年も猪の害が甚大な<強い>ので猪害防除の石垣を造らないとならない) 7404 0 0 6919 htmvoc_7404.wav ジーウタ ⸢ジー⸣ウタ [⸢ʤiː⸣ʔuta] 名 地謡。舞踊をする人のために三味線(三線)を演奏し、謡うこと。 ⸢プールゾーラキ⸣トゥ キ⸢チゴンヌ ジー⸣ウター ⸢タール ソール⸣ワ [⸢puːruʣoːraki⸣tu ki̥⸢ʧigonnu ʤiː⸣ʔutaː ⸢taːru soːru⸣wa] (豊年祭の競演舞踊と結願祭の奉納舞踊の地謡は誰が演奏される<なさる>のか) 7259 0 0 6920 htmvoc_7259.wav シーウヤ ⸢シー⸣ウヤ [⸢ʃiː⸣ʔuja] 名 「乳親」の義。母親が死んだり、母乳が出なかったりする場合、母親に代わって授乳する人。 ブ⸢ネーヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢マーラソーッタ⸣ル ⸢シーウヤ⸣バ タ⸢ナ⸣ミ ヤッ⸢トゥ⸣シ ウ⸢ヌ ッふァー⸣ ヌチ ⸢モー⸣シェー⸢ダー [bu⸢neːnu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢maːrasoːtta⸣ru ⸢ʃiːʔuja⸣ba ta⸢na⸣mi jat⸢tu⸣ʃi ʔu⸢nu ffaː⸣ nuʧi ⸢moː⸣ʃeː⸢daː] (母親が亡くなったので乳親を頼んで、やっとのことで、その子の命をすくった<命を萌えさせた>のだよ) 7260 0 0 6921 htmvoc_7260.wav シーカイシ ⸢シーカイシ [⸢ʃiːkaiʃi] 名 仕返し。復讐。仇討ち。 ヨー⸢ヨー⸣ プ⸢スン シーカイシ スンティ スー⸣ キモー ⸣ムテー ナ⸢ラン⸣ダー [joː⸢joː⸣ pu̥⸢suŋ ʃiːkaiʃi sunti suː⸣ kimu ⸣muteː na⸢ran⸣daː] (よく注意しなさいよ{EOS}他人に仕返し<復讐>するという心<気持ち>を持ってはならないよ) 7408 0 0 6922 htmvoc_7408.wav ジーカキゾージ ⸢ジーカキゾー⸣ジ [⸢ʤiːkakiʣoːʤi] 名 字書き上手。能書家。 ⸣バーラン カ⸢リル ジーカキゾー⸣ジ ヤ⸢リバ⸣ カ⸢リン⸣ タ⸢ナ⸣ミ カ⸢カ⸣シバ [⸣baːraŋ ka⸢riru ʤiːkakiʣoː⸣ʤi ja⸢riba⸣ ka⸢rin⸣ ta⸢na⸣mi ka⸢ka⸣ʃiba] (私よりも彼が字書き上手<能書家>だから、彼に頼んで書いて貰いなさい<書かせなさい>よ) 7306 0 0 6923 htmvoc_7306.wav ジーカキプス ⸢ジーカキ⸣プス [⸢ʤiːkaki⸣pu̥su] 名 字を書く人。字の上手な人。書家。 ⸢ジーカキ⸣プス ⸢サーリ⸣ キー ⸢テンカン シフク シビランガーヌ ジー⸣ カ⸢カ⸣シバ [⸢ʤiːkaki⸣pu̥su ⸢saːri⸣ kiː ⸢teŋkaŋ ʃi⸣ɸu̥ku ʃi⸢bi raŋgaːnu ʤiː⸣ kḁ⸢ka⸣ʃiba] (字の上手な人を連れて来て、天官賜福紫微鸞駕の文字を書かせなさいよ)。 ⸣バー ユ⸢ミ⸣プス サ⸢バ ワー ジーカキ⸣プス ⸢シー⸣バ [⸣baː ju⸢mi⸣pu̥su sa⸢ba waː ʤiːkaki⸣pu̥su ⸢ʃiː⸣ba] (私は読み役<読み人>をするから君は字書き役<字書き人>をせよ) 7261 0 0 6924 htmvoc_7261.wav シーカザ ⸢シー⸣カザ [⸢ʃiː⸣kaʣa] 名 乳の臭い。乳臭さ。 ッ⸢ふァナシプス⸣ヌ ⸢キンマー⸣ ユー ⸢シー⸣カザ ⸢スン⸣ダー [f⸢fanaʃipusu⸣nu ⸢kim⸣maː ⸣juː ⸢ʃiː⸣kaʣa ⸢sun⸣daː] (産婦の着物は非常に乳の臭いがするよ) 7307 0 0 6925 htmvoc_7307.wav シーカタ ⸢シーカタ [⸢ʃiːkata] 名 仕方。方法。⸢シー⸣ヨー[⸢ʃiː⸣joː](仕方{EOS}方法)ともいう。 ク⸢レー ヌー⸣シ ⸢スー⸣ユー ⸢シーカタ⸣ ナ⸢ラー⸣シ ッ⸢ふィーラン⸣ノーレー [ku⸢reː nuː⸣ʃi ⸢suː⸣juː ⸢ʃiːkata⸣ na⸢raː⸣ʃi f⸢fiːran⸣noːreː] (これはどのようにするのか、仕方を教えてくれないか) 7262 0 0 6926 htmvoc_7262.wav シーカラーン ⸢シーカラー⸣ン [⸢ʃiːkaraː⸣ŋ] 形 「乳軽し」の義。乳の出が少ない。鳩間島では、産婦の乳の出を良くするために、⸢マンズイ⸣ヌナル[⸢manʣui⸣nu ⸣naru](パパイヤの実)を食べさせた。 ッ⸢ふァナシプス⸣ヌ ⸢シーカラー⸣カー ⸢マンズイ⸣ヌ ⸣ナル ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [f⸢fanaʃipusu⸣nu ⸢ʃiːkaraː⸣kaː ⸢manʣui⸣nu ⸣naru f⸢faːsoːt⸣ta] (産婦の乳の出が少ないとパパイヤの実を食べさせられた)。 ⸢シーカラ⸣ー ⸢ナー⸣ンドゥ ⸢シーカラー⸣ンティ ア⸢ジアー⸣ク [⸢ʃiːkara⸣ː ⸢naː⸣ndu ⸢ʃiːkaraː⸣nti ʔa⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (乳の出が悪く<乳軽く>はないが、乳の出が悪い<乳軽い>といっている)。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マリティ シーカラー⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢mariti ʃiːkaraː⸣ nari⸢naː⸣nu] (風邪をひいて乳の出が悪く<乳軽く>なってしまった)。 ⸢シーカラー⸣ プ⸢ス [⸢ʃiːkaraː⸣ pu̥⸢su] (乳の出の悪い人) 7308 0 0 6927 htmvoc_7308.wav シーカンティー ⸢シーカンティー [⸢ʃiːkantiː] 連 し兼ねる。「為兼ねて」の義。なかなか~しにくい。なかなか~むずかしい。 ⸢タンガ⸣シ ⸢シーカンティー シー ベー⸣バ ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィーリ⸣バ [⸢taŋga⸣ʃi ⸢ʃiːkantiː ʃiː beː⸣ba ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːri⸣ba] (一人で<仕事を>し兼ねているから、手伝ってやりなさいよ) 7263 0 0 6928 htmvoc_7263.wav シーキサ ⸢シー⸣キサ [⸢ʃiː⸣ki̥sa] 名 帆柱の楔の一種。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟<サバニ>)の帆柱を立てるウ⸢シカキ[ʔu⸢ʃikaki](船首の梁)の穴に差し込んで帆柱の角度を調整する楔形の船具。穴の⸢オーラ[⸢ʔoːra](風上の側)には薄い⸢シー⸣キサを差し、ッ⸢ソーマ[s⸢soːma](風下の側)には厚くて大きな⸢シー⸣キサを差し込む。強風の際は、風下側にシー⸣キサを二枚重ねて差し込み、帆柱の角度を風上側に傾けて風力を減殺する。また、帆柱の前方にも二枚の⸢シー⸣キサを重ねて帆柱を艫側にも傾け、風力をさらに減殺することもある。これによって⸢プームティシゥカ⸣ラ[⸢puːmutisï̥ka⸣ra](風力{EOS}風圧{EOS}帆にかかる力)を⸢ピーヌール[piːnuːru](⸢舳乗り」の義か{EOS}ミ⸢ナー{SqBr}mi⸢naː{/SqBr}<帆を吊るし揚げる縄{EOS}「水縄」の義か>を手に巻いて風上の方へ身を乗り出し、帆柱を引っぱってサバニの安定を図る乗員)一人分の風圧の調整ができるという。 ⸢シー⸣キサ カ⸢サブ⸣カー ⸢ピーヌール タンガ⸣ヌ シゥ⸢カラー⸣ ン⸢ジ⸣ルン [⸢ʃiː⸣ki̥sa kḁ⸢sabu⸣kaː ⸢piːnuːru taŋga⸣nu ssï̥⸢karaː⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (シーキサ<帆柱の楔>を重ねて差し込むすと舳乗り一人分の力が出る)。 カ⸢ジヌ スー⸣ワバ ⸢シー⸣キサー マン⸢タ⸣ナー ⸣ッシティ パ⸢ラー⸣ヤ ン⸢メーマ トー⸣シ [ka⸢ʤinu suː⸣waba ⸢ʃiː⸣kisaː man⸢ta⸣naː ⸣ʃʃiti pa⸢raː⸣ja ʔm⸢meːma toː⸣ʃi] (風が強いので楔を前に差し込んで帆柱を少し後方に倒せ)。強風の時は柱を約80度ぐらいに倒して立て、風圧を調整した 7253 0 0 6929 htmvoc_7253.wav シーキスン ⸢シーキスン [⸢ʃiːkisuŋ] 他動 し遂げる。成し遂げる。終了する。完了する。「為切る」の転訛したもの。 シ⸢グトー⸣ キューズーナ ⸢シーキスンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ シーキサヌ [ʃi⸢gutoː⸣ kjuːʣuːna ⸢ʃiːkisun⸣ti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da ʃiːkisanu] (仕事は今日中に終了する<為切る>と思ったが、まだ終了しない)。 シ⸢グトー⸣ キューズーナ ⸢シーキスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢シーキサン⸣カー ⸢ヌー⸣スカヤーメ [ʃi⸢gutoː⸣ kjuːʣuːna ⸢ʃiːkisunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʃiːkisaŋ⸣kaː ⸢nuː⸣sukajaːme] (仕事は今日中にやり遂げると思うが、やり遂げないとどうしようかねえ) 7455 0 0 6930 htmvoc_7455.wav シーキスン ⸢シー キスン [⸢ʃiː kisuŋ] 連 全うする。し遂げる。成し遂げる。「し切る」の義。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ キューズーナ ⸢シーキスン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ kjuːʣuːna ⸢ʃiːkisuŋ] (この仕事は今日中に成し遂げる) 7264 0 0 6931 htmvoc_7264.wav シーキチ ⸢シー⸣キチ [⸢ʃiː⸣ki̥ʧi] 名 まんなおし(間直し)。げん直し。「清潔」の転訛したものか。不漁の際、豊漁を祈願する行事。カツオ漁船の不漁が続くと、漁船を浜辺に寄せ、干潮時に船底に付着した海苔や小さな牡蠣などを、茅を燃やして焼き落とし、船を洗って船霊様に豊漁を祈願して酒宴を開いた。 ⸢マン⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカー ⸢シーキチ⸣バ ⸢シー マンノー⸣シ ⸢サン⸣ノーレー [⸢man⸣nu ⸢was⸣sakaː ⸢ʃiːki̥ʧi⸣ba ⸢ʃiː mannoː⸣ʃi ⸢san⸣noːreː] (げんが悪ければシーキチ<清潔>をして祈願し、間直しをしないか) 7310 0 0 6932 htmvoc_7310.wav シーグ ⸢シー⸣グ [⸢ʃiː⸣gu] 名 小刀。削りそぐ小刀。沖縄古語「みすへご」『混効験集』とある。「鉏<さひ>(鋭利な剣)・具」の転訛したものか。「太刀ならば呉(くれ)の真鉏」⸢日本書紀歌謡103」の転訛したものか。カ⸢タパーシー⸣グ[kḁ⸢tapaːʃiː⸣gu](片刃小刀{EOS}片刃)ともいう。 カ⸢ツピギシー⸣グシ カ⸢ツブシ⸣ ピグン [kḁ⸢ʦupigiʃiː⸣guʃi kḁ⸢ʦubuʃi⸣ piguŋ] (鰹削り小刀で鰹節を削る)。 ⸢シー⸣グシル ⸢ミーカンガン⸣マー ス⸢ク⸣ル [⸢ʃiː⸣guʃiru ⸢miːkaŋgam⸣maː su̥⸢ku⸣ru] (小刀で<ぞ>水中眼鏡は作る) 7269 0 0 6933 htmvoc_7269.wav シークーン ⸣シー ⸣クーン [⸣ʃiː ⸣kuːŋ] 連 貰い乳をする<乳を乞う>。「~緑児の知許布我其登久『万葉集 4122』」の義。 ク⸢ヌッふァヌ⸣ ⸣シー ⸣クーイ ッ⸢ふァースンティル マーリアー⸣ク⸢ダー [ku⸢nu ffanu⸣ ʃiː ⸣kui f⸢faːsuntiru maːriʔaː⸣ku⸢daː] (この子のために貰い乳をして食べさせようと回り歩いているんだよ) 7266 0 0 6934 htmvoc_7266.wav シークイ ⸢シー⸣クイ [⸢ʃiː⸣kui] 名 もらいぢ(貰い乳)。「乳乞い」の義。他人の乳を貰って乳児を育てること。 ブ⸢ネーヌ⸣ ヤミティ ⸢シー⸣ヌ ⸢アイラン ナッタ⸣ル ブ⸢トー シー⸣クイ ⸢シー アー⸣ク [bu⸢neːnu⸣ jamiti ⸢ʃiː⸣nu ⸢ʔairan natta⸣ru bu⸢toː ʃiː⸣kui ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (母親が病気して乳が出なくなったので夫は貰い乳をしている) 7267 0 0 6935 htmvoc_7267.wav シークサ ⸢シー⸣クサ [⸢ʃiː⸣kusa] 名 フィラリア症。フイラリアの感染によって女性の乳房が腫れ、悪寒発熱、頭痛が続く疾病。 ⸢シー⸣ネヌ ユ⸢メー シークサ⸣ヌ ウ⸢ク⸣リ ニ⸢チ⸣ ンジ ニ⸢ビベー [⸢ʃiː⸣nenu ju⸢meː ʃiːkusa⸣nu ʔu⸢ku⸣ri ni⸢ʧi⸣ ʔnʤi ni⸢bibeː] (後ろ隣の家の嫁は乳フィラリアがおこって熱が出て寝ている) 7268 0 1 6936 htmvoc_7268.wav ジークサイ ⸢ジー⸣クサイ [⸢ʤiː⸣kusai] 名 {Mn_1}整地。整地して種蒔きする準備をすること。地こしらえ(地拵え)。 パ⸢タ⸣ケー ⸢ジー⸣クサイ シ⸢ティ⸣ マミ ⸣マキバ [pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʤiː⸣ku̥sai ʃi̥⸢ti⸣ mami ⸣makiba] (畑は整地をして豆を播きなさいよ)。 7268 0 2 6937 htmvoc_7268.wav ジークサイ ⸢ジー⸣クサイ [⸢ʤiː⸣kusai] 名 {Mn_2}地面をならし固めること。⸣ヤッシェー[⸣jaʃʃeː](かけや<掛矢>{EOS}地搗き)で地固めをすること。 ⸢ヤシ⸣ケー ⸢ジー⸣クサイ シ⸢ティ⸣ イ⸢シジ⸣ ビ⸢ソーッ⸣タ [⸢jaʃi̥⸣keː ⸢ʤiː⸣kusai ʃi̥⸢ti⸣ ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢soːt⸣ta] (屋敷は地均しをし、地搗きをしてイシジ<礎石>を据付けられた)。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢ジー⸣クサイ ⸢シーティ⸣ マミ ⸣マクンティ ⸢ベー⸣ダー [pa⸢taki⸣nu ⸢ʤiː⸣kusai ⸢ʃiːti⸣ mami ⸣makunti ⸢beː⸣daː] (畑の整地をして豆を蒔こうとしているところだよ) 7413 0 0 6938 htmvoc_7413.wav ジークシライ ⸢ジークシ⸣ライ [⸢ʤiːkuʃi⸣rai] 名 土ならし。畑の整地。畑などの地均し。「地拵え」の義。⸢ジー⸣クサイ[⸢ʤiː⸣kusai](土均し{EOS}整地)ともいう。 ⸢ジークシ⸣ライ ⸢シーティル⸣ タネー ⸣マク [⸢ʤiːkuʃi⸣rai ⸢ʃiːtiru⸣ taneː ⸣maku] (畑の整地をしてから種子は蒔くのだ) 7311 0 0 6939 htmvoc_7311.wav シーグリサン ⸢シーグリ⸣サン [⸢ʃiːguri⸣saŋ] 連 しにくい(為難い)。しづらい。やりにくい。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー シーグリ⸣サンダ ⸢タンガ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː ʃiːguri⸣sanda ⸢taŋga⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (この仕事はしづらいから一人では出来ない)。 ⸢シーグリサ ナー⸣ヌ [⸢ʃiːgurisa naː⸣nu] (しづらくない)。 ⸢シンダイ シーグリ⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai ʃiːguri⸣sa ⸣naruŋ] (次第にしづらくなる)。 ⸢シーグリ⸣サ ⸣ムノー ⸢サンブリ⸣バ [⸢ʃiːguri⸣sa ⸣munoː ⸢samburi⸣ba] (し難いものはするなよ<せずにおれよ>) 7312 0 0 6940 htmvoc_7312.wav シークヮーサー ⸢シークヮー⸣サー [⸢ʃiːkwaː⸣saː] 名 (植)蜜柑の一種。ヒラミレモン。酸味が強く、刺身に振りかけて食すると美味である。沖縄方言からの借用語か。鳩間島では、単にフ⸢ナ⸣ブ[ɸu⸢na⸣bu](九年母)ということが多い。 イ⸢ズナマシ⸣ナー ⸢シークヮー⸣サー ⸣キシ ⸣カキティ ⸢ミー⸣ス カ⸢ケー⸣シティ ッ⸢ふァイ⸣バ [ʔi⸢ʣunamaʃi⸣naː ⸢ʃiːkwaː⸣saː ⸣ki̥ʃi ⸣kḁkiti ⸢miː⸣su ka⸢keː⸣ʃi̥ti f⸢fai⸣ba] (魚刺身<\ruby{膾}{ナマス}>にヒラミレモンを切って振りかけて、味噌と掻き混ぜて食べなさいよ) 7313 0 0 6941 htmvoc_7313.wav シーゴーダー ⸢シーゴー⸣ダー [⸢ʃiːgoː⸣daː] 名 血だらけ。血まみれ。血液がべったりと付くさま。 ク⸢ルビティ⸣ イ⸢シ⸣ナー ⸣シラ バ⸢リティ シーゴー⸣ダー ⸢シーベー [ku⸢rubiti⸣ ʔi⸢ʃi⸣naː ⸣ʃira ba⸢riti ʃiːgoː⸣daː ⸢ʃiːbeː] (転んで、石に顔を打って<面割って{EOS}怪我して>血まみれになっている) 7270 0 0 6942 htmvoc_7270.wav ジーサンシキル ⸢ジー⸣サンシキル [⸢ʤiː⸣saŋʃi̥kiru] 名 (動)ナマコ(海鼠)の一種。鳩間島の後ろの干瀬の頂上部に多く棲息している。体長約15センチの小さなナマコ。これを足で踏みつけて汁を出し、潮溜まりに入れると魚が仮死状態になって浮いてくるので、簡単に漁獲することが出来た。 ⸢ジー⸣サンシキルヌ ⸣シロー イ⸢ズベーシフチ⸣ル ⸢ヤッタ [⸢ʤiː⸣saŋʃi̥kirunu ⸣ʃiroː ʔi⸢ʣubeːʃiɸu̥ʧi⸣ru ⸢jatta] (ジーサン海鼠の汁は魚を酔わせる薬だった) 7316 0 0 6943 htmvoc_7316.wav シーシ ⸢シー⸣シ [⸢ʃiː⸣ʃi] 名 すす(煤)。煙が塵や埃と一緒になって固まったもの。「~凝烟を訓みて州須(スス)と云ふ」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢ティン⸣ゾーナ ⸢ヌーリ ソー⸣ジ シ⸢タ⸣ クトー ガ⸢マ⸣ジナー ⸢イッ⸣パイ ⸢シー⸣シ カビ⸢ベー [⸢tin⸣ʣoːna ⸢nuːri soː⸣ʤi ʃi̥⸢ta⸣ ku̥toː ga⸢ma⸣ʤinaː ⸢ʔip⸣pai ⸢ʃiː⸣ʃi kabi⸢beː] (天井に上って掃除をしたところ、髪に沢山煤を被っている)。 ⸢ワー⸣ ス⸢ブ⸣ロー ⸢シー⸣シ ⸣カビ ⸢ベー [⸢waː⸣ su⸢bu⸣roː ⸢ʃiː⸣ʃi ⸣kabi ⸢beː] (君の頭は煤だらけだ<煤をかぶっている>)。 ⸢ティンゾー⸣ヤ ⸢シー⸣シ ⸣フイティ ン⸢カーラヌ [⸢tinʣoː⸣ja ⸢ʃiː⸣ʃi ⸣ɸuiti ʔŋ⸢kaːranu] (天井は煤けて<煤を喰って>覗かれない<入れない{EOS}向かわれない>) 7416 0 0 6944 htmvoc_7416.wav シーシ ⸢シー⸣シ [⸢ʃiː⸣ʃi] 名 肉。四つ足(獣)類の肉。稀に人間の肉についてもいう。ア⸢バッ⸣タラ[ʔa⸢bat⸣tara](脂肉)に対して赤肉などをいう。⸢オー⸣ヌ ⸢シー⸣シ[⸢ʔoː⸣nu ⸢ʃiː⸣ʃi](豚肉)、カ⸢マイ⸣ヌ ⸢シー⸣シ[ka⸢mai⸣nu ⸢ʃiː⸣ʃi](猪の肉)という。魚類の肉は⸢ミー[⸢miː](身)という。 ⸢オー⸣ヌ ⸢マーシーシ イッキンブカラ カイ⸣ク [⸢ʔoː⸣nu ⸢maːʃiːʃi ʔikkimbukara kai⸣kuː] (豚の赤肉<ロース>を一斤ほど買って来い)。 ⸢ミーキブル⸣シ ⸣ソンガチオー プ⸢スッ⸣カラ ク⸢ラシティ シー⸣シ ⸢ミーチェー⸣ニ バ⸢ク⸣タ [⸢miːkiburu⸣ʃi ⸣soŋgaʧiʔoː pu̥⸢suk⸣kara ku⸢raʃi̥ti ʃiː⸣ʃi ⸢miːʧeː⸣ni ba⸢ku⸣ta] (三軒で正月用の豚を一匹<一頭>屠殺して肉を三つに分けた)。 ⸢ピー⸣ヤサーリ ク⸢バ⸣リティ ⸢シー⸣シフイ ⸢ベー [⸢piː⸣jasaːri ku⸢ba⸣riti ⸢ʃiː⸣ʃiɸui ⸢beː] (寒いので、凍えて身震い<肉震え>している)。 ⸢オー⸣ヌ ⸢シー⸣シ ⸢スー⸣シキ シ⸢ティ⸣ タ⸢ブーン [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʃiː⸣ʃi ⸢suː⸣ʃi̥ki ʃi̥⸢ti⸣ ta⸢buːŋ] (豚の肉を塩漬けにして保存す<蓄え>る) 7418 0 0 6945 htmvoc_7418.wav シーシ ⸢シー⸣シ [⸢ʃiː⸣ʃi] 名 獅子頭。獅子舞の獅子。西村の獅子は雌で、東村の獅子は雄といわれている。西村の獅子元(獅子頭を保管する家)は大工家。東村の獅子元は小浜家である。盆のナ⸢カヌ⸣ピー[na⸢kanu⸣piː](中の日{EOS}旧暦7月14日)の夜からウ⸢クリ[ʔu⸢kuri](精霊送りの日{EOS}旧暦7月15日)の夜にかけて獅子舞とアンガマ踊り隊が各家を回って踊り、祖霊を慰める。 ⸢シー⸣シ ⸢パー⸣スン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸢paː⸣suŋ] (獅子舞いを囃す)。 ⸢シー⸣シ ⸣カブン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸣kabuŋ] (獅子頭を被る{EOS}獅子舞いをする) 7419 0 0 6946 htmvoc_7419.wav ジージー ⸢ジージー [⸢ʤiːʤiː] 副 じとじと。じくじく。汗の流れるさま。 ナ⸢チェー⸣ アツァンダ ⸢ヤーン⸣ナカナ ⸢ベー⸣ルカ ⸢ジージー⸣シ ⸣アシ ⸣パルン [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦanda ⸢jaːn⸣nakana ⸢beː⸣rukaː ⸢ʤiː⸣ʤiːʃi ⸣ʔaʃi ⸣paruŋ] (夏は暑いから家の中にいると、じとじとと汗が流れる)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ⸣アシェー ⸢ジージー⸣シ ⸣パリ ⸢キー⸣シタ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ⸣ʔaʃeː ⸢ʤiːʤiː⸣ʃi ⸣pari ⸢kiː⸣ʃi̥ta] (あまりにも暑いので、汗はじとじとと噴き出て<流れて{EOS}走って>きた) 7420 0 1 6947 htmvoc_7420.wav ジージー ⸢ジージー [⸢ʤiːʤiː] 副 {Mn_1}ニイニイゼミの鳴き声。擬声語。 ⸣サンサンヌ ⸢ジージー⸣シ ナ⸢キ ベー⸣ティ ン⸢ガマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣sansannu ⸢ʤiːʤiː⸣ʃi na⸢ki beː⸣ti ʔŋ⸢gamasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (ニイニイ蝉がジージーと鳴いているので、うるさくて堪らない)。 7420 0 2 6948 htmvoc_7420.wav ジージー ⸢ジージー [⸢ʤiːʤiː] 副 {Mn_2}豚肉や魚肉を油炒めにする音。 ア⸢バ⸣ナビナ ⸢オー⸣ヌ ア⸢バッ⸣タラ ⸢ジージー⸣シ イ⸢ラ⸣キ ⸢ベー [ʔa⸢ba⸣nabina ⸢ʔoː⸣nu ʔa⸢bat⸣tara ⸢ʤiːʤiː⸣ʃi ʔi⸢ra⸣ki ⸢beː] (油鍋<炒り鍋{EOS}フライパン>で豚の脂肉をジージーと炒っている) 7427 0 0 6949 htmvoc_7427.wav ジージーシ ⸢ジージー⸣シ [⸢ʤiːʤiː⸣ʃi] 副 汗がじくじく出るさま。脂汗が出るさま。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティ ガ⸢マ⸣ジン ⸣ヤミ ⸣アシェー ⸢ジージー⸣シ ⸣ンジ ⸢キー⸣シタンドゥ ナー⸢イ⸣ ニジ ⸢ベー⸣タ [⸣niʧeː ⸣ʔnʤiti ga⸢ma⸣ʤiɲ ⸣jami ⸣ʔaʃeː ⸢ʤiːʤiː⸣ʃi ⸣ʔnʤi ⸢kiː⸣ʃi̥tandu naː⸢i⸣ niʤi ⸢beː⸣ta] (汗はじくじく出てきたが、ただじっと我慢して<念じて>いた) 7271 0 0 6950 htmvoc_7271.wav シーシェーン ⸢シーシェー⸣ン [⸢ʃiːʃeː⸣ŋ] 自動 出来る。可能である。することが出来る。しきれる。「し・きれる」の転訛したもの。丁寧な発音では、シーッシェーン[ʃiːʃʃeːŋ]という。 ⸢バン⸣ヌン ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー シーシェー⸣ン [⸢ban⸣nuŋ ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː ʃiːʃeː⸣ŋ] (私もこの仕事はすることが出来る)。 ク⸢レー シーサヌ [ku⸢reː ʃiːsanu] (これはすることが出来ない)。 ウ⸢レー バン⸣ヌン ⸢シーシェー⸣ン [ʔu⸢reː ban⸣nuŋ ⸢ʃiːʃeː⸣ŋ] (それは私も出来る<しきれる>)。 ⸢シーッシブンド シーッサヌ⸣ティ ア⸢ジアー⸣ク [⸢ʃiːʃʃibundu ʃiːssanu⸣ti ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (出来るのに出来ないといっている)。 ⸢シーシェー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʃiːʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (出来る<しきれる>人はいない)。 ⸢ワー シーシェー⸣カー ミサムヌ⸢ナー [⸢waː ʃiːʃeː⸣kaː misamunu⸢naː] (君が出来たら<しきれたら>良いのになあ)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ バー ⸢タンガ⸣シ ⸢シーシェー⸣ン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ baː ⸢taŋga⸣ʃi ⸢ʃiːʃeː⸣ŋ] (この仕事は、私一人で出来る)。 ⸢タンガ⸣シェー ⸢シーサヌ [⸢taŋga⸣ʃeː ⸢ʃiːsanu] (一人では出来ない)。 ⸢タンガ⸣シ ⸢シーッシティ⸣ ⸢シーッサン⸣ティ ア⸢ジアー⸣ク [⸢taŋga⸣ʃi ⸢ʃiːʃʃiti ʃiːssan⸣ti ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (一人で出来ていて<し得て>、出来ないと言っている)。 シ⸢グトゥ シーッシェー⸣ プ⸢ソー⸣ラ ⸣ヤトゥイバ [ʃi⸢gutu ʃiːʃʃeː⸣ pu̥⸢soːra⸣ jatuiba] (仕事の出来る<仕事をし得る>人から雇えよ)。 ⸢シーッシェー⸣カー ⸣ヤトゥーン [⸢ʃiːʃʃeː⸣kaː ⸣jatuːŋ] (出来る<し得る>ならば雇う)。 ⸢シーッシバ⸣ ミサムヌ [⸢ʃiːʃʃiba⸣ misamunu] (することが出来れば<し得れば>いいのに) 7255 0 0 6951 htmvoc_7255.wav シーシェーンコーラシ ⸢シーシェー⸣ン⸢コー⸣ラシ [⸢ʃiːʃeː⸣ŋ ⸢koːra⸣ʃi] 連 出来るふりをして。 ブ⸢ドゥル シーシェー⸣ン ⸢コーラ⸣シ ⸢ベー⸣ンドゥ ジ⸢チェー シーサヌ [bu⸢duru ʃiːʃeː⸣ŋ ⸢koːra⸣ʃi ⸢beː⸣ndu ʤi⸢ʧeː ʃiːsanu] (踊りが出来るふりをしているが、実はできないのだ) 7421 0 1 6952 htmvoc_7421.wav シーシカブン ⸢シー⸣シ ⸣カブン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸣kabuŋ] 連 {Mn_1}獅子舞をする(獅子頭を被る)。 ウ⸢リン シー⸣シ カ⸢バシバ⸣ル ウ⸢ムッ⸣サ [ʔu⸢riŋ ʃiː⸣ʃi ka⸢baʃiba⸣ru ʔu⸢mus⸣sa] (彼に獅子舞をさせた方が面白い)。 7421 0 2 6953 htmvoc_7421.wav シーシカブン ⸢シー⸣シ ⸣カブン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸣kabuŋ] 連 {Mn_2}獅子頭のように頭髪が伸び放題になり、外見が甚だしく悪くなる。 ⸢ワー⸣ ガ⸢マ⸣ジェー ⸢シー⸣シェー ⸣カビティ ⸢ホー⸣ル キ⸢シ⸣ムヌ ナリ⸢ベー [⸢waː⸣ ga⸢ma⸣ʤeː ⸢ʃiː⸣ʃeː ⸣kabiti ⸢hoː⸣ru ki⸢ʃi⸣munu ⸣nari⸢beː] (君の髪の毛は獅子頭のように伸び放題になって思慮分別のない者になっている) 7314 0 0 6954 htmvoc_7314.wav ジーシキムヌ ⸢ジーシキ⸣ムヌ [⸢ʤiːʃi̥ki⸣munu] 名 栄養物。滋養分。根気のつく食品。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァン ジーシキ⸣ムヌ ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふァーシ [ku⸢nu⸣ f⸢fan ʤiːʃi̥ki⸣munu su̥⸢ku⸣ri f⸢faːʃi] (この子に滋養分のある<根気のつく>食品を作って食べさせなさい) 7444 0 0 6955 htmvoc_7444.wav シーシギルン ⸢シーシギルン [⸢ʃiːʃigiruŋ] 他動 し過ぎる。やりすぎる。 ⸢ビンキョーヤ シーシギルンティ⸣ ウムー ⸣スコー サ⸢バン シーシギル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢biŋkjoːja ʃiːʃigirunti⸣ ʔumuː ⸣su̥koː sa⸢baŋ ʃiːʃigiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (勉強はし過ぎると思うほどしても、し過ぎることはない) 7274 0 0 6956 htmvoc_7274.wav シーシダマ ⸢シー⸣シダマ [⸢ʃiː⸣ʃidama] 名 (植)数珠玉。畑地に自生するイネ科の多年草植物。高さ約1メートル。硬い果実の珠をつける。子供はこれに糸を通し、数珠やネックレスに作って遊んだ。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸢シー⸣シダマヌ ⸣ムイ ⸢ベー⸣バ ⸢シー⸣シダマヌ ⸣ナル ⸣ブリ ⸣クーバ [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢ʃiː⸣ʃidamanu ⸣mui ⸢beː⸣ba ⸢ʃiː⸣ʃidamanu ⸣naru ⸣buri ⸣kuːba] (畑の畦に数珠玉が生えているから、数珠玉の実を捥いで<折って>きなさいよ) 7422 0 0 6957 htmvoc_7422.wav シーシヌキン ⸢シーシ⸣ヌ ⸣キン [⸢ʃiːʃi⸣nu ⸣kiŋ] 連 ⸢獅子の衣」の義。獅子頭につけて獅子舞をするのに用いる衣装。サ⸢ミ[sa⸢mi](月桃)の幹を打ち裂いて乾燥し、これで縄を綯い、目の粗い網を編んで衣装の土台にした。芭蕉の皮を打ち裂いて乾燥させた繊維を土台の網に結んで獅子の衣装に作った。サミの代わりに⸢フー⸣カラ[⸢ɸuː⸣kara](クロツグ<桄榔>の繊維)で綯った縄を用いることもあった。これは、西村、東村の子供たちがお盆の月に入ると一定の場所に集まって、競争して作ったものである。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ソー⸣ランシキ ⸢ペー⸣ルカー ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢インヌムラ アンヌムラ キッ⸣スー ⸢シェー⸣ティ ⸢シーシ⸣ヌ ⸣キン ス⸢クル⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢soː⸣raŋʃi̥ki ⸢peː⸣rukaː ja⸢ra⸣biŋkeːja ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢ʔinnumura ʔannumura kis⸣suː ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʃiːʃi⸣nu ⸣kin su̥⸢kuru⸣ta] (昔はお盆の月に入ると子供たちは集まって西村、東村競争しながら獅子頭の着物を作った) 7318 0 0 6958 htmvoc_7318.wav シーシパースン ⸢シー⸣シ ⸢パー⸣スン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸢paː⸣suŋ] 連 獅子舞いを囃し立てる。獅子舞を先導しながら囃す。獅子舞をさせる。鞠を投げたり、棒を振ったりして囃す。 ⸢ソー⸣ランナー ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢マーリ シー⸣シ ⸢パー⸣シ ウ⸢ヤ⸣プス トゥ⸢リム⸣ツォーッタ [⸢soː⸣rannaː ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢maːri ʃiː⸣ʃi ⸢paː⸣ʃi ʔu⸢ja⸣pu̥su tu⸢rimu⸣ʦoːtta] (お盆には家ごとに回って獅子舞をさせて先祖の霊を持て成された) 7275 0 0 6959 htmvoc_7275.wav シーシバル ⸢シーシバル [⸢ʃiːʃibaru] 名 血尿。潜血尿。「血いばり」の義。腎炎、膀胱炎等にみられる『医学沖縄語辞典』。 ⸢シーシバルヌ⸣ ン⸢ジル⸣ヌ ⸢マー⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカヤー [⸢ʃiːʃibarunu⸣ ʔn⸢ʤiru⸣nu ⸢maː⸣nu ⸢was⸣sakajaː] (血尿が出るが、どこが悪いのかなあ)。 ⸢シーシバルバ シー ベー⸣ヌ ⸢マー⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカヤー [⸢ʃiːʃibaru ʃiː beː⸣nu ⸢maː⸣nu ⸢was⸣sakajaː] (血尿をしているが、何処が悪いのかね) 7440 0 0 6960 htmvoc_7440.wav シーシピカリ ⸢シーシピカ⸣リ [⸢ʃiːʃipi̥ka⸣ri] 名 痩せこけること。筋肉がこそげること。筋肉がそぎ落とされること。 ⸢アッ⸣タニ ⸢シーシピカ⸣リ ⸢スン⸣ケン ⸢ヨーガリ ベー⸣ンドゥ ⸢ヌー⸣シタカヤー [⸢ʔat⸣tani ⸢ʃiːʃipi̥ka⸣ri ⸢suŋ⸣keɲ ⸢joːgari beː⸣ndu ⸢nuː⸣ʃi̥takajaː] (急に筋肉がそぎ落とされるほど痩せているが、どうしたんだろうか) 7321 0 0 6961 htmvoc_7321.wav シーシビルン ⸣シー シ⸢ビルン [⸣ʃiː ʃi⸢biruŋ] 連 母親の乳を強く吸う。しゃぶる。 ⸢シーヌミ⸣ッふァー ⸢ヤー⸣サカー ⸣シー シ⸢ビルン⸠ダー [⸢ʃiːnumi⸣ffaː ⸢jaː⸣sakaː ⸣ʃiː ʃi⸢birun⸠daː] (乳飲み子はひもじいと母乳を強く吸う<しゃぶる>よ) 7322 0 0 6962 htmvoc_7322.wav シーシフーン ⸢シー⸣シ ⸣フーン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸣ɸuːŋ] 連 煤ける。煤が付く。「煤喰らう」の義。「Susu.スス(煤)煙突の煤、または、煙突のない家の煤」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ティンゾー⸣ヤ ⸢シー⸣シ ⸣フイティ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ⸢ペーララ⸣ヌ [⸢tinʣoː⸣ja ⸢ʃiː⸣ʃi ⸣ɸuiti ja⸢nija⸣nu ⸢peːrara⸣nu] (天井は煤けているので、汚くて入られない) 7323 0 0 6963 htmvoc_7323.wav シーシフーン ⸢シー⸣シ ⸣フーン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸣ɸuːŋ] 連 身震いする。寒さで筋肉が震える。⸢シー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi]は、「Xixi.シシ(肉)骨と区別して肉のことをいう」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。⸣フーン[⸣ɸuːŋ](震える)は、「Furui,ruˇ,uˇta.フルイ、ゥ、ゥタ(震・振ひ、ふ、うた)寒さや恐ろしさのためにふるえる」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ ⸢シー⸣シ ⸣フイティ トゥ⸢マラヌ [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ⸢ʃiː⸣ʃi ⸣ɸuiti tu⸢maranu] (あまりの寒さで筋肉が震えて、身震いが止まらない)。 ピ⸢ラク⸣ヌ ⸢スー⸣ルカー ⸢シー⸣シ ⸣フーン [pi⸢raku⸣nu ⸢suː⸣rukaː ⸢ʃiː⸣ʃi ⸣ɸuːŋ] (寒気が強まると身震いする)。 イ⸢カーラ ピー⸣ヤタンティン ⸢シー⸣シ ⸢ホー⸣ヌ ⸢シーシ⸣ フー ス⸢ク⸣ヌ ピ⸢ラ⸣コー ⸢クー⸣ヌ [ʔikaː⸢ra piː⸣jatantiŋ ⸢ʃiː⸣ʃi ⸢hoː⸣nu ⸢ʃi⸣ʃi ⸣ɸuː su̥⸢ku⸣nu pi⸢ra⸣koː ⸢kuː⸣nu] (いくら寒くても身震いしない{EOS}身震いするほどの寒気は来ない)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ ク⸢バ⸣リティ ⸢シー⸣シフイ ⸢ベー [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ku⸢ba⸣riti ⸢ʃiː⸣ʃiɸui ⸢beː] (あまりにも寒いので、凍えて身震いしている)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ ⸢シー⸣シフイ ⸢フッツォーリ ベー [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ⸢ʃiː⸣ʃiɸui ⸢ɸutʦoːri beː] (あまりにも寒くて、ぶるぶる身震いして震えている)。 ⸣ドゥク ⸢ピー⸣ヤカー ⸢シー⸣シフーン [⸣duku ⸢piː⸣jakaː ⸢ʃiː⸣ʃiɸuːŋ] (あまりにも寒かったら身震いする) 7424 0 0 6964 htmvoc_7424.wav シーシマーシ ⸢シー⸣シ ⸢マーシ [⸢ʃiː⸣ʃi ⸢maːʃi] 連 獅子舞をすること。「獅子まわし」の義。⸢シー⸣シ ⸢パー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi ⸢paː⸣ʃi](獅子はやし)ともいう。普通は、獅子頭を持つ人と、尻尾を持つ人に二人一組で獅子舞をした。ビーロビ、ビーロビー、という笛の音に乗せて、百獣の王よろしく、ゆっくりと力強く舞うことによって悪霊を祓い、邪気を祓うものと信じられている舞い方と、モーヤーなどの三線歌曲に乗せて舞うことによって祖霊を慰める舞い方があるといわれている 7320 0 0 6965 htmvoc_7320.wav シーシマースン ⸢シー⸣シ ⸢マースン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸢maːsuŋ] 連 獅子舞をする。「獅子舞わす」の転訛したもの。獅子頭を持つ人と尻尾を動かす人が獅子の着物<衣装>を被って、呼吸を合わせて獅子舞をした 7425 0 0 6966 htmvoc_7425.wav シーシマチリ ⸢シーシマチ⸣リ [⸢ʃiːʃimaʧi⸣ri] 名 「獅子頭祀り」の義。お盆の中日に、⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工家)とク⸢メー[ku⸢meː](小浜家)で執り行われる獅子頭供養の儀式。⸣グシパナ[⸣guʃipana](神酒と花米)を供え、香を焚いて行われる。お盆の中日の夕刻、化粧した獅子頭に衣装をつけ、当家の仏間の庭に安置して供物を供えて祈願する。それが済んでから獅子舞が行われる。獅子祀りの酒は集まった人々に振舞われた。 ⸢インヌムラヌ シーシマチ⸣レー ⸢ダイ⸣ケーナーティル ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʔinnumuranu ʃiːʃimaʧi⸣reː ⸢dai⸣keːnaːtiru ⸢soːt⸣ta] (西村の獅子頭祀りは大工家において<ぞ>なさった) 7324 0 0 6967 htmvoc_7324.wav シーシムラシ ⸢シーシムラ⸣シ [⸢ʃiːʃimura⸣ʃi] 名 筋肉の塊。肉塊。 バ⸢カー⸣ムヌヌ パ⸢ダ⸣カ ⸣ナルカー カ⸢タ⸣ヌ ⸢シーシムラ⸣シン ミ⸢ラ⸣リン [ba⸢kaː⸣mununu pa⸢da⸣ka ⸣narukaː kḁ⸢ta⸣nu ⸢ʃiːʃimura⸣ʃim mi⸢ra⸣riŋ] (若者が裸になると肩の筋肉の塊が見られる) 7272 0 0 6968 htmvoc_7272.wav シージル ⸢シージル [⸢ʃiːʤiru] 名 血管。「血弦」の義か。 ⸢シージル⸣ タ⸢ティ⸣ルンケン ⸣シラー ア⸢ガミティ クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リ ⸢オーッ⸣タ [⸢ʃiːʤiru⸣ tḁ⸢ti⸣ruŋkeŋ ⸣ʃiraː ʔa⸢gamiti kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ri ⸢ʔoːt⸣ta] (静脈の血管が浮き出る<立つ>ほど顔は赤らめて怒って<根性起って>おられた)。 ヨー⸢ヨ ガンバリ⸣バ ⸢シーアー⸣キ ⸢シージルバナー⸣ト ⸣キシェー ナ⸢ラン⸣ダー [joː⸢jo gambari⸣ba ⸢ʃiːʔaː⸣ki ⸢ʃiːʤirubanaː⸣to ⸣ki̥ʃeː na⸢ran⸣daː] (大変だよ{EOS}悪戯をしていて血管をなど切ってはいけないよ)。 ⸢アウシージル [⸢ʔauʃiːʤiru] (静脈{EOS}⸢青血弦」の義) 7273 0 0 6969 htmvoc_7273.wav シージル ⸢シージル [⸢ʃiːʤiru] 名 血まみれになること。血みどろになること。血だらけになること。 ⸢カイ⸣リティ イ⸢シ⸣ナー フ⸢タイ⸣ バ⸢リティ⸣ シラー ⸢シージル シーベー [⸢kai⸣riti ʔi⸢ʃi⸣naː ɸu̥⸢tai⸣ ba⸢riti⸣ ʃiraː ⸢ʃiːʤiru ʃiːbeː] (転んで石に額を強打して、顔は血まみれになっている)。 ⸢カイ⸣リティ イ⸢シ⸣ナ ス⸢ブ⸣ル バ⸢リティ キン⸣マー ⸢シージル シー ベー [⸢kai⸣riti ʔi⸢ʃi⸣na su⸢bu⸣ru ba⸢riti⸣ ⸢kim⸣maː ⸢ʃiːʤiru ʃiː beː] (転んで石に頭を打って着物は血まみれになっている) 7326 0 0 6970 htmvoc_7326.wav シージル ⸢シージル [⸢ʃiːʤiru] 名 血管。血筋。 アウー⸢アウ⸣シ ⸢シージルヌ⸣ ミ⸢ラ⸣リン [ʔauː⸢ʔau⸣ʃi ⸢ʃiːʤirunu⸣ mi⸢ra⸣riŋ] (青々と血管が見える) 7327 0 0 6971 htmvoc_7327.wav ジージルマースン ⸢ジージルマー⸣スン [⸢ʤiːʤirumaː⸣suŋ] 他動 懲らしめる。叩いて厳しく仕付ける(躾ける)。泥まみれにして諌め懲らしめる。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カン⸣カー ⸢ジージルマー⸣スンティ イ⸢ズタンドゥ ジージルマーサラン⸣シェンバン [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kaŋ⸣kaː ⸢ʤiːʤirumaː⸣sunti ʔi⸢ʣutandu ʤiːʤirumaːsaraŋ⸣ʃembaŋ] (親の言うことを聞かないと懲らしめてやると叱ったが、懲らしめることはできなかった)。 ⸣アイニ ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢ジージルマー⸣ス ⸣クトー ⸢サンブリ⸣バ [⸣ʔaini ja⸢rabi⸣ba ⸢ʤiːʤirumaː⸣su ⸣ku̥toː ⸢samburi⸣ba] (あのように子供を叩いて躾けることはするなよ)。 ⸢ジージルマー⸣シ ⸣シケー [⸢ʤiːʤirumaː⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (厳しく仕付けてある)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ジージルマー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢ʤiːʤirumaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと厳しく仕付ければ良いのに)。 ⸢ジージルマー⸣シバ [⸢ʤiːʤirumaː⸣ʃiba] (厳しく仕付けろよ) 7405 0 0 6972 htmvoc_7405.wav ジーシンカ ⸣ジーシンカ [⸣ʤiːʃiŋka] 名 地謡衆。地謡人数。「地臣下」の義。地謡のメンバー。 パ⸢ナシケヌ⸣ アチャー キ⸢チゴンヌ⸣ ジーシンカバ ⸢シーオー⸣レーティ ⸣ウタゾージ ⸢サンシンゾージ⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ [pa⸢naʃi̥kenu⸣ ʔaʧaː ki̥⸢ʧigonnu⸣ ʤiːʃiŋkaba ⸢ʃiː ʔoː⸣reːti ⸣ʔutaʣoːʤi ⸢saŋʃinʣoːʣi⸣ ja⸢roːt⸣ta] (花城家のお父さんは、結願祭の地謡衆をしておられたので歌上手、三線上手であられた)。 キ⸢チゴンヌ⸣ ジーシンカー ⸢タータール ソール⸣ワ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ ʤiːʃiŋkaː ⸢taːtaːru soːru⸣wa] (結願祭の地謡は誰々がなさいますか) 7442 0 0 6973 htmvoc_7442.wav シースー ⸢シースー [⸢ʃiːsuː] 名 師匠。先生。 ⸢ワー⸣ ブ⸢ドゥルヌ ティー⸣ヌ ⸢シーソー ター⸣ ヤ⸢ロール⸣ワ [⸢waː⸣ bu⸢durunu tiː⸣nu ⸢ʃiːsoː taː⸣ ja⸢roːru⸣wa] (貴方の踊りの手<型>の師匠はどなた<誰>でいらっしゃいますか)。 ⸢タール ワー⸣ ブ⸢ドゥルヌ シースー⸣ ヤ⸢ローッ⸣ター [⸢taːru waː⸣ bu⸢durunu ʃiːsuː⸣ ja⸢roːt⸣taː] (誰が貴方の踊りの師匠であられたのか)。 シ⸢マ⸣ヌ ⸣シザウヤンケール ⸣ウタ ⸣ブドゥルヌ ⸢シースー⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ [ʃi⸢ma⸣nu ⸣ʃiʣaʔujaŋkeːru ⸣ʔuta ⸣buduru ⸢ʃiːsuː⸣ ja⸢roːt⸣ta] (島の親たち、先輩方が歌や踊りの師匠であられた) 7443 0 0 6974 htmvoc_7443.wav シースギ ⸢シースギ [⸢ʃiːsugi] 名 し過ぎること。やりすぎ。 ⸢ワー⸣ シ⸢グトゥ シースギ⸣ ドゥク シ⸢グトゥ シースギル⸣カー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー [⸢waː⸣ ʃi⸢gutu ʃiːsugi⸣ duku ʃi⸢gutu ʃiːsugiru⸣kaː ⸣duː ja⸢ma⸣sun⸢daː] (君は仕事のしすぎだ{EOS}あまり仕事をし過ぎると体を壊す<病ます>よ) 7450 0 0 6975 htmvoc_7450.wav シースクライ ⸢シースク⸣ライ [⸢ʃiːsu̥ku⸣rai] 名 巣ごしらえ。豚の出産準備に茅を豚小屋に敷き詰めること。 ⸢オー⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢シン⸣ギサバ ⸣ガヤー ⸣スリキー ⸢シースク⸣ライ ⸢シー⸣ヨー [⸢ʔoːnu⸣ f⸢fa⸣ na⸢ʃiŋ⸣gisaba ⸣gajaː ⸣surikiː ⸢ʃiːsuku⸣rai ⸢ʃiː⸣joː] (豚が出産し<子供を産み>そうだから、茅を刈ってきて巣ごしらえしなさいよ) 7277 0 0 6976 htmvoc_7277.wav シースクルン ⸣シー ス⸢ク⸣ルン [⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ruŋ] 連 巣を造る。巣食う。 ⸣パトゥザー ⸢キーヌ⸣ユダナール ⸣シー ス⸢クルン⸣ドゥ ⸢ホートゥバレー⸣ヌ ⸣パトゥザー ⸢ユシキ⸣ヌ ⸣ムトゥナーン ⸣シー ス⸢ク⸣ルン [⸣pḁtuʣaː ⸢kiːnu⸣judanaːru ⸣ʃiː su̥⸢kurun⸣du ⸢hoːtubareː⸣nu ⸣pḁtuʣaː ⸢juʃi̥ki⸣nu ⸣mutunaːŋ ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ruŋ] (山鳩は木の枝に巣を造るが、鳩離島の山鳩はススキ群落の根元にも巣を造る) 7329 0 0 6977 htmvoc_7329.wav ジースクン ⸢ジー⸣ スクン [⸢ʤiː⸣ su̥kuŋ] 連 滋養がつく。栄養になる。 カ⸢ツヌ⸣ ダ⸢シ⸣トゥ トゥ⸢ルヌ⸣ ダシェー ⸢ヤン⸣ヌ ⸣アトー イッ⸢ケナ ジー⸣ スクン [kḁ⸢ʦunu⸣ da⸢ʃi⸣tu tu⸢runu⸣ daʃeː ⸢jan⸣nu ⸣ʔatoː ʔik⸢kena ʤiː⸣ su̥kuŋ] (カツオの出汁と鶏の出汁は、病気のあとには非常に滋養がつく) 7409 0 0 6978 htmvoc_7409.wav ジースクン ⸢ジー スクン [⸢ʤiː sukuŋ] 連 滋養がつく。栄養、薬用効能が効く。 ヤ⸢ミ⸣プスン トゥ⸢ルトゥ⸣ サ⸢クナ⸣ シジ ッ⸢ふァース⸣カー イッ⸢ケナ ジー スクン [ja⸢mi⸣pu̥sun tu⸢rutu⸣ sa⸢kuna⸣ ʃiʤi f⸢faːsu⸣kaː ʔik⸢kena ʤiː su̥kuŋ] (病み人に鶏とボタンボウフウ<長命草>を煎じて食べさせると滋養がつく) 7445 0 0 6979 htmvoc_7445.wav シーソー ⸢シー⸣ソー [⸢ʃiː⸣soː] 名 (植)紫蘇。 ア⸢ガシーソー [ʔa⸢gaʃiːsoː] (赤紫蘇)。ッ⸢スシー⸣ソー[s⸢suʃiː⸣soː](白紫蘇)がある。香味料として刺身の妻に用いられる。/シーシェマーヌ オールンドー アンガマターヌ オールンドー パダラヤナマシ ナマシヤパイル パイルヤフナブ オンガキヤ シーソヌパー ソーランヤーヌ アッパター ミーザンマーサン オーショーリ ソーランヤーヌ アッパター/(獅子舞一行がいらっしゃるよ{EOS}アンガマ達がいらっしゃるよ{EOS}トウゴロウイワシを刺身<\ruby{膾}{ナマス}>にし、膾には酢をかけ、酢には九年母を用い、刺身の妻には紫蘇の葉を、精霊屋の祖母たちよ、不味くても美味しくても召し上がれ)「獅子舞のみちうた」『鳩間島古典民謡古謡集』 7446 0 0 6980 htmvoc_7446.wav シーゾー ⸢シー⸣ゾー [⸢ʃiː⸣ʣoː] 名 製造。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢カツブシヌ シーゾー⸣ヤ ウ⸢トゥンジ⸣ ブタ [pḁ⸢tuma⸣nu kḁ⸢tubuʃi ʃiːʣoː⸣ja ʔu⸢tunʔʤi⸣ buta] (鳩間島の鰹節製造は有名であった<音に出ていた>) 7447 0 0 6981 htmvoc_7447.wav シーゾージ ⸢シーゾージ [⸢ʃiːʣoːʤi] 名 上手である。上手。「為・上手」の義。 ブ⸢ドゥル⸣ シ⸢ムバン⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン⸣ ウ⸢リヌ⸣ カタチヌ ⸢シーゾージェー⸣ ブ⸢ラーヌ [bu⸢duru⸣ ʃi⸢muban⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirubaŋ⸣ ʔu⸢rinu⸣ kḁtaʧinu ⸢ʃiːʣoːʤeː⸣ bu⸢raːnu] (踊りをさせても、何をさせても、それ<その人{EOS}彼・彼女>のような上手<為上手>は他にいない) 7448 0 0 6982 htmvoc_7448.wav シーゾーニン ⸢シーゾー⸣ニン [⸢ʃiːʣoː⸣niŋ] 名 鰹節製造人。 ⸢シーゾーニン⸣マー カ⸢ツ⸣ バ⸢ザイティ⸣ カ⸢ツブシ⸣ ス⸢ク⸣ル プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ タイロー スー⸣ ピンマー ニ⸢ブ⸣ミーン ⸢ナーン⸣シェン [⸢ʃiːʣoːnim⸣maː kḁ⸢ʦu⸣ ba⸢ʣaiti⸣ kḁ⸢ʦubuʃi⸣ su̥⸢ku⸣ru pu̥⸢su⸣ ja⸢runda tairoː suː⸣ pimmaː ni⸢bu⸣miːn ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (製造人はカツオを捌いて鰹節を造る人だから、大漁する時は眠る暇もなかった) 7449 0 0 6983 htmvoc_7449.wav シーゾーヤー ⸢シーゾー⸣ヤー [⸢ʃiːʣoː⸣jaː] 名 鰹節製造工場。「製造屋」の転訛したもの。カツオ漁業の導入に伴って沖縄本島の本部方言から借用された語であろう。鰹節製造工場には、一棟に生魚を捌く所、ナ⸢カ⸣ワリ[na⸢ka⸣wari](三枚卸し)、ヨ⸢ツワリ[jo⸢ʦuwari](四つ割り{EOS}三枚卸したものを⸢ミー⸣ブシ{SqBr}⸢miː⸣buʃi{/SqBr}<女節>と⸢ウー⸣ブシ{SqBr}⸢ʔuː⸣buʃi{/SqBr}<雄節>の部分に卸すこと)にする、カ⸢ツバザイマニツァ[kḁ⸢ʦubaʣaimaniʦa](カツオを捌く俎板)のある場所、イ⸢ズネーシカマ[ʔi⸢ʣuneːʃikama](カツオを煮る大釜)の場所、シ⸢ル⸣ク ッ⸢ふァーシトン[ʃi⸢ru⸣ku f⸢faːʃitoŋ](大釜で煮たカツオを焙乾する前に整形補正する所)があり、別棟にナ⸢ヤ[na⸢ja](事務所、倉庫を兼ねた納屋)と、バイカンヤー[⸢baikaŋ⸣jaː](焙乾屋)があった。 ⸢シーゾー⸣ヤーナー ナ⸢ヤン バイカン⸣ヤーン ⸢アッ⸣タン [⸢ʃiːʣoː⸣jaːnaː na⸢jam baikaŋ⸣jaːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (鰹節製造工場には、焙乾屋も納屋もあった) 7451 0 0 6984 htmvoc_7451.wav ジーダイ ⸢ジー⸣ダイ [⸢ʤiː⸣dai] 名 地代。田地や畑地の地代。 ス⸢クリバキ⸣ヌ ⸢ジーダイ⸣ヤー ⸢マイ⸣シル パ⸢ラウ⸣タ [su̥⸢kuribaki⸣nu ⸢ʤiːdai⸣jaː ⸢mai⸣ʃiru pa⸢rau⸣ta] (造り分け<借地料を穀物で支払う契約の小作>は米で<ぞ>支払ったものだ) 7279 0 0 6985 htmvoc_7279.wav シーダニ ⸢シー⸣ダニ [⸢ʃiː⸣dani] 名 乳房のしこり。「乳種<ぐりぐり>」(リンパ腺)の義か。 ⸢シーダニ⸣ヌ コー⸢コー⸣シ カ⸢サマリスヌ⸣ ヌーカヤー ⸢ヤン⸣ヌ シ⸢ルシ⸣カヤー [⸢ʃiːdani⸣nu koː⸢koː⸣ʃi ka⸢samarisunu⸣ nuːkajaː ⸢jan⸣nu ʃi⸢ruʃi⸣kajaː] (乳房のしこりが硬く手に触れる<掴まれる>が何だろうか{EOS}病気の前兆だろうか) 7280 0 0 6986 htmvoc_7280.wav シーダニバリ ⸢シー⸣ダニ バ⸢リ [⸢ʃiː⸣dani ba⸢ri] 連 産婦の乳房のしこりを揉みほぐすこと。「乳種割り」の義。しこりを取り除くことによって乳の出をよくしたり、乳の病気の予防にしたりした。 ⸣シラプソー イ⸢ジン⸣ジ ⸣シー ⸢ムーミ シー⸣ダニ バ⸢リバル シー⸣ヤ ン⸢ジヤッ⸣サティ⸢ダー [⸣ʃirapusoː ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸣ʃiː ⸢muːmi ʃiː⸣dani ba⸢ribaru ʃiː⸣ja ʔn⸢ʤijas⸣sati⸢daː] (産婦は乳房をよく揉んで、揉みほぐしたほうが<乳種を割ったほうが>乳は出やすいそうだ) 7452 0 0 6987 htmvoc_7452.wav シーダラダラ ⸢シー⸣ ダラダラ [⸢ʃiː⸣ daradara] 連 血がタラタラ滴る。 ⸢キーヌ⸣ ウイラ ⸣ウティティ ス⸢ブ⸣ル ⸢ピッ⸣キティ ⸢シー⸣ ダラダラ パ⸢ラ⸣シェーティ ⸢アー⸣ク [⸢kiːnu⸣ ʔuira ⸣ʔutiti su⸢bu⸣ru ⸢pik⸣kiti ⸢ʃiː⸣ daradara pa⸢ra⸣ʃeːti ⸢ʔaː⸣ku] (木の上から落ちて頭を傷つけて血をタラタラ流している) 7302 0 0 6988 htmvoc_7302.wav シーッ ⸢シーッ [⸢ʃiːt] 感 他の動作を制止するときの声。人差し指を口に当てて、⸢シーーッ[⸢ʃiːːt](静かに{EOS!})。乳幼児を抱いて便器に向かい、小用を催促する際に発する声。 ⸢シーッ ⸢シーッ [⸢ʃiːʃ ⸢ʃiːt] (「おしっこ、おしっこ」の義)。動物を追い立てる声。 ⸢シーッ [⸢ʃiːt] (「それ行け」、「あっちへ行け」の義) 7296 0 0 6989 htmvoc_7296.wav シーッサリカザ ⸢シーッサリ⸣カザ [⸢ʃiːssari⸣kaʣa] 名 母乳の発酵した臭い。「乳腐れ臭い」の義。 ッ⸢ふァナシプス⸣ヌ ⸢キン⸣マー シ⸢ナッふァ⸣ヌ ⸣パク ⸢シーッサリカザ⸣ヌ ⸢スン [f⸢fanaʃipusu⸣nu ⸢kim⸣maː ʃi⸢naffa⸣nu ⸣pḁku ⸢ʃiːssarikaʣa⸣nu ⸢suŋ] (産婦の着物は幼い乳児が吐く母乳の発酵した臭いがする) 7342 0 0 6990 htmvoc_7342.wav シーッシー ⸢シー⸣ ッ⸢シー [⸢ʃiː⸣ ʃ⸢ʃiː] 感 鶏など家畜類を追いやる際に発する語。 ⸢マイ⸣ プシ ⸣シケーバ トゥ⸢ルヌ⸣ クーカー ⸢シー⸣ ッ⸢シー⸣ティ ⸢シー ウイ⸣ パ⸢ラ⸣シ⸢ヨー [⸢mai⸣ pu̥ʃiʃi̥keːba tu⸢runu⸣ kuːkaː ⸢ʃiː⸣ ʃ⸢ʃiː⸣ti ⸢ʃiː ʔui⸣ pa⸢ra⸣ʃi⸢joː] (籾<米>を干してあるから、鶏が来たらシーッシーといって追い払えよ) 7297 0 0 6991 htmvoc_7297.wav シーッス ⸢シーッス [⸢ʃiːssu] 名 血便。血液の混じった便。「血糞」の義。 シ⸢ビ コー⸣リ ⸢ベータン⸣ドゥ ン⸢グミ⸣ マ⸢ル⸣ター ⸢シーッスバ⸣ マリシケーンドゥ ノー⸢ンサン⸣ ミサンカヤー [ʃi⸢bi koː⸣ri ⸢beːtan⸣du ʔŋ⸢gumi⸣ ma⸢ru⸣taː ⸢ʃiːssuba⸣ mariʃi̥keːndu noː⸢nsam⸣ misaŋkajaː] (便秘をしていたけど、力んで排便したら血便をまって<\ruby{放}{マ}って{EOS}排泄して>あるが、大丈夫だろうか<何もしないだろうか>) 7343 0 0 6992 htmvoc_7343.wav シーッパイ ⸢シーッ⸣パイ [⸢ʃiːp⸣pai] 副 精一杯。一生懸命。 ⸢シーッ⸣パイ パ⸢タラキ ベー⸣ンドゥ ク⸢ビ⸣ル ⸣ナル [⸢ʃiːp⸣pai pḁ⸢taraki beː⸣ndu ku⸢bi⸣ru ⸣naru] (精一杯働いているのだがこれだけしか出来ない<これだけが出来る>)。 ア⸢サバンドー⸣シ ⸢シーッ⸣パイ ⸢モー⸣キ ⸣クー [ʔa⸢sabandoː⸣ʃi ⸢ʃiːp⸣pai ⸢moː⸣ki ⸣kuː] (遊ばないで精一杯儲けてこい) 7288 0 0 6993 htmvoc_7288.wav シーッふァイッふァ ⸢シーッふァイ⸣ッふァ [⸢ʃiːffai⸣ffa] 名 乳飲み子。「乳食い子」の義。 ⸢シーッふァイッふァ⸣ヌ ⸢ブー アイ⸣ヤー ⸢ティー⸣パン フ⸢バラリティ⸣ マー⸢ン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʃiːffaiffa⸣nu ⸢buː ʔai⸣jaː ⸢tiː⸣paŋ ɸu⸢barariti⸣ maː⸢m⸣ pa⸢rara⸣nu] (乳飲み子<乳喰らい子>がいる間は手足が拘束<束縛>されて何処にも行くことが出来ない) 7344 0 0 6994 htmvoc_7344.wav シーッふァイパー ⸢シーッふァイ⸣パー [⸢ʃiːffai⸣paː] 名 乳歯。「乳食い歯」の義。生後6ヶ月頃から生え始めるが、7,8歳~11、12歳頃に永久歯に生えかわる。 ⸢シーッふァイパー⸣ヤ ナ⸢ナッチ ヤー⸣チ ⸣ブカラーラ ⸢ムイカー⸣ルン [⸢ʃiːffaipaː⸣ja na⸢natʧijaː⸣ʧi ⸣bukaraːra ⸢muikaː⸣ruŋ] (乳歯は7、8歳頃から生えかわる)。 ⸢ワー パー⸣ヤ ⸢シーッふァイパー⸣ アー⸢イ シーッふァイパー⸣ヤ ムー⸢ル ムイカー⸣リ ⸢ベー [⸢waː paː⸣ja ⸢ʃiːffaipaː⸣ ʔaː⸢i ʃiːffaipaː⸣ja muː⸢ru muikaː⸣ri ⸢beː] (君の歯は乳歯か{EOS}いや、乳歯は全部生え替わっているよ) 7341 0 0 6995 htmvoc_7341.wav シーティ シー⸢ティ [ʃiː⸢ti] 副 強いて。無理に。敢てさからって。むやみに。 ⸢ワーヤ⸣ シー⸢ティ⸣ パ⸢ラン⸣タンティン ミサン⸢ダー [⸢waːja⸣ ʃiː⸢ti⸣ pa⸢ran⸣tantim ⸣misaŋ] (君は無理に行かなくてもよい)。 ⸢ワール⸣ シー⸢ティ⸣ティ タ⸢ナムター⸣ル カ⸢リンナー⸣ニ パ⸢ナ⸣シェー ⸣シジ⸢ダー [⸢waːru⸣ ʃiː⸢ti⸣ti ta⸢namutaː⸣ru ka⸢rinnaː⸣ni pa⸢na⸣ʃeː ⸣ʃiʤi⸢daː] (君が強いて<無理に>といって、頼んだので彼に話したわけだよ) 7453 0 0 6996 htmvoc_7453.wav シーティー ⸢シーティー [⸢ʃiːtiː] 名 名手。名人。やり手。「仕手」の義。 パ⸢トゥ⸣マナテー ブ⸢ドゥルヌ シーティーヤ ウッ⸣ツァー ⸢バー⸣キ⸢ダー [pḁ⸢tu⸣manateː bu⸢durunu ʃiːtiːja⸣ ⸢ʔut⸣ʦaː ⸢baː⸣ki⸢daː] (鳩間島では、踊りの名手<仕手>といえば彼らまでだよ) 7345 0 0 6997 htmvoc_7345.wav シートゥ ⸢シー⸣トゥ [⸢ʃiː⸣tu] 名 生徒。「明治29年6月16日、初めて当村においても学校を設立することとなり、当村事務所の西隣の僅か92坪の地に、幅が2間、長さ3間半、総坪数7坪の掘建て小屋を作り、就学児童23人を収営して大川尋常小学鳩間分校と称し、雇教員大濱安能氏当分校勤務を命ぜらる。此れ当村に於て教育の嚆矢なり」『波濤をこえて 鳩間小学校創立百周年記念誌』とある。昭和になって八重山に中等学校、女学校が設置されたから「生徒」という語彙も其の頃に借用されたものであろう。戦後の六・三・三・四制教育により、鳩間島に鳩間中学校が設置され、「生徒会」も設置された。 ⸢ウンヌマーラー ガッ⸣コーシートー ギュ⸢タール⸣ ブ⸢タ⸣カヤー [⸢ʔunnumaːraː gak⸣koːʃiːtoː gju⸢taːru⸣ bu⸢ta⸣kajaː] (その頃、学校の生徒は何人いたかねえ) 7346 0 0 6998 htmvoc_7346.wav シートゥー ⸢シートゥー [⸢ʃiːtuː] 名 製糖。戦前には鳩間島にも製糖組合が結成され、製糖小屋を作り、圧搾機を牛に引かせて回し、砂糖黍を絞って製糖していたという。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢シートゥー シー オーッ⸣タンティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣manaːŋ ⸢ʃiːtuː ʃiː ʔoːt⸣tanti⸢daː] (昔は鳩間島にも製糖をしておられたってよ) 7347 0 0 6999 htmvoc_7347.wav シートゥーグルマ ⸢シートゥーグルマ [⸢ʃiːtuːguruma] 名 製糖用の鉄製の歯車。製糖用の圧搾機。⸣サタグルマー[⸣satagurumaː](砂糖車)ともいう。牛に引かせて回し、砂糖黍を圧搾して汁を搾り、鉄鍋に煮て黒糖に仕上げた。製品は樽に詰めて石垣島に出荷された。 ⸢シートゥーグルマ⸣ナー ⸣ティー ⸢フッカーサ⸣リカー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [⸢ʃiːtuːguruma⸣naː ⸣tiː ⸢ɸukkaːsa⸣rikaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (圧搾機<製糖車>に手を挟まれると大変だぞ) 7348 0 0 7000 htmvoc_7348.wav シートゥーヤー ⸢シートゥーヤー [⸢ʃiːtuːjaː] 名 製糖小屋。「製糖屋」の義。 プ⸢スシタ⸣ラー ⸢シートゥーヤーン⸣ ス⸢ク⸣リ ⸣サタ ⸣タリ ⸢オーッ⸣タンティ ス⸢ヌ モーカラン⸣センツォー [pu̥⸢suʃita⸣raː ⸢ʃiːtuːjaːn⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸣sḁta ⸣tari ⸢ʔoːt⸣tanti su⸢nu moːkaraŋ⸣ʃenʦoː] (一時期は製糖小屋も作って砂糖を作っ<砂糖黍の汁を煮詰めて凝固させ、黒糖を製造し>ておられたが、儲からなかったそうだ) 7349 0 0 7001 htmvoc_7349.wav シートゥズミルン ⸢シートゥズミ⸣ルン [⸢ʃiːtuʣumi⸣ruŋ] 他動 終了させる。し終える。完了させる。完成する。⸢スン[⸢suŋ](する)の連用形⸢シー[⸢ʃiː]にトゥ⸢ズミ⸣ルン[tu⸢ʣumi⸣ruŋ](完了する{EOS}「とぢめ(閉ぢめ)下二」、源氏物語 空蝉、の転訛か)が下接してラ行四段活用化した複合動詞。 シ⸢グトー⸣ キューズーナ ⸢シートゥズミルン [ʃi⸢gutoː⸣ kjuːʣuːna ⸢ʃiː⸣ tu⸢ʣumiruŋ] (仕事は今日中に完了させる)。 ヤー⸢ディン⸣ ア⸢ツァバー⸣キナ ⸢シートゥズミラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [jaː⸢diŋ⸣ ʔa⸢ʦabaː⸣kina ⸢ʃiːtuʣumiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (必ず明日までにし終えないといけない) 7350 0 0 7002 htmvoc_7350.wav シートゥズムン ⸢シートゥズムン [⸢ʃiːtuʣumuŋ] 他動 終了する。し終える。完了する。⸢シートゥズミルン[⸢ʃiːtuʣumiruŋ](し終える)と同じ複合動詞。マ行四段活用化したもの。 ⸣キューズーナ ⸢シートゥズムンティ ⸢ギーバリ ベー [⸣kjuːʣuːna ⸢ʃiːtuʣumuti giːbari beː] (今日中に完了しようと頑張って<気張って>いる) 7456 0 0 7003 htmvoc_7456.wav シーナライ ⸢シーナライ [⸢ʃiːnarai] 名 しなれること。熟練すること。常日頃やっていること。習慣的にしていること。「し慣れ」の義。 パ⸢ジミテー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢シーナライル⸣ ヤ⸢リバ ソーヤ ナー⸣ヌ [pa⸢ʤimiteː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢ʃiːnarairu⸣ ja⸢riba soːja naː⸣nu] (初めてではない{EOS}し慣れていることだから心配はない)。 ⸢ミー⸣ナライ ⸢シーナライ シェー⸣ティル ⸢ゾー⸣ジェー ⸣ナル [⸢miː⸣narai ⸢ʃiːnarai ʃeː⸣tiru ⸢ʣoː⸣ʤeː ⸣naru] (見習い、し習いしながら<経験を積んで>上手にはなるものだ) 7351 0 0 7004 htmvoc_7351.wav ジーナラシ ⸢ジーナラ⸣シ [⸢ʤiːnara⸣ʃi] 名 地ならし。家屋建築の際、柱を立てる地面を水平に搗き固めること。 ア⸢ラヤー⸣ ス⸢ク⸣ル ⸣ピンマー ⸢ジーナラ⸣シ ⸢ソーッ⸣タン [ʔa⸢rajaː⸣ su̥⸢ku⸣ru ⸣pimmaː ⸢ʤiːnara⸣ʃi ⸢soːt⸣taŋ] (新しい家を造る時は地均しををされた) 7352 0 0 7005 htmvoc_7352.wav シーニー ⸢シー⸣ニー [⸢ʃiː⸣niː] 名 後ろの荷。 ⸢シー⸣ニー ⸢マイ⸣ニー マー⸢タキ⸣ ナ⸢シバ⸣ル カ⸢タミヤッ⸣サ [⸢ʃiː⸣niː ⸢mai⸣niː maː⸢taki⸣ na⸢ʃiba⸣ru ka⸢tamijas⸣sa] (後ろの荷、前の荷を同じ重さにしたほうが担ぎやすい)。後ろの荷が重いこと。対義語は、⸢マイ⸣ニー[⸢mai⸣niː](前の荷が重いこと)。 ⸢ワー ニー⸣ヤ ⸢シー⸣ニー ⸣ナリ ⸢ベー⸣ティル カ⸢タミグリ⸣サル [⸢waː niː⸣ja ⸢ʃiː⸣niː ⸣nari ⸢beː⸣tiru ka⸢tamiguri⸣saru] (君の荷は、後ろが重い荷になっているので担ぎにくいのだよ) 7248 0 0 7006 htmvoc_7248.wav シーヌアールン ⸢シーヌ アールン [⸢ʃiːnu ʔaːruŋ] 連 血が騒ぐ。興奮する。⸢血が暴れる」の義。霊的なものによって胸がざわざわして上気<じょうき>し、血が頭に上って興奮し、取り乱す。 ⸣シラプソー ⸢シーヌ アール⸣カー プ⸢リルン⸣ティ⸢ダー [⸣ʃirapusoː ⸢ʃiːnu ʔaːru⸣kaː pu⸢rirun⸣ti⸢daː] (産婦は興奮すると気が狂うそうだ)。 ⸢シーヌ アーリティ⸣ キ⸢ム⸣ ワ⸢サワ⸣サ ⸢シー⸣ ナ⸢ラン⸣サー [⸢ʃiːnu ʔaːriti⸣ ki⸢mu⸣ wa⸢sawa⸣sa ⸢ʃiː⸣ na⸢ran⸣saː] (血が騒いで、気分が上気して、心がわさわさして<ざわめいて>、落ち着けない<どうにもならない>よ) 7304 0 0 7007 htmvoc_7304.wav シーヌウチ ⸢シーヌウチ [⸢ʃiːnuʔuʧi] 名 「垣の内」の義。西表島北岸の伊武田崎にある地名。猪垣を廻らした跡が今も残っている。明治中期頃まで鳩間島の人が⸢シーヌウチ[⸢ʃiːnuʔuʧi](垣の内)に小屋がけして水田耕作をしたと伝えられるところ。乾隆18年(1753)の「参遣状」に同<人口>450人、同<耕作当>1人、現在の定員以外に一人、増員お願い申しあげます。但し、土地が狭いので、西表地域へ海を越えて渡り、仮屋を作り耕作しており、一人では指示できないため、」『参遣状抜書<下巻>』とある。 ⸣インダヌ ⸢シーヌウチ⸣ナー パ⸢トゥ⸣マ ⸣ムラヌ ⸢アッ⸣タンティ⸢ダー [⸣ʔindanu ⸢ʃiːnuʔuʧi⸣naː pḁ⸢tu⸣mamuranu ⸢ʔat⸣tanti⸢daː] (伊武田の垣の内には鳩間村があったそうだよ)。珊瑚石や山石などを積み上げて作ったもの。幅約50センチ、高さ約1メートルに積み、昔の伊武田村一帯を張り巡らしてあったという。その内側をシーヌウチという。 ⸢シーヌウチ⸣ナー ⸣インダガマン ⸣アリ ⸢ヨー⸣カヤーヌ マ⸢ルマシン⸣ アン [⸢ʃiːnuʔuʧi⸣naː ⸣ʔindagamaŋ ⸣ʔari ⸢joː⸣kajaːnu ma⸢rumaʃiŋ⸣ ʔaŋ] (シーニウチには伊武田ガマ<洞窟>もあり、西原家の円マシ<田圃>もある) 7457 0 0 7008 htmvoc_7457.wav ジーヌカザカブン ⸢ジー⸣ヌ カ⸢ザ⸣ カ⸢ブン [⸢ʤiː⸣nu ka⸢ʣaː⸣ ka⸢buŋ] 連 腰が曲がって歩くさま。年老いて腰が曲がって歩くさま。「地面の匂いを嗅ぐ」の義。 ク⸢シェー⸣ マ⸢ガリ ジー⸣ヌ カ⸢ザー⸣ カ⸢ベー⸣ティル ア⸢ラ⸣コール [ku⸢ʃeː⸣ ma⸢gari ʤiː⸣nu ka⸢ʣaː⸣ ka⸢beː⸣tiru ʔa⸢ra⸣koːru] (腰は曲がって、地面の匂いを嗅ぎながら<ぞ>歩かれる) 7281 0 0 7009 htmvoc_7281.wav ジーヌギ ⸢ジーヌギ [⸢ʤiːnugi] 名 「地抜き」の義か。旅先や海上で死んだ人の霊魂は、落命(臨終)の地に落ちてさ迷い成仏できないと信じられている。従って、出来るだけ早く落命した地へ行き、地の神や竜宮の神に祈願をし、死者の霊を解放してもらい、成仏させるための祭事を執り行った。老婆やサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)に依頼して祈願してもらうか、ユ⸢タ[ju⸢ta](巫女{EOS}いちこ)に依頼して⸢ジーヌギ[⸢ʤiːnugi](地抜き)の祈願をしてもらった。この祈願は、仕方を誤ると霊界に通らないこともあり、難しいという。 ⸢ジーヌギ サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ティ ⸢シー⸣ サ⸢カサ⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸢ジーヌギ⸣ シ⸢モーッ⸣タツォー [⸢ʤiːnugi saŋ⸣kaː na⸢ran⸣ti ⸢ʃiː⸣ sḁ⸢kasa⸣ ta⸢na⸣mi ⸢ʤiːnugi⸣ ʃi⸢moːt⸣taʦoː] (ジーヌギの祈願をしなくてはいけないとのことで<といって>、司を頼んでジーヌギ<地抜き>の祈願をさせられたそうだ)。 タ⸢ビ⸣ナー ⸢マーラシェー⸣ プ⸢ソー ジーヌギ⸣ サ⸢バル⸣ ナルツォー [ta⸢bi⸣naː ⸢maːraʃeː⸣ pu̥⸢soː ʤiːnugi⸣ sa⸢baru⸣ naruʦoː] (旅で亡くなった人は、霊魂をその地から地抜きをしないといけない<地抜きすればぞなる>そうだ) 7458 0 0 7010 htmvoc_7458.wav ジーヌギ ⸢ジーヌギ [⸢ʤiːnugi] 名 不慮の事故で死んだ人の霊を落命の地より解放<抜き放>して故郷へ戻す祈願。「地抜き」の義か。 ス⸢ナカ⸣ナーティ ⸢マーラシェー⸣ プ⸢ソー ジーヌギ ソー⸣ルン [su⸢naka⸣naːti ⸢maːrasoː⸣reː pu̥⸢soː ʤiːnugi soː⸣ruŋ] (海で亡くなった人は落命の地より死者の霊を解放して故郷へ返す祈願をされる) 7354 0 0 7011 htmvoc_7354.wav シーヌギルン ⸢シー⸣ ヌ⸢ギ⸣ルン [⸢ʃiː⸣ nu⸢gi⸣ruŋ] 連 血が抜ける。体力が極度に弱る。「血抜ける」の義。 ⸢シー⸣ ヌ⸢ギ⸣ル ⸣スコー ⸢ナーヤンバ シー⸣ イルン ⸣ッサイティ ⸢ヨーガリ ベー [⸢ʃiːnugi⸣ru ⸣su̥koː ⸢naːjamba ʃiː⸣ ʔirun ⸣ssaiti ⸢joːgari beː] (血が抜けるほどに長病み<長患い>をして、顔も青白くなって<白んで>痩せている) 7355 0 0 7012 htmvoc_7355.wav シーヌグン ⸢シー⸣ ヌグン [⸢ʃiː⸣ nuguŋ] 連 血が抜ける。体力が極度に弱る。「血抜く」の義。 ⸢アッ⸣タニ ウ⸢バーサリ シー⸣ヌギティ ⸣ドゥー ⸢ウーカサラ⸣ヌ [⸢ʔat⸣tani ʔu⸢baːsari ʃiː⸣nugiti ⸣duː ⸢ʔuːkasara⸣nu] (急に驚かされ、血が抜けて<腰を抜かして>体を動かすことが出来ない) 7358 0 0 7013 htmvoc_7358.wav ジーヌシ ⸢ジー⸣ヌシ [⸢ʤiː⸣nuʃi] 名 地主。 ク⸢ヌ ヤシキ⸣ヌ ⸢ジー⸣ヌシェー ⸢ター⸣ヤ [ku⸢nu jaʃi̥ki⸣nu ⸢ʤiː⸣nuʃeː ⸢taː⸣ja] (この屋敷の地主は誰か)。 ⸢ジーヌシン⸣ナーニ タ⸢ナ⸣ミティ ク⸢ヌ ヤシ⸣キ カ⸢リ⸣バ [⸢ʤiːnuʃin⸣naːni ta⸢na⸣miti ku⸢nu jaʃi̥⸣ki ka⸢ri⸣ba] (地主に頼んで、この屋敷を借りなさいよ) 7359 0 0 7014 htmvoc_7359.wav シーヌタカーン ⸢シーヌ⸣ タ⸢カー⸣ン [⸢ʃiːnu⸣ tḁ⸢kaː⸣ŋ] 連 血圧が高い。 ⸢パンタリ⸣プソー ⸢シーヌ⸣ タ⸢カーン⸣ティ ア⸢ザリ ブー [⸢pantari⸣pu̥soː ⸢ʃiːnu⸣ tḁ⸢kaːn⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (肥満の人は血圧が高いといわれている) 7360 0 0 7015 htmvoc_7360.wav シーヌタラーヌ ⸢シーヌ⸣ タ⸢ラーヌ [⸢ʃiːnu⸣ ta⸢raːnu] 連 血圧が低い。貧血である。⸢血が足りない」の義。 ム⸢カ⸣シプソー ミ⸢ドーンッふァ⸣ヌ ⸢シーヌ⸣ タラーン⸣ プソー ⸢オー⸣ヌ ⸣キム ッ⸢ふァーシ⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː mi⸢doːŋffa⸣nu ⸢ʃiːnu⸣ ta⸢raːm⸣ pu̥soː ⸢ʔoː⸣nu ⸣kimu f⸢faːʃi⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は、女の子が貧血の<血が足りない>時、豚の肝を食べさせなさいといわれた) 7283 0 0 7016 htmvoc_7283.wav シーヌパラシキルン ⸢シー⸣ヌ パ⸢ラシキルン [⸢ʃiː⸣nu pa⸢raʃi̥kiruŋ] 連 乳房に乳が溜まって張り詰める。 ッ⸢ふァ アシ⸣キティ シ⸢トゥ⸣ミ ブ⸢レー⸣ンダ ⸢シー⸣ヌ パ⸢ラシキルン⸣ケン ⸣シー ヌ⸢マシユーサン⸣シェン [f⸢fa ʔaʃi̥⸣kiti ʃi̥⸢tu⸣mi bu⸢reː⸣nda ⸢ʃiː⸣nu pa⸢raʃi̥kiruŋ⸣keŋ ⸣ʃiː nu⸢maʃijuːsaŋ⸣ʃeŋ] (子供を預けて勤めていたので、乳房が張り詰めるほどになるまで乳を飲ませることができなかった) 7284 0 0 7017 htmvoc_7284.wav シーヌフチ ⸢シー⸣ヌ フ⸢チ [⸢ʃiː⸣nu ɸu̥⸢ʧi] 名 乳首。「乳の口」の義。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣パー ⸢ムイ⸣ジブン ⸣ナルカー ⸣ユー ⸢シー⸣ヌ フ⸢チ フッ⸣ツァムン⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu ⸣paː ⸢mui⸣ʤibun narukaː ⸣juː ⸢ʃiː⸣nu ɸu̥⸢ʧi ɸut⸣ʦamaun⸢daː] (子供の歯が生える頃になると、よく乳首を噛む<喰い掴む>よ) 7460 0 0 7018 htmvoc_7460.wav シーヌフチ ⸢シーヌ⸣フチ [⸢ʃiːnu⸣ɸuʧi] 名 乳首。 ⸢シーッふァイ⸣ッふァー ⸢パー⸣ヌ ⸢ムイジブン⸣マー ⸢シーヌ⸣ フチ フーン⸢ダー [⸢ʃiːffai⸣ffaː ⸢paː⸣nu ⸢muiʤibum⸣maː ⸢ʃiːnu⸣ ɸu̥ʧi ɸuːn⸢daː] (乳飲み子は歯の生える時期<時分>には乳首を噛むよ) 7265 0 0 7019 htmvoc_7265.wav シーヌミキョーダイ ⸢シーヌミキョー⸣ダイ [⸢ʃiːnumikjoː⸣dai] 名 乳兄弟(乳飲み兄弟)。肉親ではないが、同じ人の乳で育てられたもの同士。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アボー ⸢シー⸣バ タ⸢ボーラリ⸣ル ス⸢ダティラ⸣レーティ ⸢シーヌミキョー⸣ダイティ ア⸢ザリブー⸣ダー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔaboː ⸢ʃiː⸣ba ta⸢boːrari⸣ru su⸢datira⸣reːti ⸢ʃiːnumikjoː⸣daiti ʔa⸢ʣaribuː⸣daː] (其の家のお母さんの乳を頂いて育てられたので乳兄弟といわれているのだよ) 7285 0 0 7020 htmvoc_7285.wav シーヌミチ ⸢シーヌ⸣ ミチ [⸢ʃiːnu⸣ miʧi] 連 血管。「血の道」の義。⸢シージル[⸢ʃiːʤiru](血管{EOS}<血弦>の義)、⸢アウジル[⸢ʔauʤiru](青筋{EOS}静脈{EOS}<青弦>の義)ともいう。 ⸢ヨーガルター シーヌ⸣ ミチーン ⸢トゥンジ⸣ キー⸢ナー⸣ヌ [⸢joːgarutaː ʃiːnu⸣ miʧiːn ⸢tunʤi⸣ kiː⸢naː⸣nu] (痩せたので血管<血の道>も飛び出てきてしまった)。 ⸢シーヌ⸣ ミ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンケン ン⸢グムナ⸣ヨー [⸢ʃiːnu⸣ mi⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋkeŋ ʔŋ⸢gumuna⸣joː] (血管が出るほど<まで>力むなよ) 7461 0 0 7021 htmvoc_7461.wav シーネー ⸢シー⸣ネー [⸢ʃiː⸣neː] 名 後ろ隣。後ろの家。北隣。鳩間村は友利御嶽を腰当森にし、島の南海岸に面して立地しているので、原則として各家の門は南に向いている。従って、後ろの家は全て北側にあり、北隣の家となる。 ⸢シー⸣ネーラ ⸢ブー⸣ヌ カ⸢リ⸣キー タ⸢ム⸣ヌ バ⸢リ [⸢ʃiː⸣neːra ⸢buː⸣nu ka⸢ri⸣kiː ta⸢mu⸣nu ba⸢ri] (後ろ隣から薪割り斧を借りてきて薪を割りなさい)。[ʃiːnujaː](後の家) → [ʃiːɲaː] → [ʃiːneː] と音韻変化したもの。 ⸢シー⸣ネーナー ⸢ギー タン⸣グ カ⸢リ⸣ クー [⸢ʃiː⸣neːnaː ⸢giː taŋ⸣gu ka⸢ri⸣kuː] (後ろの家に行って担桶<たごおけ>を借りてこい)。 ⸢シー⸣ネーナ ⸢ギー クン⸣デー カ⸢ラシタ ブー⸣ヌ ⸣トゥリクー [⸢ʃiː⸣neːna ⸢giː kun⸣deː ka⸢raʃi̥ta buː⸣nu ⸣turikuː] (後ろ隣の家に行って、先日貸した斧を取ってきなさい) 7462 0 0 7022 htmvoc_7462.wav シーノースン ⸢シーノースン [⸢ʃiːnoːsuŋ] 他動 為直す。やり直す。 ⸢シーノースンティ⸣ ウムイ ⸢シーノーシ⸣ プサン ア⸢リ⸣ブンドゥ ムッ⸢トゥ シーノーサラヌ [⸢ʃiːnoːsunti⸣ ʔumui ⸢ʃiːnoːʃi⸣ pu̥saŋ ʔa⸢ri⸣bundu mut⸢tu ʃiːnoːsaranu] (やり直そうと思い、やり直したくもありおるが、ちっともやり直されない)。 ⸢サン⸣ミン ⸢シーノースンティ⸣ ウ⸢ムー⸣ヌ ⸢ヌー⸣シカヤー [⸢sam⸣miŋ ⸢ʃiːnoːsunti⸣ ʔu⸢muː⸣nu ⸢nuː⸣ʃikajaː] (計算をし直そうと思うが、どう<如何>でしょうか)。 ⸢シーノース⸣ クトー イ⸢チン⸣ ナ⸢リ⸣スバ ⸢パー⸣ク ⸢シーノーシ [⸢ʃiːnoːsu⸣ ku̥toː ʔi⸢ʧin⸣ na⸢ri⸣suba ⸢paː⸣ku ⸢ʃiːnoːʃi] (やり直すことはいつでも出来るから、早くやり直せ)。 ⸢シーノーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʃiːnoːʃeː⸣ misamunu] (やり直せばよいのに) 7289 0 0 7023 htmvoc_7289.wav シーバイ ⸢シー⸣バイ [⸢ʃiːbai] 名 残飯や饐えた食品にたか(集)る小さな蝿。小蝿。「饐え蝿」の転訛したものか。 ッ⸢ふァイムヌ⸣ ッサラスカー ⸢シーバイ⸣ヌ バ⸢キ⸣ シ⸢ディ⸣ルン [f⸢faimunu⸣ ssarasukaː ⸢ʃiːbai⸣nu ʃi⸢di⸣ruŋ] (食べ物を腐らせると小さな蝿<饐え小蝿>が湧き出てくる<孵化して湧き出る>) 7463 0 0 7024 htmvoc_7463.wav シーバイ ⸢シー⸣バイ [⸢ʃiː⸣bai] 名 (動)昆虫の名。饐えたものにたかる小さな蝿。「饐え蝿」の義か『沖縄今帰仁方言辞典』。夏になると食物の饐えたものなどにこの小蝿がたかる。 ⸢シーリカザ⸣ヌ ⸢スー⸣カー ⸢シーバイ⸣ヌ ア⸢ツァ⸣マルン [⸢ʃiːrikaʣa⸣nu ⸢suː⸣kaː ⸢ʃiːbai⸣nu ʔa⸢ʦa⸣maruŋ] (饐えた匂いがすると小さな蝿がたかってくる<集まる>) 7290 0 0 7025 htmvoc_7290.wav シーパキ ⸢シー⸣パキ [⸢ʃiː⸣paki] 名 よだれかけ(涎掛け)。「乳吐き」の義か。乳児が飲んだ母乳を口から涎と一緒に出すのを拭き取るために首に掛けるもの。 ⸢シー⸣パケー パ⸢カセー⸣ティ カ⸢サナーン⸣カー ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢ベー⸣ティナーン ⸣シー ⸣パキ ⸣キン ⸢ゾーラスン⸣ダー [⸢ʃiː⸣pḁkeː pḁ⸢kaʃeː⸣ti kḁ⸢sanaːŋ⸣kaː ja⸢ra⸣beː ni⸢beː⸣tinaːŋ ⸣ʃiː ⸣pḁki ⸣kin ⸢ʣoːrasun⸣daː] (涎掛けをはかせて背負わないと、乳児<童>は寝ながらも乳を吐いて着物を濡らすよ) 7367 0 0 7026 htmvoc_7367.wav シーバク ⸢シーバク [⸢ʃiːbaku] 名 釣り針箱。漁具を入れる箱。 ⸢シーバク⸣ナー イ⸢ズホーシダン⸣ゴー ス⸢コーリ⸣ イ⸢リティル⸣ イ⸢ソーヤ オーッ⸣タ [⸢ʃiːbaku⸣naː ʔi⸢ʣuhoːʃidaŋ⸣goː su̥⸢koːri⸣ ʔi⸢ritiru⸣ ʔi⸢soːja ʔoːt⸣ta] (釣り針箱に魚釣り道具を準備して入れて漁には出られた) 7361 0 0 7027 htmvoc_7361.wav シーパジミ ⸢シーパジミ [⸢ʃiːpaʤimi] 名 開始。し始め。やり始め。物事のやり始め。 ⸣ソンガチヌ パ⸢チウクシェー⸣ シ⸢グトゥヌ シーパジミ⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ [⸣soŋgaʧinu pḁ⸢ʧiʔukuʃeː⸣ ʃi⸢gutunu ʃiːpaʤimi⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (正月のパチウクシ<初起し>は仕事のし始めといわれ<話され>た) 7362 0 0 7028 htmvoc_7362.wav シーパジミルン ⸢シーパジミルン [⸢ʃiːpaʤimiruŋ] 他動 開始する。し<為>始める。 ⸢キョー⸣ラ シ⸢グトゥ シーパジミルン [⸢kjoː⸣ra ʃi⸢gutu ʃiːpajimiruŋ] (今日から仕事をし始める)。 シ⸢グトゥ シーパジミルンティ ベー⸣ンドゥ マ⸢ダ シンカ⸣ヌ ス⸢ローン⸣ツォー [ʃi⸢gutu ʃiːpaʤimirunti beː⸣ndu ma⸢da ʃiŋka⸣nu su⸢roːn⸣ʦoː] (仕事をし始めようと思うのだが、まだ作業員<臣下・仲間>が揃わないんだよ)。 シ⸢グトゥ シーパジミ⸣ プサンドゥ ⸢キュー⸣ヤ シ⸢グトゥ シーパジミララヌ [ʃi⸢gutu ʃiːpaʤimi⸣ pu̥sandu ⸢kjuː⸣ja ʃi⸢gutu ʃiːpaʤimiraranu] (仕事をし始めたいが、今日は仕事をし始められない) 8406 0 0 7029 htmvoc_8406.wav ジーバタ ⸢ジーバ⸣タ [⸢ʤiːba⸣ta] 名 じばた(地機)。脚の低い伝統的な織機。いざりばた(居座機)。後に改良されたタ⸢カバ⸣タ[tḁ⸢kaba⸣ta](たかばた<高機>)が普及した。昭和30年代までは年寄り達によって地機が使用されたいた。 ⸢ウイ⸣プスンケーヤ ⸢ジーバ⸣タナール ⸣バサキンマー ウ⸢ローッタ⸣ル [⸢ʔui⸣pu̥suŋkeːja ⸢ʤiːba⸣tanaːru ⸣basakimmaː ʔu⸢roːtta⸣ru] (老人達は地機で<ぞ>芭蕉布は織られたものだ) 7291 0 0 7030 htmvoc_7291.wav シーパナリ ⸢シーパナ⸣リ [⸢ʃiːpana⸣ri] 名 乳離れ。乳児の離乳についてのみいう。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢シーパナ⸣リ ⸢シェー⸣チバ ⸢ヤー⸣ラムヌ イ⸢ラ⸣ビ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ja⸢ra⸣beː ⸢ʃiːpana⸣ri ⸢ʃeːʧiba jaː⸣ramunu ʔi⸢ra⸣bi ⸢faːʃi⸣ba] (子供は離乳したから柔らかいものを選んで食べさせなさいよ)。 ム⸢カ⸣シプソー ガ⸢シタク⸣ヌ ⸢ティー⸣バ シ⸢ビラシェー⸣ティル ⸢シーパナ⸣レー シ⸢モーッ⸣タ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ga⸢ʃitaku⸣nu ⸢tiː⸣ba ʃi⸢biraʃeː⸣tiru ⸢ʃiːpana⸣reː ʃi⸢moːt⸣ta⸢daː] (昔の人は焙乾したタコの手を叩いてしゃぶらせながら離乳させられたよ)。 プ⸢スル⸣ッふァ<⸢タンガッ⸣ふァ> ヤ⸢ルンダ フンダイ⸣ シ⸢ミティ ミーチ⸣ ナルンケン ⸢シーパナ⸣リ サ⸢ヌ [pu̥⸢suru⸣ffa ja⸢runda ɸundai⸣ ʃi⸢miti miːʧi⸣ naruŋkeŋ ⸢ʃiːpana⸣ri sa⸢nu] (一人っ子だから、我儘し放題させて、三歳になるまで乳離れしない) 7410 0 0 7031 htmvoc_7410.wav シーバフイ ⸢シー⸣バ ⸣フイ  [⸢ʃiː⸣ba ⸣ɸui] 連 巣をくう。巣くう。巣を造る。 カ⸢ジブタラーマ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヌ ヌ⸢キ⸣ナー ⸢シー⸣バ ⸣フイティ ッ⸢ふァ⸣ シ⸢ダ⸣シ ⸣シケー [ka⸢ʤibutaraːma⸣nu ⸢jaː⸣nu nu⸢ki⸣naː ⸢ʃiː⸣ba ⸣ɸuiti f⸢fa⸣ ʃi⸢da⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (燕が家の軒に巣を喰って雛<子>を孵して<孵化させて>おいてある)。⸣シー ス⸢ク⸣ルン[⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ruŋ](巣を作る)ともいう 7363 0 0 7032 htmvoc_7363.wav シーパヤーン ⸢シー⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢ʃiː⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] 連 するのが早い。仕事が速い。やり遂げるのが早い。 ウ⸢レー ティークマー⸣ン ⸣アリ シ⸢グトゥン シーパヤー⸣ンダ ウ⸢リン⸣ タ⸢ナムバ⸣ル マ⸢シ [ʔu⸢reː tiːkumaː⸣ŋ ⸣ʔari⸣ ʃi⸢gutuŋ ʃiː⸣ pa⸢jaː⸣nda ʔu⸢rin⸣ ta⸢namuba⸣ru ma⸢ʃi] (彼は手先が細かく<仕事が細密であり>、仕事をするのも速いから、彼に頼むほうが良い<増しだ>) 7292 0 0 7033 htmvoc_7292.wav シーパルン ⸢シー⸣ パルン [⸢ʃiː⸣ paruŋ] 連 血が流れる。血が出る。「血・走る」の義。 ⸣パルシ ⸢ティー⸣ヌ サ⸢キ ピッ⸣クカー ⸢シー⸣ パルン [⸣paruʃi ⸢tiː⸣nu sḁ⸢ki pik⸣kukaː ⸢ʃiː⸣ paruŋ] (針で指先<手の先>を刺すと血が出る<血が流れる>) 7428 0 0 7034 htmvoc_7428.wav シーバン ⸢シー⸣バン [⸢ʃiː⸣baŋ] 名 巣の番。巣守。鶏卵を全部取らないで、産卵を促すために一個だけ巣に残す卵。 トゥ⸢ルヌコー⸣マー ムー⸢ル⸣ トゥ⸢ラン⸣ドーシ プ⸢スッ⸣コー ⸢シー⸣バン ヌ⸢カ⸣シバ [tu⸢runukoː⸣maː muː⸢ru⸣ tu⸢ran⸣doːʃi pu̥⸢suk⸣koː ⸢ʃiː⸣ban nu⸢ka⸣ʃiba] (鶏卵は全部取らないで、一個は巣の番<巣守>として残せよ) 7364 0 0 7035 htmvoc_7364.wav シーピキマイピキ ⸢シー⸣ピキマイピキ [⸢ʃiː⸣pi̥kimaipi̥ki] 名 前後に供の者を多数従えること。ABCDEFCD型の重言。 ⸣マーッふァバ ⸢シー⸣ピキマイピキ ⸢シェー⸣ティ ⸢オー⸣ル ⸣ムヌ ⸣ミルカー ウ⸢ラーミ⸣サワレー [⸣maːffaba ⸢ʃiː⸣pi̥kimaipi̥ki ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔoː⸣ru ⸣munu ⸣mirukaː ʔu⸢raːmi⸣sawareː] (多数の子孫を前後に従えていらっしゃるのを見ると羨ましいよ) 7293 0 1 7036 htmvoc_7293.wav シーピクン ⸢シー ピクン [⸢ʃiː⸣ pi̥⸢kuŋ] 連 {Mn_1}血を流す。「血・引く」の義。 ク⸢ルビティ シー⸣ ピ⸢クン⸣ケン ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ku⸢rubiti ʃiː⸣ pi̥⸢kuŋ⸣ken ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (転んで血を流すほど体を怪我して<病まして>ある)。 7293 0 2 7037 htmvoc_7293.wav シーピクン ⸢シー ピクン [⸢ʃiː⸣ pi̥⸢kuŋ] 連 {Mn_2}血縁関係にある。血の繋がり<血を引く関係>がある。 ⸢ウン⸣ネートー ⸢シー⸣ ピ⸢キ ブー [⸢ʔun⸣neːtoː ⸢ʃiː⸣ pi̥⸢ki buː] (その家とは血縁関係にある<血を引いている>) 7330 0 0 7038 htmvoc_7330.wav シーピクン ⸢シー⸣ ピ⸢クン [⸢ʃiː⸣ pi̥⸢kuŋ] 連 血を引く。血筋を受け継ぐ。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー⸣ ビ⸢ケーヌ シー⸣ ピ⸢キ⸣ マ⸢レー⸣ティル ア⸢バ⸣レー⸢ツォー [ku⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː bi⸢keːnu ʃiː⸣ pi̥⸢ki⸣ ma⸢reː⸣tiru ⸣ʔaini ʔa⸢ba⸣reː⸢ʦoː] (この女の子は父親の血を引いて生まれているので<ぞ>、あんなに美しいのだよ) 7365 0 0 7039 htmvoc_7365.wav シーピサ ⸢シー⸣ピサ [⸢ʃiː⸣pi̥sa] 名 屋根の後方の斜面。「背平<後ろ平>」の義。⸢マイ⸣ピサ[⸢mai⸣pi̥sa](前平{EOS}前の斜面)の対義語。 ⸢シーピサ⸣ヌ ⸢カー⸣ラー カ⸢ジ⸣ナー トゥ⸢バサリナー⸣ヌ [⸢ʃiːpisa⸣nu ⸢kaː⸣raː ka⸢ʤi⸣naː tu⸢basarinaː⸣nu] (屋根の後方斜面の瓦は台風に飛ばされてしまった)。 ウ⸢ブヤー⸣ヌ ⸢シー⸣ピサー ⸢ナン⸣ゾー ⸣ティダー ア⸢タラヌ [ʔu⸢bujaː⸣nu ⸢ʃiː⸣pi̥saː ⸢nan⸣ʣoː ⸣tidaː ʔa⸢taranu] (母屋の屋根の後ろ側斜面は、あまり太陽が当らない) 7467 0 0 7040 htmvoc_7467.wav ジーピシ ⸢ジー⸣ピシ [⸢ʤiː⸣pi̥ʃi] 名 地搗きすること。胴突きすること。「地へし」の義。家屋建築の際、柱を建てる礎石の地盤を固めるために人力を利用して搗き固める作業のこと。 ⸣ヤー ス⸢ク⸣ロール ⸣ピンマー ⸣ヤッシェーシ ⸢ジー⸣ピシ ⸢ソーッ⸣タ [⸣jaː su̥⸢ku⸣roːru ⸣pimmaː ⸣jaʃʃeːʃi ⸢ʤiː⸣piʃi ⸢soːt⸣ta] (家屋新築<家造り>される時は地突きで突いて地固めをされた)。⸣ヤッシェー[⸣jaʃʃeː](胴突き)参照。 イ⸢シジー⸣ ビ⸢スン⸣ トンマー イ⸢シグー⸣ イ⸢リティ ジー⸣ピシ ⸢シー⸣ カ⸢タミリ⸣バ [ʔi⸢ʃiʤiː⸣ bi⸢sun⸣ tommaː ʔi⸢ʃiguː⸣ ʔi⸢riti ʤiː⸣pi̥ʃi ⸢ʃiː⸣ ka⸢tamiri⸣ba] (礎石を据える所は砂利を入れて地搗きをして固めなさいよ)。⸢ヤッシェー[⸢jaʃʃeː](胴突き{EOS}掛矢)ともいう 7468 0 0 7041 htmvoc_7468.wav ジーピシヤマ ⸢ジーピシ⸣ヤマ [⸢ʤiːpi̥ʃi⸣jama] 名 地搗き櫓。胴突き。地盤を突き固めるために櫓を組んで、その中に丸太を立て、数本の綱をそれに結びつけ、多数の人がそれを引いては落とす仕掛けをしたもの。 ア⸢ラヤー⸣ ス⸢ク⸣ロール ⸣ピンマー ⸢ジーピシ⸣ヤマー ⸣フミティ ムー⸢ル⸣シ ⸣ヤッシェーシ ⸢シッ⸣キティ イ⸢シジ⸣ ビ⸢ソーッ⸣タ [ʔa⸢rajaː⸣ su̥⸢ku⸣roːru ⸣pimmaː ⸢ʤiːpiʃi⸣jama ⸣ɸumiti muː⸢ru⸣ʃi ⸣jaʃʃeːʃi ⸢ʃik⸣kiti ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢soːt⸣ta] (新築家屋を造られる時は地搗き櫓を組んで皆でヤッシェー<胴突き>で搗いて礎石を据えられた) 7469 0 0 7042 htmvoc_7469.wav ジービラ ⸢ジー⸣ビラ [⸢ʤiː⸣bira] 名 (植)野菜の名。ニラ(韮)。全体に強い臭気があり、葉は扁平で柔らかく、幅約8ミリ、長さ約25センチに成長する。魚のお汁に入れて臭みを消すのに用いられる。⸢ソーミンチャン⸣プルー[⸢soːminʧam⸣puruː](素麺の炒めもの)にいれると美味である。 ⸢ジー⸣ビラー ⸢ソー⸣ミンチャンプルーナ イ⸢ル⸣カー カ⸢バッ⸣サン ⸣アリ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢ʤiː⸣biraː ⸢soː⸣minʧampuruːna ʔi⸢ru⸣kaː ka⸢bas⸣saŋ ⸣ʔari ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (ニラ<韮>は素麺炒めに入れると香ばしくもあり、非常においしい) 7429 0 0 7043 htmvoc_7429.wav シーブ ⸢シーブ [⸢ʃiːbu] 名 お歳暮。お中元。歳末や御盆にする贈り物。1960年頃までは自家製の米や漁獲物の燻製品を親戚や姉妹の家に贈っていた。 ク⸢トゥシェー⸣ ガ⸢シタク⸣バ ⸢シーブ オースンティ⸣ ス⸢コーリ ベー [ku̥⸢tuʃeː⸣ ga⸢ʃitaku⸣ba ⸢ʃiːbu ʔoːsunti⸣ su̥⸢koːri beː] (今年は燻製蛸を歳暮に差し上げようと準備している)。 ム⸢カ⸣シェー ム⸢チマイ⸣ ガ⸢シ⸣タク パ⸢リタクン⸣ドーレーバ ウ⸢トゥザン⸣ヤー ⸢シーブ⸣ ム⸢タ⸣ソーッタ [mu⸢ka⸣ʃeː mu⸢ʧimai⸣ ga⸢ʃi⸣taku pa⸢ritakun⸣doːreːba ʔu⸢tuʣaŋ⸣jaː ⸢ʃiːbu⸣ mu⸢ta⸣soːtta] (昔は、もち米、燻製の蛸、日干し張り蛸などを親戚の家にお歳暮として届けら<持たさ>れた) 7406 0 0 7044 htmvoc_7406.wav ジーフカスン ⸣ジー フ⸢カ⸣スン [⸣ʤiː ɸu̥⸢ka⸣suŋ] 連 土地を肥やす。 パ⸢タ⸣キナー ⸢キーヌ⸣パー シ⸢キックミティ⸣ ジー フ⸢カ⸣スンティ ⸢ベー [pḁ⸢ta⸣kinaː ⸢kiːnu⸣paː ʃi̥⸢kikkumiti⸣ ʤiː ɸu̥⸢ka⸣sunti ⸢beː] (畑に木の葉を鋤きこんで土地を肥やそうとしている)。 ⸢ジー⸣ヌ フキ⸢ブンダ ウン⸣マー イッ⸢ケナ ミールン [⸢ʤiː⸣nu ɸu̥ki⸢bunda ʔum⸣maː ʔik⸢kena miːruŋ] (土地が肥えているから芋は非常によく稔る<実入る{EOS}成長する>) 7295 0 0 7045 htmvoc_7295.wav シーフクル ⸢シーフク⸣ル [⸢ʃiːɸu̥ku⸣ru] 名 乳房。「乳袋」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ミー⸣ヤ ッ⸢サーリティ⸣ ブ⸢ネーヌ シーフクル⸣バ サ⸢ドゥレー⸣ティ ⸣シー ⸣ヌムンティ ⸢ベー [ja⸢ra⸣beː ⸢miː⸣ja s⸢saːriti⸣ bu⸢neːnu ʃiːɸu̥kuru⸣ba sa⸢dureː⸣ti ⸣ʃiː ⸣numunti ⸢beː] (乳児<童>は目をつぶって母親の乳房を探りながら乳を飲もうとしている)。 ⸢シーフクル⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケン⸣ ッ⸢ふァ⸣ ナスンツォー [⸢ʃiːɸu̥kuru⸣nu ⸢mai⸣ja pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ f⸢fa⸣ nasunʦoː] (乳房の大きい人は子供を多く産むそうだ) 7369 0 0 7046 htmvoc_7369.wav シープサン ⸢シー⸣ プサン [⸢ʃiː⸣ pu̥saŋ] 連 したい。動詞⸢スン[⸢suŋ](する)の連用形に補助形容詞⸣プサン[⸣pu̥saŋ](~たい<欲しい>)が付いて形成された形。発話者自身の欲する気持ちを表す。 シ⸢グトゥ シー⸣ プサン [ʃi⸢gutu ʃiː⸣ pu̥saŋ] (仕事をしたい) 7471 0 0 7047 htmvoc_7471.wav シープサン ⸢シー⸣プサン [⸢ʃiː⸣pu̥saŋ] 連 したい。動詞⸢スン[⸢suŋ](する)の連用形に、形容詞⸣プサン[⸣pu̥saŋ](~欲しい{EOS}~たい)が下接して形成された連語。 シ⸢グトゥ シー⸣ プサン [ʃi⸢gutu ʃiː⸣ pu̥saŋ] (仕事をしたい)。生理現象を表す場合は、シ⸢バ⸣ル ⸢シッ⸣ツァーン[ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃit⸣ʦaːŋ](小便をしたい<~したさ・あり>)のように融合変化した形を用いる。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ イッ⸢ケン シー⸣プサン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔik⸢keŋ ʃiː⸣pu̥saŋ] (この仕事は非常にやりたい)。 ク⸢レー シー⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢reː ʃiː⸣pu̥saː ⸢naː⸣nu] (これはしたくない) 7472 0 1 7048 htmvoc_7472.wav シーフチ ⸢シーフチ [⸢ʃiːɸu̥ʧi] 名 {Mn_1}仕方。方法。やり方。「仕口」の転訛したもの。 シ⸢グトゥヌ シーフチェー⸣ ユー ⸣ナライティル ⸢スー⸣ダー [ʃi⸢gutunu ʃiːɸu̥ʧeː⸣ juː ⸣naraitiru ⸢suː⸣daː] (仕事の仕方<仕口>はよく習ってするのだよ)。 7472 0 2 7049 htmvoc_7472.wav シーフチ ⸢シーフチ [⸢ʃiːɸu̥ʧi] 名 {Mn_2}し初め。 イ⸢チル⸣ シ⸢タ⸣ユー シ⸢グトゥヌ シーフチェー ピッ⸣チン ッ⸢サンシェン [ʔi⸢ʧiru⸣ ʃi̥⸢ta⸣juː ʃi⸢gutunu ʃiːɸuʧeː pit⸣ʧin s⸢saŋʃeŋ] (何時したのか、仕事にし初めは、ちっとも<ひとつも>知らなかった) 7473 0 0 7050 htmvoc_7473.wav ジーフナイ ⸢ジー⸣フナイ [⸢ʤiː⸣ɸunai] 名 下船して陸に上がってもなお続く船酔い。「地船酔い」の義。 ⸢ジーフナイ⸣バ ⸢シール⸣ ス⸢ブ⸣ロー フ⸢ルマーリ⸣ ナ⸢ラン⸣バン [⸢ʤiːɸunai⸣ba ⸢ʃiːru⸣ su⸢bu⸣roː ɸu⸢rumaːri⸣ na⸢ram⸣baŋ] (陸に上がっても船酔いがして、頭はぐるぐる回って困る<どうにもならない>よ)。 ⸢ジー⸣フナイ ⸢シー⸣ ム⸢ヌパキッツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʤiː⸣ɸunai ⸢ʃiː⸣ mu⸢nupakitʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (地船酔いをして嘔吐しそうでたまらない) 7332 0 0 7051 htmvoc_7332.wav ジーブニ ⸢ジー⸣ブニ [⸢ʤiː⸣buni] 名 「地船」の義。地元八重山で造られた船。 ⸣シザバナリヌ パ⸢ヤーキ⸣ヌ ヤ⸢ドゥル⸣ガンナー ⸣スラズーヌ ⸣アリティ ⸣ウナール ⸢ジー⸣ブネー ⸢パイ⸣ マ⸢ラソーッ⸣タティ⸢ダー [⸣ʃiʣabanarinu pa⸢jaː⸣kinaː ⸣suraʣuːnu ⸣ʔariti ⸣ʔunaːru ⸢ʤiː⸣buneː ⸢pai⸣ ma⸢rasot⸣tati⸢daː] (下離の南の方のヤドゥルガンに造船所、船下ろし所<修羅所>があって、そこで地船は造船<接ぎ産まら>されたそうだよ) 7430 0 0 7052 htmvoc_7430.wav シーブン ⸢シーブン [⸢ʃiːbuŋ] 名 おまけ(御負け)。品物を添えたり、値引きしたりすること。 ク⸢ヌ⸣ マ⸢チヤーヤ⸣ タカー⸢ニン シーブン ソー⸣ルン⸢ダー [ku⸢nu⸣ ma⸢ʧijaːja⸣ tḁkaː⸢niŋ ʃiːbun soː⸣run⸢daː] (この店は沢山おまけをされるよ)。 ⸣クベー ⸢シーブン⸣ ゾー⸢ゾー⸣ ムティ ⸢オー⸣リバ [⸣kubeː ⸢ʃiːbun⸣ ʣoː⸢ʣoː⸣ muti ⸢ʔoː⸣riba] (これだけはおまけです{EOS}さあさあ、持っていらっしゃい) 7371 0 0 7053 htmvoc_7371.wav ジーホー ⸢ジー⸣ホー [⸢ʤiː⸣hoː] 名 屋敷。屋敷の祈願の願文⸢カン⸣フチ ニ⸢ガイ⸣フチ[⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi](神口・願い口)の語。 ⸢トー⸣ヌ ⸢ハッ⸣シン ヤ⸢マトゥ⸣ヌ ク⸢カル⸣ ウ⸢キナー⸣ヌ ⸣サンシカン ⸢ヤイマヌ⸣ カサ ⸢ミートゥクル ウイ⸣シ ⸢オーシェー⸣ル ⸢ジー⸣ホー~ [⸢toː⸣nu ⸢haʃ⸣ʃiŋ ja⸢matu⸣nu ku̥⸢karu⸣ ʔu⸢kinaː⸣nu ⸣saŋʃikaŋ ⸢jaimanu⸣ kasa ⸢miːtukuru ʔui⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ʃeːru ⸢ʤiː⸣hoː~] (唐の八神、大和の九家老、沖縄の三司官、八重山の頭三方<所>に差し上げました屋敷<地方>~) 7374 0 0 7054 htmvoc_7374.wav シーマーキ ⸢シーマーキ [⸢ʃiːmaːki] 連 ~し兼ねて。することが出来ない。動詞の連用形ついて⸢~できない」状態を表す。 ⸢タンガ⸣シ ⸢シーマーキ ベー [⸢taŋga⸣ʃi ⸢ʃiːmaːki beː] (一人でしかね<為兼ね>ている)。 ⸢ジー⸣ カ⸢キマー⸣キ ⸢ベー [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kimaː⸣ki ⸢beː] (字を書きかねて<書くことが出来ないで>いる) 7474 0 0 7055 htmvoc_7474.wav ジーマイ ⸢ジー⸣マイ [⸢ʤiː⸣mai] 名 (植)おかぼ。陸稲。「地米」の義。 ⸢ジーマイ⸣ヤー パ⸢トゥ⸣マプソー ス⸢ク⸣ローランシェン [⸢ʤiːmai⸣jaː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː su̥⸢ku⸣roːraŋʃeŋ] (陸稲は、鳩間島の人は作付けされ<作られ>なかった)。 ⸢ジーマイ⸣ヤ ス⸢クラン⸣シェン [⸢ʤiːmai⸣ja su̥⸢kuraŋ⸣ʃeŋ] (陸稲は栽培しなかった<作らなかった>) 8273 0 0 7056 htmvoc_8273.wav シーマザーリシバル ⸢シーマザーリ⸣ シ⸢バ⸣ル [⸢ʃiːmaʣaːri⸣ ʃi⸢ba⸣ru] 連 潜血尿(occult blood in urine)。⸢血の混じった小便」の義。 ⸢シーマザーリ⸣ シ⸢バル⸣ヌ ン⸢ジル⸣ヌ ⸣ヌーカヤー [⸢ʃiːmaʣaːri⸣ ʃi⸢baru⸣nu ʔn⸢ʤiru⸣nu ⸣nuːkajaː] (潜血尿が出るけれど何だろうか)。シ⸢バ⸣ルナ ⸣イル ⸣シキ ⸢ベー[ʃi⸢ba⸣runaː ⸣ʔiru ⸣ʃiki ⸢beː](尿に色がついている{EOS}着色尿{EOS}colored urine)『医学沖縄語辞典』 7382 0 0 7057 htmvoc_7382.wav ジーマシ ⸢ジーマ⸣シ [⸢ʤiːma⸣ʃi] 名 土地財産。田や畑等の財産。 ジ⸢ナン サンナン⸣マー ⸢ジーマシ⸣ヌ バ⸢キ⸣ダマー ⸢ナー⸣ヌ [ʤi⸢nan sannam⸣maː ⸢ʤiːmaʃi⸣nu ba⸢ki⸣damaː ⸢naː⸣nu] (次男三男は土地財産の分与が無い) 7475 0 0 7058 htmvoc_7475.wav ジーマシ ⸢ジー⸣マシ [⸢ʤiː⸣maʃi] 名 土地。財産。地所。「じます(地枡)」の義か。 ⸢ジーマシ⸣ヌ ⸣カナイ ⸢オー⸣ル ⸣ヤー ヤ⸢ルンダ⸣ ユ⸢チ⸣クニ ン⸢キ オー⸣ルン [⸢ʤiːmaʃi⸣nu ⸣kanai ⸢ʔoː⸣ru ⸣jaː ja⸢runda⸣ ju⸢ʧi⸣kunu ʔŋ⸢ki ʔoː⸣ruŋ] (土地財産が十分にあられる<叶っておられる>家だから、食べ物も豊かに召し上がっておられる)。 ⸣ウヤパープジヌ ⸢ジー⸣マシェー ⸢カーサヌ [⸣ʔujapaːpuʤinu ⸢ʤiː⸣maʃeː ⸢kaːsanu] (先祖伝来の土地財産は売らない) 7476 0 0 7059 htmvoc_7476.wav シーマチガイ ⸢シーマチガイ [⸢ʃiːmaʧigai] 名 しまちがい。し誤り。失敗。 ⸢シーマチガイヤー⸣ ター⸢ン⸣ナーン ア⸢リ⸣ル ⸣ブーバ ⸢ソーヤ サン⸣タンティン ⸣ミサンヨー [⸢ʃiːmaʧigaijaː⸣ taː⸢n⸣naːŋ ʔa⸢ri⸣ru ⸣buːba ⸢soːja san⸣tantim ⸣misaŋ] (し間違いは誰にでもあることだから、心配はしなくてもよい)。 ⸢サン⸣ミン ⸢シーマチガイバ シー ザー⸣パイ ⸢シーナー⸣ヌ [⸢sam⸣miŋ ⸢ʃiːmaʧigaiba ʃiː ʣaː⸣pai ⸢ʃiːnaː⸣nu] (計算のし間違い<計算ミス>をしてしまって、始末に負えなくなって<めちゃくちゃになって>しまった) 8669 0 0 7060 htmvoc_8669.wav ジーママ ⸢ジーママ [⸢ʤiːmama] 名 じまま(自儘)。わがまま(我儘)。きまま(気儘)。やりたい放題。標準語からの借用語か。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢カッティ ジーママ シー⸣ ケー プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムネー ⸣ミンナー イ⸢リラヌ [⸢duː⸣nu ⸢katti ʤiːmama ʃiː⸣ keː pu̥⸢su⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢sunu⸣ muneː ⸣minnaː ʔi⸢riranu] (自分の勝手で自儘にしてきた人だから、他人の言葉<忠告>は聞かない<耳に入れない>) 7477 0 0 7061 htmvoc_7477.wav ジーマミ ⸢ジー⸣マミ [⸢ʤiː⸣mami] 名 落花生。南京豆。「地豆(地中に出来るまめ)」の義。ピーナツ。地下で繭形のきょうか<莢果>をむすぶ。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ジー⸣マミン ス⸢ク⸣ローッタン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʤiː⸣mamiːn su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (鳩間島には落花生も作られた)。成熟した落花生を天日で干し、乾燥させる。十分に乾燥した落花生の殻を除去し、実を炒って食する。酒の摘みとして好まれる。また、落花生を石臼で挽き、⸢ジーマミドー⸣フ[⸢ʣiːmamidoː⸣ɸu](落花生豆腐)を造る。 ⸢ジー⸣マミ ⸢ダイ⸣パーナ ⸣ッシティ ⸢ジーマミドー⸣フ ス⸢ク⸣リバ [⸢ʤiː⸣mami ⸢dai⸣paːna ⸣ʃʃiti ⸢ʤiː⸣mamidoː⸣ɸu su̥⸢ku⸣riba] (落花生をすり鉢に擂って落花生豆腐を作りなさいよ)。 ⸢ジー⸣マミ イ⸢ラ⸣キティ ⸢サー⸣フキ ス⸢コーリ [⸢ʤiː⸣mami ʔi⸢ra⸣kiti ⸢saː⸣ɸu̥ki su̥⸢koːri] (落花生を炒って茶請けを作りなさい) 7376 0 0 7062 htmvoc_7376.wav ジーマミトーフ ⸢ジーマミトー⸣フ [⸢ʤiːmamitoː⸣ɸu] 名 落花生の豆腐。落花生を擂り潰して作った豆腐。 ⸢ジーマミトー⸣ホー ム⸢チームチー⸣シテ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢ʤiːmamitoː⸣hoː mu⸢ʧiːmuʧiː⸣ʃi̥ti ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (落花生の豆腐はねっとりして非常に美味しい) 7837 0 0 7063 htmvoc_7837.wav ジーマミドーフ ⸢ジーマミドー⸣フ [⸢ʤiːmamidoː⸣ɸu] 名 落花生豆腐。落花生で造った豆腐。 ⸢ジーマミドー⸣ホー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢ʤiːmamidoː⸣hoː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (落花生豆腐は非常に美味しい) 8433 0 0 7064 htmvoc_8433.wav ジーマン ⸢ジーマン [⸢ʤiːmaŋ] 名 自慢。うぬぼれる(自惚れる)こと。フ⸢チガール[ɸu̥⸢ʧigaːru](自慢すること{EOS}自惚れること{EOS}自負すること{EOS}思いあがること{EOS}威張ること)ともいう。 ⸣アブジェー ム⸢カシ⸣ヌ ク⸢トゥバ⸣ル ⸢チャー ジーマン ソー⸣ル [⸣ʔabuʤeː mu⸢kaʃi⸣nu ku̥⸢tuba⸣ru ⸢ʧaː ʤiːman soː⸣ru] (お祖父さんは昔のことをいつも自慢される)。 ⸢ドゥー⸣ヌ クトゥカー⸢ニ ジーマン サンブリ⸣バ [⸢duː⸣nu ku̥tukaː⸢ni ʤiːman samburi⸣ba] (自分のことばかり自慢するなよ<自慢しないでおれよ>) 8434 0 0 7065 htmvoc_8434.wav ジーマンサー ⸢ジーマンサー [⸢ʤiːmansaː] 名 自惚れる人。自惚れや。よく自慢する人。フ⸢チガール[ɸu̥⸢ʧigaːru](自慢すること)ともいう。 ⸢ウンザー ⸢サッ⸣コー ジ⸢マンサー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ドゥ⸢シピライ シーユーサヌ [⸢ʔunʣaː sak⸣koː ʤi⸢mansaː⸣ ja⸢runda⸣ du⸢ʃipirai ʃiːjuːsanu] (そいつは非常に自惚れる人だから、友人付き合いも出来ない) 7377 0 0 7066 htmvoc_7377.wav シーミーサー ⸣シーミーサー [⸣ʃiːmiːsaː] 名 清明茶。中国茶の一つ。主に台湾から輸入されていた。 ⸣シーミーサーヤ カ⸢バッ⸣サンダ ウ⸢リバ⸣ シジティ ⸣ユー ヌ⸢モーッ⸣タン [⸣ʃiːmiːsaːja ka⸢bas⸣sanda ʔu⸢riba⸣ ʃiʤiti ⸣juː nu⸢moːt⸣taŋ] (清明茶は香ばしいから、それを煎じてよく飲まれたものだ) 7480 0 0 7067 htmvoc_7480.wav シーミチ ⸢シーミチ [⸢ʃiːmiʧi] 名 仕方。方法。しよう。「しみち(為道)」の転訛したもの。 ア⸢キナイ⸣ヌ ⸢シーミチェー⸣ ッ⸢サムティ⸣ ウ⸢ブアキナイバ シー⸣ ウ⸢ル⸣キ ⸢ベー [ʔa⸢kinai⸣nu ⸢ʃiːmiʧeː⸣ s⸢samuti⸣ ʔu⸢buʔakinaiba ʃiː⸣ ʔu⸢ru⸣ki ⸢beː] (商売の仕方を知らないで、大きな商売をして欠損している) 7481 0 0 7068 htmvoc_7481.wav シーミルン ⸢シー⸣ミルン [⸢ʃiː⸣miruŋ] 自動 やってみる。してみる。試みる。試してみる。 ⸢バン⸣ヌン ⸢シー⸣ミルン [⸢ban⸣nuŋ ⸢ʃiː⸣miruŋ] (私もやってみる)。 ク⸢レー⸣ マ⸢ダ シーミラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ma⸢da ʃiːmira⸣nu] (これは、まだしたことが無い<してみない>)。 ノー⸢ン シー⸣ミル ⸣クトゥ [noː⸢ŋ ʃiː⸣miru ⸣ku̥tu] (何でもやってみることだ)。 ⸢ワンヌン シー⸣ミレー ⸣ミサムヌ [⸢wannuŋ ʃiː⸣mireː ⸣misamunu] (君もやってみたら良いのに)。 ヤー⸢ディン シー⸣ミリバ [jaː⸢diŋ ʃiː⸣miriba] (必ずやってみなさいよ)。 ⸢ワンヌン シー⸠ミー [⸢wannuŋ ʃiː⸠miː] (君もしてみろよ) 7380 0 0 7069 htmvoc_7380.wav シームヌ ⸢シームヌ [⸢ʃiːmunu] 名 吸い物。すまし汁に、⸢ソー⸣ミン[⸢soː⸣miŋ](素麺)、カ⸢マブク[ka⸢mabuku](蒲鉾)を賽の目に切ったもの、シ⸢ビラ[ʃi⸢bira](韮)等を入れた汁。 カ⸢マブクヌ シームヌ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [ka⸢mabukunu ʃiːmunu⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (蒲鉾の吸い物を出しなさい)。祝儀や法事などには、イ⸢チバンシー⸣ムヌ[ʔi⸢ʧibaŋʃiː⸣munu](一番吸い物)、⸢ニーバンシー⸣ムヌ[⸢niːbaŋʃiː⸣munu](二番吸い物)などと作った。 ナ⸢カミ⸣ヌ ⸢シームヌ⸣ ッ⸢ふァイミッ⸣タヌ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [na⸢kami⸣nu ⸢ʃiːmunu⸣ f⸢faimitta⸣nu ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (豚の中身<臓物>の吸い物を食べたことがあるが美味しかった)。 ⸢ユーチングヌ シームノー⸣ ス⸢コーリティ⸣ ウ⸢ヤプスン⸣マイ マ⸢チ⸣バ [⸢juːʧiŋgunu ʃiːmunoː⸣ su̥⸢koːriti⸣ ʔu⸢japusum⸣mai ma⸢ʧi⸣ba] (四つ組の吸い物をこしらえて仏前に供えなさいよ) 7478 0 0 7070 htmvoc_7478.wav シームヌ ⸢シー⸣ムヌ [⸢ʃiː⸣munu] 名 酸っぱいもの。酸味のあるもの。 イ⸢ズナマシ⸣ナーン イ⸢ガナマシ⸣ナーン ⸢クーストゥ シー⸣ムヌ カ⸢ケーシバ⸣ル ン⸢マー [ʔi⸢ʣunamaʃi⸣naːŋ ʔi⸢ganamaʃi⸣naːŋ ⸢kuːsutu ʃiː⸣munu kḁ⸢keːʃiba⸣ru ʔm⸢maː] (魚刺身にも烏賊刺身にも唐辛子と酸っぱいもの<九年母>を混ぜ合わせたほうが美味しい) 7479 0 0 7071 htmvoc_7479.wav シームヌ ⸢シームヌ [⸢ʃiːmunu] 名 すいもの(吸物)。野菜や魚肉などを入れた澄まし汁。神事や祝儀、法事の際に供されるお汁。 カ⸢マブクトゥ アーサ⸣ヌ ⸢シームヌ⸣ ン⸢コー⸣リバ [ka⸢mabukutu ʔaːsa⸣nu ⸢ʃiːmunu⸣ ʔŋ⸢koː⸣riba] (蒲鉾とアーサの吸い物を召し上がれ) 7432 0 0 7072 htmvoc_7432.wav シームヌバン ⸢シームヌバン [⸢ʃiːmunubaŋ] 名 吸い物椀。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢シームヌバントゥ ソッコー⸣ヌ ⸢シームヌバンマー⸣ イロー ⸢カウリス [⸢joi⸣nu ⸢ʃiːmunubantu sokkoː⸣nu ⸢ʃiːmunubammaː⸣ ʔiroː ⸢kaurisu] (お祝いの吸い物椀と法事<焼香>の吸い物椀は、色が違う<色は変わる>)。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢シームノー シームヌバン⸣ナー イ⸢リティ⸣ ン⸢ザ⸣シ [⸢joi⸣nu ⸢ʃiːmunoː ʃiːmunuban⸣naː ʔi⸢riti⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (お祝いの吸い物は、吸い物椀に入れて出しなさい) 7482 0 0 7073 htmvoc_7482.wav シームヌバン ⸢シームヌバン [⸢ʃiːmunubaŋ] 名 吸い物椀。 キ⸢ザルキザル⸣ナ シゥ⸢カウ シームヌバンマー⸣ ス⸢ロー⸣シ シ⸢キ⸣リ [ki⸢ʣarukiʣaru⸣na si̥⸢kau ʃiːmunubammaː⸣ su⸢roː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (行事行事に使う吸い物椀は揃えておきなさい) 7298 0 0 7074 htmvoc_7298.wav シームラシ ⸢シームラシ [⸢ʃiːmuraʃi] 名 血の固まり。血の凝固したもの。 ⸣ニーブターアシブバ バ⸢ルタール⸣ クビブカラヌ ⸢シームラシヌ⸣ ンジキーティル ベーシ⸢ティ⸣ ウ⸢バイベー⸣タ⸢ツォー [⸣niːbutaːʔaʃibuba ba⸢rutaːru⸣ kubibukaranu ⸢ʃiːmuraʃinu⸣ ʔnʤikiːtiru beːʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢baibeː⸣ta⸢ʦoː] (ねぶと<根太>を切開<割った>したらば、これくらいの血の固まりが出てたので非常にびっくりして<驚いて>いたよ) 7383 0 0 7075 htmvoc_7383.wav ジームラシ ⸢ジームラ⸣シ [⸢ʤiːmura⸣ʃi] 名 つちくれ(土塊)。開墾して大きく掘り返した土塊。 ⸢ジームラシ⸣バ カ⸢ナパイヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルシ バ⸢リ カイ⸣スンティ ⸢ベー⸠ダー [⸢ʤiːmuraʃi⸣ba ka⸢napai⸣nu⸣ su⸢bu⸣ruʃi ba⸢ri kai⸣sunti ⸢beː⸠daː] (土塊を鍬の頭で割って耕そうとしているところだよ) 7483 0 0 7076 htmvoc_7483.wav シーメーユクン ⸢シー⸣メーユクン [⸢ʃiː⸣meːjukuŋ] 名 鉤のない鋭利な銛。銛の先端に返し鉤のないもの。魚を突いて漁獲する漁具。鳩間島の漁師が素潜り漁をする際には、この⸢シー⸣メーユクン[⸢ʃiː⸣meːjukuŋ](鉤のない銛)と⸣ガルユクン[⸣garujukuŋ](先端に鉤のある銛)を持参し、使い分けて漁をした。 ⸢シー⸣メーユクンシ イ⸢ラブ⸣チ シ⸢キ⸣バ [⸢ʃiː⸣meːjukuŋʃi ʔi⸢rabu⸣ʧi ʃi̥⸢ki⸣ba] (鉤のない銛でブダイを突きなさいよ) 7384 0 0 7077 htmvoc_7384.wav シーヤッサン ⸢シーヤッ⸣サン [⸢ʃiːjas⸣saŋ] 連 いやすい(為易い)。⸢スン[⸢suŋ](する)の連用形に補助形容詞⸢ヤッ⸣サン[⸢jas⸣saŋ](~し易い)が下接した形。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー シーヤッサン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː ʃiːjas⸣saŋ] (この仕事はし易い) 7299 0 0 7078 htmvoc_7299.wav シーヤビプス ⸢シーヤビ⸣プス [⸢ʃiːjabi⸣pu̥su] 名 ハンセン病患者。「血やぶれ人」の義。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢シーヤビ⸣プソー ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʃiːjabi⸣pu̥soː bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島にはハンセン病患者はいなかった) 7415 0 0 7079 htmvoc_7415.wav シーヤン ⸢シー⸣ヤン [⸢ʃiː⸣jaŋ] 形 酸い。酸っぱい。⸢シー⸣ルン[⸢ʃiː⸣ruŋ](饐える)から派生した語か。「酢、スユル」『色葉字類抄』の転訛したもの。 ク⸢ヌ パイロー シーヤ⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ku⸢nu pairoː ʃiːja⸣nu nu⸢mara⸣nu] (この酢は酸っぱくて飲まれない)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢シーヤナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢ʃiːjanaː⸣nu] (それほど酸っぱくない)。 ⸢シンダイ シー⸣ヤ ⸣ナルン [⸢ʃindai ʃiː⸣ja ⸣naruŋ] (次第に酸っぱくなる)。 フ⸢ナ⸣ボー ⸢シー⸣ヤンティ ア⸢ズヌ シー⸣ヤムノー ⸢カーサラヌ [ɸu⸢na⸣boː ⸢ʃiː⸣janti ʔa⸢ʣunu ʃiː⸣jamunoː ⸢kaːsaranu] (九年母<シークヮーサー>は酸っぱいというが、酸っぱいものは売れない)。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ナ⸣ボー イッ⸢ケン シー⸣ヤン [ku⸢nu⸣ ɸu⸢na⸣boː ʔik⸢keŋ ʃiː⸣jaŋ] (この九年母は非常に酸っぱい)。 ⸢ウー⸣ムカー ⸢シーヤーナー⸣ヌ [⸢ʔuː⸣mukaː ⸢ʃiːjaːnaː⸣nu] (熟れたら酸っぱくない)。 ⸣ドゥク ⸢シーヤ⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸣duku ⸢ʃiːja⸣nu nu⸢mara⸣nu] (あまりにも酸っぱくて飲めない)。 ⸢シー⸣ヤ ⸣ムノー シ⸢ティリ [⸢ʃiː⸣ja ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (酸っぱいものは捨てなさい)。 ⸢シー⸣ヤカー ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸢ʃiː⸣jakaː nu⸢mara⸣nu] (酸っぱかったら飲めない) 7385 0 0 7080 htmvoc_7385.wav シーヨー ⸢シー⸣ヨー [⸢ʃiː⸣joː] 名 仕方。要領。仕様。しぐさ(仕種)。 ⸢シーヨー⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカー イ⸢ザリン⸣ダー [⸢ʃiːjoː⸣nu ⸢was⸣sakaː ʔi⸢ʣarin⸣daː] (仕方が悪かったら叱られるよ)。 ⸢トー⸣フ マ⸢ラシェー シーヨー⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー カ⸢タマラヌ [⸢toː⸣ɸu ma⸢raʃeː ʃiːjoː⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː kḁ⸢tamaranu] (豆腐作りは要領がないと固まらない)。 ⸢シーヨーヌ⸣ ア⸢リ⸣ル ⸣ムノー ⸢スー⸣ ヌーッツァ ム⸢ヌ⸣ヤー ク⸢レー [⸢ʃiːjoːnu⸣ ʔa⸢ri⸣ru ⸣munoː ⸢suː⸣ nuːtʦa mu⸢nu⸣jaː ku⸢reː] (やり方があって物事はするのであって、何たることかこれは)。 ノー⸢ン⸣ナーン ⸢シーヨーヤー⸣ ア⸢リ⸣ブー グ⸢チ⸣ホーニ ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [noː⸢n⸣naːŋ ⸢ʃiːjoːjaː⸣ ʔa⸢ri⸣buː gu⸢ʧi⸣hoːni ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (何においても仕方やり方はあるものだ{EOS}無鉄砲にしてはならない) 7386 0 0 7081 htmvoc_7386.wav ジーヨー ⸢ジー⸣ヨー [⸢ʤiː⸣joː] 名 甍を作るときに、甍に差し込む横木のこと 8525 0 0 7082 htmvoc_8525.wav ジーヨー ⸢ジー⸣ヨー [⸢ʤiː⸣joː] 名 前方へ張る⸢ティン⸣ナー[⸢tin⸣naː](手縄)。{フ⸢クル⸣プー[ɸu̥⸢kuru⸣puː](袋帆{EOS}和船の帆)の中間に一本と、更に下の⸢プーギタ[⸢puːgita](帆桁{EOS}その左半分を⸣カタ{SqBr}⸣kata{/SqBr}<肩>という)との中間部に一本張る⸢ティン⸣ナー[⸢tin⸣naː](手縄)} 7486 0 0 7083 htmvoc_7486.wav シーヨーシザマ ⸢シーヨーシザマ [⸢ʃiːjoːʃiʣama] 名 仕様しざま。やり方や心がけ。要領や態度。 シ⸢グトゥヌ シーヨーシザマ⸣シル プ⸢スヌ⸣ タケー シ⸢ムラリ⸣ダー [ʃi⸢gutunu ʃiːjoːʃiʣama⸣ʃiru pu̥⸢sunu⸣ tḁkeː ʃi⸢murari⸣daː] (仕事をこなす要領や態度でもってその人のレベルが推し量られる<見積もられる>) 7487 0 0 7084 htmvoc_7487.wav シーヨームイヨー ⸢シーヨームイ⸣ヨー [⸢ʃiːjoːmui⸣joː] 名 仕方、模様。仕様、様子。方法。やり方。「仕様模様」の義。ABCDEFCD型の重言。 シ⸢グトゥヌ シーヨームイ⸣ヨー ⸣ミルカー ドゥッ⸢トゥ⸣ ピ⸢ルマサ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣ツォー [ʃi⸢gutunu ʃiːjoːmui⸣joː ⸣mirukaː dut⸢tu⸣ pi⸢rumasa⸣nu na⸢ran⸣ʦoː] (仕事のやり方、仕様模様をみると、とっても珍しくてたまらないんだよ) 7433 0 0 7085 htmvoc_7433.wav シーラ ⸢シー⸣ラ [⸢ʃiː⸣ra] 名 (動)魚の名。和名、ミナミキビナゴ(体長約6センチ)。バ⸢カザ⸣コー[ba⸢kaʣa⸣koː]ともいう。カツオ漁船の撒餌として漁獲された。ム⸢ジ⸣アン[mu⸢ʤi⸣aŋ](網目の細い網<約1、5ミリ四方の網目>)で掬い取って漁船のイ⸢キ⸣マ[ʔi⸢ki⸣ma](生け間{EOS}生簀)に生けてカツオを釣る際に撒餌にした。中級の撒餌といわれていた。 ⸢シー⸣ラーラー バ⸢カザコーン⸣ドゥ マ⸢シ ヤッタ⸣ナー カ⸢ツォー シー⸣ラナー ⸢ナン⸣ゾー シ⸢キラン⸣シェン [⸢ʃiː⸣raraː ba⸢kaʣakoːn⸣du ma⸢ʃi jatta⸣naː kḁ⸢ʦoː ʃiː⸣ranaː ⸢nan⸣ʣoː ʃi̥⸢kiraŋ⸣ʃeŋ] (シーラよりもバカザコーのほうがよか<増しだ>った{EOS}シーラにはカツオはあまり喰い付かなかった<付かなかった>) 7434 0 0 7086 htmvoc_7434.wav シーラ ⸢シー⸣ラ [⸢ʃiː⸣ra] 名 冷え込みから生じる病気。女性の冷え性。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤサーリ ⸢ターシグ⸣トゥ ⸢スー⸣カー ⸢シー⸣ラ ク⸢マ⸣ルン⸢ダー [mi⸢dumu⸣nu ⸢piː⸣jasaːri ⸢taːʃigu⸣tu ⸢suː⸣kaː ⸢ʃiː⸣ra ku⸢ma⸣run⸢daː] (女が寒い中で田圃仕事をすると寒気の毒気が体内にこもるよ)。 ⸢ピー⸣ヤサーリ ミ⸢ジシグトゥ スー⸣カー ⸢シー⸣ラ ク⸢マ⸣ルン⸢ダー [⸢piː⸣jasaːri mi⸢ʤiʃigutu suː⸣kaː ⸢ʃiː⸣ra ku⸢ma⸣run⸢daː] (寒い中で水仕事をすると冷え込みからくる病気になるよ<冷えが体にこもるよ>) 7392 0 0 7087 htmvoc_7392.wav シーラクマルン ⸢シー⸣ラ ク⸢マ⸣ルン [⸢ʃiː⸣ra ku⸢ma⸣ruŋ] 連 寒気の毒気が体内にこもって病気になる。 ⸣アミン ⸢ゾッふァーレー⸣ティ シ⸢グトゥ スー⸣カー ⸢シー⸣ラ ク⸢マ⸣ルン⸢ダー ダンダン⸣シ ⸢キン⸣マー ⸢カイキシティ⸣ ヌクー⸢ヌクー⸣シ ⸢ヌフタマ⸣リ [⸣ʔamin ⸢ʣoffaːreː⸣ti ʃi⸢gutu suː⸣kaː ⸢ʃiː⸣ra ku⸢ma⸣run⸢daː dandaŋ⸣ʃi ⸢kim⸣maː ⸢kaiki̥ʃiti⸣ nukuː⸢nukuː⸣ʃi ⸢nuɸu̥tama⸣ri] (雨に濡れて仕事をすると寒気の毒気が体内にこもるぞ{EOS}さっさと着物は着替えて、ぬくぬくと体を温めなさい<温まれ>) 7397 0 0 7088 htmvoc_7397.wav シーラスン ⸢シーラ⸣スン [⸢ʃiːra⸣suŋ] 他動 饐えさせる。⸢シー⸣ルン[⸢ʃiː⸣ruŋ](饐える)の未然形に使役の助動詞⸢スン[⸢suŋ](する)が下接して形成された使役動詞。 ⸣アツァン ⸣トンナ シ⸢キ⸣ルカー ⸣イー ⸢シーラ⸣スン⸢ダー [⸣ʔaʦan ⸣tonna ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣ʔiː ⸢ʃiːra⸣sun⸢daː] (暑い所に置くと御飯を饐えさせるよ) 7393 0 0 7089 htmvoc_7393.wav シーラッサーク ⸢シー⸣ラッサーク [⸢ʃiː⸣rassaːku] 名 冷え込みがもとで発症する激しい咳の病気。「気管支炎の慢性炎症で、気管支粘膜からの分泌物が多く見られる病気。痰が長らくよく出る状態」『医学沖縄語辞典』。 ⸢シー⸣ラッサーク カ⸢カ⸣ルカー ユ⸢ビッサークバ シー⸣ ナ⸢ガムティ スン⸠ダー [⸢ʃiː⸣rassaːku kḁ⸢ka⸣rukaː ju⸢bissaːkuba ʃiː⸣ na⸢gamuti sun⸠daː] (冷え込みによる慢性気管支炎に罹ると吸い込むような咳<喘息>をして長引くよ) 7488 0 0 7090 htmvoc_7488.wav シーリイー ⸢シーリ⸣イー [⸢ʃiːri⸣ʔiː] 名 饐えたご飯。「饐え飯」の義。 ⸢シーリイー⸣バ プ⸢スン⸣ ッ⸢ふァースナ [⸢ʃiːriʔiː⸣ba pu̥⸢sun⸣ f⸢faːsuna] (饐えたご飯を他人に食わせるな) 7489 0 0 7091 htmvoc_7489.wav シーリウン ⸢シーリ⸣ウン [⸢ʃiːri⸣ʔuŋ] 名 饐えた煮芋。 ⸢シーリウン⸣マー ⸣タリ ア⸢ツァ⸣シティ ⸢オー⸣ヌイー ⸢シー⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢ʃiːriʔum⸣maː ⸣tari ʔa⸢ʦa⸣ʃi̥ti ⸢ʔoː⸣nuʔiː ⸢ʃiː⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (饐えた煮芋は溶かし温めて豚の飯<飼料>にして食わせなさい) 7490 0 0 7092 htmvoc_7490.wav シーリカザ ⸢シーリ⸣カザ [⸢ʃiːri⸣kaʣa] 名 饐えた臭い。 ⸢イー⸣ヤ ⸢シーリ⸣カザ ⸢シーブバ⸣ ッ⸢ふァースナ⸣ヨー [⸢ʔiː⸣ja ⸢ʃiːri⸣kaʣaː ⸢ʃiːbuba⸣ f⸢faːsuna⸣joː] (ご飯は饐えた臭いがしているので食べさせるなよ) 7491 0 0 7093 htmvoc_7491.wav シールン ⸢シー⸣ルン [⸢ʃiː⸣ruŋ] 自動 饐える。食物が腐敗して酸っぱくなる。「酢、スユル」『色葉字類抄』の転訛したもの。 ナ⸢チェー イー⸣ヤ ⸢シー⸣ルン [na⸢ʧeː ʔiː⸣ja ⸢ʃiː⸣ruŋ] (夏は、ご飯は饐える)。 ⸢シーリヤッ⸣サン [⸢ʃiːrijas⸣saŋ] (饐えやすい)。 ⸣ナビナー イ⸢リスク⸣バン ⸢シーラ⸣ヌ [⸣nabinaː ʔi⸢risu̥ku⸣baŋ ⸢ʃiːra⸣nu] (鍋に入れておいても饐えない)。 ⸢シー⸣ル ⸣ムノー ⸢シーレー ⸣ミサムヌ [⸢ʃiː⸣ru ⸣munoː ⸢ʃiː⸣reː ⸣misamunu] (饐えるものは饐えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢シー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢ʃiː⸣ri] (早く饐えろ)。 ⸣アツァンダ ⸢イー⸣ヤ ⸢シーリ ヤッ⸣サン⸢ダー [⸣ʔaʦanda ⸢ʔiː⸣ja ⸢ʃiːri jas⸣san⸢daː] (暑いからご飯は饐えやすいよ)。 ⸢シー⸣ルンティ シ⸢タヌ ティー⸣グナ イ⸢リ⸣ スクカー ⸢シーラ⸣ヌ [⸢ʃiː⸣runti ʃi̥⸢tanu tiː⸣guna ʔi⸢ri⸣ su̥kukaː ⸢ʃiːra⸣nu] (饐えるといったが、吊るし篭にいれておいたら饐えないよ)。 ⸢シー⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ [⸢ʃiː⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (饐えるものは捨てなさい)。 ムー⸢ル シー⸣レー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru ʃiː⸣reː ⸣misamunu] (みんな饐えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢シー⸣リバヒャー [⸢paː⸣ku⸢ʃiː⸣ribaçaː] (早く饐えろヒャー) 7492 0 0 7094 htmvoc_7492.wav シールン ⸢シー⸣ルン [⸢ʃiː⸣ruŋ] 自動 ぐずつく。ぐずる。駄駄を捏ねる。 ⸢ユードゥー⸣シ ニ⸢ビン サムティ シー⸣リ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸣ヌーカヤー ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー [⸢juːduː⸣ʃi ni⸢bin samuti ⸢ʃiː⸣ri ⸢beː⸣ndu ⸣nuːkajaː ku⸢nu⸣ f⸢faː] (夜通し眠りもしないで、ぐずっているが何だろうか、この子は)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢シー⸣ルン⸢ダー [ja⸢ra⸣beː ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢ʃiː⸣run⸢daː] (子供は熱があると愚図るよ)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ユ⸢ナ⸣カ ⸢シー⸣ル ⸣プソー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu ju⸢na⸣ka ⸢ʃiː⸣ru ⸣pu̥soː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢daː] (子供が夜中に愚図るときは気を付けなさいよ) 7493 0 0 7095 htmvoc_7493.wav シーワザ ⸢シーワザ [⸢ʃiːwaʣa] 名 仕業。所業。標準語からの借用語が転訛したもの。卑しめた言い方。 ク⸢レー⸣ タンザヌ ⸢シーワザ⸣ヤー [ku⸢reː⸣ tanʣanu ⸢ʃiːwaʣa⸣jaː] (これはどやつ<何奴>の仕業か)。 ク⸢レー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢シーワザティン⸣ ウ⸢モーラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ja⸢rabi⸣nu ⸢ʃiːwaʣatiŋ⸣ ʔu⸢moːra⸣nu] (これは子供の仕業とも思われない)。 ク⸢レー ター シーワザ⸣ヤ [ku⸢reː taː ʃiːwaʣa⸣ja] (これは<一体全体>誰の仕業か)。 ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣シケーヌ ⸣タンザヌ ⸢シーワザ⸣ヤー [⸣kaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːnu ⸣tanʣanu ⸢ʃiːwaʣa⸣jaː] (こんな事を為出かしてあるが、どいつの仕業か) 7237 0 0 7096 htmvoc_7237.wav シアガルン シ⸢アガルン [ʃi⸢agaruŋ] 自動 仕上がる。完成する。出来上がる。 ア⸢ツァバー⸣キナ シ⸢グトー⸣ シ⸢アガルン⸣カヤー [ʔa⸢ʦabaː⸣kina ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢agaruŋ⸣kajaː] (明日までに仕事は仕上がるかなあ) 7235 0 0 7097 htmvoc_7235.wav シアギルン シ⸢アギルン [ʃi⸢agiruŋ] 他動 仕上げる。完成する。しおえる。 シ⸢グトー⸣ キューズーナ シ⸢アギルン⸣テー ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢アギララン⸣パジ [ʃi⸢gutoː⸣ kjuːʣuːna ʃi⸢agirun⸣teː⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʃi⸢agiraram⸣paʤi] (仕事は今日中に仕上げようとは思うが、仕上げられないだろう<はず>) 7236 0 0 7098 htmvoc_7236.wav シアグン シ⸢アグン [ʃi⸢aguŋ] 他動 仕上げる。成し遂げる。完成する。「しあぐ<下二段>」の四段活用に転訛したもの。 ⸣キューズーナ シ⸢アグンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢アガラン⸣パジ [⸣kjuːʣuːna ʃi⸢agunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʃi⸢agaram⸣paʤi] (今日中に仕上げようと思うが、仕上がらないだろう<はず>)。 ア⸢ツァバー⸣キナ シ⸢アギ⸣ ミサカー シ⸢アグ⸣ クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦabaː⸣kina ʃi⸢agi⸣ misakaː ʃi⸢agu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (明日までに仕上げて良ければ、仕上げることは出来る) 7514 0 0 7099 htmvoc_7514.wav シゥカ ⸣シゥカ [⸣si̥ka] 助数 一束の半分。「つか<束>」の義か。片手で握った分。これを二つ合わせて、プ⸢スタブ⸣ル[pu̥⸢sutabu⸣ru](ひとたば<一束>)という。 ⸢マイヤー⸣ フ⸢タシゥカ⸣シル プ⸢スタブ⸣ル ⸢ユイオーッ⸣タ [⸢maijaː⸣ ɸu̥⸢tasi̥ka⸣ʃiru pu⸢sutabu⸣ru ⸢juiʔoːt⸣ta] (稲<米>は二つかで一束<ひとたば>に束ねられた)。 ⸢マイヤー⸣ フ⸢タシゥカ⸣シル プ⸢スタブ⸣ルティ ア⸢ズ⸠ダー [⸢maijaː⸣ ɸu̥⸢tasi̥ka⸣ʃiru pu̥⸢sutabu⸣ruti ʔa⸢ʣu⸠daː] (稲は二つかで一束と言うのだよ)。 フ⸢タシゥカ⸣シ プ⸢スタバ⸣ル ⸢サンジュータバ⸣ルシ プ⸢スマラ⸣キ マ⸢ラコーッタ [ɸu̥⸢tasï̥ka⸣ʃi pu̥⸢sutaba⸣ru ⸢sanʤuːtaba⸣ruʃi pu̥⸢sumara⸣ki ma⸢rakoːt⸣ta] (2束で1タバル<把>、30タバリで1マラキ<丸げ>に束ねられた) 7541 0 0 7100 htmvoc_7541.wav シゥカーリムヌ シゥ⸢カーリムヌ [si̥⸢kaːrimunu] 名 召使。小使。下男。用務員。下働き。「使われ者」の転訛した語。 ナー⸢イ⸣ プ⸢スヌ⸣ シゥ⸢カーリムヌ⸣ カー⸢ニ シー⸣ ブ⸢ラーンドー⸣シ ⸣ドゥーシ パ⸢タラキ⸣バ [naː⸢ji⸣ pu̥⸢sunu⸣ si̥⸢kaːrimunu⸣ kaː⸢ni ʃiː⸣ bu⸢raːndoː⸣ʃi ⸣duːʃi pḁ⸢taraki⸣ba] (ただ他人の小使い<使われ者>だけしていないで、自分で働きなさいよ) 7515 0 0 7101 htmvoc_7515.wav シゥカーン シゥ⸢カー⸣ン [sï̥kaːŋ] 形 近い。距離の隔たりが小さい。シ⸢カー⸣ンとも言う。 ⸢バン⸣テーラー ⸢ガッ⸣コーヤ シゥ⸢カー⸣ンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ シゥ⸢カーナー⸣ヌ [⸢ban⸣teːraː ⸢gak⸣koːja sï̥⸢kaː⸣nti ʔu⸢muːta⸣nu sï̥⸢kaːnaː⸣nu] (私の家から学校までは近いと思ったが、近くない)。 シゥ⸢カー⸣ ナルン [sï̥⸢kaː⸣ naruŋ] (近くなる)。 シゥ⸢カーン⸣ トンマー ⸣マーヤ [sï̥⸢kaːn⸣ tommaː maːja] (近い所は何処か)。若年層はシ⸢カー⸣ン[ʃi̥⸢kaː⸣ŋ](近い)ともいう。 ⸢アンヌムラー⸣ラ ⸢ガッ⸣コー シゥ⸢カー⸣ン [⸢ʔannumuraː⸣ra ⸢gak⸣koː sï̥⸢kaː⸣ŋ] (東村から学校は近い)。 ⸢インヌムラー⸣ シゥ⸢カー ナー⸣ヌ [⸢ʔinnumuraː⸣ sï̥⸢kaː naː⸣nu] (西村は近くない)。 ⸢シンダイ⸣ シゥ⸢カー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ sï̥⸢kaː⸣ naruŋ] (次第に近くなる)。 シゥ⸢カーン⸣ トンマー パ⸢ル⸣ナ [sï̥⸢kaːn⸣ tommaː pa⸢ru⸣na] (近い所へは行くな)。 マーン⸢ベーマ⸣ シゥ⸢カー⸣カー ⸣ミサムヌ [maːm⸢beːma⸣ sï̥⸢kaː⸣kaː ⸣misamunu] (もう少し近ければ良いのに) 7516 0 0 7102 htmvoc_7516.wav シゥカイ シゥ⸢カイ [si̥⸢kai] 名 差し支え。支障。心配事。「つかえ<支え>」の義。 ⸢ワー⸣ パ⸢ラ⸣バン シゥ⸢カイヤー ナーン⸣カヤー [⸢waː⸣ pa⸢ra⸣ban si̥⸢kaijaː naːŋ⸣kajaː] (君が行っても差し支えないかねえ)。 ⸢ダイヤー ヤッ⸣サタンティン シゥ⸢カイヤー ナー⸣ヌ [⸢daijaː jas⸣satantin si̥⸢kaijaː naː⸣nu] (値段は安くても支障はない) 7517 0 0 7103 htmvoc_7517.wav シゥカイ シゥカイ [si̥⸢kai] 名 支柱。 ⸢ユーカドゥ⸣ナ シゥ⸢カイ⸣ イ⸢リ⸣ シケーバ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カ⸣バン ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢juːkadu⸣na si̥⸢kai⸣ ʔi⸢ri⸣ ʃi̥keːba ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢ka⸣ban ⸢soːja naː⸣nu] (四隅に支柱を入れてあるから、台風が吹いても心配はない) 7518 0 0 7104 htmvoc_7518.wav シゥカイアースン シゥ⸢カイ アー⸣スン [si̥⸢kai ʔaː⸣suŋ] 連 使い較べる。「使い合わせる」の義。二つのものを使い比べてみる。 ク⸢ヌ マイカリガッケートゥ⸣ ム⸢カ⸣シェーラヌ ⸢ガッケー⸣トゥ ⸢ヌー⸣ル マ⸢シェー⸣ユー シゥ⸢カイ アーシ⸣ ミリ⸢ミー [ku⸢nu maikarigakkeːtu⸣ mu⸢ka⸣ʃeːranu ⸢gakkeː⸣tu ⸢nuː⸣ru ma⸢ʃeː⸣juː si̥⸢kai ʔaːʃi⸣ miri⸢miː] (この稲刈り鎌と昔からの鎌と、どれが良いか使い比べてみてごらんよ) 7551 0 0 7105 htmvoc_7551.wav シゥカイキー シゥ⸢カイキー [si̥⸢kaikiː] 名 支柱。「つかえぎ<支え木>」の義。老年層は、シゥ⸢カンギー[si̥⸢kaŋgiː](支柱)というのが普通。 シゥ⸢カイキー⸣ シゥ⸢カース⸣カー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [si̥⸢kaikiː⸣ si̥⸢kaːsu⸣kaː ⸢soːja naː⸣nu] (支柱を構えたら心配はない) 7519 0 0 7106 htmvoc_7519.wav シゥカイグトゥ シゥ⸢カイグトゥ [si̥⸢kaigutu] 名 支障。差し支え。「支え事」の義。 ⸢ヤー⸣ナー シゥ⸢カイグトゥヌ⸣ アレーティル キ⸢ララン⸣ ブ⸢レー⸣ル [⸢jaː⸣naː si̥⸢kaigutunu⸣ ʔareːtiru ki⸢raram⸣ bu⸢reː⸣ru] (実家<家>に不都合<差し支えごと>があって<ぞ>、来れなかった<こられずに居た>のだろうよ) 7520 0 0 7107 htmvoc_7520.wav シゥカイットー シゥ⸢カイットー [si̥⸢kaittoː] 名 使っての便利さ。使い勝手。利用価値。「使いとう<度う>」『石垣方言辞典』の義。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヤ ⸢ピッ⸣チン シゥ⸢カイットー ナー⸣ヌ ス⸢クリノーサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu jaː⸣ja ⸢pit⸣ʧin si̥⸢kaitoː naː⸣nu su̥⸢kurinoːsaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (この家はちっとも便利でない<使い勝手が悪い>{EOS}作り直さないといけない) 7521 0 0 7108 htmvoc_7521.wav シゥカイトースン シゥ⸢カイトースン [si̥⸢kaitoːsuŋ] 他動 使い潰す。散々に使う。こぎ使う。「使い倒す」の義。シゥ⸢カイットースン[si̥⸢kaittoːsuŋ](使い潰す{EOS}こぎ使う)ともいう。 ⸢ウン⸣ネナー ⸣ギシ ⸣ナリ シゥ⸢カイトーサリベー [⸢ʔun⸣nenaː ⸣giʃi ⸣nari si̥⸢kaitoːsari beː] (あの家で下男<下衆{EOS}下種{EOS}下司>にされて、こぎ使われて<使い潰されて>いる)。 シゥ⸢カイトースンティ⸣ ウムーカー シゥ⸢カイトーサリンドゥ⸣ アイニ シゥ⸢カイトース⸣ クトー ナ⸢ラン⸣ パジ [si̥⸢kaitoːsunti⸣ ʔumuːkaː si̥⸢kaitoːsarindu⸣ ʔaini si̥⸢kaitoːsu⸣ ku̥toː na⸢ram⸣ paʤi] (こぎ使おうと思ったらこぎ使われるが、あんなに使い潰すことは出来ないはずだ)。 シゥ⸢カイトーシェー⸣ ミサムヌ [si̥⸢kaitoːʃeː⸣ misamunu] (こぎ使えば<使い潰せば>よいのに)。 シゥ⸢カイトーシ [si̥⸢kaitoːʃi] (こぎ使え<使い潰せ>) 7522 0 0 7109 htmvoc_7522.wav シゥカイバー シゥ⸢カイ⸣バー [si̥⸢kai⸣baː] 名 経費。入用の経費。出費。「使い方<ほう>」の義。 シゥ⸢カイバー⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ ⸣ウカー ⸢オーサラヌ [si̥⸢kaibaː⸣nu ⸢suːwa⸣nu ⸣ʔukaː ⸢ʔoːsaranu] (出費が多くて借金は順調に支払いできない<負えない>) 7542 0 0 7110 htmvoc_7542.wav シゥカイバタ シゥ⸢カイバタ [si̥⸢kaibata] 名 陣痛。差し込むように痛む腹痛。ッ⸢ふァナシ⸣バタ[f⸢fanaʃi⸣bata](子産み腹)ともいう。 シゥ⸢カイバタ⸣ ヤ⸢リバ⸣ カ⸢ティ⸣ シゥ⸢カシ⸣ クー [si̥⸢kaibata⸣ ja⸢riba⸣ kḁ⸢ti⸣ si̥⸢kaʃi⸣ kuː] (陣痛だから、取り上げ婆さん<経験者{EOS}その道に通じている人>をお連れして来なさい) 7523 0 0 7111 htmvoc_7523.wav シゥカイミジ シゥ⸢カイミジ [si̥⸢kaimiʤi] 名 使い水。雑用水。飲料水に対する用水。 カ⸢ミ⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ ヌ⸢ミ⸣ミジ ⸢バンドーヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ シゥ⸢カイミジ [ka⸢mi⸣nu mi⸢ʤeː⸣ nu⸢mi⸣miʤi ⸢bandoːnu⸣ mi⸢ʤeː⸣ sï̥⸢kaimiʤi] (水瓶の水は飲料水、バンドー瓶の水は雑用水) 7524 0 0 7112 htmvoc_7524.wav シゥカイミチ シゥ⸢カイミチ [si̥⸢kaimiʧi] 名 用途。使い方。「使い道」の義。 ⸢ジン⸣ヌ シゥ⸢カイミチ⸣ ッ⸢サン⸣カー ⸣バン カ⸢ラシ⸣バ ⸢モー⸣キ ミ⸢サ⸣スン⸢ダー [⸢ʤin⸣nu sï̥⸢kaimiʧi⸣ s⸢saŋ⸣kaː ⸣baŋ ka⸢raʃi⸣ba ⸢moː⸣ki mi⸢sa⸣sun⸢daː] (お金の使い方を知らなければ私に貸しなさいよ{EOS}儲けて見せるよ) 7525 0 1 7113 htmvoc_7525.wav シゥカイムヌ シゥ⸢カイムヌ [si̥⸢kaimunu] 名 {Mn_1}毎日使っているもの<物品>。 ク⸢レー⸣ バー ⸢ピンピンヌ⸣ シゥ⸢カイムヌ⸣ ヤ⸢リバ タイ⸣シチニ シゥ⸢カイ⸣ヨー [ku⸢reː⸣ baː ⸢pimpinnu⸣ si̥⸢kaimunu⸣ ja⸢riba tai⸣ʃi̥ʧini si̥⸢kai⸣joː] (これは私の毎日の使い物<毎日使う道具>だから大切に使いなさいよ)。 7525 0 2 7114 htmvoc_7525.wav シゥカイムヌ シゥ⸢カイムヌ [si̥⸢kaimunu] 名 {Mn_2}使い者。使者。下僕。下男。召使い。 ナー⸢イ⸣ プ⸢スヌ⸣ シゥ⸢カイムヌ⸣ シ⸢ラリ ベー [naː⸢ji⸣ pu̥⸢sunu⸣ si̥⸢kaimunu⸣ ʃi⸢rari beː] (ただ人の下僕<使い者>にされている) 7527 0 1 7115 htmvoc_7527.wav シゥカイルン シゥ⸢カイルン [si̥⸢kairuŋ] 自動 {Mn_1}支える。 ⸢タイフー⸣ヌ フ⸢キ⸣バ パ⸢ラー⸣ヤ シゥ⸢カイラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌンドゥ シゥ⸢カイル キー⸣ヌ ⸢ナー⸣ヌ [⸢taiɸuː⸣nu ɸu̥⸢ki⸣ba pa⸢raː⸣ja si̥⸢kairaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nundu si̥⸢kairu kiː⸣nu ⸢naː⸣nu] (台風が吹くから柱を支えなければならないが、支える木材がない)。 ク⸢ヌ⸣ キーシ シゥ⸢カイ⸣ ミサカー ⸣ドゥーシ シゥ⸢カイルンドゥ⸣ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カン⸣ケンナー シゥ⸢カイヤー⸣ ミサタムヌ [ku⸢nu⸣ kiːʃi si̥⸢kai⸣ misakaː ⸣duːʃi si̥⸢kairundu⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢kaŋ⸣kennaː si̥⸢kaijaː⸣ misatamunu] (この木材で支えてよいなら自分で支えるが、台風が吹かないうちに支えればよかったのに)。 ⸢ユーカドー⸣ラ シゥ⸢カイリ [⸢juːkadoː⸣ra si̥⸢kairi] (四つ角から支柱を入れて支えろ)。 7527 0 2 7116 htmvoc_7527.wav シゥカイルン シゥ⸢カイルン [si̥⸢kairuŋ] 自動 {Mn_2}差し込まれるように痛む。陣痛や腹痛で痛む。 ⸢ンーニ⸣ シゥ⸢カイルン⸣ケン ⸣ヤムン [⸢ʔnːni⸣ si̥⸢kairuŋ⸣keɲ jamuŋ] (胸がつかえる<痞える>ほど痛む<病む>) 7526 0 1 7117 htmvoc_7526.wav シゥカウン シゥ⸢カウン [si̥⸢kauŋ] 他動 {Mn_1}使う。使用する。シ⸢カウン[ʃi̥⸢kauŋ](使う)(若年層)ともいう。 カ⸢ナパイヤー⸣ シゥ⸢カーン⸣カー カ⸢ラシ [ka⸢napaijaː⸣ sï̥⸢kaːŋ⸣kaː ka⸢raʃi] (鍬は使わなければ貸せ)。 ⸢キュー⸣ヤ シゥ⸢カウンダー⸣ カ⸢ラサラヌ⸣ アツァー シゥ⸢カイ⸣ ミサン [⸢kjuː⸣ja sï̥⸢kaundaː⸣ ka⸢rasaranu⸣ ʔaʦaː sï̥⸢kai⸣ misaŋ] (今日は使うから貸せない{EOS}明日は使ってよい)。 シゥ⸢カウ ムノー⸣ ムー⸢ル⸣ シゥ⸢カイ⸣バ [sï̥⸢kau munoː⸣ muː⸢ru⸣ sï̥⸢kai⸣ba] (使うものは全部使え)。 ⸢マー⸣ビン シゥ⸢カイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin sï̥⸢kaijaː⸣ misamunu] (もっと使えばよいのに)。 7526 0 2 7118 htmvoc_7526.wav シゥカウン シゥ⸢カウン [si̥⸢kauŋ] 他動 {Mn_2}雇って働かせる。使役する。 ウ⸢レー⸣ フ⸢ヨー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu⸢joː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (あいつは怠け者だから使えない)。 7526 0 3 7119 htmvoc_7526.wav シゥカウン シゥ⸢カウン [si̥⸢kauŋ] 他動 {Mn_3}用にあてる。役立たせる。 ク⸢リ⸣シ ガ⸢ク⸣ヒ シゥ⸢カイ⸣バ [ku⸢ri⸣ʃi ga⸢ku⸣çi sï̥⸢kai⸣ba] (これで学費に使いなさい)。 7526 0 4 7120 htmvoc_7526.wav シゥカウン シゥ⸢カウン [si̥⸢kauŋ] 他動 {Mn_4}操る。操作する。 ウ⸢キナー⸣ムニーン シゥ⸢カイシェー⸣ン [ʔu⸢kinaː⸣munuːn sï̥⸢kaiʃeː⸣ŋ] (沖縄言葉も使える)。 7526 0 5 7121 htmvoc_7526.wav シゥカウン シゥ⸢カウン [si̥⸢kauŋ] 他動 {Mn_5}費やす。消費する。 ⸢モー⸣ケール ⸢ジン⸣マー ムー⸢ル⸣ シゥ⸢カイキシ ナー⸣ヌ [⸢moː⸣keːru ⸢ʤim⸣maː muː⸢ru⸣ sï̥⸢kaikiʃi naː⸣nu] (儲けた金は全部使い切ってしまった) 7528 0 0 7122 htmvoc_7528.wav シゥカウン シゥ⸢カウン [si̥⸢kauŋ] 自動 支える。支柱で支える。 シゥ⸢カンギー⸣シ ⸣パラー シゥ⸢カウンティ⸣ ウ⸢ムー⸣ヌ シゥ⸢カイ⸣ ミサンカヤー [si̥⸢kaŋgiː⸣ʃi ⸣paraː si̥⸢kaunti⸣ ʔu⸢muː⸣nu si̥⸢kai⸣ misaŋkajaː] (支柱で柱を支えようと思うが支えてよいかねえ)。ク⸢リ⸣シェー シゥ⸢カーララヌ⸣。ビ⸢チ⸣ヌ シゥ⸢カウ キー⸣バ ⸣トゥミ ⸣キー シゥ⸢カイ⸣バ[ku⸢ri⸣ʃeː si̥⸢kairaranu⸣。bi⸢ʧi⸣nu si̥⸢kau kiː⸣ba ⸣tumi ⸣kiː si̥⸢kai⸣ba](これでは支えられない{EOS}別の支える木<支柱>を探してきて支えなさい)。 ク⸢マ⸣ン ⸣トンラー シゥ⸢カイヤー⸣ ミサムヌ [ku⸢ma⸣n ⸣tonraː si̥⸢kaijaː⸣ misamunu] (ここのところから支えたらよいのに)。 7528 0 2 7123 htmvoc_7528.wav シゥカウン シゥ⸢カウン [si̥⸢kauŋ] 自動 {Mn_2}陣痛や腹痛で痛む。差しこまれるように痛む。 バ⸢タ⸣ヌ シゥ⸢カイ⸣ ヤ⸢ミ⸣ス [ba⸢ta⸣nu si̥⸢kai⸣ ja⸢mi⸣su] (陣痛などで差し込まれるように痛む)。 ⸣バタ シゥ⸢カウン [⸣bata si̥⸢kauŋ] (陣痛が起きる<腹が差し込まれるように痛む>) 7494 0 0 7124 htmvoc_7494.wav シゥカスン シゥ⸢カスン [sï̥⸢kasuŋ] 他動 鋤きで田畑を鋤く<鋤かせる>。 ウ⸢シヌ⸣ヤマ ウ⸢シン⸣ ピ⸢カシティ⸣ パ⸢タ⸣キ シゥ⸢カスンティ スンドゥ⸣ イ⸢シヌ ゴー⸣ラーティ シゥ⸢カサラヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ jama ʔu⸢ʃim⸣ pi̥⸢kaʃiti⸣ pḁ⸢ta⸣ki sï̥⸢kasunti sundu⸣ ʔi⸢ʃinu goː⸣raːti sï̥⸢kasaranu] (鋤を牛に引かせて畑を鋤こう<鋤かせよう>とするが、石が多いので鋤け<鋤かされ>ない)。若年層は、シ⸢カスン[ʃi̥⸢kasuŋ](鋤かせる)という。 ウ⸢シヌ⸣ ヤマシ パ⸢タ⸣キ シゥ⸢カスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ イ⸢シヌ ゴー⸣ラーティ シゥ⸢カサラヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ jamaʃi pḁ⸢ta⸣ki sï̥⸢kasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔi⸢ʃinu goː⸣raːti sï̥⸢kasaranu] (鋤で畑を鋤かせようと思うが、石が多いので鋤かされない)。 シ⸢ダケー⸣ ヤマシ シゥ⸢カシティ⸣ アトーラ ⸢カイ⸣シバ [ʃi⸢dakeː⸣ jamaʃi sï̥⸢kaʃiti⸣ ʔatoːra ⸢kai⸣ʃiba] (先に鋤きで鋤かして<土を起して>、後から<鍬で>耕しなさいよ)。 ⸣カイブ ⸣トンマー ⸣ヤマシ シゥ⸢カス⸣ クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ シゥ⸢カシ⸣ ミサカー シゥ⸢カシ⸣バ [⸣kaibu ⸣tommaː ⸣jamaʃi sï̥⸢kasu⸣ ku̥toː na⸢ranu⸣nu sï̥⸢kaʃi⸣ misakaː sï̥⸢kaʃi⸣ba] (こんな所は鋤で鋤かせることは出来ないが、鋤かして良ければ鋤かせなさいよ) 7495 0 0 7125 htmvoc_7495.wav シゥカスン シゥ⸢カ⸣スン [si̥⸢ka⸣suŋ] 他動 置かす。置かせる。 ⸢ニー⸣ヤ ⸣クナー シゥ⸢カ⸣スンティ ウ⸢ムー⸣ヌ シゥ⸢カ⸣シ ⸣ミサンカヤー [⸢niː⸣ja ⸣kunaː si̥⸢ka⸣sunti ʔu⸢muː⸣nu si̥⸢ka⸣ʃi ⸣misaŋkajaː] (荷物はここに置かせようと思うが、置かせて良いでしょうか)。 シゥ⸢カ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [si̥⸢ka⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (置かすことは出来ない)。 ⸣ウナー シゥ⸢カ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣ʔunaː si̥⸢ka⸣ʃeː ⸣misamunu] (其処に置かせれば良いのに)。 ⸣クナー シゥ⸢カ⸣シ [⸣kunaː si̥⸢ka⸣ʃi] (ここに置かせよ) 7553 0 0 7126 htmvoc_7553.wav シゥカスン シゥ⸢カスン [si̥⸢kasuŋ] 他動 聞かせる。若年層は、シ⸢カスン[ʃi̥⸢kasuŋ](聞かせる)という。 ⸢ワンナー⸣ニン パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌヌ シゥ⸢カシ⸣ミサンティ ア⸢ゾーラン⸣ユンダ シゥ⸢カス⸣ クトゥン ナ⸢ラン⸠ツォー [⸢wannaː⸣nim pa⸢na⸣ʃi si̥⸢kasaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nunu si̥⸢kaʃi⸣misanti ʔa⸢ʣoːraɲ⸣jundaː si̥⸢kasu⸣ ku̥tun na⸢ran⸠ʦoː] (君にも話して聞かさないといけないのだが、聞かしてよいといわれないものだから、聞かすこともできないのだよ)。 ⸣アツァー ヤー⸢ディン⸣ シゥ⸢カスン [⸣ʔaʦaː jaː⸢diŋ⸣ si̥⸢kasuŋ] (明日は必ず聞かす)。 ⸣バン シゥ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [⸣baŋ si̥⸢kaʃeː⸣ misamunu] (私に聞かせたら良いのに)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢カシ⸣バ [⸢maː⸣biŋ si̥⸢kaʃi⸣ba] (もっと聞かせろよ) 7556 0 0 7127 htmvoc_7556.wav シゥカスン シゥ⸢カスン [si̥⸢kasuŋ] 他動 案内する。お連れする。招待する(老年層)。「使いする」の義。案内役を出して招待する意味。「みおむつかい 奉屈請事『混効験集』」、「請来 子蓋失『琉球館訳語』」とある『沖縄古語大辞典』。 シ⸢カスン [ʃi̥⸢kasuŋ] (案内する{EOS}お連れする{EOS}招待する)ともいう(若年層)。 ⸣アッパー シゥ⸢カスンティ クータン⸣ドゥ カ⸢ジヌ スー⸣リ ⸣キー ⸢ベー⸣ティ シゥ⸢カサランバ⸣ アツァ シゥ⸢カサ⸣ナー [⸣ʔappaː si̥⸢kasunti kuːtan⸣du ka⸢ʤinu suː⸣ri ⸣kiː ⸢beː⸣ti si̥⸢kasaramba⸣ ʔaʦa si̥⸢kasa⸣naː] (お祖母さんを招待しに来たが、風が強くなってきて招待できないので、明日招待しますね)。 シゥ⸢カシ⸣ クー [sï̥⸢kaʃi⸣ kuː] (案内してきなさい{EOS}お連れしてきなさい)。 シゥ⸢カス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [si̥⸢kasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (案内することは出来ない)。 ⸣アブジェーン シゥ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [⸣ʔabuʤeːn si̥⸢kaʃeː⸣ misamunu] (お祖父さんもご案内<お連れ>すればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ シゥ⸢カシ [jaː⸢din⸣ si̥⸢kaʃi] (必ずお案内しなさい<お連れしなさい>)。 ⸣イサ シゥ⸢カシ⸣ クー [⸣ʔisa si̥⸢kaʃi⸣ kuː] (お医者さんを案内してこい<お迎えしてこい>) 7557 0 0 7128 htmvoc_7557.wav シゥカソーラナーラ シゥ⸢カソー⸣ラナー⸢ラ [si̥⸢kasoː⸣ranaː⸢ra] 感 いらっしゃいませ。よくお出でくださいました。お上がりくださいませ。最上級の挨拶。校長先生や村長さんなど、石垣島から見えた役人に対して用いた。 シゥ⸢カソー⸣ラナー⸢ラ コー⸣チョーシンシー [si̥⸢kasoː⸣ranaː⸢ra koː⸣ʧoːʃiŋʃiː] (いらっしゃいませ、校長先生) 7558 0 0 7129 htmvoc_7558.wav シゥカソーリ シゥ⸢カソー⸣リ [si̥⸢kasoː⸣ri] 感 いらっしゃいませ。よくお出でくださいました。お上がりください。島の長老や年長者に対して用いた。 アッ⸢パー⸣ シゥ⸢カソー⸣リ [ʔap⸢paː⸣ si̥⸢kasoː⸣ri] (お祖母さん、いらっしゃいませ) 7567 0 0 7130 htmvoc_7567.wav シゥカッティグトゥ シゥ⸢カッティグトゥ [si̥⸢kattigutu] 名 さわりごと。障害となること。差し支え。たたり。「~沖つ浪千重に立つとも佐波里安良米也母『万葉集 3583』」の義が派生変化したものか。シゥ⸢カッティグトゥ[si̥⸢kattigutu](さわりごと{EOS}たたり)ともいう。 シゥ⸢カッティグトゥンドゥ⸣ アルティ ⸢キーラ⸣ ンジェーティ ⸢ニン⸣ガイ シ⸢モーッ⸣タツォー [si̥⸢kattigutundu⸣ ʔaruti ⸢kiːra⸣ ʔnʤeːti ⸢niŋ⸣gai ʃi⸢moːt⸣taʦoː] (さわりごと<たたり>があると、易者から出たので、祈願をさせられた) 7566 0 0 7131 htmvoc_7566.wav シゥカットゥン シゥ⸢カットゥン [si̥⸢kattuŋ] 自動 さわる(触る)。触れる。老年層の用いることば。 ア⸢シ⸣ブナ シゥ⸢カッタヌ⸣ ヨーニ シ⸢タンティン⸣ シゥ⸢カットゥンティ⸣ ウ⸢モー⸣リ [ʔa⸢ʃi⸣buna si̥⸢kattanu⸣ joːni ʃi̥⸢tantiŋ si̥⸢kattunti⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (お出来に触らないようにしても、触ると思われる)。 シゥ⸢カッティ ヤッ⸣サン [si̥⸢kattijas⸣saŋ] (触れやすい)。 シゥ⸢カットゥ⸣ ピンマー ヤムン⸢ダー [si̥⸢kattu⸣ pimmaː ⸣jamun ⸢daː] (触れるときは痛い<病む>よ)。 シゥ⸢カッテー⸣ ミサムヌ [si̥⸢katteː⸣ misamunu] (触ればよいのに)。 シゥ⸢カッティ [si̥⸢katti] (触れ) 7568 0 0 7132 htmvoc_7568.wav シゥカナイ シゥ⸢カ⸣ナイ [si̥⸢ka⸣nai] 名 養育。飼育。シカナイ[ʃi̥⸢ka⸣nai](養育)(若年層)ともいう。 ッ⸢ふァ⸣ シゥ⸢カナイ⸣ヤー シ⸢ナーン⸣ケンドゥ ⸢ティー⸣ヤ ッ⸢ふー [f⸢fa⸣ si̥⸢kanai⸣jaː ʃi⸢naː⸣ŋkendu ⸢tiː⸣ja f⸢fu] (子供の養育には幼少の時にが<ぞ>手が掛る<手を食う>ものである) 7569 0 0 7133 htmvoc_7569.wav シゥカナイウヤ シゥ⸢カナイ⸣ウヤ [si̥⸢kani⸣ʔuja] 名 養い親。養親。若年層は、ヤ⸢シナイウヤ[ja⸢ʃinaiʔuja](養い親)ともいう。 ウ⸢レー⸣ シ⸢カナイウヤヌ⸣ル ス⸢ダ⸣トーレー⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ si̥⸢kanaiʔujanu⸣ru su⸢da⸣toːreː⸢daː] (彼は養い親が育てられたのだよ) 7570 0 0 7134 htmvoc_7570.wav シゥカナイグリサン シゥ⸢カナイグリ⸣サン [sï̥⸢kanaiguri⸣saŋ] 連 養いにくい。養育しにくい。動詞シゥ⸢カ⸣ナウン[sï̥⸢ka⸣nauŋ](養う)の連用形に形容詞型助動詞グ⸢リ⸣サン[gu⸢ri⸣saŋ](容易でない{EOS}むずかしい)が下接して、複合語を作り、その動作をすることが困難である意を表す。 ⸢タンガ⸣ッふァー シゥ⸢カナイグリ⸣サンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ シゥ⸢カナイグリサー ナー⸣ヌ [⸢taŋga⸣ffaː sï̥⸢kanaiguri⸣santi ʔu⸢muːta⸣nu si̥⸢kanaigurisa naː⸣nu] (一人っ子は養いにくい<育てにくい>と思ったが、養いにくく無い)。 ⸢フンダヤー⸣ シゥ⸢カナイグリサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ɸundajaː⸣ sï̥⸢kanaigurisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (わがまま駄々っ子は養いにくくて堪らない)。 シゥ⸢カナイグリ⸣サー ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢ヤム⸣トー ⸢カイ⸣シバ [sï̥⸢kanaiguri⸣saː f⸢faː⸣ ʔu⸢jamu⸣toː ⸢kai⸣ʃiba] (養いにくい子は親元へ返しなさいよ) 7573 0 0 7135 htmvoc_7573.wav シゥカナイッふァ シゥ⸢カナイ⸣ッふァ [si̥⸢kanai⸣ffa] 名 養子。「養い子」の義。シ⸢カナイ⸣ッふァ[ʃi̥⸢kanai⸣ffa](養子)(若年層)、ヤ⸢シナイッふァ[ja⸢ʃinaiffa](養い子)ともいう。 マ⸢リトゥ⸣ フ⸢タケ⸣ナーラ ブ⸢ザサ⸣ヌ シゥ⸢カナイ⸣ッふァ ⸣ナリ ⸢オーッ⸣タツォー [ma⸢ritu⸣ ɸu̥⸢take⸣naːra bu⸢ʣasa⸣nu si̥⸢kanai⸣ffa ⸣nari ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (生まれてすぐから<生後すぐから>叔父の養子となってこられたそうだ) 7571 0 0 7136 htmvoc_7571.wav シゥカナイヌシ シゥ⸢カナイ⸣ヌシ [si̥⸢kanai⸣nuʃi] 名 飼い主。シ⸢カナイ⸣ヌシ[ʃi̥⸢kanai⸣nuʃi](飼い主)(若年層)ともいう。 ⸢イン⸣マー イッ⸢カナ⸣シ シゥ⸢カナイ⸣ヌシ ⸢バシキラン⸣ティ ア⸢ザリブー [⸢ʔim⸣maː ʔik⸢kana⸣ʃi si̥⸢kanai⸣nuʃi ⸢baʃi̥kiran⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (犬は決して飼い主を忘れないといわれている) 7572 0 0 7137 htmvoc_7572.wav シゥカナイバキ シゥ⸢カナイ⸣バキ [sï̥⸢kanai⸣baki] 名 こわけ(仔分け)。立て分け。 シゥ⸢カナイバ⸣キ [ʃi̥⸢kanaiba⸣ki] (仔分け)ともいう(若年層)。家畜(牛や豚)の所有主と飼育者が、家畜の生んだ仔を両者で折半する契約の基に飼育者が家畜を飼育すること。 ⸣アヒャーオーバ シゥ⸢カナイバ⸣キ ⸢シール バン⸣テヌ ⸢オー⸣ヤ サ⸢カラシェー⸣ダー [⸣ʔaçaːʔoːba sï̥⸢kanaiba⸣ki ⸢ʃiːru ban⸣tenu ⸢ʔoː⸣ja sa⸢karaʃeː⸣daː] (繁殖用豚を仔分け方式で飼育して<ぞ>、私の家の豚は繁殖させ<盛らせ>たのだよ) 7574 0 0 7138 htmvoc_7574.wav シゥカナイパンタ シゥ⸢カナイパン⸣タ [si̥⸢kanaipan⸣ta] 名 子育て真っ最中。多くの子供を育てるのに多忙な時期。⸢養育繁多」の義。シ⸢カナイパン⸣タ[ʃi̥⸢kanaipan⸣ta](子育て真っ最中)(若年層)ともいう。 ⸢ベー⸣ マ⸢ナマ⸣ル シゥ⸢カナイパン⸣タ ヤ⸢ルンダ ジン⸣マー ギュー⸢サ モーカ⸣バン タ⸢ラーサラヌ⸣ マー⸢ズン ギーバラ [⸢beː⸣ ma⸢nama⸣ru si̥⸢kanaipan⸣ta ja⸢runda ʤim⸣maː gjuː⸢sa moːka⸣ban ta⸢raːsaranu⸣ maː⸢ʣuŋ giːbara] (我々は今が子育ての真っ最中<養育繁多の時期>だから、お金はいくら儲けてもたりない<足らされない>{EOS}一緒に頑張ろうよ) 7575 0 0 7139 htmvoc_7575.wav シゥカナイムシ シゥ⸢カナイ⸣ムシ [si̥⸢kanai⸣muʃi] 名 家畜。「養い虫」の義。イ⸢キム⸣シ[ʔi⸢kimu⸣ʃi](動物の総称{EOS}「生き虫」の義)『図説琉球語辞典』。「虫。動物の総称。羽虫は鳥類、毛虫は獣類、甲虫は亀類、鱗虫は魚類、裸虫は人類のこと」『学研漢和大字典』とある。 シゥ⸢カナイ⸣ムシ シ⸢カ⸣ナウンティ イ⸢キム⸣シン ⸢アシゥカーリ アウ⸣リナンギバ ⸢シーベー [si̥⸢kanai⸣muʃi si̥⸢ka⸣naunti ʔi⸢kimu⸣ʃiŋ ⸢ʔasi̥kaːri ʔau⸣rinaŋgiba ⸢ʃiːbeː] (家畜を飼育するとて、家畜にこぎ使われて難儀苦労をしている) 7576 0 0 7140 htmvoc_7576.wav シゥカナウン シゥ⸢カ⸣ナウン [si̥⸢ka⸣nauŋ] 他動 養う。飼う。飼育する。 ⸣オー シゥ⸢カ⸣ナウンティ ⸣ウムーカー シゥ⸢カナーリン⸣ドゥ ⸣クナーテー シゥ⸢カ⸣ナウ ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [⸣ʔoː si̥⸢ka⸣naunti ⸣ʔumuːkaː si̥⸢kanaːrin⸣du ⸣kunaːteː si̥⸢ka⸣nau ⸣kutoː na⸢ran⸣ʦoː] (豚を飼おうと思うなら飼える<飼われる>が、此処では飼うことは出来ないそうだ)。 シゥ⸢カナイ⸣ プサ プ⸢ソー⸣ シゥ⸢カナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [si̥⸢kanai⸣ pu̥sa pu̥⸢soː⸣ si̥⸢kanai⸣jaː ⸣misamunu] (飼いたい人は飼えばいいのに)。 ⸣オー シゥ⸢カ⸣ナイバ [⸣ʔoː si̥⸢ka⸣naiba] (豚を飼えよ) 7585 0 0 7141 htmvoc_7585.wav シゥカバシキ シゥ⸢カバ⸣ シ⸢キ [si̥⸢kaba⸣ ʃi̥⸢ki] 連 聞こえよがしに。聞きたければ聞くがよい。わざと聞こえるように。「聞かば聞け」の義。 シ⸢カバ⸣ シ⸢キ⸣ティ ア⸢ザラン⸣ ナカーラ ウ⸢ブ⸣クイシ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [si̥⸢kaba⸣ ʃi̥⸢ki⸣ti ʔa⸢ʣaran⸣ nakaːra ʔu⸢bu⸣kuiʃi pa⸢na⸣ʃi⸢beː] (聞こえよがしに<聞かば聞けと言えないばかりに>、大声で話している) 7577 0 0 7142 htmvoc_7577.wav シゥカバラー シゥ⸢カ⸣バラー [si̥⸢ka⸣baraː] 名 束柱。短い柱。老年層の言葉。「欛、太知乃豆加<たちのつか>、剣柄也」『和名抄』の「豆加<つか>」が転訛したもの。若年層は、シ⸢カ⸣バラー[ʃi̥⸢ka⸣baraː](束柱)ともいう。桁柱の上に立てる30~40センチの短い柱。四寸角の角材を用いることが多い。これで屋根の勾配を作る。ウ⸢ダ⸣ティ[ʔu⸢da⸣ti](うだち<梲>{EOS}「宇太知<うだち>」⸢正倉院文書 天平宝字五・十二・二十八」)に似た柱。 ⸢ザイギ⸣ヌ パ⸢シェー⸣ シ⸢ティランドー⸣シ ウ⸢リ⸣シ シゥ⸢カ⸣バラ ス⸢ク⸣リ [⸢ʣaigi⸣nu pa⸢ʃeː⸣ ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ʔu⸢ri⸣ʃi sï̥⸢ka⸣baraː su̥⸢ku⸣ri] (材木の切れ端は捨てないで、それで束柱を作れ) 7530 0 0 7143 htmvoc_7530.wav シゥカマール シゥ⸢カマー⸣ル [si̥⸢kamaː⸣ru] 名 近回り。近道。近道を通って行くこと。 ⸢トゥーマール サンドー⸣シ シゥ⸢カマー⸣ル ⸢スー⸣カー マ⸢ニ⸣アウン [⸢tuːmaːru sandoː⸣ʃi si̥⸢kamaː⸣ru suː⸣kaː ma⸢ni⸣auŋ] (遠回りしないで、近道<近回り>すると間に合う) 7586 0 0 7144 htmvoc_7586.wav シゥカマブシ シゥ⸢カマブシ [si̥⸢kamabuʃi] 名 金星。「仕事星」の義。野良仕事を終えて帰宅する頃に出る星の義という。⸢ユーボン⸣ブシ[⸢juːbom⸣buʃi](夕飯星)ともいう。 ナ⸢チェー⸣ アツァユンダ ⸢ヨーコイ⸣ラー パ⸢タ⸣ケー ⸢ギー⸣ シゥ⸢カマブシバ⸣ ミレーティル ⸢ヤー オーッ⸣タ [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦajunda ⸢joːkoi⸣ra pḁ⸢ta⸣keː ⸢giː⸣ si̥⸢kamabuʃiba⸣ mireːtiru ⸢jaː ʔoːt⸣ta] (夏は暑いので、午後3時ごろ<夕影>になって畑へ行き、金星<仕事星>を見ながら家に帰られ<来られ>た) 7578 0 0 7145 htmvoc_7578.wav シゥカミ シゥ⸢カ⸣ミ [sï̥⸢ka⸣mi] 名・助数 つまみ(摘み)。つかみ(掴み)。米粒や塩等を親指と中指、人差し指でつまんで取る時にいう。老年層は、⸣シゥカン[⸣sï̥kaŋ](つかみ<掴み>)という。 プ⸢スシゥカ⸣ミ [pu̥⸢susï̥ka⸣mi] (一掴み)。 フ⸢タシゥカミ [ɸu̥⸢tasï̥kami] (二掴み)。 ⸢スー⸣ヤ ア⸢マー⸣カー ⸢マー⸣ス プ⸢ス⸣シゥカン イ⸢リリ⸣バ [⸢suː⸣ja ʔa⸢maː⸣kaː maːsu pu̥⸢su⸣si̥kaŋ ʔi⸢riri⸣ba] (お汁は味が薄かったら塩を一つまみ入れなさいよ)。 プ⸢ス⸣シゥカン [pu̥⸢su⸣sï̥kaŋ] (一つかみ) フ⸢タシゥカミ [ɸu̥⸢tasï̥kaŋ] (二つかみ)) 7580 0 0 7146 htmvoc_7580.wav シゥカミ シゥ⸢カ⸣ミ [sï̥⸢ka⸣mi] 名 掴むこと。握ること。 シゥ⸢カミ⸣ヌ ⸢ヨー⸣カー ⸢パンチ⸣パルン⸢ダー [sï̥⸢kami⸣nu ⸢joː⸣kaː ⸢panʧi⸣parun⸢daː] (握り方が弱いと外れていくよ) 7531 0 0 7147 htmvoc_7531.wav シゥカミー シゥ⸢カ⸣ミー [sï̥⸢ka⸣miː] 名 近眼。 シゥ⸢カ⸣ミー ⸣ナリティ ⸢ガン⸣キョー カ⸢キラン⸣カー ⸢ジー⸣ ユ⸢マラ⸣ヌ [sï̥⸢ka⸣miː ⸣nariti ⸢gaŋ⸣kjoː kḁ⸢kiraŋ⸣kaː ⸢ʤiː⸣ ju⸢mara⸣nu] (近眼になって眼鏡を掛けないと文字が読めない) 7579 0 0 7148 htmvoc_7579.wav シゥカミー シゥ⸢カ⸣ミー [sï̥⸢ka⸣miː] 名 近視。「近目」の義。若年層は、シ⸢カ⸣ミー[ʃi̥⸢ka⸣miː](近視)ともいう。 シゥ⸢カ⸣ミー ヤ⸢ルンダ⸣ カイブ クマー⸢クマーヌ ジーヤ⸣ ユ⸢マラ⸣ヌ [sï̥⸢ka⸣miː ja⸢runda⸣ kaibu kumaː⸢kumaːnu ʤiːja⸣ ju⸢mara⸣nu] (近視だから、こんな細かい文字は読め<読まれ>ない) 7581 0 0 7149 htmvoc_7581.wav シゥカミアライ シゥ⸢カミ⸣アライ [si̥⸢kami⸣ʔarai] 名 揉み洗い。「掴み洗い」の義。両手で洗濯物を掴んで揉み洗うことからいう。部分洗い。シ⸢カミ⸣アライ[ʃi̥⸢kami⸣ʔarai](揉み洗い)(若年層)ともいう。 ⸢キン⸣マー ⸣タライナー イ⸢リティ⸣ シゥ⸢カミ⸣アライ シ⸢ティ⸣ プシバ [⸢kim⸣maː ⸣tarainaː ʔi⸢riti⸣ si̥⸢kami⸣ʔarai ʃi̥⸢ti⸣ pu̥ʃiba] (着物は盥に入れて揉み洗いをして干しなさい) 7532 0 0 7150 htmvoc_7532.wav シゥカミチ シゥ⸢カ⸣ミチ [sï̥⸢ka⸣miʧi] 名 近道。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢チ⸣トゥ カ⸢ヌ⸣ ミ⸢チ⸣トー ⸢マー⸣ル シゥ⸢カ⸣ミチヤー [ku⸢nu⸣ mi⸢ʧi⸣tu ka⸢nu⸣ mi⸢ʧi⸣toː ⸢maː⸣ru sï̥⸢ka⸣miʧijaː] (この道とあの道とでは何処が近道か)。シ⸢カ⸣ミチ[ʃi̥⸢ka⸣miʧi](近道)(若年層)ともいう。 シゥ⸢カミ⸣チェーラ ⸣パルカー マ⸢ニ⸣アウン ⸣パジ⸢ダー [sï̥⸢kami⸣ʧeːra ⸣parukaː ma⸢ni⸣aum paʤi⸢daː] (近道から行くと間に合うはずだよ) 7583 0 0 7151 htmvoc_7583.wav シゥカミンザスン シゥ⸢カミ ンザ⸣スン [si̥⸢kami ʔnʣa⸣suŋ] 連 掴み出す。摘み出す。若年層は、「シ⸢カミンザ⸣スン[ʃi̥⸢kamiʔnʣa⸣suŋ](掴みだす)」ともいう。 ヤ⸢ナマヤーヤ⸣ ミ⸢ナ⸣カー シゥ⸢カミンザ⸣シ [ja⸢namajaːja⸣ mi⸢na⸣kaː si̥⸢kamiʔnʣa⸣ʃi] (悪い猫は外へ掴み出せ)。 ⸣アイニ シゥ⸢カミ⸣ ン⸢ザサン⸣タンティン ⸣ミサン [⸣ʔaini si̥⸢kami⸣ ʔn⸢ʣasan⸣tantim ⸣misaŋ] (あのように掴み出さなくてもいいよ) 7622 0 0 7152 htmvoc_7622.wav シゥカミンザスン シゥ⸢カミンザ⸣スン [si̥⸢kamiʔʣa⸣suŋ] 他動 掴み出す。つまみだす(撮み出す)。 パ⸢ナン⸣ギ ⸢スー⸣カー ミ⸢ナ⸣カー シゥ⸢カミンザ⸣スン⸢ダー [pa⸢naŋ⸣gi ⸢suː⸣kaː mi⸢na⸣kaː si̥⸢kamiʔnʣa⸣sun⸢daː] (悪ふざけをすると庭へ撮み出すぞ) 7534 0 1 7153 htmvoc_7534.wav シゥカムン シゥ⸢カ⸣ムン [sï̥⸢ka⸣muŋ] 他動 {Mn_1}掴む。 ⸢ニーリティー⸣シ ギッ⸢ティ⸣ シゥ⸢カ⸣ミ [⸢niːritiː⸣ʃi git⸢ti⸣ sï̥⸢ka⸣mi] (右手でぎゅっと掴め)。 ⸣ティーシェー シゥ⸢カマ⸣ヌ [⸣tiːʃeː sï̥⸢kama⸣nu] (手では掴まない)。 シゥ⸢カミ⸣ プサン [⸣tiːʃi sï̥⸢kami⸣ pu̥saŋ] (手で掴みたい)。 ⸣ティーシ シゥ⸢カ⸣ム プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣tiːʃi sï̥⸢ka⸣mu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (手で掴む人はいない)。 シゥ⸢カ⸣メー ⸣ミサムヌ [sï̥⸢ka⸣meː ⸣misamunu] (掴めば良いのに)。 シゥ⸢カ⸣ミバ [sï̥⸢ka⸣miba] (掴めよ)。 7534 0 2 7154 htmvoc_7534.wav シゥカムン シゥ⸢カ⸣ムン [sï̥⸢ka⸣muŋ] 他動 {Mn_2}捕まえる。捕獲する。 イ⸢ズ⸣ シゥ⸢カ⸣ムン [ʔi⸢ʣu⸣ sï̥⸢ka⸣muŋ] (魚を掴む<捕獲する>)。 ン⸢ギ⸣ウシ シゥ⸢カ⸣ミ ⸣クー [ʔŋ⸢gi⸣ʔuʃi si̥⸢ka⸣mi ⸣kuː] (逃げた牛を捕獲してこい) 7584 0 0 7155 htmvoc_7584.wav シゥカムン シゥ⸢カ⸣ムン [sï̥⸢ka⸣muŋ] 他動 掴む。捕まえる。捕縛する。シ⸢カ⸣ムン[ʃi̥⸢ka⸣muŋ](掴む)(若年層)ともいう。 ⸢ティー⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン マ⸢ミ⸣ヌ ⸣サニ シゥ⸢カ⸣ミティ マ⸢コーッ⸣タ [⸢tiː⸣nu ⸢pit⸣ʧim ma⸢mi⸣nu ⸣sani sï̥⸢ka⸣miti ma⸢koːt⸣ta] (手の一杯豆の種を掴んで蒔かれた)。 ⸣パトゥザ シゥ⸢カ⸣ムンティ ⸢ゲータン⸣ドゥ シゥ⸢カマラン⸣シェン [⸣patuʣa sï̥⸢ka⸣munti geːtan⸣du sï̥⸢kamaraŋ⸣ʃeŋ] (山鳩を捕まえようと行ったが捕まえられなかった)。 シゥ⸢カミ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ シゥ⸢カ⸣ムクトゥ [sï̥⸢kami⸣ pu̥sukaː ⸣duːʃi sï̥⸢ka⸣mu ⸣ku̥tu] (捕まえたければ自分で捕まえること)。 ⸢パー⸣ク シゥ⸢カ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku sï̥⸢ka⸣meː ⸣misamunu] (早く捕まえればよいのに)。 ⸢ワー⸣ シゥ⸢カ⸣ミ [⸢waː⸣ sï̥⸢ka⸣mi] (君が捕まえろ)。 ⸣ティーシ ギッ⸢ティ⸣ シゥ⸢カ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ シゥ⸢カマラ⸣ヌ [⸣tiːʃi git⸢ti⸣ sï̥⸢ka⸣munti ⸢sundu⸣ sï̥⸢kamara⸣nu] (手でぎゅっと掴もうとするが、掴まれない)。 シゥ⸢カミ ヤッ⸣サン [sï̥⸢kamija s⸣saŋ] (掴みやすい)。 シゥ⸢カ⸣ム ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー シゥ⸢カ⸣メー ⸣ミサムヌ [sï̥⸢ka⸣mu ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː sï̥⸢ka⸣meː ⸣misamunu] (掴むことが出来たら掴めばいいのに)。 ギッ⸢ティ⸣ シゥ⸢カ⸣ミ [git⸢ti⸣ sï̥⸢ka⸣mi] (ぎゅっと掴め)。捕まえる。 ⸢アウ⸣タ シゥ⸢カ⸣ムン [⸢ʔau⸣ta sï̥⸢ka⸣muŋ] (蛙を捕まえる<捕獲する>) 7594 0 0 7156 htmvoc_7594.wav シゥカラ シゥ⸢カラ [si̥⸢kara] 名 力。体力。気力。能力。若年層は、シ⸢カラ[ʃi̥⸢kara](力)ともいう。「出で立たむ知加良乎<チカラヲ>無みと~『万葉集 3972』」の義。 ⸢ワー⸣ シゥ⸢カラヌ スー⸣ワンダ タ⸢ンガ⸣シ カ⸢タ⸣ミバ⸢ヨー [⸢waː⸣ si̥⸢karanu suː⸣wanda ⸢taŋga⸣ʃi kḁ⸢ta⸣miba⸢joː] (君は力が強いから独りで担ぎなさいねえ) 7606 0 0 7157 htmvoc_7606.wav シゥカラーサン シゥ⸢カラー⸣サン [si̥⸢karaː⸣saŋ] 形 寂しい。侘しい。うら寂しい。寂寞としている。若年層は、シ⸢カラー⸣サン[ʃi̥⸢karaː⸣saŋ]ともいう。 ⸣ドゥー ⸢タンガ⸣シェー ⸣ドゥク シゥ⸢カラーサ⸣ヌ ニ⸢バラヌ [⸣duː ⸢taŋga⸣ʃeː ⸣duku si̥⸢karaːsa⸣nu ni⸢baranu] (自分一人ではあまりにも寂しくて眠られない)。 ⸢タンガ⸣シェー シゥ⸢カラー⸣サンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸣アイ ⸢スー⸣スコー シゥ⸢カラー⸣サー ⸢ナーン⸣シェン [⸢taŋga⸣ʃeː si̥⸢karaː⸣santi ʔu⸢muːtan⸣du ⸣ʔai ⸢suː⸣su̥koː si̥⸢karaː⸣saː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (一人では寂しいと思ったが、それほど寂しくはなかった)。 マ⸢ナ⸣マーラル シゥ⸢カラー⸣サ ⸣ナル [ma⸢na⸣maːraru si̥⸢karaː⸣sa ⸣naru] (これからが<今からぞ>寂しくなる)。 シゥ⸢カラー⸣サ(ル) ⸣バソー ウ⸢タ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢ピーグラシ シー⸣バ [si̥⸢karaː⸣sa(ru) ⸣basoː ʔu⸢ta⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢piːguraʃi ʃiː⸣ba] (寂しいときは歌を歌って暮らし<日暮らしし>なさい) 7595 0 0 7158 htmvoc_7595.wav シゥカラシキルン シゥ⸢カラ⸣ シ⸢キ⸣ルン [si̥⸢kara⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 励ます。応援する。元気付ける。「力をつける」の義。若年層は、シ⸢カラ⸣ シ⸢キ⸣ルン[ʃi̥⸢kara⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ](励ます)ともいう。 イ⸢ズン⸣ タクン ッ⸢ふァーシティ⸣ シゥ⸢カラ⸣ シ⸢キ⸣ルンティル ⸣ムティ ⸢クー⸣タ⸢ダー [ʔi⸢ʣun⸣ tḁkuŋ f⸢faːʃi̥ti⸣ si̥⸢kara⸣ ʃi̥⸢ki⸣runtiru ⸣muti ⸢kuː⸣ta⸢daː] (魚も蛸も食べさせて励まそう<力をつけさせよう>と持ってきたんだよ) 7596 0 0 7159 htmvoc_7596.wav シゥカラシグトゥ シゥ⸢カラシグトゥ [si̥⸢karaʃigutu] 名 力仕事。肉体労働。シ⸢カラシグトゥ[ʃi̥⸢karaʃigutu](力仕事{EOS}肉体労働)(若年層)ともいう。 グ⸢タイ⸣ヌ カ⸢ナー⸣ンダー シゥ⸢カラシグトー ワンマー⸣ シ⸢ミララヌ [gu⸢tai⸣nu ka⸢naː⸣ndaː si̥⸢karaʃigutoː wammaː⸣ ʃi⸢raranu] (体力がない<五体が叶わない>から力仕事は君にはさせられない) 7597 0 0 7160 htmvoc_7597.wav シゥカラジナ シゥ⸢カラジナ [si̥⸢karaʤina] 名 力綱。産婦が出産の時に力を入れるために強く引き、握り締める綱。屋根の梁に綱を掛て力綱とした。若年層は、シ⸢カラジナ[ʃi̥⸢karaʤina](力綱)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー シゥ⸢カラジナバ⸣ ピ⸢キシキ⸣ カ⸢サミ⸣ シゥ⸢カラ⸣ ン⸢ザ⸣シェーティル ッ⸢ふァー⸣ ナ⸢ソーッ⸣タティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː si̥⸢karaʤinaba⸣ pi̥⸢kiʃi̥ki⸣ kḁ⸢sami⸣ si̥⸢kara⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃeːtiru f⸢faː⸣ na⸢soːt⸣tati⸢daː] (昔は力綱を引張り掴んで、力を出して子供を出産された<産まれた>そうだよ) 7598 0 0 7161 htmvoc_7598.wav シゥカラスクン シゥ⸢カラ⸣ スクン [si̥⸢kara⸣ su̥kuŋ] 連 励ます。応援する。元気付ける。元気が出る<元気付く>。「力つける」の義。若年層は、シ⸢カラ⸣ シ⸢キ⸣ルン[ʃi̥⸢kara⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ](励ます{EOS}元気付ける)ともいう。 ⸣クビ ン⸢マー⸣ムン ッ⸢ふー⸣カー シゥ⸢カラ⸣ スクン ⸣パジ [⸣kubi ʔm⸢maː⸣muŋ f⸢fuː⸣kaː si̥⸢kara⸣ su̥kum paʤi] (これだけ美味しいものを食べたら元気が出るはずだ)。 カ⸢リバ⸣ シゥ⸢カラ⸣ シキ ッ⸢ふィーリ [ka⸢riba⸣ si̥⸢kara⸣ ʃi̥ki f⸢fiːri] (彼を励ましてくれ) 7599 0 0 7162 htmvoc_7599.wav シゥカラマース シゥ⸢カラマース [si̥⸢karamaːsu] 名 神前の供物。飾り塩。盛り塩。「力塩」の義。正月に茶碗で半球形に成形した塩を皿に盛って神前に供えた供物。家族や来客に少量ずつ箸で摘んで与え、健康と長寿を祈願し嘉例を予祝する習慣がある。若年層は、シ⸢カラマース[ʃi̥⸢karamaːsu](盛り塩・力塩)ともいう。 ⸣ソンガチ ⸢ニントゥー シン⸣ パルカー シゥ⸢カラマースン⸣ カミティル ⸢クー⸣タ⸢ダー [⸣soŋgaʧi ⸢nintuː ʃim⸣ parukaː si̥⸢karamaːsuŋ⸣ kamitiru ⸢kuː⸣ta⸢daː] (正月の年頭の挨拶をしに行くと飾り塩<力塩>も頂いて<ぞ>帰ってきたものだ) 7600 0 0 7163 htmvoc_7600.wav シゥカラムチ シゥ⸢カラムチ [si̥⸢karamuʧi] 名 力持ち。強力。若年層は、シ⸢カラムチ[ʃi̥⸢karamuʧi](力持ち)ともいう。 シゥ⸢カラムチ⸣ ア⸢ラン⸣カー ⸢プール⸣ヌ カ⸢シ⸣ラー ム⸢ティユーサ⸣ヌ [si̥⸢karamuʧi⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸢puːru⸣nu ka⸢ʃi⸣raː mu⸢tijuːsa⸣nu] (力持ちでないと豊年祭の旗頭は持つことが出来ない<持ちえない>) 7607 0 0 7164 htmvoc_7607.wav シゥカラムチ シゥ⸢カラ⸣ムチ [si̥⸢kara⸣muʧi] 名 力持ち。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢トゥンジ⸣ シゥ⸢カラムチ⸣ ヤ⸢ロー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢tunʤi⸣ si̥⸢kara⸣muʧi ja⸢roː⸣ru] (この人は有名な<音に聞く>力持ちでいらっしゃる<あられる>) 7601 0 0 7165 htmvoc_7601.wav シゥカラワザ シゥ⸢カラワザ [si̥⸢karawaʣa] 名 力仕事。体力を要する仕事。「力業」の義。若年層は、シ⸢カラワザ[ʃi̥⸢karawaʣa](力業)ともいう。 グ⸢タイ⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ シゥ⸢カラワザ サバン⸣ プ⸢ス⸣ マ⸢キラヌ [gu⸢tai⸣nu ⸣kanai ⸢bunda⸣ si̥⸢karawaʣa sabam⸣ pu̥⸢su⸣ ma⸢kiranu] (体格が優れて<五体が叶って>いるから、力仕事をしても他人に負けない) 7602 0 0 7166 htmvoc_7602.wav シゥカランジ シゥ⸢カラ⸣ ンジ [si̥⸢kara⸣ ʔnʤi] 連 力を出して。努力して。頑張って。若年層は、シ⸢カラ⸣ ンジ[ʃi̥⸢kara⸣ ʔnʤi](頑張って{EOS}力をだして)ともいう。 ⸢マー⸣ ン⸢ベー⸣マ ヤ⸢リバ⸣ シゥ⸢カラ⸣ ンジ パ⸢タラキ⸣ヨー [⸢maː⸣ ʔm⸢beː⸣ma ja⸢riba⸣ si̥⸢kara⸣ ʔnʤi pḁ⸢taraki⸣joː] (もう少しだから頑張って働きなさいよ) 7603 0 0 7167 htmvoc_7603.wav シゥカランズン シゥ⸢カラ⸣ ンズン [si̥⸢kara⸣ ʔnʣuŋ] 連 力を出す。努力する。頑張る。若年層は、シ⸢カラ⸣ ンズン[ʃi̥⸢kara⸣ ʔnʣuŋ](力を出す{EOS}頑張る)ともいう。 ッ⸢ふァヌ ウイヌ ガッ⸣コー ⸣パルンティ シ⸢ター⸣ ウヤン シゥ⸢カラ⸣ ンズンティ ア⸢ジ オー⸣ル [f⸢fanu ʔuinu gak⸣koː ⸣parunti ʃi̥⸢taː⸣ ʔujan si̥⸢kara⸣ ʔnʣunti ʔa⸢ʤioː⸣ru] (子供が上の学校へ行くといったので、親も頑張ると言っておられる) 7535 0 0 7168 htmvoc_7535.wav シゥカリルン シゥ⸢カリ⸣ルン [si̥⸢kari⸣ruŋ] 連 好かれる。好まれる。動詞⸣スクン[⸣su̥kuŋ](好く{EOS}好む)の未然形に受身の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](~れる)が下接して形成された受身動詞。 プ⸢スン⸣ シゥ⸢カリ⸣ルンティ ⸣ウムーカー シゥ⸢カリ⸣ル ⸣クトゥ ⸢シー⸣バ [pu̥⸢sun⸣ si̥⸢kari⸣runti ⸣ʔumuːkaː si̥⸢kari⸣ru ⸣ku̥tu ⸢ʃiː⸣ba] (人に好かれようと思うならば、好かれることをしなさいよ) 7609 0 0 7169 htmvoc_7609.wav シゥカリルン シゥ⸢カリルン [si̥⸢kariruŋ] 自動 突かれる。他動詞、ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](突く)の未然形に受身の助動詞⸢リルン[⸢riruŋ](れる)が付いた形(受身動詞)。 マーン⸢ベーマ⸣ スカー ウ⸢シン⸣ シゥ⸢カリンティ アーク⸣タ ⸢ドー⸣スカーヤ [maːm⸢beːma⸣ su̥kaː ʔu⸢ʃin⸣ si̥⸢karinti ʔaːku⸣ta ⸢doː⸣su̥kaːja] (すんでのところで<もう少ししたら>牛に突かれるところだったんだってば)。 ウ⸢シン⸣ シゥ⸢カリルン [ʔuʃin si̥kariruŋ] (牛に突かれる) 7610 0 1 7170 htmvoc_7610.wav シゥカリン シゥ⸢カリン [sï̥⸢kariŋ] 自動 {Mn_1}突かれる。⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー ウ⸢シン⸣ シゥ⸢カリン⸣ダー[⸣ʔunaː ⸢beː⸣rukaː ʔu⸢ʃin⸣ sï̥⸢karin⸣daː](此処にいると牛に突かれるぞ)受身動詞。ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](突く)の受身表現。ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](突く)の未然形、シゥ⸢カ[sï̥⸢ka]に受身・可能の助動詞リン[riŋ](れる)が付いた形。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー ウ⸢シン⸣ シゥ⸢カリン⸣ダー [⸣ʔunaː ⸢beː⸣rukaː ʔu⸢ʃiŋ⸣ sï̥⸢karin⸣daː] (そこにいると牛に突かれるよ)。 グ⸢シ⸣シ シゥ⸢カリティ シー⸣ パリ ⸢ベー [gu⸢ʃi⸣ʃi sï̥⸢kariti ʃiː⸣ pari ⸢beː] (竹串で刺され<突かれ>て、血が出ている)。 7610 0 2 7171 htmvoc_7610.wav シゥカリン シゥ⸢カリン [sï̥⸢kariŋ] 自動 {Mn_2}突くことができる。ス⸢クン[su̥kuŋ](突く)の可能表現。 ク⸢リ⸣シン⸢デー⸣カー ⸢バン⸣ヌン イ⸢ゾー⸣ シゥ⸢カリン [ku⸢ri⸣ʃin⸢deː⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ʔi⸢ʣoː⸣ sï̥⸢kariŋ] (これでなら私にも魚は突け<突かれ>る)。他動詞、ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](突く)の未然形に受身、可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いた形(受身動詞{EOS}可能動詞)。⸢バン⸣ヌン シゥ⸢カリン[⸢ban⸣nun sï̥⸢kariŋ](私にも突ける<突かれる>)可能動詞 7611 0 0 7172 htmvoc_7611.wav シゥカリン シゥ⸢カリン [si̥⸢kariŋ] 自動 漬かる。漬かれる。漬物が十分に成熟される。他動詞、ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](漬ける)の未然形に受身、可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いた形(受身動詞{EOS}可能動詞)。シ⸢カリン[ʃi̥⸢kariŋ](漬かる)(若年層)ともいう。 ク⸢ヌ ダイ⸣クネー タ⸢ク⸣アン シゥ⸢カリンティ⸣ ウムイ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー ン⸢マー⸣ シゥ⸢カランバン [ku⸢nu dai⸣kuneː tḁ⸢ku⸣an si̥⸢karinti⸣ ʔumui su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː ʔm⸢maː⸣ si̥⸢karambaŋ] (この大根は沢庵漬けに漬かる<自然に漬けられる>と思って漬けたが、あまり美味しくは漬からない<漬かってない>わい)。 ⸢キュー⸣レー ⸢トゥッカ⸣シェー シゥ⸢カリン [⸢kjuː⸣reː ⸢tukka⸣ʃeː si̥⸢kariŋ] (きゅうり<胡瓜>は十日では漬かる<漬けられる{EOS}漬物として成熟する>) 7612 0 0 7173 htmvoc_7612.wav シゥカリン シゥ⸢カリン [sï̥⸢kariŋ] 自動 聞こえる。聞かれる。 ⸢サンシンヌ⸣ ウ⸢トゥヌ⸣ シゥ⸢カリ ブーヌ ワンヌン⸣ シゥ⸢カリン [⸢saŋʃinnu⸣ ʔu⸢tunu⸣ sï̥⸢kari buːnu wannuŋ⸣ sï̥⸢kariŋ] (三味線の音が聞こえているが、君も聞こえるか)。 ⸢クイ⸣ヌ グ⸢マー⸣ヌ シゥ⸢カラヌヌ⸣ シゥ⸢カリ⸣ ピンヌン ⸢アッ⸣タン [⸢kui⸣nu gu⸢maː⸣nu sï̥⸢karanunu⸣ sï̥⸢kari⸣ pinnuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (声が小さくて聞こえない<聞かれない>が、聞こえるときもあった)。 ⸢マー⸣ビン シゥ⸢カレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ sï̥⸢kareː⸣ misamunu] (もっと聞こえればいいのに)。 ⸣ウナー ナ⸢キベー⸣ティ プ⸢スン⸣ シゥ⸢カリリ⸣バ [⸣ʔunaː na⸢kibeː⸣ti pu̥⸢suŋ⸣ sï̥⸢kariri⸣ba] (そこで泣いていて他人に聞かれれよ<聞かれなさいよ{EOS}聞かれたら恥だぞ>)。ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](聞く)の未然形に受身の助動詞リン[riŋ](れる)が付いた受身表現。 ウ⸢ブ⸣クイシ パ⸢ナ⸣スカー プ⸢スン⸣ シゥ⸢カリン⸣ダー [ʔu⸢bu⸣kuiʃi pa⸢na⸣su̥kaː pu̥⸢sun⸣ sï̥⸢karin⸣daː] (大声で話すと他人に聞かれるぞ)。 7612 0 2 7174 htmvoc_7612.wav シゥカリン シゥ⸢カリン [sï̥⸢kariŋ] 自動 {Mn_2}可能表現。聞くことができる。ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](聞く)の未然形に可能の助動詞⸢リン[riŋ](れる)の付いた可能表現。 ク⸢レー バン⸣ヌン シゥ⸢カリン [ku⸢reː ban⸣nuŋ sï̥⸢kariŋ] (これは私にも聞くことができる<聞かれる>) 7616 0 1 7175 htmvoc_7616.wav シゥカリン シゥ⸢カリン [si̥⸢kariŋ] 連 膳を供せられる。供えられる。{Mn_1}ス⸢クンン[su̥⸢kuŋ](供える)の受身表現。 バー⸢バー⸣キ ⸢ジン⸣ シゥ⸢カリ⸣カー ⸢デー⸣ジ [baː⸢baː⸣ki ⸢ʤin⸣ si̥⸢kari⸣kaː ⸢deː⸣ʤi] (私まで膳を供される<供えられる>と大変だ)。 7616 0 2 7176 htmvoc_7616.wav シゥカリン シゥ⸢カリン [si̥⸢kariŋ] 連 {Mn_2}供えることが出来る。ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](供える)の可能表現。 ⸢ジンヌ⸣ ア⸢タロー ウイ⸣プス ヤ⸢ラバン⸣ シゥ⸢カリン [⸢ʤinnu⸣ ʔa⸢taroː ʔui⸣pu̥su ja⸢raban⸣ si̥⸢kariŋ] (お膳ぐらいは老人にでも配膳できる<供えられる>) 7617 0 1 7177 htmvoc_7617.wav シゥカリン シゥ⸢カ⸣リン [si̥⸢ka⸣riŋ] 連 置かれる。{Mn_1}⸣スクン[⸣su̥kuŋ](置く)の受身動詞。 ⸢タール⸣ ス⸢ク⸣タユー ⸢カッティニ⸣ ミ⸢ナ⸣カナー ⸢ニー⸣バ シゥ⸢カ⸣リティ ⸢ヤッカイ⸣ヌ [⸢taːru⸣ su̥⸢ku⸣tajuː ⸢kattini⸣ mi⸢na⸣kanaː ⸢niː⸣ba si̥⸢ka⸣riti ⸢jakkai⸣nu] (誰が置いたのか、勝手に庭に荷物を置かれて厄介なことだ)。 7617 0 2 7178 htmvoc_7617.wav シゥカリン シゥ⸢カ⸣リン [si̥⸢ka⸣riŋ] 連 {Mn_2}置くことが出来る。置ける。⸣スクン[⸣su̥kuŋ](置く)の可能動詞。 ⸣クナーテー イ⸢チンバー⸣キン シゥ⸢カ⸣リン [⸣kunaːteː ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ si̥⸢ka⸣riŋ] (此処では何時までも置くことが出来る<置かれ>る) 7608 0 0 7179 htmvoc_7608.wav シゥカル シゥ⸢カル [si̥⸢karu] 名 水瓶などの保護網。水瓶や酒瓶、味噌瓶などを保護するために外側に棕櫚縄で作った網をかけたもの。 ⸢フー⸣カラジナシ カ⸢ミ⸣ヌ シゥ⸢カル⸣ カキ ⸣シケーバ ⸣カメー バ⸢ラヌ [⸢ɸuː⸣karaʤinaʃi ka⸢mi⸣nu si̥⸢karu⸣ kḁki ⸣ʃi̥keːba ⸣kameː ba⸢ranu] (棕櫚綱で瓶の保護網を掛けてあるから、瓶は割れないよ) 7618 0 0 7180 htmvoc_7618.wav シゥカルン シゥ⸢カルン [si̥⸢karuŋ] 自動 つかる。つかる(浸かる)。ひたる(浸る)。水につかってぬれる。 ウ⸢レー⸣ イ⸢ザン⸣カー ⸣プスイピーズ ミ⸢ジ⸣ナー シゥ⸢カルン⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʣaŋ⸣kaː ⸣pu̥suipiːʣu mi⸢ʤi⸣naː si̥⸢karun⸠daː] (彼は叱らないと一日中水に浸かるぞ)。 ミ⸢ジ⸣ナー シゥ⸢カリ⸣ティ ⸣ガバー ウ⸢タ⸣シティ ア⸢ザバン⸣ シゥ⸢カラヌ [mi⸢ʤi⸣naː si̥⸢kariti⸣ gabaː ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ʔa⸢ʣaban⸣ si̥⸢karanu] (水に浸かって垢を落とせと言っても浸からない)。 ⸢ピー⸣ヤンダ ミ⸢ジ⸣ナー シゥ⸢カル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢piː⸣janda mi⸢ʤi⸣naː si̥⸢karu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (寒いから水に浸かる人はいない)。 ⸢マー⸣ビン シゥ⸢カレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin si̥⸢kareː⸣ misamunu] (もっと水に浸かれば良いのに) 7619 0 0 7181 htmvoc_7619.wav シゥカン ⸣シゥカン [⸣si̥kaŋ] 名・助数 つかみ(掴み)。片手で握れるだけの量。数詞に下接して物の数量を表す。⸣シカン[⸣ʃi̥kaŋ](掴み)(若年層)ともいう。 ⸢マイタブロー⸣ フ⸢タシゥカン⸣シル プ⸢スタブ⸣ルティ ⸢スー [⸢maitaburoː⸣ ɸu̥⸢tasi̥kaŋ⸣ʃiru pu̥⸢sutabu⸣ruti ⸢suː] (稲の1束<稲束>は2つか<掴み>で1束という)。 ⸢マイシジ⸣ プ⸢ス⸣シゥカン シゥ⸢カ⸣ミ イ⸢リリ⸣バ [⸢maiʃiʤi⸣ pu̥⸢su⸣ si̥kan si̥⸢ka⸣mi ʔi⸢riri⸣ba] (米粒を一掴み握って<掴んで>入れなさいよ)。 ⸢ミーシゥカン [⸢miːsi̥kaŋ] (3掴み)。 ⸢ユーシゥカン [⸢juːsi̥kaŋ] (4掴み)。 イ⸢チ⸣シゥカン [ʔi⸢ʧi⸣si̥kaŋ] (5掴み)。 ⸢ムーシゥカン [⸢muːsi̥kaŋ] (6掴み) 7620 0 0 7182 htmvoc_7620.wav シゥカン シゥ⸢カン- [si̥⸢kan-] 接頭 ぶち~。動詞に上接して意味を強め、修飾する語の語義に粗野で下品な強い意味を加味する。シ⸢カン-[ʃi̥⸢kan-](ぶち~)(若年層)ともいう。 シゥ⸢カントー⸣ルン [si̥⸢kantoː⸣ruŋ] (ぶっ倒れる)。 ヤ⸢ナクトゥバ シー⸣ プ⸢スヌ⸣ バチ シゥ⸢カン⸣カビバ [ja⸢nakutuba ʃiː⸣ pu̥⸢sunu⸣ baʧi si̥⸢kaŋ⸣kabiba] (悪事をして、人の罪<罰>をおっ被りやがれ)。 ⸣ワンザー ⸢タンガ⸣シ シゥ⸢カン⸣ッふァイバ [⸣wanʣaː ⸢taŋga⸣ʃi si̥⸢kaŋ⸣ffaiba] (お前一人で打ち喰らえやがれ)。 プ⸢スヌ⸣ ム⸢ヌ⸣バ シゥ⸢カン⸣バカイ ⸣バカイ トゥ⸢ル⸣ナ [pu̥⸢sunu⸣ mu⸢nu⸣ba si̥⸢kam⸣bakai ⸣bakai tu⸢ru⸣na] (他人の物をぶん取って、奪い取るな) 7621 0 0 7183 htmvoc_7621.wav シゥカンカースン シゥ⸢カンカー⸣スン [si̥⸢kaŋkaː⸣suŋ] 他動 売り飛ばす。 ⸢マートゥリ⸣ムノー シゥ⸢カンカー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸣ナリティ シゥ⸢カンカー⸣ス ⸣クトゥーン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maːturi⸣munoː si̥⸢kaŋkaː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢mui⸣ʦaː ⸣nariti si̥⸢kaŋkaː⸣su ⸣kutuːn na⸢ra⸣nu] (邪魔な物<場所塞ぎ物>は売り飛ばそうと思うが、惜しくなって売り飛ばすことが出来ない)。 シゥ⸢カンカーシ⸣ プサカー ⸢パー⸣ク シゥ⸢カンカー⸣シェー ⸣ミサムヌ [si̥⸢kaŋkaːʃi⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku su̥⸢kaŋkaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (売り飛ばしたければ早く売り飛ばせばいいのに)。 シゥ⸢カンカーサラ⸣ヌ [su̥⸢kaŋkaːsara⸣nu] (売り飛ばされない)。 ⸢パー⸣ク シゥ⸢カンカー⸣シ [⸢paː⸣ku su̥⸢kaŋkaː⸣ʃi] (早く売り飛ばせ) 7623 0 0 7184 htmvoc_7623.wav シゥカンギ シゥ⸢カンギ [sï̥⸢kaŋgi] 名 支柱。支え柱。 カ⸢ジヌ⸣ フクンティ ⸢スンダ⸣ パ⸢ラー⸣ヌ シゥ⸢カンギ⸣ カ⸢マ⸣シ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kunti ⸢sunda⸣ pa⸢raː⸣nu sï̥⸢kaŋgi⸣ ka⸢ma⸣ʃi] (台風<風>が吹くというから、柱の支柱をかませ<入れ>よ)。 ⸢ヤー⸣ヌ シゥ⸢カンギ ホー⸣シティ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ヨー [⸢jaː⸣nu sï̥⸢kangi hoː⸣ʃi̥ti ⸢jaː⸣nu kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣joː] (家の支柱を立てて<咬ませて>家の暴風対策<格護>をしなさいよ) 7552 0 0 7185 htmvoc_7552.wav シゥカンギー シゥ⸢カンギー [si̥⸢kaŋgiː] 名 支柱。「つかえぎ<支え木>」の義。「Tçucaye.ツカエ(支へ)支え,または,支柱.Tçucayeuo suru.(支へをする)倒れかかった塀その他の物に支柱を立てる」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 シゥ⸢カンギー⸣ シゥ⸢カイティ ヤー⸣ヌ カ⸢キン⸣グ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [si̥⸢kaŋgiː⸣ si̥⸢kaiti jaː⸣nu kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (支柱を構えて<突っ支えにして{EOS}つっかい棒にして>家の格護<防風対策>をしないといけない) 7628 0 0 7186 htmvoc_7628.wav シゥカンシキ シゥ⸢カン⸣ シキ [sï̥⸢kaŋ⸣ ʃi̥ki] 連 聞きやがれ。耳を穿って聞け。よく聞け。シゥ⸢カン[sï̥⸢kaŋ](掴み)は強意の接頭語。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ⸢カン⸣ヌ ⸣クイティル ⸣アル ⸢ミン⸣バ トゥ⸢ルッ⸣サイ シゥ⸢カン⸣ シキ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣jaː ⸢kan⸣nu ⸣kui ⸣tiru ⸣ʔaru ⸢mim⸣ba tu⸢rus⸣sai sï̥⸢kaŋ⸣ ʃi̥ki] (親の言葉<声>は神の言葉<声>と箴言にある{EOS}耳を穿って<注意して>よく聞け) 7629 0 0 7187 htmvoc_7629.wav シゥカンシキ シゥ⸢カン シキ [si̥⸢kaŋ ʃi̥ki] 連 上の空で聞くこと。他のことに心が奪われてしっかりと聞かないこと。「聞かぬ聞き」の義。 ナー⸢イ⸣ シゥ⸢カン シキバ シーベー⸣ティ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トゥス⸣コーッタ ⸣ムネー ⸢バシキ ベー⸣ミー [naː⸢i⸣ si̥⸢kaŋ ʃi̥kiba ʃiːbeː⸣ti ʔu⸢ja⸣nu ⸢tusu̥⸣koːtta ⸣muneː ⸢baʃi̥ki beː⸣miː] (ただぼけっとして、上の空で聞いていて、親が言い付けられた言葉を忘れているだろうねえ) 7627 0 0 7188 htmvoc_7627.wav シゥカンツァールン シゥ⸢カンツァー⸣ルン [sï̥kanʦaː⸣ruŋ] 自動 ごちゃごちゃに\ruby{縺}{モツ}れる。\ruby{絡}{カラ}まりつく。散乱する。混乱する。めちゃくちゃになる。 ス⸢クイ⸣バ キ⸢リッケーラ⸣スカー ⸣イトー シゥ⸢カンツァー⸣ルン [su̥⸢kui⸣ba ki⸢rikkeːra⸣su̥kaː ⸣ʔitoː sï̥⸢kanʦaː⸣ruŋ] (麻桶を蹴転がしたら、績んだ糸は散乱してごちゃごちゃに縺れ絡まる)。 ヤシー⸢ヤシー⸣ シゥ⸢カンツァー⸣ラヌ [jaʃiː⸢jaʃiː⸣ sï̥⸢kanʦaːra⸣nu] (易々とは縺れ絡まらない)。 シゥ⸢カンツァー⸣リティ ⸢パンツァサラヌ [sï̥⸢kanʦaː⸣riti ⸢panʦasaranu] (縺れ絡まって解け<外され>ない)。 シゥ⸢カンツァー⸣ル ⸣イトー シ⸢ティリ [sï̥⸢kanʦaː⸣ru ⸣ʔitoː ʃi̥⸢tiri] (縺れ絡まる糸は捨てろ)。 シゥ⸢カンツァー⸣レー ⸣ミサムヌ [sï̥⸢kanʦaː⸣reː ⸣misamunu] (縺れ絡まりつけばよいのに)。 シゥ⸢カンツァーリ⸣リ [sï̥⸢kanʦaːri⸣ri] (縺れ絡まれ) 7536 0 0 7189 htmvoc_7536.wav シゥカンッふァースン シゥ⸢カンッふァー⸣スン [si̥⸢kaŋffaː⸣suŋ] 他動 打ち食らわす。打ち食らわせる。動詞ッ⸢ふァースン[f⸢faːsuŋ](食わせる)に強意の接頭語シゥ⸢カン-[si̥⸢kaŋ-](うち<掴み>~)が上接して形成された使役動詞。表現上は、喧嘩口調で、捨て鉢で、粗野で、下品な感じが伴う。 シゥ⸢カンッふァー⸣スンティ ⸣ウムーカー ⸢パー⸣ク シゥ⸢カンッふァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [si̥⸢kaŋffaː⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku si̥⸢kaŋffaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (打ち食わせようと思うなら、早く打ち食わせば良いのに) 7537 0 0 7190 htmvoc_7537.wav シゥカンッふン シゥ⸢カン⸣ッふン [si̥⸢kaŋ⸣ffuŋ] 他動 打ち食らう。他動詞ッ⸢ふン[f⸢fuŋ](食う{EOS}食らう)に強意の接頭語シゥ⸢カン-[si̥⸢kaŋ-](うち{EOS}<掴み~>)が付いて形成された他動詞。喧嘩口調の、粗野で、捨て鉢で下品な感じが伴う。 ⸣バー ⸣ドゥーシ シゥ⸢カン⸣ッふン [⸣baː ⸣duːʃi si̥⸢kaŋ⸣ffuŋ] (私は自分で打ち食らう)。 シゥ⸢カンッふァー⸣ヌ [si̥⸢kaŋffaː⸣nu] (打ち食らわない)。 シゥ⸢カン⸣ッふァイ ⸣ミサン [si̥⸢kaŋ⸣ffai ⸣misaŋ] (打ち食らって良い)。 シゥ⸢カンッふー⸣ナ [si̥⸢kaŋffuː⸣na] (打ち食らうな)。 シゥ⸢カン⸣ッふー ⸣クトゥ [si̥⸢kaŋ⸣ffuː ⸣ku̥tu] (打ち食らうこと)。 シゥ⸢カンッふァイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [si̥⸢kaŋffai⸣jaː ⸣misamunu] (打ち食らえば良いのに)。 シゥ⸢カン⸣ッふァイバ [si̥⸢kan⸣ffaiba] (打ち食らえよ) 7624 0 0 7191 htmvoc_7624.wav シゥカンッふン シゥ⸢カン⸣ッふン [si̥⸢kaŋ⸣ffuŋ] 他動 打ち食らう。「掴み食らう」の義。「食う」の粗野で卑下した表現。 ⸣スブットーヤ パ⸢タラカムティ⸣ イー⸢カーニ⸣ シゥ⸢カン⸣ッふァイ ⸢ベー [⸣subuttoːja pḁ⸢tarakamuti⸣ ʔiː⸢kaːni⸣ si̥⸢kaŋ⸣ffai ⸢beː] (怠け者野郎は働かないで飯だけ打ち食らっている)。 シゥ⸢カン⸣ッふァイ ⸣ミサカー シゥ⸢カン⸣ッふー ⸣クトゥン ⸣ナルン [si̥⸢kaŋ⸣ffai ⸣misakaː si̥⸢kaŋ⸣ffuː ⸣ku̥tun ⸣naruŋ] (打ち食らって良ければ打ち食らうこともできる)。 ⸢マー⸣ビン シゥ⸢カンッふァイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin si̥⸢kanffai⸣jaː ⸣misamunu] (もっと打ち食らえばいいのに)。 ⸢パー⸣ク シゥ⸢カン⸣ッふァイ [⸢paː⸣ku si̥⸢kaŋ⸣ffai] (早く打ち食らえ) 7625 0 0 7192 htmvoc_7625.wav シゥカントールン シゥ⸢カントー⸣ルン [sï̥⸢kantoː⸣ruŋ] 自動 打っ倒れる。 マ⸢ラビ⸣ シゥ⸢カントー⸣リティ ⸣パン ⸣ブリ ⸣シケーバン [ma⸢rabi⸣ sï̥⸢kantoː⸣riti ⸣pam ⸣buri ⸣ʃi̥keːbaŋ] (まろび<転び>ぶっ倒れて足を折ってあるわい)。 ⸣シンターラ ⸢アッ⸣タニ ⸢ウシゥカラス⸣カー シゥ⸢カントー⸣ルンダ シゥ⸢カントーラン⸣ スコーニ ⸢シー⸣バ [⸣ʃintaːra ⸢ʔat⸣tani ⸢ʔusï̥karasu⸣kaː sï̥⸢kantoː⸣runda sï̥⸢kantoːran⸣ su̥koːni ⸢ʃiː⸣ba] (後ろから急に押すと打っ倒れるから、打っ倒れないようにしなさいよ) 7630 0 0 7193 htmvoc_7630.wav シゥカンバナ シゥ⸢カン⸣バナ [si̥⸢kam⸣bana] 名 占いに用いる、選ばれた米粒。「掴み花米」の義。シ⸢カン⸣バナ[ʃi̥⸢kam⸣bana](掴み花米)(若年層)ともいう。ウ⸢ク⸣ジ[ʔu⸢ku⸣ʤi](御籤)をバ⸢ルン[ba⸢ruŋ](割る{EOS}占う)際に神前に供える粒選びした専用の白米。供物のパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)とは別に供える。 シゥ⸢カン⸣バナー ウ⸢ク⸣ジ バ⸢ロー⸣ル ⸣バス シゥ⸢カイオー⸣ル ⸣パナ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢ナングミ⸣トー クティ⸢ダー [si̥⸢kam⸣banaː ʔu⸢ku⸣ʤi ba⸢roː⸣ru ⸣basu si̥⸢kaijoː⸣ru ⸣pana ja⸢runda⸣ pa⸢naŋgumi⸣toː ku̥ti⸢daː] (シゥカンバナ<掴み花米>は御籤を占う<籤を割る>際に使われる花米だから、普通の花米とは別<こと{EOS}異>だよ) 7631 0 0 7194 htmvoc_7631.wav シゥカンプスン シゥ⸢カン⸣プスン [si̥⸢kam⸣pu̥suŋ] 他動 放屁しやがる。「掴み・放る」の義。「シゥカン[si̥kam](掴み)」は、強意の接頭語。「放屁する」の下品な表現。 ⸢ウンザー⸣ ッ⸢サリピー⸣バ ⸣ユー シゥ⸢カン⸣プスン [⸢ʔunʣaː⸣ s⸢saripiː⸣ba ⸣juː si̥⸢kam⸣pu̥suŋ] (彼奴は臭い屁をよく放屁しやがる)。 マ⸢ナ⸣マー シゥ⸢カンプサ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː si̥⸢kampu̥sa⸣nu] (今は放屁しやがらない)。 シゥ⸢カン⸣プシ ⸣ミサカー シゥ⸢カン⸣プス ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ プ⸢スム⸣シ シゥ⸢カン⸣プシェーラー トゥ⸢マラヌ [si̥⸢kam⸣pu̥ʃi ⸣misakaː si̥⸢kam⸣pu̥su ⸣ku̥toː na⸢run⸣du pu̥⸢sumu⸣ʃi si̥⸢kam⸣pu̥ʃeːraː tu⸢maranu] (放屁しくさって良ければ放屁しくさることは出来るが、一度放屁しくさったら止まらない)。 シゥ⸢カン⸣プシバ [si̥⸢kam⸣pu̥ʃiba] (放屁しやがれ) 7334 0 1 7195 htmvoc_7334.wav シェー ⸣-シェー [⸣-ʃeː] 連 助詞連語。{Mn_1}~では。~をもってしては。格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](で<手段格>)に係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](は<取立て>)が付いて融合変化した形。 ク⸢ヌ⸣ ヌ⸢キ⸣ルシェー キ⸢サラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ nu⸢ki⸣ruʃeː ki̥⸢sara⸣nu] (この鋸では切れない<切られない>)。 ⸢ワー タンガ⸣シェー シ⸢ララヌ [⸢waː taŋga⸣ʃeː ʃi⸢raranu] (君一人では出来ない)。 7334 0 2 7196 htmvoc_7334.wav シェー ⸣-シェー [⸣-ʃeː] 連 {Mn_2}~には。~<まで>には。 ⸢ワー⸣ ク⸢マー⸣ クーン⸢ケン⸣シェー ⸣フネー ⸣ンジ パ⸢リ⸣ス [⸢waː⸣ ku⸢maː⸣ kuːŋ⸢keŋ⸣ʃeː ɸuneː ⸣ʔnʤi pa⸢ri⸣su] (君がここへ来るまでには、船は出港して<出て>行くよ) 7335 0 0 7197 htmvoc_7335.wav シェー ⸣-シェー [⸣-ʃeː] 終助 ~よ。~<なんだ>よ。相手の意見を認めて、それを確認、追認する時に用いる。 ⸣アイヌシェー ウ⸢レー ワー⸣ アズ ⸢トゥール⸣ヌシェー [⸣ʔainuʃeː ʔu⸢reː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuːru⸣nuʃeː] (そうなんだよ{EOS}それは、君のいう通りだよ) 7496 0 0 7198 htmvoc_7496.wav シェー ⸣シェー [⸣ʃeː] 連 助詞連語。~では。各助詞⸣シ[⸣ʃi](~で)に取立ての助詞⸣ヤ[ja](~は)が下接して形成された助詞連語。[ʃi] + [ja] → [ʃeː]と音韻変化したもの。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ディ⸣シェー ⸢ジー⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ɸu⸢di⸣ʃeː ⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kara⸣nu] (この筆では、字は書けない<書かれない>) 7538 0 0 7199 htmvoc_7538.wav シェーガートゥリ ⸢シェーガー⸣トゥリ [⸢ʃeːgaː⸣turi] 名 カツオの背びれとそれに付いている背の皮の鱗の部分を除去すること。⸢背皮取り」の義。鰹節製造過程で、頭を切ったカツオを納屋の大きな俎板に載せ、ナ⸢カ⸣ワリ[na⸢ka⸣wari](三枚卸)にする際に⸢シェーガー[⸢ʃeːgaː](背皮)を取ることをいう。先ず、カ⸢ツバザイカタナ[kḁ⸢ʦubaʣaikatana](カツオ捌き包丁)の先を、背びれの左右にある小さな鱗の部分に軽く差し込んで背皮をおこし、次に⸢ズーブニ[⸢ʣuːbuni](尾びれ{EOS}<尾骨>)の付け根から背びれの方へ包丁で背皮を薄く切り剥いでいき、その背皮を手に持ち替えて一気に引き抜くとシェーガーが除去できる。 ⸢シェー⸣ガー ⸣パギティル ナ⸢カ⸣ワレー ⸢ソー⸣ル [⸢ʃeː⸣gaː ⸣pagitiru na⸢ka⸣wareː ⸢soː⸣ru] (背皮を剥いでから中割<三枚卸>はされるのだ) 7604 0 0 7200 htmvoc_7604.wav ジェージェー ⸢ジェージェー [⸢ʤeːʤeː] 擬態 泥酔したさま。泥酔して涎を垂らしているさま。 ⸢ジェージェー スン⸣ケン ⸣ビータリティ ニ⸢ビベー [⸢ʤeːʤeː suŋ⸣kem ⸣biːtariti ni⸢bi beː] (涎を垂らすほど酔いつぶれて寝ている) 7497 0 0 7201 htmvoc_7497.wav シェーミサムヌ ⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸢ʃeː⸣ misamunu] 連 すれば良いのに。動詞⸢スン[⸢suŋ](する<為る>)の已然形に形容詞⸣ミサン[⸣misaŋ](良い)の連体形が付いて形成された形。 ウ⸢レー⸣ ドゥーシ ⸢シェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢reː⸣ duːʃi ⸢ʃeː⸣ misamunu] (それは自分ですれば良いのに) 7605 0 0 7202 htmvoc_7605.wav シェーラー ⸢シェー⸣ラー [⸢ʃeː⸣raː] 連 ~したら。~したからには。動詞⸢スン[⸢suŋ](する)の已然形に、接続助詞⸣ラー[⸣raː](からには{EOS}ra:と音韻変化したもの)の付いた形。 ⸢イッ⸣タン ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ シェー⸣ラー ナ⸢カバー⸣ラ ヤ⸢ミララヌ [⸢ʔit⸣taŋ ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu ʃeː⸣raː na⸢kabaː⸣ra ja⸢miraranu] (一旦、この仕事をしたからには、途中で<から>止められない) 7336 0 0 7203 htmvoc_7336.wav シェーン ⸢シェー⸣ン [⸢ʃeː⸣ŋ] 他動 した。動詞⸢スン[⸢suŋ](する)の活用形(確認過去形<してある>)。過去におこなった結果が残っているときにも用いる。 ⸢ワー⸣ シ⸢グトー シェーン⸣ナー⸢レー [⸢waː⸣ ʃi⸢gutoː ʃeːn⸣naː⸢reː] (君は、仕事はしてあるだろうねえ)。 キサー⸢ティ シェー⸣ン [ki̥saː⸢ti ʃeː⸣ŋ] (<いうまでもなく>既にしてある)。 ⸢シェーナー⸣ヌ [⸢ʃeːnaː⸣nu] (まだしてない<しておいてない>)。 ⸢シェー⸣ル ⸣クトゥ [⸢ʃeː⸣ru ⸣ku̥tu] (してあること) 7539 0 0 7204 htmvoc_7539.wav シェーン ⸢シェー⸣ン [⸢ʃeː⸣ŋ] 助動 ~できる。~し得る。「きれる」が音韻変化した形。可能を表す助動詞。動詞の連用形に付いて、「完全に~することができる」の意味を表す。 ⸣バー ⸢ジー⸣ カキ⸢シェー⸣ン [⸣baː ⸢ʤiː⸣ kḁki⸢ʃeː⸣ŋ] (私は字を書くことが出来る<書ききれる・書ける>)。 ム⸢チ⸣カサ ⸢ジーヤ⸣ カキ⸢サヌ [mu⸢ʧi⸣kasa ⸢ʤiːja⸣ kḁki⸢sanu] (難しい字は書けない)。 ⸢ジー⸣ カキ⸢シェー⸣ プ⸢ス⸣ トゥミ ⸣クー [⸢ʤiː⸣ kḁki⸢ʃeː⸣ pu̥⸢su⸣ tumi ⸣kuː] (字の書ける人を探してこい)。 ⸢ジー⸣ カキ⸢シェー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸢ʤiː⸣ kḁki⸢ʃeː⸣kaː ⸣misamunu] (字が書けたら良いのに)。 ⸢ウンマー⸣ カキッ⸢シ ブレー⸣ル [⸢ʔummaː⸣ kḁkiʃ⸢ʃi bureː⸣ru] (あの時は書けた<書ききれていた>だろうよ)。 ⸢ジー⸣ カキ ⸢シェー⸣ン [⸢ʤiː⸣ kḁki ⸢ʃeː⸣ŋ] (字を書ける<書き切れる>)。 ⸣ユミ ⸢シェー⸣ン [⸣jumi ⸢ʃeː⸣ŋ] (読める<読み切れる>)。 ⸣トゥリ ⸢シェー⸣ン [⸣turi ⸢ʃeː⸣ŋ] (取れる<取りきれる>)。 ⸢カイ シェー⸣ン [⸢kai ʃeː⸣ŋ] (買える<買い切れる>)。 ⸣キー ⸢シェー⸣ン [⸣kiː ⸢ʃeː⸣ŋ] (来れる<来切れる>)。 ⸣ブ⸢リ シェー⸣ン [bu⸢ri ʃeː⸣ŋ] (居れる<居り切れる>)。 ⸢ジー⸣ カキ ⸢サヌ [⸢ʤiː⸣ kḁki ⸢sanu] (字が書けない<書き切れない>)。 ⸢ジー⸣ カキ ⸢シェー⸣ プ⸢ス [⸢ʤiː⸣ kḁki ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢su] (字を書ける<書き切れる>人) 7498 0 0 7205 htmvoc_7498.wav シェイキツァザーテー ⸢シェイキツァザーテー [⸢ʃeikiʦaʣaːteː] 名 屋号。西花誠吉氏宅。⸣ナラシケーヌ ⸣ボッパーテー[⸣naraʃi̥keːnu ⸣boppaːteː](成底家のボッパー姉宅)ともいう。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸣ナラシケートゥ ⸣ヤガンマテーヌ ⸢アイナ⸣カナール ⸢アッ⸣タミー [⸢ʔun⸣neːja ⸣naraʃi̥keːtu ⸣jagammateːnu ⸢ʔaina⸣kanaːru ⸢ʔat⸣tamiː] (その家は成底家と西原信一宅の中間に<ぞ>あったんでしょう?) 7337 0 0 7206 htmvoc_7337.wav シェメンガーラ ⸣シェメンガーラ [⸣ʃemeŋgaːra] 名 セメント瓦。セメントで作った屋根瓦。鳩間島にはなかった。終戦後石垣島で利用されるようになった。 ⸣シェメンガーラー パ⸢トゥ⸣マナーテー ター⸢ン⸣ シゥ⸢カイ ヨーラン⸣シェン [⸣ʃemeŋgaːraː pḁ⸢tu⸣manaːteː taː⸢n⸣ si̥⸢kai joːraŋ⸣ʃeŋ] (セメント瓦は、鳩間島では誰も使われなかった) 7338 0 1 7207 htmvoc_7338.wav シェンスル ⸢シェン⸣スル [⸢ʃen⸣suru] 名 {Mn_1}⸢扇子」の転訛したもの。竹や木で骨格部を作り、末広になるように要を固定し、紙を貼って折り畳めるように作った扇。古典舞踊や儀式の際に用いられた。舞踊に用いる扇子を特にブ⸢ドゥルオンギ[bu⸢duruʔoŋgi](踊り扇)という。 バ⸢シヌトゥロー シェン⸣スル ム⸢ティ⸣ル ブ⸢ドゥル ソー⸣ル [ba⸢ʃinuturoː ʃen⸣suru mu⸢ti⸣ru bu⸢duru soː⸣ru] (鷲の鳥節は扇子を持って踊りをされる)。 7338 0 2 7208 htmvoc_7338.wav シェンスル ⸢シェン⸣スル [⸢ʃen⸣suru] 名 {Mn_2}魚名。カワハギ(皮剥ぎ)の仲間。 ⸢シェン⸣スロー ⸢カー⸣バ ⸣パギティル ⸢ネーソーッ⸣タ [⸢ʃen⸣suroː ⸢kaː⸣ba ⸣pagitiru ⸢neːsoːt⸣ta] (シェンスル<かわはぎの仲間>は皮を剥いで炊かれた<煮られた>) 7540 0 0 7209 htmvoc_7540.wav シェンスル ⸢シェン⸣スル [⸢ʃen⸣suru] 名 (動)魚の名。和名、ウスバハギ。体長約70センチ。和名、ソウシハギ(体長約70センチ)の総称。鳩間島では漁獲数も少ないし、あまり好まれない魚である 7499 0 0 7210 htmvoc_7499.wav シカ ⸣シカ [⸣ʃi̥ka] 名 (地)旧石垣市内。「四箇」の義。字登野城、字大川、字石垣、字新川の四箇字のこと。「四箇村」の意。八重山の中心都市で、⸣シカプス[⸣ʃi̥kapu̥su](四箇村人)は都会人を意味した。普通はイ⸢サナキ[ʔi⸢sanaki](石垣)、イ⸢サンケー[ʔi⸢saŋkeː](石垣)という。 シ⸢カ⸣ヌ ウ⸢トゥザン⸣ヤー プ⸢シ⸣イガ ⸣シトゥ ム⸢タ⸣シバ [ʃi̥⸢ka⸣nu ʔu⸢tuʣaɲ⸣jaː pu̥⸢ʃi⸣ʔiga ⸣ʃi̥tu mu⸢ta⸣ʃiba] (四箇村の親戚の家に干し烏賊<スルメ>をお土産<苞>にもたせなさいよ) 7512 0 0 7211 htmvoc_7512.wav シカーグヮー シ⸢カー⸣グヮー [ʃi̥⸢kaː⸣gwaː] 名 臆病者。小心者。怖がりや。糸満方言からの転訛。 ウ⸢レー⸣ シ⸢カー⸣グヮー ヤ⸢ルンダ ユー⸣ロー ⸢タンガ⸣シェー マー⸢ン⸣ パ⸢リユーサ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃi̥⸢kaː⸣gwaː ja⸢runda juː⸣roː ⸢taŋga⸣ʃeː maː⸢m⸣ pa⸢rijuːsa⸣nu] (あいつは臆病者だから夜は一人では何処へも行けない<行かれない>)。 ウ⸢レー サッ⸣コー シ⸢カー⸣グヮー [ʔu⸢reː sak⸣koː ʃi̥⸢kaː⸣gwaː] (この人は非常に臆病者である) 7506 0 0 7212 htmvoc_7506.wav シカーシカーシ シカーシ⸢カー⸣シ [ʃi̥kaːʃi̥⸢kaː⸣ʃi] 副 びくびく。こわごわ。恐る恐る。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣ティル ⸣アイ ⸢ブー⸣ユー シカーシ⸢カー⸣シル パ⸢ナ⸣シン ⸢スー⸠ツォー [ʔu⸢ja⸣nu bu⸢raːn⸣tiru ⸣ʔai ⸢buː⸣juː ʃi̥kaːʃi̥⸢kaː⸣ʃiru pa⸢na⸣ʃin ⸢suː⸠ʦoː] (親がいないからそうなのか、びくびくして<ぞ>話もするんだよ) 7658 0 0 7213 htmvoc_7658.wav シカーシカーシ シカーシ⸢カー⸣シ [ʃi̥kaːʃi⸢kaː⸣ʃi] 副 まのあたり(目の当り)に。目の前に。間近に。「近々に」の義か。 チ⸢カ⸣グロー ⸢マーラソーッ⸣タ ウ⸢ヤ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣ル シカーシ⸢カー⸣シ ⸣イミナー ミ⸢ラ⸣リ ⸢オー⸣ル⸢ツォー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢maːrasoːt⸣ta ʔu⸢ja⸣nu ku̥⸢tu⸣ru ʃi̥kaːʃi⸢kaː⸣ʃi ⸣ʔiminaː mi⸢ra⸣ri ⸢ʔoː⸣ru⸢ʦoː] (近頃は亡くなられた親のことが目の当たり夢に現れて<見られて>こられるんですよ) 7659 0 0 7214 htmvoc_7659.wav シカーシカーシ シカー⸢シカー⸣シ [ʃi̥kaː⸢ʃikaː⸣ʃi] 副 びくびくして。恐る恐る。気弱そうに。寂しそうに。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢オーラン⸣ ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢レー⸣ティル ⸣アイニ シカー⸢シカー⸣シル ⸣ムニン イ⸢ズ⸣ツォー [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʔoːran⸣ f⸢fa⸣ ja⸢reː⸣tiru ⸣ʔaini ʃi̥kaː⸢ʃikaː⸣ʃiru ⸣muniŋ ʔi⸢ʣu⸣ʦoː] (親のいらっしゃらない子供だから、あんなにびくびくしてものも言うそうだ) 7507 0 0 7215 htmvoc_7507.wav シガースン シ⸢ガースン [ʃi⸢gaːsuŋ] 他動 脱臼する。関節をくじく。捻挫する。 ⸢パン⸣ヌ ⸣フビ シ⸢ガーシティ⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ⸣ɸubi ʃi⸢gaːʃi̥ti⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (足首を捻挫して歩けない<歩かれない>)。 グ⸢チ⸣ホーニ ⸣ウディ フ⸢ルマース⸣カー シ⸢ガースン⸣ティ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ シ⸢ガーサンシェン [gu⸢ʧi⸣hoːni ⸣ʔudi ɸu⸢rumaːsu⸣kaː ʃi⸢gaːsun⸣ti ʔa⸢ʣoːtta⸣nu ʃi⸢gaːsaŋʃeŋ] (無鉄砲に腕を振り回すと捻挫すると言われたが捻挫しなかった)。 ⸣ヌビ シ⸢ガース⸣ プソー ⸢フン⸣トー ⸣ヌビ ⸢マーサランダー⸣ イッ⸢カナ⸣シ シ⸢ガシェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣nubi ʃi⸢gaːsu⸣ pu̥soː ⸢ɸun⸣toː ⸣nubi ⸢maːsarandaː⸣ ʔik⸢kana⸣ʃi ʃi⸢gaːʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (頚骨を捻挫する時は本当に首が回されないから、決して捻挫してはならない)。 シ⸢ガーシ [ʃi⸢gaːʃi] (捻挫しろ)。 タ⸢カーン⸣ トンラ トゥ⸢ビウリ⸣ルカー ⸣パン シ⸢ガースン⸠ダー [tḁ⸢kaːn⸣ tonra tu⸢biʔuri⸣rukaː ⸣paŋ ʃi⸢gaːsun⸠daː] (高い所から飛び降りると足を挫くぞ)。 シ⸢ガーサヌ [ʃi⸢gaːsanu] (捻挫しない{EOS}挫かない)。 ⸣パン シ⸢ガーシティ⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣paŋ ʃi⸢gaːʃi̥ti⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (足を挫いて歩けない)。 ⸣パン シ⸢ガース⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣paŋ ʃi⸢gaːsu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (足を挫くことはない)。 シ⸢ガーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢gaːʃeː⸣ misamunu] (挫けば良いのに)。 ブ⸢ダッカリ ベー⸣ティ ⸣パン シ⸢ガーシ⸣バ [bu⸢dakkari beː⸣ti ⸣paŋ ʃi⸢gaːʃi⸣ba] (飛び跳ねていて足を挫けろよ<挫けるな>)。 ヤ⸢ナトーリ スー⸣カー ⸣パン シ⸢ガースンティ⸣ シ⸢タヌ⸣ バー シ⸢ガーサンシェン [ja⸢natoːri suː⸣kaː ⸣paŋ ʃi⸢gaːsunti⸣ ʃi̥⸢tanu⸣ baː ʃi⸢gaːsaŋʃeŋ] (悪い倒れ方をすると足を捻挫するといったが、私は捻挫しなかった)。 シ⸢ガーシ ナー⸣ヌ [ʃi⸢gaːʃi naː⸣nu] (捻挫してしまった)。 ⸣パン ム⸢ディマーシ⸣タンティン シ⸢ガース⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣pam mu⸢dimaːʃi̥⸣tantiŋ ʃi⸢gaː⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (足を捻じ曲げても捻挫することはない) 7500 0 1 7216 htmvoc_7500.wav シカーン シ⸢カー⸣ン [ʃi̥⸢kaː⸣ŋ] 形 {Mn_1}近い。シゥ⸢カー⸣ンとも言う。 ⸣クマーラ ⸣パルカー シ⸢カー⸣ン [⸣kumaːra ⸣parukaː ʃi̥⸢kaː⸣ŋ] (ここから行ったら近い)。 ⸢ヤー⸣ラ シ⸢カー⸣カー パ⸢ラリン⸣ドゥ シ⸢カーナーン⸣カー パ⸢ラ⸣ヌ [⸢jaː⸣ra ʃi̥⸢kaː⸣kaː pa⸢rarin⸣du ʃi̥⸢kaːnaːŋ⸣kaː pa⸢ra⸣nu] (家から近ければ行ける<行かれる>が、近くなければ行かない)。 ⸢シンダイ⸣ シ⸢カー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʃi̥⸢kaː⸣naruŋ] (次第に近くなる)。 ウ⸢レー⸣ ドゥク シ⸢カー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ duku ʃi̥⸢kaː⸣nu mi⸢rara⸣nu] (これはあまりにも近くて見られない<近すぎて見えない>)。 シ⸢カー⸣ トンラ ⸢カイ⸣シバ [ʃi̥⸢kaː⸣ tonra ⸢kai⸣ʃiba] (近い所から耕しなさい)。 7500 0 2 7217 htmvoc_7500.wav シカーン シ⸢カー⸣ン [ʃi̥⸢kaː⸣ŋ] 形 {Mn_2}近しい。親戚である。親密である。睦まじい。 ⸢バン⸣テートゥ ⸢ウン⸣ネーヤ シ⸢カーン⸣ダー [⸢ban⸣teːtu ⸢ʔun⸣neːja ʃi̥⸢kaːn⸣daː] (私の家とあの家は近しい<親戚関係にある>) 7511 0 0 7218 htmvoc_7511.wav シカーン シ⸢カー⸣ン [ʃi̥⸢kaː⸣ŋ] 形 臆病である。怯えやすい。小心である。気が小さい。怖がりである。びくびくするさま。 ウ⸢ヌ プソー⸣ シ⸢カー⸣ンダー ウ⸢バースナ⸣ヨー [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ ʃi̥⸢kaː⸣ndaː ʔu⸢baːsuna⸣joː] (あの人は怯えやすい<怖がりだ>から驚かすなよ)。 ⸢ナン⸣ゾー シ⸢カー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʃi̥⸢kaː naː⸣nu] (それほど怯えやすくない<臆病でない>)。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター シ⸢カー⸣ ナリティ マー⸢ン サーパララ⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ʃi̥⸢kaː⸣ nariti maː⸢n saːparara⸣nu] (年をとったらば臆病に<怯えやすく>なって何処にも連れて行かれない)。 シ⸢カー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi̥⸢kaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (怯えやすくて仕方がない)。 シ⸢カー⸣ プ⸢ソー⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [ʃi̥⸢kaː⸣ pu̥⸢soː⸣ ta⸢namara⸣nu] (臆病な人は頼めない) 7657 0 0 7219 htmvoc_7657.wav シカーン シ⸢カー⸣ン [ʃi̥⸢kaː⸣ŋ] 形 気が弱い。臆病である。 ウ⸢レー⸣ シ⸢カー ナーン⸣ティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸣アイニ シ⸢カー⸣ンダー ⸢タンガ⸣シェー パ⸢ラサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃi̥⸢kaːnaːn⸣ti ʔu⸢muːtan⸣du ⸣ʔaini ʃi̥⸢kaː⸣ndaː ⸢taŋga⸣ʃeː pa⸢rasara⸣nu] (この人は気が弱くないと思ったが、あんなに気が弱いから一人では遣れない)。 ⸣トシ  トゥ⸢ル⸣ター シ⸢カー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ʃi̥⸢kaː⸣nari ⸢naː⸣nu] (年をとったので気が弱くなってしまった)。 シ⸢カー⸣ プ⸢スンマー⸣ シ⸢ミララヌ [ʃi̥⸢kaː⸣ pu̥⸢summaː⸣ ʃi⸢miraranu] (気の弱い人にはさせられない) 7501 0 0 7220 htmvoc_7501.wav シカイ ⸣シカイ [⸣ʃi̥kai] 名 世界。標準語からの借用語。 シ⸢カイ⸣ヌ プ⸢ストゥ⸣ ム⸢ヌパナシ⸣ヌ ナルカ⸢ナー [ʃi̥⸢kai⸣nu pu̥⸢sutu⸣ mu⸢nupanaʃi⸣nu naruka⸢naː] (世界の人と会話<話し>が出来たらなあ) 7502 0 0 7221 htmvoc_7502.wav シカイズー ⸣シカイズー [⸣ʃi̥kaiʣuː] 名 世界中。標準語からの借用語が転訛したもの。 ヌ⸢チ⸣ヌ ⸣アルンケンナ ⸣シカイズー ⸢マーリ⸣ ミ⸢リ⸣プサワ⸢ナー [nu⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaruŋkenna ⸣ʃi̥kaiʣuː ⸢maːri⸣ mi⸢ri⸣pu̥sawa⸢naː] (命があるうちに世界中回ってみたいものだねえ) 7513 0 0 7222 htmvoc_7513.wav シカイトゥ シカイ⸢トゥ [ʃi̥kai⸢tu] 副 しかと。しっかりと。確かに。十分に。「志可登阿良農 比宜<しかとあらぬ鬚>『万葉集 892』」の義。 ⸢シンシー⸣ヌ ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムネー シカイ⸢トゥ⸣ シ⸢キ⸣ダー [⸢ʃiŋʃiː⸣nu ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣muneː ʃi̥kai⸢tu⸣ ʃi̥⸢ki⸣daː] (先生のおっしゃることはしっかり聞くんだぞ<聞けよ>)。 シカイ⸢トゥ⸣ パ⸢ナ⸣シ ッ⸢サリリ [ʃi̥kai⸢tu⸣ pa⸢na⸣ʃi s⸢sariri] (しっかりと、十分に話し申し上げよ<れ>)。 シカイ⸢トゥ ⸢ミシ⸣キ ⸣ミリ [ʃi̥kai⸢tu miʃi̥⸣ki ⸣miri] (しっかり捜して<見つけて>みよ<みれ>) 7543 0 0 7223 htmvoc_7543.wav シカキ シ⸢カキ [ʃi̥⸢kaki] 名 仕掛け。装置。仕組み。からくり。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ザヤマー ⸢ヌー⸣シ ⸢ブー⸣ シ⸢カキ⸣シ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブーワ [ku⸢nu⸣ ʔu⸢ja⸣ʣajamaː ⸢nuː⸣ʃi ⸢buː⸣ ʃi̥⸢kaki⸣ʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buːwa] (この鼠獲り器はどのような仕掛けで作られているか) 7544 0 0 7224 htmvoc_7544.wav シカキルン シ⸢カキルン [ʃi̥⸢kakiruŋ] 他動 仕掛ける。挑む。 ⸣シマ ⸣トゥルバソー ⸣クマーラ シ⸢カキラン⸣カー シ⸢カキルンティ⸣ ウ⸢ムー⸣タンティン シ⸢カキル⸣ クトー ム⸢チ⸣カサ ナ⸢リ⸣ス [⸣ʃima ⸣turubasoː ⸣kumaːra ʃi̥⸢kakiraŋ⸣kaː ʃi̥⸢kakirunti⸣ ʔu⸢muː⸣tantiŋ ʃi̥⸢kakiru⸣ ku̥toː mu⸢ʧi⸣kasa na⸢ri⸣su] (相撲をとるときには、こちらから仕掛けないと仕掛けようと思っても仕掛けることは難しくなる)。 シ⸢カキグリ⸣サタンティン シ⸢カキレー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kakiguri⸣satantiŋ ʃi̥⸢kakireː⸣ misamunu] (仕掛けにくくても仕掛ければいいのに)。 ⸣クマーラ シ⸢カキリ [⸣kumaːra ʃi̥⸢kakiri] (ここから仕掛けろ<仕掛けれ>) 7546 0 0 7225 htmvoc_7546.wav シガキルン シ⸢ガキルン [ʃi⸢gakiruŋ] 他動 早起きして仕事をする。他人に先んじて仕事を手がける。他人に先んじて仕事をし、他人に負けぬよう努力する。 ⸣アツァー シ⸢ガキルンティ⸣ ウ⸢ムイ⸣バ ⸢ワンヌン⸣ シ⸢ガキ ッふィーリ [⸣ʔaʦaː ʃi⸢gakirunti⸣ ʔu⸢mui⸣ba ⸢wannuŋ⸣ ʃi⸢gaki ffiri] (明日は早起きて仕事をしようと思うから君も早起きして仕事をしてくれ)。 シ⸢ガキラン⸣カー ウ⸢クリシバ⸣ ヤー⸢ディン⸣ シ⸢ガキル⸣ クトゥ [ʃi⸢gakiraŋ⸣kaː ʔu⸢kuriʃiba⸣ jaː⸢diŋ⸣ ʃi⸢gakiru⸣ ku̥tu] (早起きしないと後れるから、必ず早起きすることだ)。 シ⸢ガキレー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢gakireː⸣ misamunu] (早起きすればいいのに)。 シ⸢ガキリ [ʃi⸢gakiri] (早起きして仕事をせよ) 7547 0 0 7226 htmvoc_7547.wav シカク シ⸢カ⸣ク [ʃi̥⸢ka⸣ku] 名 四角。四角形。 ⸢ナーシカ⸣ク [⸢naːʃi̥ka⸣ku] (長方形)。 ⸢マシカク [⸢maʃi̥kaku] (正方形{EOS}真四角)。 マロー⸢マローヌ⸣ ム⸢チトゥ⸣ シ⸢カク⸣ヌ ム⸢チバ⸣ ス⸢ク⸣リ [maroː⸢maroːnu⸣ mu⸢ʧitu⸣ ʃi̥⸢kaku⸣nu mu⸢ʧiba⸣ su̥⸢ku⸣ri] (丸い餅と四角い餅を造れ) 7548 0 0 7227 htmvoc_7548.wav シカク シ⸢カク [ʃi̥⸢kaku] 名 資格。 マ⸢ナ⸣マー ノー⸢ンシブー⸣ クトゥン シ⸢カクヌ ナーン⸣カー シ⸢グトー⸣ サ⸢ラヌ<シ⸢ララヌ> [ma⸢na⸣maː noː⸢ŋʃibuː⸣ ku̥tuŋ ʃi̥⸢kakunu naːŋ⸣kaː ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢ranu<ʃi⸢raranu>] (今はどんなことも資格がないと仕事は出来ない<されない>) 7545 0 1 7228 htmvoc_7545.wav シカクン シ⸢カクン [ʃi̥⸢kakuŋ] 他動 {Mn_1}仕掛ける。挑む。相手に働きかける。装置する。「しかく<仕掛く>下二段活用、『知らぬことよ』とて、猿楽<さるがう>しかくるに」『枕草子143』の義。 ⸣ドゥーシ シ⸢カクンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢カキラランバ ワー⸣ラ シ⸢カキ⸣ ミリ⸢ミー [⸣duːʃi ʃi̥⸢kakunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʃi̥⸢kakiraramba waː⸣ra ʃi̥⸢kaki⸣ miri⸢miː] (自分で仕掛けようと思ったが、仕掛けられないから、君から仕掛けてみてごらん)。 ⸣クマーラ シ⸢カク⸣ クトー ナ⸢ラン⸣バ ⸢ワーヤ⸣ シ⸢カケー⸣ ミサムヌ [⸣kumaːra ʃi̥⸢kaku⸣ ku̥toː na⸢ram⸣ba ⸢waːja⸣ ʃi̥⸢kakeː⸣ misamunu] (こちらからは仕掛けることは出来ないから、君は仕掛ければ良いのに)。 7545 0 2 7229 htmvoc_7545.wav シカクン シ⸢カクン [ʃi̥⸢kakuŋ] 他動 {Mn_2}事をしはじめる。「Xigotouo xicaquru<仕事を仕掛くる>」『邦訳日葡辞書』の義。 ⸢パー⸣ク シ⸢グトゥ⸣ シ⸢カキリ [⸢paː⸣ku ʃi⸢gutu⸣ ʃi̥⸢kakiri] (早く仕事を仕掛けろ) 7549 0 0 7230 htmvoc_7549.wav シガクン シ⸢ガクン [ʃi⸢gakuŋ] 他動 早起きして仕事をする。他人に先んじて仕事を仕掛ける。シ⸢ガキルン[ʃi⸢gakiruŋ]と同じ。 ⸣アツァー シ⸢ガクンティ⸣ ウ⸢ムイ⸣バ ⸢ワンヌン⸣ シ⸢ガキ ッふィーリ [⸣ʔaʦaː ʃi⸢gakunti⸣ ʔu⸢mui⸣ba ⸢wannuŋ⸣ ʃi⸢gaki ffiːri] (明日は早起きして仕事をしようと思うから、君も早起きして仕事をしてくれ)。 シ⸢ガカン⸣カー [ʃi⸢gakaŋ⸣kaː] (早起きして仕事をしないと)。 シ⸢ガク⸣ クトゥ [ʃi⸢gaku⸣ ku̥tu] (早起きして仕事をすること)。 シ⸢ガケー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢gakeː⸣ misamunu] (早起きして仕事をすればよいのに)。 シ⸢ガキ⸣バ [ʃi⸢gaki⸣ba] (早起きして仕事をせよ) 7503 0 0 7231 htmvoc_7503.wav シカサ シ⸢カ⸣サ [ʃi̥⸢ka⸣sa] 名 近さ。近い所。 ⸣アドー パ⸢ラン⸣タンティン シ⸢カサ⸣ナーティ トゥ⸢ミラ⸣リス [⸣ʔadoː pa⸢ran⸣tantiŋ ʃi̥⸢kasa⸣naːti tu⸢mirari⸣su] (あんなに遠くへ行かなくても近くで探せる<探される>よ) 7504 0 0 7232 htmvoc_7504.wav シカサスン シ⸢カ⸣サ ⸢スン [ʃi̥⸢ka⸣sa ⸢suŋ] 連 親しくする。懇意にする。 ⸢ウン⸣ネートー ム⸢カ⸣シェーラ シ⸢カ⸣サ ⸢シール オー⸣レール [⸢ʔun⸣neːtoː mu⸢ka⸣ʃeːra ʃi̥⸢ka⸣sa ⸢ʃiːru ʔoː⸣reːru] (その家とは昔から懇意にして<ぞ>今にいたっている<来られている>) 7505 0 0 7233 htmvoc_7505.wav シカスン シ⸢カスン [ʃi̥⸢kasuŋ] 他動 鋤かせる。 パ⸢タ⸣ケー ウ⸢シヌ⸣ ピラシ シ⸢カスンティ ベーン⸣ドゥ イ⸢シヌ ゴーラー⸣ヌ シ⸢カサランバン [pḁ⸢ta⸣keː ʔu⸢ʃinu⸣ piraʃi ʃi̥⸢kasunti beːn⸣du ʔi⸢ʃinu goːraː⸣nu ʃi̥⸢kasarambaŋ] (畑は鋤<牛の箆>で鋤かせようとしているが、石が多くて鋤かされないわい)。 シ⸢カシ⸣ ミサカー ⸢パー⸣ク シ⸢カシ [ʃi̥⸢kaʃi⸣ misakaː ⸢paː⸣ku ʃi̥⸢kaʃi] (鋤かせてよいなら早く鋤かせろ)。 ウ⸢シ⸣シ シ⸢カス⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢パー⸣ク シ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ʃi⸣ʃi ʃi̥⸢kasu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢paː⸣ku ʃi̥⸢kaʃeː⸣ misamunu] (牛で鋤かせる畑は早く鋤かせればよいのに) 7555 0 0 7234 htmvoc_7555.wav シカスン シ⸢カスン [ʃi̥⸢kasuŋ] 他動 案内する。お連れする。招待する(若年層)。老年層は、シゥ⸢カスン[si̥⸢kasuŋ](案内する{EOS}招待する{EOS}お連れする)という。若年層は、[ʦu] → [ʦi̥] → [si̥] → [ʃi] のように、中舌母音[i̥]が弱化して[i]に変化し、それに伴って[s]が口蓋化したもの。 ⸣アッパー シ⸢カシ⸣ クー [⸣ʔappaː ʃi̥⸢kaʃi⸣ kuː] (お祖母さんをお連れして来い) 7663 0 0 7235 htmvoc_7663.wav シカスン シ⸢カスン [ʃi̥⸢kasuŋ] 他動 聞かせる。老年層は、シゥ⸢カスン[si̥⸢kasuŋ](聞かせる)ともいう。 パ⸢ナ⸣シ シ⸢カスン [pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kasuŋ] (話を聞かせる)。 ⸢ワンマー⸣ シ⸢カサヌ [⸢wammaː⸣ ʃi̥⸢kasanu] (君には聞かさない)。 ムー⸢ル⸣ シ⸢カシ⸣ プサンドゥ シ⸢カス⸣ クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [muː⸢ru⸣ ʃi̥⸢kaʃi⸣ pu̥sandu ʃi̥⸢kasu⸣ ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (全部聞かせたいが、聞かせることは出来ないそうだ)。 ン⸢メーマー⸣ シ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ ʃi̥⸢kaʃeː⸣misamunu] (少しは聞かせばよいのに)。 ヤー⸢ディン ワー⸣ラ シ⸢カシ [jaː⸢diŋ waː⸣ra ʃi̥⸢kaʃi] (必ず君から聞かせなさい) 7508 0 0 7236 htmvoc_7508.wav シガスン シ⸢ガスン [ʃi⸢gasuŋ] 他動 継がせる。 サ⸢ク⸣シン ⸣アトゥ シ⸢ガスンティ スンドゥ⸣ ウ⸢リンマー⸣ シ⸢ガサラヌ⸣ティ ア⸢ズ⸣ プ⸢スヌ ブン [sḁ⸢ku⸣ʃiŋ ⸣ʔatu ʃi⸢gasunti sundu⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ʃi⸢gasaranu⸣ti ʔa⸢ʣu⸣ pu̥⸢sunu buŋ] (嫡子に跡目を継がそうとするが、彼には継がされないという人がいる)。 ウ⸢リン⸣ シ⸢ガシ⸣ ミサカー シ⸢ガス⸣ クトー ⸣ナルン [ʔu⸢riŋ⸣ ʃi⸢gaʃi⸣ misakaː ʃi⸢gasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (彼に継がせて良ければ継がせることは出来る)。 ⸢ウシ⸣トゥン シガ⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuʃi⸣tuŋ ʃi⸢gaʃeː⸣ misamunu] (弟に継がせれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク サ⸢ク⸣シン ⸣アトゥ シ⸢ガシ [⸢paː⸣ku sḁ⸢ku⸣ʃiŋ ⸣ʔatu ʃi⸢gaʃi] (早く嫡子に跡目を継がせろ) 7559 0 0 7237 htmvoc_7559.wav ジカタ ジ⸢カ⸣タ [ʤi⸢ka⸣ta] 名 地方。首里方言からの借用語。舞踊で、三線、笛、太鼓等を演奏する人々。普通は、⸣ジーシンカ[⸣ʤiːʃiŋka](地謡仲間<臣下>{EOS}地謡担当)という。 ジ⸢カ⸣ター ⸢オーラ⸣ムティ ⸢ヌー⸣シ ブ⸢ドゥル スーワ [ʤi⸢ka⸣taː ⸢ʔoːra⸣muti ⸢nuː⸣ʃi bu⸢duru suːwa] (地謡がいらっしゃらないのに、どうやって踊りをするのか) 7560 0 0 7238 htmvoc_7560.wav シカターナーヌ シ⸢カター ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢kataː naː⸣nu] 連 仕方がない。 ⸢ワー⸣ シ⸢ゴー ホーサラン⸣カー シ⸢カター ナー⸣ヌ ⸣バー ⸢タンガ⸣シ ⸣パルン [⸢waː⸣ ʃi⸢goː hoːsaraŋ⸣kaː ʃi̥⸢kataː naː⸣nu ⸣baː ⸢taŋga⸣ʃi ⸣paruŋ] (君は都合がつかない<合わせられない>なら仕方がない{EOS}私一人で行く) 7561 0 0 7239 htmvoc_7561.wav シカッティカーティ シ⸢カッティカー⸣ティ [ʃi̥⸢kattikaː⸣ti] 副 あちらへぶつかり、こちらへぶつかり。体が触れ合って邪魔になること。うろちょろするさま(若年層)。老年層は、シゥ⸢カッティカー⸣ティ[si̥⸢kattikaː⸣ti](あちらへぶつかり、こちらへぶつかり)という。 ビ⸢キドゥモー⸣ カ⸢マチフチ⸣ナー シ⸢カッティカー⸣ティ ⸢シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ナ [bi⸢kidumoː⸣ ka⸢maʧiɸuʧi⸣naː ʃi̥⸢kattikaː⸣ti ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣na] (男の子は台所<竈口のまわり>をうろちょろするな)。 シ⸢カッティカー⸣ティ ⸣マナール ⸢マーリ アーク⸣ター [ʃi̥⸢kattikaː⸣ti ⸣manaːru ⸢maːri ʔːku⸣taː] (何処をうろつき回り歩いたのか) 7562 0 0 7240 htmvoc_7562.wav シカッティルン シ⸢カッティルン [ʃi̥⸢kattiruŋ] 自動 さわる(触る)。触れる。(若年層)。老年層は、シゥ⸢カッティルン[si̥⸢kattiruŋ](触る)(老年層)という。 ⸣カイニ シ⸢キ⸣ルカー ⸣パンナー シ⸢カッティルンダー⸣ シ⸢カッティラン⸣ヨーニ シ⸢キ⸣リ [⸣kaini ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣pannaː ʃi̥⸢kattirundaː⸣ ʃi̥⸢kattiraɲ⸣joːni ʃi̥⸢ki⸣ri] (このように置くと足に触れるから、触れないように置きなさい)。 シ⸢カッティ⸣ プサンドゥ シ⸢カッティル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi̥⸢katti⸣ pu̥sandu ʃi̥⸢kattiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (触りたいが、触ることは出来ない)。 シ⸢カッティレー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kattireː⸣ misamunu] (触ればよいのに)。 シ⸢カッティリ [ʃi̥⸢kattiri] (触れ) 7563 0 0 7241 htmvoc_7563.wav シカットゥン シ⸢カットゥン [ʃi̥⸢kattuŋ] 自動 さわる(触る)。触れる(若年層)。老年層は、シゥ⸢カットゥン[si̥⸢kattuŋ](触る)という。 ⸢クン⸣ナー シ⸢カッタン⸣ヨーシ シ⸢タンティン⸣ シ⸢バー⸣ンダー シ⸢カットゥンティ⸣ ウ⸢モー⸣リ [⸢kun⸣naː ʃi̥⸢kattaɲ⸣joːʃi ʃi̥⸢tantin⸣ ʃi⸢baː⸣ndaː ʃi̥⸢kattunti⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (これに触れないようにしても狭いから触れると思われる)。 シ⸢カッティ⸣ ミサカー シ⸢カッティ⸣バ [ʃi̥⸢katti⸣ misakaː ʃi̥⸢katti⸣ba] (触れてよかったら触れろよ)。 シ⸢カットゥ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi̥⸢kattu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (触れることは出来ない)。 ン⸢メーマー⸣ シ⸢カッテー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ ʃi̥⸢katteː⸣ misamunu] (少しは触れればよいのに{EOS}~触れたら) 7661 0 0 7242 htmvoc_7661.wav シカボー シ⸢カ⸣ボー [ʃi̥⸢ka⸣boː] 名 臆病者。小心者。 ⸢ウンザー⸣ シ⸢カ⸣ボー ⸣ナリティ ⸢タンガ⸣シェー ノー⸢ン シーユーサヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ʃi̥⸢ka⸣boː ⸣nariti ⸢taŋga⸣ʃeː noː⸢ŋ ʃiːjuːsanu] (こいつは臆病者になって、ひとりでは何にも出来ない<なし得ない>) 7564 0 0 7243 htmvoc_7564.wav シカマブル シ⸢カマブル [ʃi̥⸢kamaburu] 名 (動)魚名。 シ⸢カマブル⸣ティ ア⸢ズ⸣ イ⸢ズ⸣ ミリ⸢ミッタン [ʃi̥⸢kamaburu⸣ti ʔa⸢ʣu⸣ ʔi⸢ʣu⸣ miri⸢mittaŋ] (シカマブルという魚を見たことがあるか<見てみたか>) 7587 0 0 7244 htmvoc_7587.wav シカミルン シ⸢カミルン [ʃi̥⸢kamiruŋ] 他動 しかめる(顰)。不機嫌、苦痛などで眉間に皺をよせる。「Xicame、uru、eta・シカメ、ムル、メタ(顰め、むる、めた)」『邦訳日葡辞書』。 マ⸢ユヌ⸣ フ⸢タナカバ⸣ シ⸢カミティ⸣ プ⸢スバ⸣ ミ⸢ロー⸣ル [ma⸢junu⸣ ɸu̥⸢tanakaba⸣ ʃi̥⸢kamiti⸣ pu̥⸢suba⸣ mi⸢roː⸣ru] (眉の間を顰めて他人をご覧になる<見られる>)。 シ⸢カミランドー⸣シ パ⸢ナ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤムカー ⸢ナンク⸣ル シ⸢カミルンダー⸣ ナ⸢ラン⸣バン [ʃi̥⸢kamirandoː⸣ʃi pa⸢na⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ba⸢ta⸣nu ⸣jamukaː ⸢naŋku⸣ru ʃi̥⸢kamirunda⸣ na⸢ram⸣baŋ] (\ruby{顰}{シカ}めないで話そうと思うが、腹が痛むと自然に顰めるのでどうにもならない)。 シ⸢カミル⸣ プソー ナ⸢クラー⸣ン [ʃi̥⸢kamiru⸣ pu̥soː na⸢kuraː⸣ŋ] (顰めるときは怖い)。 シ⸢カミリ [ʃi̥⸢kamiri] (顰めよ) 7662 0 0 7245 htmvoc_7662.wav シカムニ シ⸢カ⸣ムニ [ʃi̥⸢ka⸣muni] 名 臆病な物言い。小心者の言い方。こわごわ言うこと。恐る恐る言うこと。 シ⸢カー⸣グヮー ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢カ⸣ムニ カー⸢ニル⸣ ア⸢ズ [ʃi̥⸢kaː⸣gwaː ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢ka⸣muni kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣu] (臆病者だから小心者の物言いばかり<ぞ>する)。 ⸢クンザー⸣ シ⸢カ⸣ムニ カー⸢ニル⸣ ア⸢ズ⸠ツォー [⸢kunʣaː⸣ ʃi̥⸢ka⸣muni kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣu⸠ʦoː] (こいつは怖気づいたこと<臆病な物言い>だけ言うんだよ) 7589 0 0 7246 htmvoc_7589.wav シカムヌ シ⸢カ⸣ムヌ [ʃi̥⸢ka⸣munu] 名 臆病者。 ⸢クンザー⸣ シ⸢カ⸣ムヌ ⸣ナリティ ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kunʣaː⸣ ʃi̥⸢ka⸣munu ⸣nariti ⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (こいつは臆病者になってしまって役にたたない) 7590 0 0 7247 htmvoc_7590.wav シカムン シ⸢カムン [ʃi̥⸢kamuŋ] 他動 しかめる(顰める)。不機嫌、苦痛などで眉間に皺を寄せる。「しかむ<顰む>下二段活用、cauouo xikamuru<顔を顰むる>『邦訳日葡辞書』」の四段活用化したもの。 ⸢ミー⸣パナ シ⸢カマンドー⸣シ シ⸢キ⸣ プサンドゥ ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン⸣ シ⸢カミス [⸢miː⸣pana ʃi̥⸢kamandoː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ pu̥sandu ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ŋ⸣ ʃi̥⸢kamisu] (顔を\ruby{顰}{シカ}めないで聞きたいが、その話を聞くと誰でも顔を顰める)。 シ⸢カム⸣ クトー ⸢ナー⸣ンドゥ イ⸢ザリ⸣カー ヤー⸢ディン⸣ シ⸢カムン [ʃi̥⸢kamu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣ndu ʔi⸢ʣari⸣kaː jaː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢kamuŋ] (顔を顰めることはないが、叱られると必ず顔を顰める)。 シ⸢カメー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kameː⸣ misamunu] (顔を顰めればよいのに)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢カミ⸣バ [⸢maː⸣biŋ ʃi̥⸢kami⸣ba] (もっと顔を顰めろよ) 7591 0 0 7248 htmvoc_7591.wav シカムン シ⸢カムン [ʃi̥⸢kamuŋ] 自動 びくつく。びくびくする。怖がる。怯える。ひるむ(怯む)。 ⸣アイニ シ⸢カマンドー⸣シ パ⸢ナ⸣シ{EOS}シ⸢カミティ⸣ パ⸢ナス⸣カー パ⸢ナ⸣シェー トゥ⸢ズミララヌ [⸣ʔaini ʃi̥⸢kamandoː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi{EOS}ʃi̥⸢kamiti⸣ pa⸢na⸣su̥kaː pa⸢na⸣ʃeː tu⸢ʣumiraranu] (あんなに怖がらないで話なさい{EOS}怖がって話すと、話は結末がつけ<閉じ>られない)。 プ⸢スヌ⸣ マイナー パ⸢ナ⸣ス ⸣ピンマー シ⸢カムンドゥ ヤー⸣ナーテー ⸣ドゥク シ⸢カム⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ mainaː pa⸢na⸣su ⸣pimmaː ʃi̥⸢kamundu jaː⸣naːteː ⸣duku ʃi̥⸢kamu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (人の前で話すときは怖がるが、家ではあんまり怖がることはない)。 ⸢パー⸣ク シ⸢カメー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʃi̥⸢kameː⸣ misamunu] (早く怖がればよいのに)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢カミ [⸢maː⸣biŋ ʃi̥⸢kami] (もっと怖がれ)。 ⸢キーヌパン⸣ター ⸢ヌールタンドゥ⸣ ッ⸢サーラ⸣ ミリティ シ⸢カミティ⸣ ウ⸢リユーサ⸣ヌ [⸢kiːnupan⸣taː ⸢nuːrutandu⸣ s⸢saːra⸣ miriti ʃi̥⸢kamiti⸣ ʔu⸢rijuːsa⸣nu] (木のてっぺんに登ったが下を見て、怖くなって下りることができない) 7592 0 0 7249 htmvoc_7592.wav シカユールン シ⸢カユー⸣ルン [ʃi̥⸢kajuː⸣ruŋ] 自動 近づく。「近寄る」の義。 シ⸢カユー⸣ルンティ ⸢スー⸣カー ⸢ナン⸣ヌ ⸢スー⸣ヤティ ⸣サンバシェー シ⸢カユーララン⸣シェン [ʃi̥⸢kajuː⸣runti ⸢suː⸣kaː ⸢nan⸣nu ⸢suː⸣jati ⸣sambaʃeː ʃi̥⸢kajuːrara⸣ŋʃeŋ] (近寄ろうとすると波が強くて桟橋へは近寄られなかった)。 シ⸢カユー⸣リ ⸣ミサカー シ⸢カユー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi̥⸢kajuː⸣ri ⸣misakaː ʃi̥⸢kajuː⸣ru ⸣kutoː ⸣naruŋ] (近寄ってよければ、近寄ることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢カユー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi̥⸢kajuː⸣reː ⸣misamunu] (もっと近寄ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢カユー⸣リ [⸢paː⸣ku ʃi̥⸢kajuː⸣ri] (早く近寄れ) 7509 0 0 7250 htmvoc_7509.wav シカラーサン シ⸢カラー⸣サン [ʃi̥⸢karaː⸣saŋ] 形 寂しい。侘しい。 ッ⸢ふァンケー⸣ヤ タ⸢ベー⸣ パ⸢リ⸣キシティ シ⸢カラーサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢faŋkeː⸣ja ta⸢beː⸣ pa⸢ri⸣kiʃiti ʃi̥⸢karaːsa⸣nu na⸢ra⸣nu] (子供達は旅へ行ってしまって寂しくてたまらない)。 ⸢シンダイ⸣ シ⸢カラー⸣サ ⸣ナリ ⸣クーン [⸢ʃindai⸣ ʃi̥⸢karaː⸣sa ⸣nari ⸣kuːŋ] (次第に寂しくなってくる)。 シ⸢カラー⸣サ ⸣プソー ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢キ⸣ シ⸢カラー⸣サ ⸢ナーン⸣ヨーニ ⸢シーブー [ʃi̥⸢karaː⸣sa ⸣pu̥soː ⸢saŋʃimba⸣ pi̥⸢ki⸣ ʃi̥⸢karaː⸣sa ⸢naːɲ⸣joːni ⸢ʃiːbu] (寂しいときは三味線を弾いて寂しくないようにしている)。 ⸢タンガ⸣シェー シ⸢カラー⸣サン⸢ダー [⸢taŋga⸣ʃeː ʃi̥⸢karaː⸣san⸢daː] (一人では寂しいよ) 7613 0 0 7251 htmvoc_7613.wav シガルン シ⸢ガルン [ʃi⸢garuŋ] 自動 痩せ衰える。衰弱する。衰える。 ⸢サーラマキ スー⸣カー ⸣ヤギ シ⸢ガルン⸣ティ ス⸢クタヌ⸣ アイ ⸢スン⸣ケン シ⸢ガランワン⸣ノー [⸢saːramaki suː⸣kaː ⸣jagi ʃi⸢garunti⸣ su̥⸢kutanu⸣ ʔai ⸢suŋ⸣keŋ ʃi⸢garaŋwan⸣noː] (つわり<悪阻>をしたら痩せ衰えると聞いたが、それほど痩せ衰えないでわないか)。 ⸢ヨーガリ⸣ シ⸢ガリ ベーン⸣ティ [⸢joːgari⸣ ʃi⸢gari beːn⸣ti] (痩せ衰えているさ<ほらご覧よ>)。 シ⸢ガル プソー⸣ シ⸢ガリリ ター⸣ ッ⸢シェー⸣バヤー [ʃi⸢garu pu̥soː⸣ ʃi⸢gariri taː⸣ ʃ⸢ʃeː⸣bajaː] (痩せ衰える人は痩せ衰えろ、誰が知るものか)。 ⸣アイニ シ⸢ガレー⸣テー ⸣ワザー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ʃi⸢gareː⸣teː ⸣waʣaː na⸢ra⸣nu] (あんなに痩せ衰えては何も<仕事は>出来ない) 7626 0 0 7252 htmvoc_7626.wav ジカン ジ⸢カン [ʤi⸢kaŋ] 名 時間。標準語からの借用語。伝統方言では⸣トゥキ[⸣tu̥ki](時、時刻)といい、トゥ⸢ロー⸣ トゥキ ⸣トゥル ス⸢クブン[tu⸢roː⸣ tu̥ki ⸣turu su̥⸢kubuŋ](鶏は時刻を測るのが職分だ)のように用いられる。 ジ⸢カンマー ナーン⸣バ ⸢パー⸣ク ⸣パリ [ʤi⸢kammaː naːm⸣ba ⸢paː⸣ku ⸣pari] (時間がないから早く行け)。 ヤー⸢ディン⸣ ジ⸢カン⸣ マ⸢ニアー⸣シ ⸣クー⸢ダー [jaː⸢din⸣ ʤi⸢kam⸣ ma⸢niaː⸣ʃi kuː⸢daː] (必ず時間に間に合わせて来いよ)。 ア⸢サブ⸣ ジ⸢カンマー ナー⸣ヌ [ʔa⸢sabu⸣ ʤi⸢kammaː naː⸣nu] (遊ぶ時間は無い)。 ⸢ガッ⸣コー ⸣パル ジ⸢カン⸣ ナ⸢リ⸣ブーバ ⸢パー⸣ク ⸣パリ [⸢gak⸣koː ⸣paru ʤi⸢kan⸣ na⸢ri⸣buːba ⸢paː⸣ku ⸣pari] (学校へ行く時刻になっているから、早く行け) 7632 0 0 7253 htmvoc_7632.wav シキ シ⸢キ [ʃi̥⸢ki] 名 土地柄。地相。場所。「敷」の義か。風水の一種。 ⸢カーシキ [⸢kaːʃi̥ki] (井戸としての地相)。 パ⸢カシキ [pa⸢kaʃi̥ki] (墓所としての地相)。 ⸢ヤー⸣シキ [⸢jaː⸣ʃi̥ki] (屋敷としての地相{EOS}立地条件)。 ム⸢ラシキ [mu⸢raʃi̥ki] (村の立地条件{EOS}村を設置するところの地形{EOS}地相)。 パ⸢トゥ⸣マムラヌ ム⸢ラシケー⸣ パ⸢ヤー⸣ ン⸢カイ ブンダ⸣ イッ⸢ケナ フン⸣シェー ⸢カイ⸣ヤン ム⸢ラヌ⸣ ク⸢シ⸣ナー ⸢カーン⸣ ウ⸢ガン⸣ヌン アリ ッ⸢ス⸣パマン ⸣マイ ⸣ナシティ イ⸢ズン⸣ タクン トゥ⸢ラ⸣リティ  ⸢プーキーン ナーン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mamuranu mu⸢raʃi̥keː⸣ pa⸢jaː⸣ ŋ⸢kai bunda⸣ ʔik⸢kena ɸuŋ⸣ʃeː ⸢kai⸣jaŋ mu⸢ranu⸣ ku̥⸢ʃi⸣naː ⸢kaːŋ⸣ ʔu⸢gan⸣nuŋ ʔari s⸢su⸣pamam ⸣mai ⸣naiti ʔi⸢ʣun⸣ tḁkun tu⸢ra⸣riti ⸢puːkiːn naːŋ⸣ʃeŋ] (鳩間村の立地条件<村の地相>は南に向いているから非常に風水が良い<美しい>{EOS}村の裏手<腰>には井戸もあり、御嶽もあり、白浜も前になして魚も蛸も獲れて、風土病<マラリア>もなかった) 7633 0 0 7254 htmvoc_7633.wav シキ ⸣シキ [⸣ʃiki] 名 好き。好み。嗜好。標準語からの借用語。 ⸢ミースジル⸣トゥ ⸢アーサ⸣ヌ ⸢スー⸣トー ⸢ヌー⸣ル ⸣シキヤー<マ⸢シ⸣ヤ> [⸢miːsuʤiru⸣tu ⸢ʔaːsa⸣nu ⸢suː⸣toː ⸢nuː⸣ru ⸣ʃi̥kijaː] (味噌汁とヒトエグサ<アーサ>のお汁とはどれが好きか)。 ⸢アーサ⸣ヌ ⸢スー⸣ル ⸣シキ ⸢ヤッタヌ⸣ ッ⸢ふァイフクリ シーナー⸣ヌ [⸢ʔaːsa⸣nu ⸢suː⸣ru ⸣ʃi̥ki ⸢jattanu⸣ ffaiɸukuri ʃiːnaː⸣nu] (ヒトエグサのお汁が好きだったが、喰い飽きてしまいました) 7635 0 0 7255 htmvoc_7635.wav シキ ⸣シキ [⸣ʃi̥ki] 名 式。儀式。結婚式。標準語からの借用語。 ⸢ワター⸣ ニービケー ⸣マナー ⸢スーワー⸣{EOS}シケー ⸢ヤー⸣ナーティ ア⸢ギル⸣ ス⸢コール シーベー [⸢wataː⸣ niːbikeː ⸣manaː ⸢suːwa⸣{EOS}ʃi̥keː ⸢jaː⸣naːti ʔa⸢giru⸣ su̥⸢koːru ʃiːbeː] (君達は結婚式は何処でするのか{EOS}式は家で挙げる準備をしている) 7636 0 0 7256 htmvoc_7636.wav シキ ⸣シキ [⸣ʃiki] 名 せき(堰)。田に水を引くために谷間の水源より水路を作ったもの。西表島の北部一帯に開けた水田は、山間、谷間に大小のシ⸢キム⸣トゥ[ʃi̥⸢kimu⸣tu](水源池)をもっており、そこから各自の田圃へ水路を作って水を導き、水田耕作をする。夏の旱魃が続くと、堰を切ったり切られたりの水争いがおこることもあった。 ⸣シキ サ⸢ライティ⸣ ミ⸢ジ⸣ パ⸢ラ⸣シ [⸣ʃi̥ki sa⸢raiti⸣ mi⸢ʤi⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (堰を浚って水を通し<流し>なさい) 7667 1 1 7257 htmvoc_7667.wav シキ ⸣シキ [⸣ʃi̥ki] 名 {PoS_1}{Mn_1}月。「~長濱の浦に都奇照りにけり『万葉集 4029』」の義。 ⸢ズングヤー⸣ヌ ⸣シケー ⸢アーロー⸣レーン [⸢ʣuŋgujaː⸣nu ⸣ʃi̥keː ⸢ʔaːroː⸣reːŋ] (十五夜の月は上がられた)。 シ⸢キ⸣ヌ ⸢アーリオー⸣ルン [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢ʔaːrioː⸣ruŋ] (お月様が上がってこられる)。{Mn_2}月日。一ヶ月の間。 ⸢パッ⸣タ シ⸢キ⸣ヌ シ⸢キダ⸣チナー マ⸢レーン⸠ダー [⸢pat⸣ta ʃi̥⸢ki⸣nu ʃi̥⸢kida⸣ʧinaː ma⸢reːn⸠daː] (先月<行った月>の朔日に生まれたよ)。 7667 2 0 7258 htmvoc_7667.wav シキ ⸣シキ [⸣ʃi̥ki] 名 {PoS_2}(助数)プ⸢ス⸣シキ[pu̥⸢su⸣ʃi̥ki](\ruby{一月}{ヒト|ツキ})。 フ⸢タシキ [ɸu̥⸢taʃi̥ki] (二月)。 ⸢ミーシキ [⸢miːʃi̥ki] (三月)。 ⸢ユーシキ [⸢juːʃi̥ki] (四月)。 イ⸢チ⸣シキ [ʔi⸢ʧi⸣ʃi̥ki] (五月)。 ⸢ムーシキ [⸢muːʃi̥ki] (六月)。 ナ⸢ナ⸣シキ [na⸢na⸣ʃi̥ki] (七月)。 ⸢ヤーシキ [⸢jaːʃi̥ki] (八月)。 ク⸢ヌ⸣シキ [ku⸢nu⸣ʃi̥ki] (九月)。 ⸢トゥーシキ [⸢tuːʃi̥ki] (十月)。 ⸢トゥーシキ⸣ ミ⸢ツァシ⸣ル ッ⸢ふァー⸣ マ⸢リル [⸢tuːʃi̥ki⸣ mi⸢ʦaʃi⸣ru f⸢faː⸣ ma⸢riru] (十月を満たして<ぞ>子供は生まれるものだ) 7637 0 0 7259 htmvoc_7637.wav シギ シ⸢ギ [ʃi⸢gi] 名 (植物)杉。杉の木。 ⸣イダフニヌ ⸣パラー シ⸢ギシ⸣ル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸣ʔidaɸuninu ⸣paraː ʃi⸢giʃi⸣ru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (サバニの帆柱は杉の木で作られている)。 シ⸢ゲー ヤイマ⸣ナー ⸣ムイ ブ⸢ラーヌ [ʃi⸢geː jaima⸣naː ⸣mui bu⸢raːnu] (杉の木は八重山には生えていない) 7668 0 0 7260 htmvoc_7668.wav シギ シ⸢ギ [ʃi⸢gi] 名 次。 ⸣バー シ⸢ゲー ター⸣ヤ [⸣baː ʃi⸢geː taː⸣ja] (私の次は誰か)。 シ⸢ギヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ス⸢コール シー [ʃi⸢ginu⸣ pu̥⸢soː⸣ su̥⸢koːru ʃiː] (次の人は準備をしなさい)。 シ⸢ゲー⸣ラ ⸣ジン ン⸢ザ⸣シ ⸢カイ⸣ヨー [ʃi⸢geː⸣ra ⸣ʤin ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸢kai⸣joː] (次からはお金を出して買いなさいよ) 7669 0 0 7261 htmvoc_7669.wav シギ シ⸢ギ [ʃi⸢gi] 名 補い。補充。継ぎ足し。続き具合。跡継ぎ。「~巻向山は 継之宜霜『万葉集 1093』」、「継ぎ」の義。 ⸣イダフニヌ ス⸢クヌ ピッ⸣ケー シ⸢ギ⸣ ア⸢ティティ クー⸣ シバ [⸣ʔidaɸuninu su̥⸢kunu pik⸣keː ʃi⸢gi⸣ ʔa⸢titi kuː⸣ʃiba] (板舟<サバニ>の船底の穴は継ぎを当てて補修しなさい)。 ム⸢ヌ⸣ヌ シ⸢ゲー⸣ ア⸢ラサ⸣リン ヌ⸢チ⸣ヌ シ⸢ゲー⸣ ア⸢ラサラ⸣ヌ [mu⸢nu⸣nu ʃi⸢geː⸣ ʔa⸢rasa⸣rin nu⸢ʧi⸣nu ʃi⸢geː⸣ ʔa⸢rasara⸣nu] (物の補い<代理、補充>はできるが、命の補い<代理、補充>は出来ない)(諺) 7638 0 0 7262 htmvoc_7638.wav シキー シ⸢キー [ʃi̥⸢kiː] 名 敷居。カ⸢ムイ[ka⸢mui](鴨居)の対語。引き戸や障子、襖などを立てるために、その下に、溝を掘った横木を渡して滑らせて開閉できるようにしたもの。「閾、門限也、之岐美<しきみ>」『華厳経音義私記』、『和名抄』の転訛したもの。 シ⸢キーヤ フンシゥカンドー⸣シ ア⸢ラ⸣キ [ʃi̥⸢kiːja ɸunsu̥kandoː⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki] (敷居は踏みつけないで歩け)。 ア⸢マ⸣ヌ ⸣ヤドゥ ア⸢キフイ シー⸣ナー シ⸢キーン⸣ キ⸢ジッふァーリ ナー⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣nu ⸣jadu ʔa⸢kiɸui ʃiː⸣naː ʃi̥⸢kiːŋ⸣ ki⸢ʤiffaːri naː⸣nu] (あまりにも戸を開け閉めするので敷居も摩滅して<削り食われて>しまった) 7639 0 0 7263 htmvoc_7639.wav シギアースン シ⸢ギアースン [ʃi⸢giʔaːsuŋ] 他動 継ぎ合わせる。木材や板等を継ぎ合わせる。 イ⸢ツァ⸣バ シ⸢ギアースンティ ベー [ʔi⸢ʦa⸣ba ʃi⸢giʔaːsunti beː] (板を継ぎ合わせようとしている)。 ⸣イツァー シ⸢ギアーサン⸣カー タ⸢ラーサラヌ [⸣ʔiʦaː ʃi⸢giʔaːsaŋ⸣kaː ta⸢raːsaranu] (板は継ぎ合わせないと足りない) 7640 0 0 7264 htmvoc_7640.wav シキアキルン シ⸢キアキルン [ʃi̥⸢kiakiruŋ] 他動 突き開ける。標準語からの借用語。 ⸣ヤドー シ⸢キアキティル ペー⸣リ ⸢クー⸣タ [⸣jadoː ʃi̥⸢kiakitiru peː⸣ri ⸢kuː⸣ta] (戸を突き開けて入ってきた) 7670 0 0 7265 htmvoc_7670.wav シキアギルン シ⸢キアギルン [ʃi̥⸢kiagiruŋ] 他動 突き上げる。 ムー⸢ル⸣シ ア⸢ツァ⸣マリティ ッ⸢サンター⸣ラ ⸣ムタイ シ⸢キアギルンドゥ⸣ シ⸢キアギララヌ [muː⸢ru⸣ʃi ʔa⸢ʦa⸣mariti s⸢santaː⸣ra ⸣mutai ʃi̥⸢kiagirunti sundu⸣ ʃi̥⸢kiagiraranu] (皆で集まって下から持ち上げて突き上げようとするが、突き上げられない) 7641 0 0 7266 htmvoc_7641.wav シキアタルン シ⸢キアタルン [ʃi̥⸢kiataruŋ] 自動 突き当たる。標準語からの借用語。 マッ⸢シング⸣ ア⸢ラ⸣キパルカー ⸢ウン⸣ネー シ⸢キアタルン [maʃ⸢ʃiŋgu⸣ ʔa⸢ra⸣kiparukaː ⸢ʔun⸣neː ʃi̥⸢kiataruŋ] (真直ぐ歩いて行くとその家に突き当たる) 7666 0 0 7267 htmvoc_7666.wav シキアバ シ⸢キ⸣アバ [ʃi̥⸢ki⸣ʔaba] 名 頭髪用の油。「つけあぶら(付け油)」の義。年頃の女性は、祝祭日に髪の毛に香ばしい梅香油などをつけて人前に出る習慣があった。戦後になって、成年男子もポマードなどをつけてハイカラ気分を出すようになった。男女とも日常生活では農作業に追われて髪油をつける余裕はなかった。 ⸣アボー イ⸢サナケーラヌ⸣ シトゥティ ⸢シー⸣ シ⸢キアバ⸣バ ⸢カイオー⸣レーツォー [⸣ʔaboː ʔi⸢sanakeːranu⸣ ʃi̥tuti ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢kiʔaba⸣ba ⸢kaiʔoː⸣reːʦoː] (お母さんは、石垣島からの土産<つと{EOS}苞>として髪油<付け油>を買って来られたそうだ) 7642 0 0 7268 htmvoc_7642.wav シキアンガラスン シ⸢キアンガラスン [ʃi̥⸢kiʔaŋgarasuŋ] 他動 船を暗礁に突き上げてしまう。船を暗礁に乗り上げてしまう。標準語からの借用語。⸢ハーガラ⸣スン[⸢haːgara⸣suŋ](座礁させる)より酷い状態。 ⸢ハー⸣ガイナー ⸣フネー シ⸢キアンガラシティ⸣ ウ⸢ラサラ⸣ヌ [⸢haː⸣gainaː ⸣ɸuneː ʃi̥⸢kiaŋgaraʃiti⸣ ʔu⸢rasara⸣nu] (浅瀬に船を乗り上げてしまって下ろされない) 7643 0 0 7269 htmvoc_7643.wav シキアンガルン シ⸢キアン⸣ガルン [ʃi̥⸢kiʔaŋ⸣garuŋ] 自動 付け上がる。いい気になる。増長する。標準語からの借用語。 ン⸢ベーマ⸣ フ⸢ミラリ⸣ター シ⸢キアン⸣ガリティ プ⸢スバ⸣ ウ⸢サイ⸣ ウ⸢ブムニ⸣バ カー⸢ニ⸣  イ⸢ズ⸣ツォー [ʔm⸢beːma⸣ ɸu⸢mirari⸣taː ʃi̥⸢kiʔaŋ⸣gariti pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢sai⸣ ʔu⸢bumuni⸣ba kaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʣu⸣ʦoː] (少々褒められたので、付け上がって他人を小ばかにして、大きなこと<高慢なこと>をだけ言うそうだ) 7644 0 0 7270 htmvoc_7644.wav シキイシ シ⸢キイシ [ʃi̥⸢kiʔiʃi] 名 敷石。庭に飛びとびに敷いた石。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー ⸣ピンマー ミ⸢ナカ⸣ヌ シ⸢キイシバ トゥンクイヤー⸣ティル ア⸢ラクタ⸣ル [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuː ⸣pimmaː mi⸢naka⸣nu ʃi̥⸢kiʔiʃiba tuŋkuijaː⸣tiru ʔa⸢rakuta⸣ru] (雨が降るときは庭の敷石を跳び越えて<ぞ>歩いたものだ) 7645 0 0 7271 htmvoc_7645.wav シキイツァ シ⸢キイツァ [ʃi̥⸢kiʔiʦaː] 名 敷板。鉋をかける際に用いる土台。 シ⸢キイツァ⸣ナー ⸢ヌーシティ⸣ カ⸢ナー⸣ シゥ⸢カバル ゾー⸣ブンニ シゥ⸢カリ⸠ダー [ʃi̥⸢kiʔiʦa⸣naː ⸢nuːʃiti⸣ ka⸢naː⸣ si̥⸢kabaru ʣoː⸣bunni si̥⸢kari⸠daː] (鉋を掛ける台<敷板>に載せて鉋を掛けた方が<鉋を掛けたらばこそ>立派に<上手に>鉋掛けができるのだよ) 7646 0 0 7272 htmvoc_7646.wav シギイツァ シ⸢ギイツァ [ʃi⸢giʔiʦa] 名 杉板。 シ⸢ギイツァー⸣ イ⸢サナケーラ⸣ル ⸢カイヨーッ⸣タ [ʃi⸢giʔiʦaː⸣ ʔi⸢sanakeːra⸣ru ⸢kaijoːt⸣ta] (杉板は石垣から<ぞ>買われた) 7739 0 0 7273 htmvoc_7739.wav シキイリルン シ⸢キイリルン [ʃi̥⸢kiʔiriruŋ] 他動 聞き入れる。承諾する。 ⸣バー ニ⸢ガイ⸣ヤー シ⸢キイリ ッふィーリ [⸣baː ni⸢gai⸣jaː ʃi̥⸢kiʔiriffiːri] (私の願いは聞き入れてくれ)。 ⸣ドゥートゥシテー シ⸢キイリルンティ⸣ ウムイ ⸢ベー⸣ンドゥ シ⸢キイリラランティ⸣ ア⸢ズ⸣ プ⸢スン ブン [⸣duːtu ⸣ʃi̥teː ʃi̥⸢kiʔirirunti⸣ ʔumui ⸢beː⸣ndu ʃi̥⸢kiʔiriranti⸣ ʔa⸢ʣu⸣ pu̥⸢sum buŋ] (自分としては聞き入れよう思っているが、聞き入れられないという人もいる)。 シ⸢キイリラランティ⸣ クトー ⸢ナー⸣ンダ シ⸢キイリレー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kiʔiriraranti⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nda ʃi̥⸢kiʔirireː⸣ misamunu] (聞き入れられないというこはないから、聞き入れればよいのに)。 シ⸢キイリリ [ʃi̥⸢kiʔiriri] (聞き入れろ) 7649 0 0 7274 htmvoc_7649.wav シキウキトゥリウキ シ⸢キウキ⸣ トゥ⸢リ⸣ウキ [ʃi̥⸢kiʔuki⸣ tu⸢ri⸣ʔuki] 連 願いをお聞き届け<お聞き受け>、お受け取りください。神仏に懇願する際に用いることば。 ピ⸢ナカンガナシヌ⸣マイ シ⸢キウキ⸣ トゥ⸢リ⸣ウキ タ⸢ブ⸣ローリ [pi⸢nakaŋganaʃinu⸣mai ʃi̥⸢kiʔuki⸣ tu⸢ri⸣ʔuki ta⸢bu⸣roːri] (火の神様、願いをお聞き届け、お受け取りくださいませ) 7674 0 0 7275 htmvoc_7674.wav シキウキルン シ⸢キウキ⸣ルン [ʃi̥⸢kiʔuki⸣ruŋ] 他動 聞き受ける。聞き届ける。承知する。 ⸣ニガイ ッ⸢サルバ⸣ ドー⸢ディン⸣ シ⸢キウキ⸣ タ⸢ブ⸣ローリ [⸣nigai s⸢saruba⸣ doː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢kiʔukitabu⸣roːri] (祈願申し上げますから、どうぞお聞き届けください)。 ⸢ワー⸣サーギ シ⸢キウキ⸣ルンティ ア⸢ジ ッふォー⸣ルカー ター⸢ン⸣ シ⸢キウキラン⸣テー ア⸢ゾーラ⸣ヌ [⸢waː⸣saːgi ʃi̥⸢kiʔuki⸣runti ʔa⸢ʤi ffoː⸣rukaː taː⸢ŋ⸣ ʃi̥⸢kiʔukiran⸣teː ʔa⸢ʣoːra⸣nu] (貴方さえ承知する<聞き受ける>といって下さるなら、誰も承知しない<聞き受けない>とはいわれない)。 ⸣バー ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キウキル⸣ クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ⸢ワーヤ⸣ シ⸢キウキレー⸣ ミサムヌ [⸣baː ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢kiʔukiru⸣ ku̥toː na⸢ranu⸣nu ⸢waːja⸣ ʃi̥⸢kiukireː⸣ misamunu] (私はその話は聞き受ける<承知する>ことは出来ないが、君は聞きうければよいのに)。 シ⸢キウキリ [ʃi̥⸢kiʔukiri] (聞き受けれ{EOS}承知しろ) 7647 0 0 7276 htmvoc_7647.wav シキウシ シ⸢キ⸣ウシ [ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi] 名 搗き臼。木製の稲搗き臼。大きな松の幹を約90センチの高さに切り、上端部を深さ約20センチ、直径約25センチ半球形の凹部に刳りぬいて作った臼。その中に玄米1升~2升を入れてイ⸢ナシ⸣キ[ʔi⸢na⸣ʃi̥ki](杵)で搗いて精米した。臼の口縁部の内側に藁で作った⸣シケー[⸣ʃi̥keː](揺輪)を嵌めて米が飛散しないようにし、最初は弱く、糠が出るまで搗き(これをアザラスン{SqBr}ʔa⸢ʣarasuŋ{/SqBr}という)、次に力をこめて搗く。また在来種の芒の長い赤米は挽き臼にかける前に、大きな搗き臼に入れて杵で搗き、芒を落とす(これを⸣カトゥン{SqBr}⸣kḁtuŋ{/SqBr}という)。 シ⸢キ⸣ウシナー ⸢マイ⸣ ッサイ [ʃi̥⸢kiʔuʃi⸣naː ⸢mai⸣ ssai] (搗き臼で米を搗け<精げれ>)。対義語は、ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](挽き臼) 7648 0 0 7277 htmvoc_7648.wav シキウズ シ⸢キウズ [ʃi̥⸢kiʔuʣu] 名 敷布団。鳩間島では、一部の家以外には敷布団はなかった。冬期においても敷布団を必要とするほどの寒さはあまり無かったし、それを作る余裕も無かった。 パ⸢トゥ⸣マナテー シ⸢キウズ⸣ ス⸢コー⸣ル ⸢ヤー⸣ヤ ⸢ナン⸣ゾー ⸢ナーン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manateː ʃi̥⸢kiʔuʣu⸣ su̥⸢koː⸣ru ⸢jaː⸣ja ⸢nan⸣ʣoː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島では敷布団を敷かれる家はあまりなかった) 7675 0 0 7278 htmvoc_7675.wav シキウブイ シ⸢キウブイ [ʃi̥⸢kiubui] 名 聞き覚え。記憶。 ウ⸢ヌ クイ⸣ヤー シ⸢キウブイヌ⸣ アル ⸣クイ ヤ⸢ルヌ ターヤッタ⸣カヤー [ʔu⸢nu kui⸣jaː ʃi̥⸢kiʔubuinu⸣ ʔaru ⸣kui ja⸢runu taː jatta⸣kajaː] (その声は聞き覚えのある声だが、誰だったかなあ) 7650 0 0 7279 htmvoc_7650.wav シキカイスン シ⸢キカイスン [ʃi̥⸢kikaisuŋ] 他動 突き返す。押し返す。標準語からの転訛。 ⸢バン⸣テー ⸢ナー⸣ト ウ⸢リバ⸣ ムティクーカー シ⸢キカイスン⸠ダー [⸢ban⸣teː ⸢naː⸣to ʔu⸢riba⸣ mutikuːkaː ʃi̥⸢kikaisun⸠daː] (私の家へなど、それを持って来たら付き返すぞ) 7671 0 0 7280 htmvoc_7671.wav シキカイスン シ⸢キカイスン [ʃi̥⸢kikaisuŋ] 他動 聞き返す。一度聞いたことを繰り返したずねる。反問する。 ピ⸢ルマ⸣サカー ヤー⸢ディン⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シ⸢キカイスン [pi⸢ruma⸣sakaː jaː⸢dim⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni ʃi̥⸢kikaisuŋ] (珍しかったら<不思議だったたら>、必ず人の話を聞き返す)。 ウ⸢レー⸣ ヤー⸢ディン⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シ⸢キカイスン [ʔu⸢reː⸣ jaː⸢dim⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni ʃi̥⸢kikaisuŋ] (彼は必ず他人の話を問い返す<聞き返す>)。 シ⸢キカイサンドー⸣シ ⸢ダン⸣シ ⸣パリバ [ʃi̥⸢kikaisandoː⸣ʃi ⸢daŋ⸣ʃi ⸣pariba] (聞き返さない<反問しない>で早く行けよ)。 シ⸢キカイシ⸣ ミサカー シ⸢キカイス⸣ クトー ナルン⸢ダー [ʃi̥⸢kikaiʃi⸣ misakaː ʃi̥⸢kikaisu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (聞き返してよければ聞き返すことは出来るよ) 7672 0 0 7281 htmvoc_7672.wav シキカウ シ⸢キカウ [ʃi̥⸢kikau] 名 供物を供える際に焚く線香。対語は、ピキカウ[pi̥⸢kikau]。普通は、香三本を焚いて香炉に立て、供物の贈り主の名前を唱え、健康祈願を唱えて合掌する。 ム⸢チン⸣ ウ⸢サイ⸣ユン シ⸢キマチティ⸣ シ⸢キカウ⸣ タティバ [mu⸢ʧiŋ⸣ ʔu⸢sai⸣juŋ ʃi̥⸢kimaʧiti⸣ ʃi̥⸢kikau⸣ tḁ tiba] (餅もお重も供えて、付け香を焚いて立てよ)。 シ⸢キカウヤー⸣ シキタティティ ⸢イー⸣ヤ シ⸢キオーシ⸣バ [ʃi̥⸢kikauja⸣ ʃi̥kitatiti ⸢ʔiː⸣ja ʃi̥⸢kiʔoːʃi⸣ba] (お供えの香を焚いてからご飯はお供えして差し上げなさい) 7673 0 0 7282 htmvoc_7673.wav シキガクムン シ⸢キガクムン [ʃi̥⸢kigakumuŋ] 名 耳学問。聞きかじり。 ⸣トゥシシザンケートゥ ⸣ピライ ム⸢ヌ⸣シリンケーラ シ⸢キガクムンバ シー ブンダ⸣ ノー⸢ン⸣ ッ⸢シル ブー [⸣tu̥ʃiʃiʣaŋkeːtu ⸣pirai mu⸢nu⸣ʃiriŋkeːra ʃi̥⸢kigakumumba ʃiː bunda⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃ⸢ʃiru buː] (年配<年上>の方々と交際そして、博識<物知り>の方々から耳学問をしているから、何でも知っている) 7653 0 0 7283 htmvoc_7653.wav シキカタナ シ⸢キカタナ [ʃi̥⸢kikatana] 名 カ⸢ツピギシー⸣グ[kḁ⸢ʦupigiʃiː⸣gu](鰹節削り小刀)の一種。⸢突き刀」の義。押し切ったり、前方へ突き押すようにして削るのに用いる小刀。 シ⸢キカタナ⸣シル カ⸢ツブシヌ⸣ パ⸢ナー⸣ ウ⸢シキサリ [ʃi̥⸢kikatana⸣ʃiru kḁ⸢ʦubuʃinu⸣ pa⸢naː⸣ ʔu⸢ʃikisari] (突き刀の小刀で<ぞ>鰹節の鼻面は切られる) 7780 0 0 7284 htmvoc_7780.wav シギキー シ⸢ギキー [ʃi⸢gikiː] 名 (植)杉の木。杉材。 シ⸢ギザイ [ʃi⸢giʣai] (杉材)。シ⸢ギイツァ[ʃi⸢giʔiʦa](杉板)などがあるが、すべて輸入もので、杉の木は生えていない。 シ⸢ギキーヤ⸣ パ⸢トゥ⸣マナー ⸣ムイ ブ⸢ラーヌ [ʃi⸢gikiːja⸣ pḁ⸢tu⸣manaː ⸣mui bu⸢raːnu] (杉の木は鳩間島には生えていない)。 ⸣イダフネー シ⸢ギキー⸣シル ⸢パウ [⸣ʔidaɸuneː ʃi⸢gikiː⸣ʃiru ⸢pau] (板船<サバニ>は杉材で造る<接ぐ>) 7676 0 0 7285 htmvoc_7676.wav シキグトゥ シ⸢キグトゥ [ʃi̥⸢kigutu] 名 聞き事。聞くだけの値うちのあること。聞いて感動する素晴らしい話や素晴らしい歌(音楽)。「これは近頃一興ある聞き事にて~」『文明本節用集』の義。⸢ミー⸣グトゥ シ⸢キグトゥ[⸢miː⸣gutu ʃi̥⸢kigutu](見て感動する、聞いて感激する素晴らしい芸術や講演談話だ)のように使われる。 ⸢キュー⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー ⸢フン⸣トー シ⸢キグトゥ ヤッタ [⸢kjuː⸣nu pa⸢na⸣ʃeː ⸢ɸun⸣toː ʃi̥⸢kigutu jatta] (今日の話は誠に聞く価値のある、素晴らしい話であった)。 ⸣アッパー ⸣ウター シ⸢キグトゥ ヤッタ [⸣ʔappaː ⸣ʔutaː ʃi̥⸢kigutu jatta] (お祖母さんの歌は、聞きごと<聞いて感動する素晴らしい>歌だった) 7778 0 0 7286 htmvoc_7778.wav シキグリサン シ⸢キグリ⸣サン [ʃi̥⸢kiguri⸣saŋ] 形 聞きづらい。聞きにくい。シ⸢キングリ⸣サン[ʃi̥⸢kiŋguri⸣saŋ]ともいう。 ⸢フントー⸣ヤ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトー シ⸢キグリ⸣サンダー シ⸢キグリ⸣サー ⸢ナーン⸣テー ア⸢ザラヌ [⸢ɸuntoː⸣ja ⸢duː⸣nu ⸣ku̥toː ʃi̥⸢kiguri⸣sandaː ʃi̥⸢kiguri⸣saː ⸢naːn⸣teː ʔa⸢ʣaranu] (本当は、自分のことは聞きづらいから、聞きづらくないとは言われない)。 ⸢シンダイ⸣ シ⸢キグ⸣リサ ⸣ナリ ⸢クーター⸣ル シ⸢キグリサ⸣ヌ シ⸢カラヌ⸣ティ ウ⸢ヤール⸣タ [⸢ʃindai⸣ ʃi̥⸢kiguri⸣sa ⸣nari ⸢kuːtaː⸣ru ʃi̥⸢kigurisa⸣nu si̥⸢karanu⸣ti ʔu⸢jaːru⸣ta] (次第に聞きづらくなってきたので、聞きづらくて聞こえないと怒鳴った)。 シ⸢キグリ⸣サ ウ⸢トー⸣ ヌーヤ [ʃi̥⸢kiguri⸣sa ʔu⸢toː⸣ nuːja] (聞きづらい音はどれか) 7677 0 0 7287 htmvoc_7677.wav シキクルバスン シ⸢キクルバスン [ʃi̥⸢kikurubasuŋ] 他動 突き転ばす。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー プ⸢ス⸣ シ⸢キクルバスン⸣ダー [⸢ʔunʣaː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː pu̥⸢su⸣ ʃi̥⸢kikurubasun⸣daː] (こいつ<此奴>は酒を飲むと他人を突き転ばすんだよ) 7678 0 0 7288 htmvoc_7678.wav シキゴイ シ⸢キゴイ [ʃi̥⸢kigoi] 名 元肥。「敷き肥」の義。作付けする前に堆肥や落ち葉、茅、ススキなどを鋤きこんで入れる肥料。畑に畝を上げ、畝の底に堆肥を敷いて土を被せ、その上に苗を植えて元肥にした。堆肥は豚舎の側に積み上げて作った。ススキや茅を刈り込んで数日間豚に踏ませた後、ガ⸢キ⸣ザー[ga⸢ki⸣ʣaː](熊手)で集めて積み上げ、更に木の葉や茅を積み重ね、水肥をかけて発酵させて作った。 シ⸢キゴイ⸣ パ⸢タ⸣キナー イ⸢リバル⸣ ス⸢クリ⸣ムノー ⸢ミール [ʃi̥⸢kigoi⸣ pḁ⸢ta⸣kinaː ʔi⸢ribaru⸣ su̥⸢kuri⸣munoː ⸢miːru] (元肥を畑に入れたらばこそ、作物は稔る) 7679 0 0 7289 htmvoc_7679.wav シキザースン シ⸢キザースン [ʃi̥⸢kiʣaːsuŋ] 他動 かき乱す。蹴散らす。発散させる。撹乱する。体内の熱を突き出す。 フ⸢チン⸣パー ⸢シッ⸣キティ ⸣シル ヌ⸢マ⸣スカー ⸣ニチ シ⸢キザースン<パッサン⸢スン> [ɸu̥⸢ʧim⸣paː ⸢ʃik⸣kiti ⸣ʃiru nu⸢ma⸣su̥kaː ⸣niʧi ʃi̥⸢kiʣaːsuŋ] (よもぎ<蓬>の葉を突っついて汁を飲ませると熱を発散させる)。 シ⸢キザーサヌ [ʃi̥⸢kiʣaːsanu] (発散させない)。 シ⸢キザーシ⸠ミー [ʃi̥⸢kiʣaːʃi⸠miː] (発散させてごらん)。 シ⸢キザース⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢kiʣaːsu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (わざわざ発散させることはない)。 シ⸢キザーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kiʣaːʃeː⸣ misamunu] (発散させれば良いのに)。 シ⸢キザーシ [ʃi̥⸢kiʣaːʃi] (発散させよ) 7782 0 0 7290 htmvoc_7782.wav シギザイ シ⸢ギザイ [ʃi⸢giʣai] 名 杉材 7681 0 0 7291 htmvoc_7681.wav シキシー シ⸢キ⸣シー [ʃi̥⸢ki⸣ʃiː] 名 月末。標準語からの借用語。 シ⸢キ⸣シー ⸣ナルカー ⸢イーシ⸣ヌ ⸢ダイヌ ペー⸣ルンツォー [ʃi̥⸢ki⸣ʃiː ⸣naruka ⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢dainu peː⸣runʦoː] (月末になったらツノマタの代金が入るそうだ) 7683 0 0 7292 htmvoc_7683.wav シキシーグ シ⸢キシーグ [ʃi̥⸢kiʃiːgu] 名 鰹節削り専用の小刀の一種。「ツキサイグ(突き・鉏具)」の転訛したもの。鰹節の筋に逆らわないように、親指で小刀の背を前方へと押し、小指で小刀の柄を支えながら削ったり、押し切ったりするのに用いる小刀。 シ⸢キシーグ⸣シ キ⸢ジ⸣バ [ʃi̥⸢kiʃiːgu⸣ʃi ki⸢ʤi⸣ba] (突き小刀で削りなさいよ)。 シ⸢キシーグ⸣シ カ⸢ツブシヌ⸣ シヌ ウ⸢シキシ⸣バ [ʃi̥⸢kiʃiːguʃi kḁ⸢ʦubuʃinu⸣ ʃinu ʔu⸢ʃiki̥ʃi⸣ba] (突き小刀<突き鉏具>で鰹節の角を押し切りなさい) 7682 0 0 7293 htmvoc_7682.wav シキシキ ⸣シキシキ [⸣ʃi̥kiʃi̥ki] 名 月々。毎月。 ⸣シキシキヌ ⸢ニンガイ⸣グトー ⸢バスクンドー⸣シ シ⸢ミオーラ⸣シ⸢ダー [⸣ʃi̥kiʃi̥kinu ⸢niŋgai⸣gutoː ⸢basu̥kundː⸣ʃi ʃi⸢miʔoːra⸣ʃi⸢daː] (月々の祈願<願いごと>は忘れずに祈願させて差し上げなさいよ) 7684 0 0 7294 htmvoc_7684.wav シキジキ ⸣シキジキ [⸣ʃi̥kiʤiki] 名 月々。毎月。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シゥ⸢カイバー⸣ヤ ッ⸢ふァヌ⸣ トンラ ⸣シキジキ ウ⸢クラリ⸣ クーン [ʔu⸢ja⸣nu sï̥⸢kaibaː⸣ja f⸢fanu⸣ tonra ⸣ʃi̥kiʤiki ʔu⸢kurari⸣ kuːŋ] (親の経費<使い分>は子供の所から月々送られてくる) 7685 0 0 7295 htmvoc_7685.wav シギシュー シ⸢ギシュー [ʃi⸢giʃuː] 名 次のお方。「次主」の義。歌謡語。{⸣インダヌ マ⸢キ[⸣ʔindanu ma⸢ki](伊武田牧場)のウ⸢シヌ⸣ヨイ[ʔu⸢ʃinu⸣joi](牛の祝い{EOS}牛の耳に⸢ヤー⸣バン{SqBr}⸢jaː⸣baŋ{/SqBr}<家の判{EOS}印>を付ける祭)の際にミ⸢キバタ⸣シ[mi⸢kibata⸣ʃi](酒器)を左上~右上に振って歌われる歌のミキバタシ(酒器)を次の二番手へと手渡しする相手(次主)}。「次のお方」の意味。 ~シ⸢ギシューヤ タッ⸣テヌ ウ⸢ナンナーマ⸣ドゥ シ⸢ギシューユー⸣ サリー イ⸢メーヌ カ⸣ージ [~ʃi⸢giʃuːja tat⸣tenu ʔu⸢nannaːma⸣du ʃi⸢giʃuːjuː⸣ sari ʔi⸢meːnu ka⸣ːʤi] (次のお方は何処其処の家の、その方が<ぞ>次のお方でございます{EOS}イメーヌカージ<順風満帆{EOS}「行先に真っ直ぐに向かった舵」{EOS}航海安全予祝する、出帆の時の掛け声『沖縄語辞典』という>)。相手は、⸢ウー⸣タリ[⸢ʔuː⸣tari](かしこまり<畏まり>ました{EOS}つつしんで拝受します)と言って酒器を受け取る 7686 0 0 7296 htmvoc_7686.wav シキゾージ シ⸢キゾージ [ʃi̥⸢kiʣoːʤi] 名 聞き上手。相手の話を上手に聞き出すこと。 ウ⸢レー⸣ シ⸢キゾージ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リトゥ⸣ パ⸢ナ⸣スカー カ⸢クシ⸣グトー シ⸢ララヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃi̥⸢kiʣoːʤi⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢ritu⸣ pa⸢na⸣su̥kaː kḁ⸢kuʃi⸣gutoː ʃi⸢raranu] (彼は聞き上手だから、彼と話すと隠し事はできない)。 シ⸢キゾージル⸣ パ⸢ナシゾー⸣ジティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [ʃi̥⸢kiʣoːʤiru⸣ pa⸢naʃiʣoː⸣ʤiti ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (聞き上手が話上手と言われているよ) 7687 0 0 7297 htmvoc_7687.wav シキダ シ⸢キ⸣ダ [ʃi̥⸢ki⸣da] 名 織機の部品名。「敷き板」の義。機を織る際に織り子(織工)が腰掛ける板。 シ⸢キダ⸣ヌ パ⸢バヌ⸣ グ⸢マー⸣ティ ナ⸢ガビリ スー⸣カー シ⸢ベー⸣ ヤ⸢ミ⸣ス [ʃi̥⸢kida⸣nu pa⸢banu⸣ gu⸢maː⸣ti na⸢gabiri suː⸣kaː ʃi⸢beː⸣ ja⸢mi⸣su] (敷き板の幅が狭い<小さい>ので、長時間座る<長座りする>と尻が痛む) 7688 0 0 7298 htmvoc_7688.wav シキダースン シ⸢キダースン [ʃi̥⸢kidaːsuŋ] 自動 どっかと座る。どっかりと座って動かない。怠け者の座り方で、農家の人に嫌われる座り方。 ⸣スブットゥル シ⸢キダーシ⸣ ビ⸢ル マイフナーヤ⸣ シ⸢キダーサンドー⸣シル ビ⸢ル [⸣subutturu ʃi̥⸢kidaːʃi⸣ bi⸢ru maiɸunaːja⸣ ʃi̥⸢kidaːsandoː⸣ʃiru bi⸢ru] (怠け者がどっかと座るのであって、働き者はどっかり座りしないで、すぐ立てるように座る)。 シ⸢キダース⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣スブットゥ [ʃi̥⸢kidaːsu⸣ ja⸢ra⸣beː ⸣subuttu] (どっかと座る子供は怠け者だ)。 シ⸢キダーシェー⸣ラ ⸢ウーカ⸣ヌ [ʃi̥⸢kidaːʃeː⸣ra ⸢ʔuːka⸣nu] (一旦どっかり座ると動かない)。 ⸣ウナーティ シ⸢キダーシ [⸣ʔunaːti ʃi̥⸢kidaːʃi] (そこでどっかり座れ) 7689 0 0 7299 htmvoc_7689.wav シキダーリスン シ⸢キダーリ スン [ʃi̥⸢kidaːri suŋ] 連 聞いていて聞かぬ振りをする。聞き流す。聞き捨てにする。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ ナー⸢イ⸣ シ⸢キダーリ シー⸣ ムッ⸢トゥ ウーカ⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni naː⸢ji⸣ ʃi̥⸢kidaːri ʃiː⸣ mut⸢tu ʔuːka⸣nu] (親の言うことをただ聞き流して、ちっとも動かない) 7695 0 0 7300 htmvoc_7695.wav シキダイ シ⸢キダイ [ʃi̥⸢kidai] 名 突き台。カツオ漁船の舳先に突き出した釣り台。餌撒きが立って⸣ザコー[⸣ʣakoː](雑魚<餌>)を撒き、カ⸢ザル[ka⸢ʣaru](釣手<飾り>)、イ⸢チバン⸣ジョー[ʔi⸢ʧiban⸣ʤoː](一番竿<釣手>)、⸢ニーバン⸣ジョー[⸢niːban⸣ʤoː](二番竿<釣手>)が座ってカツオを釣る台。 カ⸢ツホーシゾージ⸣ル シ⸢キダイ⸣ナー ビ⸢リティ カ⸢ツ  ホー⸣ソーッタ [ka⸢ʦuhoːʃiʣoːʤi⸣ru ʃi̥⸢kidai⸣naː bi⸢riti kḁ⸢ʦu hoː⸣soːtta] (カツオ釣り名人<上手>が突き台に座ってカツオを釣られた)。ツ⸢キシェン[ʦu̥⸢kiʃeŋ](突き船)の舳先にも長いシ⸢キダイ[ʃi̥⸢kidai](突き台)が付いていて、その上から銛を投げてカ⸢ジ⸣キ[ka⸢ʤi⸣ki](梶木)を突き、漁獲した 7696 0 0 7301 htmvoc_7696.wav シキダイビリ シ⸢キダイビリ [ʃi̥⸢kidaibiri] 名 あぐら(胡坐)。両足を正面で組んで座る座り方。男性の座り方。姿勢が堂々とした座り方になるので、目上の人の前では横柄な態度として注意された。また、女性が胡坐をかくことは、下品な座り方だと戒められた。 ヤ⸢ラビ⸣アタル ム⸢ヌ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ マンタナー シ⸢キダイビリバ シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ja⸢ra⸣bi ⸣ʔararu mu⸢nu⸣nu pu̥⸢sunu⸣ mantanaː ʃi̥⸢kidaibiriba ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (子供のくせに人様の前で胡坐をかいているよ<不遜だ>) 7690 0 0 7302 htmvoc_7690.wav シキダキ シ⸢キダ⸣キ [ʃi̥⸢kida⸣ki] 名 マッチ。「つけだけ<付竹>」の義。⸢竹の先端に硫黄などを塗って付け木としたもの。ほくち<火口>」『日本国語大辞典』。「付木・・・昔は竹を薄くへぎて今の付木の如く用いたり『物類称呼四』」。鳩間島でマッチが導入されたのは、日露戦争に出征して帰島した通事家の先祖がもたらしたのが最初だという。竹串の先から火が出る不思議なものとして、部落中の者がそれを見に集まったという(加治工伊佐談)。 ⸣アブジェー ⸢キー⸣プゾーナ シ⸢キダキ⸣バ イ⸢リティ⸣ キ⸢シル⸣トゥ ク⸢シ⸣ナー ⸢クシキティ⸣ パ⸢タ⸣ケー ム⸢トーッ⸣タ [⸣ʔabuʤeː ⸢kiː⸣puʣoːna ʃi̥⸢kidaki⸣ba ʔi⸢riti⸣ ki̥⸢ʃiru⸣tu ku⸢ʃi⸣naː ⸢kuʃi̥kiti⸣ pḁ⸢ta⸣keː mu⸢toːt⸣ta] (お祖父さんは、木製の煙草入れ<木宝蔵>にマッチ<付竹>を入れて、煙管と一緒に腰に差して<装着して>畑へ持って行かれた) 7691 0 0 7303 htmvoc_7691.wav シキダチ シ⸢キダ⸣チ [ʃi̥⸢kida⸣ʧi] 名 ついたち(朔日)。毎月の第一日。「つきたち(月立)」の義。⸢Tçuitachi.ツイタチ(朔)月の最初の日」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチェー ⸢カンヌマイ⸣トゥ ウ⸢ヤプス⸣ヌ マイ ⸢サー⸣ドー ア⸢ギ オーシリ⸣ヨー [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧeː ⸢kannumai⸣tu ʔu⸢japu̥su⸣numai ⸢saːsaː⸣doː ʔa⸢giʔoːʃiri⸣joː] (ついたち<朔日>十五日は床の神様の前と、仏壇のご先祖様の前に茶湯をお供えしなさい<差し上げなさい>) 7692 0 0 7304 htmvoc_7692.wav シキタラーンッふァ ⸣シキ タ⸢ラーンッふァ [⸣ʃi̥ki ta⸢raːŋffa] 連 月足らずの子。未熟児。 ⸣シキ タ⸢ラーンッふァ ヤッタヌドゥ⸣<ヤッタンドゥ⸣> イッ⸢ケナ ガン⸣ゾー フ⸢ドゥベー⸣ン [⸣ʃi̥ki ta⸢raːŋffa jattanudu⸣ ʔik⸢kena gan⸣ʣoː ɸu⸢dubeː⸣ŋ] (月足らずの子だったが非常に健康<頑丈>に成長している) 7697 0 0 7305 htmvoc_7697.wav シキタン シ⸢キ⸣タン [ʃi̥⸢ki⸣taŋ] 名 石炭。ウ⸢タ⸣ラタンコー[ʔu⸢ta⸣rataŋkoː](宇多良炭鉱)は西表の浦内に本拠を置く炭鉱で野田小一郎が経営していた。村には小学校、劇場、病院が完備され、坑夫の宿泊する納屋が十数棟もあり、昭和十年代には坑夫千数百人を有する炭鉱だったという。石炭は浦内湾に木製桟橋を作って団平船に積み、白浜港へ運んだ。そこで台湾航路の大型定期船、貨物船に積み込まれて輸出された。炭坑は現在の中野地区、住吉地区に開けていた。鳩間方言では、そこをウ⸢ボー⸣ダ[ʔu⸢boː⸣da](中野地区)、ニ⸢シ⸣ミジ[ni⸢ʃi⸣miʤi](住吉地区)という。戦争中は炭坑脱出者が後を絶たず、山中に逃亡した坑夫が山を越えて西表東部地区のトゥ⸢マダ[tu⸢mada]の避難小屋の所に下りてきて食料を乞うことがあった。島人は握り飯と芋を与えて逃がした。その後を警察犬と官憲が追いかけて行った。浦内村のレンガ造りの社屋の前では、軒に吊るされた逃亡者が精神注入棒で殴られているのが見られ、その光景は子供達に恐れられていた。宇多良炭坑の前には井上炭坑が⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離)にあったが炭層が薄くて採算が採れず廃坑になったという。 シ⸢キタン⸣マー ウ⸢タ⸣ラタンコーラル プ⸢ローッ⸣タ [ʃi̥⸢kitam⸣maː ʔu⸢ta⸣rataŋkoːraru pu⸢roːt⸣ta] (石炭は宇多良炭坑から<ぞ>採掘された<掘られた>) 7698 0 0 7306 htmvoc_7698.wav シキタンユー シ⸢キタン⸣ユー [ʃi̥⸢kitaŋ⸣juː] 名 石油。「石炭油」の義。昭和初期頃まで使用されていた語『八重山語彙』参照。老年層は、シ⸢キタン⸣アバ[ʃi̥⸢kitaŋ⸣ʔaba](石炭油)ともいう。現在ではほとんど死語化しており、明治生まれの人の理解語彙であるに過ぎない。大正生まれ以後の人は、シ⸢キ⸣ユー[ʃi̥⸢ki⸣juː](石油)というのが普通である。 シ⸢キユー⸣ランプ [ʃi̥⸢kijuː⸣rampu] (石油ランプ) 7694 0 0 7307 htmvoc_7694.wav シキックナー シ⸢キックナー [ʃi̥⸢kikkunaː] 名 突き合い。押し合いへし<圧し>合い。 グ⸢シバ⸣ ムテーティ シ⸢キックナーバ シー⸣ パ⸢ナン⸣ギ ⸢シー ベー⸣ティ ⸣ミー ⸢ピッカ⸣リ ⸢ベー [gu⸢ʃiba⸣ muteːti ʃi̥⸢kikkunaːba ʃiː⸣ pa⸢naŋ⸣gi ⸢ʃiː beː⸣ti ⸣miː ⸢pikka⸣ri ⸢beː] (細い竹<串>を持って付き合いをし、ふざけ戯れていて目を突かれているよ) 7655 0 0 7308 htmvoc_7655.wav シキックムン シ⸢キッ⸣クムン [ʃi̥⸢kik⸣kumuŋ] 自動 つんのめる。前方へ突っ込む。突き入る。 ⸣パリキー シ⸢キッ⸣クムン [⸣parikiː ʃi̥⸢kik⸣kumuŋ] (走ってきて前方へ突っ込む)。 シ⸢キックマン⸣ヨーニ ⸢キー⸣シキ ⸢ベータン⸣ドゥ ⸢カイ⸣リティ シ⸢キッ⸣クミ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢kikkumaɲ⸣ joːni ⸢kiː⸣ʃi̥ki ⸢beːtan⸣du ⸢kai⸣riti ʃi̥⸢kik⸣kumi ⸢naː⸣nu] (つんのめらないように気をつけていたが、転んで前方へつんのめってしまった)。 シ⸢キッ⸣クム ⸣クトー ⸢ナーン⸣シェンドゥ プ⸢スム⸣シ シ⸢キッ⸣クメーラ ⸢チャー⸣ シ⸢キッ⸣クムン [ʃi̥⸢kik⸣kumu ⸣ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃendu pu̥⸢sumu⸣ʃi ʃi̥⸢kik⸣kumeːraː ⸢ʧaː⸣ ʃi̥⸢kik⸣kumuŋ] (つんのめることはなかったが、一度つんのめると、常に<いつも>つんのめる)。 シ⸢キッ⸣クミバ [ʃi̥⸢kik⸣kumiba] (つんのめろ)。 ⸢トー⸣ルカー ⸣マンター シ⸢キッ⸣クムンダ シ⸢キックマン⸣ヨーニ ⸣パラー カ⸢サミ⸣バ [⸢toː⸣rukaː ⸣mantaː ʃi̥⸢kik⸣kumunda ʃi̥⸢kikkumaŋ⸣joːni ⸣paraː kḁ⸢sami⸣ba] (倒れたら前に突っ込むから、倒れないように柱を掴めよ)。 シ⸢キッ⸣クミ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢kik⸣kumi ⸢naː⸣nu] (突っ込んでしまった)。 シ⸢キッ⸣クム ⸣クトゥン ⸣アン [ʃi̥⸢kik⸣kumu ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (突っ込むこともある)。 シ⸢キッ⸣クメー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢kik⸣kumeː ⸣misamunu] (突っ込めば良いのに) 7693 0 0 7309 htmvoc_7693.wav シキッケーラスン シ⸢キッケーラスン [ʃi̥⸢kikkeːrasuŋ] 他動 押し倒す。突き飛ばす。突き押して転倒させる。突き転ばす。突きひっくり返す。 ⸢ウン⸣ナー ア⸢タリティ⸣ シ⸢キッケーラスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢キッケーラサランシェン [⸢ʔun⸣naː ʔa⸢tariti⸣ ʃi̥⸢kikkeːrasunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi̥⸢kikkeːrasaraŋʃeŋ] (それにぶつかって押し倒そうとしたが押し倒されなかった)。 シ⸢キッケーラシ⸣ ミサン [ʃi̥⸢kikkeːraʃi⸣ misaŋ] (押し倒しても良い)。 シ⸢キッケーラス⸣ クトゥ [ʃi̥⸢kikkkeːrasu⸣ ku̥tu] (押し倒すこと)。 シ⸢キッケーラシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kikkeːraʃeː⸣ misamunu] (押し倒せばよいのに)。 シ⸢キッケーラシ [ʃi̥⸢kikkeːraʃi] (押し倒せ) 7700 0 0 7310 htmvoc_7700.wav シキッコースン シ⸢キッコースン [ʃi̥⸢kikkoːsuŋ] 他動 突き崩す。突き壊す。ぶっ壊す。 ⸣ッサリ フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ブンダ⸣ シ⸢キッコー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ シ⸢キッコーサラン⸣バン [⸣ssari ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢bunda⸣ ʃi̥⸢kikkoː⸣sunti ⸢sundu⸣ ʃi̥⸢kikkoːsaram⸣baŋ] (腐食している<腐れ朽ちている>ので、突き壊そうとするが、ぶっ壊されないよ) 7779 0 0 7311 htmvoc_7779.wav シキッコースン シ⸢キッコースン [ʃi̥⸢kikkoːsuŋ] 他動 鋤き起こす。鋤きや鍬で畑を掘り起こす。 ムー⸢ル⸣ シ⸢キッコースンティ⸣ ウ⸢ムー⸣ヌ シ⸢キッコーサラヌ [muː⸢ru⸣ ʃi̥⸢kikkoːsunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʃi̥⸢kikkoːasaranu] (総て鋤き起こそうと思うのだが、鋤き起こされない)。 シ⸢キッコーシ⸣ プサカー シ⸢キッコース⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ [ʃi̥⸢kikkoːʃi⸣ pu̥sakaː ʃi̥⸢kikkoːsu⸣ pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi] (鋤き起こして欲しいのなら、鋤き起こす人を頼め)。 シ⸢キッコーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kikkoːʃeː⸣ misamunu] (鋤き起こせばよいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢キッコーシ [⸢paː⸣ku ʃi̥⸢kikkoːʃi] (早く鋤き起こせ) 7701 0 0 7312 htmvoc_7701.wav シキッツァースン シ⸢キッツァースン [ʃi̥⸢kitʦaːsuŋ] 他動 つつく<突付く>。「突き散らす」の義。突きまくる。散々に突く。 ⸣パシシ シ⸢キッツァーサンドー⸣シ カシー⸢カシー⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [pḁʃiʃi ʃi̥⸢kitʦaːsandoː⸣ʃi kḁʃiː⸢kaʃiː⸣ f⸢fai⸣ba] (箸で突っつかないで、きちんと食べなさいよ)。 シ⸢キッツァーシ ベー [ʃi̥⸢kitʦaːʃi beː] (突っついている)。 ⸢イー⸣ヌ ⸢ミー⸣ザカー ナー⸢イ⸣ シ⸢キッツァースン [⸢ʔiː⸣nu ⸢miː⸣ʣakaː naː⸢i⸣ ʃi̥⸢kitʦaːsuŋ] (飯が不味かったら、ただ<飯を>突付くんだよ)。 シ⸢キッツァース⸣ クトゥ [ʃi̥⸢kitʦaːsu⸣ ku̥tu] (突付くこと)。 シ⸢キッツァーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kitʦaːʃeː⸣ misamunu] (突付けばよいのに)。 シ⸢キッツァーシ [ʃi̥⸢kitʦaːʃi] (散々に突付け<突き散らせ>) 7736 0 0 7313 htmvoc_7736.wav シキットー シ⸢キットー [ʃi̥⸢kittoː] 名 聞き様。聞き方。礼儀に叶った聞き方。失礼にならない聞き方。聞こえ。イ⸢ジットー[ʔi⸢ʤittoː](言い方{EOS}礼儀に適った言い方)の対義語。 シ⸢キットーヌ⸣ アルニル ⸣ムネー パ⸢ナ⸣ス ⸣アイブ ム⸢ニイジヨー⸣ヌ ⸢アン [ʃi̥⸢kittoːnu⸣ ʔaruniru muneː pa⸢na⸣su ⸣ʔaibu mu⸢niʔiʤijoː⸣nu ⸢ʔaŋ] (礼儀に叶った聞き方で対応できるようにものは話すのであって、あんな物言い<ものの言い方>があるものか)。 イ⸢ジットーヌ⸣ アルカー シ⸢キットーヌ⸣ アン [ʔi⸢ʤittoː⸣nu ⸣ʔarukaː ʃi̥⸢kittoːnu⸣ ʔaŋ] (言い様があれば聞き様もある{EOS}こちらが丁寧に、聞き手を敬って話せば聞き手もそれに応じて礼儀に叶った態度で聞く) 7703 0 1 7314 htmvoc_7703.wav シキットースン シ⸢キットースン [ʃi̥⸢kittoːsuŋ] 他動 {Mn_1}突き倒す。 ウ⸢シヌ⸣ ズ⸢ブ⸣マイ ⸢スー⸣ ピンマー プ⸢スン⸣ シ⸢キットースンダ キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢ʃinu⸣ ʣu⸢bu⸣mai ⸢suː⸣ pimmaː pu̥⸢suŋ⸣ ʃi̥⸢kittoːsunda kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (牛が発情期になると人も突き倒すから、気をつけなさいよ)。 7703 0 2 7315 htmvoc_7703.wav シキットースン シ⸢キットースン [ʃi̥⸢kittoːsuŋ] 他動 {Mn_2}敷き均す。 ア⸢メリカ⸣ヌ ブ⸢ルトーザー⸣ヌ ヤ⸢マ⸣バ シ⸢キットーシ⸣ シケーティル ナ⸢カダ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤ ⸢ウーアミ⸣ナ ウ⸢ズマレー⸣ダー [ʔa⸢merika⸣nu bu⸢rutoːzaː⸣nu ja⸢ma⸣ba ʃi̥⸢kittoːʃi⸣ ʃi̥keːtiru na⸢kada⸣nu ⸢taː⸣ja ⸢ʔuːami⸣na ʔu⸢ʣumareː⸣daː] (米国のブルトーザが山を敷き均しておいたのでナカダの田圃は大雨で埋もれたのだよ) 7737 0 0 7316 htmvoc_7737.wav シキットーナーヌ シ⸢キットー ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢kittoː naː⸣nu] 連 聞くに堪えない。外聞が悪い。体裁が悪くて聞いておれない。「聞きたくはない」の転訛したものか。 ⸣アイブ ヤ⸢ナムニ⸣バ イ⸢ジ⸣ プ⸢スバカヤヌ⸣ シ⸢キットー ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu ja⸢namuni⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ pu̥⸢subakajanu⸣ ʃi̥⸢kittoː naː⸣nu] (あんな悪口を言って、外聞がわるく、恥ずかしくて聞きたくない<世間体が悪い>)。⸢ミッ⸣トー ⸢ナー⸣ヌ[⸢mit⸣toː ⸢naː⸣nu](みっともない{EOS}見るに耐えない{EOS}外聞が悪い{EOS}「Mitomonai・ミトモナィ<見ともない>」『邦訳日葡辞書』の義)に対応する表現。 ⸣アイブ ム⸢ニ⸣バ シ⸢キン⸣ヌ プ⸢スンナー⸣ニ パ⸢ナ⸣シ ⸢アー⸣キ シ⸢キットーン ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu mu⸢ni⸣ba ʃi̥⸢kin⸣nu pu̥⸢sunnaː⸣ni pa⸢na⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ki ʃi̥⸢kittoːn naː⸣nu] (あんな話を世間の人に話してあるいて、まったく外聞が悪い<聞くに堪えない>) 7702 0 0 7317 htmvoc_7702.wav シキットゥバスン シ⸢キットゥバ⸣スン [ʃi̥⸢kittuba⸣suŋ] 他動 突き飛ばす。跳ね飛ばす。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣パリクー プ⸢ソー⸣ プ⸢ス⸣ シ⸢キットゥバ⸣スン⸢ダー [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣parikuː pu̥⸢soː⸣ pu̥⸢su⸣ ʃi̥⸢kittuba⸣sun⸢daː] (疾走して来る人は、他人を突き飛ばすよ) 7735 0 0 7318 htmvoc_7735.wav シキットゥルン シ⸢キットゥルン [ʃi̥⸢kitturuŋ] 他動 しっかりと聞き取る。聞いて受け取る。師の芸を伝受する。奥義を伝授される。「聞き取る」の義。若年層は、シ⸢キ⸣トゥルン[ʃi̥⸢ki⸣turuŋ]ともいう。 ⸢シンシー⸣ヌ ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムネー シカイ⸢トゥ⸣ シ⸢キットゥルンティ⸣ ウ⸢モーン⸣カー シ⸢キットゥララン⸣ダー [⸢ʃiŋʃiː⸣nu ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣muneː ʃi̥kai⸢tu⸣ ʃi̥⸢kitturun⸣ti ʔu⸢moːŋ⸣kaː ʃi̥⸢kitturaran⸣daː] (先生のおっしゃることを、しっかり聞き取ろうと思わなければ伝受出来<聞き取れ>ないよ)。 キサー⸢ティ⸣ シ⸢キットゥリティル⸣ シ⸢キットゥル⸣ クトー ナ⸢ラン⸣ティ ア⸢ジベー [kisaː⸢ti⸣ ʃi̥⸢kitturiti⸣ ʃi̥⸢kitturu⸣ ku̥toː na⸢ran⸣ti ʔa⸢ʤi beː] (既に伝受して<聞き取って>いて、伝受する<聞き取る>ことは出来ないといっている)。 ⸢ワーンツァン⸣ シ⸢キットゥレー⸣ ミサムヌ [⸢waːnʦan⸣ ʃi̥⸢kittureː⸣ misamunu] (君だけでも伝受すれ<聞き取れ>ばよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ シ⸢キットゥリ [jaː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢kitturi] (きっと<必ず>伝受<聞き取り>せよ) 7705 0 0 7319 htmvoc_7705.wav シキッパナスン シ⸢キッパナスン [ʃi̥⸢kippanasuŋ] 他動 突き放す。標準語からの転訛。 ヤ⸢ナドゥシェー⸣ シ⸢キッパナシ⸣ シ⸢ティリ [ja⸢naduʃeː⸣ ʃi̥⸢kippanaʃi⸣ ʃi̥⸢tiri] (悪友は突き放して捨てろ)。 シ⸢キッパナスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢キッパナサラヌ [ʃi̥⸢kippanasunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi̥⸢kippanasaranu] (突き放そうとしたが、突き放されない)。 シ⸢キッパナス⸣クトゥ [ʃi̥⸢kippanasu⸣ ku̥tu] (突き放すこと)。 シ⸢キッパナシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kippanaʃeː⸣ misamunu] (突き放せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢キッパナシ⸣バ [⸢paː⸣ku ʃi̥⸢kippanaʃi⸣ba] (早く突き放せよ) 7706 0 0 7320 htmvoc_7706.wav シキトゥースン シ⸢キトゥースン [ʃi̥⸢kituːsuŋ] 他動 聞きとおす。聞き続ける。初めから最後まで聞く。 ッ⸢ふァヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢ベーバー⸣キ シ⸢キトゥースン [f⸢fanu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi⸢beːbaː⸣ki ʃi̥⸢kituːsuŋ] (子供の話は最後まで聞きとおす) 7707 0 0 7321 htmvoc_7707.wav シキトゥバスン シ⸢キトゥバスン [ʃi̥⸢kitubasuŋ] 他動 聞きたくないところは上の空で聞く。必要のないところは飛ばして聞く。「聞き飛ばす」の義。 ヤ⸢ナ⸣ムネー ナー⸢イ⸣ シ⸢キトゥバシ [ja⸢na⸣muneː naː⸢i⸣ ʃi̥⸢kitubaʃi] (悪口は取り合うな、ただ聞き飛ばせ) 7708 0 0 7322 htmvoc_7708.wav シキトゥルン シ⸢キトゥルン [ʃi̥⸢kituruŋ] 他動 聞き取る。理解する。 ⸢ミン⸣バ トゥ⸢ルッ⸣サイ シ⸢キトゥルンティ スンドゥ⸣ ムシ⸢トゥ⸣ シ⸢キトゥララヌ [⸢mim⸣ba tu⸢rus⸣sai ʃi̥⸢kiturunti sundu⸣ muʃi̥⸢tu⸣ ʃi̥⸢kituraranu] (耳を研ぎ澄ませて<謹聴して>聞き取ろうとするが、ちっとも聞き取れない<理解できない>) 7709 0 0 7323 htmvoc_7709.wav シキナー シ⸢キナー [ʃi̥⸢kinaː] 名 漬け菜。菜っ葉を塩漬けにしたもの。 ⸢ナーヌパー⸣ヌ シ⸢キナーンツァン サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シバ [⸢naːnupaː⸣nu ʃi̥⸢kinaːnʦan saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (菜っ葉の塩漬けでもお茶請けに出しなさいよ)。 タ⸢マナー⸣バ シ⸢キナー シー⸣ シケーバ プ⸢ス⸣フチ ア⸢ジ シー⸣ ミリ ⸢ミー [ta⸢manaː⸣ba ʃi̥⸢kinaː ʃiː⸣ ʃi̥keːba pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧi ʔa⸢ʤi ʃiː⸣ miri ⸢miː] (キャベツを塩漬け<漬け菜に>してあるから一口味見してごらん) 7710 0 0 7324 htmvoc_7710.wav シキナカ シ⸢キナ⸣カ [ʃi̥⸢kina⸣ka] 名 中旬。月の半ば。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢キ⸣ヌ シ⸢キナ⸣カナ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣ルンツォー [ku⸢nu⸣ ʃi̥⸢ki⸣nu ʃi̥⸢kina⸣kanaː ⸣joi ⸢soː⸣runʦoː] (今月の中旬にお祝いをされるそうです) 7711 0 1 7325 htmvoc_7711.wav シキナクン シ⸢キナ⸣クン [ʃi̥⸢kina⸣kuŋ] 他動 {Mn_1}突っ込む。打ち込む。 ⸣パリキー ⸢ヤーン⸣ナカー シ⸢キナキ ペー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣parikiː ⸢jaːn⸣nakaː ʃi̥⸢kinaki peː⸣ri ⸢naː⸣nu] (走ってきて家の中へ突っ込んで入ってしまった)。 7711 0 2 7326 htmvoc_7711.wav シキナクン シ⸢キナ⸣クン [ʃi̥⸢kina⸣kuŋ] 他動 {Mn_2}突き刺す。「突き貫く」の義。 ⸢カイ⸣ルカー グ⸢シ⸣シ フ⸢チ⸣ シ⸢キナクンダ⸣ トゥリ シ⸢キ⸣リ [⸢kai⸣rukaː gu⸢ʃi⸣ʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ ʃi̥⸢kinakunda⸣ turi ʃi̥⸢ki⸣ri] (転んだら串で口を突き刺すから取っておきなさい)。 シ⸢キナカリン [ʃi̥⸢kinakariŋ] (突き刺される)。 シ⸢キナ⸣ク ⸣ムヌ [ʃi̥⸢kina⸣ku ⸣munu] (突き刺すもの)。 シ⸢キナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢kina⸣keː ⸣misamunu] (突き刺せばいいのに)。 シ⸢キナキ [ʃi̥⸢kinaki] (突き刺せ) 7738 0 0 7327 htmvoc_7738.wav シキニ シ⸢キ⸣ニ [ʃi̥⸢ki⸣ni] 名 座席。居場所。「しきね(敷き寝)」の義か。特に、寝る所は、ニ⸢ビシキニ[ni⸢biʃikini](寝所{EOS}寝室)という。 ⸢ドゥー⸣ヌ シ⸢キ⸣ニナ ⸣マティ ⸢ベー⸣リ [⸢duː⸣nu ʃi̥⸢ki⸣nina ⸣mati ⸢beː⸣ri] (自分の座席で待っておれ)。 ニ⸢ビシキニ [ni⸢biʃi̥kini] (寝床)。 ⸢ドゥー⸣ヌ シ⸢キ⸣ニナー ⸢ベー⸣リ [⸢duː⸣nu ʃi̥⸢ki⸣ninaː ⸢beː⸣ri] (自分の座席に居れ)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ニ⸢ビシキネー⸣ ドゥーシ カ⸢タジキ⸣リ [⸢duː⸣nu ni⸢biʃi̥kineː⸣ duːʃi ka⸢taʤiki⸣ri] (自分の寝床は自分で片付けろ)。 シ⸢キ⸣ニ ム⸢チ⸣ナリ [ʃi̥⸢ki⸣ni mu⸢ʧi⸣nari] (座席を移動せよ) 7741 0 0 7328 htmvoc_7741.wav シキヌカタ シ⸢キ⸣ヌ カ⸢タ [ʃi̥⸢ki⸣nu kḁ⸢ta] 連 月の絵。月の形。 ⸢ヤー⸣ ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナカー シ⸢キ⸣ヌ カ⸢タ⸣ アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ ku⸢nu jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣nakaː ʃi̥⸢ki⸣nu kḁ⸢ta⸣ ʔanti ⸣suː] (ああ、この家の中には月の絵があるという)(アーパーレー歌) 7713 0 0 7329 htmvoc_7713.wav シキヌキルン シ⸢キヌキルン [ʃi̥⸢kinukiruŋ] 他動 突き抜ける。くぐり(潜り)抜ける。 マ⸢ジムン オーリ⸣カー ヤ⸢マン⸣ミーン シキ⸢ヌキルン [ma⸢ʤimuŋ ʔoːri⸣kaː ja⸢mam⸣miːŋ ʃi̥⸢kinukiruŋ] (お化け魔物<\ruby{蠱物}{マジ|モノ}>追われたら山の中を突き抜けて逃げる)。 シ⸢キヌキララヌ [ʃi̥⸢kinukiraranu] (突き抜けられない)。 シ⸢キヌキル⸣ クトゥ [ʃi̥⸢kinukiru⸣ ku̥tu] (突き抜けること)。 シ⸢キヌキレー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kinukireː⸣ misamunu] (突き抜ければ良いのに) 7714 0 0 7330 htmvoc_7714.wav シキヌクン シ⸢キヌクン [ʃi̥⸢kinukuŋ] 他動 突き通す。突き刺す。「突き抜く(貫く)」の転訛したもの。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ナカーラ ⸢ヤーフキ⸣パル シ⸢キヌキティル ヤーフキ⸣ジナー ⸢ヤーヌ⸣ウイ ン⸢ザシタ⸣ル [⸢jaː⸣nu ⸣nakaːra ⸢jaːɸu̥ki⸣paru ʃi̥⸢kinukitiru jaːɸu̥ki⸣ʤinaː ⸢jaːnu⸣ʔui ʔn⸢ʣaʃi̥ta⸣ru] (家の中から家葺き用竹槍<針>を突き通して家葺き縄を屋根の上へ通したものだ)。 シ⸢キヌクンティ スンドゥ⸣ シ⸢キヌカラヌ [ʃi̥⸢kinukunti sundu⸣ ʃi̥⸢kinukaranu] (突き抜こうとするが、突き抜かれない)。 シ⸢キヌク⸣ クトゥ [ʃi̥⸢kinuku⸣ ku̥tu] (突き抜く<突き刺す>こと) 7715 0 0 7331 htmvoc_7715.wav シキヌシュー シ⸢キ⸣ヌ ⸢シュー [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢ʃuː] 連 月末。月の末。 シ⸢キ⸣ヌ ⸢シュー⸣ ナルカー サ⸢ガラ⸣シ カ⸢イヤー⸣ル シ⸢ナムヌヌ ダイ⸣ パ⸢ラーン⸣カ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢ʃuː⸣ narukaː sa⸢gara⸣ʃi ⸢kaijaː⸣ru ʃi⸢namununu dai⸣ pa⸢raːŋ⸣ka na⸢ra⸣nu] (月末には掛けで買った品物の代金を払わなければいけない) 7742 0 0 7332 htmvoc_7742.wav シキヌバスン シ⸢キヌバスン [ʃi̥⸢kinubasuŋ] 他動 聞くだけで、問題を引きずる。のらりくらりと聞いて解決を遅らせる。「聞き延ばす」の義。 パ⸢ナ⸣シ シ⸢キヌバスンティ シー ベー⸣バ シ⸢キヌバサラン⸣ ヨーニ シカイ⸢トゥ⸣ パ⸢ナシアー⸣シ [pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kinubasunti ʃiː beː⸣ba ʃi̥⸢kinubasaraɲ⸣ joːni ʃi̥kai⸢tu⸣ pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi] (話を聞くだけで聞き延ばそうとしているが、聞き延ばされないようにしっかり話し合いなさい)。 シ⸢キヌバシ⸣ ミサー ⸢ナー⸣ユンダ イッ⸢カナ⸣シ シ⸢キヌバス⸣ クトー シ⸢ミルナ [ʃi̥⸢kinubaʃi⸣ misaː ⸢naː⸣junda ʔik⸢kana⸣ʃi ʃi̥⸢kinubasu⸣ ku̥toː ʃi⸢miruna] (聞き延ばしてよいはずはないから、決して聞き伸ばすことはさせるな)。 シ⸢キヌバシ [ʃi̥⸢kinubaʃi] (聞き延ばせ)。 シ⸢キヌバシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kinubaʃeː⸣ misamunu] (聞き延ばせばよいのに) 7716 0 0 7333 htmvoc_7716.wav シキヌマープスマ シ⸢キ⸣ヌ ⸢マープスマ [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢maːpusuma] 連 月の明かりで昼間のように明るくなること。月が真上にくる時刻。月の真昼間。 シ⸢キ⸣ヌ ⸢マープスマ⸣ ナルカー ⸢スー⸣ヤ ピ⸢シ⸣ブンダ イ⸢ソー⸣ パ⸢ラ⸣リン [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢maːpusuma⸣ narukaː ⸢suː⸣ja pi̥⸢ʃi⸣bunda ʔi⸢soː⸣ pa⸢ra⸣riŋ] (月が真上に来るときは、潮は干潮になっている<潮は引いている>ので潮干狩りに行ける) 7717 0 0 7334 htmvoc_7717.wav シキヌムヌ シ⸢キヌ⸣ムヌ [ʃi̥⸢kinu⸣munu] 名 月のもの。月経。 シ⸢キヌ⸣ムノー ア⸢ガリナー⸣ヌ [ʃi̥⸢kinu⸣munoː ʔa⸢garinaː⸣nu] (月のものは上がってしまった<閉経してしまった>) 7743 0 0 7335 htmvoc_7743.wav シキヌムヌ シ⸢キ⸣ヌムヌ [ʃi̥⸢ki⸣numunu] 名 月経。「月のもの」の義。 シ⸢キ⸣ヌムヌヌ トゥ⸢マル⸣カー ッ⸢ふァ⸣ナシェー ア⸢ガリス [ʃi̥⸢ki⸣numununu tu⸢maru⸣kaː f⸢fa⸣naʃeː ʔa⸢garisu] (月経が止まると子供を産むの<妊娠・出産>も終わる) 7718 0 0 7336 htmvoc_7718.wav シキヌヤフ シ⸢キ⸣ヌ ⸣ヤフ [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸣jaɸu] 連 月食。「月の厄」の義。 キサー⸢ティ⸣ シ⸢キ⸣ヌ ⸣ヤホー カ⸢カリ⸣ドゥ ⸢オー⸣ル [kisaː⸢ti⸣ ʃi̥⸢ki⸣nu ⸣jahoː kḁ⸢kari⸣du ⸢ʔoː⸣ru] (すでに月食が始まっている<月が厄に罹って居られる>) 7744 0 0 7337 htmvoc_7744.wav シキヌヤフ シ⸢キ⸣ヌヤフ [ʃi̥⸢ki⸣nujaɸu] 名 月食<月蝕>。 シ⸢キ⸣ヌヤフ カ ⸢カ⸣リティ ⸣シケー ミ⸢ララ⸣ヌ [ʃi̥⸢ki⸣nujaɸu kḁ⸢ka⸣riti ⸣ʃi̥keː mi⸢rara⸣nu] (月蝕になって<月蝕にかかって>月は見えない) 7719 0 0 7338 htmvoc_7719.wav シキヌユー シ⸢キヌ⸣ ユー [ʃi̥⸢kinu⸣ juː] 連 月夜。月の夜。シ⸢キン⸣ユー[ʃi̥⸢kiɲ⸣juː](月夜)ともいう。 ⸢ヨーンヌ⸣ ユーナーヤ イ⸢ソー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ シ⸢キヌ ユー⸣ヌ ⸢スー⸣チズーナール ⸣タク トゥ⸢リン⸣マー パ⸢ラ⸣リ [⸢joːnnu⸣ juːnaːja ʔi⸢soː⸣ pa⸢rara⸣nu ʃi̥⸢kinu juː⸣nu ⸢suː⸣ʧiʣuːnaːru ⸣tḁku tu⸢rim⸣maː pa⸢ra⸣ri] (闇夜には漁り<潮干狩り>には行けない{EOS}月夜の大潮の時に<ぞ>蛸捕りには行ける) 7720 0 0 7339 htmvoc_7720.wav シキヌン シ⸢キヌン [ʃi̥⸢kinuŋ] 名 突き鑿。前方へ突き押して穴を開けたり、表面を平らに削るのに用いる鑿。 シ⸢キヌン⸣シ シ⸢キティ⸣ キ⸢ジ⸣バ [ʃi̥⸢kinuŋ⸣ʃi ʃi̥⸢kiti⸣ ki⸢ʤi⸣ba] (突き鑿で突き押して削りなさいよ) 7745 0 0 7340 htmvoc_7745.wav シキノースン シ⸢キノースン [ʃi̥⸢kinoːsuŋ] 他動 聞き直す。聞いて誤解を解く。問い直す。 シ⸢キノーサン⸣カー ナ⸢ラン⸣バ ⸢マー⸣ プ⸢スム⸣シ シ⸢キノーシ [ʃi̥⸢kinoːsaŋ⸣kaː na⸢ram⸣ba ⸢maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi ʃi̥kinoːʃi] (問い直さないといけないから、もう一度問い直せ)。 シ⸢キノーシ⸣ ミサンティ ア⸢ジェー⸣バ シ⸢キノースンティ⸣ ウムーカー ⸢パー⸣ク シ⸢キノーシェー⸣ ミサムヌ シ⸢キノース⸣ クトゥンツァン ⸢シーユーサヌ [ʃi̥⸢kinoːʃi⸣ misanti ʔa⸢ʤeː⸣ba ʃi̥⸢kinoːsunti⸣ ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku ʃi̥⸢kinoːʃeː⸣ misamunu ʃi̥⸢kinoːsu⸣ ku̥tunʦaŋ ⸢ʃiːjuːsanu] (問い直して<聞き直して>よいと言ってあるので、問い直そうと思うなら早く問い直せば良いものを、問い直すことさえもしえない) 8930 0 0 7341 htmvoc_8930.wav シキバカーン ⸣シキ バ⸢カー⸣ン [⸣ʃi̥ki ba⸢kaː⸣ŋ] 連 月が若い。一日~三日の月 7740 0 0 7342 htmvoc_7740.wav シキバカスン シ⸢キバカスン [ʃi̥⸢kibakasuŋ] 他動 聞き分ける。聞いて是非を区別、理解する。判断する。得心する。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー マ⸢ダ⸣ ムネー イ⸢ザヌヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キバカスン⸣ダー [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ma⸢da⸣ muneː ʔi⸢ʣanunu⸣ ʔu⸢ja⸣nu pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢kibakasun⸣daː] (この子<童>はまだ言葉は喋らない<言わない>が、親の話は聞き分けるよ)。 ウ⸢ランタ⸣ムネー シカイ⸢トー⸣ シ⸢キバカサラヌヌ ヨーンナー⸣ パ⸢ナ⸣スカー シ⸢キバカシ ヤッ⸣サン [ʔu⸢ranta⸣muneː ʃi̥kai⸢toː⸣ ʃi̥⸢kibakasaranunu joːnnaː⸣ pa⸢na⸣su̥kaː ʃi̥⸢kibakaʃi jas⸣saŋ] (外国語<オランダ語>は、きちんと<しかとは>理解<聞き分け>出来ないが、ゆっくり話すと理解し<聞き分け>やすい)。 ウ⸢キナー⸣ムニーン シ⸢キバカス⸣ ク⸢トゥヌ⸣ ナルカー シカイ⸢トゥ⸣ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キティ⸣ シ⸢キバカシ [ʔu⸢kinaː⸣muniːŋ ʃi̥⸢kibakasu⸣ ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ʃi̥kai⸢tu⸣ pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kiti⸣ ʃi̥⸢kibakaʃi] (沖縄言葉も理解することが出来たら、しっかり話を聞いて理解し<聞き分け>なさい)。 ウ⸢ムクトゥ⸣ヌ ⸣アルカー シ⸢キバカシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢mukutu⸣nu ⸣ʔarukaː ʃi̥⸢kibakaʃeː⸣ misamunu] (分別<理性>があれば言い訳を聞き分けれ<理解すれ>ばよいのに) 7750 0 0 7343 htmvoc_7750.wav シキバッパイ シ⸢キバッパイ [ʃi̥⸢kibappai] 名 聞き誤り。 ウ⸢レー⸣ バー シ⸢キバッパイ⸣ ヤ⸢レー⸣バ ク⸢ナイ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢reː⸣ baː ʃi̥⸢kibappai⸣ ja⸢reː⸣ba ku⸢nai⸣ri⸢joː] (それは私の聞き誤りであるからこらえ<堪え>れよ) 7721 0 0 7344 htmvoc_7721.wav シキバン シ⸢キ⸣バン [ʃi̥⸢ki⸣baŋ] 名 石盤。標準語からの転訛。明治時代に用いられた文房具(筆記用具)の一つ。粘板岩などの薄い板に木の枠を付けて、石筆で文字や絵を書くのに用いた文房具。 ⸣アッパター シ⸢キ⸣バンナール ⸢ジーヤ⸣ カキ ⸣ナライ ⸢オーッ⸣タツォー [⸣ʔappataː ʃi̥⸢ki⸣bannaːru ⸢ʤiːja⸣ kḁki ⸣narai ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (オバーサンたちは石盤に文字は書いて習っておられたそうだ) 7722 0 0 7345 htmvoc_7722.wav シキヒツ シ⸢キ⸣ヒツ [ʃi̥⸢ki⸣çi̥ʦu] 名 石筆。標準語からの転訛。明治時代に用いられた文房具(筆記用具)。蝋石などを筆形に造り、石盤に文字や図画などを書くのに用いた文房具。 マ⸢ナ⸣マー シ⸢キ⸣ヒツティ ⸢スーモー ナー⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ʃi̥⸢ki⸣çi̥ʦuti ⸢suːmoː naː⸣nu] (今は石筆というのはない) 7723 0 0 7346 htmvoc_7723.wav シキピックン シ⸢キピッ⸣クン [ʃi̥⸢kipik⸣kuŋ] 他動 銛で突き刺す。 ウ⸢ジ⸣バ ⸣ユクンシ シ⸢キピッ⸣クンティ ⸢ベー [ʔu⸢ʤi⸣ba ⸣jukuŋʃi ʃi̥⸢kipik⸣kunti ⸢beː] (ウツボを\ruby{銛}{モリ}で突き刺そうとしている)。 シ⸢キピッ⸣キ ⸣ミサカー シ⸢キピッ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi̥⸢kipik⸣ki ⸣misakaː ʃi̥⸢kipik⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (突き刺して良ければ、突き刺すことはできる)。 シ⸢キピッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢kipik⸣keː ⸣misamunu] (突き刺せばいいのに)。 シ⸢キピッ⸣キバ [ʃi̥⸢kipik⸣kiba] (突き刺せよ)。 タ⸢キヌ⸣ サ⸢フケー⸣マシ シ⸢キピッ⸣クン [tḁ⸢kinu⸣ sḁ⸢ɸukeː⸣maʃi ʃi̥⸢kipik⸣kuŋ] (竹の尖ったもので突きさす)。 シ⸢キピッキ⸣プサン [ʃi̥⸢kipikki⸣pu̥saŋ] (突きさしたい) 7724 0 0 7347 htmvoc_7724.wav シキピニチ シ⸢キピニ⸣チ [ʃi̥⸢kipini⸣ʧi] 名 月日。「月日にち」の義。 シ⸢キピニチ⸣ヌ ⸣タトゥモー ユ⸢ドゥマ⸣ヌ ⸣キノー ⸢ブシトゥイ⸣ル マ⸢ルタティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ キサー⸢ティ⸣ ドゥー ム⸢ティ⸣ジブン ナ⸢リ⸣ブーバン [ʃi̥⸢kipiniʧi⸣nu ⸣tḁtumoː ju⸢duma⸣nu ⸣kinoː ⸢buʃi̥tui⸣ru ma⸢rutati⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ki̥saː⸢ti⸣ duː mu⸢ti⸣ʤibun na⸢ri⸣buːbaŋ] (月日の立つのは早いものだ<淀まない>{EOS}昨日、一昨日生まれたと思ったが、もうすでに嫁ぐ年になっているわい)。 シ⸢キピニチ⸣ル フ⸢チ⸣ル⸢ダー [ʃi̥⸢kipiniʧi⸣ru ɸu̥⸢ʧi⸣ru⸢daː] (月日が人の薬だよ<月日が経つと苦しいことも忘れるから治るよ>) 7725 0 0 7348 htmvoc_7725.wav シキフジ シ⸢キフジ [ʃi̥⸢kiɸuʤir] 名 聞かぬ素振り。「ききこじれ(聞き拗れ)」の義。シ⸢キフジル[ʃi̥⸢kiɸuʤiru](聞かぬ素振り)ともいう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シ⸢キフジ サンドー⸣シ カ⸢シーカシー⸣ シ⸢キ⸣バ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni ʃi̥⸢kiɸuʤi sandoː⸣ʃi kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣joː] (親の言う事<話>を聞かぬ素振りしないで、しっかりと聞き届けなさい) 7746 0 0 7349 htmvoc_7746.wav シキフジル シ⸢キフジル [ʃi̥⸢kiɸuʤiru] 名 聞き流してそ知らぬふりをすること。「聞きくじる<抉る>」の転訛したものか。反抗して聞かぬ素振りをすること。シ⸢キフジ[ʃi̥⸢kiɸuʤi](聞かぬ素振り)ともいう。 シ⸢キフジル スー⸣カー ⸢ドゥー⸣ヌ スン⸢ゲ⸣ラ [ʃi̥⸢kiɸuʤiru suː⸣kaː ⸢duː⸣nu suŋ⸢ge⸣ra] (聞かぬ素振りをすると自分の損さ<自分が損するだけさ>)。 シ⸢キフジルバ⸣ シ⸢ティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シ⸢キン サヌ [ʃi̥⸢kiɸuʤiruba⸣ ʃi̥⸢ti⸣ mut⸢tu⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni ʃi̥⸢kin sanu] (聞き流してそ知らぬふりをしてちっとも人の言う事を聞きもしない)。 ⸢ウンザヌ⸣ ピン ⸢シェーラ⸣ イ⸢カス⸣ク ヤ⸢ラババン⸣ シ⸢キフジルル スー [⸢ʔunʣanu⸣ piŋ ⸢ʃeːra⸣ ʔi⸢kasu̥⸣ku ja⸢rababaŋ⸣ ʃi̥⸢kiɸuʤiruru suː] (あいつが反抗したら、どんなに呼んでも聞き流しを<ぞ>する) 7727 0 0 7350 htmvoc_7727.wav シキフジルスン シ⸢キフジル スン [ʃi̥⸢kiɸuʤiru suŋ] 連 聞かぬ素振りをする。反抗してわざと聞かぬ素振りをする。「聞きくじる<抉る>」の転訛か。 ウ⸢リヌ⸣ ピン ⸢シェー⸣ラ シ⸢キフジル⸣ シ⸢ティ⸣ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢rinu⸣ piŋ ⸢ʃeːra⸣ ʃi̥⸢kiɸuʤiru⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (彼が反抗したら聞かぬ素振りをして、一向に他人のいうことを聞き入れない) 7728 0 0 7351 htmvoc_7728.wav シキフズン シ⸢キフズン [ʃi̥⸢kiɸuʣuŋ] 他動 聞かぬ素振りをする。反抗して聞かないようにする。「聞き・くじる(抉る)」の転訛か。 ⸢ガイバ⸣ ⸢シティ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シ⸢キフズンティ ベ⸣ー ⸢ダー⸣ヌ ⸣アトー ⸣キー キ⸢ム⸣ヤムン⸢ダー [⸢gaiba⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni ʃi̥⸢kiɸuʣunti be⸣ː ⸢daː⸣nu ⸣ʔatoː ⸣kiː ki⸢mu⸣jamun⸢daː] (反抗して親の話を聞かないつもりだろうが<聞かないようにしているだろうが>、後になって後悔する<肝病む>ぞ)。 シ⸢キフザンドー⸣シ [ʃi̥kiɸuʣandoː⸣ʃi] (反抗して聞かないようにしないで)。 シ⸢キフズ⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [ʃi̥⸢kiɸuʣu⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (反抗して聞かぬ振りをすることはするなよ) 7747 0 0 7352 htmvoc_7747.wav シギフチ シ⸢ギフチ [ʃi⸢giɸuʧi] 名 継ぎ目。「継ぎ口」の義。 ク⸢ヌ サイ⸣コー イ⸢ツァ⸣ヌ シ⸢ギフチェー⸣ ワ⸢カラン⸣ スコー ⸢ティー⸣ヤ ク⸢マー⸣ン [ku⸢nu sai⸣koː ʔi⸢ʦa⸣nu ʃi⸢giɸuʧeː⸣ wa⸢karan⸣ su̥koː ⸢tiː⸣ja ku⸢maː⸣ŋ] (この大工<指物細工>は、板の継ぎ目が分からないほどに技<手>が巧みである<細かい>)。 ⸢キン⸣ヌ シ⸢ギフチェー⸣ アヤー ⸢アー⸣シ [⸢kin⸣nu ʃi⸢giʧuʧeː⸣ ʔajaː ⸢ʔaː⸣ʃi] (着物の継ぎ目は模様を合わせなさい) 7785 0 0 7353 htmvoc_7785.wav シキフチル シ⸢キフチ⸣ル [ʃi̥⸢kiɸuʧi⸣ru] 名 付け薬。塗り薬。皮膚につける薬剤。軟膏。ヌ⸢ミフチ⸣ル[nu⸢miɸuʧi⸣ru](飲み薬)の対義語。 ⸢パン⸣ヌ キ⸢ジヌ⸣ フ⸢チ⸣ナー シ⸢キフチ⸣ル ⸣シキ ッ⸢ふィーリ [⸢pan⸣nu ki⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣naː ʃi̥⸢kifu̥ʧi⸣ru ʃi̥ki f⸢fiːri] (足の傷の傷口に付け薬<塗り薬>を塗ってくれ) 7749 0 0 7354 htmvoc_7749.wav シキプリスン シ⸢キプリ スン [ʃi̥⸢kipuri suŋ] 連 聞き惚れる。夢中で聞き入る。「聞き惚れする」の義。 ウ⸢ヌ プスヌ⸣ ウタ イ⸢ゾー⸣ルカー ナー⸢イ⸣ シ⸢キプリ スン⸠ダー [ʔu⸢nu pu̥sunu⸣ ʔutaː ʔi⸢ʣoː⸣rukaː naː⸢i⸣ ʃi̥⸢kipuri sun⸠daː] (その人が歌を歌われると、ただもう聞き惚れる<聞き惚れする>よ) 7751 0 0 7355 htmvoc_7751.wav シキマーシ シ⸢キマーシ [ʃi̥⸢kimaːʃi] 名 漁法の一つ。「突き回し」の義か。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)に乗って、干瀬や⸣イノー[⸣ʔinoː](礁内湖)を、竿を差しながら操船し、片手でタ⸢マウー⸣キ[ta⸢maʔuː⸣ki](「玉桶」の義{EOS}桶の底にガラス<玉>を張って海底を覗き見る漁具)を使って海底を覗き、タコや魚を突いて漁獲する漁法。⸣ギラ[⸣gira](シャコ貝)や⸣ミナ[⸣mina](「蜷」の義{EOS}タカセ貝やヒロセ貝、サザエなど)も漁獲した 7752 0 0 7356 htmvoc_7752.wav シキマチガイ シ⸢キマチガイ [ʃi̥⸢kimaʧigai] 名 聞き誤り。「聞き間違い」の義。 ⸢ワー⸣ シ⸢キマチガイヤー⸣ ア⸢ラヌ [⸢waː⸣ ʃi̥⸢kimaʧigaijaː⸣ ʔa⸢ranu] (君の聞き間違いではないのか) 7729 0 0 7357 htmvoc_7729.wav シキミー シ⸢キ⸣ミー [ʃi̥⸢ki⸣miː] 名 月見。旧暦八月十五日の十五夜に、ススキの生花、神酒、フ⸢チャ⸣ギ[ɸu̥⸢ʧa⸣gi](小豆餅)、フ⸢カン⸣ガイ[ɸu̥⸢kaŋ⸣gai](「吹き上げ餅」の義{EOS}溶かした餅)を供えて家族の健康を祈願する年中行事。 ⸢ズングヤー⸣ヌ ⸢ユー⸣ロー ミ⸢ナカ⸣ナーティ ⸣ムソー シ⸢キティ⸣ シ⸢キ⸣ミー ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʣuŋgujaː⸣nu ⸢juː⸣roː mi⸢naka⸣naːti ⸣musoː ʃi̥⸢kiti⸣ ʃi̥⸢ki⸣miː ⸢soːt⸣ta] (十五夜の夜は庭に筵を敷いて月見をされた) 7730 0 0 7358 htmvoc_7730.wav シキミー シ⸢キミー [ʃi̥⸢kimiː] 名 効き目。功能。効能。効果。 イ⸢カス⸣ク ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カサバン⸣ シ⸢キミーヤ ナー⸣ヌ [ʔi⸢kasu̥⸣ku ⸣ʔaʤi si̥⸢kasabaŋ⸣ ʃi̥⸢kimiːja naː⸣nu] (いかほど言い聞かせても効果<効き目>がない)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ジフチ⸣ロー ⸢トゥッカブカラー⸣ ヌムカー シ⸢キミーヤ⸣ ンジクン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢ʤiɸu̥ʧi⸣roː ⸢tukkabukaraː⸣ numukaː ʃi̥⸢kimiːja⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (この煎じ薬は十日ほど飲んだら功能<効き目>が出てくる) 7786 0 0 7359 htmvoc_7786.wav シキムチ シ⸢キ⸣ムチ [ʃi̥⸢ki⸣muʧi] 名 搗き餅。正月の鏡餅。ピ⸢キムチ[pi̥⸢kimuʧi](挽き餅{EOS}石臼で挽いて作った餅)の対語。蒸かした糯米を臼で搗いて作った餅。島ではピ⸢キムチ[pi̥⸢kimuʧi]が普通に作られた。 シ⸢キ⸣ムツェー ム⸢チマイバ⸣ フ⸢カ⸣シティ ⸣ウシナー ⸢シッ⸣キティ ス⸢クル⸣タ [ʃi̥⸢kimu⸣ʧeː mu⸢ʧimaiba⸣ ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ⸣ʔuʃinaː ⸢ʃik⸣kiti su̥⸢kuru⸣ta] (搗き餅は糯米を蒸かして臼で搗いて作った) 7731 0 0 7360 htmvoc_7731.wav シキムトゥ シ⸢キム⸣トゥ [ʃi̥⸢kimu⸣tu] 名 水源池。「せきもと(堰本)」の義。 ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジクター⸣ シ⸢キムトゥ⸣ヌ ミ⸢ジン サーラリキシ ナーン⸣バン [⸢peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤikutaː⸣ ʃi̥⸢kimutu⸣nu mi⸢ʤin saːrarikiʃi naːm⸣baŋ] (旱魃が続いたので水源地<堰本>の水もすっかり流されきって、涸れてしまったよ)。水田に水を引く水路。 トゥ⸢マダタバルヌ⸣ シ⸢キム⸣トゥナー ⸣ウナイン ⸢カーングン⸣ ブ⸢リブタ [tu⸢madatabarunu⸣ ʃi̥⸢kimu⸣tunaː ⸣ʔunaiŋ ⸢kaːŋgum⸣ bu⸢ributa] (泊田田原<田袋>の用水路<堰本{EOS}水源池>にはウナギもカーング<川魚>もいた<居りおった>) 7437 0 0 7361 htmvoc_7437.wav シキムヌ シ⸢キムヌ [ʃi̥⸢kimunu] 名 漬物。大根や木瓜<胡瓜>などを塩漬けにして、カ⸢ティ⸣ムヌ[ka⸢ti⸣munu](おかず)にしていた。 ⸢ダイクニ⸣ヌ シ⸢キムヌンツァン サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シバ [⸢daikuni⸣nu ʃi̥⸢kimununʦan saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (大根の漬物でも茶請けに出しなさいよ)。 ダ⸢イクニ⸣ヌ シ⸢キムヌンツァン サー⸣フキ ン⸢ザシ⸣バ [⸢daikuni⸣nu ʃi̥⸢kimununʦan saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (大根の漬物だけでも茶請けに出しなさいよ)。 ⸢ダイ⸣クネー ⸢カーサラン⸣カー シ⸢キムヌ シー⸣バ [⸢dai⸣kuneː ⸢kaːsaraŋ⸣kaː ʃi̥⸢kimunu ʃiː⸣ba] (大根は売れなかったら漬け物にしなさいよ)。 ⸢ダイ⸣クニ ピ⸢キ⸣ キー シ⸢キムヌ⸣ シ⸢キ⸣バ [⸢dai⸣kuni pi̥⸢ki⸣kiː ʃi̥⸢kimunu⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba] (大根を引き抜いてきて漬物に漬けなさいよ) 7438 0 0 7362 htmvoc_7438.wav シキムヌ シ⸢キムヌ [ʃi̥⸢kimunu] 名 敷物。蓆や畳。 ⸣ムスン タ⸢タミン⸣ シ⸢キムヌテー⸣ ノー⸢ン ナー⸣ヌ [⸣musun ta⸢tamiŋ⸣ ʃi̥⸢kimunuteː⸣ noː⸢n naː⸣nu] (蓆も畳みも、敷物は何もない)。 ム⸢スシキ⸣ムヌ [mu⸢suʃiki⸣munu] (敷物{EOS}敷物一般)。 シ⸢キムノー⸣ マナー ア⸢ル⸣ワ [ʃi̥⸢kimunoː⸣ manaː ʔa⸢ru⸣wa] (敷物は何処にあるか)。ム⸢スシキ⸣ムヌ[mu⸢suʃiki⸣munu](敷物{EOS}敷き筵)ともいう。 ム⸢スシキ⸣ムヌティン ノー⸢ン ナー⸣ムティ カ⸢ラフンツァナー⸣ル ニ⸢ビ ブー [mu⸢suʃiki⸣munutin noː⸢n naː⸣muti ka⸢raɸunʦanaː⸣ru ni⸢bi buː] (蓆などの敷物とて何もなくて、板敷きの空床に寝ている)。 ⸢トゥーシ⸣ナ シ⸢キムノー⸣ シ⸢キティ⸣ ニ⸢バシ⸣バ [⸢tuːʃi⸣na ʃi̥⸢kimunoː⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ni⸢baʃi⸣ba] (縁側に敷物を敷いて寝かしなさいよ) 7789 0 0 7363 htmvoc_7789.wav シキムヌ シ⸢キムヌ [ʃi̥⸢kimunu] 名 供物。供え物。 ウ⸢ヤプスン⸣ マイナー シ⸢キル⸣ シ⸢キムノー⸣ ヌーカヤー [ʔu⸢japusum⸣ mainaː ʃi̥⸢kiru⸣ ʃi̥⸢kimunoː⸣ nuːkajaː] (ご先祖様に供える供物は何<何れ{EOS}どれ>かねえ) 7733 0 0 7364 htmvoc_7733.wav シキユー シ⸢キ⸣ユー [ʃi̥⸢ki⸣juː] 名 石油。明治生まれの人は、シ⸢キタン⸣ユー[ʃi̥⸢kitaɲ⸣juː](石油)『八重山語彙』という。 シ⸢キ⸣ユー ⸢イッ⸣ス ⸢カイ⸣クー [ʃi̥⸢ki⸣juː ⸢ʔis⸣su ⸢kai⸣kuː] (石油を一升買ってこい)。 ⸢トゥール⸣ヌ ア⸢バ⸣スブナー シ⸢キ⸣ユー イ⸢リリ [⸢tuːru⸣nu ʔa⸢ba⸣subunaː ʃi̥⸢ki⸣juː ʔi⸢riri] (ランプ<灯籠>の油壺に石油を入れなさい)。 シ⸢キユー⸣ランプ シ⸢キ⸣リ [ʃi̥⸢kijuː⸣rampu ʃi̥⸢ki⸣ri] (石油ランプを灯しなさい) 7756 0 0 7365 htmvoc_7756.wav シキユーナー シ⸢キユーナー [ʃi̥⸢kijuːnaː] 連 突き合い。牛が角を突き合わせること。歌謡語。 ⸢ヤー⸣ ウ⸢シヌ⸣ カ⸢タ⸣ ミ⸢リ⸣バ シ⸢キユーナードゥ シーユール [⸢jaː⸣ ʔu⸢ʃinu⸣ kḁ⸢ta⸣ mi⸢ri⸣ba ʃi̥⸢kijuːnaːdu ʃiːjuːru] (ああ、牛の絵を見ると角を突き合わせている)(アーパーレー歌) 7734 0 0 7366 htmvoc_7734.wav シキユーランプ シ⸢キユー⸣ランプ [ʃi̥⸢kijuː⸣rampu] 名 石油ランプ。石油で灯すランプ。明生まれの古老は、⸢トゥー⸣ル[⸢tuː⸣ru](灯篭)という。ア⸢バ⸣スブ[ʔa⸢ba⸣subu](油壷)、フ⸢チガニ[ɸu̥⸢ʧigani](芯を出す口金)、フ⸢ヤ[ɸu⸢ja](火屋)、⸣カサ[⸣kḁsa](笠)などから成る。 シ⸢キユー⸣ランプヌ フ⸢ヤ⸣ ッ⸢スリ [ʃi̥⸢kijuː⸣rampunu ɸu⸢ja⸣ s⸢suri] (石油ランプの火屋を拭きなさい) 7757 0 0 7367 htmvoc_7757.wav シキヨーリ シ⸢キヨー⸣リ [ʃi̥⸢kijoː⸣ri] 名 毎月体力が弱くなっていくこと。月ごとの衰弱。 ⸢ウイプス⸣ヌ ウ⸢ブヤン スー⸣カー プ⸢ソー⸣ シ⸢キヨー⸣リ ⸢スン⸣ダー [⸢ʔuipusu⸣nu ʔu⸢bujan suː⸣kaː pu̥⸢soː⸣ ʃi̥⸢kijoː⸣ri ⸢sun⸣daː] (老人が大病すると、人は月ごとに衰弱する) 7759 0 0 7368 htmvoc_7759.wav シギリ シ⸢ギ⸣リ [ʃi⸢gi⸣ri] 名 度合いを過ぎたもの。適度を超したもの。熟し過ぎて、す(鬆)が入ること。 ⸢ダイ⸣クネー シ⸢ギリ⸣ムヌ ⸣ナリティ ッ⸢ふァーラヌ [⸢dai⸣kuneː ʃi⸢giri⸣munu ⸣nariti f⸢faːranu] (大根はすいり<鬆入り>になって食べられない) 7758 0 0 7369 htmvoc_7758.wav シギリムヌ シ⸢ギリ⸣ムヌ [ʃi⸢giri⸣munu] 名 熟しすぎて、す(鬆)が入ったもの。 ナ⸢ベー⸣ラー シ⸢ギリ⸣ムヌ ⸣ナルカー ッ⸢ふァーラヌ [na⸢beː⸣raː ʃi⸢giri⸣munu ⸣narukaː f⸢faːranu] (ヘチマは熟し過ぎてすいり<鬆入り>になると食べられない) 7791 0 0 7370 htmvoc_7791.wav シキル シ⸢キル [ʃi̥⸢kiru] 名 (動)ナマコの名。和名、クロナマコ(体長約30センチ)、白色や黒色のナマコがいる。捕獲すると噴門より白いねばねばした糸を出し、手や足にくっ付く。戦前から戦後にかけて、漁獲したナマコを乾燥して中国料理の素材として輸出していたが、島では食べなかった。 シ⸢キロー⸣ ガシティ ⸢カーソーッタ [ʃi̥⸢kiroː⸣ gaʃi̥ti ⸢kaːsoːt⸣ta] (ナマコは焙乾して売られた)。ッ⸢スシキ⸣ル[s⸢suʃiki⸣ru](白なまこ)、ッ⸢ふシキ⸣ル[f⸢fuʃiki⸣ru](黒なまこ)、ビ⸢キシキル[bi⸢kiʃi̥kiru](雄ナマコ)、⸢ミーシキ⸣ル[⸢miːʃi̥ki⸣ru](雌ナマコ)などがいる。足で踏むと真っ白な、素麺のような強い粘着性のある糸を吐いて絡みつく。戦後一時期までは、腸を出して乾燥したものを中国料理の食材として輸出していた。 マ⸢ナ⸣マー シ⸢キル⸣ トゥル プ⸢スン カウ プスン⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ʃi̥⸢kiru⸣ turu pu̥⸢suŋ kau pu̥sum⸣ bu⸢raːnu] (今はナマコを獲る人も買う人もいない) 7792 0 0 7371 htmvoc_7792.wav シキルカマサー シ⸢キルカマサー [ʃi̥⸢kirukamasaː] 名 (動)魚の名。和名、オニカマス(体長約1、5メートル)。カツオ漁船のピ⸢キナー[pi̥⸢kinaː](引き縄釣り)で釣れることがあった 7761 0 1 7372 htmvoc_7761.wav シキルン シ⸢キ⸣ルン [ʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}付ける。命名する。付与する。 ⸢ナー⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢naː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (名前を付ける)。 ⸢ナー⸣ シ⸢キラ⸣ヌ [⸢naː⸣ ʃi̥⸢kira⸣nu] (名前を付けない)。 ⸢ナー⸣ シ⸢キ⸣プサン [⸢naː⸣ ʃi̥⸢ki⸣pu̥saŋ] (名前を付けたい)。 7761 0 2 7373 htmvoc_7761.wav シキルン シ⸢キ⸣ルン [ʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}備える。 ク⸢リ⸣ ッ⸢ふァイティ⸣ シゥ⸢カラ⸣ シ⸢キ⸣リ [ku⸢ri⸣ f⸢faiti⸣ sï̥⸢kara⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (これを食べて力を付けなさい)。 シゥ⸢カラ⸣ シ⸢キ⸣ル ⸣クトゥ [sï̥⸢kara⸣ ʃi̥⸢ki⸣ru ⸣ku̥tu] (力を付けること)。 7761 0 3 7374 htmvoc_7761.wav シキルン シ⸢キ⸣ルン [ʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_3}気をつける。 ン⸢メーマー キー⸣ シ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːma kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (少しは気を付ければいいのに)。 ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (気を付けなさい)。 7761 0 4 7375 htmvoc_7761.wav シキルン シ⸢キ⸣ルン [ʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_4}点灯する。 ⸢トゥー⸣ル シ⸢キ⸣リバ [⸢tuː⸣ru ʃi̥⸢ki⸣riba] (ランプ<灯籠>を点灯せよ)。 7761 0 5 7376 htmvoc_7761.wav シキルン シ⸢キ⸣ルン [ʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_5}色を染める。色を塗る。 カ⸢マブク⸣ナ ア⸢ガイル⸣ シ⸢キ⸣ルン [ka⸢mabuku⸣na ʔa⸢gairu⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (蒲鉾に赤色<朱色>を染める)。 7761 0 6 7377 htmvoc_7761.wav シキルン シ⸢キ⸣ルン [ʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 {Mn_6}交尾させる。交配させる。種付けする。 ⸣アヒャーオーナ ⸣サニ ⸣シキティ ッ⸢ふァ⸣ ピ⸢ルガシ [⸣ʔaçaːʔoːna ⸣sani ⸣ʃi̥kiti f⸢fa⸣ pi⸢rugaʃi] (母豚に種付けして子豚を繁昌させ<広げさせ>なさい) 7762 0 0 7378 htmvoc_7762.wav シキルン シ⸢キ⸣ルン [ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 他動 着ける。行きつく。到着する。接岸する。寄港する。 ⸢ウンパンシン⸣マー ⸢ジュー⸣ジナ シ⸢キ⸣ルンダ ウ⸢ヌ ビン⸣ナ ⸢ヌーリ⸣バ [⸢ʔumpaŋʃim⸣maː ⸢ʤuː⸣ʤina ʃi̥⸢ki⸣runda ʔu⸢nu bin⸣naː ⸢nuːri⸣ba] (運搬船は十時に到着<接岸>するから、その便に乗りなさい)。 シ⸢キラン⸣セン [ʃi̥⸢kiraŋ⸣ʃeŋ] (到着しなかった{EOS}寄港しなかった)。 フ⸢ニ⸣ヌ シ⸢キ⸣ル ⸣ピン [ɸu⸢ni⸣nu ʃi̥⸢ki⸣ru ⸣piŋ] (船が到着する時)。 シ⸢キ ヤッ⸣サン [ʃi̥⸢kijas⸣saŋ] (着けやすい{EOS}接岸しやすい)。 シ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (着ければよいのに)。 ⸢ジュー⸣ジナー シ⸢キ⸣リ [⸢ʤuː⸣ʤinaː ʃi̥⸢ki⸣ri] (十時に接岸しなさい) 7763 0 1 7379 htmvoc_7763.wav シキルン シ⸢キルン [ʃi̥⸢kiruŋ] 他動 {Mn_1}漬ける。ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](漬く)ともいう。 ⸢ダイ⸣クニシ タ⸢ク⸣アン シ⸢キルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢キララヌ [⸢dai⸣kuniʃi tḁ⸢ku⸣ʔaŋ ʃi̥⸢kirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʃi̥⸢kiraranu] (大根でたくあんを漬けようと思うが漬けられない)。 タ⸢ク⸣アン シ⸢キル ムノー ナー⸣ヌ [tḁ⸢ku⸣ʔaŋ ʃi̥⸢kiru munoː naː⸣nu] (たくあんに漬けるものはない)。 7763 0 2 7380 htmvoc_7763.wav シキルン シ⸢キルン [ʃi̥⸢kiruŋ] 他動 {Mn_2}浸す。 マ⸢カ⸣ルサラー ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キレー⸣ ミサムヌ [ma⸢ka⸣rusaraː mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kireː⸣ misamunu] (お椀や皿は水に浸ければ良いのに)。 ⸢パー⸣ク ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キリ [⸢paː⸣ku mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiri] (早く水に浸けろ) 7764 0 0 7381 htmvoc_7764.wav シキルン シ⸢キルン [ʃi̥⸢kiruŋ] 他動 供える。供物を祀る。 ⸢シームヌ⸣ シ⸢キルンティ⸣ シ⸢タヌ⸣ シ⸢キラン⸣タンティン ⸣ミサンティバ ⸢ワー⸣ シ⸢キ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢ʃiːmunu⸣ ʃi̥⸢kirunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi̥⸢kiran⸣tantim ⸣misantiba ⸢waː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ f⸢fiːri] (吸い物を供えようとしたが、供えなくてもよいとのことだから、君が供えてくれ)。 シ⸢キル⸣ ム⸢ノー パー⸣ク シ⸢キレー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢kiru⸣ mu⸢noː paː⸣ku ʃi̥⸢kireː⸣ misamunu] (供えるものは早く供えればよいのに)。 シ⸢キリ [ʃi̥⸢kiri] (供えよ)。スクン[su̥⸢kuŋ](供える)ともいう。 ム⸢チェー⸣ ウ⸢ヤプス⸣ヌ ⸣マイナー シ⸢キティ⸣ ヌ⸢カ⸣ロー ⸣バキ ッ⸢ふァーシ [mu⸢ʧeː⸣ ʔu⸢japusu⸣nu ⸣mainaː ʃi̥⸢kiti⸣ nu⸢ka⸣roː ⸣baki f⸢faːʃi] (餅は仏前に供えて、残りは分けて食べさせなさい)。 ク⸢レー⸣ シ⸢キララヌ [ku⸢reː⸣ ʃi̥⸢kiraranu] (これは供えられない)。 ⸣ドゥーシ シ⸢キルン [⸣duːʃi ʃi̥⸢kiruŋ] (自分で供える)。 シ⸢キル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi̥⸢kiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (供えることは出来ない)。 ⸣クナー シ⸢キレー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː ʃi̥⸢kireː⸣ misamunu] (此処に供えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢キリ [⸢paː⸣ku ʃi̥⸢kiri] (早く供えれ) 7765 0 0 7382 htmvoc_7765.wav シキルン シ⸢キルン [ʃi̥⸢kiruŋ] 他動 鍋を竈に据える<掛ける>。ス⸢クン[su̥ku⸢ŋ](鍋を竈に据える)ともいう。 マ⸢ダ⸣ シ⸢キラヌ [ma⸢da⸣ ʃi̥kiranu] (未だ鍋を竈に据えない)。 キ⸢サーティ⸣ シ⸢ケー⸣ン [ki̥saː⸢ti⸣ ʃi̥⸢keː⸣ŋ] (既に鍋を据えた)。鍋を竈に据える。据える。ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](据える)ともいう。 ⸣ナビ シ⸢キルンティ スンドゥ グッふァ⸣ヌ シ⸢キララヌ [⸣nabi ʃi̥⸢kirunti sundu guffa⸣nu ʃi̥⸢kiraranu] (鍋を竈に据え付けようとするが、重くて据え付けられない) 7795 0 0 7383 htmvoc_7795.wav シキルン シ⸢キ⸣ルン [ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 他動 置く。⸣スクン[⸣su̥kuŋ](置く)ともいう。 ⸣ウナー シ⸢キラン⸣ドーシ ⸣カナー シ⸢キ⸣リバ [⸣ʔunaː ʃi̥⸢kiran⸣doːʃi ⸣kanaː ʃi̥⸢ki⸣riba] (そこに置かないで、あそこに置きなさいよ)。 ⸣クナー ⸣シキミサカー シ⸢キルン⸣ドゥ シ⸢キ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ティバーヤ [⸣kunaː ⸣ʃi̥kimisakaː ʃi̥⸢kirun⸣du ʃi̥⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ran⸣tibaːja] (此処に置いてよければ置くが、置くことはできないってよ)。 ⸢パー⸣ク ⸣クナー シ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣kunaː ʃi̥⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (早く此処に置けばよいのに) 7796 1 1 7384 htmvoc_7796.wav シギルン シ⸢ギ⸣ルン [ʃi⸢gi⸣ruŋ] 自動 {PoS_1}{Mn_1}過ぎる。時間が経過する。⸣シグン[⸣ʃiguŋ](過ぎる)ともいう。 ⸢ジューニ⸣ジ シ⸢ギラン⸣ケン ⸢カイ⸣リ ⸣クンティ シ⸢タヌ⸣ イ⸢チ⸣ジ シ⸢ギ⸣ルンケン ⸢クー⸣ヌ [⸢ʤuːni⸣ʤi ʃi⸢giraŋ⸣keŋ ⸢kai⸣ri ⸣kunti ʃi̥⸢tanu⸣ ʔi⸢ʧi⸣ʤi ʃi⸢gi⸣ruŋkeŋ ⸢kuː⸣nu] (12時過ぎないうちに帰ってくるといったが、1時過ぎるまで来ない)。 ⸣ニジ ⸣シギテーラル ⸣ケータ [⸣niʤi ⸣ʃigiteːraru ⸣keːta] (2時過ぎてから来た)。 ⸢サン⸣ジ シ⸢ギ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢san⸣ʤi ʃi⸢gi⸣ru ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (3時を過ぎることはない)。 ⸣ウヌ ⸣ブンシェー ユ⸢ナ⸣カ シ⸢ギ⸣ルンダ ユ⸢ナ⸣カ シ⸢ギ⸣レーラー ア⸢ツァ⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラン⸣バ ⸢パー⸣ク ニ⸢バシ [⸣ʔunu ⸣buŋʃeː ju⸢na⸣ka ʃi⸢gi⸣runda ju⸢na⸣ka ʃi⸢gi⸣reːraː ʔa⸢ʦa⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ram⸣ba ⸢paː⸣ku ni⸢baʃi] (この分では夜中を過ぎるから、夜中を過ぎたら明日の仕事は出来ないから、早くねかせろよ)。通過する。よぎる。 ジ⸢カンマー⸣ シ⸢ギルン⸣ドゥ シ⸢グトー⸣ マイ ⸢ユーザヌ [ʤi⸢kammaː⸣ ʃi⸢girun⸣du ʃi⸢gutoː⸣ mai ⸢juːʣanu] (時間は過ぎるが仕事は前に進まない)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣マイラ シ⸢ギ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣シェン [ʔu⸢ja⸣nu ⸣maira ʃi⸢gi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (親の前を過ぎ去ることは出来なかった)。 7796 1 2 7385 htmvoc_7796.wav シギルン シ⸢ギ⸣ルン [ʃi⸢gi⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}程度を超える。仮死状態になる。 サ⸢キシギリ シティ⸣ シ⸢ニンガター⸣ ナ⸢リ⸣ブタ [sa⸢kiʃigiri ʃiti⸣ ʃi⸢niŋgataː⸣ na⸢ri⸣buta] (急性アルコール中毒<酒過ぎ>になって死にそうになっていた)。(程度が)過ぎる。基準を超える。度合いを越す。「~八十島須義弖<スギテ>別れゆかむ。万、4349』」の転訛したもの。 サ⸢キン⸣ シ⸢ギ⸣ルカー ドゥ⸢ク⸣ル ⸣ナルンダ シ⸢ギラン⸣ ヨーニ ⸣ヌミバ [sḁ⸢kiŋ⸣ ʃi⸢gi⸣ruka du⸢ku⸣ru ⸣narunda ʃi⸢giraɲ⸣joːni ⸣numiba] (酒も過ぎると毒に<ぞ>なるから、過ぎないように飲めよ)。 7796 1 3 7386 htmvoc_7796.wav シギルン シ⸢ギ⸣ルン [ʃi⸢gi⸣ruŋ] 自動 {Mn_3}芋や大根、果実類が熟し過ぎて食べられない状態になる。痩せてす(鬆)が入る。「~吾聞き継がず花は須疑都追<スギツツ>。万、4194」、⸢~立つ霧の思ひ須疑米夜<スギメヤ>~。万、4000」の義か。 ⸢ダイ⸣クネー シ⸢ギ⸣リティ ッ⸢ふァーラヌ [⸢dai⸣kuneː ʃi⸢gi⸣riti f⸢faːranu] (大根は熟し過ぎて食べられない)。 シ⸢ギリ⸣ウン [ʃi⸢giri⸣ʔuŋ] (腐った芋)。 ⸢ウン⸣ヌン ⸢ダイ⸣クニン シ⸢ギ⸣リティ ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔun⸣nun ⸢dai⸣kuniŋ ʃi⸢gi⸣riti f⸢faːranu] (芋も大根も熟しすぎて<すがはいって、腐って>食べられない)。 7796 2 0 7387 htmvoc_7796.wav シギルン シ⸢ギ⸣ルン [ʃi⸢gi⸣ruŋ] 補動 {PoS_2}動詞について複合語をつくり、動作が普通の状態より度を越してひどくなる意を表す。 ⸢ウーミシギ⸣ルン [⸢ʔuːmiʃigi⸣ruŋ] (熟れすぎる)。 ⸢ネーシシギルン [⸢neːʃiʃigiruŋ] (煮すぎる)。 ⸢ニーシギルン [⸢niːʃigiruŋ] (煮え過ぎる) 7767 0 0 7388 htmvoc_7767.wav シギロールン シ⸢ギ⸣ロールン [ʃi⸢gi⸣roːruŋ] 自動 お亡くなりになる。高齢の人が亡くなることに対して言う敬語。「~吾聞き継がず 花は須疑都追<スギツツ>。万、4194」の義。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アブジェー シ⸢ギ⸣ローリ ⸢ナーン⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔabuʤeː ʃi⸢gi⸣roːri ⸢naːn⸣ʦoː] (その家のお祖父さんはお亡くなりになったそうだ)。 ⸢ウイ⸣プス ヤ⸢ロー⸣ルンダ シ⸢ギ⸣ロールンテー ウ⸢モーリ⸣ ブタンドゥ ⸢ユー⸣ シ⸢ギ⸣ロールター サ⸢ビサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔui⸣pu̥su ja⸢roː⸣runda ʃi⸢gi⸣roːrunteː ʔu⸢moːri⸣ butandu ʃi⸢gi⸣roːrutaː sa⸢bisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (お年寄りだからお亡くなりになるとは思われたが、実際にお亡くなりになると寂しくてたまらない)。 ⸢ユー⸣ シ⸢ギ⸣ロールン [⸢juː⸣ ʃi⸢gi⸣roːruŋ] (亡くなられる<世を過ぎられる>)。 マ⸢ダ⸣ シ⸢ギ⸣ローランシェン [ma⸢da⸣ ʃi⸢gi⸣roːraŋʃeŋ] (まだ亡くなられなかった)。 シ⸢ギ⸣ローリティ [ʃi⸢gi⸣roːriti] (亡くなられて)。「過ぎし父親[sijishi chichiuya]」『校註琉球戯曲集』 7768 0 0 7389 htmvoc_7768.wav シキン ⸣シキン [⸣ʃi̥kiŋ] 名 試験。標準語からの転訛。「鳩間小学校沿革」によると、明治三十三年四月にはじめて三名の卒業生を出したというから、⸣シキン[⸣ʃikiŋ](試験)という語もその頃に借用され、転訛したものであろう。 ⸣シキン ⸣ウキティ イ⸢チ⸣バンシ ⸢トゥー⸣レーン ツォー [⸣ʃikiŋ ⸣ʔukiti ʔi⸢ʧi⸣baŋʃi ⸢tuː⸣reːnʦoː] (試験を受けて一番で合格した<通った>そうだ) 7769 0 0 7390 htmvoc_7769.wav シキン ⸣シキン [⸣ʃi̥kiŋ] 名 世間。世の中。社会。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトー ⸣ドゥーシェー ワ⸢カラ⸣ヌ シ⸢キンヌ⸣ プ⸢スヌル⸣ イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ソー⸣レー [⸢duː⸣nu ⸣ku̥toː ⸣duːʃeː wa⸢kara⸣nu ʃi̥⸢kin⸣nu pu̥⸢sunuru⸣ ʔik⸢kena⸣ s⸢soː⸣reː] (自分のことは自分では分からない{EOS}世間の人がよく知っておられる)。 シ⸢キン⸣マー ウ⸢ヤマイティル⸣ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [ʃi̥⸢kim⸣maː ʔu⸢jamaitiru⸣ na⸢raː⸣soːtta] (世間は敬えと<ぞ>教えられた) 7770 0 0 7391 htmvoc_7770.wav シキンガナシ シ⸢キンガナ⸣シ [ʃi̥⸢kiŋgana⸣ʃi] 名 お月様。「月加那志」の義。「加那志(かなし)」は「愛し(いとしい{EOS}敬愛する{EOS}優れた)」から転じた敬称の接尾語。/アールカラ アーリオール ウブシキンガナシ ウキナーン ヤイマーン ティラショーリ ホーーイチョーーガ/(東から上がってこられる大きなお月様{EOS}沖縄も八重山もお照らしください<囃子>)「月ヌマピロウマ節」。 シ⸢キンガナシ⸣ヌ ⸢アンター⸣ラ ⸢アーロー⸣ルン [ʃi̥⸢kiŋganaʃi⸣nu ⸢ʔantaː⸣ra ⸢ʔaːroː⸣ruŋ] (お月様が東の空から上がられる) 7776 0 0 7392 htmvoc_7776.wav シキンガマラサン シ⸢キンガマラ⸣サン [ʃi̥⸢kiŋgamara⸣saŋ] 形 聞くに堪えない。身内に対する悪口を聞いて頼りなく侘しい。「聞くにもの悲しい」の義。 ⸢ドゥー⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ヌ ヤ⸢ナ⸣フチカー⸢ニ⸣ シゥ⸢カサリティ⸣ シ⸢キンガマラサ⸣ヌ ⸣ウナー ブ⸢ラランシェン [⸢duː⸣nu ʔu⸢ja⸣nu ja⸢na⸣ɸu̥ʧikaː⸢ni⸣ si̥⸢kasariti⸣ ʃi̥⸢kiŋgamarasa⸣nu ⸣ʔunaː bu⸢raraŋʃeŋ] (自分の親の悪口だけ聞かされて聞くに堪えなくて、そこには居られなかった)。 シ⸢キンガマラ⸣サル パ⸢ナ⸣シェー ス⸢クナ [ʃi̥⸢kiŋgamara⸣saru pa⸢na⸣ʃeː su̥⸢kuna] (聞くに堪えないような話は聞くな) 7800 0 1 7393 htmvoc_7800.wav シキングリサン シ⸢キングリ⸣サン [ʃi̥⸢kiŋguri⸣saŋ] 形 {Mn_1}聞きづらい。聞き取りにくい。聞き苦しい。ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](聞く)の連用形に形容詞型助動詞⸢ングリ⸣サン[⸢ŋguri⸣saŋ](~づらい)が下接して形成された派生形容詞。 ウ⸢リヌ⸣ ムネー ⸢クイ⸣ヌ グ⸢マー⸣ンダ シ⸢キングリ⸣サン [ʔu⸢rinu⸣ muneː ⸢kui⸣nu gu⸢maː⸣nda ʃi̥⸢kiŋguri⸣saŋ] (彼の話は声が小さいので聞きづらい)。 7800 0 2 7394 htmvoc_7800.wav シキングリサン シ⸢キングリ⸣サン [ʃi̥⸢kiŋguri⸣saŋ] 形 {Mn_2}聞くに堪えないさま。 ウ⸢リヌ⸣ フ⸢チガーロー⸣ シ⸢キングリサ⸣ヌ シ⸢キ⸣ ブ⸢ララヌ [ʔu⸢rinu⸣ ɸu̥⸢ʧigaːroː⸣ ʃi̥⸢kiŋurisa⸣nu ʃi̥⸢ki⸣ bu⸢raranu] (彼の自慢話は聞くに堪えなくて、聞いておられない) 7772 0 1 7395 htmvoc_7772.wav シキンコースン シ⸢キンコー⸣スン [ʃi̥⸢kiŋkoː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}引っ剥がす(突き剥がす)。ひん剥く。 ⸢カイ⸣リティ ス⸢ブシヌ⸣ カー シ⸢キンコーシ⸣ シケー [⸢kai⸣riti su⸢buʃinu⸣ kaː ʃi̥⸢kiŋkoːʃi⸣ ʃi̥keː] (転んで膝の皮をひん剥いて<突き剥がして>ある)。 ク⸢ルブ⸣カー ⸣パダ シ⸢キンコー⸣スンダ シ⸢キンコーサン⸣ヨーニ ⸢ヨーンナー⸣ ア⸢ラ⸣キ [ku⸢rubu⸣kaː ⸣pada ʃi̥⸢kiŋkoː⸣sunda ʃi̥⸢kiŋkoːsaŋ⸣joːni ⸢joːnnaː⸣ ʔa⸢ra⸣kiba] (転んだら肌をひん剥くから、ひん剥かないようにゆっくり歩け)。 7772 0 2 7396 htmvoc_7772.wav シキンコースン シ⸢キンコー⸣スン [ʃi̥⸢kiŋkoː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}田地や畑地などを鋤き起す。掘り起こす。 ウ⸢シヌ⸣ヤマシ ⸢ユシキ⸣ヌ ス⸢リ⸣バイ シ⸢キンコースンティ スンドゥ⸣ シ⸢キンコーサラヌ [ʔu⸢ʃinu⸣jamaʃi ⸢juʃi̥ki⸣nu su⸢ri⸣bai ʃi̥⸢kiŋkoːsunti sundu⸣ ʃi̥⸢kiŋkoːsaranu] (からすき<唐鋤{EOS}牛の犂>でススキの刈り株を根っこから鋤き起そうとするが、鋤き起されない) 7773 0 0 7397 htmvoc_7773.wav シキンザスン シ⸢キンザ⸣スン [ʃi̥⸢kiʔnʣa⸣suŋ] 他動 突き出す。 ⸢ヤーフキ⸣パルナー シ⸢ミ⸣ナー ヌ⸢キティ⸣ ⸢ヤー⸣ヌ ナ⸢カー⸣ラ ⸣パロー シ⸢キンザスン⸠ダー [⸢jaːɸu̥ki⸣parunaː ʃi⸢mi⸣naː nu⸢kiti⸣ ⸢jaː⸣nu na⸢kaː⸣ra ⸣paroː ʃi̥⸢kiʔnʣasun⸠daː] (家葺用の針<矛>に締め縄を貫いて、家の中<内側>から家葺き針<矛>を屋根の上に突き出すんだよ) 7774 0 0 7398 htmvoc_7774.wav シキンナミ ⸣シキンナミ [⸣ʃi̥kinnami] 名 世間並み。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー ⸣シキンナメー ⸢シー オーサバル⸣ ヤ⸢ル [⸢toːkaki⸣nu ⸢joi⸣jaː ⸣ʃi̥kinnameː ⸢ʃiː ʔoːsabaru⸣ ja⸢ru] (米寿のお祝いは、当然世間並みにはして差し上げないといけない) 7775 0 0 7399 htmvoc_7775.wav シキンナリー ⸣シキンナリー [⸣ʃikinnariː] 名 世間馴れ。風俗習慣に馴れ親しむこと。 キ⸢ナイ⸣ ム⸢トゥター⸣ル ⸢ヤットゥ⸣シ ⸣シキンナリーン ⸢シー⸣ ケール ⸣キサー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サンシェン [ki⸢nai⸣ mu⸢tutaː⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ⸣ʃikinnariːŋ ⸢ʃiː⸣keːru ⸣kisaː noː⸢n⸣ s⸢saŋʃeŋ] (家庭を持ったからこそ、やっとで世間馴れもしてきたのだ{EOS}以前は何も知らなかった) 7802 0 0 7400 htmvoc_7802.wav シキンヌ シ⸢キン⸣ヌ [ʃi̥⸢kin⸣nu] 接助 ~ので。~から。過去及び完了の助動詞-タ[-ta](た)に下接する。原因、理由を示し、前に述べたことを受けて後の叙述へ繋ぐ順接の機能を果たす。 ⸣バー ⸢パッ⸣タ シ⸢キン⸣ヌ ⸢ワー⸣ パ⸢ラン⸣タンティン ⸣ミサン [⸣baː ⸢pat⸣ta ʃi̥⸢kin⸣nu ⸢waː⸣ pa⸢ran⸣tantim ⸣misaŋ] (私が行くから君は行かなくてもよい)。 ⸣バー ⸣アイル ⸣ウムイ ブ⸢タ⸣ シ⸢キン⸣ドゥ ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢バシキ⸣ ッ⸢ふォー⸣リ [⸣baː ⸣ʔairu ⸣ʔumui bu⸢ta⸣ ʃi̥⸢kin⸣du ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢baʃi̥ki⸣ f⸢foː⸣ri] (私はそう思っていますので、そのことはお忘れください) 7777 0 0 7401 htmvoc_7777.wav シキンバナシ シ⸢キンバナ⸣シ [ʃi̥⸢kimbana⸣ʃi] 名 世間話。 ⸢キュー⸣ヤ マ⸢ルケーティ⸣ナ ⸢オー⸣レーバ トゥクッ⸢トゥ⸣シ シ⸢キンバナ⸣シンノーン ⸢ソー⸣ラ⸢ディ― [⸢kjuː⸣ja ma⸢rukeːti⸣na ⸢ʔoːreː⸣ba tu̥kut⸢tu⸣ʃi ʃi̥⸢kimbana⸣ʃinnoːn ⸢soː⸣ra⸢diː] (今日は稀に立ち寄られた<偶に来られた>のですから、ゆっくり世間話でもなさいませんか{EOS}そうしましょうよ) 7803 0 0 7402 htmvoc_7803.wav シキンマードゥーウイ シ⸢キン⸣マー ⸣ドゥーウイ [ʃi̥⸢kim⸣maː ⸣duː ʔui] 連 世間は先生である(世間は自分より上である<尊敬せよ>)。⸢世間を尊敬して世間から多く学べ」の義。<諺> 7801 0 0 7403 htmvoc_7801.wav シキンユー シ⸢キン⸣ユー [ʃi̥⸢kiŋ⸣juː] 名 月夜。月の夜。 シ⸢キン⸣ユーナー バ⸢カー⸣ムンケーヤ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢ケー⸣ティル ア⸢サブタ [ʃi̥⸢kiŋ⸣juːnaː ba⸢kaː⸣muŋkeːja ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢saŋʃimba⸣ pi̥⸢keː⸣tiru ʔa⸢sabuta] (月夜には、若者たちは集まって三線を弾いて<ぞ>遊んだ) 7804 0 0 7404 htmvoc_7804.wav シグ シ⸢グ [ʃi⸢gu] 副 直ぐに。直ちに。若年層は、ス⸢グ[su⸢gu](直ぐ)ともいう。 ⸢マルケーティ⸣ナ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸣キーティ シ⸢グ⸣ パ⸢リ⸣シタ [⸢marukeːti⸣na ʔu⸢ki⸣naːra ⸣kiːti ʃi⸢gu⸣ pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (偶に<久しぶりに>沖縄から来て、すぐ帰っていった)。 マ⸢ナ⸣マ シ⸢グッ⸣テー ⸢カイユーサヌ [ma⸢na⸣ma ʃi⸢gut⸣teː ⸢kaijuːsanu] (今すぐは買い得ない)。 イ⸢ズ⸣カー シ⸢グ⸣ ナ⸢キス [ʔi⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢gu⸣ na⸢kisu] (叱ったらすぐ泣く) 7805 0 1 7405 htmvoc_7805.wav ジク ⸣ジク [⸣ʤiku] 名 {Mn_1}軸。標準語からの転訛。老年層は、⸣シン[⸣ʃiŋ](芯{EOS}心棒)という。 ⸢ニーグルマ⸣ヌ ジ⸢ク⸣ヌ ⸣ブリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢niːguruma⸣nu ʤi⸢ku⸣nu ⸣buri ⸢naː⸣nu] (荷車の車軸が折れてしまった)。 7805 0 2 7406 htmvoc_7805.wav ジク ⸣ジク [⸣ʤiku] 名 {Mn_2}軸物。 トゥ⸢ラヌ⸣ カ⸢タヌ⸣ ジコー<カ⸢キジ⸣コー> カ⸢ルイ⸣ヌ アンティ⸢ダー [tu⸢ranu⸣ kḁ⸢tanu⸣ ʤikoː ka⸢rui⸣nu ʔanti⸢daː] (虎の絵の掛け軸は縁起が良い<嘉例がある>そうだ) 7806 0 0 7407 htmvoc_7806.wav ジグク ジ⸢グク [ʤi⸢guku] 名 地獄。 イキ⸢ベーン⸣ケンナー ヤ⸢ナクトゥバ スー⸣カー シ⸢ニティ⸣ ジ⸢グコー⸣ ウ⸢ティ⸣ルンティ⸢ダー [ʔiki⸢beːŋ⸣keɲ ja⸢nakutu suː⸣kaː ʃi⸢niti⸣ ʤi⸢gukoː⸣ ʔu⸢ti⸣runti⸢daː] (生きているときに悪事を働く<する>と、死んで地獄へ落ちるそうだよ) 7807 0 0 7408 htmvoc_7807.wav シクジルン シ⸢クジルン [ʃi̥⸢kuʤiruŋ] 自動 しくじる。失敗する。 ⸢クン⸣ドー シ⸢クジラン⸣ヨーニ シ⸢タンドゥ⸣ マ⸢タ⸣ シ⸢クジリ ナー⸣ヌ [⸢kun⸣doː ʃi̥⸢kuʤiraɲ⸣joːni ʃi̥⸢tandu⸣ ma⸢ta⸣ ʃi̥⸢kuʤiri naː⸣nu] (今度は失敗しない<しくじらない>ようにしたが、また失敗して<しくじって>しまった)。 ⸣アイニ ⸢スー⸣カー シ⸢クジルンダー⸣ シ⸢クジル⸣ プソー シ⸢グ⸣ ヤ⸢ミリ [⸣ʔaini ⸢suː⸣kaː ʃi̥⸢kuʤirundaː⸣ ʃi̥⸢kuʤiru⸣ pu̥soː ʃi⸢gu⸣ ja⸢miri] (あのようにすると失敗する<しくじる>から、失敗する<しくじる>時はすぐやめなさい)。 ⸢クン⸣ドゥン シ⸢クジレー⸣ ミサムヌ [⸢kun⸣duŋ ʃi̥⸢kuʤireː⸣ misamunu] (今度もしくじればいいのに)。 シ⸢クジリ [ʃi̥⸢kuʤiri] (失敗せよ<しくじれ>) 7808 0 0 7409 htmvoc_7808.wav シクチ シ⸢クチ [ʃi̥⸢kuʧi] 名 職業。定職。生業。日常業務。仕事。石垣方言からの借用語。普通はシ⸢グトゥ[ʃi⸢gutu](仕事)という。 シ⸢クチ⸣ トゥ⸢ミラ⸣リンカヤーティ ⸢アークン⸣ドゥ トゥ⸢ミララン⸣バン [ʃi̥⸢kuʧi⸣ tu⸢mira⸣riŋkajaːti ⸢ʔaːkun⸣du tu⸢miraram⸣baŋ] (仕事が捜せるかと思って<捜して>いるんだが捜せないわい) 7809 0 0 7410 htmvoc_7809.wav シグトゥ シ⸢グトゥ [ʃi⸢gutu] 名 仕事。働くこと。作業。職業。業務。「仕事」の転訛したもの。 パ⸢タキシグ⸣トゥ [pḁ⸢takiʃigu⸣tu] (畑仕事)。 ⸢ターシグ⸣トゥ [⸢taːʃigu⸣tu] (田仕事)。 ヤ⸢マシグ⸣トゥ [ja⸢maʃigu⸣tu] (山仕事)。 ⸣ウミシグトゥ [⸣ʔumiʃigutu] (海仕事<漁業>)。 ⸢サイクシグ⸣トゥ [⸢saikuʃigu⸣tu] (大工仕事)。 シ⸢グトゥヌ パンタ⸣サンダ マ⸢ナ⸣マー パ⸢ララン⸣サー [ʃi⸢gutunu panta⸣sanda ma⸢na⸣maː pa⸢raran⸣saː] (仕事が忙しいので、今は行けない<行かれない>よ) 7810 0 0 7411 htmvoc_7810.wav シグトゥキン シ⸢グトゥキン [ʃi⸢gutukiŋ] 名 作業着。農作業や漁撈の際に着用する衣服。昭和40年頃までは婦人の衣類は、⸣バサキン[⸣basakiŋ](芭蕉着)や⸣ブーキン[buːkiŋ](麻の着物)が一般的であった。以後漸次洋服(ワンピース、ツーピース)が普及した。 ッ⸢ふキン⸣マー シ⸢グトゥキン⸣ ナ⸢ソーッ⸣タ [f⸢fukim⸣maː ʃi⸢gutukin⸣ na⸢soːt⸣ta] (古着は仕事着にされた) 7812 0 0 7412 htmvoc_7812.wav シグトゥブラーリ シ⸢グトゥブラーリ [ʃi⸢gutuburaːri] 名 仕事に夢中になること。仕事に熱中すること。 シ⸢グトゥブラーリ シーベー⸣ティ ⸢ユー⸣ボン ⸣スコール ウ⸢クリナー⸣ヌ [ʃi⸢gutuburaːri ʃiːbeː⸣ti ⸢juː⸣bon ⸣su̥koːru ʔu⸢kurinaː⸣nu] (仕事に夢中になっているうちに<夢中になっていて>、夕飯の支度がすっかり遅れてしまった) 7811 0 0 7413 htmvoc_7811.wav シグトゥブリ シ⸢グトゥブリ [ʃi⸢gutuburi] 名 仕事三昧。仕事に夢中になること。仕事に専念すること。 パ⸢タ⸣キナー シ⸢グトゥブリバ シーベーン⸣ケン ⸢ユー⸣ボンスコールン ⸢バシキティ ヨーンバイ シーナー⸣ヌ [pḁ⸢taki⸣naː ʃi⸢gutuburiba ʃiːbeːŋ⸣keɲ ⸢juː⸣bonsu̥koːrum ⸢baʃi̥kiti joːmbai ʃiːnaː⸣nu] (畑で仕事に夢中になっているうちに、夕飯支度も忘れて、すっかり遅れた夕食になってしまった) 7813 0 0 7414 htmvoc_7813.wav シグトゥマチブリ シ⸢グトゥマチブリ [ʃi⸢gutumaʧiburi] 名 仕事に夢中になる。仕事に心をうばわれる。 シ⸢グトゥマチブリバ シー⸣ ティ⸢ダ⸣ヌ ウ⸢ティ⸣ルンケン パ⸢タキ⸣ナー ⸢アー⸣キ ⸢ヨーンバイ シーナー⸣ヌ [ʃi⸢gutumaʧiburiba ʃiː⸣ ti⸢da⸣nu ʔu⸢ti⸣ruŋkem pḁ⸢taki⸣naː ⸢ʔaː⸣ki ⸢joːmbai ʃiːnaː⸣nu] (仕事に夢中になって、太陽が落ちるまで畑にいて、遅い夕食の準備となってしまった) 7814 0 0 7415 htmvoc_7814.wav シクミ シ⸢クミ [ʃi̥⸢kumi] 名 仕掛け。構造。「仕組み」の転訛したもの。明治生まれの老年層は、ス⸢クミ[su̥⸢kumi](仕組み{EOS}仕掛け{EOS}構造{EOS}リハーサル)という。 キ⸢カイ⸣ヌ シ⸢クメー バックラシ⸣ ミ⸢ラン⸣カー イッ⸢カ⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ [ki̥⸢kai⸣nu ʃi̥⸢kumeː bakkuraʃi⸣ mi⸢raŋ⸣kaː ʔik⸢ka⸣ wa⸢kara⸣nu] (機械の仕組みはばらばらに分解してみないと一向に分らない) 7815 0 0 7416 htmvoc_7815.wav シクン シ⸢クン [ʃi̥⸢kuŋ] 他動 敷く。若年層の言葉。 ⸣ムス シ⸢クン [⸣musu ʃi̥⸢kuŋ] (筵を敷く)。老年層は、ス⸢クン[su̥⸢kuŋ](敷く)という。老年層の場合、次の音節の母音が前舌母音[i、e]の場合[ʃi]、奥舌母音[u、o]の場合は母音調和して[su]、[a]の場合は[si̥]となる傾向が認められる。 ⸣クナー ⸣ムス ス⸢クンティ スンドゥ⸣ シ⸢カランバン [⸣kunaː ⸣musu su⸢kunti sundu⸣ ʃi̥⸢karambaŋ] (ここに筵を敷こうとするが、敷かれない)。 シ⸢キ⸣ ミサカー ス⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [ʃi̥⸢ki⸣ misakaː su̥⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (敷いてよければ敷くことは出来る)。 ⸣ムス シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣musu ʃi̥⸢keː⸣misamunu] (筵を敷けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢キ [⸢paː⸣ku ʃi̥⸢ki] (早く敷け) 7816 0 1 7417 htmvoc_7816.wav シグン シ⸢グン [ʃi⸢guŋ] 他動 {Mn_1}継ぐ。つなぎ合わせる。繋ぐ。 ⸢ナー⸣ヌ タ⸢ラーン⸣カー ⸢バラフ⸣タジナシ シ⸢ギ⸣バ<シ⸢ナイ⸣バ> [⸢naː⸣nu ta⸢raːŋ⸣kaː ba⸢raɸu⸣taʤiinaʃi ʃi⸢gi⸣ba<ʃi⸢nai⸣ba>] (縄が足りなければ藁綱で継ぎなさい)。 7816 0 2 7418 htmvoc_7816.wav シグン シ⸢グン [ʃi⸢guŋ] 他動 {Mn_2}継承する。相続する。 ⸢ヤーム⸣トゥ シ⸢グン [⸢jaːmu⸣tu ʃi⸢guŋ] (本家を継ぐ)。 ⸣ヤー シ⸢ガヌ⸣ティ ア⸢ジベータン⸣ドゥ シ⸢グ プスヌ⸣ ブ⸢ラーン ベー⸣ティ ⸣ドゥーシ シ⸢ギベー [⸣jaː ʃi⸢ganu⸣ti ʔa⸢ʤibeːtan⸣du ʃi⸢gu pu̥sunu⸣ bu⸢raːm beː⸣ti ⸣duːʃi ʃi⸢gibeː] (家を継がないと言っていたが、継ぐ人がいないので自分が継いでいる)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣アトゥ シ⸢ゲー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔatu ʃi⸢geː⸣ misamunu] (親の跡目を継げばよいのに)。 サ⸢ク⸣シェー ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣アトゥ シ⸢ギ [sḁ⸢ku⸣ʃeː jaː⸢diŋ⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔatu ʃi⸢gi] (長男<嫡子>は必ず親の跡目を継げ) 7819 0 0 7419 htmvoc_7819.wav シケー ⸣シケー [⸣ʃi̥keː] 名 ゆりわ(揺輪)。頭上に物を載せて運搬する際、頭と物の間に置くクッション。稲藁を直径約3センチの太さに束ねて巻き、それで直径約10センチの輪に作ったもの。 ⸣ナビシケー [⸣nabiʃi̥keː] (鍋の揺輪<安定装置>{EOS}⸢鍋敷き」の義)。ナ⸢カ⸣シケー[na⸢ka⸣ʃi̥keː](搗き臼の内側に装着して米の飛散するのを防ぐ中揺輪)などがある。 バ⸢ラフ⸣タシケー シ⸢キティ ウン⸣ディル カ⸢ミリバ⸣ル<カ⸢ミバ⸣ル> ⸢マーンバー⸣キン カ⸢ミラ⸣リ⸢ダー [ba⸢raɸu̥⸣taʃi̥keː ʃi̥⸢kiti ʔun⸣diru ka⸢miriba⸣ru ⸢maːmbaː⸣kiŋ ka⸢mira⸣ri⸢daː] (稲藁製の揺輪を<頭上に>敷いて芋笊を頭に載せるほうが<載せればぞ>、どこまでも荷物を頭に載せて運ばれる<運べる>のだよ)。 シ⸢キ⸣ウシナー ナ⸢カ⸣シケー ⸣シキティ ⸣ッサウカー ⸢マイヤー ポッツァーラヌ [ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃinaː na⸢ka⸣ʃi̥keː ⸣ʃi̥kiti ⸣ssaukaː ⸢maijaː potʦaːranu] (搗き臼に中揺輪を装着して米を搗くと米粒は飛散しないよ) 7820 0 0 7420 htmvoc_7820.wav シケースン シ⸢ケースン [ʃi̥⸢keːsuŋ] 他動 刃物を他の刃物の背に斜めに擦りつけて刃を研ぐ。 カ⸢タ⸣ナー ナ⸢マ⸣リティ キ⸢シラン⸣バ シ⸢ケーシティ⸣ キシバ [kḁ⸢ta⸣naː na⸢ma⸣riti ki̥⸢ʃiram⸣ba ʃi̥⸢keːʃiti⸣ ki̥ʃiba] (包丁<刀>は刃が鈍って切れないので他の包丁の背に斜めにすりつけて刃を研ぎだして切りなさい)。 シ⸢ケースンティ⸣ シ⸢タンティン⸣ ク⸢リ⸣シェー シ⸢ケーサラヌ [ʃi̥⸢keːsunti⸣ ʃi̥⸢tantiŋ⸣ ku⸢ri⸣ʃeː ʃi̥⸢keːsaranu] (刃を研ごうとしても、これでは研がれない)。 シ⸢ケース⸣ クトゥ [ʃi̥⸢keːsu⸣ ku̥tu] (刃を研ぐこと)。 シ⸢ケーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢keːʃeː⸣ misamunu] (刃を研げばよいのに)。 シ⸢ケーシ [ʃi̥⸢keːʃi] (刃を研げ) 7822 0 1 7421 htmvoc_7822.wav シゴー シ⸢ゴー [ʃi⸢goː] 名 {Mn_1}都合。やりくり。具合の良いこと。 ⸣アツァー ヤ⸢マ⸣バコー ⸢シン⸣ パルンティ ス⸢コーリ ベー⸣ンドゥ ⸢ワー⸣ シ⸢ゴーヤ ヌー⸣シカヤー [⸣ʔaʦaː ja⸢ma⸣bakoː ⸢ʃim⸣ parunti su̥⸢koːri beː⸣ndu ⸢waː⸣ ʃi⸢goːja nuː⸣ʃikajaː] (明日は山に入って建築材伐り出しの共同作業を準備しているところだが、君の都合はどうかね)。 7822 0 2 7422 htmvoc_7822.wav シゴー シ⸢ゴー [ʃi⸢goː] 名 {Mn_2}万障繰り合わせること。 ⸢ウン⸣ネートー シ⸢ゴー⸣ カ⸢キラバ⸣ル ヤ⸢ル⸣ ク⸢トゥ⸣バレー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːtoː ʃi⸢goː⸣ kḁ⸢kiraba⸣ru ja⸢ru⸣ ku̥⸢tu⸣bareː na⸢ra⸣nu] (あの家<その家>とは都合をつけ<万障繰り合わせ>ないといけない{EOS}断ることは出来ない) 7823 0 0 7423 htmvoc_7823.wav ジコー ジ⸢コー [ʤi⸢koː] 副 ひどく。大変に。どん底に。グ⸢クー⸣とも言う。 ⸢ピンソー⸣ヌ ジ⸢コー⸣ スクン [⸢pinsoː⸣nu ʤi⸢koː⸣ su̥kuŋ] (貧乏のどん底に陥る)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ ク⸢バ⸣リティ ジ⸢コー⸣ スクンティ ⸢アーク⸣タ [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ku⸢ba⸣riti ʤi⸢koː⸣ sukunti ⸢ʔaːku⸣ta] (あまりの寒さで、凍えて死ぬ<大変になる>ところだった) 7821 0 0 7424 htmvoc_7821.wav シコールン シ⸢コールン [ʃi̥⸢koːruŋ] 他動 拵える。準備する。(若年層の言葉)。老年層は、ス⸢コールン[su̥⸢koːruŋ](拵える{EOS}準備する)と言う。 ⸣ウサイ シ⸢コールンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー シ⸢コーラランバ⸣ フ⸢タール⸣シ シ⸢コー⸣リ ⸣ミサンカヤー [⸣ʔusai ʃi̥⸢koːrunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʃi̥⸢koːraramba⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ʃi̥⸢koːri⸣ misaŋkajaː] (ご馳走を拵えようと思うが、一人では拵えられないから二人で拵えていいかねえ)。 ⸢バン⸣ヌン シ⸢コール⸣ クトー シ⸢コールンダー ワンヌン⸣ シ⸢コーレー⸣ ミサムヌ [⸢ban⸣nuŋ ʃi̥⸢koːru⸣ kuu̥toː ʃi̥⸢koːrundaː wannuŋ⸣ ʃi̥⸢koːreː⸣ misamunu] (私も拵えることは拵えるから、君も拵えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢コーリ [⸢paː⸣ku ʃi̥⸢koːri] (早く拵えろ<れ>) シサ 7824 0 0 7425 htmvoc_7824.wav シザ ⸣シザ [⸣ʃiʣa] 名 年上(の者)、年長(者)「せさ(兄)」『おもろさうし辞典・総索引』、「sinca」『語音翻訳』。親族名称。「'u-ra sin-ca 'a-ri」(汝兄あるか)「語音翻訳」『海東諸国紀』(岩波書店)の「sin-ca」、「先札」『琉球館訳語』、「先牝」『音韻字海』、「先之」『中山伝信禄』、「せざ」『おもろ。2-608』。「すざへ 兄の事也。惣して我より長しき方は俗に斯申也」『混効験集(坤・人倫)』と関係ある語。アー⸢ザ[ʔaː⸢ʣa]は、「兄」の名称、呼称。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ⸢カン⸣ヌ ⸣クイ シ⸢ザ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クイ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣ja ⸢kan⸣nukui ʃi⸢ʣa⸣nu ⸢kui⸣jaː ʔu⸢ja⸣nu ⸣kui] (親の言うこと<声>は神の言葉<声>、兄の言うことは親の言葉<声>{EOS}諺)。「先札」『琉球館訳語』の義。⸢ウシ⸣トゥ[⸢ʔuʃi̥⸣tu](年下、弟妹)の対義語で、関係概念を表す。 シ⸢ザビキ⸣ル [ʃi⸢ʣabiki⸣ru] (兄達)。 シ⸢ザブナ⸣ル [ʃi⸢ʣabuna⸣ru] (姉達)。呼称は、⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄さん)。 ⸢ンーネ [⸢ʔnːne] (姉さん)。 ⸢アンマ [⸢ʔamma] (姉さん)。 ク⸢レー⸣ バー ⸣シザ⸢ユー [ku⸢reː⸣ baː ⸣ʃiʣa⸢juː] (これは私の兄<姉>です)。 ⸣バー ⸢ウシ⸣トー ミ⸢ツァール ブン [⸣baː ⸢ʔuʃi̥⸣toː mi⸢ʦaːru buŋ] (私の弟妹は三人いる) 7827 0 1 7426 htmvoc_7827.wav シザウシトゥ ⸣シザウシトゥ [⸣ʃiʣauʃi̥tu] 名 {Mn_1}兄弟、姉妹。「兄姉・弟妹」の義。 ⸣シザウシトゥザーンナリ ⸢アイカーフン⸣カー ⸢シーベー [⸣ʃiʣauʃi̥tuʣaːnnari ⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢ʃiːbeː] (兄弟、姉妹同士で喧嘩騒動<問答>を起こしている)。 7827 0 2 7427 htmvoc_7827.wav シザウシトゥ ⸣シザウシトゥ [⸣ʃiʣauʃi̥tu] 名 {Mn_2}兄と弟(姉と妹)。 シザ⸢ウシ⸣トゥ ⸢タール⸣ タ⸢カー⸣ユー ワ⸢カラン⸣バン [ʃiʣa⸢uʃi̥⸣tu ⸢taːru⸣ tḁ⸢kaː⸣juː wa⸢karam⸣baŋ] (兄と弟<姉と妹>、誰が高いか分からないわい) 7844 0 0 7428 htmvoc_7844.wav シザウシトゥ シザ⸢ウシ⸣トゥ [ʃiʣa⸢ʔuʃi⸣tu] 名 兄弟。 シザ⸢ウシ⸣トゥザーンナリ ⸢ター カイ⸣スンティ ⸢シーッ⸣パイ ⸢シーベ [ʃiʣa⸢ʔuʃi⸣tuʣaːnnari ⸢taː kai⸣sunti ⸢ʃiːp⸣pai ⸢ʃiːbeː] (兄弟一緒になって<連れ立って>田圃を耕そうと一所懸命になっているよ) 7825 0 0 7429 htmvoc_7825.wav シザウヤ ⸣シザウヤ [⸣ʃiʣaʔuja] 名 両親亡き後、伯父、伯母、叔父、叔母、兄、姉を敬っていう語。親代わり。「兄親」の義か。 ⸣シザウヤテー ⸢ワータンガ⸣ル ⸢オー⸣ルユンダ ⸢ガン⸣ズーシ ナ⸢ガイキ ソー⸣リ⸢ダー [⸣ʃiʣaʔujateː ⸢waː taŋga⸣ru ⸢ʔoː⸣rujunda ⸢gan⸣ʣuːʃi na⸢gaiki soː⸣ri⸢daː] (親代わりは貴方一人しかおられない<一人がおられる>から、健康<頑丈>で長生きなさってくださいよ)。親の年代以上の年輩の人を崇めていう言葉。 ⸣シザウヤンケーヌ ナ⸢ラー⸣ソーレール ブ⸢ドゥルヌ ティー⸣カタ ⸢バシキルナ [⸣ʃiʣaʔujaŋkeːnu na⸢raː⸣soːreːru bu⸢durunu tiː⸣kataː ⸢baʃi̥kiruna] (老年輩方が教えられた踊りの型は忘れるな) 7828 0 0 7430 htmvoc_7828.wav シザガタ ⸣シザガタ [⸣ʣiʣagata] 名 年長者。年長者の方々。沖縄本島方言からの転訛。⸢クリヤ クヌム⸣ラ トゥシ⸢ヌ シザガタ⸣ ワン⸢ドゥ⸣ ダヤビル~(罷り出でたる<これ>はこの村の長老、私でございます)のように唱える。「ザーピラキ」『鳩間島古典民謡古謡集』 7846 0 0 7431 htmvoc_7846.wav シザガタ シ⸢ザ⸣ガタ [ʃi⸢ʣa⸣gata] 名 年輩。年輩方。年寄り方。芸能用語。沖縄本島方言からの借用語。/クリヤ クヌムラ トゥシヌ シザガタ ワンドゥダヤビル カク ウジガミヌ ウマムイ ウタビミショーチ ブラクミン カラダケンコウ ウタビミソーティ~/(罷り出でたる<此なるは>は、此村の年寄り方は、この私であります{EOS}斯くの如く氏神様が御守護くださいまして、部落民の体の健康を賜りましたので~)。狂言「ザーピラキ」『鳩間島古典民謡古謡集』 7831 0 0 7432 htmvoc_7831.wav シザッふァ シ⸢ザッ⸣ふァ [ʃi⸢ʣaf⸣fa] 名 長男長女。年上の子。 シ⸢ザッ⸣ふァー ⸢ギューチ⸣ ナ⸢ル⸣ワ [ʃi⸢ʣaf⸣faː ⸢gjuːʧi⸣ na⸢ru⸣wa] (年上の子は何歳<いくつ>になるか)。 シ⸢ザッふァーヌ⸣ル ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトー ⸣ウムー ⸢ウシトゥ⸣ッふァー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトー イ⸢カシタティ ナー⸣ヌ [ʃi⸢ʣaffanu⸣ru ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥toː ⸣ʔumuː ⸢ʔuʃi̥tu⸣ffaː ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥toː ʔi⸢kaʃi̥tati naː⸣nu] (長男長女が親の事を思う{EOS}弟妹は親のことは何とも<如何したとも>思わない)。 ⸢ウン⸣ネヌ シ⸢ザッ⸣ふァー ビ⸢コーンッふァ ウシトゥ⸣ッふァー ミ⸢ドーン⸣ッふァ ⸢ヤッタ [⸢ʔun⸣nenu ʃi⸢ʣaf⸣faː bi⸢koːŋffaː ʔuʃi̥tu⸣ffaː mi⸢doːŋ⸣ffa ⸢jatta] (あの<その>家の年上の子は男の子、年下の子は女の子だった) 7848 0 1 7433 htmvoc_7848.wav シザヌクイ シ⸢ザ⸣ヌ ⸣クイ [ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui] 連 {Mn_1}兄の言うこと(兄の声)。シ⸢ザ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クイ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ⸢カン⸣ヌ ⸣クイ[ʃi⸢ʣa⸣nu ⸢kui⸣jaː ʔu⸢ja⸣nu ⸣kui ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣jaː ⸢kan⸣nnu ⸣kui](兄の言うこと<声>は親の言うこと<声>と同じ{EOS}親の言うこと<声>は神のいうこと<声>と同じだ)諺。 7848 0 2 7434 htmvoc_7848.wav シザヌクイ シ⸢ザ⸣ヌ ⸣クイ [ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui] 連 {Mn_2}念仏歌の一つで、兄の歌(兄の声)。 ⸢ニンブ⸣ツァーナ シ⸢ザ⸣ヌクイ ⸢ウシトゥ⸣ヌ ⸣クイティ アン⸢ダー [⸢nimbu⸣ʦaːna ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui ⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸣kuiti ʔan⸢daː] (念仏歌に兄の歌<声>、弟の歌<声>と<二種類>あるよ) 7849 0 0 7435 htmvoc_7849.wav シザヌドゥーパダ シ⸢ザ⸣ヌ ⸣ドゥーパダ [ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣duːpada] 連 人間の体。「衆生」の転訛したものか。祝詞にのみ使われる語 7839 0 0 7436 htmvoc_7839.wav シザバナリ ⸣シザバナリ [⸣ʃiʣabanari] 名 (地名)。下離。⸢クーラタバル[⸢kuːratabaru](久浦水田地帯)の西端、フ⸢ノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦湾)に湾入する東端の岬。そこは明治期に炭鉱が開設されたが石炭層が薄いとのことで一時栄えただけで閉山されたところである。地図などでは「インタ崎」と記されているが、鳩間島の人は、⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離れ)という。 ⸣シザバナリヌ ⸢インタヌ⸣カドゥ マ⸢ガリティ⸣ パ⸢ヤーキ⸣ヌ ヤ⸢ドゥル⸣ガンナー ム⸢カ⸣シェー ⸣スラズーヌ ⸢アッ⸣タンティ⸢ダー [⸣ʃiʣabanarinu ⸢ʔintanu⸣kadu ma⸢gariti⸣ pa⸢jaːki⸣nu ja⸢duru⸣gannaː mu⸢ka⸣ʃeː ⸣suraʣuːnu ⸢ʔat⸣tanti⸢daː] (下離れの西の角を曲がって南の方のヤドゥルガンという所には昔、スラズー<造船所>があったそうだよ) 7850 0 0 7437 htmvoc_7850.wav シザビキル シ⸢ザビキ⸣ル [ʃi⸢ʣabiki⸣ru] 名 年上の兄。年上の男兄弟の名称。妹の方からいう言葉。 シ⸢ザビキ⸣ロー ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢トゥ⸣バ シ⸢ギ ウシトゥビキ⸣ロー ウ⸢キ⸣ナーナール ⸣タティ ⸢ブー⸣ツォー [ʃi⸢ʣabiki⸣roː ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢tu⸣ba ʃi⸢gi ʔuʃi̥tubiki⸣roː ʔu⸢ki⸣naːnaːru ⸣tati ⸢buː⸣ʦoː] (年上の男兄弟は親の跡を継ぎ、年下の男兄弟は沖縄に生活しているそうだ)。 ⸢ウン⸣ネーヤ シ⸢ザビキル⸣ヌ ⸣カナイ ⸢オー⸣ルンダ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːja ʃi⸢ʣabikiru⸣nu ⸣kanai ⸢ʔoː⸣runda ⸢soːja naː⸣nu] (その家は年上の兄弟が揃っておられるから心配はない) 7830 0 0 7438 htmvoc_7830.wav シザビコーンッふァ シ⸢ザビコーン⸣ッふァ [ʃi⸢ʣabikoːŋ⸣ffa] 名 長男。年上の男の子。「兄者男の子」の義。 シ⸢ザビコーン⸣ッふァー ク⸢クヌ⸣チ ⸢ウシトゥ⸣ッふァー ⸢ムーチ⸣ ナレーンティバーヤ [ʃi⸢ʣabikoːŋ⸣ffaː ku̥⸢kunu⸣ʧi ⸢ʔuʃi̥tu⸣ffaː ⸢muːʧi⸣ nareːntibaːja] (長男は九つ、弟は六つになっているってよ) 7832 0 0 7439 htmvoc_7832.wav シザブナル シ⸢ザブナ⸣ル [ʃi⸢ʣabuna⸣ru] 名 長女。年上の姉。弟のほうから年上の女兄弟に対していう言葉。 シ⸢ザブナルヌ⸣ル ブ⸢ネーヌ カールバシー バー⸣ヨ ス⸢ダ⸣トーッタツォー [ʃi⸢ʣabunarunu⸣ru bu⸢neːnu kaːruba ʃiː baː⸣jo su⸢da⸣toːttaʦoː] (長女が母親代わりなって<代わりをして>私を育てられたそうだ) 7851 0 0 7440 htmvoc_7851.wav シザブナル ⸣シザブナル [⸣ʃiʣabunaru] 名 年下の兄弟からいう年上の姉妹(ヲナリ)。 シ⸢チ⸣ビキザルヌ ⸢ニンガイ⸣グトー ⸣シザブナルル ムー⸢ル ソーッ⸣タ [ʃi̥⸢ʧi⸣bikiʣarunu ⸢niŋgai⸣gutoː ⸣ʃiʣabunaruru muː⸢ru soːt⸣ta] (せちにち<節日>や行事の祈願ごとは年上の姉妹が全部なされた) 7852 0 0 7441 htmvoc_7852.wav シザマ シ⸢ザマ [ʃi⸢ʣama] 名 振舞い。事をなす仕方。所業。「仕様」の義。⸢シーザマ[⸢ʃiːʣama](仕様)ともいう。 ⸢ワー⸣ ク⸢ヌ⸣ シ⸢ザマー⸣ ヌーッツァル ⸣クトゥヤ [⸢waː⸣ ku⸢nu⸣ ʃi⸢ʣamaː⸣ nuːtʦaru ⸣kutujaː] (お前のこの振舞い<仕様>は、何たることか) 7833 0 0 7442 htmvoc_7833.wav シザマリ ⸣シザマリ [⸣ʃiʣamari] 名 長男や長女。「兄者生まれ」の義。⸢ウシトゥ⸣マリ[⸢ʔuʃi̥tu⸣mari](弟妹{EOS}「弟生まれ」の義)の対義語。 ⸣シザマレー ⸢ウシトゥンケー⸣バ ナ⸢ラー⸣ス ⸣ムヌル ス⸢クブン [⸣ʃiʣamareː ⸢ʔuʃi̥tuŋ⸣keː na⸢raː⸣su ⸣munuru su̥⸢kubuŋ] (長男長女は弟妹達を教えるのが義務<職分>だ)。 ⸢ワー⸣ シザマリ ヤ⸢ルンダ ウシトゥン⸣ケー ナ⸢ラー⸣シ [⸢waː⸣ ʃiʣamari ja⸢runda ʔuʃi̥tuŋ⸣keː na⸢raː⸣ʃi] (君は年上だから弟たちを指導しなさい) 7834 0 0 7443 htmvoc_7834.wav シザミドーンッふァ シ⸢ザミドーン⸣ッふァ [ʃi⸢ʣamidoːŋ⸣ffa] 名 長女。「兄者女ども子」の義か。 シ⸢ザミドーン⸣ッふァー ⸣ドゥー ム⸢ティ⸣ジブン ナ⸢リ⸣ブパジ [ʃi⸢ʣamidoːŋ⸣ffaː ⸣duː mu⸢ti⸣ʤibun na⸢ri⸣bu ⸣paʤi] (長女は結婚適齢期になっているはずだ) 7854 0 0 7444 htmvoc_7854.wav シザミドゥナー シ⸢ザミドゥ⸣ナー [ʃi⸢ʣamidu⸣naː] 名 長女。「年長の女」の義。 ⸢ウン⸣ネヌ シ⸢ザミドゥ⸣ナーヤ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢バ⸣レーン [⸢ʔun⸣nenu ʃi⸢ʣamidu⸣naːja ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ba⸣reːŋ] (あの家の長女は非常に美しい<容姿端麗である>) 7855 0 0 7445 htmvoc_7855.wav シザムイサン シザ⸢ムイ⸣サン [ʃiʣa⸢mui⸣saŋ] 形 兄(姉)思いである。兄(姉)を敬い、兄(姉)のことをよく思うこと。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ シザ⸢ムイ⸣サン⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʃiʣa⸢mui⸣san⸢daː] (彼は非常に兄思いだよ) 7826 0 0 7446 htmvoc_7826.wav シザンケー ⸣シザンケー [⸣ʃiʣaŋkeː] 連 年上の方々。兄さん方。 ⸣シザンケーヤ ⸢ウンター⸣ ナ⸢ロー⸣リ [⸣ʃiʣaŋkeːja ⸢ʔuntaː⸣ na⸢roː⸣ri] (年上の方々は上座<上の座敷>になられて<お座りになって>下さい)。 ⸣シザンケー シゥ⸢カシ⸣ クー [⸣ʃiʣaŋkeː sï̥⸢kaʃi⸣ kuː] (年上の方々をご案内<お連れ>してこい) 7857 1 1 7447 htmvoc_7857.wav シジ ⸣シジ [⸣ʃiʤi] 名 {PoS_1}{Mn_1}筋。腱。 ⸢パン⸣ヌ シ⸢ジ⸣バ ⸣キシティル ア⸢ラキ ユーサ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ʃi⸢ʤi⸣ba ⸣ki̥ʃitiru ʔa⸢raki juːsa⸣nu] (足の腱を切ってしまって歩けない<歩き得ない>)。 7857 1 2 7448 htmvoc_7857.wav シジ ⸣シジ [⸣ʃiʤi] 名 {Mn_2}繊維。 ⸢ブー⸣シジ ピ⸢ニ⸣レーティル ⸢ブー⸣ヤ ⸢ウー⸣モール [⸢buː⸣ʃiʤi ⸢ʔuː⸣meːtiru ⸢buː⸣ja ⸢ʔuː⸣moru] (からむし<苧>の繊維を捻りつつ麻糸をうま<績ま>れた)。 7857 1 3 7449 htmvoc_7857.wav シジ ⸣シジ [⸣ʃiʤi] 名 {Mn_3}いきさつ。訳。理由。 ウ⸢ヌ⸣ シジシル ⸢サーラリ パッ⸣タ [ʔu⸢nu⸣ ʃiʤiʃiru ⸢saːrari pat⸣ta] (そんな訳で連れ去られて行った)。 7857 2 0 7450 htmvoc_7857.wav シジ ⸣シジ [⸣ʃiʤi] 助数 {PoS_2}細長いものを数える単位。すじ(筋)。本。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸢キー⸣ プ⸢ス⸣シジ [ga⸢maʤi⸣nu ⸢kiː⸣ pu̥⸢su⸣ʃiʤi] (髪の毛一本) 7858 1 0 7451 htmvoc_7858.wav シジ ⸣シジ [⸣ʃiʤi] 名 {PoS_1}粒。 ⸢マイヌ⸣ シジ [⸢mainu⸣ ʃiʤi] (米の粒)。 ⸢アー⸣ヌ ⸣シジ [⸢ʔaː⸣nu ⸣ʃiʤi] (粟の粒)。熟語の構成要素として用いられる。 ⸢マイシジ [⸢maiʃiʤi] (米粒)。 ⸢アー⸣シジ [⸢ʔaː⸣ʃiʤi] (粟粒)。 マ⸢ミ⸣シジ [ma⸢mi⸣ʃiʤi] (豆粒)。 ア⸢ミ⸣シジ [ʔa⸢mi⸣ʃiʤi] (雨粒)。 7858 2 0 7452 htmvoc_7858.wav シジ ⸣シジ [⸣ʃiʤi] 助数 {PoS_2}米粒などを数える単位。 プ⸢ス⸣シジ [pu̥⸢su⸣ʃiʤi] (一粒)。 フ⸢タシジ [ɸu̥⸢taʃiʤi] (二粒)。 ⸢ユーシジ [⸢juːʃiʤi] (四粒)。 イ⸢チ⸣シジ [ʔiʧi⸣ʃiʤi] (五粒)。 ⸢マイシジ ミーシジ⸣ シゥ⸢カ⸣ミ ⸣トゥリ [⸢maiʃiʤi miːʃiʤi⸣ sï̥⸢ka⸣mi ⸣turi] (米粒を3粒掴み取れ)。 プ⸢ス⸣シジ フ⸢タシジ⸣ シゥ⸢カ⸣ミ ⸣トゥリ [pu̥⸢su⸣ʃiʤi ɸu̥⸢taʃiʤi⸣ si̥⸢ka⸣mi ⸣turi] (一粒、二粒 掴み取れ) 7859 0 1 7453 htmvoc_7859.wav シジ ⸣シジ [⸣ʃiʤi] 名 {Mn_1}血筋。血統。先祖。 ⸣シジ サ⸢バ⸣クン [⸣ʃiʤi sa⸢ba⸣kuŋ] (先祖からの血筋を解き明かす<捌く>{EOS}縺れた家系を解き明かす)。 7859 0 2 7454 htmvoc_7859.wav シジ ⸣シジ [⸣ʃiʤi] 名 {Mn_2}霊験。霊威。霊力。オモロ語の「せぢ」に相当する。 ⸣シジダカマリ [⸣siʣidkamari] (生まれつき霊力の高い人)。⸣サーダカマリ[⸣saːdakamari](生まれつき霊力の高い人)ともいう。 ⸢バン⸣テヌ イ⸢チバンザー⸣ヌ ⸢ザートゥク⸣ヌ ⸣マイヤー ⸣シジ タ⸢カー⸣ティ ⸢パン⸣マー ⸢ナーリ⸣ ニ⸢バラヌ [⸢ban⸣tenu ʔi⸢ʧibanʣaː⸣nu ⸢ʣaːtuku⸣nu ⸣maijaː ⸣ʃiʤi ta⸢kaː⸣ti ⸢pam⸣maː ⸢naːri⸣ ni⸢baranu] (私の家の一番座の床の前は霊験高いので、足を向けて眠られない)。 ブ⸢ナルンガンマー⸣ シジ タ⸢カーン⸣ティ ア⸢ザリ ブー [bu⸢naruŋgammaː⸣ ʃiʤi tḁ⸢kaːn⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (姉妹神は霊力が高いといわれている) 7860 0 0 7455 htmvoc_7860.wav シジ シ⸢ジ [ʃi⸢ʤi] 名 (動)魚名。ダツの仲間。和名、トオサヨリ(体長約40センチ)。和名、タイワンダツ(体長約1メートル)。和名、オキザヨリ(体長約1メートル)。和名、テンジクダツ(体長約1メートル)の総称。鳩間島の海岸から磯釣りでよく釣れる。⸢トゥーシジャー[⸢tuːʃiʤaː](ハマダツ{EOS}オキザヨリ{EOS}体長約1メートル)は沖で釣れるが、磯釣りでも釣れる。秋から冬にかけてよく釣れた。 シ⸢ジェー⸣ パ⸢マー⸣ラン ⸣ユー ⸢ホーサリ⸣タン [ʃi⸢ʤeː⸣ pa⸢maː⸣raɲ ⸣juː ⸢hoːsari⸣taŋ] (ダツの仲間は磯<浜>からもよく釣れた) 7861 0 0 7456 htmvoc_7861.wav シジウン シ⸢ジ⸣ウン [ʃi⸢ʤi⸣ʔuŋ] 名 丸煮した芋。「煎じ芋」の義。 ウ⸢ブ⸣ナベーラ シ⸢ジ⸣ウン ⸢バー⸣キナ ウ⸢ティ⸣クー [ʔu⸢bu⸣nabeːra ʃi⸢ʤi⸣ʔum ⸢baː⸣kina ʔu⸢ti⸣kuː] (大鍋<四枚鍋>から丸煮した芋を竹笊に移して持ってきなさい) 7862 0 0 7457 htmvoc_7862.wav シジカスン シ⸢ジカスン [ʃi⸢ʤikasuŋ] 他動 続かせる。 シ⸢グトー⸣ シ⸢ジカスンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢ジカサラン⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢ʤikasunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢ʤikasaran⸣ nari ⸢naː⸣nu] (仕事は続かせようと思ったが続かせられなくなった)。 シ⸢ジカシ⸣ プサカー シ⸢ジカス⸣ クトゥ [ʃi⸢ʤikaʃi⸣ pu̥sakaː ʃi⸢ʤikasu⸣ ku̥tu] (続かせたかったら続かせることだ)。 シ⸢ジカセー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢ʤikaʃeː⸣ misamunu] (続かせれよいのに)。 シ⸢グトー⸣ エン ⸢バー⸣キ シ⸢ジカシ [ʃi⸢gutoː⸣ jem ⸢baː⸣ki ʃi⸢ʤikaʃi] (仕事は来年まで続かせよ) 7864 0 0 7458 htmvoc_7864.wav シジカタ シ⸢ジ⸣カタ [si⸢ʣi⸣kata] 名 父方の血筋。父系血族。「筋方」の義。 シ⸢ジ⸣カタ サ⸢バ⸣クン [si⸢ʣi⸣kata sa⸢ba⸣kuŋ] (父方の血統を辿る<さばく{EOS}捌く>)。血統が分からなくなって、カ⸢カリ⸣ムン[kḁ⸢kari⸣muŋ](先祖の祟りごと)がある場合、ユ⸢タ[ju⸢ta](与太{EOS}巫女)に頼んで血統を捌いてもらい、祈願をした。 シ⸢ジ⸣カタ サ⸢バカ⸣スン [si⸢ʣi⸣kata sa⸢baka⸣suŋ] (血統を正す<捌かせる>) 7863 0 0 7459 htmvoc_7863.wav シジカニ シ⸢ジカニ [ʃi⸢ʤikani] 形動 静かに。おだやか(穏やか)に。ひっそりして。動作の激しくないさまを表す。歌謡語。/イヤイヤー ユタカナルユヌ シルシサミエー アミヤ トゥカグシ カジヤ シジカニ シクリムジクイ マンサク ソーリバ~/(いやいや<弥弥>、豊かなる御世の兆候というものだ{EOS}雨は十日越しに降り、風は静かに吹いて、農作物は満作して<豊かに実って>おりますので~{EOS})(⸢鳩間口説」{EOS}『鳩間島古典民謡古謡集』) 7876 0 0 7460 htmvoc_7876.wav シジガラ シ⸢ジ⸣ガラ [ʃi⸢ʤi⸣gara] 名 茶殻。だしがら(出し殻)。茶の出涸らし。「煎じがら」の転訛したもの。 ⸢サー⸣ヌ シ⸢ジ⸣ガラー シ⸢ティティ サンピン⸣チャー イ⸢リティ⸣ サー ⸢サイ⸣バ [⸢saː⸣nu ʃi⸢ʤi⸣garaː ʃi̥⸢titi sampin⸣ʧaː ʔi⸢riti⸣ saː ⸢sai⸣ba] (お茶の出涸らしを捨ててサンピン茶<香片茶>を入れてお茶を注ぎなさいよ) 7865 0 0 7461 htmvoc_7865.wav シシキ ⸢シシキ [⸢ʃiʃi̥ki] 名 躾け。叩いて躾けること。厳しく躾けること。折檻。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンヌ ⸢シシケー バシキラヌ [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kennu ⸢ʃiʃi̥keː baʃi̥kiranu] (子供の時の厳しい躾けは忘れない)。 ⸢ヤー⸣ナーティヌ ⸢シシキヌ ワッ⸣サカー プ⸢スン⸣ バ⸢ラーリン⸣ダー [⸢jaː⸣naːtinu ⸢ʃiʃi̥kinu was⸣sakaː pu̥⸢sum⸣ ba⸢raːrin⸣daː] (家での躾が悪いと人に笑われるよ) 7435 0 0 7462 htmvoc_7435.wav シシキルン ⸢シシキルン [⸢ʃiʃi̥kiruŋ] 他動 叩いて躾ける。「仕付ける」の義。礼儀作法を身につけさせる。罰を与える。 ⸢ウンザー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カンバ シシキルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣ドゥーシェー ⸢シシキラランバ ワー⸣シ ⸢シシキ ッふィーリ [⸢ʔunʣaː⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni sï̥⸢kamba ʃiʃi̥kirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸣duːʃeː ⸢ʃiʃi̥kiraramba waː⸣ʃi ⸢ʃiʃi̥ki ffiːri] (そいつは親の言う事を聞かないので叩いて躾けようと思うが、自分では叩いて躾けられないので君で叩いて躾けてくれ)。 ⸢シシキル⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣タンティン グ⸢マーン⸣ケンラー ⸢シシキレー⸣ ミサムヌ [⸢ʃiʃi̥kiru⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːn⸣tantiŋ gu⸢maːŋ⸣kenraː ⸢ʃiʃi̥kireː⸣ misamunu] (叩いて躾ける人がいなくても、小さい時から叩いて躾ければよいのに)。 マ⸢ナマン⸣ケンナー ⸢シシキリ [ma⸢namaŋ⸣kennaː ⸢ʃiʃi̥kiri] (今のうちに叩いて躾けてやれ<躾けれ>)。 ッ⸢ふァ シシキルン [f⸢fa ʃiʃi̥kiruŋ] (子供を厳しく躾ける)。 ⸢シシキラヌ [⸢ʃiʃi̥kiranu] (厳しく躾けない)。 ⸢シシキラリン [⸢ʃiʃi̥kirariŋ] (躾けられる)。 ⸢シシキ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢ʃiʃi̥ki⸣ f⸢fiːri] (厳しく躾けてくれ)。 ッ⸢ふァ シシキル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [f⸢fa ʃiʃi̥kiru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (子供を厳しく躾ける人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢シシキレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʃiʃi̥kireː⸣ misamunu] (もっと厳しく躾ければ良いのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢シシキリ [⸣duːʃi ⸢ʃiʃi̥kiri] (自分で厳しく躾けろ)。 ッ⸢ふァバ シシキルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ⸢シシキラランバ ワー⸣シ ⸢シシキ ッふィーリ [f⸢faba ʃiʃi̥kirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ⸢ʃiʃi̥kiraramba waː⸣ʃi ⸢ʃiʃi̥ki ffiːri] (子供を叩いて指導しようと思うが、私には叩いて指導出来ないから君の方で叩いて指導してくれ)。 ⸢シシキル⸣ プソー ⸢シシキレー⸣ ミサムヌ [⸢ʃiʃi̥kiru⸣ pu̥soː ⸢ʃiʃi̥kireː⸣ misamunu] (叩いて教える時は叩いて教えればよいのに)。 ⸣ユー ⸢シシキリ [⸣juː⸢ʃiʃi̥kiri] (厳格に指導せよ<よく叩いて躾なさい>) 7874 0 0 7463 htmvoc_7874.wav シジキルン シ⸢ジキルン [ʃi⸢ʤikiruŋ] 他動 続ける。切らずに繋げる。 シ⸢ジキ⸣ プサカー シ⸢ジキル⸣ クトゥ [ʃi⸢ʤiki⸣ pu̥sakaː ʃi⸢ʤikiru⸣ ku̥tu] (続けたかったら続けることだ)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ジキレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢ʤikireː⸣ misamunu] (もっと続ければよいのに)。 ク⸢レー⸣ シ⸢ジキリ [ku⸢reː⸣ ʃi⸢ʤikiri] (これは続けなさい<続けれ>)。 シ⸢グトー⸣ シ⸢ジキルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー シ⸢ジカラヌ [ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢ʤikirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʃi⸢ʤikaranu] (仕事は続けたいが、一人では続けられない)。 シ⸢ジキル⸣ プ⸢ソー⸣ シ⸢ジキ⸣ プサカー シ⸢ジキレー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢ʤikiru⸣ pu̥⸢soː⸣ ʃi⸢ʤiki⸣ pu̥sakaː ʃi⸢ʤikireː⸣ misamunu] (続ける人は、続けたければ続ければよいのに)。 ⸣クナーティ シ⸢ジキリ [⸣kunaːti ʃi⸢ʤikiri] (此処で続けろ<続けれ>)。 シ⸢ジキ⸣ プサカー シ⸢ジケー⸣ ミサムヌ シ⸢ジクンティ スー⸣ キ⸢ムヌ⸣ル ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢ʤiki⸣ pu̥sakaː ʃi⸢ʤikeː⸣ misamunu ʃi⸢ʤikunti suː⸣ ki⸢munu⸣ru ⸢naː⸣nu] (続けたいなら続けばよいものを、続けようという気持ちがないのだ)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ヤー⸢ディン⸣ シ⸢ジキ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ jaː⸢diŋ⸣ ʃi⸢ʤiki] (この仕事は必ず続けろ) 7868 0 0 7464 htmvoc_7868.wav シジグル シ⸢ジ⸣グル [ʃi⸢ʤi⸣guru] 名 煎じ糟。煎じ殻。 ⸢サー⸣ヌ シ⸢ジ⸣グロー ⸢オー⸣ヌイーナ イ⸢リティ⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢saː⸣nu ʃi⸢ʤi⸣guroː ⸢ʔoː⸣nuʔiːna ʔi⸢riti⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (お茶の煎じ糟は豚の餌に入れて食わせなさいよ) 7869 0 0 7465 htmvoc_7869.wav シジクン シ⸢ジクン [ʃi⸢ʤikuŋ] 自動 続く。 ⸢ジン⸣マー イ⸢チンバー⸣キン シ⸢ジクンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢ジカンバン [⸢ʤim⸣maː ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ʃi⸢ʤikunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢ʤikambaŋ] (お金は何時までも続くと思ったが続かないわい)。 シ⸢ジク⸣ シ⸢グトゥル⸣ マ⸢シ [ʃi⸢ʤiku⸣ ʃi⸢guturu⸣ ma⸢ʃi] (続く仕事がよい<増しだ>)。 シ⸢ジキブン [ʃi⸢ʤiki buŋ] (続いている)。 シ⸢ジケー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢ʤikeː⸣ misamunu] (続けばよいのに)。 マー⸢ン バー⸣キン シ⸢ジキ [maː⸢m baː⸣kiŋ ʃi⸢ʤiki] (何処までも続けよ)。「鳩間口説」に「~シジク ワシマニ スダチ ンチャリバ~(続く我が島に育ってみれば~)」とある。 ⸢ダイヌ⸣ タ⸢カー⸣カー シ⸢ジク ムヌン⸣ シ⸢ジカヌ [⸢dainu⸣ ta⸢kaː⸣kaː ʃi⸢ʤiku munuŋ⸣ ʃi⸢ʤikanu] (値段が高かったら、続くものも続かない) 7870 0 0 7466 htmvoc_7870.wav シジコーマ シ⸢ジコー⸣マ [ʃi⸢ʤikoː⸣ma] 名 ゆで卵。煮抜き卵。鶏卵を殻のまま茹でたもの。 シ⸢ジコー⸣マ ミ⸢ジ⸣ナー ⸢ピーラシ⸣ティ ッ⸢ふァイ⸣バ [ʃi⸢ʤikoː⸣ma mi⸢ʤi⸣naː ⸢piːraʃi̥⸣ti f⸢fai⸣ba] (ゆで卵を水に冷やして食べなさい)。 シ⸢ジコー⸣マーラ ⸢ホッファー⸣ル ン⸢マ⸣ー [ʃi⸢ʤikoː⸣maːra ⸢hoɸɸaː⸣ru ʔm⸢ma⸣ː] (茹で卵よりも卵焼きが美味しい) 7878 0 0 7467 htmvoc_7878.wav シジサバクン ⸣シジ サ⸢バ⸣クン [⸣ʃiʤi sa⸢ba⸣kuŋ] 連 父方血縁の元祖を訪ねも止める。元祖を捜し求める。 ⸣シジ サ⸢バ⸣クンティ イ⸢サンケー⸣ナ ⸢ギーティ クー⸣タ [⸣ʃiʤi sa⸢ba⸣kunti ʔi⸢saŋkeː⸣na ⸢giːti kuː⸣ta] (セジ<父方血縁の元祖>を捜そうと石垣島へ行ってきた) 8816 0 0 7468 htmvoc_8816.wav シジジル シ⸢ジ⸣ジル [ʃi⸢ʤi⸣ʤiru] 名 煎じ汁。煮出汁。⸢シンジ⸣ジル[⸢ʃinʤi⸣ʤiru](煎じ汁)ともいう。 ギ⸢ラ⸣ヌ シ⸢ジ⸣ジル ヌ⸢マ⸣スカー サ⸢ギ⸣ルン [gi⸢ra⸣nu ʃi⸢ʤi⸣ʤiru nu⸢ma⸣sukaː sa⸢gi⸣ruŋ] (シャコ貝の煎じ汁を飲ませると、のぼせ<逆上>が下がる) 7871 0 0 7469 htmvoc_7871.wav シジダカーン シ⸢ジダカー⸣ン [ʃi⸢ʤidakaː⸣ŋ] 形 霊力が強い(セジ高い)。霊験あらたかである。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ウ⸢ガン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ シ⸢ジダカー⸣ン [pḁ⸢tuma⸣nu ʔu⸢gam⸣maː ʔik⸢kena⸣ ʃi⸢ʤidakaː⸣ŋ] (鳩間の御嶽<お願>は非常に霊力が強い<セジ高い>{EOS}クバ<蒲葵>やクロツグ<桄榔>、福木、ヤラブ<テリハボク>などの大木が密生していて、そこへ入るだけで鳥肌が立つような雰囲気を漂わせている)。 シ⸢ジダカー⸣ ア⸢ロー⸣ルン [ʃi⸢ʤidakaː⸣ ʔa⸢roː⸣ruŋ] (セジ高くあらせられる)。 ウ⸢ガン⸣マー シ⸢ジダカー⸣ヌ ⸢ペーララ⸣ヌ [ʔu⸢gam⸣maː ʃi⸢ʤidakaː⸣nu ⸢peːrara⸣nu] (御嶽はセジ高くて、立ち入りできない<入られない>)。 マ⸢リットーラ⸣ シ⸢ジダカー⸣ プ⸢ス [ma⸢rittoːra⸣ ʃi⸢ʤidakaː⸣ pu̥⸢su] (生まれつきセジの高い人)。 ブ⸢ナルンガンマー⸣ シ⸢ジダカー⸣ンティ ア⸢ザリブー [bu⸢naruŋgammaː⸣ ʃi⸢ʤidakaː⸣nti ʔa⸢ʣari buː] (をなり<姉妹>神は霊力が高いといわれている)。 グ⸢マー⸣タンケンマー シ⸢ジダカ⸣ー ⸢ナーン⸣シェンドゥ フ⸢ドゥブンアーシ⸣ シ⸢ジダカー⸣ ナルン [gu⸢maː⸣taŋkemmaː ʃi⸢ʤidaka⸣ː ⸢naːŋ⸣ʃendu ɸu⸢dubuŋ⸣ʔaː⸢ʃi⸣ ʃi⸢ʤidakaː⸣ naruŋ] (小さかった時はセヂ高くなかったが、成長するにつれてセヂ高くなる)。 シ⸢ジダカー⸣ プ⸢ソー⸣ マ⸢リットーラ⸣ キ⸢マリ ブー [ʃi⸢ʤidakaː⸣ pu̥⸢soː⸣ ma⸢rittoːra⸣ ki⸢mari buː] (セヂ高い人は生まれつき決まっている) 7879 0 0 7470 htmvoc_7879.wav シジックル シ⸢ジッ⸣クル [ʃi⸢ʤik⸣kuru] 名 何度も煎じた後の煎じ殻(出し殻)。 ダ⸢シ⸣ヌ シ⸢ジッ⸣クロー シ⸢ティリ⸣バ [da⸢ʃi⸣nu ʃi⸢ʤik⸣kuroː ʃi̥⸢tiri⸣ba] (出汁の出涸らし<煎じ殻>は捨てろよ) 7872 0 0 7471 htmvoc_7872.wav シジフチル シ⸢ジフチ⸣ル [ʃi⸢ʤiɸuʧi⸣ru] 名 煎じ薬。 ⸣アッパー シ⸢ジフチ⸣ル ヌ⸢ミトゥー⸣シ ⸢オー⸣ル [⸣ʔappaː ʃi⸢ʤiɸuʧi⸣ru nu⸢mituː⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ru] (お祖母さんは煎じ薬を飲み続けて<飲み通して>おられる)。 シ⸢ジフチ⸣ル ⸣シジ ヌ⸢マ⸣スカー バ⸢タヤン⸣マー ⸢ノー⸣ルン [ʃi⸢ʤiɸu̥ʧi⸣ru ⸣ʃiʤi nu⸢ma⸣sukaː ba⸢tajam⸣maː ⸢noː⸣ruŋ] (煎じ薬を煎じて飲ませると腹痛は治る) 7880 0 0 7472 htmvoc_7880.wav シジマルン シ⸢ジマルン [ʃi⸢ʤimaruŋ] 自動 縮まる。縮む。縮こまる。縮んだ状態になる。ス⸢ク⸣マルン[su̥⸢ku⸣maruŋ](竦まる)ともいう。 ⸢マイ⸣ヌ プ⸢ストゥヌ⸣ ナカー ⸢シンダイ⸣ シ⸢ジマリ⸣ クンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ シ⸢ジマランバン [⸢mai⸣nu pu̥⸢sutunu⸣ nakaː ⸢ʃindai⸣ ʃi⸢ʤimari⸣ kunti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢da⸣ ʃi⸢ʤimarambaŋ] (先頭<前>の人との間は次第に縮まってくると思ったが、まだ縮まらないわい)。 シ⸢ジマル⸣ クトー シ⸢ジマルンドゥ マー⸣ビン シ⸢ジマレー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢ʤimaru⸣ ku̥toː ʃi⸢ʤimarundu maː⸣biŋ ʃi⸢ʤimareː⸣ misamunu] (縮まることは縮まるが、もっと縮まればよいのに)。 シ⸢ジマリ [ʃi⸢ʤimari] (縮まれ) 7881 0 0 7473 htmvoc_7881.wav シジマルン シ⸢ジ⸣マルン [ʃi⸢ʤi⸣maruŋ] 自動 静まる。若年層は、シ⸢ズ⸣マルン[ʃi⸢ʣu⸣maruŋ](静まる)という。 カ⸢ジヌ⸣ シ⸢ジ⸣マルンケン ⸣マティ ⸢ベー⸣ンドゥ シ⸢ジマラン⸣バン [ka⸢ʤinu⸣ ʃi⸢ʤi⸣maruŋkem ⸣mati ⸢beː⸣ndu ʃi⸢ʤimaram⸣baŋ] (台風が静まるまで待っているが、静まらないよ)。 ⸣キューズーナ シ⸢ジ⸣マル ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢シンダイ⸣ シ⸢ジ⸣マリ ⸣クーン [⸣kjuːʣuːna ʃi⸢ʤi⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢ʃindai⸣ ʃi⸢ʤi⸣mari ⸣kuːŋ] (今日中に<台風が>静まることはないが、次第に静まってくる) 7897 0 0 7474 htmvoc_7897.wav シジミチ ⸣シジミチ [⸣ʃiʤimiʧi] 名 筋道。道理。 パ⸢ナ⸣シェー ⸣シジミチェー ⸣タティティ パ⸢ナサバ⸣ル ワ⸢カ⸣ル [pa⸢na⸣ʃeː ⸣ʃiʤimiʧeː ⸣tatiti pa⸢nasaba⸣ru wa⸢ka⸣ru] (話は筋道を立てて話してこそ<話さばぞ>理解できる<分かる>ものだ) 7882 0 0 7475 htmvoc_7882.wav シジミラリン シ⸢ジミラ⸣リン [ʃi⸢ʤimira⸣riŋ] 他動 片付けられる。下一段系動詞、シ⸢ジミ⸣ルン[ʃi⸢ʤimi⸣ruŋ](片付ける)の連用形に可能の助動詞⸢ラ⸣リン[⸢ra⸣riŋ](られる)が下接して形成された、可能動詞。 ⸣クマー ⸢タンガ⸣シン シ⸢ジミラ⸣リン [⸣kumaː ⸢taŋga⸣ʃiŋ ʃi⸢ʣumira⸣riŋ] (ここは一人でも片付けられる) 7883 0 0 7476 htmvoc_7883.wav シジミルン シ⸢ジミ⸣ルン [ʃi⸢ʤimi⸣ruŋ] 他動 片付ける。静める。落ち着かせる。 パ⸢ニポー⸣リ ⸣シケー ⸣ムヌバ シ⸢ジミ⸣ルンテイ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢ジミララ⸣ヌ [pa⸢nipoː⸣ri ⸣ʃi̥keː ⸣munuba ʃi⸢ʤimi⸣runti ⸢beː⸣nundu mut⸢tu⸣ ʃi⸢ʤimirara⸣nu] (撒き散らしてあるものを片付けようとしているが、ちっとも片付けられない)。 シ⸢ジミ⸣ プサカー シ⸢ジミ⸣ル プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ [ʃi⸢ʤimi⸣ pu̥sakaː ʃi⸢ʤimi⸣ru pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi] (片付けたかったら、片付ける人を頼め)。 シ⸢ジミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ʤi⸣mireː ⸣misamunu] (片付ければいいのに)。 ⸢パイ⸣サ シ⸢ジミ⸣リ [⸢pai⸣sa ʃi⸢ʤimi⸣ri] (早く片付けろ<片付けれ>) 7884 0 0 7477 htmvoc_7884.wav シジミルン シ⸢ジミルン [ʃi⸢ʤimiruŋ] 他動 縮める。短縮する。 ン⸢メーマ⸣ シ⸢ジミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヌー⸣シ サ⸢バル⸣ シ⸢ジミラリ⸣カヤー シ⸢ジミ ッふィラン⸣ノーレー [ʔm⸢meːma⸣ ʃi⸢ʤimirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢nuː⸣ʃi sa⸢baru⸣ ʃi⸢ʤimirari⸣kajaː ʃi⸢ʤimi ffiːran⸣noːreː] (少し縮めようと思うが、どうしたら縮められるかねえ{EOS}縮めてくれないかねえ)。 ⸣バーヤ シ⸢ジミル⸣クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ⸢ワーヤ⸣ シ⸢ジミリ [⸣baːja ʃi⸢ʤimiru⸣ ku̥toː na⸢ranu⸣nu ⸢waːja⸣ ʃi⸢ʤimiri] (私は縮めることは出来ないが、君は縮めろ)。 シ⸢ジメー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢ʤimeː⸣ misamunu] (縮めればよいのに) 7885 0 0 7478 htmvoc_7885.wav シジュームドゥルチ シ⸢ジュームドゥル⸣チ [ʃi⸢ʤuːmuduru⸣ʧi] 名 四十歳頃に視力が戻ること。 シ⸢ジュームドゥル⸣チ ⸢シー⸣ マ⸢ナ⸣マー パ⸢ル⸣ヌミー ⸣イトゥ ⸢トゥーサ⸣リン⸢ダー [ʃi⸢ʤuːmuduru⸣ʧi ⸢ʃiː⸣ ma⸢na⸣maː pa⸢ru⸣numiː ⸣ʔitu ⸢tuːsa⸣rin⸢daː] (視力が四十戻りして、今は針の孔に糸を通すことが出来るよ) 7886 0 0 7479 htmvoc_7886.wav シジリ シ⸢ジ⸣リ [ʃi⸢ʤi⸣ri] 名 硯。「Suzuri、スズリ(硯)日本のインク壺」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 シ⸢ジ⸣リナ ⸣シン ⸣ッシティ ⸢シン⸣スブナ イ⸢リリ [ʃi⸢ʤi⸣rina ⸣ʃiŋ ⸣ʃʃiti ⸢ʃin⸣subuna ʔi⸢riri] (硯に墨を擦って墨壺に入れなさい) 2729 0 0 7480 htmvoc_2729.wav シジリカジリ ⸣シジリカジリ [⸣ʃiʤirikaʤiri] 副 爛れて縮れ\ruby{捩}{ヨジレ}れるさま。 ア⸢チ⸣ユーナ ユ⸢ダ⸣リティ ⸢ティー⸣ヌ ⸢カー⸣ヤ ⸣シジリカジリ ⸢スン⸣ケン タ⸢ダリティ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァーン [ʔa⸢ʧi⸣juːna ju⸢da⸣riti ⸢tiː⸣nu ⸢kaː⸣ja ⸣ʃiʤirikaʤiri ⸢suŋ⸣ken ta⸢dariti⸣ ki⸢mui⸣ʦaːŋ] (熱湯に茹でられて手の皮は縮れるほどに爛れて可哀相だ) 2728 0 0 7481 htmvoc_2728.wav シジルン シ⸢ジ⸣ルン [ʃi⸢ʤi⸣ruŋ] 自動 \ruby{爛}{タダ}れちぢれる(縮れる)。爛れよじれる(\ruby{捩}{ヨジ}れる)。 ア⸢チ⸣ユーナ ユ⸢ダ⸣リティ ⸢ティー⸣ヌ⸣カー シ⸢ジ⸣リ パリ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʧi⸣juːna ju⸢da⸣riti ⸢tiː⸣nu ⸣kaː ʃi⸢ʤi⸣ri pari⸢naː⸣nu] (熱湯で茹でられて手の皮が\ruby{爛}{タダ}れ縮れて破れていってしまった)。 シ⸢ジラ⸣ヌ [ʃi⸢ʤira⸣nu] (爛れ縮れない)。 フ⸢キ⸣ユーナ タ⸢ク⸣ヌ ⸣ティー イ⸢ル⸣カー ⸣カー シ⸢ジ⸣ルン [ɸu⸢ki⸣juːna ta⸢ku⸣nu ⸣tiː ʔi⸢ru⸣kaː ⸣kaː ʃi⸢ʤi⸣ruŋ] (沸騰した湯に蛸の手を入れると皮が爛れ縮れる)。 ⸢カー⸣ヌ シ⸢ジ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaː⸣nu ʃi⸢ʤi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (皮が爛れ縮れることは無い)。 シ⸢ジ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ʤi⸣reː ⸣misamunu] (爛れ縮ればよいのに) 7436 0 0 7482 htmvoc_7436.wav シスクン ⸢シスクン [⸢ʃisu̥kuŋ] 他動 叩いて躾ける。厳しく躾ける。礼儀作法を身につけさせる。「しつく<下二段活用>」の四段活用動詞化したもの。⸢シシキルン[⸢ʃiʃi̥kiruŋ](厳しくしつける{EOS}処罰して教える)ともいう。 ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァー シスクンティ⸣ ウムーカー ⸣ドゥーシル ⸢シスク⸣ プ⸢スンマー シシカサラヌ シシキ⸣ プサー ⸢ナーン⸣タンティン ⸣アイ サ⸢バル⸣ ナル [⸢duː⸣nu f⸢faː ʃisu̥kunti⸣ ʔumuːkaː ⸣duːʃiru ⸢ʃisuku⸣ pu⸢summaː ʃiʃi̥kasaranu ʃiʃi̥ki⸣ pu̥saː ⸢naːn⸣tantiŋ ⸣ʔai sa⸢baru⸣ naru] (自分の子供を躾けようと思うなら自分で躾けるのであって、他人には躾けさせられない{EOS}躾けたくなくてもそうすべきである)。 ⸢マー⸣ビン ⸢シシケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʃiʃi̥keː⸣ misamunu] (もっと躾ければよいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢シシキ [⸣duːʃi ⸢ʃiʃi̥ki] (自分で躾けろ)。 ビ⸢ケーヤ⸣ ッ⸢ふァ シスクンドゥ⸣ ブ⸢ネーヤ⸣ カ⸢タ⸣カ シ⸢ティ⸣ イッ⸢カ シシカヌ [bi⸢keːja⸣ f⸢fa ʃi̥sukundu⸣ bu⸢neːja⸣ kḁ⸢ta⸣ka ʃi̥⸢ti⸣ ʔik⸢ka ʃiʃi̥kanu] (父親は子供を\ruby{折檻}{セッ|カン}するが、母親は\ruby{庇}{カバ}って<味方になって>、決して折檻しない)。 ⸢シシキ⸣ プサン [⸢ʃiʃi̥ki⸣ pu̥saŋ] (折檻したい)。 ⸢シスク⸣ クトゥ [ʃisu̥ku⸣ ku̥tu] (折檻すること)。 ⸢シシケー⸣ ミサムヌ [⸢ʃiʃi̥keː⸣ misamunu] (折檻すれば良いのに)。 ⸢シシキ⸣バ [⸢ʃiʃi̥ki⸣ba] (折檻しろよ)。「為付けも無い奴を使うて面目を失う」『虎明本狂言・察化』の義。 ッ⸢ふァバ シスクンティ ベーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ⸢シシゥカランバ ワー⸣シ ⸢シシキッふィーリ [f⸢faba ʃisu̥kunti beːn⸣du ⸢bam⸣maː ⸢ʃiʃi̥karamba waː⸣ʃi ⸢ʃiʃi̥ki ffiːri] (子供を叩いて指導しようと思うが、私には叩いて指導出来ないから君で叩いて指導してくれ)。 ⸢シスク⸣ プス<バス> [⸢ʃisu̥ku⸣ pu̥su] (叩いて指導するとき)。 ⸢シシケー⸣ ミサムヌ [⸢ʃiʃi̥keː⸣ misamunu] (叩いて指導すればいいのに)。 ⸢シシキ [⸢ʃiʃi̥ki] (叩いて指導しなさい) 7888 0 0 7483 htmvoc_7888.wav シズクン シ⸢ズ⸣クン [ʃi⸢ʣu⸣kuŋ] 自動 後へさがる。後ずさりする。退く。退出する。/ヘイヤー ピナイパナヌ ホー マブルシュー ヘイヤー カンパナヌ ウヤンガミ ヘイヤー ニガウカラ シズカ ヘイヤー ティジルカラ ムドゥラ/(へいやー<囃子>鬚川御嶽の、ホー<囃子>守り神<主> ヘイヤー<囃子>最高神の親神、ヘイヤー<囃子>願ってから退こう、ヘイヤー<囃子>手擦り合わせて退こう<戻ろう>)「ピナイウガン<鬚川御嶽>の歌(豊年祭の歌)」『鳩間島古典民謡古謡集』。 シ⸢ズ⸣キ パルン  [ʃi⸢ʣu⸣ki paruŋ] (後ずさりしていく)。 シ⸢ズ⸣クンティ ⸢スーンドゥ⸣ シ⸢ズカラ⸣ヌ [ʃi⸢ʣu⸣kunti ⸢suːndu⸣ ʃi⸢ʣukara⸣nu] (後ずさりしようとするが、後ずさり出来ない)。 シ⸢ズ⸣ク ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢ʣu⸣ku ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (後ずさりすることは出来ない) シ⸢ズ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ʣu⸣keː ⸣misamunu] (後ずさりすればいいのに))。 シ⸢ズ⸣キ [ʃi⸢ʣu⸣ki] (後ずさりせよ) 7889 0 0 7484 htmvoc_7889.wav シズマルン シ⸢ズ⸣マルン [ʃi⸢ʣu⸣maruŋ] 自動 静まる。落ち着く。平静になる。 カ⸢ジフケー⸣ ユネン⸢バー⸣キナー シ⸢ズ⸣マルンティ シ⸢タヌ⸣ シ⸢ズマラン⸣バン⸢ナー [ka⸢ʤiɸukeː⸣ junem⸢baː⸣kinaː ʃi⸢ʣu⸣marunti ʃi̥⸢tanu⸣ ʃi⸢ʣumaram⸣ban⸢naː] (台風<風吹き>は夕方までにはおさまる<静まる>と言ったが、まだ収まらない<静まらない>ねえ)。 ⸢カイシ⸣ヌ ⸣アトー シ⸢ズマリ⸣ パ⸢ヤー⸣ンドゥ ⸢ナン⸣ヌ シ⸢ズ⸣マル ⸣クトー ウ⸢クリス [⸢kaiʃi⸣nu ⸣ʔatoː ʃi⸢ʣumari⸣ pa⸢jaːn⸣du ⸢nan⸣nu ʃi⸢ʣu⸣maru ⸣kutoː ʔu⸢kurisu] (吹返しの後は静まり早いが、荒波が静まることは遅れる)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ズ⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʃi⸢ʣu⸣mareː ⸣misamunu] (早く静まればよいのに)。 ウ⸢ヤーラン⸣ドーシ シ⸢ズ⸣マリ [ʔu⸢jaːran⸣doːʃi ʃi⸢ʣu⸣mari] (大声で騒がないで落ち着け<静まれ>) 7890 0 0 7485 htmvoc_7890.wav シズミルン シ⸢ズミ⸣ルン [ʃi⸢ʣumi⸣ruŋ] 他動 片付ける。整理する。落ち着かせる。 ⸢ヤーン⸣ナカ シ⸢ズミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ シ⸢ズミララヌ [⸢jaːn⸣naka ʃi⸢ʣumi⸣runti ⸢sundu⸣ ʃi⸢ʣumirara⸣nu] (部屋<家の中>を片付けようとするが、片付けられない)。 ⸣クマ シ⸢ズミ⸣ル プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸣kuma ʃi⸢ʣumi⸣ru pu̥⸢soː taː⸣ja] (ここを片付ける人は誰か)。 シ⸢ズミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ʣumi⸣reː ⸣misamunu] (片付ければ良いのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ズミ⸣リ [⸢paː⸣ku ʃi⸢ʣumi⸣ri] (早く片付けろ) 7891 0 1 7486 htmvoc_7891.wav シズムン シ⸢ズ⸣ムン [ʃi⸢ʣu⸣muŋ] 他動 {Mn_1}片付ける。整理する。落ち着かせる。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ナカー シ⸢ズ⸣ムンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢タンガ⸣シェー シ⸢ズマラン⸣バ<シ⸢ズミララン⸣バ> ⸢マー タン⸣ガ シ⸢ズ⸣ム プ⸢ス⸣ ヤ⸢ラシ [⸢jaː⸣nu ⸣nakaː ʃi⸢ʣu⸣munti ⸢beːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʃi⸢ʣumaram⸣ba<ʃi⸢ʣumiraram⸣ba> ⸢maː taŋ⸣ga ʃi⸢ʣu⸣mu pu̥⸢su⸣ ja⸢raʃi] (家の中を片付けようとしているが、一人では片付けられないから、もう一人片付ける人を寄越せ)。 シ⸢ズミ⸣プサカー ⸣ドゥーシ シ⸢ズ⸣ミ [ʃi⸢ʣumi⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi ʃi⸢ʣu⸣mi] (片付けたかったら自分で片付けろ)。 ⸣ドゥーシ シ⸢ズ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ʃi⸢ʣu⸣meː ⸣misamunu] (自分で片付ければよいのに)。 7891 0 2 7487 htmvoc_7891.wav シズムン シ⸢ズ⸣ムン [ʃi⸢ʣu⸣muŋ] 他動 {Mn_2}手の中に握る。 ミー⸢ソー⸣マンツァン ⸣ティーナ シ⸢ズマ⸣シ パ⸢ラ⸣シバ [miː⸢soː⸣manʦan ⸣tiːnaː ʃi⸢ʣuma⸣ʃi pa⸢ra⸣ʃiba] (米味噌をほんの僅かでも手の中に握らせて行かせなさい<握らせて行かせてやりなさい>) 7893 0 0 7488 htmvoc_7893.wav シズラスン シ⸢ズラ⸣スン [ʃi⸢ʣura⸣suŋ] 他動 ずり下ろす。ずらす。 ⸣ナイシマーニ シ⸢ズラ⸣スンティ ウ⸢ムー⸣ヌ シ⸢ズラサラン⸣バ ッ⸢サーラー⸣ シ⸢ズラ⸣シ [⸣naiʃimaːni ʃi⸢ʣura⸣sunti ʔu⸢muː⸣nu ʃi⸢ʣurasaram⸣ba s⸢saːraː⸣ ʃi⸢ʣura⸣ʃi] (縦横にずらせようと思うが、ずらされないので下方にずらせ)。 シ⸢ズラ⸣ス ⸣ピンマー ッ⸢サーラー⸣ シ⸢ズラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ʣura⸣su ⸣pimmaː s⸢saːraː⸣ ʃi⸢ʣura⸣ʃeː⸣misamunu] (ずらせる時は下方へずらせばよいのに)。 シ⸢ズラ⸣シ ⸣ミサン [ʃi⸢ʣura⸣ʃi ⸣misaŋ] (ずらしてよい) 7894 0 0 7489 htmvoc_7894.wav シズリウティルン シ⸢ズ⸣リ ウ⸢ティ⸣ルン [ʃi⸢ʣu⸣ri ʔu⸢ti⸣ruŋ] 連 ずり落ちる。ずれてさがる。滑りって落ちる。 ⸢ウーナイヌ スー⸣カー ⸢カー⸣ラー シ⸢ズ⸣リ ウ⸢ティ⸣ルン [⸢ʔuːnainu suː⸣kaː ⸢kaː⸣raː ʃi⸢zu⸣ri ʔu⸢ti⸣ruŋ] (大地震が起きると<すると>、瓦はずり落ちる) 7895 0 0 7490 htmvoc_7895.wav シズリウトゥン シ⸢ズ⸣リウトゥン [ʃi⸢ʣu⸣riʔutuŋ] 自動 ずり落ちる。ずれさがる。滑り落ちる。 ⸢ナイ⸣ヌ ⸢スー⸣カー ⸢カー⸣ラー シ⸢ズ⸣リウトゥンティ ス⸢クタヌ⸣ シ⸢ズ⸣リ ウ⸢タン⸣シェン [⸢nai⸣nu ⸢suː⸣kaː ⸢kaː⸣raː ʃi⸢ʣu⸣riʔutunti su̥⸢kutanu⸣ ʃi⸢ʣu⸣ri ʔu⸢taŋ⸣ʃeŋ] (地震が起きると瓦がずり落ちると聞いたが、ずり落ちなかった) 7892 0 0 7491 htmvoc_7892.wav シズルン シ⸢ズ⸣ルン [ʃi⸢ʣu⸣ruŋ] 自動 ずり落ちる。ずり下がる。垂れ下がる。滑り落ちる。「しずる<垂る>下二段」の転訛したものか。 フ⸢ク⸣ベー シ⸢ズリ⸣ティ ⸢キン⸣マー フ⸢キン⸣ギサバ シ⸢ズラサン⸣ヨーニ ギッ⸢ティ⸣ シ⸢ミ⸣リ [ɸu̥⸢ku⸣beː ʃi⸢ʣu⸣riti ⸢kim⸣maː ⸢ɸu̥⸢kiŋ⸣gisaba ʃi⸢ʣuraɲ⸣joːni git⸢ti⸣ ʃi⸢mi⸣ri] (帯がずり下がって、きものは抜け落ちそうだから、ずり下がらないようにギュッと引き締めなさい)。 ⸢フッカ⸣シ ⸣パルカー フ⸢ク⸣ベー シ⸢ズ⸣ルンダー シ⸢ズ⸣ル ⸣ピンマー ⸢ヨーンナー⸣ ア⸢ラ⸣キ [⸢ɸu̥kka⸣ʃi ⸣parukaː ɸu̥⸢ku⸣beː ʃi⸢ʣu⸣rundaː ʃi⸢ʣu⸣ru ⸣pimmaː ⸢joːnnaː⸣ ʔa⸢ra⸣ki] (力んで走ると帯はずり下がるから、ずり下がるときはゆっくり歩け)。 シ⸢ズ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ʣu⸣reː ⸣misamunu] (ずり下がればいいのに)。 シ⸢ズリ⸣リ [ʃi⸢ʣuri⸣ri] (ずり下がれ)。 フ⸢ク⸣ベー ギッ⸢ティ⸣ シ⸢マン⸣カー シ⸢ズ⸣ルンダ シ⸢ズラン⸣ ヨーニ ⸣シミバ [ɸu̥⸢ku⸣beː git⸢ti⸣ ʃi⸢maŋ⸣kaː ʃi⸢ʣu⸣runda ʃi⸢ʣuraŋ⸣ joːni ⸣ʃimiba] (帯はぎゅっと締めないとずり下がるから、ずれないように締めなさい)。 ン⸢メーマ⸣ シ⸢ズ⸣リ ⸢ベー [ʔm⸢meːma⸣ ʃi⸢ʣu⸣ri ⸢beː] (少しずり下がっている)。 シ⸢ズ⸣ル フ⸢ク⸣ベー シ⸢ミ⸣ヌ ⸢ヨー⸣パジ [ʃi⸢ʣu⸣ru ɸu̥⸢ku⸣beː ʃi⸢mi⸣nu ⸢joː⸣paʤi] (ずれる帯は締め方が弱いはずだ) 7899 0 1 7492 htmvoc_7899.wav シズン ⸣シズン [⸣ʃiʣuŋ] 他動 {Mn_1}煎じる。薬効のある動植物を湯で煮出す。「煎、センズ」『色葉字類抄』の転訛したもの。 ナ⸢ツァー⸣ラ ⸣シジ ヌ⸢マ⸣スン [na⸢ʦaː⸣ra ⸣ʃiʤi nu⸢ma⸣suŋ] (海人草を煎じて飲ませる)。 ナ⸢ツァー⸣ラ ⸣シズンティ ⸢ベー⸣ンドゥ シ⸢ザラ⸣ヌ [na⸢ʦaː⸣ra ⸣ʃiʣunti ⸢beː⸣ndu ʃi⸢ʣara⸣nu] (海人草を煎じようとしているが、煎じられない)。 ⸣ナビナー ⸣シジ ⸣ミサカー ⸣シズ ⸣クトー ナルン⸢ダー [⸣nabinaː ⸣ʃiʤi ⸣misakaː ⸣ʃiʣu ⸣ku̥toː narun⸢daː] (鍋で煎じて良ければ煎じることは出来るよ)。 ウ⸢リ⸣シ ⸣シジェー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢ri⸣ʃi ⸣ʃiʤeː ⸣midamunu] (それで煎じれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣シジバ [⸢paː⸣ku ⸣ʃiʤiba] (早く煎じなさいよ)。 サ⸢ギフチ⸣ル ⸣シズンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢ザラ⸣ヌ [sa⸢giɸuʧi⸣ru ⸣ʃiʣunti ʔu⸢muːn⸣du mut⸢tu⸣ ʃi⸢ʣara⸣nu] (下げ薬を煎じようと思うが、ちっとも煎じられない)。 ⸣シズ ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸣シジ [⸣ʃiʣu ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸣ʃiʤi] (煎じるものは早く煎じよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸣シジェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣ʃiʤeː ⸣misamunu] (もっと煎じればよいのに)。 7899 0 2 7493 htmvoc_7899.wav シズン ⸣シズン [⸣ʃiʣuŋ] 他動 {Mn_2}豚の脂肉を油鍋で焼いて脂肪を抽出する。絞り出す。 ⸢オー⸣ヌ ⸣アバ ⸣シズン [⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔaba ⸣ʃiʣuŋ] (脂肉を焼いて脂を抽出する{EOS}煎じ出す) 7904 0 0 7494 htmvoc_7904.wav シタ ⸣シタ [⸣ʃi̥ta] 名 舌。 シ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤムン [ʃi̥⸢ta⸣nu ⸣jamuŋ] (舌が痛い<病む>)。 シ⸢タ⸣ヌ ⸢ニー⸣ヌ ⸢カーラカン⸣ケンナー ク⸢トゥムニ⸣バ イ⸢ジ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ʃi̥⸢ta⸣nu ⸢niː⸣nu ⸢kaːrakaŋ⸣kennaː ku̥⸢tumuni⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ nuːja ʔu⸢reː] (舌の根が乾かぬうちに別のことを<異物言い>言って、何だこれは)。 ⸣シタ ン⸢ザ⸣スン [⸣ʃi̥ta ʔn⸢ʣa⸣suŋ] (舌を出す{EOS}イダ⸢リー{SqBr}ʔida⸢riː{/SqBr}<まあ汚い>といって、陰で人をばかにする{EOS}⸣アガヤー{SqBr}⸣ʔagajaː{/SqBr}<しまった>と照れ隠しをする) 7905 0 0 7495 htmvoc_7905.wav シタ ⸣シタ [⸣ʃi̥ta] 名 下。歌謡語。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌ シタニ パリヌブリ ハイヤヨーティバ カイダキ ティトゥルトゥ テンヨー マサティ ミグトゥ/(鳩間中岡<ナカムリ>に駆け上って、<囃子>南の方はといえば、美しい古見の連山<岳々>が手に取るようで、誠に見事である)(鳩間中岡<ナカムリ>) 7907 0 0 7496 htmvoc_7907.wav シダーシダーシ シ⸢ダーシダー⸣シ [ʃi⸢daːʃidaː⸣ʃi] 副 涼しく。ひんやりとして気持ちよく。涼やかに。 ⸢キーヌ ッサー⸣ラー シ⸢ダーシダー⸣シ カ⸢ジヌ⸣ フキティ イッ⸢ケナ⸣ ピ⸢ラ⸣ケーン [⸢kiːnu ssaː⸣raː ʃi⸢daːʃidaː⸣ʃi ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kiti ʔik⸢kena⸣ pi⸢ra⸣keːŋ] (木の下は涼やかに風が吹いて非常に涼しい) 7961 0 0 7497 htmvoc_7961.wav シダーシダーシ シダー⸢シダー⸣シ [ʃidaː⸢ʃidaː⸣ʃi] 副 ひんやりと。涼しく。爽やかに。清清しく。「すずすず<涼涼>、心もすずすずとして『玉塵抄』」の義。 ナ⸢チヌ⸣ ユ⸢ネン⸣マー シ⸢ダーシダー⸣シ カ⸢ジヌ⸣ フク ⸣トンナール プ⸢ソー⸣ ア⸢ツァマル⸣タ [na⸢ʧinu⸣ ju⸢nem⸣maː ʃi⸢daːʃidaː⸣ʃi ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ku ⸣tonnaːru pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ʦamaru⸣ta] (夏の夕方は、涼しく風の吹くところに<ぞ>人は集まった) 7952 0 0 7498 htmvoc_7952.wav シダースン シ⸢ダースン [ʃidaːsuŋ] 他動 お洒落をする。着飾る。化粧をする。身なりを整える。装飾を施す。「仕出し」『三体詩抄二ノ二』、「Xidaxi.シダシ(為出し)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー シ⸢ダーシティ⸣ ア⸢サビン パッ⸣タ [mi⸢doːŋ⸣ffaː ʃi⸢daːʃi̥ti⸣ ʔa⸢sabim pat⸣ta] (女の子はおしゃれをして遊びにいった)。 シ⸢ダーサン⸣タンティン ⸣ミサンドゥ シ⸢ダースンティ ベー [ʃi⸢daːsan⸣tantim ⸣misandu ʃi⸢daːsunti beː] (おしゃれをしなくても良いが、おしゃれをしようとしている)。 シ⸢ダース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʃi⸢daːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (おしゃれをする人はいない)。 シ⸢ダーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢daːʃeː⸣ misamunu] (おしゃれをすればいいのに)。 シ⸢ダーシ⸣バ [ʃi⸢daːʃi⸣ba] (おしゃれをしなさい)。 ⸢キュー⸣ヤ シ⸢ダーシティ マー⸣ パ⸢ル⸣ワ [⸢kjuː⸣ja ʃi⸢daːʃi̥ti maː⸣ pa⸢ru⸣wa] (今日はお化粧をして何処へ行くのか)。 ブ⸢ドゥルシンカー ナーメーメー⸣ シ⸢ダースンティ シー ベーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー シ⸢ダーサランバ⸣ シ⸢ダース⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ [bu⸢duruʃiŋkaː naːmeːmeː⸣ ʃi⸢daːsunti ʃiːbeːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʃi⸢daːsaramba⸣ ʃi⸢daːsu⸣ pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi] (踊り手達<「踊り臣下」の義{EOS}踊り仲間>は各自で化粧をしようとしているが、一人では化粧できないので、化粧する人を頼め)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ダーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢daːʃeː⸣ misamunu] (もっと化粧すればよいのに)。 ⸢パーレー⸣ フニ シ⸢ダースン [⸢paːreː⸣ɸuni ʃi⸢daːsuŋ] (爬竜船を磨いて美しく飾る<装飾を施す>) 7909 0 1 7499 htmvoc_7909.wav シターマ シ⸢ター⸣マ [ʃi̥⸢taː⸣ma] 名 {Mn_1}小さな舌。 ア⸢ガッふァー⸣マー シ⸢ター⸣マ ン⸢ザ⸣シティ ⸢シー⸣バ サ⸢ドゥリ⸣ ブ⸢リン⸣ギササー [ʔa⸢gaffaː⸣maː ʃi̥⸢taː⸣ma ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢ʃiː⸣ba sa⸢duri⸣ bu⸢riŋ⸣gisa⸢saː] (赤子は小さな舌を出して、お乳を探っているようだよ)。 7909 0 2 7500 htmvoc_7909.wav シターマ シ⸢ター⸣マ [ʃi̥⸢taː⸣ma] 名 {Mn_2}ヌ⸢ドゥ⸣ヌ シ⸢ター⸣マ[nu⸢du⸣nu ʃi̥⸢taː⸣ma](のどちんこ{EOS}口蓋垂{EOS}「喉の小舌」の義) 7910 0 0 7501 htmvoc_7910.wav シターマキー シ⸢ター⸣マキー [ʃi̥⸢taː⸣makiː] 名 (植)和名、エゴノキ。西表島北岸の山林に自生している。鳩間島の人の水田の上流一帯の山林から建築用材の⸣キチ[⸣kiʧi](垂木)材として伐り出したり、薪炭用材として切り出したりした。 シ⸢ター⸣マキーヤ ⸢パイタ⸣ナー ミ⸢チ⸣ ブレーンダ ⸣キチナーン タ⸢ム⸣ヌナーン シゥ⸢カーリ ブタ [ʃi̥⸢taː⸣makiːja ⸢paita⸣naː mi⸢ʧi⸣ bureːnda ⸣ki̥ʧinaːn ta⸢mu⸣nunaːn sï̥⸢kaːributaŋ] (エゴノキは西表島には沢山あった<満ちていた>から、垂木にも薪にも使われていた) 7911 0 0 7502 htmvoc_7911.wav シターンティ シターン⸢ティ [ʃi̥taːn⸢ti] 副 すとんと。どんと。物が落ちるさま。物が落ちる音(擬音語)。 フ⸢クンヌ⸣ ナ⸢ル⸣ヌ シターン⸢ティ⸣ ウ⸢トゥタ⸣ル ⸣ヌーカヤーティ ウ⸢ダラ⸣キ ⸢ベー⸣タ [ɸu̥⸢kunnu⸣ na⸢ru⸣nu ʃi̥taːn⸢ti⸣ ʔu⸢tuta⸣ru ⸣nuːkajaːti ʔu⸢dara⸣ki ⸢beː⸣ta] (福木の実がすとんと落ちたので、何だろうかと驚いていた) 7912 0 0 7503 htmvoc_7912.wav シタイ シ⸢タ⸣イ [ʃi̥⸢ta⸣i] 感 でかした。うまくやった。うまく事が運んだ時に言う語。快哉を叫ぶ際に言うことば。「したりがほ<得意顔>『源氏物語(葵)』」の義。シッ⸢タ⸣イ[ʃi̥t⸢ta⸣i](でかしたぞ)ともいう。 シ⸢タ⸣イ(シッ⸢タ⸣イ)ビ⸢コーンッふァヌ⸣ マ⸢レーン⸣ドー [ʃi̥⸢ta⸣i(ʃi̥t⸢ta⸣i)bi⸢koːŋffanu⸣ ma⸢reːn⸣doː] (でかしたぞ{EOS!}男の子が生まれたぞ{EOS!}) 7913 0 0 7504 htmvoc_7913.wav シタイヒャー シ⸢タイヒャー [ʃi̥⸢taiçaː] 感 やったぞ。でかしたぞ。万歳。これはしたり。シッ⸢タイヒャー[ʃi̥t⸢taiçaː]ともいう。 シ⸢タイヒャー⸣ シキン カ⸢カ⸣レーン⸢ドー [ʃi̥⸢taiçaː⸣ ʃi̥kiŋ kḁ⸢ka⸣reːn⸢doː] (やったぞ{EOS!}万歳{EOS!}試験に合格したぞ<受かったぞ>) 7943 0 0 7505 htmvoc_7943.wav シタウチ シ⸢タ⸣ウチ [ʃi̥⸢ta⸣ʔuʧi] 名 「舌打ち」。舌背と歯茎ではじき音を作り、鳴らすこと。感激した時や、残念、忌々しいという気持ちを表す。連続して鳴らすときは、「誠に素晴らしい」、⸢誠に残念、誠に忌々しい」などの気持ちをあらわす。 ⸣アブジェー シ⸢タ⸣ウチ ⸢シー オール⸣ヌ ⸢ヌー⸣シル キ⸢ムフガン⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ローッ⸣タカヤー [⸣ʔabuʤeː ʃi̥⸢ta⸣ʔuʧi ⸢ʃiː ʔoːru⸣nu ⸢nuː⸣ʃiru ki⸢muhugaŋ⸣ ku⸢tu⸣nu ʔa⸢roːt⸣takajaː] (お祖父さんは舌打ちをしておられるが、どのような不満<納得のいかない点{EOS}意に満たないこと>があられるのだろうか) 7914 0 0 7506 htmvoc_7914.wav シタギ シ⸢タギ [ʃi̥⸢tagi] 名 下着。標準語からの借用語。 ヤ⸢ラ⸣ベー シ⸢タギ⸣ キ⸢ササン⸣カー ⸣バタ ⸢ピーラ⸣スン [ja⸢ra⸣beː ʃi̥⸢tagi⸣ ki̥⸢sasaŋ⸣kaː ⸣bata ⸢piːra⸣suŋ] (子供は下着を着せないとお腹を冷やしてしまう<体調を崩す>)。パ⸢ダ⸣キン[pa⸢da⸣kiŋ](肌着、「肌衣」の義)ともいう。 シ⸢タギヌ ウイラ⸣ ノー⸢ンヤラバン パー⸣ク キ⸢サシ [ʃi̥⸢taginu ʔuira⸣ noː⸢ɲ jarabam paː⸣ku ki̥⸢saʃi] (下着の上から何でも早く着けさせなさい) 7945 1 0 7507 htmvoc_7945.wav シダキ シ⸢ダキ [ʃi⸢daki] 副 {PoS_1}先に。先頭に。 ⸢ワー⸣ シ⸢ダキ⸣ ナリ ⸣パリ [⸢waː⸣ ʃi⸢daki⸣ nari ⸣pari] (君は先になって行け)。 シ⸢ダキ⸣ ケー プ⸢ソーラ⸣ トゥリバ [ʃi⸢daki⸣ keː pu̥⸢soːra⸣ turi] (先に来た人から取れ)。 7945 2 0 7508 htmvoc_7945.wav シダキ シ⸢ダキ [ʃi⸢daki] 名 {PoS_2}先頭。先。前。 シ⸢ダキヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ミ⸢ドゥ⸣ム ⸢ヤッタ [ʃi⸢dakinu⸣ pu̥⸢soː⸣ mi⸢du⸣mu ⸢jatta] (先頭の人は女だった)。 シ⸢ダキヌ⸣ パ⸢ナシ⸣トー ⸢カウリ ブー [ʃi⸢dakinu⸣ pa⸢naʃi⸣toː ⸢kauri buː] (最前<先>の話とは変わっている)。 ⸢バー⸣ル シ⸢ダキ ヤッタ [⸢baː⸣ru ʃi⸢daki jatta] (私が先だった) 7946 0 0 7509 htmvoc_7946.wav シタク シ⸢タク [ʃi̥⸢taku] 名 したく(支度)。準備。用意。 ⸢ユー⸣ボンシタク シ⸢ミルンティ パイ⸣サ ⸢ヤー⸣ パ⸢ラシ⸣タ [⸢juː⸣boŋʃi̥taku ʃi⸢mirunti pai⸣sa ⸢jaː⸣ pa⸢raʃi̥⸣ta] (夕食の準備をさせるために早く家に帰した) 7947 0 0 7510 htmvoc_7947.wav シタクバリムニ シ⸢タクバリ⸣ムニ [ʃi̥⸢takubari⸣muni] 名 どもり(吃り)。どもること。「舌・こわばり(強張り)・もの言い」の転訛したものか。ン⸢ガニ[ʔŋ⸢gani](吃音)ともいう。 シ⸢タクバリムニ⸣ヌ ⸢マービ スー⸣カー ウ⸢チ⸣ルンティ⸢ダー [ʃi̥⸢takubarimuni⸣nu ⸢maːbi suː⸣kaː ʔu⸢ʧi⸣runti⸢daː] (どもりの真似をすると移る<感染する>そうだよ) 7948 0 0 7511 htmvoc_7948.wav シタクバリムヌ シ⸢タクバリ⸣ムヌ [ʃi̥⸢takubari⸣munu] 名 吃音者。どもり(吃り)。ン⸢ガナー[ʔŋ⸢ganaː](吃り{EOS}吃る人)ともいう。 シ⸢タクバリムヌ⸣ヌ ⸣ムネー シ⸢キングリ⸣サン [ʃi̥⸢takubarimunu⸣nu ⸣muneː ʃi̥⸢kiŋguri⸣saŋ] (吃音者の話は聞き取りにくい) 7950 0 0 7512 htmvoc_7950.wav シタクリカークリスン シ⸢タ⸣クリカークリ ⸢スン [ʃi̥⸢ta⸣kurikaːkuri ⸢suŋ] 連 あれこれと用意する。いろいろと工面する。 タ⸢ビヌ⸣ ス⸢コール スンティ シー⸣ シ⸢タ⸣クリカークリ ⸢シー ベー [ta⸢binu⸣ su̥⸢koːru sunti ʃiː⸣ ʃi̥⸢ta⸣kurikaːkuri ⸢ʃiː beː] (旅の準備をしようとして、あれこれ工面している) 7949 0 0 7513 htmvoc_7949.wav シタクルン シ⸢タ⸣クルン [ʃi̥⸢ta⸣kuruŋ] 自動 あれこれと用意する。あれこれ準備する。いろいろと工面する。工夫算段する。 シ⸢タ⸣クリ ッ⸢ふァースン [ʃi̥⸢ta⸣kuri f⸢faːsuŋ] (あれこれ工夫して作って食べさせる)。 シ⸢タ⸣クルンティ ス⸢ヌ⸣ シ⸢タクララ⸣ヌ [ʃi̥⸢ta⸣kurunti su⸢nundu⸣ ʃi̥⸢takurara⸣nu] (いろいろ工面しようとするが工面できない)。 ⸣バー ⸣ドゥーシェー シ⸢タ⸣クル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣バ ⸢ワー⸣ ドゥーシ シ⸢タ⸣クリ [⸣baː ⸣duːʃeː ʃi̥⸢ta⸣kuru ⸣ku̥toː na⸢ram⸣ba ⸢waː⸣ duːʃi ʃi̥⸢ta⸣kuri] (私は、自分では工面できないから、君は自分で工面しなさい)。 シ⸢タ⸣クレー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢ta⸣kureː ⸣misamunu] (工面すればよいのに) 7906 0 0 7514 htmvoc_7906.wav シタコールン ⸣シタ ⸢コー⸣ルン [⸣ʃi̥ta ⸢koː⸣ruŋ] 連 「舌が硬くなる<舌強る>」の義。舌がもつれ<縺れ>る。舌が回らなくなる。ろれつ<呂律>が回らなくなる。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ ⸣シタ ⸢コー⸣リティ ⸣ムニ ザ⸢ラヌ [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ⸣ʃi̥ta ⸢koː⸣riti ⸣muni ʔi⸢ʣaranu] (あまりにも寒いので呂律が回らない<舌が硬くなってものが言えない>)。 ⸢ピー⸣ヤカー ⸣シタ ⸢コー⸣ルン [⸢piː⸣jakaː ⸣ʃi̥ta ⸢koː⸣ruŋ] (寒かったら舌が硬くなる<呂律が回らなくなる>) 7953 0 0 7515 htmvoc_7953.wav シダスン シ⸢ダ⸣スン [ʃi⸢da⸣suŋ] 他動 孵化させる。雛をかえす<孵す>。卵を温めて子<雛や虫>にする。 トゥ⸢ルヌ コー⸣マ シ⸢ダ⸣スンティ ⸣シーナ ビ⸢リ ベー⸣ンドゥ ⸢スー⸣マリティ シ⸢ディラ⸣ヌ [tu⸢runu koː⸣ma ʃi⸢da⸣sunti ⸣ʃiːna bi⸢ribeː⸣ndu ⸢suː⸣mariti ʃi⸢dira⸣nu] (鶏が卵を\ruby{孵}{カエ}そうとして、巣に座っているが\ruby{巣守}{ス|モリ}になって孵らない)。 シ⸢ダサ⸣ヌ [ʃi⸢dasa⸣nu] (孵さない)。 シ⸢ダシ⸣ プサン [ʃi⸢daʃi⸣ pusaŋ] (孵したい)。 シ⸢ダ⸣ス ⸢コー⸣マー ⸢パー⸣ク シ⸢ダ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢da⸣su ⸢koː⸣maː muː⸢ru⸣ ʃi⸢da⸣ʃeː ⸣misamunu] (孵す卵は早く孵せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ダ⸣シ [⸢paː⸣ku ʃi⸢da⸣ʃi] (早く孵せ) 7915 0 0 7516 htmvoc_7915.wav シタタカ シ⸢タ⸣タカ [ʃi̥⸢ta⸣taka] 副 したたか。ひどく。甚だしく。沖縄本島方言からの借用語。 カ⸢ツシンラ⸣ シ⸢タ⸣タカ ⸢モー⸣キティル ア⸢ラヤー⸣ ス⸢ク⸣リ ミ⸢ジ⸣グラン ス⸢ク⸣レー⸢ダー [kḁ⸢ʦuʃinra⸣ ʃi̥⸢ta⸣taka ⸢moː⸣kitiru ʔa⸢rajaːn⸣ su̥⸢ku⸣ri mi⸢ʤi⸣guran su̥⸢ku⸣reː⸢daː] (カツオ漁船からしたたか儲けて家も新築し、水タンク<水倉>も作ったのだよ)。 シ⸢タ⸣タカ ⸢ビー⸣ブー [ʃi̥⸢ta⸣taka ⸢biː⸣bu] (ひどく酔っている)。 シ⸢タ⸣タカ ⸢スングラリティル⸣ ナ⸢キベー [ʃi̥⸢ta⸣taka ⸢suŋguraritiru⸣ na⸢ki beː] (ひどく殴られて<ぞ>泣いている) 7954 0 0 7517 htmvoc_7954.wav シタダラスン シ⸢タダラ⸣スン [ʃi̥⸢tadara⸣suŋ] 他動 滴らせる。垂らす。水などを雫のように垂れ落とす。 ナ⸢マ⸣シナ シ⸢タ⸣ディ シ⸢タダラ⸣シティ カ⸢ケー⸣スンティ ⸢スーヌンドゥ⸣ シ⸢タダラサラ⸣ヌ [na⸢ma⸣ʃina ʃi̥⸢ta⸣di ʃi̥⸢tadara⸣ʃi̥ti kḁ⸢keː⸣sunti ⸢suːnundu⸣ kḁ⸢keːsara⸣nu] (刺身に醤油<下地>を垂らして掻き混ぜようとするが、垂らされない)。 シ⸢タダラ⸣スンティ ⸣ウムーカ ⸢パー⸣ク シ⸢タダラ⸣シ [ʃi̥⸢tadara⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku ʃi̥⸢tadara⸣ʃi] (垂らそうと思うなら早く垂らせ)。 シ⸢タダラ⸣ス ⸣ムノー シ⸢タダラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢tadara⸣su ⸣munoː ʃi̥⸢tadara⸣ʃeː ⸣misamunu] (垂らすものは垂らせば良いのに) 7955 1 0 7518 htmvoc_7955.wav シタダル シ⸢タ⸣ダル [ʃi̥⸢ta⸣daru] 名 {PoS_1}滴り。しずく(雫)。 ミ⸢ジヌ⸣ シ⸢タダル⸣ヌ ⸣ウティクン [mi⸢ʤinu⸣ ʃi̥⸢tadaru⸣nu ⸣ʔutikuŋ] (水の滴り<雫>が落ちてくる)。 7955 2 0 7519 htmvoc_7955.wav シタダル シ⸢タ⸣ダル [ʃi̥⸢ta⸣daru] 助数 {PoS_2}プ⸢ス シタ⸣ダル[pu̥⸢su ʃi̥ta⸣daru](一滴)。 フ⸢タ シタダル [ɸu̥⸢ta ʃi̥tadaru] (二滴) 7957 0 0 7520 htmvoc_7957.wav シタダルアマダル シ⸢タ⸣ダルアマダル [ʃi̥⸢ta⸣daruʔamadaru] 副 たらたらと垂れ落ちるさま。垂れ流すほど。だらしなく垂れ下がっているさま。有り余るほど。 シ⸢タ⸣ダルアマダル ⸢シェーティ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸢パッ⸣タ [ʃi̥⸢ta⸣daruʔamadaru ⸢ʃeː⸣ti ka⸢ta⸣mi ⸢pat⸣ta] (たらたら垂れ流しながら担いで行った)。 シ⸢タ⸣ダルアマダル ⸢シェー⸣ティ キ⸢シ アー⸣ク ⸢キン⸣マー ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʃi̥⸢ta⸣daruʔamadaru ⸢ʃeː⸣ti ki̥⸢ʃi ʔaː⸣ku ⸢kim⸣maː ⸢miːnussa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (だらしなく垂れ下がって着ている着物は見苦しくて見て居れない<見られない>) 7918 0 0 7521 htmvoc_7918.wav シタダルカーダル シ⸢タダルカー⸣ダル [ʃi̥⸢tadarukaː⸣daru] 副 ずぶ濡れになったさま。びしょびしょに濡れたさま。 ⸣アイニ シ⸢タダルカー⸣ダル ⸢シェー⸣ティ ⸢アーカン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸣ʔaini ʃi̥⸢tadarukaː⸣daru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːkam⸣ bu⸢ri⸣ba] (あのようにずぶ濡れになったままにいるなよ) 7919 0 0 7522 htmvoc_7919.wav シタダルン シ⸢タ⸣ダルン [ʃi̥⸢ta⸣daruŋ] 自動 滴る。しずく(雫)となって落ちる。「淋、志太々留<シタタル>又毛留」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢ティン⸣ゾーラ ミ⸢ジヌ⸣ シ⸢タ⸣ダルンティ ス⸢クタヌ⸣ シ⸢タダラン⸣バン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢tin⸣ʣoːra mi⸢ʤinu⸣ ʃi̥⸢ta⸣darunti su̥⸢kutanu⸣ ʃi̥⸢tadaram⸣baŋ] (雨が降ったら天井から水が滴ると聞いたが、滴らないよ)。 シ⸢タ⸣ダリ ⸢ベー [ʃi̥⸢ta⸣dari ⸢beː] (滴っている)。 シ⸢タ⸣ダル ⸣トンナー バ⸢キ⸣チ シ⸢キ⸣リ [ʃi̥⸢ta⸣daru ⸣tonnaː ba⸢ki⸣ʧi ʃi̥⸢ki⸣ri] (水の滴る所にバケツを置きなさい)。 ア⸢マダラミジ⸣ヌ シ⸢タ⸣ダルン [ʔa⸢madaramiʤi⸣nu ʃi̥⸢ta⸣daruŋ] (雨垂れ<水>が滴る)。 ⸢キン⸣マー ⸢ゾーリティ⸣ シ⸢タ⸣ダリ ⸢アー⸣ク [⸢kim⸣maː ⸢ʣoːriti⸣ ʃi̥⸢ta⸣dari ⸢ʔaː⸣ku] (着物はびしょ濡れになって水が滴っている)。 ア⸢マダラ⸣ミジェー シ⸢タ⸣ダリ ⸢ベー⸣ヌンドゥ シ⸢タダラ⸣ヌティ ア⸢ジ アー⸣ク [ʔa⸢madara⸣miʤeː ʃi̥⸢ta⸣dari ⸢beː⸣nundu ʃi̥⸢tadara⸣nuti ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (雨垂れ<水>は滴っているのに滴らないと言っている)。 ⸣クマーラ シ⸢タ⸣ダル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kumaːra ʃi̥⸢ta⸣daru ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (此処から滴ることはない)。 ン⸢ベーマ⸣ シ⸢タ⸣ダレー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣ ʃi̥⸢ta⸣dareː ⸣misamunu] (少しは滴れば良いのに) 7840 0 0 7523 htmvoc_7840.wav シタダレー シ⸢タ⸣ダレー [ʃi̥⸢ta⸣dareː] 固 (地名)。⸢ユシ⸣キダー[⸢juʃi̥⸣kidaː](南ヨシキダ)とサ⸢キンダー[sa⸢kindaː](崎田)の境界地点の海岸に、山から流れ出る水がシターンシターンと流れ落ちているところ。山の水がしたたり落ちている所から命名されたものであろう。 ⸢ユシ⸣キダタバルヌ ⸢ター⸣ヌ シ⸢ビナー⸣ル シ⸢タ⸣ダレーヤ ⸣アル ⸣スバナーヤ ク⸢メーヌ ター⸣ヌン ⸣アン [⸢juʃi̥⸣kidatabarunu ⸢taː⸣nu ʃi⸢binaː⸣ru ʃi̥⸢ta⸣dareːja ⸣ʔaru ⸣subanaːja ku⸢meːnu taː⸣nuŋ ⸣ʔaŋ] (ヨシキダ田袋の最下手の田の尻にシタダレーはある{EOS}側には小浜家の田圃もある)。 シ⸢タ⸣ダレーラ ニ⸢シェーキル⸣ サ⸢キンダー⸣ティ ア⸢ズ⸣ダー [ʃi̥⸢ta⸣dareːra ni⸢ʃeːkiru⸣ sḁ⸢kindaː⸣ti ʔa⸢ʣu⸣daː] (シタダレーから北側をサキンダー<崎田>と言うのだよ)。 ⸢ユシ⸣キダタバルヌ ニ⸢シンタヌ⸣ ク⸢メーヌ ター⸣ヌ シ⸢ベー⸣ シ⸢タ⸣ダレー ⸣ナリ ⸢ブー⸣ミー [⸢juʃi̥⸣kidatabarunu ni⸢ʃintanu⸣ ku⸢meːnu taː⸣nu ʃi⸢beː⸣ ʃi̥⸢ta⸣dareː ⸣nari ⸢buː⸣miː] (ユシキダ田袋の北側の小浜家の田圃の田尻はシタダレーになっているねえ) 7951 0 0 7524 htmvoc_7951.wav シタックラスン シ⸢タックラ⸣スン [ʃi̥⸢takkura⸣suŋ] 他動 ぶん殴る。したたかに打つ。「したたかに懲らす」の義か。 ⸣ドゥクナリ ⸢ブー⸣カー シ⸢タックラ⸣シバ [⸣dukunari ⸢buː⸣kaː ʃi̥⸢takkura⸣ʃiba] (あんまりひどかったらぶん殴れよ)。 シ⸢タックラ⸣スンティ シ⸢タンティン⸣ フ⸢ドゥヌ マイ⸣ヤンダ シ⸢タックラサラ⸣ヌ [ʃi̥⸢takura⸣sunti ʃi̥⸢tantiŋ⸣ ɸu⸢dunu mai⸣janda ʃi̥⸢takkurasara⸣nu] (ぶん殴ろうと思っても背丈が大きいからぶん殴られない)。 シ⸢タックラシ⸣プサカー シ⸢タックラ⸣ス プ⸢スバ⸣ タ⸢ナ⸣ミティ シ⸢タックラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢takkuraʃi⸣ pu̥sakaː ʃi̥⸢takkurasu⸣ pu̥⸢suba⸣ ta⸢na⸣miti ʃi̥⸢takkura⸣ʃeː ⸣misamunu] (ぶん殴りたかったら、ぶん殴る人を頼んでぶん殴れば良いのに) 7959 0 0 7525 htmvoc_7959.wav シタッスン ⸣シタ ⸣ッスン [⸣ʃi̥ta ⸣ssuŋ] 連 舌を刺す。舌を強く刺激する。腐敗してはいないが毒気が舌を刺すように感じる。 ビ⸢ローサ⸣ヌ ⸣シル フ⸢チ⸣ナー ⸢ペー⸣ルカー ⸣シタ ッ⸢サ⸣リティ ⸢ピー⸣ワン⸢ダー [bi⸢roːsa⸣nu ⸣ʃiru ɸu̥⸢ʧi⸣naː ⸢peː⸣rukaː ⸣ʃi̥ta s⸢sa⸣riti ⸢piː⸣wan⸢daː] (クワズイモの汁が口に入る舌が刺されてえがらっぽい) 7962 0 0 7526 htmvoc_7962.wav シタディ シ⸢タ⸣ディ [ʃi̥⸢ta⸣di] 名 醤油。「したぢ<下地>」の義。⸢~御無心ながらしたぢ<下地>が少しあらば」『東海道中膝栗毛』の転訛したもの。麦を搗いて糠を除き、一晩水に浸け、強めに煎った大豆を水洗いして一緒にこしき(甑)で蒸し、ニブク(稲掃筵)に寝かせて黄色い麹を造る。それを麹(5升)対塩(3升)対水(6升)の割合で甕に入れて仕込む。約3ヶ月間掻き混ぜながら醗酵させてシ⸢タ⸣ディ[ʃi̥⸢ta⸣di](下地{EOS}醤油)を仕上げた。 ⸢シューセンゴバー⸣ケー ⸢コージ⸣ タティティ シ⸢タ⸣ディ マ⸢ラソーッ⸣タン⸢ダー [⸢ʃuːʃeŋgobaː⸣keː ⸢koːʤi⸣ tḁtiti ʃi̥⸢ta⸣di ma⸢rasoːt⸣tan⸢daː] (終戦後までは麹をたてて醤油を醸造された<生まらされた>よ)。液を搾り取った残り滓を、シ⸢タディ⸣ ヌ⸣カシ[ʃi̥⸢tadi⸣nu ⸣kaʃi](醤油の滓)といった。シ⸢タディ⸣ヌ ⸣カシ[ʃi̥⸢tadi⸣nu ⸣kaʃi]は豚の餌にしたり、別の壷または小さな甕に詰めて泡盛を加え、炒り胡麻や花がつおを掛けてカ⸢ティ⸣ムヌ[kḁ⸢ti⸣munu](副食物{EOS}「糅て物」の義か)にした。 ⸢ムン⸣ヌ ⸢コージバ⸣ タティティ シ⸢タ⸣ディ タ⸢ローッ⸣タン [⸢mun⸣nu ⸢koːʤiba⸣ tḁtiti ʃi̥⸢ta⸣di ta⸢roːt⸣taŋ] (麦の麹をたてて醤油<下地>を醸造され<垂られ>た) 7963 0 0 7527 htmvoc_7963.wav シタディカミ シ⸢タ⸣ディカミ [ʃi̥⸢ta⸣dikami] 名 醤油を入れる甕。 シ⸢タ⸣ディカメーラ シ⸢タ⸣ディ フ⸢ミ⸣ クー [ʃi̥⸢ta⸣dikameːra ʃi̥⸢ta⸣di ɸu⸢mi⸣ kuː] (醤油甕から醤油<下地>を汲んでこい) 7964 0 0 7528 htmvoc_7964.wav シタディヌカシ シ⸢タディ⸣ヌ ⸣カシ [ʃi̥⸢tadi⸣nu ⸣kḁʃi] 連 醤油の糟。醤油を絞った残り糟。漬物や味噌代用にしたり、調味料の代用に用いた。 カ⸢ティムヌ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー シ⸢タディ⸣ヌ ⸣カシンツァン ン⸢ザ⸣シバ [kḁ⸢timunu⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ʃi̥⸢tadi⸣nu ⸣kaʃinʦan ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (おかず<御数>が無ければ醤油の絞り糟でも出しなさいよ) 7965 0 0 7529 htmvoc_7965.wav シタディヌッふァ シ⸢タディ⸣ヌ ッ⸢ふァ [ʃi̥⸢tadi⸣nu f⸢fa] 連 醤油糟を濾す籠。醤油を甕から汲み取る際に用いる糟を濾す壺状の籠。「下地の子」の義。 シ⸢タディ⸣ヌ ッ⸢ふァヌ⸣ ナ⸢カー⸣ラ フ⸢ダロー⸣マシ シ⸢タ⸣ディ フ⸢ミ⸣バ [ʃi̥⸢tadi⸣nu f⸢fanu⸣ na⸢kaː⸣ra ɸu⸢daroː⸣maʃi ʃi̥⸢ta⸣di ɸu⸢mi⸣ba] (醤油糟を濾す籠の中から小さな柄杓で醤油を汲みなさいよ) 7916 0 0 7530 htmvoc_7916.wav シタティルン シ⸢タティルン [ʃi̥⸢tatiruŋ] 他動 仕立てる。拵える。布を織る。 ⸢プール⸣キン シ⸢タティルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー シ⸢タティラランバン [⸢puːru⸣kiŋ ʃi̥⸢tatirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʃi̥⸢tarirarambaŋ] (豊年祭用の着物を仕立てようと思うが、一人では仕立てられないわい)。 ア⸢ラキン⸣ シ⸢タティル⸣ プ⸢ソー パー⸣ク シ⸢タティレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢rakiŋ⸣ ʃi̥⸢tatiru⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku ʃi̥⸢tatireː⸣ misamunu] (新しい着物を仕立てる人は早く仕立てればよいのに)。 ⸣ドゥーシ シ⸢タティ⸣ ミサカー ⸣ドゥーシ シ⸢タティリ [⸣duːʃi ʃi̥⸢tati⸣ misakaː ⸣duːʃi ʃi̥⸢tatiri] (自分で仕立ててよければ、自分で仕立てろ<れ>) 7917 0 0 7531 htmvoc_7917.wav シタトゥン シ⸢タトゥン [ʃi̥⸢tatuŋ] 他動 仕立てる。拵える。布を織る。「したつ(下二段活用)、~御屏風などあたりあたりしたてさせ給ふ」『源氏物語<若紫>』の四段活用化したもの。 シ⸢タトゥンティ⸣ ウムーカー ⸣ドゥーシン シ⸢タタリンドゥ⸣ シ⸢タティ⸣ ミサンティ ア⸢ゾーラン⸣ユンダ シ⸢タトゥ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi̥⸢tatunti⸣ ʔumuːkaː ⸣duːʃiŋ ʃi̥⸢tatarindu⸣ ʃi̥⸢tati⸣ misanti ʔa⸢ʣoːraɲ⸣ junda ʃi̥⸢tatu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (仕立てると思えば自分でも仕立てられるが仕立ててよいと言われないので仕立てることが出来ない)。 ⸣ドゥーシ シ⸢タテー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ʃi̥⸢tateː⸣ misamunu] (自分で仕立てればよいのに)。 シ⸢タティ [ʃi̥⸢tati] (仕立てろ)。シ⸢タティルン[ʃi̥⸢tatiruŋ](仕立てる{EOS}新調する)と同じ。 ⸣ブーキン シ⸢タトゥン [⸣buːkiŋ ʃi̥⸢tatuŋ] (麻の着物を仕立てる<新調する>) 7922 0 0 7532 htmvoc_7922.wav シタニ ⸣シタニ [⸣ʃi̥tani] 副 ひたすら。もっぱら。一途に。「~當土<ヒタツチニ>足踏み貫き~。万、3295」の「直<ひた>」の転化したものか。 ⸣シタニ ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥバ シーブンダ⸣ フ⸢カ⸣ヌ シ⸢グトー シーユーサヌ [⸣ʃi̥tani ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutuba ʃiːbunda⸣ ɸu̥⸢ka⸣nu ʃi⸢gutoː ʃiːjuːsanu] (専らにこの仕事をしているので他の仕事はできない<することが出来ない・し得ない>)。 ウ⸢レー⸣ シタニ ⸢ターシグトゥ⸣トゥ パ⸢タキシグトゥバ⸣ル ⸢シー⸣ ケール ビ⸢チ⸣ヌ シ⸢グトー サンシェン [ʔu⸢reː⸣ ʃi̥tani ⸢taːʃigutu⸣tu pḁ⸢takiʃigutuba⸣ru ⸢ʃiː⸣ keːru bi⸢ʧi⸣nu ʃi⸢gutoː saŋʃeŋ] (彼は一途に稲作<田仕事>と畑作をしてきたのだ{EOS}別の仕事はしなかった) 7960 0 1 7533 htmvoc_7960.wav シタフ シ⸢タ⸣フ [ʃi̥⸢ta⸣ɸu] 名 {Mn_1}服装。衣装。みなり(身形)。 シ⸢タフヌ カイ⸣ヤン [ʃi̥⸢taɸunu kai⸣jaŋ] (衣装が美しい)。 タ⸢ビシタ⸣フ [ta⸢biʃi̥ta⸣ɸu] (旅支度{EOS}旅行用の衣服を着て準備をすること)。 ブ⸢ドゥルシタフ [bu⸢duruʃi̥taɸu] (踊り支度{EOS}化粧をし、舞踊の衣装を着て出演準備を整えること)。よそおい(装い)。踊りの衣装(コスチューム)。 パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ブ⸢ドゥルシタフヌ⸣ ス⸢ディ⸣ナー カ⸢ザケートゥ⸣ ユ⸢レーナー⸣ル アル⸢ダー [pḁ⸢tu⸣manakamurinu bu⸢duruʃi̥taɸunu⸣ su⸢di⸣naː ka⸢ʣakeːtu⸣ ju⸢reːnaː⸣ru ʔaru⸢daː] (鳩間中岡節舞踊衣装のスディナは加治工家と寄合家に<ぞ>あるのだよ)。 7960 0 2 7534 htmvoc_7960.wav シタフ シ⸢タ⸣フ [ʃi̥⸢ta⸣ɸu] 名 {Mn_2}支度。用意。準備。 イ⸢ソーシタフバ シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ヌ ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー タ⸢ク⸣ トゥリン ⸣パルカヤー [ʔi⸢soːʃi̥taɸuba ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣nu ⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː tḁ⸢ku⸣turim ⸣parukajaː] (漁の支度をしているが、潮が干ると蛸を獲りに行くのかなあ)。支度。準備。 ⸢パイ⸣ター ⸣パル シ⸢タ⸣フ ⸢スンティ ベー [⸢pai⸣taː ⸣paru ʃi̥⸢ta⸣ɸu ⸢sunti beː] (南端<西表島>に行く準備をしようとしている) 7970 0 0 7535 htmvoc_7970.wav シダフカ シ⸢ダフ⸣カ [ʃi⸢daɸu̥⸣ka] 名 (植)はまゆう(浜木綿)。はまおもと(浜万年青)。石垣方言のサディフカの母音[i]と[a]の音位転倒した形。海岸の砂浜に自生する。子供はシダフカの幹を切り、外皮を剥いでビニール状の内皮を取り出し、風船を作って遊んだ。母親達はシダフカの幹を約20センチの長さに切って割り、その皮でお握りを包んだり、弁当を包むのに用いた。 ⸢マイヌ⸣イー ス⸢ブ⸣リティ シ⸢ダフ⸣カシ ッ⸢ス⸣ミバ [⸢mainu⸣ʔiː su⸢bu⸣riti ʃi⸢daɸu̥⸣kaʃi s⸢su⸣miba] (米飯を握って浜木綿の皮で包みなさいよ) 6991 0 0 7536 htmvoc_6991.wav シダフカー シ⸢ダ⸣フカー [ʃi⸢da⸣ɸu̥kaː] 名 (植)ハマオモト。はまゆう(浜木綿)。海岸の砂地に自生する。葉は炙って二つにはがし、葉肉部を腫れ物に当てて貼り、膿みの吸出し薬に用いた。幹の真っ白い皮を剥がして握り飯などの食べ物を載せる皿の代用にしたり、子供は、その外皮の肉質部を剥がしてビニールのような内皮を取り出し、膨らまして風船に作って遊んだ 7971 0 0 7537 htmvoc_7971.wav シダマスン シ⸢ダマ⸣スン [ʃi⸢dama⸣suŋ] 他動 涼しくさせる。涼しませる。「涼ませる」の義。「いと暑き日東の釣殿に出で給ひてすずみ(涼み)給ふ『源氏物語 常夏』」の他動詞化したもの。 ⸣アッツァティ ⸢キー⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナー ア⸢サバシティ⸣ シ⸢ダマ⸣スンティ ⸢ベー⸣バ ⸢ワンヌン⸣ ッ⸢ふァ サーリ⸣ キー シ⸢ダマシ [⸣ʔatʦati ⸢kiː⸣nu s⸢saːn⸣naː ʔa⸢sabaʃi̥ti ʃi⸢dama⸣sunti ⸢beː⸣ba ⸢wannun⸣ f⸢fa saːri⸣kiː ʃi⸢dama⸣ʃi] (暑いので、木の下で遊ばして涼しませようとしているので、貴方も子供を連れてきて涼しませなさい)。 シ⸢ダマシ⸣ プサンドゥ シ⸢ダマ⸣ス ⸣トンヌ ⸢ナーン⸣ダー シ⸢ダマサラ⸣ヌ [ʃi⸢damaʃi⸣ pu̥sandu ʃi⸢dama⸣su ⸣tonnu ⸢naːn⸣daː ʃi⸢damasara⸣nu] (涼しませたいが、涼しませる所がないので涼しませられない)。 シ⸢ダマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢dama⸣ʃeː ⸣misamunu] (涼しいませればよいのに) 7972 0 1 7538 htmvoc_7972.wav シダミ シ⸢ダ⸣ミ [ʃi⸢da⸣mi] 名 {Mn_1}(動)カタツムリ(蝸牛)。若年層は、シ⸢ダ⸣メー[ʃi⸢da⸣meː](カタツムリ<蝸牛>)ともいう。 シ⸢ダ⸣メー ⸢ナーン⸣パー ッ⸢ふァイッツァースン [ʃi⸢da⸣meː ⸢naːm⸣paː f⸢faitʦaːsuŋ] (カタツムリは菜っ葉を食い荒らす)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー シ⸢ダミ⸣ヌ ⸣シ⸢ディ⸣ルン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ʃi⸢dami⸣nu ʃi⸢di⸣ruŋ] (雨が降るとカタツムリが孵化する)。 7972 0 2 7539 htmvoc_7972.wav シダミ シ⸢ダ⸣ミ [ʃi⸢da⸣mi] 名 {Mn_2}縮みこまって黙るさま。 イ⸢ザリター⸣ シ⸢ダ⸣ミ ⸣ナリティ フ⸢チェー⸣ フ⸢ラッカヌ [ʔi⸢ʣaritaː⸣ ʃi⸢da⸣mi ⸣nariti ɸu̥⸢ʧeː⸣ ɸu⸢rakkanu] (叱られたので、縮みこまったきりカタツムリになって口を開かない) 7973 0 0 7540 htmvoc_7973.wav シダミヌグル シ⸢ダミ⸣ヌ グ⸢ル [ʃi⸢dami⸣nu gu⸢ru] 連 カタツムリの殻。 シ⸢ダミ⸣ヌ グ⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣ムン [ʃi⸢dami⸣nu gu⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣muŋ] (カタツムリの殻を集める) 7974 0 0 7541 htmvoc_7974.wav シダミヌグルアーシ シ⸢ダミ⸣ヌ グ⸢ル アー⸣シ [ʃi⸢dami⸣nu gu⸢ru ʔaː⸣ʃi] 連 児童の遊戯の一つ。カタツムリの殻を突き合わせて潰しあう遊び。殻の底の突起部分を先に潰されたほうが負けとする遊び。 ヤ⸢ラ⸣ベー シ⸢ダミ⸣ヌ グ⸢ル アー⸣シ ⸢シー⸣ ア⸢サビ ベー [ja⸢ra⸣beː ʃi⸢dami⸣nu gu⸢ru ʔaː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabi beː] (子供はカタツムリの殻を突き合わせて潰しあう遊びをしている) 7975 0 0 7542 htmvoc_7975.wav シダミヌッふァイックル シ⸢ダミ⸣ヌ ッ⸢ふァイックル [ʃi⸢dami⸣nu f⸢faikkuru] 連 カタツムリの食い残し。 ⸢ナーンパー⸣ヤ シ⸢ダミ⸣ヌ ッ⸢ふァイックルル⸣ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー [⸢naːmpaː⸣ja ʃi⸢dami⸣nu f⸢faikkururu⸣ nu⸢ka⸣ri ⸢beː] (菜っ葉はカタツムリの食い荒らししか残っていない<食い残りぞ残っている>) 7976 0 0 7543 htmvoc_7976.wav シダムン シ⸢ダ⸣ムン [ʃi⸢da⸣muŋ] 自動 涼む。涼しい風に当って暑さをしのぐ。 ⸢キー⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナー シ⸢ダ⸣ムンティ ⸢ベー⸣バ シ⸢ダミ⸣プサカー ⸢ワンヌン⸣ キー シ⸢ダ⸣ミバ [⸢kiː⸣nu s⸢saːn⸣naː ʃi⸢da⸣munti ⸢beː⸣ba ʃi⸢dami⸣ pu̥sakaː ⸢wannuŋ⸣ kiː ʃi⸢da⸣miba] (木の下で涼もうとしているので、涼みたければ君も来て涼みなさいよ)。 ⸣クナーテー シ⸢ダマラン⸣バ シ⸢ダ⸣ム プ⸢ソー⸣ カイナカナー シ⸢ダ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸣kunaːteː ʃi⸢damaram⸣ba ʃi⸢da⸣mu pu̥⸢soː⸣ kainakanaː ʃi⸢da⸣meː ⸣misamunu] (ここでは涼まれないから、涼む人は木陰の中に入って涼めばよいのに) 7977 0 0 7544 htmvoc_7977.wav シタラー シタ⸢ラー [ʃita⸢raː] 感 まあ汚い!ああ汚い!不潔!下品!シタ⸢リー[ʃita⸢riː](汚い{EOS!})ともいう。 シタ⸢ラー⸣ アイブ ⸣ムヌヌ ッ⸢ふァーリン⸣ トゥ⸢レー [ʃi̥ta⸢raː⸣ ʔaibu ⸣mununu f⸢faːrin⸣ tu⸢reː] (まあ汚い{EOS!}あんなものが食べられるものか) 7978 0 0 7545 htmvoc_7978.wav シタラー シ⸢タ⸣ラー [ʃi̥⸢ta⸣raː] 名 時期。期間。 プ⸢スシタ⸣ラー ウ⸢リバ⸣ ドゥ⸢シバ シー⸣ ム⸢チ⸣レーティ ⸢アークタン⸣ドゥ ウ⸢レー ヌー⸣シタカヤー [pu̥⸢suʃita⸣raː ʔu⸢riba⸣ du⸢ʃiba ʃiː⸣ mu⸢ʧi⸣reːti ⸢ʔaːkutan⸣du ʔu⸢reː nuː⸣ʃi̥takajaː] (一時期はその人を友人にして睦ましく付き合っていたが、<その後>どうしたんだろうか) 7984 0 0 7546 htmvoc_7984.wav シタラカタラ ⸣シタラカタラ [⸣ʃi̥tarakatara] 副 じくじく。湿った状態を強調して表す。ABCDBC型の重言。 ナ⸢ガアミヌ⸣ フイ シ⸢タラカタラ⸣ シー ミ⸢ナ⸣カーユン ン⸢ジララ⸣ヌ [na⸢gaʔaminu⸣ ɸui ʃi̥⸢tarakatara⸣ ʃiː mi⸢na⸣kaːjun ʔn⸢ʤirara⸣nu] (長雨が降って、じめじめじくじくして外(庭)へも出られない) 7979 0 0 7547 htmvoc_7979.wav シタラシタラ シ⸢タラシタラ [ʃi̥⸢taraʃi̥tara] 副 たらたら。水など、液体の滴り落ちるさま。 ⸢タン⸣ゴーラ ミ⸢ジヌ⸣ シ⸢タラシタラ⸣シ ⸣ムリ ⸢ベー [⸢taŋ⸣goːra mi⸢ʤinu⸣ ʃi̥⸢taraʃi̥tara⸣ʃi ⸣muri ⸢beː] (たごおけ<担桶>から水がたらたらと漏れている) 7980 0 0 7548 htmvoc_7980.wav シタラスン シ⸢タラ⸣スン [ʃi̥⸢tara⸣suŋ] 他動 名誉を傷つける。けなす(貶す)。くさす(腐す)。そしる(謗る)。 ⸢ドゥーシタラ⸣シ [⸢duːʃi̥tara⸣ʃi] (自分で自分の名誉を傷つけること)。 ⸣アイニ プ⸢スバ⸣ シ⸢タラ⸣スンティ ⸢ベー⸣ティ ⸢カイ⸣テー プ⸢スン⸣ シ⸢タラサ⸣リティ ⸢ザー⸣パイ ⸢シーベー [⸣ʔaini pu̥⸢suba⸣ ʃi̥⸢tara⸣sunti ⸢beː⸣ti ⸢kai⸣teː pu̥⸢suŋ⸣ ʃi̥⸢tarasa⸣riti ⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiːbeː] (あんなに他人を貶そうとしていて、逆に<却って>他人に貶されてメチャクチャに、ぶち壊しになっている)。ナ⸢マラ⸣スン[na⸢mara⸣suŋ](貶める{EOS}廃らす)ともいう。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ⸣ドゥー シ⸢タラ⸣スンダ シ⸢タラサン⸣ スコー ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣キ [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ⸣duː ʃi̥⸢tara⸣sunda ʃi̥⸢tarasan⸣ su̥koː ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki] (あんなことをすると自分を貶めるから、自分を貶めないようにしていなさい)。 プ⸢スバ⸣ シ⸢タラ⸣ス ⸣クトー ⸣ドゥーン シ⸢タラ⸣シ ⸣ミサンティヌ ⸣クトゥ [pu̥⸢suba⸣ ʃi̥⸢tara⸣su ⸣ku̥toː ⸣duːŋ ʃi̥⸢tara⸣ʃi ⸣misantinu ⸣ku̥tu] (他人を\ruby{貶}{オト}すことは自分も相手が貶していいことだ)。 シ⸢タラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢tara⸣ʃeː ⸣misamunu] (貶せばよいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸣ドゥー シ⸢タラ⸣シバ [⸣duːʃi ⸣duː ʃi̥⸢tara⸣ʃiba] (己で己を貶せよ) 7981 0 0 7549 htmvoc_7981.wav シタラスン シ⸢タラ⸣スン [ʃi̥⸢tara⸣suŋ] 他動 水を垂らす。 ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ シ⸢タラサン⸣ドーシ カ⸢タ⸣ミ [⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤeː⸣ ʃi̥⸢tarasan⸣doːʃi ka⸢ta⸣mi] (水担桶の水は垂らさないように担げ)。 パ⸢タ⸣キナー ミ⸢ジ⸣ シ⸢タラ⸣シ ⸣ミサカー シ⸢タラ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢タラ⸣スクトー ナ⸢ラン⸣ツォー [pa⸢ta⸣kinaː mi⸢ʤi⸣ ʃi̥⸢tara⸣ʃi ⸣misakaː ʃi̥⸢tara⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ʃi̥⸢tara⸣su ⸣kutoː na⸢ran⸣ʦoː] (畑に水を垂らしてよければ垂らそうと思うが、垂らすことは出来ないそうだ)。 シ⸢タラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢tara⸣ʃeː ⸣misamunu] (垂らせばよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ シ⸢タラ⸣シ [jaː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢tara⸣ʃi] (必ず垂らせ) 7439 0 0 7550 htmvoc_7439.wav シタリー シタ⸢リー [ʃi̥ta⸢riː] 感 ああ汚い!まあ不潔!シタ⸢リー⸣ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ウ⸢レー⸣ カ⸢サマラヌ[ʃi̥ta⸢riː⸣ ja⸢nija⸣nu ʔu⸢reː⸣ ka⸢samaranu](まあ汚い{EOS!}汚くてそれは掴めない)。まあ汚い。ああ汚い。 シタ⸢リー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ʃi̥ta⸢riː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (まあ汚い{EOS}何だよ、これは) 7985 0 0 7551 htmvoc_7985.wav シタリジー シ⸢タリ⸣ジー [ʃi̥⸢tari⸣ʤiː] 名 湿地。水はけ(水捌け)が悪く、じくじく湿って耕作するのに適しない土地。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢タウ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢タリ⸣ジー ⸣ナリティ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢カイサラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢tau⸣ ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢tari⸣ʤiː ⸣nariti ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢kaisara⸣nu] (この畑は窪地だから湿地になって、雨が降ると耕されない) 7986 0 0 7552 htmvoc_7986.wav シタリルン シ⸢タリ⸣ルン [ʃi̥⸢tari⸣ruŋ] 自動 廃れる。シ⸢タ⸣ルン[ʃi̥⸢ta⸣ruŋ](廃る{EOS}下二段)ともいう。 シゥ⸢カイカテヌ ナーン⸣カー ⸢ドン⸣ゴー シ⸢タリ⸣ルンティ ア⸢ズヌ⸣ ク⸢レー⸣ シ⸢タリラン⸣サー [sï̥kaikatinu naːŋ⸣kaː ⸢doŋ⸣goː ʃi̥⸢tari⸣runti ʔa⸢ʣunu⸣ ku⸢reː⸣ ʃi̥⸢tariran⸣saː] (使い勝手がないと道具は廃れるというが、これは廃れないさ<よ>)。 ク⸢ヌ⸣ ウター ム⸢カ⸣シェー パ⸢ヤーッタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー シ⸢タ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʔutaː mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢jaːtta⸣nu ma⸢na⸣maː ʃi̥⸢ta⸣ri ⸢naː⸣nu] (この歌は、昔は流行ったが、今は廃れてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー シ⸢タリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [⸢ʔoːpa⸣jaː ʃi̥⸢tari⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (こんなに早く廃れることは無いはずだ) 7982 0 1 7553 htmvoc_7982.wav シダル シ⸢ダ⸣ル [ʃi⸢da⸣ru] 名 すだれ(簾)の総称。⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](ススキ)やタ⸢キ[tḁ⸢ki](竹)を編んで軒に立て、夏の暑い陽光を遮るもの。{Mn_1}⸢ユシ⸣キシダル[⸢juʃi̥⸣kiʃidaru](ススキの簾)。ススキの簾は、スルメイカを日干し乾燥する際にも使用された。 7982 0 2 7554 htmvoc_7982.wav シダル シ⸢ダ⸣ル [ʃi⸢da⸣ru] 名 {Mn_2}タ⸢キシダル[tḁ⸢kiʃidaru](竹簾)。竹簾の甍覆いとして利用された。 タ⸢キシダル⸣ フミティ ⸣ガヤヤーヌ ティ⸢ジヌ⸣ イ⸢ラ⸣カ カ⸢バ⸣シティ シ⸢ミ⸣ナーシ ⸣カキ ピ⸢キシミリ [tḁ⸢kiʃidru⸣ ɸumiti ⸣gajajaːnu ti⸢ʤinu⸣ ʔi⸢ra⸣ka ka⸢ba⸣ʃi̥ti ʃi⸢mi⸣naːʃi ⸣kḁki pi̥⸢kiʃimiri] (竹簾を編んで茅葺屋根の甍を覆い被せて、⸢フー⸣カラジナ{SqBr}⸢ɸuː⸣karaʤina{/SqBr}(棕櫚の黒い繊維で綯った強力な綱)の締め縄で⸢マーリザ⸣ヌ ティ⸢ブ⸣ク(甍を固定する手矛)に引っ掛けて強く引き絞めなさい)。 7982 0 3 7555 htmvoc_7982.wav シダル シ⸢ダ⸣ル [ʃi⸢da⸣ru] 名 {Mn_3}すのこ。蒸し器のすのこ(簀子)。 ⸢アーラシパクヌ⸣ ス⸢ク⸣ナー シ⸢ダ⸣ル シ⸢キティ⸣ ア⸢ラシコーシ アーラシ⸣バ [⸢ʔaːraʃipakunu⸣ su̥⸢ku⸣naː ʃi⸢da⸣ru ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢raʃikoːʃi ʔaːraʃi⸣ba] (蒸し箱の底にすのこを敷いて蒸し菓子を蒸しあげなさいよ) 7987 0 0 7556 htmvoc_7987.wav シタルムノーアラヌ ⸣シタルムノー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʃi̥tarumunoː ʔa⸢ra⸣nu] 成 こうしてはおれない。このままにしてはおけない。「為たるものではない」の義。 シ⸢タルムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢バン⸣ヌン パ⸢ラバ⸣ル ヤ⸢ル [ʃi̥⸢tarumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢ban⸣num pa⸢raba⸣ru ja⸢ru] (こうしてはおれない{EOS}私も行かなくてはならない) 7988 0 1 7557 htmvoc_7988.wav シタルン シ⸢タ⸣ルン [ʃi̥⸢ta⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}湿る。 ⸢マー⸣ソー シ⸢タリ ヤッ⸣サンダー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー シ⸢グ⸣ シ⸢タ⸣ルン⸢ダー [⸢maː⸣soː ʃi̥⸢tari jas⸣sandaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ʃi⸢gu⸣ ʃi̥⸢ta⸣run⸢daː] (塩は湿りやすいから、雨が降るとすぐ湿るよ)。 ⸢マース⸣ヌ シ⸢タ⸣ル ⸣ピンマー ⸣ティダナー ⸣プシティ シ⸢タラサン⸣ スコー タ⸢ブイリ⸣ヨー [⸢maːsu⸣nu ʃi̥⸢ta⸣ru ⸣pimma ⸣tidanaː ⸣pu̥ʃiti ʃi̥⸢tarasan⸣ su̥koː ta⸢buiri⸣joː] (塩が湿る時は日<太陽>に干して湿らさないように保存しなさい)。 ⸢マース⸣ヌ シ⸢タ⸣レーラ シゥ⸢カーラヌ [⸢maːsu⸣nu ʃi̥⸢ta⸣reːra sï̥kaːranu] (塩が湿ったら使えない)。 7988 0 2 7558 htmvoc_7988.wav シタルン シ⸢タ⸣ルン [ʃi̥⸢ta⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}濡れて滴る。しずくとなって落ちる。 ガ⸢マヌ ティン⸣ゾーラ ミ⸢ジヌ⸣ シ⸢タ⸣リ ⸣ウティクン [ga⸢manu tin⸣ʣoːra mi⸢ʤinu⸣ ʃi̥⸢ta⸣ri ⸣ʔutikuŋ] (洞穴の天井から水滴<水>が滴り落ちてくる) 7990 0 0 7559 htmvoc_7990.wav シタルン シ⸢タ⸣ルン [ʃi̥⸢ta⸣ruŋ] 自動 廃れる。衰える。流行らなくなる。「廃、スタル」『類聚名義抄』の転訛したもの。 トゥ⸢キ⸣ヌ タ⸢トゥ⸣カー ⸢キン⸣マー シ⸢タ⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ シ⸢タラン⸣バン [tu̥⸢ki⸣nu ⸣tḁtukaː ⸢kim⸣maː ʃi̥⸢ta⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu ʃi̥⸢taram⸣baŋ] (時が経つと着物は廃れると思ったが、廃れないわい)。 シ⸢タ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸣メー シ⸢タ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢ta⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːn⸣ti ʔu⸢muːta⸣nu ⸣meː ʃi̥⸢ta⸣ri ⸢naː⸣nu] (廃れることはないと思ったが、もう廃れてしまった)。 シ⸢タ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢ta⸣reː ⸣misamunu] (廃れればいいのに) 7983 0 0 7560 htmvoc_7983.wav シダローマ シダ⸢ロー⸣マ [ʃida⸢roː⸣ma] 名 小さな簾。 シダ⸢ロー⸣マ ⸣フミティ ⸢ウン⸣ナ イ⸢ガ⸣ プシバ [ʃida⸢roː⸣ma ⸣ɸumiti ⸢ʔun⸣na ʔi⸢ga⸣ pu̥ʃiba] (小さな簾を編んで、それに烏賊を干しなさいよ) 7991 0 0 7561 htmvoc_7991.wav シタンバイ シ⸢タン⸣バイ [ʃi̥⸢tam⸣bai] 名 準備すること。用意すること。航海用語で、stand by(用意せよ、の号令)の転訛したもの。鳩間島では、多くの場合⸢カツオ漁船の出漁準備」の意味に用いられた。 ⸣アツァー ⸢タイパン⸣ズネー ン⸢ジリ⸣バ ウ⸢ヌ⸣ シ⸢タン⸣バイ<ス⸢コール> ⸢シー⸣ヨー [⸣ʔaʦaː ⸢taipan⸣ʣuneː ʔn⸢ʤiri⸣ba ʔu⸢nu⸣ ʃi̥⸢tam⸣bai ⸢ʃiː⸣joː] (明日は台湾曽根へ出漁するから、その準備しなさいよ) 7924 0 0 7562 htmvoc_7924.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 七。 シ⸢チ⸣ニン [ʃi̥⸢ʧi⸣niŋ] (七年)。 シ⸢チンガ⸣チ [ʃi̥⸢ʧiŋgaka⸣ʧi] (七月)。 シ⸢チニ⸣チ [ʃi̥⸢ʧini⸣ʧi] (七日)。 ウ⸢キ⸣ナー ⸣パレーラー シ⸢チ⸣ニン ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢ki⸣naː ⸣pareːraː ʃi̥⸢ʧi⸣nin na⸢ri⸣su] (沖縄へ行ってから七年経つ<になる>) 7926 0 1 7563 htmvoc_7926.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 {Mn_1}時節。季節。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペーリ⸣ブー [ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peːri⸣ buː] (初夏の季節に入っている)。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペー⸣レーンダ ⸣メー ピ⸢ラ⸣コー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣reːnda ⸣meː pi⸢ra⸣koː ⸢naː⸣nu] (春<初夏>の季節に入ったから、もう、寒気はない)。 7926 0 2 7564 htmvoc_7926.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 {Mn_2}時期、頃。 ク⸢ヌ シチェー⸣ ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カ⸣リティ ナ⸢ラン⸣サー [ku⸢nu ʃi̥ʧeː⸣ nuntiru ja⸢ru⸣juː pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣riti na⸢ran⸣saː] (此の頃は何故か風邪に罹ってたまらないよ)。 7926 0 3 7565 htmvoc_7926.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 {Mn_3}折。時。度。際。回。 ク⸢ヌ シチェー⸣ メー イッ⸢ケナ ワー ヤッ⸣カイ ⸣ナリ フ⸢コーラサ⸠ユー [ku⸢nu ʃi̥ʧeː⸣ meː ʔik⸢kena waː jak⸣kai ⸣nari ɸu̥⸢koːrasa⸠juː] (この度は、もう大変に貴方の世話<厄介>になって有難うございます)。時節。 ⸢バン⸣ターン ウ⸢ヤ⸣キプス ナ⸢ラ⸣リ ⸣シチン ⸣クンカヤー [⸢ban⸣taːŋ ʔu⸢ja⸣kipu̥su na⸢ra⸣ri ⸣ʃi̥ʧiŋ ⸣kuŋkajaː] (僕らにも金持ちになれる時節がくるかねえ) 7927 0 0 7566 htmvoc_7927.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 せつまつり(節祭)。旧暦八、九、十月のいずれかのミ⸢ジニー[mi⸢ʤiniː](壬、己亥)、シ⸢チ⸣ニー[ʃi̥⸢ʧi⸣niː](戊戌)の⸢ピュール[⸢pjuːru](神事のひより{EOS}「日選り」の義か)に友利御嶽で執り行われた⸢ズンガチニン⸣ガイ[⸢ʣuŋgaʧiniŋ⸣gai](十月願い)の時に、各家庭では節祭が執り行われた。シ⸢チフル⸣マイ[ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣mai](節振る舞い{EOS}節祭のご馳走)を作っていただく。家の内外を清掃し、祓い清め、シ⸢マナカヌ⸣パマ[ʃi⸢manakanu⸣pama](島中の浜)より東の裏海岸の岩の上に自生しているシ⸢チ⸣カザ[ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa](節蔓{EOS}和名、ヒメノアズキ<雌の節蔓{EOS}⸢ミー⸣カザ{SqBr}⸢miː⸣kaʣa{/SqBr}>{EOS}和名、カニクサ<雄の節蔓>{EOS}ビ⸢キカザ{SqBr}bi⸢kikaʣa{/SqBr})を採取してきて柱、立ち木、水瓶などに結わえた。五寸ほどに切った節蔓を家族全員の耳に掛けてシチフルマイを食した。家の四隅の軒には⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](ススキ)で作った⸣サン[⸣saŋ](魔除け)と桑の小枝を挿し、浜砂を屋敷に撒いて厄払いとした。ヤ⸢マトゥ⸣ソンガチ[ja⸢matu⸣soŋgaʧi](新暦の正月{EOS}大和正月)、ウ⸢ブ⸣ソンガチ[ʔu⸢bu⸣soŋgaʧi](旧暦の正月)に対して節祭りを、グ⸢マ⸣ソンガチ[gu⸢ma⸣soŋgaʧi](小正月)といい、グ⸢ソー⸣ヌ ⸣ソンガチ[gu⸢soː⸣nu ⸣soŋgaʧi](後生の正月)とも称していた。節祭りには、あの世の先祖の暮らし向きや、その家の一年中に起こる事の物音が聞こえるといって茅で造った鍋蓋を被り、井戸の側で息を凝らして聞き耳をたてた。ある者は墓の見えるところでシ⸢チ⸣ビー[ʃi̥⸢ʧi⸣biː](節の火{EOS}イ⸢ニンビー{SqBr}ʔi⸢nimbiː{/SqBr}<意念火>)を見に行ったものである。 シ⸢チ⸣カザ ⸣ミンナー カ⸢キラン⸣カー グ⸢ソーン⸣ プスン ⸣ムティ パ⸢ラ⸣リンティ⸢ダー [ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa ⸣minnaː kḁ⸢kiraŋ⸣kaː gu⸢soːm⸣ pu̥sum ⸣muti pa⸢ra⸣rinti⸢daː] (節蔓を耳に掛けないと後生の人に持ち去られるってよ) 7930 0 0 7567 htmvoc_7930.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 湿気。 ⸣クマー ⸢タウ⸣ ナリ ⸢ブンダ ヤー⸣ヤ シ⸢チヌ⸣ イ⸢リヤッ⸣サン [⸣kumaː ⸢tau⸣ nari ⸢bunda jaː⸣ja ʃi̥⸢ʧinu⸣ ʔi⸢rijas⸣saŋ] (此処は窪地になっているから、家は湿気が入りやすい)。 シ⸢チヌ スー⸣ワン [ʃi̥⸢ʧinu suː⸣waŋ] (湿気が強い)。 シ⸢チヌ⸣ ク⸢マ⸣ルン ⸣トンマー ⸢ビョー⸣ザーン [ʃi̥⸢ʧinu⸣ ku⸢ma⸣run ⸣tommaː ⸢bjoː⸣ʣaːŋ] (湿気のこもる所は病がちである) 7999 0 0 7568 htmvoc_7999.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 質。品物を抵当にして金を借りること。 ⸢キン⸣バ ⸣シチ イ⸢リティ⸣ ジン カ⸢リ⸣ クー [⸢kim⸣ba ⸣ʃi̥ʧi ʔi⸢riti⸣ ʤiŋ ka⸢ri⸣kuː] (着物を質に入れてお金を借りてこい) 8000 0 1 7569 htmvoc_8000.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 {Mn_1}土。土壌。 シ⸢チ⸣ニー [ʃi̥⸢ʧi⸣niː] (つちのえ<戊>、つちのと<己>)。 シ⸢チ⸣ヌ<⸢ジー⸣ヌ> ⸣フキ ⸢ブンダ⸣ ム⸢ヌスク⸣ロー イッ⸢ケン ノー⸣ルン [ʃi̥⸢ʧi⸣nu<⸢ʤiː⸣nu> ⸣ɸu̥ki ⸢bunda⸣ mu⸢nusu̥ku⸣roː ʔik⸢ken noː⸣ruŋ] (土が肥えているから作物は非常に良く実る)。 シ⸢チ⸣ヌ ⸣カン [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣kaŋ] (土の神)。 ⸣クチティ ムー⸢ル⸣ シチ ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ku̥ʧiti muː⸢ru⸣ ʃi̥ʧi ⸣nari ⸢naː⸣nu] (朽ちて全部土になってしまった)。 8000 0 2 7570 htmvoc_8000.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 {Mn_2}熟語の構成要素として用いられる。 シ⸢チマチ⸣ル [ʃi̥⸢ʧimaʧi⸣ru] (土地の祭り<祈願>)。 シ⸢チ⸣ニー [ʃi̥⸢ʧi⸣niː] (十干の戊<つちのえ>{EOS}己<つちのと>) 8023 0 0 7571 htmvoc_8023.wav シチ ⸣シチ [⸣ʃi̥ʧi] 名 病気の一種。⸢シー⸣ラ[⸢ʃiː⸣ra](寒気・風雨 昔の人は、体が風雨にさらされる事が後日病気を引き起こす誘引と考える人が多かった{EOS}『医学沖縄語辞典』)と同じ。⸣シチ ク⸢マ⸣ルン[⸣ʃi̥ʧi ku⸢ma⸣ruŋ](湿地帯で長時間居住したり、仕事をしたりすると冷気が体内に入って罹患する<冷気がこもる>)という。腹が太鼓のように腫れて死ぬことがあるという病気 7931 0 0 7572 htmvoc_7931.wav ジチ ジ⸢チ [ʤi⸢ʧi] 名 実。真実。本当。 ウ⸢レー⸣ ユ⸢ク⸣シェー ア⸢ラ⸣ヌ ジ⸢チヌ⸣ クトゥ [ʔu⸢reː⸣ ju⸢ku⸣ʃeː ʔa⸢ra⸣nu ʤi⸢ʧinu⸣ ku̥tu] (それは嘘ではない{EOS}真実のことである)。 ジ⸢チェー ピンガ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [ʤi⸢ʧeː piŋga⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (実は<本当は>逃がしてしまったのだ)。まこと。事実。実際。 ジ⸢チェー⸣ ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢フン⸣トー ア⸢ラン⸣シェン⸣ツォー [ʤi⸢ʧeː⸣ ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢ɸun⸣toː ʔa⸢raŋ⸣ʃen⸣ʦoː] (実は、その話は本当ではなかったそうだ) 7932 0 0 7573 htmvoc_7932.wav シチカザ シ⸢チ⸣カザ [ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa] 名 (植)和名、ヒメノアズキ(雌の節蔓)。カニクサ(雄の節蔓)『石垣方言辞典』。鳩間島の裏海岸の岩原に自生している。節祭りの時、シ⸢マナカヌ⸣ パ⸢マ[ʃi⸢manakanu⸣ pa⸢ma](島中の浜)より東側に自生しているのを採って、家の柱、臼類、杵類、農具類、家具類、瓶類。箸類、庭の立ち木等に結わえた。五寸ほどの長さに切って家族全員の耳に掛けてシ⸢チフル⸣マイ[ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣mai](節祭りのご馳走)を食べた。 シ⸢チ⸣カザ ⸣ミンナー カ⸢キラン⸣カー グ⸢ソーン⸣プスン ム⸢シトゥラ⸣リンティ⸢ダー [ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa ⸣minnaː kḁ⸢kiraŋ⸣kaː gu⸢soːm⸣pusum mu⸢ʃitura⸣rinti⸢daː] (節蔓を耳に掛けておかないと後生の人に毟りとられるってよ) 8003 0 0 7574 htmvoc_8003.wav シチカザ シ⸢チ⸣カザ [ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa] 名 節祭りに用いる葛。節葛。節葛で巻いてあるものは現世人間の所有物である印とされ、祖霊がそれらをあの世へ持ち去ることは無いと信じられている。和名、カニクサ(雄株)、ヒメノアズキ(雌株)。必ず、シ⸢マナカヌ⸣ パマ[ʃi⸢manakanu⸣ pama](島中の浜)より東の岩原に生えているシチカザを採取することになっていた。 シ⸢チ⸣ヌ ⸣ピンマー シ⸢チ⸣カザシ ⸢キーム⸣トゥン ⸣パラーン ⸢ドングペン⸣グン マ⸢キ⸣シキティ プ⸢スヌ⸣ ミンナーン ⸣ガキ シ⸢キ⸣シタ [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣pimmaː ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣaʃi ⸢kiːmu⸣tum ⸣paraːn ⸢doŋgupeŋ⸣gum ma⸢ki⸣ʃi̥kiti pu̥⸢sunu⸣ minnaːŋ ⸣gaki ʃi̥⸢ki⸣ʃi̥ta] (節祭りの日には、節葛で庭木の幹も、柱も道具類も巻きつけておいて、人の耳にも掛けておいた) 8010 0 0 7575 htmvoc_8010.wav シチギョー シ⸢チギョー [ʃi̥⸢ʧigjoː] 名 卒業。明治29年6月16日に大川尋常小学校鳩間分校が設置され、「明治33年4月、初メテ本分校第1回卒業生3人ヲ出セリ」(「鳩間小学校沿革」)とあるから、その年に標準語から借用された語であろう。 ⸢ワー⸣ メー イ⸢チル ガッ⸣コー シ⸢チギョー⸣ シ⸢タ⸣カヤー ⸣メー [⸢waː⸣ meː ʔi⸢ʧiru gak⸣koː ʃi̥⸢ʧigjoː⸣ ʃi̥⸢ta⸣kajaː meː] (君は、もう、いつ<ぞ>学校を卒業したのかね、もう)。 シ⸢チギョー シェーラ ナン⸣ニン ナ⸢ル⸣ワ [ʃi̥⸢ʧigjoː ʃeːra nan⸣nin na⸢ru⸣wa] (卒業して何年になるか) 7940 0 0 7576 htmvoc_7940.wav シチジューサンヌヨイ シチジュー⸢サン⸣ヌ ⸣ヨイ [ʃi̥ʧiʤuː⸢san⸣nu ⸣joi] 連 七十三歳の生年祝い。「古稀の祝い」に相当する生年祝い。 マ⸢ナマ⸣ヌ プ⸢ソー⸣ ナ⸢ガイキ ソー⸣ルンダ シチジュー⸢サン⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣ル プ⸢ソー オーラ⸣ヌ [ma⸢nama⸣nu pu̥⸢soː⸣ na⸢gaiki soː⸣runda ʃi̥ʧiʤuː⸢san⸣nu ⸣joi ⸢soː⸣ru pu̥⸢soː ʔoːra⸣nu] (今の人は長生きされるから七十三歳の生年祝いをされる人はいない)。 ⸢アー⸣ヤ シチジュー⸢サン⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー パ⸢トゥ⸣マナーティル ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʔaː⸣ja ʃi̥ʧiʤuː⸢san⸣nu ⸢joi⸣jaː pḁ⸢tu⸣manaːtiru ⸢soːt⸣ta] (お父さんの七十三歳の生年祝いは鳩間島でなさった<行われた>) 7933 0 0 7577 htmvoc_7933.wav シチズーワン シ⸢チズー⸣ワン [ʃi̥⸢ʧiʣuː⸣waŋ] 連 湿気が強い。 シ⸢チズー⸣ワン ⸣トンマー タ⸢ティグリ⸣サン [ʃi̥⸢ʧiʣuː⸣wan ⸣tommaː ta⸢tiguri⸣saŋ] (湿気の多いところは生活し<立ち>にくい) 8005 0 0 7578 htmvoc_8005.wav シチナビ シ⸢チ⸣ナビ [ʃi̥⸢ʧi⸣nabi] 名 どなべ(土鍋)。カ⸢ニナビ[ka⸢ninabi](鉄鍋{EOS}「金属鍋」の義)の対義語。 ヤ⸢ミプス⸣ヌ ⸢カイヤー⸣ シ⸢チ⸣ナビナー ミス⸢コーミスコー⸣シ タ⸢キ⸣バ [ja⸢mipu̥su⸣nu ⸢kaijaː⸣ ʃi̥⸢ʧi⸣nabinaː misu̥⸢koːmisu̥koː⸣ʃi tḁ⸢ki⸣ba] (病人のお粥は土鍋で注意深く用心して炊きなさい) 8006 0 0 7579 htmvoc_8006.wav シチナンカ シ⸢チナン⸣カ [ʃi̥⸢ʧinaŋ⸣ka] 名 七七日忌。四十九日の法事。 ナ⸢ナナン⸣カ [na⸢nanaŋ⸣ka] (七七日忌)。普通は、⸣シンズク[⸣ʃinʣuku](四十日の法事)という 8007 0 0 7580 htmvoc_8007.wav シチニー シ⸢チ⸣ニー [ʃi̥⸢ʧi⸣niː] 名 干支の戊<つちのえ>、己<つちのと>。 シ⸢チ⸣ニーナール ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [ʃi̥⸢ʧi⸣niːnaːru ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (十干の戊に祈願をされた)。十干の第五と第六の日。 ム⸢ヌスクル⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢チ⸣ニーナ ア⸢ティティ⸣ ニガイ ⸢ヨー⸣ルカー ⸣ミサン [mu⸢nusu̥kuru⸣nu ⸢niŋ⸣gai ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢ʧi⸣niːna ʔa⸢titi⸣ nigai ⸢joː⸣rukaː ⸣misaŋ] (農作物<物作り>の祈願だから、戊の日に当てて祈願されたらよい) 7935 0 0 7581 htmvoc_7935.wav シチニンキ シ⸢チニン⸣キ [ʃi̥⸢ʧiniŋ⸣ki] 名 七年忌。死後七年目の法事。四十九日忌、百日忌と同様の仕方で行われる法事。{⸢ニンキソッ⸣コー[⸢niŋkisok⸣koː](年忌焼香)の中でユ⸢ノー⸣レー[ju⸢noː⸣reː](死後一年目の法事{EOS}焼香)}。⸢サンニン⸣キ[⸢sanniŋ⸣ki](三年忌の法事{EOS}焼香)に次いで行われる法事。⸢ジュー⸣サンニンキ[⸢ʤuː⸣sanniŋki](十三年忌の焼香)、ニジューグ⸢ニンキ[niʤuːgu⸢niŋki](二十五年忌の法事{EOS}焼香)、サンジュー⸢サンニン⸣キ[⸣sanʤuː⸢sanniŋ⸣ki](三十三年忌の法事{EOS}焼香)で法事は終了する。 ⸢アー⸣ヤー シ⸢チニンキ⸣ヤ イ⸢チ ヤッタ⸣メー [⸢ʔaː⸣jaː ʃi̥⸢ʧiniŋki⸣ja ʔi⸢ʧijatta⸣meː] (お父さんの七年忌はいつだったかなあ、もう)。 シ⸢チニン⸣ケー シ⸢マ⸣シェーン [ʃi̥⸢ʧiniŋ⸣keː ʃi⸢ma⸣ʃeːŋ] (七年忌はすませた) 8009 0 0 7582 htmvoc_8009.wav シチヌカン シ⸢チ⸣ヌ ⸣カン [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣kaŋ] 連 土の神様。土地神。 シ⸢チ⸣ヌ ⸣カンニン ⸢ニン⸣ガイ ッ⸢サリ⸣ ウ⸢ヤーミ⸣サ ッ⸢サリティル インクニガイヤー ソー⸣ル [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣kannin ⸢niŋ⸣gai s⸢sari⸣ ʔu⸢jaːmi⸣sa s⸢saritiru ʔiŋkunigaijaː soː⸣ru] (土の神様にも祈願申し上げ、畏れ多いと畏まり、お詫び申し上げて神職の隠居願いの祈願はなされる) 8011 0 0 7583 htmvoc_8011.wav シチヌナル シ⸢チ⸣ヌ ⸣ナル [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣naru] 連 季節の果物。季節に実る木の実。 ⸢ソー⸣ランナー シ⸢チ⸣ヌ ナ⸢ル⸣バ ム⸢ルムル⸣ナー カ⸢ザルタン [⸢soː⸣rannaː ʃi̥⸢ʧi⸣nu na⸢ru⸣ba mu⸢rumuru⸣naː ka⸢ʣarutaŋ] (お盆には季節の木の実をムルムルの供物に供えた) 8012 0 0 7584 htmvoc_8012.wav シチヌムヌ シ⸢チ⸣ヌ ⸣ムヌ [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣munu] 連 季節のもの。魚介、蔬菜、果物の旬のもの。 ク⸢レー⸣ シ⸢チ⸣ヌ ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ku⸢reː⸣ ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣munu ja⸢runda⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (これは旬のものだから非常に美味しい) 8013 0 0 7585 htmvoc_8013.wav シチパジリ シ⸢チパジ⸣リ [ʃi̥⸢ʧipaʤi⸣ri] 名 季節外れ。旬でない果物や産物。 シ⸢チパジリ⸣ヌ ⸣ムノー ン⸢マー ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢ʧipaʤiri⸣nu ⸣munoː ʔm⸢maː naː⸣nu] (季節外れのものは美味しくない) 7928 0 0 7586 htmvoc_7928.wav シチビ シ⸢チ⸣ビ [ʃi̥⸢ʧi⸣bi] 名 毎月の祈願行事。神事を執り行う日。「節日」の転訛したもの。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチヌ ⸣フカー シ⸢チ⸣ビシチビヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー ⸢カンヌ⸣マイナー ⸣グシパナー シ⸢キス [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧinu ⸣ɸu̥kaː ʃi̥⸢ʧi⸣biʃi̥ʧibinu ⸢niŋgai⸣jaː ⸢kannu⸣mainaː ⸣guʃipanaː ʃi̥⸢kisu] (朔日、十五日の他は、毎月の節日、節日の祈願には神前に神酒と初米を供える) 8015 0 0 7587 htmvoc_8015.wav シチビー シ⸢チ⸣ビー [ʃi̥⸢ʧi⸣biː] 名 祭祀。年中行事。毎月執り行われる村の祭祀。「せちにち(節日)」の転訛したもの。 シ⸢チ⸣ビシチビヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー ⸣ウガンナーティ ⸢コー⸣パナー シ⸢キ⸣タティティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーッ⸣タ [ʃi̥⸢ʧi⸣biʃiʧibinu ⸢niŋgai⸣jaː ⸣ʔugannaːti ⸢koː⸣panaː ʃi̥⸢ki⸣ tḁtitiru ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoːt⸣ta] (年中行事の祈願は御嶽で線香と花米を供えて、香を焚き立てて祈願された) 8014 0 0 7588 htmvoc_8014.wav シチピー シ⸢チ⸣ピー [ʃi̥⸢ʧi⸣piː] 名 節祭りの夜に墓所のあたりに見える妖火。村人たちは、この妖火によって、その家の吉凶を占ったという。 シ⸢チ⸣ヌ ユ⸢ネン⸣マー バ⸢カー⸣ムンケーヤ シ⸢チ⸣ピー ⸣ミルンティ ⸢マーリ アーク⸣タ [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ju⸢nem⸣maː ba⸢kaː⸣muŋkeːja ʃi̥⸢ʧi⸣piː ⸣mirunti ⸢maːri ʔaːku⸣ta] (節祭りの夜は、若者達は節祭りの妖火を見ようと、あちこち回って歩いた) 8016 0 0 7589 htmvoc_8016.wav シチブ シ⸢チ⸣ブ [ʃi̥ʧibu] 名 馬鹿。愚か者。正常な人は十分。七分の人は正常でない意。 ウ⸢レー⸣ シ⸢チ⸣ブ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンナー⸣ネー パ⸢ナス⸣ナ [ʔu⸢reː⸣ ʃi̥⸢ʧi⸣bu ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinnaː⸣neː pa⸢nasu⸣na] (彼は馬鹿<七分>だから、彼には話すな) 8024 0 0 7590 htmvoc_8024.wav シチブイツァ シ⸢チブ⸣イツァ [ʃi̥⸢ʧibu⸣ʔiʦa] 名 七分板。厚さ七分の床板。 イ⸢ツァフン⸣ツァー ゴ⸢ブイツァトゥ⸣ シ⸢チブイツァ⸣バ シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦaː go⸢buʔiʦatu⸣ ʃi̥⸢ʧibuiʦa⸣ba si̥⸢kaijoːt⸣ta] (床板には五分板と七分板を使用された) 8017 0 0 7591 htmvoc_8017.wav シチブクギ シ⸢チブ⸣クギ [ʃi̥⸢ʧibu⸣kugi] 名 7分釘。標準語からの借用語。壁板を打つのに用いる釘。家庭で使われている釘。シ⸢チブ⸣フン[ʃi̥⸢ʧibu⸣ɸuŋ](7分釘)ともいう。 シ⸢チブ⸣クギ ⸣サンギンブカラ ⸢カイ⸣クーカー ク⸢ビウティ⸣ モー タ⸢ラウン [ʃi̥⸢ʧibu⸣kugi ⸣saŋgimbukara ⸢kai⸣kuːkaː ku⸢biʔuti⸣ moː ta⸢rauŋ] (7分釘を三斤ばかり買ってきたら、壁を打つものは足りる) 8018 0 0 7592 htmvoc_8018.wav シチブドゥル シ⸢チブドゥ⸣ル [ʃi̥⸢ʧibudu⸣ru] 名 節祭りの踊り。西表島租納村の節祭りの踊り。 イ⸢ラムティヌ⸣ シ⸢チブドゥ⸣ロー イッ⸢ケナ⸣ ミ⸢ジラ⸣サン⸢ダー [ʔi⸢ramutinu⸣ ʃi̥⸢ʧibudu⸣roː ʔik⸢kena⸣ mi⸢ʤira⸣san⸢daː] (西表島租納村の節祭りの踊りは非常に珍しいよ) 8025 0 0 7593 htmvoc_8025.wav シチブヌン シ⸢チブ⸣ヌン [ʃi̥⸢ʧibu⸣nuŋ] 名 七分鑿。建築大工が用いる鑿。ほぞ穴を掘る際に用いる鑿。 シ⸢チブ⸣ヌンシ ⸣アナ ⸣プリバ [ʃi̥⸢ʧibu⸣nuŋʃi ⸣ʔana ⸣puriba] (七分鑿でほぞ穴を掘れよ) 7929 0 0 7594 htmvoc_7929.wav シチフルマイ シ⸢チフル⸣マイ [ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣mai] 名 節祭りの振る舞い<もてなし。ご馳走。饗応>。節祭はグ⸢ソー⸣ヌ ⸣ソンガチ[gu⸢soː⸣nu ⸣soŋgaʧi](後生の正月)と云われており、現世の正月同様に節祭の当日にフ⸢ルマイ[ɸu⸢rumai](ご馳走<振る舞い{EOS}饗応>)を作って家族で食した。フ⸢ルマイ[ɸu⸢rumai]は、「翔、フルマフ」『類聚名義抄』、「せちぶるまひ(節振舞)」の転訛したものか。 シ⸢チフル⸣マイ ン⸢コー⸣ル ⸣ピンマー ヤー⸢ディン⸣ シ⸢チ⸣カザ ⸣ミンナー ⸣カキティル ン⸢コーッ⸣タ [ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣mai ʔŋ⸢koː⸣ru ⸣pimmaː jaː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣaː ⸣minnaː ⸣kakitiru ʔŋ⸢koːt⸣ta] (節祭りのご馳走<節振舞い>を召し上がるときは、必ず節蔓<ヒメノアズキ>を耳に掛けて召し上がられた) 8019 0 0 7595 htmvoc_8019.wav シチマチリ シ⸢チマチ⸣リ [ʃi̥⸢ʧimaʧi⸣ru] 名 土神さまへの祈願。「土祭り」の義。地鎮祭など、土地の神に対する感謝、祈願の祭り。家や墓を移動する際にも執り行われる。 シ⸢チマチ⸣レー ⸢シーティル⸣ ヤーン パ⸢カン⸣ ム⸢チナ⸣ソーッタ [ʃi̥⸢ʧimaʧi⸣reː ⸢ʃiːtiru⸣ jaːm pḁ⸢kam⸣ mu⸢ʧina⸣soːtta] (土地神さまに感謝の祈願してから<ぞ>家も墓も移動された) 8027 0 0 7596 htmvoc_8027.wav シチヤー シ⸢チ⸣ヤー [ʃi̥⸢ʧi⸣jaː] 名 質屋。 シ⸢チ⸣ヤーティ ⸢スー ムノー⸣ パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナーン⸣シェン イ⸢サナキナー⸣ル ⸢アッ⸣タ [ʃi̥⸢ʧi⸣jaːti ⸢suːmunoː⸣ pḁ⸢tu⸣manaː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ ʔi⸢sanakinaː⸣ru ⸢ʔat⸣ta] (質屋というものは、鳩間島には無かった{EOS}石垣島にが<ぞ>あった) 7936 0 0 7597 htmvoc_7936.wav シチリン ⸣シチリン [⸣ʃi̥ʧiriŋ] 名 七輪。素焼きのこんろ(焜炉)。炭火で炊飯する焜炉。戦後の一時期輸入されたが、普及しなかった。農家では炭火を使って炊飯するほどの悠長な生活ではなく、薪を利用する炊飯が普通であった。その後暫くして石油コンロやガスコンロの時代へと流れていった。 ⸣シチリンマー パ⸢トゥ⸣マナテー シゥ⸢カイミチェー ナーン⸣シェン [⸣ʃi̥ʧirimmaː pḁ⸢tu⸣manateː sï̥⸢kaimiʧeː naːŋ⸣ʃeŋ] (七輪は鳩間島では使い道はなかった)。 ⸣シチリンマー イ⸢サナケー⸣ラ ⸢カイヨー⸣リティ ⸢タンバ⸣ イ⸢リ モーシティ⸣ スー バ⸢カソー⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン [⸣ʃi̥tirimmaː ʔi⸢sanakeː⸣ra ⸢kaijoː⸣riti ⸢tamma⸣ ʔi⸢ri moːʃi̥ti⸣ suː ba⸢kasoː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (七輪は石垣島から買ってこられて、炭を入れて燃やしてお汁を炊かれる人もおられた) 8029 0 0 7598 htmvoc_8029.wav シチンガチ シ⸢チンガ⸣チ [ʃi̥⸢ʧiŋga⸣ʧi] 名 (数)七月。 シ⸢チンガ⸣チ ⸣シキヌ ⸣タトゥカー ⸢ソーランヌ⸣ル ⸢オー⸣ル [ʃi̥⸢ʧiŋga⸣ʧi ⸣ʃi̥kinu ⸣tḁtukaː ⸢soːrannu⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (七月の月が立つとお盆<精霊会>がいらっしゃる)。 シ⸢チンガ⸣チシキ ⸢ペー⸣ルカー ⸢ソーランヌ⸣ル ⸢オー⸣ルミー ⸣メー [ʃi̥⸢ʧiŋga⸣ʧiʃi̥ki ⸢peː⸣rukaː ⸢soːrannu⸣ru ⸢ʔoː⸣rumiː ⸣meː] (七月の月に入るとお盆が来られるんですよねえ{EOS}もう) 7938 0 0 7599 htmvoc_7938.wav シチンガチウートゥリ シ⸢チンガチウー⸣トゥリ [ʃi̥⸢ʧiŋgaʧiʔuː⸣turi] 名 旧暦七月の無風状態。「七月大凪」の義。 シ⸢チンガチウー⸣トゥリサーリ ⸢マイ⸣ トゥ⸢バスンティ シーバ⸣ トゥ⸢バサリン⸠トゥレー [ʃi̥⸢ʧiŋgaʧi ʔuː⸣turisaːri ⸢mai⸣ tu⸢basunti ʃiːba⸣ tu⸢basarin⸠tureː] (七月の大凪で脱穀した米殻を飛ばして米殻や屑を除去しようとしても飛ばされるものですか) 8030 0 0 7600 htmvoc_8030.wav シチンガチニンブツァー シ⸢チンガチニンブ⸣ツァー [ʃi̥⸢ʧiŋgaʧinimbu⸣ʦaː] 名 旧暦七月の御盆に歌われる念仏歌。「七月念仏歌」の義。鳩間島で伝承されている念仏歌には、(i) ン⸢ゾーニンブツァー[ʔn⸢ʣoːnimbuʦaː](無蔵念仏歌)、(ii) シ⸢ザ⸣ヌ ⸣クイ[ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui](兄の声<歌>)、⸢ウシトゥ⸣ヌ ⸣クイ[⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸣kui](弟の声<歌>)がある。米盛クヤ氏によると昔は他にも大和由来の「」何種かうたわれていたらしい。(i) の「無蔵念仏歌」は、「親の御恩は深きもの、父くが御恩海深さ、母くが御恩は山深さ、~」(浜川本)でははじまる。(ii) のシ⸢ザ⸣ヌ クイ[ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui](兄の声<歌>)は、/ナムアミダブチ アミダプトゥキ イマジョーヌ サンナル シキダイス~/(南無阿弥陀仏 阿弥陀仏 今十の三になる月であります)で始まり、⸢ウシトゥ⸣ヌ クイ[⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸣kui](弟の声<歌>)は、/ワリンダカ ユニンナル イヤシングァヌ ムチュタル タカラヤ ネーナヤブリ ムチュタル タカラヤ アリバクリ~/(兄弟<頭数>四人いる中の最貧の子が、持てる宝<金銭>は何一つもなくて、持てる宝があればこそ<孝行を尽せるのだが>~)とある。「八重山地方に流布する念仏歌について」『沖縄文化』36・37 7939 0 0 7601 htmvoc_7939.wav シチンガチムドゥリティダ シ⸢チンガチ⸣ ム⸢ドゥリ⸣ティダ [ʃi̥⸢ʧiŋgaʧi⸣ mu⸢duri⸣tida] 連 旧暦七月に酷暑が再来すること。「七月戻り太陽」の義。 シ⸢チンガチ⸣ ム⸢ドゥリ⸣ティダー ⸢デー⸣ジ⸢ダー⸣ ユー ⸢キー⸣ シ⸢キラン⸣カー ⸣ティダビー ⸢スン⸣ダー [ʃi̥⸢ʧiŋgaʧi⸣ mu⸢duri⸣tidaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː⸣ juː ⸢kiː⸣ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ⸣tidabiː ⸢sun⸣daː] (旧暦七月の酷暑の再来は大変だぞ{EOS}よく気をつけないと日射病<太陽酔い>になるぞ) 8032 0 0 7602 htmvoc_8032.wav シツ シ⸢ツ [ʃi̥⸢ʦu] 名 (動)魚の名。和名、クロメジナ(体長約50センチ{EOS}青みを帯びた灰色の体色)。マ⸢トゥ[ma⸢tu]ともいう。西表島のイーリジマ干瀬でシ⸢ナカキ⸣ヤー[ʃi⸢nakaki⸣jaː](追い込み漁)をする際によく漁獲された。 シ⸢ツイゾー ネース⸣カー ⸣アバン ⸣ンジティ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ʃi̥⸢ʦuʔiʣoː neːsu⸣kaː ⸣ʔaban ⸣ʔnʤiti ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (クロメジナは煮ると脂も出て非常に美味しい) 8033 0 0 7603 htmvoc_8033.wav シッカームッカー ⸢シッカームッ⸣カー [⸢ʃikkaːmuk⸣kaː] 名 支離滅裂なさま。バラバラに乱れたさま。滅茶苦茶なさま。混乱したさま。 ウ⸢リヌ⸣ フ⸢チンザ⸣スカー パ⸢ナ⸣シェー ムー⸢ル⸣ シ⸢カームッ⸣カー ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢rinu⸣ ɸu̥⸢ʧiʔnʣa⸣sukaː pa⸢na⸣ʃeː muː⸢ru⸣ ʃi⸢kaːmuk⸣kaː na⸢ri⸣su] (彼が口を出すと話は総て滅茶苦茶になってしまう) 8034 1 0 7604 htmvoc_8034.wav シッカク ⸢シッカ⸣ク [⸢ʃikka⸣ku] 名 {PoS_1}せっかく。わざわざすること。 ⸢シッカク⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ ヤ⸢ルムヌ⸣ シ⸢キ⸣ミリバ [⸢ʃikkaku⸣nu pa⸢na⸣ʃi ja⸢rumunu⸣ ʃi̥⸢ki⸣miriba] (折角の話だから、聞いてみなさいよ)。 8034 2 0 7605 htmvoc_8034.wav シッカク ⸢シッカ⸣ク [⸢ʃikka⸣ku] 副 {PoS_2}わざわざ。努力してするさま。 ⸢シッカ⸣ク<⸣シンニン> タ⸢ジ⸣ナイ ⸢オー⸣レームヌ ⸢ンーナティー⸣シェー ⸢カイ⸣シ ⸢オーラサラ⸣ヌ [⸢ʃikka⸣ku<⸣ʃinnin> ta⸢ʤi⸣nai ⸢ʔoː⸣reːmunu ⸢nːnatiː⸣ʃeː ⸢kai⸣ʃi ⸢ʔoːrasara⸣nu] (折角訪ねていらっしゃったのを、手ぶら<素手>ではお帰りいただけない) 8035 0 0 7606 htmvoc_8035.wav シッキカーキ ⸢シッ⸣キカーキ [⸢ʃik⸣kikaːki] 名 げんこつ(拳骨)をくらわす。拳骨を食らわしまくること。 プ⸢スヌ⸣ ス⸢ブル⸣バ ⸣アイニ ⸢シッ⸣キカーキ ⸢サン⸣ <⸢シッカ⸣ン> ブ⸢リ⸣バ [pu̥⸢sunu⸣ su⸢buru⸣ba ⸣ʔaini ⸢ʃik⸣kikaːki ⸢sam⸣ <⸢ʃikka⸣m> bu⸢ri⸣ba] (他人の頭をあんなに拳骨を食らわししまくるなよ) 8036 0 0 7607 htmvoc_8036.wav シッキツァースン ⸢シッキツァー⸣スン [⸢ʃikkiʦaː⸣suŋ] 他動 搗きつぶす。散々に搗く。うち叩く。叩きつぶす。 ⸣ウシナー イ⸢リティ シッキツァー⸣スンティ ⸣シケー [⸣ʔuʃinaː ʔi⸢riti ⸢ʃikkiʦaː⸣sunti ʃi̥keː] (臼に入れて搗きつぶそうとしてある)。 ⸢シッキツァーシ⸣ プサタンティン ⸢シッキツァーサン⸣ドーシ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸢シッ⸣キバ [⸢ʃikkiʦaːʃi⸣ pu̥satantiŋ ⸢ʃikkiʦaːsan⸣doːʃi jaː⸢rama⸣ʃi ⸢ʃik⸣kiba] (搗きつぶしたくても搗きつぶさないで、柔らかく搗きなさい)。 ⸢シッキツァー⸣ス クトゥ [⸢ʃikkiʦaː⸣su ⸣ku̥tu] (搗きつぶすこと)。 ⸢シッキツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʃikkiʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (搗きつぶせばよいのに)。 ムー⸢ル シッキツァー⸣シ [muː⸢ru ʃikkiʦaː⸣ʃi] (全部搗きつぶせ) 8037 0 0 7608 htmvoc_8037.wav シッキマーサー ⸢シッキマー⸣サー [⸢ʃikkimaː⸣saː] 名 漁法の名。サバニに乗ったまま、桶鏡<玉桶>で海底を見ながらタコや魚を突き刺して漁獲する漁法。 ⸢ピー⸣ヤンダ ッ⸢スマン⸣ドーシ ⸣イダフネーラ タ⸢マウー⸣キシ ス⸢ナ⸣カー ⸣ミレーティ イ⸢ズ⸣ タク ⸣トゥルムバル ⸢シッキマー⸣サーティ ア⸢ズタ [⸢piː⸣janda s⸢suman⸣doːʃi ⸣ʔidaɸuneːra ta⸢mauː⸣kiʃi su⸢na⸣kaː ⸣mireːti ʔi⸢ʣu⸣ tḁku ⸣turumubaru ⸢ʃikkimaː⸣saːti ʔa⸢ʣuta] (寒いから潜らないで、サバニから桶鏡<玉桶>で海底を覗きながら魚やタコを漁獲することをシッキマーサーといった) 8038 0 0 7609 htmvoc_8038.wav シッキマーシ ⸢シッキマー⸣シ [⸢ʃikkimaː⸣ʃi] 名 突っつき回し。急き立てること。追い込み漁の際、魚を追い込む人が竿で珊瑚礁を突っつきながら袋網の方へ追い込むこと。 ⸢シッキマー⸣シ イ⸢ズ ウイ⸣クーバ [⸢ʃikkimaː⸣ʃi ʔi⸢ʣu ʔui⸣kuːba] (突っつき回して魚を追ってこいよ) 8039 0 1 7610 htmvoc_8039.wav シッキンザルン ⸢シッキン⸣ザルン [⸢ʃikkin⸣ʣaruŋ] 他動 {Mn_1}石などでささくれ立つまで突っつく。搗いて粉々にする。 イ⸢シ⸣シ ⸢シッキン⸣ザリ ⸢ベー [ʔi⸢ʃi⸣ʃi ⸢ʃikkin⸣ʣari ⸢beː] (石で粉々に搗き砕いている)。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ヌーンクイン ⸢シッキン⸣ザルン [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ja⸢ra⸣beː ⸣nuːŋkuiŋ ⸢ʃikkin⸣ʣaruŋ] (怒ったら子供は何もかも突っつき砕く)。 8039 0 2 7611 htmvoc_8039.wav シッキンザルン ⸢シッキン⸣ザルン [⸢ʃikkin⸣ʣaruŋ] 他動 {Mn_2}散々に打ちのめす。叩き付ける。 キ⸢ムイ⸣ツァー ナー⸢イ シッキンザラ⸣リ ⸢ベー [ki⸢mui⸣ʦaː naː⸢i ⸢ʃikkinʣara⸣ri ⸢beː] (可哀相に<気の毒に>ただ散々に打ちのめされているよ) 7339 0 0 7612 htmvoc_7339.wav シックン ⸢シッ⸣クン [⸢ʃik⸣kuŋ] 他動 叩く。\ruby{敲}{タタ}く。つつく。ぶつ。殴る。搗く。 イ⸢シ⸣シ ⸢シッ⸣クン [ʔi⸢ʃi⸣ʃi ⸢ʃik⸣kuŋ] (石で敲く<つつく>)。 イ⸢シ⸣シェー ⸢シッカ⸣ヌ [ʔi⸢ʃi⸣ʃeː ⸢ʃikka⸣nu] (石で敲か<つつか>ない)。 イ⸢シ⸣シ ⸢シッキ⸣ プサン [ʔi⸢ʃi⸣ʃi ⸢ʃikki⸣ pu̥saŋ] (石で敲き<つつき>たい)。 ⸢シッ⸣ク ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃik⸣ku ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (敲く<つつく>ものはない)。 シ⸢ル⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンケン ⸢シッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ru⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋkeŋ ⸢ʃik⸣keː ⸣misamunu] (汁が出るまで敲けば<つつけば>よいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢シッ⸣キ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʃik⸣ki] (もっと敲け<つつけ>)。 ム⸢チ シッ⸣クン [mu⸢ʧi ʃik⸣kuŋ] (餅を搗く)。 ⸢ティス⸣クンシ ス⸢ブ⸣ル ⸢シッカン⸠ダー [⸢tisu̥⸣kuŋʃi su⸢bu⸣ru ⸢ʃikkan⸠daː] (拳骨で頭を叩かないよ)。 ⸢シッ⸣キ ⸣ミサン [⸢ʃik⸣ki ⸣misaŋ] (突っついてもいい)。 ⸢シック⸣タン [⸢ʃikku⸣taŋ] (突っつい<叩い>た)。 ⸢シッ⸣ク ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʃik⸣ku ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (突っつくことをしてはならない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢シッ⸣ケーミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʃik⸣keː ⸣misamunu] (もっと突っつけ<叩け>ばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢シッ⸣キ [⸢paː⸣ku ⸢ʃik⸣ki] (早く突っつ<叩け>け)。 ⸢アイダ⸣チシ ⸢シッ⸣クンティ ⸢スーヌンドゥ シッカラン⸣バ ⸢ワー⸣シ ⸢シッ⸣キ ッ⸢ふィーリ [⸢ʔaida⸣ʧiʃi ⸢ʃik⸣kunti ⸢suːnundu ʃikkaram⸣ba ⸢waː⸣ʃi ⸢ʃik⸣ki f⸢fiːri] (木槌で叩こうとするが、叩かれないので君のほうで叩いてくれ)。 ⸢シッ⸣ク ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸢シッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢ʃik⸣ku ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸢ʃik⸣keː ⸣misamunu] (叩くものは早く叩けばよいのに)。 ⸣ナルカー ムー⸢ル シッ⸣キバ [⸣narukaː muː⸢ru ʃik⸣kiba] (出来たら全部叩きなさいよ) 7941 0 0 7613 htmvoc_7941.wav シッタイ ⸣シッタイ [⸣ʃittai] 感 それ見ろ。それ見たことか。相手が失敗したときにいう語。「したり(為たり)」の転訛したもの。 ⸢ウ⸣リ ⸣シッタイ プ⸢スヌ⸣ バチ カ⸢ビ⸣ル ⸣アイ ⸣ナレール [⸢ʔu⸣ri ʃittai pu̥⸢sunu⸣ baʧi ka⸢bi⸣ru ⸣ʔai ⸣nareːru] (それ見ろ、他人の罰を被って、そうなったのだ) 7942 0 0 7614 htmvoc_7942.wav シッタイヒャー ⸣シッタイヒャー [⸣ʃi̥ttaiçaː] 感 それ見ろ。それ見たことか。強調表現。相手が失敗したときにいう語。 ⸣ウリ ⸣シッタイヒャー プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カムティ スンカブ⸣リ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔuri ⸣ʃittaiçaː pu̥⸢sunu⸣ muni sï̥⸢kamuti suŋkabu⸣ri⸢ge⸣ra] (それ見たことか{EOS}他人の言う事を聞かないで、損被りさ) 8041 0 1 7615 htmvoc_8041.wav ジッチ ⸢ジッチ [⸢ʤitʧi] 名 {Mn_1}(植)だんどく(檀特)の芽、茎。茎を抜いて吸うと甘味があるので子供達はそれを嘗めて遊んだ。 ジッ⸢チェー⸣マ [ʤit⸢ʧeː⸣ma] (小さな芽{EOS}小さな茎)。 ジッ⸢チェー⸣マ ⸣ヌイ ユ⸢ビ⸣バ [ʤit⸢ʧeːma⸣ nuiti ju⸢bi⸣ba] (だんどくの茎を抜き取って吸いなさいよ)。 8041 0 2 7616 htmvoc_8041.wav ジッチ ⸢ジッチ [⸢ʤitʧi] 名 {Mn_2}幼児語。小さなおっぱい 8042 0 0 7617 htmvoc_8042.wav ジッチェーマ ジッ⸢チェー⸣マ [ʤit⸢ʧeː⸣ma] 名 小さなお乳。乳の幼児語。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢シー⸣ヤ ジッ⸢チェー⸣マ ⸣ナリ ⸢ブー [ja⸢rabi⸣nu ⸢ʃiː⸣ja ʤit⸢ʧeː⸣ma ⸣nari ⸢buː] (子供のお乳は小さなお乳になっている) 8044 0 0 7618 htmvoc_8044.wav シッツァースン ⸢シッツァー⸣スン [⸢ʃitʦaː⸣suŋ] 他動 擦り合わせる。擦り付ける。⸢シッツァー⸣スン[⸢ʃitʦaː⸣suŋ](擦り合わせる)ともいう。 ウ⸢ム⸣ティナー ⸢シッツァー⸣シ ⸢ヌーリ [ʔu⸢mu⸣tinaː ⸢ʃitʦaː⸣ʃi ⸢nuːri] (顔に擦り付けて塗れ)。 ⸢シッツァー⸣スンティ ⸢スーヌンドゥ シッツァーサラ⸣ヌ [⸢ʃitʦaː⸣sunti ⸢suːnundu ʃitʦaːsara⸣nu] (擦り付けようとするが、擦り付けられない)。 ⸢シッツァー⸣ス ⸣プソー ⸢パイ⸣サ ⸢シッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʃitʦaː⸣su ⸣pu̥soː ⸢pai⸣sa ⸢ʃitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (擦り付ける時は早く擦り付ければよいのに)。 ⸢シッツァー⸣シ [⸢ʃitʦaː⸣ʃi] (擦り付けよ) 8043 0 0 7619 htmvoc_8043.wav シッツァーン ⸢シッ⸣ツァーン [⸢ʃit⸣ʦaːŋ] 助動 形容詞型助動詞。~したい(便意、尿意をもよおす)。生理現象を表す語に付いて、⸢~したい」の意を表す。「~したさ・あり」の転訛した形。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッ⸣ツァーン [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃit⸣ʦaːŋ] (小便したい)。 ⸣ッス マ⸢リッ⸣ツァーン [⸣ssu ma⸢rit⸣ʦaːŋ] (大便をしたい) 8046 0 0 7620 htmvoc_8046.wav ジットー ⸢ジットー [⸢ʤittoː] 名 種痘。 ム⸢カ⸣シェー ナ⸢ナッ⸣チ ⸣ナルカー ⸢ジットー⸣ イ⸢バソーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː na⸢nat⸣ʧi ⸣narukaː ⸢ʤittoː⸣ ʔi⸢basoːt⸣taŋ] (昔は七歳になると種痘を接種<植え>させられた) 8047 0 0 7621 htmvoc_8047.wav シットースン ⸢シットー⸣スン [⸢ʃittoː⸣suŋ] 他動 力をこめて擦り付ける。強くこする(擦る)。強く擦り磨く。 ⸣サジシ ⸢シットースン⸣ドゥ ⸣カマー ⸢シットーサラン⸣バ ⸢ワー シットー⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸣saʤiʃi ⸢ʃittoːsun⸣du ⸣kamaː ⸢ʃittoːsaram⸣ba ⸢waː ʃittoː⸣ʃi f⸢fiːri] (手拭で強くこするが、あそこは強く擦られないから君が強く擦ってくれ)。 ⸢シットー⸣ス ⸣ピンマー ス⸢ブ⸣リティ ⸢シットー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʃittoː⸣su ⸣pimmaː su⸢bu⸣riti ⸢ʃittoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (強く擦る時は絞って擦ればよいのに)。 ⸢シットー⸣シバ [⸢ʃittoː⸣ʃiba] (強く擦れよ) 8045 0 0 7622 htmvoc_8045.wav シットゥイ シッ⸢トゥイ [ʃit⸢tui] 感 万歳。「しとと(甚だしく)」の転訛したものか。日常会話では使用することがほとんどない。新築落成式の儀式で⸣アーパーレー[⸣ʔaːpaːreː](新室寿ぎ歌)を歌う際、⸢ユイプス[⸢juipu̥su](ユイ人)が人形を抱いて、⸢ワンヌン ビー⸣ティ ⸢バンヌン ビー⸣ティ シッ⸢トゥイ⸣シッ⸢トゥイ[⸢wannum biː⸣ti ⸢bannum biː⸣ti ʃi̥t⸢tui⸣ʃi̥t⸢tui](貴方も酔って私も酔って、ああ万歳万歳)と唱え、神酒を棟木に投げかけるときにいう語 8048 0 0 7623 htmvoc_8048.wav ジッパーマ ジッ⸢パー⸣マ [ʤip⸢paː⸣ma] 名 鳥の名。めじろ(目白)『八重山語彙』。 ジッ⸢パー⸣マー ム⸢チ⸣シ シ⸢ビシキン⸣ パラ⸢ディー [ʤip⸢paː⸣ma mu⸢ʧi⸣ʃi ʃi⸢biʃi̥kim⸣ para⸢diː] (目白をもちでくっつけて捕獲しに行こうよ) 8049 0 0 7624 htmvoc_8049.wav シッパイ ⸢シッ⸣パイ [⸢ʃip⸣pai] 副 うんと。一生懸命。力の限り。精一杯。強意で⸢シーッ⸣パイ[⸢ʃiːp⸣pai]ともいう。「精一杯」の転訛したもの。 ⸢シッ⸣パイ パ⸢タラキサーギ スー⸣カー ⸢ナンクク⸣ル ⸢ジン⸣マー タ⸢マルン [⸢ʃip⸣pai pḁ⸢tarakisaːgi suː⸣kaː ⸢naŋkuku⸣ru ⸢ʤim⸣maː ta⸢maruŋ] (一生懸命働きさえすれば自ずからお金は貯まる) 8050 0 0 7625 htmvoc_8050.wav シッパイカッパイ ⸢シッパイカッ⸣パイ [⸢ʃippaikap⸣pai] 副 どうにかこうにか。辛うじて。やっとかっと。ABCDEBCD方の重言。 ⸢シッパイカッ⸣パイ ⸢シェー⸣ティ パ⸢タラキ モーキ⸣ル ク⸢ラシ ブー [⸢ʃippaikap⸣pai ⸢ʃeː⸣ti pḁ⸢taraki moːki⸣ru ku⸢raʃi buː] (どうにかこうにか、一生懸命に働いて儲けて暮らしている) 8051 0 0 7626 htmvoc_8051.wav シッピラー ⸢シッピラー [⸢ʃippiraː] 名 ぺしゃんこ。押しつぶされて平たいこと。 ブ⸢ネーヌ シー⸣ヤ ッ⸢ふァン⸣ ス⸢ブラ⸣リティ ⸢シッピラー⸣ ナリ ⸢ベー [bu⸢neːnu ʃiː⸣ja f⸢fan⸣ su⸢bura⸣riti ⸢ʃippiraː⸣ nari ⸢beː] (母親のお乳は子供に搾られてぺしゃんこになっている) 8052 0 0 7627 htmvoc_8052.wav シッピルン ⸢シッピルン [⸢ʃippiruŋ] 他動 強く吸う。強く吸い取る。 ヤ⸢ラ⸣ビン ナー⸢イ⸣ シー ⸢シッピラリ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bin naː⸢i⸣ ʃiː ⸢ʃippirari⸣ na⸢ra⸣nu] (子供<童>にずっと乳を強く吸われてたまらない)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣シー ⸢シッピル⸣ ピンマー ニ⸢ビベー⸣ティン ⸢シッピルン⸣ダー [ja⸢rabi⸣nu ⸣ʃiː ⸢ʃippiru⸣ pimmaː ni⸢bibeː⸣tiŋ ⸢ʃippirun⸣daː] (子供が乳を強く吸う時は寝ていても強く吸うよ)。 ⸢シッピレー⸣ ミサムヌ [⸢ʃippireː⸣ misamunu] (強く吸えばよいのに)。 ナー⸢イ シッピリ [naː⸢i ʃippiri] (ずっと強く吸いなさい)。シ⸢ビルン[ʃi⸢biruŋ]ともいう 8054 0 0 7628 htmvoc_8054.wav シティー シ⸢ティー [ʃi̥⸢ti-] 接頭 最悪の。やけくそに。「捨て」は、「壽毛須底て<命も捨てて>『万葉集 4211』」、「sute、tçuru,eta。(捨て・棄て)『邦訳日葡辞書』」の義。後続の名詞の意味を最悪に強調する。 シ⸢ティシグトゥ [ʃi̥⸢tiʃigutu] (最悪の仕事)。 シ⸢ティヤマング [ʃi̥⸢tijamaŋgu] (ひどいいたずらっ子)。 シ⸢ティ⸣スブットゥ [ʃi̥⸢ti⸣subuttu] (最低の怠け者) 8055 0 0 7629 htmvoc_8055.wav シティカーシ シ⸢ティカー⸣シ [ʃi̥⸢tikaː⸣ʃi] 名 投売り。「捨て売り」の義。損得を度外視して売り尽くすこと。 ナ⸢マ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ッサラシェー ナ⸢ラ⸣ヌ シ⸢ティカー⸣シ ヤ⸢ラバン サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [na⸢ma⸣munu ja⸢runda⸣ ssaraʃeː na⸢ra⸣nu ʃi̥⸢tikaː⸣ʃi ja⸢raban saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (生ものだから腐らせてはいけない{EOS}投売り<捨て売り>でもしないならない) 9299 0 0 7630 htmvoc_9299.wav シティカーシ シティカー⸣シ [ʃi̥⸢tikaː⸣ʃi] 名 捨て売り。投げ売り。損失を構わず安値で売ること 8172 0 0 7631 htmvoc_8172.wav シディカイ シ⸢ディ⸣カイ [ʃi⸢di⸣kai] 名 水のようになった粥。 ⸢カイヤー シー⸣リティ シ⸢ディ⸣カイ ⸣ナリ ⸢ベー [⸢kaijaː ʃiː⸣riti ʃi⸢di⸣kai nari ⸢beː] (お粥は饐えて水のような粥になっている) 8056 0 0 7632 htmvoc_8056.wav シディガフ シ⸢ディガ⸣フ [ʃi⸢diga⸣ɸu] 名 幸せ。光栄。冥加。生まれた甲斐。有難うございます。「生まれ<孵化>果報」の転訛したもの。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイン ⸢シー⸣ タ⸢ボー⸣リ シ⸢ディガ⸣フー ⸢ユー [⸢toːkaki⸣nu ⸣joiŋ ⸢ʃiː⸣ ta⸢boː⸣ri ʃi⸢diga⸣ɸuː⸢juː] (米寿のお祝い<とかきの祝い>もして頂き幸せ<生まれた果報>です) 8169 0 0 7633 htmvoc_8169.wav シディガフー シ⸢ディ⸣ガフー [ʃi⸢di⸣gaɸuː] 名 栄誉。光栄。幸せ。 ウ⸢ビ⸣ナーヌ ⸢ヨイ⸣バ シ⸢ミタボー⸣リ シ⸢ディガ⸣フー⸢ユー [ʔu⸢binaː⸣nu ⸢joi⸣ba ʃi⸢mitaboː⸣ri ʃi⸢diga⸣ɸuː⸢juː] (あれほどのお祝いをして頂いて光栄でございます)。 サ⸢クシ⸣ッふァン タ⸢ボーラ⸣リ イッ⸢ケナ⸣ シ⸢ディガフー⸣ ユン [sa⸢kuʃi⸣ffan ta⸢boːra⸣ri ʔik⸢kena⸣ ʃi⸢digaɸuː⸣juŋ] (長男にも恵まれて大変光栄<幸せ>だよ) 8057 0 0 7634 htmvoc_8057.wav シティガラ シ⸢ティ⸣ガラ [ʃi̥⸢ti⸣gara] 名 粗末に扱うこと。おろそかに扱うこと。ほったらかしにすること。粗相に扱うこと。粗略に扱うこと。⸢アッ⸣タラ ッ⸢ふァイムヌバ⸣ アイニ シ⸢ティ⸣ガラ ス⸢ナ⸠ツォー。⸣ムノー ア⸢タラ⸣サ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー[⸢ʔat⸣tara ⸢faimunuba⸣ ʔaini ʃi̥⸢ti⸣gara su⸢na⸠ʦoː。⸣munoː ʔa⸢tara⸣sa ⸢saŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː⸠](もったいない<あたら>食べ物を、あんなに粗末にするなよ{EOS}ものは惜しん<可愛がって>で大切にしないといけないよ) 8170 0 0 7635 htmvoc_8170.wav シディガラ シ⸢ディ⸣ガラ [ʃi⸢di⸣gara] 名 抜け殻。脱皮した後の殻。シ⸢ディッ⸣クル[ʃi⸢dik⸣kuru](抜け殻)ともいう。 パ⸢ブヌ⸣ シ⸢ディ⸣ガラ [pa⸢bunu⸣ ʃi⸢di⸣gara] (蛇の抜け殻)。 ⸣サンサンヌ シ⸢ディ⸣ガラ [⸣sansannu ʃi⸢di⸣garu] (蝉の抜け殻) 8060 0 0 7636 htmvoc_8060.wav シティガラシゥカナイ シ⸢ティ⸣ガラシゥカナイ [ʃi̥⸢ti⸣garasi̥kanai] 名 ほったらかしにすること。子供をほったらかしにして育てること。手を掛けずに育てること。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢キョーダイ⸣ヌ ⸢ゴーラー⸣トゥ ⸢ピンソー⸣ヤー ヤ⸢レー⸣ティ シ⸢ティ⸣ガラシゥカナイ シ⸢ラリル⸣ フ⸢ドゥベー⸠ダー [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢kjoːdai⸣nu ⸢goːraː⸣tu ⸢pinsoː⸣jaː ja⸢reː⸣ti ʃi̥⸢ti⸣garasi̥kanai ʃi⸢rariru⸣ ɸu⸢dubeː⸠daː] (彼らは兄弟が多いのと貧乏な家だったので、ほったらかしにされて成長してきたのだよ) 8058 0 0 7637 htmvoc_8058.wav シティガラスン シ⸢ティ⸣ガラ ⸢スン [ʃi̥⸢ti⸣gara ⸢suŋ] 連 粗略に扱う。ほったらかしにする。 ⸢アッ⸣タル ⸣ムヌバ ウ⸢リン⸣ ッ⸢ふィール⸣カー シ⸢ティ⸣ガラ ⸢スンダ⸣ ッ⸢ふィールナ⸣ヨー [⸢ʔat⸣taru ⸣munuba ʔu⸢riŋ⸣ f⸢fiːru⸣kaː ʃi̥⸢ti⸣gara ⸢sunda⸣ f⸢fiːruna⸣joː] (あたらもの<可惜物{EOS}勿体無い物>を彼に呉れると粗略に扱うから、呉れるなよ) 8059 0 0 7638 htmvoc_8059.wav シティガラッふァイ シ⸢ティ⸣ガラッふァイ [ʃi̥⸢ti⸣garaffai] 名 粗末にして食うこと。食い放題にすること。 ム⸢ヌ⸣ヌ ア⸢リ⸣バティ ⸢シー⸣ アイニ シ⸢ティ⸣ガラッふァイ ⸢サン⸣ ブ⸢リ⸣バ [mu⸢nu⸣nu ʔa⸢ri⸣bati ⸢ʃiː⸣ ʔaini ʃi̥⸢ti⸣garaffai ⸢sam⸣ bu⸢ri⸣ba] (物があるからといって、そんなに粗末にして食い放題にするな<しないで居れ>よ) 8061 0 0 7639 htmvoc_8061.wav シティキム シ⸢ティキム [ʃi̥⸢tikimu] 名 悪心。悪い考え。非情な心。悪巧み。「捨て肝<心>」の義。 ⸣アイブ シ⸢ティキムバ⸣ ムティテー シ⸢キン⸣ヌ プ⸢ストー⸣ ピライ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaibu ʃi̥⸢tikimuba⸣ mutiteː ʃi̥⸢kin⸣nu pu̥⸢sutoː⸣ pi⸢raːra⸣nu] (あんな悪い気持ちを持っていては世間の人と付き合っていけない) 8062 0 0 7640 htmvoc_8062.wav シディグル シ⸢ディ⸣グル [ʃi⸢di⸣guru] 名 抜け殻。蛇や蝉などの脱皮した殻。もぬけ(蛻)。 ⸣サンサンヌ シ⸢ディ⸣グル [⸣sansannu ʃi⸢di⸣guru] (蝉の抜け殻)。 パ⸢ブヌ⸣ シ⸢ディグル⸣ヌ ⸣アンダ パ⸢ブヌ ブン⸣パジ [pa⸢bunu⸣ ʃi⸢digara⸣nu ⸣ʔanda pa⸢bunu bum⸣paʤi] (蛇の抜け殻があるので、蛇がいるはずだ) 8064 0 0 7641 htmvoc_8064.wav シティシゥカイ シ⸢ティシゥカイ [ʃi̥⸢tisi̥kai] 名 無駄遣い。贅沢に使うこと。不要なものを買うこと。「捨て使い」の義。 ⸢ジン⸣ヌ ア⸢リ⸣バティ ⸢シー⸣ シ⸢ティシゥカイヤー⸣ イッ⸢カナ⸣シン ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʤin⸣nu ʔa⸢ri⸣bati ⸢ʃiː⸣ ʃi̥4⸢tisi̥kaijaː⸣ ʔik⸢kana⸣ʃiŋ ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (お金があるからといって、無駄遣いは決してやってはならない) 8065 0 0 7642 htmvoc_8065.wav シティシゥカナイ シ⸢ティシゥカナイ [ʃi̥⸢tisi̥kanai] 名 粗末な子育て。粗末な養育。ほったらかして子供を育てること。 シ⸢ティシゥカナイ⸣ シラレー⸣ ッ⸢ふァヌドゥ マイフナー⸣ マ⸢リル⸣ツォー [ʃi̥⸢tisi̥kanai⸣ ʃi⸢rareː⸣ f⸢fanudu maifunaː⸣ ma⸢riru⸣ʦoː] (粗末に育てられた子供が<ぞ>立派な人に成長する<生まれる>そうだ) 8074 0 0 7643 htmvoc_8074.wav シティスクン シ⸢ティ⸣スクン [ʃi̥⸢ti⸣su̥kuŋ] 他動 ほっておく。捨て置く。放置しておく。ほったらかす。うちすてておく。 シ⸢ティ⸣スクンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢リバ⸣ ミリテー シ⸢ティシカラン⸣バ ⸢ワー⸣ シ⸢ティ⸣シキティ ア⸢ズタンティン⸣ シ⸢ティ⸣スク ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi̥⸢ti⸣su̥kunti ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢riba⸣ miriteː ʃi̥⸢tisu̥karam⸣ba ⸢waː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥kiti ʔa⸢ʣutantiŋ⸣ ʃi̥⸢ti⸣su̥ku ⸣kutoː na⸢ra⸣nu] (ほっておこう<捨て置こう>と思うが、それを見てからは捨て置かれないから、君が私に捨て置けと言っても、捨て置くことはできない)。 シ⸢ティ⸣シキ ⸣ミサカー シ⸢ティ⸣シケー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥ki ⸣misakaː ʃi̥⸢ti⸣ʃikeː ⸣misamunu] (捨て置いてよければ捨て置けばよいのに) 8171 0 0 7644 htmvoc_8171.wav シディックル シ⸢ディッ⸣クル [ʃi⸢dik⸣kuru] 名 抜け殻。「すでから<孵で殻>」の義。 ⸣サンサンヌ シ⸢ディックル⸣ヌ ⸣アン [⸣sansannu ʃi⸢dikkuru⸣nu ʔaŋ] (蝉の抜け殻がある)。 パ⸢ブヌ⸣ シ⸢ディックル⸣ヌ ⸣アル ⸣トンマー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [pa⸢bunu⸣ ʃi⸢dikkuru⸣nu ⸣ʔaru ⸣tommaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (蛇の抜け殻のある所は気をつけなさい) 8066 0 0 7645 htmvoc_8066.wav シティッツァースン シ⸢ティッツァースン [ʃi̥⸢titʦaːsuŋ] 他動 捨て散らかす。投げ捨てる。放り捨てる。 シゥ⸢カイヤー⸣ル カ⸢ベー⸣ シ⸢ティッツァーサンドー⸣シ プ⸢スン⸣ トンナー ア⸢ツァ⸣ミ シ⸢キ⸣リ [si⸢kaijaː⸣ru ka⸢beː⸣ ʃi̥⸢titʦaːsandoː⸣ʃi pu̥⸢sun⸣tonnaː ʔa⸢ʦa⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri] (使った紙は捨て散らかさないで一箇所に集めておけ)。 シ⸢ティッツァーシ⸣ ミサカー シ⸢ティッツァースン [ʃi̥⸢titʦaːʃi⸣ misakaː ʃi̥⸢titʦaːsuŋ] (捨て散らかしてよければ捨て散らかす)。 シ⸢ティッツァース ムノー⸣ シ⸢ティッツァーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢titʦaːsu munoː⸣ ʃi̥⸢titʦaːʃeː⸣ misamunu] (捨て散らかすものは捨て散らかせばよいのに)。 シ⸢ティッツァーシ [ʃi̥⸢titʦaːʃi] (捨て散らかせ) 8067 0 0 7646 htmvoc_8067.wav シティトゥジ シ⸢ティトゥジ [ʃi̥⸢tituʤi] 名 離別した妻。「捨て刀自(捨てた妻)」の義。トゥ⸢ジ[tu⸢ʤi]は、「~已麻勢波々刀自~『万葉集 4342』」の転訛したもの。 シ⸢ティトゥジトゥヌ⸣ ナカナー ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ブ⸢タン [ʃi̥⸢tituʤitunu⸣ nakanaː mi⸢doːŋ⸣ffanu bu⸢taŋ] (離別した妻との間に女の子がいた) 8068 0 0 7647 htmvoc_8068.wav シティハギ シ⸢ティハギ [ʃi̥⸢tihagi] 名 「外脛」の義か。ハ⸢ギバラー[ha⸢gibaraː](軒柱{EOS}「脛柱」の義か)の南面外側に、更に三尺の軒を出して立てた柱。シ⸢ティハギの軒下を利用して⸢ナーラ⸣シ[⸢naːra⸣ʃi](均し{EOS}ならし竹)を作り、作業着を掛けたり、漁具や農具類を置いたりするのに用いた。 シ⸢ティハギ スイザシティ ナーラ⸣シ ス⸢ク⸣リバ [ʃi̥⸢tihagi suiʣaʃiti naːra⸣ʃi su̥⸢ku⸣riba] (添え出しの軒<シティハギ>を作って、ならし竹竿<かけ竿>を作りなさい) 8069 0 0 7648 htmvoc_8069.wav シティブトゥ シ⸢ティブトゥ [ʃi̥⸢tibutu] 名 離別した夫。「捨て夫」の義。 シ⸢ティブトー⸣ ヤー⸢タ⸣シ ⸢マーラシ ナーン⸣シェン [ʃi̥⸢tibutoː⸣ jaː⸢ta⸣ʃi ⸢maːraʃi naːŋ⸣ʃeŋ] (離別した夫は暫くして亡くなってしまわれた) 8063 0 0 7649 htmvoc_8063.wav シティプリムヌ シ⸢ティプリムヌ [ʃi̥⸢tipurimunu] 名 大ばか。大馬鹿者。「捨て惚れ者」の義。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ティプリムノー⸣ プ⸢スン カシカーサ⸣レーティ マ⸢ルウルキ シー ベーン⸣ティ [ku⸢nu⸣ ʃi̥⸢tipurimunoː⸣ pu̥⸢suŋ kaʃi̥kaːsa⸣reːti ma⸢ruʔuruki ʃiːbeːn⸣ti] (この大馬鹿者は人に騙されて、大欠損をしているよ) 8076 0 0 7650 htmvoc_8076.wav シティポーリ シ⸢ティポー⸣リ [ʃi̥⸢tipoː⸣ri] 名 撒き散らすこと。放り捨てること。 ⸢ドン⸣ゴー シ⸢ティポー⸣リ ⸢サンドー⸣シ カ⸢タジ⸣キ シ⸢キ⸣リ [⸢doŋ⸣goː ʃi̥⸢tipoː⸣ri ⸢sandoː⸣ʃi kḁ⸢taʤi⸣ki ʃi̥⸢ki⸣ri] (道具は撒き散らかししないで、片付けておきなさい) 8078 0 0 7651 htmvoc_8078.wav シティポーリマキポーリ シ⸢ティポー⸣リマキポーリ [ʃi̥⸢tipoː⸣rimakipoːri] 連 散々に撒き散らすこと。「捨て放り・撒き放り」の義。 ⸢ザー⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ム⸢タビ⸣ムヌ シ⸢ティポー⸣リマキポーリ ⸢シー⸣ シケー [⸢ʣaː⸣nu ⸢pit⸣ʧim mu⸢tabi⸣munu ʃi̥⸢tipoː⸣rimakipoːri ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (座敷の一杯、玩具を散々に撒き散らしてある) 8077 0 0 7652 htmvoc_8077.wav シティポールン シ⸢ティポールン [ʃi̥⸢tipoːruŋ] 他動 撒き散らす。放り捨てる。うち捨てる。「捨て放る」の義。 ア⸢ジ⸣ シ⸢カサン⸣カー シ⸢ティポールン⸣ダー シ⸢ティポーラサン⸣ヨーニ ⸢トゥシキ⸣リ [⸣ʔaʤi ʃi⸢kasaŋ⸣kaː ʃi̥⸢tipoːrun⸣daː ʃi̥⸢tipoːraɲ⸣joːni ⸢tuʃiki⸣ri] (言って教えない<聞かさない>と撒き散らすよ{EOS}撒き散らさないように言いつけ<訓戒せ>よ)。 シ⸢ティポーリ⸣ ミサタンティン ⸣クナー シ⸢ティポー⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi̥⸢tipoːri⸣ misatantiŋ ⸣kunaː ʃi̥⸢tipoː⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (撒き散らしてよくても、此処では撒き散らすことはならない)。 シ⸢ティポー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢tipoː⸣reː ⸣misamunu] (撒き散らせばよいのに)。 シ⸢ティポーリ⸣バ [ʃi̥⸢tipoːri⸣ba] (撒き散らせよ) 8173 0 0 7653 htmvoc_8173.wav シディミジ シ⸢ディ⸣ミジ [ʃi⸢di⸣miʤi] 名 若水。「すでみず<孵で水>」の義。元旦や⸣シチ[⸣ʃi̥ʧi](節祭り)の未明に井戸から汲んできた水。これで洗面すると孵で変わり、長寿延命するといわれている。「すで水人誕生の時明方の井川より水をとり撫さする也 其水をすで水と云う也」『混効験集』とある。 ⸣ソンガチヌ ⸢グヮンタン⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テー シ⸢ディミジ⸣バ フ⸢モー⸣リティ ウ⸢リ⸣シル ウ⸢ム⸣ティ シ⸢モーッ⸣タ [⸣soŋgaʧinu ⸢gwantan⸣nu ʃi̥⸢tumu⸣teː ʃi⸢dimiʤi⸣ba ɸu⸢moː⸣riti ʔu⸢ri⸣ʃiru ʔu⸢mu⸣teː ʃi⸢moːt⸣ta] (正月の元日の朝は若水<孵で水>を汲んでこられて、それで顔<面>を洗われた)。口碑に、「天帝からシ⸢ディ⸣ミジ[ʃi⸢di⸣miʤi](「孵で水」の義{EOS}不老長寿の薬)を託された⸣ガザフケー[⸣gaʣaɸukeː](ヒバリ)が地上に降りてくる途中、美味しく稔った⸢タイ⸣シ[⸢tai⸣ʃi](野苺)に心奪われ、それを食べている間に蛇がやって来て不老長寿の薬の入った瓶を零し、シディミジを全身に浴びてしまったという。驚いたヒバリが残った僅かのシディミジを持参して人間の爪と髪の毛に塗って天国へ帰り、ことの顛末を天帝に報告したところ、天帝の激しい怒りにふれ、罰として両足を強く縛られたという。それゆえヒバリの脚は細く、蛇は孵で変わり、人間の髪と爪も生え変わるのだという」と伝えられている。 ム⸢カ⸣シ ⸢ティンヌ⸣ カミサマヌ ⸣ガザフケーバ シゥ⸢カイ⸣ シ⸢ディミジ⸣バ ⸣ムティ ⸣ウリ プ⸢ス⸣ニ ⸢ニン⸣ギンマリーニ ア⸢マシ⸣ シ⸢ディンガーラ⸣シッティ ⸢シー⸣ シゥ⸢カイ⸣ ウ⸢ラ⸣ソーッター ⸣ガザフケーヤ ミ⸢ジェー⸣ ムティ ⸣ウリキー ミ⸢チナカー⸣ クンケンマー ⸢タイシ⸣ヌ シカイ⸢トゥ⸣ ナリー ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー⸣ティ ウ⸢リバ⸣ ブリ ッ⸢ふンティ シー マーリ アー⸣キ ウ⸢リバ⸣ ブリ ッ⸢ふァイティ⸣ クンケンマー パ⸢ブヌ⸣ キー ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ ク⸢バ⸣シ ア⸢ミナーン⸣ ベーティ ウ⸢レーン⸣ メー ⸣ムティ ⸢ギー ニン⸣ギンマリ ア⸢マシ ムン ナーン⸣ ベーティ シ⸢ミ⸣ヌ サ⸢キトゥ⸣ ガ⸢マ⸣ジナー マ⸢メー⸣ル ⸣ウビシー プ⸢スヌ⸣ ⸢ティー⸣ヌ シ⸢ミ⸣ヌ サ⸢キトゥ⸣ ガ⸢マ⸣ジェー ム⸢インガー⸣レー ⸢キー⸣キー ⸢シー スーッティ シール⸣ ム⸢カ⸣シパナシェー ⸣アイ ⸢ヤー⸣ティ ⸣ガザフケーヤ ウ⸢ヌ トゥン⸣ガーシル ⸢ウンザー パン⸣ヌ ⸣アリ ⸢ベー⸣ティル プ⸢スヌ⸣ シゥ⸢カウ ムノー⸣ トゥ⸢ドゥカサ⸣ムティ ⸣アイ ⸢アーキ⸣バ ウ⸢ヌ トゥン⸣ガーッティ ⸢パン⸣マー シ⸢ミラ⸣リ タ⸢バラ⸣リ ⸢ソーッ⸣タユー ⸣ガザフケーヌ ⸢パン⸣マー ウ⸢ビッ⸣チン カー⸢ニ⸣ アルッティ ⸢シー⸣ ム⸢カ⸣シパナシェー シゥ⸢カソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃi ⸢tinnu⸣ kamisamanu ⸣gaʣaɸu̥keːba sï̥⸢kai⸣ ʃi⸢dimiʤi⸣ba ⸣muti ⸣ʔuri pu̥⸢su⸣ni ⸢niŋ⸣gimmariːni ʔa⸢maʃi⸣ ʃi⸢diŋgaːra⸣ʃitti ⸢ʃiː⸣ sï̥⸢kai⸣ ʔu⸢ra⸣sottaː ⸣gaʣaɸu̥keːja mi⸢ʤeː⸣ muti ⸣ʔurikiː mi⸢ʧinakaː⸣ kuŋkemmaː ⸢taiʃi⸣nu ʃi̥kai⸢tu⸣ nari ⸢ʔuː⸣mi ⸢beː⸣ti ʔu⸢riba⸣ buri f⸢funti ʃiː maːri ʔaː⸣ki ʔu⸢riba⸣ buri f⸢faiti⸣ kumkemmaː pa⸢bunu⸣ kiː ʔu⸢nu⸣ mi⸢ʤeː⸣ ku⸢ba⸣ʃi ʔa⸢minaːm⸣beːti ʔu⸢reːm⸣meː ⸣muti ⸢giː niŋ⸣gimmari ʔa⸢maʃi mun naːm⸣beːti ʃi⸢mi⸣nu sa⸢kitu⸣ ga⸢ma⸣ʤinaː muti⸢giː⸣ ʔa⸢maʃeː⸣ti ma⸢meː⸣ru ⸣ʔubiʃiː pu̥⸢sunu tiː⸣nu ⸣ʃi⸢mi⸣nu sḁ⸢kitu⸣ ga⸢ma⸣ʣeː ⸢muiŋgaː⸣reː ⸢kiː⸣kiː ʃiː⸣ suː⸢tuːt⸣ti ⸢ʃiːru⸣ mu⸢ka⸣ʃi ⸣panaʃeː ʔai⸢jaː⸣ti ⸣gaʣaɸukeːja ʔu⸢nu tuŋ⸣gaːʃiru ⸢ʔunʣaː pann⸣nu ʔari⸢beː⸣tiru pu̥⸢sunu⸣ sï̥⸢kau munoː⸣ tu⸢dukasa⸣muti ⸣ʔai ⸢ʔaːki⸣ba ʔu⸢nu tuŋ⸣gaːtti ⸢pam⸣maː ʃi⸢mira⸣ri ta⸢barari⸣ soːttajuː ⸣gaʣaɸukeːnu ⸢pam⸣maː ʔu⸢bit⸣ʧiŋ kaː⸢ni⸣ ʔaruti ⸢ʃiː⸣ mu⸢ka⸣ʃipanaʃeː sï̥⸢kasoːt⸣ta] (昔、天の神様がヒバリを使ってスデ水<孵で水{EOS}若水>を持って天界より下り、人間に浴びせて孵で変わら<蘇生さ>せよといって遣い下ろされたら、ヒバリは水を持って下りて途中まで来ると、苺が沢山稔って熟れていたので、それを捥いで<折って>食べようと回り歩いて来ると、ハブが来てその水を零して浴びてしまったので、もうそれを持っていって人間に浴びせるものがないので、爪の先と髪の毛に持っていって塗った分だけで、人間の手足の爪と髪の毛は生え代わっては来来するんだといって昔話は、それでヒバリはその咎で、あいつは足があるから人の使いを届けないで、そうやって遊んであるくから、<神様は>その罰として足は縛られて締められなさったのか、ヒバリの足はあんなに小さいのだ<それぼっちぞあるのだ>といって昔話を聞かされた)。 シ⸢ディ⸣ミジシ ⸣シラ ア⸢ライティル ニントゥーン ソーッ⸣タ [ʃi⸢di⸣miʤiʃi ⸣ʃira ʔa⸢raitiru nintuːn soːt⸣ta] (若水で顔を洗って<ぞ>年頭の挨拶もされた) 8071 0 0 7654 htmvoc_8071.wav シティムヌ シ⸢ティ⸣ムヌ [ʃi̥⸢ti⸣munu] 名 価値のないもの。屑物同然のもの。つまらないもの。「捨て物」の義。役に立たないもの。 ウ⸢レー⸣ シ⸢ティ⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ アイブムヌ⸢ナー⸣ト ⸢カイヤー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [ʔu⸢reː⸣ ʃi̥⸢ti⸣munu ja⸢riba⸣ ʔaibumunu⸢naː⸣to ⸢kaijaː⸣ na⸢ran⸣daː] (それは屑物同然だから、あんなものなどを買ってはならないよ) 8072 0 0 7655 htmvoc_8072.wav シティムヌ シ⸢ティムヌ [ʃi̥⸢timunu] 名 捨て物。捨てられたもの。廃棄物。 ⸣アイブー シ⸢ティムヌバ⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢ヌー⸣スワ [⸣ʔaibuː ʃi̥⸢timunuba⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢nuː⸣suwa] (あのような捨て物<廃棄物>を集めてどうすのか) 8073 0 0 7656 htmvoc_8073.wav シティヤマング シ⸢ティヤマング [ʃi̥⸢tijamaŋgu] 名 ひどいいたずらっ子。ひどい腕白者。手に負えない乱暴もの。ひどく狡猾な者。シ⸢ティー[ʃi̥⸢ti-](<捨て>強意の接頭語)は続く名詞の悪い意味内容を強調する。 ウ⸢ブ⸣プス ⸢ナッター⸣ル ⸢マイフナー⸣ マ⸢リ⸣ ウ⸢トゥナ⸣サール ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー シ⸢ティヤマング⸣ ヤ⸢タル [ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸢nattaː⸣ru ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢ri⸣ ʔu⸢tuna⸣saːru ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ʃi̥⸢tijamaŋgu⸣ ja⸢taru] (大人になったからこそ立派になっている{EOS}子供の頃は手のつけられないひどい腕白ものだったよ) 8075 0 0 7657 htmvoc_8075.wav シティルン シ⸢ティルン [ʃi̥⸢tiruŋ] 他動 捨てる。手放す。見放す。投げ出す。「たまきはる壽毛須底て~『万葉集 4211』」の義。 ⸣ヌーンクイン シ⸢ティルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢ティラランバ ワー⸣シ シ⸢ティリ [⸣nuːŋkuiŋ ʃi̥⸢tirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʃi̥⸢tiraramba waː⸣ʃi ʃ。⸢tiri] (何もかも捨てようと思うが、捨てられないので、君の方で捨てろ)。 ク⸢レー⸣ シ⸢ティ⸣ ミサカー シ⸢ティレー⸣ ミサムヌ [ku⸢reː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ misakaː ʃi̥⸢tireː⸣ misamunu] (これは捨ててよければ、捨てればよいのに) 8174 0 1 7658 htmvoc_8174.wav シディルン シ⸢ディ⸣ルン [ʃi⸢di⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}孵化する。卵からかえる。虫などが\ruby{涌}{ワ}く。卵がかえる(\ruby{孵}{カエ}る)。孵化する。 トゥ⸢ルヌ コー⸣マ ダ⸢キ ベー⸣ンダ シ⸢ディ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ シ⸢ディラ⸣ヌ [tu⸢runu koː⸣ma da⸢ki beː⸣nda ʃi⸢di⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da⸣ ʃi⸢dira⸣nu] (鶏が卵を抱いているので孵る<孵化する>かと思ったが、まだ孵らない)。 ⸣シデーン [⸣ʃideːŋ] (既に孵った)。 シ⸢ディン⸣ギサン [ʃi⸢diŋ⸣gisaŋ] (孵化しそうだ)。 キサー⸢ティ⸣ シディ⸢ナー⸣ヌ [kisaː⸢ti⸣ ʃidi⸢naː⸣nu] (既に孵化してしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー シ⸢ディ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ʃi⸢di⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く孵化することはない)。 トゥ⸢ルヌ コー⸣マ シ⸢ディ⸣ルン [tu⸢runu koː⸣ma ʃi⸢di⸣ruŋ] (鶏卵が孵化する)。 ⸢スー⸣マリティ シ⸢ディラ⸣ヌ [⸢suː⸣mariti ʃi⸢dira⸣nu] (すもり<巣守>になって孵化しない)。 シ⸢ディパヤー⸣ン [ʃi⸢di pajaː⸣ŋ] (孵化しやすい)。 シ⸢ディ⸣ル ⸣ピン [ʃi⸢di⸣ru ⸣piŋ] (孵化するとき)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ディ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʃi⸢di⸣reː ⸣misamunu] (早く孵化すればよいのに)。 シ⸢ディ⸣リ [ʃi⸢di⸣ri] (孵化しろ)。 ク⸢ヌ コー⸣マー シ⸢ディ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢ディラン⸣バン [ku⸢nu koː⸣maː ʃi⸢di⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢diram⸣baŋ] (この卵は孵化すると思ったが孵化しないわい)。 ア⸢ツァー⸣ラ シ⸢ディ⸣ パ⸢ジミ⸣ル ⸣パジ ⸢ダー⸣バ シ⸢ディ⸣ル ⸢コー⸣マー ムー⸢ル⸣ユミ シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢ʦaː⸣ra ʃi⸢di⸣ pa⸢ʤimi⸣ru ⸣paʤi ⸢daː⸣ba ʃi⸢di⸣ru ⸢koː⸣maː muː⸢ru⸣ jumi ʃi̥⸢ki⸣ri] (明日から孵化し始めるはずだから、孵化する卵は全部数えておけ)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ディ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢di⸣reː ⸣misamunu] (もっと孵化すれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ディ⸣リ [⸢paː⸣ku ʃi⸢di⸣ri] (早く孵化せよ)。 8174 0 2 7659 htmvoc_8174.wav シディルン シ⸢ディ⸣ルン [ʃi⸢di⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}脱皮する。再生する。若返る。 パ⸢ブン⸣ サンサンヌン シ⸢ディルン⸣ドゥ プ⸢ソー⸣ シ⸢ディンガーラ⸣ヌ [pa⸢bun⸣ sansannuŋ ʃi⸢dirun⸣du pu̥⸢soː⸣ ʃi⸢diŋgaːra⸣nu] (蛇もセミも脱皮して生まれ変わるが、人間は脱皮しない) 8175 0 0 7660 htmvoc_8175.wav シディルン シ⸢ディ⸣ルン [ʃi⸢di⸣ruŋ] 自動 粥や糊などが水っぽくなる。変成する。 ⸢カイヤー シー⸣ルカー シ⸢ディ⸣ルン [⸢kaijaː ʃiː⸣rukaː ʃi⸢di⸣ruŋ] (お粥は饐えると水っぽくなる)。 シ⸢ディラ⸣ヌ [ʃi⸢dira⸣nu] (水っぽくならない)。 シ⸢ディヤッ⸣サン [ʃi⸢dijas⸣saŋ] (水っぽくなりやすい)。 シ⸢ディ⸣ル ⸣ピンマー [ʃi⸢di⸣ru ⸣pimmaː] (水っぽくなるときは)。 シ⸢ディ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢di⸣reː ⸣misamunu] (水っぽくなればいいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ディ⸣リ [⸢paː⸣ku ʃi⸢di⸣ri] (早く水っぽくなれ) 8080 0 0 7661 htmvoc_8080.wav シディンガールン シ⸢ディンガー⸣ルン [ʃi⸢diŋgaː⸣ruŋ] 自動 再生する。生まれ変わる。孵化する。脱皮する。「すで<孵化>変わる」の転訛したもの。 マ⸢リンガーリ⸣ シ⸢ディンガーラ⸣リカ⸢ナー [ma⸢riŋgaːri⸣ ʃi⸢diŋgaːra⸣rika⸢naː] (生まれ変わり、脱皮出来るものなら良いのになあ)。 ビ⸢キレー⸣ヌ ⸢ズーヤ⸣ シ⸢ディンガー⸣ルン [bi⸢kireː⸣nu ⸢ʣuːja⸣ ʃi⸢diŋgaː⸣ruŋ] (とかげ<蜥蜴>の尾は再生する)。 シ⸢ディンガーラ⸣ヌ [ʃi⸢diŋgaːra⸣nu] (再生しない)。 シ⸢ディンガーリ⸣ プサン [ʃi⸢diŋgaːri⸣ pu̥saŋ] (生まれ変わりたい)。 シ⸢ディンガー⸣ル ⸣クトゥ [ʃi⸢diŋgaː⸣ru ⸣ku̥tu] (生まれ変わること)。 シ⸢ディンガー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢diŋgaː⸣reː ⸣misamunu] (生まれ変われば良いのに)。 シ⸢ディンガー⸣リバ [ʃi⸢diŋgaː⸣riba] (生まれ変われよ) 8194 0 0 7662 htmvoc_8194.wav シトーンシトーン シ⸢トーンシトーン [ʃi̥⸢toːŋʃitoːŋ] 副 液体や物が落ちる音の擬音語(onomatopoeia)。 シ⸢トーンシトーン⸣シ ウ⸢ブ⸣ナダ ウ⸢タ⸣シ ナ⸢キベー [ʃi̥⸢toːŋʃi̥toːŋ⸣ʃi ʔu⸢bu⸣nada ʔu⸢ta⸣ʃi na⸢kibeː] (ぽろぽろ<シトーンシトーン>と大粒の涙を流して泣いている)。 シ⸢トーンシトーン⸣シ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン [ʃi⸢toːŋʃi̥toːŋ⸣ʃi ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ] (しとしとと雨が降る) 8081 0 0 7663 htmvoc_8081.wav シトゥ ⸣シトゥ [⸣ʃi̥tu] 名 土産。「つと(苞)」。土地の物産を土産とすること。「~貝にありせば都刀<ツト>にせましを『万葉集 4396』」。「贄、タカラ・ニへ・ツト『類聚名義抄』」の転訛したもの。藁などを束ねて物を包んで土産としたもの。鳩間島から干し烏賊や干し蛸、燻製蛸などが土産品として石垣島の親戚筋へ贈られた。また鶏卵を縦に5、6個並べて稲藁で包み、稲藁で5,6段結わえて固定し、吊り下げられるようにして土産とした。 ⸣シトー ⸢ヌー⸣ル マ⸢シ⸣カヤー [⸣ʃi̥toː ⸢nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣kajaː] (土産物<苞>には何が良いかなあ)。 ⸣ウガンラヌ ⸣シトゥ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣ʔuganranu ⸣ʃi̥tu f⸢fai⸣ba] (御嶽<拝み所>からのお土産の餅やウサイ{SqBr}⸣ʔusai{/SqBr}<お菜{EOS}蒲鉾や焼き魚などの供物のお下がり>を食べなさいよ) 8082 0 0 7664 htmvoc_8082.wav シトゥ ⸣シトゥ [⸣ʃi̥tu] 名 澱粉。芋や⸢キー⸣ウン[⸢kiː⸣ʔuŋ](キャッサバ)の澱粉。桟で作った木枠(幅約30センチ、長さ約50センチ)に、釘で多数の穴をあけたブリキ版を張って作った⸢ウンッシ⸣カナ[⸢ʔuŋʃʃi⸣kana](芋摺り<鉋>)で芋を摺り下ろし、メリケン袋に入れて絞り、絞り汁を沈殿させ、乾燥させた純白の澱粉。搾り滓も団子状に握って乾燥させ、搗き臼に入れて搗くと澱粉の粉が再生産できる。ただし澱粉の質は落ちるので、非常食用として保存された。 ⸢キー⸣ウン ⸣ッシティ ⸣シトゥ ⸣トゥリバ [⸢kiː⸣uŋ ⸣ʃʃiti ⸣ʃi̥tu ⸣turiba] (キャッサバの芋を\ruby{擂}{ス}って澱粉をとりなさいよ)。 ウン⸣バ ⸣ッシティ ミ⸢ジ⸣ナ ⸣タリティ ⸣シロー ス⸢ブ⸣リ ⸢ウー⸣キナ タ⸢ミティ⸣ シ⸢マ⸣シティル ⸣シトー トゥ⸢ル⸣タ [⸢ʔum⸣ba ⸣ʃʃiti mi⸢ʤi⸣naː ⸣tariti ⸣ʃiroː su⸢bu⸣ri ⸢ʔuː⸣kina ta⸢miti⸣ ʃi⸢ma⸣ʃi̥tiru ⸣ʃi̥toː tu⸢ru⸣ta] (芋を擦って水に溶かし、汁は搾り、桶に溜めて沈殿させ<澄まし>て芋の澱粉を製造した<とった>) 8178 0 0 7665 htmvoc_8178.wav シトゥ シ⸢トゥ [ʃi̥⸢tu] 名 しゅうと、しゅうとめ(舅、姑)。夫の親。 シ⸢トゥヌ オー⸣ル ⸢ヤー⸣ヤ シ⸢トゥピライル カンユー⸣ダー [ʃi̥⸢tunu ʔoː⸣ru ⸢jaː⸣ja ʃi̥⸢tupirairu kaɲjuː⸣daː] (舅のおられる家は舅、姑との付き合いが肝要だよ) 8179 0 0 7666 htmvoc_8179.wav シトゥウヤ シ⸢トゥウヤ [ʃi̥⸢tuʔuja] 名 しゅうとおや(舅親)。夫の親。 シ⸢トゥウヤヌ⸣ ドゥク ⸣キツァティ ⸢ウン⸣ネヌ ユ⸢メー ピン⸣ギ ⸣パリ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢tuʔujanu⸣ duku ki̥⸢ʦa⸣ti ⸢ʔun⸣nenu ju⸢meː piŋ⸣gi ⸣pari⸢naː⸣nu] (舅親があまりにも厳しいので、あの家の嫁は逃げていってしまった) 8181 0 0 7667 htmvoc_8181.wav シトゥキ シ⸢トゥ⸣キ [ʃi̥⸢tu⸣ki] 名 潮時。丁度良い時期。干潮時。 シ⸢トゥキ⸣バ ア⸢ティティル⸣ ムノー ⸢スー [ʃi̥⸢tuki⸣ba ʔa⸢titiru⸣ munoː ⸢suː] (潮時を見て<当てて>物事はするのだ)。 シ⸢トゥ⸣キン ナ⸢リ⸣ブバ イ⸢ソーシン⸣ パラ⸢ディー [ʃi̥⸢tu⸣kin na⸢ri⸣buba⸣ ʔi⸢soːʃim⸣ para⸢diː] (干潮時<丁度良い潮時>になっているから潮干狩り<磯をする{EOS}漁り>に行こうよ) 8180 0 0 7668 htmvoc_8180.wav シトゥギ シ⸢トゥ⸣ギ [ʃi̥⸢tu⸣gi] 名 しとぎ。米粉を水で捏ねてウズラの卵の大きさに作った餅。「次米、之度岐<しとき>」『和名抄』の転訛か。 ム⸢チマイヤー⸣ ミ⸢ジ⸣ナー フ⸢クラシティ⸣ クー バ⸢リティ⸣ シ⸢トゥ⸣ギ ス⸢ク⸣リ [mu⸢ʧimaijaː⸣ mi⸢ʤi⸣naː ɸu̥⸢kuraʃi̥ti⸣ kuː ba⸢riti⸣ ʃi̥⸢tu⸣gi su̥⸢ku⸣ri] (糯米は水に浸けてふやかし、米粉に搗き割って\ruby{粢}{シトギ}を作りなさい) 8086 0 0 7669 htmvoc_8086.wav シトゥケーシトゥケーシ シトゥ⸢ケーシトゥケー⸣シ [ʃi̥tu⸢keːʃi̥tukeː⸣ʃi] 副 ずっしりと重く。乳児が発育してずしりと重くなるさま。 グイ⸢ユー⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー シトゥ⸢ケーシトゥケー⸣シティ ム⸢タイララン⸣バン [gui⸢juː⸣ ja⸢ra⸣beː ʃi̥tu⸢keːʃi̥tukeː⸣ʃi̥ti mu⸢tairaram⸣baŋ] (あらまあ、驚いた{EOS}子供はずっしりと重くて抱き上げられ<持ち上げられ>ないわい)。 シトゥ⸢ケーシトゥケー⸣シ フ⸢ドゥビ ベー [ʃi̥tu⸢keːʃitukeː⸣ʃi ɸu⸢dubi beː] (ずっしりと重く成長しているよ) 8084 0 0 7670 htmvoc_8084.wav シトゥケーン シ⸢トゥ⸣ケーン [ʃi̥⸢tu⸣keːŋ] 形 乳児がずっしりと重い。乳児が順調に成長して体重が重い。 ヤ⸢ラ⸣ベー イッ⸢ケナ⸣シ⸢トゥ⸣ケー ナ⸢リ⸣ブバン [ja⸢ra⸣beː ʔik⸢kena⸣ ʃi̥⸢tu⸣keː na⸢ri⸣bubaŋ] (子供はずいぶんと体重が重くなっているよ)。 シ⸢トゥ⸣ケーンティ シ⸢タンドゥ⸣ ⸢ナン⸣ゾー シ⸢トゥ⸣ケー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢tu⸣keːnti ʃi̥⸢tandu nan⸣ʣoː ʃi̥⸢tu⸣keː ⸢naː⸣nu] (乳児は体重がずっしり重いといったが、あまり重くない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー シ⸢トゥケー⸣ヌ ダ⸢カラヌ [ja⸢ra⸣beː ʃi̥⸢tukeː⸣nu da⸢karanu] (子供はずっしりと重くて抱かれない<抱くことが出来ない>)。⸢グッ⸣ふァン[⸢guf⸣faŋ](一般的にものが重い{EOS}苦痛に感ずる重さ)とは異なる。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ シ⸢トゥ⸣ケーン⸢ダー [ku⸢nu ffaː⸣ ʃi̥⸢tu⸣keːn⸢daː] (この子は体重が重いよ<よく成長しているねえ>)。 シ⸢トゥケー⸣ヌ ダ⸢キ ベーララン⸣バン [ʃi̥⸢tukeː⸣nu da⸢ki beːraram⸣baŋ] (ずっしりと重くて抱き続けておれないわいよ{EOS}嬉しいよ)。 シ⸢トゥ⸣ケー ナ⸢リ⸣ブーバン [ʃi̥⸢tu⸣keː na⸢ri⸣buːbaŋ] (重くなっているよ)。 シ⸢トゥ⸣ケール ヤ⸢ラ⸣ビ [ʃi̥⸢tu⸣keːru ja⸢ra⸣bi] (体重の重い子供)。 シ⸢トゥ⸣ケーカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢tu⸣keːkaː ⸢soːja naː⸣nu] (体重が重かったら心配はないよ) 8088 0 0 7671 htmvoc_8088.wav シトゥッチ シ⸢トゥッ⸣チ [ʃi̥⸢tut⸣ʧi] 名 (植)そてつ(蘇鉄)。普通は約2メートルの高さに育つ。幹頂部に硬い羽片状の葉をつける。羽片状の葉は先端が尖っており、葉を二、三枚重ねて結わえ、ナ⸢カ⸣ザポーキ[na⸢ka⸣ʣapoːki](台所の土間箒)をつくる。また、この葉を用いて子供の玩具を作る。果実は卵形で赤黄色の角質の殻を有する。実の内部は白色。殻を割って中の実を出し、有毒成分のサイカシンを水に浸けて十分に毒抜きをし、何度か水に晒して灰汁(毒)抜きをし、日干し乾燥して臼で搗き、粉にして救荒食に利用した。日干し乾燥したものを芋に混ぜて炊くこともあった。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナル [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naru] (蘇鉄の実)。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸢パー [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸢paː] (蘇鉄の葉)。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナル ⸣キシティ ⸢ミー⸣ トゥリ ア⸢クヌギ シテイ⸣ ティダナー ⸣プシ [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naru ⸣ki̥ʃiti ⸢miː⸣ turi ʔa⸢kunugi ʃi̥ti⸣ tidanaː ⸣pu̥ʃi] (蘇鉄の実を切って、中の身を取り出し、灰汁抜きをして日干ししなさい)。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナル ⸢ピッ⸣キティ ⸢ビンダロー⸣マ ス⸢ク⸣リ ⸢ナーラスン [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naru ⸢pik⸣kiti ⸢bindaroː⸣ma su̥⸢ku⸣ri ⸢naːrasuŋ] (蘇鉄の実に穴を開けてビードロ笛<ビンダローマ>を作って鳴らす) 8089 0 0 7672 htmvoc_8089.wav シトゥッチヌナル シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナル [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naru] 連 蘇鉄の実。実は卵形。赤黄色の角質の殻を有する。殻の中の実は白色の澱粉質になっている。一本の蘇鉄から5升~1斗の実が採れる。実の周囲には赤黄色の錦状の花弁が密生しており、昔はそれを採取して、⸢マー⸣ル[⸢maː⸣ru](鞠)の素材に利用した。殻は割って中身を取り出し、3~4日水に浸けて十分に灰汁抜きをし、日干し乾燥して保存したり、搗き臼に入れて搗き、粉にして食用に供したりした。芋と混ぜて炊くと美味であった。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナロー ア⸢クヌギ サン⸣カー ⸢ビー⸣ルン⸢ダー [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naroː ʔa⸢kunugi saŋ⸣kaː ⸢biː⸣run⸢daː] (蘇鉄の実は灰汁抜きしない<灰汁抜きしないで食する>と中毒するぞ) 8090 0 0 7673 htmvoc_8090.wav シトゥッチヌパー シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸢パー [ʃi̥⸢tutʦi⸣nu ⸢paː] 連 蘇鉄の葉。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸢パー⸣シ ナ⸢カ⸣ザポーキ ス⸢ク⸣リ [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸢paː⸣ʃi na⸢ka⸣ʣapoːki su̥⸢ku⸣ri] (蘇鉄の葉で台所箒を作りなさい) 8091 0 0 7674 htmvoc_8091.wav シトゥッチポーキ シ⸢トゥッ⸣チポーキ [ʃi̥⸢tut⸣ʧipoːki] 名 蘇鉄の葉箒。蘇鉄の葉を3~4枚重ねて括り、台所土間用の箒に作ったもの。どこでも金をかけずに簡単に作れて機能的にも優れていたので重宝された。 シ⸢トゥッ⸣チポーキシ ナ⸢カ⸣ザー ⸢ポー⸣キ [ʃi̥⸢tut⸣ʧipoːkiʃi na⸢ka⸣ʣaː ⸢poː⸣ki] (蘇鉄箒で台所の土間を掃き出しなさい) 8092 0 0 7675 htmvoc_8092.wav シトゥッチマール シ⸢トゥッ⸣チマール [ʃi̥⸢tut⸣ʧimaːru] 名 蘇鉄の綿状の花弁で作った鞠。「蘇鉄鞠」の義。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドーン⸣ッふァー シ⸢トゥッ⸣チマールシル ア⸢サブタ [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢doːŋ⸣ffaː ʃi̥⸢tut⸣ʧimaːruʃiru ʔa⸢sabuta] (昔は女の子は蘇鉄の花弁で作った鞠で遊んだ) 8093 0 0 7676 htmvoc_8093.wav シトゥッチムトゥ シ⸢トゥッ⸣チムトゥ [ʃi̥⸢tut⸣ʧimutu] 名 蘇鉄の幹。 シ⸢トゥッ⸣チムトゥ ⸢コースン [ʃi̥⸢tut⸣ʧimutu ⸢koːsuŋ] (蘇鉄の幹を掘り起こして移す) 8094 0 0 7677 htmvoc_8094.wav シトゥッチムラシ シ⸢トゥッ⸣チムラシ [ʃi̥⸢tut⸣ʧimuraʃi] 名 蘇鉄の群落。蘇鉄が固まって群生して<叢がって>いる所。 タ⸢チバル⸣ヌ パ⸢タキ⸣ヌ ス⸢バ⸣ヌ シ⸢トゥッ⸣チムラシェーラ シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナル ⸣ブリ ⸣クー [tḁ⸢ʧibaru⸣nu pḁ⸢taki⸣nu su⸢ba⸣nu ʃi̥⸢tut⸣ʧimuraʃeːra ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naru ⸣buri ⸣kuː] (立原の畑の側の蘇鉄群落の一株から蘇鉄の実をもいでこい) 8095 0 0 7678 htmvoc_8095.wav シトゥッチムルク シ⸢トゥッ⸣チムルク [ʃi̥⸢tut⸣ʧimuruku] 名 蘇鉄の群落地。 タ⸢チ⸣バルラ トゥ⸢ビリヌ⸣ パ⸢タキン⸣トン ⸣カキティ シ⸢トゥッ⸣チムルクヌ ⸢アッ⸣タン [tḁ⸢ʧi⸣barura tu⸢birinu⸣ pḁ⸢takin⸣toŋ ⸣kḁkiti ʃi̥⸢tut⸣ʧimurukunu ⸢ʔat⸣taŋ] (立原からトゥビリの畑の所にかけて蘇鉄の群落地があった) 8096 0 0 7679 htmvoc_8096.wav シトゥッチヤマ シ⸢トゥッ⸣チヤマ [ʃi̥⸢tut⸣ʧijama] 名 蘇鉄の群生しているところ。蘇鉄の群落地。 タ⸢チ⸣バルナー シ⸢トゥッ⸣チヤマヌ ⸢アッ⸣タン [ta⸢ʧi⸣barunaː ʃi̥⸢tut⸣ʧijamanu ⸢ʔat⸣taŋ] (立原には蘇鉄の群落地があった) 8097 0 0 7680 htmvoc_8097.wav シトゥトゥリウーキ シ⸢トゥトゥリウー⸣キ [ʃi̥⸢tuturiʔuː⸣ki] 名 澱粉採取用の桶。直径約45センチ、高さ約50センチの木製の桶。⸢ウンヌ⸣クジ[⸢ʔunnu⸣kuʤi](芋の葛粉{EOS}芋の澱粉)や⸢キーウン⸣ヌ ⸣クジ[⸢kiːun⸣nu ⸣kuʤi](キャッサバ芋の葛粉{EOS}キャッサバの澱粉)を採取する際、擂り潰した甘藷やキャッサバ芋の滓を搾って、その絞り汁を入れて沈殿させる桶。一昼夜放置して沈殿させると純白の澱粉が桶の底に、2~3センチの厚さに沈殿する。それを剥ぎ取って乾燥させ、保存する。 シ⸢トゥトゥリウー⸣キ カ⸢リ⸣クー [ʃi̥⸢tuturiʔuː⸣ki ka⸢ri⸣kuː] (澱粉採取用桶を借りてきなさい) 8098 0 0 7681 htmvoc_8098.wav シトゥナイナラースン シ⸢トゥ⸣ナイ ナ⸢ラー⸣スン [ʃi̥⸢tu⸣nai na⸢raː⸣suŋ] 連 尻を引っ叩いて教育する。尻を叩いて躾ける。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ラ⸣ベー シ⸢ビ⸣ シ⸢トゥナイ⸣ヤーティル ナ⸢ラー⸣ソッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ra⸣beː ʃi⸢bi⸣ ʃi̥⸢tunai⸣jaːtiru na⸢raː⸣soːtta] (昔は、子供は尻を引っ叩きながら躾けられた) 8184 0 1 7682 htmvoc_8184.wav シトゥナイルン シ⸢トゥナイ⸣ルン [ʃi̥⸢tunai⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}水を加えて叩き捏ねる。叩いて捏ねる。敲く。シ⸢トゥ⸣ナウンとも言う。 ⸣ミツァー ク⸢ナシ⸣ シ⸢トゥ⸣ナイティ ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ ア⸢ギリ [⸣miʦaː ku⸢naʃi⸣ ʃi̥⸢tu⸣naiti ⸢jaː⸣nu ⸢ʔui⸣ ʔa⸢giri] (粘土を足で踏み捏ね、叩き捏ねて屋根の上に上げなさい)。 ウ⸢ビ⸣ナー シ⸢トゥナイラン⸣タンティン ⸣ミサンドゥ ⸣アイニ シ⸢トゥナイ⸣ルンティ ⸢シー アー⸣ク [ʔu⸢bi⸣naː ʃi̥⸢tunairan⸣tantim ⸣misandu ⸣ʔaini ʃi̥⸢tunai⸣runti ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (そんなに強く叩き捏ねなくても良いのに、強く叩き捏ねようとしている)。 8184 0 2 7683 htmvoc_8184.wav シトゥナイルン シ⸢トゥナイ⸣ルン [ʃi̥⸢tunai⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}叩いて懲らしめる。打ちのめす。やっつける。 ⸣ドゥクナリ ⸢ブー⸣カー シ⸢ビ⸣ シ⸢トゥナイ⸣リ シ⸢トゥナイ⸣ル ⸣ピンマー ⸣ドゥク シゥ⸢カラ⸣ ン⸢ザス⸣ナ [⸣dukunari ⸢buː⸣kaː ʃi⸢bi⸣ ʃi̥⸢tunai⸣ri ʃi̥⸢tunai⸣ru ⸣pimmaː ⸣duku sï̥⸢kara⸣ ʔn⸢ʣasu⸣na] (あんまりひどいようだったら、お尻をひっぱたいて懲らしめなさい{EOS}ひっぱたく時はあまり力を出すな) 8099 0 1 7684 htmvoc_8099.wav シトゥナウン シ⸢トゥ⸣ナウン [ʃi̥⸢tu⸣nauŋ] 他動 {Mn_1}ぶん殴る。ひっぱたく(引っ叩く)。叩く。 ⸣ドゥクナリ ⸢ブー⸣カー シ⸢ビ⸣ シ⸢トゥ⸣ナウン⸢ダー [⸣dukunari ⸢buː⸣kaː ʃi⸢bi⸣ ʃi̥⸢tu⸣naun⸢daː] (あんまりひどかったら、尻を引っ叩くぞ)。 シ⸢トゥナイ⸣ プサンドゥ ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ ア⸢ラン⸣ダ シ⸢トゥナーラ⸣ヌ ⸢ワー⸣ シ⸢トゥ⸣ナイバ [ʃi̥⸢tunai⸣ pu̥sandu ⸢duː⸣nu f⸢fa⸣ ʔa⸢ran⸣da ʃi̥⸢tunaːra⸣nu ⸢waː⸣ ʃi̥⸢tu⸣naiba] (引っ叩きたいが自分の子供でないから引っ叩けない{EOS}君が引っ叩けよ)。 シ⸢トゥ⸣ナウ ⸣バソー カシー⸢カシー⸣ シ⸢トゥナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢tu⸣nau ⸣basoː kḁʃiː⸢kaʃiː⸣ ʃi̥⸢tunai⸣jaː ⸣misamunu] (引っ叩くときはしっかり引っ叩けばいいのに)。 シ⸢トゥ⸣ナウンティ ウ⸢ムー⸣タンティン シ⸢トゥナーラン⸣バ ⸢ワー⸣シ シ⸢トゥ⸣ナイ ナ⸢ラー⸣シ [ʃi̥⸢tu⸣naunti ʔu⸢muː⸣tantiŋ ʃi̥⸢tunaːram⸣ba ⸢waː⸣ʃi ʃi̥⸢tu⸣nai na⸢raː⸣ʃi] (引っ叩こうと思っても引っ叩かれないから、君で引っ叩いて教えれ)。 シ⸢トゥ⸣ナウ ⸣ピンマー ⸣ドゥーシ シ⸢トゥ⸣ナイ [ʃi̥⸢tu⸣nau ⸣pimmaː ⸣duːʃi ʃi̥⸢tu⸣nai] (引っ叩く時は自分で引っ叩け)。 シ⸢トゥナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢tunai⸣jaː ⸣misamunu] (引っ叩けば良いのに)。 8099 0 2 7685 htmvoc_8099.wav シトゥナウン シ⸢トゥ⸣ナウン [ʃi̥⸢tu⸣nauŋ] 他動 {Mn_2}叩いて\ruby{捏}{コ}ねる。 ⸣ミツァ シ⸢トゥ⸣ナイ ⸢ヤーラキ [⸣miʦa ʃi̥⸢tu⸣nai ⸢jaːraki] (粘土を叩いて捏ねよ)。 シ⸢トゥナイ⸣ルン[ʃi̥⸢tunai⸣ruŋ](叩いて捏ねる{EOS})のア行四段活用化したもの 8100 0 0 7686 htmvoc_8100.wav シトゥヌムチ シ⸢トゥ⸣ヌ ム⸢チ [ʃi̥⸢tu⸣nu mu⸢ʧi] 連 大きな法事の供物の餅。「苞の餅」の義。⸣シンズク[⸣ʃinʣuku](四十九日忌)からウ⸢サンギソッコー[ʔu⸢saŋgisokkoː](三十三年忌)まで、必ず供える餅。祖霊が土産にする餅といわれている。八寸重箱に一列四個の三列、十二個詰めにして二段重ねにした二十四個の餅をいう。 シ⸢トゥ⸣ヌ ム⸢チェー⸣ シ⸢キ オーシリ [ʃi̥⸢tu⸣nu mu⸢ʧeː⸣ ʃi̥⸢ki ʔoːʃiri] (お土産の餅<苞の餅>はお供えして差し上げなさい) 8186 0 0 7687 htmvoc_8186.wav シトゥヌムヌ シ⸢トゥ⸣ヌ ⸣ムヌ [ʃi̥⸢tu⸣nu ⸣munu] 連 つと(苞)の物。お盆祭の際に祖霊へ供えた供物を、お送りの日に霊界へのお土産として供物のパ⸢チ[pḁ⸢ʧi](お初)を取って戸外に置くもの。 ウ⸢ヤ⸣プスンケーヌ シ⸢トゥ⸣ヌ ⸣ムノー グ⸢サン⸣ヌ ⸢シン⸣ザシル カ⸢タ⸣ミ ⸢オー⸣ルツォー [ʔu⸢ja⸣pu̥suŋkeːnu ʃi̥⸢tu⸣nu ⸣munoː gu⸢san⸣nu ⸢ʃin⸣ʣaʃiru kḁ⸢ta⸣mi ⸢ʔoː⸣ruʦoː] (ご先祖様方のお土産<苞の物>は、杖の砂糖黍で担いで行かれるそうだ) 8187 0 0 7688 htmvoc_8187.wav シトゥバラ シ⸢トゥバラ [ʃi̥⸢tubara] 名 こじゅうと(小姑{EOS}小姑)。「しゅうと輩(ばら)」の意『石垣方言辞典』。こじゅうとめ(小姑)。配偶者の兄弟姉妹。「妹、コジフトメ。婦兄・婦弟・兄公、コジウト」『類聚名義抄』の義。 シ⸢トゥバラヌ ゴー⸣ラール ⸢ヤー⸣ヤ タ⸢ティグリ⸣サンツォー [ʃi̥⸢tubaranu goː⸣raːru ⸢jaː⸣ja ta⸢tiguri⸣sanʦoː] (配偶者の姉妹の多い家は、嫁は暮らしにくいそうだ) 8188 0 0 7689 htmvoc_8188.wav シトゥピライ シ⸢トゥピライ [ʃi̥⸢tupirai] 名 しゅうと(舅・姑)と嫁の付き合い。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ユーヤー⸣ シ⸢トゥピライティ スー ムヌン ナー⸣ンダ ⸢ヤームン⸣ドーン ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢nama⸣nu ⸢juːja⸣ ʃi̥⸢tupiraiti suː munun naː⸣nda ⸢jaːmun⸣doːn ⸢naː⸣nu] (現代<今の世>はしゅうと付き合いというものがないので家族騒動というのもない) 8101 0 0 7690 htmvoc_8101.wav シトゥベー シ⸢トゥ⸣ベー [ʃi̥⸢tu⸣beː] 名 シ⸢ラ[ʃi⸢ra](いなむら<稲叢>)の頂上をかぶせる覆い。茅の先を束ねて丸め結わえ、根の部分を円錐状に広げて、稲叢の頂上を覆った苫の上に被せて雨を防ぐ。田の畦や畑で収穫物を一時的に保管するためにも利用した。 シ⸢ラヌ⸣ ティ⸢ジェー⸣ シ⸢トゥ⸣ベー カ⸢バサン⸣カー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣ムリ タ⸢ボーラヌ [ʃi⸢ranu⸣ ti⸢ʤeː⸣ ʃi̥⸢tu⸣beː ka⸢basaŋ⸣kaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣muri ta⸢boːranu] (稲叢の頂上はシトゥベーを被せないと雨が漏るので保存できない) 8102 0 0 7691 htmvoc_8102.wav シトゥベーパカ シ⸢トゥ⸣ベーパカ [ʃi̥⸢tu⸣beːpḁka] 名 シ⸢トゥ⸣ベーを被せた幼児の墓。二歳以下の幼児の墓で、本墓の隅に埋葬し、カ⸢ソーライシ[ka⸢soːraʔiʃi](テーブル珊瑚<笠石>)を被せ、その上にシ⸢トゥ⸣ベーで覆った墓。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー マ⸢ラリ⸣ヤシ シ⸢ネー⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ シ⸢トゥ⸣ベーパカヌ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸢アッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ma⸢rari⸣jaʃi ʃi⸢neː⸣ f⸢fanu⸣ ʃi̥⸢tu⸣beːpḁkanu ja⸢masï̥⸣ka ⸢ʔat⸣taŋ] (戦後、マラリアで死んだ子供のシトゥベー墓がたくさんあった) 8103 0 1 7692 htmvoc_8103.wav シトゥミ シ⸢トゥ⸣ミ [ʃi̥⸢tu⸣mi] 名 {Mn_1}神職を勤めること。祈願をすること。 サ⸢カサンケー⸣ヤ シ⸢トゥム⸣ティ ⸣ユネンヌ シ⸢トゥ⸣ミ ⸢ソー⸣ルン [sḁ⸢kasaŋkeː⸣ja ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸣junennu ʃi̥⸢tu⸣mi ⸢soːt⸣taŋ] (司の方々は朝夕の祈願<勤め>をなされた)。 8103 0 2 7693 htmvoc_8103.wav シトゥミ シ⸢トゥ⸣ミ [ʃi̥⸢tu⸣mi] 名 {Mn_2}職務。仕事。任務。義務。役目。「勤め」の義。標準語からの借用語。 ス⸢クリプス⸣ヌ シ⸢トゥ⸣メー ⸢ターパタ⸣キ ス⸢ク⸣ルー ⸣クトゥ [su̥⸢kuripusu⸣nu ʃi̥⸢tu⸣meː ⸢taːpata⸣ki su̥⸢ku⸣ru ku̥tu] (百姓<作り人>の仕事は田を耕して米を作り、畑を耕して作物を作ることだ)。 サ⸢クシ⸣ヌ シ⸢トゥ⸣メー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣アトゥ ⸣ミル ⸣クトゥ [sḁ⸢kuʃi⸣nu ʃi̥⸢tu⸣meː ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔatu ⸣miru ⸣ku̥tu] (長男の義務<勤め>は親の老後をみることだ) 8104 0 0 7694 htmvoc_8104.wav シトゥミアギルン シ⸢トゥミアギ⸣ルン [ʃi̥⸢tumiʔagi⸣ruŋ] 他動 勤め上げる。やるべきことを成し遂げる。標準語からの借用語。 ⸢テイネンバー⸣ケー ヤー⸢ディン⸣ シ⸢トゥミアギ⸣ルンティル ⸢ギーバリ ベー [⸢teinembaː⸣keː jaː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢tumiʔagi⸣runtiru ⸢giːbari beː] (定年までは必ず勤め上げるとて、頑張っている) 8105 0 0 7695 htmvoc_8105.wav シトゥミアグン シ⸢トゥミ⸣アグン [ʃi̥⸢tumi⸣ʔaguŋ] 他動 任務をまっとうする。勤め上げる。やるべきことを成し遂げる。「勤め上ぐ」の義。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢トゥミアグバ⸣ル ノー⸢ン⸣ ナル [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi̥⸢tumiʔaguba⸣ru noː⸢n⸣ naru] (この仕事を勤め上げてこそ<勤め上げたらばこそ>他の仕事も、何でも出来るものだ) 8106 0 0 7696 htmvoc_8106.wav シトゥミニン シ⸢トゥミ⸣ニン [ʃi̥⸢tumi⸣niŋ] 名 月給取り。「勤め人」の義。 ヤ⸢クバ⸣ヌ シ⸢トゥミ⸣ニン ⸣ナリ ⸢マイフナー [ja⸢kuba⸣nu ʃi̥⸢tumi⸣nin ⸣nari ⸢maiɸunaː] (役場の職員<勤め人>になって利口者<頑張り者、立派な人>だ) 8107 0 0 7697 htmvoc_8107.wav シトゥミルン シ⸢トゥミ⸣ルン [ʃi̥⸢tumi⸣ruŋ] 自動 仕える。勤務する。勤める。 ヤ⸢ク⸣バナー シ⸢トゥミ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢トゥミララン⸣シェン [ja⸢ku⸣banaː ʃi̥⸢tumi⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ʃi̥⸢tumiraraŋ⸣ʃeŋ] (役場に勤めようと思ったが、勤められなかった)。 シ⸢トゥミ⸣ プサカー シ⸢トゥ⸣ミバ [ʃi̥⸢tumi⸣ pu̥sakaː ʃi̥⸢tu⸣miba] (勤めたければ勤めなさい)。 シ⸢トゥ⸣ム プ⸢ソー パー⸣ク シ⸢トゥ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢tu⸣mu pu̥⸢soː paː⸣ku ʃi̥⸢tu⸣meː ⸣misamunu] (勤める人は早く勤めればよいのに) 8108 0 0 7698 htmvoc_8108.wav シトゥムティ シ⸢トゥム⸣ティ [ʃi̥⸢tumu⸣ti] 名 朝。早朝。「日初出時也、明也、豆止女天<つとめて>、又阿志太<あした>」『新撰字鏡』の転訛したもの。 シ⸢トゥム⸣テーラ ユネン⸢バー⸣キ パ⸢タラキトゥーシ [ʃi̥⸢tumu⸣teːra junem⸢baː⸣ki pḁ⸢tarakituːʃi] (朝から晩まで働き通し)。 シ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸢niŋ⸣gai] (朝の祈願<願い>)。 ⸣アツァー シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ イ⸢ソー⸣ パルン [⸣ʔaʦaː ʃi̥⸢tumu⸣ʃi ⸢pai⸣sa ʔi⸢soː⸣ paruŋ] (明日は、朝早く出漁する<漁に行く>) 8109 0 0 7699 htmvoc_8109.wav シトゥムティヌイー シ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸣イー [ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸣ʔiː] 連 朝の御飯。「つとめての飯」の転訛したもの。ア⸢サ⸣ボン[ʔa⸢sa⸣boŋ](朝飯)ともいう。 シ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァイヤン⸣カヤー [ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸢ʔiː⸣ja f⸢faijaŋ⸣kajaː] (朝のご飯は食べたかね) 8190 0 0 7700 htmvoc_8190.wav シトゥムティヌパイ シ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸣パイ [ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸣pai] 連 早朝の祈願。午前5時頃に行われる祈願。「ツトメテ(朝)の拝」の義。豊年祭や結願祭の⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通しの祈願)の際、ユ⸢ナカ⸣ヌ ⸣パイ[ju⸢naka⸣nu ⸣pai](夜中の拝<祈願>)からシ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸣パイ[ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸣pai](朝の拝<祈願>)までの間、村の総代を始め、村役人や有志らが神職者(司、ティジリビー)の祈願の後に飲酒、歌舞をして徹夜で祈願の御供をした。中には仮眠をとる人もあったが、夜通し三線を弾き、太鼓を打ち鳴らし、神歌や民謡を歌いながら睡魔を払って徹夜の祈願をしたものである。「早朝の祈願」が済むとサカサを先頭にしてティジリビーや村役人たちは友利御嶽を下りて家路に向かうのであった 8111 0 0 7701 htmvoc_8111.wav シトゥムティユネン シ⸢トゥムティユネン [ʃi̥⸢tumutijuneŋ] 名 朝夕。 シ⸢トゥムティユネン⸣ヌ カー⸢ジ サーサー⸣ドー トゥ⸢クニヌ⸣ ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ ア⸢ギ オースン⸣ツォー [ʃi̥⸢tumutijunen⸣nu kaː⸢ʤi saːsaː⸣doː tu̥⸢kuninu⸣ ʔu⸢japusu⸣nu ⸣mai ʔa⸢giʔoːsun⸣ʦoː] (朝夕のたび毎に茶湯を仏壇のご先祖の前にお供え差し上げる<捧げ奉る>そうです) 8112 0 0 7702 htmvoc_8112.wav シトゥムン シ⸢トゥ⸣ムン [ʃi̥⸢tu⸣muŋ] 自動 勤める。「勤む<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ヤ⸢ク⸣バナー シ⸢トゥ⸣ミ ミサカー シ⸢トゥ⸣ムンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢トゥマラン⸣シェン [ja⸢ku⸣banaː ʃi̥⸢tu⸣mi ⸣misakaː ʃi̥⸢tu⸣munti ʔu⸢muːtan⸣du ʃi̥⸢tumaraŋ⸣ʃeŋ] (役場に勤めてよければ勤めようと思ったが、勤まらなかった)。 シ⸢トゥ⸣ム プ⸢ソー パー⸣ク シ⸢トゥ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢tu⸣mu pu̥⸢soː paː⸣ku ʃi̥⸢tu⸣meː ⸣misamunu] (勤める人は早く勤めればよいのに)。 ⸢ワー⸣ ヤー⸢ディン⸣ クナー シ⸢トゥ⸣ミ [⸢waː⸣ jaː⸢diŋ⸣ kunaː ʃi̥⸢tu⸣mi] (君はどうしても<必ず>此処に勤めなさい) 8113 0 0 7703 htmvoc_8113.wav シトゥラスン シ⸢トゥラ⸣スン [ʃi̥⸢tura⸣suŋ] 他動 湿らす。湿らせる。シ⸢ミラ⸣スン[ʃi⸢mira⸣suŋ](湿らす)ともいう。 ク⸢ヌ キン⸣マー ン⸢メーマ⸣ ミ⸢ジ パン⸣キ シ⸢トゥラ⸣シティ シ⸢バナキ⸣バ [ku⸢nu kim⸣maː ʔm⸢meːma⸣ mi⸢ʤi paŋ⸣ki ʃi̥⸢tura⸣ʃiti ʃi⸢banaki⸣ba] (この着物は、少し水をふってのし<伸し{EOS}皺を伸ばし>なさいよ) 8114 0 0 7704 htmvoc_8114.wav シトゥリルン シ⸢トゥリ⸣ルン [ʃi̥⸢turi⸣ruŋ] 自動 湿る。 ナ⸢チェー シュー⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルンダ ⸢ジー⸣ヤ ン⸢メーマ⸣ シ⸢トゥリ⸣ルンティ ス⸢クタヌ フン⸣トー シ⸢トゥ⸣リ ⸢ベー⸣バン [na⸢ʧeː ʃuː⸣nu ʔu⸢ri⸣runda ⸢ʤiː⸣ja ʔm⸢meːma⸣ ʃi̥⸢turi⸣runti su̥⸢kutanu ɸun⸣toː ʃi̥⸢tu⸣ri beː⸣baŋ] (夏は露が下りるから、土地は少し湿ると聞いたが、本当に湿っているよ) 7426 0 0 7705 htmvoc_7426.wav シトゥルシトゥル シ⸢トゥルシトゥル [ʃi̥⸢turuʃi̥turu] 副 そろりそろりと。しずしずと。弱弱しく、影が薄く行動するさま。存在感が薄く、ひっそりと行動するさま。 イ⸢クサ⸣ユーナ ッ⸢ふァヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ナリ ⸣トゥシン トゥ⸢ロー⸣リ シ⸢トゥルシトゥル⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢オー⸣ル ⸣ムヌ ミ⸢ルバ⸣ルー キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [ʔi⸢kusa⸣juːnaː f⸢fanu⸣ bu⸢raːn⸣nari ⸣tuʃin tu⸢roː⸣ri ʃi̥⸢turuʃi̥turu⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔoː⸣ru ⸣munu mi⸢ruba⸣ru ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (戦争で子供も死んでしまい、年もとられて、弱そうに、そろりそろりと歩いておられる様子を見ると、気の毒でならない<心が痛むのだよ>) 8191 0 0 7706 htmvoc_8191.wav シトゥルシトゥルシ シ⸢トゥルシトゥル⸣シ [ʃi̥⸢turuʃi̥turu⸣ʃi] 副 静かに歩く様子。しおしおと。孤影悄然と。ひっそりと。他人に知られないようにそっと。うなだれて歩く様子。老人や幼子が淋しそうに歩くさま。ABCABC型の重言。 ⸢シー⸣ネヌ ⸣アッパー トゥ⸢シ⸣バ トゥ⸢ローッ⸣ター シ⸢トゥルシトゥル⸣シル ア⸢ラ⸣コール ウ⸢リ⸣ ミルカー キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [⸢ʃiː⸣nenu ⸣ʔappaː tu⸢ʃi⸣ba tu⸢roːt⸣taː ʃi̥⸢turuʃi̥turu⸣ʃiru ʔa⸢ra⸣koːru ʔu⸢ri⸣ mirukaː ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (後ろ隣のおばあさんは年をとられたので、元気がなくうなだれて歩かれる{EOS}それを見ると気の毒である<肝が痛い>) 8192 0 0 7707 htmvoc_8192.wav シトゥルッティ シトゥ⸢ルッティ [ʃi̥tu⸢rutti] 副 ひっそり。ひそかに。他人に知られないようにさっと。風のようにそっと。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ イ⸢チヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣ル ⸢パッ⸣タユー シトゥ⸢ルッティ⸣ ンジパリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu ffaː⸣ ʔi⸢ʧinu⸣ ma⸢du⸣ru ⸢pat⸣tajuː ʃi̥tu⸢rutti⸣ ʔnʤipari ⸢naː⸣nu] (その子は、何時の間に行ったのか、こっそり出て行ってしまった) 8085 0 0 7708 htmvoc_8085.wav シトゥレーン シ⸢トゥ⸣レー⸣ン [ʃi̥⸢tu⸣reː⸣ŋ] 形 湿っぽいさま。「しとり(湿り)・あり」の転訛したもの。畑の潤いが過ぎてびちゃびちゃするさま。畑の土壌に水分が多くてびちゃびちゃするさま。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター シ⸢トゥレー⸣ヌ パ⸢タ⸣キ ⸢カイサラ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ʃi̥⸢tureː⸣nu pḁ⸢ta⸣ki ⸢kaisara⸣nu] (雨が降ったので、畑の土壌がびちゃびちゃして耕されない)。 シ⸢トゥレーナー⸣ヌ [ʃi̥⸢tureːnaː⸣nu] (畑の土壌はびちゃびちゃしていない<湿っぽくない>)。 シ⸢トゥ⸣レー ナルン [ʃi̥⸢tu⸣reː ⸣naruŋ] (畑の土壌がびちゃびちゃに、湿っぽくなる) 8115 0 0 7709 htmvoc_8115.wav シトゥレーン シ⸢トゥ⸣レーン [ʃi̥⸢tu⸣reːŋ] 形 しとる(湿る)さま。湿っぽい。ぬかるむ(泥濘む)さま。雨で畑がびちゃびちゃになるさま。 ウ⸢ブアミヌ フー⸣ター パ⸢タ⸣ケー シ⸢トゥ⸣レーンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ シ⸢トゥ⸣レー ⸢ナーン⸣シェン [ʔu⸢buaminu ɸuː⸣taː pḁ⸢ta⸣keː ʃi̥⸢tu⸣reːnti ʔu⸢muːta⸣nu ʃi̥⸢tureː naːŋ⸣ʃeŋ] (大雨が降ったので畑はぬかるんだ状態だと思ったが、ぬかるんでなかった)。 シ⸢トゥレー⸣ヌ パ⸢タ⸣ケー ⸢ペーララ⸣ヌ [ʃi̥⸢tureː⸣nu pḁ⸢ta⸣keː ⸢peːrara⸣nu] (ぬかるんだ状態なので畑に入れない)。 シ⸢トゥ⸣レー ⸣ピンマー パ⸢タ⸣ケー ⸢ペール⸣ナ [ʃi̥⸢tu⸣reː ⸣pimmaː pḁ⸢ta⸣keː ⸢peːru⸣na] (ぬかるんだ状態の時は畑に入るな) 8083 0 1 7710 htmvoc_8083.wav シトゥン シ⸢トゥン [ʃi̥⸢tuŋ] 他動 {Mn_1}捨てる。投棄する。「すつ<棄つ>下二段。~壽毛須底<イノチモ・ステテ>て~『万葉集 4211』」の四段活用化したもの。 ⸣ヌーンクイ ムー⸢ル⸣ シ⸢トゥンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢タンドー⸣シ ⸣パリ ⸢ナーン⸣バ ⸢ワー⸣ シ⸢ティ⸣バ [⸣nuːŋkui muː⸢ru⸣ ʃi̥⸢tunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi̥⸢tandoː⸣ʃi ⸣pari ⸢naːm⸣ba ⸢waː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ba] (何もかも全部棄てると言ったが、棄てないで行ってしまったので、君は捨てなさい)。 ク⸢レー⸣ シ⸢ティ⸣ ミサン [ku⸢reː⸣ ʃi̥⸢ti⸣misaŋ] (これは棄ててよい)。 シ⸢トゥ⸣ プ⸢ソー⸣ シ⸢テー⸣ ミサムヌム [ʃi̥⸢tu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʃi̥⸢teː⸣ misamunu] (棄てる人は棄てればよいのに)。 8083 0 2 7711 htmvoc_8083.wav シトゥン シ⸢トゥン [ʃi̥⸢tuŋ] 他動 {Mn_2}紛失する。無くする。失う。 ⸣マナール シ⸢トゥタ⸣ユー ⸢アシゥカリ⸣ムヌ シ⸢ティナー⸣ヌ [⸣manaːru ʃi̥⸢tuta⸣juː ⸢ʔasi̥kari⸣munu ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (何処で紛失したのか、預かり物を無くしてしまった) 8116 0 0 7712 htmvoc_8116.wav シドゥン ⸣シドゥン [⸣ʃiduŋ] 自動 孵化する。卵から雛がかえ(孵る)。脱皮する。蛆がわく。 ⸢ミー⸣ドゥロー ⸢コーマ⸣ヌ ⸣シドゥンケン ⸣シー ア⸢ツァ⸣シ ⸢ベー⸣ンドゥ マ⸢ダ⸣ シ⸢ダ⸣ヌ [⸢miː⸣duroː ⸢koːma⸣nu ⸣ʃiduŋkeŋ ⸣ʃiː ʔa⸢ʦa⸣ʃi ⸢beː⸣ndu ma⸢da⸣ ʃi⸢da⸣nu] (雌鳥は卵が孵化するまで巣を温めているが、まだ孵化しない)。 ⸣シディ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃidi ⸢naː⸣nu] (孵化してしまった)。 ⸣シドゥ ⸣ピン [⸣ʃidu ⸣piŋ] (孵化する時)。 ⸢パー⸣ク ⸣シデー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ʃideː ⸣misamunu] (早く孵化すれば良いのに)。 ⸢パイヌ コー⸣マーラ ウ⸢ジ⸣ヌ ⸣シドゥンティ⸢ダー [⸢painu koː⸣maːra ʔu⸢ʤi⸣nu ⸣ʃidunti⸢daː] (蝿の卵から蛆が孵化するそうだよ)。 シ⸢ダ⸣ヌ [ʃi⸢da⸣nu] (孵化しない)。 ⸣シディティ [⸣ʃiditi] (孵化して)。 ⸣シドゥ ⸣ムヌ [⸣ʃidu ⸣munu] (孵化するもの)。 ⸣シデー ⸣ミサムヌ [⸣ʃideː ⸣misamunu] (孵化すればよいのに)。 ⸣シディ [⸣ʃidi] (孵化しろ) 8117 0 0 7713 htmvoc_8117.wav シトンカー ⸣シトンカー [⸣ʃi̥toŋkaː] 名 びっこ(跛)を引くこと。びっこ(跛)。 イ⸢ク⸣サナール ⸣キジューシ ⸣パン イ⸢ラリティ⸣ シトンカー ⸣ナリ ⸢ベー⸣ダー [ʔi⸢ku⸣sanaːru ⸣kiʤuːʃi ⸣paŋ ʔi⸢rariti⸣ ʃi̥toŋkaː ⸣nari ⸢beː⸣daː] (戦争で機銃で足を射られてびっこになっているんだよ) 8193 0 0 7714 htmvoc_8193.wav シトンカー シトンカー [⸣ʃi̥toŋkaː] 名 びっこの人。足の不自由な人。びっこをひいて歩く人。 イ⸢ク⸣サナー ⸢ティップ⸣シ ⸣パン⸣ イ⸢ラリティル⸣ シトンカー ⸣ナリ ⸢ベー⸣ダー [ʔi⸢ku⸣sanaː ⸢tippu⸣ʃi ⸣paŋ ʔi⸢raritiru⸣ ʃi̥toŋkaː ⸣nari ⸢beː⸣daː] (戦争の時に、鉄砲で足を撃たれてびっこになっているのだよ) 8118 0 0 7715 htmvoc_8118.wav シトンティ シトン⸢ティ [ʃiton⸢ti] 副 ドスンと。ストンと。それほど重くない物が落下して音を出すことの形容。 ⸢カーラ⸣ヌ シトン⸢ティ⸣ ウティ⸣キー ス⸢ブ⸣ル バ⸢リ⸣ シケー [⸢kaːra⸣nu ʃi̥ton⸢ti⸣ ʔuti ⸣kiː su⸢bu⸣ru ba⸢ri⸣ ʃi̥keː] (瓦がストンと落ちてきて、頭を打って<割って>ある) 8119 0 0 7716 htmvoc_8119.wav シナ シ⸢ナ [ʃi⸢na] 名 品。品物。シ⸢ナムヌ[ʃi⸢namunu](品物)ともいう。 シ⸢ナー⸣ ス⸢ロー⸣シ [ʃi⸢naː⸣ su⸢roː⸣ʃi] (品物を確保し<揃え>なさい)。 シ⸢ナー ギューシナ⸣ ア⸢ル⸣ワ [ʃi⸢naː gjuːʃina⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (品物は幾品<何種類>あるか)。商品。品目。「品」の義。 シ⸢ナカジヌ ゴー⸣ラール マ⸢チヤー⸣ラ カ⸢ウバル⸣ マ⸢シ⸣ダー [ʃi⸢nakaʤinu goː⸣raːru ma⸢ʧijaː⸣ra ⸢kaubaru⸣ ma⸢ʃi⸣daː] (品数の多い店から買ったほうがいいよ)。/⸢キーヌ⸣ナル パ⸢チパチバ⸣ ブ⸢リカザ⸣リ/ ナ⸢リキー⸣ヌ シ⸢ナジナバ⸣ トゥリガザリ/(木の実の初生り初生りを\ruby{捥}{モ}ぎ供え、木の実の品々を採り供え)「七月念仏歌・シザヌクイ<兄の声・歌>」『鳩間島古典民謡古謡集』。 ⸢サイクドン⸣ゴー ⸢ギューシナ⸣ ア⸢ル⸣ワ [⸢saikudoŋ⸣goː ⸢gjuːʃina⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (大工道具は何種類<幾品>あるか) 8120 0 1 7717 htmvoc_8120.wav シナ ⸣シナ [⸣ʃina] 名 {Mn_1}綱。藁やアダンの気根の繊維、くろつぐ(桄榔子)の繊維などを縒り合わせて太く長く綯った縄。「~風を疾み都奈波多由登毛<ツナハタユトモ> 言な絶えそね『万葉集 3380』」の義。 バ⸢ラフ⸣タジナ [ba⸢raɸu̥⸣taʤina] (藁縄)。ア⸢ダナ⸣シジナ[ʔa⸢dana⸣ʃiʤina](アダンの気根の繊維で綯った縄)、⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](クロツグの繊維で綯った縄)などがある。 バ⸢ラフ⸣タジナ ⸣ナイティ タ⸢ム⸣ヌ マ⸢ラキ [ba⸢raɸu⸣taʤina ⸣naiti ta⸢mu⸣nu ma⸢raki] (藁縄綯って薪を束ね<まろげ>よ)。⸢ユー⸣ル[⸢juː⸣ru](アダンの気根の繊維を縒って綯った細い縄)は強力で美しく、凧揚げの紐にも⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku](網袋)を編むのにも用いられる。ピ⸢ダリ⸣ジナ[pi⸢dari⸣ʤina](左綯いの綱{EOS}注連縄)、シ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](注連縄)、サ⸢バホーシ⸣ジナ[sa⸢bahoːʃi⸣ʤina](鱶釣り綱)がある。 ⸣シナ ⸣ヌーン [⸣ʃina ⸣nuːŋ] (綱を綯う)。 ⸣バー ⸢ノー⸣ヌ [⸣baː ⸢noː⸣nu] (私は綯わない)。 ⸣ヌイ ッ⸢ふィーリ [⸣nui f⸢fiːri] (綯ってくれ)。 8120 0 2 7718 htmvoc_8120.wav シナ ⸣シナ [⸣ʃina] 名 {Mn_2}罪人を捕縛する縄。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸣シナ パ⸢クン⸣ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː ⸣ʃina pḁ⸢kun⸣daː] (悪事を働くと<すると>罪人として捕縛される<罪人として綱を履く{EOS}縄をかけられる>ぞ) 8203 0 1 7719 htmvoc_8203.wav シナースン シ⸢ナー⸣スン [ʃi⸢naː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}心を合わせる。調和させる。\ruby{宥}{ナダ}めて。仲良くする。 ⸣キム シ⸢ナー⸣スン [⸣kimu ʃi⸢naː⸣suŋ] (心を合わせる)。 ⸣キム シ⸢ナー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢ナーサラ⸣ヌ [⸣kimu ʃi⸢naː⸣sunti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ ʃi⸢naːsara⸣nu] (気持ちを宥めて、機嫌を取ろうとするが、ちっとも\ruby{宥}{ナダ}められない)。 ⸣キム シ⸢ナー⸣シ ⸣ミサカー シ⸢ナー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kimu ʃi⸢naː⸣ʃi ⸣misakaː ʃi⸢naː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (気持ちを宥めて機嫌をとってよければ、宥めることはできる)。 ⸣キム シ⸢ナーサラン⸣タンティン ヤー⸢ディン⸣ キム シ⸢ナー⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸣kimu ʃi⸢naːsaran⸣tantiɲ jaː⸢diŋ⸣ kimu ʃi⸢naː⸣ʃi f⸢fiːri] (仲良く出来<心を合わせられ>なくても、必ず宥めてくれ)。 ⸣キム シ⸢ナー⸣ス クトゥカー⸢ニ カン⸣ガイティ ッ⸢ふァトゥ⸣ キム シ⸢ナー⸣シ [⸣kimu ʃi⸢naː⸣su ⸣kutukaː⸢ni kaŋ⸣gaiti f⸢fatu⸣ kimu ʃi⸢naː⸣ʃi] (心を合わせることだけ考えて、子供と心を合わせなさい)。 ン⸢メーマー⸣ キム シ⸢ナー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ kimu ʃi⸢naː⸣ʃeː ⸣misamunu] (少しは心を合わせれば<仲良くすれば>よいのに)。 8203 0 2 7720 htmvoc_8203.wav シナースン シ⸢ナー⸣スン [ʃi⸢naː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}取り揃える。しっくり合わせる。はめ込む。ほどよく取り合わせる。揃える。 ⸢ヨイヌ⸣ ムノー シ⸢ナー⸣シティル パ⸢ナ⸣シェー ン⸢ザサ⸣リ⸢ダー [⸢joinu⸣ munoː ʃi⸢naː⸣ʃitiru pa⸢na⸣ʃeː ʔn⸢ʣasa⸣ri⸢daː] (祝いの品々を揃えてから話は切り出せるのだよ)。 ⸢ドングペン⸣グ シ⸢ナー⸣シ シ⸢キ⸣リ [⸢doŋgupeŋ⸣gu ʃi⸢naː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (家財道具を揃えておきなさい) 8124 0 0 7721 htmvoc_8124.wav シナームヌ シ⸢ナー⸣ ムヌ [ʃi⸢naː⸣ munu] 連 幼い子供。「幼い者」の義。 ⸣アイニ シ⸢ナー⸣ ムノー マー⸢ズン サーリ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaini ʃi⸢naː⸣ munoː maː⸢ʣun saːri⸣ pa⸢rara⸣nu] (あんなに幼い子供は一緒に連れて行くことは出来ない<連れて行かれない>) 8197 0 0 7722 htmvoc_8197.wav シナーリン シ⸢ナーリン [ʃi⸢naːriŋ] 自動 繋がれる。シ⸢ナウン[ʃi⸢nauŋ](繋ぐ)の未然形に助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](れる{EOS}られる)が下接して、派生動詞の可能動詞、受身動詞が形成されたもの。 ク⸢ヌ⸣ シナー ⸢バン⸣ヌン シ⸢ナーリン [ku⸢nu⸣ ʃinaː ⸢ban⸣nuŋ ʃi⸢naːriŋ] (この綱は私にも繋がれる<可能>)。 ク⸢ヌ⸣ シナー ⸢タール⸣ シ⸢ナウタ⸣ユー シ⸢ナーリ ベー [ku⸢nu⸣ ʃinaː ⸢taːru⸣ ʃi⸢nauta⸣juː ʃi⸢naːri beː] (この綱は誰が繋いだのか、繋がれている) 8204 0 0 7723 htmvoc_8204.wav シナールン シ⸢ナー⸣ルン [ʃi⸢naː⸣ruŋ] 自動 調和する。適合する。しっくり合う。 ⸣クマ ン⸢メーマ⸣ キ⸢ズ⸣カー シ⸢ナー⸣ルン [⸣kuma ʔm⸢meːma⸣ ki⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢naː⸣ruŋ] (ここを少し削ったらぴったり合う)。 ク⸢リ⸣シェー シ⸢ナーラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ʃeː ʃi⸢naːra⸣nu] (これでは適合しない)。 ク⸢リ⸣シン ⸢デー⸣カー シ⸢ナーリン⸣ギサン [ku⸢ri⸣ʃin ⸢deː⸣kaː ʃi⸢naːriŋ⸣gisaŋ] (これでならぴったり合いそうだ)。 ク⸢リトゥ⸣ シ⸢ナー⸣ル ⸣ムヌ ⸣トゥミ ⸣クー [ku⸢ritu⸣ ʃi⸢naː⸣ru ⸣munu ⸣tumi ⸣kuː] (これとしっくり合うものを捜してこい) 8140 0 0 7724 htmvoc_8140.wav シナーン シ⸢ナー⸣ン [ʃi⸢naː⸣ŋ] 形 幼い。幼稚である。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー シ⸢ナー⸣ン [ku⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː ʃi⸢naː⸣ŋ] (この子は非常に幼い)。 シ⸢ナー ナー⸣ヌ [ʃi⸢naː naː⸣nu] (幼くない)。 シ⸢ナー⸣タン [ʃi⸢naː⸣taŋ] (幼かった)。 トゥ⸢シ⸣トー ア⸢タラン⸣ イッ⸢ケナ⸣<⸢サッ⸣コー> シ⸢ナー⸣ン [tu⸢ʃi⸣toː ʔa⸢taraŋ⸣ ʔik⸢kena⸣<⸢sak⸣koː> ʃi⸢naː⸣ŋ] (年に似合わず、非常に幼い〈幼稚で〉ある)。 ⸣ドゥク シ⸢ナー⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー パ⸢ラサラ⸣ヌ [⸣duku ʃi⸢naː⸣nu ma⸢na⸣maː pa⸢rasara⸣nu] (あまりにも幼くて今は行かされない)。 ⸢シンダイ⸣ シ⸢ナー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʃi⸢naː⸣ naruŋ] (次第に幼くなる)。 シ⸢ナー⸣ ッふァー ⸢ヤー サーリ⸣ パリ [ʃi⸢naː⸣ ffaː ⸢jaː saːri⸣ pari] (幼い子供は家に連れて行け<帰れ>)。 ウ⸢レー⸣ シ⸢ナー⸣ンダー マ⸢ナ⸣マー ⸣ドゥー ム⸢タサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃi⸢naː⸣ndaː ma⸢na⸣maː ⸣duː mu⸢tasara⸣nu] (その子は幼いから今は嫁がされない)。 シ⸢ナー ナー⸣ヌ [ʃi⸢naː naː⸣nu] (幼くない)。 ⸢シンダイ⸣ シ⸢ナー⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ ʃi⸢naː⸣ nari⸢naː⸣nu] (次第に幼くなってしまった)。 シ⸢ナー⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー パ⸢タラカサラヌ [ʃi⸢naː⸣nu ma⸢na⸣maː pa⸢tarakasaranu] (幼くて今は働かされない)。 ⸣ドゥク シ⸢ナー⸣ ッふァー ⸢サーリ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣duku ʃi⸢naː⸣ ffaː ⸢saːri⸣ pa⸢rara⸣nu] (あまりにも幼い子供は連れて行けない<行かれない>) 8125 0 0 7725 htmvoc_8125.wav シナイッツァースン シ⸢ナイッツァースン [ʃi⸢naitʦaːsuŋ] 他動 つなぎ散らす。縄をつなぎ散らす。継ぎ足しをする。つぎはぎする。たくさん継ぎをあてる。 ク⸢ヌ アン⸣マー シ⸢ナイッツァーサリティ⸣ ヤリ ⸢ベー [ku⸢nu ʔam⸣maː ʃi⸢naitʦaːsariti⸣ jari ⸢beː] (この網は継ぎ接ぎされて破れている)。 ⸣シナー シ⸢ナイッツァースン [⸣ʃinaː ʃi⸢naitʦaːsu] (綱を継ぎ合わせる)。 シ⸢ナイッツァーシティ⸣ ムティパリ [ʃi⸢naitʦaːʃiti⸣ mutipari] (継ぎ足して持って行け)。 シ⸢ナイッツァース⸣ シナー  シゥ⸢カラーラヌ [ʃi⸢naitʦaːsu⸣ ʃinaː sï̥⸢kaːranu] (継ぎ足しにした綱は使えない)。 シ⸢ナイッツァーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢naitʦaːʃeː⸣ misamunu] (継ぎ接ぎすればよいのに)。 シ⸢ナイッツァーシ [ʃi⸢naitʦaːʃi] (継ぎ接ぎせよ) 8199 0 1 7726 htmvoc_8199.wav シナイフチ シ⸢ナイフチ [ʃi⸢naiɸu̥ʧi] 名 {Mn_1}繋ぎ目。繋いだところ。結び目。「繋ぎ口」の義。 ⸣シナー シ⸢ナイフチェーラ パンチ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃinaː ʃi⸢naiɸuʧeːra panʧi⸣ pari ⸢naː⸣nu] (綱は繋ぎ目から外れて<解いて>いってしまった)。繋ぎ目。繋いだ所。「繋ぎ口」の転訛したもの。 シ⸢ナイフチ⸣ ワ⸢カラン⸣ヨーニル ⸢ブー⸣ヤ ⸢ウー⸣ム⸢ダー [ʃi⸢naiɸuʧi⸣ wa⸢karaŋ⸣ joːniru ⸢buː⸣ja ⸢ʔuː⸣mu⸢daː] (つなぎ目が分らないように<ぞ>麻糸は績むのだよ)。 8199 0 2 7727 htmvoc_8199.wav シナイフチ シ⸢ナイフチ [ʃi⸢naiɸu̥ʧi] 名 {Mn_2}繋ぎ方。 ⸢ヌー⸣シル シ⸢ナウ⸣ユー シ⸢ナイフチ⸣ ッ⸢サヌ [⸢nuː⸣ʃiru ʃi⸢nau⸣juː ʃi⸢naiɸu̥ʧi⸣ s⸢sanu] (どうやって繋ぐのか、繋ぎ方を知らない)。繋ぎ方。 ⸢ヌー⸣シ シ⸢ナウ⸣ユー シ⸢ナイフチ⸣ ナ⸢ラー⸣シバ [⸢nuː⸣ʃi ʃi⸢nau⸣juː ʃi⸢naiɸuʧi⸣ na⸢raː⸣ʃiba] (如何様に繋ぐか、繋ぎ方を教えなさいよ) 8128 0 0 7728 htmvoc_8128.wav シナイヨー シ⸢ナイヨー [ʃi⸢naijoː] 名 繋ぎ方。「繋ぎ様」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ナイヨーヤ⸣ ム⸢チキ⸣サン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢naijoːja⸣ mu⸢ʧiki⸣saŋ] (このつなぎ方は難しい) 8206 0 0 7729 htmvoc_8206.wav シナイルン シ⸢ナイルン [ʃi⸢nairuŋ] 他動 繋ぐ。繋げる。「繋げる<下一段>」の転訛したもの。シ⸢ナウンとも言う。 ⸣シナ シ⸢ナイルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢ナイララヌ [⸣ʃina ʃi⸢nairunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː mut⸢tu⸣ ʃi⸢nairaranu] (綱を繫げようと思うが、私にはちっとも繫げられない<繋がれない>) 8200 0 0 7730 htmvoc_8200.wav シナウトゥン ⸣シナ ⸣ウトゥン [⸣ʃina ⸣ʔutuŋ] 連 綱を打つ。三本の縄を縒り合わせて太い綱に綯い上げること。船のロープを作る際に、庭先の木の枝に三本の綱を掛け、三人の人が各自一本の綱を縒りながら手渡しつつ三人で一本の太い綱を綯いあげていた。 ⸣シナ ⸣ウトゥンティ ⸢ベー⸣バ ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィーラン⸣ノーレー [⸣ʃina ⸣ʔutunti ⸢beː⸣ba ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːran⸣noːreː] (綱<ロープ>を打とう<綯う>としているから、手伝ってくれないか) 8129 0 0 7731 htmvoc_8129.wav シナウン シ⸢ナウン [ʃi⸢nauŋ] 他動 繋ぐ。 ⸣ティー シ⸢ナウン [⸣tiː ʃi⸢nauŋ] (手を繋ぐ)。 ⸣シナ シ⸢ナイ⸣ プサン [⸣ʃina ʃi⸢nai⸣ pusaŋ] (綱を繋ぎたい)。 ウ⸢リトー ティー⸣ヤ シ⸢ナーヌ [ʔu⸢ritoː tiː⸣ja ʃi⸢naːnu] (彼とは手は繋がない)。 ⸣ティー シ⸢ナウ⸣ プソー ギッ⸢ティ⸣ シ⸢ナイヤー⸣ ミサムヌ [⸣tiː ʃi⸢nau⸣ pu̥soː git⸢ti⸣ ʃi⸢naijaː⸣ misamunu] (手を繋ぐ時はぎゅっと繋げば良いのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ナイ⸣バ [⸢paː⸣ku ʃi⸢nai⸣ba] (早く繋げよ)。 ⸣イトゥ シ⸢ナウンティ スンドゥ⸣ シ⸢ナーランバ⸣ シ⸢ナイ ッふィーリ [⸣ʔitu ʃi⸢naunti sundu⸣ ʃi⸢naːramba⸣ ʃi⸢nai ffiːri] (糸を繋ごうとするが、繋げない<繋がれない>ので繋いでくれ)。 シ⸢ナウ⸣ ピンマー ピ⸢ニ⸣リティ シ⸢ナイヤー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢nau⸣ pimmaː pi⸢ni⸣riti ʃi⸢naijaː⸣ misamunu] (繋ぐときは\ruby{捻}{ヒネ}って繋げばよいのに)。 ク⸢リ⸣シ シ⸢ナイ⸣バ [ku⸢ri⸣ʃi ʃi⸢nai⸣ba] (これで繋げ) 8134 0 0 7732 htmvoc_8134.wav シナウン ⸣シナウン [⸣inauŋ] 自動 調和する。適合する。ぴったり合う。一致する。 フ⸢タールヌ⸣ キモー ⸣シナウンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ キ⸢ム⸣ヌ シ⸢ナーン⸣カー マー⸢ズンマー⸣ ナ⸢ララ⸣ヌ [ɸu̥⸢taːrunu⸣ kimoː ⸣ʃinaunti ʔu⸢muːn⸣du ki⸢mu⸣nu ʃi⸢naːŋ⸣kaː maː⸢ʣummaː⸣ na⸢rara⸣nu] (二人の気持ち<心>は一致すると思うが、心が一致しないと一緒にはなれない)。 ウ⸢ヤッ⸣ふァ キ⸢ム⸣ヌ ⸣シナイティ ウ⸢ラーミ⸣サン [ʔu⸢jaf⸣fa ki⸢mu⸣nu ⸣ʃinaiti ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (親子心が一致して羨ましい)。 キ⸢ム⸣ヌ ⸣シナウ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mu⸣nu ⸣ʃinau ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (心が一致することは無い)。 ⸣キモー シ⸢ナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣kimoː ʃi⸢nai⸣jaː ⸣misamunu] (心は一致すれば良いのに)。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸣キモー シ⸢ナー⸣ムティ ⸣キム シ⸢ナイ⸣ヤンティ ア⸢ズヌ⸣ ウ⸢ヌ シー⸣ヨーシェー ⸣キム ⸣シナウンテー ウ⸢モーラ⸣ヌ [⸢ʔut⸣ʦaː ⸣kimoː ʃi⸢nai⸣janti ʔa⸢ʣunu⸣ ʔu⸢nu ʃiː⸣joːʃeː ⸣kimu ⸣ʃinaunteː ʔu⸢moːra⸣nu] (彼らは仲良くならない<心が和合しない>のに仲良くなったというが、あの様子では仲良くなる<心が和合する>とは思えない)。 ウ⸢リトゥ⸣ キ⸢ム⸣ シナウ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ritu⸣ ki⸢mu⸣ ʃinau pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼と調和できる人はいない)。 キ⸢ム⸣ シナイ [ki⸢mu⸣ ʃinai] (心が調和せよ) 8201 0 0 7733 htmvoc_8201.wav シナウン シ⸢ナウン [ʃi⸢nauŋ] 他動 繋ぐ。糸や綱などの切れ目を結び、続け合わせる。「あずの上に古馬乎都奈伎て~『万葉集 3539』」の義。シ⸢ナイルンとも言う。 ⸣シナシ シ⸢ナウンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー シ⸢ナーランバ⸣ シ⸢ナイ ッふィーリ [⸣ʃinaʃi ʃi⸢naunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ʃi⸢naːramba⸣ ʃi⸢naiffiːri] (綱で繋ごうと思うが私には繋げない<繋がれない>から繋いでくれ)。 シ⸢ナウ ムノー⸣ ドゥーシ シ⸢ナイヤー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢nau munoː⸣ duːʃi ʃi⸢naijaː⸣ misamunu] (繋ぐものは自分で繋げばよいのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ナイ⸣バ [⸢paː⸣ku ʃi⸢nai⸣ba] (早く繋げよ)。 ⸢ナー⸣ヌ ⸣キシェーントン シ⸢ナウン [⸢naː⸣nu ⸣ki̥ʃeːn ⸣toŋ ʃi⸢nauŋ] (縄の切れたところを繋ぐ)。 ⸣ティー シ⸢ナウン [⸣tiː ʃi⸢nauŋ] (手を繋ぐ)。 ⸣ティー シ⸢ナーンドー⸣シ ア⸢サビ [⸣tiː ʃi⸢naːndoː⸣ʃi ʔa⸢sabi] (手を繋がないで遊べ)。 シ⸢ナイ⸣ ミサカー シ⸢ナウ⸣ クトー ⸣ナルン [ʃi⸢nai⸣ misakaː ʃi⸢nau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (繋いで良ければ繋ぐことは出来る)。 シ⸢ナイヤー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢naijaː⸣ misamunu] (繋げば良いのに)。 ⸣ティー シ⸢ナイ⸣バ [⸣tiː ʃi⸢nai⸣ba] (手を繋げよ) 8130 0 0 7734 htmvoc_8130.wav シナカイヤン シ⸢ナカイ⸣ヤン [ʃi⸢nakai⸣jaŋ] 形 姿形が上品で美しい。上等である。容姿が優美である。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ブ⸢ドゥル⸣ シ⸢ミル⸣カー イッ⸢ケナ⸣ シ⸢ナカイ⸣ヤン [mi⸢doːŋ⸣ffaː bu⸢duru⸣ ʃi⸢miru⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʃi⸢nakai⸣jaŋ] (女の子は踊りをさせると容姿が非常に優美で美しい)。 シ⸢ナカイ⸣ヤ ブ⸢ドゥル スン [ʃi⸢nakai⸣ja bu⸢duru suŋ] (容姿上品で美しく、優美に踊る<踊をする>)。 カ⸢ツブシン⸣ シ⸢ナカイ⸣ヤバル ⸢ダイヤ⸣ ムトゥ⸢ダー [kḁ⸢ʦubuʃiŋ⸣ ʃi⸢nakai⸣jabaru ⸢daija⸣ mutu⸢daː] (鰹節も形の上品なものが値段も高くうれる<値段は持つ>) 8141 0 0 7735 htmvoc_8141.wav シナカキヤー シ⸢ナカキ⸣ヤー [ʃi⸢nakaki⸣jaː] 名 漁法名の一つ。フ⸢クル⸣アン[ɸu̥⸢kuru⸣ʔaŋ](袋網)、⸣タカアン[⸣takaʔaŋ](高い網)、⸣キタアン[⸣kitaʔaŋ](桁網)、ッ⸢サ⸣ジナ[s⸢sa⸣ʤina](魚脅しの綱)を用いて魚道に仕掛け、魚を追い込んだりして漁獲する漁法。 ⸢キュー⸣ヤー ⸣マナール シ⸢ナカキ⸣ヤー ⸢ソー⸣ルカヤー [⸢kjuː⸣ja ⸣manaːru ʃi⸢nakaki⸣jaː ⸢soːru⸣kajaː] (今日は何処で追い込み漁をされるのかね)。⸣クサン[⸣ku̥saŋ](漁法の一つ)の項参照 8209 0 0 7736 htmvoc_8209.wav シナカキヤマ シ⸢ナカキ⸣ヤマ [ʃi⸢nakaki⸣jama] 名 綱を三本縒り合わせて一本の太い綱に仕上げる器具。「綱掛けやま」の義。「ヤマ」は、「機械」、「仕掛け」の意味。一枚の厚い板に三個の穴を開け、回転式のハンドルを付けて地面に立てた二本の棒に固定する。他方の板には一個の穴を開け、同じ回転式のハンドルを付けておく。三本の縄の片端を三本のハンドルに結び、もう一方のハンドルには三本の縄を結んで、三本のハンドルを右方に回して縄を縒る。適当に縒ったところで三つ又を当てて、片方の一本のハンドルを三本のハンドルと逆方向に回すと太い縄が縒りあがる。鳩間島ではこのようにして⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina]のロープを製造していた。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣シナ カ⸢キ⸣ラティ ⸣ウムイ ⸢ベー⸣ティ ⸢ワー テー⸣ナイ ⸢シー ッふィーリ⸣ヨー [⸢kjuː⸣ja ⸣ʃina kḁ⸢ki⸣rati ⸣ʔumui ⸢beː⸣ti ⸢waː teː⸣nai ⸢ʃiː ffiːri⸣joː] (今日は綱を掛け合せようと思うので、君は手伝いしてくれよな) 8122 0 0 7737 htmvoc_8122.wav シナカクン ⸣シナ ⸣カクン [⸣ʃina ⸣kḁkuŋ] 連 綱を3~4本縒り合せて太いロープに作る。縒り合せるて太い綱にする。 ⸢フー⸣カラジナバ ⸢ユームトゥ アー⸣シティ ⸣シナ ⸣カキティ カ⸢ツシンヌ アン⸣カージナ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢ɸuː⸣karaʤina ⸢juːmutu ʔaː⸣ʃi ⸣ʃina ⸣kḁkiti kḁ⸢ʦuʃinnu ʔaŋ⸣kaːʤina su̥⸢ku⸣roːtta] (くろつぐ<桄榔子>の繊維で綯った綱を四本縒り合わせて太い綱にしてカツオ漁船のアンカーロープを作られた) 8142 0 0 7738 htmvoc_8142.wav シナカジ シ⸢ナカジ [ʃi⸢nakaʤi] 名 品数。 マ⸢チヤーヌ⸣ シ⸢ナムノー⸣ シ⸢ナカジ⸣ ス⸢ルイ⸣リ [ma⸢ʧijaːnu⸣ ʃi⸢namunoː⸣ ʃi⸢nakaʤi⸣ su⸢rui⸣ri] (お店の品物は、品数をそろえなさい) 8143 0 0 7739 htmvoc_8143.wav シナカジゴーカジ シ⸢ナカジゴー⸣カジ [ʃi⸢nakaʤigoː⸣kaʤi] 名 品々のことごとく。ありったけの品。多種類。数々。種々。ありったけ。ある限り。ABCDEFCD型の重言。 シ⸢ナカジゴーカジ⸣ヌ ⸣ウサイ ス⸢コーリ⸣ マ⸢ツォーッ⸣タ [ʃi⸢nakaʤigoːkaʤi⸣nu ⸣ʔusai su̥⸢koːri⸣ ma⸢ʦoːt⸣ta] (ある限り、種々の御馳走を作って祀られた)。「品数・合数」の転訛したものか。ABCDEFCD型の重言。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸣キンカー シ⸢ナカジゴー⸣カジ ア⸢ツァ⸣ミ ⸣シケーン [mu⸢kaʃi⸣nu ⸣kiŋkaː ʃi⸢nakaʤigoː⸣kaʤi ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣ʃi̥keːŋ] (昔の衣類<衣皮>のありったけの品を集めておいてある)。 シ⸢ナカジゴー⸣カジ カ⸢キアツァ⸣ミ ⸢カイ⸣ クー [ʃi⸢nakaʤigoː⸣kaʤi ka⸢kiʔaʦa⸣mi ⸢kai⸣ kuː] (総て品々をかき集めて買ってコイ) 8211 0 0 7740 htmvoc_8211.wav シナギリ シ⸢ナギリ [ʃi⸢nagiri] 名 品切れ。 ⸣ヌーンクイーン シ⸢ナギリ シーナー⸣ヌ [⸣nuːŋkuiŋ ʃi⸢nagiri ʃiːnaː⸣nu] (何もかも品切れしてしまった) 8212 0 0 7741 htmvoc_8212.wav シナサダミ シ⸢ナサダミ [ʃi⸢nasadami] 名 品定め。 ク⸢トゥシヌ ヒンピョーカイ⸣ヌ カ⸢ブッチヌ⸣ シ⸢ナサダメー タール ソー⸣ルカヤー [ku̥⸢tuʃinu çimpjoːkai⸣nu ka⸢butʧinu⸣ ʃi⸢nasadameː taːru soː⸣rukajaː] (今年の品評会の南瓜の品定めは誰がされるかねえ) 8213 0 0 7742 htmvoc_8213.wav シナジナ シ⸢ナジナ [ʃi⸢naʤina] 名 品々。いろいろの品物。 シ⸢ナジナヌ⸣ ム⸢ヌ⸣バ ⸢カーシ オー⸣ルン [ʃi⸢naʤinanu⸣ mu⸢nu⸣ba ⸢kaːʃi ʔoː⸣ruŋ] (種々の品物を売っておられる) 8214 0 1 7743 htmvoc_8214.wav シナスン シ⸢ナスン [ʃi⸢nasuŋ] 他動 {Mn_1}殺す。「死なす」の義。 パ⸢ブバ⸣ バウシ ス⸢ブ⸣ル タ⸢タッ⸣キ シ⸢ナスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢ナサラヌ [pa⸢buba⸣ bauʃi tḁ⸢tak⸣ki ʃi⸢nasunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi⸢nasaranu] (ハブを棒で頭叩いて殺そう<死なそう>としたが、殺されない)。 8214 0 2 7744 htmvoc_8214.wav シナスン シ⸢ナスン [ʃi⸢nasuŋ] 他動 {Mn_2}死なせる(死なれる)。 ⸢シー⸣ネヌ ⸣アッパー イ⸢クサ⸣ユーナ ッ⸢ふァ⸣ シ⸢ナシティル⸣ アイニ キ⸢ム⸣ヤミ ⸢オー⸣ル [⸢ʃiː⸣nenu ⸣ʔappaː ʔi⸢kusa⸣juːna f⸢fa⸣ ʃi⸢naʃi̥ti⸣ru ⸣ʔaini ki⸢mu⸣jami ⸢ʔoː⸣ru] (後隣のお祖母さんは戦争で子供を死なせて、あのように心を痛めて<肝病みして{EOS}悲しんで>おられる) 8135 0 1 7745 htmvoc_8135.wav シナタ シ⸢ナタ [ʃi⸢nata] 名 {Mn_1}姿。格好。 ウ⸢リヌ⸣ シ⸢ナター⸣ ヌーヤ ウ⸢レー⸣ ソーン⸢ドゥ⸣ プ⸢リムヌ⸣ ア⸢ラン⸣ノー [ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢nataː⸣ nuːja ʔu⸢reː⸣ soːn⸢du⸣ pu⸢rimunu⸣ ʔa⸢ran⸣noː] (彼の姿は何だね{EOS}全く気違いではないか{EOS}) 8135 0 2 7746 htmvoc_8135.wav シナタ シ⸢ナタ [ʃi⸢nata] 名 {Mn_2}嫌な態度。嫌なしぐさ(仕種)。 ユ⸢ミヌ⸣ シ⸢ナタ⸣ ミ⸢ラ⸣レーティ ⸢アー⸣ク ⸣ムノー ⸢ミーヌッ⸣サン [ju⸢minu⸣ ʃi⸢nata⸣ mi⸢ra⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku ⸣munoː ⸢miːnus⸣saŋ] (嫁が嫌な態度をみせている<嫌な態度が見られる>のは見苦しい) 8136 0 0 7747 htmvoc_8136.wav シナタカタチ シ⸢ナタカタチ [ʃi⸢natakataʧi] 名 容姿。顔立ちや体つき。 ⸢ウン⸣ネヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ シ⸢ナタカタチヌ カイ⸣ヤー ⸣ウヤユジリ ヤ⸢ルバン⸣ナー [⸢ʔun⸣nenu mi⸢doːŋ⸣ffanu ʃi⸢natakataʧinu kai⸣jaː ⸣ʔujajuʤiri ja⸢ruban⸣naː] (あの家の女の子の容姿の美しさは親譲りであるよ<わい>な) 8147 0 0 7748 htmvoc_8147.wav シナダル シ⸢ナダル [ʃi⸢nadaru] 名 病名。せきり(赤痢)などの便。粘液の混じった便。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ナダルバ⸣ マルカー ナ⸢クラー⸣ンダ シ⸢グ⸣ イ⸢サン⸣ヤー ⸢サーパラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢nadaruba⸣ marukaː na⸢kuraː⸣ndaː ʃi⸢gu⸣ ʔi⸢saɲ⸣jaː ⸢saːparaŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (子供が粘液性の便を排泄したら怖いことになるから、すぐ病院<医者の家>へ連れて行かないといけない<ならぬ>よ) 8144 0 0 7749 htmvoc_8144.wav シナッふァ シ⸢ナッ⸣ふァ [ʃi⸢naf⸣fa] 名 幼児。おさなご(幼子)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー シ⸢ナッふァ⸣バ ⸢サーレー⸣ティ パ⸢タキシグ⸣トゥ ⸢シー⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シル ス⸢ダ⸣ティ ⸣ケー⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ʃi⸢naffa⸣ba ⸢saːreː⸣ti pḁ⸢takiʃigu⸣tu ⸢ʃiː⸣ jat⸢tu⸣ʃiru su⸢da⸣ti ⸣keː⸢daː] (戦後<戦世の後>幼子をかかえて<連れて>畑仕事をして、やっとのことで育ててきたのだよ)。乳幼児。 シ⸢ナッふァ⸣ヌ ⸢ブーユンダ ティー⸣ヤ フ⸢バラリティ⸣ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢naffa⸣nu ⸢buːjunda tiː⸣ja ɸu⸢barariti⸣ noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (乳幼児がいるから、手は縛られて<いるようなもので>、何も出来ない) 8222 0 0 7750 htmvoc_8222.wav シナナーイカナー シ⸢ナナーイカ⸣ナー [ʃi⸢nanaːʔika⸣naː] 連 半死半生で。生死の境にあって。やっとのことで。辛うじて生きて。「死なず、生かず」の義。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー マ⸢ラリ⸣ヤナ カ⸢カ⸣リティ シ⸢ナナーイカ⸣ナーシル ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢ノーシ⸣ター⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ma⸢rari⸣janaː ka⸢ka⸣riti ʃi⸢nanaːʔika⸣naːʃiru jat⸢tu⸣ʃi ⸢noːʃi⸣ta⸢daː] (太平洋戦争<戦世>の後にはマラリアに罹って半死半生で、やっとのことで治したよ) 8137 0 0 7751 htmvoc_8137.wav シナナイスーブ シ⸢ナナイスー⸣ブ [ʃi⸢nanaisuː⸣bu] 名 縄綯い競争(勝負)。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ウンドー⸣カイナー シ⸢ナナイスー⸣ブン ⸢ソーッ⸣タン [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢ʔundoː⸣kainaː ʃi⸢nanaisuː⸣bun ⸢soːt⸣taŋ] (鳩間島の運動会には縄綯い競争もされた) 8138 0 0 7752 htmvoc_8138.wav シナナウン ⸣シナ ⸣ナウン [⸣ʃina ⸣nauŋ] 連 綱<縄>を綯う。 バ⸢ラフ⸣タシ バ⸢ラフ⸣タジナ ⸣ナウン [ba⸢raɸu̥⸣taʃi ba⸢raɸu̥⸣taʤina ⸣nauŋ] (稲藁で藁縄<藁綱>を綯う) 8139 0 1 7753 htmvoc_8139.wav シナヌミン シ⸢ナヌ⸣ミン [ʃi⸢nanu⸣miŋ] 名 {Mn_1}「綱の耳」の義。豊年祭の綱引きの際に用いる雄綱(東村)、雌綱(西村)の大綱の頭部の輪になった部分。雌綱の耳に雄綱の耳を入れて棒を差し込み、結合してから綱を引く。 8139 0 2 7754 htmvoc_8139.wav シナヌミン シ⸢ナヌ⸣ミン [ʃi⸢nanu⸣miŋ] 名 {Mn_2}綱引きの前に行われる儀式。東村から戸板の台に乗った侍装束の若者が長刀で身構え、西村からは同じく戸板の台に乗った紅型衣装の乙女が両手に鎌を持って身構え、笛や銅鑼の音に合わせて桟敷中央へ寄せ合わせ、五穀と神酒の交換をする。桟敷中央に達すると双方とも身構えを解き、東村の男性からは米麦粟豆黍の五穀の種を西村の乙女に手渡され、西村の乙女からは神酒の入った瓶が東村の男性に手渡れて、再び身構えながら東、西へと退く儀式である。西村の乙女役は、⸣ウブシケー(大城家)、ア⸢ラブシケー(大工家<東大城家>)、イ⸢ラ⸣ブレー(西原家)の血筋の者がなった。 シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣マイナー シ⸢ナヌ⸣ミン ⸢ユーソーッ⸣タン [ʃi⸢napiki⸣nu ⸣mainaː ʃi⸢nanu⸣miɲ ⸢juːsoːt⸣taŋ] (綱引きの前に綱の耳を寄せる儀式をされた<綱の耳を寄せられた>) 8145 0 0 7755 htmvoc_8145.wav シナピキ シ⸢ナ⸣ピキ [ʃi⸢na⸣pi̥ki] 名 綱引き。豊年祭の最終日<三日目>に、東村<雄綱>と西村<雌綱>に分かれて豊年予祝の綱引きをする儀式。⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)の第三日、早朝から両村の青年たちが各戸から徴収した稲藁で縄を綯い、それらを掛け合わせて更に大きな大綱に仕上げる。大綱の耳の部分は藁束を巻き込んで直径約30センチの大綱に作ってあり、雄綱と雌綱の耳を重ね合わせて、カ⸢ヌチボー[ka⸢nuʧiboː](「\ruby{閂棒}{カンヌキ|ボウ}」の義)を貫き通して固定した後に大綱を引く。雄綱、雌綱を合わせることは生殖の模擬行為と信じられている。 シ⸢ナ⸣ピケー ⸢インヌムラヌ⸣ カツカー ユ⸢ガフティ⸣ ア⸢ザリ ブー [ʃi⸢na⸣pi̥keː ⸢ʔinnumuranu⸣ kḁʦukaː ju⸢gaɸuti⸣ ʔa⸢ʣari buː] (綱引きは西村が勝つと豊年<世果報>と言われている) 8146 0 0 7756 htmvoc_8146.wav シナフクビ ⸣シナフクビ [⸣ʃinaɸu̥kubi] 名 藁縄の帯。⸢綱帯」の転訛したもの。百姓や漁師は、バ⸢ラフ⸣タジナ[ba⸢raɸu⸣taʤina](藁縄)や、⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](棕櫚縄)を二重、三重に腰に巻いて帯とした。 ス⸢クリ⸣プソー ⸣シナフクビバ ⸢シェー⸣ティル シ⸢グトー ソーッ⸣タ [su̥⸢kuri⸣pu̥soː ⸣ʃinaɸu̥kubiba ⸢ʃeː⸣tiru ʃi⸢gutoː soːt⸣ta] (百姓は藁縄の帯<綱帯>を締めて仕事をされた)。フ⸢ク⸣ビ[ɸu̥⸢ku⸣bi](帯)は「きき帯」と表記されている。農家の人は、畑や田仕事に出る際、藁縄で作業着を強く締め、山刀や鋸を腰に差し、鎌を持ち、鍬を担いで出かけた。 ⸢ターパタキ⸣ヌ シ⸢グトゥ スー⸣ ピンマー ⸣シナフクビ ⸢フンサマリティル ソーッ⸣タ [⸢taːpataki⸣nu ʃi⸢gutu suː⸣ pimmaː ⸣ʃinaɸu̥kubi ⸢ɸunsamaritiru soːt⸣ta] (田畑の仕事をする時は、藁縄の帯を引き締めてされたものだ) 8148 0 0 7757 htmvoc_8148.wav シナマリ シ⸢ナ⸣マリ [ʃi⸢na⸣mari] 名 おくて(晩生)。成長の遅い人。幼稚な生まれ。「幼い生まれ」の義。 シ⸢ナ⸣マリ ⸢シー ブー⸣ ッ⸢ふァー⸣ ユ⸢ヌ⸣シリンケートー ア⸢サバムティ ウシトゥンケー⸣トゥ カー⸢ニル⸣ ア⸢サブ [ʃi⸢na⸣mari ⸢ʃiːbuː⸣ f⸢faː⸣ ju⸢nu⸣ʃiriŋkeːtoː ʔa⸢sabamuti ʔuʃi̥tuŋkeː⸣tu kaː⸢niru⸣ ʔa⸢sabu] (晩生<おくて>に生まれついている子だから同年の子供たちとは遊ばないで、年下の弟達とだけしか遊ばない<弟達とだけぞ遊ぶ>) 8219 0 0 7758 htmvoc_8219.wav シナムニ シ⸢ナ⸣ムニ [ʃi⸢na⸣muni] 名 子供っぽい言葉遣い。幼稚な内容の話。 ⸣トゥシェー ⸢ギューチ⸣ ナ⸢ルバ⸣ル プ⸢スバカヤー ナー⸣ナ ⸣アイブ シ⸢ナムニ⸣バ イ⸢ジ アー⸣ク [⸣tuʃeː ⸢gjuːʧi⸣ na⸢ruba⸣ru pu̥⸢subakajaː naː⸣na ⸣ʔaibu ʃi⸢namuni⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (年は幾つになるから、恥ずかしくもなく、あんな子供っぽい言葉遣いをしている)。 ウ⸢ム⸣クトー ⸢ナー⸣ン ム⸢ヌ⸣ヌ ⸣カタチニ シ⸢ナムニ⸣バ カー⸢ニル⸣ ア⸢ズ⸣ツォー [ʔu⸢mu⸣kutoː ⸢naː⸣m mu⸢nu⸣nu ⸣kataʧini ʃi⸢namuni⸣ba kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣu⸣ʦoː] (思慮分別のない子供のように幼稚な物言いだけ言うそうだ) 8151 0 0 7759 htmvoc_8151.wav シナムヌ シ⸢ナムヌ [ʃi⸢namunu] 名 品物。 ⸢ユーズピーズ⸣ヌ シ⸢ナムノー⸣ イ⸢サナケー⸣ラ ⸢カイオーッ⸣タ [⸢juːʣupiːʣu⸣nu ʃi⸢namunoː⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ra ⸢kaiʔoːt⸣ta] (行事<年中行事{EOS}催しごと>のための品物は石垣島から買って来られた<買われた>)。 マ⸢チヤーヌ⸣ シ⸢ナムノー オーシキヌ⸣ ヤ⸢ビ⸣ルカー シ⸢ナギリ シース [ma⸢ʧijaːnu⸣ ʃi⸢namunoː ʔoːʃikinu⸣ ja⸢bi⸣rukaː ʃi⸢nagiri ʃiːsu] (お店の品物は天気がくずれると品切れする) 8160 0 0 7760 htmvoc_8160.wav ジナン ジ⸢ナン [ʤi⸢naŋ] 名 次男。二番目の男子。 ジ⸢ナンヌ ナーヤ⸣ ブ⸢ネーカタヌ⸣ アブジェー ⸢ナーバ ⸣ シ⸢キ⸣ルツォー [ʤi⸢nannu naːja⸣ bu⸢neːkatanu⸣ ʔabuʤeː ⸢naːba⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruʦoː] (次男の名前は母方の祖父の名前を付けるそうだ)。 サ⸢クシ⸣ヌ バ⸢カ⸣ジニ ⸢ソーッタール⸣ ユージェーヌ ⸢ヨー⸣シ ⸢ペー⸣リ ⸢オーッ⸣タ ジ⸢ナンバ⸣ ム⸢ドゥ⸣シ ⸣ヤー シ⸢ガソーッ⸣タツォー [sa⸢kuʃi⸣nu ba⸢ka⸣ʤini ⸢soːttaː⸣ru ⸣juːʤeːnu ⸢joː⸣ʃi ⸢peː⸣ri ⸢ʔoːt⸣ta ʤi⸢namba⸣ mu⸢du⸣ʃi ⸣jaː ʃi⸢gasoːt⸣taʦoː] (長男<嫡子>が若死にされたので、松竹家<{SqBr}ju⸢reː{/SqBr}《寄合の音韻変化した形》に養子に入っておられた次男を戻して家を継がされたそうだ) 8223 0 0 7761 htmvoc_8223.wav シナンシニ シ⸢ナンシニ [ʃi⸢naŋʃini] 連 無駄死に。犬死。「死なぬ死に」の義。 ⸢サン⸣タンティン ⸣ミサムヌバ ⸢シー アー⸣キ シ⸢ナンシニバ シー⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸢san⸣tantim ⸣misamunuba ⸢ʃiː ʔaː⸣ki ʃi⸢naŋʃiniba ʃiː⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (しなくても良いものをしていて、無駄死にをして誠に残念だよ) 8152 0 0 7762 htmvoc_8152.wav シニ ⸣シニ [⸣ʃini] 名 すね(脛)。膝からくるぶし(踝)に至る部分。「Sune.スネ(臑・脛)臑,または,足」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣シニ キ⸢ラ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʃini ki⸢ra⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (脛を蹴られて痛くて堪らない)。 ⸣シニ ⸣ブリティ ア⸢ラキマー⸣キ ⸢ベー [⸣ʃini ⸣buriti ʔa⸢rakimaː⸣ki ⸢beː] (脛を折って歩きかねている)。 ク⸢ルビティル⸣ シニ シ⸢リ⸣パギ ⸣シケーバン [ku⸢rubitiru⸣ ʃini ʃi⸢ri⸣pagi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (転んで脛を擦り剥いてあるよ)。 ア⸢サビマール⸣ カーニ⸢バ シー アー⸣クカー ⸣シニ ブ⸢ラ⸣リン⸢ダー [ʔa⸢sabimaːru⸣ kaː⸢niba ʃiː ʔaːku⸣kaː ⸣ʃini bu⸢ra⸣rin⸢daː] (遊び回りだけをしていると脛を折られるぞ<強く折檻されるぞ>) 8661 0 0 7763 htmvoc_8661.wav シニアウリ シ⸢ニアウリ [ʃi⸢niʔauri] 名 死ぬほどの苦労。「死に哀れ」の義。 マ⸢ラリ⸣ヤン カ⸢カ⸣リ ッ⸢ふァイムヌン ナー⸣ヌ シ⸢ヌ⸣キファ ナ⸢リ⸣ブタ イ⸢クサユー⸣ヌ ⸢アウ⸣レー シ⸢ニアウリ ヤッタ [ma⸢rari⸣jaŋ kḁ⸢ka⸣ri f⸢faimunun naː⸣nu ʃi⸢nu⸣ki̥ɸa na⸢ri⸣buta ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸢ʔau⸣reː ʃi⸢niʔauri jatta] (マラリアにも罹患して、食べるものもない{EOS}死ぬ寸前<間際>になっていた{EOS}太平洋戦争時代の難儀苦労は死ぬほどの難儀苦労であった) 8668 0 0 7764 htmvoc_8668.wav シニガー シ⸢ニガー [ʃi⸢nigaː] 名 死力。必死の力。「死に我」の義。 シ⸢ニガー⸣ タ⸢ティ⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢クー⸣タ [ʃi⸢nigaː⸣ tḁ⸢ti⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuː⸣ta] (死力を尽くして<たてて>やっとで歩いてきた) 8666 0 0 7765 htmvoc_8666.wav シニカザ シ⸢ニカザ [ʃi⸢nikaʣa] 名 死臭。 ピ⸢トゥ⸣ヌ シ⸢ニティ⸣ パ⸢マ⸣ナー ⸢アンガリ ベー⸣ヌンドゥ シ⸢ニカザヌ⸣ ッ⸢サー⸣ヌ フ⸢シガラ⸣ヌ [pi̥⸢tu⸣nu ʃi⸢niti⸣ pa⸢ma⸣naː ⸢ʔaŋgari beː⸣nundu ʃi⸢nikaʣanu⸣ s⸢saː⸣nu ɸu̥⸢ʃigara⸣nu] (イルカが死んで浜に打ち揚げられているが、死臭が臭くてたまら<防がれ>ない) 8685 0 0 7766 htmvoc_8685.wav シニカタチ シ⸢ニカタチ [ʃi⸢nikataʧi] 名 死に顔。 シ⸢ニカタチン⸣ カイー⸢カイ⸣シル ⸢オーッ⸣タ [ʃi⸢nikataʧiŋ⸣ kaiː⸢kai⸣ʃiru ⸢ʔoːt⸣ta] (死に顔も美しかった<美しくおられた>) 8225 0 0 7767 htmvoc_8225.wav シニキスン シ⸢ニキスン [ʃi⸢nikisuŋ] 自動 死に絶える。死に果てる。死に尽くす。「死に切れる」の転訛したもの。 フ⸢チ⸣ル ⸣マキスクカー ム⸢シェー⸣ シ⸢ニキスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ガ⸢ザン⸣マー シ⸢ニキサンバ⸣ ミ⸢ジヌッふァ⸣ヌ シ⸢ニキシティ⸣ マ⸢ラリヤ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ナルンケン フ⸢チ⸣ル ⸣マキ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣makisu̥kukaː mu⸢ʃeː⸣ ʃi⸢niki̥sunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ga⸢ʣam⸣maː ʃi⸢niki̥samba⸣ mi⸢ʤinuffa⸣nu ʃi⸢nikiʃiti⸣ ma⸢rarija⸣nu ⸢naːn⸣ naruŋkeŋ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣maki] (薬を撒いておくと虫は死に絶えるといったが、蚊はまだ死に絶えないからボウフラが死に絶えてマラリアが絶滅するまで薬を撒け)。 シ⸢ニキス⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ シ⸢ニキシェー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢niki̥su⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ʃi⸢niki̥ʃeː⸣ misamunu] (死に絶えることはないが、死に絶えたらよいのに)。 シ⸢ニキシ [ʃi⸢nikiʃi] (死に絶えろ) 8153 0 0 7768 htmvoc_8153.wav シニシタフ シ⸢ニシタフ [ʃi⸢niʃitaɸu] 名 死に装束。死者に着せる衣装。 ⸢パー⸣ク シ⸢ニシタフ⸣ カ⸢キ⸣シミ ⸢オーラ⸣シ [⸢paː⸣ku ʃi⸢niʃitaɸu⸣ kḁ⸢ki⸣ʃimi ⸢ʔoːra⸣ʃi] (早く死に装束を着け<掛け>させて差し上げなさい) 8814 0 0 7769 htmvoc_8814.wav シニシタフ シ⸢ニシタフ [ʃi⸢niʃi̥taɸu] 名 死に装束。「死に支度」の義。正装させて、きょうかたびら(経帷子)をその上に横にして掛ける。両膝は曲げて立たせる。 シ⸢ニシタホー ゾー⸣ブンニ ⸢シー オーシェーン⸣ナー⸢レー [ʃi⸢niʃi̥tahoː ʣoː⸣bunni ⸢ʃiː ʔoːʃeːn⸣naː⸢reː] (死に装束は立派に<十分に>して差し上げてあるだろうねえ) 8822 0 0 7770 htmvoc_8822.wav シニスクライ シ⸢ニスクライ [ʃi⸢nisu̥kurai] 名 死んだふり。「死に繕い」の転訛。シ⸢ニマービ[ʃi⸢nimaːbi](死に真似)よりも迫真の演技で本物の「死人」のようにみせること。 シ⸢ニスクライバ スンティ アー⸣キ ⸢ソーフン⸣トー シ⸢ニ ナーン⸣ツォー [ʃi⸢nisu̥kuraiba sunti ʔaː⸣ki ⸢soːɸun⸣toː ʃi⸢ni naːn⸣ʦoː] (迫真の演技で死んだふりをしようとしていて、本当に死んでしまったそうだ) 8686 0 0 7771 htmvoc_8686.wav シニソー シ⸢ニソー [ʃi⸢nisoː] 名 死相。 シ⸢ニソーヌ⸣ ン⸢ジ⸣ブンダ ナ⸢ガムテー サン⸣パジ [ʃi⸢nisoːnu⸣ ʔn⸢ʤi⸣bunda na⸢gamuteː sam⸣ paʤi] (死相が出ているので長持ちはしないはずだ) 8226 0 0 7772 htmvoc_8226.wav シニトゥク シ⸢ニトゥク [ʃi⸢nituku] 名 死に得。 ⸣カイブ イ⸢クサユー⸣ヌ イ⸢キアウ⸣リ ⸢ソー⸣ラ ⸢パイ⸣サ ⸢マーラソー⸣リ ⸢カイ⸣テー シ⸢ニトゥク⸣ ヤ⸢ロー⸣レール [⸣kaibu ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔi⸢kiʔau⸣ri ⸢soː⸣ra ⸢pai⸣sa ⸢maːrasoː⸣ri ⸢kai⸣teː ʃi⸢nituku⸣ ja⸢roː⸣reːru] (こんな戦争の生き地獄をみるより<難儀苦労をされるより>早く亡くなられて死に得であられたでしょうよ) 8159 0 0 7773 htmvoc_8159.wav シニナガー ⸣シニナガー [⸣ʃininagaː] 名 すね(脛)の長い人。膝から踝までの長い人。背高。のっぽ。 ⸣シニナガーヤ ⸢ウーキ⸣ヌ ⸢ニー⸣バンダ シゥ⸢カイ グリ⸣サン [⸣ʃininagaːja ⸢ʔuːki⸣nu ⸢niː⸣banda sï̥⸢kaigurisa⸣ŋ] (背高のっぽ<脛長>は動きが遅いから使いづらい)。すね(脛)の長い人。⸢脛長」の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ シニナガー ヤ⸢ルンダ ドゥン⸣ナーン [ʔu⸢reː⸣ ʃininagaː ja⸢runda dun⸣naːŋ] (彼は脛の長い人だから、動作が鈍い) 8228 0 0 7774 htmvoc_8228.wav シニナガーン シ⸢ニナガー⸣ン [ʃi⸢ninagaː⸣ŋ] 形 脛が長い。足が長い。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ムー⸢ル⸣ シ⸢ニナガー⸣ンダ パ⸢ルスー⸣ブ シ⸢ミル⸣カー ⸢チャー⸣ イ⸢チ⸣バン [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ muː⸢ru⸣ ʃi⸢ninagaː⸣nda pa⸢rusuː⸣bu ʃi⸢miru⸣kaː ⸢ʧaː⸣ ʔi⸢ʧi⸣baŋ] (あの家の人は皆足が長い<脛が長い>から、走り競争をさせるといつも一番だ) 8154 0 0 7775 htmvoc_8154.wav シニバカリ シ⸢ニバカリ [ʃi⸢nibakari] 名 死別。死に別れ。 カ⸢レー⸣ イ⸢クサ⸣ユーナール ウ⸢ヤ⸣トゥ シ⸢ニバカリ シェー⸣ダー [ka⸢reː⸣ ʔi⸢kusa⸣juːnaːru ʔu⸢ja⸣tu ʃi⸢nibakari ʃeː⸣daː] (彼<あれ>は戦争で親と死別したのだよ)。 イ⸢チッチ⸣ヌ ⸣トゥシナー ブ⸢ネートゥ⸣ シ⸢ニバカリ⸣ シ⸢タ⸣ツォー [ʔi⸢ʧitʧi⸣nu ⸣tu̥ʃinaː bu⸢neːtu⸣ ʃi⸢nibakari⸣ ʃi̥⸢ta⸣ʦoː] (五つの年に母親と死別したそうだ)。 イ⸢キバカ⸣リ [ʔi⸢kibaka⸣ri] (生き別れ)。 ナ⸢ナチ⸣ヌ ⸣バスナー ビ⸢ケートゥ⸣ イ⸢キバカ⸣リ ⸢シー ナーン⸣シェン [na⸢naʧi⸣nu ⸣basunaː bi⸢keːtu⸣ ʔi⸢kibaka⸣ri ⸢ʃiː naːŋ⸣ʃeŋ] (七つの時に父親と生き別れしてしまっていた) 8232 0 0 7776 htmvoc_8232.wav シニパジ シ⸢ニパジ [ʃi⸢nipaʤi] 名 死後に残る恥。死ぬときの恥。 イ⸢キ⸣パジェー カ⸢クサリ⸣ヌ シ⸢ニパジェー⸣ カ⸢クサラ⸣ヌ [ʔi⸢ki⸣paʤeː kḁ⸢kusari⸣nu ʃi⸢nipaʤeː⸣ kḁ⸢kusara⸣nu] (生き恥は隠されるが、死に恥は隠されない) 8233 0 0 7777 htmvoc_8233.wav シニパティルン シ⸢ニパティルン [ʃi⸢nipatiruŋ] 自動 死に果てる。死に絶える。すべて死んでしまう。 ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣ルカー ⸢ウイ⸣プソー シ⸢ニパティルン⸣ティ ス⸢クタヌ フン⸣トー シ⸢ニパティ ナー⸣ヌ [⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣rukaː ⸢ʔui⸣pu̥soː ʃi⸢nipḁtirun⸣ti su̥⸢kutanu ɸun⸣toː ʃi⸢nipati naː⸣nu] (風気<マラリア>に罹ったら老人は死に絶えると聞いたが、本当に死に絶えてしまった)。 シ⸢ニパティラヌ [ʃi⸢nipḁtiranu] (死に果てない<死に絶えない>)。 シ⸢ニパティル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢nipḁtiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (死に果てることはない)。 シ⸢ニパティレー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢nipḁtireː⸣ misamunu] (死に果てれば良いのに)。 シ⸢ニパティリ [ʃi⸢nipḁtiri] (死に果てよ)。全滅する。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ユーヤ⸣ イ⸢ク⸣サ ⸢スー⸣カー ⸢ニンギン⸣マー シ⸢ニパティルン⸠ダー [ma⸢nama⸣nu ⸢juːja⸣ ʔi⸢ku⸣sa ⸢suː⸣kaː ⸢niŋgim⸣maː ʃi⸢nipatirun⸠daː] (今の世界<世>は、戦争をすると人間は死に絶えるぞ) 8235 0 0 7778 htmvoc_8235.wav シニパンツァスン シ⸢ニパンツァスン [ʃi⸢nipanʦasuŋ] 他動 死に後らせる。死に損なわせる。「死に外す」の義。 ウ⸢レー⸣ イ⸢クサ⸣ナー シ⸢ニパンツァシティル⸣ アイニ サ⸢キ⸣ ヌ⸢ム⸣タ⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ku⸣sanaː ʃi⸢nipanʦaʃi̥tiru⸣ ʔaini sḁ⸢ki⸣ nu⸢mu⸣ta⸢daː] (その人は戦争で死に損って<後れて>あんなに酒を飲んだのだよ)。 イッ⸢カナ⸣シ シ⸢ニパンツァサヌ [ʔik⸢kana⸣ʃi ʃi⸢nipanʦasanu] (決して死に遅れない)。 シ⸢ニパンツァスンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢ニパンツァス⸣クトー ⸢ナーン⸣シェン [ʃi⸢nipanʦasunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢nipanʦasu⸣ ku̥toː ⸢naːŋʃeŋ] (死に後れると思ったが、死に後れることはなかった)。 シ⸢ニパンツァシェー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢nipaʦaʃeː⸣ misamunu] (死に損えば<後れれば>よいのに)。 シ⸢ニパンツァシ [ʃi⸢nipanʦaʃi] (死に損え<後れろ>) 8156 0 0 7779 htmvoc_8156.wav シニパンツン シ⸢ニパンツン [ʃi⸢nipanʦuŋ] 自動 死に損なう。九死に一生を得る。「死に外れる」の転訛したもの。 ⸢ピー⸣タイナ ⸢マーズン⸣シ タ⸢タカウタ⸣ヌ ⸣バー ⸢タン⸣ガ シ⸢ニパンチティ⸣ イ⸢キヌカ⸣リ ⸢ベー⸠ダー [⸢piː⸣tainaː ⸢maːʣuŋ⸣ʃi tḁ⸢takauta⸣nu ⸣baː ⸢taŋ⸣ga ʃi⸢nipanʧiti⸣ ʔi⸢kinuka⸣ri ⸢beː⸠daː] (兵隊で一緒に戦ったが、私一人死に損なって生き残っているよ)。 イ⸢クサ⸣ユーナ ⸢ドゥー⸣ヤ マ⸢サカ⸣ シ⸢ニパンツン⸣テー ウ⸢モーン⸣シェンドゥ ⸣カイニ シ⸢ニパンチティ⸣ シラー ⸣ムティ ⸢アーカラン⸣シェン [ʔi⸢kusa⸣juːna⸢duː⸣ja ma⸢saka⸣ ʃi⸢nipanʦunteː⸣ ʔu⸢moːŋ⸣ʃendu ʃi⸢nipanʧiti⸣ ʃiraː ⸣muti ⸢ʔaːkaraŋ⸣ʃeŋ] (戦争で自分はまさか死に損なう<死に外れる>とは思わなかったが、斯うして死に損なって、<世間に>面<顔>を持って歩けなかった)。 シ⸢ニパンチ ナー⸣ヌ [ʃi⸢nipanʧi naː⸣nu] (死に損なってしまった) 8157 0 0 7780 htmvoc_8157.wav シニプス シ⸢ニプス [ʃi⸢nipu̥su] 名 死人。死者。 シ⸢ニプスヌ⸣ ス⸢ブ⸣ロー ⸢インター⸣ ン⸢カーシ⸣ ニ⸢バシ [ʃi⸢nipu̥sunu⸣ su⸢bu⸣roː ⸢ʔintaː⸣ ʔŋ⸢kaːʃi⸣ ni⸢baʃi] (死者の頭は西の方に向けて寝かしなさい)。 ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣ルナー シ⸢ニプスヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルンティ⸢ダー [⸢kundu⸣nu pa⸢jaː⸣runaː ʃi⸢nipusunu⸣ ʔn⸢ʤi⸣runti⸢daː] (今度の流行り病には死人が出るそうだよ)。 パ⸢トゥ⸣マナーン イ⸢クサ⸣ユーナー マ⸢ラリ⸣ヤシ ⸢マーラソー⸣レール シ⸢ニプソー⸣ ル⸢クジュー⸣ニンブカラ ⸢オー⸣ルン [pḁ⸢tu⸣manaːm ma⸢rari⸣jaʃi ⸢maːrasoː⸣reːru ʃi⸢nipusoː⸣ ru⸢kuʤuː⸣nimbukaraː ⸢ʔoː⸣ruŋ] (鳩間島でも戦争時にマラリアで亡くなられた人は六十人ほどおられる)。 シ⸢ニプソー⸣ イ⸢キガイラ⸣ヌ [ʃi⸢nipu̥soː⸣ ʔi⸢kigaira⸣nu] (死んだ人<死人>は蘇生し<生き返ら>ない) 8229 0 0 7781 htmvoc_8229.wav シニフチ シ⸢ニフチ [ʃi⸢niɸu̥ʧi] 名 死に際。死に目。「死に口<死に方>」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ニフチン⸣ ッ⸢サヌ⸣ ウヤフコームヌ [ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢niɸu̥ʧin⸣ s⸢sanu⸣ ʔujaɸukoːmunu] (親の死に際も知らない親不孝者だ) 8236 0 0 7782 htmvoc_8236.wav シニマービ シ⸢ニマービ [ʃi⸢nimaːbi] 名 死に真似。死んだ真似。死んだ振り。 シ⸢ニマーベー スームノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢nimaːbeː suːmunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (死に真似はするものではない) 8237 0 0 7783 htmvoc_8237.wav シニミー シ⸢ニミー [ʃi⸢nimiː] 名 臨終。死に際。「死に目」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ニミー⸣ マ⸢ニアー⸣シ ⸣ケーン [ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢nimiː⸣ ma⸢nijaː⸣ʃi ⸣keːŋ] (親の臨終に間に合わせて来た<来ている>) 8238 0 1 7784 htmvoc_8238.wav シニミジ シ⸢ニミジ [ʃi⸢nimiʤi] 名 {Mn_1}死に水。死者の末期に口に塗る水。 シ⸢ニミジェー⸣ トゥリ フ⸢チ⸣ナー マ⸢ミオーシリ⸣バ [ʃi⸢nimiʤeː⸣ turi ɸu⸢ʧi⸣naː ma⸢mi ʔoːʃiri⸣ba] (死に水は取って口に塗って差し上げなさい)。 8238 0 2 7785 htmvoc_8238.wav シニミジ シ⸢ニミジ [ʃi⸢nimiʤi] 名 {Mn_2}ゆかん(湯灌)に用いる水。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ヤー⸣ナーティル シ⸢ニミジェー⸣ ア⸢マソーッタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー ⸢ビョー⸣インナーティル シ⸢ニミジェー⸣ ア⸢マソー⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢jaː⸣naːtiru ʃi⸢nimiʤeː⸣ ʔa⸢masoːtta⸣nu ma⸢na⸣maː ⸢bjoː⸣innaːtiru ʃi⸢nimiʤeː⸣ ʔa⸢masoː⸣ru] (昔は家庭で湯灌された<死に水を浴びせられた>が、今は病院で湯灌さ<死に水を浴びせら>れる) 8662 0 0 7786 htmvoc_8662.wav シニヤドゥ シ⸢ニヤドゥ [ʃi⸢nijadu] 名 「死に宿」の義。死人の出た家族が一時的に泊まる宿。 シ⸢ニヤドー⸣ カ⸢ラサバン⸣ シラヤドー カ⸢ラスムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢nijadoː⸣ ka⸢rasabaŋ⸣ ʃirajadoː ka⸢rasumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (死者の出た人に宿を貸しても、出産する人には宿を貸すものではない<諺>)。死者はその家の災厄を持ち去るが出産した子は、その家の幸福を持ち去るという伝承がある 8663 0 0 7787 htmvoc_8663.wav シニヤフ シ⸢ニヤフ [ʃi⸢nijaɸu] 名 「死に厄」の義。死ぬほどの災厄、災難。 ウ⸢ブヤンバ シー ベータン⸣ドゥ シ⸢ニヤホー コーシェー⸣チバ ⸢ソーヤー ナー⸣ヌ [ʔu⸢bujamba ʃiːbeːtan⸣du ʃi⸢nijahoː koːʃeː⸣ʧiba ⸢soːja naː⸣nu] (大病をしていたが死ぬほどの災厄は祓われた<死に厄は越した>から心配はない) 8664 0 0 7788 htmvoc_8664.wav シニヤン シ⸢ニヤン [ʃi⸢nijaŋ] 名 死病。不治の病。罹患したら百パーセント死ぬ病気。「死に病」の義。 ⸢ガンマー⸣ シ⸢ニヤンティ⸣ ア⸢ザリブタンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー シ⸢ニヤンヌン ノーサ⸣リ⸢ナー⸣ ミ⸢ジラ⸣サ [⸢gammaː⸣ ʃi⸢nijanti⸣ ʔa⸢ʣaributandu⸣ ma⸢na⸣maː ʃi⸢nijannun noːsa⸣ri⸢naː⸣ mi⸢ʤira⸣sa] (癌は不治の病<死病>といわれていたが、今は死病も治されるからねえ{EOS}不思議なものだ<珍しい>) 8665 0 0 7789 htmvoc_8665.wav シニヨー シ⸢ニヨー [ʃi⸢nijoː] 名 死にざま。死によう。 プ⸢ソー⸣ シ⸢ニヨーティン⸣ ア⸢リ⸣ル ⸣ブー バ⸢ク⸣ダンナー シ⸢ラリティ ドゥー⸣ヌ カ⸢タチン⸣ ム⸢シッツァーリ ベー⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムイツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢soː⸣ ʃi⸢nijoːtiŋ⸣ ʔa⸢ri⸣ru ⸣buː ba⸢ku⸣dannaː ʃi⸢rariti duː⸣nu kḁ⸢taʧim⸣ mu⸢ʃitʦaːri beː⸣munu ⸣mirukaː ki⸢muiʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (人には死にざまというのがある{EOS}爆弾にやられて体の形も千切られているのを見ると、可哀相でたまらない) 8239 0 0 7790 htmvoc_8239.wav シニンガタ シ⸢ニンガタ [ʃi⸢niŋgata] 名 死にそうになること。死ぬ直前。 シ⸢ニンガター⸣ ナルンケン パ⸢タラクタン [ʃi⸢niŋgataː⸣ naruŋkem pḁ⸢tarakutaŋ] (死にそうになるまで働いた) 8158 0 0 7791 htmvoc_8158.wav シニンガター シ⸢ニンガター [ʃi⸢niŋgataː] 名 瀕死の状態。死にそうな状態。 ⸣ヤミ キ⸢タ⸣シキティ ⸣メー シ⸢ニンガター⸣ ナ⸢リ⸣ オール [⸣jami ki̥⸢ta⸣ʃi̥kiti ʃi⸢niŋgataː⸣ na⸢ri⸣ ʔoːru] (病み衰えて極限状況にに達し、瀕死の状態になっておられる) 8240 0 0 7792 htmvoc_8240.wav シニンギサン シ⸢ニン⸣ギサン [ʃi⸢niŋ⸣gisaŋ] 連 死にそうだ。動詞シ⸢ヌン[ʃi⸢nuŋ](死ぬ)の連用形に、形容詞型接尾語⸢ン⸣ギサン[⸢-ŋ⸣gisaŋ](~そうだ{EOS}外から見て推測されるけはい、様子、感じ、の意を表す{EOS}-NgisaN」『和名抄』の転訛か。 フ⸢タイ⸣ バ⸢ラリティ⸣ シヌ ⸣ムイ ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢tai⸣ ba⸢rariti⸣ ʃinu ⸣mui ⸢naː⸣nu] (額を打たれて瘤が<角が>生えてしまった) 8162 0 0 7796 htmvoc_8162.wav シヌアシブ ⸣シヌアシブ [⸣ʃinuʔaʃibu] 名 角のように尖った芯のあるお出来や腫れ物。「角あせも」の義。尖った芯の部分から膿が出るようになるので、芯のない腫れ物やお出来よりも処置しやすいと言われていた。 ⸣シヌアシボー ⸢ウー⸣ムカー ⸣ウマーラ ⸢ナンクク⸣ル ⸢アイ⸣クンダー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣ʃinuʔaʃiboː ⸢ʔuː⸣mukaː ⸣ʔumaːra ⸢naŋkuku⸣ru ⸢ʔai⸣kundaː⸢soːja naː⸣nu] (角あせもは膿んだら、そこから自然に膿が出る<膿が出て潰れる>から心配ない) 8163 0 0 7797 htmvoc_8163.wav シヌグン シ⸢ヌグン [ʃi⸢nuguŋ] 他動 しのぐ(凌ぐ)。乗り越える。耐え忍ぶ。「~秋萩師ノ藝~『万葉集 1609』」の義。 ク⸢リ⸣シェー ピ⸢ラ⸣コー シ⸢ヌガラヌ [ku⸢ri⸣ʃeː pi⸢ra⸣koː ʃi⸢nugaranu] (これでは寒波は凌がれない)。 ⸣クビシ ⸢ヤー⸣サ ⸣ピラク シ⸢ヌグンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ン⸢ベーマ⸣ タ⸢ラース⸣カー シ⸢ヌギ ヤッ⸣サン [⸣kubiʃi ⸢jaː⸣sa ⸣piraku ʃi⸢nugunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔm⸢beːma⸣ ta⸢raːsu⸣kaːʃi⸢nugijas⸣saŋ] (これだけで飢えと寒波を凌ごうと思うが、少し足すと凌ぎやすい)。 シ⸢ヌグ⸣ クト [ʃi⸢nugu⸣ ku̥tu] (凌ぐこと)。 シ⸢ヌゲー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢nugeː⸣ misamunu] (凌げばよいのに)。 ⸣クビシ ⸢ヤー⸣サ シ⸢ヌギ [⸣kubiʃi ⸢jaː⸣sa ʃi⸢nugi] (これだけで空腹<飢え>を\ruby{凌}{シノ}げ) 8242 0 0 7798 htmvoc_8242.wav シヌスコーパタラクン シ⸢ヌ⸣ スコー パ⸢タラクン [ʃi⸢nu⸣ su̥koː pḁ⸢tarakuŋ] 連 死ぬほど働く。 シ⸢ヌ⸣ スコー パ⸢タラクンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ マイ ⸢ユーザラヌ [ʃi⸢nu⸣ su̥koː pḁ⸢tarakundu⸣ mut⸢tu⸣ mai ⸢juːʣaranu] (死ぬほど働くのだが、ちっとも前に寄れない{EOS}<生活が楽にならない>) 8243 0 0 7799 htmvoc_8243.wav シヌックリカークリ シ⸢ヌッ⸣クリ ⸣カークリ [ʃi⸢nuk⸣kuri ⸣kaːkuri] 連 ぐずぐずして決断しかねているさま。 ⸣キム フ⸢ガンドゥ⸣ ブ⸢タ⸣ユー シ⸢ヌッ⸣クリ ⸣カークリ ⸢シー ピントー シーマーキ ベーン⸣ケンマー ビ⸢チ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ヤ⸢トー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣kimu ɸu⸢gandu⸣ bu⸢ta⸣juː ʃi⸢nuk⸣kuri ⸣kaːkuri ⸢ʃiː pintoː ʃiːmaːki beːŋ⸣kemmaː bi⸢ʧi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ja⸢toː⸣ri ⸢naː⸣nu] (満足できなかった<納得できなかった>のか、ぐずぐずして返事しかねているうちに、別の人が雇われてしまった) 8164 0 1 7800 htmvoc_8164.wav シヌックルン シ⸢ヌッ⸣クルン [ʃi⸢nuk⸣kuruŋ] 自動 {Mn_1}あれこれと迷う。思いあぐねる。決めかねて苦しむ。 ⸢ヌー⸣ スーカヤーティ ナー⸢イ⸣ シ⸢ヌッ⸣クリ ⸢ベー [⸢nuː⸣ suːkajaːti naː⸢i⸣ ʃi⸢nuk⸣kuri ⸢beː] (どうしようかと、ただ思いあぐねている)。 ⸣アイニ シ⸢ヌックラン⸣ドーシ ⸢ダンダン⸣シ シ⸢グトゥ シー [⸣ʔaini ʃi⸢nukkuran⸣doːʃi ⸢dandaŋ⸣ʃi ʃi⸢gutu ʃiː] (そんなにあれこれ迷わないでさっさと仕事をしなさい)。思いあぐねる。決心がつかず悩む。ぐずぐずして決断しかねる。苦心して準備する。 ⸢ヌー⸣スティ ⸢ナー⸣ン プ⸢スヌ⸣ ムニーン シゥ⸢カムティ⸣ シ⸢ヌッ⸣クリ ⸢ベー⸣ティ ウ⸢クリ ナー⸣ヌ [⸢nuː⸣ suːti ⸢naː⸣m pu̥⸢sunu⸣ muniːn sï̥⸢kamuti⸣ ʃi⸢nuk⸣kuri ⸢beː⸣ti ʔu⸢kurinaː⸣nu] (何をするともなく<理由もなく>、他人の話も聞かないで思いあぐねてぐずぐずしていて、時間に遅れてしまった)。 イ⸢ズ⸣カー シ⸢ヌッ⸣クルンダー シ⸢ヌックラサン⸣ヨーニ ヤー⸢ラマ⸣シ パ⸢ナ⸣シ [ʔi⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢nuk⸣kurundaː ʃi⸢nukkuraɲ⸣joːni jaː⸢rama⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi] (叱ると思いあぐねてぐずぐずするから、思いあぐねて悩むことが無いようにやんわりと話なさい)。 シ⸢ヌッ⸣クル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢nuk⸣kuru ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (思いあぐねてぐずぐずすることはない)。 8164 0 2 7801 htmvoc_8164.wav シヌックルン シ⸢ヌッ⸣クルン [ʃi⸢nuk⸣kuruŋ] 自動 {Mn_2}駄々を捏ねる。 シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミルンティ スー⸣カー シ⸢グ⸣ シ⸢ヌッ⸣クルン [ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢mirunti suː⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ʃi⸢nuk⸣kuruŋ] (仕事をさせようとすると、すぐ駄々を\ruby{捏}{コ}ねる)。 シ⸢ヌッ⸣クル ⸣ピンマー ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [ʃi⸢nuk⸣kuru ⸣pimmaː ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (駄々を捏ねるときは手がつけられない)。 シ⸢ヌッ⸣クレーラー ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [ʃi⸢nuk⸣kureːraː ⸢joː⸣ʣoː ʃi⸢kirara⸣nu] (駄々を捏ねたら手がつけられない)。 イ⸢チンバー⸣キン シ⸢ヌッ⸣クリバ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ʃi⸢nuk⸣kuriba] (何時までも駄々を捏ねろよ) 8165 0 0 7802 htmvoc_8165.wav シヌブン シ⸢ヌブン [ʃi⸢nubuŋ] 他動 偲ぶ。思い慕う。心惹かれる。恋い慕う。「~妹が形見とかつも思努播武『万葉集 1626』」の義。 ブ⸢ラーン⸣ プ⸢スバ⸣ シ⸢ヌビ⸣ ナ⸢キベー [bu⸢raːm⸣ pu̥⸢suba⸣ ʃi⸢nubi⸣ na⸢ki beː] (亡き人を\ruby{偲}{シノ}んで泣いている)。 シ⸢ヌブンティ⸣ シ⸢タンティン⸣ シ⸢ヌブ⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンダ⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ヌバラヌ [ʃi⸢nubunti⸣ ʃi̥⸢tantin⸣ ʃi⸢nubu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnda⸣ noː⸢n⸣ ʃi⸢nubaranu] (偲ぼうとしても偲ぶ人がいないから何も偲ばれない)。 シ⸢ヌベー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢nubeː⸣ misamunu] (偲べばよいのに)。 シ⸢ヌビ [ʃi⸢nubi] (偲べ)。過ぎ去ったこと、離れている人のことを思い慕う。恋い慕う。 ⸢ニンブツァー⸣バ イ⸢ジ⸣ ウヤパープジヌ ⸣クトゥ シ⸢ヌブンティ ベー⸣ンドゥ ⸣ウタン バ⸢シキティ⸣ シ⸢ヌバラヌ [⸢nimbuʦaː⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ ⸣ʔujapaːpuʤinu ⸣ku̥tu ʃi⸢nubunti beː⸣ndu ⸣ʔutam ⸢baʃi̥kiti⸣ ʃi⸢nubaranu] (念仏歌を歌って先祖のことを偲ぼうとしているが、歌も忘れて偲ばれない)。 ⸣シマムニ パ⸢ナ⸣シェーティ ⸣シマ シ⸢ヌブ⸣ プ⸢スン ブン [⸣ʃimamuni pa⸢na⸣ʃeːti ⸣ʃima ʃi⸢nubu⸣ pu̥⸢sum buŋ] (島ことば<方言>を話しながら島を偲ぶ人もいる)。 シ⸢ヌビ⸣ ミサカー ⸢キュー⸣ヤ シン⸢ジントゥ⸣ シ⸢ヌビ⸣バ [ʃi⸢nubi⸣ misakaː ⸢kjuː⸣ja ʃin⸢ʤintu⸣ ʃi⸢nubi⸣ba] (偲んで良ければ、今日はしみじみと偲びなさい) 8245 0 0 7803 htmvoc_8245.wav シヌブン シ⸢ヌブン [ʃi⸢nubuŋ] 他動 我慢する。こらえる(堪える)。耐える。「~つみし手見つつ志乃備<シノビ>かねつも。万、3940」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ク⸢チ⸣サ シ⸢ヌブンティ スンドゥ⸣ シ⸢ヌバラヌ [ku⸢nu⸣ ku̥⸢ʧi⸣sa ʃi⸢nubunti sundu⸣ ʃi⸢nubaranu] (この苦しみを堪えようとするが、堪えられない)。 シ⸢ヌビ⸣ ッ⸢ふィーリ [ʃi⸢nubi⸣ f⸢fiːri] (堪えてくれ)。 シ⸢ヌブ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢nubu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (堪えることは出来ない)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ シ⸢ヌベー⸣ ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ ʃi⸢nubeː⸣ misamunu] (もう少し耐えたらいいのに)。 シ⸢ヌビ⸣バ [ʃi⸢nubi⸣ba] (堪えろよ) 8166 0 0 7804 htmvoc_8166.wav シヌマール シ⸢ヌマー⸣ル [ʃi⸢numaː⸣ru] 名 (動)和名、テングハギ。体長は約50センチまで成長するという。鳩間島では、体長35~40センチのテングハギがよく漁獲された。頭に一本の角があり、尾びれの付け根に2個の刃状の骨盤突起があって、尾を振る際に怪我そすることがある。浅い岩礁に棲息し石灰藻を食べる。皮は鮫皮のサンドペーパーのようにざらざらとしており、肉には油が多く、煮ても刺身にしても美味である。 シ⸢ヌマー⸣ロー ア⸢バ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ʃi⸢numaː⸣roː ʔa⸢ba⸣nu ⸢goː⸣raːnda ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (テングハギは油が多いから非常に美味しい) 8167 0 0 7805 htmvoc_8167.wav シヌムイルン ⸣シヌ ⸢ムイ⸣ルン [⸣ʃinu ⸢mui⸣ruŋ] 連 ⸢角が生える」の義。逆上するほど。嫌というほど。我慢が限界に達して理性で対処できず、鬼面となる様をいう。 シ⸢ヌ⸣ヌ ⸢ムイ⸣ルンケン マ⸢タサ⸣リティ ⸣マーラル ⸢クン⸣ゾー ウ⸢クル⸣ワ⸢ツォー [ʃi⸢nu⸣nu ⸢mui⸣ruŋkem ma⸢tasa⸣riti ⸣maːraru ⸢kun⸣ʣoː ʔn⸢ʤiru⸣wa⸢ʦoː] (嫌というほど<角が生えるほど>待たされて、逆上してしまった<どこから立腹するのか{EOS}立腹せずにおれようか>) 8247 0 0 7806 htmvoc_8247.wav シヌン シ⸢ヌン [ʃi⸢nuŋ] 自動 死ぬ。「~命可死<イノチシヌベク>戀ひわたるかも。万、599」の転訛したもの。 ⸣ドゥク ⸣ヌムカー シ⸢ヌン⸠ダー [⸣duku ⸣numukaː ʃi⸢nun⸠daː] (毒を飲んだら死ぬぞ)。 ク⸢ビッ⸣チン ⸣ヌ⸢ムカー シ⸢ナヌ [ku⸢bit⸣ʧin ⸣numukaː ʃi⸢nanu] (これぽっち飲んだら死なない)。 イ⸢コーラ⸣ シ⸢ニ⸣プサタンティン マ⸢ナ⸣マー シ⸢ヌ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢koːra⸣ ʃi⸢ni⸣pusatantim ma⸢na⸣maː ʃi⸢nu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (いくら死にたくても、今は死ぬことはできない)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ネー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʃi⸢neː⸣ misamunu] (早く死ねばいいのに)。 ⸣アイニ シ⸢ニ⸣プサカー シ⸢ニ⸣バ [⸣ʔaini ʃi⸢ni⸣pu̥sakaː ʃi⸢ni⸣ba] (そんなに死にたければ死ねよ) 8168 0 0 7807 htmvoc_8168.wav シノー ⸣シノー [⸣ʃinoː] 名 ふるい(篩)。「すいのう(水嚢)」の転訛したもの。直径約20センチ、高さ約8センチの円筒形の篩。底部に馬尾毛<ばす>や針金で編んだ極細の網を張ったものが多く、麦粉や米粉を篩うのに用いた。約0、5ミリ方眼の網を曲げ物の底に張った篩。 ⸣シノーサーリ ミ⸢リキン⸣グ フ⸢カシティ ティン⸣プラ ヤ⸢キ⸣バ [⸣ʃinoːsaːri mi⸢rikiŋ⸣gu ɸu̥⸢kaʃi̥ti tim⸣pura ja⸢ki⸣ba] (\ruby{篩}{フルイ}でメリケン粉をこしてテンプラを揚げ<焼き>なさい) 8248 0 0 7808 htmvoc_8248.wav シノー ⸣シノー [⸣ʃinoː] 名 すいのう(水嚢)。目の細かい篩。丸い曲げ物の底をばす<馬尾毛>または針金の極細の網で張った篩。小麦粉や米粉を篩うのに用いる調理用器具。 ミ⸢リキン⸣グ ⸣シノーシ フ⸢カシ [mi⸢rikiŋ⸣gu ⸣ʃinoːʃi ɸu̥⸢kaʃi] (メリケン粉を篩いで篩いなさい) シハ 8249 0 0 7809 htmvoc_8249.wav シバ ⸣シバ [⸣ʃiba] 名 唇の総称。フ⸢チヌ⸣ シバ[ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʃiba](口の唇)ともいう。 ⸢オーシバ [⸢ʔoːʃiba] (上唇)。ッ⸢サシバ[s⸢saʃiba](下唇)の部分名称がある。 ⸣シバ ⸢フッ⸣ツァムン [⸣ʃiba ⸢ɸut⸣ʦamuŋ] (唇を噛む) 8250 0 0 7810 htmvoc_8250.wav シバ ⸣シバ [⸣ʃiba] 名 しゃこ貝の外套膜。青紫色を呈する。酢の物にするとシャキシャキとした食感があり、美味である。⸣シバ[⸣ʃiba](唇)から意味派生したものであろう。 ギ⸢ラ⸣ヌ ⸣シバー ナ⸢マ⸣シ ⸢スー⸣カー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [gi⸢ra⸣nu ⸣ʃibaː na⸢ma⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (しゃこ貝のシバ{SqBr}⸣ʃiba{/SqBr}(外套膜)は刺身にすると非常に美味しい) 8251 0 0 7811 htmvoc_8251.wav シバ ⸣シバ [⸣ʃiba] 名 芝草。庭の石垣の回りや道端に自生している草。水はけのよい土地に繁茂する。5月頃に小さな花を咲かせることがある。 ⸢バン⸣テヌ ミ⸢ナ⸣カナー シ⸢バ⸣ヌ ⸣ムイ ⸢ベー⸣ン [⸢ban⸣tenu mi⸢na⸣kanaː ʃi⸢ba⸣nu ⸣mui ⸢beː⸣ŋ] (私の家の庭に芝草が生えている)。 ⸣シバ イ⸢ビルン [⸣ʃiba ʔi⸢biruŋ] (芝草を植える) 8252 0 0 7812 htmvoc_8252.wav シバー ⸣シバー [⸣ʃibaː] 名 三つ口。いぐち。としん(兎唇)。 マ⸢ナ⸣マー マ⸢リットーラヌ⸣ シバーン ⸢ノーサ⸣リン [ma⸢na⸣maː ma⸢rittoranu⸣ ʃibaːn ⸢noːsa⸣riŋ] (今は生まれつきの兎唇も治される<治療できる>) 8253 0 0 7813 htmvoc_8253.wav シバーン シ⸢バー⸣ン [ʃi⸢baː⸣ŋ] 形 狭い。面積や幅が小さい。「多爾世婆美峯に延ひたる~『万葉集 3507』」、「Xebai、セバイ<狭い>『邦訳日葡辞書』」の義。 ⸣クマー シ⸢バー⸣ンダー カ⸢マー⸣ ウ⸢チ⸣リ [⸣kumaː ʃi⸢baː⸣nda ka⸢maː⸣ ʔu⸢ʧi⸣ri] (此処は狭いから、あそこへ移れ)。 ッ⸢ふァヌ⸣ グ⸢マー⸣タケンマー シ⸢バー ナーン⸣シェンドゥ ⸢シンダイ⸣ シ⸢バー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [f⸢fanu⸣ gu⸢maː⸣takemmaː ʃi⸢baː naːŋ⸣ʃendu ⸢ʃindai⸣ ʃi⸢baː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (子供が小さかった頃は狭くなかったが、次第に狭くなってきてしまった)。 シ⸢バー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢baː⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (狭いことはない)。 シ⸢バー⸣カー [ʃi⸢baː⸣kaː] (狭かったら)。 ⸣クマー シ⸢バー⸣ヌ ブ⸢ララヌ [⸣kumaː ʃi⸢baː⸣nu bu⸢raranu] (此処は狭くておれない) 8254 0 0 7814 htmvoc_8254.wav シバイシー シ⸢バイシー [ʃi⸢baiʃiː] 名 俳優。男優。女優。芝居役者。「芝居し」の転訛したもの。戦前までは芝居役者の社会的な地位は低かった。農業や漁業、商業等の産業に従事しない人が芝居役者になると蔑まされていた。 ム⸢カ⸣シェー シ⸢バイシーヤ⸣ ウ⸢シクラシムーヌル スー⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ʃi⸢baiʃiːja⸣ ʔu⸢ʃikuraʃimuːnuru suː⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔は、芝居役者は怠け者がするといわれた) 8284 0 0 7815 htmvoc_8284.wav シバナクン シ⸢バナクン [ʃi⸢banakuŋ] 他動 のす(伸す)。洗濯して真夏の太陽に干した衣類に噴霧器で水を吹きかけて皺を伸ばす。シ⸢バンナクン[ʃi⸢bannakuŋ]ともいう(老年層)。 ⸢キン⸣マー シ⸢バナキティ⸣ サイ シ⸢キ⸣リバ [⸢kim⸣maː ʃi⸢banakiti⸣ sai ʃi̥⸢ki⸣ribaba] (着物は手で皺を伸ばして衣文掛けに掛けておきなさい) 8258 0 0 7816 htmvoc_8258.wav シバミチ シ⸢バ⸣ミチ [ʃi⸢ba⸣miʧi] 名 狭い道。小道。シ⸢バミチェー⸣マ[ʃi⸢bamiʧeː⸣ma](狭い小道)ともいう。 ⸣カイブ シ⸢バ⸣ミチェー ア⸢ラキングリ⸣サバ ウ⸢ブ⸣ミチェーラ ⸣クーバ [⸣kaibu ʃi⸢bami⸣ʧeː ʔa⸢rakiŋguri⸣saba ʔu⸢bumi⸣ʧeːra ⸣kuːba] (このような狭い道は歩きにくいから、大きな道から来なさいよ) 8259 0 0 7817 htmvoc_8259.wav シバミルン シ⸢バミ⸣ルン [ʃi⸢bami⸣ruŋ] 他動 狭める。狭くする。 イ⸢チバンザー⸣ヤ シ⸢バミラン⸣ドーシ ⸢サンバンザー⸣バ シ⸢バミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣アイニ シ⸢バ⸣ミティ ⸢シンマイヤー⸣ トゥ⸢ラ⸣リンカヤー [ʔi⸢ʧibanʣaː⸣ja ʃi⸢bamiran⸣doːʃi ⸢sambanʣaː⸣ba ʃi⸢bami⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸣ʔaini ʃi⸢ba⸣miti ⸢ʃimmaijaː⸣ tu⸢ra⸣riŋkajaː] (一番座は狭めないで三番座を狭めようと思うが、そのように狭めて間取りは取れるものかねえ)。 ⸣クマー シ⸢バミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ フ⸢カ⸣ヌ ⸣トン シ⸢バミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣kumaː ʃi⸢bami⸣ru ⸣kutoː na⸢ra⸣nu ɸu̥⸢ka⸣nu ⸣toŋ ʃi⸢bami⸣reː ⸣misamunu] (此処は狭めることは出来ない{EOS}ほかの所を狭めればよいのに)。 ⸣クマー ⸢マー⸣ビン シ⸢バミ⸣リ [⸣kumaː ⸢maː⸣biŋ ʃi⸢bami⸣ri] (此処はもっと狭めろ<れ>) 8261 0 0 7818 htmvoc_8261.wav シバムン シ⸢バ⸣ムン [ʃi⸢ba⸣muŋ] 他動 狭める。狭くする。「せばむ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 シ⸢バマ⸣ヌ [ʃi⸢bama⸣nu] (狭めない)。 シ⸢バミ⸣ プサン [ʃi⸢bami⸣ pu̥saŋ] (狭めたい)。 シ⸢バ⸣ムンツォー [ʃi⸢ba⸣munʦoː] (狭めるそうだ)。 シ⸢バ⸣ム ⸣クトゥ [ʃi⸢ba⸣mu ku̥tu] (狭めること)。 シ⸢バ⸣メー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ba⸣meː ⸣misamunu] (狭めればよいのに)。 シ⸢バ⸣ミ [ʃi⸢ba⸣mi] (狭めよ) 8262 0 0 7819 htmvoc_8262.wav シバヤー シ⸢バヤー [ʃi⸢bajaː] 名 芝居。芝居小屋。商業演劇。 イ⸢サナキ⸣ナー シ⸢バヤーヌ⸣ クー ⸣プソー ⸣アブジェー ウ⸢リバ⸣ ミリティ ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸣ユー シ⸢カソーッ⸣タン [ʔi⸢sanaki⸣naː ʃi⸢bajaːnu⸣ kuː ⸣pu̥soː ⸣ʔabuʤeː ʔu⸢riba⸣ miriti ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸣juː ʃi̥⸢kasoːt⸣taŋ] (石垣に芝居が来るときは、お祖父さんはそれを見て、その話をよく話して聞かされた) 8256 0 1 7820 htmvoc_8256.wav シバラーン シ⸢バラー⸣ン [ʃi⸢baraː⸣ŋ] 形 {Mn_1}化膿しやすい。特定の食べ物が傷や腫れ物に悪い影響を及ぼしやすい。妊婦などが産後に特定の食品を食すると傷口が化膿しやすくなるといって嫌った。 8256 0 2 7821 htmvoc_8256.wav シバラーン シ⸢バラー⸣ン [ʃi⸢baraː⸣ŋ] 形 {Mn_2}差し障る。差障りが多い。「択食、ツハリ」、「胚、ツハリ」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ゾー⸣ シ⸢バラー⸣ンダ ッ⸢ふァーンドー⸣シ シ⸢バラー ナーン⸣ ムヌ ッ⸢ふァイ⸣バ [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ ʃi⸢baraː⸣nda f⸢faːndoː⸣ʃi ʃi⸢baraː naːm⸣ munu f⸢fai⸣ba] (この魚は傷に差障りが多いから食べないで、差し障りのない物を食べなさい)。 シ⸢バラー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [ʃi⸢baraː⸣nu f⸢faːranu] (<傷に>差障りが多くて食べられない)。 シ⸢バラー⸣ ナルン [ʃi⸢baraː⸣ naruŋ] (差障りが多くなる)。 シ⸢バラー⸣ ムヌ [ʃi⸢baraː⸣ munu] (差し障りの多いもの)。 シ⸢バラー⸣カー ッ⸢ふァーンブリ⸣バ [ʃi⸢baraː⸣kaː f⸢faːmburi⸣ba] (<傷が>化膿しやすいのなら食べるなよ) 8255 0 0 7822 htmvoc_8255.wav シバライズ シ⸢バライズ [ʃi⸢baraʔiʣu] 名 食べると傷や御出来に\ruby{差障}{サシ|サワ}りの多い魚。 ⸣シラプソー シ⸢バライゾー⸣ ッ⸢ふァーンバル⸣ マ⸢シ [⸣ʃirapu̥soː⸣ ʃi⸢baraiʣoː⸣ f⸢faːmbaru⸣ ma⸢ʃi] (産屋にいる産婦は傷や御出来に差し障りの多い<食べると化膿しやすい>魚は食べないほうがよい) 8257 0 0 7823 htmvoc_8257.wav シバラカバラ ⸣シバラカバラ [⸣ʃibarakabara] 連体 狭苦しい。せせこましい。窮屈な。 ⸣カイブ ⸣シバラカバラヌ ⸣トンナー ⸢ヌー⸣シ ⸢シール⸣ ク⸢ラシタ⸣カヤー [⸣kaibu ⸣ʃibarakabaranu ⸣tonnaː ⸢nuː⸣ʃi ⸢ʃiːru⸣ ku⸢raʃi̥ta⸣kajaː] (こんな窮屈な<狭苦しい>所で、どうやって暮らしたのかなあ) 8263 0 0 7824 htmvoc_8263.wav シバラムニ シ⸢バラムニ [ʃi⸢baramuni] 名 差障りの多い言葉。忌み言葉。縁起の悪い言葉。毒気のある言葉。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸣カイブ シ⸢バラムネー⸣ ア⸢ズムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢joi⸣nu ⸣pimmaː ⸣kaibu ʃi⸢baramuni⸣ ʔa⸢ʣumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (お祝いの日に、こんな縁起の悪い言葉を話すものではない)。 ウ⸢レー⸣ ナー⸢イ ベー⸣ティ シ⸢バラムニ⸣ カー⸢ニル⸣ ア⸢ズ [ʔu⸢reː⸣ naː⸢i beː⸣ti ʃi⸢baramuni⸣ kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣu] (そいつは黙っていて差し障りの多い、毒気のある言葉だけをいう) 8264 0 0 7825 htmvoc_8264.wav シバラムヌ シ⸢バラムヌ [ʃi⸢baramunu] 名 差障りの多い食物。食べると傷や御出来などに悪い影響を及ぼす食物。産婦が特定の食物を摂取すると、傷が化膿しやすいとして嫌われる食品。産婦が食すると、新生児の臍が化膿しやすいといわれている食品。 ⸢オーブヌ⸣ ンジ ⸢ベー⸣バ シ⸢バラムノー ッふーナ⸣ヨー [⸢ʔoːbunu⸣ ʔnʤi ⸢beː⸣ba ʃi⸢baramunoː ffuːna⸣joː] (筋炎<筋肉内に化膿菌によっておこる炎症>で腫れ物が出来ているから傷やお出来に差障りの多い食品は食べるなよ)。 シ⸢ヌマー⸣ロー ア⸢バビトゥ⸣ラーンダ シ⸢バラムヌ⸣ティ ア⸢ザリブタ [ʃi⸢numaː⸣roː ʔa⸢babitu⸣raːnda ʃi⸢baramunu⸣ti ʔa⸢ʣaributa] (テングハギは脂っこいから、差障りの多い食品といわれていた) 8265 0 0 7826 htmvoc_8265.wav シバル シ⸢バ⸣ル [ʃi⸢ba⸣ru] 名 小便。尿。「尿、ユバリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 シ⸢バ⸣ル ⸢スン [ʃi⸢ba⸣ru ⸢suŋ] (小便をする)。 シ⸢バ⸣ル フ⸢カスン [ʃi⸢ba⸣ru ɸu̥⸢kasuŋ] (小便を漏らす<寝小便をする>)。 シ⸢バル⸣ヌ フ⸢キルン⸣ケン バ⸢ラーサリ ミッ⸣タン [ʃi⸢baru⸣nu ɸu̥⸢kiruŋ⸣kem ba⸢raːsari mit⸣taŋ] (尿が漏れるほど笑わされたことがあるよ<笑わされてみた>) 8267 0 0 7827 htmvoc_8267.wav シバルカザ シ⸢バ⸣ルカザ [ʃi⸢ba⸣rukaʣa] 名 小便の臭い。 シ⸢バ⸣ルカザヌ ッ⸢サー⸣ン [ʃi⸢ba⸣rukaʣanu s⸢saː⸣ŋ] (小便<寝小便>の臭いが臭い) 8268 0 0 7828 htmvoc_8268.wav シバルカミ ⸣シバルカミ [⸣ʃibarukami] 名 (動)魚の名。和名、シマハタ(体長約30センチ{EOS}薄い紅色に黄色の縦縞と白い縦縞が背びれから背部へかけて並んでいる{EOS}尾びれに白の縦縞が二つ並んでいる)。あまり漁獲されないし、味は淡白で喜ばれない 8269 0 0 7829 htmvoc_8269.wav シバルカメー ⸣シバルカメー [⸣ʃibarukameː] 名 夜尿症の者。寝小便をする子供。 ⸣シバルカメー ヤ⸢ルンダ ピーズ⸣ シ⸢バ⸣ル フ⸢カスン [⸣ʃibarukameː ja⸢runda piːʣu⸣ ʃi⸢ba⸣ru ɸu̥⸢kasuŋ] (夜尿症だから毎日小便をもらす<寝小便をしている>) 8278 0 0 7830 htmvoc_8278.wav シバルシーグリサン シ⸢バ⸣ル ⸢シーグリ⸣サン [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃiːguri⸣saŋ] 連 小便しにくい。排尿困難(dysuria)。病気で尿が出にくい状況。『医学沖縄語辞典』 8266 0 0 7831 htmvoc_8266.wav シバルッサーン シ⸢バルッサー⸣ン [ʃi⸢barussaː⸣ŋ] 形  小便臭い。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ シ⸢バルッサー⸣ンダ ミ⸢ジ⸣ ア⸢マシ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʃi⸢barussaːn⸣da mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢maʃi] (この子は小便臭いから、水を浴びせなさい)。 ミ⸢ジ⸣ ア⸢マシッター⸣ シ⸢バルッサー ナー⸣ヌ [mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢maʃi̥taː⸣ ʃi⸢barussaː naː⸣nu] (水を浴び<入浴さ>せたから小便臭くない) 8270 0 0 7832 htmvoc_8270.wav シバルッスン シ⸢バ⸣ルッスン [ʃi⸢ba⸣russuŋ] 名 膀胱。「尿、ユバリ」『類聚名義抄』に「都々美<ツツミ>~。万、4102」の下接した「ゆばりつつみ(尿包み)」の転訛したものか。シ⸢バ⸣ルフクル[ʃi⸢ba⸣ruɸu̥kuru](膀胱<ゆばり袋>)ともいう。 ⸢オー⸣ヌ シ⸢バ⸣ルッスンバ フ⸢クラマシティ マー⸣ル ス⸢ク⸣リ ア⸢サブタ⸣ダー [⸢ʔoː⸣nu ʃi⸢ba⸣russumba ɸu̥⸢kuramaʃi̥ti maː⸣ru su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢sabuta⸣daː] (豚の膀胱を膨らませて鞠を作って遊んだものだよ) 8280 0 0 7833 htmvoc_8280.wav シバルニズン シ⸢バ⸣ル ⸣ニズン [ʃi⸢ba⸣ru ⸣niʣuŋ] 連 小便を我慢する(念ずる{EOS}「念じ果て」<最後まで辛抱し通す{EOS}我慢する{EOS}辛抱する>『源氏物語 蓬生』の義)。シ⸢バ⸣ル ニ⸢ジユーサ⸣ヌ[ʃi⸢ba⸣ru ni⸢ʤijuːsa⸣nu](排尿を耐え切れない)『医学沖縄語辞典』 8275 0 0 7834 htmvoc_8275.wav シバルヌゴーラーン シ⸢バル⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーン [ʃi⸢baru⸣nu ⸢goː⸣raːŋ] 連 小便が多い。多尿(polyuria)。普段より多量の尿量。糖尿病、尿崩症等にみられる『医学沖縄語辞典』 8276 0 0 7835 htmvoc_8276.wav シバルヌタマリベーン シ⸢バル⸣ヌ タ⸢マリベー⸣ン [ʃi⸢barunu⸣ ta⸢maribeː⸣ŋ] 文 小便が膀胱に溜まっている。尿貯留(retention of urine)。『医学沖縄語辞典』 8279 0 0 7836 htmvoc_8279.wav シバルヌトゥマルン シ⸢バル⸣ヌ トゥ⸢マルン [ʃi⸢baru⸣nu tu⸢maruŋ] 文 小便が止まる。尿閉(retention of urine)。排尿がないこと。『医学沖縄語辞典』 8277 0 0 7837 htmvoc_8277.wav シバルヌヌカルン シ⸢バル⸣ヌ ヌ⸢カ⸣ルン [ʃi⸢baru⸣nu nu⸢ka⸣ruŋ] 文 小便が残る。残尿(residual urine)排尿後、尿が残ること。『医学沖縄語辞典』 8281 0 0 7838 htmvoc_8281.wav シバルヌミー シ⸢バル⸣ヌ ⸣ミー [ʃi⸢baru⸣nu ⸣miː] 連 尿道。「尿の穴」の義。 シ⸢バル⸣ヌ ⸢ミー⸣ヌ ⸣ヤミティル シ⸢バ⸣ル ⸢シーグリ⸣サツォー [ʃi⸢baru⸣nu ⸢miː⸣nu ⸣jamitiru ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃiːguri⸣saʦoː] (尿道が痛くて排尿しにくいそうだ) 8274 0 0 7839 htmvoc_8274.wav シバルヌヤナンゴーリベー シ⸢バル⸣ヌ ヤ⸢ナンゴー⸣リ ⸢ベー [ʃi⸢baru⸣nu ja⸢naŋgoː⸣ri ⸢beː] 文 混濁尿(cloudiness of the urine)。尿<小便>が濁っている。細菌で濁っている場合が多く、食物による正常な場合もあるという。『医学沖縄語辞典』。 シ⸢バル⸣ヌ ヤ⸢ナンゴー⸣ルカー ⸢ヤンマイ⸣ヌ シ⸢ルシ⸣ティ ア⸢ザリ ブー [ʃi⸢baru⸣nu ja⸢naŋgoː⸣rukaː ⸢jammai⸣nu ʃi⸢ruʃi⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (尿が濁ると病気の印といわれている) 8271 0 0 7840 htmvoc_8271.wav シバルフカー ⸣シバルフカー [⸣ʃibaruɸu̥kaː] 名 夜尿症の者。寝小便を垂れる者。「シ⸢バ⸣ル<尿>・フカシ<漏らし>・ヤー<者>」の義。 ⸢ウンザー⸣ ク⸢ヌ⸣ トゥシ⸢バー⸣キ シ⸢バ⸣ルフカー ⸣ナリティ ⸢ヨーゾ⸣ー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ku⸢nu⸣ tu̥ʃi⸢baː⸣ki ʃi⸢ba⸣ruɸu̥kaː ⸣nariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (そいつはこの年まで寝小便を垂れて仕様がない<始末に負えない{EOS}養生できない>) 8272 0 0 7841 htmvoc_8272.wav シバルフキヤン シ⸢バ⸣ルフキヤン [ʃi⸢ba⸣ruɸu̥kijaŋ] 名 尿を漏らす病気。 シ⸢バ⸣ルフキヤン カ⸢カ⸣リティ シ⸢バ⸣ル フ⸢カスムン⸣ ッ⸢サヌ [ʃi⸢ba⸣ruɸu̥kijaŋ kḁ⸢ka⸣riti ʃi⸢ba⸣ru ɸu̥⸢kasumun⸣ s⸢sanu] (尿失禁の病気に罹って小便を漏らすことを知らない<自覚しない>) 8282 0 0 7842 htmvoc_8282.wav シバルフクル シ⸢バ⸣ルフクル [ʃi⸢ba⸣ruɸu̥kuru] 名 膀胱。 ⸢オー⸣ヌ シ⸢バ⸣ルフクルシ ⸢プー⸣カー ス⸢ク⸣リ ア⸢サブタン [⸢ʔoː⸣nu ʃi⸢ba⸣ruɸu̥kuruʃi ⸢puː⸣kaː su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢sabutaŋ] (豚の膀胱で風船を作って遊んだものだ) 8283 0 0 7843 htmvoc_8283.wav シバルムヨー シ⸢バ⸣ルムヨー [ʃi⸢ba⸣rumujoː] 名 尿意。小便がしたくなること。「いばり<尿>催し」の義。 シ⸢バ⸣ルムヨー ⸢シェーラ⸣ シ⸢グ⸣ タ⸢タン⸣カー ⸣パル ⸣アイナー フ⸢カスン⸣ダー [ʃi⸢ba⸣rumujoː ⸢ʃeːra⸣ ʃi⸢gu⸣ ta⸢taŋ⸣kaː ⸣paru ⸣ʔainaː ɸu̥⸢kasun⸣daː] (尿意を催したらば、すぐ立たないと、行く途中で漏らすぞ) 8285 0 0 7844 htmvoc_8285.wav ジバン ⸣ジバン [⸣ʤibaŋ] 名 じゅばん(襦袢)。肌着。汗取り。垢取り。「gibão」(襦袢{EOS}ポルトガル語)の借用語。 ⸣ドゥク ⸣アツァユンダ ⸢キン⸣マー キ⸢サラヌ⸣ ジバン プ⸢スッ⸣クビ カー⸢ニ⸣ キ⸢シティル⸣ マー⸢ン⸣ パル [⸣duku ⸣ʔaʦajunda ⸢kim⸣maː ki̥⸢saranu⸣ ʤibam pu̥⸢suk⸣kubi kaː⸢ni⸣ ki̥⸢ʃitiru⸣ maː⸢m⸣ paru] (あまりにも暑くて、着物は着られない{EOS}襦袢一枚だけ着てどこへでも行く) 8286 0 0 7845 htmvoc_8286.wav シバンナクン シ⸢バンナクン [ʃi⸢bannakuŋ] 他動 のす(伸す)。つばなかす(茅花かす)の転訛。老年層の言葉。選択して、天日に乾した衣類に水滴や蒸気をを吹きかけて皺を伸ばす。両手の親指と人差し指で約一寸間隔にたたみこみ、押し広げながら皺を伸ばす。シ⸢バナクン[ʃi⸢banakuŋ](皺を伸ばす)(若年層)ともいう。 ⸢キン⸣マー シ⸢バンナキティ⸣ サイバ [⸢kim⸣maː ʃi⸢bannaki⸣ti ⸣saiba] (着物は皺を伸ばして衣紋がけに吊るしなさいよ)。 シ⸢バンナクンティ スンドゥ⸣ シ⸢バンナカラヌ [ʃi⸢bannakunti sundu⸣ ʃi⸢bannakaranu] (指で皺を伸ばそうとするが伸ばされない)。 シ⸢バンナキ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ シ⸢バンナキ⸣バ [ʃi⸢bannaki⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi ʃi⸢bannaki⸣ba] (皺を伸ばしたければ自分で伸ばしなさいよ)。 シ⸢バンナク キン⸣マー ⸢マー⸣ビン シ⸢バンナケー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢bannaku kim⸣maː ⸢maː⸣biŋ ʃi⸢bannakeː⸣ misamunu] (皺を伸ばす着物は、もっと皺を伸ばせばよいのに) 8288 0 1 7846 htmvoc_8288.wav シビ シ⸢ビ [ʃi⸢bi] 名 {Mn_1}尻。臀部。 シ⸢ビ⸣ナ ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジティ ビ⸢ララヌ [ʃi⸢bi⸣na ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤiti bi⸢raranu] (お尻に御出来が出来て座れない)。 8288 0 2 7847 htmvoc_8288.wav シビ シ⸢ビ [ʃi⸢bi] 名 {Mn_2}最後尾。後ろ。 プ⸢スヌ⸣ シ⸢ビ⸣ ナ⸢ル⸣ナ [pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢bi⸣ na⸢ru⸣na] (他人後ろなるな)。 8288 0 3 7848 htmvoc_8288.wav シビ シ⸢ビ [ʃi⸢bi] 名 {Mn_3}川の下流の海への出口のところ。 ⸢カーラヌ⸣ シ⸢ビ⸣ナー ⸣イダフネー イ⸢リ⸣シキティ タ⸢ム⸣ノー シ⸢ミ⸣バ [⸢kaːranu⸣ ʃi⸢bi⸣naː ⸣ʔidaɸuneː ʔi⸢ri⸣ʃi̥kiti ta⸢mu⸣noː ʃi⸢mi⸣ba] (川の下流の海への出口にサバニを入れておいて薪を積みなさいよ)。 8288 0 4 7849 htmvoc_8288.wav シビ シ⸢ビ [ʃi⸢bi] 名 {Mn_4}鍋底。底。 ナ⸢ビ⸣ヌ シ⸢ビヌ ピング⸣ カ⸢ラ⸣イシシ ウ⸢タ⸣シバ [na⸢bi⸣nu su̥⸢kunu piŋgu⸣ ka⸢ra⸣iʃiʃi ʔu⸢ta⸣ʃi] (鍋底の鍋墨、<竃黒>を軽石で落としなさい) 8287 0 0 7850 htmvoc_8287.wav ジヒ ジ⸢ヒ [ʤi⸢çi] 副 是非。必ず。どうしても。きっと。標準語の「是非」から転訛したもの。普通はヤー⸢ディン[jaː⸢diŋ](必ず{EOS}きっと{EOS}是非{EOS}どうしても)、ドー⸢ディン[doː⸢diŋ](是非{EOS}是非とも{EOS}どうぞ{EOS}どうあっても{EOS}どうしても)のように言う。 ク⸢レー⸣ ジ⸢ヒ⸣<ヤ⸢ーディン⸣> キューズーナ トゥ⸢ドゥ⸣キ ッ⸢ふィーリ [ku⸢reː⸣ ʤi⸢çi⸣ kjuːʣuːna tu⸢du⸣ki f⸢fiːri] (これは是非今日中に届けてくれ) 8291 0 0 7851 htmvoc_8291.wav シビウーン シ⸢ビ ウーン [ʃi⸢bi ʔuːŋ] 連 後を追う。後追いする。「尻を追う」の義。子供が母親の後を追うこと。 ヤ⸢ラ⸣ベー ブ⸢ネーヌ⸣ シ⸢ビ ウーンティ キン⸣ダン ⸢シー⸣ ナ⸢キベー [ja⸢ra⸣beː bu⸢neːnu⸣ ʃi⸢bi ʔuːnti kin⸣daŋ ⸢ʃiː⸣ na⸢kibeː] (子供は母親の後追いをするとて、地団太踏んで泣いている)。 ⸣アッパー シ⸢ビ ウーン [⸣ʔappaː ʃi⸢bi ʔuːŋ] (お婆さんの後をおう) 8289 0 0 7852 htmvoc_8289.wav シビウイ シ⸢ビウイ [ʃi⸢biʔui] 名 後追い。子供が母親の後を追っかけること。「尻追い」の義。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ビウイバー シー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミラヌ [ku⸢nu ffaː⸣ ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢biʔuiba ʃiː⸣ mut⸢tu⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miranu] (この子は親の後追いをして、ちっとも仕事をさせない) 8292 0 0 7853 htmvoc_8292.wav シビカサマリン シ⸢ビ⸣ カ⸢サマリン [ʃi⸢bi⸣ ka⸢samariŋ] 連 ばれる。見抜かれる。言葉の言い損ないを捕らえられる⸢言葉尻を掴まれる」の義。 ユ⸢クシ⸣ムニ ア⸢ズ⸣カー シ⸢ビ⸣ カ⸢サマリン⸣ダー [ju⸢kuʃi⸣muni ʔa⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢bi⸣ ka⸢samarin⸣daː] (嘘をついたらばれる<言葉尻を掴まれる>ぞ) 8293 0 0 7854 htmvoc_8293.wav シビカライ シ⸢ビ⸣カライ [ʃi⸢bi⸣karai] 名 しりからげ(尻からげ)。着物の背縫いの裾をたくし上げて帯に挟むこと。農夫が畑仕事をする際にする。舞踊や演劇などで着物の裾をからげることは、農民、庶民をパロディー化した表現とされている。 シ⸢グトゥ ソー⸣ル ピンマー シ⸢ビ⸣カライ ⸢シェー⸣ティル ノー⸢ン ソーッタ⸣ル [ʃi⸢gutu soː⸣ru pimmaː ʃi⸢bi⸣karai ⸢ʃeː⸣tiru noː⸢n soːtta⸣ru] (仕事をされるときは尻からげをして何事をもなされたものだ) 8294 0 0 7855 htmvoc_8294.wav シビカラウン シ⸢ビ⸣ カラウン [ʃi⸢bi⸣ karauŋ] 連 尻をからげる(絡げる)。着物の裾をまくりあげる。 ⸢キン⸣マー ⸢ナーサイ サンドー⸣シ シ⸢ビ⸣ カライティ シ⸢グトゥ シー⸣バ [⸢kim⸣maː ⸢naːsai sandoː⸣ʃi ʃi⸢bi⸣ karaiti ʃi⸢gutu ʃiː⸣ba] (着物は長く垂らさないで<引き摺らないで>、尻をからげて仕事をしなさいよ) 8295 0 0 7856 htmvoc_8295.wav シビカローン シ⸢ビ⸣ カ⸢ロー⸣ン [ʃi⸢bi⸣ ka⸢roː⸣ŋ] 連 よく働く。機敏に働く。腰を下ろして座り込むのでなく、さっさと立ち働くことが若者の、特に女性の美徳とされていた。「尻が軽い」の義。「女の、浮気なこと」の意味はない。シ⸢ビ グッ⸣ふァン[ʃi⸢biguf⸣faŋ](<尻が重い>{EOS}腰が重い{EOS}怠け者である)の対義語。「尻軽」の悪い意味はない。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ シ⸢ビカロー⸣ン [ʔu⸢nu ffaː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʃi⸢bikaroː⸣ŋ] (この子は非常に尻が軽い{EOS}非常によく働く模範的な子だ) 7993 0 0 7857 htmvoc_7993.wav シビクス シ⸢ビクス [ʃi⸢bikusu] 名 びりっけつ。しんがり。「しりくそ<尻糞>」の義。 ヨー⸢ヨー⸣ プ⸢スヌ⸣ シ⸢ビクス ナン⸣ナ⸢ダー [joː⸢joː⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢bikusu nan⸣na⸢daː] (よくよく気をつけろよ{EOS}他人のびりっけつになるなよ) 8296 0 0 7858 htmvoc_8296.wav シビグッふァン シ⸢ビ グッ⸣ふァン [ʃi⸢bi guf⸣faŋ] 連 怠け者である。「尻が重い」の義。 ウ⸢レー⸣ シ⸢ビ グッふァ⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃi⸢bi guffa⸣nu sï̥⸢kaːranu] (あれは怠け者で<尻が重いから>使うことが出来ない<使われない>) 8297 0 0 7859 htmvoc_8297.wav シビコーリ シ⸢ビコー⸣リ [ʃi⸢bikoː⸣ri] 名 便秘。「尻・強り<磽、己波志(こはし)>『新撰字鏡』」の転訛したものか。 シ⸢ビコーリ⸣ヌ ⸢ヤン⸣ヌ フ⸢チ⸣ロー ⸣アンカヤー [ʃi⸢bikoːri⸣nu ⸢jan⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣roː ⸣ʔaŋkajaː] (便秘症<便秘の病>の薬はあるかねえ) 7994 0 0 7860 htmvoc_7994.wav シビコールン シ⸢ビコー⸣ルン [ʃi⸢bikoː⸣ruŋ] 自動 便秘する。「しりこわる<尻強る>」の義。 ナ⸢マバン⸣スル ッ⸢ふー⸣カー シ⸢ビコー⸣ルンティ ⸢スーヌ ウーミバン⸣スロー シ⸢ビコーラ⸣ヌ [na⸢maban⸣suru f⸢fuː⸣kaː ʃi⸢bikoː⸣runti ⸢suːnu ʔuːmiban⸣suroː ʃi⸢bikoːra⸣nu] (未熟のバンジロウ<番石榴>を食べると便秘するというが、熟れたバンジロウは便秘しない)。 ウ⸢リ⸣シ シ⸢ビコー⸣ル ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ シ⸢ビコーリ ヤッ⸣サンツォー [ʔu⸢ri⸣ʃi ʃi⸢bikoː⸣ru ⸣kutoː ⸢naːnu⸣nu ʃi⸢bikoːrijas⸣sanʦoː] (それで便秘することはないが、便秘しやすいそうだ)。 シ⸢ビコー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢bikoː⸣reː ⸣misamunu] (便秘すればよいのに)。 ウ⸢リ⸣ ッ⸢ふァイティ⸣ シ⸢ビコー⸣リバ [ʔu⸢ri⸣ f⸢faiti⸣ ʃi⸢bikoː⸣riba] (それを食って便秘しろ)。「尻強る」の転訛。 ナ⸢マバン⸣スル ッ⸢ふー⸣カー シ⸢ビコー⸣ルン [na⸢maban⸣suru f⸢fuː⸣kaː ʃi⸢bikoː⸣ruŋ] (未熟の蕃石榴<バンジロウ{EOS}グアバ>を食べると便秘する)。 シ⸢ビコーラ⸣ヌ [ʃi⸢bikoːra⸣nu] (便秘しない)。 シ⸢ビコーリ ヤッ⸣サン [ʃi⸢bikoːri jas⸣saŋ] (便秘しやすい)。 シ⸢ビコー⸣ル ⸣ピン [ʃi⸢bikoː⸣ru ⸣piŋ] (便秘するとき)。 シ⸢ビコー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢bikoː⸣reː ⸣misamunu] (便秘すればよいのに)。 シ⸢ビコー⸣リ [ʃi⸢bikoː⸣ri] (便秘せよ) 8299 0 0 7861 htmvoc_8299.wav シビシゥカイビリ シ⸢ビシゥカイビリ [ʃi⸢bisï̥kaibiri] 名 片膝を立て、片膝を折って尻を支える座り方。「尻支え座り」の義。 ⸢パンタ⸣サール ⸣バソー シ⸢ビシゥカイビリバ シェー⸣ティル ⸣アシェー ン⸢コーッタ⸣ル [⸢panta⸣saːru ⸣basoː ʃi⸢bisï̥kaibiriba ʃeː⸣tiru ⸣ʔaʃeː ʔŋ⸢koːtta⸣ru] (忙しい<繁多の>時は尻支え座りをしながら昼食は召し上がられたものだ) 8301 0 0 7862 htmvoc_8301.wav シビシキルン シ⸢ビシキルン [ʃi⸢biʃi̥kiruŋ] 他動 くっつける。ひっつける。 ⸢ヌー⸣ルシ シ⸢ビシキルンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢ビシキラランバ⸣ シ⸢ビシキル⸣ ムヌ ⸣トゥミ ⸣キー シ⸢ビシキリ [⸢nuː⸣ruʃi ʃi⸢biʃi̥kirunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢biʃi̥kiraramba⸣ ʃi⸢biʃi̥kiru⸣ munu ⸣tumi ⸣kiː ʃi⸢biʃi̥kiri] (糊でくっつけようと思ったがくっつけられないので、くっつけるものを捜してきてくっつけなさい)。 シ⸢ビシキ ヤッ⸣サ ⸣ムノーラ シ⸢ビシケー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢biʃi̥ki jas⸣sa ⸣munoːra ʃi⸢biʃi̥keː⸣ misamunu] (くっつけやすいものからくっつければ良いのに)。 ア⸢ガマミ ネーシティ⸣ ム⸢チ⸣ナー シ⸢ビシキルン [ʔa⸢gamami neːʃiti⸣ mu⸢ʧi⸣naː ʃi⸢biʃi̥kiruŋ] (赤小豆<あずき{EOS}小豆>を煮て餅にくっつける) 8302 0 0 7863 htmvoc_8302.wav シビシケー シ⸢ビシ⸣ケー [ʃi⸢biʃi̥⸣keː] 名 おしめ。むつき。おむつ。「尻敷きもの」の義。 ム⸢カ⸣シェー フ⸢タ⸣キシキンバ ⸢トー⸣シティル シ⸢ビシ⸣ケー ⸣ヌイ ⸢ヨーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ɸu̥⸢ta⸣kiʃikimba ⸢toː⸣ʃi̥tiru ʃi⸢biʃi̥⸣keː ⸣nui ⸢joːtta⸣ru] (昔は普段着をつぶしておむつは縫われた<縫っておられた>ものだ) 8303 0 0 7864 htmvoc_8303.wav シビジナー シ⸢ビジナー [ʃi⸢biʤinaː] 名 牛を繋ぐ長い綱。牛を原野のススキや茅などに繋いでおき、広範囲の草が自由に食べられるように繋いだ長い綱。「尻綱」の義。 ウ⸢シヌ⸣ シ⸢ビジナー⸣ ガヤーナ サ⸢マ⸣リ ⸣シケーティ ⸣ッサ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ʔu⸢ʃinu⸣ ʃi⸢biʤinaː⸣ gajaːna sa⸢ma⸣ri ⸣ʃi̥keːti ⸣ssa f⸢faːʃi⸣ba] (牛の尻綱を茅に縛り付けておいて草を食べさせなさいよ) 8305 0 0 7865 htmvoc_8305.wav シビシンカーシ シ⸢ビシンカーシ [ʃi⸢biʃiŋkaːʃi] 連 ぎゅうぎゅう詰めにすること。すしづめ(鮨詰)にすること。「尻突合せて」の義。 シ⸢バーン⸣ トンナ ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スバ⸣ シ⸢ビシンカーシ⸣ ビ⸢ラシ⸣シケー [ʃi⸢baːn⸣ tonna ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢suba⸣ ʃi⸢biʃiŋkaːʃi⸣ bi⸢raʃi⸣ ʃi̥keː] (狭い所にあれだけの人数の人を鮨詰にして座らせてある) 8308 0 0 7866 htmvoc_8308.wav シビスクライ シ⸢ビスクライ [ʃi⸢bisu̥kurai] 名 後始末。後々の処置。後々のことを考慮して事前に用意しておくこと。 ⸣アトゥアトー ⸢ヌー⸣シ ⸣ナルユー ッ⸢サンバ⸣ シ⸢ビスクライヤー シー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸣ʔatuʔatoː ⸢nuː⸣ʃi ⸣narujuː s⸢samba⸣ ʃi⸢bisukuraijaː ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (後々どうなるか分からない<知らない>ので、後々のための用意<処置>をしておきなさい) 7995 1 0 7867 htmvoc_7995.wav シビスクン シ⸢ビスクン [ʃi⸢bisu̥kuŋ] 他動 {PoS_1}くっつける。 ム⸢チ⸣シ シ⸢ビシキ⸣ プサンドゥ シ⸢ビシゥカラヌ [mu⸢ʧi⸣ʃi ʃi⸢biʃi̥ki⸣ pusandu ʃi⸢bisï̥karanu] (餅でくっつけようと思うがくっつけられない)。 シ⸢ビスクンテイ⸣ ウムーカー シ⸢ビスク シーヨー⸣ヤ ⸣アンダー ⸢パー⸣ク シ⸢ビシキ [ʃi⸢bisukunti⸣ ʔumuːkaː ʃi⸢bisuku ʃiːjoː⸣ja ʔa⸢ri⸣bundaː ⸢paː⸣ku ʃi⸢biʃi̥ki] (くっつけようと思うならくっつける仕方はあるから、早くくっつけなさい)。 シ⸢ビシケー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢biʃi̥keː⸣ misamunu] (くっつければよいのに)。 7995 2 0 7868 htmvoc_7995.wav シビスクン シ⸢ビスクン [ʃi⸢bisu̥kuŋ] 自動 {PoS_2}ク⸢レー⸣ シ⸢ビスクン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢ビシゥカンバン[ku⸢reː⸣ ʃi⸢bisï̥kuŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢bisï̥kambaŋ](くっつくかと思ったがくっつかないよ)。 ク⸢リトー⸣ シ⸢ビシキ ヤッ⸣サンティ⸢ダー [ku⸢ritoː⸣ ʃi⸢biʃi̥ki jas⸣santi⸢daː] (これとはくっつきやすいそうだよ) 8300 1 0 7869 htmvoc_8300.wav シビスクン シ⸢ビスクン [ʃi⸢bisu̥kuŋ] 他動 {PoS_1}くっつける。接着剤でくっつける。ひっつける。 ク⸢リ⸣シ シ⸢ビスクンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢ビシゥカランバ⸣ シ⸢ビシキ ヤッ⸣サ ⸣ムヌ ⸣トゥミキー シ⸢ビシキ [ku⸢ri⸣ʃi ʃi⸢bisu̥kunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʃi⸢bisï̥karamba⸣ ʃi⸢biʃi̥kijas⸣sa ⸣munu ⸣tumi ⸣kiː ʃi⸢biʃi̥ki] (これでくっつけようと思うがくっつけられないので、くっつけやすいものを捜してきてくっつけよ)。 シ⸢ビスク ムノー⸣ ムー⸢ル⸣ シ⸢ビシケー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢bisu̥ku munoː⸣ muː⸢ru⸣ ʃi⸢biʃi̥keː⸣ misamunu] (くっつける物は総てくっつければよいのに)。 8300 2 0 7870 htmvoc_8300.wav シビスクン シ⸢ビスクン [ʃi⸢bisu̥kuŋ] 他動 (自動){PoS_2}くっつく。接着する。夫婦となる。 ⸣プスイシ シ⸢ビスクンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢ビシゥカンバン [⸣pusuiʃiː ʃi⸢bisu̥⸢kunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢bisï̥kambaŋ] (一日でくっつくと思ったがくっつかないわい)。 シ⸢ビシキン⸣ギサン [ʃi⸢biʃi̥kiŋ⸣gisaŋ] (くっつきそうだ)。 シ⸢ビスク ムノー ナー⸣ヌ [ʃi⸢bisu̥ku munoː naː⸣nu] (くっつくものはない)。 ⸢ナンク⸣ル シ⸢ビシケー⸣ ミサムヌ [⸢naŋ⸣kuru ʃi⸢biʃi̥keː⸣ misamunu] (自然に<おのずと>くっつけば良いのに)。 ワ⸢ター マー⸣ビン シ⸢ビシキ⸣バ [wa⸢taː maː⸣biŋ ʃi⸢biʃi̥ki⸣ba] (君たちはもっとくっつきなさいよ) 8306 0 0 7871 htmvoc_8306.wav シビソールン シ⸢ビ ソールン [ʃi⸢bi soːruŋ] 連 他人のあら捜しをする。「尻探る」の義。 ⸢ウンザー⸣ プ⸢スヌ⸣ シ⸢ビ ソールンティ⸣ カー⸢ニ スンダ⸣ ユー ⸢キー⸣ シケーティ ⸣ムネー イ⸢ジ⸣ヨー [⸢ʔunʣaː⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢bi soːrunti⸣ kaː⸢ni sunda⸣ juː ⸢kiː⸣ ʃi̥keːti ⸣muneː ʔi⸢ʤi⸣joː] (あいつは他人のあら捜ししようとだけするから、よく気をつけて話をしなさい<ものを言いなさい>) 8307 0 1 7872 htmvoc_8307.wav シビタタックン シ⸢ビ⸣ タ⸢タッ⸣クン [ʃi⸢bi⸣ tḁ⸢tak⸣kuŋ] 連 {Mn_1}尻を引っ叩く。 ⸣ドゥク パ⸢ナン⸣ギ ⸢スー⸣カー シ⸢ビ⸣ タ⸢タッ⸣キ ナ⸢ラー⸣シバ [⸣duku pa⸢naŋ⸣gi ⸢suː⸣kaː ʃi⸢bi⸣ tḁ⸢tak⸣ki na⸢raː⸣ʃiba] (あんまりにも悪戯が過ぎると<ひどい悪ふざけをしたら>尻を叩いて仕付けて<教えて>やりなさい)。 8307 0 2 7873 htmvoc_8307.wav シビタタックン シ⸢ビ⸣ タ⸢タッ⸣クン [ʃi⸢bi⸣ tḁ⸢tak⸣kuŋ] 連 {Mn_2}尻を叩いて励ます。 トゥ⸢ジン⸣ シ⸢ビ⸣ タ⸢タッカ⸣レーティ シ⸢グトゥ シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [tu⸢ʤiŋ⸣ ʃi⸢bi⸣ tḁ⸢takka⸣reːti ʃi⸢gutu ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (妻に尻を叩かれ、励まされて仕事をしている) 8309 0 0 7874 htmvoc_8309.wav ジビタムヌ ジ⸢ビタムヌ [ʤi⸢bitamunu] 連 下劣なひと。卑しいことをする者。 ⸢ウンザー⸣ ジ⸢ビタムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ ヌー⸣バ ⸢スー⸣ユー ワ⸢カラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ʤi⸢bitamunu⸣ ja⸢runda nuː⸣ba ⸢suː⸣juː wa⸢kara⸣nu] (そいつは下劣な奴だから何をしてくるか分からない) 8310 0 0 7875 htmvoc_8310.wav シビッサイピラク シ⸢ビッサイピラク [ʃi⸢bissaipiraku] 名 三月の最後の寒さ。余寒。「尻塞ぎ寒さ」の義。首里方言の「別れ寒さ」のこと。 シ⸢ビッサイピラクル⸣ ヤ⸢リバ⸣ メー ピ⸢ラ⸣クン ⸣クビ ⸢バーキ⸣ル ⸣アル [ʃi⸢bissaipirakuru⸣ ja⸢riba⸣ meː pi⸢ra⸣kuŋ ⸣kubi ⸢baːki⸣ru ⸣ʔaru] (三月最後の寒さだから、もう寒さもこれでおしまい<これまでぞある>だ) 8311 0 0 7876 htmvoc_8311.wav シビッス シ⸢ビッス [ʃi⸢bissu] 名 びり。順位の最後。相手を罵る言葉。 ノー⸢ン⸣ シ⸢タンティン⸣ プ⸢スヌ⸣ マイ ナ⸢リユーサ⸣ヌ シ⸢ビッス [noː⸢ŋ⸣ ʃi̥⸢tantim⸣ pu̥⸢sunu⸣ mai na⸢rijuːsa⸣nu ʃi⸢bissu] (何をしても人様の前になり得ない{EOS}びりっけつだ) 8312 0 0 7877 htmvoc_8312.wav シビッタラ シ⸢ビッタラ [ʃi⸢bittara] 名 しりべた。しりこぶた。「しりたむら<尻臀>」、「志利太牟良」『新撰字鏡』、「シリタブラ」『観智院本名義抄』の転訛か。 シ⸢ビッタラ⸣ ム⸢サリティ⸣ フ⸢チ⸣ ヤ⸢ゴミベー [ʃi⸢bittara⸣ mu⸢sariti⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ja⸢gomi beː] (尻べたをつねられ<抓ねられ>て口をゆがめている<泣きそうになっている>) 8313 0 0 7878 htmvoc_8313.wav シビトゥズミルン シ⸢ビ⸣ トゥ⸢ズミルン [ʃi⸢bi⸣ tu⸢ʣumiruŋ] 連 後始末をする。 ⸣ドゥーシ パ⸢ジメー⸣ル シ⸢グトー⸣ シ⸢ビ⸣ トゥ⸢ズ⸣ミテーラル マー⸢ン⸣ パル⸢ダー [⸣duːʃi pa⸢ʤimeː⸣ru ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢bi⸣ tu⸢ʣu⸣miteːraru maː⸢m⸣ paru⸢daː] (自分で始めた仕事は後始末をして<尻を閉じめて>から<ぞ>何処にも行くのだよ)。 シ⸢グトゥヌ⸣ シ⸢ビ⸣ トゥ⸢ズミラムティ ヤー  ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutunu⸣ ʃi⸢bi⸣ tu⸢ʣumiramuti jaː⸣ pari ⸢naː⸣nu] (仕事の後始末をしないで家に帰ってしまった) 8314 0 0 7879 htmvoc_8314.wav シビトゥズムン シ⸢ビ⸣ トゥ⸢ズムン [ʃi⸢bi⸣ tu⸢ʣumuŋ] 連 後始末をする。後片付けをする。「尻を閉じむ」の義。 ノー⸢ン⸣ シ⸢グトゥヌ⸣ シ⸢ビ⸣ トゥ⸢ズ⸣ミティル ビ⸢チ⸣ヌ ⸣クトー ⸢シービキ [noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢gutunu⸣ ʃi⸢bi⸣ tu⸢ʣu⸣mitiru bi⸢ʧi⸣nu ⸣ku̥toː ⸢ʃiːbiki] (何でも、仕事を後片付けてから<ぞ>別のことはすべきである) 8315 0 0 7880 htmvoc_8315.wav ジヒトゥム ジ⸢ヒトゥム [ʤi⸢çitumu] 副 どうしても。何としても。是が非でも。是非に。標準語から転訛したもので若年層が使う。老年層は、普通はヤー⸢ディン[jaː⸢diŋ](是非とも{EOS}「否でも」の転訛)という。 ジ⸢ヒトゥム⸣ カ⸢フ⸣ヌプス タ⸢ナマ⸣リ ッ⸢ふォー⸣リ [ʤi⸢citumu⸣ ka⸢ɸu⸣nupu̥su ta⸢mama⸣ri f⸢foː⸣ri] (是非とも媒酌人に頼まれて下さい<媒酌人をお頼み致します>) 8316 0 0 7881 htmvoc_8316.wav シビトゥンター シ⸢ビトゥンター [ʃi⸢bituntaː] 名 でっちり(出っ尻)。尻が突き出ているもの。尻が突き出て不安定なもの。 ク⸢ヌ⸣ ナベー シ⸢ビトゥンター⸣ ナリティ ⸣シケー シ⸢カン⸣カー ビ⸢シララヌ [ku⸢nu⸣ nabeː ʃi⸢bituntaː⸣ nariti ⸣ʃi̥keː ʃi̥⸢kaŋ⸣kaː bi⸢ʃiraranu] (この鍋は尻が突き出ていて、揺輪を敷かないと座らされ<据えられ>ない) 8317 0 0 7882 htmvoc_8317.wav シビナージナ シ⸢ビナージナ [ʃi⸢binaːʤina] 名 注連縄。尻久米縄。「端出之縄、此をば斯梨倶梅儺波<しりくめなは>といふ」『日本書紀 神代上』の義。藁の根元を七、五、三本ずつ約三寸ほど出して左縒りに綯い、大蒜と塩を吊るした注連縄。魔除けとして用い、神聖な場所や産屋などに張り巡らす。 シ⸢ビナージナバ⸣ ナイ パ⸢リ⸣ シケーバ ヤ⸢ナ⸣ムノー ⸢ペーラ⸣ヌ [ʃi⸢binaːʤinaba⸣ nai pa⸢ri⸣ ʃi̥keːba ja⸢na⸣munoː ⸢peːra⸣nu] (注連縄を綯って張り巡らしてあるから悪霊は入らない) 8318 0 0 7883 htmvoc_8318.wav シビナガーン シ⸢ビナガー⸣ン [ʃi⸢binagaː⸣ŋ] 形 長居する。他人の家を訪ねて座ったまま雑談を続けてなかなか帰らないさま。「尻長さ・有り」の転訛したもの。 ウ⸢レー サッ⸣コー シ⸢ビナガー⸣ンダ ウ⸢リヌ⸣ ケーラ シ⸢グトゥ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː sak⸣koː ʃi⸢binagaː⸣ŋ] (彼は非常に長居をする<非常に尻長い>から、彼が来たら仕事が出来ない) 8319 0 0 7884 htmvoc_8319.wav シビナルン シ⸢ビ⸣ ナルン [ʃi⸢bi⸣ naruŋ] 連 最後尾になる。びりっけつになる。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ヨー⸣カー パ⸢リスー⸣ブン シ⸢ビ⸣ ナルンダ ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイ⸣ ドゥー ス⸢ク⸣リ [⸢duː⸣nu ⸢joː⸣kaː pa⸢risuː⸣buŋ ʃi⸢bi⸣ narunda ʔm⸢maː⸣munu f⸢fai⸣ duː su̥⸢ku⸣ri] (体<胴>が弱いと走り競争もびりっけつになるから、美味しいものを食べて体<体力>を作れ) 8327 0 0 7885 htmvoc_8327.wav シビヌギ シ⸢ビヌギ [ʃi⸢binugi] 名 帳簿を改ざんして経理をごまかす。帳簿を操作して金銭を横領する。 ウ⸢レー キーシキラン⸣カー シ⸢ビヌギ スン⸣ティ⸢ダー [ʔu⸢reː kiːʃi̥kiraŋ⸣kaː ʃi⸢binugi sun⸣ti⸢daː] (彼は気を付けないと経理をごまかして横領するそうだよ) 8320 0 0 7886 htmvoc_8320.wav シビヌシティプス シ⸢ビヌシティ⸣プス [ʃi⸢binuʃi̥ti⸣pu̥su] 名 尻拭い。「尻拭いする人」の義。 ヤ⸢ビッふァ⸣ヌ シ⸢ビヌシティ⸣プス ⸣ナリティ キ⸢ムイツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢biffa⸣nu ʃi⸢binuʃi̥ti⸣pu̥su ⸣nariti ki⸢muiʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (素行不良の子<身持ちの悪い子{EOS}「破れ子」>の尻拭いになって、可哀そうで堪らない) 8321 0 1 7887 htmvoc_8321.wav シビヌシティルン シ⸢ビ ヌシティ⸣ルン [ʃi⸢bi nuʃi̥ti⸣ruŋ] 連 {Mn_1}尻を拭う。尻を拭く。 ⸣ユナキーヌ ⸢パー⸣シ シ⸢ビ ヌシティ⸣ルンティ ⸢スンド スシティララ⸣ヌ [⸣junakiːnu ⸢paː⸣ʃi ʃi⸢binuʃi̥ti⸣runti ⸢sundu nuʃi̥tirara⸣nu] (オオハマボウの葉で尻を拭こうとするが、拭かれない)。 シ⸢ビヌシティ⸣ル ⸣クトゥ [ʃi⸢binuʃi̥ti⸣ru ⸣ku̥tu] (尻を拭くこと)。 8321 0 2 7888 htmvoc_8321.wav シビヌシティルン シ⸢ビ ヌシティ⸣ルン [ʃi⸢bi nuʃi̥ti⸣ruŋ] 連 {Mn_2}他人の失敗の後始末をつける。 シ⸢ザ⸣ヌ シ⸢グトゥヌ⸣ シ⸢ビヌシティ⸣ルンティ ⸢アウ⸣リ ⸢シー ベー [ʃi⸢ʣa⸣nu ʃi⸢gutunu⸣ ʃi⸢binuʃi̥ti⸣runti ⸢ʔau⸣ri ⸢ʃiːbeː] (兄の仕事の尻拭いをするとて、苦労している) 8322 0 1 7889 htmvoc_8322.wav シビヌシトゥン シ⸢ビ ヌシ⸣トゥン [ʃi⸢bi nuʃi̥⸣tuŋ] 連 {Mn_1}尻を拭う。尻を拭く。 シ⸢ビヌシ⸣トゥンティ ⸣ユナキヌ ⸢パー⸣ カ⸢カイ⸣ シケー [ʃi⸢binuʃi⸣tunti ⸣junakinu ⸢paː⸣ kḁ⸢kai⸣ ʃi̥keː] (尻を拭こうとユウナの葉を捥いである)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ベー⸣ ア⸢ライティ⸣ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸢ヌシ⸣ティ [ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢beː⸣ ʔa⸢raiti⸣ jaː⸢rama⸣ʃi ⸢nuʃi̥⸣ti] (子供のお尻は洗ってから柔らかくそっと拭いてやれ<拭け>)。 8322 0 2 7890 htmvoc_8322.wav シビヌシトゥン シ⸢ビ ヌシ⸣トゥン [ʃi⸢bi nuʃi̥⸣tuŋ] 連 {Mn_2}責任をとる。後始末する。 ⸢ドゥー⸣ヌ シ⸢ベー⸣ ドゥーシル ⸢ヌシ⸣トゥ [⸢duː⸣nu ʃi⸢beː⸣ duːʃiru ⸢nuʃi̥⸣tu] (自分の尻は自分で<ぞ>拭う{EOS}転じて、己が蒔いた種の後始末は己がする<自分が責任をとる>の意味{EOS}諺) 8323 0 0 7891 htmvoc_8323.wav シビヌミー シ⸢ビヌ⸣ ミー [ʃi⸢binu⸣ miː] 連 肛門。「尻の穴」の義。 シ⸢ビ コー⸣リティ ⸣ッソー シ⸢ビヌ⸣ ミーナ カ⸢タマリ ベー [ʃi⸢bi koː⸣riti ⸣ssoː ʃi⸢binu⸣ miːna kḁ⸢tamari beː] (便秘して便が肛門にかたまっている)。 ⸢ジー⸣ カ⸢カ⸣ルカー シ⸢ビヌ⸣ ミーラ ⸢シー⸣ パルン [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢ka⸣rukaː ʃi⸢binu⸣ miːra ⸢ʃiː⸣ paruŋ] (痔に罹ると肛門から血がでる<流れる>)。 シ⸢ビヌ⸣ ミーラ ⸢ナイシキョー⸣バ イ⸢リティ ダイチョー⸣ヌ ⸢キン⸣サ ⸢ソーッ⸣タ [ʃi⸢binu⸣ miːra ⸢naiʃi⸣kjoː ʔi⸢riti daiʧoː⸣nu kin⸣sa ⸢soːt⸣ta] (肛門から内視鏡を挿入して大腸の検査をされた) 8325 0 0 7892 htmvoc_8325.wav シビネーン シ⸢ビネー⸣ン [ʃi⸢bineː⸣ŋ] 形 弾力性があって噛み切れないさま。ゴムのように弾力性があって噛み切れない状態。烏賊や蛸のように柔らかいが弾力性があって咀嚼しにくい。 ⸣タコー シ⸢ビネー⸣ヌ ⸢ウイプスン⸣マー カ⸢マラ⸣ヌ [⸣takoː ʃi⸢bineː⸣nu ⸢ʔuipusum⸣maː ka⸢mara⸣nu] (蛸は弾力性があって噛み切れないので、年寄りには食べられない<噛めない>)。 イッ⸢ケナ⸣ シ⸢ビネー⸣ンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナン⸣ゾー シ⸢ビネーナー⸣ヌ [⸣takaː ʃi⸢bineː⸣nti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢nan⸣ʣoː ʃi⸢bineːnaː⸣nu] (蛸は弾力性があって噛み切れないと思ったが、そんなに弾力性があって噛みきれないほどではない)。 シ⸢ビネー⸣ ナルン [ʃi⸢bineː⸣ naruŋ] (弾力性があって噛み切れなくなる)。 シ⸢ビネー⸣ ムヌ [ʃi⸢bineː⸣ munu] (弾力性があって噛み切れないもの)。 シ⸢ビネー⸣カー カ⸢マラ⸣ヌ [ʃi⸢bineː⸣kaː ka⸢mara⸣nu] (弾力性があって噛めないなら食べられない<噛まれない>) 8330 0 0 7893 htmvoc_8330.wav シビフガスン シ⸢ビ⸣ フ⸢ガスン [ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢gasuŋ] 連 穴をあける。経理に穴をあける。 ⸣アイニ タ⸢タッ⸣クカー ⸢ウーキ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ フ⸢ガスン⸣ダー [⸣ʔaini tḁ⸢tak⸣kukaː ⸢ʔuːki⸣nu ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢gasun⸣daː] (あんなに叩くと桶の底を抜かせる<底に穴をあける>よ) 8328 0 0 7894 htmvoc_8328.wav シビフギ シ⸢ビフギ [ʃi⸢biɸugi] 名 底抜け。底<尻>に穴があくこと。経理がきちんとせず、穴をあけること。フ⸢ギ[ɸu⸢gi]はフ⸢ギルン[ɸu⸢giruŋ](穴があく{EOS}⸢Fogue、uru、eta.ホゲ、グル、ゲタ<穴があく>『邦訳日葡辞書』」の転訛)の連用形から転成した名詞。 シ⸢ビフギワザバ⸣ カー⸢ニ シー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ マイ⸢ユーザラヌ [ʃi⸢biɸugiwaʣaba⸣ kaː⸢ni ʃiː⸣ mut⸢tu⸣ mai ⸢juːʣaranu] (雑な経理の底抜けの仕事だけして、ちっとも前進できない) 8329 0 0 7895 htmvoc_8329.wav シビフギバーキ シ⸢ビフギバーキ [ʃi⸢biɸugibaːki] 名 底の抜けた竹笊。 シ⸢ビフギバーキ⸣ナーヤ ⸣ムノー タ⸢ミララヌ [ʃi⸢biɸugibaːki⸣naːja ⸣munoː ta⸢miraranu] (底穴の抜けた竹笊にはものはためられない)。 ⸢モーキゾー⸣ジ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ト⸢ジヌ⸣ シ⸢ビフギバーキ⸣ ヤ⸢ルンダ ジン⸣マー タ⸢ミユーサヌ [⸢moːkiʣoː⸣ʤi ja⸢rundu⸣ tu⸢ʤinu⸣ ʃi⸢biɸugibaːki⸣ ja⸢runda ʤim⸣maː ta⸢maranu] (儲け上手であるが、妻が底抜け笊だからお金を貯めることができない) 8331 0 1 7896 htmvoc_8331.wav シビフギルン シ⸢ビ⸣ フ⸢ギルン [ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢giruŋ] 連 {Mn_1}底が抜ける。尻に穴があく。 ヤ⸢ナアシゥカイ スー⸣カー ⸢ウーキ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ フ⸢ギルン⸣ティ⸢ダー [ja⸢naʔasïkai suː⸣kaː ⸢ʔuːki⸣nu ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢girun⸣ti⸢daː] (手荒な扱いをすると桶の底が抜けてしまうそうだ)。 8331 0 2 7897 htmvoc_8331.wav シビフギルン シ⸢ビ⸣ フ⸢ギルン [ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢giruŋ] 連 {Mn_2}経理に穴があく。 ⸣アイニ サ⸢カナヤー ッふァイ スー⸣カー カ⸢ツシンマー⸣ シ⸢ビ⸣ フ⸢ギルン⸠ダー [⸣ʔaini sa⸢kanajaː ffai suː⸣kaː kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢girun⸠daː] (あんなに料亭の飲み食いをするとカツオ漁業の経理に穴があくぞ) 8332 0 0 7898 htmvoc_8332.wav シビフグン シ⸢ビ⸣ フ⸢グン [ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢guŋ] 連 底が抜ける。尻に穴があく。 ⸢ウーキ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ フ⸢ギティ⸣ シゥ⸢カーラヌ [⸢ʔuːki⸣nu ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢giti⸣ sï̥⸢kaːranu] (桶の尻が抜けて<桶の底に穴があいて>使えない) 8333 0 1 7899 htmvoc_8333.wav シビフチ シ⸢ビフチ [ʃi⸢biɸuʧi] 名 {Mn_1}前後。後先。「尻口」の義。 ブ⸢ガリ⸣シキティ ⸣ユベー シ⸢ビフチ⸣ ッ⸢サン⸣ケン ニ⸢ビターリ ベー⸣タ [bu⸢gari⸣ʃi̥kiti ⸣jubeː ʃi⸢biɸuʧi⸣ s⸢saŋ⸣ken ni⸢bitaːri beː⸣ta] (疲れきって昨夜は前後不覚になる<正体を失う>ほど熟睡して<眠り戯れて>いた)。 8333 0 2 7900 htmvoc_8333.wav シビフチ シ⸢ビフチ [ʃi⸢biɸuʧi] 名 {Mn_2}つじつま(辻褄)。筋道。 シ⸢ビフチ アーシ⸣ル ⸣ムネー イ⸢ズ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ʃi⸢biɸu̥ʧi ʔaːʃi⸣ru ⸣muneː ʔi⸢ʣu⸣ nuːja ʔu⸢reː] (筋道を立てて<尻口合わせて{EOS}辻褄を合わせて><ぞ>話す<ものは言う>ものだ{EOS}何事だね、そのざまは) 8334 0 0 7901 htmvoc_8334.wav シビフチッサヌ シ⸢ビフチ⸣ ッ⸢サヌ [ʃi⸢biɸuʧi⸣ s⸢sanu] 連 前後不覚である。正体を失う。前後を弁えない。「尻口知らぬ」の義。 ⸣ビータルンケン サ⸢キ⸣ ヌ⸣ミティ シ⸢ビフチ⸣ ッ⸢サヌ [⸣biːtaruŋken sḁ⸢ki⸣ numiti ʃi⸢biɸuʧi⸣ s⸢sanu] (酔い潰れるほど酒を飲んで前後が分からない<前後不覚である{EOS}全く記憶に残っていない>) 8335 0 1 7902 htmvoc_8335.wav シビブニ シ⸢ビブニ [ʃi⸢bibuni] 名 {Mn_1}尾てい骨。「尻骨」の義。 ナ⸢ブッ⸣タリ ク⸢ルビティル⸣ シ⸢ビブニバ⸣ シ⸢タ⸣タカ ⸣ウティティ ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーティバン [na⸢but⸣tari ku⸢rubitiru⸣ ʃi⸢bibuniba⸣ ʃi̥⸢ta⸣taka ⸣ʔutiti ja⸢ma⸣ʃi ʃi̥keːtibaŋ] (すべって転んで、尾てい骨をしたたかに打って痛めて<病まして>おいてあるそうだわい)。 8335 0 2 7903 htmvoc_8335.wav シビブニ シ⸢ビブニ [ʃi⸢bibuni] 名 {Mn_2}凧の底骨。 ピ⸢キダマヌ⸣ ブーブブネー シ⸢ビブネー⸣ラ ⸢マイ⸣ヤン ⸣アリ ナ⸢ガー⸣ン ⸣アン [pi̥⸢kidamanu⸣ buːbubuneː ʃi⸢bibuneː⸣ra ⸢mai⸣jaŋ ⸣ʔari na⸢gaː⸣ŋ ⸣ʔaŋ] (凧の頭骨<鳴り骨>は尻骨より大きくもあり、長くもある) 8336 0 0 7904 htmvoc_8336.wav シビマチバーリ シ⸢ビマチバーリ [ʃi⸢bimaʧibaːri] 名 尻追い。後追い。「尻まつわり」の義。マ⸢チバーリ[ma⸢ʧibaːri]は、「~藤浪の思纏<おもひまつはり>~『万葉集 3248』」、「絡.縛.累、マツフ『類聚名義抄』」の転訛。 ヤ⸢ラ⸣ビン シ⸢ビマチバーリ⸣<シ⸢ビオーリ> シ⸢ラリティ⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣biŋ ʃi⸢bimaʧibaːri⸣<ʃi⸢bioːri> ʃi⸢rariti⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (子供に後追い<尻まつわり>されて、何も仕事は出来ない) 8337 0 0 7905 htmvoc_8337.wav シビヤカリアミツァ シ⸢ビヤカリ⸣アミツァ [ʃi⸢bijaka⸣riʔamiʦa] 名 ⸢尻焼かれヤドカリ」の義。殻の尻を焼かれるとヤドカリは急いで外へ丸裸で這い出すことから、始終借家を繰り返している者を揶揄していう表現。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ヤー ス⸢ク⸣ルンテー サ⸢ムティ⸣ シ⸢ビヤカリ⸣アミツァトゥ  ユ⸢ヌ⸣ムヌ ⸢ピーズ⸣ ヤー カ⸢リバ⸣ シ⸢グトゥ シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸢duː⸣nu ⸣jaː su̥⸢ku⸣runteː sa⸢muti⸣ ʃi⸢bijakari⸣ʔamiʦatu ju⸢nu⸣munu ⸢piːʣu⸣ jaː ka⸢riba⸣ ʃi⸢gutu ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (自分の家を造ろうとはせずに、尻焼かれヤドカリと同様、始終家を借りることを仕事にしているよ) 8338 0 0 7906 htmvoc_8338.wav シビラ シ⸢ビラ [ʃi⸢bira] 名 (植)野菜の名。ネギ。ワケギ(分葱)。柔らかく独特の芳香があり、魚の臭みを消す野菜としても利用された。短期日で成長するので、野菜不足の夏場には同じ株から何度も刈り取って調理に利用した。香味料や刺身の妻に利用される。 シ⸢ビラー⸣ スリ ⸣キー ⸢スー⸣ヌ ⸢オーンガキ シー⸣バ [ʃi⸢biraː⸣ suri ⸣kiː ⸢suː⸣nu ⸢ʔoːŋgaki ʃiː⸣ba] (ワケギ<分葱>を刈り取ってきて、お汁の香味料<つま{EOS}あしらい>にしなさい) 8342 0 0 7907 htmvoc_8342.wav シビラシフチル シ⸢ビラシフチル [ʃi⸢biraʃiɸu̥ʧiru] 名 腫れ物に貼る薬。腫れをひかせる薬。吸出し膏薬。 シ⸢ビラシフチルバ⸣ ア⸢シ⸣ブナ パ⸢リ⸣ スクカー ピ⸢クン⸠ダー [ʃi⸢biraʃiɸuʧiruba⸣ ʔa⸢ʃi⸣buna pa⸢ri⸣su̥kukaː pi̥⸢kun⸠daː] (吸出し膏薬を出来物に貼っておくと腫れが引くよ) 8343 0 0 7908 htmvoc_8343.wav シビラシムヌ シ⸢ビラシムヌ [ʃi⸢biraʃimunu] 名 おしゃぶり。乳児にしゃぶらせるもの。 パ⸢トゥ⸣マナテー ガ⸢シタク⸣ヌ ⸢テイー⸣ヌ ⸢カー⸣バ ⸣パギティル シ⸢ビラシムヌ ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manateː ga⸢ʃitaku⸣nu ⸢tiː⸣nu ⸢kaː⸣ba ⸣pagitiru ʃi⸢biraʃimunu soːt⸣ta] (鳩間島では、燻製蛸の手の皮を剥いで<その中身を>おしゃぶりにされた) 8339 0 0 7909 htmvoc_8339.wav シビラスン シ⸢ビラスン [ʃi⸢birasuŋ] 他動 しゃぶらせる。シ⸢ビルン[ʃi⸢biruŋ](しゃぶる)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](せる)が付いて形成された使役動詞。 ガ⸢シタク⸣ヌ ⸣ティー シ⸢ビラスン [ga⸢ʃitaku⸣nu ⸣tiː ʃi⸢birasuŋ] (焙乾<燻製>した蛸の手をしゃぶらせる)。 マ⸢ナ⸣マー シ⸢ビラサヌ [ma⸢na⸣maː ʃi⸢birasanu] (今はしゃぶらせない)。 イッ⸢ケナ⸣ シ⸢ビラシ⸣ プサン⸢ツォー [ʔik⸢kena⸣ ʃi⸢biraʃi⸣ pu̥san⸢ʦoː] (非常にしゃぶらせたいよ)。 シ⸢ビラス⸣ クトゥ [ʃi⸢birasu⸣ ku̥tu] (しゃぶらせること)。 シ⸢ビラシェー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢biraʃeː⸣ misamunu] (しゃぶらせたらいいのに) 8087 0 1 7910 htmvoc_8087.wav シビルン シ⸢ビルン [ʃi⸢biruŋ] 自動 {Mn_1}しなびる(萎びる)。しぼむ(萎む)。しおれる。「言繁み~雪爾之乎礼て『万葉集 4282』」の転訛。 ⸢ナーヌパー⸣ヤ ⸣ティダナー ⸣プスカー シ⸢ビルンダ⸣ シ⸢ビラン⸣ ヨーニ ミ⸢ジ⸣ カキ ⸣シキ [⸢naːnupaː⸣ja ⸣tidanaː ⸣pu̥sukaː ʃi⸢birunda⸣ ʃi⸢biraɲ⸣ joːni mi⸢ʤi⸣ kaki ⸣ʃi̥ki] (菜っ葉は日に干したら萎れるから、萎れないように水を遣って<かけて>おけ)。 シ⸢ビル⸣ ムヌ [ʃi⸢biru⸣ munu] (萎れるもの)。 シ⸢ビレー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢bireː⸣ misamunu] (萎れたらよいのに)。 ⸢ウン⸣ヌン ⸢ダイ⸣クニン ⸣ティダナ プ⸢サ⸣リティ シ⸢ビリ ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣nun ⸢dai⸣kunin ⸣tidana pu̥⸢sa⸣riti ʃi⸢biri naː⸣nu] (芋も大根も太陽に干されて\ruby{萎}{シナ}びてしまった)。 ⸣ティダナ ⸣プスカー ⸣プスイシン シ⸢ビルン⸣ティ シ⸢タヌ⸣ シ⸢ビランバ⸣ シ⸢ビル ムノー⸣ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリ [⸣tidana ⸣pu̥sukaː ⸣pu̥suiʃiŋ ʃi⸢birun⸣ti ʃi̥⸢tanu⸣ ʃi⸢biramba⸣ ʃi⸢biru munoː⸣ ʔi⸢ra⸣bi ⸣turi] (日に干したら一日でも萎びるといったが萎びないから、萎びるものは選んで取れ)。 ムー⸢ル⸣ シ⸢ビリ [muː⸢ru⸣ ʃi⸢biri] (全部萎れろ<萎れれ>)。 8087 0 2 7911 htmvoc_8087.wav シビルン シ⸢ビルン [ʃi⸢biruŋ] 自動 {Mn_2}おでき(御出来)、腫れ物などの腫れがひく。しぼむ(萎む)。 ア⸢シ⸣ボー ⸢パー⸣ク シ⸢ビレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢paː⸣ku ʃi⸢bireː⸣ misamunu] (御出来の腫れは早くひけば<早く萎びれば>良いのに)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ビリ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢biri] (もっと腫れがひけ<\ruby{萎}{シボ}め>) 8341 0 0 7912 htmvoc_8341.wav シビルン シ⸢ビルン [ʃi⸢biruŋ] 自動 しびれる(痺れる)。麻痺する。 ピ⸢ダリティー⸣ヤ シ⸢ビリティ⸣ ムヌン カ⸢サミユーサヌ [pi⸢daritiː⸣ja ʃi⸢biriti⸣ munuŋ kḁ⸢samijuːsanu] (左手が\ruby{痺}{シビ}れて物を掴むことが出来ない)。 シ⸢ビル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢biru⸣ kuu̥toː ⸢naː⸣nu] (痺れることはない)。 シ⸢ビラヌ [ʃi⸢biranu] (痺れない)。 ⸢デン⸣キナ シゥ⸢カットゥ⸣カー ⸢ティー⸣ヤ シ⸢ビルン⸠ダー [⸢deŋ⸣kina sï̥kattu⸣kaː ⸢tiː⸣ja ʃi⸢birun⸠daː] (電気に触れると手は痺れるよ) 8344 0 0 7913 htmvoc_8344.wav シビルン シ⸢ビルン [ʃi⸢biruŋ] 他動 しゃぶる。なめる。ねぶる(\ruby{舐}{ナメ}る)。口の中に入れて嘗める。乳児が口で嘗めながら強く吸う。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ティー⸣ヌ ⸣ウビ シ⸢ビルンダ⸣ シ⸢ビリ ヤッ⸣サ ム⸢ヌ⸣バ ム⸢タ⸣シティ ⸢ティー⸣ヌ ⸣ウビ シ⸢ビランサン⸣ヨーニ ⸢シー⸣バ [ja⸢ra⸣beː ⸢tiː⸣nu ⸣ʔubi ʃi⸢birunda⸣ ʃi⸢birijas⸣sa mu⸢nu⸣ba mu⸢ta⸣ʃi̥ti ⸢tiː⸣nu ⸣ʔubi ʃi⸢birasaɲ⸣joːni ⸢ʃiː⸣ba] (子供は指をしゃぶるから、しゃぶり易いものを持たせて、指をしゃぶらないようにさせなさい)。 ⸣ティー シ⸢ビル⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ [⸣tiː ʃi⸢biru⸣ ja⸢ra⸣bi] (手をしゃぶる子供)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ビレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢bireː⸣ misamunu] (もっとしゃぶれば良いのに)。 ⸣ティー シ⸢ビリ [⸣tiː ʃi⸢biri] (手をしゃぶれ) 8346 0 0 7914 htmvoc_8346.wav シビンダティニビ シ⸢ビンダティニビ [ʃi⸢bindatinibi] 名 ⸢尻立て眠り」の義。幼児が尻を立てて、うつ伏せになって寝ること。 シ⸢ビンダティニビ⸣ シ⸢ムンドー⸣シ ウ⸢ツァバナカ⸣シ ニ⸢バシ⸣バ [ʃi⸢bindatinibi⸣ ʃi⸢mundoː⸣ʃi ʔu⸢ʦabanaka⸣ʃi ni⸢baʃi⸣ba] (尻を立てて寝かさないで、仰向けにして寝かせなさい) 8345 0 0 7915 htmvoc_8345.wav シビンダティビリ シ⸢ビンダティビリ [ʃi⸢bindatibiri] 名 しゃがむこと。かがむこと。\ruby{蹲踞}{ソン|キョ}。「尻立て座り」の義。股を開き、膝を折って深く腰を下ろし、尻が地面に着かない程度にしゃがむ座り方。シ⸢ビシゥカイビリ[ʃi⸢bisi̥kaibiri](片膝を立て、片膝を折って尻を支える座り方)より安定性のある座り方。 シ⸢ビンダティビリ シーベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸢ハイッティ⸣ タティ キ⸢ラリ⸣タン [ʃi⸢bindatibiri ʃiːbeː⸣ta ⸢beː⸣ti ⸢haitti⸣ tḁti ki⸢rari⸣taŋ] (\ruby{蹲踞}{ソン|キョ}していたので、さっと立ち上がって来られたよ) 8347 0 0 7916 htmvoc_8347.wav シブイツァ シ⸢ブイツァ [ʃi⸢buʔiʦa] 名 四分板。厚さ四分の板。 ⸢ナーブ⸣コー ⸢ゴー⸣ラー シ⸢ブイツァ⸣シル ス⸢クラ⸣リ ブ⸢タ⸠ダー [⸢naːbu⸣koː ⸢goː⸣raː ʃi⸢buʔiʦa⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri bu⸢ta⸠daː] (漁師の縄箱は、多くは四分板で作られていたよ) 8348 0 0 7917 htmvoc_8348.wav シブク シ⸢ブク [ʃi⸢buku] 名 釣竿。「つりほこ(釣り矛)」の転訛したものか。ク⸢サンダキ[ku̥⸢sandaki](ホテイチク)という竹が、釣竿に適していることから、ホテイチクをシ⸢ブクダキ[ʃi⸢bukudaki](釣り竿竹{EOS}ホテイチク)ともいう。西表島北岸の鳩間村の水田地帯に密生していた。 ク⸢サンダキ⸣シ シ⸢ブク⸣ ス⸢ク⸣リティ ム⸢チイズ ホー⸣シン ⸣パラ [ku̥⸢sandaki⸣ʃi ʃi⸢buku⸣ su̥⸢ku⸣riti mu⸢ʧiʔiʣu hoː⸣ʃim ⸣para] (ホテイチクで釣竿を作ってノコギリダイを釣りに行こう) 8349 0 0 7918 htmvoc_8349.wav ジブク ジ⸢ブ⸣ク [ʤi⸢bu⸣ku] 名 重箱。ル⸢クシンジブ⸣ク[ru⸢kuʃinʤibu⸣ku](六寸角の重箱)、⸢ハッシンジブ⸣ク[⸢haʃʃinʤibu⸣ku](八寸角の重箱)などがあった。紅白の餅を詰めて神前や仏前、ウ⸢サンギソッコー[ʔu⸢saŋgisokkoː](三十三年忌など)に供えたり、煮物や揚げ物、蒲鉾などを詰めて供えるのに用いた。 ム⸢チン⸣ カ⸢マブクン⸣ ジ⸢ブ⸣クナー ⸣シミティ マ⸢チ⸣バ [mu⸢ʧiŋ⸣ ka⸢mabukun⸣ ʤi⸢bu⸣kunaː ⸣ʃimiti ma⸢ʧi⸣ba] (餅もカマボコも重箱に詰めて供え<祀り>なさいよ) 8350 0 0 7919 htmvoc_8350.wav シブクダキ シ⸢ブクダキ [ʃi⸢bukudaki] 名 (植)釣り竿竹。釣り竿用の竹。杖にも利用される。ホテイチク(布袋竹)のこと。シ⸢ブク[ʃi⸢buku](釣竿)は「釣り矛」の義『石垣方言辞典』といいう説がある。 シ⸢ブクダケー パイタ⸣ヌ ⸢ター⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー ⸢イッ⸣パイ ⸣ムイ ⸢ブタン [ʃi⸢bukudakeː paita⸣nu ⸢taː⸣nu ⸢ʔui⸣naː ⸢ʔip⸣pai ⸣mui ⸢butaŋ] (ホテイチク<釣竿竹>は西表島の田圃の上にたくさん生えていた) 8351 0 0 7920 htmvoc_8351.wav シブター シ⸢ブ⸣ター [ʃi⸢bu⸣taː] 名 (動)魚の名。和名、ソウダガツオ(体長約35センチ)。マグロの幼魚か。カツオ漁船ではあまり重視されなかった。 シ⸢ブ⸣タシェー カ⸢ツブシェー⸣ ス⸢クララ⸣ヌ [ʃi⸢bu⸣taʃeː kḁ⸢ʦubuʃeː⸣ su̥⸢kurara⸣nu] (シブタ<ソウダガツオ>では、鰹節は作られない) 8352 0 0 7921 htmvoc_8352.wav シブムン シ⸢ブムン [ʃi⸢bumuŋ] 自動 しぼむ(萎む)。縮まる。開いていたものがつぼむ。「萎、シワム、ナユ、シボム」『類聚名義抄』の転訛したもの。シ⸢ビルンとも言う。 フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーリ⸣ スクカー ア⸢シ⸣ボー シ⸢ブムン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːri⸣ su̥kukaː ʔa⸢ʃi⸣boː ʃi⸢bumuŋ] (薬を塗っておくとおでき<御出来>は萎む)。 ⸢ピッ⸣チン シ⸢ブマヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ʃi⸢bumanu] (ちっとも萎まない)。 キ⸢サーティ⸣ シ⸢ブメー⸣ン [ki̥⸢saːti⸣ ʃi⸢bumeː⸣ŋ] (すでに萎んだ)。 ア⸢シ⸣ボー シ⸢ブミ ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʃi⸣boː ʃi⸢bumi naː⸣nu] (御出来は萎んでしまった)。 シ⸢ブム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢bumu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (萎むことはない)。 シ⸢ブメー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢bumeː⸣ misamunu] (萎めば良いのに)。 シ⸢ブミ [ʃi⸢bumi] (萎め) 8353 0 0 7922 htmvoc_8353.wav シブル シ⸢ブル [ʃi⸢buru] 名 (植)冬瓜。「しぶい 冬瓜のこと。『しろぶり』(白瓜)の転訛」『琉球古語辞典 混効験集の研究』とある。「ふり<瓜>を乞はば器物<うつはもの>をまうけよ~」『大鏡』とある。従って「しろ・ふり」が、[ʃiro・ɸuri] → [ʃiruwui] → [ʃʃibui] → [ʃibui](首里方言)と音韻変化する過程(ハ行転呼音のb音化)で、鳩間方言は、[ʃiru・ɸuri] → [ʃiruwurï] → [ssuburïː] <逆行同化> → [sïburï] → [ʃiburu] <中舌母音の弱化による>(鳩間方言)の変化過程を経たものであろう。シ⸢ブルパタキ[si⸢burupataki](冬瓜畑)は、畑を耕した後、植えつける所を約50センチ間隔に穴を掘り、シ⸢キゴイ[ʃi̥⸢kigoi](堆肥)を入れて土を被せ、その上に苗を⸣ヤトゥーン[⸣jatuːŋ](移植)した。果実は収穫して⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)や、母屋のユ⸢クンツァ⸣メー[ju⸢kunʦa⸣meː](床下)に敷き藁を敷き、その上に置いて保管した。 シ⸢ブルヌ カー⸣ヤ ⸣パギティ ⸣バタン ⸣トゥリティ イ⸢ズトゥ⸣ ン⸢ブ⸣シバ [ʃi⸢burunu kaː⸣ja ⸣pagiti ⸣batan ⸣turiti ʔi⸢ʣutu⸣ ʔm⸢bu⸣ʃiba] (冬瓜の皮を剥いで、なかご<中子>も取り去って魚と一緒に蒸し煮しなさい) 8354 0 0 7923 htmvoc_8354.wav ジブン ジ⸢ブン [ʤi⸢buŋ] 名 時分。とき。時刻。ほどよい時刻<潮時>。好機。頃。 ⸢エン⸣ヌ マ⸢ナ⸣マ ⸣ジブンマー ⸣マーッふァン ダ⸢カリン⸣ギサン [⸢jen⸣nu ma⸢na⸣ma ⸣ʤibummaː ⸣maːffan da⸢kariŋ⸣gisaŋ] (来年の今頃は孫も抱かれそうだ)。 ⸣メー ジ⸢ブン⸣ ナ⸢リ⸣ブバ イ⸢ソースコール シー⸣ イ⸢ソー⸣ パラ [⸣meː ʤi⸢bun⸣ na⸢ri⸣buba ʔi⸢soːsu̥koːru ʃiː⸣ ʔi⸢soː⸣ para] (もう、ちょうどいい時刻<潮時>だから潮干狩りの準備をして潮干狩りをしに行こう)。 ⸣ドゥー ム⸢ティ⸣ジブン ナ⸢リ⸣ブバ ⸢パー⸣ク パ⸢ラ⸣シ [⸣duː mu⸢ti⸣ʤibun na⸢ri⸣buba ⸢paː⸣ku pa⸢ra⸣ʃi] (結婚適齢期<嫁ぐ時期>になっているから、早く嫁がせ<行かせ>) 8290 0 0 7924 htmvoc_8290.wav シベーウイナルン シ⸢ベー ウイ⸣ ナルン [ʃi⸢beː ʔui⸣ naruŋ] 連 物事の序列が逆になる。物ごとが逆さまになる。「尻の方が上になる」の義。 ッ⸢ふァバ⸣ カ⸢ミ⸣ザーナ ビ⸢サス⸣カー シ⸢ベー ウイ⸣ナリティ ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢faba⸣ ka⸢mi⸣ʣaːna bi⸢sasu⸣kaː ʃi⸢beː ʔui⸣ nariti ⸢daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (子供を親よりも上座に座らせると序列が逆転して宜しくない) 8355 0 0 7925 htmvoc_8355.wav シベーウイナルン シ⸢ベー ウイ⸣ナルン [ʃi⸢beː ʔui⸣naruŋ] 連 逆になる。逆さまになる。本末転倒する。「尻が上になる」の義。 ⸢ワー⸣ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢ベ ウイ⸣ ナ⸢リ⸣ル ⸢ブーユンダ⸣ ッ⸢ソーラ⸣ヌ ギャン⸢ティ⸣ ミ⸢チェー⸣ フ⸢マシ⸣ アジ ッ⸢サリリ [⸢waː⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi⸢beː ʔui⸣ na⸢ri⸣ru ⸢buːjunda⸣ s⸢soːra⸣nu gjan⸢ti⸣ mi⸢ʧeː⸣ ɸu⸢maʃi⸣ ʔaʤi s⸢sariri] (君の話は逆になっているから、ご理解いただけ<お分かりになれ>ない{EOS}きっちりと筋道をたてて<道理を踏まえて>申し上げなさい) 8324 0 0 7926 htmvoc_8324.wav シベーナーヌ シ⸢ベー ナー⸣ヌ [ʃi⸢beː naː⸣nu] 連 後始末がない。後片付けがない。事後処理がない。「尻がない」の義。 シ⸢ベー ナーン⸣ プス ヤ⸢ルンダ ピッ⸣チン カ⸢タジキラ⸣ヌ [ʃi⸢beː naːm⸣ pu̥⸢su⸣ ja⸢runda pit⸣ʧiŋ ka⸢taʤikira⸣nu] (後始末をしない人だから、ちっとも後片付けをしない)。「尻がない」の義。 ウ⸢レー⸣ シ⸢ベー ナーン⸣プス ヤ⸢ルムヌ⸣ ア⸢トゥ⸣ヌ シ⸢マチェー タール⸣ シ⸢キル⸣ワ [ʔu⸢reː⸣ ʃi⸢beː naːm⸣pu̥su ja⸢rumunu⸣ ʔa⸢tu⸣nu ʃi⸢maʧeː taːru⸣ ʃi̥⸢kiru⸣wa] (その人は後始末のない人だのに、事後処理は誰がするのか) 8357 0 0 7927 htmvoc_8357.wav シベーナスン シ⸢ベー⸣ ナスン [ʃi⸢beː⸣ nasuŋ] 連 後回しにする。「尻になす」の義。 タ⸢ナマ⸣リカー プ⸢スヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ サ⸢キ⸣ ナシティ ⸢ドゥー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ シ⸢ベー⸣<⸣アトゥ> ナスン [ta⸢nama⸣rikaː pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢gutu⸣ sḁ⸢ki⸣ naʃi̥ti ⸢duː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢beː⸣<⸣ʔatu> nasuŋ] (頼まれたら他人の仕事を先にして、自分の仕事は後回しにする) 8358 0 0 7928 htmvoc_8358.wav シベーパウン シ⸢ベー⸣ パウン [ʃi⸢beː⸣ pauŋ] 連 失敗する。後退する。後\ruby{退}{ズサリ}りする。「後へ這う」の転訛したもの。シ⸢ベー[ʃi⸢beː](後へ)の義。「父母が殿の志利敝乃~。万、4326」の転訛したもの。 ⸢シーミラ⸣ン シ⸢グトゥ スー⸣カー シ⸢ベー⸣ パウンティル ア⸢ザリ ブー [⸢ʃiːmira⸣ŋ ʃi⸢gutu suː⸣kaː ʃi⸢beː⸣ pauntiru ʔa⸢ʣari buː] (未経験の<したこと無い>仕事をすると失敗すると<尻へ\ruby{這}{ハ}う>言われている) 8359 0 0 7929 htmvoc_8359.wav シベーピーチ シ⸢ベー ピー⸣チ [ʃi⸢beː piː⸣ʧi] 連 尻は一つ。同じ穴のむじな(狢)。二人は繋がっている。多くは良くない事に関していう。 ⸢ウッ⸣ツァー シ⸢ベー ピー⸣チ ナ⸢リ⸣ブンダ ⸣ムネー イ⸢ザンモー⸣ マ⸢シ⸣ダー [⸢ʔut⸣ʦaː ʃi⸢beː piː⸣ʧi na⸢ri⸣bunda ⸣muneː ʔi⸢ʣammoː⸣ ma⸢ʃi⸣daː] (彼らは尻は一つ<同じ穴の狢>だから、ものは言わない方が良いよ) 8360 0 0 7930 htmvoc_8360.wav シベーフジルン シ⸢ベー⸣ フ⸢ジ⸣ルン [ʃi⸢beː⸣ ɸu⸢ʤi⸣ruŋ] 連 後ろへ退く。しそこなうこと。しくじって退却する。失敗して後退する。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ⸢カイ⸣テー シ⸢ベール⸣ フ⸢ジ⸣ル [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ⸢kai⸣teː ʃi⸢beːru⸣ ɸu⸢ʤi⸣ru] (あんなことをすると、逆に<却って>失敗して敗退することになる)。 シ⸢ベー⸣ フ⸢ジ⸣ルン⸢ダー [ʃi⸢beː⸣ ɸu⸢ʤi⸣run⸢daː] (しくじって退却するぞ) 8361 0 0 7931 htmvoc_8361.wav シベーヤリウテーン シ⸢ベー⸣ ヤリウテーン [ʃi⸢beː⸣ jariʔuteːŋ] 連 尻は破れ落ちた。勢いよく屁が破裂放出する時に用いる表現。大きく破裂放出する屁は臭気を伴わないが、爆笑を誘う。この種の屁は男性に多い。女性の屁は無音で臭気を伴うことがあるので、子供たちがその責任を負わされて笑いを誘った。 アガイ⸢ヤー ワー⸣ シ⸢ベー⸣ ヤリウテーン⸢ナー [ʔagai⸢jaː waː⸣ ʃi⸢beː⸣ jariʔuteːn⸢naː] (まあ大変{EOS!}君のお尻は破れ落ちたねえ) 8362 0 0 7932 htmvoc_8362.wav シホーハッポー ⸣シホーハッポー [⸣ʃihoːhappoː] 名 四方八方。周囲。標準語からの借用語。普通は、⸢マール[⸢maːru](回り{EOS}周囲)という。 ⸢ピンギ⸣ウシェー ⸣シホーハッポーラ ⸢ウイマーシティ⸣ マ⸢キヌ⸣ ナ⸢カー ペーラシ⸣タ [⸢piŋgi⸣ʔuʃeː ⸣ʃihoːhappoːra ⸢ʔuimaːʃeː⸣ti ma⸢kinu⸣ na⸢kaː peːraʃi⸣ta] (逃げた牛は四方八方から追い回して牧場の中へ入れた) 8363 0 0 7933 htmvoc_8363.wav シボーン シ⸢ボー⸣ン [ʃi⸢boː⸣ŋ] 形 渋い。(若年層のことば)。未熟な果実を食べた時に舌を刺激するような味がする。老年層は、ス⸢ボー⸣ン[su⸢boː⸣ŋ](渋い)という。 ナ⸢マバン⸣スロー フ⸢チ⸣ シ⸢ボー⸣ン [na⸢maban⸣suroː ɸu̥⸢ʧi⸣ ʃi⸢boː⸣ŋ] (未熟な蕃石榴<生の蕃石榴>は渋い) 8364 0 1 7934 htmvoc_8364.wav シマ ⸣シマ [⸣ʃima] 名 {Mn_1}島。「をちこちの嶋者雖多<島は多けど>~『万葉集 220』」の義。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸣シマー ⸢カンダカー⸣ル ⸣シマ [pḁ⸢tuma⸣nu ⸣ʃimaː ⸢kandakaː⸣ru ⸣ʃima] (鳩間の島は霊験あらたかな島だ)。 ⸢ベー⸣ シマー ⸢カンヌ⸣ シマ [⸢beː⸣ ʃimaː ⸢kannu⸣ ʃima] (我々<聞き手を含む>の島は神の島だ)。 8364 0 2 7935 htmvoc_8364.wav シマ ⸣シマ [⸣ʃima] 名 {Mn_2}村。郷里。部落。 ⸣シマムニ ⸢バシキル⸣カー ⸣シマ ⸢バシキルン⸣ シマ ⸢バシキル⸣カー ⸣ウヤ ⸢バシキルン [⸣ʃimamuni ⸢baʃi̥kiru⸣kaː ⸣ʃima ⸢baʃi̥kiruŋ⸣ ʃima ⸢baʃi̥kiru⸣kaː ⸣ʔuja ⸢baʃi̥kiruŋ] (方言<島言葉>を忘れたら郷里<島>を忘れる{EOS}郷里<島>を忘れたら親を忘れる)。 ⸢アンヌ⸣ シマ [⸢ʔannu⸣ ʃima] (東の島)。 ⸢インヌ⸣ シマ [⸢ʔinnu⸣ ʃima] (西の島)。 ⸢ウイヌ⸣ シマ [⸢ʔuinu⸣ ʃima] (上の島{EOS}石垣島より上の沖縄島{EOS}日本本土)。 プ⸢スシマ [pu̥⸢suʃima] (他島<他人の島>)。 ユ⸢スジマ [ju⸢suʤima] (他島<余所の島>)。 タ⸢シマ [tḁ⸢ʃima] (他の島) 8365 0 0 7936 htmvoc_8365.wav シマ ⸣シマ [⸣ʃima] 名 相撲。「角抵 今之相撲也。須末比<すまひ>『和名抄』」の義。[sumaɸi] → [sumawi] → [sumaji] → [ʃimaː] → [ʃima] の音韻変化を経たものであろう。二人が組み合って戦う沖縄相撲のこと。 フ⸢タール⸣シ ⸣シマ ⸣トゥリ ⸣ミラ [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸣ʃima ⸣turi ⸣mira] (二人で相撲を取ってみよう)。 8365 0 2 7937 htmvoc_8365.wav シマ ⸣シマ [⸣ʃima] 名 {Mn_2}翻弄されること。格闘すること。煩わされること。相手にすること。 ⸣プスイ ⸢ピーズ⸣ ヤ⸢ラビ⸣トゥ シ⸢マ⸣バ ⸣トゥリ ⸢ベー⸣タ [⸣pu̥sui ⸢piːʣu⸣ ja⸢rabi⸣tu ʃi⸢ma⸣ba ⸣turi ⸢beː⸣ta] (一日中、子供と相撲を取っていた<子供を相手に格闘していた{EOS}子守で苦労させられた>) 8366 0 0 7938 htmvoc_8366.wav シマ ⸣シマ [⸣ʃima] 名 織物の模様。縞模様。 ウ⸢レー キン⸣ヌ シ⸢マ⸣ヌ<ア⸢ヤ⸣ヌ> ⸢マイ⸣ヤンダ バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸣キン [ʔu⸢reː kin⸣nu ʃi⸢ma⸣nu<ʔa⸢ja⸣nu> ⸢mai⸣janda ba⸢kaː⸣mununu ⸣kiŋ] (それは着物の縞模様が大きいから若者の着物だ) 8367 0 0 7939 htmvoc_8367.wav シマー ⸣シマー [⸣ʃimaː] 名 横。⸣ナイ[⸣nai](縦)の対義語。 シ⸢マー⸣ニ ナ⸢ラビ [ʃi⸢maː⸣ni na⸢rabi] (横に並べ)。 ⸣ナイニン シ⸢マー⸣ニン キ⸢サ⸣リ ⸢ベー [⸣nainiŋ ʃi⸢maː⸣niŋ ki̥⸢sa⸣ri ⸢beː] (縦にも横にも切られている) 8377 0 0 7940 htmvoc_8377.wav シマーマ シ⸢マー⸣マ [ʃi⸢maː⸣ma] 名 小島。 パ⸢トゥ⸣マレー シ⸢マー⸣マ ヤ⸢ルヌ⸣ フ⸢ノーラ⸣ヌ ニ⸢シカジヌ⸣ カ⸢タ⸣カ ⸢シー ブー [pḁ⸢tu⸣mareː ʃi⸢maː⸣ma ja⸢runu⸣ ɸu⸢noːra⸣nu ni⸢ʃikaʤinu⸣ kḁ⸢ta⸣ka ⸢ʃiː buː] (鳩離島は小島だが船浦港の北風からの保護を<自然防波堤の役割を>している) 8378 0 0 7941 htmvoc_8378.wav シマイ シ⸢マイ [ʃi⸢mai] 名 終わり。仕舞い。終わること。 ⸢キュー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ウビシ シ⸢マイ [⸢kjuː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ ʔubiʃi ʃi⸢mai] (今日の仕事はこれで終わり) 8382 0 0 7942 htmvoc_8382.wav シマイカ シ⸢マイ⸣カ [ʃi⸢mai⸣ka] 名 すみか(住処)。「住まひ・か<処>」の義。「天離る鄙に伊都等世 周麻比都々~『万葉集 880』」の転訛したものか。 ク⸢ヌ⸣ トゥシ⸣ナリティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢ドゥー⸣ヌ シ⸢マイ⸣カティ ⸢スー ムヌン⸣ ア⸢ラサ⸣レーン [ku⸢nu⸣ tuʃi ⸣nariti jat⸢tu⸣ʃi ⸢duː⸣nu ʃi⸢mai⸣kati ⸢suː munuŋ⸣ ʔa⸢rasa⸣reːŋ] (この年になって、やっとで自分家屋<住み処>を持てた<有らされた>) 8379 0 0 7943 htmvoc_8379.wav シマイルン シ⸢マイルン [ʃi⸢mairuŋ] 他動 しまう(仕舞う)。終了させる。済ませる。片付ける。 ⸣キューズーナ シ⸢グトー⸣ シ⸢マイルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢マイララヌ [⸣kjuːʣuːna ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢mairunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʃi⸢mairaranu] (今日中に仕事を終了させようと思うが終了させられない)。 シ⸢マイル⸣ クトゥ [ʃi⸢mairu⸣ ku̥tu] (終了させること)。 ⸣キューズーナ シ⸢マイヤー⸣ ミサムヌ [⸣kjuːʣuːna ʃi⸢maijaː⸣ misamunu] (今日中に終えればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ キューズーナ シ⸢マイリ [jaː⸢diŋ⸣ kjuːʣuːna ʃi⸢mairi] (必ず今日中に終えなさい) 8380 0 0 7944 htmvoc_8380.wav シマウタ シ⸢マ⸣ウタ [ʃi⸢ma⸣ʔuta] 名 沖縄で古くから歌われたきた歌謡。民謡。古典民謡。「島歌」の義。 チ⸢カ⸣グロー テ⸢レ⸣ビラーン シ⸢マ⸣ウター ⸣ユー シゥ⸢カリン [ʧi̥⸢ka⸣guroː te⸢re⸣biraŋ ʃi⸢ma⸣ʔutaː ⸣juː sï̥kariŋ] (近頃は、テレビからも民謡<島歌>はよく聞かれる) 8369 0 0 7945 htmvoc_8369.wav シマウチ シ⸢マ⸣ウチ [ʃi⸢ma⸣ʔuʧi] 名 島の中。島内。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢マ⸣ウチェーラ ⸣フカー ン⸢ザス⸣ナ⸢ヨー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi⸢maʔu⸣ʧeːra ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʣasu⸣na⸢joː] (その話は島内から外へは洩らすな<出すな>よ) 8381 0 0 7946 htmvoc_8381.wav シマウン シ⸢マウン [ʃi⸢mauŋ] 他動 終わる。し終える。済ませる。片付ける。 シ⸢グトー⸣ マ⸢ダ⸣ シ⸢マーヌ [ʃi⸢gutoː⸣ ma⸢da⸣ ʃi⸢maːnu] (仕事はまだ終わらない)。 シ⸢マイヤン [ʃi⸢maijaŋ] (終わった)。 シ⸢マイ⸣ プサン [ʃi⸢mai⸣ pusaŋ] (終わりたい)。 ⸣キューズーナ シ⸢マウン [⸣kjuːʣuːna ʃi⸢mauŋ] (今日中に終わる)。 シ⸢マウ⸣ クトゥ [ʃi⸢mau⸣ kutu] (終わること)。 シ⸢マイヤー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢maijaː⸣ misamunu] (終わればよいのに)。 シ⸢マイ⸣バ [ʃi⸢mai⸣ba] (終われよ) 8383 0 0 7947 htmvoc_8383.wav シマガカリ シ⸢マガカ⸣リ [ʃi⸢magaka⸣ri] 名 船が島に寄港すること。繋船すること。「島掛り」の義。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤビティ ク⸢モーマ⸣ナー シ⸢マガカ⸣レー ⸢シール⸣ イ⸢サナケー パッ⸣タ [⸢ʔoːʃi̥kinu⸣ jabiti ku⸢moːma⸣naː ʃi⸢magaka⸣reː ⸢ʃiːru⸣ ʔi⸢sanakeː pat⸣ta] (天気が崩れて、小浜島に寄港して時化を避けながら石垣島へ行った) 8384 0 0 7948 htmvoc_8384.wav シマクトゥバ ⸣シマクトゥバ [⸣ʃimakutuba] 名 方言。「島言葉」の転訛したもの。新しく沖縄方言から借用されたものか。普通は、⸣シマムニ[⸣ʃimamuni](島言葉{EOS}「島物言い」の転訛)という。 ⸣シマムニバ ク⸢ヌ⸣グロー ⸣シマクトゥバティン ア⸢ズン⸣ダ⸢ナー [⸣ʃimamuniba ku⸢nu⸣guroː ⸣ʃimakutubatiŋ ʔa⸢ʣun⸣da⸢naː] (シマムニ<方言{EOS}島のことば{EOS}島物言い>をこの頃ではシマクトゥバ<島言葉>とも言うよねえ) 8372 0 0 7949 htmvoc_8372.wav シマサニ ⸣シマサニ [⸣ʃimasani] 名 島内に産する穀類の種子。 ⸣サニマイヤー ⸣シマサネーラン イ⸢サナキマイヌ⸣ サ⸢ニ⸣ル ⸢マイシジェー ゴー⸣ラータ [⸣sanimaijaː ⸣ʃimasaneːraŋ ʔi⸢sanakaimainu⸣ sa⸢ni⸣ru ⸢maiʃiʤeː goː⸣raːtaː] (種籾は、島産の種子よりも石垣産の米の種子の方が<ぞ>米粒は多かった) 8371 0 0 7950 htmvoc_8371.wav シマジマ ⸣シマジマ [⸣ʃimaʤima] 名 島々。村々。いろいろな島。 ⸣シマジマヌ ⸣ムネー ムー⸢ル カウリブリティ⸣ シマジマヌ ⸣ムニシェー パ⸢ナシアー⸣シ ナ⸢ラン⸣ユンダ イ⸢サナキムニ⸣シル パ⸢ナシアー⸣シェー ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʃimaʤimanu ⸣muneː muː⸢ru kauriburiti⸣ ʃimaʤimanu ⸣muniʃeː pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi na⸢raŋ⸣junda ʔi⸢sanakimuni⸣ʃiru pa⸢naʃiʔaː⸣ʃeː ⸢soːt⸣ta] (島々の言葉は全部違っていて、島々の言葉では話し合いは出来ないから、石垣言葉で<ぞ>話し合いはなされた)。 ⸣シマジマヌ ⸣ナライ [⸣ʃimaʤimanu ⸣narai] (島々の習慣)。 ⸢ヤイマヌ⸣ シマジマヌ ⸣シマムネー タ⸢シマヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ス⸢クタンティン⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ<ッ⸢サヌ> [⸢jaimanu⸣ ʃimaʤimanu ⸣ʃimamuneː tḁ⸢ʃimanu⸣ pu̥⸢soː⸣ su̥⸢kutantiŋ⸣ wa⸢kara⸣nu] (八重山の島々の方言<島言葉{EOS}島物言い>は、他島の人は聞いても分らない) 8389 0 0 7951 htmvoc_8389.wav シマジュー ⸣シマジュー [⸣ʃimaʣuː] 名 島中。島全体。村中。若年層の言葉。⸣シマズー[⸣ʃimaʣuː]ともいう。 ⸢プー⸣ル キ⸢チゴンマー⸣ シマズーヌ プ⸢ス⸣シル ⸢ソー⸣ル [⸢puː⸣ru ki̥⸢ʧigommaː⸣ ʃimaʣuːnu pu̥⸢su⸣ʃiru ⸢soː⸣ru] (豊年祭や結願祭は島中の人で執り行われる<される>)。 ⸣シマズーナー イッ⸢チン⸣ ッ⸢スミ⸣ダー プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸣ʃimaʣuːna ʔit⸢ʧin s⸢sumi⸣daː pu̥⸢soː taː⸣ja] (島中で一番よく潜れる<潜ることの出来る>人は誰か) 8386 0 0 7952 htmvoc_8386.wav シマズー ⸣シマズー [⸣ʃimaʣuː] 名 島中。村全体。若年層はジ⸣マジュー[⸣ʃimaʤuː](島中)という。 ⸣シマズーナ イッ⸢チン⸣ ア⸢バ⸣レー ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢ター⸣ヤ [⸣ʃimaʣuːna ʔit⸢ʧiŋ⸣ ʔa⸢ba⸣reː mi⸢du⸣moː ⸢taː⸣ja] (島中で一番美しい女は誰か) 8387 0 1 7953 htmvoc_8387.wav シマスン シ⸢マ⸣スン [ʃi⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_1}澄ます。濁りを除去し透き通った状態にする。「濁水をシ亭<す>まし清浄にあらしめつる時」『金光明最勝王経<平安初期点>』、「Mizzuuo sumasu(水を澄ます)『邦訳日葡辞書』」の転訛したもの。 ⸢カーヌミジ⸣ シ⸢マ⸣スンティ ⸣シケーンドゥ シ⸢マサラ⸣ヌ [⸢kaːnumiʤi⸣ ʃi⸢ma⸣sunti ⸣ʃi̥keːndu ʃi⸢masara⸣nu] (井戸水を澄ませようと置いてあるが、澄まされない)。 ヤ⸢ナンゴーリ⸣ミジェー シ⸢マシ⸣テーラル ⸣ヌム⸢ダー [ja⸢naŋgoːri⸣ miʤeː ʃi⸢ma⸣ʃi̥teːraru ⸣numu⸢daː] (濁った水は澄ましてから<ぞ>飲むのだぞ)。 8387 0 2 7954 htmvoc_8387.wav シマスン シ⸢マ⸣スン [ʃi⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_2}注意を集中する。「Qiqisumasu」(聞きすます)『邦訳日葡辞書』。 ⸢ミン⸣バ シ⸢マ⸣シ<トゥ⸢ルッ⸣サイ> ⸣ユー シ⸢キ [⸢mim⸣ba ʃi⸢ma⸣ʃi ⸣juː ʃi̥⸢ki] (耳を澄ましてよく聞け)。 8387 0 3 7955 htmvoc_8387.wav シマスン シ⸢マ⸣スン [ʃi⸢ma⸣suŋ] 他動 {Mn_3}洗う。「Camiuo sumasu(髪を洗ます{EOS}頭髪を洗う)」『邦訳日葡辞書』。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ム⸣ティ シ⸢マ⸣シテーラル ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァース [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢mu⸣ti ʃi⸢ma⸣ʃiteːraru ⸢ʔiː⸣ja f⸢faːsu] (子供は洗面させて<面を澄ませて、洗って>から<ぞ>飯は食べさせる<食わせる>)。 シ⸢マサ⸣ヌ [ʃi⸢masa⸣nu] (澄まさない)。 シ⸢マ⸣ス クトゥ [ʃi⸢ma⸣su ⸣kutu] (澄ませること)。 シ⸢マ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ma⸣ʃeː ⸣misamunu] (澄ませばよいのに) 8388 0 0 7956 htmvoc_8388.wav シマスン シ⸢マ⸣スン [ʃi⸢ma⸣suŋ] 他動 済ます。済ませる。終わりにする。 ⸣キューズーナ ⸢ユー⸣ズ シ⸢マ⸣スンティ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢マサラン⸣バ ア⸢ツァバー⸣キナ シ⸢マ⸣シティ ⸣パラ [⸣kjuːʣuːna ⸢juː⸣ʣu ʃi⸢ma⸣sunti ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi⸢masaram⸣ba ʔa⸢ʦabaː⸣kina ʃi⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣para] (今日中に用事を済まそうとしたが、済まされないので、明日までに済まして帰ろう<行こう>) 8407 0 0 7957 htmvoc_8407.wav シマダイクニ シ⸢マダイ⸣クニ [ʃi⸢madai⸣kuni] 名 大根。「島大根」の義。品種改良していない伝統的な大根。 シ⸢マダイ⸣クネー ン⸢メーマ⸣ カ⸢ラー⸣ユンダ ヤ⸢マトゥダイクニ⸣ヌ ⸣カタチニ ン⸢マーナー⸣ヌ [ʃi⸢madai⸣kuneː ʔm⸢meːma⸣ ka⸢raː⸣junda ja⸢matudaikuni⸣nu ⸣kḁtaʧini ʔm⸢maːnaː⸣nu] (島大根は少し辛いから大和大根のようには美味しくない) 8390 0 0 7958 htmvoc_8390.wav シマチ シ⸢マチ [ʃi⸢maʧi] 名 始末。処理をすること。整理すること。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢シェー⸣ル ⸣ワザー ⸣ドゥーシ シ⸢マチ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢duː⸣nu ⸢ʃeː⸣ru ⸣waʣaː ⸣duːʃi ʃi⸢maʧi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (自分がしでかした事は自分で始末しろ) 8408 0 0 7959 htmvoc_8408.wav シマチ シ⸢マチ [ʃi⸢maʧi] 名 後片付け。整理をすること。決着をつけること。「始末」の義。 カ⸢マチヌ ピー⸣ヌ シ⸢マチェー シーティル⸣ ニ⸢ブ⸠ダー [ka⸢maʧinu piː⸣nu ʃi⸢maʧeː ʃiːtiru⸣ ni⸢bu⸠daː] (竈の火の後片付けをしてから寝るんだよ)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢シェー⸣ル ⸣ワザー ⸣ドゥーシ シ⸢マチェー⸣ シキティ ⸣パリ [⸢duː⸣nu ⸢ʃeː⸣ru ⸣waʣaː ⸣duːʃi ʃi⸢maʧeː⸣ ʃi̥kiti ⸣pari] (自分のしでかした問題は自分で処理をして<始末をつけて>から行け) 8409 0 0 7960 htmvoc_8409.wav シマチシキルン シ⸢マチ⸣ シ⸢キ⸣ルン [ʃi⸢maʧi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 後始末をつける。整理をする。 ⸢ドゥー⸣ヌ フ⸢チェーラ⸣ ンジェール ⸣クトゥ ヤ⸢リバ⸣ ドゥーシ シ⸢マチェー⸣ シ⸢キラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢duː⸣nu ɸu̥⸢ʧeːra⸣ ʔuʤeːru ⸣kutu ja⸢riba⸣ duːʃi ʃi⸢maʧeː⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (自分の口から出たことだから、自分で後始末をつけなければならぬ) 8410 0 0 7961 htmvoc_8410.wav シマッサル シ⸢マッサ⸣ル [ʃi⸢massa⸣ru] 名 悪疫祓いの神事。「島クサラシ」の義。旧暦11月に流行病の悪疫祓いの祈願が2日間に亘り執り行われる。初日の午後から⸣イソーパーレー[⸣ʔisoːpareː](「一掃祓え」の義か)の行事を行う。西村、東ムラの各ム⸢ラヤクサ[mu⸢rajakusa]<村役人>が\ruby{銅鑼}{ド|ラ}を打ち鳴らし、\ruby{甕}{カメ}の破片を打ち鳴らした子供達を引き連れて、先ずは東西の各村井戸を祓え、次に村の全戸の屋敷内を回って、イソー ⸢パーレパーレ[⸣ʔisoː ⸢paːrepaːre](一掃払え祓え)と唱えながら祓いきよめ、島の南海岸まで悪疫の神を追い祓って甕の破片を海に投げ捨てる。その夜も昼間と同様、村役人と子供達で⸢ユートーパー⸣レー[⸢juːtoːpaː⸣reː](夜の祓え)を行う。その際、子供達は⸢ユートーパー⸣レー ⸢ミー⸣ソー ッ⸢ふァー[⸢juːtoːpaː⸣reː ⸢miː⸣soː f⸢faː](夜の祓え、味噌を食べよう)といって、家々から米味噌の施しを受けることもあった。2日目は、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}神女)、ティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性神職者)が⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)で祈願をする。その間、ムラヤクサ達(現在は公民館の役員)がシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](注連縄{EOS}左に綯った綱)を作り、豚や鶏の血を付けて、海岸に通ずる集落の総ての縦道の入り口を\ruby{跨}{マタ}いで掛けておく。注連縄には大蒜、塩、鶏の足を吊るしておく。御嶽の祈願が済んで神女たちが下りて来る頃、村役人達が⸢ミー⸣シキパナシキヌ ⸣カン ク⸢ヌ⸣ シマー ⸢ペー⸣リ ッ⸢ふォーンナ[⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥kinu ⸣kam ku⸢nu⸣ ʃimaː ⸢peː⸣ri f⸢foːnna](目付き鼻付き<風邪>の神はこの島へ入って下さるな)と唱えて祈願する 8391 0 0 7962 htmvoc_8391.wav シマトゥリプス シ⸢マトゥリ⸣プス [ʃi⸢maturi⸣pu̥su] 名 相撲取り。相撲の強い人。 イコー⸢ラ スー⸣ワンティ ア⸢ザバン⸣ カ⸢リヌ⸣ スコー ⸢スー⸣ワル シ⸢マトゥリ⸣プソー ブ⸢ラーヌ [ʔikoː⸢ra suː⸣wanti ʔa⸢ʣabaŋ⸣ ka⸢rinu⸣ su̥koː ⸢suː⸣waru ʃi⸢maturi⸣pu̥soː bu⸢raːnu] (いくら強いといっても彼ぐらい強い相撲取りはいない) 8392 0 0 7963 htmvoc_8392.wav シマトゥルン ⸣シマ ⸣トゥルン [⸣ʃima ⸣turuŋ] 連 島に着く。島にたどり着く。目的を完遂する。「島を取る」の義。/パラダカフニヤ シマトゥラヌ キムダカ ミドゥムヤ ヤームタヌ ドゥクヌ キムダカサヤ パイニル クルビョール デンサー/(帆柱の高い船は島にたどり着けない{EOS}驕り高ぶる女は家庭を持つことができない{EOS}あまりにも理想の高い女は灰に転んでしまう<離縁される>{EOS}<デンサ節>)『八重山民謡誌』。 イ⸢ガメーフニヌ ソーナンシティ⸣ シ⸢マー⸣トゥレー ⸣フネー シ⸢ントゥ⸣ サンズー ⸢ヤッタ [ʔi⸢gameːɸuninu soːnaŋ⸣ ʃi̥⸢tiiti⸣ ʃi⸢maː⸣tureː ɸuneː ʃin⸢tu⸣ sanʣuː ⸢jatta] (烏賊釣り漁の舟が遭難して島にたどり着いた舟が、たった三艘だった) 8393 0 0 7964 htmvoc_8393.wav シマトゥルン ⸣シマ ⸣トゥルン [⸣ʃima ⸣turuŋ] 連 相撲をとる。 ⸣シマ ⸣トゥルンティ ⸢アー⸣キ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーバン [⸣ʃima ⸣turunti ⸢ʔaː⸣ki ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (相撲をとろうとして体を痛めて<病まして>あるわい) 8411 0 0 7965 htmvoc_8411.wav シマトドゥミ シ⸢マトドゥ⸣ミ [ʃi⸢matudu⸣mi] 名 島のある限り。シ⸢マトゥトゥ⸣ミ[ʃi⸢matutu⸣mi](島のある限り)ともいう。 シ⸢マトゥドゥ⸣ミ ⸢パン⸣ジョー ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [ʃi⸢matudu⸣mi ⸢pan⸣ʤoː ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (島のある限り子孫繁昌あらしめください) 8394 0 0 7966 htmvoc_8394.wav シマナー シ⸢マ⸣ナー [ʃi⸢ma⸣naː] 名 (植)カラシナ。アブラナ。「地元産の菜」の義。「在来種の菜っ葉」の意であろう。カラシナの一種。葉は楕円形をなし、大きい。葉面に葉脈がいくつも盛り上がって皺状を形成している。辛味があって、子供にはこのまれなかった。 イ⸢ズヌ⸣ スーナー シ⸢マ⸣ナー イ⸢リティ⸣ スー バ⸢カシ⸣バ [ʔi⸢ʣunu⸣ suːnaː ʃi⸢ma⸣naː ʔi⸢riti⸣ suː ba⸢kaʃi⸣ba] (魚の汁にカラシナを入れてお汁を炊きなさい)。島野菜。島産品の葉野菜。 シ⸢マナー⸣ヤ サ⸢カリティ⸣ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [ʃi⸢manaː⸣ja sḁ⸢kriti⸣ ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (島野菜は生い茂っていて、非常に美味しい) 8370 0 0 7967 htmvoc_8370.wav シマナカ シ⸢マナカ [ʃi⸢manaka] 名 (地)「島中」と表記されている。桟橋道路を真北に進んで島の中央部に当たる一帯の地名。 シ⸢マナカ⸣ナー ⸢バン⸣テヌ パ⸢タ⸣キン ア⸢ラブシケヌ⸣ パ⸢タ⸣キン ⸢アッ⸣タン [ʃi⸢mana⸣kanaː ⸢ban⸣tenu pḁ⸢ta⸣kiŋ ʔa⸢rabuʃi̥kenu⸣ pḁ⸢ta⸣kiŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (島中には私の家の畑も大工家<東大城家>の畑もあった) 8395 0 0 7968 htmvoc_8395.wav シマナガシ シ⸢マナガ⸣シ [ʃi⸢managa⸣ʃi] 名 島流し。昔沖縄本島から鳩間島に配流された文化人(比屋根安弼『八重山舞踊勤王流関係論考・資料集』)がいて、沖縄の古典音楽を伝えたといわれている。 ム⸢カ⸣シ ウ⸢キ⸣ナーラ パ⸢トゥ⸣マー シ⸢マナガ⸣シ サ⸢リ オーッ⸣タ プ⸢スヌ オー⸣レーティ カ⸢ナ⸣カキティ ⸢スー⸣ ム⸢カ⸣シウター パ⸢トゥ⸣マナー ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃi ʔu⸢ki⸣naːra pḁ⸢tu⸣maː ʃi⸢managa⸣ʃi sa⸢riʔoːt⸣ta pu̥⸢sunu ʔoː⸣reːti ka⸢na⸣kakiti ⸢suː⸣ mu⸢ka⸣ʃiʔutaː pa⸢tu⸣manaː nu⸢ka⸣ri ⸢beː⸣ʦoː] (昔、沖縄から鳩間島に島流しされた人<比屋根安粥>がおられたので、カ⸢ナ⸣カキ{SqBr}ka⸢na⸣kaki{/SqBr}<かせかけ>という昔風の古典民謡<昔歌>が鳩間島に残っているそうだ<大城學氏談>) 8414 0 0 7969 htmvoc_8414.wav シマナカヌパタキ シ⸢マナカヌ⸣ パ⸢タ⸣キ [ʃi⸢manakanu⸣ pḁ⸢ta⸣ki] 連 島中の畑。 ⸢ウイヌカー⸣ラ ニ⸢シンタナー⸣ル シ⸢マナカヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー アル⸢ダー [⸢ʔuinukaː⸣ra ni⸢ʃintanaː⸣ru ʃi⸢manakanu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ʔaru⸢daː] (上の井戸の北側に島中の畑はあるのだよ) 8373 0 0 7970 htmvoc_8373.wav シマナカヌフンシキ シ⸢マナカヌ フンシキ [ʃi⸢manakanu ɸuŋʃi̥ki] 連 (海底地名)。シ⸢マナカヌパマ[ʃi⸢manakapama](島中浜)から干瀬の頂きへ続く珊瑚礁の中間の礁池部。干潮時でも水深30~50センチの小さな礁池が一面に繋がっているので、子供たちの魚釣り場になっていた 8396 0 0 7971 htmvoc_8396.wav シマナカパマ シ⸢マナカパマ [ʃi⸢manakapama] 名 (地)島中の浜。鳩間桟橋道路を真北に進んで達する島の北岸に形成された小さな浜。 シ⸢チ⸣カザー シ⸢マナカパマー⸣ラ ⸢アンタ⸣ナ ⸣アルムール ⸣トゥルティル ナ⸢ラー⸣ソーッタ [ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣaː ʃi⸢manakapamaː⸣ra ⸢ʔanta⸣na ⸣ʔaru muːru ⸣turuti na⸢raː⸣soːtta] (シチカザ<節蔓>は島中の浜より東の方に生えているのを<ぞ>取るのだと教えられた) 8374 0 0 7972 htmvoc_8374.wav シマナライ ⸣シマナライ [⸣ʃimanarai] 名 島の習慣。島の風習。 ⸣シマー ⸣シマナライティル ⸣アル [⸣ʃimaː ⸣ʃimanaraitiru ⸣ʔaru] (島には島の習い<生活習慣{EOS}風習>というのが<ぞ>あるのだ{EOS}<郷に入っては郷に従え>の義) 8375 0 0 7973 htmvoc_8375.wav シマヌナイ シ⸢マ⸣ヌ ⸣ナイ [ʃi⸢ma⸣nu ⸣nai] 連 島の大きさ。「島の長さ」の義。 シ⸢マ⸣ヌ ⸣ナイ ⸣アル ⸢ゾーキヌ⸣ ウ⸢ランザ⸣ケー ⸢マーリ⸣ シ⸢キ⸣タン シ⸢ミン パッ⸣タ [ʃi⸢ma⸣nu ⸣nai ⸣ʔaru ⸢ʣoːkinu⸣ ʔu⸢ranʣa⸣keː ⸢maːri⸣ ʃi̥⸢ki⸣tan ʃi⸢mim pat⸣ta] (島の大きさ<長さ>ほどもある蒸気船が上原の宇那利崎を回って石炭を積みに行った)。 シ⸢マ⸣ヌ ⸢ナイ⸣ヌ ⸣ブカラヌ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢インター パッ⸣タ [ʃi⸢ma⸣nu ⸢nai⸣nu ⸣bukaranu ɸu⸢ni⸣nu ⸢ʔintaː pat⸣ta] (島の長さ程の巨大な船が西の方へ行った) 8400 0 0 7974 htmvoc_8400.wav シマヌナイ シ⸢マ⸣ヌ ⸣ナイ [ʃi⸢ma⸣nu ⸣nai] 連 非常に大きく。大きさが尋常でないことの形容。「島の長さ」の義。 シ⸢マ⸣ヌ ⸢ナイ⸣ヌ ⸣ブカラヌ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣シンタヌ ⸢トゥーラ⸣ ウ⸢ランザ⸣キ ⸢マーリパッ⸣タ [ʃi⸢ma⸣nu ⸢nai⸣nu ⸣bukaranu ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʃinta ⸢tuːra⸣ ʔu⸢ranʣa⸣ki ⸢maːripat⸣ta] (島の長さほどの大きな船が鳩間の後ろの沖から西表島の宇奈利崎を回って行った) 8416 0 0 7975 htmvoc_8416.wav シマヌバタ シ⸢マ⸣ヌ ⸣バタ [ʃi⸢ma⸣nu ⸣bata] 連 島の入り江。湾。「さざなみの志賀の大和太<オホワダ>よどむとも~。万、31」の転訛したもの。 ニ⸢シカジヌ スー⸣ワティ ユ⸢チン⸣ヌ ⸣バターラ ⸣フネー ⸢マーシェー⸣ティ イ⸢サンケー⸣ バ⸢タローッ⸣タ [ni⸢ʃikaʤinu suː⸣wati ju⸢ʧin⸣nu ⸣bataːra ⸣ɸuneː ⸢maːʃeː⸣ti ʔi⸢saŋkeː⸣ ba⸢taroːt⸣ta] (北風が強いので、ユチン湾沿いに船を回送<回航>しながら、石垣島へ渡られた) 8401 0 0 7976 htmvoc_8401.wav シマパイル シ⸢マパイ⸣ル [ʃi⸢mapai⸣ru] 名 自家製造の酢。島産の酢。芋の煮汁や酒の飲み残し等を利用して作った。 ⸢ウン⸣ヌ ⸢ネーシジロー⸣ シ⸢ティランドー⸣シ ⸣カミナー イ⸢リティ⸣ キ⸢サ⸣シティル ⸢パイロー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢ʔun⸣nu ⸢neːʃiʤiroː⸣ ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ⸣kaminaː ʔi⸢riti⸣ ki̥⸢sa⸣ʃi̥tiru ⸢pairoː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (芋の煮汁は捨てないで瓶に入れて酢酸発酵させて島産の酢は造られた) 8403 0 0 7977 htmvoc_8403.wav シマバキ シ⸢マ⸣バキ [ʃi⸢ma⸣baki] 名 島分け。村を強制的に分割すること。分村。琉球国時代に人頭税制度を維持するために、強制的に島分けして西表島西部や石垣島東北部に移住させたこと。鳩間島も黒島と古見村からの強制移住者よって村建てされたという。/ヘイヤー クンヌ ウラヌ ウチカーラ ヘイヤー ミドゥガ ムユス クイトゥリ ヘイヤー ビフガ ヤース クイトゥリ ヘイヤー アンシン マタ ナラナーキ ヘイヤー カンシン マタ ナラナーキ ヘイヤー クルシマヌ ウチカーラ ヘイヤー ミドゥガ ヤース クイトゥリ ヘイヤー ビフガ ムユス クイトゥリ~/(囃子、古見の村内から、囃子、女を六十名乞い受け、男を八十名乞い取り、囃子、そうしてもまた出来ないので、囃子、こうしても出来ないので、囃子、黒島の中から、囃子、女を八十名乞い取り、囃子、男を六十名乞い取って~)<パトゥマ本ジラマ>『鳩間島古典民謡古謡集』 8397 0 0 7978 htmvoc_8397.wav シマバサ シ⸢マ⸣バサ [ʃi⸢ma⸣basa] 名 (植)在来の芭蕉。糸芭蕉。繊維を採るための芭蕉。 シ⸢マバサ⸣バ ⸢トー⸣シティ ⸣カーパギ ⸢ネーシティル⸣ バター ⸢スー⸣リティ ⸣イトー トゥ⸢ローッ⸣タ [ʃi⸢mabasa⸣ba ⸢toː⸣ʃiti ⸣kaː ⸣pagi ⸢neːʃitiru⸣ bataː ⸢suː⸣riti ⸣ʔitoː tu⸢roːt⸣ta] (島芭蕉を切り倒して皮を剥ぎ、煮てから皮の中子をそぎ落として繊維<糸>を取られた) 8398 0 0 7979 htmvoc_8398.wav シマバサンナル シ⸢マバサン⸣ナル [ʃi⸢mabasan⸣naru] 名 (植)在来種のバナナ(芭蕉の実)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ バ⸢タ⸣ヤビ ク⸢ダス⸣ ピンマー シ⸢マバサン⸣ナル ッ⸢ふァース⸣カー トゥ⸢マルタン [ja⸢rabi⸣nu ba⸢ta⸣jabi ku⸢dasu⸣ pimmaː ʃi⸢mabasan⸣naru f⸢faːsu⸣kaː tu⸢marutaŋ] (幼児が腹をこわして下痢をする<下す>時、島バナナを食べさせると下痢は止まったよ) 8404 0 0 7980 htmvoc_8404.wav シマフケー シ⸢マフ⸣ケー [ʃi⸢maɸu̥⸣keː] 固 屋号。島袋源助氏宅。島袋マカト氏は友利御嶽のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)をつとめられたという。島袋家は1957年ごろに船浦へ移住されたが、長男の島袋憲一氏は鳩間島出身で最初に鳩間小中学校長を勤めた。 シ⸢マフ⸣ケヌ ⸣アボー ⸢ウイヌウガン⸣ヌ サ⸢カサ⸣ ヤ⸢ローッ⸣タツォー [ʃi⸢maɸu̥⸣kenu ⸣ʔaboː ⸢ʔuinuʔugan⸣nu sḁ⸢kasa⸣ ja⸢roːt⸣taʦoː] (島袋家のお母さんは友利御嶽の司であられたそうだ)。 ⸢ショーガッコー⸣ヌ ク⸢シヌ⸣ ム⸢レーマヌ アー⸣ネール シ⸢マフ⸣ケー ⸢ヤッタ [⸢ʃoːgakkoː⸣nu ku̥⸢ʃinu⸣ mu⸢reːmanu ʔaː⸣neːru ʃi⸢maɸu̥⸣keː ⸢jatta] (小学校の後ろの通事家の東隣が島袋家であった) 8405 0 0 7981 htmvoc_8405.wav シマフケーヌナカザーテー シ⸢マフ⸣ケーヌ ⸣ナカザーテー [ʃi⸢maɸu̥⸣keːnu ⸣nakaʣaːteː] 連 屋号。島袋秀吉氏宅。⸣ナカザテー[⸣nakaʣateː]は、ナ⸢カ[na⸢ka](中)・⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄)→ ⸣ナカザー[⸣nakaʣaː](次兄{EOS}<中の兄>)のように融合変化して形成された語に、さらに接尾辞⸣テー[⸣teː](~の家)が下接して生成された合成語。 ア⸢ラブシケーヌ アンタナー⸣ル シ⸢マフ⸣ケーヌ ⸣ナカザーテーヤ ⸢アッ⸣タ [ʔa⸢rabuʃi̥keːnu ʔantanaː⸣ru ʃi⸢maɸu̥⸣keːnu ⸣nakaʣaːteːja ⸢ʔat⸣ta] (アラブシケー<大工家>の東側に<ぞ>島袋秀吉氏宅はあった) 8376 0 0 7982 htmvoc_8376.wav シマプス シ⸢マ⸣プス [ʃi⸢ma⸣pu̥su] 名 島人。離島の人。島の人。故郷の人。郷党。 マー⸢ン⸣ナー ⸢ベー⸣ティン ⸣シマプソー ⸣シマプス ⸣ダーチル タ⸢タ⸣リ [maː⸢n⸣naː ⸢beː⸣tiŋ ⸣ʃimapu̥soː ⸣ʃimapu̥su ⸣daːʧiru tḁ⸢ta⸣ri] (何処にいても島の人は郷党と共にしか<ぞ>暮らせない)。 ⸣シマプスティ ア⸢ザリナ⸠ヨー [⸣ʃimapu̥suti ʔa⸢ʣarina⸠joː] (離島の人と言われる<馬鹿にされる>なよ) 8417 0 0 7983 htmvoc_8417.wav シマプス ⸣シマプス [⸣ʃimapu̥su] 名 島人。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣シマプソー ギュ⸢タール オール⸣ワ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣ʃimapu̥soː gju⸢taːru ʔoːru⸣wa] (鳩間島には、島人は何人おられますか) 8418 0 0 7984 htmvoc_8418.wav シマブドゥル シ⸢マブドゥ⸣ル [ʃi⸢mabudu⸣ru] 名 鳩間島の踊り。「島踊り」の義。ウ⸢キナーブドゥ⸣ル[ʔu⸢kinaːbudu⸣ru](沖縄本島の踊り{EOS}沖縄の古典舞踊)、イ⸢サナキブドゥル[ʔi⸢sanakibuduru](石垣島の踊り)、ヤ⸢マトゥブドゥ⸣ル[ja⸢matubudu⸣ru](大和の踊り)等に対する⸢鳩間島の踊り」の義。 パ⸢トゥ⸣マナカムリ パ⸢トゥ⸣マクドゥキン「マイ⸣ヌパマンドーレーヤ シ⸢マブドゥ⸣ル⸣ミー [pḁ⸢tu⸣manakamuri pḁ⸢tu⸣makudukim ⸢mai⸣nupamandoːreːja ʃi⸢mabudu⸣ru⸣miː] (鳩間中岡節、鳩間口説節、前の浜節などは島踊りだろうね?) 8419 0 0 7985 htmvoc_8419.wav ジママ ジ⸢ママ [ʤi⸢mama] 名 わがまま(我儘)。自分の思い通りに振る舞うこと。身勝手。「自在、ワガマムマナリ」『類従名義抄』。⸢zimama(自まま{EOS}わがまま)」『沖縄語辞典』の転訛したもの。 ジ⸢ママニ⸣ ス⸢ダティラ⸣レー ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [ʤi⸢mamani⸣ su⸢datira⸣reː f⸢fa⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (我が儘に育てられた子だから、他人の言うこと<注意>を聞かない) 8421 0 0 7986 htmvoc_8421.wav シママーリムヌ シ⸢ママーリ⸣ムヌ [ʃi⸢mamaːri⸣munu] 名 島回り者。島から島へ渡り歩いている者。 シ⸢ママーリ⸣ムヌナー ⸢マーパカラ⸣サ ⸣ムノー ブ⸢ラーヌ [ʃi⸢mamaːri⸣mununaː ⸢maːpakara⸣sa ⸣munoː bu⸢raːnu] (島々を渡り歩く者でまっとうな<\ruby{陸}{ロク}な{EOS}真っ当な{EOS}しっかりした>者はいない) 8420 0 1 7987 htmvoc_8420.wav シママール シ⸢ママー⸣ル [ʃi⸢mamaː⸣ru] 名 {Mn_1}島回り。島々を旅行すること。 ム⸢ヌスク⸣ロー サ⸢ムティ⸣ シ⸢ママー⸣ル ⸢シーアーキ⸣バン ⸢モーキラ⸣リ ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [mu⸢nusu̥ku⸣roː sa⸢muti⸣ ʃi⸢mamaː⸣ru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːki⸣bam ⸢moːkira⸣ri ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (農業はしないで島回りしていても儲けられるものではない)。 8420 0 2 7988 htmvoc_8420.wav シママール シ⸢ママー⸣ル [ʃi⸢mamaː⸣ru] 名 {Mn_2}島々の巡視。役人の島々巡視は、ウ⸢ヤマー⸣ル[ʔu⸢jamaː⸣ru](親回り)ともいう。 ヤ⸢クニン⸣ヌ シ⸢ママール⸣ヌ トゥ⸢ルム⸣チェー ⸢デー⸣ジ ⸢ヤッタ⸣ツォー [ja⸢kunin⸣nu ʃi⸢mamaːru⸣nu tu⸢rumu⸣ʧeː ⸢deː⸣ʤi ⸢jatta⸣ʦoː] (役人の島回りの接待は大変だったそうだ) 8423 0 0 7989 htmvoc_8423.wav シママイ ⸣シママイ [⸣ʃimamai] 名 島産米。「島米」の義。⸢ザイレー⸣マイ[⸢ʣaireː⸣mai](在来米{EOS}在来種の米{EOS}伝統的な赤米)ともいう。 ⸢ホーライ⸣マイラン ⸣シママイル ン⸢マー [⸢hoːrai⸣mairaŋ ⸣ʃimamairu ʔm⸢maː] (台湾から導入された蓬莱米よりも島産米が美味しい) 8425 0 0 7990 htmvoc_8425.wav シマムチユームチ シ⸢マムチユー⸣ムチ [ʃi⸢mamuʧijuː⸣muʧi] 名 島の総代表。⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代)ともいう。「島持ち世持ち」の義。昭和30年代までは、島の一年間の神行事を執り行うことが島の行政を意味していた。戦時中に部落会長が誕生するまでは、⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代)が島の行政責任者であったが、戦後の市町村制移行に伴い、行政責任者は部落会長、区長、公民館長へと移行していった。かつてはシ⸢マムチユー⸣ムチになることが最高の立身出世であったことは、神歌や民謡の中で歌われていることから推定できる。男子が誕生すると、シ⸢マムチユー⸣ムチにして下さいと祈願したものである 8424 0 0 7991 htmvoc_8424.wav シマムニ ⸣シマムニ [⸣ʃimamuni] 名 島ことば。郷里の言葉。方言。⸣ムニ[⸣muni](言葉{EOS}もの言い)は、言葉を口に出していうこと。「賢しみと 物言従者<物いふよりは>酒飲而『万葉集 341』」の義。 ⸣シマムニ ⸢バシキル⸣カー ⸣シマ ⸢バシキルン⸣ シマ ⸢バシキル⸣カー ⸣ウヤ ⸢バシキルン [⸣ʃimamuni ⸢baʃi̥kiru⸣kaː ⸣ʃima ⸢baʃi̥kiruŋ⸣ ʃima ⸢baʃi̥kiru⸣kaː ⸣ʔuja ⸢baʃi̥kiruŋ] (方言<島言葉>を忘れたら島を忘れる{EOS}島を忘れたら親を忘れる)。 ⸣シマムニ パ⸢ナ⸣シ⸢シー⸣ ッ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーン⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃimamuni pa⸢na⸣ʃi⸢ʃiː⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːn⸣nari ⸢naː⸣nu] (方言を話せる人がいなくなってしまった) 8426 0 0 7992 htmvoc_8426.wav シマムヌ シ⸢マ⸣ムヌ [ʃi⸢ma⸣munu] 名 島産品。島のもの。 カ⸢ツブシン⸣ イ⸢ガン⸣ シ⸢マムヌ⸣ル ン⸢マー⸣タンドゥ ⸢ダイヤー ヤッサ⸣タ [kḁ⸢ʦubuʃiŋ⸣ ʔi⸢gaŋ⸣ ʃi⸢mamunu⸣ru ʔm⸢maː⸣tandu ⸢daijaː jas⸣sataŋ] (鰹節も干し烏賊<するめ>も島産品<島物>が美味しかったが、値段は安かった) 8427 0 0 7993 htmvoc_8427.wav シマリ シ⸢マ⸣リ [ʃi⸢ma⸣ri] 名 締まり。しまること。行いをつつしむこと。きちんとしていること。戸締り。 シ⸢マリ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ プ⸢ソー モーキユーサ⸣ヌ [ʃi⸢mari⸣nu ⸢naːm⸣ pu̥⸢soː moːkijuːsa⸣nu] (締まりのない人は儲けることが出来ない)。 ウ⸢レー⸣ シ⸢マリ⸣ヌ ⸢ナー⸣ンダ ⸢ジン⸣ヌ ⸣クトー タ⸢ナマラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃi⸢mari⸣nu ⸢naː⸣nda ⸢ʤin⸣nu ⸣ku̥toː ta⸢namara⸣nu] (彼はしまりがない<きちんとしていない>からお金のことは頼めない) 8428 0 0 7994 htmvoc_8428.wav シマリ シ⸢マ⸣リ [ʃi⸢ma⸣ri] 名 不景気。「つまり(詰まり)」の義。 シ⸢マリヌ スーワ⸣ヌ <⸢ケイキヌ ワッサ⸣ヌ> ⸢イー⸣シン ⸢ダイ⸣ ム⸢タ⸣ヌ [ʃi⸢marinu suːwa⸣nu <⸢keikinu wassa⸣nu> ⸢ʔiː⸣ʃin ⸢dai⸣ mu⸢ta⸣na] (ひどい不景気で<景気が悪くて>、ツノマタも高値段がつかない) 8429 0 0 7995 htmvoc_8429.wav シマルン シ⸢マ⸣ルン [ʃi⸢ma⸣ruŋ] 自動 締まる。閉まる。詰まる。 ⸣ヌビ シ⸢マ⸣リティ ⸣イキ サ⸢ラヌ [⸣nubi ʃi⸢ma⸣riti ⸣ʔiki sa⸢ranu] (首が詰まって息が出来ない)。 ⸣ヤドー シ⸢マラ⸣ヌ [⸣jadoː ʃi⸢mara⸣nu] (戸が閉まらない)。 ッ⸢サー⸣ク ⸢スー⸣カー ⸣ヌドゥ シ⸢マ⸣ルン [s⸢saː⸣ku ⸢suː⸣kaː ⸣nudu ʃi⸢ma⸣ruŋ] (咳をすると喉が詰まる)。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌムカー シ⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numukaː ʃi⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (薬を飲んだら<喉が>締まる<詰まる>ことはない)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (もっと閉まればよいが)。 シ⸢マ⸣リ [ʃi⸢ma⸣ri] (閉まれ)。 ⸣ユー シ⸢マ⸣レーティ シ⸢グトー シー(⸢シリ) [⸣juː ʃi⸢ma⸣reːti ʃi⸢gutoː ʃiː(⸢ʃiri)] (しっかり緊張し<引き締まっ>て仕事をせよ<しろ>)。 マ⸢チヤーヤ⸣ シ⸢マ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢ʧijaːja⸣ ʃi⸢ma⸣ri ⸢naː⸣nu] (お店は閉まってしまった) 8430 0 0 7996 htmvoc_8430.wav シマルン シ⸢マ⸣ルン [ʃi⸢ma⸣ruŋ] 自動 つまる(詰まる)。 ⸣イキ シ⸢マ⸣ルン [⸣ʔiki ʃi⸢ma⸣ruŋ] (息が詰まる)。 ピ⸢ルザキ⸣ ヌムカー パ⸢ナー⸣ シ⸢マラ⸣ヌ [pi⸢ruʣaki⸣ numukaː pa⸢naː⸣ ʃi⸢mara⸣nu] (大蒜酒を飲むと鼻は詰まらない)。 パ⸢ナー⸣ シ⸢マ⸣リティ ⸣ムネー イ⸢ザラヌ [pa⸢naː⸣ ʃi⸢ma⸣riti ⸣muneː ʔi⸢ʣaranu] (鼻が詰まってものが言えない)。 パ⸢ナ⸣ シ⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢na⸣ ʃi⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (鼻が詰まることはない)。 ⸢ミー⸣ヤ シ⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢miː⸣ja ʃi⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (隙間は詰まれば良いが)。 シ⸢マ⸣リ [ʃi⸢ma⸣ri] (詰まれ) 8435 0 1 7997 htmvoc_8435.wav シミ ⸣シミ [⸣ʃimi] 名 {Mn_1}爪。「~馬の都米<ツメ>~。万、4122」の転訛したもの。 ⸣シミ ⸣シムン<⸢フッツァ⸣スン> [⸣ʃimi ⸣ʃimuŋ<⸢ɸutʦa⸣suŋ>] (爪を切る{EOS}~を詰める<食いきる>)。 ⸢ユー⸣ロー ⸣シメー キ⸢サ⸣ヌ<⸢フッツァサ⸣ヌ> [⸢juː⸣roː ⸣ʃimeː ki̥⸢sa⸣nu<ɸut⸢ʦasa⸣nu>] (夜は爪を切るものではない【諺】)。 8435 0 2 7998 htmvoc_8435.wav シミ ⸣シミ [⸣ʃimi] 名 {Mn_2}三線<三味線>、琴などの爪。 ⸢サンシンヌ⸣ シメー ウ⸢シヌ⸣ シヌシル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢saŋʃinnu⸣ ʃimeː ʔu⸢ʃinu⸣ ʃinuʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (三線の爪は牛の角で作られている) 8436 0 0 7999 htmvoc_8436.wav シミ ⸣シミ [⸣ʃimi] 名 しみ(染み)。汚れ。 ウ⸢ワギヌ⸣ ッ⸢ふ⸣シミ ア⸢ラウタヌ⸣ ウ⸢ティラン⸣サー [ʔu⸢waginu⸣ f⸢fu⸣ʃimi ʔa⸢rautanu⸣ ʔu⸢tiran⸣saː] (上着の黒い染みを洗ったが落ちないさ) 8437 0 0 8000 htmvoc_8437.wav シミ ⸣シミ [⸣ʃimi] 名 つむ(錘)。糸巻きの心棒。⸣ブンブンヤマ[⸣bumbuŋjama](糸車)の付属品。鉄製の細い棒で、フ⸢ドー⸣シ[ɸu⸢doː⸣ʃi](竹管)を差し込んで回転させ、撚りを掛けながら糸を巻く器具。 フ⸢ドー⸣シナ バ⸢ラフ⸣タ イ⸢リティ⸣ シミナー ヌ⸢キティ⸣ ヤマー ⸢マーセー⸣ティル ⸣イトー マ⸢コーッ⸣タ [ɸu⸢doː⸣ʃina ba⸢raɸu̥⸣ta ʔi⸢riti⸣ ʃiminaː nu⸢kiti⸣ jamaː ⸢maːʃeː⸣tiru ⸣ʔitoː ma⸢koːt⸣ta] (竹管に藁を差し入れて\ruby{錘}{ツム}に貫き差し、糸車を回しながら<ぞ>糸は巻かれた) 8450 0 0 8001 htmvoc_8450.wav シミウン シ⸢ミ⸣ウン [ʃi⸢mi⸣ʔuŋ] 名 芋の煮しめ。サツマイモやジャガイモなどの皮を除き、角切りにして豚肉、魚肉と一緒に醤油で煮染めたもの。イモの澱粉が調味料で味付けされていて美味しい。 ⸣アボー バ⸢カソーッ⸣タ シ⸢ミウン⸣マー イ⸢ズヌ⸣ ダ⸢シ⸣ヌ シ⸢キティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [⸣ʔaboː ba⸢kasoːt⸣ta ʃi⸢miʔum⸣maː ʔi⸢ʣunu⸣ da⸢ʃi⸣nu ʃi̥⸢kiti⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (お母さんが炊かれた芋の煮しめは魚の出汁が効いて非常に美味しかった) 8438 0 0 8002 htmvoc_8438.wav シミカサニルン シ⸢ミカサニルン [ʃi⸢mikḁsaniruŋ] 他動 積み重ねる。シ⸢ミシキ⸣ルン[ʃi⸢miʃi̥ki⸣ruŋ](積みおく)、シ⸢ムン[ʃi⸢muŋ](積む)ともいう。 ⸣クナー タ⸢ム⸣ヌタバル シ⸢ミカサニルン [⸣kunaː ta⸢mu⸣nutabaru ʃi⸢mikasaniruŋ] (ここに薪束を積み重ねる) 8441 0 0 8003 htmvoc_8441.wav シミクラスン シ⸢ミクラスン [ʃi⸢mikura⸣suŋ] 他動 絞殺する。首を絞めて殺す。 ⸢ヌシ⸣トゥロー ⸢ミシゥカ⸣リカー ⸢ミスク⸣タ プ⸢ス⸣ シ⸢ミクラ⸣スンティ⸢ダー [⸢nuʃi̥⸣turoː ⸢misi̥ka⸣rikaː ⸢misu̥ku⸣ta pu̥⸢su⸣ ʃi⸢mikura⸣sunti⸢daː] (泥棒は見つけられたら、見つけた人を絞め殺すそうだよ) 8440 0 0 8004 htmvoc_8440.wav シミクン ⸣シミ ⸣クン [⸣ʃimi ⸣kuŋ] 連 攻めてくる。 ティ⸢キヌ⸣ ウ⸢キ⸣ナー ⸣シミ ⸣クンティ ス⸢クタン [ti̥⸢kinu⸣ ʔu⸢ki⸣naː ⸣ʃimi ⸣kunti su̥⸢kutaŋ] (敵が沖縄に攻めてくると聞いた) 8442 0 0 8005 htmvoc_8442.wav シミサキ シ⸢ミ⸣サキ [ʃi⸢mi⸣si̥ki] 名 つまさき(爪先)。 ⸢クンイルヌ⸣ シ⸢ミ⸣サキナー ス⸢マリティ⸣ ウ⸢ティラン⸣サー [⸢kuŋʔirunu⸣ ʃi⸢mi⸣sakinaː su⸢mariti⸣ ʔu⸢tiram⸣saː] (紺色が爪先に染まって色落ちしないよ) 8451 0 0 8006 htmvoc_8451.wav シミシゥカールン シ⸢ミシゥカー⸣ルン [ʃi⸢misi̥kaː⸣ruŋ] 自動 ぎっしり詰め寄る。ぎっしり詰まる。詰めてくっ付く。 シ⸢バー⸣カー シ⸢ミシゥカールン⸣ドゥ ピ⸢ソー⸣ンダ シ⸢ミシゥカーラ⸣ヌ [ʃi⸢baː⸣kaː ʃi⸢misi̥kaːrun⸣du pi̥⸢soː⸣nda ʃi⸢misi̥kaːra⸣nu] (狭かったらぎっしり詰まるが、広いからぎっしり詰め寄らない)。 シ⸢ミシゥカーリ⸣ プサカー シ⸢ミシゥカー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi⸢misi̥kaːri⸣ pu̥sakaː ʃi⸢misi̥kaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (詰めてくっ付きたければ詰めてくっ付くことは出来る)。 シ⸢ミシゥカー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢misi̥kaː⸣reː ⸣misamunu] (詰めてくっ付けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ミシゥカー⸣リバ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢misi̥kaː⸣riba] (もっと詰めなさい) 8452 0 0 8007 htmvoc_8452.wav シミシキルン シ⸢ミ⸣ シ⸢キ⸣ルン [ʃi⸢mi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 積んでおく。 タ⸢ム⸣ヌタバロー ⸣クナー シ⸢ミ⸣ シ⸢キ⸣ルン [ta⸢mu⸣nu ⸣tabaroː ⸣kunaː ʃi⸢mi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (薪の束はここに積んでおく) 8453 0 0 8008 htmvoc_8453.wav シミシキルン シ⸢ミシキ⸣ルン [ʃi⸢miʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 締め付ける。強く縛る。 ギーッ⸢ティ⸣ フ⸢バリ⸣ シ⸢ミシキラン⸣カー ⸢バックリルン⸣ダー [giːt⸢ti⸣ ɸu⸢bari⸣ ʃi⸢miʃi̥kiraŋ⸣kaː ⸢bakkurirun⸣daː] (ぎゅっと強く縛って締め付けないとバラバラに崩れるぞ)。 シ⸢ミシキ グリ⸣サン [ʃi⸢miʃi̥kiguri⸣saŋ] (締め付けにくい)。 ク⸢ヌ ター⸣ラー シ⸢ミシキ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢ミシ⸣キル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢nu taː⸣raː ʃi⸢miʃi̥ki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ʃi⸢miʃi̥ki⸣ru pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (この俵は強く縛って締め付けようと思うが締め付ける人がいない)。 シ⸢ミシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢miʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (強く締め付ければよいが)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ミシキ⸣リ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢miʃi̥ki⸣ri] (もっと強く締め付けろ)。 ⸢パンチラン⸣ヨーニ ⸣ナーシ シ⸢ミシキ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ シ⸢ミシキララン⸣サー [⸢panʧiraŋ⸣joːni ⸣naːʃi ʃi⸢miʃiki⸣runti ⸢sundu⸣ ʃi⸢miʃi̥kiraran⸣saː] (外れないように縄で締め付けようとするが、締め付けられないよ)。 ⸣ドゥク シ⸢ミシキ⸣ル ⸣クトー ス⸢ナ [⸣duku ʃi⸢miʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥toː su⸢na] (あまり締め付けることはするな)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ミシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢miʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (もっと締め付ければ良いのに)。 シ⸢ミシキ⸣リ [ʃi⸢miʃi̥ki⸣ri] (締め付けろ) 8443 0 0 8009 htmvoc_8443.wav シミスクン シ⸢ミ⸣スクン [ʃi⸢mi⸣su̥kuŋ] 自動 住み着く。定住する。長く住む。動物が棲みつく。⸢ニージマ⸣ルン[⸢niːʤima⸣ruŋ](住み着く{EOS}根をおろす{EOS}根付く)ともいう。 シ⸢グトゥヌ⸣ アルカー ⸣ウナー シ⸢ミスクン⸣ドゥ ⸢ナーン⸣カー シ⸢ミシゥカ⸣ヌ [ʃi⸢gutunu⸣ ʔarukaː ⸣ʔunaː ʃi⸢misu̥kun⸣du ⸢naːŋ⸣kaː ʃi⸢misi̥ka⸣nu] (仕事があれば其処に住み付くが、無ければ住み着かない) 8454 0 0 8010 htmvoc_8454.wav シミスクン シ⸢ミ⸣ スクン [ʃi⸢mi⸣ su̥kuŋ] 連 積んで置く。 バ⸢リタムノー⸣ タ⸢ム⸣ヌダナナー シ⸢ミ⸣スクン [ba⸢ritamunoː⸣ ta⸢mu⸣nudananaː ʃi⸢mi⸣su̥kuŋ] (割った薪は薪棚に積んで置く) 8455 0 0 8011 htmvoc_8455.wav シミスクン シ⸢ミス⸣クン [ʃi⸢misu̥⸣kuŋ] 他動 締め付ける。「締め付く(下二段)、~白き直垂着て馬のに締め付けてぞ~『平家物語二』」の四段活用化したもの。 ⸣ドゥク シ⸢ミシゥカン⸣ドーシ ン⸢メーマ⸣ シ⸢ミ⸣シキティ フ⸢バリ⸣バ [⸣duku ʃi⸢misi̥kan⸣doːʃi ʔm⸢meːma⸣ ʃi⸢mi⸣ʃikiti ɸu⸢bari⸣ba] (あまり強く締め付けないで、ちょっと締め付けて縛りなさいよ)。 ク⸢リバ⸣ シ⸢ミス⸣クンティ ⸣ウムーカ シ⸢ミス⸣ク ⸣ムヌ トゥ⸢グバ⸣ル ⸣ナル [ku⸢riba⸣ ʃi⸢misu̥⸣kunti ⸣ʔumuːkaː ʃi⸢misu̥⸣ku ⸣munu tu⸢guba⸣ru ⸣naru] (これを締め付けようとおもうなら、締め付ける物を持ってこないと出来ない<持って来ればぞなる>)。 シ⸢ミシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢miʃi̥⸣keː misamunu] (締め付ければいいのに) シ⸢ミ⸣シキ [ʃi⸢miʃi̥⸣ki] (締め付けよ)) 8456 0 0 8012 htmvoc_8456.wav シミタイク シ⸢ミタイ⸣ク [ʃi⸢mitai⸣ku] 名 しめだいこ(締め太鼓)。太鼓の胴の両面の革を紐などで締めて調子を整える太鼓。 シ⸢ミタイ⸣コー ⸣シミティル ウ⸢トーッ⸣タ [ʃi⸢mitai⸣koː ⸣ʃimitiru ʔu⸢toːt⸣ta] (締め太鼓は引き締めてから打たれた) 8304 0 0 8013 htmvoc_8304.wav シミッカースン シ⸢ミッカー⸣スン [ʃi⸢mikkaː⸣suŋ] 他動 おし詰める。ぎゅうぎゅう詰めにする。シ⸢ミッカー⸣ルン[ʃi⸢mikkaː⸣ruŋ](自動)ぎゅうぎゅう詰めになる 8445 0 0 8014 htmvoc_8445.wav シミッカーラスン シ⸢ミッカーラ⸣スン [ʃi⸢mikkaːra⸣suŋ] 他動 人を狭い所に詰め寄らせる。鮨詰めにする。ぎゅうぎゅう詰めにする。 シ⸢バーン⸣ トンナー プ⸢ス⸣ シ⸢ミッカーラ⸣スンティ シ⸢タンティン⸣ シ⸢ミッカーラサラ⸣ヌ [ʃi⸢baːn⸣ tonnaː pu̥⸢su⸣ ʃi⸢mikkaːra⸣sunti ʃi̥⸢tantiŋ⸣ ʃi⸢mikkaːrasara⸣nu] (狭い所に人を詰め寄らせようとしても詰め寄らせられない)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ミッカーラ⸣シ ⸣ミサカー シ⸢ミッカーラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢mikkaːra⸣ʃi ⸣misakaː ʃi⸢mikkaːra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (もっと詰め寄らせて良ければ、詰め寄らせることは出来る)。 シ⸢ミッカーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢mikkaːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (詰め寄らせれば良いのに)。 シ⸢ミッカーラ⸣シ [ʃi⸢mikkaːra⸣ʃi] (詰め寄らせよ) 8446 0 0 8015 htmvoc_8446.wav シミッカールン シ⸢ミッカー⸣ルン [ʃi⸢mikkaː⸣ruŋ] 自動 狭い所に寄り合って詰める。すしづめ(鮨詰め)になる。ぎゅうぎゅうに詰め寄る。ひしめく。 ⸣アイニ シ⸢ミッカーラン⸣ドーシ パ⸢ナー⸣リティ ビ⸢リ⸣バ [⸣ʔaini ʃi⸢mikkaːran⸣doːʃi pa⸢naː⸣riti bi⸢ri⸣ba] (あんなに詰め寄らないで離れて座りなさいよ)。 シ⸢ミッカーラン⸣カー ⸢ペーラン⸣ ユンダ シ⸢ミッカー⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ク⸢ヌ ウイ⸣ <⸢マー⸣ビン> シ⸢ミッカー⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢mikkaːraŋ⸣kaː ⸢peːraŋ⸣junda ʃi⸢mikkaː⸣runti ⸢sundu⸣ ku⸢nu ʔui⸣ <⸢maː⸣biŋ> ʃi⸢mikkaː⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (すし詰めにならないと入れないから詰め寄ろうとするが、これ以上は詰め寄られない)。 シ⸢ミッカーリ⸣ プサカー シ⸢ミッカー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢mikkaːri⸣ pu̥sakaː ʃi⸢mikkaː⸣reː ⸣misamunu] (詰め寄りたければ詰め寄れば良いのに)。 シ⸢ミッカー⸣リバ [ʃi⸢mikkaː⸣riba] (詰め寄れよ) 8439 0 0 8016 htmvoc_8439.wav シミッキ シ⸢ミッ⸣キ [ʃi⸢mik⸣ki] 名 しっき(湿気)。「湿り気」の転訛したもの。 ⸣クマー シ⸢ミッキ⸣ヌ ⸣アン [⸣kumaː ʃi⸢mikki⸣nu ⸣ʔaŋ] (ここは湿気がある)。 ⸣カイナカナ ⸣スクカー シ⸢ミッ⸣キ イ⸢ルン [⸣kainakana ⸣su̥kukaː ʃi⸢mik⸣ki ʔi⸢ruŋ] (日陰に置くと湿気が入る)。 ⸣クマー ⸢タウ⸣ ナリティ ティ⸢ダ⸣ヌ ア⸢タランダ⸣ シ⸢ミッキ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーン [⸣kumaː ⸢tau⸣ nariti ti⸢da⸣nu ʔa⸢taranda⸣ ʃi⸢mikki⸣nu ⸢goː⸣raːŋ] (ここは窪地になって、太陽が当たらないので湿気が多い) 8457 0 0 8017 htmvoc_8457.wav シミックマスン シ⸢ミックマ⸣スン [ʃi⸢mikkuma⸣suŋ] 他動 染み込ませる。シ⸢ミッ⸣クムン[ʃi⸢mik⸣kumuŋ](染み込む)の未然形に使役の助動詞⸣-スン[⸣-suŋ](~せる)が下接して形成された使役動詞。 ⸣サジナ ミ⸢ジ⸣ シミックマ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ シ⸢ミックマサラ⸣ヌ [⸣saʤina mi⸢ʤi⸣ ʃi⸢mikkuma⸣sunti ⸢beː⸣ndu ʃi⸢mikkumasaru⸣nu] (てぬぐい<手拭>に水を染み込ませようとしているが、染み込まされない)。 シ⸢ミックマ⸣シ ⸣ミサカー シ⸢ミックマ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi⸢mikkuma⸣ʃi ⸣misakaː ʃi⸢mikkuma⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (染み込ませて良ければ、染み込ますことはできる)。 シ⸢ミックマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢mikkuma⸣ʃeː ⸣misamunu] (染み込ませば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ミックマ⸣シ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢mikkuma⸣ʃi] (もっと染み込ませ) 8458 0 0 8018 htmvoc_8458.wav シミックムン シ⸢ミッ⸣クムン [ʃi⸢mik⸣kumuŋ] 他動 詰め込む。 ⸢ナーブ⸣クナー ⸣ヌーンクイン シ⸢ミッ⸣クムンティ ⸢スンドゥ ペーラ⸣ヌ [⸢naːbu⸣kunaː ⸣nuːŋkuiŋ ʃi⸢mik⸣kumunti ⸢sundu peːra⸣nu] (縄箱に何もかも詰め込もうとするが、入らない)。 シ⸢ミッ⸣クミ ⸣ミサカー シ⸢ミッ⸣クム ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi⸢mik⸣kumi ⸣misakaː ʃi⸢mik⸣kumu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (詰め込んでよければ詰め込むことは出来る)。 シ⸢ミックマラ⸣ヌ [ʃi⸢mikkumara⸣nu] (詰めこめない) 8447 0 0 8019 htmvoc_8447.wav シミッケールン シ⸢ミッケー⸣ルン [ʃi⸢mikkeː⸣ruŋ] 自動 湿る。水に潤う。水気を帯びる。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸣キンカーン シ⸢ミッケー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナン⸣ゾー シ⸢ミッケーラン⸣シェン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸣kiŋkaːŋ ʃi⸢mikkeː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢nan⸣ʣoː ʃi⸢mikkeːraŋ⸣ʃeŋ] (雨が降ると衣類も湿ると思ったが、あまり湿らなかった)。 シ⸢ミッケー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢mikkeː⸣ri ⸢naː⸣nu] (湿ってしまった)。 シ⸢ミッケー⸣ル ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢mikkeː⸣ru ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (湿るものはない)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ミッケー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢mikkeː⸣reː ⸣misamunu] (もっと湿ればいいのに)。湿っぽくなる。じめじめする。 ⸣プシシケール ⸢キン⸣マー ⸢シュー⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルカー シ⸢ミッケー⸣ルンダー シ⸢ミッケーラン⸣ケン ⸣トゥリ ⸢ペー⸣ラシ [⸣pu̥ʃi ⸣ʃi̥keːru ⸢kim⸣maː ⸢ʃuː⸣nu ʔu⸢ri⸣rukaː ʃi⸢mikkeː⸣rundaː ʃi⸢mikkeːraŋ⸣ken ⸣turi ⸢peːra⸣ʃi] (干してある着物は夜露が下りると湿っぽくなるので、湿らないうちに取り入れなさい)。 シ⸢ミッケーリヤッ⸣サン [ʃi⸢mikkeːrijas⸣saŋ] (湿っぽくなりやすい)。 シ⸢ミッケー⸣ル ⸣ムヌ [ʃi⸢mikkeː⸣ru ⸣munu] (湿っぽくなるもの)。 シ⸢ミッケー⸣レーラー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [ʃi⸢mikkeː⸣reːraː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (湿っぽくなったら大変だぞ) 8460 0 0 8020 htmvoc_8460.wav シミティ シ⸢ミ⸣ティ [ʃi⸢mi⸣ti] 副 せめて。少なくとも。「満足ではないが、最低限これだけでも~たい」の意を表す。標準語の「せめて」の転訛したもの。 シ⸢ミ⸣ティ ⸢ワー タン⸣ガーンツァン ⸢ウイヌ ガッ⸣コー ⸣ンジ ッ⸢ふィーリ [sʃi⸢mi⸣ti ⸢waː taŋ⸣gaːnʦaŋ ⸢ʔuinu gak⸣koː ⸣ʔnʤi f⸢fiːri] (せめて君一人でも上の学校に進学してくれ) 8461 0 0 8021 htmvoc_8461.wav シミナー シ⸢ミ⸣ナー [ʃi⸢mi⸣naː] 名 墨糸。墨縄。⸢シン⸣ナー[⸢ʃin⸣naː](墨縄)ともいう。大工用工具の⸢シン⸣スブ[⸢ʃin⸣subu](墨壷)の車に巻きつけてある縄。木材に直線を引くために、墨壷の縄を墨を付けて引き出し、縄を弾いて直線を引く。「縄墨、須美奈波<すみなは>」『和名抄』。「~飛騨人の打つ墨縄之<スミナハノ>~。万、2648」の転訛したもの。 ⸢サイ⸣コー シ⸢ミ⸣ナー ⸢パン⸣キテーラル ⸣イツァン ⸣キーン バ⸢コー⸣ル [⸢sai⸣koː ʃi⸢mi⸣naː ⸢paŋ⸣kiteːraru ⸣ʔiʦaŋ ⸣kiːm ba⸢koː⸣ru] (大工は墨縄を打って<弾いて>から板も木材も切り分けられ<製材され>る) 8462 0 0 8022 htmvoc_8462.wav シミナー シ⸢ミ⸣ナー [ʃi⸢mi⸣naː] 名 締め縄。茅葺屋根の屋根を葺くのに用いる縄。茅葺屋根の甍を引き締める⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](棕櫚縄)。 ⸢ヤー⸣ イツピピルバ シ⸢ミ⸣ナー ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ ʔiʦupipiruba ʃi⸢mi⸣anː ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (ああ、絹の糸<蚕蛾の絹糸の綱>を屋根の締め縄にして家を造ってあるという)「アーパーレー」(アーパーレー歌) 8463 0 1 8023 htmvoc_8463.wav シミヌカタ シ⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ [ʃi⸢mi⸣nu kḁ⸢ta] 連 {Mn_1}爪の型。 ⸢ワー⸣ シ⸢ミ⸣ヌ カ⸢ター⸣ マ⸢ルミティ⸣ グ⸢マーグマー⸣シ ⸢ブー⸣サ⸢ナー [⸢waː⸣ ʃi⸢mi⸣nu ka⸢taː⸣ ma⸢rumiti⸣ gu⸢maːgumaː⸣ʃi ⸢buː⸣sa⸢naː] (君の爪の型は丸くて、小さくしているね)。 8463 0 2 8024 htmvoc_8463.wav シミヌカタ シ⸢ミ⸣ヌ カ⸢タ [ʃi⸢mi⸣nu kḁ⸢ta] 連 {Mn_2}爪形。爪あと。 ⸢ワー⸣ ウディナ シ⸢ミ⸣ヌ カ⸢タヌ⸣ シキ ⸢ベー [⸢waː⸣ ʔudinaː ʃi⸢mi⸣nu kḁ⸢tanu⸣ ʃi̥ki ⸢beː] (君の腕に爪のあとがついている) 8464 0 0 8025 htmvoc_8464.wav シミヌッス シ⸢ミ⸣ヌ ⸣ッス [ʃi⸢mi⸣nu ⸣ssu] 連 つめあか(爪垢)。「爪の糞」の義。 パ⸢タキシグ⸣トゥ ⸢スー⸣カー シ⸢ミ⸣ヌ ⸣ッ⸢ス⸣ヌ タ⸢マルン [pḁ⸢takiʃigu⸣tu ⸢suː⸣kaː ʃi⸢mi⸣nu s⸢su⸣nu ta⸢maruŋ] (畑仕事をする爪垢がたまる) 8448 0 0 8026 htmvoc_8448.wav シミヌッふァ シ⸢ミ⸣ヌ ⸣ッふァ [ʃi⸢mi⸣nu ⸣ffa] 連 小爪。爪の付け根にある半月形の白い部分。⸢爪の子」の義。 シ⸢ミ⸣ヌ ッ⸢ふァヌ⸣ ミ⸢ララン⸣ ナルカー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ヨー⸣リ ⸢ブー⸣ タ⸢ミ⸣シ [ʃi⸢mi⸣nu f⸢fanu⸣ mi⸢raran⸣ narukaː ⸢duː⸣nu ⸢joː⸣ri ⸢buː⸣ ta⸢mi⸣ʃi] (小爪が見えなくなると、体が弱くなっている証拠だ) 7748 0 0 8027 htmvoc_7748.wav シミブルン シ⸢ミ⸣ ブルン [ʃi⸢mi⸣ buruŋ] 連 もぎ取る。「摘み折る」の義。 ユ⸢ダー⸣ ブ⸢ラン⸣ドーシ ナルカー⸢ニ⸣ シ⸢ミ⸣ ブリバ [ju⸢daː⸣ bu⸢ran⸣doːʃi narukaː⸢ni⸣ ʃi⸢mi⸣ buriba] (枝は折らないで実だけもぎ取り<摘み折り>なさい) 8449 0 0 8028 htmvoc_8449.wav シミマキ シ⸢ミ⸣マキ [ʃi⸢mi⸣maki] 名 ひょう\ruby{疽}{ソ}(panaritium)。爪床の化膿菌による炎症『医学沖縄語辞典』。疼痛が甚だしい。「爪負け」の義。 ⸢ヌー⸣ シタムヌユー シ⸢ミ⸣マキ ⸢シー⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nuː⸣ ʃi̥tamunujuː ʃi⸢mi⸣maki ⸢ʃiː⸣ jami na⸢ra⸣nu] (どういう訳か<どうしたものか>、爪の付け根が化膿して痛くてたまらない) 8465 0 0 8029 htmvoc_8465.wav シミムヌ シ⸢ミ⸣ムヌ [ʃi⸢mi⸣munu] 名 煮しめ(煮染め)。大根、豆腐、南瓜、冬瓜、昆布、蒲鉾、肉類(豚肉や魚肉、烏賊、蛸)を醤油で煮染めた料理。おでん(御田)に似るが、水分を少なめにし、蒸すように煮しめたもの。シ⸢ミ⸣ムー[ʃi⸢mi⸣muː]ともいう。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ミ⸣ムノー ⸣ダシ シ⸢キティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢mi⸣munoː ⸣daʃi ʃi̥⸢kiti⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (この煮染め料理は出汁が効いて非常に美味しい) 8466 0 0 8030 htmvoc_8466.wav シミラスン シ⸢ミラ⸣スン [ʃi⸢mira⸣suŋ] 他動 湿らせる。 ミ⸢ジ⸣ マキティ ⸣ジー シ⸢ミラ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ シ⸢ミラサラ⸣ヌ [mi⸢ʤi⸣ makiti ⸣ʤiː ʃi⸢mira⸣sunti ⸢sundu⸣ ʃi⸢mirasara⸣nu] (水を撒いて地面を湿らせようとするが、湿らされない)。 ナ⸢チヌ⸣ プ⸢シキン⸣マー ミ⸢ジ⸣ ウティティ シ⸢ミラサバ⸣ル ヌ⸢バシヤッ⸣サ [na⸢ʧinu⸣ pu̥⸢ʃikim⸣maː mi⸢ʤi⸣ ʔutiti ʃi⸢mirasaba⸣ru nu⸢baʃijas⸣sa] (夏の干した着物は水を打って湿らしたほうが<湿らせばぞ>伸ばしやすい<アイロンがけしやすい>) 8467 0 0 8031 htmvoc_8467.wav シミルン シ⸢ミ⸣ルン [ʃi⸢mi⸣ruŋ] 自動 湿る。潤う。湿気を帯びる。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣アミシェー パ⸢タキ⸣ヌ ⸢ジー⸣ヤ シ⸢ミラ⸣ヌ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ʔamiʃeː pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʤiː⸣ja ʃi⸢mira⸣nu] (これぽっちの雨では、畑の地面は湿らない<潤わない>)。 ⸣ウビ ⸣フーカー シ⸢ミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ キ⸢ノー⸣ラー シ⸢ミリヤッ⸣サ ナ⸢リ⸣ブー [⸣ʔubi ⸣ɸuːkaː ʃi⸢mi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ki⸢noː⸣raː ʃi⸢mirijas⸣sa na⸢ri⸣buː] (これだけ降ったら湿ると思うが、昨日からは湿りやすくなっている)。 シ⸢ミ⸣ル タ⸢ム⸣ノー ⸢モーシグリ⸣サン [ʃi⸢mi⸣ru ta⸢mu⸣noː ⸢moːʃi guri⸣saŋ] (湿る薪は燃やしにくい)。 シ⸢ミ⸣レーラー ⸢ムイラヌ [ʃi⸢mi⸣reːraː ⸢muiranu] (湿ったら燃えない)。 ⸣クナー ビ⸢ル⸣カー ⸣キンナー ア⸢バ⸣ヌ シ⸢ミ⸣ルンダ シ⸢ミラン⸣ トン ム⸢チ⸣ナリ [⸣kunaː bi⸢ru⸣kaː ⸣kinnaː ʔa⸢ba⸣nu ʃi⸢mi⸣runda ʃi⸢miran⸣tom mu⸢ʧi⸣nari] (ここに座ったら着物に油が染みるから、染みないところに移りなさい)。 ミ⸢ジヌ⸣ シ⸢ミ⸣ル ⸢キン⸣マー ⸢カーラキ⸣ グ⸢リ⸣サン [mi⸢ʤinu⸣ ʃi⸢mi⸣ru ⸢kim⸣maː ⸢kaːraki⸣ gu⸢ri⸣saŋ] (水が染みる着物は乾きにくい)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (もっと染みればよいのに)。 ミ⸢ジヌ⸣ シミクン [mi⸢ʤinu⸣ ʃimikuŋ] (水が染みてくる) 8468 0 0 8032 htmvoc_8468.wav シミルン シ⸢ミ⸣ルン [ʃi⸢mi⸣ruŋ] 他動 責める。厳しく追及する。⸣シムン[⸣ʃimuŋ](責む<下二段>)ともいう。 ッ⸢ふァン コー⸣シ ⸢カイ⸣ティ シ⸢ミラ⸣リ ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢faŋ koː⸣ʃi ⸢kai⸣ti ʃi⸢mira⸣ri na⸢ra⸣nu] (子供に菓子を買えといって責められてたまらない)。 ⸢カーン⸣カー イ⸢チンバー⸣キン シ⸢ミ⸣ルン⸢ダー [⸢kaːŋ⸣kaː ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ʃi⸢mi⸣run⸢daː] (買わなかったら何時までも責め立てるよ)。 ウ⸢ヤ⸣バ シ⸢ミトゥー⸣シ ⸢ベー [ʔu⸢ja⸣ba ʃi⸢mituː⸣ʃi ⸢beː] (親を責め続けて<通して>いる)。 プ⸢スバ⸣ シ⸢ミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ン⸢メーマー⸣ シ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [pu̥⸢suba⸣ ʃi⸢mi⸣ru ⸣kutoː na⸢ranu⸣nu ʔm⸢meːmaː⸣ ʃi⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (他人を責めることは出来ないが、少しは責めればよいのに)。 シ⸢ミ⸣リ [ʃi⸢mi⸣ri] (責めろ<れ>) 8469 0 1 8033 htmvoc_8469.wav シミルン シ⸢ミ⸣ルン [ʃi⸢mi⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}締める。締め付ける。「Xime,uru,eta.シメ,ムル,メタ(締・占め・ムル,めた 緒を締むる)縄や紐を締めつける.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 フ⸢ク⸣ベー シ⸢ミラン⸣カー ⸢キン⸣マー シ⸢ズ⸣リ パ⸢リ⸣ス [ɸu̥⸢ku⸣beː ʃi⸢miraŋ⸣kaː ⸢kim⸣maː ʃi⸢ʣu⸣ri pa⸢ri⸣su] (帯びは締めないと着物はずり落ちていくよ)。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ク⸣ベー シ⸢ミヤッ⸣サンダー ⸣ドゥーシ シ⸢ミ⸣ルンティ ⸢ベー [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢ku⸣beː ʃi⸢mijas⸣sandaː ⸣duːʃi ʃi⸢mi⸣runti ⸢beː] (この帯びは締めやすいから、自分自身で締めようとしている)。 シ⸢ミ⸣ル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ⸣ドゥーシ シ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢mi⸣ru pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː ⸣duːʃi ʃi⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (締める人がいなかったら自分で締めればよいのに)。 ⸣ドゥーシ シ⸢ミ⸣リ [⸣duːʃi ʃi⸢mi⸣ri] (自分で締めろ<れ>)。ふさぐ。閉め(締め)る。詰める。 ⸢スイドーヌ コッ⸣ク シ⸢ミ⸣ルン [⸢suidoːnu kok⸣ku ʃi⸢mi⸣ruŋ] (水道のコックを閉める)。くびる。 ⸣ヌビ シ⸢ミ⸣ルン [⸣nubi ʃi⸢mi⸣ruŋ] (首を絞める)。 シ⸢ミラ⸣ヌ [ʃi⸢mira⸣nu] (締めない)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ヌビ シ⸢ミ⸣ル ⸣クトー ス⸢ナ [⸢duː⸣nu ⸣nubi ʃi⸢mi⸣ru ⸣ku̥toː su⸢na] (自分の首を絞めることはするな)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (もっと締めればいいのに)。 シ⸢ミ⸣リバ [ʃi⸢mi⸣riba] (締めろよ)。 8469 0 2 8034 htmvoc_8469.wav シミルン シ⸢ミ⸣ルン [ʃi⸢mi⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}縮める。つづめる(約める)。 ク⸢マ⸣ヌ ⸢ナイ⸣ヤー ン⸢メーマー⸣ シ⸢ミ⸣リ [ku⸢ma⸣nu ⸢nai⸣jaː ʔm⸢meːmaː⸣ ʃi⸢mi⸣ri] (ここの長さは少し縮めなさい<短くせよ>)。ちぢめる(縮める)。短くする。 ⸢トゥー⸣ジン シ⸢ミ⸣ルン [⸢tuː⸣ʤiŋ ʃi⸢mi⸣ruŋ] (ランプの灯心を縮める<小さくする>) 8470 0 0 8035 htmvoc_8470.wav シミルン シ⸢ミ⸣ルン [ʃi⸢mi⸣ruŋ] 他動 詰める。 フ⸢ク⸣ルナー シ⸢ミラ⸣リ ⸣スコー シ⸢ミ⸣リ [ɸu̥⸢ku⸣runaː ʃi⸢mira⸣ri ⸣su̥koː ʃi⸢mi⸣ri] (袋に詰められるだけ詰めろ)。 シ⸢ミ⸣ル ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ シ⸢ミリバ⸣ル ⸣ムティ パ⸢ラ⸣リ [ʃi⸢mi⸣ru ⸣munoː muː⸢ru⸣ ʃi⸢miriba⸣ru ⸣muti pa⸢ra⸣ri] (詰める物は全部詰めたらば<詰めればぞ>持って行ける<行かれる>)。 シ⸢ミ ヤッ⸣サ ⸣ムノーラ シ⸢ミ⸣ルンティ ⸢ベー [ʃi⸢mi jas⸣sa ⸣munoːra ʃi⸢mi⸣runti ⸢beː] (詰めやすい物から詰めようとしている)。 シ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (詰めれば良いのに) 8471 0 0 8036 htmvoc_8471.wav シミルン シ⸢ミ⸣ルン [ʃi⸢mi⸣ruŋ] 他動 攻める。攻撃する。 ⸢タンカー⸣ラ シ⸢ミ⸣ルンティ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢ミララン⸣タ ⸢ベー⸣ティ ヤ⸢カター⸣ラン シ⸢ミ⸣ル ⸣クトゥニ キ⸢ミルタ [⸢taŋkaː⸣ra ʃi⸢mi⸣runti ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi⸢miraran⸣ta ⸢beː⸣ti ja⸢kataː⸣raŋ ʃi⸢mi⸣ru ⸣ku̥tuni ki⸢miruta] (正面から攻めようとしたが、攻められなかったので、横からも攻めることに決めた)。 フ⸢タントンラ⸣ シ⸢ミ⸣ プサカー ⸢パー⸣ク シ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢tantonra⸣ ʃi⸢mi⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku ʃi⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (二箇所から攻めたければ、早く攻めれば良いのに)。 ⸣クマーラ シ⸢ミ⸣リ [⸣kumaːra ʃi⸢mi⸣ri] (ここから攻めろ) 8480 0 0 8037 htmvoc_8480.wav シミルン シ⸢ミルン [ʃi⸢miruŋ] 他動 させる(使役)。するようにしむける。することを許す。 ッ⸢ふァ⸣マー ⸣ラク シ⸢ミルンティル⸣ パ⸢タラクタンドゥ⸣ ラク シ⸢ミララヌ [f⸢fa⸣maː ⸣raku ʃi⸢miruntiru⸣ pḁ⸢tarakutandu⸣ raku ʃi⸢miraranu] (子孫に楽をさせようと働いたが楽をさせられない)。 ⸣ラク シ⸢ミティ [⸣raku ʃi⸢miti] (楽をさせて~)。 ⸣ラク シ⸢ミ⸣ プサティル ⸢ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザシ⸣タ [⸣raku ʃi⸢mi⸣ pu̥satiru ⸢ʔuinu gak⸣koː ʔn⸢ʣaʃi̥⸣ta] (楽をさせたくて上級学校へ出した)。 ⸢シン⸣シー シ⸢ミル⸣ ク⸢トゥ⸣ル ヌ⸢ズミ⸣ ヤ⸢ル⸣カー ⸢パー⸣ク シ⸢ミリ⸣バ [⸢ʃiŋ⸣ʃiː ʃi⸢miru⸣ ku̥⸢tu⸣ru nu⸢ʣumi⸣ ja⸢ru⸣kaː ⸢paː⸣ku ʃi⸢miri⸣ba] (先生させることが望みなら、早くさせなさい)。 ⸢シン⸣シー サ⸢シェー⸣ (シ⸢メー⸣<老年層>) ミサムヌ [⸢ʃiŋ⸣ʃiː sa⸢ʃeː⸣ (ʃi⸢meː⸣) misamunu] (先生させたらよいのに)。ある行為をするようにしむける。 ⸢クン⸣ドー ⸢ワーン⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミルンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ワンマー⸣ シ⸢ミラン⸣ツォー [⸢kun⸣doː ⸢waːŋ⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢mirunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸢wammaː⸣ ʃimiran⸣ʦoː] (今度は君に仕事をさせようと思ったのだが、君にはさせないそうだ)。 ドゥ⸢シン⸣ シ⸢ミ⸣ ミサカー シ⸢ミル⸣ クトー ⸣ナルン [du⸢ʃiŋ⸣ ʃi⸢mi⸣ misakaː ʃi⸢miru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (友人にさせて良ければ、させることは出来る)。 プ⸢スン⸣ シ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [pu̥⸢suŋ⸣ ʃi⸢mireː⸣ misamunu] (他人にさせれば良いのに)。 ウ⸢リン⸣ シ⸢ミリ⸣バ [ʔu⸢riŋ⸣ ʃi⸢miri⸣ba] (彼にさせなさいよ) 8481 0 0 8038 htmvoc_8481.wav シミルン シ⸢ミルン [ʃi⸢miruŋ] 助動 ~させる。~せる。使役の助動詞。動詞の未然形につく。(i) 志向形。 ク⸢ヌ ジーヤー⸣ カ⸢リン⸣ カ⸢カシミ⸣ラ [ku⸢nu ʤiːja⸣ ka⸢riŋ⸣ kḁ⸢kaʃimi⸣ra] (この字は彼に書かせよう)。(ii) 未然形。 タ⸢ルーン⸣マー ティ⸢ガ⸣メー カ⸢カシミラ⸣ヌ [ta⸢ruːm⸣maː ti⸢ga⸣meː kḁ⸢kaʃimira⸣nu] (太郎には手紙を書かせない)。 ⸣タルーン ティ⸢ガ⸣ミ カ⸢カシミラ⸣バ ⸢ワー⸣シ ン⸢ザ⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸣taruːn ti⸢ga⸣mi kḁ⸢kaʃimira⸣ba ⸢waː⸣ʃi ʔn⸢ʣa⸣ʃi f⸢fiːri] (太郎に手紙を書かせたら、君で投函し<出し>てくれ)。(iii) 連用形。 カ⸢リン⸣ ティ⸢ガ⸣ミ カ⸢カシミ⸣ プサンドゥ タ⸢ナマ⸣リンカヤー [ka⸢rin⸣ ti⸢ga⸣mi kḁ⸢kaʃimi⸣ pu̥sandu ta⸢nama⸣riŋkajaː] (彼に手紙を書かせたいが、頼むことが出来る<頼まれる>かねえ)。(iv) 終止形。 カ⸢リンマー⸣ カ⸢カシミ⸣ルン [ka⸢rimmaː⸣ kḁ⸢kaʃimi⸣ruŋ] (彼には書かせる)。(v) 連体形。 ティ⸢ガミ⸣バ タ⸢ナ⸣ミ カ⸢カシミ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ti⸢gami⸣ba ta⸢na⸣mi kḁ⸢kaʃimi⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (手紙を頼んで書かせる人はいない)。(vi) 連体形。 ⸣ヌンティ カ⸢リン⸣ カ⸢カシミル⸣ワ [⸣nunti ka⸢riŋ⸣ kḁ⸢kaʃimiru⸣wa] (なぜ彼に書かせるのか)。(vii) 已然形。 カ⸢リン⸣ カ⸢カシミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ka⸢riŋ⸣ kḁ⸢kaʃimi⸣reː ⸣misamunu] (彼に書かせればよいのに)。(xii) 命令形。 プ⸢スン⸣ カ⸢カシミ⸣リ [pu̥⸢suŋ⸣ kḁ⸢kaʃimi⸣ri] (他人に書かせよ<書かせれ>) 8489 0 0 8039 htmvoc_8489.wav シム シ⸢ム [ʃi⸢mu] 名 末。時間的に後ろの方。ス⸢ム[su⸢mu]ともいう。 ク⸢トゥシヌ⸣ シ⸢ムヌ マーラ⸣ナー ⸢ギール ヨイ⸣ヤー ⸣ナル [ku̥⸢tuʃinu⸣ ʃi⸢munu maːra⸣naː ⸢giːru joi⸣jaː ⸣naru] (今年の末ごろになってはじめて<いってぞ>お祝いは出来る) 8491 0 0 8040 htmvoc_8491.wav シムガタ シ⸢ムガタ [ʃi⸢mugata] 名 下方。下々の者。一般庶民。百姓。⸢ウイガタ[⸢ʔuigata](上方{EOS}高齢の人{EOS}役人{EOS}位の高い人)の対義語。 ⸢ウイガター⸣ カナー ビ⸢サシ オーラ⸣シティ ⸢ベー⸣ シ⸢ムガター⸣ クナー ビ⸢ロー⸣ラ [⸢ʔuigataː⸣ kanaː bi⸢saʃi ʔoːra⸣ʃi̥ti ⸢beː⸣ ʃi⸢mugataː⸣ kunaː bi⸢roː⸣ra] (上方<高齢の方々>は、あそこにお座りいただいて、我々<聞き手を含む>は此処に座りましょうよ<座りおわそう>) 8492 0 0 8041 htmvoc_8492.wav シムゴイ シ⸢ムゴイ [ʃi⸢mugoi] 名 しもごえ(下肥)。人間の糞尿、豚の糞尿を肥料として使用したもの。ミ⸢ジ⸣ゴイ[mi⸢ʤi⸣goi](水肥)ともいう。 ⸣コイタングナー シ⸢ムゴイ⸣ カ⸢タ⸣ミティ ⸢ダイ⸣クニパタキナー カ⸢キ⸣リ [⸣koitaŋgunaː ʃi⸢mugui⸣ ka⸢ta⸣miti ⸢dai⸣kunipatakinaː ka⸢ki⸣ri] (水肥桶<肥担桶>で下肥を担いで大根畑にかけろ) 8493 0 0 8042 htmvoc_8493.wav シムザー シ⸢ムザー [ʃi⸢muʣaː] 名 下座。台所。老年層はス⸢ムザー[su⸢muʣaː]という。カ⸢ミ⸣ザー[ka⸢mi⸣ʣaː](上座)の対義語。 ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ シ⸢ムザー⸣ナーティ ビ⸢ロー⸣リバ [mi⸢dumuŋkeː⸣ja ʃi⸢muʣaː⸣naːti bi⸢roː⸣riba] (女衆<女性達>は下座でお座りくださいな) 8494 0 0 8043 htmvoc_8494.wav シムザキ シ⸢ムザキ [ʃi⸢muʣaki] 名 遅咲き。時期遅れに咲く花。「下咲き」の義。⸣アトゥサキ[⸣ʔatusaki](後咲き)ともいう。 シ⸢ムザキヌ⸣ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サキ ⸢ベー⸣ン [ʃi⸢muʣakinu⸣ pa⸢na⸣nu ⸣saki ⸢beː⸣ŋ] (遅咲きの花が咲いている) 8495 0 0 8044 htmvoc_8495.wav シムジム シ⸢ムジム [ʃi⸢muʤimu] 名 しもじも(下々)の者。庶民。 ⸣アイブ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢ムジムヌ⸣ ッ⸢シェー⸣ ワケー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu pa⸢na⸣ʃeː ʃi⸢muʤimunu⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ wakeː ⸢naː⸣nu] (あんな話は、庶民<下々の者>の知るわけがない) 8496 0 0 8045 htmvoc_8496.wav シムチ シ⸢ムチ [ʃi⸢muʧi] 名 根性。しょうね。「気持ち」の転訛したもの。 ⸣アイブ シ⸢ムチ⸣シェー プ⸢スヌ⸣ マイ ⸢ユーザラヌ [⸣ʔaibu ʃi⸢muʧi⸣ʃeː pu̥⸢sunu⸣ mai ⸢juːʣaranu] (あんな根性では他人の前には進まれ<寄られ>ない) 8490 0 0 8046 htmvoc_8490.wav シムナル シ⸢ムナル [ʃi⸢munaru] 名 うらなり(末成り)。「しもなり<下実り>」『沖縄古語大辞典』。野菜や果物が盛りを過ぎて実がなること。瓜などの蔓の末に実がなるもの。「下生り」の義か。 ⸢バシキカー⸣レーラ フ⸢ナブ⸣ヌ シ⸢ムナルヌ ピッチン⸣ フ⸢タッ⸣チン ⸣ナリ ⸢ベー⸣バン [⸢baʃi̥kikaː⸣reːra ɸu⸢nabu⸣nu ʃi⸢munarunu pitʧiŋ⸣ ɸu̥⸢tat⸣ʧin ⸣nari ⸢beː⸣baŋ] (すっかり忘れた頃に九年母<蜜柑>の末成りが一つ二つ生っているわい) 8497 0 0 8047 htmvoc_8497.wav シムヌフン シ⸢ムヌ フン [ʃi⸢munu ɸuŋ] 連 石垣島以外の離島。「下の国」の義。⸢ウイヌ フン[⸢ʔuinu ɸuŋ](石垣島及び石垣島以北の島{EOS}沖縄本島)の対義語。 ⸢ウイヌ フン⸣ラ シ⸢ムヌ フンバー⸣キ シ⸢ラビ⸣ムヌ ⸢シン オー⸣レーツォー [⸢ʔuinu ɸun⸣ra ʃi⸢munu ɸumbaː⸣ki ʃi⸢rabi⸣munu ⸢ʃiŋ ʔoː⸣reːʦoː] (沖縄<上の国>から八重山の離島<下の国>まで調査しに来られたそうだ) 8498 0 0 8048 htmvoc_8498.wav シムヌムラ シ⸢ムヌムラ [ʃi⸢munumura] 名 旧鳩間郵便局(旧姓友利浩氏宅)の前の道より下(海岸寄り)にある家々。⸢下の村」の義。単に⸢スモー[su⸢moː](下の家)ともいう。⸢ウイヌムラ[⸢ʔuinumura](上の村)の対義語。 シ⸢ムヌムラー タイフー⸣ヌ ピンマー ⸢スーカジ⸣ヌ フ⸢キック⸣ムン [ʃi⸢munumuraː taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː ⸢suːkaʤi⸣nu ɸu̥⸢kik⸣kumuŋ] (下の村<海岸の家々>は、台風の時は潮風が吹き込むよ) 8431 0 0 8049 htmvoc_8431.wav シムル シ⸢ムル [ʃi⸢muru] 名 布の経糸80本の単位。プ⸢ス⸣パー[pu̥⸢su⸣paː](2本)の⸢ユーパー[⸢juːpaː](4パー)をプ⸢ス⸣ティー[pu̥⸢su⸣tiː](1手)といい、これの⸢トゥーティー[⸢tuːtiː](10ティー{EOS}10手)がプ⸢スシム⸣ル[pu̥⸢suʃimu⸣ru](1シムル<締り>の義か)という。 ⸣バサキンヌ ヌ⸢ケー ギューシムル⸣ タティティ ウ⸢リ オー⸣ルカヤー [⸣basakinnu nu⸢keː gjuːʃimuru⸣ tḁtiti ʔu⸢ri ʔoː⸣rukajaː] (芭蕉布の経糸は幾シムル立てて織っておられるのかねえ) 8499 0 1 8050 htmvoc_8499.wav シムル シ⸢ムル [ʃi⸢muru] 名 {Mn_1}つもり。心づもり。計画。「つもり<積もり>」の義。⸢薀、アツム、ツモル『類聚名義抄』」の義か。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ムルバ シー ベータン⸣ドゥ パ⸢ララン⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢muruba ʃiː beːtan⸣du pa⸢raran⸣ nari ⸢naː⸣nu] (そのつもり<心算>でいたが、行かれなくなってしまった)。 ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ヌー⸣シ ⸢スー⸣ シ⸢ムル シーベー⸣ワ [⸢jo⸣jaː ⸢nuː⸣ʃi ⸢suː⸣ ʃi⸢muru ʃiː beː⸣wa] (お祝いはどのようにする計画をしているか)。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ムルバ シーベータン⸣ドゥ ア⸢ティパンチ シーナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢muruba ʃiːbeːtan⸣du ʔa⸢tipanʧi ʃiːnaː⸣nu] (その予定<心算>をしていたが、当て外れになって<して>しまった)。 8499 0 2 8051 htmvoc_8499.wav シムル シ⸢ムル [ʃi⸢muru] 名 {Mn_2}見積もり。予算。 ⸢ヤースクリ⸣ヌ シ⸢ムル⸣ トゥ⸢ラ⸣シ ⸣ミリバ [⸢jaːsu̥kuri⸣nu ʃi⸢muru⸣ tu⸢ra⸣ʃi ⸣miriba] (新築<家造り>の見積もりを取らせてごらんよ) 8500 0 0 8052 htmvoc_8500.wav シムルン シ⸢ムルン [ʃi⸢muruŋ] 他動 見積もる。計る。予測する。 ⸢ギュー⸣サ カ⸢カ⸣ルユー シ⸢ムリ ミッタ⸣ヌ シ⸢ムラランシェン [⸢gjuː⸣sa kḁ⸢ka⸣rujuː ʃi⸢muri mitta⸣nu ʃi⸢muraraŋʃeŋ] (いくらかかるか、見積もってみたが見積もられなかった)。 ア⸢ツァ バー⸣キナ シ⸢ムルンティ⸣ ウムーカー シ⸢ムル⸣ クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦa baː⸣kina ʃi⸢murunti⸣ ʔumuːkaː ʃi⸢muru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (明日までに見積もろうと思えば見積もることは出来る)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ムレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʃi⸢mureː⸣ misamunu] (早く見積もればよいのに)。 ⸣ドゥーシ シ⸢ムリ [⸣duːʃi ʃi⸢muri] (自分で見積もれ) 8474 0 0 8053 htmvoc_8474.wav シムン ⸣シムン [⸣ʃimuŋ] 他動 責める。「せむ(責む)<下二段>」。「~師歯迫山 責而雖問<責めて問ふとも>。万、2696」の転訛したものか。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー プ⸢ス⸣ シムン [ku⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː pu̥⸢su⸣ ʃimuŋ] (この子は非常に他人を責め立てる) 8475 0 1 8054 htmvoc_8475.wav シムン ⸣シムン [⸣ʃimuŋ] 他動 {Mn_1}締める。 ⸣ヌビ ⸣シムン [⸣nubi ⸣ʃimuŋ] (首を締める)。 プ⸢スヌ⸣ ヌベー シ⸢マ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ nubeː ʃi⸢ma⸣nu] (他人の首は絞めない)。 ⸣シミ ⸣ミサカー ⸣シム ⸣クトー ⸣ナルン [⸣ʃimi ⸣misakaː ⸣ʃimu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (締めて良ければ締めることは出来る)。 ⸣シメー ⸣ミサムヌ [⸣ʃimeː ⸣misamunu] (締めたら良いのに)。 ⸣シミバ [⸣ʃimiba] (締めよ)。 フ⸢ク⸣ビ ⸣シムン [ɸu̥⸢ku⸣bi ⸣ʃimuŋ] (帯を締める)。 ギッ⸢ティ⸣ シ⸢ミラン⸣ドーシ ユ⸢リーユリー⸣シ ⸣シミ ッ⸢ふィーリ [git⸢ti⸣ ʃi⸢miran⸣doːʃi ju⸢riːjuriː⸣ʃi ⸣ʃimi f⸢fiːri] (ぎゅっと強く絞めないで緩く締めてくれ)。 ⸣ドゥーシ シ⸢ミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣バ ⸢ワー⸣ シミバ [⸣duːʃi ʃi⸢mi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ram⸣ba ⸢waː⸣ʃi ⸣ʃimiba] (自分で絞めることは出来ないので君が締めよ)。 ⸢マー⸣ビン ギッ⸢ティ⸣ シメー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ git⸢ti⸣ ʃimeː ⸣misamunu] (もっときつく<ぎゅっと>締めればよいのに)。 ⸣ヌビ ⸣シ⸢ム⸣ナ [⸣nubi ʃi⸢mu⸣na] (首を絞めるな)。 8475 0 2 8055 htmvoc_8475.wav シムン ⸣シムン [⸣ʃimuŋ] 他動 {Mn_2}責める。 ⸣アイニ プ⸢ス⸣ シ⸢マン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸣ʔaini pu̥⸢su⸣ ʃi⸢mam⸣ bu⸢ri⸣ba] (あんなに他人を責めるなよ<責めなでおれよ>)。 シ⸢ミトゥー⸣シ [ʃi⸢mi tuː⸣ʃi] (責め続ける<責め通し>)。 ⸢サッ⸣コー プ⸢ス⸣ シムン [⸢sak⸣koː pu̥⸢su⸣ ʃimuŋ] (非常に他人を責め立てる)。 シ⸢ム⸣ナ [ʃi⸢mu⸣na] (責めるな)。 プ⸢スバ⸣ シムクトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢suba⸣ ʃimu ⸣kutoː na⸢ra⸣nu] (他人を責めることがあってはならぬ)。 ⸣シミバ [⸣ʃimiba] (責めよ)。 8475 0 3 8056 htmvoc_8475.wav シムン ⸣シムン [⸣ʃimuŋ] 他動 {Mn_3}攻める。 ⸣マーラ ⸣シミ ⸣クーカヤー [⸣maːra ⸣ʃimi ⸣kuːkajaː] (何処から攻めてくるかなあ) 8476 0 0 8057 htmvoc_8476.wav シムン ⸣シムン [⸣ʃimuŋ] 他動 詰める。「詰め<下二段活用>」の四段活用に転訛したもの。「貯・蓄タクハフ・ツム『類聚名義抄』」の転訛したもの。 フ⸢ク⸣ルナ シ⸢マ⸣リカー ⸣シミ イ⸢リリ [ɸu⸢ku⸣runaː ʃi⸢ma⸣rikaː ⸣ʃimi ʔi⸢riri] (袋に詰められたら詰めて入れろ)。 フ⸢ク⸣ルナー ⸣シムンティ ⸣ウムーカー ⸢マー⸣ビン ⸣シミバ [ɸu̥⸢ku⸣runa ⸣ʃimunti ⸣ʔumuːkaː ⸢maː⸣biŋ ⸣ʃimiba] (袋に詰めようと思うなら、もっと詰めなさい)。 ⸢マー⸣ビン ⸣シメー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣ʃimeː ⸣misamunu] (もっと詰めればよいのに)。 ⸢クン⸣ナー ⸣シミバ [⸢kun⸣naː ⸣ʃimiba] (これに詰めなさいよ) 8477 0 1 8058 htmvoc_8477.wav シムン シ⸢ムン [ʃi⸢muŋ] 他動 {Mn_1}摘む。指先や爪先で千切って取る。「捻、以\kaeriten{二}指末\kaeriten{一}豆牟<つむ>『新撰字鏡』」。「~夜の暇に都賣流~『万葉集 4455』」の転訛したもの。 ⸢ナーンパー⸣バ ⸣ティーシ シ⸢ムンティ ベーン⸣ドゥ シ⸢マランバ⸣ シ⸢ミ ッふィーリ [⸢naːmpaː⸣ba ⸣tiːʃi ʃi⸢munti beːn⸣du ʃi⸢maramba⸣ ʃi⸢mi ffiːri] (菜っ葉を手で摘もうとしているが摘めない<摘まれない>ので、摘んでくれ)。 シ⸢ム⸣ プソー ア⸢サカイ⸣ナー シ⸢メー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢mu⸣ pu̥soː ʔa⸢sakai⸣naː ʃi⸢meː⸣ misamunu] (摘むときは午前中<朝陰のあるうち>に摘めば良いのに)。 ⸢ワー⸣ ク⸢リ⸣シ シ⸢ミ⸣バ [⸢waː⸣ ku⸢ri⸣ʃi ʃi⸢mi⸣ba] (君はこれで摘めよ)。指先や爪先でつまみ切る。「捻、以2指末1豆牟(つむ)」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ⸢ナーン⸣パー シ⸢ムンティ スンドゥ⸣ ウ⸢ヤ⸣ビ ヤ⸢マ⸣シティ シ⸢マラヌ [⸢naːm⸣paː ʃi⸢munti sundu⸣ ʔu⸢ja⸣bi ja⸢ma⸣ʃi̥ti ʃi⸢maranu] (菜っ葉を摘もうとするが、親指を痛めて摘めない)。 カ⸢タ⸣ティーシ シ⸢ミ⸣ミサカー シ⸢ム⸣クトー ⸣ナルン [kḁ⸢ta⸣tiːʃi ʃi⸢mi⸣misakaː ʃi⸢mu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (片手で摘んで良ければ摘むことは出来る)。 ウ⸢ヤ⸣ビシ シ⸢メー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ja⸣biʃi ʃi⸢meː⸣ misamunu] (親指で摘めば良いのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ミ⸣バ [⸢paː⸣ku ʃi⸢mi⸣ba] (早く摘めよ)。 8477 0 2 8059 htmvoc_8477.wav シムン シ⸢ムン [ʃi⸢muŋ] 他動 {Mn_2}髪を刈り取る。断髪する。つめる。 ガ⸢マ⸣ジ ⸣シムン [ga⸢ma⸣ʤi ⸣ʃimuŋ] (髪を摘む{EOS}髪を刈る) 8478 0 0 8060 htmvoc_8478.wav シムン シ⸢ムン [ʃi⸢muŋ] 他動 積む。うずたかく重ねる。 ⸢グス⸣ク シ⸢ムンティ ベーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー シ⸢マランバ⸣ マー⸢ズン⸣シ ⸣キー シ⸢ミ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢gusu̥⸣ku ʃi⸢munti beːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʃi⸢maramba⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ⸣kiː ʃi⸢mi⸣ f⸢fiːri] (石垣を積もうとしているが一人では積めない<積まれない>から、一緒に来て積んでくれ)。 ⸣ニー シ⸢ム⸣ プ⸢ソー パー⸣ク シ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸣niː ʃi⸢mu⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku ʃi⸢meː⸣ misamunu] (荷物を積む人は早く積めば良いのに)。 ⸣クマーラ シ⸢ミ [⸣kumaːra ʃi⸢mi] (此処から積め)。うずたかく重ねる。 ⸢グス⸣ク シ⸢ムンティ ベーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー シ⸢マランバ⸣ マー⸢ズン⸣シ ⸣キー シ⸢ミ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢gusu̥⸣ku ʃi⸢munti beːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʃi⸢maramba⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ⸣kiː ʃi⸢mi⸣ f⸢fiːri] (石垣を積もうとしているが一人では積めない<積まれない>から、一緒に来て積んでくれ)。 ⸣ニー シ⸢ム⸣ プ⸢ソー パー⸣ク シ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸣niː ʃi⸢mu⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku ʃi⸢meː⸣ misamunu] (荷物を積む人は早く積めば良いのに)。 ⸣クマーラ シ⸢ミ [⸣kumaːra ʃi⸢mi] (此処から積め)。 ⸣フニナー ⸣ニー シ⸢ムンティ ベーン⸣ケン カ⸢ジヌ⸣ フキティ シ⸢マランシェン [⸣ɸuninaː ⸣niː ʃi⸢munti beːŋ⸣keŋ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kiti ʃi⸢maraŋʃeŋ] (船に荷を積もうとしていると風が吹いて積めなかった)。 ⸣ニー シ⸢ミ⸣ ミサンティ シ⸢タール⸣ シ⸢ムタヌ⸣ ニー ⸢バッ⸣パイティ シ⸢ミ ナー⸣ヌ [⸣niː ʃi⸢mi⸣ misanti ʃi̥⸢taːru⸣ ʃi⸢mutanu⸣ niː ⸢bap⸣paiti ʃi⸢minaː⸣nu] (荷を積んでいいといったので積んだが、積む荷を間違えて積んでしまった)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢meː⸣ misamunu] (もっと積めば良いのに)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ミ [⸢paː⸣ku ʃi⸢mi] (早く積め) 8479 0 0 8061 htmvoc_8479.wav シムン ⸣シムン [⸣ʃimuŋ] 他動 洗う。濁りや汚れをなくする。澄ます。用法は、顔<面、おもて>、手、足を洗う意味に用いられる。ただし、⸣シラ[⸣ʃira](顔<面、つら>)に続く動詞は、ア⸢ラウン[ʔa⸢rauŋ](洗う)を用いて、⸣シムン[⸣ʃimuŋ](洗う{EOS}清ます)は用いない。 ウ⸢ム⸣ティ ⸣シムン [ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimun] (顔を洗う)。 ウ⸢ム⸣ティ シ⸢マ⸣ヌ [ʔu⸢mu⸣ti ʃi⸢ma⸣nu] (顔を洗わない)。 ウ⸢ム⸣ティ ⸣シミティ ア⸢サビ [ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimiti ʔa⸢sabi] (顔を洗って遊べ)。 ウ⸢ム⸣ティ ⸣シム ⸣ピンマー カシ⸢ーカシー⸣ シメー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimu ⸣pimmaː kaʃi⸢ːkaʃiː⸣ ʃimeː ⸣misamunu] (顔を洗うときは、しっかりと<十分に>洗えばよいのに)。 ウ⸢ム⸣ティ ⸣シミ [ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimi] (顔を洗え)。 ⸢ティー⸣ヤ ⸣シミティル ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふー⸠ダー [⸢tiː⸣ja ⸣ʃimitiru ⸢ʔiː⸣ja f⸢fuː⸠daː] (手は洗ってから<ぞ>飯は食うのだよ)。 ウ⸢ム⸣ティ ⸣シムンティ ⸢スーヌンドゥ⸣ シ⸢マラ⸣ヌ  [ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimunti ⸢suːnundu⸣ ʃi⸢mara⸣nu] (顔を洗おうとするのだが、洗えない)。 ウ⸢ム⸣ティ シ⸢ミ⸣プサカー ⸣ドゥーシ ⸣シミバ [ʔu⸢mu⸣ti ʃi⸢mi⸣pu̥sakaː ⸣duːʃi ⸣ʃimiba] (顔を洗いたければ自分で洗えよ)。 ⸣ティー ⸣シム ⸣ピンマー アザ⸢ケーアザケー⸣シ ⸣シメー ⸣ミサムヌ [⸣tiː ⸣ʃimu ⸣pimmaː ʔaʣa⸢keː ʔaʣakeː⸣ʃi ⸣ʃimeː ⸣misamunu] (手を洗うときは、綺麗に<清潔に>洗えばよいのに) 8501 0 0 8062 htmvoc_8501.wav シムン ⸣シムン [⸣ʃimuŋ] 自動 済む。終わる。ウ⸢ワールンとも言う。 ⸣クビシ ⸣シムンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢マン⸣ティバーヤ [⸣kubiʃi ⸣ʃimuŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢man⸣tibaːja] (これで済むと思ったが済まないそうだ)。 ⸢フントー⸣ヤ ⸣ウビシ ⸣シム ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ッ⸢サン⸣ケンナー ⸣シミ ⸢ナーン⸣ワー⸢ヌー [⸢ɸuntoː⸣ja ⸣ʔubiʃi ⸣ʃimu⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu s⸢saŋ⸣keŋ ⸣ʃimi ⸢naːŋ⸣waː⸢nuː] (本当は、それで済むことはないが、知らぬうちに済んでしまったではないか)。 ⸣ウビシ ⸣シメー ⸣ミサムヌ [⸣ʔubiʃi ⸣ʃimeː ⸣misamunu] (それで済めば良いのに) 8502 0 0 8063 htmvoc_8502.wav シムン ⸣シムン [⸣ʃimuŋ] 自動 澄む。透明になる。濁りがなくなる。 ヤ⸢ナンゴー⸣リミジェー ユール⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナー ⸣シムンティ シ⸢タンドゥ⸣ マ⸢ダ⸣ シ⸢マン⸣バ シ⸢ミ⸣キスンケン ⸣マティ [ja⸢naŋgoːri⸣miʤeːmiʤeː ⸢juːru⸣nu ʔu⸢ʧi⸣naː ⸣ʃimunti ʃi̥⸢tandu⸣ ma⸢da⸣ ʃi⸢mam⸣ba ʃi⸢mi⸣ki̥suŋkem ⸣mati] (濁り水は夜のうちに澄むといったが、まだ澄まないので、澄みきるまで待て)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸣シムクトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢パー⸣ク ⸣シメー ⸣ミサムヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸣ʃimuku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢paː⸣ku ⸣ʃimeː ⸣misamunu] (そんなに早く澄むことはないが、早く澄めばいいのに) 8506 0 1 8064 htmvoc_8506.wav シモールン シ⸢モー⸣ルン [ʃi⸢moː⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}させなさる。せなさる。使役動詞シ⸢ミルン[ʃi⸢miruŋ](させる)の尊敬語。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ バン シ⸢モー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸣ヌンティ シ⸢モーラン⸣カヤー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ baŋ ʃi⸢moː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸣nunti ʃi⸢moːraŋ⸣kajaː] (この仕事は私にさせなさると思ったのに、どうしてさせなさらないのかねえ)。 カ⸢リンマー⸣ シ⸢モー⸣リ ⸣ミサンドゥ フ⸢カ⸣ヌ プ⸢スンナー⸣ネー シ⸢モー⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢rimmaː⸣ ʃi⸢moː⸣ri ⸣misandu ɸu̥⸢ka⸣nu pu⸢sunnaː⸣neː ʃi⸢moː⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (彼にはさせなさっても良いけれど、他の人にはさせなさることはなりません)。 ⸣バン シ⸢モー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣baŋ ʃi⸢moː⸣reː ⸣misamunu] (私にさせなさったらよいですのに)。 ヤー⸢ディン⸣ バン シ⸢モー⸣リ [jaː⸢dim⸣ baŋ ʃi⸢moː⸣ri] (どうしても<必ず>私にさせなさってください)。 8506 0 2 8065 htmvoc_8506.wav シモールン シ⸢モー⸣ルン [ʃi⸢moː⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}使役の助動詞-シ⸢ミルン[-ʃi⸢mirun](せる{EOS}させる<しめる>)の尊敬語。動詞の未然形に下接続して尊敬の意を表す。 カ⸢カシ⸣モーリ [kḁ⸢kaʃi⸣moːri] (書かせてください)。 マ⸢タシ⸣モーラヌ [ma⸢taʃi⸣moːranu] (待たさせなさらない)。 トゥ⸢ラシ⸣モーリ ⸣ミサン [tu⸢raʃi⸣moːri ⸣misaŋ] (取らさせなさってよろしゅうございます)。 ア⸢ツァバー⸣キナ ⸢カーシモー⸣ル ⸣クトゥ [ʔa⸢ʦabaː⸣kina ⸢kaːʃimoː⸣ru ⸣ku̥tu] (明日までに買わさせなさること)。 ⸢カーシモー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢kaːʃimoː⸣reː ⸣misamunu] (買わさせなされたらいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ カ⸢カシ⸣モーリ [jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢kaʃi⸣moːri] (きっと<必ず>書かせなさって下さい) 8507 0 0 8066 htmvoc_8507.wav ジャカジャカ ジャ⸢カジャカ [ʤa⸢kaʤaka] 副 じゃかじゃか。ぬかるんだ道や水溜りの道を歩く際の様子。擬態語。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸣ミチナー ミ⸢ジヌ⸣ タ⸢マリティ⸣ ジャ⸢カジャカ⸣シ ミ⸢ジヌ⸣ パニティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸣miʧinaː mi⸢ʤinu⸣ ta⸢mariti⸣ ʤa⸢kaʤaka⸣ʃi mi⸢ʤinu⸣ paniti ʔa⸢rakara⸣nu] (雨が降ると道に水が溜まってジャカジャカと水が跳ねて歩けない) 8508 0 0 8067 htmvoc_8508.wav シュー ⸣シュー [⸣ʃuː] 名 つゆ(露)。 サ⸢キバ⸣ ヌミティ ⸣シューナ ウ⸢タ⸣リ ニ⸢ビ ベー⸣ルカー ⸢ヤン⸣マイ イ⸢リルン⸣ティ⸢ダー [sḁ⸢kiba⸣ numiti ⸣ʃuːna ʔu⸢ta⸣ri ni⸢bi beː⸣rukaː ⸢jam⸣mai ʔi⸢rirun⸣ti⸢daː] (酒を飲んで夜露に打たれて寝ていると病を体に取り込む<病気になる>そうだよ)。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢サシューバ⸣ フ⸢メー⸣ティル パ⸢タ⸣ケー ⸢パッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢saʃuːba⸣ ɸu⸢meː⸣tiru pḁ⸢ta⸣keː ⸢patta⸣ru] (昔は早朝に朝露を踏みながら畑へ行ったものだ) 8509 0 0 8068 htmvoc_8509.wav ジュー ⸣ジュー [⸣ʤuː] 名 十。数の名。普通は、⸢トゥー[⸢tuː](十{EOS}拾)という。 ⸢ジュー⸣イチ [⸢ʤuː⸣iʧi] (十一)。 ⸢ジュー⸣ニ [⸢ʤuː⸣ni] (十二) 8510 0 0 8069 htmvoc_8510.wav ジューイチンガチ ⸢ジュー⸣イチンガチ [⸢ʤuː⸣ʔiʧiŋgaʧi] 名 十一月。 シ⸢マッサ⸣ロー ⸢ジュー⸣イチンガチナ ア⸢タル⸣ トゥシン ⸢アッ⸣タン [ʃi⸢massa⸣roː ⸢ʤuː⸣ʔiʧiŋgaʧina ʔa⸢taru⸣ tu̥ʃiŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (シマッサル<島クサラシ>祭は、十一月に当たる年もあった) 8670 0 0 8070 htmvoc_8670.wav ジューイチングヮチ ⸢ジュー⸣イチングヮチ [⸢ʤuː⸣ʔiʧiŋgwaʧi] 名 十一月。 ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ジュー⸣イチングヮチナー ⸢スー⸣ ス⸢コールバ シーベー [⸢joi⸣jaː ⸢ʤuː⸣ʔiʧiŋgwaʧinaː ⸢suː⸣ su̥⸢koːruba ʃiːbeː] (お祝いは十一月にする準備をしている) 8511 0 0 8071 htmvoc_8511.wav シューカク ⸢シューカク [⸢sjuːkaku] 名 収穫。共通語からの借用語。普通は、⸢マイカリ[⸢maikari](稲刈り)という。稲刈りなどの共同作業を、⸣バコー[⸣bakoː](共同作業)という。共同作業員を、バ⸢コーシン⸣カ[ba⸢koːsiŋ⸣ka](共同作業員)という。収穫は短期日のうちに行う必要があり、多くの人手を要することから⸣バコーが行われた。 ク⸢トゥシェー⸣ ム⸢チマイヌ シューカコー ゴー⸣ラタン [ku̥⸢tuʃeː⸣ mu⸢ʧimainu ʃuːkakoː goː⸣rataŋ] (今年は糯米の収穫が多かったよ) 8512 0 0 8072 htmvoc_8512.wav ジューサンニンキ ⸢ジュー⸣サンニンキ [⸢ʤuː⸣sanniŋki] 名 十三年忌。死後十三年目の法事。 ⸢ジュー⸣サンニンケーラー ウ⸢ブソッ⸣コーティ ア⸢ザリブー [⸢ʤuː⸣sanniŋkeːraː ʔu⸢busok⸣koːti ʔa⸢ʣari buː] (十三年忌からは大きな法事<大焼香>といわれている)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢ジュー⸣サンニンキ ナ⸢リス⸣ メー [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢ʤuː⸣sanniŋki na⸢risu⸣ meː] (こんなに早く<早くも>十三年忌を迎えるのか<十三年忌になるのか>、もう) 8672 0 0 8073 htmvoc_8672.wav ジューサンヌヨイ ⸢ジューサン⸣ヌ ⸣ヨイ [⸢ʤuːsan⸣nu ⸣joi] 連 十三のお祝い。⸢ソーニヨイ[⸢soːnijoi](生年祝い)の一つ。娘が十三歳になった誕生日に執り行う生年祝い。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸢ジューサン⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ヤーム⸣トゥナー ⸢スー ソーニヨイヌ⸣ ウ⸢ワーリ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ガムチン⸣ ス⸢ク⸣リ ア⸢ガイーン⸣ バ⸢カシル⸣ ヨイ ⸢ソーッ⸣タ [mi⸢doːŋ⸣ffanu ⸢ʤuːsan⸣nu ⸢joi⸣jaː ⸢jaːmu⸣tuna ⸢suː soːnijoinu⸣ ʔu⸢waːri⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢gamuʧin⸣ su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢gaʔiːm⸣ ba⸢kaʃiru⸣ joi ⸢soːt⸣ta] (女の子の十三の生年祝いは、実家でする生年祝いの最後だから、赤い餅も作り、赤飯も炊いてお祝いをされた) 8673 0 0 8074 htmvoc_8673.wav ジューシチハチ ⸢ジュー⸣シチハチ [⸢ʤuː⸣ʃi̥ʧihḁʧi] 名 十七、八歳。娘盛り。 ⸢ジュー⸣シチハチェー パ⸢ナ⸣ヌ サ⸢カリ⸣ティ ア⸢ザリ ブー [⸢ʤuː⸣ʃi̥ʧihaʧeː pa⸢na⸣nu sḁ⸢kari⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (十七、八歳は娘盛り<花の盛り>といわれている) 8674 0 0 8075 htmvoc_8674.wav ジューニン ⸢ジュー⸣ニン [⸢ʤuː⸣niŋ] 名 十年。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ シェーラ ジュー⸣ニン ナ⸢リ⸣スバン⸢ナー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu ʃeːra ʤuː⸣nin na⸢ri⸣suban⸢naː] (この仕事をしてから十年になんるんだねえ)。 プ⸢ス⸣トゥシ [pu̥⸢su⸣tuʃi] (ひととせ{EOS}一年) フ⸢タトゥシ [ɸu̥⸢tatuʃi] (二年))。⸢ミートゥシ[⸢miːtuʃi](みとせ{EOS}三年)、⸢ユートゥシ[⸢juːtuʃi](四年)、イ⸢チ⸣トゥシ[ʔi⸢ʧi⸣tu̥ʃi](五年)、⸢ムートゥシ[⸢muːtuʃi](六年)、ナ⸢ナ⸣トゥシ[na⸢na⸣tu̥ʃi](七年)、⸢ヤートゥシ[⸢jaːtuʃi](八年)、ク⸢ヌ⸣トゥシ[ku⸢nu⸣tu̥ʃi](九年)、その次からは助数詞⸣ニン[⸣niŋ](年)を用いて数える 8675 0 0 8076 htmvoc_8675.wav ジューニン ⸢ジュー⸣ニン [⸢ʤuː⸣niŋ] 名 十人。 プ⸢ス⸣ル [pu̥⸢su⸣ru] (一人)。ル[ru](一名{EOS}人の数がひとつ)。 フ⸢タール [ɸu̥⸢taːru] (二人)。 ミ⸢ツァール [mi⸢ʦaːru] (三人)。 ユ⸢タール [ju⸢taːru] (四人)。五人からは助数詞⸢ニン[niŋ](人)を用いる。 グ⸢ニン [gu⸢niŋ] (五人)。 ル⸢ク⸣ニン [ru⸢ku⸣niŋ] (六人)。 シ⸢チ⸣ニン [ʃi̥⸢ʧi⸣niŋ] (七人)。 ハ⸢チ⸣ニン [hḁ⸢ʧi⸣niŋ] (八人)。 ク⸢ニン [ku⸢niŋ] (九人)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー タンガ⸣シ ⸢ジューニンガキ⸣ヌ シ⸢グトゥ スン [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː taŋga⸣ʃi ⸢ʤuːniŋgaki⸣nu ʃi⸢gutu suŋ] (この人は一人で十人分<十人掛け>の仕事をする) 8677 0 0 8077 htmvoc_8677.wav ジューニンガキ ⸢ジューニンガ⸣キ [⸢ʤuːniŋga⸣ki] 名 十人力。十人に匹敵すること。「十人掛け」の義。 ウ⸢レー⸣ グ⸢タイ⸣ヌ ⸣カナイティ ⸢タンガ⸣シ ⸢ジューニンガキ⸣ヌ シ⸢グトー シースバ⸣ フ⸢カ⸣ヌ プ⸢ソー⸣ ミサンヨー [ʔu⸢reː⸣ gu⸢tai⸣nu ⸣kanaiti ⸢taŋga⸣ʃi ⸢ʤuːniŋgaki⸣nu ʃi⸢gutu ʃiːsuba⸣ ɸu̥⸢ka⸣nu pu̥⸢soː⸣ misaɲjoː] (彼は体格もがっちりして<叶って>いて、一人で十人分の<十人掛けの>仕事をするから、他の人は頼まなくてもいいよ<いいよ>) 8678 0 0 8078 htmvoc_8678.wav ジューニングヮチ ⸢ジュー⸣ニングヮチ [⸢ʤuː⸣niŋgwaʧi] 名 十二月。若年層は、⸢ジュー⸣ニンガチ[⸢ʤuː⸣niŋgaʧi](十二月)という。 ⸢ジュー⸣ニングヮチナーヤ ⸢ニンズーヌ ニンガイ⸣ヌ ス⸢ビニンガイバ ウイヌ⸣ウガンナーティ ⸢ソー⸣ル [⸢ʤuː⸣niŋgwaʧinaːja ⸢ninʣuːnu niŋgai⸣nu su⸢biniŋgaiba ʔuinu⸣ʔugannaːti ⸢soː⸣ru] (十二月には年中の祈願の願解き<終尾{EOS}お礼>の祈願が上のお願<友利御嶽>でなされる) 8679 0 0 8079 htmvoc_8679.wav シューヌール ⸢シューヌール [⸢ʃuːnuːru] 名 朱塗り。お膳や重箱の朱塗り。祝儀用のお膳や重箱。 ⸣ヨイナー シゥ⸢カウ ジントゥ⸣ ジ⸢ブ⸣コー イ⸢サナキプソー シューヌールバ⸣ シゥ⸢カイオーッ⸣タ [⸣joinaː sï̥⸢kau ʤintu⸣ ʤi⸢bu⸣koː ʔi⸢sanakipu̥soː ʃuːnuːruba⸣ sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (お祝いに使用するお膳と重箱は、石垣島の人は朱塗りの膳と重箱を使われた) 8513 0 0 8080 htmvoc_8513.wav シューヌウリルン ⸢シュー⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルン [⸢ʃuː⸣nu ʔu⸢ri⸣ruŋ] 連 露が降りる。 ナ⸢チェー シュー⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルン [na⸢ʧeː ʃuː⸣nu ʔu⸢ri⸣ruŋ] (夏は露が降りる) 8680 0 0 8081 htmvoc_8680.wav ジューブン ジュー⸢ブン [ʤuː⸢buŋ] 副 十分。充分。不足がないさま。 シ⸢グトゥンツァン⸣ ジュー⸢ブン<プ⸢スナミ> シーユーサムティ⸣ ティ⸢マ⸣ヌ ⸢イーラ⸣リン⸢トゥー [ʃi⸢gutunʦan⸣ ʤuː⸢buŋ ʃiːjuːsamuti⸣ ti⸢ma⸣nu ⸢ʔiːra⸣rin⸢tuː] (仕事さえも充分<人並>になしえないで、手間賃が貰えるものか) 8486 0 0 8082 htmvoc_8486.wav ジュームンジ ⸢ジュームン⸣ジ [⸢ʤuːmun⸣ʤi] 名 十文字。 ⸢ユシキ⸣ヌ ⸣フキシ ⸢サン⸣バ ⸢ジュームン⸣ジニ ム⸢スビティ⸣ パ⸢タ⸣キナー ⸣ッシバ [⸢juʃi̥ki⸣nu ⸣ɸu̥kiʃi ⸢sam⸣ba ⸢ʤuːmun⸣ʤini mu⸢subiti⸣ pḁ⸢ta⸣kinaː ⸣ʃʃiba] (ススキの茎でサン<魔除けの標>を十文字に結んで畑に挿しておきなさい) 8514 0 0 8083 htmvoc_8514.wav シュリ ⸣シュリ [⸣ʃuri] 名 (地名)首里。琉球王国の首都。首里方言では⸢シュイ[⸢ʃui](首里)という。ウシュン⸢ガナ⸣シェーマイ[ʔuʃuŋ⸢gana⸣ʃeːmai](国王様)の居城のあるところとして尊称された。 ウシュン⸢ガナ⸣シェーマイヌ ⸢オー⸣ル ⸣トンル ⸣シュリティ ア⸢ズ [ʔuʃuŋ⸢gana⸣ʃeːmainu ⸢ʔoː⸣ru ⸣tonru ⸣ʃuriti ʔa⸢ʣu] (国王様のいらっしゃるところを<ぞ>首里という) 8515 0 0 8084 htmvoc_8515.wav シュリグヮーイズ シュ⸢リグヮー⸣イズ [ʃu⸢rigwaː⸣ʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ミナミフトスジイシモチ(体長約8センチ)。食用としては漁獲しない。観賞用熱帯魚 8516 0 0 8085 htmvoc_8516.wav ジョー ⸢ジョー [⸢ʤoː] 名 愛情。なさけ(情け)。人情。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケン ジョーヌ⸣ フ⸢カー⸣ ア⸢ローッ⸣タン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢ken ʤoːnu⸣ ɸu̥⸢kaː⸣ ʔa⸢roːt⸣taŋ] (その人は非常に情の深い人で<情が深く>あられた)。 ウ⸢ヌ プソー ジョーヌ ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu pu̥soː ʤoːnu naː⸣nu] (その人は愛情がない)。 ⸢ジョーヌ⸣ フ⸢カー⸣ン [⸢ʤoːnu⸣ ɸu̥⸢kaː⸣ŋ] (情が深い) 8683 0 0 8086 htmvoc_8683.wav ショーカン ⸢ショー⸣カン [⸢ʃoː⸣kaŋ] 名 小寒。二十四節気の一つ。太陽暦の1月6日頃。寒さの厳しい時期。 ⸢ショーカン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペー⸣レーン [⸢ʃoːkan⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣reːŋ] (小寒の季節に入った) 8518 0 0 8087 htmvoc_8518.wav ショージキ ⸢ショー⸣ジキ [⸢ʃoː⸣ʤiki] 名 正直。標準語からの借用語。老年層は、マ⸢クトゥー[ma⸢kutuː](真{EOS}誠)という。 ⸢ショージ⸣ケー ⸢イッショーヌ⸣ タ⸢カ⸣ラティ ナ⸢ラウ⸣タ [⸢ʃoːʤi⸣keː ʔiʃʃoːnu⸣ tḁ⸢ka⸣rati na⸢rau⸣ta] (正直は一生の宝と習った) 8519 0 0 8088 htmvoc_8519.wav ショージキムヌ ⸢ショージキ⸣ムヌ [⸢ʃoːʤiki⸣munu] 名 正直者。 ウ⸢リヌ⸣ ヨーヌ ⸢ショージキ⸣ムノー ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ joːnu ⸢ʃoːʤiki⸣munoː bu⸢raːnu] (彼のような正直者はいない) 8520 0 0 8089 htmvoc_8520.wav ジョートゥ ⸢ジョー⸣トゥ [⸢ʤoː⸣tu] 名 上等。上質。立派なもの。老年層は、⸢ゾー⸣トゥ[⸢ʣoː⸣tu](上等{EOS}立派なもの)という。 ⸢ジョートゥ⸣ヌ ⸣ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリバ [⸢ʤoːtu⸣nu ⸣munoːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turiba] (上等<上質>の物から選んで取りなさいよ) 8517 0 0 8090 htmvoc_8517.wav ジョーフ ⸢ジョーフ [⸢ʤoːɸu] 名 上布。⸣ブー[⸣buː](苧麻)、⸣バサ[⸣basa](芭蕉)の細い糸で織り上げた上布。女性に課せられた人頭税。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢ジョーフバ グイ⸣フゾーノティ ア⸢ゾーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢ʤoːɸuba gui⸣ɸuʣoːnoːti ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (昔の人は、上布を御用布上納と言われたそうだ) 8682 0 0 8091 htmvoc_8682.wav ジョーブクル ⸣ジョーブクル [⸣ʤoːbukuru] 名 封筒。標準語からの借用語か。「状袋」の転訛。 ⸣ジョーブクル ⸢カイ⸣ キー ティ⸢ガ⸣ミ ン⸢ザ⸣シ [⸣ʤoːbukuru ⸢kai⸣ kiː ti⸢ga⸣mi ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (封筒を買ってきて手紙を出しなさい) 8522 0 0 8092 htmvoc_8522.wav ジョーマイ ⸢ジョー⸣マイ [⸢ʤoː⸣mai] 名 錠。標準語からの借用語か。 ⸣カギ ⸢マーシティ ジョー⸣マイ ⸢パンツァシ⸣バ [⸣kagi ⸢maːʃi̥ti ʤoː⸣mai ⸢panʦaʃi⸣ba] (鍵を回して錠を外しなさいよ) 8523 0 0 8093 htmvoc_8523.wav ジョームチ ⸢ジョームチ [⸢ʤoːmuʧi] 名 人情家。人情のあつい人。「情・持ち」の義。 ⸣アブジェー ⸢ジョームチ⸣ ヤ⸢ロー⸣レーティ イッ⸢ケナ⸣ プ⸢スタシキ ソーッ⸣タンツォー [⸣ʔabuʤeː ⸢ʤoːmuʧi⸣ ja⸢roː⸣reːti ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢sutaʃi̥ki soːt⸣tanʦoː] (お祖父さんは人情家であられたので、たくさん人助けをされたそうだ) 8524 0 0 8094 htmvoc_8524.wav ジョームヌ ジョームヌ [⸢ʤoː⸣munu] 名 上物。上等の物。品質の高いもの。老年層は、⸢ゾー⸣ムヌ[⸢ʣoː⸣munu](上物)という。 ユ⸢ヌシナ⸣ムヌナーン ⸢ジョームヌ⸣トゥ ⸢ソーベームヌヌ⸣ アンダ ⸣ユー イ⸢ラ⸣ビティ ⸢カイ⸠ヨー [ju⸢nuʃina⸣mununaːn ⸢ʤoːmunu⸣tu ⸢soːbeːmununu⸣ ʔanda ⸣juː ʔi⸢ra⸣biti ⸢kai⸠joː] (同じ品物にも上物と質の悪い物<商売物>があるから、よく選んで買いなさいよ) 8526 0 0 8095 htmvoc_8526.wav シラ ⸣シラ [⸣ʃira] 名 顔。「つら<面。頬>」の義。「頬、和名 豆良<つら>、一云保々<ほほ>、面旁目下也『和名抄』」の転訛したもの。⸣シラ[⸣ʃira](つら<面、頬、顔>)は顔の側面を指す下品な表現。 ⸣シラ ⸣ウトゥン [⸣ʃira ⸣ʔutuŋ] (横っ面を張る) ⸣シラフクラー [⸣ʃiraɸukuraː] (脹れっ面))。 ⸣シラ バ⸢ルン [⸣ʃira ba⸢ruŋ] (恥をかかせる<面を割る>)。 ⸣シラ ⸣ムティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣ʃira ⸣muti ʔa⸢rakara⸣nu] (顔むけ出来ない<面を持って歩けない>)。 ⸣シラ ユ⸢グスン [⸣ʃira ju⸢gusuŋ] (顔を汚す{EOS}不名誉になる)。ウ⸢ム⸣ティ[ʔu⸢mu⸣ti](顔{EOS}ウムティ<面>)は上品な表現。ウ⸢ム⸣ティ ⸣シムン[ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimuŋ](顔を洗う<澄ませる{EOS}清める>)という。 ⸣シラ ア⸢ライテー⸣ ア⸢ザリンドゥ⸣ シラ ⸣シミテー ア⸢ザラヌ ウ⸢ム⸣ティ ⸣シミテー ア⸢ザリン [⸣ʃira ʔa⸢raiteː⸣ ʔa⸢ʣarindu⸣ ʃira ⸣ʃimiteː ʔa⸢ʣarunu ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimiteː ʔa⸢ʣariŋ] (\ruby{面}{シラ}<顔>を洗えとは言えるが、\ruby{面}{シラ}<顔>を\ruby{澄}{シミ}ませよ<洗え>とは言えない{EOS}\ruby{面}{オモテ}を洗えとは言える) 8527 0 0 8096 htmvoc_8527.wav シラ ⸣シラ [⸣ʃira] 名 お産。産室。うぶや(産屋)。産室は二番裏座に設えるのが普通であった。床を切って⸣ジルー[⸣ʤiruː](地炉)を造り、部屋の回りをシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](注連縄)を張り巡らして悪霊や不浄の侵入を防いだ。 ⸣シラプス [⸣ʃirapu̥su] (産婦)。 ⸣シラタムヌ [⸣ʃiratamunu] (お産用の薪{EOS}産屋の地炉に焚く薪)。 ⸣シラキン [⸣ʃirakiŋ] (産衣)。 ⸣シラヤー [⸣ʃirajaː] (お産のあった家)。 ⸣シラン カロー⸢カロー⸣シ ウ⸢チナ⸣ソーレーンティ シ⸢キティ⸣ サ⸢ニヤ シーベー⸠ダー [⸣ʃiraŋ karoː⸢karoː⸣ʃi ʔu⸢ʧina⸣soːreːnti ʃi̥⸢kiti⸣ sa⸢nija ʃiːbeː⸠daː] (お産も安産<軽くうち済まされた>と聞いて喜んでいますよ) 8564 0 0 8097 htmvoc_8564.wav シラ シ⸢ラ [ʃi⸢ra] 名 いなむら(稲叢)。刈り取った稲を脱穀せず、藁のついたままシラに積み上げて保存するもの。家の前や後ろに、約2メートル四方に高さ約50センチの礎石を据え、桁を架け渡して竹で床を編み、藁筵を敷いて、その上に稲穂を中央に向け、稲藁を外側に向けて高く円錐形に積み上げる。最上部は茅で作ったトゥ⸢マー[tu⸢maː](苫{EOS}「苫、度万<とま>」『和名抄』の転訛)で作ったこも(薦)で巻きながら葺きあげ、頂上はシ⸢トゥ⸣ベー[ʃi̥⸢tu⸣beː](茅の束で造った帽子状の覆い)を被せ、苫が飛ばないよう、トウズルモドキや藁縄で網状に巻いて固定した。必要に応じて稲藁を一束一束抜き取り、脱穀して精米した。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー シ⸢ラ⸣ シ⸢ミティル⸣ タ⸢ブイオーッタ⸣ヌ シゥ⸢カイオー⸣ル ⸣ピンマー シ⸢ラー⸣ラ ⸣ヌイ ウ⸢ラ⸣シティ ⸢マイ⸣ サイ ⸣カティティ ッサイ⸢オーッ⸣タ [⸢ʣaireːmai⸣jaː ʃi⸢ra⸣ ʃi⸢mitiru⸣ ta⸢buioːtta⸣nu sï̥⸢kaioː⸣ru ⸣pimmaː ʃi⸢raː⸣ra ⸣nui ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ⸢mai⸣ sai ⸣kḁtiti ssai⸢ʔoːt⸣ta] (在来種の赤米は稲叢を積んで保存されたが、使われる時には稲叢から抜き下ろして稲扱きをし、臼で搗いて芒を落としてから搗き臼で搗かれた)。 ウ⸢ブ⸣シラ シ⸢ムン [ʔu⸢bu⸣ʃira ʃi⸢muŋ] (大きないなむら<稲叢>を積む)。 シ⸢ラー⸣マ [ʃi⸢raː⸣ma] (小さな稲叢) 8576 0 0 8098 htmvoc_8576.wav シラーシムヌ シ⸢ラーシ⸣ムヌ [ʃi⸢raːʃi⸣munu] 名 散らかすもの。散乱させるもの。家の中に雑物を雑然と置いて全体を掻き乱すもの。 ⸢ヤーシラーシ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ トゥリ シ⸢ティリ [⸢jaːʃiraːʃi⸣ munoː muː⸢ru⸣ turi ʃi̥⸢tiri] (家の中を散らかすものは全部取り去って捨てなさい) 8529 0 1 8099 htmvoc_8529.wav シラーシラーシ シラー⸢シラー⸣シ [ʃiraː⸢ʃiraː⸣ʃi] 副 {Mn_1}白白と。夜が次第に明けて白むさま。 シラー⸢シラー⸣シ ⸢ユー⸣ヤ ガ⸢リ⸣ ケーン [ʃiraː⸢ʃiraː⸣ʃi ⸢juː⸣ja ga⸢ri⸣ keːŋ] (白白と夜が明けてきた)。 8529 0 2 8100 htmvoc_8529.wav シラーシラーシ シラー⸢シラー⸣シ [ʃiraː⸢ʃiraː⸣ʃi] 副 {Mn_2}かすかに。ぼんやりと。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンヌ ⸣クトー シラー⸢シラー⸣シ ウ⸢ボー⸣リ ⸢ブン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kennu ⸣kutoː ʃiraː⸢ʃiraː⸣ʃi ʔu⸢boː⸣ri ⸢buŋ] (幼少の<子供の>頃のことはかすかに覚えて<記憶されて>いる)。うっすら。かすかに。ほのかに。 ⸣アッパー ⸣クトー シラー⸢シラー⸣シ ⸣ウブイ ⸢ブン [⸣ʔappaː ⸣ku̥toː ʃiraː⸢ʃiraː⸣ʃi ⸣ʔubui ⸢buŋ] (お祖母さんのことはうっすらと覚えている) 7394 0 0 8101 htmvoc_7394.wav シラースン シ⸢ラー⸣スン [ʃi⸢raː⸣suŋ] 他動 散らかす。散らす。乱雑にする。 ミ⸢ナ⸣カナー フ⸢ク⸣ジ シ⸢ラー⸣シ ⸣シケー [mi⸢na⸣kanaː ɸu⸢ku⸣ʤi ʃi⸢raː⸣ʃi ʃi̥keː] (庭に塵を散らかしてある)。 シ⸢ラー⸣スンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シ⸢ラーサン⸣ドーシ ア⸢サビ⸣ ブ⸢レー⸣バン [ʃi⸢raː⸣suŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʃi⸢raːsan⸣doːʃi ʔa⸢sabi⸣ bu⸢reː⸣baŋ] (散らすだろうかと思ったが、散らさずに遊んでいたようだ)。 シ⸢ラー⸣ス ⸣プソー ウ⸢ムイ⸣キシ シ⸢ラー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢raː⸣su ⸣pu̥soː ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ʃi⸢raː⸣ʃeː ⸣misamunu] (散らかかすときは思い切って散らかせばよいのに)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ラー⸣シ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢raː⸣ʃi] (もっと散らかせ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢タビ⸣ムヌシ ⸢ヤーン⸣ナカー シ⸢ラー⸣スンダ シ⸢ラーサン⸣ヨーニ ミ⸢ナ⸣カナー ア⸢サバシ [ja⸢ra⸣beː mu⸢tabi⸣munuʃi ⸢jaːn⸣nakaː ʃi⸢raː⸣sunda ʃi⸢raːsaɲ⸣joːni mi⸢na⸣kanaː ʔa⸢sabaʃi] (子供は玩具で部屋<家の中>を散らかすから、散らかさないように庭で遊ばせなさい)。 シ⸢ラー⸣ス ッ⸢ふァー⸣ シ⸢ラー⸣シ ⸣ミサン [ʃi⸢raː⸣su f⸢faː⸣ ʃi⸢raː⸣ʃi ⸣misaŋ] (散らかす子は散らしても良い)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢ラー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢raː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと散らせば良いのに)。 ⸣ヤー シ⸢ラー⸣スン [⸣jaː ʃi⸢raː⸣suŋ] (家の中を散らかす)。 ⸢ザシ⸣キ シ⸢ラー⸣スン [⸢ʣaʃi̥⸣ki ʃi⸢raː⸣suŋ] (座敷を散らす)。 シ⸢ラーサン⸣ドーシ ア⸢サビ [ʃi⸢raːsan⸣doːʃi ʔa⸢sabi] (散らかさないで遊べ)。 ⸣クマー シ⸢ラー⸣シ ⸣ミサン [⸣kumaː ʃi⸢raː⸣ʃi ⸣misaŋ] (此処は散らかしてもいい)。 ⸣クマー シ⸢ラー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaː ʃi⸢raː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (此処は散らすことは出来ない) 8577 0 0 8102 htmvoc_8577.wav シラースン シ⸢ラースン [ʃi⸢raːsuŋ] 他動 孵化させる。生み出させる。新生させる。新任の司の香炉を新しく作ることにいう。 ム⸢トゥ⸣ウガンヌ シ⸢ルウチヌ⸣ コー⸢シェー⸣マイシェーラ イ⸢ラ⸣ビ カ⸢タ⸣ミ ウ⸢ラ⸣シ ⸢ミーサカサヌ ヤー⸣ヌ シ⸢ルヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナーティル ⸢コー⸣ロー ク⸢サイオーッ⸣タ [mu⸢tuʔugan⸣nu ʃi⸢ruʔuʧinu⸣ koː⸢ʃeː⸣maʔiʃeːra ʔi⸢ra⸣bi kḁ⸢ta⸣mi ʔu⸢ra⸣ʃi ⸢miːsakasanu jaː⸣nu ʃi⸢runu⸣ na⸢ka⸣naːtiru ⸢koː⸣roː ku̥⸢saiʔoːt⸣ta] (本御嶽<友利御嶽>の境内の砂岩の中から選んで担ぎ下ろして新しい司の家の屋敷内に拵えたシ⸢ル{SqBr}ʃi⸢ru{/SqBr}<神聖な空間の代>の中で新司の香炉は拵えなされた)。※ シダスン → シラースン → ッサースン → ⸢サースン[⸢saːsuŋ]((i) 船を新造する。(ii) 衣服を新調する)と変化した 8551 0 0 8103 htmvoc_8551.wav シラーナールン ⸣シラー ⸢ナールン [⸣ʃiraː ⸢naːruŋ] 連 顔(面)を出す。顔を突き出す。 ⸣トゥキドゥケー ⸣シラー ⸢ナールンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢パンタサ⸣ヌ ⸣シラン ⸢ナーララヌ [tu̥⸢kidu⸣keː ⸣ʃiraː ⸢naːrunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢pantasa⸣nu ⸣ʃiran ⸢naːraranu] (時々は顔を出そうと思うが、忙しくて顔も出せない) 8530 0 0 8104 htmvoc_8530.wav シラームティアーカラヌ ⸣シラー ⸣ムティ ⸢アーカラヌ [⸣ʃiraː ⸣muti ⸢ʔaːkara⸣nu] 連 顔向けできない。顔向けならない。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シーテー⸣ シキンラ ⸣シラ ⸣ムティ ⸢アーカラ⸣ヌ<ア⸢ラカラ⸣ヌ> [⸣ʔaibu ku⸢tu⸣ba ⸢ʃiːteː⸣ ʃikinra ⸣ʃira ⸣muti ⸢ʔaːkara⸣nu<ʔa⸢rakara⸣nu>] (あんな事をしては世間に顔向けできない<世間から顔をぶら下げて、持って歩けない>) 8531 0 0 8105 htmvoc_8531.wav シライカー シ⸢ライ⸣カー [ʃi⸢rai⸣kaː] 名 (動)和名、アオリイカ。体長約45センチに達するものもいる。島の南海岸に寄ってくるので、イ⸢ガジー[ʔi⸢gaʤiː](えぎ<餌木>)を浜辺から沖の方へ投げ入れ、手繰りながら釣り上げた。 イ⸢ガジーバ ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティル シ⸢ライ⸣カー ⸢ホーシ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢gaʤiːba ⸢naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeː⸣tiru ʃi⸢rai⸣kaː ⸢hoːʃi⸣ta⸢daː] (餌木を投げては手繰り手繰りしながらアオリイカを釣ったものだよ) 8567 0 0 8106 htmvoc_8567.wav シラウチ ⸣シラウチ [⸣ʃiraʔuʧi] 名 産褥中。「産褥内」の義。 ⸣シラウチェー ヤ⸢ナ⸣ムニ ア⸢ズムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʃiraʔuʧeː ja⸢na⸣muni ʔa⸢ʣumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (産褥中は悪い言葉を言うものではない)。 ⸣シラウチヌ プ⸢スンマー ジーシキ⸣ムヌ ッ⸢ふァーシ⸠ヨー [⸣ʃiraʔuʧinu pu̥⸢summaː ʤiːʃi̥ki⸣munu f⸢faːʃi⸠joː] (産褥中の人には滋養分の多いものを食べさせなさいよ) 8532 0 0 8107 htmvoc_8532.wav シラウラシ シ⸢ラウラ⸣シ [ʃi⸢raʔura⸣ʃi] 名 稲叢おろし。一定量の米が必要な時は、シ⸢ラ[ʃi⸢ra](稲叢)からトゥ⸢マー[tu⸢maː](苫)を下ろして、必要な分の稲束を取り、\ruby{稲扱}{イナ|コキ}をきして臼に入れて突き、ノギ(芒)を除去してから籾摺りをした。在来種の米は、イ⸢ナ⸣ピニ[ʔi⸢na⸣pini](⸢稲鬚」の義{EOS}ノギ<芒>)が長く、脱穀しずらかった。 シ⸢ラウラ⸣シ ⸢テー⸣ナイ ⸢スー⸣カー ⸢マイヌ⸣イー バ⸢カシ⸣ ッ⸢ふァースン⸠ダー [ʃi⸢raʔura⸣ʃi ⸢teː⸣nai ⸢suː⸣kaː ⸢mainu⸣ʔiː ba⸢kaʃi⸣ f⸢faːsun⸠daː] (稲叢おろしの手伝いをしたら、お米のご飯を炊いて食べさせるよ)。主に冬季や春季など、新米の収穫以前に家の行事や祝儀などが当たる際に、必要に応じて⸢シラ下ろし」をした。 ⸣アツァー シ⸢ラウラ⸣シ ⸢シーバ テー⸣ナイ ⸢シー⸣ヨー [⸣ʔaʦaː ʃi⸢raʔura⸣ʃi ⸢ʃiːba teː⸣nai ⸢ʃiː⸣joː] (明日は稲叢から大量に稲束を下ろして脱穀精米するから、手伝いしなさいね) 8534 0 0 8108 htmvoc_8534.wav シラガーウスマイテー シ⸢ラ⸣ガーウスマイテー [ʃi⸢ra⸣gaːʔusumaiteː] 名 屋号。金城次郎氏宅。シ⸢ラ⸣ガーウスマイ[ʃi⸢ra⸣gaːʔusumai](⸢白髪の御祖父さん」の義)は明治末期に沖縄本島糸満から漁師として鳩間島に寄留し、三女を産んで島に根を下ろした人である。沖縄本島の漁法や漢方薬の処方を鳩間島に伝えたり、ニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku](いなばきむしろ<稲掃筵>)の編み方などを伝えた。 シ⸢ラ⸣ガーウスマイヤー ⸣マチャーヒーテーヌ ⸢トー⸣ラナール ⸢オーッ⸣タ [ʃi⸢ra⸣gaːʔusumaijaː ⸣maʧaːçiːteːnu ⸢toː⸣ranaːru ⸢ʔoːt⸣ta] (金城次郎氏は西原松氏宅の⸢トー⸣ラ{SqBr}⸢toː⸣ra{/SqBr}<離れ{EOS}炊事小屋>に住んでおられた) 8535 0 0 8109 htmvoc_8535.wav シラガーソーミン シ⸢ラ⸣ガーソーミン [ʃi⸢ra⸣gaːsoːmiŋ] 名 素麺。⸢白髪素麺」の義。白く細長いことから「白髪」を連想して命名されたものであろう。縁起の良い食品とされ、結婚式などの祝儀の吸い物料理に用いられた。 ⸣ニービキヨイヌ ⸣ピンマー シ⸢ラ⸣ガーソーミン カ⸢ザローッ⸣タン [⸣niːbikijoinu ⸣pimmaː ʃi⸢ra⸣gaːsoːmiŋ ka⸢ʣaroːt⸣taŋ] (結婚祝いの時には共白髪を祈念する素麺を供え飾られた) 8536 0 0 8110 htmvoc_8536.wav シラガータンメー シ⸢ラ⸣ガータンメー [ʃi⸢ra⸣gaːtammeː] 名 白髪の老人。白髪のおじいさん。威厳のある白髪の老人。首里方言からの借用語。「∫iragaa(白髪頭の者{EOS}悪口としていう語)、taNmee(士族の祖父{EOS}士族の老翁{EOS}おじいさん)」『沖縄語辞典』とあるが、鳩間島では敬意を含んだ用法が多い。 ⸢ウン⸣ネーナ シ⸢ラ⸣ガタンメーヌ ⸢オーッ⸣タン [⸢ʔun⸣neːna ʃi⸢ra⸣gatammeːnu ⸢ʔoːt⸣taŋ] (その家には白髪のおじいさんがいらっしゃった) 8537 0 0 8111 htmvoc_8537.wav シラカイヤン ⸣シラ ⸢カイ⸣ヤン [⸣ʃira ⸢kai⸣jaŋ] 連 容貌が美しい。「面が綺麗だ」の義。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣シラ ⸢カイ⸣ヤンドゥ ⸣キモー ⸢ダーッサー ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣ʃiraː ⸢kai⸣jandu ⸣kimoː ⸢daːssaː naː⸣nu] (この女の子は容貌は美しいが、心はあまり良くない) 8569 0 0 8112 htmvoc_8569.wav シラカイヤン ⸣シラ ⸢カイ⸣ヤン [⸣ʃira ⸢kai⸣jaŋ] 連 お産が軽く経過も順調である<お産がうつくしい>。⸣シラ カ⸢ロー⸣ン[⸣ʃira ka⸢roː⸣ŋ](お産が軽い)ともいう。 ⸢バン⸣テヌ ユ⸢メー⸣ シラー ⸢カイ⸣ヤン ⸣アリ ⸣シーン イッ⸢ケナ アイルン [⸢ban⸣tenu ju⸢meː⸣ ʃiraː ⸢kai⸣jaŋ ⸣ʔari ⸣ʃiːŋ ʔik⸢kena ʔairuŋ] (我が家の嫁は、お産が軽く順調であり、お乳もよく出る) 8538 0 0 8113 htmvoc_8538.wav シラカタチ シ⸢ラカタ⸣チ [ʃi⸢rakata⸣ʧi] 名 顔貌。顔つき。容貌。「顔形」の義。 シ⸢ラカタ⸣チェー ビ⸢ケーン⸣ウヤン ビッ⸢ツティ ニーベーン⸣ティ ⸣タネー カ⸢クサラ⸣ヌ [ʃi⸢rakata⸣ʧeː bi⸢keːŋ⸣ʔujam bit⸢ʦuti niːbeːn⸣ti ⸣taneː kḁ⸢kusara⸣nu] (顔貌は父親そっくりに似ているよ{EOS}血は争えない<種は隠されない>ものだ) 8539 0 0 8114 htmvoc_8539.wav シラカマチ シ⸢ラカマ⸣チ [ʃi⸢rakama⸣ʧi] 名 面構え。顔貌。人相。面つき。「つらがまち(輔)」の転訛したもの。 ミ⸢ドゥ⸣ム ヤ⸢ルヌ⸣ シ⸢ラカマ⸣チェー ビ⸢キスクリ⸣ シ⸢ラリティ⸣ シゥ⸢カラン⸣ ウ⸢ドゥクマサ⸣リ ヤ⸢ローッ⸣タツォー [mi⸢du⸣mu ja⸢runu⸣ ʃi⸢rakama⸣ʧeː bi⸢kisu̥kuri⸣ ʃi⸢rariti⸣ sï̥⸢karaŋ⸣ ʔu⸢dukumasa⸣ri ja⸢roːt⸣taʦoː] (女であるが、面構え<顔貌>は男づくりされて、力も男勝りであられたそうだ) 8540 0 0 8115 htmvoc_8540.wav シラガルン ⸣シラ ガ⸢ルン [⸣ʃira ga⸢ruŋ] 連 顔が晴れやかになる。気が晴れる。明るく爽やかな気持ちになる。心配や悩みがなくなる。「顔が明るくなる」の義。 ウ⸢ナー⸣ ウムー ク⸢トゥ⸣ヌ カ⸢ナウ⸣ター ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣シラー ガ⸢リベー⸣ンティ [ʔu⸢naː⸣ ʔumuː ku̥⸢tu⸣nu ka⸢nau⸣taː jat⸢tu⸣ʃi ⸣ʃiraː ga⸢ribeːn⸣ti] (自分<己>の思うことが叶ったので、やっと顔が晴れやかになっているよ) 8570 0 0 8116 htmvoc_8570.wav シラカローン ⸣シラ カ⸢ロー⸣ン [⸣ʃira ka⸢roː⸣ŋ] 連 お産が軽い。 ユ⸢メー⸣ シ⸢ラ⸣ヌ カ⸢ロー⸣ンダ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ju⸢meː⸣ ʃi⸢ra⸣nu ka⸢roː⸣nda ⸢soːja naː⸣nu] (嫁はお産が軽いから心配はない) 8571 0 0 8117 htmvoc_8571.wav シラキン ⸣シラキン [⸣ʃirakiŋ] 名 うぶぎ(産衣)。昔は誕生の一週間後に白布で縫った産衣を着せられたという。 ⸣シラキンマー ⸣アッパー ⸢キン⸣バ ⸢パンツァシティ サーソーッ⸣タツォー [⸣ʃirakimmaː ⸣ʔappaː ⸢kim⸣ba ⸢panʦaʃi̥ti saːsoːt⸣taʦoː] (産衣はお祖母さんの着物を解いて<はずして>新調されたそうだ) 8541 0 0 8118 htmvoc_8541.wav シラザニヤン シ⸢ラザニ⸣ヤン [ʃi⸢raʣani⸣jaŋ] 連 顔が晴れ晴れしく見える。顔が晴れやかである。爽やかである。 ⸢キュー⸣ヤ イッ⸢ケナ⸣ シ⸢ラザニ⸣ヤ ア⸢ロー⸣ルン⸢ダー [⸢kjuː⸣ja ʔik⸢kena⸣ ʃi⸢rʣani⸣ja ʔa⸢roː⸣run⸢daː] (今日は大変はればれしくいらっしゃるよ) 8542 0 1 8119 htmvoc_8542.wav シラシ シ⸢ラシ [ʃi⸢raʃi] 名 {Mn_1}知らせ。通知。 マ⸢ダ⸣ シ⸢ラシェー クーヌ⸣ヌ ⸢ゴーカクヌ⸣ シ⸢ラシヌ⸣ クーカー シ⸢グ⸣ ウ⸢キ⸣ナー パ⸢ラ⸣リ ス⸢コール シー⸣バ [ma⸢da⸣ ʃi⸢raʃeː kuːnu⸣nu ⸢goːkakunu⸣ ʃi⸢raʃinu⸣ kuːkaː ʃi⸢gu⸣ ʔu⸢ki⸣naː pa⸢ra⸣ri su̥⸢koːru ʃiː⸣ba] (まだ通知は来ていないが、合格の通知が来たら、すぐ沖縄へ行ける準備をしなさいよ)。 8542 0 2 8120 htmvoc_8542.wav シラシ シ⸢ラシ [ʃi⸢raʃi] 名 {Mn_2}神仏のお告げ。吉兆、凶兆。見馴れぬ鳥が家の中に入ってきたり、鶏や犬がその家に向かって妙な鳴き方をすると、神仏の「知らせ」があったといって、ユ⸢タ[ju⸢ta](ふげき<巫巫見>)の家に行って神仏のお告げを聞いた。 ⸢イン⸣ヌ ⸢ナーブイ シー⸣ ヤ⸢ナナキ シーベー⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ シ⸢ラシヌ⸣ アルカヤー [⸢ʔin⸣nu ⸢naːbui ʃiː⸣ ja⸢nanaki ʃiːbeː⸣nu ⸢nuː⸣nu ʃi⸢raʃinu⸣ ʔarukajaː] (犬が遠吠え<長吠え>をして悪いなき方をしているが、何のお告げがあるのかねえ)。 ム⸢ヌシラ⸣シ [mu⸢nuʃira⸣ʃi] (もの知らせ{EOS}神仏のお告げ)。 ⸢カンシラ⸣シ [⸢kaŋʃira⸣ʃi] (神のお告げ)。 シ⸢ラシグトゥヌ アッ⸣タン⸢ダー [ʃi⸢raʃigutunu ʔat⸣tan⸢daː] (お告げ<知らせごと{EOS}予兆>があったよ)。 ⸢イン⸣ヌ ヤ⸢ナナキ スー⸣カー ヤ⸢ナクトゥヌ⸣ シ⸢ルシ⸣ティ ア⸢ザリ ブー [⸢ʔin⸣nu ja⸢nanaki suː⸣kaː ja⸢nakutunu⸣ ʃi⸢ruʃi⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (犬が日頃と異なる悪い鳴き方をすると、凶事が起きるという神仏のお告げと言われている) 8580 0 0 8121 htmvoc_8580.wav シラシ シ⸢ラシ [ʃi⸢raʃi] 名 斉唱。二人以上で歌う事。「連れさせ」の義。 パ⸢トゥ⸣マクドゥキヌ ⸢ヘーシ⸣ヌ ⸣トンマー シ⸢ラシ⸣シ イ⸢ジ⸠ヨー [pḁ⸢tu⸣ma ⸣kudukinu ⸢heːʃi⸣nu tommaː ʃi⸢raʃi⸣ʃi ʔi⸢ʤi⸠joː] (鳩間口説節の囃子のところはシ⸢ラシ<斉唱{EOS}踊り手も一緒に歌うこと>で歌いなさいよ) 8543 0 0 8122 htmvoc_8543.wav シラシタフ ⸣シラシタフ [⸣ʃiraʃi̥taɸu] 名 お産の準備。⸣シラパマイ[⸣ʃirapamai](産褥中の食糧{EOS}白米約一斗)、⸣シラタムヌ[⸣ʃiratamunu](お産の時、地炉にくべ<焼べ>る薪{EOS}丸太のまま、大きく割った薪、約三駄)の準備をしたり、⸣シラキン[⸣ʃirakiŋ](産着)、シ⸢ビシ⸣ケー[ʃi⸢biʃi̥⸣keː](おむつ)等の準備をすること。 ⸣シラシタホー ⸢シェーン⸣カヤー [⸣ʃiraʃi̥tahoː ⸢ʃeːŋ⸣kajaː] (お産の準備は完了したかな) 8544 0 0 8123 htmvoc_8544.wav シラシフチル シ⸢ラシフチル [ʃi⸢raʃiɸuʧiru] 名 消炎剤。化膿止め。化膿しかけたおできや腫れたものを治す薬。「散らし薬」の転訛したもの。シ⸢ラシフシル[ʃi⸢raʃiɸuʃiru](消炎剤{EOS}散らし薬)ともいう。 シ⸢ラシフチルバ ヌーリティ⸣ ア⸢シ⸣ブ シ⸢ラシ⸣バ [ʃi⸢raʃiɸuʧiruba nuːriti⸣ ʔa⸢ʃi⸣bu ʃi⸢raʃi⸣ba] (消炎剤<散らし薬>を塗って、お出来を散らして治しなさいよ)。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸣シロー ア⸢シブ⸣ヌ シ⸢ラシフチル⸣ティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [ga⸢ʤimaru⸣nu ⸣ʃiroː ʔa⸢ʃibu⸣nu ʃi⸢raʃiɸuʧiru⸣ti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (ガジマルの樹液はあせも<汗疹>の消炎剤<散らし薬>だと昔の人はいわれた) 8572 0 0 8124 htmvoc_8572.wav シラズーヤン シ⸢ラズー⸣ヤン [ʃi⸢raʣuː⸣jaŋ] 形 難産である。産褥の肥立ちが順調でない。「お産が強い」の義。 シ⸢ラズー⸣ヤタンドゥ ⸣アボー ⸣シジ ッ⸢ふォーッ⸣タ トゥ⸢ヤーシフチル⸣バ ⸣ヌミティ パ⸢シットゥ⸣ ナレーン [ʃi⸢raʣuː⸣jatandu ⸣ʔaboː ⸣ʃiʤi f⸢foːt⸣ta tu⸢jaːʃiɸu̥ʧiru⸣ba ⸣numiti pḁ⸢ʃittu⸣ nareːŋ] (難産で産褥の肥立ちが思わしくなかったが、お母さんが煎じてくださった漢方の調合薬を飲んで、体調も良くなって気分も爽快になった<気分がすっきりとした>) 8546 0 0 8125 htmvoc_8546.wav シラスクリ シ⸢ラスク⸣リ [ʃi⸢rasu̥ku⸣ri] 名 面構え。顔貌。容貌。「面作り」の義。 シ⸢ラスク⸣レー<シ⸢ラカタ⸣チェー> ⸢ピッ⸣チン ⸣ウヤン ⸢ニー ブラーヌ [ʃi⸢rasu̥ku⸣reː<ʃi⸢rakata⸣ʧeː> ⸢pit⸣ʧiŋ ⸣ʔujan ⸢niː buraːnu] (顔貌はちっとも親に似ていない) 8547 0 0 8126 htmvoc_8547.wav シラスクリヨー シ⸢ラスクリ⸣ヨー [ʃi⸢rasu̥kuri⸣joː] 名 面構え。顔貌。容貌。「面作り様」の義。 シ⸢ラスクリヨー⸣ヤ ウ⸢ヤ⸣トゥ ⸢ピー⸣チ [ʃi⸢rasu̥kurijoː⸣ja ʔu⸢ja⸣tu ⸢piː⸣ʧi] (面構え<顔貌>は親と一緒だ) 8545 0 0 8127 htmvoc_8545.wav シラスクルン ⸣シラ ス⸢ク⸣ルン [⸣ʃira su̥⸢ku⸣ruŋ] 連 顔を立てる。面目がたつようにする。「顔を作る」の義。 ⸢クンデー⸣ヌ ⸣クトゥシェー ⸢ワンマー⸣ シラ バ⸢ラレー⸣ユンダ ⸢クン⸣ドー ⸣バー ⸣シラ ス⸢ク⸣ルンティ ⸣ウムイ パ⸢タラキ ッふィーリ [kundeː⸣nu ⸣ku̥tuʃeː ⸢wammaː⸣ ʃira ba⸢rareː⸣junda ⸢kun⸣doː ⸣baː ⸣ʃira su̥⸢ku⸣runti ⸣ʔumui pḁ⸢taraki ffiːri] (先日の件では君には恥をかかされた<顔をつぶされた{EOS}~を割られた>から、今度は私の顔を立てると思って働いてくれ)。⸣シラ タ⸢ティ⸣ルン[⸣ʃir tḁ⸢ti⸣ruŋ](顔を立てる)(若年層)ともいう 8548 0 0 8128 htmvoc_8548.wav シラスン シ⸢ラスン [ʃi⸢rasuŋ] 他動 お出来の化膿を止めて治す。「散らす」の転訛したもの。 シ⸢ラシフチル ヌーリティ⸣ ア⸢シ⸣ブ シ⸢ラスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢ラサランシェン [ʃi⸢raʃiɸu̥ʧiru nuːriti⸣ ʔa⸢ʃi⸣bu ʃi⸢rasunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi⸢rasaraŋʃeŋ] (化膿止めの薬を塗ってお出来の化膿を止めようとしたが、化膿を止められなかった)。腫れ物を薬草(アロエ<ドゥガイ>)を貼り付けたり、煎じ薬を飲んで化膿させないようにして治す。腫れを\ruby{退}{ヒ}かせる。「散らす」の義。 フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーリティ⸣ ア⸢シ⸣ブ シ⸢ラスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢ラサラヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːriti⸣ ʔa⸢ʃi⸣bu ʃi⸢rasunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi⸢rasaranu] (薬を塗って腫れ物<お出来>の腫れを退かそうとしたが退かされない)。 ア⸢シ⸣ボー バ⸢ランドー⸣シ シ⸢ラシ ッふィーリ [ʔa⸢ʃi⸣boː ba⸢randoː⸣ʃi ʃi⸢raʃi ffiːri] (腫れもの<おでき>は切開しないで腫れを退かして<散らして>くれ)。 ク⸢ビ⸣ナー ⸢ウー⸣メーラ ア⸢シ⸣ボー シ⸢ラス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢bi⸣naː ⸢ʔuː⸣meːra ʔa⸢ʃi⸣boː ʃi⸢rasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (こんなに化膿してからは、お出来の腫れは退かすことはできない)。 シ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢raʃeː⸣ misamunu] (腫れを退かせば<散らせば>いいのに)。 ア⸢シ⸣ブ シ⸢ラシ [ʔa⸢ʃi⸣bu ʃi⸢raʃi] (お出来の腫れを退かせよ)。 ク⸢リ⸣シ シ⸢ラシ⸣ミサカー ア⸢シ⸣ブ シ⸢ラス⸣クトー ⸣ナルン [ku⸢ri⸣ʃi ʃi⸢raʃi⸣misakaː ʔa⸢ʃi⸣bu ʃi⸢rasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (これで化膿を止めてよければ、お出来の化膿を止めることはできる)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʃi⸢raʃeː⸣ misamunu] (早く化膿を止めれば良いのに)。 ク⸢リ⸣シ ア⸢シ⸣ブ シ⸢ラシ [ku⸢ri⸣ʃi ʔa⸢ʃi⸣bu ʃi⸢raʃi] (これでお出来の化膿を留めなさい) 8549 0 0 8129 htmvoc_8549.wav シラスン シ⸢ラスン [ʃi⸢rasuŋ] 他動 知らせる。通知する。他人に通報して、知るようにする。「知らせる」の転訛したもの。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ウ⸢ヤン⸣ナーニン シ⸢ラスンティ⸣ ウ⸢ムー⸣ヌ シ⸢ラシ⸣ ミサンカヤー [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ʔu⸢jan⸣naːniŋ ʃi⸢rasunti⸣ ʔu⸢muː⸣nu ʃi⸢raʃi⸣ misaŋkajaː] (その事は親にも知らせようと思うが、知らせて良いかねえ)。 ムー⸢ル⸣ネー シ⸢ラサンドー⸣シ シ⸢ラス⸣ プ⸢ス⸣ キ⸢ミリ [muː⸢ru⸣neː ʃi⸢rasandoː⸣ʃi ʃi⸢rasu⸣ pu̥⸢su⸣ ki⸢miri] (皆には知らせないで、知らせる人を決めなさい)。 ⸢キョーダイン⸣ナーネー シ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸢kjoːdain⸣naːneː ʃi⸢raʃeː⸣ misamunu] (兄弟には知らせればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ シ⸢ラシ [jaː⸢diŋ⸣ ʃi⸢raʃi] (必ず知らせろ) 8573 0 0 8130 htmvoc_8573.wav シラソージ ⸣シラソージ [⸣ʃirasoːʤi] 名 産褥中の産婦と嬰児の健康祈願。産屋の穢れを祓い、清浄を保つこと。「産屋精進」の義。 ⸣シラソージティ ⸢シー⸣ ム⸢カ⸣シプソー ⸣シラプスンマー ヤ⸢ナ⸣ムニ ヤ⸢ナソーヤ⸣ シゥ⸢カソーラン⸣シェン [⸣ʃirasoːʤiti ⸢ʃiː⸣ mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸣ʃirapu̥summaː ja⸢na⸣muni ja⸢nasoːja⸣ sï̥⸢kasoːraŋ⸣ʃeŋ] (産褥中のお祓いといって、昔の人は、産婦には悪い言葉<話>や悪い消息は聞かされなかった)。産婦と赤子が無事に産屋を出ることが出来るよう祈願すること。⸢産屋精進」の義。分娩後の処理が済んだ後、産婦と新生児への手当てが一段落すると、⸣ジル[⸣ʤiru](地炉)に火を起して産婦の体を温めた。父方の母親か祖母、または産婦の母親たちが⸣グシパナ[⸣guʃipana](神酒と花米)、それにマ⸢カグ[ma⸢kagu](重箱に詰めたお握り)を地炉の神に供えて産婦と新生児の健康祈願をした。 ⸣シラソージェー ッ⸢ふァナシプス⸣トゥ ッ⸢ふァバ⸣ ブ⸢ジニ⸣ シラヤーラ ン⸢ザ⸣シ ッ⸢ふォー⸣リティヌ ⸢ニン⸣ガイ [⸣ʃirasoːʤeː f⸢fanaʃipu̥su⸣tu f⸢faba⸣ bu⸢ʤini⸣ ʃirajaːra ʔn⸢ʣa⸣ʃi f⸢foː⸣ritinu ⸢niŋ⸣gai] (シラソージ<産屋精進>は、産婦と子供を無事に産屋から出してくださいという祈願だ) 8550 0 0 8131 htmvoc_8550.wav シラタムヌ ⸣シラタムヌ [⸣ʃiratamunu] 名 産屋の地炉で燃やす薪、約三駄ほど用意した。お産用の薪。産褥中に火に当ると、肥立ちが良いとされていた。煙らず、火持ちの良い硬い木を選び、地炉で焚いた。丸太のままくべ<焼べ>たり、大割りにして焼べたりした。 ⸣シラタムノー キ⸢ボーシ⸣ フ⸢チ⸣マルカー ナ⸢ラン⸣バ ⸢ソーキーラ⸣ イ⸢ラ⸣ビ ⸣シキ [⸣ʃiratamunoː ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣marukaː na⸢ram⸣ba ⸢soːkiːra⸣ ʔi⸢ra⸣bi ʃi̥ki] (お産用の薪は煙がくすぶる<燻る>といけないから、良質の薪から選んでおきなさい) 8595 0 0 8132 htmvoc_8595.wav シラッふァ ⸣シラッふァ [⸣ʃiraffa] 名 嬰児。あかご。みどりご。生まれたばかりの子。「産褥の子」の義。 ⸣シラッふァー イッ⸢ケナ スー⸣リ マ⸢リ⸣キー ⸢ベー⸣バン [⸣ʃiraffaː ʔik⸢kena suː⸣ri ma⸢ri⸣ki ⸢beː⸣baŋ] (あかご<新生児>は十分に<大変>成熟して生まれてきているよ) 8574 0 0 8133 htmvoc_8574.wav シラドゥー ⸣シラドゥー [⸣ʃiraduː] 名 産褥中の産婦の体。産褥中の産婦の体は非常に壊れやすいといわれており、その間の休養が母体を強くするといわれていた。 ⸣シラドゥーヤ ⸣ッサリグジキートゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [⸣ʃiraduːja ⸣ssariguʤikiːtu ju⸢nu⸣munu] (産褥中の産婦の体は朽ちたデイゴの木と同じだ<折れやすい>) 8584 0 0 8134 htmvoc_8584.wav シラナガーン ⸣シラ ナ⸢ガー⸣ン [⸣ʃira na⸢gaː⸣ŋ] 連 面長である。⸢面が長い」の義。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣シラ ナ⸢ガー⸣ プ⸢ソー オーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣ʃira na⸢gaː⸣ pu̥⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島には顔の長い人はいらっしゃらなかった) 8585 0 0 8135 htmvoc_8585.wav シラヌイ シ⸢ラ⸣ヌイ [ʃi⸢ra⸣nui] 名 いなむら(稲叢)から稲束を少量ずつ抜き取り、脱穀、精米すること。 シ⸢ラー⸣ラ プ⸢スマラ⸣キ シ⸢ラ⸣ヌイ ⸢シー マイ⸣ サイティ ⸣ウシナー ⸣カティティ ⸣ッサイバ [ʃi⸢raː⸣ra pu̥⸢sumara⸣ki ʃi⸢ra⸣nui ⸢ʃiː mai⸣ saiti ⸣ʔuʃinaː ⸣kḁtiti ⸣ssaiba] (稲叢から1丸<30束>抜き取り、稲扱きをして臼で搗いて芒落としをし、磨り臼で籾殻を落とし、搗き臼で搗いて精米しなさいよ) 8552 0 0 8136 htmvoc_8552.wav シラヌカー シ⸢ラ⸣ヌ ⸣カー [ʃi⸢ra⸣nu ⸣kaː] 連 つら(面)の皮。顔面の表皮。 ⸢イー⸣シ ⸣トゥルンティ ⸣ティダナ プ⸢サ⸣リティ シ⸢ラ⸣ヌ ⸣カー パギ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ʃi ⸣turunti ⸣tidana pu̥⸢sa⸣riti ʃi⸢ra⸣nu ⸣kaː pagi⸢naː⸣nu] (ツノマタを採集しようと太陽に干されて、顔の皮が剥がれてしまった) 8553 0 0 8137 htmvoc_8553.wav シラヌカーアツァン シ⸢ラ⸣ヌ ⸣カー ア⸢ツァ⸣ン [ʃi⸢ra⸣nu ⸣kaː ʔa⸢ʦa⸣ŋ] 連 厚かましい。ずうずうしい。厚顔無恥である。⸢面の皮が厚い」の義。 ウ⸢レー⸣ シ⸢ラ⸣ヌ ⸢カー⸣ヌ ア⸢ツァ⸣ンダ ノー⸢ン⸣ バ⸢カ⸣ヤー ⸢ナーン⸣ツォー [ʔu⸢reː⸣ ʃi⸢ra⸣nu ⸢kaː⸣nu ʔa⸢ʦa⸣nda noː⸢m⸣ ba⸢ka⸣jaː ⸢naːn⸣ʦoː] (彼は厚顔無恥であるから、何も恥ずかしくないそうだ) 8586 0 0 8138 htmvoc_8586.wav シラヌカーヌアツァン シ⸢ラ⸣ヌ ⸢カー⸣ヌ ア⸢ツァ⸣ン [ʃi⸢ra⸣nu ⸢kaː⸣nu ʔa⸢ʦa⸣ŋ] 連 厚顔無恥である。鉄面皮である。あつかましい。「面の皮が厚い」の義。 ⸢ウンザー⸣ シ⸢ラ⸣ヌ ⸢カー⸣ヌ ア⸢ツァ⸣ンダ バ⸢カ⸣ヤンティ ⸢スーモー⸣ ッ⸢サンヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ʃi⸢ra⸣nu ⸢kaː⸣nu ʔa⸢ʦa⸣nda ba⸢ka⸣janti ⸢suːmunoː⸣ s⸢sanu] (あいつは厚顔無恥な人間だから、恥ずかしいということは知らない) 8587 0 0 8139 htmvoc_8587.wav シラヌヨイ シ⸢ラヌ⸣ ヨイ [ʃi⸢ranu⸣ joi] 連 ⸢いなむら(稲叢)の祝い」の義。稲叢を積み上げて完成したら、鼠の害を防ぐ祈願をし、ご馳走を作ってお祝いをした。 ウ⸢ブ⸣シラ シ⸢モー⸣ルカー ウ⸢ヤザ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ シ⸢ティ⸣ ウ⸢ヌ⸣ ユ⸢ネン⸣マー ⸢ヨイ⸣ル ⸢ソーッ⸣タ [ʔu⸢bu⸣ʃira ʃi⸢moː⸣rukaː ʔu⸢jaʣa⸣nu ⸢niŋ⸣gai ʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢nu⸣ ju⸢nem⸣maː ⸢joi⸣ru ⸢soːt⸣ta] (大きな稲叢を積まれたら、鼠の害を防ぐ祈願をして、その夜は稲叢完成の祝いをされた) 8588 0 0 8140 htmvoc_8588.wav シラハマ シ⸢ラ⸣ハマ [ʃi⸢ra⸣hama] 名 (地)西表島西部にある白浜集落。戦前は浦内炭坑の石炭積出港として賑わっていた。戦前の台湾航路の定期船は白浜で石炭を補給していた。 ム⸢カ⸣シェー ⸢タイ⸣パン ⸣パル ⸢ゾーケー⸣ シ⸢ラ⸣ハマナーティル シ⸢キ⸣タン シ⸢ミティ パッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢tai⸣pam ⸣paru ⸢ʣoːkeː⸣ ʃi⸢ra⸣hamanaːtiru ʃi̥⸢ki⸣taŋ ʃi⸢miti pat⸣ta] (昔は、台湾へ行く蒸気船は白浜で石炭を積んで行った) 8589 0 0 8141 htmvoc_8589.wav シラパマイ ⸣シラパマイ [⸣ʃirapamai] 名 お産用の米。⸢産褥飯米」の義。甘藷が常食であった時代、産褥中の⸢産婦用の白米(約1斗)」として準備したもの。 ク⸢ヌ マイヤー⸣ シラパマイティ ス⸢コーリ⸣ シケーバ ッ⸢ふァーン ブリ⸣バ⸢ヨー [ku⸢nu maijaː⸣ ʃirapamaiti su̥⸢koːri⸣ ʃi̥keːba f⸢faːm buri⸣ba⸢joː] (この米はお産用の米として準備してあるから食べるなよ) 8554 0 0 8142 htmvoc_8554.wav シラバルン ⸣シラ バ⸢ルン [⸣ʃira ba⸢ruŋ] 連 顔を割る。面目を失わせる。顔をつぶす。恥をかかせる。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢スー⸣カー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣シラ バ⸢ルンダ スーナ⸠ヨー [⸣ʔaibu ⸣kutu ⸢suː⸣kaː ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʃira ba⸢runda suːna⸠joː] (あんなことをすると親の顔をつぶす<割る>から、するなよ)。 ⸢ワンマー⸣ メー スズー⸢コ⸣ シラー バ⸢ラレー⸣ツバン [⸢wammaː⸣ meː suʣuː⸢ko⸣ ʃiraː ba⸢rareː⸣ʦubaŋ] (お前にはひどく恥をかかされてしまった<顔を割られた>よ) 8590 0 0 8143 htmvoc_8590.wav シラビムヌ シ⸢ラビ⸣ムヌ [ʃi⸢rabi⸣munu] 名 調べ物。調べること。調査物。 ⸢ウシ⸣トー ヤ⸢ク⸣バナー シ⸢ラビムヌ⸣ヌ ⸣アルティ ⸢シー⸣ イ⸢サンケー パッ⸣タ [⸢ʔuʃi̥⸣toː ja⸢ku⸣banaː ʃi⸢rabimunu⸣nu ⸣ʔaruti ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢saŋkeː pat⸣ta] (弟は役場で調べることがあるといって石垣島へ行った) 8591 0 0 8144 htmvoc_8591.wav シラビルン シ⸢ラビ⸣ルン [ʃi⸢rabi⸣ruŋ] 他動 調べる。調査する。 ⸢ヌー⸣ル マ⸢シ⸣ユー シ⸢ラビ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢ラビララ⸣ヌ [⸢nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣juː ʃi⸢rabi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ʃi⸢rabirara⸣nu] (何が良いか調べようと思うが調べられない)。 シ⸢ラビ⸣ル ⸣クトー ナ⸢リ⸣スバ ⸣ドゥーシ シ⸢ラビ⸣リ [ʃi⸢rabi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ri⸣suba ⸣duːʃi ʃi⸢rabi⸣ri] (調べることは出来るから、自分で調べなさい)。 シ⸢ラ⸣ビ ⸣ミサカー ⸢パー⸣ク シ⸢ラビ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ra⸣bi ⸣misakaː ⸢paː⸣ku ʃi⸢rabi⸣reː ⸣misamunu] (調べてよいなら早く調べればよいのに) 8555 0 0 8145 htmvoc_8555.wav シラフクラー ⸣シラフクラー [⸢ʃiraɸu̥kuraː] 名 脹れっ面の人。すぐむっとした顔になる人。不機嫌な顔になる人。 ⸢ウンザー⸣ イ⸢ザリ⸣カー シ⸢グ⸣ シラフクラー ⸣ナリティ ⸢ピン⸣ドゥ ⸢スー⸠ツォー [⸢ʔunʣaː⸣ ʔi⸢ʣari⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ʃiraɸu̥kuraː ⸣nariti ⸢pin⸣du ⸢suː⸠ʦoː] (あいつは叱られるとすぐ脹れっ面になって反抗をするのだよ)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ シラフクラー ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢メーマ⸣ イ⸢ズ⸣カー シ⸢グ⸣ シラ フ⸢クリス [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʃiraɸu̥kuraː ja⸢runda⸣ ʔm⸢meːma⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ʃira ɸu̥⸢kurisu] (その子は脹れっ面だから、少し叱るとすぐ脹れる<怒>る) 8556 0 0 8146 htmvoc_8556.wav シラフクリカーフクリ シ⸢ラフク⸣リカーフクリ [ʃi⸢raɸu̥ku⸣rikaːɸu̥kuri] 副 脹れっ面をする。不機嫌な顔をして。 ⸢ヌーン⸣ドゥ キ⸢ム⸣ナー ⸢サウルタ⸣ユー ⸢ピーズ⸣ シ⸢ラフク⸣リカーフクリ ⸢シー ベー [⸢nuːn⸣du ki⸢mu⸣naː ⸢sauruta⸣juː ⸢piːʣu⸣ ʃi⸢raɸu̥ku⸣rikaːɸu̥kuri ⸢ʃiːbeː] (何が気に障ったのか、毎日脹れっ面をしている) 8557 0 0 8147 htmvoc_8557.wav シラフクリムヌ シ⸢ラフクリ⸣ムヌ [ʃi⸢raɸu̥kuri⸣munu] 名 脹れっ面の者。脹れて不平不満をいう者。「面脹れ者」の義。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ シ⸢ラフクリ⸣ムノー ア⸢タラ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢dumu⸣nu ʃi⸢raɸu̥kuri⸣munoː ʔa⸢tara⸣saː ⸢naː⸣nu] (女の脹れっ面は可愛くない) 8558 0 0 8148 htmvoc_8558.wav シラフクルン ⸣シラ フ⸢クルン [⸣ʃira ɸu̥⸢kuruŋ] 連 ふくれっつら<脹れっ面>をする。不機嫌な顔になる。怒って不機嫌な顔になる。「面脹れる」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ドゥー⸣ヌ ⸣キム フ⸢ガン⸣カー シ⸢グ⸣ シラ フ⸢クルンダ カン⸣ガイティ シゥ⸢カイ⸣ヨー [ku⸢nu⸣ f⸢faː duː⸣nu ⸣kimu ɸu⸢gaŋ⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ʃira ɸu̥⸢kurunda kaŋ⸣gaiti si̥⸢kai⸣joː] (この子は自分が満足<納得>しないと、すぐ脹れっ面になる<面脹れる>から考えて使いなさいよ)。怒って顔が脹れる。顔を脹らませる。 ウ⸢レー ドゥー⸣ヌ ⸣ウムー ⸢トゥー⸣ル ナ⸢ラン⸣カー ⸣シラ フ⸢クルン⸣ダー [ʔu⸢reː duː⸣nu ⸣ʔumuː ⸢tuː⸣ru na⸢raŋ⸣kaː ⸣ʃira ɸu̥⸢kurun⸣daː] (彼は自分の思い通りにならないと怒る<顔を脹らませる>) 8563 0 0 8149 htmvoc_8563.wav シラプス ⸣シラプス [⸣ʃirapu̥su] 名 産婦。産褥中の人。 ⸣シラプスンマー シ⸢バラムノー⸣ ッ⸢ふァースナ⸣ヨー [⸣ʃirapu̥summaː ʃi⸢baramunoː⸣ f⸢faːsuna⸣joː] (産婦には、悪い影響を及ぼす食べ物は与えるな<食べさせるな>よ)。 バ⸢カ⸣ジラ ⸣プスヌ ⸢イー⸣ヤー ク⸢メーキ⸣ ス⸢コーリ [ba⸢ka⸣ʤira ⸣pu̥sunu ⸢ʔiː⸣ja ku⸢meːki⸣ su̥⸢ku⸣ri] (産褥を出たばかりの人のご飯は細かく丁寧に作りなさい) 8559 0 0 8150 htmvoc_8559.wav シラフチ シ⸢ラ⸣フチ [ʃi⸢ra⸣ɸu̥ʧi] 名 面影。かおつき。顔貌。おもざし。「面口」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ラ⸣フチ ⸢バシキティ⸣ ウ⸢ムインザサラ⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢ra⸣ɸu̥ʧi ⸢baʃi̥kiti⸣ ʔu⸢muiʔnʣasara⸣nu] (親の面影を忘れて思い出されない) 8560 0 0 8151 htmvoc_8560.wav シラブニ シ⸢ラ⸣ブニ [ʃi⸢ra⸣buni] 名 ほおぼね(頬骨)。「つらぼね(面骨)」の転訛したもの。 ⸢ヨーガルター⸣ シラブニヌ ⸢トゥンジティ⸣ シ⸢ラカタ⸣チェー ⸢カウリ ナー⸣ヌ [⸢joːgarutaː⸣ ʃirabuninu ⸢tunʤiti⸣ ʃi⸢rakata⸣ʧeː ⸢kauri naː⸣nu] (痩せたので頬骨が突き出て顔貌が変わってしまった) 8594 0 0 8152 htmvoc_8594.wav シラブン シ⸢ラ⸣ブン [ʃi⸢ra⸣buŋ] 他動 調べる。調査する。「しらぶ<下二段活用>」の四段活用に転訛したもの。 シ⸢ラ⸣ビ ⸣ミサカー ⸣ドゥーシ シ⸢ラブン⸣ドゥ ⸣クナーテー シ⸢ラバラ⸣ヌ [ʃi⸢ra⸣bi ⸣misakaː ⸣duːʃi ʃi⸢raban⸣du ⸣kunaːteː ʃi⸢rabara⸣nu] (調べて良いなら自分で調べるが、此処では調べられない)。 シ⸢ラ⸣ブ プ⸢ソー パー⸣ク シ⸢ラ⸣ベー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ra⸣bu pu̥⸢soː paː⸣ku ʃi⸢ra⸣beː ⸣misamunu] (調べる人は早く調べればよいのに)。 ク⸢レー⸣ラ ⸢パイ⸣サ シ⸢ラ⸣ビ [ku⸢reː⸣ra ⸢pai⸣sa ʃi⸢ra⸣bi] (これ<この方>から早く調べろ<れ>) 8596 0 0 8153 htmvoc_8596.wav ジラマ ジ⸢ラ⸣マ [ʤi⸢ra⸣ma] 名 八重山古謡の一つの形態である「ジラバ」の転訛したもの。アヨー、ユンタ、ジラバは、無伴奏の労働歌といわれている。鳩間島には、パ⸢トゥ⸣マ ム⸢トゥジラ⸣マ[pḁ⸢tu⸣ma mu⸢tuʤira⸣ma](鳩間本ジラマ)、⸣バガ パ⸢トゥ⸣マジラマ[⸣baga pḁ⸢tu⸣maʤirama](わが鳩間ジラマ)、タ⸢ビタチ⸣ヌ ジ⸢ラ⸣マ[ta⸢bitaʧi⸣nu ʤi⸢ra⸣ma](旅立ちのジラマ)などがある。/ヘイヤー バガパトゥマ パラユ タティダス イラヨー パラタティダス ミャンガル~/(へいやー<囃子>、鳩間島の柱を建てたの<人>は、いらよー<囃子{EOS}真に>島の柱を建てたのは、みゃんがる<囃子>~)「鳩間本ジラマ」。⸢鳩間本ジラマ」は村建ての歴史を歌い、タ⸢ビタチ⸣ヌ ジ⸢ラ⸣マ[ta⸢bitaʧi⸣nu ʤi⸢ra⸣ma](旅たちのジラマ)は上り下りの沖縄旅の安全航海を祈願する叙事的、物語り的歌謡形式の内容を有するから、むしろ宗教的叙事歌謡というべきであろう 8561 0 0 8154 htmvoc_8561.wav シラムティアラカラヌ ⸣シラ ⸣ムティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣ʃira ⸣muti ʔa⸢rakara⸣nu] 連 顔向けができない。面目ない。「面を下げて<持って>歩けない」の義。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ⸣シキンラ ⸣シラ ⸣ムティ ア⸢ラカラ⸣ヌ(⸢アーカラ⸣ヌ) [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ⸣ʃi̥kinra ⸣ʃira ⸣muti ʔa⸢rakara⸣nu(⸢ʔaːkara⸣nu)] (あんなことをすると恥ずかしくて世間に顔向けできない<世間から面を持って歩けない>) 8562 0 0 8155 htmvoc_8562.wav シラムヨー シ⸢ラ⸣ムヨー [ʃi⸢ra⸣mujoː] 名 顔つき。面相。「面模様」の義。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ シ⸢キティ⸣ マナ⸢マンチン⸣ シ⸢ラムヨー⸣ヤ ⸢カウリ⸣ ウ⸢ヤーリ⸣ナキ ⸢シーベー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢naʃi⸣ba ʃi̥⸢kiti⸣ mana⸢manʧiŋ⸣ ʃi⸢ramujoː⸣ja ⸢kauri⸣ ʔu⸢jaːri⸣naki ⸢ʃiːbeː] (その話を聞いて急<只今の内に{EOS}あっと言う間に>に面相が変わり、号泣<叫び泣き{EOS}わめき泣き叫び>をしている) 8565 0 0 8156 htmvoc_8565.wav シラヤー ⸣シラヤー [⸣ʃirajaː] 名 お産のあった家。 パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カリ⸣プソー ⸣シラヤー ⸢パン⸣ナ [pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢kari⸣pu̥soː ⸣ʃirajaː ⸢pan⸣na] (風邪に罹った人はお産をした人の家に行くな)。 キ⸢ジムティ⸣プソー ⸣シラヤー ⸣パルカー ン⸢バイルン⸣ツォー [ki⸢ʤimuti⸣pu̥soː ⸣ʃirajaː ⸣parukaː ʔm⸢bairun⸣ʦoː] (体に傷のある人がお産のあった家に行くと、傷が悪化<化膿>するそうだ)。 ッ⸢ふ⸣シル カ⸢ビ⸣プソー ⸣シラヤー ⸣パリミサー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢fu⸣ʃiru ka⸢bi⸣pu̥soː ⸣ʃirajaː ⸣parimisaː ⸢naː⸣nu] (黒衣を被っている<服喪中の>人は産褥中の家に行ってはならない<行って良くない>) 8597 0 0 8157 htmvoc_8597.wav シラヨーリ ⸣シラヨーリ [⸣ʃirajoːri] 名 産後の肥立ちが悪く、衰弱すること。産褥中に病弱になること。 ⸣シラプソー シカイ⸢トゥ ジーシキ⸣ムヌ ッ⸢ふァーシ ユーコー⸣シティ ⸣ドゥー ⸢スーラサン⸣カー ⸣シラヨーリ ⸢スン⸠ダー [⸣ʃirapu̥soː ʃi̥kai⸢tu ʤiːʃi̥ki⸣munu f⸢faːʃi juːkoː⸣ʃi̥ti ⸣duː ⸢suːrasaŋ⸣kaː ⸣ʃirajoːri ⸢sun⸠daː] (産婦はしっかり滋養分をたべさせて休養させ、体力をつけないと、肥立ちが悪く衰弱するよ) 8598 0 1 8158 htmvoc_8598.wav シラリン シ⸢ラリン [ʃi⸢rariŋ] 連 {Mn_1}される<可能>。することが出来る。⸢スン[⸢suŋ](する)の連用形⸣シ[⸣ʃi]に可能の助動詞⸢ラ⸣リン[⸢ra⸣riŋ](られる)が下接したもの。 ク⸢レー バン⸣ヌン シ⸢ラリン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー シ⸢ララヌ [ku⸢reː ban⸣nuŋ ʃi⸢rariŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ʃi⸢raranu] (これは私にも出来る<される>かなあと思ったけれど、一人では出来ない<されない>)。 8598 0 2 8159 htmvoc_8598.wav シラリン シ⸢ラリン [ʃi⸢rariŋ] 連 {Mn_2}される<受身>。 ⸢ウンザン⸣ シ⸢ダキ⸣ シ⸢ラリティ ザー⸣パイ ⸢シーナー⸣ヌ [⸢ʔunʣaŋ⸣ ʃi⸢daki⸣ ʃi⸢rariti ʣaː⸣pai ⸢ʃiːnaː⸣nu] (あいつに先にやられて<されて>台無しになって<ぶち壊されて、困って>しまった) 8599 0 0 8160 htmvoc_8599.wav シリ ⸣シリ [⸣ʃiri] 名 同じ年齢の者。同年輩。遊び友達。同輩。「連れ」の転訛したものか。 ユ⸢ヌ⸣ シリンケートゥ トゥ⸢レー⸣シ ア⸢サブン [ju⸢nu⸣ ʃiriŋkeːtu tu⸢reː⸣ʃi ʔa⸢sabuŋ] (同年の<同じ年の>者と連れ立って遊ぶ)。 シ⸢リヌ ブーバル⸣ ク⸢レー⸣ ナル [ʃi⸢rinu buːbaru⸣ ku⸢reː⸣ naru] (供の者<連れ>がいてこそ、これは出来る) 8601 0 0 8161 htmvoc_8601.wav ジリ ⸣ジリ [⸣ʤiri] 代 どれ。どちら。誰。「いづれ(何れ)」の語頭母音「イ」の脱落した形。時・場所・物事・人物等について不定であるものを指す。複数の中から選び出す。「~常闇に伊豆礼能<イヅレノ>日まで~。万、3742」の転訛したもの。 ジ⸢リ⸣ル マ⸢シ⸣ヤ ⸢ワー⸣ マ⸢シェー⸣ル ⸣ムヌ ⸣ヌー ヤ⸢ラバン⸣ ムティ ⸣パリバ [ʤi⸢ri⸣ru ma⸢ʃi⸣ja ⸢waː⸣ ma⸢ʃeː⸣ru ⸣munu ⸣nuː ja⸢rabam⸣ muti ⸣pariba] (どれが良いか{EOS}君がいい<増しな>ものを何でも持って行きなさい) 8687 0 0 8162 htmvoc_8687.wav シリカク シ⸢リ⸣カク [ʃi⸢ri⸣kaku] 名 検地役 8602 0 0 8163 htmvoc_8602.wav シリキシルン シ⸢リキシ⸣ルン [ʃi⸢rikiʃi⸣ruŋ] 自動 擦り切れる。 ユ⸢ヌ⸣キン カー⸢ニ⸣ キ⸢ス⸣カー シ⸢リキシ⸣ルン [ju⸢nu⸣ kin kaː⸢ni⸣ ki̥⸢su⸣kaː ʃi⸢rikiʃi⸣ruŋ] (同じ着物だけ着ると擦り切れる)。 シ⸢リキシラ⸣ヌ [ʃi⸢rikiʃira⸣nu] (擦り切れない)。 シ⸢リ⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢ri⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (擦り切れてしまった)。 シ⸢リキシ⸣ル ⸣ムヌ [ʃi⸢riki̥ʃi⸣ru ⸣munu] (擦り切れるもの)。 シ⸢リキシ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢riki̥ʃi⸣reː ⸣misamunu] (擦り切れたら良いのに)。 シ⸢リキシ⸣リ [ʃi⸢riki̥ʃi⸣ri] (擦り切れろ) 8603 0 0 8164 htmvoc_8603.wav シリキスン シ⸢リ⸣キスン [ʃi⸢ri⸣ki̥suŋ] 他動 摩り切る。こすって切る。縄や布などを擦って切る。 ⸢ナー⸣バ イ⸢シヌ⸣ カドゥナ シ⸢リ⸣キスンティ ⸢スンドゥ⸣ シ⸢リキサラン⸣バン [⸢naː⸣ba ʔi⸢ʃinu⸣ kaduna ʃi⸢ri⸣ki̥sunti ⸢sundu⸣ ʃi⸢riki̥saram⸣baŋ] (縄を石の角で摩り切ろうとするが、摩り切られないよ)。 シ⸢リ⸣キシ ⸣ミサカー シ⸢リ⸣キス ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi⸢ri⸣ki̥ʃi ⸣misakaː ʃi⸢ri⸣ki̥su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (摩り切って良ければ、摩り切ることは出来る) 8610 0 0 8165 htmvoc_8610.wav シリシリ シ⸢リシリ [ʃi⸢riʃiri] 副 しとしと。雨が柔らかく静かに降るさま。 ア⸢ミ⸣ヌ シ⸢リシリ⸣シ ⸣フーン [ʔa⸢mi⸣nu ʃi⸢riʃiri⸣ʃi ⸣ɸuːŋ] (雨がしとしとと降る)。そろりそろり。ゆっくりと静かに。 ⸣アッパー シ⸢リシリ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢オーッ⸣タ [⸣ʔappaː ʃi⸢riʃiri⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔoːt⸣ta] (お祖母さんはそろそろと歩いて行かれた) 8604 0 0 8166 htmvoc_8604.wav シリタウムン シ⸢リタウ⸣ムン [ʃi⸢ritau⸣muŋ] 自動 磨り減って窪む。擦り窪む。 ユ⸢ヌ⸣ トゥシ⸢カーニ⸣ シゥ⸢カウ⸣カー シ⸢リタウ⸣ムン [ju⸢nu⸣ tu̥ʃi⸢kaːni⸣ sɨ。⸢kau⸣kaː ʃi⸢ritau⸣muŋ] (同じ砥石だけ使うと磨り減って窪む) 8605 0 0 8167 htmvoc_8605.wav シリックムン シ⸢リッ⸣クムン [ʃi⸢rik⸣kumuŋ] 他動 擦り込む。軟膏を擦り込む。 ⸢ヌーリフチル⸣ シ⸢リッ⸣クミ ⸣ミサカー シ⸢リックムン⸣ドゥ ク⸢シナカー⸣ シ⸢リックマヌ [⸢nuːriɸu̥ʧiru⸣ ʃi⸢rik⸣kumi ⸣misakaː ʃi⸢rikkumun⸣du ku̥⸢ʃinakaː⸣ ʃi⸢rikkuma⸣nu] (塗り薬を擦り込んで良ければ擦り込むが、背中は擦り込まない)。 シ⸢リッ⸣クム ⸣トンマー ⸢パン⸣ シ⸢キ⸣リ [ʃi⸢rik⸣kumu ⸣tommaː ⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (擦り込む所は印を付けなさい)。 シ⸢リッ⸣クメー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢rik⸣kumeː ⸣misamunu] (擦り込めば良いのに)。 シ⸢リッ⸣クミバ [ʃi⸢rik⸣kumiba] (擦り込めよ) 8642 0 0 8168 htmvoc_8642.wav シリパグン シ⸢リ⸣パグン [ʃi⸢ri⸣paguŋ] 他動 すりむく(擦り剥く)。 ク⸢ルビティ⸣ ス⸢ブシ⸣ シ⸢リ⸣パギ ⸣シケー [ku⸢rubiti⸣ su⸢buʃi⸣ ʃi⸢ri⸣pagi ʃi̥keː] (転んで膝を擦り剥いてある)。 ⸣クナー ク⸢ルブ⸣カー ス⸢ブシ⸣ シ⸢リ⸣パグンダー シ⸢リパガン⸣ヨーニ ⸢ヨーンナー⸣ ア⸢ラ⸣キ [⸣kunaː ku⸢rubu⸣kaː su⸢buʃi⸣ ʃi⸢ri⸣pagundaː ʃi⸢ripagaɲ⸣joːni ⸢joːnnaː⸣ ʔa⸢ra⸣ki] (ここで転んだら膝を擦り剥くから、擦り剥かないようにゆっくり歩け)。 ク⸢ルブタンティン⸣ シ⸢リ⸣パグ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢rubutantiŋ⸣ ʃi⸢ri⸣pagu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (転んでも擦り剥くことはない)。 ン⸢ベーマー⸣ シ⸢リ⸣パゲー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʃi⸢ri⸣pageː ⸣misamunu] (少しは擦り剥けばよいのに)。 シ⸢リ⸣パギ [ʃi⸢ri⸣pagi] (擦り剥け) 8643 0 0 8169 htmvoc_8643.wav シリパンツァスン シ⸢リパンツァ⸣スン [ʃi⸢ripanʦa⸣suŋ] 連 踏み外す。 ッ⸢ふァヨーンサーリ⸣ イ⸢シダン⸣ シ⸢リパンツァ⸣シティ ク⸢ルビ⸣ ウティ ⸢ナー⸣ヌ [f⸢fajoːnsaːri⸣ ʔi⸢ʃidaŋ⸣ ʃi⸢ripanʦa⸣ʃi̥ti ku⸢rubi⸣ ʔuti ⸢naː⸣nu] (暗闇で石段を踏み外して転落して<転び落ちて>しまった) 8606 0 0 8170 htmvoc_8606.wav シリピナルン シ⸢リピナ⸣ルン [ʃi⸢ripina⸣ruŋ] 自動 磨り減る。摩耗する。 ピ⸢キウシヌ パー⸣ヤ シ⸢リピナ⸣リ ⸢ナーン⸣バ ⸣パー タ⸢ティラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢kiʔuʃinu paː⸣ja ʃi⸢ripina⸣ri ⸢naːm⸣ba ⸣paː tḁ⸢tiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (挽き臼の歯が摩耗してしまったから、歯を立てないといけない)。 イッ⸢カ⸣ シ⸢リピナラ⸣ヌ [ʔik⸢ka⸣ ʃi⸢ripinara⸣nu] (決して<一向に>磨り減らない)。 ッ⸢シゲタ⸣ヌ(タ⸢カアチ⸣ツァ{SqBr}tḁ⸢kaʔaʧi⸣ʦa{/SqBr}) ⸢パー⸣ヤ シ⸢リピナ⸣ルクトー シ⸢リピナルン⸣ドゥ シ⸢リピナ⸣ルカー トゥ⸢リカイラ⸣リン [ʃ⸢ʃigeta⸣nu ⸢paː⸣ja ʃi⸢ripina⸣ru ⸣ku̥toː ʃi⸢ripinarun⸣du ʃi⸢ripina⸣rukaː tu⸢rikaira⸣riŋ] (差し下駄の歯は磨り減ることは磨り減るが、磨り減ったら取り替えられる)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢リピナ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢ripina⸣reː ⸣misamunu] (もっと磨り減れば良いのに) 8688 0 0 8171 htmvoc_8688.wav シリルン シ⸢リルン [ʃi⸢riruŋ] 自動 消失する。散り失せる。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢マール⸣ナ ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸣シル マ⸢ミ ヌーリ⸣ シ⸢キ⸣ルカ ア⸢シ⸣ボー シ⸢リルン⸣ダー [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢maːru⸣na ga⸢ʤimaru⸣nu ⸣ʃiru ma⸢mi nuːri⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʔa⸢ʃi⸣boː ʃi⸢rirun⸣daː] (御出来の周りにガジマルの汁<樹液>をつけて塗っておくと御出来は消失する<散り失せる>よ) 8607 0 0 8172 htmvoc_8607.wav シリンコースン シ⸢リンコー⸣スン [ʃi⸢riŋkoː⸣suŋ] 他動 擦り剥く。転んで皮膚を擦りむく。シ⸢リ⸣パグンとも言う。 ⸢カイ⸣ルカー ⸢ティーパン⸣ヌ ⸣カー シ⸢リンコー⸣スン [⸢kai⸣rukaː ⸢tiː⸣pan⸣nu ⸣kaː ʃi⸢riŋkoː⸣suŋ] (転んだら手足の皮を擦りむく)。 ⸢シリンコーサ⸣ヌ [ʃi⸢riŋkoːsa⸣nu] (擦りむかない)。 シ⸢リンコーシ ヤッ⸣サン [ʃi⸢riŋkoːʃi jas⸣saŋ] (擦りむけ易い)。 シ⸢リンコー⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢riŋkoː⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (擦り剥くことはない)。 シ⸢リンコー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢riŋkoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (擦り剥けば良いのに)。 シ⸢リンコー⸣シバ [ʃi⸢riŋkoː⸣ʃiba] (擦り剥けよ) 8608 0 0 8173 htmvoc_8608.wav シル ⸣シル [⸣ʃiru] 名 汁。しみ出る液体。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸣シル ア⸢シ⸣ブナ ⸢ヌール⸣カー シ⸢ミラ⸣リティ ピン⸢トー⸣マ ⸢トゥンジ アイティ ノー⸣ルン [ga⸢ʤimaru⸣nu ⸣ʃiru ʔa⸢ʃi⸣buna ⸢nuːru⸣kaː ʃi⸢mira⸣riti pin⸢toː⸣ma ⸢tunʤi ʔaiti noː⸣ruŋ] (ガジマル<榕樹>の樹液を出来ものの回りに塗ると、樹液に締められて御出来の芯が飛び出て、膿が出て治る)。 ⸣シル ⸣パルン [⸣ʃiru ⸣paruŋ] (汁が出る<流れる{EOS}走る>)。ただし、「おつゆ(御汁)」は音韻同化を起こして、⸣スー[⸣suː]という。 ⸣シル ⸣パルン [⸣ʃiru ⸣paruŋ] (汁が出る<流れる>)。 ⸢ニージル [⸢niːʤiru] (煮汁)。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸣シル ア⸢シ⸣ブナ マ⸢ミシキ⸣ルカー ⸢ノー⸣ルンツォー [ga⸢ʤimaru⸣nu ⸣ʃiru ʔa⸢ʃi⸣buna ma⸢miʃi̥ki⸣rukaː ⸢noː⸣runʦoː] (ガジマル<榕樹>の樹液をあせも<小さなおでき>周りにに塗りつけておくと治るそうだ)。 ⸢マンズイ⸣ヌ ⸣ナルナ キ⸢ジ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ッソーッ⸢ソーヌ⸣ シ⸢ル⸣ヌ ⸣パルン [⸢manʣui⸣nu ⸣naruna ki⸢ʤi⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ssoːs⸢soːnu⸣ ʃi⸢ru⸣nu ⸣paruŋ] (パパイヤ<蕃瓜樹>の実に傷を付けると真っ白な汁が流れ出る)。 ガ⸢ジ⸣マルキーヌ ⸣シルン ッ⸢ソー⸣ン [ga⸢ʤi⸣marukiːnu ⸣ʃirun s⸢soː⸣ŋ] (ガジマル木の樹液も白い)。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸣シル ン⸢ジ⸣ルン [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʃiru ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (御出来の濃液が出る) 8609 0 0 8174 htmvoc_8609.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 白。標準語から転訛したもの。 シ⸢ル⸣ムチ [ʃi⸢ru⸣muʧi] (白餅)。 ⸣イルジル [⸣ʔirudjiru] (色白)。普通は、音韻融合が進んで、ッス[⸣ssu](白)、ッ⸢ス⸣ムチ[s⸢su⸣muʧi](白餅)、ッ⸢ス⸣キン[s⸢su⸣kiŋ](白い着物)という 8612 0 1 8175 htmvoc_8612.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 {Mn_1}血管。 シ⸢ル⸣ ピ⸢クン [ʃi⸢ru⸣ pi̥⸢kuŋ] (血管が走る)。 ア⸢ウジル [⸢ʔauʤiru] (静脈{EOS}青い血管)。 フ⸢タイ⸣ナ ⸢アウジルヌ⸣ ンジ ⸢ベー [ɸu̥⸢tai⸣na ⸢ʔauʤirunu⸣ ʔnʤi ⸢beː] (額に静脈が出ている)。 8612 0 2 8176 htmvoc_8612.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 {Mn_2}筋肉の筋。腱。「弦」の転訛したもの。アキレス腱。 ⸢パン⸣ヌ シ⸢ルヌ⸣ キシティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ʃi⸢runu⸣ ki̥ʃiti ʔa⸢rakara⸣nu] (足の腱が切れて歩けない) 8613 0 1 8177 htmvoc_8613.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 {Mn_1}屋敷。「しろ。域。代。城。領有して他人に立ち入らせない一定の区画」『岩波古語辞典』の転訛か。 ⸢ヤー⸣ウチ シ⸢ルウチ [⸢jaː⸣ʔuʧi ʃi⸢ruʔuʧi] (屋敷内、区画の内)。/シルウチヌ メーヌウチニ ヤーバ シゥクリ アンティスー ウリユ ミューナーキャームイ/(屋敷内の、広場<広庭>の内に 家を造ってあるという{EOS}それを見ようよ)「アーパーレー<新室寿ぎ歌>」『鳩間島古典民謡古謡集』。 8613 0 2 8178 htmvoc_8613.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 {Mn_2}聖なる空間。屋敷の中で⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](とうづるもどき)とシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](注連縄)で一定の空間を囲い、神司交替の神事に供える米粉を搗いたり、神司の香炉を作る場所とした聖なる空間。そこで、一週間前より⸢スーヌ⸣パナ[⸢suːnu⸣pana](潮の花<波>を汲み取り、それで海砂を七回洗い清め、板の上に干して乾燥させたものを香炉の中に入れ、香炉の灰として使用した)。 ⸢カンコー⸣ローヤ シ⸢ル⸣ナーティル シ⸢ラーソーッ⸣タ [⸢kaŋkoː⸣roː ʃi⸢ru⸣naːtiru ʃi⸢raːsoːt⸣ta] (神の香炉はシ⸢ル{SqBr}ʃi⸢ru{/SqBr}<代>において作られ<孵化され>た) 8614 0 0 8179 htmvoc_8614.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 釣瓶。「缶、楊氏漢語抄云、都流閉<つるべ>、汲\kaeriten{㆑}水器也『和名抄』」の転訛したもの。ク⸢バンパーシル[ku⸢bampaːʃiru](クバ<蒲葵>の葉で作った釣瓶)で井戸水を汲んだが破れ易いので、後に⸣ガンガンシル[⸣gaŋgaŋʃiru](ブリキ缶の釣瓶)を作るようになった。⸢キー⸣シル[⸢kiː⸣ʃiru](板製の釣瓶)もあった。 ⸢ウイヌカーヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ ク⸢バンパーシル⸣シ フ⸢ミティ⸣ ヌ⸢ムタ⸣ヌ ピ⸢ラケー ピラケー⸣シティ ン⸢マー⸣タン [⸢ʔuinukaːnu⸣ mi⸢ʤeː⸣ ku⸢bampaːʃiru⸣ʃi ɸu⸢miti⸣ nu⸢muta⸣nu pi⸢rakeː pirakeː⸣ʃi̥ti ʔm⸢maː⸣taŋ] (ウイヌカー井戸の水は、蒲葵の葉釣瓶で汲んで飲んだが、ひんやりとして<冷たくて>美味しかった) 8615 0 1 8180 htmvoc_8615.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 {Mn_1}つる(弦)。 ⸢サンシンヌ⸣ シ⸢ル [⸢saŋʃinnu⸣ ʃi⸢ru] (三線<三味線>の弦)。⸢ウー⸣ジル[⸢ʔuː⸣ʤiru](雄弦)、⸢ミー⸣ジル[⸢miː⸣ʤiru](雌弦)、ナ⸢カ⸣ジル[na⸢ka⸣ʤiru](中弦)がある。 8615 0 2 8181 htmvoc_8615.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 {Mn_2}けん(腱)。 ⸢パン⸣ヌ シ⸢ル⸣ キシティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ʃi⸢ru⸣ ki̥ʃiti ʔa⸢rakara⸣nu] (足の腱を切ってしまって、歩けない)。 8615 0 3 8182 htmvoc_8615.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 {Mn_3}血管。⸢シージル[⸢ʃiːʤiru](血管)ともいう。 ⸢シー⸣グシ ⸢シージル⸣ キ⸢ス⸣ナ⸢ダー [⸢ʃiː⸣guʃi ⸢ʃiːʤiru⸣ ki̥⸢su⸣na⸢daː] (小刀で血管を切るなよ)。 8615 0 4 8183 htmvoc_8615.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 {Mn_4}愛情。 ッ⸢ふァ⸣ナー ⸢ピッ⸣チン ⸣シロー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢fa⸣naː ⸢pit⸣ʧiŋ ⸣ʃiroː ⸢naː⸣nu] (子供に対してちっとも<少しも>愛情がない) 8616 0 0 8184 htmvoc_8616.wav シル シ⸢ル [ʃi⸢ru] 名 霧。 シ⸢ル⸣ カ⸢カ⸣リティ ミ⸢ララン⸣シェン [ʃi⸢ru⸣ kḁ⸢ka⸣riti mi⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (霧がかかって見えなかった)。 シ⸢ルヌ⸣ ウリティ ⸢トゥーサー⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʃi⸢runu⸣ ʔuriti ⸢tuːsaː⸣ mi⸢rara⸣nu] (霧が降りて遠くは見えない) 8618 0 0 8185 htmvoc_8618.wav ジル ⸣ジル [⸣ʤiru] 名 海底の浅瀬。珊瑚礁の浅瀬。ヤ⸢マ⸣タジル[ja⸢ma⸣taʤiru]は、タ⸢カ⸣ビー[ta⸢ka⸣biː](高干瀬)の津口から鳩間桟橋に行く途中にある。ア⸢ガジル[ʔa⸢gaʤiru](赤浅瀬)は、ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](「澪の上」の義か)の側にある浅瀬。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピス ⸣ピンマー ⸣ジロー ⸣ミレーティ ⸣フニ ム⸢タン⸣カー ⸢ハーガラ⸣スン⸢ダー [⸢suː⸣nu ⸣pi̥su ⸣pimmaː ⸣ʤiroː ⸣mireːti ⸣ɸuneː mu⸢taŋ⸣kaː ⸢haːgara⸣sun⸢daː] (潮が引く<干る>時は珊瑚礁の浅瀬を見ながら船を操船しないと、浅瀬に乗り上げるよ)。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸣マンタナー ア⸢ガジルティン⸣ アリ ヤ⸢マ⸣タジルティン ⸣アン [pḁ⸢tuma⸣nu ⸣mantanaː ʔa⸢gaʤirutin⸣ ʔari ja⸢ma⸣taʤirutiŋ ⸣ʔaŋ] (鳩間島の前には赤ジルという浅瀬もあり、ヤマタジルという浅瀬もある) 8653 0 0 8186 htmvoc_8653.wav ジルー ⸣ジルー [⸣ʤiruː] 名 いろり(囲炉裏)。「地炉」の義。床を切って拵えた炉。産婦が産褥に入る際にジルーを作った。普通は二番裏座か三番裏座に作られた。床を一部切り落として、⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](「四枚鍋」の義{EOS}大鍋)の底の破損したものを据え、砂を入れてその上に薪を燃やした。産褥は四周をシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](注連縄)を張り巡らし、悪霊の侵入を防いだ。1960年代には島で出産する人がいなくなり、石垣島の産婆の下で出産するようになって、鳩間島の地炉は消えた。 ⸣ジルナー シ⸢ビナージナバ⸣ パイティ ヤ⸢ナムヌ⸣ヌ ヌ⸢キ⸣ムヌ ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʤirunaː ʃi⸢binaːʤinaba⸣ paiti ja⸢namunu⸣nu nu⸢ki⸣munu ⸢soːt⸣ta] (囲炉裏<地炉>を\ruby{設}{シツラ}えた産褥には注連縄を張り巡らして悪霊のお祓い<魔除けの護符>にされた) 8620 0 0 8187 htmvoc_8620.wav シルイカ シ⸢ルイ⸣カ [ʃi⸢ruʔi⸣ka] 名 (動)あおりいか。「白烏賊」の義。体長30センチから45センチに成長する。ひれは発達して丸みがあり、腕は太く、2本の長く伸びた太い蝕腕がある。春には産卵のために海岸近くに寄ってくる。シ⸢ルイ⸣カ[ʃi⸢ruʔi⸣ka]は食すると利尿効果があるといわれており、サ⸢ギフチ⸣ル[sa⸢giɸu̥ʧi⸣ru](のぼせ<逆上>をさげる薬{EOS}頭痛、眼病、便秘薬)として重宝された。 シ⸢ルイ⸣カー ⸢マイ⸣ヌ パ⸢マー⸣ラン イ⸢ガジーバ ナン⸣ゲーティ ⸣ユー ⸢ホーサリ⸣タン [ʃi⸢ruʔi⸣kaː ⸢mai⸣nu pa⸢maː⸣raŋ ʔi⸢gaʤiːba naŋ⸣geːti ⸣juː ⸢hoːsari⸣taŋ] (あおりいか<白烏賊>は、前の浜辺からも餌木を投げながらよく釣れたものだ) 8622 0 1 8188 htmvoc_8622.wav シルウチ シ⸢ルウチ [ʃi⸢ruʔuʧi] 名 {Mn_1}屋敷内。境内。 ウ⸢ガン⸣ヌ シ⸢ルウチ [ʔu⸢gan⸣nu ʃi⸢ruʔuʧi] (お願<御嶽>の境内)。 シ⸢ビナージナバ⸣ ピ⸢キ⸣ パ⸢リティ⸣ ヤ⸢ナ⸣ムヌ シ⸢ルウチェー⸣ イ⸢リシムナ [ʃi⸢binaːʤinaba⸣ pi̥⸢ki⸣ pa⸢riti⸣ ja⸢na⸣munu ʃi⸢ruʔuʧeː⸣ ʔi⸢riʃimuna] (注連縄を引き張り巡らして悪霊を屋敷内に入れさせるな)。 8622 0 2 8189 htmvoc_8622.wav シルウチ シ⸢ルウチ [ʃi⸢ruʔuʧi] 名 {Mn_2}一定面積の土地。メーヌウチ(広場の中)の対語。歌謡語。/シルウチヌ メーヌ ウチ ヤーバ スクリ アンティスー/(城うち、屋敷内に家を造ってあるという~)「アーパーレー(新室寿歌)」 8621 0 0 8190 htmvoc_8621.wav シルカー シ⸢ルカー [ʃi⸢rukaː] 名 釣瓶で水を汲む井戸。⸢インヌカー[⸢ʔinnukaː](西の村井戸)、⸢ウイヌカー[⸢ʔuinukaː](上の井戸{EOS}島仲の井戸)などはシ⸢ルカー[ʃi⸢rukaː]であるが、⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東の村井戸)、パ⸢チンガカー[pa⸢ʧiŋgakaː]は、ウ⸢リ⸣カー[ʔu⸢ri⸣kaː](下り井戸{EOS}洞穴の底へ下りていって、湧き水を汲む井戸)である。 ⸢インヌカーヤ⸣ シ⸢ルカー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ク⸢バンパーシル⸣シル ミ⸢ジェー⸣ フ⸢ムタル [⸢ʔinnukaːja⸣ ʃi⸢rukaː⸣ ja⸢runda⸣ ku⸢bampaʃiru⸣ʃiru mi⸢ʤeː⸣ ɸu⸢mutaru] (西の村井戸はシルカーだから、クバ<蒲葵>の葉釣瓶で水を汲んだものだ) 8623 0 0 8191 htmvoc_8623.wav ジルカキ ジ⸢ル⸣カキ [ʤi⸢ru⸣kḁki] 名 (植)猪垣を作る際に用いる小さな樹木。直径約3センチ、高さ約3メートルの樹木、または樹木の枝。猪垣として土中に差し込んで横木をわたして編みこんでおくと根付きやすいので多く利用されたという。 ジ⸢ル⸣カキ ⸣キシン ユチン⸢バー⸣キン ⸢オーッ⸣タンティ⸢ダー [ʤi⸢ru⸣kaki ⸣ki̥ʃiŋ juʧim⸢baː⸣kiŋ ⸢ʔoːt⸣tanti⸢daː] (猪垣用のジルカキを切り出しに、ユチンまでも行かれたそうだよ) 8624 0 0 8192 htmvoc_8624.wav シルギ シ⸢ルギ [ʃi⸢rugi] 名 連続もの。続き物。反物の長さが二反、三反と続いて織られているもの。 ⸢ニッタンシル⸣ギ [⸢nittaŋʃiru⸣gi] (二反続きの織物)。⸣サンダンシルギ[⸣sandaŋʃirugi](三反続きの織物)などがある。 ⸢ニッタンシルギ⸣ヌ ⸢ヌーヌ⸣シル ク⸢ヌ キン⸣マー ⸢サーサリ [⸢nittaŋʃirugi⸣nu ⸢nuːnu⸣ʃiru ku⸢nu kim⸣maː ⸢saːsari] (二反続きの布で<ぞ>この着物は仕立てられる) 8625 0 0 8193 htmvoc_8625.wav シルキバタ シ⸢ル⸣キバタ [ʃi⸢ru⸣kibata] 名 産婦に起きる産後の腹痛。おろ(悪露)を伴い、胸を刺すように痛むという。子宮が締まるために痛むという。 ッ⸢ふァナシ⸣プソー ター⸢ン⸣ナーン シ⸢ル⸣キバター ア⸢リ⸣ス [f⸢fanaʃi⸣pu̥soː taː⸢n⸣naːŋ ʃi⸢ru⸣kibataː ʔa⸢ri⸣su] (産婦は誰にも産後の腹痛が起きる<ある>ものだ) 8626 0 0 8194 htmvoc_8626.wav シルク シ⸢ル⸣ク [ʃi⸢ru⸣ku] 名 鰹節の補修に用いる魚肉を搗いて澱粉と練りあわせたもの。カツオのハ⸢ラ⸣ゴー[ha⸢ra⸣goː](腹皮)やナ⸢カ⸣ブニ[na⸢ka⸣buni](中骨{EOS}脊髄)に着いている魚肉を臼で搗き、澱粉を少量加えて練ったもの。煮込みの過程で鰹節が割れたり、煮崩れしたものを補修し鰹節としての形を補正するのに用いるもの。その後に焙乾した。 シ⸢ル⸣ク ッ⸢ふァーシティ⸣ プ⸢シ⸣ヌ カ⸢タチ⸣ トゥ⸢トゥヌイ⸣リ [ʃi⸢ru⸣ku f⸢faːʃi̥ti⸣ pu̥⸢ʃi⸣nu kḁ⸢taʧi⸣ tu̥⸢tunui⸣ri] (シルクを塗りつけて<喰わして>鰹節の形を整えろ)。 ⸢ネーシカツヌ ミー⸣バリ ⸢シー ブー⸣ トンマー シ⸢ル⸣ク ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢neːʃikaʦunu miː⸣bari ⸢ʃiː buː⸣ tommaː ʃi⸢ru⸣ku f⸢faːʃi⸣ba] (煮たカツオのひび割れしているところはシルクを塗りなさい<喰わせ>よ) 8645 0 0 8195 htmvoc_8645.wav シルクシックン シ⸢ル⸣ク ⸢シッ⸣クン [ʃi⸢ru⸣ku ⸢ʃik⸣kuŋ] 連 シルク(煮た魚肉を搗いて鰹節の整形に用いるもの{EOS}補正用魚肉)を搗き捏ねる 8647 0 0 8196 htmvoc_8647.wav シルクビン シ⸢ル⸣クビン [ʃi⸢ru⸣kubiŋ] 名 酒を入れる、首の細長い飾り瓶。「鶴瓶」の義。 シ⸢ル⸣クビンナー ⸣グシェー イ⸢リティ⸣ シ⸢キ⸣ カ⸢ザリ⸣バ [ʃi⸢ru⸣kubinnaː ⸣guʃeː ʔi⸢riti⸣ ʃi̥⸢ki⸣ ka⸢ʣari⸣ba] (鶴瓶に神酒<御酒>を入れ、供えて飾りなさいよ) 8646 0 0 8197 htmvoc_8646.wav ジルクンチ ジ⸢ル⸣クンチ [ʤi⸢ru⸣kunʧi] 名 十六日祭。旧暦一月十六日の仏事。後生の正月といわれている。墓の周囲の掃除をし、雑草を取り払い、木の枝打ちをして浜から砂を運び、墓前に敷いて当日を迎えた。当日は、ッ⸢ス⸣ムチ[s⸢su⸣muʧi](白餅)、⸣バタムチ[⸣batamuʧi](餡餅)、豚肉、カ⸢マブク[ka⸢mabuku](カマボコ)、⸣タク[⸣tḁku](蛸)、⸢ティン⸣プラ[⸢tim⸣pura](てんぷら)等のご馳走とサ⸢キ[sḁ⸢ki](酒)、パ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)、ウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](紙銭)をバ⸢キトゥリ⸣ブン[ba⸢kituri⸣buŋ](脇取り盆)に揃えて供え、墓前で紙銭を焼き上げて祈願した後、親戚縁者が集まってご馳走を食べながら一家、一族の絆を固めつつ半日を過ごした。 ジ⸢ル⸣クンチェー パ⸢カヌ ソー⸣ジン ⸢シー⸣ ウ⸢トゥザマリン⸣ パ⸢カ⸣ナー ア⸢ツァ⸣マリティ ム⸢チン⸣ ジ⸢ブ⸣クン シ⸢キマチティ⸣ ウサイ ン⸢キティル ヤー⸣ヤ ⸢オーッ⸣タ [ʤi⸢ru⸣kunʧeː pḁ⸢kanu soː⸣ʤiŋ ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢tuʣamarim⸣ pḁ⸢ka⸣naː ʔa⸢ʦa⸣mariti mu⸢ʧin⸣ ʤi⸢bu⸣kuŋ ʃi̥⸢kimaʧiti⸣ ʔusai ʔŋ⸢kitiru jaː⸣ja ⸢ʔoːt⸣ta] (十六日祭には墓の掃除もして、親戚も墓に集まって餅も重箱もお供えし祭って、そこでご馳走を食べてから家には帰られた<行かれた>) 8628 0 1 8198 htmvoc_8628.wav シルシ シ⸢ルシ [ʃi⸢ruʃi] 名 {Mn_1}印し。しおり(枝折)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ルシェー バン⸣テヌ ⸢ヤー⸣バン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢ruʃeː ban⸣tenu ⸢jaː⸣baŋ] (この印しは私の家の記号<家の印し>だ)。 ヤ⸢マー ペー⸣ル ⸣ピンマー ⸢キームトゥ⸣ヌ ⸣カー キ⸢ジティ⸣ シ⸢ルシ⸣ シキティ ⸢ペー⸣リ [ja⸢maː peː⸣ru ⸣pimmaː ⸢kiːmutu⸣nu ⸣kaː ki⸢ʤiti⸣ ʃi⸢ruʃi⸣ ʃi̥kiti ⸢peː⸣ri] (山へ入る時は、木の幹の皮を削って印しを付けて入れ)。 8628 0 2 8199 htmvoc_8628.wav シルシ シ⸢ルシ [ʃi⸢ruʃi] 名 {Mn_2}徴候。前兆。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ミ⸢ジパナドゥルヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー パ⸢ナシキヌ⸣ シ⸢ルシ [ja⸢rabi⸣nu mi⸢ʤipanadurunu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː pa⸢naʃi̥kinu⸣ ʃi⸢ruʃi] (子供の水っ洟が出たら風邪の徴候だ) 8629 0 0 8200 htmvoc_8629.wav シルシゥカイ シ⸢ル⸣シゥカイ [ʃi⸢ru⸣si̥kai] 名 おじや。お茶漬け。湯漬け。お茶を注ぎかけたご飯。老年層の言葉。若年層はシ⸢ル⸣シケー[ʃi⸢ru⸣ʃi̥keː](お茶漬け)ともいう。多くの場合、老人がシ⸢ル⸣シゥカイをして食するのを好んだ。子供がそれをまねると叱られた。 ⸢ウイプスヌ⸣ル シ⸢ル⸣シゥカイ ⸢シー⸣ ン⸢コーッタ⸣ル ヤ⸢ラビン⸣マー シ⸢ル⸣シゥカイ シ⸢モーラン⸣シェン [⸢ʔuipusunu⸣ru ʃi⸢ru⸣si̥kai ⸢ʃiː⸣ ʔŋ⸢koːtta⸣ru ja⸢rabim⸣maː ʃi⸢ru⸣si̥kai ʃi⸢moːraŋ⸣ʃeŋ] (老人が湯漬けをして召し上がられたもので、子供には湯漬けをさせられなかった)。若年層は、シ⸢ル⸣シケー[ʃi⸢ru⸣ʃi̥keː](お茶漬け{EOS}湯漬け)ともいう 8630 0 0 8201 htmvoc_8630.wav シルシケー シ⸢ル⸣シケー [ʃi⸢ru⸣ʃi̥keː] 名 おじや。お茶漬け。湯漬け。ご飯にお汁やお茶をかけて食べるご飯のこと。若年層の言葉。連母音の [ai] → [eː] による融合変化。老年層は、シ⸢ル⸣シゥカイ[ʃi⸢ru⸣si̥kai](おじや{EOS}湯漬け)ともいう。子供がシ⸢ル⸣シケー[ʃi⸢ru⸣ʃi̥keː]をして食べると行儀が悪いといって叱られた。「汁掛け飯」の義。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ル⸣シケー ⸢スー⸣カー ヤ⸢ナフシ⸣ティ ⸢シー⸣ イ⸢ジソーッ⸣タ [ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢ru⸣ʃi̥keː ⸢suː⸣kaː ja⸢naɸu̥ʃi⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢ʤisoːt⸣ta] (子供がご飯にお汁を掛けてお茶漬けにして食べると、悪い癖といって叱られた<叱りなさった>ものだ) 8631 0 0 8202 htmvoc_8631.wav シルズーシ ⸣シルズーシ [⸣ʃiruʣuːʃi] 名 汁の多い雑炊。おじや。「汁雑炊」の義。お粥状に煮込んだ雑炊。⸢コーズー⸣シ[⸢koːʣuː⸣ʃi](強雑炊{EOS}硬い雑炊)、ピ⸢サシズー⸣シ[pi⸢saʃiʣuː⸣ʃi](五目飯{EOS}火薬飯)の対義語。 カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブル⸣トゥ ⸢ナーン⸣パー イ⸢リティ⸣ シルズーシ バ⸢カス⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢buru⸣tu ⸢naːm⸣paː ʔi⸢riti⸣ ʃiruʣuːʃi ba⸢kasu⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (カツオの頭と菜っ葉を入れて汁雑炊を炊くと非常に美味しかった) 8632 0 0 8203 htmvoc_8632.wav シルダミ シ⸢ルダミ [ʃi⸢rudami] 名 三線<三味線>の弦を調弦すること。調弦。「弦矯め」の義。 ⸢サンシンヌ⸣ シ⸢ルダミヌ⸣ ア⸢タラン⸣カー ウ⸢ブ⸣ブシェー ピ⸢カラヌ [⸢saŋʃinnu⸣ ʃi⸢rudaminu⸣ ʔa⸢taraŋ⸣kaː ʔu⸢bu⸣buʃeː pi̥⸢karanu] (三線の調弦が正しくないと荘重な本節<節歌>は弾奏できない<弾かれない>) 8633 0 0 8204 htmvoc_8633.wav シルダリ シ⸢ルダリ [ʃi⸢rudari] 名 気落ちして動けなくなること。気抜けしてぐったりすること。精神的打撃を受け、落胆して力が抜けること。がっくりすること。失望したり、驚いたりして立ち上がる気力を失うこと。 ウ⸢リン⸣ ウ⸢バーサリティ⸣ ベーシ⸢ティ⸣ ウ⸢ダラ⸣キティ シ⸢ルダリ シーナー⸣ヌ [ʔu⸢riŋ⸣ ʔu⸢baːsariti⸣ beːʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢dara⸣kiti ʃi⸢rudari ʃiːnaː⸣nu] (あいつに驚かされて、びっくりして腰を抜かしてしまった<立ち上がる気力を失ってしまった>) 8634 0 0 8205 htmvoc_8634.wav シルダリスン シ⸢ルダリ スン [ʃi⸢rudari suŋ] 連 気落ちして、がっくりする。気抜けしてぐったりする。 ⸢ユー⸣ロー ミ⸢ドーン⸣ッふァー ウ⸢ダラカ⸣スカー シ⸢ルダリ スンダ⸣ ウ⸢ダラカス⸣ナ⸢ヨー [⸢juː⸣roː mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔu⸢daraka⸣su̥kaː ʃi⸢rudari sunda⸣ ʔu⸢darakasu⸣na⸢joː] (夜は、女の子は驚かすとがっくりして動けなくなるから驚かすなよ) 8635 0 0 8206 htmvoc_8635.wav シルダルン シ⸢ル⸣ ダルン [ʃi⸢ru⸣ daruŋ] 連 気落ちしてがっくりする。気抜けしてぐったりする。 ウ⸢ヌス⸣ク ウ⸢ヤーンチ⸣ジ ⸢ベータン⸣ドゥ ⸣シケン ⸣ウティティ シ⸢ル⸣ ダリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤi ⸢beːtan⸣du ⸣ʃi̥keŋ ⸣ʔutiti ʃi⸢ru⸣ dari ⸢naː⸣nu] (あれほど切望していたのに、試験に落ちて気落ちしてぐったりしてしまった) 8636 0 0 8207 htmvoc_8636.wav シルックムン シ⸢ルッ⸣クムン [ʃi⸢ruk⸣kumuŋ] 自動 つんのめる。激しい勢いで前方へ倒れる。前方へ突っ込む。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸣パリクンケンマー イ⸢シ⸣ナー ⸣パン ⸢ピッカキティ⸣ シ⸢ルッ⸣クミ フ⸢タイ⸣ パギ ⸣シケー [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣parikuŋkemmaː ʔi⸢ʃi⸣naː ⸣pam ⸢pikkakiti⸣ ʃi⸢ruk⸣kumi ɸu̥⸢tai⸣ pagi ⸣ʃi̥keː] (駆け足して走ってくると石に足をひっかっけてつんのめり、額の皮膚を擦り剥いてある)。 ⸣マンター シ⸢ルッ⸣クムン [⸣mantaː ʃi⸢ruk⸣kumuŋ] (前方へつんのめる{EOS}突っ込む)。 ⸣グサン ス⸢ク⸣カー シ⸢ルックマ⸣ヌ [⸣gusan su̥⸢ku⸣kaː ʃi⸢rukkuma⸣nu] (杖をついたらつんのめらない)。 シ⸢ルッ⸣クム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢ruk⸣kumu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (つんのめることは無い)。 シ⸢ルッ⸣クメー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ruk⸣kumeː ⸣misamunu] (つんのめれば良いのに)。 シ⸢ルッ⸣クミバ [ʃi⸢ruk⸣kumiba] (突っ込めよ) 8637 0 0 8208 htmvoc_8637.wav シルッコー シ⸢ルッ⸣コー [ʃi⸢ruk⸣koː] 名 台無しになること。ぶち壊しになること。ご破算になること。駄目になること。 ⸢ウンザヌ⸣ タ⸢ミ⸣ナー シ⸢グトゥン⸣ シ⸢ルッ⸣コー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔunʣanu⸣ ta⸢mi⸣naː ʃi⸢gutuŋ⸣ ʃi⸢ruk⸣koː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (あいつのために仕事もぶち壊しになってしまった) 8638 0 0 8209 htmvoc_8638.wav シルッコーナスン シ⸢ルッ⸣コー ⸣ナスン [ʃi⸢ruk⸣koː ⸣nasuŋ] 連 台無しにする。ぶち壊しにする。 ⸢シッカ⸣ク ヤッ⸢トゥ⸣シ マ⸢トゥミ⸣ シケー パ⸢ナ⸣シン ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣スカー ムー⸢ル⸣ シ⸢ルッ⸣コー ⸣ナスン [⸢ʃikka⸣ku ma⸢tumi⸣ ʃi̥keː pa⸢na⸣ʃiŋ ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣su̥kaː muː⸢ru⸣ ʃi⸢ruk⸣koː ⸣nasuŋ] (折角やっとでまとめてある話も、彼が話すと総てぶっ壊しにしてしまう) 8639 0 0 8210 htmvoc_8639.wav シルッコーマンザイ シ⸢ルッコーマン⸣ザイ [ʃi⸢rukkoːman⸣ʣai] 名 台無しになること。ぶち壊しになること。ご破算になること。畳語的。 ⸣ヌーンクイン ムー⸢ル⸣ シ⸢ルッコーマン⸣ザイ ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣nuːŋkuim muː⸢ru⸣ ʃi⸢rukkoːman⸣ʣai ⸣nari ⸢naː⸣nu] (何もかも総て台無しになってしまった) 8640 0 0 8211 htmvoc_8640.wav シルッコームッコー シ⸢ルッコームッ⸣コー [ʃi⸢rukkoːmuk⸣koː] 名 ABCDEFCDE型の重言。台無しになること。ぶち壊しになること。ご破算になること。 ⸢ウンザヌ⸣ キーティ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ター⸣ ムー⸢ル⸣ シ⸢ルッコームッ⸣コー ⸣ナシ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔunʣanu⸣ kiːti ʃi⸢gutu⸣ ʃi̥⸢taː⸣ muː⸢ru⸣ ʃi⸢rukkoːmuk⸣koː ⸣naʃi ⸢naː⸣nu] (あいつが来て仕事をしたので全部台無しにしてしまった)。 ⸢タイフー⸣ヌ フ⸢ク⸣ター ス⸢クリ⸣ムノー シ⸢ルッコームッ⸣コー ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸢taiɸuː⸣nu ɸu̥⸢ku⸣taː su̥⸢kuri⸣munoː ʃi⸢rukkoːmuk⸣koː nari⸢naː⸣nu] (台風が吹いたので作物は台無しになってしまった) 8648 0 0 8212 htmvoc_8648.wav シルッふァースン シ⸢ルッふァー⸣スン [ʃi⸢ruffaː⸣suŋ] 他動 塗りたくる。やたらに塗る。塗りまくる。シ⸢リッふァー⸣シとも言う。 ⸢ペン⸣キ シ⸢ルッふァー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢タマリティ⸣ シ⸢ルッふァーサラ⸣ヌ [⸢peŋ⸣ki ʃi⸢ruffaː⸣sunti ⸢sundu⸣ kḁ⸢tamariti⸣ ʃi⸢ruffaːsara⸣nu] (ペンキを塗りたくろうとするが、固まって塗りたくられない)。 シ⸢ルッふァー⸣シ ⸣ミサカー シ⸢ルッふァー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʃi⸢ruffaː⸣ʃi ⸣misakaː ʃi⸢ruffaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (塗りたくって良ければ塗りたくることは出来る)。 シ⸢ルッふァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃi⸢ruffaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (塗りたくれば良いのに)。 シ⸢ルッふァー⸣シ [ʃi⸢ruffaː⸣ʃi] (塗りたくれ) 8649 0 0 8213 htmvoc_8649.wav シルナーヌ ⸣シル ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃiru ⸢naː⸣nu] 連 愛情がない。「汁がない」の義。 ク⸢レー⸣ ッ⸢ふァ⸣ナー ⸢ピッ⸣チン ⸣シル ⸢ナー⸣ユンダ ナー⸢イ⸣ シ⸢ティ⸣ガラ ⸢シー⸣ ス⸢ダ⸣ティ ⸢ベー [ku⸢reː⸣ f⸢fa⸣naː ⸢pit⸣ʧiŋ ⸣ʃiru ⸢naː⸣junda naː⸢i⸣ ʃi̥⸢ti⸣gara ⸢ʃiː⸣ su⸢da⸣ti ⸢beː] (この人は<これは>全く<ひとつも>子供に愛情がないから、ただほったらかしにして育てている) 8650 0 0 8214 htmvoc_8650.wav シルフジカーフジ シ⸢ル⸣フジカーフジ [ʃi⸢ru⸣ɸuʤikaːɸuʤi] 名 台無しにすること。ぶち壊しにすること。めちゃくちゃ(滅茶苦茶)にすること。ABCDEFCD型の重言。 ウ⸢ヌス⸣ク ⸢アウ⸣リナンギバ ⸢シー⸣ ス⸢ク⸣レール ⸣ムヌバ シ⸢ル⸣フジカーフジ ⸢シーシティ ナー⸣ヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢ʔau⸣rinaŋgiba ⸢ʃiː⸣ su̥⸢ku⸣reːru mu⸢nu⸣ba ʃi⸢ru⸣ɸuʤikaːɸuʤi ⸢ʃiːʃi̥ti naː⸣nu] (あれほど難儀苦労をして作ったものをいじくって台無しにしてしまった) 8651 0 0 8215 htmvoc_8651.wav シルフズン シ⸢ル⸣フズン [ʃi⸢ru⸣ɸuʣuŋ] 他動 ぶち壊す。台無しにする。めちゃくちゃ(滅茶苦茶)にする。損なう。 プ⸢スヌ⸣ シ⸢グトゥバ⸣ シ⸢ル⸣フズンティ シ⸢タンティン⸣ アイヤー シ⸢ルフザラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢gutuba⸣ ʃi⸢ru⸣ɸuʣunti ʃi̥⸢tantiŋ⸣ ʔaijaː ʃi⸢ruɸuʣara⸣nu] (他人の仕事をぶち壊すと言っても、あんなにはぶち壊せない)。 シ⸢ル⸣フジミサカー シ⸢ル⸣フズ ⸣クトゥン ナ⸢リ⸣スヌ シ⸢ル⸣フジェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢ru⸣ɸuʤi ⸣misakaː ʃi⸢ru⸣ɸuʣu ⸣ku̥tun na⸢ri⸣sunu ʃi⸢ru⸣ɸuʤeː na⸢ra⸣nu] (ぶち壊してよければぶち壊すこともできるが、ぶち壊してはいけない)。 シ⸢ル⸣フジバ [ʃi⸢ru⸣ɸuʤiba] (ぶち壊せよ) 8652 0 0 8216 htmvoc_8652.wav シルングチ シ⸢ルング⸣チ [ʃi⸢ruŋgu⸣ʧi] 名 すりこぎ(擂粉木)。れんぎ。「摺粉木」の[suri]の[u]と[i]が音位転換(metathesis)し、[kogi]の[ko]が濁音化、[o]が狭母音化して[u]となり(三母音化)、[gi]が口蓋化して[ʤ]となり、更に無声化して[ʧ]と音韻変化して形成された語。 ⸣グマー ⸢ダイ⸣パーナ イ⸢リティ⸣ シ⸢ルング⸣チシ ⸣ッシバ [⸣gumaː ⸢dai⸣paːnaː ʔi⸢riti⸣ ʃi⸢ruŋgu⸣ʧiʃi ⸣ʃʃiba] (胡麻は擂鉢に入れて擂粉木で擂りなさいよ) 8695 0 0 8217 htmvoc_8695.wav ジロッピテー ⸣ジロッピテー [⸣ʤiroppiteː] 名 屋号。大城二郎氏宅。「二郎・兄さんの家」の義。⸣ジロー[ʤiroː](二郎)に糸満方言の⸢アッピー[⸢ʔappiː](兄さん)が下接して生成された合成語。 ウ⸢チ⸣ネーヌ ⸢シー⸣ネール ⸣ジロッピテー ⸢ヤッタ [ʔu⸢ʧi⸣neːnu ⸢ʃiː⸣neːru ⸣ʤiropiteː ⸢jatta] (仲伊部家の後隣が大城次郎氏宅だった) 8655 0 0 8218 htmvoc_8655.wav シワ ⸣シワ [⸣ʃiwa] 名 しわ(皺)。 ⸢ウイ⸣プソー ⸣シラナー シ⸢ワ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーン [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸣ʃiranaː ʃi⸢wa⸣nu ⸢goː⸣raːŋ] (老人は顔に皺が多い)。 ⸢ウイ⸣プス ⸢ナッ⸣ター シ⸢ワ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔui⸣pu̥su ⸢nat⸣taː ʃi⸢wa⸣nu ⸢goː⸣raː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (老人になったので皺が多くなってしまった) 8697 0 0 8219 htmvoc_8697.wav シワザ シ⸢ワザ [ʃi⸢waʣa] 名 仕業。所業。悪い行い。 ク⸢レー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ワザ⸣テー ウ⸢モーラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢waʣa⸣teː ʔu⸢moːra⸣nu] (これは子供の仕業とは思われない) 8656 0 1 8220 htmvoc_8656.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 名 {Mn_1}しん(心)。心底。 ⸣シンラ ⸢ワーヨー ニッ⸣ふァーティ イ⸢ゾー⸣ル ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ワー⸣ タ⸢ミバ⸣ ウ⸢ムイ⸣ル イ⸢ゾー⸣ル⸢ダー [⸣ʃinra ⸢waːjoː nif⸣faːti ʔi⸢ʣoː⸣ru ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu ⸢waː⸣ ta⸢miba⸣ ʔu⸢mui⸣ru ʔi⸢ʣoː⸣ru⸢daː] (心底から君が憎くて叱るのではない{EOS}君のためを思って叱るのだよ)。 8656 0 2 8221 htmvoc_8656.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 名 {Mn_2}ものの中心部。しん(芯)。 ⸢ティンプラ⸣ヌ ⸣シン [⸢timpura⸣nu ⸣siŋ] (テンプラの芯)。 イ⸢ズシンティンプラ [ʔi⸢ʣuʃintimpura] (魚芯テンプラ)。 ⸣ウンシンティンプラ [⸣ʔuŋʃintimpura] (芋芯テンプラ) 8657 0 1 8222 htmvoc_8657.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 名 {Mn_1}墨。墨汁。 ⸣シン ⸣ッシティ ⸢ジー⸣ カキ [⸣ʃiŋ ⸣ʃʃiti ⸢ʤiː⸣ kḁki] (墨を擦って字を書け)。 シ⸢ジ⸣リナー ⸣シン ⸣ッスン [ʃi⸢ʤi⸣rinaː ⸣ʃin ⸣ssuŋ] (硯に墨を擦る)。 8657 0 2 8223 htmvoc_8657.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 名 {Mn_2}消し炭。 カ⸢マチヌ⸣ シン ⸣トゥリキー ⸣ピー ⸢タシキ [ka⸢maʧinu⸣ ʃin ⸣turikiː ⸣piː ⸢taʃi̥ki] (竈の消し炭を採ってきて火を焚きつけなさい)。炭。 ⸣シンシ ⸢ジー⸣ カクン [⸣ʃiŋʃi ⸢ʤiː⸣ kakuŋ] (炭で字を書く) 8698 0 0 8224 htmvoc_8698.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 名 線。 ⸣クマーラ カ⸢マーバー⸣キ ⸣シン ピ⸢キ⸣バ [⸣kumaːra ka⸢maːbaː⸣ki ⸣ʃim pi̥⸢ki⸣ba] (ここからあそこまで線を引けよ)。 ⸢シン⸣マー マ⸢ギルナ [⸢ʃim⸣maː ma⸢giruna] (線は曲げるな)。 ⸢シン⸣バ ピ⸢クン [⸢ʃim⸣ba pi̥⸢kuŋ] (線を引く)。 ⸢シン⸣ヌ ⸢キール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃin⸣nu ⸢kiːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (線が消えることはない) 8699 0 0 8225 htmvoc_8699.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 名 千。数の名。 ⸣シンニン ⸣マンニン イ⸢キ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʃinnim ⸣manniŋ ʔi⸢ki⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (千年万年も生きる人はいない) 8700 0 0 8226 htmvoc_8700.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 助数 銭。貨幣の単位。円の百分の一。 イ⸢クサ⸣ユーナー ⸢ピータイ⸣ヤー ⸣イッシン グ⸢リンティル⸣ ア⸢ザリ ブタ⸣ツォー [ʔi⸢kusa⸣juːnaː ⸢piːtai⸣jaː ⸣ʔiʃʃiŋ gu⸢rintiru⸣ ʔa⸢ʣari buta⸣ʦoː] (戦争中は、兵隊は一千五厘といわれていたそうだ)。 ⸣イッシンシェー ⸢ヌー⸣ル ⸢カーリタ⸣カヤー ナ⸢レー [⸣ʔiʃʃiŋʃeː ⸢nuː⸣ru ⸢kaːrita⸣kajaː na⸢reː] (一銭では何を買うことが出来ただろうか<何が買われただろうか>ねえ、それは) 8701 0 1 8227 htmvoc_8701.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 名 {Mn_1}芯。髄。 バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸣シン ⸣ヌイティ バ⸢ラフ⸣タポーキ ス⸢ク⸣ルンティ ⸢ベー [ba⸢raɸu̥ta⸣nu ⸣ʃin ⸣nuiti ba⸢raɸu̥⸣tapoːki su̥⸢ku⸣runti ⸢beː] (稲藁の芯を抜いて藁芯箒を作ろうとしている)。 8701 0 2 8228 htmvoc_8701.wav シン ⸣シン [⸣ʃiŋ] 名 {Mn_2}心棒。車軸。 ク⸢ルマ⸣ヌ ⸣シン ⸣ブリ ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢ruma⸣nu ⸣ʃim ⸣buri ⸢naː⸣nu] (車の心棒<車軸>が折れてしまった) 8703 0 0 8229 htmvoc_8703.wav ジン ⸣ジン [⸣ʤiŋ] 名 お金。貨幣の名称。⸢銭、ゼニ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣ジン ⸢モーキ⸣ルンティル ⸢アウ⸣リ ⸣ナンギン ⸢スー [⸣ʤim ⸢moːki⸣runtiru ⸢ʔau⸣ri ⸣naŋgin ⸢suː] (お金を儲けるために<儲けようとして>難儀苦労もするのだ)。 イ⸢ズ⸣ トゥリ ⸢カーシ イー⸣シ ⸣トゥリ ⸢カーシ⸣ ナ⸢ツァー⸣ラ ⸣トゥリ ⸢カーシ⸣ イ⸢ガ ホー⸣シ ⸢カーシ シェー⸣ティル ⸢ジン⸣マー ⸢モーク⸣タ [ʔi⸢ʣu⸣ turi ⸢kaːʃi ʔiː⸣ʃi ⸣turi ⸢kaːʃi⸣ na⸢ʦaː⸣ra ⸣turi ⸢kaːʃi⸣ ʔi⸢ga hoː⸣ʃi ⸢kaːʃeː⸣tiru ⸢ʤim⸣maː ⸢moːku⸣ta] (魚を獲って売り、ツノマタ<角叉海草>を採集して売り、かいじんそう<海人草>を採取して売り、烏賊釣り漁をして売りながらお金は儲けた) 8704 0 0 8230 htmvoc_8704.wav ジン ⸢ジン [⸢ʤiŋ] 名 お膳。料理を載せて運び、配膳する台。⸢クヮイシキ⸣ジン[⸢kwaiʃi̥ki⸣ʤiŋ](会席膳)、タ⸢カ⸣ジン[ta⸢ka⸣ʤiŋ](高膳)などがある。 ⸢ユーチングヌ⸣ ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢ジン⸣ナー シ⸢キ⸣ マ⸢チ⸣バー [⸢juːʧiŋgunu⸣ ʔu⸢sai⸣jaː ⸢ʤin⸣naː ʃi̥⸢ki⸣ ma⸢ʧi⸣baː] (四つ組のご馳走はお膳につけてお供えしなさい) 8658 0 0 8231 htmvoc_8658.wav シンイズ ⸣シンイズ [⸣ʃiŋʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ヘダイ(体長約35センチ)、和名、キジヌの仲間(糸満方言、チンシラー{EOS}体長約35センチ)。この大型魚には別名、ガ⸢クーガクー[ga⸢kuːgakuː]ともいう。高級魚。(糸満方言で、チバー)。きぢぬの仲間。体長約35センチ(糸満方言で、チンシラー『原色沖縄の魚』)の総称。 マー⸢ズン⸣ シンイズ ⸢ホー⸣シン パラ⸢ディー [maː⸢ʣuŋ⸣ ʃinʔiʣu ⸢hoː⸣ʃim para⸢diː] (一緒にヘダイ<きぢぬ>を釣りに行こうよ) 8706 0 0 8232 htmvoc_8706.wav シンカ ⸢シン⸣カ [⸢ʃiŋ⸣ka] 名 仲間。人衆。組合員。乗り組み員。大勢の人。「臣下」の転訛したものか。 ⸢インヌムラシンカ [⸢ʔinnumuraʃiŋka] (西村の仲間)。 ⸢アンヌムラシンカ [⸢ʔannumuraʃiŋka] (東村の仲間)。 カ⸢ツシンシンカ [kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋka] (カツオ漁船の乗組員)。 ⸣ジーシンカ [⸣ʤiːʃiŋka] (地謡仲間)。 ブ⸢ドゥルシンカ [bu⸢duruʃiŋka] (踊り人衆)。 バ⸢コーシン⸣カ [ba⸢koːʃiŋ⸣ka] (共同作業に従事する仲間{EOS}「ばくろう<博労>臣下」の転訛か)。 バ⸢コーシンカ⸣ヌ ⸣アシ ス⸢コーリ [ba⸢koːʃiŋka⸣nu ⸣ʔaʃi su̥⸢koːri] (共同作業人衆の昼食の準備をしなさい) 7340 0 0 8233 htmvoc_7340.wav シンカースン ⸢シンカースン [⸢ʃiŋkaːsuŋ] 他動 顔をつき合わせる。角突き合わせる。争い対立する。やっつける。互いにやり込める。 ユ⸢ヌタキ⸣ヌ ⸣ムヌヌ ⸢シンカーシ ベー⸣ティ ⸣アトー ⸢アイ⸣スー⸢ダー [ju⸢nutaki⸣nu ⸣mununu ⸢ʃiŋkaːʃi beː⸣ti ⸣ʔatoː ⸢ʔai⸣su⸢daː] (同じ程度の者が同居し、ひしめき対立していて、後は喧嘩になるぞ)。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢キョーダイ⸣サ プ⸢スキブ⸣ルナー ⸢シンカースンティ アーキ⸣ル ⸢アイ⸣ヤーチバ ⸢シンカーサンドー⸣シ ⸢ナーメーメー⸣ ナ⸢サバ⸣ル マ⸢シ [ʔu⸢bi⸣nu ⸢kjoːdai⸣sa ⸢ʃiŋkaːsunti ʔaːki⸣ru ⸢ʔai⸣jaːʧiba ⸢ʃiŋkaːsandoː⸣ʃi ⸢naːmeːmeː⸣ na⸢saba⸣ru ma⸢ʃi] (あれだけの兄弟が一軒屋に顔をつき合わせていて喧嘩したのだから、顔つき合わせないで各自<銘銘>自立させたほうがよい<増しだ>)。⸢イーレサ アーレサ⸣ シ⸢ナヌ⸣ミンバ ⸣ユーシクーバ ⸣シンカサー ⸣シンカサー[⸢ʔiːresa ʔaːresaː⸣ ʃi⸢nanu⸣mimba ⸣juːʃikuːba ⸣ʃiŋkasaː ⸣ʃiŋkasaː](西村東村、寄せてくれば互いに競争しよう、やっつけよう)、豊年祭の東西対抗の口合戦<イジックナー[ʔi⸢ʤikkunaː]言挙げ競争>の文句 8684 0 0 8234 htmvoc_8684.wav シンカキゾージ ⸢シンカキゾー⸣ジ [⸢ʃiŋkakiʣoː⸣ʤi] 名 筆達者。能書家。能筆家。能筆。「墨書き上手」の義。 フ⸢ディトゥリゾー⸣ジ ⸣ナリ タ⸢ボー⸣リ ⸢シンカキゾー⸣ジ ⸣ナリ タ⸢ボー⸣リ [ɸu⸢dituriʣoː⸣ʤi ⸣nari ta⸢boː⸣ri ⸢ʃiŋkakiʣoː⸣ʤi ⸣nari ta⸢boː⸣ri] (筆で書くことが上手な人<筆達者>になって下さい{EOS}能書家<墨書き上手>になってください) 8709 0 0 8235 htmvoc_8709.wav シンカスン ⸢シンカスン [⸢ʃiŋkasuŋ] 他動 沈める。沈ませる。沈没させる。 ⸣フニ ⸢ハーガラ⸣シティ ⸢シンカシ<⸢フンナキ> ナー⸣ヌ [⸣ɸuni ⸢haːgara⸣ʃi̥ti ⸢ʃiŋkaʃi<⸢ɸunnaki> naː⸣nu] (舟を浅瀬に乗り上げて沈ませ<沈没させ>てしまった)。 ⸣フニ ⸢シンカスンティ⸣ ウ⸢ムー⸣タンティン ⸢シンカサラヌ [⸣ɸuni ⸢ʃiŋkasunti⸣ ʔu⸢muː⸣tantiŋ ⸢ʃiŋkasaranu] (舟を沈めようと思っても沈められない)。 ⸢シンカス⸣ フネー イ⸢ズヌ⸣ ヤー ⸣ナルンダ ⸢パー⸣ク ⸢シンカシ [⸢ʃiŋkasu⸣ ɸuneː ʔi⸢ʣunu⸣jaː ⸣narunda ⸢paː⸣ku ⸢ʃiŋkaʃi] (沈める舟は魚の巣になる<成る>のだから早く沈めなさい)。 ⸣クナー ⸢シンカシェー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː ⸢ʃiŋkaʃeː⸣ misamunu] (ここに沈めればよいのに)。 ⸢シンカシ⸣ ミサン [⸢ʃiŋkaʃi⸣ misaŋ] (沈めてよい) 8710 0 0 8236 htmvoc_8710.wav シンガチ ⸢シンガ⸣チ [⸢ʃiŋga⸣ʧi] 名 四月。 ⸢シンガ⸣チェーラ ⸢ガッ⸣コーン パ⸢ジマルン [⸢ʃiŋga⸣ʧeːra ⸢gak⸣koːm pa⸢ʤimaruŋ] (四月から学校も始まる) 8711 0 0 8237 htmvoc_8711.wav ジンカニ ⸢ジン⸣カニ [⸢ʤiŋ⸣kani] 名 お金。金銭。「ぜにかね(銭金)」の転訛したもの。 ⸢ジンカニ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ⸣ウムー ⸣クトゥーン ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʤiŋkani⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸣ʔumuː ⸣kutuːn noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (お金がなかったら思うことも何も出来ない) 8712 0 0 8238 htmvoc_8712.wav ジンカヤー ⸣ジンカヤー [⸣ʤiŋkajaː] 名 借金する人。⸢金借り人」の義。石垣方言からの借用語か。 ⸢ウンザー⸣ フ⸢ユ⸣ニン ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢タラクンテー⸣ サ⸢ムティ⸣ ジンカヤー ⸣ナリ ⸣ウカン シ⸢ビ オーレー⸣ティ ⸢アー⸣クンティ [⸢ʔunʣaː⸣ ɸu⸢ju⸣niŋ ja⸢runda⸣ pḁ⸢tarakunteː⸣ sa⸢muti⸣ ʤiŋkajaː ⸣nari ⸣ʔukaŋ ʃi⸢bi ʔoːreː⸣ti ⸢ʔaː⸣kunti] (あの野郎は怠け者だから、働こうとはしないで、金借りになって、借金に尻追われ<追っかけられ>ているさ、見てごらん) 8713 0 0 8239 htmvoc_8713.wav ジンカリ ⸢ジン⸣カリ [⸢ʤiŋ⸣kari] 名 借金。金借り。 ⸢ヤースク⸣リナーヤ ⸢ジン⸣カリーン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣パジ [⸢jaːsu̥ku⸣rinaːja ⸢ʤiŋ⸣kariːŋ ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣paʤi] (家造り<家屋新築>には借金もしないとならないはず) 8132 0 0 8240 htmvoc_8132.wav シンギ ⸢シン⸣ギ [⸢ʃiŋ⸣gi] 名 (植)イタジイ(オキナワジイ)。辺材、心材とも淡黄白色で反張割裂し易いが水湿に強い。材は堅硬で緻密であるが肌目は粗い。材は建築材・器具材・薪炭材・土木用材などの外、シイタケの木骨木に利用する『図鑑琉球列島有用樹木誌』。 ⸢パイタ⸣ヌ ⸣ヤマーラ ⸢シン⸣ギ ⸣キシ ⸣キー バ⸢リティ⸣ タ⸢ム⸣ヌ ⸢ソーッ⸣タ [⸢paita⸣nu ⸣jamaːra ⸢ʃiŋ⸣gi ⸣kiʃi ⸣kiː ba⸢riti⸣ ta⸢mu⸣nu ⸢soːt⸣ta] (西表の山からイタジイを伐り出してきて割って薪にされた) 8714 0 0 8241 htmvoc_8714.wav シンギ ⸢シン⸣ギ [⸢ʃiŋ⸣gi] 名 (植)しいのき(椎の木)。ア⸢ディン⸣ガー[ʔa⸢diŋ⸣gaː](椎の実)は⸢鳩間中岡節」に歌われている。建築用材に利用される樹木。西表島の山中に産する。 ⸢シンギ⸣バ ⸣キシキー パ⸢マ⸣ナー ウ⸢ズミティ スー⸣カン ⸢シー⸣ シケー [⸢ʃiŋgi⸣ba ⸣ki̥ʃikiː pa⸢ma⸣naː ʔu⸢ʣumiti suː⸣kaŋ ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (椎の木を伐ってきて浜に埋めて潮で乾燥してある) 8715 0 0 8242 htmvoc_8715.wav シンギ ⸢シンギ [⸢ʃiŋgi] 副 より悪いさま。より下等であるさま。より悪化した状態。⸢シンギン[⸢ʃiŋgiŋ](より悪いさま)ともいう。「賎技」の転訛したものか。 ク⸢レー マー⸣ビン ⸢シンギル⸣ ヤ⸢ル [ku⸢reː maː⸣biŋ ⸢ʃiŋgiru⸣ ja⸢ru] (これはもっと悪い状態である)。 ⸢ヤン⸣マー ⸢シンギ⸣ ナ⸢ラン⸣ケン ⸢パー⸣ク ⸣イサン ミ⸢シ⸣リバ [⸢jam⸣maː ⸢ʃiŋgi⸣ na⸢raŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ⸣ʔisam mi⸢ʃi⸣riba] (病気はより悪化しないうちに早く医者に看てもらいなさい<見せなさい>よ)。 ⸢オーシケー シンダイ シンギ⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːʃikeː ʃindai ʃiŋgi⸣ nari⸢naː⸣nu] (天気は次第に悪化してしまった) 8716 0 0 8243 htmvoc_8716.wav ジンギ ⸢ジン⸣ギ [⸢ʤiŋ⸣gi] 名 茶筒。ブリキ製の茶筒。「ずんぎり(寸切)」の転訛したもの。⸢ジン⸣ギリ[⸢ʤiŋ⸣giri](茶筒)ともいう。ジンギ⸢レー⸣マ[ʤiŋgi⸢reː⸣ma](ブリキ製の小かん<罐>)等がある。 イ⸢サ⸣ヌ フ⸢チ⸣ロー ⸢ジン⸣ギリナー イ⸢リラリ⸣ ブ⸢タヌ⸣ イッ⸢ケン⸣ ス⸢クタン⸣ダー [ʔi⸢sa⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣roː ⸢ʤiŋ⸣girinaː ʔi⸢rirari⸣ bu⸢tanu⸣ ʔik⸢ken⸣ su̥⸢kutan⸣daː] (医者の薬は薬品缶に入れられていたが、非常によく効いたよ) 8807 0 0 8244 htmvoc_8807.wav ジンギ ⸢ジン⸣ギ [⸢ʤiŋ⸣gi] 名 (植)和名、シマトネリコ。 ヤ⸢マー⸣ラ ⸢ジン⸣ギ ⸣キシキー タ⸢ム⸣ヌ バ⸢リ [ja⸢maː⸣ra ⸢ʤiŋ⸣gi ⸣kiʃi̥kiː ta⸢mu⸣nu ba⸢ri] (山からシマトネリコの木を伐って来て薪に割りなさい) 8717 0 0 8245 htmvoc_8717.wav シンギク ⸢シン⸣ギク [⸢siŋ⸣giku] 名 (植)シュンギク(春菊)。葉には独特の香気が強く、子供には好まれなかった。大人が好んで食する野菜であった。 ⸢シンギ⸣コー カ⸢ザヌ⸣ キ⸢ツァ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マーン⸣テー ウ⸢モーラン⸣シェン [⸢ʃiŋgi⸣koː ka⸢ʣanu⸣ ki̥⸢ʦa⸣nu ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maːn⸣teː ʔu⸢moːraŋ⸣ʃeŋ] (春菊は匂いがきつくて、あまり美味しいとは思われなかった)。 ⸢シンギ⸣コー ⸢ティン⸣プラ ア⸢ギル⸣カー ン⸢マーン⸣ドゥ ⸣スーナ バ⸢カス⸣カー カ⸢ザダカー⸣ヌ ヌ⸢ミングリ⸣サン [⸢ʃiŋgi⸣koː ⸢tim⸣pura ʔa⸢giru⸣kaː ʔm⸢maːn⸣du ⸣suːna ba⸢kasu⸣kaː ka⸢ʣadakaː⸣nu nu⸢miŋguri⸣saŋ] (春菊はテンプラにすると美味しいが、お汁に炊くと匂いがきつくて飲みづらい) 8718 0 0 8246 htmvoc_8718.wav シンキスン ⸢シンキスン [⸢ʃiŋki̥suŋ] 他動 摘みきる。ちぎる(千切る)。摘む。 ム⸢チェー⸣ フ⸢ターチ ミーチェー⸣ニ ⸢シン⸣キシ ッ⸢ふァーシ [mu⸢ʧeː⸣ ɸu̥⸢taːʧi miːʧeː⸣ni ⸢ʃiŋ⸣ki̥ʃi f⸢faːʃi] (餅は二つ三つに千切って食べさせなさい)。 ⸣シミシ ⸢シン⸣キスンティ ⸢スンドゥ シンキサラ⸣ヌ [⸣ʃimiʃi ⸢ʃiŋ⸣ki̥sunti sundu ʃiŋki̥Sara⸣nu] (爪で千切ろうとするが千切られない)。 ⸢シン⸣キス クトー ヤ⸢シ⸣ムヌ [⸢ʃiŋ⸣ki̥su⸣ ku̥toː ja⸢ʃi⸣munu] (千切ることはたやすいことだ)。 ⸢ワンヌン シン⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸢wannuŋ ʃiŋ⸣ki̥ʃeː⸣ misamunu] (君も千切ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢シンキシ [⸢paː⸣ku ⸢ʃiŋ⸣ki̥ʃi] (早く千切れ) 8719 0 0 8247 htmvoc_8719.wav シンキムチ ⸢シンキムチ [⸢ʃiŋkimuʧi] 名 フィラリア患者。「疝気持ち」の義。「Xenqi、センキ(疝気)睾丸の病気で、丹毒、あるいは、腫物のようなもの。Xenquio furu<疝気をふるふ>」『邦訳日葡辞書』。⸣クサ[⸣ku̥sa](疝気)ともいう。 ウ⸢レー シンキムチ⸣ ヤ⸢ルンダ シンキヌ⸣ ウ⸢クリ⸣ルカー シ⸢グトー シーユーサヌ [ʔu⸢reː ʃiŋkimuʧi⸣ ja⸢runda ʃiŋkinu⸣ ʔu⸢kuri⸣rukaː ʃi⸢gutoː ʃiːjuːsanu] (彼は疝気持ち<フィラリア患者>だから疝気が起こると仕事をすることが出来ない<仕事をし得ない>) 8809 0 0 8248 htmvoc_8809.wav ジンキャラ ⸢ジンキャラ [⸢ʤiŋkjara] 名 天然香料のじんこう(沈香)と、その最上種のきゃら(伽羅)。歌謡語。/スディフラバ サトゥヌシ ジンキャラヌ ニウイショウリ イチィン スマルニウイ/(袖を振ったら、里主様、沈香や伽羅の匂いがして、何時までも染まる匂いです<筆者試訳>)「古見の浦節」『八重山民謡誌』  8808 0 0 8249 htmvoc_8808.wav ジンギリ ⸢ジン⸣ギリ [⸢ʤiŋ⸣giri] 名 ブリキ缶の茶筒。茶筒。円筒の缶。「ずんぎり<寸切>」の転訛したもの。 ⸢サー⸣ヤ ⸢ジン⸣ギリナー イ⸢リ⸣ シキ [⸢saː⸣ja ⸢ʤiŋ⸣girinaː ʔi⸢ri⸣ ʃi̥ki] (お茶は茶筒に入れておけ) 8722 0 0 8250 htmvoc_8722.wav シンギン ⸢シンギン [⸢ʃiŋgiŋ] 名 より悪い状態。⸢シンギ[⸢ʃiŋgi](より悪い状態)ともいう。 ウ⸢レー⸣ラン ⸢シンギンヌ⸣ ムヌ [ʔu⸢reː⸣raŋ ⸢ʃiŋginnu⸣ munu] (それよりもさらに劣悪な物だ) 8723 0 0 8251 htmvoc_8723.wav シングクルマングクル ⸣シングクルマングクル [⸣ʃiŋgukurumaŋgukuru] 名 誠心誠意。心底。「千心万心」の義。 ⸣シングクルマングクローラ ⸣ニガイ ッ⸢サリラバ⸣ ドー⸢ディン⸣ カ⸢ルイ⸣シキ タ⸢ボー⸣ローリ [⸣ʃiŋgukurumaŋgukuroːra ⸣nigai s⸢sariraba⸣ doː⸢diŋ⸣ ka⸢rui⸣ʃi̥ki ta⸢boː⸣roːri] (心の底からお祈り申し上げますから、どうぞお守りください<嘉例をつけてください>) 8725 0 0 8252 htmvoc_8725.wav シンクチ ⸢シン⸣クチ [⸢ʃiŋ⸣kuʧi] 名 洗骨。死後三年以上経た後、五年忌、七年忌等に骨を洗い清めて骨瓶に入れ、本墓に納骨し、改葬する法事。ア⸢ライクサイ[ʔa⸢raikusai](洗骨{EOS}「洗い拵える」の義か)ともいう。洗骨をする年の干支に生まれ年の干支が当っている人は、その洗骨に携わることはできなとされていた。 マ⸢リドゥシ⸣ ア⸢タリ ブーバ⸣ バー ウ⸢レー⸣ シゥ⸢カッティララヌ [ma⸢riduʃi⸣ ʔa⸢taribuba⸣ baː ʔu⸢reː⸣ si̥⸢kattiraranu] (生まれ年の干支に当っているので、私はそれには触れられない) 8726 0 0 8253 htmvoc_8726.wav ジングトゥ ⸢ジング⸣トゥ [⸢ʤiŋgu⸣tu] 名 金銭問題。金銭の貸し借り。「銭ごと」の義。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ジング⸣トゥシル ⸢アイカーフン⸣カー ⸢シー ベー [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢ʤiŋgu⸣tuʃiru ⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢ʃiː beː] (彼らは金銭問題で喧嘩口論をしている) 8727 0 0 8254 htmvoc_8727.wav ジングラ ⸢ジン⸣グラ [⸢ʤiŋ⸣gura] 名 金蔵。「ぜにぐら(銭蔵)」の義。 ⸢ジン⸣グラティ ⸢スー⸣ ム⸢ノー⸣ パ⸢ナ⸣シナール シ⸢キミッ⸣タ [⸢ʤiŋ⸣gurati ⸢suː⸣ mu⸢noː⸣ pa⸢na⸣ʃinaːru ʃi̥⸢kimit⸣ta] (金蔵というのは、話で<が>聞いてみたのだ) 8730 0 0 8255 htmvoc_8730.wav シンクラーマ シンク⸢ラー⸣マ [ʃiŋku⸢raː⸣ma] 名 動植物の発育不全のもの。小さく縮みこまったもの。貧弱なもの。 パ⸢ギ⸣ジー ヤ⸢レー⸣ティ ノー⸢ン⸣ ス⸢クラ⸣バン シンク⸢ラー⸣マ カー⸢ニル⸣ ス⸢クラ⸣リ [pa⸢gi⸣ʤiː ja⸢reː⸣ti noː⸢n⸣ su̥⸢kura⸣baŋ ʃiŋku⸢raː⸣ma kaː⸢niru⸣ su̥⸢kura⸣ri] (痩せ地だから何を栽培し<作っ>ても発育不全の小さいものしか作られない<貧弱なものだけが作られる>) 8728 0 0 8256 htmvoc_8728.wav シングリ ⸢シングリ [⸢ʃiŋguri] 副 順繰り。順序を追って。「順繰り」の転訛したもの。 サ⸢カシケー⸣ ムー⸢ル⸣ニ ⸢シングリ マーシ⸣ グシェー カ⸢ミシミ⸣リバ [sḁ⸢kaʃi̥keː⸣ muː⸢ru⸣ni ⸢ʃiŋguri maːʃi⸣ guʃeː ka⸢miʃimi⸣riba] (盃を皆に順繰りに回して神酒を頂戴させなさいよ) 8729 0 0 8257 htmvoc_8729.wav シンクリマンクリ ⸢シン⸣クリマンクリ [⸢ʃiŋ⸣kurimaŋkuri] 副 やっとで。散々苦労して。「千繰り万繰り」の義。ABCDEFCD型の重言。 ⸢シン⸣クリマンクリ ⸢シー⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シル ッ⸢ふァー ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣シェー⸢ダー [⸢ʃiŋ⸣kurimaŋkuri ⸢ʃiːru⸣ jat⸢tu⸣ʃiru f⸢faː gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣ʃeː⸢daː] (散々に苦労をして、やっとで子供を学校に遣ることができた<学校に出した>のだ) 8732 0 0 8258 htmvoc_8732.wav シンクリムヌ ⸢シンクリ⸣ムヌ [⸢ʃiŋkuri⸣munu] 名 動物や植物の発育不全のもの。小さく縮みこまったもの。貧弱なもの。シンク⸢ラー⸣マ[ʃiŋku⸢raː⸣ma](貧弱な体の者)ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンラ ⸢グッ⸣ふァ ⸣ムヌバカー⸢ニ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸢ベーティ⸣ル ⸣アイニ ⸢シンクリ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ベー⸣ル [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenra ⸢guf⸣fa ⸣munubakaː⸢ni⸣ ka⸢ta⸣mi ⸢beː⸣tiru ⸣ʔaini ⸢ʃiŋkuri⸣munu ⸣nari ⸢beː⸣ru] (子供の頃から重いものだけを担いでいるので、あんなに発育不全の小さな体になっているのだよ) 8724 0 0 8259 htmvoc_8724.wav ジンクルン ⸣ジン ⸣クルン [⸣ʤiŋ ⸣kuruŋ] 連 両替する。高額のお金を小銭と交換する。 ウ⸢ブ⸣ジン ⸣ムティ ⸢アーカラン⸣バ マ⸢チヤー⸣ナ ⸢ギー クー⸣ジン ⸣クリクー [ʔu⸢bu⸣ʤim ⸣muti ⸢ʔaːkaram⸣ba ma⸢ʧijaː⸣na ⸢giː kuː⸣ʤiŋ ⸣kurikuː] (大金<高額の金>を持ち歩けないから、お店に行って小銭と両替してきなさい<両替してこい>) 8810 0 0 8260 htmvoc_8810.wav シングヮチ ⸢シングヮ⸣チ [⸢ʃiŋgwa⸣ʧi] 名 四月。若年層は、⸢シンガ⸣チ[⸢ʃiŋga⸣ʧi](四月)ともいう。 ⸢シングヮ⸣チ ⸣ナルカー ウ⸢ヤザ⸣ヌ ニ⸢ガイヌ⸣ル ア⸢ロー⸣ル [⸢ʃiŋgwa⸣ʧi ⸣narukaː ʔu⸢jaʣa⸣nu ni⸢gainu⸣ru ʔa⸢roː⸣ru] (四月になると鼠の駆除祈願が友利御嶽でなされる<あられる>)。この祭りで鼠を捕獲し、小舟を作って乗せ、神酒と花米を添えて、豊穣の西の国へ行くよう祈願して沖へ流す 8733 0 0 8261 htmvoc_8733.wav シンクン ⸢シンクン [⸢ʃiŋkuŋ] 自動 沈む。沈没する。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸢シンキ ベー [ɸu⸢ni⸣nu ⸢ʃiŋki beː] (舟が沈んでいる)。 ⸣マチフネー ⸢シンクン⸣ダー [⸣maʧiɸuneː ⸢ʃiŋkun⸣daː] (松の刳り舟は沈むよ)。 ⸣イダフネー ⸢シンカヌ [⸣ʔidaɸuneː ⸢ʃiŋkanu] (板舟<サバニ>は沈まない)。 ⸢シンク⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃiŋku⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (沈むことはない)。 ⸢シンケー⸣ ミサムヌ [⸢ʃiŋkeː⸣ misamunu] (沈めばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢シンキ [⸢paː⸣ku ⸢ʃiŋki] (早く沈め) 8734 0 0 8262 htmvoc_8734.wav シンクン ⸢シン⸣クン [⸢ʃiŋ⸣kuŋ] 自動 あとしざりする。あとずさり(後退り)する。退出する。 ⸢シン⸣クンティ ⸣ウムーカー ⸢ダン⸣シ ⸢シン⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢ʃiŋ⸣kunti ⸣ʔumuːkaː ⸢daŋ⸣ʃi ⸢ʃiŋ⸣keː ⸣misamunu] (後退りして退出しようと思うならば、さっさと退出すればいいのに)。 ⸢ドゥーグリ⸣サティ ⸣ウマーラ ⸢シン⸣キ ⸢パッ⸣タ [⸢duːguri⸣sati ⸣ʔumaːra ⸢ʃiŋ⸣ki ⸢pat⸣ta] (あまりにも恐縮で心苦しいので、そこから後退りして出て行った)。 ⸢シンカ⸣ヌ [⸢ʃiŋka⸣nu] (後退りしない)。 ⸢シン⸣ク ⸣クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʃiŋ⸣ku ⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (後退りすることも出来ない) 8735 0 0 8263 htmvoc_8735.wav シンクン ⸢シン⸣クン [⸢ʃiŋ⸣kuŋ] 他動 つねる(抓る)。爪や指の先で皮膚を摘み強くねじる。 ウ⸢リヌ⸣ ク⸢サマ⸣クカー ヤー⸢ディン⸣ プ⸢ス シン⸣クン [ʔu⸢rinu⸣ ku̥⸢sama⸣kukaː jaː⸢dim⸣ pu̥⸢su ʃiŋ⸣kuŋ] (彼が\ruby{拗}{ス}ねて怒ると必ず他人を抓る)。 ウ⸢リン シンカ⸣リカー ヤムン⸢ダー [ʔu⸢riŋ ʃiŋka⸣rikaː jamun⸢daː] (あれに抓られたら痛いよ)。 ⸢シンキ⸣ プサン [⸢ʃiŋki⸣ pu̥saŋ] (抓りたい)。 ⸢シン⸣ク ⸣クトー ス⸢ナ [⸢ʃiŋ⸣ku ⸣ku̥toː su⸢na] (抓ることはするな)。 ⸢シン⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢ʃiŋ⸣keː ⸣misamunu] (抓ればいいのに)。 ウ⸢ムイ⸣キシ ⸢シン⸣キバ [ʔu⸢mui⸣kiʃi ⸢ʃiŋ⸣kiba] (思いっきり抓りなさいよ) 8736 0 0 8264 htmvoc_8736.wav シンケー ⸢シン⸣ケー [⸢ʃiŋ⸣keː] 名 気違い。気狂い。精神障害。ある物事に熱中して他を顧みない人。 ⸢シン⸣ケー カ⸢カ⸣リティ ナー⸢イ⸣ ア⸢サビマール シー ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃiŋ⸣keː kḁ⸢ka⸣riti naː⸢i⸣ ʔa⸢sabimaːru ʃiː juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (精神障害を患って、ただ遊びまわりをして、役に立たない{EOS}どうにもならない<養生する術がない>) 8737 0 0 8265 htmvoc_8737.wav シンケースン ⸢シンケースン [⸢ʃiŋkeːsuŋ] 自動 後ずさり(後退り)する。あとしざり(後退り)する。 ⸣グシェー ⸣カミティル ⸢シンケーシ パッ⸣タ [⸣guʃeː ⸣kamitiru ⸢ʃiŋkeːʃi pat⸣ta] (神酒を頂いて後退りして退席していった)。 ⸢シンケースンティ スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ シンケーサラヌ [⸢ʃiŋkeːsunti sundu⸣ mut⸢tu ʃiŋkeːsaranu] (後退りしようとするが、一向に後退りできない) 8031 0 0 8266 htmvoc_8031.wav シンザ ⸢シン⸣ザ [⸢ʃin⸣ʣa] 名 (植)かんしゃ(甘蔗)。サトウキビ。 ⸢シン⸣ザパタキ [⸢ʃin⸣ʣapataki] (サトウキビ畑)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢シン⸣ザ ス⸢ブ⸣リティ ⸣サタ タ⸢ローッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʃin⸣ʣaː su⸢bu⸣riti ⸣sata ta⸢roːt⸣ta] (昔はサトウキビを搾って黒砂糖を製造された)。 シ⸢ンザ⸣ヌ ⸣カー ⸣パギティ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢ʃinʣa⸣nu ⸣kaː ⸣pagiti f⸢fai⸣ba] (サトウキビの皮を剥いで食べなさいよ) 8811 0 0 8267 htmvoc_8811.wav シンザ ⸢シン⸣ザ [⸢ʃin⸣ʣa] 名 (植)サトウキビ(砂糖黍)。 ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムルナー⸣ヤ ⸢シン⸣ザ マ⸢ツォーッ⸣タン [⸢soːran⸣nu mu⸢rumurunaː⸣ja ⸢ʃin⸣ʣa ma⸢ʦoːt⸣taŋ] (お盆のムルムルには砂糖黍も供えられ<祀られ>た) 8739 0 0 8268 htmvoc_8739.wav シンザパタキ ⸢シン⸣ザパタキ [⸢ʃin⸣ʣapḁtaki] 名 サトウキビ畑。 ⸢シン⸣ザパタケーラ ⸢シン⸣ザ ⸢トー⸣シ ⸣キー ム⸢ルムル⸣ ス⸢ク⸣リ [⸢ʃin⸣ʣapḁtakeːra ⸢ʃin⸣ʣa ⸢toː⸣ʃi ⸣kiː mu⸢rumuru⸣ su̥⸢ku⸣ri] (サトウキビ畑からサトウキビを切り倒してきてお盆の供物ムルムルを作りなさい) 8740 0 0 8269 htmvoc_8740.wav シンシー ⸢シン⸣シー [⸢ʃiŋ⸣ʃiː] 名 先生。⸢シースー[⸢ʃiːsuː](師匠)ともいう。 パ⸢トゥ⸣マプスヌ パ⸢ジミティ ガッコー⸣ヌ ⸢シン⸣シー ナ⸢ロー⸣レーワー ⸢カンザトゥヤー⸣ヌ ⸢トールシンシートゥ⸣ タ⸢シロ⸣ヌ ⸣トヨシンシー⸢ナー [pḁ⸢tu⸣mapu̥sunu pa⸢ʤimiti gakkoː⸣nu ⸢ʃiŋ⸣ʃiː na⸢roː⸣reːwaː ⸢kanʣatujaː⸣nu ⸢toːru ʃiŋʃiːtu⸣ tḁ⸢ʃiro⸣nu ⸣tojo ⸣ʃiŋʃiː⸢naː] (鳩間出身者で初めて学校の先生になられたのは慶田城享先生と田代豊先生だねえ) 8741 0 0 8270 htmvoc_8741.wav ジンシゥカイ ⸢ジン⸣シゥカイ [⸢ʤin⸣si̥kai] 名 金遣い。 ブ⸢トー ジンシゥカイ⸣ヌ ア⸢ラー⸣ユンダ トゥ⸢ジェー⸣ イッ⸢ケナ⸣ク⸢メークン [bu⸢toː ʤinsï̥kai⸣nu ʔa⸢raː⸣junda tu⸢ʤeː⸣ ʔik⸢kena⸣ ku⸢meːkuŋ] (夫は金遣いが荒いので、妻は非常に細かくなる<几帳面になる>)。 ⸢ジンシゥカイ⸣ヌ ア⸢ラー⸣ヌ ン⸢メーマ⸣ ク⸢メーキ⸣ シゥ⸢カーン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʤinsi̥kai⸣nu ʔa⸢raː⸣nu ʔm⸢meːma⸣ ku⸢meːki⸣ si̥⸢kaːŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (金遣いが荒いから、少し入念<詳細>に使わないといけない) 8753 0 0 8271 htmvoc_8753.wav ジンシゥカイミチ ⸢ジンシゥカイ⸣ミチ [⸢ʤinsi̥kai⸣miʧi] 名 金の使い方。金の活かし方。 ⸢ジンモー⸣ケー ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ルンドゥ ジンシゥカイ⸣ミチェー ッ⸢サンバン [⸢ʤimmoː⸣keː ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢rundu ʤinsi̥kai⸣miʧeː s⸢sambaŋ] (金儲けは上手だが、金の生かし方<金の使い方>は知らないわい) 8743 0 0 8272 htmvoc_8743.wav シンシキルン ⸢シンシキルン [⸢ʃiŋʃikiruŋ] 他動 沈める。水中に沈める。 カ⸢ジヌ スー⸣ワ ⸣ピンマー ⸣イダフネー ⸢シンシキティ⸣ カ⸢ジヌ⸣ シ⸢ギリバ⸣ル ⸣フネー ウ⸢キルタ [ka⸢ʤinu suː⸣wa ⸣pimmaː ⸣ʔidaɸuneː ⸢ʃiŋʃi̥kiti⸣ ka⸢ʤinu ʃi⸢giriba⸣ru ⸣ɸuneː ʔu⸢kiruta] (風が強いときはサバニ<板舟>は沈めて、風が通過したらばぞ舟は浮けたものだ)。 ⸢シンシキルンティ スンドゥ シンシキララヌ [⸢ʃiŋʃi̥kirunti sundu ʃiŋʃi̥kiraranu] (沈めようとするが沈められない)。 マ⸢ナ⸣マ ⸢シンシキル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢na⸣ma ⸢ʃiŋʃi̥kiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今、沈めることは出来ない<してはならない>)。 ⸢シンシキレー⸣ ミサムヌ [⸢ʃiŋʃi̥kireː⸣ misamunu] (沈めれば良いのに)。 ⸣クナー ⸢シンシキリ⸣バ [⸣kunaː ⸢ʃiŋʃi̥kiri⸣ba] (ここに沈めろよ) 8744 0 0 8273 htmvoc_8744.wav ジンシキルン ⸢ジン⸣ シ⸢キルン [⸢ʤiŋ⸣ ʃi̥⸢kiruŋ] 連 お膳を供え<付け>る。神前や仏前に供物のお膳を供えることをいう。 タ⸢カ⸣ジン シ⸢キルン [tḁ⸢ka⸣ʣiŋ ʃi̥⸢kiruŋ] (高膳<脚付きの膳>に供物を置いて供える{EOS}配膳する)。 ウ⸢ヤプスン⸣マイ ⸢ジン⸣ シ⸢キリ [ʔu⸢japu̥sum⸣mai ⸢ʤiŋ⸣ ʃi̥⸢kiri] (仏壇にお膳を供えなさい)。 ⸢ウン⸣ネヌ ユ⸢メー ジンシキジマイバ シール⸣ シ⸢トゥウヤ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オーシタ⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenu ju⸢meː ʤiŋʃi̥kiʤimaiba ʃiːru⸣ ʃi̥⸢tuʔuja⸣ si̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːʃita⸣ʦoː] (あの家の嫁はお膳仕立てをし通して舅を養って差し上げてそうだ) 8745 0 0 8274 htmvoc_8745.wav シンシチ ⸢シン⸣シチ [⸢ʃiŋ⸣ʃi̥ʧi] 名 親切。思いやりのあること。標準語からの借用語。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ シン⸣シチ ⸢シー⸣ ッ⸢ふォーッ⸣タン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena ⸢ʃiŋ⸣ʃi̥ʧi ⸢ʃiː⸣ f⸢foːt⸣taŋ] (その人は非常に親切にしてくださった)。 ⸢ウイ⸣プス ⸢シン⸣シチニ ⸢シー オース⸣カー ⸢イントゥク イーラ⸣リンツォー [⸢ʔui⸣pu̥su ⸢ʃiŋ⸣ʃi̥ʧini ⸢ʃiː ʔoːsu⸣kaː ⸢ʔintuku ʔiːra⸣rinʦoː] (年寄りに親切にして差し上げると陰徳がもらえるそうだ) 8746 0 0 8275 htmvoc_8746.wav シンシチヌコーシチ ⸢シンシチ⸣ヌ ⸢コー⸣シチ [⸢ʃiŋʃi̥ʧi⸣nu ⸢koː⸣ʃi̥ʧi] 連 親切が却って仇になること。親切にしたことが馴れ合いになってみだらになること。⸢コー⸣シチ[⸢koː⸣ʃi̥ʧi]は「狎褻(こうせつ)」の転訛したもの。 ⸢ワー⸣ タ⸢ミバ⸣ ウ⸢ムイ⸣ル シ⸢タンドゥ シンシチ⸣ヌ ⸢コー⸣シチ ⸣ナリ ⸢ナーン⸣バン⸢ナー [⸢waː⸣ ta⸢miba⸣ ʔu⸢mui⸣ru ʃi̥⸢tandu ʃinʃi̥ʧi⸣nu ⸢koː⸣ʃi̥ʧi ⸣nari ⸢naːm⸣ban⸢naː] (君の為を思ってやったことが、却って仇になって<親切の狎褻になって>しまったね) 7903 0 0 8276 htmvoc_7903.wav シンジフチル ⸢シンジフチ⸣ル [⸢ʃinʤiɸuʧi⸣ru] 名 煎じ薬。シ⸢ジフチ⸣ル[ʃi⸢ʤiɸuʧi⸣ru](煎じ薬)と同じ 8747 0 1 8277 htmvoc_8747.wav シンジルン ⸢シンジ⸣ルン [⸢ʃinʤi⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}信じる。信ずる。 ウ⸢リヌ⸣ ムネー ウ⸢ヌトゥー⸣ル ⸢シンジララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ muneː ʔu⸢nutuː⸣ru ⸢ʃinʤirara⸣nu] (彼の言葉はその通りには信じられない)。 8747 0 2 8278 htmvoc_8747.wav シンジルン ⸢シンジ⸣ルン [⸢ʃinʤi⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}信仰する。帰依する。 シ⸢マ⸣ヌ ⸢カンプトゥ⸣キ ⸢シンジ⸣ルンティ ⸣ウムーカー ⸢コー⸣パナーン ン⸢ザ⸣シバ [ʃi⸢ma⸣nu ⸢kamputu⸣ki ⸢ʃinʤi⸣runti ⸣ʔumuːkaː ⸢koː⸣panaːn ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (島の神仏を信仰しようと思うなら、線香や花米を出しなさい)。 8747 0 3 8279 htmvoc_8747.wav シンジルン ⸢シンジ⸣ルン [⸢ʃinʤi⸣ruŋ] 他動 {Mn_3}信頼する。信用する。 ⸢ワー⸣ ウ⸢リバ シンジ⸣ル ⸣クトー ⸢シン⸣ジ ⸣ミサンドゥ ン⸢メーマー バン⸣ユン ⸢シンジ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢waː⸣ ʔu⸢riba ʃinʤi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢ʃin⸣ʤi misandu ʔm⸢meːmaː baɲ⸣juŋ ⸢ʃinʤi⸣reː ⸣misamunu] (君が彼を信用することは、信用してもよいが、少しは私<を>も信用すればよいのに)。 ⸢シンジ⸣リ [⸢ʃinʤi⸣ri] (信用しろ) 8748 0 0 8280 htmvoc_8748.wav シンジルン ⸢シンジ⸣ルン [⸢ʃinʤi⸣ruŋ] 他動 煎じる。普通は⸣シズン[⸣ʃiʣuŋ](煎じる)を多用する。 ⸢シンジフチ⸣ル ⸢シンジ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢シンジ⸣ミチ ッ⸢サンユンダ シンジララン⸣バン [⸢ʃinʤiɸu̥ʧi⸣ru ⸢ʃinʤi⸣runti ⸢beː⸣ndu ⸢ʃinʤi⸣miʧi s⸢saŋjunda ʃinʤiraram⸣baŋ] (煎じ薬を煎じようとしているが、煎じ方を知らないから煎じられないよ) 8749 0 0 8281 htmvoc_8749.wav ジンジンシ ⸢ジンジン⸣シ [⸢ʤinʤiŋ⸣ʃi] 副 じんじんと。冷気や痛みなどが心身にしみ入るさま。 ⸢ジンジン⸣シ ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣ヤム [⸢ʤinʤiŋ⸣ʃi ga⸢maʤi⸣nu ⸣jamu] (ジンジンと頭痛がする<頭が痛む>)。 ⸢ジンジン⸣シ ピ⸢ラク⸣ヌ ッ⸢シ⸣クミティ ク⸢バリ⸣ス [⸢ʤinʤiŋ⸣ʃi pi⸢raku⸣nu ʃ⸢ʃi⸣kumiti ku⸢bari⸣su] (ジンジンと寒気がしみこん<沁み込ん>で凍えるよ) 8815 0 0 8282 htmvoc_8815.wav シンジントゥ シン⸢ジントゥ [ʃin⸢ʤintu] 副 しみじみと。しんみりと。かしこまって(畏まって)。誠実に。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ス⸢ク⸣ シ⸢マ⸣ヌ ⸣ウター ⸢ナシカサ⸣ヌ シン⸢ジントゥ⸣ シ⸢キミッ⸣タン [ma⸢rukeːti⸣naː su̥⸢ku⸣ ʃi⸢ma⸣nu ⸣ʔutaː ⸢naʃi̥kasa⸣nu ʃin⸢ʤintu⸣ ʃi̥⸢kimit⸣taŋ] (久々に<偶に>聞く島歌は懐かしくて、しみじみと聞いたよ) 8750 0 0 8283 htmvoc_8750.wav ジンジンバヤー ⸢ジンジンバヤー [⸢ʤinʤimbajaː] 名 (動)ほたる(蛍)<老年層>『八重山語彙』。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢ジンジンバヤーヤ⸣ ミ⸢ラリ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣manaːn ⸢ʤinʤimbajaːja⸣ mi⸢rari⸣taŋ] (昔は鳩間にも蛍は見られた) 8751 0 0 8284 htmvoc_8751.wav シンシンマー ⸢シンシン⸣マー [⸢ʃiŋʃim⸣maː] 名 部屋の間取りの大きさ「真芯間」の義という『石垣方言辞典』。コンクリート建築の家屋で、一間が六尺に足りない長さの間取り。木造建築の家屋では一間が六尺の長さに間取りされている⸢ジョー⸣マ[⸢ʤoːma](「畳間」の義か)。 ⸢シンシンマー⸣ヤ ⸢ジョー⸣マーラ グ⸢マー⸣ル [⸢ʃiŋʃimmaː⸣ja ⸢ʤoː⸣maːra gu⸢maː⸣ru] (真芯間は六尺のジョー間より小さい) 8812 0 0 8285 htmvoc_8812.wav シンス ⸢シン⸣ス [⸢ʃin⸣su] 名 揚げかまぼこ。「しんじょ<真薯>」の転訛したものか。 ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンヌ ⸢ユードゥーシ⸣ヌ ユ⸢ネン⸣ヌ ⸢パイ⸣ヌ⸣ ⸢シームヌ⸣ナー ⸢シン⸣スン ス⸢ク⸣ローッタン [⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu ⸢juːduːʃi⸣nu ju⸢nen⸣nu ⸢pai⸣nu ⸢ʃiːmunu⸣naː ⸢ʃin⸣sun su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (豊年祭、結願祭のユードゥーシ祈願の、夜の拝<祈願>には揚げ蒲鉾も作られた) 8754 0 0 8286 htmvoc_8754.wav シンズ ⸢シン⸣ズ [⸢ʃin⸣ʣu] 名 先祖。標準語からの借用語。 ⸢シン⸣ズ ⸣ダイダイヌ パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ブ⸢ドゥルキンマー⸣ カ⸢ザケートゥ⸣ ユ⸢レー⸣ナール ⸣アル [⸢ʃin⸣ʣu ⸣daidainu pḁ⸢tu⸣manakamurinu bu⸢durukimmaː⸣ ka⸢ʣaːkeː⸣tu ju⸢reː⸣naːru ⸣ʔaru] (先祖代々の⸢鳩間中岡<鳩間節>」の踊り衣装は加治工家と寄合家にある)。 ⸢シン⸣ズダイダイヌ ⸣ザイサンマー ⸢カーサラヌ [⸢ʃin⸣ʣudaidainu ⸣ʣaisammaː ⸢kaːsaranu] (先祖代々の財産は売れない<売られない>) 7901 0 0 8287 htmvoc_7901.wav シンズク ⸣シンズク [⸣ʃinʣuku] 名 法事の一つで、四十九日忌。「四十九日」の義。人の死後、七日毎に執り行われる法事の七回目の大きな法事。この法事によって死者は成仏できると言われ、⸢カイ⸣ジン[⸢kai⸣ʤiŋ](開眼)の供養が行われる。 ⸣シンズクナーヤ ム⸢ルムルン カ⸢ザリティ ⸢ソッ⸣コー ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʃinʣukunaːja mu⸢rumuruŋ⸣ ka⸢ʣariti sok⸣koː ⸢soːt⸣ta] (四十九日にはムルムルも飾って焼香をなさった)。 ⸣シンズクヌ ⸣アトー ⸢ピャーッカニチ⸣トゥ ユ⸢ノーレー⸣ヌル ⸣アル [⸣ʃinʣukunu ⸣ʔatoː ⸢pjaːkkaniʧi⸣tu ju⸢noːreː⸣nuru ⸣ʔaru] (四十九日忌の後には百日忌と一年忌がある)。白位牌から本位牌に移し換える法事。 ⸣シンズコー シ⸢マ⸣シェーチバ プ⸢スナカーン⸣ パリ ⸣ミサン [⸣ʃinʣukoː ʃi⸢ma⸣ʣeːʧiba pu̥⸢sunakaːm⸣ pari ⸣misaŋ] (四十九日の法事も済ませたから人前に出て<行って>もよい) 8756 0 0 8288 htmvoc_8756.wav シンスクン ⸢シンスクン [⸢ʃinsu̥kuŋ] 自動 沈む。沈没する。船や物が水中に沈む。老年層の言葉。若年層は、⸢シンクン[⸢ʃiŋkuŋ](沈む)という。 ナ⸢マ⸣キー ヤ⸢ルンダ シンスクン⸣ ウ⸢ケーラヌ [na⸢ma⸣kiː ja⸢runda ʃinsu̥kuŋ⸣ ʔu⸢keːranu] (生木だから沈む{EOS}浮かばない)。 ウ⸢レー シンシキス [ʔu⸢reː ʃiŋʃi̥kisu] (それはしずむよ) 8806 0 0 8289 htmvoc_8806.wav シンスコーラ ⸢シン⸣スコーラ [⸢ʃin⸣su̥koːra] 連 心の底から。 ⸢シン⸣スコーラ ウ⸢ヌ⸣ ク⸢トゥバ⸣ル ウ⸢ヤーンチ⸣ジ ⸢ベー⸠ダー [⸢ʃin⸣su̥koːra ʔu⸢nu⸣ ku̥⸢tuba⸣ru ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤi ⸢beː⸠daː] (心の底からその事を<ぞ>念願していますよ) 8823 0 0 8290 htmvoc_8823.wav シンスブ ⸢シン⸣スブ [⸢ʃin⸣subu] 名 墨壷。大工が直線を引くのに用いる道具。舟型をした木製の墨壷で、後方にシ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](墨縄、墨糸)を巻きつけた車を取り付け、前方に墨池を作って墨肉を入れる。糸は墨池を通して先端部の孔より出してこきり(小錐)をつける。小錐を木材の一方に刺し、墨縄をタ⸢キフディ[tḁ⸢kiɸudi](竹筆)で押さえながら引き出し、材木の他方に真直ぐに引張って軽く垂直に弾くと墨の直線が刻印される。 ⸢シンスブ⸣ヌ シ⸢ミ⸣ナー パ⸢リティ パス⸣クカー マッ⸢シングヌ⸣ シン ピ⸢カリン [⸢ʃinsubu⸣nu ʃi⸢mi⸣naː pa⸢riti pasu̥⸣kukaː maʃ⸢ʃiŋgunu⸣ ʃim pi̥⸢kariŋ] (墨壷の墨縄を引っ張って弾くと真っ直ぐの線が引かれる)。 ⸢シンスブ⸣ヌ シ⸢ミ⸣ナー ⸣ウティティ(⸢パシ⸣キティ) ⸣シン ピ⸢キーティ⸣ キー キ⸢ジ⸣バ [⸢ʃin⸣subu⸣nu ʃi⸢mi⸣naː ⸣ʔutiti(⸢paʃi̥⸣kiti) ⸣ʃim pi̥⸢kiti⸣ kiː ki⸢ʤi⸣ba] (墨壷の墨縄を打って<弾いて>、直線を引いて材木を削りなさい) 8775 0 0 8291 htmvoc_8775.wav シンズン ⸢シン⸣ズン [⸢ʃin⸣ʣuŋ] 他動 信じる。「信じる<上一段活用>」の四段活用化したもの。 ウ⸢リヌ⸣ ムネー イッ⸢カ シンザ⸣ヌ<シゥ⸢カヌ> [ʔu⸢rinu⸣ muneː ʔik⸢ka ʃinʣa⸣nu] (彼の言葉は決して信じない<聞かない>)。 ⸣バー ⸣ムネー ⸢シン⸣ジ ⸣ミサン [⸣baː ⸣muneː ⸢ʃin⸣ʤi ⸣misaŋ] (私の話は信じてよい)。 ⸢シン⸣ズンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢シン⸣ズ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʃin⸣ʣunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʃin⸣ʣu ⸣ku̥to na⸢ra⸣nu] (信じようと思うが信じることができない)。 ⸢シン⸣ジェー ⸣ミサムヌ [⸢ʃin⸣ʤeː ⸣misamunu] (信じればよいのに)。 ⸢シン⸣ジ [⸢ʃin⸣ʤi] (信じろ) 8760 0 1 8292 htmvoc_8760.wav シンタ ⸣シンタ [⸣ʃinta] 名 {Mn_1}うしろ(後)。後方。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣シンタヌ ⸢インタヌ⸣ カドゥナール ⸣オンケーヤ ス⸢クラ⸣リ ブ⸢タ [⸢jaː⸣nu ⸣ʃintanu ⸢ʔintanu⸣ kadunaːru ⸣ʔoŋkeːja su̥⸢kura⸣ri bu⸢ta] (家の後ろの西の角に豚舎兼用便所が造られていた)。 8760 0 2 8293 htmvoc_8760.wav シンタ ⸣シンタ [⸣ʃinta] 名 {Mn_2}便所。 バ⸢タ⸣ヤビ ⸢ベー⸣カー シ⸢ティ⸣ シンター パ⸢リザイ⸣ル ⸢シーブー [ba⸢ta⸣jabi ⸢beː⸣kaː ʃi̥⸢ti⸣ ʃintaː pa⸢riʣai⸣ru ⸢ʃiːbuː] (腹を壊して下痢をして後架<便所>通いばかりをして<後ろ通いにかまけて>いる) 8766 0 0 8294 htmvoc_8766.wav シンダ ⸢シン⸣ダ [⸢ʃin⸣da] 名 針金。金属を細長く糸状に延ばして建築用、船具用に用いるもの。その太さによって用途が異なる。直系1ミリ程度の針金は釣具に利用されたり、箒等を作るのに利用された。 ⸢シン⸣ダシ タ⸢キポーキ⸣ シミ フ⸢バル⸣カー ⸢ウーカ⸣ヌ [⸢ʃin⸣daʃi tḁ⸢kipoːki⸣ ʃimi ɸu⸢baru⸣kaː ⸢ʔuːka⸣nu] (針金で竹箒を締めて括ると動かない) 8781 0 0 8295 htmvoc_8781.wav ジンターシムヌ ⸢ジンターシ⸣ムヌ [⸢ʤintaːʃi⸣munu] 名 金銭を浪費するもの。浪費するもの。無駄遣いするもの。⸢銭絶やしもの」の義。 ナ⸢リラ⸣ン ⸢ソーバイヤ ジンターシ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ サンモー⸣ マ⸢シ [na⸢rira⸣n ⸢soːbaijaː ʤintaːʃi⸣munu ja⸢runda sammoː⸣ ma⸢ʃi] (なれない<慣れれない>商売は金銭を浪費するものだから、<経験のない商売は>しない方が良い) 8777 0 0 8296 htmvoc_8777.wav シンターナリマンターナリ ⸣シンターナリ ⸣マンターナリ [⸣ʃintaːnari ⸣mantaːnari] 連 抜きつ抜かれつして。互いに競い合って。「後ろになり、前になり」の義。 フ⸢ターロー⸣ シンターナリ ⸣マンターナリ ⸢シェー⸣ティ ⸢キッ⸣スー ⸢シェー⸣ティ ⸢パッ⸣タヤー [⸢ɸu̥⸢taːroː⸣ ʃintaːnari ⸣mantaːnari ⸢ʃeː⸣ti ⸢kis⸣suː ⸢ʃeː⸣ti ⸢pat⸣tajaː] (二人は抜きつ抜かれつ<後ろになり前になり>しながら、競争して行ったよ) 8767 0 0 8297 htmvoc_8767.wav シンダーマ シン⸢ダー⸣マ [ʃin⸢daː⸣ma] 名 細い針金。-マ[-ma](小)は「小さい物」を表す指小辞。鰹節製造工場の⸢シェイロー[⸢ʃeiroː](蒸籠{EOS}カツオを煮たり、焙乾するのに用いる籠)の竹を編むのに用いられた。 ⸢シーゾーヤー⸣ヌ ⸢シェイローヌ⸣ ス⸢コー⸣ シン⸢ダー⸣マシル タ⸢ケー⸣ フ⸢モーッ⸣タ [⸢ʃiːʣoːjaː⸣nu ⸢ʃeiroːnu⸣ su̥⸢koː⸣ ʃin⸢daː⸣maʃiru tḁ⸢keː⸣ ɸu⸢moːt⸣ta] (製造屋の蒸篭の底は細い針金で竹を編まれた) 7387 0 0 8298 htmvoc_7387.wav シンターマンタナリ ⸣シンター ⸣マンタナリ [⸣ʃintaː ⸣mantanari] 連 比喩表現。すっかり落ちぶれてしまって。すっかり零落してしまって。すっかり寂れてしまって、の意。「後ろは前になってしまって」の義。すっかり逆転してしまうこと。 ウ⸢ヌス⸣ク ア⸢ロー⸣ル ⸣ヤー ヤ⸢タンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸣シンター ⸣マンター ナ⸢リ⸣ル ⸢オール⸣バン [ʔu⸢nusu̥⸣ku ʔa⸢roː⸣ru ⸣jaː ja⸢tandu⸣ ma⸢na⸣maː ⸣ʃintaː ⸣mantaː na⸢ri⸣ru ⸢ʔoːru⸣baŋ] (あれほどの資産家<金満家>であったが、今ではすっかり落ちぶれて<零落して{EOS}いつもと逆転して、後ろが前になってぞ>おられる) 8768 0 0 8299 htmvoc_8768.wav シンダイ ⸢シンダイ [⸢ʃindai] 副 次第に。~につれて。だんだんと。 フ⸢ドゥブ シンダイ マイフナー マリ⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミラバン⸣ プ⸢スマキラヌ [ɸu⸢dubu ʃindai maiɸunaː⸣ ma⸢ri⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirabam⸣ pu̥⸢sumakiranu] (成長するにつれて知的にも身体的にも立派な子に育って、何をさせても他人に負けない)。 カ⸢ジヌ スー⸣ルカー ⸣アミン ⸢シンダイ スー⸣リ ⸢フイ⸣ス [ka⸢ʤinu suː⸣rukaː ⸣ʔamiŋ ⸢ʃindai suː⸣ri ⸢ɸui⸣su] (風が強くなると雨も次第に強く降る)。 カ⸢ジェー シンダイ スー⸣リ ⸣ケーン [ka⸢ʤeː ʃindai suː⸣ri ⸣keːŋ] (風は次第に強くなってきた) 8769 0 0 8300 htmvoc_8769.wav ジンダイク ⸢ジンダイ⸣ク [⸢ʤindai⸣ku] 名 銭太鼓。民俗舞踊の一つ。穴の開いた銭を糸に貫き、直径約2センチ、長さ1尺ほどの竹筒に通した小道具を両手に持って、チャラチャラと打ち鳴らしたり、打ち振ったりしながら踊る舞踊。 キ⸢チゴン⸣ナー ⸢ジンダイク⸣ヌ ブ⸢ドゥルン ソーッ⸣タン [ki̥⸢ʧigon⸣naː ⸢ʤindaiku⸣nu bu⸢durun soːt⸣taŋ] (結願祭には銭太鼓の踊りも上演された<された>) 8820 0 0 8301 htmvoc_8820.wav シンダイシンダイ ⸢シンダイシンダイ [⸢ʃindaiʃindai] 副 次第次第に。だんだんと。徐々に。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ⸢シンダイシンダイ⸣ フ⸢ドゥビ⸣ケーチバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣biŋkeːŋ ⸢ʃindaiʃindai⸣ ɸu⸢dubi⸣keːʧiba ⸢soːja naː⸣nu] (子供達も次第に次第に成長してきたから心配はない) 8770 0 0 8302 htmvoc_8770.wav ジンダカ ⸢ジン⸣ダカ [⸢ʤin⸣daka] 名 金額。経費。「ぜにだか<銭高>」の義。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢ジン⸣ダカー ムー⸢ル⸣シ ⸢ギュー⸣サ カ⸢カル⸣ワ [⸢joi⸣nu ⸢ʤin⸣dakaː muː⸢ru⸣ʃi ⸢gjuː⸣sa kḁ⸢karu⸣wa] (お祝いの経費は全部でいくら掛かるか) 8761 0 0 8303 htmvoc_8761.wav シンタカク ⸣シンタ カ⸢ク [⸣ʃinta kḁ⸢ku] 連 後ろの屋敷。 ⸣シンタ カ⸢ク⸣ナ イ⸢ビ⸣シケー ⸣バサー イッ⸢ケナ⸣ ナレーン⸢ダー [⸣ʃinta kḁ⸢ku⸣na ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keː ⸣basaː ʔik⸢kena⸣ nareːn⸢daː] (後ろの屋敷に植えてある芭蕉<バナナ>は沢山実が生ったよ) 8771 0 0 8304 htmvoc_8771.wav シンタク ⸢シン⸣タク [⸢ʃin⸣taku] 名 洗濯。標準語からの借用語。⸢キン⸣アライ[⸢kiŋ⸣ʔarai](衣洗い)というのが普通。 ウ⸢ブ⸣スーシ ⸢シン⸣タク シ⸢ティ⸣ ⸢マーミジ⸣シ ブ⸢ナシティ⸣バ [ʔu⸢bu⸣suːʃi ⸢ʃin⸣taku ʃi̥⸢ti maːmiʤi⸣ʃi bu⸢naʃi̥ti⸣ba] (海水<大潮>で洗濯して真水で濯ぎなさいよ) 8773 0 0 8305 htmvoc_8773.wav シンタクイタ ⸢シンタク⸣イタ [⸢ʃintaku⸣ʔita] 名 洗濯板。標準語からの借用語。巾約30センチ、長さ約50センチの板の約半分に波型の刻み目をつけた洗濯用の板。 ⸢キン⸣マー ⸢シンタクイタ⸣ヌ<⸢シンタクイツァ⸣ヌ> ⸢ウイ⸣ナー ⸣シキティ ⸢ゴーシゴーシ⸣シ ⸢ムーミティ⸣ ア⸢ライ⸣バ [⸢kim⸣maː ⸢ʃintakuʔita⸣nu<⸢ʃintakuiʦa⸣nu> ⸢ʔui⸣naː ⸣ʃi̥kiti ⸢goːʃigoːʃi⸣ʃi ⸢muːmiti⸣ ʔa⸢rai⸣ba] (着物は洗濯板の上に置いてごしごしと揉んで洗いなさいよ) 8762 0 0 8306 htmvoc_8762.wav シンタグスク シンタ⸢グス⸣ク [ʃinta⸢gusu̥⸣ku] 名 屋敷の後方の石垣。⸢マイグス⸣ク[⸢maigusu̥⸣ku](前石垣)、マンタ⸢グス⸣ク[manta⸢gusu̥⸣ku](屋敷の前の石垣)の対義語。 シンタ⸢グス⸣クナ ピ⸢バツン⸣ヌ ⸢イッ⸣パイ ⸣ナリ ⸢ベー [ʃinta⸢gusu̥⸣kuna pi⸢baʦun⸣nu ⸢ʔip⸣pai ⸣nari ⸢beː] (屋敷の後の石垣にヒハツが沢山生っている) 8774 0 0 8307 htmvoc_8774.wav シンタヌゾー ⸣シンタヌ ⸣ゾー [⸣ʃintanu ⸣ʣoː] 連 後ろの道。裏通り。 ⸣シンタヌ ⸣ゾーナー ア⸢サビベー [⸣ʃintanu ⸣ʣoːna ʔa⸢sabi beː] (後ろの道で遊んでいる) 8776 0 0 8308 htmvoc_8776.wav シンタマンタ ⸣シンタ ⸣マンタ [⸣ʃinta ⸣manta] 連 前と後ろ。「後ろ前」の義。 ⸣シンタ ⸣マンタ ⸣ユー ⸣ミレーティ ア⸢ラカン⸣カー ク⸢ルブン⸣ダー [⸣ʃinta ⸣manta ⸣juː ⸣mireːti ʔa⸢rakaŋ⸣kaː ku⸢rubun⸣daː] (前後をよく見て歩かないと躓いて転ぶよ) 7379 0 0 8309 htmvoc_7379.wav シンタミチ ⸣シンタミチ [⸣ʃintamiʧi] 名 後ろの道。裏道。裏通り。「後ろ道」の義。自分の家の後ろの道。 ⸣シンタミチェーラ ⸢ビープス⸣ヌ ウ⸢ヤー⸣リ ⸢パッ⸣タ [⸣ʃintamiʧeːra ⸢biːpusu⸣nu ʔu⸢jaː⸣ri ⸢pat⸣ta] (後ろの道から酔っ払いが大声で叫んで行った)。ク⸢シミチ[ku̥⸢ʃimiʧi](後道)ともいう。 ム⸢レーマトゥ⸣ シ⸢マフ⸣ケーヌ ⸣シンタミチェーラ ⸢ウイル ウイヌムラ⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢reːmatu⸣ ʃi⸢maɸu̥⸣keːnu ⸣ʃintamiʧeːra ⸢ʔuiru ʔuinumura⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (通事家と島袋家の後ろの道から上の方を上の村と言われた) 7389 0 0 8310 htmvoc_7389.wav シンタヤー ⸣シンタヤー [⸣ʃintajaː] 名 後ろの家。後ろ隣。「後ろ家」の義。対義語は、⸣マンタヤー[⸣mantajaː](前隣)。 ⸣シンタヤーナ ⸢タール⸣ トゥ⸢マリ ベー⸣ワ [⸣ʃintajaːna ⸢taːru⸣ tu⸢mari beː⸣wa] (後ろ隣には誰が宿泊して<泊まって>いるか)。後の家。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸣シンタヤーヤ ⸢タッ⸣テーヤ [⸢wat⸣tenu ⸣ʃintajaːja ⸢tat⸣teːja] (貴方の家の後ろの家は誰の家か)。 ⸣シンタヤーヤ カ⸢ラシヤー [⸣ʃintajaːja ka⸢raʃijaː] (後の家は貸し屋だ) 7390 0 0 8311 htmvoc_7390.wav シンタヤマ ⸣シンタヤマ [⸣ʃintajama] 名 後ろの山。「後ろ山」の義。 ティ⸢ドゥ⸣クダキヌ ⸣シンタヤマー ⸢マーレーヤマ⸣ ナリ ⸢ブー⸣ミー [ti⸢du⸣kudakinu ⸣ʃintajamaː ⸢maːreːjama⸣ nari ⸢buː⸣miː] (ティドゥク岳の後ろの山はマーレー山になっているのだろう?) 8779 0 0 8312 htmvoc_8779.wav シンタラーシムムタラーシ ⸢シンタラー⸣シ ム⸢ムタラー⸣シ [⸢ʃintaraː⸣ʃi mu⸢mutaraː⸣ʃi] 連 寛大に許してもらう。ご寛恕のほど。「千万の堪忍」の義。 ア⸢ティナシヌ⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢シェー⸣ル ⸣クトゥ ヤ⸢リバ⸣ ドー⸢ディン シンタラー⸣シ ム⸢ムタラーシ⸣ ユ⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣リティル ⸣ニガイ ッ⸢サリル⸣ユー [ʔa⸢tinaʃinu⸣ mu⸢nu⸣nu ⸢ʃeː⸣ru ⸣ku̥tu ja⸢riba⸣ doː⸢diŋ ʃintaraː⸣ʃi mu⸢mutaraː⸣ʃi ju⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ritiru ⸣nigai s⸢sariru⸣juː] (思慮分別のない者が仕出かしたことですので、どうぞ千万のご寛恕を賜りますようお願い申し上げます) 8778 0 0 8313 htmvoc_8778.wav シンダラカヌシャーマヨー ⸣シンダラ カ⸢ヌシャーマ⸣ヨー [⸣ʃindara ka⸢nuʃaːma⸣joː] 連 可愛い恋人よ。いとしい(愛しい)恋人よ。歌謡で用いられることば 8780 0 0 8314 htmvoc_8780.wav シンダン ⸢シン⸣ダン [⸢ʃin⸣daŋ] 名 (植)樹木の名。センダン(栴檀)。 ⸢パイタ⸣ヌ ⸣ヤマーラ ⸢シン⸣ダン ⸣キシキー ⸣バキ ⸢シェイ⸣ザイ シ⸢ミティ タン⸣シ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢paita⸣nu ⸣jamaːra ⸢ʃin⸣daŋ ⸣ki̥ʃikiː ⸣baki ⸢ʃei⸣ʣai ʃi⸢miti taŋ⸣ʃi su̥⸢ku⸣roːtta] (西表北岸<南端>の山から栴檀を伐り出してきて、鋸で縦に切り分け、製材させて箪笥を造られた)。 ⸣サンサンマー ⸢シン⸣ダンキーナー ⸣ユー トゥ⸢マルタン [⸣sansammaː ⸢ʃin⸣daŋkiːnaː ⸣juː tu⸢marutaŋ] (蝉は栴檀の木によく止まった) 8782 0 0 8315 htmvoc_8782.wav ジンッふァイムヌ ⸢ジンッふァイ⸣ムヌ [⸢ʤiŋffai⸣munu] 名 金銭の多くかかる者(こと)。経費の大きなもの。銭食い虫。「銭食い者(もの)」の義。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー ジンッふァイ⸣ムヌ ⸣ナリティ ⸢ピッ⸣チン ⸢モーキララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː ʤiŋffai⸣munu ⸣nariti ⸢pit⸣ʧim ⸢moːkirara⸣nu] (この仕事は金銭のかかるものになって、ちっとも儲からない)。居候。経費がかかり過ぎるもの。 ⸢ジンッふァイムヌ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ギュー⸢サ モーカ⸣バン タ⸢ラーサラヌ [⸢ʤinffaimunu⸣nu ⸢goː⸣raːndaː gjuː⸢sa moːka⸣ban ta⸢raːsaranu] (金のかかる者が多いから、いくら儲けても足りない<足らされない>) 8824 0 0 8316 htmvoc_8824.wav シンティー ⸢シン⸣ティー [⸢ʃin⸣tiː] 名 根性。こころだて。所存。「しんてい(心体)」の転訛したもの。 ⸣アイブ ヤ⸢ナシンティーバ⸣ ムティテー シ⸢キン⸣マー バ⸢タララヌ [⸣ʔaibu ja⸢naʃintiːba⸣ mutiteː ʃi̥⸢kim⸣maː ba⸢tararanu] (あんな悪根性を持っては世間は渡られない) 8783 0 0 8317 htmvoc_8783.wav シンティンプラ ⸣シンティンプラ [⸣ʃintimpura] 名 芯の入った天麩羅。イ⸢ズシンティンプラ[ʔi⸢ʣuʃintimpura](魚肉を芯にした天麩羅)、イ⸢ガシンティンプラ[ʔi⸢gaʃintimpura](烏賊を芯にした天麩羅)、⸣ヤサイティンプラ[⸣jasaitimpura](野菜天麩羅)などがある。 ⸣シンティンプラーラン ⸢カイ⸣テー ⸣ウンティンプラル ン⸢マー⸣ティ ウ⸢モー⸣リー [⸣ʃintimpuraːraŋ ⸢kai⸣teː ⸣ʔuntimpuraru ʔm⸢maː⸣ti ʔu⸢moː⸣ri] (芯のある天麩羅よりも、かえって芋天麩羅が美味しいと思われる) 8789 0 0 8318 htmvoc_8789.wav シントースン ⸢シントースン [⸢ʃintoːsuŋ] 他動 踏み固めて押し込める。搗き固めてねじ込める。 カ⸢シガーフク⸣ルナ ⸢イー⸣シ ⸢シントーシ⸣ イ⸢リルン [kḁ⸢ʃigaːɸuku⸣runa ⸢ʔiː⸣ʃi ⸢ʃintoːʃi⸣ ʔi⸢riruŋ] (麻袋<南京袋>に乾燥角又を踏み固めて押し込める)。 ⸢シントーサヌ [⸢ʃintoːsanu] (搗き固めて入れない)。 ⸢シントース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʃintoːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (押し込めることは出来ない)。 ⸢シントーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʃintoːʃeː⸣ misamunu] (搗き固めて押し込めばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢シントーシ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʃintoːʃi] (もっと搗き固めて押し込め) 8790 0 0 8319 htmvoc_8790.wav シンドーマンドー ⸢シンドーマン⸣ドー [⸢ʃindoːman⸣doː] 副 難儀苦労をして。かろうじて。ようやく(漸く)。「しんろう<心労>・はんろう<煩労>」の義か。 ア⸢ガピンソーバ シー シンドーマン⸣ドー ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダ⸣ティ ⸢クー⸣タ [ʔa⸢gapinsoːba ʃiː ʃindoːman⸣doː ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi f⸢fa⸣ su⸢da⸣ti ⸢kuː⸣ta] (赤貧で難儀苦労をしてやっとのことで子供を育ててきた) 8791 0 0 8320 htmvoc_8791.wav シンドーラ ⸢シンドー⸣ラ [⸢ʃindoː⸣ra] 名 もずく(水雲{EOS}海蘊)。海産の一年生褐藻。糸状に分岐し、褐色で粘り気がある。鳩間島では一部食通の人が⸢シークヮー⸣サー[⸢ʃiːkwaː⸣saː](ヒラミレモン)で酢の物にして食していたが、一般家庭ではほとんど消費されなかった。最近では高級料理の素材となっている。海底の砂地で繁殖していた。昭和40年頃は、採取して砂塵を落とし、日干し乾燥して輸出していた。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢シンドー⸣ラー ⸢ナン⸣ゾー ン⸢コーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢ʃindoː⸣raː ⸢nan⸣ʣoː ʔŋ⸢koːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島の人はもずくをあまり召し上がらなかった)。若年層はス⸢ノー⸣ル[su⸢noː⸣ru](モヅク)ともいうが、これは沖縄方言から転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢シンドー⸣ラー ン⸢コー⸣ル プ⸢ソー ナン⸣ゾー ⸢オーラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢ʃindoː⸣raː ʔŋ⸢koː⸣ru pu̥⸢soː nan⸣ʣoː ⸢ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (昔は鳩間島の人は、モヅクを召し上がる人はあまりいらっしゃらなかった) 8784 0 0 8321 htmvoc_8784.wav シントゥ シン⸢トゥ [ʃin⸢tu] 副 たった。ただ。ほんのわずか。数や量を限定する語(⸢ピー⸣チ{SqBr}⸢piː⸣ʧi{/SqBr}<一つ>、ク⸢ビッ⸣チン{SqBr}ku⸢bit⸣ʧiŋ{/SqBr}<これポっち>)と呼応して用いられ、数量の少ないことを強調する。 シン⸢トゥ ピー⸣チ カー⸢ニ⸣ バキ ッ⸢ふォーッ⸣タ [ʃin⸢tu piː⸣ʧi kaː⸢ni⸣ baki f⸢foːt⸣ta] (たった一つだけ分けて下さった)。 シン⸢トゥ⸣ ク⸢ビッ⸣チンシ ⸢ヌー⸣ヌ ナ⸢ル⸣ワ [ʃin⸢tu⸣ ku⸢bit⸣ʧiŋʃi ⸢nuː⸣nu na⸢ru⸣wa] (たったこれぽっちで何が出来るか)。 シ⸢ントゥ⸣ ク⸢ビッチン⸣ドゥ ヌ⸢カ⸣レー [ʃin⸢tu⸣ ku⸢bitʧin⸣du nu⸢ka⸣reː] (たったこれぽっちしか残ってない<たったこれぽっちが残っている>)。 イ⸢ゾー⸣ シン⸢トゥ⸣ プ⸢スッカラ⸣ル ⸢ホー⸣シェーバン [ʔi⸢ʣoː⸣ ʃin⸢tu⸣ pu̥⸢sukkara⸣ru ⸢hoː⸣ʃeːbaŋ] (魚はたった一匹しか釣ってない<一匹ぞ釣ってあるわい>)。 ッ⸢ふァー⸣ シン⸢トゥ タンガ⸣ル ⸢ブー [f⸢faː⸣ ʃin⸢tu taŋga⸣ru ⸢buː] (子供はたった一人しかいない<たった一人がいる>)。「Chinto.チント(ちんと)Monouo chinto qiru(物をちんと切る)」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか 8785 0 0 8322 htmvoc_8785.wav シントゥ ⸢シントゥ [⸢ʃintu] 副 誠に。本当に。歌謡語。首里方言、zintoo(本当)の転訛したもの。/~シジク ワシマニ スダチ ンチャリバ シントゥ タヌマシ ムヌサミ~/(~つづく我が島に育ってみると誠に楽しいものだ~)「鳩間口説-3連」『鳩間島古典民謡古謡集』 8787 0 0 8323 htmvoc_8787.wav シンドゥ ⸢シン⸣ドゥ [⸢ʃin⸣du] 名 船頭。船長。 カ⸢ツシンヌ シン⸣ドー カ⸢ツヌ⸣ トゥ⸢ルマキバ⸣ ミレーティル フネー ⸢マーシ⸣ ザコー ⸣マキ イ⸢ズ⸣ シゥ⸢カ⸣シティ ⸢ホー⸣ソーッタ [kḁ⸢ʦuʃinnu ʃin⸣doː kḁ⸢ʦunu⸣ tu⸢rumakiba⸣ mireːtiru ⸣ɸuneː ⸢maːʃi⸣ ʣakoː ⸣maki ʔi⸢ʣu⸣ sï̥⸢ka⸣ʃi̥ti ⸢hoː⸣soːtta] (カツオ漁船の船頭はカツオ鳥の鳥巻きを見ながら船を回して餌の雑魚を撒いて、カツオの群れを船に寄せ付かせて釣られた) 8786 0 0 8324 htmvoc_8786.wav シントゥピッチン シン⸢トゥ ピッ⸣チン [ʃin⸢tu pit⸣ʧiŋ] 連 たった一つ。 シン⸢トゥ ピッチン⸣ドゥ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー [ʃin⸢tu pitʧin⸣du nu⸢ka⸣ri ⸢beː] (たった一つしか残っていない<たった一つぞ残っている>) 8827 0 0 8325 htmvoc_8827.wav ジントゥリ ⸢ジン⸣トゥリ [⸢ʤin⸣turi] 名 子供の遊びの名。陣取り遊び。⸢ジントー⸣リ[⸢ʤintoː⸣ri]ともいう。一組五、六人で二組に分かれ、夫々陣地を決め、じゃんけん(石拳)で負けた方が鬼になり、勝った方が鬼を追いかける。タッチされたらアウトで、メンバーが一人減る。追っ手をかわして陣地に戻れば逆に相手を追う権利を得る。相手にタッチすれば、相手がアウトで一人減となる。これを繰り返して相手方のメンバーを減らした組が勝ちとなるゲーム。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸣ユー ⸢ジントゥリ⸣バ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸣juː ⸢ʤinturi⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (子供の頃はよく陣取りをして遊んだ) 11939 0 0 8326 htmvoc_11939.wav シンナクン ⸢シンナ⸣クン [⸢ʃinna⸣kuŋ] 自動 潜り込む。布団の中にもぐりこむ。 ⸢ピー⸣ヤティ ウ⸢ズ⸣ヌ ナ⸢カー ⸢シンナ⸣クンティ シ⸢タンドゥ シ⸢ンナカラン⸣シェン [⸢piː⸣jati ʔu⸢ʣu⸣nu na⸢kaː ʃinna⸣kunti ʃi̥⸢tanu ʃinnakaraŋ⸣ʃeŋ] (寒いので布団の中へ潜り込もうとしたが、潜り込まれなかった)。 ⸢シンナ⸣キ ニ⸢ビベー [⸢ʃinna⸣ki ni⸢bibeː] (布団の中に潜り込んで寝ている)。 ⸢シンナ⸣ク ⸣クトー ス⸢ナ⸠ヨー ⸢ミーヌッサ⸣ヌ [⸢ʃinna⸣ku ⸣ku̥toː su⸢na⸠joː⸢miːnussa⸣nu] (布団の中に潜り込むことはするなよ{EOS}見苦しいから)。 ⸢シンナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢ʃinna⸣keː ⸣misamunu] (潜り込めばいいのに)。 ⸢シンナ⸣キバ [⸢ʃinna⸣kiba] (潜り込めよ) 8793 0 0 8327 htmvoc_8793.wav シンニン ⸣シンニン [⸣ʃinniŋ] 副 わざわざ。ひたすらに。特別に。いちずに<一途に>。もっぱら(専ら)。一心不乱に。一意専心。「専念」の転訛したもの。「Xennen.センネン(専念)Mopparani vomô.(専らに念ふ)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ワー⸣ シンニン ウ⸢リ ピー⸣チ ⸢カウンティ⸣ アドーラ ⸢タンガ⸣シ ⸢クーター [⸢waː⸣ ʃinniŋ ʔu⸢ri piː⸣ʧi ⸢kaunti⸣ ʔadoːra ⸢taŋga⸣ʃi ⸢kuːtaː] (君はわざわざそれ一つを買うために、あんな遠いところから一人で来たのか)。 ⸣アブジェー ⸣シンニン ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢スンティ⸣ アドーラ ⸢オーッ⸣ターカヤー [⸣ʔabuʤeː⸣ ʃinniŋ ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢sunti⸣ ʔadoːra ⸢ʔoːt⸣taːkajaː] (お祖父さんは、わざわざその話しをしに、あんな遠い所から来られたのかなあ) 8792 0 0 8328 htmvoc_8792.wav シンニンガイ ⸣シンニンガイ [⸣ʃinniŋgai] 名 (動)貝の名。トウカムリガイ(唐冠貝)。「千年貝」の義。大型の巻貝で殻高約20センチ。倒円錐形の美しい貝である。貝殻は観賞用として床の間などに飾られている。 ⸣シンニンガイヤー チ⸢カ⸣グロー ⸢ミッ⸣タニ ミ⸢ララン⸣バン [⸣ʃinniŋgaijaː ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢mit⸣tani mi⸢raram⸣baŋ] (トウカムリガイ<唐冠貝>は近頃は滅多に見られないよ) 8794 0 0 8329 htmvoc_8794.wav ジンヌサンミン ⸢ジン⸣ヌ ⸢サン⸣ミン [⸢ʤin⸣nu ⸢sam⸣miŋ] 連 お金の計算。 ⸢イーシ⸣ヌ ⸢モー⸣ケー ⸢ギュー⸣サ ⸣ナルユーティ ⸢ジン⸣ヌ ⸢サン⸣ミン ⸢シー ベー [⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢moː⸣keː ⸢gjuː⸣sa ⸣narujuːti ⸢ʤin⸣nu ⸢sam⸣miŋ ⸢ʃiː beː] (ツノマタの儲けがいくらになるのだろうかと、お金の計算をしている) 8795 0 0 8330 htmvoc_8795.wav ジンヌシゥカラ ⸢ジン⸣ヌ シゥ⸢カラ [⸢ʤin⸣nu si̥⸢kara] 連 金の力。金力。資金力。 ⸢ジン⸣ヌ シゥ⸢カラヌ⸣ ア⸢リ⸣バティ ⸢シープサカッ⸣ティー ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʤin⸣nu si̥⸢karanu⸣ ʔa⸢ri⸣bati ⸢ʃiːpu̥Sakat⸣tiː ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (金の力があるかといって、したい放題にしてはならない) 8796 0 0 8331 htmvoc_8796.wav ジンヌミー ⸢ジン⸣ヌ ⸣ミー [⸢ʤin⸣nu ⸣miː] 連 貸した金を取りたてる権利。債権。債権者に対する債務。「銭の目」の義。 ⸣ウカ パ⸢ライユーサン⸣ベーティ カ⸢ルタ ジン⸣ヌ ⸣ミーシ シゥ⸢カーリ ベー [⸣ʔuka pa⸢raijuːsam⸣beːti ka⸢ruta ʤin⸣nu ⸣miːʃi sï̥⸢kaːri beː] (負債を払うことが出来ないので、借りた金の債務として使われている) 8797 0 0 8332 htmvoc_8797.wav ジンバー ⸢ジン⸣バー [⸢ʤim⸣baː] 名 (動)魚の名。和名、オウゴンヒメジ(体長約25センチ)、和名、マルクチヒメジ(体長約35センチ)、和名、コバンヒメジ(体長約35センチ)、和名、ホウライヒメジ(体長約30センチ)、和名、リュウキュウアカヒメジ(体長約40センチ)などの総称 8798 0 0 8333 htmvoc_8798.wav ジンバイ ⸢ジンバイ [⸢ʤimbai] 名 配膳係り。⸢膳配り」の義。昔の鳩間村の最下級の役職。ム⸢ラヤクサ[mu⸢rajakusa](村行事を司る役人)の下で、神行事の祭祀に必要な供物の諸準備をしたり、村中からお膳を借り受けたり、返済したりする雑役に従事する役職。学校卒業したての若い男子が西村と東村から各1人、計2人選出された。祭りの当日には供物の運搬等にも従事した。 ⸢ジンバイヤー プー⸣ル ⸣キチゴンヌ グ⸢サーク⸣マイ ア⸢ツァ⸣ミ ⸢ジン⸣ カ⸢リン⸣ドーレーヌ シ⸢グトゥ スンダ⸣ イ⸢スガ⸣サタン [⸢ʤimbaijaː puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu gu⸢saːku⸣mai ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢ʤiŋ ka⸢rin⸣doːreːnu ʃi⸢gutu sunda⸣ ʔi⸢suga⸣sataŋ] (膳配り役は豊年祭、結願祭の五勺米集めやお膳の借受、返済などの仕事をするから忙しかった) 8799 0 0 8334 htmvoc_8799.wav ジンパク ⸢ジン⸣パク [⸢ʤim⸣pḁku] 名 金庫。銭箱。 ⸢ジン⸣パクナー イ⸢リルブカラヌ ジン⸣ヌ ⸣アルカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢ʤim⸣pḁkunaː ʔi⸢rirubukaranu ʤin⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢soːja naː⸣nu] (銭箱に入れるくらいのお金があれば心配はないよ)。 ⸢ウン⸣ネナー ⸢ジン⸣マー ⸢ジン⸣パクナー ア⸢バッカイルン⸣ケン アンティ⸢ダー [⸢ʔun⸣nenaː ⸢ʤim⸣maː ⸢ʤim⸣pḁkunaː ʔa⸢bakkairuŋ⸣keŋ ʔanti⸢daː] (あの家には、お金は金庫<銭箱>に溢れるほどあるそうだよ) 8800 0 0 8335 htmvoc_8800.wav シンビー ⸢シン⸣ビー [⸢ʃim⸣biː] 名 せんべい(煎餅)。⸢シン⸣ビーコーシー[⸢ʃim⸣biːkoːʃiː](煎餅菓子)ともいう。石垣島の商店で買ってお土産にした。 ⸢ウイ⸣プソー ⸢パー⸣ヌ ア⸢ローラン⸣ユンダー フ⸢チ⸣ナー ⸢シン⸣ビ フ⸢ク⸣ミ ⸢ヤーラカシェー⸣ティル ン⸢コーッタ⸣ル [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸢paː⸣nu ʔa⸢roːraɲ⸣jundaː ɸu̥⸢ʧi⸣naː ⸢ʃim⸣biː ɸu̥⸢ku⸣mi ⸢jaːrakaʃeː⸣tiru ʔŋ⸢koːtta⸣ru] (年寄り<老い人>は歯がおありでない<有りおわさない>から、口に煎餅を含んで柔らかくしながら召し上がられたよ) 8832 0 0 8336 htmvoc_8832.wav シンビーコーシ ⸢シン⸣ビーコーシ [⸢ʃim⸣biːkoːʃi] 名 煎餅。「煎餅菓子」の義。 ⸢シン⸣ビーコーシェー イ⸢サンケーラ⸣ル ⸢カイ クー⸣タ [⸢ʃim⸣biːkoːʃeː ʔi⸢saŋkeːra⸣ru ⸢kai kuː⸣ta] (煎餅は石垣島から<ぞ>買ってきた) 8801 0 0 8337 htmvoc_8801.wav シンピーズ ⸣シンピーズ [⸣ʃimpiːʣu] 名 毎日。いつも。常日頃。「常・日中」の転訛したものか。 ⸣シンピーズ ⸢ヌー⸣ル ⸢スーテー ナー⸣ヌ ナー⸢イ⸣ ア⸢サビベー [⸣ʃimpiːʣu ⸢nuː⸣ru ⸢suːteː naː⸣nu naː⸢i⸣ ʔa⸢sabi beː] (毎日何をするともなく、ただ毎日遊んでいる)。 ⸣シンピーズ ユ⸢ヌ⸣ ムニカー⸢ニル⸣ イ⸢ゾー⸣ル⸢ツォー [⸣ʃimpiːʣu ju⸢nu⸣ munikaː⸢niru⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ru⸢ʦoː] (一日中同じ話<言葉>だけを<ぞ>言われるんですよ)。 ⸣シンピーズ ユ⸢ヌシグ⸣トゥ ⸢シー ブンダ⸣ ア⸢キリス [⸣ʃimpiːʣu ju⸢nuʃigu⸣tu ⸢ʃiː bunda⸣ ʔa⸢kirisu] (毎日同じ仕事をしているので飽きてしまう<飽きれる>) 8803 0 0 8338 htmvoc_8803.wav シンビュー ⸣シンビュー [⸣ʃimbjuː] 名 千俵。 ⸢イッ⸣ピュー [⸢ʔip⸣pjuː] (1俵)。 ⸣ニヒュー [⸣niçuː] (2俵)。 ⸣サンビュー [⸣sambjuː] (3俵)。 ⸢ヨンピュー [⸢jompjuː] (4俵)。 グ⸢ヒュー [gu⸢çuː] (5俵)。 ⸢ルッ⸣ピュー [⸢rup⸣pjuː] (6俵)。 ナ⸢ナ⸣ヒュー [na⸢na⸣çuː] (7俵)。 ⸢ハッ⸣ピュー<ハ⸢チ⸣ヒュー> [⸢hap⸣pjuː] (8俵)。 ⸢キューヒュー [⸢kjuːçuː] (9表)。 ⸣ジッピュー [⸣ʤippjuː] (10俵)。 ⸢ジュー⸣イッピュー [⸢ʤuː⸣ʔippjuː] (11俵)。 ⸣ニジッピュー [⸣niʤippjuː] (20俵)。 ⸢ヒャッ⸣ピュー [⸢çap⸣pjuː] (100俵) 8804 0 0 8339 htmvoc_8804.wav シンピルン ⸢シンピルン [⸢ʃimpiruŋ] 他動 ひねりつぶす(捻り潰す)。指先で押して潰す。小さなお出来や腫れ物を指先で押し潰して膿を出す。 ア⸢シ⸣ボー ⸢シンピルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣ヤムンダ ⸢シンピララヌ [ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢ʃimpirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸣jamunda ⸢ʃimpiraranu] (お出来は指先で押して潰そうと思うが、痛いので押し潰されない)。 ⸢シンピリ⸣ ミサカー ⸢シンピレー⸣ ミサムヌ [⸢ʃimpiri⸣ misakaː ⸢ʃimpireː⸣ misamunu] (押し潰して良いなら押し潰せば良いのに)。 ⸢シンピル⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸢シンピリ⸣バ [⸢ʃimpiru ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢ʃimpiri⸣ba] (押し潰すお出来は押し潰せ)。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸢シンピリティ ウー⸣ミ ⸢アーシ⸣バ [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢ʃimpiriti ʔuː⸣mi ⸢ʔaːʃi⸣ba] (この御出来は押しつぶして膿みを出せよ)。 ⸢シンピルンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ドゥク ⸣ヤミティ ⸢シンピララヌ [⸢ʃimpirunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ duku ⸣jamiti ⸢ʃimpiraranu] (押しつぶそうとしたが、あまりにも痛くて押しつぶされない)。 ⸢シンピル⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸢シンピレー⸣ ミサムヌ [⸢ʃimpiru⸣ ku̥⸢tu⸣nu narukaː ⸢ʃimpireː⸣ misamunu] (押しつぶすことが出来たら押しつぶせばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢シンピリ [⸢paː⸣ku ⸢ʃimpiri] (早く押しつぶせ) 8835 0 0 8340 htmvoc_8835.wav シンビンヤー ⸢シンビン⸣ヤー [⸢ʃimbiŋ⸣jaː] 名 (海底地名)。⸢イシケーズニ[⸢ʔiʃi̥keːʣuni](イシケー曽根)とマ⸢ルズニ[ma⸢ruʣuni](丸曽根)の内側で、水深8尋ほどの海底に平たい珊瑚礁<テーブルサンゴ>が発達している所がある。そこは、カツオの餌になるヤ⸢ナザ⸣コー[ja⸢naʣa⸣koː](特定の穴<魚巣>にいる⸣ザコー{SqBr}ʣakoː{/SqBr}<小魚{EOS}雑魚>)の巣といわれていて、かつてカツオ漁船はそこでカツオの餌を捕っていた 8836 0 0 8341 htmvoc_8836.wav ジンプー ⸢ジンプー [⸢ʤimpuː] 名 順風。追い風。 ⸢ジンプーヌ⸣ マ⸢ルバル<マ⸢リバル> パイター⸣ヌ ⸣フネー ン⸢ザサ⸣リ [⸢ʤimpuːnu⸣ ma⸢rubaru paitaː⸣nu ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasa⸣ri] (順風が吹いたらば<生まれたらば>こそ西表北岸<南端>への舟は出される)。 ⸢ジンプー⸣ マ⸢ラシ オー⸣リ [⸢ʤimpuː⸣ ma⸢raʃi ʔoː⸣ri] (順風にのって<産ませて>おいでになってください)。 ⸢ジンプー⸣ マ⸢ルン [⸢ʤimpuː⸣ ma⸢ruŋ] (順風になる<~が生れる>) 8837 0 0 8342 htmvoc_8837.wav ジンフクル ⸢ジンフク⸣ル [⸢ʤiŋɸuku⸣ru] 名 財布。銭入れ。きんちゃく(巾着)。がまぐち。「銭袋」の義。 ⸢ジンフクル⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ⸢ジン⸣バ ⸢モー⸣キティ ⸢ワーン⸣ ダ⸢カサ⸠ナー [⸢ʤiŋɸu̥kuru⸣nu ⸢pit⸣ʧin ⸢ʤim⸣ba ⸢moː⸣kiti ⸢waːn⸣ da⸢kasa⸠naː] (財布の一杯お金を儲けて君に与えよう<抱かせよう>ねえ) 8838 0 0 8343 htmvoc_8838.wav ジンブン ⸢ジン⸣ブン [⸢ʤim⸣buŋ] 名 知恵。分別。思慮。考え。存念。才能。「存分」の転訛したもの。 ⸢ワー⸣ イッ⸢ケナ ジン⸣ブン ア⸢リ⸣ブバン [⸢waː⸣ ʔik⸢kena ʤim⸣buŋ ʔa⸢ri⸣bubaŋ] (君は非常に知恵があるわい)。 フ⸢ドゥビル⸣ アー⸢シ ジン⸣ブン ⸣ンジキー ⸢マイフナーユン [ɸu⸢dubiru⸣ ʔaː⸢ʃi ʤim⸣buŋ ⸣ʔnʤikiː ⸢maiɸunaːjuŋ] (成長するにつれて思慮分別がついて<出て>きて立派だ<お利巧だ>)。 ⸢ジン⸣ブンムチ ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン⸣ プ⸢ス⸣ マ⸢キラヌ [⸢ʤim⸣bummuʧi ja⸢runda⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢mirubam⸣ pu̥⸢su⸣ ma⸢kiranu] (才能のある人<知恵者>だから何をさせても他人引けを取らない<負けない>) 8844 0 0 8344 htmvoc_8844.wav ジンブンッサラー ⸢ジン⸣ブンッサラー [⸢ʤim⸣bunssaraː] 名 愚物。愚鈍。「存分腐れ者」の義。⸢ジン⸣ブントーラー[⸢ʤim⸣buntoːraː](「存分倒れ」)ともいう。 ⸢ジン⸣ブンッサラー ⸢マーパカラサー ナー⸣ヌ [⸢ʤim⸣bunssaraː ⸢maːpakarasaː naː⸣nu] (愚物は物事がきちんと処理できないから信頼できない{EOS}何事もまっとうにできないから信用できない{EOS}まともでない) 8846 0 0 8345 htmvoc_8846.wav ジンブンッサリムヌ ⸢ジン⸣ブンッサリムヌ [⸢ʤim⸣bunssarimunu] 名 思慮、分別のない者。「存分腐れ者」の義。 ⸢ジン⸣ブンッサリムヌティ ⸢ピーズン⸣ イ⸢ジフザレー⸣ティ キ⸢ムイ⸣ツァーン⸢ダー [⸢ʤim⸣bunssarimunuti ⸢piːʣuŋ⸣ ʔi⸢ʤiɸuʣareː⸣ti ki⸢mui⸣ʦaːn⸢daː] (思慮分別のない者<愚物>といわれて、毎日叱りとばされ、こじ(抉)られて、可哀相だよ) 8841 0 0 8346 htmvoc_8841.wav ジンブントーリムヌ ⸢ジン⸣ブン ⸢トーリ⸣ムヌ [⸢ʤim⸣bun ⸢toːri⸣munu] 連 愚物。愚鈍。知恵、才能のない者。耄碌した人。呆けた人。⸢ジン⸣ブンッサラー[⸢ʤim⸣bunssaraː](愚物{EOS}「存分腐れ」の義)ともいう。 ⸢ジン⸣ブン ⸢トーリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミルバン マーパカラサー ナー⸣ヌ [⸢ʤim⸣bun ⸢toːri⸣munu ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢mirubam maːpakarasaː naː⸣nu] (愚物だから、仕事をさせても信用のおける、きちんとしたものができない<まともにできない>) 8842 0 0 8347 htmvoc_8842.wav ジンブントーリルン ⸢ジン⸣ブン ⸢トーリ⸣ルン [⸢ʤim⸣bun ⸢toːri⸣ruŋ] 連 気が利かなくなる。思慮分別がなくなる。耄碌する。「存分倒れる」の義か。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ⸢ジン⸣ブン ⸢トーリ⸣ルンダー ⸣トゥシェー トゥ⸢リ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ⸢ʤim⸣bun ⸢toːri⸣rundaː ⸣tu̥ʃeː tu⸢ri⸣pu̥saː ⸢naː⸣nu] (年をとると気が利かなくなって耄碌するから、年はとりたくない) 8843 0 0 8348 htmvoc_8843.wav ジンブントールン ⸢ジン⸣ブン ⸢トー⸣ルン [⸢ʤim⸣bun ⸢toː⸣ruŋ] 連 気が利かなくなる。思慮分別が無くなる。耄碌する。⸢ジン⸣ブン ⸢トーリ⸣ルン[⸢ʤim⸣bun ⸢tori⸣ruŋ](気が利かなくなる{EOS}思慮分別がなくなる{EOS}耄碌する)と同じ 8839 0 0 8349 htmvoc_8839.wav ジンブントラー ⸢ジン⸣ブントラー [⸢ʤim⸣buntoːraː] 名 愚鈍。知恵、才能の無い者。呆けた人。耄碌した人。卑語。 ⸢ジン⸣ブントーラー ⸣ナリティ ⸣ヌーンクイン プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナウタン⸣カー シ⸢グトゥ シーサヌ [⸢ʤim⸣buntoːraː ⸣nariti ⸣nuːŋkuim pu̥⸢sunu⸣ pa⸢naʔutaŋ⸣kaː ʃi⸢gutu ʃiːsanu] (呆けた人になってしまって、何もかも他人が指示しないと仕事をすることが出来ない) 8847 0 0 8350 htmvoc_8847.wav ジンブンムチ ⸢ジン⸣ブンムチ [⸢ʤim⸣bummuʧi] 名 利口者。思慮、分別のある者。知恵者。世才に長けた人。「存分持ち」の転訛。 ⸢ジン⸣ブンムチ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢ス⸣ピライン ⸢ゾー⸣ジ ⸢ジンモー⸣キン ⸢ゾージ⸣ユン [⸢ʤim⸣bummuʧi ja⸢runda⸣ pu̥⸢su⸣pirain ⸢ʣoː⸣ʤi ⸢ʤimmoː⸣kin ⸢ʣoːʤi⸣juŋ] (利口者だから世間交際も上手だし、金儲けも上手だよ) 8848 0 0 8351 htmvoc_8848.wav ジンブンンジルン ⸢ジン⸣ブン ン⸢ジ⸣ルン [⸢ʤim⸣buŋ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] 連 智恵がつく。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢スー⸣リティ イッ⸢ケナ ジン⸣ブン ン⸢ジ⸣ ブーバン [ja⸢ra⸣beː ⸢suː⸣riti ʔik⸢kena ʤim⸣buŋ ʔn⸢ʤi⸣buːbaŋ] (子供は成長して、非常に智恵がついてきたよ) 8849 0 0 8352 htmvoc_8849.wav シンボー ⸢シン⸣ボー [⸢ʃim⸣boː] 名 辛抱。忍耐。標準語からの借用語。 ⸢イットゥキ⸣ヌ ク⸢チ⸣サ ヤ⸢ルンダ シン⸣ボー ⸢シー⸣ダー [⸢ʔittuki⸣nu ku̥⸢ʧi⸣sa ja⸢runda ʃim⸣boː ⸢ʃiː⸣daː] (一時の苦しさ<難儀苦労>だから、辛抱しなさいよ) 8850 0 0 8353 htmvoc_8850.wav シンボー ⸢シン⸣ボー [⸢ʃim⸣boː] 名 しんぼう(心棒)。車輪やこま(独楽)などの中心をなす棒。標準語からの借用語。 ⸢ニーグルマ⸣ヌ ⸢シンボー⸣ヤ ⸣ブリウティ ⸢ナー⸣ヌ [⸢niːguruma⸣nu ⸢ʃimboː⸣ja ⸣buriʔuti ⸢naː⸣nu] (荷車の心棒は折れてしまった) 8830 0 0 8354 htmvoc_8830.wav シンマイ ⸢シンマイ [⸢ʃimmai] 名 家の間取り。間取り。部屋の設計。部屋の配置。家屋の設計。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ⸢シンマイ⸣ トゥ⸢リヨー⸣ヌ ミ⸢ジラ⸣サワ⸢ナー [ku⸢nujaː⸣nu ⸢ʃimmai⸣ tu⸢rijoː⸣nu mi⸢ʤira⸣sawa⸢naː] (この家の間取り<家屋の設計>の取り方が珍しいねえ)。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢シンマイ⸣ トゥ⸢リヨー⸣ヤ イッ⸢ケナ⸣ ミサンドゥ バ⸢カー⸣ムヌ ム⸢キル⸣ ナリ ⸢ブー [⸢jaː⸣nu ⸢ʃimmai⸣ tu⸢rijoː⸣ja ʔik⸢kena⸣ misandu ba⸢kaː⸣munu mu⸢kiru⸣ nari ⸢buː] (家の間取りは大変良いが、若者好み<向き>の間取りになっている)。 ⸢シンマイ⸣ トゥ⸢リ⸣ヨー [⸢ʃimmai⸣ tu⸢ri⸣joː] (間取りの仕方{EOS}設計) 8831 0 0 8355 htmvoc_8831.wav シンマイナビ ⸢シンマイ⸣ナビ [⸢simmai⸣nabi] 名 「四枚鍋」の義。六升炊き用の大鍋。材料の鉄板四枚で造られたという大鍋。芋を蒸かしたり、餅を蒸かしたりするのに用いる大鍋。 ウ⸢ビナー⸣ヌ バ⸢コーシンカ⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ ⸢シンマイ⸣ナビナール バ⸢カサリル [ʔu⸢binaː⸣nu ba⸢koːʃiŋka⸣nu ⸢ʔiː⸣ja ⸢ʃimmai⸣nabinaːru ba⸢kasariru] (あれだけの人数の共同作業員のご飯は四枚鍋の大鍋でしか炊けない<四枚鍋でぞ炊かれる>) 8853 0 0 8356 htmvoc_8853.wav ジンムチ ⸣ジンムチ [⸣ʤimmuʧi] 名 金持ち。ウ⸢ヤ⸣キプス[ʔu⸢ja⸣kipu̥su](金持ち{EOS}富貴人)ともいう。 ウ⸢レー デージ⸣ナ ⸣ジンムチティバーン ⸢ナー [ʔu⸢reː deːʤi⸣na ⸣ʤimmuʧitibaːn ⸢naː] (彼は大変な金持ちだそうだなあ) 8854 0 0 8357 htmvoc_8854.wav シンメーナビ ⸢シンメー⸣ナビ [⸢ʃimmeː⸣nabi] 名 芋をふかす(蒸かす)大鍋。鉄板四枚で製作される鍋の意という。普通は⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](四枚鍋)という。 ⸢シンメー⸣ナビナール ⸢ウン⸣マー バ⸢カソーッ⸣タ [⸢ʃimmeː⸣nabinaːru ⸢ʔum⸣maː ba⸢kasoːt⸣ta] (大鍋<四枚鍋>にぞ芋は炊かれ<\ruby{蒸}{フ}かされ>た) 8805 0 0 8358 htmvoc_8805.wav ジンモーキ ⸢ジンモー⸣キ [⸢ʤimmoː⸣ki] 名 金儲け。 ウ⸢レー ジンモー⸣キ ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リン⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸢カーシ⸣バ [ʔu⸢reː ʤimmoː⸣ki ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢runda⸣ ʔu⸢rin⸣ ta⸢na⸣mi ⸢kaːʃi⸣ba] (彼は金儲けが上手だから彼に頼んで売りなさいよ)。 ウ⸢レー ジンモーキゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンナー⸣ニ タ⸢ナ⸣ミバ [ʔu⸢reː ʤimmoːkiʣoː⸣ʤi ja⸢runda ʔu⸢rinnaː⸣ni ta⸢na⸣miba] (彼は金儲け上手であるから、彼に頼みなさいよ) 8856 0 0 8359 htmvoc_8856.wav ジンモーキジク ⸢ジンモーキ⸣ジク [⸢ʤimmoːki⸣ʤiku] 名 金儲けの仕事。儲け口。⸢ジンモーキ⸣ザク[⸢ʤimmoːki⸣ʣaku](儲け仕事)ともいう。⸢ジンモー⸣キ[⸢ʤimmoː⸣ki](金儲け)に、ッ⸢サーク[s⸢saːku](仕事)の縮略形[-ʣaku]の音韻変化した⸣ジク[⸣ʤiku]が下接したもの。 ⸢ジンモーキジク⸣ヌ ⸣アンティ シ⸢バ ギー⸣ ミ⸢ライ [⸢moːkiʤiku⸣nu ⸣ʔanti ʃi⸢ba giː⸣ mi⸢rai] (金儲け仕事<儲け口>があるというから、行ってみようねえ) 8857 0 0 8360 htmvoc_8857.wav シンヨー ⸢シンヨー [⸢ʃiŋjoː] 名 信用。確かだと信じること。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢シンヨー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢ʃiŋjoː⸣ na⸢ra⸣nu] (彼の話は信用できない) 8858 0 0 8361 htmvoc_8858.wav シンロー ⸢シン⸣ロー [⸢ʃin⸣roː] 名 心労。悩み苦しむこと。精神的な苦労。標準語からの借用語。 ⸢ウン⸣ネーヌ ⸣ウヤー ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥシ ⸢ピーズ シン⸣ロー ⸢シー オー⸣ル <⸣キム ヤ⸢キオー⸣ル> [⸢ʔun⸣neːnu ⸣ʔujaː f⸢fanu⸣ ku̥tuʃi ⸢piːʣu ʃin⸣roː ⸢ʃiː ʔoː⸣ru <⸣kimu ja⸢kioː⸣ru>] (あの家の親は子供のことで、いつも心労をしておられる) 8859 0 0 8362 htmvoc_8859.wav ス ⸣ス [⸣su] 助数 容積を表す単位。升(10合)。 ⸢イッ⸣ス [⸢ʔis⸣su] (一升)。 ⸣ニス [⸣nisu] (二升)。 ⸢サン⸣ス [⸢san⸣su] (三升)。 ⸢ユンス [⸢junsu] (四升)。 グ⸢ス [gu⸢su] (五升)。 ル⸢ク⸣ス [ru⸢ku⸣su] (六升)。 ナ⸢ナ⸣ス [na⸢na⸣su] (七升)。 ⸢ハッ⸣ス [⸢has⸣su] (八升)。 ⸢キュース [⸢kjuːsu] (九升)。 ⸢イッ⸣トゥ [⸢ʔit⸣tu] (一斗)。 ⸢マイ イッ⸣ス ⸢カイ⸣クー [⸢mai ʔis⸣su ⸢kai⸣kuː] (米一升買って来なさい<こい>) 8860 0 1 8363 htmvoc_8860.wav スー ⸢スー [⸢suː] 接頭 強い。ひどい。きつい。⸢スー⸣ワン[⸢suː⸣waŋ](強い)の語幹が接頭語化したもの。{Mn_1}直接名詞を修飾する。 ⸢スー⸣ヤン [⸢suː⸣jaŋ] (重病気<強病み>)。 ⸢スー⸣ヤン ア⸢タリティ⸣ マ⸢ガリベー [⸢suː⸣jaŋ ʔa⸢tariti⸣ ma⸢gari beː] (重い病気にかかってうずくまっている)。 ⸢ターカイ⸣シェー ⸢スーシグ⸣トゥ⸢ダー<⸢ウーシグトゥ⸠ダー> [⸢taːkai⸣ʃeː ⸢suːʃigu⸣tu⸢daː<⸢ʔuːʃigutu⸠daː>] (田圃耕しはきつい仕事だよ)。 ヤ⸢ラビン⸣ナーネー ⸣ドゥク ⸢スー⸣ムニ イ⸢ズナ [ja⸢rabin⸣naːneː ⸣duku ⸢suː⸣muni ʔi⸢ʣuna] (子供にはあまり厳しい言葉遣いはするな<強い言葉は言うな>)。 8860 0 2 8364 htmvoc_8860.wav スー ⸢スー [⸢suː] 接頭 {Mn_2}形容詞の語幹が転成名詞を修飾して複合語を形成したもの。 ⸢クンドゥ⸣ヌ カ⸢ジ⸣ナー ⸢スーアタ⸣リ シ⸢ティ クー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kundu⸣nu ka⸢ʤi⸣naː ⸢suːʔata⸣ri ʃi̥⸢ti kuː⸣ri ⸢naː⸣nu] (今度の台風に強く当って崩れてしまった) 8861 0 0 8365 htmvoc_8861.wav スー ⸣スー [⸣suː] 名 お汁。[ʃiru](汁)の-iruという狭母音に挟まれた[r]が逆行同化の音韻変化を起こして、[ʃiru] → [ssuː] → [suː] と変化したもの。 ⸣スー バ⸢カシ⸣バ [⸣suː ba⸢kaʃi⸣ba] (お汁を炊きなさい)。 イ⸢ズヌ⸣ スー [ʔi⸢ʣunu⸣ suː] (魚のお汁)。 ⸢オー⸣ヌ ⸣スー [⸢ʔoː⸣nu ⸣suː] (豚肉のお汁)。⸢ミース⸣ジル[⸢miːsu⸣ʤiru](味噌汁)、⸢ネーシジル[⸢neːʃiʤiru](煮汁)、⸢ンーナジル[⸢ʔnːnaʤiru](むなじる<空汁>、中身のないお汁)の⸣ジル[⸣ʤiru](汁)は複合語の被覆形の中に、複合語化に伴う後接語の語頭子音が有声化したまま保存されたもの。進行同化現象の傍証となる語。⸢スーン⸣シル[⸢suːŋ⸣ʃiru](お汁<潮の汁{EOS}潮汁>)ともいう。 ⸣タクン イ⸢ズン⸣ バ⸢ザイティ⸣ スー バ⸢カシ⸣バ [⸣tḁkuŋ ʔi⸢ʣum⸣ ba⸢ʣaiti⸣ suː ba⸢kaʃi⸣ba] (蛸も魚も拵えて<割烹調理して>お汁を炊きなさい) 8862 0 0 8366 htmvoc_8862.wav スー ⸣スー [⸣suː] 名 海水。しおみず(潮水)。 ⸣スー ⸣ピスン [⸣suː ⸣pi̥suŋ] (潮が引く)。 ⸣スー ⸣ミツン [⸣suː ⸣miʦuŋ] (潮が満つ)。 ピ⸢シ⸣スー [pi̥⸢ʃi⸣suː] (引き潮{EOS}干潮)。 ミ⸢チ⸣スー [mi⸢ʧi⸣suː] (満ち潮{EOS}満潮)。 ⸢ウー⸣スー [⸢ʔuː⸣suː] (大潮)。 グ⸢マ⸣スー [gu⸢ma⸣suː] (小潮)。 ⸣スーミツァール [⸣suːmiʦaːru] (満ち潮{EOS}上げ潮)。 ⸣スーピサール [⸣suːpisaːru] (引き潮{EOS}下げ潮)。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツカー ⸣クマーラ ⸣フネー ン⸢ザサリン⸣ドゥ ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢suː⸣nu ⸣miʦukaː ⸣kumaːra ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasarin⸣du ⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (潮が満たら此処から船は出されるが、潮が引いたら出されない) 8882 0 0 8367 htmvoc_8882.wav スー ⸣スー [⸣suː] 助数 船を数える単位。そう(艘)。 ⸢イッ⸣スー [⸢ʔis⸣suː] (1艘)。 ⸣ニスー [⸣nisuː] (二艘)。 ⸣サンズー [⸣sanʣuː] (三艘)。 ⸢ユンスー [⸢junsuː] (四艘)。 グ⸢スー [gu⸢suː] (五艘)。 ル⸢ク⸣スー [ru⸢ku⸣suː] (六艘) ナ⸢ナ⸣スー [na⸢na⸣suː] (七艘))。 ⸢ハッ⸣スー [⸢has⸣suː] (八艘)。 ⸢キュースー [⸢kjuːsuː] (九艘)。 ⸣ジッスー [⸣ʤissuː] (十艘)。 ⸣カマーラ ⸣フネー ⸣ナンズー ⸢クー⸣ワ [⸣kamaːra ⸣ɸuneː ⸣nanʣuː ⸢kuː⸣wa] (あそこから船は何艘来るか) 8863 0 0 8368 htmvoc_8863.wav ズー ⸣ズー [⸣ʣuː] 名 木の芯。ずい(髄)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ズーナ ッ⸢サール⸣ヌ ⸢ペー⸣リティ フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ベー [⸢kiː⸣nu ⸣ʣuːna s⸢saːru⸣nu ⸢peː⸣riti ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢beː] (木の芯に白蟻が入って、朽ちている)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ズー [⸢kiː⸣nu ⸣ʣuː] (木の髄{EOS}木の芯)。 ク⸢ルキー⸣ヌ ⸣ズーシ ⸢サンシン⸣ ス⸢ク⸣リ [ku⸢rukiː⸣nu ⸣ʣuːʃi ⸢saŋʃin⸣ su̥⸢ku⸣ri] (黒檀<黒木>の芯で三味線を作れ)。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ズー⸣ヤ フ⸢トゥッ⸣チティ シゥ⸢カーラヌ [⸢kiː⸣nu ⸢ʣuː⸣ja ɸu̥⸢tut⸣ʧiti sï̥⸢kaːranu] (木の芯は朽ちて使えない) 8884 0 0 8369 htmvoc_8884.wav ズー ⸣ズー [⸣ʣuː] 接尾 ~じゅう(中)。時間的空間的に全体にわたることを表す。その間ずっと。一面すべてに。 ⸣プスイピーズー [⸣pu̥suipiːʣuː] (一日中)。 イ⸢チニ⸣チズー [ʔi⸢ʧini⸣ʧiʣuː] (一日中)。 ク⸢トゥシズー [ku̥⸢tuʃiʣuː] (今年中)。 ⸣エンズーナ [⸣jenʣuːna] (来年中に)。 ⸢ニンズー [⸢ninʣuː] (年中)。 ム⸢ラズー [mu⸢raʣuː] (村中{EOS}村全体)。 パ⸢マウリソー⸣ジェー ム⸢ラズーヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ サンシキナー ウ⸢ロー⸣リ ニ⸢ビティ⸣ サ⸢カサ⸣ ティ⸢ジリ⸣ビーンケーヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソー⸣ル ⸣アイ ⸢ソー⸣ジ ⸢ソーッ⸣タ [pa⸢maʔurisoː⸣ʤeː mu⸢raʣuːnu⸣ pu̥⸢sunu⸣ saŋʃi̥kinaː ʔu⸢roː⸣ri ni⸢biti⸣ sḁ⸢kasa⸣ ti⸢ʤiri⸣biːŋkeːnu ⸢niŋ⸣gai ⸢soː⸣ru ⸣ʔai ⸢soː⸣ʤi ⸢soːt⸣ta] (浜下りソージには村中の人が桟敷に集まられ<下りられ>て、司やティジリビ<手擦り部>方が御嶽で祈願される間、桟敷で眠って<模擬一夜籠めの>精進をされた) 8885 0 0 8370 htmvoc_8885.wav ズー ⸣ズー [⸣ʣuː] 名 さかな(肴)。おじゅう(御重)。お重に盛る品は、⸢ミーシナズー[⸢miːʃinaʣuː](三品のお重)、イ⸢チシナ⸣ズー[ʔi⸢ʧiʃina⸣ʣuː](五品のお重)、ナ⸢ナシナ⸣ズー[na⸢naʃina⸣ʣuː](七品のお重)、ク⸢ヌシナ⸣ズー[ku⸢nuʃina⸣ʣuː](九品のお重)に盛るのが常であった。 ⸣ズー ム⸢ルン [⸣ʣuː mu⸢ruŋ] (肴<お重>を盛り付ける)。 ジ⸢ブ⸣クナー ム⸢チン⸣ ウサイン ⸣ズー ム⸢リティ⸣ シ⸢キ⸣ マ⸢チ⸣バ [ʤi⸢bu⸣kunaː mu⸢ʧiŋ⸣ ʔusain ⸣ʣuː mu⸢riti⸣ ʃi̥⸢ki⸣ ma⸢ʧi⸣ba] (重箱に餅も肴もお重盛りにしてお供えし、祭り<供え>なさい) 8886 0 0 8371 htmvoc_8886.wav ズー ⸢ズー [⸢ʣuː] 名 尾。しっぽ。⸢ブー[⸢buː]とは言わない。 ウ⸢シヌ ズー [ʔu⸢ʃinu ʣuː] (牛の尾)。 ⸢オー⸣ヌ ⸢ズー [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʣuː] (豚の尾)。 マ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ズー [ma⸢ja⸣nu ⸢ʣuː] (猫の尾)。 ⸢イン⸣ヌ ⸢ズー [⸢ʔin⸣nu ⸢ʣuː] (犬の尾)。 ウ⸢ヤザ⸣ヌ ⸢ズー [ʔu⸢jaʣa⸣nu ⸢ʣuː] (鼠の尾)。 パ⸢ブヌ ズー [pa⸢bunu ʣuː] (ハブの尾)。 ビ⸢キレー⸣ヌ ⸢ズー [bi⸢kireː⸣nu ⸢ʣuː] (トカゲ<蜥蜴>の尾)。 フ⸢ダッツメーヌ ズー [ɸu⸢datʦumeːnu ʣuː] (ヤモリ<守宮>の尾)。 イ⸢ズヌ ズー [ʔi⸢ʣunu ʣuː] (魚の尾)。 トゥ⸢ルヌ ズー [tu⸢runu ʣuː] (鶏の尾)。 ⸣パトゥザヌ ⸢ズー [⸣pḁtuʣaːnu ⸢ʣuː] (鳩の尾)。 ⸣ズームッカー [⸣ʣuːmukkaː] (しっぽのないもの)。 ⸢イン⸣ヌ ⸢ズー フンク⸣カー ⸢ホー⸣リン⸢ダー [⸢ʔin⸣nu ⸢ʣuː ɸuŋku⸣kaː ⸢hoː⸣rin⸢daː] (犬のしっぽを踏むと咬まれるよ) 8887 0 0 8372 htmvoc_8887.wav スーアガリ ⸢スーアガ⸣リ [⸢suːʔaga⸣ri] 名 高潮。台風時に海水が海岸を越えて陸地に上がること。「潮上がり」の義。 ⸢ミッ⸣タニ アレー⸢サンドゥ マンチョー⸣ナ ウ⸢ブタイフーヌ⸣ ア⸢タル⸣カー ⸢スーアガ⸣リ ⸢シー⸣ マンタヌ ⸣ミチェー ⸣スー カ⸢バ⸣ス ⸣クトゥン ⸢アッ⸣タン [⸢mit⸣tani ʔareː⸢sandu manʧoː⸣na ʔu⸢butaiɸuː⸣nu ʔa⸢taru⸣kaː ⸢suːʔaga⸣ri ⸢ʃiː⸣ mantanu ⸣miʧeː ⸣suː ka⸢ba⸣su ⸣ku̥tuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (滅多に有りはしないが、満潮時に大台風が当たると高潮になって前の道は潮が\ruby{被}{カブ}す<海水が冠水する>こともあった) 8888 0 1 8373 htmvoc_8888.wav スーアタリ ⸢スーアタ⸣リ [⸢suːʔata⸣ri] 名 {Mn_1}台風の直撃を受けること。台風で大きな被害を受けること。「強当り」の義。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸢タイ⸣フーナー ⸢スーアタ⸣リ ⸢シーティル カー⸣ラン トゥ⸢バサレー⸣ティ⸢ダー [⸢kundu⸣nu ⸢tai⸣ɸuːnaː ⸢suːʔata⸣ri ⸢ʃiːtiru kaː⸣ran tu⸢basareː⸣ti⸢daː] (今度の台風に直撃<強当り>されて瓦も飛ばされたのだそうだよ)。 8888 0 2 8374 htmvoc_8888.wav スーアタリ ⸢スーアタ⸣リ [⸢suːʔata⸣ri] 名 {Mn_2}流行病に罹って重篤になること。 パ⸢ヤー⸣ルナ ⸢スーアタ⸣リ ⸢シーティ⸣ ビ⸢ザーカサリ ベー [pa⸢jaː⸣runa ⸢suːʔata⸣ri ⸢ʃiːti bi⸢ʣaːkasari beː] (流行病に罹って重篤になり、打ちのめされて<潰されて>いる) 8889 0 0 8375 htmvoc_8889.wav スーガイ ⸢スー⸣ガイ [⸢suː⸣gai] 名 汁杓子。昔はキ⸢ザ⸣ク[ki⸢ʣa⸣ku](アカガイ{EOS}直径約7センチの円形の貝)の貝殻を木の枝や竹を裂いて挟み込み、強く縛って汁杓子に作った。戦後、金属製の御玉杓子が出回るようになって使用されなくなった。 ム⸢カ⸣シェー キ⸢ザク⸣ヌ グ⸢ル⸣シル ⸢スーガイ⸣ヤー ス⸢ク⸣ローッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ki⸢ʣaku⸣nu gu⸢ru⸣ʃiru ⸢suːgai⸣jaː su̥⸢ku⸣roːtta] (昔はアカガイの貝殻で汁杓子を作られた) 8891 0 0 8376 htmvoc_8891.wav スーカカラー ⸢スーカカ⸣ラー [⸢suːkaka⸣raː] 副 すること総て。ことごとく(悉く)。総て。 シ⸢グトー スーカカ⸣ラー ムー⸢ル ウーモーキ [ʃi⸢gutoː suːkaka⸣raː muː⸢ru ʔuːmoːki] (仕事はするもの総て大儲け) 8892 0 0 8377 htmvoc_8892.wav スーガカリ ⸢スーガカ⸣リ [⸢suːgaka⸣ri] 名 総掛かり。 ミ⸢チクサイヤー⸣ ム⸢ラズー スーガカ⸣リ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢ʧikusaijaː⸣ mu⸢raʣuː suːgaka⸣ri ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (道普請は村中総掛かりでしないと出来ない) 8893 0 0 8378 htmvoc_8893.wav スーカザ ⸢スー⸣カザ [⸢suː⸣kaʣa] 名 潮の香。磯の香。 パ⸢マバ⸣タヤー ヤ⸢ルンダ スー⸣カザ カ⸢ビル⸣<カ⸢ビティル⸣> ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナレール [pa⸢maba⸣tajaː ja⸢runda suː⸣kaʣa ka⸢biru⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su nareːru] (海岸に近い<浜端の>家だから磯の香を嗅いで大きく成長した<大人になった>のだ) 3256 0 0 8379 htmvoc_3256.wav スーカジ ⸢スー⸣カジ [⸢suː⸣kaʤi] 名 潮含みの台風雨。「潮風」の義。台風の時に吹き込む潮交じりの雨風。 ⸢バン⸣テーヤ パ⸢マバ⸣タヤー ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢ジフキサーレー スーカジ⸣ヌ フ⸢キクミ⸣ス [⸢ban⸣teːja pa⸢maba⸣tajaː ja⸢runda⸣ ka⸢ʤiɸu̥kisaːreː suːkaʤi⸣nu ɸu̥⸢kikumi⸣su] (私の家は海岸端の家だから台風の時は潮風<潮交じりの強風雨>が家の中へ吹き込むよ)。 ⸢スーカジ⸣ヌ ⸣フキ ス⸢クリ⸣ムノー サ⸢リナー⸣ヌ [⸢suːkaʤi⸣nu ⸣ɸu̥ki su̥⸢kuri⸣munoː sa⸢rinaː⸣nu] (潮水を含んだ暴風雨<潮風>が吹いて作物は枯れてしまった) 8895 0 0 8380 htmvoc_8895.wav スーカジ ⸢スーカジ [⸢suːkaʤi] 名 強風。強い風。 フ⸢クンキーヤ スーカジヌ⸣ カ⸢タ⸣カ ⸢スン [ɸu̥⸢kuŋkiːja suːkaʤinu⸣ kḁ⸢ta⸣ka ⸢suŋ] (福木は強風の防護壁の機能を果たす<風除けをする{EOS}強風の防護壁をつくる>) 8896 0 0 8381 htmvoc_8896.wav スーカムイ ⸢スーカム⸣イ [⸢suːkamu⸣i] 名 総責任。「総係り」の義。「総・構い」の転訛したもの。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸢ユーズ⸣ヌ ⸢スーカムイ⸣ヤー ⸢タール⸣ シ⸢トゥミル⸣ワ [⸢kundu⸣nu ⸢juːʣu⸣nu ⸢suːkamui⸣ja ⸢taːru⸣ ʃi̥⸢tumiru⸣wa] (今度の行事の総責任は誰が務めるか) 8897 0 0 8382 htmvoc_8897.wav スーカン ⸢スー⸣カン [⸢suː⸣kaŋ] 名 「しおかん(潮乾)」の義。西表島の山から伐り出した材木は白蟻対策として、その建築用材を海水につけて灰汁抜き乾燥させた。砂浜を掘って半年ほど埋めたり、海中に沈めて重石をかけておいた後、陸揚げ後⸢キー⸣ヤー[⸢kiː⸣jaː](木材乾燥小屋)で自然乾燥させた。 ッ⸢サール⸣ヌ ⸢ペーラン⸣ヨーニ ⸢ザイギー⸣バ ス⸢ナカ⸣ナー ⸢スー⸣カン ⸢ソーッタ [s⸢saːru⸣nu ⸢peːraɲ⸣joːni ⸢ʣaigiː⸣ba su⸢naka⸣naː ⸢suː⸣kan ⸢soːt⸣ta] (白蟻が入らぬように材木を海で潮乾をされた) 8898 0 0 8383 htmvoc_8898.wav スーキ ⸢スー⸣キ [⸢suː⸣ki] 名 潮気。 パ⸢マバ⸣タヤーヤ ⸢スーキ⸣ヌ ⸢スー⸣ワン [pa⸢maba⸣tajaːja ⸢suːki⸣nu ⸢suː⸣waŋ] (浜端の家は潮気が強い) 8864 0 0 8384 htmvoc_8864.wav スーキリ ⸢スー⸣キリ [⸢suː⸣kiri] 名 水切り。海面に平たい小石や瓦のかけらを投げて海面を飛び跳ねさせて遊ぶこと。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー パ⸢マ⸣ナー ⸣ユー ⸢スーキリ⸣バ ⸢シェー⸣ティ ア⸢サブタン⸣ダー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː pa⸢ma⸣naː ⸣juː ⸢suːkiri⸣ba ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢sabutan⸣daː] (子供の頃は浜でよく水切りをして遊んだよ) 8899 0 0 8385 htmvoc_8899.wav スーク ⸢スー⸣ク [⸢suː⸣ku] 名 証拠。あかし。 ⸢フンドゥ⸣ヌ カ⸢タヌ ヤーパン⸣ル ⸢バン⸣テヌ ⸢ドング⸣ヌ スー⸣ク⸢ダー [⸢ɸundu⸣nu kḁ⸢tanu jaːpan⸣ru ⸢ban⸣tenu ⸢doŋgu⸣nu ⸢suː⸣ku⸢daː] (ちきり<滕>の型の家判が私の家の道具である証拠だよ)。 ⸢ワー⸣ ムヌティ ア⸢ズ スーク⸣ヌ ⸢アン [⸢waː⸣ munuti ʔa⸢ʣu suːku⸣nu ⸢ʔaŋ] (君の物だという証拠があるか)。 ⸢スーク⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー プ⸢スバ⸣ ウ⸢タガイヤー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢suːku⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢tagaijaː⸣ ʔna⸢ra⸣nu] (証拠がないと他人を疑ってはならない) 8904 0 0 8386 htmvoc_8904.wav スークニン ⸢スーク⸣ニン [⸢suːku⸣niŋ] 名 証人。「証拠人」の義。ク⸢レー バン⸣テヌ ⸣ムヌ ヤ⸢ルムヌ ワッ⸣テヌ ⸣ムヌティ ⸢スー スーク⸣ヌ ⸢アン。⸣アルカー ⸢スーク⸣ニン ⸢サーリ⸣クー[ku⸢reː ban⸣tenu ⸣munu ja⸢rumunu wat⸣tenu ⸣munuti ⸢suː suː⸣kunu ⸢ʔaŋ⸣。ʔarukaː ⸢suːku⸣nin ⸢saːri⸣ kuː](これは私の家のものだのに、貴方の家のものという証拠があるか{EOS}あるなら証人を連れて来い) 8900 0 0 8387 htmvoc_8900.wav スーサー ⸢スー⸣サー [⸢suː⸣saː] 名 蝉の一種。青蝿ほどの大きさで、4月~5月頃に畑の側のススキの中で鳴く。 ⸢スーサー⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ナ⸢チヌ⸣ シチ ⸢ペー⸣ルン [⸢suːsaː⸣nu na⸢ku⸣kaː na⸢ʧinu⸣ ʃi̥ʧi ⸢peː⸣ruŋ] (スーサー<ヒヨドリ>が鳴くと夏の季節に入る) 8901 0 0 8388 htmvoc_8901.wav スーザラシ ⸢スーザラ⸣シ [⸢suːʣara⸣ʃi] 名 ⸢潮晒し」の義。織り上げた芭蕉布や麻布を海水で洗い日干しにして晒した。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ヌーヌバ⸣ ス⸢ナカ⸣ナー ア⸢ライ⸣ プシェーティ ⸢スーザラ⸣シ ⸢ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢nuːnuba⸣ su⸢naka⸣naː ʔa⸢rai⸣ pu̥ʃeːti⸣ ⸢suːʣara⸣ʃi ⸢soːt⸣ta] (昔は布を海で洗い、干して潮晒しされた) 8906 0 0 8389 htmvoc_8906.wav スージ ⸢スー⸣ジ [⸢suː⸣ʤi] 名 小路。路地(露地)。狭い道路。 ⸢スー⸣ジスージナー フ⸢クンキーヌ⸣ イ⸢バリブン [⸢suː⸣ʤisuːʤinaː ɸu̥⸢kuŋkiːnu⸣ ʔi⸢bari buŋ] (露地毎に福木が植えられている) 8905 0 0 8390 htmvoc_8905.wav ズーシ ⸢ズー⸣シ [⸢ʣuː⸣ʃi] 名 おじやの総称。「雑炊」の義。炊飯の仕方によって⸣シルズーシ[⸣ʃiruʣuːʃi](汁雑炊)。 ピ⸢サシズー⸣シ [pi̥⸢saʃiʣuː⸣ʃi] (硬めに炊いた雑炊)。 ⸢コーズー⸣シ [⸢koːʣuː⸣ʃi] (強雑炊)。⸢ピン⸣ガンズーシー[⸢piŋ⸣ganʣuːʃiː](彼岸雑炊{EOS}豚肉を賽の目に切り、ネギを細く下ろして混ぜて炊いた彼岸雑炊)などがある。普通は粳米を用い、豚肉の三枚肉を賽の目に切り、魚肉、⸣クブ[⸣kubu](昆布)を2センチほどに千切りにして混ぜ、味付けをして炊飯した強飯である。 ⸢ズー⸣シェー ⸢ピン⸣ガンズーシートゥ ⸢ソーラン⸣ヌ ン⸢カイズーシル⸣ ン⸢マー⸣タ [⸢ʣuː⸣ʃeː ⸢piŋ⸣ganʣuːʃiːtu ⸢soːran⸣nu ʔŋ⸢kaiʣuːʃiːru⸣ ʔm⸢maː⸣ta] (雑炊は彼岸雑炊とお盆の祖霊迎えの⸢迎え雑炊」が美味しかった) 8907 0 0 8391 htmvoc_8907.wav スーシキ ⸢スー⸣シキ [⸢suː⸣ʃi̥ki] 名 塩漬け。 イ⸢ズン⸣ タクン ⸢スー⸣シキ シ⸢ティル⸣ フ⸢ユヌ⸣ カ⸢ティ⸣ムヌ タ⸢ブイオーッ⸣タ [ʔi⸢ʣun⸣ tḁkun ⸢suː⸣ʃi̥ki ʃi̥⸢tiru⸣ ɸu⸢junu⸣ kḁ⸢ti⸣munu ta⸢buioːt⸣ta] (魚も蛸も塩漬けにして冬用の副食物として保存された) 8909 0 0 8392 htmvoc_8909.wav スーシキイガ ⸢スーシキ⸣イガ [⸢suːʃi̥ki⸣ʔiga] 名 イカ(烏賊)の塩漬け。「塩漬けイカ」の義。 ⸢スーシキ⸣イガー ⸢イットゥ⸣ダルナー シ⸢キティ⸣ イ⸢サンケー⸣ ム⸢タシ⸣タ [⸢suːʃi̥ki⸣ʔigaː ⸢ʔittu⸣tarunaː ʃi̥⸢kiti⸣ ʔi⸢saŋkeː⸣ mu⸢taʃi̥⸣ta] (塩漬けイカは1斗樽に塩漬けして石垣島へ送った<持たせた>) 8908 0 0 8393 htmvoc_8908.wav スーシキイズ ⸢スーシキ⸣イズ [⸢suːʃi̥ki⸣ ʔiʣu] 名 塩漬けの魚。 シ⸢ヌマー⸣ル [ʃi⸢numaː⸣ru] (てんぐはぎ) ⸣ニーバル [⸣niːbaru] (はた) カ⸢タカシ [kḁ⸢takaʃi] (いんどひめじ) ⸢オン⸣デー [⸢ʔon⸣deː] (じゃばあいご) ⸢ボー⸣ダ [⸢boː⸣da] (きつねぶだい))。⸢アー⸣ガイ[⸢ʔaː⸣gai](ひぶだい)などを塩漬けにして保存した。 ⸢スーシキ⸣イゾー ⸣ダシェー ⸣ヌギティ ン⸢マーナー⸣ヌ [⸢suːʃi̥ki⸣ʔiʣoː ⸣daʃeː ⸣nugiti ʔm⸢maːnaː⸣nu] (塩漬け魚は出汁が抜けてしまって美味しくない)。 ⸢スーシキ⸣イゾー ⸢スー⸣ヌギ ⸢サン⸣カー サ⸢クラーン⸣ダー [⸢suːʃi̥ki⸣ʔiʣoː ⸢suː⸣nugi ⸢saŋ⸣kaː sḁ⸢kuraːn⸣daː] (塩漬けした魚は塩抜きしないと塩辛いよ) 8910 0 0 8394 htmvoc_8910.wav スーシキタク ⸢スーシキ⸣タク [⸢suːʃi̥ki⸣tḁku] 名 塩漬けのタコ(蛸)。「塩漬けタコ」の義。 ⸢スーシキ⸣タコー ⸢ティー⸣ヤ ⸣サキティ パ⸢リタク スー⸣カー ナ⸢ガタブイ⸣ シ⸢ラリン⸣ダー [⸢suːʃi̥ki⸣tḁkoː ⸢tiː⸣ja ⸣sḁkiti pa⸢ritaku suː⸣kaː na⸢gatabui⸣ ʃi⸢rarin⸣daː] (塩漬けタコは、手を割いて張りタコにすると長期保存できるよ) 8911 0 0 8395 htmvoc_8911.wav スーシキムヌ ⸢スーシキ⸣ムヌ [⸢suːʃi̥ki⸣munu] 名 塩漬け。「塩漬け物」の義。 ⸢スーシキ⸣ムノー ⸢ヌー⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [⸢suːʃi̥ki⸣munoː ⸢nuː⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (塩漬けには何が<何の塩漬けが>あるのか) 8912 0 0 8396 htmvoc_8912.wav スーシキルン ⸢スーシキ⸣ルン [⸢suːʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 塩漬けにする。「塩漬ける」の義。野菜や肉類を塩漬けにする。 ⸢スーシキラン⸣カー タ⸢ボーランバ スーシキ⸣リ⸢ヨー [⸢suːʃi̥kiraŋ⸣kaː ta⸢boːramba suːʃi̥ki⸣ri⸢joː] (塩漬けしないと保存できないから塩漬けしなさいよ)。 ⸢スー⸣シキ ⸣ミサムノー ⸣ドゥーシ ⸢スーシキ⸣ルン [⸢suː⸣ʃi̥ki ⸣misamunoː ⸣duːʃi ⸢suːʃi̥ki⸣ruŋ] (塩漬けして良いものは自分で塩漬けする)。 ⸢スーシキ⸣ル ⸣ムノー ⸢パイ⸣サ ⸢スーシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢suːʃi̥ki⸣ru ⸣munoː ⸢pai⸣sa ⸢suːʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (塩漬けするものは早く塩漬けすればよいのに) 8902 0 0 8397 htmvoc_8902.wav スーシグトゥ ⸢スーシグ⸣トゥ [⸢suːʃigu⸣tu] 名 辛い仕事。激務。「強仕事」の義。 ア⸢ラシアケー スーシグ⸣トゥ ⸢ヤッタ [ʔa⸢raʃiʔakeː suːʃigu⸣tu ⸢jatta] (新しく開墾することは辛い仕事であった) 8918 0 0 8398 htmvoc_8918.wav スーシトゥキ ⸢スーシトゥ⸣キ [⸢suːʃi̥tu⸣ki] 名 潮時。満ち潮時。引き潮時。家庭における慶事は満ち潮の時、凶事や葬儀などは引き潮に行う慣例がある。 ⸢スーシトゥキ⸣バ ア⸢ティティル⸣ ノー⸢ン ソーッ⸣タ [⸢suːʃi̥tuki⸣ba ʔa⸢titiru⸣ noː⸢n soːt⸣ta] (満ち潮、引き潮の潮時に合わせ<当て>て<ぞ>何事もされた) 8913 0 0 8399 htmvoc_8913.wav スーズーワン ⸢スーズー⸣ワン [⸢suːʣuː⸣waŋ] 形 塩分が濃い。塩っ気が強い。 ⸢スーシキ⸣ムノー ⸢スーズー⸣ワン [⸢suːʃi̥ki⸣munoː ⸢suːʣuː⸣waŋ] (塩漬けは塩分が濃い<塩っ気が強い>)。 ウ⸢レー ナン⸣ゾー ⸢スーズーワ ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː nan⸣ʣoː ⸢suːʣuːwa naː⸣nu] (それはあまり塩っ気が強くない)。 ⸢スーズー⸣ワ ⸣ムノー ッ⸢ふーナ [⸢suːʣuː⸣wa ⸣munoː f⸢fuːna] (塩分の濃い物は食べるな)。 ⸢シンダイ スーズー⸣ワ ⸣ナルン [⸢ʃindai suːʣuː⸣wa ⸣naruŋ] (次第に塩分が濃くなる) 8914 0 0 8400 htmvoc_8914.wav スースクン ⸢スー⸣スクン [⸢suː⸣su̥kuŋ] 他動 塩漬けする。「塩漬く」の義。 ⸢カーサンドー⸣シ ⸢スー⸣スクン⸢デー⸣カー ⸢スー⸣シキ ⸣ミサンドゥ ⸣ナルカー ⸢スーシカン⸣ドーシ ⸢カーシ⸣バ [⸢kaːsandoː⸣ʃi ⸢suː⸣su̥kun⸢deː⸣ka ⸢suː⸣ʃi̥ki ⸣misandu ⸣narukaː ⸢suːʃi̥kan⸣doːʃi ⸢kaːʃi⸣ba] (売らないで塩漬けするなら塩漬けしてもよいが、出来るなら塩漬けしないで売りなさいよ)。 ⸢スー⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢suː⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (塩漬けすればよいのに) 8919 0 1 8401 htmvoc_8919.wav スータイ ⸢スー⸣タイ [⸢suː⸣tai] 名 {Mn_1}所帯。 ウ⸢レー スー⸣タイ ム⸢ティ⸣ムヌ⸢ダー [ʔu⸢reː suː⸣tai mu⸢ti⸣munu⸢daː] (彼は所帯持ちだよ)。 8919 0 2 8402 htmvoc_8919.wav スータイ ⸢スー⸣タイ [⸢suː⸣tai] 名 {Mn_2}家計。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢スータイ⸣ヤー トゥ⸢ジヌル⸣ カ⸢サミ オー⸣ル [⸢ʔun⸣nenu ⸢suːtai⸣jaː tu⸢ʤinuru⸣ kḁ⸢sami ʔoː⸣ru] (あの家の家計は妻が管理して<把握して>おられる)。 8919 0 3 8403 htmvoc_8919.wav スータイ ⸢スー⸣タイ [⸢suː⸣tai] 名 {Mn_3}つづまやか(約やか)にすること。節約すること。倹約すること。うまく節約して上手に使うこと。ア⸢ラシゥカイ[ʔa⸢rasï̥kai](荒使い)の対義語。 ⸢バン⸣テヌ ユ⸢メー⸣ イッ⸢ケナ スー⸣タイ ム⸢ティゾー⸣ジ [⸢ban⸣tenu ju⸢meː⸣ ʔik⸢kena suː⸣tai mu⸢tiʣoː⸣ʤi] (家の嫁は非常に家計節約が上手である<倹約して家計を切り盛りするのが上手である>)。 ⸢スー⸣タイ ⸢シール ジン⸣マー シゥ⸢カウ⸣ダー ア⸢ラシゥカイヤー サン⸣ダー [⸢suː⸣tai ⸢ʃiːru ʤim⸣maː sï̥⸢kau⸣daː ʔa⸢rasï̥kaijaː san⸣daː] (倹約をしてお金は使うのだよ{EOS}荒使いはしないよ) 8920 0 0 8404 htmvoc_8920.wav スータイ ⸢スー⸣タイ [⸢suː⸣tai] 名 出し汁になるもの。⸢スー⸣ダシとも言う。 ⸢スー⸣タイ シ⸢ラリムノー⸣ ノー⸢ン ナー⸢ヌ [⸢suː⸣tai ʃi⸢rari munoː⸣ noː⸢n naː⸢nuː] (出し汁になるものは何かないか) 8921 0 0 8405 htmvoc_8921.wav スーダイ ⸢スー⸣ダイ [⸢suː⸣dai] 名 総代。部落会長に相当する役職。部落行事の総責任者。現在では公民館長がそれに相当する。シ⸢マム⸣チユームチ[ʃi⸢mamu⸣ʧijuːmuʧi](島持ち世持ち)ともいわれた。昭和30年代ごろまでは、島の新年の第1回部落常会で⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai]以下の役員が選出された。⸢スー⸣ダイは西村、東村の総代表で、その下に東支会長、西支会長としてヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](役者)各1名と、その補佐役に⸢ジンバイ[⸢ʤimbai](配膳係)1名、⸢ザーアタ⸣ル[⸢ʣaːʔata⸣ru](座席係り)1名の2名が東、西支会より選出された。⸢スー⸣ダイ(総代)は島の神行事や部落の行事について、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)やティジリビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性神職者)と相談して日程を取り決め、執行する責任者であった。これに選出されることは大変名誉なことで、部落へのお礼として常会の席で酒を寄贈する習慣があった。 ム⸢カ⸣シェー ビ⸢コーンッふァヌ⸣ マ⸢リル⸣カー シ⸢マム⸣チユームチ ⸣ナリ ⸢タボー⸣リティル ⸣ニガイ ⸢オーッ⸣タヌ ウ⸢レー スーダイ⸣ヌ ⸣クトゥ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː bi⸢koːŋffanu⸣ ma⸢riru⸣kaː ʃi⸢mamu⸣ʧijuːmuʧi ⸣nari ta⸢boː⸣ritiru ⸣nigai ⸢ʔoːtta⸣nu ʔu⸢reː suːdai⸣nu ku̥tu⸢daː] (昔は男の子が生まれたら島持ち世持ちになるよう祈願されたが、それは総代のことだよ) 8922 0 0 8406 htmvoc_8922.wav スーダカ ⸢スー⸣ダカ [⸢suː⸣daka] 名 総高。総計。合計。 カ⸢ツシンヌ スー⸣ダカ [kḁ⸢ʦuʃinnu suː⸣daka] (カツオ漁船の総漁獲高)。 ⸢マイヌ スー⸣ダカ [⸢mainu suː⸣daka] (米の総生産高)。 ⸢イーシ⸣ヌ ⸢スー⸣ダカー ク⸢トゥシル ゴー⸣ラータツォー [⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢suː⸣dakaː ku̥⸢tuʃiru goː⸣raːtaʦoː] (ツノマタの総採取高は今年が多かったそうだよ) 8916 0 0 8407 htmvoc_8916.wav スーチ ⸢スー⸣チ [⸢suː⸣ʧi] 名 干潮。しおひ(潮干)。「難波潟 潮干<シホヒ>のなごりよく見てむ~。万、976」の転訛したものか。「潮引き」のこと。 ⸢サンガチ⸣ヌ ⸢スー⸣チ ⸣ナルカー タ⸢ク⸣ トゥリン ⸣パル ス⸢コール⸣ シ⸢ティ⸣ イ⸢ソーシン パッ⸣タ [⸢saŋgaʧi⸣nu ⸢suː⸣ʧi ⸣naːrukaː tḁ⸢ku⸣ turim ⸣paru su̥⸢koːru⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔi⸢soːʃim pat⸣ta] (三月の大潮干の時になると、蛸獲りに行く準備をして潮干狩りに行った) 8917 0 0 8408 htmvoc_8917.wav スーチズー ⸢スー⸣チズー [⸢suː⸣ʧiʣuː] 名 大潮干。大干潮の潮時。 ⸢サンガチ⸣ヌ ⸢スー⸣チズー ⸣ナルカー ⸢ターティ ナー⸣ン ムー⸢ル⸣ イ⸢ソー シン パッ⸣タ [⸢saŋgaʧi⸣nu ⸢suː⸣ʧiʣuː ⸣narukaː ⸢taːti naː⸣m muː⸢ru⸣ ʔi⸢soːʃim pat⸣ta] (三月の大潮干の日になったらば誰彼となく皆潮干狩りに行った) 8953 0 0 8409 htmvoc_8953.wav スーッふァースン ⸢スーッふァー⸣スン [⸢suːffaː⸣suŋ] 他動 塩漬けにする。塩を塗りつける。「塩喰わす」の義。 イ⸢ゾー⸣ ピ⸢サー⸣ ン⸢コー⸣シ<⸢ウコー⸣シ> ⸢スーッふァー⸣シティ ⸣プシバ [ʔi⸢ʣoː⸣ pi̥⸢saː⸣ ʔŋ⸢koː⸣ʃi<⸢ʔukoː⸣ʃi> ⸢suːffaː⸣ʃi̥ti ⸣pu̥ʃiba] (魚は三枚下ろしにして塩を塗りつけて<喰わして>日に干しなさい)。 ⸢スーッふァー⸣スンティ ⸢ベー⸣ンヌンドゥ ⸢タン⸣ガシェー ⸢スーッふァーサラン⸣バ ⸢スーッふァー⸣ス プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸣クー [⸢suːffaː⸣sunti ⸢beː⸣nundu ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢suːffaːsaram⸣ba ⸢suːffaː⸣su pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi ⸣kuː] (塩漬けにしようとしているが、一人では塩漬け出来ないから塩漬けする人を頼んできなさい)。 ク⸢レー スーッふァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ku⸢reː suːffaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (これは塩漬けすればいいのに)。 ヤー⸢ディン スーッふァー⸣シ [jaː⸢din suːffaː⸣ʃi] (必ず塩漬けしなさい) 8923 0 0 8410 htmvoc_8923.wav スーティダ ⸢スー⸣ティダ [⸢suː⸣tida] 名 強烈な日光。烈日。 ⸢スー⸣ティダナー プ⸢サ⸣レーティ ⸢イー⸣シ イ⸢ルンカスンティ アー⸣ク [⸢suː⸣tidanaː pu̥⸢sa⸣reːti ⸢ʔiː⸣ʃi ʔi⸢ruŋkasunti ʔaː⸣ku] (正午の強烈な陽光に晒されて<干されて>、ツノマタを裏返して天日乾燥しようとしている) 8925 0 0 8411 htmvoc_8925.wav スートゥンガー ⸢スートゥン⸣ガー [⸢suːtuŋ⸣gaː] 名 重い罰。重科。厳罰。「強科」の義。 ⸣ウヤン ⸢スートゥン⸣ガー ッ⸢ふァーサリティ⸣ ナ⸢キベー [⸣ʔujan ⸢suːtuŋ⸣gaː f⸢faːwariti⸣ na⸢kai beː] (親に厳罰をくわされて泣いている) 8926 0 0 8412 htmvoc_8926.wav スーナビ ⸢スー⸣ナビ [⸢suː⸣nabi] 名 汁鍋。お汁を炊く鍋。つるなべ(釣鍋)。つるかけ。 ⸢スー⸣ナビナー イ⸢ズン⸣ タクン イ⸢リティ⸣ バ⸢カシ⸣バ [⸢suː⸣nabinaː ʔi⸢ʣun⸣ tḁkuŋ ʔi⸢riti⸣ ba⸢kaʃi⸣ba] (汁鍋に魚も蛸も入れて炊きなさいよ)。 ⸢スー⸣ナベー シ⸢ケー⸣ン [⸢suː⸣nabeː ʃi̥⸢keː⸣ŋ] (汁鍋は火に掛けてある)。 ⸢スー⸣ナビ カ⸢マチェー⸣ラ ウ⸢ティリ [⸢suː⸣nabi ka⸢maʧeː⸣ra ʔu⸢tiri] (汁鍋を竈から下ろせ) 8929 0 0 8413 htmvoc_8929.wav スーナマルン ⸣スー ナ⸢マ⸣ルン [⸣suː na⸢ma⸣ruŋ] 連 小潮になる。「潮の干満が\ruby{鈍}{ナマ}る」の義。上弦、下弦の弦月の頃、潮の干満の差が最少となる。「潮・鈍る」の義。 シ⸢キ⸣ヌ バ⸢カー⸣ ピンマー ⸢スー⸣ヤ ナ⸢マ⸣ルン [ʃi̥⸢ki⸣nu ba⸢kaː⸣ pimamː ⸢suː⸣ja na⸢ma⸣ruŋ] (月が若い<上弦・下弦の月>時は、潮はあまり引かない<小潮になる>)。 ⸢スー⸣ヤ ナ⸢マ⸣リティ ピ⸢サン⸣バ イ⸢ソー⸣ パ⸢ラ⸣ヌ [⸢suː⸣ja na⸢ma⸣riti pi̥⸢sam⸣ba ʔi⸢soː⸣ pa⸢ra⸣nu] (小潮になって、潮があまり引かないので潮干狩りには行かない) 8931 0 0 8414 htmvoc_8931.wav スーニ ⸢スーニ [⸢suːni] 連 するように。するままに。 ウ⸢リヌ スーニ⸣ シ⸢ミル⸣カー ヤ⸢ブリ⸣スンダ シ⸢ミルナ [ʔu⸢rinu suːni⸣ ʃi⸢miru⸣kaː ja⸢buri⸣sunda ʃi⸢miruna] (彼がするようにさせると、失敗する<破れる>から、させるな) 8932 0 0 8415 htmvoc_8932.wav スーニチ ⸢スー⸣ニチ [⸢suː⸣niʧi] 名 高熱。「強熱」の義。 ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢ナシケー スーニチ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンティ ア⸢ザリ ブー⸠ダー [⸢kundu⸣nu pa⸢naʃi̥keː suːniʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣runti ʔa⸢ʣari buː⸠daː] (今度の風邪は高熱がでると言われているよ) 8933 0 0 8416 htmvoc_8933.wav スーヌアリー ⸢スー⸣ヌ ⸣アリー [⸢suː⸣nu ⸣ʔariː] 連 お汁の実。お汁の中に入れる野菜や肉。お汁の具。⸣アリー[⸣ʔariː]は「洗い(洗魚)」の転訛したものか。 ⸢スー⸣ヌ ⸣アリー ノー⸢ン⸣ ヤ⸢ラバン カイ⸣ クーバ [⸢suː⸣nu ⸣ʔariː noː⸢ŋ⸣ ja⸢rabaŋ kai⸣ kuːba] (お汁の実<具>を何でもいいから買ってきなさいよ) 8946 0 0 8417 htmvoc_8946.wav スーヌギ ⸢スー⸣ヌギ [⸢suː⸣nugi] 名 塩抜き。塩漬け魚や塩漬け豚肉などを真水に浸けて塩分を抜くこと。 ⸢スーシキ⸣イゾー ⸢スー⸣ヌギ ⸢サン⸣カー サ⸢クラー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸢suːʃi̥ki⸣ʔiʣoː ⸢suː⸣nugi ⸢saŋ⸣kaː sḁ⸢kuraː⸣nu f⸢faːranu] (塩漬けの魚は塩抜きをしないと、塩辛くて食えない)。⸢スー⸣ヌキ[⸢suː⸣nuki](塩抜き)ともいう 8934 0 0 8418 htmvoc_8934.wav スーヌナーリ ⸢スー⸣ヌ ⸢ナー⸣リ [⸢suː⸣nu ⸢naː⸣ri] 連 海流。「潮の流れ」の転訛したもの。 ユ⸢ノーラミゾー スー⸣ヌ ⸢ナーリ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣ンダ ナ⸢クラーン⸣ダー [ju⸢noːramiʣoː suː⸣nu ⸢naːri⸣nu pa⸢jaː⸣nda na⸢kuraːn⸣daː] (ユノーラ海峡<澪・水脈>は海流<潮の流れ>が早いから怖いよ) 8935 0 0 8419 htmvoc_8935.wav スーヌヌールン ⸢スー⸣ヌ ⸢ヌールン [⸢suː⸣nu ⸢nuːruŋ] 連 大潮で海水が水田や畑に流入すること。 ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸢ウー⸣スー ⸣ナルカー ⸢スー⸣ヌ ⸢ヌールン [ku⸢nu taː⸣ja ⸢ʔuː⸣suː ⸣narukaː ⸢suː⸣nu ⸢nuːruŋ] (この田圃は大潮になると海水が上がって流入する<昇ってくる>) 8947 0 1 8420 htmvoc_8947.wav スーヌパナ ⸢スーヌ⸣パナ [⸢suːnu⸣pana] 名 {Mn_1}「潮の花」の義。正月四日に、人がまだ脚を入れていない海の渚から潮水を7回掴み取るようにして汲み取り、火の神として祀ってある三個の石を洗い清めたり、屋敷のお祓いとして撒き清めたりする海水。 ⸣ソンガチ ⸢ユッカヌ⸣ ピンマー ⸢スーヌ⸣パナ フ⸢ミオー⸣リ ピ⸢ナカン⸣ ア⸢ライ ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナー ⸢パン⸣キティ キ⸢ユミ⸣ソーッタ [⸣soŋgaʧi ⸢jukkanu⸣ pimmaː ⸢suːnu⸣pana ɸu⸢mioː⸣ri pi⸢nakaŋ⸣ ʔa⸢rai jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣naː ⸢paŋ⸣kiti ki⸢jumi⸣soːtta] (正月四日には潮の花を汲んで来られて、火の神のご神体<三個の石>を洗い、屋敷に撒いたりして祓い清められた)。 ⸢スーヌ⸣パナ ナ⸢ナム⸣シ ス⸢クイ⸣キー ⸢ヤー⸣ザライ ⸢シー⸣バ [⸢suːnu⸣pana na⸢namu⸣ʃi su̥⸢kui⸣kiː ⸢jaː⸣ʣarai ⸢ʃiː⸣ba] (潮の花を七回掬ってきて家浚え<お祓い>をしなさいよ)。 8947 0 2 8421 htmvoc_8947.wav スーヌパナ ⸢スーヌ⸣パナ [⸢suːnu⸣pana] 名 {Mn_2}潮の花。岩に砕け散る波のしぶき(飛沫)。 ⸢スーヌパナ⸣ヌ フ⸢キアン⸣ガリ ⸢ベー [⸢suːnupana⸣nu ɸu̥⸢kiaŋ⸣gari ⸢beː] (波<潮>の\ruby{SqBr}g{/SqBr}{飛沫}{シブキ}が吹きあげられている) 8948 0 0 8422 htmvoc_8948.wav スーヌフチ ⸢スーヌ⸣フチ [⸢suːnu⸣ɸu̥ʧi] 名 なぎさ(渚)。みぎわ(汀)。ピ⸢ザ⸣フチ[pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧi](渚{EOS}へた<端>「近江の海 邊多波人知~『万葉集 3027』」、「へた」『混効験集』の義)ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢スーヌ⸣フチナール ⸣オンダー ⸢スー [ja⸢ra⸣beː ⸢suː⸣nu ⸣ɸu̥ʧinaːru ⸣ʔondaː ⸢suː] (子供は渚で海水浴はするものだ)。 ⸢スーヌ⸣フチナール ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣オンダー シ⸢ミル⸠ダー [⸢suːnu⸣ɸu̥ʧinaːru ja⸢ra⸣beː ⸣ʔondaː ʃi⸢miru⸠daː] (渚で子供達は泳がせる<海水浴させる>のだよ) 8949 0 0 8423 htmvoc_8949.wav スーヌミー ⸢スー⸣ヌ ⸢ミー [⸢suː⸣nu ⸢miː] 連 お汁の実。中身。お汁の中の魚肉や豚肉など。 ⸢ワー⸣モー ⸢スー⸣ヌ ⸢ミーヤー ゴーラー⸣ル [⸢waː⸣moː ⸢suː⸣nu ⸢miːja goːraː⸣ru] (君のはお汁の実は多い)。 ⸢ミーヤー イシ⸣カー ⸣ゴーラーテー ⸢ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ マー⸢タキナール⸣ イ⸢リ⸣ シケール [⸢miːja ʔiʃi̥⸣kaː ⸣goːraːteː ⸢naː⸣nu muː⸢ru⸣ maː⸢takinaːru⸣ ʔi⸢ri⸣ ʃi̥keːru] (お汁の中身には多い少ないはない{EOS}みんな同じように<同等{EOS}「真丈」の義か>入れてある) 8940 0 0 8424 htmvoc_8940.wav スーヌミツン ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツン [⸢suː⸣nu ⸣miʦuŋ] 文 潮が満つ。潮が満ちてくる。満潮になってくる。 ピ⸢シ⸣スーナ ⸢アーツビ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツンティ ⸢スー⸣ シ⸢ルシ⸣ ヤ⸢ルンダ ダンダン⸣シ ⸢ヤー⸣ パリ⸢ダー [pi̥⸢ʃi⸣suːna ⸢ʔaːʦubi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸢suː⸣nu ⸣miʦunti ⸢suː⸣ ʃi⸢ruʃi⸣ ja⸢runda dandaŋ⸣ʃi ⸢jaː⸣ pari⸢daː] (干潮で海水に泡が出ると潮が満つというしるし<前兆>だから、さっさと家に帰りなさいね) 8865 0 0 8425 htmvoc_8865.wav スーバー ⸢スー⸣バー [⸢suː⸣baː] 名 強い者。強力。力の強い者。首里方言の⸢チューバー[⸢ʧuːbaː](強い者)の転訛した形。 ウ⸢レー⸣ グ⸢タイ⸣ヌ ⸣カナイティ ⸢スー⸣バー⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ gu⸢tai⸣nu ⸣kanaiti ⸢suː⸣baː⸢daː] (彼は体力がそなわっていて強力者だぞ)。⸢ヨー⸣バー[⸢joː⸣ba](弱い人)の対義語。 シゥ⸢カラー スー⸣バー ヤ⸢ルンダ⸣ ター⸢ントゥ スー⸣ブ サ⸢バン⸣ マ⸢キラヌ [sï̥⸢karaː suː⸣baː ja⸢runda⸣ taː⸢ntu suː⸣bu sa⸢bam⸣ ma⸢kiranu] (力の強い人<剛の者>だから誰と競走<勝負>しても負けない) 8942 0 0 8426 htmvoc_8942.wav スーパタラキ ⸢スーパタ⸣ラキ [⸢suːpata⸣raki] 名 激しい労働。厳しい労働。「強い働き」の義。 ⸢スーパタラキ⸣ヌ シ⸢ジクタール⸣ ブ⸢ガ⸣リ ク⸢タン⸣ディ ⸢ベー⸠ツォー [⸢suːpataraki⸣nu ʃi⸢ʤikutaːru⸣ bu⸢ga⸣ri ku̥⸢tan⸣di ⸢beː⸠ʦoː] (激しい労働が続いたので、疲れてくたびれているんだよ<多少の自虐的表現を含む>) 8943 0 0 8427 htmvoc_8943.wav スーパナ ⸢スー⸣パナ [⸢suː⸣pana] 名 波の飛しぶき(飛沫)。時化で大波が干瀬(リーフ)に打ち砕かれて飛び散る波しぶき(波飛沫)。スーヌパナとも言う。 ヤ⸢ダン⸣ブレーピーヌ ⸣ブリティ ⸢スーパナ⸣ヌ ア⸢ガル⸣カー ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [ja⸢dam⸣bureːpiːnu ⸣buriti ⸢suːpana⸣nu ʔa⸢garu⸣kaː ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣su] (上原のヤダンブレ干瀬に大波が群れ砕けて波\ruby{SqBr}g{/SqBr}{飛沫}{シブキ}が上がると天気は崩れる<破れる{EOS}時化る>) 8950 0 1 8428 htmvoc_8950.wav スーパニ ⸢スー⸣パニ [⸢suː⸣pani] 名 {Mn_1}「潮撥ね」の義。⸢プーシン[⸢puːʃiŋ](帆船)でカツオを釣っていた頃(明治期)、竹竿を割ったもので海水を撥ね、散水器の機能を果たした漁具。 ⸢プーシンヌ⸣ ジ⸢ダイヤー スー⸣パニサーリ ⸢スー⸣ヤ ⸣パネーティル カ⸢ツォー ホー⸣ソーッタ [⸢puːʃinnu⸣ ʤi⸢daijaː suː⸣panisaːri ⸢suː⸣ja ⸣paneːtiru kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːtta] (帆船の時代には、潮撥ねで海水を撥ねながら<ぞ>カツオを釣られた)。 8950 0 2 8429 htmvoc_8950.wav スーパニ ⸢スー⸣パニ [⸢suː⸣pani] 名 {Mn_2}護岸。防波堤。波除。消波ブロック。「潮撥ね」の義。 ⸢スーパニ⸣ヌ<ゴ⸢ガン⸣ヌ> ⸢ナーン⸣カー ⸢タイフー⸣ヌ ⸢ナン⸣マー フ⸢シガラ⸣ヌ [⸢suːpani⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸢taiɸuː⸣nu ⸢nam⸣maː ɸu̥⸢ʃigara⸣nu] (護岸が無いと台風時の大波は防げ<防がれ>ない) 8944 0 0 8430 htmvoc_8944.wav スーバン ⸢スーバン [⸢suːbaŋ] 連 ~(が)しても。~しようとも。する(為る)の連体形に確定条件の接続助詞バン[baŋ](~ても、~とも<バモ>)が付いた形。前条件に拘束されない意味を表す。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ タ⸢トゥイ ワー スーバン⸣ バー サ⸢ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ tḁ⸢tui waː suːbam⸣ baː sa⸢nu] (この仕事は、たとえ君がするとしても、私はしない) 8945 0 0 8431 htmvoc_8945.wav スーピー ⸢スー⸣ピー [⸢suː⸣piː] 名 つよび(強火)。煮炊きで、強い火。⸢ヨー⸣ピー[⸢joː⸣piː](弱火)の対義語。 ⸢マー⸣ソー ⸢スー⸣ピーシル タ⸢クンダ⸣ ナ⸢チェー⸣ ア⸢ツァ⸣ヌ フ⸢シガラン⸣シェン [⸢maː⸣soː ⸢suː⸣piːʃiru tḁ⸢kunda⸣ na⸢ʧeː⸣ ʔa⸢ʦa⸣nu ɸu̥⸢ʃigaraŋʃeŋ] (塩は強火で焚くものだから、夏は暑くてたまらなかった) 8951 0 0 8432 htmvoc_8951.wav スーピサール ⸣スーピサール [⸣suːpi̥saːru] 名 引き潮どき。しおひ(潮干)どき。潮が引くこと。「~武庫の浦の之保非能可多<シホヒノカタ>に~。万、3595」の義。 ⸣スーピサールサーリ ⸣フニナー ⸣ニー シ⸢ムンティ アー⸣キ ⸣スーン ⸢オーリ⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ ン⸢ザ⸣シ ⸢クータ⸣ル [⸣suːpi̥saːrusaːri ⸣ɸuninaː ⸣niː ʃi⸢munti ʔaː⸣ki ⸣suːŋ ⸢ʔoːri⸣ jat⸢tu⸣ʃi ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸢kuːta⸣ru] (引き潮時にサバニ<舟>に荷を積もうとして、引き潮に追われてやっとのことで出港<舟を出>して来たんだよ) 8952 0 0 8433 htmvoc_8952.wav スーピスン ⸢スー⸣ ピスン [⸢suː⸣ pi̥suŋ] 連 潮が引く。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢マーウイ⸣ クーカー ⸢スー⸣ ピスン [ti⸢da⸣nu ⸢maːʔui⸣ kuːkaː ⸢suː⸣ pi̥suŋ] (太陽が真上に来たら潮が引く)。 ⸢スー⸣ ピスカー イ⸢ソーシン⸣ パラ⸢ナー [⸢suː⸣ pi̥sukaː ʔi⸢soːʃim⸣ para⸢naː] (潮が引いたら潮干狩りに行こうね) 8954 0 0 8434 htmvoc_8954.wav スーブ ⸢スー⸣ブ [⸢suː⸣bu] 名 勝負。競争。勝ち負け。「勝負」の義。 ⸢タール⸣ パ⸢リ⸣ダーユー ⸢スー⸣ブ ⸢シー⸣ ミラ [⸢taːru⸣ pa⸢ri⸣daːjuː ⸢suː⸣bu ⸢ʃiː⸣ mira] (誰が早いか<より早く走るか>勝負してみよう)。 ⸢ワットー スー⸣ボー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢wattoː suː⸣boː na⸢ra⸣nu] (君とは<君が強すぎて>勝負にならない)。 パ⸢リスー⸣ブ [pa⸢risuː⸣bu] (かけっこ{EOS}走り勝負)。 パ⸢ルスー⸣ブ [pa⸢rusuː⸣bu] (畑勝負{EOS}農作物の生産競争)。 ⸢ウイスー⸣ブ [⸢ʔuisuː⸣bu] (水泳競争)。 ⸢ジーカキスー⸣ブ ⸢サー [⸢ʤiːkakisuː⸣bu ⸢saː] (字書き勝負をしようよ) 8955 0 0 8435 htmvoc_8955.wav スーブグトゥ ⸢スーブ⸣グトゥ [⸢suːbu⸣gutu] 名 勝負事。賭け事。金品を賭けてする勝負事。 ⸢スーブ⸣グトゥ ⸢ナー⸣トー ⸢スーモー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢suːbu⸣gutoː ⸢naː⸣toː ⸢suːmoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (賭け勝負事<賭け事>なんぞはするものではない) 8915 0 0 8436 htmvoc_8915.wav スーフクン ⸣スー ⸣フクン [⸣suː ⸣ɸu̥kuŋ] 連 潮を吹く。 ⸣ピトー ブ⸢リバ⸣ ナシェーティ ⸢スー⸣ フキ ⸣ウイ ⸣パルン [⸣pi̥toː bu⸢riba⸣ naʃeːti ⸢suː⸣ ɸu̥ki ⸣ʔui ⸣paruŋ] (イルカは群れをなしながら潮を吹いて泳いでく) 8956 0 0 8437 htmvoc_8956.wav ズーフナヤー ⸢ズーフナ⸣ヤー [⸢ʣuːɸuna⸣jaː] 名 (動)セキレイ(鶺鴒)。「ズー」(尾)・クナギ・ヤー(交接する・もの)<婚、トツク ツルブ、クナク、マク~>『類聚名義抄』」の転訛したもの。 ウ⸢ヌ⸣ トゥ⸢ラー⸣マー ⸢カーラヌ⸣ イ⸢シヌ ウイ⸣ナー トゥ⸢マリベー⸣ティ ⸢ズーバ⸣ タ⸢タッ⸣クンダル ⸢ズーフナ⸣ヤーティ ア⸢ズ⸣ツォー [ʔu⸢nu⸣ tu⸢raː⸣maː ⸢kaːranu⸣ ʔi⸢ʃinu ʔui⸣naː tu⸢maribeː⸣ti ⸢ʣuːba⸣ tḁ⸢tak⸣kundaru ⸢ʣuːɸuna⸣jaːti ʔa⸢ʣu⸣ʦoː] (その小鳥は川の石の上に止まっていて尻尾を叩くのでズーフナヤー<尾くなぐ・もの>と言うそうだ) 8957 0 0 8438 htmvoc_8957.wav ズーブニ ⸢ズーブニ [⸢ʣuːbuni] 名 尾骨。魚の尾びれ。特にカツオの尾びれの骨をいう。カツオを三枚卸にすると、ナ⸢カ⸣ブニ[na⸢ka⸣buni](中骨)と⸢ズーブニ[⸢ʣuːbuni](尾びれの骨)が得られる。尾びれ<尾骨>を浜の砂の中に埋めておくと数ヶ月後には美しいカツオの尾骨の爪楊枝が出来る。 カ⸢ツヌ ズーブネー⸣ ダシーン ⸣アリ ウ⸢リバ⸣ パ⸢マ⸣ナー ウ⸢ズミティ⸣ シ⸢ダ⸣スカー ⸢ヨー⸣ジン ス⸢クラ⸣リン [kḁ⸢ʦunu ʣuːbuneː⸣ daʃiŋ ⸣ʔari ʔu⸢riba⸣ pa⸢ma⸣naː ʔu⸢ʣumiti⸣ ʃi⸢da⸣su̥kaː ⸢joː⸣ʤin su̥⸢kura⸣riŋ] (カツオの尾びれは出汁もあり、それを数ヶ月間浜に埋めて蘇生させる<再生、孵化させる>と尾びれの骨の爪楊枝が作られる) 8958 0 0 8439 htmvoc_8958.wav スーベー ⸢スー⸣ベー [⸢suː⸣beː] 名 (動)魚の名。和名、タテフエダイ(体長約25センチ)。和名、キスジタルミ(体長約25センチ)。和名、アミフエダイ(体長約25センチ)。和名、オキフエダイ(体長約50センチ)。和名、イッテンフエダイ(体長約40センチ)などの総称 8959 0 0 8440 htmvoc_8959.wav スーマカル ⸢スーマカ⸣ル [⸢suːmaka⸣ru] 名 汁碗。「しるまがり<汁碗>」の転訛か。マ⸢カ⸣ル[ma⸢ka⸣ru]は、⸢金宛、~土器<かはらけ>を奉りければ、『まがり<金宛>を参らせよ』とて、まがりしてぞ召しける」『徒然草100』の転訛。 ⸢スーマカル⸣ヌ ア⸢バイルン⸣ケンナー ⸣スー イ⸢ルプスヌ⸣ ブ⸢ラ⸣ー [⸢suːmakaru⸣nu ʔa⸢bairuŋ⸣ken ⸣suː ʔi⸢ru⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢ra⸣ː] (汁碗が溢れるまで、お汁を入れる人が何処にいるものか) 8961 0 1 8441 htmvoc_8961.wav スーマリコーマ ⸢スーマリコー⸣マ [⸢suːmarikoː⸣ma] 名 {Mn_1}すもり(巣守)。「すもり卵」の転訛。発芽しないもの。孵化しないで巣に残る卵。 ク⸢ヌ コー⸣マー ⸢スーマリコー⸣マ ⸣ナリ ⸢ベー [ku⸢nu koː⸣maː ⸢suːmarikoː⸣ma ⸣nari ⸢beː] (この卵はすもり卵<孵化しない卵>になっている)。 8961 0 2 8442 htmvoc_8961.wav スーマリコーマ ⸢スーマリコー⸣マ [⸢suːmarikoː⸣ma] 名 {Mn_2}家に閉じこもる人。閉じ籠り。ひきこもり。 カ⸢レー スーマリコー⸣マ ⸣ナリティ ⸢ピッ⸣チン ⸢ヤー⸣ラ ⸣フカー ン⸢ジラ⸣ヌ [ka⸢reː suːmarikoː⸣ma ⸣nariti ⸢pit⸣ʧiɲ ⸢jaː⸣ra ɸu̥kaː ʔn⸢ʤira⸣nu] (彼は閉じ籠りになって、まったく家から外へは出ない) 8962 0 1 8443 htmvoc_8962.wav スーマルン ⸢スー⸣マルン [⸢suː⸣maruŋ] 自動 {Mn_1}卵が孵化しなくなる。腐れる。「蟄、須古毛流<すごもる>、虫至冬隠不出也『倭名抄』」、「巣籠もる」の義。 ⸢コー⸣マー ⸢スーマラン⸣ケン ⸣トゥリティ ⸣ユディティ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢koː⸣maː ⸢suːmaraŋ⸣ken ⸣turiti ⸣juditi f⸢fai⸣ba] (卵は巣籠もらないうちに取って茹でて食べなさい)。 ⸢スー⸣マリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢suː⸣mari ⸢naː⸣nu] (巣籠もって<腐れて>しまった)。 ⸢コー⸣マー ⸣ティダナ ⸣プスカー ⸢スー⸣マルン [⸢koː⸣maː ⸣tidana ⸣pu̥sukaː ⸢suː⸣maruŋ] (卵は太陽に干すと巣籠もる<腐れる>)。 ⸢スー⸣マル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢suː⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (巣籠もる<腐れる>ことはない)。 8962 0 2 8444 htmvoc_8962.wav スーマルン ⸢スー⸣マルン [⸢suː⸣maruŋ] 自動 {Mn_2}ちぢこまる(縮こまる)。便意をもようしながら排便しなくなる。 ⸢スー⸣マレーラ ⸣ンジ ⸢クー⸣ヌ [⸢suː⸣mareːra ⸣ʔnʤi ⸢kuː⸣nu] (縮こまったら、もう出てこない)。 ⸢スー⸣マリバ [⸢suː⸣mariba] (縮こまれよ) 8963 0 0 8445 htmvoc_8963.wav スーマン ⸢スー⸣マン [⸢suː⸣maŋ] 名 小満。二十四節気の一つ。太陽暦の五月二十一日頃。この頃になると暑気が強くなり、稲が急に色づき熟する。南風が続き、スコールのような雨が降るようになり、梅雨の季節に入る。⸢ボースー[⸢boːsuː](芒種{EOS}6月6日ごろ)になると、降雨がつづいて稲刈りが困難になるので、それまでに稲刈りを終了させ、雨の晴れ間を利用して籾米を干した。 ⸢スーマン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペー⸣ルカー ⸢マイヌ⸣ プーン ⸢ミーイリス [⸢suːman⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣rukaː ⸢mainu⸣ puːm ⸢miːʔirisu] (小満の季節に入ると稲の穂も実が入るようになる) 8964 0 0 8446 htmvoc_8964.wav スーマンボースー ⸢スー⸣マンボースー [⸢suː⸣mamboːsuː] 名 小満芒種の季節。⸢スー⸣マン[⸢suː⸣maŋ](小満)も⸢ボースー[⸢boːsuː](芒種)も二十四節気の一つ。沖縄の梅雨期に当たる季節。⸢スー⸣マン[⸢suː⸣maŋ]の項参照 8967 0 0 8447 htmvoc_8967.wav スーマンヤブリ ⸢スーマンヤブ⸣リ [⸢suːmaɲjabu⸣ri] 名 太陽暦五月廿日頃に天気が崩れて荒れること。「小満破れ」の義。小満の季節に天気が荒れて、風雨が強くなることがしばしば起きる。この時期は稲の成熟期にあたるので、農家は稲の被害を恐れて稲の品種を早稲にしたり、晩稲にしたり、また稲の植え付け時期を調整したりした。 ⸢マイヌ プーンジ⸣ジブンナー ⸢スー⸣マンヤブリヌ クーカー ⸢マイヤー⸣ シ⸢ルッ⸣コー ナ⸢リ⸣シバ ⸢マイイビジキ⸣ パ⸢ヤミ⸣リ [⸢mainu puːʔnʤi⸣ʤibunnaː ⸢suː⸣maɲjaburinu ⸣kuːkaː ⸢maijaː⸣ ʃi⸢ruk⸣koː na⸢ri⸣ʃiba ⸢maiʔibiʤiki⸣ pa⸢jami⸣ri] (稲の出穂時期に小満破れ<小満荒れ>がきたら稲は台無しになるから、稲の植え付け時期を早めなさい<早めれ>) 8965 0 0 8448 htmvoc_8965.wav スーミー ⸢スーミー [⸢suːmiː] 名 運。運命。「寿命」の転訛したものか。 ⸣アッパー ⸢トー⸣カキ シ⸢マ⸣シティル ⸢マーラソー⸣レーンダ ⸢スーミー⸣ シ⸢キ⸣ル ⸢オー⸣レール [⸣ʔappaː ⸢toː⸣kḁki ʃi⸢ma⸣ʃitiru ⸢maːrasoː⸣reːnda ⸢suːmiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ru ⸢ʔoː⸣reːru] (お祖母さんは米寿<斗掻>の祝いを済ませて亡くなられたので、寿命が尽きておられたのでしょう) 8966 0 0 8449 htmvoc_8966.wav スーミジ ⸢スー⸣ミジ [⸢suː⸣miʤi] 名 潮水。ウ⸢ブ⸣スー[ʔu⸢bu⸣suː](大潮)ともいう。 ⸢トー⸣フ マ⸢ラス⸣ ピンマー ⸢スー⸣ミジ イ⸢リティル⸣ カ⸢タマラシタ [⸢toː⸣ɸu ma⸢rasu⸣ pimmaː ⸢suː⸣miʤi ʔi⸢ritiru⸣ kḁ⸢tamaraʃi̥ta] (豆腐を製造する<産ます>時は潮水を入れて固まらせた)。塩分の混じった井戸水。ア⸢マミジ[ʔa⸢mamiʤi](淡水{EOS}「甘い水」の義)の対義語。 タ⸢チバル⸣ヌ サ⸢クラカー⸣ヌ ミ⸢ジェー スーミジヌ⸣ル ン⸢ズ⸣タツォー [tḁ⸢ʧibaru⸣nu sḁ⸢kurakaː⸣nu mi⸢ʤeː suːmiʤinu⸣ru ʔn⸢ʣuta⸣ʦoː] (立原のサクラカー<サクラ井戸>の水は潮水<塩分の混じった水>が<ぞ>湧き出たそうだ) 8969 0 0 8450 htmvoc_8969.wav スーミツァール ⸣スーミツァール [⸣suːmiʦaːru] 名 満ち潮。 ⸣スーミツァールサーリル ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢スー [⸣suːmiʦaːrusaːriru ⸢joi⸣jaː ⸢suː] (満ち潮と共に<満ち潮でぞ>祝い事はするものだ) 8970 0 0 8451 htmvoc_8970.wav スーミツァールアミ ⸣スーミツァールアミ [⸣suːmiʦaːruʔami] 名 満潮に向かって降り出す雨。満ち潮に向かって降り出す雨は大雨になるといわれている。 ⸣スーミツァールアミ ヤ⸢ルンダ ウーアミ⸣ ナルパジ⸢ダー [⸣suːmiʦaːruami ja⸢runda ⸢ʔuːʔami⸣ ja⸢ru⸣paʤi⸢daː] (満ち潮に向けて降る雨だから、大雨になるはずだよ) 8971 0 0 8452 htmvoc_8971.wav スーミツン ⸣スー ⸣ミツン [⸣suː ⸣miʦuŋ] 連 潮が満つ<満潮になる>。「潮満つ」の義。 シ⸢キ⸣ヌ イ⸢リル⸣カー ⸣スー ⸣ミツン [ʃi̥⸢ki⸣nu ʔi⸢riru⸣kaː ⸣suː ⸣miʦuŋ] (月が没する<入る>と潮が満つ)。 シ⸢キ⸣ヌ ⸢アール⸣カー ⸣スー ⸣ピスン [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢ʔaːru⸣kaː ⸣suː ⸣pi̥suŋ] (月が登る<上がる>と潮が引く<干る>) 8972 0 0 8453 htmvoc_8972.wav スーミルン ⸢スーミ⸣ルン [⸢suːmi⸣ruŋ] 他動 強める。強化する。 カ⸢タン⸣トンヌ ⸣ニジ ⸣シミティ ⸢スーミ⸣ルンティ ⸢スンド スーミララ⸣ヌ [kḁ⸢tan⸣tonnu ⸣niʤi ⸣ʃimiti ⸢suːmi⸣runti ⸢sundu suːmirara⸣nu] (片方<一方>のネジ<螺子>を締めて強めようとするが強められない)。 ン⸢ベーマ スーミ⸣プサン [ʔm⸢beːma suːmi⸣ pu̥saŋ] (少し強めたい)。 ⸢スーミ⸣ル ⸣ムノー ムー⸢ル スーミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢suːmi⸣ru ⸣munoː muː⸢ru suːmi⸣reː ⸣misamunu] (強めるものは全部強めればよいのに)。 ク⸢レー⸣ ヤー⸢ディン スーミ⸣リ [ku⸢reː⸣ jaː⸢din suːmi⸣ri] (これは必ずつよめよ) 8973 0 1 8454 htmvoc_8973.wav スーム ⸢スー ム [⸢suː mu] 連 {Mn_1}すること。するの。⸢スー ムヌ[⸢suː munu](するもの{EOS}するから)の縮まった形。 ⸢スー ム ナーン⸣カー ノー⸢ンヤラバン⸣ シ⸢グトゥ⸣ トゥミ ⸣クーバ [⸢suː mu naːŋ⸣kaː noː⸢ɲjarabaŋ⸣ ʃi⸢gutu⸣ tumi ⸣kuːba] (すること<の>が無かったら、何でも<いいから>仕事を探して来いよ)。 8973 0 2 8455 htmvoc_8973.wav スーム ⸢スー ム [⸢suː mu] 連 {Mn_2}~というもの。~というから。 ⸣パルンティ ⸢スー ム<ヌ>⸣ パ⸢ラ⸣シバ [⸣parunti ⸢suː mu⸣ pa⸢ra⸣ʃiba] (行くというのだから行かせてやりなさいよ) 8890 0 0 8456 htmvoc_8890.wav ズームッカー ⸣ズームッカー [⸣ʣuːmukkaː] 名 しっぽの無い動物。尻尾の短い動物。 ク⸢ヌ⸣ トゥ⸢ロー⸣ ズームッカー ⸣ナリティ トゥ⸢ビユーサヌ [ku⸢nu⸣ tu⸢roː⸣ ʣuːmukkaː ⸣nariti tu⸢bijuːsanu] (この鶏はしっぽ切れになって尾が無いから飛べない) 8974 0 0 8457 htmvoc_8974.wav スームニ ⸢スー⸣ムニ [⸢suː⸣muni] 名 苦言。厳しい忠告。「強い言葉」の義。 ⸢スー⸣ムニ カー⸢ニ⸣ ア⸢ザンドー⸣シ マ⸢ルケーティナー⸣ヤ<タ⸢マーネー> ⸣フミーン ⸢シー⸣ ッ⸢ふィーリバル⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢マイフナー⸣ マ⸢リル [⸢suː⸣muni kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi ma⸢rukeːtinaː⸣ja ⸣ɸumiːŋ ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːribaru⸣ ja⸢ra⸣beː ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢riru] (厳しい忠告ばかり言わないで、たまには誉めもしてあげた方が子供は利口に育つよ) 8975 0 1 8458 htmvoc_8975.wav スームヌ ⸢スー ムヌ [⸢suː munu] 連 {Mn_1}するもの。 ⸣バー ⸢スー ムノー⸣ ヌーヤ [⸣baː ⸢suː munoː⸣ nuːja] (私がするのは何か)。 8975 0 2 8459 htmvoc_8975.wav スームヌ ⸢スー ムヌ [⸢suː munu] 連 {Mn_2}~というのに。~というから。 ⸣ドゥーシ ⸢スン⸣ティ ⸢スームヌ⸣ シ⸢ミリ⸣バ [⸣duːʃi ⸢sun⸣ti ⸢suːmunu⸣ ʃi⸢miri⸣ba] (自分でするというのだから、させなさいよ) 8976 0 0 8460 htmvoc_8976.wav ズームルン ⸣ズー ム⸢ルン [⸣ʣuː mu⸢ruŋ] 連 お重を盛る。重箱に料理の品を盛り付ける。 ⸢ソッコームヌ⸣ヌ ⸣ズー ム⸢ルンティ ベー [⸢sokkoːmunu⸣nu ⸣ʣuː mu⸢runti beː] (法事用の<焼香もの>お重を盛ろうとしている) 8977 0 1 8461 htmvoc_8977.wav スームン ⸢スー⸣ムン [⸢suː⸣muŋ] 他動 {Mn_1}強める。強化する。⸢スーミ⸣ルン[⸢suːmi⸣ruŋ](強める)ともいう。「つよむ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸣ニジ ⸢スー⸣ムンティ ⸢スンドゥ スーマラ⸣ヌ [⸣niʤi ⸢suː⸣munti ⸢sundu suːmara⸣nu] (ネジを締めて強めようとするが強く締められない)。 ⸣ニジ ⸢スーミ⸣ プサカー ⸢マー⸣ビン ⸢スー⸣ミバ [⸣niʤi ⸢suːmi⸣ pu̥sakaː ⸢maː⸣bin ⸢suː⸣miba] (ネジ<螺子>を締めて強めたければ、もっと強めなさい)。 ⸢マー⸣ビン ⸢スー⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢suː⸣meː ⸣misamunu] (もっと強めればいいのに)。 シゥ⸢カンギ⸣ イ⸢リティ⸣ ヤー ⸢スーミ⸣リ [sï̥⸢kaŋgi⸣ ʔi⸢riti⸣ jaː ⸢suː⸣miba] (支柱を入れて補強し、家を強化し<強め>なさい)。 8977 0 2 8462 htmvoc_8977.wav スームン ⸢スー⸣ムン [⸢suː⸣muŋ] 他動 {Mn_2}酒等の度数を上げる。強くする。 ク⸢ヌ⸣ サ⸢ケー ヨー⸣ヌ マーン⸢ベーマ スーミ⸣リ [ku⸢nu⸣ sḁ⸢keː joː⸣nu maːm⸢beːma suːmi⸣ri] (この酒は弱いから、もう少し度数を上げなさい<強めなさい>) 8978 0 0 8463 htmvoc_8978.wav スーヤン ⸢スー⸣ヤン [⸢suː⸣jaŋ] 名 重病。難病。「強い病」の義。ウ⸢ブヤン[ʔu⸢bujaŋ](大病)ともいう。 ⸢スーヤン⸣ カ⸢カ⸣リティル ⸢ヨーガリ⸣ キ⸢タ⸣シキ ⸢ベー [⸢suːjaŋ⸣ kḁ⸢ka⸣ritiru ⸢joːgari⸣ ki̥⸢ta⸣ʃi̥ki ⸢beː] (重病に罹って、やせて衰弱しきって<精根尽き果てて>いる)。 ⸢スー⸣ヤン ワ⸢チライ ブー⸣ティ ス⸢クタヌ⸣ ミサンカヤー [⸢suː⸣jaŋ wa⸢ʧirai buː⸣ti su̥⸢kutanu⸣ misaŋkajaː] (重病を患っていると聞いたが、元気か<良いか>ね) 8980 0 0 8464 htmvoc_8980.wav スーヨー ⸣スーヨー [⸣suːjoː] 名 皆様。大勢に向かって話す際にいうことば。「総容」の義。首里方言のsuujoo(皆{EOS}全員{EOS}<目下に>呼びかける時に多く使う{EOS}諸君)『沖縄語辞典』からの借用語か。 ⸣スーヨーヌ キ⸢モー⸣ル ⸢トゥー⸣ル ⸢ソーラバ⸣ル マ⸢シティ⸣ ウ⸢モー⸣リ⸢ユー [⸣suːjoːnu ki⸢moː⸣ru ⸢tuː⸣ru ⸢soːraba⸣ru ma⸢ʃiti⸣ ʔu⸢moː⸣ri⸢juː] (皆様がお決めになる通りになさった方が良いと思います) 8981 0 1 8465 htmvoc_8981.wav スーラスン ⸢スーラ⸣スン [⸢suːra⸣suŋ] 他動 {Mn_1}強化する。強くする。{⸢スー⸣ルン[⸢suː⸣ruŋ](強くなる)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~す{EOS}~せる)が下接して形成された派生動詞(使役動詞)}。 ⸣ヤー ⸢スーラ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢スーラサラ⸣ヌ [⸣jaː ⸢suːra⸣sunti ⸢beːn⸣du ⸢suːrasara⸣nu] (家を強化しようといているが強化できない)。 ⸣ドゥーシ ⸢スーラ⸣シ ⸣ミサカー ⸢スーラ⸣ス ⸣クトー ナルン⸢ダー [⸣duːʃi ⸢suːra⸣ʃi ⸣misakaː ⸢suːra⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (自分で強化して良ければ強化することは出来るよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢スーラ⸣シェー⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢suːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと強化すれば良いのに)。 ヤー⸢ディン スーラ⸣シ [jaː⸢din suːra⸣ʃi] (必ず強化せよ)。 8981 0 2 8466 htmvoc_8981.wav スーラスン ⸢スーラ⸣スン [⸢suːra⸣suŋ] 他動 {Mn_2}元気にする。育てる。成長させる。 ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァーシティ⸣ ドゥーパダ ⸢スー⸣ラシ [ʔm⸢maː⸣munu f⸢faːʃi̥ti⸣ duːpada ⸢suːra⸣ʃi] (美味しいものを食べさせて体を健康に育て<成長させ>よ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢スーラ⸣スン [⸢maː⸣bin ⸢suːra⸣suŋ] (もっと強化成長させる) 8982 0 0 8467 htmvoc_8982.wav スーリ ⸢スー⸣リ [⸢suː⸣ri] 名 成長すること。生育すること。 ⸢スーリ⸣ヌ トゥ⸢マルタ⸣ユー フ⸢ドゥバンバン [⸢suːri⸣nu tu⸢maruta⸣juː ɸu⸢dubambaŋ] (成長が止まったのか身長が伸びないよ) 8991 0 0 8468 htmvoc_8991.wav スーリックル ⸢スーリッ⸣クル [⸢suːrik⸣kuru] 名 しごき(扱き)殻。稲藁や麦藁を扱いて除いた屑の茎や枯葉。 ⸢スーリッ⸣クロー ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢モーシ⸣バ [⸢suːrik⸣kuroː ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢moːʃi⸣ba] (扱き殻は集めて燃やしなさい) 8983 0 0 8469 htmvoc_8983.wav スーリパヤーン ⸢スーリパヤー⸣ン [⸢suːripajaː⸣ŋ] 連・形 成長が速い。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢スーリパヤー⸣ン [ja⸢ra⸣beː ⸢suːripajaː⸣ŋ] (子供は成長が速い) 8984 0 1 8470 htmvoc_8984.wav スーリルン ⸢スーリ⸣ルン [⸢suːri⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}強くなる。 8984 0 2 8471 htmvoc_8984.wav スーリルン ⸢スーリ⸣ルン [⸢suːri⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}成長する。 カ⸢ジェー⸣ ユネンガター ⸢マー⸣ビン ⸢スーリ⸣ルンティ⸢ダー [ka⸢ʤeː⸣ junengataː ⸢maː⸣bin ⸢suːri⸣runti⸢daː] (風は夕方にはもっと強くなるそうだよ)。 ⸢スーリラン⸣ケン ⸢パー⸣ク ⸢ヤー⸣ パリバ [⸢suːriraŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ⸢jaː⸣ pariba] (強くならないうちに早く家に帰れ<家に行け>よ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢スーリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸢maː⸣bin ⸢suːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (もっと強くなることは無いはずだ) 8992 0 0 8472 htmvoc_8992.wav スール ⸢スール [⸢suːru] 名 (植)シュロ(棕櫚)。葉柄の付け根に生える茶色の繊維(シュロ毛)。シュロの繊維で綯った綱は垣根やすのこを結わえるのに用いたり、牛の鼻綱や⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku](縄で編んだ箱型の物いれ{EOS}運搬具)を作るのに用いた。 カ⸢ムラー⸣マー ⸢スールヌ キーバ⸣ ス⸢ブ⸣ルナー ⸣カビティール ア⸢マイオーッ⸣タ [ka⸢muraː⸣maː ⸢suːrunu kiːba⸣ su⸢bu⸣runaː ⸣kabitiːru ʔa⸢maijoːt⸣ta] (カムラーマは棕櫚の網状の毛を頭に被り、子孫を従えて豊年祭の歓え踊りをされた) 8985 0 0 8473 htmvoc_8985.wav スールン ⸢スー⸣ルン [⸢suː⸣ruŋ] 自動 強くなる。強まる。悪化する。 カ⸢ジェー シンダイ スー⸣リ ⸣クン [ka⸢ʤeː ʃindai suː⸣ri⸣ kuŋ] (風は次第に強くなってくる)。 カ⸢ジェー マー⸣ビン ⸢スー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢スーラン⸣ドーシ トゥ⸢リ⸣ パレーン [ka⸢ʤeː ⸢maː⸣bin ⸢suː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢suːran⸣doːʃi tu⸢ri⸣ pareːŋ] (風はもっと強くなると思ったが強まらないで、凪いでいった)。 カ⸢ジヌ スー⸣ル ⸣ピンマー ヤー⸢デイン⸣ カ⸢ジェー マーリス [ka⸢ʤinu suː⸣ru ⸣pimmaː jaː⸢diŋ ka⸢ʤeː maːrisu] (風が強まるときは必ず風向が北へ回る)。 ⸢スー⸣レーラ [⸢suː⸣reːra] (強くなったら) 8986 0 0 8474 htmvoc_8986.wav スールン ⸢スー⸣ルン [⸢suː⸣ruŋ] 自動 伸びる。成長する。発育する。 ヤ⸢ラ⸣ベー トゥ⸢キユドマ⸣ナー ⸢スー⸣ルン [ja⸢ra⸣beː tu̥⸢kijuduma⸣naː ⸢suː⸣ruŋ] (子供は時を待たずに成長する)。 マ⸢ダ スーラン⸣バン [ma⸢da suːram⸣baŋ] (まだ成長していないよ)。 ⸢パー⸣ク ⸢スー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢suː⸣ri] (早く成長しなさい) 8987 0 0 8475 htmvoc_8987.wav スールン ⸢スー⸣ルン [⸢suː⸣ruŋ] 他動 しごく(扱く)。こく(扱く)。稲藁などをしごく。 バ⸢ラフ⸣タ ⸢スー⸣ルンティ ⸢スンドゥ カイナ⸣ヌ ⸣ヤミティ ⸢スーララ⸣ヌ [ba⸢raɸu̥⸣ta ⸢suː⸣runti ⸢sundu kaina⸣nu ⸣jamiti ⸢suːrara⸣nu] (稲藁を\ruby{扱}{シゴ}こうとするが、肩が痛くて扱かれない)。 ⸢スー⸣リ ⸣ミサカー ⸢スー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢suː⸣ri ⸣misakaː ⸢suː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (扱いて良ければ扱くことは出来る)。 ⸢スー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢suː⸣reː ⸣misamunu] (扱けば良いのに)。 バ⸢ラフ⸣タ ⸢スー⸣リ [ba⸢raɸu̥⸣ta ⸢suː⸣ri] (稲藁を扱け) 8993 0 0 8476 htmvoc_8993.wav スールン ⸢スー⸣ルン [⸢suː⸣ruŋ] 他動 しごく(扱く)。稲藁などを扱いて下葉を取り除く。「すぐる<選る>」。suguruの[g]が脱落して音韻転訛したもの。「藁のはかまを取るをすぐる<選る>と云ふ『志不可起 七』」の転訛したもの。 バ⸢ラフ⸣タ ⸢スー⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ⸢スーララ⸣ヌ [ba⸢raɸu̥⸣ta ⸢suː⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ⸢suːrara⸣nu] (稲藁を\ruby{扱}{シゴ}こうと思うが私には扱けない)。 ⸢スー⸣リミサカー ⸢スー⸣ルムヌ ヤ⸢ラシ⸣バ [⸢suː⸣ri ⸣misakaː ⸢suː⸣ru ⸣munu ja⸢raʃi⸣ba] (扱いてもよければ扱くものを寄こし<遣し>なさいよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢スー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢baː⸣bin ⸢suː⸣reː ⸣misamunu] (もっと扱けばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢スー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢suː⸣ri] (早く扱け) 8994 0 1 8477 htmvoc_8994.wav スールン ⸢スー⸣ルン [⸢suː⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}強まる。強くなる。 カ⸢ジェー マー⸣ビン ⸢スー⸣ルンティル ウ⸢モーリ⸣バ ⸢スーラン⸣ケン カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ヨー [ka⸢ʤeː maː⸣bin ⸢suː⸣runtiru ʔu⸢moːri⸣ba ⸢suːraŋ⸣keŋ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣joː] (台風はもっと強まるとものと思われるから、強まらないうちに暴風対策<格護>しなさいよ)。 ⸢スー⸣リ ⸣ケーン [⸢suː⸣rikeːŋ] (強まってきた)。 フ⸢キカイシ⸣ヌ ⸢スー⸣ル ⸢マイ⸣ヤー カ⸢ジェー⸣ トゥ⸢ルン [ɸu̥⸢kikaiʃi⸣nu ⸢suː⸣ru ⸢mai⸣jaː ka⸢ʤeː⸣ tu⸢ruŋ] (吹き返しの風が強まる前には風は凪ぐ)。 ⸢スー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢suː⸣reː misamunu] (強まればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢スー⸣リ [⸢maː⸣bin ⸢suː⸣ri] (もっと強まれ)。 8994 0 2 8478 htmvoc_8994.wav スールン ⸢スー⸣ルン [⸢suː⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}成長する。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢スーリ パヤー⸣ン [ja⸢ra⸣beː ⸢suːri pajaː⸣ŋ] (子供は成長するのが早い<成長早い>)。 8994 0 2 8479 htmvoc_8994.wav スールン ⸢スー⸣ルン [⸢suː⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}目が冴える。 カ⸢タサー⸣ ヌミティ ⸣ミー ⸢スー⸣ラシ [kḁ⸢tasaː⸣ numiti ⸣miː ⸢suːra⸣ʃi] (濃茶を飲んで眠気を覚ませ<目を冴えさせろ>) 8995 0 0 8480 htmvoc_8995.wav スーワザ ⸢スー⸣ ワザ [⸢suː⸣ waʣa] 連 しわざ(仕業)。所業。行為。「するわざ」の義。 ウ⸢リヌ スー⸣ワザー ⸢ピッ⸣チン ⸢マーパカラサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu suː⸣ waʣaː ⸢pit⸣ʧim ⸢maːpakarasaː naː⸣nu] (彼のなす行為<仕業>はまったく<ひとつも>信頼できない<まったく愚かである、まともでない>) 8988 0 1 8481 htmvoc_8988.wav スーワン ⸢スー⸣ワン [⸢suː⸣waŋ] 形 {Mn_1}強い。 シゥ⸢カラー スー⸣ワン [sï̥⸢karaː suː⸣waŋ] (力は強い)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢スーワナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢suːwanaː⸣nu] (たいして強くない)。 カ⸢ジェー シンダイ スー⸣ワ ⸣ナリクン [ka⸢ʤeː ʃindai suː⸣wa ⸣narikuŋ] (風は次第に強くなってくる)。 カ⸢ジヌ スーワ⸣ヌ ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ka⸢ʤinu suːwa⸣nu ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (風が強くて舟は出されない)。 カ⸢ジヌ スー⸣ワ ⸣ピンマー ⸣フネー ン⸢ザス⸣ナ [ka⸢ʤinu suː⸣wa ⸣pimmaː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasu⸣na] (風の強い日は舟は出すな)。 カ⸢ジヌ ⸢スーワ⸣ヌ ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [ka⸢ʤinu suːwa⸣nu ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (風が強くて船は出せない)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢スーワナー⸣ヌヌ ⸢シンダイ スー⸣ワ ⸣ナリクーン [ma⸢na⸣maː ⸢suːwanaː⸣nunu ⸢ʃindai suː⸣wa ⸣nari ⸣kuːŋ] (今は強くないが次第に強くなってくる)。 カ⸢ジヌ スー⸣ワンダ ⸢スー⸣ワ ⸣ピンマー パ⸢ル⸣ナ [ka⸢ʤinu suː⸣wanda ⸢suː⸣wa ⸣pimmmaː pa⸢ru⸣na] (風が強いから、強いときは行くな)。 ⸣アイニ カ⸢ジヌ スー⸣ワカー パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaini ka⸢ʤinu suː⸣wakaː pa⸢rara⸣nu] (あんなに風が強かったら行けない)。 8988 0 2 8482 htmvoc_8988.wav スーワン ⸢スー⸣ワン [⸢suː⸣waŋ] 形 {Mn_2}厳しい<キ⸢ビッ⸣サン[ki⸢bis⸣saŋ](厳しい{EOS}厳格である)>。 ⸣アブジェー イッ⸢ケナ スー⸣ワ ア⸢ローッ⸣タン [⸣ʔabuʤeː ʔik⸢kena suː⸣wa ʔa⸢roːt⸣taŋ] (お祖父さんは非常に厳しかった<厳格な方だった>)。 8988 0 3 8483 htmvoc_8988.wav スーワン ⸢スー⸣ワン [⸢suː⸣waŋ] 形 {Mn_3}窮乏している<生活がきびしい。キ⸢バナー⸣ン[ki⸢banaː⸣ŋ](ひどい貧乏である)>。 キ⸢ナイヌ スー⸣ワンダ ⸢ガッ⸣コーン ン⸢ザシユーサ⸣ヌ [ki⸢nainu suː⸣wanda ⸢gak⸣koːn ʔn⸢ʣaʃijuːsa⸣nu] (家庭が窮乏しているから学校にも出せない)。 8988 0 4 8484 htmvoc_8988.wav スーワン ⸢スー⸣ワン [⸢suː⸣waŋ] 形 {Mn_4}病気が重い。病気が重篤である。 ⸢ヤン⸣マー ⸢スー⸣ワ ⸣ナリ ⸣キー ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢jam⸣maː ⸢suː⸣wa ⸣nari ⸣kiː ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (病が重篤になってきて心配でたまらない) 8990 0 0 8485 htmvoc_8990.wav ズーワン ⸢-ズー⸣ワン [⸢-ʣuː⸣waŋ] 接尾 ~すぎる。~ひどく~強い。「~強い」の意味派生、転訛したもの。 ドゥ⸢ク⸣ヌ サ⸢キ ヌミズー⸣ワティル トゥ⸢ジン ピンギラ⸣レー⸢ダー [du⸢ku⸣nu sḁ⸢ki numiʣuː⸣watiru tu⸢ʤim piŋgira⸣reː⸢daː] (あまりにも酒を飲みすぎるので妻に逃げられたのだよ) 8997 0 0 8486 htmvoc_8997.wav スーン ⸢スーン [⸢suːŋ] 他動 吸う。息を吸う。水分を吸収する。しみこむ。老年層は、ユ⸢ブン[ju⸢buŋ](呼吸する{EOS}息を吸う)を多用する。 ⸣イキ ⸢スーン [⸣ʔiki ⸢suːŋ] (息をする<吸う>)。 ⸣イキ ⸢ソーヌ [⸣ʔiki ⸢soːnu] (息をしない<吸わない>)。 ⸣イキ ⸢スイティ⸣ パキバ [⸣ʔiki ⸢suiti⸣ pḁkiba] (息を吸って吐きなさい)。 ⸣イキ ⸢スー⸣ クトゥ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔiki ⸢suː⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (息を吸うことは出来ない)。 ⸣イキ ⸢スイヤー⸣ ミサムヌ [⸣ʔiki ⸢suijaː⸣ misamunu] (息を吸えばよいのに)。 ⸣イキ ⸢スイ⸣バ [⸣ʔiki ⸢sui⸣ba] (息をしなさいよ<吸えよ>)。 ⸣ブーキンマー ⸢ナン⸣ゾー ⸣アシェー ⸢ソーヌ [⸣buːkimmaː ⸢nan⸣ʣoː ⸣ʔaʃeː ⸢soːnu] (麻着物はあまり汗を吸わない) 8999 0 0 8487 htmvoc_8999.wav スーン ⸢スーン [⸢suːŋ] 自動 風が軟らかく吹く。そよ吹く。風がそよそよと吹く。そよぐ(戦ぐ)。「~稲葉そよぎて秋風の吹く」『古今集 171』の義。「そよぐ(戦ぐ)」の転訛したものか。⸣フクン[⸣ɸu̥kuŋ]は台風の強風が吹く意味。 カ⸢ジェー ソーンダー スーン⸣ケン ⸣マティティ ⸢スイ⸣ クーカー ⸢プー⸣ ピ⸢キ⸣バ [ka⸢ʤeː soːnda suːŋ⸣kem ⸣matiti ⸢sui⸣ kuːkaː ⸢puː⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (風が吹かない<そよがない>から、吹くまで待って、吹いてきたら帆を上げなさいよ)。 カ⸢ジヌ スー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʤinu suː⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そよ風が吹くことはない)。 カ⸢ジヌ スイヤー⸣ ミサムヌ [ka⸢ʤinu suijaː⸣ misamunu] (そよ風がふけばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢スイ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢sui⸣ba] (早く吹けよ) 8903 0 0 8488 htmvoc_8903.wav スーンジ ⸢スー⸣ンジ [⸢suː⸣ʔnʤi] 名 総出。 ミ⸢チクサイヤー⸣ ム⸢ラズー スー⸣ンジ ⸢シール ソーッ⸣タ [mi⸢ʧikusaijaː⸣ mu⸢raʣuː suːn⸣ʤi ⸢ʃiːru soːt⸣ta] (道普請は村中の者が総出でされた<なさった>) 9000 0 0 8489 htmvoc_9000.wav スーンシル ⸢スーン⸣シル [⸢suːŋ⸣ʃiru] 名 お汁。 ⸢スーン⸣シロー イ⸢ズトゥ アウナー⸣ イ⸢リティ⸣ バ⸢カシ⸣バ [⸢suːŋ⸣ʃiroː ʔi⸢ʣutu ʔaunaː⸣ ʔi⸢riti⸣ ba⸢kaʃi⸣ba] (お汁は魚と青菜を入れて炊きなさいよ) 8866 0 0 8490 htmvoc_8866.wav スイ ⸣スイ [⸣sui] 名 地名。首里。琉球国時代の行政、文化の中心地。首都。王府のあった地。 ⸢バン⸣テヌ ウ⸢ヤ⸣プソー パ⸢トゥ⸣マーラ スイ⸢バー⸣キ ⸢オーッ⸣タンツォー [⸢ban⸣tenu ʔu⸢ja⸣pu̥soː pḁ⸢tu⸣maːra sui⸢baː⸣ki ⸢ʔoːt⸣tanʦoː] (私の家の先祖は、鳩間島から首里まで行かれたそうだ) 8868 0 0 8491 htmvoc_8868.wav スイカ ⸢スイ⸣カ [⸢sui⸣ka] 名 西瓜。標準語からの借用語。 ム⸢カ⸣シェー ⸢スイ⸣カン ⸣ユー ス⸢ク⸣ローッタン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢sui⸣kaɲ ⸣juː su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (昔は西瓜もよく栽培された)。 ⸢スイカ⸣ヌ ⸣タニ ⸣マキティ ⸢ナイ⸣ヌ ⸢ムイ⸣ルカー ウ⸢リバ⸣ ヤトゥイ イ⸢ビティル⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢suika⸣nu ⸣tani ⸣makiti ⸢nai⸣nu ⸢mui⸣rukaː ʔu⸢riba⸣ jatui ʔi⸢bitiru⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (西瓜の種を蒔いて、苗が生えたらそれを移植して<ぞ>栽培され<作られ>た) 8869 0 0 8492 htmvoc_8869.wav スイギュー ⸢スイ⸣ギュー [⸢sui⸣gjuː] 名 (動物)水牛。西表島の水田耕作に台湾から導入されたという。 ⸢ウイバル⸣ナー ⸢スイ⸣ギュー シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オーッ⸣タン [⸢ʔuibaru⸣naː ⸢sui⸣gjuː si̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːt⸣taŋ] (上原では水牛を飼育しておられた) 8870 0 0 8493 htmvoc_8870.wav スイグスク ⸣スイグスク [⸣suigusu̥ku] 名 首里城。 ウスンガ⸢ナ⸣シェーマイヤ ⸣スイグスクナール ⸢オー⸣ル ティバン⸢ナー [ʔusuŋga⸢na⸣ʃeːmaija ⸣suigusu̥kunaːru ⸢ʔoː⸣ru tiban⸢naː] (首里の国王様は首里城に<住んで>いらっしゃるそうですね) 8871 0 0 8494 htmvoc_8871.wav スイクトゥバ ⸣スイクトゥバ [⸣suikutuba] 名 首里言葉。普通は、⸣スイムニ[⸣suimuni](首里言葉<もの言い>)、ウ⸢キナー⸣ムニ[ʔu⸢kinaː⸣muni](沖縄言葉)という。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸣スイクトゥバー シ⸢キシェーン⸣ドゥ パ⸢ナ⸣シェー ⸢シーサヌ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸣suiku̥tubaː ʃi̥⸢kiʃeːn⸣du pa⸢na⸣ʃeː ⸢ʃiːsanu] (鳩間の人は、首里言葉は聞くことは出来る<理解できる>が、話すことは出来ない) 8872 0 0 8495 htmvoc_8872.wav スイザシ ⸢スイザシ [⸢suiʣaʃi] 名 既設の建物に外側へ部屋や軒を増築すること。増築したもの。建て増し。かけだし(掛出し)。張り出し。「添え出し」の義。⸢スインザシ[⸢suiʔnʣaʃi]ともいう。 ウ⸢ブヤー⸣ヌ ⸢インター スイザシティ トー⸣ラ ス⸢ク⸣ローッタ [ʔu⸢bujaː⸣nu ⸢ʔintaː suiʣaʃi̥ti toː⸣ra su̥⸢ku⸣roːtta] (母屋の西側にかけだし<掛出し>を作って台所を作られた)。 ⸢ナーラ⸣シ ⸢スイザシ [⸢naːra⸣ʃi ⸢suiʣaʃi] (軒を張り出して作れ<添え出せ>) 8873 0 0 8496 htmvoc_8873.wav スイザシコーヤク ⸢スイザシコーヤク [⸢suiʣaʃikoːjaku] 名 吸出し膏薬。腫物の膿汁を吸い出すために貼る膏薬。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸢スイザシコーヤク⸣ パ⸢リティ ウー⸣ミ ⸢スイザシ⸣バ [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢suiʣaʃikoːjaku⸣ pa⸢riti ʔuː⸣mi ⸢suiʣaʃi⸣ba] (この御出来は吸出し膏薬を貼って膿を吸い出しなさいよ) 8874 0 0 8497 htmvoc_8874.wav スイザスン ⸢スイザスン [⸢suiʣasuŋ] 他動 建て増す。張り出す。かけだす(掛出す)。「添え出す」の転訛したもの。 ⸢トー⸣ラ ⸢スイザスンティ ベー⸣ヌンドゥ ⸢タンガ⸣シェー ⸢スイザサランバ テー⸣ナイ ⸢シーッふィーリ [⸢toː⸣ra ⸢suiʣasunti beː⸣nundu ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢suiʣasaramba teː⸣nai ⸢ʃiːffiːri] (炊事部屋<台所>を立て増そう<張り出そう>としているが、一人では建て増しできない<張り出されない>から手伝いしてくれ)。 ⸢インタカター スイザシ⸣ ミサカー ⸢スイザス⸣ クトー ナ⸢ル⸣ヌ ⸣ナルカー ニ⸢シェーケー スイザシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔintakataː suiʣaʃi⸣ misakaː ⸢suiʣasu⸣ ku̥toː na⸢ru⸣nu ⸣narukaː ni⸢ʃeːkeː suiʣaʃeː⸣ misamunu] (西側へ建て増してよければ建て増すことは出来るが、出来たら北側へ建て増し<張出し>すればよいのに)。 アー⸢イ イーリケー スイザシ [ʔaː⸢i ʔiːrikeː suiʣaʃi] (いや、西側へ建て増せ<張出せ>よ) 8875 0 0 8498 htmvoc_8875.wav スイザスン ⸢スイザスン [⸢suiʣasuŋ] 他動 吸い出す。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢ウー⸣ミ ⸢スイザスンティ シー スイザシコーヤク⸣ パ⸢リ⸣シケーンドゥ ⸢スイザサラヌ [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢ʔuː⸣mi ⸢suiʣasunti ʃiː suiʣaʃikoːjaku⸣ pa⸢ri⸣ ʃi̥keːndu ⸢suiʣasaranu] (御出来の膿を吸い出そうと吸い出し膏薬を貼ってあるが、吸い出せない)。 ⸢スイザシ⸣ ミサンカヤー [⸢suiʣaʃi⸣ misaŋkajaː] (吸い出してよいかなあ)。 ⸢スイザス⸣ クトゥ [⸢suiʣasu⸣ ku̥tu] (吸い出すこと)。 ⸢スイザシェー⸣ ミサムヌ [⸢suiʣaʃeː⸣ misamunu] (吸い出せばよいのに)。 ⸢スイザシ [⸢suiʣaʃi] (吸い出せ) 8867 0 0 8499 htmvoc_8867.wav スイプス ⸣スイプス [⸣suipu̥su] 名 首里人。首里の人。 ⸣スイプソー ム⸢カ⸣シェー サ⸢ムライ⸣ ヤ⸢ロー⸣レーンダ ピ⸢ライグリ⸣サンツォー [⸣suipu̥soː mu⸢ka⸣ʃeː sa⸢murai⸣ ja⸢roː⸣reːnda pi⸢raiguri⸣sanʦoː] (首里人は、昔は侍であられたから、付き合いにくいそうだ)。 ⸣スイプスナー サ⸢ムライン⸣ ヒャ⸢ク⸣ソーン ⸢オーッ⸣タン [⸣suipu̥sunaː sa⸢muraiŋ⸣ çḁ⸢ku⸣soːŋ ⸢ʔoːt⸣taŋ] (首里人の中には士族も百姓も居られた) 8877 0 0 8500 htmvoc_8877.wav スイブン ⸢スイブン [⸢suibuŋ] 名 おまけ。若年層の言葉。「添え分」の義。老年層は⸢シーブ[⸢ʃiːbu](おまけ{EOS}添え分)を多用する。 ⸣クベー ⸣メー ⸢スイブン<⸢シーブ>ゲ⸣ラ ゾー⸢ゾー⸣ ムティ⸢オー⸣リバ [⸣kubeː ⸣meː ⸢suibuŋ<⸢ʃiːbu>ge⸣ra ʣoː⸢ʣoː⸣ muti⸢ʔoː⸣riba] (これだけは、もう、おまけですよ{EOS}さあさあ持っていらっしゃい<行って下さい>) 8878 0 0 8501 htmvoc_8878.wav スイルン ⸢スイルン [⸢suiruŋ] 他動 付け加える。ある物に加える。そばに足す。添える。「剣太刀 身に佩き副流<ソフル>~。万、2635」の義。 ン⸢メーマー スイルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣ドゥー ⸢カッティ⸣シェー ⸢スイララヌ [ʔm⸢meːmaː suirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸣duː ⸢katti⸣ʃeː ⸢suiraranu] (少しは付け加えようと思うが、自分勝手には付け加えられない)。 ⸢スイル⸣ クトゥ [⸢suiru⸣ ku̥tu] (付け加える<添える>こと)。 ⸢スイ⸣ ミサカー スイヤー⸣ ミサムヌ [⸢sui⸣ misakaː ⸢suijaː⸣ misamunu] (付け加えたければ付け加えればいいのに)。 ⸢スイリ [⸢suiri] (付け加えなさい<添えろ>) 9001 0 0 8502 htmvoc_9001.wav スガスン ス⸢ガスン [su⸢gasuŋ] 他動 そよ風にあてる。風に当って汗を飛ばす。フカリルンとも言う。 ⸢キン⸣マー カ⸢ジ⸣ナー ス⸢ガシテーラ⸣ タ⸢ク⸣ミ [⸢kim⸣maː ka⸢ʤi⸣naː su⸢gaʃi̥teːra⸣ tḁ⸢ku⸣mi] (着物は風に当ててから畳みなさい)。 カ⸢ジ⸣ナ ス⸢ガスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイ ス⸢ガサラヌ [ka⸢ʤi⸣naː su⸢gasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸui su⸢gasaranu] (風に当てて乾かそうと思うが、雨が降って風に当てられない)。 ス⸢ガス⸣ クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ン⸢メーマ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ ス⸢ガシェー⸣ ミサムヌ [su⸢gasu⸣ ku̥toː na⸢ranu⸣nu ʔm⸢meːma⸣ ja⸢raban⸣ su⸢gaʃeː⸣ misamunu] (風に当てて乾かすことは出来ないが、少しでも風に当てればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ス⸢ガシ [jaː⸢din⸣ su⸢gaʃi] (必ず風に当てて乾かせ) 9003 0 0 8503 htmvoc_9003.wav スガリルン ス⸢ガリ⸣ルン [su⸢gari⸣ruŋ] 他動 装う。化粧する。着飾る。化粧して着飾る。 ブ⸢ドゥルシタフ シー⸣ ス⸢ガリ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ス⸢ガリラン⸣タンティン イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [bu⸢duruʃi̥taɸu ʃiː⸣ su⸢gari⸣runti ⸢beː⸣nundu su⸢gariran⸣tantiŋ ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (踊り支度をして美しく化粧をして着飾ろうとしているが、着飾り装わなくても非常に美しい)。 ⸣チニヒージェー ス⸢ガリ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンバ プー⸣ル ⸣キチゴンナーヤ ス⸢ガリ⸣リバ [⸣ʧiniçiːʤeː su⸢gari⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːmba puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnaːja su⸢gari⸣riba] (常日頃は化粧する人はいないから、豊年祭や結願祭には化粧しなさいよ)。 ス⸢ガ⸣リ ⸣ミサン [su⸢ga⸣ri ⸣misaŋ] (化粧してもいい)。 ス⸢ガリ⸣レー ⸣ミサムヌ [su⸢gari⸣reː ⸣misamunu] (化粧すればいいのに)。 ス⸢ガリ⸣ルカー イッ⸢ケン⸣ ア⸢バ⸣レーン [su⸢gari⸣rukaː ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢ba⸣reːŋ] (化粧すると非常に美しい) 9004 0 0 8504 htmvoc_9004.wav スガリルン ス⸢ガリルン [su⸢gariruŋ] 自動 風に当たる。「風に吹かれる」の義。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ カ⸢ジン⸣ ス⸢ガリルンティ ベー⸣ヌンドゥ ⸣クマン カ⸢ジェー ソーヌ⸣ ス⸢ガリラランバン<ス⸢ガラランバン> [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ka⸢ʤin⸣ su⸢garirunti beː⸣nundu ⸣kumaŋ ka⸢ʤeː soːnu⸣ su⸢garirarambaŋ] (あまりにも暑くて、風に当ろうとしているが、此処も風が吹かないので風に当れない<風に吹かれない>わい)。 カ⸢ジン⸣ ス⸢ガリ⸣ シ⸢ギ⸣ルカー マ⸢タ⸣ ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンダー ⸣ドゥク カ⸢ジン⸣ ス⸢ガリル⸣ クトー ス⸢ナ⸠ヨー [ka⸢ʤin⸣ su⸢gari⸣ ʃi⸢gi⸣rukaː ma⸢ta⸣ ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rundaː ⸣duku ka⸢ʤin⸣ su⸢gariru⸣ ku̥toː su⸢na⸠joː] (風に当たり過ぎると、また熱が出るので、あまり風に当たる<吹かれる>ことはするなよ)。 ス⸢ガリリ [su⸢gariri] (風に当れ<吹かれろ>) 9002 0 0 8505 htmvoc_9002.wav スガル ス⸢ガ⸣ル [su⸢ga⸣ru] 名 身支度。装うこと。化粧をすること。美しく着飾ること。衣装を調えること。準備すること。 ⸣アイニ ス⸢ガ⸣レーティ ⸢アーク⸣ヌ ⸢マー⸣ル ⸣パルカヤー [⸣ʔaini su⸢ga⸣reːti ⸢ʔaːku⸣nu ⸢maː⸣ru ⸣parukajaː] (あんなに化粧をして着飾っているが、何処へ<ぞ>行くのかなあ) 9005 0 0 8506 htmvoc_9005.wav スガルン ス⸢ガルン [su⸢garuŋ] 自動 風に当たる。「風に吹かれる」の義。「そよぐ(戦ぐ)」の転訛したもの。 ⸣クナーティ カ⸢ジン⸣ ス⸢ガルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ス⸢ガリ⸣ ミサンカヤー [⸣kunaːti ka⸢ʤin⸣ su⸢garunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du su⸢gari⸣ misaŋkajaː] (此処で風に当たろうと思うが、風に当っても良いかねえ)。 カ⸢ジン⸣ ス⸢ガル⸣ クトー ⸢ワッ⸣サユンダ ナ⸢ルビ⸣コー カ⸢ジ⸣ナー ス⸢ガランバル⸣ マ⸢シ [ka⸢ʤin⸣ su⸢garu⸣ ku̥toː ⸢was⸣sajundaː na⸢rubi⸣koː ka⸢ʤi⸣naː su⸢garambaru⸣ ma⸢ʃi] (風に当たることは悪いから、なるべくは風に当らないほうが良い)。 ン⸢ベーマー⸣ ス⸢ガレー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ su⸢gareː⸣ misamunu] (少しは風に当れば良いのに)。 ⸣クナーティ ス⸢ガリ⸣バ [⸣kunaːti su⸢gari⸣ba] (此処で風に当たれよ) 9006 0 0 8507 htmvoc_9006.wav スガルン ス⸢ガ⸣ルン [su⸢ga⸣ruŋ] 自動 おしゃれする。化粧をして着飾る。おめかしをする。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー トゥ⸢シ⸣グル ⸣ナルカー ス⸢ガ⸣ルン [mi⸢doːŋ⸣ffaː tu⸢ʃi⸣guru ⸣narukaː su⸢ga⸣ruŋ] (女の子は年頃になるとおしゃれをする)。 ブ⸢ドゥル スンティ⸣ ス⸢ガ⸣リ ⸢ベー [bu⸢duru sunti⸣ su⸢ga⸣ri ⸢beː] (踊りをしようとして化粧をして着飾っている) 9007 0 1 8508 htmvoc_9007.wav スク ⸣スク [⸣su̥ku] 副助 ぐらい。ほど。ばかり。だけ。体言、活用語の連体形、格助詞などに下接して程度を表す。{Mn_1}体言につく。 ⸢ワー⸣スコー パ⸢タラキサヌ [⸢waː⸣su̥koː pḁ⸢tarakisanu] (君ぐらい<ほどは>働けない)。 9007 0 2 8509 htmvoc_9007.wav スク ⸣スク [⸣su̥ku] 副助 {Mn_2}ズク(形式名詞)。動詞の連用形に下接して、最適の時期、頃合、の意味を表す。 バ⸢サン⸣ナロー ⸢ウー⸣ミティ マ⸢ナマ⸣ル ッ⸢ふァイズク [ba⸢san⸣naroː ⸢ʔuː⸣miti ma⸢nama⸣ru f⸢faiʣuku] (バナナは熟れて今が丁度食べごろだ)。 9007 0 3 8510 htmvoc_9007.wav スク ⸣スク [⸣su̥ku] 副助 {Mn_3}活用語の連体形に下接して程度を表す。 ギュー⸢サ⸣ ア⸢ザバン⸣ ス⸢ク⸣スコー ア⸢ラ⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ ʔa⸢ʣaban⸣ su̥⸢ku⸣su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (いくら言っても聞かない<聞くどころではない>)。 シ⸢グトゥ スー⸣スクン ⸢デー⸣カー ⸣バー パ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢gutu suː⸣su̥kun ⸢deː⸣kaː ⸣baː pa⸢ra⸣nu] (仕事をするぐらいなら私は行かない)。 ヌ⸢ミ⸣プサスコー ヌ⸢マ⸣シバ [nu⸢mi⸣pu̥sasu̥koː nu⸢ma⸣ʃiba] (飲みたいだけ飲ませなさい)。 9007 0 4 8511 htmvoc_9007.wav スク ⸣スク [⸣su̥ku] 副助 {Mn_4}さらに副助詞⸢-ナー⸣ト[⸢-naː⸣to](~など)が付く(強調)。 シ⸢グトゥ スー⸣スク⸢ナー⸣トー ア⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢gutu suː⸣su̥ku⸢naː⸣toː ʔa⸢ra⸣nu] (仕事をするどころ<ぐらい>などではない)。 9007 0 5 8512 htmvoc_9007.wav スク ⸣スク [⸣su̥ku] 副助 {Mn_5}格助詞⸢-ヌ[⸢-nu](~の)に付いて、上接語との所属関係を表す。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヌスク⸣ル ア⸢ル [⸢waː⸣ ʔu⸢nusu̥ku⸣ru ʔa⸢ru] (君はその程度しかないのか<そのぐらいぞあるのか>)。 ⸣バー ウ⸢リヌ⸣スコー ⸢ウイユーサ⸣ヌ [⸣baː ʔu⸢rinu⸣su̥koː ⸢ʔuijuːsa⸣nu] (私は彼くらい<彼のほど>は泳げない)。 9007 0 6 8513 htmvoc_9007.wav スク ⸣スク [⸣su̥ku] 副助 {Mn_6}さらに、とりたての係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](は)、係助詞⸣-ン[⸣-n]、副助詞⸣ツァン[⸣-ʦaŋ](~すら{EOS}~さえ{EOS}~だに)が付いて強調表現をつくる。 ヤ⸢ラビ⸣ヌスコーンツァン ⸢カンガイユーサン⸣バン [ja⸢rabi⸣nu ⸣su̥koːnʦaŋ ⸢kaŋgaijuːsam⸣baŋ] (子供のぐらいさえも考えきれないわい) 9008 0 0 8514 htmvoc_9008.wav スク ⸣スク [⸣su̥ku] 名 (動)魚の名。⸢アイイズ[ʔaiʔiʣu](あみあいご)の稚魚。体長約3センチ、旧暦6月の1日前後ごろに群れをなして島の西から海岸に寄ってきて東海岸へと移動し、浮いているが、二三日すると海藻を食べるようになり、海底に沈んで捕獲しにくくなって、スクガラスには適しなくなる。海藻を食べる前に捕獲して塩漬けにしたのがス⸢クガラ⸣ス[su̥⸢kugara⸣su](スクの塩漬け{EOS}塩辛)である。 ス⸢ク⸣ヌ ⸢ユーリ⸣ キー ⸣ッサ ッ⸢ふァーン⸣ケン ス⸢クイティ⸣ ス⸢クガラ⸣ス ス⸢コーッ⸣タ [su̥⸢ku⸣nu ⸢juːri⸣ kiː ⸣ssa f⸢faːŋ⸣ken su̥⸢kuiti⸣ su̥⸢kugara⸣su su̥⸢koːt⸣ta] (スクが寄ってきて海草を食べないうちに掬い獲ってス⸢クガラ⸣ス<スクの塩漬け>を漬けられた) 9009 0 1 8515 htmvoc_9009.wav スク ス⸢ク [su̥⸢ku] 名 {Mn_1}底。最下部。谷。 カ⸢ミ⸣ヌ ス⸢ク [ka⸢mi⸣nu su̥⸢ku] (瓶の底)。 ナ⸢ビ⸣ヌ ス⸢ク⸣ナー ナ⸢マシキ⸣ヌ ⸢ガー⸣ガー ⸣ナリ ⸢ベー [na⸢bi⸣nu su̥⸢ku⸣naː na⸢maʃiki⸣nu ⸢gaː⸣gaː ⸣nari ⸢beː] (鍋の底にお焦げが赤黒い焦げつき<ガーガー>になって付いている)。 9009 0 2 8516 htmvoc_9009.wav スク ス⸢ク [su̥⸢ku] 名 {Mn_2}山奥。 ⸢ケーダヤマ⸣ヌ ス⸢ク⸣ナー ⸢キャーンギキーバ⸣ ヤ⸢マ⸣シカ ⸣キシ ⸣シケーン [⸢keːdajama⸣nu su̥⸢ku⸣naː ⸢kjaːŋgikiːba⸣ ja⸢ma⸣ʃi̥ka ki̥ʃi ⸣ʃi̥keːŋ] (ケーダ山の山奥に槇の木を沢山伐って置いてある) 9010 0 0 8517 htmvoc_9010.wav ズク ⸣ズク [⸣ʣuku] 名 うれること。熟すること。成熟すること。十分に成長する。「熟」の転訛したもの。 ク⸢レー⸣ ア⸢ツァブカ⸣ラー ⸣ズク ⸢スン⸣ パジ [ku⸢reː⸣ ʔa⸢ʦabuka⸣raː ⸣ʣuku ⸢sum⸣ paʤi] (これは明日ごろには熟するはずだ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ズク ⸢シー⸣ マ⸢リ⸣ケーン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʣuku ⸢ʃiː⸣ ma⸢ri⸣keːŋ] (この子は非常に成熟<成長>して生まれてきた) 9014 0 1 8518 htmvoc_9014.wav スクーン ス⸢クーン [su̥⸢kuːŋ] 他動 {Mn_1}すくう(掬う)。掬い取る。 タ⸢ブ⸣シ ⸣ザコー ス⸢クーンティ スンドゥ⸣ ス⸢コーラヌ ワー⸣ ス⸢クイ⸠ミー [ta⸢bu⸣ʃi ⸣ʣakoː su̥⸢kuːnti sundu⸣ su̥⸢koːranu waː⸣ su̥⸢kui⸠miː] (たも網でカツオの餌<雑魚>を掬おうとするが、掬われない{EOS}君が掬ってごらん<掬ってみろ>)。 ス⸢クー⸣ ピンマー ⸢ヨーンナ⸣ ス⸢クイヤー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kuː⸣ pimmaː ⸢joːnnaː⸣ su̥⸢kuijaː⸣ misamunu] (掬う時はゆっくり掬えばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ス⸢クイ [⸢paː⸣ku su̥⸢kui] (早く掬え)。 9014 0 2 8519 htmvoc_9014.wav スクーン ス⸢クーン [su̥⸢kuːŋ] 他動 {Mn_2}救う。救助する。 ⸢ウッふィ ベー⸣ ッ⸢ふァ⸣ ス⸢クーンティ⸣ ス⸢ナ⸣カー ブ⸢ダッカリ⸣ ウ⸢ローッ⸣タ<⸢ペー⸣ローッタ> [⸢ʔuffi beː⸣ f⸢fa⸣ su̥⸢kuːnti⸣ su⸢na⸣kaː bu⸢dakkari⸣ ʔu⸢roːt⸣ta<⸢peː⸣roːtta>] (溺れている子を救おうと海中へ飛び降りられた) 9011 0 0 8520 htmvoc_9011.wav スクアン ス⸢クアン [su̥⸢kuʔaŋ] 名 底網。水深の深い所に沈めて雑魚を掬い取るのに用いる網。 サ⸢ネー⸣ラー ス⸢クアン⸣シル トゥ⸢ローッ⸣タ [sa⸢neː⸣raː su̥⸢kuʔaŋ⸣ʃiru tu⸢roːt⸣ta] (サネーラーはスクアン<底網>で掬って漁獲され<取られ>た) 9012 0 0 8521 htmvoc_9012.wav スクイ ⸣スクイ [⸣su̥kui] 名 麻桶。「~麻笥<ヲケ>に垂れたる~。万、3243」の義。⸣クイ[⸣kui]は、「桶、乎計<ヲケ>」『和名抄』、「笥、乎介<ヲケ>」『霊異記』の「計」、「介」が転訛したものか。からむし<苧>の糸や芭蕉糸をう<績>んで入れる箱や籠。「そ・け<麻・笥>」の転訛したものか。人頭税時代(明治37年頃まで)は、女たちは夜業をして糸を紡ぎ、⸢グイ⸣フゾーノー[⸢gui⸣ɸuʣoːnoː](御用布{EOS}平民女性の貢納布)を納めた。 ム⸢カ⸣シェー ⸣アッパター ⸢ピーズ ブー⸣バ ⸢ウー⸣ミ ⸣スクイ ミ⸢ツァ⸣スンティ ⸢シー オーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔappataː ⸢piːʣu buː⸣ba ⸢ʔuː⸣mi ⸣su̥kui mi⸢ʦa⸣sunti ⸢ʃiː ʔoːt⸣ta] (昔は、お婆さんたちは毎日麻糸を紡いで<績んで>麻桶を満たそうとしておられた) 9013 0 0 8522 htmvoc_9013.wav スクイシティルン ス⸢クイシティルン [su̥⸢kuiʃi̥tiruŋ] 他動 複合動詞。掬いすてる。ス⸢クイシトゥン[su̥⸢kuiʃi̥tuŋ](掬い捨てる)ともいう。 ⸢アー⸣ツメー ムー⸢ル⸣ ス⸢クイシティルンティ スンドゥ⸣ ス⸢クイシティララヌ [⸢ʔaː⸣ʦumeː muː⸢ru⸣ su̥⸢kuiʃi̥tirunti sundu⸣ su̥⸢kuiʃi̥tiraranu] (泡つぶは全部掬い捨てようとするが、掬い捨てられない) 9087 0 0 8523 htmvoc_9087.wav スクイズ ス⸢クイズ [su̥⸢kuʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ツバメコノシロ(体長約50センチ)。 ス⸢クイゾー⸣ ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [su̥⸢kuʔiʣoː⸣ miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (スクイズは見たことが無かった<見てみなかった>) 9015 0 0 8524 htmvoc_9015.wav スクカカラー ス⸢クカカ⸣ラー [su̥⸢kukaka⸣raː] 連 聞く物すべて。聞くところ全部。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ス⸢クカカ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ユ⸢クシ⸣ムニ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː su̥⸢kukaka⸣raː muː⸢ru⸣ ju⸢kuʃi⸣muni] (その話は聞くものすべてが嘘<よこす(讒)・こと>だ) 9016 0 0 8525 htmvoc_9016.wav スクガラス ス⸢クガラ⸣ス [su̥⸢kugara⸣su] 名 ⸣スク[⸣su̥ku](アイゴの稚魚)の塩辛。外洋から海岸に寄ってきたスク(アイゴの稚魚)が海草を食べる前に網で掬い獲り、塩漬けにして発酵させ、塩辛に製造したもの。 ム⸢カ⸣シェー ス⸢クガラス⸣バ カ⸢ティムヌ⸣バ ⸢シール イー⸣ヤ ン⸢コーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː su̥⸢kugarasu⸣ba kḁ⸢timunu⸣ba ⸢ʃiːru ʔiː⸣ja ʔŋ⸢koːt⸣ta] (昔はスクの塩辛をおかず<副食物>にして<ぞ>ご飯は召し上がられた) 9017 0 0 8526 htmvoc_9017.wav スクスン ス⸢クスン [su̥⸢kusuŋ] 他動 尽くす。努力する。標準語の「尽くす」の転訛したもの。 ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナルカー ⸣シマムラヌ タ⸢ミ⸣ ス⸢クシ⸠ダー<パ⸢タラキ⸠ダー> [ʔu⸢bu⸣pusu ⸣narukaː ⸣ʃimamuranu ta⸢mi⸣ su̥⸢kuʃi⸠daː] (大人になったら島や村の為に尽くしなさいよ) 9018 0 0 8527 htmvoc_9018.wav スクダイ ⸣スクダイ [⸣su̥kudai] 名 机。「しょくだい(卓台)」の義。 ピ⸢ルマ⸣サー ⸢キュー⸣ヤ ⸣スクダイナー ン⸢カイ ビンキョー スンティ ベー⸣ヌ ⸣アメー ⸢ホーン⸣ ミサンカヤー [pi⸢ruma⸣saː ⸢kjuː⸣ja ⸣su̥kudainaː ʔŋ⸢kai biŋkjoː sunti beː⸣nu ⸣ʔameː ⸢hoːm⸣ misaŋkajaː] (ああ珍しい{EOS}今日は机に向かって勉強をしようとしているが、雨は降らないかなあ) 9020 0 0 8528 htmvoc_9020.wav スクッチナーン ス⸢クッチナー⸣ン [su̥⸢kutʧinaː⸣ŋ] 形 不潔である。汚らしい。淫らである。猥雑である。滑稽である。「粗忽な」の転訛したものか。 ス⸢クッチナー⸣ プ⸢ストー⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ララン⸠ダー ス⸢クッチナー⸣ンティ プ⸢スン⸣ ア⸢ザリナ [su̥⸢kutʧinaː⸣ pu̥⸢sutoː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢raran⸠daː su̥⸢kutʧinaː⸣nti pu̥⸢suŋ⸣ ʔa⸢ʣarina] (不潔な人とは仕事は出来ないよ{EOS}不潔だと他人に言われるな)。 ス⸢クッチナー ナーン⸣センドゥ ⸢シンダイ⸣ ス⸢クッチナー⸣ ナリクン [su̥⸢kutʧinaː naːn⸣ʃendu ⸢ʃindai⸣ su̥⸢kutʧinaː⸣ narikuŋ] (不潔ではなかったが、次第に不潔になってくる)。 ス⸢クッチナー⸣ヌ ウ⸢リンマー⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [su̥⸢kutʧinaː⸣nu ʔu⸢rimmaː⸣ ta⸢namara⸣nu] (不潔だから彼には頼まれない)。 ス⸢クッチナー⸣ヌ ウ⸢リトー⸣ ブ⸢ララヌ [su̥⸢kutʧinaː⸣nu ʔu⸢ritoː⸣ bu⸢raranu] (不潔で、汚らしくて彼とは生活できない<居れない>)。 ス⸢クッチナー⸣ンティ ア⸢ザリシバ⸣ ス⸢クッチナー ナーン⸣ヨーニ ア⸢ザケーアザケー⸣シ ⸢アー⸣キバ [su̥⸢kutʧinaː⸣nti ⸣ʔa⸢ʣariʃiba⸣ su̥⸢kutʧinaː naːɲ⸣joːni ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃi ⸢ʔaː⸣kiba] (不潔で汚らしいと言われるから、不潔でないように、清潔にしていなさい<あるきなさい>)。 ス⸢クッチナー⸣ プ⸢ス [su̥⸢kutʧinaː⸣ pu̥⸢su] (不潔な人{EOS}下品な人{EOS}滑稽な人)。 ス⸢クッチナー⸣カー シゥ⸢カーヌ [su̥⸢kutʧinaː⸣kaː si̥⸢kaːnu] (不潔なら<汚らしければ>使わない) 9019 0 0 8529 htmvoc_9019.wav スクッチナカーチナ ス⸢クッチナカー⸣チナ [su̥⸢kutʧinakaː⸣ʧina] 副 \ruby{汚}{キタナ}らしくて。汚れて。不潔で。見苦しい恰好で。だらしなくて。重言。 プ⸢スヌ ミー⸣バ ヤ⸢マ⸣シ ス⸢クッチナカー⸣チナ ⸢シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ナ [pu̥⸢sunu miː⸣ba ja⸢ma⸣ʃi su̥⸢kutʧinakaː⸣ʧina ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣na] (人目にも見苦しい{EOS}だらしない恰好で<他人の目を苦しめて>、汚らしくしているなよ) 9021 0 0 8530 htmvoc_9021.wav スクッチナムヌ ス⸢クッチナ ムヌ [su̥⸢kutʧina munu] 連 冗談好きの人。滑稽な人。不潔な人。猥雑な人。品行不良な人。 ウ⸢レー⸣ ス⸢クッチナムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ テーファー⸣ムニ カー⸢ニル スー⸠ツォー [ʔu⸢reː⸣ su̥⸢kutʧinamunu⸣ ja⸢runda teːɸaː⸣muni kaː⸢niru suː⸠ʦoː] (彼は滑稽な人<不良>だから、冗談<滑稽なこと、下卑た話>ばかり言うんだよ) 9168 0 0 8531 htmvoc_9168.wav スクッチナムヌ ス⸢クッチナムヌ [su̥⸢kutʧinamunu] 連 不潔な者。滑稽な人。下品な人。男女関係にだらしのない者。「粗忽な者」の転訛か。 ⸢ウンザー⸣ ス⸢クッチナムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ス⸢バー パン⸣ナ⸢ヨー [⸢ʔunʣaː⸣ su̥⸢kutʧinamunu⸣ ja⸢runda⸣ su⸢baː pan⸣na⸢joː] (あいつは不潔な人<だらしない人>だから、側に行くなよ) 9169 0 0 8532 htmvoc_9169.wav スクッチルン ス⸢クッチルン [su̥⸢kutʧiruŋ] 自動 粉々に砕ける。 タ⸢カーン⸣ トンラ ク⸢ビン⸣ヌ ⸣ウティティ イ⸢シ⸣ナ ア⸢タル⸣カー ス⸢クッチルン [tḁ⸢kaːn⸣ tonra ku⸢bin⸣nu ⸣ʔutiti ʔi⸢ʃi⸣na ʔa⸢taru⸣kaː su̥⸢kutʧiruŋ] (高い所から瓶が落ちて石に当たると粉々に砕ける)。 ス⸢クッチラヌ [su̥⸢kutʧiranu] (砕けない)。 ス⸢クッチ ナー⸣ヌ [su̥⸢kutʧi naː⸣nu] (砕けてしまった)。 ス⸢クッチル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [su̥⸢kutʧiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (砕けることはない)。 ス⸢クッチレー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kutʧireː⸣ misamunu] (砕ければ良いのに)。 ウ⸢タ⸣スカー バ⸢リ⸣ ス⸢クッチルンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ス⸢クッチランシェン [ʔu⸢ta⸣su̥kaː ba⸢ri⸣ su̥⸢kutʧirunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du su̥⸢kutʧiraŋʃeŋ] (落としたら割れて粉々に砕けると思ったが、粉粉に砕けなかった)。 ス⸢クッチ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [su̥⸢kutʧi⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (砕けやすい)。 ス⸢クッチル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌヌ ア⸢ブ⸣ツァ ⸣ムノー ス⸢クッチェー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kutʧiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nunu ʔa⸢bu⸣ʦa ⸣munoː su̥⸢kutʧeː⸣ misamunu] (砕けることは無いが、あんなものは砕け散ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ス⸢クッチリ [⸢paː⸣ku su̥⸢kutʧiri] (早く砕け散れ) 9026 0 0 8533 htmvoc_9026.wav スクッツァースン ス⸢クッツァースン [su̥⸢kutʦaːsuŋ] 他動 ぶち壊す。ぶっ壊す。粉々に壊す。滅茶苦茶にする。ぶん殴る。 ス⸢クッツァースンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢カッティニ⸣ ス⸢クッツァース⸣ クトー ナ⸢ラン⸣ティ シ⸢タール⸣ ス⸢クッツァーサンドー⸣シ シケー⸢ダー [su̥⸢kutʦaːsunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸢kattini⸣ su̥⸢kutʦaːsu⸣ ku̥toː na⸢ran⸣ti ʃi̥⸢taːru⸣ su̥⸢kutʦaːsandoː⸣ʃi ʃi̥keː⸢daː] (粉々にぶち壊そうと思ったが、勝手にぶち壊すことはまかりならぬというので、ぶち壊さないで置いてあるんだよ)。 ス⸢クッツァーシ⸣ プサカー ス⸢クッツァーシェー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kutʦaːʃi⸣ pu̥sakaː su̥⸢kutʦaːʃeː⸣ misamunu] (粉々にぶち壊したければぶち壊せばよいのに)。 ス⸢クッツァーシ [su̥⸢kutʦaːʃi] (粉々にぶち壊せ) 9027 0 0 8534 htmvoc_9027.wav スクッツァーラスン ス⸢クッツァーラスン [su̥⸢kutʦaːrasuŋ] 他動 ぶち壊れさす。ぶっ壊れさす。粉々に壊れさせる。台無しにさせる。 ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナーン⸣ムノー ス⸢クッツァーラスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣ドゥー ⸢カッティ⸣シェー ス⸢クッツァーラサラヌ [⸢juː⸣ʣoː ⸢naːm⸣munoː su̥⸢kutʦaːrasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸣duː ⸢katti⸣ʃeː su̥⸢kutʦaːrasaranu] (役に立たないものは、粉々にぶち壊れさせようと思うが、自分勝手にぶち壊れさせられない)。 ス⸢クッツァーラシ⸣ ミサカー ス⸢クッツァーラス⸣ クトー タ⸢ヤーッ⸣サン [su̥⸢kutʦaːraʃi⸣ misakaː su̥⸢kutʦaːrasu⸣ ku̥toː ta⸢jaːs⸣saŋ] (粉々にぶち壊れさせてよければ、ぶち壊れさせることは簡単だ<たやすい>)。 ス⸢クッツァーラシェー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kutʦaːraʃeː⸣ misamunu] (粉々にぶっ壊れさせればよいのに)。 ス⸢クッツァーラシ [su̥⸢kutʦaːraʃi] (粉々にぶっ壊れさせよ) 9028 0 0 8535 htmvoc_9028.wav スクッツァールン ス⸢クッツァールン [su̥⸢kutʦaːruŋ] 自動 砕ける。ぶっ壊れる。粉々に壊れる。ばらばらに壊れる。台無しになる。 ⸢ウー⸣ケー ⸣ティダナ ⸣プスカー ス⸢クッツァールンダ⸣ ス⸢クッツァーラン⸣ヨーニ ⸣カイナカナー シ⸢キ⸣リ [⸢ʔuː⸣keː ⸣tidana ⸣pu̥sukaː su̥⸢kutʦaːrunda⸣ su̥⸢kutʦaːraɲ⸣joːni ⸣kainakanaː ʃi̥⸢ki⸣ri] (桶は日に干すとばらばらに壊れるから、ぶっ壊れないように日陰に置け)。 ス⸢クッツァーリ ヤッ⸣サン [su̥⸢kutʦaːrijas⸣saŋ] (粉々にぶっ壊れやすい)。 ス⸢クッツァール ウー⸣ケー シ⸢ティリ [su̥⸢kutʦaːru ʔuː⸣keː ʃi̥⸢tiri] (粉々にぶっ壊れる桶は捨てろ)。 ス⸢クッツァーレー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kutʦaːreː⸣ misamunu] (ばらばらにぶっ壊れれば良いのに)。 ス⸢クッツァーリリ [su̥⸢kutʦaːriri] (粉々にぶっ壊れろ)。 タ⸢カーン⸣ トンラ ⸣クビン ウ⸢タ⸣シティ イ⸢シ⸣ナ ア⸢タル⸣カー ス⸢クッツァールン [tḁ⸢kaːn⸣ tonra ⸣kubiŋ ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ʔi⸢ʃi⸣na ʔa⸢taru⸣kaː su̥⸢kutʦaːruŋ] (高い所から瓶を落として石に当たると粉々に砕け散る)。 フ⸢タバレーヤ⸣ ナ⸢ル⸣ヌ ス⸢クッツァーラヌ [ɸu̥⸢tabareːja⸣ na⸢ru⸣nu su̥⸢kutʦaːranu] (真っ二つには割れるが、粉々に割れない)。 ス⸢クッツァーリ ナー⸣ヌ [su̥⸢kutʦaːri naː⸣nu] (粉々に砕け壊れてしまった)。 バ⸢レー⸣ ス⸢ヌ⸣ ス⸢クッツァール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢reː⸣ su⸢nu⸣ su̥⸢kutʦaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (割れはするが、粉々に砕け散ることはない) 9170 0 0 8536 htmvoc_9170.wav スクッツァスン ス⸢クッツァスン [su̥⸢kutʦasuŋ] 他動 粉々にする。破砕する。 タ⸢マガラ⸣ス ⸢ナン⸣ギ イ⸢シ⸣ナ ア⸢ティ⸣ ス⸢クッツァスン [ta⸢magara⸣su ⸢naŋ⸣gi ʔi⸢ʃi⸣na ʔa⸢ti⸣ su̥⸢kutʦasuŋ] (ガラスを投げて石に当てて\ruby{破砕}{ハ|サイ}する<粉々に割る>)。 ス⸢クッツァサヌ [su̥⸢kutʦasanu] (粉々に割らない)。 ス⸢クッツァシ ナー⸣ヌ [su̥⸢kutʦaʃi naː⸣nu] (粉々に割ってしまった)。 ス⸢クッツァス⸣ クトゥ [su̥⸢kutʦasu⸣ ku̥tu] (粉々に割ること)。 ス⸢クッツァシェー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kutʦaʃeː⸣ misamunu] (粉々に割れば良いのに)。 ス⸢クッツァシ [su̥⸢kutʦaʃi] (粉々に割れ) 9024 0 0 8537 htmvoc_9024.wav スクッツン ス⸢クッツン [su̥⸢kutʦuŋ] 自動 砕け散る。粉粉に砕ける。粉粉に壊れる。 ア⸢ダ⸣カーラ ウ⸢タ⸣スカー ス⸢クッツン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ス⸢クッツァンバン⸣ ヌヤー [ʔa⸢da⸣kaːra ʔu⸢ta⸣su̥kaː su̥⸢kutʦuŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du su̥⸢kutʦamban⸣ nujaː] (あんな高い所から落としたら砕け散ると思ったのに、砕けないよ{EOS}なあんだ)。 ク⸢ビン⸣マー イ⸢シ⸣ナ ア⸢タル⸣カー ス⸢クッツン [ku⸢bim⸣maː ʔi⸢ʃi⸣na ʔa⸢taru⸣kaː su̥⸢kutʦuŋ] (瓶は石に当たると割れ砕け散る)。 ⸢ミー⸣バレー ⸢スンドゥ⸣ ス⸢クッツァヌ [⸢miː⸣bareː ⸢sundu⸣ su̥⸢kutʦanu] (ひび割れはするが、粉々に割れない)。 ス⸢クッチ ナー⸣ヌ [su̥⸢kutʧi naː⸣nu] (砕け散ってしまった)。 ⸣ウビシ ス⸢クッツ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔubiʃi su̥⸢kutʦu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (それだけでは砕け散ることはない)。 ス⸢クッツ⸣カー ス⸢クッチ [su̥⸢kutʦu⸣kaː su̥⸢kutʧi] (砕け散るなら砕け散れ)。 ウ⸢タシ⸣ター ス⸢クッチ ナー⸣ヌ [ʔu⸢taʃi̥⸣taː su̥⸢kutʧinaː⸣nu] (落としたら砕けてしまった)。 シゥ⸢カットゥ⸣ ブンシ ス⸢クッツ ムノー⸣ シ⸢ティリ [sï̥⸢kattu⸣ buŋʃi su̥⸢kutʦumunoː⸣ ʃi̥⸢tiri] (触るだけで<分で>砕けるものは捨てろ)。 ス⸢クッチェー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kutʧeː⸣ misamunu] (砕ければよいのに)。 ムー⸢ル⸣ ス⸢クッチ [muː⸢ru⸣ su̥⸢kutʧi] (全部砕け散れ) 9029 0 0 8538 htmvoc_9029.wav スクドゥン ス⸢ク⸣ドゥン [su̥⸢ku⸣duŋ] 名 琉球国時代の位階名。百姓の位階。「築登之」と書く。最下級の位階で、里之子(サトゥヌシ{SqBr}satunusi{/SqBr})の次『沖縄語辞典』。⸢アー⸣シ[⸢ʔaː⸣ʃi](赤頭)が、定められた貢納の上にさらに米四十表を納めると与えられた位階。⸢ユンチュヤク[⸢junʧujaku](与人役)待遇を受けた『石垣方言辞典』。 ⸢ベー⸣ヌ ウ⸢ブイー⸣パイナー ヌ⸢バ⸣ルスクドゥンティ カ⸢カ⸣リ ⸢ブー⸣ イ⸢ツァビラーマ⸣ヌ ⸢アッ⸣タン⸢ダー [⸢beː⸣nu ʔu⸢buʔiː⸣painaː nu⸢ba⸣rusu̥kudunti kḁ⸢ka⸣ri ⸢buː⸣ ʔi⸢ʦabiraːma⸣nu ⸢ʔat⸣tan⸢daː] (我が家の大位牌に野原築登之と書かれている小板の位牌があったよ) 9035 0 0 8539 htmvoc_9035.wav スクナール ス⸢クナール [su̥⸢kunaːru] 名 鈍く鳴る音。鈍く響く音。西瓜などの未熟果を打った時の音や低音で焼いた陶器の音。「底鳴り」の義。カ⸢ニナール[ka⸢ninaːru](高く響く音{EOS}高温で焼き締めた陶磁器の音や西瓜などの完熟果の音)の対義語。 ス⸢クナール シー ブーバ⸣ ク⸢ヌ スイ⸣カー マ⸢ダ ウーマン⸣ パジ⸢ダー [su̥⸢kunaːru ʃiː buːba⸣ ku⸢nu sui⸣kaː ma⸢da ʔuːmam⸣ paʤi⸢daː] (底鳴り<鈍く鳴る音を>しているから、この西瓜はまだ熟れていないはずだよ) 9037 0 0 8540 htmvoc_9037.wav スクナウン ス⸢クナウン [su̥⸢kunauŋ] 他動 損なう。傷つける。害する。 パ⸢ナン⸣ギ ⸢スー⸣カー ドゥー ス⸢クナウンダ⸣ ドゥー ス⸢クナーン⸣ヨーニ ア⸢サビ⸣バ [pa⸢naŋ⸣gi ⸢suː⸣kaː ⸣duː su̥⸢kunaunda⸣ duː su̥⸢kunaːɲ⸣joːni ʔa⸢sabi⸣ba] (悪ふざけをすると体を傷つけるから、体を傷つけないように遊べよ)。 ⸣カイブ ア⸢サベー⸣ ドゥー ス⸢クナイ ヤッ⸣サンダ ⸣ドゥー ス⸢クナウ⸣ ア⸢サベー⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [⸣kaibu ʔa⸢sabeː⸣ duː su̥⸢kunai jas⸣sanda ⸣duː su̥⸢kunau⸣ ʔa⸢sabeː⸣ su⸢na⸣joː] (こんな遊びは体を傷つけ<損ない>易いから、体を傷つける遊びはするなよ)。 ⸣ドゥー ス⸢クナイヤー⸣ラ ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸣duː su̥⸢kunaijaː⸣ra ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (体を傷つけたら大変さ)。 ⸢カッティニ⸣ ドゥー ス⸢クナイ⸣バ [⸢kattini⸣ duː su̥⸢kunai⸣ba] (勝手に体を傷つけろよ<傷つけるな>)。台無しにする。殺す。老年層の使用語。 カ⸢ジフキサーリ⸣ ヤ⸢ラビ⸣バ ⸣イダフネーラ ⸢サーリ アー⸣クカー ッ⸢ふァ⸣ ス⸢クナウン⸠ダー [ka⸢ʤiɸu̥kisaːri⸣ ja⸢rabi⸣ba ⸣ʔidaɸuneːra ⸢saːri ʔaː⸣kukaː f⸢fa⸣ su̥⸢kunaun⸠daː] (嵐<風吹きの中>で子供をサバニで連れていくと子供を殺すよ<むちゃするな>) 9031 0 0 8541 htmvoc_9031.wav スクニルン ス⸢クニルン [su̥⸢kuniruŋ] 他動 そこね(損ね)る。傷つける。怪我する。壊す。老年層の使用語。 ⸣ドゥク ⸢ガー⸣ タティ シ⸢グトゥ スー⸣カー ⸣ドゥー ス⸢クニルン⸣ダー [⸣duku ⸢gaː⸣ tḁti ʃi⸢gutu suː⸣kaː ⸣duː su̥⸢kunirun⸣daː] (あまり頑張って<我を張って>仕事をすると、体を損ねるよ)。 ⸢ドングペン⸣ゴー ス⸢クニラン⸣ヨーニ ⸢アシゥカイ⸣バ [⸢doŋgupeŋ⸣goː su̥⸢kuniraŋ⸣ joːni ⸢ʔasi̥kai⸣ba] (道具は壊さないように扱いなさいよ)。 グ⸢チ⸣ホーニサーギ ⸢アシゥカーン⸣カー ⸢ドン⸣グ ス⸢クニル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [gu⸢ʧi⸣hoːnisaːgi ⸢ʔasi̥kaːŋ⸣kaː ⸢doŋ⸣gu su̥⸢kuniru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (むやみに<無鉄砲に>さえ扱わなければ道具を損ねる<破損する>ことはない) 9032 0 0 8542 htmvoc_9032.wav スクブ ス⸢ク⸣ブ [su̥⸢ku⸣bu] 名 すくも(藻屑)。もみがら(籾殻)。しいな(米比)。稲の枯葉。「sucumo、スクモ(すくも)すなわち、Nuca(糠)米や小麦の殻」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢マイヤ⸣ サイ ピ⸢キティ⸣ ス⸢ク⸣ボー ト⸢バシ [⸢maija⸣ sai pi̥⸢kiti⸣ su̥⸢ku⸣boː tu⸢baʃi] (稲<米>は\ruby{扱}{シゴ}いて脱穀し、挽き臼で挽いて、スクモを風に飛ばして除去しなさい)。 ッ⸢ソーマー⸣ナ ⸣タトゥカー ス⸢ク⸣ブ カブン⸢ダー⸣ カ⸢マー⸣ パリバ [s⸢soːmaː⸣na ⸣tḁtukaː su̥⸢ku⸣bu kabun⸢daː⸣ ka⸢maː⸣ pariba] (風下に立つと籾殻のスクモを浴びるぞ{EOS}あっちへ行けよ) 9033 0 0 8543 htmvoc_9033.wav スクフイ ス⸢クフイ [su̥⸢kuɸui] 名 底冷え。体のしんまで冷えること。 ⸢ダイカン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペール⸣ター ス⸢クフイ スン⸣ケン ピ⸢ラク⸣ヌ ⸣キー ク⸢バ⸣リ ⸢ベー [⸢daikan⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peːru⸣taː su̥⸢kuɸui suŋ⸣kem pi⸢raku⸣nu ⸣kiː ku⸢ba⸣ri ⸢beː] (大寒の季節に入ったので底冷えするほどに寒波が押し寄せてきて凍えている) 9038 0 0 8544 htmvoc_9038.wav スクフトゥッチ ス⸢クフトゥッチ [su̥⸢kuɸututʧi] 名 ぶつぶつ不平不満をいうこと。口中でつぶやく(呟く)こと。 ⸣アイニ ス⸢クフトゥッチ サンドー⸣シ ⸣ヌーカ ⸣ヌーティ シカイ⸢トゥ⸣ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリバル⸣ ワ⸢カ⸣ル [⸣ʔaini su̥⸢kuɸututʧi sandoː⸣ʃi ⸣nuːka ⸣nuːti ʃi̥kai⸢tu⸣ ʔa⸢ʤi⸣ s⸢saribaru⸣ wa⸢ka⸣ru] (そんなにぶつぶつ不平を言わないで、何が何だとしっかり申し上げないと分からない<申し上げればぞ分かる>) 9039 0 0 8545 htmvoc_9039.wav スクブン ス⸢クブン [su̥⸢kubuŋ] 名 責務、任務。仕事。「職分」の転訛。 ⸣ウヤー ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダティ⸣ル ス⸢クブン⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣コーヨーヤ ッ⸢ふァヌ⸣ ス⸢クブン [⸣ʔujaː f⸢fa⸣ su⸢dati⸣ru su̥⸢kubuŋ⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣koːjoːja f⸢fanu⸣ su̥⸢kubuŋ] (親は子供を育てるのが任務<職分>で、親の孝養は子供の責務<職分>である)。 トゥ⸢ロー⸣ トゥキ トゥ⸢ル⸣ル ス⸢クブン イン⸣マー ⸢ヤー⸣ヌ ⸣バン ⸢スール⸣ ス⸢クブン [tu⸢roː⸣ tu̥ki tu⸢ru⸣ru su̥⸢kubuŋ ʔim⸣maː ⸢jaː⸣nu ⸣ban ⸢suːru⸣ su̥⸢kubuŋ] (鶏は時を告げるのが任務<職務>で、犬は家の番をするのが任務である) 9040 0 0 8546 htmvoc_9040.wav スクマ ス⸢ク⸣マ [su̥⸢ku⸣ma] 名 初穂祭り。「しきよま 麦米の初を云『混効験集 坤・言語』」『沖縄古語大辞典』。鳩間島では、旧暦5月の最初の壬に執り行われた。本格的な稲刈りに入る前に、稔った稲の初穂を刈り取り、鳩間島の御嶽の神様や各家の火の神、仏前に供えて豊作を祈願し、無事に刈り取り収穫が出来るよう祈願した祭祀。当日の早朝、水田のある西表島から稲の初穂を載せた数十艘の⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)が旧オーセの前の浜に接岸し、護岸の上で待機して祈願しているサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)の前に駆け上り、一束の初穂を捧げ、豊作と無事の収穫を祈願してもらって各家庭に持ち帰り、家の火の神と仏前に稲穂を捧げて豊作を祈願した。その際、戸主の姉妹<ヲナリ神>が火の神に祈願するのが習慣であった。朝靄の中を数十艘のイダフニが待機していた⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)の内海から一斉にオーセの浜へ接岸してくる様は実に壮観であった。舟の帆形で自家の舟を定めて浜へ駆け下りた。その後、初穂を精米して炊き、イ⸢バ⸣チ[ʔi⸢ba⸣ʧi](円錐形のおにぎり)、お握りを押して円形にした、⸢タイラー⸣イー[⸢tairaː⸣ʔiː](平たいお握り{EOS}新穀の飯)を作って火の神と仏前に供え、親戚の家にも配った。スクマが済んだら笛や太鼓、銅鑼等の鳴り物を鳴らしてもよいとされ、豊年祭の準備がなされた。 ス⸢クマ⸣ヌ ⸢オー⸣リ シ⸢マ⸣ソーラバル ⸣ピラキン ⸢タイ⸣クン ドゥ⸢ラーンユン ナーリムノー ナーラソーッ⸣タ [su̥⸢kuma⸣nu ⸢ʔoː⸣ri ʃi⸢ma⸣soːrabaru ⸣pirakin ⸢tai⸣kun du⸢raːɲjun naːrimunoː naːrasoːt⸣ta] (スクマが来られて、それを済まされたらば<ぞ>笛も太鼓も銅鑼も、鳴り物は始めて鳴らされた)。以後、田の畦の枯れ草を燃やして⸣カマイ[⸣kamai](猪)対策をすることも出来た 9041 0 0 8547 htmvoc_9041.wav スクマルン ス⸢ク⸣マルン [su̥⸢ku⸣maruŋ] 自動 縮みこまる。うずくまる(蹲る)。かがむ。小さくなる。しゃがむ。しゃがんで丸くなる。「踞、ウズクマル」『類聚名義抄』、「蹲、ウズクマル」『色葉字類抄』の義。 ⸢ピー⸣ヤティ ス⸢ク⸣マリ ⸢ベー [⸢piː⸣jati su̥⸢ku⸣mari ⸢beː] (寒いので縮みこまって蹲っている)。 ⸢ピー⸣ヤタンティン ス⸢クマラ⸣ヌ [⸢piː⸣jatantin su̥⸢kumara⸣nu] (寒くても蹲らない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー イ⸢ザリ⸣カー ス⸢ク⸣マルンダ ス⸢クマラン⸣ ヨーニ ヤー⸢ラマ⸣シ イ⸢ジ⸣ ナ⸢ラー⸣シバ [ja⸢ra⸣beː ʔi⸢ʣari⸣kaː su̥⸢ku⸣marunda su̥⸢kumaraɲ⸣ joːni jaː⸢rama⸣ʃi ʔi⸢ʤi⸣ na⸢raː⸣ʃiba] (子供は叱られると縮みこまるので、縮みこまらないように、優しく柔らかく叱って教えなさいよ)。 ス⸢ク⸣マル ⸣クトー ⸢ナー⸣ンダ プ⸢スム⸣シブカラー ス⸢ク⸣マレー ⸣ミサムヌ [su̥⸢ku⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣ndaː pu̥⸢sumu⸣ʃibukaraː su̥⸢ku⸣mareː ⸣misamunu] (うずくまることは無いから、一度ぐらいは\ruby{蹲}{ウズクマ}ればよいのに)。 ⸣クナーティ ス⸢ク⸣マリ [⸣kunaːti su̥⸢ku⸣mari] (此処で蹲れ)。 ス⸢クマラン⸣ドーシ ⸣キモー マイ⸢マイ⸣シ ⸣ムティ ⸢アー⸣キ [su̥⸢kumaran⸣doːʃi ⸣kimoː mai⸢mai⸣ʃi ⸣muti ⸢ʔaː⸣ki] (縮みこまらないで、度胸を大きくもって<肝を大きく持って>いなさい<歩きなさい>) 9042 0 0 8548 htmvoc_9042.wav スクミ ス⸢ク⸣ミ [su̥⸢ku⸣mi] 名 握り。\ruby{掴}{スク}み。 ス⸢ク⸣ムン [su̥⸢ku⸣muŋ] (握る)の連用形から転成した名詞形(助数詞)。 プ⸢ススク⸣ミ [pu̥⸢susu̥ku⸣mi] (一握り)。 フ⸢タスクミ [ɸu̥⸢tasu̥kumi] (二握り)。 ⸢ミースクミ [⸢miːsu̥kumi] (三握り)。 ⸢マイヌミー⸣ス フ⸢タスクミ⸣ ス⸢ブ⸣リティ ム⸢タ⸣シバ [⸢mainumiː⸣su ɸu̥⸢tasu̥kumi⸣ su⸢bu⸣riti mu⸢ta⸣ʃiba] (米味噌を二握り握って<両手で絞って>持たせてやりなさい) 9044 0 1 8549 htmvoc_9044.wav スクミ ス⸢クミ [su̥⸢kumi] 名  {Mn_1}⸢仕込み」の義。段取り。予行演習。リハーサル(rehearsal)。 9044 0 2 8550 htmvoc_9044.wav スクミ ス⸢クミ [su̥⸢kumi] 名 {Mn_2}構造。組み立て。若年層には、シ⸢クミ[ʃi̥⸢kumi]という人もいる。豊年祭や結願祭にはブ⸢ドゥル[bu⸢duru](踊り)、⸢キョンギン[⸢kjoŋgiŋ](狂言{EOS}演劇)の練習をするが、⸢バング⸣バリ[⸢baŋgu⸣bari](⸢番配り」の義{EOS}番組配置{EOS}出演順序{EOS}プログラム{EOS}入子型演舞配置)に従って総仕上げの練習をすることをいう。西村、東村それぞれ極秘に、出し物が相手方に漏れないように警戒して練習した。昭和30年ごろまでは、スクミが近づくと、それぞれに相手方の番組を密かに内偵しあいながら演舞を競いあったものである。 ⸢プールゾーラキ⸣ヌ ス⸢クメー⸣ イ⸢チ⸣ヤー [⸢puːruʣoːraki⸣nu su̥⸢kumeː⸣ ʔi⸢ʧi⸣jaː] (豊年祭の奉納舞踊<上楽舞踊>のリハーサル<シクミ>は何時ですか) 9043 0 0 8551 htmvoc_9043.wav スクムン ス⸢ク⸣ムン [su̥⸢ku⸣muŋ] 他動 握る。握り締める。 ⸢ジン⸣バ ⸣ティーナ ス⸢ク⸣ミティ ⸣タティ ⸢ベー [⸢ʤim⸣ba ⸣tiːna su̥⸢ku⸣miti ⸣tati ⸢beː] (お金を手に握って立っている)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ノー⸢ン⸣ ティーナ ス⸢ク⸣ムンダ ス⸢クマサン⸣ドーシ ム⸢タバ⸣シバ [ja⸢ra⸣beː noː⸢n⸣ tiːna su̥⸢ku⸣munda su̥⸢kumasan⸣doːʃi mu⸢taba⸣ʃiba] (子供は何でも手に握り締めるから、握らせないでいじらせ<弄らせ>なさいよ)。 ス⸢ク⸣ム ⸣ピンマー ス⸢ク⸣メー ⸣ミサムヌ [su̥⸢ku⸣mu ⸣pimmaː su̥⸢ku⸣meː ⸣misamunu] (手に握るときは握ればいいのに)。 ス⸢ク⸣ミ [su̥⸢ku⸣mi] (握れ) 9045 0 0 8552 htmvoc_9045.wav スクムン ス⸢クムン [su̥⸢kumuŋ] 他動 仕組む。段取りをつける。組み立てる。構想をたてる。計画する。予行演習をする。 ブ⸢ドゥルキョン⸣ギン ス⸢クミティ キー⸣ク ⸢スンティ ベー⸣ヌンドゥ ブ⸢ドゥル シープスヌ⸣ タ⸢ラーヌ⸣ ス⸢クマラヌ [bu⸢durukjoŋ⸣gin su̥⸢kumiti kiː⸣ku ⸢sunti beː⸣nundu bu⸢duru ʃiːpu̥sunu⸣ ta⸢raːnu⸣ su̥⸢kumaranu] (踊り狂言<演劇>を仕組んで稽古しようとしているが、踊りをする人が足りなくて仕組まれない)。 ス⸢クムンティ⸣ ウムーカー ブ⸢ドゥルシンカ⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ ス⸢クメー⸣ ミサムヌ [su̥⸢kumun⸣ti ⸣ʔumuːkaː bu⸢duruʃiŋka⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti su̥⸢kumeː⸣ misamunu] (仕組もうと思うなら踊り手を集めて仕組めばいいのに)。 ス⸢クム プソー パー⸣ク ス⸢クミ [su̥⸢kumu pu̥soː paː⸣ku su⸢kumi] (仕組む人は早く仕組め) 9046 0 0 8553 htmvoc_9046.wav スクヤマ ス⸢クヤマ [su̥⸢kujama] 名 奥山。 ⸢パイタ⸣ヌ ス⸢クヤマナー⸣ル ⸢キャーンギキーヤ⸣ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ブー [⸢paita⸣nu su̥⸢kujamanaː⸣ru ⸢kjaːŋgikiːja⸣ nu⸢ka⸣ri ⸢buː] (西表島の奥山にしか槇の木は残っていない<山奥にぞ槇の木は残っている>) 9048 0 0 8554 htmvoc_9048.wav スクライ ス⸢ク⸣ライ [su̥⸢ku⸣rai] 名 繕い。拵え。ス⸢ク⸣ラウン[su̥⸢ku⸣rauŋ](繕う{EOS}拵える)の連用形から転成した名詞。 ⸢キン⸣ヌ ス⸢ク⸣ライ ⸢スン [⸢kin⸣nu su̥⸢ku⸣rai ⸢suŋ] (着物の繕いをする)。⸢タークシ⸣ライ ⸢スン[⸢taːkuʃi⸣rai ⸢suŋ](田拵え<田の整地>をする)のク⸢シ⸣ライ[ku̥⸢ʃi⸣rai]は、ス⸢ク⸣ライ[su̥⸢ku⸣rai](繕い)の音位転倒<メタテーゼ>したもとは関係ない 9049 0 0 8555 htmvoc_9049.wav スクライ ス⸢クライ [su̥⸢kurai] 名 ふり。ふう。ふりをすること。それらしくよそおうこと。ス⸢ク⸣ライ[su̥⸢ku⸣rai](繕い)の意味転訛したもの。 ⸢ビースク⸣ライ [⸢biːsu̥ku⸣rai] (酔ったふり)。 ニ⸢ビスクライ [ni⸢bisukurai] (寝たふりをすること)。 ⸢ウイプススク⸣ライ [⸢ʔuipususu̥ku⸣rai] (老人のふりをすること)。 ウ⸢ブプススク⸣ライ [ʔu⸢bupusu̥su⸣kurai] (大人のふりをすること{EOS}大人ぶること)。 プ⸢リスクライ [pu̥⸢risukurai] (気違いのふりをすること)。 ⸢ヤンスク⸣ライ [⸢jansu̥ku⸣rai] (病人のふりをすること<病み繕い>)。 ニ⸢ビスクライバ シーベー⸣ティ ムー⸢ル⸣ シ⸢ケーン⸣ダー [ni⸢bisu̥kuraiba ʃiːbeː⸣ti muː⸢ru⸣ ʃi̥⸢keːn⸣daː] (寝たふりをして全部聞いてあるよ) 9050 0 0 8556 htmvoc_9050.wav スクライキン ス⸢クライ⸣キン [su̥⸢kurai⸣kiŋ] 名 繕った着物。補修した着物。ぼろ着。⸢クーシ⸣キン[⸢kuːʃi⸣kiŋ](継ぎ接ぎした着物{EOS}継ぎ当てをした着物)というのが普通。 ス⸢クライ⸣キン ヤ⸢ルヌ⸣ ア⸢ライサラシ⸣ ア⸢ザケーアザケー⸣シ キ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣クン [su̥⸢kurai⸣kiɲ ja⸢runu⸣ ʔa⸢raisaraʃi⸣ ʔaʣa⸢keːʔaʣakeː⸣ʃi ki̥⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kuŋ] (あちこち継ぎ当てした着物だが、洗い晒して清潔に着ている<着てあるく>よ) 9051 0 0 8557 htmvoc_9051.wav スクライックル ス⸢クライッ⸣クル [su̥⸢kuraik⸣kuru] 名 拵え糟。拵えた後のくず。本物を選び取った残り屑。-ッ⸣クル[-k⸣kuru](残り屑{EOS}殻)は中身のない、価値のないものを表す接尾語。 マ⸢ミナー⸣ヌ ス⸢クライッ⸣クル [ma⸢minaː⸣nu su̥⸢kuraik⸣kuru] (萌やしを拵えた残り屑{EOS}繕いくず) 9047 0 0 8558 htmvoc_9047.wav スクラウン ス⸢ク⸣ラウン [su̥⸢ku⸣rauŋ] 他動 \ruby{繕}{ツクロ}う。着物の破れを繕う。拵える。網の破れを直す。補修する。「修理・繕・整、ツクロフ『類聚名義抄』」の義。 ⸢アン⸣ヌ ⸣ヤリ ス⸢ク⸣ラウンティ ⸢ベー⸣ヌ ク⸢レー バン⸣マー ス⸢クラーララヌ [⸢ʔan⸣nu ⸣jari su̥⸢ku⸣raunti ⸢beː⸣nu ku⸢reː bam⸣maː su̥⸢kuraːrara⸣nu] (網の破れを繕おうとしているが、これは私には繕えない)。 ス⸢ク⸣ライ ⸣ミサカー ⸢パー⸣ク ス⸢クライ⸣ヤー ⸣ミサムヌヌ ス⸢ク⸣ラウ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [su̥⸢ku⸣rai ⸣misakaː ⸢paː⸣ku su̥⸢kurai⸣jaː ⸣misamununu su̥⸢ku⸣rau pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (繕ってよければ早く繕えばよいものを、繕う人がいないのだ)。 ヤ⸢リ⸣アン ス⸢ク⸣ライバ [ja⸢ri⸣ʔan su̥⸢ku⸣raiba] (破れた網を繕えよ)。 ピ⸢ルヌ⸣ ピ⸢ニ⸣ ス⸢ク⸣ライティ ピ⸢ルザキ⸣ シ⸢キ⸣バ [pi⸢runu⸣ pi⸢ni⸣ su̥⸢ku⸣raiti pi⸢ruʣaki⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba] (大蒜の鬚を取り拵えて大蒜酒に漬けなさい) 9052 0 0 8559 htmvoc_9052.wav スクリ ス⸢ク⸣リ [su̥⸢ku⸣ri] 名 作り。耕作。農耕。 マ⸢ナ⸣マー ス⸢クリ⸣ヌ ⸢パンタル⸣ ヤ⸢ルムヌ マー⸣ル パ⸢ラリ⸣ワ [ma⸢na⸣maː su̥⸢kuri⸣nu ⸢pantaru⸣ ja⸢rumunu maː⸣ru pa⸢rari⸣wa] (今は農繁期<農耕の繁多な時期>だのに、一体全体どこへ行けるものか)。 ⸢マイスクリザイ⸣ル ⸣ナル ビ⸢チ⸣ヌ ⸣クトー ⸢カンガーラ⸣ヌ [⸢maisukuriʣai⸣ru ⸣naru bi⸢ʧi⸣nu ⸣ku̥toː ⸢kaŋgaːra⸣nu] (稲作に没頭するだけしかできない{EOS}他のことは考えられない) 9054 0 0 8560 htmvoc_9054.wav スクリカイ ス⸢クリ⸣カイ [su̥⸢kuri⸣kai] 名 改築。作り変え。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヤ ス⸢クリ⸣カイ サ⸢バル⸣ ナルカヤー [ku⸢nu jaː⸣ja su̥⸢kuri⸣kai sa⸢baru⸣ narukajaː] (この家は改築<作り変え>しないといけないのかなあ) 9055 0 0 8561 htmvoc_9055.wav スクリカイルン ス⸢クリカイ⸣ルン [su̥⸢kurikai⸣ruŋ] 他動 作り変える。改築する。 ッ⸢ふ⸣ヤー ⸢クー⸣シティ ス⸢クリカイ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ス⸢クリカイララ⸣ヌ [f⸢fu⸣jaː ⸢kuː⸣ʃi̥ti su̥⸢kurikai⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː su̥⸢kurikaira⸣ranu] (古い家を壊して作り変えようと思うのだが、今は作り変えられない) 9056 0 0 8562 htmvoc_9056.wav スクリカタ ス⸢クリ⸣カタ [su̥⸢kuri⸣kata] 名 作り方。 イ⸢ガジーヌ⸣ ス⸢クリ⸣カタ ナ⸢ラー⸣ソーリ [ʔi⸢gaʤiːnu⸣ su̥⸢kuri⸣kḁta na⸢raː⸣soːri] (餌木の作り方を教えてください) 9057 0 0 8563 htmvoc_9057.wav スクリカンティ ス⸢クリカン⸣ティ [su̥⸢kurikan⸣ti] 名 作るのに苦労すること。「作り兼ねて」の義。⸢カン⸣ティ[⸢kan⸣ti](~かねて{EOS}~することが難しい{EOS}~することが出来ない)は、他の動詞の連用形に付いて、「不可能、困難、躊躇」などの意味を表す接尾語。「~流るる涙 等騰未可祢都母<トドミカネツモ>。万、4160」の義。 ウ⸢リ⸣ ス⸢ク⸣ルカー イ⸢ザランカヤーティ⸣ ウ⸢ムイ⸣ル ス⸢クリカン⸣ティ ⸢シー ベー [ʔu⸢ri⸣ su̥⸢ku⸣rukaː ʔi⸢ʣaraŋkajaːti⸣ ʔu⸢mui⸣ru su̥⸢kurikan⸣tiː ⸢ʃiː beː] (それを作ると叱られはせぬかと思って、作りかねて<作ることが出来ないで>いる) 11923 0 0 8564 htmvoc_11923.wav スクリナキ ス⸢クリ⸣ナキ [su̥⸢kuri⸣naki] 名 そら泣き。嘘泣き。泣き真似。「作り泣き」の義。 ウ⸢リヌ⸣ ナ⸢ケー ソーナケー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ス⸢クリナキ⸣ル ヤ⸢リバ ソースナ⸣ シ⸢ティシキ⸣リ [ʔu⸢rinu⸣ na⸢keː soːnakeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu su̥⸢kurinaki⸣ru ja⸢riba soːsuna⸣ ʃi̥⸢tiʃi̥ki⸣ri] (あの子<あれ>の泣きは本当の泣き方ではない{EOS}嘘泣き<作り泣き>だから心配するな{EOS}ほっておきなさい) 9058 0 0 8565 htmvoc_9058.wav スクリバキ ス⸢クリ⸣バキ [su̥⸢kuri⸣baki] 名 小作の一種。田畑を地主から借りて耕作し、収穫を地主と小作人が折半すること。「作り分け」の義。 ⸢ジーマシ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ プ⸢ソー⸣ ス⸢クリ⸣バキ ⸢シール⸣ ッ⸢ふァー⸣ ス⸢ダ⸣トーッタ [⸢ʤiːmaʃi⸣nu ⸢naːm⸣ pu̥⸢soː⸣ su̥⸢kuri⸣baki ⸢ʃiːru⸣ f⸢faː⸣ su⸢da⸣toːtta] (土地財産のない人は小作<作り分け>をして子供を育てられた) 9059 0 0 8566 htmvoc_9059.wav スクリパナシ ス⸢クリパナ⸣シ [su̥⸢kuripana⸣ʃi] 名 嘘。虚言。「作り話」の義。ス⸢クリ⸣ムニ[su̥⸢kuri⸣muni](嘘)ともいう。 ウ⸢レー ソーパナシェー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ス⸢クリパナ⸣シ⸢ダー [ʔu⸢reː soːpanaʃeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu su̥⸢kuripana⸣ʃi⸢daː] (それは真実ではない{EOS}嘘だよ) 9060 0 0 8567 htmvoc_9060.wav スクリバライ ス⸢クリ⸣バライ [su̥⸢kuri⸣barai] 名 作り笑い。そら笑い。おかしくもないのにわざと笑うこと。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢クリ⸣ ブタンドゥ ナー⸢イ⸣ ス⸢クリバライ⸣バ ⸢シー ヌンガーラシ⸣タ [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢kuri⸣ butandu naː⸢ji⸣ su̥⸢kuri⸣barai ⸢ʃiː nuŋgaːraʃi̥⸣ta] (怒って<根性が怒って>いたが、ただ作り笑いをして許してやった) 9061 0 0 8568 htmvoc_9061.wav スクリパンタ ス⸢クリパン⸣タ [su̥⸢kuripan⸣ta] 名 農繁期。「作り繁多」の義。作物の植え付けや収穫の繁忙期。この時期は⸢ユイマール[⸢juimaːru](結い回り{EOS}共同作業)で乗り切るのが習慣であった。稲作の場合、山裾の田(山田)や原野の田圃、川べりの田圃のように、所在地によって生育時期が少し異なる。その時間差を利用して植え付けの日をずらしてユイマールの作業を組んだ。 ス⸢クリパン⸣タナー ビ⸢チ⸣ヌ ⸢ユー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [su̥⸢kuripan⸣tanaː bi⸢ʧi⸣nu ⸢juː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (農繁期には他の行事<用事>はできない) 9063 0 0 8569 htmvoc_9063.wav スクリプス ス⸢クリ⸣プス [su̥⸢kuri⸣pu̥su] 名 農夫。百姓。「作り人」の義。農耕に従事する人。 パ⸢トゥ⸣マプソー ムー⸢ル⸣ ス⸢クリプス⸣ル ヤ⸢ローッタ⸣ル [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː muː⸢ru⸣ su̥⸢kuripu̥su⸣ru ja⸢roːtta⸣ru] (鳩間の人は皆百姓で<ぞ>あられたよ)。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャーン ス⸢クリ⸣プス [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaːn su̥⸢kuri⸣pu̥su] (我が家の父も農夫です) 9064 0 0 8570 htmvoc_9064.wav スグリプス ス⸢グリプス [su⸢guripu̥su] 名 優れた人。傑物。 ⸢ヤイマー⸣ラー ス⸢グリプソー⸣ ギュ⸢タール⸣ ン⸢ゾー⸣レーワ [⸢jaimaː⸣ra su⸢guripu̥soː⸣ gju⸢taːru⸣ ʔn⸢ʣoː⸣reːwa] (八重山から優れた人物は何人出られたか) 9062 0 0 8571 htmvoc_9062.wav スクリフチ ス⸢クリ⸣フチ [su̥⸢kuri⸣ɸu̥ʧi] 名 畑や田。農作をする所。耕作して生活を支える田畑。「作り口」の義。 ス⸢クリフチ⸣ヌ ア⸢ロー⸣ル ⸢ヤー⸣ヤ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [su̥⸢kuriɸu̥ʧi⸣nu ʔa⸢roː⸣ru ⸢jaː⸣ja ⸢soːja naː⸣nu] (農耕をする田畑のあられる家は心配はない) 9065 0 0 8572 htmvoc_9065.wav スクリムニ ス⸢クリ⸣ムニ [su̥⸢kuri⸣muni] 名 いつわり。嘘。虚言。「作りもの言い」の義。無いことをあるかの如くに言うこと。 ス⸢クリ⸣ムニ ア⸢ズ⸣カー シ⸢ベー⸣ラ ⸣ンジ ⸢キー⸣スンダ ス⸢クリ⸣ムネー ア⸢ズナ [su̥⸢kuri⸣muni ʔa⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢beː⸣ra ⸣ʔnʤi ⸢kiː⸣sunda su̥⸢kuri⸣muneː ʔa⸢ʣuna] (虚言<いつわり>を言うと後から分かる<ぼろが出てくる>から、嘘偽りは言うな) 9066 0 1 8573 htmvoc_9066.wav スクリムヌ ス⸢クリ⸣ムヌ [su̥⸢kuri⸣munu] 名 {Mn_1}作物。農作物。作り物。⸣イニ[ʔini](稲)、⸢マイ[⸢mai](米{EOS}稲のこと)、⸣ムン[⸣muŋ](麦)、⸣アー[⸣ʔaː](粟)、⸣マミ[⸣mami](豆)、ア⸢ガマミ[ʔa⸢gamami](小豆、赤豆)、ク⸢マミ[ku⸢mami](緑豆)、⸢トー⸣フマミ[⸢toː⸣ɸumami](大豆)、⸣ウン[⸣ʔuŋ](芋)などがある。ム⸢ヌスク⸣ル[mu⸢nusu̥ku⸣ru](作物{EOS}作りもの)ともいう。 ク⸢トゥシェー⸣ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カン⸣ダー ス⸢クリ⸣ムノー イッ⸢ケナ ナウ⸣レーン [ku̥⸢tuʃeː⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢kan⸣daː su̥⸢kuri⸣munoː ʔik⸢kena nau⸣reːŋ] (今年は台風が吹かないから稲<作物>は非常によく稔っている)。 9066 0 2 8574 htmvoc_9066.wav スクリムヌ ス⸢クリ⸣ムヌ [su̥⸢kuri⸣munu] 名 {Mn_2}にせもの<偽物>。贋作。 ク⸢レー ソームノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ス⸢クリムヌ⸣ル ヤ⸢ル [ku⸢reː soːmunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu su̥⸢kurimunu⸣ru ja⸢ru] (これは本物ではない{EOS}にせもの<作り物{EOS}贋作>である) 9069 0 0 8575 htmvoc_9069.wav スグリムヌ ス⸢グリムヌ [su⸢gurimunu] 名 優れた者。傑物。「優れ者」の義。 ⸣カイブ ス⸢グリムノー⸣ ヨー⸢ニ⸣<⸢ミッ⸣タニ> ン⸢ジラ⸣ヌ [⸣kaibu su⸢gurimunoː⸣ joː⸢ni⸣<⸢mit⸣tani> ʔn⸢ʤira⸣nu] (こんな傑物はなかなか出ないものだ)。 ⸢ウン⸣ネナー ス⸢グリムヌヌ オーッ⸣タンツォー [⸢ʔun⸣nenaː su⸢gurimununu ʔoːt⸣tanʦoː] (その家に傑物<優れた人>がおられたそうだ) 9067 0 0 8576 htmvoc_9067.wav スクリムヌヌソージ ス⸢クリムヌ⸣ヌ ⸢ソー⸣ジ [su̥⸢kurimunu⸣nu ⸢soː⸣ʤi] 連 作物(特に稲作)の病虫害駆除の祈願(精進)。稲の葉腐れ(いもち病)やイナゴなどの虫除けの祈願を、パ⸢マウリソー⸣ジナール ス⸢クリムヌ⸣ヌ ⸢ソー⸣ジェー ⸢ソーッ⸣タ[pa⸢maʔurisoː⸣ʤinaːru su̥⸢kurimunu⸣nu ⸢soː⸣ʤeː ⸢soːt⸣ta](浜下り精進の祭祀で農作物<稲作>の病虫害駆除の祈願は精進潔斎をしてなされたものだ) 9068 0 0 8577 htmvoc_9068.wav スクリムヌヌパチ ス⸢クリムヌ⸣ヌ パ⸢チ [su̥⸢kurimunu⸣nu pḁ⸢ʧi] 連 作物の\ruby{初生}{ハツ|ナ}り。神仏に捧げる祀る稲粟麦の初穂、初生り。 ス⸢ク⸣マナー ピ⸢ナカンヌ⸣マイ ス⸢クリムヌ⸣ヌ パ⸢チバ オーシタル [su̥⸢ku⸣manaː pi⸢nakannu⸣mai su̥⸢kurimunu⸣nu pa⸢ʧiba ʔoːʃi̥taru] (稲の初穂祭に、火の神様に稲の初穂<作物の初生り>を奉納したものだ)。 ⸢オースン [⸢ʔoːsuŋ] (差し上げる) 9071 0 0 8578 htmvoc_9071.wav スクリヤッサン ス⸢クリヤッ⸣サン [su̥⸢kurijas⸣saŋ] 連 作りやすい。動詞ス⸢ク⸣ルン[su̥⸢ku⸣ruŋ](作る)の連用形に補助形容詞⸢ヤッ⸣サン[⸢jas⸣saŋ](~易い)が下接して形成された派生形容詞。 ⸢ドーングヌ⸣サーギ ⸣カナイ ⸢ブーカー ノー⸢ン⸣ ス⸢クリヤッ⸣サン [⸢doːŋgu⸣nusaːgi ⸣kanai ⸢buː⸣kaː noː⸢n⸣ su̥⸢kurijas⸣saŋ] (道具がさえ揃って<適って>いたら何でも作りやすい) 9072 0 0 8579 htmvoc_9072.wav スクリヤビ ス⸢クリ⸣ヤビ [su̥⸢kuri⸣jabi] 名 作り損ない。 ス⸢クリ⸣ヤビ ⸢シェー⸣モー シ⸢ティリ [su̥⸢kuri⸣jabi ⸢ʃeː⸣moː ʃi̥⸢tiri] (作り損ねしたもの<作り損ない>は捨てなさい) 9073 0 0 8580 htmvoc_9073.wav スグリルン ス⸢グリルン [su⸢guriruŋ] 自動 優れる。他より優る。ぬきんでる。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルシ プ⸢ソー⸣ラ ス⸢グリルンティ⸣ ウ⸢ムー⸣ナ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣ruʃi pu̥⸢soː⸣ra su⸢gurirunti⸣ ʔu⸢muː⸣na] (この程度で他人より優れるとは思うな)。 プ⸢ソー⸣ラ ス⸢グリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢soː⸣ra su⸢guriru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (他人より優れることはない) 9074 0 0 8581 htmvoc_9074.wav スクルン ス⸢ク⸣ルン [su̥⸢ku⸣ruŋ] 他動 作る。造る。「~讃めて豆久礼留<ツクレル>~。万、4342」の義。 ⸣ヤー ス⸢ク⸣ルンティ ⸢オールン⸣ドゥ パ⸢ラー⸣ヌ タ⸢ラーヌ⸣ ス⸢クララ⸣ヌ [⸣jaː su̥⸢ku⸣runti ⸢ʔoːrun⸣du pa⸢raː⸣nu ta⸢raːnu⸣ su̥⸢kurara⸣nu] (家を造ろうとしておられるが、柱が足りなくて造られない)。 ⸣ヤー ス⸢クリ⸣ プサカー ⸢パー⸣ク ス⸢ク⸣リ [⸣jaː su̥⸢kuri⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku su̥⸢ku⸣ri] (家を造りたければ、早く造れ)。 ⸣ヤー ス⸢ク⸣ル プ⸢ソー パー⸣ク ス⸢ク⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣jaː su̥⸢ku⸣ru pu̥⸢soː paː⸣ku su̥⸢ku⸣reː ⸣misamunu] (家を造る人は早く造ればいいのに)。 9074 0 2 8582 htmvoc_9074.wav スクルン ス⸢ク⸣ルン [su̥⸢ku⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}耕作する。 ⸢マイ⸣ ス⸢ク⸣ルン [⸢mai⸣ su̥⸢ku⸣ruŋ] (稲を作る<栽培する>) 7817 0 1 8583 htmvoc_7817.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 他動 {Mn_1}命名する。つける。 ⸢ナー⸣ スクン [⸢naː⸣ su̥kuŋ] (名前をつける)。 マ⸢ダ ナー⸣ シゥ⸢カ⸣ヌ [ma⸢da naː⸣ si̥⸢ka⸣nu] (まだ名前をつけない)。 ⸢ナー⸣ シ⸢キ⸣プサン [⸢naː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ pu̥saŋ] (名前をつけたい)。 ⸢ナー⸣ スク プ⸢ス [⸢naː⸣ su̥ku pu̥⸢su] (名前をつける人)。 ⸢ナー⸣ シケー ⸣ミサムヌ [⸢naː⸣ ʃi̥keː ⸣misamunu] (名前をつければ良いのに)。 ⸢ナー⸣ シキバ [⸢naː⸣ ʃi̥kiba] (名前をつけなさいよ)。 7817 0 2 8584 htmvoc_7817.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 他動 {Mn_2}備える。 シゥ⸢カラ⸣ シキ [si̥⸢kara⸣ ʃi̥ki] (力をつけなさい)。 7817 0 3 8585 htmvoc_7817.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 他動 {Mn_3}⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ[⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri](気をつけろ)。 7817 0 4 8586 htmvoc_7817.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 他動 {Mn_4}点灯する。 ⸢トゥー⸣ル ⸣シキバ [⸢tuː⸣ru ʃi̥kiba] (ランプを点灯しなさい)。 7817 0 5 8587 htmvoc_7817.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 他動 {Mn_5}染める。塗る。 カ⸢マブク⸣ナー ア⸢ガイル⸣ スクン [ka⸢mabuku⸣naː ʔa⸢gairu⸣ su̥kuŋ] (蒲鉾に赤色を染める<つける>)。 7817 0 6 8588 htmvoc_7817.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 他動 {Mn_6}到着する。 ⸣フネー ⸢ナン⸣ジナ ス⸢ク⸣ワー [⸣ɸuneː ⸢nan⸣ʤina su̥⸢ku⸣wa] (船は何時に到着する<着く>か) 7818 0 1 8589 htmvoc_7818.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_1}漬ける。 イ⸢ズバ マー⸣スナ ス⸢クタン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ シゥ⸢カラヌ [ʔi⸢ʣuba maː⸣suna su̥⸢kutan⸣du ma⸢da⸣ si̥⸢karanu] (魚を塩漬けした<塩に漬けた>が、まだ漬からない)。 シ⸢キ⸣ プサン [ʃi̥⸢ki⸣ pu̥saŋ] (漬けたい)。 ⸢マー⸣スナ ス⸢クン [⸢maː⸣suna su̥⸢kuŋ] (塩につける)。 ⸢マー⸣スナ シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣suna ʃi̥⸢keː⸣ misamunu] (塩に漬ければ良いのに)。 ⸢マー⸣スナ シ⸢キ⸣バ [⸢maː⸣suna ʃi̥⸢ki⸣ba] (塩に漬けなさい)。 7818 0 2 8590 htmvoc_7818.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_2}浸す。 ム⸢チマイヤー⸣ ミ⸢ジ⸣ナ シ⸢キ⸣バ [mu⸢ʧimaijaː⸣ mi⸢ʤi⸣na ʃi̥⸢ki⸣ba] (糯米は水に浸けなさい) 8927 0 0 8591 htmvoc_8927.wav スクン スクン [su̥kuŋ] 他動 鍋を火にかける。竈に掛ける 9075 0 0 8592 htmvoc_9075.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 他動 置く。物をそのままの位置にとどめる。「付く」の義か。「~家の妹が着せし衣に 阿加都枳爾迦理<アカツキニカリ>。万、4388」の「ツキ(都枳)」の転訛したもの。 ⸢ニー⸣ヤ ⸣ウナー ⸣スクンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ シゥ⸢カラン⸣シェン [⸢niː⸣ja ⸣ʔunaː ⸣su̥kunti ʔu⸢muːtan⸣du si̥⸢karaŋ⸣ʃeŋ] (荷物はそこに置こうと思ったが置かれなかった)。 マー⸢ン⸣ナーン ⸣シキミサカー ⸣クナーン ⸣スク ⸣クトー ナ⸢ル⸣ヌ ⸣カナー ⸣シケー ⸣ミサムヌ [maː⸢n⸣naːŋ ⸣ʃi̥ki ⸣misakaː ⸣kunaːn ⸣su̥ku ⸣ku̥toː na⸢ru⸣nu ⸣kanaː ⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (どこにでも置いてよければ此処にも置くことは出来るが、あそこに置けばよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ クナー ⸣シキ [jaː⸢diŋ⸣ kunaː ⸣ʃi̥ki] (必ず此処に置け) 9076 0 0 8593 htmvoc_9076.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 他動 好く。好む。好きになる。若年層の言葉。老年層は、ク⸢ヌ⸣ムン[ku⸢nu⸣muŋ](好む)という。 ウ⸢モーン⸣ プ⸢スン⸣ シゥ⸢カ⸣リティル<ウ⸢モー⸣リティル> ⸢ピン⸣ギ ⸣パレール [ʔu⸢moːm⸣ pu̥⸢sun⸣ si̥⸢ka⸣ritiru<ʔu⸢moː⸣ritiru> ⸢piŋ⸣gi ⸣pareːru] (思わない<好きになれない>人に好かれて逃げて行ったのだよ)。 タ⸢バ⸣コー ⸢ナン⸣ゾー シゥ⸢カ⸣ヌ サ⸢キ⸣ル ⸣シキ [ta⸢ba⸣koː ⸢nan⸣ʣoː si̥⸢ka⸣nu sḁ⸢kiru⸣ ʃi̥ki] (煙草はあまり好まない{EOS}酒が好きだ)。 ⸣カイブ ッ⸢ふァイムヌ⸣ スクンカヤー [⸣kaibu f⸢faimunu⸣ su̥kuŋkajaː] (こんな食べ物を好むかねえ) 9077 0 1 8594 htmvoc_9077.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_1}着く。到着する。 ⸣フネー イ⸢チ⸣ ス⸢ク⸣ワ [⸣ɸuneː ʔi⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣wa] (船はいつ着くか)。 ⸣キュー ⸣スクンティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ダ⸣ シゥ⸢カ⸣ヌ [⸣kjuː ⸣su̥kunti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢da⸣ si̥⸢kam⸣baŋ] (今日到着すると聞いたが、まだ着かないよ)。 ⸣クマー ⸣フネー シ⸢キヤッ⸣サン [⸣kumaː ⸣ɸuneː ʃi̥⸢kijas⸣saŋ] (ここは、船は着き<接岸し>やすい)。 ⸢パー⸣ク ⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (早く着けたら<接岸すれば>良いのに)。 ⸣フネー ⸣クナー シ⸢キ⸣リ [⸣ɸuneː ⸣kunaːʃi̥⸢ki⸣ri] (船はここに着け<接岸し>ろ)。 9077 0 2 8595 htmvoc_9077.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_2}点く。点火する。 ⸢ピー⸣ヤ ⸣シケーン [⸢piː⸣ja ⸣ʃi̥keːŋ] (火は点けた)。 9077 0 3 8596 htmvoc_9077.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_3}なつく<懐く>。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ピッ⸣チン ⸣ウヤナー シゥ⸢カ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː pit⸣ʧiŋ ⸣ʔujanaː si̥⸢ka⸣nu] (この子はちっとも親に懐かない) 9078 0 1 8597 htmvoc_9078.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_1}突く。突き刺す。 ⸣グサン ス⸢クン [⸣gusan su̥⸢kuŋ] (杖をつく)。 ⸣グサン シゥ⸢カンドー⸣シ ア⸢ラ⸣キ [⸣gusan sï̥⸢kandoː⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki] (杖を突かないで歩け)。 イ⸢ズ⸣ ス⸢クン [ʔi⸢ʣu⸣ su̥⸢kuŋ] (魚を銛で突く)。 ⸣タコー ⸣ユクンシ シ⸢キティ⸣ アナーラ ン⸢ザ⸣シ [⸣takoː ⸣jukuŋʃi ʃi̥⸢kiti⸣ ʔanaːra ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (蛸は\ruby{銛}{モリ}で突いて穴から出せ)。 ⸣タク ス⸢ク⸣ ピンマー ⸣ガルユクンシ シ⸢キ⸣バ [⸣tḁku su̥⸢ku⸣ pimmaː ⸣garujukuŋʃi ʃi̥⸢ki⸣ba] (蛸を突く時は鉤のある銛で突けよ)。 ⸣タク シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣tḁku ʃi̥⸢keː⸣ misamunu] (蛸を突けば良いのに)。 ⸣ユクンシ イ⸢ズ⸣ ス⸢クン [⸣jukuŋʃi ʔi⸢ʣu⸣ su̥⸢kuŋ] (銛で魚を突く)。 イ⸢ゾー⸣ シゥ⸢カンドー⸣シ ス⸢クイ⸣バ [ʔi⸢ʣoː⸣ sï̥⸢kandoː⸣ʃi su̥⸢kui⸣ba] (魚は突かないで掬いなさいよ)。 ⸣ユクンシ シ⸢キ⸣ミサカー ス⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [⸣jukuŋʃi ʃi̥⸢ki⸣misakaː su̥⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (銛で突いてよければ突くことは出来る)。 ⸣ユクンシ シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣jukuŋʃi ʃi̥⸢keː⸣ misamunu] (銛で突けばいいのに)。 ⸣ユクンシ シ⸢キ⸣バ [⸣jukuŋʃi ʃi̥⸢ki⸣ba] (銛で突けよ)。 9078 0 2 8598 htmvoc_9078.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_2}印鑑を押す。捺印する。型押し器具<金具>で銭型を押す。 ⸢ナーヌ⸣ アトゥナ ⸢パン⸣ シ⸢キ⸣バ [⸢naːnu⸣ ʔatuna ⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba] (名前の後に印鑑を押せ<捺印せ>よ)。 カ⸢ビシキンガニ⸣シ ウ⸢ティン⸣ガビ シ⸢キ⸣バ [ka⸢biʃi̥kiŋgani⸣ʃi ʔu⸢tiŋ⸣gabi ʃi̥⸢ki⸣ba] (紙銭突き金<金具>で紙銭の型を押せよ) 9080 0 0 8599 htmvoc_9080.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 髪を\ruby{梳}{ス}く。\ruby{梳}{クシケズ}る。 カ⸢トーシ⸣シ ガ⸢マ⸣ジ ス⸢クン [kḁ⸢toːʃi⸣ʃi ga⸢ma⸣ʤi su̥⸢kuŋ] (目の細かい櫛で髪を梳る) 9082 0 0 8600 htmvoc_9082.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 鉋で薄くけずる。鉋掛けする。 カ⸢ナ⸣ シ⸢キ⸣バ [ka⸢na⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba] (鉋を掛けなさい)。 カ⸢ナ⸣ ス⸢クンティ ベー⸣ヌンドゥ ⸢コー⸣ヌ シゥ⸢カラヌ [ka⸢na⸣ su̥⸢kunti beː⸣nundu ⸢koː⸣nu si̥⸢karanu] (鉋を掛けようとしているが、堅くて鉋掛け出来ない)。 ク⸢マン⸣トン カ⸢ナ⸣シ シ⸢キ [ku⸢man⸣toŋ ka⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki] (此処のところを鉋で削れ)。 カ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣ プ⸢ソー⸣ シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [ka⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣ pu̥⸢soː⸣ ʃi̥⸢keː⸣ misamunu] (鉋で削る<鉋かけする>人は削れば<鉋掛けすれば>良いのに) 9083 0 0 8601 htmvoc_9083.wav スクン ⸣スクン [⸣su̥kuŋ] 補動 ~<して>おく。 ⸣カキスクン [⸣kḁkisukuŋ] (書いておく)。 ⸣パギスクン [⸣pagisukuŋ] (剥いでおく)。 ⸢シー⸣スクン [⸢ʃiː⸣su̥kuŋ] (しておく)。 ⸣ユミスクン [⸣jumisu̥kuŋ] (読んでおく)。 ⸣トゥリスクン [⸣turisu̥kuŋ] (取っておく)。 ⸣クベー ⸣トゥリシキバ [⸣kubeː ⸣turiʃi̥kiba] (これだけは取っておきなさいよ)。 ⸣トゥリ シゥ⸢カン⸣タンティン ⸣ミサン [⸣turi si̥⸢kan⸣tantim ⸣misaŋ] (取っておかなくても良い)。 ⸣クベー ⸣カキ シ⸢キ⸣リ [⸣kubeː ⸣kḁki ʃi̥⸢ki⸣ri] (これだけは書いておきなさい)。 ⸣カキ ⸣スク ⸣クトゥ [⸣kḁkisu̥ku ⸣ku̥tu] (書いておくこと)。 ⸣キュー カキシゥ⸢カン⸣カー ⸣アツァー カ⸢カラ⸣ヌ [⸣kjuː kḁki ⸣si̥⸢kaŋ⸣kaː ⸣ʔaʦaː kḁ⸢kara⸣nu] (今日書いておかないと明日は書けない) 9088 0 0 8602 htmvoc_9088.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 敷く。物を平にのべ広げる。「~直土に藁解敷而 父母は~『万葉集 892』」の義。 ⸣ムス ス⸢クンティ ベー⸣ヌンドゥ シゥ⸢カランバ⸣ シ⸢キ⸣ プサ プ⸢ソー⸣ ドゥーシ シ⸢キ⸣バ⸢ヨー [⸣musu su̥⸢kunti beː⸣nundu si̥⸢karamba⸣ ʃi̥⸢ki⸣ pu̥sa pu̥⸢soː⸣ duːʃi ʃi̥⸢ki⸣ba⸢joː] (蓆を敷こうとしているが、敷かれないから、敷きたい人は自分で敷けよねえ)。 ⸣ムス ス⸢ク⸣ プ⸢ソー パー⸣ク シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣musu su̥⸢ku⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku ʃi̥⸢keː⸣ misamunu] (蓆を敷く人は、早く敷けばよいのに) 9089 0 0 8603 htmvoc_9089.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 供える。供物を神仏に供える。 ⸣グシパナン ⸢シームヌン⸣ ス⸢クン [⸣guʃipanaŋ ⸢ʃiːmunun⸣ su̥⸢kuŋ] (神酒や花米も吸い物も供える) 9090 0 0 8604 htmvoc_9090.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 自動 効く。有効に働く。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢チ⸣ロー バ⸢タ⸣ヌヤンナー ス⸢クンティ⸣ シ⸢タヌ⸣ ギュー⸢サ⸣ ヌ⸢ム⸣タンティン シゥ⸢カンバ⸣ ス⸢ク⸣ フ⸢チ⸣ル ⸣トゥミ ⸣クー [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣roː ba⸢ta⸣nujannaː su̥⸢kunti⸣ ʃi̥⸢tanu⸣ gjuː⸢sa⸣ nu⸢mu⸣tantiŋ si̥⸢kamba⸣ su̥⸢ku⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣tumi ⸣kuː] (この薬は腹痛<腹の病>に効くといったが、いくら飲んでも効かないから効く薬を探して来なさい)。 シ⸢キ パヤー⸣ン [ʃi̥⸢ki pajaː⸣ŋ] (効き早い{EOS}即効である)。 プ⸢ス⸣シジシン シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [pu̥⸢su⸣ʃiʤiʃiŋ ʃi̥⸢keː⸣ misamunu] (一粒で効けばよいのに)。 シ⸢キ [ʃi̥⸢ki] (効け) 9091 0 1 8605 htmvoc_9091.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_1}聞く。 ⸣アッパー ⸣ウタ ス⸢クンティ クータン⸣ドゥ シゥ⸢カンドー⸣シ ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔappaː ⸣ʔuta su̥⸢kunti kuːtan⸣du si̥⸢kandoː⸣ʃi ⸣pari ⸢naː⸣nu] (お祖母さんの歌を聞こうとして来たけれども、聞かずに行ってしまった)。 ⸣ウタ シ⸢キ⸣プサカー ス⸢ク プス⸣ ア⸢ツァ⸣ミ ⸣キー マー⸢ズン⸣シ シ⸢キ⸣バ [⸣ʔuta ʃi̥⸢ki⸣ pu̥sakaː su̥⸢ku pu̥su⸣ ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣kiː maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ba] (歌を聞きたければ、聞く人を集めてきて一緒に聞けよ)。 ⸢パー⸣ク シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʃi̥⸢keː⸣ misamunu] (早く聞けばよいのに)。 9091 0 2 8606 htmvoc_9091.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_2}理解する<聞ける>。 ウ⸢ラーンタ⸣ムニ シ⸢キシェーン [ʔu⸢raːnta⸣muni ʃi̥⸢kiʃeːŋ] (英語<オランダ語>が理解できるか<聞けるか>)。 9091 0 3 8607 htmvoc_9091.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_3}聞き入れる。承諾する。従う。 ⸣バー ⸣ムネー ス⸢クヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムネー イッ⸢カ⸣ シ⸢カンバン [⸣baː ⸣muneː su̥⸢kunu⸣ pu̥⸢sunu⸣ muneː ʔik⸢ka⸣ si̥⸢kambaŋ] (私の言う事は聞く<従う>が、他人のいうことは一向に聞かない<承諾しない{EOS}従わない>) 9092 0 0 8608 htmvoc_9092.wav スクン ス⸢クン [su̥⸢kuŋ] 他動 網を編む。網状のものを編む。\ruby{繕}{ツクロ}う。「すく(結く)、皇軍、葛<かずら>の網を結<す>きて『日本書紀 神武即位前』」の義。 ⸢アンシキ⸣パルシ ⸢アン⸣ヌ ⸣ヤレーントン ス⸢クンティ ベー [⸢ʔaŋʃiki⸣paruʃi ⸢ʔan⸣nu ⸣jareːnton su̥⸢kunti beː] (網すき針で網の破れたところを編んでいる)。 ⸣アン シ⸢キ ッふィーリ [⸣ʔaŋ ʃi̥⸢ki ffːri] (網の破れを編んで<繕って>くれ)。 ク⸢リ⸣シェー シゥ⸢カラヌ [ku⸢ri⸣ʃeː si̥⸢karanu] (これでは編めない)。 ⸣アン ス⸢ク プス [⸣ʔaŋ su̥⸢ku pusu] (網を編む人)。 シ⸢ケー⸣ ミサムヌ [ʃi̥⸢keː⸣ misamunu] (編めばよいのに)。 ⸣アン シ⸢キ⸣バ [⸣ʔaŋ ʃi̥⸢ki⸣ba] (網の破れを編めよ) 9084 0 0 8609 htmvoc_9084.wav スコー ⸣スコー [⸣su̥koː] 助 ~ほどは。~ぐらいは。副助詞⸣スク[su̥ku](ほど{EOS}ぐらい)に取り立ての係助詞ヤ[ja]が付いて音韻変化した形。程度を表す。 ⸢ワーン⸣スコー ⸢モー⸣キ ⸢サヌ [⸢waːn⸣su̥koː ⸢moː⸣ki ⸢sanu] (君ぐらいは儲けきれない)。 ター⸢ン ワー⸣スコー ⸢シーユーサヌ [taː⸢ŋ waː⸣su̥koː ⸢ʃiːjuːsanu] (誰も君ぐらい<君ほど>することが出来ない) 9085 0 0 8610 htmvoc_9085.wav スコー ⸣スコー [⸣su̥koː] 名 準備。用意。心構え。心づもり。ス⸢コール[su̥⸢koːru](準備{EOS}用意)の語尾「ル」の脱落した形。 ⸣キューズーナー ⸣パル ⸣スコー ⸢シーベー [⸣kjuːʣuːnaː ⸣paru ⸣su̥koː ⸢ʃiːbeː] (今日中に行く準備をしている) 9086 0 0 8611 htmvoc_9086.wav スコール ス⸢コール [su̥⸢koːru] 名 準備。支度。用意。 イ⸢ソー⸣ ス⸢コール [ʔi⸢soː⸣ su̥⸢koːru] (出漁準備)。 ブ⸢ドゥル⸣ ス⸢コール [bu⸢duru⸣ su̥⸢koːru] (踊り支度)。 ウ⸢キナー⸣タベーヌ ス⸢コーロー⸣ ナレーンカヤー [ʔu⸢kinaː⸣tabeːnu⸣ su̥⸢koːroː⸣ nareːŋkajaː] (沖縄への旅の支度は出来たかなあ) 9095 0 0 8612 htmvoc_9095.wav スコールスン ス⸢コール スン [su̥⸢koːru suŋ] 連 準備をする。 イ⸢ガメーヌ⸣ ス⸢コール スンティ ベー [ʔi⸢gamameːnu⸣ su̥⸢koːru sunti beː] (イカ釣り漁の準備をしようとしている) 9096 0 0 8613 htmvoc_9096.wav スコールン ス⸢コールン [su̥⸢koːruŋ] 他動 準備する。用意する。拵える。「こしらふ<拵ふ>」の音位転倒したもの。 ⸢ニンガイ⸣ムヌ ス⸢コールンティ ベーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー ス⸢コーラランバ ワンヌン⸣ キー ス⸢コーリ ッふィーリ [⸢niŋgai⸣munu su̥⸢koːrunti beːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː su̥⸢koːraramba wannuŋ⸣ kiː su̥⸢koːri ffiːri] (祈願用の供物を拵えようとしているが、一人では拵えられないから君も来て拵えてくれ)。 ⸢ニンガイ⸣ムヌ ス⸢コール⸣ プ⸢ソー パー⸣ク ス⸢コーレー⸣ ミサムヌ [⸢niŋgai⸣munu su̥⸢koːru⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku su̥⸢koːreː⸣ misamunu] (供物を拵える人は)。 ⸢ワー⸣ ス⸢コーリ⸣バ [⸢waː⸣ su̥⸢koːri⸣ba] (君が拵えよ) 9097 0 0 8614 htmvoc_9097.wav スシ ⸣スシ [⸣suʃi] 名 すし(鮨)。標準語からの借用語。昔はなかった。戦後になって一般に食されるようになった。戦前、鳩間島で鮨飯を作って島の老人に試食させたところ、「\ruby{饐}{ス}えたご飯を人に食べさせるとは何事か」と叱責されたという笑い話が伝わっている。 ス⸢シ⸣バ ス⸢ク⸣リ ン⸢カシタル⸠ヨー ⸢シーリイー⸣バ プ⸢スン⸣ ッ⸢ふァーシェー⸣ティ ⸢アー⸣クティ イ⸢ザリオーッ⸣タ⸢トゥ⸣ツォー [su⸢ʃi⸣ba su̥⸢ku⸣ri ʔŋ⸢kaʃi̥taːru⸠joː ⸢ʃiːriʔiː⸣ba pu̥⸢suŋ⸣ f⸢faʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kuti ʔi⸢ʣarioːt⸣ta⸢tu⸣ʦoː] (鮨飯を作って差し上げ<召し上がらせ>たらば、饐えたご飯を人に食わせようとしているといって、叱られたそうな) 9098 0 1 8615 htmvoc_9098.wav スズーク スズー⸢ク [suʣuː⸢ku] 副 強く。たくさん。十分に。しっかりと。したたか(強か)。ひどく。「強強と」の義。首里方言の⸢cuuzuuku{Mn_1}(副)たいそう強く。きつく」『沖縄語辞典』の転訛したもの。スズー⸢コ[suʣuː⸢ko](強く{EOS}したたか<強か>に)ともいう。 スズー⸢ク⸣ イ⸢ザレー⸣ン [suʣuː⸢ku⸣ ʔi⸢ʣareː⸣ŋ] (ひどく叱られた)。 スズー⸢ク ファイヤー⸣ン [suʣuː⸢ku faijaː⸣ŋ] (たくさん食べた)。 スズー⸢ク ネーシェー⸣ン [suʣuː⸢ku neːʃeː⸣ŋ] (しっかりと、十分に煮てある<十分に煮た>) 9099 0 0 8616 htmvoc_9099.wav スズーコ スズー⸢コ [suʣuː⸢ko] 副 強く。ひどく。きつく。随分と。したたか<強か>に。 ウ⸢ヌ⸣ クトゥシェー ⸣ウヤン スズー⸢コ⸣ イ⸢ザレーン⸠ダー [ʔu⸢nu⸣ ku̥tuʃeː ⸣ʔujan suʣuː⸢ko⸣ ʔi⸢ʣareːn⸠daː] (そのことでは親に随分とひどく叱られたよ) 9100 0 0 8617 htmvoc_9100.wav スズリ ス⸢ズ⸣リ [su⸢ʣu⸣ri] 名 すずり(硯)。標準語からの借用語。「明治29年6月16日、初メテ当村ニオイテモ学校ヲ設立スルコトトナリ~」『波濤を越えて』とあるから、それ以降に学校教育を通して一般化したものであろう。 ス⸢ズ⸣リナ ミ⸢ジ⸣ イ⸢リティ⸣ シン ⸣ッシバ [su⸢ʣu⸣rinaː mi⸢ʤi⸣ ʔi⸢riti⸣ ʃiŋ ⸣ʃʃiba] (硯に水を入れて墨を磨れよ)。 ス⸢ズ⸣リナ ミ⸢ジ⸣ イ⸢リティ⸣ シン ⸣ッスン [su⸢ʣu⸣rina mi⸢ʤi⸣ ʔi⸢riti⸣ ʃin ⸣ssuŋ] (硯に水を\ruby{注}{サ}して墨を磨る) 9101 0 0 8618 htmvoc_9101.wav スズリバク ス⸢ズリ⸣バク [su⸢ʣuri⸣baku] 名 硯箱。標準語からの借用語。 ス⸢ズ⸣レー ス⸢ズリ⸣バクナー イ⸢リティル シン⸣マー ッス⸢ダー [su⸢ʣu⸣reː su⸢ʣuri⸣bakunaː ʔi⸢ritiru ʃim⸣maː ssu⸢daː] (硯は硯箱に入れて<ぞ>墨は磨るものだよ)。 ス⸢ズ⸣レー ス⸢ズリ⸣バクナ イ⸢リティ⸣ ッ⸢サン⸣カー ⸣キン ユ⸢グスン⸣ダー [su⸢ʣu⸣reː su⸢ʣuri⸣bakuna ʔi⸢riti⸣ s⸢saŋ⸣kaː ⸣kiŋ ju⸢gusun⸣daː] (硯は硯箱の中に入れて磨らないと着物を汚すよ) 9102 0 0 8619 htmvoc_9102.wav スソー ス⸢ソー [su⸢soː] 名 そそう(粗相)。粗略なこと。粗略に扱うこと。粗末なこと。 ウ⸢ヤ⸣バ ス⸢ソーニ アシゥカウ⸣カー バ⸢チ⸣カブン⸢ダー [ʔu⸢ja⸣ba su⸢soːni ʔasi̥kau⸣kaː ba⸢ʧi⸣kabun⸢daː] (親を粗略に扱うと罰が当たる<罰を被る>ぞ)。 ⸢ドングペング⸣バ ⸣アイニ ス⸢ソーニ アシゥカウナ⸠ヨー [⸢doŋgupeŋgu⸣ba ⸣ʔaini su⸢soːni ʔasi̥kauna⸠joː] (道具類をあんなに粗略に扱うなよ) 9104 0 0 8620 htmvoc_9104.wav スダティ ス⸢ダ⸣ティ [su⸢da⸣ti] 名 育ち。成長すること。動詞ス⸢ダ⸣トゥン[su⸢da⸣tuŋ](育つ)の連用形から転成した名詞。 ⸣アブジェー マ⸢リヤ ウイバル⸣ ス⸢ダティ⸣ヤ パ⸢トゥ⸣マ ヤ⸢ローッ⸣タツォー [⸣ʔabuʤeː ma⸢rija ʔuibaru⸣ su⸢dati⸣ja pḁ⸢tu⸣ma ja⸢roːt⸣taʦoː] (お祖父さんは、生まれは上原で育ちは鳩間島であられたそうだ) 9105 0 0 8621 htmvoc_9105.wav スダティグリサン ス⸢ダティグリ⸣サン [su⸢datiguri⸣saŋ] 連 育てにくい。複合形容詞。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ボーキリ⸣ムヌ ⸣ナリティ ス⸢ダティグリ⸣サンティ ス⸢クタヌ⸣ ス⸢ダティグリサー ナーン⸣バンヨー [ku⸢nu⸣ f⸢faː boːkiri⸣munu ⸣nariti su⸢datiguri⸣santi su̥⸢kutanu⸣ su⸢datigurisaː naːm⸣baŋjoː] (この子は我儘強情で、育てにくいと聞いたが、育てにくくはないわいよ)。 ス⸢ダティグリ⸣サ ⸣ナルン [su⸢datiguri⸣sa ⸣naruŋ] (育てにくくなる) 9107 0 0 8622 htmvoc_9107.wav スダティゾージ ス⸢ダティゾー⸣ジ [su⸢datiʣoː⸣ʤi] 名 育て上手。養育上手な人。野菜の栽培上手。 ク⸢ヌ ミートゥン⸣ダー ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダティゾー⸣ジ [ku⸢nu miːtun⸣daː f⸢fa⸣ su⸢datiʣoː⸣ji] (この夫婦は子育て上手だ)。 ⸣ヤサイ ス⸢ダティ ゾー⸣ジ [⸣jasai su⸢datiʣoː⸣ʤi] (野菜の栽培上手)。稲には、マ⸢イスクリゾー⸣ジ[⸢maisu̥kuriʣoː⸣ʤi](稲作上手)という 9108 0 0 8623 htmvoc_9108.wav スダティヌウヤ ス⸢ダティ⸣ヌ ⸣ウヤ [su⸢dati⸣nu ⸣ʔuja] 連 育ての親。養親。 ナ⸢シ⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢マーラシター⸣ ブ⸢バーマ⸣ル ス⸢ダティ⸣ヌ ⸣ウヤ ⸣ナリ ⸢バン⸣ヨー ス⸢ダ⸣ティ ッ⸢ふォーッ⸣タ [na⸢ʃi⸣nu ʔu⸢ja⸣nu ⸢maːraʃi̥taː⸣ bu⸢baːma⸣ru su⸢dati⸣nu ⸣ʔuja ⸣nari ⸢baŋ⸣joː su⸢da⸣ti f⸢foːt⸣ta] (産みの親が亡くなったので、叔母が育ての親になって私を育ててくださった) 9112 0 0 8624 htmvoc_9112.wav スダティミチ ス⸢ダティ⸣ミチ [su⸢dati⸣miʧi] 名 育て方。 ッ⸢ふァー⸣ ナシティ ス⸢ダティ⸣ミチ ッ⸢サヌ [f⸢fa⸣ naʃi̥ti su⸢dati⸣miʧi s⸢sanu] (子供は生んで、育て方を知らない) 9110 0 0 8625 htmvoc_9110.wav スダティヤッサン ス⸢ダティヤッ⸣サン [su⸢datijas⸣saŋ] 形 育てやすい。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ビ⸢コーンッふァー⸣ラン ス⸢ダティヤッ⸣サンティ ア⸢ザリ ブー [mi⸢doːŋ⸣ffaː bi⸢koːŋffaː⸣ran su⸢datijas⸣santi ʔa⸢ʣari buː] (女の子は男の子よりも育てやすいといわれている)。 ス⸢ダティヤッサ ナーン⸣シェン [su⸢datijassa naːŋ⸣ʃeŋ] (育て易く無かった)。 ス⸢ダティヤッ⸣サ ⸣ナルン [su⸢datijas⸣sa ⸣naruŋ] (育て易くなる)。 ス⸢ダティヤッ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [su⸢datijas⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (育て易いことはない) 9111 0 0 8626 htmvoc_9111.wav スダティルン ス⸢ダティ⸣ルン [su⸢dati⸣ruŋ] 他動 育てる。養育する。成長させる。仕込む。 ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダティ⸣ルンティ ⸢シッ⸣パイ ⸢シー ベー⸣ンドゥ ⸣ウムー ⸣ヨーネー ス⸢ダティララ⸣ヌ [f⸢fa⸣ su⸢dati⸣runti ⸢ʃip⸣pai ⸢ʃiːbeː⸣ndu ⸣ʔumuː ⸣joːneː su⸢datirara⸣nu] (子供を育てようと精一杯頑張っている<している>が、思うように育てられない)。 ⸣ドゥーシ ス⸢ダ⸣ティ ⸣ミサカー ス⸢ダティ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ル⸣ヌ ムー⸢ル⸣シ ス⸢ダティ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi su⸢da⸣ti ⸣misakaː su⸢dati⸣ru ⸣kutoː na⸢ru⸣nu muː⸢ru⸣ʃi su⸢dati⸣reː ⸣misamunu] (自分で育てて良いなら育てることは出来るが、皆で育てれば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ス⸢ダティ⸣リ [⸣duːʃi su⸢dati⸣ri] (自分で育てろ) 9113 0 1 8627 htmvoc_9113.wav スダトゥン ス⸢ダ⸣トゥン [su⸢da⸣tuŋ] 他動 {Mn_1}他動詞。育てる。養い成長させる。「生長・育、ソダツル<下二段活用>」『運歩色葉集』の四段活用化したもの。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ス⸢ダ⸣ティ ⸣ミサカー バ⸣ー ⸢タンガ⸣シン ス⸢ダトゥン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー ス⸢ダタラン⸣ティバ ⸣バー ⸢タンガ⸣シ ス⸢ダ⸣トゥ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ su⸢da⸣ti ⸣misakaː ⸣baː ⸢taŋga⸣ʃin su⸢datun⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː su⸢dataran⸣tiba ⸣baː ⸢taŋga⸣ʃi su⸢da⸣tu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (この子を育ててよいなら一人ででも育てるが、一人では育てられないというから、私一人で育てることは出来ない)。 ⸢ワー⸣ ス⸢ダ⸣テー ⸣ミサムヌ [⸢waː⸣ su⸢da⸣teː ⸣misamunu] (君が育てればよいのに)。 ⸢ワー⸣ ス⸢ダ⸣ティバ [⸢waː⸣ su⸢da⸣tiba] (君が育てろよ)。 9113 0 2 8628 htmvoc_9113.wav スダトゥン ス⸢ダ⸣トゥン [su⸢da⸣tuŋ] 他動 {Mn_2}自動詞。育つ。成長する。 ⸣ウヤー ブ⸢ラーン⸣タンティン ッ⸢ふァー ナンク⸣ル ス⸢ダ⸣トゥン [⸣ʔujaː bu⸢raːn⸣tantiŋ f⸢faː naŋku⸣ru su⸢da⸣tuŋ] (親がいなくても子は自然に育つ)。 ク⸢ヌ マイヤー⸣ クナー ス⸢ダタ⸣ヌ [ku⸢nu maijaː⸣ kunaː su⸢data⸣nu] (この稲<米>は、ここでは育たない) 9114 0 0 8629 htmvoc_9114.wav スッカー ⸢スッ⸣カー [⸢suk⸣kaː] 名 急須。陶製で弓状の取っ手<把手>の付いた土瓶。湯茶を入れたり、煎じ薬を入れたりするのに用いる。 ウ⸢ブスッ⸣カー [ʔu⸢busuk⸣kaː] (大きな急須)。 スッ⸢カー⸣マ [suk⸢kaː⸣ma] (小さな急須{EOS}比喩的に乳幼児の睾丸を表す)。 ⸢サースッ⸣カー [⸢saːsuk⸣kaː] (お茶用の急須)。 ⸣ヤコンスッカー [⸣jakonsukkaː] (薬缶急須{EOS}薬湯用急須)。 ヤ⸢コン⸣マー ウ⸢ティティ スッ⸣カーナー ⸢ユー⸣ヤ ⸢サイ⸣クーバ [ja⸢kom⸣maː ʔu⸢titi suk⸣kaːnaː ⸢juː⸣ja ⸢sai⸣kuːba] (薬缶は竈からはずして急須にお湯を注いできなさいよ) 9117 0 0 8630 htmvoc_9117.wav ズッカースン ⸢ズッ⸣カー ⸢スン [⸢ʣuk⸣kaː ⸢suŋ] 連 (鳥や昆虫が)交尾をする(幼児語)。他の牛、馬、豚、犬、猫、鳥類などの動物の交尾については、⸣ズブン[⸣ʣubuŋ](交尾する)、⸣カナウン[⸣kanauŋ](交尾する)(老年層の使用語彙)が用いられる。 トゥ⸢ルヌ ズッ⸣カー ⸢シー ベー [tu⸢runu ʣuk⸣kaː ⸢ʃiː beː] (鳥が交尾をしている) 9115 0 0 8631 htmvoc_9115.wav スッカーヌビー ⸢スッカー⸣ヌ ⸣ビー [⸢sukkaː⸣nu ⸣biː] 連 急須の注ぎ口。 ⸢スッカー⸣ヌ ⸢ビー⸣ヤ ア⸢ザケーアザケー⸣シ ア⸢ライ⸣ シキ [⸢sukkaː⸣nu ⸢biː⸣ja ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃi ʔa⸢rai⸣ ʃi̥ki] (急須の注ぎ口は清潔に洗っておきなさい) 9116 0 1 8632 htmvoc_9116.wav スッカーマ スッ⸢カー⸣マ [suk⸢kaː⸣ma] 名 {Mn_1}小さな急須。 スッ⸢カーマ⸣ヌ ⸣グシ ⸢サイ⸣バ [suk⸢kaːma⸣nu ⸣guʃi ⸢sai⸣ba] (小さな急須の酒を注ぎなさい)。 9116 0 2 8633 htmvoc_9116.wav スッカーマ スッ⸢カー⸣マ [suk⸢kaː⸣ma] 名 {Mn_2}転じて乳幼児の睾丸。幼児語。 スッ⸢カー⸣マーラ シ⸢バル⸣ヌ ⸣ンジ ⸣ケーン [suk⸢kaː⸣maːra ʃi⸢baru⸣nu ⸣ʔnʤi ⸣keːŋ] (おちんちんからしっこが出てきた) 9118 0 0 8634 htmvoc_9118.wav ズッカーマ ズッ⸢カー⸣マ [ʣuk⸢kaː⸣ma] 名 カツオの心臓。約3センチの三角錐の形をしている。先端部の約1センチほどは白色の腱のようなものからなり、残りは真っ赤な筋肉質から出来ている。カツオの頭を切り落とす際に鰓の下に付いて捨てられるのを、子供達が拾い集めて持ち帰り、煮て食した。 カ⸢ツヌ⸣ ズッ⸢カー⸣マー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [kḁ⸢ʦunu⸣ ʣuk⸢kaː⸣maː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (カツオの心臓は非常に美味しかった) 9119 0 0 8635 htmvoc_9119.wav ズッツ ⸣ズッツ [⸣ʣutʦu] 名 ちび。からだの小さい人。こびと。\ruby{朱儒}{シュ|ジュ}の転訛。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ ズッツ ⸣ナリティ フ⸢ドゥバンバン [ku⸢nu ffaː⸣ ʣutʦu ⸣nariti ɸu⸢dubambaŋ] (この子はちびになって成長しないよ) 9129 0 0 8636 htmvoc_9129.wav スデーマ ス⸢デー⸣マ [su⸢deː⸣ma] 名 小袖。小さな袖。 ⸢ワー キン⸣マー ⸣ドゥク ス⸢デー⸣マ ⸣ナリティ キ⸢サラヌ [⸢waː kim⸣maː ⸣duku su⸢deː⸣ma ⸣nariti ki̥⸢saranu] (君の着物はあまりにも小さな袖になって着られない) 9120 0 0 8637 htmvoc_9120.wav スディ ス⸢ディ [su⸢di] 名 袖。「袖垂而<ソデたれて>~。万、4277」の転訛したもの。 ⸢キン⸣ヌ ス⸢ディヌ⸣ ヤリティ キ⸢サラヌ [⸢kin⸣nu su⸢dinu⸣ jariti ki̥⸢saranu] (着物の袖が破れて着られない) 9121 0 0 8638 htmvoc_9121.wav スディカライ ス⸢ディ⸣カライ [su⸢di⸣karai] 名 袖まくり。袖をたくしあげること。腕まくり。⸣カライ[⸣karai]は、「榺、カラグ・ツツム」『類聚名義抄』の転訛したものか。 バ⸢カー⸣ムノー ⸢キン⸣マー ス⸢ディ⸣カライ ⸢シェー⸣ティル パ⸢タラク⸣ ス⸢ディバ ダーラダーラ⸣シ タ⸢ラ⸣シェーティ ⸢アー⸣ク ⸣ムノー ⸣スブットゥ ⸢ダー [ba⸢kaː⸣ munoː ⸢kim⸣maː su⸢di⸣ karai ⸢ʃeː⸣tiru pḁ⸢taraku⸣ su⸢diba daːradaːra⸣ʃi ta⸢ra⸣ʃeːti ⸢ʔaː⸣ku ⸣munoː ⸣subuttu ⸢daː] (若者は、着物は袖まくりしながら<ぞ>働くものであって、袖をだらだらと長く垂らしているのは怠け者のすることだ<怠け者だ>) 9122 0 0 8639 htmvoc_9122.wav スディキシキン ス⸢ディキシ⸣キン [su⸢diki̥ʃi⸣kiŋ] 名 袖なし着物。袖の切れた着物。「袖切れ着物」の義。 ⸣アツァユンダ ス⸢ディキシ⸣キン キ⸢シティ⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シバ [⸣ʔaʦajunda su⸢diki̥ʃi⸣kiŋ ki̥⸢ʃiti⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃiba] (暑いから袖なし着物を着て畑を耕しなさいよ) 9123 0 0 8640 htmvoc_9123.wav スディッキラー ⸣スディッキラー [⸣sudikkiraː] 名 袖の短い労働着。普段着。 ナ⸢チェー⸣ ブーキン ⸣バサキンヌ ⸣スディッキラーバ キ⸢シティル⸣ シ⸢グトゥ ソーッ⸣タ [na⸢ʧeː⸣ buːim ⸣basakinnu ⸣sudikkiraːba ki̥ʃitiru⸣ ʃi⸢gutu soːt⸣ta] (夏は麻布、芭蕉布の袖の短い着物を着て仕事をされた) 9124 0 0 8641 htmvoc_9124.wav スディナ ス⸢ディ⸣ナ [su⸢di⸣na] 名 八重山士族層女性の単衣衣装で、カカンと対を成す。鳩間島では、古典舞踊のパ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡{EOS}鳩間節)舞踊で着用される婦人の衣装の名。舞踊の衣装の名。カ⸢カン[kḁ⸢kaŋ](袴)と対をなして着用され、タ⸢ナシ[ta⸢naʃi](ひとえ<一重>のうちかけ)を重ねて着る。 ス⸢ディ⸣ナー パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ⸣キンティ ⸢シー⸣ カ⸢ザケートゥ⸣ ユ⸢レー⸣ナール ⸣アル [su⸢di⸣naː pḁ⸢tu⸣manakamurinu ⸣kinti ⸢ʃiː⸣ ka⸢ʣakeːtu⸣ ju⸢reː⸣naːru ⸣ʔaru] (スディナは古典舞踊鳩間中岡の衣装として加治工家と寄合家にある) 9125 0 0 8642 htmvoc_9125.wav スディパカ ス⸢ディパカ [su⸢dipaka] 名 きっこうばか(亀甲墓)の本墓の両側にある小さな墓。「袖墓」の義。本墓に未洗骨の遺体がある場合に使用される墓。 ウ⸢ブパカ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ライクサイ ソー⸣ルンケンマー ス⸢ディパカ⸣ナール カ⸢ザ⸣ミ ス⸢コーッ⸣タ [ʔu⸢bupaka⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢raikusai soː⸣ruŋkemmaː su⸢dipakanaː⸣ru ka⸢ʣa⸣mi su̥⸢koːt⸣ta] (本墓の人の洗骨をされるまでは袖墓に葬って<納めて、隠して>置かれた) 9127 0 0 8643 htmvoc_9127.wav スディブッター ⸣スディブッター [⸣sudibuttaː] 名 袖の大きい着物。 ク⸢レー⸣ スディブッター ⸣ナリティ キ⸢シングリサ⸣ヌ キ⸢サラヌ [ku⸢reː⸣ sudibuttaː ⸣nariti ki̥⸢ʃiŋgurisa⸣nu ki̥⸢saranu] (これは袖の大きい着物になって、着にくくて着られない) 9128 0 0 8644 htmvoc_9128.wav スディユイ ス⸢ディユイ [su⸢dijui] 名 袖まくり。紐や手拭などを両袖に通し、肩の中央で結んで袖を捲り上げる方法。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ス⸢ディユイバ シェー⸣ティル ⸢ヤイヤイ⸣シ ⸢マイン⸣ ッサイ パ⸢タ⸣キン ⸢カイ⸣ソーッタル [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢dumuŋkeː⸣ja su⸢dijuiba ʃeː⸣tiru ⸢jaijai⸣ʃi ⸢main⸣ ssai pḁ⸢ta⸣kiŋ ⸢kai⸣soːttaru] (昔は女性達は袖まくりをしながら、やいやいと精を出して米も精げ、畑も耕されたものだよ) 9130 0 0 8645 htmvoc_9130.wav ステテコ ス⸢テテ⸣コ [su̥⸢tete⸣ko] 名 膝下まである男子用の下ばき。標準語からの借用語。サラシ(晒し)の綿布や麻布で縫製されており、吸着性、通気性に富み、ズボン下に着用する。女性が男踊りをする際に着用して踊った。 ビ⸢キドゥモー⸣ ス⸢テテ⸣コ キ⸢シティル⸣ ズボン キ⸢ソーッ⸣タ [bi⸢kodumoː⸣ su̥⸢tete⸣ko ki̥⸢ʃitiru⸣ ʣuboŋ ki̥⸢soːt⸣ta] (男はステテコを佩いてから<ぞ>ズボンを佩かれた) 9131 0 0 8646 htmvoc_9131.wav ストゥドーゴッコー ス⸢トゥドー⸣ゴッコー [su̥⸢tudoː⸣gokkoː] 名 (動)鳥の名。山鳩。キジバト(幼児語)。山鳩、キジバト<雉鳩>の鳴き声から命名されたもの。 ス⸢トゥドー⸣ゴッコーヌ ナ⸢キ ベー⸣ン [su̥⸢tudoː⸣gokkoːnu na⸢ki beː⸣ŋ] (山鳩が鳴いている)。ス⸢トゥドー⸣ゴッコー ス⸢トゥドー⸣ゴッコー ⸢ベントーヌ⸣ ヌカルー ⸢タールー⸣ ッふーッふー[su̥⸢tudoː⸣gokkoː su̥⸢tudoː⸣gokkoː ⸢bentoːnu⸣ nukaru ⸢taːru⸣ ffuːffuː](ストゥドーゴッコー<山鳩・雉鳩>よ、弁当の残りは誰が喰うか誰が喰うか)と囃して遊んだ 9136 0 0 8647 htmvoc_9136.wav スナールン ス⸢ナー⸣ルン [su⸢nawa⸣ruŋ] 自動 備わる。才能や人徳が身に付いている。施設や備品が用意されている。若年層は、ス⸢ナワ⸣ルン[su⸢nawa⸣ruŋ](備わる)ともいう。 ⸢クン⸣ネナー ⸣ヌーンクイン ⸢ドングペン⸣グ ス⸢ナーリ ブー [⸢kun⸣nenaː ⸣nuːŋkuin ⸢doŋgupeŋ⸣gu su⸢naːri buː] (この家には、何もかも道具類は備わっている)。 ⸢マー ピー⸣チ ス⸢ルイ⸣ルカー ムー⸢ル⸣ ス⸢ナー⸣ルン [⸢maː piː⸣ʧi su⸢rui⸣rukaː muː⸢ru⸣ su⸢naː⸣ruŋ] (もう一つ揃えると、全部備わる)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー イントゥクヌ⸣ ス⸢ナー⸣リ ⸢ブー⸣ プ⸢ス [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː ʔintukunu⸣ su⸢naː⸣ri ⸢buː⸣ pu̥⸢su] (この人は、陰徳の備わっている人だ) 9132 0 0 8648 htmvoc_9132.wav スナイ ⸣スナイ [⸣sunai] 名 あえもの(和え物)。酢の物。「酢の和え」の義か。サ⸢クナンパー[sḁ⸢kunampaː](長命草の葉)、シ⸢ナヌ⸣ミン[ʃi⸢nanu⸣miŋ](ミズナの一種)、⸢イーシ⸣ヌ ⸢コー⸣マ[⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢koː⸣ma](角又の寒天)を味噌和えにした酢の物。 ⸢カーヌ ニン⸣ガイナーヤ ヤー⸢ディン⸣ スナイ ス⸢コーリ ソーッ⸣タ [⸢kaːnu niŋ⸣gainaːja jaː⸢din⸣ sunai su̥⸢koːri soːt⸣ta] (井戸の祈願には必ず和え物を作られた)。 ン⸢ガナ⸣トゥ ナ⸢マシ⸣バ フ⸢ナ⸣ブシ ⸢アー⸣シティ ⸣スナイ ス⸢ク⸣リ [ʔŋ⸢gana⸣tu na⸢maʃi⸣ba ɸu⸢na⸣buʃi ⸢ʔaː⸣ʃi̥ti ⸣sunai su̥⸢ku⸣ri] (ニガナ<苦菜>と刺身をヒラミレモン<九年母>で和えて和え物を作れ) 9133 0 0 8649 htmvoc_9133.wav スナイ ス⸢ナイ [su⸢nai] 名 備え。用意。準備。 ス⸢ナイヌ⸣ アルカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [su⸢nainu⸣ ʔarukaː ⸢soːja naː⸣nu] (備えがあれば心配はない) 9134 0 0 8650 htmvoc_9134.wav スナイルン ス⸢ナイルン [su⸢nairuŋ] 他動 備える。準備する。設置する。標準語からの借用語。 ⸢ヤーカー⸣ジナ ⸢デンワ⸣キ  ス⸢ナイルン<ス⸢コー⸣ルン> [⸢jaːkaː⸣ʤinaː ⸢dewa⸣ki su⸢nairuŋ] (家毎に電話機を備え付け<設置す>る)。 ⸢ダイヌ⸣ タ⸢カー⸣ヌ ス⸢ナイララヌ [⸢dainu⸣ tḁ⸢kaː⸣nu su⸢nairaranu] (値段が高くて設置できない)。 ス⸢ナイル⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [su⸢nairu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (備える<設置する>ことは出来ない)。 ス⸢ナイ⸣ プサカー ス⸢ナイヤー⸣ ミサムヌ [su⸢nai⸣ pu̥sakaː su⸢naijaː⸣ misamunu] (設置したければ設置すればよいのに)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ ス⸢ナイリ [⸣kubeː jaː⸢din⸣ su⸢nairi] (これだけは必ず設置しなさい<備えろ>) 9135 0 0 8651 htmvoc_9135.wav スナカ ス⸢ナ⸣カ [su⸢na⸣ka] 名 海。「潮中」の義か。 ス⸢ナカ⸣ナーティ ⸣オンダー ⸢シー ベー⸣タ [su⸢naka⸣naːti ⸣ʔondaː ⸢ʃiː beː⸣ta] (海で海水浴をしていた)。 ス⸢ナ⸣カー ⸢クヮン⸣ヌ ⸢ユー⸣フルティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッタ⸣ル [su⸢na⸣kaː ⸢kwan⸣nu ⸢juː⸣ɸuruti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (海は官<役所>の風呂<無料の風呂>だと昔の人は言われたものだ)。 ス⸢ナカ⸣ヌ イ⸢キ⸣ムヌ [su⸢naka⸣nu ʔi⸢ki⸣munu] (海の生き物)。 ス⸢ナ⸣カーラ [su⸢na⸣kaːra] (海から)。 ス⸢ナ⸣カー ⸢ペー⸣ルン [su⸢na⸣kaː ⸢peː⸣ruŋ] (海へ入る) 3259 0 0 8652 htmvoc_3259.wav スナカヌッサ ス⸢ナカ⸣ヌ ⸣ッサ [su⸢naka⸣nu ⸣ssa] 連 海の草。海草。 ス⸢ナカ⸣ヌ ⸣ッサ パ⸢タ⸣キナ イ⸢リティ⸣ カ⸢ブッチヌ⸣ シ⸢キゴイ⸣ ス⸢ク⸣リバ [su⸢naka⸣nu ⸣ssa pḁ⸢ta⸣kina ʔi⸢riti⸣ ka⸢butʧinu⸣ ʃi̥⸢kigoi⸣ su̥⸢ku⸣riba] (海草を畑に入れて南瓜の堆肥<敷き肥え>を作れよ) 9137 0 0 8653 htmvoc_9137.wav スニ ⸣スニ [⸣suni] 名 そね(「曽根」と表記する)。海中の浅瀬。海中の暗礁で好漁場となっているところ。大潮の干潮時にも海面に現れない海中の珊瑚礁。暗礁。良い漁場とされている。 ⸢マイ⸣ズニ [⸢mai⸣ʣuni] (鳩間島の前<南方>にある干瀬<暗礁>で、大潮の干潮時にも海面に現れない浅瀬である)。⸢アーラマイズニ[⸢ʔaːramaiʣuni](東前曽根)、⸢トゥーラン⸣スニ[⸢tuːran⸣suni](鰹漁船が通り抜けられない曽根)、⸢イーリマイズニ[⸢ʔiːrimaiʣuni](西前曽根)などがある。⸢タイパン⸣ズニ[⸢taipan⸣ʣuni](台湾曽根{EOS}カツオの好漁場といわれている)、ナ⸢カヌ⸣スニ[na⸢kanu⸣suni](中の曽根{EOS}台湾曽根と西表島の中間にあるカツオの好漁場)などがある。 カ⸢ツシンマー タイパン⸣ズニ⸢バー⸣キン ⸢ギー⸣ カ⸢ツ ホーシ⸣ソーッタ [kḁ⸢ʦuʃimmaː taipan⸣ʣuni⸢baː⸣kiŋ ⸢giː⸣ kḁ⸢ʦu hoːʃi⸣soːtta] (カツオ漁船は台湾曽根まで行ってカツオ釣りをされた) 9138 0 0 8654 htmvoc_9138.wav スノール ス⸢ノー⸣ル [su⸢noː⸣ru] 名 (植)海草の名。モズク(海蘊{EOS}水雲)。老年層は、⸢シンドー⸣ラ[⸢ʃindoː⸣ra](もずく)という。海底の砂に生えている。近年になって酢の物の食材として食されるようになったが、昔は、鳩間島ではそれを食べる人も少なかった。 ム⸢カ⸣シェー ス⸢ノー⸣ル ン⸢コー⸣ル プ⸢ソー ナン⸣ゾー ⸢オーラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː su⸢noː⸣ru ʔŋ⸢koː⸣ru pu̥⸢soː nan⸣ʣoː ⸢ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (昔はすスノール<モズク>を食べられる人は、あまりいらっしゃらなかった) 9140 0 0 8655 htmvoc_9140.wav スバ ⸣スバ [⸣suba] 名 側。傍ら。側面。 ⸢ワー⸣ スバナー シ⸢キ⸣リ [⸢waː⸣ subanaː ʃi̥⸢ki⸣ri] (君の側に置け)。 ス⸢バ⸣ヌ プ⸢スンナー⸣ニ パ⸢ナ⸣シバ [su⸢ba⸣nu pu̥⸢sunnaː⸣ni pa⸢na⸣ʃiba] (側の人に話せよ)。 ⸣バー ⸣スバーラ ⸢ウーク⸣ナ [⸣baː ⸣subaːra ⸢ʔuːku⸣na] (私の側から動くな)。 ⸣アボー ス⸢バ⸣ル マ⸢シ [⸣ʔaboː su⸢ba⸣ru ma⸢ʃi] (お母さんの側がいい) 9141 0 0 8656 htmvoc_9141.wav スバ ⸣スバ [⸣suba] 名 そば(蕎麦)。小麦粉で作った黄色い中華そばに似たそば。鳩間島にはそば(蕎麦)はなかった。石垣島へ行く際に⸣スバヤー[⸣subajaː](そば屋)に入ってそばを食べるのが楽しみであった。年に1,2回程度食べることができた。そばを御馳走されることは、大変なご馳走を頂いたことを意味した。⸢ドゥン⸣ブリ[⸢dum⸣buri](丼)に中華そばに似た黄色いそば(蕎麦)を入れ、出汁をかけ、その上に豚肉とカマボコを一切れずつ載せ、それにシ⸢ビラ[ʃi⸢bira](わけぎ<分葱>)を刻んで振りかけたもの。 イ⸢サナキヌ⸣ スバー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ʔi⸢sanaki⸣nu ⸣subaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (石垣のそばは非常に美味しい) 9142 0 0 8657 htmvoc_9142.wav スバダリ ス⸢バ⸣ダリ [su⸢ba⸣dari] 名 着物の片方の裾を垂らすこと。 ⸢キン⸣バ ス⸢バ⸣ダリ ⸢シー⸣ キ⸢ス⸣カー ⸢ホー⸣ロー ⸣キシティ ⸢ミーヌッ⸣サン⸢ダー [⸢kim⸣ba su⸢ba⸣dari ⸢ʃiː⸣ ki̥⸢su⸣kaː ⸢hoː⸣roː ⸣ki̥ʃiti ⸢miːnus⸣san⸢daː] (着物を片裾垂らして着ると間が抜けて<\ruby{芳慮}{ホウ|リョ}が切れて{EOS}思慮分別が失せて>見苦しいよ) 9143 0 0 8658 htmvoc_9143.wav スバヌムヌ ス⸢バヌ⸣ムヌ [su⸢banu⸣munu] 名 成仏できない霊。他人に祟る悪霊。先祖霊でない霊。 ⸢ソーラン⸣ヌ ⸣ピン ミ⸢ジヌ⸣クー ⸢パン⸣クモー ス⸢バヌムヌ⸣ヌ タ⸢マシ⸣ツォー [⸢soːran⸣nu ⸣pim mi⸢ʤinu⸣kuː ⸢paŋ⸣kumoː su⸢banumunu⸣nu ta⸢maʃi⸣ʦoː] (お盆の時にミジヌクーを戸外へ撥ね飛ばすのは先祖霊以外の霊の受け取り分<施餓鬼>だそうだ) 9145 0 0 8659 htmvoc_9145.wav スバピサ ス⸢バ⸣ピサ [su⸢ba⸣pisa] 名 両側。脇。かたわら。「そばひら<傍平>、その山のそばひらをめぐれば」『今昔物語集 28-7』の義。 ウ⸢ブヤー⸣ヌ ス⸢バ⸣ピサナー ⸣カイブ ⸣ムノー ス⸢ク⸣ナ [ʔu⸢bujaː⸣nu su⸢ba⸣pisanaː ⸣kaibu ⸣munoː su̥⸢ku⸣na] (母屋の傍にこんな物を置くな)。 ミ⸢チ⸣ヌ ス⸢バ⸣ピサナー シ⸢ミ⸣シキバ [mi⸢ʧi⸣nu su⸢ba⸣pisanaː ʃi⸢mi⸣ʃi̥kiba] (道の両側に積んで置けよ) 9146 0 0 8660 htmvoc_9146.wav スバマール ス⸢バマー⸣ル [su⸢bamaː⸣ru] 名 外側。外周。外回り。 ⸢ヤー⸣ヌ ス⸢バマー⸣ロー ア⸢ザケーアザケー⸣シ ⸣カキポーキ ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢jaː⸣nu su⸢bamaː⸣roː ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃi ⸣kḁkipoːki ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (家の外回りは清潔に掃き、掃除をしておけ) 9144 0 0 8661 htmvoc_9144.wav スバマカル ⸣スバマカル [⸣subamakaru] 名 そば(蕎麦)を入れて食べるのに用いる大型の碗。「ソバ・マガリ<蕎麦・金宛>」の義。普通の碗より大きく、深い碗である。⸣スンカンマカル[⸣suŋkammakaru](筍羹碗)ともいう。 ⸣スバマカルヌ ⸢ピッ⸣チン ⸣イー ⸢ファイシェー⸣ン [⸣subamakarunu ⸢pit⸣ʧiŋ ⸣ʔiː ⸢faiʃeː⸣ŋ] (蕎麦碗の一杯も飯を食べることが出来る<喰らい得る>) 9147 0 0 8662 htmvoc_9147.wav スバミー ス⸢バ⸣ミー [su⸢ba⸣miː] 名 横目。流し目。顔を前面に向けたまま横を見ること。よそ見。ス⸢バ⸣ミーは、悪い行儀として厳しく躾けられた。 ス⸢バミー⸣ヤ ヤ⸢ナミーシゥカイ⸣ティ ⸢シー⸣ イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ビッ⸣サ ナ⸢ラー⸣ソーッタン⸢ダー [su⸢bamiː⸣ja ja⸢namiːsï̥kai⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔik⸢kena⸣ ki⸢bis⸣sa na⸢raː⸣soːttan⸢daː] (横目<流し目で人を見ること>は悪い目つきだといって厳しく教えられたよ) 9148 0 0 8663 htmvoc_9148.wav スバミチ ス⸢バ⸣ミチ [su⸢ba⸣miʧi] 名 脇道。小道。ウ⸢ブ⸣ミチ[ʔu⸢bu⸣miʧi](大通り)に対する脇道や小道。 プ⸢ストゥ ゲーサイヤー⸣ ナ⸢ラン⸣バ ス⸢バ⸣ミチェーラ パリ⸢ヨー [pu̥⸢sutu geːsaijaː⸣ na⸢ram⸣ba su⸢ba⸣miʧeːra pari⸢joː] (他人と道中で出会うといけないから脇道から行きなさいよ) 9150 0 0 8664 htmvoc_9150.wav スバヤー ⸣スバヤー [⸣subajaː] 名 そばや(蕎麦屋)。そばを食べさせる食堂。 イ⸢サンケーヌ⸣ スバヤーヌ ⸣スバナー ⸢オー⸣ヌ ⸢サンマイニク⸣トゥ カ⸢マブクヌ ペー⸣リ ⸢ブンダ⸣ ン⸢マー⸣タン [ʔi⸢saŋkeːnu⸣ subajaːnu ⸣subanaː ⸢ʔoː⸣nu ⸢sammainiku⸣tu ka⸢mabukunu peː⸣ri ⸢bunda⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (石垣島のそば屋のそばには、豚の三枚肉とカマボコが入っているので美味しかった) 9151 0 0 8665 htmvoc_9151.wav スバンパタンミララヌ ⸣スバン パ⸢タン⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸣subam pḁ⸢tam⸣ mi⸢rara⸣nu] 連 自分のことで精いっぱいで周囲のことにまで気が回らない<余裕がない>。「傍も脇も見ることが出来ない」の義。 シ⸢グトゥヌ パンタサ⸣ヌ ⸣スバン パ⸢タン⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʃi⸢gutunu pantasa⸣nu ⸣subam pḁ⸢tam⸣ mi⸢rara⸣nu] (仕事が忙しく<繁多で>回りのことを気遣う余裕がない<周囲のことを見ることが出来ない>) 9152 0 0 8666 htmvoc_9152.wav スビ ⸣スビ [⸣subi] 名 (動)魚名。マグロ(鮪)の総称。烏賊釣り漁でよく漁獲された。⸣ウシスビ[⸣ʔuʃisubi](くろまぐろ{EOS}体長約3メートルに生長する)、⸢キンバニスビ[⸢kimbanisubi](きはだ{EOS}体長約2メートルに生長する)、⸢ナーパニスビ[⸢naːpanisubi](びんなが{EOS}体長約1メートルに生長する)、⸢ミー⸣スビ[⸢miː⸣subi](めばち{EOS}体長約2メートルに生長する)などが漁獲された。 イ⸢ガウメー⸣ ン⸢ゾー⸣ルカー ⸣スビン サ⸢バン ホー⸣ソーッタン [ʔi⸢gaumeː⸣ ʔn⸢ʣoː⸣rukaː ⸣subin sa⸢baŋ hoː⸣soːttaŋ] (烏賊釣り漁<烏賊海>に出られると、マグロも鱶も釣って帰られた<釣られた>)。体長3メートル、体重400キログラムにたっする大型のマグロも漁獲されたが、多くの場合、約120キログラムのマグロが釣り上げられていた。 イ⸢ガメー⸣ラ ⸣スビ ⸢ホー⸣ソーレーン [ʔi⸢gameː⸣ra ⸣subi ⸢hoː⸣soːreːŋ] (イカ釣り漁からマグロを釣ってこられた<釣ってきておられる>) 9153 0 0 8667 htmvoc_9153.wav スビ ス⸢ビ [su⸢bi] 名 終わり。終了。終末。結末。「首尾」の義。 シ⸢グトゥヌ⸣ ス⸢ビ⸣ トゥ⸢ズミ⸣リ [ʃi⸢gutunu⸣ su⸢bi⸣ tu⸢ʣumi⸣ri] (仕事の終末を完結させよ<仕事を終えよ>)。最後の祈願。感謝の祈願。 ⸢ニンガイ⸣ヌ ス⸢ビ スンティ オー⸣ル [⸢niŋgai⸣nu su⸢bi sunti ʔoː⸣ru] (一年間の諸祈願の終わり祈願<感謝の祈願>をしようとしておられる) 9211 0 0 8668 htmvoc_9211.wav スビナー ス⸢ビ⸣ナー [su⸢bi⸣naː] 名 マグロ釣り縄。 イ⸢ガ ホーシンテ⸣ナー ス⸢ビ⸣ナーン ⸣パイティル ⸣スベー ⸢ホー⸣ソーッタル [ʔi⸢ga hoːʃitennaː⸣ru su⸢bi⸣naːm ⸣paitiru ⸣subeː ⸢hoː⸣soːttaru] (イカを釣りながらマグロ釣り縄を延えて<ぞ>マグロは釣られた) 9154 0 0 8669 htmvoc_9154.wav スビニンガイ ス⸢ビニンガイ [su⸢biniŋgai] 名 最後の締めくくりの祈願。豊年豊漁祈願、健康祈願その他の諸祈願に対する感謝の祈願。「首尾願い」の義。旧暦12月に友利御嶽で行われる。 ス⸢ビニンガイヤー⸣ イ⸢チニンズーヌ ニンガイ⸣ヌ ス⸢ビ ガンプトゥキバ⸣ル ⸢ソー⸣ル [su⸢biniŋgaijaː⸣ ʔi⸢ʧininʣuːnu niŋgai⸣nu su⸢bi gamputukiba⸣ru ⸢soː⸣ru] (首尾願いは一年中の祈願の締めくくりの祈願、感謝の祈願、願解きの祈願をなさるのだ) 9155 0 0 8670 htmvoc_9155.wav スブ ス⸢ブ [su⸢bu] 名 渋。芭蕉の根から採取する渋(赤黒い液体)。三味線<三線>の皮を張る際に用いた。和紙に渋を塗って三味線の⸣シガ[⸣ʃiga](胴)に張り、何枚も塗り重ねて乾燥させ、三味線の皮とした。高値の蛇皮張りの三味線ほどに高音は出せなかったが、安価で張られる農民の三味線に多く用いられた。 バ⸢サ⸣ヌ ス⸢ブ⸣シル ⸢サンシンヌ カー⸣ヤ パ⸢ローッ⸣タ [ba⸢sa⸣nu su⸢bu⸣ʃiru ⸢saŋʃinnu kaː⸣ja pa⸢roːt⸣ta] (芭蕉の渋で三味線<三線>の皮<胴>は張られた) 9213 0 0 8671 htmvoc_9213.wav スブ ス⸢ブ [su⸢bu] 名 壷の総称。「壺、和名都保<つほ>」『和名抄』の転訛したもの。関連語彙に、⸣ミンスブ[⸣minsubu](縄を通すための耳が三つ付いている壷)、⸢マー⸣ススブ[⸢maː⸣susubu](塩壷)。ア⸢バ⸣スブ[ʔa⸢ba⸣subu](油壺{EOS}豚のラードを保存しておく壷)などがある。 カ⸢ニジンバ⸣ ス⸢ブ⸣ナー イ⸢リティ⸣ タ⸢ブイ⸣ ス⸢コーッ⸣タツォー [ka⸢niʤimba⸣ su⸢bu⸣naː ʔi⸢riti⸣ ta⸢bui⸣ su̥⸢koːt⸣taʦoː] (銭を壷に入れて貯えておかれたそうだ) 9214 0 0 8672 htmvoc_9214.wav スブ ス⸢ブ [su⸢bu] 名 つぼ。お灸をすえる所(灸点)。かんどころ。急所。要点。 イ⸢ツォーン⸣プソー ガ⸢マジン⸣ヤンヌ ス⸢ブン⸣ バ⸢タ⸣ヤンヌ ス⸢ブン⸣ ッ⸢ソー⸣レータン [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː ga⸢maʤiŋ⸣jannu su⸢bum⸣ ba⸢ta⸣jannu su⸢bun⸣ s⸢soː⸣reːtaŋ] (糸満漁民は頭痛のつぼも、腹痛のつぼも知っておられた)。 ス⸢ブバ⸣ ア⸢ティティ⸣ ヤツ ヤ⸢ク⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ス⸢クン [su⸢buba⸣ ʔa⸢titi⸣ jaʦu ja⸢ku⸣kaː ʔik⸢kena⸣ su̥⸢kuŋ] (お灸のつぼを当ててお灸をすえる<灸を焼く>と非常に効く) 9215 0 0 8673 htmvoc_9215.wav スブ ⸣スブ [⸣subu] 名 粒。⸣シジ[ʃiʤi](粒)というのが普通。「磷、ツブ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 プ⸢ス⸣ スブ [pu̥⸢su⸣ subu] (一粒) フ⸢タ スブ [ɸu̥⸢ta subu] (二粒) ⸢ミー スブ [⸢miː subu] (三粒))。 ⸢マイスブ⸣ プ⸢ス⸣スブ ヤ⸢ラバン⸣ イッ⸢カ⸣ ウ⸢タ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maisubu⸣ pu̥⸢su⸣subu ja⸢rabaŋ⸣ ʔik⸢ka⸣ ʔu⸢ta⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (米粒は一粒でも決して<一向に>落としてはならない) 9156 0 0 8674 htmvoc_9156.wav スブザラ ス⸢ブザラ [su⸢buʣara] 名 壷皿。深い皿。お盆や法事に供物を入れて供える器という。現在ではほとんど見られない。 ス⸢ブザラ⸣ティ ⸢スー⸣ サラン ⸢アッ⸣タンティ ⸢スンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララ⸣ヌ [su⸢buʣara⸣ti ⸢suː⸣ saraŋ ⸢ʔat⸣tanti ⸢sundu⸣ ma⸢na⸣maː mi⸢rara⸣nu] (壷皿という皿もあったそうだが、今は見られない) 9157 0 0 8675 htmvoc_9157.wav スブシ ス⸢ブシ [su⸢buʃi] 名 ひざ(膝)。膝蓋部(regio patellaris)、前膝部もふくんでいる『医学沖縄語辞典』。「つぶし(腿)、ウツモモ、モモ、ツフシ」『類聚名義抄』の転訛したもの。「Tçububuxi、ツブブシ(つぶぶし) 膝の皿、ただし、一般庶民はTçubuxi(つぶし)と言う」『邦訳日葡辞書』。 ⸢カイ⸣リティ ス⸢ブシ⸣ バ⸢リシティ ナー⸣ヌ [⸢kai⸣riti su⸢buʃi⸣ ba⸢riʃiti naː⸣nu] (転んで膝頭を強打して<割って>しまった) 9158 0 0 8676 htmvoc_9158.wav スブシヌサラーマ ス⸢ブシヌ⸣ サ⸢ラー⸣マ [su⸢buʃinu⸣ sa⸢raː⸣ma] 連 膝蓋。⸢膝の小皿」の義。「Tçububuxi、~膝の皿、ただし一般庶民はTçubuxiという」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ス⸢ブシヌ⸣ サ⸢ラー⸣マ バ⸢リティ⸣ タ⸢ティユーサ⸣ヌ [su⸢buʃinu⸣ sa⸢raː⸣ma ba⸢riti⸣ tḁ⸢tijuːsa⸣nu] (膝蓋<膝の皿>を強打して<割って>しまって立てない<立たれない>) 9159 0 0 8677 htmvoc_9159.wav スブシヌッふァ ス⸢ブシヌ⸣ ッ⸢ふァ [su⸢buʃinu⸣ f⸢fa] 連 溺愛している子。「膝の子」の義。特に祖父母が孫を可愛がるさまにいう。祖父母の膝の上から離さないような可愛がりようをいう。 ⸣アッパー ス⸢ブシヌ ッふァ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ マー⸢ン サーリオーリ⸣ス [⸣ʔappaː su⸢buʃinu ffa⸣ ja⸢runda⸣ maː⸢n saːriʔoːri⸣su] (お祖母さんの溺愛している孫<子供>だから、何処へも一緒に連れて行かれる) 9160 0 0 8678 htmvoc_9160.wav スブシピサウシットースン ス⸢ブシピサ⸣ ウ⸢シットースン [su⸢buʃipi̥sa⸣ ʔu⸢ʃittoːsuŋ] 連 「膝を押し倒す」の義。足を折り曲げ屈して祈願する意。⸢ティー⸣ピサ ウ⸢サーシ[⸢tiː⸣pi̥sa ʔu⸢saːʃi](合掌して<掌を押し合わせて>)の対語表現。 ~⸣ヌーディマリヌ ⸢トゥーヌ ティー⸣ピサ ウ⸢サーシ⸣ ス⸢ブシピサ⸣ ウ⸢シトーシ⸣ ウ⸢ガミトゥー⸣シ ア⸢ギル⸣ ニ⸢ガイ⸣ヤー ⸢ミートゥクルヌ カンヌ⸣マイ ウ⸢キ⸣トゥリ タ⸢ブ⸣ローリ [~⸣nuːdimarinu ⸢tuːnu tiː⸣pi̥sa ʔu⸢saːʃi⸣ su⸢buʃipisa⸣ ʔu⸢ʃitoːʃi⸣ ʔu⸢gamituː⸣ʃi ʔa⸢giru⸣ ni⸢gai⸣jaː ⸢miːtukurunu kannu⸣mai ʔu⸢ki⸣turi ta⸢bu⸣roːri] (~干支の何年生まれの者が合掌し<十の掌を合わせ>、膝を屈し<押し倒し>て拝み通し上げる祈願は、三箇所の神様、お受け取りください<賜れ>ませ) 9161 0 1 8679 htmvoc_9161.wav スブスクン ス⸢ブ⸣ ス⸢クン [su⸢bu⸣ su̥⸢kuŋ] 連 {Mn_1}つぼ<体の急所、要所>を突く<強く押す>。頭痛や腹痛、その他の痛みを止めるために体のつぼ<壷>を強く押して痛みを消す治療法。 ス⸢ブ⸣ シ⸢キ⸣ ッ⸢ふィーリ [su⸢bu⸣ ʃi̥⸢ki⸣ f⸢fːri] (つぼ<壷>を強く押してくれ)。 9161 0 2 8680 htmvoc_9161.wav スブスクン ス⸢ブ⸣ ス⸢クン [su⸢bu⸣ su̥⸢kuŋ] 連 {Mn_2}灸を据える。 ス⸢ブル⸣ヌ ⸣ヤムカー ス⸢ブ⸣ルヤンヌ ス⸢ブ⸣ナー ス⸢ブ⸣ シ⸢キバル⸣ マ⸢シ [su⸢buru⸣nu ⸣jamukaː su⸢bu⸣rujannu su⸢bu⸣naː su⸢bu⸣ ʃi̥⸢kibaru⸣ ma⸢ʃi] (頭痛がすると<頭が痛いと>、頭痛の壷<灸点>を強く押した方が良い)。ス⸢ブル⸣ヌ ⸣ヤムカー ス⸢ブ⸣ルヤンヌ ス⸢ブ⸣ナー ⸣ヤツ ヤ⸢キバル⸣ ナル[su⸢buru⸣nu ⸣jamukaː su⸢bu⸣rujannu su⸢bu⸣naː ⸣jaʦu ja⸢kibaru⸣ naru](頭が痛ければ頭痛の壷にお灸<やいと>を据えないといけない<焼けば良い>)ともいう 9162 0 0 8681 htmvoc_9162.wav スブチダマ ス⸢ブ⸣チダマ [su⸢bu⸣ʧidama] 名 海花石。菊目石。歌謡語。⸣ピー[⸣piː](干瀬)や⸣イノー[⸣ʔinoː](礁内湖)の海底に棲息する半球形の珊瑚。直径30~40センチの球塊状の菊目石を採取して頭頂部を削り、家屋建築のイ⸢シジ[ʔi⸢ʃiʤi](礎石)に利用した。/スブチダマ イシジバシー ヤーバ スクリ アンティスー ウリユー ミューナキャームイ/(菊目石を礎石にして家を造ってあるという{EOS}それを見なければならない)「アーパーレー(新室寿歌)」『鳩間島古典民謡古謡集』 9163 0 0 8682 htmvoc_9163.wav スブッタラーン ス⸢ブッタラー⸣ン [su⸢but⸣taraːŋ] 形 濡れて湿っぽい。湿り気があり、じめじめする。「御鼻の色づくまで、潮垂れ~」『源氏物語<若菜下>』の転訛か。 ⸣アミナー ⸢ゾッふァーリティ⸣ ス⸢ブッタラー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaminaː ⸢ʣoffaːriti⸣ su⸢buttaraː⸣nu na⸢ra⸣nu] (雨に濡れてじめじめして湿っぽくてたまらない)。 イッ⸢ケナ⸣ ス⸢ブッタラーン⸣ドゥ ス⸢ブッタラーナー⸣ン ⸢フージ シー ベー [ʔik⸢kena⸣ su⸢buttaraːn⸣du su⸢buttaraːnaː⸣ŋ ⸢ɸuːʤi ʃiː beː] (非常に湿っぽいが、湿っぽくないふり<風情>をしている)。 ⸢シンダイ⸣ ス⸢ブッタラー⸣ ナリ ⸢クー⸣バ ス⸢ブッタラー⸣ プ⸢ソー⸣ キン ⸢カイキシ [⸢ʃindai⸣ su⸢buttaraː⸣ nari ⸢kuː⸣ba su⸢buttaraː⸣ pu̥⸢soː⸣ kiŋ ⸢kaikiʃi] (次第に湿っぽくなってくるから、湿っぽい人は着物を着替え<替えて着>なさい) 9164 0 0 8683 htmvoc_9164.wav スブッタラカバッタラ ス⸢ブッ⸣タラカバッタラ [su⸢but⸣tarakabattara] 副 濡れそぼつさま。びしょ濡れになって。じとじとと。 ⸣アミナー ダッ⸢カティ ゾーリティ⸣ ス⸢ブッ⸣タラカバッタラ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸣ʔaminaː dak⸢kati ʣoːriti⸣ su⸢but⸣tarakabattara ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (雨にびっしょり濡れて、じとじとして水分を垂らしているよ) 9166 0 0 8684 htmvoc_9166.wav スブッタルン ス⸢ブッ⸣タルン [su⸢but⸣taruŋ] 自動 湿っぽくなる。滴り垂れる。しっとり濡れて滴が滴る。「潮垂る」の転訛か。 ⸣アミナー ⸢ゾール⸣カー ス⸢ブッ⸣タルンダ ス⸢ブッタラン⸣ヨーニ ⸣サナ ⸣カビバ [⸣ʔaminaː ⸢ʣoːru⸣kaː su⸢but⸣tarunda su⸢buttaraɲ⸣joːni ⸣sana ⸣kabiba] (雨に濡れたら水が滴るから、滴らないように傘をさせ<被れ>よ)。 ⸣アイニ ス⸢ブッ⸣タレーティ ⸢アーク⸣ナ [⸣ʔaini su⸢but⸣tareːti ⸢ʔaːku⸣na] (あんなにしっとりと濡れたままで<濡れて>いるな)。 ス⸢ブッ⸣タルカー パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マルン⸠ダー [su⸢but⸣tarukaː pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢marun⸠daː] (しっとり濡れたら風邪をひくよ) 9175 0 0 8685 htmvoc_9175.wav スブッティ スブッ⸢ティ [subut⸢ti] 副 びっしょり。ぐっしょり。 ⸣アミン ⸢ゾーリ⸣ スブッ⸢ティ⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔamin ⸢ʣoːri⸣ subut⸢ti⸣ nari⸢naː⸣nu] (雨にびっしょり濡れてしまった)。 スブッ⸢ティ ゾーリ ベー [subut⸢ti ʣoːri beː] (ぐっしょりと濡れている) 9176 0 0 8686 htmvoc_9176.wav スブットゥ ⸣スブットゥ [⸣subuttu] 名 怠け者。 ウ⸢レー⸣ スブットゥ ⸣ナリティ ⸢ピッ⸣チン パ⸢タラカヌ [ʔu⸢reː⸣ subuttu ⸣nariti ⸢pit⸣ʧim pa⸢tarakanu] (彼は怠け者になって、ちっとも<ひとつも>働かない)。ウ⸢シクラシムヌ[ʔu⸢ʃikuraʃimunu](牛を屠殺する者)ともいう 9177 0 0 8687 htmvoc_9177.wav スブヌギ ス⸢ブヌギ [su⸢bunugi] 名 渋抜き。 ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ビチン フ⸢キン⸣ヌフキヌ ⸣ビチン ⸢ネーシティ⸣ ス⸢ブヌギ サン⸣カー ッ⸢ふァーラヌ [ʔa⸢dambura⸣nu ⸣biʧiŋ ɸu̥⸢kin⸣nuɸukin ⸢neːʃi̥ti⸣ su⸢bunugi saŋ⸣kaː f⸢faːranu] (あだん<阿檀>の茎もおおたにわたり<大谷渡り>の茎も煮て渋抜きをしないと食べられない) 9178 0 0 8688 htmvoc_9178.wav スブバリ ス⸢ブバリ [su⸢bu⸢bubari] 名 三味線<三線>の渋張り。三味線を張る際に芭蕉の渋を和紙に塗り、三線の胴に張って何枚も塗りかさね、乾燥させる張り方。ザ⸢ヒバリ[ʣa⸢çibari](蛇皮張り)が高級であるのに対し、ス⸢ブバリ[su⸢bubari](渋張り)は庶民用三味線の張り方であった。音響効果は落ちるし、破れやすい欠点はあるが、手軽に簡単に張り替えることが出来るので庶民の間で重用された。 ス⸢ブバレー ナン⸣ゾー ⸢ナーラヌ [su⸢bubareː nan⸣ʣoː ⸢naːranu] (渋張りの三味線はあまり鳴らない) 9179 0 0 8689 htmvoc_9179.wav スブバリサンシン ス⸢ブバリサンシン [su⸢bubarisaŋʃiŋ] 名 渋張りの三味線<三線>。 ム⸢カ⸣シェー ス⸢ブバリサンシンル アッタ⸣ル ザ⸢ヒバリサンシンマー ナーン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː su⸢bubarisaŋʃinru ʔatta⸣ru ʣa⸢çibarisaŋʃimmaː naːŋ⸣ʃeŋ] (昔は渋張り三味線<三線>が<ぞ>あった{EOS}蛇皮張り三味線<三線>はなかった) 9180 0 0 8690 htmvoc_9180.wav ズブマイ ズ⸢ブ⸣マイ [ʣu⸢bu⸣mai] 名 動物の発情。さかりどき(盛り時)。交尾期。 ウ⸢シヌ⸣ ズ⸢ブ⸣マイ ⸢シティ⸣ タ⸢キ⸣ルカー ナ⸢クラーン⸣ダー [ʔu⸢ʃinu⸣ ʣu⸢bu⸣mai ⸢ʃi̥ti⸣ tḁ⸢ki⸣rukaː na⸢kuraːn⸣daː] (牛が発情して\ruby{哮}{タケル}<\ruby{唸}{ウナ}る>と怖いよ)。猫の場合は、⸣フヤー[⸣ɸujaː](発情して気味悪く吠える)という。 マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣フヤー シ⸢ティ⸣ ン⸢ガマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢ja⸣nu ⸣ɸujaː ʃi̥⸢ti⸣ ʔŋ⸢gamasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (猫が発情して吠えたてて、うるさくてたまらない<どうにもならない>) 9217 0 0 8691 htmvoc_9217.wav スブミ ス⸢ブミ [su⸢bumi] 名 渋み。 バ⸢サン⸣ナルヌ ⸢ウーマ⸣ン ⸣ムノー ス⸢ブミヌ スー⸣ワンダ ッ⸢ふァーラヌ [ba⸢san⸣narunu ⸢ʔuːmam⸣ munoː su⸢buminu suː⸣wanda f⸢faːranu] (バナナの未熟なものは渋みが強いから食えない) 9218 0 0 8692 htmvoc_9218.wav スブムン ス⸢ブムン [su⸢bumuŋ] 自動 しぼむ(萎む)。しおれる。若年層では、シ⸢ブムン[ʃi⸢bumuŋ](萎む)ともいう。 ⸣パナ ⸣イキティ ⸢ユッカ スー⸣カ ス⸢ブムンドゥ⸣ ク⸢ヌ⸣ パナー ス⸢ブマヌ [⸣panaː ⸣ʔikiti ⸢jukka suː⸣kaː su⸢bumundu⸣ ku⸢nu⸣ panaː su⸢bumanu] (花は活けて四日経つと萎むが、この花は萎まない)。 ス⸢ブミティ⸣ サ⸢リナー⸣ヌ [su⸢bumiti⸣ sa⸢rinaː⸣nu] (萎んで枯れてしまった)。 ス⸢ブム⸣ パナー トゥ⸢リカイ⸣リ [su⸢bumu⸣ panaː tu⸢rikai⸣ri] (萎む花は取り替えなさい)。 ⸢マー⸣ビン ス⸢ブメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin su⸢bumeː⸣ misamunu] (もっと萎めば良いのに) 9219 0 0 8693 htmvoc_9219.wav スブヤー ス⸢ブヤー [su⸢bujaː] 名 つぼや(壺屋)。首里方言からの新しい借用語。老年層は、ヤ⸢キ⸣ムヌヤー[ja⸢ki⸣munujaː](焼き物屋)という 9183 0 0 8694 htmvoc_9183.wav スブヤヤキ ス⸢ブヤヤキ [su⸢bujajaki] 名 壷屋焼。那覇の壷屋で焼成された陶器類。 イ⸢サナキヌ⸣ スバヤーヌ ⸣スバマカロー ス⸢ブヤヤキ ヤッタ [ʔi⸢sanakinu⸣ subajaːnu ⸣subamakaroː su⸢bujajaki jatta] (石垣島のそば屋のそばを入れるお椀は壷屋焼だった) 9221 0 0 8695 htmvoc_9221.wav スブリガラ ス⸢ブリ⸣ガラ [su⸢buri⸣gara] 名 搾りかす。搾りがら。 ⸢シンザ⸣ヌ ス⸢ブリ⸣ガラー ⸣プシティ タ⸢ム⸣ヌ ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʃinʣa⸣nu su⸢buri⸣garaː ⸣pu̥ʃiti ta⸢mu⸣nu ⸢soːt⸣ta] (砂糖黍の搾り殻を干して薪にされた) 9184 0 0 8696 htmvoc_9184.wav スブリヤン ス⸢ブリ⸣ヤン [su⸢buri⸣jaŋ] 名 下痢を伴って腹が絞られるように痛むこと。「絞り病み」の義か。ス⸢ブル⸣バタ[su⸢buru⸣bata](絞り腹{EOS}酷い下痢)ともいう。 ス⸢ブリヤン⸣バ ⸢シーブーヌ⸣ ヌーカヤー [su⸢burijam⸣ba ⸢ʃiːbuːnu⸣ nuːkajaː] (腹が絞られるように痛むけれど、何だろうか) 9185 0 1 8697 htmvoc_9185.wav スブル ス⸢ブ⸣ル [su⸢bu⸣ru] 名 {Mn_1}頭。「Tçuburi. ツブリ(つぶり)Atama(頭)に同じ.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ス⸢ブ⸣ルナー ウ⸢ブアシブ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [su⸢bu⸣runaː ʔu⸢buʔaʃibu⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (頭に大きなできものが出来て痛くてたまらない)。 9185 0 2 8698 htmvoc_9185.wav スブル ス⸢ブ⸣ル [su⸢bu⸣ru] 名 {Mn_2}思考力。能力。 ウ⸢レー⸣ ス⸢ブ⸣ロー カ⸢チ⸣ ブー [ʔu⸢reː⸣ su⸢bu⸣roː kḁ⸢ʧi⸣ buː] (彼は頭がいい<頭は勝っている{EOS}優れている>)。 9185 0 3 8699 htmvoc_9185.wav スブル ス⸢ブ⸣ル [su⸢bu⸣ru] 名 {Mn_3}人数(頭数)。 ス⸢ブル⸣カジェー ス⸢ルイ⸣ヤン [su⸢buru⸣kaʤeː su⸢rui⸣jaŋ] (人数<頭数>は揃った)。 9185 0 4 8700 htmvoc_9185.wav スブル ス⸢ブ⸣ル [su⸢bu⸣ru] 名 {Mn_4}頭目。指導者。かしら。首領。 ス⸢ブル⸣ヌ ⸢ウーカン⸣カー ⸢ティーパン⸣ヌン ⸢ズーン ウー⸣カヌ [su⸢buru⸣nu ⸢ʔuːkaŋ⸣kaː ⸢tiːpan⸣nun ⸢ʣuːŋ ʔuːka⸣nu] (指導者が率先して動かないと部下<手足やしっぽ>も動かない) 9186 0 0 8701 htmvoc_9186.wav スブル ス⸢ブル [su⸢buru] 名 (植)ひょうたん(瓢箪)。ゆうがお。未成熟の果実は食用に供されるが、成熟した果実の果肉を除去して乾燥し、⸢ペー⸣ラ[⸢peː⸣ra](柄杓)にしたり、水筒に利用したりした。 ス⸢ブロー オー⸣シティ ナ⸢カ⸣グロー ⸣クリティル ⸢ペー⸣ラ ス⸢クル⸣タ [su⸢buroː ʔoː⸣ʃi̥ti na⸢ka⸣guroː ⸣kuritiru ⸢peː⸣raː su̥⸢kuru⸣ta] (瓢箪の中身<果肉>を取り去ってペーラ<\ruby{柄杓}{ヒ|シャク}>を作られた) 9187 0 0 8702 htmvoc_9187.wav スブル ス⸢ブ⸣ル [su⸢bu⸣ru] 名 ちきり(千切)。織機の一部で、縦糸を巻きとってあるもの。 パ⸢トゥムヌ⸣ヌ ス⸢ブ⸣ルナー ⸣イトー マ⸢キティ ヌーヌ⸣ ウ⸢ローッ⸣タ [pḁ⸢tumunu⸣nu su⸢bu⸣runaː ⸣ʔitoː ma⸢kiti nuːnu⸣ ʔu⸢roːt⸣ta] (織機のちきりに糸を巻いて布を織られた) 9188 0 0 8703 htmvoc_9188.wav スブルアティ ス⸢ブル⸣アティ [ʔsu⸢buru⸣ʔati] 名 頭割り。「頭宛」の義。 グ⸢サークマイ⸣ヤー ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢ヤーチウイヌ⸣ ス⸢ブル⸣アティシ ア⸢ツァ⸣ミバ [gu⸢saːkumai⸣jaː ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢jaːʧi ʔuinu⸣ su⸢buru⸣atiʃi ʔa⸢ʦa⸣miba] (五勺米は家ごとに八歳以上の頭割りで集めなさい) 9189 0 0 8704 htmvoc_9189.wav スブルイシ ス⸢ブル⸣イシ [su⸢buru⸣ʔiʃi] 名 きくめいし(菊目石)。{⸣イノー[⸣ʔinoː](礁内湖)の海底や⸣ピー[⸣piː](干瀬)の礁内湖に棲息する珊瑚石のきくめいし(菊目石、海花石)}。直径30センチ~40センチ程度の球塊状をなす珊瑚石で、島ではこれを採取して頭頂部を削り、家屋建築の礎石に利用した。これをイ⸢シジ[ʔi⸢ʃiʤi](礎石)という。古歌謡ではス⸢ブ⸣チダマ[su⸢bu⸣ʧidama](菊目石)という(古歌謡「アーパーレー」参照)。 ス⸢ブル⸣イシ ⸣トゥリキー キ⸢ジティ ヤー⸣ヌ イ⸢シジ ソーッ⸣タ [su⸢buru⸣ʔiʃi ⸣turikiː ki⸢ʤiti jaː⸣nu ʔi⸢ʃiʤi soːt⸣ta] (菊目石を採ってきて削って礎石にされた) 9190 0 0 8705 htmvoc_9190.wav スブルガズン ス⸢ブ⸣ル ⸣ガズン [su⸢bu⸣ru ⸣gaʣuŋ] 連 頭を掻く。 ッ⸢サン⸣ヌ ⸣シディティ ⸢ビー⸣ヨーティル ス⸢ブ⸣ル ⸣ガジ ⸢ベー [s⸢san⸣nu ⸣ʃiditi ⸢biː⸣joːtiru su⸢bu⸣ru ⸣gaʤi ⸢beː] (虱が湧いて<孵化して>、痒いので頭を掻いている) 9191 0 0 8706 htmvoc_9191.wav スブルカトンカスン ス⸢ブ⸣ル カ⸢トンカ⸣スン [su⸢bu⸣ru kḁ⸢toŋka⸣suŋ] 連 頭をかしげる(傾げる)。了承しない。⸢首を傾ける」の義。 ⸣アブジェー ス⸢ブ⸣ル カ⸢トンカ⸣ソーレーラ ⸢ター⸣ ノーン⸢ティ⸣ タ⸢ナマ⸣バン ス⸢コーラ⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː su⸢bu⸣ru kḁ⸢toŋka⸣soːreːraː ⸢taː⸣ noːn⸢ti⸣ ta⸢nama⸣ban su̥⸢koːra⸣nu] (お祖父さんが首を傾げられると、誰が頼んでもお聞きにならない<聞かれない{EOS}承知なさらない>) 9192 0 0 8707 htmvoc_9192.wav スブルナーヌ ス⸢ブ⸣ル ⸢ナー⸣ヌ [su⸢bu⸣ru ⸢naː⸣nu] 連 賢くない。頭が良くない。「頭がない」の義。 ス⸢ブ⸣ロー ⸢ナー⸣ムティ フ⸢チガール⸣ カー⸢ニ スー [su⸢bu⸣roː ⸢naː⸣muti ɸu̥⸢ʧigaːru⸣ kaː⸢ni suː] (賢くないくせに<才能はないのに>自慢だけする) 9200 0 0 8708 htmvoc_9200.wav スブルバタ ス⸢ブル⸣バタ [su⸢buru⸣bata] 名 赤痢(dysentry)。赤痢菌によっておこる病気。頑固な下痢症状がある『医学沖縄語辞典』。 ス⸢ブルバタ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣リ ブ⸢リン⸣ギサバ ナ⸢マ⸣ミジェー ヌ⸢マン⸣ドーシ ヤー⸢ディン⸣ フ⸢カ⸣シティ ヌミ⸢ヨー [su⸢burubata⸣nu pa⸢jaː⸣ri bu⸢riŋ⸣gisaba na⸢ma⸣miʤeː nu⸢man⸣doːʃi jaː⸢diŋ⸣ ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti numi⸢joː] (赤痢が流行しているようだから生水は飲まないで、必ず沸かして飲みなさいよ) 9202 0 0 8709 htmvoc_9202.wav スブルバナ ス⸢ブル⸣バナ [su⸢buru⸣bana] 名 風邪。はなかぜ(鼻風邪)。流行性感冒。 ス⸢ブル⸣バナ ⸢フシゥ⸣カリティル ス⸢ブル⸣ヌ ⸣ヤミ ⸢マーダーッサー ナーン⸣バン [su⸢buru⸣bana ⸢ɸusï̥⸣karitiru su⸢buru⸣nu ⸣jami ⸢maːdaːssaː naːm⸣baŋ] (鼻風邪に罹って<鼻風邪が取り付いて>、頭が痛くて<頭が病み>、体調がよくない<正常でない>) 9195 0 0 8710 htmvoc_9195.wav スブルバリ ス⸢ブル⸣バリ [su⸢buru⸣bari] 名 頭数に割り当てること。人数に配当すること。 イ⸢ゾー⸣ ス⸢ブル⸣バリ ⸢シー⸣ バ⸢キ⸣リ [ʔi⸢ʣoː⸣ su⸢buru⸣bari ⸢ʃiː⸣ ba⸢ki⸣ri] (漁獲物は人数<頭数>に均等配分しなさい) 9194 0 0 8711 htmvoc_9194.wav スブルバリックナースン ス⸢ブ⸣ル バ⸢リックナー スン [su⸢bu⸣ru ba⸢rikkunaː suŋ] 連 極めて密集混雑している。立錐の余地がない。人がたくさんいて、頭をぶっつけ合うほど込み合う。「頭をぶっつけ合いする」の義。 ⸢ヨイシヤー⸣ヌ プ⸢ソー⸣ ス⸢ブ⸣ル バ⸢リックナー シー⸣ タテイン ⸣ビリン ナ⸢ラン⸣シェン [⸢joiʃijaː⸣nu pu̥⸢soː⸣ su⸢bu⸣ru ba⸢rikkunaː ʃiː⸣ tḁtim ⸣birin na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (祝儀のあった家の人は極めて混雑していて<ひしめいて{EOS}頭をぶっつけ合うほど混み合っていて>、立つことも座ることも出来なかった) 9196 0 0 8712 htmvoc_9196.wav スブルマーラヌ ス⸢ブ⸣ル ⸢マーラヌ [su⸢bu⸣ru ⸢maːranu] 連 頭が回らない。正しい思考や判断が出来ない。 ユ⸢ヌ⸣ピンナー フ⸢ターチヌ⸣ キ⸢ザルヌ⸣ パ⸢ラッカーシティ⸣ ス⸢ブ⸣ロー ⸢マーラヌ [ju⸢nu⸣pinnaː ɸu̥⸢taːʧinu⸣ ki⸢ʣarunu⸣ pa⸢rakkaːʃi̥ti⸣ su⸢bu⸣roː ⸢maːranu] (同じ日に二つの行事がぶつかって<重なって>、気転が利かない<頭が回らない>) 9198 0 0 8713 htmvoc_9198.wav スブルムタイルン ス⸢ブ⸣ル ム⸢タイ⸣ルン [su⸢bu⸣ru mu⸢tai⸣ruŋ] 連 起き上がる。立ち上がる。病床から体を起す。「頭を持ち上げる」の義。 ス⸢ブ⸣ル ム⸢タイ⸣ルンティ ⸢シーバル⸣ ア⸢ムサ⸣ヌ ムッ⸢トゥ⸣ ス⸢ブ⸣ル ム⸢タイララ⸣ヌ(ム⸢タイラル⸣ヌ) [su⸢bu⸣ru mu⸢tai⸣runti ⸢ʃiːbaru⸣ ʔa⸢musa⸣nu mut⸢tu⸣ su⸢bu⸣ru mu⸢tairara⸣nu(mu⸢tairaru⸣nu)] (起き上がろうとするが気分が悪くて、ちっとも起き上がれない<頭を持ち上げることが出来ない>) 9203 0 0 8714 htmvoc_9203.wav スブルヤン ス⸢ブル⸣ヤン [su⸢buru⸣jaŋ] 名 頭痛。 ス⸢ブル⸣ヤンヌ ウ⸢ク⸣リティ ム⸢ヌカン⸣ガイ ナ⸢ラ⸣ヌ [su⸢buru⸣jannu ʔu⸢ku⸣riti mu⸢nukaŋ⸣gai na⸢ra⸣nu] (頭痛が起きて、あれこれと考えることが出来ない<どうにもならない>) 9204 0 0 8715 htmvoc_9204.wav スブルヤンムティプス ス⸢ブル⸣ヤン ム⸢ティ⸣プス [su⸢buru⸣jam mu⸢ti⸣pu̥su] 連 頭痛持ち。「頭痛持ち人」の義。 ウ⸢レー⸣ ス⸢ブル⸣ヤン ム⸢ティ⸣プス ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトー⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ su⸢buru⸣jam mu⸢ti⸣pu̥su ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ta⸢namara⸣nu] (彼は頭痛持ちだから仕事は頼まれない) 9193 0 0 8716 htmvoc_9193.wav スブルワッサン ス⸢ブ⸣ル ⸢ワッ⸣サン [su⸢bu⸣ru ⸢was⸣saŋ] 連 頭が悪い。知恵がない。 ⸣バー ス⸢ブル⸣ヌ ⸢ワッ⸣サンダ ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣baː su⸢buru⸣nu ⸢was⸣sanda ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (私は頭が悪いから、この仕事は出来ない) 9205 0 1 8717 htmvoc_9205.wav スブルン ス⸢ブ⸣ルン [su⸢bu⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}絞る。 ス⸢ブラン⸣ドーシ ⸣プスカー ⸢カーラキ⸣ グ⸢リ⸣サバ ギッ⸢ティ⸣ ス⸢ブ⸣リティ プシバ [su⸢buran⸣doːʃi ⸣pu̥sukaː ⸢kaːraki⸣ gu⸢ri⸣saba git⸢ti⸣ su⸢bu⸣riti ⸣pu̥ʃiba] (絞らないで干すと乾きにくいから、ぎゅっと絞って干しなさい)。 ギュー⸢ムシン⸣ ス⸢ブルン⸣ドゥ ス⸢ブ⸣ルカー⸢ジ⸣ シロー パ⸢リ⸣ス [gjuː⸢muʃin⸣ su⸢burun⸣du su⸢bu⸣rukaː⸢ʤi⸣ ʃiroː pa⸢ri⸣su] (幾度も絞るけれど、絞る毎に汁がでる)。 ス⸢ブ⸣レー ⸣ミサムヌ [su⸢bu⸣reː ⸣misamunu] (絞ればいいのに)。 シ⸢グ⸣ ス⸢ブ⸣リ [ʃi⸢gu⸣ su⸢bu⸣ri] (すぐ絞れ)。 9205 0 2 8718 htmvoc_9205.wav スブルン ス⸢ブ⸣ルン [su⸢bu⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}握る。 ⸢マイヌ⸣イー ス⸢ブ⸣リ ム⸢タ⸣シバ [⸢mai⸣nuiː su⸢bu⸣ri mu⸢ta⸣ʃiba] (米のご飯を握って持たせてやりなさい)。 ⸣イー ス⸢ブ⸣リティ ム⸢タ⸣シバ [⸣ʔiː su⸢bu⸣riti mu⸢ta⸣ʃiba] (ご飯を握って持たせてやりなさい) 9201 0 0 8719 htmvoc_9201.wav スブレー ス⸢ブ⸣レー [su⸢bu⸣reː] 名 御握り。 ⸢マイヌ⸣イー ス⸢ブ⸣レー シ⸢ティ⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢mainu⸣ʔiː su⸢bu⸣reː ʃi̥⸢ti⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (お米のご飯を御握りにして食べさせなさいよ) 9206 0 0 8720 htmvoc_9206.wav スブレー ス⸢ブ⸣レー [su⸢bu⸣reː] 名 絞った濡れ手拭。濡れ布巾。「絞り・や<もの>」の義。 ス⸢ブ⸣レーシ ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢チヌ マーラー⸣ ッ⸢スリ⸣バ [su⸢bu⸣reːʃi ja⸢rabi⸣nu ɸu̥⸢ʧinu maːraː⸣ s⸢suri⸣ba] (絞った濡れ手拭で子供の口の周りを拭きなさいよ) 9207 0 0 8721 htmvoc_9207.wav ズブン ⸣ズブン [⸣ʣubuŋ] 自動 動物が交尾する。つるむ。「交接、ツルム」『運歩色葉集』、「Tçurubi、bu、unda.ツルビ、ブ、ンダ~鳥類や獣類が交尾する。あるいは、交わる」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 イ⸢キム⸣シェー ⸢マーン⸣ナーティン ⸣ズブン [ʔi⸢kimu⸣ʃeː ⸢maːn⸣naːtin ⸣ʣubuŋ] (動物は何処でも交尾する<つるむ>)。 マ⸢ナ⸣マー ズ⸢バ⸣ヌ ズ⸢ブ⸣マイ ⸢スーバル⸣ ズ⸢ビ パジミ⸣ル [ma⸢na⸣maː ʣu⸢ba⸣nu ʣu⸢bu⸣mai ⸢suːbaru⸣ ʣu⸢bi paʤimi⸣ru] (今は交尾し<つるま>ない{EOS}発情したら交尾し<つるみ>はじめる)。 ⸣ズブ ⸣ピンマー ナ⸢カヌ [⸣ʣubu ⸣pimmaː na⸢kanu] (交尾するときは鳴かない)。 ⸣ズベー ⸣ミサムヌ [⸣ʣubeː ⸣misamunu] (交尾すればよいのに)。 ⸣ズビ [⸣ʣubi] (交尾しろ) 9223 0 0 8722 htmvoc_9223.wav スベールン ス⸢ベー⸣ルン [su⸢beː⸣ruŋ] 自動 滑る。「Suberi,u,etta.スネリ,ル,ッタ(滑り,る,った)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ドゥ⸢ルミチェー⸣ ス⸢ベー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ス⸢ベーラン⸣バン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː du⸢rumiʧeː⸣ su⸢beː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du su⸢beːram⸣baŋ] (雨が降ると泥んこ道は滑ると思ったが、滑らないよ)。 ⸣クナー ス⸢ベー⸣リミサカー ス⸢ベー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kunaː su⸢beː⸣rimisakaː su⸢beː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (ここで滑ってよければ、滑ることはできる)。 ⸢スベー⸣レー ⸣ミサムヌ [su⸢beː⸣reː ⸣misamunu] (滑れば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ス⸢ベー⸣リ [⸢maː⸣bin su⸢beː⸣ri] (もっと滑れ) 9208 0 0 8723 htmvoc_9208.wav スボームン ス⸢ボームン [su⸢boːmuŋ] 自動 つぼむ(窄む)。すぼむ。しぼむ。小さくなる。「Tçubomi,u,ôda.ツボミ,ム,ゥダ(窄み,む,うだ)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ル ⸣ピンマー フ⸢チェー⸣ ス⸢ボームンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー フ⸢チェー⸣ ス⸢ボーマヌ [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ru ⸣pimmaː ɸu̥⸢ʧeː⸣ su⸢boːmundu⸣ ma⸢na⸣maː su⸢boːmanu] (立腹する時は口を窄めるが、今は窄めない)。 ⸣パナー ス⸢ボーミ ナー⸣ヌ [⸣panaː su⸢boːmi naː⸣nu] (花はしぼんでしまった)。 ス⸢ボーム⸣ パナー シ⸢グ⸣ サ⸢リス [su⸢boːmu⸣ panaː ʃi⸢gu⸣ sa⸢risu] (窄む花はすぐ枯れる)。 フ⸢チェー⸣ ス⸢ボーメー⸣ ミサムヌ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ su⸢boːmeː⸣ misamunu] (口は窄めればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ス⸢ボーミリ [⸢maː⸣bin su⸢boːmiri] (もっと窄めろ) 9209 0 0 8724 htmvoc_9209.wav スボーン ス⸢ボー⸣ン [su⸢boː⸣ŋ] 形 渋い。⸢バン⸣スル[⸢ban⸣suru](グワバ{EOS}バンジロウ<蕃石榴>)やバ⸢サン⸣ナル[ba⸢san⸣naru](バナナ)などの未熟な果実の味を表す。舌の上にザラザラ、カサカサした感じが残る。 マ⸢ダ ウーマ⸣ンダ ス⸢ボーン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナン⸣ゾー ス⸢ボー ナー⸣ヌ [ma⸢da ʔuːma⸣nda su⸢boːŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢nan⸣ʣoː su⸢boːnaː⸣nu] (まだ熟れてないから渋いだろうと思ったが、それほど渋くない)。 ス⸢ボー⸣ ナルン [su⸢boː⸣ naruŋ] (渋くなる)。 ス⸢ボー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [su⸢boː⸣nu f⸢faːranu] (渋くて喰えない)。 ス⸢ボー⸣ムノー ッ⸢ふーナ [su⸢boː⸣ munoː f⸢fuːna] (渋いものは喰うな)。 ス⸢ボー⸣カー シ⸢ティリ [su⸢boː⸣kaː ʃi̥⸢tiri] (渋ければ捨てろ)。 ナ⸢マバン⸣スロー ス⸢ボー⸣ンドゥ ⸢ウー⸣ムカー ス⸢ボー ナー⸣ヌ [na⸢maban⸣suroː su⸢boː⸣ndu ⸢ʔuː⸣mukaː su⸢boːnaː⸣nu] (未熟のばんじろう<蕃石榴>は渋いが、熟れると渋くない)。 シ⸢ンダイ⸣ ス⸢ボー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ su⸢boː⸣ naruŋ] (次第に渋くなる)。 ス⸢ボー⸣ ムノー ッ⸢ふァーラヌ [su⸢boː⸣ munoː f⸢faːranu] (渋いのは食べられない)。 ⸣アイニ ス⸢ボー⸣カー ッ⸢ふァーン ブリ⸣バ [⸣ʔaini su⸢boː⸣kaː f⸢faːm buri⸣ba] (あんなに渋かったら食べるな<食わずにおれ>よ) 9224 0 0 8725 htmvoc_9224.wav ズボン ⸣ズボン [⸣ʣuboŋ] 名 ズボン(Jupon<フランス語からの外来語>)の転訛したもの。鳩間島では大正末期頃から学校の男性教師がズボンを着用するようになり、昭和の初期頃から国民学校の男生徒の中に半ズボンを着用する者が現れ、昭和15年頃からは男生徒は全員半ズボンを着用するようになったという。戦後昭和25年ごろからアメリカ流行ファッションの影響により男子中学生が長ズボンを着用するようになった。 ⸢ハン⸣ズボン [⸢han⸣ʣuboŋ] (半ズボン)。 ナ⸢ガ⸣ズボン [na⸢ga⸣ʣuboŋ] (長ズボン)。 ⸣ズボン キ⸢スン [⸣ʣuboŋ ki̥⸢suŋ] (ズボンを穿く<着る>) 9225 0 1 8726 htmvoc_9225.wav スマルン ス⸢マルン [su⸢maruŋ] 自動 {Mn_1}染まる。色がしみこむ。「Somari,ru,atta.ソマリ,ル,ッタ(染まり,る,った)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ム⸢ミン⸣マ ⸣アイナー ⸣ユー ス⸢マルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣バサキンマー ⸢ナン⸣ゾー ス⸢マラヌ [mu⸢mim⸣maː ⸣ʔainaː ⸣juː su⸢marunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸣basakimmaː ⸢nan⸣ʣoː su⸢maranu] (綿布は藍によく染まると思うが、芭蕉布はあまり染まらない)。 ク⸢レー⸣ ス⸢マリ ヤッ⸣サン [ku⸢reː⸣ su⸢mari jas⸣saŋ] (これは染まりやすい)。 ス⸢マル⸣ クトー ス⸢マルンドゥ マー⸣ビン ス⸢マレー⸣ ミサムヌ [su⸢maru⸣ kutoː su⸢marundu maː⸣bin su⸢mareː⸣ misamunu] (染まることは染まるが、もっと染まればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ス⸢マリ [⸢paː⸣ku su⸢mari] (早く染まれ)。 9225 0 2 8727 htmvoc_9225.wav スマルン ス⸢マルン [su⸢maruŋ] 自動 {Mn_2}影響される。かぶれる 9226 0 0 8728 htmvoc_9226.wav スミカイルン ス⸢ミカイルン [su⸢mikairuŋ] 他動 染め替える。 ⸢クンジキンマ⸣ イ⸢ル⸣ヌ サ⸢ミ⸣ルカー ス⸢ミカイルン [⸢kunʤikimmaː⸣ ʔi⸢ru⸣nu sa⸢mi⸣rukaː su⸢mikairuŋ] (紺地の着物は色が冷めたら<色があせたら>、染め替える)。 ス⸢ミカイラヌ [su⸢mikairanu] (染め替えない)。 ス⸢ミカイヤッ⸣サン [su⸢mikaijas⸣saŋ] (染め替え易い)。 ス⸢ミカイル キン⸣マー ⸣ヌーヤ [su⸢mikairu kim⸣maː ⸣nuːja] (染め替える着物はどれか<何か>)。 ス⸢ミカイレー(ス⸢ミカイヤー)⸣ミサムヌ [su⸢mikareː(su⸢mikaijaː)⸣misamunu] (染め替えれば良いのに)。 ス⸢ミカイリ [su⸢mikairi] (染め替えよ) 9227 0 0 8729 htmvoc_9227.wav スミカサニルン ス⸢ミカサニルン [su⸢mikasaniruŋ] 他動 染め重ねる。 フ⸢クンヌ⸣ カー ⸣シジティ ス⸢ミカサニルン [ɸu̥⸢kunnu⸣ kaː ⸣ʃiʤiti su⸢mikasaniruŋ] (福木の皮を煎じて染め重ねる) 9228 0 0 8730 htmvoc_9228.wav スミカタ ス⸢ミカタ [su⸢mikata] 名 染め方。染める方法。 ⸢クンジヌ⸣ ス⸢ミカタ⸣ バン ナ⸢ラー⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸢kunʤinu⸣ su⸢mikata⸣ ban na⸢raː⸣ʃi f⸢fiːri] (紺地の染め方<染色方>を私に教えてくれ) 9229 0 0 8731 htmvoc_9229.wav スミムヌ ス⸢ミムヌ [su⸢mimunu] 名 染物。染めた織物。 ス⸢ミムノー⸣ マナー ⸣シケーワ [su⸢mimunoː⸣ manaː ⸣ʃi̥keːwa] (染物は何処に置いてあるか) 9230 0 0 8732 htmvoc_9230.wav スミムヌヤー ス⸢ミムヌヤー [su⸢mimunujaː] 名 染物屋。 ス⸢ミムヌヤーヤ⸣ パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナーン⸣シェン [su⸢mimunujaːja⸣ pḁ⸢tu⸣manaː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (染物屋は鳩間島にはなかった) 9231 0 1 8733 htmvoc_9231.wav スミルン ス⸢ミルン [su⸢miruŋ] 他動 {Mn_1}染める。いろどる。「色深く背なが衣は曾米麻之乎<ソメマシヲ>~『万葉集 4424』」の義。 ⸢プーヤ⸣ ア⸢カ⸣ズミキーヌ ⸣カー ⸣シジティ ス⸢ミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー ス⸢ミララヌ [⸢puːja⸣ ʔa⸢ka⸣ʣumikiːnu ⸣kaː ⸣ʃiʤiti su⸢mirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː su⸢miraranu] (帆はヒルギの皮を煎じて染めようと思うが、一人では染められない)。 ⸢キール⸣ ス⸢ミルムノー⸣ フ⸢クンキーヌ⸣ カー ⸣シジティ ス⸢ミレー⸣ ミサムヌ [⸢kiːru⸣ su⸢mirumunoː⸣ ɸu̥⸢kuŋkiːnu⸣ kaː ⸣ʃiʤiti su⸢mireː⸣ misamunu] (黄色に染めるものは福木の皮を煎じて染めればいいのに)。 ク⸢リ⸣シン ス⸢ミ⸣ ミサン [ku⸢ri⸣ʃin su⸢mi⸣ misaŋ] (これでも染めてよい)。 9231 0 2 8734 htmvoc_9231.wav スミルン ス⸢ミルン [su⸢miruŋ] 他動 {Mn_2}深く心に刻む。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ユ⸢シグトー⸣ キ⸢ム⸣ナ ス⸢ミリ [ʔu⸢ja⸣nu ju⸢ʃigutoː⸣ ki⸢mu⸣naː su⸢miri] (親の忠告、教訓は心に刻め<肝に染めよ{EOS}銘ぜよ>) 9232 0 1 8735 htmvoc_9232.wav スム ス⸢ム [su⸢mu] 名 {Mn_1}しも(下)。台所。 ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ス⸢ム⸣ナール ⸢イー⸣ヤ ン⸢コーッ⸣タ [mi⸢dumuŋkeː⸣ja su⸢mu⸣naːru ⸢ʔiː⸣ja ʔŋ⸢koːt⸣ta] (女性<おんな>達は台所<下の方で>でご飯を食べられた)。 9232 0 2 8736 htmvoc_9232.wav スム ス⸢ム [su⸢mu] 名 {Mn_2}下の家。自分の家より下<海辺>にある親戚の家。ス⸢モー[su⸢moː](海辺の親戚の家)ともいう。 ス⸢ム⸣ナー ⸢ギー⸣ アッパー シゥ⸢カシ⸣クー [su⸢mu⸣naː ⸢giː⸣ ʔappaː sï̥⸢kaʃi⸣kuː] (下の家<海辺にある親戚の家>に行ってお祖母さんをお連れしてきなさい) 9233 0 0 8737 htmvoc_9233.wav スムクン ス⸢ム⸣クン [su⸢mu⸣kuŋ] 自動 そむく(背く)。逆らう。手向かいする。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニナ ス⸢ム⸣クンダ ス⸢ムカン⸣ ヨーニ ⸢シー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ʔu⸢ja⸣nu ⸣munina su⸢mu⸣kunda su⸢mukaŋ⸣joːni ⸢ʃiː] (あんなことをすると親の言葉<教え>に背くから、背かないようにしろ)。 ス⸢ム⸣キ ⸣ミサカー ス⸢ム⸣ク ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ス⸢ム⸣ケーラ ⸣ウヤフコー ナリ⸢ゲ⸣ラ [su⸢mu⸣ki ⸣misakaː su⸢mu⸣ku ⸣ku̥toː na⸢run⸣du su⸢mu⸣keːraː ⸣ʔujaɸu̥koː nari⸢ge⸣ra] (背いて良ければ背くことは出来るが、背いたら親不幸になるさ)。 ス⸢ム⸣キバ [su⸢mu⸣kiba] (背けよ) 9234 0 0 8738 htmvoc_9234.wav スムザー ス⸢ムザー [su⸢muʣaː] 名 下座。カ⸢ミ⸣ザー[ka⸢mi⸣ʣaː](上座)の対義語。 ⸣ウヤンケーヤ カ⸢ミ⸣ザー シゥ⸢カシティ ウシトゥンケー⸣ヤ ス⸢ムザー⸣ナ ビ⸢ラシ⸣バ [⸣ʔujaŋkeːja ka⸢mi⸣ʣaː si̥⸢kaʃi̥ti ʔuʃi̥tuŋkeː⸣ja su⸢muʣaː⸣na bi⸢raʃi⸣ba] (親御さん方は上座へお連れ<ご案内>して、年下の方々は下座に座らせなさいよ) 9237 0 0 8739 htmvoc_9237.wav スムスク ス⸢ムスク [su⸢musuku] 名 島の北西の、集落地から最も遠い所。最奥<底>の地。「下・底」の転訛したもの。タ⸢チ⸣バル[tḁ⸢ʧi⸣baru](立原)の浜に近い所。 ス⸢ムスクヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸣ウン ⸢カイ⸣シン ⸢パッ⸣タ [su⸢musu̥kunu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸣ʔuŋ ⸢kai⸣ʃim ⸢pat⸣ta] (立原の最奥の地にある畑へ芋堀りに<芋耕しに>行った) 9238 0 0 8740 htmvoc_9238.wav スムスム ス⸢ム⸣スム [su⸢mu⸣sumu] 接続 そもそも(抑)。いったい。標準語からの借用語。文頭に用いて物事を説き起こす。 ス⸢ム⸣スム ⸢ワー⸣ラ シ⸢ダキ⸣ ン⸢ザ⸣セール パ⸢ナ⸣シ ヤ⸢リバ ワー⸣シ シ⸢マチェー⸣ シ⸢キ⸣リ [su⸢mu⸣sumu ⸢waː⸣ra ʃi⸢daki⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃeːru pa⸢na⸣ʃi ja⸢riba waː⸣ʃi ʃi⸢maʧeː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (そもそも君の方から<君から>先に出した話だから、君自身で問題解決しろ<始末はつけろ>よ) 9235 0 0 8741 htmvoc_9235.wav スムチ ス⸢ム⸣チ [su⸢mu⸣ʧi] 名 書物。本。 ス⸢ム⸣チ ⸣ユム ピ⸢マーヤ ナーン⸣シェン [su⸢mu⸣ʧi ⸣jumu pi⸢maːja naːŋ⸣ʃeŋ] (書物を読むひま<暇>はなかった) 9239 0 0 8742 htmvoc_9239.wav スムヌシグトゥ ス⸢ムヌ⸣ シ⸢グトゥ [su⸢munu⸣ ʃi⸢gutu] 連 下の仕事。台所の仕事。 ビ⸢コーンッふァー⸣ ス⸢ムヌ⸣ シ⸢グトゥ スーモー⸣ ア⸢ラ⸣ヌティル ナ⸢ラー⸣ソーッタ [bi⸢koːŋffaː⸣ su⸢munu⸣ ʃi⸢gutu suːmoː⸣ ʔa⸢ra⸣nutiru na⸢raː⸣soːtta] (男の子は台所の仕事をするものではないと教えられた) 9240 0 0 8743 htmvoc_9240.wav スムヌフン ス⸢ムヌ フン [su⸢munu ɸuŋ] 連 石垣島から離島の島々を指して言う。「下の国」の義。 イ⸢サンケー⸣ラ ⸣パンタ ⸢インタヌ⸣ シマジマバ ス⸢ムヌフン⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ [ʔi⸢saŋkeː⸣ra ⸣panta ⸢ʔintanu⸣ ʃimaʤimaba su⸢munu ɸun⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (石垣島から南、西の島々を下の国といわれた) 9241 0 0 8744 htmvoc_9241.wav スムパタラキ ス⸢ムパタラキ [su⸢mupataraki] 名 台所仕事。 ブ⸢ナルヌル⸣ プ⸢スン⸣ヤーヌ ス⸢ムパタラキバ シェー⸣ティル ビ⸢キルバ ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣ソーッタ [bu⸢narunu⸣ pu̥⸢suɲ⸣jaːnu su⸢mupatarakiba ʃeː⸣tiru bi⸢kiruba ʔuinu gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (姉<姉妹>が余所の家の台所仕事をしながら弟<兄弟>を上級学校へ出された) 9236 0 0 8745 htmvoc_9236.wav スムン ス⸢ムン [su⸢muŋ] 他動 染める。「染め<下二段>。色深く背なが衣は曾米麻之乎~『万葉集 4424』」、「somevaqe、quru、eta。ソメワケ、クル、ケタ『邦訳日葡辞書』」の四段活用に転訛したもの。 ⸣イル ス⸢ムン [⸣ʔiru su⸢muŋ] (色を染める)。 ク⸢レー⸣ ス⸢マンシェン [ku⸢reː⸣ su⸢maŋʃeŋ] (これは染めなかった)。 ク⸢リン⸣ ス⸢ミ⸣ ミサン [ku⸢rin⸣ su⸢mi⸣ misaŋ] (これも染めていい)。 ス⸢ム ムノー パー⸣ク ス⸢メー⸣ ミサムヌ [su⸢mu munoː paː⸣ku su⸢meː⸣ misamunu] (染めるものは早く染めればよいのに)。 ⸣ドゥーシ ス⸢ミ [⸣duːʃi su⸢mi] (自分で染めろ)。 9236 0 2 8746 htmvoc_9236.wav スムン ス⸢ムン [su⸢muŋ] 他動 {Mn_2}心に刻む。心にしみこませる。深く感動する。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クイ キ⸢ム⸣ナー ス⸢ミティ バシキルナ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣kui ki⸢mu⸣naː su⸢miti baʃi̥kiruna] (親の言葉<声>を肝に深く刻んで<深く染めて>忘れるな) 9242 0 0 8747 htmvoc_9242.wav スモー ス⸢モー [su⸢moː] 名 海辺の親戚の家。下の家。ス⸢ム[su⸢mu]参照。ス⸢ム[su⸢mu]+[jaː](は)→ ス⸢モー[su⸢moː]の音韻変化によるもの。 ス⸢モー⸣ナ ⸢ギー⸣ ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイ⸣ クー⸢ディー [su⸢moː⸣na ⸢giː⸣ ʔm⸢maː⸣munu f⸢fai⸣ kuː⸢diː] (海辺の親戚の家<下の家>に行って美味しいものを食べてこようよ) 9243 0 0 8748 htmvoc_9243.wav スラ ⸣スラ [⸣sura] 名 こずえ(梢)。木のてっぺん。植物の先端。 ⸢コーンギー⸣ヌ ⸣スラナー ⸣パトゥグザヌ トゥ⸢マリ ベー⸣ン [⸢koːŋgiː⸣nu ⸣suranaː ⸣pḁtuguʣanu tu⸢mari beː⸣ŋ] (桑の木の梢に山鳩が止まっている)。 ガ⸢ヤー⸣ヤ ⸣ニースラ ス⸢ロー⸣シティ マ⸢ラキ [ga⸢jaː⸣ja ⸣niːsura su⸢roː⸣ʃi̥ti ma⸢raki] (茅は根と末を揃えて1丸<三十束>に束ねろ) 9244 0 0 8749 htmvoc_9244.wav スラーク スラー⸢ク [suraː⸢ku] 副 すっかり。きれいに。綺麗さっぱり。見事に。完璧に。沖縄本島首里方言のcuraaku(きれいに)の転訛したもの。若年層では、チュラー⸢ク[ʧuraː⸢ku](きれいに{EOS}すっかり)ともいう。多くの場合、迷惑の受身文で用いられる。 ⸢マイヤー⸣ カマイン スラー⸢ク⸣ シ⸢ラリナー⸣ヌ [⸢maijaː⸣ kamain suraː⸢ku⸣ ʃi⸢rari naː⸣nu] (稲は猪にすっかりやられてしまった) 9245 0 0 8750 htmvoc_9245.wav スラウルシ ス⸢ラウル⸣シ [su⸢raʔuru⸣ʃi] 名 進水式。新造船を造船場から下ろして海に浮かべる儀式。カツオ漁船は漁期が終わると砂浜に陸揚げして修理をし、翌年の漁期に進水式をおこなった。ス⸢ラウラ⸣シ[su⸢raura⸣ʃi]ともいう。砂浜に⸢バンギ[⸢baŋgi](材木)を敷き、その上にコ⸢ロ[ko⸢ro](ころ<転>{EOS}丸太)を置き、船体を載せてゆっくりと進水させ、海に浮かべた。 カ⸢ツシンマー⸣ ジ⸢キヌ⸣ シギルカー ⸣ウカナ ア⸢ギティ⸣ イェントゥシナール ス⸢ラウル⸣シ ⸢ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʤi⸢kinu⸣ ʃi⸢gi⸣rukaː ⸣ʔukanaː ʔa⸢giti⸣ jentuʃinaːru su⸢raʔuru⸣ʃi ⸢soːt⸣ta] (カツオ漁船は時期が過ぎるとおか<陸>に揚げて、翌年に進水式をされた) 9247 0 0 8751 htmvoc_9247.wav スラズー ⸣スラズー [⸣suraʣuː] 名 造船所。⸣スラバ[⸣suraba](造船場)ともいう。スラ[sura]は「修羅、シュラ、大石を引く材木也」『文明本節用集』の転訛したものか。西表島北岸の⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離崎)の南側、ナ⸢ダラガーラ[na⸢daragaːra](ナダラ川)寄りのヤ⸢ドゥル⸣ガン[ja⸢duru⸣gaŋ](地名)という所に、船浦湾の方へ向かって作られた昔の造船所跡が大正ごろまで残っていたという。 ナ⸢ミノ⸣ウエタンコー [na⸢mino⸣ʔuetaŋkoː] (波乃上炭坑)の石炭の積荷はそこを利用していたという(加治工伊佐氏直話)。 ⸣シザバナリヌ ⸣パンタナー ム⸢カシ⸣ヌ ⸣スラズーヌ ア⸢トゥ⸣ヌ ⸢アッ⸣タン⸢ダー [⸣ʃiʣabanarinu ⸣pantanaː mu⸢kaʃi⸣nu ⸣suraʣuːnu ʔa⸢tu⸣nu ⸢ʔat⸣tan⸢daː] (下離崎の南側のヤ⸢ドゥル⸣ガンに昔の造船所跡があったよ) 9246 0 0 8752 htmvoc_9246.wav スラスン ス⸢ラ⸣スン [su⸢ra⸣suŋ] 他動 そらす(反らす)。曲がったものを伸ばす。 ク⸢シ⸣ ヌ⸢バ⸣シ ス⸢ラ⸣スンティ ⸢スーヌンドゥ⸣ ク⸢シェ⸣マ⸢ガリティ⸣ ス⸢ラサラ⸣ヌ [ku̥⸢ʃi⸣ nu⸢ba⸣ʃi su⸢ra⸣sunti ⸢suːnundu⸣ ku⸢ʃeː⸣ ma⸢gariti⸣ su⸢rasara⸣nu] (腰を伸ばして反らせようとするが、腰は曲がって反らされない)。 ス⸢ラ⸣シ ⸢ミッタ⸣ヌ ⸣ドゥーシ ス⸢ラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [su⸢ra⸣ʃi ⸢mitta⸣nu ⸣duːʃi su⸢ra⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (反らしてみたが、自分では反らすことが出来ない)。 ク⸢シ⸣ ス⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ku̥⸢ʃi⸣ su⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (腰を反らせばよいのに)。 ン⸢ベーマ⸣ ス⸢ラ⸣シバ [ʔm⸢beːma⸣ su⸢ra⸣ʃiba] (少し反らせなさい) 9248 0 0 8753 htmvoc_9248.wav スラナル ⸣スラナル [⸣suranaru] 名 うらなり(\ruby{末成}{ウラ|ナ}り)。瓜などの蔓の末になる実。ム⸢トゥ⸣ナル[mu⸢tu⸣naru](根元になる実)の対義語。 ⸣スラナル ヤ⸢ルンドゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ズコー ⸢シー⸣ ン⸢マー⸣リバン [⸣suranaru ja⸢rundu⸣ ʔik⸢kena⸣ ʣukoː ⸢ʃiː⸣ ʔm⸢maː⸣ribaŋ] (末成りだが、よく熟はしていて美味しいわい) 9249 0 0 8754 htmvoc_9249.wav スラパンタ ス⸢ラパン⸣タ [su⸢rapan⸣ta] 名 こずえ(梢)。先端。 ⸢キー⸣ヌ ス⸢ラパン⸣タナー ⸢ヌーリ アー⸣キ ⸣ウマーラ ⸣ウティティ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [⸢kiː⸣nu su⸢rapan⸣tanaː ⸢nuːri ʔaː⸣ki ⸣ʔumaːra ⸣ʔutiti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (木の先端<梢>に登っていて、そこから落ちて怪我をして<体を病まして>ある) 9250 0 0 8755 htmvoc_9250.wav スラパンターマ ス⸢ラパンター⸣マ [su⸢rapantaː⸣ma] 名 梢の先端。「マ」は「小さいもの、可愛いもの」を表す接尾美称辞。「梢の最先端の細い所」の義。 ⸢キー⸣ヌ ス⸢ラパンター⸣マナー カ⸢ジブタラーマ⸣ヌ トゥ⸢マリベー [⸢kiː⸣nu su⸢rapantaː⸣manaː ka⸢ʤibutaraːma⸣nu tu⸢maribeː] (木の梢の先端部に燕が止まっている) 9251 0 0 8756 htmvoc_9251.wav ズリ ⸣ズリ [⸣ʣuri] 名 女郎。遊女。首里方言からの借用語。普通は、サ⸢カナヤーミドゥム[sḁ⸢kanajaːmidumu](料亭の女)という。 イ⸢サナケーヌ⸣ サ⸢カナヤーヌ⸣ ミ⸢ドゥム⸣バ ⸣ズリティ ア⸢ゾーッ⸣タ [ʔi⸢sanakeːnu⸣ sḁ⸢kanajaːnu⸣ mi⸢dumu⸣ba ⸣ʣuriti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (石垣島の料亭の女をズリーといわれた) 9253 0 0 8757 htmvoc_9253.wav スリースリーシ ス⸢リースリー⸣シ [su⸢riːsuriː⸣ʃi] 副 元気よく。生き生きとして。 ⸣ヤミティ ダ⸢ラシ⸣キ ⸢オー⸣ルカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ス⸢リースリー⸣シ ⸢オール⸣バン [⸣jamiti da⸢raʃi̥⸣ki ⸢ʔoː⸣rukajaːti ʔu⸢muːtan⸣du su⸢riːsuriː⸣ʃi ⸢ʔoːru⸣baŋ] (病気で<病んで>へたばって動けなくなっていらっしゃるか思ったが、元気で生き生きしていらっしゃるよ) 9252 0 0 8758 htmvoc_9252.wav ズリアサビ ⸣ズリアサビ [⸣ʣuriʔasabi] 名 女郎遊び。女郎買い。 サ⸢カナヤーアサビバ⸣ ズリアサビティ ア⸢ジ オーッ⸣タ [sḁ⸢kanajaːʔasabiba⸣ ʣuriʔasabiti ʔa⸢ʤi ʔoːt⸣ta] (料亭遊びを女郎遊びと言っておられた) 9255 0 0 8759 htmvoc_9255.wav スリトゥム ス⸢リトゥム [su⸢ritumu] 接続 あるいはまた。それでも。歌謡語。/ワリンダカ ユニンナル イヤシングヮヌ ムチュタル タカラヤ ネナヤブリ ムチュタル タカラヤ アリバクリ スリトゥム ウヤニヨー マイラサヌ~/(合計四人の貧しい子供が、所持するお金<宝>が無くて、所持するお金<宝>は有ればこそ、それでも親<親の霊前>に参ろう)「念仏歌(弟の声)」 9256 0 0 8760 htmvoc_9256.wav スリバイ ス⸢リ⸣バイ [su⸢ri⸣bai] 名 稲のかりかぶ(刈株)。ススキや茅の刈り株。 ⸢マイヌ⸣ ス⸢リ⸣バイナ マ⸢イタバル⸣ ウ⸢サッ⸣キ [⸢mainu⸣ su⸢ri⸣baina ⸢maitabaru⸣ ʔu⸢sak⸣ki] (稲の刈り株の上に刈り取った稲束を掛けて<置いて>おきなさい)。「剃り芽」の義か。 ガ⸢ヤー⸣ヌ ス⸢リ⸣バイ [ga⸢jaː⸣nu su⸢ri⸣bai] (茅の刈り株)。 ⸢ユシキ⸣ヌ ス⸢リ⸣バイ [⸢juʃi̥ki⸣nu su⸢ri⸣bai] (ススキの刈り株) ガ⸢ヤー⸣ヌ ス⸢リ⸣バイナー ⸣パン ⸢ピッカ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ga⸢jaː⸣nu su⸢ri⸣bainaː ⸣pam ⸢pikka⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (茅の刈り株に足を刺されて痛くて堪らない)) 9257 0 0 8761 htmvoc_9257.wav スリルン ス⸢リ⸣ルン [su⸢ri⸣ruŋ] 自動 反る。反り返る。真直ぐに立つ。 ⸢ノーリマイ⸣ヌ ⸢プー⸣ヤ フ⸢ビ⸣ブルン ヤ⸢ブリマイ⸣ヌ ⸢プー⸣ヤ フ⸢ビ⸣ ス⸢リ⸣ルン [⸢noːrimai⸣nu ⸢puː⸣ja ɸu⸢bi⸣ buruŋ ja⸢burimai⸣nu ⸢puː⸣ja ɸu⸢bi⸣ su⸢ri⸣ruŋ] (稔った稲の穂は首を垂れる{EOS}イモチ病<破れた稲>の稲穂は直立する<反り返る>)。 イ⸢ツァ⸣バ ⸣ティダナ ⸣プスカー ス⸢リ⸣ルン [ʔi⸢ʦa⸣ba ⸣tidana ⸣pu̥sukaː su⸢ri⸣ruŋ] (板を太陽に干すと反り返る)。 ⸣カイナ ⸣プスカー ス⸢リラ⸣ヌ [⸣kaina ⸣pu̥sukaː su⸢rira⸣nu] (日陰に干すと反らない)。 ク⸢レー⸣ スリティ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢reː⸣ suriti si̥⸢kaːranu] (これは反っていて使えない)。 ス⸢リ⸣ル ⸣イツァー シゥ⸢カーラヌ [su⸢ri⸣ru ⸣ʔiʦaː si̥⸢kaːranu] (反る板は使えない)。 ⸢ドゥー⸣ヤ ン⸢ベーマ⸣ スレー ⸣ミサムヌ [⸢duː⸣ja ʔm⸢beːma⸣ sureː ⸣misamunu] (体は少し反り返ればいいのに)。 ク⸢シ⸣ ヌ⸢バ⸣シティ ス⸢リ⸣リ [ku̥⸢ʃi⸣ nu⸢baʃi̥⸣ti su⸢ri⸣ri] (腰を伸ばして反り返れ<反れ>) 9265 0 1 8762 htmvoc_9265.wav スルーン ⸣スルーン [⸣suruːŋ] 自動 {Mn_1}揃う。長さや大きさが等しくなる。一致する。ととのう。調和する。「Soroi、ソロイ、ウ、ウタ(揃ひ、ふ、うた)」『邦訳日葡辞書』の転訛。 マ⸢ダ⸣ ス⸢ローン⸣バ ⸣スルーンケン ⸣マティバ [ma⸢da⸣ su⸢roːm⸣ba ⸣suruːŋkem ⸣matiba] (まだ揃わないので揃うまで待てよ)。 9265 0 2 8763 htmvoc_9265.wav スルーン ⸣スルーン [⸣suruːŋ] 自動 {Mn_2}集まる。 ⸣クマー ス⸢ルイ グリ⸣サー ア⸢ルン⸣ドゥ バ⸢カー⸣ムヌンケーヤ ⸣スルー ⸣クトー ⸣スルーンパジ [⸣kumaː su⸢rui guri⸣saː ʔa⸢run⸣du ba⸢kaː⸣munuŋkeːja ⸣suruː ⸣ku̥toː ⸣suruːmpaʤi] (ここは集まりつらくはあるが、若者たちは集まることは集まるはずだ)。 ⸢パー⸣ク ス⸢ルイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku su⸢rui⸣jaː ⸣misamunu] (早く集まればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣スルイバ [⸢paː⸣ku ⸣suruiba] (早く集まれよ) 9258 0 0 8764 htmvoc_9258.wav スルイ ⸣スルイ [⸣surui] 名 皿。銘々皿。特に中皿をいう。おかずを盛り付けるのに用いた。「おそれい 菜皿之事 それい共云」『混効験集(乾・器材)』。「砂貼是 suirui」『語音翻訳』の転訛。 ス⸢ルイ⸣バ ⸢ミーラ ユイラ⸣ カ⸢サベー⸣ティ ⸣ムティ ⸣クンケン ウ⸢タシ⸣ティ ムー⸢ル⸣ バ⸢リシティナー⸣ヌ [su⸢rui⸣ba ⸢miːra juira⸣ kḁ⸢sabeː⸣ti ⸣mutikuŋkeŋ ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti muː⸢ru⸣ ba⸢riʃitinaː⸣nu] (中皿を三枚、四枚重ねながら持ってきたところ、落として全部割ってしまった) 9259 0 0 8765 htmvoc_9259.wav スルイ ⸣スルイ [⸣surui] 名 集会。会合。常会。村の集会。「揃い」の義。 ム⸢ラズルイ [mu⸢raʣurui] (部落集会{EOS}村揃い)。 ウ⸢トゥザズルイ [ʔu⸢tuʣaʣurui] (親戚の会合{EOS}親族会議)。 ム⸢ラヌ⸣ キ⸢ザル ギョー⸣ジ キ⸢ミルンティ⸣ スルイ ⸢シー オー⸣ル [mu⸢ranu⸣ ki⸢ʣaru gjoː⸣ʤi ki⸢mirunti⸣ surui ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (村の祭祀行事を決めようと村集会をしておられる) 9263 0 0 8766 htmvoc_9263.wav スルイズ ス⸢ルイ⸣ズ [su⸢rui⸣ʣu] 名 集会所。「揃い所」の義。普通は、ユ⸢ライズ[ju⸢raiʣu](集会所{EOS}寄合所)という。 ス⸢ルイ⸣ズ ユ⸢ライズ⸣ナー ⸢オーリ⸣ル ム⸢ラギンメー ソーッ⸣タ [su⸢rui⸣ʣu ju⸢raiʣu⸣naː ⸢ʔoːri⸣ru mu⸢ragimmeː soːt⸣ta] (集会所、寄合所にいらっしゃって村吟味はなさった) 9264 0 1 8767 htmvoc_9264.wav スルイルン ス⸢ルイ⸣ルン [su⸢rui⸣ruŋŋ] 他動 {Mn_1}そろえる(揃える)。長さや大きさを等しくする。「簸剪、曾呂夫<そろふ>下二段活用」『新撰字鏡』の義。 ニ⸢ンガイ⸣ヌ ⸢クームチ⸣ ス⸢ルイ⸣ルンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸣ドゥーシェー ス⸢ルイララ⸣ヌ [⸢niŋgai⸣nu ⸢kuːmuʧi⸣ su⸢rui⸣runti ⸢beːn⸣du ⸣duːʃeː su⸢ruirara⸣nu] (祈願用の供物を揃えようとしているが、自分では揃えられない)。 ムー⸢ル⸣シ ⸣スルイミサカ ス⸢ルイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シン ス⸢ルイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru⸣ʃi ⸣suruimisakaː su⸢rui⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ru⸣nu ⸢taŋga⸣ʃin su⸢rui⸣jaː ⸣misamunu] (皆で揃えるなら揃えることは出来るが、一人ででも揃えればよいのに)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ ス⸢ルイ⸣リ [⸣kubeː jaː⸢din⸣ su⸢rui⸣ri] (これだけは必ず揃えろ<れ>)。 9264 0 2 8768 htmvoc_9264.wav スルイルン ス⸢ルイ⸣ルン [su⸢rui⸣ruŋŋ] 他動 {Mn_2}集める。 ⸢ワー⸣ イ⸢リユーヌ⸣ シ⸢ナー⸣ ヌーンクイン ス⸢ルイ⸣ルン [⸢waː⸣ ʔi⸢rijuːnu⸣ ʃi⸢naː⸣ nuːŋkuin su⸢rui⸣ruŋ] (君の必要な品物は、なんでもかんでも<何でも彼でも>集める) 9279 0 0 8769 htmvoc_9279.wav スルガー ス⸢ルガー [su⸢rugaː] 名 棕櫚の葉柄の付け根に生える茶褐色で網状に生える繊維。これで綯った縄は風雨に強いとして重宝された。 ス⸢ルガーバ⸣ パギキー ス⸢ルガージナ⸣ ナイ⸢ヨーッタ [su⸢rugaːba⸣ pagikiː su⸢rugaːʤina⸣ nai⸢joːt⸣ta] (\ruby{棕櫚}{シュ|ロ}の繊維を剥がしてきて棕櫚縄を\ruby{綯}{ナ}っておられた) 9266 0 0 8770 htmvoc_9266.wav スルガニ ス⸢ル⸣ガニ [su⸢ru⸣gani] 名 銀。「白金」の義。「銀、シロカネ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢ヤー⸣ ス⸢ルガニ⸣バ ティ⸢ブ⸣ク ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ su⸢rugani⸣ba ti⸢bu⸣ku ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (ああ、白銀を手鉾にして家を造ってあるという)「アーパーレー(新室寿歌)。第12連」 9267 0 0 8771 htmvoc_9267.wav スルキスン ス⸢ル⸣キスン [su⸢ru⸣ki̥suŋ] 自動 船舶などが接近してきて横切る。後から追い越して横切って走り去る。 イ⸢サナキフニヌ⸣ カ⸢ツシンマー ダーブル⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢ベー⸣ラ ⸢ウイ⸣キー ス⸢ル⸣キシ ⸣パリ カ⸢ツ ホーシ⸣ シタ [ʔi⸢sanakiɸuninu⸣ kḁ⸢ʦuʃimmaː daːburu⸣ ja⸢runda⸣ ʃi⸢beː⸣ra ⸢ʔui⸣kiː su⸢ru⸣kiʃi ⸣pari kḁ⸢ʦu hoːʃi⸣ ʃi̥ta] (石垣船のカツオ漁船は二気筒エンジンだから<船足が早く>、後から追いかけてきて接近して横切って行ってカツオを釣ることもあった) 9268 0 0 8772 htmvoc_9268.wav スルスル ⸢スルスル [⸢surusuru] 副 するすると。なめらかに移動するさま。 ⸢スルスル⸣ティ ⸢キー⸣ヌ ス⸢ラパン⸣ター ⸢ヌーリパッ⸣タ [⸢surusuru⸣ti ⸢kiː⸣nu su⸢rapan⸣taː ⸢nuːripat⸣ta] (するすると木のてっぺんへ登っていった) 9271 0 0 8773 htmvoc_9271.wav スルスルーッティ ス⸢ルスルーッティ [su⸢rusuruːtti] 副 するりと。するするっと。柔らかいものが滑り落ちるさま。 ⸢シンドー⸣ラー ⸢ティーヌ⸣ マターラ ス⸢ルスルーッティ⸣ ムリパリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃindoː⸣raː ⸢tiː⸣nu ⸣mataːra su⸢rusuruːtti⸣ muripari ⸢naː⸣nu] (もずく<水雲>はするりと<するするっと>手の又<指の間>から洩れていってしまった) 9273 0 0 8774 htmvoc_9273.wav スルスルシ ス⸢ルスル⸣シ [su⸢rusuru⸣ʃi] 副 するすると。すうすうと。 ギッ⸢ティ⸣ フ⸢バリ⸣シケータンドゥ ス⸢ルスル⸣シ フ⸢キ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [git⸢ti⸣ ɸu⸢bari⸣ʃi̥keːtandu su⸢rusuru⸣ʃi ɸu̥⸢ki⸣pari ⸢naː⸣nu] (ぎゅっと縛っておいたのだが、するするとほどけ<すりぬけ>ていってしまった)。 ス⸢ルスル⸣シ イ⸢キ⸣ヌ フ⸢キ⸣パルン [su⸢rusuru⸣ʃi ʔi⸢ki⸣nu ɸu̥⸢ki⸣paruŋ] (すうすうと息が漏れて抜けていく) 9269 0 0 8775 htmvoc_9269.wav スルッカイルン ス⸢ルッカイ⸣ルン [su⸢rukkai⸣ruŋ] 自動 反り返る。のけぞる(\ruby{仰}{ノ}け反る)。スリッケールン[su⸢rikkeː⸣ruŋ](反り返る)ともいう。 ス⸢ルッカイ⸣ルンケン ナ⸢キベー [su⸢rukkai⸣ruŋken na⸢kibeː] (仰け反るほど泣いている)。 ス⸢ルッカイラン⸣ドーシ ビ⸢リ⸣バ [su⸢rukkairan⸣doːʃi bi⸢ri⸣ba] (仰け反らないで座れよ)。 ⸣シンター ス⸢ルッカイ⸣リティ カ⸢サナー⸣リ ⸢ベー [⸣ʃintaː su⸢rikkai⸣riti ka⸢sanaː⸣ri ⸢beː] (後ろへ反り返って背負われている)。 ウ⸢ビ⸣ナー ス⸢ルッカイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ki⸢bi⸣naː su⸢rukkai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (こんなに反り返ることは出来ない)。 ン⸢ンベーマ⸣ ス⸢ルッカイ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ su⸢rukkai⸣reː ⸣misamunu] (少しは反り返ればよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ス⸢ルッカイ⸣リ [⸢maː⸣bin su⸢rukkai⸣ri] (もっと反り返れ) 9270 0 0 8776 htmvoc_9270.wav スルッケールン ス⸢ルッケー⸣ルン [su⸢rukkeː⸣ruŋ] 自動 反り返る。ス⸢ルッカイ⸣ルン[su⸢rukkai⸣ruŋ](反り返る)ともいう。 ⸣シンター ス⸢ルッケーラン⸣ ヨーニ フ⸢ク⸣ビシ シゥ⸢カイ⸣バ [⸣ʃintaː su⸢rukkeːraɲ⸣joːni ɸu̥⸢ku⸣biʃi sï̥⸢kai⸣ba] (後ろに反り返らないように、帯で支えなさい) 9274 0 0 8777 htmvoc_9274.wav スルッティ ス⸢ルッティ [su⸢rutti] 副 そろりと。するりと。そっと。ひそかに。他人に知られないように。 カ⸢サムンティ スン⸣ケン ス⸢ルッティ⸣ フ⸢キ⸣パリ ⸢ナーン⸣シェン [kḁ⸢samunti suŋ⸣ken su⸢rutti⸣ ɸu̥⸢ki⸣pari ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (捕まえようとしたら、するりと指の間から通り抜けて<抜け落ちて>いってしまった) 9282 0 0 8778 htmvoc_9282.wav スルッティ スルッ⸢ティ [surut⸢ti] 副 ずるりと。滑り落ちるさま。そろりと。するっと。滑らかに通り抜けるさま。滑らかに抜け落ちるさま。 ダ⸢キ ベータン⸣ドゥ ス⸢ルッティ⸣ ティーラ フ⸢キ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [da⸢ki beːtan⸣du su⸢rutti⸣ tiːra ɸu̥⸢ki⸣pari ⸢naː⸣nu] (抱いていたが、するりと手から滑り落ちて<抜け落ちて>いってしまった)。 マー⸢ズン⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベータン⸣ドゥ ッ⸢サン⸣ケン ス⸢ルッティ⸣ パリ ⸢ナーン⸣シェン [maː⸢ʣuŋ⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beːtan⸣du s⸢saŋ⸣ken su⸢rutti⸣ pari ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (一緒に話し合っていたが、知らぬ間にするっと行ってしまっていた) 9280 0 0 8779 htmvoc_9280.wav スルナージナ ス⸢ルナージナ [su⸢runaːʤina] 名 棕櫚縄。「棕櫚綱」の義。歌謡語。シ⸢ルナージナ[ʃi⸢runaːʤina]ともいう。普通は、⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](棕櫚綱)という。棕櫚の葉柄の付け根に生える繊維で綯った綱。風雨に強く、長持ちするので垣根やスノコを結わえるのに用いられ、牛の鼻綱、イダフニ(サバニ)のアンカーロープ等に用いられた。 ス⸢ルジナーヤ⸣ ア⸢ミ⸣カジナー ⸢スー⸣ワンダ ウ⸢シヌ⸣ パ⸢ナジナ⸣ナー シゥ⸢カイオーッ⸣タン [su⸢ruʤinaːja⸣ ʔa⸢mi⸣kaʤinaː ⸢suː⸣wanda ʔu⸢ʃinu⸣ pa⸢naʤina⸣naː si̥⸢kaioːt⸣taŋ] (棕櫚綱は風雨に強いので牛の花綱に使われた) 9283 0 0 8780 htmvoc_9283.wav スルバン ス⸢ルバン [su⸢rubaŋ] 名 そろばん(算盤)。 ス⸢ルバン⸣シル ⸢サンミン⸣マー ⸢スー [su⸢rubaŋ⸣ʃiru ⸢sammim⸣maː ⸢suː] (算盤で計算はするものだ) 9285 0 0 8781 htmvoc_9285.wav スルバン ス⸢ルバン [su⸢rubaŋ] 名 (地)上原村の奥地にある水田地帯の地名。プ⸢サ⸣キャー[pu̥⸢sa⸣kjaː](冨里家)、⸢カンザトゥ⸣ヤー[⸢kanʣatu⸣jaː](慶田城家)の田圃があった。 プ⸢サ⸣キャーヌ ス⸢ルバンヌ ター⸣ヤ マ⸢ナ⸣マン ス⸢ク⸣リ ⸢オー⸣ルンカヤー [pu̥⸢sa⸣kjaːnu su⸢rubannu taː⸣ja ma⸢na⸣man su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoː⸣ruŋkajaː] (冨里家のスルバンの田圃は今も耕作しておられるのかねえ) 9284 0 0 8782 htmvoc_9284.wav スルバンイルン ス⸢ルバン⸣ イ⸢ルン [su⸢rubaŋ⸣ ʔi⸢ruŋ] 連 算盤を入れる。算盤で計算する。 ⸢キュー⸣ヌ カ⸢ツシンヌ モー⸣ケー ⸣ギュー⸣サ ⸣ナルユー ス⸢ルバン⸣ イ⸢リ⸣ ミリ⸢ミー [⸢kjuː⸣nu kḁ⸢ʦuʃinnu moː⸣keː ⸢gjuː⸣sa ⸣narujuː su⸢rubaŋ⸣ ʔi⸢ri⸣ miri⸢miː] (今日のカツオ漁船の儲けは幾らになるか、算盤を入れて<計算して>みてごらん) 9286 0 0 8783 htmvoc_9286.wav スルバンパンクン ス⸢ルバン パン⸣クン [su⸢rubam paŋ⸣kuŋ] 連 算盤をはじく(弾く)。算盤の珠を弾いて計算する。 ウ⸢レー チャー ドゥー⸣ヌ ⸣マイニール ス⸢ルバン パン⸣ク [ʔu⸢reː ʧaː duː⸣nu ⸣mainiːru su⸢rubam paŋ⸣ku] (彼は常に自分の得になるように<ぞ>算盤を弾く<計算して行動する>) 9276 0 1 8784 htmvoc_9276.wav スルン ⸣スルン [⸣suruŋ] 他動 {Mn_1}剃る。毛髪やひげ(鬚)などを刃物で根元から切る。「~曾利須豆<そりすつ>、又、支留<きる>」『新撰字鏡』、「Camiuo soru<髪を剃る>」『邦訳日葡辞書』のの転訛。 ガ⸢マ⸣ジ ⸣スルンティ ⸢ダン⸣パチヤー ⸢パッタン⸣ドゥ ス⸢ララン⸣シェン [ga⸢ma⸣ʤi ⸣surunti ⸢dam⸣paʧijaː ⸢pattan⸣du su⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (髪を刈ろう<剃ろう>と理髪店<断髪屋>に行ったが刈れ<剃れ>なかった)。 ピ⸢ニ⸣ ス⸢リ⸣ プサカー ⸣アツァ ⸣スル ⸣クトゥ⸢ナー [pi⸢ni⸣ su⸢ri⸣ pu̥sakaː ⸣ʔaʦa ⸣suru ⸣ku̥tu⸢naː] (鬚を剃りたければ明日剃ることだなあ)。 ピ⸢ネー⸣ スレー ⸣ミサムヌ [pi⸢neː⸣ sureː ⸣misamunu] (鬚は剃ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ニ⸣ スリ [⸢paː⸣ku pi⸢ni⸣ suri] (早く\ruby{鬚}{ヒゲ}を剃れ)。 9276 0 2 8785 htmvoc_9276.wav スルン ⸣スルン [⸣suruŋ] 他動 {Mn_2}茅を刈る。 ⸣ガヤー ⸣スルン [⸣gajaː ⸣suruŋ] (茅を刈る)。 ⸢ユシ⸣キ ⸣スルン [⸢juʃi̥⸣ki ⸣suruŋ] (ススキを刈る) 9278 0 0 8786 htmvoc_9278.wav スルン ⸣スルン [⸣suruŋ] 自動 反る。反り返る。ス⸢リ⸣ルンとも言う。 ⸣テダナ ⸣プスカー ⸣スルン [⸣tidana ⸣pusukaː ⸣suruŋ] (太陽に干したら反る<反り返る>)。 ス⸢ラ⸣ヌ [su⸢ra⸣nu] (反らない)。 ⸣スリティ [⸣suriti] (反って)。 ⸣スル ⸣ムノー [⸣suru ⸣munoː] (反るものは)。 ⸣スレー ⸣ミサムヌ [⸣sureː ⸣misamunu] (反ればよいのに)。 ⸣スリ [⸣suri] (反れ) 9287 0 0 8787 htmvoc_9287.wav スロースン ス⸢ロー⸣スン [su⸢roː⸣suŋ] 他動 揃える。集合させる。集まらせる。 キ⸢スムヌ⸣ ス⸢ロー⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ス⸢ローサラ⸣ヌ [ki̥⸢sumunu⸣ su⸢roː⸣sunti ⸢beːn⸣du su⸢roːsara⸣nu] (着るものを揃えようとしているが揃えられない)。 ス⸢ローシ ヤッ⸣サンティバ ⸣クナーティ ス⸢ロー⸣スクトー ナ⸢ル⸣ヌ ⸣ナルカー ⸣ドゥーシ ス⸢ロー⸣シェー ⸣ミサムヌ [su⸢roːʃi jas⸣santiba ⸣kunaːteː su⸢roː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ru⸣nu ⸣narukaː ⸣duːʃi su⸢roː⸣ʃeː ⸣misamunu] (揃え易いというから、此処では揃えることは出来るが、出来るなら自分で揃えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ス⸢ロー⸣シ [⸢paː⸣ku su⸢roː⸣ʃi] (早く揃えろ) 9288 0 0 8788 htmvoc_9288.wav スワーラ スワー⸢ラ [suwaː⸢ra] 副 満腹するほど。腹一杯。たっぷり。若年層は、チュワー⸢ラ[ʧuwaː⸢ra](腹一杯{EOS}たっぷり)ともいう。首里方言、cuhwaara(腹一杯{EOS}満腹)の転訛したもの。 スワー⸢ラ⸣ ッ⸢ふァイヤ⸣ン [suwaː⸢ra⸣ f⸢faija⸣ŋ] (腹一杯<たっぷり>食べた)。 スワー⸢ラ⸣ ニ⸢ベー⸣ン [suwaː⸢ra⸣ ni⸢beː⸣ŋ] (たっぷり<十分に>寝た) 9289 1 0 8789 htmvoc_9289.wav スン ⸢スン [⸢suŋ] 自動 {PoS_1}(~が)する<聞こえる>。「~浦まより楫の音須流<スル>は~。万、 3641」の転訛したもの。 ノー⸢ンナーカ⸣ヌ ⸢パスクリ⸣ル ウ⸢トゥヌ スン [noː⸢nnaːka⸣nu ⸢pasu̥kuri⸣ru ʔu⸢tunu suŋ] (何かが爆発する<弾ける>音がする<聞こえる>)。 ノー⸢ンヌ⸣ ウ⸢トゥン⸣ サ⸢ヌ [noː⸢nnu⸣ u⸢tun⸣ sa⸢nu] (何の音もしない<聞こえない>)。 ア⸢シツァ⸣ヌ ウ⸢トゥヌ スー⸣カー ⸣ンジ ⸣クー [ʔa⸢ʃiʦa⸣nu ʔu⸢tunu suː⸣kaː ⸣ʔnʤi ⸣kuː] (下駄の音がしたら<聞こえたら>出て来い)。 9289 2 1 8790 htmvoc_9289.wav スン ⸢スン [⸢suŋ] 他動 {PoS_2}動作を行う。「~登り立ち国見を為者<スレバ>~。万、2」の義。 シ⸢グトゥ スンティ ベー [ʃi⸢gutu sunti beː] (仕事をしようとしている)。 シ⸢グトー シー⸣ ミサンティ ア⸢ズンドゥ ピッ⸣チン ⸢サンバン [ʃi⸢gutoː ʃiː⸣ misanti ʔa⸢ʣundu ⸢pit⸣ʧin ⸢sambaŋ] (仕事はしてもよいと言うんだが、ちっともしないよ)。 シ⸢グトゥ スー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンバ ワー シェー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢gutuː suː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːmba waː ʃeː⸣ misamunu] (仕事をする人はいないから、君がすればよいのに)。 ヤー⸢ディン シー [jaː⸢diŋ ʃiː] (必ずしなさい)。{Mn_1}動詞の連用形に係助詞⸣ヤー[⸣jaː](~は)、副助詞⸣ツァン[⸣ʦaŋ](すら{EOS}さえ)を介して補助動詞的に用いられる。 ⸣パレー ⸢スン⸣カヤー [⸣pareː ⸢suŋ⸣kajaː] (行くだろうか<行きはするだろうか>)。 ⸣パリンツァン サ⸢ヌ [⸣parinʦan sa⸢nu] (行きだにも<すら>しない)。 ⸣ドゥーシ ⸢シール スー [⸣duːʃi ⸢ʃiːru suː] (自分でする<しぞ する>)。 9289 2 2 8791 htmvoc_9289.wav スン ⸢スン [⸢suŋ] 他動 {Mn_2}動詞の連用形に形容詞型助動詞⸣プサン[⸣pu̥saŋ](~欲しい{EOS}~たい)の語幹を介して補助動詞的に用いられる。 カ⸢キ⸣プサ ⸢スン [kḁ⸢ki⸣pu̥sa ⸢suŋ] (書きたがる{EOS}書き欲しさする)。 バ⸢カ⸣ヤムイサ ⸢スン [ba⸢ka⸣jamuisa ⸢suŋ] (恥ずかしがる{EOS}恥ずかしさ思いする)。 9289 2 3 8792 htmvoc_9289.wav スン ⸢スン [⸢suŋ] 他動 {Mn_3}動詞の未然形に、名詞⸢ン⸣パ[⸢m⸣pa](否)を介して、「~したがらない」の意を表す。 カ⸢カン⸣パー ⸢スン [kḁ⸢kam⸣paː ⸢suŋ] (書きたがらない) 9290 0 0 8793 htmvoc_9290.wav スン ⸣スン [⸣suŋ] 助動 する。させる。スンの未然形サが動詞の未然形に下接して使役を表す。 カ⸢リン ジー⸣ カ⸢カ⸣サ [ka⸢rin ʤiː⸣ kḁ⸢ka⸣sa] (彼に字を書かせよう)。 カ⸢リン⸣ ティ⸢ガ⸣ミ カ⸢カ⸣シ ⸣ミサンカヤー [ka⸢rin⸣ ti⸢ga⸣mi kḁ⸢ka⸣ʃi ⸣misaŋkajaː] (彼に手紙を書かせてもいいのかね)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢カ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ カ⸢カ⸣スムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢ka⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du kḁ⸢ka⸣su ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (もっと書かせようと思うが、書かせるものがない)。 カ⸢リン⸣ カ⸢カ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ka⸢riŋ⸣ kḁ⸢ka⸣ʃeː ⸣misamunu] (彼に書かせばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ カ⸢カ⸣シ [jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢ka⸣ʃi] (必ず、きっと書かせろ)。 ウ⸢リン ジー⸣ カ⸢カシ⸣ター マ⸢チ⸣ガイ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢rin ʤiː⸣ kḁ⸢kaʃi̥⸣taː ma⸢ʧig⸣ai ⸢naː⸣nu] (彼に字を書かせたらば、間違えてしまった) 9291 0 0 8794 htmvoc_9291.wav スン ⸣スン [⸣suŋ] 名 損。欠損。利を失うこと。そこなうこと。 ⸢ワー⸣ ムニ シ⸢キティ⸣ スン ⸢シーナー⸣ヌ [⸢waː⸣ muni ʃi̥⸢kiti⸣ suŋ ⸢ʃiː naː⸣nu] (君のいうことを聞いて損してしまった)。 ⸢スン⸣マー ⸢サーサンバー⸣ クビシ ⸣バン ⸢カーシ⸣ ッ⸢ふィーララヌ [⸢sum⸣maː ⸢saːsambaː⸣ kubiʃi ⸣baŋ ⸢kaːʃi⸣ f⸢fiːraranu] (損はさせないから、これだけで私に売ってくれないか) 9292 0 0 8795 htmvoc_9292.wav スン ⸣スン [⸣suŋ] 助数 寸(約3,03センチメートル)。尺貫法の長さの単位。標準語からの借用語。民間では人差し指の第一関節から第二関節までの長さを基準として用いた。⸣ブシ[⸣buʃi](節)ともいう。⸢イッスン⸣クギ[⸢ʔissuŋ⸣kugi](一寸釘{EOS}壁板用の釘)、⸢サンズン⸣クギ[⸢sanʣuŋ⸣kugi](三寸釘{EOS}建築用の釘)、⸢ゴッスンクギ[⸢gossuŋkugi](五寸釘{EOS}建築用の釘)などがある。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢クン⸣ プ⸢スム⸣トーラ ⸢ヨンスンカクヌ⸣ パラー ⸢ギュームトゥ⸣ トゥ⸢ラリ⸣ワ [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢kum⸣ pu̥⸢sumu⸣toːra ⸢jonsuŋkakunu⸣ paraː ⸢gjuːmutu⸣ tu⸢rari⸣wa] (この福木1本から四寸角の柱が何本取れるか) 9311 0 0 8796 htmvoc_9311.wav ズン ⸢ズン [⸢ʣuŋ] 名 順序。順番。道筋。 ⸢クン⸣ネヌ ⸢キョーダイ⸣サー トゥ⸢シ⸣ヌ ⸢ズンニル⸣ ビ⸢ロー⸣ルツォー [⸢kun⸣nenu ⸢kjoːdai⸣saː tu̥⸢ʃi⸣nu ⸢ʣunniru⸣ bi⸢roː⸣ruʦoː] (この家の兄弟たちは年齢の順にお座りになるそうだ) 9293 0 0 8797 htmvoc_9293.wav ズンガチ ⸢ズンガ⸣チ [⸢ʣuŋga⸣ʧi] 名 十月。 ⸢ズンガ⸣チナー シ⸢チ⸣トゥ タ⸢ナドゥル⸣ヌ ⸢マーリ⸣ クーン [⸢ʣuŋga⸣ʧinaː ʃi̥⸢ʧi⸣tu ta⸢naduru⸣nu ⸢maːri⸣ kuːŋ] (十月には節祭りと種取り祭が回ってくる) 9294 0 0 8798 htmvoc_9294.wav ズンガチカジマール ⸢ズンガチカジマー⸣ル [⸢ʣuŋgaʧikaʤimaː⸣ru] 名 十月の時化。十月に天気が崩れて時化やすいこと。「十月風回り」の義。十月には、風向がにわか<俄か>に東南から北に回って雨を伴った強風がたたきつけて時化ること。 ⸢ズンガチカジマー⸣ロー ⸢アッ⸣タニ ⸢オシキヌ⸣ ヤ⸢ビ⸣ルンダ ⸢キー⸣ シ⸢キラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʣuŋgaʧikaʤimaː⸣roː ⸢ʔat⸣tani ⸢ʔoʃi̥kinu⸣ ja⸢bi⸣runda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (十月風回りは急に天気が崩れる<破れる>から、気をつけないといけない) 9310 0 0 8799 htmvoc_9310.wav ズンガチタイフー ⸢ズンガチタイ⸣フー [⸢ʣuŋgaʧitai⸣ɸuː] 名 十月台風。十月に吹く台風は大型台風になることがあるので、恐れられている。⸢ズングヮチタイ⸣フーとも言う。 ⸢ズンガチタイフー⸣ヤ マ⸢ギタイ⸣フーティ ア⸢ザリブーバ⸣ ユー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢ʣuŋgaʧitaiɸuː⸣ja ma⸢gitai⸣ɸuːti ʔa⸢ʣaribuːba⸣ juː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (十月台風は大型台風といわれているので、よく気をつけろよ) 9296 0 0 8800 htmvoc_9296.wav ズンガチニンガイ ⸢ズンガチニン⸣ガイ [⸢ʣuŋgaʧiniŋ⸣gai] 名 十月祈願祭。 ⸢ズンガ⸣チナー ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ ⸢ズンガチニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タン [⸢ʣuŋga⸣ʧinaː ⸢ʔuinu⸣ʔugannaːti ⸢ʣuŋgaʧiniŋ⸣gai ⸢soːt⸣taŋ] (旧暦十月には友利御嶽で十月祈願祭を執り行われた) 9297 0 0 8801 htmvoc_9297.wav スンカブル ⸢スンカブ⸣ル [⸢suŋkabu⸣ru] 名 欠損。損失。「損被り」の義。鳩間方言では、中舌母音 [i̥] → [u] の変化に伴って、[ri̥]が[ru]となる。 ⸢ダイヌ ヤッ⸣サンダ マ⸢ナ⸣マー ⸢カース⸣カー ⸢スンカブ⸣ル ⸢シースバ⸣ ア⸢バティ カーサンドー⸣シ ⸢ダイヌ⸣ ムトゥンケン ⸣マティバ [⸢dainu jas⸣sanda ma⸢na⸣maː ⸢kaːsu⸣kaː ⸢suŋkabu⸣ru ⸢ʃiːsuba⸣ ʔa⸢bati kaːsandoː⸣ʃi ⸢dainu⸣ mutuŋkem ⸣matiba] (値段が安いので、今売ると欠損するから急いで売らないで、値段が持ち直すまで待てよ) 9298 0 0 8802 htmvoc_9298.wav スンカブルスン ⸢スンカブ⸣ル ⸢スン [⸢suŋkabu⸣ru ⸢suŋ] 連 欠損する。「損被りする」の義。 ⸣アイニ シ⸢ティカー⸣シ ⸢スー⸣カー ⸢スンカブ⸣ル ⸢スン⸠ダー [⸣ʔaini ʃi̥⸢tikaː⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ⸢suŋkabu⸣ru ⸢sun⸠daː] (あんなに捨て売りすると欠損<損被り>するぞ) 9300 0 0 8803 htmvoc_9300.wav スンカンマカル ⸣スンカンマカル [⸣suŋkammakaru] 名 食器の一種。筍干お碗。飯茶碗より大型の焼き物。豚肉や魚肉、野菜のあつもの(羹)を盛るのに用いる器。「汁碗の大振りなもの、丼のやや小振りなものを『しゅんかん』と唱えている。筍羹は唐音で、本来は料理の名から容器の名に転じたものである」『南島論考』という。法事の際には飯を盛る器として用いられる。「筍羹、筍干」の義。 ⸢イー⸣バ ⸣スンカンマカルナー ム⸢リティ⸣ マ⸢ツォー⸣ルン [⸢ʔiː⸣ba ⸣suŋkammakarunaː ʔi⸢riti⸣ ma⸢ʦoː⸣ruŋ] (ご飯<飯>を筍干お碗<まがり>に入れて供え<祀>られる) 9312 0 0 8804 htmvoc_9312.wav スンキンザスン ⸢スンキンザ⸣スン [⸢suŋkiʔnʣa⸣suŋ] 他動 引きずり出す。無理に引っ張り出す。⸢サンギンザ⸣スン[⸢saŋgiʔnʣasuŋ](引っ張り出す)ともいう。 ⸢ヤーン⸣ ナカナー ク⸢マ⸣リ ⸢ベー⸣ムヌバ ⸢スンキンザ⸣スンティ ⸢スンドゥ スンキンザサラ⸣ヌ [⸢jaːn⸣ nakanaː ku⸢ma⸣ri ⸢beː⸣ munuba ⸢suŋkiʔnʣa⸣sunti ⸢sundu suŋkiʔnʣasara⸣nu] (家の中に引き籠もっている者を引きずり出そうとするが、引きずり出されない)。 ⸢スンキンザ⸣シ ⸣ミサカー ⸢スンキンザ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢suŋkiʔnʣa⸣ʃi ⸣misakaː ⸢suŋkiʔnʣa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (引きずり出して良ければ、引きずり出すことは出来る) 9301 0 0 8805 htmvoc_9301.wav ズングニチ ⸢ズングニ⸣チ [⸢ʣuŋguni⸣ʧi] 名 十五日。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチナー トゥ⸢クニトゥ ザートゥク⸣ヌ ⸣マイヤー ⸢サーサー⸣ドー カ⸢カソーラン⸣シェン [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧinaː tu̥⸢kunitu ʣaːtuku⸣nu ⸣maijaː ⸢saːsaː⸣doː kḁ⸢kasoːraŋ⸣ʃeŋ] (朔日と十五日には仏壇と床の間の神前には茶湯を欠かされなかった) 9302 0 0 8806 htmvoc_9302.wav ズングニチシキ ⸢ズングニチ⸣シキ [⸢ʣuŋguniʧi⸣ʃi̥ki] 名 十五日の月。満月。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣シケー ⸢ズングニチ⸣シキ ヤ⸢レー⸣ティル ⸣アイニ ⸢カイ⸣ヤバン⸢ナー [⸢kjuː⸣nu ⸣ʃi̥keː ⸢ʣuŋguniʧi⸣ʃi̥ki ja⸢reː⸣tiru ⸣ʔaini ⸢kai⸣jaban⸢naː] (今日の月は十五日の月<満月>だったので<ぞ>あんなに美しいのだね) 9303 0 0 8807 htmvoc_9303.wav ズングニチズー ⸢ズングニチ⸣ズー [⸢ʣuŋguniʧi⸣ʣuː] 名 旧暦十五日の大潮。 ⸢ズングニチズー⸣ヤ ⸣ユー ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスンダ ピ⸢ザ⸣キ ⸢バー⸣キン タ⸢ク⸣ トゥリン パ⸢ラ⸣リン [⸢ʣuŋguniʧiʣuː⸣ja ⸣juː⸢suː⸣nu ⸣pi̥sunda pi⸢ʣa⸣ki ⸢baː⸣kin tḁ⸢ku⸣ turim pa⸢ra⸣riŋ] (旧暦15日の大潮は、よく潮が引くのでピザキ<北西の干瀬>まで蛸獲りに行ける) 9304 0 0 8808 htmvoc_9304.wav ズングヤー ⸢ズング⸣ヤー [⸢ʣuŋgu⸣jaː] 名 十五夜。旧暦八月十五日。⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](すすき)とイ⸢ツァン⸣パイキー[ʔi⸢ʦam⸣paikiː](マサキ<正木>)を活け、⸣グシ[⸣guʃi](御酒)、⸣パナ[⸣pana](花米)、フ⸢チャ⸣ギ[ɸu̥⸢ʧa⸣gi](煮た小豆を円筒形の餅にまぶ<塗>したもの)を供えて月見の祭りをし、家族の健康祈願をして酒宴を開いた。フ⸢カン⸣ガイ[ɸu̥⸢kaŋ⸣gai](糊状の餅{EOS}碗に入れて食した{EOS}「吹き上がり餅」の義か)は、特に女性が夫の品行を中秋の名月の光で写し取る餅として、お碗に入れて食したという。子供達はご馳走を作ってもらい、友人達と遅くまで月見をして遊んだ。 ⸢ズングヤー⸣ヤー フ⸢チャ⸣ギン フ⸢カン⸣ガイン ⸣ウサイン ス⸢コーリティ⸣ ミ⸢ナ⸣カナー ム⸢ス⸣バ シ⸢キ⸣ グシパナン マ⸢チティ⸣ シ⸢キマチ⸣リ ⸢ソーッ⸣タ [⸢ʣzuŋgujaː⸣ja ɸu̥⸢ʧa⸣giŋ ɸu̥⸢kaŋ⸣gaiŋ ⸣ʔusain su̥⸢koːriti⸣ mi⸢na⸣kanaː mu⸢su⸣ba ʃi̥⸢kiti⸣ guʃipanam ma⸢ʧiti⸣ ʃi̥⸢kimaʧi⸣ri ⸢soːt⸣ta] (十五夜は、フチャギ餅もフカンガイ餅もご馳走も作り準備して、庭には蓆を敷いて御酒や花米も供え祭って月見の祭りをされた) 9306 0 0 8809 htmvoc_9306.wav ズングヤームチ ⸢ズングヤー⸣ムチ [⸢ʣuŋgujaː⸣muʧi] 名 十五夜の餅。十五夜には、フ⸢チャ⸣ギ[ɸu̥⸢ʧa⸣gi](円筒形の餅に小豆を塗したもの)やフ⸢カン⸣ガイ[ɸu̥⸢kaŋ⸣gai](糊状の餅)を作って月見をした 9307 0 0 8810 htmvoc_9307.wav スングラリン ⸢スングラリン [⸢suŋgurariŋ] 連 鞭打たれる。鞭などで殴られる。⸢スングルン[⸢suŋguruŋ](鞭打つ{EOS}殴る)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる{EOS}られる)が下接して形成された受身動詞、可能動詞。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ア⸢サビ ベー⸣ルカ ⸣ウヤン ⸢スングラリン⸣ダー [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔa⸢sabi beː⸣rukaː ⸣ʔujan ⸢suŋgurarin⸣daː] (仕事をしないで遊んでいると親に殴られるぞ)。 ⸢バン⸣ヌン ⸢スングラリン [⸢ban⸣nun ⸢suŋgurariŋ] (私も殴られる{EOS}私も殴ることが出来る) 9308 0 0 8811 htmvoc_9308.wav スングルン ⸢スングルン [⸢suŋguruŋ] 他動 むちうつ(鞭打つ)。殴る。鞭打って教える。 ⸢スングルンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣ ッ⸢ふァバ スングレー⸣ ナ⸢ラン⸣バティ ⸣ウムイ ⸢スングランシェン [⸢suŋgurunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ ʔu⸢ja⸣nu bu⸢raːŋ⸣ f⸢faba suŋgureː⸣ na⸢ram⸣bati ⸣ʔumui ⸢suŋguraŋʃeŋ] (鞭打とうとしたが、親のいない子を鞭打ってはいけないと思い、鞭打たなかった)。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢スングラリン⸣ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː ⸢suŋgurarin⸣daː] (悪いことをしたら鞭打たれるぞ)。 シゥ⸢カン⸣カー ⸢スングリ⸣ ナ⸢ラー⸣シ [si̥⸢kaŋ⸣kaː ⸢suŋguri⸣ na⸢raː⸣ʃi] (聞き入れなければ鞭打って教えなさい)。 プ⸢ス スングル プソー⸣ ドゥーン ⸢スングリ [pu̥⸢su suŋguru⸣ pu̥⸢soː⸣ duːn ⸢suŋguri] (他人を鞭打つ人は、己をも鞭打て) 9309 0 0 8812 htmvoc_9309.wav ズングヮチ ⸢ズングヮ⸣チ [⸢ʣuŋgwa⸣ʧi] 名 十月。若年層は、⸢ズンガ⸣チ[⸢ʣuŋga⸣ʧi](十月)ともいう。 ⸢ズングヮ⸣チナーヤ ⸢ズングヮチニンガイ⸣トゥ タ⸢ナドゥルヌ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢ʣuŋgwa⸣ʧinaːja ⸢ʣuŋgwaʧiniŋgai⸣tu ta⸢nadurunu⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (旧暦十月には十月祈願と種取祭が来られる) 9313 0 0 8813 htmvoc_9313.wav ズンサ ⸢ズン⸣サ [⸢ʣun⸣sa] 名 巡査。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ズンサ⸣ヨ イッ⸢ケン⸣ ウ⸢バウタン [ja⸢ra⸣beː ⸢ʣunsa⸣joː ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢bautaŋ] (子供は巡査を非常に怖がった) 9316 0 0 8814 htmvoc_9316.wav スンスン ⸣スン ⸢スン [⸣sun ⸢suŋ] 連 損する。損をする。失う。 ク⸢レー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢カーサン⸣カー ⸣スン ⸢スン⸠ダー [ku⸢reː⸣ ma⸢na⸣ma ⸢kaːsaŋ⸣kaː ⸣sun ⸢sun⸠daː] (これは今売らないと損するよ)。 ⸣スン サ⸢バン⸣ ミサン [⸣sun sa⸢bam⸣ misaŋ] (損しても良い) 9315 0 0 8815 htmvoc_9315.wav ズンズン ⸢ズンズン [⸢ʣunʣuŋ] 名 (地名)鳩間島の西北のタ⸢チ⸣バル[tḁ⸢ʧi⸣baru](立原)の海岸と、東北のフ⸢カバ⸣カ[ɸu̥⸢kaba⸣ka](そとわか<はか>)の海岸にある、干瀬の頂き部から礁内湖へ移る境界地点で、約30センチ程の段差のある珊瑚礁地帯の名。潮が引く時、海水が⸢フンシキ[⸢ɸuŋʃi̥ki](地名{EOS}礁内湖)の方へ落ちるように流れていくところ。東のズンズンの海水は、ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ]の方へ流れ落ちていくところ。 ⸢インタヌ ズンズンマー フンシケーラ⸣ ン⸢ベーマ⸣ タ⸢カー⸣ンダー ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスピンマー ⸢スー⸣ヤ ウ⸢ティ⸣ルカタチニル ⸢ナー⸣リパル [⸢ʔintanu ʣunʣummaː ɸuŋʃi̥keːra⸣ ʔm⸢beːma⸣ tḁ⸢kaː⸣ndaː ⸢suː⸣nu ⸣pi̥su ⸣pimmaː ⸢suː⸣ja ʔu⸢ti⸣ru ⸣kḁtaʧiniru ⸢naː⸣ri ⸣paru] (西のズンズンはフンシキから少し高いので、潮が引くときは海水が落ちるように流れていく) 9319 0 0 8816 htmvoc_9319.wav スントー ⸢スントー [⸢suntoː] 名 村長。「村頭」の義。明治30年、蔵元制度が廃止となり、八重山を一間切りとし、その下に一村、あるいは二、三の村を置いた。間切長を島司(とうじ)と称した。村の長を村頭と称し、間切長の代理をつとめた『石垣方言辞典』。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢スントー ソー⸣レー プ⸢ソー オーラ⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢suntoː soː⸣reː pu̥⸢soː ʔoːra⸣nu] (鳩間島には村頭をされた人はいらっしゃらない) 9317 0 0 8817 htmvoc_9317.wav スントゥク ⸣スントゥク [⸣suntuku] 名 損得。損と得。利害。 ⸣スントゥクヌ ⸢ナーン⸣ヨーニ ムー⸢ル マータキナー⸣ バキバ [⸣suntu̥kunu ⸢naːɲ⸣joːni muː⸢ru maːtakinaː⸣ bakiba] (損得がないように、みんな同じように均等に分けなさいよ) 9320 0 0 8818 htmvoc_9320.wav ズンニ ⸢ズンニ [⸢ʣunni] 副 誠に。本当に。真に。実に。 ウ⸢リヌ スー⸣クトー ⸢ズンニ⸣ ピ⸢ルマサ⸣ヌ ナ⸢ランヌ [ʔu⸢rinu suː⸣ ku̥toː ⸢ʣunni⸣ pi⸢rumasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (その人のすることは真に珍しくてならない)。 ⸢ワー ズンニ⸣ ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ スンティ⸣ ウ⸢ムーン [⸢waː ʣunni⸣ ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu sunti⸣ ʔu⸢muːŋ] (君は本当にこの仕事をしようと思うか) 9321 0 0 8819 htmvoc_9321.wav ズンバン ⸢ズンバン [⸢ʣumbaŋ] 名 順番。 パ⸢トゥ⸣マナーテー ナ⸢チヌ ペーレーヌ⸣ ピンマー ⸢カーヌ ズンバン⸣ トゥリシキティ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢バン⸣ヌ ⸢クーバ⸣ル ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ フ⸢マリタ⸣ダー [pḁ⸢tu⸣manaːteː na⸢ʧinu peːreːnu⸣ pimmaː ⸢kaːnu ʣumban⸣ turiʃi̥kiti ⸢duː⸣nu ⸢ban⸣nu ⸢kuːba⸣ru ⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤeː⸣ ɸu⸢marita⸣daː] (鳩間島では、夏の旱魃の時には井戸の順番を取っておいて、自分の番が来たらばこそ<ぞ>井戸の水は汲めたのだよ) 9322 0 0 8820 htmvoc_9322.wav ズンミチ ⸢ズンミチ [⸢ʣummiʧi] 名 人間の踏み行うべき正しい道。正道。公道。「じゅんどう(順道)」の義。 ⸢ワー⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ゾー⸣ル ⸢トゥー⸣ル ⸢スール ズンミチティ バン⸣マー ウ⸢モー⸣リ [⸢waː⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸢tuː⸣ru ⸢suːru ʣummiʧiti bamma⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (君の話を聞くと、親のおっしゃる通りにすることが正道だと私には思われる) 9323 0 1 8821 htmvoc_9323.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 名 {Mn_1}正気。意識。自覚。 ⸣ユベー ⸢ソー⸣ シ⸢ティルン⸣ケン サ⸢キバ⸣ ヌミティ ノー⸢ン⸣ ッ⸢サン⸠ツォー [⸣jubeː ⸢soː⸣ ʃi̥⸢tiruŋ⸣ken sḁ⸢kiba⸣ numiti noː⸢n⸣ s⸢san⸠ʦoː] (昨夜は意識<正気>を失う<棄てる>ほど酒を飲んで、何も覚えていない<知らない>そうだ)。 ニ⸢チ⸣ヌ サ⸢マル⸣ター ⸢ソー⸣ シケーン [ni⸢ʧi⸣nu sa⸢maru⸣taː ⸢soː⸣ ʃi̥keːŋ] (熱が下がったので意識が戻った<正気が付いた>)。 9323 0 2 8822 htmvoc_9323.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 名 {Mn_2}根性。精神が正常であること。気が確かであること。身にしみて感じる。身に応える。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸣クトゥシ ⸢ソー⸣ イ⸢リリ⸠ダー [⸢kundu⸣nu ⸣ku̥tuʃi ⸢soː⸣ ʔi⸢riri⸠daː] (今度の件<こと>で根性を叩きなおせ<自覚しろ{EOS}根性を入れろ>よ)。 9323 0 3 8823 htmvoc_9323.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 名 {Mn_3}正しい判断力。 ⸢ソーヤ ナーン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ アーク⸣ナ [⸢soːja naːm⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaːku⸣na] (まともでない<正しい判断力のない>話を<物言い>をしている<してあるく>な) 9324 0 1 8824 htmvoc_9324.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 名 {Mn_1}性。たち。先天的な性質。 ウ⸢ヌ ソーバ⸣ ウ⸢キ⸣ル マ⸢リ⸣ケーユンダ ⸢ティー フコー⸣バティ ⸣ドゥク イ⸢ズナ⸣ヨー [ʔu⸢nu soːba⸣ ʔu⸢ki⸣ru ma⸢ri⸣keːjunda ⸢tiːɸu̥koː⸣bati ⸣duku ʔi⸢ʣuna⸣joː] (その性を受け継いで生まれてきたのだから、動作が敏捷でない<手早くない>からといって、あまり叱るなよ)。 9324 0 2 8825 htmvoc_9324.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 名 {Mn_2}あいしょう(相性)。 ウ⸢リトー ソーヌ アーン⸣ティ ⸢シール⸣ バ⸢カル⸣タツォー [ʔu⸢ritoː soːnu ʔaːn⸣ti ⸢ʃiːru⸣ ba⸢karu⸣taʦoː] (彼とは相性が良くない<性が合わない>といって別れたそうだ) 9325 0 1 8826 htmvoc_9325.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 名 {Mn_1}消息。便り。様子。老年層は⸢サウ[⸢sau](消息{EOS}便り)を多用する。「左右<音信、たより>、其の左右を今や今やと待ちける~『太平記』」の転訛。 ウ⸢キナー⸣ヌ ッ⸢ふァンケー⸣ヌ ⸢ソーヤ(⸢サウヤ)シ⸢キミッタン [ʔu⸢kinaː⸣nu f⸢faŋkeː⸣nu ⸢soːja(⸢sauja) ʃi̥⸢kimittaŋ] (沖縄の子供達の消息は聞いてみたか)。 9325 0 2 8827 htmvoc_9325.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 名 {Mn_2}心配。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ムー⸢ル スー⸣タイ ⸣ムティ ⸢パッ⸣ター ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣biŋkeːm muː⸢ru suː⸣tai ⸣muti ⸢pat⸣taː noː⸢n soːja naː⸣nu] (子供達も皆所帯をもって独立していったので何も心配はない) 9326 0 0 8828 htmvoc_9326.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 接頭 本当の。本物の。立派な。「しょう<正>」の義 9342 0 0 8829 htmvoc_9342.wav ソー ⸢ソー [⸢soː] 名 心配。 ウ⸢リヌ⸣ クトー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ku̥toː ⸢soːja naː⸣nu] (彼<それ>のことは心配ない)。 ⸢ソー⸣ ス⸢ナ⸠ヨー [⸢soː⸣ su⸢na⸠joː] (心配するなよ)。 ⸢ソー シーベー [⸢soː ʃiː beː] (心配している)。 ⸢ソーバ シー⸣ ニ⸢バランシェン [⸢soːba ʃiː⸣ ni⸢baraŋʃeŋ] (心配して眠れなかった) 9338 0 0 8830 htmvoc_9338.wav ゾー ⸣ゾー [⸣ʣoː] 名 門の外の道。 ⸣ゾーナーティ ア⸢サビ [⸣ʣoːnaːti ʔa⸢sabi] (門の外の道で遊べ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ゾーナーティ ア⸢ツァ⸣マリ ドゥ⸢シザーン⸣ナリ ア⸢サビベー [ja⸢ra⸣beː ⸣ʣoːnaːti ʔa⸢ʦa⸣mari du⸢ʃiʣaːn⸣nari ʔa⸢sabibeː] (子供は門の外の路で集まって、友達同士で遊んでいる)。 ⸢ゾー⸣ヤ ⸢ペーラフチ⸣ヌ ⸣フカンタヌ ミチ⸢ダー [⸢ʣoː⸣ja ⸢peːraɸuʧi⸣nu ⸣ɸu̥kantanu miʧi⸢daː] (ゾーは門<入り口>の外側の道だよ) 9339 0 0 8831 htmvoc_9339.wav ゾー ⸢ゾー [⸢ʣoː] 感 さあ。さあさあ。どうぞ。物を差し上げる時や、目上の人を誘ったり、せきたてたりするときに発する語。 ⸢ゾー⸣ ン⸢コー⸣リバ [⸢ʣoː⸣ ʔŋ⸢koː⸣riba] (さあ、召し上がりなさいまし)。ゾー⸢ゾー⸣ マー⸢ズン オー⸣ラ[ʣoː⸢ʣoː⸣ maː⸢ʣuŋ ʔoː⸣ra](さあさあ、一緒に参り<行くの尊敬語{EOS}いらっしゃる{EOS}「\ruby{御座}{オ|ハ}し」のラ行四段化したもの{EOS}未然形{EOS}勧誘>)ましょう。 ゾー⸢ゾー⸣ ン⸢コー⸣リ [ʣoː⸢ʣoː⸣ ʔŋ⸢koː⸣ri] (さあさあ、お召し上がり<ン⸢キ{SqBr}ʔŋki{/SqBr}<⸢食べる」の尊敬動詞の命令形>が付いた形{EOS}>ください) 9343 0 0 8832 htmvoc_9343.wav ゾー ⸢ゾー [⸢ʣoː] 接頭 上の。上等の。上質の。すばらしい。 ⸢ウン⸣ネーヤ メー ⸢ゾー⸣キナイ⸢ゲ⸣ラ [⸢ʔun⸣neːja ⸣meː ⸢ʣoː⸣kinai⸢ge⸣ra] (その家は、もう資産家<上流の家庭>さ)。 ⸣ウビ ⸢シーシェー⸣カー ⸢ゾーパタラ⸣キ ⸢ナー [⸣ʔubi ⸢ʃiːʃeː⸣kaː ⸢ʣoːpatara⸣ki ⸢naː] (これだけ出来たらいい働き<上働き>だねえ) 9344 0 0 8833 htmvoc_9344.wav ゾーイ ゾー⸢イ [ʣoː⸢i] 副 陳述副詞。とても~<ない>。とうてい~<ない>。なかなか~<ない>。けっして~<ない>。下に照応する形式で否定表現を伴い、その否定表現に先行して強く否定する陳述を誘導する職能を有する。 ⸣バー ウ⸢リン ⸣カタチネー ゾー⸢イ⸣ カ⸢キユーサ⸣ヌ [⸣baː ʔu⸢riŋ⸣kataʧineː ʣoː⸢i⸣ kḁ⸢kijuːsa⸣nu] (私は彼のようには、とても書けない<書き得ない>)。 ゾー⸢イ⸣ カ⸢ナー⸣ヌ [ʣoː⸢i⸣ ka⸢naː⸣nu] (とうてい叶わない<勝てない>) 9345 0 0 8834 htmvoc_9345.wav ソーイラー ⸢ソーイラー [⸢soːʔiraː] 名 利口者。しっかり者。「根性の入った者」の義。老年層は、⸢ソーイリムヌ[⸢soːʔirimunu](利口者)ともいう。 ⸢ソーイラー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リン⸣ タ⸢ナ⸣ムカー マ⸢チガイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [⸢soːʔiraː⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rin⸣ ta⸢na⸣mukaː ma⸢ʧigai⸣jaː ⸢naː⸣nu] (しっかり者だから、彼<それ>に頼んだら間違いはない) 9346 0 1 8835 htmvoc_9346.wav ソーイルン ⸢ソー イルン [⸢soː ʔiruŋ] 連 {Mn_1}利口になる。根性がしっかりする。「性根(根性)が入る」の義。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ イッ⸢ケナ ソー イリ マイフナー ユン [ku⸢nu ffaː⸣ ʔik⸢kena soː ʔiri maifunaː juŋ] (この子は性根が入ってしっかりしていて立派だ)。 9346 0 2 8836 htmvoc_9346.wav ソーイルン ⸢ソー イルン [⸢soː ʔiruŋ] 連 {Mn_2}思い知る。悟り知る。身にしみてわかる。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸣クトゥシェー ⸢ソー イレーン⸣パジ [⸢kundu⸣nu ⸣ku̥tuʃeː ⸢soːʔireːm⸣paʤi] (今度のことで思い知った<身にしみて分かった>ことだろう) 9347 0 0 8837 htmvoc_9347.wav ソーウキ ⸢ソーウキ [⸢soːʔuki] 名 ぼんやりすること。あっけにとられること。茫然自失になること。 ⸣イロー ⸣ッサイ ⸢ソーウキティ⸣ ナー⸢イ⸣ タティ ⸢ベー [⸣ʔiroː ⸣ssai ⸢soː ʔukiti⸣ naː⸢i⸣ tati ⸢beː] (顔面蒼白になり、茫然自失の状態でただ立っている) 9348 0 0 8838 htmvoc_9348.wav ソーウクン ⸢⸢ソーウクン [⸢soːʔukuŋ] 自動 慌てふためく。うろたえる(狼狽える)。茫然自失になる。あっけにとられる。 ウ⸢ヌサウバ⸣ シ⸢キティル ソーウキティ⸣ イロー ⸣ッサイ ⸢ベーン⸣ティ [ʔu⸢nu sauba⸣ ʃi̥⸢kitiru soːʔukiti⸣ ʔiroː ⸣ssai ⸢beːn⸣ti] (その知らせを聞いてあっけにとられて<うろたえて>、顔面蒼白になっているさ)。 ⸢ソーウクン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ソートー⸣<⸢サウトー> ア⸢タラン ソーウク⸣ クトー ⸢ナーン⸣シェン [⸢soːʔukuŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢soːtoː⸣<⸢sautoː> ʔa⸢taran soːʔuku⸣ ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (慌てふためく<うろたえる>と思ったが、心配とはうらはらに慌てふためくことはなかった)。 ⸢ソーウカンドー⸣シ ウ⸢ティ⸣シキティ ッ⸢ふァヌ⸣ ニチ サ⸢マ⸣ス ⸣クトゥ ⸢カンガイ⸣リ [⸢soːʔukandoː⸣ʃi ʔu⸢ti⸣ʃi̥kiti f⸢fanu⸣ niʧi sa⸢ma⸣su ⸣ku̥tu ⸢kaŋgai⸣ri] (うろたえないで、落ち着いて子供の熱を冷ますことを考えなさい) 9349 0 0 8839 htmvoc_9349.wav ソーウヤ ⸢ソーウヤ [⸢soːʔuja] 名 実の親。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ソーウヤヌ パイ⸣サ ⸢マーラソーッター⸣ル マ⸢マウヤン⸣ ス⸢ダティラ⸣リ マ⸢ナ⸣マ ナレー⸢ダー [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢soːʔujanu pai⸣sa ⸢maːrasoːttaː⸣ru ma⸢maʔujan⸣ su⸢datira⸣ri ma⸢na⸣ma nareː⸢daː] (彼等は実の親が早くに亡くなられたので、まま親<継母>に育てられて今日になったのだよ) 9401 0 0 8840 htmvoc_9401.wav ゾーカイ ⸢ゾーカイ [⸢ʣoːkai] 名 常会。 ブ⸢ラクゾーカイ [bu⸢rakuʣoːaki] (部落常会)。ム⸢ラズリー[mu⸢raʣuriː](村揃い{EOS}集会)の義。⸢ジョーカイ[⸢ʤoːkai](常会)ともいう。標準語からの転訛。 ⸣ソンガチシキヌ ⸢ゾーカイナー⸣ル ム⸢ラギョージェー⸣ キ⸢モーッ⸣タ [⸣soŋgaʧiʃi̥kinu ⸢ʣoːkainaː⸣ru mu⸢ragjoːʤeː⸣ ki⸢moːt⸣ta] (一月<正月月>の部落常会において<ぞ>村の行事は決められた) 9350 0 0 8841 htmvoc_9350.wav ソーカニズーワン ⸢ソーカニズー⸣ワン [⸢soːkaniʣuː⸣waŋ] 連 記憶力が強い。博覧強記である。「性・勘・強い」の転訛か。 ウ⸢ヌ プソー⸣ イッ⸢ケナ ソーカニズー⸣ワン ム⸢カシ⸣ヌ ⸣クトゥン ⸢ピッ⸣チン ⸢バッスクヌ [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ ʔik⸢kena soːkaniʣuː⸣wam mu⸢kanu⸣ kutum ⸢pit⸣ʧim ⸢basu̥kunu] (彼は非常に記憶力が強い{EOS}昔のことも、何も<一つも>忘れていない) 9351 0 0 8842 htmvoc_9351.wav ソーカニパンツン ⸢ソーカニ パンツン [⸢soːkani panʦuŋ] 連 耄碌する。老人性痴呆症になる。「性・勘・外れる」の義か。カ⸢ニパンツン[ka⸢nipanʦuŋ](耄碌する{EOS}痴呆症になる{EOS}勘が外れる)ともいう。 ⸣アブジェー ⸢トー⸣カキ ⸢ソー⸣レーラー ン⸢メーマー ソーカニ パンチル オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ⸢toː⸣kaki ⸢soː⸣reːraː ʔm⸢meːmaː soːkanipanʧiru ʔoː⸣ru] (お祖父さんは米寿の祝いをされてからは少し耄碌して<痴呆症気味で>おられる) 9352 0 0 8843 htmvoc_9352.wav ソーキ ⸢ソー⸣キ [⸢soː⸣ki] 名 み(箕)。稲籾や麦、粟などを風に当てて、実と籾殻を選別するのに用いる農具。竹の皮でつくる。餅を作る際の大型の箕を、ム⸢チソーキ[mu⸢ʧisoːki](餅作り用の箕)という。その中に石臼を据えて小麦を挽くと小麦粉が製造できる。炒った小麦を挽くと、ユ⸢ナ⸣ク[ju⸢na⸣ku](麦焦がし)ができる。 ⸢マイ⸣ ッサウカー ⸢ソー⸣キナ ⸢ノー⸣シ ⸢アウ⸣リティ ⸣ヌカー トゥ⸢バシ⸣バ [⸢mai⸣ ssaukaː ⸢soː⸣kina ⸢noː⸣ʃi ⸢ʔau⸣riti ⸣nukaː tu⸢baʃi⸣ba] (米を精げたら箕にこぼし移して、箕を上下に煽って糠を飛ばしなさい) 9353 0 0 8844 htmvoc_9353.wav ゾーキ ⸢ゾーキ [⸢ʣoːki] 名 蒸気船。 ⸢ゾーケー⸣ マンタヌ ⸢トゥーラ⸣ ウ⸢ランザ⸣キ ⸢マーリ⸣ シ⸢ラ⸣ハマー ⸢ギー⸣ シ⸢キ⸣タン シ⸢ミティ タイ⸣パン ⸢パッ⸣タ [⸢ʣoːkeː⸣ mantanu ⸢tuːra⸣ ʔu⸢ranʣa⸣ki ⸢maːri⸣ ʃi⸢ra⸣hamaː ⸢giː⸣ ʃi̥⸢ki⸣taŋ ʃi⸢miti tai⸣pam ⸢pat⸣ta] (大型蒸気船は鳩間島の前の海峡<渡>から宇奈利崎を回って白浜港へ行き、石炭を積んで台湾へ行った) 9354 0 0 8845 htmvoc_9354.wav ゾーギ ⸢ゾー⸣ギ [⸢ʣoː⸣gi] 名 定規。標準語からの転訛。老年層は⸢ゾン⸣ギ[⸢ʣoŋ⸣gi]ともいう。 ⸢ゾー⸣ギシ パ⸢カ⸣リバ [⸢ʣoː⸣giʃi pḁ⸢ka⸣riba] (定規で測りなさいよ)。 ⸣サンカクゾーギン ⸣アン [⸣saŋkakuʣoːgiŋ ʔaŋ] (三角定規もある) 9356 0 0 8846 htmvoc_9356.wav ソーキスン ⸢ソー⸣ キスン [⸢soː⸣ ki̥suŋ] 連 憤激のあまり、または恐怖のあまり正気を失う。「性切る」の転訛か。 ⸣ドゥク ウ⸢ダラカサ⸣リカー ⸢ソー⸣ キスン⸢ダー [⸣duku ʔu⸢darakasa⸣rikaː ⸢soː⸣ ki̥sun⸢daː] (ひどく驚かされると正気を失うよ) 9357 0 0 8847 htmvoc_9357.wav ソーキナー ⸢ソーキナー [⸢soːkinaː] 名 (植)野菜の名。ふだんそう(不断草)。葉の形が⸢ソー⸣キ[⸢soː⸣ki](箕)に似ていることからの命名という『石垣方言辞典』。葉肉が厚く、カツオの頭と一緒に煮ると美味であった。 ⸢ソーキナーヤ⸣ ナ⸢チ⸣ナーン サ⸢カリスンダ⸣ カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブル⸣トゥ バ⸢カス⸣カー ⸣ダシ シ⸢キティ⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢soːkinaːja⸣ na⸢ʧi⸣naːn sḁ⸢karisunda⸣ kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢buru⸣tu ba⸢kasu⸣kaː ⸣daʃi ʃi̥⸢kiti⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (ふだんそう<不断草>は夏にも生い茂るからカツオの頭と炊くと出汁が効いて美味しかった) 9358 0 0 8848 htmvoc_9358.wav ソーキブニ ⸢ソーキ⸣ブニ [⸢soːki⸣buni] 名 家畜の肋骨。特に豚の肋骨。人間の肋骨は、ヤ⸢カタ⸣ブニ[ja⸢kata⸣buni](肋骨{EOS}「側骨」の義か)という。 ⸢オー⸣ヌ ⸢ソーキ⸣ブニ ⸢カイ⸣キー ⸣シジ バ⸢カシ [⸢ʔoː⸣nu ⸢soːki⸣buni ⸢kai⸣kiː ⸣ʃiʤi ba⸢kaʃi] (豚の肋骨を買ってきて、煎じてお汁を炊きなさい)。 ビ⸢キドゥモー ソーキ⸣ブニ タ⸢ラーン⸣ティ ア⸢ザリブー [bi⸢kidumoː soːki⸣buni ta⸢raːn⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (男は肋骨が一本足りない<軽率なことをする動物>といわれている) 9360 0 0 8849 htmvoc_9360.wav ソーキブニタラーヌ ⸢ソーキ⸣ブニ タ⸢ラーヌ [⸢soːki⸣buni ta⸢raːnu] 連 肋骨が足りない(⸢知恵が足りない{EOS}間が抜けている{EOS}馬鹿である」の意味)。 ビ⸢キドゥモー⸣ ム⸢カ⸣シェーラ ⸢ソーキ⸣ブニ タ⸢ラーヌ⸣ティ ア⸢ザリ ブー [bi⸢kidumoː⸣ mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢soːki⸣buni ta⸢raːnu⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (男は昔から肋骨が一本足りない、<女に騙されやすい>間抜け者といわれている) 9361 0 0 8850 htmvoc_9361.wav ソーキブニヌスー ⸢ソーキブニ⸣ヌ ⸣スー [⸢soːkibuni⸣nu ⸣suː] 連 豚の肋骨のお汁。正月やお盆の時に食することができた。 ⸢ソーキブニ⸣ヌ ⸣スー バ⸢カシ⸣ シケーバ ッ⸢ふァイティ⸣ パリバ [⸢soːkibuni⸣nu ⸣suː ba⸢kaʃi⸣ ʃi̥keːba f⸢faiti⸣ pariba] (豚の肋骨のお汁を炊いてあるから、食べて行きなさいよ) 9362 0 0 8851 htmvoc_9362.wav ソーキム ⸢ソーキム [⸢soːkimu] 名 真心。本心。「正肝」の義。 ⸣アブジェー ⸢ソーキモーラ ワーヨー⸣ ア⸢タラ⸣サ ⸢シーオー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ⸢soːkimoːra waːjoː⸣ ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (お祖父さんは本心から君を可愛がって<可惜しく思って>おられる) 9363 0 0 8852 htmvoc_9363.wav ソーキラー ⸢ソーキラー [⸢soːkiraː] 名 健忘症の人。耄碌した人。\ruby{惚}{ボケ}けた人。 ウ⸢レー ソーキラー⸣ ナリティ ム⸢ヌタナ⸣ミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː soːkiraː⸣ nariti mu⸢nutana⸣mi na⸢ra⸣nu] (あれ<彼>は健忘症<惚けた人>になって、頼み事ができない) 9365 0 0 8853 htmvoc_9365.wav ソーギリ ⸢ソー⸣ギリ [⸢soː⸣giri] 名 塩漬け乾燥した鱶肉。鱶の肉を細切りにし、塩を塗して天日乾燥したもの。「削ぎ切り」の転訛したものか。鱶の肉は油気がなく、さくさくして美味しくないが、ソーギリにしたものを火に炙って食すると独特の香りと味が出る。保存食用としてソーギリにし、石垣島の業者に売った。 サ⸢バー ソー⸣ギリ ⸢サン⸣カー ⸢カーサラヌ [sa⸢baː soː⸣giri ⸢saŋ⸣kaː ⸢kaːsaranu] (鱶肉は削ぎ切りにして塩を振って天日乾燥しないと売れ<売られ>ない)。 イ⸢ズヌ ソー⸣ギリ [ʔi⸢ʣunu soː⸣giri] (塩漬け乾燥した魚肉)。 サ⸢バソーギリ [sa⸢basoːgiri] (塩漬け乾燥した鱶肉) 9364 0 0 8854 htmvoc_9364.wav ソーキリムヌ ⸢ソーキリ⸣ムヌ [⸢soːkiri⸣munu] 名 根性のない者。恥も外聞もない人。ぼけ(惚け)かかった人。 ⸢ソーキリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢ジ⸣ ナ⸢ラーシ⸣タンティン ⸢バシキル スー [⸢soːkiri⸣munu ja⸢runda⸣ ʔi⸢ʤi⸣ na⸢raːʃi⸣tantim ⸢baʃi̥kiru suː] (根性のない者<\ruby{惚}{ボ}けた人>だから、叱って教えても忘れてしまう) 9366 0 0 8855 htmvoc_9366.wav ソーキン ⸢ソーキン [⸢soːkiŋ] 名 晴れ着。一張羅。「立派な着物」の義。フ⸢タ⸣キシキン[ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃikiŋ](普段着)の対義語。 ⸢ソーキンバ⸣ キ⸢シテー⸣ シ⸢グトー⸣ サ⸢ラヌ [⸢soːkimba⸣ ki̥⸢ʃiteː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢ranu] (晴れ着を着ては仕事は出来ない) 9369 0 0 8856 htmvoc_9369.wav ゾーキン ⸢ゾー⸣キン [⸢ʣoː⸣kiŋ] 名 雑巾。標準語からの借用語。明治生まれの老年層は、ヤ⸢リ⸣カコー[ja⸢ri⸣kakoː](ぼろ<襤褸>{EOS}「○、残帛也、也不礼加々不<やぶれかかふ>」『新撰字鏡』の転訛)を雑巾に利用した。 ⸢ゾー⸣キン ス⸢ブ⸣リ ⸣キー ⸢トゥーシ⸣ フ⸢カン⸣ノーレー [⸢ʣoː⸣kin su⸢bu⸣ri ⸣kiː ⸢tuːʃi⸣ ɸu̥⸢kan⸣noːreː] (雑巾を絞ってきて縁側を拭いてくれない<直れ>か) 9370 0 1 8857 htmvoc_9370.wav ゾーグ ⸢ゾー⸣グ [⸢ʣoː⸣gu] 名 {Mn_1}じょうご(漏斗)。ろうと(漏斗)。 ⸣アバン シ⸢タ⸣ディン ⸢ゾー⸣グシ ウ⸢ツァサン⸣カー ク⸢バ⸣スン⸢ダー [⸣ʔabaŋ ʃi̥⸢ta⸣din ⸢ʣoː⸣guʃi ʔu⸢ʦasaŋ⸣kaː ku⸢ba⸣sun⸢daː] (油も醤油も漏斗で移さないとこぼす<零す>よ)。 9370 0 2 8858 htmvoc_9370.wav ゾーグ ⸢ゾー⸣グ [⸢ʣoː⸣gu] 名 {Mn_2}上戸。特に酒や飲食物を好む人。 サ⸢キゾーグ [sa⸢kiʣoːgu] (酒上戸{EOS}酒が特に好きな人)。 ム⸢チゾーグ [mu⸢ʧiʣoːgu] (餅上戸{EOS}餅が特別好きな人)。 サ⸢キゾーグンマー⸣ サ⸢ケー⸣ ミ⸢シララ⸣ヌ サ⸢キ⸣ ミシェーラー ヌ⸢マン⸣ケンマー イッ⸢カ ヤー⸣ パ⸢ラ⸣ヌ [sḁ⸢kiʣoːgummaː⸣ sḁ⸢keː⸣ mi⸢ʃirara⸣nu sḁ⸢ki⸣ miʃeːraː nu⸢maŋ⸣kemmaː ʔik⸢ka jaː⸣ pa⸢ra⸣nu] (酒上戸には酒は見せられない{EOS}酒を見せたら飲まない限りは決して<一向に>家に帰らない) 9329 0 0 8859 htmvoc_9329.wav ソークトゥ ⸢ソークトゥ [⸢soːkutu] 名 本当のこと。事実。真実。 ウ⸢レー ソークトー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː soːkutoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (それは本当のこと<真実>ではない) 9371 0 0 8860 htmvoc_9371.wav ソーグトゥ ⸢ソーグトゥ [⸢soːgutu] 名 心配事。 ク⸢ヌ⸣ ヤーナー ⸢ソーグトー⸣ ノー⸢ン ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ jaːnaː ⸢soːgutoː⸣ noː⸢ŋ naː⸣nu] (この家には心配事は何もない) 9372 0 0 8861 htmvoc_9372.wav ゾーサーナーヌ ⸢ゾー⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʣoː⸣saː ⸢naː⸣nu] 連 造作ない。たやすい。わけはない。難しくない。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ユーヤ⸣ ム⸢ヌスク⸣ルン ⸢ヤースク⸣リン ノー⸢ン ゾー⸣サー ⸢ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ キカイシル ス⸢ク⸣ル [ma⸢nama⸣nu ⸢juːja⸣ mu⸢nusu̥ku⸣ruɲ ⸢jaːsu̥ku⸣rin noː⸢n ʣoː⸣saː ⸢naː⸣nu muː⸢ru⸣ ki̥kaiʃiru su̥⸢ku⸣ru] (今の世は農作業も家造りも何も造作ない<簡単だ>{EOS}全部機械で作る) 9373 0 0 8862 htmvoc_9373.wav ゾーサキ ⸢ゾーサキ [⸢ʣoːsaki] 名 「上酒」の義。静かに友情を温めあう飲酒。よい酒の飲み方。ン⸢マ⸣ザキ[ʔm⸢ma⸣ʣaki](暴れ酒{EOS}馬酒)の対義語。 ⸣ヌムカー ⸢ゾーサキル⸣ ヌム ン⸢マザ⸣キ ⸣ヌメー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣numukaː ⸢ʣoːsaki⸣ru ⸣numu ʔm⸢maʣa⸣ki ⸣numeː na⸢ra⸣nu] (飲むなら静かに友情を温める酒を飲むべきで、暴れる酒を飲んではならない) 9375 0 0 8863 htmvoc_9375.wav ソージ ⸢ソージ [⸢soːʤi] 名 障子。標準語からの借用語。老年層はア⸢カル[ʔa⸢karu](明かり障子)という。これは、70歳以下の人には理解語彙。鳩間島では、障子のある家は少なかった。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢ソージバ⸣ ア⸢カルティ⸣ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢soːʤiba⸣ ʔa⸢karuti⸣ ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は障子をアカルといわれた) 9377 0 0 8864 htmvoc_9377.wav ソージ ⸢ソー⸣ジ [⸢soː⸣ʤi] 名 お祓い祈願。精進潔斎して祈願すること。「精進」の転訛したもの。 パ⸢マウリソー⸣ジ [pa⸢maʔurisoː⸣ʤi] (旧暦三月の庚に行われる虫祓いの祈願{EOS}部落民こぞって桟敷に集り、模擬的な夜籠り祈願をする儀式)。 ⸢プーヌソー⸣ジ [⸢puːnusoː⸣ʤi] (稲穂の害虫祓いの祈願)。ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ソー⸣ジ[s⸢sabaː⸣nu ⸢soː⸣ʤi](稲草葉<下葉>の害虫祓いの祈願)などがある。 ⸢プーヌソー⸣ジェー ⸢マイヌ⸣ プーナ ⸣カタンドーレーヌ ム⸢シヌ⸣ シゥ⸢カン⸣ヨー ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ サ⸢カサ⸣ ティ⸢ジリ⸣ビーンケーヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーッ⸣タ [⸢puːnusoː⸣ʤeː ⸢mainu⸣ puːnaː ⸣kḁtandoːreːnu mu⸢ʃinu⸣ sï̥⸢kaɲ⸣joː ⸢ʔuinu⸣ʔugannaːti sḁ⸢kasa⸣ ti⸢ʤiri⸣biːŋkeːnu ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoːt⸣ta] (稲穂のお祓い祈願は、稲穂にバッタ<飛蝗>などの害虫が付かぬよう、友利御嶽<上のお願>で司<巫女>、テズリ部<男性神職者>の方々が祈願された) 9378 0 0 8865 htmvoc_9378.wav ソージ ⸢ソー⸣ジ [⸢soː⸣ʤi] 名 掃除。清掃。標準語からの借用語。⸢ソー⸣ジカキ[⸢soː⸣ʤikḁki](掃除)、⸣カキソージ[⸣kḁkisoːʤi](掃き掃除)ともいう。 ミ⸢ナカ⸣ヌ ⸣カキソージェー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ス⸢クブン ヤッタ [mi⸢naka⸣nu ⸣kḁkisoːʤeː ja⸢rabi⸣nu su̥⸢kubuɲ jatta] (庭の掃き掃除は子供が担当<職分>する仕事であった)。 ミ⸢ナカ⸣ヌ ⸢ソー⸣ジ シ⸢ティ ガッ⸣コー ⸣パリ [mi⸢naka⸣nu ⸢soː⸣ʤi ʃi̥⸢ti gak⸣koː ⸣pari] (庭の掃除をしてから学校へ行け) 9380 0 0 8866 htmvoc_9380.wav ソージ ⸢ソー⸣ジ [⸢soː⸣ʤi] 名 (地)西表島の船浦の奥地にある水田地帯の地名。 プ⸢サ⸣キャーヌ ⸢ソージ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤ ⸢タール⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢ブーワ [pu̥⸢sa⸣kjaːnu ⸢soːʤi⸣nu ⸢taː⸣ja ⸢taːru⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢buːwa] (冨里家のソージの田圃は誰が耕作しているのか) 9381 0 0 8867 htmvoc_9381.wav ゾージ ⸢ゾー⸣ジ [⸢ʣoː⸣ʤi] 名 上手。物事に巧みで優れていること。 ブ⸢ドゥルゾージ [bu⸢duruʣoːʤi] (踊り上手)。 ⸣ウタゾージ [⸣ʔutaʣoːʤi] (歌上手)。 ⸣アボー ⸣ウタゾージ ヤ⸢ロー⸣レーンダル ッ⸢ふァ⸣マーン ムー⸢ル⸣ ウタゾージ ⸣ナレール [⸣ʔaboː ⸣ʔutaʣoːʤi ja⸢roː⸣reːndaru f⸢fa⸣maːm muː⸢ru⸣ ʔutaʣoːʤi ⸣nareːru] (お母さんが歌上手でいらっしゃったから子孫もみんな歌上手になったのだ) 9382 0 0 8868 htmvoc_9382.wav ソージカキ ⸢ソー⸣ジカキ [⸢soː⸣ʤikḁki] 名 掃除。掃除の強調表現。 ビ⸢キドゥモー ヤー⸣ンナカー ⸢ソー⸣ジカキン サ⸢ヌ [bi⸢kidumoː jaː⸣nnakaː ⸢soː⸣ʤikḁkin sa⸢nu] (男は家の中を掃除もしない) 9402 0 0 8869 htmvoc_9402.wav ソーシキ ⸢ソー⸣シキ [⸢soː⸣ʃi̥ki] 名 葬式。標準語からの借用語。老年層は、プ⸢スウクリ[pu̥⸢suʔukuri](人送り)を用いていた。 ⸢ソー⸣シキ ⸢シン パッ⸣タ [⸢soː⸣ʃi̥ki ⸢ʃim pat⸣ta] (葬式しに行った)。 ⸢ソー⸣シケーラ ⸢カイ⸣リ ⸣クーカ ヤー⸢ディン⸣ ス⸢ナカ⸣ナー ウ⸢ロー⸣リ ⸢ティー⸣パン ⸣シミティル ヤー⸣ヤ ⸢オーッ⸣タ [⸢soː⸣ʃi̥keːra ⸢kai⸣ri ⸣kuːkaː jaː⸢din⸣ su⸢naka⸣naː ʔu⸢roː⸣ri ⸢tiː⸣paŋ ⸣ʃimitiru ⸢jaː⸣ja ⸢ʔoːt⸣ta] (葬式から帰ってくると必ず海に下りて手足を洗って<澄ませて{EOS}清めて>家に帰られた) 9403 0 0 8870 htmvoc_9403.wav ゾーシキ ⸢ゾー⸣シキ [⸢ʣoː⸣ʃi̥ki] 名 百姓。下女。下働き。「穴云。雑色。謂雑戸、品部也」<令集解>の「雑色」『日本国語大辞典』からの転訛。⸣アカカラジー[⸣ʔakakaraʣiː](民百姓)と対語で用いられる。 ウ⸢ヌ プソー⸣ バ⸢カーン⸣ケンマー プ⸢スン⸣ヤーヌ ⸢ゾーシキ⸣バ ⸢シー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ク⸢ロー ソーッ⸣タンツォー [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ ba⸢kaːŋ⸣kemmaː pu̥⸢suɲ⸣jaːnu ⸢ʣoːʃi̥ki⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʔik⸢kena⸣ ku⸢roː soːt⸣tanʦoː] (あの人は若い頃は余所の家の下女をして大変苦労されたそうだ) 9404 0 0 8871 htmvoc_9404.wav ゾーシキヌニンガイ ⸢ゾーシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [⸢ʣoːsiki⸣nu ⸢niŋ⸣gai] 連 ⸢村役人の祈願」。村役人が一年中の神行事を無事に執り行うことが出来るように祈願すること。⸢ニンガチニン⸣ガイ[⸢niŋgaʦiniŋ⸣gai](二月願い)の中で祈願される。⸢雑色とは、謂ふ、雑戸・品部也」『令集解賦役』、(良民の最下位の品部<しなべ>・雑戸<ざっこ>をいう)『岩波古語辞典』の転訛したものか。かなり古い時代の祭祀を反映した、注目すべき祭祀語彙と考えられる 9392 0 0 8872 htmvoc_9392.wav ソーシキムヌ ⸢ソーシキ⸣ムヌ [⸢soːʃi̥ki⸣munu] 名 気付け薬。酒類。「正気付けるもの」の義。老年層は、⸢サウシキ⸣ムヌ[⸢sauʃi̥ki⸣munu](気付け薬)という。気を失った人の顔面に酒を吹きかけたり、飲ませたりして正気付けさせるものである。 ⸢ソーシキ⸣ムヌ ン⸢メーマ⸣ナー ヌ⸢マ⸣スカー ⸢ソー⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢soːʃi̥ki⸣munu m⸢meːma⸣naː nu⸢ma⸣sukaː ⸢soː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (気付け薬を少しずつ飲ませると正気づく) 9383 0 0 8873 htmvoc_9383.wav ソーシキヤー ⸢ソー⸣シキヤー [⸢soː⸣ʃi̥kijaː] 名 葬式の執り行われる家。 パ⸢ルミ⸣プソー ⸢ソー⸣シキヤー ⸢パン⸣ナティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [pa⸢rumi⸣pu̥soː ⸢soː⸣ʃi̥kijaː ⸢pan⸣nati mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (妊婦は葬式屋へは行くなと昔の人は言われた)。 ⸢ソー⸣シキヤーラヌ ⸢カイ⸣ロー ⸢スーヌ⸣パナー ⸢パン⸣キティ ⸢ヤー⸣ クーカー シ⸢ダキ⸣ オンケーナー ⸢ギーティル ヤー⸣ン ⸣ナカー ⸢ペー⸣ローッタ [⸢soː⸣ʃi̥kijaːranu ⸢kai⸣roː ⸢suːnu⸣panaː ⸢paŋ⸣kiti ⸢jaː⸣ kuːkaː ʃi⸢daki⸣ ʔoŋkeːnaː ⸢giːtiru jaː⸣n ⸣nakaː ⸢peː⸣roːtta] (喪家からの帰りには潮の花<海水>を身に振り掛け<弾い>て、家に来ると先ず<先に>豚舎<便所>へ行ってから家の中には入られた) 9384 0 0 8874 htmvoc_9384.wav ソーシキルン ⸢ソー⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢soː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 正気づく。正気にかえる。⸢ソー⸣ スクン[⸢soː⸣ su̥kun](正気づく)ともいう。 ウ⸢ダラ⸣キティ ブ⸢チ⸣クン ⸢スー⸣ プソー ミ⸢ジ⸣ フ⸢キ⸣カクカー ⸢ソー⸣ シ⸢キ⸣ルン [ʔu⸢dara⸣kiti bu⸢ʧi⸣kun ⸢suː⸣ pu̥soː mi⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢ki⸣kḁkukaː ⸢soː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (驚いて気を失う時<人事不省になる>は、水を吹きかけると正気にかえる)。⸢サウ⸣ シ⸢キ⸣ルン[⸢sau⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ](正気づく)<老年層>ともいう。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣サムカー ⸢ソー⸣ シ⸢キ⸣ルンパジ [ni⸢ʧi⸣nu ⸣samukaː ⸢soː⸣ ʃi̥⸢ki⸣rumpaʤi] (熱が冷めたら正気づくはずだ) 9406 0 0 8875 htmvoc_9406.wav ソーシグトゥ ⸢ソーシグトゥ [⸢soːʃigutu] 名 心配事。「心配・し・こと」の義。 ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダ⸣テー ⸢ソーシグトゥヌル ゴー⸣ラー [f⸢fasuda⸣teː ⸢soːʃigutunuru goː⸣raː] (子育てには心配事が多い) 9386 0 0 8876 htmvoc_9386.wav ソーシティルン ⸢ソー⸣ シ⸢ティルン [⸢soː⸣ ʃi̥⸢tiruŋ] 連 正気を失う。前後不覚に陥る。シ⸢ティルン[ʃi̥⸢tiruŋ](捨てる)は「捨てる。下一段」の転訛したもの。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢ソー⸣ シ⸢ティルン⸣ケン ヌ⸢ミ⸣ス [⸢ʔunʣaː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢soː⸣ ʃi̥⸢tiruŋ⸣ken nu⸢mi⸣su] (あいつは酒を飲むと正気を失うまで飲む)。⸢サウ⸣ シ⸢ティルン[⸢sau⸣ ʃi̥⸢tiruŋ](正気を失う)<老年層>ともいう。 ⸢ソー⸣ シ⸢テイルン⸣ケン サ⸢キ⸣ ヌ⸢ム⸣タン [⸢soː⸣ ʃi̥⸢tiruŋ⸣ken sḁ⸢ki⸣ nu⸢mu⸣taŋ] (正気を失うほど酒を飲んだ)。⸢ソー⸣ シ⸢トゥン[⸢soː⸣ ʃi̥⸢tuŋ](正気を失う)ともいう 9387 0 0 8877 htmvoc_9387.wav ソーシトゥン ⸢ソー⸣ シ⸢トゥン [⸢soː⸣ ʃi̥⸢tuŋ] 連 正気を失う。前後不覚に陥る。シ⸢トゥン[ʃi̥⸢tuŋ]は「捨つ。下二段」の転訛したもの。 サ⸢ケー ソー⸣ シ⸢トゥン⸣ケン ヌ⸢ム⸣ナ [sḁ⸢keː soː⸣ ʃi̥⸢tuŋ⸣ken nu⸢mu⸣na] (酒は正気を失うまで飲むな)。 バ⸢カー⸣タンケンマー ⸢ソー⸣ シ⸢トゥン⸣ケン サ⸢キ⸣ ヌ⸢ム⸣タン [ba⸢kaː⸣tamkemmaː ⸢soː⸣ ʃi̥⸢tuŋ⸣ken sḁ⸢ki⸣ nu⸢mu⸣taŋ] (若かった頃は正気を失うほど酒を飲んだ) 9388 0 0 8878 htmvoc_9388.wav ソージヌサン ⸢ソージヌ⸣ サン [⸢soːʤinu⸣ saŋ] 連 「障子の桟」の義。標準語からの借用語。鳩間島では限られた家にしか障子は無かった。 ⸣ソンガチマイ ヤ⸢リバ ソージヌ⸣ サン ア⸢ライティ ソージ⸣ パ⸢リカイリ⸣バ [⸣soŋgaʧimai ja⸢riba soːʤinu⸣ saŋ ʔa⸢raiti soːʤi⸣ pa⸢rikairi⸣ba] (正月前だから障子の桟を洗って、障子を張替えなさいよ) 9391 0 0 8879 htmvoc_9391.wav ソージヌプニ ⸢ソージヌ⸣ プニ [⸢soːʤinu⸣ puni] 連 障子の桟(障子の骨)。 ⸣ビーティ ⸢ソージ⸣ナー ⸢トー⸣リ ⸢ソージヌ⸣ プニ ⸣ブリ シ⸢ティナー⸣ヌ [⸣biːti ⸢soːʤi⸣naː ⸢toː⸣ri ⸢soːʤinu⸣ puni ⸣buri ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (酔って障子に倒れて、障子の桟を折ってしまった) 9390 0 0 8880 htmvoc_9390.wav ゾージヒター ⸢ゾー⸣ジ ⸣ヒター [⸢ʣoː⸣ʤi ⸣çi̥taː] 連 上手下手。上手と下手。 ⸢ゾー⸣ジ ヒター ノー⸢ン ヤラバン⸣ ミサン ス⸢ク⸣リサーギ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィール⸣カー ⸣ウビシー サ⸢ニムヌゲ⸣ラ [⸢ʣoː⸣ʤiçi̥taː noː⸢ɲ jarabam⸣ misaŋ su̥⸢ku⸣risaːgi ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːru⸣kaː ⸣ʔubiʃi sa⸢nimunuge⸣ra] (上手下手はどう<何であっても>でもよい{EOS}作ってさえしてくれれば、それだけで嬉しいことさ) 9389 0 0 8881 htmvoc_9389.wav ソージマール ⸢ソー⸣ジマール [⸢soː⸣ʤimaːru] 名 掃除の検査のために保健所の所員が村々を巡回検査すること。 イ⸢サナケーラ⸣ ヤ⸢クニン⸣ヌ ⸢ソー⸣ジマール ⸢シン オー⸣ルンツォー [ʔi⸢sanakeː⸣ra ja⸢kunin⸣nu ⸢soː⸣ʤimaːru ⸢ʃiŋ ʔoː⸣runʦoː] (石垣から役人が掃除や衛生検査をしに来られるそうだ) 9407 0 0 8882 htmvoc_9407.wav ソーズク ⸢ソーズ⸣ク [⸢soːʣu⸣ku] 名 相続。標準語からの転訛。老年層は⸣アトゥトゥリ[⸣ʔatuturi](跡取り)、⸣アトゥシギ[⸣ʔatuʃigi](跡継ぎ)を多用した。 ⸢クン⸣ネーヤ ⸢タール ソーズ⸣コー ⸢スーワ <ヤー シ⸢グワ> [⸢kun⸣neːja ⸢taːru soːʣu⸣koː ⸢suːwa ] (この家は誰が相続をするか) 9408 0 0 8883 htmvoc_9408.wav ゾースク ⸢ゾー⸣スク [⸢ʣoː⸣su̥ku] 名 造作。家の内部の仕上げ、取り付け物の総称。天井、床板、階段、棚、敷居、鴨居など。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヤ ミ⸢ジラ⸣サ ⸢ゾースク⸣バ シ⸢ラリティ⸣ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [ku⸢nu jaː⸣ja mi⸢ʤira⸣sa ⸢ʣoːsu̥ku⸣ba ʃi⸢rariti⸣ ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (この家は見たことのない珍しい内部造作がなされていて非常に美しい) 9398 0 0 8884 htmvoc_9398.wav ソースクン ⸢ソー⸣ スクン [⸢soː⸣ su̥kuŋ] 連 正気づく。酔いからさめる。意識が回復する。⸢サウ⸣ スクン[⸢sau⸣ su̥kuŋ]<老年層>ともいう。 ブ⸢チ⸣クン ⸢シー ベーン⸣ドゥ ⸢フン⸣トー ⸢ソー⸣ スクンカヤー [bu⸢ʧi⸣kuŋ ⸢ʃiːbeːn⸣du ⸢ɸun⸣toː ⸢soː⸣ su̥kuŋkajaː] (人事不省に陥っている<気絶している>が、本当に意識回復する<正気づく>でしょうか)。 ⸢ソー シティルン⸣ケン ⸣ビータリ ⸢ベー⸣タンティン ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢マ⸣スカー ⸢ソー⸣ スクン [⸢soː⸣ ʃi̥⸢tiruŋ⸣kem ⸣biːtari ⸢beː⸣tantim mi⸢ʤi⸣ nu⸢ma⸣su̥kaː ⸢soː⸣ su̥kuŋ] (正気を失うほど泥酔していても水を飲ませると正気づく)。 ブ⸢チ⸣クン ⸢スー⸣ プソー サ⸢キ⸣ フ⸢ク⸣ミティ ⸣シラナ フ⸢キ⸣カクカー ⸢ソー⸣ スクン [bu⸢ʧi⸣kun ⸢suː⸣ pu̥soː sḁ⸢ki⸣ ɸu̥⸢ku⸣miti ⸣ʃirana ɸu̥⸢ki⸣kḁkukaː ⸢soː⸣ su̥kuŋ] (気絶する時は、酒を口に含んで顔に吹きかけると正気づく) 9399 0 0 8885 htmvoc_9399.wav ソースン ⸢ソースン [⸢soːsuŋ] 他動 \ruby{籾}{モミ}や麦などを風に当て、籾殻やすくも(\ruby{藻屑}{モ|クズ})などを飛ばして籾をえり分ける。そよがせる。「そよが<戦が>せる」の転訛したものか。 ⸢マイ アーシティ⸣ カ⸢ジ⸣ナー ⸢ソースンティ ベー⸣ンドゥ カ⸢ジヌ ソーンダ マイヤー ソーサラヌ [⸢mai ʔaːʃi̥ti⸣ ka⸢ʤi⸣naː ⸢soːsunti beː⸣ndu ka⸢ʤinu soːnda maijaː soːsaranu] (稲を脱穀して風に当てて<吹かせ>籾殻をえり分けようしているが、風が吹かないので風に当てて選り分けることが出来ない)。 カ⸢ジ⸣ナー ⸢ソーシティ⸣ プシ [ka⸢ʤi⸣naː ⸢soːʃi̥ti⸣ pu̥ʃi] (風に当ててから干せ)。 ⸢ソース⸣ トンナーティ ⸢ソーシ [⸢soːsu⸣ tonnaːti ⸢soːʃi] (風に当てる所で風に当てろ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ソーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢soːʃeː⸣ misamunu] (もっと風に当てればよいのに) 9400 0 0 8886 htmvoc_9400.wav ソースン ⸢ソー スン [⸢soː suŋ] 連 心配する。 テ⸢ガ⸣ミ カ⸢カン⸣カー ⸣ウヤー ⸢ソー スン<⸢ソー⸣ルン>⸠ダー [ti⸢ga⸣mi kḁ⸢kaŋ⸣kaː ⸣ʔujaː ⸢soː sun<⸢soː⸣run>⸠daː] (手紙を書かないと親は心配する<心配されるよ>)。 ⸢ソー サン⸣タンティン ⸣ミサン [⸢soː san⸣tantim ⸣misaŋ] (心配しなくてもよい)。 ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢soː ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (心配で<して>たまらない)。 ⸢ワー ソー スー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː soː suː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (君が心配することはない)。 ⸢ソー シェー⸣ ミサムヌ [⸢soː ʃeː⸣ misamunu] (心配すればいいのに)。 ⸢ソー シー⸣バ [⸢soː ʃiː⸣ba] (心配しろよ{EOS}心配せよ) 9410 0 0 8887 htmvoc_9410.wav ソータマシー ⸢ソータマシー [⸢soːtamaʃiː] 名 正常な精神活動。真っ当な判断力。正常な魂。心を入れ替えること。「正魂」の義。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸣クトゥシ ウ⸢ガン⸣ツメーカー ⸢ソータマシー⸣ イ⸢リティ⸣ パ⸢タラキ⸣ダー [⸢kundunu⸣ ku̥tuʃi ʔu⸢gan⸣ʦumeːkaː ⸢soːtamaʃiː⸣ ʔi⸢riti⸣ pḁ⸢taraki⸣daː] (今度の件で反省したならば、正常な判断力を養って<正魂を入れて>働けよ) 9412 0 0 8888 htmvoc_9412.wav ソーダン ⸢ソー⸣ダン [⸢soː⸣daŋ] 名 相談。意見を出して話し合う。⸣ウチソーダン[⸣ʔuʧisoːdaŋ](うち相談)ともいう。 ウ⸢ヤッ⸣ふァー ⸣ユー ⸢ソーダン⸣バ ⸢シェー⸣ティ キ⸢ナイヌ⸣ クトー キ⸢ミリ⸣ヨー [ʔu⸢jaf⸣faː ⸣juː ⸢soːdam⸣ba ⸢ʃeː⸣ti ki⸢nainu⸣ ku̥toː ki⸢miri⸣joː] (親子はよく話し合って、相談して家庭のことは決めなさいよ) 9413 0 0 8889 htmvoc_9413.wav ソーッふァ ⸢ソーッふァ [⸢soːffa] 名 実子。真実の子。正式に結婚して産んだ子。 ⸢グンボー⸣ッふァ [⸢gumboː⸣ffa] (庶子) ⸢イーリ⸣ッふァ [⸢ʔiːri⸣ffa] (貰い子))。カ⸢クシ⸣ッふァ[kḁ⸢kuʃi⸣ffa](隠し子)、⸢ヨー⸣シ[⸢joː⸣ʃi](養子)、マ⸢マッふァ[ma⸢maffa](継子)に対して用いられる。 ⸢ワー ソーッふァー⸣ ギュ⸢タール ブーワ [⸢waː soːffaː⸣ gju⸢taːru buːwa] (君の実子は何人いるか) 9414 0 0 8890 htmvoc_9414.wav ゾーディキ ⸢ゾーディ⸣キ [⸢ʣoːdi⸣ki] 名 上出来。よくできていること。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣クビサーギ ⸣ナルカー ⸢ゾーディキ⸣ル ヤ⸢ル ボー⸣レー⸢ドー [ja⸢rabi⸣nu ⸣kubisaːgi ⸣narukaː ⸢ʣoːdiki⸣ru ja⸢ru boː⸣reː⸢doː] (子供でこれだけ出来れば上出来である{EOS}お利巧だ) 9415 0 0 8891 htmvoc_9415.wav ゾーティダイ ⸢ゾー⸣ティダイ [⸢ʣoː⸣tidai] 名 充分なおごり(奢り)。十分なご馳走。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣カターラ ⸢シンカ⸣ンナーニヌ ティ⸢ダイ⸣ヤー ⸢ゾー⸣ティダイ ⸢ヤッタ⸣ツォー [⸢kundu⸣nu ʔu⸢ja⸣kataːra ⸢ʃiŋka⸣nnaːninu ti⸢dai⸣jaː ⸢ʣoː⸣tidai ⸢jatta⸣ʦoː] (今度の親方から組合員へのおごり<奢り>は充分なるご馳走<奢り>だったそうだ) 9418 0 0 8892 htmvoc_9418.wav ソートー ⸢ソートー [⸢soːtoː] 副 物事の程度が普通を越えている。標準語からの借用語。 ウ⸢レー ソートー モー⸣ケーンツォー [ʔu⸢reː soːtoː moː⸣keːnʦoː] (彼は相当儲けたそうだ)。 ⸢ワー ソートー ビー⸣ブーバ  ⸣メー ミ⸢ビ [⸢waː soːtoː biː⸣buːba ⸣meː ni⸢bi] (君は相当酔っ払っているから、もう寝ろ) 9419 0 0 8893 htmvoc_9419.wav ソードー ⸢ソードー [⸢soːdoː] 名 騒動。もめごと。争いごと。標準語からの借用語。老年層は、⸣ウチサウギ[⸣ʔuʧisaugi](うち騒ぎ)という。⸣ウチソードー[⸣ʔuʧisoːdoː](うち騒動{EOS}大騒動)ともいう。 ウ⸢タ⸣ラタンコーナー タンコー⸢ピンギ⸣ムヌ カ⸢サムンティ ソードー シーブー⸣ティバン [ʔu⸢ta⸣rataŋkoːnaː taŋkoː⸢piŋgi⸣munu kḁ⸢samunti soːdoː ʃiː buː⸣tibaŋ] (ウタラ炭坑では炭坑逃亡者を捕まえようと騒動しているそうだよ) 9416 0 0 8894 htmvoc_9416.wav ゾートゥ ⸢ゾー⸣トゥ [⸢ʣoː⸣tu] 名 上等。立派。 ク⸢レーラン⸣ カ⸢リル ゾー⸣トゥー [ku⸢reːraŋ⸣ ka⸢riru ʣoː⸣tu] (これよりもあれが上等だ)。 ⸢ゾートゥ⸣ヌ ⸣ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸢イー⸣リバ [⸢ʣoːtu⸣nu ⸣munoːra ʔi⸢ra⸣bi ⸢ʔiː⸣riba] (上等の物から選んで貰いなさい) 9417 0 0 8895 htmvoc_9417.wav ソートゥブン ⸢ソー⸣ トゥ⸢ブン [⸢so⸣ː tu⸢buŋ] 連 正気を失う。気絶する。前後不覚に陥る。「正・飛ぶ」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ダラ⸣クカー ⸢ソー⸣ トゥ⸢ブン <ブ⸢チ⸣クン ⸢スン> [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ʔu⸢dara⸣kukaː ⸢soː⸣ tu⸢buŋ ] (この子供は驚くと正気を失う<気絶する>) 9420 0 1 8896 htmvoc_9420.wav ソートン ⸢ソートン [⸢soːtoŋ] 名 {Mn_1}急所。命に関わる所。「正所」の義。 ヨー⸢ヨー キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ダー ソートン⸣ キ⸢ラ⸣レーラー シ⸢ヌン⸠ダー [joː⸢joː kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢daː soːtoŋ⸣ ki⸢ra⸣reːraː ʃi⸢nun⸠daː] (よくよく注意しなさいよ{EOS}急所を蹴られたら死ぬぞ)。 9420 0 2 8897 htmvoc_9420.wav ソートン ⸢ソートン [⸢soːtoŋ] 名 {Mn_2}良い所。 ⸢ワー ソートン⸣ナー ⸣ヤー ス⸢ク⸣レーバン⸢ナー [⸢waː soːton⸣naː ⸣jaː su̥⸢ku⸣reːban⸢naː] (君は良い所に家を造ったんだねえ) 9421 0 0 8898 htmvoc_9421.wav ソーナー ⸢ソーナー [⸢soːnaː] 名 本名。戸籍上の名前。 ウ⸢レー ソーナーヤ⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ヤーナー⸣ル ヤ⸢ル [ʔu⸢reː soːnaːja⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢jaːnaː⸣ru ja⸢ru] (それは本名<学校で呼ばれる戸籍上の名前>ではない{EOS}童名<家の名{EOS}伝統的命名法で付けられた名前>である) 9423 0 0 8899 htmvoc_9423.wav ソーナーヌ ⸢ソー ナー⸣ヌ [⸢soː naː⸣nu] 連 正気がない。正気を失っている。精神状態が正常でない。 ウ⸢ダラ⸣キ ⸣キモー ウ⸢キティ ソー(ヤ) ナー⸣ン ⸢シーバ シーベー⸣バ ⸢ワー⸣シ ヤ⸢ミシミリ [ʔu⸢dara⸣ki ⸣kimoː ʔu⸢kiti soː(ja) naː⸣ŋ ⸢ʃiːba ʃiːbeː⸣ba ⸢waː⸣ʃi ja⸢miʃimiri] (驚いて、心は上の空<肝が浮いて>で、異常な仕方<正気でない仕方>をやっているから、君で止めさせてくれ)。 ウ⸢レー⸣ ビーティ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ biːti ⸢soːja naː⸣nu] (彼は酔っ払って正気でない<正常な状態でない>)。⸢サウヤー ナー⸣ヌ[⸢saujaː naː⸣nu](正気でない)ともいう 9424 0 0 8900 htmvoc_9424.wav ソーナーンムニ ⸢ソーナーン⸣ ムニ [⸢soːnaːm⸣ muni] 連 正気でない言葉。たわごと(\ruby{戯言}{ザレ|ゴト})。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢ソーナーン⸣ ムニ イ⸢ズンダ⸣ サ⸢キ⸣ ヌ⸢マス⸣ナ [⸢ʔunʣaː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢soːnaːm⸣ muni ʔi⸢ʣunda⸣ sḁ⸢ki⸣ nu⸢masu⸣na] (あいつは酒を飲むと正気でない<戯言>を言うから、酒を飲ますな) 9425 0 0 8901 htmvoc_9425.wav ソーナーンムヌ ⸢ソーナーン⸣ムヌ [⸢soːnaːm⸣munu] 名 正気のない者。智恵の無い者。うかつもの(迂闊者)。ばか者。 ⸣アイブー ⸢ソーナーン⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ア⸢ズ⸣ ムネー カ⸢タ⸣ミンラ ス⸢ク⸣カー カ⸢タ⸣ミンラー ン⸢ザ⸣シ ス⸢クナ⸠ヨー [ʔaibuː ⸢soːnaːm⸣ mu⸢nu⸣nu ʔa⸢ʣu⸣muneː kḁ⸢ta⸣minra su̥⸢ku⸣kaː kḁ⸢ta⸣minraː ʔn⸢ʣa⸣ʃi su̥⸢kuna⸠joː] (あんなばか者の言う言葉は片耳から聞いたら、片からは出して聞くなよ) 9422 0 0 8902 htmvoc_9422.wav ソーニチ ⸢ソーニ⸣チ [⸢soːni⸣ʧi] 名 命日。「正日」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ソーニ⸣チ ア⸢ティティル ニンキソッコー⸣ヤ シ⸢モーッ⸣タ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢soːni⸣ʧi ʔa⸢titiru niŋkisokkoː⸣ja ʃi⸢moːt⸣ta] (親の命日に合せて<当てて>年忌焼香はさせられた) 9428 0 0 8903 htmvoc_9428.wav ソーニチ ⸢ソーニチ [⸢soːniʧi] 名 当日。「しょうにち(正日)」の義。⸢ピン⸣ガン[⸢piŋ⸣gaŋ](彼岸{EOS}春分の日、秋分の日)のように、一週間にわたる祭祀期間の中の正真正銘の彼岸の当日のこと。彼岸だけは、その期間の中の都合の良い日に焼香してよいといわれている。 ⸢ピンガン⸣マー シ⸢チ⸣ヌサーギ ⸢ペー⸣ルカー ⸢ソーニチ⸣ ア⸢ラン⸣タンティン ⸢シー⸣ミサンティ ア⸢ザリ ブー [⸢piŋgam⸣maː ʃi̥⸢ʧi⸣nusaːgi ⸢peː⸣rukaː ⸢soːniʧi⸣ ʔa⸢ran⸣tantiŋ ⸢ʃiː⸣ misanti ʔa⸢ʣari buː] (彼岸は、祭祀の期間にさえ入ったなら、当日<正日>でなくても実施して<やって>よいといわれている) 9426 0 0 8904 htmvoc_9426.wav ソーニビ ⸢ソーニビ [⸢soːnibi] 名 熟睡。本眠り<本格的な眠り>。 ッ⸢ふァ⸣ ニ⸢バスンティル⸣ ウキニビ ⸢シーベー⸣ル ⸢ソーニベー シーブラーヌ [f⸢fa⸣ ni⸢basuntiru⸣ ʔukinibi ⸢ʃiːbeː⸣ru ⸢soːnibeː ʃiːburaːnu] (子供を寝かそうとして仮寝<目を覚ましたまま横になること>しているのであって、熟睡<本眠り>をしているわけではない)。 ニ⸢ビマービ シーベーン⸣ケン ⸢ソーニビ シーナーン⸣シェン [ni⸢bimaːbi ʃiːbeːŋ⸣keŋ ⸢soːnibi ʃiːnaːŋ⸣ʃeŋ] (狸寝入り<寝真似>しているうちに、熟睡<本眠り>してしまっていた) 9431 0 0 8905 htmvoc_9431.wav ソーニヨイ ⸢ソーニヨイ [⸢soːnijoi] 名 生年祝い。干支の生まれ年に行われる誕生祝い。十三歳、二十五歳、四十九歳、六十一歳、七十三歳、八十五歳の生年祝い。八十八歳は⸢トー⸣カキ[⸢toː⸣kḁki](「斗掻き」の義{EOS}米寿の祝い)、九十七歳はカ⸢ジマー⸣ヤー[ka⸢ʤimaː⸣jaː]という。最近は寿命が延びたので、八十五歳以上の生年祝いを盛大に行うようになった。 チ⸢カ⸣グロー ⸢ソーニヨイヌン⸣ ハチジュー⸢ゴーヌ⸣ ヨイラル マギー⸢マギー⸣シ ⸢ソー⸣ル ⸣ヨーニ ⸣ナリケーツォー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢soːnijoinuŋ⸣ hḁʧiʤuː⸢goːnu⸣ joiraru magiː⸢magiː⸣ʃi ⸢soː⸣ru ⸣joːni ⸣narikeːʦoː] (近頃は生年祝いも八十五歳の斗掻きの生年祝いから大きくなさるようなってきたそうだ) 9429 0 0 8906 htmvoc_9429.wav ソーニンギン ⸢ソーニンギン [⸢soːniŋgiŋ] 名 真人間。まっとう(真っ当)な人。普通のまともな人。「正人間」の義。⸢ソープス[⸢soːpusu](真っ当な人)ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ヤ⸢ブリ⸣ムヌ ⸢ヤッタヌ⸣ ウ⸢ブ⸣プス ⸢ナッ⸣ター ⸢ソーニンギン⸣ ナレーツバン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ja⸢buri⸣munu ⸢jattanu⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸢nat⸣taː ⸢soːniŋgin⸣ nareːʦubaŋ] (子供の時は不良少年だったが、大人になったらば真人間<真っ当な人>になったよ) 9432 0 0 8907 htmvoc_9432.wav ソーヌギムヌ ⸢ソーヌギ⸣ムヌ [⸢soːnugi⸣munu] 名 性の抜けた者。間抜け。とんま。やることに手抜かりのある物。「性抜け者」の義。若年層は、⸢ソーヌガー[⸢soːnugaː](間抜け奴)という。 ⸢ウンザー ソーヌギ⸣ムヌ ⸣ナリティ プ⸢スタルガキ シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː soːnugi⸣munu ⸣nariti pu̥⸢sutarugaki ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (あいつは間抜けになってしまって、人間として信頼できない<頼りにならない{EOS}当てにならない>) 9434 0 0 8908 htmvoc_9434.wav ソーヌギルン ⸢ソー⸣ ヌ⸢ギ⸣ルン [⸢soː⸣ nu⸢gi⸣ruŋ] 連 驚愕して正気が抜ける。肝をつぶす。ヌ⸢ギ⸣ルン[nu⸢gi⸣ruŋ](抜ける)は、「脱げる、下一段」(脱げる)の転訛。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ドゥク ウ⸢バース⸣カー ⸢ソー⸣ ヌ⸢ギ⸣ルン⸢ダー [ja⸢ra⸣beː ⸣duku ʔu⸢baːsu⸣kaː ⸢soː⸣ nu⸢gi⸣run⸢daː] (子供は、ひどく驚かすと肝を潰して正気が抜けるぞ) 9435 0 0 8909 htmvoc_9435.wav ソーヌグン ⸢ソー⸣ ヌグン [⸢soː⸣ nuguŋ] 連 驚愕して正気が抜ける。肝を潰す。肝を消す。正常でなくなる。うろたえ(狼狽え)る。⸣ヌグン[⸣nuguŋ](抜ける)は「ぬける、下一段」の転訛したもの 9436 0 0 8910 htmvoc_9436.wav ソーヌナーンムニ ⸢ソーヌ ナーン⸣ ムニ [⸢soːnu naːm⸣ muni] 連 うわ言。たわごと。高熱にうかされたり、異常事態に気が動転<仰天>して発する言葉。「正気でない言葉<物言い>」の義。⸢ソーウキムニ[⸢soːʔukimuni](うわ言)ともいう。 ⸣ニチン ウ⸢カサリティル ソー ナーン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジベー [⸣niʧinaː ʔu⸢kasaritiru soː naːm⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤibeː] (高熱に浮かされて<ぞ>うわ言を言っている)。 マ⸢タ ソーヌ ナー⸣ン ム⸢ニ⸣バ ア⸢ジ アー⸣ク [ma⸢ta soːnu naː⸣m mu⸢ni⸣ba ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (また、たわごとを触れ回って<言って>いる)。[⸢ソーナーン⸣ムニ⸢⸢soːnaːm⸣ muni](たわごと{EOS}無責任な話)ともいう 9437 0 0 8911 htmvoc_9437.wav ゾーヌヤー ⸢ゾー⸣ヌヤー [⸢ʣoː⸣nujaː] 名 屋号。屋敷名。 ⸢ダイ⸣ケーヌ ⸢インタヌ ヤシ⸣ケー ⸢ゾー⸣ヌヤーティル ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢dai⸣keːnu ⸢ʔintanu jaʃi̥⸣keː ⸢ʣoː⸣nujaːtiru ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (大工家の西側の屋敷を⸢ゾー⸣ヌヤーと言われた) 9438 0 0 8912 htmvoc_9438.wav ゾーノー ⸢ゾー⸣ノー [⸢ʣoː⸣noː] 名 租税。税金。「上納」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ゾーノーマイ⸣ヌ ⸣フカナー ⸢グイ⸣フゾーノー ⸣ティン ⸣アリ ⸢ゾー⸣ノー ウ⸢サミ⸣ルンティ イッ⸢ケナ ナン⸣ギクロー <⸢ナン⸣ギアウリ> ⸢ソーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʣoːnoːmai⸣nu ⸣ɸu̥kanaː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːtiŋ ⸣ʔari ⸢ʣoː⸣noː ʔu⸢sami⸣runti ʔik⸢kena naŋ⸣gikuroː <⸢naŋ⸣giauri> ⸢soːt⸣tanʦoː] (昔は上納米の他に御用布上納<貢納布>というのがあって、租税を納めるのに大変な難儀苦労をなされたそうだ) 9439 0 0 8913 htmvoc_9439.wav ゾーノーマイ ⸢ゾーノー⸣マイ [⸢ʣoːnoː⸣mai] 名 租税として納入した米。「上納米」の義。鳩間島の人は西表島北岸一帯に配分された⸢グイ⸣フダー[⸢gui⸣ɸudaː](貢納田)を耕作するために、⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni]<板舟、サバニ>に乗って往き来したのである。古典民謡パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)は、その情景を歌った叙景詩である。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢ゾーノー⸣マイ ウ⸢サミ⸣ルンティル ウ⸢ヌ⸣スク ⸢アウ⸣リナンギ ⸢ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢ʣoːnoː⸣mai ʔu⸢sami⸣runtiru ʔu⸢nu⸣su̥ku ⸢ʔau⸣rinaŋgi ⸢soːt⸣taʦoː] (昔の人は上納米を納めるために<ぞ>あれほど難儀苦労<哀れ難儀>をされたそうだ) 9440 0 0 8914 htmvoc_9440.wav ゾーノームヌ ⸢ゾーノー⸣ムヌ [⸢ʣoːnoː⸣munu] 名 租税用の物品。 パ⸢トゥ⸣マーラヌ ⸢ゾーノー⸣ムノー ⸢マイトゥ⸣ アー ⸢グイ⸣フンドーレール アリ⸢ブレー⸣ル [pḁ⸢tu⸣maːranu ⸢ʣoːnoː⸣munoː ⸢maitu⸣ ʔaː ⸢gui⸣ɸundoːreːru ʔaribu⸢reː⸣ru] (鳩間島からの上納物<租税用の物品>は米と粟、貢納布があった<有りおった>だろう) 9441 0 0 8915 htmvoc_9441.wav ゾーパタラキ ⸢ゾーパタラ⸣キ [⸢ʣoːpatara⸣ki] 名 十分な働き。かなりの評価が得られる労働。「上働き」の義。 ウ⸢ビ⸣ナー ⸢カイ⸣スカー ⸢ゾーパタラ⸣キル ヤ⸢ル⸣ ス⸢クリ⸣ムヌーン イッ⸢ケン ノー⸣ルンパジ [ʔu⸢bi⸣naː ⸢kai⸣sukaː ⸢ʣoːpataraki⸣ru ja⸢ru⸣ su⸢kuri⸣munuːŋ ʔik⸢ken noː⸣rum ⸣paʤi] (これだけ耕したら十分な働きだ{EOS}作物もよく実るだろう) 9337 0 0 8916 htmvoc_9337.wav ソーパナシ ⸢ソーパナシ [⸢soːpanaʃi] 名 本当の話。真実の話。 ウ⸢レー ソーパナシェー⸣ ア⸢ラン⸣ユンダ ス⸢クナ⸣ヨー [ʔu⸢reː soːpanaʃeː⸣ ʔa⸢raɲ⸣junda su̥⸢kuna⸣joː] (それは本当の話ではないから聞くなよ) 9442 0 0 8917 htmvoc_9442.wav ソーパナシ ⸢ソーパナシ [⸢soːpanaʃi] 名 事実。真実。うそいつわり(嘘偽り)でない本当の話。実話。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ユ⸢ク⸣シェー ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ソーパナシ⸠ダー [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ju⸢ku⸣ʃeː ʔa⸢ra⸣nu ⸢soːpanaʃi⸠daː] (彼の話は嘘ではない、真実<本当の話>だよ) 9335 0 0 8918 htmvoc_9335.wav ソーパンタリ ⸢ソーパンタリ [⸢soːpantari] 名 本格的な肥満。 ウ⸢ビ⸣ナー ⸢パン⸣タルカー ⸢ソーパンタリ⸠ダー [ʔu⸢bi⸣naː ⸢pan⸣tarukaː ⸢soːpantari⸠daː] (あれだけ太ると本格的な肥満だだよ) 9443 0 0 8919 htmvoc_9443.wav ソーピー ⸢ソーピー [⸢soːpiː] 名 吉日。佳日。よき日。 ⸢キュー⸣ヌ ユ⸢カル⸣ピー ⸢ソーピー⸣ナ ⸣ドゥーパダニンガイ ⸢シー⸣ ッ⸢サルンティ⸣ ス⸢コーリ ベー [⸢kjuː⸣nu ju⸢karu⸣piː ⸢soːpiː⸣na ⸣duːpadaniŋgai ⸢ʃiː⸣ s⸢sarunti⸣ su̥⸢koːri beː] (今日の佳き日、吉日に健康祈願を致したい<し・申し上げよう>と準備しています) 9452 0 0 8920 htmvoc_9452.wav ソーフイ ⸢ソーフイ [⸢soːɸui] 名 本降り。雨が本降りになること。ナ⸢マンダフイ[na⸢mandaɸui](「半端な雨降り」の義、しょぼしょぼ降る雨)の対義語。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ソーフイ サン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パラ⸢ディー [ʔa⸢mi⸣nu ⸢soːɸui saŋ⸣keɲ ⸢jaː⸣ para⸢diː] (雨が本降りにならないうちに家に帰ろうよ)。 ⸣ティダアミカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ソーフイ⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣tidaʔamikajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢soːɸui⸣ nari ⸢naː⸣nu] (通り雨だろうと思ったのに本降りになってしまった)。 ⸣アメー ナ⸢マンダフイ⸣ カー⸢ニ シティ ソーフイヤー サンバン [⸣ʔameː na⸢mandaɸui⸣ kaː⸢ni ʃi̥ti soːɸuijaː sambaŋ] (雨は半端な降り方だけして本降りはしないよ) 9455 0 0 8921 htmvoc_9455.wav ゾーフカーン ⸢ゾー⸣ フ⸢カー⸣ン [⸢ʣoː⸣ ɸu̥⸢kaː⸣ŋ] 連 情が深い。情が厚い。 ウ⸢レー ゾーヌ⸣ フ⸢カー⸣ンダー ミ⸢ドゥム⸣トー キ⸢シユーサ⸣ヌ [ʔu⸢reː ʣoːnu⸣ ɸu̥⸢kaː⸣nda mi⸢dumu⸣toː ki̥⸢ʃijuːsa⸣nu] (彼は情が深いから女性とは関係を切ることができない) 9456 0 0 8922 htmvoc_9456.wav ソーフキ ⸢ソー⸣フキ [⸢soː⸣ɸu̥ki] 名 口笛。古老は⸢サウ⸣フキ[⸢sau⸣ɸu̥ki]ともいう。口笛を吹くと風が吹いてくると信じられている。 ⸢ソー⸣フキ ⸢ゾー⸣ジ [⸢soː⸣ɸu̥ki ⸢ʣoː⸣ʤi] (口笛が上手)。 カ⸢ジヌ⸣ トゥ⸢ル⸣カー ⸢ソー⸣フキ ⸢シー⸣ カ⸢ジ⸣ ヤ⸢ラブタ [ka⸢ʤinu⸣ tu⸢ru⸣kaː ⸢soː⸣ɸu̥ki ⸢ʃiː⸣ ka⸢ʤi⸣ ja⸢rabuta] (風が凪ぐと口笛を吹いて風を呼んだ)。稲を脱穀した後や、磨り臼で籾磨りをした後、籾殻を飛ばす際に口笛を吹いて風を呼んだ。無風状態の時には⸢フィーフィーフィー[⸢ɸiːɸiːɸiːː]と口笛を吹き鳴らすと柔らかい風が頬を撫でて流れていった。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)で西表島と鳩間島の間を往き来する際も、凪の日は口笛を吹いて風を呼んだ。ただ夜には口笛を吹くことは固く禁じられていた。魔を呼ぶとして忌み嫌われていたからである。 ⸢ユー⸣ル ⸢ソー⸣フキ ⸢スー⸣カー ヤ⸢ナムヌ⸣ヌ ⸣クーユンダ ⸢ソー⸣フキ ⸢シェー⸣ ナ⸢ラン⸠ダー [⸢juː⸣ru ⸢soː⸣ɸu̥ki ⸢suː⸣kaː ja⸢namunu⸣nu ⸣kuːjunda ⸢soː⸣ɸu̥ki ⸢ʃeː⸣ na⸢ran⸠daː] (夜口笛を吹くと魔を呼ぶ<魔物が来る>から口笛を吹いてはならないよ) 9446 0 0 8923 htmvoc_9446.wav ゾーブクル ⸣ゾーブクル [⸣ʣoːbukuru] 名 封筒。⸢状袋」の転訛。若年層は、⸣ジョーブクル[⸣ʤoːbukuru](封筒)という。 ティ⸢ガ⸣メー ⸣ゾーブクルナ イ⸢リティ キッ⸣テー パ⸢リティ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [ti⸢ga⸣meː ⸣ʣoːbukuruna ʔi⸢riti kit⸣teː pa⸢riti⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (手紙は封筒に入れて、切手を貼って出しなさいよ)。 ティ⸢ガ⸣メー ⸣ゾーブクルナー イ⸢リティ⸣ ウ⸢クリ⸣バ⸢ヨー [ti⸢ga⸣meː ⸣ʣoːbukurunaː ʔi⸢riti⸣ ʔu⸢kuri⸣ba⸢joː] (手紙は封筒に入れて送りなさいね) 9447 0 0 8924 htmvoc_9447.wav ソープス ⸢ソープス [⸢soːpusu] 名 真人間。まともな人。 ⸢ウンザー ソープスンコーラ⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [⸢ʔunʣaː soːpu̥suŋkoːra⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (彼奴はあたかも真人間のふりして<真人間であるがごとく>話している)。一人前の人。「正人」の義。 ウ⸢ビ⸣ナーヌ シ⸢グトバ タンガ⸣シ ⸢シーシェー⸣カー ⸣メー ⸢ソープス [ʔu⸢bi⸣naːnu ʃi⸢gutuba taŋga⸣ʃi ⸢ʃiːʃeː⸣kaː ⸣meː ⸢soːpusu] (あれだけの仕事を一人で出来たら<し得たら>、もう一人前の人間だ) 9430 0 0 8925 htmvoc_9430.wav ソープスンコーラシ ⸢ソープスン コーラ⸣シ [⸢soːpu̥suŋ koːra⸣ʃi] 連 あたかも真っ当な人<真人間>のふりして 9448 0 0 8926 htmvoc_9448.wav ソープスンコーラシ ⸢ソープスンコーラ⸣シ [⸢soːpusuŋkoːra⸣ʃi] 連 真人間のふりして。真人間らしく。まともな人間のように。一人前の人間のふりして。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ シ⸢ティ⸣ バ⸢カ⸣ヤン ⸢ナー⸣ナ ⸣ウナンザーン ⸢ソープスンコーラ⸣シ プ⸢スヌ⸣ マイナー ビ⸢リベー [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ʃi̥⸢ti⸣ ba⸢ka⸣jan ⸢naː⸣na ⸣ʔunanʣaːn ⸢soːpu̥suŋkoːra⸣ʃi pu̥⸢sunu⸣ mainaː bi⸢ribeː] (あんなことをして恥ずかしげもなく、己野郎もあたかも真人間のふりをして<真人間のつもりで>人の前に座っているよ) 9457 0 0 8927 htmvoc_9457.wav ソープリムヌ ⸢ソープリムヌ [⸢soːpurimunu] 名 本当の狂人。「正・Foremono.ホレモノ(耄れ者)~分別のなくなった人,」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。普通は、⸢マーブリムヌ[⸢maːburimunu](真・耄れ者)という。 キ⸢ムイ⸣ツァダラ ッ⸢ふァバ⸣ シ⸢ナシティ ソープリムヌ⸣ ナリ ⸢ベー [ki⸢mui⸣ʦadara f⸢faba⸣ ʃi⸢naʃi̥ti soːpurimunu⸣ nari ⸢beː] (可哀そうに、子供を死なして本当の狂人になっている) 9336 0 0 8928 htmvoc_9336.wav ソーフント ⸢ソーフン⸣ト [⸢soːɸun⸣to] 名 真実。まことのこと。嘘偽りのない本当のこと。 ⸢ワー ソーフン⸣ト パ⸢ルン [⸢waː soːɸun⸣to pa⸢ruŋ] (君は本当に行くか) 9449 0 0 8929 htmvoc_9449.wav ソーフントー ⸢ソーフント⸣ー [⸢soːɸuntoː] 名 真実。本当のこと。まことなこと。偽りのないこと。正真正銘のこと。 ⸢ワー ソーフン⸣トー ウ⸢ヤ⸣バ ⸢タン⸣ガ シ⸢マ⸣ナ ⸣シキティ ウ⸢キ⸣ナー パリ⸢シェーン [⸢waː soːɸun⸣toː ʔu⸢ja⸣ba ⸢taŋ⸣ga ʃi⸢ma⸣na ⸣ʃi̥kiti ʔu⸢ki⸣naː pari⸢ʃeːŋ] (君は本当に親を一人だけ島に置いて、沖縄へ行けるか) 9460 0 0 8930 htmvoc_9460.wav ソーフントー ⸢ソーフン⸣トー [⸢soːɸun⸣toː] 名 本当。真実。「正本当」の義。 ⸢ワー⸣ マ⸢ナ⸣マ ア⸢ズタ⸣ クトー ⸢ソーフントー⸣ヌ パ⸢ナシ [⸢waː⸣ ma⸢na⸣ma ʔa⸢ʣuta⸣ku̥toː ⸢soːɸuntoː⸣nu pa⸢naʃi] (君が今言ったことは、本当<真実>の話か) 9458 0 0 8931 htmvoc_9458.wav ゾーブンニ ⸢ゾー⸣ブンニ [⸢ʣoː⸣bunni] 副 上手に。十分巧に。手際よく。立派に。「上分に」の転訛したものか。 ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ルンドゥ ワー ゾー⸣ブンニ ⸣イダフニ ⸣ムティ パ⸢ラシ⸣スバン [ja⸢ra⸣bi ja⸢randu waː ʣoː⸣bunni ⸣ʔidaɸuni ⸣muti pa⸢raʃi⸣subaŋ] (子供<童>であるけれどねえ、君、十分巧に<上分に>サバニを操船して行くわい) 9444 0 0 8932 htmvoc_9444.wav ソーベー ⸢ソー⸣ベー [⸢soː⸣beː] 名 安物。安くて壊れやすいもの。「商売」の義。昔の製品<商品>は模造品が多く、安くて壊れやすいものが多かったことからの命名。 ウ⸢レー ソーベー⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ カーンモー⸣ マ⸢シ [ʔu⸢reː soːbeː⸣munu ja⸢runda kaːmmoː⸣ ma⸢ʃi] (それは安物で壊れやすいから、買わないほうがよい) 9461 0 0 8933 htmvoc_9461.wav ソーマー ⸢ソー⸣マー [⸢soː⸣maː] 名 やぶにらみ。斜視。すがめ(眇)。ッ⸢ソー⸣ミー[s⸢soː⸣miː](白目)の転訛したもの。一方、「眇、須加女(すがめ)」『和名抄』が、[sugame] → [suame] → [soːmi]+[ja→soːmaː] のように転訛したものとも考えられる。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ソー⸣マーン シュ⸢ズ⸣ツ ⸢スー⸣カー ⸢ノーサ⸣リンティバ ⸢パー⸣ク ⸢ノー⸣シ [ma⸢na⸣maː ⸢soː⸣maːŋ ʃu⸢ʣu⸣ʦu ⸢suː⸣kaː ⸢noːsa⸣rintiba ⸢paː⸣ku ⸢noː⸣ʃi] (今は斜視も手術を行えば治せるというから、早く治せ) 9462 0 0 8934 htmvoc_9462.wav ソーミ ⸢ソー⸣ミ [⸢soː⸣mi] 名 正味。実質。外皮や付属部分を除去した中身。 ウ⸢レー⸣ラ ⸢フータイ⸣ ピ⸢ク⸣カー ⸢ソー⸣ミ ⸢ギュー⸣サ ナ⸢ル⸣ワ [ʔu⸢reː⸣ra ⸢ɸuːtai⸣ pi̥⸢ku⸣kaː ⸢soː⸣mi ⸢gjuː⸣sa na⸢ru⸣wa] (それから風袋<包装分>を差し引くと正味はいくらになるか)。 プ⸢ニ⸣トゥ ⸢カー⸣ヤ ⸣トゥリ シ⸢ティティ ソー⸣ミ カー⸢ニ カイ⸣ クーバ [pu⸢ni⸣tu ⸢kaː⸣ja ⸣turi ʃi̥⸢titi soː⸣mi kaː⸢ni kai⸣ kuːba] (骨と皮は取って棄てて、中身だけ買って来いよ) 9464 0 1 8935 htmvoc_9464.wav ソーミチ ⸢ソーミチ [⸢soːmiʧi] 名 {Mn_1}正道。人の踏み行うべき正しい道、生き方。 ウ⸢ヤ⸣バ シ⸢ティ⸣ガラ ⸢スー⸣ クトー ⸢ニンギン⸣ヌ ⸢ソーミチェー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣ba ʃi̥⸢ti⸣gara ⸢suː⸣ ku̥toː ⸢niŋgin⸣nu ⸢soːmiʧeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (親を粗略<粗相>に扱うことは人間の踏み行うべき正道ではない)。 ⸢ソーミチ⸣ フ⸢マシ [⸢soːmiʧi⸣ ɸu⸢maʃi] (正道を歩ませなさい)。 9464 0 2 8936 htmvoc_9464.wav ソーミチ ⸢ソーミチ [⸢soːmiʧi] 名 {Mn_2}本道。脇道や近道に対していう。 ⸣クマー シ⸢カミチ⸣ル ヤ⸢ル ソーミチェー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaː ʃi̥⸢kamiʧi⸣ru ja⸢ru soːmiʧeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (ここは近道である{EOS}本道ではない) 9466 0 0 8937 htmvoc_9466.wav ソーミン ⸢ソー⸣ミン [⸢soː⸣miŋ] 名 そうめん(素麺)。シ⸢ラ⸣ガーソーミン[ʃi⸢ra⸣gaːsoːmiŋ](白髪素麺)ともいう。 ⸢ソーミン⸣ヌ ⸣シル [⸢soːmin⸣nu ⸣ʃiru] (素麺のお汁)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ソー⸣ミンティ ⸢スー⸣カー ⸢コッ⸣チー ⸢ヤッタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢soː⸣minti ⸢suː⸣kaː ⸢kot⸣ʧiː ⸢jattaruː] (昔は素麺といえば、ご馳走であったよ) 9471 0 0 8938 htmvoc_9471.wav ソーミンチャンプルー ⸢ソー⸣ミンチャンプルー [⸢soː⸣minʧampuruː] 名 茹でた素麺に魚肉やカマボコ、シ⸢ビラ[ʃi⸢bira](ネギ<葱>)あるいは、⸣ビラ[⸣bira](ニラ<韮>)などを刻み、混ぜ絡めて軽く油炒めにしたもの。栄養価の高い、美味な食品であった。鳩間島では、⸣バコー[⸣bakoː](共同作業)の際に、3時の⸢サー⸣フキ[⸢saː⸣ɸu̥ki](茶請け)として簡単に大量炊飯が出来るので重宝された。 ⸢ソー⸣ミンチャン⸣プロー ム⸢カ⸣シェー バ⸢コーシンカン⸣ケーンヌ ⸢サー⸣フキティ ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸢soːminʧam⸣puroː mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢koːʃiŋkaŋ⸣keːnnu ⸢saː⸣ɸu̥kiti ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (ソーメンチャンプルーは、昔は共同作業員の御茶請けとして出された) 9467 0 0 8939 htmvoc_9467.wav ソーミンヌシームヌ ⸢ソーミン⸣ヌ ⸢シームヌ [⸢soːmin⸣nu ⸢ʃiːmunu] 連 素麺の吸い物。祝儀、不祝儀(ウ⸢ブソッ⸣コー{SqBr}ʔu⸢busok⸣koː{/SqBr}<二十五年忌、三十三年忌の焼香>)の座で二番目に供された吸い物。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢ニーバン シー⸣ムヌン ウ⸢ブソッコー⸣ヌ ⸢ニーバンシー⸣ムヌン ⸢ソーミン⸣ヌ ⸢シームヌル⸣ ン⸢ザ⸣ソーッタツォー [⸢joi⸣nu ⸢niːbaŋʃiː⸣munuŋ ʔu⸢busokkoː⸣nu ⸢niːbaŋʃiː⸣munun ⸢soːmin⸣nu ⸢ʃiːmunuru⸣ ʔn⸢ʣa⸣soːttaʦoː] (お祝いの二番吸い物も、大法事の二番吸い物もソーメンの吸い物を出されたそうだ) 9468 0 0 8940 htmvoc_9468.wav ソーミンブットゥルー ⸢ソー⸣ミンブットゥルー [⸢soː⸣mimbutturuː] 名 素麺を茹でて、それだけを軽く油で炒めたもの。主婦たちの夜なべ仕事のヌカーシ夜食や子供たちのお八つなどに好まれた。 ⸢ソー⸣ミンブットゥルーナー ノー⸢ン⸣ イ⸢リランシェン [⸢soː⸣mimbutturuːnaː noː⸢ŋ⸣ ʔi⸢riraŋʃeŋ] (ソーメンの油いためには何も入れなかった) 9472 0 0 8941 htmvoc_9472.wav ゾームチ ⸢ゾームチ [⸢ʣoːmuʧi] 名 人情の厚い人。「情持ち」の義。 ウ⸢レー⸣ ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ゾームチ⸣ ヤ⸢レー⸣ティル ア⸢キナイ⸣ヤー ⸢シーユーサン⸣ ブ⸢レー⸣ル [ʔu⸢reː⸣ du⸢ku⸣nu ⸢ʣoːmuʧi⸣ ja⸢reː⸣tiru ʔa⸢kinai⸣jaː ⸢ʃiːjuːsam⸣ bu⸢reː⸣ru] (彼はあまりにも人情の厚い人だったので、商売は出来なかった<出来ずにいた>のであろうよ) 9473 0 0 8942 htmvoc_9473.wav ソームニ ⸢ソームニ [⸢soːmuni] 名 本当の言葉(話)。真実の言葉(話)。うそいつわり(嘘偽り)のない言葉(話)。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ ムネー ⸢ソームニテー⸣ ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ muneː ⸢soːmuniteː⸣ ʔu⸢moːra⸣nu] (彼のいう言葉<話>は本当の言葉<話>とは思われない)。 ユ⸢クシ⸣ムネー ア⸢ザンドー⸣シ ⸢ソームニバ⸣ マッ⸢トーバ⸣ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリリ [ju⸢kuʃi⸣muneː ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi ⸢soːmuniba⸣ mat⸢toːba⸣ ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sariri] (嘘<虚言>はいわないで、本当の話を正直<真直ぐ>に申し上げろ) 9450 0 0 8943 htmvoc_9450.wav ソームヌ ⸢ソームヌ [⸢soːmunu] 名 本物。立派な物。本当の物。上質の物。高級品。 ⸢ソームノー ミッ⸣タニ ⸢カーラヌ [⸢soːmunoː mit⸣tani ⸢kaːranu] (本物は滅多に買えない)。対義語は、ヤ⸢ナムヌ[ja⸢namunu](悪い物{EOS}悪質な物{EOS}粗悪品)、⸢ソーベー⸣ムヌ[⸢soːbeː⸣munu](商売物{EOS}粗悪品{EOS}安物)。 ⸢カウ⸣カー ⸢ソームヌル カウ ソーベー⸣ムノー ⸢カウナ [⸢kau⸣kaː ⸢soːmunuru kau soːbeː⸣munoː ⸢kauna] (買うなら上質の本物を買うのであって、粗悪な商売用品は買うな)。 ⸣ミルカー ⸢ソームヌトゥ⸣ ヤ⸢ナムノー⸣ シ⸢グ⸣ ワ⸢カ⸣ルン [⸣mirukaː ⸢soːmunutu⸣ ja⸢namunoː⸣ ʃi⸢gu⸣ wa⸢ka⸣ruŋ] (見れば本物と偽物はすぐわかる) 9451 0 0 8944 htmvoc_9451.wav ゾームヌ ⸢ゾー⸣ムヌ [⸢ʣoː⸣munu] 名 上質のもの。上等のもの。上物。 カ⸢ツブシェー ゾー⸣ムノー ⸢ダイヤー⸣ ムトゥン [kḁ⸢ʦubuʃeː ʣoː⸣munoː ⸢daijaː⸣ mutuŋ] (鰹節は上質のものは値段が高く売れる<値段は持つ>) 9333 0 0 8945 htmvoc_9333.wav ソーヤンマイ ⸢ソーヤンマイ [⸢soːjammai] 名 仮病でない本当の病気。重篤な病気。 ウ⸢リヌ ヤンマイ⸣ヤー ⸢ソーヤンマイ⸣ ヤ⸢リン⸣ギササー [ʔu⸢rinu jammai⸣jaː ⸢soːjammai⸣ ja⸢riŋ⸣gisasaː] (彼の病気は重篤な病気であるらしいよ) 9475 0 0 8946 htmvoc_9475.wav ソーユ ⸢ソー⸣ユ [ー⸢soː⸣juː] 名 醤油。標準語の⸢醤油」から転訛したもの。老年層は、シ⸢タ⸣ディ[ʃi̥⸢ta⸣di](下地<醤油>)という。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ソー⸣ユーン ⸣ドゥーシ ⸢コージ⸣ タティティ マ⸢ラソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢soː⸣juːn ⸣duːʃi ⸢koːʤi⸣ tḁtiti ma⸢rasoːt⸣ta] (昔は醤油も自分で麹を立てて醸造され<生まらされ>た) 9476 0 0 8947 htmvoc_9476.wav ゾーラキ ⸢ゾーラキ [⸢ʣoːraki] 名 青年団が東村、西村に分かれて豊年祭当日に入子型の棒踊りや舞踊を競って奉納する舞踊団の行列。「常楽会」と関係があるか。奉納芸は西村の弥勒踊りから最初に上演される。福福とした弥勒菩薩の面を被った演者(大城家出身者)が軍配団扇を右に左に掬い上げるように打ち振りながら13人の従者(乙女)を引き連れて、三味線、笛、太鼓、銅鑼の音楽に合わせながら登場する。地謡達は旗頭の前や横に立って演奏する。従者の内、最前列の2名は神酒の入った⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](燗瓶)を一本ずつ持ち、続く2名は稲、粟の入った籠を持ち、弥勒の団扇に合わせて右上へ、左上へと額の高さに差し上げて拝みつつ進む。残りの9名はパ⸢タ[pḁ⸢ta](黄色い三角旗)を右手にもって右足を半歩出し、旗竿に脚を揃えて膝を折り、次に左脚を半歩出して旗竿に揃え、膝を折って進む。これを繰り返しつつ桟敷の中央で一回りして退出する。奉納芸能の二番目の演目は東村のカ⸢ムラー⸣マ[ka⸢muraː⸣ma](かむろ<禿{EOS}幼童の髪を切り揃えたもの{EOS}⸢神漏美」の転訛か>{EOS}子孫繁昌の神の舞い)である。シュロの葉柄の根元に生える茶褐色の網状の繊維を頭に被り、黄色い衣装を纏った翁が右手にクバ(蒲葵)の葉扇を持ち、左手に杖を持って、10人余の黄色い衣装を着た子供を従えて登場する。翁が先頭になり、カムラーマの歌に合わせて片足を交互に挙げながら扇を打ち振り桟敷の中央まで進む。子供達も歌に合わせて、両手を肩の上から両側へ払い挙げる動作を繰り返しつつ進み、左回りに円陣を作って翁を取り巻く。途中、歌の一節が終わる度に翁が⸢ヘイ」と声をかけると、子供達は一目散に翁の足元に駆け寄ってしゃがみ、うずくまる。翁は「ホーイホーイ」と声を掛けながらクバ扇で子供達を撫でる。四連の歌詞が終わるまで四回同じ所作を繰り返して終わる。三番目の演目は西村のタイ⸢コー⸣マ[tai⸢koː⸣ma](小太鼓演舞隊)である。小太鼓を持った五人ずつの二列縦隊と隊列の中間に長刀を持った武者姿の演者が入って一団が構成される。長刀演者は太鼓や銅鑼に合わせて長刀の型を演舞する。小太鼓隊は長刀演者の両側で小太鼓を打ちながら前進したり後退したり、脚を大きく上げ、飛び跳ねて回転したりして勇壮な演舞をする。四番目の演目は西村の棒術である。サク棒、六尺棒、長刀など二人一組で演じる五組ほどの演舞がある。五番目の演目も西村のマ⸢ミドー⸣マ[ma⸢midoː⸣ma]が演じられる。六番目の演目は東村のタイコーマ(小太鼓隊)、七番目の演目も東村の棒術が演じられるが、東村の演舞は西村のそれにくらべて勇壮で激しいのが特徴である。八番目の演目は東村の舞踊イニシリ節(稲の収穫舞踊)である。これらが定番の演目で、西村、東村に分かれ、セットになって入子型様式で納められている。これらを一つ一つ取り出して競演奉納し、豊穣を祈願するのがゾーラキである 9477 0 0 8948 htmvoc_9477.wav ゾーラスン ⸢ゾーラスン [⸢ʣoːrasuŋ] 他動 濡らす。水で濡れるようにする。潤す。 ⸢ゾーラサヌ [⸢ʣoːrasanu] (濡らさない)。 ⸢ゾーラシ⸣ ミサン [⸢ʣoːraʃi⸣ misaŋ] (濡らしてよい)。 ⸣ウナー シ⸢キ⸣ルカー ⸢ゾーラスン⸠ダー [⸣ʔunaː ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢ʣoːrasun⸠da] (ここに置くと濡らすよ)。 ⸢ゾーラス⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʣoːrasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (濡らすことは罷りならぬ)。 ン⸢ベーマー ゾーラシェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː ʣoːraʃeː⸣ misamunu] (少しは濡らせばよいのに)。 ⸢ゾーラシ [⸢ʣoːraʃi] (濡らせ) 9478 0 0 8949 htmvoc_9478.wav ソーラン ⸢ソー⸣ラン [⸢soː⸣raŋ] 名 盆祭り。「精霊会」の義。旧暦7月13日は、ン⸢カイビー[ʔŋ⸢kaibiː](迎え日{EOS}精霊迎え)、同14日は、ナ⸢カヌ⸣ピー[na⸢kanu⸣ piː](中日)、同15日は、ウ⸢クリヌ ピン[ʔu⸢kurinu piŋ](送りの日{EOS}精霊送り)として先祖の霊を供養する祭祀行事。鳩間島では、旧暦7月を⸢ソー⸣ランシキ[⸢soː⸣raŋʃi̥ki](精霊月)といって、その月には神事に関する諸々の行事はタブーとされている。旧暦7月7日を、タ⸢ナバタ[ta⸢nabata](七夕)と称し、その日には墓地を清掃したり、日頃から延び延びにしていた法事等を、⸢ピュール[⸢pjuːru](ひより{EOS}吉日{EOS}「日選り」の義か)に関係なく執り行うことが出来ることになっている。毎年回ってくるソーランには、人々は「あの世」から先祖や死者の霊を各家に迎えて、孝養の限りを尽くすために供物を供え、獅子舞、アンガマ踊りを奉納して⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)をうたうのである。祖霊は、目には定かに見え給わぬが、あたかも眼前に祖霊がましますが如くに語りかけたりして、心をこめて念仏歌を歌い上げるのである。旧暦7月13日のン⸢カイビー[ʔŋ⸢kaibiː](精霊迎え)には、朝から仏壇を清掃したり、供え物を飾りつけたりする準備をする。⸢イーパイ[⸢ʔiːpai](位牌)を洗って拭いたり、⸢コー⸣ロー[⸢koː⸣roː](香炉)の灰を取り替えたりする。供え物は普通、⸢ソッコー⸣ムヌ[⸢sokkoː⸣munu](「焼香物」の義か{EOS}イ⸢ツァ⸣カウ{SqBr}ʔi⸢ʦa⸣kau{/SqBr}<板線香>3枚と、ウ⸢ティン⸣ガビ{SqBr}ʔu⸢tiŋ⸣gabi{/SqBr}<打ち紙{EOS}紙銭>3枚、イ⸢チンゴー⸣パナ{SqBr}ʔ⸢iʧiŋgoː⸣pana{/SqBr}<花米一合を重箱にいれたもの>)、ム⸢ルムル[mu⸢rumuru](「盛る物」の義か{EOS}甘蔗<砂糖黍>を7寸ほどの長さに切ったものを10本ほど束ね、⸣サンボー{SqBr}⸣samboː{/SqBr}<三方>の台に載せ、果物やキ⸢ダ{SqBr}ki⸢da{/SqBr}(黒檀{EOS}黒木)の実やフ⸢ナ⸣ブ[ɸu⸢na⸣bu]<九年母、ヒラミレモン>、⸢バン⸣スル[⸢ban⸣suru]<ばんじろう。蕃石榴>、⸣カニン[⸣kaniŋ](野葡萄の実)を挿して飾った供物の一対)などである。それに⸣グシ[⸣guʃi](御酒)を⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](燗壜)に入れたもの一対を仏壇に供え、ン⸢カイズーシ[ʔŋ⸢kaiʣuːʃi](精霊迎えの雑炊{EOS}五目飯)を供えると祖霊を迎える準備は完了する。毎食を供える際に、ミ⸢ジヌ⸣クー[mi⸢ʣinu⸣kuː](「水の子」の義か{EOS}砂糖きびの茎、茄子を細かく刻んだ物に米、小豆を加えたもの)を、⸣マヤーブー[⸣majaːbuː]<メドハギ。精霊箸。⸢猫の尾」の義>で戸外へ三度撥ね飛ばして施餓鬼する。ミジヌクーも仏壇に供える。祖霊を迎えるには、バ⸢ラフ⸣タ[ba⸢raɸu̥⸣ta](稲藁)の穂の部分を丸めて縛り、その中にウ⸢キル[ʔu⸢kiru](\ruby{熾火}{オキ|ビ})を入れてフ⸢チマラ⸣シ[ɸu̥⸢ʧimara⸣ʃi](\ruby{燻}{クスベ}らせ)て、⸢ペーラ⸣フチ[⸢peːra⸣ɸu̥ʧi](門{EOS}入り口)の右脇に添えて置く。これは、人がその火を跨ぐことがないようにとの意味があるという。祖霊達は藁の煙をたどって家々に降りてくるといわれている。それで藁の煙がたくさん出るように心を配ったものである。祖霊を迎え入れると、戸主を中心に家族一同が仏壇の前に座り、跪いて合掌し、三日間孝養を尽くさせてくださいと祈ってから会食した。その日の夕食は出来るだけ早めにとった。お盆の日、特に初日の精霊迎えの日は、空腹を感じると、その人の魂が肉体から抜けやすいと信じられているからである。夕食が済むと男たちは、⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)を歌ったり、先祖の話をしたり、親戚を回って焼香したりして祖霊を慰めた。夜の11時頃になると、ユ⸢ナカシー⸣ムヌ[ju⸢nakaʃiː⸣munu](夜中の吸い物)を供えた。食事を供える際は、必ず⸢ブー⸣ソー[⸢buː⸣soː](小皿に盛ったご飯{EOS}ぶっしょう「仏食向」の義か)を膳の外においた。⸢ブー⸣ソーは女性しか食べることは出来ないといわれている。お盆の三日間は、仏壇の線香が消えると、⸣ピーリボール[⸣piːriboːru](冷え冷え)としているといって、それを嫌った。線香の火を絶やさないために、⸢ピーマチカウ[⸢piːmaʧikau](「火持ち線香」の義か{EOS}直径約5ミリ、長さ約25センチの大きな線香)を焚いて一日中仏壇から線香の煙を絶やさなかった。ナ⸢カヌ⸣ピン[na⸢kanu⸣piŋ](中日)は、朝食にア⸢サカイ[ʔa⸢sakai](朝粥)を供える。午前10時頃、⸢サーサー⸣フキ[⸢saːsaː⸣ɸu̥ki](茶請け)を供え、正午には⸣アシ[⸣ʔaʃi](「朝飯」の義か)、午後3時頃に⸢サーサー⸣フキ[⸢saːsaː⸣ɸu̥ki]、午後6時頃に⸢ユー⸣ボン[⸢juː⸣boŋ](夕飯)、午後11時頃にユ⸢ナカシー⸣ムヌを供えた。こうして祖先供養をすることを、⸢ソー⸣ランマカナイ[⸢soː⸣rammakanai](精霊賄)と称している。ウ⸢ヤ⸣プスシゥカナイ[ʔu⸢ja⸣pu̥susi̥kanai](先祖養い)ともいう。中日の晩には、翌日のウ⸢クリ[ʔu⸢kuri](精霊送り)の法事に必要な供物の餅やア⸢ラシコーシ[ʔa⸢raʃikoːʃi](「蒸し菓子」の義)を作るために、女性たちは⸢クー⸣ピキ[⸢kuː⸣pi̥ki](「粉挽き」の義{EOS}約半日水に浸けた糯米を石臼で挽くこと)をして準備した。男たちは夕方になると⸢シー⸣シマーシ[⸢ʃiː⸣ʃimaːʃi](獅子舞)の準備をした。西村の獅子は⸢雌獅子」で⸢ダイ⸣ケー[⸢dai⸣keː](大工家)が獅子元、東村はク⸢メー[ku⸢meː](小浜家)が獅子元である。⸢シーシ⸣ヌ ⸣キン[⸢ʃiːʃi⸣nu ⸣kiŋ](獅子の着物{EOS}フ⸢ク⸣ダー{SqBr}ɸu̥⸢ku⸣daː{/SqBr}<襤褸>)は、西村と東村の子供たちが、お盆の月に入ると同時にバ⸢サ⸣ヌカー[ba⸢sa⸣nukaː](芭蕉の皮)を剥いで槌で打ち、乾燥させておいた繊維を使って編み上げた。お盆の中日には、獅子元の人や村のヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人)たちが獅子頭の化粧直しをして獅子元の一番座の東の縁側に飾っておく。午後8時ごろ村人が獅子元に集まってきて⸢シーシマツ⸣リ[⸢ʃiːʃimaʦu⸣ri](獅子祭り)をした後、獅子舞に移る。⸢ニンブ⸣ツァー(念仏歌)のシ⸢ザ⸣ヌクイ[ʃiʣa⸣nukui](兄の声<歌>)と⸢ウシトゥ⸣ヌクイ[⸢ʔuʃi̥tu⸣nukui](弟の声<歌>)、ン⸢ゾーニンブツァー[ʔn⸢ʣoːnimbuʦaː](無蔵念仏歌)が歌い終わる頃、どこからともなく⸢アン⸣ガマ[⸢ʔaŋ⸣gama](アンガマ踊りの仮装した一団)たちが、⸢シー⸣シ ⸢パー⸣ソーリ[⸢ʃiː⸣ʃi ⸢paː⸣soːri](獅子を囃したててください)と裏声をつかって催促する。すると、⸣ジーシンカ[⸣ʤiːʃiŋka](地謡衆)が中庭に敷いた筵に座って、ム⸢ヌン⸣グイウタ[mu⸢nuŋ⸣guiʔuta](物乞い歌)をうたう。歌の文句(歌詞)に合わせて家の中から、ム⸢ソー⸣マ[mu⸢soː⸣ma](小筵)を出し、ウ⸢マ⸣ツ[ʔu⸢ma⸣ʦu](火{EOS}煙草盆)を出し、キ⸢シ⸣ル[ki⸢ʃi⸣ru](煙管)、タ⸢バ⸣ク[ta⸢ba⸣ku](煙草)、ウ⸢ミ⸣キ[ʔu⸢mi⸣ki](神酒)、⸣ウサイ[⸣ʔusai](酒の肴)、⸣スナイ[⸣sunai](酢の物、和え物)を出して最後にブ⸢ドル[bu⸢duru](踊り)の出番となる。アンガマ踊りはこうして始まるのである。アンガマ達は男装、女装で変装し、手拭で顔を隠し、クバ笠を深く被って翁とおうな(媼)に続いて現れ、仏壇正面の中庭からナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu⸣ku](ヒンプン)の側まで片膝を立てて腰を下ろし、片手に木の枝やクバ扇を持って両手を体の右側に流して待機している。地謡がニンブツァーを歌いだすと立ち上がり、それに合わせて片足を交互に上げ、両手を上げた足の反対側へ振り下ろす動作を繰り返しつつ、ヒヤリクヨイサー サー サーと囃し立ててながら左回りに踊る。これが済むと獅子舞いに移り、モーヤーを踊って次の家へと移動する。移動する際は一段と高く、イ⸢リクヌ⸣ティー[ʔi⸢rikunu⸣tiː](「入れ子の笛」)の笛の音曲を吹き鳴らしてミ⸢チウタ[mi⸢ʧiʔuta](道歌)をうたう。イ⸢リクヌティーが次の家に移る合図の笛の音である。こうして夜更けまで各家を回り、祖霊を慰めたものである。7月15日は、ウ⸢クリヌピン[ʔu⸢kurinupiŋ](祖霊送りの日)である。供え物は、中日のそれとほぼ同じであるが、正午の⸣アシ[⸣ʔaʃi](昼食)は、ピ⸢サシズー⸣シ[pi⸢saʃiʣuː⸣ʃi](五目飯{EOS}豚肉、魚肉、カマボコ、人参、昆布などを賽の目に切り醤油で味付けして炊いた強飯{EOS}⸢コーズー⸣シ{SqBr}⸢koːʣuː⸣ʃi{/SqBr}<強雑炊>ともいう)を供え夕食には、⸢カシ⸣キ[⸢kaʃi̥⸣ki](糯米のご飯に小豆を混ぜ、蒸して炊いた強飯)を供える。夜の11時頃には、ユ⸢ナカソッ⸣コー[ju⸢nakasok⸣koː](夜中焼香)をし、カ⸢ビヤキ[ka⸢bijaki](紙銭を焼くこと)もして祖霊送りをするのである。ユ⸢ナカソッ⸣コーには分家すじからの⸢ソッコー⸣ムヌ(焼香の供物)も供える。家族全員が正座し、戸主は正装して焼香するが、その際、コーロ(香炉)も定位置より下ろし、⸢サー⸣ドーサバン[⸢saː⸣doːsabaŋ](茶湯茶碗)も下ろして紙銭を焼く。焼き終えたら、グシ(御酒)と茶湯を掛けて火を消し、米を三つかみ入れて⸣パイ[⸣pai](拝{EOS}三拝)をする。そして供えた供物を箸で起こし<パ⸢チウク⸣シ[pḁ⸢ʧiʔuku⸣ʃi](初起こし)>をし、拝礼をして終える。これが終わると仏壇のムルムルから供物の総てを下げ降ろし、ムルムルの一部を籠に入れ、菓子や餅の一部も千切って入れ、線香を三本抜き取って戸外に出、西の道路の側に⸣グソー[⸣gusoː](後生)への⸣シトゥ[⸣ʃi̥tu](お土産{EOS}つと)を置いて、無事にあの世へ帰られるよう祈願して祖霊たちを送るのである。こうしてお盆祭りの全過程は終了するが、子供達は籠を持って家々を回り、⸢シン⸣ザ ⸢コー⸣ソーリ[⸢ʃin⸣ʣa ⸢koː⸣soːri](砂糖黍を恵んでください)と裏声を使って砂糖黍を集めた。⸢シン⸣ザ ⸢クイ⸣プス[⸢ʃin⸣ʣa ⸢kui⸣pu̥su](砂糖黍を乞う人)が来ると、家の中から砂糖黍を投げて与えた。これは餓鬼に対する施しであるといわれていた 9479 0 0 8950 htmvoc_9479.wav ソーランウヤプス ⸢ソー⸣ランウヤプス [⸢soː⸣raŋʔujapu̥su] 名 お盆に迎える祖霊。「精霊親人」の義か。 ⸢ソー⸣ランウヤプス ン⸢カイティ ソー⸣ランマカナイ ⸢シー オースン [⸢soː⸣raŋʔujapu̥su ʔŋ⸢kaiti soː⸣rammakanai ⸢ʃiː ʔoːsuŋ] (お盆の祖霊を迎えて祖霊持て成し<精霊賄い>をして差し上げる)。 ⸢ソー⸣ランウヤプス ウ⸢クリ オーラシ⸣タ [⸢soː⸣raŋ ⸣ʔujapu̥su ʔu⸢kuri ʔoːraʃi̥⸣ta] (お盆の祖霊達をお送りして差し上げた) 9480 0 0 8951 htmvoc_9480.wav ソーランシキ ⸢ソー⸣ランシキ [⸢soː⸣raŋʃi̥ki] 名 お盆の月。「精霊月」の義。お盆の行われる月間の意で、旧暦7月のこと。神事に関する行事はタブーとされている。神事に関する話題をとりあげることすら忌み嫌われたものである。⸢ソー⸣ランシキ[⸢soː⸣raŋʃi̥ki]に入ると、⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)を歌うことが許された。 ⸢ソー⸣ランシキ ⸢ペー⸣ルカー ⸢ニンブ⸣ツァー イ⸢ゾーラリ⸣タンツォー [⸢soː⸣raŋʃi̥ki ⸢peː⸣rukaː ⸢nimbu⸣ʦaː ʔi⸢ʣoːrari⸣tanʦoː] (お盆の月に入ると念仏歌を歌われることが出来たそうです) 9481 0 0 8952 htmvoc_9481.wav ソーランパシ ⸢ソー⸣ランパシ [⸢soː⸣rampḁʃi] 名 精霊箸。ミ⸢ジヌ⸣クー[mi⸢ʤinu⸣kuː](無縁仏へのお布施の食い物{EOS}「水の子」の義)に添える箸。⸣マヤーブー[⸣majaːbuː](メドハギ)の茎で作る決まりがある。 ⸢ソー⸣ランパシェー ⸣マヤーブーシル ス⸢ク⸣ローッタ [⸢soː⸣rampaʃeː ⸣majaːbuːʃiru su̥⸢ku⸣roːtta] (精霊箸はメドハギで作られた) 9482 0 0 8953 htmvoc_9482.wav ソーランマカナイ ⸢ソー⸣ランマカナイ [⸢soː⸣rammakanai] 名 お盆賄い。祖霊供養。「精霊賄い」の義。お盆祭りに祖霊を迎えて供養をすること。 ⸢ソー⸣ランマカナイ ⸢スー⸣ ス⸢コール スンティ シッ⸣パイ ⸢シー ベー [⸢soː⸣rammakanai ⸢suː⸣ su̥⸢koːru sunti ʃip⸣pai ⸢ʃiːbeː] (お盆の祖霊供養<精霊賄い>の準備をしようとして一所懸命に頑張って<して>いる) 9483 0 0 8954 htmvoc_9483.wav ソーランヤーヌアッパター ⸢ソー⸣ランヤーヌ ⸣アッパター [⸢soː⸣raŋjaːnu ⸣ʔappataː] 連 精霊会の家のお祖母さんたち(お盆を迎えた家の祖霊のお祖母さんたち)。/~ソーランヤーヌ アッパター ミーザン マーサン オーショーリ/(精霊会の家の祖母たちよ、不味くても美味しくてもお召し上がれ)「ミチウタ(道歌)」 9484 0 0 8955 htmvoc_9484.wav ゾーリシタフ ⸢ゾーリシタフ [⸢ʣoːriʃi̥taɸu] 名 あまじたく(雨支度)。外出時に雨に濡れない準備をすること。⸢ゾッふィシタフ[⸢ʣoffiʃi̥taɸu](濡れ支度)ともいう。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギサバ ヤー⸢ディン ゾーリシタフ シー⸣ パリ⸢ヨー [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisaba jaː⸢din ʣoːriʃi̥taɸu ʃiː⸣ pari⸢joː] (雨が降りそうだから必ず雨支度をして行きなさいよ) 9485 0 0 8956 htmvoc_9485.wav ゾーリルン ⸢ゾーリルン [⸢ʣoːriruŋ] 自動 濡れる。水などがかかってしみこむ。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢ゾーリルンダー ゾーリラン⸣ヨーニ ⸣サナ ⸣ムティ ⸣パリ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢ʣoːrirunda ʣoːriraɲ⸣joːni ⸣sana ⸣muti ⸣pari] (雨が降ると濡れるから濡れないように傘を持っていけ)。 ⸢ゾーリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʣoːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (濡れることはない)。 ⸢ゾーリレー⸣ ミサムヌ [⸢ʣoːrireː⸣ misamunu] (濡れれば良いのに)。 ⸢ゾーリリ [⸢ʣoːriri] (濡れろ) 9486 0 1 8957 htmvoc_9486.wav ゾールゾール ⸣ゾールゾール [⸢ʣoːruʣoːru] 副 {Mn_1}ぞろぞろ。人や動物、物などが連なって現れるさま。 ⸣ゾールゾール⸣シ ブ⸢ドゥルシンカヌ⸣ サンシケー ア⸢ラ⸣キ ⸢パッ⸣タヤー [⸣ʣoːruʣoːru⸣ʃi bu⸢duruʃiŋkanu⸣ saŋʃi̥keː ʔa⸢ra⸣ki ⸢pat⸣tajaː] (ぞろぞろと踊り仲間<臣下、人衆>が桟敷の方へ歩いて行ったよ)。 ⸣ゾールゾール⸣シ ム⸢シヌ⸣ パイ ⸣ンジクン [⸣ʣoːruʣoːru⸣ʃi mu⸢ʃinu⸣ pai ⸣ʔnʤikuŋ] (ぞろぞろと虫が這い出てくる) 9486 0 2 8958 htmvoc_9486.wav ゾールゾール ⸣ゾールゾール [⸢ʣoːruʣoːru] 副 {Mn_2}雨にしとど濡れるさま。水が流れるさま。 ⸣ゾールゾール⸣シ ⸢ゾーレー⸣ティ ⸢パッ⸣タ [⸣ʣoːruʣoːru⸣ʃi ⸢ʣoː⸣reːti ⸢pat⸣ta] (雨にしとど濡れながら行った)。 9486 0 3 8959 htmvoc_9486.wav ゾールゾール ⸣ゾールゾール [⸢ʣoːruʣoːru] 副 {Mn_3}擬音語。ざあざあ。雨が土砂降りになるさま。 ⸣ゾールゾール⸣シ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン [⸣ʣoːruʣoːru⸣ʃi ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ] (ざあざあと雨が降る) 9487 0 0 8960 htmvoc_9487.wav ゾールゾールズーシ ⸣ゾールゾールズーシ [⸣ʣoːruʣoːruʣuːʃi] 名 雑炊の一種。野菜と水分が主で、米の少ない雑炊。ゾロゾロ雑炊。終戦後の食糧難の時代によく食した。ゾロゾロと掻き込まれることから命名されたものであろう。下痢をした時にも炊いて食べさせられた。 ⸢キュー⸣ユン <⸣キューン> ⸣ゾールゾールズーシ バ⸢カソー⸣ルツォー [⸢kjuː⸣jun <⸣kjuːn> ⸣ʣoːruʣoːruʣuːʃi ba⸢kaoː⸣ruʦoː] (今日も汁の多い雑炊を炊かれるそうだ) 9488 0 1 8961 htmvoc_9488.wav ソールン ⸢ソールン [⸢soːruŋ] 他動 {Mn_1}除草する。根こそぎに取る。へら(箆)で雑草を掘り起こして除草する。削り取る。「さくり<\ruby{渫}{サクリ}>」『岩波古語辞典』の転訛したもの。 ⸣ッサ ⸢ソールンティ ベー⸣ンドゥ ク⸢シヌ⸣ ヤミ ⸢ソーララヌ [⸣ssa ⸢soːrunti beː⸣ndu ku̥⸢ʃinu⸣ jami ⸢soːraranu] (草を渫り除草しようとしているが、腰が痛くて除草できない)。 ⸢ソーリ⸣ ミサカー ⸣ドゥーシ ⸢ソーリ⸣バ [⸢soːri⸣ misakaː ⸣duːʃi ⸢soːri⸣ba] (\ruby{浚}{サク}って除草してよければ自分で除草しなさいよ)。 ⸣ッサ ⸢ソール⸣ プソー ⸣ピラシ ⸢ソーレー⸣ ミサムヌ [⸣ssa ⸢soːru⸣ pu̥soː ⸣piraʃi ⸢soːreː⸣ misamunu] (浚って除草するときは、へら<箆>で除草すればよいのに)。 9488 0 2 8962 htmvoc_9488.wav ソールン ⸢ソールン [⸢soːruŋ] 他動 {Mn_2}肉を削ぎ落とす。さくり落とす。\ruby{削}{ソ}がれる。 ⸣シラー ⸢ソーリティ ヨーガリベー [⸣ʃiraː ⸢soːriti joːgari beː] (頬肉は削ぎ落とされて痩せている) 9489 0 0 8963 htmvoc_9489.wav ソールン ⸢ソー⸣ルン [⸢soː⸣ruŋ] 他動 される。\ruby{為}{ナ}さる。「する」「なす」の尊敬語。「し<為>・おわす<御座す。在す>」の融合変化した形。 ⸣アッパー シ⸢グトゥ ソー⸣ルンティ ア⸢ゾールン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ ⸢ソーラン⸣ パジ [⸣ʔappaː ʃi⸢gutu soː⸣runti ʔa⸢ʣoːrun⸣du ⸢kjuː⸣ja ⸢soːram⸣ paʤi] (お祖母さんは、仕事をされるとおっしゃるが、今日はなさらないはずだ)。 ⸢キュー⸣ヤ シ⸢グトゥ ソー⸣リ ⸣ミサン [⸢kjuː⸣ja ʃi⸢gutu soː⸣ri ⸣misaŋ] (今日は仕事をなさってよい)。 シ⸢グトゥ ソー⸣ル ⸣プソー ⸢アイ⸣ジ ⸢ソー⸣リ [ʃi⸢gutu soː⸣ru ⸣pu̥soː ⸢ʔai⸣ʤi ⸢soː⸣ri] (仕事をなさるときは合図なさってください<合図なされ>)。 ⸢パー⸣ク ⸢ソー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢soː⸣reː ⸣misamunu] (早くなさればよいのに)。 ヤー⸢ディン ワー⸣ ドゥーシ ⸢ソー⸣リ [jaː⸢diŋ waː⸣ duːʃi ⸢soː⸣ri] (必ず貴方自身でなさってください<\ruby{為}{ナ}され>) 9490 0 0 8964 htmvoc_9490.wav ゾールン ⸢ゾールン [⸢ʣoːruŋ] 自動 濡れる。ぬる(下二段)「~寄せ来る浪に衣手奴礼奴<ヌレヌ>。万、3709」に対応。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢ゾールン⸣ダー [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢ʣoːrun⸣daː] (雨が降ったら濡れるよ)。 ⸢フー⸣バン ⸢ゾーラヌ [⸢ɸuː⸣ban ⸢ʣoːranu] (降っても濡れない)。 ⸢ワー ゾーリ⸣ ミサンドゥ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ゾール⸣ クトー ナラ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː ʣoːri⸣ misandu ja⸢ra⸣beː ⸢ʣoːru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (君は濡れても良いが子供は濡れることはできない<ならぬ>)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ゾーレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢ʣoːreː⸣ misamunu] (もっと濡れればいいのに)。 ⸢ゾーリ⸣バ [⸢ʣoːri⸣ba] (濡れろよ) 9491 0 0 8965 htmvoc_9491.wav ソーン ⸢ソーン [⸢soːŋ] 接尾 ~並み。~と同じ程度。~と一緒。 プ⸢スソーンヤー ナー⸣ムティ ウ⸢ブムニ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [pu̥⸢susoːɲja naː⸣muti ʔu⸢bumuni⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (人並みでない癖に<一人前でない癖に>、大法螺をふいて<大言壮語して{EOS}大きなことを言って>いるよ)。 ノー⸢ン⸣ プ⸢スソーンニ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [noː⸢m⸣ pu̥⸢susoːn saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (何事も人並みにしなければならない) 9492 0 0 8966 htmvoc_9492.wav ゾーンターヤー ⸣ゾーンターヤー [⸣ʣoːntaːjaː] 名 屋根付きの門。屋根のある門。「門の家」の義か。その昔、鳩間島から首里に公用で上ったウ⸢ブバ⸣カヤー[ʔu⸢buba⸣kajaː](大若家)の者が雨に降られて、とある家の⸣ゾーンタヤー[⸣ʣoːntajaː]で雨宿りをしていると、内から家主が出てこられ、何処から来たも者かと尋ねられたという。そこで事情を話すと、この家の縁の者であるとのことで家の中へ招き入れられ、歓待されて帰ったという。 カ⸢ザケーヤ⸣ ム⸢カ⸣シェー ウ⸢ブバ⸣カヤーティ ア⸢ゾーッ⸣タツォー ム⸢カ⸣シ ⸣シュリナー ⸢オー⸣リ ⸣ゾーンタヤーナ ⸣アミ パ⸢ラ⸣スンティ ⸢オー⸣ルンケン ウ⸢ヌ ヤー⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ン⸢ゾー⸣リ パ⸢ナ⸣シ ス⸢コー⸣リティル ウ⸢トゥ⸣ザティ ⸢シー⸣ ム⸢ティナサ⸣リティ ⸢オーッ⸣タ⸢トゥ⸣ツォー [ka⸢ʣakeːja⸣ mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢buba⸣kajaːti ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʃurinaː ⸢ʔoː⸣ri ⸣ʣoːntajaːna ⸣ʔami pa⸢ra⸣sunti ⸢ʔoː⸣ruŋkeŋ ʔu⸢nu jaː⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ʔn⸢ʣoː⸣ri pa⸢na⸣ʃi su̥⸢koː⸣ritiru ʔu⸢tu⸣ʣati ⸢ʃiː⸣ mu⸢tinasa⸣riti ⸢ʔoːt⸣ta⸢tu⸣ʦoː] (加治工家は昔は大若家といったそうだ{EOS}昔首里に行かれて、とある屋根のある門で雨宿りをしておられた時、その家の人が出てこられ、話を聞かれて、親戚だといって、持て成されて帰ってこられたそうな<加治工ムヲシヤ氏{EOS}大城サカイ氏、宮良ヲナリ氏>伝承) 9493 0 0 8967 htmvoc_9493.wav ソーンドゥ ソー⸢ンドゥ [soː⸢ndu] 副 丁度。きっかり。数量、大きさ、時刻などが基準に過不足なく一致するさま。若年層は、チョー⸢ンドゥ[ʧoː⸢ndu](丁度)ともいう。 ク⸢レーワー⸣ ム⸢ヌ⸣トゥ ソー⸢ンドゥ⸣ ユ⸢ヌ⸣ ムヌ [ku⸢reː waː⸣ mu⸢nu⸣tu soː⸢ndu⸣ ju⸢nu⸣ munu] (これは君の物と丁度<きっかり>同じ物だ) 9494 0 1 8968 htmvoc_9494.wav ソッコー ⸢ソッ⸣コー [⸢sok⸣koː] 名 {Mn_1}仏前に香をたくこと。「焼香」の転訛したもの。 ⸣アボー ⸢シー⸣ネー ⸢ソッ⸣コー ⸢シン オーッ⸣タ [⸣ʔaboː ⸢ʃiː⸣neː ⸢sok⸣koː ⸢ʃiŋ ʔoːt⸣ta] (お母さんは後ろ隣の家に焼香しに行かれた)。 9494 0 2 8969 htmvoc_9494.wav ソッコー ⸢ソッ⸣コー [⸢sok⸣koː] 名 {Mn_2}法事。 ウ⸢ブソッ⸣コー [ʔu⸢busok⸣koː] (大きな法事{EOS}二十五年忌、三十三年忌等の法事等)。法事には、ユ⸢ノー⸣レー[ju⸢noː⸣reː](一周忌)、⸢タンカーソッコー[⸢taŋkaːsokkoː](一周忌)等もある。 ⸢ジュー⸣サンニンキヌ ⸢ソッコー⸣ヤ イ⸢チ ソーッ⸣タカヤー [⸢ʤuː⸣sanniŋkinu ⸢sokkoː⸣ja ʔi⸢ʧi soːt⸣takajaː] (十三年忌の法事はいつされたかねえ) 9496 0 0 8970 htmvoc_9496.wav ソッコーグトゥ ⸢ソッコー⸣グトゥ [⸢sokkoː⸣gutu] 名 法事の行事。「焼香ごと」の義。 ム⸢チマイ⸣ ッサイ ⸢オー⸣ル ⸢ギン⸣シェー ⸢ウン⸣ネーナー ⸢ソッコーグトゥヌ⸣ル ア⸢ローリン⸣ギサバン [mu⸢ʧimai⸣ ssai ⸢ʔoː⸣ru ⸢giŋ⸣ʃeː ⸢ʔun⸣nenaː ⸢sokkoːgutu⸣nu ʔa⸢roːriŋ⸣gisabaŋ] (糯米を搗いておられるからには、あの家には法事がおありの<あられる>ようだ) 9497 0 0 8971 htmvoc_9497.wav ソッコープス ⸢ソッコー⸣プス [⸢sokkoː⸣pu̥su] 名 焼香客。法事に来た人。「焼香人」の義。 ⸢ソッコー⸣プソー ムー⸢ル ソッコー⸣ヌ ム⸢チバ⸣ シトゥ ッ⸢ス⸣ミティ ⸢ヤー⸣ ム⸢トーッ⸣タ [⸢sokkoː⸣pu̥soː muː⸢ru sokkoː⸣nu mu⸢ʧiba⸣ ʃi̥tu s⸢su⸣miti ⸢jaː⸣ mu⸢toːt⸣ta] (焼香客はみんな法事に供えた餅を苞<お土産>に包んで家に持ち帰られた) 9498 0 0 8972 htmvoc_9498.wav ソッコームヌ ⸢ソッコー⸣ムヌ [⸢sokkoː⸣munu] 名 法事の供物。法事に親戚の者が持参して供える供物。普通、⸣グシ[⸣gusi](酒)三合、⸢コー⸣パナ[⸢koː⸣pana](板香5枚と花米3合)と、ウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](打ち紙{EOS}紙銭5枚)。ッ⸢ス⸣ムチ[s⸢su⸣muʦi](白餅)一重箱が供えられた。 ⸢ソッコー⸣ムノー ス⸢コーリ⸣ シケーバ ⸣ムティ ⸢ギー⸣ シ⸢キティ⸣ クー [⸢sokkoː⸣munoː su̥⸢koːri⸣ ʃi̥keːba ⸣muti ⸢giː⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ kuː] (法事の供物は準備してあるから持って行ってお供えしてきなさい) 9501 0 0 8973 htmvoc_9501.wav ソッコーヤー ⸢ソッコー⸣ヤー [⸢sokkoː⸣jaː] 名 法事のある家。「焼香家」の義。 ク⸢トゥシェー ユーリシキヌ マーリ⸣ ⸣クーユンダ ウ⸢サンギソッコー ソー⸣ル ⸢ソッコーヤー⸣ヌン アルパジ⸢ダー [ku̥⸢tuʃeː juːriʃi̥kinu maːri⸣ kuːjunda ʔu⸢saŋgisokkoː soː⸣ru ⸢sokkoːjaː⸣nuŋ ʔarupaʤi⸢daː] (今年は閏月が回ってくるから、三十三年忌の法事をされる家<焼香家>があるはずだよ)。 ⸢ソッコー⸣ヤーラヌ ⸣アッパー ⸣シトゥ [⸢sokkoː⸣jaːranu ⸣ʔappaː ⸣ʃi̥tu] (法事のある家からの、お祖母さんの苞<お土産>) 9502 0 0 8974 htmvoc_9502.wav ゾッふァスン ⸢ゾッふァスン [⸢ʣoffasuŋ] 他動 濡らす。「~袖泣き奴良之~『万葉集 4408』」の転訛したものか。 ⸢ゾッふァスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ゾッふァサラヌ [⸢ʣoffasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʣoffasaranu] (濡らそうと思うが濡らされない)。 ク⸢レー ゾッふァシ⸣ ミサンドゥ カ⸢レー ゾッふァス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː ʣoffaʃi⸣ misandu ka⸢reː ʣoffasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これは濡らしても良いが、あれは濡らすことは出来ない)。 ⸢ゾッふァシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʣoffaʃeː⸣ misamunu] (濡らせば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ゾッふァシ [⸢maː⸣bin ⸢ʣoffaʃi] (もっと濡らせ) 9503 0 0 8975 htmvoc_9503.wav ゾッふィシタフ ⸢ゾッふィシタフ [⸢ʣoffiʃi̥taɸu] 名 雨支度。「濡れ支度」の義。雨天の際に着用する雨合羽、蓑笠の用意をすること。⸢ゾッふンとも言う。 ⸢ゾッふィシタフ シー⸣ パ⸢ラン⸣カー ⸣アミン ⸢ゾッふァーリン⸠ダー [⸢ʣoffiʃi̥taɸu ʃiː⸣ pa⸢raŋ⸣kaː ⸣ʔamin ⸢ʣoffaːrin⸠daː] (雨支度をして行かないと雨に濡れる<濡らされる>ぞ) 9504 0 0 8976 htmvoc_9504.wav ゾッふィルン ⸢ゾッふィルン [⸢ʣoffiruŋ] 自動 濡れる。⸣サナ ム⸢タン⸣カー ⸢ゾッふィルン⸣ダー。 ⸢ゾッふィラン⸣ヨーニ カ⸢ビ⸣ムノー ⸣ムティ ⸢アー⸣キバ [⸣sana mu⸢taŋ⸣kaː ⸢ʣoffirun⸣daː ⸢ʣoffiraɲ⸣joni ka⸢bi⸣munoː ⸣muti ⸢ʔaː⸣kiba] (傘を持たないと濡れるよ{EOS}濡れないように被り物は持ってあるきなさい)。 ⸢ゾッふィ⸣ ミサタンティン ⸢ゾッふィル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʣoffi⸣ misatantin ⸢ʣoffiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (濡れてよくても、濡れてはならない<濡れることは罷りならぬ>)。 ⸢ゾッふィレー⸣ ミサムヌ [⸢ʣoffireː⸣ misamunu] (濡れればよいのに)。 ⸢ゾッふィリ⸣バ [⸢ʣoffiri⸣ba] (濡れろよ) 9505 0 0 8977 htmvoc_9505.wav ゾッふン ⸢ゾッふン [⸢ʣoffuŋ] 自動 濡れる。⸢ゾッふィルン[⸢ʣoffiruŋ](濡れる)と同じ。 ⸢ゾッふァンドー⸣シ ⸣パリバ [⸢ʣoffandoː⸣ʃi ⸣pariba] (濡れないで行けよ)。 ⸢ゾッふィ⸣ ミサカー ⸢ゾッふン⸠ダー [⸢ʣoffi⸣ misakaː ⸢ʣoffun⸠daː] (濡れてよければ濡れるよ)。 ⸢ゾッふェー⸣ ミサムヌ [⸢ʣoffeː⸣ misamunu] (濡れれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ゾッふィ [⸢paː⸣ku ⸢ʣoffi] (早く濡れろ) 9506 0 0 8978 htmvoc_9506.wav ソフクン ⸢ソフクン [⸢soɸukuŋ] 他動 突き刺す。錐や槍などの鋭利な物でぶすっと突き刺す。 ⸢イー⸣ルシ ⸢ソフクンティ スヌ ソフカランバ⸣ ク⸢リ⸣シ ⸢ソフキ ッふィーラン⸣ノーレ [⸢ʔiː⸣ruʃi ⸢soɸu̥kunti sunu soɸu̥karamba⸣ ku⸢ri⸣ʃi ⸢soɸu̥ki ffiːran⸣noːreː] (錐で突き刺そうとするが、突き刺されないので、これで突き刺してくれないか)。 ⸢ソフク⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢soɸu̥ku⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (突き刺すことは出来ない)。 ⸢ソフケー⸣ ミサムヌ [⸢soɸu̥keː⸣ misamunu] (突き刺せばよいのに)。 ク⸢リ⸣シ ⸢ソフキ⸣バ [ku⸢ri⸣ʃi ⸢soɸu̥ki⸣ba] (これで突き刺せよ) 9507 0 0 8979 htmvoc_9507.wav ゾフティ ゾフ⸢ティ [ʣoɸu̥⸢ti] 副 ぐさりと。鋭利なもので柔らかいものを突き刺すさま。 ⸣ガルユクンシ タ⸢ク⸣バ ゾフ⸢ティ シ⸢キピッ⸣キティ ⸢サンギ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [⸣garujukuŋʃi⸣ tḁ⸢ku⸣ba ʣoɸu̥⸢ti⸣ ʃi̥⸢pik⸣kiti ⸢saŋgi⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (鉤のある銛で蛸をぐさりと突いて、穴から引きずり出せよ) 9508 0 0 8980 htmvoc_9508.wav ソンガー ⸢ソン⸣ガー [⸢soŋ⸣gaː] 名 (植)ショウガ(生姜)。「生薑、久礼乃波之加三(くれのはじかみ)」『和名抄』のこと。地下茎が横に伸びて黄色い塊根を形成する。辛味を有し、食用・香辛料として用いられる。ナ⸢カミ⸣ヌ ⸢シームヌ[na⸢kami⸣nu ⸢ʃiːmunu](中身の吸い物{EOS}豚の臓物を調理する料理)に臭みを消す香辛料として用いられる。また、発熱した場合、特に傷口などから⸢ピン⸣グル[⸢piŋ⸣guru](冷え込み{EOS}破傷風)が入ったときには、ソンガーを擂ってサ⸢キ[sḁ⸢ki](酒{EOS}泡盛)とヤ⸢キマース[ja⸢kimaːsu](焼き塩)を混ぜて手揉みし、病人の傷口に当てて包帯で巻きつけ、頭から足の先まで擦り付けて治療した。医者のいない島で、経験をもとに、古老たちは糸満漁師が伝えた漢方治療をほどこした。 ソンガー⸣ヤー パ⸢トゥ⸣マナーン ス⸢ク⸣ローッタン [⸢soŋgaː⸣ja pḁ⸢tu⸣manaːn su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (生姜は鳩間島でも栽培された) 9509 0 0 8981 htmvoc_9509.wav ソンガースリ ⸢ソンガー⸣スリ [⸢soŋgaː⸣suri] 名 生姜擂り。 ⸢ソンガー⸣スリシ ⸢ソン⸣ガー ⸣ッシティ ナ⸢マ⸣シナ カ⸢キ⸣リバ [⸢soŋgaː⸣suiriʃi ⸢soŋ⸣gaː ⸣ʃʃiti na⸢ma⸣ʃina kḁ⸢ki⸣riba] (生姜擂りで生姜を擂って刺身にかけなさいよ) 9514 0 0 8982 htmvoc_9514.wav ソンガチ ⸣ソンガチ [⸣soŋgaʧi] 名 正月。 ヤ⸢マトゥ⸣ソンガチ [ja⸢matu⸣soŋgaʧi] (新暦の正月{EOS}大和正月)。 ⸢キューヌ⸣ソンガチ [⸢kjuːnu⸣soŋgaʧi] (旧暦の正月{EOS}沖縄正月)。 ウ⸢ブ⸣ソンガチ [ʔu⸢bu⸣soŋgaʧi] (新暦の正月)。グ⸢マ⸣ソンガチ[gu⸢ma⸣soŋgaʧi](小さい正月・旧暦の正月)などがある。昭和30年ごろまでは旧正月であったが、学校教育との兼ね合いで石垣市に倣って新暦の正月に統一されていった。しかし、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)の家では神行事との関係上旧正月も実施した。正月には子供たちが浜の白砂を庭に運んで敷き詰め、門には松竹(門松)を立てて祝った。しかし、門松は全琉緑化運動に伴い、琉球政府からの通達もあって廃止された。正月元旦の朝は、早朝に井戸からシ⸢ディ⸣ミジ[ʃi⸢di⸣miʤi](若水{EOS}「孵で水」の義)を汲んでおく。家族がこれで洗面すると孵で変わって一年中健康で暮らし、長寿延命することが出来ると信じられている。その後、イ⸢チバン⸣ザー[ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː](一番座)に家族が集まり、床の間に供えてあるク⸢ガニマース[ku⸢ganimaːsu](健康祈願の黄金塩{EOS}シゥ⸢カラマース{SqBr}si̥⸢karamaːsu{/SqBr}<力付け塩>)と⸣グシ[⸣guʃi](神酒、御酒)を戸主から家族全員に賜り、一年中の健康祈願をしていただく。その後に正月のご馳走⸣ソンガチフルマイ[⸣soŋgaʧiɸurumai](正月振舞・御馳走)」を頂いて、子供達はピ⸢キダマ トゥバシ[pi̥⸢kidama tubaʃi](凧揚げ)遊びや⸢マー⸣ル ⸣ウティ[⸢maː⸣ru ⸣ʔuti](鞠つき)遊びに興じた。大人達は親戚や友人の家を⸢ニントゥ シン[⸢nintu ʃiŋ](年頭の挨拶をしに)互いに尋ねまわり、飲酒して楽しんだ。 ⸣ソンガチナーヤ ビ⸢コーンッふァー⸣ トゥ⸢シン⸣ユーナー ピ⸢キダマ⸣ パ⸢リティ グヮンタン⸣ヌ シ⸢トゥム⸣テーラ ピ⸢キダマ⸣ トゥ⸢バシェー⸣ティ ア⸢サブタ⸣ヨー [⸣soŋgaʧinaːja bi⸢koːnffaː⸣ tu⸢ʃiɲ⸣juːnaː pi̥⸢kidama⸣ pa⸢riti gwantan⸣nu ʃi̥⸢tmu⸣teːra pi̥⸢kidama⸣ tu⸢baʃeː⸣ti ʔa⸢sabuta⸣joː] (正月には男の子は、大晦日の夜に凧を張って、元旦の朝から凧を揚げて<飛ばして>遊んだものだよ) 9515 0 0 8983 htmvoc_9515.wav ソンガチアサビ ⸣ソンガチアサビ [⸣soŋgaʧiʔasabi] 名 正月遊び。男の子はピ⸢キダマ[pi̥⸢kidama](凧)を作って、ピ⸢キダマトゥバシ[pi̥⸢kidamatubaʃi](凧揚げ)をして遊んだ。女の子は、⸢マー⸣ルウティ[⸢maː⸣ruʔuti](鞠突き)などをして遊んだ 9516 0 0 8984 htmvoc_9516.wav ソンガチアシツァ ⸣ソンガチアシツァ [⸣soŋgaʧiʔaʃiʦa] 名 正月下駄。正月用の新しい下駄。戦後の昭和40年頃まで、正月に新品の下駄を履く習慣があった。西表島よりア⸢サン⸣グルキー[ʔa⸢saŋ⸣gurukiː](樹木の名{EOS}和名、フカノキ)を伐り出してきて下駄を作った。 ⸣ソンガチアシツァヌ ⸢ブーン⸣ ⸣ドゥーシル ス⸢クル⸣タ [⸣soŋgaʧiʔaʃiʦanu ⸢buːn⸣ duːʃiru su̥⸢kuru⸣ta] (正月用の下駄の緒も自分で<ぞ>作った) 9517 0 0 8985 htmvoc_9517.wav ソンガチオー ⸣ソンガチオー [⸣soŋgaʧiʔoː] 名 正月用の豚。⸣ソーガチャー[⸣soːgaʧaː](正月用豚)ともいう。ほとんどの家では正月の豚肉用として、五月ごろに子豚を購入し、肥育して正月前に屠殺した。 ⸣ソンガチオーヤ シゥ⸢カナイ⸣バキ ヤ⸢ラバン シー⸣ フ⸢ドバサバル⸣ ソンガチ シゥ⸢カイバー⸣ヤ ⸣ナル [⸣soŋgaʧiʔoːja sï̥⸢kani⸣baki ja⸢rabaŋ ʃiː⸣ ɸu⸢dubasabaru⸣ soŋgaʧi sï̥⸢kaibaː⸣ja ⸣naru] (正月用の豚は子豚を借りて肥育し、屠殺して豚の主と折半する<養い分け>でもして豚を肥育した方が正月用の豚肉の需要<費用>が賄える) 9519 0 0 8986 htmvoc_9519.wav ソンガチキン ⸣ソンガチキン [⸣soŋgaʧikiŋ] 名 正月用の着物。普段は着物を新調することはなく、正月と豊年祭の時に新調した。子供は、⸣ソンガチキン ア⸢ラキン カイッふォー⸣ルンティ⸢ダー[⸣soŋgaʧikiŋ ʔa⸢rakiŋ kaiffoː⸣runti⸢daː](正月用の着物、新しい着物を買って下さるそうだよ)といって喜んだものである 9523 0 0 8987 htmvoc_9523.wav ソンガチッふァヨーン ⸣ソンガチ ッ⸢ふァヨーン [⸣songaʧi f⸢fajoːŋ] 連 旧暦正月の大晦日の夜の暗闇。真っ暗闇。 ⸣ソンガチ ッ⸢ふァヨーンマー⸣ パ⸢ナ⸣ パ⸢サマリ⸣タンティン ワ⸢カラ⸣ヌ [⸣soŋgaʧi f⸢fajoːmma⸣ pa⸢na⸣ pḁ⸢samari⸣tantiŋ wa⸢kara⸣nu] (正月の夜の暗闇は、鼻を摘まれても相手が誰か分からない<ほどの暗闇である>) 9520 0 0 8988 htmvoc_9520.wav ソンガチニントゥ ⸣ソンガチ ⸢ニントゥ [⸣songaʧi ⸣nintu] 連 正月の挨拶回り。正月の年頭の挨拶。 ⸣ソンガチヌ ⸢グヮンタン⸣ヌ ⸣ピンマー ウ⸢トゥザン⸣ヤー カ⸢ツシンヌ シンカ⸣ヌヤー ⸣ソンガチ ⸢ニントゥ シン オーッ⸣タン [⸣soŋgaʧinu ⸢gwantan⸣nu ⸣pimmaː ʔu⸢tuʣaŋ⸣jaː kḁ⸢ʦuʃinnu ʃiŋka⸣nujaː ⸣soŋgaʧi ⸢nintu ʃiŋ ʔoːt⸣taŋ] (正月の元旦の日には親戚の家やカツオ漁船の乗組員の家に年頭の挨拶をしに行かれた) 9521 0 0 8989 htmvoc_9521.wav ソンガチパチニンガイ ⸣ソンガチ パ⸢チニンガイ [⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧiniŋgai] 連 正月の初祈願。「正月初願」の義。鳩間島の人々は、稲作に従事するため西表島の北岸一帯へ四、五日泊まり掛けで、⸢マイ⸣ヌ ⸢トゥー[⸢mai⸣nu ⸢tuː](「前の渡」の義{EOS}鳩間水道{EOS}鳩間海峡)を渡った。その際に、島人が事故に遭遇せぬよう、健康と安全を祈願した祭祀である。友利御嶽で、ミ⸢ジニー[mi⸢ʤiniː](壬)の日を選んで執り行われた。 ⸣ソンガチ パ⸢チニンガイヤー⸣ ムトゥナーティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢ヨーッ⸣タ [⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧiniŋgaijaː⸣ mutunaːtiru ⸢niŋ⸣gai ⸢joːt⸣ta] (正月初願いは友利御嶽で祈願された) 9522 0 0 8990 htmvoc_9522.wav ソンガチバライ ⸣ソンガチバライ [⸣soŋgaʧibarai] 名 正月初笑い。「正月笑い」の義。 ⸣ソンガチバライ ⸢スー⸣カー フ⸢ク⸣ヌ ⸢カン⸣ヌ ⸢ペー⸣ロールンツォー [⸣soŋgaʧibarai ⸢suː⸣kaː ɸu̥⸢ku⸣nu ⸢kan⸣nu ⸢peː⸣roːrunʦoː] (正月初笑いをすると福の神が入って来られるそうだ) 9524 0 0 8991 htmvoc_9524.wav ソンガチフルマイ ⸣ソンガチフルマイ [⸣soŋgaʧiɸurumai] 名 正月のご馳走。「正月振る舞い」の転訛したもの。 ⸣ソンガチフルマイヤー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣タン [⸣soŋgaʧiɸurumaijaː ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (正月振る舞いのご馳走は非常に美味しかった) 9513 0 0 8992 htmvoc_9513.wav ソンカネー ⸣ソンカネー [⸣soŋkaneː] 名 与那国を代表する8886調の歌謡「ションカネ節」の名。歌詞の終わりに付く「ションカーネー」のリフレーンに基く命名という。石垣島のトゥ⸢バラー⸣マ[tu⸢baraː⸣ma]と並んで八重山の二大情歌といわれている。与那国島に派遣された役人が任期を終えて帰るに際して、女性から別れの悲しみを余韻嫋嫋と歌いかけたもの。「ションカネー」の語源については、江戸時代中期以前に流行った「しょんがえ節」に由来する『八重山民謡誌』という説がある。 ユ⸢ノン⸣ ソンカネーヤ トゥ⸢バラーマ⸣トゥ ⸢ナーラブ ゾーウタ⸣ティ ア⸢ザリブー [ju⸢nonnu⸣ soŋkaneːja tu⸢baraːma⸣tu ⸢naːrabu ʣoːʔuta⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (与那国のソンカネー節はトゥバラーマと並ぶ情歌だといわれている) 9510 0 0 8993 htmvoc_9510.wav ゾンギ ⸢ゾン⸣ギ [⸢ʣoŋ⸣gi] 名 定規。物差し。老年層の言葉。 パ⸢ラー⸣ヤ ⸢ゾン⸣ギ ア⸢ティティ⸣ キ⸢サン⸣カー ⸢イシ⸣カー ⸢ナー⸣ヌ ⸣ンジ ⸢キー⸣ス [pa⸢raː⸣ja ⸢ʣoŋ⸣gi ʔa⸢titi⸣ ki̥⸢saŋ⸣kaː ⸢ʔisi̥⸣kaː ⸢naː⸣nu ⸣ʔnʤi ⸢kiː⸣su] (柱は定規を当てて切らないと短いのと、長いのが出てくる) 9511 0 0 8994 htmvoc_9511.wav ゾンギ ⸢ゾン⸣ギ [⸢ʣoŋ⸣gi] 名 ⸢ケン⸣ツァ[⸢ken⸣ʦa](児童の片足とび遊び{EOS}石蹴り遊び)に用いる定規。瓶の破片や瓦の破片で作った直径8~9センチの円盤や四角盤。片足とびをしながら示された区画から円盤の定規を順に送り取って加点していくのに用いる。 ⸢ケン⸣ツァ シ⸢ティ ゾン⸣ギ ⸣トゥル ⸣ピン ⸢キン⸣ヌ フ⸢クビ⸣ヌ ジーナ シ⸢カットゥ⸣カー マ⸢キ ヤッタ⸣ダー [⸢ken⸣ʦa ʃi̥⸢ti ʣoŋ⸣gi ⸣turu ⸣piŋ ⸢kin⸣nu ɸu̥⸢kubi⸣nu ⸣ʤiːna ʃi̥⸢kattu⸣kaː ma⸢ki jatta⸣daː] (ケンツァ遊びをして片足飛びで定規を取る時、着物の帯が地面に接触し<触れ>たら負けだったよ) 9525 0 0 8995 htmvoc_9525.wav ソンコーザーテー ⸣ソンコーザーテー [⸣soŋkoːʣaːteː] 名 屋号。西花孫康氏宅。 サ⸢キバルテーヌ アンタナー⸣ル ⸣ソンコーザーテーヤ ⸢アッ⸣タ [sḁ⸢kibaruteːnu ʔantanaː⸣ru ⸣soŋkoːʣaːteːja ⸢ʔat⸣ta] (崎原家の東側に<ぞ>西花孫康氏宅はあった) 9526 0 0 8996 htmvoc_9526.wav ソンヤクバ ⸢ソンヤクバ [⸢soŋjakuba] 名 村役場。 ム⸢カ⸣シェー タ⸢ケ⸣トミソンヌ ⸢ソンヤクバー⸣ タ⸢キ⸣ドゥンナール ⸢アッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː tḁ⸢ke⸣tomisonnu ⸢soŋjakubaː⸣ tḁ⸢ki⸣dunnaːru ⸢ʔat⸣taʦoː] (昔は竹富村の村役場は竹富島にあったそうだ) 9527 0 0 8997 htmvoc_9527.wav タ タ [ta] 接尾 上接語の方面、場所、方位、方角を表す。「かた<方>、朝な朝な筑紫の方乎<カタヲ>出で見つつ~『万葉集 3218』」の転訛したものか。 ⸣パンター ⸢パッ⸣タ [⸣pantaː ⸢pat⸣ta] (南の方、<西表島、南風端>へ行った)。 ⸢インター [⸢ʔintaː] (西の方角、西側)。 ⸢アンター [⸢ʔantaː] (東の方角、東側)。 ニ⸢シンター [ni⸢ʃintaː] (北の方角、北側)。 ⸣クマンター ⸣クーバ [⸣kunantaː ⸣kuːba] (こちら<側>へ来なさいよ)。 ⸣カマンター ⸣パリ [⸣kamantaː ⸣pari] (あちら<側>へ行け) 9528 0 0 8998 htmvoc_9528.wav タ ⸣タ [ta] 助動 ~た。動作の完了や過去を表す。 ⸢タール⸣ カ⸢ク⸣タ [⸢taːru⸣ kḁ⸢ku⸣ta] (誰が書いたか)。 ⸢バー⸣ル カ⸢ク⸣タ [⸢baː⸣ru kḁ⸢ku⸣ta] (私が書いた)。 イ⸢チ パッ⸣タ [ʔi⸢ʧi pat⸣ta] (いつ行ったか)。 ⸣キノー ⸢パッ⸣タ [⸣kinoː ⸢pat⸣ta] (昨日行った) 9529 0 0 8999 htmvoc_9529.wav ター ⸣ター [⸣taː] 名 田。田圃。「秋の田之<タノ>~。万、88」の義。 ア⸢サダー [ʔa⸢sadaː] (浅い田圃)。 ガ⸢タダー [ga⸢tadaː] (浅い田圃{EOS}「潟田」の義か{EOS}田の底が砂地になっていて、水が抜けやすい海岸近くの水田{EOS}水田耕作の際、四、五頭の牝牛の角を棒で連結して結わえ、水田に入れて土を踏ませて保水した)。 フ⸢カ⸣ダー [ɸu̥⸢ka⸣daː] (深い田)。 ユ⸢ビター [ju⸢bitaː] (深い田{EOS}牛が動けなくなるほど深い水田{EOS}「吸い込む田圃」の義{EOS}水田の中に木材を敷き、その上に立って作業をしたという水田)。 ⸣ター ⸢カイ⸣スン [⸣taː ⸢kai⸣suŋ] (田を耕す<⸢田を返す」の義>) 9532 0 0 9000 htmvoc_9532.wav ター ⸢ター [⸢taː] 名 二つ。 ⸢ティ⸣ー [⸢ti⸣ː] (一つ)。 ⸢タ⸣ー [⸢ta⸣ː] (二つ)。 ⸢ミ⸣ー [⸢mi⸣ː] (三つ)。 ⸢ユ⸣ー [⸢ju⸣ː] (四つ)。 ⸢イ⸣チ [⸢ʔi⸣ʧi] (五つ)。 ⸢ム⸣ー [⸢mu⸣ː] (六つ)。 ⸢ナ⸣ナ [⸢na⸣na] (七つ)。 ⸢ヤ⸣ー [⸢ja⸣ː] (八つ)。 ⸢ク⸣ヌ [⸢ku⸣nu] (九つ<ク⸢ク⸣ヌ{SqBr}ku̥⸢ku⸣nu{/SqBr}(九つ)ともいう>)。 ⸢トゥー [⸢tuː] (十) 9533 0 0 9001 htmvoc_9533.wav ター ⸢ター [⸢taː] 代 誰<不定称>。タ⸢ル[ta⸢ru](誰)ともいう<老年層。古謡>。「~梅の花 多礼可<タレカ>浮かべし~。万、840」の転訛したもの。そのままの形で主格(nominative)、属格(genitive)、対格(accusative)を表す。 ⸢ター<ル>⸣ パ⸢ル⸣ワ [⸢taː⸣ pa⸢ru⸣wa] (誰が行くか)。 ク⸢レー ター⸣ ムヌヤ [ku⸢reː taː⸣ munuja] (これは誰の物か)。 ⸢ター⸣ パ⸢ラス⸣ワ [⸢taː⸣ pa⸢rasu⸣wa] (誰を行かせるか)。与格(dative)を表す。 ク⸢レー ターン⸣ ッ⸢ふィールワ [ku⸢reː taːŋ⸣ f⸢fiːruwa] (これは誰に遣る<呉れる>のか)。奪格(ablative)を表す。 ⸢ター⸣ラ パ⸢ジミルワ [⸢taː⸣ra pa⸢ʤimiruwa] (誰から始めるか)。係助詞がつく。 ⸢タール⸣ マ⸢シ⸣ヤ [⸢taːru⸣ ma⸢ʃi⸣ja] (誰が<ぞ>良いか)。 ター⸢ン クー⸣ヌ [taː⸢ŋ kuː⸣nu] (誰も来ない) 9534 0 1 9002 htmvoc_9534.wav ター ⸣ター [⸣taː] 接尾 {Mn_1}複数を表す。たち(達)。ら(等)。人に関してう。 ⸢バン⸣ター パ⸢ラ⸣ヌ [⸢ban⸣taː pa⸢ra⸣nu] (私たち<聞き手を含まない>は行かない)。 ⸢ベーター⸣ ムー⸢ル⸣ パ⸢トゥ⸣マ ⸣プス [⸢beːtaː⸣ muː⸢ru⸣ pḁ⸢tu⸣ma ⸣pu̥su] (我々<聞き手を含む>は皆鳩間島の人間だ)。 ア⸢ブ⸣ター<ア⸢ボー⸣ター> ⸢オーラ⸣ヌ [ʔa⸢bu⸣taː<ʔa⸢boː⸣taː> ⸢ʔoːra⸣nu] (お母さんたちはいらっしゃらない)。 ⸢アーヤ⸣ター キサー⸢ティ オー⸣レーン [⸢ʔaːja⸣taː ki̥saː⸢ti ʔoː⸣reːŋ] (お父さんたちは既にいらっしゃった)。 ⸣アブジター ⸣クナー ビ⸢ロー⸣リ [⸣ʔabuʤitaː ⸣kunaː bi⸢roː⸣ri] (おじいさん達は此処にお座りください<座りおわれ>)。 タ⸢ル⸣ター マ⸢ツ⸣ター ヤ⸢マ⸣ター プ⸢スシ⸣ プス [ta⸢ru⸣taː ma⸢ʦu⸣taː ja⸢ma⸣taː pu̥⸢suʃi⸣ pu̥su] (多呂達、真津達、屋真達は同年<同じ年>生だ)。 9534 0 2 9003 htmvoc_9534.wav ター ⸣ター [⸣taː] 接尾 {Mn_2}語末が[i]で終わる指示代名詞に下接すると、口蓋化して、⸣ッツァー[⸣tʦaː](達)となる。 ⸢クッ⸣ツァー [⸢kut⸣ʦaː] (これら)。 ⸢ウッ⸣ツァー [⸢ʔut⸣ʦaː] (それら)。 ⸢カッ⸣ツァー [⸢kat⸣ʦaː] (かれら、あれら)。 ヌッ⸢ツァー⸣ル [nut⸢ʦaː⸣ru] (何たち{EOS}如何なる者ら) 9535 0 1 9004 htmvoc_9535.wav ダー ⸢ダー [⸢daː] 助動 助動詞。~だぞ。~ぞ。~よ。いろいろな語に付いて強い断定を表す。{Mn_1}名詞に付いて断定の陳述を表す。 ク⸢レー⸣ ウ⸢ム⸣ジ⸢ダー [ku⸢reː⸣ ʔu⸢mu⸣ʤi⸢daː] (これはいいだこ<飯蛸>だぞ)。 9535 0 2 9005 htmvoc_9535.wav ダー ⸢ダー [⸢daː] 助動 {Mn_2}活用語の終止形に付く。 ⸣カキティ ア⸢ゾー⸣ルカー ⸢バン⸣ヌン カクン⸢ダー [⸣kḁkiti ʔa⸢ʣoː⸣rukaː ⸢ban⸣nuŋ kḁkun⸢daː] (書けとおっしゃるなら私も書くよ)。 ⸢ウン⸣ネヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢バ⸣レーン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢ba⸣reːn⸢daː] (その家の女の子は大変美しいぞ)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ⸢バン⸣ヌン カ⸢ク⸣タン⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢ku⸣tan⸢daː] (そのぐらい<程度>は私も書いたよ)。 9535 0 3 9006 htmvoc_9535.wav ダー ⸢ダー [⸢daː] 助動 {Mn_3}動詞の命令形に付いて強い命令を表す。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ ⸣ユー シ⸢キ⸠ダー [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni ⸣juː ʃi̥⸢ki⸠daː] (親の言うこと<言葉>をよく聞けよ)。 ⸣アツァー ヤー⸢ディン⸣ クー⸢ダー [⸣ʔaʦaː jaː⸢diŋ⸣ kuː⸢daː] (明日は必ず来いよ<来るんだぞ>)。 シ⸢グトー タンガ⸣シ ⸢シー⸠ダー [ʃi⸢gutoː taŋga⸣ʃi ⸢ʃiː⸠daː] (仕事は一人でしろよ) 9536 0 0 9007 htmvoc_9536.wav ターイビ ⸢ター⸣イビ [⸢taː⸣ʔibi] 名 田植え。⸢マイイビ[⸢maiʔibi](米植え)ともいう。 ⸢ター⸣イベー イ⸢チ⸣ シ⸢マ⸣ソーッタ [⸢taː⸣ʔibeː ʔi⸢ʧi⸣ ʃi⸢ma⸣soːttaː] (田植えは何時済まされましたか)。 ⸢ターイビ⸣ヌ ⸣カシ ⸢スンティ ウイバロー⸣ラ ⸣キー ッ⸢ふィーッター⸣ ギサー フ⸢コーラサ [⸢taːʔibi⸣nu ⸣kḁʃiː ⸢sunti ʔuibaroː⸣ra ⸣kiː f⸢fiːttaː⸣ gisaː ɸu̥⸢koːrasa] (田植えの手伝い<加勢>をしようと上原から来てくれたのか、善市君{EOS}有難う) 9537 0 0 9008 htmvoc_9537.wav ターイビシンカ ⸢ターイビシン⸣カ [⸢taːʔibiʃiŋ⸣ka] 名 田植え人数。田植えをする人々<仲間>。「田植え臣下」の転訛したものか。田植えは5~10人が共同して⸢ユイ[⸢jui](結)をして実施した。互いに労力を出し合って、順々に田植えをした。一人の人が受け持つ田植えの範囲を、⸣パカ[⸣pḁka](はか{EOS}量)という。上手な人は目測で整然と田植えをするが、慣れない人は、⸢ケンナー[⸢kennaː](間縄{EOS}植え付け間隔の目印をつけた縄)を使って、後退りしながら田植えをした。田植えが済むと、ブ⸢ガリノー⸣シ[bu⸢garinoː⸣si](骨休め)の飲食をした。 ⸢ターイビンシン⸣カ シゥ⸢カシ⸣キー ブ⸢ガリノー⸣シ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢taːʔibisiŋ⸣ka si̥⸢kaʃi⸣kiː bu⸢garinoː⸣ʃi ⸢soːt⸣taʦoː] (田植え人数<仲間>を案内してきて骨休めの飲食をされたそうだ) 9539 0 0 9009 htmvoc_9539.wav ターウナイ ⸢ター⸣ウナイ [⸢taː⸣ʔunai] 名 (動)田や川などの淡水に棲息するウナギ(鰻)。⸢田鰻」の義。西表島の湧水のある水田に棲息していた。 ⸢バン⸣テヌ ⸢クーラヌ⸣ バ⸢ケーラマシ⸣ナー ⸢ターウナイ⸣ヌ ⸢ベー⸣ティ ⸢マイ⸣ カ⸢ル⸣ ピン ⸣ユー ⸢フンカリタン [⸢ban⸣tenu ⸢kuːranu⸣ ba⸢keːramaʃi⸣naː ⸢taːʔunai⸣nu ⸢beː⸣ti ⸢mai⸣ ka⸢ru⸣ piɲ ⸣juː ⸢ɸuŋkaritaŋ] (私の家の、久浦の湧水のある田圃には田鰻がいたので、稲刈りの時にはよく踏みつけられたよ) 9540 0 0 9010 htmvoc_9540.wav ターウン ⸢ター⸣ウン [⸢taː⸣ʔuŋ] 名 (植)和名、サトイモ(里芋)。「田芋」の義。芋は根茎。鳩間島では栽培しない。西表島の船浦や上原で栽培されていた。 ⸢ターウン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ンドゥ パ⸢トゥ⸣マナー ス⸢クララン⸣シェン [⸢taːʔum⸣maː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ndu pḁ⸢tu⸣manaː su̥⸢kuraraŋ⸣ʃeŋ] (里芋は非常に美味しいけれど、鳩間島では栽培され<作られ>なかった) 9541 0 0 9011 htmvoc_9541.wav ターカイシ ⸢ターカイ⸣シ [⸢taːkai⸣ʃi] 名 田打ち。「田耕し」の義。「むなしく春覆し夏植うる営み」『方丈記』、「墾、カヘス」『類聚名義抄』の転訛。⸢ターカイ⸣シ[⸢taːkai⸣ʃi](田打ち{EOS}田耕し)には、ア⸢ロー⸣ナ[ʔa⸢roː⸣na](粗打ち{EOS}最初に粗く耕すこと{EOS}「アラコナシ<粗熟し>の転訛{EOS}Tcuchiuo conasu<土をこなす{EOS}粘土を捏ねる>」『邦訳日葡辞書』の転訛)、マ⸢トーナ[ma⸢toːna](又打ち{EOS}「又こなし<熟し>」の転訛したもの{EOS}二度目の耕し)、⸢サン⸣トゥ[⸢san⸣tu](三度打ち)があり、働き者の百姓は、⸢ユントゥ[⸢juntu](四度打ち{EOS}四度耕し)をすることもあったという。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢シ⸣シ シゥ⸢カシティ⸣ ア⸢ロー⸣ナ ⸢スー⸣カー マ⸢トーナーラー キー⸣パイシル ⸢カイ⸣ソーッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢ʃi⸣ʃi sï̥⸢kaʃi̥ti⸣ ʔa⸢roː⸣na ⸢suː⸣kaː ma⸢toːnaːraː kiː⸣paiʃiru ⸢kai⸣soːtta] (昔は牛で鋤かして粗打ちをしたら、又打ち<二度目の耕し>からは木鍬<⸣カシンキー{SqBr}⸣kaʃiŋkiː{/SqBr}(樫の木)で作った木製の鍬>で耕された) 9545 0 0 9012 htmvoc_9545.wav ターカイスン ⸣ター ⸢カイ⸣スン [⸣taː ⸢kai⸣suŋ] 連 田を耕す。 ⸣ター ⸢カイ⸣スンティ ⸢ベー [⸣taː ⸢kai⸣sunti ⸢beː] (田圃を耕そうとしている) 9549 0 0 9013 htmvoc_9549.wav ダーキ ⸢ダー⸣キ [⸢daː⸣ki] 名 煮芋やご飯、餅などを、どろどろになるほど柔らかく、粘っこく炊いたもの。 ⸢ウンヌダー⸣キ バ⸢カシ⸣ シケーバ ッ⸢ふァイティ⸣ パリバ [⸢ʔunnu daː⸣ki ba⸢kaʃi⸣ ʃi̥keːba f⸢faiti⸣ pariba] (芋のダーキ飯を炊いてあるから食べていきなさいよ)。 ⸢ダー⸣キ ⸣ナルンケン ミ⸢ジ⸣ イ⸢ラン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸢daː⸣ki ⸣naruŋkem mi⸢ʤi⸣ ʔi⸢ram⸣ bu⸢ri⸣ba] (どろどろになるほど水を入れないでおきなさいよ) 9550 0 0 9014 htmvoc_9550.wav ダーキイー ⸢ダーキ⸣イー [⸢daːki⸣ʔiː] 名 柔らかすぎるご飯。糯米を入れすぎたり、水加減を誤って炊いたご飯。 ク⸢ヌ イー⸣ヤ ⸢ダー⸣キ ⸣ナリティ ン⸢マーナー⸣ヌ [ku⸢nu ʔiː⸣ja ⸢daː⸣ki ⸣nariti ʔm⸢maːnaː⸣nu] (このご飯はダーキ飯になって美味しくない) 9551 0 0 9015 htmvoc_9551.wav ダーキムチ ⸢ダーキ⸣ムチ [⸢daːki⸣muʧi] 名 柔らかすぎて、べっとりくっついた餅。 ⸢ダーキ⸣ムチェー ム⸢チンダーリ⸣ ティーナ シ⸢ビシカリティ⸣ パ⸢ガサラ⸣ヌ [⸢daːki⸣muʧeː mu⸢ʧindaːri⸣ tiːna ʃi⸢biʃikariti⸣ pa⸢gasara⸣nu] (柔らかすぎる餅はねばねば<粘粘>して手にくっ付いて剥がされない) 9553 0 0 9016 htmvoc_9553.wav ターク ⸢ター⸣ク [⸢taː⸣ku] 名 くたくたに疲れたさま。足が立たないほどに疲れること。立てないほどに疲労困憊すること。 ⸣タク [⸣tḁku] (蛸{EOS}蛸のようにグニャグニャになること)。 シ⸢トゥム⸣テーラ ユネン⸢バー⸣キ ⸢ユーコーサ⸣ムティ ⸢ター⸣ク ⸣ナルンケン パ⸢タラカサリ⸣ ブ⸢ガ⸣リティ ニ⸢ビベー [ʃi̥⸢tumu⸣teːra junem⸢baː⸣ki ⸢juːkoːsa⸣muti ⸢taː⸣ku ⸣naruŋkem pḁ⸢tarakasari⸣ bu⸢ga⸣riti ni⸢bibeː] (朝から晩まで休まさずに足が立たなくなるまで働かされて、疲れきって寝ているよ) 9554 0 0 9017 htmvoc_9554.wav タークサイ ⸢ター⸣クサイ [⸢taː⸣kusai] 名 田ごしらえ。「田・拵え」の転訛したもの。田を三度耕し、田の畦草を刈り取り、畦を塗り固めて田植えの準備をすること。 ⸢マイイビジブン⸣ ナ⸢リ⸣ブバ ⸢ター⸣クサイ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maiʔibiʤibun⸣ na⸢ri⸣buba ⸢taː⸣kusai ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (田植えの時期になっているので田ごしらえをしないといけない) 9555 0 0 9018 htmvoc_9555.wav ターグニ ⸢ター⸣グニ [⸢taː⸣guni] 名 水田のある島。「田国」の義。⸢ヌー⸣グニ[⸢nuː⸣guni](水田の無い島{EOS}「野国」の義)の対義語。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢ター⸣グニ ア⸢ラ⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣maː ⸢taː⸣guni ʔa⸢ra⸣nu] (鳩間島は水田のある島<田国>ではない) 9810 0 0 9019 htmvoc_9810.wav タークヌミー ⸢ター⸣クヌ ⸢ミー [⸢taː⸣kunu ⸢miː] 連 乳児に対する遊戯の一つ。「蛸の目」の義。⸢イージョーミー イージョーミー ター⸣クヌ ⸢ミー ター⸣クヌ ⸢ミー[⸢ʔiːʤoːmiː ʔiːʤoːmiː taː⸣kunu⸢miː taː⸣kunu ⸢miː](魚の目魚の目、蛸の目蛸の目)と唱えながら、握りしめた右手の人差し指で左手の\ruby{掌}{テノヒラ}の真ん中を突き刺すような仕草を繰り返し、次に⸢ピー⸣ジン⸢トー ピー⸣ジン⸢トー ミン⸣ミン⸢ミー ミン⸣ミン⸢ミー ガーバラガーバラ[⸢piː⸣ʤin⸢toː piː⸣ʤin⸢toː mim⸣mim⸢miː mim⸣mim⸢miː gaːbaragaːbara](肘、肘{EOS}耳、耳{EOS}あたま<こうむり{EOS}かがふり>振り振り)といって肘、耳を掴み、頭を揺らして遊ばせる遊戯 9556 0 0 9020 htmvoc_9556.wav タークブ ⸢ター⸣クブ [⸢taː⸣kubu] 名 (植)ミズオオバコ。田の水中に生える。「田昆布」の義『石垣方言辞典』。鳩間島ではこれを食する習慣はなかった。 ⸢ター⸣クボー ⸢トー⸣サ トゥ⸢リン⸣テンナー カ⸢キシティ⸣ル ⸢ソーッ⸣タ ッ⸢ふァイヤー ソーラン⸣シェン [⸢taː⸣kuboː ⸢toː⸣sa tu⸢rin⸣tennaː kḁ⸢kiʃi̥ti⸣ru ⸢soːt⸣ta f⸢faijaː soːraŋ⸣ʃeŋ] (ミズオオバコは田草を取りながら、掻き取って捨てなさったものだ{EOS}食べはなさらなかった) 9557 0 1 9021 htmvoc_9557.wav ダーシーダーシー ダー⸢シーダーシー [daː⸢ʃiːdaːʃiː] 副 {Mn_1}それらしく立派に。えらそうに。きちんとして。崩れや乱れがなく、それなりに整然としているさま。 ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナリ イ⸢チニン⸣マイ ⸢ナッ⸣ター ダー⸢シーダーシー⸣シ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣クン⸢ダー [ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣nari ʔi⸢ʧinim⸣mai ⸢nat⸣taː daː⸢ʃiːdaːʃiː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kun⸢daː] (大人になって一人前になったので、それらしくきちんとしているよ)。 9557 0 2 9022 htmvoc_9557.wav ダーシーダーシー ダー⸢シーダーシー [daː⸢ʃiːdaːʃiː] 副 {Mn_2}立派に。 シ⸢グトー スー⸣カー ダー⸢シーダーシール スー⸣ ヌーヤ ク⸢レー [ʃi⸢gutoː suː⸣kaː daː⸢ʃiːdaːʃiːru suː⸣ nuːja ku⸢reː] (仕事をするなら、しっかりと立派にするのであって{EOS}なんだね、これは) 9558 0 0 9023 htmvoc_9558.wav ターシグトゥ ⸢ターシグ⸣トゥ [⸢taːʃigu⸣tu] 名 水田耕作。田仕事。 イ⸢ガメーヌ⸣ ウ⸢ワール⸣カー ⸢ターシグ⸣トゥ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢gameːnu⸣ ʔu⸢waːru⸣kaː ⸢taːʃigu⸣tu ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (イカ釣り漁が終わると田仕事<水田耕作>を始めないといけない) 9561 0 0 9024 htmvoc_9561.wav ターシタガヤー ⸢ターシタガヤー [⸢taːʃitagajaː] 感 ままよ(儘よ)。誰が知ったことか。どうなったって誰が知るものか。若年層は、⸢ターシタガー[⸢taːʃitagaː](ままよ)ともいう。「誰が知ったことか」の転訛。自暴自棄になった時に発する言葉。 ⸢ターシタガヤー⸣ ドゥー ⸣カッティ ⸢シー⸣バ [⸢taːʃitagajaː⸣ duːkatti ⸢ʃiː⸣ba] (ままよ<誰が知ったことか>{EOS}自分勝手にしろ)。 ウビ⸢バーキ⸣ル ア⸢ザリル⸣ バー ⸣ムニ シゥ⸢カン⸣カー ⸢ターシタガヤー [ʔubi⸢baːki⸣ru ʔa⸢ʣariru⸣ baː ⸣muni sï̥⸢kaŋ⸣kaː ⸢taːʃi̥tagajaː] (ここまでしか言えない<ここまでぞ言われる>{EOS}私の話を聞かなければ誰が知ったことか<どうにでもなれ>) 9562 0 0 9025 htmvoc_9562.wav タースク ⸢ター⸣スク [⸢taː⸣su̥ku] 名 水田耕作地。田袋。⸢田底」の義か。転じて、水田耕作の場所。 ⸢ユシ⸣キダーヌ ⸢ター⸣スクナール ⸢オー⸣リ ⸢ター⸣ヤ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢juʃi̥⸣kidaːnu ⸢taː⸣su̥kunaːru ⸢ʔoː⸣ri ⸢taː⸣ja su̥⸢ku⸣roːtta] (ヨシキダの水田地帯に行かれて水田を耕作された) 9546 0 0 9026 htmvoc_9546.wav タースクリ ⸢タースク⸣リ [⸢taːsu̥ku⸣ri] 名 水田耕作。「田作り」の義。 ⸣イダフネーラ ⸢パイ⸣ター カ⸢ユイヤー⸣ティ ⸢タースク⸣レー ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʔidaɸuneːra ⸢pai⸣taː ka⸢juijaː⸣ti ⸢taːsu̥ku⸣reː ⸢soːt⸣ta] (サバニで西表島<南端>へ通いながら水田耕作をされた) 9548 0 0 9027 htmvoc_9548.wav タースクリプス ⸢タースクリ⸣プス [⸢taːsu̥kuri⸣pu̥su] 名 水田耕作する人。「田作り人」の義。 ⸢タースクリ⸣プソー ⸢ター⸣ヌ ⸢ミーマール シン⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taːsu̥kuri⸣pu̥soː ⸢taː⸣nu ⸢miːmaːru ʃim⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (水田を耕作する人は水田の見回りをしに行かなくてはならない)。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マプソー ムー⸢ル タースクリ⸣プス ⸢ヤッタ [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː bi⸢kidumoː⸣ muː⸢ru taːsu̥kuri⸣pu̥su ⸢jatta] (昔は鳩間の人は、男は皆水田農夫<田作り人>だった) 9564 0 0 9028 htmvoc_9564.wav タースン ⸢ター⸣スン [⸢taː⸣suŋ] 他動 無駄にする。費やす。無益なものに使う。無にする。「絶やす。Tayaxi、su、aita(絶やし、す、いた)『邦訳日葡辞書』」の転訛したもの。 ⸢ジン⸣バ ⸢ター⸣シ ⸣アイブ ⸣ムヌバ ⸢カウナ [⸢ʤim⸣ba ⸢taː⸣ʃi ⸣ʔaibu ⸣munuba ⸢kauna] (お金を無駄に使って、あんな物を買うな)。 ⸢パンタ⸣サムヌ ピ⸢マーバ ター⸣シ ⸢クーン⸣タンティン ⸣ミサン [⸢panta⸣samunu pi⸢maːba taː⸣ʃi ⸢kuːn⸣tantim ⸣misaŋ] (忙しいんだから、暇<時間>を費やして来なくてもよい)。 ⸢ター⸣サヌ [⸢taːsa⸣nu] (費やさない)。 ⸣アイ ⸢スー⸣カー ピ⸢マー ター⸣スン⸢ダー [⸣ʔai ⸢suː⸣kaː pi⸢maː taː⸣sun⸢daː] (そんなことをるると、時間をを費やすよ)。 ⸢ジン⸣バ ⸢ター⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʤim⸣ba ⸢taː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (お金を無駄遣いして<絶やすことは>はならない)。 ⸢ター⸣シェーミサムヌ [⸢taː⸣ʃeː ⸣misamunu] (費やせばよいのに)。 ⸢ター⸣シバ [⸢taː⸣ʃiba] (費やせよ) 9565 0 0 9029 htmvoc_9565.wav タースン ⸢ター⸣スン [⸢taː⸣suŋ] 他動 悪戯や悪ふざけをして他人を怒らせる。からかう。ふざける。悪戯をしてけしかけ、子供の感情を害する。「Tauabure,uru,eta.タワブレ、ルル、レタ(戯れ、るる、れた)ひやかし、からかう、または、むつまじく遊びたわむれる、など、」『邦訳日葡辞書』の他動詞化したものか。 ⸣ヌースンティ ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢ター⸣シ ⸢ベー⸣ワ [⸣nuːsunti ja⸢rabi⸣ba ⸢taː⸣ʃi ⸢beː⸣wa] (何故悪ふざけして子供の感情を損ねているのか<怒らせているのか>)。 ⸢ター⸣スンティ シ⸢タヌ ターサラン⸣シェン [⸢taː⸣sunti ʃi̥⸢tanu taːsaraŋ⸣ʃeŋ] (悪戯して怒らせようとしたが、怒らされなかった)。 ⸣ヌンティ プ⸢スバ ター⸣ス ⸣クトゥ カー⸢ニ スーワ [⸣nunti pu̥⸢suba taː⸣su ⸣ku̥tu kaː⸢ni suːwa] (どうして、悪戯して他人を怒らせることだけするのか)。 ⸢ター⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢taː⸣ʃeː misamunu] (悪戯して怒らせば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ター⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢taː⸣ʃi] (早く悪戯して怒らせ) 9573 0 0 9030 htmvoc_9573.wav ターター ⸢ターター [⸢taːtaː] 代 誰たち。疑問代名詞の複数形。不定称の⸢ター[⸢taː](誰)、⸢~梅の花 多礼可<タレカ>浮かべし~。万、 840」の転訛したものに複数の接尾語⸢ター[⸢taː](達)が下接した形。 ⸢タータール パー⸣レー ⸢クー⸣ワ [⸢taːtaːru paː⸣reː ⸢kuː⸣wa] (誰たちが爬竜船を漕ぐか)。 ⸢ターター⸣ル ⸣キュー ⸣ケーワ [⸢tataːru⸣ kjuː ⸣keːwa] (誰らが今日来たのか)。 ⸢タータール⸣ イ⸢サナケー⸣ パルカヤー [⸢taːtaːru⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ parukajaː] (誰たちが石垣島へ行くのかなあ)。 ク⸢レー ターター⸣ ムヌヤ [ku⸢reː taːtaː⸣ munuja] (これは誰たちの物か)。 ⸢タータール ヨイ⸣ シン ⸢オーッ⸣ター [⸢taːtaːru joi⸣ ʃiŋ ⸢ʔoːt⸣taː] (誰々がお祝いをしに行かれたか) 9567 0 0 9031 htmvoc_9567.wav ダーダー ⸢ダ⸣ー⸢ダ⸣ー [⸢da⸣ː⸢da⸣ː] 感 牛や馬を停止させる声。 ⸢ダ⸣ー⸢ダ⸣ーティ ウ⸢ヤー⸣レーティ ウ⸢シン⸣ ピラ シゥ⸢カシ ベー [⸢da⸣ː⸢da⸣ːti ʔu⸢jaː⸣reːti ʔu⸢ʃim⸣ pira si̥⸢kaʃi beː] (ダーダーと大声を出しながら、牛に\ruby{犂}{スキ}を\ruby{鋤}{ス}かせている) 9568 0 0 9032 htmvoc_9568.wav ターターティナーン ⸢ターターティ ナー⸣ン [⸢taːtaːti naː⸣ŋ] 連 誰彼無しに。相手かまわず。「誰誰と無く」の義。 ⸢ターターティ ナー⸣ン ⸢トゥイ⸣ ス⸢クンドゥ⸣ ター⸢ン⸣ ッ⸢サヌ [⸢taːtaːti naː⸣n ⸢tui⸣ su̥⸢kundu⸣ taː⸢n⸣ s⸢sanu] (相手かまわず問い尋ねる<問い聞く>が、誰も知らない) 9569 0 0 9033 htmvoc_9569.wav タータバル ⸢タータバ⸣ル [⸢taːtaba⸣ru] 名 水田地帯。田原。田袋。「\ruby{田墾}{タ|ハリ}」の義か。 トゥ⸢マダヌ タータバル⸣ナーヤ ⸣ユーゼー、カ⸢ザケー⸣、ニ⸢シムレー、⸢ヨー⸣カヤー ア⸢マシェーヌ ター⸣ヌ ⸢アッ⸣タン [tu⸢madanu taːtabaru⸣naːja ⸣juːʤeː ka⸢ʣakeː⸣ ni⸢ʃimureː ⸢joː⸣kajaː ʔa⸢maʃeːnu taː⸣nu ⸢ʔat⸣taŋ] (トゥマダ<苫田>の水田地帯には松竹家、加治工家、米盛家、西原家、小浜家の田圃があった)。 ⸢ケーダ⸣ヌ ⸢タータバ⸣ルナーヤ ⸢ダイ⸣ケー ア⸢ラブシケー⸣ イ⸢ラ⸣ブレー パ⸢ナシケーヌ ターヌ⸣ル ⸢アッ⸣タ [⸢keːda⸣nu ⸢taːtaba⸣runaːja ⸢dai⸣keː ʔa⸢rabuʃikeː⸣ ʔi⸢ra⸣bureː pa⸢naʃi̥keːnu taːnu⸣ru ⸢ʔat⸣ta] (ケーダの水田地帯<田原>には大工家、東大城家、西原家、花城家の田圃があった)。⸢クーラ川から西の方には、ウ⸢ボル⸣ダー[ʔu⸢boru⸣daː]、⸣ウシダー[⸣ʔuʃidaː]、⸢クーラ[⸢kuːra]の水田地帯が開けており、⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離崎)から船浦湾にかけては、ナ⸢ダラ[na⸢dara]、ナ⸢カ⸣シ[na⸢ka⸣ʃi]、ニ⸢シダ[ni⸢ʃida]、⸢ピーラ[⸢piːra]、⸢マーレー[⸢maːreː]、⸣ナカジル[⸣nakaʤiru]、ナ⸢カ⸣ダ[na⸢ka⸣da]、⸢ソー⸣ジ[⸢soː⸣ʤi]、のタ⸢バ⸣ル[ta⸢ba⸣ru](水田地帯)が開け、ピ⸢ナイサキ[pi⸢naisaki](ピナイ崎)から⸢ウイバル[⸢ʔuibaru](上原)までの間には、⸣パルダー[⸣parudaː]、⸢スー⸣ダー[⸢suː⸣daː]、ヌ⸢ザキ⸣ダー[nu⸢ʣaki⸣daː]、⸢シーヌウチ[⸢ʃiːnuʔuʧi]、ス⸢ルバン[su⸢rubaŋ]の水田地帯が開け、更にその西部に、⸢ナー⸣タ[⸢naː⸣ta]、⸢ティン⸣ダ[⸢tin⸣da]、⸢カーダ[⸢kaːda]、フ⸢サ⸣キ[ɸu̥⸢sa⸣ki]、ウ⸢ボー⸣ダ[ʔu⸢boː⸣da]、ナ⸢カ⸣ラ[na⸢ka⸣ra]、ニ⸢シ⸣ミジ[ni⸢ʃi⸣miʣi]の水田地帯が開けていた。現在の中野集落一帯であるが、戦後まで炭鉱経営が続いていて、カ⸢ナジル[ka⸢naʤiru](炭鉱から赤褐色をした金錆の水{EOS}金汁)が水田に流れ出ていて稲の発育を害していた 9570 0 0 9034 htmvoc_9570.wav タータマジレータマ ⸢タータマ⸣ ジレー⸢タマ [⸢taːtama⸣ ʤireː⸢tama] 連 誰彼のたまし。誰彼の分け前。⸢誰のたまし(受け取り分)、いづれのたまし(受け取り分)」の転訛したもの。 ⸢タータマ⸣ ジレー⸢タマティ⸣ バキ シ⸢キ⸣リ [⸢taːtama⸣ ʤireː⸢tamati⸣ baki ʃi̥ ⸢ki⸣ri] (誰彼のたまし<分け前>といって、分けておきなさい) 9560 0 0 9035 htmvoc_9560.wav ダーチ ⸣ダーチ [⸣daːʧi] 副 ~に沿って。線状的に続く長い道や石垣、海岸、川などに添うように移動するさま。 ⸢マイ⸣ヌ ⸣ミチダーチ ⸢アーラー⸣ トゥ⸢ナギ パッ⸣タ [⸢mai⸣nu ⸣miʧidaːtʧi ⸢ʔaːraː⸣ tu⸢nagipat⸣ta] (前の道路沿いに東の方へ飛び出して駆けて行った)。 ク⸢ヌ⸣ ミチダーチ ⸣パルカー トゥ⸢ミラ⸣リン [ku⸢nu⸣ miʧidaːʧi ⸣parukaː tu⸢mira⸣riŋ] (この道沿いに行くと見つけられる<探される>) 12237 0 0 9036 htmvoc_12237.wav ダーチ ⸢ダーチ [⸢daːʧi] 接尾 ~沿い。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢チダーチ⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸣パルカー ⸢ウン⸣ネヌ ⸣マンター ン⸢ジ⸣ルン [ku⸢nu⸣ mi⸢ʧidaːʧi⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸣parukaː ⸢ʔun⸣nenu ⸣mantaː ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (この道沿いに歩いて行くと、あの家の前にでるよ) 9575 0 0 9037 htmvoc_9575.wav ターチーターチー ター⸢チー⸣ターチー [taː⸢ʧiː⸣taːʧiː] 名 立つこと。幼児語。ABCDABCD型の畳語。乳児が立ち始める頃に、立つことを励ます掛け声。 ⸢ハ⸣イ⸢ハ⸣イ ター⸢チー⸣ターチー ⸢ゾー⸣ジ ⸢ゾー⸣ジ [⸢ha⸣i⸢ha⸣i taː⸢ʧiː⸣taːʧiː ⸢ʣoː⸣ʤi ⸢ʣoː⸣ʤi] (ほれほれ、お立ちお立ち、上手だ、上手だ) 9559 0 0 9038 htmvoc_9559.wav ダーチダーチ ダー⸢チダーチ [daː⸢ʧidaːʧi] 名 幼児語。立っち。立っち立っち。あんよあんよ。 ⸢ハ⸣イ ダー⸢チダーチ シー⸠ミー [⸢ha⸣i daː⸢ʧidaːʧi ʃiː⸠miː] (はい、立っち立っち<あんよあんよ>、してごらん) 9576 0 0 9039 htmvoc_9576.wav ターチュー ⸢ター⸣チュー [⸢taː⸣ʧuː] 名 ふたご。双生児。同じ母から一回の分娩で生まれた二人の子。 パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢ターチュー⸣ヌ マ⸢ロー⸣レータン [pḁ⸢tu⸣manaːn ⸢taːʧuː⸣nu ma⸢roː⸣reːtaŋ] (鳩間島にも双子が誕生された<生まれられた>ことがある) 9571 0 0 9040 htmvoc_9571.wav ダーッカダーッカ ⸢ダーッカダーッカ [⸢daːkkadaːkka] 副 びしょ濡れになってだらだら歩くさま。 ⸢ダーッカダーッカ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸣クーム<⸣クームヌ> ⸣ミルカー ⸢クンゾー⸣ル ン⸢ジ⸣ル [⸢daːkkadaːkka⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸣kuːmu<⸣kuːmunu> ⸣mirukaː ⸢kunʣoː⸣ru ʔn⸢ʤi⸣ru] (ずぶ濡れになってだらだら歩いて来るのを見ると腹が立つ<根性が出る>) 9578 0 0 9041 htmvoc_9578.wav ダーッカティ ダーッ⸢カティ [daːk⸢kati] 副 びっしょりと。ぐっしょり。びしょ濡れになって。ずぶ濡れになること。ひどく濡れているさま。ダッ⸢カティ[dak⸢kati](びっしょりと{EOS}ぐっしょりと)の強調表現。 ダーッ⸢カティ ゾーリティ⸣ タティ ⸢ベー [daːk⸢kati ʣoːriti⸣ tḁti ⸢beː] (びっしょりと濡れて立っている) 9580 0 0 9042 htmvoc_9580.wav ダーッサーナーヌ ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] 連 良くない。信頼できない。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ナムノー ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢namunoː daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (この品物は良くない) 9577 1 0 9043 htmvoc_9577.wav ダーッサン ⸢ダーッ⸣サン [⸢daːs⸣saŋ] 形 {PoS_1}よい。素晴らしい。優れている。立派である。信頼できる。 ク⸢レー ナン⸣ゾー ⸢ダーッサナーン⸣バ ⸢ダーッ⸣サ ⸣ムノーラ ⸣ムティパリ [ku⸢reː nan⸣ʣoː ⸢daːssanaːm⸣ba ⸢daːs⸣sa ⸣munoːra ⸣mutipari] (これは余り良くないから、良いものから持って行きなさい)。 ⸢ダーッ⸣サンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ⸢ナー [⸢daːs⸣santi ʔu⸢muːtan⸣du⸢naː] (良い<信頼できる>と思ったんだがなあ)。 ⸢シンダイ ダーッ⸣サ ⸣ナリ⸢キー⸣ブ [⸢ʃindai daːs⸣sa nari⸢kiː⸣bu] (次第に良くなってきている)。 シ⸢ナムヌヌ ダーッ⸣サカー ⸢カイ⸣ミサン [ʃi⸢namununu daːs⸣sakaː ⸢kai⸣misaŋ] (品物が良ければ買ってもよい)。 9577 2 0 9044 htmvoc_9577.wav ダーッサン ⸢ダーッ⸣サン [⸢daːs⸣saŋ] 接尾 {PoS_2}~らしく見える。~らしい。~いかにも~らしい。~にふさわしく見える。 バ⸢カー⸣ムヌダーッサー ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢kaː⸣munudaːssaː ⸢naː⸣nu] (若者らしくない)。 ⸢トー⸣カキ シ⸢ギ⸣リ ⸢オールン⸣ドゥ ⸢ピッ⸣チン ⸢ウイ⸣プスダーッサー ア⸢ローラ⸣ヌ [⸢toː⸣kaki ʃi⸢gi⸣ri ⸢ʔoːrun⸣du ⸢pit⸣ʧiŋ ⸢ʔui⸣pu̥sudaːssaː ʔa⸢roːra⸣nu] (米寿<斗掻の祝い>を過ぎておられるが、ちっとも老人らしくいらっしゃらない)。⸢ラーッ⸣サン[⸢raːs⸣saŋ](~らしい)ともいう 9582 0 0 9045 htmvoc_9582.wav ダーッふァダーッふァ ⸢ダーッふァダーッふァ [⸢daːffadaːffa] 副 ざぶざぶ。ざんぶざんぶ。海や川の渚、水田の中を水を蹴って歩く音。水が大きく揺れて立てる音。 ピ⸢ザ⸣フチェーラ ⸢ダーッふァダーッふァ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸣クー プ⸢ソー ター⸣ヤ [pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧeːra ⸢daːffadaːffa⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸣kuː pu̥⸢soː taː⸣ja] (海岸の渚をダーッふァダーッふァ<ザンブザンブ>と音を立てて歩いてくるのは誰か)。 ⸢ダーッふァダーッふァ⸣シ ⸣キン ア⸢ライ ベー [⸢daːffadaːffa⸣ʃi ⸣kiŋ ʔa⸢rai beː] (ざぶざぶと音を立てて着物を洗っている) 9583 0 0 9046 htmvoc_9583.wav ターティナーン ⸢ターティ ナー⸣ン [⸢taːti naːŋ] 連 たれかれなしに(誰彼無しに)。相手かまわず。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌミティ ⸢ターティ ナー⸣ン イ⸢ジッツァーシェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numiti ⸢taːtinaː⸣ŋ ʔ⸢iʤitʦaːʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (あれ<彼>は酒を飲んで、誰彼なしに叱り飛ばしている<あるく>) 9584 0 1 9047 htmvoc_9584.wav ターナ ⸢ター⸣ナ [⸢taː⸣na] 副助 {Mn_1}そのまま。そっくり同じ状態で。連体詞ウ⸢ヌ[ʔu⸢nu](その)に下接して副詞句をつくる。 ウ⸢ヌター⸣ナ ナー⸢イ⸣ タティ ⸢ベー [ʔu⸢nutaː⸣na naː⸢i⸣ tḁti ⸢beː] (そのまま<そのままの状態で>ずうっと立っている)。 9584 0 2 9048 htmvoc_9584.wav ターナ ⸢ター⸣ナ [⸢taː⸣na] 副助 {Mn_2}過去、完了の助動詞タ[ta](た)に下接して、動作の完了した状態のまま、叉は<~たまま。~たなり。~してそれっきり>の意を表す。 ⸢パッ⸣タ⸢ター⸣ナ ウヌッ⸢キリ クー⸣ヌ [⸢pat⸣ta⸢taː⸣na ʔunuk⸢kiri kuː⸣nu] (行ったままそれっきり来ない)。 ⸣キン ⸢キスタター⸣ナ ス⸢ナ⸣カー トゥ⸢ビウリナーン⸣シェン [⸣kiŋ ki̥⸢sutataː⸣na su⸢na⸣kaː tu⸢biʔurinaːŋ⸣ʃeŋ] (着物を着たまま海へ飛び降りてしまった)。 9584 0 3 9049 htmvoc_9584.wav ターナ ⸢ター⸣ナ [⸢taː⸣na] 副助 {Mn_3}(接助)~しながら。~のまま。「ある動作をしたまま同時並行で別の動作をする」の義。⸢ンテー⸣ナ[⸢nteː⸣na](~ながら{EOS}時間的に前後して)とも言う。 ⸣イー ッ⸢ふァイターナ⸣ ナー⸢イ⸣ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キベー⸣タ [⸣ʔiː f⸢faitaːna⸣ naː⸢i⸣ pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki beː⸣ta] (ご飯を食べながら、食べる行動をとりながら、じっと人の話を聞いていた) 9587 0 0 9050 htmvoc_9587.wav ターパタキ ⸢ターパタ⸣キ [⸢taːpata⸣ki] 名 田畑。土地財産。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ターパタ⸣ケー タ⸢カーニ⸣ ア⸢ロー⸣リキー ⸢ジーマシ⸣ヌ ア⸢ローラン⸣ プ⸢ソー ウン⸣ネーヌ ス⸢クリバキバ⸣ル ⸢ソーッ⸣タティ⸢ダー [⸢ʔun⸣neːja ⸢taːpata⸣keː tḁ⸢kaːni⸣ ʔa⸢roː⸣rikiː ⸢ʤiːmaʃi⸣nu ʔaroː⸢ram⸣ pu̥⸢soː ʔun⸣neːnu su̥⸢kuribakiba⸣ru ⸢soːt⸣tati⸢daː] (あの家には田畑が沢山あられますので、耕地<地枡>の無い<あられない>人は、あの家の小作<作り分け>をされたってよ) 9588 0 0 9051 htmvoc_9588.wav タービ ⸢ター⸣ビ [⸢taː⸣bi] 名 足袋。 ッ⸢スター⸣ビ [s⸢sutaː⸣bi] (白足袋{EOS}女性が祭りや祝いの場で舞踊を奉納する際に履く足袋)。 ッ⸢ふター⸣ビ [f⸢futaː⸣bi] (黒足袋{EOS}男性が祝儀の場で履く足袋)。 ⸢ター⸣ベー イ⸢チンマー⸣ フ⸢モーラン⸣シェン ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピントゥ ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンヌ ブ⸢ドゥルシンカル⸣ フ⸢モーッ⸣タ [⸢taː⸣beː ʔi⸢ʧimmaː⸣ ɸu⸢moːraŋ⸣ʃeŋ ⸢joi⸣nu ⸣pintu ⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu bu⸢duruʃiŋkaru⸣ ɸu⸢moːt⸣ta] (足袋は何時もは履かれなかった{EOS}お祝いの時と豊年祭、結願祭の踊り人衆<踊り臣下>が履かれた) 9589 0 0 9052 htmvoc_9589.wav ターピル ⸢ター⸣ピル [⸢taː⸣piru] 名 (動)田圃に棲息するひる(蛭)。黒色で直径約5ミリ、体長約6センチの環形動物。両端に吸盤があり、稲刈りや田草取りで水田に入ると人の足にくっ付いて吸血するので子供達に恐れられている動物である。西表島には山にも、ヤ⸢マ⸣ピル[ja⸢ma⸣piru](山蛭)が棲息しており、山に入ると、ぴょんぴょん飛び跳ねてきて人の足に付き血を吸う。 ク⸢バシター⸣ヌ ⸣ターナー ⸢ターピル⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーティ ⸢マイ⸣ カ⸢ル⸣ ピンマー ナ⸢クラー⸣タン [ku⸢baʃi̥taː⸣nu ⸣taːnaː ⸢taːpiru⸣nu ⸢goː⸣raːti ⸢mai⸣ ka⸢ru⸣ pimmaː na⸢kuraː⸣taŋ] (クバシターの田圃には田蛭が多くて、稲刈りの時には怖かった) 9591 0 0 9053 htmvoc_9591.wav ターブザ ⸢ター⸣ブザ [⸢taː⸣buʣa] 名 琉球国時代に農民の耕作を監督する村の下級役人。石垣方言からの借用語。農民の中から納税義務を免れる年代になったものが選ばれた。「田夫作」などと表記される『石垣方言辞典』。 ⸢ターブザ⸣ヌ ⸢マーリ オー⸣リティ ム⸢ヌスクル⸣ヌ ⸣トゥリシラビ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢taːbuʣa⸣nu ⸢maːriʔoː⸣riti mu⸢nusukuru⸣nu ⸣turiʃirabi ⸢soːt⸣taʦoː] (田夫作が巡回してこられて作物を取調べられたそうだ) 9592 0 0 9054 htmvoc_9592.wav ターフミ ⸢ター⸣フミ [⸢taː⸣ɸumi] 名 田踏み。蹄耕。ガ⸢タダー[ga⸢tadaː](「潟田」の義{EOS}浅い水田{EOS}保水力の弱い水田)は数頭の牝牛の角を棒に結わえて水田に入れ、引き回しながら水田の土を踏み固めて保水力を増す水田工作法。 ム⸢カ⸣シェー ⸣インダヌ マ⸢ケー⸣ラ ⸢ミー⸣ウシ ⸢ミッカラ ユッカラ サーリ オー⸣リ ⸣シノー フ⸢バリ⸣ シ⸢ナイティ ター⸣ナ イ⸢リ⸣ ピ⸢キマーシェー⸣ティ ⸢ター⸣フミ シ⸢モーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔindanu ma⸢keː⸣ra ⸢miː⸣ʔuʃi ⸢mikkara jukkara saːriʔoː⸣ri ⸣ʃinoː ɸu⸢bari⸣ ʃi⸢naiti taː⸣na ʔi⸢ri⸣ pi̥⸢kimaːʃeː⸣ti ⸢taː⸣ɸumi ʃi⸢moːt⸣taʦoː] (昔は伊武田の牧場から牝牛を三、四匹連れてこられて角を縛って繋いで田圃に入れ、引き回しながら田踏みをさせられたそうだ) 9585 0 0 9055 htmvoc_9585.wav ダーブラミチ ⸢ダーブラミチ [⸢daːburamiʧi] 名 泥んこ道。ぬかるんだ道。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター ⸢ダーブラミチ⸣<ドゥ⸢ルミチ⸣> ナリティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ⸢daːburamiʧi⸣ nariti ʔa⸢rakara⸣nu] (雨が降ったので泥んこ道になってしまって歩かれない) 9594 0 0 9056 htmvoc_9594.wav ダーブル ⸢ダーブル [⸢daːburu] 名 二気筒(二個シリンダー)エンジン。英語のdoubleの訛ったもの。鳩間島には昭和の初期頃に二気筒の焼玉エンジンを搭載したカツオ漁船が導入されたという(加治工伊佐氏直話)。戦前は船主浦崎英行氏を中心にした組合の福吉丸はダーブルエンジン(東村)、船主慶田城勇氏を中心にした組合の建国丸は焼玉式一気筒エンジンであった(西村)。戦後は船主仲伊部正吉氏の正山丸がダーブルエンジン(東村)、船主小浜真吉氏の晃徳丸は焼玉式一気筒エンジン(東村)、船主大工定市(英祥)氏の大洋丸はダーブルエンジン(西村)を搭載してカツオ漁業を営業していた。二気筒エンジンの音はドロンドロンと力強く響いた。 ⸢ダーブロー バー⸣ナーシ ヤ⸢キダマー⸣ ヤ⸢キティ ホイル マーシンテーナ エイヤー⸣ フ⸢カシ⸣ティ ボン⸢ティ⸣ ウ⸢ク⸣ソーッタ [⸢daːburoː baː⸣naːʃi ja⸢kidamaː⸣ ja⸢kiti hoiru maːʃinteːna ʔeijaː⸣ ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti bon⸢ti⸣ ʔu⸢ku⸣soːtta] (二気筒エンジンはバーナーで焼玉を焼いて、ホイル<車輪、英語のwheel>を手で回して圧縮空気<エヤー{EOS}air>を一気に吹き送ってボンとエンジンを掛けら<起こさ>れた) 9595 0 0 9057 htmvoc_9595.wav ターマール ⸢ターマー⸣ル [⸢taːmaː⸣ru] 名 田圃の見回り。鳩間島から水田の稲の成長、猪の害、鼠の害、田の水加減を調べるために2、3日泊まりがけで西表島へ行き、水田を見回ること。 ⸣アチャー ⸢ターマー⸣ル ⸢シン パイ⸣ター ⸢オーッ⸣タ [⸣ʔaʧaː ⸢taːmaː⸣ru ⸢ʃim pai⸣taː ⸢ʔoːt⸣ta] (お父さんは田の見回りに西表島<南端>へ行かれた) 9596 0 0 9058 htmvoc_9596.wav ターマシ ⸢ター⸣マシ [⸢taːma⸣ʃi] 名 一定区画の水田。「田枡」の義。水田は、その位置により、⸢カン⸣ヌマシ[⸢kannu⸣maʃi](上の田<枡>{EOS}水源のシ⸢キム⸣トゥ{SqBr}ʃi̥⸢kimu⸣tu{/SqBr}<堰元>に近い水田)、ナ⸢カヌ⸣マシ[na⸢kanu⸣maʃi](中の水田<枡>)、ス⸢ムヌ⸣マシ[su⸢munu⸣maʃi](下流の田<枡>)と呼ばれた。また、水田の深さによって、ユ⸢ビター[ju⸢bitaː](深い田{EOS}「吸い込まれるように足が股や尻まで沈む深い田」の義{EOS}深いので牛が落ちて死んだという口伝がある{EOS}普通は木を田に沈め、それを踏みながら作業をしたという{EOS}フ⸢カ⸣ダー{SqBr}ɸu̥⸢ka⸣daː{/SqBr}<深い田>ともいう)とガ⸢タダー[ga⸢tadaː](浅い田{EOS}「潟田」の義か{EOS}海岸近くの水田で、保水力がないので牝牛数頭を繋いで田に入れ、田の土を踏ませて田の底を固めたという)がある。バ⸢ケーラマシ[ba⸢keːramaʃi](湧き水のある田)には⸢ター⸣ウナイ[⸢taː⸣ʔunai](田鰻)が棲息していた。ウ⸢ブマ⸣シ[ʔu⸢buma⸣ʃi](大きな田<枡>)、マ⸢シェー⸣マ[ma⸢ʃeː⸣ma](小さな田<枡>)は田の大小による区別であるし、マ⸢ルマシ[ma⸢rumaʃi](丸田<枡>)、⸢ナー⸣マシ[⸢naː⸣maʃi](長い田<長枡>)、⸣サンカクマシ[⸣saŋkakumaʃi](三角田<枡>)は形状による区別 9597 0 0 9059 htmvoc_9597.wav ターミナ ⸢ター⸣ミナ [⸢taː⸣mina] 名 たにし(田螺)。⸢田」・⸢蜷」(「河貝子、美奈<みな>、俗用蜷字非也」『和名抄』)の義。 イ⸢クサユー⸣ヌ ピン⸢バー⸣ケー ⸢ター⸣ナー ⸢リュー⸣アンドレーヌ ヒ⸢リョー⸣ヤ イ⸢リラン⸣ ブ⸢レー⸣ンダ ⸢ター⸣ミナン ⸣トゥリ ッ⸢ふータン⸠ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu pim⸢baː⸣keː ⸢taː⸣naː ⸢rjuː⸣an ⸣doːreːnu çi⸢rjoː⸣ja ʔi⸢riram⸣ bu⸢reː⸣nda ⸢taː⸣minan ⸣turi f⸢fuːtan⸠daː] (太平洋戦争の頃までは田圃に硫安などの肥料は入れなかったので、田螺を採って食べたよ) 9598 0 0 9060 htmvoc_9598.wav タームージ ⸢タームー⸣ジ [⸢taːmuː⸣ʤi] 名 (植)水芋。「田芋」の義。 ⸢タームー⸣ジェー パ⸢トゥ⸣マナー ス⸢クララン⸣シェン フ⸢ノー⸣ラナール ス⸢ク⸣ローッタ [⸢taːmuː⸣ʤeː pḁ⸢tu⸣manaː su̥⸢kuraraŋ⸣ʃeŋ ɸu⸢noː⸣ranaːru su̥⸢ku⸣roːtta] (水芋は鳩間島では作られなかった{EOS}船浦で<ぞ>作られた) 9599 0 0 9061 htmvoc_9599.wav ターヤ ⸢ター⸣ヤ [⸢taː⸣ja] 連 誰か。 ⸢ワー ター⸣ヤ [⸢waː taː⸣ja] (君は誰か)。 カ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ター⸣ヤ [ka⸢nu⸣ pu̥⸢soː taː⸣ja] (あの人は誰か) 9572 0 0 9062 htmvoc_9572.wav ターヤー ⸢ター⸣ヤー [⸢taː⸣jaː] 名 田小屋。西表島へサバニで通い、4・5日寝泊まりして水田耕作をするために造った小屋。5坪ほどの小屋。竹を編んで床を張り、炊事用具、寝具類、特に蚊帳も用意してあった。⸢プーキ[⸢puːki](風土病{EOS}「風気」の転訛{EOS}マラリア)に罹患することを恐れて、普段は鳩間島から⸣イダフニ[⸣ʔidaFuni](板舟{EOS}サバニ)で通って耕作した。⸢スー⸣ナビ[⸢suː⸣nabi](鍋)、⸢イー⸣ナビ[⸢ʔiː⸣nabi](釜)、マ⸢カ⸣ルドング[ma⸢ka⸣rudoŋgu](お碗類)を用意しておいて、煮炊きが出来るようにしていた。副食物には干潮時に獲ってきた魚や蛸などを当てた。 ⸣イダフネーラ ⸢パイ⸣ター ⸢ギームドゥルバ シー ター⸣ヤーナーティ シ⸢グニチ⸣ナー トゥ⸢マレー⸣ティル ⸢タース⸣クロー ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʔidaɸuneːra ⸢pai⸣taː ⸢giːmuduruba ʃiː taː⸣jaːnaːti ʃi⸢guniʧi⸣naː tu⸢mareː⸣tiru ⸢taːsu̥ku⸣roː ⸢soːt⸣ta] (サバニから西表島へ往き来をし、田小屋で4,5日ずつ泊まりながら<ぞ>田作り<稲作>はされたものだ)。 ⸢バン⸣テヌ ⸢ターヤー⸣ヤ トゥ⸢マダナー⸣ル ⸢アッ⸣タ [⸢ban⸣tenu ⸢taːjaː⸣ja tu⸢madanaː⸣ru ⸢ʔat⸣ta] (我が家の田小屋はトゥマダーにあった) 9601 0 0 9063 htmvoc_9601.wav ターラ ⸢ター⸣ラ [⸢taː⸣ra] 名 俵。麻で編んだ袋。麻袋。稲や粟などの穀物、ツノマタ等をカ⸢シガーフク⸣ル[ka⸢ʃigaːɸu̥ku⸣ru](南京袋)に詰めたもの。木炭は⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](ススキ)で作った俵に詰めた。 ⸢マイダーラ [⸢maidaːra] (米俵)。 ⸢タンダーラ [⸢tandaːra] (炭俵)。 ⸢イー⸣シダーラ [⸢ʔiː⸣ʃidaːra] (ツノマタ俵)。 ル⸢クトゥダー⸣ラ [ru⸢kutudaː⸣ra] (六斗俵)。⸢ユントゥダーラ[⸢juntudaːra](四斗俵)がある。ム⸢ニダー⸣ラ[mu⸢nidaː⸣ra](おしゃべり{EOS}「物言い俵」の義)は特殊な表現。 ⸢マイヤ⸣ カ⸢リ アーシティ⸣ ル⸢クトゥダー⸣ラナ ⸣シミティル パ⸢トゥ⸣マー カ⸢ヨーシタル [⸢maija⸣ ka⸢ri ʔaːʃi̥ti⸣ ru⸢kutudːa⸣rana ⸣ʃimitiru pḁ⸢tu⸣maː ka⸢joːʃi̥taru] (稲は刈りて脱穀し、六斗俵に詰めて鳩間島へ運んだ<通わした>) 10139 0 0 9064 htmvoc_10139.wav ダーラー ダー⸢ラー [daː⸢raː] 感 ああ汚い!汚いよ!アーダー⸢ラー[ʔaːdaː⸢raː](ああ汚い{EOS!})の⸣アー[⸣ʔaː](ああ{EOS!})が脱落したもの。ダー⸢リー[daː⸢riː](ああ汚い{EOS!})ともいう。 ダー⸢ラー イン⸣ヌ ッ⸢ス⸣ヌ マ⸢マリベー [daː⸢raː ʔin⸣nu s⸢su⸣nu ma⸢maribeː] (汚い{EOS!}犬の糞が付いている<塗られている>) 9602 0 1 9065 htmvoc_9602.wav ターラグ ⸢ターラ⸣グ [⸢taːra⸣gu] 名 {Mn_1}中身の入ってない俵(袋)。マニラ麻の袋<南京袋>。稲藁、ススキ等で編まれた穀物や塩、炭を入れるための袋(空の袋)。 ⸢ユシ⸣キシ ⸢ターラ⸣グ ⸣フムンティ ⸢ベー⸣ダー [⸢juʃi̥⸣kiʃi ⸢taːra⸣gu ⸣ɸumunti ⸢beː] (ススキで俵を編んでいるところだ<編もうとしている>)。 9602 0 2 9066 htmvoc_9602.wav ターラグ ⸢ターラ⸣グ [⸢taːra⸣gu] 名 {Mn_2}大食漢。 ウ⸢レー ターラ⸣グ ヤ⸢ルンダ イー⸣ヤ ギュー⸢サン ッ⸢ふン [ʔu⸢reː taːra⸣gu ja⸢runda ʔiː⸣ja gjuː⸢saŋ⸣ f⸢fuŋ] (彼は大食漢だから飯はいくらでも食べる) 9603 0 0 9067 htmvoc_9603.wav ダーラダーラ ⸢ダーラダーラ [⸢daːradaːra] 副 だらだら。動作の鈍いさま。 ⸣アイニ ⸢ダーラダーラ⸣シ ア⸢ラカン⸣ドーシ ⸢ダンタン⸣シ ア⸢ラ⸣キバ [⸣ʔaini ⸢daːradaːra⸣ʃi ʔa⸢rakan⸣doːʃi ⸢dantaŋ⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kiba] (あんなにだらだら歩かないで、さっさと歩きなさいよ) 9605 0 0 9068 htmvoc_9605.wav ダーリー ダー⸢リー [daː⸢riː] 感 汚い!ああ汚い!アーダ⸢リー[ʔaːda⸢riː](ああ汚い{EOS!}なんと汚いことよ)、イーダ⸢リー[ʔiːda⸢riː](まあ汚い{EOS!})ともいう。 ダー⸢リー⸣ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ウ⸢レー⸣ キ⸢サラヌ [daː⸢riː⸣ ja⸢nija⸣nu ʔu⸢reː⸣ ki̥⸢saranu] (まあ汚い{EOS!}汚くて、これは着られない)。ダー⸢ラー[daː⸢raː]より「やや軽い汚さ」を表す。 ダー⸢リー⸣ ユ⸢グリティー⸣シ カ⸢サムナ [daː⸢riː⸣ ju⸢guritiː⸣ʃi ka⸢samuna] (汚い{EOS!}汚れた手で掴むな) 9606 0 0 9069 htmvoc_9606.wav ダーリダーリー ダーリダー⸢リー [daːridaː⸢riː] 感 子供に対して悪戯を仕掛け、はやしたてて子供の感情をがいすること。ふざけること。やあい!泣き虫やあい。やあい!おかしいぞ。人差し指を曲げたり伸ばしたりして相手を指し、ふざけてはやしたてる。 ダーリダー⸢リー⸣ ナ⸢キブサーヤ⸣ ダーリダー⸢リー [daːridaː⸢riː⸣ na⸢kibusaːja⸣ daːridaː⸢riː] (やあいやあい{EOS!}泣き虫やあい)。 ⸣アボーン カ⸢サナー⸣リティ ⸢フンダヤー⸣ ダーリダーリー [⸣ʔaboːŋ kḁ⸢sanaː⸣riti ⸢ɸundajaː⸣ daːridaː⸢riː] (お母さんにおんぶされて、甘えん坊<したい放題>、我儘っ子、泣き虫やあい、泣き虫やあい) 9607 0 0 9070 htmvoc_9607.wav ターリバナ ⸢ターリバナ [⸢taːribana] 名 熟睡した頃。熟睡の最中。眠りの最中。⸢タールン[⸢taːruŋ]は「熟睡する」の意。語源は「たはれ<戯れ>。常軌を逸し、一途にふける」の義か。ニ⸢ビタールン[ni⸢bitaːruŋ](熟睡する{EOS}<眠り戯れ>の義か)ともいう。⸢バナ[⸢bana]は、⸢パナ[⸢pana]の連濁現象で、⸢真っ盛り。最盛期」の義。ニ⸢ビバナ[ni⸢bibana](眠りの盛り)ともいう。 ⸢ターリバナ⸣ナ ⸢ビー⸣プスン ウ⸢コーサ⸣リティ ⸢オス⸣ク シ⸢ラリ⸣ ニ⸢バランシェン [⸢taːribana⸣na ⸢biː⸣pu̥suŋ ʔu⸢koːsa⸣riti ⸢ʔosu̥⸣ku ʃi⸢rari⸣ ni⸢baranʃeŋ] (熟睡の最中に酔っ払いに起こされて、邪魔されて眠れなかった) 9608 0 0 9071 htmvoc_9608.wav ターリルン ⸢ターリルン [⸢taːriruŋ] 自動 熟睡する。ぐっすり寝入る。深い眠りに入る。⸢タールン[⸢taːruŋ](熟睡する)と同じ。 ⸢ターリラン⸣ケン ウ⸢コーサ⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸢taːriraŋ⸣keŋ ʔu⸢koːsa⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (熟睡しないうちに起こされてしまった)。 ニ⸢ビ ターリルン⸣ケン ナー⸢イ⸣ マティ [ni⸢bi taːriruŋ⸣ken naː⸢i⸣ mati] (ぐっすり寝入るまでじっと待て)。 ニ⸢ビ ターリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ni⸢bi taːriru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (熟睡することはない)。 ニ⸢ビ ターリレー⸣ ミサムヌ [ni⸢bi taːrireː⸣ misamunu] (熟睡すればいいのに)。 ニ⸢ビ ターリリ [ni⸢bi taːriri] (熟睡せよ) 9604 0 0 9072 htmvoc_9604.wav ダールダール ⸢ダールダール [⸢daːrudaːru] 副 とろとろ。どろどろ。ぐつぐつ。物が煮えて柔らかくとろけるさま。 ⸢ダールダール⸣シ ⸢ニータリルン⸣ケン ⸢ネーシ⸣バ [⸢daːrudaːru⸣ʃi ⸢niːtariruŋ⸣ken ⸢neːʃi⸣ba] (とろとろとろける(\ruby{蕩}{トロ}ける<煮えてとける>)まで煮つけなさい) 9609 0 0 9073 htmvoc_9609.wav タールン ⸢タールン [⸢taːruŋ] 自動 熟睡する。ぐっすり寝入る。深い眠りに入る。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢タールン⸣ケンマー ダ⸢キベー⸣リバ [ja⸢ra⸣beː ⸢taːruŋ⸣kemmaː da⸢kibeː⸣riba] (子供が熟睡するまでは抱いていなさい)。 マ⸢ダ ターラヌ [ma⸢da taːranu] (まだ熟睡しない)。 ダ⸢キ ベーン⸣ケン ⸢ターリ ナー⸣ヌ [da⸢ki beːŋ⸣ken ⸢taːri naː⸣nu] (抱いているうちに熟睡してしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ニ⸢ビ タール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ni⸢bi taːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く熟睡することはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ターレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢taːreː⸣ misamunu] (早く熟睡すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ターリ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢taːri⸣ba] (早く熟睡せよ) 9610 0 0 9074 htmvoc_9610.wav タールン ⸢タールン [⸢taːruŋ] 接尾 ~ばむ。~色を帯びる。四段活用動詞、ア⸢ガムン[ʔa⸢gamuŋ](赤らむ)、ッ⸢サ⸣ムン[s⸢sa⸣muŋ](白む)、ッ⸢ふ⸣ムン[f⸢fu⸣muŋ](黒む)、⸢アウムン[⸢ʔaumuŋ](青む)の、連用形語尾ン[ŋ](~み)に⸢タールン[⸢taːruŋ](~ばむ{EOS}~色を帯びる{EOS}「戯る」<一途にふける>『徒然草』の義か)が下接して、ア⸢ガンタールン[ʔa⸢gantaːruŋ](赤ばむ{EOS}赤らむ)、ッ⸢サンター⸣ルン[s⸢santaː⸣ruŋ](白む)、ッ⸢ふンター⸣ルン[f⸢funtaː⸣ruŋ](黒ずむ{EOS}黒ばむ)、⸢アウンター⸣ルン[⸢ʔauntaː⸣ruŋ](青む{EOS}青黒くなる)のように派生語が語形成される。 ⸣シラー ア⸢ガンターリティ⸣ ニ⸢チ⸣ヌ ア⸢リン⸣ギサバン [⸣ʃiraː ʔa⸢gantaːriti⸣ ni⸢ʧi⸣nu ʔa⸢riŋ⸣gisabaŋ] (顔<つら「面」の義>が赤らんで、熱があるようだ) 9611 0 0 9075 htmvoc_9611.wav ターンガサ ター⸢ンガサ [taː⸢ŋgasa] 連 代名詞的連語。誰か。誰だか、はっきり特定できない人を指す。石垣方言の借用語か。ター⸢ンナー⸣カ[taː⸢nnaː⸣ka](誰か)ともいう。 ター⸢ンガサヌ⸣ ムティパレーパジ [taː⸢ŋgasanu⸣ mutipareːpaʤi] (誰かが持って行ったはずだ)。 ク⸢レー⸣ ター⸢ンガサヌ シーワザ [ku⸢reː⸣ taː⸢ŋgasanu ʃiːwaʣa] (これは誰かの仕業だ) 9613 0 0 9076 htmvoc_9613.wav ターング ⸢ターング [⸢taːŋgu] 名 炭俵。ススキで編んだ木炭を入れる袋。 ⸢ユシ⸣キシル ⸢ターンゴー⸣ フ⸢ムタ⸣ル [⸢juʃi̥⸣kiʃiru ⸢taːŋgoː⸣ ɸu⸢muta⸣ru] (ススキで<ぞ>炭俵は編んだものだ) 9614 0 0 9077 htmvoc_9614.wav ターンターン ター⸢ンターン [taː⸢ntaːŋ] 連 誰にも彼にも。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ター⸢ンターンマ⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ taː⸢ntaːmma⸣ ta⸢namara⸣nu] (この仕事は誰にも彼にも頼まれない) 9615 0 0 9078 htmvoc_9615.wav ダーンターンシ ⸢ダーンターン⸣シ [⸢daːntaːŋ⸣ʃi] 副 叩きつける音の形容。だんだん。たんたん。 ⸢ブー⸣チシ ⸢ダーンターン⸣シ ⸣ムス タ⸢タッ⸣キティ フ⸢クイ⸣ ウ⸢タ⸣シバ [⸢buː⸣ʧiʃi ⸢daːntaːŋ⸣ʃi ⸣musu tḁ⸢tak⸣kiti ɸu̥⸢kui⸣ ʔu⸢ta⸣ʃi] (鞭でたんたんと筵を叩いて埃を落とせ) 9616 0 1 9079 htmvoc_9616.wav ダーンティ ダーン⸢ティ [daːn⸢ti] 副 {Mn_1}どすんと。どうんと。どたんと。重い物体が落ちたり、倒れたりする際にたてる音の形容。 ダーン⸢ティ キーヌ⸣ ウイラ ⸣ウティティ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [daːn⸢ti kiːnu⸣ʔuira ⸣ʔutiti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (どすんと木の上<樹上>がら落ちて怪我をして<胴を病ましておいて>ある)。 9616 0 2 9080 htmvoc_9616.wav ダーンティ ダーン⸢ティ [daːn⸢ti] 副 {Mn_2}どっかと。どっかり。 ダーン⸢ティ⸣ ビ⸢リティ ウーカ⸣ヌ [daːn⸢ti⸣ bi⸢riti ʔuːka⸣nu] (どっかと座って動かない) 9586 0 0 9081 htmvoc_9586.wav ターンナーカ ター⸢ンナー⸣カ [taː⸢nnaː⸣ka] 連・代 誰か。某。不定代名詞的。はっきり特定できない人を表す。 ター⸢ンナー⸣カ ⸢シーシェー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌー [taː⸢nnaː⸣ka ⸢ʃiːʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnuː] (誰か出来る<為し得る>人はいないか)。 ター⸢ンナーカ⸣ヌ ⸢オー⸣ルカー シ⸢グ アイ⸣ジ ⸢シー⸣ヨー [taː⸢nnaːka⸣nu ⸢ʔoː⸣rukaː ʃi⸢gu ʔai⸣ʤi ⸢ʃiː⸣joː] (誰かがいらっしゃったら、すぐ連絡<合図>しなさいよ)。代名詞連語。誰か~か。はっきり特定できない人を指す。文頭に立って文末の疑問の陳述を誘導する職能を果たす。 ター⸢ンナー⸣カ ク⸢リバ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌー [taː⸢nnaː⸣ka ku⸢riba⸣ ka⸢ta⸣mi ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnuː] (誰かこれを担ぐことの出来る<担ぎし得る>人はいないか) 9617 0 0 9082 htmvoc_9617.wav タイ ⸣タイ [⸣tai] 名 松明。松のやにの多い部分や竹、ススキなどを束ねて火をつけ、照明用としたもの。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ユー⸣ロー ⸢タイ⸣ヌ ⸢ピー⸣バ ⸣シケーティル イ⸢ソーシン マー オーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢juː⸣roː ⸢tai⸣nu ⸢piː⸣ba ⸣ʃi̥keːtiru ʔi⸢soːʃimmaː ʔoːtta⸣ru] (昔は、夜は松明に火を点けて潮干がりに行かれたものだ) 9618 0 0 9083 htmvoc_9618.wav タイ ⸣タイ [⸣tai] 名 \ruby{嫉妬}{シッ|ト}。対抗心。\ruby{妬}{ネタ}み。\ruby{嫉}{ソネ}み。対立。\ruby{悋気}{リン|キ}。焼餅を焼くこと。 トゥ⸢ジェー⸣ ドゥ⸢シトゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ タイ ⸢スン⸣ダー [tu⸢ʤeː⸣ du⸢ʃitu⸣ ʔik⸢kena⸣ tai ⸢sun⸣daː] (妻は友達に非常に嫉妬する<対抗心をもやす>)。 ⸢バン⸣トゥ ⸢タイ⸣バ ⸢シール⸣ ムッ⸢トゥ バン⸣テーン ⸢クー⸣ヌ [⸢ban⸣tu ⸢tai⸣ba ⸢ʃiːru⸣ mut⸢tu ban⸣teːŋ ⸢kuː⸣nu] (私と対立して<ぞ>ちっとも私の家にも来ないよ)。⸢オーナール[⸢ʔoːnaːru](嫉妬{EOS}ねたみそねむこと{EOS}「妬、ウハナリネタミ」『色葉字類抄』の転訛)ともいうが、⸢オーナールには妬む気持ちが強い 9620 0 0 9084 htmvoc_9620.wav ダイ ⸢ダイ [⸢dai] 名 代金。値段。代価。「代」の義。 ⸢ダイヤー ギュー⸣サ ⸢スー⸣カヤー [⸢daijaː gjuː⸣sa ⸢suː⸣kajaː] (値段はいくらするかなあ)。 ⸢ダイヌ⸣ タ⸢カー⸣ヌ ⸢カーラヌ [⸢dainu⸣ tḁ⸢kaː⸣nu ⸢kaːranu] (値段が高くて買えない) 9621 1 0 9085 htmvoc_9621.wav ダイ ⸣ダイ [⸣dai] 名 {PoS_1}台。テーブル。土台。物を載せたり、飾ったりする際に用いる器具。普通は背もたれのないものにいう。 ク⸢レー ダイ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナ ⸢ヌーシ⸣ シ⸢キ⸣リ [ku⸢reː dai⸣nu ⸢ʔui⸣na ⸢nuːʃi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (これは台の上に載せておきなさい)。 ⸣スクダイ [⸣su̥kudai] (机)。 ⸢ハン⸣ダイ [⸢han⸣dai] (食卓{EOS}「飯台」の義)。 ⸣クナー ⸣ダイ ビ⸢シルン [⸣kunaː ⸣dai bi⸢ʃiruŋ] (此処に台を据え付ける)。 9621 2 0 9086 htmvoc_9621.wav ダイ ⸣ダイ [⸣dai] 助数 {PoS_2}車や機械などを数える語。 ク⸢ル⸣マー ⸣ナンダイ ア⸢ル⸣ワ [ku⸢ru⸣maː ⸣nandai ʔa⸢ru⸣wa] (車は何台あるか) 9622 1 0 9087 htmvoc_9622.wav ダイ ⸣ダイ [⸣dai] 名 {PoS_1}代。世代。 ク⸢ヌ ター⸣ヤ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ダイナー ア⸢ラ⸣ソーレーヌ ⸢ジー⸣マシ [ku⸢nu taː⸣ja ʔu⸢ja⸣nu ⸣dainaː ʔa⸢ra⸣soːreːnu ⸢ʤiːmaʃi] (この田圃は親の代に求められた<有らされた>土地財産だ)。 9622 2 0 9088 htmvoc_9622.wav ダイ ⸣ダイ [⸣dai] 助数 {PoS_2}世代。家の世代を表す語。 ⸢ワッ⸣テーヤ ⸢ワー ダイ⸣シー ⸣ナンダイ ナ⸢ル⸣ワ [⸢wat⸣teːja ⸢waː dai⸣ʃiː ⸣nandai na⸢ru⸣wa] (君の家は、君の世代で何代になるか) 9623 0 0 9089 htmvoc_9623.wav ダイ ⸢ダイ- [⸢dai-] 接頭 数詞に冠して物の順序を表す語。 ⸢シートゥ⸣ヌ ス⸢クブンマー ダイイチェー ビンキョー スー⸣クトゥ [⸢ʃiːtu⸣nu su̥⸢kubummaː daiʔiʧeː biŋkjoː suː⸣ku̥tu] (生徒の義務<職分>は、第一に勉強することだ) 9624 0 0 9090 htmvoc_9624.wav ダイイチ ⸢ダイイチ [⸢daiʔiʧi] 名 最初。最も大切なこと。一番。何よりも大事なこと。「第一」の転訛したもの。 プ⸢スニンギン⸣マー ⸢キンコール ダイイチ [pu̥⸢suniŋgimmaː kiŋkoːru daiʔiʧi] (人間は健康が第一<最も大切>である) 9625 0 1 9091 htmvoc_9625.wav ダイカール ⸢ダイカール [⸢daikaːru] 名 {Mn_1}代わり。代理。「代替わり」の派生的意味が転訛したもの。 ⸢キュー⸣ヤ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ダイカール⸣ティ ⸢シール⸣ ンジケーバ ⸣ヌーンクイン ⸢トゥシ⸣キ ナ⸢ラー⸣シ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢kjuː⸣ja ʔu⸢ja⸣nu ⸢daikaːru⸣ti ⸢ʃiːru⸣ ʔnʤikeːba ⸣nuːŋkuin ⸢tuʃi̥⸣ki na⸢raː⸣ʃi f⸢foː⸣ri] (今日は親の代理として出て来ましたので、何もかも言い付けて教えてください)。 9625 0 2 9092 htmvoc_9625.wav ダイカール ⸢ダイカール [⸢daikaːru] 名 {Mn_2}世代交代。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ダイカール シェーラル モーキ ンザ⸣ソーレー⸢ダー [⸢ʔun⸣neːja ⸢daikaːru ʃeːraru moːki ʔnʣa⸣soːreː⸢daː] (あの家は代替わりしてから<ぞ>繁昌し始められ<儲け出された>たのだよ) 9626 0 0 9093 htmvoc_9626.wav タイガイ ⸢タイ⸣ガイ [⸢tai⸣gai] 名 大概。おおよそ。あらまし。おおむね。おおかた。概略。若年層は、⸢タイ⸣ゲー[⸢tai⸣gaː](大概{EOS}概略{EOS})という。鳩間方言では連母音aiは融合しないのが法則的である。 シ⸢グトー タイガイ⸣ヤー シ⸢マ⸣シェーン [ʃi⸢gutoː taigai⸣jaː ʃi⸢ma⸣ʃeːŋ] (仕事は、大概は終わった<仕舞った>)。 9626 0 2 9094 htmvoc_9626.wav タイガイ ⸢タイ⸣ガイ [⸢tai⸣gai] 名 {Mn_2}大部分。ほとんど。 ⸣イダフネー ⸢タイガイ⸣ヌ ⸣ヤーナー ア⸢リ⸣ブタ [⸣ʔidaɸuneː ⸢taigai⸣nu ⸣jaːnaː ʔa⸢ri⸣buta] (板船<サバニ>はほとんどの家にあった<有りおった>)。 9626 0 3 9095 htmvoc_9626.wav タイガイ ⸢タイ⸣ガイ [⸢tai⸣gai] 名 {Mn_3}いい加減。 ⸢タイシチ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸢タイ⸣ガイシ ⸣ムネー イ⸢ズナ [⸢taiʃi̥ʧi⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ⸢tai⸣gaiʃi ⸣muneː ʔi⸢ʣuna] (大切なことを、いい加減でものを言うな)。 9626 0 4 9096 htmvoc_9626.wav タイガイ ⸢タイ⸣ガイ [⸢tai⸣gai] 名 {Mn_4}(副詞的に)たぶん。おそらく。 ア⸢ツァバー⸣キナー ⸢タイ⸣ガイ ナ⸢リ⸣ス ⸣パジ [ʔa⸢ʦabaː⸣kinaː ⸢tai⸣gai na⸢ri⸣su ⸣paʤi] (明日までには、たぶん出来る<出来上がる>はずだ) 9627 0 0 9097 htmvoc_9627.wav ダイカン ⸢ダイ⸣カン [⸢dai⸣kaŋ] 名 大寒。最も寒い時期。二十四節気の一つ。旧暦1月20日頃。 ⸢ダイカン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペール⸣カー ピ⸢ラク⸣ヌ ⸣クーンダー ⸢ターシグ⸣トゥ ⸢スンティ⸣ ク⸢バ⸣レーティ ⸢アーク⸣タ [⸢daikan⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣rukaː pi⸢raku⸣nu ⸣kuːndaː ⸢taːʃigu⸣tu ⸢sunti⸣ ku⸢ba⸣reːti ⸢ʔaːku⸣ta] (大寒の節に入ると寒気がおし寄せてくるから、田圃仕事をしようとして寒さに凍えていた<あるいた>よ) 9628 0 0 9098 htmvoc_9628.wav ダイギ ⸢ダイ⸣ギ [⸢dai⸣gi] 名 物の台にする木材。「台木」の義。標準語からの借用語。 ⸢ジー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー ビ⸢サンドー⸣シ ⸢ダイ⸣ギー シ⸢キティ⸣ ビ⸢シ⸣バ [⸢ʤiː⸣nu ⸢ʔui⸣naː bi⸢sandoː⸣ʃi ⸢dai⸣giː ʃi̥⸢kiti⸣ bi⸢ʃi⸣ba] (地面の上に据えないで台木を敷いて据付け<据え>なさいよ) 9629 0 0 9099 htmvoc_9629.wav タイク ⸢タイ⸣ク [⸢tai⸣ku] 名 太鼓。大太鼓。普通は締め太鼓のことをいう。 ⸢ウーダイ⸣ク [⸢ʔuːdai⸣ku] (大太鼓)。ウ⸢ブタイ⸣ク[ʔu⸢butai⸣ku](大太鼓)ともいう。 タイ⸢コー⸣マ [tai⸢koː⸣ma] (小太鼓)。 ス⸢ク⸣マ ウ⸢チナ⸣スカー ⸣ピラキン ⸣フキ ⸢タイ⸣クン ⸣ウティ ⸢ナーラシ⸣ミサンティ ア⸢ザリブタ [su̥⸢ku⸣ma ʔu⸢ʧina⸣sukaː ⸣pirakiŋ ⸣ɸu̥ki ⸢tai⸣kuŋ ⸣ʔutimisanti ʔa⸢ʣaributa] (スクマが済んだら笛も吹き、太鼓打ち鳴らしてよいといわれていた) 9630 0 0 9100 htmvoc_9630.wav タイクウティプス ⸢タイ⸣ク ウ⸢ティ⸣プス [⸢tai⸣ku ʔu⸢ti⸣pu̥su] 連 太鼓を打つ人。太鼓打ち。 ⸢タイ⸣ク ウ⸢ティプス⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣カー ⸢ヨイ⸣ヤー ウ⸢ムッサナー⸣ヌ [⸢tai⸣ku ʔu⸢tipu̥su⸣nu bu⸢raːŋ⸣kaː ⸢joi⸣jaː ʔu⸢mussanaː⸣nu] (太鼓を打つ人がいないと祝いの座は面白くない) 9636 0 0 9101 htmvoc_9636.wav ダイクニ ⸢ダイ⸣クニ [⸢dai⸣kuni] 名 (植)野菜の名。大根。 シ⸢マダイ⸣クニ [ʃi⸢madai⸣kuni] (土地産の大根{EOS}「島大根」の義)。 ウ⸢キナーダイ⸣クニ [ʔu⸢kinaːdai⸣kuni] (沖縄本島産の大根)。 ヤ⸢マトゥダイ⸣クニ [ja⸢matudai⸣kuni] (本土産の大根{EOS}「大和大根」の義)。 ⸢ダイ⸣クニ ウ⸢ラ⸣スン [⸢dai⸣kuni ʔu⸢ra⸣suŋ] (大根を摩り下ろす)。戦前戦後を通じて最も好まれた野菜の一つ。法事や祝儀の料理として、シ⸢ミ⸣ムヌ[ʃi⸢mi⸣munu](煮しめ物料理)で必ず利用された。イ⸢ラキ⸣ムヌ[ʔi⸢raki⸣munu](煎り物料理)では⸢マン⸣ズイ[⸢man⸣ʣui](パパイヤ)や⸢キンダイクニ[⸢kindaikuni](人参)と共に賽の目に切って油で豚肉や魚肉と炒め、味噌で炒った炒り物料理に作られた。 ⸢ダイ⸣クネー パ⸢トゥ⸣マナーン イッ⸢ケナ⸣ ス⸢ク⸣ローッタン [⸢dai⸣kuneː pḁ⸢tu⸣manaːŋ ʔik⸢kena⸣ su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (大根は鳩間島でもよく栽培され<作られ>た) 9637 0 0 9102 htmvoc_9637.wav ダイクニヌパー ⸢ダイクニ⸣ヌ ⸢パー [⸢daikuni⸣nu ⸢paː] 連 大根の葉。 ⸢ダイクニ⸣ヌ ⸢パー⸣ ウ⸢ラ⸣シ ⸢ソー⸣ミンチャンプルナ イ⸢リ⸣バ [⸢daikuni⸣nu ⸢paː⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi ⸢soː⸣minʧampuruna ʔi⸢ri⸣ba] (大根の葉を刻んで素麺チャンプルに入れなさいよ) 9638 0 0 9103 htmvoc_9638.wav ダイクニパン ⸢ダイ⸣クニパン [⸢dai⸣kunipaŋ] 名 大根脚。 ⸢ワー パン⸣マー ⸢ダイ⸣クニパン ⸣ナリ ⸢ベー [⸢waː pam⸣maː ⸢dai⸣kunipan ⸣nari ⸢beː] (君の足は大根脚になっている) 9631 0 0 9104 htmvoc_9631.wav ダイクビー ⸢ダイ⸣クビー [⸢dai⸣kubiː] 名 (海底地名)。西表島の北岸、久浦、伊武田の北にある干瀬の名。フ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma](イーシビーの小津口)の東側のウ⸢ブ⸣ビー[ʔu⸢bu⸣biː](ウブ干瀬<大干瀬>)の東角にある干瀬の名。ガ⸢バナレーヌ⸣ フ⸢チ[ga⸢banareːnu⸣ ɸu̥⸢ʧi](赤離の津口)の西側に面する。ここにも鳩間島の漁業組合が角又養殖をした 9633 0 0 9105 htmvoc_9633.wav タイゲー ⸢タイ⸣ゲー [⸢tai⸣geː] 名 大概。おおよそ。おおかた。あらまし。若年層が多用する。老年層は、⸢タイ⸣ガイ[⸢tai⸣gai](対外{EOS}おおよそ)という。 ⸢タイゲー⸣ヌ ⸣クトー シ⸢キ ブン [⸢taigaː⸣nu ⸣ku̥toː ʃi̥⸢ki buŋ] (おおよそ<大概>のことは聞いている) 9632 0 0 9106 htmvoc_9632.wav ダイケー ⸢ダイ⸣ケー [⸢dai⸣keː] 名 屋号。大工定市氏宅。⸢カーンパタ⸣グヮー[⸢kaːmpata⸣gwaː](井戸の側の家)ともいう。大工宇慶那氏は大正末期から昭和初期に鳩間村の⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](部落会長{EOS}「総代」の転訛)の職にあって、宮良當壮氏が鳩間方言調査を実施された際のインフォーマントであったという。 ⸢ダイ⸣ケヌ プ⸢スン タイヨー⸣マルティ ⸢スー⸣ カ⸢ツシンバ⸣ ムティティ ⸢メークヤーヌ⸣ マンタナー ⸢シーゾー⸣ヤー ス⸢ク⸣リ ⸢オーッ⸣タン [⸢dai⸣kenu pu̥⸢sun taijoː⸣maruti ⸢suː⸣ kḁ⸢ʦuʃimba⸣ mutiti ⸢meːkujaːnu⸣ mantanaː ⸢ʃiːʣoː⸣jaː su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoːt⸣taŋ] (大工家の人も大洋丸というカツオ漁船を持って、⸢メークヤー{SqBr}⸢meːkujaː{/SqBr}(宮良家<⸢宮古屋」の義>)の前の屋敷ににカツオ節製造工場を作っておられた) 9639 0 0 9107 htmvoc_9639.wav タイコー ⸢タイ⸣コー [⸢tai⸣koː] 名 沖縄線香で、イ⸢ツァ⸣カウ[ʔi⸢ʦa⸣kau](板香)の六枚一束になったもの。「束香」の義。 ウ⸢ブニンガイナー⸣ヤ ⸢タイ⸣コー シ⸢キ⸣ソーッタ [ʔu⸢buniŋgainaː⸣ja ⸢tai⸣koː ʃi̥⸢ki⸣soːtta] (大きな祈願にはタイコーを\ruby{焚}{タ}か<点けら>れた) 9640 0 1 9108 htmvoc_9640.wav タイコーマ タイ⸢コー⸣マ [tai⸢koː⸣ma] 名 {Mn_1}小太鼓。上の面を2本のばち(桴)で打つ。 タイ⸢コーマ⸣ヌ ウ⸢ティ⸣カタン キ⸢マリル ブー⸠ダー [tai⸢koːma⸣nu ʔu⸢ti⸣kḁtaŋ ki⸢mariru buː⸠daː] (小太鼓の打ち方も決まっているんだよ)。 9640 0 2 9109 htmvoc_9640.wav タイコーマ タイ⸢コー⸣マ [tai⸢koː⸣ma] 名 {Mn_2}小太鼓を打ち鳴らしながら飛び跳ねて踊る太鼓踊り。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ゾーラキヌ バウ⸣ヌ ⸣マイナー タイ⸢コー⸣マーン ウ⸢トーッ⸣タン [⸢puːru⸣nu ⸢ʣoːrakinu bau⸣nu ⸣mainaː tai⸢koː⸣maːŋ ʔu⸢toːt⸣taŋ] (豊年祭のゾーラキ<入り子踊り>の棒踊りの前に太鼓踊りの小太鼓も打たれた) 9634 0 0 9110 htmvoc_9634.wav タイシ ⸢タイ⸣シ [⸢tai⸣ʃi] 名 (植)イチゴ<苺>(ナワシロイチゴ『石垣方言辞典』)。「覆盆子、イチゴ」『類聚名義抄』。若年層には⸢タン⸣シ[⸢taŋ⸣ʃi](苺)という人もいる。野生のイチゴは畑の畦や原野に自生していた。子供達は野良仕事の手伝いをして帰りに、よくイチゴを採って食べたものである。⸣ガザフケー[⸣gaʣaɸu̥keː](ひばり{EOS}若年層は⸣チンチン{SqBr}⸣ʧinʧiŋ{/SqBr}<ひばり{EOS}鳴き声より命名>ともいう)が⸢タイ⸣シ[⸢tai⸣ʃi](苺)の魅力に惹かれて、天帝からの使いの途中、苺を採って食べているうちに、天帝から預かった不老長寿の妙薬を蛇が零して全身に浴びたため、蛇は毎年脱皮して蘇り、人間は髪の毛と爪先だけにしか不老長寿の妙薬を塗ることが出来なかった。それ故人間は爪と髪の毛だけが生え変わるという口碑が伝わっている。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸣ユー ⸢タイ⸣シ ⸣トゥリ ッ⸢ふータン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸣juː ⸢tai⸣ʃi ⸣turi f⸢fuːtaŋ] (子供の頃はよく苺を採ってたべた) 9641 0 0 9111 htmvoc_9641.wav タイシチ ⸢タイ⸣シチ [⸢tai⸣ʃi̥ʧi] 名 大切。重要なこと。「Taixet.タイセッ(大切)愛.~Taixetuni zonnzuru(大切に存ずる)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣ヌチェー ⸢タイ⸣シチニ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [⸣nuʧeː ⸢tai⸣ʃi̥ʧini ⸢saŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (命は大切にしないといけないよ)。 ⸢サイクドン⸣ゴー ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ラ⸣ソーレール ⸣ムヌ ヤ⸢リバ タイ⸣シチニ シゥ⸢カイ⸣ヨー [⸢saikudoŋ⸣goː ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ra⸣soːreːru ⸣munu ja⸢riba tai⸣ʃi̥ʧini sï̥⸢kai⸣joː] (大工道具は親が入手された<有らされた>ものだから大切に使いなさいよ)。 ⸢ドン⸣ゴー ⸢タイ⸣シチニ シゥ⸢カイ⸠ヨー [⸢doŋ⸣goː ⸢tai⸣ʃi̥ʧini si̥⸢kai⸠joː] (道具は大切に使いなさいよ) 9619 0 0 9112 htmvoc_9619.wav タイスン ⸣タイ ⸢スン [⸣tai ⸢suŋ] 連 嫉妬する。対立する。対抗心を燃やす。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸣タイ ⸢スン⸠ダー [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸣tai ⸢sun⸠daː] (彼<あれ>は非常に嫉妬するよ)。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ター⸣ロー ⸢サッ⸣コー ⸣タイ ⸢シーンドゥ⸣ ナ⸢ラン⸣サー [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢taː⸣roː ⸢sak⸣koː ⸣tai ⸢ʃiːndu⸣ na⸢ran⸣saː] (この二人はひどく対抗するので困るよ) 9643 0 0 9113 htmvoc_9643.wav タイソー ⸢タイ⸣ソー [⸢tai⸣soː] 名 大将。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢タイ⸣ソー ⸣ナリ シ⸢グトゥヌ テーナイ⸣ヤー サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ プ⸢リアサビバ シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ナ [ja⸢rabi⸣nu ⸢tai⸣soː ⸣nari ʃi⸢gutunu teːnai⸣jaː sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ pu⸢riʔasabiba ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣na] (ガキ大将<童の大将>になって、仕事の手伝いはせずに、ただ馬鹿遊びをしている<あるく>なよ) 9644 0 0 9114 htmvoc_9644.wav ダイタイ ⸢ダイ⸣タイ [⸢dai⸣tai] 名・副 おおよそのところ。大概。あらまし。 ⸢カン⸣フチ ニ⸢ガイ⸣フチェー ⸢ダイタイ⸣ヤ ウ⸢ブイ⸣ヤン [⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi ni⸢gai⸣ɸu̥ʧeː ⸢daitai⸣jaː ʔu⸢bui⸣jaŋ] (祈願文<神口・願い口>は、大概は覚えた) 9645 0 0 9115 htmvoc_9645.wav ダイダイ ⸣ダイダイ [⸣daidai] 名 代々。 ⸣ウヤ ⸣ダイダイヌ ⸣ザイサンマ イッ⸢カ⸣ ヤシー⸢ヤシー⸣シ ⸢ティーパナ⸣シェー ナ⸢ラン⸣ダー [⸣ʔuja ⸣daidainu ⸣ʣaisamma ʔik⸢ka⸣ jaʃiː⸢jaʃiː⸣ʃi ⸢tiːpana⸣ʃeː na⸢ran⸣daː] (先祖代々<親代々>の財産は、決して簡単に<易々と>手放してはならないよ) 9646 0 0 9116 htmvoc_9646.wav ダイダカムヌ ⸢ダイダカ⸣ムヌ [⸢daidaka⸣munu] 名 値段の高いもの。高値商品。「値高物」の義。 ⸢ピンソー⸣ムノー ⸢ダイダカ⸣ムヌ ⸢カーンドー⸣シ ヤ⸢シ⸣ムヌシ マ⸢ニアー⸣シバ [⸢pinsoː⸣munoː ⸢daidaka⸣munu ⸢kaːndoː⸣ʃi ja⸢ʃi⸣munuʃi ma⸢niʔaː⸣ʃiba] (貧乏者は高値の物を買わないで安値の物で間に合わせなさいよ)。 イ⸢タンダ⸣ムノー ⸢カイ⸣テー ⸢ダイダカ⸣ムヌ [ʔi⸢tanda⸣munoː ⸢kai⸣teː ⸢daidaka⸣munu] (ただ物<いたずらもの{EOS}徒物の義>は却って値段が高くつくものだ) 9647 0 0 9117 htmvoc_9647.wav ダイダティ ⸢ダイ⸣ダティ [⸢dai⸣dati] 名 付け値。言い値。ねつけ(値付け)。値を付けること。 ク⸢ヌ オー⸣ヤ ⸢ギュー⸣サシ ⸢カーサリ⸣ユー ⸢ワー⸣シ ⸢ダイ⸣ダティ ⸢シー⸠ミー [ku⸢nu ʔoː⸣ja ⸢gjuː⸣saʃi ⸢kaːsari⸣juː ⸢waː⸣ʃi ⸢dai⸣dati ⸢ʃiː⸠miː] (この豚はいくらで売れるか、君で付け値をして<値段をつけて>みないか) 9651 0 0 9118 htmvoc_9651.wav ダイダマ ⸢ダイ⸣ダマ [⸢dai⸣dama] 名 ダイナマイト。石垣方言の⸢ダイ⸣ナマの転訛したもの。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸢ダイ⸣ダマシ イ⸢ズ⸣ ク⸢ラスンティ アー⸣キ ⸢マーラソー⸣レー プ⸢スン オーッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸢dai⸣damaʃi ʔi⸢ʣu⸣ ku⸢rasunti ʔaː⸣ki ⸢maːrasoː⸣reː pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (太平洋戦争の後になってダイナマイトで魚を殺して漁獲しようとして亡くなられた人もおられた) 9648 0 0 9119 htmvoc_9648.wav タイティー ⸢タイ⸣ティー [⸢tai⸣tiː] 名 大体。大概。あらまし。 ⸢タイティー⸣ヌ<⸢タイガイ⸣ヌ> ⸣クトー ⸢バン⸣ヌン ⸣ナルン [⸢taitiː⸣nu<⸢taigai⸣nu> ⸣ku̥toː ⸢ban⸣nun ⸣naruŋ] (大抵のことは私も出来る) 9649 0 0 9120 htmvoc_9649.wav タイトー ⸢タイトー [⸢taitoː] 名 ちぎばかり。ちきり。大きなさおばかり(大\ruby{桿秤}{サオ|バカリ})。一貫目(1000匁3、75キログラム)以上の重い物の目方を量るのに用いる大竿秤(さおばかり)。 ⸣オー ⸢カース⸣ ピンマー ⸢タイトー⸣シ パ⸢カ⸣リティル ⸢カーシタ [⸣ʔoː ⸢kaːsu⸣ pimmaː ⸢taitoː⸣ʃi pḁ⸢ka⸣ritiru ⸢kaːʃi̥ta] (豚を売る時はタイトー<ちぎばかり>で量って売った) 9650 0 0 9121 htmvoc_9650.wav タイヌピー ⸢タイ⸣ヌ ⸣ピー [⸢tai⸣nu ⸣piː] 連 いさりび(漁り火)。 ⸢ユー⸣ロー ⸢タイ⸣ヌ ⸢ピー⸣バ ⸣シケーティ イ⸢ソー オーッ⸣タ [⸢juː⸣roː ⸢tai⸣nu ⸢piː⸣ba ⸣ʃi̥keːti ʔi⸢soː ʔoːt⸣ta] (夜は漁り火を灯して潮干狩りに行かれた) 9652 0 0 9122 htmvoc_9652.wav ダイパー ⸢ダイ⸣パー [⸢dai⸣paː] 名 すりばち(擂鉢)。漏斗状の陶製の鉢で、内側に細い縦じまの刻み目がつけてある。味噌や胡麻を入れて、すりこぎ(擂粉木)で擂り潰すのに用いる鉢。「ライバン<擂盤>『物類称呼』」の転訛『石垣方言辞典』という。 ⸢マイヌミー⸣ソー ⸢ダイ⸣パーナ イ⸢リティ⸣ シ⸢ルング⸣チシ ⸣ッシ ⸣スーナ イ⸢リティ ミース⸣ジル バ⸢カシ⸣バ [⸢mainumiː⸣soː ⸢dai⸣paːna ʔi⸢riti⸣ ʃi⸢ruŋgu⸣ʧiʃi ⸣ʃʃi ⸣suːna ʔi⸢riti miːsu⸣ʤiru ba⸢kaʃi⸣ba] (米の味噌を擂鉢に入れて擂粉木で擂り、お汁に入れて味噌汁を炊きなさい) 9653 0 0 9123 htmvoc_9653.wav ダイパーシリ ⸢ダイパー⸣シリ [⸢daipaː⸣ʃiri] 名 すりこぎ(擂粉木)。「擂鉢擂り」の義。普通は木質の硬い⸢キャーンギキー[⸢kjaːŋgikiː](槇)の垂木の余りを利用して作った。シ⸢ルング⸣チ[ʃi⸢ruŋgu⸣ʧi](擂粉木)ともいう。 ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ル ⸣ピンマー フ⸢チン⸣パーバ ⸢ダイパー⸣シリシ ⸣ッシティ ヌ⸢マ⸣ソールカー パシッ⸢トゥ⸣ ナ⸢リ⸣シタ [ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ru ⸣pimmaː ɸu̥⸢ʧim⸣paːba ⸢daipaː⸣ʃiriʃi ⸣ʃʃiti nu⸢ma⸣soːrukaː pḁʃit⸢tu⸣ na⸢ri⸣ʃi̥ta] (熱が出るときは、\ruby{蓬}{ヨモギ}の葉を擂粉木で擂って飲まされると気分はすっきりとして元気になったよ) 9655 0 0 9124 htmvoc_9655.wav タイパン ⸢タイ⸣パン [⸢tai⸣paŋ] 名 台湾。戦前は鳩間島からも台湾へ出稼ぎに行く人がいた。台湾定期航路の大型貨客船は西表島の白浜港で燃料の石炭を積んで出港した。鳩間島の人は白浜港で乗船するのが多かったという。台湾帰りの人を、⸢タイパン⸣プス[⸢taipam⸣pu̥su](台湾人)と呼んでいた。 ム⸢カ⸣シェー ⸢タイ⸣パン ⸣パル ⸣プソー シ⸢ラ⸣ハマー ⸢ギーティ⸣ フネー ⸢ヌールタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢tai⸣pam ⸣paru ⸣pu̥soː ʃi⸢ra⸣hamaː ⸢giːti⸣ ɸuneː ⸢nuːrutaru] (昔は、台湾へ行くときは白浜へ行って船に乗ったものだ) 9654 0 0 9125 htmvoc_9654.wav ダイバン ⸢ダイ⸣バン [⸢dai⸣baŋ] 名 大きな物。特にカツオの大型魚(約10キログラム程度)に対していう。「大判」の義。カツオの小型魚はク⸢バン[ku⸢baŋ](小振りのカツオ{EOS}「小判」の義)という。大きな人、肥満の人にも⸢ダイ⸣バンという。 カツオの超大型にはトゥ⸢ビダイ [tu⸢bidai] (飛び大{EOS}超大物{EOS}15キロ以上のカツオ{EOS}秋カツオに多かった)。 ⸢タイパン⸣ズネーラ ⸢ダイ⸣バン カー⸢ニ タイロー シー オー⸣レータン [⸢taipan⸣ʣuneːra ⸢dai⸣baŋ kaː⸢ni tairoː ʃiː ʔoː⸣reːtaŋ] (台湾曽根からカツオの大判だけを大漁して帰って来られたことがある) 9657 0 0 9126 htmvoc_9657.wav タイパンサー ⸢タイパン⸣サー [⸢taipan⸣saː] 名 台湾茶。サンピン茶。 ⸢タイパンサー⸣ヤ カ⸢ザヌ⸣ カ⸢バッ⸣サン [⸢taipansaː⸣ja ka⸢ʣanu⸣ ka⸢bas⸣saŋ] (台湾茶は香り<匂い>が香ばしい) 9658 0 0 9127 htmvoc_9658.wav タイパンズニ ⸢タイパン⸣ズニ [⸢taipan⸣ʣuni] 名 地名。海底地名。台湾曽根。カツオの好漁場。 カ⸢ツシンマー タイパン⸣ズネーラル ⸢ダイ⸣バン ⸢ホー⸣シ ⸣ケーティバーヤ [kḁ⸢ʦuʃimmaː taipan⸣ʣuneːraru ⸢dai⸣baŋ ⸢hoː⸣ʃi ⸣keːtibaːja] (カツオ船は台湾曽根から<ぞ>大判カツオを釣って来たのだってさ) 9656 0 0 9128 htmvoc_9656.wav タイパンプステー ⸢タイパンプス⸣テー [⸢taipampu̥su⸣teː] 名 屋号。花城加那氏宅。「台湾帰りの人の家」の義。敗戦後、台湾から引き揚げてきた花城加那氏の家。 ⸢インタパナシケーヌ イー⸣ネール ⸢タイパンプス⸣テー ⸢ヤッタ [⸢ʔintapanaʃi̥keːnu ʔiː⸣neːru ⸢taipampusu⸣teː ⸢jatta] (花城伊佐氏宅<西花城家>の西隣が花城加那氏宅であった) 9659 0 0 9129 htmvoc_9659.wav ダイビスン ⸣ダイ ビ⸢スン [⸣dai bi⸢suŋ] 連 台を据える。基礎を築く。 ⸢クン⸣ネーヤ ⸣アブジェーンドゥ ⸢ヤーキナイ⸣ヌ ⸣ダイ ビ⸢ソー⸣レー⸢ダー [⸢kun⸣neːja ⸣ʔabuʤeːndu ⸢jaːkinai⸣nu ⸣dai bi⸢soː⸣reː⸢daː] (この家はお祖父さんが家庭の基礎を作られた<土台を据えられた>) 9660 0 0 9130 htmvoc_9660.wav タイビョー ⸢タイビョー [⸢taibjoː] 名 重病。「大病」の義。標準語からの借用語。普通は、ウ⸢ブヤン[ʔu⸢bujaŋ](大病)、ウ⸢ブヤンマイ[ʔu⸢bujammai](大病)という。 ⸢タイビョー⸣ティ シ⸢キティル ソーバ シー ミー⸣マイ ⸢シン ゲー⸣タ [⸢taibjoː⸣ti ʃi̥⸢kitiru soːba ʃiː miː⸣mai ⸢ʃiŋ geː⸣ta] (重病と聞いて心配してお見舞いをしに行ってきた) 9661 0 0 9131 htmvoc_9661.wav ダイブ ダイ⸢ブ [dai⸢bu] 副 相当。大分。かなり。標準語から転訛したもの。老年層は、ユ⸢カラスコー[ju⸢karasu̥koː](相当{EOS}かなりな程度{EOS}相当程度)という。 ⸢オーシケー⸣ ダイ⸢ブ ノー⸣リ ⸣ケーン [dai⸢bu ʔoːʃi̥keː noː⸣ri ⸣keːŋ] (大分天気は良くなってきた) 9662 0 0 9132 htmvoc_9662.wav タイフー ⸢タイ⸣フー [⸢tai⸣ɸuː] 名 台風。標準語からの借用語。老年層の人は、⸢ウーカジ[⸢ʔuːkaʤi](大風、台風)、カ⸢ジフキ[ka⸢ʤiɸuki](⸢風吹き」の義{EOS}台風{EOS}暴風)というのが普通であった。⸢ボーフー[⸢boːɸuː](「暴風」の義{EOS}台風)ともいう。 ク⸢トゥシェー タイフー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーティ ム⸢ヌスク⸣ルーン ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナーン⸣シェン [ku̥⸢tuʃeː taiɸuː⸣nu ⸢goː⸣raːti mu⸢nusu̥ku⸣ruːn ⸢daːs⸣saː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (今年は台風が多くて作物も芳しく<良く>なかった)。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ミー ⸢ペー⸣ルカー ⸢イットゥ⸣キ カ⸢ジェー⸣ トゥ⸢ルンドゥ⸣ フ⸢キカイシ⸣ヌ ⸢スー⸣リ フクン⸢ダー [⸢taiɸuː⸣nu ⸣miː ⸢peː⸣rukaː ⸢ʔittu⸣ki ka⸢ʤeː⸣ tu⸢rundu⸣ ɸu̥⸢kikaʃi⸣nu ⸢suː⸣ri ɸu̥kun⸢daː] (台風の目に入ったら一時風は凪ぐが、吹き返しが強まって吹くよ) 9663 0 0 9133 htmvoc_9663.wav タイフーヌトゥシ ⸢タイフー⸣ヌ ⸣トゥシ [⸢taiɸuː⸣nu ⸣tuʃi] 連 台風の年。台風の当たり年。台風が例年よりも多く襲来する年。 ⸣クゾー ⸢タイフー⸣ヌ ⸣トゥシ ヤ⸢レー⸣ンダ カ⸢ザンガマイ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kuʣoː ⸢taiɸuː⸣nu ⸣tuʃi ja⸢reː⸣nda ka⸢ʣaŋgamai saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (去年は台風の当たり年だったから、台風対策<風の構え>をしないといけない) 9664 0 0 9134 htmvoc_9664.wav ダイマー ⸢ダイ⸣マー [⸢dai⸣maː] 名 (植)竹の種類。ダイミョウチク(大名竹)。カンザンチク(寒山竹)。⸢ダイ⸣マーダキ[⸢dai⸣maːdaki](大名竹)、ク⸢モーマダキ[ku⸢moːmadaki](小浜竹)ともいう。 ⸢パイター⸣ラ ⸢ダイ⸣マーダキバ キ⸢ソーリ⸣ル タ⸢キフンツァ⸣ フ⸢モーッ⸣タ [⸢paitaː⸣ra ⸢dai⸣maːdakiba ki̥⸢soːri⸣ru tḁ⸢kiɸunʦaː⸣ ɸu⸢moːt⸣ta] (西表島<南端>から大名竹を伐ってこられて、竹の床は編まれた) 9665 0 0 9135 htmvoc_9665.wav ダイマーダキ ⸢ダイ⸣マーダキ [⸢dai⸣maːdaki] 名 ダイミョウチク(大名竹)。ク⸢モーマダキ[ku⸢moːmadaki](小浜竹)ともいう 9666 0 0 9136 htmvoc_9666.wav ダイヤシムヌ ⸢ダイヤシ⸣ムヌ [⸢daijaʃi⸣munu] 名 安物。安値もの。値段の安いもの。 ⸢バン⸣ター ⸢ダイヤシムヌ⸣ル ⸢カイシェー ダイダカ⸣ムノー ⸢カイサヌ [⸢ban⸣taː ⸢daijaʃimunu⸣ru ⸢kaiʃeː daidaka⸣munoː ⸢kaisanu] (私たちは安物が買える<買い得る>、高値の物は買えない) 9667 0 0 9137 htmvoc_9667.wav ダイヤッサン ⸢ダイ ヤッ⸣サン [⸢dai jas⸣saŋ] 連 値が安い。 シ⸢ナムヌヌ⸣ ア⸢リアマ⸣リ ⸢ブー⸣カー ⸢ダイ ヤッ⸣サン ⸣パジ [ʃi⸢namununu⸣ ʔa⸢riama⸣ri ⸢buː⸣kaː ⸢dai jas⸣sam ⸣paʤi] (品物が有り余っているなら値段は安いはずだ) 9668 0 0 9138 htmvoc_9668.wav タイラーイー ⸢タイラー⸣イー [⸢tairaː⸣ʔiː] 名 ス⸢ク⸣マ[su̥⸢ku⸣ma](稲の初穂祭り{EOS}旧暦5月15日頃に行われる)に新米を炊いて作ったお握りを平らにしたもの。 ⸢タイラー⸣イー バ⸢カシティ⸣ ピ⸢ナカンヌ⸣ ⸣マイ ウ⸢ヤプス⸣ヌ ⸣マイ マ⸢チ オーシ [⸢tairaː⸣ʔiː ba⸢kaʃi̥ti⸣ pi⸢nakannu⸣mai ʔu⸢japu̥su⸣numai ma⸢ʧiʔoːʃi] (タイラー飯を炊いて火の神様の前、先祖様の前にお供えしなさい) 9669 0 0 9139 htmvoc_9669.wav タイラギルン ⸢タイラギ⸣ルン [⸢tairagi⸣ruŋ] 他動 平らげる。飲食物を残らず飲食し尽くす。「~韓国をむけ多比良宜て~『万葉集 813』」の義。 ⸢タンガ⸣シェー ⸢タイラギララ⸣ンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢タイラ⸣ギ ⸢ナーン⸣バン ヌヤー [⸢taŋga⸣ʃeː ⸢tairagiraran⸣ti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢taira⸣gi ⸢naːm⸣ban ⸣nujaː] (一人では平らげられないと思ったが、平らげてしまったよ、なんのその)。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ムヌ ⸢タイラギ⸣ルンティ ア⸢ズヌ タイラギ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣パジ [ʔu⸢bi⸣nu ⸣munu ⸢tairagi⸣runti ʔa⸢ʣunu tairagi⸣ru kutoː na⸢ram⸣paʤi] (あれだけのものを平らげるというが、平らげることは出来ないはずだ)。 ⸢パー⸣ク ⸢タイラギ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢tairagi⸣reː ⸣misamunu] (早く平らげれば良いのに)。 ⸣ウベー ⸢タイラギ⸣リ [⸣ʔubeː ⸢tairagi⸣ri] (それだけは平らげなさい) 9670 0 0 9140 htmvoc_9670.wav タイラグン ⸢タイラ⸣グン [⸢taira⸣guŋ] 他動 平らげる。飲食物を残らず飲食し尽くす。 ⸢タイラガラ⸣ヌ [⸢tairagara⸣nu] (平らがれない)。 ⸢タイラギ⸣ プサン [⸢tairagi⸣ pu̥saŋ] (平らげたい)。 ⸢タイラ⸣グン [⸢taira⸣guŋ] (平らぐ)。 ⸢タイラ⸣グ ⸣クトゥ [⸢taira⸣gu ⸣kutu] (平らぐこと)。 ⸢タイラ⸣ゲー ⸣ミサムヌ [⸢taira⸣geː ⸣misamunu] (平らげればよいのに)。 ⸢タイラ⸣ギバ [⸢taira⸣giba] (平らげよ) 9671 0 0 9141 htmvoc_9671.wav タイワンクバガサ ⸢タイワンクバ⸣ガサ [⸢taiwaŋkuba⸣gasa] 名 ちくひ(竹皮)で作った笠。台湾製の笠で、軽くて涼しく農作業に適しているが、八重山地元生産のク⸢バガサ[ku⸢bagasa](蒲葵笠)に比して壊れやすく、漁業者には不向きであるという弱点があった。 ⸢タイワンクバ⸣ガサー ⸢タイ⸣パンラル ⸢ペー⸣リ ⸢クータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ララン⸣バン [⸢taiwaŋkuba⸣gasaː ⸢tai⸣panraru ⸢peː⸣ri ⸢kuːtan⸣du ma⸢na⸣maː mi⸢raram⸣baŋ] (台湾蒲葵笠は台湾から輸入され<入って>てきたが、今は見かけない<見られない>わい) 9672 0 0 9142 htmvoc_9672.wav タイワンズニ ⸢タイワン⸣ズニ [⸢taiwan⸣ʣuni] 名 (地)台湾曽根。海底地名でカツオのや鮪の好漁場といわれている。⸢タイパン⸣ズニ[⸢taipan⸣ʣuni](台湾曽根)と同じ 9673 0 0 9143 htmvoc_9673.wav タイワンバサ ⸢タイワン⸣バサ [⸢taiwam⸣basa] 名 (植)タイワンバショウ(台湾芭蕉)。幹の高さが高いのを、⸢アウバサ[⸢ʔaubasa](青芭蕉)、タ⸢カ⸣バサ[ta⸢ka⸣basa](高芭蕉)といい、幹の低いのを、⸣サンジャクバサ[⸣sanʤakubasa](三尺芭蕉)という。台湾から導入だれた品種改良種と言われていた。⸣サンジャクバサンナル[⸣sanʤakubasannaru](三尺バナナ)はバナナの房が長く、実も太く、美味で、幹が低いだけに台風被害が少なかった。 ⸢タイワン⸣バサー パ⸢トゥ⸣マナーン イ⸢ビラリ⸣ ブ⸢タン⸣ダー [⸢taiwam⸣basaː pḁ⸢tu⸣manaːŋ ʔi⸢birari⸣ bu⸢tan⸣daː] (台湾芭蕉は鳩間島にも植えられていたよ) 9674 0 0 9144 htmvoc_9674.wav タイワンボー ⸢タイワン⸣ボー [⸢taiwam⸣boː] 名 タイワンハゲ(台湾禿)。「円形脱毛症(alopecia areata) 円形にはげる病気」『医学沖縄語辞典』。⸢タイワンボー⸣ジ[⸢taiwamboː⸣ʤi](台湾禿は頭の毛が所々禿げる病気で、日清戦争後、台湾から帰った兵隊が流行させたという)『石垣方言辞典』の転訛したもの。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸢イットゥ⸣キ ⸢タイワンボー⸣ヌ パ⸢ヤー⸣リ ブ⸢タン⸣ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸢ʔittu⸣ki ⸢taiwamboː⸣nu pa⸢jaː⸣ri bu⸢tan⸣daː] (太平洋戦争の後に、一時タイワンボー<皮膚病>が流行っていたよ) 9675 0 0 9145 htmvoc_9675.wav タイワンボージ ⸢タイワンボー⸣ジ [⸢taiwamboː⸣ʤi] 名 台湾坊主。東シナ海低気圧。旧暦二月ごろ急に発生して吹きまくる強風。標準語から転訛したもの。 ⸢タイワンボージ⸣ヌ ⸢アッ⸣タニ⸣ フ⸢キアー⸣リ ⸣フネー ⸢フンナキ⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢パイ⸣ター タ⸢ドゥ⸣リ ⸢パッ⸣タ [⸢taiwamboːʤi⸣nu ⸢ʔat⸣tani ɸu̥⸢kiʔaː⸣ri ⸣ɸuneː ⸢ɸunnaki⸣ jat⸢tu⸣ʃi ⸢pai⸣taː ta⸢du⸣ri ⸢pat⸣ta] (台湾坊主が急に吹き荒れ、イダフニ<板船>は沈没して舟はやっとのことで西表<南端>へたどりついた<たどっていった>) 9676 0 0 9146 htmvoc_9676.wav タウ ⸢タウ [⸢tau] 名 窪地。低地。平地。平坦地。 カ⸢ザケーヌ タウパタキ [ka⸢ʣakeːnu taupataki] (加治工家の窪地の畑)。 ミ⸢ジェー タウ⸣ ナリ⸢ブン⸣ トンニル ⸢ナー⸣リ ⸣パル [mi⸢ʤeː tau⸣ nari⸢bun⸣ tonniru ⸢naː⸣ri ⸣paru] (水は低い所<窪地>に<ぞ>流れていくものだ) 9677 0 0 9147 htmvoc_9677.wav タウジー ⸢タウジー [⸢tauʤiː] 名 窪地。低地。平坦地。 ⸢ウン⸣ネーヌ ⸢ヤシ⸣ケー ⸢タウジー⸣ ナリ ⸢ベー⸣ティ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ミ⸢ジタマリ⸣ ナ⸢リ⸣ス [⸢ʔun⸣neːnu ⸢jaʃi̥⸣keː ⸢tauʤiː⸣ nari ⸢beː⸣ti ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː mi⸢ʤitamari⸣ na⸢ri⸣su] (あの家の屋敷は窪地になっているから、雨が降ると水溜りになってしまう) 9678 0 0 9148 htmvoc_9678.wav タウマスン ⸢タウマスン [⸢taumasuŋ] 他動 くぼ(窪)ます。へこます。⸢タウムン[⸢taumuŋ](くぼむ{EOS}へこむ)の未然形に、使役の助動詞⸢スン[⸢suŋ](~す{EOS}~せる{EOS}~させる)が下接して形成された使役動詞。 ク⸢マン⸣ トンバ ⸢フンシキ タウマスンティ スンドゥ タウマサラヌ [ku⸢man⸣ tomba ⸢ɸuŋʃi̥ki taumasunti sundu taumasaranu] (ここの所を踏みつけて窪まそうとするが、窪まされない)。 ⸢タウマシ⸣ プサカー ⸢フンシキティ タウマス⸣ クトゥ [⸢taumaʃi⸣ pu̥sakaː ⸢ɸuŋʃikiti taumasu⸣ ku̥tu] (窪ましたければ踏みつけて窪ませることだ)。 ⸢タウマシェー⸣ ミサムヌ [⸢taumaʃeː⸣ misamunu] (窪ませればよいのに)。 ⸣クマー ⸢タウマシ [⸣kumaː ⸢taumaʃi] (ここは窪ませよ) 9679 0 0 9149 htmvoc_9679.wav タウミ ⸢タウミ [⸢taumi] 名 くぼみ(窪み)。 ⸢タウミヌ⸣ アルン ⸣トンマー ⸢ヨーンナ⸣ ア⸢ラ⸣キ⸢ヨー [⸢tauminu⸣ ʔarun ⸣tommaː ⸢joːnna⸣ ʔa⸢ra⸣ki⸢joː] (窪のある所はゆっくり歩けよ) 9680 0 0 9150 htmvoc_9680.wav タウミルン ⸢タウミルン [⸢taumiruŋ] 他動 窪める。窪ませる。 ク⸢マン⸣ トン ⸣プリティ ⸢タウミル⸣カー ミ⸢ジェー ナー⸣ルン [ku⸢man⸣ tom ⸣puriti ⸢taumiru⸣kaː mi⸢ʤeː naː⸣ruŋ] (ここの所を掘って窪めると水が流れる) 9681 0 0 9151 htmvoc_9681.wav タウムン ⸢タウムン [⸢taumuŋ] 自動 窪む。へこむ。曲がる。「~思ひ多和美手<タワミテ>~。万、935」の転訛したものか。 ミ⸢チ⸣ヌ ⸢タウムン⸣ケン カ⸢ユイ⸣ クイケール ユ⸢ミッふァ⸣ ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ヨー [mi⸢ʧi⸣nu ⸢taumuŋ⸣keŋ ka⸢jui⸣ kuikeːru ju⸢miffa⸣ ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiː⸣joː] (道が窪むほど通って貰ってきた<乞い来たる>嫁子を大事に可愛がれ<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}しさせよ>よ)。 ⸢ニーグルマ⸣ヌ ⸢トゥー⸣レーン ⸣トンマー ⸣ミチェー ⸢タウミ ブー [⸢niːguruma⸣nu ⸢tuː⸣reːn ⸣tommaː ⸣miʧeː ⸢taumi buː] (荷車が通った所は、道は窪んでいる)。 ユ⸢ヌ⸣ トン カー⸢ニ トゥー⸣ルカー ⸢タウムン⸣ティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢タウマンバン [ju⸢nun⸣ toŋ kaː⸢ni tuː⸣rukaː ⸢taumunuti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸢taumambaŋ] (同じ所だけ歩くと窪むと思ったが窪まないよ)。 ⸢タウム⸣ トンマー ⸢パン⸣ナ [⸢taumu⸣ tommaː ⸢pan⸣na] (窪む所には行くな)。 ⸢マー⸣ビン ⸢タウメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢taumeː⸣ misamunu] (もっと窪めば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢タウミ [⸢paː⸣ku ⸢taumi] (早く窪め) 9682 0 0 9152 htmvoc_9682.wav タカ タ⸢カ [tḁ⸢ka] 名 収穫量。生産量。漁獲数。金額。 ⸢ジン⸣ダカ ⸢ギュー⸣サ カ⸢カル⸣ワ [⸢ʤin⸣dakaː ⸢gju⸣sa kḁ⸢karu⸣wa] (金額はいくらかかるか)。 ⸢マイヌ⸣ トゥ⸢リダ⸣カー ⸣クゾーラ ⸢ゴーラー⸣ル [⸢mainu⸣ tu⸢ri⸣dakaː ⸣kuʣoːra ⸢goːraː⸣ru] (米の収穫量<取り高>は去年より多い)。 タ⸢カヌ イシゥ⸣カー ⸢ゴー⸣ラーテー ⸢ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ マー⸢タキナー⸣ル ⸣バキ ⸣シケー [tḁ⸢kanu ʔisi̥⸣kaː ⸢goː⸣raːteː ⸢naː⸣nu muː⸢ru⸣ maː⸢takinaːru⸣ baki ⸣ʃi̥keː] (分量が多い少ないということはない{EOS}すべて<皆>同じように<等量に>分けておいてある) 9683 0 0 9153 htmvoc_9683.wav タカ タ⸢カ [tḁ⸢ka] 名 (動)鳥の名。たか(鷹)。鳩間島にはあまり見られなかった。 ⸢ティン⸣ナー タ⸢カヌ⸣ マ⸢ヤーリ ベー⸣ン [⸢tin⸣naː tḁ⸢kanu⸣ ma⸢jaːri beː⸣ŋ] (空に<天に>鷹が円を描いて飛んで<舞って>いる) 9684 0 0 9154 htmvoc_9684.wav タカーシムラリブー タ⸢カー⸣ シ⸢ムラリ ブー [tḁ⸢kaː⸣ ʃi⸢murari buː] 連 程度や収量が推定されている。収量の程度が見積もられている。転じて「人物のレベルが知れている」の意にも用いられる。 ク⸢トゥシヌ マイヤー⸣ タ⸢カー⸣ シ⸢ムラリ ブー [ku̥⸢tuʃinu maijaː⸣ tḁ⸢kaː⸣ ʃi⸢murari buː] (今年の米の収量は既に計算され、見積もられて<推定されて>いる) 9685 0 0 9155 htmvoc_9685.wav タカータカーシ タ⸢カータカー⸣シ [tḁ⸢kaːtakaː⸣ʃi] 副 非常に高く。高々と。形容詞タ⸢カー⸣ン[tḁ⸢kaː⸣ŋ](高い)の語幹重複形で、副詞的用法。 タ⸢カータカー⸣シ ⸣ムタイバ [tḁ⸢kaːtakaː⸣ʃi ⸣mutaiba] (高々と<非常に高く>持ち上げなさいよ) 9686 0 0 9156 htmvoc_9686.wav タカータカーヌヤマ タ⸢カータカーヌ⸣ ヤマ [tḁ⸢kaːtakaːnu⸣ jama] 連 高い山。高山。形容詞タ⸢カー⸣ン[tḁ⸢kaː⸣ŋ](高い)の語幹を重ねた畳語に同格の助詞ヌ[nu]が付いた形で非常に高いさまを表す。 ダ⸢ディ⸣クダケー タ⸢カータカーヌ⸣ ヤマ ヤ⸢ルンダ ヌーリグリ⸣サン [da⸢di⸣kudakeː tḁ⸢kaːtakaːnu⸣ jama ja⸢runda nuːriguri⸣saŋ] (ダディク岳は高い山だから登りにくい) 9688 0 0 9157 htmvoc_9688.wav タカーニ タ⸢カーニ [tḁ⸢kaːni] 副 たくさん。一杯。主として明治生まれの老年層の人が使用した。強調すると、タカー⸢ニン[tḁkaː⸢niŋ](たくさん)ともいう。 ⸢イー⸣ヤ タ⸢カーニ⸣ イ⸢リルナ⸣ヨー [⸢ʔiː⸣ja tḁ⸢kaːni⸣ ʔi⸢riruna⸣joː] (ご飯は沢山入れるなよ<たくさん装うなよ>)。 プ⸢スヌ⸣ タ⸢カーニ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー⸣ヌ  ⸢ヌー⸣ヌ ⸢アッ⸣タカヤー [pu̥⸢sunu⸣ ta⸢kaːni⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː⸣nu ⸢nuː⸣nu ⸢ʔat⸣takajaː] (人が沢山集まっているが何かあったのかねえ) 9689 0 0 9158 htmvoc_9689.wav ダカールン ダ⸢カールン [da⸢kaːruŋ] 自動 物と物が溶け合う。くっ付きあう。粘りつく。絡む。絡みつく。絡み合う。 カ⸢マブク シッ⸣ク ⸣ピンマー ン⸢ベーマ⸣ クジ ⸣タリ イ⸢ラン⸣カー ダ⸢カーラヌ バックリス [ka⸢mabuku ʃik⸣ku ⸣pimmaː ʔm⸢beːma⸣ kuʤi ⸣tari ʔi⸢riraŋ⸣kaː da⸢kaːranu] (蒲鉾を搗く時は少しくず粉を溶かして入れないと魚肉が絡みあわない{EOS}割れて崩れる)。 ⸣クジ イ⸢ル⸣カー ダ⸢カールン [⸣kuʤi ʔi⸢ru⸣kaː da⸢kaːruŋ] (くず粉を入れると、よく粘り気がでて繋がる{EOS}くっ付きあう)。 ム⸢チンダーリ⸣ ダ⸢カーリティ バックラヌ [mu⸢ʧindaːri⸣ da⸢kaːriti bakkuranu] (粘りついてくっ付きあって<絡み合って>割れない)。 ダ⸢カール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [da⸢kaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (粘り絡みあうことはない)。 ダ⸢カーレー⸣ ミサムヌ [da⸢kaːreː⸣ misamunu] (粘り絡み合えば良いのに)。 フ⸢ターロー マー⸣ビン ダ⸢カーリ⸣バ [ɸu̥⸢taːroː maː⸣bin da⸢kaːri⸣ba] (二人はもっと抱き合って絡めよ)。 サ⸢ク⸣マイ ⸢タンガ⸣シェー サ⸢パーリシバ⸣ ム⸢チマイ⸣ マ⸢ザー⸣シティ ダ⸢カーラシ⸣バ [sḁ⸢ku⸣mai ⸢taŋga⸣ʃeː sḁ⸢paːriʃiba⸣ mu⸢ʧimai⸣ ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti da⸢kaːraʃi⸣ba] (粳米だけではぱさぱさして粘り気がないから、糯米を混ぜて粘りつかせて絡みつかせなさい) 9690 0 0 9159 htmvoc_9690.wav ダカールン ダ⸢カールン [da⸢kaːruŋ] 自動 たかる(集る)。寄り集まる。虫や蝿などがむらがる。 ⸣ッサリムヌナー ⸢アウバイヌ⸣ ダ⸢カールンダ⸣ ウ⸢ズミティ⸣ ⸢パイ⸣ ダ⸢カーラサン ブリ⸣バ [⸣ssarimununaː ⸢ʔaubainu⸣ da⸢kaːrunda⸣ ʔu⸢ʣumiti pai⸣ da⸢kaːrasam buri⸣ba] (腐れたものには青蝿が集るから、埋めて蝿を集らすな<集らさないでおれ>よ)。 ア⸢マムヌ⸣ナー ⸢アールヌ⸣ ダ⸢カーリ ヤッ⸣サン [ʔa⸢mamunu⸣naː ⸢ʔaːrunu⸣ da⸢kaːri jas⸣saŋ] (甘いものには蟻が集りやすい)。 ⸢パイ⸣ マキ ⸣シケーンダ ⸢アウバイヌ⸣ ダ⸢カール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pai⸣ maki ⸣ʃi̥keːnda ⸢ʔaubainu⸣ da⸢kaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (灰を撒いてあるから青蝿が集ることはない)。 ⸢アウバイヌ⸣ ダ⸢カーレー⸣ラー ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʔaubainu⸣ da⸢kaːreː⸣raː ja⸢nija⸣nu mi⸢rara⸣nu] (青蝿が集ると汚くて見られない) 9691 0 0 9160 htmvoc_9691.wav タカーン タ⸢カー⸣ン [ta⸢kaː⸣ŋ] 形 高い。空間的位置、価値、名声、地位、音声、数値などの高いこと。 ⸣クンダケー タ⸢カーン⸣ティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ウ⸢ム⸣トゥダキン ⸣スコー タ⸢カーナー⸣ヌ [⸣kundakeː tḁ⸢kaːn⸣ti ʔu⸢muːtan⸣du ʔu⸢mu⸣tudakin ⸣su̥koː tḁ⸢kaːnaː⸣nu] (古見岳は高いと思ったが於茂登山ほど高くない)。 ⸢ダイヌ⸣ タ⸢カー⸣ヌ ⸢バン⸣マー ⸢カーラヌ [⸢dainu⸣ ta⸢kaː⸣nu ⸢bam⸣maː ⸢kaːranu] (値段が高くて私には買えない)。 ⸢シンダイ⸣ ウ⸢トゥヌ⸣ タ⸢カー⸣ ナリキー シ⸢キングリサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ ʔu⸢tunu⸣ ta⸢kaː⸣ narikiː ʃi̥⸢kiŋgurisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (次第に音が高くなってきて、聞き苦しくて<聞き辛くて>たまらない)。 ⸢シーヌ⸣ タ⸢カー⸣ ピンマー ⸣ドゥー ⸢ユーコー⸣シ [⸢ʃiːnu⸣ tḁ⸢kaː⸣ pimmaː ⸣duː ⸢juːkoː⸣ʃi] (血圧が高いときは体を休ませなさい)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ タ⸢キ⸣ヌ タ⸢カー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ tḁ⸢ki⸣nu tḁ⸢kaː⸣kaː ⸣misamunu] (もう少し背<身長>が高ければ良いのに) 9687 0 0 9161 htmvoc_9687.wav タカアシツァ タ⸢カアシ⸣ツァ [tḁ⸢kaʔaʃi̥⸣ʦa] 名 高下駄。「高足駄」の義。さし下駄。新しく石垣島から導入された若者の下駄。タ⸢カ⸣ゲタ[ta⸢ka⸣geta](高下駄)、サ⸢シ⸣ゲタ[sa⸢ʃi⸣geta](さし下駄)ともいう。 タ⸢カアシ⸣ツァー バ⸢カー⸣ムンドゥ フ⸢ムタル [tḁ⸢kaʔaʃi̥⸣ʦaː ba⸢kaː⸣mundu ɸu⸢mutaru] (高下駄は若者が<ぞ>履いたものだ) 9693 0 0 9162 htmvoc_9693.wav タカアン ⸣タカアン [⸣tḁkaʔaŋ] 名 ⸢高網」の義。高さ約2メートル、長さ約4メートルの網。フ⸢クル⸣アン[ɸu̥⸢kuru⸣ʔaŋ](袋網)に繋ぐ背丈の高い網。⸣タカアンの上部には、幅約2センチ、厚さ約1、5センチ、長さ約20センチの棒状の浮きを付け、網の脚部にはン⸢ボー⸣マ[ʔm⸢boː⸣ma](宝貝)を付けて重石とした。 フ⸢クルアン⸣ヌ ス⸢ディ⸣ナー ⸣タカアン シ⸢ナイ ウン⸣ナー ⸣キタアン シ⸢ナイティル アン⸣マー ウ⸢ラ⸣ソーッタ [ɸu̥⸢kuruʔan⸣nu su⸢di⸣naː ⸣tḁkaʔaŋ ʃi⸢nai ʔun⸣naː ⸣ki̥taʔaŋ ʃi⸢naitiru ʔam⸣maː ʔu⸢ra⸣soːtta] (袋網の袖に高網を繋ぎ、それに桁網を繋いでシナカキヤーの網を下ろされた) 9694 0 0 9163 htmvoc_9694.wav タカアンガリ タ⸢カアン⸣ガリ [tḁ⸢kaʔaŋ⸣gari] 名 自惚れて身分不相応に上座に座ること。思い上がること。 ⸢イン⸣ヌ ッ⸢ス⸣ヌ タ⸢カアン⸣ガリ [⸢ʔin⸣nu s⸢su⸣nu tḁ⸢kaʔaŋ⸣gari] (犬の糞の高上がり<諺>{EOS}卑しい者が身分不相応に上座に座ること)。 ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ムティ タ⸢カアン⸣ガリ ⸢シーベー [⸣jakoː tḁ⸢ta⸣muti tḁ⸢kaʔaŋ⸣gari ⸢ʃiːbeː] (無能な者<役立たない者>が身分不相応な上座に座っている) 9695 0 0 9164 htmvoc_9695.wav タガイルン タ⸢ガイ⸣ルン [ta⸢gai⸣ruŋ] 他動 たがえる(違える)。約束を破る。そむく(背く)。そむいて裏切る。 ⸢バン⸣トゥヌ ヤ⸢クスク⸣ タ⸢ガイ⸣ルンティ ⸢ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ イ⸢ズター⸣ タ⸢ガイラ⸣ナ ⸢ベーン⸣ティ [⸢ban⸣tunu ja⸢kusu̥ku⸣ ta⸢gai⸣runti ⸢beː⸣ta ⸢beː⸣ti ʔi⸢ʣutaː⸣ ta⸢gaira⸣na ⸢beːn⸣ti] (私との約束をたがえようとしていたので、叱りつけたから約束を違えないでいるさ)。 タ⸢ガイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ta⸢gai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (違えることはならぬ)。 ⸣アイブ ヤ⸢クスコー⸣ タ⸢ガイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaibu ja⸢kusu̥koː⸣ ta⸢gai⸣reː ⸣misamunu] (あんな約束は、違えれば良いのに)。 タ⸢ガイ⸣リ [ta⸢gai⸣ri] (違えろ) 9692 0 0 9165 htmvoc_9692.wav タカウール タ⸢カウー⸣ル [tḁ⸢kaʔuː⸣ru] 名 エダサンゴの群落。鳩間島の北西部の干瀬の⸢フンシキ[⸢ɸuŋʃiki]や南南東部の干瀬のタ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː]、ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](澪の上)にはエダサンゴの群落がある。また、⸢イー⸣シビー[⸢ʔiː⸣ʃibiː](ツノマタを養殖した干瀬)にもエダサンゴの群落がある。 ⸢イー⸣シビーヌ タ⸢カウール⸣ヌ ウ⸢チンター⸣ラ ⸢アン⸣バ ウ⸢ラ⸣シティ シ⸢ヌマー⸣ル ヤ⸢マシゥ⸣カ ガ⸢ラシ⸣タン [⸢ʔiː⸣ʃibiːnu tḁ⸢kaʔuːru⸣nu ʔu⸢ʧintaː⸣ra ⸢ʔam⸣ba ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ʃi⸢numaː⸣ru ja⸢masi̥⸣ka ga⸢raʃi̥⸣taŋ] (⸢イー⸣シビー<ツノマタを養殖した干瀬>の内側から網を下ろしてテングハギをたくさん漁獲した) 9696 0 0 9166 htmvoc_9696.wav タカカーシ タ⸢カカー⸣シ [tḁ⸢kakaː⸣ʃi] 名 高く売ること。高値売り。「高売り」の義。ヤ⸢シカー⸣シ[ja⸢ʃikaː⸣ʃi](安売り)の対義語。 ⸢バン⸣マー タ⸢カカー⸣シ シ⸢ティ⸣ ヌンティ ⸢ワンマー⸣ ヤ⸢シカー⸣シ ⸢スー⸣ カヤー [⸢bam⸣maː tḁ⸢kakaː⸣ʃi ʃi̥⸢ti⸣ nunti ⸢wammaː⸣ ja⸢ʃikakaː⸣ʃi ⸢suː⸣kajaː] (私には高く売って、どうして君には安売りするのかね) 9697 0 0 9167 htmvoc_9697.wav タカカイ タ⸢カ⸣カイ [tḁ⸢ka⸣kai] 名 高買い。品物を定価より高く買うこと。 ⸢ソーベームヌ⸣バ ⸢カシカーサ⸣リティ タ⸢カ⸣カイ シ⸢ミラリティ⸣ キ⸢ム⸣バ ⸣ヤミ ⸢ベー⸣ツォー [⸢soːbeːmunu⸣ba ⸢kaʃi̥kaːsa⸣riti tḁ⸢ka⸣kai ʃi⸢mirari⸣ ki⸢mu⸣ba ⸣jami ⸢beː⸣ʦoː] (粗悪品を騙されて高買いさせられて残念がって<心を痛めて>いるそうだ) 9698 0 0 9168 htmvoc_9698.wav タカサピクサ タ⸢カ⸣サピクサ [tḁ⸢ka⸣sapi̥kusa] 名 高さ低さ。高低。/イヤイヤー シマヌ アリサマ ウフチバナリヌ アヌタ カヌタヌ タカサピクサヤ トゥナミ ナランサ~/(いやいや(囃子)島の有様は、大地<西表島>から離れ小島、こちら側あちら側<此方・彼方>均すことはできないよ~)⸢鳩間口説節」 9700 0 0 9169 htmvoc_9700.wav タカジン タ⸢カ⸣ジン [tḁ⸢ka⸣ʤiŋ] 名 脚付きの膳。「高膳」の義。会席膳に高さ約30センチの脚の付いた膳。正月や祝儀の際に特別の招待客に用いられた。 パ⸢トゥ⸣マナテー タ⸢カジン⸣マー ⸣チニヒージェー シゥ⸢カイオーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manateː tḁ⸢kaʤim⸣maː ⸣ʧiniçiːʤeː si̥⸢kaiʔoːra⸣ʃeŋ] (鳩間島では高膳は常日頃は使われなかった) 9701 0 0 9170 htmvoc_9701.wav タカスク タ⸢カ⸣スク [tḁ⸢ka⸣suku] 名 (地)ティ⸢ドゥ⸣クヤマ[ti⸢du⸣kujama](古見岳の西側の連山で、⸢インダ{SqBr}⸢ʔinda{/SqBr}<伊武田>、⸢クーラ{SqBr}⸢kuːra{/SqBr}<久浦>あたりまで裾野を張り出している山)からインダ崎へ流れ出した台地の根幹の部分にある原野の窪地を水田に開いたところ。田が深く、牛を入れることができなかったという。所によっては水田に丸太を沈めて、それを踏んで稲を植え付け、刈り取りをしたといわれている。⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)、⸢メー⸣ケー[⸢meː⸣keː](大城家<宮古屋>)の水田があった。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン タ⸢カスク⸣ヌ ⸣ウブシケヌ ⸢ター⸣ヌ ⸢マイ カリン ゲー⸣タン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣ken tḁ⸢kasuku⸣nu ⸣ʔubuʃi̥keːnu ⸢taː⸣nu ⸢mai kariŋ geː⸣taŋ] (子供の頃、タ⸢カ⸣スク{SqBr}tḁ⸢ka⸣suku{/SqBr}にある大城家の田の稲刈りに行ったことがある) 9699 0 0 9171 htmvoc_9699.wav タカソンカー ⸣タカソンカー [⸣tḁkasoŋkaː] 名 のっぽ。 トゥ⸢シ⸣グル ナ⸢ル⸣ター ⸢アッ⸣タニ フ⸢ドゥビティ⸣ タカソンカー ⸣ナリ ⸢ベー [tu̥⸢ʃi⸣guru na⸢ru⸣taː ⸢ʔat⸣tani ɸu⸢dubiti⸣ tḁkasoŋkaː ⸣nari ⸢beː] (年頃になったので急に成長してのっぽになっている) 9702 0 0 9172 htmvoc_9702.wav タカダイ タ⸢カダイ [ta⸢kadai] 名 高価。高い値段。ヤ⸢シ⸣ダイ[ja⸢ʃi⸣dai](安値{EOS}安い値段)の対義語。 ク⸢レー⸣ タ⸢カダイ⸣シル ⸢カイヤー⸣バ シ⸢ティ⸣ガラ ⸢スーナ⸠ヨー [ku⸢reː⸣ ta⸢ka⸣daiʃi ⸢kaijaː⸣ba ʃi̥⸢ti⸣gara ⸢suːna⸠joː] (これは高値で買ったから粗略に扱うなよ<粗末にするなよ>) 9703 0 0 9173 htmvoc_9703.wav タカダイ タ⸢カ⸣ダイ [tḁ⸢ka⸣dai] 名 高台。地面が高くて平たいところ。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ヤー⸣ヤ タ⸢カ⸣ダイナー ⸣アルンダー カ⸢ジフキヌ⸣ ピンマー カ⸢ジェー スー⸣ワン [⸢ʔun⸣nenu ⸢jaː⸣ja tḁ⸢ka⸣dainaː ⸣ʔarundaː ka⸢ʤiɸu̥ki⸣nu ⸣pimmaː ka⸢ʤeː suː⸣waŋ] (あのうちの家は高台にあるので、台風の時は風当たりが強い<風が強い>) 9704 0 0 9174 htmvoc_9704.wav タカダイ タ⸢カ⸣ダイ [tḁ⸢ka⸣dai] 名 たかつき(高杯)。盃を載せる脚の付いた台。「高台」の義。約13センチ四方の盆に約10センチの脚が付いたもの。正月や祝儀の際に神前に供えて神酒を頂くのに用いる。 ⸣ソンガチヌ ⸣ピンマー タ⸢カ⸣ダイナ サ⸢カシケー⸣ シキティル ⸣グシェー カ⸢モーッ⸣タ [⸣soŋgaʧinu ⸣pimmaː tḁ⸢ka⸣daina sḁ⸢kaʃi̥keː⸣ ʃi̥kitiru ⸣guʃeː ka⸢moːt⸣ta] (正月の時には高台に盃を置いて<ぞ>神酒は頂かれた) 9705 0 0 9175 htmvoc_9705.wav タカッツァ タ⸢カッ⸣ツァ [tḁ⸢kat⸣ʦa] 名 高所。高地。高台。崖の高いところ。崖っぷち。 ⸣アイブ タ⸢カッ⸣ツァナー ⸢ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸢ヌー⸣スワ [⸣ʔaibu tḁ⸢kat⸣ʦanaː ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸢nuː⸣suwa] (あんな高い所に家を造ってどうするつもりか) 9706 0 0 9176 htmvoc_9706.wav タカッツァミチ タ⸢カッ⸣ツァミチ [tḁ⸢kat⸣ʦamiʧi] 名 坂道。⸢高所道」の義。 ウ⸢マン⸣ トンマー タ⸢カッ⸣ツァミチ ⸣ナリ ⸢ブンダー キー⸣ シ⸢キラン⸣カー ク⸢ルブン⸠ダー [ʔu⸢man⸣ tommaː tḁ⸢kat⸣ʦamiʧi ⸣nari ⸢bundaː kiː⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ku⸢rubun⸠daː] (そこの所は坂道になっているから、気をつけないと転ぶよ) 9707 0 0 9177 htmvoc_9707.wav タカディ タ⸢カ⸣ディ [ta⸢ka⸣di] 名 高い所。 ⸢ウン⸣ネーヤー タ⸢カ⸣ディナール ⸣アルンダ カ⸢ジアタリヌ スー⸣ワツォー [⸢ʔun⸣neːja ta⸢ka⸣dinaːru ⸣ʔarunda ka⸢ʤiatarinu suː⸣waʦoː] (あの家は高台にあるので風当たりが強いそうだ) 9708 0 0 9178 htmvoc_9708.wav タカディタウ タ⸢カ⸣ディ ⸢タウ [ta⸢ka⸣di ⸢tau] 連 高い所と低い所。 ⸣ミチェー タ⸢カ⸣ディ ⸢タウ⸣ ナリ シ⸢ジキティ サッ⸣コー ア⸢ラキグリ⸣サン [⸣miʧeː tḁ⸢ka⸣di ⸢tau⸣ nari ʃi⸢ʤikiti sak⸣koː ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] (道は高い所低い所と続いて歩きづらい) 9709 0 0 9179 htmvoc_9709.wav タカディマ タ⸢カ⸣ディマ [tḁ⸢ka⸣dima] 名 高い賃金。高給。⸢高い手間賃」の義。 ウ⸢レー⸣ タ⸢カ⸣ディマ パ⸢ライ⸣ル タ⸢ナ⸣ミケーンダ ア⸢サバスナ [ʔu⸢reː⸣ tḁ⸢ka⸣dima pa⸢rai⸣ru ta⸢na⸣mikeːnda ʔa⸢sabasuna] (彼は高い手間賃を払って頼んできたのだから、遊ばすな) 9710 0 0 9180 htmvoc_9710.wav タカディマトゥリプス タ⸢カ⸣ディマ トゥ⸢リ⸣プス [tḁ⸢ka⸣dima tu⸢ri⸣pu̥su] 連 高給を取る人。「高手間取る人」の義。 ウ⸢レー デージ⸣ナ タ⸢カ⸣ディマ トゥ⸢リ⸣プスティ⸢ダー [ʔu⸢reː deːʤi⸣na tḁ⸢ka⸣dima tu⸢ri⸣pu̥suti⸢daː] (彼は大変な高給を取る人だそうだよ) 9711 0 0 9181 htmvoc_9711.wav タカトー タ⸢カ⸣トー [tḁ⸢ka⸣toː] 名 でこぼこ(凸凹)。起伏があって平らかでないさま。高低があり、不揃いであるさま。 タ⸢カ⸣トー ⸣ナリ ⸢ブン⸣トンマー ア⸢ラキングリ⸣サン [tḁ⸢ka⸣toː ⸣nari ⸢bun⸣tommaː ʔa⸢rakiŋguri⸣saŋ] (でこぼこになっている所は歩きずらい) 9712 0 0 9182 htmvoc_9712.wav タカドーリ タ⸢カドーリ [tḁ⸢kadoːri] 名 倒れた樹木が他の樹木にもたれかかっていること。 ⸢タイ⸣フーナ タ⸢カドーリ シーベー⸣ グジキーヤ ユ⸢ダ⸣ キシティ ウ⸢タ⸣シバ [⸢tai⸣ɸuːna tḁ⸢kadoːri ʃiːbeː⸣ guʤikiːja ju⸢daː⸣ ki̥ʃiti ʔu⸢ta⸣ʃiba] (台風で折れて他の樹木にもたれかかっているデイゴの木は、枝は切って落としなさいよ) 9713 0 0 9183 htmvoc_9713.wav タカナ タ⸢カ⸣ナ [tḁ⸢ka⸣na] 名 (地)高那。西表島東北岸に位置する。サ⸢キンダ[sḁ⸢kinda](崎田)の崎を東に回ったところある。琉球王国時代から現代に至る地名。高那村は、1732年に立村、明治42年3戸6人が小浜島へ移転し、廃村となった。昭和2年銅山36万坪が、同45年には温泉、ヒスイが発見された。世帯・人口は昭和52年3月3日。『角川日本地名大辞典』。タ⸢カ⸣ナには⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)の田圃があったが太平洋戦争後、耕作しなくなったという。舞踊のタ⸢カ⸣ナブシ[tḁ⸢ka⸣nabuʃi](高那節<ザンザブロウ節>)は、その歌詞と曲の特異さでも有名である 9714 0 0 9184 htmvoc_9714.wav タカナキ タ⸢カナキ [tḁ⸢kanaki] 名 ⸢高泣き」の義。声高に泣くこと。大声で泣く。 ウ⸢グビ⸣ヌ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣アイティ バ⸢カヤーナー⸣ナ タ⸢カナキ シーベー⸠ツォー [ʔu⸢gubi⸣nu ja⸢rabi⸣nu ⸣ʔaiti ba⸢kajaːnaː⸣na tḁ⸢kanaki ʃiːbeː⸠ʦoː] (あんな大きな子供が喧嘩して、恥ずかしげもなく、大声を出して泣いているよ) 9716 0 0 9185 htmvoc_9716.wav タカナブシ タ⸢カ⸣ナブシ [tḁ⸢ka⸣nabuʃi] 名 高那節。ザンザブロー節ともいう。躍動感に溢れた曲調で魅力的な古典民謡であるが、意味不明な歌詞でも有名である。 タ⸢カ⸣ナブシェー ウ⸢ムッ⸣サンドゥ ウ⸢タ⸣ヌ イ⸢メー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ サ⸢バカラ⸣ヌ [tḁ⸢ka⸣nabuʃeː ʔu⸢mus⸣sandu ʔi⸢meː⸣ mut⸢tu⸣ sa⸢bakara⸣nu] (高那節は面白いが、意味はちっとも理解できない) 9715 0 0 9186 htmvoc_9715.wav タガニ タ⸢ガ⸣ニ [ta⸢ga⸣ni] 名 たがね(鏨)。「鏨、金工・石工用の鑿」『和名抄』。「Tagane、タガネ(鏨・鑽) 銀を切るのに使う鑿」『邦訳日葡辞書』の転訛。 タ⸢ガ⸣ニシル カ⸢ニン⸣ イ⸢シン⸣ キシン ⸢シー⸣ キ⸢ジン ソーッ⸣タ [ta⸢ga⸣niʃiru ka⸢niŋ⸣ ʔi⸢ʃiŋ⸣ ki̥ʃiŋ ⸢ʃiː⸣ ki⸢ʤin soːt⸣ta] (鏨で<ぞ>鉄も石も切りもし、削りもされた) 9717 0 0 9187 htmvoc_9717.wav タカニチ タ⸢カ⸣ニチ [tḁ⸢ka⸣niʧi] 名 高熱。 ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣リティ タ⸢カニチ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣バサマッふァ シ⸢ミティ⸣ ス⸢ブ⸣ロー ヒ⸢ヤ⸣シティ ⸣ウズ カ⸢バ⸣シ ⸢ウシキソーッ⸣タ⸢ダー [⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣riti tḁ⸢kaniʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣basamaffa ʃi⸢miti⸣ su⸢bu⸣roː çi⸢ja⸣ʃi̥ti ⸣ʔuʣu ka⸢ba⸣ʃi ⸢ʔuʃi̥kisoːt⸣ta⸢daː] (マラリア<風気>に罹って高熱が出ると芭蕉枕をさせて頭は冷やして布団を被せて押し付けられたものだよ) 9718 0 0 9188 htmvoc_9718.wav タカヌズミ タ⸢カヌズミ [tḁ⸢kanuʣumi] 名 高望み。自分の能力や身分を越えたことを望むこと。 タ⸢カヌズミ サンドー⸣シ ⸣ドゥーソーンヌ プ⸢スバ⸣ イ⸢ラ⸣ビバ [tḁ⸢kanuʣumi sandoː⸣ʃi ⸣duːsoːnnu pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ra⸣bi] (高望みをしないで、自分にふさわしい<自分並みの>人を選びなさい) 9719 0 0 9189 htmvoc_9719.wav タカバーニーバル タ⸢カバー⸣ニーバル [tḁ⸢kabaː⸣niːbaru] 名 (動)魚の名。和名、ツチホゼリ(体長約90センチ)。鳩間島では、あまり漁獲されなかった。 タ⸢カバー⸣ニーバロー パ⸢トゥ⸣マナーテー ⸢ナン⸣ゾー ⸢ホーサラン⸣シェン [tḁ⸢kabaː⸣niːbaroː pḁ⸢tu⸣manaːteː ⸢nan⸣ʣoː ⸢hoːsaraŋ⸣ʃeŋ] (ツチホゼリは、鳩間島ではあまり釣れなかった) 9720 0 0 9190 htmvoc_9720.wav タカパイ タ⸢カ⸣パイ [tḁ⸢ka⸣pai] 名 ⸢高這い」の義。乳幼児が尻を高くして這うこと。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ タ⸢カ⸣パイ ⸢スー⸣カー マナ⸢マンチン⸣ タ⸢ティ⸣ス [ja⸢rabi⸣nu tḁ⸢ka⸣pai ⸢suː⸣kaː ⸣mana⸢manʧin⸣ tḁ⸢ti⸣su] (乳幼児<童>が高這いすると、間もなく立つよ)。シ⸢ビンダティパイ[ʃi⸢bindatipai](尻立て這い{EOS}尻を高くして這うこと)ともいう 9721 0 0 9191 htmvoc_9721.wav タカバサ タ⸢カ⸣バサ [tḁ⸢ka⸣basa] 名 (植)高芭蕉。⸢アウバサ[⸢ʔaubasa](台湾芭蕉で幹の背丈の高いもの)ともいう。 タ⸢カ⸣バサー ⸢タイワンバサ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ サニティ⸢ダー [tḁ⸢ka⸣basaː ⸢taiwambasa⸣tu ju⸢nu⸣saniti⸢daː] (高芭蕉は台湾芭蕉と同種だそうだよ) 9722 0 0 9192 htmvoc_9722.wav タカパシル タ⸢カパシ⸣ル [tḁ⸢kapaʃi⸣ru] 名 高窓。壁の上半分を窓にし、下半分を壁にしたもの。棒で戸を押し上げて開ける方式の窓、繰り戸方式の窓などがあった。タ⸢カ⸣マドゥ[tḁ⸢ka⸣madu](高窓)ともいう。鰹節製造工場が建てられるようになって導入された建築様式。 タ⸢カパシ⸣ル ス⸢ク⸣リ ⸣シケーンドゥ カ⸢ジヌ ペーラン⸣ユンダ キ⸢クッツァ⸣ヌ ニ⸢バラヌ [tḁ⸢kapaʃi⸣ru su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keːndu ka⸢ʤinu peːran⸣junda ki̥⸢kutʦa⸣nu ni⸢baranu] (高窓を作ってあるが、風がはいらないので、暑苦しくて眠れない) 9733 0 0 9193 htmvoc_9733.wav タカバタ タ⸢カ⸣バタ [tḁ⸢ka⸣bata] 名 たかはた(高機)。⸢ジーバ⸣タ[⸢ʤiːba⸣ta](地機)の対義語。織機の一つ。改良型の織機で、脚の高い織機。じばた(地機)よりも高く、踏み木を踏んでそうこう(綜糸光)を上下させて織る織機。「大和長機を改造して短く高く作った便利な新しい機で、八重山では明治二十一年、大浜当善が使用しはじめた」『石垣方言辞典』。 パ⸢トゥ⸣マナテー ⸢ウイ⸣プソー ⸢ジーバ⸣タナー バ⸢カー⸣ムノー タ⸢カバ⸣タナール ⸢ヌーノー⸣ ウ⸢ローッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manateː ⸢ʔui⸣pu̥soː ⸢ʤiːba⸣tanaː ba⸢kaː⸣munoː tḁ⸢kaba⸣tanaːru ⸢nuːnoː⸣ ʔu⸢roːt⸣ta] (鳩間島では年寄り<老い人>は地機で、若者は高機で布は織られた) 9959 0 0 9194 htmvoc_9959.wav タカバタ タ⸢カバ⸣タ [tḁ⸢kaba⸣ta] 名 織機(高機)。ジ⸢バ⸣タ[ʤi⸢ba⸣ta](地機)の対義語。 ⸢バー⸣ル ⸣マンタヌ ⸣インナー タ⸢カバ⸣タ ⸣タティ ⸣シケー [⸢baː⸣ru ⸣mantanu ⸣ʔinnaː tḁ⸢kaba⸣ta ⸣tḁti ⸣ʃi̥keː] (私が前の縁側に高機の機織りをたてて<設置して>ある)。パ⸢トゥ⸣ムヌ タ⸢ティ⸣ルン[pḁ⸢tu⸣munu tḁ⸢ti⸣ruŋ](織機を立てる<機織を始める>)ともいう 9723 0 0 9195 htmvoc_9723.wav タカパナ タ⸢カ⸣パナ [tḁ⸢ka⸣pana] 名 高い鼻。「高鼻」の義。ピ⸢タパナ[pi̥⸢tapana](平べったい鼻{EOS}平鼻)の対義語。 ア⸢メリカジン⸣マー ムー⸢ル⸣ タ⸢カパナ⸣ ヤ⸢ルンダ カイ⸣ヤン [ʔa⸢merikaʤim⸣maː muː⸢ru⸣ tḁ⸢kapana⸣ ja⸢runda kai⸣jaŋ] (アメリカ人は皆高鼻だから、美しい) 9724 0 0 9196 htmvoc_9724.wav タカバライ タ⸢カ⸣バライ [tḁ⸢ka⸣barai] 名 高笑い。大声で笑うこと。哄笑。 ミ⸢ドゥ⸣モー タ⸢カ⸣バライ ス⸢ナ⸣ティル ナ⸢ラー⸣ソーッタ [mi⸢du⸣moː tḁ⸢ka⸣barai su⸢na⸣tiru na⸢raː⸣soːtta] (女は高笑いするなと<ぞ>教えられた)。 ⸢ヌー⸣ヌ ウ⸢ムッ⸣サ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ロー⸣ルユー プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ タ⸢カ⸣バライ ⸢シーオー⸣ル [⸢nuː⸣nu ʔu⸢mus⸣sa ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢roː⸣rujuː pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti tḁ⸢ka⸣barai ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (どんな面白いことがありなさるのか、人が集まって高笑いしておられる)。 ミ⸢ドゥ⸣モー プ⸢スヌ⸣ マイナー タ⸢カ⸣バライ ⸢サン⸠ダー [mi⸢du⸣moː pu̥⸢sunu⸣ mainaː tḁ⸢ka⸣barai ⸢san⸠daː] (女は人前では高笑いしないものだよ) 9734 0 0 9197 htmvoc_9734.wav タカバラビ タ⸢カバラ⸣ビ [tḁ⸢kabara⸣bi] 名 (植)ヘゴ。茎は太く直立して4~5メートルに成長する大型のシダ植物。葉は笠状に幹の先端に付く。西表島の湿地帯に多く自生している。 タ⸢カバラ⸣ベー パ⸢トゥ⸣マナー ミ⸢ララン⸣シェン [tḁ⸢kabara⸣beː pḁ⸢tu⸣manaː mi⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (へごは鳩間島には見られなかった) 9736 0 0 9198 htmvoc_9736.wav タカビ タ⸢カ⸣ビ [tḁ⸢ka⸣bi] 名 たかべ(崇べ)。のりと(祝詞)。「たかべごと(崇べ言)、神を崇めたてまつり、願意を申し上げる言葉。ノダテゴトともいう。たたえる神の名、祈願をしている神女自身の名を唱え、それから願意をこめた言葉をとなえる」『沖縄古語大辞典』。ヤ⸢マタカビ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[ja⸢matakabi⸣nu ⸢niŋ⸣gai]<山崇べの祈願>の義。⸢ニンガチニン⸣ガイ[⸢niŋgaʧiniŋ⸣gai]<二月願い。二月祈願>で、⸣アカカラジヌ ⸣ニガイ[⸣ʔakakaraʤinu ⸣nigai]<一般百姓の健康祈願>が執り行われる際の祝詞。雨願い、害虫祓えの祈願のほかに山に出入りする際に毒蛇による危害が人畜に及ばぬよう祈願する祝詞などがある 9725 0 0 9199 htmvoc_9725.wav タカビー タ⸢カ⸣ビー [tḁ⸢ka⸣biː] 固 「高干瀬」の義。鳩間島を取り巻くリーフ(Coral reef)が⸢ナーバレー[⸢naːbareː]から南に延びて発達した干瀬。そこには⸢シンイシ[⸢ʃiŋʔiʃi](積み石)があって、他の干瀬よりも高くなっている。普通の珊瑚礁石とは異なり、海底火山が噴火したときに噴出した石だという。鳩間島の屋敷の石垣は、そこから石を運んで積み上げたものという(加治工伊佐氏談)。⸢アールマイズニ[⸢ʔaːrumaiʣuni](東前曽根)との間に約50メートルの天然の津口が形成されている。そこを、タ⸢カビ⸣ヌ フ⸢チ[tḁ⸢kabi⸣nu ɸu̥⸢ʧi](高干瀬の津口)という。 ⸢ウンパンシン⸣マー タ⸢カビー⸣ヌ フ⸢チ マーリティル⸣ イ⸢サナケー パッ⸣タ [⸢ʔumpaŋʃim⸣maː tḁ⸢kabiː⸣nu ɸu̥⸢ʧi maːritiru⸣ ʔi⸢sanakeː pat⸣ta] (運搬船はタカビの干瀬を回って石垣へ行った)。鳩間島への運搬船は其処を通って入港した 9726 0 0 9200 htmvoc_9726.wav タカビーヌインタヌスニ タ⸢カビー⸣ヌ イ⸢ンタヌ⸣ スニ [tḁ⸢kabiː⸣nu ⸢ʔintanu⸣ suni] 連 高干瀬の西側の曽根。高干瀬との間に約50メートルの津口が形成されている。海路標識が立てられており、石垣島から鳩間島に入港する定期航海船や船浦、久浦、泊田、慶田、ヨシキラ、崎田あたりの田地耕作のために往来するイダフニ(サバニ)もこの津口から出入りする 9738 0 0 9201 htmvoc_9738.wav タカビーヌインタヌスニ タ⸢カビー⸣ヌ ⸢インタヌ⸣ スニ [tḁ⸢kabiː⸣nu ⸢ʔintanu⸣ suni] 連 タ⸢カ⸣ビー[ta⸢ka⸣biː](高干瀬)の西側の曽根の義。終戦後までは松の木の海路標識が立っていた。篤志家の寄合三戸氏が建てたものという(加治工伊佐直話)。石垣島から鳩間島へ出入港する船はこの標識を目印にして操船した。 タ⸢カビー⸣ヌ ⸢インタヌ⸣ スニナーティン カ⸢ツシンマー⸣ ザコー ⸢トゥッ⸣タン [tḁ⸢kabiː⸣nu ⸢ʔintanu⸣ suninaːtiŋ kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʣakoː ⸢tut⸣taŋ] (高干瀬の西側の曽根でもカツオ漁船は餌<雑魚>を捕った) 9739 0 0 9202 htmvoc_9739.wav タカビーヌウブイシ タ⸢カビー⸣ヌ ウ⸢ブ⸣イシ [tḁ⸢kabiː⸣nu ʔu⸢bu⸣ʔiʃi] 連 ⸢高干瀬の大石」の義。高干瀬にある大きな石。 タ⸢カ⸣ビーナ ウ⸢ブイシ⸣ヌ ⸣アン [tḁ⸢ka⸣biːna ʔu⸢buʔiʃi⸣nu ʔaŋ] (高干瀬に大きな岩がある) 9727 0 0 9203 htmvoc_9727.wav タカビヌウブイシ タ⸢カビ⸣ヌ ウ⸢ブ⸣イシ [tḁ⸢kabi⸣nu ʔu⸢bu⸣ʔiʃi] 連 高干瀬にある大石。大石のある所 9728 0 0 9204 htmvoc_9728.wav タカビヌフチ タ⸢カビ⸣ヌ フ⸢チ [tḁ⸢kabi⸣nu ɸu̥ʧi] 連 高干瀬の津口。タ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)の西側、⸢アーラマイズニ[⸢ʔːramaiʣuni](東前曽根)との間にある約50メートルの津口。島の代表的な津口。石垣・鳩間・西表祖納・白浜の定期航海船が出入りするである。「冨川親方八重山島諸村公事帳」(同治14)によると「鳩間津口に諸船が潮懸の時、役人か筆者は早速小舟を出して用を足す。とりわけ天候が悪い時は助船の活動が重要である」『石垣市史叢書3』とあるから、現在の鳩間港には八反帆、六反帆の地船(公用船)は接岸出来なかったことになる。島から刳り舟や剥ぎ舟の小舟で高干瀬の津口まで漕ぎ出して用を足した 9740 0 0 9205 htmvoc_9740.wav タカビンフチ タ⸢カビン⸣フチ [tḁ⸢kabiŋ⸣ɸu̥ʧi] 名 高干瀬の津口。タ⸢カビ⸣ヌ フ⸢チ[tḁ⸢kabi⸣nu ɸu̥⸢ʧi](高干瀬の津口)ともいう。タ⸢カ⸣ビ[tḁ⸢ka⸣bi](高干瀬)と⸢アーラマイズニ[⸢ʔaːramaiʣuni](東前曽根)との間にある津口。鳩間島の桟橋から南南東約2キロの海にある津口で島の二大津口の一つ。石垣、鳩間、西表租納、白浜の定期航海船の出入りした津口である。西表島北岸の、⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)、トゥ⸢マダー[tu⸢madaː](トゥマダ{EOS}苫田)、⸢ケー⸣ダ[⸢keː⸣da](慶田)、⸢ユシ⸣キダー[⸢juʃi̥⸣kidaː](ヨシキ田)、サ⸢キンダー[sa⸢kindaː](崎田)あたりへ水田耕作のために漕ぎ出す⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船{EOS}サバニ)もこの津口から出入りした。 ⸢ウンパンシン⸣マー タ⸢カビン⸣フチトゥ ⸢インタヌ ウーグ⸣チラル ⸣ンジペーレー シ⸢タル [⸢ʔumpaŋʃim⸣maː tḁ⸢kabiŋ⸣ɸu̥ʧitu ⸢ʔintanu ʔuːgu⸣ʧiraru ⸣ʔnʤipeːreː ʃi̥⸢taru] (運搬船は、高干瀬の津口と西の大津口がら出入港<出入り>はしたものだ) 9729 0 1 9206 htmvoc_9729.wav タカプス タ⸢カ⸣プス [tḁ⸢ka⸣pu̥su] 名 {Mn_1}背の高い人。のっぽ。 カ⸢ヌ⸣ タ⸢カ⸣プソー ⸢ター⸣ヤ [ka⸢nu⸣ tḁ⸢ka⸣pu̥soː ⸢taː⸣ja] (あの背の高い人は誰か)。 9729 0 2 9207 htmvoc_9729.wav タカプス タ⸢カ⸣プス [tḁ⸢ka⸣pu̥su] 名 {Mn_2}大人。成人。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ブ⸣プス ⸣タカプス ナリ⸢ヨー [⸢paː⸣ku ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣tḁkapu̥su nari⸢joː] (早く大人になりなさいよ) 9741 0 0 9208 htmvoc_9741.wav タカフダ タ⸢カ⸣フダ [ta⸢ka⸣ɸuda] 名 こうさつ(高札)。役場からの通知や住民に広く知らせるべき衛生上の厳守事項などを小型の掲示板に貼って約1,5メートルの杭に打ちつけて路傍に立てたもの。 ⸣マンタヌ ⸣ミチナー タ⸢カフダ⸣ヌ タ⸢ティラ⸣リ ⸢ベー⸣ヌ ⸣ヌーティル ア⸢ル⸣ワ [⸣mantanu ⸣miʧinaː tḁ⸢kaɸuda⸣nu tḁ⸢tira⸣ri ⸢beː⸣nu ⸣nuːtiru ʔa⸢ru⸣wa] (前の道に高札が立てられているが、何と<書かれて>あるか) 9730 0 0 9209 htmvoc_9730.wav タカフタイ タ⸢カ⸣フタイ [tḁ⸢ka⸣ɸu̥tai] 名 おでこ。額が高く突き出た人。⸢ガッ⸣パイ[⸢gap⸣pai](額が高く突き出た人)ともいう。 タ⸢カフタイ⸣ヤ ⸢タッ⸣テヌ マ⸢リ⸣ティ サ⸢バキヤッ⸣サン [tḁ⸢kaɸu̥tai⸣jaː ⸢tat⸣tenu ma⸢ri⸣ti sa⸢bakijas⸣saŋ] (おでこは何処の家の血統かをたどりやすい)。 ⸢ガッ⸣パイ [⸢gap⸣pai] (おでこ{EOS}おでこの大きい人)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンラ タ⸢カ⸣フタイ ⸢ヤッタヌ⸣ アイ ⸢ヤーティ⸣ル ス⸢ブ⸣ロー ⸣カチ ⸢ブーバン⸠ナー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenra ta⸢ka⸣ɸu̥tai ⸢jattanu⸣ ʔai ⸢jaːti⸣ru su⸢bu⸣roː ⸣kaʧi ⸢buːban⸠naː] (子供の頃からおでこだったが、それで<そうだったので>頭は優れて<勝って>いるのだなあ) 9731 0 0 9210 htmvoc_9731.wav タカブルン タ⸢カ⸣ブルン [t⸢kḁ⸣buruŋ] 自動 威張る。自慢する。奢り高ぶる。高慢な態度をとる。⸢高ぶる」の義。標準語からの借用語。 ウ⸢ヤ⸣キ シ⸢ター⸣ タ⸢カ⸣ブリティ ⸢バンター⸣トー パ⸢ナ⸣シン サ⸢ヌ [ʔu⸢ja⸣ki ʃi̥⸢taː⸣ tḁ⸢ka⸣buriti ⸢bantaː⸣toː pa⸢na⸣ʃin sa⸢nu] (金持ちになったので威張って私らとは話もしない)。 タ⸢カブラン⸣ドーシ ドゥ⸢シトゥン⸣ ピライバ [tḁ⸢kaburan⸣doːʃi du⸢ʃitum⸣ piraiba] (威張らないで友人とも付き合いなさい)。 イッ⸢ケナ⸣ タ⸢カ⸣ブルンティ ス⸢クタンドゥ⸣ タ⸢カ⸣ブル ⸢ヨー⸣シェー ノー⸢ン⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔik⸢kena⸣ tḁ⸢ka⸣burunti su̥⸢kutandu⸣ tḁ⸢ka⸣buru ⸢joː⸣ʃeː noː⸢m⸣ mi⸢rara⸣nu] (非常に威張ると聞いたが、威張る様子はなにも見られない)。 ン⸢メーマー⸣ タ⸢カ⸣ブレー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ tḁ⸢ka⸣bureː ⸣misamunu] (少しは威張っても良いのに)。 ⸣ワンザーヤ タ⸢カ⸣ブリバ [⸣wanʣaːja tḁ⸢ka⸣buriba] (お前は威張りやがれ) 9743 0 0 9211 htmvoc_9743.wav タカマッふァ タ⸢カマッ⸣ふァ [tḁ⸢kamaf⸣fa] 名 高枕。高く作った木製の枕。 タ⸢カマッ⸣ふァ ⸢サン⸣カー ヌ⸢ブシティ⸣ ニ⸢バラヌ [tḁ⸢kamaf⸣fa ⸢saŋ⸣kaː nu⸢buʃi̥ti⸣ ni⸢baranu] (高枕をしないと頭がのぼせ<逆上せ>て眠られない) 9732 0 0 9212 htmvoc_9732.wav タカマドゥ タ⸢カ⸣マドゥ [tḁ⸢ka⸣madu] 名 高窓。壁の半分を繰り戸の窓にしたもの。⸢ハン⸣マドゥ[⸢ham⸣madu](半窓)、タ⸢カパシ⸣ル[tḁ⸢kapaʃi⸣ru](高窓)ともいう。 タ⸢カ⸣マドゥ ア⸢キティ⸣ カ⸢ジ⸣ イ⸢リリ [tḁ⸢ka⸣madu ʔa⸢kiti⸣ ka⸢ʤi⸣ ʔi⸢riri] (高窓を開けて風を入れなさい)。 タ⸢カパシ⸣ロー ⸢タイフー⸣ヌ ⸢クー⸣バン ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [tḁ⸢kapaʃi⸣roː ⸢taiɸuː⸣nu ⸢kuː⸣ban ⸢soːja naː⸣nu] (高窓<半窓>は台風が来ても心配はない) 9744 0 0 9213 htmvoc_9744.wav タカマルン タ⸢カ⸣マルン [tḁ⸢ka⸣maruŋ] 自動 高まる。物事の程度や度合いが高くなる。 ⸢ビンキョー スンティ スー⸣ キ⸢ムチヌ⸣ タ⸢カ⸣マルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン タ⸢カマラン⸣バン [⸢biŋkjoː sunti suː⸣ ki⸢muʧinu⸣ tḁ⸢ka⸣marunti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢pit⸣ʧin tḁ⸢kamaram⸣baŋ] (勉強しようという<する>気持ちが高まると思ったが、ちっとも高まらないよ)。 タ⸢カ⸣マリ ⸣ケーン [tḁ⸢ka⸣mari ⸣keːŋ] (高まってきた)。 タ⸢カ⸣マル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [tḁ⸢ka⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (高まることはない)。 タ⸢カ⸣マレー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢ka⸣mareː ⸣misamunu] (高まれば良いのに) 9745 0 0 9214 htmvoc_9745.wav タカミルン タ⸢カミ⸣ルン [tḁ⸢kami⸣ruŋ] 他動 高める。高くする。 カ⸢ツブシヌ ダイヤー⸣ ン⸢ベーマ⸣ タ⸢カミ⸣ルンティ シ⸢タンドゥ⸣ タ⸢カミラン⸣バン [kḁ⸢ʦubuʃinu daijaː⸣ ʔm⸢beːma⸣ tḁ⸢kami⸣runti ʃi̥⸢tandu⸣ tḁ⸢kamiram⸣baŋ] (鰹節の値段は少し高めると言ったが高めないわい)。 タ⸢カミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [tḁ⸢kami⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (高めることは出来ないそうだ)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢カミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin tḁ⸢kami⸣reː ⸣misamunu] (もっと高めればいいのに)。 タ⸢カミ⸣ プサカー タ⸢カミ⸣リバ [tḁ⸢kami⸣ pu̥sakaː tḁ⸢kami⸣riba] (高めたければ高めろよ) 9746 0 0 9215 htmvoc_9746.wav タカムヌ タ⸢カ⸣ムヌ [tḁ⸢ka⸣munu] 名 高い物。高価な品。値段の高い物。 ⸢ジン⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー タ⸢カ⸣ムノー ⸢カウナ [⸢ʤin⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː tḁ⸢ka⸣munoː ⸢kauna] (お金が無ければ高価な物<値段の高い物>は買うな) 9747 0 0 9216 htmvoc_9747.wav タカムン タ⸢カ⸣ムン [tḁ⸢ka⸣muŋ] 他動 高める。 ⸢マー⸣ビン ⸣クイ タ⸢カ⸣ムン [⸢maː⸣biŋ ⸣kui tḁ⸢ka⸣muŋ] (もっと声を高める)。 ⸢クイ⸣ヤ タ⸢カマン⸣ドーシ ⸣ウタ イ⸢ジ⸣バ [⸢kui⸣ja tḁ⸢kaman⸣doːʃi ⸣ʔuta ʔi⸢ʤi⸣ba] (声を高めないで歌を歌いなさいよ) 9748 0 0 9217 htmvoc_9748.wav タカヤー タ⸢カ⸣ヤー [tḁ⸢ka⸣jaː] 名 二階建ての家。「高屋」の義。老年層のことば。若年層は、⸣ニカイヤー[⸣nikaijaː](二階家)という。 ム⸢カ⸣シェー タ⸢カ⸣ヤーティ ⸢スー⸣ ム⸢ノー⸣ ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː tḁ⸢ka⸣jaːti ⸢suː⸣ mu⸢noː⸣ miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (昔は二階建ての家というものは見たことがなかった) 9749 0 0 9218 htmvoc_9749.wav タカヤマ タ⸢カ⸣ヤマ [tḁ⸢ka⸣jama] 名 沖縄相撲の技の一手。自分の腰に相手の体を乗せ、高く持ち上げて投げ飛ばす技。 ⸣ヤマ [⸣jama] (罠{EOS}仕掛け{EOS}装置{EOS}からくり)。 タ⸢カ⸣ヤマ カ⸢キラ⸣リ ⸢ナンギラ⸣リティ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [tḁ⸢ka⸣jama kḁ⸢kira⸣ri ⸢naŋgira⸣riti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (腰で高く持ち上げられ<タカヤマを掛けられ>投げ飛ばされて体を痛めてある) 9750 0 0 9219 htmvoc_9750.wav タカラ タ⸢カ⸣ラ [tḁ⸢ka⸣ra] 名 宝。宝物。 ⸢ノーン⸣ラン ヌ⸢チ⸣ル タ⸢カ⸣ラ [⸢noːn⸣ran nu⸢ʧi⸣ru tḁ⸢ka⸣ra] (何よりも命が宝<大切>だ)。 ッ⸢ふァタカラティル⸣ アル⸢ダー⸣ カ⸢ナ⸣サ ⸢シー⸣ ス⸢ダティ⸣リ⸢ヨー [f⸢fatakaratiru⸣ ʔaru⸢daː⸣ ka⸢na⸣sa ⸢ʃiː⸣ su⸢dati⸣ri⸢joː] (子宝といわれているんだよ{EOS}可愛がって慈しんで育てなさいよ)。 ⸢ウイ⸣プソー タ⸢カ⸣ラ⸢ダー⸣ ッ⸢ソーンツァー シェー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [⸢ʔui⸣pu̥soː tḁ⸢ka⸣ra⸢daː⸣ s⸢soːnʦaː ʃeː⸣ na⸢ran⸣daː] (老人は宝だよ{EOS}粗略に扱ってはならないよ) 9751 0 0 9220 htmvoc_9751.wav タカラムヌ タ⸢カラ⸣ムヌ [tḁ⸢kara⸣munu] 名 宝物。 ニ⸢シ⸣ドーウガンナー タ⸢カラムヌ⸣ヌ ア⸢ローッ⸣タンティ パ⸢ナ⸣シ ス⸢クタン [ni⸢ʃi⸣doːʔugannaː tḁ⸢karamunu⸣nu ʔa⸢roːt⸣tanti pa⸢na⸣ʃi su̥⸢kutaŋ] (西堂御嶽には宝物があった<有られた>という話を聞いたことがある) 9752 0 1 9221 htmvoc_9752.wav タキ ⸣タキ [⸣tḁki] 名 {Mn_1}丈。身長。 タ⸢キ⸣ヌ タ⸢カー⸣ン [tḁ⸢ki⸣nu tḁ⸢kaː⸣ŋ] (身長が高い)。 9752 0 2 9222 htmvoc_9752.wav タキ ⸣タキ [⸣tḁki] 名 {Mn_2}程度。身の程。地位。能力。身分。 ユ⸢ヌタキ⸣ル ⸣アルンダル ⸣アウ [ju⸢nutaki⸣ru ⸣ʔarundaru ⸣ʔau] (同じ程度しかないので<同じレベルだから>喧嘩をするのだ)。 ⸣タケー ⸢ナー⸣ムティ ウ⸢ブ⸣ムニ カー⸢ニ⸣ イ⸢ズ [⸣tḁkeː ⸢naː⸣muti ʔu⸢bu⸣muni kaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʣu] (能力はないのに大言壮語<大きな言葉>だけいう) 9754 0 0 9223 htmvoc_9754.wav タキ タ⸢キ [tḁ⸢ki] 名 竹。「~吾が苑の多氣乃<タケノ>林に~。万、824」の転訛したもの。鳩間島には竹はほとんど植栽されていないが西表島の水田の周辺や山野から伐ってきて利用した。 ン⸢ガ⸣ダキ [ʔŋ⸢ga⸣daki] (和名ホウライチク{EOS}篭や竹細工用に利用) ⸢マータク [⸢maːtaku] (和名ダイサンチク、泰山竹{EOS}竿、天秤棒、竹細工に利用) シ⸢ブクダキ [ʃi⸢bukudaki] (和名ホテイチク、布袋竹{EOS}釣竿、杖、垣根に利用{EOS}⸣クサンダキ{SqBr}⸣ku̥sandaki{/SqBr}<鼓山竹>ともいい、⸢ポー⸣キダキ{SqBr}⸢poː⸣kidaki{/SqBr}<箒竹{EOS}竹箒に利用>ともいう) ⸢ダイ⸣マー [⸢dai⸣maː] (和名カンザンチク))。ク⸢モーマダキ[ku⸢moːmadaki]<小浜竹>ともいう。笛材。竹床材、屋根葺きのユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり<桟>材に利用)『図鑑琉球列島有用樹木誌』などがあった 9753 0 0 9224 htmvoc_9753.wav ダキ ⸣ダキ [⸣daki] 接尾 高山。山岳。⸣タキ[⸣taki](嶽{EOS}岳)が前接語と複合語を形成する際に連濁を起こしたもの。独立しては用いられず、特定の地名の下に付いて用いられる。 ⸣クンダキ [⸣kundaki] (古見岳)。 ウ⸢ム⸣トゥダキ [ʔu⸢mu⸣tudaki] (於茂登岳) 9755 0 0 9225 htmvoc_9755.wav ダキ ⸣ダキ [⸣daki] 副助 ~だけ。~のみ。限定、限度、限界、を表す。 9755 0 0 9226 htmvoc_9755.wav ダキ ⸣ダキ [⸣daki] 副助 {Exp_1}係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](~は)が付く。(i) 限定。 ウ⸢リダケー⸣<ウ⸢リカーネー⸣> ヌ⸢カ⸣シティ ヌ⸢カ⸣ロー ムー⸢ル カーシ [ʔu⸢ridakeː⸣<ʔu⸢rikaːneː⸣> nu⸢ka⸣ʃi̥ti nu⸢ka⸣roː muː⸢ru kaːʃi] (それだけは残して残りは全部売りなさい)。(ii) 限界点。 ム⸢タ⸣リダケー ⸣ムタ [mu⸢ta⸣ridakeː ⸣muta] (持てるだけは持とうよ)。 9755 0 0 9227 htmvoc_9755.wav ダキ ⸣ダキ [⸣daki] 副助 {Exp_2}さらに格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](~で)が付く。 ⸣ウビダキシェー ゾー⸢イ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔubidakiʃeː ʣoː⸢i⸣ na⸢ra⸣nu] (それだけでは決して出来ない<限定>)。 9755 0 0 9228 htmvoc_9755.wav ダキ ⸣ダキ [⸣daki] 副助 {Exp_3}さらに係助詞⸣-ル[⸣-ru](~ぞ)がつく。 ム⸢タ⸣リダキル ⸣ムトゥ ⸢マービン⸣マー ム⸢タラ⸣ヌ [mu⸢ta⸣ridakiru ⸣mutu ⸢maːbim⸣maː mu⸢tara⸣nu] (持てるだけしか持たない<持てるだけぞ持つ>、それ以上は持たない<限界点>)。 9755 0 0 9229 htmvoc_9755.wav ダキ ⸣ダキ [⸣daki] 副助 {Exp_4}さらに係助詞⸣-ツァン[⸣-ʦaŋ](~すら{EOS}~さえ{EOS}だに)がついて最低限の限度を表す。 ム⸢タ⸣リダキンツァン ⸣ムティバ [mu⸢ta⸣ridakinʦam ⸣mutiba] (持てるだけでも持てよ<最低限の限度、限界点>)。 9755 0 0 9230 htmvoc_9755.wav ダキ ⸣ダキ [⸣daki] 副助 {Exp_5}さらに格助詞⸣-ヌ[⸣-nu](~の)が付く。 ム⸢タ⸣リダキヌ ⸢ニー⸣ヤ ⸣ムティ ⸣パリツォー [mu⸢ta⸣ridakinu ⸢niː⸣ja ⸣muti ⸣pariʦoː] (持てるだけ<限り>の荷は持って行けとのことだ<限界点>)。 9755 0 0 9231 htmvoc_9755.wav ダキ ⸣ダキ [⸣daki] 副助 {Exp_6}さらに格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](~で)が付く。 ム⸢タ⸣リダキシ ⸣ミサバ ヌ⸢カ⸣ロー シ⸢ティリ [mu⸢ta⸣ridakiʃi ⸣misaba nu⸢ka⸣roː ʃi̥⸢tiri] (持てるだけで良いから残りは捨てなさい) 9756 0 0 9232 htmvoc_9756.wav タキアイク タ⸢キアイク [tḁ⸢kiʔaiku] 名 竹製のおうこ(朸)。竹製の天秤棒。直径約5センチ、長さ約4メートルの古いカツオ釣竿を利用して作った。この竹竿は九州より輸入されていた。 タ⸢キアイコー⸣ カ⸢ロー⸣ン ⸣アリ ⸢スー⸣ワンダ シゥ⸢カイヤッ⸣サン [tḁ⸢kiʔaikoː⸣ ka⸢roː⸣ŋ ⸣ʔari ⸢suː⸣wanda si̥⸢kaijas⸣saŋ] (竹製のおうこ<朸>は軽くもあり、強いから使いやすい) 9757 0 0 9233 htmvoc_9757.wav ダキウコースン ダ⸢キウコー⸣スン [da⸢kiukoː⸣suŋ] 他動 抱き起こす。 ⸢ヤミ⸣プス ダ⸢キウコー⸣スンティ ⸢スンドゥ タン⸣ガシェー ダ⸢キウコーサラ⸣ヌ [ja⸢mi⸣pusu da⸢kiʔukoː⸣sunti ⸢sundu taŋga⸣ʃeː da⸢kiʔukoːsara⸣nu] (病人を抱き起こそうとするが、一人では抱き起こされない)。 ダ⸢キウコー⸣シ ⸣ミサカー ダ⸢キウコー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [da⸢kiukoː⸣ʃi ⸣misakaː da⸢kiukoː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (抱き起こして良ければ、抱き起こすことは出来る)。 ダ⸢キウコー⸣シェー ⸣ミサムヌ [da⸢kiukoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (抱き起こせば良いのに)。 ダ⸢キウコー⸣シ [da⸢kiukoː⸣ʃi] (抱き起こせ) 9758 0 0 9234 htmvoc_9758.wav タキウビ タ⸢キウビ [t⸢kiubi] 名 竹の輪。桶のたが(箍)。 ⸢ウーキ⸣ヌ タ⸢キウビ⸣ シ⸢ミ⸣リ [⸢ʔuːki⸣nu tḁ⸢kiubi⸣ ʃi⸢mi⸣ri] (桶のたが<箍>を締めろ) 9759 0 0 9235 htmvoc_9759.wav タキカウ タ⸢キカウ [tḁ⸢kikau] 名 「竹香」の義。竹ひごで作った線香。イ⸢ツァ⸣カウ[ʔi⸢ʦa⸣kau](板香)と共にウ⸢キナー⸣カウ[ʔu⸢kinaː⸣kau](沖縄線香)といわれている。このタ⸢キカウ[tḁ⸢kikau](竹香)は⸢コー⸣ロ[⸢koː⸣ro](香炉)に立てやすい特性はあるが、竹の芯が燃え残るので、法事が済むと燃え残りの部分を取り出さなければならず、不便である。現在はヤ⸢マトゥ⸣カウ[ja⸢matu⸣kau](大和線香)を利用することが多い。 タ⸢キカウワー⸣ ム⸢カ⸣シェーラヌ ウ⸢キナー⸣カウ [tḁ⸢kikauwaː⸣ mu⸢ka⸣ʃeːranu ʔu⸢kinaː⸣kau] (竹香は昔からの沖縄線香だ) 9760 0 0 9236 htmvoc_9760.wav ダキカカイルン ダ⸢キカカイルン [da⸢kikakairuŋ] 他動 抱きかかえる。 ッ⸢ふァバ⸣ ダ⸢キカカイルンティ スンドゥ グッふァ⸣ヌ ダ⸢キカカイララヌ [f⸢faba⸣ da⸢kikakairunti sundu guffa⸣nu da⸢kikakairaranu] (子供を抱きかかえようとするが、重くて抱きかかえられない)。 ダ⸢キカカイル⸣ クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ダ⸢キカカイティ⸣ パリパル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [da⸢kikakairu⸣ ku̥toː na⸢run⸣du da⸢kikakaiti⸣ pariparu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (抱きかかえることは出来るが、抱きかかえて走ることは出来ない)。 ダ⸢キカカイヤー⸣ ミサムヌ [da⸢kikakaijaː⸣ misamunu] (抱きかかえればよいのに)。 ッ⸢ふァ⸣ ダ⸢キカカイリ [f⸢fa⸣ da⸢kikakairi] (子供を抱きかかえなさい) 9761 0 0 9237 htmvoc_9761.wav ダキカカウン ダ⸢キカカウン [da⸢kikakauŋ] 他動 抱きかかえる。 ダ⸢キカカウンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢グッふァ⸣ヌ ダ⸢キカカーラヌ [da⸢kikakaunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢guffa⸣nu da⸢kikakaːranu] (抱きかかえようと思うが重くて抱きかかえられない)。 ダ⸢キカカイ⸣ ミサカー ⸢バン⸣ヌン ダ⸢キカカウ⸣ クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸣ドゥーシ ダ⸢キカカイヤー⸣ ミサムヌ [da⸢kikakai⸣ misakaː ⸢ban⸣nun da⸢kikakau⸣ ku̥toː na⸢run⸣du ⸣duːʃi da⸢kikakaijaː⸣ misamunu] (抱きかかえてよければ、私も抱きかかえることは出来るが、自分で抱きかかえればよいのに)。 ⸣ドゥーシ ダ⸢キカカイ⸣バ [⸣duːʃi da⸢kikakai⸣ba] (自分で抱きかかえなさいよ) 9762 0 0 9238 htmvoc_9762.wav タキグサン タ⸢キグサン [tḁ⸢kigusaŋ] 名 竹で作った杖。竹杖。「みごしやん」『混効験集(乾・器材)』。「ゴシャンは杖にする材料である『ほていちく<布袋竹>』の別名、『こさんちく<鼓山竹>』からきたものである」『図説琉球語辞典』。 ム⸢カ⸣シプソー ⸣クサンダキシル グ⸢サン⸣マー ス⸢ク⸣ローッタル [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸣ku̥sandakiʃiru gu⸢sam⸣maː su̥⸢ku⸣roːttaru] (昔の人はクサンダキ<鼓山竹・琉球竹>で<ぞ>杖は作られたものだ) 9763 0 0 9239 htmvoc_9763.wav タキグシ タ⸢キグシ [tḁ⸢kiguʃi] 名 竹串。 ヤ⸢ラ⸣ビン タ⸢キグシ⸣ ム⸢タス⸣ナ [ja⸢ra⸣bin tḁ⸢kiguʃi⸣ mu⸢tasu⸣na] (子供に竹串を持たせるな) 9764 0 0 9240 htmvoc_9764.wav タキクラビ タ⸢キクラ⸣ビ [tḁ⸢kikura⸣bi] 名 せいくらべ(背比べ)。せたけ(背丈)を比べること。 ⸢ワーットゥ バン⸣トゥ ⸢タール⸣ タ⸢カー⸣ユー タ⸢キクラ⸣ビ ⸢シー⸣ ミラ [⸢waːttu ban⸣tu ⸢taːru⸣ tḁ⸢kaː⸣juː tḁ⸢kikura⸣bi ⸢ʃiː⸣ mira] (君と私と誰が高いか、背比べをしてみよう) 9765 0 0 9241 htmvoc_9765.wav タキサウ タ⸢キサウ [tḁ⸢kisau] 名 竹竿。 ム⸢カ⸣シェー ⸢キン⸣マー タ⸢キサウ⸣ナ ヌ⸢キティル⸣ プ⸢ス⸣タ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kim⸣maː tḁ⸢kisau⸣na nu⸢kitiru⸣ pu̥⸢su⸣ta⸢daː] (昔は、着物は竹竿に抜き通して干したものだよ) 9766 0 0 9242 htmvoc_9766.wav タキシダル タ⸢キシダル [tḁ⸢kiʃidaru] 名 細い竹を藁縄で編みこんで作った簾。鳩間島ではイ⸢ガヤマ[ʔi⸢gajama](烏賊干し用の張り縄)で一日干した烏賊を庭先で、シ⸢ダ⸣ル[ʃi⸢da⸣ru](簾)に並べて片面を午前中日干して乾燥し、午後に裏返して更に日干し乾燥した。これを2~3日繰り返してスルメを製造した。 シ⸢ダ⸣ルナ イ⸢ガ⸣ プシバ [ʃi⸢da⸣runa ʔi⸢ga⸣ pu̥ʃiba] (簾にイカを干しなさいよ) 9767 0 0 9243 htmvoc_9767.wav タキシブク タ⸢キシブク [tḁ⸢kiʃibuku] 名 竹製の釣り竿。2~3メートルのシ⸢ブクダキ[ʃi⸢bukudaki](布袋竹{EOS}竹の種類{EOS}釣り竿を作る竹)で作った釣り竿。 タ⸢キシブク⸣シ ム⸢チイズ ホー⸣スカー ウ⸢ムッ⸣サン⸢ダー [tḁ⸢kiʃibuku⸣ʃi mu⸢ʧiiʣu hoː⸣sukaː ʔu⸢mus⸣san⸢daː] (竹竿でノコギリタイを釣ると楽しい<面白い>よ) 9768 0 0 9244 htmvoc_9768.wav ダキシミルン ダ⸢キシミルン [da⸢kiʃimiruŋ] 他動 抱きしめる。締め付けるように強く抱く。 ッ⸢ふァ⸣ ダ⸢キシミルン [f⸢fa⸣ da⸢kiʃimiruŋ] (子供を抱きしめる)。 ダ⸢キシミティ⸣ パ⸢ナサ⸣ヌ [da⸢kiʃimiti⸣ pa⸢nasa⸣nu] (抱きしめて離さない)。 ダ⸢キシミラヌ [da⸢kiʃimiranu] (抱きしめない)。 ⸣アイニ ダ⸢キシミル⸣ クトー ス⸢ナ [⸣ʔaini da⸢kiʃimiru⸣ ku̥toː su⸢na] (あんなに抱き締めることはするな)。 ⸢マー⸣ビン ダ⸢キシミレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin da⸢kiʃimireː⸣ misamunu] (もっと抱き締めれば良いのに)。 ダ⸢キシミリ [da⸢kiʃimiri] (抱き締めれ) 9769 0 0 9245 htmvoc_9769.wav ダキシムン ダ⸢キシムン [da⸢kiʃimuŋ] 他動 抱き締める。「抱きしむ(下二段)」の四段活用に転訛したもの。 ッ⸢ふァ⸣ ダ⸢キシムン [f⸢fa⸣ da⸢kiʃimuŋ] (子供を抱き締める)。 ダ⸢キシマヌ [da⸢kiʃimanu] (抱き締めない)。 ダ⸢キシミ⸣ プサン [da⸢kiʃi⸣mi ⸣pu̥saŋ] (抱き締めたい)。 ダ⸢キシム⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [da⸢kiʃimu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (抱き締めることはならぬ<いけない>)。 ダ⸢キシメー⸣ ミサムヌ [da⸢kiʃimeː⸣ misamunu] (抱き締めれば良いのに)。 ダ⸢キシミ⸣バ [da⸢kiʃimi⸣ba] (抱き締めよ) 9771 0 0 9246 htmvoc_9771.wav タキダカー ⸣タキダカー [⸣tḁkidakaː] 名 身長の高い人。長身の人。⸢丈高」の義。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ムー⸢ル⸣ タキダカーマリル ⸢シーブー [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ muː⸢ru⸣ tḁkidakaːmariru ⸢ʃiːbuː] (その家の人は皆長身の生まれ<丈高の生まれ>をしている) 9772 0 0 9247 htmvoc_9772.wav タキティブク タ⸢キティブク [tḁ⸢kitibuku] 名 ⸢竹手矛」の義。ティ⸢ブ⸣ク[ti⸢bu⸣ku](手矛)は茅葺の屋根を葺く際に茅を押さえるのに用いる直径約3、5センチ、長さ約4メートル程度の若木や竹をいう。そのティ⸢ブ⸣クに竹を利用したもの。 タ⸢キティブク⸣シ ⸢ウシキティ⸣ シ⸢ミ⸣ナーシ タ⸢ル⸣キナ ⸣カキ ⸣シメーティル ガ⸢ヤーヤー⸣ヤ フ⸢コーッ⸣タ [tḁ⸢kitibuku⸣ʃi ⸢ʔuʃi̥kiti⸣ ʃi⸢mi⸣naːʃi ta⸢ru⸣kina ⸣kḁki ⸣ʃimeːtiru ga⸢jaːjaː⸣ja ɸu̥⸢koːt⸣ta] (竹手矛で押さえて締め縄で垂木に掛け、引き締めながら茅葺き屋根は葺かれた) 9773 0 0 9248 htmvoc_9773.wav タキドゥン タ⸢キ⸣ドゥン [tḁ⸢ki⸣duŋ] 固 竹富島。石垣島の南西約6kmの海上に浮かぶ島。周囲9,15km。標高20,15mの隆起珊瑚礁からなる島。 イ⸢サンケーヌ⸣ パンタナール タ⸢キドゥン⸣ヌ ⸣シマー アル⸢ダー [ʔi⸢saŋkeːnu⸣ pantanaːru tḁ⸢kidun⸣nu ⸣ʃimaː ʔaru⸢daː] (石垣島の南方に竹富島はあるのだよ)。 タ⸢キ⸣ドゥンプス [tḁ⸢ki⸣dumpu̥su] (竹富島の人)。 タ⸢キドゥン⸣ヌ マ⸢ミドー⸣マー イッ⸢ケン⸣ ウ⸢ムッ⸣サン [tḁ⸢kidun⸣nu ma⸢midoː⸣maː ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢mus⸣saŋ] (武富のマミドーマ踊りは非常に面白い)。竹富方言では、⸢テー⸣ドゥン[⸢teː⸣duŋ]という。古くは、玻座間、仲筋、幸本、久間原、花城、はれはかの6か村があったという。乾隆2年(1737)の調査報告では玻座間、仲筋の2集落に分かれている。『中山伝信録』には「達奇度奴」、『南島志』には「堂計止美」、ゴーウィルの『琉球覚書』には「タキトゥノン(Ta-ki-tou-non)と見える。隆起サンゴの石灰岩からなる島で、周囲9,15㎞・最高標高20,5m。島内に28もの拝所があり、種子取祭などの民俗芸能が盛んである。石垣島からの海底送水が昭和51年に実現し、10万人の人が訪れる」『角川日本地名大辞典 47 沖縄県』 9783 0 0 9249 htmvoc_9783.wav タキドゥンプス タ⸢キ⸣ドゥンプス [tḁ⸢ki⸣dumpu̥su] 名 竹富の人。「竹富人」の義。 ⸣シュリジョーヌ イ⸢シグスク⸣ ス⸢ヌ⸣ヒャーンウタキヌ イ⸢シグスク⸣ シ⸢モーッ⸣タ ニ⸢シトーヤ⸣ タ⸢キ⸣ドゥンプス ヤ⸢ローッ⸣タツォー [⸣ʃuriʤoːnu ʔi⸢ʃigusu̥ku⸣ su⸢nu⸣çaːŋʔutakinu ʔi⸢ʃigusu̥ku⸣ ʃi⸢moːt⸣ta ni⸢ʃitoːja⸣ tḁ⸢ki⸣dumpu̥su ja⸢roːt⸣taʦoː] (首里城の石積みの城壁、園比屋武御嶽の石垣を積まれた西唐は竹富の人であられたそうだ) 9774 0 0 9250 htmvoc_9774.wav タキドゥンムニ タ⸢キ⸣ドゥンムニ [tḁ⸢ki⸣dummuni] 名 竹富方言。竹富ことば。「竹富物言い」の転訛したもの。 タ⸢キ⸣ドゥンムネー イ⸢サナキムニトー⸣ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸢カウリ ブー [tḁ⸢ki⸣dummuneː ʔi⸢sanakimunitoː⸣ ja⸢masï̥⸣ka ⸢kauri buː] (竹富方言は石垣方言とはかなり違っている)。 タ⸢キ⸣ドゥンムネー パ⸢ナムニ スー ムン⸣ アリティ イッ⸢ケナ カウリ ブー⸣ダー [tḁ⸢ki⸣dummuneː pa⸢namuni suː muŋ⸣ ʔariti ʔik⸢kena kauri buː⸣daː] (竹富言葉は、鼻声にするのもあって、非常に変わっているよ) 9785 0 0 9251 htmvoc_9785.wav タキナムヌ タ⸢キ⸣ナムヌ [tḁ⸢ki⸣namunu] 連 これっぽっちの人間。この程度の人間。つまらぬ者。ウ⸢ヌタキ⸣ヌ ⸣ムヌ[ʔu⸢nutaki⸣nu ⸣munu](この程度の者<人間>)ともいう。 タ⸢キ⸣ナムヌヌ ⸢スー⸣ ワザー シ⸢ベーニ⸣ル ⸣パイパル [tḁ⸢ki⸣namununu ⸢suː⸣ waʣaː ʃi⸢beːni⸣ru ⸣paiparu] (つまらぬ者のすることは失敗ばかりする<尻の方へぞ這っていく>) 9786 0 0 9252 htmvoc_9786.wav タキヌカー タ⸢キヌ⸣カー [tḁ⸢kinu⸣kaː] 名 ちくひ(竹皮)。竹の幹を約1センチに割き、内皮を除去した外皮。タ⸢キバーキ[tḁ⸢kibaːki](竹製の笊)の素材として用いる。 タ⸢キバーケー⸣ タ⸢キヌ⸣ カーシル ⸣フム [tḁ⸢kibaːkeː⸣ tḁ⸢kinu⸣ kaːʃiru ⸣ɸumu] (竹笊<タキバーキ>は竹の外皮で編む) 9787 0 0 9253 htmvoc_9787.wav タキヌカー・クバガサ タ⸢キヌ⸣カー・クバガサ [tḁ⸢kinu⸣kaː-kubagasa] 名 竹の子の皮で作った笠。軽くて、農作業の際に被って日除け用に利用した。主に台湾辺りから輸入されたが、島産のク⸢バガサ[ku⸢bagasa](蒲葵の葉で作った笠)よりも破れやすく、漁業者には利用されなかった。 タ⸢キヌ⸣カークバガサー カ⸢ロー⸣ンドゥ ヤ⸢リパヤー⸣タ [tḁ⸢kinu⸣kaːkubagasaː ka⸢roː⸣ndu ja⸢ripajaː⸣ta] (竹の皮で作った笠は軽いが破れやすかった) 9788 0 0 9254 htmvoc_9788.wav タキヌッふァ タ⸢キヌ⸣ッふァ [tḁ⸢kinu⸣ffa] 名 (植)タケノコ(筍)。「竹の子」の義。鳩間島では、一般的にあまり食されなかった。西表島の山から採ってきて祝儀や法事の料理に利用する家もあった。 タ⸢キヌ⸣ッふァー パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢ナン⸣ゾー ン⸢コーラン⸣シェン [tḁ⸢kinu⸣ffaː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢nan⸣ʣoː ʔŋ⸢koːraŋ⸣ʃeŋ] (タケノコは、鳩間の人はあまり召し上がらなかった) 9775 0 0 9255 htmvoc_9775.wav タキヌブシ タ⸢キヌ⸣ ブシ [tḁ⸢kinu⸣ buʃi] 連 竹の節。 タ⸢キヌ⸣ ブシ キ⸢ジティ⸣ グサン ス⸢ク⸣リバ [tḁ⸢kinu⸣ buʃi ki⸢ʤiti⸣ gusan su̥⸢ku⸣riba] (竹の節を削って杖を作りなさいよ) 9789 0 0 9256 htmvoc_9789.wav タキバーキ タ⸢キバーキ [tḁ⸢kibaːki] 名 竹皮製の笊。基底部を四角に編み、次第に丸く編み上げて作った竹皮製の大きな笊。堅く仕上がるので持ち運びに便利であり、主にイカ釣り漁用のイ⸢ガバーキ[ʔi⸢gabaːki](イカ漁用の笊)として、また⸢イー⸣シトゥリ[⸢ʔiː⸣ʃituri](角又採集)用の竹笊として利用された。小型のタ⸢キバーキ[tḁ⸢kibaːki]は芋を入れる容器として利用されることもあった。 タ⸢キバーキ⸣ナ ⸣ウン イ⸢リティ⸣ ス⸢ナカ⸣ナー ア⸢ライ⸣クー [tḁ⸢kibaːki⸣na ⸣ʔuŋ ʔi⸢riti⸣ su⸢naka⸣naː ʔa⸢rai⸣kuː] (竹製の笊に芋を入れて海で洗ってこい) 9790 0 0 9257 htmvoc_9790.wav タキパシ タ⸢キパシ [tḁ⸢kipaʃi] 名 竹箸。竹製の箸。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸣パシェー タ⸢キバ⸣ キシティ ⸣ドゥーシル ス⸢ク⸣ローッタル [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸣pḁʃeː ta⸢kiba⸣ ki̥ʃiti ⸣duːʃiru su̥⸢ku⸣roːttaru] (鳩間の人は、箸は竹を切って自分で作られたものだよ) 9776 0 0 9258 htmvoc_9776.wav タキブーチ タ⸢キブーチ [tḁ⸢kibuːʧi] 名 竹のむち(鞭)。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー タ⸢キブーチ⸣シ シ⸢ビ⸣ シ⸢トゥ⸣ナウン [ja⸢nakutu suː⸣kaː tḁ⸢kibuːʧi⸣ʃi ʃi⸢bi⸣ ʃi̥⸢tu⸣nauŋ] (悪いことをすると竹の鞭でお尻を引っぱたく) 9777 0 0 9259 htmvoc_9777.wav タキフダ タ⸢キフダ [tḁ⸢kiɸuda] 名 竹製の札。 タ⸢キフダ⸣ ムティティ ⸢ズンバン⸣ ナ⸢ラビ [tḁ⸢kiɸuda⸣ mutiti ⸢ʣumban⸣ na⸢rabi] (竹札を持って順番に並びなさい) 9778 0 0 9260 htmvoc_9778.wav タキフダル タ⸢キフダル [tḁ⸢kiɸudaru] 名 竹で作った柄杓。直径約10センチ、高さ約15センチの竹の筒に柄を付けて水瓶から水を汲み取るのに用いる道具(柄杓)。「秀罇<ホダリ>取り、堅く取らせ」『古事記歌謡』の転訛したもの。戦後は缶詰缶を利用したカ⸢ニフダル[ka⸢niɸudaru](缶柄杓)が多くなった。 ミ⸢ジカメー⸣ラ フ⸢ダ⸣ルシ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ミティ⸣ ヌミバ [mi⸢ʤikameː⸣ra ɸu⸢da⸣ruʃi mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢miti⸣ numiba] (水瓶から柄杓で水を汲んで飲みなさいよ) 9791 0 0 9261 htmvoc_9791.wav タキフディ タ⸢キフディ [tḁ⸢kiɸudi] 名 すみさし(墨刺)。竹筆。竹を割って箆のように作り、先端を細かく裂いて線描用に用い、片方は鉛筆大に尖らせ、先端部を細かく裂いて筆記用に用いるように作った筆。建築大工や船大工が⸢シン⸣スブ[⸢ʃin⸣subu](墨壷)からシ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](墨縄)を引き出し、墨縄を弾いて直線を引く際に用いる。 ⸢サイ⸣コー タ⸢キフディ⸣シル ノー⸢ン  ジーヤ⸣ カ⸢コーッ⸣タ [⸢sai⸣koː tḁ⸢kiɸudi⸣ʃiru noː⸢n ʤiːja⸣ kḁ⸢koːt⸣ta] (大工<細工>は竹筆でもって何でも、文字は書かれた) 9792 0 1 9262 htmvoc_9792.wav タキフドゥ タ⸢キ⸣フドゥ [tḁ⸢ki⸣ɸudu] 名 {Mn_1}体格。身長。 タ⸢キ⸣フドゥン プ⸢スソーン⸣ フ⸢ドゥビ キー⸣ブバ ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ [tḁ⸢ki⸣ɸudum pu̥⸢susoːŋ⸣ ɸu⸢dubi kiː⸣buba noː⸢n soːja naː⸣nu] (体格も人並みに成長してきているので、何の心配もない)。 9792 0 2 9263 htmvoc_9792.wav タキフドゥ タ⸢キ⸣フドゥ [tḁ⸢ki⸣ɸudu] 名 {Mn_2}成人。一人前。 ⸢ワー⸣ タ⸢キ⸣フドゥ イ⸢ルバル⸣ ク⸢ヌ⸣ クトー パ⸢ナサリ⸣ル [⸢waː⸣ tḁ⸢ki⸣ɸudu ʔi⸢rubaru⸣ ku⸢nu⸣ ku̥toː pa⸢nasari⸣ru] (君が成人してから<成人してはじめて>、このことは話すことが出来る<話される>) 9793 0 0 9264 htmvoc_9793.wav タキフン タ⸢キフン [tḁ⸢kiɸuŋ] 名 竹釘。カ⸢ツホーシ⸣サウ[kḁ⸢ʦuhoːʃi⸣sau](カツオ釣竿)を利用し、長さ約10センチ、直径約6ミリの竹釘に作ったもの。箸の大きさに削って先端を尖らせて作った竹の釘。一旦錐で開けた穴に竹釘を打ち込んで用いる。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)に用いる竹製の釘。サバニに金属製の釘を使うと錆びて船体が腐食するので、サバニには竹釘だけ使用する。接合する部分に直径約5ミリの錐で10センチ間隔に穴を開け、そこに竹釘を打ち込む。それらの間に⸢フン⸣ドゥ[⸢ɸun⸣du](ちきりじめ<榺締め>、両端が広く、中がくびれた木製の一種のカスガイ<鎹>)を填め込む。また塗り物(漆器)や木製の小道具などを接合する際にも小型の錐で穴を開けて竹釘を打ちこんで接合する。 ⸣イダフニナーヤ カ⸢ニフンマー⸣ シゥ⸢カイ オーラ⸣ヌ タ⸢キフンドゥ⸣ シゥ⸢カイ オー⸣ル [⸣ʔidaɸuninaːja ka⸢niɸummaː⸣ si̥⸢kai ʔoːra⸣nu tḁ⸢kiɸundu⸣ si̥⸢kai ʔoː⸣ru] (サバニには金釘は使われない{EOS}竹釘を<ぞ>使われる) 9794 0 0 9265 htmvoc_9794.wav タキフンツァ タ⸢キフンツァ [tḁ⸢kiɸunʦa] 名 竹床。竹で編んだ床。 ム⸢カ⸣シェー タ⸢キフンツァナー⸣ル タ⸢タメー⸣ ス⸢クタル タ⸢タミヌ ナーン⸣ プ⸢ソー⸣ ニ⸢ブク⸣バ シ⸢キティ⸣ ウ⸢ヌ ウイ⸣ナー ⸣ムス ス⸢コーッ⸣タティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː tḁ⸢kiɸunʦanaː⸣ru tḁ⸢tameː⸣ su̥⸢kutaru⸣ tḁ⸢taminu naːm⸣ pu̥⸢soː⸣ ni⸢buku⸣ba ʃi̥⸢kiti⸣ ʔu⸢nu ʔui⸣naː ⸣musu su̥⸢koːt⸣tati⸢daː] (昔は竹床の上に畳は敷いたものだ{EOS}畳みのない人は、ニブク<稲掃き\ruby{筵}{イナバキムシロ}{EOS}藁で編んだ厚手の筵>を敷いて、その上に\ruby{茣蓙筵}{ゴ|ザ|ムシロ}を敷いたそうだよ) 9795 0 0 9266 htmvoc_9795.wav タキポーキ タ⸢キポーキ [tḁ⸢kipoːki] 名 竹箒。 ⸢ポー⸣キダキ [⸢poː⸣kidaki] (箒竹)。シ⸢ブクダキ[ʃi⸢bukudaki](布袋竹{EOS}釣竿竹、ク⸢サンダキ{SqBr}ku̥⸢sandaki{/SqBr}<鼓山竹>ともいう)を切ってきて5,6本束ね、筆状の庭箒を作って利用した。 タ⸢キポーキ⸣シ ミ⸢ナ⸣カ ⸢ポー⸣キティ ⸢ガッ⸣コー ⸣パリ [tḁ⸢kipoːki⸣ʃi mi⸢na⸣ka ⸢poː⸣kiti ⸢gak⸣koː ⸣pari] (竹箒で庭を掃いてから学校へ行きなさい) 9796 0 0 9267 htmvoc_9796.wav タキマミ タ⸢キマミ [tḁ⸢kimami] 名 心臓。 ⸢オー⸣ヌ タ⸢キマミ [⸢ʔoː⸣nu tḁ⸢kimami] (豚の心臓)。 カ⸢ツヌ⸣ タ⸢キマミ [ka⸢ʦunu⸣ tḁ⸢kimami] (カツオの心臓{EOS}幼児語では、ズッ⸢カー⸣マ{SqBr}ʣuk⸢kaː⸣ma{/SqBr}<小さな急須{EOS}おちんちん>ともいう)。 ⸢オー⸣ヌ タ⸢キマミ カイ⸣キー イ⸢ラキ⸣ムヌ ス⸢ク⸣リ [⸢ʔoː⸣nu tḁ⸢kimami kai⸣kiː ʔi⸢raki⸣munu su̥⸢ku⸣ri] (豚の心臓を買ってきて、炒めものを作れ) 9770 0 0 9268 htmvoc_9770.wav タキヤシキ タ⸢キヤシキ [tḁ⸢kijaʃi̥ki] 名 竹の生えている屋敷。 イ⸢ラムティナー⸣ヤ タ⸢キヤシケー⸣ ミ⸢チ⸣ブタ [ʔi⸢ramutinaː⸣ja tḁ⸢kijaʃi̥keː⸣ mi⸢ʧi⸣buta] (西表には竹屋敷は沢山あった) 9779 0 0 9269 htmvoc_9779.wav タキヤマ タ⸢キヤマ [tḁ⸢kijama] 名 竹林。竹藪。 ⸢バン⸣テヌ トゥ⸢マダーヌ ター⸣ヌ ⸢ウイヤー⸣ タ⸢キヤマ ヤッタ [⸢ban⸣tenu tu⸢madaːnu taː⸣nu ⸢ʔuijaː⸣ tḁ⸢kijama jatta] (私の家のトゥマダ田原<西表島伊武田地区の水田地帯>の上は竹林であった)。⸣ヤマ[⸣jama]は、林、叢林のこと。 ⸢パイタ⸣ヌ タ⸢キヤマー⸣ラ ユ⸢チルダキ⸣ キシ ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸢paita⸣nu tḁ⸢kijamaː⸣ra ju⸢ʧirudaki⸣ ki̥ʃi ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (西表の竹林から屋根葺き用のえつりだけ<桟竹>を伐り出された) 9798 0 0 9270 htmvoc_9798.wav タキヤリ タ⸢キヤリ [tḁ⸢kijari] 名 竹槍。標準語からの借用語。太平洋戦争時にタ⸢キヤリで訓練された時に定着した言葉。方言では⸣フク[⸣ɸu̥ku](槍{EOS}「矛」の義)という。⸣フク[⸣ɸu̥ku]は、猪狩りで猪を突き刺したり、烏賊釣り漁の際に鮪や鮫を突き刺すのに用いた。茅葺屋根を葺く際に用いる竹槍は、⸢ヤーシキ⸣パル[⸢jaːʃi̥ki⸣paru](家突き針)という 9799 0 0 9271 htmvoc_9799.wav タキユチル タ⸢キユチル [tḁ⸢kijuʧiru] 名 えつり(桟)。茅葺屋根のふきしたじ(葺下地)として垂木の上に竹を横に並べて編みこんだえつり。 タ⸢ルキ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナ タ⸢キユチルバ⸣ フミティ ⸢ウン⸣ナ ⸣ガヤー ⸢ヌーシティル⸣ ガヤヤーヤ フ⸢コーッ⸣タ [ta⸢ruki⸣nu ⸢ʔui⸣na tḁ⸢kijuʧiruba⸣ ɸumiti ⸢ʔun⸣na ⸣gajaː ⸢nuːʃitiru⸣ gajajaːja ɸu̥⸢koːt⸣ta] (垂木の上に竹えつりを編んで、それに茅を載せて茅葺屋根は葺かれた) 9800 0 0 9272 htmvoc_9800.wav タキヨージ タ⸢キヨージ [tḁ⸢kijoːʤi] 名 竹製の楊枝。⸢竹楊枝」の義。標準語からの借用語。 タ⸢キヨージ⸣サーリ ⸢パー⸣ヌ ⸣ッス フ⸢ジ⸣リ ⸣トゥリ [tḁ⸢kijoːʤi⸣saːri ⸢paː⸣nu ⸣ssu ɸu⸢ʤi⸣ri ⸣turi] (竹楊枝で歯糞をほじくって<穿って>取れ)。普通はカツオの尾びれを砂浜に2~3か月埋めてシ⸢ダ⸣シ[ʃi⸢da⸣ʃi](孵化させ{EOS}魚肉や軟骨を除去し海水で晒して楊枝に生まれ変わらせ)たものを使った 9801 0 0 9273 htmvoc_9801.wav タキヨーチ タ⸢キヨーチ [ta⸢kijoːʧi] 名 竹簪。竹製の\ruby{簪}{カンザシ}。忌中の婦人が用いた簪。「竹楊枝」の義。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢トゥザマリヌ⸣ プ⸢スヌ マーラス⸣カー タ⸢キヨーチ⸣ ッ⸢ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢tuʣmarinu⸣ pu̥⸢sunu maːrasu⸣kaː tḁ⸢kijoːʧi⸣ s⸢soːt⸣taʦoː] (昔は親戚が亡くなると\ruby{竹簪}{タケ|カンザシ}を挿されたそうだ) 9780 0 0 9274 htmvoc_9780.wav タキリグイ タ⸢キリ⸣グイ [tḁ⸢kiri⸣gui] 名 \ruby{唸}{ウナリ}り声。うめき声。 ⸣マーラル ヤ⸢ル⸣ユー プ⸢スヌ⸣ タ⸢キリグイ⸣ヌ シゥ⸢カリン [⸣maːraru ja⸢ru⸣juː pu̥⸢sunu⸣ tḁ⸢kirigui⸣nu si̥⸢kariŋ] (何処からか人のうめき声が聞こえる) 9781 0 1 9275 htmvoc_9781.wav タキルン タ⸢キ⸣ルン [tḁ⸢ki⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}\ruby{吠}{ホエ}える。牛が\ruby{哮}{タケ}る。「噋哮、タケル、サケフ、ホユ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ウ⸢シェー⸣ ズ⸢ブ⸣マイ ⸢スー⸣カー タ⸢キ⸣ルン⸢ダー [ʔu⸢ʃeː⸣ ʣu⸢bu⸣mai ⸢suː⸣kaː tḁ⸢ki⸣run⸢daː] (牛は発情すると吠える<猛る>よ)。 ビ⸢キウシヌ⸣ タ⸢キ⸣リ ⸢ベー⸣カー タ⸢キラサン⸣ ヨーニ ⸢ミー⸣ウシェー ミ⸢シル⸣ナ [bi⸢kiʔuʃinu⸣ tḁ⸢ki⸣ri ⸢beː⸣kaː tḁ⸢kirasaɲ⸣joːni ⸢miː⸣ʔuʃeː mi⸢ʃiru⸣na] (雄牛が吠えて<哮って>いるなら、牝牛を見せるな)。 ウ⸢シヌ⸣ タ⸢キ⸣ル ⸣ピンマー ⸢ミー⸣ウシ ミ⸢シル⸣ナ [ʔu⸢ʃinu⸣ ta⸢ki⸣ru ⸣pimmaː ⸢miː⸣ʔuʃi mi⸢ʃiru⸣na] (牛が哮る<猛る>時は牝牛を見せるな)。 ビ⸢キウシヌ⸣ ズ⸢ブ⸣マイ シ⸢ティ⸣ タ⸢キ⸣ルカー ナ⸢クラーン⸣ダー [bi⸢kiʔuʃinu⸣ ʣu⸢bu⸣mai ʃi̥⸢ti⸣ tḁ⸢ki⸣rukaː na⸢kuraːn⸣daː] (雄牛が発情して吠える<哮る>と怖いよ)。 マ⸢ナ⸣マー タ⸢キラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː tḁ⸢kira⸣nu] (今は吠えない)。 ウ⸢シヌ⸣ タ⸢キ⸣ル ⸣ピンマー ズ⸢ブ⸣マイジブン [ʔu⸢ʃinu⸣ tḁ⸢ki⸣ru ⸣pimmaː ʣu⸢bu⸣maiʤibuŋ] (雄牛が吠える時は発情期だ)。 ⸢イン⸣ヌ タ⸢キ⸣ルカー ナ⸢クラー⸣ン [⸢ʔin⸣nu ta⸢ki⸣rukaː na⸢kuraː⸣ŋ] (犬が\ruby{唸}{ウナ}る<猛る{EOS}\ruby{哮}{タケル}>と怖い)。 9781 0 2 9276 htmvoc_9781.wav タキルン タ⸢キ⸣ルン [tḁ⸢ki⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}唸る。 キ⸢ジヌ⸣ ヤムカー タ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ ナー⸢イ⸣ ニジ ⸢ベー [ki⸢ʤinu⸣ jamukaː tḁ⸢ki⸣reː ⸣misamunu naː⸢i⸣ niʤi ⸢beː] (傷が痛むのなら唸れば良いのに、じっと我慢している)。 バ⸢タ⸣ヌ ヤ⸢ミ⸣ル ⸢ユードゥー⸣シ タ⸢キ⸣リ ⸢ベー [ba⸢ta⸣nu ja⸢mi⸣ru ⸢juːdu⸣ʃi tḁ⸢ki⸣ri ⸢beː] (腹痛<腹が痛いの>で一晩中<夜通し>唸って<猛って>いる)。うめく(呻く)。\ruby{唸}{ウナ}る。 キ⸢ジヌ⸣ ヤムンダル タ⸢キ⸣ル⸢ダー [ki⸢ʤinu⸣ jamundaru tḁ⸢ki⸣ru⸢daː] (傷が痛むので\ruby{呻}{ウメ}くのだよ)。 タ⸢キ⸣リ ⸣ミサカー タ⸢キルン⸣ドゥ バ⸢カ⸣ヤンダ タ⸢キラ⸣ヌ [tḁ⸢ki⸣ri ⸣misakaː tḁ⸢kirun⸣du ba⸢ka⸣janda tḁ⸢kira⸣nu] (\ruby{呻}{ウメ}いてよければ呻くが、恥ずかしいから呻かない)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin tḁ⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (もっと呻けばいいのに)。 タ⸢キ⸣リバ [tḁ⸢ki⸣riba] (呻けよ) 9803 0 0 9277 htmvoc_9803.wav タキンーマ タ⸢キンー⸣マ [tḁ⸢kiʔmː⸣ma] 名 竹馬。二本の竹竿に、適当な高さに足がかりを作って、それに乗って遊ぶ遊具。⸢キーン⸣マ[⸢kiːʔm⸣ma](木馬{EOS}木の竿に足がかりを作り、それに乗って遊ぶ遊具)ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸣ユー タ⸢キンー⸣マ ス⸢ク⸣リ ⸢ヌーリ⸣ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemaː ⸣juː tḁ⸢kiʔmː⸣ma su̥⸢ku⸣ri ⸢nuːri⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (子供の頃はよく竹馬を作って乗って遊んだものだ) 9804 0 0 9278 htmvoc_9804.wav タク ⸣タク [⸣tḁku] 名 (動)タコ(蛸)の総称。マダコ。 ⸢ミートゥ⸣ダク [⸢miːtu⸣daku] (夫婦蛸{EOS}つがい<番いの蛸{EOS}マダコ>) ウ⸢ム⸣ジ [ʔu⸢mu⸣ʤi] (いいだこ<飯蛸{EOS}腹に飯粒状の卵を持つ>))。⸣サーラダク[⸣saːradaku](手の長い痩せた蛸{EOS}島の人はそれを食しない)などが珊瑚礁の穴に生息する。ガ⸢シ⸣タク[ga⸢ʃi⸣tḁku](燻製蛸)は保存食に、パ⸢リタク[pa⸢ritaku](蛸の手を裂いて日干し乾燥したもの)は石垣島へ輸出した。 ⸢パームイジブン⸣ヌ ヤ⸢ラビン⸣マー ガ⸢シタク⸣ヌ ⸣ティー シ⸢ビラソーッ⸣タ [⸢paːmuiʤibun⸣nu ja⸢rabim⸣maː ga⸢ʃitaku⸣nu ⸣tiː ʃi⸢birasoːt⸣ta] (歯が生える頃の乳児には燻製蛸の手を<皮と吸盤を削り去って>しゃぶらされた) 9805 0 0 9279 htmvoc_9805.wav タクアン タ⸢ク⸣アン [taa⸢ku⸣ʔaŋ] 名 たくあんづけ(沢庵漬)。大根を樽に入れて塩をまぶし、米糠をたっぷり加えて重石を乗せ、漬け込んだもの。昭和35年ごろまで自家製の沢庵漬を作っていた。 タ⸢クアン⸣マー ⸢ヤーカー⸣ジ ス⸢ク⸣リ ⸢オーッ⸣タン [tḁ⸢kuʔam⸣maː ⸢jaːkaː⸣ʤi su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoːt⸣taŋ] (沢庵漬は家ごとに作っておられた) 9807 0 0 9280 htmvoc_9807.wav タクトゥリ タ⸢ク⸣トゥリ [tḁ⸢ku⸣turi] 名 蛸捕り。鳩間島では干潮時に多くの女性が⸣ガルユクン[⸣garujukuŋ](先端部に鉤が付いた銛)を持って潮干狩りに行き、蛸を捕った。蛸の棲む穴を捜し、銛を差し込んで探ると蛸は手を伸ばしてくるので、頭部に銛を突き刺して引き出す。銛の先端部には鉤が付いているので蛸は銛から逃げられない。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ⸣ガルユクンバ ⸣ムティティ タ⸢ク⸣トゥリン イ⸢ソー オーッ⸣タ [⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː mi⸢dumuŋkeː⸣ja ⸣garujukumba ⸣mutiti tḁ⸢ku⸣turiŋ ʔi⸢soː ʔoːt⸣ta] (潮が引くと女性たちはガルユクン<鉤付きの銛>を持って蛸捕りに、干瀬へ行かれた<潮干狩りに行かれた>) 9808 0 0 9281 htmvoc_9808.wav タクナルン ⸣タク ⸣ナルン [⸣tḁku ⸣naruŋ] 連 泥酔してぐにゃぐにゃになる。「蛸になる」の義。 ⸣ビータリティ ⸣タク ナリ⸢ベー [⸣biːtariti ⸣tḁku nari⸢beː] (泥酔して<酔いつぶれて>、蛸のようにぐにゃぐにゃになっている) 9809 0 0 9282 htmvoc_9809.wav タクヌアナ タ⸢ク⸣ヌ ⸣アナ [t⸢ku⸣nu ⸣ʔana] 連 蛸の穴。蛸の巣。タ⸢ク⸣ヌ ⸣ヤナ[ta⸢ku⸣nu ⸣jana](蛸の穴)ともいう。 タ⸢ク⸣ヌ ⸣アナー イ⸢シェー⸣マシ フ⸢タ⸣ カ⸢バ⸣シ ⸣スクンダ ⸢ミシキグリ⸣サン [tḁ⸢ku⸣nu ⸣ʔanaː ʔi⸢ʃeː⸣maʃi ɸu̥⸢ta⸣ ka⸢ba⸣ʃi ⸣su̥kunda ⸢miʃi̥kiguri⸣saŋ] (蛸の穴は、小石で穴の蓋をして置く<穴を被せておく>ので見つけにくい) 9811 0 0 9283 htmvoc_9811.wav タクヌイルンガーリ タ⸢ク⸣ヌ イ⸢ルンガー⸣リ [tḁ⸢ku⸣nu ʔi⸢ruŋgaː⸣ri] 連 蛸の色変わり。変わり方の激しいさまをいう。 イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢バイティ⸣ イロー ⸣フキ イ⸢ル⸣ッサイ ⸢ベーン⸣カヤーティ ⸣ウムーカ ⸢アッ⸣タニ シ⸢ラ⸣ヌ ア⸢ガムン⸣ケン ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リ ソーン⸢ドゥ⸣ タ⸢ク⸣ヌ イ⸢ルンガーリ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢baiti⸣ ʔiroː ⸣ɸu̥ki ʔi⸢rus⸣sai ⸢beːŋ⸣kajaːti ⸣ʔumuːka ⸢ʔat⸣tani ʃi⸢ra⸣nu ʔa⸢gamuŋ⸣keŋ ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ri soːn⸢du⸣ tḁ⸢ku⸣nu ʔi⸢ruŋgaːri⸣tu ju⸢nu⸣munu] (非常に驚いて顔の色は失せ<色は抜け>、真っ青になっているかと思うと、急に顔が赤らむほど怒って、まったく<丁度>蛸の擬態<色変わり>と同じだ) 9812 0 1 9284 htmvoc_9812.wav タクヌスブル タ⸢ク⸣ヌ ス⸢ブ⸣ル [tḁ⸢ku⸣nu su⸢bu⸣ru] 連 {Mn_1}蛸の頭。 ⸢ウイ⸣ヤーティ ⸣タク ス⸢ク⸣ ピンマー シ⸢グ⸣ タ⸢ク⸣ヌ ス⸢ブ⸣ル グ⸢ルッカイ⸣スカー ⸢ピンギラ⸣ヌ [⸢ʔui⸣jaːti ⸣tḁku su̥⸢ku⸣pimmaː ʃi⸢gu⸣ tḁ⸢ku⸣nu su⸢bu⸣ru gu⸢rukkai⸣su̥kaː ⸢piŋgira⸣nu] (泳ぎながら蛸を突いて捕るときは、すぐ蛸の頭をひっくり返すと逃げない)。 9812 0 2 9285 htmvoc_9812.wav タクヌスブル タ⸢ク⸣ヌ ス⸢ブ⸣ル [tḁ⸢ku⸣nu su⸢bu⸣ru] 連 {Mn_2}つるつる頭。転じて⸢禿頭」の義。 ⸢ワー⸣ ス⸢ブ⸣ロー タ⸢ク⸣ヌ ス⸢ブ⸣ル ⸣ナリ ⸢ベー [⸢waː⸣ su⸢bu⸣roː tḁ⸢ku⸣nu su⸢bu⸣ru ⸣nari ⸢beː] (君の頭はつるつるの禿げ頭になっているよ) 9813 0 0 9286 htmvoc_9813.wav タクヌティー タ⸢ク⸣ヌ ⸣ティー [tḁ⸢ku⸣nutiː] 連 蛸の足。「蛸の手」の義。 タ⸢ク⸣ヌ ⸢ティー⸣ヤ ⸢ヤーティー⸣ アン [tḁ⸢ku⸣nu ⸢tiː⸣ja ⸢jaːti⸣ ʔaŋ] (蛸の足<手>は八本<八手>ある)。 タ⸢ク⸣ヌティー シ⸢ビラスン [tḁ⸢ku⸣nutiː ʃi⸢birasuŋ] (蛸の足<手>をしゃぶらせる{EOS}歯が生え始めた乳児に燻製蛸の手の吸盤や皮を除去してしゃぶらせ、離乳食の準備をした) 9814 0 0 9287 htmvoc_9814.wav タクヌフル タ⸢ク⸣ヌ フ⸢ル [tḁ⸢ku⸣nu ɸu⸢ru] 連 蛸の墨袋。「蛸の睾丸」の義。蛸の頭に納まっている鶏卵大の墨袋。美味しくはないが、利尿剤といわれていた。 パ⸢トゥ⸣マナテー タ⸢ク⸣ヌ ⸣フロー ⸢オー⸣ヌイーヌ ⸣ダシナール シゥ⸢カイ オーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manateː tḁ⸢ku⸣nu ⸣ɸuroː ⸢ʔoː⸣nuʔiːnu ⸣daʃinaːru sï̥⸢kai oːt⸣ta] (鳩間島では蛸の墨袋は豚の餌の出汁に使っておられた) 9806 0 1 9288 htmvoc_9806.wav タクヌヤー タ⸢ク⸣ヌ ⸣ヤー [tḁ⸢ku⸣nu ⸣jaː] 連 {Mn_1}蛸の巣。タ⸢クン⸣ヤー[tḁ⸢kuɲ⸣jaː](蛸の巣<家>)ともいう。 タ⸢ク⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヤ イ⸢シェー⸣マ カ⸢バサ⸣リ ⸢ブンダ ミシキ⸣  グ⸢リ⸣サタン [tḁ⸢ku⸣nu ⸢jaː⸣ja ʔi⸢ʃeː⸣ma ka⸢basa⸣ri ⸢bunda miʃi̥ki⸣ gu⸢ri⸣sataŋ] (蛸の巣<家>は小石が被されているので見つけづらかった)。 9806 0 2 9289 htmvoc_9806.wav タクヌヤー タ⸢ク⸣ヌ ⸣ヤー [tḁ⸢ku⸣nu ⸣jaː] 連 {Mn_2}最小限度の家財道具しかなく、家の中が片付けられているさま。蛸の巣に似ていることから比喩的に用いられる。 タ⸢ク⸣ヌ ⸣ヤートゥ ビ⸢キドゥムダチヌ ヤー⸣ヤ カ⸢ク⸣レー ⸢ナー⸣ヌ [tḁ⸢ku⸣nu ⸣jaːtu bi⸢kidumudaʧinu jaː⸣ja kḁ⸢ku⸣reː ⸢naː⸣nu] (蛸の巣<家>と男所帯の家は、こざっぱりしているので隠せない{EOS}すぐ分かる) 9815 0 0 9290 htmvoc_9815.wav タクマ タ⸢ク⸣マ [tḁ⸢ku⸣ma] 名 知恵者。奸計を企む者。悪知恵の働く者。 ⸢ウンザー⸣ タ⸢ク⸣マ ヤ⸢ルンダー⸣ プ⸢ス カシカー⸣スン⸢ダー キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢ʔunʣaː⸣ tḁ⸢ku⸣ma ja⸢runda⸣ pu̥⸢su⸣ kḁ⸢ʃikaː⸣sun⸢daː kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (あいつは奸計を企む人だから、人を騙すよ{EOS}気を付けなさいよ) 9816 0 0 9291 htmvoc_9816.wav タクムン タ⸢ク⸣ムン [tḁ⸢ku⸣muŋ] 他動 企む。悪事を計画する。 ⸢ヌー⸣ヌ ワ⸢ザ⸣バ タ⸢ク⸣ムンティ ⸢シー アーク⸣ワ [⸢nuː⸣nu wa⸢ʣa⸣ba tḁ⸢ku⸣munti ⸢ʃiː ʔaːku⸣wa] (どんな事を企もうとしているのか)。 ヤ⸢ナクトー⸣ タ⸢クマン⸣ドーシ ⸢チャー イークトゥバ⸣ タ⸢ク⸣ム ⸣クトゥ [ja⸢naku̥toː⸣ tḁ⸢kuman⸣doːʃi ⸢ʧaː ʔiːkutuba⸣ tḁ⸢ku⸣mu ⸣ku̥tu] (悪事は\ruby{企}{タクラ}まないで、いつも良い事を企てることだ)。 ⸢イークトゥ⸣ タ⸢ク⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢ʔiːkutu⸣ tḁ⸢ku⸣meː ⸣misamunu] (良い事を計画すればよいのに)。 タ⸢ク⸣ミバ [tḁ⸢ku⸣miba] (企め)。 ⸣アイブ ⸣ムノー タ⸢クミ ヤッ⸣サン [⸣ʔaibu ⸣munoː tḁ⸢kumi jas⸣saŋ] (あんなことは計画<くわだて>しやすい) 9817 0 1 9292 htmvoc_9817.wav タクムン タ⸢ク⸣ムン [tḁ⸢ku⸣muŋ] 他動 {Mn_1}たたむ(畳む)。折り重ねる。 ⸣キン タ⸢ク⸣ムン [⸣kin tḁ⸢ku⸣muŋ] (着物を畳む)。 ⸣ウズ タ⸢ク⸣ミティ カ⸢タジキ⸣リ [⸣ʔuʣu tḁ⸢ku⸣miti kḁ⸢taʤiki⸣ri] (布団を畳んで片付けなさい)。 サ⸢ミヌ パー⸣ タ⸢クマン⸣ドーシ ヌ⸢バ⸣シ [sa⸢minu paː⸣ tḁ⸢kuman⸣doːʃi nu⸢ba⸣ʃi] (月桃の葉は畳まないで延ばせ)。 バ⸢サン⸣パー タ⸢ク⸣ム ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ba⸢sam⸣paː tḁ⸢ku⸣mu ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (芭蕉の葉は畳むものではない)。 ⸢カーラキキンマー⸣ タ⸢ク⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢kaːrakkimmaː⸣ tḁ⸢ku⸣meː ⸣misamunu] (乾燥した<乾いた>着物は畳めばよいのに)。 ⸣ドゥーシ タ⸢ク⸣ミ [⸣duːʃi tḁ⸢ku⸣mi] (自分で畳め)。 9817 0 2 9293 htmvoc_9817.wav タクムン タ⸢ク⸣ムン [tḁ⸢ku⸣muŋ] 他動 {Mn_2}殺す。 ⸢ウンザー⸣ アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー アッ⸣タル ッ⸢ふァバ⸣ タ⸢ク⸣ミ シ⸢ティナー⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː ʔat⸣taru f⸢faba⸣ tḁ⸢ku⸣mi ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (あいつ<彼奴>は、あんなことをして、あたら子供を失って<殺して>しまったよ) 9818 0 0 9294 htmvoc_9818.wav タクライ タ⸢クライ [tḁ⸢kurai] 名 血統。若年層は⸢タックイ[⸢takkui](血統)ともいう。首里方言の[⸢takkwiː](血統)からの転訛。「較、タクラブ」『黒本本節用集』の転訛したものか。[takurabi] → [takurawi] → [takurai] → [takkwiː] → [takkui] と音韻変化したものであろう。 ⸢ワッ⸣テヌ プ⸢ソー⸣ ビ⸢コーンッふァ⸣ カー⸢ニ⸣ ナ⸢ソール⸣ヌ タ⸢クライ⸣ ヤ⸢ロー⸣ル⸢ナー [⸢wat⸣tenu pu̥⸢soː⸣ bi⸢koːŋffa⸣ kaː⸢ni⸣ na⸢soːru⸣nu tḁ⸢kurai⸣ ja⸢roː⸣ru⸢naː] (お宅<貴方の家>の人は男の子だけ産みなさるが、血統であられるでしょうね) 9819 0 0 9295 htmvoc_9819.wav タグラザン タ⸢グ⸣ラザン [ta⸢gu⸣raʣaŋ] 名 漁船を陸揚げする際に引き綱のロープを巻き上げる装置(ウインチ)。巻揚げ機(老年層の言葉)。⸣ビービー[⸣biːbiː](巻き上げ機)ともいう。 カ⸢ツシンマー⸣ ジ⸢キヌ⸣ ウ⸢ワール⸣カー ⸣マンタヌ パ⸢マ⸣ナー タ⸢グ⸣ラザン ⸢マーシティ⸣ ピ⸢キアギ ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʤi⸢kinu⸣ ʔu⸢waːru⸣kaː ⸣mantanu pa⸢ma⸣naː ta⸢gu⸣raʣam ⸢maːʃi̥ti⸣ pi̥⸢kiʔagi soːt⸣ta] (カツオ漁船は漁期が終わると前の浜でタグラザンを回して陸上へ引揚げされた) 9820 0 0 9296 htmvoc_9820.wav タクラムン タ⸢クラ⸣ムン [tḁ⸢kura⸣muŋ] 他動 企む。悪事を企む。 ヤ⸢ナクトゥ⸣ タ⸢クラ⸣ムン [ja⸢nakutu⸣ tḁ⸢kura⸣muŋ] (悪事を企む)。 ヤ⸢ナクトー⸣ タ⸢クラマン⸣ドーシ マッ⸢トーバ シー [ja⸢naku̥toː⸣ tḁ⸢kuraman⸣doːʃi mat⸢toːba ʃiː] (悪事を企まずに真直ぐ、正直にやれ<せよ>)。 ヤ⸢ナクトゥバ⸣ タ⸢クラ⸣ミティ イ⸢ザリベー [ja⸢nakutuba⸣ tḁ⸢kura⸣miti ʔi⸢ʣaribeː] (悪事を企んで叱られている)。 ヤ⸢ナクトゥ⸣ タ⸢クラ⸣ム ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢nakutu⸣ tḁ⸢kura⸣mu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (悪事を企むことはいけない<ならぬ>)。 タ⸢クラ⸣メー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢kura⸣meː ⸣misamunu] (企めばよいのに)。 タ⸢クラミ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ タ⸢クラ⸣ミ [tḁ⸢kurami⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi tḁ⸢kura⸣mi] (企みたければ自分一人で企め) 9821 0 1 9297 htmvoc_9821.wav タクン タ⸢クン [tḁ⸢kuŋ] 他動 {Mn_1}炊く。⸢カイ[⸢kai](粥)、⸢ヌー⸣ル[⸢nuː⸣ru](糊)などを炊く意味に用いる。⸣イー[⸣ʔiː](ご飯)、⸣スー[⸣suː](お汁)、⸢ズー⸣シ[⸢ʣuː⸣ʃi](雑炊)などを炊く際は、バ⸢カスン[ba⸢kasuŋ](炊く{EOS}<沸かす>の義か)を用いる。 ⸢カイ⸣ タ⸢クンティ ベーン⸣ドゥ ⸢ゾー⸣ブンニ タ⸢カランバ ワー⸣ タ⸢キ ッふィーリ [⸢kai⸣ tḁ⸢kunti beːn⸣du ⸢ʣoː⸣bunni tḁ⸢karamba waː⸣ tḁ⸢ki ffiːri] (お粥を炊こうとしているが、上手に炊けない<炊かれない>ので、君が炊いてくれ)。 ⸢カイ⸣ タ⸢ク⸣ ピンマー ⸢マー⸣ビン ミ⸢ジ⸣ イ⸢リティ⸣ タ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸢kai⸣ tḁ⸢ku⸣ pimmaː ⸢maː⸣bim mi⸢ʤi⸣ ʔi⸢riti⸣ tḁ⸢keː⸣ misamunu] (お粥を炊く時はもっと水を入れて炊けばよいのに)。 ⸢カイ⸣ タ⸢キ⸣バ [⸢kai⸣ tḁ⸢ki⸣ba] (お粥を炊けよ)。 9821 0 2 9298 htmvoc_9821.wav タクン タ⸢クン [tḁ⸢kuŋ] 他動 {Mn_2}煎って搾油する。 ⸢オー⸣ヌ ⸣アバ タ⸢クン [⸢ʔoː⸣nu ⸣ʔaba tḁ⸢kuŋ] (豚の脂を煎って搾油する) 9822 0 0 9299 htmvoc_9822.wav ダクン ダ⸢クン [da⸢kuŋ] 他動 抱く。 ッ⸢ふァ⸣ ダ⸢クンティ スンドゥ カイナ⸣ヌ ⸣ヤミ ダ⸢カラヌ [f⸢fa⸣ da⸢kunti sundu kaina⸣nu ⸣jami da⸢karanu] (子供を抱こうとするが、腕が痛くて抱けない<抱かれない>)。 ダ⸢ク⸣⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーンバ⸣ ダ⸢キ⸣ ッ⸢ふィーリ [da⸢ku⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːmba⸣ da⸢ki⸣ f⸢fiːri] (抱く人がいないので、抱いてくれ)。 ⸣ドゥーシ ダ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi da⸢keː⸣ misamunu] (自分で抱けばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ダ⸢キ [jaː⸢din⸣ da⸢ki] (必ず抱け) 9823 0 0 9300 htmvoc_9823.wav ダケー ⸣-ダケー [⸣-dakeː] 接尾 ⸢~する能力」の意を表す。常に文末の打消しの助動詞⸢ナー⸣ヌ[⸢naː⸣nu](~ない)と呼応して用いられる。動作動詞、状態動詞の連用形に下接して条件可能を表し、文末の打消しの陳述によって条件可能を婉曲に打ち消す。 マ⸢ナ⸣マー ⸢バン⸣マー カ⸢キダ⸣ケー ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢bam⸣maː kḁ⸢kida⸣keː ⸢naː⸣nu] (今は、私には書くことができない<書けそうにない>)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣クナー ブ⸢リダケー ナー⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ⸣kunaː bu⸢ridakeː naː⸣nu] (今日はここに居ることができない<居れそうにない>)。 ク⸢ヌブン⸣シェー ⸢バン⸣マー プ⸢ス⸣ バ⸢ライダケー ナー⸣ヌ [ku⸢nubuŋ⸣ʃeː ⸢bam⸣maː pu̥⸢su⸣ ba⸢raidakeː naː⸣nu] (このままでは、私には他人を笑うことができそうにない<笑えそうにない>) 9824 0 0 9301 htmvoc_9824.wav タケーッシ ⸣タケー ッ⸢シ [⸣tḁkeː ʃ⸢ʃi] 連 身の程をわきまえて。⸢身の丈を知って」の転訛したもの。自分の能力の程度をわきまえて。 ⸢ドウー⸣ヌ ⸣タケー ッ⸢シル⸣ ムネー イ⸢ズ⸠ダー [⸢duː⸣nu ⸣tḁkeː ʃ⸢ʃiru⸣ muneː ʔi⸢ʣu⸠daː] (己の身の程をわきまえてものを言う<話をする>のだよ) 9825 0 0 9302 htmvoc_9825.wav タケーラ タ⸢ケーラ [tḁ⸢keːra] 名 豚の脂肉を炒って油分を除去した残滓。豚の油粕。 ⸢オー⸣ヌ タ⸢ケーラー ミー⸣スナ カ⸢ケー⸣シティ ⸢アンダミー⸣ス ス⸢ク⸣ローッタ [⸢ʔoː⸣nu tḁ⸢keːra miː⸣suna kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ⸢ʔandamiː⸣su su̥⸢ku⸣roːtta] (豚の油粕を味噌に混ぜて油味噌を造られた) 9827 0 0 9303 htmvoc_9827.wav タゴームン タ⸢ゴー⸣ムン [ta⸢goː⸣muŋ] 自動 叱責されてひねくれる(捻くれる)。ひがむ(僻む)。心がねじける。くじける(挫ける)。 ウ⸢リ タン⸣ガ ⸣ドゥク イ⸢ズ⸣カー タ⸢ゴー⸣ムンダ タ⸢ゴーマサン⸣ヨーニ ⸢ムール⸣ニ イ⸢ジ⸣ シゥ⸢カシ⸣バ [ʔu⸢ritaŋ⸣ga ⸣duku ʔi⸢ʣu⸣kaː ta⸢goː⸣munda ta⸢gaoːmasaŋ⸣joːni muː⸢ru⸣ni ʔi⸢ʤi⸣ si̥kaʃi⸣ba] (あれ一人をあまり叱ると\ruby{捻}{ヒネ}くれるから、捻くれさせないように全員に対して叱って教えなさいよ)。 タ⸢ゴー⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [ta⸢goː⸣mi ⸢naː⸣nu] (捻くれてしまった)。 ウ⸢ビッ⸣チンシ タ⸢ゴー⸣ム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bit⸣ʧiŋʃi ta⸢goː⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これぽっちで捻くれることはない)。 タ⸢ゴー⸣メー ⸣ミサムヌ [ta⸢goː⸣meː ⸣misamunu] (捻くれたら良いのに)。 タ⸢ゴー⸣ミバ [ta⸢goː⸣miba] (捻くれろ) 9826 0 0 9304 htmvoc_9826.wav タコーラ タ⸢コー⸣ラ [tḁ⸢koː⸣ra] 名 (動)蛇の一種。サキシマスジオ。宮古群島、八重山群島に棲息する大型の無毒蛇。西表島の伊武田地区、トゥ⸢マダ[tu⸢mada](トマダ地区)には戦時中に体長約2メートルのタ⸢コー⸣ラが棲息していた。 トゥ⸢マダヌ ター⸣ヌ ⸣アザナー ⸣ユー タ⸢コーラ⸣ヌ ⸢アウ⸣タトゥ ウ⸢ヤザ⸣バ ⸢ヌン⸣クミ ブ⸢タン⸣ダー [tu⸢madanu taː⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸣juː ta⸢koːra⸣nu ⸢ʔauta⸣tu ʔu⸢jaʣa⸣ba ⸢nuŋ⸣kumi bu⸢tan⸣daː] (トゥマダ地区の田圃の畦にタコーラがよく蛙と鼠を飲み込んでいたよ) 9828 0 0 9305 htmvoc_9828.wav タシ タ⸢シ [tḁ⸢ʃi] 名 補い。不足を足すこと。加えること。たしまえ。 イ⸢ズン⸣ タクーン ッ⸢ふァイティ ジーシキムヌ⸣ヌ タ⸢シ シー⸣バ [ʔi⸢ʣun⸣ tḁkuŋ f⸢faiti ʤiːʃi̥kimunu⸣nu tḁ⸢ʃi ʃiː⸣ba] (魚も蛸も食べて滋養分の補いにしなさいよ) 9829 0 1 9306 htmvoc_9829.wav ダシ ⸣ダシ [⸣daʃi] 名 {Mn_1}だし(出汁)。 イ⸢ズダシ [ʔi⸢ʣudaʃi] (魚出汁)。 ⸢オー⸣ヌ ⸣ダシ [⸢ʔoː⸣nu ⸣daʃi] (豚肉の出汁)。 カ⸢ツダシ [kḁ⸢ʦudaʃi] (カツオ出汁)。 カ⸢ツダシヌ⸣ シ⸢キティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [kḁ⸢ʦudaʃinu⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (カツオ出汁が効いて非常に美味しい)。 9829 0 2 9307 htmvoc_9829.wav ダシ ⸣ダシ [⸣daʃi] 名 {Mn_2}\ruby{小節}{コ|ブシ}。民謡、歌謡の装飾的節回し。情緒纏綿とした節回し。 ウ⸢リヌ⸣ ウター イッ⸢ケナ⸣ ダ⸢シ⸣ヌ ⸣アルユンダ シ⸢キグトゥ⸠ツォー [ʔu⸢rinu⸣ ʔutaː ʔik⸢kena⸣ da⸢ʃi⸣nu ⸣ʔarujunda ʃi̥⸢kigutu⸠ʦoː] (彼の歌は非常に情緒纏綿とした節回し<出汁>があって、しみじみととした聞き応えのある優れた歌<聞きごと>だ) 9873 0 0 9308 htmvoc_9873.wav タシゥカリン ⸢タシゥカ⸣リン [⸢tasi̥ka⸣riŋ] 自動 助けられる。救助できる。助かる。 マ⸢ナ⸣マン ⸢デー⸣カー ⸢タシゥカリン⸣ドゥ ⸣アトーケー ⸢タシゥカラン⸣ツォー [ma⸢na⸣man ⸢deː⸣kaː ⸢tasi̥karin⸣du ⸣ʔatoːkeː ⸢tasi̥karan⸣ʦoː] (今ならば助かるが、後になったら助からないそうだ)。 ⸣ドゥー ⸢タン⸣ガ ⸢タシゥカ⸣リ ⸣ミサカー ⸢タシゥカリ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣duː ⸢taŋ⸣ga ⸢tasi̥ka⸣ri ⸣misakaː ⸢tasi̥kari⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (己一人助かってよければ助かる<助けられる>ことは出来る)。 ⸢ワー タン⸣ガーンツァン ⸢タシゥカ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢waː taŋ⸣gaːnʦan ⸢tasi̥ka⸣reː ⸣misamunu] (君一人でも助かれば良いのに) 9839 0 0 9309 htmvoc_9839.wav タシゥカルン ⸢タシゥカ⸣ルン [⸢tasi̥ka⸣ruŋ] 自動 助かる。死やわざわい(禍)、罪などからまぬか<免>れる。救われる。若年層は、⸢タシカ⸣ルン[⸢taʃi̥ka⸣ruŋ](助かる)という。 ウ⸢ブヤン⸣ シ⸢ティ タシゥカ⸣ルンカヤーティ ⸢ソー シー ベータ⸣ヌ ⸢タシゥカラン⸣シェン [ʔu⸢bujaŋ⸣ ʃi̥⸢ti tasi̥ka⸣ruŋkajaːti ⸢soː ʃiː beːta⸣nu ⸢tasi̥karaŋ⸣ʃeŋ] (大病をして助かるかと心配していたが、助からなかった)。 ⸢タシゥカリ⸣ プサン [⸢tasi̥kari⸣ pu̥saŋ] (助かりたい)。 ⸢タシゥカ⸣ル ⸣ミチェー ⸣アン [⸢tasi̥ka⸣ru ⸣miʧeː ⸣ʔaŋ] (助かる方法<道>はある)。 ⸢タシゥカ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢tasi̥ka⸣reː ⸣misamunu] (助かれば良いのに)。 ヤー⸢ディン タシゥカ⸣リ⸢ヨー [jaː⸢din tasi̥ka⸣ri⸢joː] (きっと助かりなさいよ) 9874 0 0 9310 htmvoc_9874.wav タシゥカルン ⸢タシゥカルン [⸢tasi̥karuŋ] 自動 火が燃え出す。点火される。 カ⸢マチ⸣ナ ⸣ピー ⸢タシキルンティ スンドゥ⸣ タ⸢ム⸣ノー シ⸢ミッケー⸣リティ ⸢タシゥカラヌ [ka⸢maʧi⸣na ⸣piː ⸢taʃi̥kirunti sundu⸣ ta⸢mu⸣noː ʃi⸢mikkeː⸣riti ⸢tasi̥karanu] (竈に火を焚きつけよとするが、薪が湿って焚きつけられない)。 ⸣マー ン⸢ベーマ スー⸣カー ⸢タシゥカルン⸣カヤー [⸣maː ʔm⸢beːma suː⸣kaː ⸢tasi̥karuŋ⸣kajaː] (もう少ししたら火が燃え出すか<焚きつかれるか>なあ)。 ウ⸢ヌ シー⸣ヨーシェー ⸢タシゥカル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu ʃiː⸣joːʃeː ⸢tasi̥karu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (このやり方では点火されることはない)。 ⸢タシゥカリ ナー⸣ヌ [⸢tasi̥kari naː⸣nu] (点火して<点火されて>しまった)。 ⸢タシゥカレー⸣ ミサムヌ [⸢tasi̥kareː⸣ misamunu] (点火すれば<点火されれば>いいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢タシゥカリリ [⸢paː⸣ku ⸢tasi̥kariri] (早く燃え出せ<点火されよ>)。 ⸢タシゥカリ ヤッ⸣サン [⸢tasi̥kari jas⸣saŋ] (焚きつかれ<点火され>易い) 9830 0 0 9311 htmvoc_9830.wav タシカ タシ⸢カ [taʃi̥⸢ka] 形動 確かである。しっかりして動かない。間違いない。確実である。「糸周密也、・・纏綿也、太志加爾<たしかに>、又、牟豆末也加爾<むつまやかに>」『新撰字鏡』。深く切実であるさま。「切々、敬也憂也、多志加爾<たしかに>」『新撰字鏡』の義。 ⸣パル ⸣クトー タシ⸢カ ヤン⸣ナー⸢レー [⸣paru ⸣ku̥toː taʃi̥⸢ka jan⸣naː⸢reː] (行くことは確かだろうねえ)。 タシ⸢カナ⸣ クトー ア⸢ザラヌンドゥ⸣ ノー⸢シン⸣ パ⸢リ⸣ス ⸣パジ [taʃi̥⸢kana⸣ ku̥toː ʔa⸢ʣarandu⸣ noː⸢ʃim⸣ pa⸢ri⸣su ⸣paʤi] (確かなことは言えないが、きっと<どうしても>行くはずだ)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー タシ⸢カ⸣カヤー ナ⸢レー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː taʃi̥⸢ka⸣kajaː na⸢reː] (その話は確か<確実な話>だろうかねえ) 9831 0 0 9312 htmvoc_9831.wav タシカ タシ⸢カ [taʃi̥⸢ka] 副 たしか(慥)。断言できないが多分~。「切々、敬也憂也、多志加尓(たしかに)」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ タシ⸢カ ワール⸣ パ⸢ジミ⸣ カケータティ ⸣ウムー [ʔu⸢reː⸣ taʃi̥⸢ka waːru⸣ pa⸢ʤimi⸣ kḁkeːtati ⸣ʔumuː] (それは確か君が最初に書いたと思う)。 ⸣ウナー タシ⸢カ⸣ ア⸢リ⸣ブタンドゥ ⸢ナー⸣ヌ ⸢ヌー⸣シタカヤー [⸣ʔunaː taʃi̥⸢ka⸣ ʔa⸢ri⸣butandu ⸢naː⸣nu ⸢nuː⸣ʃi̥takajaː] (そこに確かにあった<有りおった>が、無いさ{EOS}如何したのだろう) 9832 0 0 9313 htmvoc_9832.wav タシカミルン ⸢タシカミ⸣ルン [⸢taʃi̥kami⸣ruŋ] 他動 確かめる。真偽を確認する。曖昧な点を明確にする。 ウ⸢レー ソームヌ⸣ユー ⸢タシカミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣ドゥーシェー ⸢タシカミララン⸣バ ⸢ワー⸣シ ⸢タシ⸣カミ ッ⸢ふィーリ [ʔu⸢reː soːmunu⸣juː ⸢taʃi̥kami⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸣duːʃeː ⸢taʃikamiraram⸣ba ⸢waː⸣ʃi ⸢taʃi̥⸣kami f⸢fiːri] (それは本物か<真贋を>を確かめようと思うが、自分では確かめられないから、君で確かめてくれ)。 ⸢タシカミ⸣ル ⸣クトー ク⸢トゥヤッ⸣サ ナ⸢リ⸣スンドゥ ⸣ナルカー ⸣ドゥーシ ⸢タシカミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢taʃi̥kami⸣ru ⸣ku̥toː ku̥⸢tujas⸣sa na⸢ri⸣sundu ⸣narukaː ⸣duːʃi ⸢taʃi̥kami⸣reː ⸣misamunu] (確かめることは簡単に出来るが、出来れば自分で確かめればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢タシカミ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢taʃi̥kami⸣ri] (早く確かめろ) 9833 0 0 9314 htmvoc_9833.wav タシカムン ⸢タシカ⸣ムン [⸢taʃi̥ka⸣muŋ] 他動 確かめる。真偽を確認する。曖昧な点を明確にする。「たしかむ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸣フネー イ⸢チ⸣ クーユー ⸢タシカ⸣ムンティ ⸢クータン⸣ドゥ ⸢バシキティ タシカマ⸣ムティ ⸣パリ ⸢ナーン⸣バ ⸢ワー ギー タシ⸣カミ ⸣クー [⸣ɸuneː ʔi⸢ʧi⸣ kuːjuː ⸢taʃi̥ka⸣munti ⸢kuːtan⸣du ⸢baʃi̥kiti taʃi̥kama⸣muti ⸣pari ⸢naːm⸣ba ⸢waː giː taʃi̥⸣kamiti ⸣kuː] (船はいつ来るのか確かめようと来たが、忘れて確かめずに行ってしまったので、君が行って確かめて来い)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢タシ⸣カム ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢taʃi̥⸣kamu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今日は確かめることは出来ない)。 ⸣ドゥーシ ⸢タシカ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸢taʃi̥ka⸣meː ⸣misamunu] (自分で確かめれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢タシカ⸣ミ [⸢paː⸣ku ⸢taʃi̥ka⸣mi] (早く確かめよ) 9834 0 0 9315 htmvoc_9834.wav タシキ ⸢タシ⸣キ [⸢taʃi̥⸣ki] 名 助け。救助。助けること。 ⸢ウイ⸣プソー バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸢タシキ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー イ⸢キララ⸣ヌ [⸢ʔui⸣pu̥soː ba⸢kaː⸣mununu ⸢taʃi̥ki⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ʔi⸢kirara⸣nu] (老人は若者の助けがないと生きられない) 9835 0 0 9316 htmvoc_9835.wav タシキルン ⸢タシキ⸣ルン [⸢taʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 助ける。救助する。 ⸢ウッふィプス タシキ⸣ルンティ ⸣ウイ ⸢パッタン⸣ドゥ ⸢タシキララン⸣シェン [⸢ʔuffipusu taʃi̥ki⸣runti ⸣ʔui ⸢pattan⸣du ⸢taʃi̥kiraraŋ⸣ʃeŋ] (溺れた人を救助しに泳いでいったが、助けられなかった)。 ⸢タシ⸣キ ⸣ミサカー ⸢タシキ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢taʃi̥⸣ki ⸣misakaː ⸢taʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (助けて良ければ助けることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢タシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢taʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (早く助ければ良いのに)。 ヤー⸢ディン タシキ⸣リ [jaː⸢din taʃi̥ki⸣ri] (必ず助けなさい)。 プ⸢ス タシキ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー ⸢タシキララ⸣ヌ マー⸢ズン⸣シ ⸢タシ⸣キ ッ⸢ふィーリ [pu̥⸢su taʃi̥ki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢taʃi̥kirara⸣nu maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ⸢taʃi̥⸣ki f⸢fiːri] (他人を助けようと思うが一人では助けられない{EOS}一緒に助けてくれ)。 ⸢タシキ⸣ル ⸣プソー マー⸢ズン⸣シ ⸢タシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢taʃi̥ki⸣ru ⸣pu̥soː maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ⸢taʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (助けるときは一緒に助ければよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢タシキ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢taʃi̥ki⸣ri] (早く助けろ) 9875 0 0 9317 htmvoc_9875.wav タシキルン ⸢タシキルン [⸢taʃi̥kiruŋ] 他動 点火する。火を焚きつける。火を起こす。燃やす。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ カ⸢マチ⸣ナ ⸣ピー ⸢タシキルンティ ベーン⸣ドゥ ⸢タシキラランバ⸣ ア⸢カ⸣シ ⸣トゥギ ⸢タシキ ッふィーリ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ka⸢maʧi⸣na ⸣piː ⸢taʃi̥kirunti beːn⸣du ⸢taʃi̥kiraramba⸣ ʔa⸢ka⸣ʃi ⸣tugi ⸢taʃi̥ki ffiːri] (朝早く竈に火を焚きつけようとしているが、焚きつけられないからアカシ<松脂を含む松の幹の欠片>を持ってきて焚きつけてくれ)。 ⸣ピー ⸢タシキル⸣ ピンマー ア⸢カ⸣シシ ⸢タシキレー⸣ ミサムヌ [⸣piː ⸢taʃi̥kiru⸣ pimmaː ʔa⸢ka⸣ʃiʃi ⸢taʃi̥kireː⸣ misamunu] (火を焚きつける時はアカシで焚きつければ良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢タシキリ [⸢paː⸣ku ⸢taʃi̥kiri] (早く焚きつけろ) 9836 0 1 9318 htmvoc_9836.wav タジナイルン タ⸢ジナイ⸣ルン [ta⸢ʤinai⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}訪ねる。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢ジナイ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー タ⸢ジナイララン⸣ツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢su⸣ ta⸢ʤinai⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ta⸢ʤinairaran⸣ʦoː] (その人を訪ねようと思うのだが、一人では訪ねられないそうだ)。 タ⸢ジ⸣ナイ ⸣ミサカー タ⸢ジナイ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ta⸢ʤi⸣nai ⸣misakaː ta⸢ʤinai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (訪ねて良ければ訪ねることは出来る)。 ⸢パイ⸣サ タ⸢ジナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢pai⸣sa ta⸢ʤinai⸣jaː ⸣misamunu] (早く訪ねれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ タ⸢ジナイ⸣リ [jaː⸢din⸣ ta⸢ʒinai⸣ri] (必ず訪ねなさい)。 ⸣サンギンソーヌ ⸣ヤー タ⸢ジナイ⸣ルンティ ⸢アークン⸣ドゥ タ⸢ジナイララ⸣ヌ マー⸢ズン⸣ タ⸢ジ⸣ナイ ッ⸢ふィーリ [⸣saŋginsoːnu ⸣jaː ta⸢ʤinai⸣runti ⸢ʔaːkun⸣du ta⸢ʤinairara⸣nu maː⸢ʣuŋ⸣ ta⸢ʤi⸣nai ⸢ffiːri] (易者<三世相>の家を探し訪ねているが探せない{EOS}一緒に探して<訪ねて>くれ)。 ⸢キュー⸣ヤ タ⸢ジナイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣バ ⸣アツァー タ⸢ジナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢kjuː⸣ja ta⸢ʤinai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ram⸣ba ⸣ʔaʦaː ta⸢ʤinai⸣jaː ⸣misamunu] (今日は訪ねることは出来ないから明日訪ねれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ タ⸢ジナイ⸣リ [jaː⸢din⸣ ta⸢ʤinai⸣ri] (必ず探し訪ねよ)。 {Mn_2}尋ねる。問う。 ッ⸢サン⸣カー プ⸢スン⸣ タ⸢ジナイ⸣ル ⸣クトゥ [s⸢saŋ⸣kaː pu̥⸢sun⸣ ta⸢ʤinai⸣ru ⸣ku̥tu] (知らなければ他人に尋ね聞くこと) 9837 0 1 9319 htmvoc_9837.wav タジナウン タ⸢ジ⸣ナウン [ta⸢ʤi⸣nauŋ] 他動 {Mn_1}訪ねる。 ⸢ウン⸣ネー タ⸢ジ⸣ナイ ⸢ゲー⸣タン [⸢ʔun⸣neː ta⸢ʤi⸣nai ⸢geː⸣tan] (あの家に訪ねて行ったことがある)。 タ⸢ジ⸣ナウンティ ⸣ウムーカー タ⸢ジ⸣ナウ ⸣クトー ⸣ナルン [ta⸢ʤi⸣naunti ⸣ʔumuːkaː ta⸢ʤi⸣nau ⸣kutoː ⸣naruŋ] (訪ねようと思えば訪ねることは出来る)。 ⸢タンガ⸣シェー タ⸢ジナーラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃeː ta⸢ʤinaːra⸣nu] (一人では訪ねられない)。 タ⸢ジナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ta⸢ʤinai⸣jaː ⸣misamunu] (訪ねれば良いのに)。 タ⸢ジ⸣ナイバ [ta⸢ʤi⸣naiba] (訪ねなさいよ) 9879 0 0 9320 htmvoc_9879.wav タジナウン タ⸢ジ⸣ナウン [ta⸢ʤi⸣nauŋ] 他動 尋ねる。問う。質問する。 プ⸢スンナー⸣ニ タ⸢ジ⸣ナウンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢ジ⸣ナイ ⸣ミサンカヤー [pu̥⸢sunnaː⸣ni ta⸢ʤi⸣naunti ʔu⸢muːn⸣du ta⸢ʤi⸣nai ⸣misaŋkajaː] (他人に尋ねようと思うが尋ねてもいいかねえ)。 ッ⸢サン⸣ トンマー タ⸢ジナーン⸣カー ワ⸢カラン⸣バ タ⸢ジ⸣ナウクトゥ [s⸢san⸣ tommaː ta⸢ʤinaːŋ⸣kaː wa⸢karam⸣ba ta⸢ʤi⸣nau ⸣ku̥tu] (知らないことは尋ね聞かないと分からないから質問する<尋ねる>ことだ)。 ッ⸢サン⸣ トンマー プ⸢スンナー⸣ニン タ⸢ジ⸣ナウン [s⸢san⸣ tommaː pu̥⸢sunnaː⸣nin ta⸢ʤi⸣nauŋ] (知らないところは他人にも尋ねる)。 タ⸢ジナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ta⸢ʤinai⸣ja ⸣misamunu] (質問すれば<尋ねれば>よいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢ジ⸣ナイバ [⸢paː⸣ku ta⸢ʤi⸣naiba] (早く質問し<尋ね>なさい) 9838 0 0 9321 htmvoc_9838.wav タシマ タ⸢シマ [tḁ⸢ʃima] 名 他島。他の島。他の村。 タ⸢シマヌ⸣ キ⸢ザルヌ⸣ ナ⸢ライ⸣ヤー パ⸢トゥマ⸣トー ⸢カウリス [tḁ⸢ʃimanu⸣ ki⸢ʣarunu⸣ na⸢raji⸣jaː pḁ⸢tuma⸣toː ⸢kaurisu] (他の島の年中行事は鳩間島とは違う<変わる>) 9840 0 0 9322 htmvoc_9840.wav タスクン ⸢タス⸣クン [⸢tasu̥⸣kuŋ] 他動 助ける。救う。救助する。助力する。「~すめろきの御霊多須氣弖(タスケテ)~。万、4094」の転訛したもの。 プ⸢ス タス⸣クンティ ⸢ベーン⸣ケン ⸢ウッふィティ⸣ プ⸢スン タシゥカ⸣リ ⸢ベー⸣ツォー [pu̥⸢su tasu̥⸣kunti ⸢beːŋ⸣keŋ ⸢ʔuffiti⸣ pu̥⸢sun tasï̥ka⸣ri ⸢beː⸣ʦoː] (人を助けようとしている時に溺れて、人に助けられているそうだ)。 ⸢タシ⸣キ ⸣ミサカー ⸢タス⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [⸢taʃi⸣ki ⸣misakaː ⸢tasu̥⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (助けてよければ助けることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢タシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢taʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (早く助ければ良いのに)。 ⸢タシ⸣キバ [⸢taʃi̥⸣kiba] (助けよ)。若年層は、⸢タシ⸣クン[⸢taʃi̥⸣kuŋ](助ける)ともいう。 プ⸢ス タス⸣クンティ ⸣ウムーカー マー⸢ズン⸣シ ⸢タシゥ⸣カ⸢ディー [pu̥⸢su tasu̥⸣kunti ⸣ʔumuːkaː maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ⸢tasi̥⸣ka⸢diː] (他人を助けようと思うなら一緒に助けようよ)。 ⸣バー ⸢タシ⸣キ ⸣ミサカー ⸢タス⸣ク ⸣クトー ナルン⸢ダー [⸣baː ⸢taʃi̥⸣ki ⸣misakaː ⸢tasu̥⸣ku ⸣ku̥toː narun⸢daː] (私が助けてよければ、助けることは出来るよ)。 ⸢パー⸣ク ⸢タシ⸣キ [⸢paː⸣ku ⸢taʃi̥⸣ki] (早く助けよ) 9876 0 0 9323 htmvoc_9876.wav タスクン ⸢タスクン [⸢tasu̥kuŋ] 他動 点火する。火を焚きつける。火を起こす。燃やす。「焚きつく」の義。「海人をとめ伊射里多久火能<イザリ・タク・ヒノ>~。万、3899」の転訛したもの。 ⸣ピー ⸢タスクンティ スゥンドゥ⸣ タ⸢ム⸣ノー シ⸢ミッケー⸣リティ ⸢タシゥカランバ ワー⸣シ ⸢タシキ ッふィーリ [⸣piː ⸢tasu̥kunti sundu⸣ ta⸢mu⸣noː ʃi⸢mikkeː⸣riti ⸢tasï̥karamba waː⸣ʃi ⸢taʃi̥ki ffiːri] (火を焚きつけようとするが、薪は湿って焚きつけられないから、君で焚きつけてくれ)。 ⸣ピー ⸢タスク⸣ ピンマー ア⸢カ⸣シシ ⸢タシケー⸣ ミサムヌ [⸣piː ⸢tasu̥ku⸣pimmaː ʔa⸢ka⸣ʃiʃi ⸢taʃi̥keː⸣ misamunu] (火を焚きつけるときはアカシ<松脂を多く含む松の幹の欠片>で焚きつければ良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ピー ⸢タシキ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸣piː ⸢taiʃi̥ki⸣ba] (早く火を焚きつけろよ) 9841 0 0 9324 htmvoc_9841.wav タダ タ⸢ダ [ta⸢da] 名 名詞。ただ。無料。報酬の無いこと。標準語からの借用語。普通は、イ⸢タン⸣ダ[ʔi⸢tan⸣da](無料{EOS}「徒<いたづら>」の転訛)という。 シ⸢バヤー⸣ タ⸢ダ⸣シ ミ⸢サ⸣ソールンツォー [ʃi⸢bajaː⸣ ta⸢da⸣ʃi mi⸢sa⸣soːrunʦoː] (芝居を無料<ただ>で見せてくれるそうだ)。 タ⸢ダムノー ダイダカムヌ⸣ティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [ta⸢damunoː daidakamunu⸣ti ʔa⸢ʣaribuː⸣daː] (無料のもの<ただもの>は値段の高いもの<値段が高く付く>と言われているよ) 9842 0 0 9325 htmvoc_9842.wav タダーイ タ⸢ダーイ [ta⸢daːji] 副 どんどん。どしどし。次から次へ。タダー⸢イ[tadaː⸢ji]は強調表現。 ⸢マー⸣ス タ⸢ク⸣ ピンマー タ⸢ダーイ⸣ タ⸢ム⸣ノー イ⸢ビ モーシェー⸣ティル タ⸢クタ [⸢maː⸣su tḁ⸢ku⸣ pimmaː ta⸢daːji⸣ ta⸢mu⸣noː ʔi⸢bi moːʃeː⸣tiru tḁ⸢kuta] (塩を焚く時はどんどん薪をくべて燃やしながら焚いた)。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アル ⸣ピンマー タダー⸢イ⸣ ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢マ⸣シ [ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaru ⸣pimmaː tadaː⸢ji⸣ mi⸢ʤi⸣ nu⸢ma⸣ʃi] (熱がある時は、どんどん水を飲ませなさい)。「意識的に、連続的に、ますます~する」の意に多く用いられる。 タ⸢ダーイ⸣ タ⸢ム⸣ノー イ⸢ベー⸣ティ ⸣ユー フ⸢カ⸣シ [ta⸢daːji⸣ ta⸢mu⸣noː ʔi⸢beː⸣ti ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi] (次第に薪をくべて<焼べて>湯を沸かせ) 9843 0 0 9326 htmvoc_9843.wav タタカー タ⸢タ⸣カー [ta⸢ta⸣kaː] 名 追い込み漁法の一つ。⸣タカアン[⸣tḁkaʔaŋ](高網)や⸣キタアン[⸣ki̥taʔaŋ](桁網)を4~5⸣キタ[⸣ki̥ta](張り<桁>)繋ぎ合わせて魚の通り道に張っておき、数人の人が竹や竿で海面を叩いたり、珊瑚礁を突っついて魚を追い込み、網に引っ掛けて漁獲する漁法。夜は潮時をみて、2~3人で組んで海岸やピ⸢ザ⸣フチ[pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧi](渚)などで魚を巻いて漁獲した 9844 0 0 9327 htmvoc_9844.wav タタカースン タ⸢タカー⸣スン [tḁ⸢takaː⸣suŋ] 他動 戦わせる。争わせる。喧嘩させる。普通は、⸢スー⸣ブ シ⸢ミルン[⸢suː⸣bu ʃi⸢miruŋ](勝負させる)という。 ⸢インヌムラトゥ アンヌムラ⸣ タ⸢タカー⸣スン [⸢ʔinnumuratu ʔannumura⸣ tḁ⸢takaː⸣suŋ] (西村と東村を戦わせる)。 タ⸢タカーサン⸣ドーシ キ⸢ミリ [tḁ⸢takaːsan⸣doːʃi ki⸢miri] (戦わせないで決めろ)。 タ⸢タカーシ⸣ プサン [tḁ⸢takaːʃi⸣ pu̥saŋ] (戦わせたい)。 タ⸢タカー⸣ス ⸣クトゥ [tḁ⸢takaː⸣su ⸣ku̥tu] (戦わせること)。 タ⸢タカー⸣シェー ⸣ミサムヌ [tḁtakaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (戦わせればよいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢タカー⸣シ [⸢paː⸣ku tḁ⸢takaː⸣ʃi] (早く戦わせろ)。「Tatacai,o:,o:ta.タタカイ,ゥ,ゥタ」(戦ひ,ふ,うた)闘争する,抗争する」『邦訳日葡辞書』の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる)が付いて転訛したもの。 ブ⸢ラクジョーカイ⸣ナ イ⸢キン⸣ タ⸢タカー⸣スンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ タ⸢タカーサラン⸣シェン [bu⸢rakuʤoːkai⸣na ʔi⸢kin⸣ tḁ⸢takaː⸣sunti ʔu⸢muːta⸣nu tḁ⸢takaːsaraŋ⸣ʃeŋ] (部落常会で意見を戦わせようと思ったが、戦わされなかった) 9845 0 0 9328 htmvoc_9845.wav タタカイ タ⸢タ⸣カイ [tḁ⸢ta⸣kai] 名 戦い。戦争。争い。喧嘩。 ル⸢クジュー⸣ニン ⸣マイヌ ⸢ニッポン⸣トゥ ア⸢メリカ⸣ヌ タ⸢タ⸣カイナー ク⸢ヌ⸣ シマナーティ ⸢マーラソー⸣レー プ⸢ソー⸣ ニジューマンニン ⸣アマリ ⸢オー⸣ルンティ⸢ダー [ru⸢kuʤuː⸣nim ⸣mainu ⸢nippon⸣tu ʔa⸢merika⸣nu tḁ⸢ta⸣kainaː ku⸢nu⸣ ʃimanaːti ⸢maːrasoː⸣reː pu̥⸢soː⸣ niʤuːmanniŋ ⸣ʔamari ⸢ʔoː⸣runti⸢daː] (六十年前の日本とアメリカの戦いで、この島において亡くなられて人は二十万人余りおられるそうだよ)。 タ⸢タカイ⸣ヌ パ⸢ジマルン [tḁ⸢taki⸣nu pa⸢ʤimaruŋ] (戦いが始まる) 9846 0 0 9329 htmvoc_9846.wav タタカウン タ⸢タ⸣カウン [tḁ⸢ta⸣kauŋ] 自動 戦う。喧嘩する。争う。闘う。 プ⸢ストゥ⸣ タ⸢タ⸣カウンティ ウ⸢ムー⸣ナ タ⸢タカーン⸣ドーシ パ⸢ナシアー⸣シ [pu̥⸢sutu⸣ tḁ⸢ta⸣kaunti ʔu⸢muː⸣na tḁ⸢takaːn⸣doːʃi pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi] (他人と戦おうと思うな{EOS}戦わないで話し合いなさい)。 タ⸢タ⸣カイ ⸣ミサカー ター⸢ントゥン⸣ タ⸢タ⸣カウ ⸣クトー ⸣ナルン [tḁ⸢ta⸣kai ⸣misakaː taː⸢ntun⸣ tḁ⸢ta⸣kau ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (戦ってよければ誰とでも戦うことが出来る)。 タ⸢タカイ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [tḁ⸢takai⸣jaː na⸢ra⸣nu] (戦ってはならない)。 ⸢タンガ⸣シ タ⸢タ⸣カイバ [⸢taŋga⸣ʃi tḁ⸢ta⸣kaiba] (一人で戦えよ)。 ⸢ヤンマイ⸣トゥ タ⸢タ⸣カウンティ ⸣ウムーカー ⸣ヌチカギリ タ⸢タカーン⸣カー ⸢ノーサラ⸣ヌ [⸢jammai⸣tu tḁ⸢ta⸣kaunti ⸣ʔumuːkaː ⸣nuʧikagiri tḁ⸢takaːŋ⸣kaː ⸢noːsara⸣nu] (病気と戦おうと思ったら一所懸命<命の限り>戦わないと治されない)。 タ⸢タ⸣カイ ⸣ミサン [tḁ⸢ta⸣kai ⸣misaŋ] (戦ってよい)。 タ⸢タ⸣カウ ⸣クトゥ [tḁ⸢ta⸣kau ⸣ku̥tu] (戦うこと)。 タ⸢タカイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢takai⸣jaː ⸣misamunu] (戦えばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ タ⸢タ⸣カイバ [jaː⸢din⸣ tḁ⸢ta⸣kaiba] (必ず戦えよ) 9883 0 1 9330 htmvoc_9883.wav タタカウン タ⸢タ⸣カウン [tḁ⸢ta⸣kauŋ] 自動 {Mn_1}戦う。戦争する。 サ⸢キヌ⸣ イ⸢ク⸣サナー ⸢ニッポン⸣マー ア⸢メリカ⸣トゥ タ⸢タ⸣カイティ マ⸢ケー⸣ダー [sḁ⸢kinu⸣ ʔi⸢ku⸣sanaː ⸢nippom⸣maː ʔa⸢merika⸣tu tḁ⸢ta⸣kaiti ma⸢keː⸣daː] (先の戦争で日本はアメリカと戦って負けたのだよ)。 9883 0 2 9331 htmvoc_9883.wav タタカウン タ⸢タ⸣カウン [tḁ⸢ta⸣kauŋ] 自動 {Mn_2}競技などで競う。勝負する。 ク⸢トシェー⸣ ヤ⸢キュー⸣ヤ ⸢マー⸣ヌ ⸢ガッコー⸣トゥ タ⸢タカウ⸣ワ [ku̥⸢tuʃeː⸣ ja⸢kjuː⸣ja ⸢maː⸣nu ⸢gakkoː⸣tu tḁ⸢takau⸣wa] (今年は、野球は何処の学校と戦うか)。 カ⸢リトー⸣ ク⸢トゥシン⸣ タ⸢タ⸣カウンティ キ⸢マリ ブーヌ⸣ ナ⸢チバー⸣ケー タ⸢タカー⸣ヌ [ka⸢ritoː⸣ ku̥⸢tuʃin⸣ tḁ⸢ta⸣kaunti ki⸢mari buːnu⸣ na⸢ʧibaː⸣keː tḁ⸢takaː⸣nu] (彼とは今年も戦うと決まっているが、夏までは戦わない) 9857 0 0 9332 htmvoc_9857.wav タタキバルン タ⸢タキ⸣バルン [tḁ⸢taki⸣baruŋ] 他動 叩き割る。たたいて割る。打ち破る。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リティ ⸣マカルドング タ⸢タキ⸣バルンティ シ⸢タンドゥ⸣ タ⸢タキバララン⸣シェン [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣riti ⸣makarudoŋgu tḁ⸢taki⸣barunti ʃi̥⸢tandu⸣ tḁ⸢takibararaŋ⸣ʃeŋ] (怒って食器類「椀、杯也、万利<まり>『新撰字鏡』の義」を叩き割ろうとしたが、叩き割られなかった)。 タ⸢タキ⸣バリ ッ⸢ふィーリ [tḁ⸢taki⸣bari f⸢fiːri] (叩き割ってくれ)。 タ⸢タキ⸣バル ⸣ピン [tḁ⸢taki⸣baru ⸣piŋ] (叩き割る時)。 タ⸢タキ⸣バレー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢taki⸣bareː ⸣misamunu] (叩き割ればよいのに)。 ⸣ドゥーシ タ⸢タキ⸣バリ [⸣duːʃi tḁ⸢taki⸣bari] (自分で叩き割れ) 9847 0 0 9333 htmvoc_9847.wav タダグトゥ タ⸢ダグトゥ [ta⸢dagutu] 名 尋常なこと。普通のこと。あたりまえのこと。ただごと。下に打消しの語を伴って用いられることが多い。 ウ⸢レー⸣ タ⸢ダグトー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ta⸢dagutoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (それは尋常のこと<ただごと>ではないぞ) 9884 0 0 9334 htmvoc_9884.wav タタスン タ⸢タ⸣スン [tḁ⸢ta⸣suŋ] 他動 立たす。立たせる。⸣タトゥン[⸣tḁtuŋ](立つ)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~す{EOS}~さす)が付いて形成された使役動詞。 ⸣クナー ⸢タン⸣ガ タ⸢タ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢タサラ⸣ヌ [⸣kunaː ⸢taŋ⸣ga tḁ⸢ta⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du tḁ⸢tasara⸣nu] (ここに一人立たせようと思うが、立たされない)。 タ⸢タ⸣シ ⸣ミサカー タ⸢タ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [tḁ⸢ta⸣ʃi ⸣misakaː tḁ⸢ta⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (立たせて良ければ、立たせることは出来る)。 タ⸢タ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢ta⸣ʃeː ⸣misamunu] (立たせば良いに)。 ヤー⸢ディン⸣ クナー タ⸢タ⸣シ [jaː⸢diŋ⸣ kunaː tḁ⸢ta⸣ʃi] (必ずここに立たせよ) 9848 0 0 9335 htmvoc_9848.wav タダスン タ⸢ダ⸣スン [ta⸢da⸣suŋ] 他動 正す。糾す。「Tadaxi,su,aita.タダシ,ス,イタ(正・糾し,し,いた)取り調べて,審理する.ある人の血統や家系を取り調べる」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢バン⸣テヌ ⸢ヤーム⸣トゥ タ⸢ダ⸣スンティ ム⸢ヌシリ⸣ヌ ⸣ヤー ⸢ゲータ⸣ヌ タ⸢ダサラン⸣シェン [⸢ban⸣tenu ⸢jaːmu⸣tu ta⸢da⸣sunti mu⸢nuʃiri⸣nu ⸣jaː ⸢geːta⸣nu ta⸢dasaraŋ⸣ʃeŋ] (私の家の元祖を糾そうと三世相<易者{EOS}物知り>の家に行ったが、糾されなかった)。 タ⸢ダ⸣シ ⸣ミサカー タ⸢ダ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ta⸢da⸣ʃi ⸣misakaː ta⸢da⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (糾してよければ正すことは出来る)。 タ⸢ダ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ta⸢da⸣ʃeː ⸣misamunu] (糾せばいいのに)。 タ⸢ダ⸣シバ [ta⸢da⸣ʃiba] (糾せよ)。正しくする。罪過の有無を追及する。\ruby{糾}{タダ}す。 ⸢タール ワッ⸣サユー タ⸢ダ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ タ⸢ダサラ⸣ヌ [⸢taːru was⸣sajuː ta⸢da⸣sunti ⸢sundu⸣ ta⸢dasara⸣nu] (誰が悪いか糾そうとするが、糾されない)。 ク⸢ヌ ウイ⸣ タ⸢ダ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu ʔui⸣ ta⸢da⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これ以上糾すことは出来ない)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢ダ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ta⸢da⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと糾せばいいのに)。 タ⸢ダ⸣シ [ta⸢da⸣ʃi] (糾せ) 9849 0 0 9336 htmvoc_9849.wav タタッキスン タ⸢タッ⸣キスン [tḁ⸢tak⸣kisuŋ] 他動 ぶった切る。「叩き切る」の義。 イ⸢ズバザイカタナ⸣シ カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブル⸣バ タ⸢タッ⸣キスンティ ⸢ベー⸣ヌ タ⸢タッキサン⸣ドーシ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸣キシバ [ʔi⸢ʣubaʣaikatana⸣ʃi ka⸢ʦunu⸣ su⸢buru⸣ba tḁ⸢tak⸣ki̥sunti ⸢beː⸣nu tḁ⸢takki̥san⸣doːʃi jaː⸢rama⸣ʃi ki̥ʃiba] (魚解体用の包丁でカツオの頭をぶった切ろうとしているが、ぶった切らないで柔らかく丁寧に切りなさい)。 タ⸢タッキ⸣シ ッ⸢ふィーリ [tḁ⸢tak⸣ki̥ʃi f⸢fiːri] (ぶった切ってくれ)。 タ⸢タッ⸣キス ⸣クトゥ [tḁ⸢tak⸣ki̥su ⸣ku̥tu] (ぶった切ること)。 タ⸢タッ⸣キシェー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢tak⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (ぶった切ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢タッ⸣キシ [⸢paː⸣ku tḁ⸢tak⸣ki̥ʃi] (早くぶった切れ) 9851 0 0 9337 htmvoc_9851.wav タタックバスン タ⸢タックバ⸣スン [tḁ⸢takkuba⸣suŋ] 他動 ぶちこぼす(\ruby{零}{コボ}す)。ぶっ零す。水や粉を意図的に容器より勢いよく零す。「たたき零す」の義。 タ⸢タックバ⸣スンティ ⸢ウムータン⸣ドゥ ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸣ナリティ タ⸢タックバサラン⸣シェン [tḁ⸢takkuba⸣sunti ʔu⸢muːtan⸣du ʔu⸢mui⸣ʦaː ⸣nariti tḁ⸢takkubasaraŋ⸣ʃeŋ] (ぶち零そうと思ったが、惜しく思われてぶち零されなかった)。 タ⸢タックバ⸣シ シ⸢ティリ [tḁ⸢takkuba⸣ʃi ʃi̥⸢tiri] (ぶち零し捨てろ)。 タ⸢タックバ⸣ス ⸣クトー ス⸢ナ [ta⸢takkuba⸣su ⸣ku̥toː su⸢na] (ぶっ零すことはするな)。 タ⸢タックバ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢takkuba⸣ʃeː ⸣misamunu] (ぶっ零せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢タックバ⸣シ [⸢paː⸣ku tḁ⸢takkuba⸣ʃi] (早くぶっ零せ) 9852 0 0 9338 htmvoc_9852.wav タタックムン タ⸢タッ⸣クムン [tḁ⸢tak⸣kumuŋ] 他動 放り込む。「叩き込む」の義。 ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナーン⸣ ムノー ⸢クン⸣ナー タ⸢タッ⸣クムンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ピー⸣チナー タ⸢タックマラン⸣バ ビ⸢チ⸣ヌ ⸣ムヌナー タ⸢タッ⸣クミ ッ⸢ふィーリ [⸢juː⸣ʣoː ⸢naːm⸣ munoː ⸢kun⸣naː tḁ⸢tak⸣kumunti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢piː⸣ʧinaː tḁ⸢takkumaram⸣ba bi⸢ʧi⸣nu ⸣mununaː tḁ⸢tak⸣kumi f⸢fiːri] (役に立たない物は、これに放り込もうと思ったが、一つには放り込めないので別の物に放り込んでくれ)。 タ⸢タッ⸣クム ⸣ムヌ [tḁ⸢tak⸣kumu ⸣munu] (放り込むもの)。 タ⸢タッ⸣クメー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢tak⸣kumeː ⸣misamunu] (放り込めばよいのに)。 ⸣ドゥーシ タ⸢タッ⸣クミ [⸣duːʃi tḁ⸢tak⸣kumi] (自分で放り込め)。動詞⸣クムン[⸣kumuŋ](籠める)の頭に強意の接頭語タ⸢タキ[tḁ⸢taki](叩き~<する>{EOS}乱暴に~<する>{EOS}ぶち~<する>)が付いた形。 ⸢ウーキ⸣ン ナ⸢カー⸣ タ⸢タッ⸣クムン [⸢ʔuːki⸣n na⸢kaː⸣ tḁ⸢tak⸣kumuŋ] (桶の中にぶち込む)。 ⸣アイニ タ⸢タックマン⸣ドーシ ヤー⸢ラマ⸣シ イ⸢リリ⸣バ [⸣ʔaini tḁ⸢takkuman⸣doːʃi jaː⸢rama⸣ʃi ʔi⸢riri⸣ba] (あんなにぶち込まないで、優しく柔らかに入れなさい) 9854 0 0 9339 htmvoc_9854.wav タタックラサリン タ⸢タックラサ⸣リン [tḁ⸢takkurasa⸣riŋ] 他動 ひどく叩かれる。ぶったたかれる。タ⸢タックラ⸣スン[tḁ⸢takkura⸣suŋ](ぶっ叩く)の未然形に、受身、可能の⸣助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が下接して受身動詞、可能動詞として派生したもの。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸣ウヤン タ⸢タックラサ⸣リン [ja⸢naku̥tu suː⸣kaː ⸣ʔujan tḁ⸢takkurasa⸣riŋ] (悪事を働く<する>と、親にぶっ叩かれる) 9853 0 0 9340 htmvoc_9853.wav タタックラスン タ⸢タックラ⸣スン [tḁ⸢takkura⸣suŋ] 他動 ぶん殴る。強く殴る。したたかに殴る。「叩き殺す」の転訛。 ヤ⸢ナクトゥ⸣ シ⸢ター⸣ タ⸢タックラ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ケンマー ⸢ピンギラ⸣リティ タ⸢タックラサラ⸣ヌ ⸢サーリ⸣ クーカー タ⸢タックラ⸣シ ⸣ミサン [ja⸢nakutu⸣ ʃi̥⸢taː⸣ tḁ⸢takkura⸣sunti ⸢beːŋ⸣kemmaː ⸢piŋgira⸣riti tḁ⸢takkurasara⸣nu ⸢saːri⸣ kuːkaː tḁ⸢takkura⸣ʃi ⸣misaŋ] (悪い事をしたのでぶん殴ろうとしているうちに逃げられて、ぶん殴られない{EOS}連れてきたらぶん殴ってもいい)。 タ⸢タックラ⸣ス ⸣クトゥ [tḁ⸢takkura⸣su ⸣ku̥tu] (ぶん殴ること)。 タ⸢タックラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢takkura⸣ʃeː ⸣misamunu] (ぶん殴ればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ タ⸢タックラ⸣シ [jaː⸢din⸣ tḁ⸢takkura⸣ʃi] (必ずぶん殴れ)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カン⸣カー タ⸢タックラ⸣スン⸢ダー [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kaŋ⸣kaː tḁ⸢takkura⸣sun⸢daː] (親のいうことを聞かないとしたたかに殴るぞ)。 タ⸢タックラサ⸣ヌ [tḁ⸢takkurasa⸣nu] (ぶん殴らない)。 タ⸢タックラシ⸣ プサン [tḁ⸢takkuraʃi⸣ pu̥saŋ] (ぶん殴りたい) 9850 0 1 9341 htmvoc_9850.wav タタックン タ⸢タッ⸣クン [tḁ⸢tak⸣kuŋ] 他動 {Mn_1}叩く。続けて打つ。 ⸣アブジェー ⸣カタ タ⸢タッ⸣クンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢ティー⸣ヌ ⸣ヤミ タ⸢タッカラン⸣バ ⸣バー ⸢カール⸣ タ⸢タッ⸣キ ⸢オーシ [⸣ʔabuʤeː ⸣kḁta tḁ⸢tak⸣kunti ⸢beːn⸣du ⸢tiː⸣nu ⸣jami tḁ⸢takkaram⸣ba ⸣baː ⸢kaːru⸣ tḁ⸢tak⸣ki ⸢ʔoːʃi] (お祖父さんの肩を叩こうとしているが、手が痛くて叩かれないから、私の代わりに叩いて差し上げなさい)。 ⸣カタ タ⸢タッ⸣ク ⸣クトゥ [⸣kḁta tḁ⸢tak⸣ku ⸣ku̥tu] (肩を叩くこと)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢タッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin tḁ⸢tak⸣keː ⸣misamunu] (もっと叩けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢タッ⸣キ [⸢paː⸣ku tḁ⸢tak⸣ki] (早く叩け)。 9850 0 2 9342 htmvoc_9850.wav タタックン タ⸢タッ⸣クン [tḁ⸢tak⸣kuŋ] 他動 {Mn_2}ぶつ。殴る。 ⸣アイニ プ⸢ス⸣ タ⸢タック⸣ナ [⸣ʔaini pu̥⸢su⸣ tḁ⸢takku⸣na] (あんなに他人をぶつなよ)。 ブ⸢チ⸣クン シ⸢ティ⸣ イキ シ⸢マ⸣ル ⸣ピンマ ク⸢シナカ⸣ タ⸢タッ⸣クカー ⸣イキ ⸢フッカイスン [bu⸢ʧi⸣kuŋ ʃi̥⸢ti⸣ ʔiki ʃi⸢ma⸣ru ⸣pimma ku̥⸢ʃinaka⸣ tḁ⸢tak⸣kukaː ⸣ʔiki ⸢ɸukkaisuŋ] (気絶して息が詰まって<止まって>いる時は、背中を叩くと息を吹き返す)。 タ⸢タッカ⸣ヌ [tḁ⸢takka⸣nu] (叩かない)。 タ⸢タッキ⸣ プサン [tḁ⸢takki⸣ pu̥saŋ] (叩きたい)。 タ⸢タッ⸣ク ⸣クトゥ [tḁ⸢tak⸣ku ⸣ku̥tu] (叩くこと)。 タ⸢タッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢tak⸣keː ⸣misamunu] (叩けば良いのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢タッ⸣キ [⸢paː⸣ku tḁ⸢tak⸣ki] (早く叩け) 9855 0 0 9343 htmvoc_9855.wav タタッケールン タ⸢タッケー⸣ルン [tḁ⸢takkeː⸣ruŋ] 他動 ぶっきる(打っ切る)。ぶったぎる(打つ手切る)。たたき切る。荒く切る。山刀や大刀で樹木などを打ち切る。 ⸢キーヌ⸣ユダ タ⸢タッケー⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ タ⸢カー⸣ヌ タ⸢タッケーララン⸣バ ⸢ワー⸣ タ⸢タッケー⸣リ ッ⸢ふィーリ [⸢kiːnu⸣juda tḁ⸢takkeː⸣runti ⸢sundu⸣ tḁ⸢kaː⸣nu tḁ⸢takkeːraram⸣ba ⸢waː⸣ tḁ⸢takkeː⸣ri f⸢fiːri] (木の枝を打つ手切ろうとするが、高くてぶった切られないから、君がぶったぎってくれ)。 タ⸢タッケー⸣ル ⸣クトゥ [tḁ⸢takkeː⸣ru ⸣ku̥tu] (ぶったぎる<打つ手切る>こと)。 タ⸢タッケー⸣レー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢takkeː⸣reː ⸣misamunu] (ぶったぎればよいのに)。 ヤ⸢マンガラ⸣シシ タ⸢タッケー⸣リバ [ja⸢maŋgara⸣ʃiʃi tḁ⸢takkeː⸣riba] (山刀でぶったぎれ) 9856 0 0 9344 htmvoc_9856.wav タタッコースン タ⸢タッコー⸣スン [tḁ⸢takkoː⸣suŋ] 他動 ぶち壊す。叩き壊す。打ち壊す。台無しにする。めちゃくちゃ<滅茶苦茶>にする。 ⸣カイブ ⸣ムノー タ⸢タッコー⸣スンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ウ⸢ムイツァー⸣ヌ タ⸢タッコーサラン⸣バ ⸢ワー⸣シ タ⸢タッコー⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸣kaibu ⸣munoː tḁ⸢takkoː⸣sunti ʔu⸢muːtan⸣du ʔu⸢muiʦaː⸣nu tḁ⸢takkoːsaram⸣ba ⸢waː⸣ʃi tḁ⸢takkoː⸣ʃi f⸢fiːri] (あんなものはぶち壊そうと思ったが、惜しくてぶち壊されないので、君でぶち壊してくれ)。 タ⸢タッコー⸣ス ⸣ムヌ [tḁ⸢takkoː⸣su ⸣munu] (ぶち壊すもの)。 タ⸢タッコー⸣シェー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢takkoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (ぶち壊せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢タッコー⸣シ [⸢paː⸣ku tḁ⸢takkoː⸣ʃi] (早くぶち壊せ) 9859 0 0 9345 htmvoc_9859.wav タタミ タ⸢タミ [tḁ⸢tami] 名 畳。藁を糸で刺し固めた床に、⸣ビー[⸣biː](藺)で編んだ表をつけたもの。イ⸢ツァフン⸣ツァ[ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦaː](板床)やタ⸢キフンツァ[tḁ⸢kiɸunʦa](竹床)に敷いて用いた。 ナ⸢チェー⸣ アツァンダ タ⸢タメー⸣ ウ⸢コー⸣シティ イ⸢ツァフン⸣ツァナー ⸣ムス シ⸢キティル⸣ ニ⸢ボーッ⸣タ [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦanda tḁ⸢tameː⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi̥ti ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦanaː ⸣musu ʃi̥⸢kitiru⸣ ni⸢boːt⸣ta] (夏は暑いから畳は起こして筵を敷いて眠られた)。 タ⸢タミ⸣ ス⸢クン [tḁ⸢tami⸣ su̥⸢kuŋ] (畳を敷く)。 タ⸢タミ⸣ プスン [tḁ⸢tami⸣ pu̥suŋ] (畳を干す) 9861 0 0 9346 htmvoc_9861.wav タタミウムティ タ⸢タミウムティ [tḁ⸢tamiʔumuti] 名 畳表。 タ⸢タミウムテー⸣ フ⸢ル⸣ミ ⸢ナーン⸣バ ⸢カイラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [tḁ⸢tamiʔumuteː⸣ ɸu⸢ru⸣mi ⸢naːm⸣ba ⸢kairaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (畳表は古くなってしまったので、取り替えないといけない) 9891 0 0 9347 htmvoc_9891.wav タタミウムティ タ⸢タミウム⸣ティ [tḁ⸢tamiʔumu⸣ti] 名 畳表。 タ⸢タミウム⸣ティ ⸢カイリ [tḁ⸢tamiʔumu⸣ti ⸢kairi] (畳表を取替えなさい) 9863 0 0 9348 htmvoc_9863.wav タタミシキパル タ⸢タミシキパル [tḁ⸢tamiʃi̥kiparu] 名 畳針。「畳突き針」の義。 タ⸢タミシキパル⸣シル タ⸢タミ⸣ シ⸢キ⸣ ス⸢ブシバ⸣ タテーティ ピ⸢キシミティル⸣ タ⸢タミウムテー⸣ パ⸢リカイヨーッ⸣タ [tḁ⸢tamiʃi̥kiparu⸣ʃiru tḁ⸢tami⸣ ʃi̥⸢ki⸣ su⸢buʃiba⸣ tateːti pi̥⸢kiʃimitiru⸣ tḁ⸢tamiʔumuteː⸣ pa⸢rikaijoːt⸣ta] (畳針で畳を突き刺し、肘を立てて引き締めて畳表は張替えられた) 9862 0 0 9349 htmvoc_9862.wav タタミッスル タ⸢タミッスル [tḁ⸢tamissuru] 名 雑巾。「畳拭き」の義。若年層は、⸢ゾー⸣キン[⸢ʣoː⸣kiŋ](雑巾)という。 タ⸢タミッスル⸣ ア⸢ライ⸣キー タ⸢タミ⸣ ッ⸢スリ [tḁ⸢tamissuru⸣ ʔa⸢rai⸣kiː tḁ⸢tami⸣ s⸢suri] (雑巾を洗ってきて畳を拭け) 9860 0 0 9350 htmvoc_9860.wav タタミヌピル タ⸢タミヌ⸣ ピル [tḁ⸢taminu⸣ piru] 連 畳の縁。畳の縁取りとして、絹布や上質の布で飾ったもの。亀甲模様の布や黒色の布などを、巾約3、5センチ、長さ6尺、又は3尺にして畳みの両側を縁取ったもの。 タ⸢タミヌ⸣ ピル ⸢フンクナ⸣ティル ナ⸢ラー⸣ソーッタ [tḁ⸢taminu⸣ piru ⸢ɸuŋkuna⸣tiru na⸢raː⸣soːtta] (畳の縁を踏むなと教えられた) 9864 0 0 9351 htmvoc_9864.wav タタミヤー タ⸢タミヤー [tḁ⸢tamijaː] 名 畳屋。畳店。 ム⸢カ⸣シェーラ パ⸢トゥ⸣マナー タ⸢タミヤーヤ ナー⸣ヌ<⸢ナーン⸣シェン> [mu⸢ka⸣ʃeːra pḁ⸢tu⸣manaː tḁ⸢tamijaːja naː⸣nu<⸢naːŋ⸣ʃeŋ>] (昔から、鳩間島には畳屋はない<なかった>) 9892 0 0 9352 htmvoc_9892.wav タタムン タ⸢タ⸣ムン [tḁ⸢ta⸣muŋ] 他動 たたむ(畳む)。標準語から転訛したもの。若年層のことば。老年層はタ⸢ク⸣ムン[tḁ⸢ku⸣muŋ](畳む)という。 ⸣キン タ⸢タ⸣ムンティ ⸢スンドゥ バン⸣マー タ⸢タマラ⸣ヌ [⸣kin tḁ⸢ta⸣munti ⸢sundu bam⸣maː tḁ⸢tamara⸣nu] (着物を畳もうとするが、私には畳めない)。 タ⸢タミ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ タ⸢タ⸣ム ⸣クトゥ [tḁ⸢tami⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi tḁ⸢ta⸣mu ku̥tu] (畳みたければ、自分で畳むこと)。 タ⸢タ⸣メー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢ta⸣meː ⸣misamunu] (畳めば良いのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢タ⸣ミ [⸢paː⸣ku tḁ⸢ta⸣mi] (早く畳め) 9865 0 0 9353 htmvoc_9865.wav タタラ タ⸢タ⸣ラ [tḁ⸢ta⸣ra] 名 房。バナナなどの実が一つの茎に群がり生じたもの。 バ⸢サン⸣ナル プ⸢スタタ⸣ラ ⸣ブリクー [ba⸢san⸣naru pu̥⸢sutata⸣ra ⸣burikuː] (バナナを一房もいで<捥いで>きなさい) 9866 0 0 9354 htmvoc_9866.wav タタラーサン タ⸢タラー⸣サン [tḁ⸢taraː⸣saŋ] 形 大げさである。派手である。目立たしい。明治生まれの古老までは使用した。大正、昭和初期生まれの人は理解語。 ク⸢ヌ キン⸣ヌ ⸣アヤー タ⸢タラーサ⸣ヌ ⸢バン⸣マー キ⸢サラヌ [ku⸢nu kin⸣nu ʔajaː tḁ⸢taraːsa⸣nu ⸢bam⸣maː ki̥⸢saranu] (この着物の模様は派手すぎて私には着られない) 9867 0 0 9355 htmvoc_9867.wav タタリ タ⸢タ⸣リ [ta⸢ta⸣ri] 名 祟り。神罰。神仏や・怨霊などが人間に災禍をもたらすこと。「祟、タタルナリ、神祟」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ウ⸢ガン⸣ヌ ⸣キー ⸣キスカー タ⸢タリ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンティ⸢ダー [ʔu⸢gan⸣nu ⸣kiː ⸣ki̥sukaː tḁ⸢tari⸣nu ʔn⸢ʤi⸣runti⸢daː] (お願<お嶽>の樹木を伐ると祟りが出るそうだよ)。 ウ⸢ガン⸣ヌ ⸣キー ⸣キスカー タ⸢タリ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンツォー [ʔu⸢gan⸣nu ⸣kiː ⸣ki̥sukaː tḁ⸢tari⸣nu ʔn⸢ʤi⸣runʦoː] (御嶽の樹木を伐るとたたりが出るそうだ) 9868 0 0 9356 htmvoc_9868.wav タタリムヌ タ⸢タリ⸣ムヌ [tḁ⸢tari⸣munu] 名 人に祟るもの。「祟りもの」の義。神仏や怨霊などによってもたらされる災難。主として成仏できないで浮遊している悪霊が人間に災難をもたらすこと。 ⸢グヮンスグトゥ⸣ヌ ミ⸢チ⸣ フ⸢マン⸣カー タ⸢タリムヌ⸣ヌ ⸣アンツォー [⸢gwansugutu⸣nu mi⸢ʧi⸣ ɸu⸢maŋ⸣kaː tḁ⸢tarimunu⸣nu ⸣ʔanʦoː] (元祖継承<位牌継承>が正しい道を踏まないと祟りごとがあるそうだ)。 ⸣カナー ヌ⸢ビ⸣バ ⸣ガキ シ⸢ネー⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢タンドゥ⸣ ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ タ⸢タリムン⸣ドゥ ⸣アルツォー [⸣kanaː nu⸢bi⸣ba ⸣gaki ʃi⸢neː⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢tandu⸣ ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ tḁ⸢tarimun⸣du ⸣ʔaruʦoː] (あそこに首を吊って死んだ人がいたが、その人の祟りがあるそうだ) 9869 0 0 9357 htmvoc_9869.wav タダリルン タ⸢ダリルン [ta⸢dariruŋ] 自動 ただれる(爛れる)。火傷や炎症で皮膚や肉が腐乱する。 ア⸢チ⸣ユー ク⸢バ⸣シ カ⸢キラ⸣リティ ⸢ティー⸣ヤ タ⸢ダリベー [ʔa⸢ʧi⸣juː ku⸢ba⸣ʃi ka⸢kira⸣riti ⸢tiːja⸣ ta⸢daribeː] (熱湯を零してかけられて、手は爛れている)。 ユ⸢ダ⸣レーン⸣トンマー ナー⸢イ⸣ シ⸢キ⸣ルカー タ⸢ダリルン⸠ダー⸣ タ⸢ダラサン⸣ ヨーニ ⸢ミー⸣ス ッ⸢ふァーシ [ju⸢da⸣reːn ⸣tommaː naː⸢i⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ta⸢darirun⸠daː⸣ ta⸢darasaɲ⸣ joːni ⸢miː⸣su f⸢faːʃi] (熱湯で\ruby{SqBr}g{/SqBr}{火傷}{ヤケド}した<茹でられた>所は放置すると\ruby{爛}{タダ}れるから、爛れさせないように食用味噌をくっ付け<喰わせ>なさい)。 タ⸢ダリ⸣ル ⸣トンマー ⸢パー⸣ク ⸢ノー⸣シ [ta⸢dari⸣ru ⸣tommaː ⸢paː⸣ku ⸢noː⸣ʃi] (爛れるところは早く治せ)。 タ⸢ダリレー⸣ ミサムヌ [ta⸢darireː⸣ misamunu] (爛れればよいのに)。 タ⸢ダリリ [ta⸢dariri] (爛れろ)。「目蔑、タダレメ」『類聚名義抄』の「タダレ」の転訛したものか。 ク⸢ヌ ミー⸣ヌ ⸣ヤン カ⸢カ⸣ルカー ⸢ミー⸣ヤ タ⸢ダリルン [ku⸢nu miː⸣nu ⸣jaŋ kḁ⸢ka⸣rukaː ⸢miː⸣ja ta⸢dariruŋ] (この眼病に罹ると目は爛れる)。 フ⸢チ⸣ル シ⸢キ⸣ルカー タ⸢ダリラヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ʃi̥⸢ki⸣rukaː ta⸢dariranu] (薬をつけたら爛れない)。 ⸢ミー⸣ヤ タ⸢ダリティ⸣ パギ ⸢ベー [⸢miː⸣ja ta⸢dariti⸣ pagi ⸢beː] (目は爛れて剥げている)。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌムカー タ⸢ダリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numikaː ta⸢dariru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (薬を飲んだら爛れることはない) 9871 0 0 9358 htmvoc_9871.wav タタルン タ⸢タ⸣ルン [tḁ⸢ta⸣ruŋ] 自動 祟る。神仏、怨霊などの禍いが身にかかる。神罰、仏罰が与えられる。「祟、タタルナリ、神禍」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ウ⸢ヤ⸣プソー ム⸢ティ⸣ビキ ア⸢ラン⸣カー タ⸢タ⸣ルンティ ⸢スンダー⸣ タ⸢タララン⸣ヨーニ ⸣シジ サ⸢バカ⸣シ [ʔu⸢ja⸣pu̥soː mu⸢tibi⸣ki ʔa⸢raŋ⸣kaː tḁ⸢ta⸣runti ⸢sundaː⸣ tḁ⸢tararaɲ⸣joːni ⸣ʃiʤi sa⸢baka⸣ʃi] (先祖<仏壇>は継ぐべき<持つべき>人でないと祟るというから、祟られないよう易者やユタに占ってもらって血筋を正してもらいなさい)。 タ⸢タ⸣リ ッ⸢ふォーン⸣ナ [ta⸢ta⸣ri f⸢foːn⸣na] (祟ってくださるな)。 タ⸢タ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [tḁ⸢ta⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (祟ることはない)。 タ⸢タ⸣レー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢ta⸣reː ⸣misamunu] (祟ればよいのに)。 ⸣バンナー ア⸢ラ⸣ヌ カ⸢リ⸣ナー タ⸢タ⸣リ [⸣bannaː ʔa⸢ra⸣nu ka⸢ri⸣naː tḁ⸢ta⸣ri] (私にではなく、彼<あれ>に祟れ)。 ウ⸢ガン⸣ヌ ⸣キー ⸣キスカー タ⸢タ⸣ルンティ⸢ダー [ʔu⸢gan⸣nu ⸣kiː ⸣ki̥sukaː tḁ⸢ta⸣runti⸢daː] (御嶽の木を伐るとたたる<祟る>そうだよ)。 イッ⸢カ⸣ タ⸢タラ⸣ヌ [ʔik⸢ka⸣ tḁ⸢tara⸣nu] (決して祟らない)。 カ⸢リ⸣ナ タ⸢タ⸣リ ⸢ベー⸣ツォー [ka⸢ri⸣na tḁ⸢ta⸣ri ⸢beː⸣ʦoː] (彼に祟っているそうだ)。 タ⸢タ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [tḁ⸢ta⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (祟ることはない)。 タ⸢タ⸣レー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢ta⸣reː ⸣misamunu] (祟れば良いのに)。 タ⸢タ⸣リ [tḁ⸢ta⸣ri] (祟れ) 9896 0 0 9359 htmvoc_9896.wav タダルン タ⸢ダルン [ta⸢daruŋ] 自動 ただれる(爛れる)。炎症などのために皮膚や皮下組織が破れくずれる。 パ⸢ダ⸣ヌ タ⸢ダルン⸣ケン ユ⸢ダ⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [pa⸢da⸣nu ta⸢daruŋ⸣keɲ ju⸢da⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (肌が爛れるほどに熱湯で火傷して<茹でられて>しまった)。 タ⸢ダラサヌ [ta⸢darasanu] (爛れさせない)。 タ⸢ダリ ナー⸣ヌ [ta⸢dari naː⸣nu] (爛れてしまって)。 タ⸢ダル⸣ トンマー [ta⸢daru⸣ tommaː] (爛れるところは)。 タ⸢ダレー⸣ ミサムヌ [ta⸢dareː⸣ misamunu] (爛れればよいのに)。 タ⸢ダリ⸣バ [ta⸢dari⸣ba] (爛れろ)。 タ⸢ダリバ⸣ ミサムヌ [ta⸢dariba⸣ ミサムヌ] (爛れたらよいのに)。 ⸣ユーナ ユ⸢ダ⸣リカー ⸢ドゥー⸣ヤ タ⸢ダルン⸣ダー [⸣juːna ju⸢da⸣rikaː ⸢duː⸣ja ta⸢darun⸣daː] (熱湯でゆだれる<茹れる>と体は爛れるよ)。 フ⸢チ⸣ル シ⸢キ⸣ルカー タ⸢ダラヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ʃi̥⸢ki⸣rukaː ta⸢daranu] (薬をつけたら爛れない)。 タ⸢ダリ ベー [ta⸢dari beː] (爛れている)。 タ⸢ダル⸣ クトゥン ⸣アン [ta⸢daru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (爛れることもある) 9897 0 0 9360 htmvoc_9897.wav タチ タ⸢チ [ta⸢ʧi] 名 十二支の第五。辰。 タ⸢チディプス [tḁ⸢ʧidipu̥su] (辰年生まれの人)。 タ⸢チヌ パー [tḁ⸢ʧinu paː] (東南東{EOS}「辰の方」の義)。 タ⸢チドゥシ [tḁ⸢ʧiduʃi] (辰年)。 タ⸢チディプス⸣ ヤ⸢レー⸣ティ タ⸢ティドゥー⸣シ ビ⸢リティ スームン⸣ ッ⸢サヌ [tḁ⸢ʧidipu̥su⸣ ja⸢reː⸣ti tḁ⸢tiduː⸣ʃi bi⸢riti suːmun⸣ s⸢sanu] (辰年生まれであるから、立ち通し<働き通し>で座る<休む>ということを知らない) 9898 0 0 9361 htmvoc_9898.wav タチ タ⸢チ [tḁ⸢ʧi] 名 質。性質。性格。 タ⸢チヌ ワッ⸣サル プ⸢ストー⸣ ドゥ⸢シ シェー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [tḁ⸢ʧinu was⸣saru pu̥⸢sutoː⸣ du⸢ʃi ʃeː⸣ na⸢ran⸣daː] (質の悪い人とは友達になっては<友達しては>ならないよ) 9899 0 0 9362 htmvoc_9899.wav タチアイ タ⸢チ⸣アイ [tḁ⸢ʧi⸣ʔai] 名 立ち合い。後日の証拠のために、その場に責任者が臨席すること。標準語からの借用語。 ウ⸢ヤ⸣バ タ⸢チ⸣アイ シ⸢ミティ⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢サーリ クー⸣タ [ʔu⸢ja⸣ba tḁ⸢ʧi⸣ʔai ʃi⸢miti⸣ jat⸢tu⸣ʃi ⸢saːri kuː⸣ta] (親を立ち合いさせて、やっとのことで連れ帰った) 9902 0 0 9363 htmvoc_9902.wav タチウイ タ⸢チ⸣ウイ [tḁ⸢ʧi⸣ʔui] 名 立ち泳ぎ。タ⸢ティ⸣ウイ[tḁ⸢ti⸣ui](立ち泳ぎ)ともいう。 ⸣バー タ⸢チ⸣ウイ ⸢シーシェー⸣ン [⸣baː tḁ⸢ʧi⸣ʔui ⸢ʃiːʃeː⸣ŋ] (私は立ち泳ぎができる<し得る>) 9900 0 0 9364 htmvoc_9900.wav タチウジ タ⸢チウジ [tḁ⸢ʧiʔuʤi] 名 (動)魚の名。和名、オナガウツボ(体長約1、5メートル) 9901 0 0 9365 htmvoc_9901.wav タチウトゥシ タ⸢チウトゥシ [tḁ⸢ʧiʔutuʃi] 名 三線音楽の曲名。沖縄方言の借用語。「滝落とし」の義か。古典音楽の弦調で弾奏されたり、沖縄芝居の戦いの場面の音響効果音楽として用いられたりした。 タ⸢チウトゥシ⸣ ピ⸢キティ⸣ ウ⸢ブウタ⸣ヌ シ⸢ルダミ シー⸣ ミリバ [tḁ⸢ʧiʔutuʃi⸣ pi̥⸢kiti⸣ ʔu⸢buʔuta⸣nu ʃi⸢rudami ʃiː⸣ miriba] (「滝落とし」の曲を弾いて古典楽曲<大節{EOS}「大歌」の義>の調弦をしてみなさい) 9903 0 0 9366 htmvoc_9903.wav タチカーリイリカーリ タ⸢チカー⸣リ イ⸢リカーリ [tḁ⸢ʧikaː⸣ri ʔi⸢rikaːri] 連 立ち代り入れ替わり。多くの人が代わる代わる現われるさま。 タ⸢チカー⸣リ イ⸢リカーリ ヨイシープス⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ⸢オーッ⸣タ [tḁ⸢ʧikaː⸣ri ʔi⸢rikaːri joiʃiːpu̥su⸣nu ⸢peː⸣ri ⸢ʔoːt⸣ta] (立ち代り入れ替わり祝儀の客が入って行かれた) 9904 0 0 9367 htmvoc_9904.wav タチザーク タ⸢チザー⸣ク [tḁ⸢ʧiʣaː⸣ku] 名 立ってする仕事。鰹節製造の仕事。水汲み、炊事など。⸣タティ[⸣tḁti](立ち)に、ッ⸢サーク[s⸢saːku](仕事)が下接して形成された複合語。タ⸢チッサー⸣ク[tḁ⸢ʧissaː⸣ku](立ち仕事)ともいう。 ⸢シーゾーニン⸣ヌ シ⸢グトー⸣ タ⸢チザー⸣ク ヤ⸢ルンダ タイロー スー⸣ ピンマー ビ⸢ル⸣ ピ⸢マー ナー⸣ヌ [⸢ʃiːʣoːnin⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ tḁ⸢ʧiʣaː⸣ku ja⸢runda tairoː suː⸣ pimmaː bi⸢ru⸣ pi⸢maː naː⸣nu] (カツオ節製造人の仕事は立ち仕事だから大漁する時は座る暇は無い)。タ⸢ティシグ⸣トゥ[tḁ⸢tiʃigu⸣tu](立ち仕事)ともいう 9905 0 0 9368 htmvoc_9905.wav タチザク タ⸢チザ⸣ク [tḁ⸢ʧiʣa⸣ku] 名 暮らし。生計。生業。 ⸢ヌー⸣シル タ⸢チザク⸣バ ⸢シー ブー⸣ユー シ⸢キ⸣ ミリ⸢ミー [⸢nuː⸣ʃiru tḁ⸢ʧiʣaku⸣ba ⸢ʃiː buː⸣juː ʃi̥⸢ki⸣ miri⸢miː] (どんな暮らしをしているか、聞いてごらん) 9906 0 0 9369 htmvoc_9906.wav タチシグトゥ タ⸢チシグ⸣トゥ [tḁ⸢ʧiʃigu⸣tu] 名 立ち仕事。老年層はタ⸢ティシグ⸣トゥ[tḁ⸢tiʃigu⸣tu](立ち仕事)という。ビ⸢リシグトゥ[bi⸢riʃigutu](座業{EOS}「座り仕事」の義)の対義語。 ビ⸢リシグトー⸣ラン タ⸢チシグトゥ⸣ル ク⸢チ⸣サ [bi⸢riʃigutoː⸣ran tḁ⸢ʧiʃigutu⸣ru ku̥⸢ʧi⸣sa] (座業よりも立ち仕事が<ぞ>苦しい<難儀だ>)。 ⸣プスイピーズ タ⸢チシグ⸣トゥ ⸢スンダ⸣ ブ⸢ガリ⸣ス [⸣pu̥suipiːʣu tḁ⸢ʧiʃigu⸣tu ⸢sunda⸣ bu⸢gari⸣su] (一日中立ち仕事をするから、疲れる) 9907 0 0 9370 htmvoc_9907.wav タチタルビリッタル タ⸢チ⸣タル ビ⸢リッタル [tḁ⸢ʧi⸣taru bi⸢rittaru] 連 立ったり座ったり。 ⸢ウイ⸣プソー タ⸢チ⸣タル ビ⸢リッタルヌドゥ⸣ イッ⸢チン⸣ク⸢チ⸣サー⸢ツォー [⸢ʔui⸣pu̥soː tḁ⸢ʧi⸣taru bi⸢rittarunudu⸣ ʔit⸢ʧiŋ⸣ ku̥⸢ʧi⸣saː⸢ʦoː] (年寄りは立ったり座ったり<すること>が一番きつい<苦しい>んだよ) 9908 0 0 9371 htmvoc_9908.wav タチッカーリイリッカーリ タ⸢チッカー⸣リ イ⸢リッカーリ [tḁ⸢ʧikkaː⸣ri ʔi⸢rikkaːri] 連 立ち代り入れ替わり。多くの人が代わる代わる現れる。 タ⸢チッカー⸣リ イ⸢リッカーリ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢クー⸣ヌ ⸢ウン⸣ネーナ ⸢ヌー⸣ヌ ⸣アルカヤー [tḁ⸢ʧikkaː⸣ri ʔi⸢rikkaːri⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢kuː⸣nu ⸢ʔun⸣neːna ⸢nuː⸣nu ⸣ʔarukajaː] (立ち代わり入れ替わり人が集まってくるが、その家には何があるのだろうか) 9909 0 0 9372 htmvoc_9909.wav タチッサーク タ⸢チッサー⸣ク [tḁ⸢ʧissaː⸣ku] 名 立ち仕事。タ⸢チザー⸣ク[tḁ⸢ʧiʣaː⸣ku](立ち仕事)ともいう。 タ⸢チッサー⸣コー ⸢ユーコーラ⸣ヌ ア⸢ワリ⸣ナ シ⸢ティワザ [tḁ⸢ʧissaː⸣koː ⸢juːkoːra⸣nu ʔa⸢wari⸣na ʃi̥⸢tiwaʣaː] (立ち仕事は休まれない{EOS}難儀な最低の仕事<捨て業>だ) 9910 0 0 9373 htmvoc_9910.wav タチディ タ⸢チディ [tḁ⸢ʧidi] 名 辰年。 ⸢ワー⸣ タ⸢チディプス⸣ミー [⸢waː⸣ tḁ⸢ʧidipu̥su⸣miː] (君は辰年生まれの人ですね) 9911 0 0 9374 htmvoc_9911.wav タチディマリ タ⸢チディマリ [tḁ⸢ʧidimari] 名 辰年生まれ。辰年生まれの人。 ⸢ワッ⸣テナー タ⸢チディマリヌ⸣ フ⸢タール ブンティ⸣ ス⸢クタヌ タットゥ タール⸣ タ⸢チディマリ⸣ヤー [⸢wat⸣tenaː tḁ⸢ʧidimarinu⸣ ɸu̥⸢taːru bunti⸣ su̥⸢kutanu tattu taːru⸣ tḁ⸢ʧidimari⸣jaː] (君の家には辰年生まれが二人いると聞いたが、誰と誰が辰年生まれか) 9912 0 0 9375 htmvoc_9912.wav タチドゥシ タ⸢チドゥシ [tḁ⸢ʧiduʃi] 名 辰年。 タ⸢チドゥシヌ⸣ プ⸢ソー チャー⸣ タ⸢チドゥー⸣シ ビ⸢ル⸣ ピ⸢マー ナーン⸣ツォー [tḁ⸢ʧiduʃinu⸣ pu̥⸢soː ʧaː⸣ tḁ⸢ʧiduː⸣ʃi bi⸢ru⸣ pi⸢maː naːn⸣ʦoː] (辰年の人はいつも立ち通しで、座る暇はないそうだ) 9913 0 0 9376 htmvoc_9913.wav タチニー タ⸢チニー [tḁ⸢ʧiniː] 名 十二支の辰の日。 ⸢キュー⸣ヤ タ⸢チニー⸣ ヤ⸢リ ワー⸣ マ⸢リビー⸣ ヤ⸢リバ⸣ パ⸢カー⸣ パ⸢ラン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸢kjuː⸣ja tḁ⸢ʧiniː⸣ ja⸢ri waː⸣ ma⸢ribiː⸣ ja⸢riba⸣ pḁ⸢kaː⸣ pa⸢ram⸣ bu⸢ri⸣ba] (今日は十二支の辰の日で、君の生まれ日であるから、お墓には行くな<行かないで居れ>よ) 9914 0 0 9377 htmvoc_9914.wav タチヌパー タ⸢チヌ パー [tḁ⸢ʧinu paː] 連 十二支の辰の方角。東南東。 ⸢キュー⸣ヤ タ⸢チヌパーカジヌル スーバン⸠ナー [⸢kjuː⸣ja tḁ⸢ʧinupaːkaʤinuru suːban⸠naː] (今日は東南東の風が吹く<そよぐ>のだね) 9915 0 0 9378 htmvoc_9915.wav タチノールン タ⸢チノー⸣ルン [tḁ⸢ʧinoː⸣ruŋ] 自動 立ち直る。 ⸢ウン⸣ネーヤ イ⸢チジ⸣キ サ⸢ボーリ⸣ ブ⸢タンドゥ⸣ サ⸢クシ⸣ヌ ⸢カイ⸣リケーラ タ⸢チノー⸣リ ⸣ケーン [⸢ʔun⸣neːja ʔi⸢ʧiʤi⸣ki sa⸢boːri⸣ bu⸢tandu⸣ sḁ⸢kuʃi⸣nu ⸢kai⸣rikeːra tḁ⸢ʧinoː⸣ri ⸣keːŋ] (その家は一時期さびれていたが、長男が帰ってきてからは立ち直ってきた)。 エン⸢バー⸣キナー タ⸢チノー⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢チノーラン⸣カー ⸢ヌー⸣ スーカヤー [jem⸢baː⸣kinaː tḁ⸢ʧinoː⸣runti ʔu⸢muːn⸣du tḁ⸢ʧinoːraŋ⸣kaː ⸢nuː⸣ suːkajaː] (来年までには立ち直ると思うが、立ち直らなければどうするのだろうか)。 タ⸢チノー⸣ルクトゥ [tḁ⸢ʧinoː⸣ru ⸣ku̥tu] (立ち直ること)。 タ⸢チノー⸣レー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢ʧinoː⸣reː ⸣misamunu] (立ち直ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢チノー⸣リ [⸢paː⸣ku tḁ⸢ʧinoː⸣ri] (早く立ち直れ) 9916 0 0 9379 htmvoc_9916.wav タチバ タ⸢チ⸣バ [tḁ⸢ʧi⸣ba] 名 立場。置かれている状況。観点。 ⸢ナー メーメーヌ⸣ タ⸢チ⸣バーラ ⸢ドゥー⸣ヌ ウ⸢ムイ⸣バ ⸣アジ ッ⸢サリリ [⸢naː meːmeːnu⸣ tḁ⸢ʧi⸣baːra ⸢duː⸣nu ⸢ʔumui⸣ba ⸣ʔaʤi s⸢sariri] (各自、銘銘の立場から自分の思いを申し上げなさい) 9921 0 0 9380 htmvoc_9921.wav タチパナシ タ⸢チパナ⸣シ [tḁ⸢ʧipana⸣ʃi] 名 立ち話。 ミ⸢チナカ⸣ナー タ⸢チパナシ⸣バ ⸢シー⸣ ピ⸢マダーリ スーナ⸣ヨー [mi⸢ʧinaka⸣naː tḁ⸢ʧipanaʃi⸣ba ⸢ʃiː⸣ pi⸢madaːri suːna⸣joː] (道中<仕事への途中>で立ち話をして暇つぶしするなよ) 9917 0 0 9381 htmvoc_9917.wav タチバル タ⸢チ⸣バル [tḁ⸢ʧi⸣baru] 名 (地)⸢立原」の義。大前農道を北西に延びた一帯。この農道がヤ⸢ラ[ja⸢ra](屋良)へ至る分岐点から北西の海岸に至る畑地をタ⸢チ⸣バル[tḁ⸢ʧi⸣baru](立原)といい、その道が海岸に通じた所の小さな浜をタ⸢チ⸣バルパマ[tḁ⸢ʧi⸣barupama](立原浜)という。西村の人々が潮干狩りに最も多く利用した道である。 タ⸢チバル⸣ヌ ス⸢ムスク⸣ナー ⸢ミュートゥイシ⸣ヌ タティ⸢ベー⸣ン [tḁ⸢ʧibaru⸣nu su⸢musuku⸣naː ⸢mjuːtuʔiʃi⸣nu tati⸢beː⸣ŋ] (立原の最北<最奥の所>に夫婦石が立っている) 9918 0 0 9382 htmvoc_9918.wav タチバルパマ タ⸢チ⸣バルパマ [tḁ⸢ʧi⸣barupama] 名 (地)立原浜。 タ⸢チ⸣バルパマラール イ⸢ンヌムラプソー⸣ イ⸢ソーシン オーッ⸣タ [tḁ⸢ʧi⸣barupamaraːru ⸢ʔinnumurapusoː⸣ ʔi⸢soːʃiŋ ʔoːt⸣ta] (立原浜から<ぞ>西村の人は潮干狩りに行かれた) 9919 0 0 9383 htmvoc_9919.wav タチマーリトゥンマーリ タ⸢チマー⸣リ ⸢トゥンマーリ [tḁ⸢ʧimaː⸣ri ⸢tummaːri] 連 しばしば立ち寄るさま。「立ち回り飛び回り」の義。 ウ⸢キ⸣ナー ⸢オー⸣ルカー ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ⸣トン タ⸢チマー⸣リ ⸢トゥンマーリ ミーマー⸣ル ⸢シー ッ⸢ふォー⸣リ [ʔu⸢ki⸣naː ⸢ʔoː⸣rukaː ja⸢ra⸣biŋkeːn ⸣tom tḁ⸢ʧimaː⸣ri ⸢tummaːri miːmaː⸣ru ⸢ʃiː⸣ f⸢foː⸣ri] (沖縄に行かれたら子供たちの所をしばしば立ち寄り、見回って<注意して>ください) 9920 0 0 9384 htmvoc_9920.wav タチムドゥル ⸣タチムドゥル [⸣taʧimuduru] 名 出戻り。いったん嫁いだ人が離縁されて実家に戻ってくること。 ⸢ウン⸣ネナー ⸣タチムドゥルヌ ⸢オー⸣ルンツォー [⸢ʔun⸣nenaː ⸣tḁʧimudurunu ⸢ʔoː⸣runʦoː] (あの家には出戻りがいらっしゃるそうだ) 9923 0 0 9385 htmvoc_9923.wav タチワザ タ⸢チ⸣ワザ [tḁ⸢ʧi⸣waʣa] 名 立ち仕事。「立ち業」の義。 ⸢ダンパチ⸣ヤーヤ タ⸢チ⸣ワザ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢トゥム⸣テーラ ユネン⸢バー⸣キ ビ⸢ル⸣ ピ⸢マー ナー⸣ヌ [⸢dampaʧi⸣jaːja tḁ⸢ʧi⸣waʣa ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢tumu⸣teːra junem⸢baː⸣ki bi⸢ru⸣ pi⸢maː naː⸣nu] (理髪店は立ち仕事だから朝から晩まで座る暇はない) 9924 0 0 9386 htmvoc_9924.wav タチングリサン タ⸢チングリ⸣サン [tḁ⸢ʧiŋguri⸣saŋ] 形 暮らしにくい。生活するのが難しい。所帯を維持しにくい。 ⸢ウン⸣ネーヤ タ⸢チングリ⸣サンティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー タ⸢チングリ⸣サー ⸢ナーン⸣ツォー [⸢ʔun⸣neːja tḁ⸢ʧiŋguri⸣santi su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː taa⸢ʧiŋguri⸣saː ⸢naːn⸣ʦoː] (あの家は<嫁が>所帯を維持しにくい<暮らしにくい>と聞いたが、それほど暮らしにくくはないそうだ)。 タ⸢チングリサ⸣ヌ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [ta⸢ʧiŋgurusa⸣nu ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (暮らしにくくて、そこには居れない)。 ⸣アイニ タ⸢チングリ⸣サン ⸣トンマー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaini tḁ⸢ʧiŋguri⸣san ⸣tommaː ⸢naː⸣nu] (あんなに暮らしにくいところは無いよ) 9165 0 0 9387 htmvoc_9165.wav ダッカテイ ダッ⸢カテイ [dak⸢kati] 副 びっしょりと。 ダッ⸢カティ ゾーリナー⸣ヌ [dak⸢kati ʣoːrinaː⸣nu] (びっしょり濡れてしまった) 9579 0 1 9388 htmvoc_9579.wav ダッカティ ダッ⸢カ⸣ティ [dak⸢ka⸣ti] 副 {Mn_1}どっかりと。どかっと座るさま。 ダッ⸢カ⸣ティ ビ⸢リシキティ ウー⸣ク ⸣スコー ア⸢ラ⸣ヌ [dak⸢ka⸣ti⸣ bi⸢riʃi̥kiti ʔuː⸣ku ⸣su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (どっかりと座って動く気配はない)。 9579 0 2 9389 htmvoc_9579.wav ダッカティ ダッ⸢カ⸣ティ [dak⸢ka⸣ti] 副 {Mn_2}べったりとくっ付くさま。 ⸢ヤー⸣ヌ ク⸢ビ⸣ナー ドゥ⸢ルバ⸣ ダッ⸢カティ ヌーリ⸣ ッ⸢ふァーシ⸣ シケー [⸢jaː⸣nu ku⸢bi⸣naː du⸢ruba⸣ dak⸢kati nuːri⸣ f⸢faːʃi⸣ʃi̥keː] (家の壁に泥をべったりと塗りたくってある<塗り喰わしてある>) 9926 0 0 9390 htmvoc_9926.wav ダッカティ ダッ⸢カティ [dak⸢kati] 副 びっしょり。ぐっしょり。ひどく濡れるさま。 ⸣アミナー ダッ⸢カティ ゾーリティ フッツォーリベー [⸣ʔaminaː dak⸢kati ʣoːriti ɸutʦoːri beː] (雨にびっしょり濡れて震えている)。ダーッ⸢ふァティ[daːf⸢fati](びっしょり)ともいう 9927 0 0 9391 htmvoc_9927.wav タツカワ タ⸢ツ⸣カワ [tḁ⸢ʦu⸣kawa] 名 滝。歌謡語。ピ⸢ナイサーラ[pi⸢naisaːra](ピナイ<鬚川>滝)の対語。/マエニ ミユルワ ピナイサラ ウミニ ナガユル タツカワワ ユユム カワラン ウムシルヤ/(前に見えるのはピナイ滝、海に流れる立つ川は、世世<代代>に変わらず見事である)「鳩間口説」 9928 0 0 9392 htmvoc_9928.wav タックイ ⸢タックイ [⸢takkui] 名 血統。血筋。古老は、タ⸢クライ[tḁ⸢kurai](血統)という。 ビ⸢キッふァナシタッ⸣クイ [bi⸢kiffanaʃitak⸣kui] (男児を生む血統)。 ミ⸢ドゥムタッ⸣クイ [mi⸢dumutak⸣kui] (女児を生む血統)。 サ⸢キヌミタッ⸣クイ [sḁ⸢kinumitak⸣kui] (大酒飲みの血統)。 ⸢チョーミータックイ [⸢ʦoːmiːtakkui] (長命の血統)。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢チョーミタックイ⸣ ヤ⸢ルンダル⸣ ムー⸢ル⸣ ナ⸢ガイキ ソー⸣ル [⸢ʔun⸣neːja ⸢ʦoːmitakkui⸣ ja⸢rundaru⸣ muː⸢ru⸣ na⸢gaiki soː⸣ru] (あの家は長命の血統だから、皆長生きをなさるのだ) 9929 0 0 9393 htmvoc_9929.wav ダックヮースン ⸢ダックヮー⸣スン [⸢dakkwaː⸣suŋ] 他動 くっつける。ひっつける。接合する。 ⸣クナー ⸢ダックヮー⸣スン ⸢デー⸣カー ⸢ダックヮー⸣シ ⸣ミサヌ ノー⸢シン ダックヮーサラン⸣ パジ [⸣kunaː ⸢dakkwaː⸣sun ⸢deː⸣kaː ⸢dakkwaː⸣ʃi ⸣misanu noː⸢ʃin dakkwaːsaram⸣ paʤi] (此処にくっ付けるなら、くっつけても良いが、どうせくっつけられないはずだ)。 ⸢ダックヮー⸣ス ⸣ムノー ⸢ダックヮー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢dakkwaː⸣su ⸣munoː ⸢dakkwaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (くっつけるものはくっつければ良いのに)。 ⸣クナー ⸢ダックヮー⸣シ [⸣kunaː ⸢dakkwaː⸣ʃi] (此処にくっつけろ) 9930 0 1 9394 htmvoc_9930.wav ダックヮールン ⸢ダックヮー⸣ルン [⸢dakkwaː⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}くっつく。ひっつく(引っ付く)。粘着する。ぴったりと付く。 ⸢ダックヮー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ダックヮーラン⸣バン [⸢dakkwaː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢dakkwaːram⸣baŋ] (くっ付くかと思ったがくっ付かないわい)。 ク⸢レー ダックヮーリ ヤッ⸣サン [ku⸢reː dakkwaːrijas⸣saŋ] (これはくっ付きやすい)。 ⸢ダックヮー⸣ル ⸣ムノー ⸢ダックヮー⸣シ [⸢dakkwaː⸣ru ⸣munoː ⸢dakkwaː⸣ʃi] (くっ付くものはくっつけろ)。 9930 0 2 9395 htmvoc_9930.wav ダックヮールン ⸢ダックヮー⸣ルン [⸢dakkwaː⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}男女が親しくなる(夫婦になる)。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ キサー⸢ティ ダックヮー⸣リ ⸢ベー [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ki̥saː⸢ti dakkwaː⸣ri ⸢beː] (これら二人はすでにくっ付いている<夫婦になっている>) 9931 0 0 9396 htmvoc_9931.wav タックヮイムックヮイ ⸢タックヮイムッ⸣クヮイ [⸢takkwaimuk⸣kwai] 副 くっつきあうさま。男女がいちゃつくさま。沖縄本島方言からの借用転訛した語。 ア⸢ガピーローラ タックヮイムッ⸣クヮイ ⸢シェー⸣ティ ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔa⸢gapiːroːra takkwaimuk⸣kwai ⸢ʃeː⸣ti ⸢miːnussa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (真昼間からいちゃついて、見苦しくて見られない<見ておれない>) 9932 0 0 9397 htmvoc_9932.wav タッシ ⸢タッシ [⸢taʃʃi] 名 役場からの通知命令。達し。令達。命令。通達。 マ⸢ラリ⸣ア ヨ⸢ボーヌ⸣ タ⸢ミ⸣ナー ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢ディーディー⸣ティー ⸣マキティ ⸢スー タッシヌ⸣ ヤ⸢ク⸣バーラ ⸣ケーツォー [ma⸢rari⸣ja jo⸢boːnu⸣ ta⸢mi⸣naː ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢diːdiː⸣tiː ⸣makiti ⸢suː taʃʃinu⸣ ja⸢ku⸣baːra ⸣keːʦoː] (マラリア予防のために家毎にDDTを散布せよ<撒け>という達しが役場から来たそうだ) 9933 0 0 9398 htmvoc_9933.wav タッター ⸢タッター [⸢tattaː] 代 誰たち<不定称。複数形>。誰々。誰等。⸣-ター[-taː](~達)は名詞、代名詞に下接して複数形をつくる接尾辞。 ⸢タッタール ワー テー⸣ナイ ⸢シー ッふィールワ [⸢tattaːru waː teː⸣nai ⸢ʃiː ffiːruwa] (誰たちが君の手伝いをしてくれるか)。 ク⸢レー タッター⸣ ムヌヤ [ku⸢reː tattaː⸣ munuja] (これは誰たちのものか)。 ⸢タッターン シミルワ [⸢tattaːŋ⸣ ʃi⸢miruwa] (誰たちにさせるか)。 ⸢タッター⸣ラ ⸢カウワ [⸢tattaː⸣ra ⸢kauwa] (誰たちから買うか) 9936 0 0 9399 htmvoc_9936.wav タッタン タッ⸢タン [tat⸢taŋ] 副 次第に。ますます。自然の時の移ろいにしたがって静かに変化するさま。変化の状態が動的に、視覚的に感じられるさまを表す。タ⸢ダーイ[ta⸢daːi](次第に{EOS}ますます{EOS}意図的に次から次へ行動し変化させるさま、変化させる意志を表す)とは多少ニュアンスが異なる。 ⸢ヤンマイ⸣ヤー タッ⸢タン⸣ ミサナリ ⸢キー⸣ブ [⸢jammai⸣jaː tat⸢tam⸣ misanari ⸢kiː⸣bu] (病気は次第に良くなってきている) 9934 0 0 9400 htmvoc_9934.wav タッチュー ⸢タッ⸣チュー [⸢tat⸣ʧuː] 名 岩や山が壁のように立ちはだかっているもの。棒立ちになっている岩。 ⸢カー⸣レドンドンヌ ⸢インタヌ ガンパラ⸣ナー ⸢タッチュー⸣ヌ ⸢アッ⸣タン⸢ナー [⸢kaː⸣redondonnu ⸢ʔintanu ⸢gampara⸣naː ⸢tatʧuː⸣nu ⸢ʔat⸣tana⸢naː] (カーレドンドンの西側の岩原に棒立ちの岩があったねえ) 9938 0 0 9401 htmvoc_9938.wav タッテー ⸢タッ⸣テー [⸢tat⸣teː] 連 誰の家。どの家。どこの家。 ⸢ワー タッ⸣テーヌ ッ⸢ふァ⸣ヤー [⸢waː tat⸣teːnu f⸢fa⸣jaː] (君はどこの家の子供か)。 ク⸢レー タッ⸣テヌ ッ⸢ふァ⸣ヤー [ku⸢reː tat⸣tenu f⸢fa⸣jaː] (これはどこの家の子か)。 ⸢タッ⸣テーラ ⸢クー⸣タ [⸢tat⸣teːra ⸢kuː⸣ta] (どこの家から来たか)。 ⸢タッ⸣テー ⸢オール⸣ワ [⸢tat⸣teː ⸢ʔoːru⸣wa] (誰の家へ行かれますか)。 ⸢タッ⸣テール マ⸢シ⸣ヤ [⸢tat⸣teːru ma⸢ʃi⸣ja] (誰の家が良いか) 9939 0 0 9402 htmvoc_9939.wav タッテーカッテー ⸢タッ⸣テー ⸢カッ⸣テー [⸢tat⸣teː ⸢kat⸣teː] 連 どこの家・彼の家。ABCDEBCD型の重言。 ウ⸢レー タッ⸣テー ⸢カッ⸣テーティ ⸢ナー⸣ン ⸢ターン⸣ヤーナーン ア⸢リ⸣ブタ [ʔu⸢reː tat⸣teː ⸢kat⸣teːti ⸢naː⸣n taː⸢ŋ⸣jaːnaːŋ ʔa⸢ri⸣buta] (それはどの家・彼の家となく、どの家<だれの家>にもあった<有りをった>) 9937 0 0 9403 htmvoc_9937.wav ダッティ ダッ⸢ティ [dat⸢ti] 副 ぱったり。突然風が止まるさま。 ウ⸢ヌス⸣ク フ⸢ク⸣タ カ⸢ジェー⸣ ダッ⸢ティ⸣ トゥ⸢ヌマリナー⸣ヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ɸu̥⸢ku⸣ta ka⸢ʤeː⸣ dat⸢ti⸣ tu⸢marinaː⸣nu] (あんなに吹いた風がぴたっと止まってしまった) 9940 0 0 9404 htmvoc_9940.wav タットゥビカットゥビ ⸢タットゥビカッ⸣トゥビ [⸢tattubikat⸣tubi] 副 崇め敬うさま。こよなく尊ぶさま。ABCDEBCD型の重言。 ⸢カンヌ⸣マイ ⸢タットゥビカッ⸣トゥビ ウ⸢ガ⸣ミ ⸢ニン⸣ガイ ⸢シェー⸣ティル ム⸢ヌスクル⸣バ ⸢シー パン⸣ジョーン ⸢シー⸣ケー⸢ダー [⸢kannu⸣mai ⸢tattubikat⸣tubi ʔu⸢ga⸣mi ⸢niŋ⸣gai ⸢ʃeː⸣tiru mu⸢nusu̥kuru⸣ba ⸢ʃiː pan⸣ʤoːŋ ⸢ʃiː⸣keː⸢daː] (神様を崇め敬い、祈願をしながら作物をつくり、子孫繁昌もさせてきたのだよ) 9941 0 0 9405 htmvoc_9941.wav タットゥブン ⸢タッ⸣トゥブン [⸢tat⸣tubuŋ] 他動 崇めうやまう。「尊ぶ」の義。 ⸣ウヤパープジ ⸢タッ⸣トゥブ プ⸢ソー カンヌマイ⸣ユン ⸢タッ⸣トゥブン [⸣ʔujapaːpuʤi ⸢tat⸣tubu pu̥⸢soː kannumai⸣jun ⸢tat⸣tubuŋ] (先祖を崇め敬う人は神様も崇め敬う)。 ⸣ウヤパープジェー ⸣ドゥーパジミ ⸢タットゥバン⸣カー ⸢タッ⸣トゥブ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔujapaːpuʤeː ⸣duːpaʤimi ⸢tattubaŋ⸣kaː ⸢tat⸣tubu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (先祖を自ら崇め敬わないと崇め敬う人はいなくなる)。 ⸢タッ⸣トゥベー ⸣ミサムヌ [⸢tat⸣tubeː ⸣misamunu] (崇め敬えばよいのに)。 ⸢タッ⸣トゥビ ⸣ミサン [⸢tat⸣tubi ⸣misaŋ] (崇め敬ってもよい)。 ヤー⸢ディン タッ⸣トゥビ [jaː⸢din tat⸣tubi] (必ず崇め敬え) 9942 0 0 9406 htmvoc_9942.wav ダッふァースン ⸢ダッふァー⸣スン [⸢daffaː⸣suŋ] 他動 たっっぷり塗りつける。塗りたくる。めちゃくちゃに塗る。ぺたっとくっつける。 ⸣シラナー ⸣シン ⸢ダッふァー⸣スンティ シ⸢タンドゥ ダッふァーサラン⸣セン [⸣ʃiranaː ⸣ʃin ⸢daffaː⸣sunti ʃi̥⸢tandu daffaːsaraŋ⸣ʃeŋ] (顔に墨を塗りたくろうとしたが塗りつけられなかった)。 ⸢ダッふァー⸣シ ⸣ミサカー ⸢ダッふァー⸣ス ⸣クトー ヤ⸢シ⸣ムヌ [⸢daffaː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢daffaː⸣su ⸣ku̥toː ja⸢ʃi⸣munu] (塗りたくってよければ、塗りたくることは簡単なことだ)。 ⸢ダッふァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢daffaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (塗りたくればいいのに)。 ⸣シラナー ⸢ダッふァー⸣シー [⸣ʃiranaː ⸢daffaː⸣ʃi] (顔に塗りたくれ) 9943 0 1 9407 htmvoc_9943.wav ダッふァダッふァ ⸢ダッふァダッふァ [⸢daffadaffa] 副 {Mn_1}だぶだぶ。桶の水を揺らして零すさま。擬音語。 ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジェー ダッふァダッふァ⸣シ カ⸢タマン⸣ドーシ ウ⸢キ⸣ イ⸢リテイ⸣ カ⸢タ⸣ミバ [⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤeː daffadaffa⸣ʃi kḁ⸢taman⸣doːʃi ʔu⸢ki⸣ ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢ta⸣miba] (たごおけ<担桶>の水はだぶだぶ揺らし零して運ばないで<担がないで>、木の葉の浮きを入れて運べ<担げ>)。 9943 0 2 9408 htmvoc_9943.wav ダッふァダッふァ ⸢ダッふァダッふァ [⸢daffadaffa] 副 {Mn_2}ざっくざっく。じゃぶじゃぶ。水田を耕すさま。水中を歩くさま。 ⸢ダッふァダッふァ⸣シ ⸢キー⸣パイシ ⸣ター ⸢カイ⸣スン [⸢daffadaffa⸣ʃi ⸢kiː⸣paiʃi ⸣taː ⸢kai⸣suŋ] (ざっくざっく、じゃぶじゃぶと木鍬で田を耕す) 9944 0 1 9409 htmvoc_9944.wav ダッふァティ ダッ⸢ふァティ [daf⸢fati] 副 {Mn_1}どかっと。どさっと。重い物が勢いよくくっ付くさま。大量の物が一気に集まるさま。擬態語。 ⸢カー⸣ラヤー フ⸢クンティ⸣ ミツァ ク⸢ナシティ ナン⸣ギ ⸢アウタ⸣ クトー ク⸢ビ⸣ナ ダッ⸢ふァティ ダックヮー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaː⸣rajaː ɸu̥⸢kunti⸣ miʦa ku⸢naʃi̥ti naŋ⸣gi ⸢ʔauta⸣ ku̥toː ku⸢bi⸣na daf⸢fati dakkwaː⸣ri ⸢naː⸣nu] (瓦葺の屋根を葺こうと、粘土を捏ねて投げ上げたところ、壁にどばっとくっ付いてしまった)。 9944 0 2 9410 htmvoc_9944.wav ダッふァティ ダッ⸢ふァティ [daf⸢fati] 副 {Mn_2}どさっと。どばっと。どかっと。液体を一度に\ruby{零}{コボ}すさま。 ウ⸢ビ⸣ヌ ミ⸢ジバ⸣ ダッ⸢ふァティ ノー⸣シ シ⸢ティナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu mi⸢ʤiba⸣ daf⸢fati noː⸣ʃi ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (あれだけの大量の水をどさっと零して捨ててしまった) 9945 0 0 9411 htmvoc_9945.wav タツン ⸣タツン [⸣tḁʦuŋ] 他動 裁断する。⸢裁つ」の義。標準語からの借用語。型紙などに当てて裁断する。 カ⸢タガミ⸣ナー ア⸢ティティ⸣ タツンティ ⸢スーンドゥ⸣ タ⸢チユーサ⸣ヌ [kḁ⸢tagami⸣naː ʔa⸢titi⸣ tḁʦunti ⸢suːndu⸣ tḁ⸢ʧijuːsa⸣nu] (型紙に当てて裁断しようとするが裁ちきれない<裁つことができない>)。 タ⸢チヤッ⸣サ ⸣ムノーラ ⸣タチェー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢ʧijas⸣sa ⸣munoːra ⸣tḁʧeː ⸣misamunu] (裁ちやすいものから裁てばよいのに)。 ⸣タツムノー ⸢パー⸣ク ⸣タチバ [⸣tḁʦu ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸣tḁʧiba] (裁つものは早く裁てよ) 9990 0 0 9412 htmvoc_9990.wav タデーマ タ⸢デー⸣マ [ta⸢deː⸣ma] 副 今すぐ。直に。「Tadaima.タダイマ(只今)副詞.ただ今」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 イ⸢ラムテーラヌ⸣ フネー タ⸢デー⸣マ シ⸢キ⸣ス [ʔi⸢ramuteːranu⸣ ɸuneː ta⸢deː⸣ma ʃi̥⸢ki⸣su] (西表からの船はもう直ぐ到着するよ) 9991 0 0 9413 htmvoc_9991.wav タデーマンチン タ⸢デーマンチン [ta⸢deːmanʧiŋ] 副 直ちに。今すぐに。短時間のうちに。「~只今参らむと侍るといふ」『源氏物語 帚木』、「Tadaima.タダイマ(只今)」『邦訳日葡辞書』に ⸣ンチン[⸣nʧiŋ](の・内に)が付いて、それが転訛したもの。 フ⸢チン⸣パー ⸢シッ⸣キ ⸣シル ス⸢ブ⸣リ ヌ⸢マ⸣シェーチバ タ⸢デーマンチン⸣ ニチェー サ⸢マリ⸣ス [ɸu̥⸢ʧim⸣paː ⸢ʃik⸣ki ⸣ʃiru su⸢bu⸣ri nu⸢ma⸣ʃeːʧiba ta⸢deːmanʧin⸣ niʧeː sa⸢mari⸣su] (よもぎ<蓬>の葉を搗いて汁を絞って飲ませたから直に熱はさがる<冷める{EOS}解熱する>よ) 9946 0 0 9414 htmvoc_9946.wav タティ ⸣タティ [⸣tḁti] 名 たて(縦)。上から下までの長さ。ユ⸢ク[ju⸢ku](横)の対義語。標準語からの借用語。普通は⸣ナイ[⸣nai](縦)、シ⸢マー[ʃi⸢maː](横)という。 ⸣タティン ユ⸢クン⸣ パ⸢カ⸣リティ ⸣キスン ⸣トン キ⸢ミリ [⸣tḁtiɲ ju⸢kum⸣ pḁ⸢ka⸣riti ⸣ki̥sun ⸣toŋ ki⸢miri] (縦も横も計って切るところを決めなさい) 9947 0 0 9415 htmvoc_9947.wav タティアヤ タ⸢ティ⸣アヤ [tḁ⸢ti⸣ʔaja] 名 縦模様。ユ⸢クアヤ[ju⸢kuʔaja](横模様)の対義語。 タ⸢ティ⸣アヤー ウ⸢リヤッ⸣サン [tḁ⸢ti⸣ʔajaː ʔu⸢rijas⸣saŋ] (縦模様は織りやすい) 9948 0 0 9416 htmvoc_9948.wav タティカイルン タ⸢ティカイ⸣ルン [tḁ⸢tikai⸣ruŋ] 他動 立て替える。他人に代わって一時代金を支払う。 シ⸢ナムヌヌ ダイヤ⸣ バー タ⸢ティカイ⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ タ⸢ティカイララ⸣ヌ [ʃi⸢namununu daija⸣ baː tḁ⸢tikai⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu tḁ⸢tikairara⸣nu] (品物の代金は私が立て替えようと思ったが、立て替えられない) 9949 0 0 9417 htmvoc_9949.wav タティカウン タ⸢ティ⸣カウン [tḁ⸢ti⸣kauŋ] 他動 立て替える。 ⸢ワー⸣ ムノー ⸣バー タ⸢ティ⸣カウン [⸢waː⸣ munoː ⸣baː tḁ⸢ti⸣kauŋ] (君のものは私が立て替える)。 タ⸢ティカー⸣ヌ [tḁ⸢tikaː⸣nu] (立て替えない)。 タ⸢ティカイ⸣ プサン [tḁ⸢tikai⸣ pu̥saŋ] (立て替えたい)。 タ⸢ティ⸣カウ ⸣クトゥ [tḁ⸢ti⸣kau ⸣ku̥tu] (立て替えること)。 タ⸢ティカイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢tikai⸣jaː ⸣misamunu] (立て替えれば良いのに)。 ⸢ワー⸣ タ⸢ティ⸣カイバ [⸢waː⸣ tḁ⸢ti⸣kaiba] (君が立替ろ) 9960 0 0 9418 htmvoc_9960.wav ダディクダキ ダ⸢ディ⸣クダキ [da⸢di⸣kudaki] 名 (植)竹の一種。西表島北部の伊武田地区の南に聳える山(古見岳の連山)に産する竹。竹床を編むのに利用した。 ダ⸢ディ⸣クダキシ タ⸢キフンツァ⸣ フ⸢モッー⸣タ [da⸢di⸣kudakiʃi tḁ⸢kiɸunʦa⸣ ɸu⸢moːt⸣ta] (ダディク竹で竹床を編まれた)。和名不明。西表島北岸のダディク岳に自生するという竹。屋根を葺く際のユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり<桟>、「桟、瓦乃衣都利」『倭名類聚鈔』)に利用される。 ⸢パイター⸣ラ ダ⸢ディ⸣クダキバ キ⸢ソーリ⸣ル ユ⸢チロー⸣ フ⸢モーッ⸣タツォー [⸢paitaː⸣ra da⸢di⸣kudakiba ki̥⸢soːri⸣ru ju⸢ʧiroː⸣ ɸu⸢moːt⸣taʦoː] (西表島<南端>からダディクダキを伐ってこられて屋根葺き用のエツリ<桟>を編まれたそうだ) 9951 0 0 9419 htmvoc_9951.wav ダディクヤマ ダ⸢ディ⸣クヤマ [da⸢di⸣kujama] 名 古見岳の連山の一つ。伊武田地区の南に聳える山。この山の北側山麓にウ⸢ブ⸣ミジ[ʔu⸢bu⸣miʤi](大見謝川)、⸢ケーダガー⸣ラ[⸢keːdagaː⸣ra](ケーダ川)、⸢クーラガーラ[⸢kuːragaːra](クーラ川)が形成され、北海岸に流出している。 ム⸢カ⸣シェー ダ⸢ディ⸣クヤマラール ユ⸢チルダキン⸣ キ⸢ソーッ⸣タティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː da⸢di⸣kujamaraːru ju⸢ʧirudakiŋ⸣ ki̥⸢soːt⸣tati⸢daː] (昔はダディク山からエツリ竹も伐り出され<伐られ>たそうだよ) 9952 0 0 9420 htmvoc_9952.wav タティザーク タ⸢ティザー⸣ク [tḁ⸢tiʣaː⸣ku] 名 立ち仕事。なりわい(生業)。生活のための職業。すぎわい(生業)。タ⸢ティッサー⸣ク[tḁ⸢tissaː⸣ku](立ち仕事)ともいう。 ⸢ワーテ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢ヌー⸣シ ⸢ブー⸣ タ⸢ティザーク⸣バ ⸢シー ブーワ [⸢waːte⸣ ma⸢na⸣maː ⸢nuː⸣ʃi ⸢buː⸣ tḁ⸢tiʣaːku⸣ba ⸢ʃiː buːwa] (君は、それで、今はどのようななりわい(生業)をしているのか) 9953 0 0 9421 htmvoc_9953.wav タティシグトゥ タ⸢ティシグ⸣トゥ [tḁ⸢tiʃigu⸣tu] 名 立ち仕事。立ってする仕事。ビ⸢リシグトゥ[bi⸢riʃigutu](座業{EOS}座り仕事)の対義語。 ⸣プスイピーズ タ⸢ティシグ⸣トゥ ⸢スンダ パン⸣マー フ⸢クリス [⸣pu̥suipiːʣu tḁ⸢tiʃigu⸣tu ⸢sunda pam⸣maː ɸu̥⸢kurisu] (一日中立ち仕事をするので、脚は腫れる)。 ⸢シーゾーニン⸣マー タ⸢ティシグ⸣トゥ ヤ⸢ルンダ タイロー スー⸣ ピンマー ブ⸢ガ⸣リティ ⸢ウーカラ⸣ヌ [⸢ʃiːʣoːnim⸣maː tḁ⸢tiʃigu⸣tu ja⸢runda tairoː suː⸣ pimmaː bu⸢ga⸣riti ⸢ʔuːkara⸣nu] (カツオ節製造人は立ち仕事だから、大漁する日は疲れて動けない) 9954 0 0 9422 htmvoc_9954.wav タティシジ タ⸢ティ⸣シジ [tḁ⸢ti⸣ʃiʤi] 名 たてじま(縦縞)。「縦筋」の義。 ⸣バサキンマー タ⸢ティ⸣シジキンル ⸢ゴー⸣ラータ [⸣basakimmaː tḁ⸢ti⸣ʃiʤikinru ⸢goː⸣raːta] (芭蕉の繊維で織った着物<芭蕉着>は縦縞模様が多かった) 9955 0 0 9423 htmvoc_9955.wav タティズク タ⸢ティ⸣ズク [tḁ⸢ti⸣ʣuku] 名 暮らし。暮らしを立てること。生計。 タ⸢ティズク⸣ヌ キ⸢ビッ⸣サカー シ⸢グトゥ カイル⸣ クトゥン ⸢カンガイラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [tḁ⸢tiʣuku⸣nu ki⸢bis⸣sakaː ʃi⸢gutu kairu⸣ ku̥tuŋ ⸢kaŋgairaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (暮らしが厳しかったら仕事を変えることも考えないといけない) 9956 0 0 9424 htmvoc_9956.wav タティトゥースン タ⸢ティトゥー⸣スン [tḁ⸢tituː⸣suŋ] 自動 立ち続ける。「立ち通す」の義。 ⸣プスイピーズ タ⸢ティトゥー⸣スン [⸣pu̥suipiːʣu tḁ⸢tituː⸣suŋ] (一日中立ち続ける)。 タ⸢ティトゥーサラ⸣ヌ [tḁ⸢tituːsara⸣nu] (立ち続けられない)。 タ⸢ティトゥー⸣シ パ⸢タラクン [tḁ⸢tituː⸣ʃi pḁ⸢tarakuŋ] (立ち通しで働く)。 タ⸢ティトゥー⸣シ ⸣ミサカー タ⸢ティトゥー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [tḁ⸢tituː⸣ʃi ⸣misakaː tḁ⸢tituː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (立ち続けて良ければ、立ち続けることは出来る)。 タ⸢ティトゥー⸣シェー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢tituː⸣ʃeː ⸣misamunu] (たち続ければ良いのに) ⸣クナーティ タ⸢ティトゥー⸣シ [⸣kunaːti tḁ⸢tituː⸣ʃi] (立ち続けろ)) 9957 0 0 9425 htmvoc_9957.wav タティドゥマルン タ⸢ティドゥマ⸣ルン [tḁ⸢tiduma⸣ruŋ] 自動 立ち止まる。 ⸢イットゥ⸣ケー タ⸢ティドゥマ⸣ルンティ シ⸢タンドゥ⸣ タ⸢ティドゥマラン⸣シェン [⸢ʔittu⸣keː tḁ⸢tiduma⸣runti ʃi̥⸢tandu⸣ tḁ⸢tidumaraŋ⸣ʃeŋ] (いっとき<暫時{EOS}ちょっと>立ち止まると言ったが、立ち止まらなかった)。 タ⸢ティドゥマ⸣リ ⸣ミサカー タ⸢ティドゥマ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [tḁ⸢tiduma⸣ri ⸣misakaː tḁ⸢tiduma⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (立ち止まって良ければ立ち止まることは出来る)。 タ⸢ティドゥマ⸣レー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢tiduma⸣reː ⸣misamunu] (立ち止まれば良いのに)。 タ⸢ティドゥマ⸣リ [tḁ⸢tiduma⸣ri] (立ち止まれ) 9958 0 0 9426 htmvoc_9958.wav タティナー タ⸢ティ⸣ナー [tḁ⸢ti⸣naː] 名 漁法の一種。一本釣り漁法。⸢インタヌ ピーヌ⸣クシ[⸢ʔintanu piːnu⸣ku̥ʃi](西の干瀬の後ろ<外洋部>)や⸣スニ[⸣suni](曽根)でアンカーを2本下ろして舟を揺れないように固定させ、一本の釣り糸を船上から深い海底へ下ろして釣る漁法。⸢パイ⸣ナー[⸢pai⸣naː](延縄)の対義語。「立て縄」の義。 ⸢インタヌ ピーヌ⸣クシナー タ⸢ティ⸣ナー ⸢シー アーラ⸣ニバルン ア⸢カジナーン ホー⸣ソーッタン [⸢ʔintanu piːnu⸣ku̥ʃinaː tḁ⸢ti⸣naː ⸢ʃiː ʔaːra⸣nibaruŋ ʔa⸢kaʤinaːŋ hoː⸣soːttaŋ] (西の干瀬の外洋<干瀬の腰{EOS}干瀬の後ろ>で一本釣り<立て縄>漁をして、マハタ<⸢アーラ⸣ニバル>やニセスジハタ<アカジナー>も釣られた) 9961 0 0 9427 htmvoc_9961.wav タティナライ タ⸢ティ⸣ナライ [tḁ⸢ti⸣narai] 名 立つことに慣れること。 タ⸢ティ⸣ナライ ⸢シー ブンダ⸣ ク⸢チ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [tḁ⸢ti⸣narai ⸢ʃiː bunda⸣ ku̥⸢ʧi⸣saː ⸢naː⸣nu] (立つ事に慣れているから苦しいことはない) 9962 0 0 9428 htmvoc_9962.wav タティヌクン タ⸢ティヌ⸣クン [tḁ⸢tinu⸣kuŋ] 自動 居所を立ち去る。他所へ移る。「立ち退く」の義。⸣タティパルン[⸣tḁtiparuŋ](立ち去る)ともいう。若年層は、タ⸢チヌ⸣クン[tḁ⸢ʧinu⸣kuŋ](立ち退く)ともいう。 ア⸢ツァバー⸣キナ ⸣クマーラ タ⸢ティヌ⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢ティヌカラ⸣ヌ [ʔa⸢ʦabaː⸣kina ⸣kumaːra tḁ⸢tinu⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du tḁ⸢tinukara⸣nu] (明日までに此処から立ち退こうと思うが、立ち退かれない)。 ク⸢トゥシズー⸣ナ タ⸢ティヌ⸣キ ⸣ミサカー タ⸢ティヌ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [ku̥⸢tuʃiʣuː⸣na tḁ⸢tinu⸣ki ⸣misakaː tḁ⸢tinu⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (今年中に立ち退いて良ければ、立ち退くことは出来る)。 ⸢パー⸣ク タ⸢ティヌ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku tḁ⸢tinu⸣keː ⸣misamunu] (早く立ち退けば良いのに)。 タ⸢ティヌ⸣キバ [tḁ⸢tinu⸣kiba] (立ち退けよ) 9963 0 0 9429 htmvoc_9963.wav タティノールン タ⸢ティノー⸣ルン [tḁ⸢tinoː⸣ruŋ] 自動 立ち直る。もとの良い状態に戻る。なおる。若年層は、タ⸢チノー⸣ルン[tḁ⸢ʧinoː⸣ruŋ](立ち直る)ともいう。 シ⸢ナムヌヌ⸣サーギ ⸢カーサリ⸣カー マ⸢チヤーヤ⸣ タ⸢ティノー⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ タ⸢ティノーラン⸣シェン [ʃi⸢namununu⸣saːgi ⸢kaːsari⸣kaː ma⸢ʧijaːja⸣ tḁ⸢tinoː⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu tḁ⸢tinoːraŋ⸣ʃeŋ] (品物がさえ売れれば店は立ち直ると思ったが、立ち直らなかった)。 タ⸢ティノー⸣ル ⸣クトゥン ⸣アン [tḁ⸢tinoː⸣ru ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (立ち直ることもある)。 タ⸢ティノー⸣レー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢tinoː⸣reː ⸣misamunu] (立ち直れば良いのに)。 ⸢ヤンマイ⸣ヤ ⸣イサン ⸣ミシェーティ ヤー⸢ディン⸣ タ⸢ティノー⸣リ⸢ダー [⸢jammai⸣ja ⸣ʔisam ⸣miʃeːti jaː⸢din⸣ tḁ⸢tinoː⸣ri⸢daː] (病気は医者に診せてきっと立ち直れよ) 9979 0 0 9430 htmvoc_9979.wav タティパルン ⸣タティパルン [⸣tatiparuŋ] 自動 立ち去る。 ノー⸢ンティン⸣ ア⸢ザンドー⸣シ ⸣タティパルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ナー⸢イヤー⸣ タ⸢ティパララン⸣バ ⸣タティパル ⸣マイナー プ⸢ス⸣クトゥ(プ⸢ス⸣クイ) ⸣アジ ッ⸢サリリ [noː⸢ntiŋ⸣ ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi ⸣tḁtiparunti ʔu⸢muːn⸣du naː⸢ijaː⸣ tḁtipa⸢raram⸣ba ⸣tḁtiparu ⸣mainaː pu̥⸢su⸣ku̥tu(pu⸢su⸣kui)⸣ʔaʤi s⸢sariri] (なんにも言わないで立ち去ろうと思うが、ただ何もしないで黙っては立ち去れないので、立ち去る前に一言申しあげなさい)。 ⸣タティパリ ⸣ミサカー ⸣タティパレー ⸣ミサムヌ [⸣tḁtipari ⸣misakaː ⸣tḁtipareː ⸣misamunu] (立ち去ってよければ立ち去ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣タティパリ [⸢paː⸣ku ⸣tatipari] (早く立ち去れ) 9964 0 0 9431 htmvoc_9964.wav タティビリ ⸣タティビリ [⸣tḁtibiri] 名 立ったり、座ったりすること。日常の所作。「たなびく雲の立ちゐ~」『古今集序』の転訛したもの。 ⸣トゥシ ⸣トゥルカー ⸣タティビリン プ⸢スン ティーワチ⸣ライ⸣ シ⸢ミラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣tuʃi ⸣turukaː ⸣tḁtibirim pu̥⸢sun tiːwaʧi⸣rai ʃi⸢miraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (年を取ると立ったり座ったりすることも他人の世話にならなければ<他人に手を煩わさせなければ>ならない) 9965 0 0 9432 htmvoc_9965.wav タティブガリ タ⸢ティブガ⸣リ [tḁ⸢tibuga⸣ri] 名 立ち続けて疲れること。「立ち疲れ」の義。ビ⸢リブガリ[bi⸢ribugari](座り続けて疲れること)の対義語。 シ⸢トゥム⸣テーラ ユ⸢ヌ⸣トンナ ナー⸢イ⸣ タティ ⸢ベー⸣ティ タ⸢ティブガ⸣リ ⸢シー ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢tumu⸣teːra ju⸢nu⸣tonna naː⸢i⸣ tḁti ⸢beː⸣ti tḁ⸢tibuga⸣ri ⸢ʃiː naː⸣nu] (朝から同じ所にずうっと立っているので、立ち疲れしてしまった) 9966 0 0 9433 htmvoc_9966.wav タティフダ タ⸢ティ⸣フダ [tḁ⸢ti⸣ɸuda] 名 立て札。掲示板。 タ⸢ティ⸣フダナー ⸣ヌーティ カ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ユー ユミ⸢ミー [tḁ⸢ti⸣ɸudanaː ⸣nuːti kḁ⸢ka⸣ri ⸢beː⸣juː jumi⸢miː] (立て札に何と書かれているか、読んでごらん) 9967 0 0 9434 htmvoc_9967.wav タティフチ タ⸢ティ⸣フチ [tḁ⸢ti⸣ɸu̥ʧi] 名 立て方。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢ラー⸣ヤ ⸢ヌー⸣シル タ⸢トーッ⸣タユー タ⸢ティ⸣フチ シ⸢キ⸣ クー [ku⸢nu⸣ pa⸢raː⸣ja ⸢nuː⸣ʃiru tḁ⸢toːt⸣tajuː tḁ⸢ti⸣ɸu̥ʧi ʃi̥⸢ki⸣ kuː] (この柱はどうやって立てられたか、立て方を聞いてこい) 9968 0 0 9435 htmvoc_9968.wav タティブニ タ⸢ティ⸣ブニ [tḁ⸢ti⸣buni] 名 凧の縦骨。凧の縦の竹骨。 ピ⸢キダマヌ⸣ タ⸢ティ⸣ブネー ク⸢マークマー⸣シ キ⸢ジ⸣バ [pi̥⸢kidamanu⸣ tḁ⸢ti⸣buneː ku⸢maːkumaː⸣ʃi ki⸢ʤi⸣ba] (凧の縦の竹骨は細く削れ) 9980 0 0 9436 htmvoc_9980.wav タティマーリトゥンマーリ タ⸢ティマー⸣リ ⸢トゥンマーリ [tḁ⸢timaː⸣ri ⸢tummaːri] 連 よく見回りをすること。気をつけて見回りすること。気をつけて見守ること。「立ち回り飛び回り」の義。 ウ⸢キ⸣ナー ⸣パルカー ⸢バン⸣テヌ ッ⸢ふァン⸣ケー タ⸢ティマー⸣リ ⸢トゥンマーリ シー⸣ ミリ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [ʔu⸢ki⸣naː ⸣parukaː ⸢ban⸣tenu f⸢faŋ⸣keː tḁ⸢timaː⸣ri ⸢tummaːri ʃiː⸣ miri f⸢fiːri⸣joː] (沖縄に行ったら私の子供たちをよく見回りして<見守って>くれよ) 9969 0 0 9437 htmvoc_9969.wav タティムヌ タ⸢ティ⸣ムヌ [tḁ⸢ti⸣munu] 名 建物。建築物。標準語からの借用語。 イ⸢サンケー⸣ナー ⸣ニカイヤー ⸣サンカイヤーヌ イ⸢ルン⸣ナ タ⸢ティムヌ⸣ヌ ⸣アン [ʔi⸢saŋkeː⸣naː ⸣nikaijaː ⸣saŋkaijaːnu ʔi⸢run⸣na tḁ⸢timunu⸣nu ⸣ʔaŋ] (石垣島には二階建、三階建ての、いろんな建物がある) 9970 0 0 9438 htmvoc_9970.wav タティユク ⸣タティユク [⸣tḁtijuku] 名 縦横。標準語からの借用語。老年層は、⸣ナイシマー[⸣naiʃimaː](縦横)という。 ⸣タティユク ⸣ユー ⸣ミレーティ パ⸢カ⸣リバ [⸣tḁtijuku ⸣juː ⸣mireːti pḁ⸢ka⸣riba] (縦横をよく見ながら測りなさい) 9971 0 0 9439 htmvoc_9971.wav タディヨーゾー タ⸢ディヨーゾー [ta⸢dijoːʣoː] 名 患部を温湿布して治療すること。\ruby{罨法}{アン|ポウ}。 ス⸢ブシヌ⸣ ヤミテ タ⸢タラン⸣シェンドゥ ⸣ドゥーシ タ⸢ディヨーゾーバ シェー⸣ティ ⸢ノーシ⸣タ⸢ダー [su⸢buʃi⸣nu ⸣jamiti tḁ⸢taraŋ⸣ʃendu ⸣duːʃi ta⸢dijoːʣoːba ʃeː⸣ti ⸢noːʃi̥⸣ta⸢daː] (膝が痛くて立てなかったが、自分で患部を温湿布しながら治療して治したよ) 9972 0 0 9440 htmvoc_9972.wav タティルン タ⸢ティ⸣ルン [tḁ⸢ti⸣ruŋ] 他動 立てる。建てる。 ⸣パラー タ⸢ティ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー タ⸢ティララン⸣バ マー⸢ズン⸣シ ⸣タティ ッ⸢ふィーリ [⸣paraː tḁ⸢ti⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː tḁ⸢tiraram⸣ba maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ⸣tḁti f⸢fiːri] (柱を立てようと思うが、一人では立てられないので一緒に立ててくれ)。 タ⸢ティ⸣ル ⸣ムノー ⸢パー⸣ク タ⸢ティ⸣レー ⸣ミサムヌ [tḁ⸢ti⸣ru ⸣munoː ⸢paː⸣ku tḁ⸢ti⸣reː ⸣misamunu] (立てるものは早く立てればよいのに)。 ⸣ドゥーシ タ⸢ティ⸣リ [⸣duːʃi tḁ⸢ti⸣ri] (自分で立てろ) 9973 0 1 9441 htmvoc_9973.wav タディルン タ⸢ディルン [ta⸢diruŋ] 他動 {Mn_1}たでる。いぶす(燻す)。腫物などの痒みや傷むところを温湯で蒸す。温熱湿布する。「Tade,zzur,、eta.タデ,ヅル,デタ。痛みや痒みを鎮め和らげるために、疥癬を洗いながら、ある布ぎれでぴたぴた叩く。また、比喩。船を食う虫を殺すため船を焦がす」『邦訳日葡辞書』。 ッ⸢サバタヌ⸣ ヤミティ フ⸢チン⸣パー ⸢シッ⸣キティ ウ⸢リトゥ⸣ ヤ⸢キマース⸣シ タ⸢ディルンティ ベーン⸣ドゥ タ⸢ディラランバ⸣ アッパー タ⸢ディ ッふォー⸣リ [s⸢sabatanu⸣ jamiti ɸu̥⸢ʧim⸣paː ⸢ʃik⸣kiti ʔu⸢ritu⸣ ja⸢kimaːsu⸣ʃi ta⸢dirunti beːn⸣du ta⸢diraramba⸣ ʔappaː ta⸢diffoː⸣ri] (下腹が痛くて、蓬の葉を搗いて、それと焼き塩で温湿布しようとしているが、温湿布できないので、お婆さん温湿布してください)。 タ⸢ディル⸣ ピンマー ヤー⸢ラマー⸣シ ⸢ウシケー⸣ティ タ⸢ディレー⸣ ミサムヌ [ta⸢diru⸣ pimmaː jaː⸢ramaː⸣ʃi ⸢ʔuʃi̥keː⸣ti ta⸢direː⸣ misamunu] (温湿布するときは、軽く押さえて温湿布すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢ディリ [⸢paː⸣ku ta⸢diri] (早く温湿布しなさい)。 9973 0 2 9442 htmvoc_9973.wav タディルン タ⸢ディルン [ta⸢diruŋ] 他動 {Mn_2}船虫害を防ぐために船底を茅やススキを燃やして焼く。 カ⸢ツシンマー シー⸣キツ ⸢スー⸣ ピンマー フ⸢ニ⸣ヌ ス⸢ク⸣ ガヤー ⸢モーシティ⸣ タ⸢ドーッ⸣タン [kḁ⸢ʦuʃimmaː ʃiː⸣ki̥ʦu ⸢suː⸣ pimmaː ɸu⸢ni⸣nu su̥⸢ku⸣ gajaː ⸢moːʃi̥ti ta⸢doːt⸣taŋ] (カツオ漁船はお祓いの清潔をする際は、茅を燃やして船底を焼かれ<たで>た) 9974 0 0 9443 htmvoc_9974.wav タティングリサン タ⸢ティングリ⸣サン [ta⸢tiŋguri⸣saŋ] 形 立ちにくい。生活しにくい。⸣タトゥン[⸣tḁtuŋ](立つ{EOS}生活する)の連用形に、形容詞型助動詞⸢ングリ⸣サン[⸢ŋguri⸣saŋ](~ずらい{EOS}~にくい)が付いて形成された派生形容詞。 ⸣クナーテー シ⸢グトゥヌ ナー⸣ンダ タ⸢ティングリ⸣サン [⸣kunaːteː ʃi⸢gutunu naː⸣nda tḁ⸢tiŋguri⸣saŋ] (ここでは仕事が無いので生活しにくい<立ちにくい>) 9975 0 0 9444 htmvoc_9975.wav タティンビリンシーブララヌ ⸣タティン ⸣ビリン ⸢シー⸣ ブ⸢ララヌ [⸣tḁtim ⸣biriŋ ⸢ʃiː⸣ bu⸢raranu] 連 居ても立っても居られない。不安やいらだち、喜びなどでじっとしていられない。「立っても座っても居られない」の義。 ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢シンシー⸣ヌ ⸢オー⸣ルンティ シ⸢キティ ヌー⸣シ ⸣ウトゥルムチ ⸢スー⸣ユーティ ⸢ソーバ シー⸣ タティン ⸣ビリン ⸢シー⸣ ブ⸢ラランシェン [ʔu⸢ki⸣naːra ⸢ʃiŋʃiː⸣nu ⸢ʔoː⸣runti ʃi̥⸢kiti nuː⸣ʃi ⸣ʔuturumuʧi ⸢suː⸣juːti ⸢soːba ʃiː⸣ tḁtim ⸣biriŋ ⸢ʃiː⸣ bu⸢raraŋʃeŋ] (沖縄から先生が来られると聞いて、どうやってご接待してよいか分らず、居ても立っても居られなかった) 9981 0 0 9445 htmvoc_9981.wav タティンビリンナラヌ ⸣タティン ⸣ビリン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣tḁtim ⸣birin na⸢ra⸣nu] 連 立錐の余地も無く動けない。混雑して狭苦しく動けない。身動き出来ない。「立ちも座りも出来ない」の義。 ク⸢ビッチ⸣ン ⸣ヤーナー ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸣タティン ⸣ビリン ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢bitʧi⸣ɲ ⸣jaːna ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸣tḁtim ⸣birin na⸢ra⸣nu] (これぽっちの小さな家に、あれだけの人が集まって身動き出来ない) 9987 0 0 9446 htmvoc_9987.wav タトゥーン ⸣タトゥーン [⸣tḁtuːŋ] 他動 たとえる(譬える{EOS}譬える)。なぞらえる。ある事柄の内容や性質などを他の事物との共通点に対比させて表す。「たとふ<下二段活用>。世の中を何に将譬<たとへむ>『万葉集 351』」の四段活用化したもの。普通は、イ⸢ズ⸣カー[ʔi⸢ʣu⸣kaː](言うなれば{EOS}いわば)という。 ⸣ウタナー ⸣カキ ⸣タトゥイティ イ⸢ズンティ スンドゥ⸣ タ⸢トゥイララ⸣ヌ [⸣ʔutanaː ⸣kḁki ⸣tḁtuiti ʔi⸢ʣunti sundu⸣ tḁ⸢tuirara⸣nu] (歌に引っ掛けて譬えて歌おうとするが、譬えられない)。 ウ⸢ヤッふァ⸣ヌ ⸣ナカナー ⸣タトゥー ⸣クトゥ [ʔu⸢jaffa⸣nu ⸣nakanaː ⸣tḁtuː ⸣ku̥tu] (親子関係に譬えること)。 タ⸢トゥイ ヤッ⸣サン [tḁ⸢tui jas⸣saŋ] (譬えやすい)。 ム⸢カ⸣シパナシナー ⸣タトゥーン [mu⸢ka⸣ʃipanaʃinaː ⸣tḁtuːŋ] (故事<昔話>に譬える)。 ム⸢カ⸣シパナシナー タ⸢トゥイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [mu⸢ka⸣ʃipanaʃinaː tḁ⸢tui⸣jaː ⸣misamunu] (昔話に譬えればよいのに)。 ⸢クン⸣ナー ⸣タトゥイバ [⸢kun⸣naː ⸣tḁtuiba] (これに譬えなさいよ)。/イヤイーヤー ウミトゥヤマトゥヤ ウナジクムヌサミ タトゥティ ンチャリバ トゥジトゥブトゥトゥヤ ピトゥチドゥヤンティサ(いやいやー<囃子>海と山とは同じものだ{EOS}譬えてみると、妻と夫は一つ<一心同体>というのと同じことだ)/(鳩間口説) 9982 0 0 9447 htmvoc_9982.wav タトゥイ ⸣タトゥイ [⸣tḁtui] 名 喩え。事例。故事。例え話。昔から言い伝えられてきた事柄。「喩え。譬え」の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェーラヌ タ⸢トゥイ⸣ヌ ⸢トゥー⸣ル ⸢シーバル⸣ マ⸢シ [mu⸢ka⸣ʃeːranu tḁ⸢tui⸣nu ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiːbaru⸣ ma⸢ʃi] (昔からある事例の通りした方がよい<ましだ>) 9983 0 0 9448 htmvoc_9983.wav タトゥイ タ⸢トゥイ [tḁ⸢tui] 副 たとえ(仮令)~とも。仮に~でも。接続助詞⸢バン[⸢baŋ](ても<ばも>)、⸣ティン[⸣tiŋ](~ても)がついて、逆接の仮定条件句を導く。標準語からの転訛か。 タ⸢トゥイ ヤッ⸣サーラバン ク⸢レー カーンモー⸣ マ⸢シ [tḁ⸢tui jas⸣saːrabaŋ ku⸢reː kaːmmoː⸣ ma⸢ʃi] (たとえ安くても、これは買わない方が良い<ましだ>)。 ⸢マイヤー⸣ タ⸢トゥイ⸣ ス⸢クル⸣タンティン ⸢カーサラヌ [⸢maijaː⸣ tḁ⸢tui⸣ su̥⸢kuru⸣tantiŋ ⸢kaːsaranu] (米は仮令作っても売れない) 9984 0 0 9449 htmvoc_9984.wav タトゥイバナシ タ⸢トゥイバナ⸣シ [tḁ⸢tuibana⸣ʃi] 名 たとえばなし(譬え話)。寓話。 ⸣アイブ タ⸢トゥイバナ⸣シン シ⸢キミッ⸣タン [⸣ʔaibu tḁ⸢tuibana⸣ʃiŋ ʃi̥⸢kimit⸣taŋ] (そのような譬え話も聞いたことがある<聞いてみた>) 9985 0 0 9450 htmvoc_9985.wav タトゥイルカー タ⸢トゥイ⸣ルカー [tḁ⸢tui⸣rukaː] 連 喩えるならば。例えば。標準語から転訛したもの。老年層は、イ⸢ズ⸣カー[ʔi⸢ʣu⸣kaː](言うなれば{EOS}いわば)を多用する。 ウ⸢レー⸣ タ⸢トゥイ⸣ルカー ウ⸢ブプス⸣トゥ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢スー⸣ブ⸢ゲ⸣ラ [ʔu⸢reː⸣ tḁ⸢tui⸣rukaː ʔu⸢bupu̥su⸣tu ja⸢rabi⸣nu ⸢suː⸣bu⸢ge⸣ra] (それは、例えば大人と子供の競争<勝負>さ) 9986 0 0 9451 htmvoc_9986.wav タトゥイルン タ⸢トゥイ⸣ルン [tḁ⸢tui⸣ruŋ] 他動 たとえる(例える{EOS}譬える{EOS}喩える)。なぞらえる。 ⸢クン⸣ナー タ⸢トゥイ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢トゥイララ⸣ヌ [⸢kun⸣naː tḁ⸢tui⸣runti ʔu⸢muːn⸣du tḁ⸢tuirara⸣nu] (これに例えようと思うが、例えられない)。 ノー⸢ン⸣ナーン タ⸢トゥイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ノー⸢ン ヤラバン⸣ タ⸢トゥイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [noː⸢n⸣naːn tḁ⸢tui⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ranu⸣nu noː⸢ɲ jaraban⸣ ta⸢tui⸣jaː ⸣misamunu] (何にも例えることは出来ないが、何かに例えれば良いのに)。 タ⸢トゥイ⸣リ [tḁ⸢tui⸣ri] (例えろ)。 ⸣ウタナー タ⸢トゥイ⸣ルカー タ⸢トゥイヤッ⸣サン [⸣ʔutanaː tḁ⸢tui⸣rukaː tḁ⸢tuijas⸣saŋ] (歌に譬えると例えやすい) 9988 0 0 9452 htmvoc_9988.wav タドゥリスクン タ⸢ドゥリ⸣スクン [ta⸢duri⸣su̥kuŋ] 自動 辿り着く。道を尋ね求めて行き着く。 ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢ケー⸣ダーラ イ⸢ラムテー⸣ シゥ⸢カイ⸣ パ⸢ラシタ⸣ヌ タ⸢ドゥリ⸣スクンカヤー [ja⸢rabi⸣ba ⸢keː⸣daːra ʔi⸢ramuteː⸣ si̥⸢kai⸣ pa⸢raʃi̥ta⸣nu ta⸢duri⸣su̥kuŋkajaː] (子供を慶田から西表へ使いに遣ったが辿り着く<だろう>かね)。 マ⸢ダ⸣ タ⸢ドゥリシゥカ⸣ヌ [ma⸢da⸣ ta⸢durisi̥ka⸣nu] (まだ辿り着かない)。 タ⸢ドゥリシキ⸣ プサン [ta⸢duriʃi̥ki⸣ pusaŋ] (辿り着きたい)。 ⸣キューズーナ タ⸢ドゥリ⸣スク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kjuːʣuːna ta⸢duri⸣su̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (今日中に辿り着くことはない)。 タ⸢ドゥリ⸣シケー ⸣ミサムヌ [ta⸢duri⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (辿り着けば良いのに)。 タ⸢ドゥリ⸣シキバ [ta⸢duri⸣ʃi̥kiba] (辿り着けよ) 9989 0 1 9453 htmvoc_9989.wav タドゥルン タ⸢ドゥ⸣ルン [ta⸢du⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}たどる(辿る)。先祖を探る。探り求める。尋ねて求めて行く。 ⸢グヮ⸣ンス タ⸢ドゥ⸣ルンティ ウ⸢キ⸣ナー ⸢バー⸣キ ⸢ゲータン⸣ドゥ タ⸢ドゥララン⸣シェン [⸢gwan⸣su ta⸢du⸣runti ʔu⸢ki⸣naː ⸢baː⸣ki ⸢geːtan⸣du ta⸢duraraŋ⸣ʃeŋ] (元祖を辿ろう<探り求めよう>と沖縄本島まで行ったが辿られなかった)。 ⸢グヮン⸣ス タ⸢ドゥリ⸣ プサカー マー⸢ン バー⸣キン タ⸢ドゥ⸣ル ⸣クトゥ [⸢gwan⸣su ta⸢duri⸣ pu̥sakaː maː⸢mbaː⸣kin ta⸢du⸣ru ⸣ku̥tu] (元祖を辿りたければ、何処までも辿ることだ)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢ドゥ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ta⸢du⸣reː ⸣misamunu] (もっと辿ればいいのに)。 ⸢グヮン⸣ソー ⸣ドゥーシ タ⸢ドゥ⸣リバ [⸢gwan⸣soː ⸣duːʃi ta⸢du⸣riba] (元祖は自分で辿れ)。 9989 0 2 9454 htmvoc_9989.wav タドゥルン タ⸢ドゥ⸣ルン [ta⸢du⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}道を迷いながら尋ね行く。道や川に沿って進む。 ⸣タンコーミチ タ⸢ドゥ⸣リ ⸢ゲータン⸣ドゥ トゥ⸢ミララン⸣シェン [⸣taŋkoːmiʧi ta⸢du⸣ri ⸢geːtan⸣du tu⸢miraraŋ⸣ʃeŋ] (<廃坑になった>炭坑道を辿って行ったが捜せなかった) 9976 0 1 9455 htmvoc_9976.wav タトゥン ⸣タトゥン [⸣tḁtuŋ] 自動 {Mn_1}立つ。直立する。「見渡しに妹等者立志<たたし>~『万葉集 3299』」の義。 ⸣ドゥーシ ⸣タトゥンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢タラン⸣バ タ⸢タ⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸣duːʃi ⸣tatunti ʔu⸢muːn⸣du tḁ⸢taram⸣ba tḁ⸢ta⸣ʃi f⸢fiːri] (自力<自分>で立とうと思うが、立て<立たれ>ないから、立たせてくれ)。 ⸣クナー ⸣タティ ⸣ミサンカヤー [⸣kunaː ⸣tḁti ⸣misaŋkajaː] (此処に立っていいかねえ)。 ⸣タトゥ プ⸢ソー⸣ タテー ⸣ミサムヌ [⸣tḁtu pu̥⸢soː⸣ tḁteː ⸣misamunu] (立つ人は立てばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣タティ [⸢paː⸣ku ⸣tḁti] (早く立て)。 9976 0 2 9456 htmvoc_9976.wav タトゥン ⸣タトゥン [⸣tḁtuŋ] 自動 {Mn_2}新しい月・季節がくる。 ウ⸢ルズン⸣ヌ シ⸢キ⸣ヌ ⸣タトゥカー ナ⸢ツェー⸣ シ⸢グ キー⸣ス [ʔu⸢ruʣun⸣nu ʃi̥⸢ki⸣nu ⸣tḁtukaː na⸢ʧeː⸣ ʃi⸢gu kiː⸣su] (ウルズン<初春の季節>がくると、夏はすぐ到来する)。 9976 0 3 9457 htmvoc_9976.wav タトゥン ⸣タトゥン [⸣tḁtuŋ] 自動 {Mn_3}年月、時間が経過する。 シ⸢キピニチ⸣ヌ ⸣タトゥ ⸣ムノー パ⸢ヤー⸣ン [ʃi̥⸢kipiniʧi⸣nu ⸣tḁtu ⸣munoː pa⸢jaː⸣ŋ] (月日が経つのは早い)。 ⸣アッパー ⸢マーラソー⸣レーラー ⸢ナン⸣ニン タ⸢トゥ⸣ワ [⸣ʔappaː ⸢maːrasoː⸣reːraː ⸢nan⸣nin tḁ⸢tu⸣wa] (お祖母さんが亡くなられて何年経ちますか)。 9976 0 4 9458 htmvoc_9976.wav タトゥン ⸣タトゥン [⸣tḁtuŋ] 自動 {Mn_4}発つ。出発する。 ⸢ワー ナン⸣ジナ タ⸢トゥ⸣ワ [⸢waː nan⸣ʤina tḁ⸢tu⸣wa] (君は何時に出発するか)。 9976 0 5 9459 htmvoc_9976.wav タトゥン ⸣タトゥン [⸣tḁtuŋ] 自動 {Mn_5}生活していく。暮らしていく。自活していく。 ⸣カイブ ⸣トンナー タ⸢タラ⸣ヌ [⸣kaibu ⸣tonnaː tḁ⸢tara⸣nu] (こんな所では暮らしていけない)。 マー⸢ン⸣ナーン ⸣タティ パ⸢ラ⸣リン [maː⸢n⸣naːn ⸣tḁti pa⸢ra⸣riŋ] (何処でも生活していける)。他動詞。 ⸣クナー ⸣パラー ⸣タトゥンティ ウ⸢ムー⸣ヌ ⸣タティ ⸣ミサンカヤー [⸣kunaː ⸣paraː ⸣tḁtunti ʔu⸢muː⸣nu ⸣tḁti ⸣misaŋkajaː] (此処に柱を立てようと思うが立てて良いかね) 9977 0 1 9460 htmvoc_9977.wav タドゥン タ⸢ドゥン [ta⸢duŋ] 他動 {Mn_1}温湿布する。「たづ<下二段活用>。腫物や病気の箇所を温湯で蒸す」の四段活用化したもの。 ッ⸢サバタ⸣ タ⸢ドゥン [s⸢sabata⸣ ta⸢duŋ] (下腹を温湯で蒸す<温湿布する>)。 タ⸢ダヌ [ta⸢danu] (温湯で蒸さない)。 タ⸢ディ⸣プサン [ta⸢di⸣pu̥saŋ] (温湯で蒸したい)。 タ⸢ドゥ⸣ピン [ta⸢du⸣ piŋ] (温湯で蒸すとき)。 タ⸢デー⸣ ミサムヌ [ta⸢deː⸣ misamunu] (温湯で蒸せばいいのに)。 シ⸢ガーシェン⸣ トンマー タ⸢ディ⸣バ [ʃi⸢gaːʃen⸣ tommaː ta⸢di⸣ba] (捻挫したところは温湯で蒸せよ)。 9977 0 2 9461 htmvoc_9977.wav タドゥン タ⸢ドゥン [ta⸢duŋ] 他動 {Mn_2}船底をいぶし(\ruby{燻}{イブ}し)て船虫を駆除する。 カ⸢ツシンマー シー⸣キツ ⸢スー⸣ピンマー ⸢ユシキ⸣バ ⸢モーシェー⸣ティル フ⸢ニ⸣ヌ ス⸢ク⸣ アビ タ⸢ドーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː ʃiː⸣ki̥ʦu ⸢suː⸣ pimmaː ⸢juʃi̥ki⸣ba ⸢moːʃeː⸣tiru ɸu⸢ni⸣nu su̥⸢ku⸣ ʔabi ta⸢doːt⸣ta] (カツオ漁船は万直しの清潔をする時はススキを燃やしながら船底を\ruby{焙}{アブ}って\ruby{燻}{イブ}された) 9992 0 1 9462 htmvoc_9992.wav タナ タ⸢ナ [ta⸢na] 名 {Mn_1}舟棚。「棚閣、和名多奈<たな>」『和名抄』の義。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船{EOS}サバニ)の船べりに装着する幅約20センチ、長さ約3メートルの棚板。約1、5メートルの板を填め込み式に繋ぎ合わせて使用した。波頭が船腹に入るのを防ぐのに用いた。「~こぎたみゆきし棚無小舟『万葉集 58』」の「棚」の義。「たなきよら<棚清ら>」、船の美称、船棚の清いものの意。対語「いたきよら」。オモロ原注に「はね也」「船の異名なり」とある『沖縄古語大辞典』。 ⸣イダフニナー ⸣ニー シ⸢ム⸣ ピンマー タ⸢ナ⸣ カキティ パ⸢ラ⸣ソーッタ [⸣ʔidaɸuninaː ⸣niː ʃi⸢mu⸣ pimmaː ta⸢na⸣ kḁkiti pa⸢ra⸣soːtta] (板舟<サバニ>に荷を積むときは舟棚を掛けて操船された<走らされた>)。 9992 0 2 9463 htmvoc_9992.wav タナ タ⸢ナ [ta⸢na] 名 {Mn_2}棚。 タ⸢ム⸣ヌダナ [ta⸢mu⸣nudana] (薪棚)。 9992 0 3 9464 htmvoc_9992.wav タナ タ⸢ナ [ta⸢na] 名 {Mn_3}蔓性の植物を棚仕立てにして栽培する装置。 ⸢ゴーヤー⸣ダナ [⸢goːjaː⸣dana] (ニガウリの棚)。 タ⸢ナ⸣ カキティ ⸢ゴー⸣ヤー ⸢パー⸣スン [ta⸢na⸣ kḁkiti ⸢goː⸣jaː ⸢paː⸣suŋ] (棚を架けてニガウリを這わせる) 9993 0 0 9465 htmvoc_9993.wav タナシ タ⸢ナシ [ta⸢naʃi] 名 士族女性のひとえ<一重>の内掛け。古典舞踊、パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)の衣装の一つ。カ⸢カン[kḁ⸢kaŋ](女性の礼装用腰巻<袴>)とス⸢ディ⸣ナ[su⸢di⸣na](脇の長く開いた、ついたけ<対丈>の衣{EOS}カカンと対をなす)の上から着る衣装で、加治工家と寄合家に伝わる。 パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ブ⸢ドゥルキンヌ⸣ タ⸢ナシェー⸣ カ⸢ザケートゥ⸣ ユ⸢レーヌ⸣ ウ⸢ブ⸣アッパー キ⸢ソー⸣レー ⸢キンバ⸣ル マ⸢ナ⸣マン シゥ⸢カイオー⸣ル [pḁ⸢tu⸣manakamurinu bu⸢durukinnu⸣ ta⸢naʃeː⸣ ka⸢ʣakeːtu⸣ ju⸢reːnu⸣ ʔu⸢bu⸣ʔappaː ki̥⸢soː⸣reːnu ⸢kimba⸣ru ma⸢na⸣man si̥⸢kaijoː⸣ru] (古典舞踊鳩間中岡の衣装<踊り着物>のタナシは加治工家と寄合家の曾祖母<大御祖母さん>が着用された着物を現在も使っておられる) 9994 0 0 9466 htmvoc_9994.wav タナドゥル タ⸢ナ⸣ドゥル [ta⸢na⸣duru] 名 稲の種を蒔く行事。「種取り」の義。旧暦10月のミズノエ<壬>の日から10日間に亘って執り行われる。⸢ソージイバ⸣チ[⸢soːʤiʔiba⸣ʧi](精進飯初{EOS}直径約7センチ、高さ約10センチの円錐形の握り飯を作ってお膳の四隅に1個ずつ置き、真ん中に大きなイバチを置いて火の神の前に供える供物)を火の神に供え、ブ⸢ナル[bu⸢naru](おなり神、戸主の姉妹)によって稲の種が順調に発芽し、生育するよう祈願される。そしてイバチは親戚の家にも配られた。種取り祭りには、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)やティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性神職者{EOS}「手擦り部」の義)達が神職者の家を回って稲種の順調な発芽と成育を祈願した後、神歌のタ⸢ナ⸣ドゥルアヨー[ta⸢na⸣duruʔajoː](種取りアヨー)や⸢ユングトゥ[⸢juŋgutu](種取りユンゴゥトゥ<「読みごと」の義か{EOS}寿詞{EOS}吉言>)を歌いながら、この時期に島の神歌を口承伝授させたという。種取り祭には鳴り物<楽器>は鳴らすことはタブーであった。 タ⸢ナ⸣ドゥルナー ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸢ニンガイ⸣ヌ ⸣アトー タ⸢ナ⸣ドゥルアヨー ⸢ユングトゥ カンウタ⸣バ イ⸢ゾー⸣レーティル ⸢カン⸣ウター ウ⸢キ⸣トゥローッタティ⸢ダー [ta⸢na⸣durunaː ⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢niŋgai⸣nu ⸣ʔatoː ta⸢na⸣duruʔajoː ⸢juŋgutu kaŋʔuta⸣ba ʔi⸢ʣoː⸣reːtiru ⸢kaŋ⸣ʔutaː ʔu⸢ki⸣turoːttati⸢daː] (種取り祭りには、神職者たちは祈願の後、種取アヨーやユングトゥ、神歌を歌われながら神歌を伝授された<受け取られたってよ>そうだ) 9995 0 0 9467 htmvoc_9995.wav タナドゥルソージ タ⸢ナ⸣ドゥルソージ [ta⸢na⸣durusoːʤi] 名 ⸢種取精進」の義。播種した種籾が順調に発芽し生育するよう、精進潔斎して祈願すること。その期間は茶を飲まない(茶色が出るのは田圃に赤錆た水が出るのでタブー)、鬚を剃らない、髪を刈らない(鬚を剃ることは、苗の根を刈り取ることに繋がるのでタブー)、畑の畦の草を焼かない、子供が飛び跳ねることを禁じる等のタブーを守った。 タ⸢ナ⸣ドゥルソージナーヤ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢アーリムンマー⸣ イ⸢バ⸣チェー ッ⸢ふァーソーラン⸣シェン [ta⸢na⸣durusoːʤinaːja ja⸢rabi⸣nu ⸢ʔaːrimummaː⸣ ʔ⸢iba⸣ʧeː f⸢faːsoːraŋ⸣ʃeŋ] (種取り祭の精進の時には、子供の暴れん坊にはイバチを食べさせられなかった{EOS}<飛び跳ねて暴れると猪害が発生するのでタブー>) 9996 0 0 9468 htmvoc_9996.wav タナバタ タ⸢ナバタ [ta⸢nabata] 名 たなばた(七夕)。旧暦7月7日に墓の掃除をし、先祖にお盆の案内をする習慣がある。また諸般の事情で延期している諸法事を干支のひえり<日択り>をすることなく、この日に執り行うことが出きるといわれている。 タ⸢ナバタ⸣ナー パ⸢カヌ ソージ⸣バ ⸢シー⸣ ヌビヌビー ナリ⸢ブー ソッ⸣コーン ⸢ソーッ⸣タン [ta⸢nabata⸣naː pḁ⸢kanu soːʤi⸣ba ⸢ʃiː⸣ nubinubiː nari⸢buː sok⸣koːn ⸢soːt⸣taŋ] (七夕には墓の掃除もし、延期している法事も執り行われた<された>) 9997 0 0 9469 htmvoc_9997.wav タナミ タ⸢ナ⸣ミ [ta⸢na⸣mi] 名 頼み。 ⸣バー タ⸢ナ⸣ミ プ⸢スケンナー⸣ヤ シ⸢キ ッふィーラン⸣ノーレー [⸣baː ta⸢na⸣mi pu̥⸢sukennaː⸣ja ʃi̥⸢ki ffiːran⸣noreː] (私の頼みを一度ぐらいは聞きいれてくれないかねえ) 9998 0 0 9470 htmvoc_9998.wav タナミプス タ⸢ナミ⸣プス [ta⸢nami⸣pu̥su] 名 雇い人。雇っている人。「頼み人」の義。 タ⸢ナミプス⸣バ ⸢サーリ キー⸣ル パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シモーッタ [ta⸢namipu̥su⸣ba ⸢saːri kiː⸣ru pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃimoːtta] (雇い人を連れてきて<ぞ>畑を耕作させられた<耕させられた>) 9999 0 0 9471 htmvoc_9999.wav タナムン タ⸢ナ⸣ムン [ta⸢na⸣muŋ] 他動 頼む。依頼する。当てにする。老年層が多用する。 バ⸢コーシン⸣カ タ⸢ナ⸣ムンティ ⸢ゲータン⸣ドゥ タ⸢ナマラン⸣バ ⸢ワー⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸣キー ッ⸢ふィーリ [ba⸢koːʃiŋ⸣ka ta⸢na⸣munti ⸢geːtan⸣du ta⸢namaram⸣ba ⸢waː⸣ ta⸢na⸣mi ⸣kiː f⸢fiːri] (共同作業の作業員<仲間>を頼もうと思って行ったが、頼まれないので君が頼んできてくれ)。 ギュ⸢タール⸣ タ⸢ナミ⸣ プサワ [gju⸢taːru⸣ ta⸢nami⸣ pu̥sawa] (何人頼みたいか)。 タ⸢ナ⸣ム ⸣ピンマー ムー⸢ル⸣ タ⸢ナ⸣メー ⸣ミサムヌ [ta⸢na⸣mu ⸣pimmaː muː⸢ru⸣ ta⸢na⸣meː ⸣misamunu] (頼む時は全員<みんな>頼めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢ナ⸣ミ [⸢paː⸣ku ta⸢na⸣mi] (早く頼め) 10001 0 1 9472 htmvoc_10001.wav タニ ⸣タニ [⸣tani] 名 {Mn_1}種子。「種」の義。「~あげに種蒔き~『万葉集 2999』」の転訛したもの。「因、ヨシ・タネ」『類聚名義抄』の義。⸣サニ[⸣sani](種子)ともいう。 タ⸢ニ⸣ムミ [ta⸢ni⸣mumi] (種籾)。 ⸢マイダニ [⸢maidani] (稲の種)。 ⸢アー⸣ダニ [⸢ʔaː⸣dani] (粟の種)。 ⸢ムン⸣ヌ ⸣タニ [⸢mun⸣nu ⸣tani] (麦の種)。 タ⸢ニ⸣オー [ta⸢ni⸣ʔoː] (種付け豚)。 ッ⸢ふァダニヌ ナーン⸣ツォー [f⸢fadaninu naːn⸣ʦoː] (子種<精子>が無いそうだ)。 ⸣タニ ウ⸢ラ⸣スン [⸣tani ʔu⸢ra⸣suŋ] (種を蒔く<下ろす>)。 10001 0 2 9473 htmvoc_10001.wav タニ ⸣タニ [⸣tani] 名 {Mn_2}男根。 タ⸢ニ⸣ヌ ⸣アルカー ビ⸢コーンッふァゲ⸣ラ [ta⸢ni⸣nu ⸣ʔarukaː bi⸢koːŋffage⸣ra] (男根があるなら男の子さ)。 10001 0 3 9474 htmvoc_10001.wav タニ ⸣タニ [⸣tani] 名 {Mn_3}リンパ腺のぐりぐり。 バ⸢キンッサー⸣ラナー タ⸢ニ⸣ヌ アル⸢サー [ba⸢kinssaː⸣ranaː ta⸢ni⸣nu ʔaru⸢saː] (腋の下にリンパ腺のぐりぐりがあるよ) 10002 0 0 9475 htmvoc_10002.wav タニウシ タ⸢ニ⸣ウシ [ta⸢ni⸣ʔuʃi] 名 種牛。繁殖用の種付け牛。 タ⸢ニシキ⸣ウシェー カ⸢リキー⸣ル ⸣タニ シ⸢キ⸣シモーッタ [ta⸢niʃi̥ki⸣ʔuʃeː ka⸢rikiː⸣ru ⸣tani ʃi̥⸢ki⸣ʃimoːtta] (種付け牛を借りてきて種付けさせられた) 10003 0 0 9476 htmvoc_10003.wav タニウラシ タ⸢ニウラ⸣シ [ta⸢niʔura⸣ʃi] 名 種おろし。種蒔き。⸣ナイ ウ⸢ラ⸣スン[⸣nai ʔu⸢ra⸣suŋ](苗をおろす)ともいう。 カ⸢ブッチェー⸣ タ⸢ニウラ⸣シ ⸢シーティ ナイ⸣ヌ ⸢スー⸣リ ⸢クーバ⸣ル ⸣ヤトゥイ イ⸢ボーッタ⸣ル [ka⸢butʧeː⸣ ta⸢niʔura⸣ʃi ⸢ʃiːti nai⸣nu ⸢suː⸣ri ⸢kuːba⸣ru ⸣jatui ʔi⸢boːtta⸣ru] (カボチャ<南瓜>は種おろしをして、苗が成長してきたら移植されたものだ) 10004 0 0 9477 htmvoc_10004.wav タニオー タ⸢ニ⸣オー [ta⸢ni⸣oː] 名 種豚。種付け用の雄豚。サ⸢ニ⸣オー[sa⸢ni⸣oː](種豚)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー イ⸢サナキ⸣ナー タ⸢ニオー⸣バ ⸢サーレー⸣ティ ⸢アー⸣ク プ⸢スン⸣ ブ⸢リブタヌ⸠ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔi⸢sanaki⸣naː ta⸢nioː⸣ba ⸢saːreː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku pu̥⸢sum⸣ bu⸢ributanu⸠naː] (昔は石垣島では種豚を連れてあるく人がいた<居りおった>がなあ) 10005 0 0 9478 htmvoc_10005.wav タニキスン ⸣タニ ⸣キスン [⸣tani ⸣ki̥suŋ] 連 血統が切れる。「種切れる」の義。種が断絶する。種が絶滅する。 ⸢ウン⸣ネーヤ タ⸢ニ⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːja ta⸢ni⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (あの家は血統が断絶して<切れて>しまった)。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー ⸢ショーワー ヨンジューネンバー⸣ケー ス⸢ク⸣リ ブ⸢タンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー タ⸢ニ⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʣaireːmai⸣jaː ʃoːwa jonʤuːnembaː⸣keː su̥⸢ku⸣ri bu⸢tandu⸣ ma⸢na⸣maː ta⸢ni⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (在来種の米<赤米>は昭和四十年までは作付けしていたが、今は絶滅<種切れ>してしまった) 10006 0 0 9479 htmvoc_10006.wav タニシキルン ⸣タニ シ⸢キ⸣ルン [⸣tani ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 種を付ける。交尾させる。交配させる。 タ⸢ニ⸣オー カ⸢リ⸣キー ⸣タニ シ⸢キ⸣ルンティ ⸢アー⸣ク [ta⸢ni⸣oː ka⸢ri⸣kiː ⸣tani ʃi̥⸢ki⸣runti ⸢ʔaː⸣ku] (種豚を借りてきて交配<種付け>させようとしている)。 カ⸢ブッチン⸣ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクカー ビ⸢キパナー⸣ ブリティ ⸢ミー⸣パナナー ⸣タニ シ⸢キ⸣ルンティ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [ka⸢butʧim⸣ pa⸢na⸣nu ⸣sḁkukaː bi⸢kipanaː⸣ buriti ⸢miː⸣pananaː ⸣tani ʃi̥⸢ki⸣runti naraːsoːtta] (南瓜も花が咲いたら雄花をもいで雌花に受粉させる<種付けさせる>と教えられた) 10007 0 0 9480 htmvoc_10007.wav タニトゥルン ⸣タニ ⸣トゥルン [⸣tani ⸣turuŋ] 連 種子を取る。採種する。 ⸢ムン⸣ヌ ⸣タニ ⸣トゥルンティ ⸣ズク シ⸢ミ⸣ シケー [⸢mun⸣nu ⸣tani ⸣turunti ⸣ʣuku ʃi⸢mi⸣ ʃi̥keː] (麦の種子を取ろうとして熟させておいてある) 10008 0 0 9481 htmvoc_10008.wav タニヌサウ タ⸢ニ⸣ヌ ⸣サウ [ta⸢ni⸣nu ⸣sau] 連 陰茎。「男根の竿」の義。⸣マラ[⸣mara](陰茎)ともいう。 タ⸢ニ⸣ヌ ⸣サウ ⸢コー⸣ルン [ta⸢ni⸣nu ⸣sau ⸢koː⸣ruŋ] (陰茎が勃起する<硬くなる>) 10012 0 0 9482 htmvoc_10012.wav タニヌフル タ⸢ニ⸣ヌ フ⸢ル [ta⸢ni⸣nu ɸu⸢ru] 連 睾丸。陰嚢。フ⸢ル[ɸu⸢ru](ふぐり)ともいう。「Fuguri.フグリ(陰嚢)」『邦訳日葡辞書』。 ビ⸢キドゥモー⸣ クサ カ⸢カ⸣ルカー タ⸢ニ⸣ヌ フ⸢ル⸣ フ⸢クルン [bi⸢kidumoː⸣ ku̥sa kḁ⸢ka⸣rukaː ta⸢ni⸣nu ɸu⸢ru⸣ ɸu̥⸢kuruŋ] (男性がフィラリアに罹ると陰嚢が腫れる) 10009 0 0 9483 htmvoc_10009.wav タニパタッカリヤラビ ⸣タニ パ⸢タッカリヤラビ [⸣tani pḁ⸢takkarijarabi] 連 下半身丸裸の幼児。「ちんちんをはだかる(開る)童」の転訛したもの。マラタリヤラビとも言う。 ⸣タニ パ⸢タッカリヤラベー⸣ ウ⸢ム⸣クトー ⸢ナーン⸣ダ バ⸢ラウナ [⸣tani pa⸢takkarijarabeː⸣ ʔu⸢mu⸣ku̥toː ⸢naːn⸣da ba⸢rauna] (下半身丸裸の子供<童>は思慮分別がないから笑うな) 10010 0 0 9484 htmvoc_10010.wav タニパンクルン ⸣タニ ⸢パン⸣クルン [⸣tani ⸢paŋ⸣kuruŋ] 連 陰茎の亀頭の外皮がめくれる。 ビ⸢コーンッふァー⸣ トゥ⸢シ⸣グル ⸣ナルカー ⸣タニ ⸢パン⸣クルン [bi⸢koːŋffaː⸣ tu̥⸢ʃi⸣guru ⸣narukaː ⸣tani ⸢paŋ⸣kuruŋ] (男の子は年頃になると亀頭の外皮がめくれる) 10011 0 0 9485 htmvoc_10011.wav タニピビザ タ⸢ニピビ⸣ザ [ta⸢nipibi⸣ʣa] 名 種山羊。種付け用の山羊。 フ⸢ドゥヌ マイ⸣ヤ ⸣ムノーラ タ⸢ニピビ⸣ザ イ⸢ラ⸣ビバ [ɸu⸢dunu mai⸣ja ⸣munoːra ta⸢nipibi⸣ʣa ʔi⸢ra⸣biba] (体格の大きいものから種付け用の山羊を選びなさいよ) 10013 0 0 9486 htmvoc_10013.wav タニブッター ⸣タニブッター [⸣tanibuttaː] 名 果物や野菜などの実に種子が多いもの。 ⸣タニブッターフナブ [⸣tanibuttaːɸunabu] (種子の多い蜜柑)。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ナ⸣ボー ⸣タニブッター ⸣ナリティ ン⸢マーナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ɸu⸢na⸣boː ⸣tanibuttaː ⸣nariti ʔm⸢maːnaː⸣nu] (この蜜柑は種子が多く入っていて美味しくない) 10014 0 0 9487 htmvoc_10014.wav タニマイ ⸣タニマイ [⸣tanimai] 名 たねもみ(種籾)。⸢種米」の義。種用にとっておく籾。⸣サニマイ[⸣sanimai](種米)、 タ⸢ニ⸣ムミ[ta⸢ni⸣mumi](種籾)ともいう。 ⸣タニマイヌ タ⸢ラーン⸣ ピンマー イ⸢ラムテー⸣ラ ⸢カイ オーッタ⸣ル [⸣tanamainu ta⸢raːm⸣ pimmaː ʔi⸢ramuteː⸣ra ⸢kai ʔoːtta⸣ru] (種籾が足りない時は西表から買って来られたよ) 10015 0 0 9488 htmvoc_10015.wav タニマキ タ⸢ニ⸣マキ [ta⸢ni⸣maki] 名 種蒔き。サ⸢ニ⸣マキ[sa⸢ni⸣maki](種蒔き)ともいう。 マ⸢ミ⸣ヌ タ⸢ニ⸣マキ ⸢シー⸣ シケーン ⸣トンナー ⸣パトゥザヌ ⸣ウリキー ⸢ベー⸣ティ ⸢ウイパラ⸣シ [ma⸢mi⸣nu ta⸢ni⸣maki ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːn ⸣tonnaː ⸣pḁtuʣanu ⸣ʔurikiː ⸢beː⸣ti ⸢ʔuipara⸣ʃi] (豆の種を蒔いてあるところに山鳩が下りてきているので追い払えなさい) 10016 0 0 9489 htmvoc_10016.wav タニムヌ タ⸢ニ⸣ムヌ [ta⸢ni⸣munu] 名 穀物の種子。種物。 タ⸢ニ⸣ムノー ウ⸢ヤザ⸣ヌ ッ⸢ふァーン⸣トンナ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣リ [ta⸢ni⸣munoː ʔu⸢jaʣa⸣nu f⸢faːn⸣ tonna kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (穀物の種子はネズミの食わない所に保管しておけ) 10017 0 0 9490 htmvoc_10017.wav タニムミ タ⸢ニ⸣ムミ [ta⸢ni⸣mumi] 名 たねもみ(種籾)。種蒔きに使う籾。⸣タニマイ[⸣tanimai](種米)ともいう。 タ⸢ニム⸣ミティ ⸢シー⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ シケール ⸢マイヤー⸣ ニ⸢キ⸣マイラ ⸣トゥレール タ⸢ニ⸣ムミ ⸢ヤッタル [ta⸢nimu⸣miti ⸢ʃiː⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːru ⸢maijaː⸣ ni⸢ki⸣maira ⸣tureːru ta⸢ni⸣mumi ⸢jattaru] (種籾として保管<格護>してある米は二期作の米からとった種籾だったよ) 10018 0 0 9491 htmvoc_10018.wav タニユー タ⸢ニ⸣ユー [ta⸢ni⸣juː] 名 菜種油。たねあぶら。食用油。「種油」の義。天麩羅などの揚げ物に用いる食用油。一度使用した油はガーゼで濾して油壺に保存し、必要に応じて再利用した。菜種油がなかった頃は、豚肉のア⸢バッ⸣タラ[ʔa⸢bat⸣tara](脂身{EOS}ラード)を煎って搾油した。 タ⸢ニ⸣ユー ⸢カイ⸣キー ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢キ⸣バ [ta⸢ni⸣juː ⸢kai⸣kiː ⸢tim⸣pura ja⸢ki⸣ba] (菜種油を買ってきてテンプラを揚げ<焼き>なさい) 10019 0 0 9492 htmvoc_10019.wav タニン タ⸢ニン [ta⸢niŋ] 名 他人。無縁の人。標準語からの借用語。 ⸢ウン⸣ネーヤ ウ⸢トゥ⸣ザー ア⸢ラ⸣ヌ タ⸢ニンドゥ ヤル [⸢ʔun⸣neːja ʔu⸢tu⸣ʣaː ʔa⸢ra⸣nu ta⸢nindu jaru] (あの家は親戚ではない{EOS}他人だ<無縁だ>)。普通は、プ⸢ス[pu̥⸢su](人{EOS}他人)という。プ⸢ソー⸣ア⸢ラ⸣ヌ ウ⸢トゥザ⸣ル ヤ⸢ル[pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ʔu⸢tuʣa⸣ru ja⸢ru](他人ではない{EOS}親戚だよ)という 10020 0 0 9493 htmvoc_10020.wav タニンガーリ タ⸢ニンガー⸣リ [ta⸢niŋgaː⸣ri] 名 変種。変り種。突然変異。同じ種の中で一風変わったもの。親兄弟とかけ離れた身体的特性や能力のあるもの。「種変わり」の義。サ⸢ニンガー⸣リ[sa⸢niŋgaː⸣ri](変種{EOS}変り種)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ミ⸢ジラ⸣シ ⸢マイフナー⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ウヤキョーダイトー ⸢ピッ⸣チン ⸢ニーラヌ⸣ タ⸢ニンガーリ⸣ル ヤ⸢ル [ʔu⸢reː⸣ mi⸢ʤira⸣ʃi ⸢maiɸunaː⸣ ja⸢rundu⸣ ʔujakjoːdaitoː ⸢pit⸣ʧin ⸢niːranu⸣ ta⸢niŋgaːri⸣du ja⸢ru] (彼は素晴らしく賢い子だが、親兄弟とは少しも似てない{EOS}突然変異の種変わりである) 10021 0 0 9494 htmvoc_10021.wav タニンガーリムヌ タ⸢ニンガーリ⸣ムヌ [ta⸢niŋgaːri⸣munu] 名 変わり者。「種変わり者」の義。風貌や性格、行動等が他の兄弟と変わっている者。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー タ⸢ニンガーリムヌ⸣ル ヤ⸢ル⸣ユー ⸢キョー⸣ダインケートー ⸢ピッ⸣チン ⸢ニーラヌ⸣ イッ⸢ケン⸣ ア⸢バ⸣レーン [ʔu⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ta⸢niŋgaːrimunu⸣ru ja⸢ru⸣juː ⸢kjoː⸣daiŋkeːtoː ⸢pit⸣ʧin ⸢niːranu⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢ba⸣reːŋ] (あの女の子は種変わり者<突然変異>なのか、兄弟姉妹たちとはちっとも似ていない{EOS}非常に美しい<美人である>) 10022 0 0 9495 htmvoc_10022.wav タニンガールン タ⸢ニンガー⸣ルン [ta⸢niŋgaː⸣ruŋ] 自動 種子が突然変異する。変異が起きる。⸢種変わる」の義。 サ⸢ニ⸣ムノー トゥ⸢キドゥ⸣キ タ⸢ニンガー⸣ルンティ ス⸢クタヌ ミッ⸣タニ タ⸢ニンガーラ⸣ヌ [sa⸢ni⸣munoː tu̥⸢kidu⸣ki ta⸢niŋgaː⸣runti su̥⸢kutanu mit⸣tani ta⸢ningaːra⸣nu] (穀物<種物>は時々突然変異すると聞いたが、めったに変異しない)。 タ⸢ニンガーリ ヤッ⸣サ ⸣ムノー タ⸢ニンガー⸣ル ⸣クトゥン ⸣アン [ta⸢niŋgaːri jas⸣sa ⸣munoː ta⸢niŋgaː⸣ru ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (突然変異し易いものは変異することもある) 10023 0 0 9496 htmvoc_10023.wav タニンマ タ⸢ニン⸣マ [ta⸢niʔm⸣ma] 名 種馬。 ユ⸢ノン⸣ナー タ⸢ニン⸣マ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オー⸣ル プ⸢スヌ オー⸣ルン [ju⸢non⸣naː ta⸢niʔm⸣maː si̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoː⸣ru pu̥⸢sunu ʔoː⸣ruŋ] (与那国には種馬を飼育しておられる人がいらっしゃる) 10024 0 0 9497 htmvoc_10024.wav タヌシミ タ⸢ヌ⸣シミ [ta⸢nu⸣ʃimi] 名 楽しみ。 ⸣シマムニ ア⸢ツァ⸣ム ク⸢トゥ⸣ル ⸣バー タ⸢ヌ⸣シミ⸢ツォー [⸣ʃimamuni ʔa⸢ʦa⸣mu ku̥⸢tu⸣ru ⸣baː ta⸢nu⸣ʃimi⸢ʦoː] (島の方言<ことば{EOS}⸢物言い」の義>を集めることが私の楽しみだって) 10025 0 0 9498 htmvoc_10025.wav タヌシムン タ⸢ヌ⸣シムン [ta⸢nu⸣ʃimuŋ] 自動 楽しむ。楽しく思う。満足して安らぐようにする。「~梅ををきつつ多努之岐(タヌシキ)終へめ。万、815」、「倡、太乃之(たのし)~」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ウ⸢タ⸣バ イ⸢ジ⸣ タ⸢ヌ⸣シムンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣ドゥー ⸢タン⸣ガー タ⸢ヌシマラ⸣ヌ [ʔu⸢ta⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ ta⸢nu⸣ʃimunti ʔu⸢muːn⸣du ⸣duː ⸢taŋ⸣gaː ta⸢nuʃimara⸣nu] (歌を歌って楽しもうと思うが、自分一人は楽しめない)。 タ⸢ヌ⸣シミ ⸣ミサカー タ⸢ヌ⸣シム ⸣クトー ⸣ナルン [ta⸢nu⸣ʃimi ⸣misakaː ta⸢nu⸣ʃimu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (楽しんでよければ楽しむことはできる)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢ヌ⸣シメー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ta⸢nu⸣ʃimeː ⸣misamunu] (もっと楽しめば良いのに)。 タ⸢ヌ⸣シミバ [ta⸢nu⸣ʃimiba] (楽しめよ) 10026 0 0 9499 htmvoc_10026.wav タヌマッサン タ⸢ヌマッ⸣サン [ta⸢numas⸣saŋ] 形 頼もしい。 グ⸢タイ⸣ヌン ⸣カナイ ス⸢ブ⸣ルン カ⸢チ⸣ブンダ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン ゾー⸣ジ イッ⸢ケナ⸣ タ⸢ヌマッ⸣サーン [gu⸢tai⸣nuŋ ⸣kanai su⸢bu⸣ruŋ kḁ⸢ʧi⸣bunda noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢miruban ʣoː⸣ʤi ʔik⸢kena⸣ ta⸢numas⸣saŋ] (体格も十分に叶っており、知能も優れているから何をさせても上手だ{EOS}非常に頼もしい)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢タヌマッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ta⸢numas⸣saː ⸢naː⸣nu] (あんまり頼もしくはない)。 ⸢シンダイ⸣ タ⸢ヌマッ⸣サー ⸣ナリクーン [⸢ʃindai⸣ ta⸢numas⸣saː ⸣narikuːŋ] (次第に頼もしくなってくる)。 タ⸢ヌマッ⸣サール プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ta⸢numas⸣saːru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (頼もしい人はいない)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ タ⸢ヌマッ⸣サーカー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ ta⸢numas⸣saːkaː ⸣misamunu] (もう少し頼もしければいいが) 10000 0 0 9500 htmvoc_10000.wav タヌムン タ⸢ヌ⸣ムン [ta⸢nu⸣muŋ] 他動 頼む。依頼する。標準語から転訛したもの。若年層が多用する。 バ⸢カー⸣ムヌ タ⸢ヌ⸣ムンティ ⸢ゲータ⸣ヌ タ⸢ヌマラン⸣シェン [ba⸢kaː⸣munu ta⸢nu⸣munti ⸢geːta⸣nu ta⸢numaraŋ⸣ʃeŋ] (若者を頼み<依頼し>に行ったが頼まれなった)。 タ⸢ヌ⸣ミ ッ⸢ふィーリ [ta⸢nu⸣mi f⸢fiːri] (頼んでくれ)。 タ⸢ヌ⸣ム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ta⸢nu⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (頼むことはない)。 タ⸢ヌ⸣メー ⸣ミサムヌ [ta⸢nu⸣meː ⸣misamunu] (頼めば良いのに)。 カ⸢リン⸣ タ⸢ナ⸣ミバ [ka⸢rin⸣ ta⸢na⸣miba] (彼に頼めよ) 10027 0 0 9501 htmvoc_10027.wav タヌンザ ⸣タヌンザ [⸣tanunʣa] 代 どいつ。不定称の代名詞。なにやつ。どやつ。古老が使用する。大正生まれ以降の若年層は⸣タンザ[⸣tanʣa](どいつ)と言うことが多い。 ク⸢レー⸣ タヌンザヌ ⸢シーワザ⸣ヤー [ku⸢reː⸣ tanunʣanu ⸢ʃiːwaʣa⸣jaː] (これはどいつの仕業か) 10028 0 0 9502 htmvoc_10028.wav ダネーママイ ダ⸢ネー⸣ママイ [da⸢neː⸣mamai] 名 (植)稲の品種名。赤紫色を呈し、香ばしくて美味である。粥に炊くと薄く油分が出る。ア⸢ガマイ[ʔa⸢gamai](赤米)、⸢ザイレー⸣マイ[⸢ʣaireː⸣mai](在来米)ともいう。 ダ⸢ネー⸣ママイヤー ン⸢ギヌ⸣ アルンダー カ⸢マイ⸣ヤー ッ⸢ふァーンシェン [da⸢neː⸣mamaijaː ʔŋ⸢ginu⸣ ʔarundaː ka⸢mai⸣jaː f⸢faːŋʃeŋ] (赤米はのぎ<芒>「芒、乃木<のぎ>、\ruby{禾穂}{イナ|ホ}の芒なり『和名抄』」があるので猪は食べなかった) 10029 0 0 9503 htmvoc_10029.wav タノール タ⸢ノー⸣ル [ta⸢noː⸣ru] 名 器用さ。巧みさ。要領がいいこと。うまく処理する手順やこつがあること。手際のよいこと。技量が優れていること。「手馴れ」の転訛したもの。「~吾が背子が多那礼乃<タナレノ>み琴~『万葉集 812』」の転訛したもの。 ⸣ウタタノール [⸣ʔutatanoːru] (歌を上手に歌うこつ)。 ブ⸢ドゥルタノール [bu⸢durutanoːru] (うまく踊る要領、こつ)。 ノー⸢ンヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミリバン⸣ タ⸢ノールン⸣ドゥ ⸢ナー⸣ンユンダ プ⸢スヌ⸣ マイ ナ⸢リユーサ⸣ヌ [noː⸢nnu⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miriban⸣ ta⸢noːru⸣nu ⸢naː⸣ɲjunda pu̥⸢sunu⸣ mai na⸢rara⸣nu] (どんな仕事をさせても、仕事の要領<こつ>がないから、他人より前に出る<なる>ことが出来ない) 10030 0 0 9504 htmvoc_10030.wav タノールヌアン タ⸢ノール⸣ヌ ⸣アン [ta⸢noːru⸣nu ⸣ʔaŋ] 連 仕事や芸事に手馴れて巧みである。仕事や芸事を器用にこなす。巧みにこなす才能がある。 ク⸢ヌ プソー⸣ タ⸢ノール⸣ヌ ⸣アンダ ノー⸢ンシェー⸣ル ⸢ドン⸣グン ⸢ゾー⸣ブンニ シゥ⸢カイス [ku⸢nu pu̥soː⸣ ta⸢noru⸣nu ⸣ʔanda noː⸢ŋʃeː⸣ru ⸢doŋ⸣gun ⸢ʣoː⸣bunni sï̥⸢kaisu] (この人は巧みにこなす才能があるから、どんな器具<道具>も上手に使いこなす) 10031 1 0 9505 htmvoc_10031.wav タバ ⸣タバ [⸣taba] 名 {PoS_1}稲や茅などの束。一まとめに束ねたもの。タ⸢バ⸣ル[ta⸢ba⸣ru](束)、タ⸢ブ⸣ル[ta⸢bu⸣ru](束)ともいう。片手に握った分量(プ⸢ス⸣シゥカ{SqBr}pu̥⸢su⸣si̥ka{/SqBr}<一束{EOS}ひとつか>)を二つ併せて束ねたもの。 10031 2 0 9506 htmvoc_10031.wav タバ ⸣タバ [⸣taba] 助数 {PoS_2}束を数える単位。 プ⸢ス⸣タバ [pu̥⸢su⸣taba] (一束)。 フ⸢タタバ [ɸu̥⸢tataba] (二束)。 ⸢ミータバ [⸢miːtaba] (三束)。 ⸢ユータバ [⸢juːtaba] (四束)。 イ⸢チ⸣タバ [ʔi⸢ʧi⸣taba] (五束)。 ⸢ムータバ [⸢muːtaba] (六束)。 ナ⸢ナ⸣タバ [na⸢na⸣taba] (七束)。 ⸢ヤータバ [⸢jaːtaba] (八束)。 ク⸢ヌ⸣タバ [ku⸢nu⸣taba] (九束)。 ⸢トゥータバ [⸢tuːtaba] (十束)。 ⸢マイヤ サンジュー⸣タバシル プ⸢スマラ⸣キ ⸣ナル ⸣シジ [⸢maija sanʤuː⸣tabaʃiru pu̥⸢sumara⸣ki ⸣naru ⸣ʃiʤi] (稲は30束で1マルキ<1丸>になるわけだ) 10032 0 0 9507 htmvoc_10032.wav タバク タ⸢バ⸣ク [ta⸢ba⸣ku] 名 タバコ(煙草)。ポルトガル語からの借用語の転訛したもの。関連する語彙に⸢パータバク[⸢paːtabaku](葉タバコ)、タ⸢バク⸣ヌ⸢パー[ta⸢baku⸣nu⸢paː](タバコの葉)、タ⸢バク⸣ヌ フ⸢キ⸣ガラ[ta⸢baku⸣nu ɸu̥⸢ki⸣gara](タバコの吸殻)。 キ⸢シル⸣ヌ ⸣ッス [ki̥⸢ʃiru⸣nu ⸣ssu] (煙管のやに)。キ⸢ザミタバク[ki⸢ʣamitabaku](刻みタバコ)、マ⸢キタバク[ma⸢kitabaku](巻きタバコ)、タ⸢バク⸣ブン[ta⸢baku⸣buŋ](煙草盆)、キ⸢シ⸣ル[ki̥⸢ʃi⸣ru](煙管{EOS}語源はカンボジア語の説あり)、⸢パイフキ[⸢paiɸu̥ki](灰取り{EOS}竹の筒で作った灰皿)等がある。 タ⸢バ⸣ク ⸣フクン [ta⸢ba⸣ku ⸣ɸu̥kuŋ] (タバコを吸う<吹かす>)。 ム⸢カ⸣シェー キ⸢ザミタバクバ⸣ プゾーナ イ⸢リティ⸣ ムティ ⸢オーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ki⸢ʣamitabakuba⸣ puʣoːna ʔi⸢riti⸣ muti ⸢ʔoːt⸣ta] (昔は刻み煙草を煙草入れ<宝蔵>に入れて持っていかれた) 10033 0 0 9508 htmvoc_10033.wav タバクイリ タ⸢バク⸣イリ [ta⸢baku⸣ʔiri] 名 タバコ入れ。⸣プゾー[⸣puʣoː](宝蔵{EOS}女持ちの煙草入れ)ともいう。 タ⸢バクイリ⸣トゥ キ⸢シ⸣ル ⸣ムティクー [ta⸢bakuiri⸣tu ki̥⸢ʃi⸣ru ⸣mutikuː] (タバコ入れとキセル<煙管>を持ってきなさい) 10034 0 0 9509 htmvoc_10034.wav タバクダイ タ⸢バク⸣ダイ [ta⸢baku⸣dai] 名 タバコ代。タバコの代金。 シ⸢ルシユータンガー⸣ル ヤ⸢レースヌ⸣ タ⸢バク⸣ダインツァン ⸢シー ッふォー⸣リバ [ʃi⸢ruʃijuːtaŋgaː⸣ru ja⸢reːsunu⸣ ta⸢baku⸣dainʦaŋ ⸢ʃiː ffoː⸣riba] (ほんのしるしばかりですが、タバコ代にでもしてくださいな) 10035 0 0 9510 htmvoc_10035.wav タバクフキ タ⸢バ⸣クフキ [ta⸢ba⸣kuɸu̥ki] 名 煙草を吸う人。喫煙者。タ⸢バ⸣ク フ⸢キ⸣プス[ta⸢ba⸣ku ɸu̥⸢ki⸣pu̥su](煙草を吸う人<吹く人>)ともいう。 タ⸢バ⸣クフキトー マー⸢ズンマー⸣ ブ⸢ララヌ [ta⸢ba⸣kuɸu̥kitoː maː⸢ʣummaː⸣ bu⸢raranu] (喫煙者とは一緒にはおられない) 10036 0 0 9511 htmvoc_10036.wav タバクフクン タ⸢バ⸣ク ⸣フクン [ta⸢ba⸣ku ⸣ɸu̥kuŋ] 連 煙草を吸う。 ⸣クナー ⸢ベー⸣ プ⸢ソー⸣ ムー⸢ル⸣ タ⸢バ⸣ク ⸣フクン [⸣kunaː ⸢beː⸣ pu̥⸢soː⸣ muː⸢ru⸣ ta⸢ba⸣ku ⸣ɸu̥kuŋ] (此処にいる人は皆煙草を吸う) 10037 0 0 9512 htmvoc_10037.wav タバクブン タ⸢バク⸣ブン [ta⸢baku⸣buŋ] 名 たばこ盆。約25センチ正方形に高さ約10センチの箱の中に陶製の広口壷型の火入れと、竹筒の⸢パイフキ[⸢paiɸu̥ki](灰吹き)を備えたもの。\ruby{竈}{カマド}の\ruby{熾}{オキ}を火入れに取り、タバコの火を点けるのに用いた。タバコを吸い終わると\ruby[g]{煙管}{キセル}をパイフキに叩いて吸殻を集めた。 タ⸢バク⸣ブンナー ⸣ピー ⸣トゥリ ⸢クーン⸣ノーレー [ta⸢baku⸣bunnaː ⸣piː ⸣turi ⸢kuːn⸣noːreː] (たばこ盆に熾火を取ってきてくれないか) 10038 0 0 9513 htmvoc_10038.wav タバル タ⸢バ⸣ル [ta⸢ba⸣ru] 助数 束。稲などの束を数える単位。一まとめに束ねたもの。タ⸢ブ⸣ル[ta⸢bu⸣ru](束)ともいう。 フ⸢タシゥカ⸣シ プ⸢スタバ⸣ルティ ⸢スー [ɸu̥⸢tasi̥ka⸣ʃi pu̥⸢sutaba⸣ruti ⸢suː] (二つか<束>で一束という)。30タバルでプ⸢スマラ⸣キ[pu̥⸢sumara⸣ki](一丸)となる。 プ⸢スタバ⸣ル [pu̥⸢sutaba⸣ru] (一束)。 フ⸢タタバル [ɸu̥⸢tatabaru] (二束)。 ⸢ミータバル [⸢miːtabaru] (三束)。 ⸢ユータバル [⸢juːtabaru] (四束)。 イ⸢チタバ⸣ル [ʔi⸢ʧitaba⸣ru] (五束)。 ⸢ムータバル [⸢muːtabaru] (六束)。 ナ⸢ナタバ⸣ル [na⸢nataba⸣ru] (七束)。 ⸢ヤータバル [⸢jaːtabaru] (八束)。 ク⸢ヌタバ⸣ル [ku⸢nutaba⸣ru] (九束)。 ⸢トゥータバル [⸢tuːtabaru] (十束)。 ⸢マイタバル⸣ プ⸢スマラ⸣キ マ⸢ラキ⸣ ムティ ⸣クー [⸢maitabaru⸣ pu̥⸢sumara⸣ki ma⸢raki⸣ muti ⸣kuː] (稲束を一丸<30束>束ねて持って来なさい) 10049 0 0 9514 htmvoc_10049.wav タバル タ⸢バ⸣ル [ta⸢ba⸣ru] 名 水田地帯。「田原」の義。首里方言のtaabuQkwa(田のたくさんあるところ{EOS}田袋)のこと。トゥ⸢マダタバル[tu⸢madatabaru](トゥマダ田原)、⸢ケーダタバ⸣ル[⸢keːdataba⸣ru](ケーダ田原)、⸢ユシ⸣キダタバル[⸢juʃi̥⸣kidatabaru](南ヨシキダ田原)、サ⸢キンダタバル[sḁ⸢kindatabaru](崎田田原)などがある。 ⸢バン⸣テヌ ⸢ター⸣ヤ トゥ⸢マダタバルトゥ ユシ⸣キダタバルナーン アン⸢ダー [⸢ban⸣tenu ⸢taː⸣ja tu⸢madatabarutu juʃi̥⸣kidatabarunaːŋ ʔan⸢daː] (私の家の田圃はトゥマダ田原とユシダ田原にもあるよ) 10039 0 0 9515 htmvoc_10039.wav タバルスン タ⸢バ⸣ル ⸢スン [ta⸢ba⸣ru ⸢suŋ] 連 束ねる。「束する」の義。タ⸢ブ⸣ル ⸢スン[ta⸢bu⸣ru ⸢suŋ](束ねる)ともいう。 ⸢マイタバル⸣ シ⸢ティ ター⸣ヌ ⸣アザー ア⸢ギリ [⸢maitabaru⸣ ʃi̥⸢ti taː⸣nu ⸣ʔaʣaː ʔa⸢giri] (稲を束ねて田の畦に上げなさい) 10040 0 0 9516 htmvoc_10040.wav タバルン タ⸢バ⸣ルン [ta⸢ba⸣ruŋ] 他動 束ねる。纏める。普通はタ⸢バニ⸣ルン[ta⸢bani⸣ruŋ](束ねる)という。30束を束ねるのは、マ⸢ラクン[ma⸢rakuŋ](丸く)という。 ⸢マイタブル⸣ タ⸢バ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢バララ⸣ヌ [⸢maitaburu⸣ ta⸢ba⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ta⸢barara⸣nu] (稲束を束ねようと思うが、束ねられない)。 カ⸢ツシンヌ シンカ⸣ヌ ウ⸢ムイ⸣バ ⸢ピー⸣チナ タ⸢バリマー⸣キ ⸢ベー [kḁ⸢ʦuʃinnu ʃiŋka⸣nu ʔu⸢mui⸣ba ⸢piː⸣ʧina ta⸢bari maː⸣ki ⸢beː] (カツオ漁船の乗組員の考えを一つに纏めかねている)。 ⸢ユシ⸣キ タ⸢バ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ タ⸢バララ⸣ヌ [⸢juʃi̥⸣ki ta⸢ba⸣runti ⸢sundu⸣ ta⸢barara⸣nu] (ススキを束ねようとするが、束ねられない)。 タ⸢バ⸣リ ⸣ミサカー ⸢パー⸣ク タ⸢バ⸣レー ⸣ミサムヌ [ta⸢ba⸣ri ⸣misakaː ⸢paː⸣ku ta⸢ba⸣reː ⸣misamunu] (縛ってよければ早く縛れば良いのに)。 タ⸢バ⸣ル ⸣ムノー ⸢パー⸣ク タ⸢バ⸣リ [ta⸢ba⸣ru ⸣munoː ⸢paː⸣ku ta⸢ba⸣ri] (縛るものは早く縛れ) 10041 0 0 9517 htmvoc_10041.wav タビ タ⸢ビ [ta⸢bi] 名 旅。 ⸢ウイヌ フンヌ タビ [⸢ʔuinu ɸunnu tabi] (上の国への旅<沖縄本島への旅>{EOS}日本本土への旅)。 ウ⸢キナー⸣タビ [ʔu⸢kinaː⸣tabi] (沖縄本島への旅)。 イ⸢サナキタビ [ʔi⸢sanakitabi] (石垣島への旅)。 ⸢トー⸣タビ [⸢toː⸣tabi] (中国<唐>への旅{EOS}死出の旅、あの世への旅立ち)。 ⸢バン⸣テーヤ タ⸢ビヌ⸣ プ⸢ス⸣ヌ ⸣ユー ⸣ヤドゥ ⸢ソーッ⸣タン [⸢ban⸣teːja ta⸢binu⸣ pu̥⸢su⸣nu ⸣juː ⸣jadu ⸢soːt⸣taŋ] (私の家は旅の人がよく宿にされた) 10043 0 0 9518 htmvoc_10043.wav タビ タ⸢ビ [da⸢bi] 名 だび(荼毘)。葬式。鳩間島では昭和30年ごろまでは土葬や亀甲墓<掘り抜き墓>に納めて墓を密閉する風葬が中心であった。土葬した遺骸や、亀甲墓で風葬した遺骸を三年後にア⸢ライクサイ[ʔa⸢raikusai](洗骨葬{EOS}改葬)する際に、お骨を荼毘に付したり、洗骨して骨壷に納めて亀甲墓に納骨した。その際にお骨を焼くことをダ⸢ビ[da⸢bi](荼毘)といっていた。 ⸣アッパー ⸣クツェー ダ⸢ビ シー オーシティ⸣ クチカミナ イ⸢リティ⸣ ム⸢トゥパカ⸣ヌ ⸣ナカー ウ⸢サ⸣モーッタ [⸣ʔappaː ⸣kuʧeː da⸢bi ʃiː ʔoːʃi̥ti⸣ ku̥ʧikaminaː ʔi⸢riti⸣ mu⸢tupaka⸣nu ⸣nakaː ʔu⸢sa⸣moːta] (お祖母さんのお骨は荼毘に付して差し上げて、骨壷に入れて本墓の中へ納められた) 10044 0 0 9519 htmvoc_10044.wav タビシタフ タ⸢ビシタ⸣フ [ta⸢biʃi̥ta⸣ɸu] 名 たびじたく(旅支度)。タ⸢ビシゥコー⸣ル[ta⸢bisï̥koː⸣ru](旅の準備、旅支度)ともいう。 タ⸢ビシタ⸣フ ⸢シェー⸣ティ ス⸢ガ⸣レーティ ⸢アーク⸣ヌ ⸢マー⸣ル パ⸢ル⸣ワ [ta⸢biʃi̥ta⸣ɸu ⸢ʃeː⸣ti su⸢ga⸣reːti ⸢ʔaːku⸣nu ⸢maː⸣ru pa⸢ru⸣wa] (旅支度をしてお洒落な装いをしているが何処へ行くのか) 10045 0 0 9520 htmvoc_10045.wav タビダチ タ⸢ビダ⸣チ [ta⸢bida⸣ʧi] 名 旅立ち。 ⸢オーシキン ノー⸣リ ⸣キー ⸢キュー⸣ヌ ⸢カイピュー⸣ル ⸢カイピニ⸣チナー タ⸢ビダ⸣チン シ⸢ラリ⸣ フ⸢コーラサ⸣ユー [⸢ʔoːʃi̥kin noː⸣ri ⸣kiː ⸢kjuː⸣nu ⸢kaipjuː⸣ru ⸢kaipini⸣ʧinaː ta⸢bida⸣ʧin ʃi⸢rari⸣ ɸu̥⸢koːrasa⸣juː] (天気も回復して<良くなって>きて、今日の良き日和、嘉日に旅立ちが出来、誠に有難うございます) 10046 0 0 9521 htmvoc_10046.wav タビニガイ タ⸢ビ⸣ニガイ [ta⸢bi⸣nigai] 名 旅の安全祈願。「旅願い」の義。タ⸢ビニン⸣ガイ[ta⸢biniŋ⸣gai](旅願い)ともいう。 タ⸢ビヌ⸣ウガンナー タ⸢ビ⸣ニガイ ⸢シー オーシ⸣ シケーバ ⸣フネーラ ウ⸢ガン⸣ヌ ⸢タンカー⸣ トゥリ ⸢ティー⸣ヤ ウ⸢サーシ⸣ヨー [ta⸢binu⸣ʔugannaː ta⸢bi⸣nigai ⸢ʃiː ʔoːʃi⸣ ʃi̥keːba ⸣ɸuneːra ʔu⸢gan⸣nu ⸢taŋkaː⸣ turi ⸢tiː⸣ja ʔu⸢saːʃi⸣joː] (旅の御嶽<お願>に旅の安全祈願をして差し上げてあるから、船上から御嶽の方向に向かって手を合わせなさいよ) 10047 0 0 9522 htmvoc_10047.wav タビヌウガン タ⸢ビヌ⸣ウガン [ta⸢binu⸣ʔugaŋ] 名 旅のお願。旅の御嶽。⸢マイドゥム⸣ルウガン[⸢maidumu⸣ruʔugaŋ](前泊御嶽<お願>)ともいう。「旅お願」の義。戦前は出稼ぎや兵役で旅立つ人は、必ずこの御嶽で祈願をして出立し、帰省した時はお礼の祈願をした。石垣島へ行く人も船上から、この御嶽に向かって合掌礼拝をした。出征兵士は船を一時この御嶽の前に停船させて無事を祈った。カツオ漁業が盛んだった頃は、出漁の初めと終わりには、この御嶽で祈願した。終わりの祈願を、ス⸢ビニンガイ[su⸢biniŋgai](終業祈願{EOS}⸢首尾願」の義)といっていた。 カ⸢ツシンヌ⸣ ス⸢ビニンガイヤー マイドゥム⸣ルウガンナーティル ⸢ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ su⸢binigaijaː maidumu⸣ruʔugannaːtiru ⸢soːt⸣ta] (カツオ漁船の終業感謝祈願<首尾願い>は前泊御嶽<旅のお願>でなさった) 10048 0 1 9523 htmvoc_10048.wav タビマール タ⸢ビマー⸣ル [ta⸢bimaː⸣ru] 名 {Mn_1}旅回り。出稼ぎで旅に出ること。島で働くことを嫌って、旅に出て働くこと。 ウ⸢レー⸣ タ⸢ビマー⸣ル カー⸢ニ スンダ ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ta⸢bimaː⸣ru kaː⸢ni sunda daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (彼は旅回りだけするので、あまり良くない)。 10048 0 2 9524 htmvoc_10048.wav タビマール タ⸢ビマー⸣ル [ta⸢bimaː⸣ru] 名 {Mn_2}郵便物や役人を竹富島まで届ける村役人。運搬船が就航する以前の大正初期頃の鳩間島では、⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代)が⸣フダニン[⸣ɸudaniŋ](十五歳以上の男子)三人に命じて、役人や学校の先生、郵便物を石垣島や竹富島まで送り届けさせた。そのための役割をいう。加治工伊佐も三回任命されたことがあるという(加治工伊佐氏談) 10051 0 0 9525 htmvoc_10051.wav タブ タ⸢ブ [ta⸢bu] 名 (植)タブノキ。大高木で高さ約15メートルに達する。材は建築材、器具材に利用されるほか、薪炭材に利用される。タ⸢ブキー[ta⸢bukiː]ともいう。 タ⸢ブキーバ⸣ キシ ⸣キー バ⸢リティ⸣ タ⸢ム⸣ヌ ⸢ソーッ⸣タン [ta⸢bukiːba⸣ ki̥ʃikiː ba⸢riti⸣ ta⸢mu⸣nu ⸢soːt⸣taŋ] (タブノキを伐ってきて割って薪にされた) 10052 0 0 9526 htmvoc_10052.wav タブ タ⸢ブ [ta⸢bu] 名 たも網<攩網>。直径約25センチ、深さ約15センチの丸い袋網を竹竿の先端に固定したもの。カツオ漁船の生簀<イ⸢キ⸣マ[ʔi⸢ki⸣ma](餌の雑魚を活けておく水槽<生け間>)の中から雑魚を掬い取るたも網。 タ⸢ブ⸣シ ⸣ザコー ス⸢クイ⸣ マキティル カ⸢ツヌ⸣ ブ⸢レー⸣ フニナー シゥ⸢カ⸣ソーッタ [ta⸢bu⸣ʃi ⸣ʣakoː su̥⸢kui⸣ makitiru kḁ⸢ʦunu⸣ bu⸢reː⸣ ɸuninaː sï̥⸢ka⸣soːtta] (たも網で雑魚を掬い、撒いて<ぞ>カツオの群れを漁船に付けさせられた) 10055 0 0 9527 htmvoc_10055.wav タブーン タ⸢ブーン [ta⸢buːŋ] 他動 蓄える。貯蓄する。保存する。「惜、タバフ」、惜しむ。大切にまもる」『類聚名義抄』。「Tabai、タバイ、ウ、ウタ(よく貯えて保存する)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー シ⸢ラ⸣ナ シ⸢ミティ⸣ タ⸢ブイ⸣ シケー [⸢ʣaireːmai⸣jaː ʃi⸢ra⸣na ʃi⸢miti⸣ ta⸢bui⸣ ʃi̥keː] (赤米<在来米>は稲叢に積んで貯えてある)。 ⸢マイヤー⸣ タ⸢ブーンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢ボーララヌ [⸢maijaː⸣ ta⸢buːnti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ta⸢boːraranu] (お米は貯えようと思うが貯えられない)。 タ⸢ブー マイヤー パー⸣ク タ⸢ブイヤー⸣ ミサムヌ [ta⸢buː maijaː paː⸣ku ta⸢buijaː⸣ misamunu] (貯える米は早く貯えればよいのに)。 ク⸢レー⸣ タ⸢ブイ⸣バ [ku⸢reː⸣ ta⸢bui⸣ba] (これは貯えなさいよ) 10053 0 0 9528 htmvoc_10053.wav タブイ タ⸢ブイ [ta⸢bui] 名 蓄え。貯蓄。 ⸢ジン⸣ヌ タ⸢ブイ [⸢ʤin⸣nu ta⸢bui] (お金の貯え<貯蓄>)。 ⸢ジンカニ⸣ヌ タ⸢ブイヌ ナーン⸣カー キ⸢ナイヤー⸣ ム⸢タラ⸣ヌ [⸢ʤiŋkani⸣nu ta⸢buinu naːŋ⸣kaː ki⸢naijaː⸣ mu⸢tara⸣nu] (お金の貯えが無いと家庭は経営できない<持っていけない>)。 ウ⸢レー ナータブイヤー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː naːtabuija⸣ na⸢ra⸣nu] (これは長期保存<長蓄え>は出来ない) 10054 0 0 9529 htmvoc_10054.wav タブイルン タ⸢ブイルン [ta⸢buiruŋ] 他動 蓄える。貯蓄する。保存する。若年層はタ⸢クワイルン[tḁ⸢kuwairuŋ](蓄える)ともいう。 ⸢ジン⸣カニ タ⸢ブイルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢ブイラランバン [⸢ʤiŋ⸣kani ta⸢buirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ta⸢buirarambaŋ] (お金を貯えようと思うが貯えられないわい)。 タ⸢ブイ ヤッ⸣サカー ⸢パー⸣ク タ⸢ブイリ [ta⸢bui jas⸣sakaː ⸢paː⸣ku ta⸢buiri] (貯え易ければ早く貯えなさい)。 タ⸢ブイル ジンカニ⸣ヌ ⸣アルカー タ⸢ブイヤー⸣ ミサムヌ [ta⸢buiru ʤiŋkani⸣nu ⸣ʔarukaː ta⸢buijaː⸣ misamunu] (貯えるお金があれば貯えれば良いのに) 10056 0 0 9530 htmvoc_10056.wav ダフダフ ⸣ダフダフ [⸣daɸudaɸu] 副 どきどき。不安や恐怖などで胸の動悸が激しくなるさま。 ⸢アッ⸣タニ ⸢ナイ⸣ヌ ⸢クータ⸣ル ウ⸢ダラ⸣キティ ⸣キモー ⸣ダフダフ ⸢シーベー [⸢ʔat⸣tani ⸢nai⸣nu ⸢kuːta⸣ru ʔu⸢dara⸣kiti ⸣kimoː ⸣daɸudaɸu ⸢ʃiːbeː] (急に地震がきたので驚いて、胸がどきどきしている) 10057 0 1 9531 htmvoc_10057.wav ダフッティ ダフッ⸢ティ [daɸut⸢ti] 副 {Mn_1}どきっと。突然の出来事に驚いて心臓が大きく鼓動するさま。 キ⸢ム⸣ヌ ダフッ⸢ティ スン⸣ケン ウ⸢バーサリティ フッツォーリ ベー [ki⸢mu⸣nu daɸu̥t⸢ti suŋ⸣keŋ ʔu⸢baːsariti ɸutʦoːri beː] (胸がどきっとするほど驚かされて震えている)。 10057 0 2 9532 htmvoc_10057.wav ダフッティ ダフッ⸢ティ [daɸut⸢ti] 副 {Mn_2}ざぶんと。水に勢いよくつけるさま。 ユ⸢グリキンマー⸣ ダフッ⸢ティ⸣ ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キリ [ju⸢gurikimmaː⸣ daɸu̥⸢ti⸣ mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiri] (汚れた着物はざぶんと水に浸けなさい) 10058 0 0 9533 htmvoc_10058.wav ダブッティ ダブッ⸢ティ [dabut⸢ti] 副 でっぷり。太っているさま。肥満した様子。 ⸢ヌー⸣バ ッ⸢ふァイティ⸣ アイニ ダブッ⸢ティ パン⸣タリ ⸢アーク⸣ワ [⸢nuː⸣ba f⸢faiti⸣ ʔaini dabut⸢ti pan⸣tari ⸢ʔaːku⸣wa] (何を食べてあんなに太っているのか) 10059 0 0 9534 htmvoc_10059.wav ダブラ ダ⸢ブ⸣ラ [da⸢bu⸣ra] 名 大腿筋。腿の後部の膨らんだ筋肉の部分。 ダ⸢ブ⸣ラナー ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [da⸢bu⸣ranaː ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (大腿二頭筋におできが出来て痛くてたまらない)。 ダ⸢ブ⸣ラナ ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジティル ⸣ヤムサー [da⸢bu⸣rana ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤitiru ⸣jamusaː] (\ruby{脹脛}{フクラ|ハギ}にお出来ができて痛むよ) 10060 1 0 9535 htmvoc_10060.wav タブル タ⸢ブ⸣ル [ta⸢bu⸣ru] 名 {PoS_1}たば(束)。タ⸢バ⸣ル[ta⸢ba⸣ru](束)ともいう。 タ⸢ブ⸣ル ⸢スン [ta⸢bu⸣ru ⸢suŋ] (束ねる<束をする>)。 ⸢マイタブル [⸢maitaburu] (稲束<米束>)。 フ⸢タシゥカ⸣シル プ⸢スタブ⸣ルティ ア⸢ゾーッ⸣タ [ɸu̥⸢tasi̥ka⸣ʃiru pu̥⸢sutabu⸣ruti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (二つか<束>で一\ruby{束}{タバ}といわれた)。 10060 2 0 9536 htmvoc_10060.wav タブル タ⸢ブ⸣ル [ta⸢bu⸣ru] 助数 {PoS_2}フ⸢タタブル[ɸu̥⸢tataburu](二束)。 ⸢ミータブル [⸢miːtaburu] (三束) 10061 0 0 9537 htmvoc_10061.wav タブルスン タ⸢ブ⸣ル ⸢スン [ta⸢bu⸣ru ⸢suŋ] 連 束ねる。「束をする」の義。 ⸢マイヤー⸣ カ⸢リティ⸣ タ⸢ブ⸣ル ⸢サン⸣カー ⸢アーサラヌ [⸢maijaː⸣ ka⸢riti⸣ ta⸢bu⸣ru ⸢saŋ⸣kaː ⸢ʔaːsaranu] (稲は刈って束ねないと<束にしないと>脱穀できない) 10062 0 0 9538 htmvoc_10062.wav タボーラナーラ タ⸢ボー⸣ラ ナー⸢ラ [ta⸢boː⸣ra naː⸢ra] 連 ~してくださいませんか。~してください。補助動詞タ⸢ボー⸣ルン[ta⸢boː⸣ruŋ](くださる{EOS}<賜る>)の未然形に、ナー⸢ラ[naː⸢ra](ませんか{EOS}<*ン・ネーラ<*ぬ・あらむ、の転訛か)が付いた形。九十歳以上の古老が用いる。 ⸣バー ⸣アジ ッ⸢サラバ⸣ ドー⸢ディン⸣ シ⸢キ⸣ タ⸢ボー⸣ラ ナー⸢ラ [⸣baː ⸣ʔaʤi s⸢saraba⸣ doː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢kitaboː⸣ra naː⸢ra] (私が申し上げますから、どうぞお聞きくださいませんでしょうか<お聞き賜れませぬか>) 10063 0 0 9539 htmvoc_10063.wav タボーラリムヌ タ⸢ボーラリ⸣ムヌ [ta⸢boːrari⸣munu] 名 賜り物。頂き物。到来物。 ⸢ウイ⸣プス ナ⸢ル⸣ター ⸣クヮンラヌ タ⸢ボーラリム⸣ヌン ⸢イッ⸣パイ タ⸢ボーラ⸣リ ⸢ミョー⸣ガ ⸣ナリ フ⸢コーラサ⸣ユー [⸢ʔui⸣pu̥su na⸢ru⸣taː ⸣kwanranu ta⸢baːrari⸣munuŋ ⸢ʔip⸣pai ta⸢boːra⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸣juː] (年寄り<老い人>になったので政府<官>からの賜りもの<拝領の品々>も沢山頂いて有難うございます) 10064 0 0 9540 htmvoc_10064.wav タボーラリン タ⸢ボーラ⸣リン [ta⸢boːra⸣riŋ] 他動 賜られる。頂かれる。頂戴される。タ⸢ボー⸣ルン[ta⸢boː⸣ruŋ](賜る)の未然形に受身、可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が下接して形成された受身・可能の派生動詞。 ニ⸢ガイ⸣スクカー ⸣アメー タ⸢ボーラ⸣リンティ ⸢スンドゥ⸣ アメー マ⸢ダ⸣ タ⸢ボーララン⸣バ タ⸢ボーラ⸣リンケン ニ⸢ガイシキ⸣リ [ni⸢gai⸣su̥kukaː ⸣ʔameː ta⸢boːra⸣rinti ⸢sundu⸣ ʔameː ma⸢da⸣ ta⸢boːraram⸣ba ta⸢boːra⸣riŋken ni⸢gaiʃi̥ki⸣ri] (心をこめて祈願すれば雨は頂ける<賜られる>というが、雨はまだ頂けて<賜られて>ないから、頂ける<賜られる>まで祈願しなさい)。 タ⸢ボーラリ⸣ル ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ タ⸢ボーラ⸣レー ⸣ミサムヌ [ta⸢boːrari⸣ru ⸣munoː muː⸢ru⸣ ta⸢boːra⸣reː ⸣misamunu] (頂ける<賜られる>ものは総て頂ければ<賜れれば>よいのに)。 タ⸢ボーラリ⸣リ [ta⸢boːrari⸣ri] (頂けよ<賜れれ>)。/~カムラマーヌ アマイヤー ミリクユーバ タボーラリー(カムラマーの歓びは弥勒菩薩の幸せな豊年満作を頂けることです)/「カムラーマ歌」『鳩間島古典民謡古謡集』 10065 1 0 9541 htmvoc_10065.wav タボールン タ⸢ボー⸣ルン [ta⸢boː⸣ruŋ] 他動 {PoS_1}頂く。頂戴する(謙譲語)。下位の者が上位の者から頂く意で、くれる人や神を敬う。「足柄のみ坂多麻波里<たまはり>~『万葉集 4372』」、「Tamauari、ru、atta.タマワリ、ル、ッタ(賜はり、る、った)尊敬すべき人がほかの下級の人とか同等の人に与える~」『邦訳日葡辞書』の転訛。/ウマンチュヌ ニガイヤヨー アカカラジヌ ニガイヤヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ(御真人<衆生、民衆>の願いは、百姓の願いは、はーり<囃子>、雨を下さい<賜れ>竜神さま)/「雨乞い歌<ハヤミク>」『鳩間島古典民謡古謡集』。 10065 2 0 9542 htmvoc_10065.wav タボールン タ⸢ボー⸣ルン [ta⸢boː⸣ruŋ] 補動 {PoS_2}補助動詞(~て下さる)。 ⸣ドゥーズーサ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣リ [⸣duːʣuːsa ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (健康<胴強く>であらしてください)。 ⸣ドゥーズーサ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボーラ⸣バル ⸣ウムー ⸣クトゥン ナ⸢サリ⸣バ ⸣ドゥーズーサ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣ル ク⸢トゥ⸣バ ニ⸢ガイシキ⸣ル⸢ユー [⸣duːʣuːsa ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boːraba⸣ru ⸣ʔumuː ⸣kutun na⸢sari⸣ba ⸣duːʣuːsa ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ru ku̥⸢tuba⸣ru ni⸢gaiʃi̥ki⸣ru⸢juː] (健康であらして下さったらば<ぞ>思うこともなされるから健康であらして下さることをお祈り申し上げます) 10066 0 0 9543 htmvoc_10066.wav ダボンガスン ダ⸢ボンガスン [da⸢boŋgasuŋ] 他動 海中や川の水の中に物を投げ込む。大きな水音を立てて投げ入れる。 ⸣フネーラ ス⸢ナ⸣カー ダ⸢ボーンガ⸣シ ウ⸢タサ⸣リティ ⸢ウッふィルンティ アーク⸣ター [⸣ɸuneːra su⸢na⸣kaː da⸢boːŋga⸣ʃi ʔu⸢tasa⸣riti ⸢ʔuffirunti ʔaːku⸣taː] (船上から海の中へザブンと投げ込まれ、すんでの所で溺れる<溺れようとする>ところだった)。 ダ⸢ボンガサヌ [da⸢boŋgasa⸣nu] (海中へ投げ込まない)。 ダ⸢ボンガ⸣ス ⸣ピン [da⸢boŋga⸣su ⸣piŋ] (海中へ投げ込むとき)。 ダ⸢ボンガ⸣シェー ミサムヌ [da⸢boŋga⸣ʃeː ⸣misamunu] (海中へ投げ込めば良いのに)。 ダ⸢ボンガ⸣シ [da⸢boŋga⸣ʃi] (海中へ投げ込め) 10067 0 0 9544 htmvoc_10067.wav ダボンティ ダボン⸢ティ [dabon⸢ti] 副 ざぶんと。水中に飛び込む音の形容。強い勢いで水中に入る音の形容。 ダボン⸢ティ⸣ ス⸢ナ⸣カー ナ⸢ンギラ⸣シ [dabon⸢ti⸣ su⸢na⸣kaː ⸢naŋgira⸣ʃi] (ざぶんと海中に投げ入れろ) 10068 0 1 9545 htmvoc_10068.wav タマ ⸣タマ [⸣tama] 名 {Mn_1}玉。 ⸢ミン⸣タマ [⸢min⸣tama] (まなこ{EOS}目玉{EOS}眼球)。 ⸢ミー⸣ヌ ⸣タマ [⸢miː⸣nu ⸣tama] (目の玉)。 10068 0 2 9546 htmvoc_10068.wav タマ ⸣タマ [⸣tama] 名 {Mn_2}弾丸。 ⸢ティップヌ⸣ タマ ク⸢ミ⸣ルン [⸢tippunu⸣ tama ku⸢mi⸣ruŋ] (鉄砲の弾をこめる)。 10068 0 3 9547 htmvoc_10068.wav タマ ⸣タマ [⸣tama] 名 {Mn_3}ガラス。 タ⸢マウー⸣キ [ta⸢maʔuː⸣ki] (底をガラスで張った桶{EOS}水中眼鏡桶)。 タ⸢マガラ⸣ス [ta⸢magara⸣su] (ガラス) 10069 0 0 9548 htmvoc_10069.wav タマ タ⸢マ [ta⸢ma] 名 配分。漁獲物を配分する際の一人分。割り当てられた分。取り分。タ⸢マシ[ta⸢maʃi](取り分)のこと。 ⸣バー タ⸢マー⸣ ヤ⸢ラシ [⸣baː ta⸢maː⸣ ja⸢raʃi] (私の配分<取り分>は寄越せよ) 10077 0 0 9549 htmvoc_10077.wav タマータマ タ⸢マータマ [ta⸢maːtama] 副 たまたま(偶々)。偶然。 タ⸢マータマ⸣ バー ⸣ウナー ⸣タティ ⸢ベーン⸣ケンドゥ ウ⸢ヌ プソー⸣ バー タ⸢ジ⸣ナイ ⸢オー⸣レータル [ta⸢maːtama⸣ baː ⸣ʔunaː ⸣tḁti ⸢beːŋ⸣kendu ʔu⸢nu pu̥soː⸣ baː ta⸢ʤi⸣nai ⸢ʔoː⸣reːtaru] (偶然にも私がそこに立っていたときに、その人は私を訪ねて来られた) 10070 0 0 9550 htmvoc_10070.wav タマーニ タ⸢マーニ [ta⸢maːni] 副 たまに(偶に)。まれに。 タ⸢マーニ⸣ ア⸢サブ⸣ クトゥン ⸣アン [ta⸢maːni⸣ ʔa⸢sabu⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (まれに遊ぶこともある) 10071 0 0 9551 htmvoc_10071.wav タマーニ タ⸢マーニ [ta⸢maːni] 固 固有名詞。成底タマーニ氏。喜舎場永珣氏が鳩間島の古謡を調査した際にインフォーマントとして協力した人 10072 0 0 9552 htmvoc_10072.wav タマウーキ タ⸢マウー⸣キ [ta⸢maʔuː⸣ki] 名 「玉桶」の義。漁具の一つ。底をガラスで張った桶。直径約25センチ、高さ約35センチのガラス張りの桶。船べりからこれで海中を覗き見ながら蛸を捕ったり、魚を釣ったりするのに用いる。 タ⸢マウー⸣キシ タ⸢ク⸣ヌ ⸣ヤー ⸢ミシ⸣ケーティ ⸣ガルユクンシ ⸣タク シ⸢キ⸣ トゥ⸢ローッ⸣タ [ta⸢maʔuː⸣kiʃi tḁ⸢ku⸣nu ⸣jaː ⸢miʃi̥⸣keːti ⸣garujukuŋʃi ⸣tḁku ʃi̥⸢ki⸣ tu⸢roːt⸣ta] (ガラス張りの桶で蛸の巣<家>を探しながら、鉤のある銛で蛸を突いて捕獲された) 10073 0 0 9553 htmvoc_10073.wav タマガイ タ⸢マ⸣ガイ [ta⸢ma⸣gai] 名 魂が火の玉となって飛ぶこと。妖火のこと。タ⸢マン⸣ガイ[ta⸢maŋ⸣gai]、⸢ピー⸣ダマ[⸢piː⸣dama](火の玉<妖火>)ともいう。「魂上がり」の義か。人の死の前兆という。死者の出る家の上から上がって飛んで行くという。人によっては、それを見ることが出来るといわれている。 タ⸢マガイ⸣ヌ ア⸢ガル⸣カー プ⸢スヌ マーラスン⸣ティ ア⸢ザリブタ [ta⸢magai⸣nu ʔa⸢garu⸣kaː pu̥⸢sunu maːrasun⸣ti ʔa⸢ʣaributa] (火の玉が上がると人が亡くなると言われていた) 10074 0 0 9554 htmvoc_10074.wav タマガラス タ⸢マガラ⸣ス [ta⸢magara⸣su] 名 ガラス(硝子)。「玉ガラス」の義。 タ⸢マガラ⸣スシル ガ⸢ラス⸣マドー ス⸢ク⸣ル [ta⸢magara⸣suʃiru ga⸢rasu⸣madoː su⸢ku⸣ru] (ガラスで<ぞ>ガラス窓は作る)。 タ⸢マガラ⸣ス バ⸢リティ ミーカンガン⸣ヌ ⸣タマ ス⸢ク⸣リ [ta⸢magara⸣su ba⸢riti miːkaŋgan⸣nu ⸣tama su̥⸢ku⸣ri] (ガラスを割って水中眼鏡の玉<眼鏡のガラス>を作れ) 10075 0 0 9555 htmvoc_10075.wav タマクビン タ⸢マ⸣クビン [ta⸢ma⸣kubiŋ] 名 ガラス瓶。ガラスの小瓶。「玉小瓶」の義。 ム⸢カ⸣シプソー ガ⸢ラ⸣スクビンバ タ⸢マ⸣クビンティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ga⸢ra⸣sukubimba ta⸢ma⸣kubinti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人はガラス瓶を玉小瓶といわれた)。 タ⸢マクビン⸣ヌ バ⸢リ⸣シ ア⸢シ⸣ブ バ⸢リティ アーソーッ⸣タ [ta⸢makubin⸣nu ba⸢ri⸣ʃi ʔa⸢ʃi⸣bu ba⸢riti ʔaːsoːt⸣ta] (ガラス瓶の破片でお出来を切開して<割って>膿を取り除かれた<お出来を潰された>) 10080 0 0 9556 htmvoc_10080.wav タマサカ タ⸢マサカ [ta⸢masaka] 副 たまさか(偶さか)。たまたま。「かいこう、タマサカ」『類聚名義抄』の義。 イ⸢チンマー オーラ⸣ヌ タ⸢マサカル オー⸣ルムヌ ⸣ユー ⸣トゥルムチ ⸢シー オーシリ [ʔi⸢ʧimmaː ʔoːra⸣nu ta⸢masakaru ʔoː⸣rumunu ⸣juː ⸣turumuʧi ⸢ʃiː ʔoːʃiri] (何時もはいらっしゃらない{EOS}たまに<ぞ>いらっしゃるのだから、よく接待<お持て成し>して差し上げなさい) 10081 0 0 9557 htmvoc_10081.wav タマシ タ⸢マシ [ta⸢maʃi] 名 配分。取り分。漁獲物を配分する際の一人分の受け取り高。割り当てられた当然の権利と義務。職分。 ⸢ワー⸣ タ⸢マシェー⸣ トゥリシケーバ ムティパリ⸢ヨー [⸢waː⸣ ta⸢maʃeː⸣ turiʃi̥keːba mutipari⸢joː] (君の取り分は確保してある<取って置いてある>から持って行きなさいよ)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣アトゥ ⸢スーモー⸣ サ⸢クシ⸣ヌ タ⸢マシ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʔatu ⸢suːmoː⸣ sḁ⸢kuʃi⸣nu ta⸢maʃi] (親の老後<後>の面倒をみるのは長男の義務<職分>だ) 10082 0 1 9558 htmvoc_10082.wav タマシ タ⸢マ⸣シ [ta⸢ma⸣ʃi] 名 {Mn_1}魂。霊魂。精霊。 プ⸢スヌ⸣ タ⸢マシ⸣ヌ ミ⸢ラ⸣リンツォー [pu̥⸢sunu⸣ ta⸢maʃi⸣nu mi⸢ra⸣rinʦoː] (死者の霊魂が見られるそうだ)。 タ⸢マ⸣シ ⸣ヌグンケン ウ⸢ダラ⸣キティ シ⸢ルダリ シーベー [ta⸢ma⸣ʃi ⸣nuguŋkeŋ ʔu⸢dara⸣kiti ʃi⸢rudari ʃiːbeː] (魂消るほど<魂が抜けるほど>驚いて、すっかり落胆している) 10082 0 2 9559 htmvoc_10082.wav タマシ タ⸢マ⸣シ [ta⸢ma⸣ʃi] 名 {Mn_2}思慮分別。真人間になること。 ク⸢リ⸣シ タ⸢マ⸣シ イ⸢リラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [ku⸢ri⸣ʃi ta⸢ma⸣ʃi ʔi⸢riraŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (これでしっかり反省し自覚して真人間にならないと<魂を入れないと>いけないよ) 10083 0 0 9560 htmvoc_10083.wav タマシイリルン タ⸢マ⸣シ イ⸢リルン [ta⸢ma⸣ʃi ʔi⸢riruŋ] 連 しっかりと分別のある人間になる。深く思い知らされる。身にしみて分かる。「魂を入れる」の義。 ウ⸢ビ⸣ナー ⸣シキン ⸢サウガシェー⸣ンダ タ⸢マ⸣シ イ⸢リルンティ⸣ ウ⸢モー⸣リン [ʔu⸢bi⸣naː ⸣ʃi̥kin ⸢saugaʃeː⸣nda ta⸢ma⸣ʃi ʔi⸢rirunti⸣ ʔu⸢moː⸣riŋ] (あれだけ世間を騒がせたから、反省して分別のある人間になるものと思われる) 10084 0 0 9561 htmvoc_10084.wav タマシイルン タ⸢マ⸣シ イ⸢ルン [ta⸢ma⸣ʃi ʔi⸢ruŋ] 連 しっかりと分別のある人間になる。深く思い知らされる。身にしみて感じ、行動する。「魂を入れる」の義。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸣クトゥシェー シカイ⸢トゥ⸣ タ⸢マ⸣シ イ⸢レーン⸣パジ [⸢kundu⸣nu ⸣ku̥tuʃeː ʃi̥kai⸢tu⸣ ta⸢ma⸣ʃi ʔi⸢reːm⸣paʤi] (今度のことでは、深く思い知らされ、しっかりと分別のある人間になったはずだ) 10085 0 0 9562 htmvoc_10085.wav タマシウタスン タ⸢マ⸣シ ウ⸢タ⸣スン [ta⸢ma⸣ʃi ʔu⸢ta⸣suŋ] 連 「魂を落とす」の義。驚いたり、転んだり、事故に遭ったりした時に霊魂が肉体から抜け落ちること。 ⸢キーヌパン⸣ターラ ⸣ウティティ タ⸢マ⸣シ ウ⸢タ⸣シティル ⸣マサーカサー ⸢ナーン⸣バ マ⸢ブ⸣ル ⸣クミ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢kiːnupan⸣taːra ⸣ʔutiti ta⸢ma⸣ʃi ʔu⸢ta⸣ʃi̥tiru ⸣masaːkasaː ⸢naːm⸣ba ma⸢bu⸣ru ⸣kumi f⸢foː⸣ri] (木の上<木のてっぺん>から落ちて魂を落としたから気分が優れないので、霊籠め<霊籠めの祈願、儀礼>をして下さい) 10076 0 0 9563 htmvoc_10076.wav タマシダリ タ⸢マシダ⸣リ [ta⸢maʃida⸣ri] 名 玉簾。玉のような立派な簾。 タ⸢マシダ⸣リ ユ⸢チルバ シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー [ta⸢maʃida⸣ri ju⸢ʧiruba ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (玉のような見事な簾をえつり<枌、屋乃衣豆利・えつり『新撰字鏡』>にして家を造ってあるという) 10086 0 0 9564 htmvoc_10086.wav タマシナーンムヌ タ⸢マ⸣シ ⸢ナーン⸣ムヌ [ta⸢ma⸣ʃi ⸢naːm⸣munu] 連 思慮分別のない者。しっかりした心がけの無い者。 ⸢ウンザー⸣ タ⸢マ⸣シ ⸢ナーン⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ウ⸢ムイ⸣ユン ⸢サッシユーサヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ta⸢ma⸣ʃi ⸢naːm⸣munu ja⸢runda⸣ ʔu⸢ja⸣nu ʔu⸢mui⸣jun ⸢saʃʃijuːsanu] (あの野郎は思慮分別のない者だから、親の切実な思いをも察知することができない<察知し得ない>) 10087 0 0 9565 htmvoc_10087.wav タマシヌガスン タ⸢マ⸣シ ヌ⸢ガ⸣スン [ta⸢ma⸣ʃi nu⸢ga⸣suŋ] 連 びっくり仰天する。「魂を抜かす」の義。 タ⸢マ⸣シ ヌ⸢ガ⸣スンケン ウ⸢バーサリティ フッツォーリ ベー [ta⸢ma⸣ʃi nu⸢ga⸣suŋkeŋ ʔu⸢baːsariti ɸutʦoːri beː] (魂が抜けるほど<びっくり仰天するほど>驚かされて身震いしている) 10088 0 0 9566 htmvoc_10088.wav タマシヌギルン タ⸢マ⸣シ ヌ⸢ギ⸣ルン [ta⸢ma⸣ʃi nu⸢gi⸣ruŋ] 連 びっくり仰天する。ひどく驚く。腰が抜ける。「魂が抜ける」の義。 ッ⸢ふァヨーン⸣ナ ガフ⸢ティ ゲーサイティ⸣ タ⸢マ⸣シ ヌ⸢ギ⸣ルンケン ウ⸢バイ ベー⸣タ [f⸢fajoːn⸣na gaɸu̥⸢ti geːsaiti⸣ ta⸢ma⸣ʃi nu⸢gi⸣ruŋkeŋ ʔu⸢bai beː⸣ta] (暗闇の中でガバッと顔と顔がぶつかるように出会って魂が抜けるほどびっくり仰天して<腰を抜かして>いた) 10089 0 0 9567 htmvoc_10089.wav タマシヌグン タ⸢マ⸣シ ⸣ヌグン [ta⸢ma⸣ʃi ⸣nuguŋ] 連 びっくり仰天する。ひどく驚く。腰が抜ける。「魂が抜ける」の義。タ⸢マ⸣シ ヌ⸢ギ⸣ルン[ta⸢ma⸣ʃi nu⸢gi⸣ruŋ](魂が抜ける)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー タ⸢マ⸣シ ⸣ヌグン⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ta⸢ma⸣ʃi nugun⸢daː] (その話を聞くとびっくり仰天するぞ) 10090 0 0 9568 htmvoc_10090.wav タマシプサウン タ⸢マ⸣シ プ⸢サウン [ta⸢ma⸣ʃi pu̥⸢sauŋ] 連 魂を拾う。体から抜け出て遊離した霊魂を拾う。体から遊離した霊魂は、遊離した場所の石や砂に付着しているので、それを拾って懐に入れ、家に持ち帰えって改めてマ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](霊籠め)の儀式をしてもらった。 タ⸢マ⸣シ ウ⸢タシ⸣タ ⸣トンナー ⸢ギー⸣ タ⸢マ⸣シ プ⸢サウン [ta⸢ma⸣ʃi ʔu⸢taʃi̥⸣ta tonnaː ⸢giː⸣ ta⸢ma⸣ʃi pu̥⸢sauŋ] (魂を落とした所に行って魂を拾う) 10091 0 0 9569 htmvoc_10091.wav ダマスン ダ⸢マスン [da⸢masuŋ] 他動 だます(騙す)。あざむく(欺く)。だまかす。 ウ⸢リ⸣ ダ⸢マスンティ スンドゥ⸣ ダ⸢マサラヌ [ʔu⸢ri⸣ da⸢masunti sundu⸣ da⸢masaranu] (この人を騙そうとするが、騙されない)。 ダ⸢マシ⸣ ミサカー ダ⸢マス⸣ クトー ク⸢トゥヤッ⸣サン [da⸢maʃi⸣ misakaː da⸢masu⸣ ku̥toː ku̥⸢tujas⸣saŋ] (騙してよければ騙すことはたやすい<簡単である>)。 ⸢マー⸣ビン ダ⸢マシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢damaʃeː⸣ misamunu] (もっと騙せばいいのに)。 ダ⸢マシ⸣バ [da⸢maʃi⸣ba] (騙せよ) 10092 0 1 9570 htmvoc_10092.wav タマタマ タ⸢マタマ [ta⸢matama] 副 {Mn_1}偶然に。たまたま。 タ⸢マタマ キュー⸣ヤ シ⸢グトゥヌ ナーン⸣ベーティル キ⸢ラリタ⸣ル [ta⸢matama kjuː⸣ja ʃi⸢gutunu naːm⸣beːtiru ki⸢rarita⸣ru] (偶然にも今日は仕事が無かったので<ぞ>来れたのだ)。 10092 0 2 9571 htmvoc_10092.wav タマタマ タ⸢マタマ [ta⸢matama] 副 {Mn_2}時折り。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ タ⸢マタマ⸣ ミ⸢チ⸣ナ ミ⸢ラ⸣リン⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ta⸢matama⸣ mi⸢ʧi⸣na mi⸢ra⸣rin⸢daː] (その人は、時折り道で見られるよ) 10078 0 0 9572 htmvoc_10078.wav タマドゥール タ⸢マドゥー⸣ル [ta⸢maduː⸣ru] 名 「玉灯籠」の義。カ⸢ク⸣ランプ[kḁ⸢ku⸣rampu](角ランプ)ともいう。板ガラスで四面を囲い、中にローソクや石油ランプを灯す携帯用照明器具。角ランプ。 ッ⸢ふァー⸣バ タ⸢マドゥー⸣ル ⸣シキティ ⸢ヤー⸣ パリバ [f⸢faː⸣ba ta⸢maduː⸣ru ⸣ʃi̥kiti ⸢jaː⸣ pariba] (暗いから角ランプ<玉灯籠>を点して家へ帰りなさいよ) 10093 0 0 9573 htmvoc_10093.wav タマナー タ⸢マ⸣ナー [ta⸢ma⸣naː] 名 (植)和名、タマナ(玉菜)。キャベツ(cabbage)。アブラナ科植物で葉が巻き込んで球形を形成する。大きいものは直径約25センチに達する。戦後の一時期、大々的に栽培されたが換金できず、島での栽培は失敗した。 タ⸢マナー⸣ヤ パ⸢トゥ⸣マナーン イッ⸢ケナ⸣ ス⸢ク⸣ローッタン [ta⸢manaː⸣ja pḁ⸢tu⸣manaːŋ ʔik⸢kena⸣ su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (キャベツは鳩間島でもたくさん栽培さ<作ら>れた) 10094 0 0 9574 htmvoc_10094.wav タマヌカキ タ⸢マ⸣ヌ カ⸢キ [ta⸢ma⸣nu kḁ⸢ki] 連 ガラスの欠片。タ⸢マ⸣ヌ バ⸢リ[ta⸢ma⸣nu ba⸢ri](ガラスの割れ)ともいう。 タ⸢マ⸣ヌ カ⸢ケー⸣ プ⸢サイ⸣ シ⸢ティラン⸣カー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー [ta⸢ma⸣nu kḁ⸢keː⸣ pu̥⸢sai⸣ ʃi̥⸢tiraŋ⸣kaː ⸣duː ja⸢ma⸣sun⸢daː] (ガラスの欠片は拾って捨てないと怪我する<胴を病ます>ぞ) 10098 0 0 9575 htmvoc_10098.wav ダマリクムン ダ⸢マリ⸣クムン [da⸢mari⸣kumuŋ] 自動 黙ってしまう。一言も言わなくなってしまう。押し黙る。 ⸣ドゥク イ⸢ズ⸣カー ダ⸢マリ⸣クムンダ イ⸢ズナ⸠ツォー [⸣duku ʔi⸢ʣu⸣kaː da⸢mari⸣kumunda ʔi⸢ʣuna⸠ʦoː] (ひどく叱ったら黙ってしまうから、叱るなってば) 10096 0 0 9576 htmvoc_10096.wav タマリミジ タ⸢マリミジ [ta⸢marimiʤi] 名 窪地や池に溜まった水。流れずにたまっている水。 ウ⸢シェー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザ⸣ヌ タ⸢マリミジバ⸣ ヌミ ⸢ベー [ʔu⸢ʃeː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣa⸣nu ta⸢marimiʤiba⸣ numi ⸢beː] (牛は畑の畦の溜まり水を飲んでいる) 10097 0 0 9577 htmvoc_10097.wav ダマリムヌ ダ⸢マリ⸣ムヌ [da⸢mari⸣munu] 名 だまりん坊。黙っている人。 ダ⸢マリ⸣ムヌ ナ⸢ラン⸣ドーシ フ⸢チ⸣ パ⸢タッキ⸣ ムニ イ⸢ジ⸣バ [da⸢mari⸣munu na⸢ran⸣doːʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ pḁ⸢takki⸣ muni ʔi⸢ʤi⸣ba] (だまりん坊にならないで、口を開いてものを言いなさいよ) 10099 0 0 9578 htmvoc_10099.wav タマルン タ⸢マルン [ta⸢maruŋ] 自動 溜まる。水などが一所にとどまる。集まりとどまる。「~蓮葉に停有水之<タマレルミズノ>~『万葉集 3289』」の転訛したもの。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣アミナー ミ⸢ジ⸣ タ⸢マルン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ タ⸢マランバン [⸢kjuː⸣nu ⸣ʔaminaː mi⸢ʤi⸣ ta⸢maruŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ta⸢marambaŋ] (今日の雨で水が溜まるかなあと思ったが溜まらないわい)。 ミ⸢ジヌ⸣ タ⸢マル⸣ トンナ ⸣シキバ [mi⸢ʤinu⸣ ta⸢maru⸣ tonna ⸣ʃi̥kiba] (水の溜まる所に置きなさいよ)。 ミ⸢ジヌ⸣ タ⸢マリ ヤッ⸣サン [mi⸢ʤinu⸣ ta⸢marijas⸣saŋ] (水が溜まりやすい)。 タ⸢マル ジン⸣ヌ ⸣アルカー ン⸢メーマンツァン⸣ タ⸢マレー⸣ ミサムヌ [ta⸢maru ʤin⸣nu ⸣ʔarukaː ʔm⸢meːmanʦan⸣ ta⸢mareː⸣ misamunu] (溜まるお金が有るならば、少しでも溜まればいいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢マリ [⸢paː⸣ku ta⸢mari] (早く溜まれ) 10100 0 0 9579 htmvoc_10100.wav タマルン タ⸢マ⸣ルン [ta⸢ma⸣ruŋ] 自動 まっすぐになる。狙いが定まる。矯める。「矯、タム」『類聚名義抄』の転訛したもの。 マ⸢ガリキーヤ⸣ ピーナ ⸣アベーティ ⸢ノー⸣スカー タ⸢マ⸣ルン [ma⸢garikiːja⸣ piːna ⸣ʔabeːti ⸢noː⸣sukaː ta⸢ma⸣ruŋ] (曲がった木は火に炙りながら直すとまっすぐになる)。 タ⸢マ⸣リ ⸢ベー [ta⸢ma⸣ri ⸢beː] (まっすぐになっている)。 タ⸢マラ⸣ヌ [ta⸢mara⸣nu] (まっすぐにならない)。 タ⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ta⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (まっすぐになることは無い) 10101 0 0 9580 htmvoc_10101.wav ダマルン ダ⸢マ⸣ルン [da⸢ma⸣ruŋ] 自動 黙る。 ナー⸢イ⸣ ダ⸢マ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ウ⸢リバ⸣ シ⸢キテー⸣ ダ⸢マララ⸣ヌ [naː⸢ji⸣ da⸢ma⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ʔu⸢riba⸣ ʃi̥⸢kiteː⸣ da⸢marara⸣nu] (じっと黙ろうと思ったが、それを聞いては黙られない)。 ダ⸢マ⸣リ ミサカー ダ⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸣ワケー ⸢ナーン⸣ドゥ ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ ダ⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [da⸢ma⸣ri ⸣misakaː da⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸣wakeː ⸢naːn⸣du ⸣maː ʔm⸢beːma⸣ da⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (黙ってよければ黙ることは簡単だ<訳は無い>が、もう少し黙ればよいのに)。 ⸢ワー⸣ ダ⸢マ⸣リ [⸢waː⸣ da⸢ma⸣ri] (君は黙れ) 10102 0 0 9581 htmvoc_10102.wav タマン タ⸢マン [ta⸢maŋ] 名 (動)鯛一種。和名、シモフリフエフキ(体長約35センチ)。和名、ハマフエフキ(体長50~70センチ)。和名、フエフキダイの仲間(体長約30センチ)。和名、アマミフエフキ(体長約70センチ)などは白身魚の最高級魚。島の西の⸢クー⸣シビー[⸢kuːʃi⸣biː](クーシ干瀬)の⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣kuʃi](外海{EOS}<干瀬の後ろ>)で、タ⸢ティ⸣ナー[tḁ⸢ti⸣naː](一本釣り<立て縄>)でよく釣れた。 ⸢マイ⸣ズニナー タ⸢ティ⸣ナー ⸢シー⸣ タ⸢マン ホー⸣ソーッタン [⸢mai⸣ʣuninaː tḁ⸢ti⸣naː ⸢ʃiː⸣ ta⸢maŋ hoː⸣soːttaŋ] (前曽根で一本釣りをしてタマン<鯛の一種>を釣られた) 10103 0 0 9582 htmvoc_10103.wav ダマンガルン ダ⸢マンガルン [da⸢maŋgaruŋ] 自動 ひどく驚いて相手を睨みつける。無言で睨む。「Tamagari,ru,atta.タマガリ,ル,ッタ(魂がり,る,った)驚く.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣ドゥク ウ⸢ダラ⸣クカー プ⸢ソー⸣ ダ⸢マンガルン⸣ダー [⸣duku ʔu⸢dara⸣kukaː pu̥⸢soː⸣ da⸢maŋgarun⸣daː] (ひどく驚くと人は無言で目を剥いて睨みつけるよ)。 ⸣ムネー イ⸢ザムティ⸣ ダ⸢マンガリ ベー [⸣muneː ʔi⸢ʣamuti⸣ da⸢maŋgari beː] (ものは言わずに目を剥いて睨みつけている)。 ウ⸢リヌ⸣ ダ⸢マンガル⸣ ピンマー ナ⸢クラーン⸣ダー [ʔu⸢rinu⸣ da⸢maŋgaru⸣ pimmaː na⸢kuraːn⸣daː] (彼が無言で睨みつける時は怖いよ) 10104 0 1 9583 htmvoc_10104.wav タミ タ⸢ミ [ta⸢mi] 名 {Mn_1}ため<為>。利益。利得。「姫君の御ため<為>を思せば~『源氏物語<少女>』」の義。 ⸢ワー⸣ タ⸢ミバ⸣ ウ⸢ムイ⸣ル ⸣シンニン ⸢カイ オー⸣レーバ ウ⸢キ⸣トゥリバ [⸢waː⸣ ta⸢miba⸣ ʔu⸢mui⸣ru ⸣ʃinniŋ ⸢kai ʔoː⸣reːba ʔu⸢ki⸣turiba] (君の為を思ってわざわざ買ってこられたから受け取りなさい)。 プ⸢スヌ⸣ タ⸢ミ [pu̥⸢sunu⸣ ta⸢mi] (人の為)。 10104 0 2 9584 htmvoc_10104.wav タミ タ⸢ミ [ta⸢mi] 名 {Mn_2}形式名詞。目的を表す。 ⸣ジン ⸢モーキシミ⸣ル タ⸢ミ⸣シ ウ⸢キ⸣ナー パ⸢ラシ⸣タ [⸣ʤim ⸢moːkiʃimi⸣ru ta⸢mi⸣ʃi ʔu⸢ki⸣naː pa⸢raʃi̥⸣ta] (お金を儲けるために沖縄に行かせた)。 10104 0 3 9585 htmvoc_10104.wav タミ タ⸢ミ [ta⸢mi] 名 {Mn_3}原因、理由を表す。 ⸢ウン⸣ネーヤ イ⸢クサ⸣ヌ タ⸢ミ⸣ナー ムー⸢ル マーラシ ヤードー⸣リ ⸢シーナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːja ʔi⸢kusa⸣nu ta⸢mi⸣naː muː⸢ru maːraʃi jaːdoː⸣ri ⸢ʃiːnaː⸣nu] (その家は戦争のために皆亡くなって絶家<家倒れ>してしまった) 10105 0 0 9586 htmvoc_10105.wav タミシ タ⸢ミ⸣シ [ta⸢mi⸣ʃi] 名 前例。先例。証拠。道理。理由。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸢グヮン⸣ス シ⸢グタンティ スー⸣ タ⸢ミ⸣シェー シ⸢キミラ⸣ヌ [mi⸢doːn⸣ffanu ⸢gwan⸣su ʃi⸢gutanti suː⸣ ta⸢mi⸣ʃeː ʃi̥⸢kimira⸣nu] (女の子が元祖の位牌を継いだという前例は聞いたことがない)。 ギッ⸢ティ⸣ ピ⸢キスク⸣カー キ⸢シ⸣ル タ⸢ミ⸣シ [git⸢ti⸣ pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː ki̥⸢ʃi⸣ru ta⸢mi⸣ʃi] (ぎゅっと強く引張ったら切れる<切断する>のが道理だ)。道理。わけ。前例。証拠。 ⸢ピーカジ⸣ヌ ⸣フクカー ガ⸢シスー⸣ タ⸢ミ⸣シ [⸢piːkaʤi⸣nu ⸣ɸu̥kukaː ga⸢ʃi suː⸣ ta⸢mi⸣ʃi] (雨の降らない台風が吹き荒れると飢饉になるわけ<証拠・道理>だ) 10106 0 0 9587 htmvoc_10106.wav タミシ タ⸢ミ⸣シ [ta⸢mi⸣ʃi] 名 試すこと。試みること。試験。動詞タ⸢ミ⸣スン[ta⸢mi⸣suŋ](試す)の連用形から転成した名詞。 ⸣ナルンユー ナ⸢ラン⸣ユー タ⸢ミ⸣シ ⸢シー⸣ ミリバ [⸣naruɲjuː na⸢raɲ⸣juː ta⸢mi⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ miriba] (出来るか出来ないか試験<試し>をしてみなさいよ) 10107 0 0 9588 htmvoc_10107.wav タミスン タ⸢ミ⸣スン [ta⸢mi⸣suŋ] 他動 試す。試みる。実験する。 ⸢ソームヌ⸣ユー ⸢ネーシムヌ⸣ユー タ⸢ミ⸣スンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ タ⸢ミサラン⸣バ ⸢ワー⸣ タ⸢ミ⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸢soːmunu⸣juː ⸢neːʃimunu⸣juː ta⸢mi⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ta⸢misaram⸣ba ⸢waː⸣ ta⸢mi⸣ʃi f⸢fiːri] (本物かにせもの<贋物>か試そうと思ったが試されないから、君が試してくれ)。 タ⸢ミ⸣ス ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢タロー⸣ ドゥーシ タ⸢ミ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ta⸢mi⸣su ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢taroː ⸣duːʃi ta⸢mi⸣ʃeː ⸣misamunu] (試すことぐらいは<試すことの程度は>自分で試せばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ タ⸢ミ⸣シ⸢ダー [jaː⸢din⸣ ta⸢mi⸣ʃi⸢daː] (必ず試せよ) 10108 0 0 9589 htmvoc_10108.wav タミルン タ⸢ミルン [ta⸢miruŋ] 他動 溜める。貯える。貯金する。一杯にしておく。「~生<む>し多米難き~『万葉集 3227』」の義。 ⸣カミナー ミ⸢ジ⸣ タ⸢ミルンティ ベーン⸣ドゥ タ⸢ミラランバ⸣ マー⸢ズン⸣シ タ⸢ミ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸣kaminaː mi⸢ʤi⸣ ta⸢mirunti beːn⸣du ta⸢miraramba⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ta⸢mi⸣ f⸢fiːri] (瓶に水を溜めようとしているが、溜められないから一緒に溜めてくれ)。 ミ⸢ジ⸣ タ⸢ミル⸣ カミナー ミ⸢ジ⸣ タ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [mi⸢ʤi⸣ ta⸢miru⸣ kaminaː mi⸢ʤi⸣ ta⸢mireː⸣ misamunu] (水を溜める瓶に水を溜めればいいのに)。 ミ⸢ジ⸣ タ⸢ミリ [mi⸢ʤi⸣ ta⸢miri] (水を溜めれ)。 ⸣ジン タ⸢ミルン [⸣ʤin ta⸢miruŋ] (お金をためる) 10109 0 0 9590 htmvoc_10109.wav タミルン タ⸢ミ⸣ルン [ta⸢mi⸣ruŋ] 他動 ためる(矯める)。まっすぐにする。直線に狙いを定める。「揉、太無<たむ>」『和名抄』。「矯、タム」『類聚名義抄』の転訛したもの。 マ⸢ガリキーヤ⸣ タ⸢ミラ⸣リン ⸢ニンギン⸣ヌ マ⸢ガレー⸣ タ⸢ミララ⸣ヌ [ma⸢garikiːja⸣ ta⸢mira⸣rin ⸢niŋgin⸣nu ma⸢gareː⸣ ta⸢mirara⸣nu] (曲がった木は真直ぐに直せる{EOS}曲がった性格の人間は真直ぐに直せない<諺>)。 タ⸢ミ⸣ル ⸣クトー タ⸢ミ ヤッ⸣サンドゥ タ⸢ミ⸣ル ム⸢ヌン⸣ドゥ ⸢ナー⸣ヌ [ta⸢mi⸣ru ⸣ku̥toː ta⸢mi jas⸣sandu ta⸢mi⸣ru mu⸢nun⸣du ⸢naː⸣nu] (矯めることは矯めやすいが矯めるものがない)。 タ⸢ミ⸣ルンティ ⸣ウムーカー ⸢パー⸣ク ⸣タ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ta⸢mi⸣runti ⸣ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku ⸣ta⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (矯めようと思ったら、早く矯めればよいのに)。 ⸣ドゥーシ タ⸢ミ⸣リ [⸣duːʃi ta⸢mi⸣ri] (自分で矯めよ) 10122 0 0 9591 htmvoc_10122.wav タムティ タ⸢ム⸣ティ [ta⸢mu⸣ti] 名 保ち。持続すること。持ちこたえること。保存すること。 ⸢ナータムティ [⸢naːtamuti] (長持ち{EOS}長保ち{EOS}長期保存)。 ク⸢リ⸣シェー ⸢ナータムティ⸣ シ⸢ララヌ [ku⸢ri⸣ʃeː ⸢naːtamuti⸣ ʃi⸢raranu] (これでは長期保存<長保ち>出来ない) 10123 0 0 9592 htmvoc_10123.wav タムトゥ タ⸢ム⸣トゥ [ta⸢mu⸣tu] 名 たもと(袂)。袖の下の袋状になったところ。 ム⸢カ⸣シプソー ⸣チニヒージェー タ⸢ムトゥ⸣ヌ ナ⸢ガー⸣ル ⸢キン⸣マー キ⸢ソーラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸣ʧiniçiːʤeː ta⸢mutu⸣nu na⸢gaː⸣ru ⸢kim⸣maː ki̥⸢soːraŋ⸣ʃeŋ] (昔の人は、常日頃は袂の長い着物は着られなかった) 10125 1 0 9593 htmvoc_10125.wav タムトゥン タ⸢ム⸣トゥン [ta⸢mu⸣tuŋ] 他動 {PoS_1}保つ。維持する。保持する。守る。 ⸢タンガ⸣シ ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ヤーヤシ⸣キ タ⸢ム⸣トゥンティ ⸢スンドゥ⸣ イ⸢チンバー⸣キン ⸣ドゥシェー タ⸢ムタラン⸣バ ムー⸢ル⸣シ タ⸢ム⸣ティ ッ⸢ふィーリ [⸢taŋga⸣ʃi ʔu⸢bi⸣nu ⸢jaːjaʃi̥⸣ki ta⸢mu⸣tunti ⸢sundu⸣ ʔi⸢ʧimbaː⸣kin ⸣duːʃeː ta⸢mutaram⸣ba muː⸢ru⸣ʃi ta⸢mu⸣ti f⸢fiːri] (一人であれだけの家屋敷を維持しよう<保とう>とするが、何時までも一人では維持出来ないので皆で維持してくれ)。 タ⸢ム⸣トゥ ク⸢トゥ⸣バ ⸢カン⸣ガイ [ta⸢mu⸣tu ku̥⸢tu⸣ba ⸢kaŋ⸣gai] (維持する<保つ>ことを考えよ)。 イ⸢チンバー⸣キン タ⸢ム⸣ティ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kin ta⸢mu⸣ti] (何時までも維持せよ<保て>)。 10125 1 2 9594 htmvoc_10125.wav タムトゥン タ⸢ム⸣トゥン [ta⸢mu⸣tuŋ] 他動 {PoS_2}{Mn_2}自動詞的用法。 イ⸢チバー⸣キ ⸣ヌチェー タ⸢ムタ⸣リカヤー [ʔi⸢ʧibaː⸣ki ⸣nuʧeː ta⸢muta⸣rikajaː] (何時まで命は維持できる<保てる>かなあ)。 ヌ⸢チ⸣ヌ ⸢マー⸣ビン タ⸢ムタ⸣リカー⸢ナー [nu⸢ʧi⸣nu ⸢maː⸣bin ta⸢muta⸣rika⸢naː] (命がもっと維持できたら<保てたら>なあ) 10110 0 0 9595 htmvoc_10110.wav タムヌ タ⸢ム⸣ヌ [ta⸢mu⸣nu] 名 薪。 ⸢マーキ [⸢maːki] (丸太を割って作った薪)。 ⸢キータム⸣ヌ [⸢kiːtamu⸣nu] (丸太を割って作った薪)。 ⸢ユシ⸣キタムヌ [⸢juʃi̥⸣kitamunu] (枯れたススキを燃料<薪>にしたもの)。ウ⸢ジ⸣ル[ʔu⸢ʤi⸣ru](枯れ木の小枝や枯れた柴を燃料<薪>としたもの)等がある。 ⸢パイター⸣ラ ⸢キー⸣バ ⸣キシキー タ⸢ム⸣ヌ ⸣バキ ⸢ブー⸣ヌシ バ⸢リティ⸣ カ⸢マチヌ ウイヌ⸣ タ⸢ム⸣ヌダナナー シ⸢ミティル⸣ タ⸢ム⸣ノー ⸢モーソーッ⸣タ [⸢paitaː⸣ra ⸢kiː⸣ba ⸣ki̥ʃikiː ta⸢mu⸣nu ⸣baki ⸢buː⸣nuʃi ba⸢riti⸣ ka⸢maʧinu ʔuinu⸣ ta⸢mu⸣nudananaː ʃi⸢mitiru⸣ ta⸢mu⸣noː ⸢moːsoːt⸣ta] (西表島<南端>から木を伐ってきて薪の長さに鋸で切って斧で割り、竈の上の薪棚に積んで乾燥させて薪はもやされたものだ) 10124 0 0 9596 htmvoc_10124.wav タムヌ ⸣タ ⸣ムヌ [⸣ta ⸣munu] 連 ~したものを。~たのに。過去の助動詞⸣タン[⸣taŋ](~た)の連体形に逆接の助詞⸣ムヌ[⸣munu](~ものを)が付いた形。 シゥ⸢カシタ⸣カー ⸢バン⸣ヌン パ⸢リ⸣シタムヌ シゥ⸢カサンダー⸣ パ⸢リユーサン⸣バン ウ⸢ムイ⸣ツァー [si̥⸢kaʃita⸣kaː ⸢ban⸣num pa⸢ri⸣ʃi̥tamunu si̥⸢kasandaː⸣ pa⸢rijuːsam⸣baŋ ʔu⸢mui⸣ʦaː] (教えてくれれば<聞かせて呉れれば>私も行けたものを、教えないから行くことができないよ{EOS}惜しいことよ{EOS}) 10111 0 0 9597 htmvoc_10111.wav タムヌイブン タ⸢ム⸣ヌ イ⸢ブン [ta⸢mu⸣nu ʔi⸢buŋ] 連 薪をくべる。 カ⸢マチ⸣ナ タ⸢ム⸣ヌ ⸢マー⸣ビン イ⸢ビ⸣バ [ka⸢maʧi⸣na ta⸢mu⸣nu ⸢maː⸣biŋ ʔi⸢bi⸣ba] (竈に薪をもっとくべなさいよ) 10112 0 0 9598 htmvoc_10112.wav タムヌカーシプス タ⸢ム⸣ヌ ⸢カーシプス [ta⸢mu⸣nu ⸢kaːʃipu̥su] 連 たきぎ<薪>売り。薪を売る人。「薪売り人」の義。昭和37年頃まではガスコンロが普及していなかったので、薪を束ねて燃料として売っていた。 ⸢ティンマ⸣ナ タ⸢ム⸣ヌ シ⸢ミティ イ⸢サンケー カーシン オー⸣ル タ⸢ム⸣ヌ ⸢カーシプスン オーッ⸣タン [⸢timma⸣na ta⸢mu⸣nu ʃi⸢miti ʔis⸢aŋkeː kaːʃiŋ ʔoː⸣ru ta⸢mu⸣nu ⸢kaːʃipu̥suŋ ʔoːt⸣taŋ] (てんま船に薪を積んで石垣島へ売りに行かれる薪売り人も居られた) 10113 0 0 9599 htmvoc_10113.wav タムヌキスン タ⸢ム⸣ヌ ⸣キスン [ta⸢mu⸣nu ⸣ki̥suŋ] 連 薪にする丸太を西表島から伐り出してくる。 ⸣アチャー タ⸢ム⸣ヌ ⸣キスンティ ⸢パイタ⸣ナ ⸢オー⸣ル [⸣ʔaʧaː ta⸢mu⸣nu ⸣ki̥sunti ⸢paita⸣na ⸢ʔoː⸣ru] (お父さんは薪を伐るとて南端<西表島>に居られる) 10115 0 0 9600 htmvoc_10115.wav タムヌダナ タ⸢ム⸣ヌダナ [ta⸢mu⸣nudana] 名 薪棚。⸢キー⸣ダナ[⸢kiː⸣dana](薪棚)ともいう。普通は竈の上に\ruby{設}{シツラ}えられている。吊棚式に作った薪棚。バ⸢リタムヌ[ba⸢ritamunu](割った薪)を薪棚に積み、竈の熱気で乾燥されるように工夫されている。 タ⸢ム⸣ヌダナヌ タ⸢ム⸣ヌ ⸣ミルカー キ⸢ナイヌ スータイ⸣ヤー ワ⸢カ⸣ルンティ ア⸢ザリブー [ta⸢mu⸣nudananu ta⸢mu⸣nu ⸣mirukaː ki⸢nainu suːtai⸣jaː wa⸢ka⸣runti ʔa⸢ʣaribuː] (薪棚の薪を見ればその家の家計<所帯{EOS}暮らし向き>が分かるといわれている)。薪棚の薪が切れないように補給するのが男の仕事とされ、主婦はそれを誇りにしていた 10114 0 0 9601 htmvoc_10114.wav タムヌバクン タ⸢ム⸣ヌ ⸣バクン [ta⸢mu⸣nu ⸣bakuŋ] 連 丸太を鋸で約30センチの長さに切る。 シ⸢マ⸣ナテー ⸢バンター⸣ル タ⸢ム⸣ヌ ⸣バキティ バ⸢ルタル [ʃi⸢ma⸣nateː ⸢bantaː⸣ru ta⸢mu⸣nu ⸣bakiti ba⸢rutaru] (島では私たちが丸太を薪の長さに切って薪に割ったものだ) 10116 0 0 9602 htmvoc_10116.wav タムヌバリ タ⸢ム⸣ヌバリ [ta⸢mu⸣nubari] 名 薪割り。丸太を斧で割って薪にする仕事。 ⸣バー タ⸢ム⸣ヌバリヌ シ⸢グトー シーミッ⸣タン [⸣baː ta⸢mu⸣nubarinu ʃi⸢gutoː ʃiːmit⸣taŋ] (私は薪割りの仕事をしたことがある<仕事をしてみた>) 10119 0 0 9603 htmvoc_10119.wav タムヌバリブーヌ タ⸢ム⸣ヌバリブーヌ [ta⸢mu⸣nubaribuːnu] 名 薪割り斧。各家庭で薪割りに用いた斧。単に⸢ブー⸣ヌ[⸢buː⸣nu](斧)、⸢キーバリブー⸣ヌ[⸢kiːbaribuː⸣nu](木割り斧)ともいう。ヤ⸢マブー⸣ヌ[ja⸢mabuː⸣nu](山斧{EOS}山で材木を削るのに用いる斧)の古くなったものを薪割り斧に利用した。楔形の堅牢な鉄の刃をつけた頭部が山斧よりも大きくて重い。薪割りの際、⸢マッ⸣ふァ[⸢maf⸣fa](枕{EOS}当て木{EOS}ア⸢ティ{SqBr}ʔa⸢ti{/SqBr}<当て>ともいう)を置いて斧の刃こぼれが起きないように配慮した。 タ⸢ム⸣ヌバリブーヌシ タ⸢ム⸣ヌ バ⸢リ [ta⸢mu⸣nubaribuːnuʃi ta⸢mu⸣nu ba⸢ri] (薪割り斧で薪を割れ) 10117 0 0 9604 htmvoc_10117.wav タムラ タ⸢ムラ [ta⸢mura] 名 他村。他の村。余所の村。⸣ドゥームラ[⸣duːmura](自分の村)の対義語。タ⸢シマ[tḁ⸢ʃima](他の島)、ユ⸢スシマ[ju⸢suʃima](余所島)ともいう。 タ⸢ムラヌ⸣ プ⸢スバ⸣ トゥ⸢ジ ソーッ⸣タ [ta⸢muranu⸣ pu̥⸢suba⸣ tu⸢ʤi soːt⸣ta] (他村の人を妻にされた) 10120 0 0 9605 htmvoc_10120.wav タムン タ⸢ムン [ta⸢muŋ] 他動 溜める。貯える。一杯にしておく。「溜め<下二段活用>」の転訛<四段活用化>したもの。 ミ⸢ジ⸣ タ⸢ムンティ スンドゥ⸣ タ⸢マランバ⸣ タ⸢ミ ッふィーリ [mi⸢ʤi⸣ ta⸢munti sundu⸣ ta⸢maramba⸣ ta⸢mi ffiːri] (水を溜めようとするが溜まらないので、溜めてくれ)。 タ⸢ム⸣ プソー ミ⸢ジカミ⸣ナー タ⸢メー⸣ ミサムヌ [ta⸢mu⸣ pu̥soː mi⸢ʤikami⸣naː ta⸢meː⸣ misamunu] (溜めるときは瓶に溜めればいいのに)。 ⸣ドゥーシ タ⸢ミ⸣バ [⸣duːʃi ta⸢mi⸣ba] (自分で溜めなさい) 10121 0 0 9606 htmvoc_10121.wav タムン ⸣タムン [⸣tamuŋ] 他動 矯める。真直ぐにする。狙いを定める。「矯、タム<下二段活用>」『類聚名義抄』の転訛<四段活用化>したもの。 マ⸢ガリタキ⸣ ピーナ ⸣アビティ ⸣タムンティ ⸢スンドゥ⸣ タ⸢マラン⸣バ ⸣タミ ッ⸢ふィーリ [ma⸢garitaki⸣ piːna ⸣ʔabiti ⸣tamunti ⸢sundu⸣ ta⸢maram⸣ba ⸣tami f⸢fiːri] (曲がった竹を火に炙って矯めようとするが、矯まらないので矯めてくれ)。 ⸣タム ⸣ピンマー ⸣ピーナ ⸣アビティ ⸣タメー ⸣ミサムヌ [⸣tamu ⸣pimmaː ⸣piːna ⸣ʔabiti ⸣tameː ⸣misamunu] (矯めるときは火に炙って矯めればよいのに)。 ギーッ⸢ティ⸣ タミバ [giːt⸢ti⸣ tamiba] (ぎゅっと矯めなさいよ)。 マッ⸢シング⸣ タミティ ⸢ナン⸣ギバ [maʃ⸢ʃiŋgu⸣ tamiti ⸢naŋ⸣giba] (真直ぐ狙って投げなさい) 10126 0 0 9607 htmvoc_10126.wav タヤ タ⸢ヤ [ta⸢ja] 名 力。体力。耐える力。⸣タイ[⸣taji](耐える力)ともいう。 タ⸢ヤヌ ナー⸣ン ⸢ブン⸣マー ア⸢サバンドー⸣シ トゥ⸢キ⸣バ カ⸢キ⸣ル プ⸢ス ウイヌ⸣ シ⸢グトゥバ シー⸣ ケー⸢ダー [ta⸢janu naː⸣m ⸢bum⸣maː ʔa⸢sabandoː⸣ʃi tu̥⸢ki⸣ba kḁ⸢ki⸣ru pu̥⸢suʔuinu⸣ ʃi⸢gutuba ʃiː⸣keː⸢daː] (体力が無いぶんは遊ばずに時間を掛けて人並み以上の仕事をしてきたのだよ)。 バ⸢タ⸣ダイ [ba⸢ta⸣dai] (腹持ち{EOS}食物の消化が遅く、満腹感が長く保たれること)。 ム⸢チェー⸣ バ⸢タダイ⸣ヌ ⸣アン [mu⸢ʧeː⸣ ba⸢tadai⸣nu ʔaŋ] (餅は腹持ちがいい) 10127 0 0 9608 htmvoc_10127.wav ダヤー ⸣ダヤー [⸣dajaː] 名 虚弱体質の人。体力のない者。手足の力がなく、何の仕事も出来ない人。役立たず。多少蔑視した表現。ダ⸢リ⸣ムヌ[da⸢ri⸣munu](虚弱体質の人{EOS}体力のない者{EOS}病的にだらだらしている者)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ダヤー ヤ⸢ルンダ⸣ タ⸢ルガキララヌ [ʔu⸢reː⸣ dajaː ja⸢runda⸣ ta⸢rugakiraranu] (彼<それ>は虚弱体質の人だから当てに<頼みに>ならない) 10128 0 0 9609 htmvoc_10128.wav ダヤーッピー ⸣ダヤーッピー [⸢dajaːppiː] 名 人名。動作の鈍い兄さん。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンヌ ア⸢ザナール⸣ ヤ⸢タンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ⸣ダヤーッピーティル ア⸢ゾー⸣ル⸢ダー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kennu ʔa⸢ʣanaːru⸣ ja⸢tandu⸣ ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tin ⸣dajaːppitiru ʔa⸢ʣoː⸣ru⸢daː] (幼少時<子供の頃>のニックネームだったが、今だに<今につけても>ダヤーッピーといわれるのだよ) 10130 0 0 9610 htmvoc_10130.wav タヤシグトゥ タ⸢ヤシグトゥ [ta⸢jaʃigutu] 名 力仕事。体力の要る仕事。若年層が多用する。 タ⸢ヤヌ ナーン⸣ プ⸢スンマー⸣ タ⸢ヤシグトー⸣ シ⸢ミララヌ [ta⸢janu naːm⸣ pu̥⸢summaː⸣ ta⸢jaʃigutoː⸣ ʃi⸢miraranu] (体力のない人には力仕事はさせられない) 10131 0 0 9611 htmvoc_10131.wav タヤッサーク タ⸢ヤッサーク [ta⸢jassaːku] 名 力仕事。体力の要る仕事。老年層が多用する言葉。タ⸢ヤシグトゥ[ta⸢jaʃigutu](力仕事)ともいう。 タ⸢ヤヌ ナーン⸣ダ プ⸢スン⸣ カタチネー タ⸢ヤッサーコー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ta⸢janu naːn⸣da pu̥⸢suŋ⸣ kḁtaʧineː ta⸢jassaːkoː⸣ na⸢ra⸣nu] (体力が無いから他の人のように力仕事は出来ない) 10132 0 0 9612 htmvoc_10132.wav タヤッサン タ⸢ヤッ⸣サン [ta⸢jas⸣saŋ] 形 たやすい。簡単である。 ⸢ザイロー⸣ヌサーギ ⸣アルカー ⸢ヤースク⸣レー ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ タ⸢ヤーッ⸣サ ス⸢クラ⸣リン [⸢ʣairoː⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢jaːsu̥ku⸣reː ⸣wakeː ⸢naː⸣nu ta⸢jaːs⸣sa su̥⸢kura⸣riŋ] (材料があれば家作りは、訳はない{EOS}\ruby{容易}{タ|ヤス}く造られる)。 プ⸢スヌ⸣ アズネー タ⸢ヤーッサー ナーヌ⸣ヌ ⸣カイニ ス⸢ク⸣ルカー タ⸢ヤーッ⸣サン [pu̥⸢sunu⸣ ʔaʣuneː ta⸢jaːssaː naːnu⸣nu ⸣kaini su̥⸢ku⸣rukaː ta⸢jaːs⸣saŋ] (他人が言うほどには容易くないが、こうしたら容易い<簡単だ>)。 タ⸢ヤーッ⸣サ ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ タ⸢ヤーッ⸣サカー ⸣ドゥーシ ス⸢ク⸣リバ [ta⸢jaːs⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ta⸢jaːs⸣sakaː ⸣duːʃi su̥⸢ku⸣riba] (容易いことはないが、容易ければ自分で作れよ) 10133 0 0 9613 htmvoc_10133.wav タヤンブーンナーヌ タ⸢ヤン⸣ ブーン ⸢ナー⸣ヌ [ta⸢jam⸣buːn ⸢naː⸣nu] 連 体力が無い。「ブー」は「分<ぶ>、強さの度合い『読本椿説弓張月』」『日本国語大辞典』の義か。「玉の緒」説『石垣方言辞典』は取らない。 ⸢ビョー⸣ザー ⸣ナリティ タ⸢ヤン⸣ ブーン ⸢ナー⸣ヌ [⸢bjoː⸣ʣaː ⸣nariti ta⸢jam⸣ buːn ⸢naː⸣nu] (病弱になって肉体的体力も気力もない<体力も分もない>) 10134 0 0 9614 htmvoc_10134.wav タユリ タ⸢ユ⸣リ [ta⸢ju⸣ri] 名 縁故。頼り。タ⸢ユ⸣ル[ta⸢ju⸣ru](縁故{EOS}便り{EOS}音信)とも言う。 タ⸢ユリ⸣ヌ ア⸢ラバ⸣ル シ⸢グトゥン⸣ トゥ⸢ミラ⸣リティバン⸢ナー [ta⸢juri⸣nu ʔa⸢raba⸣ru ʃi⸢gutun⸣ tu⸢mita⸣ritiban⸢naː] (縁故があればこそ仕事も探せるってねえ) 10135 0 1 9615 htmvoc_10135.wav タユル タ⸢ユ⸣ル [ta⸢ju⸣ru] 名 {Mn_1}音信。手紙。老年層が多用する。「便り」の義。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ タ⸢ユル⸣ヌ ⸣ケーンティ ス⸢クタヌ ヌー⸣シカヤー [ʔu⸢ki⸣naːranu ta⸢juru⸣nu ⸣keːnti su̥⸢kutanu nuː⸣ʃikajaː] (沖縄からの音信<便り>が来たと聞いたが、どんなだろうか)。 10135 0 2 9616 htmvoc_10135.wav タユル タ⸢ユ⸣ル [ta⸢ju⸣ru] 名 {Mn_2}頼り。頼みにするもの、または人。 ⸢ワー タンガ⸣ル ウ⸢ヤ⸣ヌ タ⸢ユ⸣ル ヤ⸢リバ マイフナー⸣ マ⸢リ⸣ダー [⸢waː taŋga⸣ru ʔu⸢ja⸣nu ta⸢ju⸣ru ja⸢riba maiɸunaː⸣ ma⸢ri⸣daː] (君一人が親の頼みだから、賢い立派な人に成長しなさい<生まれなさい>よ)。 10135 0 3 9617 htmvoc_10135.wav タユル タ⸢ユ⸣ル [ta⸢ju⸣ru] 名 {Mn_3}つて<伝>。てずる。縁故。「Tayori.タヨリ(便り)使いの者、ちょうどよい折.また援助、あるいは、役に立ったり為になったりする事物など.」『邦訳日葡辞書』の義。 イ⸢サナキ⸣ナー タ⸢ユル⸣ヌ ⸢オー⸣ルカ⸢ナー [ʔi⸢sanaki⸣naː ta⸢juru⸣nu ⸢ʔoː⸣ruka⸢naː] (石垣にてずるになる人が居られたらなあ<つてとなる人が居られたら良いのになあ>) 10136 0 0 9618 htmvoc_10136.wav タユルピキ タ⸢ユ⸣ルピキ [ta⸢ju⸣rupi̥ki] 名 縁故。てずる。 タ⸢ユ⸣ルピキヌ ⸣カナイ ⸢オー⸣ルンダ ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ [ta⸢ju⸣rupi̥kinu ⸣kanai ⸢ʔoː⸣runda noː⸢n soːja naː⸣nu] (縁故に恵まれて居られる<縁故者が叶って居られる>から、何の心配もない) 10137 0 0 9619 htmvoc_10137.wav タユルン タ⸢ユ⸣ルン [ta⸢ju⸣ruŋ] 他動 頼る。よりすがる。たのみとする。 ウ⸢トゥ⸣ザ タ⸢ユ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ タ⸢ユララ⸣ヌ タ⸢ユラ⸣リ プ⸢スバ⸣ トゥミ タ⸢ユ⸣リ ⸣パリ [ʔu⸢tu⸣ʣa ta⸢ju⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ta⸢jurara⸣nu ta⸢jura⸣ri pu̥⸢suba⸣ tumi ta⸢ju⸣ri ⸣pari] (親戚を頼ろうと思ったが頼られない{EOS}頼られる人を探して頼って行きなさい)。 ⸣ウヤ タ⸢ユ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣カー ドゥ⸢シバ⸣ タ⸢ユ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʔuja ta⸢ju⸣ru ⸣ku̥toː na⸢raŋ⸣kaː du⸢ʃiba⸣ ta⸢ju⸣reː ⸣misamunu] (親を頼ることが出来なければ友人を頼ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク タ⸢ユ⸣リ ⸣パリ [⸢paː⸣ku ta⸢ju⸣ri ⸣pari] (早く頼って行け) 10138 0 0 9620 htmvoc_10138.wav ダラ ⸣ダラ [⸣dara] 終助 ~だなあ。~だことよ。名詞や形容詞の語幹について、感嘆の意を表す。語形は、[du] <ぞ>・[ara] <有ら>・[mu] <む> → [darau] → [dara] <だなあ>のような音韻変化を経て形成されたものであろう。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (あんな事をして誠に残念だなあ)。 ⸢ウイプス⸣バ ⸢アウ⸣リ シ⸢ミ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァダラ [⸢ʔuipu̥su⸣ba ⸢ʔau⸣ri ʃi⸢mi⸣ ki⸢mui⸣ʦadara] (年寄りを苦労させて気の毒なことよ) 10141 0 0 9621 htmvoc_10141.wav ダラー ⸣ダラー [⸣daraː] 名 だらけた者。不活発な者。⸣ダルン[⸣daruŋ](だれる{EOS}疲れる)の連用形⸣ダリ[⸣dari]に接尾辞⸣ヤー[⸣jaː](~する者)が付いて形成された語。 ⸢ウンザー⸣ ダラー ヤ⸢ルンダ⸣ ギ⸢チ サン⸣カー パ⸢タラカヌ [⸢ʔunʣaː⸣ daraː ja⸢runda⸣ gi⸢ʧi saŋ⸣kaː pḁ⸢tarakanu] (あいつは怠け者<だらけた者>だから、指図しないと働かない) 10142 0 0 9622 htmvoc_10142.wav タラーシユースン タ⸢ラーシユースン [ta⸢raːʃijuːsuŋ] 他動 不足を補うことが出来る。充分に満たす。他人の欠点を補って補強することが出来る。タ⸢ラースン[ta⸢raːsuŋ](足す{EOS}満たす{EOS}不足を補う)の連用形に助動詞⸢ユー⸣スン[⸢juː⸣suŋ](~出来る{EOS}~し得る)が付いて形成された派生動詞。 ⸣ウビ ⸣アルカー ⸢ヨイシンカ⸣ヌ ⸣ウサイ タ⸢ラーシユースン⸣パジ [⸣ʔubi ⸣ʔarukaː ⸢joiʃiŋka⸣nu ⸣ʔusai ta⸢raːʃijuːsum⸣paʤi] (これだけあれば祝い客のご馳走を補う<満たす>ことが出来るはずだ)。 タ⸢ラーシユーサヌ [ta⸢raːʃijuːsanu] (補えない<満たせない>) 10143 0 0 9623 htmvoc_10143.wav タラースン タ⸢ラースン [ta⸢raːsuŋ] 他動 不足を補う。足す。満たす。足りるようにする。「足らせる」の義。 タ⸢ラーン⸣カー フ⸢スクブン⸣ タ⸢ラーシティ⸣ ム⸢タシ⸣バ [ta⸢raːŋ⸣kaː ɸu̥⸢sukubun⸣ ta⸢raːʃi̥ti⸣ mu⸢ta⸣ʃiba] (足りなければ不足分を補って<足して>持たせなさい)。 タ⸢ラースンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ タ⸢ラーサランバ ワー⸣シ タ⸢ラーシ⸣バ [ta⸢raːsunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ta⸢raːsaramba waː⸣ʃi ta⸢raːʃi⸣ba] (補おうと思ったが補えないから、君で補えよ)。 タ⸢ラース⸣ プソー タ⸢ラーシェー⸣ ミサムヌ [ta⸢raːsu⸣ pu̥soː ta⸢raːʃeː⸣ misamunu] (補う時は補えばいいのに) 10144 0 0 9624 htmvoc_10144.wav ダラーン ダ⸢ラー⸣ン [da⸢raː⸣ŋ] 形 だるい(怠い)。動作がのろい(鈍い)。動作がとろい。若年層ではダ⸢ロー⸣ン[da⸢roː⸣ŋ](だるい)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ダ⸢ラー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ マイ ⸢ユーザヌ [ʔu⸢reː⸣ da⸢raː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ mai ⸢juːʣanu] (彼は動作が鈍くて仕事がはかどら<捗>ない<前進しない>)。 イッ⸢ケナ⸣ ダ⸢ラーン⸣ティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー ダ⸢ラー ナー⸣ヌ [ʔik⸢kena⸣ da⸢raːn⸣ti su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː da⸢raː naː⸣nu] (非常に動作が鈍いと聞いたが、あんまり鈍くないよ)。 ⸢シンダイ⸣ ダ⸢ラー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ da⸢raː⸣ naruŋ] (次第に鈍くなる)。 ダ⸢ラー⸣ プ⸢ソー⸣ シゥ⸢カウナ [da⸢raː⸣ pu̥⸢soː⸣ sï̥⸢kauna] (動作の鈍い人は使うな)。 シ⸢グトゥヌ⸣ ダ⸢ラー⸣カー シゥ⸢カウナ [ʃi⸢gutunu⸣ da⸢raː⸣kaː sï̥⸢kauna] (仕事が鈍ければ使うな) 10145 0 0 9625 htmvoc_10145.wav タライ ⸣タライ [⸣tarai] 名 たらい(盥)。「手洗い」の転訛か。水や湯を入れて手や顔を洗うための器。「盥、多良比<たらひ>、俗用手洗二字」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢ビン⸣ダライ [⸢bin⸣darai] (洗面器{EOS}「鬢盥」の義)。 カ⸢ナダライ [ka⸢nadarai] (金属製の洗面器)。⸢キンアライ⸣タライ[⸢kiŋʔarai⸣tarai](洗濯用盥{EOS}「衣洗い盥」の義)がある。洗濯用の盥は直径約60センチ、高さ約20センチの桶。板を並べて円筒形を作り、底をつけ、竹のたがで締めたもの。 タ⸢ライ⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ナー ユ⸢グリキン⸣ シ⸢キティ⸣ ア⸢ライ⸣バ [ta⸢rai⸣nu mi⸢ʤi⸣naː ju⸢gurikiŋ⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢rai⸣ba] (盥の水に汚れた着物を浸けて洗いなさいよ) 10146 0 1 9626 htmvoc_10146.wav タラウン タ⸢ラウン [ta⸢rauŋ] 自動 {Mn_1}足りる。十分にである。満ち足りる。 ⸣クビシ タ⸢ラウンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ タ⸢ラーンバン [⸣kubiʃi ta⸢raunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ta⸢raːmbaŋ] (これだけで足りと思ったが足りないわい)。 ⸣ヌーン ⸣クイン タ⸢ライ ベー⸣カー タ⸢ラウ⸣ ム⸢ノー⸣ラ ⸣バキバ [⸣nuːŋ ⸣kuin ta⸢rai beː⸣kaː ta⸢rau⸣ mu⸢noː⸣ra ⸣bakiba] (何もかも足りているなら、足りる物から分けなさい)。 タ⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [ta⸢raijaː⸣ misamunu] (足りれば良いのに)。 10146 0 2 9627 htmvoc_10146.wav タラウン タ⸢ラウン [ta⸢rauŋ] 自動 {Mn_2}打ち消し形で、一人前でない、の意味となる。 ウ⸢ヌ プソー⸣ ン⸢ベーマ⸣ タ⸢ラーヌ [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ ʔm⸢beːma⸣ ta⸢raːnu] (この人は少々足りない<一人前でない>) 10147 0 0 9628 htmvoc_10147.wav タラクジ タ⸢ラクジ [ta⸢rakuʤi] 名 古典民謡の「タラクジ節」。鳩間島で伝承されている「たらくじ」は第一連、第二連に石垣島の「赤馬節(その二)」の歌詞を、第三連に竹富島の「マザカイ節」の歌詞を混ぜたもので、キ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)などの奉納舞踊として歌い踊られる。/イラサニサ キユヌヒ ドゥキサニサ クガニヒ/バンシディル キユダラ パニムイルタキダラ/マリヤタキドゥン スダティヤ ナカマヌマザカイ/ナユヌユイ イキヤヌシナンドゥ ナカマクイラ/『鳩間島古典民謡古謡集』 10148 0 0 9629 htmvoc_10148.wav ダラシキビルン ダ⸢ラシ⸣キ ビ⸢ルン [da⸢raʃi̥⸣ki bi⸢ruŋ] 連 べったりと座ること。 ブ⸢ガ⸣リティル ⸢ジー⸣ナー ダ⸢ラシ⸣キ ビ⸢リベー [bu⸢ga⸣ritiru ⸢ʤiː⸣naː da⸢raʃi̥⸣ki bi⸢ribeː] (疲れきって地べたにべったり座っている) 10149 0 0 9630 htmvoc_10149.wav ダラシキルン ダ⸢ラシキ⸣ルン [da⸢raʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 叩きつけられてぐったりする。くたばる。 ナ⸢チヌ⸣ ティダナカナー フ⸢カイ⸣ルンケン シ⸢グトゥバ シーティル⸣ ダ⸢ラシキ⸣ルンティ ⸢アーク⸣タ [na⸢ʧinu⸣ tidanakanaː ɸu̥⸢kai⸣ruŋkeŋ ʃi⸢gutuba ʃiːtiru⸣ da⸢raʃi̥ki⸣runti ⸢ʔaːku⸣ta] (夏の暑い太陽光線の中で体温が異常に上昇する熱中症になるほど仕事をして、ぐったりする<くたばる>ところだった) 10150 0 0 9631 htmvoc_10150.wav タラシパナ タ⸢ラシ⸣パナ [ta⸢raʃi⸣pana] 名 古典舞踊⸢鳩間節」の髪飾り。頭にティジバナ[ti⸢ʤibana]、ヨ⸢コザ⸣シ[jo⸢koʣa⸣ʃi]の花を挿し、タ⸢ラシ⸣バナ[ta⸢raʃi⸣bana](紙をカールさせて作った細長い造花)を頭から背中に垂らす。 タ⸢ラシ⸣バナー カ⸢ビシ⸣ル ス⸢ク⸣ローッタミー [ta⸢raʃi⸣banaː ka⸢biʃi⸣ru su̥⸢ku⸣roːttamiː] (垂らし花は紙で作られたのでしょう?) 10151 1 0 9632 htmvoc_10151.wav ダラスクン ダ⸢ラス⸣クン [da⸢rasu̥⸣kuŋ] 自動 {PoS_1}叩きつけられてぐったりする。くたばる。へたばる。弱って動けなくなる。衰弱して動けなくなる。 ⸣シマ ⸣トゥリティ ⸢ナンギラ⸣リ ダ⸢ラシ⸣キ ⸢ベー [⸣ʃima ⸣turiti ⸢naŋgira⸣ri da⸢raʃi̥⸣ki ⸢beː] (相撲をとって投げられてぐったりしている)。 ⸢ナンギラ⸣リティ ダ⸢ラ⸣スクンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ダ⸢ラシゥカン⸣バン [⸢naŋgira⸣riti da⸢ra⸣su̥kuŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du da⸢rasï̥kam⸣baŋ] (投げられてぐったりするかと思ったが、ぐったりしないよ)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ルシ ダ⸢ラス⸣ク プ⸢ソー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣ruʃi da⸢rasu̥⸣ku pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (この程度でぐったりする<へたばる>ような人ではない)。 ダ⸢ラシ⸣ケーラ ウ⸢キララ⸣ヌ [da⸢raʃi̥⸣keːra ʔu⸢kirara⸣nu] (へたばったら立ち上がれない)。 10151 2 0 9633 htmvoc_10151.wav ダラスクン ダ⸢ラス⸣クン [da⸢rasu̥⸣kuŋ] 他動 {PoS_2}叩きのめす。 ダ⸢ラシ⸣キ トゥ⸢ラ⸣シ [da⸢raʃi̥⸣ki tu⸢ra⸣ʃi] (やっつけろ{EOS}やっつけてやれ{EOS}叩きのめせ) 10155 0 0 9634 htmvoc_10155.wav タラスン タ⸢ラ⸣スン [ta⸢ra⸣suŋ] 他動 溶かす。とろかす(蕩かす)。 ⸢オー⸣ヌアバ タ⸢キティ⸣ アバ タ⸢ラ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ タ⸢ラサラン⸣バ タ⸢ラ⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸢ʔoː⸣nuʔaba tḁ⸢kiti⸣ ʔaba ta⸢ra⸣sunti ⸢beːn⸣du ta⸢rasaram⸣ba ta⸢ra⸣ʃi f⸢fiːri] (豚の油を焼いて油を溶かそうとしているが溶かされないので、溶かしてくれ)。 ⸣アバ タ⸢ラ⸣ス ⸣プソー ア⸢バ⸣ナビナー タ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaba ta⸢ra⸣su ⸣pu̥soː ʔa⸢ba⸣nabinaː ta⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (脂を溶かす時は油鍋で溶かせば良いのに)。 ⸣アバ タ⸢ラ⸣シ [⸣ʔaba ta⸢ra⸣ʃi] (油を溶かせ) 10156 0 0 9635 htmvoc_10156.wav タラスン タ⸢ラ⸣スン [ta⸢ra⸣suŋ] 他動 垂らす。したたら(滴ら)す。液体を流す。 ユ⸢ダル⸣ タ⸢ラ⸣スン [ju⸢daru⸣ ta⸢ra⸣suŋ] (よだれ<涎>を垂らす)。 ユ⸢ダル⸣ タ⸢ラサン⸣ドーシ ッ⸢ふァイ⸣バ [ju⸢daru⸣ ta⸢rasan⸣doːʃi f⸢fai⸣ba] (涎を垂らさないで食べなさいよ)。 タ⸢ラ⸣シ ⸢ベー [ta⸢ra⸣ʃi ⸢beː] (垂らしている)。 タ⸢ラ⸣ス ⸣クトー ス⸢ナ⸣ヨー [ta⸢ra⸣su ⸣ku̥toː su⸢na⸣joː] (垂らすことはするなよ)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ta⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと垂らせばいいのに)。 ン⸢ベーマ⸣ タ⸢ラ⸣シバ [ʔm⸢beːma⸣ ta⸢ra⸣ʃiba] (少し垂らしなさいよ) 10157 0 0 9636 htmvoc_10157.wav ダラスン ダ⸢ラ⸣スン [da⸢ra⸣suŋ] 他動 強く打つ。強く叩く。 ⸣ドゥク ⸢ティーパヤー⸣ティ ⸣ティー ダ⸢ラ⸣スンティ シ⸢タンドゥ⸣ ダ⸢ラサラ⸣ヌ [⸣duku ⸢tiːpajaː⸣ti ⸣tiː da⸢ra⸣sunti ʃi̥⸢tandu⸣ da⸢rasara⸣nu] (あまりにも喧嘩早い<手が早い>ので、手を強く叩こうとしたが叩かれない)。 ダ⸢ラ⸣ス ⸣プソー シ⸢グ⸣ ダ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [da⸢ra⸣su ⸣pu̥soː ʃi⸢gu⸣ da⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (叩く時はすぐ叩けばいいのに)。 ⸣アウ ⸣ピンマー ⸣ティー ダ⸢ラ⸣シ [⸣ʔau ⸣pimmaː ⸣tiː da⸢ra⸣ʃi] (喧嘩するときは手を強く打ちなさい) 10158 0 0 9637 htmvoc_10158.wav ダラスン ダ⸢ラ⸣スン [da⸢ra⸣suŋ] 他動 ゆるませる(弛ませる{EOS}垂らす)。 ⸣シナー ダ⸢ラサン⸣ドーシ ピ⸢キシキ [⸣ʃinaː da⸢rasan⸣doːʃi pi̥⸢kiʃiki] (綱は\ruby{弛}{ユル}まさないで<弛めないで>引張れ)。 ン⸢ベーマ⸣ ダ⸢ラ⸣スンティ ⸣ウムーカー ⸣カマンターラ ダ⸢ラ⸣シバ [ʔm⸢beːma⸣ da⸢ra⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ⸣kamantaːra da⸢ra⸣ʃiba] (少し弛ませよう<弛めよう>と思うなら、あそこから弛ませなさい)。 ダ⸢ラ⸣シ ⸣ミサカー ダ⸢ラ⸣ス ⸣クトー ナルン⸢ダー [da⸢ra⸣ʃi ⸣misakaː da⸢ra⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (弛ませてよければ弛ませることは出来るよ)。 ⸣シナー ン⸢ベーマ⸣ ダ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣ʃinaː ʔm⸢beːma⸣ da⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (綱は少し弛ませればいいのに) 10152 0 0 9638 htmvoc_10152.wav ダラダラ ダ⸢ラダラ [da⸢radara] 副 だらだら。動作ののろいさま。擬態語。 バ⸢カー⸣ムノー ⸢ダラダラ⸣シ ア⸢ラク⸣ナ [ba⸢kaː⸣munoː da⸢radara⸣ʃi ʔa⸢raku⸣na] (若者はだらだらと歩くな) 10160 0 0 9639 htmvoc_10160.wav ダラダラ ⸣ダラダラ [⸣daradara] 副 だらだら。動作が鈍く続くさま。怠けて時を過ごすさま。ABAB型重言。 ダ⸢ラダラ⸣シ ア⸢ラカン⸣ドーシ ア⸢シパヤ⸣ミ ア⸢ラ⸣キ [da⸢radara⸣ʃi ʔa⸢rakan⸣doːʃi ʔa⸢ʃipaja⸣mi ʔa⸢ra⸣ki] (だらだら歩かないで足早に歩け) 10161 0 1 9640 htmvoc_10161.wav ダラダラ ダ⸢ラダラ [da⸢radara] 副 {Mn_1}ぐつぐつ。とろとろ。物を十分に煮え立たせるさま。 イ⸢ズン⸣ タクン イ⸢リティ⸣ ダ⸢ラダラ⸣シ ⸢ネーシ⸣バ [ʔi⸢ʣun⸣ takuŋ ʔi⸢riti⸣ da⸢radara⸣ʃi ⸢neːʃi⸣ba] (魚も蛸も入れてぐつぐつ煮なさいよ)。 ダ⸢ラダラ⸣シ ⸢ネーシ⸣ フ⸢クローフクロー スン⸣ケン バ⸢カシ⸣バ [da⸢radara⸣ʃi ⸢neːʃi⸣ ɸu̥ku⸢roːɸukuroː suŋ⸣kem ba⸢kaʃi⸣ba] (ぐつぐつと煮立てて、ふかふか、ふんわりするまで炊きなさい)。 10161 0 2 9641 htmvoc_10161.wav ダラダラ ダ⸢ラダラ [da⸢radara] 副 {Mn_2}たらたら。濃度の濃い液体、汗や血液、油、醤油などが途切れることなく流れるさま。 ダ⸢ラダラ スン⸣ケン ア⸢シ⸣バ ⸣パリ スブッ⸢ティ⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [da⸢radara suŋ⸣keŋ ʔa⸢ʃi⸣ba ⸣pari subut⸢ti⸣ nari ⸢naː⸣nu] (たらたらと流れるほど汗が出て、びっしょりとなってしまった) 10153 0 0 9642 htmvoc_10153.wav ダラッカダラッカ ダ⸢ラッカダラッカ [da⸢rakkadarakka] 副 のっそりのっそり。だらりだらりと。擬態語。 ⸢パン⸣タリティ ダ⸢ラッカダラッカ⸣シ ア⸢ラ⸣ク シ⸢ナター ミーヌッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢pan⸣tariti da⸢rakkadarakka⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ku ʃi⸢nataː miːnussa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (肥えてのっそりのっそりと歩く姿は見苦しくて見られない)。ABCDABCD型の重言。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ダ⸢ラッカダラッカ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢アー⸣クモー ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣mununu da⸢rakkadarakka⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔaː⸣kumoː ⸢miːnussa⸣nu na⸢ra⸣nu] (若者がだらしなく、のっそりのっそりと歩いているのは見苦しくてたまらない)。 ⸣カマーラ ダ⸢ラッカダラッカ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸣クー ⸣ムノー ⸢ター⸣ヤ [⸣kamaːra da⸢rakkadakka⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸣kuː ⸣munoː ⸢taː⸣ja] (向こうからのっそりのっそりと歩いてくる者は誰か)。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ダ⸢ラッカダラッカ⸣シ ア⸢ラ⸣ク ⸣ムヌ ⸣ミルカー ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣mununu da⸢rakkadarakka⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ku ⸣munu ⸣mirukaː ⸢miːnussa⸣nu na⸢ra⸣nu] (若者がのっそりのっそりと歩くのを見ると見苦しくて堪らない) 10154 0 0 9643 htmvoc_10154.wav ダラッティ ダラッ⸢ティ [darat⸢ti] 副 ぐったりと。体力や気力が失われてへたり込むさま。 ダラッ⸢テイ スン⸣ケン ブ⸢ガ⸣リティ ウ⸢ヌマー⸣マ ニ⸢ビベー [darat⸢ti suŋ⸣kem bu⸢ga⸣riti ʔu⸢numaː⸣ma ni⸢bibeː] (ぐったりするほど疲れて、そのまま寝ている)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティ ダラッ⸢ティ⸣ ナリ ⸢ベー [ja⸢ra⸣beː ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤiti darat⸢ti⸣ nari ⸢beː] (子供は熱が出てぐったりしている) 10163 0 0 9644 htmvoc_10163.wav ダリー ダ⸢リー [da⸢riː] 感 まあ汚い。まあ、嫌らしい。アダ⸢リー[ʔada⸢riː](まあ汚い)の略語。イダ⸢リー[ʔida⸢riː](まあ汚い)は、揶揄する気持ちが含まれる。ダー⸢リーとも言う。 ダ⸢リー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [da⸢riː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (まあ汚い{EOS!}何だね、それは) 10164 0 0 9645 htmvoc_10164.wav ダリッサールン ダ⸢リッサー⸣ルン [da⸢rissaː⸣ruŋ] 自動 元気が無くなる。疲れて元気が無くなる。しょげかえる(悄気返る)。ひどくしょげる(悄気る)。しょげこむ(\ruby{SqBr}g{/SqBr}{悄気}{ショゲ}こむ)。しおれる。 ア⸢ムサ⸣ル ⸣アルユー ダ⸢リッサー⸣リ ⸢ベー [ʔa⸢musa⸣ru ⸣ʔarujuː da⸢rissaː⸣ri ⸢beː] (風邪気味で気分が悪いのか、元気が無く、しょげ込んでいる)。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンズカー ダ⸢リッサー⸣ルンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ダ⸢リッサーラン⸣バン [ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʣukaː da⸢rissaː⸣runti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː da⸢rissaːram⸣baŋ] (熱が出ると元気がなく、しょげ返るときいたが、それほどしょげ返らないわい)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ダ⸢リッサー⸣ル ⸣ピンマー ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アル ⸢スー⸣ク [ja⸢rabi⸣nu da⸢rissaː⸣ru ⸣pimmaː ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaru ⸢suː⸣ku] (子供が不元気でしょげ返る時は熱がある証拠だ)。 ナ⸢ガラク⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣ダー ⸢キーヌ⸣パーン ダ⸢リッサー⸣リ ⸢ベー [na⸢garaku⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːn⸣daː ⸢kiːnu⸣paːn da⸢rissaː⸣ri ⸢beː] (長らく雨が降らないので木の葉もしおれ<\ruby{萎}{シオ}れ>ている) 10165 0 0 9646 htmvoc_10165.wav ダリッサリムヌ ダ⸢リッサリ⸣ムヌ [da⸢rissari⸣munu] 名 全く気力のない者。動作が緩慢でだらだらした者。「だれくされ者」の義。卑語として用いられる。 ダ⸢リッサリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ イカー⸢ラ⸣ イ⸢ズタンティン⸣ シ⸢グトー⸣ マ⸢ニアーシ ユーサ⸣ヌ [da⸢rissari⸣munu ja⸢runda⸣ ʔikaː⸢ra⸣ ʔi⸢ʣutantiŋ⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ma⸢nijaːʃi juːsa⸣nu] (全く気力の無い者だから、いくら叱っても仕事は間に合わせることが出来ない<間に合わせ得ない>) 10166 0 0 9647 htmvoc_10166.wav タリマユ タ⸢リ⸣マユ [ta⸢ri⸣maju] 名 たれまゆ(垂れ眉)。 タ⸢リマユ⸣ヌ プ⸢ソー⸣ ユー マ⸢ジムヌ⸣ ミルンティ⸢ダー [ta⸢rimaju⸣nu pu̥⸢soː⸣ juː ma⸢ʤimunu⸣ mirunti⸢daː] (垂れ眉の人は、よく魔物<蠱物・マジモノ>を見るそうだよ) 10167 0 0 9648 htmvoc_10167.wav タリミー タ⸢リ⸣ミー [ta⸢ri⸣miː] 名 垂れ目。目尻が下がっていること。その目。 ⸢ウイ⸣プス ⸣ナルカー タ⸢リ⸣ミー ⸣ナリティ ⸣ムヌーン ミ⸢リングリ⸣サ ナ⸢リ⸣ス [⸢ʔui⸣pu̥su ⸣narukaː ta⸢ri⸣miː ⸣nariti ⸣munum mi⸢riŋguri⸣sa na⸢ri⸣su] (老人になると垂れ目になって、ものも見づらく<見難く>なってしまう) 10170 0 0 9649 htmvoc_10170.wav ダリミー ダ⸢リ⸣ミー [da⸢ri⸣miː] 名 たれ目。目尻が下がった目。 タ⸢リミー⸣ヌ プ⸢ソー⸣ ユー マ⸢ジムヌ⸣ ミルンティ⸢ダー [ta⸢rimiː⸣nu pu̥⸢soː⸣ juː ma⸢ʤimunu⸣ mirunti⸢daː] (たれ目の人は、よく魔物<まじもの>を見るそうだよ) 10129 0 0 9650 htmvoc_10129.wav ダリムヌ ダ⸢リ⸣ムヌ [da⸢ri⸣munu] 名 虚弱体質の者。手足の力が弱く、何の仕事も出来ない人。 ウ⸢レー⸣ マ⸢リットーラヌ⸣ ダ⸢リ⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ イ⸢ズナ⸣ヨー [ʔu⸢reː⸣ ma⸢rittoːranu⸣ da⸢ri⸣munu ja⸢riba⸣ ʔi⸢ʣuna⸣joː] (彼<それ>は生まれつきの虚弱体質だから叱るなよ)。身体に麻痺のある人。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ カイブ ダ⸢リムヌン⸣マー シ⸢ミララヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ kaibu da⸢rimum⸣maː ʃi⸢miraranu] (この仕事はこんな元気のない者にはさせられない) 10169 0 0 9651 htmvoc_10169.wav ダリヤン ダ⸢リ⸣ヤン [da⸢ri⸣jaŋ] 名 体の不自由な病気。ちゅうぶう(中風)。腕や脚に麻痺が生じる病気。 ダ⸢リ⸣ヤン カ⸢カ⸣リティル ⸣ッスシバルン プ⸢ス⸣ タ⸢ナミ⸣ル ⸢シーユース [da⸢ri⸣jaŋ kḁ⸢ka⸣ritiru ⸣ssuʃibarum pu̥⸢su⸣ ta⸢nami⸣ru ⸢ʃiːjuːsu] (中風に罹って、大便小便も人に手伝ってもらってしか出来ない<人を頼んでぞし得る>) 10171 0 1 9652 htmvoc_10171.wav タリルン タ⸢リ⸣ルン [ta⸢ri⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}溶ける。 ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キ⸣ シ⸢キ⸣ルカー タ⸢リ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ タ⸢リラン⸣バン [mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢ki⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ta⸢ri⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ta⸢riram⸣baŋ] (水に浸けて置くと溶ける<溶解する>かと思ったが溶けないわい)。 ムー⸢ル⸣ タリパリ ⸢ナー⸣ヌ [muː⸢ru⸣ taripari ⸢naː⸣nu] (全部溶けてしまった)。 タ⸢リ⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ [ta⸢ri⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (溶けるものは捨てなさい)。 10171 0 2 9653 htmvoc_10171.wav タリルン タ⸢リ⸣ルン [ta⸢ri⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}朽ち果てる。朽ち溶ける。腐食する。 フ⸢クンキーヤ⸣ サ⸢リティ⸣ クチ ⸣タリパリ ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢kuŋkiːja⸣ sa⸢riti⸣ ku̥ʧi ⸣taripari ⸢naː⸣nu] (福木は枯れて朽ち果ててしまった) 10172 0 0 9654 htmvoc_10172.wav タリルン タ⸢リ⸣ルン [ta⸢ri⸣ruŋ] 自動 垂れる。重みで下にだらりとさがる。⸣タルンとも言う。 ピ⸢キシゥカン⸣カー ⸣シナー タ⸢リ⸣ルンダ タ⸢リラン⸣ヨーニ ピ⸢キシキ [pi̥⸢kisi̥kaŋ⸣kaː ⸣ʃinaː ta⸢ri⸣runda ta⸢riraŋ⸣joːni pi̥⸢kiʃi̥ki] (引っ張らないと綱は垂れ下がるから、垂れないように引っ張れ)。 ⸣クマー タ⸢リン⸣ギサン [⸣kumaː ta⸢riŋ⸣gisaŋ] (ここは垂れそうだ)。 タ⸢リ⸣ル ⸣トンマー ピ⸢キサイ⸣バ [ta⸢ri⸣ru ⸣tommaː pi̥⸢kisai⸣ba] (垂れ下がるところは引っ張り上げなさいよ)。 タ⸢リ⸣レー ⸣ミサムヌ [ta⸢ri⸣reː ⸣misamunu] (垂れ下がればいいのに) 10173 0 0 9655 htmvoc_10173.wav ダリルン ダ⸢リ⸣ルン [da⸢ri⸣ruŋ] 自動 疲れる。疲労困憊する。疲れて気持ちがゆるむ。 ウ⸢ディ⸣ヌ ダ⸢リ⸣ルンケン ッ⸢ふァ⸣ ダ⸢クタン [ʔu⸢di⸣nu da⸢ri⸣ruŋkeŋ f⸢fa⸣ da⸢kutaŋ] (腕が疲れるまで<程>子供を抱いた)。 ギュー⸢サ⸣ ダ⸢カバン⸣ ダ⸢リラ⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ da⸢kaban⸣ da⸢rira⸣nu] (いくら抱いても疲れない)。 ⸢キュー⸣ヤ ダリ⸢ナー⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja dari⸢naː⸣nu] (今日は疲れてしまった)。 ダ⸢リ⸣ル ⸣ピンマー ⸢ユー⸣クイバ [da⸢ri⸣ru ⸣pimmaː ⸢juː⸣kuiba] (疲れる時は休みなさいよ)。 ダ⸢リ⸣ルカー ⸢カーリ⸣バ [da⸢ri⸣rukaː ⸢kaːri⸣ba] (疲れたら代わりなさいよ)。 ⸢パー⸣ク ダ⸢リ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku da⸢ri⸣reː ⸣misamunu] (早く疲れれば良いのに)。 ダ⸢リ⸣リ [da⸢ri⸣ri] (疲れろ) 10174 0 0 9656 htmvoc_10174.wav タル ⸣タル [⸣taru] 名 たる(樽)。標準語からの借用語か。普通は⸢ウー⸣キ[⸢ʔuː⸣ki](桶)という。製糖組合が出来て、黒糖輸出用の容器として樽が作られるようになった。 ⸣サタダル [⸣sḁtadaru] (砂糖樽)。 ⸢ユントゥダル [⸢juntudaru] (4斗樽)。 ⸢イットゥ⸣ダル [⸢ʔittu⸣daru] (1斗樽{EOS}味噌、醤油用の樽)。 サ⸢キダル [sḁ⸢kidaru] (酒樽)。 ⸣サタダルヌ ⸣ウベー タ⸢キ⸣ バ⸢リティル⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸣sḁtadarunu ⸣ʔubeː tḁ⸢ki⸣ ba⸢ritiru⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (砂糖樽の箍<たが{EOS}帯>は竹を割って<ぞ>作られた) 10175 0 0 9657 htmvoc_10175.wav タル ⸣タル [⸣taru] 名 人名。男の名前。「太郎」の義。昔は「多呂」、「樽」と表記された。 ⸣タルザー [⸣taruʣaː] (多呂兄さん)。 ⸣タロー バ⸢コーシン⸣カ タ⸢ナ⸣ミン ⸢パッ⸣タ [⸣taroː ba⸢koːʃiŋ⸣ka ta⸢na⸣mim ⸢pat⸣ta] (太郎は共同作業の要員を頼みに行った) 10176 0 0 9658 htmvoc_10176.wav タル タ⸢ル [ta⸢ru] 代 誰。老年層、古謡で用いられる。普通の日常会話では、⸢ター[⸢taː](誰)という。/タルトゥユードゥ ティーユマス ジリトゥユードゥ ナートゥラス カムラマーヌ アマイヤー ウヤキユーバ タボラリ/(誰と一緒に鳴り響かせようか、誰と共に有名にしようか、カムラーマの歓びは豊年満作の年<御世>を賜ることです)「かむらーまぬうた」『鳩間島古典民謡古謡集』 10177 0 0 9659 htmvoc_10177.wav ダル ⸣ダル [⸣daru] 名 人名。平民女性の名。 ⸣ダローンマ [⸣daroːmmaː] (ダル姉さん)。 ⸢マン⸣ダル [⸢man⸣daru] (まんだる)。 ⸢マン⸣ダローンマー [⸢man⸣daroːmmaː] (マンダル姉さん)。 ク⸢メー⸣ナー ⸢マン⸣ダルアッパティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タン [ku⸢meː⸣naː ⸢man⸣daruʔappati ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣taŋ] (小浜家にはマンダル祖母さんという人が居られた) 10180 0 0 9660 htmvoc_10180.wav ダル ⸣ダル [⸣daru] 名 おり(澱)。おどみ。沈殿物。液体の底に沈んだかす(滓)。 シ⸢タディ⸣ヌ ⸣ダル フ⸢ミ⸣トゥリ [ʃi̥⸢tadi⸣nu ⸣daru ɸu⸢mi⸣turi] (醤油<下地>の沈殿物を掬い取れ)。 ⸢パイルヌ⸣ ダルナー ⸢ウンヌ⸣ シル イ⸢リティ⸣ キ⸢サ⸣シ [⸢pairunu⸣ darunaː ⸢ʔunnu⸣ʃiru ʔi⸢riti⸣ ki̥⸢sa⸣ʃi] (酢のおり<澱>に芋の煮汁を加えて<入れて>醗酵させ酸味を強化させた酢を作らせ<切らせ>なさい) 10178 0 0 9661 htmvoc_10178.wav タルウーキ ⸣タルウーキ [⸣taruʔuːki] 名 樽。桶。酒樽や砂糖樽を桶に転用したもの。 ⸣タルウーケー ⸢グッ⸣ふァンダ ウ⸢リ⸣シ ミ⸢ジタン⸣グ ス⸢ク⸣ルカー シゥ⸢カイグリ⸣サン [⸣taruʔuːkeː ⸢guf⸣fanda ʔu⸢ri⸣ʃi mi⸢ʤitaŋ⸣gu su̥⸢ku⸣rukaː si̥⸢kaiguri⸣saŋ] (樽桶は重いから、それで水担桶を作ると使いづらい) 10179 0 0 9662 htmvoc_10179.wav タルガー タ⸢ル⸣ガー [ta⸢ru⸣gaː] 名 樽を組み立てる板。ク⸢リ⸣タ[ku⸢ri⸣ta]ともいう。 ム⸢カ⸣シェー タ⸢ル⸣ガー ス⸢クリ⸣キー ⸢パイター⸣ラ ⸣ユー キ⸢ソーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ta⸢ru⸣gaː su̥⸢kuri⸣kiː ⸢paitaː⸣ra ⸣juː ki̥⸢soːt⸣taŋ] (昔はタルガー用材<タルガーを作る木>を西表島からよく伐り出されたものだ) 10181 0 0 9663 htmvoc_10181.wav タルガキ タ⸢ルガキ [ta⸢rugaki] 名 頼ること。頼りにすること。当てにすること。悪い意味で用いられることが多い。 プ⸢スバ⸣ タ⸢ルガキ シー⸣ ドゥーシェー ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢グトゥ⸣ サ⸢ヌ [pu̥⸢suba⸣ ta⸢rugaki ʃiː⸣ duːʃeː mut⸢tu⸣ ʃi⸢gutu⸣ sa⸢nu] (他人を頼りにして<当てにして>自分ではちっとも仕事をしない)。 プ⸢ス⸣ タ⸢ルガキ シー⸣ナー ナ⸢ラン⸣バン [pu̥⸢su⸣ ta⸢rugaki ʃiː⸣naː na⸢ram⸣baŋ] (他人を頼りにして困るよ) 10182 0 0 9664 htmvoc_10182.wav タルガキルン タ⸢ルガキルン [ta⸢rugakiruŋ] 他動 頼りにする。当てにする。他人の力に頼る。タ⸢ルガクンとも言う。 プ⸢ス⸣ タ⸢ルガキランドー⸣シ ⸣ドゥーシ ⸢シー [pu̥⸢su⸣ ta⸢rugakirandoː⸣ʃi ⸣duːʃi ⸢ʃiː] (他人を頼らないで自分でしなさい)。 タ⸢ルガキ⸣ ミサカー タ⸢ルガキルンドゥ⸣ メー タ⸢ルガキル⸣ クトー ナ⸢ラン⸣ パジ [ta⸢rugaki⸣ misakaː ta⸢rugakirundu⸣ meː ta⸢rugakiru⸣ ku̥toː na⸢ram⸣paʤi] (当てにしてよければ当てにするが、もう当てにすることは出来ないはずだ)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢ルガキレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ta⸢rugakireː⸣ misamunu] (もっと他人を当てにすればいいのに) タ⸢ルガキリ [ta⸢rugakiri] (当てしろ{EOS}他人を頼れ))。「頼掛ける」の訛語説『石垣方言辞典』。 プ⸢スバ⸣ タ⸢ルガキル⸣ クトー ナ⸢ラン⸣バ タ⸢ルガキランドー⸣シ ⸣ドゥーシ ⸢シー⸣バ [pu̥⸢suba⸣ ta⸢rugakiru⸣ ku̥toː na⸢ram⸣ba ta⸢rugakirandoː⸣ʃi ⸣duːʃi ⸢ʃiː⸣ba] (他人を頼りにすることは出来ないから、頼りにしないで自分でやりなさい<しなさい>)。 ウ⸢レー⸣ タ⸢ルガキ ヤッ⸣サバティ ⸢シー⸣ タ⸢ルガキルンティ ベー⸣ティ ⸢ザー⸣パイ ⸢シー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ta⸢rugaki jas⸣sabati ⸢ʃiː⸣ ta⸢rugakirunti beː⸣ti ⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiː naː⸣nu] (彼は頼りにしやすいからといって、頼りにしようとしていて始末に負えない厄介なことになってしまった)。 タ⸢ルガケー⸣ ミサムヌ [ta⸢rugakeː⸣ misamunu] (頼りにすればよいのに)。 タ⸢ルガキリ [ta⸢rugakiri] (頼りにしなさい) 10183 0 0 9665 htmvoc_10183.wav タルガクン タ⸢ルガクン [ta⸢rugakuŋ] 他動 他人をたよりにする。頼る。当てにする。タ⸢ルガキルンとも言う。 プ⸢ス⸣ タ⸢ルガカンドー⸣シ ⸣ドゥーシ ⸢シー⸣バ [pu̥⸢su⸣ ta⸢rugakandoː⸣ʃi ⸣duːʃi ⸢ʃiː⸣ba] (他人を頼らないで自分でやりなさい)。 タ⸢ルガキ⸣ ミサカー タ⸢ルガクンドゥ⸣ アイニ タ⸢ルガク⸣クトー ナ⸢ラン⸣パジ [ta⸢rugaki⸣ misakaː ta⸢rugakundu⸣ ʔaini ta⸢rugaku⸣ku̥toː na⸢ram⸣ paʤi] (頼ってよければ頼るが、そんなに頼ることは出来ないはずだ)。 ⸢マー⸣ビン タ⸢ルガケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ta⸢rugakeː⸣ misamunu] (もっと頼ればいいのに)。 タ⸢ルガキ⸣バ [ta⸢rugakiba] (頼れ{EOS}当てにしろ)。 タ⸢ルガカラン⸣ プ⸢スバ⸣ タ⸢ルガクンティ ソー⸣ラ タ⸢ルガキ⸣ ミサンティ ⸢スー⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢ナム⸣ル マ⸢シ [ta⸢rugakaram⸣ pu̥⸢suba⸣ ta⸢rugakunti soː⸣ra ta⸢rugaki⸣ misanti ⸢suː⸣ pu̥⸢su⸣ ta⸢namu⸣ru ma⸢ʃi] (当てに出来ない人を頼りにするよりは、当てにしていいという人を頼む方がよい) 10185 0 0 9666 htmvoc_10185.wav タルキ タ⸢ル⸣キ [ta⸢ru⸣ki] 名 垂木。「榱、太流岐(たるき)」『和名抄』の転訛したもの。家の棟から軒へ渡す木材。直径約8センチ、長さ約4メートルの丸太。その上に竹のユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり<桟>)を編んで茅葺屋根を葺いた。瓦葺の場合はえつり<桟>の上に粘土を載せて瓦を葺いた。垂木は西表島北岸の山から、シ⸢ター⸣マ[ʃi̥⸢taː⸣ma](「えごのき」の一種か)、ア⸢ゴ⸣チ[ʔa⸢go⸣ʧi](「もくたちばな」の一種か)などの若木を伐って使っていた。 タ⸢ル⸣ケー ⸢ゴーラ⸣ヤ シ⸢ターマバ⸣ル シゥ⸢カイ ブタ [ta⸢ru⸣keː ⸢goːra⸣ja ʃi̥⸢taːmaba⸣ru si̥⸢kaibuta] (垂木には、多くはシターマ<えごのき>を使っていた) 10184 0 0 9667 htmvoc_10184.wav タルジリーティナーヌ タ⸢ル⸣ ジリーティ ⸢ナー⸣ヌ [ta⸢ru⸣ ʤiriːtteː ⸢naː⸣nu] 連 たれかれ(誰彼)となく。相手かまわず。誰彼という区別なく。 タ⸢ル⸣ ジリティ ⸢ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ ンジェー ⸢ペーリペー⸣リ ⸢シー ブー [ta⸢ru⸣ ʤiriteː ⸢naː⸣nu muː⸢ru⸣ ʔnʤeː ⸢peːripeː⸣ri ⸢ʃiːbuː] (誰彼と区別することなく、皆出入りしている)。⸢ターターティ ナー⸣ヌ[⸢taːtaːti naː⸣nu]ともいう 10186 0 0 9668 htmvoc_10186.wav タルタル タ⸢ルタル [ta⸢rutaru] 代 誰々。タ⸢ル[ta⸢ru](誰)の重言。歌謡語や老年層で使用される。若年層は⸢ターター[⸢taːtaː](誰々)ともいう。 ク⸢トゥシヌ パーレーシン⸣カー タ⸢ルタルドゥ⸣ ク⸢バラ⸣レーワ [ku̥⸢tuʃinu paːreːʃiŋ⸣kaː ta⸢rutarudu⸣ ku⸢bara⸣reːwa] (今年の爬竜船の漕ぎ手<乗組員>は誰々が割り当てられたか) 10187 0 1 9669 htmvoc_10187.wav ダルマ ダ⸢ル⸣マ [da⸢ru⸣ma] 名 {Mn_1}張子の玩具。倒してもまっすぐに立つように造られているので、開運の縁起物として重宝される。 ダ⸢ル⸣マー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ム⸢タビ⸣ムヌ ⸢ヤッタ [da⸢ru⸣maː ja⸢rabi⸣nu mu⸢tabi⸣munu ⸢jatta] (ダルマは子供の玩具だった)。 10187 0 2 9670 htmvoc_10187.wav ダルマ ダ⸢ル⸣マ [da⸢ru⸣ma] 名 {Mn_2}だるまのように、ずんぐりと太った人にいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー パン⸣タリティ ダ⸢ル⸣マ ⸣ナリ ⸢ベー [ku⸢nu⸣ f⸢faː pan⸣tariti da⸢ru⸣ma ⸣nari ⸢beː] (この子は太ってダルマになっている) 10188 0 0 9671 htmvoc_10188.wav ダルマー ダ⸢ル⸣マー [da⸢ru⸣maː] 名 (動)魚名。和名、ヨコシマクロダイ。フエフキダイ科。体長約50センチ。白身魚の高級魚。 タ⸢ティ⸣ナーシ ダ⸢ル⸣マー ⸢ホーサ⸣リ ⸣バスーン ⸢アッ⸣タン [tḁ⸢ti⸣naːʃi da⸢ru⸣maːŋ ⸢hoːsa⸣ri ⸣basuːŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (一本釣りでダルマー<よこしまくろだい>が釣れることもあった) 10189 1 1 9672 htmvoc_10189.wav タルン ⸣タルン [⸣taruŋ] 他動 {PoS_1}{Mn_1}溶かす。液体に他の物質を混ぜて均一な液体をつくる。 ⸣クジ ミ⸢ジ⸣ナー ⸣タルンティ ⸢ベー⸣ンドゥ タ⸢ララン⸣バ ⸢ワー⸣ ドゥーシ ⸣タリバ [⸣kuʤi mi⸢ʤi⸣naː ⸣tarunti ⸢beː⸣ndu ta⸢raram⸣ba ⸢waː⸣ duːʃi ⸣tariba] (くず粉を水に溶かそうとしているが溶かされないから、君自身で溶かしなさい)。 ⸢オー⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ ⸣ウン ⸣タリ ッ⸢ふァーシ [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʔiː⸣ja ⸣ʔun ⸣tari f⸢faːʃi] (豚の餌は<煮た>芋を<だし汁に>溶かして喰わせなさい)。 ミ⸢ジ⸣ナー ⸣タリ ⸣ミサカー ⸣タル ⸣クトー ⸢ゾー⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢ʤi⸣naː ⸣tari ⸣misakaː ⸣taru ⸣ku̥toː ⸢ʣoː⸣saː ⸢naː⸣nu] (水に溶かしてよければ溶かすことは造作無い<簡単だ>)。 ミ⸢ジ⸣ナー ⸣タレー ⸣ミサムヌ [mi⸢ʤi⸣naː ⸣tareː ⸣misamunu] (水に溶かせばよいのに)。 10189 1 2 9673 htmvoc_10189.wav タルン ⸣タルン [⸣taruŋ] 他動 {Mn_2}醸造する。 サ⸢キ⸣ タルン [sḁ⸢ki⸣ taruŋ] (酒を醸造する)。 10189 1 3 9674 htmvoc_10189.wav タルン ⸣タルン [⸣taruŋ] 他動 {Mn_3}脂肉から脂を抽出する。絞り出す。 ア⸢バッ⸣タラ ⸣シジティ ⸣アバ ⸣タルン [ʔa⸢bat⸣tara ⸣ʃiʤiti ⸣ʔaba ⸣tarun] (脂肉を焼き煎じて脂を抽出すつ)。 10189 2 0 9675 htmvoc_10189.wav タルン ⸣タルン [⸣taruŋ] 自動 {PoS_2}溶ける。湿気で溶解する。 ⸢ナンクク⸣ル ⸣タリ ⸣パルン [⸢naŋkuku⸣ru ⸣tari ⸣paruŋ] (自然に溶けていく)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター ⸢マー⸣ソー ⸣タルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ タ⸢ラン⸣バン [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ⸢maː⸣soː ⸣taruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ta⸢ram⸣baŋ] (雨が降ったので塩は溶けるかと思ったが溶けないわい) 10190 0 0 9676 htmvoc_10190.wav タルン ⸣タルン [⸣taruŋ] 自動 垂れ下がる。緩む。 ⸣シナー タ⸢ラサン⸣ ヨーシ ピ⸢キシキ [⸣ʃinaː ta⸢rasaɲ⸣ joːʃi pi̥⸢kiʃi̥ki] (綱は垂らさないように引張れ)。 ⸣タリ ッ⸢サー⸣リ ⸢ベー [⸣tari s⸢saː⸣ri ⸢beː] (垂れてぶらさがっている)。 フ⸢チ⸣ ア⸢ク⸣カー ユ⸢ダルヌ⸣ タルンダー ⸣タル ユ⸢ダロー ヌシ⸣ティバ [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢ku⸣kaː ju⸢daru⸣nu ⸣tarundaː ⸣taru ju⸢daroː ⸢nuʃi̥⸣tiba] (口を開けると涎が垂れるから、垂れる涎は拭い捨てろよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸣タレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸣tareː ⸣misamunu] (もっと垂れたらいいのに) 10191 0 0 9677 htmvoc_10191.wav タルン ⸣タルン [⸣taruŋ] 自動 滴り落ちる。水滴が落ちる。 ガ⸢マヌ⸣ ウ⸢コーヤ ティン⸣ゾーラ ミ⸢ジヌ⸣ タルン [ga⸢manu⸣ ʔu⸢koːja tin⸣ʣoːra mi⸢ʤinu⸣ taruŋ] (洞窟の奥は天井から水滴が滴り落ちる)。 ⸣クマー ミ⸢ジェー⸣ タ⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaː mi⸢ʤeː⸣ ta⸢ra⸣nu] (此処は水は滴り落ちない) 10192 0 1 9678 htmvoc_10192.wav ダルン ⸣ダルン [⸣daruŋ] 自動 {Mn_1}だれる。疲れる。疲労困憊する。ダ⸢リ⸣ルン[da⸢ri⸣ruŋ](だれる)ともいう。{Mn_1}⸣ダリティ ⸢ウーカラ⸣ヌ[⸣dariti ⸢ʔuːkara⸣nu](疲れて動けない)。 ウ⸢ビ⸣ナー パ⸢タラケー⸣バ ⸣ダルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ダ⸢ラン⸣バン [ʔu⸢bi⸣naː pḁ⸢tarakeː⸣ba ⸣daruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du da⸢ram⸣baŋ] (あれだけ働いたのだから疲れるかと思ったが、疲れないわい)。 ⸢ティーパン⸣ヌ ⸣ダル ⸣プソー ⸢ユー⸣クイバ [⸢tiːpan⸣nu ⸣daru pu̥soː ⸢juː⸣kuiba] (手足が疲れる時は休め)。 ン⸢ベーマー⸣ ダレー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ dareː ⸣misamunu] (少しは疲れればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ダリバ [⸢maː⸣bin ⸣dariba] (もっと疲れろ<だれろ>) 10192 0 2 9679 htmvoc_10192.wav ダルン ⸣ダルン [⸣daruŋ] 自動 {Mn_2}緩む。たるむ。気持ちがゆるむ。 ⸢ミー⸣ヌ ⸣カー ⸣ダルン [⸢miː⸣nu ⸣kaː ⸣daruŋ] (\ruby{瞼}{マブタ}<目の皮.目の\ruby{蓋}{フタ}>が緩む<たれる>) 10193 0 0 9680 htmvoc_10193.wav タルンジリン タ⸢ルン⸣ ジリン [ta⸢run⸣ ʤiriŋ] 連 誰も彼も。老年層の使用語。若年層は、ター⸢ンターン[taː⸢ntaːŋ](誰も彼も)という。 キ⸢ム⸣ナー ウ⸢モーリ⸣バティ ⸢シー コーチョー⸣ヤ タ⸢ルン⸣ ジリン シ⸢トゥミラ⸣リ ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ki⸢mu⸣naː ʔu⸢moːri⸣bati ⸢ʃiː koːʧoː⸣ja ta⸢run⸣ ʤiriŋ ʃi̥⸢tumira⸣ri ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (心に願うことが出来るからとて、校長職は誰にも彼にも勤められるものではない) 10194 0 0 9681 htmvoc_10194.wav ダレーマ ダ⸢レー⸣マ [da⸢reː⸣ma] 名 赤米。在来種の稲。ダ⸢ネー⸣ママイ[da⸢neː⸣mamai]の転訛したもの。西表祖納ではダネーマイといっていた。玄米の色は赤く、粳米で芒の長さも長かった。粒の量も多い品種であったという。 ム⸢カ⸣シェー ダ⸢レー⸣ママイバル ス⸢ク⸣リ ⸢オーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː da⸢reː⸣mamaibaru su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (昔はダレーマ稲を栽培しておられたそうだ) 10195 0 0 9682 htmvoc_10195.wav タン ⸣タン [⸣taŋ] 助動 ~した。完了の助動詞「たり」の転訛したもの。動詞の連体形に付く。 カ⸢ク⸣タン [kḁ⸢ku⸣taŋ] (書いた) ⸢クー⸣タン [⸢kuː⸣taŋ] (漕いだ))。 カ⸢ラスタン<カ⸢ラシタン> [ka⸢rasu̥taŋ] (貸した)。 パ⸢ズ⸣タン [pa⸢ʣu⸣tan] (脱いだ)。 ム⸢トゥ⸣タン [mu⸢tu⸣taŋ] (持った)。 シ⸢ドゥ⸣タン [ʃi⸢du⸣taŋ] (孵化した)。 カ⸢ツ⸣タン [kḁ⸢ʦu⸣taŋ] (勝った)。 ユ⸢ム⸣タン [ju⸢mu⸣taŋ] (読んだ)。 シ⸢ヌタン [ʃi⸢nutaŋ] (死んだ)。 10195 0 0 9683 htmvoc_10195.wav タン ⸣タン [⸣taŋ] 助動 {Exp_1}【活用形】。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢ク⸣タン [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢ku⸣taŋ] (私も書いた<終止形>)。 ⸢フン⸣トー カ⸢ク⸣タカー ⸢スーク⸣ヌ ⸣アルパジ [⸢ɸun⸣toː kḁ⸢ku⸣takaː ⸢suːku⸣nu ⸣ʔaru ⸣paʤi] (本当に書いたのなら証拠があるはずだ<連体形1>)。 ⸢バー⸣ル カ⸢クタ⸣ル カ⸢レー⸣ カ⸢カン⸣シェン [⸢baː⸣ru kḁ⸢kuta⸣ru ka⸢reː⸣ kḁ⸢kaŋ⸣ʃeŋ] (私が<ぞ>書いた{EOS}彼は書かなかった<係助詞ぞの結び>)。 10195 0 0 9684 htmvoc_10195.wav タン ⸣タン [⸣taŋ] 助動 {Exp_2}さらに接続助詞⸣ティン[⸣tiŋ](~とも)が付く。 ク⸢ヌ⸣ サ⸢ケー⸣ ギュー⸢サ⸣ ヌ⸢ム⸣タンティン ⸢ビュー⸣ヌ(⸢ビーラ⸣ヌ) [ku⸢nu⸣ sḁ⸢keː⸣ gjuː⸢sa⸣ nu⸢mu⸣tantim ⸢bjuː⸣nu] (この酒はいくら飲んでも酔わない)。 ウ⸢レー⸣ フニティン ウ⸢モーリ⸣タン [ʔu⸢reː⸣ ɸunitiŋ ʔu⸢moːri⸣taŋ] (それは舟<である>とも思われた)。 10195 0 0 9685 htmvoc_10195.wav タン ⸣タン [⸣taŋ] 助動 {Exp_3}さらに格助詞⸣-ティ[⸣-ti](~と)に係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](~は)の付いた形、⸣-テー[⸣-teː](~とは)がついて、引用部を強調する。 アイ⸢スン⸣ケン ⸢ピー⸣ヤタンテー ⸢バン⸣マー ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔai⸢suŋ⸣kem ⸢piː⸣jatanteː ⸢bam⸣maː ʔu⸢moːra⸣nu] (それほど寒かったとは、私には思われ<考えられ>ない) 10196 0 0 9686 htmvoc_10196.wav タン ⸣タン [⸣taŋ] 名 たん(痰)。風邪を引くと気管から吐き出される黄色い粘液性の物質。老年層は⸣カサヌール[⸣kḁsanuːru](痰)ともいう。 ッ⸢サー⸣ク ⸢スー⸣カー ⸢サッ⸣コー ⸢タン⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルサー [s⸢saː⸣ku ⸢suː⸣kaː ⸢sak⸣koː ⸢tan⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rusaː] (咳をしたら、ひどく痰が出るんだよ)。 ⸣ドゥガイ ⸣ッシ ⸣ヌミティ ⸣タン キ⸢サ⸣シバ [⸣dugai ⸣ʃʃi ⸣numiti ⸣taŋ ki̥⸢sa⸣ʃiba] (アロエ<籚薈>を擂って飲んで痰を切らしなさいよ) 10197 0 0 9687 htmvoc_10197.wav タン ⸢タン [⸢taŋ] 名 木炭。炭。昭和28年ごろまでは、鳩間島では前の砂浜で子供たちが暖房用の炭焼きをしたものである。西表島北岸から雑木を伐って島に運び、浜に深さ約1尺程の横穴を掘り、雑木を3尺ほどの高さに積み上げ、上に茅を被せて土を盛り、亀甲形に作る。入り口に火を焚きつけ、積み上げた木が燃え始めると入り口を塞ぐ。二、三日で積み上げた木全体が蒸し焼きにされた頃、排煙口も塞いで火を消す。一週間後には炭を取り出すことができた。 ム⸢カ⸣シェー フ⸢ユ⸣ ナルカー パ⸢マ⸣ナーティ ⸣ユー ⸢タン⸣ ヤ⸢クタン [mu⸢ka⸣ʃeː ɸu⸢ju⸣ narukaː pa⸢ma⸣naːti ⸣juː ⸢taɲ⸣ ja⸢kutaŋ] (昔は冬になると浜でよく炭焼きをした) 10198 0 1 9688 htmvoc_10198.wav タン ⸣タン [⸣taŋ] 助数 {Mn_1}田畑の大きさを表す単位、反(300坪)。 10198 0 2 9689 htmvoc_10198.wav タン ⸣タン [⸣taŋ] 助数 {Mn_2}布の大きさ表す単位(並幅で鯨尺2丈6尺)。標準語からの借用語。{Mn_1}⸢イッ⸣タン[⸢ʔit⸣taŋ](1反)。 ⸢ニッ⸣タン [nit⸣taŋ] (2反)。 ⸣サンダン [⸣sandaŋ] (3反)。 ⸢ヨンタン [⸢jontaŋ] (4反)。 ゴ⸢タン [go⸢taŋ] (5反)。 ル⸢ク⸣タン [ru⸢ku⸣taŋ] (6反)。 シ⸢チ⸣タン [ʃi̥⸢ʧi⸣taŋ] (7反)。 ハ⸢チ⸣タン [hḁ⸢ʧi⸣taŋ] (8反)。 ⸢キュータン [⸢kjuːtaŋ] (9反)。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ブマ⸣シェー ⸢ニッ⸣タン ゴ⸢シェ⸣ アン [ku⸢nu⸣ ʔu⸢buma⸣ʃeː ⸢nit⸣taŋ go⸢ʃe⸣ ʔaŋ] (この大きな田<大枡田>は2反5畝の広さがある)。 10198 0 2 9690 htmvoc_10198.wav タン ⸣タン [⸣taŋ] 助数 {Mn_2}ッ⸢スヌー⸣ヌ ⸢イッ⸣タン ⸢カイ⸣ クー[s⸢sunuː⸣nu ⸢ʔit⸣taŋ ⸢kai⸣ kuː](白生地<白布>1反買って来い) 10199 0 1 9691 htmvoc_10199.wav ダン ⸣ダン [⸣dan] 名 {Mn_1}段。階段。 イ⸢シダンマー⸣ ナンダン ア⸢ル⸣ワ [ʔi⸢ʃidammaː⸣ nandaŋ ʔa⸢ru⸣wa] (石段は何段あるか)。 ⸢ペーラ⸣フチェー ウ⸢ブ⸣イシ キ⸢ジ⸣ ビ⸢シティ⸣ イ⸢シダン⸣ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸢peːra⸣ɸu̥ʧeː ʔu⸢bu⸣ʔiʃi ki⸢ʤi⸣bi⸢ʃiti⸣ ʔi⸢ʃidan⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (門<入り口>は大きな石を削って据えて石段を作ってある)。 ⸣ドゥダン [⸣dudaŋ] (土檀の義)。盛り土し、コー⸢シェー⸣マイシ[⸢koːʃeː⸣maʔiʃi]<砂岩>で縁取りして土檀を作った所に家を建築した。 10199 0 2 9692 htmvoc_10199.wav ダン ⸣ダン [⸣dan] 名 {Mn_2}棚。 ⸢ウイヌ⸣ ダンナー ビ⸢シリ [⸢ʔuinu⸣ dannaː bi⸢ʃiri] (上の棚に据えなさい)。 10199 0 3 9693 htmvoc_10199.wav ダン ⸣ダン [⸣dan] 名 {Mn_3}こと。場合。事態。くだり<件>。旨。 マ⸢ナ⸣マ ン⸢ジ⸣ル ⸣ダン ⸣ナリティ パ⸢ララン⸣ティ ⸢スー⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ナルン⸢トゥー [ma⸢na⸣ma ʔn⸢ʤi⸣ru ⸣dan ⸣nariti pa⸢raran⸣ti ⸢suː⸣ ku̥⸢tu⸣nu narun⸢tuː] (今出発すること<事態>になって行けないということができるものか、<出来はしない>) 10207 1 0 9694 htmvoc_10207.wav タンガ ⸢タン⸣ガ [⸢taŋga] 名 {PoS_1}一人。独身。 ⸢タンガ⸣ムヌ [⸢taŋga⸣munu] (一人者{EOS}独身者)。 ⸢タンガ⸣プス [⸢taŋga⸣pu̥su] (独身者)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢タンガ⸣ フ⸢ター⸣ロー ブ⸢リブ⸣ミー [ja⸢ra⸣beː ⸢taŋga⸣ ɸu̥⸢taː⸣roː bu⸢ribu⸣miː] (子供は一人か二人は<当然>いるだろうね)。 ⸢タンガ⸣ッふァ [⸢taŋga⸣ffa] (一人っ子)。 ⸢タンガ⸣ムニ [⸢taŋga⸣muni] (独り言{EOS}「一人物言い」の義)。 ⸢タンガ⸣ウヤ [⸢taŋga⸣ʔuja] (片親、<一人親>の義)。 ⸢タンガシグ⸣トゥ [⸢taŋgaʃigu⸣tu] (一人仕事{EOS}一人分の作業<仕事>)。歌謡では「タヌギャ」と歌われている。 ⸣ドゥー ⸢タンガ⸣ヌ タ⸢メー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ケー⸢ラヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸢カンガイ⸣ル パ⸢タラク⸣ダー [⸣duː ⸢taŋga⸣nu ta⸢meː⸣ ʔa⸢ra⸣nu keː⸢ranu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸢kaŋgai⸣ru pḁ⸢taraku⸣daː] (己一人のためではない、皆のことを思って<ぞ>働くのだよ)。 10207 2 0 9695 htmvoc_10207.wav タンガ ⸢タン⸣ガ [⸢taŋga] 副助 {PoS_2}~だけ。~ばかり。(副助)ニ⸢ビタン⸣ガー ⸢サンドー⸣シ ⸣ウキティ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢テー⸣ナインツァン ⸢シー⸣バ[ni⸢bitaŋ⸣gaː ⸢sandoː⸣ʃi ⸣ʔukiti ʔu⸢ja⸣nu ⸢teː⸣nainʦaŋ ⸢ʃiː⸣ba](寝てばかりいないで<眠りだけしないで>、起きて親の手伝いでもしなさいよ) 10200 0 1 9696 htmvoc_10200.wav タンカー ⸢タンカー [⸢taŋkaː] 名 {Mn_1}真正面。真向かい。 ⸢バン⸣テヌ ⸢タンカー⸣ナール ⸢ワッ⸣テーヤ ⸢アッ⸣タ⸢ナー [⸢ban⸣tenu ⸢taŋkaː⸣naːru ⸢wat⸣teːja ⸢ʔat⸣ta⸢naː] (私の家の真向かいに君の家はあったよなあ)。 10200 0 2 9697 htmvoc_10200.wav タンカー ⸢タンカー [⸢taŋkaː] 名 {Mn_2}生後一年目の誕生日。 ⸣アツァー ッ⸢ふァヌ タンカー⸣ ア⸢タリ タンカーヨイ シーバ オー⸣リ ッ⸢ふォー⸣リ [⸣ʔaʦaː f⸢fanu taŋkaː⸣ ʔa⸢tari taŋkaːjoi ʃiːba ʔoː⸣ri f⸢foː⸣ri] (明日は子供の誕生日に当っていて、誕生祝をしますのでいらっしゃってください)。満一歳の誕生日。 マ⸢ダ タンカー クー⸣ヌヌ ア⸢ラ⸣クン⸢ダー [ma⸢da taŋkaː kuː⸣nunu ʔa⸢ra⸣kun⸢daː] (まだ満一歳の誕生日は来ないが、歩くよ)。 10200 0 3 9698 htmvoc_10200.wav タンカー ⸢タンカー [⸢taŋkaː] 名 {Mn_3}等量。二等分。 ⸢モー⸣ケー ⸢タンカーバキ サー⸣ナー [⸢moː⸣keː ⸢taŋkaːbaki saː⸣naː] (儲けた金は二等分にしようねえ{EOS}二人で均等に分け<折半し>ようねえ) 10201 0 0 9699 htmvoc_10201.wav タンカー ⸢タン⸣カー [⸢taŋ⸣kaː] 名 短気者。卑語。⸢タンキムヌ[⸢taŋkimunu](短気者)ともいう。 ⸢ウンザー タン⸣カー ヤ⸢ルンダ⸣ ナ⸢クラー⸣ヌ パ⸢ナ⸣シン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː taŋ⸣kaː ja⸢runda⸣ na⸢kuraː⸣nu pa⸢na⸣ʃin na⸢ra⸣nu] (あいつは短気者だから怖くて話も出来ない) 10202 0 0 9700 htmvoc_10202.wav ダンカー ⸢ダンカー [⸢daŋkaː] 名 談合。交渉。談判。相談。 イ⸢サンケー⸣ナーティ ⸢ダンカーシェー⸣ティル ⸢イーシ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ キ⸢ムタ [ʔi⸢saŋkeː⸣naːti ⸢daŋkaː ʃeː⸣tiru ⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ ki⸢muta] (石垣島で交渉<談合>しながらツノマタの値段は決めた) 10209 0 0 9701 htmvoc_10209.wav ダンカースン ⸢ダンカー スン [⸢daŋkaː suŋ] 連 談判する。議論する。談合する。話し合う。 ク⸢トゥシヌ イーシ⸣ヌ ⸢ダイ⸣ キ⸢ミルンティ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢ダンカー シー オー⸣ル [ku̥⸢tuʃinu ʔiːʃi⸣nu ⸢dai⸣ ki⸢mirunti⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢daŋkaː ʃiː ʔoː⸣ru] (今年のツノマタの値段を決めようと集まって談判<話し合って>しておられる) 10230 0 0 9702 htmvoc_10230.wav タンカーバイ ⸢タンカーバイ [⸢taŋkaːbai] 名 水と酒を半々に調合して薄めること。半々に混ぜ合わせて薄めること。酒を水と半々に割ること。 ク⸢ヌ⸣ サ⸢ケー スー⸣ワンダ ⸢タンカーバイ サン⸣カー ヌ⸢マラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ sḁ⸢keː suː⸣wanda ⸢taŋkaːbai saŋ⸣kaː nu⸢mara⸣nu] (この酒は度数が強いから、水と半々に調合しないと<割らないと>飲まれ<飲め>ない) 10203 0 0 9703 htmvoc_10203.wav タンカーバキ ⸢タンカーバキ [⸢taŋkaːbaki] 名 山分け。折半。二等分。 ⸢ホー⸣シ ⸣ケール イ⸢ゾー タンカーバキ シー⸣バ [⸢hoː⸣ʃi ⸣keːru ʔi⸢ʣoː taŋkaːbaki ʃiː⸣ba] (釣ってきた魚は山分けしなさい) 10204 0 0 9704 htmvoc_10204.wav タンカービリ ⸢タンカービリ [⸢taŋkaːbiri] 名 対座。差し向かい。向かい合って座ること。 ドゥ⸢シザーン タンカービリ シェー⸣ティ ム⸢カ⸣シパナシ ⸢シー⸣ プサワ⸢ナー [du⸢ʃiʣaːn taŋkaːbiri ʃeː⸣ti mu⸢ka⸣ʃipanaʃi ⸢ʃiː⸣ pu̥sawa⸢naː] (友人同士、対座して昔話をしたいなあ) 10205 0 0 9705 htmvoc_10205.wav タンカーマザーシ ⸢タンカーマザーシ [⸢taŋkaːmaʣaːʃi] 名 等量配合。同等の量で混ぜ合わせること。 パ⸢ナザ⸣ケー ⸢スー⸣ワンダ ミ⸢ジトゥ タンカーマザーシ シー バイ⸣バ [pa⸢naʣa⸣keː ⸢suː⸣wanda mi⸢ʤitu taŋkaːmaʣaːʃi ʃiː bai⸣ba] (はな酒は度数が強いから水と等量配合して割れ<薄め>よ) 10206 0 0 9706 htmvoc_10206.wav タンカーマチ ⸢タンカーマチ [⸢taŋkaːmaʧi] 名 遥拝。遠方の神仏に向かって供物を供えて祈願すること。 ジ⸢ル⸣クンチェー シ⸢マー⸣ パ⸢リユーサン⸣バ ⸢タンカーマチ シー オーサ⸠ナー [ʤi⸢ru⸣kunʧeː ʃi⸢maː⸣ pa⸢rijuːsam⸣ba ⸢taŋkaːmaʧi ʃiː ʔoːsa⸠naː] (十六日祭には島へ行けないから、島の方向に向かって供物も供えて遥拝しようねえ)。遥拝すること。遠方の御嶽や先祖の位牌に向かって供物を供え、香を焚いて祀ること。 ジ⸢ル⸣クンチェー ⸢キーユーサン⸣カー ⸢タンカーマチ シー⸣バ⸢ヨー [ʤi⸢ru⸣kunʧeː ⸢kiːjuːsaŋ⸣kaː ⸢taŋkaːmaʧi ʃiː⸣ba⸢joː] (十六日祭に来れなかったら仏壇に向かって遥拝しなさいね) 10232 0 0 9707 htmvoc_10232.wav タンカーマンカー ⸢タンカーマン⸣カー [⸢taŋkaːmaŋ⸣kaː] 副 互いに向き合うさま。相対するさま。「手向ひ真向ひ」の義か。首里方言のtaNkaamaNkaa(相対するさま{EOS}向かい合うさま)の転訛したもの。 ⸢ビー⸣プソー ⸢タンカーマン⸣カー シ⸢キ⸣ルカー ⸣アトー ⸢アイ⸣ル ⸣スー [⸢biː⸣pu̥soː ⸢taŋkaːmaŋ⸣kaː ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣ʔatoː ⸢ʔai⸣ru ⸣suː] (酔っ払いは一対一で相対したまま放置しておくと、後は喧嘩になる<喧嘩ぞする>) 10233 0 0 9708 htmvoc_10233.wav タンカーヨイ ⸢タンカーヨイ [⸢taŋkaːjoi] 名 誕生日。生後一年目の誕生祝い。昔は、太陽が⸢アーリビラティダ[⸢ʔaːribiratida](東天の太陽<午前十時ごろ>)のうちに床の間に集まり、供物を⸢フン⸣ジン[⸢ɸun⸣ʤiŋ](根神)に供えて子供の健康と順調な発育祈願した。その後、床の間に飾ってある (i) すずり箱、(ii) そろばん、(iii) 本、(iv) 三味線、(v) 銭(男児の場合)等の前に連れて行き、(i)~(v) を取って遊ぶよう話しかけ、子供が最初に選んだ物によって、その子の将来の専門職業を推し量って楽しんだ。 ⸢クンガ⸣チェー ッ⸢ふァヌ タンカーヨイ⸣ ア⸢タリ ブー [⸢kuŋga⸣ʧeː f⸢fanu taŋkaːjoi⸣ ʔa⸢tari buː] (九月は子供の生後一年目の誕生祝に当たっている) 10210 0 0 9709 htmvoc_10210.wav タンガウヤ ⸢タンガ⸣ウヤ [⸢taŋga⸣ʔuja] 名 片親。⸢一人親」の義。 ⸢タンガ⸣ウヤ ヤ⸢ルンダ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダティ⸣ルンティ イッ⸢ケナ ナン⸣ギ ⸢ソー⸣レーン [⸢taŋga⸣ʔuja ja⸢runda⸣ f⸢fa⸣ su⸢dati⸣runti ʔik⸢kena naŋ⸣gi ⸢soː⸣reːŋ] (片親だから子供を育てようと大変な難儀苦労をされておられる) 10211 0 0 9710 htmvoc_10211.wav タンガクラシ ⸢タンガクラ⸣シ [⸢taŋgakura⸣ʃi] 名 一人暮らし。 ッ⸢ふァンケー⸣ヤ タ⸢ベー⸣ パ⸢ラ⸣シティ ⸢タンガクラシ⸣バ ⸢シーベー [f⸢faŋkeː⸣ja ta⸢beː⸣ pa⸢ra⸣ʃi̥ti ⸢taŋgakuraʃi⸣ba ⸢ʃiːbeː] (子供たちは旅に行かせて一人暮らしをしている) 10234 0 0 9711 htmvoc_10234.wav ダンガサ ⸢ダンガ⸣サ [⸢daŋga⸣sa] 名 こうもりがさ(蝙蝠傘)。らんがさ(蘭傘{EOS}洋傘)の転訛したもの。⸣サナ[⸣sana](日傘{EOS}雨傘{EOS}からかさ)に対して蝙蝠傘をいう。新しく導入された傘で、鳩間島では一般家庭には普及していなかった。 ⸢ダンガ⸣サー ⸢ナン⸣ゾー ⸢ナーン⸣シェン [⸢daŋga⸣saː ⸢nan⸣ʣoː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (蝙蝠傘はあまり無かった) 10212 0 1 9712 htmvoc_10212.wav タンガシ ⸢タンガ⸣シ [⸢taŋga⸣ʃi] 連 {Mn_1}一人で。 ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥバ ワー タンガ⸣シ シ⸢ター [ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutuba waː taŋga⸣ʃi ʃi̥⸢taː] (あれだけの仕事を君一人でしたのか)。 10212 0 2 9713 htmvoc_10212.wav タンガシ ⸢タンガ⸣シ [⸢taŋga⸣ʃi] 連 {Mn_2}副助詞連語。~だけで。~のみで。体言に下接して、それと限る意味を表す。 シン⸢トゥ⸣ プ⸢ス⸣ル⸢タンガ⸣シ ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥバ シー⸣シケー⸢ツォー [ʃin⸢tu⸣ pu̥⸢su⸣ru⸢taŋga⸣ʃi ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutuba ʃiː⸣ ʃi̥keː⸢ʦoː] (たった一人だけであれだけの仕事をしてあるんだよ)。 ⸢ワー タンガ⸣シェー ク⸢レー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː taŋga⸣ʃeː ku⸢reː⸣ na⸢ra⸣nu] (君だけでは、これは出来ない) 10213 0 0 9714 htmvoc_10213.wav タンガダチ ⸢タンガ⸣ダチ [⸢taŋga⸣daʧi] 名 独身者。「独り立ち」の義。 イ⸢チンバー⸣キン ⸢タンガ⸣ダチ ⸢シー ベーラン⸣ドーシ ⸢パー⸣ク トゥ⸢ジ⸣ トゥミ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kin ⸢taŋga⸣daʧi ⸢ʃiː beːran⸣doːʃi ⸢paː⸣ku tu⸢ʤi⸣ tumi] (いつまでも独身をしていないで、早く妻を娶れ<妻を探せ>) 10216 0 0 9715 htmvoc_10216.wav タンガッふァ ⸢タンガ⸣ッふァ [taŋgaffa] 名 一人っ子。プ⸢スル⸣ッふァ[pu̥⸢suru⸣ffa](一人っ子)ともいう。 ⸢タンガ⸣ッふァ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢タラ⸣サ ⸢シール⸣ ス⸢ダティラリ⸣タ [⸢taŋga⸣ffa ja⸢runda⸣ ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiːru⸣ su⸢datirari⸣ta] (一人っ子だから大事に育てられた)。 ウ⸢レー タンガ⸣ッふァ ヤ⸢ルンダ ティーヌ⸣ ウイナ ⸢ヌーシル⸣ ス⸢ダティラ⸣リ ⸣ケーツォー [ʔu⸢reː taŋga⸣ffa ja⸢runda tiːnu⸣ ʔuina ⸢nuːʃiru⸣ su⸢datira⸣ri ⸣keːʦoː] (彼は一人っ子だから、親の手の上に載せられて大事に育てられてきたそうだ) 10214 0 0 9716 htmvoc_10214.wav タンガナキ ⸢タンガ⸣ナキ [⸢taŋga⸣naki] 名 独り泣き。 ム⸢カシ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムインザ⸣シティ ⸢タンガ⸣ナキ ⸢シーベー [mu⸢kaʃi⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢muiʔnʣa⸣ʃi̥ti ⸢taŋga⸣naki ⸢ʃiːbeː] (昔の事を思い出して独り泣きをしている) 10215 0 0 9717 htmvoc_10215.wav タンガバライ ⸢タンガ⸣バライ [⸢taŋga⸣barai] 名 独り笑い。思い出し笑い。ひとりえみ。 ⸢ヌー⸣ヌ ウ⸢ムッ⸣サル ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ローッ⸣タユー サ⸢シン⸣バ ⸣ミリティ ⸢タンガ⸣バライ ⸢シーオー⸣ル [⸢nuː⸣nu ʔu⸢mus⸣saru ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢roːt⸣tajuː sḁ⸢ʃim⸣ba ⸣miriti ⸢taŋga⸣barai ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (どんな楽しいことがおありだったのか<有られたのか>、写真を見て思い出し笑い<独り笑い>をしておられる) 10236 0 0 9718 htmvoc_10236.wav タンガプス ⸢タンガ⸣プス [⸢taŋga⸣pu̥su] 名 独身者。独り者。やもめ(寡婦)。やもお(寡男・鰥夫)。 ⸢タンガ⸣プソー ⸢ガン⸣ゾー ウ⸢チェー ソーヤ ナーン⸣ドゥ トゥ⸢シ⸣ トゥリ ⸣ヤムカー ⸣ミル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーンダ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [⸢taŋga⸣pu̥soː ⸢gan⸣ʣoː ʔu⸢ʧeː soːja naːn⸣du tu⸢ʃi⸣ turi ⸣jamukaː ⸣miru pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnda⸣ ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (独り者は健康な<頑丈な>うちは心配ないが、年をとって病気になると看る人がいないから気の毒だ)。 ウ⸢レー⸣ カ⸢カ⸣ルン ⸣サールン ⸢ナー⸣ヌ ⸢タンガ⸣プス ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ kḁ⸢ka⸣run ⸣saːrun ⸢naː⸣nu ⸢taŋga⸣pu̥su ja⸢runda⸣ noː⸢n soːja naː⸣nu] (彼は係累のない独り者だから何の心配もない) 10218 0 0 9719 htmvoc_10218.wav タンガマリ ⸢タンガ⸣マリ [⸢taŋga⸣mari] 名 一人っ子。「一人生まれ」の義。 ⸢タンガ⸣マリ ヤ⸢ルンダ フンダヤー⸣ ナリティ ノー⸢ン シーユーサヌ [⸢taŋga⸣mari ja⸢runda ɸundajaː⸣ nariti noː⸢ɲ ʃiːjuːsanu] (一人っ子だから、我儘<したい放題>な人に育ってしまい何も出来ない) 10237 0 0 9720 htmvoc_10237.wav タンガミドーンッふァ ⸢タンガミドーン⸣ッふァ [⸢taŋgamidoːŋ⸣ffa] 名 一人っ子娘。 ⸢タンガミドーン⸣ッふァ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢リムク⸣ トゥ⸢ロー⸣ルツォー [⸢taŋgamidoːŋ⸣ffa ja⸢runda⸣ ʔi⸢rimuku⸣ tu⸢roː⸣ruʦoː] (一人っ子娘だから入り婿を取られるそうだ) 10219 0 0 9721 htmvoc_10219.wav タンガムニ ⸢タンガ⸣ムニ [⸢taŋga⸣muni] 名 独り言。「独りもの言い」の義。 ⸢タンガ⸣ムニ イ⸢ジベー [⸢taŋga⸣muni ʔi⸢ʤibeː] (独り言をしている)。 ⸣ヌーティル ア⸢ジ オール⸣ユー シゥ⸢カランヌドゥ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ サ⸢シン⸣バ ⸣ミリテー フ⸢チン⸣ ナ⸢カ⸣ナー ⸣ヌッツァラカッツァラティ ⸢タンガムニ⸣バ イ⸢ジ オー⸣ル [⸣nuːtiru ʔa⸢ʤi ʔoː⸣rujuː sï̥⸢karannudu⸣ f⸢fanu⸣ sa⸢ʃim⸣ba ⸣miriteː ɸu̥⸢ʧin⸣ na⸢ka⸣naː ⸣nutʦarakatʦarati ⸢taŋgamuni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔoː⸣ru] (何といっておられるのか、聞き取れない<聞かれない>が、子供の写真を見ては口の中で何やらかんやら独り言をしゃべって<言って>おられる)。相手なしに一人でものを言うこと。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アッパー ⸣アブジェー ⸢マーラシター⸣ ナー⸢イ タンガムニ⸣バ イ⸢ジオー⸣ル ⸣ムヌ ミ⸢ルバ⸣ル キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔappaː ⸣ʔabuʤeː ⸢maːraʃi̥taː⸣ naː⸢i taŋgamuni⸣ba ʔi⸢ʤiʔoː⸣ru ⸣munu mi⸢ruba⸣ru ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (あの家のお祖母さんはお祖父さんが亡くなられたので、いつも独り言を言って居られるのを見ると可哀そうなんだよ) 10220 0 0 9722 htmvoc_10220.wav タンガムヌ ⸢タンガ⸣ムヌ [⸢taŋga⸣munu] 名 独り者。独身者。独身所帯。 ⸢タンガ⸣ムノー ⸣シキンピライ ⸢サン⸣タンティン タ⸢タ⸣リン [⸢taŋga⸣munoː ⸣ʃi̥kimpirai ⸢san⸣tantin tḁ⸢ta⸣riŋ] (独り者は世間付き合いをしなくても生活していける)。 ビ⸢キドゥムヌ タンガ⸣ムノー ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ウ⸢ジ⸣ヌ ⸢バイルン [bi⸢kidumunu taŋga⸣munoː ja⸢nija⸣nu ʔu⸢ʤi⸣nu ⸢bairuŋ] (男の独身者は汚くて、蛆が湧く) 10221 0 0 9723 htmvoc_10221.wav タンキ ⸢タンキ [⸢taŋki] 名 短気。標準語からの借用語。普通は、バ⸢タッ⸣ふァーン[ba⸢taf⸣faːŋ](怒りっぽい{EOS}⸢腹黒い」の義)という。 ウ⸢レー タンキ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ムネー ヤー⸢ラマー⸣シ イ⸢ジ⸣ヨー [ʔu⸢reː taŋki⸣ ja⸢runda⸣ muneː jaː⸢ramaː⸣ʃi ʔi⸢ʤi⸣joː] (彼は短気だから、言葉遣い<物言い>は柔らかく話しなさいよ)。 ヨー⸢ヨー タン⸣キ ウ⸢クス⸣ナ⸢ダー タン⸣ケー ⸢スン⸣キティル ア⸢ザリ ブー⸣ダー [joː⸢joː taŋ⸣ki ʔu⸢kusu⸣na⸢daː taŋ⸣keː ⸢suŋ⸣kitiru ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (よくよく気をつけろよ、短気を起こすなよ{EOS}短気は損気といわれているんだよ) 10222 0 0 9724 htmvoc_10222.wav タンキムヌ ⸢タンキムヌ [⸢taŋkimunu] 名 短気者。 ⸣アイブ ⸢タンキムヌ⸣テー ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaibu taŋkimunu⸣teː bu⸢raːnu] (あんな短気者は他にいない) 10240 0 0 9725 htmvoc_10240.wav タング ⸢タン⸣グ [⸢taŋ⸣gu] 名 たご(担桶)。たごおけ。水や水肥を入れて運ぶ桶。「擔桶、たご、桶也」『和漢通用集』の転訛したもの。 ミ⸢ジタン⸣グ [mi⸢ʤitaŋ⸣gu] (水\ruby{担桶}{タ|ゴ})。⸣コイタング[⸣koitaŋgu](肥担桶)等がある。 ⸢インヌカー⸣ラ ミ⸢ジタン⸣グナー ミ⸢ジ⸣ プ⸢スカタ⸣ミ フ⸢ミティ⸣ カ⸢タ⸣ミクー [⸢ʔinnukaː⸣ra mi⸢ʤitaŋ⸣gunaː mi⸢ʤi⸣ pu̥⸢sukata⸣mi ɸu⸢miti⸣ kḁ⸢ta⸣mikuː] (西村井戸から水担桶に水を一荷、汲んで担いでこい) 10241 0 0 9726 htmvoc_10241.wav タング ⸢タング [⸢taŋgu] 名 炭俵。ススキを編んで作った俵。炭を入れて運ぶススキを編んで作った袋状の容器。グ[gu](籠)は「籠毛與美籠母乳<コモヨミコモチ> ふくしもよ~。万、1」の「籠」の義か。前接語の語尾の鼻音Nに融合同化して有声化したもの。 ⸢タンゴー ユシ⸣キシル フ⸢モーッ⸣タ [⸢taŋgoː juʃi̥⸣kiʃiru ɸu⸢moːt⸣ta] (炭俵はススキで編まれた) 10242 0 0 9727 htmvoc_10242.wav ダング ⸢ダン⸣グ [⸢daŋ⸣gu] 名 道具。老年層のことば。⸢ドン⸣グ[⸢doŋ⸣gu](道具)と同じ 10243 0 0 9728 htmvoc_10243.wav タングンジマ ⸢タングンジマ [⸢taŋgunʤima] 名 山や川があって水田耕作を主とする島。古成層、第三期層などからなる島。石垣島、西表島、与那国島、小浜島など。ターグニ[taːguni] → タングン[taŋguŋ]の変化を経たものであろう。⸢ヌングンジマ[⸢nuŋgunʤma](畑作を主とする島{EOS}竹富島、黒島、鳩間島、波照間島、新城島など)の対義語。 ⸢タングンジマ⸣ナーヤ ミ⸢ジヌ⸣ アンダー ム⸢カ⸣シェーラ ⸣ター ス⸢ク⸣リ ⸢オー⸣ルン [⸢taŋgunʤima⸣naːja mi⸢ʤinu⸣ ʔanda mu⸢ka⸣ʃeːra ⸣taː su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoː⸣ruŋ] (タングンジマには水があるから昔から水田を作っておられる) 10244 0 0 9729 htmvoc_10244.wav タンコー ⸣タンコー [⸣taŋkoː] 名 炭坑。西表島には大正期に、ナ⸢ミノ⸣ウエタンコー[na⸢mino⸣ʔuetaŋkoː](波之上炭坑{EOS}船浦の対岸、⸢サーラ⸣ミジ{SqBr}⸢saːra⸣miʤi{/SqBr}<ひない滝>の近くで採炭し、⸣シザバナリ{SqBr}⸣ʃiʣabanari{/SqBr}<下離>から積み出した)があった。昭和期になって、ウ⸢タ⸣ラタンコー[ʔu⸢ta⸣rataŋkoː](宇多良炭坑)、⸣ノダタンコー[⸣nodataŋkoː](野田炭坑)が浦内地区で開設された。ウ⸢タ⸣ラ[ʔu⸢ta⸣ra]や、ウ⸢ランザ⸣キ[ʔu⸢ranʣa⸣ki](宇奈利崎)、ニ⸢シ⸣ミジ[ni⸢ʃi⸣miʤi]辺りの炭坑で採炭した石炭を白浜港へ運び、そこで台湾航路の定期船、⸢ゾーキ[⸢ʣoːki](蒸気船)に積み込まれた。 パ⸢トゥ⸣マプソー イ⸢ズ⸣タク ⸢タイロー スー⸣カー ⸣タンコー ⸢カーシン オーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ʔi⸢ʣu⸣taku ⸢tairoː suː⸣kaː ⸣taŋkoː ⸢kaːʃiŋ ʔoːt⸣ta] (鳩間の人は、魚や蛸を大漁すると炭坑へ売りに行かれた) 10245 0 0 9730 htmvoc_10245.wav タンコーマーヤー ⸣タンコーマーヤー [⸣taŋkoːmaːjaː] 名 (動)昆虫。かまきり(蟷螂)。若年層、幼児語。大人、老年層は、⸢サン⸣トゥルサー[⸢san⸣turusaː](カマキリ<蟷螂>)という。子供は蟷螂を捕らえて、⸢タンコーマーヤー[⸢taŋkoːmaːja](炭坑はどこか)と唱えて遊んだ。蟷螂は前肢の捕獲肢の鎌を振りあげるように動かすので、あたかも子供の呼びかけに応じて方向を指し示しているように思い、それを面白がって遊んだものである 10246 0 0 9731 htmvoc_10246.wav タンザ ⸣タンザ [⸣tanʣa] 代 どいつ(何奴)。なにやつ。どやつ。不定称<単数>の卑称。 ⸣タンザヌドゥ ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣バ ア⸢ズター [⸣tanʣanudu ⸣kaibu ku̥⸢tu⸣ba ʔa⸢ʣutaː] (何奴がこんなことを言ったか)。 ⸣タンザヌンドゥ ⸣カイブ パ⸢ナシ⸣バ ⸢ワー⸣ニ ア⸢ズター [⸣tanʣanudu ⸣kaibu pa⸢naʃi⸣ba ⸢waː⸣ni ʔa⸢ʣutaː] (どいつ<何奴>がこんな話を君に言ったのか) 10247 0 0 9732 htmvoc_10247.wav タンザヌメー ⸣タンザヌメー [⸣tanʣanumeː] 連 どいつらめ。どやつらめ。⸣メー[⸣meː](接尾語)は卑称の複数形。「前」の転訛したものか。⸣タンザンメー[⸣tanʣammeː]の丁寧な言い方 10248 0 0 9733 htmvoc_10248.wav タンザンメー ⸣タンザンメー [⸣tanʣammeː] 代 どいつら。どやつら(何奴等)。不定称<卑称>の複数形。ぞんざいな言い方。 ⸣タンザンメーヌドゥ ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ シケーワ [⸣tanʣammeːnudu ⸣kaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːwa] (何奴らめがこのような事をし出かしてあるのか) 10249 0 0 9734 htmvoc_10249.wav タンシ ⸢タン⸣シ [⸢taŋ⸣ʃi] 名 たんす(箪笥)。 ⸣ニービキタンシ [⸣niːbikitaŋʃi] (嫁入り箪笥{EOS}娘が嫁入りする際に持参させる箪笥)。昔は娘が生まれると、⸢シン⸣ダンキー[⸢ʃin⸣daŋkiː](栴檀)を植え、20年後の嫁入りの際にその栴檀を伐って嫁入り箪笥を作らせたという。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ マ⸢リル⸣カー ⸣ニービキタンシヌ ⸢シン⸣ダンキー イ⸢ボーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢doːŋ⸣ffanu ma⸢riru⸣kaː ⸣niːbikitaŋʃinu ⸢ʃin⸣daŋkiː ʔi⸢boːt⸣ʦoː] (昔は娘が生まれると、嫁入り箪笥用の栴檀の木を植えられたそうだ)。 ⸢タン⸣シナー ⸣アッパー キ⸢ソーッ⸣タ ⸢キン⸣ヌ ⸢イッ⸣パイ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ン [⸢taŋ⸣ʃinaː ⸣ʔappaː ki̥⸢soːt⸣ta ⸢kin⸣nu ⸢ʔip⸣pai nu⸢ka⸣ri ⸢beː⸣ŋ] (箪笥には御祖母さんが着られた着物が沢山残っている) 10250 0 0 9735 htmvoc_10250.wav ダンシ ⸢ダン⸣シ [⸢daŋ⸣ʃi] 副 はやばやと(早々に)。早く。 マ⸢ナ⸣マ ⸣パルカー マ⸢ニアイ⸣シバ ⸢ダン⸣シ ⸣パリ [ma⸢na⸣ma ⸣parukaː ma⸢niai⸣ʃiba ⸢daŋ⸣ʃi ⸣pari] (今行けば間に合うから、早く行け)。 ム⸢ニユマン⸣ドーシ ⸢ダン⸣シ パ⸢タラキ [mu⸢nijuman⸣doːʃi ⸢daŋ⸣ʃi pḁ⸢taraki] (お喋りしないで<ものを言わないで>早々と働け) 10251 0 0 9736 htmvoc_10251.wav ダンシキビリ ⸢ダンシキビリ [⸢daŋʃikibiri] 名 あぐら(胡坐)。足を組んでどっかと座ること。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸢ダンシキビリバ シー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー ミーヌッサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢dumu⸣nu ⸢daŋʃi̥kibiriba ʃiː⸣ nuːja ʔu⸢reː miːnussa⸣nu na⸢ra⸣nu] (女が胡坐をかいて座って何だね、それは{EOS}見苦しくてたまらない) 10252 0 0 9737 htmvoc_10252.wav ダンスクルン ⸣ダン ス⸢ク⸣ルン [⸣dan su̥⸢ku⸣ruŋ] 連 段をなす。「段を作る」の義。 ⸢オーバター⸣ ダン ス⸢ク⸣ルンケン ⸢パン⸣タリ ⸢ベー [⸢ʔoːbataː⸣ dan su̥⸢ku⸣rukem ⸢pan⸣tari ⸢beː] (中腹部<上腹>は段を作るほどに肥えている) 10253 0 0 9738 htmvoc_10253.wav タンダーラ ⸢タンダーラ [⸢tandaːra] 名 炭俵。 ⸢パイタ⸣ナーティ ⸢タン⸣ ヤ⸢キティ⸣ ウ⸢リバ タンダーラ⸣ナ ⸣シミティ ⸢シーブ⸣ティ ⸢シー⸣ イ⸢サナケー⸣ ム⸢タ⸣ソーッタン [⸢paita⸣naːti ⸢taɲ⸣ ja⸢kiti⸣ ʔu⸢riba tandaːra⸣na ⸣ʃimiti ⸢ʃiːbu⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ mu⸢ta⸣soːttaŋ] (西表島で炭を焼いて、それを炭俵に詰めて、お歳暮として石垣島へ送られた<持たされた>) 10254 0 0 9739 htmvoc_10254.wav ダンダン ⸢ダン⸣ダン [⸢dan⸣daŋ] 名 いろいろ。さまざま。 ⸣アボー ム⸢カ⸣シェーラ マ⸢ナマーキ⸣ヌ ⸢ダンダン⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ パ⸢ナ⸣ソーッタンドゥ ⸢バシキ ナー⸣ヌ [⸣ʔaboː mu⸢ka⸣ʃeːra ma⸢namaːki⸣nu ⸢dandan⸣nu ku̥⸢tu⸣ba pa⸢na⸣sottandu ⸢baʃi̥ki naː⸣nu] (お母さんは、昔から今までの、いろいろなことを話されたが、私は忘れてしまった) 10255 0 0 9740 htmvoc_10255.wav ダンタンシ ⸢ダンタン⸣シ [⸢dantaŋ⸣ʃi] 副 足音を高く踏み鳴らすさま。勇ましく。 ⸢ダンタン⸣シ ア⸢シフン⸣バ ⸢シー クン⸣ゾー ⸣ンジ イ⸢ゾーッ⸣タ [⸢dantaŋ⸣ʃi ʔa⸢ʃiɸum⸣ba ⸢ʃiː kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤi ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (勇ましく足を踏み鳴らし、怒って<根性を出して>叱られた) 10256 0 0 9741 htmvoc_10256.wav ダンダンシ ⸢ダンダン⸣シ [⸢dandaŋ⸣ʃi] 副 さっさと。急いで。ぐずぐずしないですばやく。多くの場合文末の命令形と照応する表現形式をとる。 ム⸢ニ⸣ユミ ア⸢サバンドー⸣シ ⸢ダンダン⸣シ パ⸢タ⸣ケー ⸣パリ [mu⸢ni⸣jumi ʔa⸢sabandoː⸣ʃi ⸢dandaŋ⸣ʃi pḁ⸢ta⸣keː ⸣pari] (お喋りして遊ばないで、さっさと畑へ行け)。 ⸢ダンダン⸣シ ア⸢ラ⸣キ [⸢dandaŋ⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki] (さっさと歩け) 10257 0 0 9742 htmvoc_10257.wav ダンチガイ ⸢ダン⸣チガイ [⸢dan⸣ʧigai] 名 段違い。桁違い。桁外れ。標準語からの借用語。 ク⸢トゥシヌ マイヌ⸣ ディ⸢キ⸣レー イ⸢チン⸣ラン マ⸢シヌ ダンチガイ⸣ヌ ⸢ゾーディ⸣キ⸢ナー [ku̥⸢tuʃinu mainu⸣ di⸢ki⸣reː ʔi⸢ʧin⸣ram ma⸢ʃinu danʧigai⸣nu ⸢ʣoːdi⸣ki⸢naː] (今年の稲<米>の出来は例年<いつも>よりも良い<増しの>桁違いの上出来だなあ) 10259 0 0 9743 htmvoc_10259.wav タンディ ⸢タン⸣ディ [⸢tan⸣di] 副 なにとぞ。どうか。願わくば。ひたすら良い結果を祈る。「頼うで」の転訛したもの。「~汝<いまし>を多能美<タノミ>母に違ひぬ。万、3359」の転訛したものか。 ⸢タン⸣ディ ⸣バー ⸣ニガイ シ⸢キッふィーリ<シ⸢キッふォー⸣リ> [⸢tan⸣di ⸣baː ⸣nigai ʃi̥⸢ki ffiːri<ʃi⸢kiffoː⸣ri>] (どうか私の願いを聞き届けてくれ)。/タンディトートゥ マブルシュ アミブシャヌ ガラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/(願わくば守り神様よ、尊き神様よ、雨が欲しいです{EOS}雨をください)「ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞い歌{EOS}ナガミク{EOS}トゥムルウガン)」『鳩間島古典民謡古謡集』 10258 0 1 9744 htmvoc_10258.wav ダンティ ダン⸢ティ [dan⸢ti] 副 {Mn_1}直ちに。すぐ。さっそく。即座に。大至急。 コー⸢ネー⸣ ダン⸢ティ⸣ ク⸢マー⸣ キー⸢ミー [koː⸢neː⸣ dan⸢ti⸣ ku⸢maː⸣ kiː⸢miː] (坊や、すぐ<大至急>此処へ来てごらん)。 10258 0 2 9745 htmvoc_10258.wav ダンティ ダン⸢ティ [dan⸢ti] 副 {Mn_2}どっかと。どっしりと。 ダン⸢ティ⸣ ビ⸢シ⸣シキ [dan⸢ti⸣ bi⸢ʃi⸣ ʃi̥ki] (どっかと据えて置け)。 10258 0 3 9746 htmvoc_10258.wav ダンティ ダン⸢ティ [dan⸢ti] 副 {Mn_3}ぷっつんと。ぷっつりと。きっぱりと。 サ⸢バナーヤ⸣ ダン⸢ティ⸣ キシ ⸢ピンギ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [sa⸢banaːja⸣ dan⸢ti⸣ ki̥ʃi ⸢piŋ⸣gipari ⸢naː⸣nu] (鱶釣り縄をぷっつんと切って逃げていってしまった) 10260 0 0 9747 htmvoc_10260.wav タンティー ⸢タン⸣ティー [⸢tan⸣tiː] 名 探偵。密かに他人の事情や秘密、内情を探ること。スパイ。密偵。まわしもの。 ウ⸢レー タン⸣ティー ヤ⸢ルンダー⸣ ウ⸢リンナー⸣ネー ウチー⸢ウチーヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラン⸣ダー [ʔu⸢reː tan⸣tiː ja⸢rundaː⸣ ʔu⸢rinnaː⸣neː ʔuʧiː⸢ʔuʧiːnu⸣ pa⸢na⸣ʃeː na⸢ran⸣daː] (この人は密偵だから、この人には内々の話をしてはならないよ) 10261 0 0 9748 htmvoc_10261.wav タンディカンディ ⸢タン⸣ディカンディ [⸢tan⸣dikandi] 副 どうか、どうか。なにとぞ、なにとぞ。⸢タン⸣ディのABCDBC型の重言。 ⸢タン⸣ディカンディ ⸢シー⸣ ウ⸢ガミトー⸣シティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢カイ⸣ ケール ⸣ムヌ ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ヨー [⸢tan⸣dikandi ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢gamitoː⸣ʃi̥ti jat⸢tu⸣ʃi ⸢kai⸣keːru ⸣munu ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiː⸣joː] (どうぞ、なにとぞと拝み倒してやっとの思いで買ってきた物だ{EOS}大切に<可惜しさ{EOS}惜しんで>しなさいよ) 10262 0 0 9749 htmvoc_10262.wav タンディトートゥ ⸢タン⸣ディ⸢トートゥ [⸢tan⸣ditoːtu] 副 恐れ多くも、お願い申し上げます。謹んでお願い致します。願わくば。なにとぞ。神仏や相手にに対し、ひたすらに請い願い、良い結果を\ruby{齎}{モタラ}すよう祈る際に用いる。⸢タン⸣ディ[⸢tan⸣di]は「頼みて」の転訛したものか。⸢トートゥ[⸢toːtu]は「かしこし<畏し。尊し>」の転訛したものか。 ⸢タン⸣ディトートゥ ⸣バー ニ⸢ガイ⸣ユ シ⸢キトゥドゥキ⸣ タ⸢ボー⸣ラ ナー⸢ラ [⸢tan⸣ditoːtu ⸣baː ni⸢gai⸣ju ʃi̥⸢kituduki⸣ ta⸢boː⸣ra naː⸢ra] (願わくば私の願いをお聞き届け賜りますようお願い致します)。/タンディトートゥ マブルシュ アミブシャヌ /ガラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/(雨乞い歌<ナガミク>)『鳩間島古典民謡古謡集』 10263 0 0 9750 htmvoc_10263.wav タンディトートゥガラクトートゥ ⸢タン⸣ディ⸢トートゥ⸣ ガ⸢ラ⸣ク⸢トートゥ [⸢tan⸣di⸢toːtu⸣ ga⸢ra⸣kut⸢oːtu] 連 畏れ多くもお願い申し上げます。謹んでお願い致します。ガ⸢ラ⸣クトートゥは、⸢タン⸣ディトートゥ[⸢tan⸣ditoːtu]の対句 10264 0 0 9751 htmvoc_10264.wav タンデイル ⸢タンデイル [⸢tandiru] 名 木炭入れ。炭箱。「炭籠」の義。 ⸢タンディル⸣ナー ⸢タン⸣ イ⸢リティ⸣ カ⸢タ⸣ミ⸣クーバ [⸢tandiru⸣naː ⸢taŋ⸣ ʔi⸢riti⸣ ka⸢ta⸣mi ⸣kuːba] (炭籠に木炭を入れて担いで来なさいよ)。山で炭焼きをする際、木炭を籠に入れて運んだものである。また鰹節製造工場には、西表島の炭鉱から運んだ石炭を貯えておく箱、⸢タンバク[⸢tambaku](貯炭箱)があった。石炭を燃やしてカツオを煮るためのものであった 10265 0 0 9752 htmvoc_10265.wav タンティン ⸣タンティン [⸣tantiŋ] 連 ~たとしても。~ても。助動詞⸣タン[taŋ](た)に接続助詞⸣ティン[⸣tiŋ](ても)が付いた形。 ギュー⸢サ⸣ バ⸢カシタンティン⸣ タ⸢ラーサラヌ [gjuː⸢sa⸣ ba⸢kaʃi̥tantin⸣ ta⸢raːsaranu] (いくら炊いても満足させられない<足らされない>) 10267 0 0 9753 htmvoc_10267.wav タントゥ タン⸢トゥ [tan⸢tu] 副 沢山。たんまり。どっさり。石垣方言からの借用語。 ッ⸢ふァイムヌン ジン⸣カニン タン⸢トゥ⸣ ア⸢リ⸣ ブーバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [f⸢faimunun ʤiŋ⸣kanin tan⸢tu⸣ ʔa⸢ri⸣ buːba ⸢soːja naː⸣nu] (食べ物もお金も沢山あるから心配ない) 10266 0 0 9754 htmvoc_10266.wav ダントゥク ⸢ダン⸣トゥク [⸢dan⸣tu̥ku] 名 仏壇の下の押入れ。裏座の方に引き戸があり、それを開閉して祭祀用の什器類、貴重な調度品、その他の家具類を収納していた。 ⸢ダン⸣トゥクナーヤ ⸢ジン⸣ラ ⸢シームヌバン サイクドン⸣グ ⸢ミース⸣カミンドーレーバ イ⸢リ⸣ シキティ ユ⸢コー⸣ラ ン⸢ザ⸣シペーラシ ⸢シー⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢ソーッ⸣タ [⸢dan⸣tukunaːja ⸢ʤin⸣ra ⸢ʃiːmunuban saikudoŋ⸣gu ⸢miːsu⸣kamidoːreːba ʔi⸢ri⸣ ʃi̥kiti ju⸢koː⸣ra ʔn⸢ʣa⸣ʃipeːraʃi ⸢ʃiː⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢soːt⸣ta] (仏壇の下の押入れには膳から吸い物椀、大工道具、黒糖甕、味噌瓶などを入れておいて、裏座から出し入れをして保管<格護>された) 10268 0 0 9755 htmvoc_10268.wav ダンドゥリ ⸢ダン⸣ドゥリ [⸢dan⸣duri] 名 段取り。仕事や物事の組み立て。仕事の順序、手順。物事の準備。 ノー⸢ンヌ⸣ シ⸢グトゥン ダンドゥリ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サ ユ⸢タ⸣サナール カ⸢カ⸣ルティ ア⸢ザリ ブー⸠ダー [noː⸢nnu⸣ ʃi⸢gutun danduri⸣nu ⸢was⸣sa ju⸢ta⸣sanaːru kḁ⸢ka⸣ruti ʔa⸢ʣari buː⸠daː] (どんな仕事も段取りの良し悪しにかかっているといわれている)。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢ダン⸣ドゥレー ⸣ナレーンカヤー [⸢joi⸣nu ⸢dan⸣dureː ⸣nareːŋkajaː] (お祝いの段取りは出来たかねえ) 10269 0 0 9756 htmvoc_10269.wav ダンナーマ ダン⸢ナー⸣マ [dan⸢naː⸣ma] 名 小さな段。-マ[-ma](指小辞)。ある語に付加してその語の示すものより更に小さい観念、親愛の情を示す接辞。鳩間方言では、語末がCVNの場合、指小辞-マ[-ma]が下接すると、連声現象をおこして-ナーマ[-naːma]となる。 ダン⸢ナー⸣マ ス⸢クラン⸣カー ⸢ヌーララヌ [dan⸢naː⸣ma su̥⸢kuraŋ⸣kaː ⸢nuːraranu] (小さな段を作らないと登れない) 10270 0 0 9757 htmvoc_10270.wav タンバク ⸢タンバク [⸢tambaku] 名 石炭箱。貯炭箱。石炭を貯えておく箱。 シ⸢キタン⸣マー ウ⸢ラッ⸣チェーラ ⸢カイオー⸣リ ⸢シーゾーヤー⸣ヌ ⸢タンバク⸣ナー イ⸢リティル⸣ シゥ⸢カイオーッ⸣タ [ʃi̥⸢kitam⸣maː ʔu⸢rat⸣ʧeːra ⸢kaijoː⸣ri ⸢ʃiːʣoːjaː⸣nu ⸢tambaku⸣naː ʔi⸢ritiru⸣ sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (石炭は浦内の野田炭坑から買って来られて、カツオ節製造工場の石炭箱に入れて使われた) 10271 0 0 9758 htmvoc_10271.wav ダンパチ ⸢ダン⸣パチ [⸢dam⸣paʧi] 名 断髪。散髪。調髪。理髪。 ⸢ダン⸣パチヤーナ ⸢ギー ダン⸣パチ シ⸢ミ⸣ クー [⸢dam⸣pḁʧijaːna ⸢giː dam⸣pḁʧi ʃi⸢mi⸣ kuː] (床屋に行って断髪させてきなさい)。ガ⸢マ⸣ジ ⸣シムン[ga⸢ma⸣ʤi ⸣ʃimuŋ](髪を摘む<断髪する>)ともいう 10272 0 0 9759 htmvoc_10272.wav ダンパチシミルン ⸢ダン⸣パチ シ⸢ミルン [⸢dam⸣pḁʧi ʃi⸢miruŋ] 連 散髪させる。断髪させる。 ⸢ワー⸣ ガ⸢マ⸣ジェー ⸢ムイカビ⸣ ブーバ ⸢パー⸣ク ⸢ダン⸣パチ シ⸢ミリバ⸣ル マ⸢シ⸣ヨー [⸢waː⸣ ga⸢ma⸣ʤeː ⸢muikabi⸣ buːba ⸢paː⸣ku ⸢dam⸣pḁʧi ʃi⸢miriba⸣ru ma⸢ʃi⸣joː] (君の頭髪は伸びすぎて<生え被って>いるから、早く散髪させたほうがいいよ)。ガ⸢マ⸣ジ ⸣シムン[ga⸢ma⸣ʤi ⸣ʃimuŋ](髪を摘む)ともいうが、この⸣シムン[⸣ʃimuŋ]は、摘むの義。「捻、以2指末1豆牟<つむ>『新撰字鏡』」の転訛 10273 0 0 9760 htmvoc_10273.wav ダンパチシムン ⸢ダン⸣パチ シ⸢ムン [⸢dam⸣pḁʧi ʃi⸢muŋ] 連 散髪させる。断髪させる。「断髪摘む」の義。 ⸢ダン⸣パチ シ⸢ム⸣カー パ⸢シットゥ スン [⸢dam⸣paʧi ʃi⸢mu⸣kaː pḁ⸢ʃittu suŋ] (断髪させたら気分がらさっぱりするよ{EOS}気分爽快になる<さっぱりする>よ) 10274 0 0 9761 htmvoc_10274.wav ダンパチヤー ⸢ダン⸣パチヤー [⸢dam⸣pḁʧijaː] 名 床屋。理髪店。「断髪屋」の義。 ⸢シェンゴ イットゥ⸣ケー シ⸢ヨ⸣ヒラダンパチヤーヌ ⸢アッ⸣タン [⸢ʃeŋgo ʔittu⸣keː ʃi⸢jo⸣çira ⸣dampaʧijaːnu ⸢ʔat⸣taŋ] (戦後一時期潮平床屋があった)。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ダン⸣パチヤーヤ ⸢ナーン⸣セン ⸢ベー⸣ティ ⸣ドゥーシル ガ⸢マ⸣ジェー ⸢フッツァシ⸣タンダー ガ⸢マ⸣ジェー ⸣アミツァヌ グ⸢ル⸣ ナリ ミ⸢ララン⸣セン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢dam⸣paʧijaːjaː ⸢naːŋ⸣ʃem ⸢beː⸣ti ⸣duːʃiru ga⸢ma⸣ʤeː ⸢ɸutʦaʃi⸣tandaː ga⸢ma⸣ʤeː ⸣ʔamiʦanu gu⸢ru⸣ nari mi⸢raraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島には床屋はなかったので、各自で<鋏を使って家人に頼んで>髪を摘んだのだから、髪の毛はヤドカリの殻のように凸凹になって見られたものでは<見られ>なかった) 10275 0 0 9762 htmvoc_10275.wav タンビ ⸢タンビ [⸢tambi] 名 たび(度)。その時は必ず。その時はいつも。⸢~ごとに、~たびに」の強調表現。標準語からの借用語か。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ジー⸣ カク ⸢タンビ⸣ マ⸢チガイ⸣ス [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ⸢ʤiː⸣ kḁku ⸢tambi⸣ ma⸢ʧigai⸣su] (歳を取ったので字を書くたびに間違える) 10276 0 0 9763 htmvoc_10276.wav タンビー ⸢タンビー [⸢tambiː] 名 炭火。 ⸢ピー⸣ヤバ ピ⸢バ⸣チナ ⸢タンビー タシキティ⸣ ヌ⸢クマ⸣シバ [⸢piː⸣jaba pi⸢ba⸣ʧina ⸢tambiː taʃi̥kiti⸣ nu⸢kuma⸣ʃiba] (寒いから火鉢に炭火を焚きつけて暖を取らせてあげ<温まらせ>なさい) 10278 0 0 9764 htmvoc_10278.wav ダンプ ⸣ダンプ [⸣dampu] 名 ランプ。老年層の言葉。若年層はランプという。外来語ランプ(Lamp<洋灯>)の借用語。⸣ランプ[⸣rampu](石油ランプ)は、灯油を燃料とする照明器具。ア⸢バ⸣スブ[ʔa⸢ba⸣subu](ガラス製の油壺)、フ⸢ヤ[ɸu⸢ja](ガラス製の火屋)、⸣カサ[⸣kḁsa](セルロイド製の笠)が針金の枠に組み込まれており、桁柱に吊るして用いる照明器具。 ⸣ダンプヌ ⸢ソー⸣ジ ⸢シー [⸣dampunu ⸢soː⸣ʤi ⸢ʃiː] (ランプの掃除をしなさい)。老年層は⸢トゥー⸣ル[⸢tuː⸣ru](ランプ{EOS}「灯籠」の義)という 10277 0 0 9765 htmvoc_10277.wav ダンブル ⸢ダン⸣ブル [⸢dam⸣buru] 名 漁船の舷側に張り出した幅約30センチの棚。⸢ダン⸣バラ[⸢dam⸣bara](舷側の棚)ともいう。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸢ダンブル⸣ヌ ⸢サンスイキ⸣バ ⸣カケーティ カ⸢ツォー ホー⸣ソーッタ [ɸu⸢ni⸣nu ⸢damburu⸣nu ⸢sansuiki⸣ba ⸣kḁkeːti kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːtta] (船のダンブルの散水器をかけながらカツオを釣られた) 10279 0 1 9766 htmvoc_10279.wav ダンベー ⸢ダン⸣ベー [⸢dam⸣beː] 名 {Mn_1}だんべえぶね(団平船)。西表島浦内港や白浜港から石炭を石垣島へ運んだ船。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢ラッ⸣チェーラ シ⸢キタン⸣バ ⸢ダン⸣ベーナ シ⸢ミティ⸣ イ⸢サナケー⸣ カ⸢ヤーソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢rat⸣ʧeːra ʃi̥⸢kitam⸣ba ⸢dam⸣beːna ʃi⸢miti⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ ka⸢jaːsoːt⸣ta] (昔は浦内港から石炭をダンベー船に積んで石垣島へ運ばれた<通わされた>)。 10279 0 2 9767 htmvoc_10279.wav ダンベー ⸢ダン⸣ベー [⸢dam⸣beː] 名 {Mn_2}太った大きな女。でぶ。比喩表現。 ⸣カマーラ ⸣クー ⸢ダンベー⸣ヤ ⸢ター⸣ヤ [⸣kamaːra ⸣kuː ⸢dambeː⸣ja ⸢taː⸣ja] (向こうから来る太った大女は誰か) 10280 0 0 9768 htmvoc_10280.wav タンミー ⸢タンミー [⸢tammiː] 名 短命。首里方言からの借用語か。普通は、パ⸢ヤ⸣ジニ[pa⸢ja⸣ʤini](早死に)という。⸢チョーミー[⸢ʧoːmiː](長命)の対義語。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢タンミーヌ⸣ タ⸢クライ⸣ ヤ⸢リン⸣ギサバン⸢ナー [⸢ʔun⸣neːja ⸢tammiːnu⸣ tḁ⸢kurai⸣ ja⸢riŋ⸣gisaban⸢naː] (あの家はどうも短命の家系<血統>であるらしいね) 10281 0 0 9769 htmvoc_10281.wav タンムヌ ⸢タンムヌ [⸢tammunu] 名 反物。 イ⸢サンケーヌ⸣ マ⸢チヤー⸣ラ ⸢タンムヌ カイ クー⸣タ [ʔi⸢saŋkeːnu⸣ ma⸢ʧijaː⸣ra ⸢tammunu kai kuː⸣ta] (石垣の商店から反物を買ってきた) 10282 0 0 9770 htmvoc_10282.wav タンメー ⸢タン⸣メー [⸢tam⸣meː] 名 老翁。おじいさん。沖縄本島から鳩間島に移住した人の家庭で話されている言葉。首里方言のtaNmee(0)(士族の祖父)からの借用語が転訛したもの。 ⸢ウフタン⸣ヤーナ ⸢タンメー⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン [⸢ʔuɸu̥taŋ⸣jaːnaː ⸢tammeː⸣nu ⸢ʔoːt⸣taŋ] (太田家にはタンメー<老翁>がおられた) 10283 0 0 9771 htmvoc_10283.wav タンヤキ ⸢タンヤキ [⸢taɲjaki] 名 炭焼き。 ⸢パイタ⸣ナーティ ⸢タンヤキ シー カーソー⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン [⸢paita⸣naːti ⸢taɲjaki ʃiː kaːsoː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (西表島で炭焼きをして売られる人も居られた) 10284 0 0 9772 htmvoc_10284.wav タンヤキプス ⸢タンヤキプス [⸢taŋjakipu̥su] 名 炭焼き。炭を焼く人。 ⸢パイタ⸣ナー ⸢タンヤキプスヌ オーッ⸣タン [⸢paita⸣naː ⸢taŋjakipu̥sunu ʔoːt⸣taŋ] (西表島<南端>には炭焼き人がおられた) 10285 0 0 9773 htmvoc_10285.wav チ ⸣チ [⸣ʧi] 助数 つ(箇{EOS}個)。数に下接して数を表す。「~朝獵に伊保都(いほつ)鳥立て~。万、4011」のツ<都>の義。 ⸢ピー⸣チ [⸢piː⸣ʧi] (一つ)。 フ⸢ターチ [ɸu̥⸢taːʧi] (二つ)。 ⸢ミーチ [⸢miːʧi] (三つ)。 ⸢ユーチ [⸢juːʧi] (四つ)。 イ⸢チッ⸣チ [ʔi⸢ʧit⸣ʧi] (五つ)。 ⸢ムーチ [⸢muːʧi] (六つ)。 ナ⸢ナッ⸣チ [na⸢nat⸣ʧi] (七つ)。 ⸢ヤーチ [⸢jaːʧi] (八つ)。 ク⸢クヌ⸣チ [ku̥⸢kunu⸣ʧi] (九つ) 10286 0 0 9774 htmvoc_10286.wav チェッ ⸢チェッ [⸢ʧeʔ] 感 ちえっ。予期に反して残念な時、いまいましい気持ちを表す音声。 ⸢チェッ⸣ ヌーツァ⸢ムン⸣ヤー ウ⸢レー [⸢ʧeʔ⸣ nuːʦa⸢muŋ⸣jaː ʔu⸢reː] (ちえっ、一体何たるものか、これは) 10287 0 0 9775 htmvoc_10287.wav チガイ チ⸢ガイ [ʧi⸢gai] 名 違い。相違。差異。 ビ⸢キムヌトゥ ミームヌ⸣ヌ チ⸢ガイヤー⸣ ノー⸢ン⸣ナーン ア⸢リ⸣ル ⸣ブー [bi⸢kimunutu miːmunu⸣nu ʧi⸢gaijaː⸣ noː⸢n⸣naːn ʔa⸢ri⸣ru ⸣buː] (雄と雌の違いは何にでもある<ありぞをる>)。 ⸢ピー⸣チェーラ ク⸢ビ⸣ナーヌ チ⸢ガイヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸢piː⸣ʧeːra ku⸢bi⸣naːnu ʧi⸢gainu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (一つからこれだけの違いが出ると大変だよ) 10288 0 1 9776 htmvoc_10288.wav チガウン チ⸢ガウン [ʧi⸢gauŋ] 自動 {Mn_1}違う。異なる。 ⸢サン⸣ミン ⸢スー⸣カー チ⸢ガウンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ピッ⸣チン チ⸢ガーンシェン [⸢sam⸣min ⸢suː⸣kaː ʧi⸢gaunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸢pit⸣ʧin ʧi⸢gaːŋʃeŋ] (計算したら違うと思ったが、何一つ違わなかった)。 チ⸢ガウ⸣ クトー ⸢ナーン⸣ティ シ⸢タヌ⸣ チ⸢ガイ ベー⸣ムヌ ⸢ヌー⸣スワ ⸣メー [ʧi⸢gau⸣ ku̥toː ⸢naːn⸣ti ʃi̥⸢tanu⸣ ʧi⸢gai beː⸣munu ⸢nuː⸣suwa ⸣meː] (違うことはない言ったが、違っているのだからどうするか、もう)。 ⸢ピー⸣チンツァン チ⸢ガイヤー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢piː⸣ʧinʦan ʧi⸢gaijaː⸣ na⸢ra⸣nu] (一つでも違ってはならない)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ チ⸢ガイリ [⸣kubeː jaː⸢din⸣ ʧi⸢gairi] (これだけは必ず違えろ)。 10288 0 2 9777 htmvoc_10288.wav チガウン チ⸢ガウン [ʧi⸢gauŋ] 自動 {Mn_2}変わる。おかしくなる。 ク⸢ヌ イー⸣ヤ ン⸢ベーマ⸣ チ⸢ガイル ブー [ku⸢nu ʔiː⸣ja ʔmbeːma⸣ ʧi⸢gairu buː] (この飯は少し傷んで<変わって>いる{EOS}ご飯が少し腐敗している) 10289 0 0 9778 htmvoc_10289.wav チカグル チ⸢カ⸣グル [ʧi̥⸢ka⸣guru] 名 近頃。最近。 チ⸢カ⸣グロー ⸣シマムニ パ⸢ナ⸣シ ⸢シェー⸣ プ⸢スン⸣ ピ⸢ナリナー⸣ヌ [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸣ʃimamuni pa⸢na⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢sum⸣ pi⸢nari naː⸣nu] (最近では方言<島言葉{EOS}島もの言い>を話せる<し得る>人も減ってしまった) 10290 0 0 9779 htmvoc_10290.wav チカユルン チ⸢カ⸣ユルン [ʧi̥⸢ka⸣juruŋ] 自動 近くへ寄る。近づく。 ⸢マー⸣ビン チ⸢カ⸣ユルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー チ⸢カユラ⸣ヌ [⸢maː⸣bin ʧi̥⸢ka⸣jurunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ʧi̥⸢kajura⸣nu] (もっと近寄ろうと思うが、今は近寄らない)。 ⸢ワーン⸣ トンマー チ⸢カ⸣ユリ ⸣ミサカー チ⸢カ⸣ユル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢waːn⸣ tommaː ʧi̥⸢ka⸣juri ⸣misakaː ʧi̥⸢ka⸣juru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (君の所には近寄って良ければ近寄ることはできる)。 ン⸢ベーマー⸣ チ⸢カ⸣ユレー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʧi̥⸢ka⸣jureː ⸣misamunu] (少しは近寄れば良いのに)。 ⸢パー⸣ク チ⸢カ⸣ユリ [⸢paː⸣ku ʧi̥⸢ka⸣juri] (早く近寄れ) 10291 0 0 9780 htmvoc_10291.wav チクサ チ⸢ク⸣サ [ʧi̥⸢ku⸣sa] 名 (植)野草の一種。この草は三ヶ月の旱魃にも耐えるといわれている。⸢トー⸣タビ[⸢toː⸣tabi](唐旅)に行って帰ってくるまで枯れなかったことから、この野草を井戸の祈願の供物にする⸣スナイ[⸣sunai](和え物)に加えるのだという『石垣方言辞典』。子供の⸢タンカーヨイ[⸢taŋkaːjoi](誕生祝)や、⸢カンヌ⸣ヨイ[⸢kannu⸣joi](神祝い{EOS}神事祝い)の際にもこの野草が用いられるという。 チ⸢ク⸣サー ⸢ミーシキヌ ペーレー⸣ナーン サ⸢ランシェン⸣ツォー [ʧi̥⸢ku⸣saː ⸢miːʃi̥kinu peːreː⸣naːn sa⸢raŋʃen⸣ʦoː] (チクサは三ヶ月に及ぶ旱魃にも枯れなかったそうだ) 10292 0 0 9781 htmvoc_10292.wav チサ ⸣チサ [⸣ʧi̥sa] 名 (植)ちしゃ。野菜の一種。戦後に石垣島から種子を購入して作付けしていた。柔らかくて美味しい野菜であったが、鳩間島ではあまり作付けしなかった。 ⸣チサー ⸢ナン⸣ゾー ス⸢ク⸣ローランシェン [⸣ʧisaː ⸢nan⸣ʣoː su̥⸢ku⸣roːraŋʃeŋ] (チシャはあまり作られなかった) 10293 0 0 9782 htmvoc_10293.wav チジ チ⸢ジ [ʧi⸢ʤi] 名 頂き。頂上。老年層は、ティ⸢ジ[ti⸢ʤi](頂き{EOS}頂上)という。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドゥ⸣モー ス⸢ブル⸣ヌ チ⸢ジ⸣ナー ⸣シケー ビ⸢シティ⸣ ノー⸢ン⸣ カ⸢タ⸣モーッタ [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢du⸣moː su⸢buru⸣nu ʧi⸢ʤi⸣naː ⸣ʃi̥keː bi⸢ʃiti⸣ noː⸢ŋ⸣ kḁ⸢ta⸣moːtta] (昔は女性は頭の頂きに\ruby{揺輪}{ユリ|ワ}を据えて何でも担がれた<頭上運搬された>) 10294 0 0 9783 htmvoc_10294.wav チジクン チ⸢ジクン [ʧi⸢ʤikuŋ] 自動 続く。途切れずに繋がる。「針袋帯び都々氣<ツツケ>ながら~。万、4130」の転訛したもの。普通は、シ⸢ジクン[ʃi⸢ʤikuŋ](続く)という。 ア⸢ミフイ⸣ヤー チ⸢ジクンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ チ⸢ジカンバン⸣ナー [ʔa⸢miɸui⸣jaː ʧi⸢ʤikunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ʧi⸢ʤikamban⸣naː] (雨降りは続くと思ったが、続かないんだね)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイチジ⸣ク ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ク⸢ヌ⸣ シケー ⸢フイ チジキ⸣ ブーバン [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiʧiʤi⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ku⸢nu⸣ ʃi̥keː ⸢ɸuiʧiʤiki⸣ buːbaŋ] (雨が降り続くことは無いが、今月は降り続いているわい)。 ⸢フイ チジ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢ɸuiʧiʤi⸣keː ⸣misamunu] (降り続けば良いのに)。 チ⸢ジキ⸣バ [ʧi⸢ʤiki⸣ba] (続けなさいよ) 10295 0 0 9784 htmvoc_10295.wav チジマルン チ⸢ジマルン [ʧi⸢ʤimaruŋ] 自動 縮む。縮まる。縮んだ状態になる。 ⸣パリパルカー ⸢マイ⸣ヌ プ⸢ストゥヌ サー⸣ヤ チ⸢ジマルン [⸣pariparukaː ⸢mai⸣nu pu̥⸢sutunu saː⸣ja ʧi⸢ʤimaruŋ] (走って行くと前の人との差は縮まる)。 イッ⸢カ⸣ チ⸢ジマラヌ [ʔik⸢ka⸣ ʧi⸢ʤimaranu] (一向に縮まらない)。 ン⸢メーマ⸣ナー チ⸢ジマリ⸣ クン [ʔm⸢meːma⸣naː ʧi⸢ʤimari⸣ kuŋ] (少しずつ縮まってくる)。 チ⸢ジマル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʧi⸢ʤimaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (縮まることはない)。 チ⸢ジマレー⸣ ミサムヌ [ʧi⸢ʤimareː⸣ misamunu] (縮まれば良いのに)。 ン⸢メーマ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ チ⸢ジマリ⸣バ [ʔm⸢meːma⸣ ja⸢raban⸣ ʧi⸢ʤimari⸣ba] (少しでも<少しであっても>縮まれよ) 10296 0 0 9785 htmvoc_10296.wav チジミルン チ⸢ジミルン [ʧi⸢ʤimiruŋ] 他動 縮める。 イ⸢チバントゥ⸣ヌ ⸢テンスーヌ⸣ サー チ⸢ジミルン [ʔi⸢ʧibantu⸣nu ⸢tensuː⸣nu ⸣saː ʧi⸢ʤimiruŋ] (一番との点数の差を縮める)。 チ⸢ジミ⸣ プサン [ʧi⸢ʤimi⸣ pu̥saŋ] (縮めたい)。 チ⸢ジミル⸣ クトー ム⸢チ⸣キサン [ʧi⸢ʤimiru⸣ kutoː mu⸢ʧi⸣kisaŋ] (縮めることは難しい)。 ン⸢メーマンツァン⸣ チ⸢ジミレー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmanʦan⸣ ʧi⸢ʤimireː⸣ misamunu] (少しでも縮めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク チ⸢ジミリ [⸢paː⸣ku ʧi⸢ʣimiri] (早く縮めろ) 10297 0 0 9786 htmvoc_10297.wav チジムン チ⸢ジムン [ʧi⸢ʤimuŋ] 自動 縮む。縮まる。 ⸢マー⸣ル ⸢ピッ⸣クカー ⸣イキ ⸣ヌギティ チ⸢ジムン [⸢maː⸣ru ⸢pik⸣kukaː ⸣ʔiki ⸣nugiti ʧi⸢ʤimuŋ] (鞠に穴をあけると空気が抜けて縮む)。 チ⸢ジマヌ [ʧi⸢ʤimanu] (縮まない)。 チ⸢ジミナーヌ [ʧi⸢ʤiminaː⸣nu] (縮んでしまった)。 チ⸢ヂム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʧi⸢ʤimu⸣ ku̥toː naː⸣nu] (縮むことはない)。 チ⸢ジメー⸣ ミサムヌ [ʧi⸢ʤimeː⸣ misamunu] (縮めば良いのに) 10298 0 0 9787 htmvoc_10298.wav チジュヤーブシ チ⸢ジュヤー⸣ブシ [ʧi⸢ʤujaː⸣buʃi] 名 浜千鳥節。沖縄本島の舞踊の一つ。雑踊り。明治27年ごろに那覇の端道演芸時代に上演されたという。紺地の衣装に白足袋、紫のサージのコスチュームで踊られる。鳩間島へは石垣島の芝居小屋から伝わったものであろう。 チ⸢ジュヤー⸣ブシェー シ⸢バヤーブドゥル⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ムッ⸣サン [ʧi⸢ʤujaː⸣buʃeː ʃi⸢bajaːbuduru⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢mus⸣saŋ] (浜千鳥節は芝居の踊りだから面白い) 10299 0 0 9788 htmvoc_10299.wav チジルン チ⸢ジルン [ʧi⸢ʤiruŋ] 自動 ちじれる(縮れる)。細かくくるくる巻きに縮まる。 ガ⸢マ⸣ジ ヤ⸢ク⸣カー チ⸢ジルン⸠ダー [ga⸢ma⸣ʤi ja⸢ku⸣kaː ʧi⸢ʤirun⸠daː] (髪の毛を焼くと縮れるよ)。 チ⸢ジラヌ [ʧi⸢ʤiranu] (縮れない)。 チ⸢ジリ ヤッ⸣サン [ʧi⸢ʤirijas⸣saŋ] (縮れやすい)。 チ⸢ジリル⸣ クトー ⸢ナーン⸣ パジ [ʧi⸢ʤiri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (縮れることは無いはずだ)。 ⸢マー⸣ビン チ⸢ジレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ʧi⸢ʤireː⸣ misamunu] (もっと縮れば良いのに) 10300 0 0 9789 htmvoc_10300.wav チチシミ チ⸢チシミ [ʧi̥⸢ʧiʃimi] 名 慎むこと。用心すること。自戒すること。 フ⸢チヌ⸣ チ⸢チシミヌ ナーン⸣ プ⸢ソー ダーッサーナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʧi̥⸢ʧiʃiminu naːm⸣ pu̥⸢soː daːssaːnaː⸣nu] (口の慎みのない<放言癖のある>人は良くない<信用出来ない>) 10301 0 0 9790 htmvoc_10301.wav チチシムン チ⸢チシムン [ʧi̥⸢ʧiʃimuŋ] 他動 つつしむ(慎む)。用心する。謹慎する。あやまちがないようにする。/ムニイザバ チチシミ フチヌ フカユ ンザスナヨー ンザシカラー マタトゥ フクミヤ ナラヌ デンサー/(ものを言うときは用心して簡単に口外するなよ{EOS}一度口外したら、言葉は再度口の中に含みこむことはできない)(デンサー節)。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チパジェー ナーン⸣ダ ムッ⸢トゥ⸣ フ⸢チ⸣ チ⸢チシマヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧipaʤeː naːn⸣da mut⸢tu⸣ ɸu⸢ʧi⸣ ʧi̥⸢ʧiʃimanu] (彼は放言癖がある<口恥がない>からちっとも物言いを慎まない)。 チ⸢チシミ⸣ ッ⸢ふィーリ [ʧi̥⸢⸢ʧiʃimi⸣ f⸢fiːri] (慎んでくれ)。 チ⸢チシム⸣ クトゥ [ʧi̥⸢ʧiʃimu⸣ ku̥tu] (慎むこと)。 チ⸢チシメー⸣ ミサムヌ [ʧi̥⸢ʧiʃimeː⸣ misamunu] (慎めばいいのに)。 チ⸢チシミ⸣バ [ʧi̥⸢ʧiʃimi⸣ba] (慎めよ) 10302 0 0 9791 htmvoc_10302.wav チドリ チ⸢ド⸣リ [ʧi⸢du⸣ri] 名 (動)鳥の名。千鳥。ウミネコ(海猫)のこと。歌謡語。パ⸢マザ⸣キ[pa⸢maʣa⸣ki](浜先浜)の干潟に下りてよく餌をついばむ。また前の海の上を群れ飛んで小魚を捕る。日常会話では、シ⸢ドゥ⸣リ[ʃi⸢du⸣ri](千鳥)ともいう。/マイヌパマ ヨー チドゥリ ヨー トゥリ トゥブトゥリ ハーリ ミルク ヨーヌヨー チドゥリ/(前の浜、ヨー<囃子> 千鳥 ヨー<囃子> 鳥、飛ぶ鳥 ハーリ<囃子> 弥勒、ヨーヌヨー<囃子>千鳥)「鳩間浜千鳥節」『鳩間島古典民謡古謡集』 10303 0 0 9792 htmvoc_10303.wav チニヒージー ⸣チニヒージー [⸣ʧiniçiːʤiː] 名 常日頃。普段。平常。平生。「常・平常」の転訛したものか。 ⸣チニヒージーヌ ウ⸢クナイル カンヌマイ⸣ヤー ミシゥ⸢カーマ⸣シ ミリ⸢オー⸣ル⸢ダー [⸣ʧiniçiːʤiːnu ʔu⸢kunairu kannumai⸣jaː misi̥⸢kaːma⸣ʃi miri⸢ʔoː⸣ru⸢daː] (日頃の行いを神様は間近にちゃんと見ていらっしゃるのだよ) 10304 0 0 9793 htmvoc_10304.wav チパル チ⸢パル [ʧi̥⸢paru] 名 支柱。柱と柱の間に交叉して連結する耐震性の建材。柱と柱の間に対角線に、x状に渡した耐震構造の強化建材。「突っ張り」の転訛したものか。ヌ⸢キ[nu⸢ki](貫き)は連結材。 チ⸢パル⸣ イ⸢リティ⸣ ヤー ⸢コー⸣ラシ [ʧi̥⸢paru⸣ ʔi⸢riti⸣ jaː ⸢koːra⸣ʃi] (支柱をx形に入れて家の柱を固めろ) 10311 0 0 9794 htmvoc_10311.wav チミ ⸣チミ [⸣ʧimi] 名 罪。つみとが(罪科)。法律的、道徳的罪科。 ⸢ヌー⸣ヌ チ⸢ミ⸣ヌ ア⸢ローッ⸣タユー ウ⸢キ⸣ナーラ ヒ⸢ヤ⸣ゴン ⸣アンヒツティ ア⸢ゾー⸣ル プ⸢スヌ⸣ パ⸢トゥ⸣マー ナ⸢ガサ⸣リ ⸢オーリ⸣ル ⸣ウタン ブ⸢ドルン⸣ ナ⸢ラー⸣ソーッタティ ⸢スーヌンドゥ⸣ イ⸢サナケー⸣ラ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢ペー⸣リクーカ ⸣イロー ⸣ッサイティ ⸢アンヌカーヌ⸣ シンタヌ ヤ⸢マ⸣ナール ク⸢マ⸣ローッタツォー [⸢nuː⸣nu ʧi⸢mi⸣nu ʔa⸢roːt⸣tajuː ʔu⸢ki⸣naːra çi⸢ja⸣goŋ ʔaŋhiʦuti ʔa⸢ʣoː⸣ru pu̥⸢sunu⸣ pḁ⸢tu⸣maː na⸢gasa⸣ri ⸢ʔoːri⸣ru ⸣ʔutam bu⸢durun⸣ na⸢raː⸣sottati ⸢suːnundu⸣ ʔi⸢sanakeːra⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢peː⸣rikuːka ⸣ʔiroː ⸣ssaiti ⸢ʔannukaːnu⸣ ʃintanu ⸣jamanaːru ku⸢ma⸣roːtaʦoː] (何の罪がお有りになったのか、沖縄から比屋根安粥とおっしゃる人が鳩間島へ配流されてこられて、歌も踊りも教えられたというが、石垣から舟が入ると顔面蒼白になって東村井戸の後ろの林の中に引籠もられたそうだ)(米盛クヤ氏伝承) 10312 0 0 9795 htmvoc_10312.wav チミトゥンガー ⸣チミトゥンガー [⸣ʧimituŋgaː] 名 つみとが(罪科)。 ヤ⸢ナクトー シェー ナーン⸣ユンダ ノー⸢ンヌ⸣ チミトゥンガーン ⸣バンナー ア⸢トーラ⸣ヌ [ja⸢nakutoː ʃeː naːɲ⸣junda noː⸢nnu⸣ ʧimituŋgaːm ⸣bannaː ʔa⸢toːra⸣nu] (悪事はしてないから何の罪科も私にはお与えにはならない<お当てにならない>) 10305 0 0 9796 htmvoc_10305.wav チムエー チ⸢ム⸣エー [ʧi⸢mu⸣jeː] 連 意味は。訳は。首里方言からの借用語。「つもり<心算>」の転訛したもの。[ʦumoriː] + [ja](は)→ [ʧimuijaː] → [ʧimujeː] のように音韻変化したもの。 ⸢ヌー⸣ル ⸣ヌーユー ムッ⸢トゥ⸣ チ⸢ム⸣エー ワ⸢カラ⸣ヌ [⸢nuː⸣ru ⸣nuːjuː mut⸢tu⸣ ʧi⸢mu⸣jeː wa⸢kara⸣nu] (何が何だかちっとも訳<意味>が分からない) 10306 0 0 9797 htmvoc_10306.wav チャー ⸢チャー [⸢ʧaː] 副 いつも(何時も)。常に。 ⸣アッパー ⸢チャー⸣ ブー ⸢ウー⸣ミ ⸢オー⸣ル [⸣ʔappaː ⸢ʧaː⸣ buː ⸢ʔuː⸣mi ⸢ʔoː⸣ru] (お祖母さんは常に<何時も>麻糸を紡いで<績んで>おられる)。 ⸢チャー⸣ ユ⸢ヌ パナ⸣シ カー⸢ニル⸣ ア⸢ゾー⸣ル [⸢ʧaː⸣ ju⸢nupana⸣ʃi kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru] (いつも同じ話だけおっしゃる) 10314 0 1 9798 htmvoc_10314.wav チャー ⸢チャー [⸢ʧaː] 接頭 {Mn_1}いつも~。常に~。 10314 0 2 9799 htmvoc_10314.wav チャー ⸢チャー [⸢ʧaː] 接頭 {Mn_2}それきり(其限)。それっきり。そのまま。動詞の連用形に上接して、その動詞の意味内容がそのまま継続することを表す合成語を造る。 ⸢パッ⸣タ ⸢ター⸣ナ ⸢チャー⸣パリ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸢pat⸣ta ⸢taː⸣na ⸢ʧaː⸣pari ⸢ʃiːnaː⸣nu] (行ったまま、行きっきりになってしまった)。 ⸢チャー⸣シー ⸢スン [⸢ʧaː⸣ʃiː ⸢suŋ] (継続してやる{EOS}やり続ける) 10315 0 0 9800 htmvoc_10315.wav チャーウティ ⸢チャー⸣ウティ [⸢ʧaː⸣ʔuti] 名 病気が完治すること。病気が再発しないで健康を維持していること。⸢チャー[⸢ʧaː](そのまま)は接頭語。 ⸣キナイ ヌ⸢ム⸣ター ⸢プーケー<マ⸢ラリ⸣ア> チャー⸣ウティ ⸢シー ブー [⸣kinai nu⸢mu⸣taː ⸢puːkeː ʧaː⸣ʔuti ⸢ʃiː buː] (キニーネを飲んだのでマラリア<風気>は完治し<ずっと落ち>ている) 10308 0 0 9801 htmvoc_10308.wav チャーガ ⸢チャーガ [⸢ʧaːga] 感 どうだ。それ見ろ。恐れ入ったか。そうだろう。言ったとおりだろう。「如何か」の転訛したもの。首里方言からの借用語。普通は、⸢ヌー⸣シヤー[⸢nuː⸣ʃijaː](どうだ{EOS}恐れ入ったか)、イ⸢カ⸣シヤー[ʔi⸢ka⸣ʃijaː](どうか{EOS}如何か{EOS}如何だ)という。 ⸣チャーガ ⸣バー ア⸢ズタ トゥー⸣ルミー [⸣ʧaːga ⸣baː ʔa⸢ʣuta tuː⸣rumiː] (それ見ろ<どうだ>、私が言った通りだろう) 10307 0 0 9802 htmvoc_10307.wav チャーガンズー ⸢チャー ガン⸣ズー [⸢ʧaː gan⸣ʣuː] 連 何時も元気だ。首里方言からの借用語か。鳩間方言では、目上に対して、⸣ミサー ア⸢ロールン[⸣misaː ʔa⸢roːruŋ](お元気でいらっしゃいますか<良くておられますか>)と尋ねると、ミサン⸢ダー[misan⸢daː](元気だよ)と答える 10316 0 0 9803 htmvoc_10316.wav チャーシー ⸢チャー⸣シー [⸢ʧaː⸣ʃiː] 名 継続して行うこと。継続続行。ずっと続けてやっている。 シ⸢グトー⸣ シ⸢トゥム⸣テーラ ⸢チャー⸣シー ⸢シー ベー [ʃi⸢gutoː⸣ ʃi̥⸢tumu⸣teːra ⸢ʧaː⸣ʃiː ⸢ʃiːbeː] (仕事は朝から継続してやっている) 10317 0 0 9804 htmvoc_10317.wav チャーチャー ⸢チャー⸣チャー [⸢ʧaː⸣ʧaː] 名 父。お父さん。西原家の人が西原真津氏をチャーチャーと呼んでいた 10319 0 0 9805 htmvoc_10319.wav チャートゥリ ⸢チャー⸣トゥリ [⸢ʧaː⸣turi] 名 取り続けること。 イ⸢ザン⸣カー ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ン ⸢チャー⸣トゥリ ⸢スン⸣ダー イ⸢ジ⸠バ [ʔi⸢ʣaŋ⸣kaː nuːteː⸢naː⸣n ⸢ʧaː⸣turi ⸢sun⸣daː ʔi⸢ʤi⸠ba] (叱らないと見境も無く<何をとて無く>取り続けるよ{EOS}叱りなさいよ) 10320 0 0 9806 htmvoc_10320.wav チャーニビ ⸢チャー⸣ニビ [⸢ʧaː⸣nibi] 名 眠り続けること。 ⸣ユベーラ ⸢ユー⸣ヌ ガ⸢リ⸣ ティ⸢ダ⸣ヌ プ⸢スマ⸣ ナルンケン⸢バー⸣キ ⸢チャー⸣ニビ ⸢シー ベー [⸣jubeːra ⸢juː⸣nu ga⸢ri⸣ ti⸢da⸣nu pu̥⸢suma⸣ naruŋkem⸢baː⸣ki ⸢ʧaː⸣nibi ⸢ʃiː beː] (昨夜から夜が明けて、太陽が真昼になるまで眠り続けている) 10321 0 0 9807 htmvoc_10321.wav チャーバライ ⸢チャー⸣バライ [⸢ʧaː⸣barai] 名 笑い続けること。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キティ⸣ ウ⸢ムインザ⸣シェー バ⸢ライバライ シー チャー⸣バライ ⸢シー ベー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kiti⸣ ʔu⸢muinʣa⸣ʃeː ba⸢raibarai ʃiː ʧaː⸣barai ⸢ʃiː beː] (その話を聞いて、思い出しては笑い笑いし、笑い続けている) 10318 0 0 9808 htmvoc_10318.wav チャーパリ ⸢チャー⸣パリ [⸢ʧaː⸣pari] 名 行ったまま、それっきりになること。 ヤ⸢ラバン⸣カー ⸢チャー⸣パリ ⸢スンダ⸣ ヤ⸢ラビ⸣ トゥ⸢ミリ [ja⸢rabaŋ⸣kaː ⸢ʧaː⸣pari ⸢sunda⸣ ja⸢rabi⸣ tu⸢miri] (呼ばないと、そのまま行ってしまう<行きっきり最後になる>から呼び止めなさい) 10309 0 0 9809 htmvoc_10309.wav チャブダイ チャ⸢ブ⸣ダイ [ʧa⸢bu⸣dai] 名 ちゃぶだい(卓袱台)。折り畳み式の四脚の低い食事台。「しっぽく(卓袱)」の唐音より転訛したものという。鳩間方言へは、標準語から借用されたものであろう。新式のハイカラな食台とされていた。 ⸢ワッ⸣テヌ プ⸢ソー⸣ イ⸢チル⸣ チャ⸢ブ⸣ダイ ⸢カイヨーッ⸣ター [⸢wat⸣tenu pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢ʧiru⸣ ʧa⸢bu⸣dai ⸢kaijoːt⸣taː] (貴方の家の人は、いつチャブダイをお買いになり<買われ>ましたか) 10322 0 0 9810 htmvoc_10322.wav チャントゥ チャン⸢トゥ [ʧan⸢tu] 副 ちゃんと。きちんと。間違いなく。 シ⸢ナムヌヌ ダイヤー⸣ チャン⸢トゥ⸣ パ⸢ライヤン [ʃi⸢namununu daijaː⸣ ʧan⸢tu⸣ pa⸢raijaŋ] (品物の代価はきちんと支払ったか) 10323 0 0 9811 htmvoc_10323.wav チャンプル ⸢チャン⸣プル [⸢ʧam⸣puru] 名 料理名。豆腐や野菜の炒め物。中国の惣菜料理の「炒腐児」から転訛した語という。 ⸢トーフーチャン⸣プルー [⸢toːɸuːʧam⸣puruː] (豆腐と野菜の炒め物)。マ⸢ミナーチャン⸣プルー[ma⸢minaːʧam⸣puruː](モヤシと肉の炒め物)、⸢ゴーヤーチャン⸣プルー[⸢goːjaːʧam⸣puruː](ゴーヤー<苦瓜>と豆腐、肉の炒め物)などがある 10310 0 0 9812 htmvoc_10310.wav チャンプルー ⸢チャン⸣プルー [⸢ʧam⸣puruː] 名 炒め物。沖縄本島方言からの借用語。 ⸢トー⸣フーチャンプルー [⸢toː⸣ɸuːʧampuruː] (豆腐と豚肉や魚肉、野菜の炒めもの)。 ⸢ソー⸣ミンチャンプルー [⸢soː⸣minʧampuruː] (素麺と魚肉、豚肉、野菜のいためもの{EOS}素麺のみ油で炒めたものにもいう)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ソー⸣ミンチャンプロー ⸢クヮッチー⸣ル ⸢ヤッタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢soː⸣minʧampuroː ⸢kwatʧiː⸣ru ⸢jattaru] (昔は素麺チャンプルーはご馳走であったよ) 10324 0 0 9813 htmvoc_10324.wav チューザラ ⸢チュー⸣ザラ [⸢ʧuː⸣ʣara] 名 中皿。中程度の大きさの皿。銘々皿。標準語からの借用語か。おかず等を盛るのに用いる。⸢ウー⸣ザラ[⸢ʔuː⸣ʣara](大皿)と⸢クー⸣ザラ[⸢kuː⸣ʣara](小皿)の中間の大きさの皿。一般的には、⸣スルイ[⸣surui](皿)ということが多い。皿の総称として⸢カイ⸣キ[⸢kai⸣ki](皿{EOS}「貝笥」の義か)ともいう。 ⸢チュー⸣ザラナー ⸢ダイクニ⸣トゥ カ⸢マブク⸣ イ⸢リ ンザ⸣シバ [⸢ʧuː⸣ʣaranaː ⸢daikuni⸣tu ka⸢mabuku⸣ ʔi⸢ri ʔnʣa⸣ʃiba] (中皿に大根と蒲鉾を入れて出しなさいよ) 10325 0 0 9814 htmvoc_10325.wav チューチュー ⸢チュー⸣チュー [⸢ʧuː⸣ʧuː] 名 (幼)ちんちん。幼児の男根。チュー⸢チョー⸣マ[ʧuː⸢ʧoː⸣ma](可愛いおちんちん)ともいう。 ⸢チュー⸣チュー プ⸢スン⸣ ミ⸢ララン⸣ケン ⸢パー⸣ク ⸣キン キ⸢サ⸣ナー [⸢ʧuː⸣ʧuː pu̥⸢sum⸣ mi⸢raraŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ⸣kiŋ ki̥⸢sa⸣naː] (おちんちんが他人に見られないうちに早く着物を着ようね) 10326 0 0 9815 htmvoc_10326.wav チューバン ⸢チューバン [⸢ʧuːbaŋ] 名 中程度の大きさのカツオ。「中判」の義。5~6キログラム程度のカツオ。 ⸢チューバンラー⸣ ヨ⸢ツ⸣ワリ ⸢シー ウー⸣ブシ ⸢ミー⸣ブシ ナ⸢ソーッ⸣タン [⸢ʧuːbanraː⸣ jo⸢ʦu⸣wari ⸢ʃiː ʔuː⸣buʃi ⸢miː⸣buʃi na⸢soːt⸣taŋ] (カツオの中判からは四つ割りにして、雄節、雌節に製造された<なされた>ものだ) 10327 0 0 9816 htmvoc_10327.wav チューフー ⸢チューフー [⸢ʧuːɸuː] 名 中風。「半身不随[hemiplegia] 脳出血等の疾病にみられる、手足の不自由」『医学沖縄語辞典』(稲福盛輝著)。 ⸢チューフー⸣ カ⸢カ⸣リティル<ワ⸢チライティ> ⸣ドゥー ⸢ウーカシカン⸣ティ ⸢シー ベー [⸢ʧuːɸuː⸣ kḁ⸢ka⸣ritiru⸣duː ⸢ʔuːkaʃikan⸣ti ⸢ʃiː beː] (中風を患って<ぞ>体を<胴>を動かしかねているのだ) 10328 0 0 9817 htmvoc_10328.wav チュームン ⸢チュー⸣ムン [⸢ʧuː⸣muŋ] 名 注文。標準語からの借用語。普通は、ア⸢チ⸣ラウン[ʔa⸢ʧi⸣rauŋ](誂える{EOS}注文する)という。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ナムノー⸣ キシ ⸢ナーン⸣バ ⸢チュー⸣ムン ⸢サン⸣カー ⸢カーラヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢namunoː⸣ ki̥ʃi ⸢naːm⸣ba ⸢ʧuː⸣mun ⸢saŋ⸣kaː ⸢kaːranu] (この品物は切れて<品切れして>、今は無いから注文しないと買えない<買われない>) 10329 0 1 9818 htmvoc_10329.wav チュファーラ チュ⸢ファーラ [ʧu̥⸢ɸaːra] 副 {Mn_1}腹一杯。満腹するほど。十分に。強調表現では、チュファー⸢ラ[ʧu̥ɸaː⸢ra](腹一杯)のように、アクセントが移動する。沖縄本島方言からの借用語。 チュ⸢ファーラ<バ⸢タ⸣ミツンケン> クヮッ⸣チー ⸢シェー⸣ン [ʧu̥⸢ɸaːra kwat⸣ʧiː ⸢ʃeː⸣ŋ] (腹一杯ご馳走になった{EOS}満腹するほど頂いた)。 チュ⸢フヮーラ⸣ ニ⸢ベー⸣ン [ʧu̥⸢ɸaːra⸣ ni⸢beː⸣ŋ] (十分寝た)。 10329 0 2 9819 htmvoc_10329.wav チュファーラ チュ⸢ファーラ [ʧu̥⸢ɸaːra] 副 {Mn_2}飽き飽きするほど。こりごりするほど。 ウ⸢キ⸣ナー ⸢ヤイマーヌ⸣ フ⸢ナ⸣タベー チュファー⸢ラ<イッ⸢ケナ> シーミッ⸣タン [ʔu⸢ki⸣naː ⸢jaimaːnu⸣ ɸu⸢na⸣tabeː ʧu̥ɸaː⸢ra ʃiːmit⸣taŋ] (沖縄・八重山間の船旅は飽きるほどしてみた) 10330 0 0 9820 htmvoc_10330.wav チュラーク チュ⸢ラーク [ʧu⸢raːku] 副 綺麗に。見事に。すっかり。首里方言からの借用語。 ⸢ワットゥヌ⸣ ヤ⸢クスクバ⸣ チュ⸢ラーク バシキティル⸣ パ⸢リユーサン⸣シェン⸢ダー [⸢wattunu⸣ ja⸢kusu̥ku⸣ ʧu⸢raːku baʃi̥kitiru⸣ pa⸢rijuːsaŋ⸣ʃen⸢daː] (君との約束をすっかり忘れてしまって<ぞ>行くことが出来なかったのですよ) 10331 0 0 9821 htmvoc_10331.wav チュラカーギ チュ⸢ラカー⸣ギ [ʧu⸢rakaː⸣gi] 名 美人。美女。美貌。沖縄本島方言からの借用語。「清ら」からの転訛。ス⸢ラカー⸣ギ[su⸢rakaː⸣gi](美人)<老年層>ともいう。ア⸢バリミドゥ⸣ム[ʔa⸢barimidu⸣mu](美女{EOS}「あはれ女」の転訛)というのが伝統的鳩間方言である。 ウ⸢ヌ プソー デージ⸣ナ チュ⸢ラカー⸣ギツォー [ʔu⸢nu pu̥soː deːʤi⸣na ʧu⸢rakaː⸣giʦoː] (あの人は大変な美人だそうだ) 10332 0 0 9822 htmvoc_10332.wav チュラムニ チュ⸢ラ⸣ムニ [ʧu⸢ra⸣muni] 名 甘い言葉。巧言。 チュ⸢ラ⸣ムニ ⸢スー プソー キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʧu⸢ra⸣muni ⸢suː⸣ pu̥⸢soː kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (甘い言葉を使う人には気をつけなさい) 10333 0 0 9823 htmvoc_10333.wav チョー ⸣チョー [⸣ʧoː] 名 ちょう(疔)。皮膚や皮下組織にできる悪性の腫れ物。激痛と急に化膿するのが特徴といわれている。手遅れになると命取りになるという。 ⸣ムムナール ⸢チョー⸣ヌ ⸣ンジティ ⸢アガヨーアガヨー⸣シ タ⸢キ⸣リ ⸢ベー [⸣mumunaːru ⸢ʧoː⸣nu ⸣ʔnʤiti ʔa⸢gajoːʔagajoː⸣ʃi tḁ⸢ki⸣ri ⸣beː] (腿に疔が出来て<出てきて>、痛い痛いと唸って<哮って{EOS}「咆哮、タケル、サケフ、ホユ」『類聚名義抄』>いる) 10334 0 0 9824 htmvoc_10334.wav チョー ⸣チョー [⸣ʧoː] 助数 ちょう(挺)。丁。砂糖樽を数える助数詞。 ク⸢トゥシェー⸣ サター ⸢ナン⸣チョーブカラ ン⸢ジ⸣ルカヤー [ku̥⸢tuʃeː⸣ sḁtaː ⸢nan⸣ʧoːbukara ʔn⸢ʤi⸣rukajaː] (今年は、砂糖は何丁ほど生産される<出る>かなあ)。 ⸢イッ⸣チョー [⸢ʔit⸣ʧoː] (一丁)。 ⸣ニチョー [⸣niʧoː] (二丁)。 ⸢サン⸣チョー [⸢san⸣ʧoː] (三丁)。 ⸢ヨンチョー [⸢jonʧoː] (四丁)。 グ⸢チョー [gu⸢ʧoː] (五丁)。 ル⸢ク⸣チョー [ru⸢ku⸣ʧoː] (六丁)。 ナ⸢ナ⸣チョー [na⸢na⸣ʧoː] (七丁)。 ⸢ハッ⸣チョー [⸢hat⸣ʧoː] (八丁)。 ⸢キューチョー [⸢kjuːʧoː] (九丁)。 ⸣ジッチョー [⸣ʤitʧoː] (十丁) 10335 0 0 9825 htmvoc_10335.wav チョーアンザーテー ⸢チョーアンザーテー [⸢ʧoːanʣaːteː] 名 屋号。大浜長安氏宅。名前の⸢チョーアン[⸢ʧoːaŋ](長安)に、⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄さん)が下接し、更に接尾語⸢テー[⸢teː](~の家)が付いた合成語 10336 0 0 9826 htmvoc_10336.wav チョーウティ ⸢チョー⸣ウティ [⸢ʧoː⸣ʔuti] 名 記帳漏れ。記録漏れ。「帳落ち」の義。 ⸢ソー⸣ラン ⸣シゥカイバー サ⸢ガラ⸣シ ⸢カーシェー⸣ムノー ムー⸢ル チョー⸣ウティ ⸢シー⸣ シケーティル ⸢サンミン⸣マー シ⸢ベー ホー⸣ヌ [⸢soː⸣ran ⸣si̥kaibaː sa⸢gara⸣ʃi ⸢kaːʃeː⸣ munoː muː⸢ru ʧoː⸣ʔuti ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːtiru ⸢sammim⸣maː ʃi⸢beː hoː⸣nu] (お盆用品の掛売りしたものは全部記帳漏れにして置いてあるので、収支決算が合わない<計算も帳尻が絞まらない{EOS}合わない>のだ) 10337 0 0 9827 htmvoc_10337.wav チョーチン ⸢チョー⸣チン [⸢ʧoː⸣ʧiŋ] 名 ちょうちん(提灯)。標準語からの借用語。お盆に仏壇に吊るして祖霊を迎えるのに用いた。日常生活で提灯を用いることはなかった。 ⸢チョーチン⸣マー ⸢ソー⸣ランナール トゥ⸢クニ⸣ カ⸢ザルンティル カイヨーッ⸣タ [⸢ʧoːʧim⸣maː ⸢soː⸣rannaːru tu̥⸢kuni⸣ ka⸢ʣaruntiru kaijoːt⸣ta] (提灯はお盆に仏壇を飾るために買われた)。 ウ⸢ブチョー⸣チン [ʔu⸢buʧoː⸣ʧiŋ] (大きな提灯)。チョーチン⸢ナー⸣マ[ʧoːʧin⸢naː⸣ma](小さな提灯)などがある。 ⸢ソーラン⸣ヌ ⸣ピンマー トゥ⸢クニ⸣ナー ⸢チョー⸣チン カ⸢ザローッ⸣タン [⸢soːran⸣nu ⸣pimmaː tu̥⸢kuni⸣naː ⸢ʧoː⸣ʧiŋ ka⸢ʣaroːt⸣taŋ] (お盆の時には仏壇に提灯を飾られたよ) 10338 0 0 9828 htmvoc_10338.wav チョーナ ⸢チョー⸣ナ [⸢ʦoː⸣na] 名 ちょうな(手斧)。斧で荒削りしたところを細かく削って平らかにする大工道具。平鑿を大きくした身に、直角に柄をつけた鍬形の斧。 ⸢ブー⸣ヌシ ア⸢ラ⸣キジ ⸢シーティ⸣ アトー ⸢チョー⸣ナシル ク⸢マークマー⸣ キゾーッタ⸣ル [⸢buː⸣nuʃi ʔa⸢ra⸣kiʤi ⸢ʃiːti⸣ ʔatoː ⸢ʧoː⸣naʃiru ku⸢makumaː⸣ ki⸢ʣoːtta⸣ru] (斧で荒削りして後に手斧で細かく削られたものだ) 10339 0 0 9829 htmvoc_10339.wav チョーナン ⸢チョーナン [⸢ʧoːnaŋ] 名 長男。サ⸢ク⸣シ[sḁ⸢ku⸣ʃi](嫡子)というのが普通である。 ⸢チョーナンヌ⸣ マ⸢レーン⸣ティ シ⸢キテル⸣ ウ⸢ヌス⸣ク サ⸢ニンケーリ オー⸣ル [⸢ʧoːnannu⸣ ma⸢reːn⸣ti ʃi̥⸢kitiru⸣ ʔu⸢nusu̥⸣ku sa⸢niŋkeːri ʔoː⸣ru] (長男が生まれたと聞いて、あんなに嬉しそうにしておられる) 10340 0 0 9830 htmvoc_10340.wav チョーヒーキンサ ⸢チョーヒーキン⸣サ [⸢ʧoːçiːkin⸣sa] 名 徴兵検査。 ム⸢カ⸣シェー ⸢チョヒーキン⸣サ ⸣ウキティル ⸢ピー⸣タイ ⸢サーリ⸣ パ⸢ラリ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʧoːçiːkin⸣sa ⸣ʔukitiru ⸢piː⸣tai ⸢saːri⸣ pa⸢rari⸣taʦoː] (昔は徴兵検査を受けて兵隊に連れて行かれたそうだ) 10341 0 0 9831 htmvoc_10341.wav チョーミー ⸢チョーミー [⸢ʧoːmiː] 名 長命。長寿。⸢チョーミガフー[⸢ʧoːmigaɸuː](長寿の果報、幸運)ともいう。 ⸢チョーミ⸣ シ⸢キ⸣ルンティ ⸣ウムーカー ⸣ドゥーアタラサ ⸢シー⸠ヨー [⸢ʧoːmiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣runti ⸣ʔumuːkaː ⸣duːʔatarasa ⸢ʃiː⸠joː] (長寿を全うしようと思ったら体を大切に<胴可惜しさ>しなさいよ) 10342 0 0 9832 htmvoc_10342.wav チョーミーシキルン ⸢チョーミー⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢ʧoːmiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 長生きする。長寿を全うする。⸢チョーミー⸣ スクン[⸢ʧoːmiː⸣ su̥kuŋ](長生きする{EOS}長寿を全うする<長寿付く>)ともいう。 フ⸢チン⸣パーン サ⸢クナン⸣ ヌーンクイ ⸣ヤサイ ッ⸢ふァイバル チョーミー⸣ シ⸢キラ⸣リティ⸢ダー [ɸu̥⸢ʧim⸣paːn sḁ⸢kunan⸣ nuːŋkui ⸣jasai f⸢faibaru ʧoːmiː⸣ ʃi̥⸢kira⸣riti⸢daː] (よもぎ<蓬>もボタンニンジン<長命草>も何もかも野菜を食べたら<ぞ>長生きできる<長寿を全うする{EOS}長寿付けられる>そうだよ) 10343 0 0 9833 htmvoc_10343.wav チョーミン ⸢チョーミン [⸢ʧoːmiŋ] 名 帳面。 ⸢バシキランドー⸣シ ⸢チョーミン⸣ナー カ⸢キ⸣トゥミ シ⸢キ⸣リ [⸢baʃi̥kirandoː⸣ʃi ⸢ʧoːmin⸣naː kḁ⸢ki⸣tumi ʃi̥⸢ki⸣ri] (忘れないで帳面に書き留めておきなさい) 10344 0 1 9834 htmvoc_10344.wav チョーンドゥ チョー⸢ンドゥ [ʧoː⸢ndu] 副 {Mn_1}ちょうど(丁度)。ぴったり。かっきり。ソー⸢ンドゥ[soː⸢ndu](丁度)<老年層>ともいう。 チョー⸢ンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣ジブンル イッ⸢ケナ スー⸣ヤ ⸣ピス [ʧoː⸢ndu⸣ ma⸢na⸣ma ⸣ʤibunru ʔik⸢kena suː⸣ja ⸣pi̥su] (丁度今頃が一番潮はひく<干る>)。 10344 0 2 9835 htmvoc_10344.wav チョーンドゥ チョー⸢ンドゥ [ʧoː⸢ndu] 副 {Mn_2}あたかも。さながら。 チョー⸢ンドゥ ワー⸣ カタチニ ピ⸢ニ モー⸣シ ⸢ベー⸣タ [ʧoː⸢ndu waː⸣ kḁtaʧini pi⸢ni moː⸣ʃi ⸢beː⸣ta] (丁度<さながら>君のように鬚を生やしていた) 10345 0 0 9836 htmvoc_10345.wav チョンチョンシ ⸢チョンチョン⸣シ [⸢ʧonʧoŋ⸣ʃi] 副 ポトポトと。液体が滴るさま。点々と。 ア⸢バ⸣バ ⸢チョンチョン⸣シ タ⸢ラ⸣シェーティ ⸣ムティ ⸢アー⸣ク [ʔa⸢ba⸣ba ⸢ʧonʧoŋ⸣ʃi ta⸢ra⸣ʃeːti ⸣muti ⸢ʔaː⸣ku] (油を点々と垂らして持っている<持ってあるく>) 10346 0 0 9837 htmvoc_10346.wav チリチリー チ⸢リ⸣チリー [ʧi⸢ri⸣ʧiriː] 名 豚肉や猪肉、山羊肉のすき焼き。沖縄本島方言からの借用語。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ⸢オー⸣ヌ チ⸢リ⸣チリー ⸢シー⸣ ッ⸢ふァーサ⸣ナー [ma⸢rukeːti⸣naː ⸢ʔoː⸣nu ʧi⸢ri⸣ʧiriː ⸢ʃiː⸣ f⸢faːsa⸣naː] (久々に<偶に{EOS}非常に稀に>豚肉のすき焼きしをして食べさせようね) 10347 0 0 9838 htmvoc_10347.wav チリチリーナビ チ⸢リチリー⸣ナビ [ʧi⸢riʧiriː⸣ nabi] 名 すき焼き鍋のこと。豚肉などをすき焼きにする鍋。鳩間島の一般家庭では普通の汁鍋を利用してチリチリー料理を作っていた 10348 0 0 9839 htmvoc_10348.wav チリナキ チ⸢リナキ [ʧi⸢rinaki] 名 夜明け前に鶏が一斉に鳴くこと。⸢サンバン⸣ドゥル[⸢samban⸣duru](三番鶏鳴)の次に一斉に鳴く鶏鳴。それが済むと白白と夜が明ける。「連れ鳴き」の転訛したもの。 トゥ⸢ルヌ⸣ チ⸢リナキ スー⸣カー ⸢ユー⸣ワ ガ⸢リス [tu⸢runu⸣ ʧi⸢rinaki suː⸣kaː ⸢juː⸣wa ga⸢risu] (鶏が連れ鳴きすると夜は明ける) 10349 0 0 9840 htmvoc_10349.wav チリブドゥル チ⸢リブドゥル [ʧi⸢ribuduru] 名 連れ舞。二人以上の者が一緒に舞うこと。またその舞。石垣島からの伝承という。鳩間島では祝儀の際に姉妹、兄弟が揃って舞い祝う事を美徳とする風習がある。 ブ⸢ナル⸣ ビ⸢キル⸣シ ⸢スー⸣ チ⸢リブドゥルヌ⸣ ウ⸢ムッ⸣サワ⸢ナー [bu⸢naru⸣ bi⸢kiru⸣ʃi ⸢suː⸣ ʧi⸢ribudurunu⸣ ʔu⸢mus⸣sawa⸢naː] (姉弟で踊る連れ舞の面白いことよ<面白いねえ>) 10350 0 0 9841 htmvoc_10350.wav チリブニ チ⸢リブニ [ʧi⸢ribuni] 名 ともぶね(伴舟)。「連れ舟」の義。 イ⸢ガメーフネー⸣ シンタヌ ⸢ピーヌ⸣クシェーラ グ⸢ルクスー⸣ナー チ⸢リブニバ シール⸣ イ⸢ガー ホー⸣ソーッタ [ʔi⸢gameːɸuneː⸣ ʃintanu ⸢piːnu⸣ku̥ʃeːra gu⸢rukusuː⸣naː ʧi⸢ribuniba ʃiːru⸣ ʔi⸢gaː hoː⸣soːtta] (烏賊漁の舟は島の後ろの干瀬の沖の海から五、六艘ずつ伴船<連れ舟>をしながら、烏賊を釣られたものである) 10352 0 0 9842 htmvoc_10352.wav チリルン チ⸢リルン [ʧi⸢riruŋ] 自動 散る。腫れ物が化膿しないで治る。腫れ物が化膿しないで腫れが退く。 ドゥ⸢ガイ⸣ヌ ⸢パー⸣ パギティ ア⸢シ⸣ブナー シ⸢ビシキ⸣ スクカー ア⸢シ⸣ボー チ⸢リルンティ⸣ シ⸢タヌ フン⸣トー チ⸢リナーン⸣ボー⸣エー [du⸢gai⸣nu ⸢paː⸣ pagiti ʔa⸢ʃi⸣bunaː ʃi⸢biʃi̥ki⸣ su̥kukaː ʔa⸢ʃi⸣boː ʧi⸢rirunti⸣ ʃi̥⸢tanu ɸun⸣toː ʧi⸢rinaːm⸣boːjeː] (アロエ<蘆薈>の葉を剥いで、あせも<汗疹>にくっつけておくと汗疹は腫れが退くといったが、本当に腫れが退いてしまったよ)。 ウ⸢リカーニ⸣シェー チ⸢リランダー⸣ ビ⸢チ⸣ヌ フ⸢チ⸣ルン ⸢ヌーリティ⸣ チ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢rikaːni⸣ʃeː ʧi⸢rirandaː⸣ bi⸢ʧi⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣run ⸢nuːriti⸣ ʧi⸢raʃeː⸣ misamunu] (それだけでは腫れが退かないから、別の薬も塗って腫れを退かせばよいのに)。 ⸣アトーケー チ⸢リル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ マ⸢ナ⸣マ フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーレー⸣チバ ⸢パー⸣ク チ⸢リレー⸣ ミサムヌ [⸣ʔatoːkeː ʧi⸢riru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu ma⸢na⸣ma ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːreː⸣ʧiba ⸢paː⸣ku ʧi⸢rireː⸣ misamunu] (後になってお出来の腫れが退くことはない{EOS}今薬を塗ったから、早く腫れが退けばよいのに) 10351 0 0 9843 htmvoc_10351.wav チル チ⸢ル [ʧi⸢ru] 名 (動)鶴。歌謡の中でよく用いられるが日常会話ではあまり使用しない。石垣方言からの借用語か。 チ⸢ルカミヌ⸣ カ⸢キジク⸣バ ⸢ザー⸣トゥクナー ⸣カキ シ⸢キ⸣ルカー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣アンツォー [ʧi⸢rukaminu⸣ kḁ⸢kiʤiku⸣ba ⸢ʣaː⸣tukunaː ⸣kḁki ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʔik⸢kena⸣ ka⸢rui⸣ nu ⸣ʔanʦoː] (鶴亀の掛軸を床の間に掛けておくと非常に嘉例<長寿延命{EOS}目出度いこと>があるそうだ) 10353 0 0 9844 htmvoc_10353.wav チルカミブシ チ⸢ルカミブシ [ʧi⸢rukamibuʃi] 名 鶴亀節。祝いの座で歌い踊られる節歌。石垣島の古典民謡で、⸢赤馬節、鷲ヌ鳥節」と共に鳩間島にも伝えられた。祝儀の歌謡として、パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡{EOS}鳩間節)の次に歌い踊られている。 チ⸢ルカミブシェー ヨイ⸣ヌ ⸣ウタティ ア⸢ザリブー [ʧi⸢rukamibuʃeː joi⸣nu ⸣ʔutati ʔa⸢ʣari buː] (鶴亀節は祝いの歌といわれている) 10354 0 0 9845 htmvoc_10354.wav チン ⸣チン [⸣ʧiŋ] 名 賃。代金。 ⸢ヤー⸣チン [⸢jaː⸣ʧiŋ] (家賃)。 ⸢ウンチン [⸢ʔunʧiŋ] (運賃)。 フ⸢ナ⸣チン [ɸu⸢na⸣ʧiŋ] (船賃)。 ティ⸢マ⸣チン [ti⸢ma⸣ʧiŋ] (報酬{EOS}手間賃)。 パ⸢トゥ⸣マーラ イ⸢サナケーバーキ⸣ヌ フ⸢ナチン⸣マー ⸢ギュー⸣サヤー [pḁ⸢tu⸣maːra ʔi⸢sanakeːbaːki⸣nu ɸu⸢naʧim⸣maː ⸢gjuː⸣sajaː] (鳩間から石垣までの船賃はいくらか) 10355 0 0 9846 htmvoc_10355.wav チン ⸢チン [⸢ʧiŋ] 接尾 ~の内に。一定の時間内を表す。 マ⸢ナマン⸣チンナー ⸣パリバ [ma⸢naman⸣ʧinnaː pariba] (今の内に行きなさいよ)。 マナ⸢マンチン⸣ ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジキー ⸢トー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [mana⸢manʧin⸣ ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤikiː ⸢toː⸣ri ⸢naː⸣nu] (急に<今の内に>熱が出てきて倒れてしまった) 10356 0 0 9847 htmvoc_10356.wav チン ⸢チン [⸢ʧiŋ] 接尾 粒。個。「粒」の訛語。 ⸢マイシジ ピッ⸣チン プ⸢サイ⸣バ [⸢maiʃiʤi pit⸣ʧim pu̥⸢sai⸣ba] (米粒を一粒拾え)。 フ⸢タッチン [ɸu̥⸢tatʧiŋ] (二粒)。 ⸢ミッチン [⸢mitʧiŋ] (三粒)。 ⸢ユッチィン [⸢jutʧiŋ] (四粒)。 イ⸢チッ⸣チン [ʔi⸢ʧit⸣ʧiŋ] (五粒) 10357 0 0 9848 htmvoc_10357.wav チンチ ⸢チン⸣チ [⸢ʧin⸣ʧi] 名 つば(唾)。唾液。「液、小児口所\kaeriten{㆑}出汁也、豆波木(つはき)」『新撰字鏡』の転訛したものか。 ⸢チン⸣チ ⸣パクン [⸢ʧin⸣ʧi ⸣pḁkuŋ] (唾を吐く)。 ⸢チン⸣チ ⸢ヌン⸣クン [⸢ʧin⸣ʧi ⸢nuŋ⸣kuŋ] (唾を飲み込む) 10358 0 0 9849 htmvoc_10358.wav チンチヌンツァースン ⸢チン⸣チ ⸢ヌン⸣ツァー ⸢スン [⸢ʧin⸣ʧi ⸢nun⸣ʦaː ⸢suŋ] 連 唾を呑み込んで喉が詰まって息苦しくなる。\ruby{噎}{ム}せ返る。 ⸢チンチ⸣バ ユ⸢クヌドー⸣ ウ⸢タシ⸣ティ ⸢チン⸣チ ⸢ヌン⸣ツァー ⸢シーベー [⸢ʧinʧi⸣ba ju⸢kunudoː⸣ ʔu⸢taʃi̥⸣ti ⸢ʧin⸣ʧi ⸢nun⸣ʦaː ⸢ʃiːbeː] (唾を別の喉<気管>に落として、喉を詰まらせてむせかえって<噎せ返って>いる) 10359 0 0 9850 htmvoc_10359.wav チンチン ⸣チンチン [⸣ʧinʧiŋ] 名 (動)ひばり(雲雀)(若年層)。⸣ガザフケー[⸣gaʣaɸukeː](ひばり<雲雀>)(老年層)というのが普通。 ⸣チンチンマー ⸢ウイプスンケー⸣ヤー ⸣ガザフケーティル ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸣ʧinʧimmaː ⸢ʔuipu̥suŋkeː⸣jaː ⸣gaʣaɸu̥keːtiru ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (雲雀は、お年寄りたちは「ガザフケー」とおっしゃったよ) 10360 0 0 9851 htmvoc_10360.wav チンビン ⸢チン⸣ビン [⸢ʧim⸣biŋ] 名 ⸢ウンヌ⸣クジ [⸢ʔunnu⸣kuʤi] (芋のくずこ<葛粉{EOS}でんぷん>やミ⸢リキン⸣グ{SqBr}mi⸢rikiŋ⸣gu{/SqBr}(メリケン粉)を水でとき、卵と黒砂糖を混ぜてこねたものを、薄くひいた油で焼き、くるくる巻いて約15センチの棒状に整形したもの)。沖縄本島方言からの借用語。 ⸢チンビンバ⸣ル イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー ソーッ⸣タ [⸢ʧimbimba⸣ru ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː soːt⸣ta] (チンビンを非常に美味しいといって好まれた<美味しくされた>) 10557 0 0 9852 htmvoc_10557.wav ツァン ⸣ツァン [⸣ʦaŋ] 係助 ~だに、~だにも、~さえ。~さえも。~すら、~すらも、の義。可能性のある最小限のものを示し、他のものごとを暗示する意。係助詞の⸢-ン[⸢-ŋ](も)を介して体言や活用語の連用形に付く際、動詞や名詞の語尾が連母音の場合は、⸢ヤンツァン[⸢janʦaŋ]、その他の場合は⸢ンツァン[⸢nʦaŋ]となり、文末の打ち消し表現と呼応して用いられることが多い。 ク⸢リンツァン⸣ ユ⸢ミユーサ⸣ヌ [ku⸢rinʦaɲ⸣ ju⸢mijuːsa⸣nu] (これすらも読めない)。 ヤ⸢ラ⸣ビンツァン ッ⸢シ ブームヌ⸣ ッ⸢サン⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [ja⸢ra⸣binʦaŋ ʃ⸢ʃi buːmunu⸣ s⸢saŋ⸣ ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (子供ですら知っているものを、知らないことがあるものか)。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢カ⸣ バ⸢ライヤンツァン⸣ サ⸢ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢ka⸣ ba⸢raijanʦan⸣ sa⸢nu] (彼は決して笑いすらもしない)。 ウ⸢レー⸣ キーンツァン サ⸢ヌ [ʔu⸢reː⸣ kiːnʦan sa⸢nu] (彼は来すらも<来もだに>しない)。 ⸣サーンツァン ⸣ヌミティル シ⸢グトー⸣ サ⸢リル [⸣saːnʦan ⸣numitiru ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢riru] (お茶でも<だにも>飲んで<ぞ>仕事はされる)。 ⸢ワー タン⸣ガーンツァン ⸣キー ッ⸢ふィール⸣カ⸢ツォー [⸢waː taŋ⸣gaːnʦaŋ ⸣kiː f⸢fiːru⸣ka⸢ʦoː] (君だけ<一人>でも来てくれたらなあ) 10362 0 1 9853 htmvoc_10362.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 {Mn_1}~だってば。用言の終止形、体言について上昇音調を示す。念押し強調。 ク⸢レー⸣ フニ⸢ツォー [ku⸢reː⸣ ɸuni⸢ʦoː] (これは船だってば<船なんだよ>)。 ⸢バン⸣ヌン パルン⸢ツォー [⸢ban⸣num parun⸢ʦoː] (私も行くってば)。 イッ⸢ケン ⸢カイ⸣ヤン⸢ツォー [ʔik⸢keŋ kai⸣jan⸢ʦoː] (非常に美しいんだよ)。 10362 0 2 9854 htmvoc_10362.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 {Mn_2}~だそうだ。伝聞。⸢トゥ⸣ツォー[⸢tu⸣ʦoː](~というそうな{EOS}<丁寧表現>)の転訛した形。 ム⸢カ⸣シ ⸣アルン ⸢トン⸣ナー アブ⸢ジェーマ⸣トゥ アー⸢パーマ⸣ヌ ⸢オーッ⸣タン⸢トゥ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔarun ⸢ton⸣naː ʔabu⸢ʤeːma⸣tu ʔaː⸢paːma⸣nu ⸢ʔoːt⸣tan⸢tu⸣ʦoː] (昔々ある所におじいさんとおばあさんがおられたそうな)。 カ⸢リン⸣ パルンツォー [ka⸢rim⸣ parunʦoː] (彼も行くそうだ)。 イッ⸢ケナ カイ⸣ヤンツォー [ʔik⸢kena kai⸣janʦoː] (非常に美しいそうだ)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スル⸣ カ⸢リヌ⸣ シザツォー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢suru⸣ ka⸢rinu⸣ ʃiʣaʦoː] (この人が彼の兄さんだそうだ) 10558 0 0 9855 htmvoc_10558.wav ツォー ⸣ツォー [⸣ʦoː] 終助 ~そうだ。~ってさ。文末にあって文を完結させ、伝聞の意を表す。体言および用言の終止形、連体形につく。低平調のアクセント。 10558 0 0 9856 htmvoc_10558.wav ツォー ⸣ツォー [⸣ʦoː] 終助 {Exp_1}動詞の終止形につく。 シ⸢マ⸣ナーティ パ⸢タラクン⸣ツォー [ʃi⸢ma⸣naːti pḁ⸢tarakun⸣ʦoː] (島で働くそうだ{EOS}~働くって)。 10558 0 0 9857 htmvoc_10558.wav ツォー ⸣ツォー [⸣ʦoː] 終助 {Exp_2}形容詞の終止形につく。 ⸢ダイヤー⸣ イッ⸢ケナ⸣ タ⸢カーン⸣ツォー [⸢daijaː⸣ ʔik⸢kena⸣ tḁ⸢kaːn⸣ʦoː] (値段は非常に高いそうだ)。 10558 0 0 9858 htmvoc_10558.wav ツォー ⸣ツォー [⸣ʦoː] 終助 {Exp_3}体言につく。 ⸣カマーナ ミ⸢ラ⸣リ ⸣ムノー トゥ⸢ルマキ⸣ツォー [⸣kamaːna mi⸢ra⸣ri ⸣munoː tu⸢rumaki⸣ʦoː] (あそこに見える<見られる>ものはカツオの鳥巻き<カツオの魚群の目印となるウミネコ鳥の群れ>だそうだ)。 10558 0 0 9859 htmvoc_10558.wav ツォー ⸣ツォー [⸣ʦoː] 終助 {Exp_4}動詞の連体形につく。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢タンガ⸣シル パ⸢タラク⸣ツォー [⸢kjuː⸣ja ⸢taŋga⸣ʃiru pḁ⸢taraku⸣ʦoː] (今日は一人で<ぞ>働くそうだ)。 10558 0 0 9860 htmvoc_10558.wav ツォー ⸣ツォー [⸣ʦoː] 終助 {Exp_5}形容詞の連体形につく。 ク⸢レー⸣ラン カ⸢リル⸣ タ⸢カー⸣ツォー [ku⸢reː⸣raŋ ka⸢riru⸣ tḁ⸢kaː⸣ʦoː] (これよりもあれが値段は高いそうだ)。 10558 0 0 9861 htmvoc_10558.wav ツォー ⸣ツォー [⸣ʦoː] 終助 {Exp_6}動詞の已然形について、過去の事実の伝聞を表す。 ウ⸢リル⸣ ⸣カケーツォー [ʔu⸢riru⸣ kakeːʦoː] (彼が書いたそうだ)。 10558 0 7 9862 htmvoc_10558.wav ツォー ⸣ツォー [⸣ʦoː] 終助 {Mn_7}助動詞⸣タン[⸣-tan](~た{EOS}「たり」の転訛したもの)の終止形、連体形につく。 ⸢ウン⸣ネナー ⸢ゲー⸣タンツォー [⸢ʔun⸣nenaː ⸢geː⸣tanʦoː] (あの家に行ったことがあるそうだ)。 ウ⸢レー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ル シ⸢タ⸣ツォー [ʔu⸢reː⸣ ja⸢rabi⸣ru ʃi̥⸢ta⸣ʦoː] (それは子供がしたそうだ) 10559 0 0 9863 htmvoc_10559.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 ~だよ。~ってば。~ですよ。文末にあって文を完結させ、断定、念押し、確認の意を表す。体言および用言の終止形、連体形につく。 10559 0 0 9864 htmvoc_10559.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 {Exp_1}(イ)、高平調アクセント動詞や形容詞の終止形につく際、文末アクセントは二分の一降下する(完全に降下すると「伝聞」の意味になる)が、(ロ)、低平調アクセント動詞や形容詞の終止形に付く際は、高平調のアクセントになる。 ⸢バン⸣ヌン ⸢マーズン⸣ パ⸢タラクン⸠ツォー [⸢ban⸣num maː⸢ʣum⸣ pḁ⸢tarakun⸠ʦoː] (私も一緒に働くよ)。 ク⸢レー⸣ バー カクン⸢ツォー [ku⸢reː⸣ baː kḁkun⸢ʦoː] (これは私が書くってば)。 10559 0 0 9865 htmvoc_10559.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 {Exp_2}形容詞の終止形につく。 ⸢クイ⸣ユン タ⸢カーン⸠ツォー [⸢kui⸣jun tḁ⸢kaːn⸠ʦoː] (声も高いよ)。 プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ミサン⸢ツォー [pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ misan⸢ʦoː] (人柄は非常に良いんだよ<良いってば>)。 10559 0 0 9866 htmvoc_10559.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 {Exp_3}名詞につく。 ⸣カナー ミ⸢ラ⸣リムノー フニ⸢ツォー⸣ トゥ⸢ルマケー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣kanaː mi⸢ra⸣ri ⸣munoː ɸuni⸢ʦoː⸣ tu⸢rumakeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (あそこに見えるのは船だよ<船だってば>、カツオの鳥巻きではない)。 10559 0 0 9867 htmvoc_10559.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 {Exp_4}動詞の連体形につく。アクセントはやや降下する(降下型アクセントの約五割程度{EOS}完全に降下すると「伝聞」の意味になる)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢バー⸣ル パ⸢タラク⸠ツォー{EOS}⸢ワーヤ クーン⸣タンティン ミサン [⸢kjuː⸣ja ⸢baː⸣ru pḁ⸢taraku⸠ʦoː{EOS}⸢waːja kuːn⸣tanitim ⸣misaŋ] (今日は私が働くよ<働くってば>{EOS}君は来なくてもいいよ)。 10559 0 0 9868 htmvoc_10559.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 {Exp_5}形容詞の連体形につく。 ⸣バーラン ⸢ワール⸣ タ⸢カー⸠ツォー [⸣baːraŋ ⸢waːru⸣ tḁ⸢kaː⸠ʦoː] (私よりも君が背は高いよ<高いってば>)。 ⸣シザーラン ⸢ウシトゥ⸣ル ⸢カイ⸣ヤ⸢ツォー [⸣ʃiʣaːraŋ ⸢ʔuʃi̥tu⸣ru ⸢kai⸣ja⸠ʦoː(中高ア)] (姉よりも妹が美しいよ<美しいってば>)。 10559 0 0 9869 htmvoc_10559.wav ツォー ⸢ツォー [⸢ʦoː] 終助 {Exp_6}動詞の已然形に付いて、過去の事実の念押し、確認の意を表す。 ク⸢レー バー⸣ル カケー⸢ツォー [ku⸢reː baː⸣ru kakeː⸢ʦoː(中高ア)] (これは私が書いたんだよ<書いたってば>) 5903 0 0 9870 htmvoc_5903.wav ックビ ッ⸣クビ [k⸣kubi] 接尾 ちゃく(着)。着物や洋服を数える単位。 ⸣キン プ⸢スッ⸣クビ ⸢サースン [⸣kim pu̥⸢suk⸣kubi ⸢saːsuŋ] (着物一着仕立てる)。 フ⸢タックビ [ɸu̥⸢takkubi] (二着)。 ⸢ミックビ [⸢mikkubi] (三着)。 ⸢ユックビ [⸢jukkubi] (四着)。 イ⸢チッ⸣クビ [ʔi⸢ʧik⸣kubi] (五着)。 ⸢ムックビ [⸢mukkubi] (六着)。 ナ⸢ナッ⸣クビ [na⸢nak⸣kubi] (七着)。 ⸢ヤックビ [⸢jakkubi] (八着)。 ク⸢ヌッ⸣クビ [ku⸢nuk⸣kubi] (九着)。 ⸢トゥックビ [⸢tukkubi] (十着)。 ⸣キン プ⸢スッ⸣クビシェー ⸢ピーヤ⸣ル [kim pu̥⸢suk⸣kubiʃeː ⸢piːja⸣ru] (着物一着では寒い) 10361 0 0 9871 htmvoc_10361.wav ックビ ⸣ックビ [⸣kkubi] 接尾 着。衣服を数える語。 プ⸢スッ⸣クビ [pu̥⸢suk⸣kubi] (一着)。 フ⸢タックビ [ɸu̥⸢takkubi] (二着)。 キ⸢ス キン⸣マー シン⸢トゥ⸣ プ⸢スックビ⸣ル ⸣アル [ki̥⸢su kim⸣maː ʃin⸢tu⸣ pu̥⸢sukkubi⸣ru ⸣ʔaru] (着る着物はたった一着しかない<一着ぞある>) 10365 0 1 9872 htmvoc_10365.wav ッサ ⸣ッサ [⸣ssa] 名 {Mn_1}草。雑草。「~我が見る小野の久佐な刈りそね。万、4457」の義。[kusa] → [fu̥sa] → [ssa] のように無声化による逆行同化によって音韻変化したもの。 ⸣ッサ ⸢ソールン [⸣ssa ⸢soːruŋ] (草取りをする<草をさくる{EOS}\ruby{刳}{サク}る>)。 10365 0 2 9873 htmvoc_10365.wav ッサ ⸣ッサ [⸣ssa] 名 {Mn_2}まぐさ。 ピ⸢ビザヌ⸣ ッサ カ⸢リン パッ⸣タ [pi⸢biʣanu⸣ ssa ka⸢rim pat⸣ta] (山羊の草<まぐさ>を刈りに行った)。 ウ⸢シヌ⸣ ッサ [ʔu⸢ʃinu⸣ ssa] (牛の草<まぐさ>) 10366 0 1 9874 htmvoc_10366.wav ッサ ッ⸢サ [s⸢sa] 接頭 {Mn_1}しら(白)。形容詞「白い」の語幹。 ッ⸢サ⸣ミジ [s⸢sa⸣miʤi] (白水、地名)。 ⸣ッサイ [⸣ssai] (白髪)。 ⸣ッサブ [⸣ssabu] (白保村)。 10366 0 2 9875 htmvoc_10366.wav ッサ ッ⸢サ [s⸢sa] 接頭 {Mn_2}語に冠して程度が小さい、薄い、小馬鹿にする、の意を表す。 ッ⸢サ⸣バライ ⸢シー⸣ ナー⸢イ バイ⸣ヨ ⸣ミリ ⸢ベー [s⸢sa⸣barai ⸢ʃiː⸣ naː⸢i bai⸣jo ⸣miri ⸢beː] (薄笑いをうかべて<薄笑いをして>じっと私を見ている) 10367 0 0 9876 htmvoc_10367.wav ッサーウイ ッ⸢サーウイ [s⸢saːʔui] 名 逆さま。逆。「下は上」の義。サ⸢カバラーウイ[sa⸢kabaraːʔui](逆さま)ともいう。 ⸢ワー ッサーコー⸣ ッ⸢サーウイ⸣ ナリティ ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː⸣s⸢saːkoː⸣ s⸢saːui⸣ nariti ⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (君の仕事は逆さまになって駄目だ<養生できない{EOS}役に立たない>) 10374 0 0 9877 htmvoc_10374.wav ッサーウイナルン ッ⸢サーウイ⸣ ナルン [s⸢saːʔui⸣ naruŋ] 連 逆転する。ひっくり返る。「下は上になる」の義。 ウ⸢ヤ⸣キプス ⸢ヤッタヌ ピン⸣ソー ナ⸢ル⸣ター ッ⸢サーウイ⸣ ナリ プ⸢スン⸣ シゥ⸢カーリ ベー [ʔu⸢ja⸣kipu̥su ⸢jattanu pin⸣soː na⸢ru⸣taː s⸢saːʔui⸣ nari pu̥⸢sun⸣ si̥⸢kaːri beː] (金持ちだったが、貧乏になったら逆転して他人に使われている) 10368 0 0 9878 htmvoc_10368.wav ッサーキルン ッ⸢サーキ⸣ルン [s⸢saːki⸣ruŋ] 自動 夜が白白とあける。夜が次第に明けて薄明るくなる<白む>。白白と明ける。「白明ける」の義か。 ナ⸢チェー ユー⸣ヌ ッ⸢サーキ⸣ル ジ⸢ブン⸣ラ パ⸢タ⸣ケー ⸢オーリ⸣ソーッタ [na⸢ʧeː juː⸣nu s⸢saːki⸣ru ʤi⸢bun⸣ra pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔoːri⸣soːtta] (夏は夜が薄明るくなる時分から畑へ行かれた)。 ⸢サンバンドゥル⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ⸢ユー⸣ヤ ッ⸢サーキ⸣ルンダ ⸢ユー⸣ヌ ッ⸢サーキラン⸣ケン パリ⸢ヨー [⸢sambanduru⸣nu na⸢ku⸣kaː ⸢juː⸣ja s⸢saːki⸣rundaː ⸢juː⸣nu s⸢saːkiraŋ⸣kem pari⸢joː] (三番鶏が鳴くと夜は薄明るくなるから、夜が薄明るくならないうちに行きなさいねえ) 6658 0 0 9879 htmvoc_6658.wav ッサーク ッ⸢サー⸣ク [s⸢saː⸣ku] 名 咳。 ッ⸢サー⸣ク ⸢スン [s⸢saː⸣ku ⸢suŋ] (咳をする)。 プ⸢スユー⸣ヌ ⸣サートゥ ッ⸢サーク⸣バ ⸢シートゥーシ⸣ プ⸢スミー⸣ヤンツァン ニ⸢バランシェン⸣ツォー [pu̥⸢sujuː⸣nu ⸣saːtu s⸢saːku⸣ba ⸢ʃiːtuːʃi⸣ pu̥⸢sumiː⸣janʦan ni⸢baraŋʃen⸣ʦoː] (一晩中咳をし通して、一睡をだに出来なかった<一目すらだに眠れなかった>そうだ)。 ヤ⸢ナッサー⸣ク [ja⸢nassaː⸣ku] (性質の悪い咳{EOS}結核性の咳)。「咽、サクリ」『類聚名義抄』の転訛した語であろう。 ッ⸢サー⸣ク ⸢スン [s⸢saː⸣ku ⸢suŋ] (咳をする)。 カ⸢ラッサーク [ka⸢rassaːku] (痰のでない咳)。⸢シーラッサー⸣ク[⸢ʃiːrassaː⸣ku](冷え込みからくる咳)、ユ⸢ビッサーク[ju⸢bissaːku](喘息{EOS}ビービー喉を鳴らしながら、あえぎあえぎ咳き込むもの)などがある 6659 0 0 9880 htmvoc_6659.wav ッサーク ッ⸢サーク [s⸢saːku] 名 仕事。職業。職。 ⸢ワー ヌー⸣シ ⸢ブー⸣ ッ⸢サークバ <シ⸢グトゥバ> シーブワ [⸢waː nuː⸣ʃi ⸢buː⸣ s⸢saːkuba <ʃi⸢gutuba> ʃiːbuwa] (君はどんな仕事をしているのか)。ッ⸢サーフ[s⸢saːɸu](仕事)(老年層)ともいう。「支度」の転訛したものか。 ⸢ワー⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢ヌー⸣ヌ ッ⸢サークバ ⸢シーブワ [⸢waː⸣ ma⸢na⸣maː ⸢nuː⸣nu s⸢saːkuba ʃiːbuwa] (君は今どんな仕事をしているか) 10372 0 0 9881 htmvoc_10372.wav ッサーコーナーン ッ⸢サーコー ナー⸣ン [s⸢saːkoː naː⸣ŋ] 連 余計なこと。「仕事がない」が原義。やるべき仕事がないから「余計なこと」、「差し出がましい」、「でしゃばる」、「さしでる」の意。 ッ⸢サーコー ナー⸣ン ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ プ⸢スバ ザー⸣パイ シ⸢ミティ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [s⸢saːkoː naː⸣ŋ ku⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢suba ʣaː⸣pai ʃi⸢miti⸣ nuːja ʔu⸢reː] (余計なことをして、人さまに迷惑をかけて<厄介なことさせて>何だね、これは) 10426 0 1 9882 htmvoc_10426.wav ッサーッサー ッ⸢サーッサー [s⸢saːssaː] 副 {Mn_1}しらじら(白々)と。夜が次第に明けて白むさま。[ʃiraʃira](白々)→ [ssaːssaː](白々)/CV1rV2/のV1が狭母音の条件下で逆行同化したもの。 ッ⸢サーッサー⸣シ ⸢ユー⸣ヤ ガ⸢リ⸣ケーン [s⸢saːssaː⸣ʃi ⸢juː⸣ja ga⸢ri⸣keːŋ] (白々と夜が明けてきた)。 10426 0 2 9883 htmvoc_10426.wav ッサーッサー ッ⸢サーッサー [s⸢saːssaː] 副 {Mn_2}薄ぼんやりと。あまりはっきりしないさま。 ⸣アッパー シ⸢ラカタ⸣チェー ッ⸢サーッサー⸣シ ウ⸢ボー⸣リン [⸣ʔappaː ʃi⸢rakata⸣ʧeː s⸢saːssaː⸣ʃi ʔu⸢boː⸣riŋ] (御祖母さんの面影<顔形>はぼんやりと思い出される) 10373 0 0 9884 htmvoc_10373.wav ッサーッサーシ ッサーッ⸢サー⸣シ [ssaːs⸢saː⸣ʃi] 副 かすかに。ぼんやりと。\ruby{薄薄}{ウス|ウス}。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸣クトー ッサーッ⸢サー⸣シ ウ⸢ムイザサ⸣リン [mu⸢kaʃi⸣nu ⸣ku̥toː ssaːs⸢saː⸣ʃi ʔu⸢muiʣasa⸣riŋ] (昔のことはぼんやりと思い出される) 10415 0 0 9885 htmvoc_10415.wav ッサーフ ッ⸢サーフ [s⸢saːɸu] 名 仕事。職業。(老年層)。若年層は、ッ⸢サーク[s⸢saːku](仕事)ともいう。 ッ⸢サーフン<ッ⸢サークン> ナー⸣ムティ ⸢ヌー⸣ル ⸢スーテー ナー⸣ン ナー⸢イ⸣ ア⸢サビ ベー [s⸢saːɸun naː⸣muti ⸢nuː⸣ru ⸢suːteː naː⸣n naː⸢i⸣ ʔa⸢sabi beː] (仕事<職業>もなくて何をするとてもなく、ただ遊んでいる) 10375 0 0 9886 htmvoc_10375.wav ッサーラ ッ⸢サーラ [s⸢saːra] 名 下の方。 ⸢キー⸣ヌ ッ⸢サーラー⸣ラー ⸢ウイ ヌーリ⸣ パルン [⸢kiː⸣nu s⸢saːraː⸣raː ⸢ʔui nuːri⸣ paruŋ] (木の下から上に上っていく)。 ウ⸢レー⸣ ッ⸢サーラー⸣ ウ⸢ラ⸣シ [ʔu⸢reː⸣ s⸢saːraː⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi] (それは下へ降ろしなさい)。 ⸢キーヌッサー⸣ラー ピ⸢ラ⸣ケーバ ⸢キーヌッサーン⸣ナーティ ア⸢サビ [⸢kiːnussaː⸣raː pi⸢ra⸣keːba ⸢kiːnussaːn⸣naːti ʔa⸢sabi] (木の下は涼しいから木の下で遊びなさい) 10417 0 0 9887 htmvoc_10417.wav ッサーラシパン ッ⸢サーラシ⸣パン [s⸢saːraʃi⸣paŋ] 名 両足をぶら下げて縁側に座ること。「下げ足」の義。農民は余所の家を訪ねても普通は縁側に腰を掛けて話すのが良いとされていた。奥へ上がって話すのは老人か、怠け者がすることと教えられていた。 ⸣アイニ ッ⸢サーラシ⸣パン ⸢サンドー⸣シ ウ⸢チンター ペー⸣リ ⸣サー ⸣ヌミバ [⸣ʔaini s⸢saːraʃi⸣pan ⸢sandoː⸣ʃi ʔu⸢ʧintaː peː⸣ri ⸣saː ⸣numiba] (そんなに両足をぶら下げて座らないで、奥へ上がってゆっくりとお茶を飲みなさいよ) 10418 0 0 9888 htmvoc_10418.wav ッサーラスン ッ⸢サーラ⸣スン [s⸢saːra⸣suŋ] 他動 垂らす。ぶら下げる。吊るす。 ⸣シナ ッ⸢サーラ⸣シティ カ⸢サマスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ッ⸢サーラサラン⸣シェン [⸣ʃina s⸢saːra⸣ʃi̥ti kḁ⸢samasunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ s⸢saːrasaraŋ⸣ʃeŋ] (綱を垂らして捕まえさせようとしたが、垂らされなかった)。 ⸣シナ ッ⸢サーラ⸣スンティ ⸣ウムーカー ⸣クマーラ ッ⸢サーラ⸣スクトー ナルン [⸣ʃina s⸢saːra⸣sunti ⸣ʔumuːkaː ⸣kumaːra s⸢saːra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (綱を垂らそうと思うなら、ここから垂らすことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ッ⸢サーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin s⸢saːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと垂らせばいいのに)。 ッ⸢サーラ⸣シバ [s⸢saːra⸣ʃiba] (垂らしなさいよ) 10376 0 0 9889 htmvoc_10376.wav ッサーリカサーリ ッ⸢サーリカサーリ [s⸢saːrikasaːri] 副 塞ぎ妨げているさま。立ち塞がるさま。 プ⸢スヌ⸣ マンタナー ッ⸢サーリカサーリ サンドー⸣シ カ⸢シーカシー⸣ ビ⸢リティ⸣ ミリバ [pu̥⸢sunu⸣ mantanaː s⸢saːrikasaːri sandoː⸣ʃi kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ bi⸢riti⸣ miriba] (人の前に立ち塞がらないで、しっかり座って観なさいよ) 10377 0 0 9890 htmvoc_10377.wav ッサール ッ⸢サー⸣ル [s⸢saː⸣ru] 名 (動)シロアリ(白蟻)。シロアリ目の昆虫の総称。木材の中に巣食って家屋に大被害を与える。薪を竈にくべて煮炊きをしていた時はあまり発生しなかったが、石油コンロ、ガスコンロの時代に入って家屋の柱に発生するシロアリが増えたという。 カ⸢マチ⸣ナ タ⸢ム⸣ヌ ⸢モーサン ナッ⸣ター ッ⸢サール⸣ヌ シ⸢ディ⸣ルツォー [ka⸢maʧi⸣na ta⸢mu⸣nu ⸢moːsan nat⸣taː s⸢saːru⸣nu ʃi⸢di⸣ruʦoː] (竈に薪を燃やさないようになったのでシロアリが発生するようになったそうだ)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ヤーカー⸣ジ カ⸢マチ⸣ナー タ⸢ム⸣ヌ ⸢モースンダ⸣ ッ⸢サー⸣ロー ⸢ペーラン⸣シェンドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢コンロ⸣シル ⸢イー⸣ユン バ⸢カスンダ⸣ ッ⸢サール⸣ヌ ⸢ヌーリ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢jaːkaː⸣ʤi ka⸢maʧi⸣naː ta⸢mu⸣nu ⸢moːsunda⸣ s⸢saː⸣roː ⸢peːraŋ⸣ʃendu ma⸢na⸣maː ⸢konro⸣ʃiːru ⸢ʔiː⸣jum ba⸢kasunda⸣ s⸢saːru⸣nu ⸢nuːri⸣ na⸢ra⸣nu] (昔は家毎に竈で薪を燃やすから白蟻は入らなかったが、今はコンロでご飯も炊くから白蟻が家に上ってたまらない) 10378 0 0 9891 htmvoc_10378.wav ッサールン ッ⸢サー⸣ルン [s⸢saː⸣ruŋ] 自動 ぶら下がる。 ⸢キーヌ⸣ユダナー ッ⸢サー⸣ルンティ シ⸢タンドゥ⸣ ッ⸢サーララン⸣シェン [⸢kiːnu⸣judanaː s⸢saː⸣runti ʃi̥⸢tandu⸣ s⸢saːraraŋ⸣ʃeŋ] (木の枝にぶら下がろうとしたが、ぶら下がれなかった)。 ッ⸢サー⸣リ ⸣ミサカー ッ⸢サー⸣ルクトー ヤ⸢シ⸣ムヌ⸢ゲ⸣ラ [s⸢saː⸣ri ⸣misakaː s⸢saːru⸣ ku̥toː ja⸢ʃi⸣munu⸢ge⸣ra] (ぶら下がってよければ、ぶら下がることは簡単<容易いもの>さ)。 ッ⸢サー⸣レー ⸣ミサムヌ [s⸢saː⸣reː ⸣misamunu] (ぶら下がれば良いのに)。 ⸣クナー ッ⸢サー⸣リ [⸣kunaː s⸢saː⸣ri] (ここにぶら下がれ)。 ⸢キーヌ⸣ユダナ ッ⸢サー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ッ⸢サーラン⸣ドーシ ウ⸢ル⸣タ [⸢kiːnu⸣judana s⸢saː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du s⸢saːran⸣doːʃi ʔu⸢ru⸣ta] (木の枝にぶら下がろうと思ったが、ぶら下がらないで下りた)。 ⸣クナー ッ⸢サー⸣リ ⸣ミサカー ッ⸢サー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kunaː s⸢saː⸣ri ⸣misakaː s⸢saː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (ここにぶら下がってよければ、ぶら下がることはできる)。 ッ⸢サー⸣リバ [s⸢saː⸣riba] (ぶら下がれよ) 10379 0 0 9892 htmvoc_10379.wav ッサールン ッ⸢サールン [s⸢saːruŋ] 自動 塞がる。閉じる。「閉、フサガル」『類聚名義抄』の転訛したもの。 キ⸢ジェー ミッカ⸣シ フ⸢チ⸣ ッ⸢サールン [ki⸢ʤeː mikka⸣ʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saːruŋ] (傷は三日で口が塞がる)。 フ⸢チ⸣ ッ⸢サーリティ⸣ ムニ イ⸢ザヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saːriti⸣ muni ʔi⸢ʣanu] (口を閉じてものを言わない)。 フ⸢チ⸣ ッ⸢サーランドー⸣シ ⸣ムニン イ⸢ジ⸣バ [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saːrandoː⸣ʃi ⸣muniŋ ʔi⸢ʤiba] (口を閉じないでものも言いなさいよ)。 キ⸢ジェー⸣ フ⸢チ⸣ ッ⸢サーリ ナー⸣ヌ [ki⸢ʤeː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saːri naː⸣nu] (傷は口を閉じてしまった)。 キ⸢ジフチヌ⸣ ッ⸢サール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢ʤiɸuʧinu⸣ s⸢saːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (傷口が塞がることはない)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢サーレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku s⸢saːreː⸣ misamunu] (早く塞がればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢サーリ [⸢paː⸣ku s⸢saːri] (早く塞がれ)。 フ⸢チェー⸣ ッ⸢サールンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ウー⸣ミティ ッ⸢サーラヌ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ s⸢saːrunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʔuː⸣miti s⸢saːranu] (傷口は塞がると思うが、化膿して塞がらない)。 ッ⸢サーリ ヤッ⸣サン [s⸢saːri jas⸣saŋ] (塞がりやすい)。 ⸢ナンク⸣ル ッ⸢サール⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢naŋku⸣ru s⸢saːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (自然に口が塞がることはない)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢チ⸣ ッ⸢サーレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saːreː⸣ misamunu] (もっと口が塞がればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢サーリ [⸢paː⸣ku s⸢saːri] (早く塞がれ) 10380 0 0 9893 htmvoc_10380.wav ッサーン ッ⸢サー⸣ン [s⸢saː⸣ŋ] 形 \ruby{臭}{クサ}い。 カ⸢ザヌ⸣ ッ⸢サー⸣ン [ka⸢ʣanu⸣ s⸢saː⸣ŋ] (匂いが臭い)。 ッ⸢サー ナー⸣ヌ [s⸢saː naː⸣nu] (臭くない)。 カ⸢ザヌ⸣ ッ⸢サー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ka⸢ʣanu⸣ s⸢saː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (\ruby{匂}{ニオイ}が臭くてたまらない)。 シ⸢ンダイ⸣ ッ⸢サー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ s⸢saː⸣naruŋ] (次第に臭くなる)。 ッ⸢サー⸣ ムノー シ⸢ティリ [s⸢saː⸣ munoː ʃi̥⸢tiri] (臭い物は捨てれ)。 ⸢マー⸣ビン ッ⸢サー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin s⸢saː⸣kaː ⸣misamunu] (もっと臭ければいいのに) 10381 0 0 9894 htmvoc_10381.wav ッサイ ⸣ッサイ [⸣ssai] 名 白髪。「しらげ(白毛)」の転訛したもの。バ⸢カ⸣ッサイ[ba⸢ka⸣ssai](⸢若白髪」)の義。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢ヤッタンティン⸣ ッ⸢サイ⸣ヌ ⸢ムイ⸣ル プ⸢スン ブン⸣ダー [ja⸢ra⸣bi ⸢jattantin⸣ s⸢sai⸣nu ⸢mui⸣ru pu̥⸢sum bun⸣daː] (子供でも白髪の生える人がいるよ) 10382 0 0 9895 htmvoc_10382.wav ッサイクサイ ⸣ッサイクサイ [⸣ssaikusai] 名 米など穀物を精げて糠やあら<粗>を除去すること。精米すること。「精げ\ruby{拵}{コサ}え」の転訛。 ム⸢チマイヤー⸣ ッサイクサイ ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣リバ [mu⸢ʧimaijaː⸣ ssaikusai ⸢ʃiː ⸣ʃi̥⸢ki⸣riba] (糯米は精米しておきなさいよ) 10383 0 0 9896 htmvoc_10383.wav ッサイマイ ⸣ッサイマイ [⸣ssaimai] 名 白米。精白米。精白した米。⸢精米、ジャウマイ、精、シラゲ、共ニ白米」『文明本節用集』の義。 ⸣ッサイマイヤー ッ⸢ふァイキシ ナーン⸣バ マ⸢タ⸣ パ⸢マイ⸣ ッサイ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸣ssaimaija f⸢faikiʃi naːm⸣ba ma⸢ta⸣ pa⸢mai⸣ ssai ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (精白米は食べ尽くした<食べきって、もう無い>から食糧<飯米>用に精米して<搗き精げて>おきなさいねえ) 10384 0 0 9897 htmvoc_10384.wav ッサイルン ッ⸢サイ⸣ルン [s⸢sai⸣ruŋ] 他動 精げる。精米する。 ⸢マイ⸣ ッ⸢サイ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ヌ ⸢タンガ⸣シェー ッ⸢サイララ⸣ヌ [⸢mai⸣ s⸢sai⸣runti ⸢beː⸣nu ⸢taŋga⸣ʃeː s⸢sairara⸣nu] (米を精げようとしているが、一人では精げられない) 10385 0 0 9898 htmvoc_10385.wav ッサイルン ッ⸢サイルン [s⸢sairuŋ] 他動 塞ぐ。「塞げる」の義。 ⸣アナ ッ⸢サイルンティ スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ッ⸢サイララヌ [⸣ʔana s⸢sairunti sundu⸣ mut⸢tu⸣ s⸢sairaranu] (穴を塞ごうとするが、ちっとも塞がれない)。 ッ⸢サイル⸣ トンラ シ⸢ダキ⸣ ッ⸢サイリ [s⸢sairu⸣ tonra ʃi⸢daki⸣ s⸢sairi] (塞ぐところから先に塞げ)。 ッ⸢サイ ヤッ⸣サー ⸣トンラ ⸢パー⸣ク ッ⸢サイレー⸣<ッ⸢サイ⸣ヤー> ミサムヌ [s⸢sai jas⸣saː ⸣tonra ⸢paː⸣ku s⸢saireː⸣ misamunu] (塞ぎやすい所から早く塞げばよいのに)。 ク⸢ヌ⸣ アナー ッ⸢サイリ [ku⸢nu⸣ ʔanaː s⸢sairi] (この穴は塞げ) 10386 0 0 9899 htmvoc_10386.wav ッサイルン ッ⸢サイ⸣ルン [s⸢sai⸣ruŋ] 自動 血の気が失せて顔面蒼白になる。 ウ⸢ダラカ⸣スカー ⸣イロー ッ⸢サイ⸣ルンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ⸣イロー ッ⸢サイラン⸣シェン [ʔu⸢daraka⸣suka ⸣ʔiroː s⸢sai⸣runti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ⸣ʔiroː s⸢sairaŋ⸣ʃeŋ] (驚かしたら顔面蒼白になる<色は白む>と聞いたが、あまり顔面蒼白にならな<色は白まな>かった)。 ⸣イル ッ⸢サイ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ プ⸢スケン⸣マー<プ⸢スケンナー> ⸣イル ッ⸢サイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣ʔiru s⸢sai⸣ru ⸣kutoː ⸢naːnu⸣nu pu̥⸢sukem⸣maː ⸣ʔiru s⸢sai⸣jaː ⸣misamunu] (顔面蒼白になることはないが、一度ぐらいは顔面蒼白になればいいいのに) 10387 0 0 9900 htmvoc_10387.wav ッサウン ⸣ッサウン [⸣ssauŋ] 他動 米を搗く。精げる。精米する。「精、シラグ」『類聚名義抄』の転訛したもの。シ⸢キ⸣ウシ[ʃi⸢ki⸣ʔuʃi](搗き臼)に米を入れて、イ⸢ナシ⸣キ[ʔi⸢naʃi̥⸣ki](杵)で搗いて精米した。 ⸢ソー⸣ラン ⸣シゥカイバー ⸢マイ⸣ ッサウンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ⸢タンガ⸣シェー ッ⸢サーラン⸣バ ⸢ワンヌン⸣ ッサイ ッ⸢ふィーリ [⸢soː⸣ran ⸣si̥kaibaː ⸢mai⸣ ssaunti ⸢beː⸣nundu ⸢taŋga⸣ʃeː s⸢saːram⸣ba ⸢wannun⸣ ssai ⸢ffiːri] (お盆用のお米を精米しようとしているが、一人では精米できないので君も精米し<精げ>てくれ)。 ⸢マイ⸣ ッサウ ピンマー ナ⸢カ⸣シケー シゥ⸢カシティ⸣ ッ⸢サイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢mai⸣ ssau ⸣pimmaː na⸢ka⸣ʃi̥keː si̥⸢kaʃiti s⸢sai⸣jaː ⸣misamunu] (米を搗く<精げる>時は、臼の内側に揺輪を付けて米が飛散しないようにして搗け<精げれ>ば良いのに)。 キュー⸢ズー⸣ナ ⸣ッサイ [kjuː⸢ʣuː⸣na ⸣ssai] (今日中に精米せよ<精げろ>) 10388 0 0 9901 htmvoc_10388.wav ッサウン ⸣ッサウン [⸣ssauŋ] 自動 血の気が失せて顔面蒼白になる。「白む」の義。 ウ⸢ダラ⸣キティ ⸣イロー ⸣ッサイ ⸢フッツォーリベー [ʔu⸢dara⸣kiti ⸣ʔiroː ⸣ssai ⸢ɸutʦoːri beː] (驚いて顔面蒼白になり、震えている)。 ⸣イル ⸣ッサウ ⸣ピンマー ⸢ミー⸣ヤ トゥ⸢ビス [⸣ʔiru ⸣ssau ⸣pimmaː ⸢miː⸣ja tu⸢bisu] (顔面蒼白になるときは、目が\ruby{空}{ウツロ}になる<目が飛ぶ>)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸣イロー ッ⸢サー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸣ʔiroː s⸢saː⸣nu] (あまり顔色は蒼白にならない) 10389 0 0 9902 htmvoc_10389.wav ッサウン ッ⸢サウン [s⸢sauŋ] 他動 \ruby{塞}{フサ}ぐ。閉じる。 ⸣アナ ッ⸢サウンティ スヌ⸣ ッ⸢サーラヌ [⸣ʔana s⸢saunti sunu⸣ s⸢saːranu] (穴を塞ごうとするが、塞がれない)。 ッ⸢サイ ヤッ⸣サ ⸣ムノーラ ッ⸢サイ⸣バ [s⸢sai jas⸣sa ⸣munoːra s⸢sai⸣ba] (塞ぎやすいものから塞げよ)。 ッ⸢サウ ムノー パー⸣ク ッ⸢サイヤー⸣ ミサムヌ [s⸢sau munoː paː⸣ku s⸢saijaː⸣ misamunu] (塞ぐものは早く塞げばよいのに)。 フ⸢チェー⸣ ッ⸢サイティ⸣ ムネー イ⸢ザヌ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ s⸢saiti⸣ muneː ʔi⸢ʣanu] (口を閉じて<塞いで>ものをいわない) 10390 0 0 9903 htmvoc_10390.wav ッサカクチ ッ⸢サカクチ [s⸢sakakuʧi] 名 下顎。 ッ⸢サカクチヌ トゥン⸣ガリティ ソー⸢ンドゥ⸣ ビ⸢キドゥムヌ⸣ シ⸢ラカタ⸣チ ⸢ニーブ [s⸢sakakuʧinu tuŋ⸣gariti soː⸢ndu⸣ bi⸢kidumunu⸣ ʃi⸢rakata⸣ʧi ⸢niːbu] (下顎が\ruby{尖}{トガ}って、ちょうど男の顔貌に似ている) 10364 0 0 9904 htmvoc_10364.wav ッサガリ ッ⸢サ⸣ガリ [s⸢sa⸣gari] 名 薄明るいさま。夜が明けて辺りが薄明るくなること。 ⸢ユー⸣ワ キサー⸢ティ⸣ ッ⸢サ⸣ガリ ⸢シェー⸣チバ ⸢パー⸣ク ウ⸢キ⸣リ [⸢juː⸣wa ki̥saː⸢ti⸣ s⸢sa⸣gari ⸢ʃeː⸣ʧiba ⸢paː⸣ku ʔu⸢ki⸣ri] (夜はすでに白々と明けている<白明かりしている>から早く起きなさい) 10391 0 0 9905 htmvoc_10391.wav ッサカルン ⸣ッサ カ⸢ルン [⸣ssa ka⸢ruŋ] 連 まぐさ(秣)を刈る。牛や山羊のかいば(飼葉)を刈る。 ウ⸢シヌ⸣ ッサ カ⸢ルンティ ベー [ʔu⸢ʃinu⸣ ssa ka⸢runti beː] (牛の\ruby{秣}{マグサ}を刈っている<刈ろうとしている>)。 ピ⸢ビザヌ⸣ ッサ カ⸢ル モー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢グトゥ ヤッタ [pi⸢biʣanu⸣ ssa ka⸢ru moː⸣ ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢guru jatta] (山羊の草<秣>を刈るのは子供の仕事だった)。⸣ガヤー ⸣スルン[⸣gajaː ⸣suruŋ](茅を刈る<剃る>)というが、⸣ガヤー カ⸢ルン[⸣gajaː ka⸢ruŋ](茅を刈る)とは言わない 10371 0 0 9906 htmvoc_10371.wav ッサクイ ッ⸢サクイ [s⸢sakui] 名 しわがれ声。 ッ⸢サクイ⸣シ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ゾー⸣ルンダ ナ⸢クラー⸣ヌ ス⸢バー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [s⸢sakui⸣ʃi mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʣoː⸣runda na⸢kuraː⸣nu su⸢baː⸣ pa⸢rara⸣nu] (しわがれ声で話される<ものを言われる>から怖くて傍へ行くことが出来ない<行かれない>) 10422 0 0 9907 htmvoc_10422.wav ッサクサイ ッ⸢サクサイ [s⸢sakusai] 名 下ごしらえ(下拵え)。事前準備。料理や農作業などの下ごしらえ。 ⸢ナーッス⸣ヌ ッ⸢サクサイヤー シーシキ⸣リ⸢ヨー [⸢naːssu⸣nu s⸢sakusaijaː ʃiːʃi̥ki⸣ri⸢joː] (苗代の下ごしらえ<下準備>はしておきなさいよ) 10392 0 0 9908 htmvoc_10392.wav ッサザラスン ッ⸢サザラ⸣スン [s⸢saʣara⸣suŋ] 他動 風雨に晒す。 フ⸢ルドン⸣グ ヤ⸢リバ⸣ティ ⸢シー⸣ ッ⸢サザラ⸣シ ⸣シケーンドゥ ⸣アイニ ッ⸢サザラサン⸣ドーシ ⸣トゥリシキバ [ɸu⸢rudoŋ⸣gu ja⸢riba⸣ti ⸢ʃiː⸣ s⸢saʣara⸣ʃi ⸣ʃikeːndu ⸣ʔaini s⸢saʣarasan⸣doːʃi ⸣turiʃi̥kiba] (古道具だからとて雨晒しにしてあるが、あんなに雨晒しにしないで、取っておきなさいよ) 10393 0 1 9909 htmvoc_10393.wav ッサザリ ッ⸢サ⸣ザリ [s⸢sa⸣ʣari] 名 {Mn_1}真っ白。真っ白な歯を出して笑うこと。「白晒し」の転訛したものか。 ミ⸢ルコー⸣ ッ⸢サ⸣ザリ ⸢シール⸣ バ⸢ライ ヨー⸣ル [ミ⸢ルコー⸣ s⸢sa⸣ʣari ⸢ʃiːru⸣ ba⸢raijoː⸣ru] (弥勒様は真っ白な歯を出して笑っていらっしゃる)。 10393 0 2 9910 htmvoc_10393.wav ッサザリ ッ⸢サ⸣ザリ [s⸢sa⸣ʣari] 名 {Mn_2}衣類が風雨に晒されてくたびれ<草臥れ>ること。桶などが日に晒されてからからに乾くこと。 ⸢ワー タン⸣ゴー ッ⸢サ⸣ザリ ⸢シー ベー⸣バ ウ⸢リ⸣シェー ミ⸢ジ⸣ カ⸢タマラ⸣ヌ [⸢waː taŋ⸣goː s⸢sa⸣ʣari ⸢ʃiːbeː⸣ba ʔu⸢ri⸣ʃeː mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢tamara⸣nu] (君のたご<担桶>は日晒しているので、これでは水は担がれない)。 ッ⸢サ⸣ザリ ⸢スン⸣ケン ⸢キン⸣バ キ⸢シェー⸣ティ ⸢アーキ⸣バ キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [s⸢sa⸣ʣari ⸢suŋ⸣keŋ ⸢kim⸣ba ki⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːki⸣ba ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (風雨に晒されて草臥れるまで着物を着ているのを見ると気の毒だよ) 10395 0 0 9911 htmvoc_10395.wav ッサシゥカイ ッ⸢サシゥカイ [s⸢sasï̥kai] 名 雑用に使う子供。手伝い人。走り使い。小間使い。「下使い」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンラ ナー⸢イ ウン⸣ネヌ ッ⸢サシゥカイ シール ガッ⸣コーン ン⸢ズタ⸣ル [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenra naː⸢i ʔun⸣nenu s⸢sasï̥kai siːru gak⸣koːn ʔn⸢ʣuta⸣ru] (子供の頃からあの家の走り使いをしながら学校もでたよ) 10396 0 0 9912 htmvoc_10396.wav ッサシキ ッ⸢サシキ [s⸢saʃiki] 名 下敷き。 ッ⸢サシキ⸣ シ⸢カバル ジーヤ⸣ カ⸢キヤッ⸣サ [s⸢saʃiki⸣ ʃi̥⸢kabaru ʣiːja⸣ kḁ⸢kijas⸣sa] (下敷きを敷いた方が字は書きやすい)。下敷き。下に敷くもの。 ⸣イダフニヌ ス⸢ク⸣ナー タ⸢ム⸣ヌ ッ⸢サシケー⸣ シ⸢ミティ⸣ ウ⸢ヌ ウイラ マイダーラー⸣ シ⸢ミ⸣バ [⸣ʔidaɸuninu su̥⸢ku⸣naː ta⸢mu⸣nu s⸢saʃi̥keː⸣ ʃi⸢miti⸣ ʔu⸢nu ʔuira maidaːraː⸣ ʃi⸢mi⸣ba] (板舟<サバニ>の底に薪を下敷きに積んで、その上から米俵を積みなさいよ)。 ⸢ウン⸣バ バ⸢タナカ⸣ラ ッ⸢サシケー シーティ⸣ イー ッ⸢ふァーン⸣カー ⸣バター ミ⸢ツァサラ⸣ヌ [⸢ʔum⸣ba ba⸢tanaka⸣ra s⸢saʃi̥keː ʃiːti⸣ ʔiː f⸢faːŋ⸣kaː ⸣bataː mi⸢ʦasara⸣nu] (イモを腹半分食べて下敷きにして、お米のご飯を食べないと腹は満たされない) 10424 0 0 9913 htmvoc_10424.wav ッサジナー ッ⸢サ⸣ジナー [s⸢sa⸣ʤinaː] 名 魚脅しの綱。「草綱」の義。藁綱にバ⸢ラフ⸣タ[ba⸢raɸu̥⸣ta](稲藁)や茅を結んで垂らし、海中で動かして魚を脅しながら袋網の方へ誘導する綱。⸣キタアン[⸣ki̥taʔaŋ](桁網)に繋いで片方は干瀬の頂の方へ張り、片方は海岸の浜の方へ張って、時々引き動かして魚を脅す。 ッ⸢サ⸣ジナー イ⸢ズ⸣ ウ⸢ドーシムヌゲ⸣ラ [s⸢sa⸣ʤinaː ʔi⸢ʣu⸣ ʔu⸢doːʃimunuge⸣ra] (草綱は魚脅しの綱<魚脅しもの>さ) 10394 0 0 9914 htmvoc_10394.wav ッサシバ ッ⸢サシバ [s⸢saʃiba] 名 下唇。⸢オーシバ[⸢ʔoːʃiba](上唇)の対義語。 ッ⸢サシバー フイッ⸣ツァメーティ プ⸢スバ⸣ イ⸢ズンティル オー⸣ル [s⸢saʃibaː ɸuit⸣ʦameːti pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ʣuntiru ʔoː⸣ru] (下唇を噛みしめて人を叱りつけようとしておられる)。 ッ⸢サシバヌ⸣ ピ⸢サー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢ゾー⸣ ア⸢サーン⸣ツォー [s⸢saʃibanu⸣ pi⸢saː⸣ mi⸢du⸣moː ⸢ʣoː⸣ ʔa⸢saːn⸣ʦoː] (下唇の薄い女は情が浅いそうだ) 10425 0 0 9915 htmvoc_10425.wav ッサスクリムヌ ッ⸢サスクリ⸣ムヌ [s⸢sasukuri⸣munu] 名 穀物類。米、麦、粟、豆等の穀類を収穫する作物。「草作物」の義か。 ッ⸢サスクリ⸣ムノー イッ⸢ケン ノー⸣レーン [s⸢sasukuri⸣munoː ʔik⸢ken noː⸣reːŋ] (穀類の作物は非常に豊作になって<稔って>いる) 10397 0 0 9916 htmvoc_10397.wav ッサスン ッ⸢サスン [s⸢sasuŋ] 他動 知らせる。シゥ⸢カスン(聞かせる)とも言う。 ター⸢ンナー⸣カン ッ⸢サスンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ッ⸢ササランシェン [taː⸢nnaː⸣kan s⸢sasunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du s⸢sasaraŋʃeŋ] (誰かに知らせようと思ったが知らされなかった)。 ッ⸢サシ⸣ ミサン [s⸢saʃi⸣ misaŋ] (知らせてよい)。 プ⸢スンナー⸣ニ ッ⸢サス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢sunnaː⸣ni s⸢sasu⸣ kutoː na⸢ra⸣nu] (他人に知らることな罷りならぬ)。 ウ⸢ヤン⸣ナーネー ッ⸢サシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢jan⸣naːneː s⸢saʃeː⸣ misamunu] (親には知らせればよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ッ⸢サシ [jaː⸢din⸣ s⸢saʃi] (必ず知らせよ) 10398 0 0 9917 htmvoc_10398.wav ッサソーリ ッ⸢サソー⸣リ [s⸢sasoː⸣ri] 名 除草。草掻き。「草さくり<\ruby{抉}{サク}り。\ruby{刳}{サク}り>」の転訛。[sakuri] → [saɸuri] → [sauri] → [soːri] の音韻変化を経て形成された語であろう。普通は、⸣ピラ[⸣pira](\ruby{箆}{ヘラ})やカ⸢ノーシ[ka⸢noːʃi](金串状の箆)で畑や庭の草を根こそぎに取ることにいう。 ⸢ウイ⸣プソー ッ⸢サソーリ⸣ル ッ⸢サーク⸣ティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸢ʔuipu̥⸣soː s⸢sasoːri⸣ru s⸢saːku⸣ti ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (老人は草取りが仕事だ、と昔の人は言われたものだ) 10399 0 0 9918 htmvoc_10399.wav ッサソールン ⸣ッサ ⸢ソールン [⸣ssa ⸢soːruŋ] 連 箆などで除草する。「草さくる(\ruby{抉}{サク}る{EOS}\ruby{刳}{サク}る)」の転訛したもの。雑草などを箆で根こそぎにして除草すること。 ⸣アッパー ⸣ピラシル パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサー ⸢ソールンティ オー⸣ル [⸣ʔappaː ⸣piraʃi pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssa ⸢soːrunti ʔoː⸣ru] (お祖父さんは箆で畑の除草を<草をさくり取ろうと>しておられる) 10400 0 0 9919 htmvoc_10400.wav ッサダン ッ⸢サダン [s⸢sadaŋ] 名 下の段。積み重ねたものの下のもの。⸢下段」の義。 ピ⸢キウシヌ⸣ ッ⸢サダンヌ⸣ パー タ⸢ティ⸣ルン [pi̥⸢kiuʃinu⸣ s⸢sadannu⸣ paː tḁ⸢ti⸣ruŋ] (籾磨臼の下段の臼の歯をたてる<歯を尖らせる>)。 ⸢カンガンムチ⸣ヌ ッ⸢サダンマー⸣ マイ⸢マイ⸣シ ス⸢ク⸣リ [⸢kaŋgammuʧi⸣nu s⸢sadammaː⸣ mai⸢mai⸣ʃi su̥⸢ku⸣ri] (鏡餅の下段は大きく) 10401 0 0 9920 htmvoc_10401.wav ッサディー ッ⸢サディー [s⸢sadiː] 名 賄賂。袖の下。「下手」の義。 ッ⸢サディーバ⸣ シゥ⸢カイヤー⸣ティ ⸢バー⸣ケー ⸢ペーリ⸣ プサー ⸢ナー⸣ヌ [s⸢sadiːba⸣ sï̥⸢kaijaː⸣ti ⸢baː⸣keː ⸢peːri⸣ pu̥saː ⸢naː⸣nu] (賄賂を使ってまで入りたくはない) 10402 0 0 9921 htmvoc_10402.wav ッサディーナールン ッ⸢サ⸣ディー ⸢ナールン [s⸢sa⸣diː ⸢naːruŋ] 連 賄賂を請求する。「下手を伸ばす」の義。 ム⸢カシ⸣ヌ ヤ⸢クニン⸣マー ッ⸢サ⸣ディ ⸢ナール⸣ プ⸢スヌル ゴー⸣ラータツォー [mu⸢kaʃi⸣nu ja⸢kunim⸣maː s⸢sa⸣di ⸢naːru⸣ pu̥⸢sunuru goː⸣raːtaʦoː] (昔の役人は賄賂を請求する人が多かったそうだ) 10403 0 0 9922 htmvoc_10403.wav ッサナーパダ ッ⸢サ⸣ナーパダ [s⸢sa⸣naːpada] 名 生後三、四ヶ月頃の赤ちゃんの赤い肌の色が白みを帯びた色に変わる頃。 ッ⸢サ⸣ナーパダヌ ア⸢ガッふァー⸣マー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢タラ⸣サン [s⸢sa⸣naːpadanu ʔa⸢gaffaː⸣maː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢tara⸣saŋ] (生後三、四ヶ月の赤ちゃんの肌の色が変わる頃は非常に可愛い) 10404 0 0 9923 htmvoc_10404.wav ッサナチ ッ⸢サ⸣ナチ [s⸢sa⸣naʧi] 名 秋。「白夏」の義。ス⸢ムナチ[su⸢munaʧi](下夏)ともいう。 ッ⸢サナチ⸣ヌ ⸢オー⸣ルカー ピ⸢ラキカジヌ スイヨー⸣ルン [s⸢sanaʧi⸣nu ⸢ʔoː⸣rukaː pi⸢rakikaʤinu suijoː⸣ruŋ] (秋<白夏>の季節がいらっしゃると涼しい風が吹かれる<そよがれる>) 10427 0 0 9924 htmvoc_10427.wav ッサナン ッ⸢サ⸣ナン [s⸢sa⸣naŋ] 名 白波。しぶき<飛沫>を上げている波。 ヤ⸢ダン⸣ブレービーヤ ッ⸢サナン⸣ヌ ⸣タティ ⸢ブンダ⸣ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢キン⸣ギササー [ja⸢dam⸣bureːbiːja s⸢sanan⸣nu ⸣tati ⸢bunda⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢kiŋ⸣gisa⸢saː] (上原のヤダンブレ干瀬は白波を立てているから台風<風>が吹きそうだよ) 10405 0 0 9925 htmvoc_10405.wav ッサニー ッ⸢サニー [s⸢saniː] 名 船の底に積む貨物。船底に積む荷。 フ⸢ニ⸣ヌ ッ⸢サニーヌ ヨー⸣カー ⸣フネー ⸢オングロー⸣ ナリティ ム⸢ティグリ⸣サン [ɸu⸢ni⸣nu s⸢saniːnu joː⸣kaː ⸣ɸuneː ⸢ʔoŋguroː⸣ nariti mu⸢tiguri⸣saŋ] (船底に積む荷が少ない<弱い>と船体は横揺れで不安定になり、操船しにくい) 10428 0 0 9926 htmvoc_10428.wav ッサヌミー ッ⸢サ⸣ヌ ⸣ミー [s⸢sa⸣nu ⸣miː] 連 草むら。雑草が生い茂るところ。 プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン ナッ⸣ター ⸢ヤシ⸣ケー ッ⸢サ⸣ヌミー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːn nat⸣taː ⸢jaʃi̥⸣keː s⸢sa⸣nu ⸣miː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (人がいなくなったので、屋敷は雑草が生い茂る草むらとなってしまった) 10406 0 0 9927 htmvoc_10406.wav ッサヌレー ッ⸢サヌレー [s⸢sanureː] 感 知らないねえ。⸢知らぬ、それは」の義。目下の者に対する応答詞。ウ⸢ヌ ッふァー ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣タユー ⸢ワー⸣ ッ⸢ソーレン?。ッ⸢サヌレー ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣タカヤー[ʔu⸢nu ffaː nuː⸣ʃi ⸢nat⸣tajuː ⸢waː⸣ s⸢soːreŋʔ。s⸢sanureː nuː⸣ʃi ⸢nat⸣takajaː](その子はどうなったか、貴方はご存知ですか{EOS}さあ、知らないねえ{EOS}どうなっただろうか) 10408 0 0 9928 htmvoc_10408.wav ッサバー ッ⸢サ⸣バー [s⸢sa⸣baː] 名 植物(稲)の葉。「草葉」の義。 ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソー⸣ルン [s⸢sabaː⸣nu ⸢niŋ⸣gai ⸢soː⸣ruŋ] (稲の葉が順調に成長することを祈る祈願をなさる)。稲や粟、野菜の葉っぱ。 ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー ⸢ユーニンガイナー⸣ル ⸢ソーッ⸣タ⸢ナー [s⸢sabaː⸣nu ⸢niŋgai⸣jaː ⸢juːniŋgainaː⸣ru ⸢soːt⸣ta⸢naː] (稲の草葉<下葉>の祈願は旧暦三月の世願いの際になされたねえ) 10429 0 0 9929 htmvoc_10429.wav ッサバー ッ⸢サバー [s⸢sabaː] 名 下葉。野菜類の古い葉。ッ⸢サパー[s⸢sapaː](下葉)ともいう。 ッ⸢サバーヤ⸣ カ⸢カイティ オーパー⸣ カー⸢ニ⸣ ヌ⸢カ⸣シ [s⸢sabaːja⸣ kḁ⸢kaiti ʔoːpaː⸣ kaː⸢ni⸣ nu⸢ka⸣ʃi] (下葉は落として<捥ぎ取って>上葉だけ残せ) 10407 0 0 9930 htmvoc_10407.wav ッサパー ッ⸢サパー [s⸢sapaː] 名 下葉。植物の下の枯葉。ッ⸢サバー[s⸢sabaː](下葉)ともいう。⸢オーパー[⸢ʔoːpaː](上の葉{EOS}植物の上の若い葉)の対義語。 ⸢ダイクニ⸣ヌ ッ⸢サパーヤ⸣ カ⸢カイシティリ [⸢daikuni⸣nu s⸢sapaːja⸣ kḁ⸢kaiʃitiri] (大根の下葉<枯葉>は、もいで<捥いで>捨てろ) 10409 0 0 9931 htmvoc_10409.wav ッサパー ッ⸢サパー [s⸢sapaː] 名 下歯。⸢オーパー[⸢ʔoːpaː](上歯)の対義語。 ッ⸢サパー⸣ナ フ⸢トゥッチパー⸣ヌ ⸣フ⸢ターチ⸣ アン [s⸢sapaː⸣na ɸu̥⸢tutʧipaː⸣nu ɸu̥⸢taːʧi⸣ ʔaŋ] (下歯には虫歯<朽ち歯>が二つある) 10431 0 0 9932 htmvoc_10431.wav ッサバーヌソージ ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ソー⸣ジ [s⸢sabaː⸣nu ⸢soː⸣ʤi] 連 稲の下葉が枯れる病気に罹らないよう精進潔斎して祈願すること。ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[s⸢sabaː⸣nu ⸢niŋ⸣gai](稲の下葉の祈願)ともいう 10432 0 0 9933 htmvoc_10432.wav ッサバーヌニンガイ ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [s⸢sabaː⸣nu niŋ⸣gai] 連 下葉の祈願。稲や麦の葉が枯れる病気に罹らないように祈願する祭祀。旧暦三月の⸢ユーニンガイ[⸢juːniŋgai](世願い{EOS}<\ruby{壬}{ミズノエ}>)の一連の祈願として、ム⸢シヌニン⸣ガイ[mu⸢ʃinuniŋ⸣gai](虫除けの祈願{EOS}<\ruby{丙}{ヒノエ}>)、⸢プーヌソー⸣ジ[⸢puːnusoː⸣ʤi](稲穂の祈願<精進>{EOS}<\ruby{庚}{カノエ}>)と共に祈願された。稲や麦が順調に生育して実をはらむよう、暴風や害虫に遭わぬように、と豊作を祈願する村の祭祀。 ⸢マイスクリプス⸣ヌ ⸢オーラ⸣ン ⸢ナッ⸣ター ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイン ⸢ソーラン⸣シェン [⸢maisu̥kuripusu⸣nu ⸢ʔoːra⸣n ⸢nat⸣taː s⸢sabaː⸣nu ⸢niŋ⸣gain ⸢soːraŋ⸣ʃeŋ] (稲作農家がいらっしゃらなくなったので、稲の草葉の祈願もなさらなかった) 10410 0 0 9934 htmvoc_10410.wav ッサバタ ッ⸢サバタ [s⸢sabata] 名 下腹。下っ腹。 ッ⸢サバタヌ⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [s⸢sabatanu⸣ jami na⸢ra⸣nu] (下っ腹が痛んで堪らない) 10411 0 1 9935 htmvoc_10411.wav ッサパタラキ ッ⸢サパタラキ [s⸢sapataraki] 名 {Mn_1}下働き。台所仕事。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ッ⸢サパタラケー ソーヤ ナー⸣ヌ [mi⸢doːŋ⸣ffanu ⸢goː⸣raːnda s⸢sapatarakeː soːja naː⸣nu] (女の子が多いから台所仕事は心配ない)。 10411 0 2 9936 htmvoc_10411.wav ッサパタラキ ッ⸢サパタラキ [s⸢sapataraki] 名 {Mn_2}下男、下女働き。 ウ⸢ヤ⸣キヤーナー ッ⸢サパタラキ シープソー⸣ ブ⸢タン⸣ダー [ʔu⸢ja⸣kijaːnaː s⸢sapatataraki ʃiːpusoː⸣ bu⸢tan⸣daː] (金持ちの家には下働きをする下男、下女がいたよ) 10433 0 0 9937 htmvoc_10433.wav ッサバヤー ッ⸢サ⸣バヤー [s⸢sa⸣bajaː] 名 皮膚病の一つ。丸く白い粉をふいたような症状を呈する。顔面白癬(tinea of face)。俗にいう「はたけ」で、白癬により顔面にできる。小児に多く発生する『医学沖縄語辞典』。「白這い・もの」の義 10412 0 0 9938 htmvoc_10412.wav ッサバライ ッ⸢サ⸣バライ [s⸢sa⸣barai] 名 薄笑い。冷笑。\ruby{嗤}{ワラ}うこと(\ruby{嘲}{アザケ}り笑う)。「白笑い」の義。口を開けて笑うのでなく、冷ややかに笑うこと。カ⸢タフチピケー⸣シ[kḁ⸢taɸuʧipikeː⸣ʃi](微笑{EOS}ほほえみ{EOS}「片口引き」の義{EOS}温かみのある薄ら笑い{EOS}にっこり笑うこと)の対義語。 プ⸢スヌ シーヨー⸣バ ⸣ミリティ ナー⸢イ⸣ ッ⸢サ⸣バライ ⸢シー ベー [pu̥⸢sunu ʃiːjoː⸣ba ⸣miriti naː⸢i⸣ s⸢sa⸣barai ⸢ʃiː beː] (他人のする様子を見て、ただ軽蔑の意を含んだ薄笑いをしている)。「白笑い」の転訛したもの。 プ⸢スバ⸣ ウ⸢サイ⸣ ナー⸢イ⸣ ッ⸢サ⸣バライ ⸢シー ベー [pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢sai⸣ naː⸢i⸣ s⸢sa⸣barai ⸢ʃiː beː] (人を小ばかにして、せせら笑って<白笑いして>いるよ) 10435 0 0 9939 htmvoc_10435.wav ッサビ ッ⸢サビ [s⸢sabi] 名 楔。「轄、鍵也、久佐比(くさび)」『新撰字鏡』の転訛したもの。\ruby{枘}{ホゾ}穴に貫き材を貫いて、その間に枘穴の両側から楔を打ち込んで柱の骨格を固定し、強化するもの。鋭三角形の長さ約20センチ程の楔。建築用材の切れ端を利用して作った。[s⸢sabi]の促音は無声子音に挟まれた奥舌狭母音[u]が無声化し、[ku̥sabi] → [ɸu̥sabi] → [ssabi] のような逆行同化による融合変化によって形成された語。 ク⸢マン⸣ トンラ ッ⸢サビ ホー⸣シティ カ⸢タミリ [ku⸢man⸣ tonra s⸢sabi hoː⸣ʃi̥ti ka⸢tamiri] (ここの所から楔を打っ<かませ>て固めろ) 10436 0 0 9940 htmvoc_10436.wav ッサピニ ッ⸢サピニ [s⸢sapini] 名 あごひげ(顎鬚)。したひげ(下鬚)の義。⸢オーピニ[⸢ʔoːpini](上髭)の対義語。 ッ⸢サピネー⸣ ナー⸢ナー⸣シ ⸢モー⸣シ ⸢ベー [s⸢sapineː⸣ naː⸢naː⸣ʃi ⸢moː⸣ʃi ⸢beː] (顎鬚を長く生やしている) 10437 0 0 9941 htmvoc_10437.wav ッサブ ⸣ッサブ [⸣ssabu] 名 地名。白保村。siraho(白保)のように、CV1rV2~の音声環境でV1=狭母音i、uの場合、法則的に [r] → [s] の音韻変化を起こして、[ssa~] となる。 ム⸢カ⸣シナール ⸣ッサボーラ カ⸢ザケーヌ⸣ ユ⸢ミ⸣ティ ⸢シー⸣ ッサブプスヌ ⸢オーッ⸣タティ ⸢スー⸣ パ⸢ナ⸣シェー ス⸢クタン [mu⸢ka⸣ʃinaːru ⸣ssaboːra ka⸢ʣakeːnu⸣ ju⸢mi⸣ti ⸢ʃiː⸣ ssabupusunu ⸢ʔoːt⸣tati ⸢suː⸣ pa⸢na⸣ʃeː su̥⸢kutaŋ] (その昔、白保村から加治工家へ嫁として白保の人が来られたという話は聞いた<聞いたことがある>) 10438 0 0 9942 htmvoc_10438.wav ッサブプス ⸣ッサブプス [⸣ssabupu̥su] 名 白保人。白保の人。 ⸣ッサブプソー ム⸢カシ⸣ヌ ツ⸢ナミ⸣ヌ ⸣アトゥナー パ⸢ティルマー⸣ラ バ⸢カリ⸣ル ⸢オー⸣レーティバン⸢ナー [⸣ssabupu̥soː mu⸢kaʃi⸣nu ʦu⸢nami⸣nu ⸣ʔatunaː pa⸢tirumaː⸣ra ba⸢kari⸣ru ⸢ʔoː⸣reːtiban⸢naː] (白保の人は、昔の大津波の後に波照間島から分かれてこられたんだってねえ) 10413 0 0 9943 htmvoc_10413.wav ッサベー ⸣ッサベー [⸣ssaeː] 名 (動)魚の名。和名、キュウセンの仲間(体長約6センチ)。和名、ゴイシベラ(体長約15センチ)。和名、セナスジベラ(体長約20センチ)。和名、シロタスキベラの仲間(体長約20センチ)。和名、キヌベラ(体長約20センチ)。和名、ギチベラ(体長約25センチ)。和名、クギベラ(体長約25センチ)などの総称。鳩間島では、キヌベラが⸣ッサベーの代表で、子供たちはキヌベラを磯釣りして楽しんだ。 ⸣ッサベーヤ ⸢ムン⸣ダニ ッ⸢ふァイムヌ ヤッタ [⸣ssabeːja ⸢mun⸣dani f⸢faimunu jatta] (キヌベラは餌を横取りするのが上手<餌食いもの>だった) 10439 0 0 9944 htmvoc_10439.wav ッサミー ッ⸢サ⸣ミー [s⸢sa⸣miː] 名 睨むこと。下目に見ること。見下げた目つき。 ッ⸢サミー⸣ シゥ⸢カイ⸣ プ⸢スバ⸣ ミレー ナ⸢ラ⸣ヌ [s⸢samiː⸣ sï̥⸢kai⸣ pu̥⸢suba⸣ mireː na⸢ra⸣nu] (下目を使って<見下げた目つき>で他人を見てはならない) 10440 0 0 9945 htmvoc_10440.wav ッサムージ ッ⸢サムー⸣ジ [s⸢samuː⸣ʤi] 名 はすいも(蓮芋、白芋)。サトイモ科の多年草。芋は小さく硬くて食用にならなかった。鳩間島では産しない。 ッ⸢サムー⸣ジェー パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナーン⸣シェン [s⸢samuː⸣ʤeː pḁ⸢tu⸣manaː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (ハス芋は鳩間島にはなかった) 10441 0 0 9946 htmvoc_10441.wav ッサムニ ッ⸢サ⸣ムニ [s⸢sa⸣muni] 名 汚い言い草。他人の感情を害するような言葉。口汚い物言い。「腐れ物言い」の義。⸣バタッサリムニ[⸣batassarimuni](腹立たしいことば<もの言い>{EOS}⸢腹腐れもの言い」の義)ともいう。 ウ⸢リヌ⸣ ッサリムニ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン クン⸣ゾー ウ⸢クリ⸣ス [ʔu⸢rinu⸣ ssarimuni su̥⸢ku⸣kaː taː⸢ŋ kun⸣ʣoː ʔu⸢kuri⸣su] (彼の汚い言い草を聞くと、誰でも立腹する) 10442 0 0 9947 htmvoc_10442.wav ッサムラシ ッ⸢サムラ⸣シ [s⸢samura⸣ʃi] 名 草むら。雑草の群生しているもの。畑の中で塊をなして密生する雑草。 ッ⸢サムラ⸣シ ス⸢クン⸣ケン パ⸢タキ⸣バ シ⸢ティ⸣ シケーバン⸢ナー [s⸢samura⸣ʃi su̥⸢kuŋ⸣kem pḁ⸢taki⸣ba ʃi̥⸢ti⸣ ʃi̥keːban⸢naː] (雑草が草むらをなすまで、手入れもせず、放置し<捨て置い>てあるんだねえ) 10443 0 1 9948 htmvoc_10443.wav ッサムン ッ⸢サ⸣ムン [s⸢sa⸣muŋ] 自動 {Mn_1}白くなる。白む。 ⸢クンジキンヌ⸣ イロー ⸣パギティ ッ⸢サ⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kunʤikinnu⸣ ʔiroː ⸣pagiti s⸢sa⸣mi ⸢naː⸣nu] (紺地染の着物の色が落ちて<剥げて>白くなってしまった)。 10443 0 2 9949 htmvoc_10443.wav ッサムン ッ⸢サ⸣ムン [s⸢sa⸣muŋ] 自動 {Mn_2}夜が白々と明ける。 ⸢ユー⸣ヌ シ⸢ラーシラー⸣シ ッ⸢サ⸣ムンケン ⸣ウキ ⸢ベー⸣ルンティ ア⸢ズタンドゥ⸣ ッ⸢サマン⸣ケン ニ⸢ビナーン⸣シェン [⸢juː⸣nu ʃi⸢raːʃiraː⸣ʃi s⸢sa⸣muŋkeŋ ⸣ʔuki ⸢beː⸣runti ʔa⸢ʣutandu⸣ s⸢samaŋ⸣ken ni⸢binaːŋ⸣ʃeŋ] (夜が白々と明けるまで<白むまで>起きていると言ったが、夜が白まないうちに寝てしまった)。 ⸢ユー⸣ヤ ッ⸢サ⸣ミ ⸣パルン [⸢juː⸣ja s⸢sa⸣mi ⸣paruŋ] (夜は白々と明けて<白んで>いく)。 ⸣ビータリティ ⸢ユー⸣ヌ ッ⸢サ⸣ム ⸣クトゥン ッ⸢サンシェン [⸣biːtariti ⸢juː⸣nu s⸢sa⸣mu ⸣kutun s⸢saŋʃeŋ] (酔い潰れて夜が白々と明けるのも知らなかった) 10445 0 0 9950 htmvoc_10445.wav ッサヤク ッ⸢サヤク [s⸢sajaku] 名 下役。∫i̥ta~がi母音の無声化に伴って進行同化の音韻変化を起こしたもの。 ッ⸢サヤコー ウイヤクヌ⸣ ア⸢ゾー⸣ル ⸢トゥー⸣ルニル ⸢ウーカ⸣リ ⸣ドゥー ⸢カッティ⸣シェー ⸢ウーカラ⸣ヌ [s⸢sajakoː ʔuijakunu⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸢tuː⸣runiru ⸢ʔuːka⸣ri ⸣duː ⸢katti⸣ʃeː ⸢ʔuːkara⸣nu] (下役は上役の言われる通りにしか<ぞ>動けない<動かれる>{EOS}自分勝手には動かれない) 10444 0 0 9951 htmvoc_10444.wav ッサユダ ッ⸢サユダ [s⸢sajuda] 名 下枝。樹木の下枝。 ッ⸢サユダヌ⸣ タリ ッ⸢サー⸣リ ⸢ベー⸣ ムノー ⸣キシ ウ⸢タ⸣シバ [s⸢sajudanu⸣ tari s⸢saː⸣ri ⸢beː⸣ munoː ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ta⸣ʃiba] (下枝の垂れ下がっているものは切り落としなさいよ) 10446 0 0 9952 htmvoc_10446.wav ッサラスン ⸣ッサラスン [⸣ssarasuŋ] 他動 腐らせる。腐敗させる。 ⸣ウナー シ⸢ティシキ⸣ルカー ッサラスン⸢ダー [⸣ʔunaː ʃi̥⸢tiʃi̥ki⸣rukaː ssarasun⸢daː] (ここに放置しておくと腐らせるよ)。 ⸣ッサラシ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ssaraʃi ⸢naː⸣nu] (腐らせてしまった)。 ウ⸢ムイツァー⸣ヌ ⸣ッサラサラヌ [ʔu⸢muiʦaː⸣nu ⸣ssarasaranu] (勿体無くて腐らされない)。 ⸣ッサラス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ssarasu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (腐らしてはならない<腐らすことはならぬ>)。 ⸣ッサラシェー ミサムヌ [⸣ssaraʃeː ⸣misamunu] (腐らせば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ッサラシ [⸢paː⸣ku ⸣ssaraʃi] (早く腐らせ) 10447 0 0 9953 htmvoc_10447.wav ッサリカーリ ⸣ッサリカーリ [⸣ssarikaːri] 名 腐れること。腐敗しきっていること。 ⸣ッサリカーリ ⸢シー ブー⸣<ベー⸣> ム⸢ヌ⸣バ ミ⸢ラ⸣ムティ シ⸢ティ⸣ シケーティ ⸣ッサリカザヌ ⸢スン [⸣ssarikaːri ⸢ʃiː buː⸣ mu⸢nu⸣ba mi⸢ra⸣muti ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥keːti ⸣ssarikaʣanu ⸢suŋ] (腐れ切っている物を見ないで放置して<捨て置いて>あるので、腐った匂いがする) 10448 0 0 9954 htmvoc_10448.wav ッサリカザ ⸣ッサリカザ [⸣ssarikaʣa] 名 腐った匂い。腐臭。 カ⸢ツシンヌ シーゾーヤー⸣ヌ ⸣マーラー ⸣ユー イ⸢ズヌ⸣ ッサリカザヌ シ⸢タン [kḁ⸢ʦuʃinnu ʃiːʣoːjaː⸣nu ⸣maːraː ⸣juː ʔi⸢ʣunu⸣ ssarikaʣanu ʃi̥⸢taŋ] (カツオ漁船の鰹節製造工場<製造屋>の辺りは、よく魚の腐れた匂いがしたものだ) 10449 0 0 9955 htmvoc_10449.wav ッサリムヌ ⸣ッサリムヌ [⸣ssarimunu] 名 腐れたもの。腐敗物。饐えたもの。「腐り物」の義。 ⸣ッサリムヌ ッ⸢ふー⸣カー ⸣バタ ヤ⸢ブ⸣ルン [⸣ssarimunu f⸢fuː⸣kaː ⸣bata ja⸢bu⸣ruŋ] (腐敗した<饐えた>ものを食べるとお腹を\ruby{壊}{コワ}す)。 ⸣ッサリムノー パ⸢タ⸣ケー ⸣ムティ ⸢ギー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣コイ ⸢シー [⸣ssarimunoː pḁ⸢ta⸣keː ⸣muti ⸢giː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣koi ⸢ʃiː] (腐れたものは畑に持っていって畑の肥料にしなさい) 10450 0 0 9956 htmvoc_10450.wav ッサリルン ⸣ッサリルン [⸣ssariruŋ] 自動 腐れる。腐敗する。下一段系の動詞「腐れる」が四段活用化したもの。[kusareru] → [ɸu̥sariruŋ] → [ssariruŋ] のように逆行同化して形成された語。⸣ッサルンとも言う。 ⸣ッサリルンティ ⸣ウムーカー ⸢パー⸣ク ⸣ッサリランヨーニ ⸣ガシ シ⸢キ⸣リバ [⸣ssarirunti ⸣ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku ⸣ssariraɲjoːni ⸣gaʃi ʃi̥⸢ki⸣riba] (腐れると思うなら腐れないように早く燻製にしておきなさいよ)。 ⸣ッサリ ⸢ヤッ⸣サンティ ア⸢ズヌ⸣ ッサリル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸣ssari ⸢jas⸣santi ʔa⸢ʣunu⸣ ssariru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (腐れ易いというが、腐れることは無いはずだ)。 ⸣ッサリレー ⸣ミサムヌ [⸣ssarireː ⸣misamunu] (腐れればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ッサリリ [⸢paː⸣ku ⸣ssariri] (早く腐れろ) 10451 0 0 9957 htmvoc_10451.wav ッサリルン ッ⸢サリルン [s⸢sariruŋ] 他動 申し上げる(謙譲語)。「知られる」の義。「おしられ 物を申上る事」『混効験集 乾・言語』の義。[sirare] → [ssaru] のように進行同化の音韻変化を起こしたもの。ッ⸢サルンとも言う。 ⸢シンシン⸣ナーニ ッ⸢サリルンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸣ッ⸢サリラランシェン [⸢ʃiŋʃin⸣nani s⸢sarirunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du s⸢sariraraŋʃeŋ] (先生に申し上げようと思ったが、申し上げられなかった)。 ッ⸢サリ⸣ミサカー ⸣バーラ ッ⸢サリル⸣ クトー ナルン⸢ダー [s⸢sari⸣ misakaː ⸣baːra s⸢sariru⸣ ku̥toː narun⸢daː] (申し上げてよければ、私から申し上げてもいいよ)。 ⸢ワー⸣ラ ア⸢ジッサリレー⸣ ミサムヌ [⸢waː⸣ra ʔa⸢ʤissarireː⸣ misamunu] (君から申し上げればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢サリリ [⸢paː⸣ku s⸢sariri] (早く申し上げれ) 10453 0 0 9958 htmvoc_10453.wav ッサリン ッ⸢サリン [s⸢sariŋ] 自動 知れる。知られる。 プ⸢スン⸣ ッ⸢サラン ヨーン⸣バシ ⸣ンジパリ [pu̥⸢sun⸣ s⸢saraɲ joːm⸣baʃi ⸣ʔnʤi ⸣pari] (他人に知られないように出て行け) 10452 0 1 9959 htmvoc_10452.wav ッサルン ッ⸢サルン [s⸢saruŋ] 他動 {Mn_1}(謙譲語)。申し上げる。「知られる」の転訛したもの。ッ⸢サリルンとも言う。 ⸣バーラ ッ⸢サルン [⸣baːra s⸢saruŋ] (私から申し上げる)。 ⸢ワー⸣ラン ッ⸢サリ⸣バ [⸢waː⸣ran s⸢sari⸣ba] (君からも申し上げなさい)。 ⸣クヌヨーニ ッ⸢サリ⸣ ミサカー ッ⸢サル⸣ クトー ⸢ゾー⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kunujoːni s⸢sari⸣ misakaː s⸢saru⸣ku̥toː ⸢ʣoː⸣saː ⸢naː⸣nu] (このように申し上げてよければ、申し上げることは問題はない<造作ない>)。 ⸢ワー⸣ラ ッ⸢サラバル⸣ マ⸢シ⸣ヨー [⸢waː⸣ra s⸢sarabaru⸣ ma⸢ʃi⸣joː] (君から申し上げた方がよい<ましだ>よ)。 10452 0 2 9960 htmvoc_10452.wav ッサルン ッ⸢サルン [s⸢saruŋ] 他動 {Mn_2}補助動詞。申す、致す<知られる>(謙譲語)。⸢言う、読む、する」などの動詞の連用形に付いて用いられる。 ⸣バー ア⸢ジッサルン [⸣baː ʔa⸢ʤissaruŋ] (私が申します<言って・知らせます>)。 ⸣バー ⸢シーッサラバ⸣ ミリ タ⸢ボー⸣リ [⸣baː ⸢ʃiː ssaraba⸣ miri ta⸢boː⸣ri] (私が致します<し知られ>ますから見てください) 10454 0 0 9961 htmvoc_10454.wav ッサルン ⸣ッサルン [⸣ssaruŋ] 自動 腐る。腐敗する。下二段系の動詞「腐る」が四段活用化したもの。⸣ッサリルンとも言う。 ⸣アツァンダ ⸢イー⸣ヤ ⸣ッサルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ティー⸣グナ イ⸢リティ⸣ サイ ⸣シケーター ⸣ッサランシェン [⸣ʔaʦanda ⸢ʔiː⸣ja ⸣ssarunti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢tiː⸣guna ʔi⸢riti⸣ sai ⸣ʃi̥keːtaː ⸣ssaraŋʃeŋ] (暑いから飯は腐れるかと思ったが、\ruby{手篭}{テ|カゴ}に入れて吊るしておいたら腐れなかった)。 ⸣ッサル ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸣ッサリ ⸢ヤッ⸣サ ⸣ムノー タ⸢ボーララヌ [⸣ssaru ⸣kutoː ⸢naːnu⸣nu ⸣ssari ⸢jas⸣sa ⸣munoː ta⸢boːraranu] (腐れることはないが腐れ易いものは保存<貯えられ>できない)。 ⸣ッサレー ⸣ミサムヌ [⸣ssareː ⸣misamunu] (腐れれば良いのに)。 ⸣ッサリリ [⸣ssariri] (腐れれ) 10414 0 1 9962 htmvoc_10414.wav ッサレー ⸣ッサレー [⸣ssareː] 名 {Mn_1}知らせごと。申し上げごと。旧暦三月の\ruby{庚}{カノエ}の日の夜、ヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人)によって執り行われる、明日の行事の際の各家庭の火の用心に関する注意喚起のための⸢知らせごと」を裏声を使って実施すること。 パ⸢マウリソー⸣ジヌ ⸢マイ⸣ヌ ⸢ユー⸣ロー ヤ⸢ク⸣サンケーヌ ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢マーレー⸣ティ ⸣ッサレー ッ⸢サローリ⸣バ バ⸢カ⸣ヤティ ウ⸢ヌス⸣ク バ⸢ライバ ウシキニジルンティル オーッ⸣タティ ⸣ムカーヤ [pa⸢maʔurisoːʤi⸣nu ⸢mai⸣nu ⸢juː⸣roː ja⸢ku⸣saŋkeːnu ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢maːreː⸣ti ⸣ssareː s⸢saroːri⸣ba ba⸢ka⸣jati ʔu⸢nu⸣su̥ku ba⸢raiba ʔuʃi̥kiniʤiruntiru ʔoːt⸣tati ⸣mukaːja] (浜下り精進の前の夜は、村役人方が各家を回って「知らせごと」を申されるが、その模様が可笑しいので、家中の者が一所懸命笑いを\ruby{堪}{コラ}えようとしておられたものだよ)。 10414 0 2 9963 htmvoc_10414.wav ッサレー ⸣ッサレー [⸣ssareː] 名 {Mn_2}もうしもうし(申し申し)。知らせごと。「申し上げます」の義。ふれごと<お触れ>。パ⸢マウリソー⸣ジ[pa⸢maʔurisoː⸣ʣi](浜下り精進)の前々日の夜、村のヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa]が西村と東村に手分けして、各家を回り、声色を使って⸣ッサレー[⸣ssareː](知られごと{EOS}お触れ)をする。人々はそれを神の声と信じているが、声色の可笑しさに口を押さえて堪え、ッサレーの立ち去った後に爆笑した。 ッ⸢サレー⸣ ッ⸢サレー アシ⸣トー パ⸢マウリソー⸣ジ ヤ⸢ローッ⸣タ シ⸢キン⸣ヌ カ⸢マチヌ⸣ ア⸢ガムノーマ⸣ヌ カ⸢キン⸣グ ウ⸢クタローラン⸣ヨーニ ⸢ミーマー⸣ルン ⸢ソーリ⸣ カ⸢マチヌ バン⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣マン ス⸢コーロー⸣リ⸢ヨー⸣ ッサレー [s⸢sareː⸣ s⸢sareː ʔasi̥⸣toː pa⸢maʔurisoː⸣ʣi ja⸢roːt⸣ta ʃi̥⸢kin⸣nu ka⸢maʧinu⸣ ʔa⸢gamunoːma⸣nu kḁ⸢kiŋ⸣gu ʔu⸢kutaroːraŋ⸣joːni ⸢miːmaː⸣run ⸢soː⸣ri ka⸢maʧinu ban⸣nu mi⸢ʤeː⸣man su̥⸢koːroː⸣ri⸢joː⸣ ssareː] (申し上げます{EOS}明後日は浜下り精進ですので竈の火<赤いもの>の格護を怠りなく、見回りもなされ、竈の番の水もご準備くださいませ{EOS}ッサレー) 10456 0 0 9964 htmvoc_10456.wav ッサン ⸣ッサン [⸣ssaŋ] 名 アタマジラミ。頭髪のシラミ(虱)。「虱、志良彌」『新撰字鏡』の転訛。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ムー⸢ル⸣ ス⸢ブ⸣ルナー ッ⸢サン⸣ヌ ⸣シディッサリ ⸢ベー⸣ティ ア⸢メリカ⸣ヌ ⸢オー⸣リ ス⸢ブ⸣ローラ ⸣ディーディーティーバ マ⸢コーッ⸣タヨー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː muː⸢ru⸣ su⸢bu⸣runaː s⸢san⸣nu ⸣ʃidissari ⸢beː⸣ti ʔa⸢merika⸣nu ⸢ʔoː⸣ri su⸢bu⸣roːra ⸣diːdiːtiːba ma⸢koːt⸣tajoː] (戦後にはみんなの頭に虱がさんざんに湧いて発生していたので、アメリカ人が来られて頭からDDTを散布されたよ) 10457 0 0 9965 htmvoc_10457.wav ッサンコーラ ッサン⸢コーラ [ssaŋ⸢koːra] 名 知らぬふり。そ知らぬ顔。 ムー⸢ル⸣シ ⸣ヨイ ⸢シー オースンティ ベー⸣ムヌ ワ⸢ター⸣ ッサン⸢コーラ⸣シェー ブ⸢ララン⸣パジ⸢ダー [muː⸢ru⸣ʃi ⸣joi ⸢ʃiː ʔoːsunti beː⸣munu wa⸢taː⸣ ssaŋ⸢koːra⸣ʃeː bu⸢raram⸣ paʤi⸢daː] (皆でお祝いをして差し上げようとしているのだから、君たちは知らぬふりは出来ないはずだよ) 10458 0 0 9966 htmvoc_10458.wav ッサンコーラーン ッ⸢サンコーラー⸣ン [s⸢saŋkoːraː⸣ŋ] 形 知らぬふりをして冷たい。人間関係に冷淡である。人間関係にあっさりしすぎる。 ウ⸢ヌプソー⸣ ア⸢チウトゥザ⸣  ヤ⸢ルンドゥ⸣ ッ⸢サンコー⸣ラーン⸢ダー [ʔu⸢nu pu̥soː⸣ ʔa⸢ʧiʔutuʣa⸣ ja⸢rundu⸣ s⸢saŋkoː⸣raːn⸢daː] (その人は非常に近しい親戚だが知らぬふりをして冷たいよ)。 ミ⸢チェー⸣ラ ⸢ゲーサウバン⸣ ッ⸢サンコーラ⸣ シール ⸢オー⸣ル [mi⸢ʧeː⸣ra ⸢geːsauban⸣ s⸢saŋkoːra⸣ ʃiru ⸢ʔoː⸣ru] (道で出会っても知らないふりをしておられる)。 ⸣アイニ ッ⸢サンコーラー⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini s⸢saŋkoːraː⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんあに知らぬふりをして冷たい人はいない) 10460 0 0 9967 htmvoc_10460.wav ッサンス ⸣ッサンス [⸣ssansu] 名 秋の季節風。「しらにし(白北風)」の義。 ⸣ッサンスヌ ス⸢ゴー⸣レーチバ マ⸢ナマンチン⸣ パ⸢ダム⸣チン ⸢カウリ⸣ フ⸢ユヌ⸣ シチ ン⸢カイソー⸣ル [⸣ssansunu su⸢goː⸣reːʧiba ma⸢namanʧiŋ⸣ pa⸢damu⸣ʧiŋ ⸢kauri⸣ ɸu⸢junu⸣ ʃi̥ʧi ʔŋ⸢kaisoː⸣ru] (秋の北風が吹いた<そよがれた>ので、すぐに肌心地<気候が与える肌感触>も変わって、冬の季節をお迎えになるよ) 10461 0 0 9968 htmvoc_10461.wav ッサンタ ッ⸢サンタ [s⸢santa] 名 下の方。下方。「下の所」の義。ッ⸢サーラー[s⸢saːraː](下の方)ともいう。 ⸢キー⸣ヌ ッ⸢サンタ⸣ナー ニ⸢ビベー [⸢kiː⸣nu s⸢santa⸣naː ni⸢bibeː] (木の下に寝ている)。 ⸢ワー⸣ ッ⸢サンタ⸣ナー ⸣シケーティ シカイ⸢トゥ⸣ ナ⸢ラー⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸢waː⸣ s⸢santa⸣naː ⸣ʃi̥keːti ʃi̥kai⸢tu⸣ na⸢raː⸣ʃi f⸢fiːri] (君の下に置いて、しっかりと仕込んで<教えて>くれ) 10462 0 0 9969 htmvoc_10462.wav ッサンタールン ッ⸢サンター⸣ルン [s⸢santaː⸣ruŋ] 自動 白む。白くなる。白白とと夜が明ける。 ⸢サンバンドゥル⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ⸢アンタヌ ティンマー⸣ ッ⸢サンター⸣ルン [⸢sambanduru⸣nu na⸢ku⸣kaː ⸢ʔantanu timmaː⸣ s⸢santaː⸣ruŋ] (三番鶏が鳴いたら東の空は白む<白白と夜が明ける>)。 ッ⸢サンターラ⸣ヌ [s⸢santaːra⸣nu] (白まない)。 ッ⸢サンター⸣リ ⸣ケーン [s⸢santaː⸣ri ⸣keːŋ] (白んできた)。 ⸢ティンヌ⸣ ッ⸢サンター⸣ル ジ⸢ブン⸣ナー ウ⸢コー⸣シ [⸢tinnu⸣ s⸢santaː⸣ru ʤi⸢bun⸣naː ʔu⸢koː⸣ʃi] (空が白む頃に起しなさい) 10459 0 0 9970 htmvoc_10459.wav ッサンッサルン ⸣ッサン ッサルン [⸣ssan ssaruŋ] 連 虱が湧く<虱がくされる>。 ガ⸢マ⸣ジ ア⸢ラーン⸣カー ⸣ッサン ッサルン⸢ダー [ga⸢ma⸣ʤi ʔa⸢raːŋ⸣kaː ⸣ssan ssarun⸢daː] (髪を洗わないと虱が湧くよ) 10463 0 0 9971 htmvoc_10463.wav ッサンニビ ッ⸢サンニビ [s⸢sannibi] 名 うたたね(転寝)。寝るつもりはないのに、いつの間にか眠ってしまうこと。「知らぬ眠り」の義。 ッ⸢ふァン シー ッふァー⸣スンティ ユ⸢クターリ ベーン⸣ケンマー ッ⸢サンニビ シー⸣ シ⸢グトー⸣ ウ⸢クリナーン⸣バン [f⸢faŋ ʃiː ffaː⸣sunti ju⸢kutaːri beːŋ⸣kemmaː s⸢san⸣nibi ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢kurinaː⸣nu] (子供に授乳しようとして横になっていたところ、知らぬ間に寝て<知らぬ眠りして>しまって仕事に遅れてしまったわい) 10546 0 1 9972 htmvoc_10546.wav ッシェーマイ ⸣ッシェーマイ [⸣ʃʃeːmai] 名 {Mn_1}うしろまえ(後ろ前)。前後の位置が反対になっていること。 ⸢キン⸣バ ⸣ッシェーマイ ⸣ナシ キ⸢シ アー⸣ク [⸢kim⸣ba ⸣ʃʃeːmai ⸣naʃi ki̥⸢ʃiʔaː⸣ku] (着物を後ろ前にして着ている)。 10546 0 2 9973 htmvoc_10546.wav ッシェーマイ ⸣ッシェーマイ [⸣ʃʃeːmai] 名 {Mn_2}あとさき(後先)。前後。 フ⸢タールヌ⸣バ⸢カー⸣ムノー ミ⸢ジタング⸣ カ⸢タ⸣ミティ ⸣ッシェーマイ ⸣ナリ ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ パリ ⸢パッ⸣タヤー [ɸu̥⸢taːrunu⸣ ba⸢kaː⸣munoː mi⸢ʤitaŋgu⸣ kḁ⸢ta⸣miti ⸣ʃʃeːmai ⸣nari ⸢kis⸣su ⸢ʃiː⸣ pari ⸢pat⸣tajaː] (二人の若者は水担桶を担いで後先になりつつ競争して走って行ったよ)。 フ⸢タールヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ッシェーマイ ⸣ナレーティ ⸢キッ⸣ス ⸢シェー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ ⸢パッ⸣タヤー [ɸu̥⸢taːrunu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʃʃeːmai ⸣nareːti ⸢kis⸣su ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki ⸢pat⸣tajaː] (二人の人が前になり、後ろになりして、競争して歩いて行ったさ) 10464 0 0 9974 htmvoc_10464.wav ッシェーン ッ⸢シェー⸣ン [ʃ⸢ʃeː⸣ŋ] 自動 知っている。認識する。分かる。「知り・有り」の転訛したものか。 ク⸢ヌ ジーヤ⸣ バー ッ⸢シェー⸣ン [ku⸢nu ʤiːja⸣ baː ʃ⸢ʃeː⸣ŋ] (この字は私は知っている<分かる>)。 ⸣キサーラ ッ⸢シブリティ⸣ ッ⸢サヌ⸣ティ ア⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸣ki̥saːra ʃ⸢ʃiburiti⸣ s⸢sanu⸣ti ʔa⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (以前から知っていながら知らないと言っているよ)。 ⸢ワー⸣ ッ⸢シェー⸣ クトー ムー⸢ル⸣ パ⸢ナ⸣シバ [⸢waː⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ ku̥toː muː⸢ru⸣ pa⸢na⸣ʃiba] (君が知っていることは全部話しなさいよ)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ⸢ワンヌン⸣ ッ⸢シェー⸣<ッ⸢シブレー⸣> ミサムヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ⸢wannuŋ⸣ ʃ⸢ʃeː⸣<ʃ⸢ʃibureː⸣> misamunu] (それぐらいは君でも知れば<知っておれば>よいのに)。 ⸢ワンヌン⸣ ッ⸢シ [⸢wannuŋ⸣ ʃ⸢ʃi] (君も知れ) 10468 0 0 9975 htmvoc_10468.wav ッシクムン ッ⸢シ⸣クムン [ʃ⸢ʃi⸣kumuŋ] 他動 差し込む。ッ⸢シナ⸣クン[ʃ⸢ʃina⸣kuŋ](差し込む)ともいう。 イ⸢ツァ⸣ヌ サ⸢キ⸣ミーナ ボ⸢ロ⸣ ッ⸢シ⸣クムンティ ⸢スンドゥ⸣ ッ⸢シクマラ⸣ヌ [ʔi⸢ʦa⸣nu sḁ⸢ki⸣miːna bo⸢ro⸣ ʃ⸢ʃ⸣ikumunti ⸢sundu⸣ ʃ⸢ʃikumara⸣nu] (板の裂け目にボロ<襤褸>を差し込もうとするが、差し込めない) 10469 0 0 9976 htmvoc_10469.wav ッシッツァースン ッ⸢シッツァー⸣スン [ʃ⸢ʃitʦaː⸣suŋ] 他動 すりつぶす(擂り潰す)。擦り散らす。むやみにすりつける。やたらに摩りこむ。 フ⸢チ⸣ロー ッ⸢シッツァー⸣シ ⸣ミサカー ッ⸢シッツァー⸣スンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ッ⸢シッツァー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ティ シ⸢タール⸣ ッ⸢シッツァーサン⸣ドーシ フ⸢チ⸣ル ⸢ヌールタ [ɸu̥⸢ʧi⸣roː ʃ⸢ʃitʦaː⸣ʃi ⸣misakaː ʃ⸢ʃitʦaː⸣sunti ʔu⸢muːtan⸣du ʃ⸢ʃitʦaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ran⸣ti ʃi̥⸢taːru⸣ ʃ⸢ʃitʦaːsan⸣doːʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːruta] (薬は、擦り付けてよければ擦りつけようと思ったが、擦り散らすことはいけないと言ったので擦り散らさないで薬を塗ったよ)。 ッ⸢シッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃ⸢ʃitʦaː⸣ʃeː ⸣misamuu] (擦り散らせばいいのに)。 ッ⸢シッツァー⸣シ [ʃ⸢ʃitʦaː⸣ʃi] (擦り散らせ<摩り付けろ>) 10470 0 0 9977 htmvoc_10470.wav ッシットースン ッ⸢シットー⸣スン [ʃ⸢ʃittoː⸣suŋ] 他動 擦り込む。擦りとおす。 ピ⸢ルザキバ⸣ ス⸢ブ⸣ローラ ⸢パン⸣ヌ サ⸢キバー⸣キ ッ⸢シットー⸣シ [pi⸢ruʣakiba⸣ su⸢bu⸣roːra ⸢pan⸣nu sḁ⸢kibaː⸣ki ʃ⸢ʃittoː⸣ʃi] (\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}\ruby{酒}{ザケ}を頭から足の先まで擦り込みなさい)。 ッ⸢シットー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ッ⸢シットーサラン⸣バ ⸢ワー⸣ ッ⸢シットー⸣シ ッ⸢ふィーリ [ʃ⸢ʃittoː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ʃ⸢ʃittoːsaram⸣ba ⸢waː⸣ ʃ⸢ʃittoː⸣ʃi f⸢fiːri] (擦り込もうと思うが擦り込まれないので、君が擦り込んでくれ)。 ッ⸢シットー⸣ス ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ッ⸢シットー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʃ⸢ʃittoː⸣su ⸣munoː ⸢paː⸣ku ʃ⸢ʃittoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (擦り込むものは早く擦りこめばいいのに) 10472 0 0 9978 htmvoc_10472.wav ッシナクン ッ⸢シナ⸣クン [ʃ⸢ʃina⸣kuŋ] 他動 差しこむ。強く差し込む。 ⸢ウン⸣バ ティ⸢ルン⸣ ナカー ッ⸢シナ⸣クンティ ス⸢ヌ⸣ ッ⸢シナカラ⸣ヌ [⸢ʔum⸣ba ti⸢run⸣nakaː ʃ⸢ʃina⸣kunti su⸢nu⸣ ʃ⸢ʃinakara⸣nu] (イモを笊の中に強く差し込もうとするが差しこまれない)。 ッ⸢シナキ ヤッ⸣サ ⸣トンラ ッ⸢シナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʃ⸢ʃinaki jas⸣sa ⸣tonra ʃ⸢ʃina⸣keː ⸣misamunu] (差し込みやすい所から差し込めばよいのに)。 ッ⸢シナキ ヤッ⸣サ ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ ッ⸢シナ⸣キ [ʃ⸢ʃinaki jas⸣sa ⸣munoː muː⸢ru⸣ ʃ⸢ʃina⸣ki] (差し込みやすいものは全部差し込め)。 ガ⸢ヤー⸣バ ⸢ヤー⸣ヌ ピ⸢サ⸣ナー ッ⸢シナ⸣クンティ ⸢スンドゥ⸣ ッ⸢シナカラ⸣ヌ [ga⸢jaː⸣ba ⸢jaː⸣nu pi̥⸢sa⸣naː ʃ⸢ʃina⸣kunti ⸢sundu⸣ ʃ⸢ʃinakara⸣nu] (茅を屋根に差し込もうとするが、差し込まれない)。 ッ⸢シナ⸣キ ⸣ミサカー ⸣バー ッ⸢シナ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [ʃ⸢ʃina⸣ki ⸣misakaː ⸣baː ʃ⸢ʃina⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (差し込んでよければ、私は差し込むことはできる)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢シナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʃ⸢ʃina⸣keː ⸣misamunu] (早く差し込めばいいのに)。 ッ⸢シナ⸣キ [ʃ⸢ʃina⸣ki] (差し込め) 10471 0 0 9979 htmvoc_10471.wav ッシフカスン ッ⸢シフカスン [ʃ⸢ʃiɸu̥kasuŋ] 他動 知り尽くす。知りつくして見通す。洞察する。 ⸣ヌーンクイン ッ⸢シフカシティル⸣ アイ ア⸢ゾール [⸣nuːŋkuiŋ ʃ⸢ʃiɸu̥kaʃitiru⸣ ʔai ʔa⸢ʣoː⸣ru] (何もかも知り尽くして、そうおっしゃるのだ)。 ⸣ヌーンクイン ッ⸢シフカスンティ⸣ ウ⸢ムー⸣タンティン ッ⸢シフカサランバ⸣ ッ⸢シフカス⸣ クトー ⸢カンガウ⸣ナ [⸣nuːŋkuiŋ ʃ⸢ʃiɸukasunti⸣ ʔu⸢muː⸣tantiŋ ʃ⸢ʃiɸukasaramba⸣ ʃ⸢ʃiɸukasu⸣ ku̥toː ⸢kaŋgauna] (何もかも知り尽くそうと思っても知り尽くされないから、知り尽くすことは考えるな) 10473 0 0 9980 htmvoc_10473.wav ッシムヌヤー ッ⸢シ⸣ムヌヤー [ʃ⸢ʃi⸣munujaː] 名 指物屋。指物店。板を組み立てて家具や器具を作る家(店)。 イ⸢サンケー⸣ナ ッ⸢シ⸣ムヌヤーヌ ⸢アッ⸣タン [ʔi⸢saŋkeː⸣na ʃ⸢ʃi⸣munujaːnu ⸢ʔat⸣taŋ] (石垣島には指物屋があった) 10474 0 0 9981 htmvoc_10474.wav ッス ⸣ッス [⸣ssu] 名 糞。「~屎遠麻礼~『万葉集 3832』」、⸢送糞、倶蘇摩屢『日本書紀神代上』」の転訛したもの。[ku̥so] → [ku̥su] → [fu̥su] → [ssu] と音韻変化。 ⸣ッス ⸣マルン [⸣ssu ⸣maruŋ] (排便する{EOS}糞をまる)。 ⸣ッス フ⸢カスン [⸣ssu ɸu̥⸢kasuŋ] (便を漏らす{EOS}粗相する)。 ⸢ミー⸣ヌ ⸣ッス [⸢miː⸣nu ⸣ssu] (目くそ{EOS}めやに<目脂>)。 ⸢ミン⸣ヌ ⸣ッス [⸢min⸣nu ⸣ssu] (みみあか<耳垢>{EOS}みみくそ<耳糞>{EOS}⸢耳の糞」の義) 10484 0 0 9982 htmvoc_10484.wav ッス ッ⸢ス [s⸢su] 名 裾。着物の裾。「~一云 須蘓漬く河を『万葉集 2655』」の義。 ⸢キン⸣ヌ ッ⸢ス ゾーラスン [⸢kin⸣nu s⸢su ʣoːrasuŋ] (着物の裾を濡らす) 10485 0 0 9983 htmvoc_10485.wav ッス ッ⸢ス [s⸢su] 接頭 白。形容詞ッ⸢ソー⸣ン[s⸢soː⸣ŋ](白い)の語幹。名詞に上接して続く名詞を修飾し、名詞の指し示す内容が白いことを表す。 ッ⸢ス⸣キン [s⸢su⸣kiŋ] (白い着物{EOS}白衣)。 ッ⸢ス⸣パナ [s⸢su⸣pana] (白い花)。 ッ⸢ス⸣イル [s⸢su⸣ʔiru] (白色) 10486 0 0 9984 htmvoc_10486.wav ッスイーパイ ッ⸢スイー⸣パイ [s⸢suʔiː⸣pai] 名 白位牌。四十九日忌が済むまで仏壇に安置する白い位牌。 ⸣シンズクナール ⸢カイ⸣ジン ⸢ソー⸣リティ ッ⸢スイーパイ⸣ヤー ア⸢ギ オーソーッ⸣タ [⸣ʃinʣukunaːru ⸢kai⸣ʤin ⸢soː⸣riti s⸢suʔiːpai⸣ja ʔa⸢gi ʔoːsoːt⸣ta] (四十九日忌に開眼供養をされて、白位牌は焼いて差し上げられた) 10487 0 0 9985 htmvoc_10487.wav ッスイカ ッ⸢ス⸣イカ [s⸢su⸣ʔika] 名 (動)あおりいか。「白烏賊」の義。白烏賊は昔から利尿剤としてよく食されている。鳩間島では餌木に約20メートルの縄をつけて海岸より海へ投げこみ、手繰り寄せながら漁獲した。若年層はシ⸢ル⸣イカ[ʃi⸢ru⸣ʔika]ともいう。 ッ⸢ス⸣イカー サ⸢ギフチ⸣ルティ ⸢シー⸣ シジ ン⸢コーッ⸣タン⸢ダー [ʃi⸢ru⸣ʔikaː sa⸢giɸuʧi⸣ruti ⸢ʃiː⸣ ʃiʤi ʔŋ⸢koːt⸣tan⸢daː] (白烏賊はのぼせ<逆上>を下げる薬として煎じて召し上がられたよ) 10488 0 0 9986 htmvoc_10488.wav ッスイキー ッ⸢スイキー [s⸢suikiː] 名 (植)モンパノキ。海岸の砂地や岩石地に群落をなして産することが多い。材は軽く柔らかで水中眼鏡のフレーム(枠)を作るのに用いる。⸢スイキー[⸢suikiː]という人もいるが、明治生まれの人はッ⸢スイキー[s⸢suikiː]といっていた。 カ⸢ザケヌ⸣ ウスマイヤー ッ⸢スイキー⸣シ ⸣ユー ⸢ミーカン⸣ガン ス⸢ク⸣ローッタン [ka⸢ʣakenu⸣ ʔusumaijaː s⸢suikiː⸣ʃi ⸣juː ⸢miːkaŋ⸣gan su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (加治工のウスマイ<伊佐>はモンパノキでよく水中眼鏡を作られた) 10489 0 0 9987 htmvoc_10489.wav ッスイズ ッ⸢ス⸣イズ [s⸢su⸣ʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ギンダイ(体長約35センチ)。和名、シロダイ(体長約50センチ)。和名、サザナミダイ(体長約60センチ)などのシロダイの仲間。白身魚の高級魚。 ッ⸢ス⸣イゾー ⸢カーサバン ダイ⸣ ムトゥン [s⸢su⸣ʔiʣoː ⸢kaːsaban dai⸣ mutuŋ] (シロダイの仲間は売っても値段が張る<値段を持つ{EOS}高値がつく>) 10490 0 0 9988 htmvoc_10490.wav ッスイル ッ⸢ス⸣イル [s⸢su⸣ʔiru] 名 白色。 ッ⸢ス⸣イルナー ア⸢ガイル⸣ マ⸢ザー⸣シバ [s⸢su⸣ʔirunaː ʔa⸢gaʔiru ma⸢ʣaː⸣ʃiba] (白色に赤色を混ぜなさいよ) 10491 0 0 9989 htmvoc_10491.wav ッスウール ッ⸢スウー⸣ル [s⸢suʔuː⸣ru] 名 (植)シロウリ(白瓜)。 ッ⸢スウー⸣ロー パ⸢トゥ⸣マナーテー ⸢ナン⸣ゾー ス⸢ク⸣ローランシェン [s⸢suʔuː⸣roː pḁ⸢tu⸣manateː ⸢nan⸣ʣoː su̥⸢ku⸣roːraŋʃeŋ] (シロウリは鳩間島ではあまり栽培さ<作ら>れなかった) 10475 0 0 9990 htmvoc_10475.wav ッスカザ ⸣ッスカザ [⸣ssukaʣa] 名 糞の臭い。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ッスカザヌ ⸢スン⸠ダー ミリ⸢ミー [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ⸣ssukaʣanu ⸢sun⸠daː miri⸢miː] (この子は糞の臭いがするぞ、見てごらん) 10476 0 0 9991 htmvoc_10476.wav ッスカシ ⸣ッスカシ [⸣ssukaʃi] 名 役に立たない者。無能な者。「くそかす(糞粕)」の義。 ウ⸢レー⸣ ノー⸢ン⸣ ヤコー タ⸢タ⸣ヌ ⸣ッスカシル ヤ⸢ル [ʔu⸢reː⸣ noː⸢ɲ⸣ jakoː tḁ⸢ta⸣nu ⸣ssukaʃiru ja⸢ru] (あいつは何にも役に立たない{EOS}無能な者だ) 10477 0 0 9992 htmvoc_10477.wav ッスカビ ッ⸢ス⸣カビ [s⸢su⸣kabi] 名 白紙。 ッ⸢ス⸣カビナ ⸣シンシ ⸢ジー⸣ カクン [s⸢su⸣kabina ⸣ʃiŋʃi ⸢ʤiː⸣ kḁkuŋ] (白紙に墨で字を書く)。 ッ⸢スカビ⸣バ ⸣ブリティ カ⸢ザリクビンヌ⸣ ザウ ス⸢ク⸣リバ [s⸢sukabi⸣ba ⸣buriti ka⸢ʣarikubinnu⸣ ʣau su̥⸢ku⸣riba] (白紙を折って神前に供えるへいじ<瓶子{EOS}とくり>の栓を作りなさいよ) 10478 0 0 9993 htmvoc_10478.wav ッスクミルン ⸣ッス ク⸢ミ⸣ルン [⸣ssu ku⸢mi⸣ruŋ] 連 排便を我慢する。「糞をこめる」の義。 ⸣ドゥク ⸣ッス ク⸢ミル⸣ナ⸢ヨー⸣ シ⸢ビコー⸣ル フ⸢シ⸣ ナルンティ⸢ダー [⸣duku ⸣ssu ku⸢miru⸣na⸢joː⸣ ʃi⸢bi koː⸣ru ɸu̥⸢ʃi⸣ narunti⸢daː] (あんまり排便を我慢するなよ{EOS}便秘する<尻強る>癖になるそうだよ) 10479 0 0 9994 htmvoc_10479.wav ッスゴーダー ⸣ッスゴーダー [⸣ssugoːdaː] 名 糞まみれ<塗れ>。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢ベー⸣ ッスゴーダー ⸢シー ベー [ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢beː⸣ ssugoːdaː ⸢ʃiː beː] (子供のお尻は糞塗れになっている) 10494 0 0 9995 htmvoc_10494.wav ッスサー ッ⸢ス⸣サー [s⸢su⸣saː] 名 薄茶。出涸らしの茶。「白茶」の義。 ッ⸢ス⸣サー ⸣ナルンケン ⸣サー カー⸢ニ⸣ ヌミ ⸢ベー [s⸢su⸣saː ⸣naruŋken ⸣saː kaː⸢ni⸣ numi ⸢beː] (出涸らしの茶になるまで、お茶だけ飲んでいる) 10495 0 0 9996 htmvoc_10495.wav ッスサタ ッ⸢ス⸣サタ [s⸢su⸣sata] 名 白砂糖。 ッ⸢ス⸣サター ッ⸢ふ⸣サターラル ス⸢ク⸣ロール [s⸢su⸣sataː f⸢fu⸣sataːraru su̥⸢ku⸣roːru] (白砂糖は黒砂糖から<ぞ>作られる) 10492 0 0 9997 htmvoc_10492.wav ッスジー ッ⸢ス⸣ジー [s⸢su⸣ʤiː] 名 白地。麻布や芭蕉布、綿布などの生地。染色してない布。 ッ⸢ス⸣ジーキン [s⸢su⸣ʤiːkiŋ] (白地の着物{EOS}染色してない麻布や芭蕉布)。 サ⸢カサンケー⸣ヤ ⸣ウガン ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー ⸢キン⸣ヌ ⸢ウイラ⸣ ッ⸢ス⸣ジーキン キ⸢シティル オーッ⸣タ [sḁ⸢kasaŋkeː⸣ja ⸣ʔugaŋ ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ⸢kin⸣nu ⸢ʔuira⸣ s⸢su⸣ʤiːkiŋ ki̥⸢ʃitiru ʔoːt⸣ta] (司の方々はお嶽へ行かれるときは、着物の上から白地のきものを着て<ぞ>行かれた) 10496 0 0 9998 htmvoc_10496.wav ッスシーソー ッ⸢スシー⸣ソー [s⸢suʃiː⸣soː] 名 (植)白紫蘇。⸢アウシーソー[⸢ʔauʃiːsoː](青紫蘇)ともいう。ア⸢カシーソー[ʔa⸢kaʃiːsoː](赤紫蘇)の対義語。刺身の⸢オンガキ[⸢ʔoŋgaki](薬味{EOS}「上かけ」の義)として利用される。 パ⸢ダ⸣ラナマシヌ ⸢オンガケー⸣ ア⸢ガシース⸣ ッ⸢スシース⸣バ キ⸢ザミティル⸣ イ⸢ローッタ⸣ル [pa⸢da⸣ranamaʃinu ⸢ʔoŋgakeː⸣ ʔa⸢gaʃiːsu⸣ s⸢suʃiːsu⸣ba ki⸢ʣamaitiru⸣ ʔi⸢roːtta⸣ru] (トウゴロイワシの刺身には白紫蘇を刻んで薬味として入れたものだ) 10481 0 0 9999 htmvoc_10481.wav ッスシゥカムン ⸣ッス シゥ⸢カ⸣ムン [⸣ssu si̥⸢ka⸣muŋ] 連 ひどい目に遭う。最悪の結果をもたらす。台無しにされる。「糞つかむ(掴む)」の義。 ⸢イー パナシ⸣ティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ウ⸢リンマー⸣ ッス シゥ⸢カマサ⸣リ ⸢ザー⸣パイ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸢ʔiː panaʃiti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ʔu⸢rimmaː⸣ ssu si̥⸢kamasa⸣ri ⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiː naː⸣nu] (いい話だと思ったが、彼にはひどい目に遭わさ<糞を掴まさ>れて滅茶苦<台無し>になってしまった) 10497 0 0 10000 htmvoc_10497.wav ッスシキル ッ⸢スシキ⸣ル [s⸢suʃiki⸣ru] 名 (動)しろなまこ(白海鼠)。⸣イノー[⸣ʔinoː](礁内湖)の浅海の砂の上に多く棲息している。燻製・乾燥させて中華料理の食材として輸出されていた。 ッ⸢スシキ⸣ロー ⸣ガシティ ⸢カーソーッ⸣タ [s⸢suʃiki⸣roː ⸣gaʃiti ⸢kaːsoːt⸣ta] (しろなまこは燻製にして売られた) 10480 0 0 10001 htmvoc_10480.wav ッスジルカージル ッ⸢スジルカー⸣ジル [s⸢suʤirukaː⸣ʤiru] 副 うんこ塗れになっているさま。糞塗れ。 ッ⸢スジルカー⸣ジル ⸢スン⸣ケン シ⸢ビシ⸣ケーン ⸢カームティ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [s⸢suʤirukaː⸣ʤiru ⸢suŋ⸣keŋ ʃi⸢biʃi̥⸣keːŋ ⸢kaːmuti⸣ nuːja ʔu⸢reː] (うんこ塗れになるまでおむつ<御襁褓>を取り替えないで、何としたことか、これは) 10498 0 0 10002 htmvoc_10498.wav ッスタマ ッ⸢ス⸣タマ [s⸢su⸣tama] 名 白目。眼球の白い部分。ッ⸢スミン⸣タマ[s⸢sumin⸣tama](白目玉)ともいう。「白珠」の義。 ⸢ミー⸣ヌ ッ⸢スタマ⸣バ ヤ⸢マ⸣シティ イ⸢サン⸣ヤー ⸢パッ⸣タ [⸢miː⸣nu s⸢sutama⸣ba ja⸢ma⸣ʃi̥ti ʔi⸢saɲ⸣jaː ⸢pat⸣ta] (眼球の白い部分<白珠>を怪我して<病まして>病院へ行った) 10499 0 0 10003 htmvoc_10499.wav ッスッサーン ッ⸢スッサー⸣ン [s⸢sussaː⸣ŋ] 形 糞の臭いがする。「糞臭い」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー シ⸢ビシ⸣ケー ⸢カイラン⸣カー ッ⸢スッサー⸣ン ⸢ダー [ja⸢ra⸣beː ʃi⸢biʃi̥⸣keː ⸢kairaŋ⸣kaː s⸢sussaː⸣n ⸢daː] (子供はおむつ<御襁褓>を取り替えないと糞臭いよ)。 ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢スッサー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː s⸢sussaː naː⸣nu] (あまり糞臭くないよ)。 ッ⸢スッサー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [s⸢sussaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (糞臭くて堪らない)。 ッ⸢スッサー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [s⸢sussaː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (糞臭くなってしまった)。 ッ⸢スッサー⸣ ッ⸢ふァー⸣ シ⸢ビシ⸣ケー ⸢カイリ [s⸢sussaː⸣ f⸢faː⸣ ʃi⸢biʃi̥⸣keː ⸢kairi] (糞臭い<糞の臭いのする>子はおむつを替えなさい) 10500 0 0 10004 htmvoc_10500.wav ッスッサラシムニ ッ⸢スッサラシ⸣ムニ [s⸢sussaraʃi⸣muni] 名 他人の感情を害するような汚いことば(物言い)。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ッ⸢スッサラシ⸣ムニ カー⸢ニル⸣ イ⸢ズ [⸢ʔunʣaː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː s⸢sussaraʃi⸣muni kaː⸢niru⸣ ʔi⸢ʣu] (そいつは酒を飲むと人の感情を害するような言葉<物言い>だけを言う) 10482 0 0 10005 htmvoc_10482.wav ッスッふァイ ッ⸢スッ⸣ふァイ [s⸢suf⸣fai] 感 くそくらえ。ばか言え。「Cusocurai.クソクライ(糞飡ひ) 相手を侮辱する無礼な言葉」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。くしゃみ(嚏)をした時にいう呪文のク⸢スッ⸣クレー[ku̥⸢suk⸣kureː](糞食らえ)の再転訛したもの。 ッ⸢スッ⸣ふァイヒャー ⸢タール⸣ ワンザヌ ⸣クトゥ ⸢ナー⸣ト ⸢スーワ [s⸢suf⸣faiçaː ⸢taːru⸣wanʣanu ⸣ku̥tu ⸢naː⸣to ⸢suːwa] (糞食らえ{EOS!}誰がお前のことなどするものか) 10510 0 1 10006 htmvoc_10510.wav ッスッふァイヒャー ッ⸢スッ⸣ふァイヒャー [s⸢suf⸣faiçaː] 感 {Mn_1}糞喰らえ。相手を卑しめ、\ruby{罵}{ノノシ}りかえして言う言葉。「Cusocurai.クソクライ(糞飡らい)相手を侮辱する無礼な言葉」『邦訳日葡辞書』。 ッ⸢スッ⸣ふァイヒャー ⸣ワンザヌ ムニ⸢ナー⸣ト ス⸢クン⸠トゥー [s⸢suf⸣faiçaː ⸣wanʣanu muni⸢naː⸣to su̥⸢kun⸠tuː] (糞喰らえ、お前の言うことなど聞くものか)。 10510 0 2 10007 htmvoc_10510.wav ッスッふァイヒャー ッ⸢スッ⸣ふァイヒャー [s⸢suf⸣faiçaː] 感 {Mn_2}くしゃみをした時に、魂が飛び出すのを防ぐという呪いの言葉。 パ⸢ナ⸣プス ⸣ピンマー ッ⸢スッ⸣ふァイヒャーティ ア⸢ズ⸣カー マ⸢ブ⸣ロー ⸢ピンギラン⸣ツォー [pa⸢na⸣pu̥su ⸣pimmaː s⸢suf⸣faiçaːti ʔa⸢ʣu⸣kaː ma⸢bu⸣roː ⸢piŋgiran⸣ʦoː] (くしゃみをする時は「糞喰らえ」と唱えると、マブル<魂>は逃げないそうだ<伝聞>) 10511 0 0 10008 htmvoc_10511.wav ッスッふァイムヌ ッ⸢スッふァイムヌ [s⸢suffai⸣munu] 名 役に立たない者。無能の者。いぐい(居食い)の徒。座食の徒。「糞喰らい者」の義。 ⸢ウンザー⸣ スブットゥ ッ⸢スッふァイ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトゥン⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ subuttu s⸢suffai⸣munu ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutun⸣ ta⸢namara⸣nu] (あいつは怠け者で無能な者だから仕事も頼めない) 10501 0 0 10009 htmvoc_10501.wav ッスティンアウティン ッ⸢スティンアウ⸣ティン [s⸢sutiŋʔau⸣tiŋ] 連 青空、蒼天。ABCDEFCD型の重言。青空を強調した表現。「白天青天」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢スティンアウティン⸣ヌ ッ⸢サーン⸣ナーティ ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ナ⸢リ⸣バ ピ⸢ルマ⸣サ [ku⸢nu⸣ s⸢sutiŋʔautin⸣nu s⸢saːn⸣naːti ⸣kaibu ku̥⸢tu⸣nu na⸢ri⸣ba pi⸢ruma⸣sa] (この晴天<蒼天>のもとで、こんなことの出来るのが珍しい{EOS}よくもこんなことができたものだ{EOS}それが不思議だ<珍しい>) 10502 0 0 10010 htmvoc_10502.wav ッストーフ ッ⸢ストー⸣フ [s⸢sutoː⸣ɸu] 名 木綿豆腐。揚げ豆腐にたいする、揚げてない豆腐のこと。「白豆腐」の義。 ⸢アギトーフラン⸣ ッ⸢ストーフ⸣ル ⸢ヤー⸣ラーンダ ッ⸢ふァイヤッ⸣サン ⸣アリ ン⸢マー⸣ン ⸣アル [ʔa⸢gitoːɸuran⸣ s⸢sutoːɸu⸣ru ⸢jaː⸣raːnda f⸢faijas⸣saŋ ⸣ʔari ʔm⸢maː⸣ŋ ⸣ʔaru] (揚げ豆腐よりも揚げない豆腐が柔らかくもあり、美味しくもある) 10503 0 0 10011 htmvoc_10503.wav ッスナミ ッ⸢ス⸣ナミ [s⸢su⸣nami] 名 白波。干瀬に砕け散る白波。ッ⸢ス⸣ナン[s⸢su⸣naŋ](白波)ともいう。 ⸢ウイバルヌ⸣ ヤ⸢ダン⸣ブレピーナ ッ⸢スナミ⸣ヌ(ッ⸢スナン⸣ヌ)⸣タトゥカー ⸢オシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [⸢ʔuibarunu⸣ ja⸢dam⸣burepiːna s⸢sunami⸣nu(s⸢sunan⸣nu) ⸣tḁtukaː ⸢ʔoʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣su] (上原のヤダンブレ干瀬に白波が立つと、天気は崩れる<破れる>) 10504 0 0 10012 htmvoc_10504.wav ッスバラー ッ⸢スバラー [s⸢subaraː] 名 家屋の最も外周にある柱。「裾柱」の義。ハ⸢ギバラー[ha⸢gibaraː](庇柱{EOS}軒柱)ともいう。⸣ムヤーバラー[⸣mujaːbaraː](母屋柱{EOS}家屋本体の柱)の対語。 ⸢バン⸣テヌ ウ⸢ブヤー⸣ヌ ッ⸢スバラー⸣ ムー⸢ル キャーンギ⸣シ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢ban⸣tenu ʔu⸢bujaː⸣nu s⸢subaraː⸣ muː⸢ru kjaːŋgi⸣ʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (わが家の母屋の裾柱はみんな槇の木で作られている) 10505 0 0 10013 htmvoc_10505.wav ッスパルン ッ⸢ス⸣パルン [s⸢su⸣paruŋ] 名 カツオの白いすじこ。⸢キンパルン[⸢kimparuŋ](黄色いすじこ)とともに塩漬けにした。 ッ⸢スパルン⸣マー ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マーナーン⸣シェン [s⸢suparum⸣maː ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maːnaːŋ⸣ʃeŋ] (白いすじこはあまり美味しくなかった) 10506 0 0 10014 htmvoc_10506.wav ッスパン ッ⸢ス⸣パン [s⸢su⸣paŋ] 名 白い斑点。白斑。老化にともなって皮膚に現れる白い斑点。 ⸢ウイ⸣プス ⸣ナルカー トゥ⸢シ⸣トゥ アー⸢シ⸣ パダナー ッ⸢スパン⸣ヌ ⸣ンジクン [⸢ʔui⸣pu̥su ⸣narukaː tu⸢ʃi⸣tu ʔaː⸢ʃi⸣ padanaː s⸢supan⸣nu ⸣ʔnʤikuŋ] (老人になると年齢とともに肌に白い斑点が出てくる)。 ッ⸢スパン⸣マー ⸢チョーミーヌ⸣ シ⸢ルシ⸣ティバーヤ [s⸢supam⸣maː ⸢ʧoːmiːnu⸣ ʃi⸢ruʃi⸣tibaːja] (肌にでる白い斑点は長命の印しだってば) 10507 0 0 10015 htmvoc_10507.wav ッスパンタリ ッ⸢スパン⸣タリ [s⸢supan⸣tari] 名 白太り。色白で丸々と太っていること。 ⸢ヌー⸣バ ッ⸢ふァイル⸣ アイニ ッ⸢スパン⸣タリ ⸢シー アーク⸣ワ [⸢nuː⸣ba f⸢fairu⸣ ʔaini s⸢supan⸣tari ⸢ʃiː ʔaːku⸣wa] (何を食べて<ぞ>あんなに白太りしているのか) 10522 0 0 10016 htmvoc_10522.wav ッスビー ッ⸢スビー [s⸢subiː] 名 いそべ(磯辺)。礒のほとり。いそばた(礒端)。海岸端。「潮早み礒廻<イソミ>に居れば~。万、1234」の転訛したものか。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー ッ⸢スベーラ⸣ ア⸢ラ⸣キ イ⸢ソー パッ⸣タ [⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː s⸢subeːra⸣ ʔa⸢ra⸣ki ʔi⸢soː pat⸣ta] (潮が引いたら海岸べりから歩いて潮干狩りに行った)。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー ヤ⸢ラヌ⸣ ッ⸢スベーラ マーリ⸣ イ⸢ソーシン パッ⸣タン [⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ja⸢ranu⸣ s⸢subeːra maːri⸣ ʔi⸢soːʃim pat⸣taŋ] (潮が引くと屋良の浜から礒伝いに<磯辺から>歩いて潮干狩りに行ったよ) 10521 0 0 10017 htmvoc_10521.wav ッスピー ⸣ッスピー [⸣ssupiː] 名 非常に臭いおなら<屁>。「糞屁」の義。 ⸢タール⸣ ッスピーバ プ⸢ス⸣タユー ⸣ウマー ッ⸢サー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [⸢taːru⸣ ssupiːba pu̥⸢su⸣tajuː ⸣ʔumaː s⸢saː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (誰が糞屁を放ったのか、臭くてそこへは顔を向けることが出来ない<向かわれない>) 10509 0 0 10018 htmvoc_10509.wav ッスピニ ッ⸢ス⸣ピニ [s⸢su⸣pini] 名 白い鬚。「しろひげ<白鬚>」の義。 ⸣アブジェー ッ⸢スピニ⸣バ ⸢モー⸣シ ⸢オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː s⸢supini⸣ba ⸢moː⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ru] (お祖父さんは白い鬚<白鬚>を生やしておられる) 10483 0 0 10019 htmvoc_10483.wav ッスヒャー ⸣ッスヒャー [⸣ssuçaː] 感 くそ!聞くものか。嫌だ!⸣ッスヒャー ⸣ワンザヌ ムニ⸢ナー⸣ト シゥ⸢カヌ[⸣ssuçaː ⸣wanʣanu muni⸢naː⸣to sï̥⸢kanu](くそっ{EOS!}嫌だ{EOS}お前などの言うことなど聞くものか<聞かない>) 10512 0 0 10020 htmvoc_10512.wav ッスフカー ⸣ッスフカー [⸣ssuɸu̥kaː] 名 糞を漏らす者。うんこたれ。⸢糞垂れ」の義。 イ⸢チンバー⸣キン ⸣アイニ ⸣ッスフカー ⸣ナリ ⸢アーカン⸣ドーシ ⸢パー⸣ク ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナリ⸢ヨー [ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ⸣ʔaini ⸣ssuɸukaː ⸣nari ⸢ʔaːkan⸣doːʃi ⸢paː⸣ku ʔu⸢bu⸣pu̥su nari⸢joː] (何時までもそんなにうんこたれ<糞を漏らす者>になっていないで、早く大人になりなさいよ) 10513 0 1 10021 htmvoc_10513.wav ッスフカスン ⸣ッス フ⸢カスン [⸣ssu ɸu̥⸢kasuŋ] 連 {Mn_1}糞を垂らす<糞放下す>。堪えきれずに脱糞する。 ⸣オンケー ⸢サーリ⸣ パ⸢リマー⸣キ ⸢ベーン⸣ケンマー ⸣ッス フ⸢カシ ナー⸣ヌ [⸣ʔoŋkeː ⸢saːri⸣ pa⸢rimaː⸣ki ⸢beːŋ⸣kemmaː ⸣ssu ɸu̥⸢kaʃi naː⸣nu] (便所へ連れて行きかねているうちに、糞を漏らして<垂らして>しまった)。 10513 0 2 10022 htmvoc_10513.wav ッスフカスン ⸣ッス フ⸢カスン [⸣ssu ɸu̥⸢kasuŋ] 連 {Mn_2}ひどく苦労する。 ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥバ タンガ⸣シ ⸢スンティ⸣ ッ⸢ス⸣フキ ⸢ミッ⸣タン [ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutuba taŋga⸣ʃi ⸢sunti⸣ s⸢su⸣ ɸu̥ki ⸢mit⸣taŋ] (あれだけの仕事を一人でしようとして苦労した<脱糞した>よ) 10514 0 0 10023 htmvoc_10514.wav ッスフム ッ⸢ス⸣フム [s⸢su⸣ɸumu] 名 しらくも(白雲)。ッ⸢ス⸣クム[s⸢su⸣kumu](白雲)ともいう。 ナ⸢チヌ⸣ ッ⸢ス⸣フモー ⸢ゾーティン⸣キ [na⸢ʧinu⸣ s⸢su⸣ɸumoː ⸢ʣoːtiŋ⸣ki] (夏の白雲は上天気<の徴候>だ)。歌謡ではシ⸢ラ⸣クム[ʃi⸢ra⸣kumu](白雲)とも歌われている 10515 0 0 10024 htmvoc_10515.wav ッスマース ッ⸢スマー⸣ス [s⸢sumaː⸣su] 名 白い塩。盛り塩。健康祈願の塩。カ⸢ニマース[ka⸢nimaːsu](黄金の塩)、シゥ⸢カラマース[si̥⸢karamaːsu](長寿延命の肖り塩)ともいう。 ッ⸢スマー⸣ス カ⸢ザリ⸣ シ⸢キ⸣バ [s⸢sumaː⸣su ka⸢ʣari⸣ ʃi̥kiba] (盛り塩を供えておきなさいよ) 10516 0 0 10025 htmvoc_10516.wav ッスマイ ッ⸢ス⸣マイ [s⸢su⸣mai] 名 白米。精米。老年層は、⸣ッサイマイ[⸣ssaimai](精げ米{EOS}精米)という。⸣カーマイ[⸣kaːmai](玄米{EOS}⸢皮米」の義)の対義語。 パ⸢トゥ⸣マナテー ⸣ウシナー ⸢マイバ⸣ イ⸢リティ⸣ イ⸢ナシ⸣キシ ッ⸢サイ⸣ヤーティル ッ⸢ス⸣マイ ナ⸢ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manateː ⸣ʔuʃinaː ⸢maiba⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢naʃi̥⸣kiʃi s⸢sai⸣jaːtiru s⸢su⸣mai na⸢soːt⸣ta] (鳩間島では臼に米を入れて杵で搗きながら精米<白米>にされた) 10517 0 0 10026 htmvoc_10517.wav ッスマスン ッ⸢スマ⸣スン [s⸢suma⸣suŋ] 他動 潜らせる。自動詞ッ⸢ス⸣ムン[s⸢su⸣muŋ](潜る)の未然形ッ⸢スマ[s⸢suma]に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる)が下接して合成された使役動詞。 バ⸢カー⸣ムンケー ッ⸢スマ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ カ⸢ジヌ スーヤ⸣ヌ<⸢スーワ⸣ヌ> ッ⸢スマサラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣muŋkeː s⸢suma⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ka⸢ʤinu suːja⸣nu<⸢suːwa⸣nu> s⸢sumasara⸣nu] (若者たちを潜らせようと思うが、風が強いので潜らされない) 10518 0 0 10027 htmvoc_10518.wav ッスマミ ッ⸢ス⸣マミ [s⸢su⸣mami] 名 白い豆。「隠元豆のこと」『沖縄語辞典』とある。 プ⸢ス⸣パナー パ⸢トゥ⸣マナーン ッ⸢ス⸣マメー ス⸢ク⸣リ ブ⸢タン⸠ナー [pu̥⸢su⸣panaː pḁ⸢tu⸣manaːn s⸢su⸣mameː su̥⸢ku⸣ri bu⸢tan⸠naː] (一頃<一時期>は、鳩間島にも白い豆を栽培し<作って>ていたよねえ) 10520 0 0 10028 htmvoc_10520.wav ッスマリコーマ ッ⸢スマリコー⸣マ [s⸢sumarikoː⸣ma] 名 よく下痢をする人。よく糞をたらす子ども。 ッ⸢スマリコー⸣マー マ⸢タ⸣ ッス フ⸢カシ⸣ シケーバン [s⸢sumarikoː⸣maː ma⸢ta⸣ ssu ɸu̥⸢kaʃi⸣ ʃi̥keːbaŋ] (糞放りっ子は、またも糞をたらしてあるよ) 10519 0 0 10029 htmvoc_10519.wav ッスマルン ッ⸢ス⸣ マルン [s⸢su⸣ maruŋ] 連 大便をする。糞をたれる。脱糞する。「送糞、此をば倶蘇摩婁<くそまる>といふ」『古事記<神代 上>』。 ⸢ウンヌ⸣イー ッ⸢ふー⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ス⸣ マルン [⸢ʔunnu⸣ʔiː f⸢fuː⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ssu ⸣maruŋ] (芋ご飯を食べると沢山大便をする<糞を放る>) 10525 0 0 10030 htmvoc_10525.wav ッスミ ッ⸢ス⸣ミ [s⸢su⸣mi] 名 包み。包んだもの。 ⸣ッスン [ssuŋ] (包み)(老年層の使用語)。 ウ⸢ヌ⸣ フ⸢ルシ⸣ケーッスンヌ ナ⸢カ⸣ナー ⸢ヌー⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [ʔu⸢nu⸣ ɸu⸢ru⸣ʃi̥keːssunnu na⸢ka⸣naː ⸢nuː⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (その風呂敷包みの中に何があるか)。 ッ⸢ス⸣ミ<フ⸢ルシ⸣ケーッスン> パ⸢タッキティ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [s⸢su⸣mi<ɸu⸢ruʃi⸣keːssum> pḁ⸢takkiti⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (包みを開いて出しなさいよ) 10523 0 1 10031 htmvoc_10523.wav ッスミー ッ⸢ス⸣ミー [s⸢su⸣miː] 名 {Mn_1}白目。しろまなこ。しろめだま。 ヤ⸢ラ⸣ベー パ⸢ナン⸣ギ ⸢シー ベー⸣ティ ⸢グイ⸣シ ッ⸢ス⸣ミー ⸢ピッ⸣クンダ ⸢サフケー⸣マ ム⸢タス⸣ナ [ja⸢ra⸣beː pa⸢naŋ⸣gi ⸢ʃiː beː⸣ti ⸢gui⸣ʃi s⸢su⸣miː ⸢pik⸣kunda ⸢saɸu̥keː⸣ma mu⸢tasu⸣na] (幼児は悪戯をしていて、箸などの先の尖ったもので白目を突き刺すことがあるので、先の尖った物を持たせるな)。 10523 0 2 10032 htmvoc_10523.wav ッスミー ッ⸢ス⸣ミー [s⸢su⸣miː] 名 {Mn_2}眼病の一種。強度の斜視で、瞳が隠れた状態の目。 ⸢ミー⸣ヌヤン カ⸢カ⸣リティ ッ⸢ス⸣ミー ⸣ナリ ⸢ベー [⸢miː⸣nu ⸣jaŋ kḁ⸢ka⸣riti s⸢su⸣miː ⸣nari ⸢beː] (眼病に罹って白目になっている) 10524 0 0 10033 htmvoc_10524.wav ッスミー ッ⸢ス⸣ミー [s⸢su⸣miː] 名 白身。魚などの白い肉。鶏卵などの卵白。 シ⸢ヌマール⸣ヌ ッ⸢ス⸣ミー ナ⸢マ⸣シ ⸣キスカー ン⸢マー⸣ン [ʃi⸢numaːru⸣nu s⸢su⸣miː na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥sukaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (テングハギの白身を刺身に切ると美味しい) 10526 0 0 10034 htmvoc_10526.wav ッスミスーブ ッ⸢スミスー⸣ブ [s⸢sumisuː⸣bu] 名 潜水競争。「潜り勝負」の義。 ⸣ナンピル ッ⸢ス⸣ムユー ッ⸢スミスー⸣ブ ⸢サー⸣ディー [⸣nampiru s⸢su⸣mujuː s⸢sumisuː⸣bu ⸢saː⸣diː] (何尋潜るのか、潜り競争<潜り勝負>しようよ) 10527 0 0 10035 htmvoc_10527.wav ッスミマースン ッ⸢スミ マー⸣スン [s⸢sumi maː⸣suŋ] 連 包みまわす。取り囲む。 イ⸢ゾー⸣ アンシ ッ⸢スミマーシ⸣ル<カ⸢クイマーシル⸣> トゥ⸢ローッタ⸣ル [ʔi⸢ʣoː⸣ ʔaŋʃi s⸢sumimaːʃi⸣ru tu⸢roːtta⸣ru] (魚は網で取り囲んで漁獲されたものだよ) 10528 0 0 10036 htmvoc_10528.wav ッスミムヌ ッ⸢スミ⸣ムヌ [s⸢sumimu⸣nu] 名 包むもの。包装紙。 ッ⸢スミ⸣ムヌシ ッ⸢ス⸣ミティ ⸢オーシ⸣バ [s⸢sumi⸣munuʃi s⸢su⸣miti ⸢ʔoːʃi⸣ba] (包み物で包んで差し上げなさいよ) 10529 0 0 10037 htmvoc_10529.wav ッスミンタマ ッ⸢スミン⸣タマ [s⸢sumin⸣tama] 名 目の白い部分。白目。 ⸢ユー⸣キ ⸢シーティル⸣ ッ⸢スミン⸣タマー ア⸢ガンターリ ベー [⸢juː⸣ki ⸢ʃiːtiru⸣ s⸢sumin⸣tamaː ʔa⸢gantaːri beː] (夜更かしをしたので白目が赤らんでいる) 10530 0 0 10038 htmvoc_10530.wav ッスムチ ッ⸢ス⸣ムチ [s⸢su⸣muʧi] 名 白餅。神事や法事に用いる餅は白餅で、中に餡を入れないのが一般である。⸢ヨイ⸣ヌ ム⸢チ[⸢joi⸣nu mu⸢ʧi](祝いの餅)は、多くはバ⸢タ⸣ムチ[ba⸢ta⸣muʧi](餡餅)で、ア⸢ガムチ[ʔa⸢gamuʧi](赤い餅)などが作られた。 ⸢ソッコー⸣ヌ ム⸢チェー⸣ ッ⸢スムチ⸣バ ジ⸢ブ⸣クナー イ⸢リティ⸣ マ⸢ツォーッタ [⸢sokkoː⸣nu mu⸢ʧeː⸣ s⸢sumuʧi⸣ba ʣi⸢bu⸣kunaː ʔi⸢riti⸣ ma⸢ʦoːt⸣ta] (法事<焼香>の餅は白餅を重箱に詰めて供えられた) 10531 0 0 10039 htmvoc_10531.wav ッスムン ッ⸢ス⸣ムン [s⸢su⸣muŋ] 他動 もぐる(潜る)。 ⸣バー ッ⸢ス⸣ミ ⸢シェーン⸠ダー [⸣baː s⸢su⸣mi ⸢ʃeːn⸠daː] (私は潜れるよ)。 ッ⸢ス⸣ムンティ シ⸢タンドゥ⸣ ス⸢ナ⸣カー ユ⸢ヌンゴー⸣リティ<ヤ⸢ナンゴー⸣リティ> ッ⸢スマラ⸣ヌ [s⸢su⸣munti ʃi̥⸢tandu⸣ su⸢na⸣kaː ju⸢nuŋgoː⸣riti s⸢sumara⸣nu] (潜ろうとしたが、海は濁って潜れない)。 ッ⸢ス⸣ム ⸣ピンマー ⸢タンガ⸣シ ッ⸢ス⸣メー ⸣ミサムヌ [s⸢su⸣mu ⸣pimmaː ⸢taŋga⸣ʃi s⸢su⸣meː ⸣misamunu] (潜るときは一人で潜ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ワー⸣ラ ッ⸢ス⸣ミバ [⸢paː⸣ku ⸢waː⸣ra s⸢su⸣miba] (早く君から潜れよ) 10532 0 0 10040 htmvoc_10532.wav ッスムン ッ⸢ス⸣ムン [s⸢su⸣muŋ] 他動 包む。取り巻く。くるむ。「白玉を都々美氐夜良婆~『万葉集 4102』」、「坡阪、以\kaeriten{㆑}土壅\kaeriten{㆑}水也。豆豆牟(つつむ)『新撰字鏡』」の転訛。 フ⸢ルシ⸣ケーッスン [ɸu⸢ruʃi̥⸣keːssuŋ] (風呂敷包み)。 フ⸢ルシ⸣ケーナ ッ⸢ス⸣ムンティ シ⸢タンドゥ⸣ ッ⸢スマラ⸣ヌ [ɸu⸢ruʃi̥⸣keːna s⸢su⸣munti ʃi̥⸢tandu⸣ s⸢sumaraŋ⸣ʃeŋ] (風呂敷に包もうとしたが包まれなかった)。 ッ⸢ス⸣ミ ⸢シェー⸣カー ⸣ドゥーシ ッ⸢ス⸣ミバ [s⸢su⸣mi ⸢ʃeː⸣kaː ⸣duːʃi s⸢su⸣miba] (包めるなら自分で包めよ)。 ッ⸢ス⸣ム ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ フ⸢ルシ⸣ケーナ ッ⸢ス⸣メー ⸣ミサムヌ [s⸢su⸣mu ⸣munoː muː⸢ru⸣ ɸu⸢ruʃi̥⸣keːna s⸢su⸣meː misamunu] (包むものは全部風呂敷に包めばいいのに) 10533 0 0 10041 htmvoc_10533.wav ッスリムヌ ッ⸢スリムヌ [s⸢surimunu] 名 雑巾。拭き取るもの。足拭き。「こすり<擦り>」の転訛したもの。 ッ⸢スリムヌ⸣<⸢ゾー⸣キン> ス⸢ブ⸣リティ ⸢トゥーシ⸣ ッ⸢スリ [s⸢surimunu⸣<⸢ʣoː⸣kiŋ> su⸢bu⸣riti ⸢tuːʃi⸣ s⸢suri] (雑巾を絞って縁側を拭きなさい) 10534 0 0 10042 htmvoc_10534.wav ッスル ッ⸢スル [s⸢suru] 名 ふきん(布巾)。ッ⸢スルン[s⸢suruŋ](拭く)の連用転成名詞。 マ⸢カ⸣ル ア⸢ライティ⸣ ッ⸢スル⸣シ ッ⸢スリ⸣ シキバ [ma⸢ka⸣ru ʔa⸢raiti⸣ s⸢suru⸣ʃi s⸢suri⸣ ʃi̥kiba] (お椀は洗って布巾で拭いておきなさいよ) 10535 0 0 10043 htmvoc_10535.wav ッスルン ッ⸢スルン [s⸢suruŋ] 他動 拭く。ぬぐう。紙や布巾で汚れをとる。「こする(擦る)」の転訛したもの。[kosuru] → [ɸusuru] → [ssuruŋ] のように音韻変化したもの。布巾で軽く拭くのもッ⸢スルン[s⸢suruŋ]という。 ⸣マカルドング ア⸢ライティ⸣ ッ⸢スルンティ ベーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ッ⸢スララヌ [⸣makarudoŋgu ʔa⸢raiti⸣ s⸢surunti beːn⸣du mut⸢tu⸣ s⸢suraranu] (お椀類を洗って拭こうと思うがちっとも拭かれない)。 ッ⸢スリ⸣ ミサカー ⸣ドゥーシ ッ⸢スル⸣クトー ⸣ナルン [s⸢suri⸣ misakaː ⸣duːʃi s⸢suru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (拭いてよければ自分で拭くことはできる)。 ッ⸢スレー⸣ ミサムヌ [s⸢sureː⸣ misamunu] (拭けばいいのに)。 ⸣ドゥーシ ッ⸢スリ  [⸣duːʃi s⸢suri] (自分で拭け)。 ⸣アシ ッ⸢スリ [⸣ʔaʃi s⸢suri] (汗を拭け)。 タ⸢マガラ⸣ス ッ⸢スリ [ta⸢magara⸣su s⸢suri] (ガラスを拭け)。 ⸢トゥーシ ゾー⸣キンシ ッ⸢スリ [⸢tuːʃi ʣoː⸣kiŋʃi s⸢suri] (縁側を雑巾で拭け) 10466 0 0 10044 htmvoc_10466.wav ッスン ⸣ッスン [⸣ssuŋ] 他動 切る。絶つ。老年層の言葉。若年層は、⸣キスン[⸣ki̥suŋ](切る)という。 ク⸢ヌ⸣ イトゥ ピ⸢キシキ⸣ ッスンティ ⸢スンドゥ⸣ ッ⸢サラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʔitu pi̥⸢kiʃi̥ki⸣ ssunti ⸢sundu⸣ s⸢sara⸣nu] (この糸を引っ張って切ろうとするが、切られない)。 ⸣ッシ ⸣ミサカー ⸣ッス ⸣クトー ⸣ナルン [⸣ʃʃi ⸣misakaː ⸣ssu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (切って良ければ、切ることはできる)。 ⸢パー⸣ク ⸣ッシェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ʃʃeː ⸣misamunu] (早く切れば良いのに)。 ク⸢リ⸣シ ⸣ッシバ [ku⸢ri⸣ʃi ⸣ʃʃiba] (これで切りなさい) 10536 0 1 10045 htmvoc_10536.wav ッスン ⸣ッスン [⸣ssuŋ] 他動 {Mn_1}刺す。差す。⸢ピッ⸣クンとも言う。 ⸣ッふパジンマー プ⸢ス ウイ⸣ ッスン⸢ダー [⸣ffupaʤimmaː pu̥⸢su ʔui⸣ ssun⸢daː] (黒蜂<土蜂>は人を襲って刺すよ)。 パ⸢ジン⸣ ッ⸢サ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢ʤin⸣ s⸢sa⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (蜂に刺されて痛くてたまらない)。 プ⸢ス⸣ ッス パ⸢ジンマー⸣ ブ⸢ラーヌ [pu̥⸢su⸣ ssu pa⸢ʤimmaː⸣ bu⸢raːnu] (人を刺す蜂はいない)。 ク⸢リ⸣シ ⸣ッシ ⸣ミサカー ⸢パー⸣ク ⸣ッシェー ⸣ミサムヌ [ku⸢ri⸣ʃi ⸣ʃʃimisakaː ⸢paː⸣ku ⸣ʃʃeː ⸣misamunu] (これで刺してよければ、早く刺せばいいのに)。 10536 0 2 10046 htmvoc_10536.wav ッスン ⸣ッスン [⸣ssuŋ] 他動 {Mn_2}\ruby{挿}{サ}す。 ⸢ヨー⸣チシ ⸣ッシバ [⸢joː⸣ʧiʃi ⸣ʃʃiba] (簪で刺せよ)。 サ⸢カサー ヨー⸣チ ⸣ッシティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [sḁ⸢kasaː joː⸣ʧi ⸣ʃʃitiru ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (司は\ruby{簪}{カンザシ}を髪に挿して神への祈願をされた)。 10536 0 3 10047 htmvoc_10536.wav ッスン ⸣ッスン [⸣ssuŋ] 他動 {Mn_3}指す。指差す。 ⸢ウイ⸣ビシ パ⸢カヌ タンカー⸣ ッス ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢ʔui⸣biʃi pḁ⸢kanu taŋkaː⸣ ssu ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nuti mu⸢ka⸣ʃi ⸣pu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (指でお墓の方向を指差すものではないと古老は言われた)。指す時は、指を握って、中指と人差し指の間に親指を入れて指した 10537 0 0 10048 htmvoc_10537.wav ッスン ⸣ッスン [⸣ssuŋ] 他動 つぐ(注ぐ)。そそぐ。「~から塩を灌知布<ソソクチフ>が如く~。万、897」の転訛したものか。⸢サウンとも言う。 ⸣ユー ⸣ッスンティ ⸢ベーーン⸣ドゥ ウ⸢ディー⸣ヌ ⸣ヤミ ッ⸢サラン⸣バ ⸢ワー⸣ キー ⸣ッシ ッ⸢ふィーリ [⸣juː ⸣ssunti ⸢beːn⸣du ʔu⸢di⸣nu ⸣jami s⸢saram⸣ba ⸢waː⸣ kiː ⸣ʃʃi f⸢fiːri] (お湯を注ごうとしているが、腕が痛くて注げない<注がれない>から、君が来て注いでくれ)。 ⸣ユー ⸣ッス ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸣ナルカー ⸢ワー⸣ ドゥーシ ⸣ッシェー ⸣ミサムヌ [⸣juː ⸣ssu ⸣ku̥toː na⸢run⸣du ⸣narukaː ⸢waː⸣ duːʃi ⸣ʃʃeː ⸣misamunu] (お湯を注ぐことは出来るが、出来れば君自身で注げばいいのに) ⸢ユー⸣ヤ ⸣ドゥーシ ⸣ッシバ [⸢juː⸣ja ⸣duːʃi ⸣ʃʃiba] (お湯は自分で注げよ))。 ⸣サー ⸣ッシ ヌ⸢マ⸣シバ [⸣saː ⸣ʃʃi nu⸢ma⸣ʃiba] (お茶を注いで飲ませなさい) 10538 0 0 10049 htmvoc_10538.wav ッスン ⸣ッスン [⸣ssuŋ] 他動 こする(擦る)。する。 ⸢ゾーリサジ⸣シ ク⸢シナカ⸣ ッシティ ⸣ガバー ウ⸢タ⸣スンティ ス⸢ヌ⸣ ッ⸢サラ⸣ヌ [⸢ʣoːrisaʤi⸣ʃi ku̥⸢ʃinaka⸣ ʃʃiti ⸣gabaː ʔu⸢ta⸣sunti su⸢nu⸣ s⸢sara⸣nu] (濡れ手拭で背中を\ruby{擦}{コス}って垢を落とそうとするが\ruby{擦}{コス}られない)。 ヤー⸢ディン⸣ ドゥーシ ⸣ッスンティ ⸣ウムーカー ⸣ッシバ [jaː⸢din⸣ duːʃi ⸣ssunti ⸣ʔumuːkaː ⸣ʃʃiba] (何としても<かならず>自分で擦ろうと思うなら擦りなさい)。 ⸣ッス ⸣ピンマー ⸣サジェー ⸢ゾーラシティ⸣ ッシェー ⸣ミサムヌ [⸣ssu ⸣pimmaː ⸣saʤeː ⸢ʣoːraʃiti⸣ ʃʃeː ⸣misamunu] (擦るときは手拭を濡らして擦れば良いのに) 10539 0 0 10050 htmvoc_10539.wav ッスン ッ⸢スン [s⸢suŋ] 他動 知る。分かる。理解する。わきまえる。「~空しきものと志流等伎子~『万葉集 793』」の義。ワ⸢カ⸣ルンとも言う。 ⸣バー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サヌ [⸣baː noː⸢n⸣ s⸢sanu] (私は何も知らない)。 ッ⸢シプサー ナーン⸣ドゥ ⸢ナンクク⸣ル ッ⸢スンティル⸣ ウ⸢モー⸣リ [ʃ⸢ʃi pusaː naːn⸣du ⸢naŋkuku⸣ru s⸢suntiru⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (知りたくはないが、自然に分かる<知る>と<ぞ>思われる)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ク⸢リ⸣ ッ⸢ス⸣ クトー ⸢ナーン⸣ パジ [ja⸢rabi⸣nu ku⸢ri⸣ s⸢su⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (子供がこれを知ることは無いはずだ)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ッ⸢シェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ʃ⸢ʃeː⸣ misamunu] (それぐらいは分かれば良いのに)。 ⸢ワンヌン⸣ ッ⸢シ⸣バ [⸢wannuŋ⸣ ʃ⸢ʃi⸣ba] (君も分かれよ) 10540 0 0 10051 htmvoc_10540.wav ッスン ッ⸢スン [s⸢suŋ] 他動 すする(啜る)。液状のものを少量ずつ口中に吸い込む。ユ⸢ブンとも言う。 ⸢スー⸣ヤ イ⸢ツァー⸣バ ッ⸢スラン⸣カー ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸢suː⸣ja ʔi⸢ʦaː⸣ba s⸢suraŋ⸣kaː nu⸢mara⸣nu] (お汁は熱いから\ruby{啜}{スス}らないと飲めない)。 ッ⸢シ⸣ ヌミバ [ʃ⸢ʃi⸣ numiba] (啜って飲めよ)。 ン⸢マーン⸣ギサバ ッ⸢スン⸣ パジ [ʔm⸢maːŋ⸣gisaba s⸢sum⸣ paʤi] (美味しそうだから、啜るはずだよ)。 ア⸢チスー⸣ヤ ウ⸢ブ⸣フチシ ッ⸢ス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢ʧisuː⸣ja ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧiʃi s⸢su⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (熱いお汁は大口で啜ることは出来ない)。 ン⸢メーマ⸣ナー ッ⸢シェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːma⸣naː ʃ⸢ʃeː⸣ misamunu] (少しずつ啜ればいいのに)。 マ⸢カル⸣ヌ パ⸢ター⸣ラ ッ⸢シ<シ⸢シ⸣バ> [ma⸢karu⸣nu pḁ⸢taː⸣ra ʃ⸢ʃi<ʃi⸢ʃi⸣ba>] (お椀の端から啜れ) 10542 0 0 10052 htmvoc_10542.wav ッスン ッ⸢スン [s⸢suŋ] 名 包み。動詞ッ⸢ス⸣ムン[s⸢su⸣muŋ](包む)の連用形ッ⸢ス⸣ミ[s⸢su⸣mi]から転成した名詞。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢スン⸣ヌ ナ⸢カ⸣ナー ⸢ヌー⸣ヌ ⸣アルカヤー [ku⸢nu⸣ s⸢sun⸣nu na⸢ka⸣naː ⸢nuː⸣nu ⸣ʔarukajaː] (この包みの中には何があるのかねえ)。 カ⸢ビッスン [ka⸢bissuŋ] (紙包み)。 バ⸢サン⸣パーッスン [ba⸢sam⸣paːssuŋ] (芭蕉の葉包み)。 フ⸢ルシ⸣ケーッスン [ɸu⸢ruʃi̥⸣keːssunŋ] (風呂敷包み)。 バ⸢ラ⸣フタッスン [ba⸢ra⸣ɸu̥tassuŋ] (稲藁の包み) 10544 0 0 10053 htmvoc_10544.wav ッスンクン ッ⸢スン⸣クン [s⸢suŋ⸣kuŋ] 自動 すさる(退る)。しさる。前を向いたまま退く。神仏の前や役人の前から後ずさりする。 ⸣グシェー ⸣カミティ ッ⸢スン⸣キ ⸢パッ⸣タ [⸣guʃeː ⸣kamiti s⸢suŋ⸣ki ⸢pat⸣ta] (神酒を頂いてすさって<退って>いった)。 ⸣グシ ⸣カムカー シ⸢グ⸣ ッ⸢スンカン⸣ドーシ カ⸢ラマースン⸣ カミテーラ ッ⸢スン⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸣guʃi ⸣kamukaː ʃi⸢gu⸣ s⸢suŋkan⸣doːʃi ka⸢ramaːsuŋ⸣ kamiteːra s⸢suŋ⸣keː ⸣misamunu] (神酒を頂いたら、すぐ\ruby{退}{スサ}らないで、力塩も頂いてから退けばいいのに)。 ⸢カンヌ⸣マイラ ッ⸢スン⸣クンティ ⸢スン⸣ケンドゥ ⸢ペンスクミティ⸣ ク⸢ルビナーン⸣シェン [⸢kannu⸣maira s⸢suŋ⸣kunti ⸢suŋ⸣kendu ⸢pensukumiti⸣ ku⸢rubinaːŋ⸣ʃeŋ] (神前から後ずさりしようとしたら、足が痺れて転んでしまった) 10553 0 0 10054 htmvoc_10553.wav ッスンクン ッ⸢スン⸣クン [s⸢suŋ⸣kuŋ] 他動 引きずる。引っ張り出す。そびく。 ⸢ズン⸣サン ッ⸢スンカリ パッ⸣タヤー [⸢ʣun⸣san s⸢suŋkari pat⸣tajaː] (巡査に引張られていったよ)。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢キーシチェー⸣ ッ⸢スンキ⸣ パルンティ⸢ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː ⸢kiːʃi̥ʧeː suŋki⸣ parunti⸢daː] (悪い事をすると警察へ引張っていくそうだよ)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢グイ⸣フゾーノー ン⸢ザシユーサ⸣ン ミ⸢ドゥ⸣モー パ⸢マウリソー⸣ジナー ⸣サンシケー ッ⸢スンクン⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoː ʔn⸢ʣaʃijuːsa⸣m mi⸢du⸣moː pa⸢maʔurisoː⸣ʤinaː ⸣saŋʃikeː s⸢suŋkun⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣tati⸢daː] (昔は、貢納布<御庸布>を期限内に出せない女は浜下りソージの祭りに桟敷へ引きずり出すといわれたそうだよ)。 ッ⸢スン⸣ク プ⸢ス [s⸢suŋ⸣ku pu̥⸢su] (引張り出す人)。 ッ⸢スン⸣ケー ⸣ミサムヌ [s⸢suŋ⸣keː ⸣misamunu] (引張り出せばいいのに)。 ウ⸢リバ⸣ ッ⸢スン⸣キ [ʔu⸢riba⸣ s⸢suŋ⸣ki] (あいつを引っ張り出せ) 10545 0 0 10055 htmvoc_10545.wav ッスンタールン ッ⸢スンター⸣ルン [s⸢suntaː⸣ruŋ] 自動 白む。白ばむ。白く色あせ<色褪せ>る。白みを帯びる。ッ⸢サンター⸣ルン[s⸢santaː⸣ruŋ](白ばむ)ともいう。 ⸣アブジェー キ⸢ソー⸣レー ⸢クンジキンマー⸣ ッ⸢スンター⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː ki⸢soː⸣reː ⸢kunʤikimmaː⸣ s⸢suntaː⸣ri ⸢naː⸣nu] (お祖父さんが着られた紺地の着物は白く色あせてしまった)。 ス⸢ミノーシター⸣ ッ⸢スンターラン⸣バン [su⸢minoːʃi̥taː⸣ s⸢sunntaːram⸣baŋ] (染め直したので白く色褪せないよ)。 ッ⸢スンター⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ナマー⸣ケー ッ⸢スンター⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣バン [s⸢suntaː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢namaː⸣keː s⸢suntaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣baŋ] (白く色褪せると思ったが、今までは白く色褪せることは無いわい)。 ッ⸢スンター⸣レーラー ス⸢ミグリ⸣サン [s⸢suntaː⸣reːraː su⸢miguri⸣saŋ] (白く色褪せたら染めにくい) 10543 0 0 10056 htmvoc_10543.wav ッスンナーマ ッスン⸢ナー⸣マ [ssun⸢naː⸣ma] 名 小さな包み。小包。⸢ナー⸣マ[⸢naː⸣ma]は接尾指小辞。ある語(名詞)に付加し、その語の示す意味概念よりも更に小さい概念を表す。あるいは親愛の情を示す接辞形態素マ[ma]の異形態。上接語の末尾子音がnの場合に起きる一種の連声現象 10552 0 0 10057 htmvoc_10552.wav ッソーッソー ッソーッ⸢ソー [ssoːs⸢soː] 名 しろじろ(白々)。真っ白。目だって白いさま。ABCABC型の重言。 ッソーッ⸢ソーヌ⸣ イ⸢ル⸣バ ⸢ヌーリ⸣シキ [ssoːs⸢soːnu⸣ ʔi⸢ru⸣ba ⸢nuːri⸣ʃi̥ki] (真っ白の色を塗っておけ) 10547 0 0 10058 htmvoc_10547.wav ッソーマー ッ⸢ソーマー [s⸢soːmaː] 名 風下。⸢オーラー[⸢ʔoːraː](風上、⸢上はら」の義)の対義語。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船、サバニ)を帆走させる際、大波を避けて風下へ操船する時などに用いる。 ⸣フネー ⸢マー⸣ビン ッ⸢ソーマー⸣ パ⸢ラ⸣シ [⸣ɸuneː ⸢maː⸣bin s⸢soːmaː⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (舟はもっと風下の方へ操船<走ら>せよ)。 ⸢マイ⸣ トゥ⸢バシバ⸣ ッ⸢ソーマー⸣ナー ⸢ベー⸣ルカー ⸢マイヌ⸣ ス⸢ク⸣ブ カブン⸢ダー⸣ マ⸢ダ⸣キバ [⸢mai⸣ tu⸢baʃiba⸣ s⸢soːma⸣naː ⸢beː⸣rukaː ⸢mainu⸣ su̥⸢ku⸣bu kabun⸢daː⸣ ma⸢da⸣kiba] (脱穀した米のすくも<藻屑>を風で吹き飛ばせるから、風下に居ると、すくも<藻屑>を被るよ{EOS}退けよ) 10548 0 0 10059 htmvoc_10548.wav ッソーママール ッ⸢ソーママール [s⸢soːmamaːru] 名 風下回り。⸢オーラーマール[⸢ʔoːraːmaːru](風上に向かって帆船を転回すること<風上回り>)の対義語。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)を方向転換させる際に、風下側に向けて方向転換すること。 ⸣イダフネー ッ⸢ソーママール スー⸣カー ⸢フンナクン⸣ダー [⸣ʔidaɸuneː s⸢soːmamaːru suː⸣kaː ⸢ɸunnakun⸣daː] (板舟<サバニ>は風下回りにすると沈没するよ) 10549 0 0 10060 htmvoc_10549.wav ッソーン ッ⸢ソー⸣ン [s⸢soː⸣ŋ] 形 白い。 イ⸢ル⸣ヌ ッ⸢ソー⸣ン [ʔi⸢ru⸣nu s⸢soː⸣ŋ] (色が白い)。 ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ソー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː s⸢soː naː⸣nu] (あまり白くない)。 ⸣ドゥク ッ⸢ソー⸣ヌ ウ⸢レー⸣ シゥ⸢カーラヌ [⸣duku s⸢soː⸣nu ʔu⸢reː⸣ sï̥⸢kaːranu] (あまりにも白くて、これは使えない)。 ⸢シンダイ⸣ ッ⸢ソー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ s⸢soː⸣ naruŋ] (次第に白くなる)。 ッ⸢ソー⸣ ムノー ッ⸢ふァーラヌ [s⸢soː⸣ munoː] (白い物は食べられない)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ ッ⸢ソー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ s⸢soː⸣kaː ⸣misamunu] (もう少し白ければいいのだが) 10550 0 0 10061 htmvoc_10550.wav ッソーンツァー ッ⸢ソーンツァー [s⸢soːnʦaː] 名 粗末に扱うこと。粗略に扱うこと。粗相に扱うこと。 ⸣マナール ウ⸢ヤ⸣バ ッ⸢ソーンツァー スー⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ブ⸢ラー(ブー⸢ワ) [⸣manaːru ʔu⸢ja⸣ba s⸢soːnʦaː suː⸣ f⸢fanu⸣ bu⸢raː(buː⸢wa)] (どこに<ぞ>親を粗略に扱う子供がいるものか) 10551 0 0 10062 htmvoc_10551.wav ッソーンツァースン ッ⸢ソーンツァー スン [s⸢soːnʦaː suŋ] 連 粗略にする。粗略に扱う。ないがしろ(蔑ろ)にする。侮り軽んずる。 ⸣ウヤ ッ⸢ソーンツァー スー⸣ ッ⸢ふァー ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァン⸣ ッ⸢ソーンツァー⸣ サ⸢リン⸠ダー [⸣ʔuja s⸢soːnʦaː suː⸣ f⸢faː duː⸣nu f⸢fan⸣ s⸢sonʦaː⸣ sa⸢rin⸠daː] (親を粗略に扱う子は、己の子に粗略に扱われるぞ) 10554 0 0 10063 htmvoc_10554.wav ッツァースン ⸢-ッツァースン [⸢-tʦaːsuŋ] 接尾 さんざんに~する。やたら~する。「~ちらす」の義。⸢~捲る」の義。これは、/cvrvcv/の音節構造の第一拍の/v/が狭母音/i、u/の場合、母音に挟まれたrが融合同化現象を起こして法則的にʦとなったもの。第一音節が破擦音(~ちらす)の場合は、[r] → [ʦ]、摩擦音sの場合(~しらす)は、[r] → [s] となる。⸢ッツァースン[⸢tʦaːsuŋ]は「ちらす。捲る」が動詞の連用形に下接して「やたら~するさま」(他動詞化)を表す接尾語となる際に融合同化を起こしたもの。 カ⸢キッツァー⸣スン [kḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] (書きちらす)。 パ⸢ギッツァー⸣スン [pa⸢gitʦaː⸣suŋ] (剥ぎちらす)。 ⸢シッツァースン [⸢ʃitʦaːsuŋ] (したい放題にする)。 ⸢バッツァースン [⸢batʦaːsuŋ] (粉々に割る)。 ⸢フンツァースン [⸢ɸunʦaːsuŋ] (踏み散らす{EOS}踏み荒らす)。 ⸢ポッツァースン [⸢potʦaːsuŋ] (撒き散らす{EOS}<放り散らかす>の義) 10555 0 0 10064 htmvoc_10555.wav ッツァールン ⸢ッツァールン [⸢tʦaːruŋ] 接尾 粉々になる。散乱する。散々になる。ちりじりばらばらになる。「散れる」の融合同化した形。動詞の連用形に付いて自動詞化し、意味を強める。 ⸢バッツァールン [⸢batʦaːruŋ] (粉々に割れる)。 ス⸢クッツァールン [su̥⸢kutʦaːruŋ] (粉々に砕ける)。 ⸢クッツァールン [⸢kutʦaːruŋ] (積み上げたものがばらばらに崩れる) 7992 0 0 10065 htmvoc_7992.wav ッツァーン ⸣ッツァーン [⸣tʦaːŋ] 接尾 ~したい。よく~したがる。よく~しがち<仕勝ち>である。形容詞型活用。「たさ・あり」の[ta]が上接語の末尾母音[i]により口蓋化され、更に融合変化した形。排尿や排便の生理現象を表す語について、⸢生理現象を催す」の意味をあらわす。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッ⸣ツァーン [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃit⸣ʦaːŋ] (小便をしたい)。 ⸣ッス マ⸢リッ⸣ツァーンドゥ ナー⸢イ⸣ ニジ ⸢ベー [⸣ssu ma⸢rit⸣ʦaːndu naː⸢i⸣ niʤi ⸢beː] (大便<糞>をしたい<まり(放り)たい>が、じっと我慢<念じ>している)。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッツァー ナー⸣ヌ [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃitʦaː naː⸣nu] (小便したくない)。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃitʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (小便をしたくて堪らない)。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッ⸣ツァー プ⸢ソー ター⸣ヤ [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃit⸣ʦaː pu̥⸢soː taː⸣ja] (小便したい人は誰か) 10556 0 0 10066 htmvoc_10556.wav ッツァーン ⸢ッツァー⸣ン [⸢tʦaː⸣ŋ] 接尾 ~したい。「~したさ・あり」の融合変化したもの。 シ⸢バ⸣ル ⸢スン [ʃi⸢ba⸣ru ⸢suŋ] (小便をする) ⸣ッス ⸣マルン [⸣ssu ⸣maruŋ] (糞まる<放る>)などの限られた生理現象を表す語の連用形に付いて、排泄したいこと<願望>、排泄現象が差し迫っていることを表す(自動詞化する))。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッ⸣ツァーン [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃit⸣ʦaːŋ] (小便したい)。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッツァー ナー⸣ヌ [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃitʦaː naː⸣nu] (小便したくない)。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッツァー⸣ヌ ⸢ナ⸣ラヌ [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃitʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (小便したくて堪らない)。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッ⸣ツァー ⸣ピンマー ニ⸢ズ⸣ナ [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃit⸣ʦaː ⸣pimmaː ni⸢ʣu⸣na] (小便したい時は我慢するな)。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッツァー⸣ヌ ニ⸢ジララ⸣ヌ [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃitʦaː⸣nu ni⸢ʤirara⸣nu] (小便したくて我慢できない)。 ⸣ドゥク ⸣ッス マ⸢リッ⸣ツァーティル ⸣オンケー ⸣パリ ⸢パッ⸣タ [⸣duku ⸣ssu ma⸢rit⸣ʦaːtiru ⸣ʔoŋkeː ⸣pari ⸢pat⸣ta] (非常に大便したかったので便所へ走って行った) 10560 0 0 10067 htmvoc_10560.wav ッツォールン ⸢-ッツォー⸣ルン [⸢-tʦoː⸣ruŋ] 接尾 ~にっこりする。~莞爾とほほえむ。~にこやかに~する。 ⸢バライッツォールン [ba⸢raitʦoːruŋ] (にこやかに笑う{EOS}\ruby{SqBr}g{/SqBr}{微笑}{ホホエ}む) 10363 0 0 10068 htmvoc_10363.wav ツブ ⸣ツブ [⸣ʦubu] 名 坪。土地、建物の面積を表す単位。一間(3、3)平方メートル。標準語からの借用語。 ク⸢ヌ ヤシ⸣ケー ⸣ナンツブ ア⸢ル⸣ワ [ku⸢nu ja⸢ʃi̥⸣keː ⸣nanʦubu ʔa⸢ru⸣wa] (この屋敷は何坪あるか) 10642 0 0 10069 htmvoc_10642.wav ツブ ツ⸢ブ [ʦu⸢bu] 助数 土地面積の単位。坪。六尺四方の面積。助数詞として用いられる。 プ⸢ス⸣ツブ [pu̥⸢su⸣ʦubu] (一坪)。フ⸢タツブ[ɸu̥⸢taʦubu](二坪)、⸢ミーツブ[⸢miːʦubu](三坪)と数える。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢コー ギューツブ⸣ ア⸢ル⸣ワ [⸢wat⸣tenu ⸢jaː⸣nu kḁ⸢koː gjuːtubu⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (貴方の家の屋敷は何坪あるか) 10561 0 0 10070 htmvoc_10561.wav ッふァ ッ⸢ふァ [f⸢fa] 名 子。子供。[kora] → [kura] → [fura] → [ffa] と音韻変化したもの。「~荒磯松 我を待つ兒等<こら>は~。万、2751」の転訛したもの。 ビ⸢コーンッふァ [bi⸢koːŋffa] (男の子)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァ [mi⸢doːŋ⸣ffa] (女の子)。 ⸣ムクッふァ [⸣mukuffa] (婿<婿子>)。 ユ⸢ミッふァ [ju⸢miffa] (嫁<嫁子>)。 ⸢イーリ⸣ッふァ [⸢ʔiːri⸣ffa] (貰い子)。 ッ⸢ふァナシ⸣プス [f⸢fanaʃi⸣pu̥su] (産婦<子産み人>)。 ッ⸢ふァ⸣ムレー [f⸢fa⸣mureː] (子守)。 ッ⸢ふァー⸣ ギュ⸢タール⸣ ナシェーワ [f⸢faː⸣ gju⸢taːru⸣ naʃeːwa] (子供は何人産んだか) 10562 0 0 10071 htmvoc_10562.wav ッふァ ⸣ッふァ [⸣ffa] 名 くら<鞍>。 ウ⸢シヌ⸣ ッふァ [ʔu⸢ʃi⸣nu ffa] (牛の鞍)。 ウ⸢シェー⸣ ッふァ ⸣カキティル ⸣ターン パ⸢タ⸣キン シゥ⸢カソーッ⸣タ [ʔu⸢ʃeː⸣ ffa ⸣kḁkitiru ⸣taːm pḁ⸢ta⸣kin sï̥⸢kasoːt⸣ta] (牛は鞍をかけて<ぞ>田も畑も鋤かせられた)。 ⸢ンーマ⸣ヌ ⸣ッふァ [⸢ʔmːma⸣nu ⸣ffa] (馬の鞍) 10563 0 1 10072 htmvoc_10563.wav ッふァースン ッ⸢ふァースン [f⸢faːsuŋ] 他動 {Mn_1}食わせる。食べさせる。食らわせる。「Cuuaxe,suru,eta.*クワセル,スル,セタ(食わせ、する、せた)、また比喩.bouo cuuasuru(棒を食わする)殴りつける.~」『邦訳日葡辞書』。 ⸣イー ッ⸢ふァースンティ⸣ ス⸢コーリ ベーン⸣ドゥ ナ⸢マ⸣ニー シ⸢ティ⸣ ッ⸢ふァーサラヌ [⸣ʔiː f⸢faːsunti⸣ su̥⸢koːri beːn⸣du na⸢ma⸣niː ʃi̥⸢ti⸣ f⸢faːsaranu] (ご飯を食べさせようと準備しているが、生煮えして食べさせられない)。 ⸢イー⸣ヤンツァン ッ⸢ふァーシティ⸣ パ⸢ラ⸣シバ [⸢ʔiː⸣janʦaŋ f⸢faːʃi̥ti⸣ pa⸢ra⸣ʃiba] (ご飯だけでも食べさせて行かせなさいよ)。 ッ⸢ふァース⸣ クトー ナ⸢ラン⸣タンティン ン⸢メーマー⸣ ッ⸢ふァーシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faːsu⸣ ku̥toː na⸢ran⸣tantiŋ ʔm⸢meːmaː⸣ f⸢faːʃeː⸣ misamunu] (食べさせることは出来なくても、少しは食べさせればいいのに)。 ⸣クベー ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣kubeː f⸢faːʃi⸣ba] (これだけは食べさせなさいよ)。 ⸢ティー⸣スクン ッ⸢ふァースン [⸢tiː⸣su̥kuŋ f⸢faːsuŋ] (拳骨を食らわせる)。 10563 0 2 10073 htmvoc_10563.wav ッふァースン ッ⸢ふァースン [f⸢faːsuŋ] 他動 {Mn_2}塗りつける。まぶす<塗す>。塩漬けにする。食らわす。 イ⸢ズン⸣ タクン ⸢マー⸣ス ッ⸢ふァーシティ⸣ プシバ [ʔi⸢ʣun⸣ tḁkum ⸢maː⸣su f⸢faːʃiti⸣ pu̥ʃiba] (魚も蛸も塩を塗して<食らわして>干しなさいよ) 10567 0 0 10074 htmvoc_10567.wav ッふァーッふァーシ ッ⸢ふァーッふァー⸣シ [f⸢faːffaː⸣ʃi] 副 真っ暗に。暗く。「くらくら<暗暗>と」の転訛したもの。ABCABCD型の重言。 ミ⸢ナ⸣カー ッ⸢ふァーッふァー⸣シ ⸢ブンダ⸣ ノー⸢ン⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [mi⸢na⸣kaː f⸢faːffaː⸣ʃi ⸢bunda⸣ noː⸢m⸣ mi⸢rara⸣nu] (外は真っ暗だから何も見えない<見られない>) 10564 0 0 10075 htmvoc_10564.wav ッふァーマ ッ⸢ふァー⸣マ [f⸢faː⸣ma] 名 子供。幼児。乳幼児から七、八歳ごろまでの子供。名詞、ッ⸢ふァ[f⸢fa](子)に指小辞⸣マ[⸣ma](小さいもの、親愛の情を表す)が下接した形。 ⸢ウン⸣ネナー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢タラ⸣サル ッ⸢ふァーマ⸣ヌ マ⸢レーン⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenaː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢tara⸣saru f⸢faːma⸣nu ma⸢reːn⸣ʦoː] (あの家に非常に可愛い子供が生まれたそうだ) 10568 0 1 10076 htmvoc_10568.wav ッふァームン ッ⸢ふァームン [f⸢faːmuŋ] 自動 {Mn_1}暗くなる。暗む。ッ⸢ふァムン[f⸢famuŋ]ともいう。 ッ⸢ふァシゥカナイ⸣プソー ッ⸢ふァームン⸣ケン パ⸢タ⸣キナー ⸢ベーン⸣ナ [f⸢fasï̥kanai⸣pu̥soː f⸢faːmuŋ⸣kem pḁ⸢ta⸣kinaː ⸢beːn⸣na] (子持ち<子供を養うひと>は暗くなるまで畑に居るな)。 ッ⸢ふァーマン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パリ [f⸢faːmaŋ⸣kem ⸢jaː⸣ pari] (暗くならないうちに家に帰れ)。 ⸢オーパ⸣ヤー ッ⸢ふァーミ ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː f⸢faːmi naː⸣nu] (こんなに早く暗くなってしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ッ⸢ふァーム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː f⸢faːmu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く暗くなることはない)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢ふァーメー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku f⸢faːmeː⸣ misamunu] (早く暗くなればいいのに)。 ッ⸢ふァーム⸣カー ッ⸢ふァーミ [f⸢faːmu⸣kaː f⸢faːmi] (暗くなるなら暗くなれ)。 10568 0 2 10077 htmvoc_10568.wav ッふァームン ッ⸢ふァームン [f⸢faːmuŋ] 自動 {Mn_2}曇る。 ッ⸢ふァーミ ブタンドゥ ティンマー アッ⸣タニ ガ⸢レー⸣ツバン ヌヤー [f⸢faːmi butandu timmaː ʔat⸣tani ga⸢reː⸣ʦuban nujaː] (曇っていたが空が急に晴れちゃったよ、なんの<なんのこともない{EOS}心配にはおよばない>) 10569 0 0 10078 htmvoc_10569.wav ッふァーランふァイ ッ⸢ふァーランふァイ [f⸢faːranffai] 連 食べ飽きたような食べ方。いやいや(嫌嫌)食べること。「食えない食い」の義。ナ⸢マンダッふァイ[na⸢mandaffai](中途半端な食べ方)ともいう。 ⸢ミー⸣ザバティ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァーランふァイ サンドー⸣シ カシー⸢カシ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢miː⸣ʣabati ⸢ʃiː⸣ f⸢faːraŋfai sandoː⸣ʃi kaʃiː⸢kaʃi⸣ f⸢fai⸣ba] (不味いからといって食い飽きた食い方をしないで、しっかり食べなさいよ) 10570 0 1 10079 htmvoc_10570.wav ッふァーリン ッ⸢ふァーリン [f⸢faːriŋ] 自動 {Mn_1}食われる。食べられる(可能)。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸢ナロー ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢グニ⸣チ シ⸢キティ⸣ ア⸢フヌギ⸣ シ⸢ティ⸣ ティダナー ⸣プスカー ッ⸢ふァーリンドゥ ア⸢サン⸣カー ッ⸢ふァーラヌ [ʧi̥⸢tutʧi⸣nu ⸢naroː mi⸢ʤi⸣naː ʃi⸢guni⸣ʧi ʃi̥⸢kiti⸣ ʔa⸢ɸu⸣nugi ʃi̥⸢ti⸣ tidanaː ⸣pu̥sukaː f⸢faːrindu⸣ ʔa⸢saŋ⸣kaː f⸢faːranu] (蘇鉄の実は水に四、五日漬けて灰汁脱ぎをして太陽に干したら食べられるが、そうしないと食べられない)。 ヤ⸢ラ⸣ビン ッ⸢ふァーリル ムノー⸣ ナー⸢ヌ [ja⸢ra⸣biŋ f⸢faːriru⸣ mu⸢noː⸣ naː⸢nuː] (子供に食べられる物はないか)。 ン⸢メーマンツァン⸣ ッ⸢ふァーレー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmanʦaŋ⸣ f⸢faːreː⸣ misamunu] (少しでも食べられればいいのに)。 10570 0 2 10080 htmvoc_10570.wav ッふァーリン ッ⸢ふァーリン [f⸢faːriŋ] 自動 {Mn_2}食べられる。食われる(受身)。毒蛇に咬まれることは、⸢ホー⸣リン[⸢hoː⸣riŋ](咬まれる)という。 ⸣ガザン ッ⸢ふァーリティ⸣ プ⸢ス⸣ミーン ニ⸢バランシェン [⸣gaʣaŋ f⸢faːriti⸣ pu̥⸢su⸣miːn ni⸢baraŋʃeŋ] (蚊に食われて<咬まれて>一睡も出来なかった<一目も眠れなかった>)。 10570 0 3 10081 htmvoc_10570.wav ッふァーリン ッ⸢ふァーリン [f⸢faːriŋ] 自動 {Mn_3}負ける。~まぎれ(紛れ)に。 ⸢クン⸣ゾーン ッ⸢ふァーリ ヤー⸣バリ ス⸢ナ⸣ヨー [⸢kun⸣ʣoːŋ f⸢faːri jaː⸣bari su⸢na⸣joː] (腹立ち紛れに<根性に負けて、食われて>家財道具を壊して暴れる<家割り>するなよ)。 10570 0 4 10082 htmvoc_10570.wav ッふァーリン ッ⸢ふァーリン [f⸢faːriŋ] 自動 {Mn_4}歯、刃が磨耗、摩滅する。 ウ⸢シ⸣ヌ ⸢パー⸣ヤ ッ⸢ふァーリブバ⸣ パー タ⸢ティラン⸣カー ⸢ムイラヌ [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸢paː⸣ja f⸢faːribuba⸣ paː tḁ⸢tiraŋ⸣kaː ⸢muiranu] (臼の刃は摩滅して<食われて>いるから、刃を立てないと\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}<粗糠>が落ちない) 10643 0 0 10083 htmvoc_10643.wav ッふアール ッ⸢ふアー⸣ル [f⸢fuʔaː⸣ru] 名 (動)黒蟻。黒い蟻。 ッ⸢ふアー⸣ルン ⸢ホー⸣リカー ヤムン⸢ダー [f⸢fuʔaː⸣ruŋ ⸢hoː⸣rikaː jamun⸢daː] (黒蟻に咬まれたら痛いよ) 10566 0 0 10084 htmvoc_10566.wav ッふァーン ッ⸢ふァー⸣ン [f⸢faː⸣ŋ] 形 暗い。 ッ⸢ふァヨーン [f⸢fajoːŋ] (暗闇)。 ガ⸢ル⸣ シ⸢キラン⸣カー ッ⸢ふァー⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ga⸢ru⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː f⸢faː⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (明かりを灯さないと暗くて歩けない)。 イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ふァー⸣ンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ふァーナー⸣ヌ [ʔik⸢kena⸣ f⸢faː⸣nti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː f⸢faːnaː⸣nu] (非常に暗いと思ったが、あまり暗くなかった)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ウ⸢ティ⸣ルカー ッ⸢ふァー⸣ ナルン [ti⸢da⸣nu ʔu⸢ti⸣rukaː f⸢faː⸣naruŋ] (太陽が落ちると暗くなる)。 ッ⸢ふァー⸣ ユーヤ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジル⸣ナ [f⸢faː⸣ juːja mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤiru⸣na] (暗い夜は道に出るな)。 ッ⸢ふァー⸣カー ミサムヌ [f⸢faː⸣kaː ⸣misamunu] (暗ければよいのに) 10571 0 0 10085 htmvoc_10571.wav ッふァイアキリ ッ⸢ふァイアキリ [f⸢faiʔakiri] 名 食べ飽きること。「食い飽きれ」の義。 ⸢ウンヌダー⸣キ カー⸢ニ⸣ ッ⸢ふァーサリティ⸣ ッ⸢ふァイアキリ シー ナーン⸣バンメー [⸢ʔunnudaː⸣ki kaː⸢ni⸣ f⸢faːsariti⸣ f⸢faiʔakiri ʃiː naːm⸣bammeː] (芋を炊いて捏ねた芋ご飯だけ食べさせられて、食べ飽きてしまったよ、もう) 10572 0 0 10086 htmvoc_10572.wav ッふァイアキルン ッ⸢ふァイアキルン [f⸢faiʔakiruŋ] 自動 食い飽きる。 ⸢ピーンピーン⸣ ユ⸢ヌ⸣イー ⸢タン⸣ガー ッ⸢ふァーサリ⸣カー ッ⸢ふァイアキルン⸠ダー [⸢piːmpiːɲ⸣ ju⸢nu⸣ʔiː ⸢taŋ⸣gaː f⸢faːsari⸣kaː f⸢faiʔakirun⸠daː] (毎日同じご飯だけ<一つ>食べさせられると食い飽きるよ)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふータンティン⸣ ッ⸢ふァイアキラヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢fuːtantiŋ⸣ f⸢faiʔakiranu] (いくら食べても食い飽きない)。 ⸣メー ッ⸢ふァイアキリナー⸣ヌ [⸣meː f⸢faiʔakirinaː⸣nu] (もう、食い飽きてしまった)。 ッ⸢ふァイアキル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢faiʔakiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (食い飽きることはない)。 ッ⸢ふァイアキレー⸣ ミサムヌ [f⸢faiʔakireː⸣ misamunu] (食い飽きればいいのに) 10573 0 0 10087 htmvoc_10573.wav ッふァイアマスン ッ⸢ふァイアマスン [f⸢faiʔamasuŋ] 他動 食い残す。食い余す。ッ⸢ふァイヌカ⸣スンとも言う。 ⸢マイヤー⸣ クビサーギ ⸣アルカー ッ⸢ふァイアマスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ッ⸢ふァイアマサンドー⸣シ ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふァイキシス⸣ パジ [⸢maijaː⸣ kubisaːgi ⸣ʔarukaː f⸢faiʔamasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸢goː⸣raːnda f⸢faiʔamasandoː⸣ʃi muː⸢ru⸣ f⸢faiki̥ʃisu⸣ paʤi] (米はこれだけさえあれば食い余すと思うが、家族が多いので食い残さないで全部食い尽くすはずだ)。 ン⸢メーマ⸣ ッ⸢ふァイアマシ ナーヌ⸣ヌ ⸢フン⸣トー イ⸢ズ⸣カー ッ⸢ふァイアマス⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔm⸢meːma⸣ f⸢faiamaʃi naːnu⸣nu ⸢ɸun⸣toː ʔi⸢ʣu⸣kaː f⸢faiʔamasu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (少し食い残してしまったが、本当なら食い残すことはない)。 ッ⸢ふァイアマシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faiʔamaʃeː⸣ misamunu] (食い残せばいいのに)。 ⸣クベー ッ⸢ふァイアマシ [⸣kubeː f⸢faiʔamaʃi] (これだけは食い残せ) 10574 0 0 10088 htmvoc_10574.wav ッふァイアマラスン ッ⸢ふァイアマラ⸣スン [f⸢faiʔamara⸣suŋ] 他動 食い残す。食い余す。食い余るようにする。ッ⸢ふァイヌカ⸣スンとも言う。 ン⸢メーマー⸣ ッ⸢ふァイアマラ⸣スン [ʔm⸢meːmaː⸣ f⸢faiʔamara⸣suŋ] (少しは食い残す)。 ク⸢ビッ⸣チンツァン ッ⸢ふァイアマラサ⸣ヌ [ku⸢bit⸣ʧinʦaŋ f⸢faiʔamarasa⸣nu] (これぽっちも食い残さない)。 ッ⸢ふァイアマラ⸣シティ ⸣バキ ッ⸢ふァーシ [f⸢faiʔamara⸣ʃi̥ti ⸣baki f⸢faːʃi] (食い残して、分けて食べさせなさい)。 ッ⸢ふァイアマラス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [f⸢faiʔamarasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (食い残す人はいない)。 ッ⸢ふァイアマラシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faiʔamaraʃeː⸣ misamunu] (食い残せばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ッ⸢ふァイアマラシ [jaː⸢diŋ⸣ f⸢faiamaraʃi] (必ず食い残せよ) 10575 0 0 10089 htmvoc_10575.wav ッふァイカイヤン ッ⸢ふァイ カイ⸣ヤン [f⸢fai kai⸣jaŋ] 連 食べることについて欲がない。自分の食べ物を気持ちよく他人に分け与える。「食べることが美しい」の義。ッ⸢ふァイ⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤン[f⸢fai⸣ ja⸢ni⸣jaŋ](食い意地が汚い)の対義語表現。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ふァイ カイ⸣ヤンダ ウ⸢リヌ⸣ スバナー ⸢ベー⸣ルカー ⸢クヮッ⸣チ ⸢スン⸣ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ f⸢fai kai⸣janda ʔu⸢rinu⸣ subanaː ⸢beː⸣rukaː ⸢kwat⸣ʧi ⸢sun⸣daː] (彼<あれ>は非常に気持ちよく自分の食べ物を他人に分け与える<食べることが美しい>から、あれの側にいるとご馳走になるよ) 10576 0 0 10090 htmvoc_10576.wav ッふァイカタ ッ⸢ふァイカタ [f⸢faikata] 名 食べ方。食べる方法。ッ⸢ふァイミチ[f⸢faimiʧi](食べ方{EOS}食べる方法)ともいう。 ン⸢マー⸣ ムノー ア⸢リ⸣ブンドゥ ⸢ヌー⸣シ ⸢シー⸣ ッ⸢ふー⸣ユー ッ⸢ふァイカタル⸣ ワ⸢カラン⸣バン [ʔm⸢maː⸣ munoː ʔa⸢ri⸣bundu ⸢nuː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ f⸢fuː⸣juː f⸢faikataru⸣ wa⸢karam⸣baŋ] (美味しいものはあるが、どのようにして食べるか、食べ方が分からないわい) 10577 0 0 10091 htmvoc_10577.wav ッふァイカタ ッ⸢ふァイ⸣カタ [f⸢fai⸣kata] 名 生活手段。生業。食べて生きていくための手だて、すべ。「食べ方」の義。 イ⸢ツォーン⸣プソー イ⸢ズ⸣トゥリ プ⸢ス⸣カタシ ッ⸢ふァイ⸣カタ ⸢ソール⸣ヌ パ⸢トゥ⸣マプソー ム⸢ヌスクル⸣トゥ イ⸢ズトゥリ⸣バ ッ⸢ふァイ⸣カタ ⸢シー オー⸣ル [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː ʔi⸢ʣu⸣turi pu̥⸢su⸣kataʃi f⸢fai⸣kḁta ⸢soːru⸣nu pḁ⸢tu⸣mapu̥soː mu⸢nusu̥kuru⸣tu ʔi⸢ʣuturi⸣ba f⸢fai⸣kḁta ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (糸満の人は漁業を専業と<漁業一方で生活手段と>されるが、鳩間の人は農業<物作り{EOS}作物>と漁業<魚獲り>を生業にしておられる) 10578 0 0 10092 htmvoc_10578.wav ッふァイキシルン ッ⸢ふァイキシルン [f⸢faiki̥ʃiruŋ] 自動 食べ尽くす(食べ切れる)。食べ尽きる。食料が底を突く。食糧が払底する。 パ⸢マイヤー⸣ ア⸢ツァバー⸣キナー ッ⸢ふァイキシルン [pa⸢maijaː⸣ ʔa⸢ʦabaː⸣kinaː f⸢faiki̥ʃiruŋ] (飯米は明日までには食べ尽くす{EOS}食糧が底を突く)。 ク⸢ヌ⸣ シキズーヤ ッ⸢ふァイキシラン⸣パジ [ku⸢nu⸣ ʃi̥kiʣuːja f⸢faikiʃiram⸣paʤi] (今月中は食べ尽きないはずだ)。 キサー⸢ティ⸣ ッ⸢ふァイキシ ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ f⸢faikiʃi naː⸣nu] (既に食べつくしてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ッ⸢ふァイキシル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː f⸢faikiʃiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く食べ尽くすことはない) 10579 0 0 10093 htmvoc_10579.wav ッふァイキスン ッ⸢ふァイキスン [f⸢faiki̥suŋ] 他動 食い尽くす。「食い切る」の義。 ⸢マイヤー⸣ ク⸢トゥシズー⸣ナー ッ⸢ふァイキスンティ⸣ ウ⸢モー⸣リンダー ッ⸢ふァイキサン⸣ケンナー ⸢カイ⸣クー [⸢maijaː⸣ ku̥⸢tuʃiʣuː⸣naː f⸢faiki̥sunti⸣ ʔu⸢moː⸣rindaː f⸢faiki̥saŋ⸣kennaː ⸢kai⸣kuː] (米は今年中に食い尽くすと思われるので、食い尽くさないうちに買ってこい)。 キサー⸢ティ⸣ ッ⸢ふァイキシ ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ f⸢faiki̥ʃi naː⸣nu] (すでに食い尽くしてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ッ⸢ふァイキス⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː f⸢faikisu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く食い尽くすことはない)。 ッ⸢ふァイキシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faiki̥ʃeː⸣ misamunu] (食い尽くせばいいのに)。 ッ⸢ふァイキシ⸣バ [f⸢faikiʃi⸣ba] (食い尽くせよ) 10580 0 0 10094 htmvoc_10580.wav ッふァイクラスン ッ⸢ふァイクラスン [f⸢faikurasuŋ] 他動 食い殺す。 ⸢ウン⸣マー プ⸢ス⸣ ッ⸢ふァイクラスン [⸢ʔum⸣maː pu̥⸢su⸣ f⸢faikurasuŋ] (鬼は人を食い殺す)。 ッ⸢ふァイクラサリン [f⸢faikurasariŋ] (食い殺される)。 ッ⸢ふァイクラシ ナー⸣ヌ [f⸢faikuraʃi naː⸣nu] (食い殺してしまった)。 ッ⸢ふァイクラス⸣ クトー サ⸢ヌ [f⸢faikurasu⸣ ku̥toː sa⸢nu] (食い殺すことはしない)。 ッ⸢ふァイクラシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faikuraʃeː⸣ misamunu] (食い殺せば良いのに)。 ッ⸢ふァイクラシ [f⸢faikuraʃi] (食い殺せ) 10583 0 0 10095 htmvoc_10583.wav ッふァイザイ ッ⸢ふァイザイ [f⸢faiʣai] 名 ただ食べまくること。食うことにかまける(感ける)。食べることに心を奪われる。転成名詞のッ⸢ふァイ[f⸢fai](食べること)に、接尾辞⸢-ザイ[⸢-ʣai](~に専念する{EOS}~に\ruby{感}{カマ}ける)が付いた形。 ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァン⸣ケー シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバスンティ⸣ ッ⸢ふァイザイ タンガ⸣ル ⸣ナル ⸢モーキ⸣ シ⸢グ⸣トー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu f⸢faŋ⸣keː sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubasunti⸣ f⸢faiʣai taŋga⸣ru ⸣naru ⸢moːkiʃigu⸣toː na⸢ra⸣nu] (あれだけの子供達を養って成長させようとして、食べることに専念することしかできない{EOS}儲け仕事は出来ない) 10584 0 0 10096 htmvoc_10584.wav ッふァイザク ッ⸢ふァイザク [f⸢faiʣaku] 名 食べごろ。食べるのに丁度適した状態。果物や野菜などが成熟して食べるのに良い状態。旬のもの。魚介類の一等美味な時期。 バ⸢サン⸣ナルン ⸢バン⸣スルン ⸢ウー⸣ミティ マ⸢ナマ⸣ル ッ⸢ふァイザク [ba⸢san⸣narum ⸢ban⸣suruŋ ⸢ʔuː⸣miti ma⸢nama⸣ru f⸢faiʣaku] (バナナも番石榴<グワバ>も熟れて、今が丁度食べごろだ) 10585 0 1 10097 htmvoc_10585.wav ッふァイジブン ッ⸢ふァイジブン [f⸢faiʤibuŋ] 名 {Mn_1}食べごろ。食べる時刻。 バ⸢サン⸣ナロー ⸢ウー⸣ミティ ッ⸢ふァイジブン⸣ ナ⸢リ⸣ブーバン⸢ナー [ba⸢san⸣naroː ⸢ʔuː⸣miti f⸢faiʤibun⸣ na⸢ri⸣buːban⸢naː] (バナナは熟れて、食べごろになっているわいね)。 ⸣アシ ッ⸢ふァイジブン⸣ ナ⸢リ⸣ブーバ ⸢パー⸣ク ⸣アシ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣ʔaʃi f⸢faiʤibun⸣ na⸢ri⸣buːba ⸢paː⸣ku⸣ʔaʃi f⸢faːʃi⸣ba] (昼食<朝飯>を食べる時刻になっているから、早く昼食を食べさせなさいよ)。 10585 0 2 10098 htmvoc_10585.wav ッふァイジブン ッ⸢ふァイジブン [f⸢faiʤibuŋ] 名 {Mn_2}食べ盛り。よく食べる年頃。 ム⸢ヌ ッふァイジブン⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ベー ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ タ⸢ラーヌ [mu⸢nu ffaiʤibun⸣nu ja⸢ra⸣beː gjuː⸢sa⸣ f⸢faːsaban⸣ ta⸢raːnu] (食べ盛りの子供は、いくら食べさせても足りない) 10586 0 0 10099 htmvoc_10586.wav ッふァイダマ ッ⸢ふァイダマ [f⸢faidama] 名 いやしんぼう<卑しん坊>。食いしん坊。食いしん坊の子は祖母や母にくっ付いて祝いや法事の家に行き、縁側から手を伸ばして祖母や母の着物を引っ張り、ご馳走をねだっていた。 ッ⸢ふァイダマー⸣ バ⸢カ⸣ヤ ッ⸢サヌ [f⸢faidamaː⸣ ba⸢ka⸣ja s⸢sanu] (食いしん坊は恥ずかしさを知らない)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー ッ⸢ふァイダマ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ナー⸢イ⸣ ウ⸢ヤ⸣ビ ⸢フッ⸣ツァミ ⸢ベー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː f⸢faidama⸣ ja⸢runda⸣ naː⸢i⸣ ʔu⸢ja⸣bi ⸢ɸut⸣ʦami ⸢beː] (あの子はひどい食いしん坊だから、じっと指をくわえているよ) 10587 0 0 10100 htmvoc_10587.wav ッふァイダマーン ッ⸢ふァイダマー⸣ン [f⸢faidamaː⸣ŋ] 形 卑しいん坊である。食いしん坊である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ッ⸢ふァイダマー⸣ンダー ッ⸢ふァイムノー⸣ ミ⸢シララ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ f⸢faidamaː⸣ndaː f⸢faimunoː⸣ mi⸢ʃirara⸣nu] (この子は食いしん坊だから、食い物は見せられない)。 ッ⸢ふァイダマー ナー⸣ヌ [f⸢faidamaː naː⸣nu] (食いしん坊ではない)。 ッ⸢ふァイダマー⸣ ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢faidamaː⸣ nariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (食いしん坊になって手が付けられない)。 ッ⸢ふァイダマー⸣ プ⸢ソー⸣ ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふン [f⸢faidamaː⸣ pu̥⸢soː⸣ noː⸢ŋ⸣ f⸢fuŋ] (食いしん坊の人は何でも食べる)。 ⸣ドゥク ッ⸢ふァイダマー⸣ヌ ⸢サーリ⸣ キ⸢ララ⸣ヌ [⸣duku f⸢faidamaː⸣nu ⸢saːri⸣ ki⸢rara⸣nu] (あまりにも食いしん坊で連れて来れない) 10581 0 0 10101 htmvoc_10581.wav ッふァイックナー ッ⸢ふァイックナー [f⸢faikkunaː] 名 食い競漕。「食いくら<競>」の義。競漕して食べること。我先に、他人を押しのけて食べること。 ⸢ヤー⸣サカチリーバ ⸢シー ブタ⸣ユー ⸢イー ッふァイ⸣クナー ⸢シー⸣ ッ⸢ふァイ ベー [⸢jaː⸣sakaʧiriba ⸢ʃiː buta⸣juː ⸢ʔiː⸣ f⸢fai⸣kunaː ⸢ʃiː beː] (飢え\ruby{餓}{カツ}えていたのか、他人を押しのけて我先にたべている) 10582 0 1 10102 htmvoc_10582.wav ッふァイックル ッ⸢ふァイックル [f⸢faikkuru] 名 {Mn_1}食べ殻。食べ滓。若年層は、ッ⸢ふァイグル[f⸢faiguru](食べ滓)ともいう。 ⸢シンザ⸣ヌ ッ⸢ふァイックロー⸣ シ⸢ズ⸣ミティ ⸣パリ [⸢ʃinʣa⸣nu f⸢faikuuroː⸣ ʃi⸢ʣu⸣miti ⸣pari] (砂糖黍の食べ殻は片付けてから行きなさい)。 10582 0 2 10103 htmvoc_10582.wav ッふァイックル ッ⸢ふァイックル [f⸢faikkuru] 名 {Mn_2}食べ残し。 ⸢ナーヌパー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ シ⸢ダメー⸣ヌ ッ⸢ふァイックル⸣ ナリティ ⸢ユーゾーナー⸣ヌ [⸢naːnupaː⸣ja muː⸢ru⸣ ʃi⸢dameː⸣nu f⸢faikkuru⸣ nariti ⸢juːʣoː naː⸣nu] (菜っ葉は全部蝸牛の食べ残しになって台無しだ<養生できない{EOS}使い物にならない>) 10588 0 0 10104 htmvoc_10588.wav ッふァイッツァースン ッ⸢ふァイッツァースン [f⸢faiʦaːsuŋ] 他動 粗野に食べ荒らす。散々に食べまくる。「食い散らかす」の転訛。 ナ⸢ラーサン⸣カー ⸢イー⸣ユン ッ⸢ふァイッツァースンダ⸣ ッ⸢ふァイッツァーサン⸣ヨーニ ⸢シシキリ [na⸢raːsaŋ⸣kaː ⸢ʔiː⸣juŋ f⸢faitʦaːsunda⸣ f⸢faitʦaːsaɲ⸣joːni ⸢ʃiʃi̥kiri] (教えないとご飯をも食い散らかすから、食い散らかさないように躾けなさい)。 ッ⸢ふァイッツァーシティ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [f⸢faitʦaːʃi̥ti⸣ pari ⸢naː⸣nu] (食い散らかして行ってしまった)。 ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カス⸣カー ッ⸢ふァイッツァース⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʤi⸣ sï̥⸢kasu⸣kaː f⸢faitʦaːsu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (言って聞かせたら食い散らかすことはない)。 ッ⸢ふァイッツァーシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faitʦaːʃeː⸣ misamunu] (食い散らかせばいいのに)。 ッ⸢ふァイッツァーシ⸣バ [f⸢faitʦaːʃi⸣ba] (食い散らかせよ) 10589 0 0 10105 htmvoc_10589.wav ッふァイトースン ッ⸢ふァイトースン [f⸢faitoːsuŋ] 他動 すっかり食べ尽くす。食いつぶす。「食い倒す」の義。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ザイサンバ ッ⸢ふァイトーシティ ピン⸣ソー ⸣ナリ ⸢ベー [ʔu⸢bi⸣nu ⸣ʣaisamba f⸢faitoːʃi̥ti pin⸣soː ⸣nari ⸢beː] (あれだけの財産を食いつぶして貧乏になっている)。 ⸢マイフナー⸣ マ⸢ラン⸣カー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ザイサン ッ⸢ふァイトースンダ⸣ ッ⸢ふァイトーサン⸣ヨーニ イ⸢ジ⸣ンジ パ⸢タラキ [⸢maiɸunaː⸣ ma⸢raŋ⸣kaː ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʣaisaŋ f⸢faitoːsunda⸣ f⸢faitoːsaɲ⸣joːni ʔi⸢ʤi⸣ʔnʤi pḁ⸢taraki] (立派な人にならないと親の財産を食いつぶすから、食いつぶさないようにしっかり<意地を出して>働け)。 ⸢タンガ⸣シ ッ⸢ふァイトース⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃi f⸢faitoːsu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (一人で食いつぶすことはない)。 ッ⸢ふァイトーシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faitoːʃeː⸣ misamunu] (食いつぶせばいいのに)。 ッ⸢ふァイトーシ [f⸢faitoːʃi] (食いつぶせ) 10590 0 0 10106 htmvoc_10590.wav ッふァイドーリ ッ⸢ふァイドーリ [f⸢faidoːri] 名 食い倒れ。 ⸢モーキ⸣ル ⸣ブン サ⸢カナヤーッふァイ スームヌ⸣シェー ッ⸢ふァイドーリ シース [⸢moːki⸣ru ⸣bun sḁ⸢kanajaːffai suːmunu⸣ʃeː f⸢faidoːri ʃiːsu] (儲けるだけ<分>料亭食いをするんだもの、食い倒れするさ) 10591 0 0 10107 htmvoc_10591.wav ッふァイナクン ッ⸢ふァイナクン [f⸢fainakuŋ] 他動 かきこむ(掻き込む)。飯を大口で急いで食べる。カ⸢キナ⸣クン[kḁ⸢kina⸣kuŋ](掻き込む)、⸢ホイナ⸣クン[⸢hoina⸣kuŋ](かきこむ<掻き込む>)ということが多い。 ⸢パー⸣ク ッ⸢ふァイナ⸣キティ ⸣パリバ [⸢paː⸣ku f⸢faina⸣kiti ⸣pariba] (早く掻きこんできけよ) 10592 0 0 10108 htmvoc_10592.wav ッふァイヌカシ ッ⸢ふァイヌカシ [f⸢fainukaʃi] 名 残飯。食べ残し。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ヤー⸣サティ プ⸢スヌ⸣ ッ⸢ふァイヌカシン ホイナ⸣キ ッ⸢ふァイシタ [du⸢ku⸣nu ⸢jaː⸣sati pu̥⸢sunu⸣ f⸢fainukaʃiŋ hoina⸣ki f⸢faiʃita] (あまりのひもじさで<あまりのひだるさ、空腹で>、他人の食べ残しをも掻き込んで食べた) 10593 0 0 10109 htmvoc_10593.wav ッふァイヌカスン ッ⸢ふァイヌカ⸣スン [f⸢fainuka⸣suŋ] 他動 食い残す。ッ⸢ふァイアマラ⸣スンとも言う。 ⸢ミー⸣ザ ⸣ムノー ッ⸢ふァイヌカスンドゥ⸣ ン⸢マー⸣ ムノー ッ⸢ふァイヌカサヌ [⸢miː⸣ʣa ⸣munoː f⸢fainukasundu⸣ ʔm⸢maː⸣ munoː f⸢fainukasanu] (不味いものは食い残すが、美味しいものは食い残さない)。 ⸢ユーボン⸣ヌン ッ⸢ふァイヌカシ⸣ シケー [⸢juːbon⸣nuŋ f⸢fainukaʃi⸣ ʃi̥keː] (夕飯も食い残してある)。 ム⸢カ⸣シェー ッ⸢ふァイヌカス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [mu⸢ka⸣ʃeː f⸢fainukasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (昔は食い残す人はいなかった)。 ッ⸢ふァーラン⸣カー ッ⸢ふァイヌカシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faːraŋ⸣kaː f⸢fainukaʃeː⸣ misamunu] (食べられなかったら食い残せばいいのに)。 ⸣クベー ッ⸢ふァイヌカシ [⸣kubeː f⸢fainukaʃi] (これだけは食い残せ) 10594 0 0 10110 htmvoc_10594.wav ッふァイヌカル ッ⸢ふァイヌカル [f⸢fainukaru] 名 食べ残り。食べ残したもの。 プ⸢スヌ⸣ ッ⸢ふァイヌカルン⸣ ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふァイス [pu̥⸢sunu⸣ f⸢fainukarum⸣ muː⸢ru⸣ f⸢faisu] (人の食べ残しも全部食べる)。 ッ⸢ふァイヌカルヌ イー⸣ヤ ⸢ズー⸣シ バ⸢カシ⸣バ [f⸢fainukarunu ʔiː⸣ja ⸢ʣuː⸣ʃi ba⸢kaʃi⸣ba] (食べ残しのご飯は雑炊に炊きなさい) 10595 0 0 10111 htmvoc_10595.wav ッふァイパザキルン ッ⸢ふァイパザキルン [f⸢faipaʣakiruŋ] 他動 食い損ねる。食い外す。食べる機会を逃す。 ア⸢サ⸣ニビ ⸢スー⸣カー ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイパザキルンダ⸣ ッ⸢ふァイパザキラン⸣ヨーニ パ⸢ヤ⸣ウキ ⸢シー⸣バ [ʔa⸢sa⸣nibi ⸢suː⸣kaː ʔm⸢maː⸣munu f⸢faipaʣakirunda⸣ f⸢faipaʣakiraɲ⸣joːni pa⸢ja⸣ʔuki ⸢ʃiː⸣ba] (朝寝坊をすると美味しいものを食い損ねるから、食い損ねないように早起きしなさいよ)。 ⸢キュー⸣ヤ ッ⸢ふァイパザキ ナー⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja f⸢faipaʣaki naː⸣nu] (今日は食べ損ねてしまった)。 ッ⸢ふァイパザキル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢faipaʣakiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (食い損ねることはない)。 ッ⸢ふァイパザキレー⸣ ミサムヌ [f⸢faipaʣakireː⸣ misamunu] (食い損ねればいいのに)。 ア⸢サビ ベー⸣ティ ッ⸢ふァイパザキリ⸣バ [ʔa⸢sabi beː⸣ti f⸢faipaʣakiri⸣ba] (遊んでいて食い損ねろよ) 10596 0 0 10112 htmvoc_10596.wav ッふァイパザクン ッ⸢ふァイパザクン [f⸢faipaʣakuŋ] 他動 食い損ねる。食い外す。食べる機会を逃す。 ア⸢サ⸣ニビ ⸢スー⸣カー ッ⸢ふァイパザクン [ʔa⸢sa⸣nibi ⸢suː⸣kaː f⸢faipaʣakuŋ] (朝寝坊をすると食い損ねる)。 ⸢フー⸣ヌ ⸣アルカー ッ⸢ふァイパザカヌ [⸢ɸuː⸣nu ⸣ʔarukaː f⸢faipaʣakanu] (運がよければ<果報があれば>食いはぐれない)。 ッ⸢ふァイパザキ ナー⸣ヌ [f⸢faipaʣaki naː⸣nu] (食い損ねてしまった)。 ッ⸢ふァイパザク⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢faipaʣaku⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (食い損ねることはない)。 ッ⸢ふァイパザケー⸣ ミサムヌ [f⸢faipaʣakeː⸣ misamunu] (食い損ねればいいのに)。 ッ⸢ふァイパザキ⸣バ [f⸢faipaʣaki⸣ba] (食い損ねろ) 10597 0 0 10113 htmvoc_10597.wav ッふァイパジナーヌ ッ⸢ふァイパジ ナー⸣ヌ [f⸢faipaʤi naː⸣nu] 連 食い意地が汚い。食うことに恥ずかしいことを感じない。食いしん坊である。「食い恥がない」の義。 ウ⸢レー⸣ ッ⸢ふァイパジェー ナーン⸣ユンダ ヤー⸢ディン⸣ ッ⸢ふァイティル⸣ パル [ʔu⸢reː⸣ f⸢faipaʤeː naːn⸣junda jaː⸢diŋ⸣ f⸢faitiru⸣ paru] (彼は食い意地が汚いから、食べないと帰らない<必ず食べてぞ行く>) 10598 0 0 10114 htmvoc_10598.wav ッふァイバナ ッ⸢ふァイバナ [f⸢faibana] 名 食べ盛り。食欲旺盛の年頃(時期)。 ビ⸢コーンッふァヌ⸣ ッ⸢ふァイバナー イー ッふァー⸣シ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サン [bi⸢koːffanu⸣ f⸢faibanaː ʔiː ffaː⸣ʃi ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣saŋ] (男の子の食べ盛りはご飯を食べさせて非常に楽しい) 10599 0 0 10115 htmvoc_10599.wav ッふァイパンツァスン ッ⸢ふァイパンツァスン [f⸢faipanʦasuŋ] 他動 食い外す。食い損ねる。 ジ⸢カン⸣ ウ⸢クリル⸣カー ッ⸢ふァイパンツァスン⸠ダー [ʤi⸢kaŋ⸣ ʔu⸢kuriru⸣kaː f⸢faipanʦasun⸠daː] (時間に遅れたら食い外すよ)。 ⸣バー イッ⸢カ⸣ ッ⸢ふァイパンツァサヌ [⸣baː ʔik⸢ka⸣ f⸢faipanʦasanu] (私は決して食い外さない)。 ッ⸢ふァイパンツァシ ナー⸣ヌ [f⸢faipanʦaʃi naː⸣nu] (食い外してしまった)。 ッ⸢ふァイパンツァス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [f⸢faipanʦasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (食い外す人はいない)。 ッ⸢ふァイパンツァシェー⸣ ミサムヌ [f⸢faipanʦaʃeː⸣ misamunu] (食い外せばいいのに)。 ッ⸢ふァイパンツァシ [f⸢faipanʦaʃi] (食い外せ) 10600 0 0 10116 htmvoc_10600.wav ッふァイふー ッ⸢ふァイふー [f⸢faiɸuː] 名 食べる幸運。食にありつく幸運。「食い果報」の義。 ⸢ワー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ふァイフーヤ⸣ ア⸢リ⸣ブーバン マ⸢ナ⸣マー ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふンティ ベー⸣バ  マー⸢ズン⸣ キー ッ⸢ふァイ [⸢waː⸣ ʔik⸢kena⸣ f⸢faiɸuːja⸣ ʔa⸢ri⸣buːbam ma⸢na⸣maː ʔm⸢maː⸣munu f⸢funti beː⸣ba maː⸢ʣuŋ⸣ kiː f⸢fai] (君には非常に食い運があるわい{EOS}丁度今、美味しいものを食べようとしているから、君も来て一緒に食べなさい) 10601 0 0 10117 htmvoc_10601.wav ッふァイフクリ ッ⸢ふァイフクリ [f⸢faiɸu̥kuri] 名 飽食。食い飽きること。口が肥えること。食物に対する嗜好が贅沢になること。「くちおごり(口奢り)」の義。 ウ⸢ヤ⸣キヤーナ ッ⸢ふァイフクリ スン⸣ケン ッ⸢ふァイ ブンダ⸣ ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ ン⸢マーン⸣ティ ア⸢ザヌ [ʔu⸢ja⸣kijaːna f⸢faiɸu̥kuri suŋ⸣keŋ f⸢fai bunda⸣ noː⸢ŋ⸣ f⸢faːsabaŋ⸣ ʔm⸢maːn⸣ti ʔa⸢ʣanu] (金持ちの家で口が肥えるほど食べているから、何を食べさせても美味しいと言わない)。 ッ⸢ふァイフクリ⸣ シ⸢ティ⸣ ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふァイプサー ナー⸣ヌ [f⸢faiɸu̥kuri⸣ ʃi̥⸢ti⸣ noː⸢ŋ⸣ f⸢faipusaː naː⸣nu] (食い飽きて、何も食べたくない) 10605 0 1 10118 htmvoc_10605.wav ッふァイフチ ッ⸢ふァイフチ [f⸢faiɸu̥ʧi] 名 {Mn_1}食費。くいしろ(食い代)。「くいぶち(食扶持)」の義。 ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァイフチェー⸣ ドゥーシ ⸢モーキラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢duː⸣nu f⸢faiɸu̥ʧeː⸣ duːʃi ⸢moːkiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (自分の食い扶持は自分で儲けないとならない) 10605 0 2 10119 htmvoc_10605.wav ッふァイフチ ッ⸢ふァイフチ [f⸢faiɸu̥ʧi] 名 {Mn_2}食べ方。ッ⸢ふァイミチ[f⸢faimiʧi](食べ方)ともいう。 ク⸢レー ヌー⸣シ ッ⸢ふー⸣ユー ッ⸢ふァイフチェー⸣ ッ⸢サヌ [ku⸢reː nuː⸣ʃi f⸢fuː⸣juː f⸢faiɸu̥ʧeː⸣ s⸢sanu] (これはどうやって食べるのか、食べ方は知らない) 10602 0 0 10120 htmvoc_10602.wav ッふァイミチ ッ⸢ふァイミチ [f⸢faimiʧi] 名 食べ方。食べる方法。「食い道」の義。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ シ⸢トゥ⸣バ ⸣ムティケーンドゥ ッ⸢ふァイミチル⸣ ッ⸢サン⸠ツォー [ʔu⸢ki⸣naːranu ʃi̥⸢tu⸣ba ⸣mutikeːndu f⸢faimiʧiru⸣ s⸢san⸠ʦoː] (沖縄からのお土産<つと{EOS}苞>を持ってきているが、食べ方が分からないんだよ) 10603 0 0 10121 htmvoc_10603.wav ッふァイムヌ ッ⸢ふァイムヌ [f⸢faimunu] 名 飲食物。食べ物。主食となるもの。「食い物」の義。⸢マイ[⸢mai](米)、⸣ウン[⸣ʔuŋ](芋)等。ヌ⸢ミ⸣ムヌ[nu⸢mi⸣munu](水や酒類の飲み物)、カ⸢ティ⸣ムヌ[kḁ⸢ti⸣munu](おかず{EOS}かてもの<糅物>の義)の対義語。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ッ⸢ふァイムノー タンガ⸣シェー カ⸢ラカーラヌ [ʔu⸢bi⸣nu ⸢jaːniʣuː⸣nu f⸢faimnoː taŋga⸣ʃeː ka⸢rakaːranu] (あれだけの家族<家人数>の食べ物は、一人では対応できない{EOS}カ⸢ラカウン{SqBr}ka⸢rakauŋ{/SqBr}は『邦訳日葡辞書』の転訛したもの) 10604 0 0 10122 htmvoc_10604.wav ッふァイムヌ -ッ⸢ふァイ⸣ムヌ [-f⸢fai⸣munu] 接尾 ~よく手間のかかるもの。~よく~を必要とするもの。「~食い物」の義。 ⸢ティーッふァイシグ⸣トゥ [⸢tiːffaiʃigu⸣tu] (手間のかかる仕事)。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢グトー ティーッふァイ⸣ムヌ⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː tiːffai⸣munu⸢daː] (その仕事は手間のかかる仕事だよ)。 イ⸢ガガラソー マー⸣ス ッふァイムヌ [ʔi⸢gagarasoː maː⸣su ffaimunu] (烏賊の塩漬けは、よく塩を必要とするもの<塩を食うもの>だ) 10606 0 0 10123 htmvoc_10606.wav ッふァイヤニヤン ッ⸢ふァイヤニ⸣ヤン [f⸢faijani⸣jaŋ] 形 食い意地が汚い。食い意地が張って見苦しい。意地汚い。 プ⸢スヌ⸣ トゥリ ッ⸢ふン⸣ダラーッティ ⸢シー⸣ カ⸢キナ⸣キ ッ⸢ふァイ ベー⸣ムヌ ミルカー ⸢フン⸣トー ッ⸢ふァイ⸣ ヤ⸢ニヤ⸣ルバンシェー [pu̥⸢sunu⸣ turi f⸢fun⸣daraːtti ⸢ʃiː⸣ kḁ⸢kina⸣ki f⸢fai beː⸣munu ⸣mirukaː ⸢ɸun⸣toː f⸢fai⸣ ja⸢nija⸣rubaŋʃeː] (人が取って食うだおうかと思って<して>、掻き込んでいるのを見ると、まことに<本当に>食い意地が汚いわいな)。 ッ⸢ふァイヤニヤナー⸣ヌ [f⸢faijanijanaː⸣nu] (意地汚くない)。 ッ⸢ふァイヤニヤ⸣ヌ ⸣ミリ ブ⸢ララヌ [f⸢faijanija⸣nu ⸣miri bu⸢raranu] (意地汚くて見ておれない)。 ⸢シンダイ⸣ ッ⸢ふァイヤニ⸣ヤ ⸣ナリケーン [⸢ʃindai⸣ f⸢faijani⸣ja narikeːŋ] (次第に意地汚くなってきた)。 ウ⸢リン⸣ スコー ッ⸢ふァイヤニ⸣ヤ(ル) プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rin⸣ su̥koː f⸢faijani⸣ja(ru) pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼ほど意地汚い人はいない) 10607 0 0 10124 htmvoc_10607.wav ッふァイヤビ ッ⸢ふァイヤビ [f⸢faijabi] 名 同じものを食べ過ぎて嫌になること。食傷気味。「食い破れ」の義。 ⸢ウンヌ⸣イー カー⸢ニ⸣ ッ⸢ふァーサリティ⸣ ッ⸢ふァイヤビバ⸣ シ⸢タムヌ⸣ユー ムッ⸢トゥ⸣ ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔunnu⸣ʔiː kaː⸢ni⸣ f⸢faːsariti⸣ f⸢faijabiba⸣ ʃi̥⸢tamunu⸣juː mut⸢tu⸣ f⸢faːranu] (芋のご飯だけ食べさせられて食傷気味になったのか、一向に<ちっとも>食べられないよ) 10608 0 0 10125 htmvoc_10608.wav ッふァイヤン ッ⸢ふァイヤン [f⸢faijaŋ] 名 いくら食べても満腹しない病気。「食い病み」の義。糖尿病。 ッ⸢ふァイヤンドゥ⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ッ⸢ふァイプサ⸣ カー⸢ニル⸣ アル [f⸢faijandu⸣ ja⸢ru⸣juː gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbaŋ⸣ f⸢fai⸣pu̥sa kaː⸢niru⸣ ʔaru] (食べる病気にでもなったのか、いくら食べても満腹しない<食べたいだけである>) 10609 0 0 10126 htmvoc_10609.wav ッふァイユー ッ⸢ふァイユー [f⸢faijuː] 名 食べる分。食用。食用に充当するもの。 ッ⸢ふァイユーヤ⸣ ヌ⸢カ⸣シティ ヌ⸢カ⸣ロー ⸢カーシ⸣ ミサン [f⸢faijuːja⸣ nu⸢ka⸣ʃi̥ti nu⸢ka⸣roː ⸢kaːʃi⸣ misaŋ] (食べる分<食用>は残して、残りは売ってもよい)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァイユーヤンツァン⸣ ヌ⸢カサ⸣ムティ ムー⸢ル カーシ ナー⸣ヌ [⸢duː⸣nu f⸢faijuːjanʦan⸣ nu⸢kasa⸣muti muː⸢ru kaːʃi naː⸣nu] (自家用<自分の食べる分>すらも残さないで、全部売ってしまった) 10610 0 0 10127 htmvoc_10610.wav ッふァイユク ッ⸢ふァイユク [f⸢faijuku] 名 食欲。食い意地。「食い欲」の義。 ッ⸢ふァイユクヌ⸣ ンジケーチバ ⸢ヤン⸣マー マナ⸢マンチン⸣ パ⸢シットゥ⸣ ナ⸢リ⸣スヨー [f⸢faijukunu⸣ ʔnʤikeːʧiba ⸢jam⸣maː mana⸢manʧim⸣ pḁ⸢ʃittu⸣ na⸢ri⸣sujoː] (食欲が出てきたから病気は間もなく<すぐ>治る<気分爽快となる>よ) 10611 0 0 10128 htmvoc_10611.wav ッふァイユコーン ッ⸢ふァイユコー⸣ン [f⸢faijukoː⸣ŋ] 形 いじきたない(意地汚い)。飲食物に対する欲が強い。「食い欲張りである」の義。 ウ⸢レー⸣ イ⸢チンマー サッ⸣コー ッ⸢ふァイユコー⸣ンドゥター ッ⸢ふァイユコーナーン⸣ ピンヌン ⸣アン [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʧimmaː sak⸣koː f⸢faijukoː⸣ndutaː f⸢faijukoːnaːm⸣ pinnuŋ ⸣ʔaŋ] (彼はいつもは非常に意地汚いが、また意地汚くない時もある)。 ッ⸢ふァイユコー⸣ ナリティ プ⸢スンマー⸣ ッ⸢ふァーサヌ [f⸢faijukoː⸣ nariti pu̥⸢summaː⸣ f⸢faːsanu] (意地汚くなって、人には食べさせない)。 ⸣アイニ ッ⸢ふァイユコー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini f⸢faijukoː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに意地汚い人はいない)。 ⸣アイニ ッ⸢ふァイユコー⸣カー ⸢ウン⸣ネー パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaini f⸢faijukoː⸣kaː ⸢ʔun⸣neː pa⸢rara⸣nu] (あんなに意地汚ければ、あの家には行かれない) 10615 0 0 10129 htmvoc_10615.wav ッふァイヨーガリ ッ⸢ふァイヨーガリ [f⸢faijoːgari] 名 食べ過ぎて痩せること。「食い痩せ」の義。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢ヌス⸣ク ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァイスンドゥ⸣ ッ⸢ふァイヨーガリ シーブー⸣ツォー [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢ʔiː⸣ja f⸢faisundu⸣ f⸢faijoːgari ʃiːbuː⸣ʦoː] (彼は、あれほど飯を食うのに、食べ過ぎて痩せて<食い痩せして>いるそうだ) 10612 0 0 10130 htmvoc_10612.wav ッふァインザリ ッ⸢ふァインザリ [f⸢fainʣari] 名 食い散らし。食いちぎり。 ア⸢ダカ⸣ナ ⸢スー ムヌバ カイ⸣ ッ⸢ふァーシタ⸣ クトー カ⸢シーカシー⸣ ッ⸢ふァームティ⸣ ッ⸢ふァインザリ シー⸣ シケー⸢ドー⸣ティバーヤ [ʔa⸢daka⸣na ⸢suː munuba kai⸣ f⸢faːʃi̥ta⸣ ku̥toː ka⸢ʃiːkaʃiː⸣ f⸢faːmuti⸣ f⸢fainʣari ʃiː⸣ ʃi̥keː⸢doː⸣tibaːja] (あんなに高価なものを買って食べさせたらば、しっかり食べないで、食い散らかしてあるんだってばよ<もったいない>) 10613 0 0 10131 htmvoc_10613.wav ッふァインザルン ッ⸢ふァインザルン [f⸢fainʣaruŋ] 他動 食い散らかす。乱雑に食べる。 ⸢イー⸣ヌ ⸢ミー⸣ザカー ッ⸢ふァインザルンダ⸣ ッ⸢ふァインザラサン⸣ヨーニ ン⸢マーンマー⸣シ バ⸢カシ [⸢ʔiː⸣nu ⸢miː⸣ʣakaː f⸢fainʣarunda⸣ f⸢fainʣarasaɲ⸣joːni ʔm⸢maːmmaː⸣ʃi ba⸢kaʃi] (ご飯が不味いと食い散らかすから、食い散らかさないように美味しく炊きなさい)。 ッ⸢ふァインザリ⸣ シケーバン [f⸢fainʣari⸣ ʃi̥keːbaŋ] (食い散らかしてあるよ)。 ⸢イー⸣バ ⸣アイニ ッ⸢ふァインザリ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [⸢ʔiː⸣ba ⸣ʔaini f⸢fainʣari⸣ nuːja ʔu⸢reː] (ご飯をあのように食い散らかして、何事だよ、それは)。 ッ⸢ふァインザル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢fainʣaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (食い散らかすことはない)。 ッ⸢ふァインザレー⸣ ミサムヌ [f⸢fainʣareː⸣ misamunu] (食い散らかせばいいのに)。 ッ⸢ふァインザリ⸣バ [f⸢fainʣari⸣ba] (食い散らかせよ) 10614 0 0 10132 htmvoc_10614.wav ッふァウヤキ ッ⸢ふァウヤキ [f⸢faʔujaki] 名 子宝に恵まれること。また、その人。「子富貴」の義。 ッ⸢ふァウヤキル マーウヤ⸣キ [f⸢faʔujakiru maːʔuja⸣ki] (子宝に恵まれることこそが真の富貴である<諺>)。 ⸢ジン⸣マー ⸣アル ⸣ウビシ ⸣ミサン ッ⸢ふァウヤキル⸣ プサ [⸢ʤim⸣maː ⸣ʔaru ⸣ʔubiʃi ⸣misaŋ f⸢faʔujakiru⸣ pu̥sa] (金はあるだけでよい{EOS}子宝が欲しい) 10616 0 0 10133 htmvoc_10616.wav ッふァウラスン ッ⸢ふァ⸣ ウ⸢ラ⸣スン [f⸢fa⸣ ʔu⸢ra⸣suŋ] 連 堕胎する。「子を下ろす<堕ろす>」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢グイ⸣フゾーノーヌ ⸢スー⸣ワティ ユ⸢ノン⸣ナーテー パ⸢ルミプス⸣バ ク⸢ブ⸣ラバレーラ トゥ⸢バシル⸣ ッ⸢ふァ⸣ ウ⸢ラ⸣シモーッタティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːnu ⸢suː⸣wati ju⸢non⸣naːteː pa⸢rumipusu⸣ba ku⸢bu⸣rabareːra tu⸢baʃiru⸣ f⸢fa⸣ ʔu⸢ra⸣ʃimoːttati⸢daː] (昔は人頭税<御庸布上納>が厳しかったので、与那国では妊婦をクブラバリから飛ばせて堕胎させられた<子を下ろさせられた>そうだ) 10617 0 0 10134 htmvoc_10617.wav ッふァオーン ッ⸢ふァオーン [f⸢faʔoːŋ] 名 親御嶽(親お願)から分かれた子格の御嶽。「末社」に相当する。「子御嶽」の義。 イ⸢サナキナー⸣ル ⸢メー⸣トゥルオーンヌ ッ⸢ふァオーンティ アッ⸣タ⸢ナー [ʔi⸢sanakinaː⸣ru ⸢meː⸣turuʔoːnnu f⸢faʔoːnti ʔat⸣ta⸢naː] (石垣島にが<ぞ>宮鳥御嶽の子御嶽というのが<とて>あったねえ) 10618 0 0 10135 htmvoc_10618.wav ッふァカサナイキン ッ⸢ふァカサナイ⸣キン [f⸢fakasanai⸣kiŋ] 名 子守用の着物。「子負い衣」の義。袖なしの短い着物。これを着て子供を背負い、着物の左前裾の先を腰に回して左手で握り、子供がずれ落ちないように負ぶった。ッ⸢ふァ⸣ムレーキン[f⸢fa⸣mureːkiŋ](子守着)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドーン⸣ッふァー ッ⸢ふァカサナイキン⸣バ キ⸢シティル⸣ ッ⸢ふァ⸣ムレー シ⸢タル [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢doːŋ⸣ffaː f⸢fakasanaikim⸣ba ki̥⸢ʃitiru⸣ f⸢fa⸣mureː ʃi̥⸢taru] (昔は女の子は子守用の着物を着て<ぞ>子守をしたものだ) 10620 0 0 10136 htmvoc_10620.wav ッふァガマラスン ッ⸢ふァガマラスン [f⸢fagamarasuŋ] 他動 暗ます。暗くする。 ユ⸢ネン⸣マー ⸢ヤー⸣ンナカー ッ⸢ふァガマラサンドー⸣シ ⸢トゥー⸣ル ⸣シキ ガ⸢ラシ [ju⸢nem⸣maː ⸢jaːn⸣nakaː f⸢fagamarasandoː⸣ʃi ⸢tuː⸣ru ⸣ʃi̥ki ga⸢raʃi] (夜は家の中を暗くしないで<暗まさないで>ランプ<灯籠>を点けて明るくしなさい)。 ⸢トゥー⸣ル シ⸢キラン⸣カー ⸣ヤー ッ⸢ふァガマラスン⸠ダー [⸢tuː⸣ru ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ⸣jaː f⸢fagamarasun⸠daː] (ランプを点けないと、部屋を暗くするよ)。 ッ⸢ふァガマラシ⸣ ミサン [f⸢fagamaraʃi⸣ misaŋ] (暗くしてもよい)。 ッ⸢ふァガマラシェー⸣ ミサムヌ [f⸢fagamaraʃeː⸣ misamunu] (暗くすればいいのに)。 ッ⸢ふァガマラス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢fagamarasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (暗くすることは出来ない)。 ⸢マー⸣ビン ッ⸢ふァガマラシ [⸢maː⸣bin f⸢fagamaraʃi] (もっと暗くせよ) 10621 0 0 10137 htmvoc_10621.wav ッふァガマリ ッ⸢ふァガマリ [f⸢fagamari] 名 暗がり。陰。 ⸣カナー ッ⸢ふァガマリヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナー シ⸢ラーシラー⸣シ ム⸢ヌ⸣ヌ ミ⸢ラ⸣リン [⸣kanaː f⸢fagamarinu⸣ na⸢ka⸣naː ʃi⸢raːʃiraː⸣ʃi mu⸢nu⸣nu mi⸢ra⸣riŋ] (あそこに、暗がりの中にうっすらとものが見える) 10622 0 0 10138 htmvoc_10622.wav ッふァガマルン ッ⸢ふァガマルン [f⸢fagamaruŋ] 自動 暗くなる。暗がる。 ッ⸢ふァガマラン⸣ケン ⸢ギーッティ⸣ クーバ [f⸢fagamaraŋ⸣keŋ ⸢giːtti⸣ kuː] (暗くならないうちに行って来い)。 パ⸢リマー⸣キ ⸢ベーン⸣ケン ッ⸢ふァガマリ ナー⸣ヌ [pa⸢rimaː⸣ki ⸢beːŋ⸣ken f⸢fagamari naː⸣nu] (行きかねているうちに暗くなってしまった)。 ナー⸢イ ベーン⸣ケン ッ⸢ふァガマルン⸠ダー [naː⸢i beːŋ⸣ken f⸢fagamarun⸠daː] (じっとしている間に暗くなるよ)。 ッ⸢ふァガマル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢fagamaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (暗がることはない)。 ッ⸢ふァガマレー⸣ ミサムヌ [f⸢fagamareː⸣ misamunu] (暗くなればいいのに)。 ッ⸢ふァガマル⸣カー ッ⸢ふァガマリ ターシタガヤ [f⸢fagamaru⸣kaː f⸢fagamari taːʃi̥tagaja] (暗くなるなら暗くなれ、誰が知ったことか) 10619 0 0 10139 htmvoc_10619.wav ッふァクバーン ッ⸢ふァ⸣ ク⸢バー⸣ン [f⸢fa⸣ ku⸢baː⸣ŋ] 連 子供に縁がない。流産したり、生まれた子供が早死にしたりして母親と子供の縁が薄いこと。ク⸢バー⸣ン[ku⸢baː⸣ŋ](仲が悪い)の原義は、「強し」の義で、「なかなか~できない」の意を表す。「磽、己波志<こはし>」『新撰字鏡』の転訛したもの。ヤ⸢バー⸣ン[ja⸢baː⸣ŋ](やはし<和>の義で、「よく~する」の意{EOS}「和、ヤハシヌ」『類聚名義抄』)の対義語。 ッ⸢ふァ⸣ ク⸢バー⸣ル ミ⸢ドゥ⸣モー プ⸢スヌ⸣ バタ カ⸢リティ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢サ⸣ソーッタ [f⸢fa⸣ ku⸢baː⸣ru mi⸢du⸣moː pu̥⸢sunu⸣ bata ka⸢ritiru⸣ f⸢fa⸣ na⸢sa⸣soːtta] (子に縁の薄い女は、お産の軽い、相性の人を仮親に頼んで<他人の腹を借りて>出産させなされ<子を産ませられ>た) 10625 0 0 10140 htmvoc_10625.wav ッふァシゥカナイ ッ⸢ふァシゥカ⸣ナイ [f⸢fasï̥ka⸣nai] 名 子育て。「子養い」の義。 ッ⸢ふァシゥカナイ⸣ヤー ウ⸢ヤ⸣ヌ ス⸢クブン⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シゥカイ⸢トゥ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢マイフナー⸣ マ⸢ラシ⸣ヨー [f⸢fasï̥kanai⸣jaː ʔu⸢ja⸣nu su̥⸢kubuɲ⸣ ja⸢runda⸣ sï̥kai⸢tu⸣ sï̥⸢ka⸣nai ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢raʃi⸣joː] (子育ては親の義務<職分>だから、しっかり養育して立派な人に育て<産み育て>なさいよ) 10623 0 0 10141 htmvoc_10623.wav ッふァジマ ッ⸢ふァジマ [f⸢faʤima] 名 主島から分かれた島。「子島」の義。 パ⸢トゥ⸣マー フ⸢シ⸣マラヌ バ⸢カ⸣リティ ア⸢ザリ ブーユンダ⸣ パ⸢トゥ⸣マー フ⸢シマ⸣ヌ ッ⸢ふァジマ⸣ ナルシジ [pa⸢tu⸣maː ɸu̥⸢ʃi⸣maranu ba⸢ka⸣riti ʔa⸢ʣari buːjunda⸣ pḁ⸢tu⸣maː ɸu̥⸢ʃima⸣nu f⸢faʤima⸣ naruʃiʤi] (鳩間は黒島からの分かれといわれているから、鳩間は黒島の子島になるわけだ) 10624 0 0 10142 htmvoc_10624.wav ッふァスダティ ッ⸢ふァスダティ [f⸢fasudati] 名 子育て。ッ⸢ふァシゥカ⸣ナイ[f⸢fasï̥ka⸣nai](子養い)ともいう。 ッ⸢ふァスダティゾー⸣ジ [f⸢fasudatiʣoː⸣ʤi] (子育て上手)。 ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァスダ⸣テー イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ビッ⸣サ ア⸢ローッ⸣タン [⸢ʔun⸣nenu f⸢fasuda⸣teː ʔik⸢kena⸣ ki⸢bis⸣sa ʔa⸢roːt⸣taŋ] (あの家の子育ては非常に厳しくあられた) 10626 0 0 10143 htmvoc_10626.wav ッふァダニ ッ⸢ふァダニ [f⸢fadani] 名 精子。「子種」の義。 ブ⸢トゥ⸣ナー ッ⸢ふァダニヌ ナーン⸣ベーティル ッ⸢ふァー⸣ ナ⸢サン⸣ツォー [bu⸢tu⸣naː f⸢fadaninu naːm⸣beːtiru f⸢faː⸣ na⸢san⸣ʦoː] (夫に精子<子種>がないので、子供は産まないそうだ) 10644 0 0 10144 htmvoc_10644.wav ッふアタル ッ⸢ふアタ⸣ル [f⸢fuʔata⸣ru] 名 不浄負け。死者の死毒にあたること。「黒当り」の義。 キ⸢ジヌ⸣ アル プ⸢ソー⸣ ッ⸢ふアタ⸣ル ⸢スン⸣ティバ シ⸢ニプスヌヤー⸣ヤ ⸢パン⸣ナ⸢ヨー [ki⸢ʤinu⸣ ʔaru pu̥⸢soː⸣ f⸢fuʔata⸣ru ⸢sun⸣tiba ʃi⸢nipusunu⸣jaː ⸢pan⸣na⸢joː] (傷のある人は死毒にあたるというから、死人の家には行くなよ) 10627 0 0 10145 htmvoc_10627.wav ッふァチクショー ッ⸢ふァチクショー [f⸢faʧikuʃoː] 名 親心を理解し得ない子供。親心を理解できない子供は畜生と同じの意味。「子畜生」の義。 ウ⸢ヤ⸣バ ⸢タン⸣ガ シ⸢ティ⸣シキティ ⸢ピン⸣ギパル ス⸢ク⸣ヌ ッ⸢ふァチクショーティン⸣ ブ⸢リル ブー [ʔu⸢ja⸣ba ⸢taŋ⸣ga ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥kiti ⸢piŋ⸣giparu su̥⸢ku⸣nu f⸢faʧikuʃoːtim⸣ bu⸢riru buː] (親を一人をほったらかして<捨て置いて>逃げ去るほどの子畜生とているものだ) 10628 0 0 10146 htmvoc_10628.wav ッふァッツァーン ッ⸢ふァッ⸣ツァーン [f⸢fat⸣ʦaːŋ] 形 子煩悩である。並外れて子供を愛し慈しむさま。ッ⸢ふァ[f⸢fa](子{EOS}子等)に接尾語⸣ッツァーン[⸣tʦaːŋ](生理的に~たがる{EOS}<~したさ・あり>の転訛したもの)が下接して形成された語。 ウ⸢レー サッ⸣コー ッ⸢ふァッ⸣ツァーンダ ッ⸢ふァヌ⸣ ミ⸢ララン⸣カー ッ⸢ふァ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルンティ ⸢アーリス [ʔu⸢reː sak⸣koː f⸢fat⸣ʦaːnda f⸢fanu⸣ mi⸢raraŋ⸣kaː f⸢fa⸣ tu⸢mi⸣runti ⸢ʔaːrisu] (彼<あれ>は非常に子煩悩だから、子供が見えないと子供を捜そうと慌て騒ぐ)。 ウ⸢リヌ⸣ スコー ッ⸢ふァッツァー ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥koː f⸢fatʦaː naː⸣nu] (彼<あれ>ほどに子煩悩でない)。 ⸣アイニ ッ⸢ふァッ⸣ツァー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini f⸢fat⸣ʦaː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのように子煩悩な人はいない) 10629 0 0 10147 htmvoc_10629.wav ッふァドゥル ⸣ッふァドゥル [⸣ffaduru] 名 (動)鳥の名。和名、オオクイナ。うずら(鶉)に似るが、鶉より少し大きい。クイナの一種といわれている。⸣ッふァドゥル[⸣ffaduru]は、非常にッ⸢ふァッツァー⸣ン[f⸢fatʦaː⸣ŋ](子煩悩である)といわれている。夜、コーイコーイと鳴くが、それは親鳥が雛鳥を呼ぶ鳴き声だといわれ、その名も「子を思う鳥」から命名されたといわれている。転じて、母親が子供のことを心配して、よく子供の名を呼んで探し回る人に対しても⸣ッふァドゥル[⸣ffaduru]と卑しめていう。昔、⸣ッふァドゥルの雛を捕獲したある人が雛を家に持ち帰り、籠に入れて飼育しようと考えた。ところが、その晩遅く、その人が寝ている家へ、ッふァドゥルの母鳥が訪ねてきてトントンと戸を叩いて家の主を起こしたと言う。子を思う親鳥の心に打たれた家主は、以後ッふァドゥルを捕獲してはならないと家人に伝えたという昔話が伝承されている。 ⸣ッふァドゥロー マ⸢タ⸣ ウ⸢ヤー⸣リ ッ⸢ふァ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルンティ ⸢アーリ ベー [⸣ffaduroː ma⸢ta⸣ ʔu⸢jaː⸣ri f⸢fa⸣ tu⸢mi⸣runti ⸢ʔaːri beː] (あのッふァドゥル<\ruby{鶉}{ウヅラ}>は、また子供を捜そうと叫んで騒いでいる) 10633 0 0 10148 htmvoc_10633.wav ッふァナサー ッ⸢ふァナ⸣サー [f⸢fana⸣saː] 名 子供をよく産む人。多産の人。子だくさんの人。多少卑下した表現。 ッ⸢ふァナサー⸣ヤ ⸣パジェー ⸢ナーン⸠ダー [f⸢fanasaː⸣ja ⸣paʤeː ⸢naːn⸠daː] (子だくさんの女には恥はないよ<子育てで恥や外聞に構っておれない{EOS}何でもやるよ>) 10631 0 0 10149 htmvoc_10631.wav ッふァナサシプス ッ⸢ふァナサシ⸣プス [f⸢fanasaʃi⸣pu̥su] 名 子供を産ませる人。とりあげばば(取上げ婆)。カ⸢ティ[kḁ⸢ti](経験{EOS}ものごとの様子{EOS}具合)ともいう。「Catte.カッテ(勝手)、格好、あるいは形態.Iyeno cattega yoi」(家の勝手がよい)『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ⸢サンバ⸣カティ [⸢samba⸣kati] (産婆勝手、産婆の経験)。 ⸢サイク⸣カティ [⸢saiku⸣kati] (大工、細工の経験)。 ⸢サンバ⸣ヌ ⸢オーラン⸣ シマ ヤ⸢ルンダ⸣ ッ⸢ふァナサシ⸣プソー カ⸢ティヌ⸣ アル プ⸢スバ⸣ タ⸢ナミ⸣ル ッ⸢ふァー⸣ ナ⸢サ⸣シモーッタ [⸢samba⸣nu ⸢ʔoːraŋ⸣ ʃima ja⸢runda⸣ f⸢fanasaʃi⸣pu̥soː kḁ⸢tinu⸣ ʔaru pu̥⸢suba⸣ ta⸢nami⸣ru f⸢faː⸣ na⸢sa⸣ʃimoːtta] (産婆のいない島だから、取り上げ経験のある人を頼んで<ぞ>子供を産ませられた) 10630 0 0 10150 htmvoc_10630.wav ッふァナシパダ ッ⸢ふァナシ⸣パダ [f⸢fanaʃi⸣pada] 名 子供を産める時期。出産可能な時期。 ミ⸢ドゥ⸣モー ッ⸢ふァナシ⸣パダティン ア⸢リ⸣ブンダ ウ⸢ヌ⸣ パダナー ⸣ナシ ス⸢ダティ⸣リ [mi⸢du⸣moː f⸢fanaʃi⸣padatiŋ ʔa⸢ri⸣bunda ʔu⸢nu⸣ padanaː ⸣naʃi su⸢dati⸣ri] (女には出産可能な時期というのがあるから、その時期に生んで育てなさい) 10632 0 0 10151 htmvoc_10632.wav ッふァナシプス ッ⸢ふァナシ⸣プス [f⸢fanaʃi⸣pu̥su] 名 産婦。出産した人。「子産み人」の義。 ッ⸢ふァナシプス⸣ヌ ⸢ドゥー⸣ヤ ⸢ザーリドゥー⸣ティ ア⸢ザリ ブーユンダ ピーリ⸣ミジ シゥ⸢カウナ⸣ヨー [f⸢fanaʃipu̥su⸣nu ⸢duː⸣ja ⸢ʣaːriduː⸣ti ʔa⸢ʣari buːjunda piːri⸣miʤi sï̥⸢kauna⸣joː] (産婦の体は朽ち木のような弱った体といわれているから、冷たい水を使うなよ) 10634 0 0 10152 htmvoc_10634.wav ッふァフクル ッ⸢ふァフクル [f⸢faɸukuru] 名 胎児や胎盤を包む器官。羊膜。「子袋」の義。 バ⸢タ⸣ヌ ナ⸢カヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ッ⸢ふァフクル⸣ナール ッ⸢スマ⸣リ ⸢ブー [ba⸢ta⸣nu ⸣nakanu f⸢faː⸣ f⸢faɸukuru⸣naːru s⸢suma⸣ri ⸢buː] (腹の中の子は羊膜<子袋>に包まれている) 10565 0 0 10153 htmvoc_10565.wav ッふァマー ッ⸢ふァ⸣マー [f⸢fa⸣maː] 名 こまご(子孫)。子孫。 ッ⸢ふァマー⸣ヌ サ⸢カリバル⸣ キ⸢ナイヤー パン⸣ゾー ⸢スー [f⸢famaː⸣nu sa⸢karibaru⸣ ki⸢naijaː ⸢pan⸣ʣoː ⸢suː] (子孫が栄えたらばこそ一家<家内>は繁盛するものだ) 10635 0 0 10154 htmvoc_10635.wav ッふァムイサン ッ⸢ふァムイ⸣サン [f⸢famui⸣saŋ] 形 子煩悩であるさま。子供を可愛がるさま。名詞に形容詞型活用の接尾語⸢-ムイ⸣サン[⸢-mui⸣saŋ](~煩悩である{EOS}よく~を思う{EOS}<~思いさあり>の転訛)の付いた形容詞型接尾語。 ウ⸢トゥザムイ⸣サン [f⸢famui⸣saŋ] (親戚思いである)。 シザ⸢ムイ⸣サン [ʃiʣa⸢mui⸣saŋ] (兄、姉思いである)。 ⸢キョー⸣ダイムイサン [⸢kjoːdai⸣muisaŋ] (兄弟思いである)。 ビ⸢ケーヤ⸣ ッ⸢ふァムイ⸣サンドゥ ブ⸢ネーヤ⸣ ッ⸢ふァムイサー ナー⸣ヌ [bi⸢keːja⸣ f⸢famui⸣sandu bu⸢neːja⸣ f⸢famuisaː naː⸣nu] (父親は子煩悩であるが母親は子煩悩でない)。 ⸢ビケーヤ⸣ ア⸢マ⸣ヌ ッ⸢ふァムイ⸣サティ ムー⸢ル⸣ ビ⸢ケーナー⸣ル ⸣シキ ⸢ブー [bi⸢keːja⸣ ʔa⸢ma⸣nu f⸢famui⸣sati muː⸢ru⸣ bi⸢keːnaː⸣ru ⸣ʃi̥ki ⸢buː] (父親があまりにも子煩悩だから、皆父親についているよ)。 ウ⸢リヌ⸣ スコー ッ⸢ふァムイ⸣サル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥koː f⸢famui⸣saru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼ほど子煩悩な人はいない) 10636 0 0 10155 htmvoc_10636.wav ッふァムチ ッ⸢ふァムチ [f⸢famuʧi] 名 子だくさん。子福者。「子持ち」の義。 ⸣カイブ ⸢ナンギシグ⸣トー ッ⸢ふァムチンナー⸣ネー タ⸢ナム⸣ナ⸢ヨー [⸣kaibu ⸢naŋgiʃigu⸣toː f⸢famuʧinnaː⸣neː ta⸢namu⸣na⸢joː] (こんな難儀な仕事は子だくさんの人には頼むなよ) 10637 0 0 10156 htmvoc_10637.wav ッふァムレー ッ⸢ふァ⸣ムレー [f⸢fa⸣mureː] 名 子守。 トゥ⸢ナルヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァバ ッ⸢ふァ⸣ムレー タ⸢ナ⸣ミ ⸢サーリクー⸣タ [tu⸢narunu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaba f⸢fa⸣mureː ta⸢na⸣mi ⸢saːri kuː⸣ta] (隣の女の子を子守に頼んで連れてきた) 10638 0 0 10157 htmvoc_10638.wav ッふァムレーウタ ッ⸢ふァ⸣ムレーウタ [f⸢fa⸣mureːʔuta] 名 子守唄。 ミ⸢ドーン⸣ッふァンケーヤ ッ⸢ふァ⸣ カ⸢サ⸣ナイティ ッ⸢ふァ⸣ムレーウタバ イ⸢ジェー⸣ティル ッ⸢ふァ⸣ムレー シ⸢タル [mi⸢doːŋ⸣ffaŋkeːja f⸢fa⸣ kḁ⸢sa⸣naiti f⸢fa⸣mureːʔutaba ʔi⸢ʤeː⸣tiru f⸢fa⸣mureː ʃi̥⸢taru] (女の子達は、子供を負ぶって子守唄を歌いながら子守をしたものだ) 10639 0 0 10158 htmvoc_10639.wav ッふァムレーキン ッ⸢ふァ⸣ムレーキン [f⸢fa⸣mureːkiŋ] 名 子守用の着物。普通は、ッ⸢ふァカサナイ⸣キン[f⸢fakasanai⸣kiŋ](子供負ぶい衣)という。 ッ⸢ふァ⸣ムレーキンマー プ⸢スッ⸣クビ カー⸢ニル⸣ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ル [f⸢fa⸣mureːkimmaː pu̥⸢suk⸣kubi kaː⸢niru⸣ nu⸢ka⸣ri ⸢beː⸣ru] (子守用の着物は一着だけしか残っていない<一着だけが残っている>) 10640 0 0 10159 htmvoc_10640.wav ッふァムン ッ⸢ふァムン [f⸢famuŋ] 自動 暗くなる。暗む。ッ⸢ふァームン[f⸢faːmuŋ](暗む)と同じ。 ティ⸢ダ⸣ヌ ウ⸢ティ⸣ルカー ッ⸢ふァムンダ⸣ ッ⸢ふァマン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パラ [ti⸢da⸣nu ʔu⸢ti⸣rukaː f⸢famunda⸣ f⸢famaŋ⸣keɲ ⸢jaː⸣para] (太陽が落ちると暗くなる<暗むから>、暗くならない<暗まない>うちに家に帰ろう<行こう>)。 キサー⸢ティ⸣ ッ⸢ふァミ ナー⸣ヌ [kisaː⸢ti⸣ f⸢fami naː⸣nu] (すでに暗くなってしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ッ⸢ふァム⸣ パジェー ⸢ナーヌ⸣ヌ ッ⸢ふァメー⸣カー ミ⸢サ⸣ルメー [⸢ʔoːpa⸣jaː f⸢famu⸣ paʤeː ⸢naːnu⸣nu f⸢fameː⸣kaː mi⸢sa⸣rumeː] (こんなに早く暗くなることはないが、暗くなったのであれば仕方ないさ)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢ふァミ [⸢paː⸣ku f⸢fami] (早く暗くなれ) 10641 0 0 10160 htmvoc_10641.wav ッふァヨーン ッ⸢ふァヨーン [f⸢fajoːŋ] 名 真っ暗闇。暗闇の夜。 ッ⸢ふァヨーンサーリ⸣ ⸢ティーサドゥル⸣バ ⸢シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ キ⸢ラリタ⸣ル [f⸢fajoːnsaːri tiːsaduru⸣ba ⸢ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃi ki⸢rarita⸣ru] (暗闇の夜で、手探りをしながらやっとのことで来られたのだよ) 10648 0 0 10161 htmvoc_10648.wav ッふイ ⸣ッふイ [⸣ffui] 名 陰毛。「黒毛」の義。腋毛。[kuroke](黒毛)→ [hurukiː] → [ffuçiː] → [ffui] のように音韻変化したもの。 ッ⸢ふイ⸣ヌ ⸢ムイ⸣ルカー ⸣メー ウ⸢ブ⸣プス⸢ダー [f⸢fui⸣nu ⸢mui⸣rukaː ⸣meː ʔu⸢bu⸣pu̥su⸢daː] (陰毛が生えたら、もう大人だよ) 10647 0 1 10162 htmvoc_10647.wav ッふィールン ッ⸢ふィールン [f⸢fiːruŋ] 他動 {Mn_1}くれる(呉れる)。やる。くれてやる。「~みな人童(わらは)までに呉れたれば~」『土佐日記』の転訛したもの。[kure] → [ɸuri] → [ffi] の様に音韻変化したもの。 ク⸢レー ワン⸣ ッ⸢ふィールンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ッ⸢ふィーラヌ [ku⸢reː wan⸣ f⸢fiːrunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢na⸣maː f⸢fiːranu] (これは君に呉れようと思ったが、今は呉れない)。 ⸣バーラ ッ⸢ふィー(リ)⸣ ミサカー ッ⸢ふィール⸣ クトー ⸣ナルン [⸣baːra f⸢fiː(ri)⸣ misakaː f⸢fiːru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (私から呉れて良ければ、呉れ<てや>ることはできる)。 ウ⸢リン⸣ ッ⸢ふィーレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢riŋ⸣ f⸢fiːreː⸣ misamunu] (それも呉れれば良いのに)。 ウ⸢レー⸣ カ⸢リン⸣ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ʔu⸢reː⸣ ka⸢riŋ⸣ f⸢fiːri⸣ba] (それは彼に呉れ<やり>なさいよ)。 10647 0 2 10163 htmvoc_10647.wav ッふィールン ッ⸢ふィールン [f⸢fiːruŋ] 他動 {Mn_2}補助動詞。動詞の連用形に下接して⸢~てやる」の意味を表す。 ⸢ワン⸣ニン ジー⸣ カキ ッ⸢ふィールン⸣ツォー [⸢wan⸣nin ʤiː⸣ kḁki f⸢fiːrun⸣ʦoː] (君にも字を書いてやるそうだ) 10649 0 0 10164 htmvoc_10649.wav ッふイラブチ ッ⸢ふイラ⸣ブチ [f⸢fuʔira⸣buʧi] 名 (動)魚の名。ブダイの仲間。体長20~25センチの成魚がよく漁獲された。蒲鉾の材料として重宝された 10650 0 0 10165 htmvoc_10650.wav ッふイル ッ⸢ふ⸣イル [f⸢fu⸣ʔiru] 名 黒色。 ッ⸢ふふイル⸣バ ⸢ヌーリ⸣シケー [f⸢fuʔiru⸣ba ⸢nuːri⸣ʃi̥keː] (黒色を塗ってある)。 ッ⸢ふイル⸣トゥ ッ⸢スイル⸣トー ム⸢カ⸣シェーラヌ ⸣イルティ ウ⸢モー⸣リ [f⸢fuʔiru⸣tu s⸢suʔiru⸣toː mu⸢ka⸣ʃeːranu ⸣ʔiruti ʔu⸢moː⸣ri] (黒色と白色は昔からの色と思われる)。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)は白の神衣装を着けて神前で祈り、ティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性神職者)は紺染め<黒色>の神衣装を着けて神前に額づき祈ることから民族の基本的な色彩と考えられる 10680 0 0 10166 htmvoc_10680.wav ッふェー ⸣ッふェー [⸣ffeː] 名 \ruby{烏賊墨}{イ|カ|スミ}。イカや蛸の墨。「涅、唐韻云、水中黒土也・・・久利<くり>」『和名抄』の転訛したもの。[kuri] → [ɸuri] → [ffi] → [ffeː] の音韻変化による。 シ⸢ルイカ⸣ヌ ッ⸢ふェー⸣ヤ サ⸢ギフチ⸣ルティ ア⸢ザリ ブー [ʃi⸢ruika⸣nu f⸢feː⸣ja sa⸢giɸu̥ʧi⸣ruti ʔa⸢ʣari buː] (スルメイカの黒墨は下げ薬<利尿剤{EOS}のぼせに効く薬>といわれている)。タ⸢ク⸣ヌ ッふェー[tḁ⸢ku⸣nuffeː](蛸の黒墨)は頭部にある鶏卵大の嚢に蓄えられている。蛸の墨は豚の飼料に利用されるだけだった。 ⸣キンナー イ⸢ガヌ⸣ ッふェー マ⸢マリ ベー [⸣kinnaː ʔi⸢ganu⸣ ffeː ma⸢mari beː] (着物に烏賊の黒墨がついている) 10681 0 0 10167 htmvoc_10681.wav ッふォーッふォーシ ッ⸢ふォーッふォー⸣シ [f⸢foːffoː⸣ʃi] 副 黒々と。真っ黒に。 ⸣シンシ ッ⸢ふォーッふォー⸣シ ⸢ヌーリ [⸣ʃiŋʃi f⸢foːffoː⸣ʃi ⸢nuːri] (墨で黒々と<真っ黒に>塗れ) 10682 0 0 10168 htmvoc_10682.wav ッふォーッふォーヌ ッ⸢ふォーッふォーヌ [f⸢foːffoːnu] 連 真っ黒の。「黒々の」の義。 ッ⸢ふォーッふォーヌ⸣ ムヌ ⸣トゥリ ヤ⸢ラシ [f⸢foːffoːnu⸣ munu ⸣turi ja⸢raʃi] (真っ黒いものを取ってよこせ<遣らせ>) 10675 0 0 10169 htmvoc_10675.wav ッふォーン ッ⸢ふォー⸣ン [f⸢foː⸣ŋ] 形 黒い。「~黒有之<クロカリシ>髪も白けぬ~。万、1740」の転訛したもの。「Curoi.クロイ(黒い)黒いもの」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ⸣イロー ッ⸢ふォーン⸣ティ ア⸢ズヌ ナン⸣ゾー ッ⸢ふォー ナー⸣ヌ [⸣ʔiroː f⸢foːn⸣ti ʔa⸢ʣunu nan⸣ʣoː f⸢foː naː⸣nu] (色は黒いと云うが、あまり黒くない)。 イ⸢ガヌ⸣ ッ⸢ふェー⸣ヌ ⸢スー⸣ヤ ⸣ドゥク ッ⸢ふォー⸣ヌ ⸣パーナン ス⸢マリス [ʔi⸢ganu⸣ f⸢feː⸣nu ⸢suː⸣ja ⸣duku f⸢foː⸣nu ⸣paːnan su⸢marisu] (烏賊墨のお汁はあまりにも黒くて歯にも染まってしまう)。 シ⸢ンダイ⸣ ッ⸢ふォー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ f⸢foː⸣ naruŋ] (次第に黒くなる)。 ッ⸢ふォー⸣ ムノー シ⸢ティリ [f⸢foː⸣ munoː ʃi̥⸢tiri] (黒いものは捨てろ<れ>)。 ⸣アイニ ッ⸢ふォー⸣カー シゥ⸢カーラヌ [⸣ʔaini f⸢foː⸣kaː sï̥⸢kaːranu] (あんなに黒かったら使えない) 10683 0 0 10170 htmvoc_10683.wav ッふォーン ッ⸢ふォー⸣ン [f⸢foː⸣ŋ] 形 黒い。「黒・有り」の融合変化したもの。 ⸢マー⸣ビン ッ⸢ふォーン⸣ティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ふォー ナーン⸣バン [⸢maː⸣bin f⸢foːn⸣ti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː f⸢foːnam⸣baŋ] (もっと黒いと思ったが、あまり黒くないわい)。 ⸣ティダン プ⸢サ⸣リティ ⸢シンダイ⸣ ッ⸢ふォー⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸣tidam pu̥⸢sa⸣riti ⸢ʃindai⸣ f⸢foː⸣ nari⸢naː⸣nu] (太陽に干されて次第に黒くなってしまった)。 ッ⸢ふォー⸣ ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリ [f⸢foː⸣ munoːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turi] (黒いものから選んで取れ)。 ク⸢レー⸣ラン ッ⸢ふォー⸣レーラ ⸢カーサラヌ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [ku⸢reː⸣ran f⸢foː⸣reːraː ⸢kaːsaranu] (此れよりも黒かったら売れない)。 ⸢マー⸣ビン ッ⸢ふォー⸣レーーバー ⸣ミサタムヌ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸢maː⸣biŋ f⸢foː⸣reːba ⸣misatamunu ʔi⸢namunu⸣dara] (もっと黒かったら良かったのに、残念だよ)。 ク⸢リル⸣ ッ⸢ふォー [ku⸢riru⸣ f⸢foː] (これが<ぞ>黒い) 10651 0 0 10171 htmvoc_10651.wav ッふカー ッ⸢ふ⸣カー [f⸢fu⸣kaː] 名 非常に古い着物。着古して破れた着物。つづれ。⸣カー[⸣kaː](皮)は、⸣キンカー[⸣kiŋkaː](着物類{EOS}衣類)の⸣カー[⸣kaː]のこと。「皮、賀波(かは)、被v体也」『和名抄』の義。 ク⸢レー⸣ ッ⸢ふ⸣カー ⸣ナリティ キ⸢サラヌ [ku⸢reː⸣ f⸢fu⸣kaː ⸣nariti ki̥⸢saranu] (これは非常に古い着物<つづれ>になって着られない) 10645 0 0 10172 htmvoc_10645.wav ッふカビ ッ⸢ふ⸣カビ [f⸢fu⸣kabi] 名 黒い紙。[kuro](黒)→ [kuru] → [ffu] と音韻変化したものに、カ⸢ビ[ka⸢bi](紙)が下接して形成された合成語。 ッ⸢ふ⸣カベー ⸢ナン⸣ゾー ⸢ナーン⸣シェン [f⸢fu⸣kabeː ⸢nan⸣ʣoː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (黒い紙はあまりなかった) 10646 0 0 10173 htmvoc_10646.wav ッふカビムヌ ッ⸢ふカビ⸣ムヌ [f⸢fukabi⸣munu] 名 服喪中の人。⸢不浄を被っている人(黒被り者)」の義。 ッ⸢ふカビ⸣ムノー プ⸢スン⸣ヤー ⸣パル ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [f⸢fukabi⸣munoː pu̥⸢suɲ⸣jaː ⸣paru ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (服喪中の人は余所の家に行くものではない) 10652 0 0 10174 htmvoc_10652.wav ッふキジ ッ⸢ふ⸣キジ [f⸢fu⸣kiʤi] 名 古傷。 ビ⸢トゥラー⸣ ムヌ ッ⸢ふータール⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ッ⸢ふキジ⸣ヌ ン⸢バイティ⸣ バ⸢カンゲー⸣リ ⸣キー ⸢ナー⸣ヌ [bi⸢turaː⸣ munu f⸢fuːtaːru⸣ ja⸢ru⸣juː f⸢fukiʤi⸣nu ʔm⸢baiti⸣ ba⸢kaŋgeː⸣ri ⸣kiː ⸢naː⸣nu] (脂っこい物を食べたせいか、古傷が化膿して、悪化し<若がえって>てしまったよ) 10653 0 0 10175 htmvoc_10653.wav ッふキン ッ⸢ふ⸣キン [f⸢fu⸣kiŋ] 名 古着。 ム⸢カ⸣シェー ッ⸢ふキン⸣バ ⸢トー⸣シティル シ⸢ビシ⸣ケー ⸢サーソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː f⸢fukim⸣ba ⸢toː⸣ʃi̥tiru ʃi⸢biʃi̥⸣keː ⸢saːsoːt⸣ta] (昔は古着をつぶして<たおして>おむつ<御襁褓>を作られた) 10654 0 0 10176 htmvoc_10654.wav ッふコージ ッ⸢ふコー⸣ジ [f⸢fukoː⸣ʤi] 名 黒かび。黒麹。 ッ⸢ふコー⸣ジ ⸣タティティル ⸢マイヌミー⸣ソー マ⸢ラソーッ⸣タ [f⸢fukoː⸣ʤi ⸣tḁtitiru ⸢mainumiː⸣soː ma⸢rasoːt⸣ta] (黒麹をたてて<ぞ>米味噌は製造さ<産ませ>られた) 10655 0 0 10177 htmvoc_10655.wav ッふサタ ッ⸢ふ⸣サタ [f⸢fu⸣sata] 名 黒砂糖。砂糖黍を搾って汁液を煮詰め、石灰を少量加えて凝固させた砂糖。戦前には鳩間島でも黒糖を製造していた。 ⸢ウイ⸣プソー ッ⸢ふサタ⸣バ フ⸢ク⸣メーティル ⸣サーン ヌ⸢モーッタ⸣ル [⸢ʔui⸣pusoː f⸢fusata⸣ba ɸu̥⸢ku⸣meːtiru ⸣saːn nu⸢moːtta⸣ru] (お年寄りは黒砂糖を口に含みながらお茶も飲まれたものだ) 10663 0 0 10178 htmvoc_10663.wav ッふシー ッ⸢ふ⸣シー [f⸢fu⸣ʃiː] 名 梅毒。「黒血<腐って黒みをおびた血>」の義。 ム⸢カ⸣シェー サ⸢カナヤーミドゥムナー⸣ル ッ⸢ふ⸣シー カ⸢カリ⸣プソー ⸢ゴー⸣ラータツォー [mu⸢ka⸣ʃeː sa⸢kanajaːmidumunaː⸣ru f⸢fu⸣ʃiː kḁ⸢kari⸣pu̥soː ⸢goː⸣raːtaʦoː] (昔は料亭の女性に梅毒患者が多かったそうだ) 10656 0 0 10179 htmvoc_10656.wav ッふシキル ッ⸢ふシキ⸣ル [f⸢fuʃi̥ki⸣ru] 名 (動)クロナマコ(黒海鼠)。体長約30センチ。乾燥して中華料理の食材として沖縄に輸出したが、よく売れた。 ッ⸢ふシキ⸣ロー ⸣ガシティル ⸢カーシタル [f⸢fuʃi̥ki⸣roː ⸣gaʃitiru ⸢kaːʃi̥taru] (黒ナマコは焙乾して<ぞ>売ったものだ) 10657 0 0 10180 htmvoc_10657.wav ッふシタダル ッ⸢ふシタ⸣ダル [f⸢fuʃi̥ta⸣daru] 名 黒ずんで不潔なさま。黒々と汚れて不潔なさま。薄汚れして不潔なさま。 ッ⸢ふシタ⸣ダル ⸢スン⸣ケン ナー⸢イ⸣ ユ⸢ヌキン⸣バ キ⸢シアー⸣ク [f⸢fuʃi̥ta⸣daru ⸢suŋ⸣ken naː⸢i⸣ ju⸢nukim⸣ba ki̥⸢ʃi ʔaː⸣ku] (黒々と汚れて不潔になるまで、すっと同じ着物を着ている<着てあるく>) 10658 0 0 10181 htmvoc_10658.wav ッふジルカージル ッ⸢ふジルカー⸣ジル [f⸢fuʤirukaː⸣ʤiru] 副 黒色をおびているさま。黒ずんで汚れたもの。薄汚れしているさま。ABCDEFCD型の重言。 ッ⸢ふジルカー⸣ジル ⸢シーブ キン⸣バ キ⸢シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ナ⸢ヨー [f⸢fuʤirukaː⸣ʤiru ⸢ʃiːbu kim⸣ba ki̥⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣na⸢joː] (黒ずんで汚れた着物を着ているなよ)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ッ⸢ふジルカー⸣ジル ⸢シーブ⸣ キン キ⸢ササンドー⸣シ ア⸢ガラパタラ シーブ⸣ キン キ⸢サシ⸣ヨー [mi⸢doːn⸣ffaː f⸢fuʤirukaː⸣ʤiru ⸢ʃiːbu⸣ kiŋ ki⸢sasandoː⸣ʃi ʔa⸢garapatara ʃiːbu⸣ kiŋ ki⸢saʃi⸣joː] (女の子は黒ずんだがら<柄>の着物は着せないで、明るい華やかな柄の着物を着せなさいよ) 10662 0 0 10182 htmvoc_10662.wav ッふシルカビ ッ⸢ふ⸣シル ⸣カビ [f⸢fu⸣ʃiru ⸣kabi] 連 喪に服して。「黒っぽいものを被って」の義。 ッ⸢ふ⸣シル ⸣カビ ⸢ヨイシ⸣ヤーヤ パ⸢ララ⸣ヌ [f⸢fu⸣ʃiru ⸣kabi ⸢joiʃi⸣jaːja pa⸢rara⸣nu] (喪中なので、慶事の家<祝いをする家>には行けない) 10664 0 0 10183 htmvoc_10664.wav ッふタリキン ッ⸢ふ⸣タリキン [f⸢fu⸣tarikiŋ] 名 古着。襤褸。 ッ⸢ふ⸣タリキンバ ス⸢ク⸣ライティ シ⸢グトゥキン スンティ ベー [f⸢fu⸣tarikimba su̥⸢ku⸣raiti ʃi⸢gutukin sunti beː] (古着を繕って仕事着にしようとしている) 10665 0 0 10184 htmvoc_10665.wav ッふタリルン ッ⸢ふタリル⸣ン [f⸢futari⸣ruŋ] 自動 古びる。襤褸になる。古くなって朽ち果てる。 ッ⸢ふタリ⸣ルンケン ナー⸢イ⸣ ユ⸢ヌキン⸣バ キ⸢シ ベー [f⸢futari⸣ruŋken naː⸢i⸣ ju⸢nu kim⸣ba ki̥⸢ʃi beː] (古くなって襤褸になるまで、ただ同じ着物を着ている)。 ⸢ティー⸣リ ⸢スー⸣カー ッ⸢ふウタリラ⸣ヌ [⸢tiː⸣ri ⸢suː⸣kaː f⸢futarira⸣nu] (手入れをすると襤褸にならない)。 ク⸢レー⸣ ッ⸢ふ⸣タリティ キ⸢サラヌ [ku⸢reː⸣ f⸢fu⸣tariti ki̥⸢saranu] (これは古びて襤褸になって着られない)。 ⸢オーパ⸣ヤー ッ⸢ふタリ⸣ル ⸣ムノー キ⸢サラヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː f⸢futari⸣ru ⸣munoː ki̥⸢saranu] (そんなに早く襤褸になるものは着られない)。 ⸢マー⸣ビン ッ⸢ふタリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin f⸢futari⸣reː ⸣misamunu] (もっと古びて朽ち果てればいいのに) 10660 0 0 10185 htmvoc_10660.wav ッふドーング ッ⸢ふドーン⸣グ [f⸢fudoːŋ⸣gu] 名 古道具。フ⸢ルドーン⸣グ[ɸu⸢rudoːŋ⸣gu]とも。 ク⸢レー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ シゥ⸢カイヨー⸣レール ッ⸢ふドーン⸣グ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ムイツァー⸣ヌ シ⸢ティララヌ [ku⸢reː⸣ ʔu⸢ja⸣nu sï̥⸢kaijoː⸣reːru f⸢fudoːŋ⸣gu ja⸢runda⸣ ʔu⸢muiʦaː⸣nu ʃi̥⸢tiraranu] (これは親が使っておられた古道具だから、惜しくて捨てられない) 10659 0 0 10186 htmvoc_10659.wav ッふトゥジ ッ⸢ふ⸣トゥジ [f⸢fu⸣tuʤi] 名 先妻。古女房。「ふるとじ(古刀自)」の転訛。トゥ⸢ジ[tu⸢ʤi](妻)は「~吾が子の刀自を~。万723」の「刀自」の義。サ⸢キトゥジ[sḁ⸢kituʤi](先妻)より語感が落ちる。 ⸢ミートゥジェー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ッ⸢ふトゥジ⸣バ トゥ⸢ジティ シー サーリ⸣ ケーツォー [⸢miːtuʤeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu pu̥⸢sunu⸣ f⸢futuʤi⸣ba tu⸢ʤiti ʃiː saːri⸣ keːʦoː] (新妻ではなく、他人の古女房を妻として連れてきたそうだ) 10667 0 0 10187 htmvoc_10667.wav ッふヌール ッ⸢ふヌー⸣ル [f⸢funuː⸣ru] 名 黒雲。雨雲。入道雲。「黒塗り」の義。 ニ⸢シクベー⸣ ッ⸢ふヌー⸣ル カ⸢カ⸣リティ マナ⸢マンチン⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギサ⸢サー [ni⸢ʃikubeː⸣ f⸢funuː⸣ru kḁ⸢ka⸣riti mana⸢manʧin⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisa⸢saː] (北の空<北壁>には真っ黒の雨雲がかかって、今にも雨が降りそうだよ) 10668 0 0 10188 htmvoc_10668.wav ッふパカ ッ⸢ふ⸣パカ [f⸢fu⸣pḁka] 名 古墓。昔の墓。鳩間島の古墓の様式は、原野にカ⸢ソーライシ[ka⸢soːraʔiʃi](テーブル珊瑚)で四角の石室を作り、周囲に石垣を積んで円墳形に仕上げたものであったという。 ユ⸢ナ⸣デヌ ッ⸢ふ⸣パカー カ⸢ソーライシ⸣シ ス⸢クラ⸣リティ ⸢グス⸣ク シ⸢マリブタ⸣ダー [ju⸢na⸣denu f⸢fu⸣pḁkaː ka⸢soːraʔiʃi⸣ʃi su̥⸢kura⸣riti ⸢gusu̥⸣ku ʃi⸢maributa⸣daː] (与那田家の古墓は、テーブル珊瑚で石室が作られていて、周囲を石垣で積まれていたよ) 10669 0 0 10189 htmvoc_10669.wav ッふパジン ⸣ッふパジン [⸣ffupaʤiŋ] 名 (動)蜂の一種。「黒蜂」の義。「ユスルバチ(土蜂)」『八重山語彙』とある。 ⸣ッふパジンマー ドゥ⸢ル⸣シ ⸣シー ス⸢ク⸣リ ⸢ブーヌ⸣ ウ⸢リン⸣ ッ⸢サ⸣リカー ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルン⸢ダー [⸣ffupaʤimmaː du⸢ru⸣ʃi ⸣ʃiː su̥⸢ku⸣ri ⸢buːnu⸣ ʔu⸢rin⸣ s⸢sa⸣rikaː ⸣niʧi ʔn⸢ʤi⸣run⸢daː] (黒蜂は泥で巣を作っているが、あれ<それ>に刺されると熱がでるよ) 10666 0 0 10190 htmvoc_10666.wav ッふピジル ッ⸢ふピジ⸣ル [f⸢fupiʤi⸣ru] 名 やけぼっくい(焼け棒杭)。 ッ⸢ふピジ⸣ロー ⸣ピー ⸢タシキ ヤッ⸣サン [f⸢fupiʤi⸣roː ⸣piː ⸢taʃi̥ki jas⸣saŋ] (焼け棒杭は火を焚きつけやすい) 10670 0 1 10191 htmvoc_10670.wav ッふプー ッ⸢ふ⸣プー [f⸢fu⸣puː] 名 {Mn_1}黒い穂。 ⸢ザイレーマイ⸣ヌ ⸢プー⸣ヤー ッ⸢ふ⸣プー<ア⸢ガプー> ⸢ヤッタ [⸢ʣaireːmai⸣nu ⸢puː⸣ja f⸢fu⸣puː<ʔa⸢gapuː> ⸢jatta] (在来種の稲の穂は黒い穂であった)。 10670 0 2 10192 htmvoc_10670.wav ッふプー ッ⸢ふ⸣プー [f⸢fu⸣puː] 名 {Mn_2}黒穂。イモチ病にかかった稲穂。 ⸢マイヤー ムイ⸣フクン ⸢シーティル⸣ ッ⸢ふ⸣プー ナリ⸢ベー [⸢maijaː mui⸣ɸu̥kuŋ ⸢ʃiːtiru⸣ f⸢fu⸣puː nari⸢beː] (稲<米>はイモチ病にかかって黒穂になっている) 10671 0 0 10193 htmvoc_10671.wav ッふプス ッ⸢ふ⸣プス [f⸢fu⸣pu̥su] 名 梅毒患者。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー フ⸢チル⸣ヌ ⸣カナイキー ッ⸢ふ⸣プスン ブ⸢ラーン⸣ ナレーンティ⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ɸu̥⸢ʧiru⸣nu ⸣kanaikiː f⸢fu⸣pu̥sum bu⸢raːn⸣ nareːnti⸢daː] (戦後は薬がよく効くようになったので<適うので>梅毒患者もいなくなったそうだよ) 10672 0 0 10194 htmvoc_10672.wav ッふムー ッ⸢ふ⸣ムー [f⸢fu⸣muː] 名 喪に服すること。「黒喪」の義。 ッ⸢ふ⸣ムー カ⸢カリ⸣ブバ ⸢ヨイシ⸣ヤー ⸢パン⸣ナ [f⸢fu⸣muː kḁ⸢kari⸣buba ⸢joiʃi⸣jaː ⸢pan⸣na] (服喪中だから<黒い喪にかかっているから>お祝いの家には行くな) 10673 0 0 10195 htmvoc_10673.wav ッふムヌ ッ⸢ふ⸣ムヌ [f⸢fu⸣munu] 名 古物。 ッ⸢ふ⸣ムノー シゥ⸢カーランバ⸣ シ⸢ティリ⸣バメー [f⸢fu⸣munoː sï̥⸢kaːramba⸣ ʃi̥⸢tiri⸣ba ⸣meː] (古物は使えないから捨てなさいよ、もう) 10676 0 0 10196 htmvoc_10676.wav ッふムン ッ⸢ふ⸣ムン [f⸢fu⸣muŋ] 自動 黒ずむ。黒くなる。「黒む」の義。 ユ⸢グシタンティン⸣ ッ⸢ふマ⸣ヌ [ju⸢guʃi̥tantin⸣ f⸢fuma⸣nu] (汚しても黒ずまない)  ⸢シンダイ⸣ ッ⸢ふ⸣ミ ⸣クン [⸢ʃindai⸣ f⸢fu⸣mi ⸣kuŋ] (次第に黒ずんでくる))。 ドゥ⸢ルミジ⸣ナー ア⸢ラウ⸣カー ッ⸢ふ⸣ムン⸢ダー [du⸢rumiʤi⸣naː ʔa⸢rau⸣kaː f⸢fu⸣mun⸢daː] (泥水で洗うと黒ずむよ)。 ドゥ⸢ルミジ⸣ナー ア⸢ラウバン⸣ ッ⸢ふ⸣ム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [du⸢rumiʤi⸣naː ʔa⸢rauban⸣ f⸢fu⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (泥水で洗っても黒ずむことはない)。 ッ⸢ふ⸣メーラー シゥ⸢カーラヌ [f⸢fu⸣meːraː sï̥⸢kaːranu] (黒ずんだら使えない) 10677 0 0 10197 htmvoc_10677.wav ッふヤー ッ⸢ふ⸣ヤー [f⸢fu⸣jaː] 名 古い家。「古屋」の義。 ッ⸢ふ⸣ヤー ヤ⸢ルンダ カー⸣ラン タ⸢ル⸣キン ⸢ヨーリ⸣ティ フ⸢キガイ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢fu⸣jaː ja⸢runda kaː⸣ran ta⸢ru⸣kiɲ ⸢joː⸣riti ⸢ɸu̥⸢kigai saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (古い家だから、瓦も垂木も弱っていて、葺き換えしないといけない) 10674 0 0 10198 htmvoc_10674.wav ッふン ッ⸢ふン [f⸢fuŋ] 他動 食う。食べる。「食らひ」『土佐日記』、「Curai,ŏ,ŏta.クライ、ゥ、ゥタ(飡ひ、ふ、うた)食う、下賤の者とか獣とかについていう」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢イー⸣ヤ ン⸢マー⸣カー ッ⸢ふンドゥ ミー⸣ザカー ッ⸢ふァーヌ [⸢ʔiː⸣ja ʔm⸢maː⸣kaː f⸢fundu miː⸣ʣakaː f⸢faːnu] (ご飯は美味しかったら食うが、不味かったら食わない)。 ッ⸢ふァイ⸣プサタンティン ク⸢レー⸣ ッ⸢ふー⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢fai⸣pu̥satantiŋ ku⸢reː⸣ f⸢fuː⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (食いたくても、これは食うことはできない)。 ⸢マー⸣ビン ッ⸢ふァイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ f⸢faijaː⸣ misamunu] (もっと食えばいいのに)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ ⸢パー⸣ク ッ⸢ふァイ [⸢duː⸣nu ⸢ʔiː⸣ja ⸢paː⸣ku f⸢fai] (自分のご飯は早く食え)。「~上つ瀬の鮎を令咋<クワシメ>~。万、3330」、「波夜具比<ハヤグヒ>~。古事記、雄略歌謡98」の転訛したもの。 ⸣イー ッ⸢ふン [⸣ʔiː f⸢fuŋ] (飯を食う)。 マ⸢ナ⸣マー ッ⸢ふァーヌ [ma⸢na⸣maː f⸢faːnu] (今は食わない)。 ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイ⸣プサン [ʔm⸢maː⸣munu f⸢fai⸣pu̥saŋ] (美味いものを食いたい)。 ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふー ムノー ナー⸣ヌ [noː⸢ŋ⸣ f⸢fuː munoː naː⸣nu] (何も食うものはない)。 ⸢マー⸣ビン ッ⸢ふァイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ f⸢faijaː⸣ misamunu] (もっと食えばいいのに)。 ⸣クベー ⸢パー⸣ク ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣kubeː ⸢paː⸣ku f⸢fai⸣ba] (これだけは早く食えよ) 10679 0 0 10199 htmvoc_10679.wav ッふンタールン ッ⸢ふンター⸣ルン [f⸢funtaː⸣ruŋ] 自動 黒ずむ。黒ばむ。黒味を帯びる。 ク⸢ルビティ⸣ シラー バ⸢リティ オーシバー⸣ ッ⸢ふンター⸣リ ベー [ku⸢rubiti⸣ ʃiraː ba⸢riti ʔoːʃibaː⸣ f⸢funtaː⸣ri ⸢beː] (転んで顔を打って上唇は黒ずんでいる)。 カ⸢ニン⸣マー ッ⸢ふンター⸣ルンケン ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー [ka⸢nim⸣maː f⸢funtaː⸣ruŋkeŋ ⸢ʔuː⸣mi ⸢beː] (野葡萄は黒ずむほど熟れている)。 カ⸢ニン⸣マー ッ⸢ふンターラン⸣ケン ⸣ブルカー ン⸢マーナー⸣ヌ [ka⸢nim⸣maː f⸢funtaːraŋ⸣kem ⸣burukaː ʔm⸢maːnaː⸣nu] (野葡萄は黒ずまないうちに\ruby{捥}{モ}ぐと美味しくない)。 ッ⸢ふンター⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [f⸢funtaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (黒ずむことはない) 10975 0 0 10200 htmvoc_10975.wav テー ⸣テー [⸣teː] 接尾 ~の家。 ⸢バン⸣テー [⸢ban⸣teː] (私の家{EOS}我が家)。 ⸢ワッ⸣テー [⸢wat⸣teː] (君の家)。 ⸢タッ⸣テー [⸢tat⸣teː] (誰の家)。 ⸣クマー ⸢バン⸣テヌ パ⸢タ⸣キ [⸣kumaː ⸢ban⸣tenu pḁ⸢ta⸣ki] (ここは私の家の畑だ) 10976 0 0 10201 htmvoc_10976.wav デーカー ⸢デー⸣カー [⸢deː⸣kaː] 接助 ~であるなら。~なら。後件を導くための仮定条件を表す。係助詞⸣-ドゥ[⸣-du]に、断定の助動詞⸢-ヤン[⸢-jaŋ](である)の連体形が付いて融合変化した形に接続助詞⸣-カー[⸣-kaː](~なら)が付いたもの。 ⸢ワー⸣ ドゥーシ カクン⸢デー⸣カー ⸢ワーン⸣ タ⸢ナマ⸣バン ⸣ミサン [⸢waː⸣ duːʃi kḁkun⸢deː⸣kaː ⸢waːn⸣ ta⸢nama⸣bam ⸣misaŋ] (君自身で書くなら、君に頼んでもいい)。 ⸣クヌブン ⸢デー⸣カー ⸣アツァン ⸣アメー ⸢ホー⸣ヌ [⸣kunubun ⸢deː⸣kaː ⸣ʔaʦaŋ ⸣ʔameː ⸢hoː⸣nu] (此の分なら明日も雨は降らない)。 ⸣クマーラン ⸢デー⸣カー ⸣ユー ミ⸢ラ⸣リン ⸣パジ [⸣kumaːran ⸢deː⸣kaː ⸣juː mi⸢ra⸣rim ⸣paʤi] (ここからならよく見える<見られる>はずだ) 10977 0 1 10202 htmvoc_10977.wav デージ ⸢デー⸣ジ [⸢deː⸣ʤi] 名 {Mn_1}大変。一大事。重大なこと。 カ⸢ジヌ⸣ フクカー ⸢デー⸣ジ ⸢ダー [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (台風が吹いたら大変だよ)。 アン⸢デー⸣カー ⸢デー⸣ジ ⸢ゲ⸣ラ [ʔan⸢deː⸣kaː ⸢deː⸣ʤi ⸢ge⸣ra] (それなら大変だよ)。 10977 0 2 10203 htmvoc_10977.wav デージ ⸢デー⸣ジ [⸢deː⸣ʤi] 名 {Mn_2}⸢形動」的用法。大変であること。ゆゆしいこと。はなはだしいこと。 ⸢トーホクチホー⸣ナ ⸢デージ⸣ナ ⸢ウーナンヌ<ツ⸢ナミ⸣ヌ> ユーシ⸣キーティ ⸣ナンマンティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ マーラソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢toːhokuʧihoː⸣na ⸢deːʤi⸣na ⸢ʔuːnannu<ʦu⸢nami⸣nu> juːʃi⸣kiːti ⸣nammanti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu maːrasoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (東北地方に大変な大津波が押し寄せてきて、何万という人が亡くなられてしまった) 11539 1 0 10204 htmvoc_11539.wav デージ ⸢デー⸣ジ [⸢deː⸣ʤi] 名 {PoS_1}大変なこと。一大事。 ウ⸢ガン⸣ヌ ⸢キー⸣ヤ ⸣キシェー ナ⸢ラン⸠ダー ⸣キスカー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [ʔu⸢gan⸣nu ⸢kiː⸣ja ⸣ki̥ʃeː na⸢ran⸠daː ⸣ki̥sukaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (御嶽の木は伐ってはならないよ{EOS}伐ったら大変<一大事>だよ)。 11539 2 0 10205 htmvoc_11539.wav デージ ⸢デー⸣ジ [⸢deː⸣ʤi] 形動 {PoS_2}事が重大である。 ⸢デージ⸣ナ ⸣クトゥ ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [deː⸢ʤi⸣na ⸣ku̥tu ⸣nari ⸢naː⸣nu] (大変なことになってしまった) 11540 0 0 10206 htmvoc_11540.wav デージゲラ ⸢デー⸣ジ ⸢ゲ⸣ラ [⸢deː⸣ʤi ⸢ge⸣ra] 連 大変だよ。大変さ。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー ワー⸣ メー ⸢デー⸣ジ ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː waː⸣ meː ⸢deː⸣ʤi ⸢ge⸣ra] (あんなことをしでかして、君はもう大変さ) 10978 0 0 10207 htmvoc_10978.wav デージスン ⸢デー⸣ジ ⸢スン [⸢deː⸣ʤi ⸢suŋ] 連 大変なことになる。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ス⸢ナカ⸣ナー ⸢ウッふィティ⸣ マン⸢ベー⸣スカー ⸢デー⸣ジ ⸢スンティ アーク⸣タ [ja⸢rabi⸣nu su⸢naka⸣naː ⸢ʔuffiti⸣ mam⸢beː⸣su̥kaː ⸢deː⸣ʤi ⸢sunti ʔaːku⸣ta] (子供が海で溺れて、すんでのことで<もう少しのことで>大変なことになるところだった) 10979 0 0 10208 htmvoc_10979.wav デージナ ⸢デージ⸣ナ [⸢deːʤi⸣na] 連体 たいへんな。非常な。 ク⸢ヌ ッふァー デージ⸣ナ ⸢マイフナー [ku⸢nu ffaː deːʤi⸣na ⸢maiɸunaː] (この子はたいへんなしっかり者<利口者>だ)。 ⸢デージ⸣ナ ヤ⸢マン⸣グ [⸢deːʤi⸣na ja⸢maŋ⸣gu] (大変な腕白者) 10980 0 0 10209 htmvoc_10980.wav デージムイサン ⸢デー⸣ジムイサン [⸢deː⸣ʤimuisaŋ] 形 心配性である。\ruby{些細}{サ|サイ}なことでも怖がりがちな性質である。⸢デー⸣ジ[⸢deː⸣ʤi](大変)に接尾語⸣ムイサン[⸣muisaŋ](~がる{EOS}~がりである)が下接して形成された合成語。 ⸢デー⸣ジムイサ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトゥシン ⸢チャー デー⸣ジ ⸢デー⸣ジティル ⸢アール [⸢deː⸣ʤimusa pu̥⸢su⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥tuʃin ⸢ʧaː deː⸣ʤi ⸢deː⸣ʤitiru ⸢ʔaːru] (心配性の人だから、これぽっちのことでも、常に大変大変といって騒ぐ) 10981 0 0 10210 htmvoc_10981.wav テーナ ⸢テー⸣ナ [⸢teː⸣na] 接助 ~ながら。~がてら。同時進行。異なる行動を同時に、また、一つの行動を行うことを表す。動詞の連用形に付く。 ⸢カイムヌ シンテーナ⸣ イ⸢サナキ⸣ナー ⸢ギー⸣ イサン ミ⸢ラ⸣シティ クー⸢ディー [⸢kaimunu ʃinteːna⸣ ʔi⸢sanaki⸣naː ⸢giː⸣ ʔisam mi⸢ra⸣ʃi̥ti ⸣kuː ⸢diː] (買い物をしながら石垣島に行ってお医者さんに診察させて<見させて>来ようよ)。 ⸣イー ⸢ファインテーナー シンブン⸣マー ユ⸢ム⸣ナ [⸣ʔiː ⸢fainteːnaː ʃimbum⸣maː ju⸢mu⸣na] (ご飯を食べながら新聞を読むな)。 ⸢ジー⸣ カ⸢キンテー⸣ナー ム⸢ニ⸣ ユムカー マ⸢チガイ⸣ス [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kinteː⸣naː mu⸢ni⸣ jumukaː ma⸢ʧigai⸣su] (字を書きながら喋る<ものをいう>と間違える)。 ニ⸢ビンテーナ⸣ ム⸢カ⸣シパナシ ⸣ユー パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カソーッ⸣タン [ni⸢binteːna⸣ mu⸢ka⸣ʃipanaʃi ⸣juː pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢kasoːt⸣taŋ] (寝ながら昔話をよく話して聞かされた) 11541 0 0 10211 htmvoc_11541.wav テーナイ ⸢テー⸣ナイ [⸢teː⸣nai] 名 手伝い。沖縄方言の⸢tigane:(手伝い{EOS}加勢)の転訛したもの。[tinganai] → [tiganai(tiganeː)] → [tianai] → [teːnai] の音韻変化を経たもの。 ⸢ワー⸣ バー パ⸢タキシグトゥ⸣ヌ ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣ヨー [⸢waː⸣ baː pḁ⸢takiʃigutu⸣nu ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣joː] (君は私の畑仕事の手伝いをしなさいね)。手伝い。 ⸢マイカリヌ テー⸣ナイ ⸢シン パッ⸣タ [⸢maikarinu teː⸣nai ⸢ʃim pat⸣ta] (稲刈りの手伝いをしに行った)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢テーナイ⸣ユン ⸢シー⸣バ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢teːnai⸣juŋ ⸢ʃiː⸣ba] (親の手伝いもしなさいよ)。沖縄方言の⸢ティガネー[⸢tiganeː](手伝い)の転訛したもの。「手叶い」の意(『八重山語彙』) 11542 0 0 10212 htmvoc_11542.wav テーナイ ⸢テー⸣ナイ [⸢teː⸣nai] 名 かじづか(舵柄)。船の舵棒。\ruby{舵}{カジ}の頭部に付ける棒。舵のとって(取手)。 ⸢テー⸣ナイ ⸢ニーレー ウーカ⸣スカー ⸣フネー ⸢オーラー マールン [⸢teː⸣nai ⸢niːreː ʔuːka⸣su̥kaː ⸣ɸuneː ⸢ʔoːraː maːruŋ] (舵棒を右の方へ動かすと船は風上<左方>へ回る) 10779 0 0 10213 htmvoc_10779.wav テーヌアヤ ⸢テー⸣ヌ ⸣アヤ [⸢tiː⸣nu ⸣ʔaja] 連 手相。手のひらの手筋。「手の文<綾>」の義。手のひらの手筋に運勢が現れるという。 ⸢ティー⸣ヌ ア⸢ヤ⸣バ ⸣ミレーティ プ⸢スヌ ウンキバ⸣ クルンティ⸢ダー [⸢tiː⸣nu ʔa⸢ja⸣ba ⸣mireːti pu̥⸢sunu ʔuŋkiba⸣ kurunti⸢daː] (手のひらの手筋を見て、人の運気を占う<繰る>そうだ) 10798 0 0 10214 htmvoc_10798.wav テーパタッカリ ⸢テーパタッ⸣カリ [⸢tiːpḁtak⸣kari] 名 忙しくて手が回らず、てんてこ舞いする。「お手上げ」状態。「手はだかり」の義。 ⸢アッ⸣タニ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢オー⸣リ ウ⸢リ⸣ トゥ⸢リ⸣ムトゥンティ ⸢ティー パタッ⸣カリ ⸢シー ベー [⸢ʔat⸣tani pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢ʔoː⸣ri ʔu⸢ri⸣ tu⸢rimu⸣tunti ⸢tiːpatak⸣kari ⸢ʃiː beː] (急に人が集まってこられて、それを接待<持て成し>しようと、てんてこ舞いしている) 10984 0 0 10215 htmvoc_10984.wav テーファ ⸢テー⸣ファ [⸢teː⸣ɸa] 名 冗談。ふざけて言う話。滑稽話。おどけ(戯け)。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ムー⸢ル テー⸣ファ ノー⸢ン ミーヤ ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃeː muː⸢ru teː⸣ɸa noː⸢m miːja naː⸣nu] (彼の話は全部冗談だ、何にも中身<内容>が無い) 10985 0 0 10216 htmvoc_10985.wav テーファー ⸢テー⸣ファー [⸢teː⸣ɸaː] 名 おどけ者。道化者。冗談口をたたく者。冗談持ち。 ウ⸢レー テー⸣ファー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ ブー⸣ トンマー バ⸢ライヌ⸣ キシェー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː teː⸣ɸaː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu buː⸣ tommaː ba⸢rainu⸣ ki̥ʃeː ⸢naː⸣nu] (彼は冗談の旨い人<おどけ者>だから、彼のいる所には笑いが切れることはない)。沖縄方言からの借用語。老年層は、プ⸢スバラーシムニ[pu̥⸢subaraːʃimuni](人を笑わせることば{EOS}冗談)、プ⸢スバラーシムヌ[pu̥⸢subaraːʃimunu](滑稽者{EOS}人笑わせ者)という。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸢テー⸣ファー⸢ダー [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸢teː⸣ɸaː⸢daː] (彼は非常に滑稽者だよ) 11544 0 0 10217 htmvoc_11544.wav テーファームヌ ⸢テーファー⸣ムヌ [⸢teːɸaː⸣munu] 名 冗談持ち。滑稽者。冗談をいう者。 ⸢テーファームヌ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ⸣メー ⸣ドゥク バ⸢カヤ⸣ヌ バ⸢タ⸣ヌ ⸢コー⸣ルンケン バ⸢ライス [⸢teːɸaːmunu⸣nu pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ⸣meː ⸣duku ba⸢kaja⸣nu ba⸢ta⸣nu ⸢koː⸣ruŋkem ba⸢raisu] (滑稽者のいうことを聞くと、もう余りにも可笑しくて、お腹が硬くなるほど笑うよ<笑いする>) 10986 0 0 10218 htmvoc_10986.wav テーラ ⸣テーラ [teːra] 接助 ~てから。動詞の連用形に付く。上接語の指し示す動作内容の終了後という時間的順序を表す。ティ<て>・ラ<から>の融合変化した形。 ⸢ドゥー⸣ヌ シ⸢グトー シーテーラ⸣ル ア⸢サブ⸣ダー [⸢duː⸣nu ʃi⸢gutoː ʃiːteːra⸣ru ʔa⸢sabu⸣daː] (自分の仕事はしてから<ぞ>遊ぶのだよ) 10684 0 0 10219 htmvoc_10684.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 格助 ~と。動作・作用・状態の内容を表す(引用)。 カ⸢リン⸣ パルンティ アシ⸢タン<ア⸢ズタン> [ka⸢rim⸣ parunti ʔaʃi̥⸢taŋ<ʔa⸢ʣutaŋ>] (彼も行くと言った)。 ⸢バン⸣ヌン ウ⸢リ⸣シ⸣ ミサンティ ⸣ウムーン [⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ri⸣ʃi ⸣misanti ⸣ʔumuːŋ] (私もそれで良いと思う)。 10684 0 0 10220 htmvoc_10684.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 格助 {Exp_1}さらに係助詞⸣-ル[⸣-ru](~ぞ)が付いてとりたて強調の係り結びとなる。 ユ⸢ガフ⸣ タ⸢ボー⸣リティル ニ⸢ガウタ⸣ル [ju⸢gaɸu⸣ ta⸢boː⸣ritiru ni⸢gauta⸣ru] (豊穣を賜れと祈願した<願った>よ)。 プ⸢スム⸣シ フ⸢タムシ⸣ティル ナ⸢ラーサリ⸣ル ⸢ギュームシン⸣ ナ⸢ラーサラ⸣ヌ [pu̥⸢sumu⸣ʃi ɸu̥⸢tamuʃi⸣tiru na⸢raːsari⸣ru ⸢gjuːmuʃin⸣ na⸢raːsara⸣nu] (一度二度とが教えられる<習わされる>、何度も教えられない)。 10684 0 0 10221 htmvoc_10684.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 格助 {Exp_2}さらに係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](~は)がついてとりたての⸣-テー[⸣-teː](~とは<強調>)がついて終止形で結ぶ。 ユ⸢ナカー⸣ラ ⸢ドーントン⸣シ ⸣ヤドゥ ⸢シッ⸣ク<タ⸢タッ⸣ク> ム⸢ヌ⸣ヌ ブ⸢タンティル⸣ ス⸢クタル⸣ アイ⸢ベータ⸣タテー ッ⸢サンシェン [ju⸢nakaː⸣ra ⸢doːntoŋ⸣ʃi ⸣jadu ⸢ʃik⸣ku mu⸢nu⸣nu bu⸢tantiru⸣ su̥⸢kutaru⸣ ʔai⸢beː⸣tateː s⸢saŋʃeŋ] (夜中からドントンと戸を叩く者がいたとぞ<伝聞>聞いたのだ{EOS}喧嘩していたとは知らなかった)。 10684 0 0 10222 htmvoc_10684.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 格助 {Exp_3}さらに係助詞⸣-ン[⸣-ŋ](~も)が付いた⸣ティン[⸣-tiŋ](~とも<強調>)がつき、終止形の陳述と呼応して係り結びとなる。 ⸢バン⸣ヨー プ⸢スティン⸣ ウ⸢モー⸣ヌ [⸢baɲ⸣joː pu̥⸢sutiŋ⸣ ʔu⸢moː⸣nu] (私を人間とも思わない<人間として扱ってくれない>) 10685 0 0 10223 htmvoc_10685.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 接助 {Exp_1}さらに係助詞⸣-ル[⸣-ru](~ぞ)が付いて係り結びとなる。 ⸢キュー⸣ヤ ア⸢ラ⸣キティル ⸢ヤー⸣ヤ ⸣パル ク⸢ル⸣マナー ⸢ヌーラヌ [⸢kjuː⸣ja ʔa⸢ra⸣kitiru ⸢jaː⸣ja ⸣paru ku⸢ru⸣manaː ⸢nuːranu] (今日は歩いて<ぞ>家に帰る{EOS}車には乗らない)。 ガ⸢マジ⸣ヌ<ス⸢ブル⸣ヌ> ⸣ヤミティル ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ga⸢maʤi⸣nu ⸣jamitiru noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (頭痛がして<頭が病みてぞ>何にも出来ないのだ)。 10685 0 0 10224 htmvoc_10685.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 接助 {Exp_2}さらに係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](~は)が付いて、~⸣-テー[⸣-teː](~ては)となり、「~ては~(動詞連用形の重複形)」のような、動作が連続的に起きる<継起>ことを表す。 ウ⸢レー⸣ ナー⸢イ⸣ タティテー ビ⸢リビリ シー ベー⸣タ [ʔu⸢reː⸣ naː⸢ji⸣ tḁtiteː bi⸢ribiri ʃiː beː⸣ta] (彼は、ただずうっと立っては座り座りしていた)。 10685 0 0 10225 htmvoc_10685.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 接助 {Exp_3}さらに係助詞⸣-ン[⸣-ŋ](も)が付く。 ウ⸢ヌヤー⸣ヤ シ⸢バー⸣ヌ ⸣タティティン ブ⸢ラーラヌ [ʔu⸢nu jaː⸣ja ʃi⸢baː⸣nu ⸣tḁtitim bu⸢raːranu] (その家は狭くて、立ってもおられない)。 10685 0 1 10226 htmvoc_10685.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 接助 ~て。{Mn_1}動詞の連用形に下接して順態接続表現となり、動作、状態の時間的継起の意を表す。 パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サキティ ナ⸢ル⸣ヌ ⸣ナルカー ユ⸢ドゥマ⸣ナー ⸢ウーミ⸣スヨー [pa⸢na⸣nu ⸣sḁkiti na⸢ru⸣nu ⸣narukaː ju⸢duma⸣naː ⸢ʔuːmi⸣sujoː] (花が咲いて実が付く<生る>と間もなく熟するよ)。 ア⸢サカイヌ⸣ ウ⸢チ⸣ナー ダン⸢ティ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢ギーティ⸣ クー⸢ナー [ʔa⸢sakainu⸣ ʔu⸢ʧi⸣naː dan⸢ti⸣ pa⸢ta⸣keː ⸢giːti⸣ kuː⸢naː] (午前中<朝陰の内>に急いで畑へ行って来ようねえ)。 ヤ⸢ドゥ⸣ヌ ギャン⸢ティ⸣ シ⸢マ⸣リティ ア⸢キララヌ [ja⸢du⸣nu gjan⸢ti⸣ ʃi⸢ma⸣riti ʔa⸢kiraranu] (戸がぎゅっと強く締まっていて開けられない)。 10685 0 2 10227 htmvoc_10685.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 接助 {Mn_2}動詞の連用形に付いて、逆接関係を表す。 ⸣クナー ⸣アリティ ⸢ナーン⸣ティ ア⸢ジアー⸣ク [⸣kunaː ⸣ʔariti ⸢naːn⸣ti ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (ここにあるのに無いといっている)。 10685 0 3 10228 htmvoc_10685.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 接助 {Mn_3}形容詞の連用形に下接して、原因.理由の因果関係を表す。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤティル ナー⸢イ ミーブラー⸣リ ⸢シー ベー⸣タ⸢ドー⸣スカーヤ [du⸢ku⸣nu ⸢kai⸣jatiru naː⸢i miːburaː⸣ri ⸢ʃiː beː⸣ta⸢doː⸣su̥kaːja] (あまりにも美しいので、じっと見惚れていたんだってば)。[⸢kai⸣jati~](美しいので~)、[sa⸢ni⸣jati~](嬉しいので~)、[ʃi⸢baː⸣ti~](狭いので~)は、続く用言で表される内容との論理的な原因、理由を理論的、客観的に表す。これに対して、タ⸢カー⸣ヌ ⸢ヌーララヌ[ta⸢kaː⸣nu ⸢nuːraranu](高くて登れない)の接続助詞⸣ヌ[⸣nu](~て、~ので)の意味<原因.理由>には「余りにも~で」、「~過ぎて~出来ない」という感情的意味が伴う 10686 0 0 10229 htmvoc_10686.wav ティ ⸣ティ [⸣ti] 接尾 (数)年を数える単位。 プ⸢ス⸣ティ [pu̥⸢su⸣ti] (一年) フ⸢タティ [ɸu̥⸢tati] (二年) ⸢ミーティ [⸢miːti] (三年) ⸢ユーティ [⸢juːti] (四年) イ⸢チ⸣ティ [ʔi⸢ʧi⸣ti] (五年) ⸢ムーティ [⸢muːti] (六年) ナ⸢ナ⸣ティ [na⸢na⸣ti] (七年) ⸢ヤーティ [⸢jaːti] (八年) ク⸢クヌ⸣ティ [ku̥⸢kunu⸣ti] (九年))。 ⸢ミーティナ⸣ティ [⸢miːtina⸣ti] (三年前)。 ⸢ユーティナ⸣ティ [⸢juːtina⸣ti] (四年前)。 ⸢ギューティ [⸢gjuːti] (何年) 10687 0 0 10230 htmvoc_10687.wav ディ ⸣ディ [⸣di] 接尾 とし(年)。 ⸢ニー⸣ディマリ [⸢niː⸣dimari] (子年生まれ)。 ⸢ニー⸣ディプス [⸢niː⸣dipu̥su] (子年生まれの人)。 ウ⸢シディマリ [ʔu⸢ʃidimari] (丑年生まれ)。 ウ⸢シディプス [ʔu⸢ʃidipusu] (丑年生まれの人)。 トゥ⸢ラディマリ [tu⸢radimari] (寅年生まれ)。 トゥ⸢ラディプス [tu⸢radipusu] (寅年生まれの人)。 ⸣ウディマリ [⸣ʔudimari] (卯年生まれ)。 ⸣ウディプス [⸣ʔudipu̥su] (卯年生まれの人)。 タ⸢チディマリ [ta⸢ʧidimari] (辰年生まれ)。 タ⸢チディプス [ta⸢ʧidipu̥su] (辰年生まれの人)。 ⸢ミーディマリ [⸢miːdimari] (巳年生まれ)。 ⸢ミーディプス [⸢miːdipu̥su] (巳年生まれの人)。 ン⸢マ⸣ディマリ [ʔm⸢ma⸣dimari] (午年生まれ)。 ン⸢マ⸣ディプス [ʔm⸢ma⸣dipu̥su] (午年生まれの人)。 ピ⸢チディマリ [pi̥⸢ʧidimari] (未年生まれ)。 ピ⸢チディプス [pi̥⸢ʧidipu̥su] (未年生まれの人)。 ⸣サディマリ [⸣sadimari] (申年生まれ) ⸣サディプス [⸣sadipu̥su] (申年生まれの人))。 ⸢トゥンディマリ [⸢tundimari] (酉年生まれ)。 ⸢トゥンディプス [⸢tundipu̥su] (酉年生まれの人)。 ⸢イン⸣ディマリ [⸢ʔin⸣dimari] (戌年生まれ)。 ⸢イン⸣ディプス [⸢ʔin⸣dipu̥su] (戌年生まれの人)。 ⸢ビーディマリ [⸢biːdimari] (亥年生まれ)。 ⸢ビーディプス [⸢biːdipu̥su] (亥年生まれの人) 10688 0 1 10231 htmvoc_10688.wav ティー ⸣ティー [⸣tiː] 名 {Mn_1}手。 ピ⸢ダリ⸣ティー [pi⸢dari⸣tiː] (左手)。 ⸢ニーリティー [⸢niːritiː] (右手)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ティーシ ⸣トゥリバ [⸢duː⸣nu ⸣tiːʃi ⸣turiba] (自分の手で取れよ)。 10688 0 2 10232 htmvoc_10688.wav ティー ⸣ティー [⸣tiː] 名 {Mn_2}方法。技術。技。流儀。 ⸣バー パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ブ⸢ドゥルヌ ティー⸣ヤ ⸣アッパー ⸢ティーバ⸣ル ウ⸢キ⸣トゥレー⸢ダー [⸣baː pḁ⸢tu⸣manakamurinu bu⸢durunu tiː⸣ja ⸣ʔappaː ⸢tiːba⸣ru ʔu⸢ki⸣tureː⸢daː] (私の鳩間中岡節の踊りの手<技法>はお祖母さんの手<技法>を受け継いだものだよ)。 10688 0 3 10233 htmvoc_10688.wav ティー ⸣ティー [⸣tiː] 名 {Mn_3}取っ手<把手>。柄。器具の握って持つところ。 ⸢スッカー⸣ヌ ⸣ティー [⸢sukkaː⸣nu ⸣tiː] (急須の取っ手)。 ⸢スーナビ⸣ヌ ⸣ティー [⸢suːnabi⸣nu ⸣tiː] (汁鍋の取っ手)。 10688 0 4 10234 htmvoc_10688.wav ティー ⸣ティー [⸣tiː] 名 {Mn_4}人手。 ⸢タイロー⸣ シ⸢ター シーゾーヤー⸣ヤ ⸢パンタサ⸣ヌ ⸢ティー⸣ヤ タ⸢ラーサラヌ [⸢tairoː⸣ ʃi̥⸢taː ʃiːʣoːjaː⸣ja ⸢pantasa⸣nu ⸢tiː⸣ja ta⸢raːsaranu] (大漁したので、製造屋では忙しくて人手が足りない)。 10688 0 5 10235 htmvoc_10688.wav ティー ⸣ティー [⸣tiː] 名 {Mn_5}種類。程度。 ナ⸢カディ⸣ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリ [na⸢kadi⸣munoːra ʔi⸢ra⸣bi turi] (中程度のものから選んで取りなさい)。 10688 0 6 10236 htmvoc_10688.wav ティー ⸣ティー [⸣tiː] 名 {Mn_6}空手。 ⸣ティー シゥ⸢カウン [⸣tiː si̥⸢kauŋ] (空手を使う)。 10688 0 7 10237 htmvoc_10688.wav ティー ⸣ティー [⸣tiː] 名 {Mn_7}すじ(筋)。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢ウー⸣ミティ ⸣ティー ⸣ッシ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢ʔuː⸣miti ⸣tiː ⸣ʃʃi ⸣jami na⸢ra⸣nu] (おできが化膿して、筋をひいて<差すように広がって>痛くて堪らない) 10715 0 0 10238 htmvoc_10715.wav テイー ⸢テイー [⸢tiː] 名 一つ。 ⸢ティー [⸢tiː] (一) ⸢ター [⸢taː] (二) ⸢ミー [⸢miː] (三) ⸢ユー [juː] (四) ⸢イ⸣チ [⸢ʔi⸣ʧi] (五) ⸢ムー [⸢muː] (六) ⸣ナナ [⸣nana] (七) ⸢ヤー [⸢jaː] (八) ⸣クヌ [⸣kunu] (九) ⸢トゥー [⸢tuː] (十)) 10716 0 0 10239 htmvoc_10716.wav ディー ⸢ディー [⸢diː] 感 さあ。人を誘う時にいう語。 ⸢ディー マー⸢ズン⸣シ ⸢シー⸣ミラ [⸢diː maː⸢ʣuŋ⸣ʃi ⸢ʃiː⸣mira] (さあ、一緒にしてみよう) 10717 0 0 10240 htmvoc_10717.wav ディー ⸢ディー [⸢diː] 終助 動詞の未然形に付いて、勧誘、念押しの意を表す。 ⸢バン⸣トゥ ⸢マーズン⸣パラ⸢ディー [⸢ban⸣tu ⸢maːʣum⸣ para⸢diː] (私と一緒に行こうよ)。 カカ⸢ディー [kaka⸢diː] (書こうよ)。 ユマ⸢ディー [juma⸢diː] (読もうよ)。 ミラ⸢ディー [mira⸢diː] (見ようよ)。 ⸢カー⸠ディー [⸢kaː⸠diː] (買おうよ)。 コー⸢ディー [koː⸢diː] (漕ごうよ)。 ⸢サー⸠ディー [⸢saː⸠diː] (しようよ)。 クー⸢ディー [kuː⸢diː] (来ようよ)。 ⸣ウナー ブ⸢ラ⸠ディー [⸣ʔunaː bu⸢ra⸠diː] (そこに居ようよ) 10691 0 1 10241 htmvoc_10691.wav ティーアースン ⸣ティー ⸢アー⸣スン [⸣tiː ⸢ʔaː⸣suŋ] 連 {Mn_1}手を合わせる。手のひらを合わせて神仏を拝む。 ⸣ティー ⸢アー⸣シ<ウ⸢サーシ⸣> ウ⸢ガ⸣ミバ [⸣tiː ⸢ʔaː⸣ʃi<ʔu⸢saːʃi⸣> ʔu⸢ga⸣miba] (手を合わせて拝みなさいよ)。 10691 0 2 10242 htmvoc_10691.wav ティーアースン ⸣ティー ⸢アー⸣スン [⸣tiː ⸢ʔaː⸣suŋ] 連 {Mn_2}二人の踊りの型を三味線に合わせる。 ブ⸢ドゥルヌ⸣ ティー ⸢アー⸣スンティ ⸢ベー [bu⸢durunu⸣ ⸣tiː ⸢ʔaː⸣sunti ⸢beː] (踊りの手<型>を音楽に合わせようとしている) 10690 0 0 10243 htmvoc_10690.wav ティーアウヌン ⸣ティー ⸢アウヌン [⸣tiː ⸢ʔaunuŋ] 連 手が空く。手があく。 ⸣シンピーズ シ⸢グトゥン オーリティ⸣ ティー ⸢アウヌンティ スー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃimpiːʣu ʃi⸢gutuŋ ʔoːriti⸣ tiː ⸢ʔaununti suː⸣ kutoː ⸢naː⸣nu] (毎日<常日頃>仕事に追われて手が空くことはない) 10692 0 0 10244 htmvoc_10692.wav ティーアザナーン ⸢ティーアザナー⸣ン [⸢tiːʔaʣanaː⸣ŋ] 形 手にまつわり付いて煩雑である。手に絡まりついて煩わしい。 ⸢ティンナー⸣ヤ カ⸢タ⸣ティーシ ⸣ムトゥンダ ⸢ティーアザナー⸣ン [⸢tinnaː⸣ja kḁ⸢ta⸣tiːʃi ⸣mutunda ⸢tiːʔaʣanaː⸣ŋ] (手縄は片手で持つから手に絡まって煩わしい)。 ⸢ティーアザナー ナー⸣ヌ [⸢tiːʔaʣanaː naː⸣nu] (手に煩わしくない)。 ⸢ティーアザナー⸣ヌ カ⸢ジ⸣ トゥ⸢ララ⸣ヌ [⸢tiːʔaʣanaː⸣nu ka⸢ʤi⸣ tu⸢rara⸣nu] (手縄が手に煩わしいので舵が取れない) 10693 0 0 10245 htmvoc_10693.wav ティーアティ ⸢ティー⸣アティ [⸢tiː⸣ʔati] 名 手当て。病気や怪我などに対する処置。 ⸢ティーアティ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣タール ⸣ヌチェー ⸢ムイ⸣ヤーツォー [⸢tiːʔati⸣nu pa⸢jaː⸣taːru ⸣nuʧeː ⸢mui⸣jaːʦoː] (手当てが早かったので命は助かった<命は萌えた{EOS}「萌、キザス・モユ」『類聚名義抄』の転訛>そうだ) 10694 0 0 10246 htmvoc_10694.wav ティーアバ ⸢ティー⸣アバ [⸢tiː⸣ʔaba] 名 料理を念入りに作ること。おふくろの味。「手の油」の義。料理上手の母親の手からは油が出て美味な味をつけるという。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティーアバ⸣バ ッ⸢ふァイル⸣ ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナリ ⸣ケール [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiːʔaba⸣ba f⸢fairu⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣nari ⸣keːru] (親が入念に作った料理<おふくろの味{EOS}手の油>を食べて大人になってきたのだ) 10695 0 0 10247 htmvoc_10695.wav ティーアラーン ⸢ティーアラー⸣ン [⸢tiːʔaraː⸣ŋ] 形 手が荒(粗)い。仕事が粗雑である。手作業が粗削りである。扱い方が乱暴である。⸢ティークマー⸣ン[⸢tiːkumaː⸣ŋ](手作業が緻密である{EOS}<手が細かい>)の対義語。 ⸢ティーアラー⸣ンダ ク⸢マシグトー⸣ ウ⸢リンマー⸣ シ⸢ミララヌ [⸢tiːʔaraː⸣nda ku⸢maʃigutoː⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ʃi⸢miraranu] (手が粗い<手作業が粗雑だ>から、彼には細かな仕事はさせられない)。⸣キサー ⸢ティーアラ⸣ー ⸢ナーン⸣シェン⸢ダー⸣。マ⸢ナ⸣マ ヤ⸢ラバン ティーアラー⸣ クトー ⸢ナーン⸣パジ[⸣ki̥saː ⸢tiːʔara⸣ː naːŋ⸣ʃen⸢daː⸣。ma⸢na⸣ma ja⸢raban tiːʔaraː⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi](以前は、仕事に粗雑な<手が荒い>ことは無かったよ{EOS}今でも仕事に粗雑なことは無いはずだ) 10696 0 1 10248 htmvoc_10696.wav ティーアライ ⸢ティー⸣アライ [⸢tiː⸣ʔarai] 名 {Mn_1}手洗い。手を洗うこと。古老は、⸢ティー⸣シミ[⸢tiː⸣ʃimi](手洗い)ともいう。 ⸣ティー ア⸢ライ イー⸣ヤ ッ⸢ふー⸣ダー [⸣tiː ʔa⸢rai ʃi̥⸢tiru ʔiː⸣ja f⸢fuː⸣daː] (手洗いをして<ぞ>御飯は食べるのだよ)。 10696 0 2 10249 htmvoc_10696.wav ティーアライ ⸢ティー⸣アライ [⸢tiː⸣ʔarai] 名 {Mn_2}洗濯物を手で揉み荒いすること。 ム⸢カ⸣シェー ⸢キン⸣マー ムー⸢ル ティー⸣アライ ⸢ソーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kim⸣maː muː⸢ru tiː⸣ʔarai ⸢soːtta⸣ru] (昔は着物はみんな手洗いをされたものだ) 10700 0 0 10250 htmvoc_10700.wav ティーイナシキ ⸢ティーイナ⸣シキ [⸢tiːʔina⸣ʃi̥ki] 名 てぎね(手杵)。たて杵。単に、イ⸢ナ⸣シキ[ʔi⸢na⸣ʃi̥ki](杵、「稲舂」の義)ともいう。直径約10センチ、長さ約90センチの樫の円柱で作った杵。中央部を削って握りやすいように作ってある。普通は家庭の婦女子が一人で必要に応じて、必要な分だけ米を搗いた。⸢アイダ⸣チ[⸢ʔaida⸣ʧi](横杵{EOS}⸢相槌」<『日葡辞書』>の転訛か)は複数の女性が一緒に米を搗く際に用いた杵である。家屋建築や祝儀、法事の際には庭に搗き臼を並べて、それぞれの臼に2~3人の婦人が向き合いながら米を搗くのが普通であった。昭和40年ごろから石垣島の精米所に依頼して米を送って精米してもらうようになった。精米賃は精米した米から差し引いて依頼者へ届けられた。 ム⸢カ⸣シェー シ⸢キ⸣ウシナー ⸢マイ⸣ イ⸢リティ⸣ イ⸢ナシ⸣キシル ⸢マイヤー⸣ ッ⸢サウタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃinaː ⸢mai⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢na⸣ʃi̥kiʃiru ⸢maijaː⸣ s⸢sauta⸣ru] (昔は搗き臼に米を入れて杵で<ぞ>米は精げたものだ) 10701 0 0 10251 htmvoc_10701.wav ティーイリ ⸢ティー⸣イリ [⸢tiː⸣ʔiri] 名 手入れ。世話をして良い状態にすること。 ヤ⸢サイ⸣ヤー ⸢ティー⸣リ ⸢サン⸣カー サ⸢カラヌ [ja⸢sai⸣jaː ⸢tiː⸣iri ⸢saŋ⸣kaː sḁ⸢karanu] (野菜は手入れをしないと茂らない<盛らない>) 10702 0 0 10252 htmvoc_10702.wav ティーウクリ ⸢ティーウク⸣リ [⸢tiːʔuku⸣ri] 名 手遅れ。手当てや処置が遅れること。 ⸢ヤン⸣バ ⸣イサン ミ⸢シラ⸣ナ ナー⸢イ⸣ ナ⸢マ⸣ジリ ⸢ベー⸣ティ ⸢ティーウク⸣リ ⸣ナシ ⸢ナー⸣ヌ [⸢jam⸣ba ⸣ʔisam mi⸢ʃira⸣na naː⸢i⸣ na⸢ma⸣ʤiri ⸢beː⸣ti ⸢tiːʔuku⸣ri ⸣nairi ⸢naː⸣nu] (病を医者に診せずに手当てもせず、ただぐずぐずして病気を長引かしているうちに手遅れになってしまった)。 ヨー⸢ヨー⸣ ヤン⸢ナー⸣ト ⸢ティーウク⸣リ シ⸢メー⸣ ナ⸢ラン⸠ダー [joː⸢joː⸣ jan⸢naː⸣to ⸢tiːʔuku⸣ri ʃi⸢meː⸣ na⸢ran⸠daː] (よくよく注意して、病気なんぞ手遅れにしてはならないぞ) 10697 0 0 10253 htmvoc_10697.wav ティーウサーシ ⸢ティーウサー⸣シ [⸢tiːʔusaː⸣ʃi] 名 合掌。手を合わせること。 ウ⸢ヤプスン⸣マイ ⸢ティーウサー⸣シンツァン ⸢シーティル⸣ パ⸢ラリ⸣ル [ʔu⸢japusum⸣mai ⸢tiːʔusaː⸣ʃinʦaŋ ⸢ʃiːtiru⸣ pa⸢rari⸣ru] (先祖の前<仏前>に合掌でもしてから行こう<行かれる>) 10689 0 0 10254 htmvoc_10689.wav ティーウサースン ⸣ティー ウ⸢サースン [⸣tiː ʔu⸢saːsuŋ] 連 手を合わせる。老年層は⸣ティー ウ⸢サースン[⸣tiː ʔu⸢saːsuŋ](合掌する)という 10703 0 0 10255 htmvoc_10703.wav ティーウサースン ⸣ティー ウ⸢サースン [⸣tiː ʔu⸢saːsuŋ] 連 合掌する。手を合わせる。「手を押し合わせる」の義。神前、仏前に手を合わせて祈願する。 ウ⸢ヤプス⸣ヌ ⸣マイ ⸣ティー ウ⸢サースンティ クー⸣タ [ʔu⸢japusu⸣nu ⸣mai ⸣tiː ʔu⸢saːsunti kuː⸣ta] (仏前<ご先祖様の前>に合掌するために来ました)。 ⸣ティー ウ⸢サーシ⸣バ [⸣tiː ʔu⸢saːʃi⸣ba] (手を合わせなさい) 10704 0 1 10256 htmvoc_10704.wav ティーカイヤン ⸢ティーカイ⸣ヤン [⸢tiːkai⸣jaŋ] 形 {Mn_1}手先が器用で作品が美しい。仕事の出来栄えがいい。手仕事が美しい。仕事が上手である。 ウ⸢レー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ムバン ティーカイ⸣ヤン [ʔu⸢reː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢muban tiːkai⸣jaŋ] (彼は何をさせても仕事の出来栄えがいい<手仕事が美しい>)。 10704 0 2 10257 htmvoc_10704.wav ティーカイヤン ⸢ティーカイ⸣ヤン [⸢tiːkai⸣jaŋ] 形 {Mn_2}踊りの型が美しい。 ⸣アッパター ブ⸢ドゥロー ティーカイ⸣ヤンティ ウ⸢トゥ⸣ンジ ⸢オーッタティ⸢ダー [⸣ʔappataː bu⸢duroː tiːkai⸣janti ʔu⸢tu⸣nʤi ⸢ʔoːt⸣tati⸢daː] (お祖母さんたちの踊りは踊りの型が美しいと大評判であられた<音に出ておられた>そうだよ) 10705 0 0 10258 htmvoc_10705.wav ティーカカジ ⸢ティーカカ⸣ジ [⸢tiːkaka⸣ʤi] 名 慌てふためくこと。大慌てすること。「手掻き合わせ」の義か。 マ⸢ナ⸣マ フ⸢ニ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンティ シ⸢タール ティーカカ⸣ジェー ⸢シール⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢ニー⸣ヤ ⸣フナイ ⸣シケー⸢ダー [ma⸢na⸣ma ɸu⸢ni⸣nu ʔn⸢ʤi⸣runti ʃi̥⸢taːru tiːkaka⸣ʤeː ⸢ʃiːru⸣ jat⸢tu⸣ʃi ⸢niː⸣ja ⸣ɸunai ⸣ʃikeː⸢daː] (今船が出るというので大慌てをして、やっとのことで荷物を詰め込んでおいてあるんだよ) 10706 0 0 10259 htmvoc_10706.wav ティーカカルン ⸣ティー カ⸢カ⸣ルン [⸣tiː kḁ⸢ka⸣ruŋ] 連 手がかかる。世話がやける。 ヤ⸢ラ⸣ベー シ⸢ナーン⸣ ケンドゥ ⸣ティー カ⸢カ⸣ル フ⸢ドゥブ⸣カー ⸣ティー カ⸢カラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː ʃi⸢naːŋ⸣ kendu ⸣tiː kḁ⸢ka⸣ru ɸu⸢dubu⸣kaː ⸣tiː kḁ⸢kara⸣nu] (子供は幼少の時にこそ手がかかる<世話がやける>、成長したら手はかからない) 10707 0 1 10260 htmvoc_10707.wav ティーカキルン ⸢ティーカキ⸣ルン [⸢tiːkaki⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}手がける。取り掛かる。仕事に着手する。 シ⸢グトー⸣ イ⸢チェー⸣ラ ⸢ティーカキル⸣ワ [ʃi⸢gutoː⸣ ʔi⸢ʧeː⸣ra ⸢tiːkakiru⸣wa] (仕事は何時から手がけるか)。 ア⸢ツァー⸣ラ ⸢ティーカキ⸣ルンティ ⸣ウムイ ⸢ベー [ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢tiːkaki⸣runti ⸣ʔumui ⸢beː] (明日から手がけようと思っている)。 ⸣クヌ ⸢ブン⸣シェー ⸢ティーカキララ⸣ヌ [⸣kunu ⸢buŋ⸣ʃeː ⸢tiːkakirara⸣nu] (この分<この様子>では手がけられない)。 ⸢ティーカキ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tiːkaki⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (手がけることは出来ない)。 ⸢ティーカキ⸣プサカー ⸢パー⸣ク ティーカキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢tiːkaki⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku ⸢tiːkaki⸣reː ⸣misamunu] (手がけたければ早く手がければ良いのに)。 ⸢パイ⸣サ ⸢ティーカキ⸣リ [⸢pai⸣sa ⸢tiːkaki⸣ri] (早く手がけなさい<手がけれ>)。 10707 0 2 10261 htmvoc_10707.wav ティーカキルン ⸢ティーカキ⸣ルン [⸢tiːkaki⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}暴力を振るう。手を出す。 ヤ⸢ラビン⸣ナーネー ⸢ティーカキル⸣ナ [ja⸢rabin⸣naːneː ⸢tiːkakiru⸣na] (子供には暴力を振るうな) 10709 0 0 10262 htmvoc_10709.wav ティーカギン ⸢ティー⸣カギン [⸢tiː⸣kagiŋ] 名 手で調節すること。手で握ったり、触ったりして量や程度を調節すること。目分量で塩梅すること。「手加減」の義。 ⸢ティー⸣カギン ⸢シェー⸣ティル ア⸢ジェー⸣ シ⸢キ⸣ル [⸢tiː⸣kagiŋ ⸢ʃeː⸣tiru ʔa⸢ʤeː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ru] (手加減<目分量で調節すること>で調節しながら料理の味付けはするものだ) 10708 0 1 10263 htmvoc_10708.wav ティーカクン ⸢ティー⸣カクン [⸢tiː⸣kḁkuŋ] 他動 {Mn_1}手がける。取り掛かる。着手する。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ティーカカン⸣ドーシ ⸣マティ [ma⸢na⸣maː ⸢tiːkakan⸣doːʃi ⸣mati] (今は手がけないで待て)。 ⸢パー⸣ク シ⸢グトゥ ティーカキ⸣ プサン [⸢paː⸣ku ʃi⸢gutu tiːkaki⸣ pu̥saŋ] (早く仕事を手がけたい)。 ア⸢ツァー⸣ラ ⸢ティー⸣カクンカヤー [ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢tiː⸣kḁkuŋkajaː] (明日から手がけるかなあ)。 ⸢ティー⸣カク ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tiː⸣kḁku ⸣kutoː na⸢ra⸣nu] (手がけることはならぬ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ティー⸣カケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢tiː⸣kḁkeː ⸣misamunu] (早く手がければよいのに)。 ⸢ワー⸣ラ ⸢ティー⸣カキ [⸢waː⸣ra ⸢tiː⸣kḁki] (君から手がけなさい)。 10708 0 2 10264 htmvoc_10708.wav ティーカクン ⸢ティー⸣カクン [⸢tiː⸣kḁkuŋ] 他動 {Mn_2}手を出す。手を下す。暴力を振るう。 ⸣マナール トゥ⸢ジッふァンナー⸣ニ ⸢ティー⸣カク プ⸢スヌ ブワー [⸣manaːru tu⸢ʤiffannaː⸣ni ⸢tiː⸣kḁku pu̥⸢sunu buwaː] (一体どこに妻子に手をかける<暴力を振るう>人がいるものか) 10710 0 1 10265 htmvoc_10710.wav ティーカジ ⸢ティー⸣カジ [⸢tiː⸣kaʤi] 名 {Mn_1}人手の数。働き手。働く人。「手数」の義。 ク⸢ヌ シチェー パンタサ⸣ヌ ⸢ティーカジ⸣ヌ タ⸢ラーサランバン [ku⸢nu ʃi̥⸢ʧeː pantasa⸣nu ⸢tiːkaʤi⸣nu ta⸢raːsarmbaŋ] (此の頃<この節>は忙しくて人手<働き手>が頼めない<足されない{EOS}不足を補えない>)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー ティーカジ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーバル ⸣マイヤー<⸣マイネー> ⸢ユーズ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː tiːaʤi⸣nu ⸢goː⸣raːbaru ⸣maijaː<⸣maineː> ⸢juːʣu] (この仕事は人手が多いほど<多ければぞ>捗る<前には進む{EOS}寄せる>)。 10710 0 2 10266 htmvoc_10710.wav ティーカジ ⸢ティー⸣カジ [⸢tiː⸣kaʤi] 名 {Mn_2}技量。技芸の数。てすう(手数)。 ク⸢ヌ⸣ ブ⸢ドゥロー ティーカジ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ム⸢チ⸣カサン⸢ダー [ku⸢nu⸣ bu⸢duroː tiːkaʤi⸣nu ⸢goː⸣raːnda mu⸢ʧi⸣kasan⸢daː] (この踊りは技の手数が多いから難しいよ) 10718 0 0 10267 htmvoc_10718.wav ティーカタ ⸢ティー⸣カタ [⸢tiː⸣kata] 名 形見。形見となる作品。生前に作っておいた品々。「手形」の義。 ⸣アチャー ウ⸢ナー ティー⸣カタティ ⸢シー サンシンバ⸣ ス⸢ク⸣リ ブ⸢イッふァン⸣ケン ッ⸢ふィー⸣ ス⸢コー⸣レーンドゥ ⸢バン⸣マー ウ⸢ブサンシン⸣トゥ ⸢ミーカンガン⸣バ ヌ⸢カ⸣シ ス⸢コー⸣レー [⸣ʔaʧaː ʔu⸢naː tiː⸣kḁtati ⸢ʃiː saŋʃimba⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢buiffaŋ⸣keŋ f⸢fiː⸣ su̥⸢koː⸣reːndu ⸢bam⸣maː ʔu⸢busaŋʃin⸣tu ⸢miːkaŋgam⸣ba nu⸢ka⸣ʃi su̥⸢koː⸣reː] (お父さんは、自分の形見として三線を作って甥子たちに与えておかれてあるが、私には先祖伝来の大三線と水中眼鏡を残しておかれてある)。 ク⸢ヌ サンシンマー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティー⸣カタ ヤ⸢リバ タイ⸣シチニ ⸢シー⸣ヨー [ku⸢nu saŋʃimmaː⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiː⸣kḁta ja⸢riba tai⸣ʃi̥ʧini ⸢ʃiː⸣joː] (この三味線は親の遺作だから、大事にしなさいよ) 10712 0 0 10268 htmvoc_10712.wav ティーカバッサン ⸢ティー カバッ⸣サン [⸢tiːkabas⸣saŋ] 形 料理が上手である。美味しい。「手香ばしい」の義。 ⸣アボー イッ⸢ケナ ティーカバッ⸣サ ⸣ウサイ シゥ⸢コーロー⸣ルン [⸣ʔaboː ʔik⸢kena tiːkabas⸣sa ⸣ʔusai sï̥⸢koːroː⸣ruŋ] (お母さんは非常に美味しく料理<お菜{EOS}副食物>を作られる)。 ユ⸢ミヌ⸣ ス⸢ク⸣ル ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢ティーカバッ⸣サン [ju⸢minu⸣ su̥⸢ku⸣ru ʔu⸢sai⸣jaː ⸢tiːkabas⸣saŋ] (嫁が作る料理は美味しい) 10719 0 0 10269 htmvoc_10719.wav ティーガンバリ ⸢ティーガン⸣バリ [⸢tiːgam⸣bari] 名 手の悪戯。手で物事をいじくって遊ぶ<悪戯する>こと。 ⸢ティーガン⸣バリ ⸢スン [⸢tiːgam⸣bari ⸢suŋ] (手の悪戯をする)。 ⸢ミー⸣ヌ ⸢ガン⸣バレー サ⸢バン ティー⸣ヌ ⸢ガン⸣バレー ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miː⸣nu ⸢gam⸣bareː sa⸢ban tiː⸣nu ⸢gam⸣bareː ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (見るだけの悪戯<目の悪戯>はしても、手の悪戯をしてはならない) 10713 0 1 10270 htmvoc_10713.wav ティーキシルン ⸣ティー キ⸢シ⸣ルン [⸣tiː ki̥⸢ʃi⸣ruŋ] 連 {Mn_1}手が切れる。手が切れたように仕事が出来なくなる。 ⸣ドゥー ⸣ムトゥカー カ⸢タ⸣ティ ⸣キシー ⸣ナスカー ム⸢ルテイー⸣ キ⸢シ⸣ルン [⸣duː ⸣mutukaː kḁ⸢ta⸣tiː ⸣ki̥ʃiː ⸣nasukaː mu⸢rutiː⸣ ki̥suŋ] (妊娠したら片手を切られたように仕事が半分しか出来なくなり、出産したら諸手を切られたように仕事が出来なくなる<慣用句>)。 10713 0 2 10271 htmvoc_10713.wav ティーキシルン ⸣ティー キ⸢シ⸣ルン [⸣tiː ki̥⸢ʃi⸣ruŋ] 連 {Mn_2}関係が切れる。縁が切れる。無関係になる。 ⸣カイ ⸣ナレーラ ドゥ⸢シトゥン⸣ ティー キ⸢シ⸣ルンティ ウ⸢モーン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kai ⸣nareːraː du⸢ʃitun⸣ tiː ki̥⸢ʃi⸣runti ʔu⸢moːŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (こうなった以上は友人とも縁が切れる<手が切れる>と思わなければならないね) 10714 0 1 10272 htmvoc_10714.wav ティーキスン ⸣ティー ⸣キスン [⸣tiː ⸣kisuŋ] 連 {Mn_1}手を切る。 ⸢ニーブル スー⸣カー ⸢パー⸣ムヌシ ⸣ティー キスン⸢ダー [⸢niːburu suː⸣kaː ⸢paː⸣munuʃi ⸣tiː ki̥sun⸢daː] (居眠りすると刃物で手を切るぞ)。 10714 0 2 10273 htmvoc_10714.wav ティーキスン ⸣ティー ⸣キスン [⸣tiː ⸣kisuŋ] 連 {Mn_2}縁を切る。 ⸣アイブ プ⸢ストー パー⸣ク ⸣ティー ⸣キスンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸣ティー キ⸢サラン⸣シェン [⸣ʔaibu pu̥⸢sutoː paː⸣ku ⸣tiː ⸣kisunti ʔu⸢muːtan⸣du ⸣tiː ki̥⸢saraŋ⸣ʃeŋ] (あんな人とは早く手を切ろう<縁を切ろう>と思ったが、切れなかった) 10720 0 0 10274 htmvoc_10720.wav ティーグ ⸢ティー⸣グ [⸢tiː⸣gu] 名 柄の付いた丸い竹籠。「手籠」の転訛したもの。直径約60センチ、深さ約12センチの箕状に竹ひごで編み上げた蓋付きの籠で、半円形の柄<吊り手>が付いている。サ⸢ギティー⸣グ[sa⸢gitiː⸣gu](吊り手付きの手籠{EOS}下げ手籠)、サ⸢ギソー⸣キ[sa⸢gisoː⸣ki](吊るしそうき<笊器>)ともいう。冷蔵庫のなかった時代には揚げ物や蒲鉾、豆腐、煮物などをこれに入れて通風の良い場所に吊るして保存した。台所の梁や桁などにも吊るして保存した。蓋をして蝿が付かぬように気を配った。 カ⸢マブクトゥ トー⸣ホー ⸢ティー⸣グナ イ⸢リティ⸣ サイ シ⸢キ⸣リバ [ka⸢mabukutu toː⸣hoː ⸢tiː⸣guna ʔi⸢riti⸣ sai ʃi̥⸢ki⸣riba] (蒲鉾と豆腐は柄<弦>付きの竹籠に入れて吊るして<下げて>おきなさいよ) 10721 0 0 10275 htmvoc_10721.wav ティークバーン ⸢ティー⸣ ク⸢バー⸣ン [⸢tiː⸣ ku⸢baː⸣ŋ] 連 不器用である。手仕事に不慣れで下手である。「手・こはし(「磽、己波志<こはし>」『新撰字鏡』)」の転訛したものか。 ⸢ティー⸣ ク⸢バー⸣ユンダ ⸣ヌー シ⸢ミラバン ゾー⸣ブンニ ⸢シーユーサヌ [⸢tiː⸣ ku⸢baː⸣junda ⸣nuː ʃi⸢mirabam ʣoː⸣bunni ⸢ʃiːjuːsanu] (不器用だから何をさせても上手に出来ない) 10723 0 0 10276 htmvoc_10723.wav ティークバリ ⸢ティークバ⸣リ [⸢tiːkuba⸣ri] 名 手配り。手分け。ティ⸢ク⸣バリ[ti̥⸢ku⸣bari](手配り)、⸢ティー⸣バキ[⸢tiː⸣baki](手分け)ともいう。 ⸢ティークバ⸣リ ⸢シェー⸣ティ ⸢インタ アンタヌ ピーヌ⸣クシナー ⸢アン⸣バ ウ⸢ラ⸣シ イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣シ ⸣ケーツォー [⸢tiːkuba⸣ri ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔinnta ʔantanu piːnu⸣kuʃinaː ⸢ʔam⸣ba ʔu⸢ra⸣ʃi ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣ʃi ⸣keːʦoː] (手配り<手分け>して西と東の干瀬の後ろに網をを入れて<下ろして>、魚を引っ掛けて漁獲してきたそうだ) 10724 0 0 10277 htmvoc_10724.wav ティークマーン ⸢ティークマー⸣ン [⸢tiːkumaː⸣ŋ] 形 手業<手仕事>が精巧である。技量が精密・精緻である。器用である。「手が細かい」の義。 シ⸢グトー ニー⸣バンドゥ イッ⸢ケナ ティークマー⸣ン [ʃi⸢gutoː niː⸣bandu ʔik⸢kena tiːkumaː⸣ŋ] (仕事は遅いが、手業が非常に精巧である) 10725 0 0 10278 htmvoc_10725.wav ティークムン ⸢ティー⸣ クムン [⸢tiː⸣ kumuŋ] 連 手を組む。ある目的のために他人と協力する。 ⸢ワー⸣ カ⸢リトゥ ティー⸣ クムンティ ス⸢クタヌ⸣ フン⸢トー [⸢waː⸣ ka⸢ritu tiː⸣ kumunti su̥⸢kutanu⸣ ɸun⸢toː] (君は彼と手を組むと聞いたが、本当か) 10749 0 0 10279 htmvoc_10749.wav ティーザーク ⸢ティーザー⸣ク [⸢tiːʣaː⸣ku] 名 手仕事。手業。手細工。手工。⸢ティー[⸢tiː](手)と、ッ⸢サーク」[s⸢saːku](仕事)の複合語[⸢tiːssaː⸣ku](手仕事)が形成された際に後接語の頭子音が濁音化して転訛したもの。 ⸢ミーカン⸣ガン ス⸢ク⸣リ ⸢サンシン⸣ ス⸢ク⸣ル ⸢ティーザー⸣コー カ⸢ザケヌ⸣ ウスマイ ⸢クイル⸣ プ⸢ソー オーラン⸣シェン [⸢miːkaŋgan su̥⸢ku⸣ri ⸢saŋʃin⸣ su̥⸢ku⸣ru ⸢tiːʣaː⸣koː ka⸢ʣakenu⸣ ʔusumai ⸢kuiru⸣ pu̥⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (水中眼鏡を作り、三線を作る手仕事では、加治工のウスマイを越える人はいらっしゃらなかった)。 ⸣ウスマイヤー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ア⸢ミフイ⸣ヌ ⸢ティーザーク⸣バ カ⸢ジヌ⸣ フクカー カ⸢ジフキヌ ⸢ティーザーク⸣バ カ⸢ニテー⸣ラ ス⸢コーリ⸣ シキティ ⸢ピッ⸣チン ア⸢サボーラン⸣シェン [⸣ʔusumaijaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ʔa⸢miɸui⸣nu ⸢tiːʣaːku⸣ba ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ka⸢ʤiɸukinu tiːʣaːku⸣ba ka⸢niteː⸣ra su̥⸢koːri⸣ ʃi̥kiti ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢saboːraŋ⸣ʃeŋ] (ウスマイは雨が降ると雨降りの手仕事を、風が吹くと嵐の日の手仕事を予てから用意しておいて、ちっとも<一つも{EOS}何一つ{EOS}決して>遊ばれなかった) 10726 0 0 10280 htmvoc_10726.wav ティーサドゥル ⸢ティーサドゥ⸣ル [⸢tiːsadu⸣ru] 名 手探り。 ッ⸢ふァヨーンヌ⸣ ミーラ ⸢ティーサドゥ⸣ル ⸢シェー⸣ティル ⸢ヤー カイ⸣リ ⸢クータ⸣ル [f⸢fajoːnnu⸣ miːra ⸢tiːsadu⸣ru ⸢ʃeː⸣tiru ⸢jaː kai⸣ri ⸢kuːta⸣ru] (暗闇の中を手探りして<ぞ>家に帰ってきたものだ)。 ッ⸢ふァヨーンヌ⸣ ミーラ ⸢ティーサドゥ⸣ル ⸢シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢クータ⸣ル [f⸢fajoːnnu⸣ miːra ⸢tiːsadu⸣ru ⸢ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuːta⸣ru] (暗闇の中を手探りをしながらやっとのことで歩いて来たのだよ) 10722 0 0 10281 htmvoc_10722.wav ティーサラーン ⸢ティー⸣ サ⸢ラー⸣ン [⸢tiː⸣ sa⸢raː⸣ŋ] 連 手際よい。上手に仕事をする。手早く仕事をする。 ウ⸢レー ティー⸣ サ⸢ラー⸣ンダ ウ⸢リンナー⸣ニ タ⸢ナ⸣ミバ ⸢ンー⸣バテー ア⸢ザン⸣パジ [ʔu⸢reː tiː⸣ sa⸢raː⸣nda ʔu⸢rinnaː⸣ni ta⸢na⸣miba ⸢ʔmː⸣bateː ʔa⸢ʣam⸣paʤi] (彼は上手に仕事をするから、彼に頼みなさいよ{EOS}否とは言わないはずだよ) 10728 0 0 10282 htmvoc_10728.wav ティーサンミン ⸢ティーサン⸣ミン [⸢tiːsam⸣miŋ] 名 指折り計算すること。「手計算」の義。 ⸢ティーサン⸣ミン ヤ⸢ルヌ⸣ ガッ⸢ツリ⸣ ア⸢タリ ブー [⸢tiːsam⸣miŋ ja⸢runu⸣ gat⸢ʦuri⸣ ʔa⸢tari buː] (指折り数えての計算だが、ぴったり合致して<当たって>いる) 10733 0 0 10283 htmvoc_10733.wav ティーシゥカウン ⸣ティー シゥ⸢カウン [⸣tiː si̥⸢kauŋ] 連 空手を使う。空手を演舞する。 ⸣アブジェー ン⸢ベーマ⸣ サ⸢キ⸣ ヌ⸢モー⸣ルカー ⸣ティー シゥ⸢カイ⸣ ミ⸢ラ⸣ソーッタン [⸣ʔabuʤeː ʔm⸢beːma⸣ sḁ⸢ki⸣ nu⸢moː⸣rukaː ⸣tiː si̥⸢kai⸣ mi⸢ra⸣soːttaŋ] (お祖父さんは多少酒が入ると<飲まれると>空手の演舞して<空手を使って>見せられた) 10729 0 0 10284 htmvoc_10729.wav ティーシゥカミ ⸢ティーシゥカ⸣ミ [⸢tiːsi⸣kami] 名 手掴み。箸を使わないで手で直接に食物を取って食うこと。若年層が多用する。 ⸢ティーシゥカ⸣ミ ⸢サンドー⸣シ ⸣パシシ パ⸢サ⸣ミ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢tiːsi̥ka⸣mi ⸢sandoː⸣ʃi ⸣paʃiʃi pḁ⸢sa⸣mi f⸢fai⸣ba] (手掴みしないで、箸で挟んで食べなさいよ) 10730 0 0 10285 htmvoc_10730.wav ティーシゥカラ ⸢ティーシゥカ⸣ラ [⸢tiːsi̥ka⸣ra] 名 手の力。腕力。握力。 ウ⸢レー ティーシカラ⸣ヌ ⸢スー⸣ワン [ʔu⸢reː tiːsi̥kara⸣nu ⸢suː⸣waŋ] (彼は腕力が強い) 10731 0 0 10286 htmvoc_10731.wav ティーシゥカン ⸢ティー⸣シゥカン [⸢tiː⸣sï̥kaŋ] 名 手掴み。箸を用いないで、手で食物を取って食べること。老年層が多用する。 ⸢ティー⸣シゥカンシ ム⸢ヌ⸣バ ッ⸢ふァイ ミーヌッ⸣サワレー [⸢tiː⸣sï̥kaŋʃi mu⸢nu⸣ba f⸢fai miːnus⸣sawareː] (手掴みで食べ物を取って食って、見苦しい<みっともない>ことよ) 10732 0 0 10287 htmvoc_10732.wav ティーシゥカンスン ⸢ティー⸣シゥカン ⸢スン [⸢tiː⸣si̥kan ⸢suŋ] 連 手掴みする。 ヤ⸢ラビ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ ⸢ティー⸣シゥカン ⸢シー⸣ イー ッ⸢ふァイ ベー [ja⸢rabi⸣tu ju⸢nu⸣munu ⸢tiː⸣si̥kaŋ ⸢ʃiː⸣ ʔiː f⸢fai beː] (子供と同じ、手掴みして御飯を食べている) 10734 0 0 10288 htmvoc_10734.wav ティーシキヨーナラヌ ⸢ティーシキ⸣ヨー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tiːʃi̥ki⸣joː na⸢ra⸣nu] 連 手の施しようがない。始末に負えない。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー キョーダイ⸣サザーン ⸣アウカー ⸢ティーシキ⸣ヨー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː kjoːdai⸣saʣaːŋ ⸣ʔaukaː ⸢tiːʃi̥ki⸣joː na⸢ra⸣nu] (その家の人は、兄弟同士喧嘩すると手の施しようがない<始末に負えない>) 10735 0 0 10289 htmvoc_10735.wav ティーシキルン ⸢ティーシキ⸣ルン [⸢tiːʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 手がける。仕事に着手する。手をつける。「手付ける」の転訛したもの。 シ⸢グトー キョー⸣ラ ⸢ティーシキ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイ ⸢ティーシキララ⸣ヌ [ʃi⸢gutoː kjoː⸣ra ⸢tiːʃi̥ki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸui ⸢tiːʃi̥kirara⸣nu] (仕事は今日から着手しようと思うが、雨が降って着手できない)。 ⸢ティーシキ⸣ル ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸢ティーシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢tiːʃi̥ki⸣ru ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ⸢tiːʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (手がけることが出来れば手がければ良いのに)。 ⸢ティーシキ⸣リ [⸢tiːʃi̥ki⸣ri] (手がけろ) 10736 0 0 10290 htmvoc_10736.wav ティーシグトゥ ⸢ティーシグ⸣トゥ [⸢tiːʃigu⸣tu] 名 手仕事。手先でする仕事。手わざ。 ⸢ティーシグトゥ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢マーン⸣ナーティン ⸣タティ パ⸢ラ⸣リン [⸢tiːʃigutu⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢maːn⸣naːtin ⸣tḁti pa⸢ra⸣riŋ] (手仕事があれば何処でも生活して<立って>いける) 10737 0 0 10291 htmvoc_10737.wav ティーシナイルン ⸣ティー シ⸢ナイルン [⸣tiː ʃi⸢nairuŋ] 連 手を繋ぐ。⸣ティー シ⸢ナウン[⸣tiː ʃi⸢nauŋ](手を繋ぐ)と同じ 10738 0 1 10292 htmvoc_10738.wav ティーシナウン ⸣ティー シ⸢ナウン [⸣tiː ʃi⸢nauŋ] 連 {Mn_1}手を繋ぐ。 ミ⸢ドゥム⸣トゥ ビ⸢キドゥムトゥ⸣ ティー シ⸢ナウン [mi⸢dumu⸣tu bi⸢kidumutu⸣ tiː ʃi⸢nauŋ] (男と女が手を繋ぐ)。 ⸣ティー シ⸢ナーンシェン [⸣tiː ʃi⸢naːŋʃeŋ] (手を繋がなかった)。 10738 0 2 10293 htmvoc_10738.wav ティーシナウン ⸣ティー シ⸢ナウン [⸣tiː ʃi⸢nauŋ] 連 {Mn_2}協力を約束する。 ⸢クッ⸣ツァー ティ⸢キドゥーシ⸣ ヤ⸢ルヌ⸣ ティー シ⸢ナウ⸣ クトゥン ⸣アン [⸢kut⸣ʦaː ti̥⸢kiduːʃi⸣ ja⸢runu⸣ tiː ʃi⸢nau⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (これらは敵同士だが、手を繋ぐ<同盟する>こともある) 10739 0 0 10294 htmvoc_10739.wav ティーシミガクムン ⸢ティー⸣シミガクムン [⸢tiː⸣ʃimigakumuŋ] 名 読み書きソロバンの教育。「手墨学問」の義。 パ⸢トゥ⸣マナティヌ ⸢ティー⸣シミガクムンヌ パ⸢ジマレー メイジ⸣ ニジュー ハ⸢チ⸣ネンティル キ⸢ルコー⸣ カ⸢キトゥミラ⸣リ ⸢ブー⸣ダー [pḁ⸢tu⸣manatinu ⸢tiː⸣ʃimigakumunnu pa⸢ʤimareː meiʤi⸣ niʤuː hḁ⸢ʧi⸣nentiru ki⸢rukoː⸣ kḁ⸢kitumira⸣ri ⸢buː⸣daː] (鳩間島での読み書きソロバンの教育<手墨学問>の始まりは、明治28年だと記録は書き留められているのだよ) 10740 0 0 10295 htmvoc_10740.wav ティーシムン ⸣ティー ⸣シムン [⸣tiː ⸣ʃimuŋ] 連 手を洗う。「手を澄ませる」の義か。 ⸣ティー ⸣シミテーラ ⸢イー⸣ヤ ⸢ファイ [⸣tiː ⸣ʃimiteːra ⸢ʔiː⸣ja f⸢fai] (手を洗ってから飯を食べなさい) 10751 0 0 10296 htmvoc_10751.wav ティージリゴーサー ⸢ティージリゴー⸣サー [⸢tiːʤirigoː⸣saː] 名 手をすり合わせて合掌祈願すること。恐れかしこみ<畏み>、手をすり祈願すること。「ゴーサ」は「怖さ」の義。転じて「畏む」の意。 ⸢ティージリゴー⸣サー ⸢シール カンヌ⸣マイ ウ⸢ヤミ⸣サ ッ⸢サローッ⸣タ [⸢tiːʤirigoː⸣saː ⸢ʃiːru kannu⸣mai ʔu⸢jami⸣sa s⸢saroːt⸣ta] (恐れ\ruby{畏}{カシコ}み、手をすり合わせて<ぞ>神様にお詫びを申し上げた) 10752 0 0 10297 htmvoc_10752.wav ティージル ⸢ティー⸣ジル [⸢tiː⸣ʤiru] 名 手塩。手塩にかけること。世話をすること。親の愛情を受けること。「手汁」の義。 ウ⸢リヌ⸣ スク ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティー⸣ジル ⸢ファイ⸣ ス⸢ダタ⸣レー ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥ku ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiː⸣ʤiru f⸢fai⸣ su⸢data⸣reː f⸢faː⸣ bu⸢raːnu] (彼ほど親の愛情を受けて<世話になって>育った子供はいない) 10753 0 0 10298 htmvoc_10753.wav ティースールン ⸣ティー ⸢スー⸣ルン [⸣tiː ⸢suː⸣ruŋ] 連 技能、技量が向上する。⸢腕前が強くなる」の義。 グ⸢ニン ミー⸣ナライ ⸢スー⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ティー ⸢スー⸣ルンツォー [gu⸢nim miː⸣narai ⸢suː⸣kaː ʔik⸢kena⸣ tiː ⸢suː⸣runʦoː] (五年間丁稚奉公<見習い>すると、非常に技量が向上するそうだ) 10754 0 0 10299 htmvoc_10754.wav ティースクムン ⸣ティー ス⸢ク⸣ムン [⸣tiː su̥⸢ku⸣muŋ] 連 手を握る。手を握り締める。「手をすくむ<竦む>」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アルカー ⸣ティー ス⸢ク⸣ムン [ja⸢ra⸣beː ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣tiː su̥⸢ku⸣muŋ] (子供は熱があると手を握る<すくむ{EOS}竦む{EOS}竦める>) 10755 0 0 10300 htmvoc_10755.wav ティースクン ⸢ティー⸣ スクン [⸢tiː⸣ su̥kuŋ] 連 手を付ける。手がける。開始する。⸢ティー⸣ シ⸢キ⸣ルン[⸢tiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ](手を付ける)ともいう。 ⸢アツァー⸣ラ シ⸢グトー ティー⸣ スクンティ ⸣ウムイ ⸢ベー [ʔa⸢ʦaː⸣ra ʃi⸢gutoː tiː⸣ su̥kunti ⸣ʔumui ⸢beː] (明日から仕事は手をつけよう<手がけよう>と思っている) 10741 0 0 10301 htmvoc_10741.wav ティーソー ⸢ティー⸣ソー [⸢tiː⸣soː] 名 手相。⸢ティー⸣ヌ ⸣アヤ[⸢tiː⸣nu ⸣ʔaja](手の綾、手の襞)ともいう。 ⸢ティー⸣ソー ミ⸢リ⸣プスン ⸢ティー⸣ソー ⸣ミシティ ⸢ウンキ⸣ ク⸢ラ⸣シバ [⸢tiː⸣soː mi⸢ri⸣pu̥sun ⸢tiː⸣soː ⸣miʃi̥ti ⸢ʔuŋki⸣ ku⸢ra⸣ʃiba] (手相を見る人に手相を見せて運気を判断させ<繰らせ>もらいなさい) 10742 0 0 10302 htmvoc_10742.wav ティーソーリ ⸢ティーソー⸣リ [⸢tiːsoː⸣ri] 名 手探り。暗闇の中で手探りして探すこと。「手さわり<触り>」の転訛したもの。 ッ⸢ふァガマリヌ⸣ ナ⸢カー⸣ラ ⸢ティーソー⸣リ<⸢ティーサグ⸣リ> ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣トゥミ ⸢クー⸣タ [f⸢fagamarinu⸣ na⸢kaː⸣ra ⸢tiːsoː⸣ri<⸢tiːsagu⸣ri> ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ⸣tumi ⸢kuː⸣ta] (暗がりの中から手探りで、やっとのことで探してきた) 10743 0 0 10303 htmvoc_10743.wav ティーダクン ⸣ティー ダ⸢クン [⸣tiː da⸢kuŋ] 連 拱手傍観する。手をこまぬく。無為に過ごす。手の怪我をして仕事が出来なくなり困る。手が不自由になる。「手を抱く」の義。 ⸢ティー⸣バ ヤ⸢マ⸣シティ ⸣ティー ダ⸢キル オー⸣ル [⸢tiː⸣ba ja⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣tiː da⸢kiru ʔoː⸣ru] (手を傷めて、拱手傍観して<仕事が出来なくなり、弱って>おられる) 10698 0 0 10304 htmvoc_10698.wav ティーダラーン ⸢ティーダラー⸣ン [⸢tiːdaraː⸣ŋ] 形 手に力の入らないさま。握力が無いさま。握力が弱く、掴んでいる物をよく落とす状態である。 ウ⸢レー ティーダラー⸣ンダ ⸣ユー ⸣マカルドング ウ⸢タ⸣シ バ⸢ルタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢ティーダラ⸣ー ⸢ナーン⸣ツォー [ʔu⸢reː tiːdaraː⸣nda ⸣juː ⸣makarudoŋgu ʔu⸢ta⸣ʃi ba⸢rutanu⸣ ma⸢na⸣maː ⸢tiːdara⸣ː ⸢naːn⸣ʦoː] (彼は手に力が入らないので、よくお椀など食器類を落として割ったが、今は手に力が入らない状態では無いそうだ)。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸢ティーダラー⸣ンダ カ⸢シーカシー⸣ シ⸢グトゥ シーユーサヌ [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸢tiːdaraːn⸣da ka⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʃi⸢gutu ʃiːjuːsanu] (彼は非常に手がだるいから、きちんと仕事をすることが出来ない)。 アイ⸢スン⸣ケン ⸢ティーダラー ナー⸣ヌ [ʔai⸢suŋ⸣ken ⸢tiːdaraː naː⸣nu] (それほど手がだるくない) 10747 0 0 10305 htmvoc_10747.wav ティーダラスン ⸢ティーダラ⸣スン [⸢tiːdara⸣suŋ] 他動 手をたたいて諌める。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢ティーダラ⸣スン [ja⸢nakutu suː⸣kaː ⸢tiːdara⸣suŋ] (悪いことをしたら手をたたいて\ruby{諌}{イサ}める)。 ⸢ティーダラ⸣シ シ⸢キ⸣リ [⸢tiːdara⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (手をたたいて諌めておけ)。 ⸢ティーダラ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ティーダラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢tiːdara⸣ʃi ⸣misakaː ⸢tiːdara⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (手をたたいて諌めて良ければ諌めることは出来る)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢ティーダラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢tiːdara⸣ʃeː ⸣misamunu] (あんな奴は手をたたいて諌めれば良いのに)。 ⸢ティーダラ⸣シ [⸢tiːdara⸣ʃi] (手をたたいて諌めよ)。 ⸢ガン⸣マリ ⸢スー⸣カー ⸢ティーダラ⸣スン [⸢gam⸣mari ⸢suː⸣kaː ⸢tiːdara⸣suŋ] (悪戯したら手を打ち据える)。 ⸢ティーダラサン⸣カー ヤ⸢ミラヌ [⸢tiːdarasaŋ⸣kaː ja⸢miranu] (手を打ち据えないと止めない)。 ⸢ティーダラ⸣シ ⸣ミサン [⸢tiːdara⸣ʃi ⸣misaŋ] (手を打ち据えて良い)。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢ティーダラ⸣ス ⸣クトゥ [ja⸢nakutu suː⸣kaː ⸢tiːdara⸣su ⸣ku̥tu] (悪いことをしたら手を打ち据えること)。 ⸢ティーダラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢tiːdara⸣ʃeː ⸣misamunu] (手を打ち据えればいいのに)。 ⸢ティーダラ⸣シ [⸢tiːdara⸣ʃi] (手を打ち据えろ) 10744 0 0 10306 htmvoc_10744.wav ティーダリ ⸢ティー⸣ダリ [⸢tiː⸣dari] 名 手が疲れてだるくなること。手に力が入らないこと。「手垂れ」の義か。 ⸢ティー⸣ダリ ⸢スン⸣ケン ッ⸢ふァバ⸣ ダ⸢キ カイナ⸣ヌ ⸣ヤムンケン ッ⸢ふァバ⸣ ダ⸢キル⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシェー⸣ダー [⸢tiː⸣dari ⸢suŋ⸣ken f⸢faba⸣ da⸢ki kaina⸣nu ⸣jamuŋken f⸢faba⸣ da⸢kiru⸣ sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃeː⸣daː] (手が疲れてだるくなるほど子供を抱き、腕が痛むほど子供を抱いて成長させたのだよ) 10745 0 0 10307 htmvoc_10745.wav ティーダリムヌ ⸢ティーダリ⸣ムヌ [⸢tiːdari⸣munu] 名 手に力の入らない者。手の力がなく、動作の鈍い者。相手を罵っていう語。⸢ティーダリクン⸣キャー[⸢tiːdarikuŋ⸣kjaː](のろま<鈍間>{EOS}愚鈍)ともいう。 ⸢ティーダリムヌ⸣ヌ ⸢シーワザー⸣ ムー⸢ル⸣ シ⸢ルッ⸣コー ⸣ナシ ⸢ナー⸣ヌ [⸢tiːdarimunu⸣nu ⸢ʃiːwaʣaː⸣ muː⸢ru⸣ ʃi⸢ruk⸣koː naʃi ⸢naː⸣nu] (手に力の入らない\ruby{鈍麻}{トン|マ}のやる<仕業だから>ことは、すべてを台無し<ぶち壊し>にしてしまったよ) 10760 0 0 10308 htmvoc_10760.wav ティーッサーク ⸢ティーッサー⸣ク [⸢tiːssaː⸣ku] 名 手仕事。手細工の仕事。手工。⸢ティーザー⸣ク[⸢tiːʣaː⸣ku](手仕事)参照。 イ⸢ル⸣ジナ ⸢ティーッサーク⸣バ ⸢シェー⸣ティル ⸢ジンモー⸣キ ⸢ソーッ⸣タ [ʔi⸢ru⸣ʤina ⸢tiːssaːku⸣ba ⸢ʃeː⸣tiru ⸢ʤimmoː⸣ki ⸢soːt⸣ta] (いろいろな手仕事をしながら金儲けをされた) 10759 0 0 10309 htmvoc_10759.wav ティーッサール ⸢ティーッサー⸣ル [⸢tiːssaː⸣ru] 名 仕事で手が\ruby{塞}{フサ}がること。仕事で手が一杯になる。手不足になる。繁忙を極める。「手塞がり」の義。 ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥバ タンガ⸣シ ⸢スンティ シー ティーッサー⸣ル ⸢シー⸣ ビ⸢チ⸣ヌ クトー ノー⸢ン⸣ ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutuba taŋga⸣ʃi ⸢sunti ʃiː tiːssaː⸣ru ⸢ʃiː⸣ bi⸢ʧi⸣nu ⸣ku̥toː noː⸢n⸣ ʔu⸢moːra⸣nu] (あれだけの仕事を一人でしようとして、仕事で手が一杯になって<手が塞がって>繁忙を極めて、別のことは何も考えられない) 10757 0 0 10310 htmvoc_10757.wav ティーッサイルン ⸢ティー⸣ ッ⸢サイ⸣ルン [⸢tiː⸣ s⸢sai⸣ruŋ] 連 手を擂り合わせて祈る。手を擂り合わせて念ずる。「手・擂り合わせる」の転訛したもの。 ウ⸢ヤプスヌ⸣マイ ⸢ティー⸣ ッ⸢サイ⸣ルン [ʔu⸢japusu⸣numai ⸢tiː⸣ s⸢sai⸣ruŋ] (ご先祖さまに手を擂り合わせて祈る) 10758 0 0 10311 htmvoc_10758.wav ティーッサウン ⸢ティー⸣ ッサウン [⸢tiː⸣ ssauŋ] 連 手をすり合う。手を擂り合い祈る。[te・suri・au] → [tiː-ssauŋ](手・擂り合う)のように音韻変化して再転訛したもの。⸢ティー⸣ ッ⸢サイ⸣ルン[⸢tiː⸣ s⸢sai⸣ruŋ](手を擂り合わせる{EOS}合掌する)ともいう。 ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ ⸢ティー⸣ ッサイティ ⸣パリ [ʔu⸢japusu⸣numai ⸢tiː⸣ ssaiti ⸣pari] (ご先祖さまに手を擂り合わせて<合掌して>から行きなさい)。 ⸢ティー ッサーン⸣カー ⸢パン⸣ナ [⸢tiː ssaːŋ⸣kaː ⸢pan⸣na] (手を合わせなければ行くな)。 ⸢ティー⸣ ッサウンティ ⸢ベー [⸢tiː⸣ ssaunti ⸢beː] (手を擂り合わせようとしている)。 ⸢テイー⸣ ッサウ プ⸢ソー パー⸣ク ⸢ティー ッサイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢tiː⸣ ssau pu̥⸢soː paː⸣ku ⸢tiː ssai⸣jaː ⸣misamunu] (手を擂り合う<合掌する>人は早く合掌すればいいのに)。 ⸢ワンヌン ティー⸣ ッサイバ [⸢wannun tiː⸣ ssaiba] (君も手を擂り合い<合掌し>なさいよ) 10761 0 1 10312 htmvoc_10761.wav ティーッシ ⸢ティー⸣ッシ [⸢tiː⸣ʃʃi] 名 {Mn_1}手をすり合せること。合掌してすり合わせること。合掌して祈ること。 ⸢ティー⸣バ ⸣ッシ ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーッ⸣タ [⸢tiː⸣ba ⸣ʃʃi ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoːt⸣ta] (手をすり合わせて祈願された) 10761 0 2 10313 htmvoc_10761.wav ティーッシ ⸢ティー⸣ッシ [⸢tiː⸣ʃʃi] 名 {Mn_2}手で肌をさすること。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティー⸣ピサー フ⸢チ⸣ルティ ⸢シー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣バターラ ク⸢シェーラ ティー⸣ッシ ⸢シェー⸣ティル ニ⸢バソーッ⸣タ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiː⸣pisaː ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiː⸣ ja⸢rabi⸣nu ⸣bataːra ku̥⸢ʃeːra tiː⸣ʃʃi ⸢ʃeː⸣tiru ni⸢basoːt⸣ta] (親の掌は薬といって、子供の腹から、背中から手でさすって<手すりして>寝かされた) 10762 0 0 10314 htmvoc_10762.wav ティーッシヤムン ⸢ティー⸣ ッシ ⸣ヤムン [⸢tiː⸣ ʃʃi ⸣jamuŋ] 連 化膿したお出来や傷が熱をもって放射状に痛みがはしる。刺し込むように痛みが放射状に広がる。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢ウー⸣ミティ ⸢ティー⸣ ッシ ⸣ヤミ フ⸢シガラ⸣ヌ [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢ʔuː⸣miti ⸢tiː⸣ ʃʃi ⸣jami ɸu⸢ʃigara⸣nu] (お出来が化膿して痛みが放射状にはしって、痛くてたまらない) 10763 0 0 10315 htmvoc_10763.wav ティーッスル ⸢ティーッス⸣ル [⸢tiːssu⸣ru] 名 てぬぐい(手拭)。手拭き。明治生まれの老年層の使用語彙。⸣サジ[⸣saʤi](手拭{EOS}タオル)ともいう。 ⸢ティーッス⸣ルシ ウ⸢ム⸣ティ ッ⸢スリ⸣バ [⸢tiːssu⸣ruʃi ʔu⸢mu⸣ti s⸢suri⸣ba] (手拭で顔<おもて{EOS}面>を拭きなさい) 10764 0 0 10316 htmvoc_10764.wav ティーッスン ⸢ティー⸣ ッスン [⸢tiː⸣ ssuŋ] 連 手を擦る。両手のひらをすり合わせる。手を擦って祈る。⸢ティー⸣ ッサウン[⸢tiː⸣ ssauŋ](合掌する)ともいう。 ⸢ソー スー⸣ ピンマー ⸢カンヌ⸣マイナ ⸢ティー⸣ ッスン [⸢soː suː⸣ pimmaː ⸢kannu⸣maina ⸢tiː⸣ ssuŋ] (心配する時は、神様の前に手を擦る<手をすり合わせて祈る>) 10818 0 0 10317 htmvoc_10818.wav ティーッふァイムヌ ⸢ティーッふァイ⸣ムヌ [⸢tiːffai⸣munu] 名 手間ひまのかかるもの。手間取るもの。「手食いもの」の義。 ⸢アンスクライ⸣ヤー ⸢サッ⸣コー ⸢ティーッふァイ⸣ムヌ [⸢ʔansu̥kurai⸣jaː ⸢sak⸣koː ⸢tiːffai⸣munu] (網の補修<網繕い>は、非常に手間のかかるものだ) 10765 0 1 10318 htmvoc_10765.wav ティーッふン ⸣ティー ッ⸢ふン [⸣tiː f⸢fuŋ] 連 {Mn_1}手間がかかる。「手を食う」の義。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ティー ッ⸢ふン [ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔik⸢kena⸣ tiː f⸢fuŋ] (この仕事は非常に手間がかかる<手を食う>)。 10765 0 2 10319 htmvoc_10765.wav ティーッふン ⸣ティー ッ⸢ふン [⸣tiː f⸢fuŋ] 連 {Mn_2}養育される。世話になる。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター パ⸢タラキユーサヌ⸣ ナー⸢イ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ティー ッ⸢ふァイ ベー [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː pḁ⸢tarakijuːsanu⸣ naː⸢i⸣ f⸢fanu⸣ tiː f⸢fai beː] (年を取ったので働くことが出来ない{EOS}ただ子供の世話になって<子供の手を食べて>いる) 10768 0 0 10320 htmvoc_10768.wav ティートー ⸢ティー⸣トー [⸢tiː⸣toː] 名 抵当。担保。 ウ⸢カ⸣ヌ ⸢ティー⸣トーティ ⸢シー ヤーヤシ⸣キ ⸢ギン⸣コーナー フ⸢バラリ ベー⸣ツォー [ʔu⸢ka⸣nu ⸢tiː⸣toːti ⸢ʃiː jaːjaʃi̥⸣ki ⸢giŋ⸣koːnaː ɸu⸢barari beː⸣ʦoː] (借金の抵当として、家や屋敷を銀行に押さえられて<縛られて>いるそうだ) 10766 0 0 10321 htmvoc_10766.wav ティートゥリ ⸢ティー⸣トゥリ [⸢tiː⸣turi] 名 仲直りをすること。仲良くすること。手を結ぶこと。「手取り」の転訛したもの。 マ⸢ナ⸣マーラ ⸣アトー ⸢ティー⸣トゥリ ⸢シェー⸣ティ トゥ⸢ジブトゥ アーン⸣ドーシル タティパル⸢ダー [ma⸢na⸣maːra ⸣ʔatoː ⸢tiː⸣turi ⸢ʃeː⸣ti tu⸢ʤibutu ʔaːn⸣doːʃiru tḁtiparu⸢daː] (今後<今から後>は仲直りをして、夫婦喧嘩しないで生活していくんだよ) 10767 0 0 10322 htmvoc_10767.wav ティードゥリ ⸢ティー⸣ドゥリ [⸢tiː⸣duri] 名 手取り。手に入る金高。現金収入。 ク⸢トゥシヌ イー⸣シェー ⸢ダイ⸣ ム⸢タン⸣ベーティ ⸢ティー⸣ドゥリーン ⸢イシゥカー⸣ル [ku̥⸢tuʃinu ʔiː⸣ʃeː ⸢dai⸣ mu⸢tam⸣beːti ⸢tiː⸣duriːŋ ⸢ʔisï̥kaː⸣ru] (今年のツノマタは値段が安い<値をもたない>ので、手取りも少ない) 10769 0 0 10323 htmvoc_10769.wav ティーナーリパンナーリ ⸢ティーナー⸣リ ⸣パンナーリ [⸢tiːnaː⸣ri ⸣pannaːri] 連 手を出し、足を出しして喧嘩すること。じゃれて喧嘩を仕掛けるさま。⸢ティーナー⸣リ ⸣ピサナーリ[⸢tiːnaː⸣ri ⸣pisanaːri](手を出し、足を出し{EOS}じゃれて喧嘩する)ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナー⸢イ ティーナー⸣リ ⸣パンナーリ ⸢シーベー⸣ティル アウ⸢ダー [ja⸢ra⸣beː naː⸢i tiːnaː⸣ri ⸣pannaːri ⸢ʃiːbeː⸣tiru ʔau⸢daː] (子供はじゃれて、ただ手を出し、足を出ししていて喧嘩するんだよ) 10770 0 1 10324 htmvoc_10770.wav ティーナールン ⸣ティー ⸢ナールン [⸣tiː ⸢naːruŋ] 連 {Mn_1}手を出して喧嘩する。手出しをする。 ヤ⸢ラ⸣ベー フ⸢チ⸣シ イ⸢ジックナー シーベー⸣ティ ⸣アトー ⸢フン⸣トー ⸣ティー ⸢ナールン⸣ダー [ja⸢ra⸣beː ɸu̥⸢ʧi⸣ʃi ʔi⸢ʤikkunaːba ʃiːbeː⸣ti ⸣ʔatoː ⸢ɸun⸣toː ⸣tiː ⸢naːrun⸣daː] (子供は口喧嘩していて、後には本当に手を出して喧嘩するよ)。 10770 0 2 10325 htmvoc_10770.wav ティーナールン ⸣ティー ⸢ナールン [⸣tiː ⸢naːruŋ] 連 {Mn_2}手を差し出す。 ク⸢マー⸣ ティー ⸢ナーリ [ku⸢maː⸣ tiː ⸢naːri] (ここへ手を差し出しなさい) 10771 0 0 10326 htmvoc_10771.wav ティーナーン ⸢ティー ナー⸣ン [⸢tiː naː⸣ŋ] 連 手癖が悪い。盗癖がある。「手が長い」の義。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ティーナー⸣ンダ ⸣ユー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ⸢tiːnaː⸣nda ⸣juː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (この子供は手癖が悪い<盗癖がある>から、よく気をつけなさいよ) 10772 0 0 10327 htmvoc_10772.wav ティーナガー ⸣ティーナガー [⸣tiːnagaː] 名 盗癖のある人。てくせ(手癖)の悪いこと。 ⸣ティーナガーヤ ⸢ノーシグリ⸣サン⸢ダー [⸣tiːnagaːja ⸢noːʃiguri⸣san⸢daː] (盗癖のある人は直しづらいよ) 10773 0 0 10328 htmvoc_10773.wav ティーナビ ⸢ティー⸣ナビ [⸢tiː⸣nabi] 名 つるなべ(弦鍋)。鍋の耳に付いている弦<柄。手>を掴んで持ち運ぶ鍋。「手鍋」の義。 ⸢スーン⸣シロー ⸢ティー⸣ナビナール バ⸢カス [⸢suːŋ⸣ʃiroː ⸢tiː⸣nabinaːru ba⸢kasu] (お汁は汁鍋で<ぞ>炊く<沸かす>のだ)。 ⸢ティー⸣ナベー ウ⸢ティティ パンガマ⸣ シ⸢キリ [⸢tiː⸣nabeː ʔu⸢titi pamgama⸣ ʃi̥⸢kiri] (弦鍋は竈から外して羽釜を竈に据えなさい)。 ア⸢バ⸣ナベー ⸢ティーナビバ⸣ル シゥ⸢カイヨーッタ⸣ル [ʔa⸢ba⸣nabeː ⸢tiːnabiba⸣ru si̥⸢kaijoːtta⸣ru] (揚げ物用の油鍋には弦鍋<手鍋>を使われたよ) 10774 0 0 10329 htmvoc_10774.wav ティーナブッタラーン ⸣ティー ナ⸢ブッタラー⸣ン [⸢tiː⸣ na⸢buttaraː⸣ŋ] 連 手が滑らかですべすべしている。 ⸣ティーナ ア⸢バ⸣ヌ マ⸢マリティ ティー⸣ ナ⸢ブッタラー⸣ヌ ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サマラヌ [⸣tiːna ʔa⸢ba⸣nu ma⸢mariti tiː⸣ na⸢buttaraː⸣nu git⸢ti⸣ ka⸢samaranu] (手に油が付着して<塗られていて>、手がすべっこくてギュット力強く握れ<掴まれ>ない) 10775 0 0 10330 htmvoc_10775.wav ティーナライ ⸢ティー⸣ナライ [⸢tiː⸣narai] 名 大工仕事の見習い。仕事を師匠から直接に習うこと。師匠から手をとって教えられること。「手習い」の義。半農半漁の島だったから、習字や芸事については用いなかった。 シ⸢グトー⸣ ウ⸢ヤ⸣カターラ ⸢ティー⸣ナライ ⸢シェー⸣ティル イ⸢チニン⸣マイ ⸣ナレーツォー [ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢ja⸣kataːra ⸢tiː⸣narai ⸢ʃeː⸣tiru ʔi⸢ʧinim⸣mai ⸣nareːʦoː] (仕事は親方から手習いをしながら一人前になったそうだ) 10776 0 0 10331 htmvoc_10776.wav ティーナラビ ⸢ティーナラ⸣ビ [⸢tiːnara⸣bi] 名 人並み。世間並み。 ⸣ユヌ ⸢ニンギン⸣ドゥ ヤ⸢ル⸣ ⸢ティーナラ⸣ビ ⸣プスナラビ ノー⸢ン⸣ シ⸢グトー サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣junu ⸢niŋgin⸣du ja⸢ru⸣ ⸢tiːnara⸣bi ⸣pu̥sunarabi noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢gutoː saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (同じ人間<ぞ>である{EOS}人並みに<手並び、人並び>何でも仕事はしないといけない) 10777 0 0 10332 htmvoc_10777.wav ティーニー ⸢ティーニー [⸢tiːniː] 名 丁寧。「丁寧」の転訛したもの。伝統的表現では、⸣キモー イ⸢リ⸣ シ⸢グトゥ シー[⸣kimoː ʔi⸢ri⸣ ʃi⸢gutu ʃiː](心<肝>をこめて仕事をしなさい)のようにいう。 ノー⸢ンヌ⸣ シ⸢グトゥン ティーニーニ サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー ⸢ティーニーニ サーバル⸣ シ⸢キン⸣ヌ プ⸢スン⸣ ミ⸢トゥミラ⸣リ⸢ダー [noː⸢nnu⸣ ʃi⸢gutun tiːniːni saŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː ⸢tiːniːni saːbaru⸣ ʃi̥⸢kin⸣nu pu̥⸢sum⸣ mi⸢tumira⸣ri⸢daː] (何事<どんな仕事>も丁寧にしないといけないよ{EOS}丁寧にすればこそ<ぞ>世間の人に認められるのだぞ) 10784 0 0 10333 htmvoc_10784.wav ティーニーバン ⸢ティーニー⸣バン [⸢tiːniː⸣baŋ] 形 仕事の手が遅い。仕事の手がのろい<鈍い>。 ウ⸢レー ティーニー⸣バンティ ア⸢ズタンドゥ ナン⸣ゾー ティーニー⸣バー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː tiːniː⸣banti ʔa⸢ʣutandu nan⸣ʣoː ⸢tiːniː⸣baː ⸢naː⸣nu] (彼は手が鈍いと言ったが、それほど手は遅くない)。 ⸣ドク ⸢ティーニーバ⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [⸣duku ⸢tiːniːba⸣nu sï̥⸢kaːranu] (あまりにも手が鈍くて使えない)。 ⸢ティーニー⸣バ(ル) プ⸢ソー⸣ ヤ⸢トゥー⸣ナ [⸢tiːniː⸣ba(ru) pu̥⸢soː⸣ ja⸢tuː⸣na] (手が遅い人は雇うな)。 ウ⸢レー ティーニー⸣バンダ ⸣キューズーナ シ⸢グトゥ⸣ トゥ⸢ズミユーサヌ [ʔu⸢reː tiːniː⸣banda ⸣kjuːʣuːna ʃi⸢gutu⸣ tu⸢ʣumijuːsanu] (彼は仕事の手仕事が遅いから、今日中に仕事を完結できない) 10780 0 0 10334 htmvoc_10780.wav ティーヌウチ ⸢ティー⸣ヌ ウ⸢チ [⸢tiː⸣nu ʔu⸢ʧi] 連 手の内。手並み。腕前。奥の手。心の中の計画。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ティー⸣ヌ ⸣ウチェー プ⸢スンマー⸣ ミ⸢シル⸣ナ [⸢duː⸣nu ⸢tiː⸣nu ⸣ʔuʧeː pu̥⸢summaː⸣ mi⸢ʃiru⸣na] (自分の手の内<内心の計画>は、他人には見せるな) 10785 0 0 10335 htmvoc_10785.wav ティーヌカナーヌ ⸢ティー⸣ヌ カ⸢ナー⸣ヌ [⸢tiː⸣nu ka⸢naː⸣nu] 連 手が不自由である。手が叶わない。手が健全でない。 ⸢ティー⸣ヌ カ⸢ナー⸣ンダ プ⸢スナミヌ⸣ シ⸢グトゥ シーサヌ [⸢tiː⸣nu ka⸢naː⸣nda pu̥⸢sunami⸣ ʃi⸢gutu ʃiːsanu] (手が不自由だから人並みに仕事をすることができない) 10781 0 0 10336 htmvoc_10781.wav ティーヌガンマリ ⸢ティー⸣ヌ ⸢ガン⸣マリ [⸢tiː⸣nu ⸢gam⸣mari] 連 悪戯。手でする悪戯。⸢ティー⸣ヌ ⸢ガン⸣バリ[⸢tiː⸣nu ⸢gam⸣bari](手の悪戯)ともいう。 ⸢ミー⸣ヌ ⸢ガン⸣マレー サ⸢バン ティーヌ ガン⸣マレー ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miːnu gam⸣mareː sa⸢bam tiː⸣nu ⸢gam⸣mareː ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (目の悪戯はしても、手の悪戯はしてはならない<諺>) 10782 0 0 10337 htmvoc_10782.wav ティーヌクシ ⸢ティー⸣ヌ ク⸢シ [⸢tiː⸣nu ku̥⸢ʃi] 連 手の甲。「手の後ろ」の義。⸢ティーヌ⸣バタ[⸢tiːnu⸣bata](手のひら{EOS}<手の腹>)の対義語。手の表。 ⸢ティーヌ⸣クシシ ム⸢チクー シッ⸣キ ⸢ニー⸣リティ ム⸢チェー⸣ ス⸢クル⸣タ [⸢tiːnu⸣ku̥ʃiʃi mu⸢ʧikuː ʃik⸣ki ⸢niː⸣reːti mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢kuru⸣ta] (水で混ぜた餅の粉を、手の甲で搗き捏ねたたり握ったりして、餅の形を成形<作った>した)。 ⸢ティーヌ⸣ピサナー ウ⸢キララン⸣バ ⸢ティーヌ⸣クシナー ⸢ヌーシティ⸣ ア⸢ジミー シー⸣バ [⸢tiːnu⸣pi̥sanaː ʔu⸢kiraram⸣ba ⸢tiːnu⸣ku̥ʃinaː ⸢nuːʃi̥ti⸣ ʔa⸢ʤimiː ʃiː⸣ba] (手のひらに受けられないから、手の甲に載せて味見しなさいよ) 10783 0 0 10338 htmvoc_10783.wav ティーヌシー ⸢ティー⸣ヌ ⸣シー [⸢tiː⸣nu ⸣ʃiː] 連 手袋。⸣シー[⸣ʃiː]は「物を入れて仕舞っておく袋や箱」の意。「鞘」の転訛したものか。[saja] → [saia] → [ʃeː] → [ʃiː] の音韻変化が考えられる。「手の袋<巣>」の義。 カ⸢タナ⸣ヌ ⸣シー [kḁ⸢tana⸣nu ⸣ʃiː] (刀の鞘)。 ⸢ティー⸣ヌ ⸣シー ヌ⸢ケー⸣テー パ⸢タキシグ⸣トー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tiː⸣nu ⸣ʃiː nu⸢keː⸣teː pḁ⸢takiʃigu⸣toː na⸢ra⸣nu] (手袋をはめて畑仕事は出来ない)。 ⸢ティー⸣ヌ⸣シー ヌ⸢カン⸣カー ⸢イー⸣シトゥレー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tiː⸣nu ⸣ʃiː nu⸢kaŋ⸣kaː ⸢ʔiː⸣ʃitureː na⸢ra⸣nu] (手袋をはめないとツノマタ採取は出来ない) 10786 0 0 10339 htmvoc_10786.wav ティーヌシミ ⸢ティー⸣ヌ ⸣シミ [⸢tiː⸣nu ⸣ʃimi] 連 手の爪。⸢ティーン⸣シミ[⸢tiːŋ⸣ʃimi](手の爪<名詞>)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣パサンシル ⸢ティー⸣ヌ ⸣シメー ⸢フッツァシ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣pasaŋʃiru ⸢tiː⸣nu ⸣ʃimeː ⸢ɸutʦaʃi̥⸣ta] (昔は鋏で手の爪を剪<ハサミ>切った) 10787 0 0 10340 htmvoc_10787.wav ティーヌシル ⸢ティーヌ⸣ シル [⸢tiːnu⸣ ʃiru] 連 手塩にかけて育てること。心をこめて手ずから養育すること。「手の汁」の義。⸢ティー⸣ジル[⸢tiː⸣ʤiru](手塩)と同じ。 ⸢バン⸣ターヤ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティーヌシル⸣バ イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ふァイル⸣ フ⸢ドゥビ⸣ケーティ ⸣ムカーヤ [⸢ban⸣taːja ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiːnuʃiru⸣ba ʔik⸢kena⸣ f⸢fairu⸣ ɸu⸢dubi⸣keːti ⸣mukaːja] (僕ら<聞き手は含まない>は、親が手塩にかけて育ててくれた<親の手の汁をたくさん食べて成長してきた>のだよ) 10788 0 1 10341 htmvoc_10788.wav ティーヌバスン ⸣ティー ヌ⸢バ⸣スン [⸣tiː nu⸢ba⸣suŋ] 連 {Mn_1}手を伸ばす。 ⸢ワーン⸣トン ⸣ティー ヌ⸢バ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ヤミティ ヌバ⸢サラ⸣ヌ [⸢waːn⸣ton ⸣tiː nu⸢ba⸣sunti ⸢sundu⸣ nu⸢basara⸣nu] (君の所へ手を伸ばそうとするが、痛くて伸ばされない)。 10788 0 2 10342 htmvoc_10788.wav ティーヌバスン ⸣ティー ヌ⸢バ⸣スン [⸣tiː nu⸢ba⸣suŋ] 連 {Mn_2}手を広げる。事業を拡大する。 ⸣ドゥク ⸣ティー ヌ⸢バ⸣スカー ⸣スッパイ<ス⸢クジリ> ⸢スン⸠ダー [⸣duku ⸣tiː nu⸢ba⸣sukaː ⸣suppai ⸢sun⸠daː] (あまり<事業の>手を広げると失敗するぞ) 10789 0 0 10343 htmvoc_10789.wav ティーヌバタ ⸢ティーヌ⸣バタ [⸢tiːnu⸣bata] 名 手のひら。たなごころ(掌)。「掌、和名太奈古々呂<たなごころ>」『和名抄』。「手の腹」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティーヌ⸣バタナー ウ⸢キラ⸣レーティ ス⸢ダティラ⸣レール キ⸢ムヌ⸣ ッ⸢ふァ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiːnu⸣batanaː ʔu⸢kira⸣reːti su⸢datira⸣reːru ki⸢munu⸣ ffa] (親の手のひらに載せられて<置かれて>、大切に育てられたところの最愛の<肝の>子) 10790 0 0 10344 htmvoc_10790.wav ティーヌピサ ⸢ティーヌ⸣ピサ [⸢tiːnu⸣pi̥sa] 名 手のひら。たなごころ(掌)。手首から先の、内側の面。 ⸢ティーヌ⸣ピサナー シゥ⸢カラー⸣ イ⸢レー⸣ティ バ⸢ラフ⸣ター ⸢ニー⸣リ ピ⸢ニラン⸣カー ⸣シナー ⸢ゾー⸣ブンニ ⸢ノーラ⸣ヌ [⸢tiːnu⸣pi̥sanaː sï̥⸢karaː⸣ ʔi⸢reː⸣ti ba⸢raɸu̥⸣taː ⸢niː⸣ri pi⸢niraŋ⸣kaː ⸣ʃinaː ⸢ʣoː⸣bunni ⸢noːra⸣nu] (手のひらに力を入れて藁を\ruby{縒}{ヨ}り合わせ、ひねら(捻ら)ないと、綱は立派に\ruby{綯}{ナ}えない) 10792 0 0 10345 htmvoc_10792.wav ティーヌブシ ⸢ティーヌ⸣ブシ [⸢tiːnu⸣buʃi] 名 指の節。指の関節。「手の節」の義。 ⸢ティーヌ⸣ブシェー ⸢イッ⸣スン ヤ⸢リバ ティーヌ⸣ブシシ パ⸢カ⸣リ⸢ミー ナン⸣ズン ア⸢ル⸣ワ [⸢tiːnu⸣buʃeː ⸢ʔis⸣suɲ ja⸢riba tiːnu⸣buʃiʃi pḁ⸢ka⸣ri⸢miː nan⸣ʣuŋ ʔa⸢ru⸣wa] (指の一節は一寸だから、指の節で測ってごらん{EOS}何寸あるか) 10791 0 0 10346 htmvoc_10791.wav ティーヌフビ ⸢ティーヌ⸣フビ [⸢tiːnu⸣ɸubi] 名 手首。腕と手のひらの繋がるところ。うでくび。 ⸣ヤドゥナー ⸣ティー ⸢フッカーサ⸣リティ ⸢ティーヌ⸣フビ ヤ⸢マ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸣jadunaː ⸣tiː ⸢ɸukkaːsa⸣riti ⸢tiːnu⸣ɸubi ja⸢ma⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (戸に手を挟まれて手首を痛めてしまった) 9272 0 0 10347 htmvoc_9272.wav ティーヌマタ ⸢ティー⸣ヌマタ [⸢tiː⸣numata] 連 手の股。指の間 10793 0 0 10348 htmvoc_10793.wav ティーヌユリー ⸢ティーヌ⸣ユリー [⸢tiːnu⸣juriː] 名 神職引退の儀式。「手のお許し」の義。自分の勤めていた、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)の神職を、神に願い出て引退する儀式のこと。⸢インクニガイ[⸢ʔiŋkunigai](隠居願い{EOS}引退願い)ともいう。 ク⸢シヌ⸣ タ⸢タン⸣ ナ⸢ローッ⸣ター ⸢カンヌ⸣マイン ⸢ティーヌ⸣ユリー ッ⸢サリティ⸣ ティー ピ⸢コーッ⸣タ [ku̥⸢ʃinu⸣ tḁ⸢tan⸣ na⸢roːt⸣taː ⸢kannu⸣main ⸢tiːnu⸣juriː s⸢sariti⸣ tiː pi̥⸢koːt⸣ta] (足腰が立たなくなられてので、神様に神職引退を願い出て<申し上げて>、引退され<手を引かれ>た) 10794 0 0 10349 htmvoc_10794.wav ティーヌワザ ⸢ティーヌ⸣ ワザ [⸢tiːnu⸣ waʣa] 連 手仕事。細工仕事。「手の技」の義。 バ⸢カーン⸣ケン ウ⸢ブイ⸣ヤール ⸢ティーヌ⸣ ワザシール マ⸢ナ⸣マー ム⸢ヌファイ⸣ザク ⸢シー ブー [ba⸢kaːŋ⸣keŋ ʔu⸢bui⸣jaːru ⸢tiːnu⸣waʣaʃiːru ma⸢na⸣maː mu⸢nufai⸣ʣaku ⸢ʃiː buː] (若かった頃に見様見真似で覚えた手仕事<技術>でもって<ぞ>、今では職業<生活の糧{EOS}もの食い仕事>にしているよ) 10795 0 0 10350 htmvoc_10795.wav ティーバキ ⸢ティー⸣バキ [⸢tiː⸣baki] 名 手分け。 ⸢ティー⸣バキ ⸢シー⸣ カシー ⸢シー⸣バ [⸢tiː⸣baki ⸢ʃiː⸣ kaʃiː ⸢ʃiː⸣ba] (手分けして手伝い<加勢>をしなさい) 10796 0 0 10351 htmvoc_10796.wav ティーパシキ ⸢ティーパシ⸣キ [⸢tiːpaʃi̥⸣ki] 名 指はじき。爪弾き。曲げた中指の爪先を親指の腹にかけて力を溜め、強くはじくこと。「手はじき」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン ⸣ドゥクナリ パ⸢ナン⸣ギ ⸢シー⸣ アウカー ⸣アブジェー ⸢バン⸣ター パ⸢ナバ ティーパシ⸣キ ⸢ソーッ⸣タ [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣ken ⸣dukunari pa⸢naŋ⸣gi ⸢ʃiː⸣ ʔaukaː ⸣ʔabuʤeː ⸢ban⸣taː pa⸢naba tiːpaʃi̥⸣ki ⸢soːt⸣ta] (子供の頃、あまりにも悪戯をして喧嘩をすると、お祖父さんは私たちの鼻を爪弾きされた) 10799 0 0 10352 htmvoc_10799.wav ティーバタシ ⸢ティーバタ⸣シ [⸢tiːbata⸣ʃi] 名 手渡し。手から手に渡すこと。 ⸢プスンナー⸣ニ ⸢アシキラン⸣ドーシ ⸢ワー⸣ラ ウ⸢ヌ プスン ティーバタ⸣シ ⸢シー ッふィーリ⸠ヨー [pu̥⸢sunnaː⸣ni ⸢ʔaʃi̥kiran⸣doːʃi ⸢waː⸣ra ʔu⸢nu pu̥sun tiːbata⸣ʃi ⸢ʃiː ffiːri⸠joː] (他人に頼まないで、貴方からその人に直接手渡ししてくれよね) 10797 0 0 10353 htmvoc_10797.wav ティーパタッカルン ⸣ティー パ⸢タッカルン [⸣tiː pḁ⸢takkaruŋ] 連 手を開き広げる。両手を広げて阻止する。「手はだかる」の義。 ミ⸢チナカ⸣ナー ⸣ティー パ⸢タッカリティ⸣ タティ ⸢ベー [mi⸢ʧinaka⸣naː ⸣tiː pḁ⸢takkariti⸣ tḁti ⸢beː] (道中に手を広げて立っている) 10800 0 0 10354 htmvoc_10800.wav ティーバッパイ ⸢ティーバッ⸣パイ [⸢tiːbap⸣pai] 名 手違い。手順や手法を間違えること。 ⸢トー⸣フ マ⸢ラスンティ⸣ シ⸢タンドゥ バックラシ ナー⸣ヌ ウ⸢レー⸣ バー ⸢ティーバッパイ⸣ル ヤ⸢レー⸣ル [⸢toː⸣ɸu ma⸢rasunti⸣ ʃi̥⸢tandu bakkuraʃi naː⸣nu ʔu⸢reː⸣ baː ⸢tiːbappai⸣ru ja⸢reː⸣ru] (豆腐を製造しよう<生まれさせよう>としたが、固まらずに砕けてしまった{EOS}それは私の製造法の手違いによるものだったのだろう) 10801 0 1 10355 htmvoc_10801.wav ティーパナスン ⸢ティーパナ⸣スン [⸢tiːpana⸣suŋ] 他動 {Mn_1}掴んでいるものを手許から放す。手放す。掴んでいる手を緩める。 ⸢ワー⸣ カ⸢サミベー ティー⸣ヤ ⸢ティーパナ⸣シバ [⸢waː⸣ ka⸢sami beː tiː⸣ja ⸢tiːpana⸣ʃiba] (君が掴んでいる手は手放しなさいよ)。 ⸣ザイサン ⸢ティーパナ⸣スン [⸣ʣaisan ⸢tiːpana⸣suŋ] (財産を手放す)。 ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸣タンティン ⸢ティーパナシバ⸣ル<⸢ティーパナサバ⸣ル> ⸣ナル [ʔu⸢mui⸣ʦaː ⸣tantin ⸢tiːpanaʃiba⸣ru<⸢tiːpanasaba⸣ru> ⸣naru] (惜しくても手放さなくてはならない<手放せばぞ解決はなる>)。 ⸢ティーパナシ ヤッ⸣サン [⸢tiːpanaʃi jas⸣saŋ] (手放しやすい)。 ク⸢リ⸣カー⸢ネー ティーパナ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ kaː⸢neː tiːpana⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これだけは手放すことは出来ない<ならない>)。 ⸢ティーパナ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢tiːpana⸣ʃeː ⸣misamunu] (手放せばよいのに)。 10801 0 2 10356 htmvoc_10801.wav ティーパナスン ⸢ティーパナ⸣スン [⸢tiːpana⸣suŋ] 他動 {Mn_2}している仕事を中止する。中断する。放置する。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ティーパナサラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢tiːpanasara⸣nu] (今は手放せない{EOS}仕事を中断できない) 10802 0 1 10357 htmvoc_10802.wav ティーパヤーン ⸢ティーパヤー⸣ン [⸢tiːpajaː⸣ŋ] 形 {Mn_1}手早い。仕事が早い。 ⸢ティーパヤー⸣ンダ ⸢タンガ⸣シ ニ⸢ニンガキ⸣ヌ シ⸢グトゥ スン [⸢tiːpajaː⸣nda ⸢taŋga⸣ʃi ni⸢niŋgaki⸣nu ʃi⸢gutu suŋ] (手が早いから、一人で二人前の仕事をする)。 10802 0 2 10358 htmvoc_10802.wav ティーパヤーン ⸢ティーパヤー⸣ン [⸢tiːpajaː⸣ŋ] 形 {Mn_2}すぐ手が出る。すぐ暴力を振るう。 ⸢ウンザー ティーパヤー⸣ンダ ウ⸢リンナー⸣ネー ウ⸢カットゥ⸣シ ⸣ムネー イ⸢ザラヌ [⸢ʔunʣaː tiːpajaː⸣nda ʔu⸢rinnaː⸣neː ʔu⸢kattu⸣ʃi ⸣muneː ʔi⸢ʣaranu] (あいつは手が早い<すぐ暴力をふるう>から、彼にはうっかり<迂闊に>ものは言えない) 10803 0 0 10359 htmvoc_10803.wav ティーパン ⸢ティー⸣パン [⸢tiː⸣paŋ] 名 手足。手と足。 ⸢ティー⸣パン ⸢ウーカサバ⸣ル ⸣ドゥーガンゾーティ ア⸢ザリ ブー [⸢tiː⸣paŋ ⸢ʔuːkasaba⸣ru ⸣duːganʣoːti ʔa⸢ʣari buː] (手足を動かした<手足を動かして働いた>ほうが健康<胴頑丈>だといわれている) 10804 0 0 10360 htmvoc_10804.wav ティーパンキ ⸢ティーパン⸣キ [⸢tiːpaŋ⸣ki] 名 手はじき。⸢ティーパシ⸣キ[⸢tiːpaʃi̥⸣ki](指はじき)と同じ。可愛い孫などの過度の悪戯をたしなめ<嗜め>たり、とがめ<咎め>たりする際に、片手の指で相手の手の甲を弾くこと。⸢ボー⸣レー ⸢ボー⸣レー ク⸢ヌ ティー⸣ル ⸢ワッ⸣サ⸢ドー[⸢boː⸣reː ⸢boː⸣reː ku⸢nu tiː⸣ru ⸢was⸣sa⸢doː](お利口さんお利口さん、この手が悪いのだね)と言いながら祖母が軽く手を弾いて教えた 10805 0 0 10361 htmvoc_10805.wav ティーピキ ⸢ティー⸣ピキ [⸢tiː⸣pi̥ki] 名 蚕のまゆ(繭)を湯で煮沸し、⸣ユナキー[⸣junakiː](オオハマボウ)の葉を湯に浸して引き揚げて、繭から糸口を手繰り出し、数本まとめて糸を撚り始めること。「手引き」の義。 ⸢シューセンゴバー⸣キ ⸢カイ⸣コーン シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢カイコー⸣ヌ ⸢コー⸣マー ⸢シンマイ⸣ナビナー ⸢ネーシェー⸣ティ ⸢ティー⸣ピキ ⸢シー⸣ イトー トゥ⸢ローッ⸣タン⸢ダー [⸢ʃuːʃeŋgoːbaː⸣ki ⸢kai⸣koːn sï̥⸢ka⸣nai ⸢kaikoː⸣nu ⸢koː⸣maː ⸢ʃimmai⸣nabinaː ⸢neːʃeː⸣ti ⸢tiː⸣pi̥ki ⸢ʃiː⸣ ʔitoː tu⸢roːt⸣tan⸢daː] (終戦後まで蚕も飼って、繭<蚕の卵>を大鍋<四枚鍋>に煮沸しながら手引きをして絹糸を績まれた<取られた>よ) 10806 0 1 10362 htmvoc_10806.wav ティーピクン ⸣ティー ピ⸢クン [⸣tiː pi̥⸢kuŋ] 連 {Mn_1}手を引く。 ⸣マーッふァヌ ⸣ティー ピ⸢ケー⸣ティ ⸢サーリオーッ⸣タ [⸣maːffanu ⸣tiː pi̥⸢keː⸣ti ⸢saːriʔoːt⸣ta] (孫の手を引いて連れていかれた)。 10806 0 2 10363 htmvoc_10806.wav ティーピクン ⸣ティー ピ⸢クン [⸣tiː pi̥⸢kuŋ] 連 {Mn_2}関係を断つ。 ⸢パー⸣ク ⸣ティー ピ⸢カン⸣カー ウ⸢ル⸣キ ⸣ウカ ⸣カブン⸢ダー [⸢paː⸣ku ⸣tiː pi̥⸢kaŋ⸣kaː ʔu⸢ru⸣ki ⸣ʔuka kabun⸢daː] (早く手を引かないと欠損して借金を被るぞ)。 10806 0 3 10364 htmvoc_10806.wav ティーピクン ⸣ティー ピ⸢クン [⸣tiː pi̥⸢kuŋ] 連 {Mn_3}激情<怒り>を抑え、直接行動を抑制する。感情を抑えて手出ししないようにする。イ⸢ジヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣ティー ピ⸢キ ティー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー イ⸢ジ ピキ[ʔi⸢ʤinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣tiː pi̥⸢ki tiː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ʔi⸢ʤi pi̥ki](感情が激したら手を抑制<押さえ>せよ、手が出かけたら感情を抑え<理性を働かせ>よ)沖縄の諺からの転訛 10807 0 0 10365 htmvoc_10807.wav ティーピサ ⸢ティー⸣ピサ [⸢tiː⸣pi̥sa] 名 手のひら(掌)。C1V1C2V2の音節構造で、C2=r、V1=iの場合、[pira] → [pisa] のように法則的に音韻変化する。⸢ティー⸣ピサ[⸢tiːnu⸣pi̥sa](掌)ともいう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティーヌ⸣ピサナー ウ⸢キラ⸣リティ ス⸢ダティラ⸣レール ッ⸢ふァ⸣ダー [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiː⸣pi̥sanaː ʔu⸢kira⸣riti su⸢datira⸣reːru f⸢fa⸣daː] (親の掌に載せられて大切に育てられた子供だよ)。 ⸢ティー⸣ピサナー ウ⸢キ⸣トゥリ [⸢tiː⸣pi̥sanaː ʔu⸢ki⸣turi] (掌に受け取りなさい<恭しく頂戴しなさい>) 10808 0 0 10366 htmvoc_10808.wav ティーピサウサースン ⸢ティー⸣ピサ ウ⸢サースン [⸢tiː⸣pi̥sa ʔu⸢saːsuŋ] 連 合掌する。「掌を合わせる」の義。 ⸢トゥーヌ⸣ ウ⸢ヤビ⸣ヌ ⸢ティー⸣ピサ ウ⸢サーシ ニン⸣ガイ ア⸢ギルン [⸢tuːnu⸣ ʔu⸢jabi⸣nu ⸢tiː⸣pi̥sa ʔu⸢saːʃi niŋ⸣gai ʔa⸢giruŋ] (十本の指の掌をおし合わせて祈願申し上げます<願いあげる>) 10809 0 0 10367 htmvoc_10809.wav ティーピサカイスン ⸢ティー⸣ピサ ⸢カイ⸣スン [⸢tiː⸣pi̥sa ⸢kai⸣suŋ] 連 手のひらを返す。態度を急変させる。裏切る。 ⸢ティー⸣ピサ ⸢カイ⸣ス ⸣カタチニ ⸢アッ⸣タニ ⸢カーリ⸣ アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ シ⸢ラリラー [⸢tiː⸣pi̥sa ⸢kai⸣su ⸣kḁtaʧini ⸢ʔat⸣tani ⸢kaːri⸣ ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʃi⸢rariraː] (掌を返すように急に変わって、あんなことがよくも出来るものだ) 10815 0 0 10368 htmvoc_10815.wav ティーフイッツァムン ⸣ティー ⸢フイッ⸣ツァムン [⸣tiː ⸢ɸuit⸣ʦamuŋ] 連 指をくわえ<\ruby{銜}{クワ}え>る。物欲しそうに<ものほしげに>指を銜える。 ッ⸢ふァイダマー⸣ ティー ⸢フイッ⸣ツァミティ ッ⸢ふァイムヌ⸣ ミリ ⸢ベー [f⸢faidamaː⸣ tiː ⸢fuit⸣ʦamiti f⸢faimunu⸣ miri ⸢beː] (食いしん坊は指を銜えて物欲しそうに食い物を見つめている) 10816 0 0 10369 htmvoc_10816.wav ティーフイルン ⸣ティー ⸢フイルン [⸣tiː ⸢ɸuiruŋ] 連 手が震える。 サ⸢キカク⸣ ナリティル ナー⸢イ⸣ ティー ⸢フイル ブー [sḁ⸢kikaku⸣ naritiru naː⸢i⸣ tiː ⸢ɸuiru buː] (アルコール中毒になって、ずっと手が震えている) 10810 0 0 10370 htmvoc_10810.wav ティーフキ ⸢ティー⸣フキ [⸢tiː⸣ɸu̥ki] 名 指笛。「手吹き」の義。火事や非常事態の場合、指笛を吹き鳴らして緊急の合図に用いる。豊年祭の余興、演舞競技、綱引き、爬龍船競漕、結願祭の余興などで応援したり、感激したりするときに吹き鳴らす。 ⸢ヨイ⸣ヤー イ⸢カムス⸣ク ウ⸢ムッ⸣サユー ウ⸢ヌス⸣ク ⸢テイー⸣フキ ⸢ナーラシ オー⸣ル [⸢joi⸣jaː ʔi⸢kamusu̥⸣ku ʔu⸢mus⸣sajuː ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢tiː⸣ɸu̥ki ⸢naːraʃi ʔoː⸣ru] (祝いはどんなに<如何ほどに>面白いのか、あんなに手<指>を吹き鳴らしておられる) 10811 0 0 10371 htmvoc_10811.wav ティーフクザー ⸢ティーフク⸣ザー [⸢tiːɸu̥ku⸣ʣaː] 名 手仕事の鈍いもの。のろま(鈍間)。愚鈍である。 ⸢ティーフク⸣ザー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ミララヌ [⸢tiːɸu̥ku⸣ʣaː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢miraranu] (鈍感だから彼には仕事はさせられない)。 ⸢ティーフク⸣ザー ⸣ナリティ ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [⸢tiːɸu̥ku⸣ʣaː ⸣nariti ⸣jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (のろま<鈍間>になって役に立たない<使い物にならない>) 10812 0 0 10372 htmvoc_10812.wav ティーフクローン ⸢ティー フクロー⸣ン [⸢tiː ɸu̥kuroː⸣ŋ] 連 手が柔らかい。柔らかい手触りである。手触りが柔らかい。 ⸢ティー フクロー⸣ンダー ⸣カタ ⸢ムーマサバン⸣ イッ⸢ケナ⸣ キ⸢モーッ⸣サ ⸢ムームン [⸢tiː ɸu̥kuroː⸣ndaː ⸣kḁta ⸢muːmasabaŋ⸣ ʔik⸢kena⸣ ki⸢moːs⸣sa ⸢muːmuŋ] (手が柔らかいから、肩を揉ませても非常に気持ちよく揉む)。 ⸢ティー フクロー⸣ ベーティ マ⸢タ⸣ タ⸢ナミ⸣ プサン [⸢tiːɸu̥kuroː⸣ beːti ma⸢ta⸣ ta⸢nami⸣ pu̥saŋ] (手が柔らかいから、また頼みたい) 10813 0 0 10373 htmvoc_10813.wav ティーフコーン ⸢ティーフコー⸣ン [⸢tiːɸu̥koː⸣ŋ] 形 手が遅い。手仕事が鈍い。不器用である。「手鈍さあり」の義。 ⸢ティーフコー⸣ンダー ウ⸢リンマー⸣ カイブ シ⸢グトー⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸢tiːɸu̥koː⸣ndaː ʔu⸢rimmaː⸣ kaibu ʃi⸢gutoː⸣ ta⸢namara⸣nu] (手仕事が鈍くて不器用だから、彼にはこんな仕事は頼まれない<頼めない>)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ティーフコー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢tiːɸu̥koː naː⸣nu] (それほど不器用ではない)。 ⸢ティーフコー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tiːɸu̥koː⸣nu na⸢ra⸣nu] (不器用で堪らない)。 ⸣アイニ ⸢ティーフコー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢tiːɸu̥koː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに不器用な人はいない)。 ⸢ティーフコー⸣ンダ ⸢キン⸣マーンツァン ⸣ドゥーシェー ⸣クー ⸢シーユーサヌ [⸢tiːɸu̥koː⸣nda ⸢kim⸣maːnʦan ⸣duːʃeː ⸣kuː ⸢ʃiːjuːsanu] (手が不器用だから着物さえも自分では繕うことが出来ない<繕えない>)。 ⸢シンダイ ティーフコー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ʃindai tiːɸu̥koː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (次第に不器用になってしまった)。 ⸢ティーフコー⸣ヌ ウ⸢リンマー⸣ タ⸢ナマラヌ [⸢tiːɸu̥koː⸣nu ʔu⸢rimmaː⸣ ta⸢namara⸣nu] (手が不器用なので、彼には頼まれない) 10817 0 0 10374 htmvoc_10817.wav ティーフシ ⸢ティー⸣フシ [⸢tiː⸣ɸu̥ʃi] 名 手癖。盗癖。 ⸢ティーフシ⸣ヌ ⸣アル プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ クーカー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢tiːɸu̥ʃi⸣nu ⸣ʔaru pu̥⸢su⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ kuːkaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (手癖<盗癖>のある人だから、あれが来たら気をつけなさいよ) 10814 0 0 10375 htmvoc_10814.wav ティーフスク ⸢ティーフス⸣ク [⸢tiːɸusu̥⸣ku] 名 手不足。手が塞がって人手が足りない。他の事をする余裕がない。 ⸢タイロー スー⸣ピンマー ⸢シーゾーヤー⸣ヤ ⸢ティーフス⸣ク ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢ス⸣ ヤ⸢トーン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tairoː suː⸣ pimmaː ⸢ʃiːʣoːjaː⸣ja ⸢tiːɸusu̥⸣ku ja⸢runda⸣ pu̥⸢su⸣ ja⸢toːŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (大漁する時は製造屋<鰹節製造工場>は手不足だから、人を雇わないといけない)。 ⸢ヤースクリヤー⸣ヤ ⸢ティーフス⸣ク ヤ⸢ル⸣パジ ⸢ダー⸣バ ⸢ギー テー⸣ナイ ⸢シー⸣ クーバ⸢ヨー [⸢jaːsu̥kurijaː⸣ja ⸢tiːɸusu̥⸣ku ja⸢ru⸣paʤi ⸢daː⸣ba ⸢giː teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ kuːba⸢joː] (家屋新築の家は人手不足だろうから、行って手伝いしてきなさいねえ) 10820 0 0 10376 htmvoc_10820.wav ティーブドゥル ⸢ティーブドゥ⸣ル [⸢tiːbudu⸣ru] 名 簡単な手踊り。簡単な歩き舞い。本格的な儀式の舞踊でない踊り。⸢モー⸣ヤー[⸢moː⸣jaː](手踊り{EOS}<モーユン{SqBr}moojuŋ{/SqBr}>の転訛か)ともいう。 シ⸢マ⸣ナーテー ⸢ヤースク⸣リ ⸢ソーニヨイン⸣ドーレーナー ムー⸢ル トゥンタティティ ティーブドゥ⸣ル ⸢モーヤー⸣バ ⸢シール ヨイ⸣ヤー ソーッタ⸣ル [ʃi⸢ma⸣naːteː ⸢jaːsu̥ku⸣ri ⸢soːnijoin⸣doːreːnaː muː⸢ru tuntatiti tiːbudu⸣ru ⸢moːjaː⸣ba ⸢ʃiːru joi⸣jaː ⸢soːtta⸣ru] (鳩間島では家屋建築や誕生祝い<生年祝い>などに、皆が立ち上がって手踊りやモーヤー踊りをしてお祝いをされたものだ) 10821 0 1 10377 htmvoc_10821.wav ティーフバラリン ⸣ティー フ⸢バラリン [⸣tiː ɸu⸢barariŋ] 連 {Mn_1}手を縛られる。足手まといとなって身動きができなくなる。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー ⸢ウイ⸣ナー ⸢シーヌミッふァ⸣ヌ ⸢ブンダ⸣ ティー フ⸢バラリティ⸣ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢rabi⸣nu ⸢goː⸣raː ⸢ʔui⸣naː ⸢ʃiːnumiffa⸣nu ⸢bunda⸣ tiː ɸu⸢barariti⸣ noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (子供が多い上に、乳飲み子がいるので、手が縛られて何にも出来ない)。 10821 0 2 10378 htmvoc_10821.wav ティーフバラリン ⸣ティー フ⸢バラリン [⸣tiː ɸu⸢barariŋ] 連 {Mn_2}逮捕される<手を縛られる>。 ⸣タンコー ⸢ピンギ⸣ムノー ⸣テイー フ⸢バラリティ サンガリ パッ⸣タ [⸣taŋkoː ⸢piŋgi⸣munoː ⸣tiː ɸu⸢barariti saŋgari pat⸣ta] (炭坑脱走者<炭坑から逃げ者>は逮捕されて<手を縛られて>引きずられて行った) 10822 0 0 10379 htmvoc_10822.wav ティーフバリムヌ ⸢ティーフバリ⸣ムヌ [⸢tiːɸubari⸣munu] 名 あしてまとい(足手纏い)。特に乳飲み子。「手縛りもの」の義。 ⸢ティーフバリムヌ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ウ⸢リ⸣ ミルンティ ⸣イキン ⸣ヌビン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tiːɸubarimunu⸣nu ⸢goː⸣raːnda ʔu⸢ri⸣ mirunti ⸣ʔikin ⸣nubin na⸢ra⸣nu] (足手まといが多いので、一息つく<休む>ことも、欠伸をすることも出来ない) 10823 0 0 10380 htmvoc_10823.wav ティーフバルン ⸣ティー フ⸢バルン [⸣tiː ɸu⸢baruŋ] 連 手を縛る。 シ⸢グトゥ⸣ ピ⸢ルギル⸣カー ⸣ドゥーシ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ティー フ⸢バルン⸣ダー [ʃi⸢gutu⸣ pi⸢rugiru⸣kaː ⸣duːʃi ⸢duːnu⸣ tiː ɸu⸢barun⸣daː] (仕事を広げると自分で自分の手を縛るよ) 10824 0 0 10381 htmvoc_10824.wav ティーブリ ⸢ティー⸣ブリ [⸢tiː⸣buri] 名 手振り。踊りの手振り。 ブ⸢ドゥルヌ ティーブリ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤ ウ⸢ムッ⸣サー パ⸢トゥ⸣マナカムリ⸢ナー [bu⸢durunu tiː⸣nu ⸢kai⸣ja ʔu⸢mus⸣saː pḁ⸢tu⸣manakamuri⸢naː] (踊りの手振りの美しさ、面白さは鳩間節<が一番>だね) 10825 0 0 10382 htmvoc_10825.wav ティーポーキ ⸢ティーポー⸣キ [⸢tiːpoː⸣ki] 名 てぼうき(手箒)。片手で持って使用する柄の短い小さな箒。バ⸢ラフ⸣タポーキ[ba⸢raɸu̥⸣tapoːki](稲藁で作った藁箒)、⸢ユシ⸣キポーキ[⸢juʃi̥⸣kipoːki](ススキの尾花で作った箒)、シ⸢トゥッチ⸣ヌパーポーキ[ʃi̥⸢tutʧi⸣nupaːpoːki](蘇鉄の葉箒)などが作られ、使用されていた。 ⸢ティーポー⸣ケー ⸣シタニ ナ⸢カ⸣ザナーティル シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [⸢tiːpoː⸣keː ⸣ʃi̥tani na⸢ka⸣ʣanaːtiru si̥⸢kaijoːt⸣ta] (手箒はもっぱら台所の土間で使用された) 10826 0 0 10383 htmvoc_10826.wav ティーホースン ⸣ティー ⸢ホー⸣スン [⸣tiː ⸢hoː⸣suŋ] 連 ドアや圧搾機等に手を挟む。「手・喰わせる」の義。 カ⸢ジヌ スー⸣ワ ⸣ピンマー ⸢キーシキラン⸣カー ⸢マーシヤドゥ⸣ナ ⸣ティー ⸢ホー⸣スン<⸢ホーサ⸣リン>⸢ダー [ka⸢ʤinu suː⸣wa ⸣pimmaː ⸢kiːʃikiraŋ⸣kaː ⸢maːʃijadu⸣na ⸣tiː ⸢hoː⸣sun<⸢hoːsa⸣rin>⸢daː] (風の強い日には気をつけないとドア<回し戸>に手を挟むよ) 10827 0 0 10384 htmvoc_10827.wav ティーマービ ⸢ティーマー⸣ビ [⸢tiːmaː⸣bi] 名 てまね(手真似)。手で動作や状態を真似すること。 ヤ⸢ラ⸣ビン ブ⸢ドゥルヌ ⸢ティーマー⸣ビ シ⸢ミリバ ゾー⸣ブンニ ⸢ティーマー⸣ビ ⸢スン⸠ツォー [ja⸢ra⸣bim bu⸢durunu tiːmaː⸣bi ʃi⸢miriba ʣoː⸣bunni ⸢tiːmaː⸣bi ⸢sun⸠ʦoː] (子供に踊りの手真似をさせると上手に手真似をするんですよ) 10828 0 0 10385 htmvoc_10828.wav ティーマーマー ⸢ティーマー⸣マー [⸢tiːmaː⸣maː] 名 てんてこ舞いすること。うろたえ騒ぐこと。周章狼狽すること。あわてふためくこと。 ⸢アッ⸣タニ ⸢ウイヌ⸣ ヤ⸢クバ⸣ヌ プ⸢スヌ コッふァシ オー⸣リ トゥ⸢リム⸣チ ⸢スンティ ティーマー⸣マー ⸢シーベータ⸣ル [⸢ʔat⸣tani ⸢ʔuinu⸣ ja⸢kuba⸣nu pu̥⸢sunu koffaʃi ʔoː⸣ri tu⸢rimu⸣ʧi ⸢sunti tiːmaː⸣maː ⸢ʃiː beːta⸣ru] (急に上の役場の人々が大挙してこられて、それを接待するのに周章狼狽して<てんてこ舞いして>いたよ) 10829 0 0 10386 htmvoc_10829.wav ティーマーラヌ ⸣ティー ⸢マーラヌ [⸣tiː ⸢maːranu] 連 手が回らない。手配りが十分に行き届かない。 ッ⸢ふァトゥ⸣ オー⸢バーキ⸣ル ⸢タンガ⸣シェー シゥ⸢カナーリ⸣ル ピ⸢ビザ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウ クトゥ⸢バー⸣ケー ⸢ティー⸣ヤ ⸢マーラヌ [f⸢fatu⸣ ʔoː⸢baːki⸣ru ⸢taŋga⸣ʃeː sï̥⸢kanaːri⸣ru pi⸢biʣa⸣ sï̥⸢ka⸣nau ⸣ku̥tu⸢baː⸣keː ⸢tiː⸣ja ⸢maːranu] (子供と豚までが<ぞ>一人では養える<飼育できる>のであって、山羊を飼育することまでは手は回らない) 10830 0 0 10387 htmvoc_10830.wav ティーマイフナー ⸢ティーマイ⸣フナー [⸢tiːmai⸣ɸunaː] 名 手の器用な人。「手技の優秀な人」の義。 ク⸢ヌ ッふァー ティーマイ⸣フナー ヤ⸢ルンダ⸣ ブー ⸢ウー⸣ミン ⸢ゾー⸣ジ ⸢ヌーヌ ウリン⸣ イッ⸢ケナ ゾー⸣ジ [ku⸢nu ffaː tiːmai⸣ɸunaː ja⸢runda⸣ buː ⸢ʔuː⸣min ⸢ʣoː⸣ʤi ⸢nuːnu ʔuriŋ⸣ ʔik⸢kena ʣoː⸣ʤi] (この子は手先の器用な人だから、苧を紡ぐ<績む>のも上手、布織りも非常に上手である) 10831 0 0 10388 htmvoc_10831.wav ティーマサーン ⸢ティーマサー⸣ン [⸢tiːmasaː⸣ŋ] 形 巫女の祈祷が霊験あらたかである。祈願に対する霊妙な効験がある。「手正し」の義。 ⸣アッパー ⸢ティーマサー⸣ ア⸢ロー⸣ルンダ ⸣アッパー ⸢ニン⸣ガイ ⸢ヨー⸣ル ⸣ムノー ムー⸢ル トゥー⸣ルン [⸣ʔappaː ⸢tiːmasaː⸣ ʔa⸢roː⸣runda ⸣ʔappaː ⸢niŋ⸣gai ⸢joː⸣ru ⸣munoː muː⸢ru tuː⸣ruŋ] (お祖母さんの祈祷、祈願に対する霊妙な効験があるから、御婆さんが祈願されるのは全部神前に通じる) 10832 0 0 10389 htmvoc_10832.wav ティーマサル ⸢ティーマサ⸣ル [⸢tiːmasa⸣ru] 名 手勝り。技量の優れた人。腕利き。敏腕家。腕前の優れた者。 イ⸢カスク⸣ヌ ⸢ティーマサル⸣ヌル ク⸢ヌ⸣ アヤー ウ⸢リソー⸣レーカヤー [ʔi⸢kasu̥ku⸣nu ⸢tiːmasarunu⸣ru ku⸢nu⸣ ʔajaː ʔu⸢risoː⸣reːkajaː] (いかほどの技量の優れた人がこの文様を織りことが出来るのかなあ) 10833 0 0 10390 htmvoc_10833.wav ティーマチガイ ⸢ティーマチ⸣ガイ [⸢tiːmaʧi⸣gai] 名 手過ち。過失。誤って相手に怪我を負わせること。 ワザッ⸢トゥヤー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ティーマチガイ⸣ル ヤ⸢リバ⸣ ユ⸢ラ⸣シ ッ⸢ふィーリ⸣バ⸢ヨー [waʣat⸢tuja⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢tiːmaʧigai⸣ru ja⸢riba⸣ ju⸢ra⸣ʃi f⸢fiːri⸣ba⸢joː] (わざと<意図的>ではないよ{EOS}誤って怪我させたこと<手過ち>だから許してあげなさいね) 10834 0 0 10391 htmvoc_10834.wav ティーマチブリ ⸢ティーマチ⸣ブリ [⸢tiːmaʧi⸣buri] 名 足手まとい。手足に纏いつかれる。手足にまとわりつかれる。くっ付いて離れない。「手まつわり<手纏わり>」の義。子供などに纏いつかれること。 ッ⸢ふァン ティーマチ⸣ブリ シ⸢ラリテ⸣ パ⸢タ⸣ケーユン パ⸢ララ⸣ヌ シ⸢グトゥン⸣ シ⸢ララヌ⸣ ア⸢ブネーム シーブ [f⸢fan tiːmaʧi⸣buri ʃi⸢rariti⸣ pḁ⸢ta⸣keːjum pa⸢rara⸣nu ʃi⸢gutuŋ⸣ ʃi⸢raranu⸣ ʔa⸢buneːmu ʃiːbu] (子供に纏いつかれて<足手まといされて>畑にも行けない{EOS}仕事も出来ない{EOS}大変なことになった) 10835 0 0 10392 htmvoc_10835.wav ティーマッふァ ⸢ティーマッ⸣ふァ [⸢tiːmaf⸣fa] 名 手枕。腕を枕にすること。 ⸢ヤラビ⸣バ ⸢ティーマッ⸣ふァ ⸢シー⸣ ニ⸢バスン [ja⸢rabi⸣ba ⸢tiːmaf⸣fa ⸢ʃiː⸣ ni⸢basuŋ] (子供を手枕して寝かせる) 10836 0 0 10393 htmvoc_10836.wav ティーマニキ ⸢ティーマニ⸣キ [⸢tiːmani⸣ki] 名 手招き。 ⸢ティーマニ⸣キ ⸢シー ベー ギン⸣シェー タ⸢ナミグトゥヌ⸣ル ⸣アルパジ [⸢tiːmani⸣ki ⸢ʃiː beː giŋ⸣ʃeː ta⸢namigutunu⸣ru ⸣ʔarupaʤi] (手招きをしているからには、頼みごとがあるのだろう<あるはずだ>) 10837 0 0 10394 htmvoc_10837.wav ティーミーザン ⸢ティーミー⸣ザン [⸢tiːmiː⸣ʣaŋ] 形 料理が下手である。「手不味しさあり」の義。 ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス⸣ ムノー ⸢ティーミーザ⸣ヌ プ⸢ス⸣フチンツァン ッ⸢ふァーラヌ [ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu⸣ munoː ⸢tiːmiːʣa⸣nu pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧinʦan f⸢faːranu] (彼が料理する<炊く>ものは不味くて一口さえも食べられない) 10838 0 0 10395 htmvoc_10838.wav ティーミジ ⸢ティー⸣ミジ [⸢tiː⸣miʤi] 名 掌で掬って飲ませる水。手で掬った水。「手水」の転訛したもの。 ⸢ティー⸣ミジ ヌ⸢マ⸣スカー ⸣キモー ⸢ピー⸣チティ ⸣ムカーヤ [⸢tiː⸣miʤi nu⸢ma⸣sukaː ⸣kimoː ⸢piː⸣ʧiti ⸣mukaːja] (手で掬った水を飲ませたら、心は一つというもの<相思相愛の仲>だよ) 10839 0 0 10396 htmvoc_10839.wav ティームタビ ⸢ティームタ⸣ビ [⸢tiːmuta⸣bi] 名 手でいたずらすること。いじくること。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァームティ⸣ ナー⸢イ ティームタ⸣ビ ⸢シー ベー [ja⸢ra⸣beː ⸢ʔiː⸣ja f⸢faːmuti⸣ naː⸢i tiːmuta⸣bi ⸢ʃiːbeː] (子供は、ご飯は食べないで、ただ手でいじくっている) 10845 0 0 10397 htmvoc_10845.wav ティーヤーマ ティー⸢ヤー⸣マ [tiː⸢jaː⸣ma] 名 小さな手。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ティー⸢ヤーマ⸣ヌ ア⸢タラ⸣サ⸢ヨー [ja⸢rabi⸣nu tiː⸢jaːma⸣nu ʔa⸢tara⸣sa⸢joː] (子供の小さな手の可愛いことよ) 10840 0 0 10398 htmvoc_10840.wav ティーヤーラーン ⸣ティー ⸢ヤー⸣ラーン [⸣tiː ⸢jaː⸣raːŋ] 連 踊りの手付きがしなやかで美しい。「手が柔らかである」の義。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ブ⸢ドゥロー⸣ ティー ⸢ヤー⸣ラーンダ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン ⸣アリ ウ⸢ムッ⸣サンドゥ ビ⸢キドゥムヌ⸣ ブ⸢ドゥロー ティー コー⸣ヌ ウ⸢ムッサナー⸣ヌ [mi⸢dumu⸣nu bu⸢duroː⸣ tiː ⸢jaː⸣raːnda ʔik⸢kena kai⸣jaŋ ⸣ʔari ʔu⸢mus⸣sandu bi⸢kidumunu⸣ bu⸢duroː tiːkoː⸣nu ʔu⸢mussanaː⸣nu] (女の踊りは手付きがしなやかで非常に美しくもあり面白いが、男の踊りは手付きが硬くて面白くない) 10841 0 0 10399 htmvoc_10841.wav ティーヤカナイティ ⸢ティー⸣ヤ ⸣カナイティ [⸢tiː⸣ja ⸣kanaiti] 連 腕が優れて。腕が立って。優れた腕前<技量>を持っていて。腕が適って。 ⸣アブジェー ⸢ヤーザイク⸣ヌ ⸢ティー⸣ヤ カ⸢ナイ⸣ル ⸢オーッタ [⸣ʔabuʤeː ⸢jaːʣaiku⸣nu ⸢tiː⸣ja ka⸢nai⸣ru ⸢ʔoːt⸣ta] (お祖父さんは家作りの腕は優れて<適って>おられた) 10842 0 1 10400 htmvoc_10842.wav ティーヤクサーナリ ⸢ティー⸣ヤ ク⸢サー⸣ナリ [⸢tiː⸣ja ku̥⸢saː⸣ nari] 連 {Mn_1}零落するさま。落ちぶれるさま。 ⸢スーカカ⸣ラー ⸢イッソー⸣ラ ⸣スッパイ ⸢シーティル ティー⸣ヤ ク⸢サー⸣ナリ ⸢ガンドー⸣リ ⸢オー⸣ル [⸢suːkaka⸣raː ⸢ʔissoː⸣ra ⸣suppai ⸢ʃiːtiru tiː⸣ja ku̥⸢saː⸣nari ⸢gandoː⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (やることすべて<悉く>失敗して、すっかり落ちぶれて気力を失っておられる)。 10842 0 2 10401 htmvoc_10842.wav ティーヤクサーナリ ⸢ティー⸣ヤ ク⸢サー⸣ナリ [⸢tiː⸣ja ku̥⸢saː⸣ nari] 連 {Mn_2}悪事を働いて逮捕されるさま。「手を後ろにされて」の義。 ヤ⸢ナクトゥバ シール ティー⸣ヤ ク⸢サー⸣ナリ ⸢サンガリ パッ⸣タ [ja⸢nakutuba ʃiːru tiː⸣ja ku̥⸢saː⸣nari ⸢saŋgari pat⸣ta] (悪事を働いて<して>、手を後ろにされて<逮捕されて>引張られていった) 10843 0 0 10402 htmvoc_10843.wav ティーヤニヤン ⸢ティーヤニ⸣ヤン [⸢tiːjani⸣jaŋ] 形 手が汚い。「手汚し」の義。 ⸢ティーヤニヤ⸣ヌ ウ⸢ヌ マー⸣マシェー カ⸢サマラヌ [⸢tiːjanija⸣nu ʔu⸢nu maː⸣maʃeː kḁ⸢samaranu] (手が汚くて、そのままでは掴まれない)。 ⸢ティーヤニ⸣ヤンテー ア⸢ザラヌ [⸢tiːjani⸣janteː ʔa⸢ʣaranu] (手が汚いとはいえない)。 ⸣アイ ⸢バー⸣ケー ⸢ティーヤニ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔai ⸢baː⸣keː ⸢tiːjani⸣jaː ⸢naː⸣nu] (そんなにまで手が汚くはない)。 10843 0 2 10403 htmvoc_10843.wav ティーヤニヤン ⸢ティーヤニ⸣ヤン [⸢tiːjani⸣jaŋ] 形 {Mn_2}手業が拙い。手業が下手である。不器用である。 ⸢ティーヤニ⸣ヤー プ⸢スンマー⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸢tiːjani⸣jaː pu̥⸢summaː⸣ ta⸢namara⸣nu] (不器用な人には頼めない) 10844 0 0 10404 htmvoc_10844.wav ティーヤバーン ⸣ティー ヤ⸢バー⸣ン [⸣tiː ja⸢baː⸣ŋ] 連 手先が器用である。巧みである。巧くこなす。上手である。「手が柔らかい」の義。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ヤ⸢ラビ⸣ヌカー ⸣ティー ヤ⸢バーヤバー⸣シ ブ⸢ドゥル スー⸠ツォー [ʔu⸢bitʧin⸣nu ja⸢rabi⸣nukaː ⸣tiː ja⸢baːjabaː⸣ʃi bu⸢duru suː⸠ʦoː] (こんな小さな子供が、あなた、巧みに踊るんですよ)。 ブ⸢ドゥル⸣ シ⸢ミバ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ティー ヤ⸢バー⸣ン [bu⸢duru⸣ ʃi⸢miba⸣ ʔik⸢kena⸣ tiː ja⸢baː⸣ŋ] (踊りをさせたらば非常に巧みに踊る)。 ⸣アインドゥ ⸣ティー ヤ⸢バー⸣カー ウ⸢リン⸣ シ⸢ミロー⸣<シ⸢ミルワ⸣> マ⸢シ [⸣ʔaindu ⸣tiː ja⸢baː⸣kaː ʔu⸢riŋ⸣ ʃi⸢miroː⸣<ʃi⸢miruwa⸣> ma⸢ʃi] (そんなに巧みである<上手>なら、彼にさせた方がいい) 10847 0 0 10405 htmvoc_10847.wav ティーユーコースン ⸢ティー ユーコー⸣スン [⸢tiː jukoː⸣suŋ] 連 手を休ませる。一息入れさせる。「手憩わせる」の義。 ア⸢ガティダヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナーテー トゥ⸢キドゥ⸣ケー ⸢ティー ユーコー⸣シェーティル シ⸢グトー スー⸣ダー [ʔa⸢gatidanu⸣ na⸢ka⸣naːteː tu̥⸢kidu⸣keː ⸢tiː juːkoː⸣ʃeːtiru ʃi⸢gutoː suː⸣daː] (炎天下では、時々は一息入れさせて手を休ませて<ぞ>仕事はするんだよ) 10846 0 0 10406 htmvoc_10846.wav ティーユクイ ⸢ティー⸣ユクイ [⸢tiː⸣jukui] 名 手休め。仕事の途中で手を休めること。中休み。「手憩い」の義。 ⸢ティー⸣ユクイ ⸢シー サー⸣ユン ⸣ヌミテーラ マ⸢タ ギーバリ フィーラン⸣ノーレー [⸢tiː⸣jukui ⸢ʃiː saː⸣jun ⸣numiteːra ma⸢ta giːbari fiːran⸣noːreː] (手休めをして、お茶でも飲んでから、また頑張ってくれないか) 10848 0 1 10407 htmvoc_10848.wav ティーヨー ⸢ティー⸣ヨー [⸢tiː⸣joː] 名 {Mn_1}手真似。身振り。 ⸢トゥーサヌ⸣ プ⸢ストゥ ティー⸣ヨー ⸢シー⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [⸢tusanu⸣ pu̥⸢sutu tiː⸣joː ⸢ʃiː⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (遠くの人と手真似、身振りで話している)。 10848 0 2 10408 htmvoc_10848.wav ティーヨー ⸢ティー⸣ヨー [⸢tiː⸣joː] 名 {Mn_2}手振り。手招き。 ⸣フネーラ ウ⸢ヌス⸣ク ⸢ティー⸣ヨー ⸢シー ベー⸣ワ ⸣ヌーカヤー [⸣ɸuneːra ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢tiː⸣joː ⸢ʃiː beː⸣wa ⸣nuːkajaː] (船からあのように、しきりに手招きしているが何だろうか) 10849 0 0 10409 htmvoc_10849.wav ティーヨーゾー ⸢ティーヨー⸣ゾー [⸢tiːjoː⸣ʣoː] 名 自己療法。鍼灸治療や瀉血治療などを施して、自分で自己流に治療すること。「手養生」の義。 ⸣バー ⸢ヤン⸣マー ⸣イサ カ⸢カリ⸣バン ⸢ノーサラン⸣ベーティ ⸢ティーヨー⸣ゾー ⸢シール ノーシタ⸣ル [⸣baː ⸢jam⸣maː ⸣ʔisa kḁ⸢kari⸣ban ⸢noːsaram⸣beːti ⸢tiːjoː⸣ʣoː ⸢ʃiːru noːʃi̥ta⸣ru] (私の病気は医者に掛かっても治せないので自己療法で治したよ) 10850 0 0 10410 htmvoc_10850.wav ティーヨーピサヨー ⸢ティーヨーピサ⸣ヨー [⸢tiːjoːpi̥sa⸣joː] 名 身振り手振り。「手真似足真似」の義。 ⸢ティーヨーピサ⸣ヨーシ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢ゾー⸣ブンニ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢リ⸣ブバン ミ⸢ジラ⸣サー [⸢tiːjoːpi̥sa⸣joːʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beːn⸣du ⸢ʣoː⸣bunni pa⸢na⸣ʃeː na⸢ri⸣bubaŋ mi⸢ʤira⸣sa] (手真似足真似で話しているが、十分に話は成立しているわい{EOS}不思議だ<珍しい>ねえ) 10851 0 0 10411 htmvoc_10851.wav ティーヨームイヨー ⸢ティーヨームイ⸣ヨー [⸢tiːjoːmui⸣joː] 名 手振り身振り。手付き目付き。「手様・目様」の転訛したもの。 ⸢ティーヨームイ⸣ヨーシ パ⸢ナスン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ ⸣ カン シ⸢キユーサン⸣バン(カントゥリユーサヌ) [⸢tiːjoːmui⸣joːʃi pa⸢nasun⸣du mut⸢tu⸣ kaŋ ʃi̥⸢kijuːsam⸣baŋ(⸢kanturijuːsa⸣nu)] (手振り身振りで話すのだが、ちっとも<一向に>気付き得ないわい<勘付くことができないわい>) 10852 0 1 10412 htmvoc_10852.wav ティーワザ ⸢ティー⸣ワザ [⸢tiː⸣waʣa] 名 {Mn_1}手仕事。 ⸢ソー⸣キ ⸣フミ ⸢バー⸣キ ス⸢ク⸣リ ⸢ティーヌ⸣ワザシル ⸣ムノー ッ⸢ふァイ ブー [⸢soː⸣ki ⸣ɸumi ⸢baː⸣ki su̥⸢ku⸣ri ⸢tiːnu⸣waʣaʃiru ⸣munoː f⸢fai buː] (箕を編んだり、竹製の笊を造ったり、手仕事でものを食べて<生活して>いる)。 10852 0 2 10413 htmvoc_10852.wav ティーワザ ⸢ティー⸣ワザ [⸢tiː⸣waʣa] 名 {Mn_2}手で犯した悪いこと。手口。 ⸣アイブ ⸢ティー⸣ワザ ウ⸢クシ⸣ル ⸢トゥン⸣ガー ア⸢ティラレー⸣ル [⸣ʔaibu ⸢tiː⸣waʣa ʔu⸢kuʃi⸣ru ⸢tuŋ⸣gaː ʔa⸢tirareː⸣ru] (あんな手口の犯行を起こしたから<ぞ>罪科を当てられたのだろう) 10853 0 0 10414 htmvoc_10853.wav ティーワチライ ⸢ティーワチ⸣ライ [⸢tiːwaʧi⸣rai] 名 手こずること。手を煩わすこと。手を奪われること。「手煩い」の義。 パ⸢トゥ⸣ムヌ ⸣タティティル ⸢ウン⸣ナー ⸢ティーワチ⸣ライ シ⸢ラリティ⸣ パ⸢タキシグ⸣トー ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣munu ⸣tḁtitiru ⸢ʔun⸣naː ⸢tiːwaʧi⸣rai ʃi⸢rariti⸣ pḁ⸢takiʃigu⸣toː noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (織機を仕立てて、それにすっかり手を煩わされて、畑仕事は何にも出来ない) 10854 0 0 10415 htmvoc_10854.wav ティーンカイ ⸢ティーン⸣カイ [⸢tiːʔŋ⸣kai] 名 手向かい。抵抗すること。反抗。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸢ティーン⸣カイ ⸢シ ベー [ja⸢rabi⸣nu ʔu⸢jan⸣naːni ⸢tiːʔŋ⸣kai ⸢ʃiː beː] (子供が親に手向かい<反抗>している) 10946 0 0 10416 htmvoc_10946.wav ティーンザーリ ⸢ティーンザー⸣リ [⸢tiːnʣaː⸣ri] 名 手を煩わし、手こずること。煩雑になって手がもつれ<縺>ること。「手あざり」の転訛か。 ⸣ヌーラ クイラ プ⸢ス⸣ケンナー ⸢シー ティーンザー⸣リ ⸢シーベー [⸣nuːra ⸣kuira pu̥⸢su⸣kenna ⸢ʃiː tiːnʣaː⸣ri ⸢ʃiːbeː] (何もかも一度にやって、手を煩わせて手こずっている<面倒なことになっている>)。 ⸢カイ⸣コ シゥ⸢カ⸣ナイティ ⸢フン⸣トー ⸢ティーンザー⸣リ ⸢シー⸣ パ⸢タキシグ⸣トー ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kai⸣ko si̥⸢ka⸣naiti ⸢ɸun⸣toː ⸢tiːnʣaː⸣ri ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢takiʃigu⸣toː noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (蚕を飼って、ほんとに持て余して、畑仕事は何にも出来ない) 10699 0 0 10417 htmvoc_10699.wav ティーンザスン ⸣ティー ン⸢ザ⸣スン [⸣tiː ʔn⸢ʣa⸣suŋ] 連 手を出す。暴力を振るう。 フ⸢チ⸣シェー イコー⸢ラ⸣ イ⸢ザバン⸣ ミサヌ ⸣ティー ン⸢ザ⸣シェー ナ⸢ラン⸣ダー [ɸu̥⸢ʧi⸣ʃeː ʔikoː⸢ra⸣ ʔi⸢ʣabam⸣ misanu ⸣tiː ʔn⸢ʣa⸣ʃeː na⸢ran⸣daː] (口ではいくら叱ってもよいが、手を出しては<暴力を振るっては>ならないよ) 10856 0 0 10418 htmvoc_10856.wav ティーンザスン ⸢ティーンザ⸣スン [⸢tiːʔnʣa⸣suŋ] 他動 殴る。殴りかかる。手出しする。 ⸣アウカー シ⸢グ ティーンザ⸣スン [⸣ʔaukaː ʃi⸢gu tiːʔnʣa⸣suŋ] (喧嘩したらすぐ殴る)。 ウ⸢レー アウ⸣タンティン ⸣ティーン⸢ザサ⸣ヌ [ʔu⸢reː ʔau⸣tantin ⸣tiː ʔn⸢ʣasa⸣nu] (彼は喧嘩しても殴らない)。 ⸢ティーンザ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ティーンザ⸣ス ⸣クトゥン ⸢スン [⸢tiːʔnʣa⸣ʃi ⸣misakaː ⸢tiːʔnʣa⸣su ⸣ku̥tun ⸢suŋ] (殴って<手だしして>よければ、殴る<手出しする>こともする)。 ⸢ティーンザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢tiːʔnʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (殴れば良いのに)。 ⸢ティーンザ⸣シバ [⸢tiːʔnʣa⸣ʃiba] (殴れよ) 10857 0 0 10419 htmvoc_10857.wav ディカ ディ⸢カ [di⸢ka] 感 さあ。勧誘の意味を表す。気取った、high collarな表現。青年、壮年層の男性が多用した。首里方言からの借用語。普通は⸢ディ⸣ー[⸢di⸣ː](<さあ~よう>よ)という。 シ⸢トゥ⸣キー ナ⸢リ⸣ブバ ディ⸢カ⸣ イ⸢ソー シン⸣ パラ [ʃi̥⸢tu⸣kiː na⸢ri⸣buba di⸢ka⸣ ʔi⸢soː ʃim⸣ para] (潮時<干潮時>になっているから潮干狩り<漁>に行こうよ) 10858 0 0 10420 htmvoc_10858.wav ティガキルン ティ⸢ガキ⸣ルン [ti⸢gaki⸣ruŋ] 他動 手掛ける。仕事を始める。 シ⸢グトー⸣ ア⸢ツァー⸣ラ ティ⸢ガキ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ドング⸣ヌ ス⸢ロー⸣ンダ ティ⸢ガキララ⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ ʔa⸢ʦaː⸣ra ti⸢gaki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢doŋgu⸣nu su⸢roː⸣nda ti⸢gakirara⸣nu] (仕事は明日から手掛けようと思うが、道具が揃わないので手掛けられない)。 シ⸢グトゥ⸣ ティ⸢ガキ⸣ル ⸣ピンマー ⸢バン⸣ヌン ヤ⸢ラビ⸣ヨー [ʃi⸢gutu⸣ ti⸢gaki⸣ru ⸣pimmaː ⸢ban⸣nuŋ ja⸢rabi⸣joː] (仕事を手掛けるときは私も呼べよ)。 ⸢パー⸣ク ティ⸢ガキ⸣リ [⸢paː⸣ku ti⸢gaki⸣ri] (早く手掛けろ) 10859 0 0 10421 htmvoc_10859.wav ディカシェーン ディ⸢カ⸣シェーン [di⸢ka⸣ʃeːŋ] 感 でかした。うまくやった。よくやったぞ。 ⸣ユー ディ⸢カ⸣シェーン [⸣juː di⸢ka⸣ʃeːŋ] (よくやった)。 パ⸢リスー⸣ブナー イ⸢チ⸣バン ⸣ナリ ディ⸢カ⸣シェーツバン [pa⸢risuː⸣bunaː ʔi⸢ʧi⸣ban ⸣nari di⸢ka⸣ʃeːʦubaŋ] (駆けっこで一番になって、でかしたよ) 10860 0 0 10422 htmvoc_10860.wav ティガミ ティ⸢ガ⸣ミ [ti⸢ga⸣mi] 名 手紙。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ ティ⸢ガ⸣メー マ⸢ダ⸣ トゥ⸢ドゥカ⸣ヌ [ʔu⸢ki⸣naːranu ti⸢ga⸣meː ma⸢da⸣ tu⸢duka⸣nu] (沖縄からの手紙は、まだ届かない) 10861 0 1 10423 htmvoc_10861.wav ティガラ ティ⸢ガ⸣ラ [ti⸢ga⸣ra] 名 {Mn_1}手柄。 ノー⸢ン⸣ ティ⸢ガ⸣ラー ア⸢ギユーサン ベー⸣ティル ヤ⸢ミシミラリタ⸣ツォー [noː⸢n⸣ ti⸢ga⸣raː ʔa⸢gijuːsam beː⸣tiru ja⸢miʃimirarita⸣ʦoː] (何も手柄をあげることができないので<ぞ>やめさせられたそうだ)。 10861 0 2 10424 htmvoc_10861.wav ティガラ ティ⸢ガ⸣ラ [ti⸢ga⸣ra] 名 {Mn_2}獲物。 イ⸢ガウメーラヌ⸣ ティ⸢ガ⸣ラー ⸢ダイ⸣スビ フ⸢タッカラトゥ⸣ ヒ⸢ラ⸣クサー プ⸢スッ⸣カラ ⸢ヤッタ [ʔi⸢gameːranu⸣ ti⸢ga⸣raː ⸢dai⸣subi ɸu̥⸢takkaratu⸣ çi⸢ra⸣ku̥saː pu̥⸢suk⸣kara ⸢jatta] (\ruby{烏賊釣}{イ|カ|ツ}り漁<烏賊海>からの獲物は大鮪二匹とめかじき一匹だった) 10862 0 0 10425 htmvoc_10862.wav ティキ ティ⸢キ [ti̥⸢ki] 名 敵。仇。 ⸢ジントー⸣レー ティ⸢キ ミカ⸣タ バ⸢カ⸣リティル カ⸢サミックナー⸣シ⸢タル⸠ナー [⸢ʤintoː⸣reː ti̥⸢ki mika⸣ta ba⸢ka⸣reːtiru ka⸢samikkunaː⸣ ʃi̥⸢taru⸠naː] (陣取り競争は敵味方に分かれて掴み競べをしたものだよねえ)。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ティ⸢キ⸣ ヤ⸢リバ マーズンマー⸣ ビ⸢シララヌ [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ti̥⸢ki⸣ ja⸢riba maːʣummaː⸣ bi⸢ʃiraranu] (彼ら二人は敵同士だから、一緒には座らされない) 10863 0 0 10426 htmvoc_10863.wav ティキウチ ティ⸢キウチ [ti̥kiʔuʧi] 名 敵討ち。仇討ち。 イ⸢サナキヌ⸣ シ⸢バヤー⸣ナー ティ⸢キウチヌ⸣ シ⸢バヤーヌ  アッタ⸣ヌ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サタン [ʔi⸢sanakinu⸣ ʃi⸢bajaː⸣naː ti̥⸢kiʔuʧinu⸣ ʃi⸢bajaːnu ʔatta⸣nu ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣sataŋ] (石垣の芝居小屋に敵討ちものの芝居があったが、非常に面白かった) 10864 0 0 10427 htmvoc_10864.wav ディキブツ ディ⸢キ⸣ブツ [di⸢ki⸣buʦu] 名 優れた人物。秀才。標準語「できぶつ(出来物)」から転訛したもの。 ⸢ウン⸣ネヌ ア⸢ブ⸣ジェー ⸢デージ⸣ヌ ディ⸢キ⸣ブツ ヤ⸢ローッ⸣タツォー [⸢ʔun⸣nenu ʔa⸢bu⸣ʤeː ⸢deːʤi⸣nu di⸢ki⸣butu ja⸢roːt⸣taʦoː] (その家のお祖父さんは大変な秀才<大変優れた人物>であられたそうだ) 10865 0 0 10428 htmvoc_10865.wav ディキヤー ディ⸢キ⸣ヤー [di⸢ki⸣jaː] 名 秀才。出来物。よく出来る人。沖縄方言からの借用語。 ウ⸢レー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンラ ディ⸢キ⸣ヤー ⸢ヤッタ [ʔu⸢reː⸣ ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenra di⸢ki⸣jaː jatta] (彼は子供の頃から秀才<出来物>であった) 10866 0 1 10429 htmvoc_10866.wav ディキラスン ディ⸢キラ⸣スン [di⸢kira⸣suŋ] 他動 {Mn_1}稔らせる。 ⸢ホーライ⸣マイ ス⸢ク⸣リ ディ⸢キラ⸣スンティ ⸢ベー [⸢hoːrai⸣mai su̥⸢ku⸣ri di⸢kira⸣sunti ⸢beː] (蓬莱米を作付けして稔らせようとしている)。 ス⸢ク⸣リ ディ⸢キラ⸣シ ミリ [su̥⸢ku⸣ri di⸢kira⸣ʃi ⸣miri] (作付けして稔らせてごらん)。 ス⸢ク⸣リ ディ⸢キラ⸣ス プ⸢ソー ター⸣カヤー [su̥⸢ku⸣ri di⸢kira⸣su pu̥⸢soː taː⸣kajaː] (作付けして稔らせる人は誰だろうか)。 ディ⸢キラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [di⸢kira⸣ʃeː ⸣misamunu] (作物を稔らせれば良いのに)。 ⸢マイ⸣ ス⸢ク⸣リ ディ⸢キラ⸣シ [⸢mai⸣ su̥⸢ku⸣ri di⸢kira⸣ʃi] (稲を作って稔らせ)。 10866 0 2 10430 htmvoc_10866.wav ディキラスン ディ⸢キラ⸣スン [di⸢kira⸣suŋ] 他動 {Mn_2}成功させる。 シ⸢グトー⸣ ディ⸢キラ⸣シ ケーンティ⸢ダー [ʃi⸢gutoː⸣ di⸢kira⸣ʃi keːnti⸢daː] (仕事を成功させてきたそうだよ) 10867 0 1 10431 htmvoc_10867.wav ディキルン ディ⸢キ⸣ルン [di⸢ki⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}出来る。作物が実る。豊作である。 ク⸢トシヌ マイヤー⸣ ユー デ⸢キ⸣レーン<⸢ノー⸣レーン> [ku̥⸢tuʃinu maijaː⸣ juː di⸢ki⸣reːŋ<⸢noː⸣reːŋ>] (今年の稲はよく実っている)。 ⸢ナン⸣ゾー ディ⸢キラン⸣バン [⸢nan⸣ʣoː di⸢kiram⸣baŋ] (あんまり実らないわい)。 ⸣アイニ ディ⸢キ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [⸣ʔaini di⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (あんなに実ることはないはずだ)。 ⸢マー⸣ビン ディ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin di⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (もっと稔ればよいのに)。 10867 0 2 10432 htmvoc_10867.wav ディキルン ディ⸢キ⸣ルン [di⸢ki⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}勉強がよくできる。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケン⸣ ディ⸢キ⸣ルン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢ken⸣ di⸢ki⸣ruŋ] (この子は非常に出来る<勉強がよく出来る>)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ディ⸢キン⸣ギサン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ di⸢kiŋ⸣gisaŋ] (この子は出来そうだ) 10868 0 0 10433 htmvoc_10868.wav ディクッチ ディ⸢クッ⸣チ [di⸢kut⸣ʧi] 名 理屈っぽい人。聡明な人。悪智恵の働く人。利得に\ruby{聡}{サト}い人。リ⸢クッ⸣チ[ri⸢kut⸣ʧi](聡明な人{EOS}利得に聡い人)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ディ⸢クッ⸣チ ヤ⸢ルンダ⸣ スン ⸢スー⸣ シ⸢グトー⸣ サ⸢ヌ [ʔu⸢reː⸣ di⸢kut⸣ʧi ja⸢runda⸣ sun ⸢suː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢nu] (彼は利得に聡い人だから、損をする仕事はしない) 10869 0 0 10434 htmvoc_10869.wav ディクッツァー ディ⸢クッ⸣ツァー [di⸢kut⸣ʦaː] 名 悪智恵の働く人。理屈を\ruby{捏}{コ}ね回す人。相手を\ruby{貶}{オトシ}めた表現。若年層は、リ⸢クッ⸣ツァー[ri⸢kut⸣ʦaː]ともいう。 ⸢ウンザー⸣ ディ⸢クッ⸣ツァー ヤ⸢ルンダ ドゥー⸣ヌ ⸣トゥク ⸢スー⸣ クトゥ⸢カーニル カンガイ⸣ル [⸢ʔunʣaː⸣ di⸢kut⸣ʦaː ja⸢runda duː⸣nu ⸣tuku ⸢suː⸣ ku̥tu⸢kaːniru kaŋgai⸣ru] (あいつは悪智恵の働く人だから、自分が得することだけを考える) 10870 0 0 10435 htmvoc_10870.wav ティクバリ ティ⸢ク⸣バリ [ti⸢ku⸣bari] 名 手配り。手配。 ⸢ヤー⸣フキ ⸢スー⸣ ピンマー ⸣ガヤー ス⸢リ⸣プス ⸣ヤー フ⸢キプス⸣ ユー ティ⸢ク⸣バリ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー [⸢jaː⸣ɸu̥ki ⸢suː⸣ pimmaː ⸣gajaː su⸢ri⸣pu̥su ⸣jaː ɸu̥⸢kipusu⸣ juː ti⸢ku⸣bari ⸢saŋ⸣kaː na⸢ran⸠daː] (屋根葺きする時は茅を刈る人、屋根を葺く人をよく手配りしないといけないよ) 10871 0 0 10436 htmvoc_10871.wav ティグル ティ⸢グ⸣ル [ti⸢gu⸣ru] 名 手頃。その人に相応しいもの。それに適しているもの。 テ⸢グル⸣ヌ ⸢ダイ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢カウバ⸣ マ⸢シ [ti⸢guru⸣nu ⸢dai⸣ ja⸢runda⸣ ma⸢na⸣ma ⸢kauba⸣ ma⸢ʃi] (手頃の値段だから今買った方がいいよ)。 ティ⸢グル⸣ヌ ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢ナーン⸣バン [ti⸢guru⸣nu mu⸢nu⸣nu ⸢naːm⸣baŋ] (手頃の物がないよ) 10872 0 0 10437 htmvoc_10872.wav ティジ ティ⸢ジ [ti⸢ʤi] 名 頂上。頂き。てっぺん。 ヤ⸢マ⸣ヌ ティ⸢ジ [ja⸢ma⸣nu ti⸢ʤi] (山の頂上)。 ⸢ヤー⸣ヌ ティ⸢ジ [⸢jaː⸣nu ti⸢ʤi] (屋根の頂き)。 ⸢ヤー⸣ヌ ティ⸢ジ⸣ナー ⸣パトゥザヌ トゥ⸢マリ ベー⸣タン [⸢jaː⸣nu ti⸢ʤi⸣naː ⸣pḁtuʣanu tu⸢mari beː⸣taŋ] (屋根の頂上に山鳩が止まっていた)。/カイサムイタル ムニンヌクバ タカサムイタル ティジヌクバ/(美しく生えた中岡の\ruby{蒲葵}{ク|バ}、高く生えた揃った頂上の蒲葵)(<\ruby{鳩間中岡}{パトゥ|マ|ナカ|ムリ}>第二連) 10727 0 0 10438 htmvoc_10727.wav ティシー ティ⸢シー [ti⸢ʃiː] 連 ~として。~とて。活用語の終止形を受けて、~ということで、~という理由で、の意味を表す。⸣ティ[⸣ti]は格助詞で、引用を表す。⸢シー[⸢ʃiː](して)は⸢スン[⸢suŋ](する)の接続形。 ⸢バン⸣ヌン ⸢マーズン⸣ パルンティ⸢シー⸣ ス⸢コーリ ベー [⸢ban⸣nun ⸢maːʣum⸣ parunti⸢ʃiː⸣ su̥⸢koːri beː] (私も一緒に行くといって<ということで>準備している) 10873 0 0 10439 htmvoc_10873.wav ティジバナ ティ⸢ジバナ [ti⸢ʤibana] 名 頂花。女踊りの際、⸢カン⸣プー[⸢kam⸣puː](女の頭頂の結い髪)に\ruby{挿}{サ}す花のかんざし(簪)。 ウ⸢ブブドゥ⸣ル ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー ティ⸢ジバナン⸣ ガ⸢マ⸣ジナ ッ⸢シ⸣ソーッタ [ʔu⸢bubudu⸣ru ⸢soː⸣ru ⸣pimmaː ti⸢ʤibanan⸣ ga⸢ma⸣ʤina ʃ⸢ʃi⸣soːtta] (古典踊り<大踊り>をされる時は頂花も髪に挿された) 10874 0 0 10440 htmvoc_10874.wav ティジリビー ティ⸢ジリ⸣ビー [ti⸢ʤiri⸣biː] 名 男性神職者。「手擦り部」の義。各御嶽にはサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)とティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者{EOS}⸢カン⸣プス{SqBr}⸢kam⸣pu̥su{/SqBr}<神人>ともいう)が一人ずつ所属している。ティ⸢ジリ⸣ビーはシ⸢キダ⸣チ ズングニチ[ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧi](\ruby{朔日}{ツイ|タチ}、十五日)の朝、御嶽に参拝して清掃するのが慣わしであった。 ティ⸢ジリビー⸣ヤ シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチナーヤ ⸣ウガン ⸢オー⸣リ ⸢ニンガイ⸣ヤー ⸢ソー⸣リティ ⸣カキソージ ⸢ソーッ⸣タ [ti⸢ʤiribiː⸣ja ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧinaːja ⸣ʔugaŋ ⸢ʔoː⸣ri ⸢niŋgai⸣jaː ⸢soː⸣riti ⸣kḁkisoːʤi ⸢soːt⸣ta] (男性神職者は朔日、十五日には御嶽に行かれ、祈願をされて清掃をされた)。友利御嶽のティ⸢ジリ⸣ビーは米盛富太郎氏、ピナイ<鬚川>御嶽は加治工伊佐氏、アラカー御嶽は東里清光氏、ニシドー御嶽は鳩間真吉氏がティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː]であった 10875 0 0 10441 htmvoc_10875.wav ティスクン ⸢ティス⸣クン [⸢tisu̥⸣kuŋ] 名 げんこつ(拳骨)。握りこぶし(拳)。「手つくみ」の義。 ⸣ドゥクナリ ⸢ブー⸣カー ⸢ティス⸣クン ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣dukunari ⸢buː⸣kaː ⸢tisu̥⸣kun f⸢faːʃi⸣ba] (あまりひどい<酷い>ようだったら、拳骨を食わしてやれよ) 10876 0 0 10442 htmvoc_10876.wav ティスクンドゥル ⸢ティスクン⸣ドゥル [⸢tisu̥kun⸣duru] 名 拳骨を床に打ちつけて激しく怒るさま。 ⸣アボー ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リティ ⸢ティスクン⸣ドゥル ⸢シェー⸣ティ イ⸢ゾーッ⸣タ [⸣ʔaboː ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣riti ⸢tisu̥kun⸣duru ⸢ʃeː⸣ti ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (お母さんは怒って、拳骨を床に打ちつけながら激しく叱られた) 10877 0 0 10443 htmvoc_10877.wav ティスヌ ⸣ティ ス⸢ヌ [⸣ti su⸢nu] 連 ~というが。「⸣-ティ ア⸢ズヌ[-ti ʔa⸢ʣunu](~というが)」の転訛したもの。 ウ⸢リン⸣ パルンティ ス⸢ヌ ヌー⸣シカヤ ナ⸢レー [ʔu⸢rim⸣ parunti su⸢nu nuː⸣ʃikaja na⸢reː] (彼も行くというが、どうなんだろうかな、それは) 10878 0 1 10444 htmvoc_10878.wav ティダ ⸣ティダ [⸣tida] 名 {Mn_1}太陽。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢アーロー⸣ルン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔaːroː⸣ruŋ] (太陽が昇られる)。 10878 0 2 10445 htmvoc_10878.wav ティダ ⸣ティダ [⸣tida] 名 {Mn_2}ひなた<日向>。 ク⸢マー⸣ キー ⸣ティダ ヌ⸢クミンテー⸣ナ パ⸢ナ⸣シバ [ku⸢maː⸣ kiː ⸣tida nu⸢kuminteː⸣na pa⸢na⸣ʃiba] (ここへ来て日光に当たりながら<日光浴をしながら>話しなさいよ)。 10878 0 3 10446 htmvoc_10878.wav ティダ ⸣ティダ [⸣tida] 名 {Mn_3}日光。太陽光。 ピ⸢ルキーヌ スー⸣ワバ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ティダナカー ン⸢ザス⸣ナ⸢ヨー [pi⸢ruiːnu suː⸣waba ja⸢ra⸣beː ⸣tidanakaː ʔn⸢ʣasu⸣na⸢joː] (陽光の熱気<陽光の息>が強いから子供は\ruby{SqBr}g{/SqBr}{日向}{ヒナタ}に<炎天下>に出させるなよ) 10879 0 0 10447 htmvoc_10879.wav ティダアミ ⸣ティダアミ [⸣tidaʔami] 名 そばえ。わたくし雨。日照雨。日光がさしているのに降る雨。むらしぐれ。通り雨。狐の嫁入り。限られた小地域に降るにわか雨。お天気雨。「太陽雨」の義。 ナ⸢チヌ⸣ ティダアメー ウ⸢シヌ⸣ カ⸢タ⸣シヌ ⸢ゾーラスン [na⸢ʧinu⸣ tidaʔameː ʔu⸢ʃinu⸣ kḁ⸢ta⸣ʃinu ⸢ʣoːrasuŋ] (真夏の通り雨<そばえ>は牛の片角を濡らす)。 ナ⸢チヌ⸣ ティダアメー カ⸢タ⸣ブイ ⸢スン [na⸢ʧinu⸣ tidaʔameː kḁ⸢ta⸣bui ⸢suŋ] (夏の日照り雨は限られた片方だけを濡らして降る<片降りする>) 10880 0 0 10448 htmvoc_10880.wav ティダイ ⸣ティダイ [⸣tidai] 名 おごり(奢)。他人にご馳走を振舞うこと。 ⸢キュー⸣ヌ ス⸢バー⸣ヤ ⸣バー ティダイ [⸢kjuː⸣nu su⸢baː⸣ja ⸣baː ⸣tidai] (今日のおそばは私の奢りだ) 10881 0 0 10449 htmvoc_10881.wav ティダイキ ⸣ティダイキ [⸣tidaʔiki] 名 太陽の熱気。ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣イキ[ti⸢da⸣nu ⸣ʔiki](太陽の息、熱気)ともいう。「太陽の息」の義。 ⸣ティダイキヌ ⸢スーワ⸣ヌ ⸢ヨーコイ⸣ ナルンケンマー ⸣フカー ン⸢ジララ⸣ヌ [⸣tidaʔikinu ⸢suːwa⸣nu ⸢joːkoi⸣ naruŋkemmaː ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (太陽の熱気<息>が強くて、夕方<夕陰>になるまでは外へは出られない) 10882 0 0 10450 htmvoc_10882.wav ティダイムヌ ティ⸢ダイ⸣ムヌ [ti⸢dai⸣munu] 名 金を出して人にふるまうもの。奢るもの。 ⸢ワー⸣ ティ⸢ダイ⸣ムノー ⸢ヌー⸣バ ム⸢トーッ⸣ター [⸢waː⸣ ti⸢dai⸣munoː ⸢nuː⸣ba mu⸢toːt⸣taː] (貴方の振る舞い物<奢るもの>としては何を持って行かれ<来られ>ましたか) 10884 0 0 10451 htmvoc_10884.wav ティダイルン ティ⸢ダイ⸣ルン [ti⸢dai⸣ruŋ] 他動 奢る。他人にご馳走を振舞う。 ウ⸢リ⸣ ティ⸢ダイ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ ⸢スンカブ⸣ル ⸢シェー⸣チバン [ʔu⸢ri⸣ ti⸢dai⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ⸢suŋkabu⸣ru ⸢ʃeː⸣ʃibaŋ] (彼を奢ろうとして損したよ)。 ティ⸢ダイ⸣ プサンドゥ ティ⸢ダイララ⸣ヌ [ti⸢dai⸣ pu̥sandu ti⸢dairara⸣nu] (奢りたいが奢られない)。 ティ⸢ダイ⸣ル プ⸢ソー⸣ ⸢パー⸣ク ティ⸢ダイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ti⸢dai⸣ru pu̥⸢soː paː⸣ku ti⸢dai⸣jaː ⸣misamunu] (奢る人は早く奢ればいいのに)。 ⸢ワー⸣ラン ティ⸢ダイ⸣リ [⸢waː⸣ran ti⸢dai⸣ri] (君からも奢れ) 10883 0 0 10452 htmvoc_10883.wav ティダウン ⸣ティダウン [⸣tidauŋ] 他動 おごる(奢る)。他人にご馳走を振舞う。 ⸣スバー ⸣ティダイ ッ⸢ふァースン [⸣subaː ⸣tidai f⸢faːsuŋ] (ソバを奢って食べさせる)。 プ⸢ソー⸣ ティ⸢ダー⸣バン カ⸢リノー⸣ イッ⸢カ⸣ ティダウ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢soː⸣ ti⸢daː⸣ban ka⸢rinoː⸣ ʔik⸢ka⸣ tidau ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (他の人が奢っても彼が奢ることはない)。 ン⸢ベーマ⸣ナー ティ⸢ダイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣naː ti⸢dai⸣jaː misamunu] (少しずつは奢ればよいのに)。 ⸢キュー⸣ワ ⸢ワー⸣ ティダイバ [⸢kjuː⸣wa ⸢waː⸣ tidaiba] (今日は君が奢れよ)。 ⸣アツァー ⸣バー ⸣ティダウン [⸣ʔaʦaː ⸣baː ⸣tidauŋ] (明日は私が奢る) 10885 0 0 10453 htmvoc_10885.wav ティダガナシ ティ⸢ダガナ⸣シ [ti⸢dagana⸣ʃi] 名 お天道様。 ティ⸢ダガナシ⸣ヌ ⸢アンターラ アーロー⸣ルン [ti⸢daganaʃi⸣nu ⸢ʔantaːra ʔaːroː⸣ruŋ] (お天道様が東から上られる) 10887 0 0 10454 htmvoc_10887.wav ティダナカ ⸣ティダナカ [⸣tidanaka] 名 ひなた(日向)。日光の差し込んでいる所。日光のあたる所。「太陽中」の転訛したもの。 ナ⸢チヌ⸣ ティダナカナー ア⸢ガティダン⸣ プ⸢サ⸣レーティ ⸢イー⸣シ ⸢カイ⸣スンティ ⸢ベー [na⸢ʧinu⸣ tidanakanaː ʔa⸢gatidam⸣ pu̥⸢sa⸣reːti ⸢ʔiː⸣ʃi ⸢kai⸣sunti ⸢beː] (夏の太陽のもとで灼熱の太陽に干されて角又を裏返そうと<裏返して日干ししようと>している) 10888 0 0 10455 htmvoc_10888.wav ティダナマルン ⸣ティダ ナ⸢マ⸣ルン [⸣tida na⸢ma⸣ruŋ] 連 灼熱の陽光が弱まる。陽光がなまる(\ruby{鈍}{ナマ}る)。夏の太陽は午後3時頃から日差しが弱くなり始めるので、その時刻を見計らって野良仕事に出かけ、日没頃まで働き、ゆうずつ(夕星{EOS}宵の明星)を見ながら帰宅した。 ⸣アツァンダ ティ⸢ダ⸣ヌ ナ⸢マラバ⸣ル パ⸢タ⸣ケーヤ パ⸢ラリ⸣ル [⸣ʔaʦanda ti⸢da⸣nu na⸢maraba⸣ru pḁ⸢ta⸣keːja pa⸢rari⸣ru] (暑いから日差しが弱まってからしか畑へは行けない<陽光が鈍らばぞ畑へは行かれる>) 10889 0 0 10456 htmvoc_10889.wav ティダヌアーリジブン ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢アーリジブン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔaːriʤibuŋ] 連 日の出時分。太陽が上る時分。 ナ⸢チェー⸣ ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢アーリジブンラ⸣ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢サシューバ⸣ フ⸢メー⸣ティル パ⸢タ⸣ケーユン ⸢オーッタ⸣ル [na⸢ʧeː⸣ ti⸢da⸣nu ⸢ʔaːriʤibunra⸣ mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢saʃuːba⸣ ɸu⸢meː⸣tiru pḁ⸢ta⸣keːjuŋ ⸢ʔoːtta⸣ru] (夏は日の出の時分から、昔の人は朝露を踏みながら<ぞ>畑にも行かれたのだよ) 10886 0 0 10457 htmvoc_10886.wav ティダヌイーリジブン ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリジブン [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːriʤibuŋ] 連 日暮れ時。日没時。太陽の入る時分。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリジブンバー⸣キ ⸣ダンプヌ⸢ソー⸣ジン サ⸢ムティ⸣ ア⸢サビブリバ シー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːriʤibumbaː⸣ki ⸣dampunu ⸢soː⸣ʤin sa⸢muti⸣ ʔa⸢sabiburiba ʃiː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (日暮れ時分までランプの掃除もしないで遊び\ruby{惚}{ホウ}けて、何だこれは)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢イーリジブンバー⸣キ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣ソーッタ [ti⸢da⸣nu ⸢ʔiːriʤibumbaː⸣ki pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣soːtta] (日没時まで畑を耕された) 10891 0 0 10458 htmvoc_10891.wav ティダヌカタ ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ [ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta] 連 太陽の絵。太陽の形。歌謡語。 ⸢ヤー⸣ ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナカー ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ⸣ アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ ku⸢nu jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣nakaː ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta⸣ ʔanti ⸣suː] (ああ、この家の中に太陽の絵があるという)(アーパーレ歌) 10892 0 0 10459 htmvoc_10892.wav ティダヌカタカ ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ [ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta⸣ka] 連 日除け。「太陽の影」の義。 ⸣クマー ⸢イーリティダヌ スーワン(スー⸣ヤン)ダ ⸢ユシ⸣キシダル ⸣タティティ ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸣kumaː ⸢ʔiːritidanu suːwan(suː⸣jan)da ⸢juʃi̥⸣kiʃidaru ⸣tḁtiti ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta⸣ka ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (ここは西日が強いから、ススキ簾を立てかけて日除け<太陽の影>にして置きなさい) 10893 0 0 10460 htmvoc_10893.wav ティダヌクムン ⸣ティダ ヌ⸢ク⸣ムン [⸣tida nu⸢ku⸣muŋ] 連 \ruby[g]{日向}{ヒナタ}ぼっこをする。陽に当たって温まる。「太陽を温む」の義。 ⸣アッパー ⸣マンタヌ ⸢トゥーシ⸣ナ ビ⸢リティ⸣ ティダ ヌ⸢ク⸣ミ ⸢ヨー⸣ル(オール) [⸣ʔappaː ⸣mantanu ⸢tuːʃi⸣na bi⸢riti⸣ tida nu⸢ku⸣mi ⸢joː⸣ru(⸢ʔoː⸣ru)] (お祖母さんは前の縁側に座って日向ぼっこして<太陽に当って暖を取って>おられる) 10894 0 0 10461 htmvoc_10894.wav ティダヌヤフ ティ⸢ダ⸣ヌヤフ [ti⸢da⸣nujaɸu] 名 日食。「太陽の厄」の義。 ティ⸢ダ⸣ヌヤフ カ⸢カリ⸣ル(ドゥ) ⸢オー⸣ル [ti⸢da⸣nujaɸu kḁ⸢kari⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (日食になっている{EOS}太陽は食がかかっている) 10895 0 0 10462 htmvoc_10895.wav ティダビー ⸣ティダビー [⸣tidabiː] 名 日射病。熱中症か。「太陽酔い」の義。夏の強い直射日光に長時間\ruby{曝}{サラ}されると起きる症状。倒れたり、体温が上昇して激しい\ruby{倦怠感}{ケン|タイ|カン}をおぼえたりする。熱くて気だるくなり、何も出来なくなる状態。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ⸣ティダビーバ ⸢シー⸣ ダ⸢ラシ⸣キティ シ⸢グトゥン⸣ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ⸣tidabiːba ⸢ʃiː⸣ da⸢raʃi̥⸣kiti ʃi⸢gutun⸣ noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (あまりにも熱いので体調を崩して<太陽酔いをして>、気だるくなって座り込んで仕事も何にも出来ない) 10896 0 0 10463 htmvoc_10896.wav ティダプスマ ティ⸢ダプス⸣マ [ti⸢dapusu⸣ma] 名 日中。白昼。昼日中。「太陽昼間」の義。 ティ⸢ダプス⸣マーラ サ⸢キバ⸣ ヌメーティ バ⸢カヤーナーヌ [ti⸢dapu̥su⸣maːra sḁ⸢kiba⸣ numeːti ba⸢kajaː naːnu] (白昼<昼日中>から酒を飲んで恥ずかしくないのか) 10897 0 0 10464 htmvoc_10897.wav ティダマキ ⸣ティダマキ [⸣tidamaki] 名 夏の強い直射日光に長時間\ruby{晒}{サラ}されて体調に異常をきたすこと。⸣ティダビー[⸣tidabiː]の重い症状。発熱したり、気分が悪くなったり、頭痛・めまい・意識消失などを起こす。熱中症。一種の日射病か。「太陽負け」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ティダナ プ⸢サ⸣リ ア⸢サビティル⸣ ティダマキバ ⸢シー⸣ フカイティ ニ⸢ビマーキ ベー⸣バ ス⸢ブ⸣ル ヒ⸢ヤ⸣シバ [ja⸢ra⸣beː ⸣tidana pu̥⸢sa⸣ri ʔa⸢sabitiru⸣ tidamakiba ⸢ʃiː⸣ ɸu̥kaiti ni⸢bimaːki beː⸣ba su⸢bu⸣ru çi⸢ja⸣ʃiba] (子供は太陽に干されて遊んで体調を崩して、体温が急に上昇して眠れなくなって<眠りかねて>いるから、頭を冷しなさいよ) 10898 0 0 10465 htmvoc_10898.wav ティツ ティ⸢ツ [ti̥⸢ʦu] 名 鉄。新しく借用された語。「鉄」の転訛したもの。普通は、カ⸢ニ[ka⸢ni](鉄)という。ティ⸢ツナビ[ti̥⸢ʦunabi](鉄鍋)、ティ⸢ツ⸣ヤッコン[ti̥⸢ʦu⸣jakkoŋ](鉄製の薬缶)などというが、カ⸢ニ⸣ヤッコン[ka⸢ni⸣jakkoŋ](鉄製の薬缶)が普通の言い方。カ⸢ニ⸣ヤッコンが普及する以前は、⸣ブラヤッコン[⸣burajakkoŋ](法螺貝の薬缶<湯沸し>)で湯を沸かした 10900 0 0 10466 htmvoc_10900.wav ティッツァー ⸢ティッ⸣ツァー [⸢tit⸣ʦaː] 名 拍手。手を打つこと。「手打ち合い」の転訛したもの。「手打ち手打ち」『虎寛本狂言・鬼の継子』の転訛か。 ムー⸢ル⸣シ ⸢ティッ⸣ツァー ⸢シー⸣ ウタ イ⸢ジ ベー [muː⸢ru⸣ʃi ⸢tit⸣ʦaː ⸢ʃiː⸣ ʔuta ʔi⸢ʤi beː] (皆で手を打って<拍手をして>歌を歌っている)。 カ⸢タ⸣ティーシェー ⸢ティッ⸣ツァー サ⸢ラヌ [kḁ⸢ta⸣tiːʃeː ⸢tit⸣ʦaː sa⸢ranu] (片手では拍手は出来ない) 10901 0 0 10467 htmvoc_10901.wav ティッツァースン ⸢ティッ⸣ツァー ⸢スン [⸢tit⸣ʦaː ⸢suŋ] 連 拍手する。 ウ⸢タ⸣ヌ ウ⸢ムッ⸣サカー ムー⸢ル ティッ⸣ツァー ⸢スン [ʔu⸢ta⸣nu ʔu⸢mus⸣sakaː muː⸢ru tit⸣ʦaː ⸢suŋ] (歌が面白かったら、皆拍手するよ) 10902 0 0 10468 htmvoc_10902.wav ティットーマキ ⸢ティットー⸣マキ [⸢tittoː⸣maki] 名 糸を親指と小指に掛けて、8の字形に巻き取ること。 ク⸢ヌ ユー⸣ロー ⸢ティットー⸣マキ ⸢シー⸣ シケーバ ア⸢ザーラ⸣ヌ [ku⸢nu juː⸣roː ⸢tittoː⸣maki ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːba ʔa⸢ʣaːra⸣nu] (この糸は8字形の巻取りをしてあるから絡みつかない<からまらない{EOS}\ruby{縺}{モツ}れない>よ) 10903 0 0 10469 htmvoc_10903.wav ティップー ⸢ティップー [⸢tippuː] 名 鉄砲。 ⸢ティップー⸣シ ⸣カマイ イ⸢ルン [⸢tippuː⸣ʃi ⸣kamai ʔi⸢ruŋ] (鉄砲で猪を撃つ<射る>) 10904 0 1 10470 htmvoc_10904.wav ティップーヌタマ ⸢ティップーヌ⸣ タマ [⸢tippuːnu⸣ tama] 連 {Mn_1}鉄砲の弾。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ティップーヌ⸣ タマナ ア⸢タリル マーラソー⸣レーツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː tippuː⸣nu ⸣tamana ʔa⸢tariru maːrasoː⸣reːʦoː] (その人は鉄砲の弾に当たって<ぞ>亡くなられたそうだ)。 10904 0 2 10471 htmvoc_10904.wav ティップーヌタマ ⸢ティップーヌ⸣ タマ [⸢tippuːnu⸣ tama] 連 {Mn_2}鉄砲の弾のように行ったきり戻らないこと。 ⸢ウンザー ティップーヌ⸣ タマ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ ムヌ タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː tippuː⸣nu ⸣tama ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ munu ta⸢namara⸣nu] (あの野郎は鉄砲玉<行ったきり戻らない人>だから、彼には物事を頼め<頼まれ>ない) 10905 0 0 10472 htmvoc_10905.wav ティップスディ ⸢ティップスディ [⸢tippusudi] 名 筒袖。 シ⸢グトゥキンマー⸣ ムー⸢ル ティップスディ⸣ ナリ⸢ブー [ʃi⸢gutukimmaː⸣ muː⸢ru tippusudi⸣ nari⸢buː] (仕事着は皆筒袖になっている) 10899 0 0 10473 htmvoc_10899.wav ティツヤッコン ティ⸢ツ⸣ヤッコン [ti̥⸢ʦu⸣jakkoŋ] 名 鉄製の薬缶。鉄瓶。カ⸢ニ⸣ヤッコン[ka⸢ni⸣jakkoŋ](鉄瓶)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ティ⸢ツ⸣ヤッコンナール ⸢シンジフチ⸣ロー シ⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ti̥⸢ʦu⸣jakkonnaːru ⸢ʃinʤiɸu̥ʧi⸣roː ʃi⸢ʣoːt⸣ta] (昔は鉄瓶で煎じ薬は煎じられたものだ) 10906 0 0 10474 htmvoc_10906.wav ティドゥク ティ⸢ドゥ⸣ク [ti⸢du⸣ku] 名 山の名。西表北岸の⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)、トゥ⸢マダー[tu⸢madaː](泊田)、⸢ケー⸣ダ[⸢keː⸣da](慶田)の南に聳える古見の連山。この山からウ⸢ブ⸣ミジ[ʔu⸢bu⸣miʤi](大見謝川)、⸢ケーダガー⸣ラ[⸢keːdagaː⸣ra](ケーダ川)、⸢クーラガーラ[⸢kuːragaːra](久浦川)、ナ⸢ダラガーラ[na⸢daragaːra](ナダラ川)などが流出する 10907 0 0 10475 htmvoc_10907.wav ティヌ ⸣ティヌ [⸣tinu] 助 助詞連語。~との。動作・作用・状態の内容、伝聞を表す格助詞⸢トゥ[⸢tu](と)に、格助詞⸢ヌ[⸢nu](の)が付いた形。活用語の終止形、命令形につく。 ⸢パー⸣ク ⸣クーティヌ ティ⸢ガミ⸣ヌ ⸣ケーツォー [⸢paː⸣ku ⸣kuːtinu ti⸢gami⸣nu ⸣keːʦoː] (早く来いとの手紙が来たそうだ) 10908 0 0 10476 htmvoc_10908.wav ティバ ⸣-ティバ [⸣-tiba] 並立 ~とか。~やら。~や。 10908 0 0 10477 htmvoc_10908.wav ティバ ⸣-ティバ [⸣-tiba] 並立 {Exp_1}名詞類に付いて同類のものごとを列挙して示す。 ⸣カナー ヤ⸢ラ⸣ビティバ ⸢ウイ⸣プスティバ ヤ⸢マシ⸣カ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー⸣ンツォー [⸣kanaː ja⸢ra⸣bitiba ⸢ʔui⸣pu̥sutiba ja⸢maʃi̥⸣ka ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beːn⸣ʦoː] (あそこには子供やら老人やら大勢集まっているそうだ)。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸣ヌーティバ ⸢クイ⸣ティバ ⸢ユーズ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーン [⸢ʔun⸣neːja ⸣nuːtiba ⸢kui⸣tiba ⸢juːʣuː⸣nu ⸢goː⸣raːŋ] (あの家は何だの<何や>かんだの<かや>と祭祀が多い)。 10908 0 0 10478 htmvoc_10908.wav ティバ ⸣-ティバ [⸣-tiba] 並立 {Exp_2}用言の終止形に付いて同類の物事を列挙して示す。 ⸣カクンティバ カ⸢カン⸣ナティバ ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ ムネー ムッ⸢トゥ⸣ チ⸢ム⸣エー ワ⸢カラ⸣ヌ [⸣kḁkuntiba kḁ⸢kan⸣tiba ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ muneː mut⸢tu⸣ ʧi⸢mu⸣jeː wa⸢kara⸣nu] (書くとか、書かないとか、あれの言うことはちっとも訳が分らない<肝・和え分からない>) 10909 0 1 10479 htmvoc_10909.wav ティバーヤ ⸣ティバーヤ [⸣tibaːja] 終助 ~ってば。~ったら。{Mn_1}動詞の命令形について、軽い命令を表す。 ⸢ダンダン⸣シ ⸣パリッティ⸣バーヤ イ⸢チンバー⸣キン ⸣ウナー ⸢ベーン⸣ナ [⸢dandaŋ⸣ʃi ⸣parittibaːja ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ⸣ʔunaː ⸢beːn⸣na] (さっさと行けってば{EOS}いつまでもそこにいるな)。 10909 0 2 10480 htmvoc_10909.wav ティバーヤ ⸣ティバーヤ [⸣tibaːja] 終助 {Mn_2}形容詞の終止形について、確認強調を表す。 イッ⸢ケン カイ⸣ヤンティバーヤ [ʔik⸢keŋ kai⸣jantibaːja] (非常に美しいってば) 10910 0 0 10481 htmvoc_10910.wav ティバフ ティ⸢バ⸣フ [ti⸢ba⸣ɸu] 名 かせ(綛)を巻き取る道具。糸枠。カ⸢シ⸣カキ[kḁ⸢ʃi⸣kaki](綛掛け踊り)の小道具にも用いる。鳩間島の古典舞踊、カ⸢ナ⸣カキ[ka⸢na⸣kḁki](綛掛け踊り)の小道具として用いられる。演舞者の左手に持つ工字形の糸枠。右手に持つ六角柱形の糸巻きは、イ⸢トゥ⸣マキ[ʔi⸢tu⸣maki](糸巻き)という(大城學氏伝承)。また、人によっては、右手に持つ糸巻きを、ティ⸢バ⸣フ[ti⸢ba⸣ɸu]、左手に持つ工字形の糸枠を、ワ⸢ク[wa⸢ku](枠)という(大城初氏、仲本ユキ氏伝承)こともある 10911 0 0 10482 htmvoc_10911.wav ティブク ティ⸢ブ⸣ク [ti⸢bu⸣ku] 名 ⸢手矛」の義。茅葺き屋根を葺く際に、茅を押さえるのに用いる、直径約3センチ、長さ約3メートルの若木叉は竹。根の先端を削って矛状にし、それを差し込みながら継ぎ足していく。屋根葺きは屋内からパ⸢ルシキ⸣プス[pa⸢ruʃi̥ki⸣pu̥su](針突き人)が⸢ヤーシキ⸣パル[⸢jaːʃi̥ki⸣paru](竹槍の家葺き針{EOS}屋根突き針)を突き出すと、それに屋根葺きがシ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](締め縄)を貫き通し、針突きが一旦屋内に引き込んで垂木を\ruby{跨}{マタガ}らせて再び屋根の上に突き出す。屋根葺きはそれを受け取って、ティ⸢ブ⸣ク[ti⸢bu⸣ku]に掛け、縄を二重に強く巻き締めて葺き茅を抑え、順々に屋根を葺きあげていく。足でトントンと踏み固めて締めつけ、葺き進める。葺き手とパルシキプスが声を掛け合いながら竹槍の針を突き出すタイミングを計って屋根葺きをした。 シ⸢ミナー⸣ヤ タ⸢ルキ⸣トゥ ティ⸢ブ⸣クナー ⸣カキティル シ⸢ミ⸣シキ ⸣ヤー フ⸢コーッ⸣タ [ʃi⸢minaː⸣ja ta⸢ruki⸣tu ti⸢bu⸣kunaː ⸣kakitiru ʃi⸢mi⸣ʃi̥ki ⸣jaː ɸu̥⸢koːt⸣ta] (屋根葺き用の締め縄は垂木と茅を押さえる手矛に掛けて<ぞ>強く引き締めて屋根は葺かれた) 10912 0 0 10483 htmvoc_10912.wav ティフン ⸣ティフン [tiɸuŋ] 名 手本。模範。 ⸢マイフナー⸣ マ⸢リ⸣ プ⸢スヌ⸣ ティフン ナ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [⸢maiɸunaː⸣ ma⸢ri⸣ pu̥⸢sunu⸣ ti̥ɸun na⸢raŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (立派な人間になって、人の手本<鑑、模範>とならなければならないよ) 10913 0 1 10484 htmvoc_10913.wav ティマ ⸣ティマ [⸣tima] 名 {Mn_1}手間。手数。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ティマー ッ⸢ふン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʔik⸢kena⸣ timaː f⸢fuŋ] (この仕事は非常に手間がかかる<手間を食う>)。 ⸣ティマ ッ⸢ふァイシグトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣tima f⸢faiʃigutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (手間のかかる仕事は出来ない)。 10913 0 2 10485 htmvoc_10913.wav ティマ ⸣ティマ [⸣tima] 名 {Mn_2}手間賃。 ⸣ティマー ⸣トゥレーティ ア⸢ラン⸣カー ⸣カイブ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣timaː ⸣tureːti ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸣kaibu ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (手間賃をとってでないと、こんな仕事は出来ない) 10914 0 0 10486 htmvoc_10914.wav ティマーカカルン ⸣ティマー カ⸢カ⸣ルン [⸣timaː kḁ⸢ka⸣ruŋ] 連 手間隙が<は>掛かる。手数が掛かる。時間がかかる。 ク⸢リ ノー⸣スモー ⸣ティマー カ⸢カ⸣ルン [ku⸢ri noː⸣sumoː ⸣timaː kḁ⸢ka⸣ruŋ] (これを治すのは手間\ruby{隙}{ヒマ}<時間>が掛かる) 10915 0 0 10487 htmvoc_10915.wav ティマーカキルン ⸣ティマー カ⸢キ⸣ルン [⸣timaː kḁ⸢ki⸣ruŋ] 連 手間隙を掛ける。手数を掛ける。世話を掛ける。 ⸣カイブ ⸣クトゥナ ⸢バー⸣キ ⸢ワーン⸣ ティマー カ⸢キ⸣シミ ⸣クナイ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [⸣kaibu ⸣ku̥tuna⸢baː⸣ki ⸢waːn⸣ timaː kḁ⸢ki⸣ʃimi ⸣kunai f⸢fiːri⸣joː] (こんな事にまで君に手間隙を掛けさせて<手数を掛けさせて>、堪えてくれよ) 10916 0 0 10488 htmvoc_10916.wav ティマーカクン ⸣ティマー ⸣カクン [⸣timaː ⸣kḁkuŋ] 連 手間隙をかける。手数を掛ける。⸣ティマー カ⸢キ⸣ルン[⸣timaː kḁ⸢ki⸣ruŋ](手間を掛ける)と同じ。 プ⸢スン⸣ ティマー カ⸢ク⸣ナ [pu̥⸢sun⸣ timaː kḁ⸢ku⸣na] (他人に手間を掛けるな) 10917 0 0 10489 htmvoc_10917.wav ティマーピマー ティマー⸢ピマー [timaː⸢pimaː] 名 手間隙。 ティマー⸢ピマー ッふァイ⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ナッ⸣ふァ シゥ⸢カナイ⸣プソー ⸢シーユーサヌ [timaː⸢pimaː ffai⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢naf⸣fa sï̥⸢kanai⸣pusoː ⸢ʃiːjuːsanu] (手間隙を食う仕事は、幼い子供を養育する人には出来ない<し得ない>) 10919 0 0 10490 htmvoc_10919.wav ティマシグトゥ ティ⸢マシグ⸣トゥ [ti⸢maʃigu⸣tu] 名 手間仕事。一定の手間賃を貰ってする仕事。 プ⸢スン⸣ヤヌ ティ⸢マシグ⸣トゥ ⸢シンティル パッタ⸣ル [pu̥⸢suɲ⸣janu ti⸢maʃigu⸣tu ⸢ʃintiru patta⸣ru] (余所の家の手間仕事をしにと<ぞ>行ったのだ) 10918 0 0 10491 htmvoc_10918.wav ティマッふァイムヌ ティマッ⸢ふァイムヌ [timaf⸢faimunu] 名 手間を食うもの。手間のかかるもの。時間のかかるもの。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ティマッ⸢ふァイムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ バン⸣マー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ timaf⸢faimunu⸣ ja⸢runda bam⸣maː na⸢ra⸣nu] (この仕事は手間のかかるものだから<手間を食うものだから>私には出来ない) 10920 0 0 10492 htmvoc_10920.wav ティマトーアタラヌ ティ⸢マ⸣トー ア⸢タラヌ [ti⸢ma⸣toː ʔa⸢taranu] 連 仕事が割りに合わない。引き合わない。 ティ⸢マ⸣トー ア⸢タラン⸣ シ⸢グトゥ ヤラバン サン⸣カー ⸣ムノー ッ⸢ふァイ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ti⸢ma⸣toː ʔa⸢taraŋ⸣ ʃi⸢gutu jaraban saŋ⸣kaː ⸣munoː f⸢fai⸣ pa⸢rara⸣nu] (割りに合わない<手間とは合わない>仕事でも、<仕事を>しなければものを食べて行かれない) 10921 0 0 10493 htmvoc_10921.wav ティラ ティ⸢ラ [ti⸢ra] 名 寺。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ティ⸢ラヌ ゾー⸣ヌ ⸣ニヨープトゥキ ウ⸢ガマシター⸣ル パ⸢シットゥ ナッ⸣タツォー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ti⸢ranu ʣoː⸣nu ⸣nijoːpu̥tuki ʔu⸢gamaʃi̥taː⸣ru pḁ⸢ʃittu nat⸣taʦoː] (その子は寺の門の仁王仏を拝ませたので<ぞ>すっかり元気になった<気分爽快になった>そうだ) 10922 0 0 10494 htmvoc_10922.wav ティラスン ティ⸢ラ⸣スン [ti⸢ra⸣suŋ] 他動 照らす。 ⸢トゥー⸣ル ⸣シキ ティ⸢ラ⸣シバ [⸢tuː⸣ru ⸣ʃi̥ki ti⸢ra⸣ʃiba] (ランプ<灯籠>を点けて照らしなさい)。 ティ⸢ラ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ティ⸢ラサラ⸣ヌ [ti⸢ra⸣sunti ⸢sundu⸣ ti⸢rasara⸣nu] (照らそうとするが照らされない)。 ⸢マー⸣ビン ティ⸢ラシ⸣ プサカー ティ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ti⸢raʃi⸣ pu̥sakaː ti⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと照らしたければ照らせば良いのに)。 ティ⸢ラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ti⸢ra⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (照らすことは出来ない)。 ⸣アールカーラ ⸢アーリ⸣オール ウ⸢ブシキンガー⸣ナ⸢シー⸣ ウ⸢キ⸣ナーン ⸢ヤイ⸣マーン ティ⸢ラショ⸣ー⸢リー [⸣ʔaːrukaːra ⸢ʔaːri⸣oːru ʔu⸢buʃi̥kiŋgaː⸣na⸢ʃiː⸣ ʔu⸢ki⸣naːɲ ⸢jai⸣maːn ti⸢raʃo⸣ː⸢riː] (東の空から上がって来られるお月様、沖縄も八重山も照らしてください{SqBr}童謡{/SqBr}) 10923 0 0 10495 htmvoc_10923.wav ティラテー ティ⸢ラテー [ti⸢rateː] 名 屋号。大城伊佐氏宅。旧鳩間小学校の西隣にある。同家の前の道で、豊年祭の綱引きや⸢プールゾーラ⸣キ[⸢puruzoːra⸣ki](豊年祭りの奉納舞踊)が行われた。 イ⸢ラカザケーヌ アー⸣ネール ティ⸢ラテー ヤッタ [ʔi⸢rakaʣakeːnu ʔaː⸣neːru ti⸢rateː jatta] (西加治工家の東隣が大城伊佐氏宅だった) 10924 0 0 10496 htmvoc_10924.wav ティラヌウニプトゥキ ティ⸢ラヌ⸣ ウニプトゥキ [ti⸢ranu⸣ ʔunipu̥tuki] 連 寺の仁王仏。「寺の鬼仏」の義。桃林寺門の仏像。鳩間島では、病弱な子供を石垣島へつれて行き、桃林寺の仁王仏を拝観させると邪気が祓われて健康になると伝えられていた。 ⸢ビョー⸣ザール ヤ⸢ラ⸣ベー ティ⸢ラヌ⸣ ウニプトゥキ ウ⸢ガマス⸣カー パ⸢シットゥ⸣ ナルンティ ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢bjoː⸣ʣaːru ja⸢ra⸣beː ti⸢ranu⸣ ʔunipu̥tuki ʔu⸢gama⸣sukaː pḁ⸢ʃittu⸣ narunti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (病弱な子供は寺<桃林寺>の仁王仏を拝ませると元気<気分爽快>になるといわれたものだ) 10925 0 0 10497 htmvoc_10925.wav ティラヌボージ ティ⸢ラヌボー⸣ジ [ti⸢ranuboː⸣ʤi] 名 僧侶。坊主。和尚さん。「寺の坊主」の義。 テ⸢ラヌボー⸣ジ タ⸢ナ⸣ミ ⸣キー キ⸢トー⸣ シ⸢ミリ⸣バ [ti⸢ranu boː⸣ʤi ta⸢na⸣mi ⸣kiː ki̥⸢toː⸣ ʃi⸢miri⸣ba] (寺の僧侶<坊主>を頼んできて、祈祷させなさいよ) 10926 0 0 10498 htmvoc_10926.wav ティリユーナー ティ⸢リユーナー [ti⸢rijuːnaː] 連 照り合い。 ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ⸣ ミ⸢リ⸣バ ティ⸢リユーナー⸣ドゥ ⸢シーユール [ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta⸣ mi⸢ri⸣ba ti⸢rijuːnaː⸣du ⸢ʃiːjuːru] (太陽の絵を見ると、照り輝いている<照り輝き合いをぞしている>)(アーパーレー歌) 10927 0 1 10499 htmvoc_10927.wav ティル ⸣ティル [⸣tiru] 助 {Mn_1}助詞連語。~とぞ。引用の格助詞⸣ティ[⸣ti](と)に強意の係助詞⸣ル(ドゥ)[ru(du)](ぞ)が付いた形。 ⸣ドゥーシ ⸢カン⸣ガイティル ア⸢ゾーッタ⸣ル プ⸢ス⸣ニ タ⸢ナ⸣ミテー ア⸢ゾーラン⸣シェン [⸣duːʃi ⸢kaŋ⸣gaitiru ʔa⸢ʣoːt⸣taru pu̥⸢su⸣ni ta⸢na⸣miteː ʔa⸢ʣoːraŋ⸣ʃeŋ] (自分で考えよと言われたのであって、他人に頼めとはおっしゃらなかった)。 10927 0 2 10500 htmvoc_10927.wav ティル ⸣ティル [⸣tiru] 助 {Mn_2}~という。~とした。 ⸢ニン⸣ギンティル ム⸢ヌ⸣ヌ ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ ミサンティ ウ⸢モーリン [⸢niŋ⸣gitiru mu⸢nu⸣nu ⸣kaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ misanti ʔu⸢moːriŋ] (人間たる<とした>ものが、こんなことをして良いと思われるのか) 10928 0 0 10501 htmvoc_10928.wav ティル ⸣ティル [⸣tiru] 名 \ruby{笊}{ザル}。笊の総称。普通は⸢ウン⸣ディル[⸢ʔun⸣diru](芋を入れる笊)をさす。⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](トウズルモドキ)の皮を使って編み上げた笊。フ⸢タディル[ɸu̥⸢tadiru](竹の皮で編んだ蓋付きの弁当籠)には弁当を入れて畑へ持参したり、台所に吊るしておいたりした。クージは西表島に豊富に産する。皮は柔らかく扱いやすい。長いものは20メートル以上に達するので、大小さまざまな笊を編むことができる。⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi]は小屋を造ったりする際にも藁縄の代用に使用された。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢クー⸣ジシル ⸣ティロー フ⸢モーッタ⸣ル [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢kuː⸣ʤiʃiru ⸣tiroː ɸu⸢moːtta⸣ru] (鳩間の人はトウズルモドキで<ぞ>笊は編まれたものだ) 10929 0 0 10502 htmvoc_10929.wav ティル ⸣ティル [⸣tiru] 名 漁獲用の籠(笊)。直径約1メートル、高さ約20センチの円形の枠に網を張って作った漁獲用の籠。中央部の垂れ下がった丸い入り口から魚が中の餌にひかれて籠の中に入る仕組みで、一度中に入ったら出られない仕掛けになっている。糸満漁師が鳩間島に導入したもの。 ⸢オン⸣デー ⸢ピー⸣カーンドーレーヤ ⸣ティルシン トゥ⸢ローッ⸣タン [⸢ʔon⸣deː ⸢piː⸣kaːndoːreːja ⸣tiruʃin tu⸢roːt⸣taŋ] (ハナアイゴやブチアイゴなどはティルでも漁獲されたものだ) 10930 0 0 10503 htmvoc_10930.wav ティルン ⸣ティルン [⸣tiruŋ] 自動 照る。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸣ティルン [ti⸢da⸣nu ⸣tiruŋ] (太陽が照る)。 シ⸢キ⸣ヌ ティ⸢ラン⸣カー ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʃi̥⸢ki⸣nu ti⸢raŋ⸣kaː ʔa⸢rakara⸣nu] (月が照らないと歩かれない)。 ⸣シケー ⸣ティリ ッ⸢ふィーリバル⸣ イ⸢ソーン⸣ パ⸢ラ⸣リ [⸣ʃi̥keː ⸣tiri f⸢fiːribaru⸣ ʔi⸢soːm⸣ pa⸢ra⸣ri] (月が照ってくれたらばこそ、潮干狩りにも行けるのだ)。 ⸣ティル シ⸢キ⸣ヌ ⸢イーラー⸣ カ⸢トン⸣クンケン ⸣マティ ⸢ベー⸣リ [⸣tiru ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢ʔiːraː⸣ kḁ⸢toŋ⸣kuŋkem ⸣mati ⸢beː⸣ri] (照る月が西に傾くまで待っておれ)。 ⸢パー⸣ク ⸣ティレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣tireː ⸣misamunu] (早く照れば良いのに)。 ⸣クナーティ ⸣ティリ [⸣kunaːti ⸣tiri] (ここで照れ) 10931 0 0 10504 htmvoc_10931.wav ティローマ ティ⸢ロー⸣マ [ti⸢roː⸣ma] 名 小さな笊。潮干狩りで漁獲物を入れるのに用いる小さな笊。びく(魚籠)の一種。トウズルモドキの皮や竹の皮で編んで作った。アダンの気根の繊維で綯った縄で作った魚籠は⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku](箱型網袋の運搬具{EOS}一種の野外用ハンドバッグ)という。 ティ⸢ローマ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ⸣タクン ⸣ミナン トゥ⸢ロー⸣レーン [ti⸢roːma⸣nu ⸢pit⸣ʧin ⸣tḁkum ⸣minan tu⸢roː⸣reːŋ] (小さな笊<魚籠>のいっぱい蛸も\ruby{蜷}{ニナ}も獲ってきておられる) 10932 0 1 10505 htmvoc_10932.wav ティン ⸢ティン [⸢tiŋ] 名 {Mn_1}天。天空。空。蒼穹。 ⸢アウティン [⸢ʔautiŋ] (青空)。 ⸢ティンラ⸣ タ⸢カヌ⸣ パ⸢ヤー⸣ トゥ⸢ビ パッ⸣タ [⸢tinra⸣ ta⸢kanu⸣ pa⸢jaː⸣ tu⸢bi pat⸣ta] (天から<大空を>鷹が南の方へと飛んで行った)。 ⸢ティンラ⸣ ウリクン [⸢tinra⸣ ʔurikuŋ] (天から降りてくる)。 ⸢ティンバー⸣キン ⸢ヌールン [⸢timbaː⸣kin ⸢nuːruŋ] (天までも登る)。 ⸢ティンヌ⸣ ブ⸢リブシ [⸢tinnu⸣ bu⸢ribuʃi] (天の群れ星{EOS}すばるぼし<昴星>)。 10932 0 2 10506 htmvoc_10932.wav ティン ⸢ティン [⸢tiŋ] 名 {Mn_2}天の神様。天帝。 ⸢ティンマー⸣ ミシゥ⸢カーマシ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢timmaː⸣ misï̥⸢kaːmaʃi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (天の神様は何でも見通してお出でだ<天網恢恢疎にして漏らさず>) 10933 0 1 10507 htmvoc_10933.wav ティン ⸣ティン [⸣tiŋ] 接助 {Mn_1}~とも。格助詞⸣ティ[⸣ti](~と、<引用>)に係助詞⸣ン[⸣ŋ](~も)の付いた形。活用語の終止形、体言、体言相当語に付く。 ⸣カクンティン カ⸢カン⸣ティン ノー⸢ンティン ナーン⸣シェン [⸣kḁkuntiŋ kḁ⸢kan⸣tin noː⸢ntin naːŋ⸣ʃeŋ] (書くとも書かないとも、何ともなかった)。 ⸣パルンティン パ⸢ラン⸣ティン ノー⸢ンティン⸣ ア⸢ザヌ [⸣paruntim pa⸢ran⸣tin noː⸢ntiŋ⸣ ʔa⸢ʣanu] (行くとも行かないとも、何とも言わない)。 ⸣ウヤティン ⸢キョー⸣ダイティン ブ⸢ラーヌ [⸣ʔujatiŋ ⸢kjoː⸣daitim bu⸢raːnu] (親とても兄弟とてもいない)。 10933 0 2 10508 htmvoc_10933.wav ティン ⸣ティン [⸣tiŋ] 接助 {Mn_2}たとい~ても。たとい~とも。たとい~たとしても。たとい~とて。過去の助動詞⸣タン[tan](~た)の終止形につく。仮定の条件をあげて後件が前件に拘束されない意を強く表す。 ギュー⸢サ⸣ アジ シゥ⸢カシタンティン⸣ バー ム⸢ニ⸣ヨー イッ⸢カ⸣ シゥ⸢カヌ [gjuː⸢sa⸣ ʔaʤi sï̥⸢kaʃitantim⸣ baː mu⸢ni⸣joː ʔik⸢ka⸣ sï̥⸢kanu] (いくら説いて教えても<言って聞かせても>私の話をいっこうに聞かない)。 マ⸢ナ⸣マンドーレーラ ⸢パッ⸣タンティン マ⸢ニアー⸣ヌ [ma⸢na⸣mandoːreːra ⸢pat⸣tantim ma⸢niʔaː⸣nu] (今頃から行っても間に合わない) 10937 0 0 10509 htmvoc_10937.wav ティンガーラ ⸢ティンガーラ [⸢tiŋgaːra] 名 天の川。 タ⸢ナバタヌ マーラー ティンガーラン⸣ ユー ミ⸢ラ⸣リン [ta⸢nabatanu maːraː tiŋgaːraɲ⸣ juː mi⸢ra⸣riŋ] (七夕の頃には天の川もよく見られる) 10934 0 0 10510 htmvoc_10934.wav ティンガイ ⸢ティンガイ [⸢tiŋgai] 名 葬具の一つ。朱塗りの槇棒の頂に竜頭<たつがしら>を付けてある。「天蓋(てんがい)」の義。葬列の、⸢ガンダラゴー[⸢gandaragoː](龕<がん>{EOS}棺を納めて担ぎ運ぶ葬具)の前をティンガイを持った人が歩く。死者を守るといわれている。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ガンダラゴーヌ⸣ マンタナール ⸢ティンガイ⸣ ム⸢ティ⸣プソー ア⸢ラ⸣コーッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gandaragoːnu⸣ mantanaːru ⸢tiŋgai⸣ mu⸢ti⸣pu̥soː ʔa⸢ra⸣koːtta] (昔は棺を納めて担ぎ運ぶ龕の前を天蓋を持つ人が歩かれた) 10935 0 0 10511 htmvoc_10935.wav ティンガマー ⸢ティン⸣ガマー [⸢tiŋ⸣gamaː] 名 悪戯小僧。腕白坊主。悪戯坊主。あくたれ(悪たれ)。⸢テン⸣ガマー[⸢teŋ⸣gamaː](悪戯小僧)ともいう。 ク⸢ヌ ッふァー サッ⸣コー ⸢ティン⸣ガマー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ ムヌ ミ⸢シル⸣ナ [ku⸢nu ffaː sak⸣koː ⸢tiŋ⸣gamaː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ munu mi⸢ʃiru⸣na] (この子は大変な悪戯小僧<腕白坊主>だから、彼には物を見せるな) 10936 0 0 10512 htmvoc_10936.wav ティンガマーン ⸢ティン⸣ガマーン [⸢tiŋ⸣gamaːŋ] 形 腕白である。悪戯っぽい。若年層は、⸢テン⸣ガマーン[⸢teŋ⸣gamaːŋ](腕白である{EOS}悪戯坊主である)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ティン⸣ガマーン [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ⸢tiŋ⸣gamaːŋ] (この子供は腕白である<悪戯っぽい>)。 ⸣ドゥク ⸢ティンガマー⸣ヌ ウ⸢リンマー⸣ ムヌ ム⸢タサラ⸣ヌ [⸣duku ⸢tiŋgamaː⸣nu ʔu⸢rimmaː⸣ munu mu⸢tasara⸣nu] (あまりにも悪戯っぽいから、あれには物を持たされない)。 ⸢ティン⸣ガマー ッ⸢ふァトー⸣ ア⸢サバサラヌ [⸢tiŋ⸣gamaː f⸢fatoː⸣ ʔa⸢sabasaranu] (悪戯っぽい子供とは遊ばされない) 10938 0 0 10513 htmvoc_10938.wav ティンガラ ⸢ティン⸣ガラ [⸢tiŋ⸣gara] 名 かなてこ(鉄梃)。鉄製のてこ。石ころ道や岩盤の多い屋敷の整地作業に用いられる道具。長さ約1.8メートル、直径約4センチの八角形の鉄棒。先端の片方は\ruby{鑿}{ノミ}の刃のように平たく、片方は丸く尖っている。石工の道具。 ⸢ティン⸣ガラシル ク⸢ヌ⸣ イ⸢シガンパラー コーサリル [⸢tiŋ⸣garaʃiru ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʃigamparaː koːsariru] (かなてこ<鉄梃>で<ぞ>この岩盤は崩して掘り起こされる<鉄梃でないと岩盤は掘り起こせない>) 10939 0 0 10514 htmvoc_10939.wav ティンガラーマ ⸢ティンガラー⸣マ [⸢tiŋgaraː⸣ma] 名 小さなかなてこ(\ruby{鉄梃}{カナ|テコ})。金串の一種。直径約1、5センチ、長さ約30センチの鉄棒の\ruby{金串}{カナ|グシ}で、先端が細く尖っている漁具。これで珊瑚礁の岩の中にいる、イ⸢シギラ[ʔi⸢ʃigira](イシシャコ貝{EOS}岩の中に棲息するシャコ貝)をほじくり<穿り>出して漁獲した。 イ⸢ソー⸣ パル ⸣ピンマー ⸢ティンガラー⸣マー ク⸢シ⸣ナ ⸢クシキ⸣ パリバ [ʔi⸢soː⸣ paru ⸣pimmaː ⸢tiŋgaraː⸣maː ku⸢ʃi⸣na ⸢kuʃi̥ki⸣ pariba] (潮干狩りに行く時は小さな鉄梃を腰に差して行きなさいよ) 10940 0 0 10515 htmvoc_10940.wav ティンキ ⸢ティンキ [⸢tiŋki] 名 天気。標準語からの借用語。普通は、⸢オーシキ[⸢ʔoːʃi̥ki](天気、「上つ気」の義か)という。 ⸢ティンキ<オーシキ>ヌ ノー⸣ルカー ⸣フネー ン⸢ザサ⸣リン [⸢tiŋki<ʔoːʃiki>nu noː⸣rukaː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasa⸣riŋ] (天気が直ると船は出される<出港できる>) 10941 0 0 10516 htmvoc_10941.wav ティンキヤブリ ⸢ティンキヤブ⸣リ [⸢tiŋkijabu⸣ri] 名 天気くずれ。普通は⸢オーシキヤブ⸣リ[⸢ʔoːʃikijabu⸣ri](天気くずれ)という。 ⸢ティンキヤブ⸣リ ⸢シー⸣ イ⸢ソーン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢tiŋkijabu⸣ri ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢soːm⸣ pa⸢rara⸣nu] (天気崩れして漁にも出られない) 10942 0 0 10517 htmvoc_10942.wav ティングス ⸢ティング⸣ス [⸢tiŋgu⸣su] 名 てぐす(天蚕糸)。釣り針用の糸。石垣島の釣具店から購入してきて利用した。普通は、⸢ティングス⸣ル[⸢tiŋgusu⸣ru](てぐす)という。 ⸢ティング⸣スシ ⸢シー⸣ シ⸢ナイ⸣バ [⸢tiŋgu⸣suʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢nai⸣ba] (てぐすで釣り針を繋ぎなさいよ) 10943 0 0 10518 htmvoc_10943.wav ティングスル ⸢ティングス⸣ル [⸢tiŋgusu⸣ru] 名 てぐす(天蚕糸)。⸢ティング⸣ス[⸢tiŋgu⸣su](てぐす)ともいう。釣り針用の糸。楓蚕<ふうさん>・樟蚕<くすさん>の幼虫の体内から絹糸腺を取りだし、酸に浸して引き伸ばし、精製した白色透明の糸。約50センチの長さで、一方を釣り針に直接結わえる部分に用い、他方を釣り糸に繋いで用いた。 ⸢ティングス⸣ルシ ⸢シー⸣ シ⸢ナーン⸣カー イ⸢ズヌ⸣ パーシ ⸣イトー ⸢フッ⸣チ キ⸢シ⸣ス [⸢tiŋgusu⸣ruʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢naːŋ⸣kaː ʔi⸢ʣunu⸣ paːʃi ⸣ʔitoː ⸢ɸut⸣ʧi ki̥⸢ʃi⸣su] (てぐす<天蚕糸>で釣り針を繋がないと魚の歯で糸を噛み切ってしまう) 10944 0 0 10519 htmvoc_10944.wav ティングトゥ ⸢ティングトゥ [⸢tiŋgutu] 名 天災。自然現象の災害。「天ごと」の義。 カ⸢ジフキ ペーレーヤ ティングトゥ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スニンギン⸣ヌ シゥ⸢カラ⸣シェー ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢ʤiɸu̥ki peːreːja tiŋgutu⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢suniŋgin⸣nu si̥⸢kara⸣ʃeː noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (風吹き<台風>、旱魃は天災だから、人間の力では何にも出来ない) 10945 0 0 10520 htmvoc_10945.wav ディングン ⸢ディン⸣グン [⸢diŋ⸣guŋ] 名 伝言。ことづて。石垣方言からの借用語。普通は、⸣イイェイ[⸣ʔijei](伝言{EOS}「言い遣り」の義)という。 プ⸢スクイ⸣ヌ ⸢ディングン⸣マーンツァン ⸢ナーン⸣シェン [pu̥⸢sukui⸣nu ⸢diŋgum⸣maːnʦan ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (一言の伝言すらもなかった) 10951 0 0 10521 htmvoc_10951.wav ティンシー ⸢ティンシー [⸢tiŋʃiː] 名 天水。雨水。若年者は、⸢ティンスイ[⸢tinsui](天水)ともいう。昔は天水を溜めて湯茶の用水に使用した。井戸水は石灰分が多く、湯茶には適しなかった。 ⸢ティンシー⸣シ ⸣サー フ⸢カサバ⸣ル<バ⸢カサバル⸣> ン⸢マー⸣タ [⸢tiŋʃiː⸣ʃi ⸣saː ɸu̥⸢kasaba⸣ru ʔm⸢maː⸣ta] (天水でお茶を立てたらばこそ<沸かした>ほうが美味しかった) 10952 0 0 10522 htmvoc_10952.wav ティンジルン ⸢ティンジ⸣ルン [⸢tinʤi⸣ruŋ] 自動 突き出る。老年層は、普通、⸢ピンジ⸣ルン[⸢pinʤi⸣ruŋ](突き出る{EOS}露出する)、⸢トゥンジルン[⸢tunʤiruŋ](飛び出る{EOS}突き出る)という。 タ⸢キグシェー⸣ フ⸢ク⸣ローラ ⸢ティン⸣ジルンダ ⸢ティンジラン⸣ヨーニ ⸣ブリ シ⸢キ⸣リ [tḁ⸢kiguʃeː⸣ ɸu̥⸢ku⸣roːra ⸢tinʤi⸣runda ⸢tinʤiraŋ⸣joːni ⸣buri ʃi̥⸢ki⸣ri] (竹串は袋から突き出るから、突き出ないように折っておきなさい)。 ⸢ティンジ⸣ル ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸢tinʤi⸣ru ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (突き出るものはない) 10953 0 0 10523 htmvoc_10953.wav ティンスー ⸢ティンスー [⸢tinsuː] 名 天命。運命。天寿。自然の命数。天から授けられた運命。⸢ミースー[⸢miːsuː](命数{EOS}天命{EOS}天寿)ともいう。 ⸣アブジーン ⸢チョーミー⸣ シキ ⸢オー⸣リ ブ⸢レー⸣ンダ ⸢ティンスー⸣ ヤ⸢ロー⸣レール [⸣ʔabuʤiːn ⸢ʧoːmi⸣ ʃi̥ki ⸢ʔoː⸣ri bu⸢reː⸣nda ⸢tinsuː⸣ ja⸢roː⸣reːru] (お祖父さんも長寿であられた<天寿付いておられた>から、もう天命であられたのでしょうよ) 10947 0 0 10524 htmvoc_10947.wav ティンゾー ⸢ティン⸣ゾー [⸢tin⸣ʣoː] 名 天井。「Teɲov.テンジヤゥ(天井)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ティンゾー⸣ヤ ⸣イツァシル パ⸢ラリ ブー [⸢tinʣoː⸣ja ⸣ʔiʦaʃiru pa⸢rari buː] (天井は板で張られている)。 ⸢ティンゾー⸣ヌ ⸣ウラー ドゥ⸢ルヌ⸣ タ⸢マリバ⸣ ドゥ⸢ル⸣ カキ ウ⸢ラ⸣シ [⸢tinʣoː⸣nu ⸣ʔuraː du⸢runu⸣ ta⸢mariba⸣ du⸢ru⸣ kaki ʔu⸢ra⸣ʃi] (天井裏には泥が溜まるから、泥を掻き降ろしなさい)。瓦葺の家は瓦を留める粘土が風化して天井裏に落ちて溜まったものである 10948 0 0 10525 htmvoc_10948.wav ティンゾーイツァ ⸢ティンゾー⸣イツァ [⸢tinʣoː⸣ʔiʦa] 名 天井板。天井を張る板。 ⸢ティンゾー⸣イツァー ピ⸢シーピシーヌ サンブイツァ⸣ル シゥ⸢カイヨー⸣ル [⸢tinʣoː⸣ʔiʦaː pi̥⸢ʃiːpiʃinu sambuʔiʦa⸣ru si̥⸢kaijoː⸣ru] (天井板は薄い三分板を使われる) 10949 0 0 10526 htmvoc_10949.wav ティンゾーヌサン ⸢ティンゾー⸣ヌ ⸣サン [⸢tinʣoː⸣nu ⸣saŋ] 連 天井の桟。 ⸢ティンゾー⸣ヌ ⸢サン⸣マー シ⸢ギザイ⸣シル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢tinʣoː⸣nu ⸢sam⸣maː ʃi⸢giʣai⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (天井の桟は杉材で作られられている) 10950 0 0 10527 htmvoc_10950.wav ティンゾーブチ ⸢ティンゾー⸣ブチ [⸢tinʣoː⸣buʧi] 名 板張り天井の板を支え、化粧するために取り付けた細長い桟。四隅を桟で縁取ってあるもの。竿縁。 ⸢ティンゾー⸣ブチシル ⸢ティンゾー⸣ヤ シゥ⸢カイル [⸢tinʣoː⸣buʧiʃiru ⸢tinʣoː⸣ja sï̥⸢kairu] (竿縁で<ぞ>天井は支えるのだ) 10954 0 0 10528 htmvoc_10954.wav ティンダティ ⸢ティンダ⸣ティ [⸢tinda⸣ti] 名 起工式。家屋新築の着工式。建築着手の儀礼。吉日を選んで着工する。「手だて」の義から意味派生したものか。イ⸢チバンザイ⸣ク[ʔi⸢ʧibanʣai⸣ku](棟梁{EOS}一番大工)が家主<建築主>や手伝いの村人らと一緒に安全祈願をした後、材木にシ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](墨縄)を打ったり、ほぞあな(枘穴)を掘ったり、枘を作ったりして建築工事を開始する。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ヤー⸣ヤ ⸢ティンダ⸣テー ⸢ソー⸣レーンカヤー [⸢ʔun⸣nenu ⸢jaː⸣ja ⸢tinda⸣teː ⸢soː⸣reːŋkajaː] (あの家の新築の起工式はすまされたかねえ) 10956 0 0 10529 htmvoc_10956.wav ティントーガナシ ⸢ティントーガナシ [⸢tintoːganaʃi] 名 お天道様。太陽神。 ⸢ティントーガナシェー⸣ ミカー⸢ミカーシ⸣ル ⸢オー⸣ル⸢ダー [⸢tintoːganaʃeː⸣ mikaː⸢mikaː⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru⸢daː] (お天道様はどこまでも見通しておられるのだよ) 10955 0 0 10530 htmvoc_10955.wav ティントゥジー ⸢ティントゥ⸣ ジー [⸢tintu⸣ ʤiː] 連 天神地祇<てんじんちぎ>。神々。「天と地」の義。 ⸢ティントゥ ジー⸣ヤ プ⸢スヌ スー⸣ クトー ⸢ミーフカシ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢tintu ʤiː⸣ja pu̥⸢sunu suː⸣ku̥toː ⸢miːɸukaʃi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (天神地祇は人間のすることを見通しておられる) 10957 0 0 10531 htmvoc_10957.wav ティンナー ⸢ティン⸣ナー [⸢tin⸣naː] 名 帆を操作するため、帆桁の端から引いた細い縄。「手綱」の転訛したもの。⸣ティー[⸣tiː](手)に、ʦuna(綱)→ʧina→ʃina→nnaと音韻変化した語が下接して生成された合成語。サバニの帆には5~6本の⸢ティン⸣ナー[⸢tin⸣naː](手綱)が船頭の所に伸びている。船頭は左手でティンナーを握り、右手でト⸢ム⸣ヤク[tu⸢mu⸣jaku](艫櫂)を握って梶となし、それでサバニを操船した。 ⸢ティンナー⸣ヤ ⸢プーザンナー⸣ル シ⸢キラ⸣リ ⸢ブー [⸢tinnaː⸣ja ⸢puːʣannaː⸣ru ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢buː] (手綱は帆の桟<帆桁>に取り付けられている) 10958 0 0 10532 htmvoc_10958.wav ティンヌアブジェーマヌシバル ⸢ティンヌ⸣ ア⸢ブジェーマ⸣ヌ シ⸢バ⸣ル [⸢tinnu⸣ ʔa⸢buʤeːma⸣nu ʃi⸢ba⸣ru] 連 お天気雨。日照り雨。日が照っていながら降る雨。⸣ティダアミ[⸣tidaʔami](そばえ{EOS}日照り雨{EOS}狐の嫁入り)というのが普通。「天の百姓じいさんの小便」の義。 ⸣ティダアメー ⸢ティンヌ⸣ アブ⸢ジェーマ⸣ヌ シ⸢バ⸣ルティル ム⸢カ⸣シプソー シゥ⸢カソーッタ⸣ル [⸣tidaʔameː ⸢tinnu⸣ ʔabu⸢ʤeːma⸣nu ʃi⸢ba⸣rutiru mu⸢ka⸣ʃipu̥soː sï̥⸢kasoːtta⸣ru] (お天気雨は天の百姓じいさんの小便だと、昔の人はお話になった<話して聞かされた>) 10959 0 0 10533 htmvoc_10959.wav ティンヌッサーンタ ⸢ティンヌ⸣ ッ⸢サーンタ [⸢tinnu⸣ s⸢saːnta] 連 天の下。あめがした。世界。 ⸢ティンヌ⸣ ッ⸢サーンター⸣ シキン カ⸢クシ⸣グトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tinnu⸣ s⸢saːntaː⸣ ʃi̥kiŋ kḁ⸢kuʃi⸣gutoː na⸢ra⸣nu] (天の下は<あめがした>は世間だ{EOS}隠し事は出来ない) 10960 0 0 10534 htmvoc_10960.wav ティンヌッサーンナー ⸢ティンヌ⸣ ッ⸢サーン⸣ナー [⸢tinnu⸣ s⸢saːn⸣naː] 連 天が下で。天の下で。天下で。世の中で。 ⸢ティンヌ⸣ ッ⸢サーン⸣ナーテー ⸣アイブ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tinnu⸣ s⸢saːn⸣naːteː ⸣ʔaibu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (天が下では<天の下においては>、あのようなことは出来ない) 10961 0 0 10535 htmvoc_10961.wav ティンヌナイ ⸢ティンヌ⸣ ナイ [⸢tin⸣nu ⸣nai] 連 天ほど。量や長さが天体ほど無限大であるさま。「天の長さ」の義。 ⸢ティンヌ⸣ ナイ カ⸢リ⸣ シ⸢ミ⸣ シケーツォー [⸢tinnu⸣nai ka⸢ri⸣ ʃi⸢mi⸣ ʃi̥keːʦoː] (天の長さほど、どこまでも刈って積んでおいてあるそうだ) 10963 0 0 10536 htmvoc_10963.wav ティンヌナカシタ ⸢ティンヌ⸣ ナ⸢カ⸣シタ [⸢tinnu⸣ na⸢ka⸣ʃi̥ta] 連 なかぞら(中空)。中天。「天の中下」の義。⸢ティンヌ⸣ ナ⸢カシタ⸣ヌ ム⸢チマイダーラー⸣ ヌーヤ。 ⸢マンズイ⸣ヌ ⸣ナル [⸢tinnu⸣ na⸢kaʃi̥ta⸣nu mu⸢ʧimaidaːraː⸣ nuːja ⸢manʣui⸣nu ⸣naru] (中天<中空>の糯米俵は何か{EOS}答え{EOS}パパイア<蕃瓜樹>の実{EOS}<なぞなぞ(謎々)遊戯>)。⸢ティンヌ⸣ ナ⸢カシタ⸣ヌ ⸢パイルカメー⸣ ヌーヤ。 ⸢シークァー⸣サー フ⸢ナ⸣ブ [⸢tinnu⸣ na⸢kaʃi̥ta⸣nu ⸢pairukameː⸣ nuːja ⸢ʃiːkwaː⸣saː ɸu⸢na⸣bu] (中天の酢の瓶は何か{EOS}酢を含んだ九年母<酸っぱいヒラミレモン>) 10962 0 0 10537 htmvoc_10962.wav ティンヌナダカ ⸢ティンヌ⸣ ナ⸢ダ⸣カ [⸢tinnu⸣ na⸢da⸣ka] 連 天の高さほど。天くらい。 ウ⸢ヌ ヤー⸣ヤ ⸢ティンヌ⸣ ナ⸢ダ⸣カ ア⸢リ⸣ブタ [ʔu⸢nu jaː⸣ja ⸢tinnu⸣ na⸢da⸣ka ʔa⸢ri⸣buta] (その家<の高さ>は、天の高さほどもあった<あり居った>) 10964 0 0 10538 htmvoc_10964.wav ティンヌニー ⸢ティンヌ⸣ ニー [⸢tinnu⸣ niː] 連 天の果て。天空の果て。「天の根」の義。 ⸢ティンヌ⸣ニー ⸢バー⸣キン マー⸢ンバー⸣キン ⸢ウイマーシ⸣ トゥミ ⸢サー⸣ク(⸢サーリ⸣クー) [⸢tinnu⸣niː ⸢baː⸣kim maː⸢mbaː⸣kiŋ ⸢ʔuimaːʃi⸣ tumi ⸢saː⸣kuː(⸢saːri⸣kuː)] (天の果てまでも、どこまでも追い回し、探して連れて来い) 10965 0 0 10539 htmvoc_10965.wav ティンヌヤキルン ⸢ティンヌ⸣ ヤ⸢キルン [⸢tinnu⸣ ja⸢kiruŋ] 連 夕焼けする。朝焼けする。「天が焼ける」の義。 ⸢インタヌ ティンヌ⸣ ウ⸢ヌス⸣ク ⸢カイ⸣ヤ ヤ⸢キ ベー⸣ワ ミリ⸢ミー⸣ アツァン ⸢オーシケー ノーリ⸣ス [⸢ʔintanu tinnu⸣ ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢kai⸣ja ja⸢ki beː⸣wa miri⸢miː⸣ ʔaʦaŋ ⸢ʔoːʃi̥keː noːri⸣su] (西の空があんなに美しく夕焼けしている<美しく焼いているわい>よ{EOS}見てごらんよ{EOS}明日もきっと天気がよくなるよ) 10966 0 0 10540 htmvoc_10966.wav ティンバチ ⸢ティンバチ [⸢timbaʧi] 名 天罰。天の下す罰。悪事のむくい。 ⸣ガザフケーヤ シ⸢ディ⸣ミジ ク⸢バ⸣シティ ⸢ティンバチバ⸣ ウ⸢キ⸣ル ⸢パン⸣マー シ⸢ミラ⸣リ ⸢ブー⸣ツォー [⸣gaʣaɸu̥keːja ʃi⸢di⸣miʤi ku⸢ba⸣ʃi̥ti ⸢timbaʧiba⸣ ʔu⸢ki⸣ru ⸢pam⸣maː ʃi⸢mira⸣ri ⸢buː⸣ʦoː] (ひばりは不老長寿の薬<孵で水>を零して天罰を受け、足は細く締められているそうだ) 10967 0 0 10541 htmvoc_10967.wav ティンブッツ ⸢ティンブッツ [⸢timbutʦu] 名 でべそ(出臍)。突き出ている臍。昔は家庭で出産をした。村々には経験豊かな取り上げ婆が産婆の役割を果たした。出臍は取り上げ婆が臍の尾を長く切ったことによるといわれていた。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ティンブッツヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ミ⸢ララン⸣バン⸢ナー [ma⸢na⸣maː ⸢timbutʦunu⸣ ja⸢ra⸣beː mi⸢raram⸣ban⸢naː] (今は出べその子供も見られないねえ) 10968 0 0 10542 htmvoc_10968.wav ティンプラ ⸢ティン⸣プラ [⸢tim⸣pura] 名 てんぷら(天麩羅)。魚介・野菜類を芯に、小麦粉を溶かしたものに⸢コー⸣マ[⸢koː⸣ma](卵の黄身)を掻き混ぜ、それをころもにして油で揚げた料理。 ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢クン [⸢tim⸣pura ja⸢kuŋ] (テンプラを揚げる<焼く>)。 ⸢ヨイ⸣ヌ ウ⸢サイ⸣ヤー イ⸢ズティンプラ⸣ ヤ⸢クバル⸣ マ⸢シ⸠ナー [⸢joi⸣nu ʔu⸢sai⸣jaː ʔi⸢ʣutimpura⸣ ja⸢kubaru⸣ ma⸢ʃi⸠naː] (お祝いのご馳走<お菜>には魚芯テンプラを揚げた<焼いた>方がいいねえ)。 イ⸢ズシンティンプラ [ʔi⸢ʣuʃintimpura] (魚芯天麩羅) ⸣タクティンプラ [⸣tḁkutimpura] (蛸芯てんぷら))。⸣ウンティンプラ[⸣ʔuntimpura](芋芯天麩羅)、⸣ヤサイティンプラ[⸣jasaitimpura](野菜芯天麩羅)などがある。芯を入れないで、掌サイズに揚げる天麩羅を⸢パン⸣ビン[⸢pam⸣biŋ](はんぺん<半片>)といっている。⸣サタティンプラ[⸣sḁtatimpura](砂糖天麩羅{EOS}鶏卵大の球形に揚げた天麩羅)もある 10969 0 0 10543 htmvoc_10969.wav ディンポー ⸢ディン⸣ポー [⸢dim⸣poː] 名 電報。戦後、昭和23年に鳩間郵便局に初めて電信電報の施設が整備された。 イ⸢サンケーラ ディンポー⸣ヌ ⸣ケーティ ⸢ウンパン⸣シンラ イ⸢サンケー パッ⸣タ [ʔi⸢saŋkeːra dimpoː⸣nu ⸣keːti ⸢ʔumpaŋ⸣ʃinra ʔi⸢saŋkeː pat⸣ta] (石垣から電報が来たので運搬船<定期航海船>で石垣島に行った) 10970 0 0 10544 htmvoc_10970.wav ティンマ ⸢ティンマ [⸢timma] 名 伝馬船。昔の上納米や御用布等の貢納物を運んだ六反帆や七反帆の地舟。「伝馬」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ティンマーラ⸣ル イ⸢サナケーヤ オーッ⸣タティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeːja ⸢timmaːraru⸣ ʔi⸢sanakeːja ʔoːt⸣tati⸢daː] (昔は伝馬船で石垣島へ行かれたそうだよ) 10972 0 0 10545 htmvoc_10972.wav ティンマー ⸣ティンマー [⸣timmaː] 連 ~ときには。~際には。 ⸣パルンティンマー プ⸢スンマー⸣ シゥ⸢カサムティ⸣ ッ⸢サンコーラ⸣シ ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣paruntimmaː pu̥⸢summaː⸣ si̥⸢kasamuti⸣ s⸢saŋkoːra⸣ʃi ⸣pari ⸢naː⸣nu] (行くときには人には知らさないで<聞かさないで>黙って<知らないふりして>行ってしまった) 10974 0 0 10546 htmvoc_10974.wav ティンマク ⸢ティンマク [⸢timmaku] 名 天幕。古語ではフ⸢タカツァ[ɸu̥takaʦa](天幕{EOS}「蓋蚊張」の義)という。 キ⸢チゴンマー ウイ⸣ヌウガンナー ⸢ティンマクバ⸣ パ⸢リティル⸣ ブ⸢ドゥル キョンギン ソーッタ⸣ル [ki̥⸢ʧigommaː ʔuinu⸣ʔugannaː ⸢timmakuba⸣ pa⸢ritiru⸣ bu⸢duru kjoŋgin soːtta⸣ru] (結願祭は友利お嶽<上の御願>で天幕を張って踊り狂言<演劇>はなさったものだ) 10973 0 0 10547 htmvoc_10973.wav ティンマグヮー ⸢ティンマ⸣グヮー [⸢timma⸣gwaː] 名 小伝馬舟。沖縄本島糸満方言からの借用語。鰹漁船の餌捕りに用いる小舟。幅約1メートル、長さ約4メートルの小舟で餌捕りの際、本船と小伝馬舟の間に掬い網を下ろして⸣ザコー[⸣ʣakoː](雑魚、カツオの餌)を掬い捕るのに用いる小舟。港では砂浜と本船の間のはしけ舟<艀舟>として使用された。沿岸では本船に曳航され、港では備え付けの⸢リュー[⸢rjuː](櫓)と⸣サウ[⸣sau](竿)で操船して、漁獲したカツオや船員を浜辺へ運んで陸揚げした。 ⸢ティンマ⸣グヮーシル ⸢フン⸣シンラ カ⸢ツォー⸣ パ⸢マー⸣ カ⸢ヨーシタル [⸢timma⸣gwaːʃiru ⸢ɸuŋ⸣ʃinra kḁ⸢ʦoː⸣ pa⸢maː⸣ ka⸢joːʃi̥taru] (小伝馬船で<ぞ>本船から漁獲したカツオは浜辺へ運搬した<通わせた>ものだ) 10971 0 0 10548 htmvoc_10971.wav ティンマムチ ⸢ティンマムチ [⸢timmamuʧi] 名 小伝馬の係り。「小伝馬持ち」の転訛したもの。カツオ漁船の小伝馬係りは中学卒業したての、15歳前後の男の子が漁師見習いとして担当させられた。カツオの生餌取りがすんで、⸢フン⸣シン[⸢ɸuŋ⸣ʃiŋ](本船)が外洋へ出漁した後、ティンマムチ(小伝馬舟係)は本船から放され、⸢リュー[⸢rjuː](艪)を漕いで海岸に接岸し、ム⸢ジ⸣アン[mu⸢ʤi⸣ʔaŋ](生餌取り用の網)を浜辺に干したり、漁船の飲料水を井戸から汲んでドラム缶一本の水タンクを満杯にし、漁船の飯炊き、湯沸し用の薪割りの作業を一人で行った。 ⸢ティンマムチェー ⸢フンシン⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ムンティ ⸢アウ⸣リ シ⸢タン⸠ダー [⸢timmamuʧeː ɸuŋʃin⸣nu mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣munti ⸢ʔau⸣ri ʃi̥⸢tan⸠daː] (小伝馬舟係りは本船の飲料水を井戸から汲み担ぐのに苦労をしたよ) 11545 0 0 10549 htmvoc_11545.wav テンガマー ⸢テン⸣ガマー [⸢teŋ⸣gamaː] 名 悪戯小僧。悪ふざけをする者。不義を働く者。⸢ティン⸣ガマー[⸢tiŋ⸣gamaː](悪戯小僧)ともいう。 ウ⸢ヌ ッふァー サッ⸣コー ⸢テン⸣ガマー ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢タラ⸣サル ⸣ムノー ミ⸢シル⸣ナ⸢ヨー [ʔu⸢nu ffaː sak⸣koː ⸢teŋ⸣gamaː ja⸢runda⸣ ʔa⸢tara⸣saru ⸣munoː mi⸢ʃiru⸣na⸢joː] (あの子は悪戯小僧だから、大事な<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}し{EOS}勿体無い>物は見せるなよ) 11546 0 0 10550 htmvoc_11546.wav テンガマーン ⸢テン⸣ガマーン [⸢teŋ⸣gamaːŋ] 形 悪戯っぽい。じっとして居れず、悪い戯れをしがちである。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー サッ⸣コー ⸢テン⸣ガマーンダ ⸢パー⸣ムノー ム⸢タス⸣ナ⸢ヨー [ku⸢nu⸣ f⸢faː sak⸣koː ⸢teŋ⸣gamaːnda ⸢paː⸣munoː mu⸢tasu⸣na⸢joː] (この子は非常に悪戯っぽいから、刃物は持たせるなよ)。 ア⸢ス⸣カー ユ⸢クン<⸢マー⸣ビン> テンガ⸣マー ナ⸢リ⸣ス [ʔa⸢su⸣kaː ju⸢kun<⸢maː⸣bin> teŋga⸣maː na⸢ri⸣su] (そうしたら、かえって悪戯っぽくなるよ)。 ⸣アイブ ⸢テンガ⸣マー ⸣ムヌトー ア⸢サバスナ [⸣ʔaibu ⸢teŋga⸣maː ⸣munutoː ʔa⸢sabasuna] (あんな悪戯っぽい者とは遊ばせるな) 11547 0 0 10551 htmvoc_11547.wav デンサーブシ ⸢デンサー⸣ブシ [⸢densaː⸣buʃi] 名 歌謡名。デンサー節。八重山を代表する上原村の教訓歌謡で、儒教道徳を中心的内容とした歌謡。 ⸢デンサー⸣ブシナー プ⸢ソー ミーブシヌ⸣ シタシル グ⸢フ⸣ドー ッ⸢ふァイシティル⸣ティル アル⸢ダー [⸢densaː⸣buʃinaː pu̥⸢soː miːbuʃinu⸣ ʃi̥taʃiru gu⸢ɸu⸣doː f⸢faiʃi̥tiru⸣tiru ʔaru⸢daː] (デンサー節には、人は三寸<三節>の舌先で五体を食いつぶすのだと歌われているよ) 10987 0 0 10552 htmvoc_10987.wav テンテンシ ⸢テンテン⸣シ [⸢tenteŋ⸣ʃi] 副 点々と。点を打ったように散在しているさま。 ⸢マイガ⸣キ キ⸢シブンドゥ シーゾーニン⸣ヌ ⸣キンナー ⸢テンテン⸣シ カ⸢ツヌ シーヌ⸣ シキ ⸢ベー [⸢maiga⸣ki ki̥⸢ʃibundu ʃiːʣoːnin⸣nu ⸣kinnaː ⸢tenteŋ⸣ʃi kḁ⸢ʦunu ʃiːnu⸣ ʃi̥ki ⸢beː] (前掛け<エプロン>を着ているが製造人の着物に点々とカツオの血が付いている) 10988 1 0 10553 htmvoc_10988.wav デントゥンテン ⸢デン⸣トゥンテン [⸢den⸣tunteŋ] 副 {PoS_1}三線の音の形容。 ⸢デン⸣トゥン⸢テン⸣シ ピ⸢キ オー⸣ル ⸢サンシンヌ⸣ ウ⸢ムッ⸣サワ⸢ナー⸣ ユー ⸢ナール サンシンユン [⸢den⸣tun⸢teŋ⸣ʃi pi̥⸢ki ʔoː⸣ru ⸢saŋʃinnu⸣ ʔu⸢mus⸣sawa⸢naː⸣ juː ⸢naːru saŋʃiɲjuŋ] (テントゥンテンと弾いておられる三線の面白いことよねえ{EOS}よく鳴る三線だことよ)。 10988 2 0 10554 htmvoc_10988.wav デントゥンテン ⸢デン⸣トゥンテン [⸢den⸣tunteŋ] 名 {PoS_2}幼児語。三線。 ク⸢バヌパーヌ⸣ ウディシ ⸢デン⸣トゥンテン ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふォー⸣リ [ku⸢banupaː⸣nu ⸣ʔudiʃi ⸢den⸣tunten su̥⸢ku⸣ri f⸢foː⸣ri] (蒲葵<びろう>の葉柄で三線を作ってください) 11548 0 0 10555 htmvoc_11548.wav テンブッツ ⸢テンブッツ [⸢tembutʦu] 名 でべそ(出臍)。 ⸢ブッツヌ⸣ キ⸢シカタ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカー ⸢テンブッツ⸣ ナルンティ⸢ダー [⸢butʦunu⸣ ki̥⸢ʃikata⸣nu ⸢was⸣sakaː ⸢tembutʦu⸣ narunti⸢daː] (臍の緒の切り方が悪いと出臍になるそうだよ) 11549 0 0 10556 htmvoc_11549.wav トー ⸣トー [⸣toː] 固 (地)唐。中国。 ⸣トータビ [⸣toːtabi] (唐旅{EOS}中国への旅)。 ⸣トープス [⸣toːpu̥su] (唐人{EOS}中国人)。 ⸢トゥー⸣ジェヌ ウ⸢ヤ⸣プソー ⸣トータビヌ ⸢トゥー⸣ジ ⸢ソー⸣レータティ ア⸢ズ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢クタン [⸢tuː⸣ʤenu ʔu⸢ja⸣pu̥soː ⸣toːtabinu ⸢tuː⸣ʤi ⸢soː⸣reːtati ʔa⸢ʣu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢kutaŋ] (通事家のご先祖は唐旅の通事<通訳>をされたという話を聞いたことがある) 11550 0 0 10557 htmvoc_11550.wav トー ⸢-トー [⸢-toː] 接尾 仕方、基準、方法を表す。動詞の連用形に付いて、守るべき基準や仕方、方法を表す。 ⸣ムネー イ⸢ジットーヌ⸣ ア⸢リ⸣ブ ⸣ヌーヤ ⸢ワー⸣ ムネー [⸣muneː ʔi⸢ʤittoːnu⸣ ʔa⸢ri⸣bu ⸣nuːja ⸢waː⸣ muneː] (言葉<物言い>には言い様があるものだ{EOS}何だね、君の物言いは)。 イ⸢ジットーヌ⸣ アルカー シ⸢キットーン⸣ アン [ʔi⸢ʤittoːnu⸣ ʔarukaː ʃi̥⸢kittːŋ⸣ ʔaŋ] (ものごとには言い様があれば、聞き様もある) 11551 1 0 10558 htmvoc_11551.wav トー ⸢ト⸣ー [⸢to⸣ː] 副 {PoS_1}もう。さあ。もはや。それまで。 ⸢ト⸣ー ⸣ウビシー ⸣ミサン ⸣メー [⸢to⸣ː ⸣ʔubiʃi ⸣misam ⸣meː] (それまで{EOS}それだけでいいよ、もう)。 11551 2 0 10559 htmvoc_11551.wav トー ⸢ト⸣ー [⸢to⸣ː] 感 {PoS_2}はい、それまで。それでよい。 ⸢トーティ⸣ ア⸢ズン⸣ケンマー ナー⸢イ⸣ カ⸢サミ ベー⸣リ [⸢toːti⸣ ʔa⸢ʣuŋ⸣kemmaː naː⸢i⸣ ka⸢sami beː⸣ri] (それまで<終わり>、と言うまでじっと<そのまま>\ruby{掴}{ツカ}んでおれ)。 ⸣バー ムー⸢ル シェー⸣ン ⸢ト⸣ー ⸢クン⸣ドー ⸢ワー シー⸣バ [⸣baː muː⸢ru ʃeː⸣ŋ ⸢to⸣ː ⸢kun⸣doː ⸢waː ʃiː⸣ba] (私は全部やった{EOS}さあ今度は君がやれよ) 11552 0 0 10560 htmvoc_11552.wav トー ⸢トー [⸢toː] 助 助詞連語。格助詞トゥ[tu](と<相手>)に係助詞ヤ[ja](は)が付いて、[tu] + [ja] → [toː] のように融合変化した形。相手や対象となることばを取り上げて、その意味や発言意図を述べる。 ⸢ワットー⸣ マー⸢ズンマー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢wattoː⸣ maː⸢ʣummaː⸣ pa⸢rara⸣nu] (君とは一緒には行けない) 11565 1 0 10561 htmvoc_11565.wav トー ⸢トー [⸢toː] 名 {PoS_1}終わり。終了。最期。 ⸢トー⸣ティ ス⸢ヌ⸣ シゥ⸢カンバン [⸢toː⸣ti su⸢nu⸣ si̥⸢kambaŋ] (終わり<終了>といっても聞かないよ)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ウビシ ⸢トー⸣ メー [⸢kjuː⸣ja ⸣ʔubiʃi ⸢toː⸣ meː] (今日はこれで終わりだ、もう)。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アブジェー ⸣メー ⸢トー⸣ ナ⸢リ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔabuʣeː ⸣meː ⸢toː⸣ na⸢ri⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (あの家のお祖父さんは、もう最期<いまわ{EOS}死にぎわ>になっておられる)。 11565 2 0 10562 htmvoc_11565.wav トー ⸢トー [⸢toː] 副 {PoS_2}もう。もはや。 ⸢トー⸣ ウビシ ⸣ミサン [⸢toː⸣ ʔubisi ⸣misaŋ] (もう、これでよい) 11553 0 0 10563 htmvoc_11553.wav ドー ⸢ドー [⸢doː] 終助 ~するよ。~するぞ。~だぞ。動詞の終止形に付いて、断定、強調の意味と言外に、聞き手からの許諾を得る意味を表す。 ⸣バー ニ⸢ブン⸠ドー [⸣baː ni⸢bun⸠doː] (私は寝るぞ<良いですね?>)。 ウ⸢リウリ⸣ー アミ⸢ドー パー⸣ク ⸢ヤーン⸣ ナカー ⸢ペー⸣リ [⸢ʔuriʔuri⸣ː ʔami⸢doː paː⸣ku ⸢jaːn⸣nakaː ⸢peː⸣ri] (それ{EOS!}雨だぞ<大変だぞ>{EOS}早く家の中に入れ{EOS!})。 ⸣バーラ シ⸢ダキ⸣ パルン⸢ドー [⸣baːra ʃi⸢daki⸣ parun⸢doː] (私から先に行くぞ<良いね>) 11554 0 0 10564 htmvoc_11554.wav トーカキ ⸢トー⸣カキ [⸢toː⸣kaki] 名 とかき(斗掻き)。枡をきるのに用いるが、こめさし<米刺>にも用いた。先を尖らせた長さ約30センチの竹筒。斜めに削いだ面を朱色に染めて米寿の祝いに飾る。 ⸢トー⸣カケー ⸢マイバ⸣ ム⸢レー⸣ル ⸢バーキ⸣ヌ ⸣マイナー ⸣タティ カ⸢ザリティル トーカキ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タ [⸢toː⸣kakeː ⸢maiba⸣ mu⸢reː⸣ru ⸢baːki⸣nu ⸣mainaː ⸣tḁti ka⸢ʣaritiru toːkaki⸣nu ⸢joi⸣jaː ⸢soːt⸣ta] (斗掻きは、白米を盛った竹笊の前に並べ立てて飾って、米寿<斗掻き>の祝いはなされたものだ) 11555 0 0 10565 htmvoc_11555.wav トーカキヌヨイ ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ [⸢toːkaki⸣nu ⸣joi] 連 米寿の祝い。「斗掻きの祝い」の義。 ⸢エン⸣マー ⸣アッパー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢シー オース⸣ ス⸢コール シーベー [⸢jem⸣maː ⸣ʔappaː ⸢toːkaki⸣nu ⸣joi ⸢ʃiː ʔoːsu⸣ su̥⸢koːru ʃiːbeː] (来年はおばあさんの米寿のお祝いをして差し上げる準備をしている) 11556 0 1 10566 htmvoc_11556.wav ドーギ ⸢ドー⸣ギ [⸢doː⸣gi] 名 (動){Mn_1}シャモ(軍鶏)。背丈が高く\ruby{精悍}{セイ|カン}な大型の雄鶏。鳩間島では闘鶏はいなかった。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ドーギ⸣ヌ パ⸢ニ⸣シ ハ⸢ニビキヌ⸣ サ⸢ビ⸣キ ス⸢クリ⸣ プサワ⸢ナー [⸢ʔun⸣nenu ⸢doːgi⸣nu pa⸢ni⸣ʃi ha⸢nibikinu⸣ sa⸢bi⸣ki su̥⸢kuri⸣ pu̥sawa⸢naː] (あの家の大きな雄鶏の羽でさびき釣りの\ruby{擬餌針}{ギ|ジ|バリ}を作ってみたいなあ) 11556 0 2 10567 htmvoc_11556.wav ドーギ ⸢ドー⸣ギ [⸢doː⸣gi] 名 {Mn_2}転じて体格が大きく、動作の鈍い人。怠慢な若者。 ウ⸢レー ドー⸣ギ ⸣ナリティ ⸢ウーキ ユーサ⸣ヌ [ʔu⸢reː doː⸣gi ⸣nariti ⸢ʔuːki juːsa⸣nu] (彼は図体が大きくなって、なかなか動くことが出来ない<動き得ない>)。 プ⸢リドーギ [pu⸢ridoːgi] (馬鹿でかい図体{EOS}体だけが大きくて何も出来ない人{EOS}うど(独活)の大木) 11557 0 0 10568 htmvoc_11557.wav トーサ ⸢トー⸣サ [⸢toː⸣sa] 名 田草。田に生える雑草。[takusa] → [taɸusa] → [tausa] → [toːsa] のように音韻変化したもの。 ⸢トーサ⸣ トゥリン ⸢パッ⸣タ [⸢toːsa⸣ turim ⸢pat⸣ta] (田草を取りに行った)。田草は引き抜いて茎を泥の中へ突っ込んで埋めた。畑の除草は、⸣ッサ ⸢ソールン[⸣ssa ⸢soːruŋ](草をさくる<\ruby{刳}{サク}る>{EOS}草を根こそぎ取る)のようにいう 11558 0 0 10569 htmvoc_11558.wav トーサトゥリ ⸢トーサ⸣トゥリ [⸢toːsa⸣turi] 名 田草取り。稲の除草。 ⸢ヤーニン⸣ズーシル ⸢トゥーサ⸣トゥレー ⸢ソーッ⸣タ [⸢jaːnin⸣ʣuːʃiru ⸢toːsa⸣tureː ⸢soːt⸣ta] (家族で田草取りをされた) 11559 0 0 10570 htmvoc_11559.wav ドーシ ⸢ドー⸣シ [⸢doː⸣ʃi] 接助 ~<ず>に。~<ない>で。打消しの助動詞⸢ン[⸢n](ない)に付いて、次に繋ぐ働きをしめす。 ヨー⸢ヨー バシキランドー⸣シ ⸣アジ ッ⸢サリ⸠ダー [joː⸢joː baʃi̥kirandoː⸣ʃi ⸣ʔaʤi s⸢sari⸠daː] (よく気をつけて、忘れないで<忘れずに>申し上げなさいよ)。 ナ⸢カンドー⸣シ パル⸢ダー⸣ マイフナー [na⸢kandoː⸣ʃi paru⸢daː⸣ maiɸunaː] (泣かないで行くんだよ、お利口さん)。 シ⸢グトー サンドー⸣シ ⸣マナール カ⸢タマー⸣リ ⸢ゲー⸣ター [ʃi⸢gutoː sandoː⸣ʃi ⸣manaːru kḁ⸢tamaː⸣ri ⸢geː⸣taː] (仕事はしないで、どこをほっつき歩いて<ほっつき回って>いたのか)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢クーン⸣ドーシ ⸣アツァー ⸣クー [⸢kjuː⸣ja ⸢kuːn⸣doːʃi̥ ⸣ʔaʦaː ⸣kuː] (今日は来ないで明日来い) 11560 0 0 10571 htmvoc_11560.wav トーシンバイ ⸢トーシン⸣バイ [⸢toːʃim⸣bai] 名 流行性耳下腺炎(mumps)。俗に、おたふくかぜ『医学沖縄語辞典』。 ⸢トーシン⸣バイ カ⸢カ⸣リティ ⸢ミン⸣ヌ ッ⸢サーラー⸣ フ⸢クリ ベー⸣バ プ⸢スン⸣ ウ⸢ツァス⸣ナ⸢ヨー [⸢toːʃim⸣bai kḁ⸢ka⸣riti ⸢min⸣nu s⸢saːraː⸣ ɸu̥⸢kuri beː⸣ba pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ʦasu⸣na⸢joː] (おたふくかぜに罹って耳の下が腫れているから、他人に感染させるな<移すな>よ) 11561 0 1 10572 htmvoc_11561.wav トースン ⸢トー⸣スン [⸢toː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}倒す。伐り倒す。 ⸢トー⸣シ ⸣ミサカー ⸢トー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ⸢トーサラ⸣ヌ [⸢toː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢toː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ⸢toːsara⸣nu] (倒してよければ倒そうと思うが、私には倒されない)。 ⸢トー⸣ス ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸢トー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢toː⸣su ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸢toː⸣ʃeː ⸣misamunu] (倒すものは早く倒せば良いのに)。 ヨー⸢ンナー トー⸣シ [joː⸢nnaː toː⸣ʃi] (ゆっくり倒せ)。 ⸣キー ⸢トー⸣スン [⸣kiː ⸢toː⸣suŋ] (木を伐り倒す)。 ⸢シン⸣ザ ⸢トー⸣スン [⸢ʃin⸣ʣa ⸢toː⸣suŋ] (砂糖黍を刈り取る<伐り倒す>)。 11561 0 2 10573 htmvoc_11561.wav トースン ⸢トー⸣スン [⸢toː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}つぶす。絶家にする。 イッ⸢カナ⸣シ ⸣ヤー ⸢トー⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔik⸢kana⸣ʃi ⸣jaː ⸢toː⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (決して家を倒しては<絶家にしては>ならない) 11562 0 0 10574 htmvoc_11562.wav トースン ⸢トー⸣スン [⸢toː⸣suŋ] 他動 着物をつぶす。 ム⸢カ⸣シェー ッ⸢ふキン⸣バ ⸢トー⸣シティ シ⸢ビシ⸣ケー ⸢サーソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː f⸢fukim⸣ba ⸢toː⸣ʃi̥ti ʃi⸢biʃi̥⸣keː ⸢saːsoːt⸣ta] (昔は古着をつぶして<倒して>おしめを作られた) 11563 0 0 10575 htmvoc_11563.wav トースン ⸢トー⸣スン [⸢toː⸣suŋ] 他動 補助動詞。~し尽くす。他動詞の連用形に付いて、動詞の意味を強調する。意味的には達成される動作に粗削りで力強い感じを与える。 ⸣ウタ イ⸢ジットースン [⸣ʔuta ʔi⸢ʤittoːsuŋ] (歌を歌いつくす)。 ウ⸢ムイットー⸣スン [ʔu⸢muittoː⸣suŋ] (思い尽くす{EOS}愛し尽くす)。 ⸢ウイットースン [⸢ʔuittoːsuŋ] (どこまでも追っ払う{EOS}追っ払い尽くす)。 カ⸢リットースン [ka⸢rittoːsuŋ] (刈りつくす)。 キ⸢シットー⸣スン [ki̥⸢ʃittoː⸣suŋ] (伐り尽くす)。 ッ⸢ふァイトースン [f⸢faitoːsuŋ] (食い尽くす) 11564 0 1 10576 htmvoc_11564.wav トータビ ⸣トータビ [⸣toːtabi] 名 {Mn_1}唐旅。中国への旅行。 ⸢クン⸣ネヌ ウ⸢ヤ⸣プスナー ⸣トータビ ⸢ソー⸣レー プ⸢スヌ オーッ⸣タンツォー [⸢kun⸣nenu ʔu⸢ja⸣pusunaː ⸣toːtabi ⸢soː⸣reː pu̥⸢sunu ʔoːt⸣tanʦoː] (この家のご先祖に唐旅をされた人がおられたそうだ)。 11564 0 2 10577 htmvoc_11564.wav トータビ ⸣トータビ [⸣toːtabi] 名 {Mn_2}冥土への旅。 ⸢ナーワチライ シー オーッタ⸣ヌ ⸣トータビ ⸢ソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢naːwaʧirai ʃiː ʔoːtta⸣nu ⸣toːtabi ⸢soː⸣ri ⸢naː⸣nu] (長患いをしておられたが、冥土へ旅立たれて<唐旅をされて>しまった) 11566 0 0 10578 htmvoc_11566.wav トーティスーカー ⸢トーティ スー⸣カー [⸢toːti suː⸣kaː] 連 いざという時に。さあと言う時になって。結局は。あげくの果て。終には。とどのつまり。「最後と言うと」の義。 ⸣パルン ⸣パルンティ ⸢シー⸣ プ⸢スバ⸣ ア⸢ティ⸣ シ⸢ミ ベー⸣ティ ⸢トーティ スー⸣カー パ⸢ラン⸣ティバーヤ [⸣parum ⸣parunti ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔa⸢ti⸣ ʃi⸢mi beː⸣ti ⸢toːti suː⸣kaː pa⸢ran⸣tibaːja] (行く、行くといって、すっかり人を当てにさせておきながら、挙句の果てには<いざという時になって>行かないんだってよ) 11567 0 0 10579 htmvoc_11567.wav ドーディン ドー⸢ディン [doː⸢diŋ] 副 どうぞ。どうか。何卒。相手に強く依頼、勧誘、嘆願、祈願する意を表す。「どうでも<どうしても、どうあっても>」の転訛したもの。 ドー⸢ディン⸣ バー ニ⸢ガイ⸣ユ シ⸢キトゥドゥキ⸣ タ⸢ボー⸣リ [doː⸢dim⸣ baː ni⸢gai⸣ju ʃi̥⸢kituduki⸣ ta⸢boː⸣ri] (どうか私の願いをお聞き届けくださいませ<お聞き届け賜れ>) 11568 0 0 10580 htmvoc_11568.wav ドーディンカーディン ドー⸢ディンカー⸣ディン [doː⸢diŋkaː⸣diŋ] 副 なにとぞ。どうぞ、どうぞと懇願するさま。ABCDEFCD型の重言。 タ⸢ナ⸣ム ⸣ピンマー ドー⸢ディンカー⸣ディン ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣キティ ナ⸢ル⸣タ ⸣クトー イ⸢カシタ⸣ティ ⸢ナー⸣ヌ [ta⸢na⸣mu ⸣pimmaː doː⸢diŋkaː⸣diŋ ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kiti na⸢ru⸣ta ⸣ku̥toː ʔi⸢kaʃi̥ta⸣ti ⸢naː⸣nu] (頼む時は、なにとぞと懇願していて、希望が叶った後は見向きもしない<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{如何}{イカガ}かともない>) 11571 0 0 10581 htmvoc_11571.wav トートー ⸢ト⸣ー⸢ト⸣ー [⸢to⸣ː⸢to⸣ː] 感 よしよし。もうよい、もうよい。 ⸢ト⸣ー⸢ト⸣ーティ ア⸢ザバン⸣ タ⸢ダーイ⸣ イ⸢リス ムヌ⸣ ウ⸢ビ⸣ナー ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸢to⸣ː⸢to⸣ːti ʔa⸢ʣaban⸣ ta⸢daːi⸣ ʔi⸢risu munu⸣ ʔu⸢bi⸣naː nu⸢mara⸣nu] (もうよい、もうよいと言ってもどんどん入れるんだもの、あんなには飲めない<飲まれない>) 11569 0 0 10582 htmvoc_11569.wav トートゥ ⸢トートゥ [⸢toːtu] 感 あなとうと。尊い神様、仏様。神様、仏様なにとぞ~。神様、仏様どうぞ~。畏敬する神仏への祈願の冒頭に、神仏へ呼びかけることば。「父母を見れば多布斗斯<タフトシ>~。万、800」の転訛したものか。/~⸢タン⸣ディ⸢トートゥ⸣ マ⸢ブ⸣ルシュ アミブ⸢シャ⸣ヌ ガ⸢ラ⸣ク⸢トートゥ⸣ カミガ⸢ナ⸣シ アミブ⸢シャ⸣ヌ/(尊い神様、なにとぞ守護神様、雨が欲しいです{EOS}願わくば尊い神様 雨が欲しいです)ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞い神歌{EOS}ナガミク)『鳩間島古典民謡古謡集』 11570 0 0 10583 htmvoc_11570.wav トートゥガナシ ⸢トートゥガナシ [⸢toːtuganaʃi] 名 お月様。首里方言からの借用語か。十五夜の月見の祈願の際に用いる語。 ⸢ユシキ⸣ヌ パ⸢ナ⸣トゥ ミ⸢キン⸣ パ⸢ナン⸣グミン シ⸢キティ トートゥガナ⸣シ ウ⸢ガ⸣ミバ [ju⸢ʃi̥ki⸣nu pa⸢na⸣tu mi⸢kim⸣ pa⸢naŋ⸣gumiŋ ʃi̥⸢kiti toːtugana⸣ʃi ʔu⸢ga⸣miba] (ススキの花とお神酒も、花米も供えてお月様を拝みなさい) 11572 0 1 10584 htmvoc_11572.wav トーニ ⸢トー⸣ニ [⸢toː⸣ni] 名 {Mn_1}田舟。[taɸune] → [tawune] → [tauni] → [toːni] と音韻変化したもの。フ⸢ノー⸣ル[ɸu⸢noː⸣ru](田船)ともいう。ユ⸢ビター[ju⸢bitaː](深い田圃)で作業をする際に使う小さな舟。赤木などを刳り貫いて、幅約30センチ、長さ約150センチの長方形に作った小舟。田均しをしたり、苗を運んだりするのに用いた。 ユ⸢ビターナー⸣ヤ ⸢トー⸣ニー シゥ⸢カイル⸣ シ⸢グトー ソーッタ⸣ル [ju⸢bitaːnaː⸣ja ⸢toː⸣niː sï̥⸢kairu⸣ ʃi⸢gutoː soːtta⸣ru] (深い田圃には田舟を使って仕事をされたものだ)。 11572 0 2 10585 htmvoc_11572.wav トーニ ⸢トー⸣ニ [⸢toː⸣ni] 名 {Mn_2}豚のかいばおけ(飼葉桶)。幅約30センチ、長さ約50センチの箱型の田舟。ア⸢カンキー[ʔa⸢kaŋkiː](赤木)の幹を刳り貫いて飼料を入れることが出来るように作ってある。 ⸢トー⸣ニナー ⸢オー⸣ヌイー イ⸢リティ⸣ ッ⸢ふァーシバ⸣ キ⸢モーッ⸣サ ッ⸢ふン⸠ツォー [⸢toː⸣niːna ⸢ʔoː⸣nuʔiː ʔi⸢riti⸣ f⸢faːʃiba⸣ ki⸢moːs⸣sa ⸢fun⸠ʦoː] (飼葉桶に豚の飼料<飯>を入れて食わせると、気持ちよく食べるんだよ) 11573 0 0 10586 htmvoc_11573.wav トーヌハッシン ⸢トー⸣ヌ ⸢ハッ⸣シン [⸢toː⸣nu ⸢haʃ⸣ʃiŋ] 連 唐の八臣。唐の皇帝の身を守護する八柱の臣下の義か。屋敷の祈願で唱える祝詞のことば。 ⸢トー⸣ヌ ⸢ハッ⸣シン ヤ⸢マトゥ⸣ヌ ク⸢カル⸣ ウ⸢キナー⸣ヌ ⸣サンシクヮン ⸢ヤイマヌ⸣ カサ ⸢ミートゥクル~ [⸢toː⸣nu ⸢haʃʃiŋ ja⸢matu⸣nu ku̥⸢karu⸣ ʔu⸢kinaː⸣nu ⸣saŋʃikwŋ~ ⸢jaimanu⸣ kasa ⸢miːtukuru~] (唐の八神、大和の九家老、沖縄の三司官、八重山の頭<カシラ>お三方~) 11574 0 0 10587 htmvoc_11574.wav トーヌユー ⸢トー⸣ヌユー [⸢toː⸣nujuː] 名 琉球が中国の冊封体制下にあり、中国を宗主国としていた時代。明代から清朝ごろまで。「唐の世」の義。 ウ⸢キナー⸣ヤ ⸢トー⸣ヌユー ヤ⸢マトゥ⸣ユー ア⸢メリカ⸣ユーティ ⸣ナリ マ⸢タ⸣ ヤ⸢マトゥ⸣ユー ⸣ナレー⸢ダー [ʔu⸢kinaː⸣ja ⸢toː⸣nujuː ja⸢matu⸣juː ʔa⸢merika⸣juːti ⸣nari ma⸢ta⸣ ja⸢matu⸣juː nareː⸢daː] (沖縄は唐の世、大和世、アメリカ世となって、また大和世になったのだよ) 11575 0 0 10588 htmvoc_11575.wav トーバサ ⸢トーバ⸣サ [⸢toːba⸣sa] 名 (植)実のなる芭蕉。ナ⸢リバ⸣サ[na⸢riba⸣sa](実のなる芭蕉)ともいう。 ⸢ヤーカー⸣ジナー ⸢トーバ⸣サー イ⸢ビラリ ブタン [⸢jaːkaː⸣ʤinaː ⸢toːba⸣saː ʔi⸢birari butaŋ] (家毎に実のなる芭蕉が植えられていた) 11576 0 0 10589 htmvoc_11576.wav トーバン ⸢トーバン [⸢toːbaŋ] 名 交替でする仕事の番に当たること。明治29年の学校教育の始まりと共に標準語から転訛したことば。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢ソージ⸣ヌ ⸢トーバンマー ター⸣ヤ [⸢kjuː⸣nu ⸢soːʤi⸣nu ⸢toːbammaː taː⸣ja] (今日の掃除当番は誰か) 11578 0 0 10590 htmvoc_11578.wav トーヒャー ⸢トーヒャー [⸢toːçaː] 感 さあさあ。それそれ。一大事になった。何らかの失敗により、大変な事態に至った時に発することば。次に、「大変だ」、「困った」などの表現を誘導する。 ⸢トーヒャー デー⸣ジ⸢ギャ⸣ー ⸣アブジェーン イ⸢ザリ⸣ギャー [⸢toːçaː deː⸣ʤi⸢gja⸣ː ʔa⸢buʤeːŋ⸣ ʔi⸢ʣari⸣gjaː] (さあさあ大変さ、お祖父さんに叱られるさ) 11577 0 0 10591 htmvoc_11577.wav トービラーマ トービ⸢ラー⸣マ [toːbi⸢raː⸣ma] 名 蝶。胡蝶。蛾。 ⸢ダイクニ⸣ヌ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクカー トービ⸢ラーマ⸣ヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸣クン [⸢daikuni⸣nu pa⸢na⸣nu ⸣sḁkukaː toːbi⸢raːma⸣nu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸣kuŋ] (大根の花が咲くと胡蝶が集まってくる) 11579 0 0 10592 htmvoc_11579.wav トーピン ⸣トーピン [⸣toːpiŋ] 名 当日。祭りの当日。豊年祭や結願祭などの大きな祭りの前夜は⸢ユーングム⸣ル[⸢juːŋgumu⸣ru](夜籠り{EOS}夜籠りで祈願すること)で、祭りの当日にブ⸢ドゥルキョンギン[bu⸢durukjoŋgiŋ](踊り狂言)の余興が行われる。 ⸢プー⸣ル キチゴンヌ ⸣トーピンナール ブ⸢ドゥルキョンギンマー ソーッタ⸣ル [⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu ⸣toːpinnaːru bu⸢duru kjoŋgimmaː soːtta⸣ru] (豊年祭、結願祭の当日に踊り、狂言<演劇>はなさったものだ) 11580 0 0 10593 htmvoc_11580.wav トーフ ⸢トー⸣フ [⸢toːɸu] 名 豆腐。約12時間水に浸けた⸢トー⸣フマミ[⸢toː⸣ɸumami](大豆)を桶の上のア⸢ジ⸣マー[ʔa⸢ʤi⸣maː](十字に交差した支柱)の上に据えて石臼で挽き、豆汁(ごじる)を\ruby{布漉}{ヌノ|ゴシ}にして豆乳と⸢トーフ⸣ヌカシ[⸢toːɸu⸣nukaʃi](おから)に分け、豆乳を煮て\ruby[g]{苦汁}{ニガリ}を加え、凝固させた食品。 ⸢トー⸣フマミバ プ⸢ス⸣ユー ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キティ⸣ イ⸢ソーシ⸣シ ピ⸢キ⸣ シロー フ⸢ク⸣ルシ ク⸢シティ⸣ カシェー ⸣トゥリ シ⸢ル⸣バ ⸢ネーシ⸣ ン⸢ガ⸣リ イ⸢リ⸣ カ⸢タマラシティル⸣ パ⸢ク⸣ナー イ⸢リ⸣ ウ⸢ムシ⸣シ ⸢ウシキティ⸣ ⸢トー⸣フ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢toː⸣ɸumamiba pu̥⸢su⸣juː mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiti⸣ ʔi⸢soːʃi⸣ʃi pi̥⸢ki⸣ ʃiroː ɸu̥⸢ku⸣ruʃi ku̥⸢ʃiti⸣ kḁʃeː ⸣turi ʃi⸢ru⸣ba ⸢neːʃi̥ti⸣ ŋ⸢ga⸣ri ʔi⸢ri⸣ kḁ⸢tamaraʃi̥tiru⸣ pḁ⸢ku⸣naː ʔi⸢ri⸣ ʔu⸢muʃi⸣ʃi ⸢ʔuʃi̥kiti⸣ ⸢toː⸣ɸu su̥⸢ku⸣roːtta] (大豆を一晩水に浸けて、石臼で挽き、汁は袋で漉しておから<豆腐の殻(糟)>は除き、汁を煮てニガリを入れ、凝固させてから木箱に入れて重石で押して、固まらせて豆腐を造られた) 11581 0 0 10594 htmvoc_11581.wav トープス ⸣トープス [⸣toːpu̥su] 名 唐人。中国人。 ⸣トープソー パ⸢ナ⸣シナール シ⸢キミッタ⸣ル ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [⸣toːpu̥soː pa⸢na⸣ʃinaːru ʃi̥⸢kimit⸣taru ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (唐人は話しの上で<ぞ>聞いてみたのだ{EOS}見たことはない) 11589 0 0 10595 htmvoc_11589.wav トーフチャンプルー ⸢トー⸣フチャンプルー [⸢toː⸣ɸuʧampuruː] 名 料理名。豆腐、野菜などを主にして肉などを取りまぜ、油で炒めた料理。⸢ゴーヤーチャン⸣プルー[⸢goːjaːʧam⸣puruː](にがうりの炒めもの)にも豆腐をいれるし、マ⸢ミナーチャン⸣プルー[ma⸢minaːʧam⸣puruː](もやしの炒めもの)にも豆腐をいれた。 ⸢トー⸣フチャンプロー ⸣ユー ッ⸢ふァーソーッ⸣タン ウ⸢リル クヮッ⸣チー ⸢ヤッタル [⸢toː⸣ɸuʧampuroː ⸣juː f⸢faːsoːt⸣taŋ ʔu⸢riru kwat⸣ʧiː ⸢jattaru] (豆腐チャンプルーはよく食べさせられた{EOS}それがご馳走であったよ) 11582 0 0 10596 htmvoc_11582.wav トーフナビ ⸢トー⸣フナビ [⸢toː⸣ɸunabi] 名 豆腐を造るのに用いる大鍋。大豆を挽いた汁を入れて煮立てる鍋。 ⸢トー⸣フナビ シ⸢キティ トーフ⸣ヌ ⸣シル ⸢ネーシティ トー⸣フ マ⸢ラシ⸣バ [⸢toː⸣ɸunabi ʃi̥⸢kiti toːɸu⸣nu ⸣ʃiru ⸢neːʃi̥ti toː⸣ɸu ma⸢raʃi⸣ba] (豆腐を造る鍋を竈に据えつけて豆腐の汁<\ruby{豆汁}{ゴ|ジル}>を煮て豆腐を製造し<生ませ>なさいよ) 11585 0 0 10597 htmvoc_11585.wav トーフヌイラキムヌ ⸢トーフ⸣ヌ イ⸢ラキ⸣ムヌ [⸢toːɸu⸣nu ʔiraki⸣munu] 連 豆腐の炒め物。豆腐のチャンプルー。豆腐と野菜、豚肉、あるいはカマボコ等を油で炒めたもの。 ⸢トーフ⸣ヌ イ⸢ラキ⸣ムノー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢toːɸu⸣nu ʔi⸢raki⸣munoː ʔi⸢kkem⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (豆腐の炒め物<チャンプルー>は非常に美味しかった) 11583 0 0 10598 htmvoc_11583.wav トーフヌカシ ⸢トーフ⸣ヌカシ [⸢toːɸu⸣nukaʃi] 名 おから。豆腐殻。「豆腐の糟」の転訛したもの。おからを魚肉や豚肉、野菜類とチャンプルーにして食することが多かった。 ⸢トーフ⸣ヌカシシ ⸢ズー⸣シ バ⸢カス⸣カー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢toːɸu⸣nukḁʃiʃi ⸢ʣuː⸣ʃi ba⸢kasu⸣kaː ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (おからで雑炊を炊くと非常に美味しかった) 11584 0 0 10599 htmvoc_11584.wav トーフヌカシヌイラキムヌ ⸢トーフ⸣ヌカシヌ イ⸢ラキ⸣ムヌ [⸢toːɸu⸣nukḁʃinu ʔi⸢raki⸣munu] 連 おから炒め。おからの炒め物。おからを油で炒めたもの。おからにネギ、人参、大根、カマボコ、または豚肉などを混ぜて油で炒めたもの。 ⸢トーフ⸣ヌカシヌ イ⸢ラキ⸣ムノー ン⸢マー⸣タン [⸢toːɸu⸣nukḁʃinu ʔi⸢raki⸣munoː ʔm⸢maː⸣taŋ] (おからの炒め物は美味しかった) 11586 0 0 10600 htmvoc_11586.wav トーフヌスー ⸢トーフ⸣ヌ ⸣スー [⸢toːɸu⸣nu ⸣suː] 連 豆腐を具にして入れたお汁。日常食では、豆腐を賽の目に切ることなく、手で割っていれた。 ⸢トーフ⸣ヌ ⸣スー バ⸢カシティ⸣ ッ⸢ふァース⸣カー ⸢クンキ⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢toːɸu⸣nu ⸣suː ba⸢kaʃi⸣ f⸢faːsu⸣kaː ⸢kuŋki⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (豆腐のお汁を炊いて食べさせると根気<元気>がつく) 11587 0 0 10601 htmvoc_11587.wav トーフヌスナイ ⸢トーフ⸣ヌ ⸣スナイ [⸢toːɸu⸣nu ⸣sunai] 連 豆腐の和え物。サ⸢クナ[sḁ⸢kuna](ボタンニンジン{EOS}俗称は長命草)を豆腐で和えたもので、健康に良いといわれている。 ⸢トーフ⸣ヌ ス⸢ナイ⸣ヤー ナ⸢ガイキヌ⸣ フ⸢チ⸣ルティ ア⸢ザリ ブー [⸢toːɸu⸣nu su⸢nai⸣jaː na⸢gaikinu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ʔa⸢ʣari buː] (長命草の豆腐和えは長命の薬といわれている) 11588 0 0 10602 htmvoc_11588.wav トーフヌンブシムヌ ⸢トーフ⸣ヌ ン⸢ブシ⸣ムヌ [⸢toːɸu⸣nu ʔm⸢buʃi⸣munu] 連 豆腐の煮しめもの。豆腐に野菜を刻んで混ぜ、魚肉と一緒に煮しめた料理。法事の供物には大根を角切りにしたものと煮しめたものを重詰めにして供えた。 ⸢トーフ⸣ヌ ン⸢ブシ⸣ムノー イ⸢ズヌ⸣ ダシ シ⸢キティ⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢toːɸu⸣nu ʔm⸢buʃi⸣munoː ʔi⸢ʣunu⸣ daʃi ʃi̥⸢kiti⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (豆腐の煮しめものは魚の出汁が効いて<付いて>美味しい) 11590 0 0 10603 htmvoc_11590.wav トーフパク ⸢トー⸣フパク [⸢toː⸣ɸupḁku] 名 「豆腐箱」の義。豆腐鍋で煮立てられ凝固してきた豆腐を木箱に流し込んで入れ、重石を掛けて水切りをし、四角い豆腐に仕上げる箱。 ⸢トー⸣フパクナー ユ⸢シドーフ⸣ イ⸢リティ⸣ イ⸢ソーシ⸣シ ⸢ウシキティ トー⸣フ カ⸢タマラシ [⸢toː⸣ɸupakunaː ju⸢ʃidoːɸu⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢soːʃi⸣ʃi ⸢ʔuʃi̥kiti toː⸣ɸu kḁ⸢tamaraʃi] (豆腐箱に凝固しかけた豆腐を入れて、石臼の重石で押して木綿豆腐に固めなさい) 11591 0 0 10604 htmvoc_11591.wav トーフマミ ⸢トー⸣フマミ [⸢toː⸣ɸumami] 名 (植)大豆。「豆腐豆」の義。昭和30年代までは鳩間島でも大豆や\ruby[g]{小豆}{アズキ}、緑豆を自家用に作っていた。子供は豆を食い荒らす土鳩を捕獲するために、⸣ヤマ[⸣jama](鳩捕獲用の仕掛け{EOS}罠)を畑に仕掛けた。 ⸢トー⸣フマミ イ⸢ビティ⸣ ア⸢トゥ⸣ヌ パ⸢タ⸣ケーヤ ⸢ウン⸣マー イッ⸢ケン ミールタン [⸢toː⸣ɸumami ʔi⸢biti⸣ ʔa⸢tu⸣nu pḁ⸢ta⸣keːja ⸢ʔum⸣maː ʔik⸢kem miːrutaŋ] (大豆を植えた後の畑は、芋が非常によく稔ったものである) 11592 0 0 10605 htmvoc_11592.wav トーフマミヌスー ⸢トー⸣フマミヌ ⸣スー [⸢toː⸣ɸumaminu ⸣suː] 連 大豆のお汁。「豆腐豆の汁」の義。大豆を水に浸してふやかし、⸢ダイ⸣パー[⸢dai⸣paː](擂鉢)に入れてシ⸢ルング⸣チ[ʃi⸢ruŋgu⸣ʧi](擂り粉木)で擂り潰してお汁に炊いたもの。豆腐を造る時間的余裕がない時に造った。マ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru](遊離魂{EOS}転倒したり、極度に驚いたりした時に肉体から抜け出るという魂)の大好物といわれ、魂籠めの祈願をする際には必ず造られる。マブルを呼び寄せる必需食品という。 ⸢トー⸣フマミヌ ⸣スー バ⸢カシティ⸣ マ⸢ブ⸣ル ⸣クミバ [⸢toː⸣Fumaminu ⸣suː ba⸢kaʃi̥ti⸣ ma⸢bu⸣ru ⸣kumiba] (大豆のお汁を炊いて魂籠めをしなさいよ) 11593 0 0 10606 htmvoc_11593.wav トーフヤー ⸢トー⸣フヤー [⸢toː⸣ɸujaː] 名 豆腐屋。豆腐店。豆腐を造って売る家。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢トー⸣フヤーヤ ⸢ナーン⸣シェン ⸢ナーメーメーヌ⸣ ヤーナーティル ⸢トー⸣ホー ス⸢クル⸣タ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢toː⸣ɸujaːja ⸢naːŋ⸣ʃeŋ ⸢naːmeːmeːnu⸣ jaːnaːtiru ⸢toː⸣hoː su̥⸢kuru⸣ta] (鳩間島では豆腐屋はなかった{EOS}各自<銘銘>の家で豆腐は造った) 11594 0 0 10607 htmvoc_11594.wav トーブン ⸢トー⸣ブン [⸢toː⸣buŋ] 名 当分。暫くの間。当座。標準語からの借用語。 ⸢マイカリジブン⸣ナリ ⸢トーブン⸣マー ⸢パンタサ⸣ヌ イ⸢サナケー⸣ パ⸢リユーサ⸣ヌ [⸢maikariʤibun⸣ nari ⸢toːbum⸣maː ⸢pantasa⸣nu ʔi⸢sanakeː⸣ pa⸢rijuːsa⸣nu] (稲刈りの時期になり、当分は忙しくて<繁多さで>石垣島へは行けない<行き得ない>) 11595 0 0 10608 htmvoc_11595.wav トームニ ⸣トームニ [⸣toːmuni] 名 唐言葉。中国語。「唐物言い」の義。 ⸣トームネー ⸣ヌーティル ア⸢ジ ブー⸣ユー ムッ⸢トゥ⸣ ア⸢ティンガーラヌ [⸣toːmuneː ⸣nuːtiru ʔa⸢ʤi buː⸣juː mut⸢tu⸣ ʔa⸢tiŋgaːranu] (中国語<唐言葉>は何と言っているのか全く<ちっとも>分からない<見当がつかない>)。 ⸢トゥー⸣ジェヌ ウ⸢ヤ⸣プソー ⸣トームネー ッ⸢シオー⸣レール⸢ナー [⸢tuː⸣ʤenu ʔu⸢ja⸣pu̥soː ⸣toːmuneː ʃ⸢ʃiʔoː⸣reːru⸢naː] (通事家のご先祖は唐言葉<中国語>はきっと知っておられたのだろうよねえ) 11596 0 0 10609 htmvoc_11596.wav トーヤマトゥ ⸣トーヤマトゥ [⸣toːjamatu] 名 唐大和。中国や日本本土。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ナムノー⸣ トーヤ⸢マ⸣トーラ ⸣ケー ⸣シ⸢ナムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ マー⸢ンマーン⸣ナーン ⸢カーリ ムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢namunoː⸣ toːja⸢ma⸣toːra ⸣keː ʃi⸢namunu⸣ ja⸢runda⸣ maː⸢mmaːn⸣naːŋ ⸢kaːrimunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (この品物は唐大和からきた品物だから、どこにもそこにも買える<買われる>ものではない) 11597 0 0 10610 htmvoc_11597.wav トーラ ⸢トー⸣ラ [⸢toː⸣ra] 名 炊事小屋。台所。母屋の側にある炊事をする小屋。母屋がヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き家建築)であるのに対し、⸢トー⸣ラはア⸢ナ⸣プリヤー[ʔa⸢na⸣purijaː](穴堀家{EOS}掘っ立て小屋)、⸣ガヤヤー[⸣gajajaː](茅葺家)もあった。大中小の竈を備えて火の神を安置し、室外には水瓶を置き。薪棚を竈の上に作って薪を乾燥させ、炊事作業をする台所と室内作業場、農具置き場を兼ねた多機能の小屋である。「とのぐら」の転訛したもの『沖縄今帰仁方言辞典』。または、「トゥン(殿)」と「倉」の熟合形『図説琉球語辞典』ともいわれる。 ⸢トーラ⸣ナー ウ⸢ブカマ⸣チ ナ⸢カカマ⸣チ カ⸢マチェー⸣マン ス⸢ク⸣リ カ⸢マチヌ ウイ⸣ナー タ⸢ム⸣ヌダナン ス⸢ク⸣リティ ⸢ウン⸣ユン ⸢イー⸣ユン バ⸢カシ⸣ ユーン フ⸢カ⸣シティ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー ⸣ピンマー ⸣ウナーティル シ⸢グトゥン ソーッタ⸣ル [⸢toː⸣ranaː ʔu⸢bukama⸣ʧi na⸢kakama⸣ʧi ka⸢maʧeː⸣man su̥⸢ku⸣riti ka⸢maʧinu ʔui⸣naː ta⸢mu⸣nudanan su̥⸢ku⸣riti ⸢ʔuŋ⸣juŋ ⸢ʔiː⸣jum ba⸢kaʃi⸣ juːŋ ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuː ⸣pimmaː ⸣ʔunaːtiru ʃi⸢gutun soːtta⸣ru] (トーラには大竈、中竈、小竈も造り、竈の上には薪棚の作って、芋もご飯も炊き、お湯も沸かして、雨が降る時はそこで<ぞ>仕事もされたものだ) 11598 0 0 10611 htmvoc_11598.wav トーラリムヌ ⸢トーラリ⸣ムヌ [⸢toːrari⸣munu] 名 到来物。お祝いや新築の際に贈られてくる物品。お中元やお歳暮として贈られてくる物品。「賜り者」が[taboːrarimunu] → [taworarimunu] → [toːrarimunu] と音韻変化したもの。 ⸢トーラリ⸣ムヌ ⸣バキティ ムティ⸢ギー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ン⸢マー⸣ムヌ ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢toːrari⸣munu ⸣baki muti⸢giː⸣ ja⸢ra⸣biŋkeːm ʔm⸢maː⸣munu su̥⸢ku⸣ri f⸢faːʃi⸣ba] (到来物を分けて持っていって子供たちに美味しいものを作って食べさせてやりなさいよ) 11599 0 0 10612 htmvoc_11599.wav ドーリ ⸢ドー⸣リ [⸢doː⸣ri] 名 道理。人の行うべき正しい道。ことわり。標準語からの借用語。 ⸣アイブ ⸢ドー⸣レー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu doː⸣reː ⸢naː⸣nu] (そのような道理<理屈>はない) 11601 0 0 10613 htmvoc_11601.wav トーリカー ⸢トーリ⸣カー [⸢toːri⸣kaː] 名 とりかじ(取舵)。船首<舳先>を左の方へ向けるよう舵を取れと叫ぶこと。ウ⸢ム⸣カー[ʔu⸢mu⸣kaː](面舵)の対義語。トゥ⸢リ⸣カジ[tu⸢ri⸣kaʤi](取舵)ともいう。大正期に海軍の退役軍人が海軍航海用語をカツオ漁船の操船の際に使用し、流行させたものという。伝統方言では、⸢オーラー[⸢ʔoːraː](風上の方向)、ッ⸢ソーマー[s⸢soːmaː](風下の方向)のようにいう。 ⸢トーリ⸣カー ⸢トーリ⸣カー ⸢ヨー⸣ソロー ⸢ヨー⸣ソロー [⸢toːri⸣kaː ⸢toːri⸣kaː ⸢joː⸣soroː ⸢joː⸣soroː] (取舵{EOS!}取舵{EOS!}微速前進{EOS!}微速前進{EOS!}) 11602 0 0 10614 htmvoc_11602.wav トーリョー ⸢トー⸣リョー [⸢toː⸣rjoː] 名 棟梁。大工の頭。標準語からの借用語。 ⸣アブジェー ⸢トー⸣リョー ⸢シー⸣ ス⸢ク⸣ローレー ⸢ヤー⸣ヤ ⸣ウブシケートゥ パ⸢ナシケー⸣ ユージェーカー⸢ニル⸣ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ブー [⸣ʔabuʤeː ⸢toː⸣rjoː ⸢ʃiː⸣ su̥⸢ku⸣roːreː ⸢jaː⸣ja ⸣ʔubuʃikeːtu pa⸢naʃi̥keː⸣ juːʤeː kaː⸢niru⸣ nu⸢ka⸣ri ⸢buː] (お祖父さんが棟梁として造られた家は大城家と花城家、松竹家だけが残っている) 11604 0 0 10615 htmvoc_11604.wav トーリルン ⸢トーリ⸣ルン [⸢toːri⸣ruŋ] 自動 倒れる。滅びる。「倒れる(下一段)」の転訛したもの。⸢トー⸣ルンとも言う。 ⸢ヤー⸣ヤ ⸢タイ⸣フーナ ⸢トーリ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢トーリラン⸣シェン [⸢jaː⸣ja ⸢tai⸣ɸuːna ⸢toːri⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢toːriraŋ⸣ʃeŋ] (家は台風で倒れるかと思ったが倒れなかった)。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ジ⸣ナ ⸢トーリ⸣ル ⸢ヤー⸣ヤ ⸢トーリヤッ⸣サ ⸣ヨーニル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー⸣ヨー [ku⸢nu⸣ ka⸢ʤi⸣naː ⸢toːri⸣ru ⸢jaː⸣ja ⸢toːri jas⸣sa ⸣joːniru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː⸣joː] (この風で倒れる家は倒れ易いようにが<ぞ>造られているよ)。 ⸢トーリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢toːri⸣reː ⸣misamunu] (倒れればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢トーリ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢toːri⸣ri] (早く倒れろ)。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ヤーム⸣トー ⸢トー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenu ⸢jaːmu⸣toː ⸢toː⸣ri ⸢naː⸣nu] (あの家の本家は滅んで<絶家になって>しまった) 11603 0 0 10616 htmvoc_11603.wav トーリンギサン ⸢トーリン⸣ギサン [⸢toːriŋ⸣gisaŋ] 形 倒れそうである。 ⸣ビーティ ⸢ヨーッタビーティ ⸢トーリン⸣ギサンドゥ ⸢トーラ⸣ンシェン [⸣biːti ⸢joːttabiːti toːriŋ⸣gisandu ⸢toːraŋ⸣ʃen] (酔っ払って、ふらついて今にも倒れそうだが、倒れなかった)。 ⸢トーリン⸣ギサー ⸢ナー⸣ヌ [⸢toːriŋ⸣gisaː ⸢naː⸣nu] (倒れそうではない<倒れる様子はない>) 11600 0 0 10617 htmvoc_11600.wav ドールドール ⸢ドールドール [⸢doːrudoːru] 副 ざあざあ。どうどう。雨が激しく降るさま。川の水が激しく流れるさま。 ⸢ドールドール⸣シ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン [⸢doːrudoːru⸣ʃi ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ] (ざあざあと雨が降る)。/{Sg_5}ニ⸢カ⸣ヌ ⸣ユーヌ ユ⸢ナカ⸣ニヨー ユ⸢サ⸣ヌ ⸣ユーヌ ユ⸢ナカ⸣ニヨー ハーリ ⸣アミ タ⸢ボー⸣リ ⸢リュー⸣ガナシ(今夜の、夜の、夜中に<囃子>ヨー、夜さり夜の、夜中に<囃子>ヨー、ハーリ 雨を賜れ龍神さま) {Sg_6}⸢ドールドール⸣シ タ⸢ボーラ⸣リヨー ⸢ザールザール⸣シ タ⸢ボーラ⸣リヨー ⸣ハーリ ⸣アミ タ⸢ボー⸣リ ⸢リュー⸣ガナシ(ドードーと雨を降らして下さい<賜れよ>、ザーザーと雨を降らして下さい<賜れ>竜神さま)ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞い歌{EOS}ハヤミク)『鳩間島古典民謡古謡集』 11605 0 0 10618 htmvoc_11605.wav トールン ⸢トー⸣ルン [⸢toː⸣ruŋ] 自動 倒る。倒れる。滅ぶ。「たふる(倒る)下二段」の転訛したものか。『源氏物語(蛍)』の転訛したもの。 ⸢トー⸣ルンティ ウ⸢モーン⸣シェンドゥ ⸢トー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢toː⸣runti ʔu⸢moːŋ⸣ʃendu ⸢toː⸣ri ⸢naː⸣nu] (倒れると思わなかったが倒れてしまった)。 ⸢トーラン⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢トー⸣ル ⸢ヤー⸣ヤ パ⸢ラーン⸣ドゥ ⸢ヨー⸣パジ [⸢toːraŋ⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢toː⸣ru ⸢jaː⸣ja pa⸢raːn⸣du ⸢joː⸣paʤi] (倒れないことはないが、倒れる家は柱が弱いはずだ)。 ⸢トー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢toː⸣reː ⸣misamunu] (倒れればよいのに)。 ⸣アイブ ⸣ムノー⸢パー⸣ク ⸢トー⸣リ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸢toː⸣ri] (あんなものは早く倒れろ) 11606 0 0 10619 htmvoc_11606.wav トールン ⸢トー⸣ルン [⸢toː⸣ruŋ] 他動 たぐる(手繰る)。綱などを両手で交互に引き寄せる。 パ⸢マー⸣ラ イ⸢ガジバ ナン⸣ゲー ⸢トーリ トー⸣リ ⸢シェー⸣ティル ク⸢ル⸣スメーン イ⸢ガン ホー⸣シタ [pa⸢maː⸣ra ʔi⸢gaʤiba naŋ⸣geː ⸢toːri toː⸣ri ⸢ʃeː⸣tiru ku⸢ru⸣sumeːŋ ʔi⸢gaŋ hoː⸣ʃi̥ta] (浜から疑似餌を投げては手繰り手繰りしてコブシメ<紋甲烏賊>や烏賊も釣られた)。 ⸣ナー ⸢トー⸣ルンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢トーララ⸣ヌ [⸣naː ⸢toː⸣runti ⸢beː⸣ndu ⸢toːrara⸣nu] (縄を手繰ろうとしているが、手繰られない)。 ⸣ナー ⸢トー⸣ル ⸣ピンマー ⸢ヨーンナー トー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣naː ⸢toː⸣ru ⸣pimmaː ⸢joːnnaː toː⸣reː ⸣misamunu] (縄を手繰るときはゆっくり手繰れば良いのに)。 ⸢トー⸣リ ⸣ミサカー ⸢パー⸣ク ⸢トー⸣リ [⸢toː⸣ri ⸣misakaː ⸢paː⸣ku ⸢toː⸣ri] (手繰ってよければ早く手繰れ) 11607 0 1 10620 htmvoc_11607.wav ドーレー ⸣ドーレー [⸣doːreː] 副助 {Mn_1}など。ある語に添えて、類似のものが他にもあることを示す。 ⸢サー⸣フキンドーレー ノー⸢ン ヤラバン⸣ ン⸢ザ⸣シバ [⸢saː⸣ɸu̥kindoːreː noː⸢ɲ jaraban⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (茶請けなどを、何でも良いから出しなさいよ)。 11607 0 2 10621 htmvoc_11607.wav ドーレー ⸣ドーレー [⸣doːreː] 副助 {Mn_2}~なんか。その価値を低めていう。 ウ⸢キ⸣ナーンドーレー ⸢ギー⸣ ミ⸢リ⸣ プサワ⸢ナー [ʔu⸢ki⸣naːndoreː ⸢giː⸣ mi⸢ri⸣ pu̥sawa⸢naː] (沖縄などへ行ってみたいものだなあ)。 11607 0 3 10622 htmvoc_11607.wav ドーレー ⸣ドーレー [⸣doːreː] 副助 {Mn_3}遅れた時刻<現在、過去>について、その価値を低めて否定的にいう。 マ⸢ナ⸣マンドーレーラ ⸣キーティ ⸢ヌー⸣スワ [ma⸢na⸣mandoːreː ⸣kiːti ⸢nuː⸣suwa] (今頃に来てどうするのか)。 ⸢ウンドーレー⸣ラ ⸣キーティ ム⸢ニ⸣ユミ ⸢アー⸣ク [⸢ʔundoːreː⸣ kiːti mu⸢ni⸣jumi ⸢ʔaː⸣ku] (あんな時刻などに遅れて来て、文句をいっているよ{EOS}今さら文句の言えた義理化か) 11608 0 0 10623 htmvoc_11608.wav トーンカーンナーヌ トー⸢ンカーン ナー⸣ヌ [toː⸢ŋkaːn naː⸣nu] 連 うんともすんとも感じない。平気である。気にしない。「等閑無し」『三体詩絶句抄』の意とする説あり。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ ギュー⸢サ⸣ イ⸢ザリタンティン⸣ トー⸢ンカーン ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu ffaː⸣ gjuː⸢sa⸣ ʔi⸢ʣaritantin⸣ toː⸢ŋkaːn naː⸣nu] (あの子は、どんなに叱られても平気である<うんともすんとも感じない>) 11609 0 0 10624 htmvoc_11609.wav ドーング ⸢ドーン⸣グ [⸢doːŋ⸣gu] 名 道具。 イ⸢ガメードーング [ʔi⸢gameːdo(ː)ŋgu] (烏賊釣り漁の漁具)。 ⸢ヤームティドーン⸣グ [⸢jaːmutido(ː)ŋ⸣gu] (所帯道具)。 ⸢サイクド(ー)ン⸣グ [⸢saikudo(ː)ŋ⸣gu] (大工道具)。 ⸢サイ⸣コー ⸢ド(ー)ングマサ⸣ルティ ア⸢ザリ ブー [⸢sai⸣koː ⸢do(ː)gumasa⸣ruti ʔa⸢ʣari buː] (「大工は道具勝り」と言われている)。 ⸢サイクドン⸣ゴー ⸢ティーリ⸣ル ヌチ⸢ダー [⸢saikudoŋ⸣goː ⸢tiːri⸣ru nuʧi⸢daː] (大工道具は手入れが命<大切>だよ) 11611 0 0 10625 htmvoc_11611.wav ドーングブン ⸢ドーング⸣ブン [⸢doːŋgu⸣buŋ] 名 霊供。「霊供盆」の義。「Reŏgu.レヤゥグ(霊供)Tamaxij,sonayuru.(たましひ、供ゆる)すなはち、ゼンチョ(異教徒)が死者の霊に供える食物」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢サンギソッコーヌ ドーングブン⸣マー ス⸢コーラレーン⸣カヤー [ʔu⸢saŋgisokkoːnu doːŋgubum⸣maː su̥⸢koːrareːŋ⸣kajaː] (三十三年忌<仕舞い焼香{EOS}法事>の供物のお膳は準備できたかねえ) 11610 0 0 10626 htmvoc_11610.wav ドーングペーング ⸢ドーングペーン⸣グ [⸢doːŋgupeːŋ⸣gu] 名 道具類。いろいろの道具。ABCDEBCD型の重言。⸢ドングペン⸣グ[⸢doŋgupeŋ⸣gu](道具類)ともいう。 ⸢ドーングペーン⸣ゴー シゥ⸢カウ プスヌ⸣ ク⸢ク⸣ル ウ⸢ツァ⸣スンダー ⸣ユー ⸢ティー⸣リ ⸢シー⸣ヨー [⸢doːŋgupeːŋ⸣goː sï̥⸢kau pu̥sunu⸣ ku̥⸢ku⸣ru ʔu⸢ʦa⸣sundaː ⸣juː ⸢tiː⸣ri ⸢ʃiː⸣joː] (道具類は使う人の心を映すから、よく手入れをしなさいよ) 11612 0 0 10627 htmvoc_11612.wav ドーングマサル ⸢ドーングマサ⸣ル [⸢doːŋgumasa⸣ru] 名 道具勝り。道具が良ければ腕も<技術>も上達するということ。 ノー⸢ンヌ⸣ シ⸢グトゥン ドーングマサ⸣ルティ ア⸢ザリ ブーユンダ ティー⸣リ ウ⸢クタレー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [noː⸢nnu⸣ ʃi⸢gutun doːŋgumasa⸣ruti ʔa⸢ʣari buːjunda tiː⸣ri ʔu⸢kutareː⸣ na⸢ran⸣daː] (どんな仕事も道具勝りと言われているから、手入れを怠ってはいけない<ならない>よ) 11613 0 0 10628 htmvoc_11613.wav ドーングヤビ ⸢ドーング⸣ヤビ [⸢doːŋgu⸣jabi] 名 帆船の帆や帆柱、手縄(帆桁から引いた縄)などの操船用具が破損すること。⸢ドング⸣ヤビ[⸢doŋgu⸣jabi]ともいう。 フ⸢クルプー⸣ヤ マ⸢ギ⸣フニ ⸢スー⸣ ピン ⸢ドーング⸣ヤビ ⸢スー⸣ クトゥン ⸢アッ⸣タン [ɸu̥⸢kurupuː⸣ja ma⸢gi⸣ɸuni ⸢suː⸣ pin ⸢doːŋgu⸣jabi ⸢suː⸣ku̥tuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (帆桁のない帆<袋帆>はジグザグ走行<曲げ船>する時に帆柱や帆桁、手縄などの操船具が破損することもあった) 11614 0 0 10629 htmvoc_11614.wav ドーンティ ドーン⸢ティ [doːn⸢ti] 副 どすんと。どーんと。ものが勢いよく落ちるさま。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢キーヌ パン⸣ターラ ドーン⸢ティ⸣ ウティティ ブ⸢チ⸣クン ⸢シー ベー⸣タ [ja⸢ra⸣beː ⸢kiːnu pan⸣taːra doːn⸢ti⸣ ʔutiti bu⸢ʧi⸣kuŋ ⸢ʃiː beː⸣ta] (子供は木の先端からどすんと落ちて人事不省<意識不明{EOS}気絶{EOS}気を失う>になっていた<していた>) 11615 0 0 10630 htmvoc_11615.wav ドーントーン ⸢ドーントーン [⸢doːntoːŋ] 副 どんとん。どんどん。どたんどたん。壁や太鼓、床などを勢いよく叩いて鳴らすさま。 ⸢タール⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ユ⸢ナカサナ⸣カーラ ⸢ドーントーン⸣シ ヤ⸢ドゥ⸣バ ⸣ウティ ⸢ナーラシ<⸢シッ⸣キ> ベー [⸢taːru⸣ ja⸢ru⸣juː ju⸢nakasana⸣kaːra ⸢doːntoːŋ⸣ʃi ja⸢du⸣ba ⸣ʔuti<⸢ʃik⸣ki> ⸢naːraʃi beː] (誰なのか、夜の真夜中からどんどんと戸を叩いて鳴らしている) 11616 0 1 10631 htmvoc_11616.wav ドーンドーン ⸢ドーンドーン [⸢doːndoːŋ] 副 {Mn_1}足音を鳴り轟かせるさま。 ヤ⸢マン⸣ゴー ⸣ドゥク カ⸢サマ⸣サティ ⸢ドーンドーン⸣シ ⸢オーリパッ⸣タヤー [ja⸢maŋ⸣goː ⸣duku ka⸢sama⸣sati ⸢doːndoːŋ⸣ʃi ⸢ʔoːri pat⸣tajaː] (腕白坊主はひどくうるさい<煩い>ので、どんどんと足を踏み鳴らされて追われていったよ)。 11616 0 2 10632 htmvoc_11616.wav ドーンドーン ⸢ドーンドーン [⸢doːndoːŋ] 副 {Mn_2}どんどん。太鼓の鳴るさま。 ⸢ドーンドーン⸣シ ⸢タイク⸣ヌ ⸢ナーリベー [⸢doːndoːŋ⸣ʃi ⸢taiku⸣nu ⸢naːri beː] (どんどんと太鼓が鳴っている) 11617 0 0 10633 htmvoc_11617.wav ドーンパターン ⸢ドーンパターン [⸢doːmpataːŋ] 副 どたんばたん。ドンドンと音が鳴り響くさま。 ⸣ビーティ ⸢ドーンパターン⸣シ ⸢ヤー⸣バリ シーベー [⸣biːti ⸢doːmpataːŋ⸣ʃi ⸢jaː⸣bari ⸢ʃiːbeː] (酒に酔って、どたんばたんと家具を打ち割って暴れている) 10989 0 0 10634 htmvoc_10989.wav トゥ ⸣トゥ [⸣tu] 接尾 斗。容量の単位。一升の10倍。 ⸢イッ⸣トゥ [⸢ʔit⸣tu] (1斗) ⸣ニトゥ [⸣nitu] (2斗) ⸢サン⸣トゥ [⸢san⸣tu] (3斗) ⸢ユントゥ [⸢juntu] (4斗) グ⸢トゥ [gu⸢tu] (5斗) ル⸢ク⸣トゥ [ru⸢ku⸣tu] (6斗) ナ⸢ナ⸣トゥ [na⸢na⸣tu] (7斗) ⸢ハッ⸣トゥ [⸢hat⸣tu] (8斗) ⸢キュートゥ [⸢kjuːtu] (9斗))。 ⸢マイヤー ナン⸣トゥ ア⸢ル⸣ワ [⸢maijaː nan⸣tu ʔa⸢ru⸣wa] (米は何斗あるか)。 ⸢イックク サン⸣トゥ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ン [⸢ʔikkuku san⸣tu nu⸢ka⸣ri ⸢beː⸣ŋ] (1石3斗残っている) 10991 0 0 10635 htmvoc_10991.wav トゥ ⸣トゥ [⸣tu] 格助 動作の相手を表す。 ⸢バン⸣トゥ ⸢マーズン⸣ パラ [⸢ban⸣tu ⸢maːʣum⸣ para] (私と一緒に行こう)。 トゥ⸢シ⸣トゥルカー ヤ⸢ラビ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ja⸢rabi⸣tu ju⸢nu⸣munu] (年をとると子供と同じだ)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ターットゥ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣ター [⸢kjuː⸣ja ⸢taːttu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣taː] (今日は、誰と一緒に畑へ行ったのか)。 10991 0 0 10636 htmvoc_10991.wav トゥ ⸣トゥ [⸣tu] 格助 {Exp_1}⸢トゥヌ[⸢tunu](との)<トゥ[tu](と)+ヌ[nu](の<属格>)。 ⸢バントゥ⸣ヌ ヤ⸢クスコー⸣ マ⸢ム⸣リ [⸢bantu⸣nu ja⸢kusu̥koː⸣ ma⸢mu⸣ri] (私との約束は守れ)。 10991 0 0 10637 htmvoc_10991.wav トゥ ⸣トゥ [⸣tu] 格助 {Exp_2}⸢トゥン[⸢tuŋ](とも)<トゥ[tu](と)+⸢ン[ŋ](も<係助詞>)。 ウ⸢レー バン⸣トゥン ⸣ムネー イ⸢ザヌ⸣ ター⸢ントゥン⸣ ムネー イ⸢ザヌ [ʔu⸢reː ban⸣tum ⸣muneː ʔi⸢ʣanu⸣ taː⸢ntum⸣ muneː ʔi⸢ʣanu] (彼は私ともものを言わない{EOS}誰ともものを言わない)。 10991 0 0 10638 htmvoc_10991.wav トゥ ⸣トゥ [⸣tu] 格助 {Exp_3}⸢トー[⸢toː](とは)<トゥ[tu](と)+ヤ[ja](は<係助詞>{EOS}取立て強調)のように係助詞がつく。 ⸢ワーットー⸣ パ⸢ナ⸣スンカヤー [⸢waːttoː⸣ pa⸢na⸣suŋkajaː] (君とは話すだろうか) 10992 0 0 10639 htmvoc_10992.wav ドゥ ⸣ドゥ [⸣du] 係助 ぞ。強意を表す。歌謡語で多く用いられる。丁寧に話す場合はドゥ[du]と発音されるが、ぞんざいに発音する時や、普通の会話では⸣ル[⸣ru](ぞ)と発音されることが多い。ドゥ[du]とル[ru]は自由変異の関係にあるが、上接語彙の末尾音が撥音の場合はドゥ[du]となり、条件異音となる。活用語の連用形、名詞、名詞相当語句等に付いて、続く用言に係り、連体形で結ぶ。 カ⸢キ⸣ドゥ(ル) ⸢スー [kḁ⸢ki⸣du(ru) ⸢suː] (書きぞする)。 ⸣イダフニドゥ(ル) ⸢パウ [⸣ʔidaunidu(ru) ⸢pau] (板舟<サバニ>ぞ作る<接ぐ>)。 ⸢イー クトゥル スー⸣ アイブ ⸣クトー ⸢サン⸣ダー [⸢ʔiːku̥turu suː⸣ ʔaibu ⸣ku̥toː ⸢san⸣daː] (良いことを<ぞ>するのであって、あんなことはするでないぞ<しないよ>)。 マ⸢ナマ⸣ドゥ(ル) キ⸢ラリタ⸣ル [ma⸢nama⸣du(ru) ki⸢rarita⸣ru] (今しか来れなかった<今ぞ来られた>) 10990 0 0 10640 htmvoc_10990.wav トゥー ⸢トゥー [⸢tuː] 終助 疑問、反語の意味を表す。~だって。って。~ものか。動詞、助動詞、形容詞の終止形、名詞に下接して疑問反語の意を表す。 ⸣ウヌ ⸣ヨーヌ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ウ⸢ブプス⸣ン ⸣カタチニ パ⸢タラキ シェーン⸠トゥー [⸣ʔunu ⸣joːnu ja⸢rabi⸣nu ʔu⸢bupusu⸣ŋ ⸣kḁtaʧini pḁ⸢taraki ʃieːn⸠tuː] (あのような子供が大人のように働けるって?<働けるものか、働けはしない>)。 ⸣アイブ ⸣スブットゥヌ ⸢テー⸣ナイ ⸢スン⸠トゥー [⸣ʔaibu ⸣subuttunu ⸢teː⸣nai ⸢sun⸠tuː] (あんな怠け者が手伝いするものか)。 ⸣アイブ トン⸢ナー⸣ト  ⸢マー⸣ プ⸢スム⸣シ パルン⸢トゥー [⸣ʔaibu ton⸢naː⸣to ⸢maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi parun⸢tuː] (あんな所へなど二度と<もう一度>行くものか)。 ⸣アイブ ム⸢ヌ⸣バ<ム⸢ヌ⸣ヌ> ⸢カイ⸣ヤン⸢トゥー [⸣ʔaibu mu⸢nu⸣ba ⸢kai⸣jan⸢tuː] (あんなものが美しいものか)。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢トゥ⸣ザ⸢トゥー [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢tu⸣ʣa⸢tuː] (あいつは親戚なものか<親戚なんかではない>) 10999 0 1 10641 htmvoc_10999.wav トゥー ⸢トゥー [⸢tuː] 名 {Mn_1}数量名詞。数の名。10。十(トォ)の転訛したもの。 ⸢トゥームトゥ ブカラ ⸣ヌイクー [⸢tuːmutu bukara⸣ nuikuː] (十本ほど抜き取って来い)。 ⸢トゥーヌ ウイ⸣ベー ⸢マータケー ナー⸣ヌ [⸢tuːnu ʔui⸣beː ⸢maːtakeː naː⸣nu] (十本の指は同じ高さではない{EOS}同じ兄弟でも同じ能力ではなく、それぞれに個性があるの意<諺>)。 10999 0 2 10642 htmvoc_10999.wav トゥー ⸢トゥー [⸢tuː] 名 {Mn_2}十歳。 ⸣トゥシェー ⸢トゥー⸣ ナリティン ブ⸢ネーヌ⸣ シ⸢ビ ウイ⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣tu̥ʃeː ⸢tuː⸣ naritim bu⸢neːnu⸣ ʃi⸢bi ʔui⸣naː na⸢ra⸣nu] (年は十歳にもなって、どこまでも母親の後をついて追いまわす<尻追いをする>ので困る<困ってたまらない>) 11000 0 1 10643 htmvoc_11000.wav トゥー ⸢トゥー [⸢tuː] 名 {Mn_1}沖。沖合。海洋。 イ⸢ガン⸣ カ⸢ツン⸣ シンタヌ ⸢トゥーラ⸣ル ⸢ホー⸣シ ⸢オーッ⸣タ [ʔi⸢gaŋ⸣ kḁ⸢ʦuŋ⸣ ʃintanu ⸢tuːra⸣ru ⸢hoː⸣ʃi ⸢ʔoːt⸣ta] (烏賊もカツオも島の後ろの沖合い<大海>から釣ってこられた)。 11000 0 2 10644 htmvoc_11000.wav トゥー ⸢トゥー [⸢tuː] 名 {Mn_2}海峡。出入り口。鳩間島と西表島の間を流れる海。 ⸢マイ⸣ヌ ⸢トゥーユ⸣ ミ⸢ワタシ⸣バ イ⸢クフニ⸣ ク⸢ル⸣フニ ウ⸢ム⸣シルヨー [⸢mai⸣nu ⸢tuːju⸣ mi⸢wataʃi⸣ba ʔi⸢kuɸuni⸣ ku⸢ru⸣ɸuni ʔu⸢mu⸣ʃirujoː] (前の渡<海峡>を見渡すと行く舟、来る舟の眺めが見事である<鳩間中岡{EOS}鳩間節>)。 ⸢トゥーナカー⸣ ウイパリ [⸢tuːnakaː⸣ ʔuipari] (沖<海岸より遠く離れた海中{EOS}「門中」記歌謡74>の方へ泳いで行け)。 ⸢マイ⸣ヌ⸢トゥー [⸢mai⸣nu ⸢tuː] (前の渡<海峡>)。 ⸣シンタヌ ⸢トゥー [⸣ʃintanu ⸢tuː] (島の後ろの大海<深海>) 11001 0 1 10645 htmvoc_11001.wav ドゥー ⸣ドゥー [⸣duː] 名 {Mn_1}名詞。身。体。「胴」の義。 ⸣ドゥーズーヤ ア⸢リバ⸣ル ⸣ウムー ⸣クトゥーン ノー⸢ン⸣ ナル [⸣duːʣuːja ʔa⸢riba⸣ru ⸣ʔumuː ⸣ku̥tuːn noː⸢n⸣ naru] (健康であればこそ<体が強ければこそ>思うことも何でも出切るのだ)。 11001 0 2 10646 htmvoc_11001.wav ドゥー ⸣ドゥー [⸣duː] 名 {Mn_2}代名詞。己。自分自身。自称、対称にも用いる。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトー ⸣ドゥーシ ⸣ナルン [⸢duː⸣nu ⸣ku̥toː ⸣duːʃi ⸣naruŋ] (己<自分>のことは自分で出来る)。 ク⸢レー ワー⸣ ドゥーシ ⸢シー [ku⸢reː waː⸣ duːʃi ⸢ʃiː] (これは君自身<己自身>でやれ)。 11001 0 3 10647 htmvoc_11001.wav ドゥー ⸣ドゥー [⸣duː] 名 {Mn_3}所帯。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー キサー⸢ティ⸣ ドゥー ⸣ムティ ⸣パレーン [mi⸢doːn⸣ffaː ki̥saː⸢ti⸣ duː ⸣muti ⸣pareːŋ] (女の子はすでに所帯を持っていった<結婚していった>) 11002 0 0 10648 htmvoc_11002.wav ドゥーアールン ⸣ドゥー ⸢アールン [⸣duː ⸢ʔaːruŋ] 連 体全体の皮膚が\ruby{痒}{カユ}くなる。体温が上昇して肌がむず痒くなる。 ⸣ドゥク ⸣アツァナリ  ⸢プーマクタール⸣ ドゥー ⸢アーリティ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー キ⸢ム⸣シル ⸢シー ベー [⸣duku ⸣ʔaʦanari ⸢puːmakutaːru⸣ duː ⸢ʔaːriti⸣ ja⸢ra⸣beː ki⸢mu⸣ʃiru ⸢ʃiːbeː] (あまりにも暑く、蒸し暑くなって体温が上昇し、肌がむず痒くなったので、子供は不機嫌になり、むずかって<肝摺りして>いる) 11003 0 0 10649 htmvoc_11003.wav ドゥーアガミ ⸣ドゥーアガミ [⸣duːʔagami] 名 自分で自分を敬うこと。自己尊敬。「自己崇め」の義。 ム⸢ニイジホール⸣ヌ ⸢ナー⸣ンダ ⸢ウイ⸣プスンケーニン ⸣ドゥーアガミムニバ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [mu⸢niʔiʤihoːru⸣nu ⸢naː⸣nda ⸢ʔui⸣pu̥suŋkeːnin ⸣duːʔagamimuniba ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (会話上の思慮分別が無い<会話上の礼儀作法を知らない>から年上の人に対して、自分で自分を崇める<自己尊敬の>物言いをしているよ) 11004 0 0 10650 htmvoc_11004.wav ドゥーアサビ ⸣ドゥーアサビ [⸣duːʔasabi] 名 ひとり遊び。幼児が一人で遊ぶこと。「胴<自分>遊び」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビン ウ⸢ム⸣クトー ⸣ンジティ ム⸢タビ⸣ムヌシ ⸣ドゥーアサビ ⸢スン⸠ダー [ja⸢ra⸣biŋ ʔu⸢mu⸣ku̥toː ⸣ʔnʤiti mu⸢tabi⸣munuʃi ⸣duːʔasabi ⸢sun⸠daː] (子供も智恵が出てきて、玩具<\ruby{弄}{モテアソ}び物>で一人遊びするようになったよ) 11005 0 0 10651 htmvoc_11005.wav トゥーアラキ ⸢トゥーアラキ [⸢tuːʔaraki] 名 遠歩き。遠出。 ⸢パン⸣ヌ ⸣ヤミティ ⸢トゥーアラケー バン⸣マー ナ⸢リ⸣ダケー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pan⸣nu ⸣jamiti ⸢tuːʔarakeː bam⸣maː na⸢ri⸣dakeː ⸢naː⸣nu] (足が痛くて、遠歩きは私には出来そうもない) 11006 0 0 10652 htmvoc_11006.wav ドゥーアンガリ ⸢ドゥーアン⸣ガリ [⸢duːʔaŋ⸣gari] 名 自らおごり高ぶること。尊大ぶること。思い上がること。横柄にふるまうこと。 プ⸢スバカヤン ナー⸣ナ ⸢ドゥーアンガリ⸣バ ⸢シー シン⸣シーラン ⸢ウイ⸣ナー ビ⸢リベー [pu̥⸢subakajan naː⸣na ⸢duːʔaŋgari⸣ba ⸢ʃiː ʃiŋ⸣ʃiːraŋ ⸢ʔui⸣naː bi⸢ri beː] (恥ずかしげもなく<他人に対して恥ずかしく思うこともないのか>、自ら驕り高ぶって先生よりも上座に座っているよ) 11008 0 0 10653 htmvoc_11008.wav ドゥーウチ ⸣ドゥーウチ [⸣duːʔuʧi] 名 身内。血族および姻族。 ⸣ドゥーウチヌ プ⸢スタンガ⸣シル ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タ [⸣duːʔuʧinu pu̥⸢sutaŋga⸣ʃiru ⸢joi⸣jaː ⸢soːt⸣ta] (身内の人だけで<ぞ>お祝いはなさった) 11007 0 0 10654 htmvoc_11007.wav ドゥーウヤマイ ⸢ドゥーウヤ⸣マイ [⸢duːʔuja⸣mai] 名 自分で自分を敬うこと。自己尊敬。尊大語表現をすること。話し手が自分を上位におき、聞き手や第三者を下位においた言語表現をすること。 バ⸢カー⸣ムヌ ⸣シマムネー ⸢ドゥーウヤ⸣マイ ⸢スーユンダ⸣ バ⸢カヤ⸣ルバン [ba⸢kaː⸣mununu ⸣ʃimamuneː ⸢duːʔuja⸣mai ⸢suːjunda⸣ ba⸢kaja⸣rubaŋ] (若者の島言葉遣いは、自分で自分を敬う表現をするから可笑しいよ) 11073 0 0 10655 htmvoc_11073.wav ドゥーカウワン ⸣ドゥー ⸢カウ⸣ワン [⸣duː kau⸣waŋ] 連 こそばゆい。くすぐったい。「胴\ruby{痒}{カユ}い」の義。 ウ⸢ヌ ウトゥ⸣ ス⸢ク⸣カー ⸣ドゥー カウ⸣ワヌ ビ⸢リ ベーララ⸣ヌ [ʔu⸢nu ʔutu⸣ su̥⸢ku⸣kaː ⸣duː kau⸣wanu bi⸢ri beːrara⸣nu] (その音を聞くとこそばゆくて座っておれない) 11009 0 0 10656 htmvoc_11009.wav ドゥーカザ ⸢ドゥー⸣カザ [⸢duː⸣kaʣa] 名 体臭。 ⸢バカー⸣ムノー ⸢ドゥーカザ⸣ヌ ッ⸢サー⸣ヌ ス⸢バ⸣ナー ブ⸢ララヌ [ba⸢kaː⸣munoː ⸢duːkaʣa⸣nu s⸢saː⸣nu su⸢ba⸣naː bu⸢raranu] (若者は体臭が臭くて側にはおられない) 11010 0 0 10657 htmvoc_11010.wav ドゥーカタ ⸣ドゥーカタ [⸣duːkata] 名 身内。親戚。味方。「胴方」の義。 ⸢ヨイ⸣ヌ ブ⸢ドゥルシープソー⸣ ドゥーカターラ ギュ⸢タール⸣ ン⸢ジル⸣ワ [⸢joi⸣nu bu⸢duʃiːpu̥soː⸣ duːkataːra gju⸢taːru⸣ ʔn⸢ʤiru⸣wa] (お祝いの踊り手<踊りする人>は身内から何人出るか) 11011 0 0 10658 htmvoc_11011.wav トゥーカタミ ⸢トゥーカタミ [⸢tuːkatami] 名 天秤棒の両端に満杯の水担桶をかけて肩に担う分量の十回分。「十担ぎ」の転訛したもの。 バ⸢コーシン⸣カ シゥ⸢カ⸣ナウンダ ミ⸢ジェー トゥーカタミブカラ⸣ カ⸢タマン⸣カー タ⸢ラーサラヌ [ba⸢koːʃiŋ⸣ka si̥⸢ka⸣naunda mi⸢ʤeː tuːkatamibukara⸣ kḁ⸢tamaŋ⸣kaː ta⸢raːsaranu] (共同作業の作業員を賄うのだから水は水担桶の十回分担いで運ばないと必要量を満たされない<足らされない>) 11012 0 0 10659 htmvoc_11012.wav ドゥーカッティ ⸣ドゥーカッティ [⸣duːkatti] 名 自分勝手。わがまま。身勝手。「胴勝手」の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ ノー⸢ン⸣ ドゥーカッティティ ウ⸢ムイ⸣ル ⸢スー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ⸢ナー⸣ト ス⸢ク⸣スコー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ noː⸢n⸣ duːkattiti ʔu⸢mui⸣ru ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu⸣ munu⸢naː⸣to su̥⸢ku⸣su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (彼は何でも自分勝手と思ってするのであって、他人の言うこと<話、言葉>など聞くどころではない) 11013 0 0 10660 htmvoc_11013.wav ドゥーガッティン ⸣ドゥーガッティン [⸣duːgattiŋ] 名 自分で勝手に判断すること。自分の都合の良いように判断すること。自分で勝手に思い込むこと。 ム⸢チ⸣キサール ⸣クトー ⸣ドゥーガッティン ⸢サンドー⸣シ ⸣ウヤキョーダイトゥン ⸣ウチソーダン ⸢シェー⸣ティル キ⸢ミル⸣ダー [mu⸢ʧi⸣kisaːru ⸣ku̥toː ⸣duːgattin ⸢sandoː⸣ʃi ⸣ʔujakjoːdaituŋ ⸣ʔuʧisoːdaŋ ⸢ʃeː⸣tiru ki⸢miru⸣daː] (難しいことは自己判断<自己合点>しないで、親兄弟とも相談して決めるんだよ) 11014 0 0 10661 htmvoc_11014.wav ドゥーカナミ ⸣ドゥーカナミ [⸣duːkanami] 名 自愛。自分の体をいたわり、大切にすること。 タ⸢ビ⸣ナーテー ッ⸢サン⸣ プ⸢スカーニ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ドゥーカナミ ⸢シェー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ⸢ヨー [ta⸢bi⸣naːteː s⸢sam⸣ pu̥⸢sukaːni⸣ ja⸢runda⸣ duːkanami ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki⸢joː] (旅先では知らない人ばかりだから、自分で体を大事にして<自分を要にして>あるけよ) 11015 0 0 10662 htmvoc_11015.wav ドゥーカローン ⸢ドゥーカロー⸣ン [⸢duːkaroː⸣ŋ] 形 気分爽快で体も軽快である。体調がよく、身軽い感じである。「身<胴>軽い」の義。古老は、⸢ドゥーカラー⸣ン[⸢duːkaraː⸣ŋ](体が軽い{EOS}気分爽快で体も軽快である)ともいう。 パ⸢ナシキヌ ノール⸣ター パ⸢シットゥ⸣ ナリ ⸢ドゥーカロー⸣ン ナ⸢リ⸣ブバン [pa⸢naʃi̥kinu noːru⸣taː pḁ⸢ʃittu⸣ nari ⸢duːkaroː⸣n na⸢ri⸣bubaŋ] (風邪が治ったので気分もさっぱりして<気分爽快で>体調もよく、身軽い感じであるよ) 11016 0 0 10663 htmvoc_11016.wav ドゥーカンガイ ⸣ドゥーカンガイ [⸣duːkaŋgai] 名 自分の考え。自己判断。自分の推量。独断。一人よがり。⸢自分考え」の義。 プ⸢スヌ⸣ ムネー シゥ⸢カムティ⸣ ノー⸢ン⸣ ドゥーカンガイシル ⸢スー [pu̥⸢sunu⸣ muneː si̥⸢kamuti⸣ noː⸢n⸣ duːkaŋgaiʃiru ⸢suː] (他人の意見<話>は聞かないで、何事でも自分の考え通りに<独断で>する) 11017 0 0 10664 htmvoc_11017.wav ドゥーガンゾーン ⸢ドゥーガン⸣ゾーン [⸢duːgan⸣ʣoːŋ] 形 健康である。「胴頑丈さあり」の義。 ⸣トゥシェー トゥ⸢リ⸣ル ⸢オールン⸣ドゥ イッ⸢ケナ⸣ ドゥーガンゾー ア⸢ロー⸣ルン [⸣tu̥ʃeː tu⸢ri⸣ru ⸢ʔoːrun⸣du ʔik⸢kena⸣ duːganʣoː ʔa⸢roː⸣ruŋ] (年はとっておられるが、非常に健康<胴頑丈>でいらっしゃる)。 ⸣ドゥーガンゾーラバドゥ ⸣ウムー ⸣クトゥーン ノー⸢ン⸣ ナル [⸣duːganʣoːrabadu ⸣ʔumuː ⸣ku̥tuːn noː⸢n⸣ naru] (健康であればこそ思うことも何もかも出来る) 11018 0 0 10665 htmvoc_11018.wav ドゥーキクッツァン ⸢ドゥーキクッ⸣ツァン [⸢duːki̥kut⸣ʦaŋ] 形 蒸し暑い。暑苦しい。蒸し暑くて息苦しい。 ⸢ドゥーキクッツァ⸣ヌ ニ⸢バラヌ [⸢duːki̥kutʦa⸣nu ni⸢baranu] (暑苦しくて眠られない)。 ユ⸢ドゥン⸣ヌ ⸢ユール⸣ シチェー キ⸢クッ⸣ツァン⸢ダー [ju⸢dun⸣nu ⸢juːru⸣ ʃi̥ʧeː ki̥⸢kut⸣ʦan⸢daː] (赤潮の寄る梅雨の季節は暑苦しいよ) 11019 0 0 10666 htmvoc_11019.wav トゥーギチナー ⸢トゥーギチナー [⸢tuːgiʧinaː] 名 (動)魚の名。和名、ナメモンガラ。体長約40センチ。 ⸢トゥーギチナーヌ ミーヤ⸣ ン⸢マー⸣タン⸢ダー [⸢tuːgiʧinaːnu miːja⸣ ʔm⸢maː⸣tan⸢daː] (ナメモンガラの身<魚肉>は美味しかったよ) 11020 0 0 10667 htmvoc_11020.wav ドゥーキママ ⸣ドゥーキママ [⸣duːkimama] 名 勝手気まま。自分勝手。自由奔放。「身勝手」の義。 バ⸢カーン⸣ケンラ ⸣ドゥーキママニ ⸢シー⸣ ケール プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルムヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ クトゥ⸢ナー⸣ト ⸢カンガー⸣ヌ [ba⸢kaːŋ⸣kenra ⸣duːkimamani ⸢ʃiː⸣ keːru pu̥⸢su⸣ ja⸢rumunu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ku̥tu⸢naː⸣to ⸢kaŋgaː⸣nu] (若い頃から勝手気ままにして来た人だのに、他人のことなど考えないよ) 11021 0 0 10668 htmvoc_11021.wav ドゥーキムシル ⸢ドゥーキム⸣シル [⸢duːkimu⸣ʃiru] 名 自らふさぎ込むこと。自分の所為でうまく<巧く>ことがらが進捗せず、気分がむしゃくしゃすること。自分で自分を怒り、むずかること。不機嫌になて周囲に当り散らすこと。 ⸢ヌーン⸣ドゥ ⸣キム フ⸢ゴーラン⸣タユー ⸢ドゥーキム⸣シル ⸢シーヨー⸣ル [⸢nuːn⸣du ⸣kimu ɸu⸢goːran⸣tajuː ⸢duːkimu⸣ʃiru ⸢ʃiːjoː⸣ru] (何がお気に召されなかったのか、むしゃくしゃして周辺に当り散らしておられる) 11024 0 0 10669 htmvoc_11024.wav ドゥークサマキ ⸢ドゥークサマ⸣キ [⸢duːkusama⸣ki] 名 一人で憤慨する。自分自身に怒り\ruby{拗}{ス}ねること。自分自身に怒って\ruby{塞}{フサキ}ぎこむ。 ⸣ウヤン イ⸢ザリティ ドゥークサマ⸣キ ⸢シー⸣ ピン ⸢シー ベー [⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣariti ⸢duːkusama⸣ki ⸢ʃiː⸣ piŋ ⸢ʃiː beː] (親に叱られて、一人で憤慨してすね<拗ね>ている) 11022 0 0 10670 htmvoc_11022.wav ドゥーグッふァン ⸢ドゥーグッ⸣ふァン [⸢duːguf⸣faŋ] 形 体がだるくて重い。疲労や風邪気味で体調が悪く、体が重く感じるさま。不元気である。⸢ドゥーカロー⸣ン[⸢duːkaroː⸣ŋ](体が軽い{EOS}快調である)の対義語。 ⸣ヌンティル ヤ⸢ル⸣ユー ⸢キュー⸣ヤ ⸢ドゥーグッふァ⸣ヌ ムッ⸢トゥ⸣ ドゥー ⸢ウーカサラ⸣ヌ [⸣nuntiru ja⸢ru⸣juː ⸢kjuː⸣ja ⸢duːguffa⸣nu mut⸢tu⸣ duː ⸢ʔuːkasara⸣nu] (どうしてなのか、今日は体がだるく重くて、ちっとも体を動かすことが出来ない<動かせない>) 11023 0 0 10671 htmvoc_11023.wav ドゥークナイ ⸢ドゥー⸣クナイ [⸢duː⸣kunai] 名 こらえる(堪える)こと。耐え忍ぶ。我慢する。⸢ドゥー[⸢duː](自分{EOS}胴)に⸣クナイ[⸣kunai](堪え{EOS}←「Coraye.uru,eta.コラエ,ユル,エタ<堪へ,ゆる,へた>堪え忍ぶ」『邦訳日葡辞書』からの転訛か)が下接して形成された合成語。 プ⸢スヌ⸣ ノー⸢ンティ⸣ イ⸢ゾーラ⸣バン ⸢ドゥー⸣クナイ ⸢シー<リ>⸠ダー [pu̥⸢sunu⸣ noː⸢nti⸣ ʔi⸢ʣoːra⸣ban ⸢duː⸣kunai ⸢ʃiː⸠daː] (人様が何とお叱りなさっても己で堪えろよ) 11025 0 0 10672 htmvoc_11025.wav ドゥーグリサン ⸢ドゥーグリ⸣サン [⸢duːguri⸣saŋ] 形 心苦しい。恐縮である。気の毒である。片身が狭い思いである。「身<胴>苦しい」の義。 ⸣ヌーンクイン ⸢ワー ヤッ⸣カイ カ⸢カ⸣リ ⸢ドゥーグリサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣nuːŋkuiŋ ⸢waː jak⸣kai kḁ⸢ka⸣ri ⸢duːgurisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (何もかも貴方の世話<厄介>になって心苦しい<恐縮で申し訳ない>)。 ⸢ドゥーグリ⸣サンテー ウ⸢モーン⸣ナ [⸢duːguri⸣santeː ʔu⸢moːn⸣na] (心苦しいなどとは思われますな)。 ⸢ドゥーグリ⸣サー ⸣ピンマー ⸢ドゥーグリ⸣サー ⸢ナー⸣ヌティ ア⸢ゾー⸣リバ [⸢duːguri⸣saː ⸣pimmaː ⸢duːguri⸣saː ⸢naː⸣nuti ʔa⸢ʣoː⸣riba] (心苦しいときは、心苦しくないとおっしゃいなさいよ) 11026 0 0 10673 htmvoc_11026.wav ドゥークンゾー ⸢ドゥークン⸣ゾー [⸢duːkun⸣ʣoː] 名 自分自身に怒ること。問題を処理できない己に対して立腹すること。「自分根性」の義。 ⸢ヌー⸣ル ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ムティ ⸢ドゥークン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リ ⸢ベー [⸢nuː⸣ru ⸣nuːteː ⸢naː⸣muti ⸢duːkun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ri ⸢beː] (何が何だということもなく<理由もなく>、己に対して腹を立てている<自分ひとりで怒っている>) 11027 0 0 10674 htmvoc_11027.wav トゥーサ ⸢トゥーサ [⸢tuːsa] 名 遠さ。遠方。 ⸢トゥーサヌ⸣ ウ⸢トゥ⸣ザーラン トゥ⸢ナルヌ⸣ タ⸢ニン [⸢tuːsanu⸣ ʔu⸢tu⸣ʣaːran tu⸢narunu⸣ ta⸢niŋ] (遠くの親戚よりも近く<隣>の他人) 11028 0 0 10675 htmvoc_11028.wav ドゥーザーン ⸣ドゥーザーン [⸣duːʣaːŋ] 名 身内同士。親戚同士。仲間同士。 ⸢ヨイ⸣ヤー ⸣ドゥーザーンシ ⸢スー⸣ ス⸢コールル シーベー [⸢joi⸣jaː ⸣duːʣaːŋʃi ⸢suː⸣ su̥⸢koːruru ʃiːbeː] (お祝いは身内でやる準備をしている)。 ウ⸢ナーター⸣ ドゥーザーンシル ノー⸢ン⸣ キ⸢ミティ⸣ ニービキーン ⸢シェー⸣ル ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティー⸣ヤ カ⸢ランシェン [ʔu⸢naːtaː⸣ duːʣaːŋʃiru noː⸢ŋ⸣ ki⸢miti⸣ niːbikiːŋ ⸢ʃeː⸣ru ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiː⸣ja ka⸢raŋʃeŋ] (自分たち<己たち{EOS}夫婦二人だけで>同志で何でも決めて、結婚もしたのであって、親の世話にはならなかった<親の手は一切借りなかった>) 11029 0 0 10676 htmvoc_11029.wav ドゥーザイ ⸣ドゥーザイ [⸣duːʣai] 名 自己本位にすること。自分のことにかまける。自分のことだけをすること。自分のことだけにこだわ<拘>る。 ッ⸢ふァ⸣ シゥ⸢カナイ⸣ヌ ⸢パンター⸣ ドゥーザイ⸢バーキ⸣ル ⸣ナル プ⸢スヌ⸣ クトゥ⸢バー⸣ケー ナ⸢ラ⸣ヌ [f⸢fa⸣ sï̥⸢kanai⸣nu ⸢pantaː⸣ duːʣai⸢baːki⸣ru ⸣naru pu̥⸢sunu⸣ ku̥tu⸢baː⸣keː na⸢ra⸣nu] (子育て繁多の時期は自分本位にすることしかできない<自分のことだけをするしかできない>{EOS}他人のことまでは考えられない<出来ない>) 11030 0 0 10677 htmvoc_11030.wav トゥーサカルイナーサカルイ ⸢トゥーサカルイ ナーサカルイ [⸢tuːsakarui naːsakarui] 連 遠くから念願し、守護を祈願すること。遠方から幸福を祈願すること。「遠方嘉例、長さ嘉例」の義。 ⸢トゥーサカルイ ナーサカルイ ニン⸣ガイ ッ⸢サルバ⸣ カ⸢リユ⸣シ ⸢シー⸣ パリ⸢ヨー [⸢tuːsakarui naːsakarui niŋ⸣gai s⸢saruba⸣ ka⸢riju⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ pari⸢joː] (遠くから安全を念願し、守護し、遠方から守護することを神仏に祈願致し<申し>ますから海上安全の旅をして行きなさいよ) 11031 0 0 10678 htmvoc_11031.wav トゥーサナーサ ⸢トゥーサナー⸣サ [⸢tuːsanaː⸣sa] 名 遠方。「遠さ長さ」の義で、文語的表現。ABCDBC型の重言。「遠さ」の強調表現。同義で異語形容詞の語幹部を重ねて形成された重言。 ⸢トゥーサナー⸣サーラン ⸢イッ⸣パイ ⸢ヨイシプス⸣ヌ ⸢オー⸣レーンツォー [⸢tuːsanaː⸣saːraŋ ⸢ʔip⸣pai ⸢joiʃipusu⸣nu ⸢ʔoː⸣reːnʦoː] (遠方からもたくさんの祝い客が来られたそうだ)。 ⸢トゥーサナーサヌ⸣ プ⸢ス [⸢tuːsanaːsan⸣u pu̥⸢su] (遠方の人) 11032 0 0 10679 htmvoc_11032.wav トゥーサピライ ⸢トゥーサピライ [⸢tuːsapirai] 名 遠く離れて交際すること。敬遠すること。 ⸢ゴーサ⸣ヌ ⸢ウイヌ⸣ プ⸢スンケー⸣トー ウ⸢チーウチーヌ⸣ ピ⸢ライ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢トゥーサピライル⸣ ナル [⸢goːsa⸣nu ⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢suŋkeː⸣toː ʔu⸢ʧiːʔuʧiːnu⸣ pi⸢rai⸣jaː na⸢ra⸣nu ⸢tuːsapirairu⸣ naru] (畏れ多くて、上流の方々とは親密な交際は出来ない{EOS}遠くから離れての表面的な交際しか出来ない<表面的な交際が出来る>) 11033 0 0 10680 htmvoc_11033.wav トゥーシ ⸢トゥーシ [⸢tuːʃi] 名 家の前面の縁側。家の南側の縁側。家の南側の細長い板敷き。板張りの縁側。⸣イン[⸣ʔiŋ](縁)ともいう。杉板の無かった時代には、フ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)の角材を厚さ7分の板に挽いて⸢フンツァ⸣イツァ[⸢ɸunʦa⸣ʔiʦa](床板)を製材し、ユ⸢カフンツァ[ju⸢kaɸunʦa](床板張り)の縁側に作った。そのための製材を、⸣イツァ ⸣バクン[⸣ʔiʦa ⸣bakuŋ](板に分く<鋸で材木を縦に切り分けて板にするる>)という。 ナ⸢チェー⸣ アツァユンダ ⸣ユネン ⸣ナルカー ⸢トゥーシナー⸣ル ニ⸢ビ⸣ ピ⸢ラ⸣ケー シ⸢タル [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦajunda ⸣junen ⸣narukaː ⸢tuːʃinaː⸣ru ni⸢bi⸣ pi⸢ra⸣keː ʃi̥⸢taru] (夏は暑いから夜になると前の縁側に<ぞ>寝て涼を取った<涼しくした>ものだよ)。夏は戸を解放したままトゥーシに寝ると潮騒の音が枕元に届き、天然の音楽を楽しみながら眠りにつくことができた 11034 0 0 10681 htmvoc_11034.wav トゥーシ ⸢トゥー⸣シ [⸢tuː⸣ʃi] 副 常に。いつも。ずっと。継続して。「通して」の義。 ⸣アブジェー ウ⸢ヌ クトゥバ⸣ル ⸢トゥー⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢オーッタ⸣ル [⸣ʔabuʤeː ʔu⸢nukutuba⸣ru ⸢tuː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢ʔoːtta⸣ru] (お祖父さんはそのことを常に話しておられたよ)。 ⸣クナー ⸢トゥー⸣シ パ⸢タラカリン⸣カヤー [⸣kunaː ⸢tuː⸣ʃi pḁ⸢tarakariŋ⸣kajaː] (ここでずっと<通して>働ける<働かれる>かねえ) 11035 0 0 10682 htmvoc_11035.wav トゥーシ ⸢トゥー⸣シ [⸢tuː⸣ʃi] 名 遥拝。友利御嶽から各御嶽へ向かって、通して祈願すること。「通し」の転訛したものか。 ⸢プール⸣ナーヤ ⸢ウイヌ⸣ウガンラ ⸢ナー ヤマカー⸣ジェーニ ⸢トゥーシ⸣ル ⸢ニン⸣ガイ ⸢ヨーッ⸣タ [⸢puːru⸣naːja ⸢ʔuinu⸣ʔuganra ⸢naː jamakaː⸣ʤeːni ⸢tuːʃi⸣ru ⸢niŋ⸣gai ⸢joːt⸣ta] (豊年祭には友利御嶽から各御嶽<各山>へ通しで祈願された) 11040 0 0 10683 htmvoc_11040.wav トゥージ ⸢トゥー⸣ジ [⸢tuː⸣ʤi] 名 冬至。⸢トゥンジー[⸢tunʤiː](冬至)は沖縄方言からの借用語で普通は使用しない。 ⸢トゥー⸣ジナ ピ⸢サシズー⸣シ バ⸢カス⸣ ナ⸢ライ⸣ヤー パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナーン⸣シェン ⸢ピン⸣ガンズーシール バ⸢カソーッタ⸣ル [⸢tuː⸣ʤina pi̥⸢saʃiʣu⸣ʃi ba⸢kasu⸣ na⸢rai⸣jaː pḁ⸢tu⸣manaː ⸢naːŋ⸣ʃem ⸢piŋ⸣ganʣuːʃiru ba⸢kasoːtta⸣ru] (冬至に五目飯を炊く風習は鳩間島にはなかった{EOS}彼岸の五目飯<彼岸雑炊>を<ぞ>炊かれたものだ) 11036 0 0 10684 htmvoc_11036.wav ドゥーシ ⸣ドゥーシ [⸣duːʃi] 連 自分で。己自身で。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトー ⸣ドゥーシ ⸢シー [⸢duːnu⸣ ku̥toː ⸣duːʃi ⸢ʃiː] (自分のことは自分でしなさい) 11044 0 0 10685 htmvoc_11044.wav ドゥーシゥカラ ⸣ドゥーシゥカラ [⸣duːsï̥kara] 名 自力。自分の力。 ⸣ドゥーシゥカラシル ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ザイサンバ ア⸢ラ⸣シェール プ⸢スヌ⸣ シゥ⸢カラー⸣ カ⸢レー ナー⸣ヌ [⸣duːsï̥karaʃiru ʔu⸢bi⸣nu ⸣ʣaisamba ʔa⸢ra⸣ʃeːru pu̥⸢sunu⸣ sï̥⸢karaː⸣ ka⸢reː naː⸣nu] (自力で<ぞ>あれだけの財産を作ってあるのであって、他人の力は借りてはいない) 11042 0 0 10686 htmvoc_11042.wav トゥージェー ⸢トゥー⸣ジェー [⸢tuː⸣ʤeː] 名 屋号。通事家。通事隆氏の家。鳩間村の四班のユ⸢ナ⸣デー[ju⸢na⸣deː](与那田家の前隣の家)。先祖は唐船の通訳<通事>であった伝えられている。ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川御嶽)の創建時に加治工家の先祖と一緒に船浦のピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ]から香炉の灰を分けて持ち帰り、鳩間島のピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川御嶽)を建てたという伝承がある。それでピナイ御嶽のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)は通事家の血を引く子女の中から生まれるという。 ⸢トゥー⸣ジェーヌ ウ⸢ヤ⸣プソー ⸢トー⸣ヌ ⸢ツー⸣ジ ヤ⸢ローッ⸣タティ⸢ダー [⸢tuː⸣ʤenu ʔu⸢ja⸣pu̥soː ⸢toː⸣nu ⸢ʦuː⸣ʤi ja⸢roːt⸣tati⸢daː] (通事家の先祖は唐の通訳<通事>であられたそうだよ) 11043 0 0 10687 htmvoc_11043.wav トゥージェーヌサブロザーテー ⸢トゥー⸣ジェーヌ サ⸢ブ⸣ロザーテー [⸢tuː⸣ʤeːnu sa⸢bu⸣roːʣaːteː] 連 屋号。通事三郎氏宅。名前のサ⸢ブ⸣ロー[sa⸢bu⸣roː](三郎)に⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄さん)が下接し、接尾語⸣テー[⸣teː](~の家)が付いて生成された合成語 11037 0 0 10688 htmvoc_11037.wav トゥーシキ ⸢トゥーシキ [⸢tuːʃi̥ki] 名 十月<トッキ>。 プ⸢スヌ⸣ ッ⸢ふァー トゥーシキ⸣シル マ⸢リル⸣ツォー [pu̥⸢sunu⸣ f⸢faː tuːʃi̥ki⸣ʃiru ma⸢riru⸣ʦoː] (人間の子は十月で生まれるそうだ) 11045 0 0 10689 htmvoc_11045.wav トゥーシジ ⸢トゥーシジ [⸢tuːʃiʤi] 名 (動)魚の名。和名、ハマダツ(体長約1メートル)。主に沖で釣れるが、鳩間島では礒釣りで釣れることがある 11046 0 0 10690 htmvoc_11046.wav ドゥーシジマリ ⸣ドゥーシジマリ [⸣duːʃiʤimari] 名 自重すること。謙遜すること。「自身鎮まり」の義か。 ⸣ドゥーシジマリ ⸢シェー⸣ティ シ⸢キン⸣ユ ウ⸢ヤマイ アーカバ⸣ル シ⸢キン⸣ヌ プ⸢ソーラン⸣ ウ⸢ヤマイラリ⸣ダー [⸣duːʃiʤimari ⸢ʃeː⸣ti ʃi̥⸢kiɲ⸣ju ʔu⸢jamai ʔaːkaba⸣ru ʃi̥⸢kin⸣nu pu̥⸢soːra⸣ ʔu⸢jamaːri⸣daː] (自重して、謙遜しつつ世間を敬っておれば<あるけば><ぞ>、世間の人からも敬われるのだぞ) 11047 0 0 10691 htmvoc_11047.wav ドゥーシダースン ⸣ドゥー シ⸢ダースン [⸣duː ʃi⸢daːsuŋ] 連 化粧する。おめかしする。装飾して飾る。「胴・為出<シィダ>す」の転訛か。 ブ⸢ドゥルシンカー⸣ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤ ⸣ドゥー シ⸢ダーシティ⸣ ス⸢クミ ベー [bu⸢duruʃiŋkaː⸣ ʔik⸢kena kai⸣ja ⸣duː ʃi⸢daːʃi̥ti⸣ su̥⸢kumi beː] (踊り人衆は非常にきれいに化粧して予行演習<リハサール>をしている)。 ⸢パーレー⸣フニン カ⸢シ⸣ラン ⸢カイ⸣ヤ シ⸢ダーサレー⸣ン [⸢paːreː⸣ɸuniŋ ka⸢ʃi⸣raŋ ⸢kai⸣ja ʃi⸢daːsareː⸣ŋ] (爬龍船も旗頭も綺麗に化粧された) 11048 0 0 10692 htmvoc_11048.wav ドゥーシトゥナウン ⸣ドゥー シ⸢トゥ⸣ナウン [⸣duː ʃi̥⸢tu⸣nauŋ] 連 体を打ちのめす。体をしたたかに打つ。 ⸢キーヌ パン⸣ターラ ⸣ウティティル シ⸢タ⸣タカ ⸣ドゥー シ⸢トゥ⸣ナイ ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーバン [⸢kiːnu pan⸣taːra ⸣ʔutitiru ʃi̥⸢ta⸣taka ⸣duː ʃi̥⸢tu⸣nai ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (木のてっぺんから落ちて<ぞ>体をしたたかに打って痛めてあるわいな) 11049 0 0 10693 htmvoc_11049.wav トゥーシニンガイ ⸢トゥーシニンガイ [⸢tuːʃiniŋgai] 名 遥拝。「通し願い」の義。普通は、ウ⸢トゥー⸣シ[ʔu⸢tuː⸣ʃi](お通し)という。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](友利御嶽{EOS}「本御願」の義)から、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pinai⸣ʔugaŋ](鬚川御嶽{EOS}⸢マイ⸣ヌウガン{SqBr}⸢mai⸣nuʔugaŋ{/SqBr}<前の御願>ともいう)、ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](あら川御嶽)、ニ⸢シ⸣ドーウガン[ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ](西堂御嶽)などの方向に向かって通して祈願すること。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ウイヌ⸣ウガンラ ⸣ヤマヤマー ン⸢カイティ トゥーシニンガイ⸣ル ⸢ソー⸣ル [ma⸢na⸣maː ⸢ʔuinu⸣uganra ⸣jamajamaː ʔŋ⸢kaiti tuːʃiniŋgai⸣ru ⸢soː⸣ru] (今は友利御嶽<本御願>から各御嶽御嶽へ向かって遥拝の祈願をなされるのだ) 11041 0 0 10694 htmvoc_11041.wav トゥージヌシチ ⸢トゥージ⸣ヌ ⸣シチ [⸢tuːʤi⸣nu ⸣ʃi̥ʧi] 連 冬至。「冬至の季節」の義。 ⸢トゥージ⸣ヌ ⸣シチ イ⸢ル⸣カー ⸢アーシ⸣キン キ⸢サン⸣カー ⸢ピー⸣ヤー ニ⸢ジララ⸣ヌ [⸢tuːʤi⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ʔi⸢ru⸣kaː ⸢ʔaːʃi⸣kiŋ ki̥⸢saŋ⸣kaː ⸢piː⸣jaː ni⸢ʤirara⸣nu] (冬至の季節に入ると、袷の着物を着ないと寒さは我慢できない) 11038 0 0 10695 htmvoc_11038.wav トゥーシヌマール ⸢トゥーシヌマー⸣ル [⸢tuːʃinumaː⸣ru] 名 (動)魚の名。和名、ツマリテング。体色は灰黒色で頭部の角が異常に長い。体長70センチに達するものがいるという。鳩間島では30~40センチのものが漁獲されていた。和名、トサカハギにも⸢トゥーシヌマー⸣ルというが、それには頭の角はない 11050 0 0 10696 htmvoc_11050.wav ドゥーシマプス ⸢ドゥー⸣シマプス [⸢duː⸣ʃimapu̥su] 名 同郷の人。郷里の人。⸢自分の島人」の義。 タ⸢ビ⸣ナーティ ⸢ドゥー⸣シマプスヌ ⸢オー⸣ルカー イッ⸢ケナ⸣ イ⸢ジズー⸣ワン⸢ダー [ta⸢bi⸣naːti ⸢duː⸣ʃimapu̥sunu ⸢ʔoː⸣rukaː ʔik⸢kena⸣ ʔi⸢ʤiʣuː⸣wan⸢daː] (旅で同郷の人がいらっしゃると非常に心強いよ) 11052 0 0 10697 htmvoc_11052.wav ドゥーシマル ⸣ドゥーシマル [⸣duːʃimaru] 名 厳しく身を処すること。身を律すること。 ⸣ドゥーシマルバ ⸢シェー⸣ティ ⸢アーカン⸣カー シ⸢キン⸣マー バ⸢タララン⸣ダー [⸣duːʃimaruba ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːkaŋ⸣kaː ʃi̥⸢kim⸣maː ba⸢tararan⸣daː] (身を律していないと世間はわたれないよ) 11051 0 0 10698 htmvoc_11051.wav ドゥージル ⸢ドゥー⸣ジル [⸢duː⸣ʤiru] 名 加熱すると食材自体から出る汁液。ヘチマなどには⸢ドゥー⸣ジルが多いので水を加えなくても美味しく炊ける。冬瓜は、ほんの少し水を加えた鍋をウ⸢キル[ʔu⸢kiru](熾火)かけて暫く炊くと、⸢ドゥー⸣ジルが出てくるので、それに⸢ラフ⸣テー[⸢raɸu⸣teː](豚の三枚肉を煮たもの)などを載せて、さらに炊くと⸢ドウー⸣ジルに⸢ラフ⸣テーの美味な味付けが出来るという。 ⸢ウン⸣マー ⸢ドゥー⸣ジルシェー ⸢ネーサラヌヌ⸣ ナ⸢ベー⸣ラー ⸢ミース⸣トゥ ⸢ドゥー⸣ジルシン ン⸢マーンマー⸣シ ⸢ネーサリン [⸢ʔum⸣maː ⸢duː⸣ʤiruʃeː ⸢neːsaranunu⸣ na⸢beː⸣raː ⸢miːsu⸣tu ⸢duː⸣ʤiruʃim ʔm⸢maːʔmmaː⸣ʃi ⸢neːsariŋ] (芋は食材自体の汁では炊けないが、ヘチマは味噌と食材自体の汁でも美味しく炊ける) 11053 0 0 10699 htmvoc_11053.wav トゥージン ⸢トゥー⸣ジン [⸢tuː⸣ʤiŋ] 名 灯心。⸢トゥー⸣ル[⸢tuː⸣ru](ランプ{EOS}「灯籠」の転訛)、⸢ロー⸣スク[⸢roː⸣su̥ku](ろうそく<蝋燭>)、⸢トゥイ⸣ミョー[⸢tui⸣mjoː](灯明)などの、火を灯す芯。ランプの灯心は綿糸で巾約2センチ、厚さ約1、5ミリ、長さ約15センチに織った厚手の布で、片方を灯油に浸して油を浸みこませ、他方から火を灯す仕掛けになっていた。灯心の巾の大きさによって、ゴ⸢ブトゥージン[go⸢butuːʤiŋ](五分灯心)、ハ⸢チブトゥー⸣ジン[ha⸢ʧibutuː⸣ʤiŋ](八分灯心)と区別されていた。 ⸣ランプヌ ⸢トゥージン⸣マー ⸢マー⸣ビン ン⸢ザ⸣シバ [⸣rampunu ⸢tuːʤim⸣maː ⸢maː⸣bin ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (ランプの灯心はもっと出しなさいよ)。 ⸢トゥージン⸣マー ン⸢ジダー⸣ル ン⸢メーマ⸣ シ⸢ミ⸣リ [⸢tuːʤim⸣maː ʔn⸢ʤidaː⸣ru ʔm⸢meːma⸣ ʃi⸢mi⸣ri] (灯心は出し過ぎている、少し詰めろ) 11039 0 0 10700 htmvoc_11039.wav トゥーシンミー ⸢トゥーシン⸣ミー [⸢tuːʃim⸣miː] 名 豚小屋便所で排便して豚に便を食わせる穴。便所の穴。「とうす(東司の穴)」の義か。 ム⸢カ⸣シェー ⸣オンケーヌ ⸢トゥーシン⸣ミーナ ビ⸢リティル⸣ ッソー ⸣マリティ ⸣オーン ッ⸢ふァーソーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔoŋkeːnu ⸢tuːʃim⸣miːna bi⸢ritiru⸣ ssoː ⸣mariti ⸣ʔoːn f⸢faːsoːtta⸣ru] (昔は豚小屋便所の便所の穴に座って<ぞ>糞をまって<放って>豚に食わされたものだ) 11054 0 0 10701 htmvoc_11054.wav ドゥーズームヌ ⸣ドゥーズームヌ [⸣duːʣuːmunu] 名 頑健な者。「胴・強・者」の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ ドゥーズームヌ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ duːʣuːmunu ja⸢runda⸣ pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢kara⸣nu] (あれは頑健な者だから風邪を引かない) 11056 0 0 10702 htmvoc_11056.wav ドゥースールン ⸣ドゥー ⸢スー⸣ルン [⸣duː ⸢suː⸣ruŋ] 連 身長が伸びる。成長する。 ビ⸢コーンッふァー ジュー⸣ゴ ⸣ナルカー ⸢アッ⸣タニ ⸣ドゥー ⸢スー⸣ルン(フ⸢ドゥブン) [bi⸢koːŋffaː ʤuː⸣goː ⸣narukaː ⸢ʔat⸣tani ⸣duː ⸢suː⸣ruŋ(ɸu⸢dubuŋ)] (男の子は十五歳になったら急に身長が伸びる<成長する>) 11055 0 0 10703 htmvoc_11055.wav ドゥーズーワン ⸢ドゥーズー⸣ワン [⸢duːʣuː⸣waŋ] 形 健康である。体が強い。「胴強さあり」の義。 ⸢ドゥーズー⸣ワンティ ア⸢ザリブタンドゥ ナン⸣ゾー ⸢ドゥーズーワ ナー⸣ヌ [⸢duːʣuː⸣wanti ʔa⸢ʣaributandu nan⸣ʣoː ⸢duːʣuːwa naː⸣nu] (健康だ<体が強い>と言われていたが、あまり健康で<体が強くない>ない)。 ⸢ドゥーズー⸣ワ ⸣ナリ ⸣クン [⸢duːʣuː⸣wa ⸣nari ⸣kuŋ] (体が強くなってくる)。 ⸢ドゥーズー⸣ワ プ⸢ソー⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [⸢duːʣuː⸣wa pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (健康な人、体の強い人は羨ましい) 11057 0 0 10704 htmvoc_11057.wav ドゥースクナイ ⸢ドゥースク⸣ナイ [⸢duːsu̥ku⸣nai] 名 自分で自分の体を痛めること。自損行為。「自分損ない」の義。 ⸣アイニ タ⸢カーン⸣ トンラ トゥ⸢ビ⸣ ウリティ ⸢ドゥースク⸣ナイ ⸢シー⸣ シケーバン [⸣ʔaini tḁ⸢kaːn⸣ tonra tu⸢bi⸣ ʔuriti ⸢duːsuku⸣nai ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːbaɲjoː] (あんなに高い所から飛び降りて自分で自分の体を損ねて<痛めて>あるんだよ) 11064 0 0 10705 htmvoc_11064.wav ドゥースクリヨー ⸢ドゥースクリ⸣ヨー [⸢duːsu̥kuri⸣joː] 名 体付き。体格。身体の恰好。「体作り様」の義。 ウ⸢リヌ ドゥースクリヨー⸣ヤ ビ⸢ケーヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣トゥ マー⸢ン カウラヌ⸣ ビッ⸢ツティ ニール ブー [ʔu⸢rinu duːsu̥kurijoː⸣ja bi⸢keːnu⸣ ʔu⸢ja⸣tu maː⸢ŋ kauranu⸣ bit⸢ʦuti niːru buː] (彼の体付き<体格>は父親と変わらない{EOS}そっくりだ<ピッタリと似ている>) 11058 0 1 10706 htmvoc_11058.wav トゥースン ⸢トゥー⸣スン [⸢tuː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}通す。通過させる。貫き通す。突きぬく。 パ⸢ル⸣ヌ ⸣ミーラ ⸣イトゥ ⸢トゥー⸣スンティ<ヌ⸢クンティ> ⸢スンドゥ トゥーサラ⸣ヌ<ヌ⸢カラヌ> [pa⸢ru⸣nu ⸣miːra ⸣ʔitu ⸢tuː⸣sunti ⸢sundu tuːsara⸣nu] (針の穴から糸を通そうとするが通されない)。 ⸢トゥーシ ヤッ⸣サン [⸢tuːʃi jas⸣saŋ] (通しやすい)。 ⸢トゥー⸣ス ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸢トゥー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢tuː⸣su ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ⸢tuː⸣ʃeː ⸣misamunu] (通すことが出来たら通せばよいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢トゥー⸣シ [⸣duːʃi ⸢tuː⸣ʃi] (自分で通せ)。 11058 0 2 10707 htmvoc_11058.wav トゥースン ⸢トゥー⸣スン [⸢tuː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}補助動詞。連用形に付いて、⸢~つづける」の意を表す。終わりまで続ける。~し通す。 ⸣プスイピーズ シ⸢グトゥ シートゥーシ ベーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢マイララヌ<トゥ⸢ズミララ⸣ヌ> [⸣pu̥suipiːʣu ʃi⸢gutu ʃiːtuːʃi beːn⸣du mut⸢tu⸣ ʃi⸢mairaranu] (一日中仕事をし続けているが、いっこうに終えられ<仕舞われ>ない) 11059 0 0 10708 htmvoc_11059.wav ドゥーズン ⸢ドゥー⸣ズン [⸢duː⸣ʣuŋ] 名 自損。自損行為。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー ⸢ドゥー⸣ズン⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ⸢duː⸣ʣuŋ⸢ge⸣ra] (そんなことをすると自損行為さ) 11060 0 0 10709 htmvoc_11060.wav ドゥーゾーミーゾー ⸣ドゥーゾーミーゾー [⸣duːʣoːmiːʣoː] 副 体健康で。身体頑健で。「胴強く・身強く」の義。ABCB型の重言。祝詞や呪詞の中でよく用いられる。 キ⸢ナイ タイ⸣ソー パ⸢ジミ⸣ ッ⸢ふァ⸣マー ケー⸢ラ⸣ ドゥーゾー ⸢ミーゾー キンコー⸣ ス⸢クサイヌ ウイ⸣ラ ⸣メー ⸣クズマサルヌ ⸣トゥク ⸣クズマサルヌ ユ⸢ルクビ⸣ユ タン⸢トゥ⸣ ウ⸢キ⸣シミ タ⸢ブ⸣ローリ [ki⸢nai tai⸣soː pa⸢ʣimi⸣ f⸢fa⸣maː keː⸢ra⸣ duːʣoː⸢miːʣoː kiŋkoː⸣ su̥⸢kusainu ʔui⸣ra ⸣meː ⸣kuʣumasarunu ⸣tu̥ku ⸣kuʣumasarunu ju⸢rukubi⸣ju tan⸢tu⸣ ʔu⸢ki⸣ʃimi ta⸢bu⸣roːri] (一家の家長<大将>始め、子孫全員が身体頑健で健康息災の上に、さらに<もう>、去年以上の徳を、去年以上の喜びを、たくさん<たんと>受けさせてください<賜れ>) 11061 0 0 10710 htmvoc_11061.wav ドゥーソーン ⸣ドゥーソーン [⸣duːsoːŋ] 名 自分と同じ程度。同じレベル。 トゥ⸢ジ⸣ トゥムカー ⸣ドゥーソーンヌ プ⸢ソーラ⸣ イ⸢ラ⸣ビティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [tu⸢ʤi⸣ tumukaː ⸣duːsoːnnu pu̥⸢soːra⸣ ʔi⸢ra⸣biti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (妻を娶るならば自分と同じ程度の人の中から選べ、と昔の人は言われた) 11062 0 0 10711 htmvoc_11062.wav ドゥータイ ⸢ドゥー⸣タイ [⸢duː⸣tai] 名 からだ。身体。体格。たいく(体躯)。「胴体」の転訛したもの。 ⸢ドゥータイ⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤ プ⸢ス [⸢duːtai⸣nu ⸢mai⸣ja pu̥⸢su] (体の大きい人{EOS}体格の大きい人)。 ⸢ドゥータイ⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ ブ⸢ガラ⸣サティン ッ⸢サヌ⸣ ユー パ⸢タラクン [⸢duːtai⸣nu ⸣kanai ⸢bunda⸣ bu⸢gara⸣satin s⸢sanu⸣ juː pḁ⸢tarakuŋ] (体格が立派である<叶っている>から疲れることを知らない{EOS}よく働く) 11063 0 0 10712 htmvoc_11063.wav ドゥータブイルン ⸣ドゥー タ⸢ブイルン [⸣duː ta⸢buiruŋ] 連 体力を蓄える。体力をつける。精力を温存する。 プ⸢ス⸣ケンシ ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラン⸣ユンダ ⸢ユー⸣クイティ ⸣ドゥー タ⸢ブイヤー⸣ティ シ⸢グトー シー⸣ヨー [pu̥⸢su⸣keŋʃi ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ na⸢raŋ⸣junda ⸢juː⸣kuiti ⸣duː ta⸢buijaː⸣ti ʃi⸢gutoː ʃiː⸣joː] (一度にあれだけの仕事は出来ないから、休憩して、体力を蓄えながら仕事をしなさいよ)。 ⸢ユー⸣クイティ ⸣ドゥー タ⸢ブイルン [⸢juː⸣kuiti ⸣duː ta⸢buiruŋ] (休憩して体力を蓄える) 11065 0 0 10713 htmvoc_11065.wav ドゥータルガキ ⸢ドゥータルガ⸣キ [⸢duːtaruga⸣ki] 名 自分を頼りにすること。自力を頼りにして他人の力を借りないこと。自分を過信すること。 ⸢ドゥータルガ⸣キ ⸢タン⸣ガー ⸢サンドー⸣シ ン⸢メーマー⸣ プ⸢スン⸣ タ⸢ナマン⸣カー ⸣ドゥー ス⸢クナウン⸣ダー [⸢duːtaruga⸣ki ⸢taŋ⸣gaː ⸢sandoː⸣ʃi ʔm⸢meːmaː⸣ pu̥⸢sun⸣ ta⸢namaŋ⸣kaː ⸣duː su̥⸢kunaun⸣daː] (自力を頼むことだけしないで、少しは他人をも頼まないと体を壊す<損なう>ぞ) 11066 0 0 10714 htmvoc_11066.wav ドゥータンガ ⸣ドゥー ⸢タン⸣ガ [⸣duː ⸢taŋ⸣ga] 連 自分一人。己一人。 ク⸢レー⸣ ドゥー ⸢タンガ⸣シ ⸣ナル シ⸢グトー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ duː ⸢taŋga⸣ʃi ⸣naru ʃi⸢gutoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (これは自分一人で出来る仕事ではない) 11103 0 0 10715 htmvoc_11103.wav ドゥーッふァイムニ ⸢ドゥーッふァイ⸣ムニ [⸢duːffai⸣muni] 名 自らを陥れる言葉。自縄自縛する失言。「自分<胴>食い物言い」の義。 ⸢ドゥーッふァイムニ⸣バ イ⸢ジ アー⸣クンケン フ⸢バラリ ナーン⸣ワー⸢ン⸣ノー [⸢duːffaimuni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaː⸣kuŋkeŋ ɸu⸢barari naːn⸣waː⸢n⸣noː] (自らを陥れるような言葉をしゃべっているうちに、逮捕されて<縛られて>しまったではないか) 11104 0 0 10716 htmvoc_11104.wav ドゥーッふァイワザ ⸢ドゥーッふァイ⸣ワザ [⸢duːffai⸣waʣa] 名 危険な仕事。厳しい肉体労働。⸢胴・喰い・業」の転訛したもの。 ヤ⸢マシグ⸣トー ⸢ドゥーッふァイ⸣ワザ ⸢ダー⸣ ウ⸢レー [ja⸢maʃigu⸣toː ⸢duːffai⸣waʣa⸢daː⸣ ʔu⸢reː] (山仕事は厳しい肉体労働だよ、それは) 11067 0 0 10717 htmvoc_11067.wav ドゥーティダイ ⸣ドゥーティダイ [⸣duːtidai] 名 自己負担で接待すこと。\ruby{自弁}{ジ|ベン}で自分自身を\ruby{饗応}{キョウ|オウ}すること。自腹を切って食事をすること。 ⸣ドゥーティダイシン ヤ⸢ク⸣ニン ムー⸢ル⸣ ム⸢ティナサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duːtidaiʃiŋ ja⸢ku⸣nim muː⸢ru⸣ mu⸢tinasaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (自己負担ででも役人を全員接待しないといけないよ)。 ⸢ジン⸣マー ⸢ナーン⸣バ ⸢キュー⸣ヤー ⸢ドゥー⸣テダイ⸢ダー⸣ メー [⸢ʤim⸣maː ⸢naːm⸣ba ⸢kjuː⸣ja ⸢duː⸣tidai⸢daː⸣ meː] (お金が無いから、今日は自己負担<の食事>だよ、もう) 11070 0 0 10718 htmvoc_11070.wav ドゥードゥ ⸢ドゥードゥ [⸢duːdu] 副 誠に。本当に。実に。優れて見事なさま。沖縄本島方言からの借用語。「堂堂」の転訛したものか。 ~⸢サティ⸣ ワッ⸢ター⸣ チ⸢クテール カンダファー ドゥードゥ⸣ ミグ⸢トゥヤ⸣ッサ [~⸢sati⸣ wat⸢taː⸣ ʧi̥⸢kuteːru kandaɸaː duːdu⸣ migu⸢tuja⸣ssa] (~さても私どもが耕作した<作ってある>芋蔓は誠に見事な出来栄えである)。狂言⸣ピラ[⸣pira](箆)『鳩間島古典民謡古謡集』 11068 0 0 10719 htmvoc_11068.wav トゥートゥートゥー ⸢トゥートゥートゥー [tuːtuːtuː] 感 鶏を呼ぶ声。 ⸢トゥートゥートゥー⸣ティ トゥ⸢ル⸣ ヤ⸢ラビティ⸣ ア⸢ラム⸣トゥ ⸢ファーシ⸣バ [⸢tuːtuːtuː⸣ti tu⸢ru⸣ ja⸢rabiti⸣ ʔa⸢ramu⸣tu ⸢faːʃi⸣ba] (⸢トゥートゥートゥー⸣と鶏を呼んで籾を食わせてやれ<食わせよ>) 11069 0 0 10720 htmvoc_11069.wav ドゥートゥンザク ⸣ドゥートゥンザク [⸣duːtunʣaku] 名 自分で養生すること。自分自身で自分の病気を管理し、看護すること。「胴・頓着」の転訛したもの。 ⸣イサン ミ⸢シラ⸣ムティ ⸣ドゥートンザク ⸢シェー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [⸣ʔisam mi⸢ʃira⸣muti ⸣duːtunʣaku ⸢ʃeː⸣ na⸢ran⸣daː] (医者に診せないで、自分勝手に養生してはいけないよ) 11075 0 0 10721 htmvoc_11075.wav ドゥーナイ ⸢ドゥー⸣ナイ [⸢duː⸣nai] 名 寝返り。身動き。身じろぎ。「更に例のどうなきに(動無し)」『源氏物語(明石)』の転訛したものか。 ⸣ドゥーブニ ⸢コー⸣リ ⸣ヤミティ ⸢ドゥー⸣ナイ シ⸢ララヌ [⸣duːbuni ⸢koː⸣ri ⸣jamiti ⸢duː⸣nai ʃi⸢raranu] (体の骨が凝って<固まって>、痛くなって身動きできない)。 ニ⸢ブタター⸣ナ ⸢ピッ⸣チンツァン ⸢ドゥー⸣ナイ サ⸢ヌ [ni⸢butataː⸣na ⸢pit⸣ʧinʦan ⸢duː⸣nai sa⸢nu] (寝たっきり身動き一つしない)。 ク⸢シ⸣ ヤ⸢マ⸣シティ ニ⸢ビッタルニビバ シー ドゥーナイ⸣ユンツァン ⸢シーユーサヌ [ku⸢ʃi⸣ ja⸢ma⸣ʃi̥ti ni⸢bittaru nibiba ʃiː duːnai⸣junʦaŋ ⸢ʃiːjuːsanu] (腰を痛めて寝たっきりで<寝たままにして>、身動きすらもすることが出来ない<し得ない>)。 ニ⸢ビターリティ ピッ⸣チン ⸢ドゥー⸣ナイ ⸢サンバン [ni⸢bitaːriti pit⸣ʧin ⸢duː⸣nai ⸢sambaŋ] (熟睡して<寝・たわる(\ruby{戯}{タハ}れ)万、1738の転訛か>、全く<ひとつも>身動きしない) 11076 0 0 10722 htmvoc_11076.wav ドゥーナイスン ⸢ドゥー⸣ナイ ⸢スン [⸢duː⸣nai ⸢suŋ] 連 寝たまま体の向きを変える。寝返りをする。 ナ⸢チェー⸣ アツァティ ニ⸢バランドゥ⸣ アルユー ⸣ユー ⸢ドゥー⸣ナイ ⸢スン [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦati ni⸢barandu⸣ ʔarujuː ⸣juː ⸢duː⸣nai ⸢suŋ] (夏は暑くて眠れないのだろうか、よく寝返りをする<寝返りをうつ>) 11077 0 0 10723 htmvoc_11077.wav トゥーナカ ⸢トゥーナカ [⸢tuːnaka] 名 沖合い。大海上。洋上。鳩間島と西表島の間の海峡をさすこともある。「渡中」の義。 ニ⸢シカジヌ⸣ ウティ ⸢アールター トゥーナカ⸣ナー ⸣フネー ⸢フンナキティ⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ シ⸢マー⸣ タ⸢ドゥ⸣ローッタツォー [ni⸢ʃikaʤinu⸣ ʔuti ⸢ʔaːrutaː tuːnaka⸣naː ⸣ɸuneː ⸢ɸunnakiti⸣ jat⸢tu⸣ʃi ʃi⸢maː⸣ ta⸢du⸣roːttaʦoː] (北風が急に強く吹いて<落ちて>荒れたので、沖合いで舟を沈没させてしまい、やっとのことで島へ\ruby{辿}{タド}り着かれたそうだ)。 ⸢トゥーナカー ナーラサ⸣リ ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢tuːnakaː naːrasa⸣ri ⸣pari ⸢naː⸣nu] (沖の大海原へ流されていってしまった)。 ⸣シンタヌ ⸢トゥーナカ⸣ナール イ⸢ガメー⸣ ン⸢ゾーッタ⸣ル [⸣ʃintanu ⸢tuːnakanaːru⸣ ʔi⸢gaː ʔn⸢ʣoːtta⸣ru] (島の後ろの大海原に<ぞ>烏賊釣り漁は出られたものだ) 11078 0 0 10724 htmvoc_11078.wav トゥーナナチ ⸢トゥーナナ⸣チ [⸢tuːnana⸣ʧi] 名 十七つ。十七歳。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢トゥーナナ⸣チェーラ ⸣ドゥームティ ⸣パル プ⸢スン⸣ ブ⸢タン⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢tuːnana⸣ʧeːra ⸣duːmuti ⸣paru pu̥⸢sum⸣ bu⸢tan⸣daː] (昔は、女の子は十七歳から嫁入りしていく人もいたよ) 12128 0 0 10725 htmvoc_12128.wav ドゥーナマラシ ⸣ドゥーナマラシ [⸣duːnamaraʃi] 名 自分で自分を貶めること。恥をかく。 プ⸢スバ⸣ ナ⸢マラ⸣スンティ ⸢アー⸣キティ ⸣ドゥーナマラシ ⸢シー アー⸣ク [pu̥⸢suba⸣ na⸢mara⸣sunti ʔaː⸣kiti ⸣duːnamaraʃi ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (人を貶めようとして、自分自身を貶めて<恥をかいて>いるよ) 11079 0 0 10726 htmvoc_11079.wav ドゥーナマリ ⸣ドゥーナマリ [⸣duːnamari] 名 自分で自分の名誉を傷つけること。自分の行為で恥をかくこと。「胴・鈍り」の転訛したものか。 ア⸢ザン⸣ ブ⸢レー⸣ ミサムヌバ ア⸢ジティル⸣ ドゥーナマリ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣クンティ [ʔa⸢ʣam⸣ bu⸢reː⸣ misamunuba ʔa⸢ʤitiru⸣ duːnamari ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kunti] (言わなければ良いものを、言ってしまって<ぞ>自分の名誉を傷つけているよ) 11080 0 0 10727 htmvoc_11080.wav トゥーナミ ⸢トゥーナミ [⸢tuːnami] 名 沖の大波。「となみ<門波>、万 1207」は「瀬戸に立つ波、海峡の波」の意味であるが、鳩間方言では大海の大波、沖の大波、の意味である。 ⸢トゥーナミヌ⸣ ブリクーカ ⸣フネー マ⸢ギ⸣ パ⸢ラ⸣シ [⸢tuːnaminu⸣ burikuːkaː ⸣ɸuneː ma⸢gi⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (沖の大波が群れて寄せ来たら舟は進路を変えて<曲げて>走行させなさい) 11085 0 0 10728 htmvoc_11085.wav トゥーナラスン ⸢トゥー⸣ ナ⸢ラ⸣スン [⸢tuː⸣ na⸢ra⸣suŋ] 連 海のようになす。子供が寝小便をして寝具をびしょ濡れにさせることを婉曲に表現したもの。 ⸣コーネー ⸣ユベー イ⸢ソー⸣ナ ⸢ゲー⸣タユー ニ⸢ビシキネー⸣ ムー⸢ル トゥー⸣ ナ⸢ラ⸣シ ⸣シケーバンヌヤー [⸣koːneː ⸣jubeː ʔi⸢soː⸣na ⸢geː⸣tajuː ni⸢biʃi̥kineː⸣ muː⸢ru tuː⸣ na⸢ra⸣ʃi ⸣ʃi̥kebannujaː] (男の子は、昨夜は潮干狩りにいったのか、寝床は全部海になしてあるワイ、何の) 11084 0 0 10729 htmvoc_11084.wav ドゥーニチ ⸣ドゥーニチ [⸣duːniʧi] 名 体温。自己の身体から発する熱。「胴熱」の義。 ⸣アミン ⸢ホー⸣リティ ダッ⸢カティ ゾーリ ベータン⸣ドゥ ⸣ドゥーニチシ ⸢カーラキ ナーン⸣バン [⸣ʔamiŋ ⸢hoː⸣riti dak⸢kati ʣoːri beːtan⸣du ⸣duːniʧiʃi ⸢kaːraki naːm⸣baŋ] (雨に降られてびっしょりと濡れていたが、自分の体温で乾いてしまったよ) 11089 0 0 10730 htmvoc_11089.wav ドゥーヌアナ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣アナ [⸢duː⸣nu ⸣ʔana] 連 自分の墓穴。「胴の穴」の義。自分が招く災い。 プ⸢スバ ッふンティ アー⸣キ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣アナ ⸣プレーティ ⸢アー⸣ク [pu̥⸢suba⸣ f⸢funti ʔaː⸣ki ⸢duː⸣nu ⸣ʔana ⸣pureːti ⸢ʔaː⸣ku] (他人を騙そう<食おう>として、己の墓穴を掘っているよ) 11086 0 0 10731 htmvoc_11086.wav ドゥーヌキムシ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣キムシ [⸢duː⸣nu ⸣kimuʃi] 連 自分の気持ちで。自分の心で。自分の考えで。 ウ⸢レー ドゥー⸣ヌ ⸣キムシル キ⸢メー⸣ル ⸣クトゥ ヤ⸢リバ⸣ ドゥーシル シ⸢キニン⸣マー ⸣トゥル [ʔu⸢reː duː⸣nu ⸣kimuʃiru ki⸢meː⸣ru ⸣ku̥tu ja⸢riba⸣ duːʃiru ʃi̥⸢kinim⸣maː turu] (それは自分で決めたことだから自分で責任はとる) 11087 0 0 10732 htmvoc_11087.wav トゥーヌキルン ⸢トゥーヌキルン [⸢tuːnukiruŋ] 他動 遠退ける。遠ざける。遠くへ隔てる。 ウ⸢マ⸣ヌ ⸣トンマー ナ⸢クラー⸣バ カ⸢マー トゥーヌキルンティ ベーン⸣ドゥ ⸢トゥーヌキララヌ [ʔu⸢ma⸣nu ⸣tommaː na⸢kuraː⸣ba ka⸢maː tuːnukirunti beːn⸣du ⸢tuːnukiraranu] (そこのところは怖いから、あそこへ遠退けようとしているが遠のけられない)。 ⸢トゥーヌキル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tuːnukiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (遠退けることは出来ない)。 ⸣ウマーラ ⸢トゥーヌキレー⸣ ミサムヌ [⸣ʔumaːra ⸢tuːnukireː⸣ misamunu] (そこから遠退ければよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢トゥーヌキリ [⸢paː⸣ku ⸢tuːnukiri] (早く遠のけろ) 11088 0 1 10733 htmvoc_11088.wav トゥーヌクン ⸢トゥーヌクン [⸢tuːnukuŋ] 自動 {Mn_1}遠退く。遠ざかる。隔たる。 ⸣フネー シ⸢マー⸣ラ ⸢シンダイ トゥーヌクン [⸣ɸuneː ʃi⸢maː⸣ra ⸢ʃindai tuːnukuŋ] (舟は島から次第に遠退く)。 ⸢トゥーヌキ⸣ パルン [⸢tuːnuki⸣ paruŋ] (遠退いて行く)。 ⸢トゥーヌカン⸣タンティン ⸣ミサン [⸢tuːnukan⸣tantim ⸣misaŋ] (遠退かなくてもよい)。 ⸢トゥーヌク⸣ フネー ブ⸢ラーヌ [⸢tuːnuku⸣ ɸuneː bu⸢raːnu] (遠退く舟はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢トゥーヌケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢tuːnukeː⸣ misamunu] (もっと遠退けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢トゥーヌキ [⸢paː⸣ku ⸢tuːnuki] (早く遠退け)。 11088 0 2 10734 htmvoc_11088.wav トゥーヌクン ⸢トゥーヌクン [⸢tuːnukuŋ] 自動 {Mn_2}疎遠になる。 ⸢ウン⸣ネート シ⸢カイトゥ トゥーヌキ ナーン⸣バン [⸢ʔun⸣neːtoː ʃi̥⸢kaitu tuːnuki naːm⸣baŋ] (あの家とはすっかり疎遠になってしまったよ) 11090 0 0 10735 htmvoc_11090.wav ドゥーヌパダ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣パダ [⸢duː⸣nu ⸣pada] 連 自分の皮膚。「己の肌」の義。 ⸣ドゥーパダ [⸣duːpada] (皮膚{EOS}はだ{EOS}体の表皮)。 ⸢イー⸣シ ⸣トゥル ⸣ピンマー ⸢ドゥー⸣ヌカー パ⸢ギ⸣ルンケン ⸣ティダナー ヤ⸢カリタン [⸢ʔiː⸣ʃi ⸣turu ⸣pimmaː ⸢duː⸣nu ⸣pada pa⸢gi⸣ruŋken ⸣tidanaː ja⸢karitaŋ] (ツノマタ採種の時は皮膚が焼けて剥げるほど太陽に焼かれた) 11092 0 0 10736 htmvoc_11092.wav ドゥーヌパンシ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢パンシ [⸢duː⸣nu ⸢paŋʃi] 連 自分の分。自分のもの。自分の配分。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢パンシル シーユースー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムヌ⸢バー⸣ケー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢duː⸣nu ⸢paŋʃiru ʃiːjuːsu⸣ pu̥⸢sunu⸣ munu⸢baː⸣keː na⸢ra⸣nu] (自分の分しかなし得ない<自分に配分されたもの、責任だけぞなし得る>{EOS}他人のものまでは出来ない) 11091 0 0 10737 htmvoc_11091.wav ドゥーヌマイ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣マイ [⸢duː⸣nu ⸣mai] 連 自分の方向。自分のこと。「自分の前」の義。 ウ⸢レー ドゥー⸣ヌ ⸣マイ カー⸢ニル⸣ ス⸢ルバン パン⸣ク [ʔu⸢reː duːnu⸣mai kaː⸢niru⸣ su⸢rubam paŋ⸣ku] (彼は自分の方向<自分のためになることにだけ>ソロバンを弾く<計算をする>) 11093 0 0 10738 htmvoc_11093.wav ドゥーヌヤー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ヤー [⸢duː⸣nu ⸣jaː] 連 自分の家。 ⸢ワー⸣ メー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ヤーン ス⸢ク⸣リ ⸣ウヤンケーン サ⸢ニヤ⸣ シ⸢ミオーラ⸣シ ⸢マイフナーユン [⸢waː⸣ meː ⸢duː⸣nu ⸣jaːn su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔujaŋkeːn sa⸢nija⸣ ʃi⸢miʔoːra⸣ʃi ⸢maiɸunaːjuŋ] (君は、もう自分の家も作って両親<親たち>にも嬉しくさせて差し上げて、立派な男だよ) 11094 0 0 10739 htmvoc_11094.wav ドゥーパカライ ⸣ドゥーパカライ [⸣duːpakarai] 名 自殺。自害。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣ドゥーパカライ ⸢スー⸣ プ⸢ソー⸣ ム⸢カ⸣シェーラ ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣duːpakarai ⸢suː⸣ pu̥⸢soː⸣ mu⸢ka⸣ʃeːra bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島では自殺する人は昔からいなかった) 11095 0 0 10740 htmvoc_11095.wav ドゥーパダ ⸣ドゥーパダ [⸣duːpada] 名 身体。体全体。「胴肌」の義。 ⸣ドゥーパダニンガイ [⸣duːpadaniŋgai] (健康祈願)。 ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣リティル ニ⸢ガイシキラリ⸣ル [⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ritiru ni⸢gaiʃi̥kirari⸣ru] (体を健康にしてくださいとお祈り申し上げようと思う<願いつけられる>) 11096 0 0 10741 htmvoc_11096.wav ドゥーパダニンガイ ⸣ドゥーパダニンガイ [⸣duːpadaniŋgai] 名 健康祈願。「胴肌願い」の義。旧暦一月と八月の当該人物の干支の日に、⸢ナー⸣ ピ⸢キピキヌ⸣ サ⸢カサ[⸢naː⸣ pi̥⸢kipikinu⸣ sḁ⸢kasa](各ヒキ<血統>の御嶽の司)にお願いして祈願をしてもらった。家長のマ⸢リビー[ma⸢ribiː](干支の日)に合わせて家族全員の健康祈願をしてもらった。 ⸣ソンガチ パ⸢チニンガイトゥ⸣ パ⸢チンガチニン⸣ガイナー ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダニンガイ ⸢ソーッ⸣タン [⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧiniŋgaitu⸣ pḁ⸢ʧiŋgaʧiniŋ⸣gainaː ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpadaniŋgai ⸢soːt⸣taŋ] (正月初祈願と八月祈願<八月願い>には家族の健康祈願をなさった<された>) 11097 0 0 10742 htmvoc_11097.wav ドゥーパタラキ ⸣ドゥーパタラキ [⸣duːpataraki] 名 自活すること。自分で自分自身のことをすること。 ⸣ドゥーパタラキ ⸢シェー⸣ティル ⸢ガッ⸣コーン ンジェー⸢ダー [⸣duːpataraki ⸢ʃeː⸣tiru ⸢gak⸣koːn ⸣ʔnʤeː⸢daː] (自分で働きながら学校も出たのだよ) 11098 0 0 10743 htmvoc_11098.wav ドゥーパンマイ ⸢ドゥーパン⸣マイ [⸢duːpam⸣mai] 名 自分で自分の食事を賄うこと。弁当持参。 ⸢ドゥーパン⸣マイシル ⸣バコー ⸢シン パッタ⸣ル バ⸢コーシンカ⸣ヌ ⸣アシ マ⸢カナイ ユーサン⸣シェン [⸢duːpam⸣maiʃiru ⸣bakoː ⸢ʃim patta⸣ru ba⸢koːʃiŋka⸣nu ⸣ʔaʃi ma⸢kanai juːsaŋ⸣ʃeŋ] (弁当持参で共同作業に行ったのだよ{EOS}共同作業人の昼食を賄い得なかった) 11100 0 1 10744 htmvoc_11100.wav トゥーピーチ ⸢トゥーピー⸣チ [⸢tuːpiː⸣ʧi] 名 {Mn_1}十一。十以上の物を数える数詞。 ⸢トゥーフター⸣チ [⸢tuːɸu̥taː⸣ʧi] (十二)。 ⸢トゥーミー⸣チ [⸢tuːmiː⸣ʧi] (十三)。 11100 0 2 10745 htmvoc_11100.wav トゥーピーチ ⸢トゥーピー⸣チ [⸢tuːpiː⸣ʧi] 名 {Mn_2}十分の一。 ⸣ザイサンマー ⸢キョウダイ⸣サ ⸢ジュー⸣ニン マー⸢タキ トゥーピーチ⸣ナー バ⸢ク⸣タ [⸣ʣaisammaː ⸢kjoːdai⸣sa ⸢ʤuː⸣nim maː⸢taki tuːpiːʧi⸣naː ba⸢ku⸣ta] (財産は兄弟10人、同じく十分の一ずつ分けた) 11099 0 0 10746 htmvoc_11099.wav ドゥービーヨーン ⸣ドゥー ⸢ビー⸣ヨーン [⸣duː ⸢biː⸣joːŋ] 連 体が痒い。 ⸢ユー⸣フル ア⸢マンタール⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ドゥー ⸢ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢juː⸣ɸuru ʔa⸢mantaːru⸣ ja⸢ru⸣juː ⸣duː ⸢biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (お風呂に入らなかった<湯風呂を浴びなかった>からだろうか、体が痒くてたまらない<どうにもならない>) 11101 0 0 10747 htmvoc_11101.wav ドゥーピキ ⸢ドゥー⸣ピキ [⸢duː⸣pi̥ki] 名 辞退すること。遠慮すること。 ムー⸢ル⸣ラ イ⸢ラバ⸣リティル ム⸢ラヌ スー⸣ダイ ⸣ナレータンドゥ ⸢ドゥー⸣ピキ ⸢シー ナー⸣ヌ [muː⸢ru⸣ra ʔi⸢raba⸣riti mu⸢ranu suː⸣dai ⸣nareːtandu ⸢duː⸣pi̥ki ⸢ʃiː naː⸣nu] (みんなから選ばれて村の総代<部落会長>になったのだが、自ら辞退してしまったよ) 11102 0 1 10748 htmvoc_11102.wav ドゥービナーン ⸣ドゥー ビ⸢ナー⸣ン [⸣duː bi⸢naː⸣ŋ] 連 {Mn_1}体が不潔である。 ⸢ユー⸣フルン ア⸢マンユンダ⸣ ドゥー ビ⸢ナー⸣ティ ⸢ゴー⸣サ ⸣カキ ⸢ベー [⸢juː⸣ɸuruŋ ʔa⸢maŋjunda⸣ duː bi⸢naː⸣ti ⸢goː⸣sa ⸣kaki⸢beː] (風呂も浴びないから、体が不潔になって\ruby{疥癬}{カイ|セン}にかかって<疥癬を\ruby{掻}{カ}いて>いる)。 11102 0 2 10749 htmvoc_11102.wav ドゥービナーン ⸣ドゥー ビ⸢ナー⸣ン [⸣duː bi⸢naː⸣ŋ] 連 {Mn_2}病気がちである。体が弱い。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンラ ⸣ドゥー ビ⸢ナー⸣タン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenra ⸣duː bi⸢naː⸣taŋ] (子供の頃から病気がちであった<体が弱かった>) 11105 0 0 10750 htmvoc_11105.wav ドゥーフターチナルン ⸢ドゥーフター⸣チ ⸣ナルン [⸢duːɸu̥taː⸣ʧi ⸣naruŋ] 連 妊婦が出産して親子の体が別々になる。身二つになる。 パ⸢ルミ⸣プソー ⸢ドゥーフター⸣チ ⸣ナルンケンマー キ⸢ムユラ⸣シ ス⸢ナ⸣ヨー [pa⸢rumi⸣pu̥soː ⸢duːɸu̥taː⸣ʧi ⸣naruŋkemmaː ki⸢mujura⸣ʃi su⸢na⸣joː] (妊婦は身二つになるまでは安心<肝許し>するなよ) 11106 0 0 10751 htmvoc_11106.wav ドゥーブニ ⸣ドゥーブニ [⸣duːbuni] 名 骨格。体の骨。「胴骨」の義。 ヤ⸢マー⸣ラ ⸢ザイ⸣ギー カ⸢タ⸣ミ ウ⸢ラ⸣スンティ ⸢アー⸣キ ⸣ドゥーブニ ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ja⸢maː⸣ra ⸢ʣai⸣giː kḁ⸢ta⸣mi ʔu⸢ra⸣sunti ⸢ʔaː⸣ki ⸣duːbuni ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (山から材木を担いで下ろそうとして体の骨を痛め<病まし>てある) 11107 0 0 10752 htmvoc_11107.wav ドゥーブニヤーラクン ⸣ドゥーブニ ⸢ヤーラクン [⸣duːbuni ⸢jaːrakuŋ] 連 労働で疲れた体を酒を飲んで癒す。「胴骨・和らげる」の義。⸣ドウーブニ ⸢ヤーラカスン[⸣duːbuni ⸢jaːrakasuŋ](骨休めする)ともいう。 ⸢マイイビン⸣ ウ⸢チナ⸣シティ サ⸢キバ⸣ ヌミ ⸣ドゥーブニ ⸢ヤーラクンティ ベー⸣ダー [⸢maiʔibiŋ⸣ ʔu⸢ʧina⸣ʃi̥ti sḁ⸢kiba⸣ numi ⸣duːbuni ⸢jaːrakunti beː⸣daː] (田植えも済ませて、酒を飲んで骨休めよう<体を癒そう>としているんだよ) 11108 0 0 10753 htmvoc_11108.wav ドゥーフミ ⸣ドゥーフミ [⸣duːɸumi] 名 自分で自分を誉めること。自画自賛すること。自慢すること。フ⸢チガール[ɸu̥ʧigaːru](自慢)ともいう。 イ⸢カムスク⸣ヌ ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ロー⸣ルユー ⸢サンシン⸣ ピ⸢キティ⸣ アトー ウ⸢ヌ⸣スク ⸣ドゥーフミバル ⸢ソー⸣ル⸢ツォー [ʔi⸢kamusu̥ku⸣nu ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢roː⸣rujuː ⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kiti⸣ ʔatoː ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸣duːɸumibaru ⸢soː⸣ru⸢ʦoː] (如何程の上手であられるのか、三線を弾いて後は、あのようにたいそう自画自賛をされるのだ<だってば>よ) 11109 0 0 10754 htmvoc_11109.wav ドゥーフミルン ⸣ドゥー フ⸢ミ⸣ルン [⸣duː ɸu⸢mi⸣ruŋ] 連 自分を褒める。自慢する。 ウ⸢レー⸣ ドゥー フ⸢ミ⸣ル フ⸢シヌル⸣ アル⸢ツォー [ʔu⸢reː⸣ duː ɸu⸢mi⸣ru ɸu̥⸢ʃinuru⸣ ʔaru⸢ʦoː] (彼には自分を褒める癖があるんだよ) 11111 0 0 10755 htmvoc_11111.wav ドゥーフムン ⸣ドゥー ⸣フムン [⸣duː ⸣ɸumuŋ] 連 自分を褒める。自慢する。 サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢サッ⸣コー ⸣ドゥー ⸣フムン [sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢sak⸣koː ⸣duː ⸣ɸumuŋ] (酒を飲むとひどく自分を褒める) 11110 0 0 10756 htmvoc_11110.wav ドゥーマーラー ⸣ドゥーマーラー [⸣duːmaːraː] 名 身内。親戚。「自分の回り」の義。 ⸣ドゥーマーラヌ プ⸢ス⸣ナー ⸢ウイヌ ガッ⸣コー ⸣ンジェー プ⸢ソー⸣ ギュ⸢タール ブーワ⸣メー [⸣duːmaːranu pu̥⸢su⸣naː ⸢ʔuinu gak⸣koː ⸣ʔnʤeː pu̥⸢soː⸣ gju⸢taːru buːwa⸣meː] (身内<親戚>の者に上級学校を卒業した<出た>人が何人いるのかねえ)。 ⸣ドゥーマーラー ムー⸢ル サンシンピキゾージ ヤ⸢ルンダ ヨイ⸣ヤー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣duːmaːraː muː⸢ru saŋʃimpikiʣoːʤi⸣ ja⸢runda joi⸣jaː ⸢soːja naː⸣nu] (身内はみんな三味線演奏家<三味線弾き上手>だから、祝儀の際は心配ない) 11113 0 0 10757 htmvoc_11113.wav トゥーマール ⸢トゥーマール [⸢tuːmaːru] 名 遠回り。回り道。 ⸢トゥーマール サンドー⸣シ チ⸢カ⸣ミチ ⸢シー⸣ パリバ [⸢tuːmaːru sandoː⸣ʃi ʧi̥⸢ka⸣miʧi ⸢ʃiː⸣ pariba] (遠回りしないで、近道をして行けよ) 11114 0 0 10758 htmvoc_11114.wav ドゥーマール ⸣ドゥーマール [⸣duːmaːru] 名 身内。家族。親類。親戚内。⸣ドゥーマーラー[⸣duːmaːraː]⸣(身内)ともいう。 ドゥーマールナー ウ⸢ヤ⸣キプスヌ ⸢ブンダ ソーヤナー⸣ヌ [⸣duːmaːruna ʔu⸢ja⸣kipu̥sunu ⸢bunda soːja naː⸣nu] (親戚内に金持ちがいるから心配はない) 11115 0 0 10759 htmvoc_11115.wav ドゥーマカナイ ⸣ドゥーマカナイ [⸣duːmakanai] 名 自炊。「自分賄い」の義。 ⸢パイタ⸣ナーテー シ⸢グニチ⸣ナー ⸣ドゥーマカナイバ ⸢シェー⸣ティル ⸢ターシグ⸣トー ⸢ソーッ⸣タ [⸢paita⸣naːteː ʃi⸢guniʧi⸣naː ⸣duːmakanaiba ⸢ʃeː⸣tiru ⸢taːʃigu⸣toː ⸢soːt⸣ta] (西表<南端>では、4,5日ずつ自炊をしながら田仕事はなさったものだ) 11116 0 0 10760 htmvoc_11116.wav トゥーミー ⸢トゥーミー [⸢tuːmiː] 名 遠見。手をかざして遠くを見ること。 ⸢トゥーミーバ⸣ シゥ⸢カイル⸣ カ⸢ツヌ⸣ トゥ⸢ルマケー ミシ⸣キティ ⸢カツォー ホー⸣ソーッタ [⸢tuːmiːba⸣ sï̥⸢kairu⸣ kḁ⸢ʦunu⸣ tu⸢rumakeː miʃi̥⸣kiti kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːtta] (手をかざして遠くを見てカツオの鳥巻きを見つけて、カツオを釣られた) 11117 0 0 10761 htmvoc_11117.wav ドゥーミー ⸣ドゥーミー [⸣duːmiː] 名 自分の体。自分の肉体。自分自身。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣バソー ⸣ドゥーミール ア⸢タラ⸣サータンダー ⸢ヤーニン⸣ズ マー⸢ズン ピンギ⸣ル ク⸢トゥバ⸣ル ⸢ソーシタル [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣basoː ⸣duːmiːru ʔa⸢tara⸣saːtandaː ⸢jaːnin⸣ʣu maː⸢ʣum piŋgi⸣ru ku̥⸢tuba⸣ru ⸢soːʃi̥taru] (戦争の時は自分の体が大事だった<可惜しかった>から、家族が一緒に逃げることを心配したものだ) 11118 0 0 10762 htmvoc_11118.wav ドゥーミーシティルン ⸣ドゥーミー シ⸢ティルン [⸣duːmiː ʃi̥⸢tiruŋ] 連 わが身を犠牲にする。体を犠牲にする。 ⸣ドゥーミー シ⸢ティルン⸣ケン パ⸢タラキル⸣ キ⸢ナイ⸣ タ⸢ティノー⸣シェー⸢ダー [⸣duːmiː ʃi̥⸢tiruŋ⸣kem pḁ⸢tarakiru⸣ ki⸢nai⸣ tḁ⸢tinoː⸣ʃeː⸢daː] (わが身を犠牲にするほど働いて、家庭を立て直したのだよ) 11119 0 0 10763 htmvoc_11119.wav トゥーミーチ ⸢トゥーミーチ [⸢tuːmiːʧi] 名 数詞。十三。十三歳。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢トゥーミーチ⸣ ナルカー マ⸢リドゥシヌ⸣ヨイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふォーッ⸣タン [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢tuːmiːʧi⸣ narukaː ma⸢riduʃinu⸣joi ⸢ʃiː⸣ f⸢foːt⸣taŋ] (女の子は十三歳になったら生年祝い<生まれ年の祝い>をしてくださった) 11120 0 0 10764 htmvoc_11120.wav トゥーミチ ⸢トゥーミチ [⸢tuːmiʧi] 名 とおみち(遠道)。遠回りの道。遠くて長い道。 ワザッ⸢トゥ トゥーミチバ⸣ イ⸢ラ⸣ビ ⸢マーリ パッ⸣タヤー [waʣat⸢tu tuːmiʧiba⸣ ʔi⸢ra⸣bi ⸢maːri pat⸣tajaː] (わざわざ遠回りの道を選んで回って行ったよ) 11121 0 0 10765 htmvoc_11121.wav ドゥームチナリ ⸢ドゥームチ⸣ナリ [⸢duːmuʧi⸣nari] 名 寝所を移動すること。座席を移動する(移す)。 ⸢ワー⸣ カマンタカター ⸢ドゥームチ⸣ナリ ⸢シー⸣ ニ⸢ビ⸣バ [⸢waː⸣ kamantakataː ⸢duːmuʧi⸣nari ⸢ʃiː⸣ ni⸢bi⸣ba] (君は向こう側へ寝所を移して寝なさいよ) 11123 0 0 10766 htmvoc_11123.wav ドゥームティザク ⸢ドゥームティ⸣ザク [⸢duːmuti⸣ʣaku] 名 身の振り方。生計の立て方。家計の遣り繰り。「身の持ち方」の義。 ⸢ドゥームティ⸣ザク ッ⸢サン⸣カー タ⸢ベー⸣ パ⸢ラサラ⸣ヌ [⸢duːmuti⸣ʣaku s⸢saŋ⸣kaː ta⸢beː⸣ pa⸢rasara⸣nu] (生計の立て方を知らなければ旅へは遣れ<行かされ>ない) 11122 0 0 10767 htmvoc_11122.wav ドゥームティジブン ⸢ドゥームティ⸣ジブン [⸢duːmuti⸣ʤibuŋ] 名 結婚適齢期。所帯を持つ時期。 ⸢ドゥームティ⸣ジブン ナ⸢リ⸣ブバ ⸣メー ⸢パー⸣ク ⸣ドゥー ム⸢タ⸣シ [⸢duːmuti⸣ʤibun na⸢ri⸣buba ⸣meː ⸢paː⸣ku ⸣duː mu⸢ta⸣ʃi] (結婚適齢期になっているから早く結婚させなさい) 11124 0 0 10768 htmvoc_11124.wav ドゥームティドング ⸢ドゥームティドン⸣グ [⸢duːmutidoŋ⸣gu] 名 所帯道具。生活用品。家庭用品。家具類。寝具類。 ⸢イー⸣ナビ ⸢スー⸣ナビ ⸢パンガマ ⸣ガイ マ⸢カ⸣ル ⸣パシ カ⸢タ⸣ナ ア⸢シ⸣ツァ ⸣ムス ⸣ウズ カ⸢ビ⸣ムヌンドーレーヤ ⸢ドゥームティドン⸣グ [⸢ʔiː⸣nabi ⸢suː⸣nabi ⸢paŋgama ⸣gai ma⸢ka⸣ru ⸣paʃi kḁ⸢ta⸣na ʔa⸢ʃi⸣ʦa ⸣musu ⸣ʔuʣu ka⸢bi⸣munun ⸣doːreːja ⸢duːmutidoŋ⸣gu] (飯鍋、汁鍋、羽釜、杓文字、杓子、お椀、箸、包丁、下駄、筵、布団、掛ける物<被りもの>、などは所帯道具である) 11125 0 0 10769 htmvoc_11125.wav ドゥームティパルン ⸣ドゥームティ ⸣パルン [⸣duːmuti ⸣paruŋ] 連 嫁いでいく。嫁入りする。嫁する。 ⸢ホンマ⸣トゥ ⸣ナカンマー キサー⸢ティ⸣ ドゥームティ ⸣パレーン [⸢homma⸣tu ⸣nakammaː ki̥saː⸢ti⸣ duːmuti ⸣pareːŋ] (長女と二女は既に嫁いでいった) 11126 0 1 10770 htmvoc_11126.wav ドゥームティヨー ⸢ドゥームティ⸣ヨー [⸢duːmuti⸣joː] 名 {Mn_1}家庭経営術(方法)。生計の立て方技術。家計の遣り繰り術。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢ヤー⸣ナ ⸢ベーン⸣ケンナー ⸢ドゥームティ⸣ヨー ⸣ユー ⸣ナライ [mi⸢doːn⸣ffaː ⸢jaː⸣na ⸢beːŋ⸣kennaː ⸢duːmuti⸣joː ⸣juː ⸣narai] (女の子は家にいるときに家庭経営術をよく習い、学びなさい)。 11126 0 2 10771 htmvoc_11126.wav ドゥームティヨー ⸢ドゥームティ⸣ヨー [⸢duːmuti⸣joː] 名 {Mn_2}健康を保持する方法。健康管理法。 ⸢ドゥームティヨー⸣ヤ ッ⸢サムティ⸣ グ⸢チ⸣ホーニ パ⸢タラク⸣カー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン⸢ダー [⸢duːmutijoː⸣ja s⸢samuti⸣ gu⸢ʧi⸣hoːni pḁ⸢taraku⸣kaː ⸣duː ja⸢ma⸣sun⸢daː] (健康を管理維持する方法は知らないで、向こう見ず<無鉄砲>に働くと体を痛める<病ます>ぞ) 11127 0 0 10772 htmvoc_11127.wav ドゥームトゥン ⸣ドゥー ムトゥン [⸣duː ⸣mutuŋ] 連 結婚する。所帯を持つ。⸢身持ち(胴持ち)する(子を孕む)」の義。「Mimochi.ミモチ(身持)妊娠.Cano vonna mimochini natta(あの女は妊娠している)」『邦訳日葡辞書』の転訛か。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣ドゥー ム⸢タ⸣シ パ⸢ラ⸣シティル ウミ⸢ナーク シーベー [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣duː mu⸢ta⸣ʃi pa⸢ra⸣ʃi̥tiru ʔumi⸢naːku ʃiːbeː] (女の子を結婚させて行かせて<所帯を持たせてやって>すっかり安心<ほっと>している) 11128 0 0 10773 htmvoc_11128.wav ドゥームラ ⸣ドゥームラ [⸣duːmura] 名 自分の村。故郷。同郷。 タ⸢ビ⸣ナーテー ⸣ドゥームラヌ プ⸢スヌ オー⸣ルカー イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムズー⸣ワン [ta⸢bi⸣naːteː ⸣duːmuranu pu̥⸢sunu ʔoː⸣rukaː ʔik⸢kena⸣ ki⸢muʣuː⸣waŋ] (旅先では同郷の人がおられると非常に心強い) 11129 0 0 10774 htmvoc_11129.wav ドゥームリ ⸢ドゥー⸣ムリ [⸢duː⸣muri] 名 一人遊び。子供が自分一人で遊ぶこと。子守りなしで、一人で遊ぶこと。「自分<胴>守り」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢タビ⸣ムヌ トゥ⸢ラ⸣スカー ⸢ドゥー⸣ムリ ⸢シー⸣ ア⸢サブン [ja⸢ra⸣beː mu⸢tabi⸣munu tu⸢ra⸣sukaː ⸢duː⸣muri ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabuŋ] (子供は玩具<弄びもの>を与えると一人遊びする) 11130 0 0 10775 htmvoc_11130.wav ドゥームンダニ ⸣ドゥームンダニ [⸣duːmundani] 名 魚の身を切って魚釣りの餌にしたもの。「己餌」の義。魚釣り用の餌は、普通やヤドカリを使って釣るが、ヤドカリ餌が無い時は、釣った魚の身を切り、餌にして釣った。 ⸣ドゥームンダネーラン ⸣アミツァヌ ⸢ムン⸣ダニシル イ⸢ゾー ゴー⸣ラー ⸢ホーサリ⸣タ [⸣duːmundaneːraŋ ⸣ʔamiʦanu ⸢mun⸣daniʃiru ʔi⸢ʣoː goː⸣raː ⸢hoːsari⸣ta] (魚の身の餌よりもヤドカリの餌で<ぞ>魚は多く釣れたものだ) 11131 0 1 10776 htmvoc_11131.wav ドゥーヤーラーン ⸢ドゥーヤー⸣ラーン [⸢duːjaː⸣raːŋ] 形 {Mn_1}体が柔らかい。 ウ⸢レー⸣ タ⸢ク⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢ドゥーヤー⸣ラーン [ʔu⸢reː⸣ tḁ⸢ku⸣nu ⸣kḁtaʦini ⸢duːjaː⸣raːŋ] (彼<あれ>は蛸のように体が柔軟である<体が柔らかい>)。 11131 0 2 10777 htmvoc_11131.wav ドゥーヤーラーン ⸢ドゥーヤー⸣ラーン [⸢duːjaː⸣raːŋ] 形 {Mn_2}病弱である。 マ⸢リットーラ ドゥー ヤー⸣ラー プ⸢ソー カンダカー⸣ンティ ア⸢ザリ ブー [ma⸢rittoːra duːjaː⸣raː pu̥⸢soː kandakaː⸣nti ʔa⸢ʣari buː] (生まれつき病弱の人は霊感が高いといわれている) 11132 0 0 10778 htmvoc_11132.wav ドゥーヤッサン ⸢ドゥーヤッ⸣サン [⸢duːjas⸣saŋ] 形 たやすい(容易い)。\ruby{易}{ヤサ}しい。簡単である。付き合いやすい。「身<胴>易い」の義か。⸢ドゥーグリ⸣サン[⸢duːguri⸣saŋ](心苦しい{EOS}気の毒である{EOS}恐縮である)の対義語。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ シ⸢グトー バン⸣タン ⸢ドゥーヤッ⸣サ シ⸢ラリン [ku⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ʃi⸢gutoː ban⸣tan ⸢duːjas⸣sa ʃi⸢rariŋ] (この程度の仕事は私達にも容易く<簡単に>出来る)。 ⸢ドゥーヤッ⸣サール シ⸢グトゥバ⸣ トゥミ ⸣クー [⸢duːjas⸣saːru ʃi⸢gutuba⸣ tumi ⸣kuː] (容易い仕事を探して来い)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ドゥーヤッ⸣サン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː duːjas⸣saŋ] (その人は付き合い易い) 11133 0 0 10779 htmvoc_11133.wav ドゥーヤマアイルン ⸣ドゥーヤマ ⸢アイルン [⸣duːjama ⸢ʔairuŋ] 連 墓穴を掘る。己を罠にかける。「自分罠上げる」の義。 シ⸢ビフチ⸣ ッ⸢サン⸣ ム⸢ニ⸣バ ⸣ユミティ ⸣ドゥーヤマ ⸢アイルン⸠ダー [ʃi⸢biɸu̥ʧi⸣ s⸢sam⸣ mu⸢ni⸣ba ⸣jumiti ⸣duːjama ⸢ʔairun⸠daː] (筋の通らない無責任な<後先を知らない>話をしゃべって墓穴を掘ることになるぞ<己を罠にかけることになるぞ>) 11134 0 0 10780 htmvoc_11134.wav ドゥーヤマシプス ⸢ドゥーヤマシ⸣プス [⸢duːjamaʃi⸣pu̥su] 名 怪我人。 ⸢ドゥーヤマシ⸣プソー ギュ⸢タール ブーワ [⸢duːjamaʃi⸣pu̥soː gju⸢taːru buːwa] (怪我人は何人いるか) 11135 0 0 10781 htmvoc_11135.wav ドゥーヤマスン ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン [⸣duː ja⸢ma⸣suŋ] 連 怪我をする。体を傷つける。「胴病ます」の義。 カ⸢タマラ⸣ン ⸢ニー⸣バ カ⸢タ⸣ムンティ ⸢アーキ⸣ル ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーバン [kḁ⸢tamara⸣n ⸢niː⸣ba kḁ⸢ta⸣munti ⸢ʔaːki⸣ru ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (担ぐことのできない荷を担ごうとして、怪我を<胴を病ま>してあるよ) 11081 0 0 10782 htmvoc_11081.wav ドゥーユー ⸢ドゥー⸣ユー [⸢duː⸣juː] 名 土用。 ⸢ドゥーユー⸣ヌ ⸣シチェー ⸢ペーリ⸣ル ⸣アイニ アツァバン⸢ナー [⸢duːjuː⸣nu ʃi̥ʧeː ⸢peːri⸣ru ⸣ʔaini ʔaʦaban⸢naː] (土用の\ruby{節気}{セッ|キ}に<へ>入ったので、それ故にあのように暑いのだねえ) 11138 0 0 10783 htmvoc_11138.wav ドゥーユーコースン ⸣ドゥー ⸢ユーコー⸣スン [⸣duː ⸢juːkoː⸣suŋ] 連 体を休ませる。休憩を取らせる。「体<胴>憩わせる」の義。⸣ドゥー ユ⸢コー⸣スン[⸣duː ju⸢koː⸣suŋ](体を休める)ともいう。 ウ⸢シン⸣マー ア⸢ラン⸣ダ ン⸢メーマー⸣ ドゥー ⸢ユーコー⸣ス ⸣クトゥ ⸢カンガイ⸣リ [ʔu⸢ʃiʔm⸣maː ʔa⸢ran⸣daː ʔm⸢meːmaː⸣ duː ⸢juːkoː⸣su ⸣ku̥tu ⸢kaŋgai⸣ri] (牛馬ではないから、少しは体を休ませることを考えなさい) 11136 0 0 10784 htmvoc_11136.wav ドゥーユクイ ⸣ドゥーユクイ [⸣duːjukui] 名 骨休み。休憩。休養。「体<胴>憩い」の義。 ン⸢メーマ⸣ナー ⸣ドゥーユクイヤ ⸢シェー⸣ティル ウ⸢ビ⸣ナーヌ シ⸢グトー⸣ シ⸢ラリル [ʔm⸢meːma⸣naː ⸣duːjukuijaː ⸢ʃeː⸣tiru ʔu⸢bi⸣naːnu ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢rariru] (少しずつは休憩をしながら<ぞ>、あれだけの仕事は出来る) 11137 0 0 10785 htmvoc_11137.wav ドゥーユグルン ⸣ドゥー ユ⸢グルン [⸣duː ju⸢guruŋ] 連 体が汚れる。月経で不浄の身となる。 ⸣ドゥー ユ⸢グリプソー ゴーサ⸣ヌ ⸢カンヌマイ⸣ヌ ⸣ムノー ⸣ティー ⸢ナーララヌ [⸣duː ju⸢guripusoː goːsa⸣nu ⸢kannumai⸣nu ⸣munoː ⸣tiː ⸢naːraranu] (月経で身が汚れた人<不浄の身>は畏れ多くて神を祭る儀礼行事<神事のもの>には触れられ<手が出され>ない) 11139 0 0 10786 htmvoc_11139.wav ドゥーヨーゾー ⸣ドゥーヨーゾー [⸣duːjoːʣoː] 名 自ら\ruby{摂生}{セッ|セイ}すること。自分で養生し、健康増進を図ること。自分の体に気を付けて健康増進のためにいろいろと工夫すること。「胴・養生」の転訛したもの。 イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーラン⸣ シマ ヤ⸢ルンダ⸣ ヤ⸢ブバ⸣ タ⸢ユリ⸣ル ⸣ドゥーヨーゾー ⸢シェー⸣ティ ⸣ヌチェー ⸣ムイケール [ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːraŋ⸣ ʃima ja⸢runda⸣ ja⸢buba⸣ ta⸢juri⸣ru ⸣duːjoːʣoː ⸢ʃeː⸣ti ⸣nuʧeː ⸣muikeːru] (医者のいらっしゃらない島だから、ヤブ<漢方の心得のある人>を頼って自分流に養生をしながら命を永らえて来たのだ) 11140 0 0 10787 htmvoc_11140.wav ドゥーヨーン ⸢ドゥーヨー⸣ン [⸢duːjoː⸣ŋ] 形 体が弱い。病弱である。「胴・弱い」の義。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ドゥーヨー⸣ンティ ア⸢ザリブーヌ⸣ バ⸢カー⸣タン ⸣ケンマー ⸢ドゥーヨ⸣ー ⸢ナーン⸣シェン [ma⸢na⸣maː ⸢duːjoː⸣nti ʔa⸢ʣaribuːnu⸣ ba⸢kaː⸣taŋ ⸣kemmaː ⸢duːjo⸣ː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (今は体が弱い<病弱だ>といわれているが、若かった頃は病弱ではなかった) 11141 0 0 10788 htmvoc_11141.wav トゥーランフチ ⸢トゥーラン⸣フチ [⸢tuːraŋ⸣ɸu̥ʧi] 名 海底地名。鳩間島の南、約1キロメートルの海底に発達した⸢イーリマイズニ[⸢ʔiːrimaiʣuni](西前曽根)の中にある通り抜け不可能の曽根。干潮時にも海底に没した曽根で、⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)でも用心しながら通過した。そこはム⸢チイズ[mu⸢ʧiiʣu](のこぎりだい)の巣である。ムチイズを釣って、それを生きたまま釣り針にかけて生餌にし、ア⸢ラ⸣ニーバル[ʔa⸢ra⸣niːbaru](まはた)やア⸢カジナー[ʔa⸢kaʤinaː](にせすじはた)などの大きな魚を釣り上げた。 ⸢トゥーラン⸣フチェー ⸢イーリマイズニ⸣ナール アル⸢ダー [⸢tuːraŋ⸣ɸu̥ʧeː ⸢ʔiːrimaiʣuni⸣naːru ʔaru⸢daː] (⸢トゥーラン⸣フチ<通過できない津口>は鳩間島の南方の西前曽根にあるのだよ) 11142 0 0 10789 htmvoc_11142.wav トゥーリ ⸢トゥー⸣リ [⸢tuː⸣ri] 名 通り道。通路。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸣マンタヌ ⸢トゥー⸣リナ<⸣ミチナー> ア⸢サビ ベー [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸣mantanu ⸢tuː⸣rina<⸣miʧinaː> ʔa⸢sabi beː] (子供たちは前の通りで遊んでいる) 11143 0 0 10790 htmvoc_11143.wav トゥール ⸢トゥー⸣ル [⸢tuː⸣ru] 名 ランプ。灯火。明かり。明治生まれの古老の言葉。「内典云燈炉、唐式云燈籠、本朝式云燈楼」『和名抄』、「とうろう(灯籠)」の義。「Tôro.タゥロ(灯籠)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 タ⸢マドゥー⸣ル [ta⸢maduː⸣ru] (ガラス火屋の付いたランプ{EOS}四面ガラス張りの角型ランプ)。昭和58年に海底送電施設が完成し、各家庭に電灯が点灯した。それまでは日常的に⸢トゥー⸣ル[⸢tuː⸣ru](ランプ)を灯していた。 ⸢トゥール⸣ヌ フ⸢ヤ⸣ ッ⸢スレー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢グトゥ ヤッタ [⸢tuːru⸣nu ɸu⸢ja⸣ s⸢sureː⸣ ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢gutu jatta] (ランプの火屋の拭き掃除は子供の仕事であった)。 ⸣ティダー ⸢イーリティ ヤーン⸣ナカー ッ⸢ふァガマリ ブーバ トゥー⸣ル シ⸢キ⸣リ [⸣tidaː ⸢ʔiːriti jaːn⸣nakaː f⸢fagamari buːba tuː⸣ru ʃi̥⸢ki⸣ri] (太陽は没して<入って>家の中は暗くなっているからランプ<灯籠>を点灯し<点け>なさい) 11144 0 0 10791 htmvoc_11144.wav トゥール ⸢トゥー⸣ル [⸢tuː⸣ru] 名 通り。そのまま。それと同様なこと。「Tçucaino touoriuo yu-.(使の通りを言ふ)」『邦訳日葡辞書』。 ム⸢カ⸣シェーラ ⸢シー⸣ ケー ⸢トゥー⸣ル ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢ʃiː⸣ keː ⸢tuː⸣ru ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (昔からして来た通りにしないといけない<昔のままにするべきだ>)。 ウ⸢レー ワー⸣ ア⸢ズ トゥー⸣ル [ʔu⸢reː waː⸣ ʔa⸢ʣu tuː⸣ru] (それは君が言う通りだ) 11145 0 0 10792 htmvoc_11145.wav トゥールン ⸢トゥー⸣ルン [⸢tuː⸣ruŋ] 自動 通る。通用する。 ク⸢ヌ⸣ ミチェーラ ⸢トゥー⸣ルン [ku⸢nu⸣ miʧeːra ⸢tuː⸣ruŋ] (この道から通る)。 ク⸢ヌ⸣ ミチェー ⸢トゥーララン⸣ティ ア⸢ズンドゥ トゥーリ⸣ プサンダ ヤー⸢ディン トゥー⸣ル ⸣クトゥティル キ⸢ミ⸣ シケー [ku⸢nu⸣ miʧeː ⸢tuːraran⸣ti ʔa⸢ʣundu tuːri⸣ pu̥sanda jaː⸢din tuː⸣ru ⸣ku̥tutiru ki⸢mi⸣ ʃi̥keː] (この道は通られないというが、通りたいから、必ず通ることと決めておいてある)。 ⸢トゥー⸣ルンティ ⸣ウムーカー ⸢パー⸣ク ⸢トゥー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢tuː⸣runti ⸣ʔumuːkaː ⸢paː⸣ku ⸢tuː⸣reː ⸣misamunu] (通ると思うなら早く通ればよいのに)。 ⸢トゥー⸣リ [⸢tuː⸣ri] (通れ) 11146 0 0 10793 htmvoc_11146.wav トゥーワン ⸢トゥー⸣ワン [⸢tuː⸣waŋ] 形 遠い。 ア⸢ラ⸣クカー ⸢トゥー⸣ワンドゥ ク⸢ル⸣マーラ ⸣パルカー ⸢トゥーワナー⸣ヌ [ʔa⸢ra⸣kukaː ⸢tuː⸣wandu ku⸢ru⸣maːra ⸣parukaː ⸢tuːwanaː⸣nu] (歩いたら遠いが、車で行ったら遠くない)。 ⸢シンダイ トゥー⸣ワ ⸣ナルン [⸢ʃindai tuː⸣wa ⸣naruŋ] (次第に遠くなる)。 ⸣ドゥク ⸢トゥーワ⸣ヌ ア⸢ラ⸣キテー パ⸢ララ⸣ヌ [⸣duku ⸢tuːwa⸣nu ʔa⸢ra⸣kiteː pa⸢rara⸣nu] (あまりにも遠くて歩いては行けない<行かれない>)。 ⸢トゥー⸣ワ ⸣トンマー ⸢パン⸣ナ [⸢tuː⸣wa ⸣tommaː ⸢pan⸣na] (遠い所は行くな)。 ⸢マー⸣ビン ⸢トゥー⸣ワレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢tuː⸣wareː ⸣misamunu] (もっと遠ければ良いのに) 11147 0 0 10794 htmvoc_11147.wav トゥーン ⸣トゥーン [⸣tuːŋ] 他動 \ruby{研}{ト}ぐ。研磨する。刃物を砥石で研ぐ。「剣太刀いよよ刀具倍之(トグベシ)~。万、4467」の転訛したもの。 カ⸢タ⸣ナ ⸣トゥーンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ク⸢ヌ⸣ トゥシシェー<⸣トゥシナー> ⸢トーラ⸣ヌ [kḁ⸢ta⸣na ⸣tuːnti ʔu⸢muːn⸣du ku⸢nu⸣ tu̥ʃiʃeː<⸣tuʃinaː> ⸢toːra⸣nu] (包丁を研ごうと思うが、この砥石では研がれない)。 ⸢トゥイ⸣ プサカー ⸢トゥイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢tui⸣ pu̥sakaː ⸢tui⸣jaː ⸣misamunu] (研ぎたければ研げば良いのに)。 ⸣トゥー ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸣トゥイバ [⸣tuː ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸣tuiba] (研ぐものは早く研げよ)。 ⸢トーン⸣カー ナ⸢マ⸣リティ キ⸢シラ⸣ヌ [⸢toːŋ⸣kaː na⸢ma⸣riti ki̥⸢ʃira⸣nu] (研がないと鈍って切れない) 11148 0 0 10795 htmvoc_11148.wav トゥーン ⸢トゥーン [⸢tuːŋ] 他動 問う。聞きただす。尋ねる。尋問する。「~何の故ぞと問人毛<トフヒトモ>無し。万、2969」の転訛したもの。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢トゥイ⸣ シ⸢キ⸣ プサタンティン マ⸢ナ⸣マー ⸢トーラヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢tui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ pu̥satantim ma⸢na⸣maː ⸢toːranu] (そのことは問い尋ねたくても、今は問えない<問われない>)。 ⸢トゥーンティ⸣ ウムイ ⸢ベー⸣カー ⸢パー⸣ク ⸢トゥイヤー⸣ ミサムヌ [⸢tuːnti⸣ ʔumui ⸢beː⸣kaː ⸢paː⸣ku ⸢tuijaː⸣ misamunu] (問おうと思っているのなら早く問えば良いのに)。 ⸣バーラ ⸢トゥー⸣ クトー ⸢ナーン⸣バ ⸢ワー トゥイ⸣バ [⸣baːra ⸢tuː⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ba ⸢waː tui⸣ba] (私から問うことはないから、君が問いなさい) 11149 0 0 10796 htmvoc_11149.wav ドゥーンガイリ ⸢ドゥーンガイ⸣リ [⸢duːŋgai⸣ri] 名 寝返り。身返り。裏返すこと。寝ている子供がひっくり返ること。「胴返り」の義。 ⸢ミーシキ⸣ タ⸢トゥ⸣ター ヤ⸢ラ⸣ベー<アガッ⸢ふァー⸣マー> ⸢ドゥーンガイ⸣リ ⸢シースバン [⸢miːʃi̥ki⸣ tḁ⸢tu⸣taː ja⸢ra⸣beː ⸢duːŋgai⸣ri ⸢ʃiːsubaŋ] (誕生後三月経ったので、子供<赤子>は寝返りをすることが出来るよ<するわい>) 11538 0 0 10797 htmvoc_11538.wav ドゥーンヤー ⸢ドゥーン⸣ヤー [⸢duːɲ⸣jaː] 名 自分の家(ぞんざいな表現)。⸢ドゥー⸣ヌヤー[⸢duː⸣nujaː](自分の家{EOS}<丁寧な表現>)ともいう。 ⸢ドゥーン⸣ヤーヌ プ⸢ス [⸢duːɲ⸣jaːnu pu̥⸢su] (家族{EOS}自分の家の人)。 ⸢ドゥーン⸣ヤーヌ プ⸢スンマー⸣ ティマー パ⸢ラー⸣ムティ プ⸢スン⸣ヤーヌ プ⸢スカーニ⸣ ティマー パ⸢ラウ⸣タ [⸢duːɲ⸣jaːnu pu̥⸢summaː⸣ timaː pa⸢raː⸣muti pu̥⸢suɲ⸣jaːnu pu̥⸢sukaːni⸣ timaː pa⸢rau⸣ta] (自分の家の人には手間賃は払わないで余所の家の人にだけ手間賃を払った) 10993 0 0 10798 htmvoc_10993.wav トゥイ ⸢トゥイ [⸢tui] 名 樋。かけひ(懸樋)。標準語から新しく借用された語。明治生まれの古老は、⸣ビー[⸣biː](樋)という。これは、「水やりたる樋<ヒ>の上に~」『かげろふ日記』の転訛したものか。屋根を流れる雨水を受けて水タンクや水瓶に流す装置。竹筒を半分に割ったものを使用していた。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣フクンダ ⸢トゥイヤー(⸢ビー⸣ヤ) パンツァシ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kunda ⸢tui⸣jaː(⸢biː⸣ja)⸢panʦaʃi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (台風が吹くから樋は外しておきなさい) 10994 0 0 10799 htmvoc_10994.wav トゥイシミルン ⸢トゥイシミルン [⸢tuiʃimiruŋ] 他動 問い詰める。 ⸣アイニ ⸢トゥイシミランドー⸣シ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸢トゥイ⸣バ [⸣ʔaini ⸢tuiʃimirandoː⸣ʃi jaː⸢rama⸣ʃi ⸢tui⸣ba] (あんなに問い詰めないで、やんわりと問いなさい)。 ⸢トゥイシミルンティ⸣ ウムーカー ⸢トゥイシミル⸣ クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢トゥイシミ⸣ プサー ⸢ナー⸣ヌ [⸢tuiʃimirunti⸣ ʔumuːkaː ⸢tuiʃimiru⸣ ku̥toː na⸢run⸣du ⸢tuiʃimi⸣ pu̥saː ⸢naː⸣nu] (問い詰めようと思えば問い詰めることは出来るが、問い詰めたくはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢トゥイシミレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢tuiʃimireː⸣ misamunu] (もっと問い詰めればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢トゥイシミリ [⸢paː⸣ku ⸢tuiʃimiri] (早く問い詰めなさい) 10995 0 0 10800 htmvoc_10995.wav トゥイスクン ⸢トゥイスクン [⸢tuisu̥kuŋ] 他動 問い聞く。問い尋ねる。尋問する。 ッ⸢サン⸣カー ⸢トゥイシキ⸣バ [s⸢saŋ⸣kaː ⸢tuiʃi̥ki⸣ba] (知らなければ問い尋ねよ)。 ⸢トゥイシキ⸣ プサタンドゥ ⸢トゥイシゥカランシェン [⸢tuiʃi̥ki⸣ pu̥satandu ⸢tuisi̥karaŋʃeŋ] (問い尋ねたかったが、問い尋ねられなかった)。 ⸢トゥイスクンティ⸣ ウムーカー シ⸢グ トゥイスク⸣クトゥ [⸢tuisu̥kunti⸣ ʔumuːkaː ʃi⸢gu tuisu̥ku⸣ ku̥tu] (問い尋ねたかったら、すぐ問い尋ねることだ)。 カ⸢リン トゥシケー⸣ ミサムヌ [ka⸢rin tuiʃi̥keː⸣ misamunu] (彼に問い尋ねればよいのに) 10996 0 0 10801 htmvoc_10996.wav トゥイタジニルン ⸢トゥイタジニルン [⸢tuitaʤiniruŋ] 他動 問い尋ねる。手掛かりをたどって行方を捜し求める。 ウ⸢キ⸣ナーナ ッ⸢ふァヌ⸣ ヤ⸢ドゥ⸣ヤー ト⸢ミ⸣ルンティ ウ⸢マー⸣カマー ⸢トゥイタジニルンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ サ⸢バカラ⸣ヌ [ʔu⸢ki⸣naːna f⸢fanu⸣ ja⸢du⸣jaː tu⸢mi⸣runti ʔu⸢maː⸣kamaː ⸢tuitaʤinirundu⸣ mut⸢tu⸣ sa⸢bakara⸣nu] (沖縄で子供の宿屋を探そうとして、あちらこちら問い訪ねるが、ちっとも探し当てられない) 10997 0 0 10802 htmvoc_10997.wav トゥイヌ ⸢トゥイ⸣ヌ [⸢tui⸣nu] 名 ちょうな(手斧)。大工道具の一つ。幅約8センチ、長さ約10センチ程のひらのみ(平鑿)に直角に曲がった枝の柄を付けた鍬形の斧。斧で粗削りした後、これで丁寧に平らにけずった。 ⸢ブー⸣ヌシ ア⸢ラキジ シェーン⸣ トンバ ⸢トゥイ⸣ヌシ キ⸢ジティ⸣ カ⸢ナ⸣ カ⸢コーッ⸣タ [⸢buː⸣nuʃi ʔa⸢rakiʤi ʃeːn⸣ tomba ⸢tui⸣nuʃi ki⸢ʤiti⸣ ka⸢na⸣ kḁ⸢koːt⸣ta] (斧で粗削りしたところを手斧で削って鉋を掛けられた) 10998 0 0 10803 htmvoc_10998.wav トゥイミョー ⸢トゥイ⸣ミョー [⸢tui⸣mjoː] 名 灯明。大きな神事の際に神前に灯明を供えて祈願する祭具。殻長6~7センチ程の二枚貝のキ⸢ザ⸣ク[ki⸢ʣa⸣ku](シレナシジミ)の殻を二枚ずつ並べて菜種油をいれ、こより(紙縒り)の⸢トゥー⸣ジン[⸢tuː⸣ʤiŋ](灯心)を差して灯した。 ⸢トゥイミョー⸣ヤ ウ⸢ブニンガイ⸣ヌ ⸣ピンナール ⸣シケーティ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ヨーッタ⸣ル [⸢tuimjoː⸣ja ʔu⸢buningai⸣nu ⸣pinnaːru ⸣ʃi̥keːti ⸢niŋ⸣gai ⸢joːtta⸣ru] (灯明は大きな神事の時に<ぞ>、それを灯しながら祈願されたものだ) 11150 0 0 10804 htmvoc_11150.wav トゥカ ⸣トゥカ [⸣tu̥ka] 接助 ~とか。~やら。活用語の終止形、連体形(<ぞ>の結び)に接続する。石垣方言からの借用語か。 ⸣パルントゥカ<⸣パルンティバ> パ⸢ラントゥ⸣カ<パ⸢ランティバ> イ⸢ジマーシ ユンマー⸣リ ⸢ベー⸣ン ⸢ギン⸣シェー ア⸢テー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣paruntu̥ka<⸣paruntiba> pa⸢ran⸣tu̥ka ʔi⸢ʤimaːʃi jummaː⸣ri ⸢beː⸣ŋ ⸢giŋ⸣ʃeː ʔa⸢teː⸣ na⸢ra⸣nu] (行くとか、行かないとか言い回して婉曲に断っているようでは、当てにならない) 11151 0 0 10805 htmvoc_11151.wav ドゥガイ ⸣ドゥガイ [⸣dugai] 名 (植)多肉植物の一種。アロエ。ろかい(蘆薈)。皮膚の傷や腫れ物、打撲傷に効く。リュウゼツラン(竜舌蘭)にもいう。 ドゥ⸢ガイ⸣ヌ ⸢パー⸣ サキティ キ⸢ジ⸣ナー シ⸢ビシキ⸣ パ⸢リ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸣ユー ス⸢クタン [du⸢gai⸣nu ⸢paː⸣ sḁkiti ki⸢ʤi⸣naː ʃi⸢biʃiki⸣ pa⸢ri⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸣juː su̥⸢kutaŋ] (アロエの葉を裂いて傷にくっつけて、貼り付けておくと良く効いた) 11152 0 0 10806 htmvoc_11152.wav トゥカキン トゥ⸢カ⸣キン [tu̥⸢ka⸣kiŋ] 名 (動)魚の名。和名、イソマグロ。体長約90センチ。 カ⸢ツシンラ⸣ ハ⸢ニビキ シー アー⸣キティ ⸣ユー トゥ⸢カ⸣キン ⸢ホー⸣ソーッタン [kḁ⸢ʦuʃinra⸣ ha⸢nibiki ʃiː ʔaː⸣kiti ⸣juː tu̥⸢ka⸣kiŋ ⸢hoː⸣soːttaŋ] (カツオ漁船から引縄釣りをしていて<疑似餌を引いて>いそまぐろをよく釣られたものだ) 11153 0 0 10807 htmvoc_11153.wav トゥカグシ トゥ⸢カグシ [tu̥⸢kaguʃi] 名 十日おきに。十日ごと。接尾語の「~越し」は、「時間の長さを示す語に付けて、その間中続いてきたことを表す」が、鳩間方言では、「その時間の長さをおいて、同じことが繰り返される<間隔を置いて繰り返す>」ことの意味を表す。/~イヤイヤー ユタカナルユヌ シルシ サミエー アミヤ トゥカグシ カジヤ シジカニ~/(いやいや<弥弥>、豊年満作の前兆であろう、雨は十日おきに降って、風は静かに吹いて~)(「鳩間口説」『鳩間島古典民謡古謡集』) 11154 0 0 10808 htmvoc_11154.wav トゥカザー トゥ⸢カ⸣ザー [tu̥⸢ka⸣ʣaː] 名 (動)魚の名。ニザダイ科。かんらんはぎ。くろはぎの仲間。体長約30センチ。トゥ⸢カ⸣ジャー[tu̥⸢ka⸣ʤaː](かんらんはぎ)、フ⸢プラーイズ[ɸu̥⸢puraːʔiʣu]ともいう。和名、クロハギの仲間にもトゥ⸢カ⸣ザー[tu̥⸢ka⸣ʣaː](フ⸢プラーイズ)という。鳩間島の西南西にある⸢クー⸣シビー[⸢kuːʃi⸣biː](干瀬の名)でよく獲れた。この魚は匂いが臭く、調理したり、煮て食したりした後はなかなか匂いが消えなかったので、女性からは嫌われていた。 トゥ⸢カザー⸣ヤ ン⸢マー⸣ヤ ア⸢ルン⸣ドゥ カ⸢ザヌ⸣ タ⸢カー⸣ンダ ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ふァーンシェン [tu̥⸢kaʣaː⸣ja ʔm⸢maː⸣ja ʔa⸢run⸣du ka⸢ʣanu⸣ ta⸢kaː⸣nda ⸢nan⸣ʣoː f⸢faːŋʃeŋ] (かんらんはぎは美味しくはあるが匂いが強い(臭い)ので、あんまり食べなかった) 11155 0 0 10809 htmvoc_11155.wav トゥカスン トゥ⸢カ⸣スン [tu̥⸢ka⸣suŋ] 他動 溶かす。 ⸣ユーナ ⸣サタ トゥ⸢カ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ トゥ⸢カサラ⸣ヌ [⸣juːna ⸣sata tu̥⸢ka⸣sunti ⸢beːn⸣du tu̥⸢kasara⸣nu] (お湯に砂糖を溶かそうとしているが、溶かされない)。 トゥ⸢カシ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ トゥ⸢カ⸣シバ [tu̥⸢kaʃi⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi tu̥⸢ka⸣ʃiba] (溶かしたければ自分で溶かせよ)。 トゥ⸢カ⸣ス ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ トゥ⸢カ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu̥⸢ka⸣su ⸣munoː muː⸢ru⸣ tu̥⸢ka⸣ʃeː ⸣misamunu] (溶かすものは全部溶かせばよいのに) 11156 0 0 10810 htmvoc_11156.wav トゥガニン トゥ⸢ガ⸣ニン [tu⸢ga⸣niŋ] 名 とがにん(咎人)。罪人。 ム⸢カ⸣シ パ⸢トゥ⸣マナー ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢ナーラサ⸣リ ⸢オー⸣レール トゥ⸢ガニン⸣ヌ ⸢オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃi pḁ⸢tu⸣manaː ʔu⸢ki⸣naːra ⸢naːrasa⸣ri ⸢ʔoː⸣reːru tu⸢ganin⸣nu ⸢ʔoːt⸣tanʦoː] (昔、鳩間島に沖縄から流されてこられた咎人<罪人>がおられたそうだ) 11157 0 0 10811 htmvoc_11157.wav トゥカミーカ トゥ⸢カミーカ [tu⸢kamiːka] 名 数詞。十三夜。十三日。「十日・三日」の転訛したもの。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣シケー トゥ⸢カミーカヌ⸣ シ⸢キ⸣ユン⸢ナー [⸢kjuː⸣nu ⸣ʃi̥keː tu̥⸢kamiːkanu⸣ ʃi̥⸢ki⸣jun⸢naː] (今日の月は十三夜の月だねえ)。 ⸣シキヌ ⸢カイ⸣シャー トゥ⸢カミーカー⸣ ミ⸢ヤ⸣ラビ ⸢カイ⸣シャー ⸢トゥー⸣ナナツー ⸢ホーオ⸣ー⸢イー チョーオ⸣ーガー [⸣ʃi̥kinu ⸢kai⸣ʃaː tu̥⸢kamiːkaː⸣ mi⸢ja⸣rabi ⸢kai⸣ʃaː ⸢tuː⸣nanatuː ⸢hoːʔo⸣ː⸢iː ʧoː ʔo⸣ːgaː] (月が綺麗なのは十三夜の月、乙女の美しいのは十七八歳だ、ホーイーチョーガー<囃子>)。歌謡語 11158 0 1 10812 htmvoc_11158.wav トゥガミルン トゥ⸢ガミ⸣ルン [tu⸢gami⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}\ruby{咎}{トガ}める。なじる。責める。\ruby{叱責}{シッ|セキ}する。注意する。「~吾がするわざを害目賜名<とがめたまふな>『万、721』」の転訛。 ウ⸢リバ⸣ トゥ⸢ガミ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ ⸢カイ⸣テー ウ⸢リン⸣ トゥ⸢ガミラ⸣レーティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢riba⸣ tu⸢gami⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ⸢kai⸣teː ʔu⸢rin⸣ tu⸢gamira⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (彼を注意しようとして、却って彼に注意されて<叱られて>あるく)。 ト⸢ガミ⸣ グ⸢リ⸣サタンティン トゥ⸢ガミ⸣ル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [tu⸢gami⸣ gu⸢ri⸣satantin tu⸢gami⸣ru pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (注意しずらくても注意する人がいないといけない)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ガミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku tu⸢gami⸣reː misamunu] (早く注意すれば良いのに)。 ト⸢ガミ⸣リ [tu⸢gami⸣ri] (注意しろ)。 11158 0 2 10813 htmvoc_11158.wav トゥガミルン トゥ⸢ガミ⸣ルン [tu⸢gami⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}罰する。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー トゥ⸢ガミラ⸣リン [ja⸢nakutu suː⸣kaː tu⸢gamira⸣riŋ] (悪事を働くと罰される) 11159 0 0 10814 htmvoc_11159.wav トゥガラスン トゥ⸢ガラ⸣スン [tu⸢gara⸣suŋ] 他動 とがら(尖)す。尖らせる。物の先端を尖るようにする。老年層は⸢トゥンガラ⸣スン[⸢ruŋgara⸣suŋ](尖らす)という。 トゥ⸢ガラサン⸣カー シゥ⸢カーランバ マー⸣ビン トゥ⸢ガラ⸣シバ [tu⸢garasaŋ⸣kaː si̥⸢kaːramba maː⸣bin tu⸢gara⸣ʃiba] (尖らさないと使えないから、もっと尖らせよ)。 トゥ⸢ガラ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ トゥ⸢ガラ⸣ス ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢ナー⸣ヌ [tu⸢gara⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du tu⸢gara⸣su mu⸢nu⸣nu ⸢naː⸣nu] (尖らせようと思うが、尖らす物がない)。 トゥ⸢ガラシ⸣ プサカー ⸢パー⸣ク トゥ⸢ガラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢garaʃi⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku tu⸢gara⸣ʃeː ⸣misamunu] (尖らしたければ早く尖らせばよいのに) 11160 0 0 10815 htmvoc_11160.wav トゥガル トゥ⸢ガ⸣ル [tu⸢ga⸣ru] 名 とがり(尖り)。物の尖った先端。 ユ⸢クン⸣ヌ トゥ⸢ガ⸣ルナー ⸣ミー ⸢ピッカ⸣リティル カ⸢タ⸣ミー ナリ ⸢ベー [ju⸢kun⸣nu tu⸢ga⸣runaː ⸢miː pikka⸣ritiru kḁ⸢ta⸣miː ⸣nari ⸢beː] (銛の先端の尖りに目が突き刺されて片目になっている) 11161 0 0 10816 htmvoc_11161.wav トゥガルン トゥ⸢ガ⸣ルン [tu⸢ga⸣ruŋ] 自動 とが(尖)る。物の先端が細く鋭くなる。老年層は⸢トゥン⸣ガルン[⸢tuŋ⸣garuŋ](尖る)という。 ユ⸢クン⸣ヌ サ⸢ケー⸣ トゥシナー ⸣トゥーカー ⸢トゥン⸣ガルン [ju⸢kun⸣nu sḁ⸢keː⸣ tu̥ʃinaː ⸣tuːkaː ⸢tuŋ⸣garuŋ] (銛の先は砥石で研ぐと尖る)。 トゥ⸢ガラン⸣ティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ウシキティ トゥー⸣ター トゥ⸢ガ⸣リ ⸢ベー [tu⸢garan⸣ti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢ʔuʃi̥kiti tuː⸣taː tu⸢ga⸣ri ⸢beː] (尖らないと思ったが、押し付けて研いだら咎っている)。 トゥ⸢ガ⸣ル ⸣ムノー ⸢マー⸣ビン トゥ⸢ガ⸣レー ⸣ミサムヌ [tu⸢ga⸣ru ⸣munoː ⸢maː⸣bin tu⸢ga⸣reː ⸣misamunu] (尖るものはもっと尖ればよいが)。 ト⸢ガ⸣リ [tu⸢ga⸣ri] (尖れ) 11162 0 0 10817 htmvoc_11162.wav トゥキ ⸣トゥキ [⸣tu̥ki] 名 時計。 ム⸢カ⸣シェー ター⸢ン⸣ネーナーン ⸣トゥケー ⸣アル ⸣ムノー ア⸢ラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː taː⸢n⸣neːnaːn ⸣tu̥keː ⸣ʔaru ⸣munoː ʔa⸢raŋ⸣ʃeŋ] (昔は、どこの家にも時計はあるものではなかった) 11163 0 1 10818 htmvoc_11163.wav トゥキ ⸣トゥキ [⸣tu̥ki] 名 {Mn_1}時。時刻。 マ⸢ナ⸣マー ナンドゥキヤ [ma⸢na⸣maː ⸣nandukija] (今は何時<何時>か)。⸢~したとき、~するとき」を意味する場合は、~⸣バス[~⸣basu](場合)、~⸣ピン[~⸣piŋ](~とき)のようにいう。 11163 0 2 10819 htmvoc_11163.wav トゥキ ⸣トゥキ [⸣tu̥ki] 名 {Mn_2}時期。時節。 トゥ⸢キ⸣ヌ ⸣クーカー ⸢ナンクク⸣ル ア⸢ラキ⸣スバ マ⸢ナ⸣マー ⸢ソー サン⸣タンティン ⸣ミサン [tu̥⸢ki⸣nu ⸣kuːkaː ⸢naŋkuku⸣ru ʔa⸢raki⸣suba ma⸢na⸣maː ⸢soː san⸣tantim ⸣misaŋ] (時<時期>が来ればおのずと<自然に>歩くから心配しないでもよい)。 ⸣トゥキン ⸣アリ ⸣シチン ア⸢リ⸣ル ⸣ムノー シ⸢ラリル [⸣tu̥kiŋ ⸣ʔari ⸣ʃi̥ʧiŋ ʔa⸢ri⸣ru ⸣munoː ʃi⸢rariru] (時もあり、時節もあって初めて<時節があってぞ>ものごとは成し遂げられる<なされる>ものだ) 11164 0 0 10820 htmvoc_11164.wav トゥキイラナー トゥ⸢キイラ⸣ナー [tu̥⸢kiʔira⸣naː] 副 すぐさま。間もなく。即刻。あっという間に。「時を要せず。時を移さず」の義。 ⸣パレーンティ ⸣ウムーカー トゥ⸢キイラ⸣ナー ⸢カイ⸣リ ⸣キー ⸢ベー⸣バン [⸣pareːnti ⸣ʔumuːkaː tu̥⸢kiʔira⸣naː ⸢kai⸣ri ⸣kiː ⸢beː⸣baŋ] (行ったと思ったら、間もなく<時を移さず>帰ってきているわいな) 11165 1 0 10821 htmvoc_11165.wav トゥキドゥキ トゥ⸢キドゥ⸣キ [tu̥⸢kidu⸣ki] 名 {PoS_1}時節時節。 ⸢ウンヌ⸣ トゥキドゥキヌ ⸣パーブジンケーヌ ア⸢ラ⸣ソーレール ⸢ジー⸣マシ [⸢ʔunnu⸣ tu̥kidukinu ⸣ʔujapaːbuʤiŋkeːnu ʔa⸢ra⸣soːreːru ⸢ʤiː⸣maʃi] (その時代時代<時々>の先祖達が買い求められた<有らされた>土地財産)。 11165 2 0 10822 htmvoc_11165.wav トゥキドゥキ トゥ⸢キドゥ⸣キ [tu̥⸢kidu⸣ki] 副 {PoS_2}時々。偶に。おりおり。 ト⸢キドゥ⸣ケー ア⸢サビン⸣ クーバ⸢ヨー [tu̥⸢kidu⸣keː ʔa⸢sabiŋ⸣ kuːba⸢joː] (時々は<たまには>遊びに来なさいね) 11166 0 0 10823 htmvoc_11166.wav トゥキトゥルン ⸣トゥキ ⸣トゥルン [⸣tu̥ki ⸣turuŋ] 連 時刻を告げる。 トゥ⸢ロー⸣ トゥキ ⸣トゥルン [tu⸢roː⸣ tu̥ki ⸣turuŋ] (鶏は時刻を告げる)。/トゥルヤ トゥキトル シュクブン インヤ ヤーヌバン シュクブン ピトゥヌ イタジラ ウルソヤ シキンヌ ユーシティ /(鶏は時刻を告げるのが職分、犬は家の番をするのが職分、人として徒に過ごすのは世捨て人だ)「デンサー節」 11167 0 0 10824 htmvoc_11167.wav ドゥキナスン ドゥ⸢キナ⸣スン [du⸢kina⸣suŋ] 他動 のける(退ける)。退かせる。人や物を他の場所へ移す。除く。よける。脇へ寄せる。 ミ⸢チッサーリ⸣ムノー ドゥ⸢キナ⸣スンティ シ⸢タヌ⸣ マ⸢ダ⸣ ドゥ⸢キナサ⸣ヌ [mi⸢ʧissaːri⸣ munoː du⸢kina⸣sunti ʃi̥⸢tanu⸣ ma⸢da⸣ du⸢kinasa⸣nu] (道の障壁物<道塞がり物>は退けると言ったのに、まだ退けない)。 ドゥ⸢キナ⸣シ ⸣ミサカー ドゥ⸢キナ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [du⸢kina⸣ʃi ⸣misakaː du⸢kina⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (退けてよければ、退けることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ドゥ⸢キナ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku du⸢kina⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く退ければ良いのに)。 ウ⸢レー⸣ ドゥ⸢キナ⸣シバ [ʔu⸢reː⸣ du⸢kina⸣ʃiba] (それは退けろよ) 11168 0 0 10825 htmvoc_11168.wav トゥキユタ トゥ⸢キ⸣ユタ [tu̥⸢ki⸣juta] 名 よた(与太)。巫女。神事や法事の日を占い、選定したり、祈願してくれることを生業とする巫女。 トゥ⸢キユタ⸣ヌ ⸣ヤーナ ⸢ギー ソッコー⸣ヌ ⸢ピュール⸣ ク⸢ラ⸣シ ⸣クー [tu̥⸢kijuta⸣nu ⸣jaːna ⸢giː sokkoː⸣nu ⸢pjuːru⸣ ku⸢ra⸣ʃi ⸣kuː] (ユタの家に行って法事の日<日和>を選定して<繰らして>きなさい) 11169 0 0 10826 htmvoc_11169.wav トゥキユドマナー トゥ⸢キユドマ⸣ナー [tu̥⸢kijuduma⸣naː] 副 すぐに。間もなく。即刻。時を移さず。「時淀まず」の義。 ⸣キサ ⸢パッタ⸣ヌ トゥ⸢キユマ⸣ナー ⸢ギーティ⸣ ケーツバン [⸣ki̥sa ⸢patta⸣nu tu̥⸢kijuduma⸣naː ⸢giːti⸣ keːʦubaŋ] (さっき発った<行った>ばかりだが、間もなく<時を移さず{EOS}時淀まず>行って帰ってきているよ)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢ドゥベー⸣ トゥ⸢キユドゥマ⸣ヌ [ja⸢rabi⸣nu ɸu⸢dubeː⸣ tu⸢kijuduma⸣nu] (子供の成長は時を要しない<時淀まない{EOS}時が停滞しない>) 11170 0 0 10827 htmvoc_11170.wav トゥキルン トゥ⸢キ⸣ルン [tu̥⸢ki⸣ruŋ] 自動 溶ける。 ⸣サター ミ⸢ジ⸣ナ イ⸢ル⸣カー トゥ⸢キルン⸣ドゥ ク⸢レー⸣ トゥ⸢キラ⸣ヌ [⸣sḁtaː mi⸢ʤi⸣na ʔi⸢ru⸣kaː tu̥⸢kirun⸣du ku⸢reː⸣ tu̥⸢kira⸣nu] (砂糖は水に入れると溶けるが、これは溶けない)。 トゥ⸢キ⸣ル ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ トゥ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [tu̥⸢ki⸣ru ⸣munoː muː⸢ru⸣ tu̥⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (溶ける物は全部溶ければ良いのに)。 ムー⸢ル⸣ トゥ⸢キ⸣リ [muː⸢ru⸣ tu̥⸢ki⸣ri] (全部溶けろ) 11171 1 0 10828 htmvoc_11171.wav ドゥキルン ドゥ⸢キ⸣ルン [du⸢ki⸣ruŋ] 他動 {PoS_1}どける(退ける)。他の場所へ移す。 ミ⸢チッサーリ⸣ムヌ ス⸢バー⸣ ドゥ⸢キ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ドゥ⸢キララ⸣ヌ [mi⸢ʧissaːri⸣munu su⸢baː⸣ du⸢ki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du du⸢kirara⸣nu] (障害物<道塞がり物>を側に退けようと思おうが、退けられない)。 ⸢タン⸣ガシェー ドゥ⸢キ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃeː du⸢ki⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (一人では退けることは出来ない)。 ドゥ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [du⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (退ければ良いのに)。 ⸢パー⸣ク ドゥ⸢キ⸣リ [⸢paː⸣ku du⸢ki⸣ri] (早く退けろ)。 11171 2 0 10829 htmvoc_11171.wav ドゥキルン ドゥ⸢キ⸣ルン [du⸢ki⸣ruŋ] 自動 {PoS_2}のく(退く)。他の場所へ移る。 ク⸢ルマ⸣ヌ ⸢クー⸣ター ドゥ⸢キ⸣ルンティ シ⸢タヌ⸣ ドゥ⸢キララン⸣シェン [ku⸢ruma⸣nu ⸢kuː⸣taː du⸢ki⸣runti ʃi̥⸢tandu⸣ du⸢kiraraŋ⸣ʃeŋ] (車が来たので退けようとしたが、退けられなかった) 11172 0 1 10830 htmvoc_11172.wav トゥク ⸣トゥク [⸣tu̥ku] 名 {Mn_1}徳。道を悟った立派な行為。 ⸢イークトゥ スー⸣カー ⸣トゥク トゥ⸢ラ⸣リンツォー<⸢イーラ⸣リンツォー> [⸢ʔiːku̥tu suː⸣kaː ⸣tu̥ku tu⸢ra⸣rinʦoː<⸢ʔiːra⸣rinʦoː>] (良い事をすると徳が得られるそうだ)。 ⸢ワー⸣ ウヤコーコー ヤ⸢リバ⸣ ヤー⸢ディン イントゥク イーラ⸣リンヨー [⸢waː⸣ ʔujakoːkoː ja⸢riba⸣ jaː⸢din ʔintuku ʔiːra⸣riɲjoː] (君は親孝行者だからきっと陰徳が得られるよ)。 11172 0 2 10831 htmvoc_11172.wav トゥク ⸣トゥク [⸣tu̥ku] 名 {Mn_2}得。利益。有利になること。 ⸣ナイニ ⸣バクカー ⸢ワーヤ⸣ トゥク ⸢シー⸣ バーヤ ⸢スン⸣ル ⸢スーヌ⸣ シ⸢マー⸣ニ ⸣バクカー ⸢バー⸣ル ⸣トゥク ⸢スー [⸣naini ⸣bakukaː ⸢waːja⸣ tu̥ku ⸢ʃiː⸣ baːja ⸢sun⸣ru ⸢suːnu⸣ ʃi⸢maː⸣ni ⸣bakukaː ⸢baː⸣ru ⸣tu̥ku ⸢suː] (縦に分けると君は得をし、私は損をするが、横に分けると私が得をする) 11173 0 0 10832 htmvoc_11173.wav トゥク トゥ⸢ク [tu̥⸢ku] 名 床の間。「車箱、車乃度古(くるまのとこ)、一云車輿」『和名抄』の転訛したものか。⸢ザー⸣トゥク[⸢ʣaː⸣tu̥ku](床の間)とも云う。 トゥ⸢クヌ⸣ カ⸢キジ⸣ク ⸣サイティ ⸣パナン ⸣イキバ [tu̥⸢kunu⸣ kḁ⸢kiʤi⸣ku ⸣saiti ⸣panan ⸣ʔikiba] (床の掛け軸を吊るし掛けて<下げて>花も活けなさい) 11174 0 0 10833 htmvoc_11174.wav トゥク ⸣トゥク [⸣tu̥ku] 名 鎌の柄の頭部に填める鉄製の輪。「床」の転訛したものか。 ⸢ガッケ⸣ヌ ⸢ユイヌ⸣ トゥク パ⸢ミラン⸣カー ⸢ヌイ⸣ス [⸢gakke⸣nu ⸢juinu⸣ tu̥ku pa⸢miraŋ⸣kaː ⸢nui⸣su] (鎌の柄の床<鉄製の輪>を填めないと刃が抜ける) 11175 0 0 10834 htmvoc_11175.wav ドゥク ⸣ドゥク [⸣duku] 名 毒。 パ⸢ブヌ⸣ ドゥコー ⸢スー⸣ワン [pa⸢bunu⸣ dukoː ⸢suː⸣waŋ] (蛇の毒は強い)。 ⸣アバイズヌ ⸣ドゥク [⸣ʔabaiʣunu ⸣duku] (おにだるまおこぜの毒)。 シ⸢トゥチ⸣ヌ ⸣ナロー バ⸢リティ⸣ ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キティ⸣ ドクヌギ ⸢サン⸣カー ⸢ビー⸣ルン⸢ダー [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naroː ba⸢riti⸣ mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiti⸣ dukunugi ⸢saŋ⸣kaː ⸢biː⸣run⸢daː] (蘇鉄の実は割って水に浸けて毒抜きをしないと食中毒するよ) 11176 0 0 10835 htmvoc_11176.wav ドゥク ⸣ドゥク [⸣duku] 副 あまりに。甚だ。ひどく。過度に。「酷く<非道く」の転訛したものか。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ドク ⸢フンダイ⸣ シ⸢ムーンドー⸣シ ン⸢メーマ⸣ナー ⸢シシキ⸣ ナ⸢ラーサン⸣カー ⸢マイフナー⸣ マ⸢ラン⸠ダー [ja⸢ra⸣beː ⸣duku ⸢ɸundai⸣ ʃi⸢mundoː⸣ʃi ʔm⸢meːma⸣naː ⸢ʃiʃi̥ki⸣ na⸢raːsaŋ⸣kaː ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢ran⸣⸠daː] (子供はあまり我儘放題にさせないで少しずつは仕付け<躾>て教えないと立派な子<利口な子>には育たないよ)。 ⸣ドゥク ア⸢サブナ [⸣duku ʔa⸢sabuna] (あまり遊ぶな) 11180 0 0 10836 htmvoc_11180.wav ドゥクードゥク ドゥ⸢クードゥク [du⸢kuːduku] 副 よくもまあ~か。相手の行動を強く非難する。よもや~まいね。まさか~まいね。普通では考えられないことをしでかした時などに、驚き呆れて相手を非難していう。主文の文頭に用いられ、文末に疑問・反語の表現を伴って、期待しないことを強調して表す。 ⸢ワッ⸣サンティ ッ⸢シブリティ⸣ ドゥ⸢クードゥク ワー⸣ アイル ⸢スーテー [⸢was⸣santi ʃ⸢ʃi buriti⸣ du⸢kuːduku waː⸣ ʔairu ⸢suːteː] (悪いと知りながら<知っていて>、君はよくもまあ そのようにすることが出来るものだね<そのようにぞするのか>)。 ド⸢クードゥク⸣ アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ シ⸢ラリワ [du⸢kuːduku⸣ ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʃi⸢rariwa] (まさかあんなことが出来るものか<よくもまあ あんなことが出来るものだ>)。まさか~か。よもや~まいね。いくらなんでも~か。みすみす(見す見す)~か。下に疑問、反語の語を伴って期待しないことを表す。 ドゥ⸢クードゥク⸣ アイブー ク⸢トゥ⸣ヌ ナルン⸢トゥー [du⸢kuːduku⸣ ʔaibuː ku̥⸢tu⸣nu ⸣narun⸢tuː] (まさかあんなことが出来るものか、出来やしない)。 ウ⸢ヤ⸣バ ⸢タン⸣ガ ヌ⸢カ⸣シティ ⸢ワー⸣ ドゥ⸢クードゥク⸣ ンジ パ⸢ラリン [ʔu⸢ja⸣ba ⸢taŋ⸣ga nu⸢ka⸣ʃi̥ti ⸢waː⸣ du⸢kuːduku⸣ ʔnʤi pa⸢rariŋː] (親を一人残して、君はまさか出て行けるのか) 11177 0 0 10837 htmvoc_11177.wav ドゥクガイシ ドゥ⸢クガイ⸣シ [du⸢kugai⸣ʃi] 名 毒消し。解毒。「毒返し」の義。 パ⸢ブヌ⸣ ドゥ⸢クガイ⸣シェー ⸣ヌーカヤー [pa⸢bunu⸣ du⸢kugai⸣ʃeː ⸣nuːkajaː] (蛇毒の毒消し<毒返し>は何かねえ)。 ナ⸢チヌ⸣ アツァ ⸣ピンマー ドゥ⸢クガイ⸣シティ ⸢シー ウイ⸣プスンケーヤ ア⸢チサー⸣バ ヌ⸢モーッタ⸣ル [na⸢ʧinu⸣ ʔaʦa ⸣pimmaː du⸢kugai⸣ʃiti ⸢ʃiː ʔui⸣pu̥suŋkeːja ʔa⸢ʧisaː⸣ba nu⸢moːtta⸣ru] (夏の暑い時には、毒消し<毒返し>といって、老人たちは熱いお茶を飲まれた) 11178 0 0 10838 htmvoc_11178.wav トゥクガマチ トゥ⸢クガマチ [tu̥⸢kugamaʧi] 名 とこぶち。とこがまち(床框)。「車箱、車乃度古(くるまのとこ)」『和名抄』の「度古」に⸢鬚髻、加末智乃比偈(かまちのひげ)」『華厳音義私記』の「加末智」が下接した合成語が転訛したものか。床の間の鴨居と敷居には、ク⸢ル⸣キー[ku⸢ru⸣kiː](琉球黒檀{EOS}黒木)が用いられた。 トゥ⸢クガマチ⸣ ピ⸢カラ⸣シ カ⸢ザリバル ヤー⸣ユン ⸢カイ⸣ヤル [tu̥⸢kugamaʧi⸣ pi̥⸢kara⸣ʃi ka⸢ʣaribaru jaː⸣juŋ ⸢kai⸣jaru] (床框を光らして飾ってこそ家も美しいものだ) 11179 0 0 10839 htmvoc_11179.wav トゥクスン ⸣トゥク ⸢スン [⸣tu̥ku ⸢suŋ] 連 得をする。利益になる。 イ⸢ズヌ ダイヌ⸣ イチエン ア⸢ガル⸣カー ⸢ギュー⸣サブカラ ⸣トゥク ⸢スン⸣カヤー<⸢スー⸣カヤー> [ʔi⸢ʣunu dainu⸣ ʔiʧijeŋ ʔa⸢garu⸣kaː ⸢gjuː⸣sabukara ⸣tu̥ku ⸢suŋ⸣kajaː<⸢suː⸣kajaː>] (魚の値段が一円値上がりすると、いくらほど得をするだろうかねえ) 11181 0 1 10840 htmvoc_11181.wav トゥクタボーラリン ⸣トゥク タ⸢ボーラ⸣リン [⸣tu̥ku ta⸢boːra⸣riŋ] 連 {Mn_1}\ruby{懐胎}{カイ|タイ}する。妊娠する。「得を賜る」の義。 ユ⸢メー⸣ キサー⸢ティ⸣ トゥク タ⸢ボーラリ⸣ ブー [ju⸢meː⸣ ki̥saː⸢ti⸣ tu̥ku ta⸢boːrari⸣ buː] (嫁はすでに妊娠して<徳を賜って>いる)。 11181 0 2 10841 htmvoc_11181.wav トゥクタボーラリン ⸣トゥク タ⸢ボーラ⸣リン [⸣tu̥ku ta⸢boːra⸣riŋ] 連 {Mn_2}得をする<得を頂く>。 ク⸢ビ⸣ナー ⸢カウ⸣カー ノー⸢シン⸣ トゥコー タ⸢ボーラリ⸣ス ⸣パジ [ku⸢bi⸣naː ⸢kau⸣kaː noː⸢ʃin⸣ tu̥koː ta⸢boːrari⸣su ⸣paʤi] (こんなに買ったらきっと得は頂けるはずだ) 11185 0 0 10842 htmvoc_11185.wav トゥクットーン トゥ⸢クットー⸣ン [tu̥⸢kuttoː⸣ŋ] 形 のんびりしている。うっかりしている。迂闊者である。ものごとにこだわらない。 ウ⸢レー サッ⸣コー トゥ⸢クットー⸣ンダ ア⸢ギマーシェー⸣ティ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミラン⸣カー ア⸢ツァーバー⸣キン カ⸢カ⸣ルン⸢ダー [ʔu⸢reː sak⸣koː ʔu⸢kattoː⸣nda ʔa⸢gimaːʃeː⸣ti ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miraŋ⸣kaː ʔa⸢ʦaːbaː⸣kiŋ kḁ⸢ka⸣run⸢daː] (彼はのんびりしているから、催促し\ruby{急}{セ}き立てながら追い立てて仕事をさせないと明日までも仕事を引きずる<かかる>よ) 11182 0 0 10843 htmvoc_11182.wav トゥクットゥ トゥ⸢クットゥ [tu̥⸢kuttu] 名・形動 落ち着くこと。穏やかな。おっとりした。何の心配もしない静かなさま。平穏な。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢クットゥヌ⸣ プ⸢ス⸣ [ʔu⸢reː⸣ tu̥⸢kuttunu⸣ pu̥⸢su] (彼はおっとりした<物静かな>人物だ)。 ⸢ヨイ⸣ヌン シ⸢マ⸣シ トゥ⸢クットゥ⸣ ナレーン [⸢joi⸣nuŋ ʃi⸢ma⸣ʃi tu̥⸢kuttu⸣ nareːŋ] (お祝いも済ませて平穏になった<ほっとした>)。 トゥ⸢クットゥ⸣シ ⸢ベー⸣リ [tu̥⸢kuttu⸣ʃi ⸢beː⸣ri] (静かにしていなさい) 11184 0 0 10844 htmvoc_11184.wav トゥクットゥシ トゥ⸢クットゥ⸣シ [tu̥⸢kuttu⸣ʃi] 副 静かに。穏やかに。ゆっくりと。 ヤ⸢ラ⸣ベー プ⸢スン⸣トンナー トゥ⸢クットゥ⸣シ ⸢ベーリ ユーサ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː pu̥⸢sun⸣tonnaː tu̥⸢kuttu⸣ʃi ⸢beːri juːsa⸣nu] (子供は一箇所に静かにしていることが出来ない<静かにしておれない>) 11183 0 0 10845 htmvoc_11183.wav トゥクトゥ トゥ⸢クトゥ [tu̥⸢kutu] 副 とくと(篤と)。しっかりと。とっくりと。じっくりと。 ウ⸢ヌ⸣ クトー トゥ⸢クトゥ<イッ⸢ケナ> カンガイ⸣リ⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː tu̥⸢kutu<ʔik⸢kena> kaŋgai⸣ri⸢daː] (そのことはじっくり<篤と>考えなさいよ) 11187 0 0 10846 htmvoc_11187.wav ドゥクナバ ⸣ドゥクナバ [⸣dukunaba] 名 毒キノコ。 ⸣ドゥクナバー ッ⸢ふァーラヌ⸣ ウ⸢リ⸣ ッ⸢ふー⸣カー ⸢ビー⸣ルン⸢ダー [⸣dukunabaː f⸢faːranu⸣ ʔu⸢ri⸣ f⸢fuː⸣kaː ⸢biː⸣run⸢daː] (毒キノコは食べられない{EOS}それを食べると食中毒するよ) 11188 0 0 10847 htmvoc_11188.wav ドゥクナリ ⸣ドゥクナリ [⸣dukunari] 副 あまりにもひど(酷)くなって。ひどく(酷く)。 ⸢ウンザー⸣ ドゥクナリ ⸢フンダイ シーブンダ シーシキ⸣ トゥ⸢ラ⸣シバ [⸢ʔunʣaː⸣ dukunari ⸢ɸundai ʃiːbunda ʃiːʃi̥ki⸣ tu⸢ra⸣ʃiba] (こいつはあまりにも酷く我儘のし放題だから<我儘しているから>仕付け<尻を叩いて躾ける>をしてやれ<とらせ>よ)。 ⸣ドゥクナリ ⸢ブー⸣カー イ⸢ジ⸣ トゥ⸢ラ⸣シバ [⸣dukunari ⸢buː⸣kaː ʔi⸢ʤi⸣ tu⸢ra⸣ʃiba] (度を過ごして酷いようだったら<酷くなっているなら>叱ってやりなさいよ) 11189 0 0 10848 htmvoc_11189.wav トゥクニ トゥ⸢クニ [tu̥⸢kuni] 名 仏壇。作り付けの仏壇は、奥行き3尺、間口6尺の大きさに作られている。高さ約70センチの位置から段を3段に作り、最上段に⸢イーパイ[⸢ʔiːpai](位牌)を安置し、両側にパ⸢ナ⸣イキ[pa⸢na⸣ʔiki](花瓶)を置く。その下段には⸢コー⸣ロ[⸢koː⸣ro](香炉)を置く。下段には、シ⸢キムヌ[ʃi̥⸢kimunu](供物)を供える構造になっている。 ⸢ヤームトゥ⸣ヤー ヤ⸢ルンダ⸣ トゥ⸢クニ⸣ナー ウ⸢ブイーパイ⸣ヌ ⸢アッ⸣タン [⸢jaːmutu⸣jaː ja⸢runda⸣ tu̥⸢kuni⸣naː ʔu⸢buʔiːpai⸣nu ⸢ʔat⸣taŋ] (本家だから仏壇には大きな位牌があった)。 トゥ⸢クネー ニーバン⸣ザナール ⸢アッタ⸣ル [tu̥⸢kuneː niːban⸣ʣanaːru ⸢ʔatta⸣ru] (仏壇は二番座にあったものだ)。 トゥ⸢クニ⸣ナ ⸢ティー⸣ ッサイティ ⸣パリバ [tu̥⸢kuni⸣na ⸢tiː⸣ ssaiti ⸣pariba] (仏壇に手を合わせてから行きなさいよ) 11190 0 0 10849 htmvoc_11190.wav ドゥクヌギ ⸣ドゥクヌギ [⸣dukunugi] 名 毒抜き。毒消し。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナロー バ⸢リティ ミーヤ⸣ ヌイ ミ⸢ジ⸣ナ シ⸢キティ⸣ ティダナ ⸣プシ サ⸢ラシティル⸣ ドゥクヌギ ⸢ソーッ⸣タ [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naroː ba⸢riti miːja⸣ nui mi⸢ʤi⸣na ʃi̥⸢kiti⸣ tidana ⸣pu̥ʃi sa⸢raʃi̥tiru⸣ dukunugi ⸢soːt⸣ta] (蘇鉄の実は切り割って中身を抜き、水に浸けて太陽に干し、晒して<ぞ>毒抜きはされたものだ) 11191 0 0 10850 htmvoc_11191.wav トゥクヌパナ トゥ⸢クヌ⸣ パナ [tu̥⸢kunu⸣ pana] 連 床の間の活花。トラノオ(虎の尾)を好んで活けた。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチェー ⸢ザートゥク⸣ヌ パ⸢ナ⸣イキナー トゥ⸢ラヌズーバ⸣ トゥ⸢クヌ⸣パナティ ⸢シー⸣ パナ イ⸢コーッ⸣タ [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧeː ⸢ʣaːtuku⸣nu pa⸢na⸣ikinaː tu⸢ranuʣuːba⸣ tu̥⸢kunu⸣panati ⸢ʃiː⸣ pana ʔi⸢koːt⸣ta] (朔日十五日には床の間の花活け<花瓶>にトラノオを床の間の活花として活けられた) 11192 0 0 10851 htmvoc_11192.wav トゥクバラー トゥ⸢クバラー [tu̥⸢kubaraː] 名 床柱。床の間の脇の化粧柱。 トゥ⸢クバラー キャーンギ⸣シ ス⸢ク⸣リシケーンダ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [tu̥⸢kubaraː kjaːŋgi⸣ʃi su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keːnda ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (床の間の化粧柱は槇で作ってあるから非常に美しい) 11193 0 0 10852 htmvoc_11193.wav トゥクビチ トゥ⸢クビチ [tu̥⸢kubiʧi] 名 特別。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢クビチヌ⸣ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダル⸣ ユ⸢ルサ⸣レーヨー [ʔu⸢reː⸣ tu̥⸢kubiʧinu⸣ pu̥⸢su⸣ ja⸢rundaru⸣ ju⸢rusa⸣reːjoː] (彼は特別の人だから許されたのだよ) 11194 0 0 10853 htmvoc_11194.wav トゥクブチ トゥ⸢クブチ [tu̥⸢kubuʧi] 名 床縁。とこがまち(床框)。床の間の前端の化粧横木。琉球黒檀を使うのを常とした。トゥ⸢クガマチ[tu̥⸢kugamaʧi](床框)ともいう。黒檀がない場合は、⸢キャーンギ[⸢kjaːŋgi](槙{EOS}イヌマキ)などを化粧木に使った。 ⸢バン⸣テヌ ⸢ザートゥク⸣ヌ トゥ⸢クブチェー⸣ ク⸢ル⸣キーシ ス⸢クラ⸣リ ブ⸢タンドゥ⸣ ウ⸢リ⸣シ ⸢サンシン⸣ ス⸢ク⸣ローッタツォー [⸢ban⸣tenu ⸢ʣaːtuku⸣nu tu̥⸢kubuʧeː⸣ ku⸢ru⸣kiːʃi su̥⸢kura⸣ri bu⸢tandu⸣ ʔu⸢ri⸣ʃi ⸢saŋʃin⸣ su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (私の家の床の間の床縁は黒檀の木で作られていたが、それで三線を作られたそうだ) 11195 0 0 10854 htmvoc_11195.wav ドゥクフチル ⸣ドゥクフチル [⸣dukuɸu̥ʧiru] 名 毒薬。明治生まれの話者は⸣ドゥクフシル[⸣dukuɸu̥ʃiru](毒薬)という。 フ⸢チル⸣トゥ ⸣ドゥクフチルバ マ⸢チ⸣ガイ ⸣ヌミティル ⸢マーラシェー⸣ティ⸢ダー [ɸu̥⸢ʧiru⸣tu ⸣dukuɸu̥ʧiruba ma⸢ʧi⸣gai ⸣numitiru ⸢maːraʃeː⸣ti⸢daː] (薬と毒薬を間違えてのんで<ぞ>亡くなられたそうだよ) 11196 0 0 10855 htmvoc_11196.wav トゥクムチ ⸣トゥクムチ [⸣tu̥kumuʧi] 名 徳のある人。有徳者。善行を積んだ人。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ トゥクムチ ヤ⸢ローッ⸣タツォー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢kkena⸣ tu̥kumuʧi ja⸢roːt⸣taʦoː] (その人は非常に徳のある人であられたそうだ) 11198 0 0 10856 htmvoc_11198.wav トゥクルガ トゥ⸢クル⸣ガ [tu⸢kuru⸣ga] 接助 逆態接続。~ところで。~しても。仮定の事態を述べた前件の文や語句の過去形に付き、それに反する後件の文や語句が続く事を表す。 ⸢ワー⸣ イ⸢コーラ⸣ アジ シゥ⸢カシタトゥクル⸣ガ ウ⸢レー⸣ シゥ⸢ク⸣ スコー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔi⸢koːra⸣ ʔaʤi si̥⸢kaʃitatukuru⸣ga su̥⸢ku⸣ su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (君がいくら説いてやって<言って聞かせて>も聞き入れるどころではない) 11199 0 0 10857 htmvoc_11199.wav トゥクルドゥクル トゥ⸢クルドゥク⸣ル [tu̥⸢kuruduku⸣ru] 名 所々。あちらこちら。ここかしこ。 トゥ⸢クルドゥク⸣ルナー プ⸢スヌ⸣ タティ ⸢ベー⸣ ムヌヌ ミ⸢ラ⸣リン [tu̥⸢kuruduku⸣runaː pu̥⸢sunu⸣ tḁti ⸢beː⸣mununu mi⸢ra⸣riŋ] (所々に人の立っているのが見える<見られる>) 11200 1 0 10858 htmvoc_11200.wav トゥクン ⸣トゥクン [⸣tu̥kuŋ] 自動 {PoS_1}溶ける。融解する。 ⸢マー⸣ソー ⸣トゥクンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ トゥ⸢カン⸣バン [⸢maː⸣soː ⸣tu̥kuŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu tu̥⸢kam⸣baŋ] (塩は溶けるかなあと思ったが溶けないよ)。 トゥ⸢キ パジミ⸣ルン [tu̥⸢ki paʤimi⸣ruŋ] (溶け始める)。 ⸣トゥク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣tu̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (溶けることはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣トゥケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸣tu̥keː ⸣misamunu] (もっと溶ければ良いのに)。 11200 2 0 10859 htmvoc_11200.wav トゥクン ⸣トゥクン [⸣tu̥kuŋ] 他動 {PoS_2}溶く。溶かす。 ミ⸢リキン⸣グ ミ⸢ジ⸣ナ ⸣トゥクンティ ⸢スンドゥ⸣ トゥ⸢カサラ⸣ヌ [mi⸢rikiŋ⸣gu mi⸢ʤi⸣na ⸣tu̥kunti ⸢sundu⸣ tu̥⸢kasara⸣nu] (メリケン粉を水に溶こうとするが溶かされない)。 ⸣トゥキ ⸣ミサカー ⸣トゥク ⸣クトー ⸣ナルン [⸣tu̥ki ⸣misakaː ⸣tu̥ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (溶いて良ければ溶くことは出来る)。 ⸣ドゥーシ ⸣トゥケー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸣tu̥keː ⸣misamunu] (自分で溶けば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣トゥキバ [⸢paː⸣ku ⸣tu̥kiba] (早く溶きなさいよ) 11201 0 0 10860 htmvoc_11201.wav トゥグン ⸣トゥグン [⸣tuguŋ] 他動 取ってくる。持ってくる。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢ヤー⸣ トゥ⸢グ⸣ナ⸢ヨー [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢jaː⸣ tu⸢gu⸣na⸢joː] (あんなものは家に持ってくるなよ)。 ウ⸢レー⸣ ク⸢マー⸣ トゥグ [ʔu⸢reː⸣ ku⸢maː⸣ tugu] (それはこっちへ持って来い)。 ⸣アイブ ム⸢ヌ⸣バ ⸣トゥギティ ⸢ヌー⸣スワ [⸣ʔaibu mu⸢nu⸣ba ⸣tugiti ⸢nuː⸣ suwa] (あんな物を持ってきてどうするのか)。 トゥ⸢ギ⸣ プサタンティン ウ⸢レー⸣ トゥグ ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [tu⸢gi⸣ pu̥satantiŋ ʔu⸢reː⸣ tugu ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (持ってきたくても、それは持ってくるものではない)。 ⸢バン⸣マー トゥ⸢ギララ⸣ヌ [⸢bam⸣maː tu⸢girara⸣nu] (私には持って来られない)。 トゥ⸢ガラ⸣ヌ [tu⸢gara⸣nu] (持ってこられない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣トゥゲー ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸣tugeː ⸣misamunu] (もっと持って来れば良いのに) 11202 0 0 10861 htmvoc_11202.wav ドゥゲールン ドゥ⸢ゲールン [du⸢geːruŋ] 自動 大声を上げる。怒鳴る。叫ぶ。わめく。石垣方言からの借用語か。普通は、ウ⸢ヤー⸣ルン[ʔu⸢jaː⸣ruŋ](大声を上げる{EOS}叫ぶ)という。 サ⸢キバ⸣ ヌミティ ドゥ⸢ゲー⸣リ ⸢ベー⸣モー ⸢ター⸣ヤ [sḁ⸢kiba⸣ numiti du⸢geː⸣ri ⸢beː⸣moː ⸢taː⸣ja] (酒を飲んで怒鳴っているのは誰か) 11203 0 1 10862 htmvoc_11203.wav トゥシ ⸣トゥシ [⸣tu̥ʃi] 名 {Mn_1}年。 ⸣エンドゥシ [⸣jenduʃi] (来年)。 ユ⸢ガフドゥシ [ju⸢gaɸuduʃi] (豊年{EOS}豊作の年)。 ガ⸢シドゥシ [ga⸢ʃiduʃi] (飢饉の年)。 11203 0 2 10863 htmvoc_11203.wav トゥシ ⸣トゥシ [⸣tu̥ʃi] 名 {Mn_2}年齢。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣トゥシン ⸢バシキ ナー⸣ヌ [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ⸢duː⸣nu ⸣tuʃim ⸢baʃi̥ki naː⸣nu] (年をとったので自分の年<年齢>をも忘れてしまった)。 ⸣トゥシェー ⸢ギューチ⸣ヤー [⸣tuʃeː ⸢gjuːʧi⸣jaː] (年<年齢>は幾つ<何歳>か) 11204 0 0 10864 htmvoc_11204.wav トゥシ ⸣トゥシ [⸣tu̥ʃi] 名 といし(砥石)。刃物を研ぎ磨く石。ア⸢ラトゥ[ʔa⸢ratu](目の粗い砥石{EOS}斧や包丁、鎌など農具を研ぐ砥石)とク⸢マ⸣トゥ[ku⸢ma⸣tu](目の細かい砥石{EOS}鉋や剃刀などを研ぐのに用いる砥石)がある。 ⸢サイ⸣コー ク⸢マトゥナー⸣ル カ⸢ナー⸣ トゥイ⸢ヨーッ⸣タ [⸢sai⸣koː ku⸢matunaː⸣ru ka⸢naː⸣ tui⸢joːt⸣ta] (大工さんはクマトゥ<目の細かい砥石>で<ぞ>鉋の刃は研がれた) 11205 0 0 10865 htmvoc_11205.wav トゥジ トゥ⸢ジ [tu⸢ʤi] 名 妻。「とじ(刀自)」の転訛したもの。「~吾が子の刀自緒~。万、723」。 トゥ⸢ジ⸣ トゥムン [tu⸢ʤi⸣ tumuŋ] (妻を娶る<探す>)。 トゥ⸢ジ サールン [tu⸢ʤi saːruŋ] (妻を連れる<妻帯する>)。 サ⸢キトゥジ [sḁ⸢kituʤi] (先妻)。 ⸣アトゥトゥジ [⸣ʔatutuʤi] (後妻)。 トゥ⸢ジブトゥ [tu⸢ʤibutu] (夫婦{EOS}「刀自・夫」の転訛) 11206 0 0 10866 htmvoc_11206.wav ドゥシ ドゥ⸢シ [du⸢ʃi] 名 友達。「どち<仲間>。~今盛りなり 意母布度知<思ふどち>~。万、820」の義。 イ⸢チバン⸣ドゥシ [ʔi⸢ʧiban⸣duʃi] (一番の友達{EOS}親友)。 ア⸢サビドゥシ [ʔa⸢sabiduʃi] (遊び友達)。 ドゥ⸢シピライ [du⸢ʃipirai] (友達交際)。 バ⸢カーン⸣ケンマー ドゥ⸢シンケ⸣トゥ ⸣ユー サ⸢キ⸣ ヌミ ア⸢サブタン [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː du⸢ʃiŋkeː⸣tu ⸣juː sḁ⸢ki⸣ numi ʔa⸢sabutaŋ] (若い頃は友人たちとよく酒を飲んで遊んだ) 11207 0 0 10867 htmvoc_11207.wav トゥシウイ トゥ⸢シ⸣ウイ [tu̥⸢ʃi⸣ʔui] 名 年上。年長。としかさのひと。トゥ⸢シッサー⸣ラ[tu⸢ʃissaː⸣ra](年下)の対義語。 トゥ⸢シ⸣ウイラ ⸢ウイヌ⸣ ザーナ ビ⸢リ オーラ⸣シバ [tu̥⸢ʃi⸣ʔuira ⸢ʔuinu⸣ ʣaːna bi⸢riʔoːra⸣ʃiba] (年上から順に上座にお座りいただきなさい<座り\ruby{御座}{オ|ワ}させませ>)。 ⸣バーラン ⸢ワール ピー⸣チェー トゥ⸢シ⸣ウイ ヤ⸢ロー⸣ル [⸣baːraŋ ⸢waːru piː⸣ʧeː tu̥⸢ʃi⸣ʔui ja⸢roː⸣ru] (私よりも貴方が一つ<一歳>は年上でいらっしゃる<年上であられる>) 11208 0 0 10868 htmvoc_11208.wav トゥシウチ トゥ⸢シ⸣ウチ [tu̥⸢ʃi⸣ʔuʧi] 名 年内。 ⸢ヨイ⸣ヤー トゥ⸢シ⸣ウチナー シ⸢マ⸣シティ ⸢ソーッコー⸣ヤ ⸣ヌビ ⸢オーサ⸣ ム⸢カ⸣シェーラ ヌ⸢ビ⸣ヌ ⸢ソッ⸣コーティル ア⸢ザリ ブンダ [⸢joi⸣jaː tu̥⸢ʃi⸣ʔuʧinaː ʃi⸢ma⸣ʃi̥ti ⸢sokkoː⸣ja ⸣nubi ⸢ʔoːsa⸣ mu⸢ka⸣ʃeːra nu⸢bi⸣nu ⸢sok⸣koːtiru ʔa⸢ʣaribunda] (お祝いは年内に済ませて法事は日延べして差し上げよう{EOS}昔から、「日延べの焼香<法事>」と言われているから) 11209 0 0 10869 htmvoc_11209.wav トゥシェー ⸢-トゥ⸣シェー [⸢-tu⸣ʃeː] 終助 ~ですよ。~ともさ。⸢ツ⸣シェー[⸢ʦu⸣ʃeː]ともいう。トゥ[tu]~ツ[ʦu4]は自由変異。活用語の終止形に付いて、言い忘れていた過去の事柄を指摘されて想起し、確認し、念を押しの意を表す。 ⸣アイ ⸢トゥ⸣シェー⸣ アツァー ⸢バン⸣ヌン パルン⸢トゥ⸣シェー [⸣ʔai ⸢tu⸣ʃeː ⸣ʔaʦaː ⸢ban⸣num parun⸢tu⸣ʃeː] (そうなんですよ{EOS}明日は私も行くんですよ)。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー イッ⸢ケン カイ⸣ヤタン ⸢トゥ⸣シェー [⸣ʔai ⸢tu⸣ʃeː ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣moː ʔik⸢keŋ kai⸣jatan ⸢tu⸣ʃeː] (そうなんですよ{EOS}その女は非常に美しかったんですよ) 11210 0 0 10870 htmvoc_11210.wav トゥシガタ トゥ⸢シガ⸣タ [tu⸢ʃiga⸣ta] 名 年長者。⸣シザガタ[⸣ʃiʣagata](年長者)ともいう。 トゥ⸢シガ⸣タンケーヤ ⸢ウイヌ⸣ ザー ナ⸢ロー⸣リ [tu⸢ʃiga⸣taŋkeːja ⸢ʔuinu⸣ ʣaː na⸢roː⸣ri] (年長者の方々は上座にお移り<おなり>下さい) 11212 0 0 10871 htmvoc_11212.wav トゥシキ ⸢トゥシ⸣キ [⸢tuʃi̥⸣ki] 名 言いつけ。訓戒。忠告。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トゥシ⸣ケー ⸣ユー シ⸢キ⸠ダー [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tuʃi̥⸣keː ⸣juː ʃi̥⸢ki⸠daː] (親の忠告<言いつけ>はよく聞けよ) 11214 0 0 10872 htmvoc_11214.wav トゥシキラリン ⸢トゥシキラ⸣リン [⸢tuʃi̥kira⸣riŋ] 自動 申し付けられる。言いつけられる。忠告される。⸢トゥシキ⸣ルン[⸢tuʃi̥ki⸣ruŋ](申し付ける{EOS}忠告する)の未然形に、受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる{EOS}られる)が下接して形成された受身動詞。 ⸣ウヤン シ⸢グトゥ トゥシキラ⸣リティ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ [⸣ʔujaŋ ʃi⸢gutu tuʃi̥kira⸣riti pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta] (親に仕事を言いつけられて畑へ行った) 11213 0 0 10873 htmvoc_11213.wav トゥシキルン ⸢トゥシキ⸣ルン [⸢tuʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 申し付ける。言い付ける。厳重注意する。訓戒する。 ウ⸢ヌス⸣ク ⸢トゥシ⸣キ シゥ⸢カスンドゥ バシキ スバン [ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢tuʃi̥⸣ki si̥⸢kasunndu baʃi̥ki subaŋ] (あれほど強く申し付けて教える<聞かせる>が忘れてしまう)。 ⸢トシキラ⸣レー ⸢トゥー⸣ル ⸢シー⸣バ [⸢tuʃi̥kira⸣reː ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiː⸣ba] (注意された<言い付けられた>とおりにしなさいよ)。 ⸢トゥシキ⸣ル ⸣ピンマー ス⸢クン [⸢tuʃi̥ki⸣ru ⸣pimmaː su̥⸢kuŋ] (厳重注意するときは聞く)。 ⸢トゥシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢tuʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (厳重注意すれば良いのに)。 ⸢ワー⸣シ ス⸢ズーコ トゥシキ⸣リバ [⸢waː⸣ʃi su⸢ʣuːko tuʃi̥ki⸣riba] (君で厳重注意<言い付け>しなさいよ) 11215 0 0 10874 htmvoc_11215.wav トゥジクーン トゥ⸢ジ⸣ クーン [tu⸢ʤi⸣ kuːŋ] 連 妻を娶る。嫁を貰う。「戸自<を>乞ふ」の転訛したもの。 ⸢タール ワー トゥジ⸣ クイ ッ⸢ふォーッ⸣ター [⸢taːru waː tuʤi⸣ kui f⸢foːt⸣taː] (誰が君の妻を貰って下さったのか) 11216 0 0 10875 htmvoc_11216.wav トゥジクマルン トゥ⸢ジクマルン [tu⸢ʤikumaruŋ] 自動 閉じこもる。普通は、⸢ヤーグマ⸣リ ⸢スン[⸢jaːguma⸣ri ⸢suŋ](引き籠もる{EOS}<家籠もりする>)という。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣ドゥク イ⸢ズ⸣カー トゥ⸢ジクマルンダ⸣ トゥ⸢ジクマラサン⸣ヨーニル ナ⸢ラー⸣ス⸢ダー [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣duku ʔi⸢ʣu⸣kaː tu⸢ʤikumarunda⸣ tu⸢ʤikumarasaŋ⸣joːniru na⸢raː⸣su⸢daː] (女の子はあまり厳しく叱ると家の中に閉じこもるから、引き籠もらないように<ぞ>教えるのだよ) 11217 0 0 10876 htmvoc_11217.wav トゥシグル トゥ⸢シ⸣グル [tu⸢ʃi⸣guru] 名 年頃。結婚適齢期。 トゥ⸢シ⸣グル ナ⸢リ⸣ブバ ト⸢ジ⸣ クイ ッ⸢ふィーラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ヌンド マー⸢ン⸣ナーカー ⸢コー⸣リ ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーン⸣カヤー [tu⸢ʤi⸣ kui f⸢fiːraŋ⸣kaː na⸢ran⸣nundu maː⸢nnaː⸣kanaː ⸢koː⸣ri f⸢faː⸣ bu⸢raːŋ⸣kajaː] (結婚適齢期になっているので、妻を貰って<乞うて>やらないといけないのだが、何処ぞに妻に貰われて<乞われて>くれる子はいないかなあ) 11218 0 0 10877 htmvoc_11218.wav トゥジサールン トゥ⸢ジ サールン [tu⸢ʤi saːruŋ] 連 妻を娶る。「妻を連れる」の義。 ウ⸢レー⸣ キサー⸢ティ⸣ トゥ⸢ジ サーレー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢reː⸣ ki̥saː⸢ti⸣ tu⸢ʤi saːreː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (彼はすでに妻を娶っている<妻を連れてあるく>) 11219 0 0 10878 htmvoc_11219.wav トゥシシザ トゥ⸢シ⸣シザ [tu⸢ʃi⸣ʃiʣa] 名 年上。年長。「年兄者」の義。 ⸢バー⸣ル カ⸢レー⸣ラ フ⸢ターチェー⸣ トゥ⸢シ⸣シザユン ⸢ヌー⸣ヌヤー [⸢baː⸣ru ka⸢reː⸣ra ɸu̥⸢taːʧeː⸣ tu⸢ʃi⸣ʃiʣajun ⸣nujaː] (私が彼より2歳は年上だわい、なあんだ<予想に反して{EOS}何だよ>{EOS!}) 11220 0 0 10879 htmvoc_11220.wav トゥシスクン トゥ⸢シ⸣ スクン [tu̥⸢ʃi⸣ su̥kuŋ] 連 寿命が尽きる。高齢者が死亡された際に用いるお悔やみ言葉。 トゥ⸢シ⸣ ス⸢コーリ⸣ル ⸢マーラソー⸣レーバ ⸢リッ⸣パニ ウ⸢クリ オーラ⸣ソーリバ⸢ヨー [tu̥⸢ʃi⸣ su̥⸢koːri⸣ru ⸢maːrasoː⸣reːba ⸢rip⸣pani ʔu⸢kuri ʔoːra⸣soːriba⸢joː] (寿命が尽かれて逝去されたのですから立派にお送りなさってくださいね) 11221 0 0 10880 htmvoc_11221.wav トゥジスン トゥ⸢ジ スン [tu⸢ʤi suŋ] 連 妻にする。 ⸢ウン⸣ネヌ サ⸢ク⸣シェー ウ⸢キナーミドゥム⸣バ トゥ⸢ジ スンティ サーリ⸣ ケーンドゥ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣キム フ⸢ゴーラン⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenu sḁ⸢ku⸣ʃeː ʔu⸢kinaːmidumu⸣ba tu⸢ʤi sunti saːri⸣ keːndu ʔu⸢ja⸣nu ⸣kimu ɸu⸢goːran⸣ʦoː] (あの家の長男は沖縄の女を妻にするといって連れて来たが、親が納得されない<喜ばない{EOS}快く思わない>そうだ) 11223 0 0 10881 htmvoc_11223.wav トゥシッサーラ トゥ⸢シッサー⸣ラ [tu̥⸢ʃissaː⸣ra] 名 年下。 ⸢ワー⸣ バーラ フ⸢ターチェー⸣ トゥ⸢シッサーラ⸣<⸢ウシ⸣トゥ>ユン⸢ナー [⸢waː⸣ baːra ɸu̥⸢taːʧeː⸣ tu̥⸢ʃissaːra⸣<⸢ʔuʃi⸣tu>jun⸢naː] (君は私より二つ年下だねえ) 11224 0 0 10882 htmvoc_11224.wav トゥジッふァ トゥ⸢ジッふァ [tu⸢ʤiffa] 名 妻子。妻と子。 トゥ⸢ジッふァ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティル ⸢アウ⸣リナンギヌ シ⸢グトゥン スー⸣ ア⸢ラン⸣カー ⸢ナン⸣ゲー サ⸢ヌ [tu⸢ʤiffa⸣ sï̥⸢ka⸣nauntiru ⸢ʔau⸣rinaŋginu ʃi⸢gutun suː⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ⸢naŋ⸣geː sa⸢nu] (妻子を養うために難儀苦労の仕事もする{EOS}そうでなければ難儀苦労はしない)。 トゥ⸢ジッふァ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティ ⸢ギーバリ ベー [tu⸢ʤiffa⸣ sï̥⸢ka⸣naunti ⸢giːbari beː] (妻子を養おうと一生懸命頑張っている) 11237 0 0 10883 htmvoc_11237.wav トゥシテー ⸣トゥ ⸢シテー [⸣tu ʃi̥⸢teː] 連 ~としては。新しく標準語から借用語された表現。 ⸣バントゥ シ⸢テー⸣ アイヌ ⸣キモー ア⸢ラン⸣シェンドゥ⸢ナー [⸣bantu ʃi̥⸢teː⸣ ʔainu ⸣kimoː ʔa⸢raŋ⸣ʃendu⸢naː] (私としては、そういうつもり<肝{EOS}気持ち>ではなかったけどなあ)。 ⸣バントゥ シテー ノー⸢ンティン⸣ ア⸢ザラヌ [⸣bantu ⸣ʃi̥teː noː⸢ntiŋ⸣ ʔa⸢ʣaranu] (私としては何とも言えない) 11222 0 0 10884 htmvoc_11222.wav トゥシドゥシ ⸣トゥシドゥシ [⸣tuʃiduʃi] 名 年々。毎年。普通は、⸢ニン⸣ニン[⸢nin⸣niŋ](年々{EOS}毎年)という。 ⸣トゥシドゥシヌ ⸣ドゥーパダニンガイヤ ⸢バシキランドー⸣シ ⸢シー⸠ダー [⸣tuʃiduʃinu ⸣duːpadaniŋgaija ⸢baʃi̥kirandoː⸣ʃi ⸢ʃiː⸠daː] (毎年の健康祈願は忘れずにしなさいよ)。 ⸣トゥシドゥシヌ キ⸢ザルヌ⸣ ン⸢ジマイ⸣ヤー ⸢バシキランドー⸣シ ウ⸢サミ⸣リ [⸣tuʃiduʃinu ki⸢ʣarunu⸣ ʔn⸢ʣaʃimai⸣jaː ⸢baʃi̥kirandoː⸣ʃi ʔu⸢sami⸣ri] (年々<毎年>の神行事の出し前は忘れずに納めなさい) 11225 0 0 10885 htmvoc_11225.wav トゥジトゥミルン トゥ⸢ジ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルン [tu⸢ʤi⸣ tu⸢mi⸣ruŋ] 連 妻を娶る(妻を求める{EOS}妻を探す)。トゥ⸢ジ⸣ トゥムン[tu⸢ʤi⸣ tumuŋ](妻を娶る<妻を求める{EOS}妻を探す>)ともいう。 トゥ⸢シ⸣グル ナ⸢ル⸣ター ⸣ドゥーシ トゥ⸢ジ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルンティ ⸢カン⸣ガイ ⸢ベー [tu̥⸢ʃi⸣guru na⸢ru⸣taː ⸣duːʃi tu⸢ʤi⸣ tu⸢mi⸣runti ⸢kaŋ⸣gai ⸢beː] (年頃になったので、自分で妻を探そう<娶ろう>と考えている) 11226 0 0 10886 htmvoc_11226.wav トゥジトゥムン トゥ⸢ジ⸣ トゥムン [tu⸢ʤi⸣ tumuŋ] 連 妻を娶る。妻を探す(捜し求める)。結婚する。 ウ⸢レー⸣ マ⸢ダ⸣ トゥ⸢ジ⸣ トゥ⸢マ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ma⸢da⸣ tu⸢ʤi⸣ tu⸢ma⸣nu] (彼はまだ妻を娶らない)。 トゥ⸢ジ⸣ トゥミ ⸣ミサカー トゥ⸢ジ⸣ トゥム ⸣クトー ナルン [tu⸢ʤi⸣ tumi ⸣misakaː tu⸢ʤi⸣ tumu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (妻を娶ってよければ、妻を娶ることは出来る)。「刀自求める」の義。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢ジ⸣ トゥメーンカヤー [ʔu⸢reː⸣ tu⸢ʤi⸣ tumeːŋkajaː] (彼は妻を娶ったかなあ) 11233 0 0 10887 htmvoc_11233.wav トゥシトゥリ トゥ⸢シ⸣トゥリ [tu⸢ʃi⸣turi] 名 年越し。年をとること。加齢。「年取り」の義。 ム⸢カ⸣シェー トゥ⸢シンユー⸣ヤー ビ⸢コーンッふァー⸣ ピ⸢キダマ⸣ パ⸢リンテーナル⸣ トゥ⸢シ⸣トゥレー シ⸢タ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː tu̥⸢ʃiɲjuː⸣ja bi⸢koːŋffaː⸣ pi̥⸢kidama⸣ pa⸢rinteːnaru⸣ tu̥⸢ʃi⸣tureː ʃi̥⸢taru] (昔は大晦日<年の夜>には、男の子は凧を張りながら年越しはしたものだ) 11235 0 0 10888 htmvoc_11235.wav トゥシトゥリフルマイ トゥ⸢シトゥリフル⸣マイ [tu̥⸢ʃituriɸuru⸣mai] 名 年越しのご馳走。「年取り振舞」の義。大晦日の夜に食べる年越しのご馳走。ご馳走のメニューは、⸢ユーチング[⸢juːʧiŋgu](四つ組)で、ア⸢ガイー[ʔa⸢gaʔiː](赤飯)1椀、⸢シームヌ[⸢ʃiːmunu](魚肉の吸い物)1椀、シ⸢ミ⸣ムヌ[ʃi⸢mi⸣munu](蒲鉾や魚肉、豚肉、昆布の煮しめもの)、⸢ティン⸣プラ[⸢tim⸣pura](魚芯テンプラ)など1皿、イ⸢ズナマシ[ʔi⸢ʣunamaʃi](イラブチやシヌマールなどの刺身)1皿の四つ組が定番の料理であった。 ム⸢カシ⸣ヌ トゥ⸢シトゥリフルマイ⸣ヤー ア⸢ガイーヌ コーイー⸣トゥ イ⸢ズヌ⸣スー シ⸢ミ⸣ムヌ ⸢ウン⸣ナー ナ⸢マシ⸣ヌ シ⸢キ⸣ル ⸢ユーチング ヤッタ [mu⸢kaʃi⸣nu tu̥⸢ʃituriɸurumai⸣jaː ʔa⸢gaʔiːnu koːʔiː⸣tu ʔi⸢ʣunu⸣suː ʃi⸢mi⸣munu ⸢ʔun⸣naː na⸢maʃi⸣nu ʃi̥⸢ki⸣ru ⸢juːʧigu jatta] (昔の年越しのご馳走<振舞>は赤飯のこわいい<強飯>、魚のお汁、煮しめもの、それに刺身が付く四つ組料理であったよ) 11236 0 1 10889 htmvoc_11236.wav トゥシトゥルン トゥ⸢シ⸣ トゥルン [tu̥⸢ʃi⸣ turuŋ] 連 {Mn_1}年を重ねる。年寄りになる。加齢する。「年取る」の義。 グイ⸢ユー ワー ピッ⸣チン ⸣トゥシ トゥ⸢ローラン⸣バン⸢ナー [gui⸢juː waː pit⸣ʧin tu̥ʃi tu⸢roːram⸣baŋ⸢naː] (あらまあ、貴方はちっとも年を取られませんわいねえ)。 11236 0 2 10890 htmvoc_11236.wav トゥシトゥルン トゥ⸢シ⸣ トゥルン [tu̥⸢ʃi⸣ turuŋ] 連 {Mn_2}年を越す。 ムー⸢ル⸣ ス⸢ルイ⸣ヤーカー トゥ⸢シ⸣ トゥル ス⸢コール シー⸣ヨー [muː⸢ru⸣ su⸢rui⸣jaːkaː tu⸢ʃi⸣ turu su̥⸢koːru ʃiː⸣joː] (皆揃ったら年越しの<年をとる>準備をしなさいよ) 11238 0 0 10891 htmvoc_11238.wav トゥシナカバ トゥ⸢シナカ⸣バ [tu̥⸢ʃinaka⸣ba] 名 年半ば。 ク⸢トゥシン⸣ キサー⸢ティ⸣ トゥ⸢シナカ⸣バ ナリ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢ヌー⸣スワメー マ⸢ニアーサ⸣リンカヤー [ku̥⸢tuʃiŋ⸣ ki̥saː⸢ti⸣ tu⸢ʃinaka⸣ba nari⸢naːnu⸣nu ⸢nuː⸣ suwameː ma⸢niʔaːsa⸣riŋkajaː] (今年もすでに年半ばになってしまったが、どうしようかねえ、間に合わされるかねえ) 11227 0 0 10892 htmvoc_11227.wav トゥシヌクー トゥ⸢シ⸣ヌ ⸣クー [tu̥⸢ʃi⸣nu ⸣kuː] 連 年の功。年をとって多くの経験を積んだ力。 シゥ⸢カラー ナーン⸣タンティン トゥ⸢シ⸣ヌクー ⸣ティル ⸣アル ウ⸢ヤン⸣ナーニ シ⸢キ⸣ミリバ [sï̥⸢karaː naːn⸣tantin tu̥⸢ʃi⸣ kuːtiru ⸣ʔaru ʔu⸢jan⸣naːni ʃi̥⸢ki⸣miriba] (力はなくても、年の功といわれている{EOS}親に聞いてみなさいよ)。 トゥ⸢シ⸣ヌ ⸣クーティル ⸣アル ッ⸢サン⸣ クトゥ ア⸢ティンガーラン⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アルカー ⸣シザウヤンケーン⸢ナー⸣ニ ⸢トゥイ⸣ シ⸢キ⸣バ [tu̥⸢ʃi⸣nu ⸣kuːtiru ⸣ʔaru s⸢saŋ⸣ ku̥tu ʔa⸢tiŋgaːraŋ⸣ ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣ʃiʣaʔujaŋkeːn⸢naː⸣ni ⸢tui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba] (年の功という<とぞある>{EOS}知らないこと、見当<判断>のつかないことがあれば、年長者の方に問い尋ねてみなさい<問い聞け>) 11228 0 0 10893 htmvoc_11228.wav トゥシヌサタ トゥ⸢シ⸣ヌ ⸣サタ [tu̥⸢ʃi⸣nu ⸣sḁta] 連 年のせい。年のなせるしわざ。「年の沙汰」の義。 ク⸢ヌ⸣グロー ⸣ミーン ミ⸢リグリ⸣サ ⸢ミン⸣ヌン シ⸢キグリサ⸣ ナリ ⸢ナーヌ⸣ヌ ウ⸢リン⸣ トゥ⸢シ⸣ヌ ⸣サタカヤー [ku⸢nu⸣guroː ⸣miːm mi⸢riguri⸣sa ⸢miŋ⸣nuŋ ʃi̥⸢kigurisa⸣ nari ⸢naːnu⸣nu ʔu⸢rin⸣ tu̥⸢ʃi⸣nu ⸣sḁtakajaː] (この頃は目も見辛く、耳も聞き辛くなってしまったが、それも年のせい<沙汰だろう>かねえ) 11211 0 0 10894 htmvoc_11211.wav トゥシヌシザガタ トゥ⸢シ⸣ヌ ⸣シザガタ [tu̥⸢ʃi⸣nu ⸣ʃiʣagata] 連 年長者。長者。「年の兄者方」の義か。/クリヤ クヌムラ トゥシヌ シザガタ ワンドゥダヤビル/(罷り出でたる<これ>は、この村の年長者、私でございます)、ザーピラキ(開演狂言)『鳩間島古典民謡古謡集』。この狂言は沖縄本島の⸢長者の大主」の構造と酷似しており、台詞も沖縄本島方言によって唱えられていて、鳩間方言による狂言ではない。おそらく1865年に首里から鳩間島に配流の身となったとされる比屋根安弼が在島14年間にこの狂言を作成し、島人に教えたものと考えられる 11229 0 0 10895 htmvoc_11229.wav トゥシヌパジミ トゥ⸢シ⸣ヌ パ⸢ジミ [tu̥⸢ʃi⸣nu pa⸢ʤimi] 連 年の初め。元旦。 トゥ⸢シ⸣ヌ パ⸢ジミヌ⸣ シ⸢トゥ⸣ムテー シ⸢ディ⸣ミジシル ウ⸢ム⸣テー シ⸢モーッ⸣タ [tu̥⸢ʃi⸣nu pa⸢ʤiminu⸣ ʃi̥⸢tumu⸣teː ʃi⸢di⸣miʤiʃiru ʔu⸢mu⸣teː ʃi⸢moːt⸣ta] (年の初めの朝<元旦>には若水で洗面された<顔を洗われた>) 11230 0 0 10896 htmvoc_11230.wav トゥシヌマール トゥ⸢シ⸣ヌ ⸢マール [tu̥⸢ʃi⸣nu ⸢maːru] 連 年回り。まわりくる年齢によって吉凶があるように、年によって豊年や凶作が回ってくること。 ク⸢トゥシェー ナウリユー⸣ヌ トゥ⸢シ⸣ ⸢マー⸣ル [ku̥⸢tuʃeː naurijuː⸣nu tu̥⸢ʃi⸣nu ⸢maː⸣ru] (今年は豊年<稔り>の年回りだ)。 ⸢ユーリシキヌ⸣ トゥ⸢シマー⸣ル [⸢juːriʃi̥kinu⸣ tu̥⸢ʃimaː⸣ru] (閏月の年回り{EOS}閏月のある年)。トゥ⸢シマー⸣ル[tu⸢ʃimaː⸣ru](年廻り)ともいうふ 11241 0 0 10897 htmvoc_11241.wav トゥシヌユー トゥ⸢シヌ⸣ユー [tu̥⸢ʃinu⸣juː] 名 大晦日の夜。年の夜。トゥ⸢シン⸣ユー[tu̥⸢ʃiŋ⸣juː](大晦日の夜)ともいう。 ト⸢シヌユー⸣ヤ ⸢ヤーニン⸣ズ ア⸢ツァ⸣マリティ フ⸢ルマイ⸣ ン⸢コーッ⸣タ [tu⸢ʃinujuː⸣ja ⸢jaːnin⸣ʣu ʔa⸢ʦa⸣mariti ɸu⸢rumai⸣ ʔŋ⸢koːt⸣ta] (大晦日の夜は家族揃ってご馳走<振る舞い御馳走>を召し上がった) 11242 0 0 10898 htmvoc_11242.wav ドゥシパジリ ドゥ⸢シパジリ [du⸢ʃipaʤiri] 名 仲間はずれ。 バ⸢カー⸣タン ⸣ケンマー ドゥ⸢シパジリ⸣ シ⸢ラリル⸣ ク⸢トゥ⸣ル イッ⸢チン⸣ ナ⸢クラー⸣タ [ba⸢kaː⸣taŋ ⸣kemmaː du⸢ʃipaʤiri⸣ ʃi⸢rariru⸣ ku̥⸢tu⸣ru ʔit⸢ʧin⸣ na⸢kuraː⸣ta] (若かった頃は、仲間はずれされることが一番怖かった) 11243 0 0 10899 htmvoc_11243.wav トゥシパダ トゥ⸢シ⸣パダ [tu̥⸢ʃi⸣pada] 名 年頃。結婚適齢期の娘。十七八歳の娘。 ト⸢シパダ⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢キーヌパー⸣トゥン バ⸢ラウン [tu̥⸢ʃipada⸣nu ja⸢ra⸣beː ⸢kiːnupaː⸣tum ba⸢rauŋ] (年頃の娘は木の葉とも笑う<よく笑う>) 11244 0 0 10900 htmvoc_11244.wav トゥシビー トゥ⸢シ⸣ビー [tu̥⸢ʃi⸣biː] 名 生まれた年のえと<干支>と同じ干支の日。誕生日。「年日」の義。 ⸢ドゥー⸣ヌ トゥ⸢シ⸣ビーナ ⸢ソーシキ⸣ヌ ⸣アル ⸢ヤー⸣ヤ パ⸢ラ⸣ソーランシェン [⸢duː⸣nu tu̥⸢ʃi⸣biːna ⸢soːʃi̥ki⸣nu ⸣ʔaru ⸢jaː⸣ja pa⸢ra⸣soːraŋʃeŋ] (自分の生まれた年日に葬式のある家には行かされなかった) 11245 0 0 10901 htmvoc_11245.wav トゥシビーニンガイ トゥ⸢シ⸣ビーニンガイ [tu̥⸢ʃi⸣biːniŋgai] 名 健康祈願。毎年、旧暦の正月と八月の、本人の生まれた干支の日に健康と幸福を祈願する家庭の祭事。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)やブ⸢ナルンガン[bu⸢naruŋgaŋ](をなり神{EOS}戸主の姉妹)、またはブ⸢バマン⸣ガン[bu⸢bamaŋ⸣gaŋ](ヲバマ<伯叔母>神{EOS}戸主の伯叔母)に頼んで祈願してもらった。13、25、37、49、61、73、85歳等の生まれ年に当たる人のマ⸢リビー[ma⸢ribiː](干支の生まれ日)に健康祈願を実施した。 ⸢ニン⸣ニン ⸣ソンガチシキヌ マ⸢リビートゥ⸣ パ⸢チングチ⸣ヌ マ⸢リビーナー⸣ル トゥ⸢シ⸣ビーニンガイヤ ⸢ソーッ⸣タ [⸢nin⸣nin ⸣soŋgaʧiʃi̥kinu ma⸢ribiːtu⸣ pḁ⸢ʧiŋguʧi⸣nu ma⸢ribiːnaː⸣ru tu̥⸢ʃi⸣biːniŋgaija ⸢soːt⸣ta] (毎年の正月月の生まれ日と八月の生まれ日に<ぞ>健康祈願はなされた) 11246 0 0 10902 htmvoc_11246.wav ドゥシビライ ドゥ⸢シビライ [du⸢ʃibirai] 名 友人との交際。友達付き合い。交友。 バ⸢カーン⸣ケンマー ドゥ⸢シビライ スンティ⸣ ユー サ⸢キ⸣ ヌ⸢ム⸣タン [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː du⸢ʃibirai sunti⸣ juː sḁ⸢ki⸣ nu⸢mu⸣taŋ] (若い頃は友達付き合いしようとして、よく酒を飲んだ) 11248 0 0 10903 htmvoc_11248.wav トゥジフー トゥ⸢ジフー [tu⸢ʤiɸuː] 名 良妻に恵まれる果報。良妻に恵まれる幸運。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ トゥ⸢ジフー⸣ヌ ア⸢リ⸣ル ⸢ヤー⸣キナイ サ⸢カラシェー⸣ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ tu⸢ʤiɸuːnu⸣ ʔa⸢ri⸣ru ⸢jaː⸣kinai sḁ⸢karaʃeː⸣daː] (その人は非常に良妻の幸運に恵まれて<ぞ>家庭を繁昌させたのだ) 11250 0 0 10904 htmvoc_11250.wav トゥジフカシムヌ トゥ⸢ジフカシムヌ [tu⸢ʤiɸu̥kaʃimunu] 名 他人の女と姦通する者<夫>。「刀自ほかし<放下し>者」の義。 ⸢タール ワー⸣ アイ⸣ブー トゥ⸢ジフカシムヌティ⸣ ウ⸢ムー⸣タワ ミ⸢ジラ⸣シ ビ⸢キドゥムン⸣ ッ⸢ふァバ⸣ ッ⸢ふィーティ⸣ キ⸢ム⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taːru waː⸣ ʔaibuː tu⸢ʤiɸu̥kaʃimunuti⸣ ʔu⸢muː⸣tawa mi⸢ʤira⸣ʃi bi⸢kidumuŋ⸣ f⸢faba⸣ f⸢fiːti⸣ ki⸢mu⸣jami na⸢ra⸣nu] (誰があなた、あんな\ruby{女誑}{オンナ|タラシ}<刀自ほかし>と思ったものかね、見たことのない妙な男に娘をやって、残念で、心が痛くてたまらないよ) 11249 0 0 10905 htmvoc_11249.wav トゥジフカスン トゥ⸢ジ⸣ フ⸢カスン [tu⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢kasuŋ] 連 妻を裏切って他の女と通ずる。妻を捨てる。「刀自ほかす<放下す>」の義。 ⸢ウンザー⸣ トゥ⸢ジ⸣ フ⸢カシ⸣ トゥ⸢ジヌ⸣ キ⸢ム⸣バ ヤ⸢キ⸣シケーティ ⸢シーバ ヌンガーラサ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ tu⸢ʤi⸣ ɸu̥⸢kaʃi⸣ tu⸢ʤinu⸣ ki⸢mu⸣ba ja⸢ki⸣ ʃi̥keːti ⸢ʃiːba nuŋgaːrasa⸣nu] (あの野郎は妻を裏切って他の女と通じ、妻に心痛を掛けているというから、決して許さない) 11251 0 0 10906 htmvoc_11251.wav トゥジブトゥ トゥ⸢ジブトゥ [tu⸢ʤibutu] 名 夫婦。めおと(夫婦)。「刀自夫」の義。 トゥ⸢ジブトー⸣ ナカ ⸢カイ⸣ヤン [tu⸢ʤibutoː⸣ naka ⸢kai⸣jaŋ] (夫婦は仲が良い<美しい>)。 トゥ⸢ジブトー ティンラ⸣ サ⸢ダマリ⸣ル マ⸢リ⸣クーツォー [tu⸢ʤibutoː tinra⸣ sa⸢damari⸣ru ma⸢ri⸣kuːʦoː] (夫婦は天から定められて生まれてくるものだそうだ) 11252 0 0 10907 htmvoc_11252.wav トゥジブトゥアイ トゥ⸢ジブトゥ⸣アイ [tu⸢ʤibutu⸣ʔai] 名 夫婦喧嘩。⸢ミートゥンダ⸣アイ[⸢miːtunda⸣ʔai](夫婦喧嘩)ともいう。 トゥ⸢ジブトゥアイ⸣ヤー マー⸢ン⸣ナーン ア⸢リ⸣ル ⸣ブー ノー⸢ン⸣ ミ⸢ジラ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [tu⸢ʤibutuʔai⸣jaː maː⸢n⸣naːŋ ʔa⸢ri⸣ru ⸣buː mi⸢ʤira⸣saː ⸢naː⸣nu] (夫婦喧嘩は何処にでもある{EOS}珍しくはない) 11253 0 0 10908 htmvoc_11253.wav トゥジブトゥバカリ トゥ⸢ジブトゥバカ⸣リ [tu⸢ʤibutubaka⸣ri] 名 離婚。夫婦別れ。⸢ミートゥンダバカ⸣リ[⸢miːtundabaka⸣ri](夫婦別れ{EOS}離婚)ともいう。 ブ⸢トゥヌ⸣ ビチナー ミ⸢ドゥム⸣バ カ⸢サミ ベー⸣ティル ⸢ウッ⸣ツァー トゥ⸢ジブトゥバカ⸣リ ⸢シェー⸣ティ⸢ダー [bu⸢tunu⸣ biʧinaː mi⸢dumu⸣ba kḁ⸢sami beː⸣tiru ⸢ʔut⸣ʦaː tu⸢ʤibutubaka⸣ri ⸢ʃeː⸣ti⸢daː] (夫が別の所に女を囲って<掴んで>いるので、彼らは夫婦別れ<離婚>したそうだよ) 11254 0 1 10909 htmvoc_11254.wav トゥシマール トゥ⸢シマー⸣ル [tu⸢ʃimaː⸣ru] 名 {Mn_1}何年かの周期で同じような災害が回ってくること。干支の組み合わせによる、その年の運勢。「年回り」の義。家屋建築や墓造りの際に⸣サンギンソー[⸣saŋginsoː](易者)に運勢を占ってもらった。 ク⸢トゥシェー⸣ トゥ⸢シマール⸣ヌ ⸢ワッ⸣サン [ku̥⸢tuʃeː⸣ tu̥⸢ʃimaːru⸣nu ⸢was⸣saŋ] (今年は年回りが悪い)。 ク⸢トゥシェー⸣ トゥ⸢シマール⸣ヌ ピ⸢ラ⸣ク ⸣ティバーヤ [ku̥⸢tuʃeː⸣ tu̥⸢ʃimaːru⸣nu pi⸢ra⸣ku ⸣tibaːja] (今年は何年かの周期で回ってくる寒波だそうだよ)。 11254 0 2 10910 htmvoc_11254.wav トゥシマール トゥ⸢シマー⸣ル [tu⸢ʃimaː⸣ru] 名 {Mn_2}年恰好。年齢の程合い。~がらみ。 ⸢グン⸣ズ ⸣ブカラヌ トゥ⸢シマール⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ タ⸢ジ⸣ナイ ⸢オー⸣レータン [⸢gun⸣ʣu ⸣bukaranu tu̥⸢ʃimaːru⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ta⸢ʤi⸣nai ⸢ʔoː⸣reːtaŋ] (五十がらみの年恰好の人が尋ねて来られたよ) 11255 0 0 10911 htmvoc_11255.wav トゥジマリ トゥ⸢ジマリ [tu⸢ʤimari] 名 戸締り。標準語から転訛したもの。普通は、ヤ⸢ドゥ⸣フジ[ja⸢du⸣ɸuʤi](戸締り)という。 ギャン⸢ティ⸣ トゥ⸢ジマリ⸣ シ⸢ティル⸣ ニ⸢ブ⸠ダー [gjan⸢ti⸣ tu⸢ʤimari⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ni⸢bu⸠daː] (きちんと戸締りして<ぞ>寝るんだよ) 11256 0 0 10912 htmvoc_11256.wav ドゥシムチリ ドゥ⸢シムチリ [du⸢ʃimuʧiri] 名 深い友達付き合い。友人交際に夢中になること。交友から離れられないさま。「どち<仲間>\ruby{縺}{モツ}れ」の転訛か。 ドゥ⸢シムチリ シー ヤー⸣ヌ ⸣アンティン ッ⸢サヌ [du⸢ʃimuʧiri ʃiː jaː⸣nu ⸣ʔantin s⸢sanu] (友達付き合いに夢中になって家の事をも<家がある事をも>忘れている) 11257 0 0 10913 htmvoc_11257.wav トゥシユリ トゥ⸢シ⸣ユリ [tu⸢ʃi⸣juri] 名 年寄り。老人。歌謡語として使われる。日常会話では⸢ウイ⸣プス[⸢ʔui⸣pu̥su](老人<老い人>)という。/ギニヤ ユタカヌ パトゥマムラ シマヌ ナガリユ ミワタシバ ルクヌ イチジニ チカクアリ/(実に豊かな鳩間村、島の流れ<高低の傾斜>を見渡すと六の一字に近く見える<ある>)<囃子>/イヤイーヤ ウスーメーデー ガルマキ ウラリティ ウヤクチョーデー トゥジックヮ ヤシナティ ムラトゥン ワブクニ ワルビ トゥシユリ カンカクドゥクヌ ムジキナムヌサミ ンゾサ ソーリバ ティンヌ ミグミヌ ウヤキパンジョー アラシミセユサ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(いやいや、王府の公務<御親内裏>を務めることが出来て、親子兄弟、妻子を養って村とも和睦にし、子供と年寄りにとっては、\ruby{鰥寡孤独}{カン|カ|コ|ドク}で無食なものだが、可愛がってやるので天が恵みの富貴繁盛を与えて下さるものだ{EOS}今の囃子に載せて口説を歌い上げます)「鳩間口説節」『鳩間島古典民謡古謡集』 11258 0 0 10914 htmvoc_11258.wav ドゥジン ⸣ドゥジン [⸣duʤiŋ] 名 胴衣。沖縄本島方言からの借用語。着物の上に着る打掛。古典舞踊のコスチュームとして、カ⸢カン[kḁ⸢kaŋ](ひだスカートに似た腰巻)と併せて着用する。 ⸣ドゥジン カ⸢カンマー⸣ ブ⸢ドルキンドゥ ヤッタ⸣ チニヒージェー キ⸢ソーラン⸣シェン [⸣duʤiŋ ⸣kḁkammaː bu⸢durukindu jatta⸣ ʧiniçiːʤeː ki̥⸢soːraŋ⸣ʃeŋ] (胴衣とカカンは踊り衣装であった{EOS}常日頃は着られなかった) 11231 0 0 10915 htmvoc_11231.wav ドゥシンケー ドゥ⸢シン⸣ケー [du⸢ʃiŋ⸣keː] 名 友人達。友人方。⸣ケー[⸣keː](達{EOS}方)は複数の接尾辞で、敬意を含む。 ドゥ⸢シンケー⸣ヤ タ⸢カーニン オー⸣ルンカヤー [du⸢ʃiŋkeː⸣ja tḁ⸢kaːniŋ ʔoː⸣ruŋkajaː] (友人方<友人の方々>はたくさんいらっしゃるだろうかねえ) 11259 0 0 10916 htmvoc_11259.wav トゥスクン ⸢トゥス⸣クン [⸢tusu̥⸣kuŋ] 他動 申しつける。言い聞かせる。厳重注意する。訓戒する。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢トゥス⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ⸢トゥシキララ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bi ⸢tusu̥⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ⸢tuʃi̥kirara⸣nu] (子供に言い聞かせよう<注意しよう>と思うが私には言い聞かせられ<注意でき>ない)。 ⸢トゥス⸣ク プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーンダ ワー⸣シ ⸢トゥシ⸣キ ッ⸢ふィーリ [⸢tusu̥⸣ku pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnda waː⸣ʃi ⸢tuʃi̥⸣ki f⸢fiːri] (注意する人がいないので、君で注意してくれ)。 ⸢パー⸣ク ⸢トゥシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢tuʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (早く注意すればいいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢トゥシ⸣キ [⸣duːʃi ⸢tuʃi̥⸣ki] (自分で注意しなさい) 11260 0 0 10917 htmvoc_11260.wav ドゥスヌ ドゥ⸢ス⸣ヌ [du⸢su⸣nu] 名 (植)和名、オガタマノキ。材質が硬く、辺材は帯黄灰色、心材は帯褐色で光沢がある。反張割裂がすくなく、工作は容易である。貴重な建築用材で、その他の造作用に使用される『図鑑琉球列島有用樹木誌』。ドゥ⸢ス⸣ヌキー[du⸢su⸣nukiː](オガタマノキ)ともいう。 ドゥ⸢ス⸣ヌキーシル ⸢ヤー⸣ヌ パ⸢ラー⸣ユン ⸣イダフニヌ ⸣ヤクン カ⸢ナパイヌ ユイン⸣ ス⸢ク⸣ローッタル [du⸢su⸣nukiːʃiru ⸢jaː⸣nu pa⸢raː⸣juŋ ⸣ʔidaɸuninu ⸣jakuŋ ka⸢napainu juin⸣ su̥⸢ku⸣roːttaru] (オガタマノキで<ぞ>家の柱をもサバニの櫂も鍬の柄も作られたものだ) 11264 0 0 10918 htmvoc_11264.wav ドゥスマクン ドゥ⸢スマ⸣クン [du⸢suma⸣kuŋ] 自動 大騒ぎする。三線太鼓を鳴らして騒ぐ。騒ぎたてる。「どしめく(騒ぎたてる)」『天草本伊曾保物語』の義。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ヨイ⸣スンティ ドゥ⸢スマ⸣キ ⸢ベー [⸢ʔun⸣neːja ⸢joi⸣sunti du⸢suma⸣ki ⸢beː] (あの家はお祝いをするといって大騒ぎしている)。 ⸢ユール⸣ヌ ⸣カージ ドゥ⸢スマ⸣クンテー ス⸢クタンドゥ⸣ アイニ ドゥ⸢スマ⸣ク ⸢ヤー⸣ヤ ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸢juːru⸣nu ⸣kaːʤi du⸢suma⸣kunteː su̥⸢kutandu⸣ ʔaini du⸢suma⸣ku ⸢jaː⸣ja ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (夜毎に鳴りもの入りで大騒ぎするとは聞いたが、あんなに大騒ぎする家は見たことがない)。 ドゥ⸢スマカン⸣ドーシ ⸣ウタ イ⸢ジ⸣バ [du⸢sumakan⸣doːʃi ⸣ʔuta ʔi⸢ʤi⸣ba] (大騒ぎしないで歌いなさいよ)。 ⸢マー⸣ビン ドゥ⸢スマ⸣ケー ミサムヌ [⸢maː⸣bin du⸢suma⸣keː ⸣misamunu] (もっと騒ぎ立てれば良いのに) ドゥ⸢スマ⸣キ [du⸢suma⸣ki] (大騒ぎしろ)) 11261 0 0 10919 htmvoc_11261.wav トゥズマルン トゥ⸢ズ⸣マルン [tu⸢ʣu⸣maruŋ] 自動 終わる。しまう。仕上がる。完了する。 シ⸢グトー⸣ キューズーナ トゥ⸢ズ⸣マルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ク⸢ヌ ブン⸣シェー シ⸢グトー⸣ トゥ⸢ズマラ⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ kjuːʣuːna tu⸢ʣu⸣marunti ʔu⸢muːtan⸣du ku⸢nu buŋ⸣ʃeː ʃi⸢gutoː⸣ tu⸢ʣumara⸣nu] (仕事は今日中に仕上がると思ったが、この分<様子>では仕事は仕上がらない)。 ⸣キューズーナ トゥ⸢ズ⸣マルクトー ⸢ナーン⸣パジ ⸢ダー⸣ヌ トゥ⸢ズ⸣マリ ッ⸢ふィール⸣カー ⸣ミサンドゥ [⸣kjuːʣuːna tu⸢ʣu⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi ⸢daː⸣nu tu⸢ʣu⸣mari f⸢fiːru⸣kaː ⸣misandu] (今日中に仕上がることはないはずだろうが、仕上がってくれると良いのだがなあ)。 ⸣キューズーナ トゥ⸢ズ⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸣kjuːʣuːna tu⸢ʣu⸣mareː ⸣misamunu] (今日中に仕上がれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ズ⸣マリ [⸢paː⸣ku tu⸢ʣu⸣mari] (早く終われ) 11263 0 1 10920 htmvoc_11263.wav トゥズミ トゥ⸢ズミ [tu⸢ʣumi] 名 {Mn_1}終わり。仕上げ。終結。完結。完成。「とぢめ<閉ぢめ>『源氏物語 賢木』」の転訛したものか。 シ⸢グトー⸣ トゥ⸢ズミヌ カイヤ ナーン⸣カー ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ tu⸢ʣuminu kaijanaːŋ⸣kaː ⸢daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (仕事は仕上がりが美しくないと良くない<立派でない>ね)。 11263 0 2 10921 htmvoc_11263.wav トゥズミ トゥ⸢ズミ [tu⸢ʣumi] 名 {Mn_2}祭祀行事の後の打ち上げ会。豊年祭や結願祭などで、奉納芸を練習し、二三日前にはス⸢クミ[su̥⸢kumi](仕組み{EOS}舞台総稽古{EOS}リハーサル)をし、⸣トーピン[⸣toːpiŋ](当日)に上演し、翌日後片付けを完了した後、トゥ⸢ズミ[tu⸢ʣumi](打ち上げ{EOS}完了祝い)をした 11265 0 0 10922 htmvoc_11265.wav ドゥスミカスン ドゥ⸢スミカ⸣スン [du⸢sumika⸣suŋ] 他動 どよめかす(響動めかす)。大声で騒いで轟かせる。大騒ぎする。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢キ タイ⸣ク ⸣ウテーティ ドゥ⸢スミカ⸣スンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ドゥ⸢スミカサラン⸣シェン [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢ki tai⸣ku ⸣ʔuteːti du⸢sumika⸣sunti ʔu⸢muːtan⸣du du⸢sumikasaraŋ⸣ʃeŋ] (三味線を弾き太鼓を打って大騒ぎしよう<\ruby{響動}{ド|ヨ}めかそう>と思ったが、大騒ぎ出着なかった)。 ドゥ⸢スミカ⸣シ ⸣ミサカー ドゥ⸢スミカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [du⸢sumika⸣ʃi ⸣misakaː du⸢sumika⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (どよめかして良ければどよめかすことは出来る)。 ドゥ⸢スミカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [du⸢sumika⸣ʃeː ⸣misamunu] (大騒ぎすれば良いのに)。 ドゥ⸢スミカ⸣シバ [du⸢sumika⸣ʃiba] (どよめかせよ) 11262 0 0 10923 htmvoc_11262.wav トゥズミルン トゥ⸢ズミ⸣ルン [tu⸢ʣumi⸣ruŋ] 他動 仕事を完結させる。完成させる。し終える。成し遂げる。仕上げる。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ キューズーナ トゥ⸢ズミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ トゥ⸢ズミラ⸣リンカヤー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ kjuːʣuːna tu⸢ʣumi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du tu⸢ʣumira⸣riŋkajaː] (この仕事は今日中に仕上げようと思うが、仕上げられるかねえ)。 トゥ⸢ズミル⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸣キューズーナ トゥ⸢ズ⸣ミ ッ⸢ふィーリ [tu⸢ʣumiru⸣ ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ⸣kjuːʣuːna tu⸢ʣu⸣mi f⸢fiːri] (仕上げることが出来るなら今日中に仕上げてくれ)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ズミレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku tu⸢ʣumireː⸣ misamunu] (早く仕上げれば良いのに)。 ア⸢ツァバー⸣キナ トゥ⸢ズミリ [ʔa⸢ʦabaː⸣kinaː tu⸢ʣumiri] (明日までに仕上げなさい) 11266 0 0 10924 htmvoc_11266.wav トゥズムン トゥ⸢ズムン [tu⸢ʣumuŋ] 他動 終える。仕上げる。完成させる。 トゥ⸢ズミ⸣ ッ⸢ふィーリ [tu⸢ʣumi⸣ f⸢fiːri] (仕上げてくれ)。 ⸣キューズーナ トゥ⸢ズムンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ トゥ⸢ズマラヌ [⸣kjuːʣuːna tu⸢ʣumunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du tu⸢ʣumaranu] (今日中に仕上げようと思うが、仕上げられない)。 ⸣キューズーナ トゥ⸢ズム⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kjuːʣuːna tu⸢ʣumu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今日中に仕上げることは出来ない)。 ア⸢ツァバー⸣キナ トゥ⸢ズメー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢ʦabaː⸣kina tu⸢ʣumeː⸣ misamunu] (明日までに仕上げれば良いのに)。 キサー⸢ティ⸣ トゥ⸢ズメー⸣ン [kisaː⸢ti⸣ tu⸢ʣumeː⸣ŋ] (すでに完了した)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ズミ [⸢paː⸣ku tu⸢ʣumi] (早く仕上げよ) 11267 0 0 10925 htmvoc_11267.wav ドゥダイ ⸣ドゥダイ [⸣dudai] 名 土台。基礎。構造物の最下部をなす部分。礎。標準語から転訛したもの。 ドゥ⸢ダイ⸣ヌ ⸢ヨー⸣カー ⸢ヤー⸣ヤ ⸢クーリ⸣ス [du⸢dai⸣nu ⸢joː⸣kaː ⸢jaː⸣ja ⸢kuːri⸣su] (土台が弱いと家は崩れる) 11268 0 0 10926 htmvoc_11268.wav トゥダナ トゥ⸢ダ⸣ナ [tu⸢da⸣na] 名 戸棚。作り付けの戸棚。二番座の押入れの下半分に引き戸を入れて、神事用、仏事用の酒器や\ruby{什器類}{ジュウ|キ|ルイ}を収納する戸棚があった。サ⸢キクビン[sḁ⸢kikubiŋ](酒瓶)、サ⸢キスッカー[sḁ⸢kisukkaː](酒急須)、サ⸢カシキ[sḁ⸢kaʃiki](盃)、⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](燗瓶)、カ⸢ザリクビン[ka⸢ʣarikubiŋ](⸢飾瓶」の義か{EOS}白磁製の大型の燗瓶{EOS}錫製の大型燗瓶もある)などが収納されていた。台所の戸棚には食器類が収納されていた。 トゥ⸢ダ⸣ナナー マ⸢カ⸣ルドング シ⸢ズ⸣ミ シ⸢キ⸣リバ [tu⸢da⸣nanaː ma⸢ka⸣rudoŋgu ʃi⸢ʣu⸣mi ʃi̥⸢ki⸣riba] (戸棚にお椀類を片付けておきなさいよ) 11278 0 0 10927 htmvoc_11278.wav トゥツォー ⸢-トゥ⸣ツォー [⸢-tu⸣ʦoː] 助 助詞連語。~だってさ。~とさ。~だそうだ。 ム⸢カ⸣シ ⸣アルントンナー ア⸢ブジェーマ⸣トゥ アー⸢パマ⸣ヌ ⸢オー⸣タン⸢トゥ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔaruntonnaː ʔa⸢buʤeːma⸣tu ʔaː⸢pama⸣nu ⸢ʔoːt⸣tan⸢tu⸣ʦoː] (昔ある所におじいさんとおばあさんがおられたそうな<居られたとさ>) 11269 0 0 10928 htmvoc_11269.wav トゥッカ ⸢トゥッカ [⸢tukka] 名 数詞。十日。 ⸢マー トゥッカ スー⸣カー ⸢マイヤー⸣ カ⸢ラリン [⸢maː tukka suː⸣kaː ⸢maijaː⸣ ka⸢rariŋ] (もう十日も経て<すれ>ば稲<米>は刈られる) 11273 0 0 10929 htmvoc_11273.wav トゥッカジラ ⸢トゥッカジラ [⸢tukkaʤira] 名 産婦が出産後十日目に新生児と共に\ruby{産褥}{サン|ジョク}の⸣ジルー[⸣ʤiruː](地炉)から出て普通の寝室へ移る日。地炉の神にお礼の祈願をし、産屋に張り巡らしてあったシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](\ruby{注連縄}{シ|メ|ナワ})も取り外した。この⸢トゥッカジラを無事に過ごせたら母子ともに安心とされていた。この日に産婦も新生児も始めて産屋から屋外へ出ることが出来た。そして、祖母が新生児を抱いてウ⸢ブッ⸣カル ウ⸢ガマ⸣シ[ʔu⸢buk⸣karu ʔu⸢gama⸣ʃi](太陽拝ませ)の儀式を執り行った。 ⸢トッカジラ⸣ ウ⸢チナ⸣シェーチバ ⸣ウヤン ッ⸢ふァン ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢tukkaʤira⸣ ʔu⸢ʧina⸣ʃeːʧiba ⸣ʔujan f⸢fan soːja naː⸣nu] (産後十日目<十日お産>を無事に過ごせたから親も子も心配はない) 11274 0 0 10930 htmvoc_11274.wav トゥッカソージ ⸢トゥッカソージ [⸢tukkasoːʤi] 名 出産後十日目の日に産褥を清め、母子の健康について地炉の神に感謝し、産婦の\ruby{肥立}{ヒ|ダチ}ちと、新生児の今後の順調な成長を祈願する神事。神酒とパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](白米{EOS}花米)を供えて祖母や司が祈願した。「十日精進」の義。 ⸢トゥッカジラヌ⸣ ピンナー ⸢トゥッカソージェー⸣ シ⸢マ⸣シティル ⸣ジロー シ⸢ズ⸣モーッタル [⸢tukkaʤiranu⸣ pinnaː ⸢tukkasoːʤeː⸣ ʃi⸢ma⸣ʃi̥tiru ⸣ʤiroː ʃi⸢ʣu⸣moːttaru] (産後十日目の日に産褥十日目の感謝と健康祈願、<十日精進>をされてから産屋の地炉は片付けられた) 11270 0 0 10931 htmvoc_11270.wav トゥッカラ ⸢トゥッカラ [⸢tukkara] 名 数詞。十匹。動物(牛、馬、犬、山羊、豚、鶏、鳩、猫、鼠、虫類、蝶、蛇、魚類)を数えるのに用いる。 ⸢ミー⸣ドゥル ⸢トゥッカラ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイティ ⸢コー⸣マ ナ⸢サ⸣シ ⸢ベー [⸢miː⸣duru ⸢tukkara⸣ si̥⸢ka⸣naiti ⸢koː⸣ma na⸢sa⸣ʃi ⸢beː] (雌鳥を十羽養って卵を産ませている) 11271 0 0 10932 htmvoc_11271.wav トゥッキカーキ ⸢トゥッ⸣キカーキ [⸢tuk⸣kikaːki] 副 天井や床があちこち落下しているさま。あちらこちら穴が開いているさま。あちこち落ち込んださま。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣ムリティ ⸢ティン⸣ゾーン イ⸢ツァフン⸣ツァーン ⸢トゥッ⸣キカーキ ⸢シーベー [ʔa⸢mi⸣nu ⸣muriti ⸢tin⸣ʣoːŋ ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦaːn ⸢tuk⸣kikaːki ⸢ʃiːbeː] (雨が洩れ<雨漏りし>て天井も板床もあちこち落ち込んだ状態である)。 ッ⸢ふ⸣ヤー ヤ⸢ルンダ⸣ ウマン ⸣カマン ⸢トゥッ⸣キカーキ ⸢シーブ [f⸢fu⸣jaː ja⸢runda⸣ ʔumaŋ ⸣kaman ⸢tuk⸣kikaːki ⸢ʃiːbu] (古い家だから、あちらこちら朽ちて落ち込んでいる) 11275 0 0 10933 htmvoc_11275.wav トゥッキルン ⸢トゥッキ⸣ルン [⸢tukki⸣ruŋ] 自動 穴があく。\ruby{陥没}{カン|ボツ}する。⸢トゥッ⸣クン[⸢tuk⸣kuŋ](穴があく{EOS}陥没する)ともいう。 ⸢ティン⸣ゾーナ プ⸢スヌ ヌール⸣カー ⸢トゥッキ⸣ルン⸢ダー [⸢tin⸣ʣoːna pu̥⸢sunu nuːru⸣kaː ⸢tuk⸣kirun⸢daː] (天井に人が上がると陥没するよ) 11272 0 0 10934 htmvoc_11272.wav トゥック ⸢トゥック [⸢tukku] 名 数詞。十個。果物、菓子、卵、瓶、茶碗などを数える際に、その十個の数を表す。 プ⸢スッ⸣ク [pu̥⸢suk⸣ku] (一個) フ⸢タック [ɸu̥⸢takku] (二個) ⸢ミック [⸢mikku] (三個) ⸢ユック [⸢jukku] (四個) イ⸢チッ⸣ク [ʔi⸢ʧik⸣ku] (五個) ⸢ムック [⸢mukku] (六個) ナ⸢ナッ⸣ク [na⸢nak⸣ku] (七個) ⸢ヤック [⸢jakku] (八個) ク⸢ヌッ⸣ク [ku⸢nuk⸣ku] (九個) ⸢トゥック [⸢tukku] (十個))。 ⸢トゥー⸣ プ⸢スッ⸣ク [⸢tuː⸣ pu̥⸢suk⸣ku] (十一個)。 ⸢トゥー⸣ フ⸢タック [⸢tuː⸣ ɸu̥⸢takku] (十二個) 11276 0 0 10935 htmvoc_11276.wav トゥックン ⸢トゥッ⸣クン [⸢tuk⸣kuŋ] 自動 穴があく。陥没する。 ウ⸢ビッ⸣チンシェー ⸢トゥッ⸣ク ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢トゥッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢bit⸣ʧiŋʃeː ⸢tuk⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢tuk⸣keː ⸣misamunu] (これぽちでは陥没することはないが、陥没すればいいのに)。 ⸣カイブ ⸣アナー ⸢パー⸣ク ⸢トゥッ⸣キ [⸣kaibu ⸣ʔanaː ⸢paː⸣ku ⸢tuk⸣ki] (こんな穴は早く陥没しろ) 11277 0 0 10936 htmvoc_11277.wav トゥッチン ⸢トゥッチン [⸢tutʧiŋ] 名 数詞。十粒。十個。粒状のもの、丸薬や果実の種などを数える際に用いる。 ⸢ピッ⸣チン [⸢pit⸣ʧiŋ] (一粒) フ⸢タッチン [ɸu̥⸢tatʧiŋ] (二粒) ⸢ミッチン [⸢mitʧiŋ] (三粒) ⸢ユッチン [⸢jut⸣ʧiŋ] (四粒) イ⸢チッ⸣チン [ʔi⸢ʧit⸣ʧiŋ] (五粒) ⸢ムッチン [⸢mutʧiŋ] (六粒) ナ⸢ナッ⸣チン [na⸢nat⸣ʧiŋ] (七粒) ⸢ヤッチン [⸢jatʧiŋ] (八粒) ク⸢ヌッ⸣チン [ku⸢nut⸣ʧiŋ] (九粒))。 フ⸢チ⸣ロー プ⸢ス⸣フチシ ⸢トゥッチン⸣ナー ヌ⸢マラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣roː pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧiʃi ⸢tutʧinnaː⸣ nu⸢mara⸣nu] (薬は一口で十粒ずつは飲めない) 11279 0 0 10937 htmvoc_11279.wav ドゥットゥ ドゥッ⸢トゥ [dut⸢tu] 副 誠に。甚だ。極めて。大変。非常に。「堂堂」から転訛した⸢ドゥードゥ[⸢duːdu]が再転訛したものであろう。 ⸣アイブ ⸣クトゥン ア⸢リ⸣ル ⸢ブーヌ⸣ ドゥッ⸢トゥ⸣ ミ⸢ジラサ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣サー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣ru ⸢buːnu⸣ dut⸢tu⸣ mi⸢ʤirasa⸣nu na⸢ran⸣saː] (あんなこともあるが、誠に珍しくてたまらないよ)。 プ⸢スニンギン⸣ヌ ⸣アイブ ⸣クトゥンティン シ⸢ラリ⸣ ドゥッ⸢トゥ⸣ ピ⸢ルマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢suniŋgin⸣nu ⸣ʔaibu ⸣ku̥tutiŋ ʃi⸢rari⸣ dut⸢tu⸣ pi⸢rumasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (人間が、あんなことも出来るなんて誠に<極めて>不思議で<珍しくて>たまらない)。 ブ⸢ドゥロー⸣ ドゥッ⸢トゥ⸣ ミ⸢グトゥ ユン [bu⸢duroː⸣ dut⸢tu⸣ mi⸢gutu juŋ] (踊りは実に<極めて>見事であるよ) 11280 0 1 10938 htmvoc_11280.wav ドゥットゥ ⸣ドゥットゥ [⸣duttu] 名 {Mn_1}幼児語。鶏。 ⸣ドゥットゥヌ クン⸢ドー [⸣duttunu kun⸢doː] (鶏が来るよ)。 11280 0 2 10939 htmvoc_11280.wav ドゥットゥ ⸣ドゥットゥ [⸣duttu] 名 {Mn_2}鶏を呼ぶ声。 ⸢ドゥットゥー ドゥットゥー⸣ティ ウ⸢ヤー⸣ルカー トゥ⸢ロー⸣ ア⸢ツァ⸣マルン⸢ダー [⸢duttuː duttuː⸣ti ʔu⸢jaː⸣rukaː tu⸢roː⸣ ʔa⸢ʦa⸣marun⸢daː] (ドゥットゥー ドゥットゥーと叫んだら鶏が集まるよ) 11281 0 0 10940 htmvoc_11281.wav トゥッピニ ⸢トゥッ⸣ピニ [⸢tup⸣pini] 副 突飛に。突然に。急に。標準語からの借用語。普通は⸢アッ⸣タニ[⸢ʔat⸣tani](突然に、急に)という。 ⸢ワー⸣ アイニ ⸢トゥッ⸣ピニ ア⸢ズユンダー バン⸣マー ⸢ピントー⸣ サ⸢ラヌ [⸢waː⸣ ʔaini ⸢tup⸣pini ʔa⸢ʣujundaː bam⸣maː ⸢pintoː⸣ sa⸢ranu] (君があんなに突然に言うので、私には返答が出来ないよ) 11282 0 0 10941 htmvoc_11282.wav トゥッフェー トゥッ⸢フェー [tuɸ⸢ɸeː] 名 擬声語。勢いよく唾をぺッと吐いて悪霊祓いをすること。悪霊などの気配がするときに、トゥッ⸢フェー⸣ トゥッ⸢フェー[tuɸ⸢ɸeː⸣ tuɸ⸢ɸeː]といって唾を吐き、悪霊を\ruby{祓}{ハラ}った。 ヤ⸢ナムヌ⸣ヌ ブ⸢リン⸣ギサ ⸣トンマー トゥッ⸢フェー⸣ トゥッ⸢フェー シー⸣ パリ⸢ヨー [ja⸢namunu⸣nu bu⸢riŋ⸣gisa ⸣tommaː tuɸ⸢ɸeː⸣tuɸ⸢ɸeː ʃiː⸣ pari⸢joː] (悪霊のいそうな所はトゥッ⸢ふェー⸣ トゥッ⸢ふェーと唱えながら唾を吐いて行きなさいよ) 11283 0 0 10942 htmvoc_11283.wav トゥドゥキ トゥ⸢ドゥ⸣キ [tu⸢du⸣ki] 名 届け。届出。 ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢ル⸣カー ヤ⸢ク⸣バーヌ トゥ⸢ドゥキ⸣ヌ アン⸢ダー [f⸢fanu⸣ ma⸢ru⸣kaː ja⸢ku⸣baːnu tu⸢duki⸣nu ʔan⸢daː] (子供が生まれると役場への届出があるよ)。 トゥ⸢ドゥ⸣ケー ン⸢ザ⸣シェーンカヤー [tu⸢du⸣keː ʔn⸢ʣa⸣ʃeːŋkajaː] (届出は出した<提出した>かねえ) 11284 0 0 10943 htmvoc_11284.wav トゥドゥキルン トゥ⸢ドゥキ⸣ルン [tu⸢duki⸣ruŋ] 他動 届ける。先方へ持って行く。送る。 ウ⸢キ⸣ナーヌ ニ⸢ム⸣チ トゥ⸢ドゥキ⸣ルンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢ビンヌ ナー⸣ンダ トゥ⸢ドゥキララ⸣ヌ [ʔu⸢ki⸣naːnu ni⸢mu⸣ʧi tu⸢duki⸣runti ⸢beːn⸣du ⸢binnu naː⸣nda tu⸢dukirara⸣nu] (沖縄への荷物を届けようとしているが、船便がないので届けられない)。 トゥ⸢ドゥキ⸣ル ⸣ムノー ⸢パー⸣ク トゥ⸢ドゥキ⸣リ [tu⸢duki⸣ru ⸣munoː ⸢paː⸣ku tu⸢duki⸣ri] (届けるものは早く届けよ)。 トゥ⸢ドゥキ⸣ プサカー ⸢パー⸣ク トゥ⸢ドゥ⸣ケー ⸣ミサムヌ [tu⸢duki⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku tu⸢du⸣keː ⸣misamunu] (届けたかったら早く届ければ良いのに) 11285 0 0 10944 htmvoc_11285.wav トゥドゥクールン トゥ⸢ドゥクー⸣ルン [tu⸢dukuː⸣ruŋ] 自動 \ruby{滞}{トドコオ}る。標準語の転訛したもの。若年層の使用語。老年層は、タ⸢マルン[ta⸢maruŋ](溜まる)を多用する。 ウ⸢カ⸣ヌ パ⸢ライミー⸣ヌ トゥ⸢ドゥクー⸣ルン [ʔu⸢ka⸣nu pa⸢raimiː⸣nu tu⸢dukuː⸣ruŋ] (借金の支払いが滞る)。 トゥ⸢ドゥクーラ⸣ヌ [tu⸢dukuːra⸣nu] (滞らない)。 トゥ⸢ドゥクー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [tu⸢dukuː⸣ri ⸢naː⸣nu] (滞ってしまった)。 トゥ⸢ドゥクー⸣ル ⸣クトゥン ⸣アン [tu⸢dukuː⸣ru ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (滞ることもある) 11286 1 0 10945 htmvoc_11286.wav トゥドゥクン トゥ⸢ドゥ⸣クン [tu⸢du⸣kuŋ] 自動 {PoS_1}届く。 ア⸢チ⸣ライ ⸣シケータ シ⸢ナムノー⸣ キュー トゥ⸢ドゥ⸣クンティ シ⸢タヌ⸣ マ⸢ダ⸣ トゥ⸢ドゥカン⸣バン [ʔa⸢ʧi⸣rai ⸣ʃi̥keːta ʃi⸢namunoː⸣ kjuː tu⸢du⸣kunti ʃi̥⸢tanu⸣ ma⸢da⸣ tu⸢dukam⸣baŋ] (注文して<誂えて>おいた品物は今日届くと言ったが、まだ届かないよ)。 カ⸢マーバー⸣キ トゥ⸢ドゥ⸣ク ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ トゥ⸢ドゥ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ka⸢maːbaː⸣ki tu⸢du⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu tu⸢du⸣keː ⸣misamunu] (あそこまで届くことはないが、届けば良いのに)。 ⸢ティー⸣ヤ トゥ⸢ドゥ⸣キ ⸢ベー⸣ン [⸢tiː⸣ja tu⸢du⸣ki ⸢beː⸣ŋ] (手は届いている)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ドゥ⸣キ [⸢paː⸣ku tu⸢du⸣ki] (早く届け)。 11286 2 0 10946 htmvoc_11286.wav トゥドゥクン トゥ⸢ドゥ⸣クン [tu⸢du⸣kuŋ] 他動 {PoS_2}届ける。 トゥ⸢ドゥ⸣キ ⸣ミサカー ク⸢レー⸣ バー トゥ⸢ドゥ⸣クン [tu⸢du⸣ki ⸣misakaː ku⸢reː⸣ baː tu⸢du⸣kuŋ] (届けてよければ、これは私が届ける)。 ⸢ワー⸣ トゥ⸢ドゥカン⸣カー トゥ⸢ドゥ⸣ク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢waː⸣ tu⸢dukaŋ⸣kaː tu⸢du⸣ku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (君が届けないと、届ける人はいない)。 ⸣ドゥーシ トゥ⸢ドゥ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi tu⸢du⸣keː ⸣misamunu] (自分で届ければ良いのに)。 ク⸢リン⸣ トン トゥ⸢ドゥ⸣キ [ku⸢rin⸣ton tu⸢du⸣ki] (彼の所に届けろ) 11288 0 0 10947 htmvoc_11288.wav トゥトゥヌーン トゥ⸢トゥ⸣ヌーン [tu̥⸢tu⸣nuːŋ] 他動 整える。整理する。調整する。揃える。「諧・剪・飾・整、トトノフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣キンカーン トゥ⸢トゥノーム⸣ティ プ⸢スヌ⸣ マイナー ウ⸢タ⸣ヌ イ⸢ザリラー [⸣kiŋkaːn tu̥⸢tunoː⸣muti pu̥⸢sunu⸣ mainaː ʔu⸢ta⸣nu ʔi⸢ʣariraː] (衣類も揃えないで人前で歌が歌えるものか)。 トゥ⸢トゥヌイ⸣ プサンドゥ ⸣バー トゥ⸢トゥ⸣ヌーンティ ⸢スー⸣カー ⸢マーズン⸣ トゥ⸢トゥ⸣ヌー プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ ナルツォー [tu̥tunui⸣ pu̥sandu ⸣baː tu̥⸢tu⸣nuːnti ⸢suː⸣kaː ⸢maːʣun⸣ tu̥⸢tu⸣nuː pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːn⸣naruʦoː] (整えたいが、私が整えようとすると、一緒に整える人がいなくなるそうだ)。 トゥ⸢トゥヌイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu̥⸢tunui⸣jaː ⸣misamunu] (整えればよいのに)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢トゥ⸣ヌイバ [⸢paː⸣ku tu̥⸢tu⸣nuiba] (早く整えなさいよ) 11287 0 0 10948 htmvoc_11287.wav トゥトゥヌイルン トゥ⸢トゥヌイ⸣ルン [tu⸢tunui⸣ruŋ] 他動 整える。整理する。整頓する。「~止止乃布<ととのふ>、又、伊佐奈布<いさなふ>」『新撰字鏡』の転訛したもの。 トゥ⸢トゥヌイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ バン⸣マー トゥ⸢トゥヌイララ⸣ヌ [tu̥⸢tunui⸣runti ⸢sundu bamm⸣maː tu̥⸢tunuirara⸣nu] (整えようとするが、私には整えられない)。 トゥ⸢トゥ⸣ヌイ ッ⸢ふィーリ [tu̥⸢tu⸣nui f⸢fiːri] (整えてくれ)。 トゥ⸢トゥヌイ⸣ル プ⸢ソー⸣ ⸢ブラーヌ [tu̥⸢tunui⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (整える人はいない)。 トゥ⸢トゥヌイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu̥⸢tunui⸣jaː ⸣misamunu] (整えれば良いのに)。 ⸣ドゥーシ トゥ⸢トゥヌイ⸣リ [tutunui⸣ri] (自分で整えろ) 11289 0 0 10949 htmvoc_11289.wav トゥドゥマララヌ トゥ⸢ドゥマララ⸣ヌ [tu⸢dumarara⸣nu] 自動 留まることができない。トゥ⸢ドゥマ⸣ルン[tu⸢duma⸣ruŋ](留まる)の未然形 11290 0 0 10950 htmvoc_11290.wav トゥドゥマルン トゥ⸢ドゥマ⸣ルン [tu⸢duma⸣ruŋ] 自動 とどまる(留まる)。もとと同じ所にあって動かない。滞在する。 ア⸢ツァーバー⸣ケー ⸣クナー トゥ⸢ドゥ⸣マルンティ シ⸢タンドゥ⸣ トゥ⸢ドゥマララン⸣ツォー [ʔa⸢ʦaːbaː⸣keː ⸣kunaː tu⸢du⸣marunti ʃi̥⸢tandu⸣ tu⸢dumaran⸣ʦoː] (明日までそこに留まる<滞在する>といったが、留まらないそうだ)。 トゥ⸢ドゥ⸣マリ ⸣ミサカー トゥ⸢ドゥ⸣マル ⸣クトー ⸣ナルン [tu⸢du⸣mari ⸣misakaː tu⸢du⸣maru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (留まって良ければ留まることは出来る)。 ⸣クナー トゥ⸢ドゥマレー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː tu⸢dumareː⸣ misamunu] (此処に留まれば良いのに)。 ⸢ワー⸣ クナー トゥ⸢ドゥマリ⸣バ [⸢waː⸣ kunaː tu⸢dumari⸣ba] (君は此処に留まれよ) 11291 0 0 10951 htmvoc_11291.wav トゥドゥミルン トゥ⸢ドゥミルン [tu⸢dumiruŋ] 他動 とどめる(留める)。 ⸢ウッ⸣ツァ ⸣クナー トゥ⸢ドゥミルンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ トゥ⸢ドゥミララン⸣ツォー [⸢ʔut⸣ʦaː ⸣kunaː tu⸢dumirunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du tu⸢dumiraran⸣ʦoː] (彼らは此処に留めようと思ったが、留められないそうだ)。 トゥ⸢ドゥミル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [tu⸢dumiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (留めることは出来ない)。 トゥ⸢ドゥミ⸣レー ⸣ミサムヌ [tu⸢dumi⸣reː ⸣misamunu] (留めれば良いのに)。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢ドゥミ⸣リ [ʔu⸢reː⸣ tu⸢dumi⸣ri] (彼は留めろ) 11292 0 1 10952 htmvoc_11292.wav トゥドゥルクン トゥ⸢ドゥル⸣クン [tu⸢duru⸣kuŋ] 自動 {Mn_1}とどろく(轟く)。響き渡る。鳴り響く。 ⸢カンナール⸣ヌ ウ⸢トゥヌ⸣ トゥ⸢ドゥル⸣クン [⸢kannaːru⸣nu ʔu⸢tunu⸣ tu⸢duru⸣kuŋ] (雷の音が鳴りとどろく)。 ⸢ラッパ⸣ヌ ウ⸢トー パイ⸣ター ⸢バー⸣キン トゥ⸢ドゥル⸣クンティ シ⸢タヌ⸣ トゥ⸢ドゥルカン⸣シェン [⸢rappa⸣nu ʔu⸢toː pai⸣taː ⸢baː⸣kin tu⸢duru⸣kunti ʃi̥⸢tanu⸣ tu⸢durukaŋ⸣ʃeŋ] (ラッパの音は西表まで響きわたるといったが、響き渡らなかった)。 ク⸢マーバー⸣キン トゥ⸢ドゥルキ⸣ ブー [ku⸢maːbaː⸣kin tu⸢duruki⸣ buː] (ここまでも鳴り響いている)。 トゥ⸢ドゥル⸣ク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [tu⸢duru⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (鳴り響くことはない)。 トゥ⸢ドゥル⸣ケー ⸣ミサムヌ [tu⸢duru⸣keː ⸣misamunu] (鳴り響けば良いのに)。 トゥ⸢ドゥル⸣キ [tu⸢duru⸣ki] (鳴り響け)。 11292 0 2 10953 htmvoc_11292.wav トゥドゥルクン トゥ⸢ドゥル⸣クン [tu⸢duru⸣kuŋ] 自動 {Mn_2}有名になる。 ウ⸢リヌ ナーヤ ヤイマズー⸣ トゥ⸢ドゥルキ⸣ ブー [ʔu⸢rinu naːja jaimaʣuː⸣ tu⸢duruki⸣ buː] (彼の名は八重山中に響き渡っている) 11293 0 0 10954 htmvoc_11293.wav トゥナガスン トゥ⸢ナガスン [tu⸢nagasuŋ] 他動 飛び出させる。\ruby{疾走}{シッ|ソウ}させる。逃がす。 ⸣アイニ フ⸢ニ⸣バ トゥ⸢ナガシェー⸣ティ ⸢アーク⸣ヌ ⸢ヌーシ⸣カヤー トゥ⸢ナガサンモー⸣ マ⸢シー⸣ ヤ⸢ルヌ [⸣ʔaini ɸu⸢ni⸣ba tu⸢nagaʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣nu ⸢nuː⸣ʃikaja tu⸢nagasammoː⸣ ma⸢ʃiː⸣ ja⸢runu] (あんなに舟を疾走させているが如何なものだろうか{EOS}疾走させないのがいいのだが)。 トゥ⸢ナガス⸣ ピンマー トゥ⸢ナガスン [tu⸢nagasu⸣ pimmaː tu⸢nagasuŋ] (疾走させる時は疾走させる)。 ⸢マー⸣ビン トゥ⸢ナガシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin tu⸢nagaʃeː⸣ misamunu] (もっと疾走させればいいのに)。 トゥ⸢ルマケー⸣ ミ⸢ラリ⸣ ブーバ ト⸢ナガシ [tu⸢rumakeː⸣ mi⸢rari⸣ buːba tu⸢nagaʃi] (鳥巻き<カツオの魚群を知らせるカツオドリの群れ>は見えて<見られて>いるから、舟は全速で疾走せよ<全速疾走で魚群を追え>) 11294 0 0 10955 htmvoc_11294.wav トゥナグン トゥ⸢ナグン [tu⸢naguŋ] 自動 逃げる。飛び出す。\ruby{遁走}{トン|ソウ}する。疾走する。 ピー⸢ドーッ⸣ティ ス⸢クター⸣ トゥ⸢ナギ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [piː⸢doːt⸣ti su̥kutaː⸣ tu⸢nagi⸣ pari ⸢naː⸣nu] (火事だ{EOS!}と聞いたので飛び出して行ってしまった)。 トゥ⸢ナグ⸣ ス⸢コール シーベー⸣バ トゥ⸢ナグンティ⸣ ウムーカー イ⸢チン⸣ ヤ⸢ラバン⸣ トゥ⸢ナガリン [tu⸢nagu⸣ su̥⸢koːru ʃiːbeː⸣ba tu⸢nagunti⸣ ʔumuːkaː ʔi⸢ʧiɲ jaraban⸣ tu⸢nagariŋ] (飛び出す準備をしているから、飛び出そうと思えば何時でも飛び出される)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ナゲー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku tu⸢nageː⸣ misamunu] (早く飛び出せば良いのに)。 プ⸢スシダキ⸣ トゥ⸢ナギ⸣バ [pu̥⸢suʃidaki⸣ tu⸢nagi⸣ba] (人先に<他人に先んじて>飛び出せ) 11082 0 0 10956 htmvoc_11082.wav トゥナミ トゥ⸢ナ⸣ミ [tu⸢na⸣mi] 名 \ruby{均}{ナラ}すこと。トゥ⸢ナミ⸣ルン[tu⸢nami⸣ruŋ](均す{EOS}平らにする)の連用形から転成した名詞。首里方言のtunamijuN(ならす)からの転訛。/ア⸢レニ⸣ ミ⸢ユル⸣ワ ウ⸢ム⸣トゥダキ ヤ⸢ラ⸣ブ タ⸢キドゥン⸣ ク⸢バマ⸣ダキ ク⸢ミヌ ヤ⸣イダキ パ⸢トゥバナ⸣リ/(あちらに見えるのは於茂登岳、屋良部崎、竹富島、小浜岳、古見の八重岳、鳩離島)<囃子>/イヤイーヤー シ⸢マヌ アリ⸣サマ ウ⸢フ⸣チ ⸢バナリヌ⸣ ア⸢ヌ⸣タ カ⸢ヌ⸣タヌ タ⸢カ⸣サ ピ⸢ク⸣サヤ トゥ⸢ナ⸣ミ ナ⸢ランサ⸣ シ⸢ジク⸣ ワ⸢シ⸣マニ ス⸢ダ⸣チ ン⸢チャ⸣リバ ⸢シントゥ⸣ タ⸢ヌマ⸣シ ム⸢ヌサミ⸣ ナマヌ パ⸢ヤ⸣シニ ク⸢ドゥ⸣キ ユ⸢ミユミ/(いやいや、誠に素晴らしい{EOS}島の情景<有様は>、大地<西表島>から離れたあちらこちらの島々は起伏に富んで美しい<高さ低さは均すことが出来ない>{EOS}つくづく我が島に育ってみると誠に楽しいものだ{EOS}今の囃子に口説を歌えよ)『鳩間島古典民謡古謡集』  11083 0 0 10957 htmvoc_11083.wav トゥナミルン トゥ⸢ナミ⸣ルン [tu⸢nami⸣ruŋ] 他動 平らにする。均す。 ⸢ターマ⸣シェー タ⸢カ⸣ディ ⸢タウ⸣ ナ⸢サン⸣ドーシ ク⸢ルバ⸣サーシ トゥ⸢ナミ⸣リ [⸢taːma⸣ʃeː ta⸢ka⸣di ⸢tau⸣ na⸢san⸣doːʃi ku⸢ruba⸣saːʃi tu⸢nami⸣ri] (水田は高い所、低い所の凸凹にしないで、クルバサー<馬鍬>を牛に引かせて均しなさい)。 トゥ⸢ナミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ プ⸢スム⸣シシェー トゥ⸢ナミララ⸣ヌ [tu⸢nami⸣runti ⸢sundu⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃiʃeː tu⸢namira⸣ranu] (均そうとするが、一回では均されない)。 トゥ⸢ナミ⸣ル ⸣クトー タ⸢ヤーッ⸣サー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢パー⸣ク トゥ⸢ナ⸣メー ⸣ミサムヌ [tu⸢nami⸣ru ⸣ku̥toː ta⸢jaːs⸣saː ⸢naːnu⸣nu ⸢paː⸣ku tu⸢na⸣meː ⸣misamunu] (均すことは容易くはないが、早く均せばよいのに)。 ⸣クマー トゥ⸢ナミ ヤッ⸣サン [⸣kumaː tu⸢nami jas⸣saŋ] (ここは均し易い)。 ⸢グスク⸣ヌ タ⸢カ⸣サ トゥ⸢ナミ⸣ルン [⸢gusu̥ku⸣nu tḁ⸢ka⸣sa tu⸢nami⸣ruŋ] (石垣の高さを\ruby{均}{ナラ}す)。 トゥ⸢ナミ⸣ル ⸣クトゥ [tu⸢mami⸣ru ⸣ku̥tu] (均すこと)。 トゥ⸢ナミ⸣リ [tu⸢nami⸣ri] (均せ)。歌謡語に、/~イヤイヤ シマヌ アリサマ ウフチバナリヌ アヌタカヌタヤ トゥナミ ナランサ シジク ワシマニ スダティ ンチャリバ シントゥ タヌマシムヌサミ~/(~いやいや<弥弥>、島の有り様<様子>はというと、大地<西表島>の離れ島のあちらこちらは均すことはできない{EOS}つづくわが島に育ってみれば誠に楽しいものだ{EOS}~『鳩間口説』)とある 11296 0 0 10958 htmvoc_11296.wav トゥナル トゥ⸢ナル [tu⸢naru] 名 隣。 トゥ⸢ナル⸣ナー ⸢ヤーウチ⸣リ ⸢シー⸣ ケーン [tu⸢naru⸣naː ⸢jaːʔuʧi⸣ri ⸢ʃiː⸣ keːŋ] (隣に引っ越して<家移りして>きた)。 ト⸢ナルヌ⸣ プ⸢ストー⸣ ユー ピ⸢ライ⸣リ⸢ダー [tu⸢narunu⸣ pu̥⸢sutoː⸣ juː pi⸢rai⸣ri⸢daː] (隣の人とはよく付き合いなさいよ) 11297 0 0 10959 htmvoc_11297.wav トゥナルキンズ トゥ⸢ナルキンズ [tu⸢narukinʣu] 名 隣近所。 トゥ⸢ナルキンズヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケン⸣ ミサー ア⸢ロー⸣ルン [tu⸢naru kinʣunu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kem⸣ misaː ʔa⸢roː⸣ruŋ] (隣近所の人は非常に親切でいらっしゃる<良い人でいらっしゃる>) 11298 0 0 10960 htmvoc_11298.wav トゥナルピライ トゥ⸢ナルピライ [tu⸢narupirai] 名 近所付き合い。近所交際。 トゥ⸢ナルピライヤー ゾー⸣ブンニ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー [tu⸢narupiraijaː ʣoː⸣bunni ⸢saŋ⸣kaː na⸢ran⸠daː] (近所付き合いは上手に<しっかりと>しないといけないよ) 11301 0 0 10961 htmvoc_11301.wav トゥナルプス トゥ⸢ナルプス [tu⸢narupu̥su] 名 隣人。隣の人。 トゥ⸢ナルプストー⸣ ユー ピ⸢ライ⸣リ⸢ヨー [tu⸢narupu̥sutoː⸣ juː pi⸢rai⸣ri⸢joː] (隣人とはよく交際し<付き合い>なさいね) 11299 0 0 10962 htmvoc_11299.wav トゥナルマール トゥ⸢ナルマール [tu⸢narumaːru] 名 近隣。近所一帯。 トゥ⸢ナルマール⸣ナー ⸢ギューキブル カー⸣ラヤーヤ ア⸢ル⸣ワ [tu⸢narumaːru⸣naː ⸢gjuːkiburu kaː⸣rajaːja ʔa⸢ru⸣wa] (隣近所には瓦葺の家が何軒あるか) 11300 0 0 10963 htmvoc_11300.wav トゥナルムラ トゥ⸢ナルムラ [tu⸢narumura] 名 隣村。 ⸢ウイバロー⸣ パ⸢トゥマ⸣ヌ トゥ⸢ナルムラ⸣ ヤ⸢レー⸣ティ ⸣ウマーラ ユ⸢ミン サーローッ⸣タツォー [⸢ʔuibaroː⸣ pḁ⸢tuma⸣nu tu⸢narumura⸣ ja⸢reː⸣ti ⸣ʔumːara ju⸢min saːroːt⸣taʦoː] (上原村は鳩間の隣村だから、そこから嫁も連れてこられたそうだ) 11302 0 0 10964 htmvoc_11302.wav トゥニムトゥ トゥ⸢ニムトゥ [tu⸢nimutu] 名 村のそうけ<宗家>。「根元」の義か。豊年祭の旗頭を納め、保管している家。東村は、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家)。西村はア⸢ザテー[ʔa⸢ʣateː](東里家{EOS}ヨーカヤーからの分家)で、ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](アラカー御嶽のピキ)を氏神として祀っている。伝承によると、もともと西村の⸢ヨー⸣カヤー[⸢joː⸣kajaː](西原家)の人がミ⸢ジムトゥ[mi⸢ʣimutu](水源)の神としてア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽)を信仰して豊作続きとなったことから、同家に保管されていた雌雄の旗頭の中、雄の旗頭を東村の友利家の懇請により譲られた結果、村全体が豊作になったという故事により、豊年祭を村全体の神行事にされたという 11303 0 0 10965 htmvoc_11303.wav トゥニムトゥヌウタ トゥ⸢ニムトゥヌ⸣ ウタ [tu⸢nimutunu⸣ ʔuta] 連 豊年祭の歌。神歌の一種。旗頭をトゥニムトゥに納める際に歌われる。/⸣ヘイヤー ク⸢ヌ トゥンチ⸣ヌ ホー マ⸢ブ⸣ルシュ ⸣ヘイヤー トゥ⸢ニムトゥヌ⸣ ホー ⸣ウヤガミ ⸣ヘイヤー ウ⸢ユミ⸣サ ⸣ホー ア⸢ラ⸣バン ⸣ヘイヤー ナ⸢ユミ⸣サ ⸣ホー ア⸢ラ⸣バン ⸣ヘイヤー ウ⸢ス⸣バユティ ⸣ホー ウ⸢ガ⸣マディ ⸣ヘイヤー チ⸢カ⸣クユティ ⸣ホー ウ⸢ガ⸣マディ/(へいやー<囃子>、この殿内の ほー<囃子>、守り神、へいやー 村の宗家の、ほう 親神、へいやー 畏れ多くはあっても、へいやー 有難くもったいないことではあっても、へいやー お傍に寄って拝もうよ、へいやー お近くによって拝みましようよ)『鳩間島古典民謡古謡集』 11304 0 0 10966 htmvoc_11304.wav トゥヌサマブシ トゥ⸢ヌサ⸣マブシ [tu⸢nusa⸣mabuʃi] 名 西表租納村の歌謡。/ウキユニ ナトゥタル クイヌ ウジガミ スナイヌ トゥヌサマ バンドゥ ヤユル カマドマクトゥ ウムイドゥ フナウキニ イクバヨ/(浮世に名を立てた恋のの氏神とは私でござる{EOS}カマドマのことを思って<恋い忍んで>船浮村に行くところだ)と歌われる 11305 0 0 10967 htmvoc_11305.wav トゥヌスク ⸣トゥヌスク [⸣tunusu̥ku] 名 (地)登野城。石垣市旧四個村の最も東の村。かつては沖縄県の支庁、石垣市役所などがあり、行政の中心地であった。 ⸣トヌスクナー ウ⸢トゥザ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸣tunusu̥kunaː ʔu⸢tuʣa⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (登野城には親戚がいらっしゃる) 11306 0 0 10968 htmvoc_11306.wav トゥヌスクヌアジャー ⸣トゥヌスクヌ ⸣アジャー [⸣tunusu̥kunu ⸣ʔaʤaː] 連 人名。登野城村の兄さん。 ⸣トヌスクヌ ⸣アジャー ⸢デージ⸣ナ ⸢ギー⸣ムチ ヤ⸢ロー⸣ルティバン⸢ナー [⸣tunusu̥kunu ⸣ʔaʤaː ⸢deːʤi⸣na ⸢giː⸣muʧi ja⸢roː⸣rutiban⸢naː] (登野城の兄さんは大変な芸持ちであられるそうだねえ) 11308 0 0 10969 htmvoc_11308.wav トゥヌマールー トゥ⸢ヌマー⸣ルー [tu⸢numaː⸣ruː] 名 うろたえる<\ruby[g]{狼狽}{ウロタ}える>こと。あわてふためく<\ruby{慌}{アワ}てふためく>こと。沖縄本島方言からの借用語。 ア⸢タヤンバ シール⸣ プ⸢スバ⸣ トゥ⸢ヌマー⸣ル シ⸢ミ⸣ シケータ [ʔa⸢tajamba ʃiːru⸣ pu̥⸢suba⸣ tu⸢numaː⸣ru ʃi⸢mi⸣ʃi̥keːta] (急病をして、回りの者<他人>をうろたえさせていた)。 ⸢アッ⸣タニ イ⸢ザリティ ヌー⸣ル ⸣ヌーティン ア⸢ティンガーラヌ⸣ トゥ⸢ヌマー⸣ル ⸢シー ベー⸣タ [⸢ʔat⸣tani ʔi⸢ʣariti nuː⸣ runuːtiŋ ʔa⸢tiŋgaːranu⸣ tu⸢numaː⸣ru ⸢ʃiː beː⸣ta] (急に叱られて、何が何だか見当がつかず、うろたえていた) 11309 0 0 10970 htmvoc_11309.wav トゥバシパルン トゥ⸢バシ⸣ パルン [tu⸢baʃi⸣ paruŋ] 連 飛ばして行く。飛んでいく。大急ぎで走って行く。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キティ⸣ トゥ⸢バシ パッ⸣タヤー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kiti⸣ tu⸢baʃi pat⸣tajaː] (その話を聞いて飛んで行った<大急ぎで走っていった>よ) 11310 0 0 10971 htmvoc_11310.wav トゥバシプー トゥ⸢バシプー [tu⸢baʃipuː] 名 帆桟の無い帆。和船の帆。⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː](桟のある帆)導入以前の帆の形。この形式の帆では、船を風上の方向へ旋回させることが出着なかったという。風の力で、⸢ドング⸣ヤビ[⸢doŋgu⸣jabi](道具破損{EOS}帆や帆柱などの船具を破損すること)が多かったという。帆の形は長方形。帆の最上段と最下段には⸢プーギタ[⸢puːgita](帆桁{EOS}帆の桁材{EOS}強い木材を利用した)があり、中間には帆桁が無い。上段と下段の帆桁にはウ⸢チ⸣マー[ʔu⸢ʧi⸣maː]という縄が張られており、これで帆桁を帆柱から離さない仕掛けになっている。下段の⸢プーギタ(帆桁)の両端に⸢ジー⸣ヨー[⸢ʤiːjoː]という縄が結ばれており、帆を操作する際に使った。帆の左側を⸣カタ[⸣kḁta](肩)といい、右側をッ⸢ス[s⸢su](裾)という。帆の左側中央部と、その下に2本の⸢ジー⸣ヨー[⸢ʤiː⸣joː](縄)が結ばれていた 11311 0 1 10972 htmvoc_11311.wav トゥバスン トゥ⸢バスン [tu⸢basuŋ] 他動 {Mn_1}飛ばす。空に上げる。 ピ⸢キダマ⸣ トゥ⸢バスンティ ベーン⸣ドゥ カ⸢ジヌ ナーン⸣ダ トゥ⸢バサラヌ [pi̥⸢kidama⸣ tu⸢basunti beːn⸣du ka⸢ʤinu naːn⸣da tu⸢basaranu] (凧を揚げようとしているが、風がないので揚げられない)。 ⸣クナーテー ピ⸢キダマ⸣ トゥ⸢バシ⸣ ミサン [⸣kunaːteː pi̥⸢kidama⸣ tu⸢baʃi⸣ misaŋ] (ここでは凧を揚げてもよい)。 ⸣クナーテー トゥ⸢バス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaːteː tu⸢basu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここで飛ばす<揚げる>ことは出来ない)。 ⸣カナーティ トゥ⸢バシェー⸣ ミサムヌ [⸣kanaːti tu⸢baʃeː⸣ misamunu] (あそこで飛ばせば<揚げれば>良いのに)。 11311 0 2 10973 htmvoc_11311.wav トゥバスン トゥ⸢バスン [tu⸢basuŋ] 他動 {Mn_2}自然の風で籾殻を飛ばしたり、み<箕>であおり振って穀物などの屑や籾殻を飛ばして除き去る。 ム⸢ミ⸣ トゥ⸢バシ [mu⸢mi⸣ tu⸢baʃi] (籾殻を風で飛ばせ)。 11311 0 3 10974 htmvoc_11311.wav トゥバスン トゥ⸢バスン [tu⸢basuŋ] 他動 {Mn_3}補助動詞。動詞の連用形に付いて、動作を強めたり、勢いを強めたりする。 バ⸢ライ トゥバスン [ba⸢rai tuasuŋ] (笑い飛ばす) 11312 0 0 10975 htmvoc_11312.wav トゥバラーマ トゥ⸢バラー⸣マ [tu⸢baraː⸣ma] 名 トゥバラーマ節。八重山を代表する情歌の一つ。「トゥバラ」は「とのばら<殿原>」の転訛で「高貴な方々、または男子の尊称」という『八重山民謡誌』。-マ[-ma]は愛称の指小辞。 ム⸢カ⸣シェー シ⸢キヌ⸣ユーナーヤ バ⸢カー⸣ムンケー ア⸢ツァ⸣マリティ トゥ⸢バラー⸣マ イ⸢ゾーリ⸣バ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サタン⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ʃi̥⸢kinu⸣juːnaːja ba⸢kaː⸣muŋkeː ʔa⸢ʦa⸣mariti tu⸢baraː⸣ma ʔi⸢ʣoːri⸣ba ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣sa⸣tan⸢daː] (昔は、月夜には若者達が集まってトゥバラーマ節を歌われるので、非常に面白かったよ) 11313 0 0 10976 htmvoc_11313.wav ドゥバルン ドゥ⸢バ⸣ルン [du⸢ba⸣ruŋ] 自動 疲労困憊する。ひどく疲れる。 キ⸢ノー⸣ヤ ドゥ⸢バ⸣ルンケン シ⸢グトゥ⸣ シ⸢タンドゥ キュー⸣ヤ ドゥ⸢バラン⸣シェン [ki⸢noː⸣ja du⸢ba⸣ruŋkeŋ ʃi⸢gutu⸣ ʃi̥tandu kjuː⸣ja du⸢baraŋ⸣ʃeŋ] (昨日は疲労困憊するほど仕事をしたが、今日はひどく疲れなかった)。 ドゥ⸢バ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [du⸢ba⸣ri ⸢naː⸣nu] (疲労困憊してしまった)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ シ⸢グトゥ⸣シ ドゥ⸢バ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ʃi⸢gutu⸣ʃi du⸢ba⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これぽっちの仕事で疲労困憊することはない) 11314 0 0 10977 htmvoc_11314.wav トゥビアガルン トゥ⸢ビアガルン [tu⸢biʔagaruŋ] 自動 飛び上がる。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢ダラカ⸣スカー トゥ⸢ビアガルン⸠ダー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔu⸢daraka⸣su̥kaː tu⸢biʔagarun⸠daː] (この子は驚かすと飛び上がるよ) 11315 0 0 10978 htmvoc_11315.wav トゥビイカ トゥ⸢ビイカ [tu⸢biʔika] 名 (動)スルメイカ。標準語からの借用語か。鳩間島ではア⸢ガイガ[ʔa⸢gaʔiga](赤烏賊)ともいう。胴長約30センチ。旧暦8,9月頃鳩間島の北4~20kmの沖でイ⸢ガメー[ʔi⸢gameː](集魚灯による烏賊釣り漁)で漁獲される。するめの原料となる。大型のトゥ⸢ビイカは、⸢アンマー⸣イカ[⸢ʔammaː⸣ʔika](母さん烏賊)という。 イ⸢ガメーラ ホー⸣ソール イ⸢ガー⸣ ムー⸢ル⸣ トゥ⸢ビイカ ヤッタル [ʔi⸢gameːra hoː⸣soːru ʔi⸢gaː⸣ muː⸢ru⸣ tu⸢biʔika jattaru] (烏賊釣り漁で漁獲される<釣られる>烏賊はみんなトゥビイカであった) 11316 0 0 10979 htmvoc_11316.wav トゥビイズ トゥ⸢ビイズ [tu⸢biʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ツマリトビウオ(飛魚{EOS}体長約17センチ)。老年層は、トゥ⸢ブ[tu⸢bu](飛魚)という。和名、アヤトビウオ(体長約25センチ)。和名、アカトビの仲間(体長約30センチ)。和名、オオメナットビ(体長約35センチ)の総称。 パ⸢トゥ⸣マナー トゥ⸢ビイズ⸣ トゥル プ⸢ソー オーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaː tu⸢biʔiʣu⸣ turu pu̥⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島では飛魚を漁獲する人は居られなかった)。体長約30センチのトゥビイズは胸びれが極めて大きく、一度に百メートル以上も空中飛行をすることができる 11317 0 0 10980 htmvoc_11317.wav トゥビウキルン トゥ⸢ビウキ⸣ルン [tu⸢biʔuki⸣ruŋ] 自動 飛び起きる。跳ね起きる。急に起き上がる。 ウ⸢ヤー⸣リ ウ⸢コー⸣スカー トゥ⸢ビウキルン [ʔu⸢jaː⸣ri ʔu⸢koː⸣su̥kaː tu⸢biukiruŋ] (大声を出して起すと飛び起きる)。 トゥ⸢ビウキル⸣ ピンマー ⸣イロー ッ⸢サイ⸣ス [tu⸢biukiru⸣ pimmaː ⸣ʔiroː s⸢sai⸣su] (飛び起きる時は顔面蒼白になる<顔色は白む>)。 トゥ⸢ビウキラヌ [tu⸢biukiranu] (飛び起きない)。 ⸢アイ⸣ジ ⸢スー⸣カー トゥ⸢ビウキリ [⸢ʔai⸣ʤi ⸢suː⸣kaː tu⸢biukiri] (合図したら飛び起きろ) 11318 0 0 10981 htmvoc_11318.wav トゥビウクン トゥ⸢ビウクン [tu⸢biukuŋ] 自動 飛び起きる。「飛び・起く<上ニ段>」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢チ⸣ヌ タ⸢カー⸣ ナルカー トゥ⸢ビウクン⸠ダー [ja⸢ra⸣beː ni⸢ʧi⸣nu tḁ⸢kaː⸣ narukaː tu⸢biʔukun⸠daː] (子供は熱が高くなると飛び起きるよ)。 ⸢ナイ⸣ヌ シ⸢ター⸣ ト⸢ビウキティ⸣ ミ⸢ナ⸣カー ⸢トゥンジ パッ⸣タ [⸢nai⸣nu ʃi̥⸢taː⸣ tu⸢biukiti⸣ mi⸢na⸣kaː ⸢tunʤi pat⸣ta] (地震がしたので飛び起きて庭へ飛び出していった) 11319 0 0 10982 htmvoc_11319.wav トゥビオーブ トゥ⸢ビオーブ [tu⸢biʔoːbu] 名 病気の名。⸢オーブ[⸢ʔoːbu](筋炎、myositis{EOS}筋肉内に化膿菌によっておこる炎症)『医学沖縄語辞典』が飛び飛びに発症する腫れ物。 トゥ⸢ビオーブヌ⸣ ウマーカ⸢マー⸣ナー ⸣ンジティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢デー⸣ジ ⸢シー ナー⸣ヌ [tu⸢biʔoːbunu⸣ ʔumaːka⸢maː⸣naː ⸣ʔnʤiti ⸣jami na⸢ra⸣nu ⸢deː⸣ʤi ⸢ʃiː naː⸣nu] (トゥビオーブがあっちこち発症して痛くて堪らない{EOS}大変なことになってしまった) 11320 0 0 10983 htmvoc_11320.wav トゥビキン トゥ⸢ビキン [tu⸢bikiŋ] 名 死者を上から覆う白い衣。「飛び衣」の義。きょうかたびら(経帷子)。芭蕉布、麻布などで作ったが、現在は白の綿布で作っている。横にして\ruby{被}{カブ}せる。死者はこれを羽にして昇天するといわれている。 プ⸢スヌ マーラス⸣カー トゥ⸢ビキンバ⸣ カ⸢バ⸣ソーッタツォー [pu̥⸢sunu maːrasu⸣kaː tu⸢bikimba⸣ ka⸢ba⸣soːttaʦoː] (人が亡くなると飛び衣を被せられたそうだ) 11321 0 0 10984 htmvoc_11321.wav トゥビダイ トゥ⸢ビダイ [tu⸢bidai] 名 (動)⸢飛び大判」の義。特大のカツオ。秋カツオに多かった。10~15キログラムの大判のカツオのことをいう。 トゥ⸢ビダイヤー タンガ⸣シェー ア⸢ギユーソーラン⸣センティ⸢ダー [tu⸢bidaijaː taŋga⸣ʃeː ʔa⸢gijuːsoːraŋ⸣ʃenti⸢daː] (超大判のカツオ<飛び大判のカツオ>は一人では釣り上げることは出来なかったそうだよ) 11322 0 0 10985 htmvoc_11322.wav トゥビックムン トゥ⸢ビックムン [tu⸢bikkumuŋ] 自動 飛び込む。 ミ⸢チ⸣スー ⸣ナルカー ビ⸢コーンッふァー サンバ⸣シェーラ トゥ⸢ビックミシタ [mi⸢ʧi⸣suː ⸣narukaː bi⸢koːŋffaː samba⸣ʃeːra tu⸢bikkumiʃi̥ta] (満潮になると男の子は桟橋から飛び込んだ) 11323 0 0 10986 htmvoc_11323.wav トゥビヌールン トゥ⸢ビヌールン [tu⸢binuːruŋ] 自動 飛び乗る。進行中の乗り物に飛びついて乗る。 ⸣フニナ ヤッ⸢トゥ⸣シ トゥ⸢ビヌーリティ クー⸣タ [⸣ɸunina jat⸢tu⸣ʃi tu⸢binuːriti kuː⸣ta] (船にやっとのことで飛び乗ってきたよ) 11324 0 1 10987 htmvoc_11324.wav トゥビパルン トゥ⸢ビ⸣ パルン [tu⸢bi⸣ paruŋ] 連 {Mn_1}飛んでいく。 ⸣パトゥザヌ ⸢パイ⸣ター トゥ⸢ビパッ⸣タ ⸣ムー ミ⸢ル⸣タン [⸣pḁtuʣanu ⸢pai⸣taː tu⸢bipat⸣ta ⸣muː mi⸢ru⸣taŋ] (鳩が南端<西表島>へ飛んでいったのを見た)。 11324 0 2 10988 htmvoc_11324.wav トゥビパルン トゥ⸢ビ⸣ パルン [tu⸢bi⸣ paruŋ] 連 {Mn_2}走って行く。大急ぎで行く。 ウ⸢キ⸣ナーラ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣ケーンティ シ⸢キティ⸣ ドゥ⸢シ⸣ ン⸢カイン⸣ トゥ⸢ビ パッ⸣タ [ʔu⸢ki⸣naːra ɸu⸢ni⸣nu ⸣keːnti ʃi̥⸢kiti⸣ du⸢ʃi⸣ ʔŋ⸢kain⸣ tu⸢bipat⸣ta] (沖縄から船が来たと聞いて、友人を迎えに飛んで<走って>行った) 11325 0 0 10989 htmvoc_11325.wav トゥビムニ トゥ⸢ビムニ [tu⸢bimuni] 名 流言。\ruby{蜚語}{ヒ|ゴ}<飛語>。噂。デマ。「飛び言葉<物言い>」の義。 ⸣アイブ トゥ⸢ビムニバ マームニ⸣ティ シ⸢ケー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu tu⸢bimuniba maːmuni⸣ti ʃi̥⸢keː⸣ na⸢ra⸣nu] (あんな流言蜚語を本当のことばだと思っては<聞いては>いけないよ) 11326 0 0 10990 htmvoc_11326.wav トゥビヤツ トゥ⸢ビヤツ [tu⸢bijaʦu] 名 病気の名。幼児が感染する伝染性の皮膚病。とびひ。 トゥ⸢ビヤツヌ⸣ ンジティル ヤ⸢ミ⸣スティ ナ⸢キ ベー⸣ンドゥ ⸢ヌー⸣ル フ⸢チ⸣ルカヤー [tu⸢bijaʦunu⸣ ʔnʤitiru ja⸢mi⸣suti na⸢ki beː⸣ndu ⸢nuː⸣ru ɸu̥⸢ʧi⸣rukajaː] (とびひが出て<とびひに\ruby{罹患}{リ|カン}して>痛いといって泣いているが、何が薬かねえ) 11327 0 0 10991 htmvoc_11327.wav トゥビラー トゥ⸢ビ⸣ラー [tu⸢bi⸣raː] 名 蝶。蛾。 ヤ⸢マトゥクマ⸣シェー トゥ⸢ビ⸣ラーテー ア⸢ザンシェン⸣ナー [ja⸢matukuma⸣ʃeː tu⸢bi⸣raːteː ʔa⸢ʣaŋʃen⸣naː] (ゴキブリにはトゥビラーとは言わなかったねえ) 11328 0 0 10992 htmvoc_11328.wav トゥビラーマ トゥ⸢ビラー⸣マ [tu⸢biraː⸣ma] 名 \ruby{胡蝶}{コ|チョウ}。小さな蝶。マ[ma]は愛称の指小辞。 ⸢ダイクニ⸣ヌ ⸣パナナー トゥ⸢ビラーマ⸣ヌ トゥ⸢マリ ベー [⸢daikuni⸣nu ⸣panamaː tu⸢biraːma⸣nu tu⸢mari beː] (大根の花に胡蝶がとまっている) 11329 0 0 10993 htmvoc_11329.wav トゥビリ トゥ⸢ビリ [tu⸢biri] 名 (地名)ナカムリと友利御嶽のムリ(岡、盛り)を北に下った所からシマナカまでの一帯の畑地「巡見統計誌」(1885年)には、「トヒリ原」とあり、「本村ノ北ニ在リ地目五コヲジ程長二百間横二百間其所ニ盛在ヲ嶽アル」とある。 トゥ⸢ビリヌ⸣ パ⸢タ⸣キナー カ⸢ブッチバ⸣ イ⸢ビ⸣ シケー [tu⸢birinu⸣ pḁ⸢ta⸣kinaː ka⸢butʧiba⸣ ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keː] (\ruby{中岡}{ナカ|モリ}のトゥビリの畑にカボチャを植えてある) 11330 0 0 10994 htmvoc_11330.wav トゥブシ トゥ⸢ブ⸣シ [tu⸢bu⸣ʃi] 名 たいまつ(松明)。松の幹を鉛筆大に削って「ともし<灯し>」にしたもの。ア⸢カ⸣シ[ʔa⸢ka⸣ʃi](松明)ともいう。「炬、トモシビ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢パイタ⸣ナテー ⸢トゥール⸣ヌ ⸢カール⸣ トゥ⸢ブシ⸣バ ⸣シケーティル ガ⸢ル⸣ トゥ⸢ローッ⸣タ [⸢paita⸣nateː ⸢tuːru⸣nu ⸢kaːru⸣ tu⸢buʃi⸣ba ⸣ʃikeːtiru ga⸢roː⸣ tu⸢roːt⸣ta] (南端<西表島>ではランプ<灯籠>の代わりにトゥブシ<ともし{EOS}松明>を灯して明かりをとられたものだ) 11331 0 0 10995 htmvoc_11331.wav トゥブフニ トゥ⸢ブフニ [tu⸢buɸuni] 名 飛行機。飛行艇。水上飛行機。「飛び舟」の義。 イ⸢クサ⸣ヌ ⸣マイナ パ⸢トゥ⸣マナー トゥ⸢ブフニヌ⸣ ウレータン [ʔi⸢kusa⸣nu ⸣mainaː pḁ⸢tu⸣manaː tu⸢buɸuninu⸣ ʔureːtaŋ] (戦前<戦争の前に>鳩間島に飛行艇が下りたことがあった) 11332 0 0 10996 htmvoc_11332.wav トゥブン トゥ⸢ブン [tu⸢buŋ] 自動 飛ぶ。跳ぶ。高く舞い上がる。「~山等妣<トビ>越ゆる~。万、3687」の転訛したもの。 ⸣パトゥザヌ トゥ⸢ビ ベー [⸣pḁtuʣanu tu⸢bi beː] (鳩が飛んでいる)。 トゥ⸢ロー⸣ パトゥザヌ ⸣カタチニ トゥ⸢ブンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸣アイネー ト⸢バンバン [tu⸢roː⸣ pḁtuʣanu ⸣kḁtaʧini tu⸢bunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸣ʔaineː tu⸢bambaŋ] (鶏は鳩のように飛ぶと思ったが、あのようには飛ばないわい)。 ⸣パトゥザヌ トゥ⸢ブ⸣トンナー ヤー⸢ディン シー⸣ヌ ⸣アン [⸣pḁtuʣanu tu⸢bu⸣ tonnaː jaː⸢diŋ ʃiː⸣nu ⸣ʔaŋ] (鳩が飛ぶところには必ず巣がある)。 ⸣カナーティ トゥ⸢ベー⸣ ミサムヌ [⸣kanaːti tu⸢beː⸣ misamunu] (あそこで跳べば良いのに)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ビ [⸢paː⸣ku tu⸢bi] (早く飛べ)。 トゥ⸢ビ⸣ プサン [tu⸢bi⸣ pu̥saŋ] (飛びたい) 11333 0 0 10997 htmvoc_11333.wav トゥマー トゥ⸢マー [tu⸢maː] 名 とま(苫)。藁や茅を編んで薦<こも>につくり、小屋の屋根やシ⸢ラ[ʃi⸢ra](\ruby{稲叢}{イナ|ムラ})に被せて葺きあげ、雨風を防ぐもの。「苫、度万<とま>、編ニ菅茅一以覆レ屋根也『和名抄』」の転訛したもの。 ⸣ガヤーシ トゥ⸢マー⸣ フミティ シ⸢ラヌ ウイ⸣ フ⸢キ⸣ カ⸢バ⸣シバ [⸣gajaːʃi tu⸢maː⸣ ɸumiti ʃi⸢ranu ʔui⸣ ɸu̥⸢ki⸣ ka⸢ba⸣ʃi] (茅で苫を編んで稲叢の上を葺いて被せなさい) 11334 0 0 10998 htmvoc_11334.wav トゥマイクルー ⸣トゥマイクルー [⸣tumaikuruː] 名 (植)サツマイモの品種名。芋の中身が紫色を呈しており、煮ると甘味が出て美味しい。「泊黒<とまりくろ>」の義。紫色を⸣クルー[⸣kuruː](黒)と表現しているのは紫を黒と認識していて、緑色、青色、紫色、黒色など、波長の違いによる色の分割をしていないことを示している。 ⸣トゥマイクルーヤ バ⸢カス⸣カー サ⸢タ⸣ヌ ⸣カタチニ アマーア⸢マー⸣ シティ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [⸣tumaikuruːja ba⸢kasu⸣kaː sḁ⸢ta⸣nu ⸣kḁtaʧini ʔamaːʔa⸢maː⸣ʃi̥ti ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (トゥマイクルー<\ruby{藷}{イモ}>は煮ると砂糖のように甘くて大変美味しかった) 11335 0 0 10999 htmvoc_11335.wav トゥマダー トゥ⸢マダー [tu⸢madaː] 名 (地)。トゥ⸢マダー[tumadaː]。タ⸢カ⸣スク[tḁ⸢ka⸣su̥ku](⸢高底」の義か{EOS}地名)や、ブ⸢ナージマヌー[bu⸢naːʣimanuː](ブナージマの原野)の下流に開けた水田地帯。⸢ケー⸣ダー[⸢keː⸣daː](慶田)の西にある。トゥ⸢マダーヌ⸣ シ⸢キ⸣ムトゥ[tu⸢madanu⸣ ʃi̥⸢ki⸣mutu](トマダの水源<\ruby{堰元}{セキ|モト}>)から水を引く水田地帯。西側には、キ⸢ダバナ[ki⸢dabana](崖{EOS}断崖{EOS}「切り落ち端」の転訛か)があり、その崖下にはトゥ⸢マダー[tu⸢madaː](トマ田)、⸢ケー⸣ダー[⸢keː⸣daː](慶田)一帯の苗代があった。⸣ユージェー[⸣juːʣeː](松竹家{EOS}⸣ユザヤー{SqBr}⸣juʣajaː{/SqBr}<⸢寄合家」の転訛した語{EOS}「松竹家」のこと>ともいう)、カ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の水田があった 11336 0 0 11000 htmvoc_11336.wav トゥマヤー トゥ⸢マヤー [tu⸢majaː] 名 とまや(苫屋)。苫で屋根を葺いた簡単な小屋。畑の側に建てた休憩用の小屋。 ⸣アブジェー シ⸢マナカヌ⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー トゥ⸢マヤーバ⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸣ウナーティル ⸣アシン ン⸢コーッタ⸣ル [⸣ʔabuʤeː ʃi⸢manaknu⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː tu⸢majaːba⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔunaːtiru ⸣ʔaʃiŋ ʔŋ⸢koːtta⸣ru] (お祖父さんは島中の畑の畦に苫屋を作って、そこで昼食も召し上がられたよ) 11337 0 0 11001 htmvoc_11337.wav トゥマラスン トゥ⸢マラスン [tu⸢marasuŋ] 他動 泊める。泊まらせる。 カ⸢レー⸣ トゥ⸢マラスンティ⸣ ウムイ トゥ⸢マラス⸣ ス⸢コール シー ベーン⸣ケン ⸢キュー⸣ヤ トゥ⸢マラサラヌ⸣ティ ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ゾー⸣リキー<ア⸢ゾーッ⸣タ⸢ベー⸣ティ> ⸢カイ⸣シ パ⸢ラシ⸣タ [ka⸢reː⸣ tu⸢marasunti⸣ ʔumui tu⸢marasu⸣ su̥⸢koːru ʃiː beːŋ⸣keŋ ⸢kjuː⸣ja tu⸢marasaranu⸣ti ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣoː⸣rikiː<ʔa⸢ʣo:t⸣ta⸢beː⸣ti> ⸢kai⸣ʃi pa⸢raʃi̥⸣ta] (彼は泊めよう<泊まらせよう>と思って、泊める<泊まらせる>準備をしている時に、今日は泊められない<泊まらされない>と親が言われるので、断って<帰して>いかせた)。 トゥ⸢マラシ⸣ ミサカー トゥ⸢マラシェー⸣ ミサムヌ [tu⸢maraʃi⸣ misakaː tu⸢maraʃeː⸣ misamunu] (泊めてよければ、泊めれば良いのに) トゥ⸢マラシ [tu⸢maraʃi] (泊めよ<泊まらせ>)) 11338 0 0 11002 htmvoc_11338.wav トゥマリ トゥ⸢マリ [tu⸢mari] 名 宿泊すること。動詞トゥ⸢マルン[tu⸢maruŋ](止まる{EOS}泊まる)の連用形から転成した名詞。 プ⸢スインドゥマ⸣リ [pu̥⸢suinduma⸣ri] (一泊{EOS}一日泊まり)。 ⸢フシゥカドゥマリ [⸢ɸusi̥kadumari] (二泊{EOS}二日泊まり)。 プ⸢スインドゥマ⸣リシ ⸢ユー⸣ズ ⸢シン⸣ イ⸢サナケー⸣ マー⸢ズン ギーッティ⸣ クー⸢ディー [pu̥⸢suinduma⸣riʃi ⸢juː⸣ʣu ⸢ʃiŋ⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ maː⸢ʣuŋ giːtti⸣ kuː⸢diː] (一泊<一日泊まり>で用事をしに石垣へ一緒に行って来ようよ) 11339 0 1 11003 htmvoc_11339.wav トゥマルン トゥ⸢マルン [tu⸢maruŋ] 自動 {Mn_1}止まる。留まる。 ⸣フネー トゥ⸢マラヌ [⸣ɸuneː tu⸢maranu] (舟は止まらない)。 ⸣クマー トゥ⸢マリ⸣ グ⸢リ⸣サン [⸣kumaː tu⸢mari⸣ gu⸢ri⸣saŋ] (ここは止まりにくい)。 ⸢ヨーンナー⸣ パ⸢ラ⸣スカー トゥ⸢マルンダ⸣ トゥ⸢マル⸣ トンバ ⸢ミシ⸣キ シ⸢キ⸣リ [⸢joːnnaː⸣ pa⸢ra⸣su̥kaː tu⸢marunda⸣ tu⸢maru⸣ tomba ⸢miʃi̥⸣ki ʃi̥⸢ki⸣ri] (ゆっくり走らせると止まるから、止まる所を探しておけ)。 ⸣クナー トゥ⸢マレー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː tu⸢mareː⸣ misamunu] (ここに止まれば良いのに)。 ⸢ワー⸣ フネー ⸣クナー トゥ⸢マリ [⸢waː⸣ ɸuneː ⸣kunaː tu⸢mari] (君の舟はここで止まれ)。 11339 0 2 11004 htmvoc_11339.wav トゥマルン トゥ⸢マルン [tu⸢maruŋ] 自動 {Mn_2}泊まる。宿泊する。 ⸢パイタ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤーナー トゥ⸢マリティル ⸣ター カイ⸣ソーッタ [⸢paita⸣nu ⸢taː⸣jaːna tu⸢maritiru⸣ taː ⸢kai⸣soːtta] (西表の田小屋に泊まって田を耕された) 11340 0 0 11005 htmvoc_11340.wav ドゥマングラスン ドゥ⸢マングラ⸣スン [du⸢maŋgura⸣suŋ] 他動 ふらつかせる。うろたえさせる。心理的平衡感覚を失わせる。 プ⸢スマティダー⸣ アツァユンダ ⸢プーマキティ⸣ プ⸢ス⸣ ドゥ⸢マングラ⸣スン [pu̥⸢sumatidaː⸣ ʔaʦajunda ⸢puːmakiti⸣ pu̥⸢su⸣ du⸢maŋgura⸣suŋ] (真昼の灼熱の太陽は暑いから、体が熱気をおびて、体温を急上昇させてふらつかせる)。 ⸣ドゥク ⸣アツァカー プ⸢ス⸣ ドゥ⸢マングラ⸣スン [⸣duku ⸣ʔaʦakaː pu̥⸢su⸣ du⸢maŋgura⸣suŋ] (余りにも暑いと人をふらつかせる) 11341 0 0 11006 htmvoc_11341.wav ドゥマングルン ドゥ⸢マン⸣グルン [du⸢maŋ⸣guruŋ] 自動 気分が悪くなってふらふらする。正気を失ってふらつく。うろたえる。心理的平衡感覚をうしなう。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ドゥ⸢マン⸣グリティ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati du⸢maŋ⸣guriti noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (あまりにも暑くて気分が悪くなり、ふらついて何も出来ない)。 ⸣アイニ ⸣アツァカー ター⸢ン⸣ ドゥ⸢マン⸣グルンダー ドゥ⸢マングラン⸣ スコーニ ⸣カイナカナー ⸢ベー⸣ティ シ⸢ダミ⸣リ [⸣ʔaini ⸣ʔaʦakaː taː⸢n⸣ du⸢maŋ⸣gurundaː du⸢maŋguran⸣ su̥koːni ⸣kainakanaː ⸢beː⸣ti ʃi⸢dami⸣ri] (あんなに暑かったら誰でも気分が悪くなってふらつくから、ふらつかないように日陰にいて涼みなさい)。 ドゥ⸢マン⸣グル ⸣ピンマー ⸣カイナカー ⸢サーリ⸣キー ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢マ⸣シ [du⸢maŋ⸣guru ⸣pimmaː ⸣kainakaː ⸢saːri⸣ kiː mi⸢ʤi⸣ nu⸢ma⸣ʃi] (気分が悪くなってふらついたら日陰に連れて来て水を飲ませなさい)。 ドゥ⸢マン⸣グレーラ ⸢デー⸣ジ [du⸢maŋ⸣gureːra ⸢deː⸣ʤi] (ふらついたら大変だ)。 ⸣ティダン プ⸢サ⸣リ ⸢ベー⸣ティ ドゥ⸢マン⸣グリバヒャー [⸣tidam pu̥⸢sa⸣ri ⸢beː⸣ti du⸢maŋ⸣guribaça] (太陽に照らされていて、ふらつけよ、知らんぞ{EOS!}) 11342 0 0 11007 htmvoc_11342.wav トゥミパンクルン トゥ⸢ミパン⸣クルン [tu⸢mipaŋ⸣kuruŋ] 自動 探しあぐねる。探しても見つけ出せない。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣ヤー トゥ⸢ミパン⸣クリ ム⸢ドゥ⸣リ ⸢クー⸣タ [⸢ʔun⸣nenu ⸣jaː tu⸢mipaŋ⸣kuri mu⸢du⸣ri ⸢kuː⸣ta] (あの家を探しあぐねて戻ってきた) 11343 0 0 11008 htmvoc_11343.wav トゥミムヌ トゥ⸢ミ⸣ムヌ [tu⸢mi⸣munu] 名 拾物。⸢ミシキ⸣ムヌ[⸢miʃi̥ki⸣munu](拾物{EOS}<見つけ物>)ともいう。 トゥ⸢ミ⸣ムノー ヤー⸢ディン⸣ ヌ⸢シン⸣ナーニ ⸢カイ⸣シ トゥ⸢ドゥキ⸣リティル ナ⸢ラー⸣ス⸢ダー [tu⸢mi⸣munoː jaː⸢din⸣ nu⸢ʃin⸣naːni tu⸢duki⸣ritiru na⸢raː⸣su⸢daː] (拾物は必ず持ち主に返し届けなさいと教えるのだよ) 11344 0 1 11009 htmvoc_11344.wav トゥミルン トゥ⸢ミルン [tu⸢miruŋ] 他動 {Mn_1}止める。留める。泊める。トゥ⸢ムン[tu⸢muŋ](止める)ともいう。 ⸣フネー ⸣クナー トゥ⸢ミルンティ⸣ ウ⸢ムー⸣ヌ トゥ⸢ミ⸣ ミサンカヤー [⸣ɸuneː ⸣kunaː tu⸢mirunti⸣ ʔu⸢muː⸣nu tu⸢mi⸣misaŋkajaː] (舟をここに止めめようと思うが、止めて良いかねえ)。 ⸣クナーヤ トゥ⸢ミラランバ⸣ カナー トゥ⸢ミリ⸣バ [⸣kunaː tu⸢miraramba⸣ kanaː tu⸢miri⸣ba] (ここでは泊め<止め>られないから、あそこで泊め<止め>なさいよ)。 トゥ⸢ミル⸣ フネー ⸢パー⸣ク トゥ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [tu⸢miru⸣ ɸuneː ⸢paː⸣ku tu⸢mireː⸣ misamunu] (止める舟は早く止めれば良いのに)。 11344 0 2 11010 htmvoc_11344.wav トゥミルン トゥ⸢ミルン [tu⸢miruŋ] 他動 {Mn_2}筆記する。記録する。 ⸢チョーミン⸣ナー トゥ⸢ミルンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ トゥ⸢ミラランシェン [⸢ʧoːmin⸣naː tu⸢mirunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ tu⸢miraraŋʃeŋ] (帳面に記録しようとしたが、記録でき<書き留められ>なかった) 11345 0 1 11011 htmvoc_11345.wav トゥミルン トゥ⸢ミ⸣ルン [tu⸢mi⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}探す。見つける。⸣トゥムン[⸣tumuŋ](探す)ともいう。「~河瀬尋<トメ>情もしのに~。万、4146」の転訛か。 ⸣ウマーン ⸣カマーン トゥ⸢ミルン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ トゥ⸢ミララ⸣ヌ [⸣ʔumaːŋ ⸣kamaːn tu⸢mirun⸣du mut⸢tu⸣ tu⸢mirara⸣nu] (あっちこっち探すけれど、まったく探されない)。 ウ⸢リ⸣ トゥ⸢ミ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌヌ⸣ ター⸢ンナー⸣カ ⸣トゥミ ッ⸢ふィーリ [ʔu⸢ri⸣ tu⸢mi⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnunu⸣ taː⸢nnaː⸣ka ⸣tumi f⸢fiːri] (それを探す人はいないが、誰か探してくれ)。 ⸣ドゥーシ ⸣トゥメー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸣tumeː ⸣misamunu] (自分で探せば良いのに)。 ⸣ドゥーシ トゥ⸢ミ⸣リ [⸣duːʃi tu⸢mi⸣ri] (自分で探せ)。 11345 0 2 11012 htmvoc_11345.wav トゥミルン トゥ⸢ミ⸣ルン [tu⸢mi⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}妻を探す。妻を娶る。 トゥ⸢ジ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ トゥ⸢ミララン⸣ツォー [tu⸢ʤi⸣ tu⸢mi⸣runti ⸢beːn⸣du mut⸢tu⸣ tu⸢miraran⸣ʦo] (妻を娶ろうとしているが、一向に娶られないそうだ) 11346 0 1 11013 htmvoc_11346.wav ドゥミンカスン ドゥ⸢ミンカ⸣スン [du⸢miŋka⸣suŋ] 他動 {Mn_1}鳴りとどろかす。轟かす。どよめかす(響動めかす)。鳴り響かせる。 ⸢サンシン タイ⸣ク ドゥ⸢ミンカ⸣シティ ⸢ヨイ⸣バ ⸢シーヨー⸣ル [⸢saŋʃin tai⸣ku du⸢miŋka⸣ʃi̥ti ⸢joi⸣ba ⸢ʃiːjoː⸣ru] (三線、太鼓を打ち鳴らし、どよめかしてお祝いをしておられる)。 ドゥ⸢ミンカ⸣スンティ シ⸢タンティン⸣ アイニ ドゥ⸢ミンカサン⸣ ブ⸢リ⸣バ [du⸢miŋka⸣sunti ʃi̥⸢tantiŋ⸣ ʔaini du⸢miŋkasam⸣ bu⸢ri⸣ba] (轟かすといっても、あんなに轟かせるなよ)。 ⸣クナーテー ドゥ⸢ミンカ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaːteː du⸢miŋka⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここでは鳴り轟かせることは出来ない)。 ドゥ⸢ミンカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [du⸢miŋka⸣ʃeː ⸣misamunu] (鳴り轟かせれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ドゥ⸢ミンカ⸣シ [⸢maː⸣bin du⸢miŋka⸣ʃi] (もっと鳴轟かせろ)。 11346 0 2 11014 htmvoc_11346.wav ドゥミンカスン ドゥ⸢ミンカ⸣スン [du⸢miŋka⸣suŋ] 他動 {Mn_2}ぶん殴る。 ⸢ウンザー⸣ ドゥ⸢ミンカ⸣シ トゥ⸢ラ⸣シ [⸢ʔunʣaː⸣ du⸢miŋka⸣ʃi tu⸢ra⸣ʃi] (あいつはぶん殴ってやれ)。 ドゥ⸢ミンカ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ドゥ⸢ミンカ⸣ス ⸣クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [du⸢miŋka⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du du⸢miŋka⸣su ⸣ku̥tun na⸢ra⸣nu] (ぶん殴ろうと思うが、ぶん殴ることもできない) 11347 0 0 11015 htmvoc_11347.wav トゥム ⸣トゥム [⸣tumu] 名 とも(艫)。船尾。船の後方。「船後頭謂ニ之艫一、度毛<とも>『和名抄』」の転訛したもの。パ⸢ナイ[pa⸢nai](舳先)の対義語。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸣トゥムナーン ヤマ⸢シ⸣カ プ⸢ソー ヌーリ ブタン [ɸu⸢ni⸣nu ⸣tumunaːɲ ja⸢maʃi̥⸣ka pu̥⸢soː nuːri butaŋ] (船の\ruby{艫}{トモ}にもたくさん人が乗っていた) 11348 0 0 11016 htmvoc_11348.wav トゥム トゥ⸢ム [tu⸢mu] 名 供。従者。連れ。同伴者。 ッ⸢ふァヨーン⸣ ヤ⸢リバ ワー⸣ アブジェー トゥ⸢ムバ シー⸣ シゥ⸢カシ⸣ パリ [f⸢fajoːɲ⸣ ja⸢riba waː⸣ ʔabuʤeː tu⸢muba ʃiː⸣ si̥⸢kaʃi⸣ pari] (暗闇の夜だから、君はお祖父さんのお供をしてご案内して<お連れして>行きなさい) 11352 0 0 11017 htmvoc_11352.wav トゥムシェー トゥ⸢ムシェー [tu⸢muʃeː] 名 屋号。宮良石戸氏宅。トゥ⸢ムシェーヌ イシ⸣トーザーテー[tu⸢muʃeːnu ʔiʃi⸣toːʣaːteː](宮良家<⸢友寄家」の転訛したものか>石戸氏宅)ともいう。 ム⸢ルスメーヌ アー⸣ネール トゥ⸢ムシェー ヤッタ [mu⸢rusumeːnu ʔaː⸣neːru tu⸢muʃeː jatta] (盛島家の東隣の家が宮良家<友寄家>であった) 11349 0 0 11018 htmvoc_11349.wav トゥムジナ トゥ⸢ム⸣ジナ [tu⸢mu⸣ʤina] 名 ともづな(艫綱)。船の艫にある、船を繋ぎとめる綱。 マ⸢ナ⸣マ フ⸢ニ⸣ヌ ン⸢ジリ⸣バ トゥ⸢ム⸣ジナー ⸢パンツァシ [ma⸢na⸣ma ɸu⸢ni⸣nu ʔn⸢ʤiri⸣ba tu⸢mu⸣ʤinaː ⸢panʦaʃi] (今、船が出港する<出る>から艫綱をはずせ) 11350 0 0 11019 htmvoc_11350.wav トゥムジラ トゥ⸢ム⸣ジラ [tu⸢mu⸣ʤira] 名 イダフニ(サバニ)の艫の三角面。「ともづら(艫面)」の転訛したものか。 ⸣イダフニヌ トゥ⸢ムジラ⸣バ フ⸢タウディ⸣シ ⸣ムタイティル ⸢アンギルタ⸠ダー<⸢アングタ⸣ダー> [⸣ʔidaɸuninu tu⸢muʤira⸣ba ɸu̥⸢taʔudi⸣ʃi ⸣mutaitiru ⸢ʔaŋgiruta⸠daː(⸢ʔaŋguta⸣daː<揚げた>)] (サバニ<板舟>の艫面を両腕で持ち上げて<ぞ>舟を陸揚げした<揚げた>のだよ) 11353 0 0 11020 htmvoc_11353.wav トゥムズルイ トゥ⸢ムズルイ [tu⸢muʣurui] 名 伴揃え。従者を揃えること。 ミ⸢ルクゾーラケー⸣ ミ⸢キムティ⸣プス イ⸢ニ⸣アー ム⸢ティ⸣プス ⸣サンカクパタ ム⸢ティプス⸣バ トゥ⸢ムズルイ シー サーレー⸣ティル ブ⸢ドゥル ソーッ⸣タ [mi⸢rukuʣoːrakeː⸣ mi⸢kimuti⸣pu̥su ʔi⸢ni⸣ʔaː mu⸢ti⸣pu̥su ⸣saŋkakupḁta mu⸢tipu̥su⸣ba tu⸢muʣurui ʃiː saːreː⸣tiru bu⸢duru soːt⸣ta] (弥勒踊り<常楽我浄の行列舞>は、神酒を捧げ持つ人、稲粟を捧げ持つ人、三角旗を持つ人約十人を伴揃えに従えて行列舞をされた) 11351 0 1 11021 htmvoc_11351.wav トゥムスン トゥ⸢ム スン [tu⸢mu suŋ] 連 {Mn_1}供をする。 ⸣アブジェー ⸢タンガ⸣シェー ⸢オーラサラン⸣バ ⸣バー トゥ⸢ム シー オースン [⸣ʔabuʤeː ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢ʔoːrasaram⸣ba ⸣baː tu⸢mu ʃiː ʔoːsuŋ] (お祖父さん一人では御出させられませんから、私がお供をしてさしあげます)。 11351 0 2 11022 htmvoc_11351.wav トゥムスン トゥ⸢ム スン [tu⸢mu suŋ] 連 {Mn_2}案内する。 ⸢ウン⸣ネーヤ サ⸢バキグリ⸣サバ ⸢ワー⸣ トゥ⸢ム シー⸣ パリバ [⸢ʔun⸣neːja sa⸢bakiguri⸣saba ⸢waː⸣ tu⸢mu ʃiː⸣ pariba] (あの家は道が分かりにくい<探しにくい>から、君が道案内して行けよ) 11355 0 0 11023 htmvoc_11355.wav トゥムニー トゥ⸢ム⸣ニー [tu⸢mu⸣niː] 名 船の後部<艫>に荷物を積み過ぎる状態。⸢\ruby{艫荷}{トモ|ニ}」の義。積荷が片寄ると操船に支障をきたすので、均等に積載した。⸢マイ⸣ニー[⸢mai⸣niː](前荷{EOS}船の前部に荷物を積み過ぎる状態)の対義語。 ⸣イダフネー トゥ⸢ム⸣ニー シ⸢キダー⸣ルバ ⸢ニー⸣ヤ ⸣マンター ク⸢バ⸣リ [⸣ʔidaɸuneː tu⸢mu⸣niː ʃi⸢kidaː⸣ruba ⸢niː⸣ja ⸣mantaː ku⸢ba⸣ri] (サバニは艫の方に荷を積み過ぎているから、荷物は前の方に配分せ<配れ>よ) 11354 0 0 11024 htmvoc_11354.wav トゥムビキ トゥ⸢ムビキ [tu⸢mubiki] 名 \ruby{暦注}{レキ|チュウ}の\ruby{六輝}{ロッ|キ}(先勝、友引、先負<せんぶ>、仏滅、大安、赤口<しゃっこう>)の一つ。あいびき<相引>で勝負しないという日。俗信で、友を引くとして、この日に葬式を営むことを忌む。 トゥ⸢ムビキナー⸣ヤ ⸢ソー⸣シケー ン⸢ザ⸣ス ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌティル ア⸢ザリブー [tu⸢mubikinaː⸣ja ⸢soː⸣ʃi̥keː ʔn⸢ʣa⸣su ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nutiru ʔa⸢ʣari buː] (友引の日には、葬式は出すものではないと<ぞ>いわれている) 11356 0 0 11025 htmvoc_11356.wav トゥムヤク トゥ⸢ム⸣ヤク [tu⸢mu⸣jaku] 名 船頭の\ruby{櫂}{カイ}。舵取りの櫂。「\ruby{艫櫂}{トモ|カイ}」の義。舵取りの用いる櫂は、普通の櫂の約倍ほどの大きさがある。巾約15センチ、長さ約150センチで、ずっしりと重い。これで船尾をはねたり、外側から内側へ漕ぎ寄せることによって舟の進行方向を変える。転じて、その櫂を使う人(船頭)にもいう。操船に熟達した人がトゥ⸢ム⸣ヤク[tu⸢mu⸣jaku](船頭)になる。 ク⸢トゥシヌ パーレー⸣ヌ トゥ⸢ム⸣ヤコー ⸢ター⸣ヤ [ku̥⸢tuʃinu paːreː⸣nu tu⸢mu⸣jakoː ⸢taː⸣ja] (今年のは爬竜船の船頭<艫櫂>は誰か) 11357 0 0 11026 htmvoc_11357.wav トゥムユッカ トゥ⸢ムユッ⸣カ [tu⸢mujuk⸣ka] 名 艫床板。台形の形態をした床板。船頭が座る艫の床板の直前の床板。⸢ハイ⸣グヮー[⸢hai⸣gwaː](艫の小梁)の直前にある床板。 ⸣トゥムナー ⸣アル ⸢ユッカバル⸣ トゥ⸢ムユッ⸣カティ ア⸢ズ⸠ダー [⸣tumunaː ⸣ʔaru ⸢jukkabaru⸣ tu⸢mujuk⸣kati ʔa⸢ʣu⸠daː] (艫にある床板を艫床板というのだよ) 11358 0 0 11027 htmvoc_11358.wav トゥムユッカーマ トゥ⸢ムユッカー⸣マ [tu⸢mujukkaː⸣ma] 名 艫の小さな床板。船頭が座る床板。鋭三角形をした艫の床板。 トゥ⸢ムユッカー⸣マナール ⸢シン⸣ドー ビ⸢ロー⸣ル [tu⸢mujukkaː⸣manaːru ⸢ʃin⸣doː bi⸢roː⸣ru] (艫の小さな床板に<ぞ>船頭は座られる) 11360 0 0 11028 htmvoc_11360.wav トゥムルマキ トゥ⸢ムルマキ [tu⸢murumaki] 名 上原のトゥムルヤマ[tu⸢murujama](友利山にあった牧場)。 ⸢アンタヌ⸣ フ⸢ク⸣ヌマキナ マ⸢ルタ⸣ ウ⸢シェー⸣ トゥ⸢ムルマキ⸣ナー ス⸢ダティララン⸣シェン ヤー⸢ディン⸣ フ⸢ク⸣ヌマケー ⸢ピン⸣ギ パ⸢リ⸣シタ [⸢ʔantanu⸣ ɸu̥⸢ku⸣numakina ma⸢ruta⸣ ʔu⸢ʃeː⸣ tu⸢murumaki⸣naː su⸢datirara⸣ŋʃeŋ jaː⸢diŋ⸣ ɸu̥⸢ku⸣numakeː ⸢piŋ⸣gi pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (東の伊武田の福の牧で生まれた牛は、西の友利山の牧場では育たなかった{EOS}必ず福の牧へ逃げ帰った) 11359 0 0 11029 htmvoc_11359.wav トゥムルヤマ トゥ⸢ムルヤマ [tu⸢murujama] 固 地名。上原の友利山。鳩間島の杣山(そまやま)だったところ 11361 0 0 11030 htmvoc_11361.wav トゥムレー トゥ⸢ムレー [tu⸢mureː] 名 屋号。友利盛喜氏宅。東村の旗頭を保管しているトゥ⸢ニムトゥヤー[tu⸢nimutujaː](根家)。カツオ節製造業、篤農家として知られた友利盛喜氏は昭和初期に竹富村会議員を務めた。長男の友利三益氏は、鳩間島の最後の稲作農家になるまで稲作を続けられた。次男の故友利繁氏は、戦後初の鳩間島出身竹富町議会議員となり、竹富町の発展に尽力した。三男の友利武雄氏は(現屋嘉武雄氏)は鳩間島出身で初めて八重山税務署に勤務した。 ⸢アンヌムラヌ⸣ カ⸢シ⸣ラー トゥ⸢ムレー⸣ナール カ⸢キン⸣グ ⸢シー オー⸣ル [⸢ʔannumuranu⸣ ka⸢ʃi⸣raː tu⸢mureː⸣naːru kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (東村の旗頭は友利家で保管<格護>しておられる) 11364 0 0 11031 htmvoc_11364.wav トゥムレーヌイサザーテー トゥ⸢ムレーヌ⸣ イサザーテー [tu⸢mureːnu⸣ ʔisaʣaːteː] 連 屋号。友利正安氏宅。 ア⸢ラヤーヌ シー⸣ネール トゥ⸢ムレーヌ⸣ イサザーテー ⸢ヤッタ [ʔa⸢rajaːnu ʃiː⸣neːru tu⸢mureːnu⸣ ʔisaʣaːteː ⸢jatta] (吉川米三氏宅の後隣が友利正安氏宅だった) 11362 0 0 11032 htmvoc_11362.wav トゥムレーヌイシトーザーテー トゥ⸢ムレーヌ イシ⸣トーザーテー [tu⸢mureːnu ʔiʃi̥⸣toːʣaːteː] 固 「友利家の石戸兄の家(田代<旧姓、友利>浩氏の家)」の義。住宅を兼ねた郵便局。「イシト」(石戸)は田代浩氏の童名。氏は鳩間島出身で最初に沖縄水産学校に進学し、昭和13年に竹富村役場に勤務した。昭和16年に鳩間島出身で初めて鳩間郵便局長に就任した。以来17年間鳩間島郵便局長を勤めた後、八重山中央郵便局貯金課長、大浜郵便局長を勤めて島の発展に尽力した。 トゥ⸢ムレーヌ イシ⸣トーザール パ⸢トゥ⸣マプスナー パ⸢ジミティ ユービンキョク⸣チョー ⸢ソー⸣レー⸢ダー [tu⸢mureːnu ⸢ʔiʃi̥⸣toːʣaːru pḁ⸢tu⸣mapu̥sunaː pa⸢ʤimiti juːbiŋkjoku⸣ʧoː ⸢soː⸣reː⸢daː] (田代浩<友利家の石戸>氏が鳩間島の人で最初に郵便局長をなさったのだよ) 11363 0 0 11033 htmvoc_11363.wav トゥムレーヌカボザーテー トゥ⸢ムレーヌ⸣ カボザーテー [tu⸢mureːnu⸣ kabaʣaːteː] 連 屋号。友利実氏宅。⸣カボザーは、⸣カブ[⸣kabu](嘉部)・⸢アー⸣ザ[⸢ʔaː⸣ʣa](兄)・⸣テー[teː](~の家)→ [⸣kabu・ʔaːʣ・teː] → [⸣kaboːʣateː] のように音韻変化して生成された合成語。友利実氏は昭和30年ごろに上原へ移住された 11365 0 0 11034 htmvoc_11365.wav トゥムレーヌシゲルザーテー トゥ⸢ムレーヌ⸣ シ⸢ゲルザーテー [tu⸢mureːnu⸣ ʃi⸢geruʣaːteː] 連 屋号。友利繁氏宅。 トゥ⸢ムレーヌ⸣ シ⸢ゲルザーテーヤ⸣ ム⸢レーマヌ イー⸣ネ ⸢ヤッタ [tu⸢mureːnu⸣ ʃi⸢geruʣaːteːja⸣ mu⸢reːmanu ʔiː⸣neː ⸢jatta] (友利繁氏宅は、通事栄氏宅の西隣の家であった) 11366 0 0 11035 htmvoc_11366.wav トゥムレーヌフクレーザーテー トゥ⸢ムレーヌ⸣ フ⸢ク⸣レーザーテー [tu⸢mureːnu⸣ ɸu̥⸢ku⸣reːʣaːteː] 連 屋号。友利武雄氏宅。 ⸢ウン⸣ネーヤ ヌ⸢バ⸣ルブザマーテーヌ ⸣マンタヌ カ⸢ク⸣ナール ⸢アッ⸣タ [⸢ʔun⸣neːja nu⸢ba⸣rubuʣamateːnu ⸣mantanu kḁ⸢ku⸣naːru ⸢ʔat⸣ta] (その家は寄合徹氏宅の前の屋敷にあった) 11367 0 1 11036 htmvoc_11367.wav トゥムン トゥ⸢ムン [tu⸢muŋ] 他動 {Mn_1}止める。止めさせる。引き止める。 ⸣フニ ピ⸢キシキ⸣ トゥ⸢ムンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ トゥ⸢ミサンシェン [⸣ɸuni pi̥⸢kiʃiki⸣ tu⸢munti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ tu⸢misaŋʃeŋ] (舟を引っ張って止めようとしたが、止めることが出来なかった)。 トゥ⸢ミ⸣ ミサカー トゥ⸢ム⸣ クトー ⸣ナルン [tu⸢mi⸣ misakaː tu⸢mu⸣ ku̥toː ⸣narun] (止めてよければ止めることは出来る)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku tu⸢meː⸣ misamunu] (早く止めれば良いのに)。 11367 0 2 11037 htmvoc_11367.wav トゥムン トゥ⸢ムン [tu⸢muŋ] 他動 {Mn_2}記録する。筆記する。 ⸢チョーミン⸣ナー トゥ⸢ミ⸣バ [⸢ʧoːminnaː tu⸢mi⸣ba] (帳面に記録しなさい) 11368 0 1 11038 htmvoc_11368.wav トゥムン ⸣トゥムン [⸣tumuŋ] 他動 {Mn_1}探す。見つける。トゥ⸢ミ⸣ルンとも言う。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ナムヌバ⸣ トゥミ ッ⸢ふィーリ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢namunuba⸣ tumi f⸢fiːri] (この品物を探してくれ)。 ⸣ドゥーシ ⸣トゥムンティ ⸣ウムーカー トゥ⸢マリ⸣スンドゥ ⸣トゥム ⸣クトー ⸢サンバン [⸣duːʃi ⸣tumunti ⸣ʔumuːkaː tu⸢mari⸣sundu ⸣tumu ⸣ku̥toː ⸢sambaŋ] (自分で探そうと思えば探されるのだが、探すことをしないわい)。 ⸣ドゥーシ ⸣トゥメー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸣tumeː ⸣misamunu] (自分で探せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ドゥーシ ⸣トゥミバ [⸢paː⸣ku ⸣duːʃi ⸣tumiba] (早く自分で探せよ)。 11368 0 2 11039 htmvoc_11368.wav トゥムン ⸣トゥムン [⸣tumuŋ] 他動 {Mn_2}娶る。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ジ⸣ トゥミ [⸢paː⸣ku tu⸢ʤi⸣ tumi] (早く妻を娶れ<妻を捜せ>) 11370 0 0 11040 htmvoc_11370.wav トゥヤーシフチル トゥ⸢ヤーシフチ⸣ル [tu⸢jaːʃiɸu̥ʧi⸣ru] 名 漢方薬。いろいろな薬草を調合して煎じた薬。トゥ⸢ヤーシフシ⸣ル[tu⸢jaːʃiɸu̥ʃi⸣ru](漢方薬)ともいう。 イ⸢サ⸣ヌ フ⸢チ⸣ルシン ⸢ノーサラン⸣ベーティ トゥ⸢ヤーシフチル⸣バ ⸣ヌミティル ⸢ノーシタ⸣ル [ʔi⸢sa⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ruʃin ⸢noːsaram⸣beːti tu⸢jaːʃiɸu̥ʧiru⸣ba ⸣numitiru ⸢noːʃita⸣ru] (医者の薬でも治せないので、漢方薬を煎じて飲んで<ぞ>治したよ) 11369 0 0 11041 htmvoc_11369.wav トゥヤースン トゥ⸢ヤー⸣スン [tu⸢jaː⸣suŋ] 他動 調合する。漢方薬を調合する。「取り合わせる」の義か。 フ⸢チ⸣ル トゥ⸢ヤー⸣シティ ⸣シジ ヌ⸢マ⸣シ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru tu⸢jaː⸣ʃi̥ti ⸣ʃiʤi nu⸢ma⸣ʃi] (薬を調合して煎じて飲ませなさい)。 トゥ⸢ヤー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー トゥ⸢ヤーサラ⸣ヌ [tu⸢jaː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː tu⸢jaːsara⸣nu] (調合しようと思うが私には調合できない)。 トゥ⸢ヤー⸣ス ⸣ムノー ⸢ヌー⸣トゥ ⸣ヌーヤ [tu⸢jaː⸣su ⸣munoː ⸢nuː⸣tu ⸣nuːja] (調合するものは何と何か)。 トゥ⸢ヤー⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢jaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (調合すればよいのに)。 ⸢カンボー⸣ヌ フ⸢チ⸣ロー ⸣ドゥーシ トゥ⸢ヤー⸣シ [⸢kamboː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣roː ⸣duːʃi tu⸢jaː⸣ʃi] (感冒の薬は自分で調合しなさい) 11371 0 0 11042 htmvoc_11371.wav トゥユマスン トゥ⸢ユマ⸣スン [tu⸢juma⸣suŋ] 他動 とよます(\ruby{響動}{ト|ヨ}ます)。鳴り響かせる。名高くする。有名にする。褒め称える。多くは歌謡で用いられる。⸢ナートゥラ⸣ス[⸢naːtura⸣su](名取らせる{EOS}名を揚げる{EOS}名を高める)と対語、対句で用いられる。豊年祭の歌で、⸢神に祈願して、豊年を迎えたら」という場面で、「タルトゥユードゥ ティユマス、ジリトゥユードゥ ナトゥラス」のように歌われる。/ヘイヤー パトゥマユーヌ ホー ナウラバ ヘイヤー トゥムリユーヌ ホー ミキラバ ヘイヤー タルトゥユードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ジリトゥユードゥ ホー ナトゥラス ヘイヤー マブルシュードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ウヤガミドゥ ナトゥラス~/(ヘイヤー<囃子>、鳩間世<鳩間村>が、ホー、豊年になると<稔ると>、ヘイヤー、友利御嶽の守護する村が稔ると、ヘイヤー、誰とともに、ホー 響動まそうか、ヘイヤー、誰<いずれ>と共に、ホー、名を轟かせようか、ヘイヤー 守り神を ホー 響動ます<讃える>、ヘイヤー 祖神の名を ホー響動ます<名を轟かせる>)。「みちうた<道歌>」『鳩間島古典民謡古謡集』。 トゥ⸢ユマサラ⸣ヌ [tu⸢jumasara⸣nu] (とよまされない)。 トゥ⸢ユマシ⸣ プサン [tu⸢jumaʃi⸣ pu̥saŋ] (とよましたい、鳴り響かせたい)。 ト⸢ユマ⸣スン [tu⸢juma⸣suŋ] (とよます)。 トゥ⸢ユマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢juma⸣ʃeː ⸣misamunu] (とよませばよいのに) トゥ⸢ユマ⸣シ [tu⸢juma⸣ʃi] (とよませ<響動ませ>{EOS}鳴り響かせよ)) 11372 0 0 11043 htmvoc_11372.wav トゥユマリルン トゥ⸢ユマリ⸣ルン [tu⸢jumari⸣ruŋ] 自動 とよむ(響動む)。世に鳴り響く。轟かせる。有名になる。 ウ⸢キ⸣ナー ⸢バー⸣キン ⸢ナー⸣ トゥ⸢ユマリ⸣ルン [ʔu⸢ki⸣naː ⸢baː⸣kin ⸢naː⸣ tu⸢jumari⸣ruŋ] (沖縄までも名声が鳴り響く)。 トゥ⸢ユマラ⸣ヌ [tu⸢jumara⸣nu] (轟かない、鳴り響かない)。 トゥ⸢ユマ⸣リ ッ⸢ふォーリ [tu⸢juma⸣ri f⸢foːri] (轟いてください、名声が鳴り響いてください)。 トゥ⸢ユマ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [tu⸢juma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (轟くことはない)。 トゥ⸢ユマ⸣レー ⸣ミサムヌ [tu⸢juma⸣reː ⸣misamunu] (轟けばよいのに) ウ⸢キ⸣ナー ⸢バー⸣キン トゥ⸢ユマ⸣リ [ʔu⸢ki⸣naː ⸢baː⸣kin tu⸢juma⸣ri] (沖縄まで鳴り轟け)) 11373 0 0 11044 htmvoc_11373.wav トゥユムン トゥ⸢ユ⸣ムン [tu⸢ju⸣muŋ] 自動 鳴り響く。響き渡る。名高くなる。有名になる。古老は、ドゥユムン[dujumuŋ](\ruby{響動}{ド|ヨ}む)ともいう。 ⸢⸢ナーヤ⸣ ウ⸢キ⸣ナー⸢バー⸣キン トゥ⸢ユ⸣ムン [⸢naːja⸣ ʔu⸢ki⸣naː ⸢baː⸣kin tu⸢ju⸣muŋ] (名前は沖縄まで鳴り響く<有名になる>) 11374 0 1 11045 htmvoc_11374.wav トゥラ トゥ⸢ラ [tu⸢ra] 名 {Mn_1}(動)虎。 トゥ⸢ラヌ⸣ カ⸢キジ⸣コー ⸢ヤー⸣ヌ ⸣カルイティ ア⸢ザリ ブー [tu⸢ranu⸣ kḁ⸢kiʤi⸣koː ⸢jaː⸣nu ⸣karuiti ʔa⸢ʣari buː] (虎の掛軸はその家の守護神<嘉例{EOS}縁起物>といわれている)。 11374 0 2 11046 htmvoc_11374.wav トゥラ トゥ⸢ラ [tu⸢ra] 名 {Mn_2}十二支の第三番目。とら(寅)。 トゥ⸢ラディプス [tu⸢radipu̥su] (寅年生まれの人)。 トゥ⸢ラディマリ [tu⸢radimari] (寅年生まれ)。 トゥ⸢ランパー [tu⸢rampaː] (寅の方向、東北の方向)。 トゥ⸢ラニー [tu⸢raniː] (寅の日)。 トゥ⸢ラディプスヌ⸣ キ⸢ナイ⸣ナー ミ⸢ツァール⸣ スルーカー キ⸢ナイヤー スー⸣ワンツォー [tu⸢radipusunu⸣ ki⸢nai⸣naː mi⸢ʦaːru⸣ suruːkaː ki⸢naijaː suː⸣wanʦoː] (寅年生まれの人が一家に三人揃うと一家の家運は強い<強運で悪霊が来ない>そうだ) 11376 0 0 11047 htmvoc_11376.wav トゥラーマ トゥ⸢ラー⸣マ [tu⸢raː⸣ma] 名 (動)小鳥。ひな。ひよこ(雛)。 トゥ⸢ルヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣<⸢コー⸣マ> シ⸢ダ⸣シティ トゥ⸢ラー⸣マ ⸢トゥッカラ サーレー⸣ティ ⸢アー⸣クン⸢ダー [tu⸢runu⸣ f⸢fa⸣<⸢koː⸣ma> ʃi⸢da⸣ʃi̥ti tu⸢raː⸣ma ⸢tukkara saːreː⸣ti ⸢ʔaː⸣kun⸢daː] (鶏がひな<卵>を\ruby{孵}{カエ}して、ひよこを十羽<十匹>連れてあるくよ) 11377 0 0 11048 htmvoc_11377.wav ドゥラーン ドゥ⸢ラーン [du⸢raːŋ] 名 どら(銅鑼)。ドゥ⸢ラーンガニ[du⸢raːŋgani](銅鑼鐘)ともいう。豊年祭やお盆の獅子舞、祝い事で打ち鳴らし邪気祓いと祝意の高揚を表した。また非常時などに打ちならして緊急事態を知らせた。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ゾーラキヌ⸣ パ⸢ジミトゥ パーレー⸣ヌ ⸣ピン シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣ピン ⸢シー⸣シ ⸢マーソー⸣ル ⸣ピンナーン ドゥ⸢ラーンマ⸣ ウ⸢トーッ⸣タン [⸢puːru⸣nu ⸢ʣoːrakinu⸣ pa⸢ʤimitu paːreː⸣nu ⸣piŋ ʃi⸢napiki⸣nu ⸣piŋ ⸢ʃiː⸣ʃi ⸢maːsoː⸣ru ⸣pinnaːn du⸢raːmma⸣ ʔu⸢toːt⸣taŋ] (豊年祭のゾーラキ<\ruby{常楽我浄}{ジョー|ラク|ガ|ジョウ}の入子踊り>の初めと爬龍船競漕の時、綱引きの時、お盆の獅子を舞わされる時に銅鑼は打ち鳴らされた) 11378 0 0 11049 htmvoc_11378.wav ドゥラーンガニ ドゥ⸢ラーンガニ [du⸢raːŋgani] 名 銅鑼。「銅鑼鐘」の転訛したもの。 ドゥ⸢ラーンガニ⸣ ウティ ⸢ナーラスン [du⸢raːŋgani⸣ ʔuti ⸢naːrasuŋ] (銅鑼を打ち鳴らす) 11379 0 0 11050 htmvoc_11379.wav ドゥラーングイ ドゥ⸢ラーングイ [du⸢raːŋgui] 名 銅鑼声。大きな声で話す人。 ドゥ⸢ラーングイ⸣シ ⸣ムニ イ⸢ズユンダ⸣ マッ⸢タキ⸣ アイ ⸢ブー⸣ カタチニル シゥ⸢カリ⸠ツォー [du⸢raːŋgui⸣ʃi ⸣muni ʔi⸢ʣujunda⸣ mat⸢taki⸣ ʔai ⸢buː⸣ kḁtaʧiniru sï̥⸢kari⸠ʦoː] (銅鑼のような大声で話すものだから、まったく喧嘩しているように聞こえるんだよ)。 ドゥ⸢ラーングイヤ⸣ ミシゥ⸢カーマ⸣シ ⸣ムニ イ⸢ジ サヌ [du⸢raːŋguija⸣ misi̥⸢kaːma⸣ʃi ⸣muni ʔi⸢ʤisanu] (大声<銅鑼声>の人だから、\ruby{密}{ミソ}かに小声で話すことが出来ない) 11380 0 0 11051 htmvoc_11380.wav トゥラスン トゥ⸢ラ⸣スン [tu⸢ra⸣suŋ] 他動 与える。遣る。取らせる。 ウ⸢リ⸣ トゥルンティ ⸣クーカー トゥ⸢ラ⸣シ⸢ヨー [ʔu⸢ri⸣ turunti ⸣kuːkaː tu⸢ra⸣ʃi⸢joː] (それを貰い<取り>に来たら、与え<取らせ>なさいねえ)。 ウ⸢リンマー⸣ トゥ⸢ラサン⸣ドーシ カ⸢ヌ プスン⸣ トゥ⸢ラ⸣シ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [ʔu⸢rimmaː⸣ tu⸢rasan⸣doːʃi ka⸢nu pu̥sun⸣ tu⸢ra⸣ʃi f⸢fiːri⸣joː] (その人には与えないで、あの人に与えて<取らせて>くれよねえ)。 カ⸢リン⸣ トゥ⸢ラ⸣ス ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [ka⸢rin⸣ tu⸢ra⸣su ⸣munoː nuːja] (彼に与えるものは何か)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku tu⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く与えればよいのに)。 ウ⸢リン⸣ トゥ⸢ラ⸣スンティ ⸣シケー [ʔu⸢rin⸣ tu⸢ra⸣sunti ⸣ʃi̥keː] (これも与えようと置いてある) 11381 0 0 11052 htmvoc_11381.wav トゥラスン トゥ⸢ラ⸣スン [tu⸢ra⸣suŋ] 補動 ~してやる。~してとらす。悪い意味に用いる。 マ⸢ラバシ⸣ トゥ⸢ラ⸣スン [ma⸢rabaʃi⸣ tu⸢ra⸣suŋ] (ぶん殴ってやる)。 イ⸢ジ⸣ トゥ⸢ラ⸣シ [ʔi⸢ʤi⸣ tu⸢ra⸣ʃi] (叱ってやれ)。 ⸢シシキ⸣ トゥ⸢ラ⸣サ [⸢ʃiʃi̥ki⸣ tu⸢ra⸣sa] (仕付け<厳しく躾け>てやろう{EOS}懲らしめてやろう{EOS}制裁してやろう) 11383 0 0 11053 htmvoc_11383.wav トゥラディマリ トゥ⸢ラディマリ [tu⸢radimari] 名 寅年生まれ。 ⸢バン⸣テナー トゥ⸢ラディマリヌ⸣ ミ⸢ツァール ブン⸠ダー [⸢ban⸣tenaː tu⸢radimarinu⸣ mi⸢ʦaːru bun⸠daː] (我が家に寅年生まれが三人いるよ) 11384 0 0 11054 htmvoc_11384.wav トゥラドゥシ トゥ⸢ラドゥシ [tu⸢raduʃi] 名 寅年。 トゥ⸢ラドゥシヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ギュ⸢タール ブーワ [tu⸢raduʃinu⸣ pu̥⸢soː⸣ gju⸢taːru buːwa] (寅年<生まれ>の人は何人いるか) 11382 0 0 11055 htmvoc_11382.wav トゥラトゥラスン トゥ⸢ラ⸣トゥラ ⸢スン [tu⸢ra⸣tura ⸢suŋ] 連 今にも取ろうとするさま。「取ろう・取ろうとする」の義。 ン⸢マー⸣ ムヌヌ ⸣トン ⸢ティー⸣バ ⸢ナーリ⸣ トゥ⸢ラ⸣トゥラ ⸢シー ベー [ʔm⸢maː⸣ mununu ⸣ton ⸢tiː⸣ba ⸢naːri⸣ tu⸢ra⸣tura ⸢ʃiː beː] (美味しいものの所に手を伸ばして、今にも取ろう<取ろう取ろう>としている) 11385 0 0 11056 htmvoc_11385.wav トゥラニ トゥ⸢ラニ [tu⸢rani] 名 十二支の寅の日。 トゥ⸢ラディプスヌ⸣ ドゥーパダニンガイヤー トゥ⸢ラニ⸣ナール ⸢ソー⸣ルツォー [tu⸢radipusunu⸣ duːpadaniŋgaijaː tu⸢rani⸣naːru ⸢soː⸣ruʦoː] (寅年生まれの人の健康祈願は寅の日にされるそうだ) 11375 0 0 11057 htmvoc_11375.wav トゥラヌカキジク トゥ⸢ラヌ⸣ カ⸢キ⸣ジク [tu⸢ranu⸣ kḁ⸢ki⸣ʤiku] 連 虎の掛け軸。 トゥ⸢ラヌ⸣ カ⸢キ⸣ジコー カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣ムヌティ ア⸢ザリ ブー [tu⸢ranu⸣ kḁ⸢ki⸣ʤikoː ka⸢rui⸣nu ⸣munuti ʔa⸢ʣari buː] (虎の掛け軸は嘉例<縁起の良い{EOS}目出度い>物と云われている) 11391 0 0 11058 htmvoc_11391.wav トゥラヌクヮンニン トゥ⸢ラ⸣ヌ ⸢クヮン⸣ニン [tu⸢ra⸣nu ⸢kwan⸣niŋ] 連 役人のように良い身なりをしている人。見掛け倒し。「取らぬ官人」の義。 イ⸢サナキナー⸣ル トゥ⸢ラ⸣ヌ ⸢クヮンニン⸣マー ⸢オーッタ⸣ル ⸢ベー⸣ シマナー ⸢オーラン⸣シェン [ʔi⸢sanakinaː⸣ru tu⸢ra⸣nu ⸢kwannim⸣maː ⸢ʔoːtta⸣ru ⸢beː⸣ ʃimanaː ⸢ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (石垣島にが<ぞ>役人のような良い身なりをした⸢給料を取らぬ官人」は居られたのであって、我が島にはいらっしゃらなかったよ) 11386 0 0 11059 htmvoc_11386.wav トゥラヌズー トゥ⸢ラヌズー [tu⸢ranuʣuː] 名 (植)虎の尾。和名、ルリトラノオなどの略称。羽状の葉に横縞模様があり、虎の尾に似ることから命名されたのであろう。鳩間島では、虎は魔除けとして神聖視されている。その家に寅年生まれの人が三人揃うと運勢は磐石の備えといわれている。寅年生まれの人がいない時は、好んで虎の掛け軸を掛け、虎の刺繍を額縁に入れて飾り、虎の尾を生け花に活けた。 トゥ⸢ラヌズーヤ⸣ カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣ムヌ [tu⸢ranuʣuːja⸣ ka⸢rui⸣nu ⸣munu] (虎の尾は嘉例<縁起のよい>ものだ) 11387 0 1 11060 htmvoc_11387.wav トゥラリルン トゥ⸢ラリ⸣ルン [tu⸢rari⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}可能動詞。取れる。取られる。⸣トゥルン[⸣turuŋ](取る)の未然形に、受身、可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](られる)が付いて形成された派生動詞。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ⸢バン⸣ターン トゥ⸢ラリ⸣ルンティ ⸣ウムーン  [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ⸢ban⸣taːn tu⸢rari⸣runti ⸣ʔumuːŋ] (その程度は私たちにも取れる<取られる>と思う)。 11387 0 2 11061 htmvoc_11387.wav トゥラリルン トゥ⸢ラリ⸣ルン [tu⸢rari⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}受身動詞。取られる。盗まれる。 ⸢アッ⸣タルムヌバ プ⸢スン⸣ トゥ⸢ラリ⸣ルンティ ウ⸢ムー⸣タカー ⸣ウナー シ⸢キラン⸣タムヌ [⸢ʔat⸣taru ⸣munuba pu̥⸢sun⸣ tu⸢rari⸣runti ʔu⸢muː⸣takaː ⸣ʔunaː ʃi̥⸢kiran⸣ta ⸣munu] (あたらもの<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}\ruby{物}{モノ}>を、他人に取られる<盗まれる>と思ったらばそこには置かなかったものを<ああ残念だ>) 11388 0 1 11062 htmvoc_11388.wav トゥラリン トゥ⸢ラ⸣リン [tu⸢ra⸣riŋ] 自動 {Mn_1}可能動詞。取れる。取ることが出来る。⸣トゥルン[⸣turuŋ](取る)の未然形に、受身、可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞。 ク⸢レー バン⸣ヌン トゥ⸢ラ⸣リン [ku⸢reː ban⸣nun tu⸢ra⸣riŋ] (これは私にも取れる)。 11388 0 2 11063 htmvoc_11388.wav トゥラリン トゥ⸢ラ⸣リン [tu⸢ra⸣riŋ] 自動 {Mn_2}受身動詞。取られる。盗まれる。 ⸢ジン⸣バ ⸣ウナー ⸣スクカー プ⸢スン⸣ トゥ⸢ラ⸣リン⸢ダー [⸢ʤim⸣ba ⸣ʔunaː ⸣su̥kukaː pu̥⸢sun⸣ tu⸢ra⸣rin⸢daː] (お金をそこに置くと他人に盗まれる<取られる>よ) 11389 0 0 11064 htmvoc_11389.wav トゥランパー トゥ⸢ランパー [tu⸢rampaː] 名 寅の方向。東北の方向。 トゥ⸢ランパー⸣ラ ⸣フキクー カ⸢ジェー スー⸣ワンティ⸢ダー [tu⸢rampaː⸣ra ⸣ɸu̥kikuː ka⸢ʤeː suː⸣wanti⸢daː] (東北の方向<寅の方向>から吹いてくる台風は強いそうだぞ)。 ト⸢ランパーシヌヌ⸣ パラー [tu⸢rampaːʃinunu⸣ paraː] (寅の方の\ruby{角}{カド}の柱) 11390 0 0 11065 htmvoc_11390.wav トゥランパーカジ トゥ⸢ランパーカジ [tu⸢rampakaʤi] 名 東北(寅の方角)から吹く台風(風)。多くの場合、熱帯低気圧による台風は石垣島や宮古島を通過して北上するので、鳩間島では寅の方角から強風が吹くのである。通常のトゥ⸢ランパーカジ[tu⸢rampaːkaʤi](寅の方角の風)は涼風であった。 トゥ⸢ランパーカジ⸣ ヤ⸢リバ プー⸣ ピ⸢キティ パイ⸣ター パラ⸢ディー [tu⸢rampaːkaʤi⸣ ja⸢riba puː⸣ pi̥⸢kiti pai⸣taː para⸢diː] (寅の方角の風だから帆を張って<引き上げて>南端<西表島>へ行こうよ) 11392 0 0 11066 htmvoc_11392.wav トゥランパーヌティラテー トゥ⸢ランパーヌ⸣ ティ⸢ラテー [tu⸢rampaːnu⸣ ti⸢rateː] 連 屋号。大城武雄氏宅(昭和30年頃)。長男の大城公男氏は鳩間島出身で最初に沖縄県立首里高等学校長を努められた。大城公男氏の長男は鳩間島出身で最初の医師であり、琉球大学医学部附属病院に勤務された。 トゥ⸢ランパーヌ⸣ ティ⸢ラテーヤ ウイカナケーヌ エイキツァザーテーヌ⸣ シンタナル ⸢アッ⸣ター [tu⸢rampaːnu⸣ ti⸢rateːja ʔuikanakeːnu ʔeikiʦaʣaːteːnu⸣ ʃintanaːru ⸢ʔat⸣taː] (大城武雄氏宅は兼久英吉氏宅の後ろに<ぞ>あった) 11393 0 0 11067 htmvoc_11393.wav トゥリ トゥ⸢リ [tu⸢ri] 名 なぎ(凪)。無風状態。トゥ⸢ルン[tu⸢ruŋ](凪ぐ)の連用形から転成した名詞。 ア⸢サ⸣ドリ [ʔa⸢sa⸣duri] (朝凪) ⸢ユー⸣ドゥリ [⸢juː⸣duri] (夕凪))。 ⸢ウー⸣トゥリ [⸢ʔuː⸣turi] (大凪ぎ{EOS}べた凪ぎ)。 ア⸢サ⸣ドゥリ ⸢ユー⸣ドゥリ ⸢スー⸣カー ニ⸢シェー⸣ パ⸢ヤー⸣ヌ ⸣イダフネー ⸣クイ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラン⸣シェン [ʔa⸢sa⸣duri ⸢juː⸣duri ⸢suː⸣kaː ni⸢ʃeː⸣ pa⸢jaː⸣nu ⸣ʔidaɸuneː ⸣kui pa⸢raŋ⸣kaː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (朝凪、夕凪すると、鳩間から南へ渡り、西表から北へ帰る耕作のためのサバニ<イダフニ>は漕いで行かなければならなかった) 11406 0 0 11068 htmvoc_11406.wav トゥリー トゥ⸢リー [tu⸢riː] 名 鳥居。⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](お願{EOS}御嶽)の入り口に立っている、神域を示す一種の門。 ウ⸢ガン⸣ヌ トゥ⸢リー⸣ナ シ⸢ビナージナ⸣ ピ⸢キ⸣ ス⸢コー⸣レーン [ʔu⸢gan⸣nu tu⸢riː⸣naː ʃi⸢binaːʤina⸣ pi̥⸢ki⸣ su̥⸢koː⸣reːŋ] (お願<御嶽>の鳥居に注連縄を張って<引いて>おかれてある) 11407 0 1 11069 htmvoc_11407.wav トゥリートゥリーシ トゥリー⸢トゥリー⸣シ [turiː⸢turiː⸣ʃi] 副 {Mn_1}ぼんやりと。しょんぼりと。 ⸣ムニーン イ⸢ザムティ⸣ トゥ⸢リートゥリー⸣シ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク ⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [⸣muniːŋ ʔi⸢ʣamuti⸣ tu⸢riːturiː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku ⸣munu ⸣mirukaː ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (ものも言わずに、しょんぼりしているのを見ると可哀相<不憫>なんだよ)。 11407 0 2 11070 htmvoc_11407.wav トゥリートゥリーシ トゥリー⸢トゥリー⸣シ [turiː⸢turiː⸣ʃi] 副 {Mn_2}物静かに。穏やかに。 イ⸢チンマー アーリティ⸣ ン⸢ガマ⸣サールムヌ ⸢キュー⸣ヤ トゥ⸢リートゥリー⸣シ ⸢ベー⸣ モー ⸣ヌーカヤー [ʔi⸢immaː ʔaːriti⸣ ʔŋ⸢gama⸣saːru ⸣munu ⸢kjuː⸣ja turiː⸢turiː⸣ʃi ⸢beː⸣moː ⸣nuːkaja] (いつもは暴れてうるさい<煩い>のに今日は物静かにしょんぼりしているのは何だろうか) 11394 0 0 11071 htmvoc_11394.wav トゥリアーシ トゥ⸢リアー⸣シ [tu⸢riʔaː⸣ʃi] 名 組み合わせ。取り合わせ。 トゥ⸢ジブトゥヌ⸣ トゥ⸢リアーシ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サティル ⸣アイニ アウ⸢ナー [tu⸢ʤibutunu⸣ tu⸢riʔaːʃi⸣nu ⸢was⸣satiru ⸣ʔaini ʔau⸢naː] (夫婦の組み合わせが悪いので、あのように喧嘩するのだねえ) 11395 0 0 11072 htmvoc_11395.wav トゥリアギルン トゥ⸢リアギ⸣ルン [tu⸢riʔagi⸣ruŋ] 他動 取り上げる。 ⸢ビンキョー サン⸣カー ム⸢タビ⸣ムヌ トゥ⸢リアギ⸣ルン⸢ダー [⸢biŋkjoː saŋ⸣kaː mu⸢tabi⸣munu tu⸢riʔagi⸣run⸢daː] (勉強しないと玩具を取り上げるよ) 11396 0 0 11073 htmvoc_11396.wav トゥリアグン トゥ⸢リ⸣アグン [tu⸢ri⸣ʔaguŋ] 他動 取り上げる。 ム⸢タビ⸣ムヌ トゥ⸢リ⸣アグン [mu⸢tabi⸣munu tu⸢ri⸣ʔaguŋ] (玩具を取り上げる)。 トゥ⸢リアガ⸣ヌ [tu⸢riʔaga⸣nu] (取り上げない)。 トゥ⸢リ⸣アギ ⸣ミサカー トゥ⸢リ⸣アグ ⸣クトー ⸣ナルン [tu⸢ri⸣ʔagi ⸣misakaː tu⸢ri⸣ʔagu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (取り上げて良ければ取り上げることはできる)。 トゥ⸢リ⸣アゲー ⸣ミサムヌ [tu⸢ri⸣ʔageː ⸣misamunu] (取り上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢リ⸣アギバ [⸢paː⸣ku tu⸢ri⸣ʔagiba] (早く取り上げよ) 11397 0 0 11074 htmvoc_11397.wav トゥリアシゥカイ トゥ⸢リアシゥ⸣カイ [tu⸢riʔasi̥⸣kai] 名 取り扱い。 ク⸢リヌ⸣ トゥ⸢リアシゥカイ⸣ヤー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ku⸢rinu⸣ tu⸢riʔasi̥kai⸣jaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (これの取り扱いは気をつけなさい)。 タ⸢マガラ⸣スンドーレーヌ トゥ⸢リアシゥカイ⸣ヤー イッ⸢ケナ⸣ ム⸢チ⸣キサン⸢ダー [ta⸢magara⸣sundoːreːnu tu⸢riʔasi̥kai⸣jaː ʔik⸢kena⸣ mu⸢ʧi⸣ki̥san⸢daː] (ガラス等の取り扱いは非常に難しいよ) 11398 0 0 11075 htmvoc_11398.wav トゥリアシゥカウン トゥ⸢リアシゥ⸣カウン [tu⸢riʔasi̥⸣kauŋ] 他動 取り扱う。扱う。 ⸢イー⸣シェー ⸢スイサンガイ⸣シャナール ⸣トゥリアシゥカイ ⸢シーブタンドゥ⸣ ク⸢トゥシェー⸣ トゥ⸢リアシゥカーン⸣ツォー [⸢ʔiː⸣ʃeː ⸢suisaŋkai⸣ʃanaːru ⸣turiasi̥kai ⸢ʃiːbutandu⸣ ku̥⸢tuʃeː⸣ tu⸢riʔasi̥kaːn⸣ʦoː] (ツノマタは水産会社で取り扱っていたが、今年は取り扱わないそうだ)。 ⸣クナー トゥ⸢リアシゥ⸣カイミサカー ⸢バン⸣ヌン トゥ⸢リアシゥ⸣カウン [⸣kunaː tu⸢riʔasi̥⸣kai ⸣misakaː ⸢ban⸣nun tu⸢riʔasi̥⸣kauŋ] (此処で取り扱って良ければ私も取り扱う)。 トゥ⸢リアシゥカイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu⸢riʔasi̥kai⸣jaː ⸣misamunu] (取り扱えば良いのに)。 ⸣クナー トゥ⸢リアシゥ⸣カウンカヤー [⸣kunaː tu⸢riʔasi̥⸣kauŋkajaː] (此処で取り扱うだろうかなあ)。 トゥ⸢リアシゥ⸣カウ ⸣ムヌ [tu⸢riʔasi̥⸣kau ⸣munu] (取り扱うもの)。 トゥ⸢リアシゥカイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu⸢riʔasi̥kai⸣jaː ⸣misamunu] (取り扱えば良いのに)。 トゥ⸢リアシゥ⸣カイバ [tu⸢riʔasi̥⸣kaiba] (取り扱えよ) 11399 0 0 11076 htmvoc_11399.wav トゥリアツァミルン トゥ⸢リアツァミ⸣ルン [tu⸢riʔaʦami⸣ruŋ] 他動 取り集める。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ポッツァーシ⸣ シケー ム⸢タビ⸣ムヌ トゥ⸢リアツァミ⸣ルンティ ⸢ベー [ja⸢rabi⸣nu ⸢potʦaːʃi⸣ ʃi̥keː mu⸢tabi⸣munu tu⸢riʔaʦami⸣runti ⸢beː] (子供が散らかしてある玩具を取り集めようとしている) 11400 0 0 11077 htmvoc_11400.wav トゥリアツァムン トゥ⸢リアツァ⸣ムン [tu⸢riʔaʦa⸣muŋ] 他動 取り集める。 ⸣ドゥーシ トゥ⸢リアツァ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ トゥ⸢リアツァマラ⸣ヌ [⸣duːʃi tu⸢riaʦa⸣munti ⸢sundu⸣ tu⸢riaʦamara⸣nu] (自分で取り集めようとするが、取り集められない) 11401 0 0 11078 htmvoc_11401.wav トゥリイリ トゥ⸢リ⸣イリ [tu⸢ri⸣ʔiri] 名 取り入れ。収穫。 ⸢ムン⸣ヌ トゥ⸢リ⸣イレー シ⸢マ⸣シェーン [⸢mun⸣nu tu⸢ri⸣ʔireː ʃi⸢ma⸣ʃeːŋ] (麦の収穫<取り入れ>は済ませた) 11402 0 0 11079 htmvoc_11402.wav トゥリイリジブン トゥ⸢リイリ⸣ジブン [tu⸢riʔiri⸣ʤibuŋ] 名 収穫時期。取り入れ時期。 ⸢アー⸣ヌ トゥ⸢リイリジブン⸣マー イ⸢チ⸣ヤ [⸢ʔaː⸣nu tu⸢riʔiriʤibum⸣maː ʔi⸢ʧi⸣ja] (粟の収穫時期は何時か) 11403 0 0 11080 htmvoc_11403.wav トゥリイリルン トゥ⸢リイリ⸣ルン [tu⸢riʔiri⸣ruŋ] 他動 取り入れる。 ⸣ヌーンクイン ⸢ソームノー⸣ トゥ⸢リイリ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ トゥ⸢リイリララ⸣ヌ [⸣nuːŋkuin ⸢soːmunoː⸣ tu⸢riʔiri⸣runti ⸢sundu⸣ tu⸢riʔirirara⸣nu] (何もかも良いことは取り入れようとするが、取り入れられない) 11408 0 0 11081 htmvoc_11408.wav トゥリウクナイ ⸣トゥリウクナイ [⸣turiʔukunai] 名 虐待。「執り行い」の義か。 ム⸢カ⸣シェー ⸣タンコー ⸢ピンギ⸣ムノー ⸢ズン⸣サン カ⸢サマリティ⸣ タンコー ⸢サンガリ⸣ シ⸢タ⸣タカ ⸣トゥリウクナイ シ⸢ラリタ⸣ティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣taŋkoː ⸢piŋgi⸣munoː ⸢ʣun⸣saŋ kḁ⸢samariti⸣ taŋkoː ⸢saŋgari⸣ ʃi̥⸢ta⸣taka ⸣turiʔukunai ʃi⸢rarita⸣ti⸢daː] (昔は炭坑逃亡者は巡査に捕まれて炭坑へ引張られて行き、したたかに虐待を受けたそうだよ) 11409 0 0 11082 htmvoc_11409.wav トゥリウサイ ⸣トゥリウサイ [⸣turiʔusai] 名 差し押さえ。「取り押さえ」の義。 カ⸢レー⸣ ウカ パ⸢ライユーサン⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸢ウン⸣ネヌ ⸣ザイサンマー ⸣トゥリウサイ シ⸢ラリ ナー⸣ヌ [ka⸢reː⸣ ʔuka pa⸢raijuːsan⸣ta ⸢beː⸣ti ⸢ʔun⸣nenu ⸣ʣaisammaː ⸣turiusai ʃi⸢rari naː⸣nu] (彼は負債を支払い出来なかったので、彼の家の財産は差し押さえられてしまった) 11404 0 0 11083 htmvoc_11404.wav トゥリウタシ トゥ⸢リウタ⸣シ [tu⸢riʔuta⸣ʃi] 名 取り落とし。見落とし。取り残すこと。知らずにもらすこと。うっかりもらすこと。 トゥ⸢リウタシ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ユー ⸣ユー シ⸢ラ⸣ビティ ⸣ムティパリバ [tu⸢riʔutaʃi⸣nu ⸢naːŋ⸣juː ⸣juː ʃi⸢ra⸣biti ⸣mutipariba] (見落としがないか、良く調べて持って行きなさい) 11405 0 0 11084 htmvoc_11405.wav トゥリウタスン トゥ⸢リウタ⸣スン [tu⸢riʔuta⸣suŋ] 他動 取り落とす。失う。 ⸢ニーブル スー⸣カー グ⸢マー⸣ ムノー トゥ⸢リウタ⸣スンダ トゥ⸢リウタサン⸣ヨーニ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢niːburu suː⸣kaː gu⸢maː⸣ munoː tu⸢riʔuta⸣sunda tu⸢riutasaŋ⸣joːni ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (居眠りすると小さいものは取り落とすから、取り落とさないように気をつけなさい) 11410 0 0 11085 htmvoc_11410.wav トゥリカースン トゥ⸢リカー⸣スン [tu⸢rikaː⸣suŋ] 他動 取り交わす。交換する。標準語から転訛したもの。 ⸣ザイサンヌ ⸣クトゥシ ヤ⸢クスク⸣ トゥ⸢リカー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ トゥ⸢リカーサラン⸣バン [⸣ʣaisannu ⸣ku̥tuʃi ja⸢kusu̥ku⸣ tu⸢rikaː⸣sunti ⸢sundu⸣ tu⸢rikaːsara⸣nu] (財産のことで約束を取り交わそうとするが、取り交わされない) 11411 0 0 11086 htmvoc_11411.wav トゥリカイスン トゥ⸢リカイ⸣スン [tu⸢rikai⸣suŋ] 他動 取り返す。取り戻す。トゥ⸢リッカイ⸣スン[tu⸢rikkai⸣suŋ](取り返す)ともいう。 ⸣スン ⸢シェー⸣ ブン トゥ⸢リカイ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ トゥ⸢リカイサラン⸣バン [⸣suŋ ⸢ʃeː⸣ bun tu⸢rikai⸣sunti ⸢beː⸣ndu tu⸢rikaisaram⸣baŋ] (損をしたぶん取り返そうとしているが、取り返されないわい)。 トゥ⸢リカイシ⸣ プサカー トゥ⸢リカイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢rikaiʃi⸣ pu̥sakaː tu⸢rikai⸣ʃeː ⸣misamunu] (取り返したければ、取り返せば良いのに)。 トゥ⸢リカイ⸣ス ⸣ムノー ⸢パー⸣ク トゥ⸢リカイ⸣シバ [tu⸢rikai⸣su ⸣munoː ⸢paː⸣ku tu⸢rikai⸣ʃiba] (取り返すものは早く取り返しなさいよ) 11412 0 0 11087 htmvoc_11412.wav トゥリカイルン トゥ⸢リカイ⸣ルン [tu⸢rikai⸣ruŋ] 他動 取り替える。トゥ⸢リッカイ⸣ルン[tu⸢rikkai⸣ruŋ](取り替える)ともいう。 ク⸢リトゥ⸣ トゥ⸢リカイ⸣ラ⸢ディー [ku⸢ritu⸣ tu⸢rikai⸣ra⸢diː] (これと取り替えようよ)。 アー⸢イ⸣ トゥ⸢リカイラ⸣ヌ [ʔaː⸢ji⸣ tu⸢rikaira⸣nu] (否だ、取り替えない)。 トゥ⸢リ⸣カイ ⸣ミサカー トゥ⸢リカイ⸣ルンティン ウ⸢ムータン⸣ドゥ トゥ⸢リカイ⸣ル ム⸢ヌ⸣バ シ⸢ティ ナーン⸣ティバーヤ [tu⸢ri⸣kai ⸣misakaː tu⸢rikai⸣runtiŋ ʔu⸢muːtan⸣du tu⸢rikai⸣ru mu⸢nu⸣ba ʃi̥⸢ti naːn⸣tibaːja] (取り替えてよければ取り替えようとも思ったが、取り替える物を無くしてしまったそうだよ)。 トゥ⸢リカイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu⸢rikai⸣jaː ⸣misamunu] (取り替えれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢リカイ⸣リ [⸢paː⸣ku tu⸢rikai⸣ri] (早く取り替えなさい) 11413 0 0 11088 htmvoc_11413.wav トゥリカウン トゥ⸢リ⸣カウン [tu⸢ri⸣kauŋ] 他動 取り替える。交換する。 ッ⸢ふ⸣ムノー ⸢ミームヌトゥ⸣ トゥ⸢リ⸣カウンティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー トゥ⸢リカーン⸣ツォー [f⸢fu⸣munoː ⸢miːmunutu⸣ tu⸢ri⸣kaunti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢na⸣maː tu⸢rikaːn⸣ʦoː] (古いものは新しいものと取り替えると聞いたが、今は取り替えないそうだ)。 トゥ⸢リ⸣カイ ⸣ミサカー トゥ⸢リ⸣カウ ⸣クトー ⸣ナルン [tu⸢ri⸣kai ⸣misakaː tu⸢ri⸣kau ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (取り替えて良ければ取り替えることは出来る)。 トゥ⸢リカイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu⸢rikai⸣jaː ⸣misamunu] (取り替えれば良いのに)。 ⸣ドゥーシ トゥ⸢リ⸣カイバ [⸣duːʃi tu⸢ri⸣kaiba] (自分で取り替えなさいよ) 11414 0 0 11089 htmvoc_11414.wav トゥリカカルン トゥ⸢リカカ⸣ルン [tu⸢rikaka⸣ruŋ] 自動 取り掛かる。着手する。しはじめる。 ア⸢ツァー⸣ラ シ⸢グトゥ⸣ トゥ⸢リカカ⸣ルンティ ス⸢コーリ ベー [ʔa⸢ʦaː⸣ra ʃi⸢gutu⸣ tu⸢rikaka⸣runti su̥⸢koːri beː] (明日から仕事に取り掛かろうと準備している) 11415 0 0 11090 htmvoc_11415.wav トゥリカクムン トゥ⸢リカク⸣ムン [tu⸢rikaku⸣muŋ] 他動 取り囲む。周りを囲む。「トゥ⸢リ」(取り)は強意の接頭語。 ⸣ティー シ⸢ナイティ マンナカヌ⸣ プ⸢スバ⸣ トゥ⸢リカク⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ トゥ⸢リカクマラ⸣ヌ [⸣tiː ʃi⸢naiti mannakanu⸣ pu̥⸢suba⸣ tu⸢rikaku⸣munti ⸢sundu⸣ tu⸢rikakumara⸣nu] (手を繋いで真中の人を取り囲もうとするが、取り囲まれない)。 トゥ⸢リカク⸣ミ ⸣ミサカー ク⸢レー⸣ トゥ⸢リカク⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [tu⸢rikaku⸣mi ⸣misakaː ku⸢reː⸣ tu⸢rikaku⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (取り囲んで良ければ、これは取り囲むことはできる)。 トゥ⸢リカク⸣ミバ [tu⸢rikaku⸣miba] (取り囲めよ) 11416 0 1 11091 htmvoc_11416.wav トゥリカサムン トゥ⸢リカサ⸣ムン [tu⸢rikasa⸣muŋ] 他動 {Mn_1}取りつかむ。しっかりと掴む。「トゥ⸢リ」(取り)は強意の接頭語。 ア⸢チ⸣ナビ ウ⸢トゥンティ⸣ トゥ⸢リカサ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ イ⸢ツァー⸣ヌ トゥ⸢リカサ⸣ミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢ʧi⸣nabi ʔu⸢tunti⸣ tu⸢rikasa⸣munti ⸢sundu⸣ ʔi⸢ʦaː⸣nu tu⸢rikasa⸣mi na⸢ra⸣nu] (熱い鍋を竈から移そうとして、取りつかもうとするが、熱くてしっかり掴むことができない)。 11416 0 2 11092 htmvoc_11416.wav トゥリカサムン トゥ⸢リカサ⸣ムン [tu⸢rikasa⸣muŋ] 他動 {Mn_2}捕縛する。 ⸢ヌシ⸣トゥル トゥ⸢リカサ⸣ムンティ ⸢アー⸣キ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [⸢nuʃi⸣turu tu⸢rikasa⸣munti ⸢ʔaː⸣ki ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (盗人を捕まえようとして怪我して<体を病まして>ある) 11417 0 0 11093 htmvoc_11417.wav トゥリカザリ トゥ⸢リカザ⸣リ [tu⸢rikaʣa⸣ri] 名 供物を供えて(接続形)。物を取り付けて美しく立派にして。歌謡語。動詞トゥ⸢リカザ⸣ルン[tu⸢rikaʣa⸣ruŋ](供物を供える)の接続形。/⸢キー⸣ヌナル パ⸢チパチバ⸣ トゥ⸢リカザ⸣リ~[⸢kiー⸣nunaru pḁ⸢ʧipaʧiba⸣ tu⸢rikaʣa⸣ri~](木の実の初生りを取り供えて~)「念仏歌の<シザヌクイ>(兄の声<歌>)」 11418 0 0 11094 htmvoc_11418.wav トゥリカジ トゥ⸢リ⸣カジ [tu⸢ri⸣kaʤi] 名 取り舵。船首を左に向ける時の舵の使い方。本来の鳩間方言では、オーラー[⸢ʔoːraaː](風上側{EOS}左)という。ウ⸢ム⸣カジ[ʔu⸢mu⸣kaʤi](面舵{EOS}船首を右に向けること)の対義語。左風の場合、ウムカジは、鳩間方言では、ッ⸢ソーマー[ssoːmaː](風下{EOS}右)をいう。標準語からの借用語の転訛したもの。日露戦争で海軍に従軍した兵士によってもたらされたものという。発動機船導入によるカツオ漁業の発展に伴って一般化したことばである 11419 0 0 11095 htmvoc_11419.wav トゥリキミルン トゥ⸢リキミ⸣ルン [tu⸢rikimi⸣ruŋ] 他動 取り決める。相談して決定する。契約する。 ⸢イー⸣シ ⸣トゥリヌ ピ⸢ニチ⸣ トゥ⸢リキミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ トゥ⸢リキミララ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ʃi ⸣turinu pi⸢niʧi⸣ tu⸢rikimi⸣runti ⸢sundu⸣ tu⸢rikimirara⸣nu] (ツノマタ採種の日を取り決めようとするが、取り決められない) 11420 0 0 11096 htmvoc_11420.wav トゥリクムン トゥ⸢リ⸣クムン [tu⸢ri⸣kumuŋ] 他動 取り組む。取り掛かる。着手する。 ア⸢ツァー⸣ラ ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ナ トゥ⸢リ⸣クムンティ ス⸢コーリ ベー [ʔa⸢ʦaː⸣ra ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu⸣na tu⸢ri⸣kumunti su̥koːri beː] (明日からこの仕事に取り掛かろうと準備している)。 トゥ⸢リクマ⸣ヌ [tu⸢rikuma⸣nu] (取り組まない)。 トゥ⸢リ⸣クミ ⸣ミサカー トゥ⸢リ⸣クム ⸣クトー ⸣ナルン [tu⸢ri⸣kumi ⸣misakaː tu⸢ri⸣kumu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (取り組んで良ければ取り組むことは出来る) 11421 0 0 11097 htmvoc_11421.wav トゥリサギルン トゥ⸢リサギ⸣ルン [tu⸢risagi⸣ruŋ] 他動 取り下げる。 ⸢ニンガイ⸣ヌ ウ⸢ワール⸣カー マ⸢チ⸣シケール ⸣グシパナー トゥ⸢リサギ⸣ルン [⸢niŋgai⸣nu ʔu⸢waːru⸣kaː ma⸢ʧi⸣ʃi̥keːru ⸣guʃipanaː tu⸢risagi⸣ruŋ] (神司の祈願が終わると、供えてある供物の神酒・花米は取り下げる) 11422 0 0 11098 htmvoc_11422.wav トゥリサグン トゥ⸢リ⸣サグン [tu⸢ri⸣saguŋ] 他動 取り下げる。 ク⸢ヌ ギンヌ⸣ バー ニ⸢ガイ⸣ヤー トゥ⸢リ⸣サグン [ku⸢nu ginnu⸣ baː ni⸢gai⸣jaː tu⸢ri⸣saguŋ] (この件についての私の願いは取り下げます) 11423 0 0 11099 htmvoc_11423.wav トゥリシギ トゥ⸢リ⸣シギ [tu⸢ri⸣ʃigi] 名 取り次ぎ。石垣方言の⸢トゥリゥチゥギゥ[⸢turïʦïgï](取り次ぎ)が借用され、転訛したもの。日常生活では「取り次ぎ」をする場面はほとんどない。 ⸢タール⸣ トゥ⸢リ⸣シギ ⸢シー ッふォーッ⸣ター [⸢taːru⸣ tu⸢ri⸣ʃigi ⸢ʃiːffoːt⸣taː] (誰が取り継をして下さったのか) 11424 0 0 11100 htmvoc_11424.wav トゥリシキルン トゥ⸢リシキ⸣ルン [tu⸢riʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 取り付ける。\ruby{据}{ス}え付ける。器具や機器類を据え付ける。設置する。 ⸣イダフニナー ⸢モー⸣ター トゥ⸢リシキ⸣ルンティ ア⸢ズヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー トゥ⸢リシキララ⸣ヌ [⸣ʔidaɸuninaː ⸢moː⸣taː tu⸢riʃi̥ki⸣runti ʔa⸢ʣunu⸣ ma⸢na⸣maː tu⸢riʃi̥kirara⸣nu] (板舟<サバニ>にモーター<ガソリンエンジン{EOS}発動機>を据え付けるというが、今はす据えつけられない)。 トゥ⸢リシキ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [tu⸢riʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (取り付けることは出来ない)。 トゥ⸢リシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [tu⸢riʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (取り付ければいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ トゥ⸢リシキ⸣リ [jaː⸢din⸣ tu⸢riʃi̥ki⸣ri] (必ず取り付けなさい) 11425 0 0 11101 htmvoc_11425.wav トゥリシズミ ⸣トゥリシズミ [⸣turiʃiʣumi] 名 \ruby{鎮}{シズ}めること。取り押さえること。 ⸢ウッ⸣ツァー サ⸢キ⸣ ヌメーラ ⸣トゥリシズミ ナ⸢ラン⸣ スコー ⸢アイ⸣ス [⸢ʔut⸣ʦaː sḁ⸢ki⸣ numeːra ⸣turiʃiʣumi na⸢ran⸣ su̥koː ⸢ʔai⸣su] (彼らは酒を飲むと鎮める<取り押さえる>ことが出来ないほど喧嘩する) 11426 0 0 11102 htmvoc_11426.wav トゥリシティルン ⸣トゥリ シ⸢ティルン [⸣turi ʃi̥⸢tiruŋ] 連 取って捨てる。取り除く。 ア⸢ラム⸣トー ⸣トゥリ シ⸢ティルン [ʔa⸢ramu⸣toː ⸣turi ʃi̥⸢tiruŋ] (あらもと<玄米の中に混じっている\ruby{籾}{モミ}{EOS}「\ruby{粡}{アラモト}」『倭名類聚鈔』>は取って捨てる)。 ⸣ッサリムノー プ⸢サイティ⸣ トゥリ シ⸢ティリ [⸣ssarimunoː pu̥⸢saiti⸣ turi ʃi̥⸢tiri] (腐ったものは拾って取り除きなさい) 11427 0 0 11103 htmvoc_11427.wav トゥリシトゥン ⸣トゥリ シ⸢トゥン [⸣turi ʃi̥⸢tuŋ] 連 取って捨てる。取り除く。「取り捨つ<下二段>」の転訛したもの。 フ⸢トゥッチ⸣ムヌ プ⸢サイ⸣ トゥリ シ⸢トゥンティ ベー [ɸu̥⸢tutʧi⸣munu pu̥⸢sai⸣ turi ʃi̥⸢tunti beː] (腐れたもの<腐食したもの>を拾って取り捨てよう<取り除こう>としている)。 ⸣ドゥーシ ⸣トゥリ シ⸢ティ⸣ ミサカー ⸣トゥリ シ⸢トゥ⸣ クトー ⸣ナルン [⸣duːʃi ⸣turi ʃi̥⸢ti⸣ misakaː ⸣turi ʃi̥⸢tu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (自分で取って捨ててよければ、取って捨てることはできる) 11428 0 0 11104 htmvoc_11428.wav トゥリシナースン トゥ⸢リシナー⸣スン [tu⸢riʃinaː⸣suŋ] 他動 取り揃える。過不足なく揃える。「トゥリ」(取り)は強意の接頭語。シ⸢ナー⸣スン[ʃi⸢naː⸣suŋ](揃える)には、「組み合わせる」、「調合する」、「対になるように揃える」の意味がある。 ⸣ニービキヨイヌ シ⸢ナ⸣ ヌーンクイン トゥ⸢リシナー⸣スンティ ⸢ベー⸣ダー [⸣niːbikijoinu ʃi⸢na⸣ nuːŋkuin tu⸢riʃinaː⸣sunti ⸢beː⸣daː] (結婚祝いの品を何もかも取り揃えようとしているのだよ) 11429 0 0 11105 htmvoc_11429.wav トゥリシマリ ⸣トゥリシマリ [⸣turiʃimari] 名 取り締まり。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ⸣トゥリシマリヌ ⸢ヨー⸣ティ ヤ⸢ミフニヌ タイ⸣パンラ ⸣ユー ⸢クー⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ⸣turiʃimarinu ⸢joː⸣ti ja⸢miɸuninu tai⸣panra ⸣juː ⸢kuː⸣taŋ] (終戦直後<戦世の後>は取締りが弱いので闇貿易船が台湾からよく来ていた) 11430 0 0 11106 htmvoc_11430.wav トゥリシマルン トゥ⸢リシマ⸣ルン [tu⸢riʃima⸣ruŋ] 他動 取り締まる。 ヤ⸢マカンスル⸣ヌ トゥ⸢リシマ⸣ルンティ ス⸢クタンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー トゥ⸢リシマラン⸣ツォー [ja⸢makansuru⸣nu tu⸢riʃima⸣runti su̥⸢kutandu⸣ ma⸢na⸣maː tu⸢riʃimaran⸣ʦoː] (山看守が取り締まると聞いたが、今は取り締まらないそうだ)。 ト⸢リシマリ⸣ プサタンティン トゥ⸢リシマ⸣ル プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [tu⸢riʃimari⸣ pu̥satantin tu⸢riʃima⸣ru pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (取り締まりたくても取り締まる人がいない)。 トゥ⸢リシマ⸣レー ⸣ミサムヌ [tu⸢riʃima⸣reː misamunu] (取り締まれば良いのに)。 トゥ⸢リシマ⸣リ [tu⸢riʃima⸣ri] (取り締まれ) 11431 0 0 11107 htmvoc_11431.wav トゥリシミ ⸣トゥリシミ [⸣turiʃimi] 名 取り締まり。不正や違反のないように管理・監督すること。 チ⸢カ⸣グロー ヤ⸢マカンスル⸣ヌ ⸣トゥリシミヌ ⸢スー⸣ワンダ ユ⸢リー⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ヤ⸢マ⸣ヌ ⸢キー⸣ヤ キ⸢サラ⸣ヌ [ʧi̥⸢ka⸣guroː ja⸢makansuru⸣nu ⸣turiʃiminu ⸢suː⸣wanda ju⸢riː⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ja⸢ma⸣nu ⸢kiː⸣ja ki̥⸢sara⸣nu] (近頃は営林署の監督官<山看守>の取締りが厳しいから、許可がない山の木は伐採できない) 11432 0 0 11108 htmvoc_11432.wav トゥリシラビ ⸣トゥリシラビ [⸣turiʃirabi] 名 取調べ。調べ。調査。検査。 ⸢ヌー⸣バ ⸢シール⸣ トゥリシラビ シ⸢ラリター [⸢nuː⸣ba ⸢ʃiːru⸣ turiʃirabi ʃi⸢raritaː] (何をして取調べをされたのか)。 イ⸢クサ⸣ユーナ マ⸢ラリ⸣ヤシ ⸢マーラシェー⸣ プ⸢スヌ⸣ トゥリシラビヌ ⸢アッ⸣タン [ʔi⸢kusa⸣juːna ma⸢rari⸣jaʃi ⸢maːraʃeː⸣ pu̥⸢sunu⸣ turiʃirabinu ⸢ʔat⸣taŋ] (戦争中<戦世に>、マラリアで亡くなった人の調査があった) 11433 0 0 11109 htmvoc_11433.wav トゥリシラビルン トゥ⸢リシラビ⸣ルン [tu⸢riʃirabi⸣ruŋ] 他動 取り調べる。検査する。調査する。 ヤ⸢マカンスル⸣ヌ ⸢パイタ⸣ヌ ヤ⸢マ⸣ヌ ⸣キー トゥ⸢リシラビ⸣ルンティ パ⸢トゥ⸣マーン ⸢オー⸣ルンツォー [ja⸢makasuru⸣nu ⸢paita⸣nu ja⸢ma⸣nu ⸣kiː tu⸢riʃirabi⸣runti pḁ⸢tu⸣maːŋ ⸢ʔoː⸣runʦoː] (山看守<営林署の監督官>が西表島の山林を調べるために鳩間島にも来られるそうだ)。 キ⸢ビッ⸣サ トゥ⸢リシラビラン⸣シェン [ki⸢bis⸣sa tu⸢riʃirabiraŋ⸣ʃeŋ] (厳しく取り調べなかった) 11434 0 0 11110 htmvoc_11434.wav トゥリシラブン トゥ⸢リシラ⸣ブン [tu⸢riʃira⸣buŋ] 他動 取り調べる。 ⸢ジン⸣マー ⸢タール トゥッ⸣タユー トゥ⸢リシラビ⸣ プサンドゥ ⸢キュー⸣ヤ トゥ⸢リシラバ⸣ヌ<トゥ⸢リシラビラ⸣ヌ> [⸢ʤim⸣maː ⸢taːru tut⸣tajuː tu⸢riʃirabi⸣pu̥sandu ⸢kjuː⸣ja tu⸢riʃiraba⸣nu] (お金は誰が取ったのか、取り調べたいが、今日は取り調べない)。 トゥ⸢リシラ⸣ブンティ ⸣ウムーカ トゥ⸢リシラ⸣ブ ⸣クトー ⸣ナルン [tu⸢riʃira⸣bunti ⸣ʔumuːka tu⸢riʃira⸣bu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (取り調べようと思えば取り調べることは出来る) 11435 0 0 11111 htmvoc_11435.wav トゥリスーブ トゥ⸢リスー⸣ブ [tu⸢risuː⸣bu] 名 取り競争。競争して取ること。取り合い。「取り勝負」の転訛したもの。 カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ロー ⸣キシ ウ⸢タ⸣ソーリバ ウ⸢レー⸣ トゥ⸢リスー⸣ブ ⸢ヤッタ⸣ダー [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣roː ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ta⸣soːriba ʔu⸢reː⸣ tu⸢risuː⸣bu ⸢jatta⸣daː] (カツオの頭は切って落とされるので、それは取り合いっこ<取り競争>だったよ) 11436 0 0 11112 htmvoc_11436.wav トゥリスクライ ⸣トゥリスクライ [⸣turisu̥kurai] 名 取り繕い。繕うこと。野菜など枯葉を除去して調理の準備をすること。田畑を整地すること。 ⸢キン⸣ヌ ⸣ヤレーン ⸣トンマー ⸣トゥリスクライ ⸢シェー⸣ティ キ⸢シ⸣バ [⸢kin⸣nu ⸣jareːn ⸣tommaː ⸣turisu̥kurai ⸢ʃeː⸣ti ki̥⸢ʃi⸣ba] (着物の破れた所は繕って着なさいよ) 11437 0 0 11113 htmvoc_11437.wav トゥリスクン ⸣トゥリスクン [⸣turisu̥kuŋ] 他動 後日の用意に取っておく。保管する。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ガガラソー⸣ フ⸢ユヌ⸣ カ⸢ティ⸣ムヌティ ⸣トゥリスクンティ ウ⸢ムー⸣ヌ ⸢ヌー⸣シカヤー [ku⸢nu⸣ ʔi⸢gagarasoː⸣ ɸu⸢junu⸣ kḁ⸢ti⸣munuti ⸣turisu̥kunti ʔu⸢muː⸣nu ⸢nuː⸣ʃikajaː] (このイカの塩漬けは冬のおかず<御数{EOS}副食物>として保管しておこうと思うが、どう<如何>だろうか) 11438 0 0 11114 htmvoc_11438.wav トゥリダカ トゥ⸢リダ⸣カ [tu⸢rida⸣ka] 名 取り高。手取り高。俸給または秩禄<ちつろく>の額。 カ⸢ツシンヌ モーキ⸣ヌ トゥ⸢リダ⸣カー ⸢ギュー⸣サ ⸢アッ⸣ター [kḁ⸢ʦuʃinnu moːki⸣nu tu⸢rida⸣kaː ⸢gjuː⸣sa ⸢ʔat⸣taː] (カツオ船の儲けの取り高<手取り金額>はいくらあったか) 11439 0 0 11115 htmvoc_11439.wav トゥリタティルン トゥ⸢リタティ⸣ルン [tu⸢ritati⸣ruŋ] 他動 取り立てる。催促して徴収する。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ニングゾー⸣ノー トゥ⸢リタティ⸣ルンティ ヤ⸢クニン⸣ヌ ⸢オー⸣リ ムー⸢ル⸣ トゥ⸢リタティラ⸣リティ ⸢ドゥー⸣ヤ ⸢ウン⸣ドゥ ン⸢コーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢niŋguʣoː⸣noː tu⸢ritati⸣runti ja⸢kunin⸣nu ⸢ʔoː⸣ri muː⸢ru⸣ tu⸢ritatira⸣riti ⸢duː⸣ja ⸢ʔun⸣du ʔŋ⸢koːt⸣taʦoː] (昔は年貢上納を取り立てようと役人が来られて、みんな取り立てられて、自分達は芋を食べられた<召し上がった>そうだ)。 トゥ⸢リ⸣タティミサン [tu⸢ri⸣tḁti ⸣misaŋ] (取り立ててよい)。 トゥ⸢リタティ⸣ル ⸣クトゥ [tu⸢rita⸣tiru ⸣ku̥tu] (取り立てること)。 トゥ⸢リタティ⸣レーー ⸣ミサムヌ [tu⸢ritati⸣reː ⸣misamunu] (取り立てればよいのに)。 ク⸢トゥシェー⸣ ヤー⸢ディン⸣ トゥ⸢リタティ⸣リ [ku̥⸢tuʃeː⸣ jaː⸢din⸣ tu⸢ritati⸣ri] (今年は必ず取り立てよ) 11440 0 0 11116 htmvoc_11440.wav トゥリチガイルン トゥ⸢リチガイ⸣ルン [tu⸢riʧigai⸣ruŋ] 他動 取り違える。誤って他の物を取る。誤解する。 プ⸢スヌ⸣ミーナーテー ⸢ドゥー⸣ヌ ア⸢シツァ⸣トゥ プ⸢スヌ⸣ ア⸢シ⸣ツァ トゥ⸢リチガイ⸣ルン [pu̥⸢sunu⸣miːnaːteː ⸢duː⸣nu ʔa⸢ʃiʦa⸣tu pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʃi⸣ʦa tu⸢riʧigai⸣ruŋ] (大勢の人の中では自分の下駄と他人の下駄を取り違える) 11441 0 0 11117 htmvoc_11441.wav トゥリックムン トゥ⸢リッ⸣クムン [tu⸢rik⸣kumuŋ] 他動 取り込む。取って自分のものとする。 ⸢モー⸣ケー ⸣ドゥーシ トゥ⸢リッ⸣クミティ プ⸢スンナー⸣ネー トゥ⸢リックマ⸣ヌティ ア⸢ジ アー⸣ク [⸢moː⸣keː ⸣duːʃi tu⸢rik⸣kumiti pu̥⸢sunnaː⸣neː tu⸢rikkuma⸣nuti ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (儲けは自分で取り込んで、他人には取り込まないと言っている<あるく>)。 ト⸢リッ⸣クムンティ ⸣ウムーカー トゥ⸢リッ⸣クメー ⸣ミサムヌ [tu⸢rik⸣kumunti ⸣ʔumuːkaː tu⸢rik⸣kumeː ⸣misamunu] (取り込むと思うなら取り込めばいいのに)。 トゥ⸢リッ⸣クム ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [tu⸢rik⸣kumu ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (取り込むものはない)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢リッ⸣クミバ [⸢paː⸣ku tu⸢rik⸣kumiba] (早く取り込めよ) 11442 0 0 11118 htmvoc_11442.wav トゥリドゥクル トゥ⸢リドゥク⸣ル [tu⸢riduku⸣ru] 名 とりえ(取り柄)。長所。「なにがしを取りどころにおぼしける御心は~。」『源氏物語<東屋>』の転訛したもの。 ⸢ピー⸣チンツァン トゥ⸢リドゥクル⸣ヌ ⸢ナーン⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢piː⸣ʧinʦan tu⸢ridukuru⸣nu ⸢naːm⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (一つでも取り柄のない人はいない) 11443 0 0 11119 htmvoc_11443.wav トゥリナスン トゥ⸢リナ⸣スン [tu⸢rina⸣suŋ] 他動 仲裁する。仲直りさせる。なだめて機嫌をよくさせる。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢タール⸣ トゥ⸢リナ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ トゥ⸢リナサラ⸣ヌ [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːru⸣ tu⸢rina⸣sunti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ tu⸢rinasara⸣nu] (彼ら二人の仲を仲裁しようとするが、一向に仲裁できない) 11444 0 0 11120 htmvoc_11444.wav トゥリヌカスン トゥ⸢リヌカ⸣スン [tu⸢rinuka⸣suŋ] 他動 取り残す。放置する。 ⸢ウイプス⸣バ ⸢タン⸣ガ シ⸢マ⸣ナ トゥ⸢リヌカ⸣スンティ シ⸢タンティン⸣ トゥ⸢リヌカ⸣ス ⸣クトン ナ⸢ラ⸣ンダ ⸢ンー⸣バティ ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムヌバ シー⸢ティ⸣ ウ⸢キ⸣ナー シゥ⸢カシ ⸢クー⸣タ [⸢ʔuipu̥su⸣ba ⸢taŋ⸣ga ʃi⸢ma⸣na tu⸢rinuka⸣sunti ʃi̥⸢tantin⸣ tu⸢rinuka⸣su ⸣ku̥tun na⸢ran⸣da ⸢ʔmː⸣bati ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣munuba ʃiː⸢ti⸣ ʔu⸢ki⸣naː si̥⸢kaʃi kuː⸣ta] (老人を一人島に取り残すとしても、取り残すこともできないから、嫌だと言われるのを無理に<強いて>沖縄へお連れしてきた) 11459 0 0 11121 htmvoc_11459.wav トゥリノースン トゥ⸢リノー⸣スン [tu⸢rinoː⸣suŋ] 他動 見直す。再検討する。再吟味する。改める。もとに戻す。「取り直す」の義。トゥ⸢リノー⸣シ シ⸢キノーシ[tu⸢rinoː⸣ʃi ʃi̥⸢kinoːʃi](見直し、再検討して<取り直し、聞き直しして>)のように重言として用いられることがある。 ドー⸢ディン⸣ トゥ⸢リノー⸣シ シ⸢キノーシ シー⸣ シゥ⸢カイ⸣  ッ⸢ふォー⸣リ [doː⸢din⸣ tu⸢rinoː⸣ʃi ʃi̥⸢kinoːʃi ʃiː⸣ si̥⸢kai⸣ f⸢foː⸣ri] (どうぞ見直し、再検討して使ってください)。 ⸣カイ ⸣ナレーラ トゥ⸢リノー⸣スンティ シ⸢タンティン⸣ トゥ⸢リノーサラ⸣ヌ [⸣kai ⸣nareːra tu⸢rinoː⸣sunti ʃi̥⸢tantin⸣ tu⸢rinoːsara⸣nu] (こうなったら、見直そうとしても見直されない)。 トゥ⸢リノー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [tu⸢rinoː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (見直すことは出来ない)。 トゥ⸢リノー⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢rinoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (見直せばいいのに)。 トゥ⸢リノー⸣シ [tu⸢rinoː⸣ʃi] (見直せ) 11460 0 0 11122 htmvoc_11460.wav トゥリパカライ ⸣トゥリパカライ [⸣turipḁkarai] 名 取り計らい。巧く処理すること。 ⸢ワー⸣ アズニ ⸣トゥリパカライヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔaʣuni ⸣turipḁkaraijaː na⸢ra⸣nu] (君が言うようには取り計らい<巧く処理すること>はできない) 11461 0 0 11123 htmvoc_11461.wav トゥリパカラウン トゥ⸢リパカ⸣ラウン [tu⸢ripaka⸣rauŋ] 他動 取り計らう。巧く処理する。石垣方言からの借用語が転訛したものか。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸣ミサール ⸣ヨーニ トゥ⸢リパカ⸣ライ ッ⸢ふォー⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸣misaːru ⸣joːni tu⸢ripḁka⸣rai f⸢foː⸣ri] (そのことは宜しく<良いように>取り計らってください)。 トゥ⸢リパカ⸣ラウンティ シ⸢タンティン⸣ ドゥー ⸢カッティ⸣シェー トゥ⸢リパカ⸣ラウ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [tu⸢ripḁka⸣raunti ʃi̥⸢tantin⸣ duː ⸢katti⸣ʃeː tu⸢ripḁka⸣rau ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (取り計らうとは言っても、自分勝手に取り計らうことは出来ない)。 ⸢バン⸣マー トゥ⸢リパカラーラ⸣ヌ [⸢bam⸣maː tu⸢ripḁkaraːra⸣nu] (私には取り計らえない)。 トゥ⸢リパカライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu⸢ripḁkarai⸣jaː ⸣misamunu] (取り計らえばよいのに)。 ⸢ワー⸣シ トゥ⸢リパカ⸣ライバ [⸢waː⸣ʃi tu⸢ripḁka⸣raiba] (君で取り計らえよ) 11445 0 0 11124 htmvoc_11445.wav トゥリパンタ トゥ⸢リパン⸣タ [tu⸢ripan⸣ta] 名 農繁期。「取り繁多」の転訛したもの。収穫の繁忙期。収穫時期は各農家の家内労働力のみで行われ、ユイマールはあまり見られなかった。 トゥ⸢リパンタ⸣ヌ イ⸢スガ⸣サー<⸢パンタ⸣サー> ⸣ミーラ ⸢ピー⸣ヌ ン⸢ジ⸣シタ [tu⸢ripanta⸣nu ʔi⸢suga⸣saː<⸢panta⸣saː> ⸣miːra ⸢piː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ʃi̥ta] (収穫期の忙しさは、目から火が出たものだった) 11446 0 0 11125 htmvoc_11446.wav トゥリパンツァスン トゥ⸢リパンツァ⸣スン [tu⸢ripanʦa⸣suŋ] 他動 取り外す。 ア⸢カルン⸣ プ⸢スマン⸣ トゥ⸢リパンツァ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ トゥ⸢リパンツァサラ⸣ヌ [ʔa⸢karum⸣ pu̥⸢suman⸣ tu⸢ripanʦa⸣sunti ⸢beː⸣ndu tu⸢ripanʦasara⸣nu] (障子も襖も取り外そうとしているが、取り外されない)。 ク⸢レー⸣ トゥ⸢リパンツァ⸣シ ⸣ミサカー トゥ⸢リパンツァスン⸣ドゥ トゥ⸢リパンツァ⸣ス プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢reː⸣ tu⸢ripanʦa⸣ʃi ⸣misakaː tu⸢ripanʦasun⸣du tu⸢ripanʦa⸣su pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (これは取り外してよければ取り外すが、取り外す人がいない)。 トゥ⸢リパンツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢ripanʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (取り外せばよいのに)。 ヤー⸢デン⸣ トゥ⸢リパンツァ⸣シ [jaː⸢din⸣ tu⸢ripanʦa⸣ʃi] (必ず取り外せ) 11447 0 0 11126 htmvoc_11447.wav トゥリピンガスン トゥ⸢リピンガ⸣スン [tu⸢ripiŋga⸣suŋ] 他動 取り逃がす。 ク⸢ル⸣スメー ⸢ホー⸣シェータンドゥ トゥ⸢リピンガ⸣シ ⸢ナーン⸣バン [ku⸢ru⸣sumeː ⸢hoː⸣ʃeːtandu tu⸢ripiŋga⸣ʃi ⸢naːm⸣baŋ] (コブシメ<もんごういか{EOS}紋甲烏賊>を釣ったが取り逃がしてしまった)。 ⸣アイニ カ⸢サム⸣カー トゥ⸢リピンガ⸣スン⸢ダー⸣ トゥ⸢リピンガサン⸣ヨーニ ⸢ミン⸣タマ ⸢ピッツァ⸣シ [⸣ʔaini ka⸢samu⸣kaː tu⸢ripiŋga⸣sun⸢daː⸣ tu⸢ripiŋgasaɲ⸣joːni ⸢min⸣tama ⸢pitʦa⸣ʃi] (あんなに掴んだら取り逃がすよ{EOS}取り逃がさないように目玉を潰せ)。 トゥ⸢リピンガ⸣ス イ⸢ゾー チャー⸣ マ⸢ギ⸣ イズ [⸣turipiŋgasu ʔi⸢ʣoː ʧaː⸣ ma⸢gi⸣ʔiʣu] (取り逃がす魚は何時も大魚である)。 プ⸢スム⸣シ トゥ⸢リピンガ⸣シェーラ ⸢ホーサラ⸣ヌ [pu̥⸢sumu⸣ʃi tu⸢ripiŋga⸣ʃeːra ⸢hoːsara⸣nu] (一度取り逃がしたら二度と釣れない)。 グ⸢マー⸣バ トゥ⸢リピンガ⸣シ [gu⸢maː⸣ba tu⸢ripiŋga⸣ʃi] (小さいから取り逃がしなさい) 11448 0 0 11127 htmvoc_11448.wav トゥリブン トゥ⸢リ⸣ブン [tu⸢ri⸣buŋ] 名 取り分。取り前。わけまえ。バ⸢キ⸣ダマ[ba⸢ki⸣dama](分け前{EOS}権利として分与された財産や獲物)で示された取り分。 ⸣バー トゥ⸢リブン⸣マー ⸣ヌーヤ [⸣baː tu⸢ribum⸣maː ⸣nuːja] (私の取り分<分け前>は何か) 11467 0 1 11128 htmvoc_11467.wav トゥリマイ トゥ⸢リ⸣マイ [tu⸢ri⸣mai] 名 {Mn_1}取り前。取り分。 カ⸢ツシンヌ⸣ トゥ⸢リマイ⸣ヤー ⸢ギューサ⸣ナー ⸢アッ⸣ターカヤー [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ tu⸢rimai⸣jaː ⸢gjuːsa⸣naː ⸢ʔat⸣takajaː] (カツオ漁船の儲けの取り高はいくらずつあったかねえ)。 11467 0 2 11129 htmvoc_11467.wav トゥリマイ トゥ⸢リ⸣マイ [tu⸢ri⸣mai] 名 {Mn_2}頼母子講で落札せず、取り前が残っていること。ウ⸢クリマイ[ʔu⸢kurimai](送り前)の対義語。 ム⸢エーヌ⸣ トゥ⸢リマイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ ウ⸢クリマイル⸣ アル [mu⸢jeːnu⸣ tu⸢rimai⸣ja ⸢naː⸣nu ʔu⸢kurimairu⸣ ʔaru] (頼母子講の取りは分ない{EOS}送り分<支払い>がある) 11468 0 0 11130 htmvoc_11468.wav トゥリミー トゥ⸢リ⸣ミー [tu⸢ri⸣miː] 名 取り分。配当。 シゥ⸢カイクヮーシ<シゥ⸢カイコーシ> ブンダ ワー⸣ トゥ⸢リミー⸣ヤ ⸢ナーン⸣パジ⸢ダー [sï̥⸢kaikwaːʃi bunda waː⸣ tu⸢rimiː⸣ja ⸢naːm⸣paʤi⸢daː] (使い過ぎているから君の取り分<配当>はないはずだよ) 11469 0 0 11131 htmvoc_11469.wav トゥリミーカビミー ⸣トゥリミー カ⸢ビ⸣ミー [⸣turimiː ka⸢bi⸣miː] 連 手に取って眺め回す。「取っては見、嗅いで見」の義。 イッ⸢ケナ⸣ プサンギサーリ ⸣トゥリミー カ⸢ビ⸣ミー ⸢シー ベー [ʔik⸢kena⸣ pu̥saŋgisaːri ⸣turimiː ka⸢bi⸣miː ⸢ʃiː beː] (非常に欲しいようで、何度も手に取って眺め回している) 11470 0 1 11132 htmvoc_11470.wav トゥリムシゥカイ ⸣トゥリムシゥカイ [⸣turimusï̥kai] 名 {Mn_1}酷い取り扱い。 ⸣タンコー ⸢ピンギ⸣ムノー カ⸢サマレー⸣ラ ⸢サンガリ ギー⸣ ス⸢ズーコ⸣ トゥリムシゥカイ シ⸢ラリタン⸣ティ⸢ダー [⸣taŋkoː ⸢piŋgi⸣munoː kḁ⸢samareː⸣ra ⸢saŋgari giː⸣ su⸢ʣuːko⸣ turimusï̥kai ʃi⸢raritan⸣ti⸢daː] (炭坑逃亡者は捕まれると、引張られて行って非常に酷い取り扱いをされたそうだよ)。 11470 0 2 11133 htmvoc_11470.wav トゥリムシゥカイ ⸣トゥリムシゥカイ [⸣turimusï̥kai] 名 {Mn_2}動物を屠殺解体すること。 ⸣オーン ピ⸢ビザン⸣ バ⸢ザイ⸣ トゥリムシゥカイ ⸢シー⸣ ミ⸢ラン⸣シェン [⸣ʔoːm pi⸢biʣan⸣ ba⸢ʣai⸣ turimusï̥kai ⸢ʃiː⸣ mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (豚も山羊も屠殺解体したことがなかった)。⸣トゥルムシゥカイ[⸣turumusï̥kai]ともいう 11471 0 0 11134 htmvoc_11471.wav トゥリムツン トゥ⸢リム⸣ツン [tu⸢rimu⸣ʦuŋ] 他動 接待する。持て成す。「取り持つ」の義。 ⸢ウイヌ プス⸣ トゥ⸢リム⸣ツンティ ⸢シーッ⸣パイ ⸢シー ベー [⸢ʔuinu pu̥su⸣ tu⸢rimu⸣ʦunti ⸢ʃiːp⸣pai ⸢ʃiː beː] (上司<上の人>を持て成そうとして一生懸命頑張っている)。 イッ⸢ケナ⸣ トゥ⸢リムツァ⸣リティ ⸣ケーティ ⸢ワンヌン⸣ トゥ⸢リムチ⸣ プサン [ʔik⸢kena⸣ tu⸢rimuʦa⸣riti ⸣keːti ⸢wan⸣nun tu⸢rimuʧi⸣ pu̥saŋ] (非常に持て成されてきたので君も持て成したい)。 トゥ⸢リム⸣ツ プ⸢ソー ニン⸣イリ トゥ⸢リム⸣ツェー ⸣ミサムヌ [tu⸢rimu⸣ʦu pu̥⸢soː niŋ⸣ ʔiri tu⸢rimu⸣ʧeː ⸣misamunu] (持て成す人は心をこめて接待すれば良いのに)。 ⸢ヨイシー⸣プソー ムー⸢ル⸣シ トゥ⸢リム⸣チ [⸢joiʃiː⸣pu̥soː muː⸢ru⸣ʃi tu⸢rimu⸣ʧi] (祝い客は皆で持て成せ) 11472 0 0 11135 htmvoc_11472.wav トゥリムドゥスン トゥ⸢リムドゥ⸣スン [tu⸢rimudu⸣suŋ] 他動 取り戻す。取り返す。 ⸣スン ⸢シェー ブン⸣マー トゥ⸢リムドゥサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣suŋ ⸢ʃeː bum⸣maː tu⸢rimudusaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (損をした分は取り戻さないといけない)。 トゥ⸢リムドゥ⸣スンティ ⸣ウムーカー ヤー⸢ディン⸣ トゥ⸢リムドゥ⸣シ [tu⸢rimudu⸣sunti ⸣ʔumuːkaː jaː⸢din⸣ tu⸢rimudu⸣ʃi] (取り戻そうと思うなら必ず取り戻せ)。 トゥ⸢リムドゥシ⸣ プサカー トゥ⸢リムドゥ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢rimuduʃi⸣ pu̥sakaː tu⸢rimudu⸣ʃeː ⸣misamunu] (取り戻したければ取り戻せば良いのに)。 ⸢ワー⸣ トゥ⸢リムドゥ⸣ス ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [⸢waː⸣ tu⸢rimudu⸣su ⸣munoː ⸣nuːja] (君が取り戻すものは何か) 11473 0 0 11136 htmvoc_11473.wav トゥリヤミルン トゥ⸢リヤミ⸣ルン [tu⸢rijami⸣ruŋ] 他動 取りやめる。予定していたことを中止する。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸢クー⸣ター シ⸢ナ⸣ピケー トゥ⸢リヤミ⸣ルンティ キ⸢モーッ⸣タツォー [⸢taiɸuː⸣nu ⸢kuː⸣ta ʃi⸢na⸣pi̥keː tu⸢rijami⸣runti ki⸢moːt⸣taʦoː] (台風が来たので綱引きは取りやめると決められたそうだ) 11449 0 0 11137 htmvoc_11449.wav トゥリユシルン トゥ⸢リユシ⸣ルン [tu⸢rijuʃi⸣ruŋ] 他動 取り寄せる。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ナー⸣ トゥ⸢リユシララン⸣カヤー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢naː⸣ tu⸢rijuʃiraraŋ⸣kajaː] (この品を取り寄せられないかねえ)。 トゥ⸢リユシ⸣ルンティ ⸢カン⸣ガイ ⸢ベー [tu⸢rijuʃi⸣runti ⸢kaŋ⸣gai ⸢beː] (取り寄せようと考えている)。 トゥ⸢リユシ⸣ル ⸣ムノー ⸢パー⸣ク トゥ⸢リユシ⸣レー ⸣ミサムヌ [tu⸢rijuʃi⸣rumunoː ⸢paː⸣ku tu⸢rijuʃi⸣reː ⸣misamunu] (取り寄せるものは早く取り寄せれば良いのに)。 トゥ⸢リユシ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ トゥ⸢リユシ⸣リ [tu⸢rijuʃi⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi tu⸢rijuʃi⸣ri] (取り寄せたかったら自分で取り寄せなさい<取り寄せれ>) 11462 0 0 11138 htmvoc_11462.wav トゥリルン トゥ⸢リルン [tu⸢riruŋ] 自動 凪ぐ。風が静まる。風が止まる。 カ⸢ジェー⸣ トゥ⸢リルンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ トゥ⸢リランバン [ka⸢ʤeː⸣ tu⸢rirunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢da⸣ tu⸢rirambaŋ] (風は静まる<\ruby{凪}{ナ}ぐ>と思ったが、まだ静まらない)。 カ⸢ジェー⸣ トゥ⸢リティ⸣ ウ⸢ヌス⸣ク ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣バン [ka⸢ʤeː⸣ tu⸢riti⸣ ʔu⸢nusu̥⸣ku ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣baŋ] (風は凪いでひどく雨が降るよ)。 ⸣キューズーナ トゥ⸢リル⸣ クトー ⸢ナーン⸣ダーヌ ⸢パー⸣ク トゥ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸣kjuːʣuːna tu⸢riru⸣ ku̥toː ⸢naːn⸣daːnu ⸢paː⸣ku tu⸢reː⸣ misamunu] (今日中に静<凪ぐ>まることはないだろうが、早く凪いだらいいのに)。 ⸢パー⸣ク ト⸢リリ [⸢paː⸣ku tu⸢riri] (早く静まれ) 11450 0 0 11139 htmvoc_11450.wav トゥリンザスン トゥ⸢リンザ⸣スン [tu⸢riʔnʣa⸣suŋ] 他動 取り出す。 ⸢ダン⸣トゥコーラ ⸢シームヌバン⸣ トゥ⸢リンザ⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ トゥ⸢リンザサラ⸣ヌ [⸢dan⸣tu̥koːra ⸢ʃiːmunuban⸣ tu⸢rinʣa⸣sunti ⸢beː⸣nundu tu⸢rinʣasara⸣nu] (仏壇の下の押入れから吸い物椀を取り出そうとしているが、取り出されない)。 トゥ⸢リンザ⸣シ ッ⸢ふィーリ [tu⸢riʔnʣa⸣ʃi f⸢fiːri] (取り出してくれ)。 トゥ⸢リンザ⸣ス ⸣ムノー ⸢パー⸣ク トゥ⸢リンザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢riʔnʣa⸣su ⸣munoː ⸢paː⸣ku tu⸢rinʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (取り出すものは早く取り出せば良いのに) トゥ⸢リンザ⸣シ [tu⸢riʔnʣa⸣ʃi] (取り出せ)) 11451 0 1 11140 htmvoc_11451.wav トゥル トゥ⸢ル [tu⸢ru] 名 {Mn_1}動物。鶏。「~我が心浦渚<うらす>の登理<トリ>ぞ~」『古事記』の転訛したもの。 トゥ⸢ルヌ コー⸣マ ⸣ナスン [tu⸢runu koː⸣ma ⸣nasuŋ] (鶏が卵を産む)。 トゥ⸢ルン⸣ヤー [tu⸢ruɲ⸣ jaː] (鶏舎{EOS}鶏小屋)。 トゥ⸢ルン⸣ヤー ⸢ペー⸣ルカー トゥ⸢ルフシキ⸣ カ⸢カ⸣ルンティ⸢ダー [tu⸢ruɲ⸣jaː ⸢peː⸣rukaː tu⸢ruɸuʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣runti⸢daː] (鶏小屋に入るとしらくも<白雲>に罹るそうだよ)。 11451 0 2 11141 htmvoc_11451.wav トゥル トゥ⸢ル [tu⸢ru] 名 {Mn_2}鳥類の総称。/マイヌパマヨー チドゥリ ヨー ドゥリ トゥブ トゥリ ハリ ミルク ヨーヌヨー チドゥリ/(前の浜にヨー 千鳥、飛ぶ鳥、ハリ 弥勒世の ヨー 千鳥だ)(鳩間浜千鳥節)。 11451 0 3 11142 htmvoc_11451.wav トゥル トゥ⸢ル [tu⸢ru] 名 {Mn_3}十二支の酉。 トゥ⸢ルヌ⸣ トゥシ [tu⸢runu⸣ tu̥ʃi] (酉の年)。 ⸢トゥンディマリ [⸢tundimari] (酉年生まれ)。 ⸢トゥンディプス [⸢tundipu̥su] (酉年の人) 11474 0 0 11143 htmvoc_11474.wav ドゥル ドゥ⸢ル [du⸢ru] 名 泥。 ドゥ⸢ルゴー⸣ダー ⸢シーベー [du⸢rugoː⸣daː ⸢ʃiːbeː] (泥まみれになっている<泥んこになっている>)。 ドゥ⸢ル⸣ ク⸢ナスン [du⸢ru⸣ ku⸢nasuŋ] (泥を捏ねる)。 ⸣キンナー ドゥ⸢ルヌ⸣ マ⸢マリベー [⸣kinnaː du⸢runu⸣ ma⸢mari beː] (着物に泥が付いている<塗られている>) 11452 0 0 11144 htmvoc_11452.wav トゥルイキムシ トゥ⸢ルイキム⸣シ [tu⸢ruʔikimu⸣ʃi] 名 鳥獣。「鳥獣<生き虫>」の義。イ⸢キム⸣シ[ʔi⸢kimu⸣ʃi](動物)は動物の総称。 トゥ⸢ルイキム⸣シンツァン ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダティミ⸣チェー ッ⸢シル ブー ニン⸣ギンタル ⸣ムヌ ⸣ヌーヤ ク⸢レー [tu⸢ruʔikimu⸣ʃinʦan f⸢fa⸣ su⸢datimi⸣ʧeː ʃ⸢ʃiru buː niŋ⸣gintaru ⸣munu ⸣nuːja ku⸢reː] (鳥獣でさえも子育ての道は知っている{EOS}人間たるものが何だ、これは) 11478 0 0 11145 htmvoc_11478.wav トゥルクビ トゥ⸢ル⸣クビ [tu⸢ru⸣kubi] 名 草戸。茅で葺いて作った取り外し式の粗末な戸。「取壁」の転訛したものか。炊事小屋の戸。入り口に立てて戸や窓を閉め、取り外して戸を開けた。 ⸢トーラ⸣ヌ ⸣ヤドー トゥ⸢ル⸣クビシ ス⸢クラ⸣リ ブ⸢タ⸠ダー [⸢toːra⸣nu ⸣jadoː tu⸢ru⸣kubiʃi su̥⸢kura⸣ri bu⸢ta⸠daː] (炊事小屋の戸は茅で作った取り外し式の戸であったよ)。茅をススキや竹のえつり(桟)で\ruby{挟}{ハサ}んで作った取り外し式の戸。「取り壁」の義。トゥ⸢ルッ⸣クビ[tu⸢ruk⸣kubi](取り外し式の草戸)ともいう。竹やススキを\ruby{網代}{ア|ジロ}に編んだものの上に茅を約5センチの厚さに敷き詰め竹やススキの網代網で挟んで桟をわたし、両側から強く引き締めて戸の形にしあげたもの。茅葺小屋の戸。両手で持ち上げて開閉した。 ⸢トーラ⸣ヌ ⸣ヤドー トゥ⸢ル⸣クビ ス⸢ク⸣リティル タ⸢トゥ⸣タ [⸢toːra⸣nu ⸣jadoː tu⸢ru⸣kubi su̥⸢kuri⸣ru tḁ⸢tu⸣ta] (炊事小屋の戸は草戸<トゥルクビ>を作って<ぞ>立てた) 11475 0 0 11146 htmvoc_11475.wav ドゥルゴーダー ドゥ⸢ルゴー⸣ダー [du⸢rugoː⸣daː] 名 泥だらけ。泥まみれ。泥がべっとりくっついているさま。 ⸢ワー キン⸣マー ムー⸢ル⸣ ドゥ⸢ルゴー⸣ダー ⸣ナリ ⸢ベー [⸢waː kim⸣maː muː⸢ru⸣ du⸢rugoː⸣daː ⸣nari ⸢beː] (君の着物はみんな泥だらけになっている) 11476 0 0 11147 htmvoc_11476.wav ドゥルジル ドゥ⸢ル⸣ジル [du⸢ru⸣ʤiru] 名 泥だらけ。泥まみれ。泥が染み付いているさま。 ドゥ⸢ル⸣ ク⸢ナスンティ アー⸣クンケン ⸢キン⸣マー ドゥ⸢ル⸣ジル ⸢シー ナー⸣ヌ [du⸢ru⸣ ku⸢nasunti ʔaː⸣kuŋkeŋ ⸢kim⸣maː du⸢ru⸣ʤiru ⸢ʃiː naː⸣nu] (泥を捏ねようとしているうちに着物は泥だらけになってしまった)。 ク⸢ルビティル⸣ ドゥ⸢ル⸣ジル ⸢シー アー⸣ク [ku⸢rubitiru⸣ du⸢ru⸣ʤiru ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (転んで泥だらけになっている) 11477 0 0 11148 htmvoc_11477.wav ドゥルズミ ドゥ⸢ルズミ [du⸢ruʣumi] 名 泥染め。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ター⸣ナール ドゥ⸢ルズミン ソーッ⸣タンティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢taː⸣naːru du⸢ruʣumin soːt⸣tanti⸢daː] (昔は田圃で泥染めもされたそうだよ) 11454 0 0 11149 htmvoc_11454.wav トゥルッサイルン トゥ⸢ルッサイ⸣ルン [tu⸢russai⸣ruŋ] 自動 よく聞こうとして注意する。耳を澄ませる。謹聴する。トゥ⸢ルッ⸣サウン[tu⸢rus⸣sauŋ]と同じ。 トゥ⸢ルッサイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ トゥ⸢ルッサイララ⸣ヌ [tu⸢russai⸣runti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ tu⸢russairara⸣nu] (耳を澄ませようとするが、ちっとも耳を澄まされない)。 トゥ⸢ルッサイ⸣ルピンマー ⸣ユー シゥ⸢カリン [tu⸢russai⸣ru ⸣pimmaː ⸣juː sï̥⸢kariŋ] (耳を澄ませる時はよく聞こえる)。 パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢ク⸣ ピンマー ⸢ミン⸣マー トゥ⸢ルッサイ⸣リ [pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢ku⸣ pimmaː ⸢mim⸣maː tu⸢russai⸣ri] (話を聞く時は耳は済ませなさい)。 ⸣ミン トゥ⸢ルッ⸣サイ シ⸢キ⸣プサカー シカイ⸢トゥ⸣ トゥ⸢ルッサイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣min tu⸢rus⸣sai ʃi̥⸢ki⸣pu̥sakaː ʃi̥kai⸢tu⸣ tu⸢russai⸣jaː ⸣misamunu] (耳を澄ませて聞きたければしっかりと耳を澄ませればいいのに)。 ⸢ミン⸣バ トゥ⸢ルッサイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ トゥ⸢ルッサイララ⸣ヌ [⸢mim⸣ba tu⸢russai⸣runti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ tu⸢russairara⸣nu] (謹聴しようとするが、一向に謹聴できない)。 トゥ⸢ルッサイ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [tu⸢russai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (耳を澄まして聞くことはできる)。 ⸣ミン トゥ⸢ルッサイ⸣リ [⸣min tu⸢russai⸣ri] (耳を澄ませて聞け<謹聴しろ>) 11455 0 0 11150 htmvoc_11455.wav トゥルッサウン トゥ⸢ルッ⸣サウン [tu⸢rus⸣sauŋ] 自動 耳を澄ます。注意して聞く。謹聴する。トゥ⸢ルッサイ⸣ルンとも言う。 ⸢ミン⸣バ トゥ⸢ルッ⸣サイ シ⸢キ [⸢mim⸣ba tu⸢rus⸣sai ʃi̥⸢ki] (耳を取り澄ませてよく聞け)。 トゥ⸢ルッ⸣サウンティ ⸢スーヌンドゥ⸣ トゥ⸢ルッサーラ⸣ヌ [tu⸢rus⸣saunti ⸢suːndu⸣ tu⸢russaːra⸣nu] (耳を済ませようとするが、耳を澄まされない)。 トゥ⸢ルッ⸣サウ ⸣ピンマー シゥ⸢カリン [tu⸢rus⸣sau ⸣pimmaː sï̥⸢kariŋ] (耳を澄ませる時は聞かれる)。 トゥ⸢ルッサイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [tu⸢russai⸣jaː ⸣misamunu] (耳を澄ませればよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ミン⸣バ トゥ⸢ルッ⸣サイ [⸢maː⸣bim ⸢mim⸣ba tu⸢rus⸣sai] (もっと耳を澄ませろ{EOS}謹聴せよ)。 ⸢ミン⸣マー トゥ⸢ルッ⸣サイティ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢クン [⸢mim⸣maː tu⸢rus⸣saiti pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢kuŋ] (耳を澄まして他人の話を聞く)。 ⸣ミン トゥ⸢ルッ⸣サウンティ ⸣ウムーカー トゥ⸢ルッ⸣サウ ⸣クトー ⸣ナルン [⸣min tu⸢rus⸣saunti ⸣ʔumuːkaː tu⸢rus⸣sau ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (耳を澄まそうと思えば耳を澄ますことはできる)。 ⸢マー⸣ビン トゥ⸢ルッサイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin tu⸢russai⸣jaː ⸣misamunu] (もっと耳を澄ませばいいのに) 11481 0 1 11151 htmvoc_11481.wav ドゥルドゥル ⸣ドゥルドゥル [⸣duruduru] 副 {Mn_1}粘液状に溶けたさま。擬態語。 ア⸢ミフイ⸣ヌ ⸣ミチェー ドゥ⸢ルミツァヌ⸣ ドゥルドゥル ⸣ナリティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔa⸢miɸui⸣nu ⸣miʧeː du⸢rumiʦanu⸣ duruduru ⸣nariti ʔa⸢rakara⸣nu] (雨降りの道は粘土がどろどろになって歩けない)。 ⸣ドゥルドゥル ⸣ナルンケン トゥ⸢カ⸣シ [⸣duruduru ⸣naruŋken tu̥⸢ka⸣ʃi] (どろどろになるまで溶かせ)。 11481 0 2 11152 htmvoc_11481.wav ドゥルドゥル ⸣ドゥルドゥル [⸣duruduru] 副 {Mn_2}雷鳴や車馬の走る響き、足音を鳴り響かせて走るさま。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヌ ドゥ⸢ルドゥル⸣シ パリ⸢パッ⸣タ [ja⸢ra⸣biŋkeːnu du⸢ruduru⸣ʃi pari⸢pat⸣ta] (子供たちがドロドロと足音を響かせて走って行った) 11456 0 1 11153 htmvoc_11456.wav トゥルヌシー トゥ⸢ルヌ⸣ シー [tu⸢runu⸣ ʃiː] 連 {Mn_1}鶏の巣。鳥の巣。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ユ⸢ダ⸣ナー トゥ⸢ルヌ⸣ シー ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [ga⸢ʤimaru⸣nu ju⸢da⸣naː tu⸢runu⸣ ʃiː su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (ガジマル<榕樹>の枝に鳥<鶏>が巣を作ってある)。鶏は昼中は放し飼いにして、夜は小さな鶏小屋<鶏舎>にいれた。 トゥ⸢ルヌ⸣ シーナ ⸢コー⸣マ イ⸢チッ⸣ク ⸣ナシ ⸣シケー [tu⸢runu⸣ ʃiːna ⸢koː⸣ma ʔi⸢ʧik⸣ku ⸣naʃi ⸣ʃi̥keː] (鶏が巣に卵を五個産卵してある)。 11456 0 2 11154 htmvoc_11456.wav トゥルヌシー トゥ⸢ルヌ⸣ シー [tu⸢runu⸣ ʃiː] 連 {Mn_2}鳥の巣のように乱れた髪。 ⸢ワー⸣ ガ⸢マ⸣ジェー ト⸢ルヌ⸣ シー ⸣ナリ ⸢ベー [⸢waː⸣ ga⸢ma⸣ʤeː tu⸢runu⸣ ʃiː ⸣nari ⸢beː] (君の髪は鳥<鶏>の巣のようにになっている) 11457 0 0 11155 htmvoc_11457.wav トゥルヌチリジブン トゥ⸢ルヌ⸣ チ⸢リジブン [tu⸢runu⸣ ʧi⸢riʤibuŋ] 連 三番鳥が鳴いてから夜が明け始める時分。鶏が一斉に鳴く<連れ鳴きする>時分。夜明けごろ。 トゥ⸢ルヌ⸣ チ⸢リジブンナー⸣ヤ キサー⸢ティ⸣ ウキティ ア⸢サキ⸣ヌ ス⸢コール シーブタ [tu⸢runu⸣ ʧi⸢riʤibunnaː⸣ja ki̥saː⸢ti⸣ ʔukiti ʔa⸢saki⸣nu su̥⸢koːru ʃiːbuta] (夜明け頃<鶏の連れ鳴きする時分>には既に起きて\ruby{朝餉}{アサ|ゲ}の準備をしていた)。イ⸢チバン⸣ドゥル[ʔi⸢ʧiban⸣duru](一番鶏鳴)、⸢ニーバン⸣ドル[⸢niːban⸣duru](二番鶏鳴)、⸢サンバン⸣ドゥル[⸢samban⸣duru](三番鶏鳴)の次に、夜明け頃に一斉に鶏が鳴いた 11484 0 0 11156 htmvoc_11484.wav トゥルヌッス トゥ⸢ルヌ⸣ ッス [tu⸢runu⸣ ssu] 連 鶏の糞。鶏糞。 ト⸢ルヌ⸣ ッソー ⸢バー⸣キナ イ⸢リ⸣ カ⸢タ⸣ミ パ⸢タ⸣ケー ⸣ムティ ⸢パッ⸣タ [tu⸢runu⸣ ssoː ⸢baː⸣kina ʔi⸢ri⸣ kḁ⸢ta⸣mi pḁ⸢ta⸣keː ⸣muti ⸢pat⸣ta] (鶏糞は竹笊に入れて担いで畑に持って行った) 11458 0 0 11157 htmvoc_11458.wav トゥルヌッふァヌカタチニ トゥ⸢ルヌッふァヌ⸣ カタチニ [tu⸢runuffanu⸣ kḁtaʧini] 連 鶏の子<ひよこ>のように。元気な赤子の形容。ひよこは卵から孵化してすぐ歩くので、ひよこのように元気な赤子であるという意。 ⸢ハー⸣ イッ⸢ケナ スーリ⸣ ブバン トゥ⸢ルヌッふァ⸣ヌ ⸣カタチニル ブ⸢リッテー [⸢haː⸣ ʔik⸢kena suːri⸣bauban tu⸢runuffa⸣nu ⸣kḁtaʧiniru bu⸢ritteː] (おお{EOS!}よく成長しているわい{EOS}ひよこのように元気でいるではないか) 11485 0 0 11158 htmvoc_11485.wav トゥルヌヤー トゥ⸢ルヌ⸣ヤー [tu⸢runu⸣jaː] 名 鶏舎。鶏小屋。「鶏の家」の義。トゥ⸢ルン⸣ヤー[tu⸢ruŋ⸣jaː](鶏舎)ともいう。鶏は、普通放し飼いにされていたが、鶏の容姿からどこの家の鶏か判断できた。鶏舎は屋敷の南西の角に作られていた。鶏舎のない家の鶏は屋敷の樹上に止まって寝るので、その下は鶏糞が溜まって不潔であった。子供が知らずにその樹下を通ると、⸢タイワン⸣ボー[⸢taiwam⸣boː](頭髪の毛根部に白癬のように発症する皮膚病)に罹るといわれていた。鶏舎は巾約3尺、長さ約6尺、高さ約5尺に作り、内部には2段、3段に止まり木を設置した。藁で巣を作って入れておくと産卵してくれた。トゥ⸢ルン⸣ヤー[tu⸢ruɲ⸣jaː](鶏小屋)ともいう。 トゥ⸢ロー ピーロー ポッツァーリ ブーヌ⸣ ユネンナルカー ムー⸢ル⸣ トゥ⸢ルヌ⸣ヤー ム⸢ド⸣リキー トゥ⸢ルン⸣ヤーナール ニ⸢ブタ⸣ダー [tu⸢roː piːroː potʦaːri buːnu⸣ junen ⸣narukaː muː⸢ru⸣ tu⸢runu⸣jaː mu⸢du⸣rikiː tu⸢ruɲ⸣jaːnaːru ni⸢buta⸣daː] (鶏は昼は散らばっているが、夕方になるとみんな鶏小屋に戻ってきて鶏小屋で寝たよ) 11463 0 0 11159 htmvoc_11463.wav トゥルバイ トゥ⸢ルバイ [tu⸢rubai] 名 ぼんやり者。利発でない子供。愚鈍な人。のろま。トゥ⸢ルバヤー[tu⸢rubajaː](ぼんやり者{EOS}のろま)ともいう。動詞トゥ⸢ルバウン[tu⸢rubauŋ](ぼんやりする)の連用形から転成した名詞。 トゥ⸢ルバヤーヤ⸣ シ⸢グトゥン⸣ ギ⸢チ サン⸣カー ⸣ドゥーシェー⸢シーユーサヌ [tu⸢rubajaːja⸣ ʃi⸢gutuŋ⸣ gi⸢ʧi saŋ⸣kaː ⸣duːʃeː ⸢ʃiːjuːsanu] (ぼんやり者は仕事も指示、命令<下知>しないと自分ではやれない) 11486 0 0 11160 htmvoc_11486.wav トゥルバイカーバイ トゥ⸢ルバイカー⸣バイ [tu⸢rubaikaː⸣bai] 副 ぼんやりしているさま。\ruby{呆然}{ボウ|ゼン}としたさま。あっけにとられて、我を忘れたさま。ABCDEFCD型の重言。 ⸢ヌーンティル アイニ⸣ トゥ⸢ルバイカー⸣バイ ⸢シー ベー⸣ワ [⸢nuːntiru ʔaini⸣ tu⸢rubaikaː⸣bai ⸢ʃiː beː⸣wa] (どうして<何故に>あんなにぼんやりして立っているのか)。 ヌー⸢スンティ⸣ アイニ トゥ⸢ルバイカー⸣バイ ⸢シーベー⸣ワ [nuː⸢sunti⸣ ʔaini tu⸢rubaikaː⸣bai ⸢ʃiːbeː⸣wa] (どうして<何故に>あのように呆然としているのか)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢タマーラシ ソーッ⸣タ ⸢ベー⸣ティル ⸣アイニ トゥ⸢バイカー⸣バイ ⸢シーベー⸣ ダ⸢レー [ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢tamaːraʃi soːt⸣ta ⸢beː⸣tiru ⸣ʔaini tu⸢rubaikaː⸣bai ⸢ʃiːbeː⸣ da⸢reː] (親が急逝されたので、あのように茫然としているのだよ) 11487 0 0 11161 htmvoc_11487.wav トゥルバイムヌ トゥ⸢ルバイムヌ [tu⸢rubaimunu] 名 ぼんやり者。気が利かない者。気配りの出来ない者。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢ルバイムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ムシ⸢トゥ⸣ タ⸢ルガキララヌ [ʔu⸢reː⸣ tu⸢rubaimunu⸣ ja⸢runda⸣ muʃi̥⸢tu⸣ ta⸢rugakiraranu] (彼はぼんやり者だから、ちっとも当てになたない) 11488 0 0 11162 htmvoc_11488.wav トゥルバウン トゥ⸢ルバウン [tu⸢rubauŋ] 自動 ぼんやりする。意識がかすんで何もせずにじっとする。気が利かない。呆然とする。 トゥ⸢ジヌ マーラシター⸣ トゥ⸢ルバイティ⸣ ノー⸢ン シーユーサヌ [tu⸢ʤinu maːraʃi̥taː⸣ tu⸢rubaiti⸣ noː⸢ŋ ʃiːjuːsanu] (妻が亡くなられたので、ぼんやりして何もする事が出来ない)。 トゥ⸢ルバウン⸣カヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ トゥ⸢ルバーンシェン [tu⸢rubauŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːta⸣nu tu⸢rubaːŋʃeŋ] (ぼんやりするかと思ったがぼんやりしなかった)。 トゥ⸢ルバウ⸣ クトゥン ⸣アン [tu⸢rubau⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (ぼんやりすることもある)。 トゥ⸢ルバイヤー⸣ ミサムヌ [tu⸢rubaijaː⸣ misamunu] (ぼんやりすれば良いのに)。 トゥ⸢ルバイ⸣バ [tu⸢rubai⸣ba] (ぼんやりしなさい)。 ⸣ヌー サ⸢バル⸣ マ⸢シ⸣ユー ア⸢ティンガーラムティ⸣ ナー⸢イ⸣ トゥ⸢ルバイ ベーン⸣ケンドゥ トゥ⸢ルバイランドー⸣シ シ⸢グトゥ シー⸣ティ イ⸢ザリ ナーン⸣シェン [⸣nuː sa⸢baru⸣ ma⸢ʃi⸣juː ʔa⸢tiŋgaːramuti⸣ naː⸢i⸣ tu⸢ru⸢bai beːŋ⸣kendu tu⸢rubairandoː⸣ʃi ʃi⸢gutu ʃiː⸣ti ʔi⸢arinaːŋ⸣ʃeŋ] (何をしたら良いか見当が付かなくてぼんやりしていると、ぼんやりしないで仕事をしろと、叱られてしまった)。 ウ⸢ダラ⸣クカー ター⸢ン⸣ トゥ⸢ルバウンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー トゥ⸢ルバウ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢dara⸣kukaː taː⸢n⸣ tu⸢rubaunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː tu⸢rubau⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (驚いたら誰もがぼんやりすると思うが、今はぼんやりすることはできない)。 ン⸢メーマー⸣ トゥ⸢ルバイヤー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ tu⸢rubaijaː⸣ misamunu] (少しはぼんやりすればいいのに)。トゥ⸢ルバイ⸣バヒャー[tu⸢rubai⸣baçaː](ぼんやりしろよ、こいつ<ぼんやりしやがれ!>) 11489 0 0 11163 htmvoc_11489.wav ドゥルパジン ⸣ドゥ⸢ルパジン [⸣durupaʤiŋ] 名 (動)蜂の種類。ドロバチ。黒色で腹部に黄色の縞、または黄色、赤色の斑紋がある。攻撃的な性格の蜂で、刺されると毒が強く発熱する。⸣ッふパジン[⸣ffupaʤiŋ](黒蜂)ともいう。 ⸣ドルパジン ッ⸢サ⸣リカー ⸣ニチ ン⸢ジ⸣ルン⸢ダー [⸣durupaʤin s⸢sa⸣rikaː ⸣niʧi ʔn⸢ʤi⸣run⸢daː] (ツチバチに刺されると熱が出るよ) 11490 0 0 11164 htmvoc_11490.wav トゥルパニ トゥ⸢ルパニ [tu⸢rupani] 名 鳥の羽。羽毛。歌謡語。トゥ⸢ルパニバ⸣ ガ⸢ヤー⸣バ ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー[tu⸢rupaniba⸣ ga⸢jaː⸣ba ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː](鳥の羽を茅にして家を造ってあるという)「アーパーレー歌」 11466 0 0 11165 htmvoc_11466.wav トゥルバヤー トゥ⸢ルバヤー [tu⸢rubajaː] 名 ぼんやり。気の利かない者。のろま。トゥ⸢ルバイムヌ[tu⸢rubaimunu](ぼんやり者)ともいう。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢ルバヤー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン⸣ ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ tu⸢rubajaː⸣ ja⸢runda⸣ noː⸢ŋ⸣ jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (彼はぼんやり者だから何にも役に立たない) 11491 0 0 11166 htmvoc_11491.wav ドゥルパン ドゥ⸢ルパン [du⸢rupaŋ] 名 泥足。田畑の土で汚れた足。 ドゥ⸢ルパン⸣シ ⸢ヤーン⸣ ナカー ⸢ペーラン⸣ドーシ ス⸢ナカ⸣ナー ⸢ティー⸣パン ⸣シミティ ⸣クーバ [du⸢rupaŋ⸣ʃi ⸢jaːn⸣nakaː ⸢peːran⸣doːʃi su⸢naka⸣naː ⸢tiː⸣paŋ ⸣ʃimiti ⸣kuːba] (泥足で家の中に入らないで、海で手足を洗って来いよ) 11492 0 0 11167 htmvoc_11492.wav トゥルフシキ トゥ⸢ルフシキ [tu⸢ruɸuʃi̥ki] 名 頭の皮膚病気の名。頭髪の生える部分に発症する。しらくも。はくせん<白癬>。「鳥\ruby{毛羽立}{ケ|バ|タチ}」の義。鶏糞より伝染するといわれ、鶏舎に入ったり、鶏がとまる木の下を通ると伝染すると言われていた。毛根の辺りに灰白色で粉末状の鱗片が円形に広がって発症する皮膚病。 マ⸢ナ⸣マー トゥ⸢ルフシキ⸣ カ⸢カ⸣ル ヤ⸢ラ⸣ベー ミ⸢ララン⸣バン⸢ナー [ma⸢na⸣maː tu⸢ruɸuʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣ru ja⸢ra⸣beː mi⸢raram⸣ban⸢naː] (今はしらくも<白癬>に罹る子供もいない<見られない>ねえ) 11493 0 0 11168 htmvoc_11493.wav ドゥルブッター ドゥ⸢ルブッター [du⸢rubuttaː] 名 泥がべっとりくっ付いているさま。粘土が一面にくっ付いているさま。 ウ⸢レー⸣ ドゥ⸢ルブッター⸣ ナリティ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ du⸢rubuttaː⸣ nariti si̥⸢kaːranu] (これは粘土がべっとりくっ付いて使えない<使われない>) 11494 0 0 11169 htmvoc_11494.wav ドゥルプトゥキ ドゥ⸢ルプトゥキ [du⸢rupu̥tuki] 名 感情を表さない無能な人。鈍感な人。泥人形。「泥仏」の義。 ウ⸢レー⸣ ドゥ⸢ルプトゥキトゥ⸣ ユ⸢ヌ⸣ムヌ ⸣ムニーン イ⸢ザヌ⸣ パ⸢ナン⸣ プ⸢サ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ カ⸢タチ⸣ カー⸢ニル シーブ [ʔu⸢reː⸣ du⸢rupu̥tukitu⸣ ju⸢nu⸣munu ⸣muniːŋ ʔi⸢ʣanu⸣ pa⸢nam⸣ pu̥⸢sa⸣nu pu̥⸢sunu⸣ kḁ⸢taʧi⸣ kaː⸢niru ʃiːbu] (彼は泥人形と同じだ{EOS}ものも言わないし、鼻嚏りもしない{EOS}人の姿恰好<人の形>を<ぞ>しているだけである) 11495 0 0 11170 htmvoc_11495.wav トゥルマキ トゥ⸢ルマキ [tu⸢rumaki] 名 カツオ鳥の群れ。カツオの魚群を追って飛ぶカツオドリの群れ。カツオが海中深く遊泳する場合は高く飛び、カツオが海面に浮き上がる時は海面すれすれに飛んで小魚を捕食する。カツオ漁船はその鳥巻きを探すことによってカツオの魚群を探知するのであった。⸢鳥巻き」の義。 カ⸢ツシンマー⸣ トゥ⸢ルマキバ ミシ⸣ケーティル カ⸢ツォー ウイ⸣ ザコー ⸣マキティ ⸢ホー⸣ソッタル [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ tu⸢rumakiba miʃi̥⸣keːtiru kḁ⸢ʦoː ʔui⸣ ʣakoː ⸣makiti ⸢hoː⸣soːttaru] (カツオ船はカツオドリの鳥巻きを探しながらカツオの魚群を追い、\ruby{餌付}{エ|ヅ}けをして釣られた) 11496 0 0 11171 htmvoc_11496.wav ドゥルマキ ドゥ⸢ルマキ [du⸢rumaki] 名 泥にかぶれること。泥の中や泥水の中で長時間仕事をすると手足の指の股が\ruby{爛}{タダ}れる症状。 ドゥ⸢ルマキ⸣ シ⸢ティ パン⸣ヌ ウ⸢ヤビ⸣ヌ ⸣マター タ⸢ダリナー⸣ヌ [du⸢rumaki⸣ ʃi̥⸢ti pan⸣nu ʔu⸢jabi⸣nu ⸣mataː ta⸢darinaː⸣nu] (泥にかぶれて足の指の股が爛れてしまった) 11497 0 0 11172 htmvoc_11497.wav ドゥルミジ ドゥ⸢ルミジ [du⸢rumiʤi] 名 泥水。 ナ⸢チヌ ペーレーヌ⸣ シ⸢ジク⸣カー ⸢カーヌ⸣ ドゥ⸢ルミジバ⸣ フ⸢ミ⸣ キー シ⸢マ⸣シェーティル シゥ⸢カウタル [na⸢ʧinu peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤiku⸣kaː ⸢kaːnu⸣ du⸢rumiʤiba⸣ ɸu⸢mi⸣ kiː ʃi⸢ma⸣ʃeːtiru sï̥⸢kautaru] (夏の\ruby{旱魃}{カン|バツ}が続くと井戸の泥水を汲んできて澄ませて<ぞ>使ったものだ) 11498 0 0 11173 htmvoc_11498.wav ドゥルミチ ドゥ⸢ルミチ [du⸢rumiʧi] 名 泥道。泥んこ道。 ドゥ⸢ルミチェーラ⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸢クー⸣ター ⸢キン⸣マー ドゥ⸢ルゴーダー シー ナー⸣ヌ [du⸢rumiʧeːra⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuː⸣taː ⸢kim⸣maː du⸢rugoːdaː ʃiː naː⸣nu] (泥んこ道を歩いて来たところ、着物は泥だらけになって<泥がべっとりくっ付いて>しまった) 11503 0 0 11174 htmvoc_11503.wav ドゥルムタビ ドゥ⸢ルムタ⸣ビ [du⸢rumuta⸣bi] 名 泥いじり。泥遊び。 ドゥ⸢ルムタ⸣ビ ⸢スン [du⸢rumuta⸣bi ⸢suŋ] (泥いじりをする) 11499 0 0 11175 htmvoc_11499.wav トゥルムチ トゥ⸢ルム⸣チ [tu⸢rumu⸣ʧi] 名 接待。世話。 タ⸢ビヌ⸣ プス トゥ⸢ルム⸣チ ⸢スンティ ベー [ta⸢binu⸣ pu̥su tu⸢rumu⸣ʧi ⸢sunti beː] (旅の人<客>を接待しようとしている) 11500 0 0 11176 htmvoc_11500.wav トゥルムツン トゥ⸢ルム⸣ツン [tu⸢rumu⸣ʦuŋ] 他動 接待する。世話する。取り持つ。「Torimochi,tçu,otta.トリモチ,ツ,ッタ(~馳走する)手厚いもてなしをする」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 イ⸢サナケーラヌ⸣ プ⸢ス⸣ トゥ⸢ルム⸣ツンティ ⸢シッ⸣パイ ⸢シーオー⸣ル [ʔi⸢sanakeːranu⸣ pu̥⸢su tu⸢rumu⸣ʦunti ⸢ʃip⸣pai ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (石垣島からの客<人>を接待するとて一生懸命にやっておられる) 11501 0 0 11177 htmvoc_11501.wav トゥルン トゥ⸢ルン [tu⸢ruŋ] 自動 凪ぐ。風が静まる。風波が穏やかになる。 ⸢キュー⸣ヤ カ⸢ジェー⸣ トゥ⸢ルンティ⸣ ス⸢クタンドゥ⸣ マ⸢ダ⸣ トゥ⸢ランバン [⸢kjuː⸣ja ka⸢ʤeː⸣ tu⸢runti⸣ su̥⸢kutandu⸣ ma⸢da⸣ tu⸢rambaŋ] (今日は風は凪ぐと聞いたのだが、まだ静まらない)。 ⸣キューズーナ トゥ⸢リ パリ⸣スヨー [⸣kjuːʣuːna tu⸢ri pari⸣sujoː] (今日中に凪いでいくよ)。 ⸢キュー⸣ヤ カ⸢ジヌ⸣ トゥ⸢ル⸣クトー ⸢ナーン⸣ダーヌ ⸢パー⸣ク トゥ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢kjuː⸣ja ka⸢ʤinu⸣ tu⸢ru⸣ku̥toː ⸢naːn⸣daːnu ⸢paː⸣ku tu⸢reː⸣ misamunu] (今日は風が凪ぐことはないだろうが、早く凪げば良いのに)。 ⸢パー⸣ク トゥ⸢リ [⸢paː⸣ku tu⸢ri] (早く凪げ<静まれ>) 11502 0 1 11178 htmvoc_11502.wav トゥルン ⸣トゥルン [⸣turuŋ] 他動 {Mn_1}取る。手に持つ。 ⸣ドウーシ ⸣トゥルンティ ウ⸢ムー⸣ヌ ⸢バン⸣マー トゥ⸢ララ⸣ヌ [⸣duːʃi ⸣turunti ʔu⸢muː⸣nu ⸢bam⸣maː tu⸢rara⸣nu] (自分で取ろうと思うが、私には取られない)。 ウ⸢リ⸣ トリ ッ⸢ふィーリ [ʔu⸢ri⸣ turi f⸢fiːri] (それを取ってくれ)。 ⸣トゥル プ⸢ソー パー⸣ク ⸣トゥリ [⸣turu pu̥⸢soː paː⸣ku ⸣turi] (取る人は早く取れ)。 ⸢マー⸣ビン ⸣トゥレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸣tureː ⸣misamunu] (もっと取れば良いのに)。 11502 0 2 11179 htmvoc_11502.wav トゥルン ⸣トゥルン [⸣turuŋ] 他動 {Mn_2}捕まえる。捕らえる。 ウ⸢ヌ⸣ マヤー ウ⸢ヤ⸣ザ ⸣トゥリ ⸢シェー⸣ン [ʔu⸢nu⸣ majaː ʔu⸢ja⸣ʣa ⸣turi ⸢ʃeː⸣ŋ] (この猫は鼠を捕ることが出来る)。 11502 0 3 11180 htmvoc_11502.wav トゥルン ⸣トゥルン [⸣turuŋ] 他動 {Mn_3}操作する。「~漕ぐ船の可治等流<カヂトル>間無く~。万、4027」の転訛したもの。 カ⸢ジ⸣ トゥリティ ⸢オーラー⸣ パ⸢ラー⸣イ [ka⸢ʤi⸣ turiti ⸢ʔoːraː⸣ pa⸢raː⸣i] (舵を取って<操作して>風上の方へ走らせよ)。 11502 0 4 11181 htmvoc_11502.wav トゥルン ⸣トゥルン [⸣turuŋ] 他動 {Mn_4}取り除く。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカ ⸣トゥリ [ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka ⸣turi] (船のあか<淦>を取れ)。 11502 0 5 11182 htmvoc_11502.wav トゥルン ⸣トゥルン [⸣turuŋ] 他動 {Mn_5}盗む。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムヌ ⸣トゥル フ⸢シヌ⸣ アルツォー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pu̥⸢sunu⸣ munu ⸣turu ɸu̥⸢ʃinu⸣ ʔaruʦoː] (この子は他人の物を盗む癖があるそうだ)。 11502 0 6 11183 htmvoc_11502.wav トゥルン ⸣トゥルン [⸣turuŋ] 他動 {Mn_6}殺す。 ⸣ヌチ ⸣トゥルン [⸣nuʧi ⸣turuŋ] (殺す{EOS}<命をとる>) 11482 0 0 11184 htmvoc_11482.wav トゥルンコーマ トゥ⸢ルンコー⸣マ [tu⸢ruŋkoː⸣ma] 名 鶏卵。「鶏の卵」の義。丁寧に話すと、トゥ⸢ルヌコー⸣マ[tu⸢runukoː⸣ma](鶏卵)という。 トゥ⸢ルンコー⸣マー ⸢ジーシキ⸣ムヌ⸢ダー [tu⸢ruŋkoː⸣maː ⸢ʤiːʃi̥ki⸣munu⸢daː] (鶏卵は滋養食物だよ) 11504 0 1 11185 htmvoc_11504.wav トゥレー ⸢-トゥレー [⸢-tureː] 終助 ~ものか。いろいろな語に付いて反語の意を表す。トゥ・ウレーの融合変化したもの。{Mn_1}名詞に付く。 ウ⸢レー⸣ タク⸢トゥレー⸣ ウ⸢ム⸣ジティムカーヤ [ʔu⸢reː⸣ tḁku⸢tureː⸣ ʔu⸢mu⸣ʤitimukaːja] (それは蛸なものか{EOS}イイダコ<飯蛸>というものだよ)。 11504 0 2 11186 htmvoc_11504.wav トゥレー ⸢-トゥレー [⸢-tureː] 終助 {Mn_2}活用語の終止形に付く。語末のアクセントの下がり目は、上接語が高平アクセントの場合、やや下がるだけで、十分に下がらない。上接語が下平板アクセントの場合は高平アクセントとなる。 ウ⸢リヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ ス⸢クン⸠トゥレー [ʔu⸢rinu⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni su̥⸢kun⸠tureː] (あいつが他人の忠告<言葉>を聞くものか<決して聞かないよ>)。 ⸣アイブ ⸣ムヌ ⸢カイ⸣ヤン⸢トゥレー [⸣ʔai ⸣bumunu ⸢kai⸣jan⸢tureː] (あんなのが美しいものか<ちっとも美しくない>)。動詞、助動詞の連体形に付く。 ウ⸢レー ワール スー⸠トゥレー カ⸢リル シービキティ⸣ムカーヤ [ʔu⸢reː waːru suː⸠t⸣ureː ka⸢riru ʃiːbikiti⸣mukaːja] (それは君がするものか、<否、当然>彼がすべきものだよ) 11505 0 0 11187 htmvoc_11505.wav トゥレースン トゥ⸢レー⸣スン [tu⸢reː⸣suŋ] 自動 共に遊び耽る。連れ添って遊ぶ。「連れ合う」の義か。 ドゥ⸢シザーン⸣ トゥ⸢レー⸣シ ア⸢サブン [du⸢ʃiʣaːn⸣ tu⸢reː⸣ʃi ʔa⸢sabuŋ] (友達同士連れ添って遊び\ruby{耽}{フケ}る)。 トゥ⸢レーサン⸣ドーシ ⸢ヤー⸣ヌ ⸢テーナイ⸣ユン ⸢シー⸣バ [tu⸢reːsan⸣doːʃi ⸢jaː⸣nu ⸢teːnai⸣juŋ ⸢ʃiː⸣ba] (遊び耽らないで家の手伝いをもしなさいよ)。 ⸣キューン トゥ⸢レー⸣スンティ ウ⸢ムイ⸣ル ケータ⸢ダー⸣ヌ トゥ⸢レー⸣ス ドゥ⸢シェー クーン⸣シェンツォー [⸣kjuːn tu⸢reː⸣sunti ʔu⸢mui⸣ru ⸣keːta⸢daː⸣nu tu⸢reː⸣su du⸢ʃeː kuːŋ⸣ʃenʦoː] (今日も遊び耽ろうと思って来ただろうが、連れ立って遊ぶ友達が来なかったそうだ)。 トゥ⸢レー⸣シェー ⸣ミサムヌ [tu⸢reː⸣ʃeː ⸣misamunu] (連れ立って遊び耽れば良いのに)。 ドゥ⸢シザーン⸣ トゥ⸢レー⸣シバ [du⸢ʃiʣaːn⸣ tu⸢reː⸣ʃiba] (友達同士で遊び耽りなさい) 11506 0 0 11188 htmvoc_11506.wav トゥローマ トゥ⸢ロー⸣マ [tu⸢roː⸣ma] 名 小鳥。ひよこ(\ruby{雛}{ヒナ})。マ[ma]は「小さい観念」や「親愛」の情を表す接尾指小辞。 トゥ⸢ローマ⸣ヌ ⸢トゥッカラ⸣ シデーン [tu⸢roːma⸣nu ⸢tukkara⸣ ʃideːŋ] (ひよこ<雛>が十匹かえった<孵った>) 11507 0 0 11189 htmvoc_11507.wav トゥワー ⸣-トゥワー [⸣-tuwaː] 終助 ~まい。~ものか(反語)。 ドゥ⸢クドゥク ピー⸣チ カー⸢ニ⸣テー ⸢カーリ⸣トゥワー [du⸢kuduku piː⸣ʧi kaː⸢ni⸣teː ⸢kaːri⸣tuwaː] (まさか一つだけとは買われ<買え>まい)。 ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ ブームヌ ⸢キュー⸣ワー パ⸢ラ⸣リトゥワー [⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣ buːmunu ⸢kjuː⸣wa pa⸢ra⸣rituwaː] (天気は荒れ<破れ>ているのだから、今日は行け<行かれ>まい) 11508 0 0 11190 htmvoc_11508.wav トゥン ⸢トゥン [tuŋ] 助 とも。助詞連語。引用の格助詞「と」に、とりたて強調の係助詞「も」が付いて形成されたもの。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズ ムヌトゥン⸣ ア⸢タラン ピッ⸣チン ⸢モーキララン⸣ワーンノー [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu munutun⸣ ʔa⸢taram pit⸣ʧim ⸢moːkiraraŋ⸣waːnnoː] (君が言うのとは逆に<言うのとは当らないで>、全く<一つも>儲からないではないか)。 ウ⸢ヌス⸣ク ⸢モーキル⸣トゥン ア⸢タラン ピンソー⸣ムヌ ⸢ヤッタ⸣ツォー [ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢moːkiru⸣tuŋ ʔa⸢taram pinsoː⸣munu ⸢jatta⸣ʦoː] (あれほど儲けるのに<儲けることとも>似合わず貧乏者だったそうだ) 11509 0 0 11191 htmvoc_11509.wav トゥンガー ⸢トゥン⸣ガー [⸢tuŋ⸣gaː] 名 罰。とが(咎)。「~悪しかる登我毛<トガモ>~。万、3391」の転訛したもの。 ヤ⸢ナクトゥ⸣ シ⸢タール⸣ ウヤン ⸢トゥン⸣ガー ア⸢ティラリ ベー [ja⸢nakutu⸣ ʃi̥⸢taːru⸣ ʔujan ⸢tuŋ⸣gaː ʔa⸢tirari beː] (悪い事をしたので、親に罰<咎>を与えられて<当てられて>いる)。 ⸢カントゥン⸣ガー イッ⸢ケン⸣ ナ⸢クラーン⸣ティ⸢ダー [⸢kantuŋ⸣gaː ʔik⸢ken⸣ na⸢kuraːn⸣ti⸢daː] (神罰は非常に怖いそうだよ) 11510 0 0 11192 htmvoc_11510.wav トゥンガーッふァースン ⸢トゥン⸣ガー ッ⸢ふァースン [⸢tuŋ⸣gaː f⸢faːsuŋ] 連 罰する。咎を負わせる。「咎を食わせる」の義。 プ⸢スヌ⸣ ムニン シゥ⸢カムティ⸣ ドゥーカッティカー⸢ニ シェー⸣ティ ⸢アー⸣クンケンマー ⸢ズン⸣サン カ⸢サマリティ トゥン⸣ガー ッ⸢ふァーサリ ベーン⸣ティ [pu̥⸢sunu⸣ munin sï̥⸢kamuti⸣ duːkattikaː⸢ni ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kuŋkemmaː ⸢ʣun⸣saŋ ka⸢samariti tuŋ⸣gaː f⸢faːsari beːn⸣ti] (他人の話も聞かないで自分勝手ばかりしているうちに、巡査に逮捕されて罰されて<咎を食わされて>いるさ) 11511 0 0 11193 htmvoc_11511.wav トゥンガーユリ ⸢トゥンガー⸣ユリ [⸢tuŋgaː⸣juri] 名 免罪されること。\ruby{赦免}{シャ|メン}されること。罪を許されること。 トゥ⸢ガニン⸣マー ⸢トゥンガー⸣ユリ サ⸢リティ カイ⸣ローッタツォー [tu⸢ganim⸣maː ⸢tuŋgaː⸣juri sa⸢riti kai⸣roːttaʦoː] (罪人は罪を許されて帰られたそうだ) 11512 0 0 11194 htmvoc_11512.wav トゥンガラスン ⸢トゥンガラ⸣スン [⸢tuŋgara⸣suŋ] 他動 尖らす。尖らせる。 フ⸢チ トゥンガラ⸣スン [ɸu̥⸢ʧi tuŋgara⸣suŋ] (口をとんがらせる{EOS}口を突き出す)。 フ⸢チェー トゥンガラサン⸣ ブリバ [ɸu̥⸢ʧeː tuŋgarasam⸣ buriba] (口は尖らすな<尖らさないでおれ>よ)。 ユ⸢クン⸣ヌ サ⸢ケー⸣ トゥイティ ⸢トゥンガラシ⸣ プサンドゥ ⸢トゥンガラ⸣ス トゥ⸢シ⸣ヌ ⸢ナー⸣ヌ [ju⸢kun⸣nu sḁ⸢keː⸣ tuiti ⸢tuŋgaraʃi⸣ pu̥sandu ⸢tuŋgara⸣su tu⸢ʃi⸣nu ⸢naː⸣nu] (\ruby{銛}{モリ}の先は尖らせたいが、尖らせる\ruby{砥石}{ト|イシ}がない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢トゥンガラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢tuŋgara⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと尖らせばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢トンガラ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢tuŋgara⸣ʃi] (早く尖らせよ) 11513 0 0 11195 htmvoc_11513.wav トゥンガルン ⸢トゥン⸣ガルン [⸢tuŋ⸣garuŋ] 自動 尖る。先端が細く鋭くなる(老年層)。「尖、スルドナリ・トガル」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣トゥシナー ⸣トゥーカー ⸢トゥン⸣ガルン [⸣tuʃinaː ⸣tuːkaː ⸢tuŋ⸣garuŋ] (砥石に研ぐと尖る)。 フ⸢ツェー トゥン⸣ガリティ ウ⸢シダマリ ベー [ɸu̥⸢ʧeː tuŋ⸣gariti ʔu⸢ʃidamari beː] (口は尖って、押し黙っている)。 ク⸢レー トゥー⸣タンティン ⸢トゥンガラ⸣ヌ [ku⸢reː tuː⸣tantin ⸢tuŋgara⸣nu] (これは研いでも尖らない)。 イ⸢ザリティ⸣ フ⸢チ トゥン⸣ガル ヤ⸢ラ⸣ベー シゥ⸢カーラヌ [ʔi⸢ʣariti⸣ ɸu̥⸢ʧi tuŋ⸣garu ja⸢ra⸣beː sï̥⸢kaːranu] (叱られて口が尖るような子供は使えない)。 ⸢トゥン⸣ガレー ⸣ミサムヌ [⸢tuŋ⸣gareː ⸣misamunu] (尖ればよいのに)。 ⸢トゥン⸣ガリ [⸢tuŋ⸣gari] (尖れ) 11514 1 0 11196 htmvoc_11514.wav トゥンクイトゥンクイ ⸢トゥンクイ トゥンクイ [⸢tuŋkui tuŋkui] 名 {PoS_1}所々。とびとび。そこここ。あちらこちら。飛び地。 ⸢トゥンクイトゥンクイ⸣ナー ⸢カー⸣ラヤーヌ ミ⸢ラ⸣リン [⸢tuŋkuituŋkui⸣naː ⸢kaː⸣rajaːnu mi⸢ra⸣riŋ] (点在した所<とびとびの所>に瓦葺の家が見える)。 11514 2 0 11197 htmvoc_11514.wav トゥンクイトゥンクイ ⸢トゥンクイ トゥンクイ [⸢tuŋkui tuŋkui] 副 {PoS_2}跳び越え、跳び越え。 ニ⸢ビベー⸣ プ⸢スヌ ウイバ トゥンクイ トゥンクイ シー⸣ パル ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ni⸢bi beː⸣ pu̥⸢sunu ʔuiba tuŋkui tuŋkui ʃiː⸣ paru ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (寝ている人の上を飛び越え飛び越えして行くものではないよ) 15013 0 0 11198 htmvoc_15013.wav トゥンクイトゥンクイ ⸢トゥンクイトゥンクイ [⸢tuŋkuituŋkui] 連 あちらこちら。所々。そこここ。「跳び越え跳び越え」の義。 ⸢トゥンクイ トゥンクイ⸣ナー ⸢キー⸣ヌ ⸣ムイ ⸢ベー⸣ン [⸢tuŋkui tuŋkui⸣naː ⸢kiː⸣nu ⸣mui ⸢beː⸣ŋ] (所々に樹木が生えている) 11515 0 0 11199 htmvoc_11515.wav トゥンクイルン ⸢トゥンクイルン [⸢tuŋkuiruŋ] 他動 跳び越える。飛び越す。 カ⸢マイ⸣ヤー カ⸢キ トゥンクイ⸣ パルン [ka⸢mai⸣jaː kḁ⸢ki tuŋkui⸣ paruŋ] (猪は猪垣を跳び越えていく)。 カ⸢マイ⸣ヤー ⸢トゥンクイルンティ⸣ ウムーンダ ⸢トゥンクイララン⸣ カ⸢キ⸣ ス⸢ク⸣リバ [ka⸢mai⸣jaː ⸢tuŋkuirunti⸣ ʔumuːnda ⸢tuŋkuiraraŋ⸣ kḁ⸢kib⸣ su̥⸢ku⸣riba] (猪は跳び越えると思うから、跳び越えられない猪垣を作れよ)。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢キバ トゥンクイル⸣ カ⸢マイ⸣ヤー ブ⸢ラーヌ⸣ カ⸢キ トゥンクイヤー⸣ラ ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ ⸣メー [ku⸢nu⸣ kḁ⸢kiba tuŋkuiru⸣ ka⸢mai⸣jaː bu⸢raːnu⸣ kḁ⸢ki tuŋkuijaː⸣ra ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra ⸣meː] (この垣を跳び越える猪はいない{EOS}猪垣を飛び越えたら大変さ、もう)。 ⸢トゥンクイリ [⸢tuŋkuiri] (跳び越えろ) 11516 0 0 11200 htmvoc_11516.wav トゥングヮー ⸢トゥン⸣グヮー [⸢tuŋ⸣gwaː] 名 (海底地名)鳩間島を取り巻く環礁の北西部に干瀬が少し湾入した所がある。その先端部。ア⸢マシェヌ⸣ フ⸢チマチル[ʔa⸢maʃenu⸣ ɸu̥⸢ʧimaʧiru](小浜家の先祖がフチマチル漁をした所)がある 11517 0 0 11201 htmvoc_11517.wav トゥンケーリトゥンケーリ ⸢トゥンケーリ トゥンケーリ [⸢tuŋkeːri tuŋkeːri] 連 振り返り振り返り。振り向き振り向き。 ⸣シンター ⸢トゥンケーリトゥンケーリ シー⸣ ナ⸢ケー⸣ティ ⸢カイ⸣リ パッ⸣タ [⸣ʃintaː ⸢tuŋkeːrituŋkeːri ʃiː⸣ na⸢keː⸣ti ⸢kai⸣ri pat⸣ta] (後を振り返り振り返りして泣きながら帰って行った) 11518 0 0 11202 htmvoc_11518.wav トゥンケールン ⸢トゥンケールン [⸢tuŋkeːruŋ] 自動 振り返る。背後を振り向く。過去を顧みる。老年層は⸢トゥンカイルン[⸢tuŋkairuŋ](振り返る{EOS}振り向く)ともいう。 ⸣パル ⸣ピンマー ⸢トゥンケーランドー⸣シ パ⸢ラバ⸣ル ウ⸢ムイキシ ヤッ⸣サ [⸣paru ⸣pimmaː ⸢tuŋkeːrandoː⸣ʃi pa⸢raba⸣ru ʔu⸢muikiʃijas⸣sa] (別れていく時は背後を振り返らないで行った方<行がばぞ>が諦めやすい<思い切りやすい>)。 ⸢トゥンケーリ⸣ ミサカー ⸢トゥンケールンドゥ トゥンケールナ⸣ティ ア⸢ゾー⸣ル⸢ツォー [⸢tuŋkeːri⸣ misakaː ⸢tuŋkeːrundu tuŋkeːruna⸣ti ʔa⸢ʣoː⸣ru⸢ʦoː] (振り返ってよければ振り返るのだが、振り返るなと言われるんですよ)。 ⸢トゥンケーレー⸣ ミサムヌ [⸢tuŋkeːreː⸣ misamunu] (振り返ればいいのに)。 ⸣クナーティ ⸢トゥンケーリ [⸣kunaːti ⸢tuŋkeːri] (ここで振り返れ) 11519 0 0 11203 htmvoc_11519.wav トゥンザク ⸢トゥンザ⸣ク [⸢tunʣa⸣ku] 名 看病。病人の世話。養生。あれこれと漢方薬を煎じて投与し、看病すること。病人の手当てをすること。「とんじゃく(\ruby{頓着}{トン|ジャク})」の転訛したものか。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トゥンザ⸣クン シカイ⸢トゥ シー オーシタン [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tunʣa⸣kuŋ ʃi̥kai⸢tu ʃiː ʔoːʃitaŋ] (親の看病もしっかりして差し上げた)。 タ⸢リム⸣チ ⸣ナレーラー ⸣メー ⸢トゥンザ⸣コー ナ⸢ラ⸣ヌ [ta⸢rimu⸣ʧi ⸣nareːraː ⸣meː ⸢tunʣa⸣koː na⸢ra⸣nu] (柔らか過ぎて、だらりと垂れ崩れた餅は手当てが出来ない) 11520 0 0 11204 htmvoc_11520.wav トゥンジルン ⸢トゥンジルン [⸢tunʤiruŋ] 自動 飛び出る。 ⸣クナー ⸢フン⸣ ウトゥカー ⸢トゥンジルンダ トゥンジラン⸣ トンナー ⸣ウティバ [⸣kunaː ⸢ɸuŋ⸣ ʔutukaː ⸢tunʤirunda tunʤiran⸣ tonnaː ⸣ʔutiba] (ここに釘を打つと飛び出るから、飛び出ない所に打てよ)。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢クター トゥンジ⸣ ンジ ブ⸢ドゥル シーベー [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kutaː tunʤi⸣ ʔnʤi bu⸢duru ʃiːbeː] (三線を弾いたらば飛び出して踊っている)。 ⸢トゥンジル⸣ トンマー マ⸢ダ⸣キティ ⸣ウティ [⸢tunʤiru⸣ tommaː ma⸢da⸣kiti ⸣ʔuti] (飛び出るところは避け<よけ>て打て)。 ⸢トゥンジレー⸣ ミサムヌ [⸢tunʤireː⸣ misamunu] (飛び出れば良いのに)。 マ⸢ナ⸣マ トゥ⸢ンジリ [ma⸢na⸣ma ⸢tunʤiri] (今飛び出ろ) 11521 0 0 11205 htmvoc_11521.wav トゥンズン ⸢トゥンズン [⸢tunʣuŋ] 自動 飛び出る。突き出る。「飛び出づ<下二段>」の四段活用に転訛したもの。 ⸣クナー カ⸢ニフン⸣ ウトゥカー ⸢トゥンズン⸣ティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢トゥンザンバン [⸣kunaː ka⸢niɸuŋ⸣ ʔutukaː ⸢tunʣun⸣ti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢tunʣambaŋ] (ここに鉄釘を打つと突き出る<飛び出る>と思ったが、突き出ない<飛び出ない>よ)。 トゥ⸢ンジ⸣ クン [⸢tunʤi⸣ kuŋ] (突き出てくる<飛び出てくる>)。 ⸢トゥンズ⸣ トンナー ⸢フン⸣ ウ⸢トゥ⸣ナ [⸢tunʣu⸣ tonaː ⸢ɸuŋ⸣ ʔu⸢tu⸣na] (突き出る<飛び出る>所には釘を打つな)。 マ⸢ナ⸣マ ⸢トゥンジェー⸣ ミサムヌ [ma⸢na⸣ma ⸢tunʤeː⸣ misamunu] (今突き出れば<飛び出せば>良いのに)。 ⸢トゥンジ [⸢tunʤi] (突き出よ<飛び出よ>) 11522 0 0 11206 htmvoc_11522.wav トゥンタティビリ ⸢トゥンタティビリ [⸢tuntatibiri] 名 そんきょ(蹲踞)。尻を地面につけずに腰を下ろし、両足で体を支えて座る姿勢。 ム⸢カ⸣シェー ⸢パンタ⸣サール ⸣プソー ⸢トゥンタティビリ シェー⸣ティル ⸢イー⸣ユン ン⸢コーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢panta⸣saːru ⸣pu̥soː ⸢tuntatibiri ʃeː⸣tiru ⸢ʔiː⸣jun ʔŋ⸢koːtta⸣ru] (昔は忙しい<繁多な>時は蹲踞をしながら御飯も召し上がられたものだ) 11523 0 0 11207 htmvoc_11523.wav トゥンタトゥン ⸢トゥンタトゥン [⸢tuntatuŋ] 自動 跳び立つ。席を蹴って立つ。さっと立つ。怒って席を立ち去る。⸢跳び立つ」の転訛したもの。 マ⸢ナ⸣マ ⸢トゥンタトゥンティ シー ベー⸣ ムヌバ ⸢トゥンタタン⸣ ヨーニ ウ⸢ティシゥカシ⸣タ [ma⸢na⸣ma ⸢tuntatunti ʃiː beː⸣ munuba ⸢tuntataɲ⸣ joːni ʔu⸢tisï̥kaʃi̥⸣ta] (今まさに席を蹴って立とうとしているのを、席を立たないように落ち着かせた)。 ⸢トゥンタティ パッタン⸣ドゥ ⸢トゥンタトゥ⸣ ピン ⸢フッツォーリ ベー⸣タ [⸢tuntati pattan⸣du ⸢tuntatu⸣ piŋ ⸢ɸutʦoːri beː⸣ta] (席を蹴って行ったが、席を立つとき震えていた)。 ⸢トゥンタテー⸣ ミサムヌ [⸢tuntateː⸣ misamunu] (席を蹴って立てば良いのに)。 ⸢トゥンタティ⸣バ [⸢tuntati⸣ba] (席を蹴って立てよ) 11530 0 0 11208 htmvoc_11530.wav ドゥンチ ⸢ドゥン⸣チ [⸢dun⸣ʧi] 名 殿内。旧琉球国時代、間切の長であった⸣カサ[⸣kḁsa](頭)の家柄の邸宅。八重山では、⸢メーラドゥンチ[⸢meːradunʧi](宮良殿内)、イ⸢サナキドゥンチ[ʔi⸢sanakidunʧi](石垣殿内)などがある。 ⸢メーラドゥンチ⸣ナーヤ ⸣ゾーンタヤーン ⸣アン [⸢meːradunʧi⸣naːja ⸣ʣoːntajaːŋ ⸣ʔaŋ] (宮良殿内には屋根付きの門もあるよ) 11524 0 0 11209 htmvoc_11524.wav トゥンティカンティ ⸢トゥンティカン⸣ティ [⸢tuntikan⸣ti] 名 でこぼこ(凸凹)。跳び出たり窪んだり。跳び出たり引っ込んだりするさま。突きでたり引っ込んだり。 ⸢トゥンティカン⸣ティ ⸢シー ブー⸣ ミチェー ア⸢ラキグリ⸣サン [⸢tuntikan⸣ti ⸢ʃiː buː⸣ miʧeː ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] (でこぼこしている道は歩きにくい)。 ⸢トゥンティカン⸣ティ ⸢シー ブー⸣ ヌ⸢キル⸣ヌ ⸢パー⸣ヤ ヤ⸢シ⸣ルシル ⸣トゥイティ ⸣パー タ⸢トゥ⸣タ [⸢tuntikan⸣ti ⸢ʃiːbuː⸣ nu⸢kiru⸣nu ⸢paː⸣ja ja⸢ʃi⸣ruʃiru ⸣tuiti ⸣paː tḁ⸢toːt⸣ta] (でこぼこしている\ruby{鋸}{ノコ}の刃は\ruby{鑢}{ヤスリ}で<ぞ>研いで刃を尖らせ<立て>られた) 11525 0 0 11210 htmvoc_11525.wav トゥンティパー ⸢トゥンティパー [⸢tuntipaː] 名 出っ歯。そっぱ。 マ⸢ナ⸣マー ⸢トゥンティパーン ノーサ⸣リンティバン⸢ナー [ma⸢na⸣maː ⸢tuntipaːn noːsa⸣rintiban⸢naː] (今は出っ歯も治されるそうだってねえ) 11526 0 0 11211 htmvoc_11526.wav トゥンディプス ⸢トゥンディプス [⸢tundipusu] 名 酉年生まれの人。 ⸢トゥンディプソー⸣ トゥ⸢ルヌ⸣ カタチニ イッ⸢ケナ⸣ パ⸢タラクン⸣ツォー [⸢tundipu̥soː⸣ tu⸢runu⸣ kḁtaʧini ʔik⸢kena⸣ pḁ⸢tarakun⸣ʦoː] (酉年生まれの人は鳥のように非常によく働くそうだ) 11528 0 0 11212 htmvoc_11528.wav トゥンティフタイ ⸢トゥンティフタイ [⸢tuntiɸu̥tai] 名 おでこ。高く突き出た額。「飛び出額」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ ケンマー ⸢トゥンティフタイ⸣ ヤ⸢タンドゥ⸣ ウ⸢ブ⸣プス ⸢ナッ⸣ター ア⸢テーナーン⸣ ナリ ⸢ナーン⸣ワー⸢ヌー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣ kemmaː ⸢tuntiɸutai⸣ ja⸢tandu⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸢nat⸣taː ʔa⸢teːnaːn⸣ nari ⸢naːŋ⸣waː⸢nuː] (子供のころはおでこであったが、大人になったら気付かなくなってしまったではないか) 11527 0 0 11213 htmvoc_11527.wav トゥンディマリ ⸢トゥンディマリ [⸢tundimari] 名 酉年生まれ。酉年生まれの人。 ⸢バン⸣テナー ⸢トゥンディマリヌ⸣ フ⸢タール ブン⸣ダー [⸢ban⸣tenaː ⸢tundimarinu⸣ ɸu̥⸢taːru bun⸣daː] (私の家には酉年生まれが二人いるよ) 11529 0 0 11214 htmvoc_11529.wav トゥンティミー ⸢トゥンティミー [⸢tuntimiː] 名 出目。「飛び出目」の義。 ⸢ヨーガルター トゥンティミー⸣ ナリティ シ⸢ラカタ⸣チーン ⸢カウリ ナー⸣ヌ [⸢joːgarutaː tuntimiː⸣ nariti ʃi⸢rakata⸣ʧiːŋ ⸢kauri naː⸣nu] (痩せたので出目になって、容貌<顔形>も変わってしまった) 11531 0 0 11215 htmvoc_11531.wav トゥンナ ⸢トゥン⸣ナ [⸢tun⸣na] 名 (植)あきののげし(秋の野芥子)。キク科の越年生野草。葉は羽裂、長楕円形。切ると白汁を出す。旱魃が続く夏季の野菜の取れない時期にも休耕畑で自生し、高さ約60~100センチに成長し、繁茂する。葉は多少の苦味を伴うが、をカツオの頭のだし汁と煮込むとカツオのだし汁と苦味が調和して消夏食となった。魚の和え物や酢の物などの和え物にして生食すると消夏剤の効能があるといわれていた。 ⸢トゥンナーン⸣ ⸢パーバ カ⸢カイティ⸣ カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブル⸣トゥ ⸢ネーシティ⸣ ン⸢コーッ⸣タ [⸢tunnaːm⸣ ⸢paːba kḁ⸢kaiti⸣ kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢buru⸣tu ⸢neːʃi̥ti⸣ ʔŋ⸢koːt⸣ta] (あきののげしは葉を\ruby{捥}{モ}いでカツオの頭と煮て召し上がられた) 6068 0 0 11216 htmvoc_6068.wav ドゥンナーン ⸢ドゥン⸣ナーン [⸢dun⸣naːŋ] 形 動作が鈍い。鈍感である。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸢ドゥン⸣ナーン [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸢dun⸣naːŋ] (その人は動作が非常に鈍い<鈍感である>)。 ⸣ドゥク ⸢ドゥンナー⸣ヌ ウ⸢レー⸣ タ⸢ルンガキララヌ [⸣duku ⸢dunnaː⸣nu ʔu⸢reː⸣ ta⸢ruŋgakiraranu] (あまりにも鈍くて<鈍感で>、その人は頼りにならない)。 ⸣ドゥク ⸢ドゥン⸣ナー プ⸢ソー⸣ タ⸢ルガキララヌ [⸣duku ⸢dun⸣naː pu̥⸢soː⸣ ta⸢rugakiraranu] (あまりにも鈍い<鈍感な>人は、頼りにならない)。 ⸢パンタリ⸣プソー ⸢ドゥン⸣ナーン [⸢pantari⸣pu̥soː ⸢dun⸣naːŋ] (太った人は動作が鈍い)。 ウ⸢レー⸣ ドゥク ⸢ドゥンナー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ duku ⸢dunnaː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (彼はあまりにも鈍いので使えない)。 ⸢パンタル⸣ター ⸢ドゥン⸣ナー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢pantaru⸣taː ⸢dun⸣naː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (太ったので動作が鈍くなってしまった) 11533 0 0 11217 htmvoc_11533.wav トゥンナキン ⸢トゥンナキン [⸢tunnakiŋ] 名 鶏鳴の時刻。鶏の鳴く時刻。明け方。イ⸢チバン⸣ドゥル[ʔi⸢ʧiban⸣duru](一番どり)は丑の刻<午前2~3時>頃から鳴き始め、⸢ニーバン⸣ドゥル[⸢niːban⸣duru](二番どり)は寅の刻<午前3~4時>頃から鳴き始め、⸢サンバン⸣ドゥル[⸢samban⸣duru](三番どり)は午前4~5時頃から鳴き始める。夜明け間近になると、チ⸢リドゥル[ʧi⸢riduru](一斉に鳴く鶏{EOS}⸢連れ鶏」の義)になり、白々と夜があけ始める。一番鶏が鳴くと、悪霊や\ruby{魑魅魍魎}{チ|ミ|モウ|リョウ}の類は活動を停止すると信じられていた。子供が夜中に目覚めると、暗闇の恐怖から逃れるために、一番鶏鳴の声を待ち続けた。一番鶏鳴の後は夜中に使いに出されても怖いことはなかった。 ⸢トゥンナキンヌ サンバンドル⸣ヌ ⸣アトゥ チ⸢リドゥルヌ⸣ ナ⸢ク⸣カー シ⸢ラーシラー⸣シ ⸢ユー⸣ヤ ガ⸢リス [⸢tunnakinnu sambanduru⸣nu ⸣ʔatu ʧi⸢riduru⸣ na⸢ku⸣kaː ʃi⸢raːʃiraː⸣ʃi ⸢juː⸣ja ga⸢risu] (鶏鳴の時刻の三番どりの後に連れどりが鳴くと、白々と夜が明けるよ) 11534 0 0 11218 htmvoc_11534.wav トゥンバー ⸢トゥン⸣バー [⸢tum⸣baː] 名 おてんば(お転婆)。でしゃばり女。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ ドゥク ⸢トゥン⸣バー ⸣ナリティ ビ⸢コーンッふァン⸣ カタチニル ⸢ブー [ku⸢nu ffaː⸣ duku ⸢tum⸣baː ⸣nariti bi⸢koːnffaŋ⸣ kḁtaʧiniru ⸢buː] (この子は、あまりにもお転婆で<お転婆になって>、男の子のようだ<ようにいる>) 11535 0 0 11219 htmvoc_11535.wav トゥンバーミドゥム ⸢トゥンバーミドゥ⸣ム [⸢tumbaːmidu⸣mu] 名 お転婆娘。「お転婆女」の義。 ⸢トゥンバーミドゥ⸣モー ビ⸢コーンッふァトゥ⸣ マー⸢ン カウランバン [⸢tumbaːmidu⸣moː bi⸢koːnfftu⸣ maː⸢ŋ kaurambaŋ] (お転婆娘は男の子と全然<どこも>変わらないよ) 11536 0 0 11220 htmvoc_11536.wav ドゥンブリ ⸢ドゥン⸣ブリ [⸢dum⸣buri] 名 どんぶり(丼)。どんぶりばち。深くて厚手の陶器の鉢。ソバなどを盛るのに用いる大きな碗。 イ⸢サナケー⸣ パル ⸣ピンマー ⸢ドゥン⸣ブリナール ⸣スバー イ⸢リ⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [ʔi⸢sanakeː⸣ paru ⸣pimmaː ⸢dum⸣burinaːru ⸣subaː ʔi⸢ri⸣ f⸢faːsoːt⸣ta] (石垣島へ行く時は、どんぶり鉢にそばを入れて食べさせてくださった) 11537 0 0 11221 htmvoc_11537.wav トゥンマールン ⸢トゥンマールン [⸢tummaːruŋ] 他動 田畑を見回る。あちらこちらを歩き回る。立ち回る。奔走する。「飛び回る」の転訛したもの。 パ⸢タ⸣キ ⸢トゥンマールンティ ゲータ⸣ヌ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイ ⸢トゥンマーラランシェン [pḁ⸢ta⸣ki ⸢tummaːrunti geːta⸣nu ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸui ⸢tummaːraraŋʃeŋ] (畑を見回ろうと行ったが、雨が降って見回られなかった)。 ⸢トゥンマー⸣リ ミリ⸢ヨー [⸢tummaːri⸣ miri⸢joː] (<畑>を見回ってみなさいよ)。 ⸢ワッ⸣テヌ パ⸢タ⸣キ ⸢バー⸣ケー ⸢トゥンマール⸣ クトー ナ⸢ラン⸣シェン [⸢wat⸣tenu pḁ⸢ta⸣ki ⸢baː⸣keː ⸢tummaː⸣ru ⸣ku̥toː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (貴方の家の畑までは見回ることは出来なかった)。 ⸢トゥンマーレー⸣ ミサムヌ [⸢tummaːreː⸣ misamunu] (見回ればいいのに)。 ⸢ピーンピン⸣ ヤー⸢ディン⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢トゥンマーリ [⸢piːmpiɲ⸣ jaː⸢dim⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢tummaːri] (毎日必ず畑を見回れ) 11197 0 0 11222 htmvoc_11197.wav トクル ト⸢ク⸣ル [tu̥⸢ku⸣ru] 名 所。場所。特殊な用法。普通は⸣トン[⸣toŋ](所)という。 トゥ⸢クル⸣ヌ<シ⸢マ⸣ヌ> ⸢カール⸣カー ⸣ムニン ⸢カールン [tu̥⸢kuru⸣nu<ʃi⸢ma⸣nu> ⸢kaːru⸣kaː ⸣muniŋ ⸢kaːruŋ] (所が変われば言葉<品・物>も変わる{EOS}<諺>) 11240 0 0 11223 htmvoc_11240.wav トシヌシー ト⸢シヌ⸣シー [tu̥⸢ʃinu⸣ʃiː] 名 年末。年の暮。「年の瀬」の義。石垣方言からの借用語か。 ク⸢トゥシン⸣ ユ⸢ドゥマ⸣ナー トゥ⸢シヌ⸣シー ン⸢カイヨー⸣リ ⸢シーブヌ⸣ ス⸢コールン サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃiɲ⸣ ju⸢duma⸣naː tu̥⸢ʃinu⸣ʃiː ʔŋ⸢kaijoː⸣ri ⸢ʃiːbunu⸣ su̥⸢koːrun saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (今年もはや<よどまず>年の瀬を迎えられ、お歳暮の準備もしなければならないよ) 11307 0 0 11224 htmvoc_11307.wav トヌスクヌヤンマー ⸣トヌスクヌ ⸢ヤン⸣マー [⸣tunusu̥kunu ⸢jam⸣maː] 名 人名。登野城の姉さん(\ruby{嫂}{アニヨメ}{EOS}兄嫁)。 ⸣トヌスクヌ ⸢ヤン⸣マーン ブ⸢ドゥル ゾー⸣ジ ヤ⸢ローッ⸣タ [⸣tunusu̥kunu ⸢jam⸣maːm bu⸢duru ʣoː⸣ʤi ja⸢rot⸣ta] (登野城の姉さんも踊りが上手であられた) 11618 0 0 11225 htmvoc_11618.wav ドブ ⸣ドブ [⸣dobu] 名 汚水が溜まっているところ。台所の流しの水が溜まっている溝。排水溝などに下水が溜まっているところ。 ⸣ドブナー ⸢アウバイヌ⸣ シディティ ン⸢カーラ [dobunaː ⸢ʔaubainu⸣ ʃiditi ʔŋ⸢kaːranu] (ドブに青蝿が発生して近寄れない) 11619 0 0 11226 htmvoc_11619.wav ドンカー ⸣ドンカー [⸣doŋkaː] 名 びっこ(跛)。⸣シトンカー[⸣ʃi̥toŋkaː](びっこ)ともいう。 イ⸢ク⸣サナ ⸢ティップ⸣シ ⸣パン イ⸢ラリティル⸣ ドンカー ナレー⸢ダー [ʔi⸢ku⸣sana ⸢tippu⸣ʃi ⸣paŋ ʔi⸢raritiru⸣ doŋkaː nareː⸢daː] (戦争中に鉄砲で足を撃たれ<射られ>て<ぞ>びっこになったのだ) 9103 0 0 11227 htmvoc_9103.wav ドングペング ⸢ドングペン⸣グ [⸢doŋgupeŋ⸣gu] 名 道具類 11620 0 0 11228 htmvoc_11620.wav ドントン ⸣ドントン [⸣dontoŋ] 副 どきどき。どきんどきん。運動や興奮、恐怖などで激しく\ruby{動悸}{ドウ|キ}するさま。胸がどきどきするさま。 ⸢ンーニ⸣ ドントン ⸢シー⸣ ミリ ⸢ベーララ⸣ヌ [⸢nːni⸣ dontoŋ ⸢ʃiː⸣ miri ⸢beːrara⸣nu] (胸が高鳴って<どきんどきんして>見ておれない) 11621 0 0 11229 htmvoc_11621.wav ドントン ⸣ドントン [⸣dontoŋ] 名 幼児語。発動機船。焼玉エンジンの音の形容から派生したもの。 ⸣ドントン ⸣ミリン パラ⸢ナー [⸣dontom ⸣mirim para⸢naː] (お船を見に行こうねえ) 11622 0 0 11230 htmvoc_11622.wav ドンナイ ⸢ドン⸣ナイ [⸢don⸣nai] 副 次次と。どんどん。次から次へと。 ⸢ジン⸣マー ミ⸢チ⸣ ブーバ ⸢ドン⸣ナイ シゥ⸢カイ⸣ ミサン [⸢ʤim⸣maː mi⸢ʧi⸣ buːba ⸢don⸣nai sï̥⸢kai⸣ misaŋ] (お金はたくさんある<満ちている>から、どんどん使っていいよ) 1622 0 0 11231 htmvoc_1622.wav ナ ⸣-ナ [⸣-na] 終助 ~な。動詞の連体形に下接して、禁止を表す。 ⸢ワー ジー⸣ カ⸢ク⸣ナ [⸢waː ʤiː⸣ kḁ⸢ku⸣na] (君は字を書くな)。 トゥ⸢ブナ [tu⸢buna] (飛ぶな)。 マ⸢トゥ⸣ナ [ma⸢tu⸣na] (待つな)。 ユ⸢ム⸣ナ [ju⸢mu⸣na] (読むな)。 ス⸢ナ⸣ヨー [su⸢na⸣joː] (するなよ)。 シ⸢ヌナ [ʃi⸢nuna] (死ぬな)。 トゥ⸢ル⸣ナ [tu⸢ru⸣na] (取るな)。 バ⸢ラウナ [ba⸢rauna] (笑うな)。 ⸢クーナ [⸢kuːna] (越えるな)。 ⸢クー⸣ナ [⸢kuː⸣na] (来るな)。 ⸢クー⸣ナ [⸢kuː⸣na] (漕ぐな)。 ⸢クーナ [⸢kuːna] (越えるな)。 ウ⸢キル⸣ナ [ʔu⸢kiru⸣na] (起きるな)。 ⸢カンガウ⸣ナ [⸢kaŋgau⸣na] (考えるな)。 ヤ⸢ミ⸣プソー シ⸢グトー⸣ ス⸢ナ [ja⸢mi⸣pu̥soː ʃi⸢gutoː⸣ su⸢na] (病人は、仕事はするな)。 カイ⸢ブ⸣ トンナー ブ⸢ナ⸣ヨー [⸣kaibu ⸣tonnaː bu⸢na⸣joː] (こんな所には居るなよ) 11624 0 0 11232 htmvoc_11624.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 名 縄。イ⸢ガナー[ʔi⸢ganaː](烏賊釣り縄、直径約1、5ミリの縄)、サ⸢バナー[sa⸢banaː](鱶釣り用の、直径約4~5ミリの縄)、イ⸢ズホーシ⸣ナー[ʔi⸢ʣuhoːʃi⸣naː](魚釣り用の直径約1ミリ~1、5ミリの縄)、シ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](墨縄{EOS}墨壷の糸車に巻いてある、直径約1ミリの細い縄)などのように、⸣シナ[⸣ʃina](綱、直径約10ミリ以上)よりは細く、⸣イトゥ[⸣ʔitu](糸、直径約0、5ミリ以下)より太い、直径約1ミリから5ミリの太さに綯ったもの。サバナーには豚の血を繰り返し染めて乾燥させ、蒸してあるので黒光りしており、ナイロン縄のように硬くて強く、手繰っても\ruby{縺}{モツ}れないようになっている。 ⸢ナー⸣マ [⸢naː⸣ma] (小さな縄)。 ⸣ナー ⸢トー⸣ルン [⸣naː ⸢toː⸣ruŋ] (縄を手繰る)。 ⸣ナー ⸣パウン [⸣naː ⸣pauŋ] (縄を這わせる<長く延ばせる{EOS}張る>)。 ⸣ナー ⸣ナウン [⸣naː ⸣nauŋ] (縄を\ruby{綯}{ナ}う) 11625 0 0 11233 htmvoc_11625.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 名 (植)なっぱ。⸢菜」の義。葉菜一般にいう。⸢アウナー[⸢ʔaunaː](青野菜)、ッ⸢ス⸣ナー[s⸢su⸣naː](白菜)、⸢ナーン⸣パー[⸢naːm⸣paː](菜っ葉)ともいう。 シ⸢マ⸣ナー [ʃi⸢ma⸣naː] (島産の野菜{EOS}島菜)。 ヤ⸢マトゥ⸣ナー [ja⸢matu⸣naː] (やまと菜{EOS}本土産の野菜{EOS}品種改良された野菜)。 シ⸢マナー⸣ヤ ン⸢メーマ⸣ ン⸢ガー⸣ン ⸣アリ ⸢パーン コー⸣ル ⸢アッタ⸣ル [ʃi⸢manaː⸣ja ʔm⸢meːma⸣ ŋ⸢gaː⸣ŋ ⸣ʔari ⸢paːŋ koː⸣ru ⸢ʔatta⸣ru] (島産の菜っ葉<島菜>は少し苦くもあり、葉も硬かった<硬くぞあった>) 11626 0 0 11234 htmvoc_11626.wav ナー ⸢ナー [⸢naː] 名 名。名前。 ヤ⸢ラビ⸣ナー [ja⸢rabi⸣naː] (童名{EOS}家で呼ぶ名{EOS}長男は父方の祖父の名を、長女は父方の祖母の名を、次男は母方の祖父の名を、次女は母方の祖母の名を受け継いだ)。 ⸢ヤー⸣ナー [⸢jaː⸣naː] (家の名{EOS}ヤ⸢ラビ⸣ナー<童名>ともいう)。 ⸢ガッコー⸣ナー [⸢gakkoː⸣naː] (学校で呼ばれる名前{EOS}戸籍上の正式の名前{EOS}ヤ⸢マトゥ⸣ナー{SqBr}ja⸢matu⸣naː{/SqBr}<大和式の名前>ともいう)。 ⸢ワー⸣ ヤ⸢ラビナー⸣ヤ ⸣ヌーティル ア⸢ル⸣ワ [⸢waː⸣ ja⸢rabinaː⸣ja ⸣nuːtiru ʔa⸢ru⸣wa] (君の童名は何というか<何とぞあるか>) 11627 0 0 11235 htmvoc_11627.wav ナー ⸢ナー [⸢naː] 名 各自。おのおの。 ⸢ナー メーメー [⸢naː meːmeː] (各自銘銘{EOS}各自それぞれ)。 シ⸢グトー ナーナー メーメー⸣シ ト⸢ミ⸣リ [ʃi⸢gutoː naːnaː meːmeː⸣ʃi tu⸢mi⸣ri] (仕事は、おのおの各自で探せ)。⸢ナー ブンブンヌ⸣ キ⸢ナイヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ル ⸣ナル プ⸢スヌ ソーバー⸣ケー ナ⸢ラ⸣ヌ[⸢naː bumbunnu⸣ ki⸢nainu⸣ ku̥⸢tu⸣ru ⸣naru pu̥⸢sunu soːbaː⸣keː na⸢ra⸣nu](各自銘銘の家庭のことしか出来ない<ことが出来る>、他人の心配までは出来ない)のように、重言(畳語)に上接して用いられる 11628 0 0 11236 htmvoc_11628.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 助動 打消しの助動詞⸣ヌ[⸣nu](~ない)の連用形。動詞の未然形につく。「~ずに」。⸢~ないで」の意。明治生まれの古老が使う。ハ行四段系動詞につくときは、アクセントは高平になる。 ッ⸢ふァーナー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ッ⸢ふァイル スーンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ッ⸢ふァーヌ [f⸢faːnaː⸣ ʔa⸢ra⸣nu f⸢fairu suːndu⸣ ma⸢na⸣maː f⸢faːnu] (食べないではない<食べなくはない>、食べるんだが、今は食べない)。 ノー⸢ン⸣ ッ⸢サナー⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [noː⸢n⸣ s⸢sanaː⸣ pari ⸢naː⸣nu] (何にも知らずに行ってしまった)。 カ⸢カ⸣ナー ア⸢ラ⸣ヌ カ⸢キ⸣ル ⸢スンドゥ⸣ イ⸢ザリティル⸣ カ⸢カ⸣ナー ⸢ベー⸣ル [kḁ⸢ka⸣naː ʔa⸢ra⸣nu kḁ⸢ki⸣ru ⸢sundu⸣ ʔi⸢ʣaritiru⸣ kḁ⸢ka⸣naː ⸢beː⸣ru] (書かないではない、書くが<書きぞするが>叱られて<ぞ>書かずにいるのだよ) 11629 0 1 11237 htmvoc_11629.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 格助 ~に。~で。{Mn_1}名詞について場所を表す。 ス⸢ム⸣チェー ⸣スクダイヌ ⸢ウイ⸣ナー シ⸢キ⸣リ [su⸢mu⸣ʧeː ⸣su̥kudainu ⸢ʔui⸣naː ʃi̥⸢ki⸣ri] (書物は机の上に置きなさい)。 ⸣マナー ⸣シケーワ [⸣manaː ⸣ʃi̥keːwa] (何処に置いてあるか)。 ⸣クナーン ⸣シキ ⸣ミサン [⸣kunaːŋ ⸣ʃi̥kimisaŋ] (ここにも置いてよい)。 ⸣クナール シ⸢キ⸣ル [⸣kunaːru ʃi̥⸢ki⸣ru] (ここにが<ぞ>置く)。 ス⸢ナカナー⸣ル ⸣ユー ア⸢サブタ [su⸢nakanaː⸣ru ⸣juː ʔa⸢sabuta] (海で<ぞ>よく遊んだ)。 11629 0 2 11238 htmvoc_11629.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 格助 {Mn_2}数詞や時を表す名詞について動作・作用の起きる時間を表す。 ヤー⸢ディン⸣ ゴ⸢ジ⸣ナー クー⸢ヨー [jaː⸢diŋ⸣ go⸢ʤi⸣naː kuː⸢joː] (きっと<必ず>五時に来なさいよ)。 ア⸢カ⸣シキンナー ⸣フネー ⸣ンジ ⸣パレーン [ʔa⸢ka⸣ʃi̥kinnaː ⸣ɸuneː ⸣ʔnʤi ⸣pareːŋ] (暁に船は出港していった)。 ワ⸢ザットゥ パンタ⸣サル ⸣ピンナー ⸢キー⸣ル ⸢オス⸣ク シ⸢ラリ ベー⸣ツォー [wa⸢ʣattu panta⸣saru ⸣pinnaː ⸢kiː⸣ru ⸢ʔosu̥⸣ku ʃi⸢rari beː⸣ʦoː] (故意に忙しい時に来て<ぞ>迷惑かけられている<困らされている>そうだ)。 11629 0 3 11239 htmvoc_11629.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 格助 {Mn_3}動作、作用の原因、理由となる名詞について原因・理由を表す。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ⸢クンデー⸣ヌ カ⸢ジ⸣ナール ⸢トー⸣レーツォー [ku⸢nu⸣ ⸢kiː⸣ja ⸢kundeː⸣nu ka⸢ʤi⸣naːru ⸢toː⸣reːʦoː] (この木は、このあだ<此の間>の台風で<ぞ>倒れたそうだ)。 ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢ナシキナー⸣ル シ⸢ラレー⸣ツォー [⸢kundu⸣nu pa⸢naʃi̥kinaː⸣ru ʃi⸢rareː⸣ʦoː] (今度の流行病<風邪>で<ぞ>やられたのだそうだ) 11631 0 0 11240 htmvoc_11631.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 格助 ~にして。~しては~。連用形に下接して、「同じ動作を繰り返し、しきりに~する」の意を表す。古老の使用語。 ⸢クイ⸣ナー ⸣クイ [⸢kui⸣naː ⸣kui] (漕ぎに漕いで、しきりに漕いで)。 ⸢トゥイナー トゥイ シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ サ⸢バ⸣キ ⸢クー⸣タ [⸢tuinaː tui ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃi sa⸢ba⸣ki ⸢kuː⸣ta] (尋ね尋ねて<あっちこっち尋ね回って>やっとのことで\ruby{捌}{サバ}いて<探し当てて>きたのだよ) 11632 0 1 11241 htmvoc_11632.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 副助 {Mn_1}~ずつ。分量を表す語<数詞>に付いて、一定量を均等配分する意を表す。 ⸢タンガ⸣シ フ⸢ターチナー⸣ トゥルカー ⸢ムールン アーラサ⸣リン [⸢taŋga⸣ʃi ɸu̥⸢taːʧinaː⸣ turukaː muː⸢ruŋ ʔaːrasa⸣riŋ] (一人で二つずつ取ったら皆に配分できる<配られる>)。 11632 0 2 11242 htmvoc_11632.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 副助 {Mn_2}体言<助数詞>に付いて、程度や分量の許容の基準を示す。~ぐらい。 プ⸢スケンナー⸣ヤ ア⸢サビン⸣ ケー ⸣ミサムヌ [pu̥⸢sukennaː⸣ja ʔa⸢sabiŋ⸣ keː ⸣misamunu] (一度ぐらいは遊びに来ればいいのに) 11633 0 1 11243 htmvoc_11633.wav ナー ⸢ナー [⸢naː] 終助 ~なあ。~ねえ。文末で活用語の終止形や終助詞⸣サー[⸣saː](さ)に付いて、念押しや、感動、相手との共感を表す。{Mn_1}動詞の終止形につく。 ⸢クン⸣ドー ノー⸢シン⸣ パ⸢タラクン⸠ナー [⸢kun⸣doː noː⸢ʃim⸣ pḁ⸢tarakun⸠naː] (今度はきっと働くね)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スン⸢ナー [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣sun⸢naː] (雨が降ったら<きっと>畑を耕す<よ>ねえ)。 11633 0 2 11244 htmvoc_11633.wav ナー ⸢ナー [⸢naː] 終助 {Mn_2}助動詞の終止形に付く。 ⸢サッ⸣コー ⸢ガン⸣ゾー プ⸢ス ユン⸠ナー [⸢sak⸣koː ⸢gan⸣ʣoː pu̥⸢su jun⸠naː] (非常に頑丈な人だ<である>ねえ)。 11633 0 3 11245 htmvoc_11633.wav ナー ⸢ナー [⸢naː] 終助 {Mn_3}終助詞⸣-サ[⸣-sa](~さ{EOS}~よ)に付いて念押し、感動を表す。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢サッ⸣コー ⸣アツァンサ⸢ナー [⸢kjuː⸣ja ⸢sak⸣koː ʔaʦansa⸢naː] (今日は非常に暑いさ<よ>ねえ)。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー サッ⸣コー ア⸢バ⸣レーサ⸢ナー [ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣moː ⸢sak⸣koː ʔa⸢ba⸣reːsa⸢naː] (この女は非常に美しいさ<よ>ねえ) 11634 0 0 11246 htmvoc_11634.wav ナー ⸢ナー [⸢naː] 感 ねえ。ほらねえ。でしょう?。文頭、文末に立ち、注意を促し、同意、確認の意味を表す語。 ⸢ナー⸣ バー ア⸢ズタ トゥー⸣ルミ⸢ツォー [⸢naː⸣ baː ʔa⸢ʣuta tuː⸣rumi⸢ʦoː] (ほらねえ、私が言った通りでしょう)。 ⸢ナー⸣ ヤー⸢ディン マーズン⸣ パラ⸢ナー [⸢naː⸣ jaː⸢dim maːʣum⸣ para⸢naː] (ねえ、必ず一緒に行こうね) 11636 0 0 11247 htmvoc_11636.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 終助 ~か。終止形につく。疑問の意を表す。九十歳以上の古老が使用する。 ⸣パルンナー パ⸢ラン⸣ナー ⸢ヌー⸣シヤー ⸢パー⸣ク ⸢ピントー シリ [⸣parunnaː pa⸢ran⸣naː ⸢nuː⸣ʃijaː ⸢paː⸣ku ⸢pintoː ʃiri] (行くのか、行かないのか、どうかね{EOS}早く返答しろよ) 11637 0 0 11248 htmvoc_11637.wav ナー ⸣ナー [⸣naː] 助 助詞連語。~には。格助詞ナ[na](~に)に取り立ての係助詞ヤ[jaː](~は)が下接して、ナー[⸣naː](~には)と音韻変化したもの。 ⸣クナー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [⸣kunaː noː⸢n naː⸣nu] (此処には何もない) 11638 0 0 11249 htmvoc_11638.wav ナー ⸢ナー [⸢naː] 接頭 長~。⸢ナー⸣ン[⸢naː⸣ŋ](長い)の語幹。 ⸢ナー⸣ティー [⸢naː⸣tiː] (長い手)。 ⸢ナーパマ [⸢naːpama] (伊武田の浜の地名{EOS}長い浜)。 ⸢ナーシビ [⸢naːʃibi] (長尻{EOS}長座)。 ⸢ナーナキ [⸢naːnaki] (長泣き)。 ⸢ナーヤン [⸢naːjaŋ] (長患い{EOS}長病み)。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ プ⸢スン⸣ヤーナー ⸢ナーシビ スー⸣カー ⸢ムンドー⸣ヌ ⸣ムトゥティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mi⸢dumu⸣nu pu̥⸢suɲ⸣jaːnaː ⸢naːʃibi suː⸣kaː ⸢mundoː⸣nu ⸣mututi ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (女が余所の家で長座すると家庭騒動の本と言われた) 11639 0 0 11250 htmvoc_11639.wav ナーアミ ⸢ナーアミ [⸢naːʔami] 名 長雨。若年層は、ナ⸢ガアミ[na⸢gaʔami](長雨)ともいう。 ⸢ナーアミヌ⸣ フイティ ⸢ウー⸣キカーキ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢naːʔaminu⸣ ɸuiti ⸢ʔuː⸣kikaːki na⸢ra⸣nu] (長雨が降って身動き<動き回ること>が出来ない)。 ⸣プスイ ナ⸢ク⸣ ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーヌ⸣ プスイ ⸣フー ⸢ナーアミン ナー⸣ヌティル ム⸢カ⸣シムネー ⸣アル [⸣pu̥sui na⸢ku⸣ f⸢faː⸣ bu⸢raːnu⸣ pu̥sui ⸣ɸuː ⸢naːʔamin naː⸣nutiru mu⸢ka⸣ʃimuneː ⸣ʔaru] (一日中泣く子はいない{EOS}一日中降る長雨もないと昔の人の言葉にある) 11640 0 1 11251 htmvoc_11640.wav ナーイ ナー⸢イ [naː⸢ji] 副 {Mn_1}ただ。もっぱら。ひたすら。そのままずっと。何もしないでじっと。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ア⸢サビ ベー [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ʔa⸢sabi beː] (仕事はしないで、ひたすら<ずっと>遊んでいる)。 ナー⸢イ ベーラン⸣ドーシ ⸢パー⸣ク ⸢シー [naː⸢i beːran⸣doːʃi ⸢paː⸣ku ⸢ʃiː] (何もせずにじっとしていないで早く仕事をせよ)。 11640 0 2 11252 htmvoc_11640.wav ナーイ ナー⸢イ [naː⸢ji] 副 {Mn_2}本気でなく、形だけ。ただたんに。仮に。 ⸢フントー⸣ヤ ア⸢ラ⸣ヌ ナー⸢イティル⸣ ア⸢ジ ミッタ⸣ル [⸢ɸuntoː⸣ja ʔa⸢ra⸣nu naː⸢i tiru⸣ ʔa⸢ʤimitta⸣ru] (本気ではない{EOS}ただ仮に、ということで言ってみただけだ) 11641 0 0 11253 htmvoc_11641.wav ナーイスクン ナー⸢イ⸣ スクン [naː⸢ji⸣ su̥kuŋ] 連 放置しておく。そのままにしておく。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ギュー⸢サ⸣ ナ⸢カバン⸣ ウ⸢レー⸣ ナー⸢イ⸣ スクン⸢ダレー [ja⸢rabi⸣nu gjuː⸢sa⸣ na⸢kabaŋ⸣ ʔu⸢reː⸣naː⸢ji⸣ su̥kun⸢dareː] (子供がいくら泣いても彼は放置しておくんですよ) 11642 0 0 11254 htmvoc_11642.wav ナーイヌ ナー⸢イヌ [naː⸢jinu] 連体 ただの。並みの。普通の。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ナー⸢イヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢デージ⸣ヌ ⸢シン⸣シー ヤ⸢ロー⸣ル⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ naː⸢jinu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢deːʤi⸣nu ⸢ʃiŋ⸣ʃiː ja⸢roː⸣ru⸢daː] (この人はただの<普通の>人ではない{EOS}大変偉大な先生でいらっしゃる<であられる>ぞ) 11643 0 0 11255 htmvoc_11643.wav ナーウティプス ⸢ナーウティ⸣プス [⸢naːʔuti⸣pu̥su] 名 有名な人。高名な人。名高い人。「名うて人」の義。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢ヤ⸣キプスティ ア⸢ザリ ブー ヤイマズーヌ ナーウティ⸣プス⸢ゲ⸣ラ [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢ja⸣kikipu̥suti ʔa⸢ʣari buː jaimaʣuːnu naːuti⸣pu̥su⸢ge⸣ra] (彼は金持ちといわれているところの八重山中の有名な人さ) 11644 0 0 11256 htmvoc_11644.wav ナーウトゥン ⸢ナー⸣ ウトゥン [⸢naː⸣ ʔutuŋ] 連 有名になる。名前が鳴り響く。名前が響き渡る。 イ⸢チ⸣バン ⸣ナルカー ⸣シキン トゥ⸢ユマ⸣シ ⸢ナー⸣ ウトゥン [ʔi⸢ʧi⸣ban ⸣narukaː ⸣ʃi̥kin tu⸢juma⸣ʃi ⸢naː⸣ ʔutuŋ] (一番になると世間に響き渡って有名になる) 11645 0 1 11257 htmvoc_11645.wav ナーカ ⸢-ナー⸣カ [⸢-naː⸣ka] 副助 ~やら。~か。{Mn_1}疑問を表す語について、はっきりと特定しない、不確かなものごとを表す。 ター⸢ンナー⸣カ ⸣キー ッ⸢ふィーララ⸢ヌー [taː⸢nnaː⸣ka ⸣kiː f⸢fiːrara⸢nuː] (誰か来てもらえ<呉れられ>ないか)。 ノー⸢ンナー⸣カ ッ⸢ふァーリムノー ナーン⸣カヤー [noː⸢nnaː⸣ka f⸢faːrimunoː naːŋ⸣kajaː] (何か食べられる<喰える>ものはないかねえ)。 11645 0 2 11258 htmvoc_11645.wav ナーカ ⸢-ナー⸣カ [⸢-naː⸣ka] 副助 {Mn_2}さらに格助詞⸣-ナー[⸣-naː](~に)が付く。 ウ⸢ヌアタ⸣ロー マー⸢ンナー⸣カナー ア⸢リ⸣スパジ [ʔu⸢nuʔata⸣roː maː⸢nnaː⸣kanaː ʔa⸢ri⸣su ⸣paʤi] (それぐらい<そのくらい>は何処かにあるはずだ)。 11645 0 3 11259 htmvoc_11645.wav ナーカ ⸢-ナー⸣カ [⸢-naː⸣ka] 副助 {Mn_3}さらに格助詞⸣-ラ[⸣-ra](~から)に係助詞⸣-ン[⸣-ŋ](~も)の付いた助詞連語が付いて強調表現をつくる。 ウ⸢ヌアタ⸣ロー マー⸢ンナー⸣カーラン カ⸢ラリス⸣ミー [ʔu⸢nuʔata⸣roː maː⸢nnaː⸣kaːraŋ ka⸢rarisu⸣miː] (その程度<それぐらい>は何処ぞから<何処やらから>でも借りられますよね) 11646 0 0 11260 htmvoc_11646.wav ナーカウ ⸢ナー⸣カウ [⸢naː⸣kau] 名 長い線香。⸢ピーマチカウ[⸢piːmaʧikau](日待ち香{EOS}長時間焚く線香)とタ⸢キカウ[tḁ⸢kikau](竹ひごで作った線香)がある。 ⸢ナー⸣カウ ⸣シキ タ⸢ティ⸣リバ [⸢naː⸣kau ⸣ʃi̥ki tḁ⸢ti⸣riba] (長い線香を焚いて<点けて>立てなさいよ) 11651 0 0 11261 htmvoc_11651.wav ナーサ ⸢ナー⸣サ [⸢naː⸣sa] 名 長さ。若年層は、ナ⸢ガ⸣サ[na⸢ga⸣sa](長さ)ともいう。 ⸢トゥーサ ナーサ⸣ラーン タカー⸢ニン オー⸣レーン [⸢tuːsa naːsa⸣raːŋ takaː⸢niŋ ʔoː⸣reːŋ] (遠方からも遠い所からもたくさんいらっしゃっている)。 ⸢ナー⸣サ パ⸢カ⸣リ ⸣ミリ [⸢naː⸣sa pḁ⸢ka⸣ri ⸣miri] (長さを測ってみなさい) 11652 0 0 11262 htmvoc_11652.wav ナーシーシ ⸢ナー シーシ [⸢naː ʃiːʃi] 連 各自でしながら。銘銘のやり方。それぞれの仕方。 キ⸢ナイヌ⸣ ム⸢ティ⸣ヨーン ⸢ナー シーシ シー⸣ヨーン ア⸢リ⸣ブ [ki⸢nai⸣ mu⸢ti⸣joːn ⸢naːʃiːʃi ʃiː⸣joːŋ ʔa⸢ri⸣bu] (家庭の運営方法<持ち方>にも銘銘の仕方がある) 11653 0 0 11263 htmvoc_11653.wav ナーシカク ⸢ナーシカ⸣ク [⸢naːʃi̥ka⸣ku] 名 長方形。「長四角」の義。 ⸣ヤドゥン ⸢ソージン ナーシカ⸣クニル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー⸣ティムカーヤ [⸣jaduŋ ⸢soːʤin naːʃi̥ka⸣kuniru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː⸣timukaːja] (戸も障子も長方形に<ぞ>造られているというもんだよ) 11654 0 0 11264 htmvoc_11654.wav ナーシキウヤ ⸢ナーシキ⸣ウヤ [⸢naːʃi̥ki⸣ʔuja] 名 名付け親。 ⸢ワー ナーシキ⸣ウヤー ⸢タール⸣ ヤ⸢ロール⸣ワ [⸢waː naːʃi̥ki⸣ʔujaː ⸢taːru ⸣ ja⸢roːru⸣wa] (君の名付け親はどなたで<あられます>すか) 11655 0 0 11265 htmvoc_11655.wav ナーシキヨイ ⸢ナーシキ⸣ヨイ [⸢naːʃi̥ki⸣joi] 名 名付け祝い。命名祝い。生後十日前後に命名して仏前、神前に報告し、\ruby{内祝}{ウチ|イワ}いをした。 ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢リティ トゥッカブカラ⸣ナー ⸢ナー⸣ シキティ ウ⸢ヤプス⸣ヌ マイ ⸢カンヌ⸣マイン ッ⸢サリティ⸣ ヨイ ⸢ソーッ⸣タ [f⸢fanu⸣ ma⸢riti tukkabukara⸣naː ⸢naː⸣ ʃi̥kiti ʔu⸢japusu⸣nu ⸣mai ⸢kannu⸣ mai s⸢sariti⸣ joi ⸢soːt⸣ta] (子供が生まれて十日ごろに名前を付けて、先祖の前や神様の前にお知らせして<申し上げて>お祝いをされた) 11656 0 0 11266 htmvoc_11656.wav ナーシキルン ⸢ナー⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢naː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 命名する。名前を付ける。 サ⸢クシ⸣ヌ ビ⸢コーンッふァ⸣ナーヤ ⸣アブジェー ⸢ナー⸣ シ⸢キ⸣ルン [sḁ⸢kuʃi⸣nu bi⸢koːŋffa⸣naːja ⸣ʔabuʤeː ⸢naː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (\ruby{嫡子}{チャク|シ}の男の子には祖父の名前をつける)。 ジ⸢ナンヌ ナーヤ⸣ ブ⸢ネーカタヌ⸣ アブジェー ⸢ナーバ イール⸣タ [ʤi⸢nannu naːja⸣ b⸢neːkatanu⸣ ʔabuʤeː ⸢naːba ʔiːru⸣ta] (次男は母方の祖父の名前をもらった) 11647 0 0 11267 htmvoc_11647.wav ナーシジキ ⸢ナーシジキ [⸢naːʃiʤiki] 名 長続き。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ム⸢タビ⸣ムノー ⸢ナーシジキ⸣ サ⸢ヌ [ja⸢rabi⸣nu mu⸢tabi⸣munoː ⸢naːʃiʤiki⸣ sa⸢nu] (子供の\ruby{玩具}{ガン|グ}は長続きしない) 11657 0 0 11268 htmvoc_11657.wav ナーシニ ⸢ナーシニ [⸢naːʃini] 名 ながすね(長脛)。足の長い人。身長の高い人。 ⸢アッ⸣タニ フ⸢ドゥビティ ナーシニ⸣ ナリ ⸢ベー [⸢ʔat⸣tani ɸu⸢dubiti naːʃini⸣ nari⸢beː] (急に成長して身長の高い人<長脛>になっているよ) 11658 0 0 11269 htmvoc_11658.wav ナーシビ ⸢ナーシビ [⸢naːʃibi] 名 \ruby{長座}{チョー|ザ}。長居。他人の家を訪ねて長くいること。「長尻」の義。酒飲みの長座は、ナ⸢マシ⸣キ ⸢スン[na⸢maʃi̥⸣ki ⸢suŋ](焦げ付く)という。女性が他家で長居することは嫌われた。 ミ⸢ドゥ⸣モー プ⸢スン⸣ヤーナ ⸢ナーシビ スーモー⸣ ア⸢ラ⸣ヌティ ナ⸢ラー⸣ソーッタル [mi⸢du⸣moː pu̥⸢suɲ⸣jaːna ⸢naːʃibi suːmoː⸣ ʔa⸢ra⸣nuti na⸢raː⸣soːttaru] (女は他家で長居するものではないと教えられたものだ) 11648 0 0 11270 htmvoc_11648.wav ナーシビー ⸢ナーシビー [⸢naːʃibiː] 名 海底地名。干瀬の名。西表島伊武田の北にある干瀬の⸢ダイ⸣クビー[⸢dai⸣kubiː]の東側にある干瀬の名。鳩間島漁業組合の⸢イー⸣シ[⸢ʔiː⸣ʃi](角又)の養殖地であった。 ⸢ナーシビヌ⸣ カドゥ⸢バー⸣キン ⸢イー⸣シ ⸣トゥリン パ⸢リ⸣シタ [⸢naːʃibinu⸣ kadu⸢baː⸣kiŋ ⸢ʔiː⸣ʃi ⸣turim pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (ナーシビ干瀬の角まで角マタを採取しに行ったものだ) 11659 0 0 11271 htmvoc_11659.wav ナーシラ ⸢ナー⸣シラ [⸢naː⸣ʃira] 名 面長。うまずら(馬面)。長い顔。「ながつら<長面>」の義。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢タックイヤー ナー⸣シラティ ア⸢ザリ ブー [⸢ʔun⸣nenu ⸢takkuijaː naː⸣ʃirati ʔa⸢ʣari buː] (あの家の血統は面長の顔と言われている) 11660 0 0 11272 htmvoc_11660.wav ナーズー ⸢ナーズー [⸢naːʣuː] 名 たこ(凧)の尾の長い方。ブ⸢ネーズー[bu⸢neːʣuː](「母親尾」の義)ともいう。短い尾は、ッ⸢ふァズー[f⸢faʣuː](「子供尾」の義)という。 ⸢ナーズーヤ⸣ ン⸢メーマ⸣ シ⸢ミ⸣リ [⸢naːʣuːja⸣ ʔm⸢meːma⸣ ʃi⸢mi⸣ri] (\ruby{凧}{タコ}の長い尾は少々短くせ<詰め>よ) 11661 0 0 11273 htmvoc_11661.wav ナースン ⸢ナー⸣スン [⸢naː⸣suŋ] 他動 なえ(萎え)させる。萎ナやす。ぐったりさせる。柔らかくする。⸢ナイ⸣ルン[⸢nai⸣ruŋ](萎える<自動>)ともいう。 ヤ⸢サイ⸣ヤー ⸢ナーサン⸣ヨーニ ミ⸢ジ⸣ナ シ⸢キ⸣バ [ja⸢sai⸣jaː ⸢naːsaɲ⸣joːni mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢ki⸣ba] (野菜は萎えさせないように水に浸けなさいよ)。 ミ⸢ジ⸣ナ シゥ⸢カン⸣カー ⸢ナー⸣スン⸢ダー [mi⸢ʤi⸣naː sï̥⸢kaŋ⸣kaː ⸢naː⸣sun⸢daː] (水に浸けないと萎えさせるよ)。 ⸢ナー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢naː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (萎えさせてはならない{EOS}萎えさせることは出来ない)。 ⸢ナー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢naː⸣ʃeː ⸣misamunu] (萎えさせれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ナー⸣シ [⸢maː⸣bin ⸢naː⸣ʃi] (もっと萎えさせなさい) 11662 0 0 11274 htmvoc_11662.wav ナーダニ ⸢ナー⸣ダニ [⸢naː⸣dani] 名 菜種。 パ⸢タ⸣キナー ⸢ナー⸣ダニ ウ⸢ラ⸣シティ イ⸢ブ⸣ ス⸢コール シー⸠ヨー [pḁ⸢ta⸣kinaː ⸢naː⸣dani ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ʔi⸢bu⸣ su̥⸢koːru ʃiː⸠joː] (畑に菜種を蒔いて<下ろして>植える準備をしなさいね) 11664 0 0 11275 htmvoc_11664.wav ナータフージ ⸢ナー⸣タフージ [⸢naː⸣taɸuːʤi] 固 人名。長田大主。16世紀初め頃、石垣島に割拠した英雄。ア⸢カハチ[ʔa⸢kahaʧi]征討の功績により、八重山の役人に任命されたという長栄氏の始祖。 ⸢ナー⸣タフージル ア⸢カハチ⸣ フ⸢ルブシタティ スー⸣ パ⸢ナ⸣シェー ス⸢クタン [⸢naː⸣taɸuːʤiru ʔa⸢kahaʧi⸣ ɸu⸢rubuʃi̥tati suː⸣ pa⸢na⸣ʃeː su̥⸢kutaŋ] (長田大主がアカハチを滅ぼしたという話は聞いたことがある) 11663 0 0 11276 htmvoc_11663.wav ナータブイ ⸢ナータブイ [⸢naːtabui] 名 長期保存すること。長く蓄えること。 パ⸢リタコー ナータブイ⸣ シ⸢ラリン⸠ダー [pa⸢ritakoː naːtabui⸣ ʃi⸢rarin⸠daː] (裂いて日干しした干し蛸<張り蛸>は長期保存できるよ) 11665 0 0 11277 htmvoc_11665.wav ナータマシ ⸢ナー タマシ [⸢naː tamaʃi] 連 各自の受け取り分。それぞれの分け前。各自の配分。 ⸢ナー タマシヌ⸣ ザイサンマー ⸣ドゥーシル カ⸢キン⸣ゴー ⸢スー [⸢naː tamaʃinu⸣ ʣaisammaː ⸣duːʃiru kḁ⸢kiŋ⸣goː ⸢suː] (各自の分け前の財産は自分で保管、管理をするものだ) 11667 0 0 11278 htmvoc_11667.wav ナーツァ ⸢ナーツァ [⸢naːʦa] 名 翌日。過去や未来における、ある時点の翌日の意を表す。 ⸢ワー⸣ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢ヤイマー クー⸣タ ⸣ピンヌ ⸢ナーツァナー⸣ル ⸣バー ヤ⸢マトー⸣ラ ⸢カイ⸣リ ⸣ケータル [⸢waː⸣ ʔu⸢ki⸣naːra ⸢jaimaː kuː⸣ta ⸣pinnu ⸢naːʦanaː⸣ru ⸣baː ja⸢matoː⸣ra ⸢kai⸣ri ⸣keːtaru] (君が沖縄から八重山へ来た日の翌日に<ぞ>私は本土<大和>から帰ってきたのだよ)。 ⸢エン⸣ヌ ⸢プール⸣ヌ ⸢ナーツァル バン⸣ター ヨイ⸢ダー  [⸢jen⸣nu ⸢puːru⸣nu ⸢naːʦaru ban⸣taː joi⸢daː] (来年の豊年祭の翌日が私達のお祝いだよ) 11668 0 0 11279 htmvoc_11668.wav ナーツァヌナーツァ ⸢ナーツァヌ ナーツァ [⸢naːʦanu naːʦa] 連 翌々日。「翌日の翌日」の義。 ク⸢ズ⸣ヌ ⸢プール⸣ヌ ⸢ナーツァヌ ナーツァナー⸣ル ⸢タイフー⸣ヤ ⸣キー ブ⸢レー⸣バン [ku⸢ʣu⸣nu ⸢puːru⸣nu ⸢naːʦanu naːʦanaː⸣ru ⸢taiɸuː⸣ja ⸣kiː bu⸢reː⸣baŋ] (去年の豊年祭の翌々日にが<ぞ>台風は襲来して<来て>いたのだよ) 11666 0 1 11280 htmvoc_11666.wav ナーッス ⸢ナーッ⸣ス [⸢naːs⸣su] 名 {Mn_1}苗代。稲の苗床。稲の苗を育てあげるまでの田。「奈波之呂乃<ナハシロノ>小なぎが花を~。万、3576」の転訛したもの。⸢ナーッス⸣ダー[⸢naːssu⸣daː](苗代田)ともいう。 ⸢ナーッ⸣スナー ⸣サニ ウ⸢ラ⸣スン [⸢naːs⸣sunaː ⸣sani ʔu⸢ra⸣suŋ] (苗代に種を下ろす<\ruby{播種}{ハ|シュ}する>)。苗作りは次のようにして行われた。先ず籾を一昼夜水に浸けて取り出し、藁で作った俵に⸢ムージ⸣ヌ ⸢パー[⸢muːʤi⸣nu ⸢paː](里芋の葉)を敷き、それに種籾を入れて発芽させる。その間、俵の回りにはシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](\ruby{注連縄}{シ|メ|ナワ})を張り巡らしておく。種籾が順調に発芽するよう、祓い清めるためである。発芽した籾を苗代に運び播種する。その間にいろいろなタブーが行われた。それを⸢ソー⸣ジ[⸢soː⸣ʤi](精進)という。例{Mn_1}苗代に種籾を運ぶ間、⸣ッス ⸣マレー ナ⸢ラ⸣ヌ[⸣ssu ⸣mareː na⸢ra⸣nu](大便をしてはならない)。これは、播種した籾が固まるのを避けるためという。 11666 0 2 11281 htmvoc_11666.wav ナーッス ⸢ナーッ⸣ス [⸢naːs⸣su] 名 {Mn_2}播種した後は、ミ⸢ジ ノース⸣ナ[mi⸢ʤi noːsu⸣na](容器の水をドローッと流すな)。これは大雨で種籾が流されるのを避けるためである。 11666 0 3 11282 htmvoc_11666.wav ナーッス ⸢ナーッ⸣ス [⸢naːs⸣su] 名 {Mn_3}⸣サー ⸣ヌメー ナ⸢ラ⸣ヌ[⸣saː ⸣numeː na⸢ra⸣nu](お茶を飲んではいけない)。これは、苗代田に金属錆色の水が出るのを避けるためという。 11666 0 4 11283 htmvoc_11666.wav ナーッス ⸢ナーッ⸣ス [⸢naːs⸣su] 名 {Mn_4}ピ⸢ネー⸣ ス⸢ラ⸣ヌ[pi⸢neː⸣ su⸢ra⸣nu](鬚は剃らない)。これは、種籾の毛根を切ることを避けるためという。 パ⸢モー⸣ルンドーレー ⸣アサルゴーンドーレーヤ バ⸢カシ⸣ ッ⸢ふァイ⸣ミサンティ ア⸢ゾーッ⸣タ [pa⸢moː⸣rundoːreː ⸣ʔasarugoːndoːreːja ba⸢kaʃi⸣ f⸢fai⸣ misanti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (蛤など、あさりなどは炊いて食べてもよいといわれた)。これは、蛤やアサリは炊くとパッと口を開けるから、種籾の発芽に\ruby{繋}{ツナ}がるという。このような願いを込めて、男達は一ヶ月間\ruby{鬚}{ヒゲ}を剃らず、ひたすらタブーを守って稲の発芽を祈り苗代を守った 11630 0 1 11284 htmvoc_11630.wav ナーティ ⸣ナーティ [⸣naːti] 格助 {Mn_1}格助詞。~にて。~で。動作の行われた場所を強調して表す。 ⸢ワーター⸣ マナーティ ア⸢サブター [⸢waːtaː⸣ manaːti ʔa⸢sabutaː] (君たちは何処で遊んだのか)。 ⸣クマナーティ ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kumanaːti ⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (此処であんなことをしてはならない)。 11630 0 2 11285 htmvoc_11630.wav ナーティ ⸣ナーティ [⸣naːti] 格助 {Mn_2}さらに連帯助詞⸣-ヌ[⸣-nu](の)が付いて、⸢~での」の意味を表す。 ⸢ヤー⸣ナーティヌ パ⸢ナ⸣シェー プ⸢スンナー⸣ニ パ⸢ナス⸣ナ [⸢jaː⸣naːtinu pa⸢na⸣ʃeː pu̥⸢sunnaː⸣ni pa⸢nasu⸣na] (家庭での話は他人に話すな)。 11630 0 3 11286 htmvoc_11630.wav ナーティ ⸣ナーティ [⸣naːti] 格助 {Mn_3}さらに、とりたて強調の係助詞⸢-ヤ[⸢-ja](~は)が付いて、「~では」の意味を表す。 ⸢ヤー⸣ナーテー ッ⸢ふァーバン⸣ ミサン [⸢jaː⸣naːteː f⸢faːbam⸣ misaŋ] (家庭では食べてもいい)。 ⸢バン⸣ター ス⸢ナカ⸣ナーテー ア⸢サバンシェン [⸢ban⸣taː su⸢naka⸣naːteː ʔa⸢sabaŋʃeŋ] (僕たちは海では遊ばなかった)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣クマナーテー ア⸢サブナ [ja⸢ra⸣beː ⸣kumanaːteː ʔa⸢sabuna] (子供は、ここでは遊ぶな)。 11630 0 4 11287 htmvoc_11630.wav ナーティ ⸣ナーティ [⸣naːti] 格助 {Mn_4}さらに、係助詞⸣-ル[⸣-ru](ぞ)が付いて、「~てぞ」の意味を表す。 ナ⸢チェー⸣ ス⸢ナカ⸣ナーティル ア⸢サブタ [na⸢ʧeː⸣ su⸢naka⸣naːtiru ʔa⸢sabuta] (夏は海でが<ぞ>遊んだ)。 11630 0 5 11288 htmvoc_11630.wav ナーティ ⸣ナーティ [⸣naːti] 格助 {Mn_5}さらに、係助詞⸣-ン[⸣-ŋ](も)が付いて「~でも」の意味を表す。 ⸣クマナーティン ⸢ピッ⸣チン ⸢モーキララン⸣シェン [⸣kumanaːtim ⸢pit⸣ʧim ⸢moːkiraraŋ⸣ʃeŋ] (ここでも、ちっとも<ひとつも>儲からなかった) 11670 0 0 11289 htmvoc_11670.wav ナーティー ⸢ナー⸣ティー [naː⸣tiː] 名 盗癖。盗み癖のある人。「長手」の義。⸢ティー ナー⸣ン[⸢tiː naː⸣ŋ](手が長い)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ム⸢カ⸣シェーラ ⸢ナー⸣ティー ⸢ヤッタヌ⸣ マ⸢ダ ノーラン⸣バン⸢ナー [ʔu⸢reː⸣ mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢naː⸣tiː ⸢jattanu⸣ ma⸢da noːram⸣ban⸢naː] (彼は昔から盗癖が<盗癖のある人で>あったが、まだ直らないねえ) 11673 0 0 11290 htmvoc_11673.wav ナート ⸢ナー⸣ト [⸢naː⸣to] 副助 ~など。ある語に添えて類似のものが外にあることを示す。 ⸣アメー ⸢ホーン⸣ユンダ カサ⸢ナー⸣ト シゥ⸢カイユーゾー ナー⸣ヌ [⸣ʔameː ⸢hoːn⸣junda kḁsa⸢naː⸣to sï̥⸢kaijuːʣoː naː⸣nu] (雨は降らないから傘などは使う必要がない<利用価値がない>)。 ウ⸢マー⸣ヤ ⸢マー⸣ プ⸢スム⸣シティ ⸢ナー⸣ト ⸣パル ⸢カンガイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢maː⸣ja ⸢maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi̥ti ⸢naː⸣to ⸣paru ⸢kaŋgai⸣jaː ⸢naː⸣nu] (そこへは、もう一度と<二度と>など行く考えはない)。 ⸣アイニ ク⸢ルマ⸣バ トゥ⸢バシェー⸣ティ ⸢アー⸣キティ ⸢ズン⸣サン⸢ナー⸣トン ⸢ミシゥカ⸣リカー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔaini ku⸢ruma⸣ba tu⸢baʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kiti ⸢ʣun⸣san⸢naː⸣to ⸢misï̥ka⸣rikaː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (あんなに車を飛ばして運転していて巡査などに見付かったら大変さ)。 ⸣クマーラ⸢ナー⸣ト イッ⸢カ⸣ ンジ ⸣パレー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaːra⸢naː⸣to ʔik⸢ka⸣ ʔnʤi ⸣pareː na⸢ra⸣nu] (ここからなど決して出て行ってはならない)。 ク⸢リ⸣シ⸢ナー⸣ト プ⸢スバ⸣ ク⸢ラシェー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [ku⸢ri⸣ʃi⸢naː⸣to pu̥⸢suba⸣ ku⸢raʃeː⸣ na⸢ran⸣daː] (これでなんぞ人を叩いてはならないぞ) 11674 0 0 11291 htmvoc_11674.wav ナードー ⸢ナードー [⸢naːdoː] 名 (地)「長堂」と表記されている。⸢長い窪地」の義。イ⸢ラ⸣カマイの南側、西村の村はずれの西側からヤ⸢ラ[ja⸢ra](屋良)までの間の窪地をいう。 ⸢ナードーヌ⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸣ヤンズメヌ ッ⸢ふォーッふォー⸣シ ナリ⸢ベー⸣タン [⸢naːdoːnu⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸣janʣumenu f⸢foːffoː⸣ʃi nari⸢beː⸣taŋ] (長堂の畑の畦にヤンズメ<和名、シマヤマヒハツ>の実が真っ黒に熟れて実って<生って>いた) 11675 0 0 11292 htmvoc_11675.wav ナードーリキー ⸢ナードーリキー [⸢naːdoːrikiː] 名 薙ぎ倒された立ち木。横様に倒された樹木。「長倒れ木」の義。 ミ⸢ジラ⸣シ ⸢ウーカジヌ⸣ フキティ ⸣ウマー カ⸢マー⸣ナ ⸢ナードーリキーヌ⸣ ミ⸢チ⸣バ ッ⸢サイ ベー [mi⸢ʤira⸣ʃi ⸢ʔuːkaʤinu⸣ ɸu̥kiti ⸣ʔumaː ka⸢maː⸣na ⸢naːdoːrikiːnu⸣ mi⸢ʧi⸣ba s⸢sai beː] (近来稀な台風<珍しい大風>が吹いてあっちこっちに薙ぎ倒された樹木が道を塞いでいる) 11676 0 0 11293 htmvoc_11676.wav ナードーリスン ⸢ナードーリ スン [⸢naːdoːri suŋ] 連 横様に薙ぎ倒される。長々とぶっ倒れる。「長倒れする」の義。 カ⸢ジヌ スー⸣ヤカー ⸢ニー⸣ヌ ⸢イシゥ⸣カー ⸢キー⸣ヤ ⸢ナードーリ スン [ka⸢ʤinu suː⸣jakaː ⸢niː⸣nu ⸢ʔisï̥⸣kaː ⸢kiː⸣ja ⸢naːdoːri suŋ] (風が強いと根の短い樹木は長々と薙ぎ倒される)。 ⸣ビータリティ ⸢ナードーリ シーベー [⸣biːtariti ⸢naːdoːri ʃiːbeː] (酔いつぶれて長々とぶっ倒れている) 11671 0 0 11294 htmvoc_11671.wav ナードゥードゥー ⸢ナー⸣ ドゥードゥー [⸢naː⸣ duːduː] 連 各自。めいめい(銘銘)。おのおの。「各胴胴<自分自分>」の義。 ⸢ナー⸣ ドゥードゥーヌ ク⸢トゥ⸣ル ⸣ナル プ⸢スヌ⸣ クトゥ⸢バー⸣ケー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢naː⸣ duːduːnu ku̥⸢tu⸣ru ⸣naru pu̥⸢sunu⸣ ku̥tu⸢baː⸣keː na⸢ra⸣nu] (各自のことしか出来ない<各自のことぞできる>、他人のことまでは出来ない) 11672 0 0 11295 htmvoc_11672.wav ナートゥルン ⸢ナー⸣ トゥルン [⸢naː⸣ turuŋ] 連 名誉を獲得する。高名になる。有名になる。「名取る」の義。 ⸢マイフナー⸣ マ⸢リティ⸣ シキンナー ⸢ナー⸣ トゥ⸢ラリ⸣リ⸢ヨー⸣ コッコーーマー [⸢maiɸunaː⸣ ma⸢riti⸣ ʃi̥kinnaː ⸢naː⸣ tu⸢ra⸣ri⸢joː⸣ kokkoːmaː] (立派な人<真男>になって世間に名前を轟かせて有名になりなさいよ、お利巧さん)。/2、タ⸢ル⸣トゥユードゥ ティ⸢ユマ⸣ス ジ⸢リ⸣トゥユードゥ ナー⸢トゥラ⸣ス カ⸢ムラーマ⸣ヌ ア⸢マイ⸣ヤー ウ⸢ヤ⸣キユーバ タ⸢ボーラ⸣リー/(誰と共にとよまそう<響動まそう{EOS}讃えよう>、どなたと共に有名になろうか{EOS}カムラーマの歓びは豊年満作を頂く<賜る>ことです)。カムラーマヌウタ<かむらーまの歌>『鳩間島古典民謡古謡集』 11677 0 0 11296 htmvoc_11677.wav ナーナー ⸢ナーナー [⸢naːnaː] 名 各自。めいめい(銘銘)。 ⸢ナーナーヌ ヤー⸣ヌ ⸣クトー ⸢ナーナー⸣シ キ⸢ミティ シー⸣バ [⸢naːnaːnu jaː⸣nu ⸣ku̥toː ⸢naːnaː⸣ʃi ki⸢miti ʃiː⸣ba] (各自の家のことは各自で決めてやりなさいよ)。 ⸢ナーナーヌ⸣ ム⸢ヌ⸣ル ⸣トゥル プ⸢スヌ⸣ ムノー トゥ⸢ル⸣ナ [⸢naːnaːnu⸣ mu⸢nu⸣ru ⸣turu pu̥⸢sunu⸣ munoː tu⸢ru⸣na] (銘銘のものを<ぞ>取るのであって、他人のものは取るな) 11679 0 0 11297 htmvoc_11679.wav ナーナーシ ナー⸢ナー⸣シ [naː⸢naː⸣ʃi] 副 長く。⸢長々と」の強調表現。強調しない、ニュートラルな表現では、アクセントは第一モーラから高く始まる。⸢ナーナー⸣シ[⸢naːnaː⸣ʃi](長々と)という。若年層はナガー⸢ナガー⸣シ[nagaː⸢nagaː⸣ʃi](長々と)という。 ⸢ワー⸣ ムノー ⸢マー⸣ビン ナー⸢ナー⸣シ ス⸢ク⸣リバ [⸢waː⸣munoː ⸢maː⸣bin naː⸢naː⸣ʃi su̥⸢ku⸣riba] (君のものは、もっと長く作れよ)。 ⸣シナー ナー⸢ナー⸣シ ⸣パイバ [⸣ʃinaː naː⸢naː⸣ʃi ⸣paiba] (綱は長く延ばし<延え>なさい) 11687 0 0 11298 htmvoc_11687.wav ナーナーンウイビ ⸢ナーナーンウイ⸣ビ [⸢naːnaːŋʔui⸣bi] 名 薬指。名無し。無名指。「名無し指」の義。フ⸢シ⸣ルッシ ⸢ウイ⸣ビ[ɸu̥⸢ʃi⸣ruʃʃi⸢ʔui⸣bi](薬さし指)ともいう。 ⸢ナーナーンウイ⸣ビシ ピ⸢サビ⸣バ ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢タイ⸣ナー ⸣シキティル ⸢ユー⸣ロー ミ⸢チェー⸣ ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸢naːnaːŋʔui⸣biʃi pi̥⸢sabi⸣ba ja⸢rabi⸣nu ɸu̥⸢tai⸣naː ʃi̥kitiru ⸢juː⸣roː mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (薬指で鍋墨を子供の額に付けて<ぞ>夜は道へ出された) 11678 0 0 11299 htmvoc_11678.wav ナーナキ ⸢ナーナキ [⸢naːnaki] 名 長泣き。若年層は、ナ⸢ガナキ[na⸢ganaki](長泣き)ともいう。 ⸢ナーナキ スー⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー マー⸢ンナーカ⸣ヌ ⸣ヤム パジ⸢ダー⸣バ ⸣ユー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢naːnaki suː⸣ ja⸢ra⸣beː maː⸢nnaːka⸣nu ⸣jamu paʤi⸢daː⸣ba ⸣juː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (長泣きする子はどこかが痛むはずだから良く気をつけなさいよ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ナーナキ シー⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː naːnaki ʃiː⸣naː na⸢ra⸣nu] (この子は長泣きするのでこまる) 11680 0 0 11300 htmvoc_11680.wav ナーニ ⸢ナー⸣ニ [⸢naː⸣ni] 名 人の背骨の両側にある長い筋肉。牛や豚のロース。首里方言のnagani(背中)のg音脱落による転訛。 ピ⸢ダリ⸣ヌ ⸢ナー⸣ニナ ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [pi⸢dari⸣nu ⸢naː⸣nina ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (背中の左側の長い筋肉にお出来が出て痛くてたまらない)。 ⸢オー⸣ヌ ⸢ナー⸣ニ ⸢カイ⸣ クーバ [⸢ʔoː⸣nu ⸢naː⸣ni ⸢kai⸣ kuːba] (豚のロースを買って来いよ) 11681 0 0 11301 htmvoc_11681.wav ナーニ ⸢ナー⸣ニ [⸢naː⸣ni] 格助 ~に(動作作用の及ぶ相手{EOS}~に対して)の強調表現。プ⸢ス[pu̥⸢su](人)や、⸣ウヤ[⸣ʔuja](親)等に格助詞ン[ŋ](~に)が付く際には、⸢ナー⸣ニ[⸢naː⸣ni](~に対して)という強調表現をとることが多い。 ウ⸢ヤン⸣ナーニ ⸣アイブ ⸣ムニ イ⸢ジェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢jan⸣naːni ⸣ʔaibu ⸣muni ʔi⸢ʤeː⸣ na⸢ra⸣nu] (親に対してあのような言葉を言ってはならない)。 ッ⸢サン⸣カー プ⸢スンナー⸣ニ ⸢トゥイ シキ⸣バ [s⸢saŋ⸣kaː pu̥⸢sunnaː⸣ni ⸢tui ʃi̥ki⸣ba] (知らなければ他人に問い尋ねて聞きなさい) 11682 0 0 11302 htmvoc_11682.wav ナーニビ ⸢ナーニビ [⸢naːnibi] 名 長く眠ること。朝寝坊すること。「長寝」の義。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢キ⸣ ヌミティ ⸢ナーニビ シーベーン⸣ティ [⸢ʔunʣaː⸣ sḁ⸢ki⸣ numiti ⸢naːnibi ʃiːbeːn⸣ti] (こいつ<此奴>は酒を飲んで朝寝坊<長寝>しているよ)。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢ナーニビ⸣ シ⸢モーラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢du⸣moː ⸢naːnibi⸣ ʃi⸢moːraŋ⸣ʃeŋ] (昔は、女は朝寝坊<長寝>をさせられなかった) 11683 0 0 11303 htmvoc_11683.wav ナーヌ ⸢ナー⸣ヌ [⸢naː⸣nu] 形 特殊変化。ない(無い)。人、動物以外のものが存在しない。今帰仁方言のネー⸢ヌのネーは、古代語の「なふ」の連用形「なひ」の転訛したものという『沖縄今帰仁方言辞典』。「~国をさ遠み安波奈波婆<アハナハバ>~。万、3426」。 ノー⸢ン ナーン⸣バ ⸢ワーン⸣ ッ⸢ふィーラリムノー ナー⸣ヌ [noː⸢n naːm⸣ba ⸢waːŋ⸣ f⸢fiːrarimunoː naː⸣nu] (何も無いので君に上げられるものは無い)。 ⸣ウナー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [⸣ʔunaː noː⸢n naː⸣nu] (そこには何もない)。 ⸢ジン⸣マー シゥ⸢カウ⸣カー ⸢ナーン⸣ ナルン [⸢ʤim⸣maː sï̥⸢kau⸣kaː ⸢naːn⸣ naruŋ] (お金は使ったら無くなる)。 ⸢ジン⸣ヌ ⸢ナー⸣ナー ア⸢ラ⸣ヌ ア⸢リ⸣ブンドゥ カ⸢ラサヌ [⸢ʤin⸣nu ⸢naː⸣naː ʔa⸢ra⸣nu ʔa⸢ri⸣bundu ka⸢rasanu] (お金が無くてではない、あるけれども貸さないのだ)。 ⸢ジン⸣ヌ ⸢ナーン⸣ プソー ⸢カーラヌ [⸢ʤin⸣nu ⸢naːm⸣ pu̥soː ⸢kaːranu] (お金が無い時は買えない)。 ⸢ジン⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ⸢カーラヌ [⸢ʤin⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸢kaːranu] (お金が無ければ買えない)。 ⸣クゾー ⸣ウナー ⸢ヤー⸣ヤ ⸢ナーン⸣シェン [⸣kuʣoː ⸣ʔunaː ⸢jaː⸣ja ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (去年は、そこに家は無かった) 11684 0 1 11304 htmvoc_11684.wav ナーヌ ⸢ナー⸣ヌ [⸢naː⸣nu] 助動 {Mn_1}動詞の連用形に付いて、「~てない<~てしまった>」、「完了した」、の意を表す。 ⸢ジー⸣ カキ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʤiː⸣ kaki ⸢naː⸣nu] (字を書いてしまった)。 ブ⸢ガ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [bu⸢ga⸣ri ⸢naː⸣nu] (疲れてしまった)。 11684 0 2 11305 htmvoc_11684.wav ナーヌ ⸢ナー⸣ヌ [⸢naː⸣nu] 助動 {Mn_2}形容詞の連用形に付いて、打消しの意味を表す。 タ⸢カーナー⸣ヌ [tḁ⸢kaːnaː⸣nu] (高くない)。 ウ⸢レー ナン⸣ゾー ⸢カイヤー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː nan⸣ʣoː ⸢kaijaːnaː⸣nu] (それはあまり美しくない) 11686 0 0 11306 htmvoc_11686.wav ナーヌキ ⸢ナーヌキ [⸢naːnuki] 名 長く貫くこと。 ⸣タクン イ⸢ガン ナーヌキ シー⸣ ヤマナー ⸣サイティ ⸣プシバ [⸣tḁkuŋ ʔi⸢gan naːnuki ʃiː⸣ jamanaː saiti ⸣pu̥ʃiba] (蛸も烏賊も長く貫き通して、烏賊干し縄に吊るして<下げて>干しなさいよ) 11685 0 0 11307 htmvoc_11685.wav ナーヌチ ⸢ナーヌチ [⸢naːnuʧi] 名 長命。長寿。ナ⸢ガヌチ[na⸢ganuʧi](長命{EOS}長寿)ともいう。⸢チョーミー[⸢ʧoːmiː](長寿{EOS}長命)ともいい、⸢チョーミー⸣ シ⸢キ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ[⸢ʧoːmiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri](長寿をつけてください)のように、よい意味に用いる。⸢ナーヌチ[⸢naːnuʧi](長生き{EOS}長命)は、⸢ナーヌチヌ⸣ ア⸢リ⸣ル ⸣カイブ ア⸢ワ⸣リナンギーン ⸢スー[⸢naːnuʧinu⸣ ʔa⸢ri⸣ru ⸣kaibu ʔa⸢wa⸣rinaŋgiːn ⸢suː](長生きしているから<ぞ>このような難儀苦労<哀れ難儀>もするのだ)のように、悪い意味にも用いられる 11688 0 1 11308 htmvoc_11688.wav ナーパイ ⸢ナーパイ [⸢naːpai] 名 {Mn_1}だらし無く寝そべること。 ⸣ドゥク ⸣アッツァティ ⸢トゥーシ⸣ナー ⸢ナーパイ シー⸣ ニ⸢ビ ベー [⸣duku ⸣ʔatʦati tuːʃi⸣naː ⸢naːpai ʃiː⸣ ni⸢bi beː] (あまりにも暑いので縁側に長々と横這いになって寝ている<寝そべっている>よ)。 11688 0 2 11309 htmvoc_11688.wav ナーパイ ⸢ナーパイ [⸢naːpai] 名 {Mn_2}長々と這うこと。 パ⸢ブヌ ナーパイ シーベー [pa⸢bunu naːpai ʃiːbeː] (へび<蛇>が長々と地面に這っている) 11689 0 0 11310 htmvoc_11689.wav ナーハイバイ ⸢ナーハイバイ [⸢naːhaibai] 名 各自勝手に行動すること。好き勝手にすること。めいめい(銘銘)ばらばらになること。首里方言からの借用語。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢キョーダイ⸣ヤ ⸢タシキアー⸣スンテー サ⸢ムティ ナーハイバイ シーブー [⸢ʔun⸣nenu ⸢kjoːdai⸣ja ⸢taʃi̥kiʔaː⸣sunteː sa⸢muti naːhaːbai ʃiːbuː] (あの家の兄弟は助け合おうとはしないで、各自好き勝手に行動している<したい放題にしている>) 11690 0 0 11311 htmvoc_11690.wav ナーパニスビ ⸢ナーパニスビ [⸢naːpanisubi] 名 (動)魚の名。和名、ビンナガ(体長約1メートル)。\ruby{胸鰭}{ムナ|ビレ}の長いマグロ 11691 0 0 11312 htmvoc_11691.wav ナーパマ ⸢ナーパマ [⸢naːpama] 固 長浜。西表島伊武田の浜の名の一つ。 ⸣インダヌ ⸢ナーパマヌ ウイ⸣ナール ⸣インダガマー ア⸢ル⸣ワ⸢ナー [⸣ʔundanu ⸢naːpamamnu ʔui⸣naːru ⸣ʔindagamaː ʔa⸢ru⸣wa⸢naː] (伊武田のナーパマ<長浜>の上にインダガマ<伊武田洞窟>はあるさねえ) 11692 0 0 11313 htmvoc_11692.wav ナーバレー ⸢ナーバレー [⸢naːbareː] 名 (海底地名)。鳩間島を取り巻く環礁の、島の東にある干瀬の窪んだ所。ナ⸢ラ⸣リパマ[na⸢ra⸣ripama](ナラリ浜)から東に延びる干瀬で、タ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)に続く干瀬であるが、その部分は細長く窪んだ所で、満潮時にはイカ釣り舟を外洋へ通過させることができる。カツオ漁船も大潮の満潮時にはそこを通って帰港していた。満ち潮は外洋からこの部分を通って礁池部に流れ込む。その流れが早いので、歩いてタ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)へ潮干狩りに行く時は、この溝を越えることに気を配った。遅くなると、女性はこの溝を渡ることが難しくなる 11693 0 0 11314 htmvoc_11693.wav ナーバレーヌウブイシ ⸢ナーバレーヌ⸣ ウ⸢ブ⸣イシ [⸢naːbareːnu⸣ ʔu⸢bu⸣ʔiʃi] 連 (海底地名)。⸢ナーバレーにある大石。その大石のある一帯の地名 11694 0 0 11315 htmvoc_11694.wav ナーパン ⸢ナー⸣パン [⸢naː⸣paŋ] 名 長足。歩幅の大きいこと。大股。「長はぎ<脛>」の義。 ⸢ナーパン⸣シ ア⸢ラ⸣クンダー ウ⸢リヌ⸣ シ⸢ベー オーラヌ [⸢naːpaŋ⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kundaː ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢beː ʔoːranu] (大股で歩くから彼の後は追いついて行けない<行かれない>)。 ウ⸢レー ナーパン⸣シ ア⸢ラ⸣クンダー シ⸢ベー オーラヌ [ʔu⸢reː naːpaŋ⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kunda ʃi⸢beː ʔoːranu] (彼は大きな歩幅<大股>で歩くから後から追いかけることが<後追い>できない) 11695 0 0 11316 htmvoc_11695.wav ナーピキダールン ⸢ナーピキダールン [⸢naːpikidaːruŋ] 自動 だらりと長引く。引きずる。 ⸢ナーピキダーリ ブー キン⸣マー キ⸢スナ [⸢naːpikidaːri buː kim⸣maː ki̥⸢suna] (長すぎて引き摺っている着物は着るな)。 ⸢ナーピキダーラサンドー⸣シ キ⸢シ⸣バ [⸢naːpikidaːrasandoː⸣ʃi ki̥⸢ʃi⸣ba] (だらりと長引かさないように着なさいよ)。 タ⸢キ⸣ヌ ピ⸢コー⸣ンダー ク⸢ヌ キン⸣マー ⸢ナーピキダールンティ⸣ ウ⸢モー⸣リ [tḁ⸢ki⸣nu pi̥⸢koː⸣ndaː ku⸢nu kim⸣maː⸢naːpikidaːrunti⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (背が低いから、此の着物はだらりと引き摺ると思う)。 ⸢ナーピキダール キン⸣マー キ⸢スナ [⸢naːpikidaːru kim⸣maː ki̥⸢suna] (だらりと長引く<引きずる>着物は着るな)。 ⸢キン⸣ヌ ナーピキダーレー⸣ラー キ⸢サラヌ [⸢kin⸣nu ⸢naːpikidaːreː⸣raː ki̥⸢saranu] (着物がだらりと長引く<引きずる>ようだったら着られない) 11696 0 0 11317 htmvoc_11696.wav ナーブイ ⸢ナーブイ [⸢naːbui] 名 長吠え。遠吠え。犬の長鳴き。「長吠え」の転訛したもの。不吉なことが起きる前兆といわれている。 ⸢クン⸣デーラ ⸢ウン⸣ネナー ⸢イン⸣ヌ ⸢ナーブイ シー ブーヌ⸣ ヌーカヤー [⸢kun⸣deːra ⸢ʔun⸣neːna ⸢ʔin⸣nu ⸢naːbui ʃiːbuːnu⸣ nuːkaja] (先日からあの家で犬が遠吠えしているが何だろうか<心配だ>) 11697 0 0 11318 htmvoc_11697.wav ナーブク ⸢ナーブ⸣ク [⸢naːbu⸣ku] 名 縄箱。⸢ナーバ⸣ク[⸢naːba⸣ku](縄箱)ともいう。漁師が出漁するに際して、釣り針や釣り糸などの漁具の必要な物と、その予備を揃えて縄箱の中蓋に整然と並べておき、箱の底にはマッチやタバコ類、その他の貴重品を入れて持参する収納箱。大型の縄箱は縦約50センチ、横約40センチ、高さ約40センチの木製の箱で、衣類まで収納できる箱。小型の縄箱は縦約25センチ、横約20センチ、高さ約15センチの木箱。これらは水漏れしないように精密に造られており、舟が転覆しても浮いて中のものが濡れないようになっている。 ウ⸢ブナーブク⸣ヌ ス⸢ク⸣ナー ⸣キンカーラ フ⸢チ⸣ル シ⸢キダ⸣キ ⸣ナードングバ イ⸢リ⸣ ナ⸢カ⸣フタナーヤ ⸢シー⸣ラ イ⸢ズホーシドン⸣グ ス⸢ロー⸣シティ ム⸢トーッタ⸣ル [ʔu⸢bunaːbuku⸣nu su̥⸢ku⸣naː ⸣kiŋkaːra ɸu̥⸢ʧi⸣ru ʃi̥⸢kida⸣ki ⸣naːdoŋguba ʔi⸢ri⸣ na⸢ka⸣ɸu̥tanaːja ⸢ʃiː⸣ra ʔi⸢ʣuhoːʃidoŋ⸣gu su⸢roː⸣ʃi̥ti mu⸢toːtta⸣ru] (大縄箱の底には衣類から薬、マッチ、縄類を入れ、中蓋には釣り針や魚釣り道具類を揃えて漁に持って行かれたものだよ) 11698 0 0 11319 htmvoc_11698.wav ナーフクビ ⸢ナーフク⸣ビ [⸢naːɸu̥ku⸣bi] 名 長帯。長い帯。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ナーフク⸣ビシル ッ⸢ふァー⸣ カ⸢サナウ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢naːɸu̥ku⸣biʃiru f⸢fa⸣ kḁ⸢sanau⸣ta] (昔は長い帯で子供を負ぶった) 11699 0 0 11320 htmvoc_11699.wav ナーフダ ⸢ナーフダ [⸢naːɸuda] 名 名札。 ⸢ナーフダ⸣ シ⸢キラン⸣カー ⸢タール ター⸣ティ ワ⸢カラン⸣ダ ムー⸢ル ナーフダ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢naːɸuda⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ⸢taːru taː⸣ti wa⸢karan⸣daː muː⸢ru naːɸuda⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (名札を付けないと誰が誰だか分からないから、皆名札を付けなさい) 11700 0 0 11321 htmvoc_11700.wav ナーブンブン ⸢ナーブンブン [⸢naːbumbuŋ] 名 各自。おのおの。めいめい(銘銘)。⸢ナーブン[⸢naːbuŋ](各自)ともいう。 ⸢ナーブンブン ドゥー⸣ヌ ⸢カン⸣ガイシル シ⸢グトー スー⸣、 プ⸢スン⸣ ギ⸢チ サリ⸣ パ⸢ナウタ⸣レーティ ⸢スー ムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢naːbumbun duː⸣nu ⸢kaŋ⸣gaiʃiru ʃi⸢gutoː suː⸣, pu̥suŋ⸣ gi⸢ʧi sari⸣ pa⸢naʔuta⸣reːti ⸢suː munoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (各自、自分の考えで仕事はするものであって、他人に下知<命令>され、右や左と指図されてするものではない) 11701 0 0 11322 htmvoc_11701.wav ナーポーキ ⸢ナーポー⸣キ [⸢naːpoː⸣ki] 名 ながほうき(長箒)。長さ約1、8メートルの竹を数本結わえた箒。柄の付いた竹箒で庭の掃除に使用する箒(外箒)。室内用の⸢ナーポー⸣キ[⸢naːpoː⸣ki](長箒)は藁しべや麦藁などをY字形に編み組んで、それに長い柄を付けた上品な箒。新しく導入されたもの。多くは石垣島の店から購入した。旧来の室内箒は藁しべを扇型に編みこんだバ⸢ラフ⸣タポーキー[ba⸢raɸu⸣tapoːkiː](ワラシベ箒)で、\ruby{屈}{カガ}みながら使用した。 ⸢ナーポーキー⸣シ ⸢ポー⸣クカー ク⸢シェー⸣ マ⸢ガランドー⸣シ ⸢ポーカ⸣リン [⸢naːpoːki⸣ʃi ⸢poː⸣kukaː ku̥⸢ʃeː⸣ ma⸢garandoː⸣ʃi ⸢poːka⸣riŋ] (長箒で掃くと腰は曲がらないで掃くことが出来る<掃かれる>) 11702 0 0 11323 htmvoc_11702.wav ナーポッチポッチ ⸢ナー ポッチポッチ [⸢naː potʧipotʧi] 連 各自ばらばらに。各自散らばって。 ⸢イー⸣シ ⸣トゥル ⸣ピンマー ⸢ナー ポッチポッチ ポッツァーレー⸣ティル トゥ⸢ル⸣タ [⸢ʔiː⸣ʃi ⸣turu ⸣pimmaː ⸢naː potʧipotʧi potʦaːreː⸣tiru tu⸢ru⸣ta] (ツノマタ<角叉>を採取するときは各自ばらばらに散らばって採取した<取った>) 11650 0 0 11324 htmvoc_11650.wav ナーマ ⸢ナー⸣マ [⸢naː⸣ma] 接尾 小さいもの、可愛いもの、などの意を表す接尾語⸣マ[⸣ma]の異形態。上接語の音節構造により、次のような異形態が生成される。 11650 0 0 11325 htmvoc_11650.wav ナーマ ⸢ナー⸣マ [⸢naː⸣ma] 接尾 {Exp_1}上接語の音節構造がCVCV(v=a)の場合、CVCV + [ma] → [~ːma]。 ヤ⸢マー⸣マ [ja⸢maː⸣ma] (小山)。 シ⸢マー⸣マ [ʃi⸢maː⸣ma] (小島)。 11650 0 0 11326 htmvoc_11650.wav ナーマ ⸢ナー⸣マ [⸢naː⸣ma] 接尾 {Exp_2}CVNの場合、CVN + [ma] → [~nnaːma]。 ジン⸢ナー⸣マ [ʤin⸢naː⸣ma] (小銭)。 アン⸢ナー⸣マ [ʔan⸢naː⸣ma] (小さな網)。 11650 0 0 11327 htmvoc_11650.wav ナーマ ⸢ナー⸣マ [⸢naː⸣ma] 接尾 {Exp_3}CVV(v=i)の場合、CVCVV + [ma] → [~jaːma]。 ガイ⸢ヤー⸣マ [gai⸢jaː⸣ma] (小匙)。 パイ⸢ヤー⸣マ [pai⸢jaː⸣ma] (小蝿)。 11650 0 0 11328 htmvoc_11650.wav ナーマ ⸢ナー⸣マ [⸢naː⸣ma] 接尾 {Exp_4}CVCVV(v=u)の場合、CVCVV + [ma]→ [~waːma]、[~aːma]。 サウ⸢ワー⸣マ [sau⸢waː⸣ma] (小さな竿)。バウ⸢ワー⸣マ[bau⸢waː⸣ma](小さな棒)となる 12069 0 0 11329 htmvoc_12069.wav ナーマ ⸢-ナー⸣マ [⸢-naː⸣ma] 接尾 指小辞。~っこ。名詞の語末が[ŋ]で終わる際、指小辞の-マ[-ma](~っこ)が付くと連声現象を起こし、~ンナーマ[~⸢naː⸣ma](~っこ)となる。例、イン⸢ナー⸣マ[ʔin⸢naː⸣ma](子犬)。 パン⸢ナー⸣マ [pan⸢naː⸣ma] (小さな足)。語末が[i]で終わる語に指小辞[-ma]が付くと母音の融合現象をおこして~⸢エー⸣マ[~⸢eː⸣ma](~っこ)となる。例、フ⸢ネー⸣マ[ɸu⸢neː⸣ma](小船)。 タ⸢ネー⸣マ [ta⸢neː⸣ma] (小さな種)。語末が[u]で終わる語に指小辞[-ma]が付くと、融合現象を起こして~⸢オー⸣マ[~⸢oː⸣ma](~っこ)となる。例、パ⸢コー⸣マ[pḁ⸢koː⸣ma](小箱)。 トゥ⸢ロー⸣マ [tu⸢roː⸣ma] (小鳥)。語末が連母音aiで終わる語に指小辞[-ma]が付くと、融合現象を起こして~⸢ヤー⸣マ[~⸢jaː⸣ma](~っこ)となる。例、ガイ⸢ヤー⸣マ[gai⸢jaː⸣ma](小匙)。 パイ⸢ヤー⸣マ [pai⸢jaː⸣ma] (小ばえ)。 ナイ⸢ヤー⸣マ [nai⸢jaː⸣ma] (小さな苗)。 ダイ⸢ヤー⸣マ [dai⸢jaː⸣ma] (小さな台)。語末が連母音auで終わる語に指小辞[-ma](っこ)が付くと融合現象を起こして~⸢ワー⸣マ[~⸢waː⸣ma](~っこ)となる。例、バウ⸢ワー⸣マ[bau⸢waː⸣ma](小さな棒)。 サウ⸢ワー⸣マ [sau⸢waː⸣ma] (小さな竿)。 カウ⸢ワー⸣マ [kau⸢waː⸣ma] (小さな線香)。 キン⸢ナー⸣マ キ⸢サシ⸣バ [kin⸢naː⸣ma ki̥⸢saʃi⸣ba] (小さな着物を着させてやりなさいよ) 11703 0 0 11330 htmvoc_11703.wav ナーマイマイ ⸢ナー⸣ マイマイ [⸢naː⸣ maimai] 連 各自の利益のために。「各自の前前」の義。 ⸢ナー⸣ マイマイニ カー⸢ニル⸣ ス⸢ルバンマー パン⸣キ ブ⸢リン⸣ギサバン [⸢naː⸣ maimaini kaː⸢niru⸣ su⸢rubammaː paŋ⸣ki bu⸢riŋ⸣gisabaŋ] (各自銘銘の利益のためだけに<各自の前だけにぞ>ソロバンは弾いているようだよ) 11704 0 0 11331 htmvoc_11704.wav ナーマタ ⸢ナーマタ [⸢naːmata] 名 大股。大股で歩くこと。「ながまた(長股)」の義。ウ⸢ブ⸣マタ[ʔu⸢bu⸣mata](大股)ともいう。 ウ⸢レー ナーマタ⸣シ ア⸢ラ⸣クンダー ムッ⸢トゥ ウイシキララヌ [ʔu⸢reː naːmata⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kudaː mut⸢tu ʔuiʃi̥kiraranu] (彼は大股で歩くので、一向に追いつかれない) 11705 0 0 11332 htmvoc_11705.wav ナーマヤー ⸣ナーマヤー [⸣naːmajaː] 名 長間家。民間伝承上で語られる家。鳩間島のパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山)の頂上に、⸣ナーマヤーヌ ⸢ヤシ⸣キ[⸣naːmajaːnu ⸢jaʃi̥⸣ki](長間家の屋敷)と伝えられる屋敷跡がある。昔から鳩間島には⸢ヨーラ⸣サー[⸢joːra⸣saː](夕烏<ホシゴイ>)が鳴くのを不吉として\ruby{忌}{イ}み\ruby{嫌}{キラ}い、⸣ナーマヤーヌ ッ⸢ふァー⸣マ⸢ドー[⸣naːmajaːnu f⸢faː⸣ma⸢doː](長間家の子孫だよ{EOS!})と叫んで、カ⸢ラウシ[ka⸢raʔuʃi](空の臼)を叩く習俗がある。伝承によると、誰も助けなかった旅の者が長間家の人に助けられた恩返しとして、自分たちは⸢ピー⸣ヌカン[⸢piː⸣nukaŋ](火の神)であると告げ、火事が起きたときは、⸣ナーマヤーヌ ッ⸢ふァー⸣マ⸢ドーといって空の臼を叩いて知らせなさい。そうしたら、そこだけは災厄から逃れることが出来ると教えて立ち去ったという。以後、島では⸢ヨー⸣ラサーが鳴くと、⸣ナーマヤーヌ ッ⸢ふァー⸣マ⸢ドーと叫びながら空の臼を叩くようになったという 11706 0 0 11333 htmvoc_11706.wav ナーミチ ⸢ナーミチ [⸢naːmiʧi] 名 長道。⸢トゥーミチ[⸢tuːmiʧi](遠道)(老年層)ともいう。 ⸢ウイバロー⸣ラ トゥ⸢マダーバーキ⸣ヌ ⸢ナーミチ⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸢クー⸣ター ブ⸢ガ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔuibaroː⸣ra tu⸢madaːbaːki⸣nu ⸢naːmiʧi⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuː⸣taː bu⸢ga⸣ri ⸢naː⸣nu] (上原からトゥマダー(苫田)までの長道を歩いて来たので疲れてしまった)。 ア⸢ドゥ⸣ヌ ⸢ナーミチェー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢タン⸣ガー パ⸢ラサラ⸣ヌ [ʔa⸢du⸣nu ⸢naːmiʧeː⸣ ja⸢ra⸣bi ⸢taŋ⸣gaː pa⸢rasara⸣nu] (あんなに遠い道<長い道>は子供一人では行かされない) 11707 0 0 11334 htmvoc_11707.wav ナームキムキ ⸢ナー⸣ ム⸢キムキ [⸢naː⸣ mu⸢kimuki] 連 各自の向き向き。各自の適性。各自の性格に適したもの。 ⸢ナー⸣ ム⸢キムキヌ⸣ シ⸢グトゥバ⸣ トゥミ パ⸢タラキ⸣ヨー [⸢naː⸣ mu⸢kimukinu⸣ ʃi⸢gutuba⸣ tumi pḁ⸢taraki⸣joː] (各自の向き向き<適性>の仕事を探して働きなさいね) 11708 0 0 11335 htmvoc_11708.wav ナームス ⸢ナー⸣ムス [⸢naː⸣musu] 名 ながむしろ(長筵)。長さ約9尺の筵で、あまり利用しなかった。普通は長さ約6尺の筵を多用した。若年層はナ⸢ガ⸣ムス[na⸢ga⸣musu](長筵)ともいう。 ナ⸢チェー トゥーシ⸣ナー ⸢ナー⸣ムス シ⸢キティ⸣ ニ⸢ブ⸣カー ピ⸢ラ⸣ケータン [na⸢ʧeː tuːʃi⸣naː ⸢naː⸣musu ʃi̥⸢kiti⸣ ni⸢bu⸣kaː pi⸢ra⸣keːtaŋ] (夏は長筵を縁側に敷いて寝ると涼しかった) 11709 0 1 11336 htmvoc_11709.wav ナームティ ⸢ナームティ [⸢naːmuti] 名 {Mn_1}長持ち。長持ちすること。長く維持すること。長く使えること。若年層では⸢ナームチ[⸢naːmuʧi](長持ち)ともいう。 ク⸢レー⸣ シゥ⸢カイヤッ⸣サンドゥ ⸢ナン⸣ゾー ⸢ナームティ サヌ [ku⸢reː⸣ si̥⸢kaijas⸣sandu ⸢nan⸣ʣoː ⸢naːmuti sanu] (これは使いやすいが、あんまり長持ちしない)。 11709 0 2 11337 htmvoc_11709.wav ナームティ ⸢ナームティ [⸢naːmuti] 名 {Mn_2}長く生きること。長命すること。 ク⸢ヌ ブン⸣シェー ⸢ナームテー サン⸣ パジ [ku⸢nu buŋ⸣ʃeː ⸢naːmuteː sam⸣paʤi] (この分<様子>では長く生きられないだろう) 11710 0 1 11338 htmvoc_11710.wav ナームティ ⸢ナー⸣ムティ [⸢naː⸣muti] 連 {Mn_1}無いのに。無いくせに。 ⸢ジン⸣マー ⸢ナー⸣ムティ ⸢ダイヌ⸣ タ⸢カー⸣ ムヌバ ⸢カイー ベー [⸢ʤim⸣maː ⸢naː⸣muti ⸢dainu⸣ tḁ⸢kaː⸣ munuba ⸢kai beː] (金は無いのに高価な<値段の高い>物を買っている)。 11710 0 2 11339 htmvoc_11710.wav ナームティ ⸢ナー⸣ムティ [⸢naː⸣muti] 連 {Mn_2}無いなりに。 ⸢ナーン⸣カー ⸢ナーン⸣ムティヌ ク⸢ラシカター⸣ ナルン [⸢naːŋ⸣kaː ⸢naːm⸣mutinu ku⸢raʃikataː⸣ naruŋ] (無ければ無いなりの暮らしは出来る) 11711 0 0 11340 htmvoc_11711.wav ナームティムティ ⸢ナームティムティ [⸢naːmutimuti] 名 各自の分担。各自の持分。 ⸢ナームティムティヌ⸣ シ⸢グトー パー⸣ク シ⸢マ⸣シティ ア⸢サビ⸣バ [⸢naːmutimutinu⸣ ʃi⸢gutoː paː⸣ku ʃi⸢ma⸣ʃi̥ti ʔa⸢sabi⸣ba] (各自分担の仕事を早く済ませてから遊べよ) 11712 0 0 11341 htmvoc_11712.wav ナームヌ ⸢ナー⸣ムヌ [⸢naː⸣munu] 名 (動)蛇。毒蛇。「ながもの(長物)」の義。呪言や祝詞で、蛇を直接的に表出するのを避けて、「ながもの」と間接的に表出し、連想によって「蛇」を指し示す表現法。パ⸢ブ[pa⸢bu](蛇)という語はタブーの一種である。 ⸢ナー⸣ムヌン ミ⸢ラ⸣シ タ⸢ボーン⸣ナ [⸢naː⸣munum mi⸢ra⸣ʃi ta⸢boːn⸣na] (長物<蛇>も見せて下さるな) 11713 0 0 11342 htmvoc_11713.wav ナーメーメー ⸢ナー メーメー [⸢naː meːmeː] 連 各自。各自銘銘。 ⸢ナー メーメーヌ⸣ クトゥサーギ シゥカイ⸢トゥ シーシェー⸣カー ビ⸢チ⸣ヌ ⸣クトー ⸢シーサン⸣タンティン ⸣ミサン [⸢naː meːmeːnu⸣ ku̥tusaːgi sï̥kai⸢tu ʃiːʃeː⸣kaː bi⸢ʧi⸣nu ⸣ku̥toː ⸢ʃiːsan⸣tantim ⸣misaŋ] (各自分担のことさえしっかりと出来<し得>たら他のことは出来なくてもよい) 11714 0 0 11343 htmvoc_11714.wav ナーヤ ⸣ナーヤ [⸣naːja] 助 助詞連語。~には。格助詞⸣ナ(―)[na(ː)](~に)に取り立ての係助詞⸣ヤ[ja](は)が下接した形。動作、作用、存在する場所や時を限定強調する意味を表す。 ⸣クナーヤ ブ⸢ラーヌ [⸣kunaːja bu⸢raːnu] (此処にはいない)。 ⸣カナーヤ ⸣アン [⸣kanaːja ⸣ʔaŋ] (あそこにはある)。 ⸣キューズーナーヤ トゥ⸢ズミラ⸣リン [⸣kjuːʣuːnaːja ʔtu⸢ʣumira⸣riŋ] (今日中には終えられる<完了できる>) 11715 0 0 11344 htmvoc_11715.wav ナーヤーヤー ⸢ナー⸣ ヤーヤー [⸢naː⸣ jaːjaː] 連 各自の家。銘銘の家。 ⸢ナー⸣ ヤーヤーヌ ナ⸢ライ⸣ヤー ッ⸢ふァ⸣マーン ナ⸢ラー⸣シ ウ⸢キトゥラシミ⸣リ [⸢naː⸣ jaːjaːnu na⸢rai⸣jaː f⸢fa⸣maːn na⸢raː⸣ʃi ʔu⸢kituraʃimi⸣ri] (各自の家々伝来の慣わしは子孫に教えて受け継がせよ) 11716 0 0 11345 htmvoc_11716.wav ナーヤン ⸢ナーヤン [⸢naːjaŋ] 名 長患い。「長病み」の義。 ⸢ナーヤンバ シー⸣ ニ⸢ビ オー⸣ルティ シ⸢キティル ミー⸣マイ ⸢スンティ クータ⸣ル [⸢naːjamba ʃiː⸣ ni⸢bi ʔoː⸣ruti ʃi̥⸢kitiru miː⸣mai ⸢sunti kuːta⸣ru] (長患いをして寝ていらっしゃると聞いて、お見舞いをしに<するとて>来ましたよ) 11717 0 0 11346 htmvoc_11717.wav ナーラ ナー⸢ラ [naː⸢ra] 終助 ~ください<尊敬>。~くださいませんか。動詞の未然形に下接し、希望の意味の尊敬表現を形成する。語源は、*ni+owaram<御座す・む> → [naːram] → [naːra] のように音韻変化したものと考えられる。九十歳以上の古老が石垣島から来られる役人や校長先生などの人物に対して使用していた。八十歳以下では理解語である。 ⸢コー⸣チョウーシンシー ア⸢サ⸣ボン ⸢オーソー⸣ラナー⸢ラ [⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiː ʔa⸢sa⸣boŋ ⸢ʔoːsoː⸣ranaː⸢ra] (校長先生、朝食をお召し上がり下さい) 11718 0 0 11347 htmvoc_11718.wav ナーライシ ⸢ナーラ⸣イシ [⸢naːra⸣ʔiʃi] 名 えださんご(枝珊瑚)の死骸が浜辺に打ち上げられたもの。枝珊瑚の砂利。⸣ザラ[⸣ʣara](砂利)ともいう。「流れ石」の転訛したものか。浜辺から枝珊瑚の砂利を運び庭に敷いて家運隆盛を願ったものである。正月が近づくと、子供達が浜砂を運んで庭に敷き、新年を祝う習慣もあった。 ⸢ナーラ⸣イシ カ⸢タ⸣ミ ⸣キー ミ⸢ナカ⸣ナー シ⸢キ⸣バ [⸢naːra⸣ʔiʃi kḁ⸢ta⸣mi ⸣kiː mi⸢na⸣kanaː ʃi̥⸢ki⸣ba] (枝珊瑚の砂利を浜から運んできて庭に敷きなさい) 11719 0 0 11348 htmvoc_11719.wav ナーラシ ⸢ナーラ⸣シ [⸢naːra⸣ʃi] 名 ならし(均し)。ならし竹。かけ竿。作業用の衣類を掛けるために、軒や土間の壁にそって設置したり、吊るしたりして置く竿。「Naraxi.ナラシ(ならし)または、caqezauo(掛竿)衣類をかける竹、あるいは、木」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢キン⸣マー ⸢ナーラ⸣シナー ⸣カキ シ⸢キ⸣リバ [⸢kim⸣maː ⸢naːra⸣ʃinaː ⸣kḁki ʃi̥⸢ki⸣ribaː] (着物は軒のならし竹に掛けて置きなさいよ) 11720 0 0 11349 htmvoc_11720.wav ナーラスン ⸢ナーラ⸣スン [⸢naːra⸣suŋ] 他動 流す。 ス⸢ナカー⸣ラ ⸢ナーラ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ン⸢カイカジヌ⸣ フキティ ⸢ナーラサラ⸣ヌ [su⸢nakaː⸣ra ⸢naːra⸣sunti ⸢beːn⸣du ʔŋ⸢kaikaʤinu⸣ ɸu̥kiti ⸢naːrasara⸣nu] (海から流そうとしているが、逆風<迎え風>が吹いて流されない)。 ⸢ナーラシ⸣ プサカー ⸢ナーラ⸣ス ⸣ムヌ ⸢パー⸣ク ⸢トゥーナカー サンギ ギーティ ナーラ⸣シバ [⸢naːraʃi⸣ pu̥sakaː ⸢naːra⸣su ⸣munu ⸢paː⸣ku ⸢tuːnakaː saŋgi giːti naːra⸣ʃiba] (流したければ流すものを、早く沖の方まで引張っていって流せよ)。 ⸢ナーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢naːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (流せばいいのに)。 シ⸢マッサル⸣ヌ ⸣ピン ⸢イソーパーレー ⸢シーティ⸣ ヤ⸢ナ⸣ムヌ フ⸢ネー⸣マナ ⸢ヌーシティ⸣ ス⸢ナカー⸣ラ ⸢ナーラ⸣スンティ ス⸢コーリ オーッ⸣タ [ʃi⸢massaru⸣nu ⸣piŋ ⸣ʔisoːpaːreː ⸢ʃiːti⸣ ja⸢na⸣munu ɸu⸢neː⸣mana ⸢nuːʃiti⸣ su⸢nakaː⸣ra ⸢naːra⸣sunti su̥⸢koːri ʔoːt⸣ta] (島くさらしの祭りにはイソーパーレーの祓いをして悪霊を小船に乗せて海から流そうと準備をいておられた)。 ク⸢レー ナーラサラ⸣ヌ [ku⸢reː naːrasara⸣nu] (これは流されない)。 ⸢ナーラ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ナーラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢naːra⸣ʃi ⸣misakaː ⸢naːra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (流してよければ流すことは出来る)。 ⸣クマーラ ⸢ナーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣kumaːra ⸢naːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (ここから流せばいいのに)。 ⸢ナーラ⸣シバ [⸢naːra⸣ʃiba] (流せよ) 12202 0 0 11350 htmvoc_12202.wav ナーラスン ⸢ナーラスン [⸢naːrasuŋ] 他動 鳴らす。 ドゥ⸢ラーン⸣ ウティ ⸢ナーラスン [du⸢raːŋ⸣ ʔuti ⸢naːrasuŋ] (銅鑼を打って鳴らす)。 フ⸢チェー ナーラサンドー⸣シ ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァイ⸣バ [ɸu̥⸢ʧeː naːrasandoː⸣ʃi ⸢ʔiː⸣ja f⸢fai⸣ba] (口は鳴らさないでご飯は食べなさいよ)。 ス⸢ク⸣マ ⸢ソー⸣ルカー ⸢ナーリムノー ナーラシ⸣ミサンツォー [su̥⸢ku⸣ma ⸢soː⸣rukaː ⸢naːrimunoː naːraʃi⸣ misanʦoː] (スクマ<稲の初穂祭り>をされたら鳴り物<楽器>は鳴らしてもよいそうだ)。 ス⸢ク⸣マウチェー ⸢ナーリムヌ ナーラス⸣ クトー ナ⸢ラン⸣シェン [su̥⸢ku⸣maʔuʧeː ⸢naːrimunoː naːrasu⸣ ku̥toː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (稲の初穂祭りの内<祭りが終わるまで>は鳴り物を鳴らすことは出来なかった)。 ⸢ナーラシェー⸣ ミサムヌ [⸢naːraʃeː⸣ misamunu] (鳴らせば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ナーラシ⸣バ [⸢maː⸣bin ⸢naːraʃi⸣ba] (もっと鳴らせよ) 11721 0 0 11351 htmvoc_11721.wav ナーラブン ⸢ナーラブン [⸢naːrabuŋ] 自動 並ぶ。老年層の使用語。若年層は、ナ⸢ラブン[na⸢rabuŋ](並ぶ)ともいう。 ⸣クナー ⸢ナーラブンティ スンドゥ⸣ シ⸢バー⸣ティ ⸢ナーラバラヌ [⸣kunaː ⸢naːrabunti sundu⸣ ʃi⸢baː⸣ti ⸢naːrabaranu] (此処に並ぼうとするが、狭くて並ばれない)。 ⸢ナーラビ⸣ ミサカー ⸢ノー⸣シン ⸢ナーラブ⸣ クトー ナ⸢リ⸣ス [⸢naːrabi⸣ misakaː ⸢noː⸣ʃin ⸢naːrabu⸣ ku̥toː na⸢ri⸣su] (並んで良ければ、何とかして並ぶことは出来るものだ)。 ⸣クナー ⸢ナーラベー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː⸢naːrabeː⸣ misamunu] (此処に並べば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ナーラビ [⸢paː⸣ku ⸢naːrabi] (早く並べ) 11722 0 0 11352 htmvoc_11722.wav ナーリ ⸢ナー⸣リ [⸢naː⸣ri] 名 流れ。動詞⸢ナー⸣ルン[⸢naː⸣ruŋ](流れる)の連用形から転成した名詞。 ク⸢ヌ カーラー⸣ ミ⸢ジヌ ナーリ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣ティ バ⸢タララヌ [ku⸢nu kaːraː⸣ mi⸢ʤinu naːri⸣nu pa⸢jaː⸣ti ba⸢tararanu] (この川は水の流れが早いので渡れない<渡られない>) 11723 0 0 11353 htmvoc_11723.wav ナーリキー ⸢ナーリ⸣キー [⸢naːri⸣kiː] 名 流木。「流れ木」の義。普通は、⸢ユーリキー[⸢juːrikiː](寄り木{EOS}流木)という。 カ⸢ジフキヌ⸣ アトー パ⸢マ⸣ナー ⸢ナーリキー⸣ヌ ウ⸢チアンギラ⸣リ ⸢ブン [ka⸢ʤiɸukinu⸣ ʔatoː pa⸢ma⸣naː ⸢naːrikiː⸣nu ʔu⸢ʧiʔaŋgira⸣ri ⸢buŋ] (台風の後には浜に流木が打ち上げられているよ) 11724 0 0 11354 htmvoc_11724.wav ナーリプシ ⸢ナーリ⸣プシ [⸢naːri⸣pu̥ʃi] 名 流れ星。若年層の使用語。老年層は⸢ユー⸣ベープシ[⸢juː⸣beːpu̥ʃi](よばいぼし<夜這星>)という。 ⸢ナーリ⸣プシ ⸣ミルカー ヤ⸢ナクトゥヌ⸣ ウ⸢ク⸣ルンツォー [⸢naːri⸣pu̥ʃi ⸣mirukaː ja⸢naku̥tunu⸣ ʔu⸢ku⸣runʦoː] (流れ星を見ると不吉なこと<悪いこと>が起きるそうだ) 11726 0 0 11355 htmvoc_11726.wav ナーリプス ⸢ナーリ⸣プス [⸢naːri⸣pu̥su] 名 漂流者。「流れ人」の義。 ⸣トーラヌ ⸢ナーリプス⸣バ ⸢タシ⸣キティ ウ⸢キ⸣ナー ⸢サーローッ⸣タツォー [⸣toːranu ⸢naːripu̥su⸣ba ⸢taʃi̥⸣kiti ʔu⸢ki⸣naː ⸢saːroːt⸣taʦoː] (唐からの漂流者を救助して沖縄へ連れて行かれたそうだ) 11725 0 0 11356 htmvoc_11725.wav ナーリフニ ⸢ナーリ⸣フニ [⸢naːri⸣ɸuni] 名 流れ舟。漂流船。 カ⸢ジフキ⸣ナー ⸢ナーリフニ⸣ヌ ⸢ナー⸣リ ⸣ケータン⸢ダー [ka⸢ʤiɸu̥ki⸣naː ⸢naːriɸuni⸣nu ⸢naː⸣ri keːtan⸢daː] (台風で流れ舟が流れてき<漂着し>たことがあるよ) 11727 0 0 11357 htmvoc_11727.wav ナーリミジ ⸢ナーリ⸣ミジ [⸢naːri⸣miʤi] 名 流水。流れ水。老年層は、ミ⸢ジピキ[mi⸢ʤipiki](流水{EOS}<水引>)ともいう。 ⸢ウーアミヌ⸣ フー ⸣ピンマー ウ⸢ブ⸣ミジェー ミ⸢ジヌ⸣ ウ⸢ク⸣リティ ⸢ナーリミジ⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ ナ⸢クラー⸣ヌ バ⸢タラランシェン [⸢ʔuːʔaminu⸣ ɸuː ⸣pimmaː ʔu⸢bu⸣miʤeː mi⸢ʤinu⸣ ʔu⸢ku⸣riti ⸢naːrimiʣi⸣nu ⸢suː⸣wanda na⸢kuraː⸣nu ba⸢tararaŋʃeŋ] (大雨が降る時は、大見謝川は洪水が起きて、流水が激しい<強い>ので、怖くて渡られなかった) 11728 0 1 11358 htmvoc_11728.wav ナーリムヌ ⸢ナーリ⸣ムヌ [⸢naːri⸣munu] 名 {Mn_1}漂流物。「流れ物」の義。老年層は、普通、⸢⸢ユーリムヌ[⸢juːrimunu](寄り物)という。 ⸢ナーリ⸣ムヌナー トゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アンティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリ ブー [⸢naːri⸣mununaː tu̥⸢ku⸣nu ⸣ʔanti mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣari buː] (漂流物<流れ物>には徳があると、昔からいわれている)。 カ⸢ジフキヌ⸣ アトー ⸢ナーリ⸣ムヌ プ⸢サイン⸣ パ⸢マー パッ⸣タ [ka⸢ʤiɸu̥kinu⸣ ʔatoː ⸢naːri⸣munu pu̥⸢saim⸣ pa⸢maː pat⸣ta] (台風の後は漂流物を拾いに浜へ行った)。 11728 0 2 11359 htmvoc_11728.wav ナーリムヌ ⸢ナーリ⸣ムヌ [⸢naːri⸣munu] 名 {Mn_2}放浪する人。さすらいびと。流浪人。流れ者。 ウ⸢レー⸣ マーラヌ ⸢ナーリ⸣ムヌヤ [ʔu⸢reː⸣ maːranu ⸢naːri⸣munuja] (彼は何処からの流れ者か) 12204 0 0 11360 htmvoc_12204.wav ナーリムヌ ⸢ナーリムヌ [⸢naːrimunu] 名 楽器。三線や笛、鉦、銅鑼、太鼓など。「なりもの(鳴り物)」の義。 ス⸢ク⸣マ シ⸢マ⸣ソールカー ⸢ナーリムノー ナーラシェー⸣ティ ⸢プール⸣ヌ ス⸢コール ソーッ⸣タ [su̥⸢ku⸣ma ʃi⸢ma⸣soːrukaː ⸢naːrimunoː naːraʃeː⸣ti ⸢puːru⸣nu su̥⸢koːru soːt⸣ta] (スクマ<稲の初穂祭>を済まされると鳴り物を鳴らして豊年祭の準備をされた) 11729 0 0 11361 htmvoc_11729.wav ナーリルン ⸢ナーリ⸣ルン [⸢naːri⸣ruŋ] 自動 流れる。「流れる<下一段活用>」の転訛したもの。 ⸢ウーカジヌ⸣ フクカー ⸣フネー ⸣シナー ⸣キシティ ⸢ナーリ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナーリラン⸣シェン [⸢ʔuːkaʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸣ɸuneː⸣ʃinaː ⸣ki̥ʃiti ⸢naːri⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢naːriraŋ⸣ʃeŋ] (台風が吹くと船は綱が切れて流れると思ったが流れなかった)。 ⸣クマー ⸢スー⸣ヌ ピ⸢クンダ⸣ フネー ⸢ナーリ ヤッ⸣サン [⸣kumaː ⸢suː⸣nu pi̥⸢kunda⸣ ɸuneː ⸢naːri jas⸣saŋ] (ここは潮の流れが速い<潮が流れる>から舟が流れやすい)。 ⸢ナーリ⸣ル ⸣フネー パ⸢ヤー⸣ケー ⸢ナーリ⸣レー ニサムヌ⸢ナー [⸢naːri⸣ru ⸣ɸuneː pa⸢jaː⸣keː ⸢naːri⸣reː misamunu⸢naː] (流れる舟は南の方向へ流れればいいのだがなあ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ナーリ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢naːri⸣ri] (早く流れろ)。 ク⸢ヌ⸣ アミシェー ムー⸢ル ナーリ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナン⸣ゾー ⸢ナーリラン⸣シェン [ku⸢nu⸣ ʔamiʃeː muː⸢ru naːri⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢nan⸣ʣoː ⸢naːriraŋ⸣ʃeŋ] (この雨では全部流れると思ったが、あまり流れなかった)。 ⸢ナーリヤッ⸣サンティ シ⸢タンティン⸣ シ⸢グ ナーリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸢naːrijas⸣santi ʃi̥⸢tantiŋ⸣ ʃi⸢gu naːri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (流れやすいといっても、すぐに流れることはないはずだ)。 ⸢タイ⸣フーナー ムー⸢ルバー⸣キ ⸢ナーリ⸣レー ⸣ミサタムヌ [⸢tai⸣ɸuːnaː muː⸢rubaː⸣ki ⸢naːri⸣reː ⸣misatamunu] (台風で全部流れればよかったのに)。 ⸢ナーリ⸣リ [⸢naːri⸣ri] (流れろ) 11731 0 0 11362 htmvoc_11731.wav ナール ⸢ナール [⸢naːru] 名 鳴り。鳴ること。音響。物音。 ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢ナーリ⸣ ブ⸢リン⸣ギサヌ ⸢ヌー⸣ヌ ⸢ナール⸣ カヤー [mu⸢nu⸣nu ⸢naːri⸣ bu⸢riŋ⸣gisanu ⸢nuː⸣nu ⸢naːru⸣kajaː] (物が鳴り響いているようだが、何の音<鳴り>だろうか) 11736 0 0 11363 htmvoc_11736.wav ナールミナ ⸣ナールミナ [⸣naːrumina] 名 (動)貝の名。ムカデガイ科、和名フタモチヘビガイ。⸣ナーラミナ[⸣naːramina]ともいう。殻は直径約1、5センチの丸いパイプ状で、長さ約5センチ。珊瑚礁の表面や岩礁の表面に蛇状に付着している。キチン質の蓋を有する。採取する時は平釘の先端を研いだ\ruby{釘箆}{クギ|ベラ}を管の入り口に差し込んで身を取り出す。身はカ⸢ラ⸣ス[ka⸢ra⸣su](塩漬け)にして酢で和えるとサクサクとした食感がある。甘味もあって美味であり、琉球料理店などで高値で売れた。鳩間島の珍味料理の一つである。鳩間島で2、3ヶ月の間イカ釣り漁をした糸満漁師は島人が製造したナールミナのカ⸢ラ⸣ス[ka⸢ra⸣su](塩辛)を買い付けて沖縄へ持参し、那覇市の料亭などに売りさばいたという。 ⸣ナールミナー ⸢コーシ⸣ キー カ⸢ラ⸣ス ⸣シキティ ⸢カーソーッ⸣タ [⸣naːruminaː ⸢koːʃi⸣ kiː ka⸢ra⸣su ⸣ʃi̥kiti ⸢kaːsoːt⸣ta] (ナールミナは釘箆で掘り起こして採取してきて塩漬けにして売られた) 11730 0 0 11364 htmvoc_11730.wav ナールン ⸢ナー⸣ルン [⸢naː⸣ruŋ] 自動 流れる。「流る<下二段>」の四段活用化したもの。「~たぎち流留<ナガルル>~。万、991」の転訛したもの。 ⸢カーラヌ⸣ ミ⸢ジェー ナー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナーラン⸣バン [⸢kaːranu⸣ mi⸢ʤeː naː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢naːram⸣baŋ] (川の水は流れると思ったが流れないよ)。 ⸣フネー ⸢ナー⸣リ ⸣パリ⸢ナー⸣ヌ [⸣ɸuneː ⸢naː⸣ri pari⸢naː⸣nu] (舟は流れていってしまった)。 ⸢アッ⸣タニ ⸢ナー⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [⸢ʔat⸣tani ⸢naː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (急に流れることはないはずだ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ナー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢naː⸣reː ⸣misamunu] (早く流れれば良いのに)。 ⸢ナー⸣リバ [⸢naː⸣riba] (流れろ)。 ミ⸢ジェー⸣ ク⸢マー⸣ニ ⸢ナー⸣ルンティ シ⸢タヌ ナーラン⸣バン [mi⸢ʤeː⸣ ku⸢maː⸣ni ⸢naː⸣runti ʃi̥⸢tanu naːram⸣baŋ] (水はここへ流れるといったが流れないよ)。 ⸢ナー⸣リ ⸣パレーン [⸢naː⸣ri ⸣pareːŋ] (流れていってしまった)。 ⸣クマーラ ⸢ナー⸣ル ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢パー⸣ク ⸢ナー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣kumaːra ⸢naː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢paː⸣ku ⸢naː⸣reː ⸣misamunu] (ここから流れることはないが、早く流れればいいのに)。 ⸢ナー⸣リ [⸢naː⸣ri] (流れろ) 11732 0 0 11365 htmvoc_11732.wav ナールン ⸢ナールン [⸢naːruŋ] 自動 鳴る。響く。「~そよと奈流麻埿<ナルマデ>~。万、4398」の転訛したもの。 ク⸢ヌ サンシンマー⸣ イッ⸢ケナ ナールンティ スンドゥ⸣ バー ⸢サンシンヌ⸣ スコー ⸢ナーラヌ [ku⸢nu saŋʃimmaː⸣ ʔik⸢kena naːrunti sundu⸣ baː ⸢saŋʃinnu⸣ su̥koː ⸢naːranu] (この三線は非常に鳴るというが、私の三線ほどは鳴らない)。 ⸢ナーリ ベー [⸢naːri beː] (鳴っている)。 ク⸢リヌ⸣ スコー ⸢ナール サンシンマー ナー⸣ヌ [ku⸢rinu⸣ su̥koː ⸢naːru saŋʃimmaː naː⸣nu] (これぐらい鳴る三線はない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ナーレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢naːreː⸣ misamunu] (もっと鳴ればいいのに)。 ⸢ナーリ [⸢naːri] (鳴れ) 11733 0 0 11366 htmvoc_11733.wav ナールン ⸢ナールン [⸢naːruŋ] 他動 手を長く突き出す。長く差し延べる。手を出す。 ⸢マー⸣ビン ⸣ティー ⸢ナールンティ スンドゥ ナーララヌ [⸢maː⸣bin ⸣tiː ⸢naːrunti sundu naːraranu] (もっと手を差し出そうとするが、差し出されない)。 ⸢ティー⸣バ ⸢ナーリ⸣ ミサカー カ⸢サマリンドゥ ナール⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢tiː⸣ba ⸢naːri⸣ misakaː ka⸢samarindu naːru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (手を差し出してよければ\ruby{掴}{ツカ}まれるが、手を出す人がいない)。 ナー⸢ナー⸣シ ⸣ティー ⸢ナーレー⸣ ミサムヌ [naː⸢naː⸣ʃi ⸣tiː ⸢naːreː⸣ misamunu] (長く<長々と>手を差し出せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ティー ⸢ナーリ [⸢paː⸣ku ⸣tiː ⸢naːri] (早く手を差し出せ) 11635 0 1 11367 htmvoc_11635.wav ナーレー ⸢ナーレ⸣ー [⸢naːre⸣ː] 助 助詞連語。~だろうねえ。⸢ナー[naː](~ね)・ウ⸢レー[ʔu⸢reː](それは)の融合同化した形。{Mn_1}動詞の終止形について動作作用の確認を表す。 ⸢キュー⸣ヤ パルン⸢ナーレ⸣ー [⸢kjuː⸣ja ⸣parun⸢naːre⸣ː] (今日はきっと行くだろうね)。 11635 0 2 11368 htmvoc_11635.wav ナーレー ⸢ナーレ⸣ー [⸢naːre⸣ː] 助 {Mn_2}疑問の終助詞に付いて、事柄に対する疑問、不確かであやふやな気持ちを表す。 ⸢キュー⸣ヤ イ⸢サナケー⸣ パルンカヤー⸢ナーレ⸣ー [⸢kjuː⸣ja ʔi⸢sanakeː⸣ paruŋkajaː⸢naːre⸣ː] (今日は石垣島へ行くだろうかねえ<どうも怪しい>)。 ウ⸢レー⸣ ヌーカヤー⸢ナーレ⸣ー [ʔu⸢reː⸣ nuːkajaː⸢naːreː] (それは何だろうかねえ<不確か>) 11734 0 0 11369 htmvoc_11734.wav ナーン ⸢ナー⸣ン [⸢naː⸣ŋ] 形 長い。八十歳以上の古老が使用する。ナ⸢ガー⸣ン[na⸢gaː⸣ŋ](長い)<七十歳台以下の使用語>ともいう。 パ⸢ナシ⸣ヌ ⸢ナー⸣ティ ア⸢キリ ナー⸣ヌ [pa⸢naʃi⸣nu ⸢naː⸣ti ʔa⸢kiri naː⸣nu] (話が長いので飽きてしまった)。 ⸣アイヤー ⸢ナーナーン⸣シェンドゥ イッ⸢ケナ ナーン⸣ティ ⸣ウムイ ブ⸢レー⸣ナー [⸣ʔaijaː ⸢naː naːŋ⸣ʃendu ʔik⸢kena naːn⸣ti ⸣ʔumui bu⸢reː⸣naː] (そんなに長くはなかったが、非常に長いと思っていたのであろうなあ)。 ウ⸢レー ナー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː naː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (それは長いから使えない)。 ⸢ナー⸣ ムノー シゥ⸢カーリン [⸢naː⸣ munoː sï̥⸢kaːriŋ] (長いものは使える)。 ⸣マー ン⸢ベーマ ナー⸣カー ⸣ミサンドゥ [⸣maː ʔm⸢beːma naː⸣kaː ⸣misandu] (もう少し長ければいいのだが)。 ナー⸢ナーヌ⸣ ムヌ [naː⸢naːnu⸣ munu] (長い物) 11737 0 0 11370 htmvoc_11737.wav ナーン ⸣ナーン [⸣naːŋ] 助 助詞連語。~にも。格助詞⸣ナー[naː](~に{EOS}場所)に係助詞⸣ン[ŋ](も)の付いた形。 サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸣ウナーン ⸣カナーン マー⸢ン⸣ナーン ニ⸢ビス [sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸣ʔunaːŋ ⸣kanaːm maː⸢n⸣naːn ni⸢bisu] (酒を飲んだらここにも、あそこにも何処にも寝る<寝てしまう>よ) 11738 0 0 11371 htmvoc_11738.wav ナーンカーナーンクラシ ⸢ナーン⸣カー ⸢ナーン⸣ ク⸢ラシ [⸢naːŋ⸣kaː ⸢naːŋ⸣ ku⸢raʃi] 連 無ければ無いなりの暮らし。⸢金が無ければ無いなりに慎ましやかに暮らせる」の意。<諺> 11739 0 0 11372 htmvoc_11739.wav ナーンクトゥ ⸢ナーン⸣クトゥ [⸢naːŋ⸣ku̥tu] 連 無いこと。嘘。実在しないこと。 ⸢ナーン⸣ クトゥバ アルン⸢コーラ⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [⸢naːŋ⸣ ku̥tuba ʔaruŋ⸢koːra⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (無いこと<嘘>をあるかのごとく<実在するふりして>話す) 11740 0 0 11373 htmvoc_11740.wav ナーンナスン ⸢ナーン⸣ナスン [⸢naːn⸣nasuŋ] 他動 無くなす。なくす。なくならせる。失う。 ⸣アイニ ⸣ムティ ⸢アー⸣クカー ⸢ナーン⸣ナスンダー ⸢ナーンナサン⸣ヨーニ カ⸢ザ⸣ミシキ [⸣ʔaini ⸣muti ⸢ʔaː⸣kukaː ⸢naːn⸣nasundaː ⸢naːnnasaɲ⸣joːni ka⸢ʣa⸣mi ⸣ʃi̥ki] (あんなに持ち歩くと無くなすので、無くなさないように隠しておけ)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティー⸣カター ⸢ナーン⸣ナシ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiː⸣kataː ⸢naːn⸣naʃi ⸢naː⸣nu] (親の形見を無くしてしまった)。 ⸢ナーン⸣ ナス プ⸢スンヌドゥ ワッ⸣サル [⸢naːn⸣nasu pu̥⸢sundu was⸣saru] (無くする人が悪いのだ)。 ⸢ナーン⸣ナシェー ⸣ミサムヌ [⸢naːn⸣naʃeː ⸣misamunu] (無くせばいいのに)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢ナーン⸣ナシ<シ⸢ティリ> [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢naːn⸣naʃi<ʃi⸢tiri>] (あんなものは無くせ<捨てろ>) 11741 0 0 11374 htmvoc_11741.wav ナーンナルン ⸢ナーン⸣ナルン [⸢naːn⸣naruŋ] 自動 無くなる。無いようになる。消失する。紛失する。 ⸣アイニ シゥ⸢カウ⸣カー タ⸢デー⸣マンチン ⸢ジン⸣マー ⸢ナーン⸣ナルンダ ⸢ナーンナラン⸣ヨーニ ク⸢バ⸣メーティ シゥ⸢カイ⸣バ [⸣ʔaini sï̥⸢kau⸣kaː ta⸢deː⸣manʧin ⸢ʤim⸣maː ⸢naːn⸣narunda ⸢naːnnaraɲ⸣joːni ku⸢ba⸣meːti sï̥⸢kai⸣ba] (あのように使うと、今すぐに<唯今のうちに>お金は無くなるから、無くならないように節約して<小出しにして>使いなさい)。 ⸢ジン⸣マー ⸢ナーン⸣ナリ ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢ヌー⸣スワメー [⸢ʤim⸣maː ⸢naːn⸣nari ⸢naːnu⸣nu ⸢nuː⸣suwa ⸣meː] (お金は無くなってしまったが、如何しようか、もう)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢ナーン⸣ナル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢naːn⸣naru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く無くなることはない)。 ⸢ナーン⸣ナレー ⸣ミサムヌ [⸢naːn⸣nareː ⸣misamunu] (無くなればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ナーン⸣ナリ [⸢paː⸣ku ⸢naːn⸣nari] (早く無くなれ) 11742 0 0 11375 htmvoc_11742.wav ナーンパー ⸢ナーン⸣パー [⸢naːm⸣paː] 名 (植)菜っ葉。 ⸢ナーン⸣パー カ⸢カイ⸣キー ⸢スー バカ⸣シ [⸢naːm⸣paː kḁ⸢kai⸣kiː ⸢suː baka⸣ʃi] (菜っ葉をもいできてお汁に炊きなさい) 11743 0 0 11376 htmvoc_11743.wav ナーンリーヤタティルナ ⸢ナー⸣ン ⸢リー⸣ヤ タ⸢ティル⸣ナ [⸢naː⸣n ⸢riː⸣ja tḁ⸢tiru⸣na] 連 無い例<前例の無いこと>は立てる<新設する>な。<諺> 11744 0 0 11377 htmvoc_11744.wav ナイ ⸣ナイ [⸣nai] 名 苗。「~佐野田の奈倍能<ナヘノ>~。万、3418」の転訛したもの。 ⸢ナイ⸣ヤー ⸣トゥリティ ⸢アウ⸣ダナ イ⸢リティ⸣ カ⸢タ⸣ミ カ⸢ヨーシェー⸣ティ イ⸢ビシミタ [⸢nai⸣jaː ⸣turiti ⸢ʔau⸣dana ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢ta⸣mi ka⸢joːʃeː⸣ti ʔi⸢biʃimita] (稲の苗は苗代から取って\ruby{畚}{モッコ}に入れて、担いで通わせながら田植えをさせた)。 カ⸢ブッチヌ⸣ ナイ [ka⸢butʧinu⸣ nai] (南瓜の苗)。 ⸢ウール⸣ヌ ⸣ナイ [⸢ʔuːru⸣nu ⸣nai] (瓜の苗)。 ⸢マイヌ⸣ ナイ ウ⸢ラ⸣スン [⸢mainu⸣ nai ʔu⸢ra⸣suŋ] (稲の苗を下ろす<苗を作るために播種する>) 11745 0 1 11378 htmvoc_11745.wav ナイ ⸣ナイ [⸣nai] 名 {Mn_1}長さ。空間的、時間的な長さ。→ [naga] → [nagi] → [nai] のように音韻変化したもの。対語は シ⸢マー[ʃi⸢maː](横)。 パ⸢ラー⸣ヌ ⸣ナイ パ⸢カ⸣ルン [pa⸢raː⸣nu ⸣nai pḁ⸢ka⸣ruŋ] (柱の長さを測る)。 ⸢ウンヌ⸣ ナイ ナー⸢イ⸣ マティ ⸢ベー⸣タ [⸢ʔunnu⸣ nai naː⸢i⸣ mati ⸢beː⸣ta] (その間、ずっと待っていた)。 11745 0 2 11379 htmvoc_11745.wav ナイ ⸣ナイ [⸣nai] 名 {Mn_2}縦。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ナイ ⸣シマー パ⸢カ⸣リティ ⸢マー⸣ル ⸢マイ⸣ヤユー ア⸢ティ⸣ミリバ [pḁ⸢taki⸣nu ⸣nai ⸣ʃimaː pḁ⸢ka⸣riti ⸢maː⸣ru ⸢mai⸣jajuː ʔa⸢ti⸣ miriba] (畑の縦横を測って、何処が大きいか比べて<当てて>みなさい)。 ⸢ナイ⸣ヌ ナ⸢ガー⸣モーラ(⸢ナー⸣モーラ) イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリバ [⸢nai⸣nu na⸢gaː⸣moːra(⸢naː⸣moːra)ʔi⸢ra⸣bi ⸣turiba] (長さの長いものから選んで取りなさいよ)。 ⸢ナイ⸣ヤー ⸢ヌー⸣ル ナ⸢ガー⸣ワ(⸢ナー⸣ワ) [⸢nai⸣jaː ⸢nuː⸣ru na⸢gaː⸣wa(⸢naː⸣wa)] (長さは何が長いか)。⸢ナー⸣ワ[⸢naː⸣wa](長いか)老年層の使用語彙 11746 0 0 11380 htmvoc_11746.wav ナイ ⸣ナイ [⸣nai] 名 地震。「地震、ナヰ」『類聚名義抄』の転訛。 ⸢ナイ⸣ヌ ⸣クーカー ム⸢カ⸣シプソー ⸢クヮー⸣ヌ ⸣シチャ ⸢クヮー⸣ヌ ⸣シチャティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸢nai⸣nu ⸣kuːkaː mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢kwaː⸣nu ⸣ʃi̥ʧa ⸢kwaː⸣nu ⸣ʃi̥ʧati ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (地震がおこると昔の人は、桑の下桑の下と唱えられ<言われ>たよ) 11747 0 0 11381 htmvoc_11747.wav ナイウラスン ⸣ナイ ウ⸢ラ⸣スン [⸣nai ʔu⸢ra⸣suŋ] 連 苗を下ろす<種蒔きをする>。 タ⸢ナ⸣ドゥルナーヤ ム⸢ラズー⸣ ムー⸢ル⸣ ナイ ウ⸢ラ⸣スン [ta⸢na⸣durunaːja mu⸢raʣuː⸣ muː⸢ru⸣ nai ʔu⸢ra⸣suŋ] (種取り祭には村中の皆が稲の苗を下ろす<種蒔きをする>) 8368 0 0 11382 htmvoc_8368.wav ナイシマー ⸣ナイシマー [⸣naiʃimaː] 名 めちゃくちゃになるさま。「縦が横になる」の義。 ⸣ナイシマー ⸣ナリ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [⸣naiʃima ⸣nari ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (めちゃくちゃになって手が付けられない<施す手だてがない{EOS}⸢養生できない」の義>)。 ⸢ナイ⸣ヤー シ⸢マー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢nai⸣jaː ʃi⸢maː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (あべこべになってしまった{EOS}<縦は横になってしまった{EOS}黒が白になった>) 11748 0 0 11383 htmvoc_11748.wav ナイシマー ⸣ナイシマー [⸣naiʃimaː] 名 縦横。 ⸣ナイシマー ッ⸢サン⸣ スコー ⸢パン⸣タリティ ア⸢ラキマー⸣キ ⸢アー⸣クンティ [⸣naiʃimaː s⸢saŋ⸣ su̥koː ⸢pan⸣tariti ʔa⸢rakimaː⸣ki ⸢ʔaː⸣kunti] (縦横が分からない<知らない>ほど太って、歩きかねているさ) 11749 0 0 11384 htmvoc_11749.wav ナイシマーナリ ⸣ナイシマー ⸣ナリ [⸣naiʃimaː ⸣nari] 連 縦は横になり。正常でなくなる様。ごちゃごちゃになる様。混雑するさま。 ⸣ナイシマー ⸣ナリ ⸢ヌー⸣ル ⸣ヌーティ ッ⸢サヌ [⸣naiʃimaː ⸣nari ⸢nuː⸣ru ⸣nuːti s⸢sanu] (縦が横になって<ごちゃごちゃになって>何が何だか分らない) 11756 0 0 11385 htmvoc_11756.wav ナイダーチ ⸣ナイダーチ [⸣naidaːʧi] 副 長さに沿って。道の長さが続いて。長さのかぎりずっと。道沿いに。 ミ⸢チ⸣ヌ ⸣ナイダーチ ウ⸢ヤー⸣レーティ ア⸢ラ⸣キ ⸢アー⸣ク [mi⸢ʧi⸣nu ⸣naidaːʧi ʔu⸢jaː⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (道の長さに続いて<道沿いに>大声で叫んで歩いている) 11750 0 0 11386 htmvoc_11750.wav ナイチ ⸢ナイ⸣チ [⸢nai⸣ʧi] 名 内地。日本本土のこと。「外地」の対義語。新しく標準語から借用された語。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸢ナイチユミ⸣バ ⸢サーリ⸣ ケータツォー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸢naiʧijumi⸣ba ⸢saːri⸣ keːtaʦoː] (戦後に本土出身の嫁<内地嫁>を連れてきたそうだ) 11751 0 0 11387 htmvoc_11751.wav ナイチプス ⸢ナイチ⸣プス [⸢naiʧi⸣pu̥su] 名 内地人。本土の人。 ⸢タイ⸣パンナーテー ⸢ナイチプス⸣ン ⸣ヤーナール ジョ⸢チュー⸣バ ⸢シール⸣ パ⸢タラキ⸣ ブ⸢タ⸣ツォー [⸢tai⸣pannaːteː ⸢naiʧipu̥su⸣ŋ ⸣jaːnaːru ʤo⸢ʧuː⸣ba ⸢ʃiːru⸣ pḁ⸢taraki⸣ bu⸢ta⸣ʦoː] (台湾では内地人の家で女中をして働いていたそうだ) 11752 0 0 11388 htmvoc_11752.wav ナイチャー ⸢ナイ⸣チャー [⸢nai⸣ʧaː] 名 内知人に対する卑称。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ナイ⸣チャー ヤ⸢ルンドゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢キナー⸣ヌ ⸣クトゥ ⸣ウムイ ッ⸢ふォーッ⸣タン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː nai⸣ʧaː ja⸢rundu⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢kinaː⸣nu ⸣ku̥tu ⸣ʔumui f⸢foːt⸣taŋ] (その人は内地人だが非常に沖縄のことを思ってくださった) 11754 0 0 11389 htmvoc_11754.wav ナイトースン ⸢ナイトー⸣スン [⸢naitoː⸣suŋ] 他動 薙ぎ倒す。雑草を横ざまに刈り払う。 ⸢ユシ⸣キムトゥ ⸢ナイトー⸣スンティ ⸢スンドゥ ナイトーサラ⸣ヌ [⸢juʃi̥⸣kimutu ⸢naitoː⸣sunti ⸢sundu naitoːsara⸣nu] (ススキの株を刈り払おうとするが刈り払われない)。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣フキティ ⸢シン⸣ザー ⸢ナイトー⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢taiɸuː⸣nu ⸣ɸu̥kiti ⸢ʃin⸣ʣaː ⸢naitoː⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (台風が吹いて砂糖黍を薙ぎ倒してしまった)。 ⸢キーム⸣トゥーン ⸢ナイトー⸣ス ⸢ウーカジ [⸢kiːmu⸣tuːn ⸢naitoː⸣su ⸢ʔuːkaʤi] (木々をも薙ぎ倒す台風)。 ⸢ナイトー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢naitoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (薙ぎ倒せばいいのに)。 ⸢ナイトー⸣シ [⸢naitoː⸣ʃi] (薙ぎ倒せ)。 ッ⸢サ⸣バー ⸢ナイトー⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢タンガ⸣シェー ⸢ナイトーサラ⸣ヌ [s⸢sa⸣baː ⸢naitoː⸣sunti ⸢beːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢naitoːsara⸣nu] (草を薙ぎ倒すように刈り取ろうとするが、一人では刈り取られない)。 ⸢ナイトー⸣シ ⸣ミサカー ⸢ナイトー⸣ス ⸣クトー ナルン⸢ダー [⸢naitoː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢naitoː⸣su ⸣kutoː narun⸢daː] (薙ぎ倒してよければ、薙ぎ倒すことはできるよ)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ムー⸢ル ナイトー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː muː⸢ru naitoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (あんなものは全部薙ぎ倒せばいいのに)。 ムー⸢ル ナイトー⸣シ [muː⸢ru naitoː⸣ʃi] (全部薙ぎ倒せ) 11753 0 0 11390 htmvoc_11753.wav ナイトゥリ ⸣ナイトゥリ [⸣naituri] 名 苗取り。苗代から苗を取ること。 ⸢ナーッ⸣ソーラ ⸣ナイトゥリ ⸢シェー⸣ティル ⸢マイヤー⸣ イ⸢ブタ⸣ダー [⸢naːs⸣soːra ⸣naituri ⸢ʃeː⸣tiru ⸢maijaː⸣ ʔi⸢buta⸣daː] (苗代から苗取りしながら稲は植えた<田植えした>のだよ) 11755 0 0 11391 htmvoc_11755.wav ナイナガー ⸣ナイナガー [⸣nainagaː] 名 縦長。長さの長いもの。縦の長いもの。長方形。⸣ナギナガー[⸣naginagaː](長さの長いもの)ともいう。 ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸣ナイナガー ⸣ナリティ ⸣ター ⸢カイシ グリ⸣サン [ku⸢nu taː⸣ja ⸣nainagaː ⸣nariti ⸣taː ⸢kaiʃi guri⸣saŋ] (この田圃は縦長になっていて、田は耕し辛い) 11757 0 0 11392 htmvoc_11757.wav ナイラスン ⸢ナイラ⸣スン [⸢naira⸣suŋ] 他動 萎えさせる。しおれさせる。{⸢ナイ⸣ルン[⸢nai⸣ruŋ](萎える)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が下接して形成された使役動詞(派生動詞)}。 ⸢ナーンパー⸣ヤ ミ⸢ジ⸣ カ⸢カン⸣カー ⸢ナイラ⸣スン⸢ダー [⸢naːmpaː⸣ja mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢kaŋ⸣kaː ⸢naira⸣sun⸢daː] (菜っ葉は水をやらないと<掛けないと>しおれさせるよ) 11758 0 0 11393 htmvoc_11758.wav ナイルン ⸢ナイ⸣ルン [⸢nai⸣ruŋ] 自動 萎える。しおれる。しぼむ。野菜などの鮮度が失われてしなびる。気力、体力が抜けてぐったりする。 ⸢ナーンパー⸣ヤ ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キラン⸣カー ⸢ナイ⸣ルン⸢ダー [⸢naːmpaː⸣ja mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ⸢nai⸣run⸢daː] (菜っ葉は水につけておかないと萎えるよ)。 ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キル⸣カー ⸢ナイラ⸣ヌ [mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiru⸣kaː ⸢naira⸣nu] (水に浸けると萎えない)。 ⸣ナイ ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣nai ⸣pari ⸢naː⸣nu] (萎えてしまった)。 ⸢ナイ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nai⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (萎えることはない)。 ン⸢メーマ ナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː nai⸣jaː ⸣misamunu] (少しは萎えれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ナイ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢nai⸣ri] (早く萎えろ) 11759 0 1 11394 htmvoc_11759.wav ナウスン ⸢ナウ⸣スン [⸢nau⸣suŋ] 他動 {Mn_1}治す。治療する。若年層は⸢ノー⸣スン[⸢noː⸣suŋ](治す{EOS}直す{EOS}元通りにする)ともいう。 ⸢ヤン⸣マイ ⸢ナウ⸣スンティ ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッタン⸣ドゥ ⸢ナウサラン⸣シェンツォー [⸢jam⸣mai ⸢nau⸣sunti ʔu⸢ki⸣naː ⸢pattan⸣du ⸢nausaraŋ⸣ʃenʦoː] (病気を治しに沖縄へ行ったが治されなかったそうだ)。 ク⸢レー ナウシヤッ⸣サン [ku⸢reː nauʃijas⸣saŋ] (これは治しやすい)。 マ⸢ナ⸣マン⸢デー⸣カー ⸢ナウ⸣ス ⸣クトー ナ⸢リ⸣シバ ⸢ナウ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ma⸢na⸣man⸢deː⸣kaː ⸢nau⸣su ⸣ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ⸢nau⸣ʃeː ⸣misamunu] (今なら治すことはできるから、治せばいいのに)。 ク⸢レー⸣ ヤー⸢ディン ナウ⸣シ [ku⸢reː⸣ jaː⸢din nau⸣ʃi] (これは必ず治せ)。 11759 0 2 11395 htmvoc_11759.wav ナウスン ⸢ナウ⸣スン [⸢nau⸣suŋ] 他動 {Mn_2}直す。元通りにする。 ⸢ドング⸣ヌ ヤ⸢ブ⸣リ ⸢ベーン⸣ トンマー ⸢ナウ⸣シ シ⸢キ⸣リ [⸢doŋgu⸣nu ja⸢bu⸣ri ⸢beːn⸣ tommaː ⸢nau⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (道具の壊れたところは直しておきなさい) 11760 0 0 11396 htmvoc_11760.wav ナウリユー ⸢ナウリ⸣ユー [⸢nauri⸣juː] 名 豊年。稔りの年。 ⸢ナウリ⸣ユー ユ⸢ガフユー⸣ ニガイ ⸢オー⸣ラ [⸢nauri⸣juː ju⸢gaɸujuː⸣ nigai ⸢ʔoː⸣ra] (実りの年を、豊年を祈願致しましょう) 11761 0 1 11397 htmvoc_11761.wav ナウルン ⸢ナウルン [⸢nau⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}治る。治癒する。元通りになる。老年層のことば。若年層は、⸢ノー⸣ルン[⸢noː⸣ruŋ](治る{EOS}治癒する)ともいう。 ⸢ヤン⸣マー ⸢ナウ⸣ルンティ ⸣ウムイ ⸢ヨー⸣ゾー ⸢サン⸣カー ⸢ナウラ⸣ヌ [⸢jam⸣maː ⸢nau⸣runti ⸣ʔumui ⸢joː⸣ʣoː ⸢saŋ⸣kaː ⸢naura⸣nu] (病気は治ると思って養生しないと治らない)。 ク⸢リ⸣ ヌムカー ⸢ナウリ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [ku⸢ri⸣ numukaː ⸢nauri⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (これを飲むと治りやすい)。 ⸢ヤン⸣ヌ<⸢ヤンマイ⸣ヌ> ⸢ナウ⸣ル ク⸢トゥバ⸣ル ニ⸢ガイシキ⸣ル [⸢jan⸣nu<⸢jammai⸣nu> ⸢nau⸣ru ku̥⸢tuba⸣ru ni⸢gaiʃi̥ki⸣ru] (病気が治ることを祈願する)。 ⸢パー⸣ク ⸢ナウ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢nau⸣reː ⸣misamunu] (早く治ればいいのに)。 ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイティ パー⸣ク ⸢ナウ⸣リバ [ʔm⸢maː⸣munu f⸢faiti paː⸣ku ⸢nau⸣riba] (美味しいものを食べて早く治りなさいよ)。 11761 0 2 11398 htmvoc_11761.wav ナウルン ⸢ナウルン [⸢nau⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}作物が実る。豊作になる。 カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カン⸣カー ス⸢クリ⸣ムノー ⸢ナウ⸣ルン [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢kaŋ⸣kaː su̥⸢kuri⸣munoː ⸢nau⸣ruŋ] (台風が吹かなければ作物は実る<豊作になる>) 11763 0 0 11399 htmvoc_11763.wav ナウレ ⸢ナウ⸣レ [⸢nau⸣re] 自動 ⸢ナウ⸣ル(稔る)(古謡語)の命令形、稔れ。⸢ナウ⸣レ[⸢nau⸣re]、⸢ナウ⸣リ[⸢nau⸣ri]。日常の方言では⸢ナウ⸣ルン[⸢nau⸣ruŋ](稔る)と言い、その命令形は⸢ナウ⸣リ[⸢nau⸣ri](稔れ<老年層>)、若年層は⸢ノー⸣リ[⸢noː⸣ri](稔れ)という。古謡「カムラーマ歌」では/パトゥマユーヌ ナウラバ トゥムルユーヌミギラバ~/(鳩間村<世>が稔ったら、友利御嶽の守護する村<世>が豊作になったら~)のように対句仕立てで歌われている。古謡「ユークイジラマ」では、/パトゥマユーヌ <囃子>ヨーホ トゥムリユーヌ ナウラバ<囃子>ヨーホ スイ ナウレ~/(鳩間村<世>が<囃子>ヨーホ 友利御嶽の守護する村が稔ったならば<囃子>すい稔れ)と歌われている 11762 0 0 11400 htmvoc_11762.wav ナウン ⸣ナウン [⸣nauŋ] 他動 なう(綯う)。「搓・索、ナフ」『類聚名義抄』の転訛。縄を綯う。若年層は⸣ヌーン[⸣nuːŋ](綯う)ともいう。 バ⸢ラフ⸣タジナ ⸣ナウンティ ⸢ベーン⸣ドゥ バ⸢ラフタ⸣ヌ タ⸢ラーンダ⸣ シナー ⸢ナーラ⸣ヌ(⸢ノーラ⸣ヌ老年層) [ba⸢raɸu̥⸣taʤina ⸣naunti ⸢beːn⸣du ba⸢raɸu̥ta⸣nu ta⸢raːnda⸣ ʃinaː ⸢naːra⸣nu(⸢noːra⸣nu)老年層] (藁縄を綯おうとしているが、藁が足らないので綱は綯え<綯われ>ない)。 ⸣シナ ⸢ナイ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ ⸣ナイバ [⸣ʃina ⸢nai⸣pu̥sakaː ⸣duːʃi ⸣naiba] (綱を綯いたければ自分で綯え)。 ⸣シナ ⸣ナウ プ⸢ソー マー⸣ビン ⸢ナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣ʃina ⸣nau pu̥⸢soː maː⸣bin ⸢nai⸣jaː ⸣misamunu] (綱を綯う人はもっと綯えば良いのに) 11764 0 0 11401 htmvoc_11764.wav ナカ ⸣ナカ [⸣naka] 名 仲。人間関係。間柄。 トゥ⸢ジブトゥヌ⸣ ナカー イッ⸢ケン カイ⸣ヤン [tu⸢ʤibutunu⸣ nakaː ʔik⸢keŋ kai⸣jaŋ] (夫婦の仲は睦まじい<仲は美しい{EOS}綺麗である>)。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ナカー ヤ⸢ニ⸣ヤン [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ naka ja⸢ni⸣jaŋ] (彼ら二人の仲は悪い<汚い>)。 ウ⸢ヤッふァ⸣ヌ ⸣ナカー キ⸢サラ⸣ヌ [ʔu⸢jaffa⸣nu ⸣nakaː ki̥⸢sara⸣nu] (親子の仲は切れない) 11765 0 0 11402 htmvoc_11765.wav ナカ ナ⸢カ [na⸢ka] 名 中。内。心の中。胸中。 ⸢ヤーン⸣ ナカー ⸢ペー⸣リバ [⸢jaːn⸣ nakaː ⸢peː⸣riba] (家の中へ入りなさいよ)。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢ワー タンガ⸣ヌ バ⸢タ⸣ヌ ナ⸢カ⸣ナー ウ⸢サ⸣ミ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢waː taŋga⸣nu ba⸢ta⸣nu ⸣na⸢ka⸣naː ʔu⸢sa⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri] (そのことは君一人の胸中<腹の中>に納めておきなさい)。 ウ⸢リヌ⸣ ン⸢ニヌ<⸢ンーニヌ⸣> ナカヌ⸣ ウ⸢ムイ⸣ヤー ター⸢ン サッシユーサヌ [ʔu⸢rinu⸣ n⸢ninu<⸢nːninu⸣> nakanu⸣ ʔu⸢mui⸣jaː taː⸢n saʃʃijuːsanu] (彼の胸中の思いは誰も察知することが出来ない<察し得ない>) 11766 0 0 11403 htmvoc_11766.wav ナガ ナ⸢ガ [na⸢ga] 接頭 長い。⸢ナー[⸢naː](長い)ともいう。 ナ⸢ガヌチ [na⸢ganuʧi] (長い命、長命)。 ナ⸢ガナキ [na⸢ganaki] (長泣き)。 ナ⸢ガヤン [na⸢gajaŋ] (長患い{EOS}⸢長病み」の義)。 ナ⸢ガワチライ [na⸢gawaʧirai] (長患い)。 ナ⸢ガニンヌ⸣ フ⸢シェー ノーサラ⸣ヌ [na⸢ganinnu⸣ ɸu̥⸢ʃeː noːsara⸣nu] (長年の癖は直されない) 11767 0 0 11404 htmvoc_11767.wav ナガー ⸣ナガー [⸣nagaː] 名 長いもの。 ナ⸢ガー⸣ヤ ⸣バン ッ⸢ふィーリ [na⸢gaː⸣ja ⸣baŋ f⸢fiːri] (長いものは私に呉れ) 11769 0 0 11405 htmvoc_11769.wav ナカーッパ ⸣ナカーッパ [⸣nakaːppa] 名 祖父母の二番目の姉。「中祖母。中お祖母さん」の義。名称、呼称にいう。単に⸣アッパ[⸣ʔappa](お祖母さん)ともいう。 ⸣ナカーッパー ⸢ギューチ⸣ ナ⸢ロール⸣ワ [⸣nakaːppaː ⸢gjuːʧi⸣ na⸢roːru⸣wa] (中お祖母さんは何歳になられますか) 11771 0 0 11406 htmvoc_11771.wav ナガーナガーシ ナガー⸢ナガー⸣シ [nagaː⸢nagaː⸣ʃi] 副 長く。長々と(強調表現)。ニュートラルな表現では、ナ⸢ガーナガー⸣シ[na⸢gaːnagaː⸣ʃi](長々と{EOS}長く)のアクセント型を示す。 ⸢ティー⸣ヤ ナガー⸢ナガー⸣シ ヌ⸢バ⸣シティ ⸣トゥリバ [⸢tiː⸣ja nagaː⸢nagaː⸣ʃi nu⸢ba⸣ʃi̥ti ⸣turiba] (手は長々と延ばして取りなさいよ) 11772 0 0 11407 htmvoc_11772.wav ナガーン ナ⸢ガー⸣ン [na⸢gaː⸣ŋ] 形 長い。老年層は⸢ナー⸣ン[⸢naː⸣ŋ](長い)ともいう。「~今は長跡<ナガシト>たけといへど~。万、124」の転訛したもの。 パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ガーン⸣ティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー ナ⸢ガー ナーン⸣シェン [pa⸢na⸣ʃeː na⸢gaːn⸣ti su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː na⸢gaː naː⸣nu] (話は長いと聞いていたが、あまり長くはなかった)。 ⸣ドゥク ナ⸢ガー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [⸣duku na⸢gaː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (あまりにも長くて使えない)。 ナ⸢ガー⸣ ムノー ⸣ヌーヤ [na⸢gaː⸣ munoː ⸣nuːja] (長いものは何か)。 ナ⸢ガー⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [na⸢gaː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (長くなってしまった)。 マーン⸢ベーマ⸣ ナ⸢ガー⸣レー ⸣ミサムヌ [maːʔm⸢beːma⸣ na⸢gaː⸣reː ⸣misamunu] (もう少し長ければ良いのに)。 ナ⸢ガタビ [na⸢gatabi] (長旅) 11768 0 0 11408 htmvoc_11768.wav ナガアサビ ナ⸢ガアサビ [na⸢gaʔasabi] 名 長遊び。長時間遊びふけること。⸢ナーアサビ[⸢naːʔasabi](長遊び{EOS}遊びふけること)ともいう。 ナ⸢ガアサビバ シーベー⸣ティ シ⸢グトゥ バシキティ⸣ ウヤン イ⸢ザリ ベー [na⸢gaʔasabiba ʃiːbeː⸣ti ʃi⸢gutu baʃi̥kiti⸣ ʔujaŋ ʔi⸢ʣari beː] (長遊びをして<遊びふけって>いて、仕事を忘れて親に叱られている) 11770 0 1 11409 htmvoc_11770.wav ナガアミ ナ⸢ガアミ [na⸢gaʔami] 名 {Mn_1}長雨。 ナ⸢ガアミヌ⸣ フイ パ⸢タ⸣ケーン パ⸢ララ⸣ヌ ⸢ヌー⸣ スワ⸣メー [na⸢gaʔaminu⸣ ɸui pḁ⸢ta⸣keːm pa⸢rara⸣nu ⸢nuː⸣ suwa⸣meː] (長雨が降って畑にも出かけられない<行かれない>{EOS}どうしようか、もう)。 11770 0 2 11410 htmvoc_11770.wav ナガアミ ナ⸢ガアミ [na⸢gaʔami] 名 {Mn_2}梅雨の季節。 ナ⸢ガアミヌ⸣ シチェー ⸢ペー⸣リ ブ⸢リン⸣ギサバン⸢ナー [na⸢gaʔaminu⸣ ʃi̥ʧeː ⸢peː⸣ri bu⸢riŋ⸣gisaban⸢naː] (梅雨の季節に入っているようだなあ) 11773 0 0 11411 htmvoc_11773.wav ナガイキ ナ⸢ガイキ [na⸢gaʔiki] 名 長生き。長命。 ⸢ウン⸣ネーヤ ナ⸢ガイキヌ タックイ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ムー⸢ル⸣ ナ⸢ガイキ シー オー⸣ルンティ ⸢ナー [⸢ʔun⸣neːja na⸢gaʔikinu takkui⸣ ja⸢runda⸣ muː⸢ru⸣ na⸢gaʔiki ʃiː ʔoː⸣runti ⸢naː] (あの家は長命の血統だから、みんな長生きしておられるさ、ほらねえ) 11775 0 0 11412 htmvoc_11775.wav ナガイズ ナ⸢ガ⸣イズ [na⸢ga⸣ʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、クサヤムロ(体長約25センチ)。糸満方言で、オオシマナガイユ、という 11776 0 0 11413 htmvoc_11776.wav ナカイリ ナ⸢カ⸣イリ [na⸢ka⸣jiri] 名 おくみ(衽)。 ⸢キン⸣ヌ ナ⸢カ⸣イリ ⸣ヌーンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢ヌイユーサ⸣ヌ [⸢kin⸣nu na⸢ka⸣jiri ⸣nuːnti ⸢beːn⸣du ⸢nuijuːsa⸣nu] (着物の\ruby{衽}{オクミ}を縫おうとしているが、縫うことが出来ない<縫えない>) 11777 0 0 11414 htmvoc_11777.wav ナカウール ナ⸢カウー⸣ル [na⸢kaʔuː⸣ru] 名 海底地名。中間の枝珊瑚地帯。タ⸢チ⸣バルパマ[tḁ⸢ʧi⸣barupama](立原浜)と⸢ピーン⸣ティジ[⸢piːn⸣tiʤi](干瀬の頂上)の間に⸢ズンズン[⸢ʣunʣuŋ](引き潮になると海水が干瀬の頂上部から⸢フンシキ{SqBr}⸢ɸuŋʃi̥ki{/SqBr}の方へ小さな滝のように流れ落ちるところ)があり、その西側に礁池部へ続く窪地がある。その一帯は⸢フンシキ[⸢ɸuŋʃi̥ki]といわれ、そこから更に北西部の⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の頂上)に至る部分には、タ⸢カウー⸣ル[tḁ⸢kaʔuː⸣ru](枝サンゴ)が密生している。その一帯の地名をいう。潮干狩りをする島の女性たちは、ナ⸢カウー⸣ル一帯でタコやフ⸢クラ⸣ベー[ɸu̥⸢kura⸣beː](タスキモンガラ)類、イ⸢ラブ⸣チ[ʔi⸢rabu⸣ʧi](ブダイの仲間)、⸣ギラ[⸣gira](シャコ貝)等を漁獲した 11778 0 0 11415 htmvoc_11778.wav ナカウビ ナ⸢カ⸣ウビ [na⸢ka⸣ʔubi] 名 中指。ナ⸢カ⸣イビ[na⸢ka⸣ʔibi](中指)ともいう。 ⸢ティー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ベー<ウ⸢ヤ⸣ベー> ナ⸢カウビ⸣ル イッ⸢チン⸣ タ⸢カー [⸢tiː⸣nu ⸢ʔui⸣beː<ʔu⸢ja⸣beː> na⸢kaʔubi⸣ru ʔit⸢ʧin⸣ ta⸢kaː] (手の指は中指が一番高い) 11779 0 0 11416 htmvoc_11779.wav ナカガイ ナ⸢カ⸣ガイ [na⸢ka⸣gai] 名 仲買。仲買人。ブローカー。 ⸢イー⸣シェー ナ⸢カ⸣ガイ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーンベー⸣ティ ⸢カーサラヌ [⸢ʔiː⸣ʃeː na⸢ka⸣gai ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːmbeː⸣ti ⸢kaːsaranu] (ツノマタは仲買する人がいないので売れない)。 ナ⸢カガイニン⸣ヌ ブ⸢ラーバル⸣ シ⸢ナムノー カーサリ⸣ツォー [na⸢kagainin⸣nu bu⸢raːbaru⸣ ʃi⸢namunoː kaːsari⸣ʦoː] (仲買人がいてはじめて<居ればぞ>品物は売れる<買わされる>そうだ) 11780 0 0 11417 htmvoc_11780.wav ナカカイヤン ⸣ナカ ⸢カイ⸣ヤン [⸣naka ⸢kai⸣jaŋ] 連 親しい。仲が良い。仲睦まじい。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢キョーダイ⸣サー イッ⸢ケン⸣ ナカ ⸢カイ⸣ヤン [⸢ʔun⸣nenu ⸢kjoːdai⸣saː ʔik⸢ken⸣ naka ⸢kai⸣jaŋ] (その家の兄弟たちは非常に仲が良い<仲睦まじい>) 11781 0 0 11418 htmvoc_11781.wav ナカカマチ ナ⸢カカマ⸣チ [na⸢kakama⸣ʧi] 名 中の\ruby{竈}{カマド}。⸢パンガマ[⸢paŋgama](羽釜)や⸢スー⸣ナビ[⸢suː⸣nabi](汁鍋)を据える竈。 ⸢パンガマン スー⸣ナビン ナ⸢カカマ⸣チナール ビ⸢シル [⸢paŋgaman suː⸣nabin na⸢kakama⸣ʧinaːru bi⸢ʃiru] (羽釜も汁鍋も中の竈に据える) 11782 0 1 11419 htmvoc_11782.wav ナカグー ナ⸢カ⸣グー [na⸢ka⸣guː] 名 {Mn_1}なかご(中子)。瓜や南瓜、パパイヤ等果実の種子を含んだ部分。 11782 0 2 11420 htmvoc_11782.wav ナカグー ナ⸢カ⸣グー [na⸢ka⸣guː] 名 {Mn_2}石垣を積む際に表の石積みと裏の石積みの間に入れる小石。 フ⸢タイグスク⸣ シ⸢ム⸣ ピンマー ナ⸢カ⸣グー イ⸢リティ⸣ シ⸢モーッ⸣タ [ɸu̥⸢taigusuku⸣ ʃi⸢mu⸣ pimmaː na⸢ka⸣guː ʔi⸢riti⸣ ʃi⸢moːt⸣ta] (二重石垣を積むときは中子を入れて積まれた)。 ⸢マンズイ⸣ヌ ナ⸢カ⸣ゴー ⸣ガジ ⸣トゥリバ [⸢manʣui⸣nu na⸢ka⸣goː ⸣gaʤi ⸣turiba] (パパイヤの実の中子を掻き取りなさいよ) 11783 0 0 11421 htmvoc_11783.wav ナカグスク ナ⸢カグス⸣ク [na⸢kagusu̥⸣ku] 名 目隠しの石塀<石垣>。首里では、hwinpuN。門と母屋の間にある、高さ約6尺、長さ約9尺の石塀。防風と目隠し、悪霊の進入を防ぐ等の機能があるという。鳩間島ではナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu̥⸣ku]と母屋の軒との距離は葬儀の際に必要な、最低でも⸢ガンダラゴー[⸢gandaragoː](龕)の長さを必要とされていた。神事に関する客はナ⸢カグス⸣クの右<東>側を通って入室し、普段の客や不祝儀の客は、ナカグスクの左<西>側を通って入室した。ナ⸢カグス⸣クの内側にはパ⸢ナ⸣ギ[pa⸢na⸣gi](活花用の花卉類、イ⸢ツァン⸣パイキー{SqBr}ʔi⸢ʦam⸣paikiː{/SqBr}<榊{EOS}サカキ>、クロトン、トゥ⸢ラヌズー{SqBr}tu⸢ranuʣuː{/SqBr}<虎の尾>など)を植栽した。また、鑑賞用に薔薇をうえたり、生活に実用の⸢クース[⸢kuːsu](唐辛子{EOS}「胡椒」の義)を植栽する家もあった。 ナ⸢カグスク⸣ヌ ウ⸢チンタ⸣ナー パ⸢ナギ⸣ イ⸢ビティ⸣ シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチナー ⸢ザートゥク⸣トゥ トゥ⸢クニヌ⸣ パ⸢ナ⸣イキナー イ⸢コーッ⸣タ [na⸢kagusu̥ku⸣nu ʔu⸢ʧinta⸣naː pa⸢na⸣gi ʔi⸢biti⸣ ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧinaː ⸢ʣaːtuku⸣tu tu̥⸢kuninu⸣ pa⸢na⸣ikinaː ʔi⸢koːt⸣ta] (目隠し用の石垣の内側に花卉類を植えて\ruby{朔日}{ツイ|タチ}、十五日には床の間と仏壇の花活けに活けられた) 11784 0 1 11422 htmvoc_11784.wav ナカグル ナ⸢カ⸣グル [na⸢ka⸣guru] 名 {Mn_1}中ごろ。時間的に用いる。 シ⸢キ⸣ヌ ナ⸢カ⸣グルナー イッ⸢ケナ スー⸣ヤ ⸣ピスンダ ⸣ユー イ⸢ソー シン パッ⸣タン [ʃi̥⸢ki⸣nu na⸢ka⸣gurunaː ʔik⸢kena suː⸣ja ⸣pi̥sunda ⸣juː ʔi⸢soːsim pat⸣taŋ] (月の中ごろには、非常に潮が退くので、よく潮干刈りに行ったものだ)。 ⸢ジューゴー⸣ヌ ナ⸢カ⸣グルラール イッ⸢ケナ⸣ フ⸢ドゥベー⸠ナー [⸢ʤuːgoː⸣nu na⸢ka⸣gururaːru ʔik⸢kena⸣ ɸu⸢dubeː⸠naː] (十五歳の中ごろからが非常に成長したのだねえ)。 11784 0 2 11423 htmvoc_11784.wav ナカグル ナ⸢カ⸣グル [na⸢ka⸣guru] 名 {Mn_2}果実の中身。瓢箪の中身。 ス⸢ブルヌ⸣ ナ⸢カ⸣グル ⸣クリバ [su⸢burunu⸣ na⸢ka⸣guru ⸣kuriba] (瓢箪の中身を刳り貫きなさいよ) 11785 0 0 11424 htmvoc_11785.wav ナカグルン ナ⸢カ⸣グルン [na⸢ka⸣guruŋ] 他動 道の途中に荷物を一度集積し、休憩して運び出す。中継ぎする。「中繰る」の転訛か。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢グッ⸣ふァティ ナ⸢カ⸣グリ ⸢シェーティ⸣ル カ⸢タ⸣ミ キ⸢ラリ⸣タ [du⸢ku⸣nu ⸢guf⸣fati na⸢ka⸣guri ⸢ʃeːti⸣ru kḁ⸢ta⸣mi ki⸢rari⸣ta] (あまりにも重いので途中に下ろし、中継をして<ぞ>担いで来れた)。 ク⸢レー⸣ ナ⸢カグラン⸣カー カ⸢タマラン⸣バ ナ⸢カ⸣グリ ⸢シェー⸣ティ カ⸢タ⸣ミ [ku⸢reː⸣ na⸢kaguraŋ⸣kaː ka⸢tamaram⸣ba na⸢ka⸣guri ⸢ʃeː⸣ti kḁ⸢ta⸣mi] (これは中途で中継ぎして運ばないと担げないから、中継ぎしながら担げ)。 ⸣バーヤ ナ⸢カ⸣グルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ナ⸢カ⸣グル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [⸣baːja na⸢ka⸣gurunti ʔu⸢muːtan⸣du na⸢ka⸣guru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (私は中継ぎしようと思ったが、中継ぎする人はいなかった)。 ⸢グッ⸣ふァカー ナ⸢カ⸣グレー ⸣ミサムヌ [⸢guf⸣fakaː na⸢ka⸣gureː ⸣misamunu] (重かったら中継ぎして運べば良いのに) 11786 0 0 11425 htmvoc_11786.wav ナカザ ナ⸢カ⸣ザ [na⸢ka⸣ʣa] 名 台所の土間。母屋の西側に約1間巾に3間の張出を作り、炊事場とした。西壁に沿って土の竈を設置し、三番座との間に土間を作った。その土間をナ⸢カ⸣ザ[na⸢ka⸣ʣa](土間<中座>)という。農家では畑から帰って着替える間もなく台所仕事に取り掛からなければならないので、土間は便利であった。 シ⸢トゥッチ⸣ヌパー ポーキシ ナ⸢カ⸣ザー ⸢ポー⸣キバ [ʃi̥⸢tutʧi⸣nupaː poːkiʃi na⸢ka⸣ʣaː ⸢poː⸣kiba] (蘇鉄葉の箒で台所の土間を掃きなさいよ)。 ナ⸢カ⸣ザナール ⸣マカルダナン ナ⸢ガ⸣シン ス⸢クラリ⸣ ブタ [na⸢ka⸣ʣanaːru ⸣makarudanan na⸢ga⸣ʃin su̥⸢kurari⸣buta] (台所の土間に<ぞ>お椀棚も流し台も作られていた) 11787 0 0 11426 htmvoc_11787.wav ナカザー ⸣ナカザー [⸣nakaʣaː] 名 次兄。二番目の兄。ナ⸢カ・アー⸣ザ[na⸢ka・ʔaːʣa](中の兄)の約まったもの。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸣ナカザー ⸢ギューチ⸣ ナ⸢ロール⸣ワ [⸢wat⸣tenu ⸣nakaʣaː ⸢gjuːʧi⸣ na⸢roːru⸣wa] (お宅の二番目の兄さんは何歳<いくつ>になられますか) 11788 0 0 11427 htmvoc_11788.wav ナガサナイ ナ⸢ガ⸣サナイ [na⸢ga⸣sanai] 名 長い褌。⸢ナー⸣サナイ[⸢naː⸣sanai](長褌)ともいう。鳩間島では鮫避けに六尺の赤い褌を着用したといわれている。 ナ⸢ガ⸣サナイ キ⸢ス⸣カー サ⸢バー⸣ プ⸢ス⸣ ウ⸢ソーン⸣ツォー [na⸢ga⸣sanai ki̥⸢su⸣kaː sa⸢baː⸣ pu̥⸢su⸣ ʔu⸢soːn⸣ʦoː] (長褌を着用すると鮫は人を襲わないそうだ) 11789 0 0 11428 htmvoc_11789.wav ナカザポーキ ナ⸢カ⸣ザポーキ [na⸢ka⸣ʣapoːki] 名 台所の土間用の箒。普通はソテツの葉で作った。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸢パー⸣シル ナ⸢カ⸣ザポーケー ス⸢クル⸣タ [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸢paː⸣ʃiru na⸢ka⸣ʣapoːkeː su̥⸢kuru⸣ta] (ソテツの葉で土間箒を作った) 11796 0 0 11429 htmvoc_11796.wav ナカザラ ナ⸢カ⸣ザラ [na⸢ka⸣ʣara] 名 中くらいの大きさの皿。中皿。⸢チュー⸣ザラ[⸢ʧuː⸣ʣara](中皿)ともいう。⸢ウー⸣ザラ[⸢ʔuː⸣ʣara](大皿)、⸢クー⸣ザラ[⸢kuː⸣ʣara](小皿)の対語。 ナ⸢カ⸣ザラナ カ⸢マブク⸣ イ⸢リティ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [na⸢ka⸣ʣarana ka⸢mabuku⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (中皿に蒲鉾を入れて出しなさいよ) 11892 0 0 11430 htmvoc_11892.wav ナカシ ナ⸢カ⸣シ [na⸢ka⸣ʃi] 固 (地)西表島北岸浦内湾に流れ入るナ⸢ダラガーラ[na⸢daragaːra](ナダラ川)の南岸とニ⸢シダガーラ[ni⸢ʃidagaːra]の北岸一帯にに開けた水田地帯。 ナ⸢カシ⸣ヌ ⸢タータバル⸣ヌ ⸢ターマー⸣ル ⸢シー⸣ クー [na⸢kaʃi⸣nu ⸢taːtabaru⸣nu ⸢taːmaː⸣ru ⸢ʃiː⸣ kuː] (ナカシの水田地帯の田圃を見回って<田圃見回りをして>来い)。 ナ⸢カ⸣シナー プ⸢サ⸣キャーヌ ⸢ター⸣ヌ ⸢アッ⸣タン [na⸢ka⸣ʃinaː pu̥⸢sa⸣kjaːnu ⸢taː⸣nu ⸢ʔat⸣taŋ] (ナカシに冨里家の水田があった) 11798 0 0 11431 htmvoc_11798.wav ナカシー ナ⸢カ⸣シー [na⸢ka⸣ʃiː] 名 なかぶた(中蓋)。内蓋。二重に取り付けた容器の内側の蓋。容器の中を上下に仕切る蓋。深さ約5センチの軽くて浅い箱状の蓋が容器の中に\ruby{填}{ハ}め込まれている。その上から蓋を被せるように作られている。「中巣」の義か。 ウ⸢レー カイヌ⸣ ナ⸢カ⸣シーナ イ⸢リ シキ⸣リバ [ʔu⸢reː kainu⸣ na⸢ka⸣ʃiːna ʔi⸢ri ʃi̥ki⸣riba] (それは長持ちの中蓋に入れて置きなさいよ) 11805 0 0 11432 htmvoc_11805.wav ナカシゥカイ ナ⸢カ⸣シゥカイ [na⸢ka⸣si̥kai] 名 代理人。人と人の間に立って両方の用を果たす人。「中使い」の義。⸢マイ⸣シゥカイ[⸢mai⸣si̥kai](前使い{EOS}小間使い{EOS}走り使い)とは異なる。 ⸣ウチソーダンマー ナ⸢カシゥカイ⸣ル ⸢カンユーティ⸣ ア⸢ザリブー [⸣ʔuʧisoːdammaː na⸢kasi̥kai⸣ru ⸢kaɲjuːti⸣ ʔa⸢ʣari buː] (交渉ごとは代理人<中使い>が肝要といわれている) 11799 0 0 11433 htmvoc_11799.wav ナカシケー ナ⸢カシ⸣ケー [na⸢kaʃi̥⸣keː] 名 屋号。仲底家。仲底真那氏宅。竹富町の除籍原本によると、宮良間切鳩間村三十七番地、前戸主仲底眞祢。亡夫妻仲底ヨホシ。天保十年十二月五日生。安政五年三月二十日同間切同村、亡加治工屋眞二女入籍。明治七年七月二十日相続。明治三十六年三月十五日死亡。同月十八日届出。明治二十三年六月二十日、同間切同村、鳩間慶佐長男入籍ス。養子、眞阿禰。明治十五年十一月八日生。明治三十七年九月十二日家督相続届出受付、とある。従って現在の仲底真那氏は鳩間家血統の養子眞阿禰の子孫ということになる。伝承によると、古典民謡⸢鳩間中岡」の原歌は仲底家のマンナ主であるという(鳩間真吉氏伝承)。それが「前戸主仲底眞祢」を指すのかどうか、検討する必要がある。 ナ⸢カシ⸣ケーヌ ⸢マー⸣ナザー ニ⸢シ⸣ドーウガンヌ ティ⸢ジリ⸣ビー ヤ⸢ローッ⸣タ⸢ダー [na⸢kaʃi̥⸣keːnu ⸢maː⸣naʣaː ni⸢ʃi⸣doːʔugannu ti⸢ʤiri⸣biː ja⸢rot⸣ta⸢daː] (仲底家の真那お父さんは西堂御嶽の男性神職者<ティジリビー>でいらっしゃった<あられた>よ) 11800 0 0 11434 htmvoc_11800.wav ナカシケー ナ⸢カ⸣シケー [na⸢ka⸣ʃi̥keː] 名 搗き臼の口縁部に嵌めるゆりわ(揺輪)。杵で米搗きをする際に、米粒が飛散するのを防ぐ道具。「中揺輪」の義。単に⸣シケー[⸣ʃi̥keː](揺輪)ともいう。 シ⸢キ⸣ウシナー ⸣シケー シ⸢キティ⸣ イ⸢ニ⸣ッサイバ [ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃinaː ⸣ʃi̥keː ʃi̥⸢kiti⸣ ʔi⸢ni⸣ ssaiba] (搗き臼に揺輪を嵌めて米を搗きなさいよ) 11801 0 0 11435 htmvoc_11801.wav ナカシザ ⸣ナカシザ [⸣nakaʃiʣa] 名 中堅の年上。年輩。「中兄者」の義。村落社会を構成する中堅層(三十歳代~四十歳代)で村の年中行事や生活習慣、その他の諸々のことに通じた実行力のある指導層の人々。⸣シザウヤ[⸣ʃiʣaʔuja](五十歳代以上)とバ⸢カー⸣ムヌ[ba⸢kaː⸣munu](若者{EOS}二十歳代以下)の中間にあって、社会的に両者の橋渡しをする。 ⸣ナカシザンケーヌ ⸢オー⸣レーティ バ⸢カー⸣ムヌ ナ⸢ラー⸣ソールンダ ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣nakaʃiʣaŋkeːnu ⸢ʔoː⸣reːti ba⸢kaː⸣munu na⸢raː⸣soːrunda noː⸢n soːja naː⸣nu] (中堅の年輩方がいらっしゃって若者を教えて下さるので何も心配はない) 11802 0 0 11436 htmvoc_11802.wav ナガシジキ ナ⸢ガシジキ [na⸢gaʃiʤiki] 名 長続き。古老は、⸢ナーシジキ[⸢naːʃiʤiki](長続き)という。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ガシジキ スン⸣カヤー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ na⸢gaʃiʤiki suŋ⸣kajaː] (この仕事は長続きするだろうかね) 11806 0 0 11437 htmvoc_11806.wav ナガシビ ナ⸢ガシビ [na⸢gaʃibi] 名 ちょうざ(長座)。ながい(長居)。「長尻」の義。⸢ナーシビ[⸢naːʃibi](長座{EOS}長尻)ともいう。特に、酒席で長座することを、ナ⸢マ⸣シキ ⸢スン[na⸢ma⸣ʃi̥ki ⸢suŋ](焦げ付く)という。 プ⸢スン⸣ヤーナー ⸢ナーシビ サンドー⸣シ ⸢パー⸣ク ⸢ヤー⸣ クー⸢ヨー [pu̥⸢suɲ⸣jaːnaː ⸢naːʃibi sandoː⸣ʃi ⸢paː⸣ku ⸢jaː⸣ kuː⸢joː] (余所の家に長居しないで早く家に帰って来いよ) 11803 0 0 11438 htmvoc_11803.wav ナカジル ⸣ナカジル [⸣nakaʤiru] 名 (地)。西表島の船浦湾の奥<南>に流入する⸢マーレーガーラ[⸢maːreːgaːra](マーレ川)の西側、ヤシ川の川上一帯のナ⸢カ⸣ダ[na⸢ka⸣da](仲田)の東に位置する水田地帯。河口一帯はヒルギが群生しているので、1955年頃は満潮時を利用して⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)で田圃へ行き来した。 ユ⸢レーヌ⸣ ター ム⸢レーマヌ⸣ ター フ⸢サ⸣キャーヌ ⸢ター⸣ヤ ⸣ナカジルナー ⸢アッ⸣タンツォー [ju⸢reːnu⸣ taː mu⸢reːmanu⸣ taː ɸu̥⸢sa⸣kjaːnu ⸢taː⸣ja ⸣nakaʤirunaː ⸢ʔat⸣tanʦoː] (寄合家の田、通事家の田、富里家の田はナカジルにあったそうだよ) 11804 0 0 11439 htmvoc_11804.wav ナカジル ナ⸢カ⸣ジル [na⸢ka⸣ʤiru] 名 三線の中の弦。第二弦。⸢ウー⸣ジル[⸢ʔuː⸣ʤiru](雄弦)と⸢ミー⸣ジル[⸢miː⸣ʤiru](女弦{EOS}小弦)の中間の弦。 ⸢サンシンヌ⸣ ナ⸢カ⸣ジロー ⸢ナン⸣ゾー キ⸢シラ⸣ヌ [⸢saŋʃinnu⸣ na⸢ka⸣ʤiroː ⸢nan⸣ʣoː ki̥⸢ʃira⸣nu] (三線の中の弦はあまり切れない<断線しない>) 11807 0 0 11440 htmvoc_11807.wav ナカスー ナ⸢カ⸣スー [na⸢ka⸣suː] 名 中潮。干満の差が中ぐらいの時の潮時。大潮と小潮の中間の潮時。 ナ⸢カスー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ナン⸣ゾー ⸢スー⸣ヤ ピ⸢サ⸣ヌ [na⸢kasuː⸣nu ⸣pimmaː ⸢nan⸣ʣoː ⸢suː⸣ja pi̥⸢sa⸣nu] (中潮の時は、潮はあまり引か<干>ない) 11791 0 0 11441 htmvoc_11791.wav ナガスディ ナ⸢ガ⸣スディ [na⸢ga⸣sudi] 名 長袖。⸢ハン⸣スディ[⸢han⸣sudi](半袖)の対義語。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ピー⸣ヤバ ナ⸢ガ⸣スディ キ⸢シ⸣バ [⸢kjuː⸣ja ⸢piː⸣jaba na⸢ga⸣sudi ki̥⸢ʃi⸣ba] (今日は寒いから長袖を着なさい) 11808 0 0 11442 htmvoc_11808.wav ナカスン ナ⸢カスン [na⸢kasuŋ] 他動 泣かす。 ⸢ゾー⸣ブンニ ダ⸢カン⸣カー ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢カスン⸠ダー [⸢ʣoː⸣bunni da⸢kaŋ⸣kaː f⸢fa⸣ na⸢kasun⸠daː] (上手に抱かないと子供が泣くよ<子供を泣かすよ>)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カシ⸣ ナ⸢カスンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ナ⸢カサランシェン [ʔu⸢ja⸣nu pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢kaʃi⸣ na⸢kasunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du na⸢kasaraŋʃeŋ] (親の話を聞かして泣かそうと思ったが、泣かされなかった)。 ナ⸢カシ⸣ ミサカー ナ⸢カス⸣ クトー ヤ⸢シ⸣ムヌ⸢ゲ⸣ラ [na⸢kaʃi⸣ misakaː na⸢kasu⸣ ku̥toː ja⸢ʃi⸣munu⸢ge⸣ra] (泣かして良ければ泣かすことは簡単さ<易いものだよ>)。 ナ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [na⸢kaʃeː⸣ misamunu] (泣かせば良いのに)。 ナ⸢カシ⸣バ [na⸢kaʃi⸣ba] (泣かせよ) 11822 0 1 11443 htmvoc_11822.wav ナガスン ナ⸢ガ⸣スン [na⸢ga⸣suŋ] 他動 {Mn_1}流す。液体を流す。普通は、⸢ナーラ⸣スン[⸢naːra⸣suŋ](流す)という。 ⸢ニッふァ⸣サー ⸢ニッタ⸣サー ドー⸢ディン⸣ ミ⸢ジ⸣ナー ナ⸢ガ⸣シティ ナ⸢ラー⸣シ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢niffa⸣saː ⸢nitta⸣saː doː⸢dim⸣ mi⸢ʤi⸣na na⸢ga⸣ʃi̥ti na⸢raː⸣ʃi f⸢foː⸣ri] (憎さ、妬ましさは水に流して、どうぞ教えてください)。 ヤ⸢ナキモー⸣ ミ⸢ジ⸣ナ ナ⸢ガ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ナ⸢ガサラン⸣ワー⸢ン⸣ノー [ja⸢nakimoː⸣ mi⸢ʤi⸣na ma⸢ga⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du na⸢gasaran⸣waː⸢n⸣noː] (悪い気持ち<肝>は水に流そうと思うが、流されないではないか)。 ミ⸢ジ⸣ナ ナ⸢ガ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢ʣji⸣na na⸢ga⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (水に流すことは出来ない)。 ミ⸢ジ⸣ナ ナ⸢ガ⸣シェー ⸣ミサムヌ [mi⸢ʤi⸣na na⸢ga⸣ʃeː ⸣misamunu] (水に流せば良いのに)。 ヤ⸢ナキモー⸣ ムー⸢ル⸣ ミ⸢ジ⸣ナ ナ⸢ガ⸣シ [ja⸢nakimoː⸣ muː⸢ru⸣ mi⸢ʤi⸣na na⸢ga⸣ʃi] (悪い気持ち<心{EOS}肝>は全部水に流せ)。 11822 0 2 11444 htmvoc_11822.wav ナガスン ナ⸢ガ⸣スン [na⸢ga⸣suŋ] 他動 {Mn_2}散水機を掛けてカツオを釣る際に、スクリューを止めて船を潮の流れに浮かべて流すこと。 カ⸢ツシンバ⸣ カ⸢ツヌ⸣ ブ⸢リ⸣ナ シ⸢キ⸣ルカー ザ⸢コー⸣ヤ イ⸢レー⸣ティル ⸣フネー ナ⸢ガシ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimba⸣ kḁ⸢ʦunu⸣ bu⸢ri⸣na ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʣa⸢koː⸣ja ʔi⸢reː⸣tiru ⸣ɸuneː na⸢gaʃi̥⸣ta] (カツオ漁船をカツオの群れに付けたら餌<雑魚>を入れながら船を流した) 11809 0 0 11445 htmvoc_11809.wav ナカダ ナ⸢カ⸣ダ [na⸢ka⸣da] 名 地名。船浦湾底のやや西寄りに流入する船浦川の上流、⸢ソー⸣ジ[⸢soː⸣ʣi]の南に開けた水田地帯。美田地帯であったが、戦後米軍の伐採隊が水源地帯にブルトーザーを入れて伐採したのため、大雨で流出した赤土がシ⸢キム⸣トゥ[ʃi̥⸢kimu⸣tu](堰元{EOS}水源に近い所)のカ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の水田を全部埋めてしまった。その後、被害のなかったフ⸢ク⸣マレー[ɸu̥⸢ku⸣mareː](友利家)、トゥ⸢ムシェー[tu⸢museː](宮良家)、シ⸢マフ⸣ケー[ʃi⸢maɸu̥⸣keː](島袋家)の水田も耕作されなくななり、放置されたままになっている 11810 0 0 11446 htmvoc_11810.wav ナカタガイ ナ⸢カタガ⸣イ [na⸢kataga⸣i] 名 仲たがい。なかちがい。仲が悪くなること。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢キョー⸣ダイザーン ⸣ナリ ナ⸢カタガ⸣イ ⸢シー ブー [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢kjoː⸣daiʣaːn ⸣nari na⸢kataga⸣i ⸢ʃiː buː] (彼らは兄弟同士で仲違いしている) 11811 0 0 11447 htmvoc_11811.wav ナカダチ ナ⸢カダ⸣チ [na⸢kada⸣ʧi] 名 仲立ち。仲介人。仲介すること。媒酌人。古老はナ⸢カダ⸣ティ[na⸢kada⸣ti](仲介人{EOS}媒酌人)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スル⸣ ニービキヌ ナ⸢カダ⸣チ ⸢シー ッふォーッ⸣タ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢suru⸣ niːbikinu na⸢kada⸣ʧi ⸢ʃiː ffoːt⸣ta] (この人が結婚の媒酌人<仲立ち>をして下さった) 11812 0 0 11448 htmvoc_11812.wav ナカダティ ナ⸢カダ⸣ティ [na⸢kada⸣ti] 名 仲立ち。仲人。仲介人。媒酌人。ナ⸢カダ⸣チ[na⸢kada⸣ʧi](仲介人)に同じ。 ナ⸢カダ⸣ティプス ⸣タテーティル ⸣ニービケー ⸢ソーッ⸣タツォー [na⸢kada⸣tipu̥su ⸣tḁteːtiru ⸣niːbikeː ⸢soːt⸣taʦoː] (仲人を立てながら結婚式はされたそうだ) 11813 0 0 11449 htmvoc_11813.wav ナガタビ ナ⸢ガタビ [na⸢gatabi] 名 長旅。長期旅行。 ⸢クン⸣ドー ⸢ユーズ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーティ ナ⸢ガタビ⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kun⸣doː ⸢juːʣu⸣nu ⸢goː⸣raːti na⸢gatabi⸣ nari ⸢naː⸣nu] (今回は用事が多くて長旅になってしまった) 11814 0 0 11450 htmvoc_11814.wav ナカディ ナ⸢カ⸣ディ [na⸢ka⸣di] 名 中間程度の大きさ。手頃な大きさ。大きくもなく、小さくもない中程度の大きさ。⸢中手」の転訛したもの。 ⸣ドゥク ⸢マイ⸣ヤ ⸣ムノー ア⸢ラン⸣ドーシ ナ⸢カディ⸣ ムノーラ ッ⸢ふィーリ⸣バ [⸣duku ⸢mai⸣ja ⸣munoː ʔa⸢ran⸣doːʃi na⸢kadi⸣ munoːra f⸢fiːri⸣ba] (あんまり大きいものではなくて、手頃<中手>の物をあげ<呉れ>なさい)。 ⸢ウン⸣マー ナ⸢カディ⸣ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ バ⸢カシ⸣バ [⸢ʔum⸣maː na⸢kadi⸣munoːra ʔi⸢ra⸣bi ba⸢kaʃi⸣ba] (芋は手ごろなもの<中程度のもの>から選んで炊きなさい) 11794 0 0 11451 htmvoc_11794.wav ナカディプス ナ⸢カディ⸣プス [na⸢kadi⸣pu̥su] 名 中堅の人。壮年の人。⸢ウイ⸣プス[⸢ʔui⸣pu̥su](老人)とバ⸢カー⸣ムヌ[ba⸢kaː⸣munu](若者)の中間の人。 バ⸢カー⸣ムノー カ⸢ティヌ ナーン⸣バ ナ⸢カディ⸣プソーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸢サー⸣リ ⸣クーバ [ba⸢kaː⸣munoː kḁ⸢tinu naːm⸣ba na⸢kadi⸣pu̥soːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣kuːba] (若者は仕事の経験、要領<勝手>がないから経験豊かな中堅<壮年>の人から選んで連れて来いよ) 11795 0 0 11452 htmvoc_11795.wav ナカディムヌ ナ⸢カディ⸣ムヌ [na⸢kadi⸣munu] 名 手頃の物。中程のもの。大きさの大中小、質の上中下のうちの中程度のもの。 ⸣マギー グ⸢マー⸣ヤ ⸣ミサン ナ⸢カディ⸣ムノーラ ⸣ムティ ⸣クーバ [⸣magiː gu⸢maː⸣ja ⸣misan na⸢kadi⸣munoːra ⸣muti ⸣kuː] (大きいもの、小さいものはいい<要らない>{EOS}手頃の物<中程の物>から持っ来なさいよ)。 ナ⸢カディ⸣ウンラ ⸢カーシ⸣バ [na⸢kadi⸣ʔunra ⸢kaːʃi⸣ba] (中程度の大きさの芋から売りなさいよ) 11818 0 0 11453 htmvoc_11818.wav ナカドーミチ ナ⸢カドー⸣ミチ [na⸢kadoː⸣miʧi] 名 地名。石垣市の登野城から平得、真栄里へ通ずる大きな道。大きなアコウの大木が生えており、民謡トゥバラーマ節にも歌われている古道。 ナ⸢カドー⸣ミチェー ム⸢カ⸣シウタナーン イ⸢ザリ ブン [na⸢kadoː⸣miʧeː mu⸢ka⸣ʃiʔutanaːŋ ʔi⸢ʣari buŋ] (ナカドー道は昔の歌にも歌われている) 11816 0 0 11454 htmvoc_11816.wav ナカトゥ ナ⸢カ⸣トゥ [na⸢ka⸣tu] 名 \ruby{砥石}{ト|イシ}の中で中間の荒さのもの。ア⸢ラトゥ[ʔa⸢ratu](荒い砥石{EOS}斧や山刀を研ぐ砥石)とク⸢マトゥ[ku⸢matu](細かい砥石{EOS}鑿や鉋、剃刀などの刃を研いで仕上げる砥石)との中間の砥石。包丁などを研ぐのに用いる砥石。 パ⸢ジメー⸣ ア⸢ラトゥ⸣ナー ⸣トゥイティ ナ⸢カ⸣トゥシ シ⸢アギリ⸣バ [pa⸢ʤimeː⸣ ʔa⸢ratu⸣naː ⸣tuiti na⸢ka⸣tuʃi ʃi⸢jagiri⸣ba] (初めは荒い砥石で研いで、中間の砥石で仕上げなさいよ) 11817 0 0 11455 htmvoc_11817.wav ナカトゥルン ⸣ナカ ⸣トゥルン [⸣naka ⸣turuŋ] 連 仲裁する。仲直りさせる。仲を取り持つ。和解させる。 ⸢ワー⸣シ フ⸢タールヌ⸣ ナカ ⸣トゥリ ッ⸢ふィーリ [⸢waː⸣ʃi ɸu̥⸢taːrunu⸣ naka ⸣turi f⸢fiːri] (君で二人の仲直りさせて<中を取り持って>くれ)。 ⸣ナカ ⸣トゥルンティ ⸢スンドゥ⸣ バー ⸣ムネー シゥ⸢カンバン [⸣naka ⸣turunti ⸢sundu⸣ baː ⸣muneː sï̥⸢kambaŋ] (仲裁しようとするが、私の話を聞かないよ) 11893 0 0 11456 htmvoc_11893.wav ナカトゥルン ナ⸢カ⸣ トゥルン [na⸢ka⸣ turuŋ] 連 中間を取る。双方にとって公平になるようにする。「中を取る」の義。 フ⸢タールヌ⸣ イ⸢ジ⸣ブン シ⸢キティ⸣ ナ⸢カ⸣ トゥルンティ ⸢カン⸣ガイ ⸢オー⸣ル [ɸu̥⸢taːrunu⸣ ʔi⸢ʤi⸣buŋ ʃi̥⸢kiti⸣ na⸢ka ⸣turunti ⸢kaŋ⸣gai ⸢ʔoː⸣ru] (二人の言い分を聞いて公平になるようにしようと考えておられる) 11823 0 0 11457 htmvoc_11823.wav ナカナウリ ナ⸢カナウ⸣リ [na⸢kanau⸣ri] 名 仲直り。和睦。喧嘩の後仲良くなること。 ドゥ⸢シザーン アイッツァー⸣シ ⸢ベータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ナ⸢カナウ⸣リ ⸢シー ベーン⸣ティ [du⸢ʃiʣaːn ʔaitʦaː⸣ʃi ⸢beːtan⸣du ma⸢na⸣maː na⸢kanau⸣ri ⸢ʃiː beːn⸣ti] (友達同士ひどく喧嘩していたが、今は仲直りしているさ、ほら、ごらんよ) 11894 0 0 11458 htmvoc_11894.wav ナカナカ ナ⸢カナカ [na⸢kanaka] 副 泣かんばかりに。泣きそう。泣きべそかいて。「泣こう泣こうして」の義。 キ⸢ムイ⸣ツァー ⸢ティーフコーン⸣ティ ナ⸢カナカ スン⸣ケン ビ⸢ケーン⸣ イ⸢ザリティ⸣ シ⸢グトゥ シーベー [ki⸢mui⸣ʦaː ⸢tiːɸukoːn⸣ti na⸢kanaka suŋ⸣keŋ bi⸢keːŋ⸣ ʔi⸢ʣariti⸣ ʃi⸢gutu ʃiːbeː] (可哀相に、仕事が鈍い<手がのろい>と泣きそうになるほど父親に叱られて仕事をしている)。 ナ⸢カナカ⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー⸣タ [na⸢kanaka⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beː⸣ta] (泣きべそかいて話していた) 11819 0 0 11459 htmvoc_11819.wav ナカナカースン ナ⸢カナカー スン [na⸢kanakaː suŋ] 連 今にも泣き出そうとする。泣きそうになる。泣きべそをかく。「泣こう泣こう・する」の義。 ブ⸢ネーヌ⸣ ミ⸢ララン⸣カー ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢カナカー スン⸠ダー [bu⸢neːnu⸣ mi⸢raraŋ⸣kaː ja⸢ra⸣beː na⸢kanakaː sun⸠daː] (母親が見えないと子供は泣きべそをかく) 11820 0 0 11460 htmvoc_11820.wav ナガナキ ナ⸢ガナキ [na⸢ganaki] 名 長泣き。長時間泣くこと。普通は⸢ナーナキ[⸢naːnaki](長泣き)という。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ナガナキ スー⸣カー ⸢マーンナー⸣カ ⸢ワッ⸣サン ⸣トンヌ ア⸢リ⸣バ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu na⸢ganaki suː⸣kaː ⸢maːnnaː⸣ka ⸢was⸣san ⸣tonnu ʔa⸢ri⸣ba ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢daː] (子供が長泣きすると、どこか悪いところがあるから気をつけなさいよ) 11824 0 0 11461 htmvoc_11824.wav ナカヌスニ ナ⸢カヌ⸣ スニ [na⸢kanu⸣ suni] 連 海底地名。⸢中の曽根」の義。⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)の中の中央部の曽根。鳩間桟橋と、真南に位置するパ⸢トゥ⸣マレー[pḁ⸢tu⸣mareː](鳩離島)を結ぶ線上に位置する。その西側の⸢イーリマイズニ[⸢ʔiːrimaiʣuni](西前曽根)との間にある曽根の切れ目が⸢ウイバル(上原)やフ⸢ノー⸣ラ(船浦)へ往来する⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)等の小船以外通行出来ない⸢トゥーラン⸣フチ[⸢tuːraŋ⸣ɸu̥⸢ʧi](通りぬけられない津口)である 11825 0 0 11462 htmvoc_11825.wav ナガヌチ ナ⸢ガヌチ [na⸢ganuʧi] 名 長命。長生き。「ながいのち(長命)」の転訛したもの。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ナ⸢ガヌチェー⸣ ヌ⸢ズマヌ⸣ プ⸢スナミヌ⸣ ナ⸢ガヌチ⸣ タ⸢ボーラ⸣リカ カ⸢フー⸣ル ヤ⸢ル [du⸢ku⸣nu na⸢ganuʧeː⸣ nu⸢ʣumanu⸣ pu̥⸢sunaminu⸣ na⸢ganuʧi⸣ ta⸢boːra⸣rikaː kḁ⸢ɸuː⸣ru ja⸢ru] (あんまりの長命は望まない{EOS}人並みの長命が賜れば幸い<果報>である)。 ヌ⸢チ⸣ル タ⸢カ⸣ラ [nu⸢ʧi⸣ru ta⸢ka⸣ra] (命が宝だ) 11826 0 0 11463 htmvoc_11826.wav ナカノーリ ナ⸢カノー⸣リ [na⸢kanoː⸣ri] 名 仲直り。古老は、ナ⸢カナウ⸣リ[na⸢kanau⸣ri](仲直り)という。 ⸢ウッ⸣ツァー ナ⸢カ⸣ヌ ク⸢バー⸣ティ ナ⸢カノー⸣リ シ⸢ミルンティ⸣ イ⸢カス⸣ク ⸢ナン⸣ギ ⸢シェー⸣ワ⸢ツォー [⸢ʔut⸣ʦaː na⸢ka⸣nu ku⸢baː⸣ti na⸢kanoː⸣ri ʃi⸢mirunti⸣ ʔi⸢kasu̥⸣ku ⸢naŋ⸣gi ⸢ʃeː⸣wa⸢ʦoː] (彼らは仲が悪い<強い>ので、仲直りさせようとしてどんなに難儀したことかよ) 11827 0 0 11464 htmvoc_11827.wav ナカノーリ ナ⸢カノー⸣リ [na⸢kanoː⸣ri] 名 一時快方にむかうこと。病気の一時的治癒。 ナ⸢ガヤンマー⸣ ナ⸢カノー⸣リ ⸢シー⸣ ブ⸢タンドゥ アッ⸣タニ ⸢フッカイシ ナー⸣ヌ [na⸢gajammaː⸣ na⸢kanoː⸣ri ⸢ʃiː⸣ bu⸢tandu ʔat⸣tani ⸢ɸukkaiʃi naː⸣nu] (長病みは一時快方に向かっていたが、急にぶり返して<再発して>しまった) 11828 0 0 11465 htmvoc_11828.wav ナカバ ナ⸢カ⸣バ [na⸢ka⸣ba] 名 半ば。中途。中ごろ。 シ⸢キ⸣ヌ ナ⸢カ⸣バーラ ⸢オシキヌ⸣ ヤビティ イ⸢ソー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ʃi̥⸢ki⸣nu na⸢ka⸣baːra ⸢ʔoʃi̥kinu⸣ jabiti ʔi⸢soː⸣ pa⸢rara⸣nu] (月の半ばから天気がくずれて<破れて>漁に出られ<行かれ>ない) 11830 0 0 11466 htmvoc_11830.wav ナガパタラキ ナ⸢ガパタラキ [na⸢gapataraki] 名 長働き。長く働くこと。長時間労働。 ⸢ターシグ⸣トー ナ⸢ガパタラキ スー⸣カー ク⸢シヌ⸣ ヤム [⸢taːʃigu⸣toː na⸢gapataraki suː⸣kaː ku̥⸢ʃinu⸣ jamu] (田圃仕事は長働きすると腰が痛む<病む>) 11831 0 0 11467 htmvoc_11831.wav ナガパナシ ナ⸢ガパナシ [na⸢gapanaʃi] 名 長話。⸢ナーパナシ[⸢naːpanaʃi](長話)ともいう。 プ⸢スン⸣ヤーナーティ ナ⸢ガパナシ サンドー⸣シ ⸢ブンブン⸣シ シ⸢グトゥ シー [pu̥⸢suɲ⸣ jaːnaːti na⸢gapanaʃi sandoː⸣ʃi ⸢bumbum⸣ʃi ʃi⸢gutu ʃiː] (余所の家で長話をしないで、さっさと仕事をしなさい) 11832 0 0 11468 htmvoc_11832.wav ナガハマ ナ⸢ガ⸣ハマ [na⸢ga⸣hama] 名 (植)サツマイモの品種名。白色で皮が薄く、甘味がすくない。ぽろぽろした食感があった。四、五年で作付けされなくなったようである。 ナ⸢ガ⸣ハマ ⸣ウンマー ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マー ナーン⸣シェン ヒャ⸢クゴー⸣ル ⸢クー⸣ フキティ ン⸢マー⸣タ [na⸢ga⸣hama ⸣ʔummaː ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maː naːŋ⸣ʃeŋ ça⸢kugoː⸣ru ⸢kuː⸣ ɸu̥kiti ʔm⸢maː⸣ta] (ナガハマ品種の芋はあんまり美味しくなかった{EOS}百号種の芋が澱粉が吹き出て<粉吹き芋になって>美味しかった) 11829 0 0 11469 htmvoc_11829.wav ナカバヤビ ナ⸢カバ⸣ヤビ [na⸢kaba⸣jabi] 名 中年になって身を持ち崩すこと。半ば破れ。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢カバ⸣ヤビ ⸢シェー⸣ラ ⸢ノーシ グリ⸣サン [ja⸢ra⸣beː na⸢kaba⸣jabi ⸢ʃeː⸣ra ⸢noːʃiguri⸣saŋ] (子供は中年になって一旦身を持ち崩す<半ば破れする>と矯正し<治し>にくい) 11833 0 0 11470 htmvoc_11833.wav ナカバヤブリ ナ⸢カバヤブ⸣リ [na⸢kabajabu⸣ri] 名 青年期に不良になること。青年期にぐれること。「中途破れ」の義。 ッ⸢ふァヌ⸣ ナ⸢カバヤブ⸣リ ⸢スー⸣カー ⸢ノーサラ⸣ンティル ア⸢ザリブー [f⸢fanu⸣ na⸢kabajabu⸣ri ⸢suː⸣kaː ⸢noːsara⸣ntiru ʔa⸢ʣari buː] (子供が青年期にぐれると直されないと<ぞ>いわれている) 11835 0 0 11471 htmvoc_11835.wav ナカバラー ナ⸢カ⸣バラー [na⸢ka⸣baraː] 名 大黒柱。「中柱」の義。家の中心部にある柱。棟の方に達する一本柱。イ⸢チバン⸣ザー[ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː](一番座)と⸢ニーバン⸣ザー[⸢niːban⸣ʣaː](二番座)の中間に立つ柱。普通は⸢キャーンギ[⸢kjaːŋgi](槙{EOS}イヌマキ)、⸣イゾイキー[⸣ʔiʣoikiː](モクコク)の大木を使用した。家の祈願はこの柱に向かってなされる。家の構造体の中心となる柱。 サ⸢クシ⸣ッふァー ⸢ヤー⸣ヌ ナ⸢カ⸣バラー ヤ⸢リバ マイフナー⸣ マ⸢リリ⸣ダー [sḁ⸢kuʃi⸣ffaː ⸢jaː⸣nu na⸢ka⸣baraː ja⸢riba maiɸunaː⸣ ma⸢riri⸣daː] (長男は一家の大黒柱だから、立派な人になり<成長し>なさいよ) 11836 0 0 11472 htmvoc_11836.wav ナカバリ ナ⸢カ⸣バリ [na⸢ka⸣bari] 名 一つの物を二分すること。真二つに割ること。「中割り」の義。 ク⸢ヌ コー⸣シェー ナ⸢カ⸣バリ ⸢シー⸣ トゥ⸢ラ⸣シバ [ku⸢nu koː⸣ʃeː na⸢ka⸣bari ⸢ʃiː⸣ tu⸢ra⸣ʃiba] (この菓子は真っ二つに割ってあげなさいよ) 11821 0 0 11473 htmvoc_11821.wav ナカビ ナ⸢カ⸣ビ [na⸢ka⸣bi] 名 なかぞら(中空)。中天。「中辺」の義という『石垣方言辞典』。 ⸢ティンヌ⸣ ナ⸢カ⸣ベーラ トゥ⸢ルヌ⸣ トゥ⸢ビ⸣ パルン [⸢tinnu⸣ na⸢ka⸣beːra tu⸢runu⸣ tu⸢bi⸣ paruŋ] (天の中空から鳥が飛んでいく) 11837 0 0 11474 htmvoc_11837.wav ナガビクン ナ⸢ガビクン [na⸢gabikuŋ] 自動 長引く。 ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢ナシケー⸣ ナ⸢ガビクンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ナ⸢ガビカサンドー⸣シ ⸢ノー⸣シェーン [⸢kundu⸣nu pa⸢naʃi̥keː⸣ na⸢gabikunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du na⸢gabikasandoː⸣ʃi ⸢noː⸣ʃeːŋ] (今度の風邪は長引くと思ったが長引かせないで治した)。 ⸢ピン⸣グルカー パ⸢ナシケー⸣ ナ⸢ガビキ ヤッ⸣サバ ナ⸢ガビク⸣ ピンマー ピ⸢ルザキ⸣ ヌ⸢マ⸣シバ [⸢piŋ⸣gurukaː pa⸢naʃikeː⸣ na⸢gabiki jas⸣saba na⸢gabiku⸣ pimmaː pi⸢ruʣaki⸣ nu⸢ma⸣ʃi] (冷え込んだら風邪は長引きやすいから、長引く時は\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}\ruby{酒}{ザケ}を飲ませなさいよ)。 ナ⸢ガビケー⸣ ミサムヌ [na⸢gabikeː⸣ misamunu] (長引けば良いのに)。 ナ⸢ガビキ [na⸢gabiki] (長引けよ)。 ⸢クン⸣ドー ナ⸢ガビカヌ [⸢kun⸣doː na⸢gabikanu] (今度は長引かない) 11838 0 1 11475 htmvoc_11838.wav ナガビリ ナ⸢ガビリ [na⸢gabiri] 名 {Mn_1}長居。長座。「長座り」の義。ナ⸢ガシビ[na⸢gaʃibi](長尻)ともいう。 パ⸢ナシ⸣ヌ ウ⸢ムッ⸣サティ ナ⸢ガビリ シー ナーン⸣バン ⸣トー パ⸢ライ⸣メー [pa⸢naʃi⸣nu ʔu⸢mus⸣sati na⸢gabiri ʃiːnaːm⸣bam ⸣toː pa⸢rai⸣meː] (話が面白くて、つい長居してしまったわい{EOS}そろそろ失礼します<行くからねえ{EOS}さようなら>)。 ナ⸢ガビレー⸣ プ⸢スン⸣ キ⸢ラーリン⸠ダー [na⸢gabireː⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ki⸢raːrin⸠daː] (長居は他人に嫌われるよ)。 11838 0 2 11476 htmvoc_11838.wav ナガビリ ナ⸢ガビリ [na⸢gabiri] 名 {Mn_2}トイレの長いこと。 ナ⸢マバン⸣スル ッ⸢ふー⸣カー シ⸢ビ コー⸣リティ ナ⸢ガビリ スン⸣ダー [na⸢maban⸣suru f⸢fuː⸣kaː ʃi⸢bi koː⸣riti na⸢gabiri sun⸣daː] (未熟の\ruby{SqBr}g{/SqBr}{蕃石榴}{バンザクロ}<グアバ>を食べると便秘して長便所になる<長座りする>よ) 11839 0 0 11477 htmvoc_11839.wav ナカプー ナ⸢カ⸣プー [na⸢ka⸣puː] 名 中帆。本帆と\ruby{弥帆}{ヤ|ホ}の間に立つ柱に張る帆。三本マストの中間の帆柱に張る帆。本帆より一回り小型の帆。 カ⸢ジヌ スー⸣ワンダ ⸢フンプー⸣ヤ ウ⸢ラ⸣シティ ナ⸢カ⸣プー ⸢タンガ⸣シ ⸣フニ パ⸢ラ⸣シバ [ka⸢ʤinu suː⸣wanda ⸢ɸumpuː⸣ja ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti na⸢ka⸣puː ⸢taŋga⸣ʃi ⸣ɸuni pa⸢ra⸣ʃiba] (風が強いので本帆は降ろして中帆だけで船を操船し<走行させ>なさい) 11840 0 0 11478 htmvoc_11840.wav ナカフクル ナ⸢カフク⸣ル [na⸢kaɸu̥ku⸣ru] 名 山の中腹。山腹。 ⸢マーレーヤマヌ⸣ ナ⸢カフク⸣ルナー ヤ⸢マ⸣フメー ⸢シーティ⸣ バコーン ⸣ウナール ⸢ソーッ⸣タ [⸢maːreːjamanu⸣ na⸢kaɸuku⸣runaː ja⸢ma⸣ɸumeː ⸢ʃiːti⸣ bakoːŋ ⸣ʔunaːru ⸢soːt⸣ta] (マーレー山の中腹に山踏み<下見>をして、木材伐り出しの共同作業もそこでなされた)。中央部。「中袋」の転訛したものか。 パ⸢タキ⸣ヌ ナ⸢カフク⸣ルナー ウ⸢ブイシ⸣ヌ ⸣アン [pḁ⸢taki⸣nu na⸢kaɸu̥ku⸣runaː ʔu⸢buʔiʃi⸣nu ⸣ʔaŋ] (畑の中央部に大きな石がある) 11841 0 0 11479 htmvoc_11841.wav ナカフタ ナ⸢カ⸣フタ [na⸢ka⸣ɸuta] 名 おとしぶた(落し蓋)。鍋の中の食材と蓋の間に置くもの。「中蓋」の義。多くの場合、芭蕉の葉を鍋の中の食材に直接かぶせて中蓋とし、更に本蓋をして煮た。 ⸢プール⸣ムチ ⸢ネース⸣ ピンマー バ⸢サンパー⸣バ ナ⸢カ⸣フタ シ⸢ティ ネーソーッ⸣タ [⸢puːru⸣muʧi ⸢neːsu⸣ pimmaː ba⸢sampaː⸣ba na⸢ka⸣ɸu̥ta ʃi̥⸢ti neːsoːt⸣ta] (豊年祭の餅を煮るときは芭蕉の葉を落し蓋にして蒸かした) 11842 0 0 11480 htmvoc_11842.wav ナカブニ ナ⸢カ⸣ブニ [na⸢ka⸣buni] 名 動物の脊椎。背骨。「中骨」の義。カツオのナ⸢カ⸣ブニ[na⸢ka⸣buni]や⸢ズーブニ[⸢ʣuːbuni](尾びれ)は出汁を取るのに用いたり、畑の肥料にしたりした。鰹節製造工場からは多量のカツオの脊椎や尾びれが廃棄された。 カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢カ⸣ブニ ⸢ネーシティ⸣ ダシ ⸣トゥリバ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣buni ⸢neːʃi̥ti⸣ daʃi ⸣turiba] (カツオの背骨を煮て出汁を取りなさい) 11843 0 0 11481 htmvoc_11843.wav ナカマガーラ ナ⸢カマガー⸣ラ [na⸢kamagaː⸣ra] 名 川の名。仲間川。西表島東部の大原集落と大冨集落の間に河口を有する川。河口の汽水地帯にヒルギの大群落がある 11844 0 0 11482 htmvoc_11844.wav ナカマミツケー ナ⸢カ⸣マミツケー [na⸢ka⸣mamiʦukeː] 名 人物名。仲間満慶。十五世紀頃に活躍した川平村の豪傑。豪族オヤケアカハチによって殺されたと伝えられている 11845 0 0 11483 htmvoc_11845.wav ナカマムラ ナ⸢カ⸣マムラ [na⸢ka⸣mamura] 名 村落名。仲間村。琉球王国時代から明治41年に存在した村の名。1737年(元文2年)、竹富島から西表島の仲間村へ移民させられた。明治37年に廃村。戦後、沖縄本島北部の大宜味村と竹富町からの移民によって大冨となった 11846 0 0 11484 htmvoc_11846.wav ナガミ ナ⸢ガ⸣ミ [na⸢ga⸣mi] 名 眺め。見わたすこと。眺望。景色を見わたすこと。遠くをのぞむこと。ナ⸢ガ⸣ムン[na⸢ga⸣muŋ](眺める)の連用形から転成した名詞。 ナ⸢カン⸣ブレーラーヌ ナ⸢ガ⸣メー イッ⸢ケン カイ⸣ヤン [na⸢kam⸣bureːranu na⸢ga⸣meː ʔik⸢keŋ kai⸣jaŋ] (\ruby{中岡}{ナカ|モリ}からの眺めは非常に美しい) 11847 0 1 11485 htmvoc_11847.wav ナカミー ナ⸢カ⸣ミー [na⸢ka⸣miː] 名 {Mn_1}中身。内容。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢カミーヤ<⸢ミーヤ> ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃeː na⸢kamiːja<⸢miːja> ⸢naː⸣nu] (彼の話は中身はない{EOS}つまらない)。 11847 0 2 11486 htmvoc_11847.wav ナカミー ナ⸢カ⸣ミー [na⸢ka⸣miː] 名 {Mn_2}吸い物などのたね<種。汁の実>。豚の内臓の吸い物。 ナ⸢カミー⸣ヌ ⸢シームヌ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [na⸢kamiː⸣nu ⸢ʃiːmunu⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (豚の内臓の吸い物を出しなさい) 11849 0 0 11487 htmvoc_11849.wav ナカミーヌシームヌ ナ⸢カミー⸣ヌ ⸢シームヌ [na⸢kamiː⸣nu ⸢ʃiːmunu] 連 豚の内臓の吸い物。沖縄本島方言からの借用語。 ナ⸢カミー⸣ヌ ⸢シームヌ⸣ナー ピ⸢バツ⸣ン イ⸢ル⸣カー ン⸢マー⸣ン [na⸢kamiː⸣nu ⸢ʃiːmunu⸣naː pi⸢ba⸣ʦuŋ ʔi⸢ru⸣kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (中身の吸い物にヒハツ<胡椒>を入れると美味しい) 11897 0 0 11488 htmvoc_11897.wav ナガミク ナ⸢ガミ⸣ク [na⸢gami⸣ku] 名 長め句。アーパーレー歌等の歌謡で前半部を「ゆったりした調子で歌う句」の意。 ⸣アーパーレーナー ナ⸢ガミク⸣トゥ ハ⸢ヤミク⸣ヌ アン⸢ダー [⸣ʔaːpaːreːnaː na⸢gamiku⸣tu ha⸢jamiku⸣nu ʔan⸢daː] (アーパーレー歌には、ゆったりした調子の長め句とテンポの速い早め句があるよ) 11848 0 0 11489 htmvoc_11848.wav ナガミクー ナ⸢ガミ⸣クー [na⸢gami⸣kuː] 名 古謡アーパーレー(新室寿歌)のメメロディーの一つ。前半のゆったりした歌い方。 ⸣アーパーレーヤ パ⸢ジメー⸣ ナ⸢ガミ⸣クーシ イ⸢ゾー⸣リティ ⸣アトーケー パ⸢ヤミ⸣クシル イ⸢ゾー⸣ル [⸣ʔaːpaːreːja pa⸢ʤimeː⸣ na⸢gami⸣kuːʃi ʔi⸢ʣoː⸣riti ⸣ʔatoːkeː pa⸢jami⸣kuːʃiru ʔi⸢ʣoː⸣ru] (新室寿歌アーパレーは、初めはナガミクで歌われて、後になるとハヤミクで歌われる) 11850 0 0 11490 htmvoc_11850.wav ナカミチ ナ⸢カ⸣ミチ [na⸢ka⸣miʧi] 名 真ん中の道。「中道」の義。旧鳩間郵便局の前を東西に走る道。この道を境に、上の方を⸢ウイヌムラ[⸢ʔuinumura](上の村)といい、下の方を、ス⸢モー[su⸢moː](下の方)といっていた。 ナ⸢カ⸣ミチェーラ ⸢ウイヤー ウイヌムラ⸣ティル ア⸢ゾーッタ⸣ル [na⸢ka⸣miʧeːra ⸢ʔuijaː ʔuinumura⸣tiru ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (中道から上の方を上の村といわれたよ)。 ⸢ウイヌムラ プス [⸢ʔuinumura pu̥su] (上の村人) 11851 0 0 11491 htmvoc_11851.wav ナガミルン ナ⸢ガミ⸣ルン [na⸢gami⸣ruŋ] 他動 眺める。見渡す。 ⸣マンター ナ⸢ガミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ キー⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣シティ ナ⸢ガミララ⸣ヌ [⸣mantaː na⸢gami⸣runti ⸢sundu kiː⸣nu ⸢muikaba⸣ʃi̥ti na⸢gamirara⸣nu] (前方を眺めようとするが、木々が生い茂って眺められない)。 ⸣クマーラー ナ⸢ガミ ヤッ⸣サン [⸣kumaːraː na⸢gamijas⸣saŋ] (ここからは眺めやすい)。 ナ⸢ガミ⸣ル プ⸢ソー パー⸣ク ナ⸢ガミ⸣リ [na⸢gami⸣ru pu̥⸢soː paː⸣ku na⸢gami⸣ri] (眺める人は早く眺めなさい)。 ナ⸢ガミ⸣レー ⸣ミサムヌ [na⸢gami⸣reː ⸣misamunu] (眺めれば良いのに)。/パ⸢トゥ⸣マナカムリ パ⸢リヌブ⸣リ ユ⸢ム⸣ヌ ⸢キシキユ⸣ ナ⸢ガムリ⸣バ イ⸢ヌチ⸣ ナ⸢ガカル⸣ ク⸢バヌシタ<囃子省略>/(鳩間なかもり<中岡>を駆け登って、四方の景色を眺めると命が長くなるように素晴らしい蒲葵の下の眺めだ)『鳩間島古典民謡古謡集』 11898 0 0 11492 htmvoc_11898.wav ナカムカシ ナ⸢カムカ⸣シ [na⸢kamuka⸣ʃi] 名 中昔。⸢ウームカシ[⸢ʔuːmukaʃi](大昔)とマ⸢ナ⸣マ[ma⸢na⸣ma](今{EOS}現在)の中間。曾祖父母の世代。 ナ⸢カムカ⸣シェーラル ⸢ウン⸣ネーヤ サ⸢カレー⸣ティ⸢ダー [na⸢kamuka⸣ʃeːraru ⸢ʔun⸣neːja sḁ⸢kareː⸣ti⸢daː] (曾祖父母の世代からがあの家は繁昌したそうだよ) 11852 0 1 11493 htmvoc_11852.wav ナガムティ ナ⸢ガムティ [na⸢gamuti] 名 {Mn_1}長持ち。長く維持、保存されること。古老は、⸢ナームティ[⸢naːmuti](長持ち)という。 ⸢ダイヤー⸣ タ⸢カー⸣タンティン ナ⸢ガムティ スー⸣ ム⸢ヌ⸣バ ⸢カウワー⸣ マ⸢シ [⸢daijaː⸣ ta⸢kaː⸣tantin na⸢gamuti suː⸣ mu⸢nu⸣ba ⸢kauwaː⸣ ma⸢ʃi] (値段は高くても長持ちするのを買った方がよい)。 ナ⸢ガムテー シーユーサヌ [na⸢gamuteː ʃiːjuːsanu] (長持ちはし得ない)。 11852 0 2 11494 htmvoc_11852.wav ナガムティ ナ⸢ガムティ [na⸢gamuti] 名 {Mn_2}長命すること。長く生きること。 ク⸢ヌ ヤン⸣マイ カ⸢カ⸣ルカー ナ⸢ガムティ(ナームティ)サン⸣ツォー [ku⸢nu jam⸣mai kḁ⸢ka⸣rukaː na⸢gamuti(⸢naːmuti)san⸣ʦoː] (この病気に罹ると長生きできないそうだ) 11853 0 0 11495 htmvoc_11853.wav ナガムヌ ナ⸢ガ⸣ムヌ [na⸢ga⸣munu] 名 ハブ(毒蛇)の隠語。「長もの」の義。⸢カン⸣フチ[⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi](祝詞{EOS}神口)で、直接にハブを表出することはタブーたされ、それを避けて言う語 11854 0 0 11496 htmvoc_11854.wav ナカムル ナ⸢カ⸣ムル [na⸢ka⸣muru] 名 一合枡。 イ⸢チンゴーナカ⸣ムルシ サ⸢キ⸣ パ⸢カ⸣リ ⸢カーシタ [ʔi⸢ʧiŋgoːnaka⸣muruʃi sḁ⸢ki⸣ pḁ⸢ka⸣ri ⸢kaːʃita] (一合枡で酒を計って売った)。 ⸢イッス⸣サー [⸢ʔissu⸣saː] (一升枡)。 ⸢グンゴーナカ⸣ムルティン ⸢アッ⸣タン [⸢guŋgoːnaka⸣murutiŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (五合枡というのもあった) 11855 0 0 11497 htmvoc_11855.wav ナガムン ナ⸢ガ⸣ムン [na⸢ga⸣muŋ] 他動 眺める。「眺む<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸣クマーラ ナ⸢ガ⸣ムンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ナ⸢ガマラ⸣ヌ [⸣kumaːra na⸢ga⸣munti ʔu⸢muːn⸣du na⸢gamara⸣nu] (ここから眺めようと思うが眺められない)。 ナ⸢ガミ⸣ プサカー ナ⸢ガ⸣ミバ [na⸢gami⸣ pu̥sakaː na⸢ga⸣miba] (眺めたければ眺めなさいよ)。 ナ⸢ガ⸣ム プ⸢ソー⸣ ナ⸢ガ⸣メー ⸣ミサムヌ [na⸢ga⸣mu pu̥⸢soː⸣ na⸢ga⸣meː ⸣misamunu] (眺める人は眺めればいいのに) 11856 0 0 11498 htmvoc_11856.wav ナカヤー ⸣ナカヤー [⸣nakajaː] 名 真中の家。⸢中家」の義。ウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](母屋)と⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事後屋)の間にあった小屋。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢ブヤー⸣トゥ ⸢トーラ⸣ヌ ⸣アイナー ⸣ナカヤーヌ ⸢アッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢bujaː⸣tu ⸢toːra⸣nu ⸣ʔainaː ⸣nakajaːnu ⸢ʔat⸣taŋ] (昔は母屋と炊事小屋の間に中家があった) 11857 0 0 11499 htmvoc_11857.wav ナカヤドゥ ナ⸢カ⸣ヤドゥ [na⸢ka⸣jadu] 名 座敷を区切る板張りの戸。「中戸」の義。古い家には一番座と二番座の間に板戸を立てて、ナ⸢カ⸣ヤドゥ[na⸢ka⸣jadu](中戸)と称していた。 ク⸢ヌ⸣ ナ⸢カ⸣ヤドー ⸢キャーンギイツァ⸣シル パ⸢ラリ ブー [ku⸢nu⸣ na⸢ka⸣jadoː ⸢kjaːŋgiʔiʦa⸣ʃiru pa⸢rari buː] (この中戸はイヌマキ<槇>の板で<ぞ>張られている) 11858 0 0 11500 htmvoc_11858.wav ナカヤニヤン ⸣ナカ ヤ⸢ニ⸣ヤン [⸣naka ja⸢ni⸣jaŋ] 連 仲が悪い。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ナカ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ⸣ミリ ブ⸢ララヌ [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ naka ja⸢nija⸣nu ⸣miri bu⸢raranu] (彼ら二人は仲が悪くて見ておられない) 11859 0 0 11501 htmvoc_11859.wav ナカヤビ ナ⸢カ⸣ヤビ [na⸢ka⸣jabi] 名 中年になって身を持ち崩すこと。青年後期に素行がみだれること。ナ⸢カヤブ⸣リ[na⸢kajabu⸣ri](中破れ)ともいう。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ヤ⸢ビ⸣ムノー ⸢ノーサリ⸣ヌ ナ⸢カ⸣ヤビ ⸢スー⸣ プ⸢ソー ノーサラン⸣ティ ア⸢ザリ ブー [ja⸢rabi⸣nu ja⸢bi⸣munoː ⸢noːsari⸣nu na⸢ka⸣jabi ⸢suː⸣ pu̥⸢soː noːsaran⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (子供のぐれた者は矯正できる<直される>が中年になって身を持ち崩したものは矯正出来ないといわれている) 11834 0 0 11502 htmvoc_11834.wav ナガヤブリ ナ⸢ガヤブリ [na⸢gajaburi] 名 長期悪天候。長期間天候が悪くなること。「長破れ」の義。 ⸢オーシキヌ⸣ ナ⸢ガヤブリシティ⸣ カ⸢ツシンマー⸣ イ⸢ソー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥kinu⸣ na⸢gajaburi⸣ ʃi̥⸢ti⸣ kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔi⸢soː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (天候が長期悪天候になって<長敗れして>、カツオ漁船は出漁できない) 11860 0 0 11503 htmvoc_11860.wav ナガヤン ナ⸢ガヤン [na⸢gajaŋ] 名 長患い。⸢長病み」の義。普通は⸢ナーヤン[⸢naːjaŋ](長患い{EOS}長病み)という。 ナ⸢ガヤン⸣ シ⸢ティル⸣ ドゥーヨーリ ⸢シー⸣ ア⸢ラキユーサ⸣ヌ [na⸢gajaŋ⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ duːjoːri ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢rakijuːsa⸣nu] (長患いをして<ぞ>すっかり衰弱<体弱りして>し、歩くことが出来ない<歩き得ない) 11862 0 0 11504 htmvoc_11862.wav ナカユー ナ⸢カ⸣ユー [na⸢ka⸣juː] 名 「なかよ(中世)」の義。⸢ウームカシ[⸢ʔuːmukaʃi](大昔{EOS}鼻祖の世代)とイ⸢マ⸣ユー[ʔi⸢ma⸣juː](現代<今世>)との中間の時代。ほぼ曾祖父の時代に相当する世代。 ⸢ウン⸣ネーヤ ナ⸢カ⸣ユーナ ⸢キー⸣ル サ⸢カレー⸣ダー [⸢ʔun⸣neːja na⸢ka⸣juːna ⸢kiː⸣ru sḁ⸢kareː⸣daː] (あの家は中世の時代に栄えたのだよ) 11861 0 0 11505 htmvoc_11861.wav ナガユー ナ⸢ガユー [na⸢gajuː] 名 長寿。長い寿命。長生きすること。「長い世」の義。 ⸣アッパー イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢ガユー⸣ シ⸢キ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸣ʔappaː ʔik⸢kena⸣ na⸢gajuː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (お祖母さんは非常に長寿になっておられる<長寿がついておられる>) 11863 0 0 11506 htmvoc_11863.wav ナカユークイ ナ⸢カユー⸣クイ [na⸢kajuː⸣kui] 名 中休み。途中休憩。「中憩い」の義。 ⸢サー⸣ヤンツァン ⸣ヌミ ナ⸢カユー⸣クイ シ⸢ティ⸣ マ⸢タ カイ⸣サ⸢ディー [⸢saː⸣janʦan ⸣numi na⸢kajuː⸣kui ʃi̥⸢ti⸣ ma⸢ta kai⸣sa⸢diː] (お茶でも飲んで中休みをとって、また耕そうよ) 11899 0 0 11507 htmvoc_11899.wav ナカユッカ ナ⸢カユッ⸣カ [na⸢kajuk⸣ka] 名 中床板。 ナ⸢カユッ⸣カー ピ⸢ソー⸣ンダ ミ⸢ツァール⸣ ビ⸢ラリン [na⸢kajuk⸣kaː pi̥⸢soː⸣nda mi⸢ʦaːru⸣ bi⸢rariŋ] (中床は広いから三人座れる)。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)の中央部の床板。 ナ⸢カユッ⸣カー ⸢パンツァシティ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ナ⸢カフク⸣ルナー ⸣ニー シ⸢ミ⸣バ [na⸢kajuk⸣kaː ⸢panʦaʃi̥ti⸣ ɸu⸢ni⸣nu na⸢kaɸuku⸣runaː ⸣niː ʃi⸢mi⸣ba] (中床板を外して、舟の中央部に荷物を積みなさい) 11865 0 0 11508 htmvoc_11865.wav ナカラ ナ⸢カ⸣ラ [na⸢ka⸣ra] 名 半分。なかば。途中。「Nacara.ナカラ(半ら)どんな物にもせよ、その半分の量」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢ブナカラ [ʔu⸢bunakara] (七割程度{EOS}大半{EOS}「大なから」の義)。 イ⸢ミナカ⸣ラ [ʔi⸢minaka⸣ra] (半分以下{EOS}三分の一程度{EOS}イ⸢ミ{SqBr}ʔi⸢mi{/SqBr}は「少ない」の義)。 ナ⸢カラ⸣バタ [na⸢kara⸣bata] (腹半分{EOS}軽く食事をすること)。 ナ⸢カラ⸣ニー [na⸢kara⸣niː] (船の半分荷を積むこと)。 ミ⸢チナカ⸣ラ [mi⸢ʧinaka⸣ra] (道の途中)。 ミ⸢ジカメー⸣ ナ⸢カ⸣ラ ⸣ナリ ⸢ナーン⸣バ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ミ⸣ クー [mi⸢ʤikameː⸣ na⸢ka⸣ra ⸣nari ⸢naːm⸣ba mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢mi⸣ kuː] (水甕は半分になってしまったので水を汲んでこい) 11873 0 0 11509 htmvoc_11873.wav ナガラ ⸢-ナガラ [⸢-nagara] 接助 ~ながらも。~つつも。上接語動詞の同時進行を表しつつ、前件と後件が逆の結果となる逆接の意味を表す。 ⸣アイ ⸢スー⸣カー<ア⸢ス⸣カー> ⸢ワッ⸣サンティ ッ⸢シナガラ⸣<ッ⸢シブリティ⸣> ヌンティ ⸣ウヌヨーナ ク⸢トゥ⸣バ ⸢スーワ [⸣ʔai suː⸣kaː<ʔa⸢su⸣kaː> was⸣santi ʃ⸢ʃinagara⸣<ʃ⸢ʃiburiti⸣> nunti ⸣ʔunujoːna ku̥⸢tu⸣ba ⸢suːwa] (そうすれば悪いと知りながら、何故あのようなことをするのか) 11874 0 0 11510 htmvoc_11874.wav ナガライルン ナ⸢ガライルン [na⸢garairuŋ] 自動 生き永らえる。長生きする。 イ⸢クサ⸣ユーナ シ⸢トゥッチ⸣ヌナル ッ⸢ふァイヤー⸣ティン ⸣ヌチ ナ⸢ガライルンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ナ⸢ガライラランシェン⸣ツォー [ʔi⸢kusa⸣juːnaː ʃi̥⸢tutʧi⸣nunaru f⸢faijaː⸣tin ⸣nuʧi na⸢garairunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ na⸢garairaraŋʃen⸣ʦoː] (戦争中、蘇鉄の実を食べてでも生きながらえようとしたが、生き永らえられなかったそうだ)。 ⸣バー ヤ⸢ラバン⸣ ヌチ ナ⸢ガライ⸣ ミサカー ナ⸢ガライル⸣ クトー ⸣ナルン [⸣baː ja⸢raban⸣ nuʧi na⸢garai⸣ misakaː na⸢garairu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (私でも生き永らえてよければ、生き永らえることは出来る)。 ⸢トー⸣カキ ⸢バー⸣ケー ⸣ヌチ ナ⸢ガライヤー⸣ ミサムヌ [⸢toː⸣kaki ⸢baː⸣keː ⸣nuʧi na⸢garaijaː⸣ misamunu] (米寿<斗掻>までは生き永らえればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ヌチ ナ⸢ガライリ [jaː⸢din⸣ nuʧi na⸢garairi] (必ず命を生き永らえよ) 11876 0 0 11511 htmvoc_11876.wav ナカラウイプス ナ⸢カラウイ⸣プス [na⸢karaʔui⸣pu̥su] 名 初老。「半ば老人」の義。 ⸢グン⸣ズー ⸢クイルター⸣ ドゥーン ⸢ヨー⸣リティ ⸣メー ナ⸢カラウイ⸣プス ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢gun⸣ʣuː ⸢kuirutaː⸣ duːɲ ⸢joː⸣riti na⸢karaʔui⸣pu̥su ⸣nairi ⸢naː⸣nu] (五十歳を越えたので体も弱って初老<半ば老人>になってしまった) 11875 0 0 11512 htmvoc_11875.wav ナガラウン ナ⸢ガラウン [na⸢garauŋ] 自動 生き永らえる。長生きする。「永らふ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ナ⸢ガラウンティ スンドゥ⸣ ナ⸢ガラーラヌ [na⸢garaunti sundu⸣ na⸢garaːranu] (永らえようとするが、永らえられない)。 ⸢ドゥー⸣ヌサーギ ナ⸢ガライ⸣ プサカー ナ⸢ガラウ⸣ クトー ナ⸢リ⸣シバ イ⸢ジン⸣ジ ナ⸢ガライ⸣ヨー [⸢duː⸣nusaːgi na⸢garai⸣ pu̥sakaː na⸢garau⸣ ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ʔi⸢ʤin⸣ʤi na⸢garai⸣joː] (自分がさえ長生きしたいなら、長生きすることは出来るから、しっかり長生きしなさいよ) 11877 0 0 11513 htmvoc_11877.wav ナガラク ナ⸢ガラク [na⸢garaku] 副 長らく。長期に。老年層は⸢ナー⸣サ[⸢naː⸣sa](長らく{EOS}長く)ともいう。 ⸣ヌンティ ナ⸢ガラク⸣ ミ⸢ララン⸣シェンワ [⸣nunti na⸢garaku⸣ mi⸢raraŋ⸣ʃeŋwa] (何故に長らく姿を見せなかった<見えなかった>のか)。 ⸣カイブ ミ⸢ジラシ⸣ ムノー ナ⸢ガラク⸣ ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [⸣kaibu mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣munoː na⸢garaku⸣ miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (こんなに珍しいものは長らく見てみなかった) 11878 0 0 11514 htmvoc_11878.wav ナカラタティ ナ⸢カラ⸣タティ [na⸢kara⸣tḁti] 名 中腰。「半ら立ち」の義。 ⸢パンタ⸣サール ⸣バソー ナ⸢カラ⸣タティ ⸢シェー⸣ティル ⸣ムヌーン ン⸢コーッタ⸣ル ビ⸢ル⸣ ピ⸢マーナー⸣ト ⸢ナーン⸣シェン [⸢panta⸣saru ⸣basoː na⸢kara⸣tḁti ⸢ʃeː⸣tiru ⸣munuːŋ ʔŋ⸢koːtta⸣ru bi⸢ru⸣ pi⸢maːnaː⸣to ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (忙しい<繁多さある>時は中腰<半ら立ち>しながら食事<もの>も召し上がられたものだ{EOS}座る暇などなかったよ) 11868 0 0 11515 htmvoc_11868.wav ナカラニー ナ⸢カラ⸣ニー [na⸢kara⸣niː] 名 半分荷。船に積載量の半分しか積載しないこと。⸢マン⸣シン[⸢maŋ⸣ʃiŋ](満船)の反義語。 ⸢ウンパンシン⸣マー ナ⸢カラ⸣ニー ⸢シェー⸣テー ⸢モーカラ⸣ヌ [⸢ʔumpaŋʃim⸣maː na⸢kara⸣niː ⸢ʃeː⸣teː ⸢moːkara⸣nu] (運搬船は半分荷<積載量の半分を積載すること>をして運行しては儲からない) 11870 0 0 11516 htmvoc_11870.wav ナカラバタ ナ⸢カラ⸣バタ [na⸢kara⸣bata] 名 腹半分。腹五分。半分満ちたお腹。「半分腹」の義。 ナ⸢カラ⸣バタシェー ⸢ターシグ⸣トー ナ⸢ラ⸣ヌ バ⸢タ⸣ミチ ッ⸢ふァーシ [na⸢kara⸣bataʃeː ⸢taːʃigu⸣toː na⸢ra⸣nu ba⸢ta⸣miʧi f⸢faːʃi] (腹半分食べては田圃仕事は出来ない{EOS}満腹<腹満ち>食べさせなさい)。 ⸢イー⸣ヤ バ⸢タ⸣ミツンケン ッ⸢ふァームティ⸣  ナ⸢カラ⸣バタ ッ⸢ふァイヤー⸣テー ⸢ターシグ⸣トー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ja ba⸢ta⸣miʦuŋkeŋ f⸢faːmuti⸣ na⸢kara⸣ba f⸢faijaː⸣teː ⸢taːʃigu⸣toː na⸢ra⸣nu] (ご飯は満腹するまで食べないで、腹半分に食べては田圃仕事は出来ない) 11869 0 0 11517 htmvoc_11869.wav ナカラフニ ナ⸢カラ⸣フニ [na⸢kara⸣ɸuni] 名 積載量の半分しか積んでない船。 ⸢パイター⸣ラー カ⸢ラ⸣フニシェー ⸢オーラン⸣シェン ナ⸢カラ⸣フニ ヤ⸢ラバン⸣ ヤー⸢ディン⸣ タ⸢ム⸣ノー ⸣キシティル ⸢ヌーシ オーッタ⸣ル [⸢paitaː⸣raː ka⸢ra⸣ɸuniʃeː ⸢ʔoːraŋ⸣ʃeŋ na⸢kara⸣ɸuni ja⸢raban⸣ jaː⸢din⸣ ta⸢mu⸣noː ⸣ki̥ʃitiru ⸢nuːʃi ʔoːtta⸣ru] (西表<南端>からは空船では帰ってこられなかった{EOS}半分荷を積んだ船であっても、必ず薪になる木を伐って積載して来られた) 11872 0 0 11518 htmvoc_11872.wav ナカラミチ ナ⸢カラ⸣ミチ [na⸢kara⸣miʧi] 名 半分道。道半ば。 ク⸢マーバー⸣キ ⸣クーカー ナ⸢カラ⸣ミチェー ⸢キー⸣ブ ⸣パジ [ku⸢maːbaː⸣ki ⸣kuːkaː na⸢kara⸣miʧeː ⸢kiː⸣bu ⸣paʤi] (こっこまで来れば、半分道は来ているはずだ) 11881 0 0 11519 htmvoc_11881.wav ナカラムヌ ナ⸢カラ⸣ムヌ [na⸢kara⸣munu] 名 感情の激しやすい人。粗暴な性格の人。度量の狭い者。「半分程度の人」の義。 ウ⸢レー⸣ ナ⸢カラ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ クン⸣ゾー ウ⸢クラス⸣ナ⸢ヨー [ʔu⸢reː⸣ na⸢kara⸣munu ja⸢runda kun⸣ʣoː ʔu⸢kurasu⸣na⸢joː] (彼は粗暴な性格の人だから、怒らすなよ) 11882 0 0 11520 htmvoc_11882.wav ナカラヤビ ナ⸢カラ⸣ヤビ [na⸢kara⸣jabi] 名 中途半端に身を持ち崩すこと。中途半端な不良。 ⸢ソーヤビ シェー⸣ ブ⸢ラーヌ⸣ ナ⸢カラヤビ⸣ル ヤ⸢リバ⸣ マ⸢ナ⸣マン⸢デー⸣カー ⸢ノーサ⸣リン [⸢soːjabi ʃeː⸣ bu⸢raːnu⸣ na⸢karajabi⸣ru ja⸢riba⸣ ma⸢na⸣man⸢deː⸣kaː ⸢noːsa⸣riŋ] (完全に不良になってはいない{EOS}中途半端な不良だから、今ならば矯正できる) 11883 0 0 11521 htmvoc_11883.wav ナガリ ナ⸢ガ⸣リ [na⸢ga⸣ri] 名 流れ。⸢ナー⸣リ[⸢naː⸣ri](流れ)ともいう。 ⸢カーラヌ⸣ ミ⸢ジヌ⸣ ナ⸢ガリ⸣ヌ ⸢スー⸣ワー ウ⸢ブ⸣ミジェーラン ⸢ケーダガーラ⸣ル ⸢スー⸣ワツォー [⸢kaːranu⸣ mi⸢ʤinu⸣ na⸢gari⸣nu ⸢suː⸣waː ʔu⸢bu⸣miʤeːraŋ ⸢keːdagaːra⸣ru ⸢suː⸣waʦoː] (川の水の流れの強いのは大見謝川よりもケーダ川が強いそうだ) 11900 0 0 11522 htmvoc_11900.wav ナガワチライ ナ⸢ガワチライ [na⸢gawaʧirai] 名 長患い。長期間病気になること。「長患い」の転訛したもの。 ⸣アッパー マ⸢ナマー⸣キン ッ⸢サーク⸣バ ナ⸢ガワチライ シー オー⸣ル [⸣ʔappaː ma⸢namaː⸣kin s⸢saːku⸣ba na⸢gawaʧirai ʃiː ʔoː⸣ru] (お祖母さんは、今まで咳を長患いしておられる)。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アブジェー バ⸢タ⸣ヌヤンシ ナ⸢ガワチライ シーオーッタン⸣ドゥ ⸢ヤータ⸣シ ⸢マーラソー⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔabuʤeː ba⸢ta⸣nujaŋʃi na⸢gawaʧirai ʃiː ʔoːttan⸣du ⸢jaːta⸣ʃi ⸢maːrasoː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (あの家のお祖父さんはお腹の病気で長患いをしておられたが、その後、間もなくして亡くなってしまわれた) 11901 0 0 11523 htmvoc_11901.wav ナカワリ ナ⸢カ⸣ワリ [na⸢ka⸣wari] 名 鰹節製造過程で、生のカツオを三枚おろしにして、その上身と下身を更に半分に切り分けること。 カ⸢ツォー⸣ ク⸢バンマー⸣ ナ⸢カ⸣ワリ サ⸢ランダ⸣ カ⸢ミブ⸣シ ナ⸢ソーッタ [kḁ⸢ʦoː⸣ ku⸢bammaː⸣ na⸢ka⸣wari sa⸢randa⸣ ka⸢mibu⸣ʃi na⸢soːt⸣ta] (カツオは、小判は中割りできないからカメブシ<亀節>にされた) 11902 0 0 11524 htmvoc_11902.wav ナカングシチ ナ⸢カングシ⸣チ [na⸢kaŋguʃi̥⸣ʧi] 名 屋号。久しく空屋敷となっていたが、1957年ごろの一時期、そこに鳩間青年団が会館を建築し、青年団研修の場所として利用され、部落常会などにも使用されていた所 11903 0 0 11525 htmvoc_11903.wav ナカンテー ナ⸢カン⸣テー [na⸢kan⸣teː] 名 屋号。仲本長栄氏宅。仲本家。フ⸢シ⸣マヤー[ɸu̥⸢ʃi⸣majaː](黒島家)ともいう。ナ⸢カン⸣テー[na⸢kan⸣teː]は、ナ⸢カン⸣トゥ[na⸢kan⸣tu](仲本)に接尾辞⸣テー[⸣teː](<~の家>{EOS}接尾語⸣~ヤー{SqBr}⸣~jaː{/SqBr}が前接語の末尾母音と音韻の融合変化を起こして、⸣~テー{SqBr}⸣~teː{/SqBr}となったもの)が付い生成された合成語。屋号の語構成法から、黒島系統の古い移住者の屋号と考えられる。 ⸢インヌカーヤ⸣ ナ⸢カン⸣テーヌ プ⸢スヌル カーヌ ニンガイ⸣ヤー ⸢シー オーッ⸣タ [⸢ʔinnukaːja⸣ na⸢kan⸣teːnu pu̥⸢sunuru kaːnu niŋgai⸣jaː ⸢ʃiː ʔoːt⸣ta] (インヌカー<西の村井戸>は仲本家の人が井戸の祈願をしておられた)。 ナ⸢カン⸣テーヌ ⸢ヤシ⸣ケー フ⸢シ⸣マヤーティル アル⸢ダー [na⸢kan⸣teːnu ⸢jaʃi̥⸣keː ɸu̥⸢ʃi⸣majaːru ʔaru⸢daː] (仲本家の屋敷名は黒島家と<ぞ>あるのだよ) 11904 0 0 11526 htmvoc_11904.wav ナカンテーヌヤシキ ナ⸢カン⸣テーヌ ⸢ヤシ⸣キ [na⸢kan⸣teːnu ⸢jaʃi̥⸣ki] 連 屋敷名。空き屋敷。 ア⸢ラブシケーヌ⸣ シンタヌ ⸢ヤシキバ⸣ル ナ⸢カン⸣テヌ ⸢ヤシ⸣キティ ア⸢ゾー⸣ル [ʔa⸢rabuʃi̥keː⸣nu ⸣ʃintanu ⸢jaʃikiba⸣ru na⸢kan⸣tenu ⸢jaʃi̥⸣kiti ʔa⸢ʣoː⸣ru] (大工家<東大城家>の後ろの屋敷を仲本家の屋敷とおっしゃる) 11906 0 0 11527 htmvoc_11906.wav ナカンブレ ナ⸢カン⸣ブレ [na⸢kam⸣bure] 名 地名。なかもり(中岡)。明治期に作成された古地図では「仲盛」と表記されている。従来は「中森」の表記が通用している。しかし、鳩間方言では、ム⸢ル[mu⸢ru](岡)は「土地の盛り上がった所」の意味である。「森」を意味する鳩間方言は、⸣ウガンヤマ[⸣ʔugaŋjama](御嶽の森<山>)、パ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓の森<山>)などのように、⸣ヤマ[⸣jama](山{EOS}林)といっている。従って、島の中央部が盛り上がっている意味のナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure]は、「中岡」と表記することが正しい。 マ⸢ナ⸣マー ナ⸢カン⸣ブレナー ⸢トーダイ⸣ヌ ア⸢ルン⸣ドゥ ム⸢カ⸣シェー ⸣ウマー ク⸢バヤマ ヤッタ⸣ツォー [ma⸢na⸣maː na⸢kam⸣burenaː ⸢toːdai⸣nu ʔa⸢run⸣du mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔumaː ku⸢bajama jatta⸣ʦoː] (今は中岡には灯台があるが、昔は、そこはクバ<蒲葵>林だったそうだ) 11905 0 0 11528 htmvoc_11905.wav ナカンマ ⸣ナカンマ [⸣nakamma] 名 中の姉。⸣ナカアンマ[⸣nakaʔamma](中の姉)の転訛<約言>したもの。 ⸣ナカンマーヤ ⸢ホン⸣マー ⸢ウシ⸣トゥ ⸣ナルシジ [⸣nakammaːja ⸢hom⸣maː ⸢ʔuʃi̥⸣tu ⸣naru ⸣ʃiʤi] (中の姉は長姉の妹になるわけだ) 11889 0 0 11529 htmvoc_11889.wav ナキアカスン ナ⸢キアカスン [na⸢kiakasuŋ] 自動 泣き明かす。一晩中泣き続けて夜を明かす。 ッ⸢ふァヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイ ナー⸢イ⸣ ナ⸢キアカスン⸣ツォー [f⸢fanu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸣ʔumui naː⸢i⸣ na⸢kiʔakasun⸣ʦoː] (子供のことをおもって、ずっと泣き明かすそうだ)。 イ⸢チンマー⸣ ナ⸢キアカス⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌヌ ⸣ユベー ナ⸢キアカシ ナーン⸣シェン [ʔi⸢ʧimmaː⸣ na⸢kiʔakasu⸣ku̥toː ⸢naː⸣nunu ⸣jubeː na⸢kiʔakaʃi naːŋ⸣ʃeŋ] (日頃<いつも>は泣き明かすことはないが、昨夜は泣き明かしてしまった)。 ナ⸢キアカシ⸣バ [na⸢kiʔakaʃi⸣ba] (泣き明かせよ)。 ⸢ピーズ⸣ ナ⸢キアカシ ベー [⸢piːʣu⸣ na⸢kiʔakaʃi beː] (毎日泣き明かしている)。 ナ⸢キアカシェー⸣ ミサムヌ [na⸢kiʔakaʃeː⸣ misamunu] (泣き明かせばいいのに) 11890 0 0 11530 htmvoc_11890.wav ナキアザ ナ⸢キアザ [na⸢kiaʣa] 名 泣きぼくろ。目にあるほくろ。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ ナ⸢キアザヌ⸣ アンダ ノー⸢シン⸣ ナ⸢キブサー⸣ ヤ⸢ル⸣ パジ [ʔu⸢nu ffaː⸣ na⸢kiʔaʣanu⸣ ʔanda noː⸢ʃin⸣ na⸢kibusaː⸣ ja⸢ru⸣ paʤi] (あの子は泣きぼくろがあるから、きっと泣き虫だろう<泣き虫であるはず>) 11907 0 0 11531 htmvoc_11907.wav ナキカカルン ナ⸢キカカルン [na⸢kikakaruŋ] 自動 泣きかかる。泣きつく。 ⸣ウヤ ⸣ミルカー ナ⸢キカカルンティ スンダ⸣ ミ⸢ラサン⸣センドゥ ッ⸢ふァ⸣ムレーナ ナ⸢ラウター⸣ル ヤ⸢ル⸣ユー ナ⸢キカカランシェン [⸣ʔuja ⸣mirukaː na⸢kikakarunti sunda⸣ mi⸢rasaŋ⸣ʃendu f⸢fa⸣mureːna na⸢rautaː⸣ru ja⸢ru⸣juː na⸢kikakaraŋʃeŋ] (親を見ると泣きつくというので見せなかったが、子守に馴れたからだろうか、泣きつかなかった)。 ナ⸢キカカリティ フッサー⸣リ ナ⸢ラン⸣シェンド イ⸢チンマー⸣ ナ⸢キカカル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [na⸢kikakariti ɸussaː⸣ri na⸢raŋ⸣ʃendu ʔi⸢ʧimmaː⸣ na⸢kikakaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (泣きつき、しがみ付いてどうにもならなかったが、日頃<いつも>は泣きつくことはない)。 ナ⸢キカカレー⸣ ミサムヌ [na⸢kikakareː⸣ misamunu] (泣きつけばいいのに)。 ナ⸢キカカリ [na⸢kikakari] (泣きつけ) 11909 0 0 11532 htmvoc_11909.wav ナキグイ ナ⸢キグイ [na⸢kigui] 名 泣き声。動物の鳴き声。老年層は、ナ⸢キングイ[na⸢kiŋgui](鳴き声{EOS}泣き声)ともいう。 ⸢イン⸣ヌ ナ⸢キグイヌ⸣ シゥ⸢カリン [⸢ʔin⸣nu na⸢kiguinu⸣ sï̥⸢kariŋ] (犬の泣き声が聞こえる) 11908 0 0 11533 htmvoc_11908.wav ナキクガルン ナ⸢キクガルン [na⸢kikugaruŋ] 自動 泣き焦がれる。思い焦がれて泣く。 プ⸢スルッふァ⸣バ シ⸢ナシティ⸣ ナ⸢キクガリ オー⸣ル [pu̥⸢suruffa⸣ba ʃi⸢naʃi̥ti⸣ na⸢kikugari ʔoː⸣ru] (一人っ子を失って<死なせて>泣き焦がれて居られる)。 ナ⸢キクガルン⸣カヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ナ⸢キクガランシェン [na⸢kikugaruŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːta⸣nu na⸢kikugaraŋʃeŋ] (泣き焦がれるかと思ったが、泣き焦がれなかった)。 ナ⸢キクガル⸣ スコー ウ⸢ムイ⸣ル ⸢オー⸣レール [na⸢kikugaru⸣su̥koː ʔu⸢mui⸣ru ⸢ʔoː⸣reːru] (泣き焦がれるほど思っておられたのだ)。 ナ⸢キクガリ⸣バ [na⸢kikugari⸣ba] (泣き焦がれなさいよ)。 ナ⸢キクガレー⸣ ミサムヌ [na⸢kikugareː⸣ misamunu] (泣き焦がれたらいいのに) 11910 0 0 11534 htmvoc_11910.wav ナキクラスン ナ⸢キクラスン [na⸢kikurasuŋ] 自動 泣き暮らす。泣いて日々を過ごす。 ッ⸢ふァ⸣ シ⸢ナシティ⸣ ナ⸢キクラシ オー⸣ル ⸣ムヌ ミ⸢リバ⸣ル キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [f⸢fa⸣ ʃi⸢naʃiti⸣ na⸢kikuraʃi ʔoː⸣ru ⸣munu mi⸢riba⸣ru ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (子供を失って<死なせて>泣き暮らして居られるのを見ると気の毒<肝痛し>なんだよ)。 ⸢ピーズ⸣ ナ⸢キクラスンティ アーカン⸣ドーシ プ⸢ストゥン⸣ ム⸢ヌパナ⸣シン ⸢スー⸣カー ナ⸢キクラス⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢piːʣu⸣ na⸢kikurasunti ʔaːkan⸣doːʃi pu̥⸢sutum⸣ mu⸢nupana⸣ʃin ⸢suː⸣kaː na⸢kikurasu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (毎日泣き暮らすということをしないで、他人とも話し合いもすれが泣き暮らすことはない)。 ナ⸢キクラシェー⸣ ミサムヌ [na⸢kikuraʃeː⸣ misamunu] (泣き暮らせばいいのに)。 ナ⸢キクラシ [na⸢kikuraʃi] (泣き暮らせ) 11891 0 0 11535 htmvoc_11891.wav ナキザマンドゥルン ナ⸢キ⸣ ザ⸢マン⸣ドゥルン [na⸢ki⸣ ʣa⸢man⸣duruŋ] 連 泣いて戸惑う。泣きすぎて途方にくれる。 ⸢アッ⸣タニ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢マーラソーッター⸣ル ⸣アイニ ナ⸢キ⸣ ザ⸢マン⸣ドゥリ ⸢ベー⸣ティムカーヤ [⸢ʔat⸣tani ʔu⸢ja⸣nu ⸢maːrasoːttaː⸣ru ⸣ʔaini na⸢ki⸣ ʣa⸢man⸣duri ⸢beː⸣timukaːja] (急に親が亡くなられたので泣いて戸惑っているのだよ) 11911 0 0 11536 htmvoc_11911.wav ナキジラ ナ⸢キジラ [na⸢kiʤira] 名 泣き顔。泣き出しそうな顔つき。「泣き面」の転訛したもの。 ⸢シン⸣シーン イ⸢ザリティ⸣ ナ⸢キジラー⸣ ナリ ⸢ベー⸣タ [⸢ʃiŋ⸣ʃiːŋ ʔi⸢ʣariti⸣ na⸢kiʤiraː⸣ nari ⸢beː⸣ta] (先生に叱られて泣き顔になっていた) 11912 0 0 11537 htmvoc_11912.wav ナキニビ ナ⸢キニビ [na⸢kinibi] 名 泣き寝。泣き寝入り。泣きながら寝入ること。 ⸣ウヤン イ⸢ザリティ イー⸣ユン ッ⸢ふァーンドー⸣シ ナ⸢キベータン⸣ドゥ ナ⸢キニビ シーナーン⸣ワー⸢ン⸣ノー [⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣariti ʔiː⸣juŋ f⸢faːndoː⸣ʃi na⸢kibeːtan⸣du na⸢kinibi ʃiːnaːŋ⸣waː⸢n⸣noː] (親に叱られて、ご飯も食べないで泣いていたが、泣き寝入りしてしまったではないか) 11925 0 0 11538 htmvoc_11925.wav ナキバカリ ナ⸢キバカリ [na⸢kibakari] 名 泣き別れ。 ウ⸢キ⸣ナー ⸣パルンティ ⸢シー⸣ ウ⸢ヤッ⸣ふァ ナ⸢キバカレー シー オーッ⸣タツォー [ʔu⸢ki⸣naː ⸣parunti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢jaf⸣fa na⸢kibakareː ʃiːru ʔoːt⸣taʦoː] (沖縄へ行くといって、親子が泣き別れをしてこられたそうだよ) 11924 0 0 11539 htmvoc_11924.wav ナキバライ ナ⸢キバライ [na⸢kibarai] 名 泣いたり笑ったり。 パ⸢ナシ⸣ヌ ⸣ドゥク ウ⸢ムッ⸣サティ ナ⸢キバライ シーベー [pa⸢naʃi⸣nu ⸣duku ʔu⸢mus⸣sati na⸢kibarai ʃiːbeː] (話があまりにも面白いので、感動して泣き笑いしている)。 ル⸢クニン⸣ヌ ッ⸢ふァン⸣ケー ナ⸢キバライバ シェー⸣ティル シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシタル [ru⸢kunin⸣nu f⸢faŋ⸣keː na⸢kibaraiba ʃeː⸣tiru sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃi̥taru] (六人の子供たちを、苦しい時は泣き、嬉しい時は笑いながら養育し成長させたものだよ) 11915 0 0 11540 htmvoc_11915.wav ナキブー ナ⸢キブー [na⸢kibuː] 名 泣き虫。ナ⸢キブサー[na⸢kibusaː](泣き虫)の卑しめた言い方。 ⸢ウンザー⸣ ナ⸢キブー⸣ ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ na⸢kaibuː⸣ nariti ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (あいつは泣き虫になって始末に負えない<養生できない>) 11926 0 0 11541 htmvoc_11926.wav ナキブガリ ナ⸢キブガリ [na⸢kibugari] 名 泣き疲れること。 ナ⸢キブガリル⸣ シ⸢タ⸣ユー ニ⸢ビナーン⸣ワー⸢ン⸣ノー [na⸢kibugariru⸣ ʃi̥⸢ta⸣juː ni⸢binaːŋ⸣waː⸢n⸣noː] (泣き疲れたのか、寝てしまったではないか)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ナーナキ シー ベータン⸣ドゥ ナ⸢キブガリ シー⸣ ニ⸢ビナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː ⸢naːnaki ʃiː beːtan⸣du na⸢kibugari ʃiː⸣ ni⸢binaː⸣nu] (子供は長泣きしていたが、泣き疲れて寝てしまった) 11927 0 0 11542 htmvoc_11927.wav ナキブガリルン ナ⸢キブガリ⸣ルン [na⸢kibugari⸣ruŋ] 自動 泣き疲れる。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ナーナキ スー⸣カー ナ⸢キブガリ⸣ルンダ ⸣アトーケー ニ⸢ビス [ja⸢ra⸣beː ⸢naːnaki suː⸣kaː na⸢kibugari⸣runda ⸣ʔatoːkeː ni⸢bisu] (子供は長泣きすると、泣き疲れするから後になっては眠るものだよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢キブガリル⸣ シ⸢タ⸣ユー ニ⸢ビナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː na⸢kibugariru⸣ ʃi̥⸢ta⸣juː ni⸢binaː⸣nu] (子供は泣き疲れをしたのか、眠ってしまった) 12009 0 0 11543 htmvoc_12009.wav ナキブサー ナ⸢キブサー [na⸢kibusaː] 名 泣き虫。ナ⸢キフチ[na⸢kiɸu̥ʧi](泣き虫)の卑称。相手を\ruby{卑}{イヤ}しめた言い方。 ⸢ウンザー⸣ ナ⸢キブサー⸣ ナリティ ン⸢メーマ⸣ イ⸢ズ⸣カー シ⸢グ⸣ ナ⸢キス [⸢ʔunʣaː⸣ na⸢kibusaː⸣ nariti ʔm⸢meːma⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢gu⸣ na⸢kisu] (あいつ<彼奴>は泣き虫野郎になって、少し叱ると、すぐ泣く)。ナ⸢キ・ムシ・ヤー[naki・muʃi・jaː] → [na⸢kibusaː] のように形成された語。 ウ⸢レー サッ⸣コー ナ⸢キブサー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢ズ⸣カー シ⸢グ⸣ ナ⸢キス [ʔu⸢reː sak⸣koː na⸢kibusaː⸣ ja⸢runda⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢gu⸣ na⸢kisu] (あれは非常に泣き虫だから、叱るとすぐ泣くよ)。 ナ⸢キブサー キュー⸣ユン マ⸢タ⸣ ナ⸢キ ベー⸣バン [na⸢kibusaː kjuː⸣jum ma⸢ta⸣ na⸢ki beː⸣baŋ] (泣き虫は、今日もまた泣いているわい) 11918 0 0 11544 htmvoc_11918.wav ナキフチ ナ⸢キフチ [na⸢kiɸu̥ʧi] 名 泣き虫。泣き味噌。ちょっとしたことにもよく泣く子。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ナ⸢キフチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢メーマヌ⸣ クトゥシン シ⸢グ⸣ ナ⸢キス [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ na⸢kiɸu̥ʧi⸣ ja⸢runda⸣ ʔm⸢meːmanu⸣ ku̥tuʃiŋ ʃi⸢gu⸣ na⸢kisu] (この子は泣き虫だから、ちょっとのことでもすぐ泣く) 11919 0 0 11545 htmvoc_11919.wav ナキマービ ナ⸢キマービ [na⸢kimaːbi] 名 泣き真似。 プ⸢スヌ⸣ ナ⸢キマービバ シー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢タース⸣ナ⸢ツォー [pu̥⸢sunu⸣ na⸢kimaːbiba ʃiː⸣ ja⸢ra⸣bi ⸢taːsu⸣na⸢ʦoː] (他人の泣き真似をして、悪ふざけをして子供の気分を損ねる<\ruby{戯}{タワ}ける>なってば) 11920 0 0 11546 htmvoc_11920.wav ナキムニ ナ⸢キムニ [na⸢kimuni] 名 泣きながら喋る言葉。泣きながら不平不満を述べること。泣きわめく<喚く>こと。「泣き物言い」の義。 ⸣アイニ ナ⸢キムニ⸣ ア⸢ザンドー⸣シ トゥ⸢クットゥ⸣シ パ⸢ナ⸣シバ [⸣ʔaini na⸢kimuni⸣ ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi tu̥⸢kuttu⸣ʃi pa⸢na⸣ʃiba] (そんなに泣きながら話すこと<泣き物言い>をしないで、落ち着いてゆっくり話しなさいよ) 11913 0 0 11547 htmvoc_11913.wav ナキヤムン ナ⸢キヤムン [na⸢kijamuŋ] 自動 泣き止む。 ン⸢マー⸣ム ッ⸢ふァース⸣カー ナ⸢キヤムン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ イッ⸢カ⸣ ナ⸢キヤマヌ [ʔm⸢maː⸣mu f⸢faːsu⸣kaː na⸢kijamuŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʔik⸢ka⸣ na⸢kijamanu] (美味しいものを食べさせたら泣き止むだろうかと思ったが、一向に泣き止まない)。 ナ⸢キヤミ ベー⸣ン [na⸢kijami beː⸣ŋ] (泣き止んでいる)。 ⸢パー⸣ク ナ⸢キヤム⸣ クトゥ [⸢paː⸣ku na⸢kija⸣mu ⸣ku̥tu] (早く泣き止むことだ)。 ナ⸢キヤメー⸣ ミサムヌ [na⸢kijameː⸣ misamunu] (泣き止めばいいのに)。 ナ⸢キヤミ⸣バ [na⸢kijami⸣ba] (泣き止めよ) 11922 0 0 11548 htmvoc_11922.wav ナキングイ ナ⸢キングイ [na⸢kiŋgui] 名 泣き声。ナ⸢キグイ[na⸢kigui](泣き声{EOS}動物の鳴き声)ともいう。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ナ⸢キングイヌ⸣ シゥ⸢カリター⸣ フ⸢タケ⸣ナ ⸢カイ⸣リ ⸢クー⸣タ [ja⸢rabi⸣nu na⸢kiŋguinu⸣ sï̥⸢karitaː⸣ ɸu̥⸢take⸣na ⸢kai⸣ri ⸢kuː⸣ta] (子供の泣き声が聞こえたので、すぐ帰ってきた) 11928 0 0 11549 htmvoc_11928.wav ナグイ ナ⸢グイ [na⸢gui] 名 うねり。風がおさまってのちも、なお暫く立っている波。「なごり(余波)」「なごろ(余波)、~潮干の奈疑<なごり>~。万、976」、「波、ナゴロ」『類聚名義抄』の転訛したもの。ウ⸢ブ⸣ナン[ʔu⸢bu⸣naŋ](大波)ともいう。 ヨー⸢ヨー オーラーラ⸣ ナ⸢グイヌ ユーシ⸣ クン⸢ドー⸣ フネー ッ⸢ソーマー マーシ [joː⸢joː ʔoːraːra⸣ na⸢guinu juːʃi⸣ kun⸢doː⸣ ɸuneː s⸢somaː maːʃi] (それそれ、よく気を付けろよ{EOS}風上の方から大波が寄せてくるぞ{EOS}船は風下の方へ回せ) 11929 0 0 11550 htmvoc_11929.wav ナグサミ ナ⸢グサミ [na⸢gusami] 名 慰め。気晴らし。 ブ⸢トゥヌ マーラシティ タンガ⸣プス ナ⸢ル⸣ター ブ⸢ドゥルバ⸣ ナ⸢ラーシ⸣ル ナ⸢グサミ シー オー⸣ル [bu⸢tunu maːraʃi̥ti taŋga⸣pu̥su na⸢ru⸣taː bu⸢duruba⸣ na⸢raːʃi⸣ru na⸢gusami ʃiː ʔoː⸣ru] (夫が亡くなられて独身者になったので、踊りを教えて慰めにしておられる) 11930 0 0 11551 htmvoc_11930.wav ナグサミルン ナ⸢グサミルン [na⸢gusamiruŋ] 他動 慰める。気をまぎらす。 ⸢ワー⸣ ナ⸢グサミルンティ クータン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ナ⸢グサミララヌ [⸢waː⸣ na⸢gusamirunti kuːtan⸣du ⸢bam⸣maː na⸢gusamiraranu] (君を慰めようと来たが、私には慰められない)。 ナ⸢グサミシェー⸣カー ナ⸢グサミル⸣ クトー ター⸢ン⸣ ナ⸢リ⸣ス [na⸢gusamiʃeː⸣kaː na⸢gusami⸣ru ⸣ku̥toː taː⸢n⸣ na⸢ri⸣su] (慰めきれれば<し得るなら>、慰めることは誰にでもできる)。 ナ⸢グサミレー⸣ ミサムヌ [na⸢gusamireː⸣ misamunu] (慰めればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ナ⸢グサミリ [jaː⸢din⸣ na⸢gusamiri] (必ず慰めなさい<慰めれ>) 11931 0 0 11552 htmvoc_11931.wav ナグサムン ナ⸢グサムン [na⸢gusamuŋ] 他動 慰める。 ⸢フン⸣トー ナ⸢グサムンティ⸣ ウムーカー フ⸢チカーニ⸣シ ナ⸢グサマンドー⸣シ ノー⸢ン ヤラバン⸣ ムティ ⸢ギー⸣ ナ⸢グサミ⸣バ [⸢ɸun⸣toː na⸢gusamunti⸣ ʔumuːkaː ɸu̥⸢ʧikaːni⸣ʃi na⸢gusamandoː⸣ʃi noː⸢ɲ jarabam⸣ muti ⸢giː⸣ na⸢gusami⸣ba] (本当に慰めようと思うならば、口先だけで慰めないで、何でもいいから持っていって慰めなさいよ)。 ナ⸢グサミ ッふィーリ [na⸢gusami ffiːri] (慰めてくれ)。 ナ⸢グサム⸣ クトー ⸣ナルン [na⸢gusamu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (慰めることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ナ⸢グサメー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢gusameː⸣ misamunu] (早く慰めたらいいのに) 11933 0 0 11553 htmvoc_11933.wav ナクラースコー ナ⸢クラー⸣スコー [na⸢kuraː⸣su̥koː] 副 恐ろしいほど。恐ろしく。非常に多く。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ケン⸣マー ナ⸢クラー⸣スコー ム⸢チ⸣カサンツォー [ʔu⸢nu⸣ ʃi̥⸢kem⸣maː na⸢kuraː⸣su̥koː mu⸢ʧi⸣kasanʦoː] (その試験は恐ろしく難しいそうだ)。 ナ⸢クラー⸣スコー ⸢ウーカジヌ⸣ フクンツォー [na⸢kuraː⸣su̥koː ⸢ʔuːkaʤinu⸣ ɸu̥kunʦoː] (恐ろしいほどの台風<大風>が吹くそうだ) 11934 0 1 11554 htmvoc_11934.wav ナクラーン ナ⸢クラー⸣ン [na⸢kuraː⸣ŋ] 形 {Mn_1}恐ろしい。怖い。 ユ⸢ナ⸣カー ナ⸢クラー⸣ヌ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジララン⸣シェンドゥ イ⸢チバンドゥル⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ナ⸢クラーナーン⸣シェン [ju⸢na⸣kaː na⸢kuraː⸣nu mi⸢ʧeː⸣ n⸢ʤiraraŋ⸣ʃendu ʔi⸢ʧibanduru⸣nu na⸢ku⸣kaː na⸢kuraː naːŋ⸣ʃeŋ] (夜中は怖くて道に出られなかったが、一番鶏が鳴いたら怖くなかった)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ナ⸢クラー⸣ン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ na⸢kuraː⸣ŋ] (あの人は怖い)。 イッ⸢チン⸣ ナ⸢クラー⸣ プ⸢ソー ター⸣ヤ [ʔit⸢ʧin⸣ na⸢kuraː⸣ pu̥⸢soː taː⸣ja] (一番怖い人は誰か)。 ナ⸢クラー⸣カー パ⸢ラン⸣ ブ⸢リ⸣バ [na⸢kuraː⸣kaː pa⸢ram⸣ bu⸢ri⸣ba] (怖かったら行くなよ<行かずに居れよ>)。 11934 0 2 11555 htmvoc_11934.wav ナクラーン ナ⸢クラー⸣ン [na⸢kuraː⸣ŋ] 形 {Mn_2}危険である。危ない。 ⸢ヤンマイ⸣ヤー ナ⸢クラー⸣リンギサバ ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ムル シー⸣ヨー [⸢jammai⸣jaː na⸢kuraː⸣riŋgisaba ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢muru ʃiː⸣joː] (⸣病気は危ないようだから、その心積もりをしなさいね) 11932 0 0 11556 htmvoc_11932.wav ナグラワン ナ⸢グラワン [na⸢gurawaŋ] 固 地名。名蔵湾。石垣島南西部、富崎と屋良部半島の間に形成された半円状の湾。 ナ⸢グラワン⸣ナー シ⸢ナカジゴーカジ⸣ヌ イ⸢キムヌ⸣ヌ ⸢ブン⸣ツォー [na⸢gurawan⸣naː ʃi⸢nakaʤigoːkaʤi⸣nu ʔi⸢kimunu⸣nu ⸢bunn⸣ʦoː] (名蔵湾にはいろいろな種類の動物<生き物>が生息しているそうだ) 11935 0 0 11557 htmvoc_11935.wav ナクン ナ⸢クン [na⸢kuŋ] 自動 泣く。鳴く。「~吾が那久那美多<ナクナミダ>~。万、798」の転訛したもの。 ⸣ドゥク イ⸢ズ⸣カー ナ⸢クンティ⸣ ス⸢クタヌ⸣ ナ⸢カンワーン⸣ノー [⸣duku ʔi⸢ʣu⸣kaː na⸢kunti⸣ su̥⸢kutanu⸣ na⸢kaŋwaːn⸣noː] (あんまり強く叱ったら泣くと聞いていたが、泣かないではないか)。 ナ⸢キ⸣ ミサカー ナ⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [na⸢ki⸣ misakaː na⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (泣いてよければ泣くことはできる)。 ン⸢メーマー⸣ ナ⸢ケー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ na⸢keː⸣ misamunu] (少しは泣けばいいのに)。 ナ⸢キ⸣バ [na⸢ki⸣ba] (泣けよ)。 ナ⸢キ ベー [na⸢ki beː] (泣いている) 11936 0 0 11558 htmvoc_11936.wav ナクン ⸢-ナ⸣クン [⸢-na⸣kuŋ] 接尾 ~こむ。動詞の末尾に付いて強意を表す。 カ⸢キナ⸣クン [kḁ⸢kina⸣kuŋ] (掻き込む{EOS}飯を急いで食べる)。 ッ⸢シナ⸣クン [ʃ⸢ʃina⸣kuŋ] (差し込む)。 シ⸢ンナ⸣クン [⸢ʃinna⸣kuŋ] (布団などにもぐりこむ)。 ⸢フンナクン [⸢ɸunnakuŋ] (沈没する) 11937 0 1 11559 htmvoc_11937.wav ナケー ⸣ナケー [⸣nakeː] 名 {Mn_1}泣き虫。よく泣く子。ナ⸢キブサー[na⸢kibusaː](泣き虫)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ナケー ヤ⸢ルンダ⸣ ナ⸢カスナ⸣ヨー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ nakeː ja⸢runda⸣ na⸢kasuna⸣ joː] (この子は泣き虫だから、泣かすなよ)。naki<泣き>・ja:<~奴。~人>(接尾語)→ ⸣ナケー[⸣nakeː](泣き虫)のように形成された語。固有名詞の⸣ナケンマー[⸣nakemmaː](ナケー姉さん)は、⸣ナケーが接頭語化して形成された語であろう。 11937 0 2 11560 htmvoc_11937.wav ナケー ⸣ナケー [⸣nakeː] 名 {Mn_2}女の名。 ⸢カン⸣ネヌ ⸣ナケーンマー ⸢タッ⸣テーラ ⸢オーッ⸣タカヤー [⸢kan⸣nenu ⸣nakeːmmaː ⸢tat⸣teːra ⸢ʔoːt⸣takajaː] (あの家のナケー姉さんはどの家から嫁に来られたのかね) 11941 0 1 11561 htmvoc_11941.wav ナサー ⸣ナサー [⸣nasaː] 名 {Mn_1}多産の女性。子供を多く生む女。 ム⸢カ⸣シェー ッ⸢ふァ ジュー⸣ニン ナ⸢ソー⸣レール プ⸢ソー⸣ ナサーティ ア⸢ザリ⸣ ブ⸢タ⸣ナー [mu⸢ka⸣ʃeː f⸢fa ʤuː⸣nin na⸢soː⸣reː pu̥⸢soː⸣ nasaːti ʔa⸢ʣari⸣ bu⸢ta⸣naː] (昔は子供を十人生んだ人は多産の人といわれていたねえ)。 11941 0 2 11562 htmvoc_11941.wav ナサー ⸣ナサー [⸣nasaː] 名 {Mn_2}繁殖用母豚。 ⸣ナサーオー [⸣nasaːʔoː] (繁殖用母豚)。⸣アヒャーオー[⸣ʔaçaːʔoː](繁殖用母豚)ともいう 11942 0 0 11563 htmvoc_11942.wav ナサガスン ナ⸢サガスン [na⸢sagasuŋ] 他動 けなす(\ruby{貶}{ケナ}す)。くさす。そしる(謗る)。名誉を傷つける。 プ⸢スバ⸣ ナ⸢サガスンティ アー⸣キ ⸢ドゥー⸣ヌ ナ⸢サガサレー⸣ クトゥン ッ⸢サヌ⸣ プ⸢リムヌ [pu̥⸢suba⸣ na⸢sagasunti ʔaː⸣ki ⸢duː⸣nu na⸢sagasareː⸣ ku̥tun s⸢sanu⸣ pu⸢rimunu] (他人を\ruby{貶}{オト}そうとして、自分が貶されたことも知らない馬鹿者だ)。 プ⸢ス⸣ ナ⸢サガシ アーク⸣ヌ プ⸢ス⸣ ナ⸢サガス⸣クトー ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢su⸣ na⸢sagaʃi ʔaːku⸣nu pu̥⸢su⸣ na⸢sagasu⸣ ku̥toː ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (他人を貶しているが、他人を\ruby{貶}{ケナ}すことをしてはならない)。 ナ⸢サガシェー⸣ ミサムヌ [na⸢sagaʃeː⸣ misamunu] (\ruby{貶}{オト}せばいいのに)。 ⸢ウンザー⸣ ナ⸢サガシ⸣バ [⸢ʔunʣaː⸣ na⸢sagaʃi⸣ba] (彼奴は貶せよ) 11943 0 0 11564 htmvoc_11943.wav ナサキ ナ⸢サ⸣キ [na⸢sa⸣ki] 名 情け。愛情。人情。「Nasaqe.ナサケ(情) あわれみの情、または愛情」『邦訳日葡辞書』の義。 ⸣アッパー イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢サキ⸣ヌ ア⸢ロー⸣ル プ⸢ス⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ [⸣ʔappaː ʔik⸢kena⸣ na⸢saki⸣nu ʔa⸢roː⸣ru pu̥⸢su⸣ ja⸢roːt⸣ta] (お祖母さんは非常に情け深い方でいらっしゃった)。 ⸣アイブ ム⸢ヌ⸣ナー ナ⸢サ⸣キ カ⸢キ⸣ル ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu mu⸢nu⸣naː na⸢sa⸣ki kḁ⸢ki⸣ru ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (あんな者に情けをかけるものではない) 11945 0 0 11565 htmvoc_11945.wav ナサスン ナ⸢サ⸣スン [na⸢sa⸣suŋ] 他動 産ませる。他動詞⸣ナスン[⸣nasuŋ](産む)の未然形に使役の助動詞⸣-スン[⸣-suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いて形成された使役動詞。 ビ⸢コーンッふァ⸣ ナ⸢サ⸣スンティ ⸢ヨー⸣ゾーン シ⸢ミタンドゥ⸣ ウ⸢リンマー⸣ マ⸢ナ⸣マー ナ⸢ササラン⸣ツォー [bi⸢koːnffa⸣ na⸢sa⸣sunti ⸢joː⸣ʣoːŋ ʃi⸢mitandu⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ma⸢na⸣maː na⸢sasaran⸣ʦoː] (男児を産ませようと養生<治療>もさせたが、あれ<彼女>には今は産ませられないそうだ) 11946 0 0 11566 htmvoc_11946.wav ナサビ ナ⸢サ⸣ビ [na⸢sa⸣bi] 名 (植)野菜の一種。ナスビ(茄子)。「茄子、奈須比(なすび)」『和名抄』、「Nasubi.ナスビ(茄子)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。御盆<盂蘭盆>に歌われる⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌{EOS}⸢ウシトゥ⸣ヌ ⸣クイ{SqBr}⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸣kui{/SqBr}<弟の声>)には、「~ウギヌスラ ウリナスビ~(~甘蔗の茎にウリ、ナスビ~)」とあるが、口語ではナ⸢サ⸣ビ[na⸢sa⸣bi](ナスビ)という。 ナ⸢サ⸣ベー イ⸢ラキ⸣ムヌン ⸢シー ティン⸣プラン ⸢ソー⸣ルン [na⸢sa⸣beː ʔi⸢raki⸣munuŋ ⸢ʃiː tim⸣puran ⸢soː⸣ruŋ] (茄子は炒め物料理にもしたり、テンプラ料理にもされる)。 ナ⸢サ⸣ベー ク⸢マークマー⸣シ キ⸢ザミティ ソーラン⸣ヌ ミ⸢ジヌ⸣クーナーン シゥ⸢カイヨー⸣ルン [na⸢sa⸣beː ku⸢maːkumaː⸣ʃi ki⸢ʣamiti soːran⸣nu mi⸢ʤinu⸣kuːnaːn sï̥⸢kaijoː⸣ruŋ] (茄子は細かく刻んで、お盆のミジヌクー<水の子>にも使われる) 11948 0 0 11567 htmvoc_11948.wav ナサラカサラ ナ⸢サラカサ⸣ラ [na⸢sarakasa⸣ra] 名 種々。さまざま。いろいろ。様々な\ruby[g]{下手物}{ゲテモノ}。 バ⸢タ ヨー⸣ン プ⸢スンマー⸣ ナ⸢サラカサラ⸣ヌ ッ⸢ふァイムノー⸣ ッ⸢ふァーサラヌ [ba⸢tajoː⸣m pu̥⸢summaː⸣ na⸢sarakasara⸣nu f⸢faimunoː⸣ f⸢faːsaranu] (腹<胃腸>の弱い人には、さまざまな食い物<下手物>は食べさせられない) 11949 0 0 11568 htmvoc_11949.wav ナサリカー ナ⸢サ⸣リカー [na⸢sa⸣rikaː] 副 できたら。できるなら。可能なら。なるべく。「成されるなら」の義。 ナ⸢サ⸣リカー ニ⸢サンニ⸣チェー<プ⸢スイ フシゥ⸣カー> ⸣ヌビ ッ⸢ふォーララン⸣カヤー [na⸢sa⸣rikaː ni⸢sanni⸣ʧeː ⸣nubi f⸢foːraraŋ⸣kajaː] (出来ましたら二三日ほど延ばして下さいませんか) 11950 0 0 11569 htmvoc_11950.wav ナサリン ナ⸢サ⸣リン [na⸢sa⸣riŋ] 自動 できる。「成される」の義。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ⸢バン⸣ヌン ナ⸢サ⸣リンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ナ⸢サラン⸣バン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ⸢ban⸣nun na⸢sa⸣riŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du na⸢saram⸣baŋ] (あの程度なら私にも出来るかなあと思ったが、出来ないわい)。 ⸣ドゥーシ ナ⸢サリ⸣ル ⸣クトー ノー⸢ン ヤラバン⸣ ナ⸢シバ⸣ル ⸣マイヤー ⸢ユーザリ [⸣duːʃi na⸢sari⸣ru ⸣ku̥toː noː⸢ɲ jaraban⸣ na⸢ʃiba⸣ru ⸣maijaː ⸢juːʣari] (自分で出来ることは何であってもやってこそ<成せばぞ>前へは進める<寄られる>ものだ) 11951 0 0 11570 htmvoc_11951.wav ナサンウヤ ナ⸢サン⸣ウヤ [na⸢saŋ⸣ʔuja] 名 生さぬ親。マ⸢マウヤ[ma⸢maʔuja](ままおや<継親>)ともいう。ナ⸢シ⸣ヌウヤ[na⸢ʃi⸣nuʔuja](産みの親{EOS}実の親)の対義語。 ナ⸢サ⸣ヌ ⸣ナカー ナ⸢サン⸣ウヤティン ア⸢ジ⸣ マ⸢マウヤ⸣ティン ア⸢ズン [na⸢sa⸣nu ⸣nakaː na⸢saŋ⸣ʔujatiŋ ʔa⸢ʤi⸣ ma⸢maʔuja⸣tiŋ ʔa⸢ʣuŋ] (産まない間柄<産まぬ仲>は「生さぬ親」ともいい、ままおや<継親>ともいう) 11952 0 0 11571 htmvoc_11952.wav ナサンッふァ ナ⸢サン⸣ッふァ [na⸢saŋ⸣ffa] 名 生さぬ子。ままこ<継子>。ナ⸢シヌ⸣ッふァ[na⸢ʃinu⸣ffa](実子{EOS}生みの子)の対義語。 ナ⸢シヌ⸣ッふァ ア⸢ラン⸣バティ ⸢シー⸣ ナ⸢サン⸣ッふァヨー ウ⸢ムイナ⸣シ ⸢アシゥカイヤー⸣ クトー プ⸢スム⸣シェーンツァン ⸢シー⸣ ミ⸢ラ⸣ヌ [na⸢ʃinu⸣ffa ʔa⸢ram⸣bati ⸢ʃiː⸣ na⸢saŋ⸣ffajoː ʔu⸢muina⸣ʃi ⸢ʔasï̥kaijaː⸣ ku̥toː pu̥⸢sumu⸣ʃeːnʦaŋ ⸢ʃiː⸣ mi⸢ra⸣nu] (実子でないからといって、生さぬ子をばいじめて扱ったことは、たったの一度もない) 11953 0 0 11572 htmvoc_11953.wav ナシアガルン ナ⸢シアガ⸣ルン [na⸢ʃiʔaga⸣ruŋ] 自動 産みあがる。出産可能な時期が過ぎる。 ⸢グン⸣ズー シ⸢ギ⸣ルカー ナ⸢シアガ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ダ⸣ ナ⸢シアガラン⸣バン [⸢gun⸣ʣuː ʃi⸢gi⸣rukaː na⸢ʃiʔaga⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢da⸣ na⸢ʃiʔagaram⸣baŋ] (五十歳を過ぎたら産みあがると聞いたが、まだ産みあがらないよ)。 ナ⸢シアガ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [na⸢ʃiʔaga⸣ri ⸢naː⸣nu] (産みあがってしまった)。 ⸢シン⸣ジューラ ナ⸢シアガ⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʃin⸣ʤuːra na⸢ʃiʔaga⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (四十歳から産みあがる人はいない)。 ⸢パー⸣ク ナ⸢シアガ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku na⸢ʃiʔaga⸣reː ⸣misamunu] (早く生みあがればいいのに) 11954 0 0 11573 htmvoc_11954.wav ナシアトゥ ナ⸢シ⸣アトゥ [na⸢ʃi⸣ʔatu] 名 産後。 ⸣シラプソー ナ⸢シアトゥ⸣ヌ ⸢ヨーゾー⸣ル ⸢ダイイチ⸣ダー [⸣ʃirapu̥soː na⸢ʃiatu⸣nu ⸢joːʣoː⸣ru ⸢daiʔiʧi⸣daː] (産婦は産後<生し後>の養生が第一だよ) 11995 0 0 11574 htmvoc_11995.wav ナシゥカサスン ⸢ナシゥカ⸣サ ⸢スン [⸢nasi̥ka⸣sa ⸢suŋ] 連 懐かしく思う。懐かしがる。恋しがる。慕う。 ⸢ワーバ⸣ ミリティ イッ⸢ケナ ナシゥカ⸣サ ⸢シー オーッ⸣タ [⸢waːba⸣ miriti ʔik⸢kena nasi̥ka⸣sa ⸢ʃiː ʔoːt⸣ta] (君を見て非常に懐かしがっておられた) 11994 0 1 11575 htmvoc_11994.wav ナシゥカサン ⸢ナシゥカ⸣サン [⸢nasi̥ka⸣saŋ] 形 {Mn_1}なつかしい(懐かしい)。「~今見れば山夏香思母<なつかしも>~。万、1333」の転訛。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトゥ ⸣ウムーカー ⸢ナシゥカサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥tu ⸣ʔumuːkaː ⸢nasi̥kasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (親のことを思うと懐かしくてたまらない)。 ⸣キサー ⸢ナシゥカ⸣サンテー ウ⸢ムータン⸣ド マ⸢ナ⸣マー ⸢ナシゥカサー ナー⸣ヌ [⸣ki̥saː ⸢nasi̥ka⸣santteː ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢na⸣maː ⸢nasi̥ka⸣saː ⸢naː⸣nu] (以前は懐かしかったが、今は懐かしくない)。 ⸢ナシゥカ⸣サー プ⸢スン ブン [⸢nasi̥ka⸣saː pu̥⸢sum buŋ] (懐かしい人もいる)。 パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ⸢ナシゥカ⸣サー ⸣ナルン [pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ⸢nasi̥ka⸣saː ⸣naruŋ] (話を聞いたら懐かしくなる)。 11994 0 2 11576 htmvoc_11994.wav ナシゥカサン ⸢ナシゥカ⸣サン [⸢nasi̥ka⸣saŋ] 形 {Mn_2}悲しい。 ⸣アッパー シ⸢バヤーキョンギンバ⸣ ミリティ ⸢ナシゥカ⸣サティ ナ⸢キ オー⸣ル [⸣ʔappaː ʃi⸢bajaːkjoŋgimba⸣ miriti ⸢nasi̥ka⸣sati na⸢ki ʔoː⸣ru] (お祖母さんは芝居の劇<狂言>を観て懐かしく<悲しく>なって泣いておられる) 11996 0 0 11577 htmvoc_11996.wav ナシキ ⸢ナシキ [⸢naʃi̥ki] 名 口実。かこつけること。こと寄せること。「名付け」の義。 ⸢ミーマイ ナシ⸣キ ⸢シール⸣ サー ⸣ヌミン ⸢ゲータ⸣ル [⸢miːmai naʃi̥⸣ki ⸢ʃiːru⸣ saː ⸣numiŋ ⸢geːta⸣ru] (お見舞いを口実にして<名付けて>お茶を飲みに行ったよ)。 パ⸢タ⸣ケー パ⸢リナシ⸣キ ⸢シー⸣ イ⸢ソー パッ⸣タ [pḁ⸢ta⸣keː pa⸢rinaʃi̥⸣ki ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢soː pat⸣ta] (畑へ行く事を口実にして潮干狩りに行った) 11955 0 0 11578 htmvoc_11955.wav ナシキカシキ ⸢ナシキカシ⸣キ [⸢naʃi̥kikaʃi̥⸣ki] 名 かこつけ(託け)ること。「名付け\ruby{託}{カコツケ}」の義か。他の事を口実にすること。他のことにことよせること。 ッ⸢ふァイダマ⸣ ヤ⸢ルンダ テー⸣ナイ ⸢ナシキカシ⸣キ ⸢シー ヨイ⸣ヌムヌ ッ⸢ふンティル⸣ ケー⸢ダー [f⸢faidama⸣ ja⸢runda teː⸣nai ⸢naʃi̥kikaʃi̥⸣ki ⸢ʃiː joi⸣numunu f⸢funtiru⸣ keː⸢daː] (食いしん坊だから、手伝いに託けてお祝いのご馳走を食べに来たのだよ)。ABCDBC型の重言。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢テーナイ⸣バ ⸢ナシキカシ⸣キ ⸢シー⸣ サ⸢キ⸣ ヌミン ⸣キー ⸢ベー [⸢joi⸣nu ⸢teːnai⸣ba ⸢naʃi̥kikaʃi̥⸣ki ⸢ʃiː⸣ sḁ⸢ki⸣ numiŋ ⸣kiː ⸢beː] (お祝いの手伝いを口実にして酒飲みに来ているよ) 11956 0 0 11579 htmvoc_11956.wav ナシキムニ ⸢ナシキムニ [⸢naʃi̥kimuni] 名 他の事にかこつけ<\ruby{託}{カコツ}け>てする言い訳や申し訳。弁解。 ナ⸢シキムニヌ ゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ⸣ マー⸢ン⸣ パ⸢リ⸣ス ッ⸢ふァイパジェー ナー⸣ヌ [⸢naʃi̥kimuninu ʣoː⸣ʤi ja⸢runda⸣ maː⸢m⸣ pa⸢ri⸣su f⸢faipaʣeː naː⸣nu] (他のことに\ruby{託}{カコツケ}た弁解が上手だから、どこへでも行く{EOS}食べることに恥がない)。言い訳。「名付け物言い」の義。 ⸢ナシキムネー⸣ ア⸢ザンドー⸣シ ン⸢マー⸣ムヌ タ⸢ボーラ⸣リンティ ⸢クー⸣タティ ⸢マン⸣カ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリリ⸣バ [⸢naʃikimuneː⸣ ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi ʔm⸢maː⸣munu ta⸢boːra⸣rinti ⸢kuː⸣tati ⸢maŋ⸣ka ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sariri⸣ba] (口実をつけないで、美味しいものを頂にきましたと直接に申し上げなさいよ) 12000 0 0 11580 htmvoc_12000.wav ナシキルン ⸢ナシキルン [⸢naʃi̥kiruŋ] 他動 口実にする。言い訳にする。事寄せる。かこつける。「名付ける」の義。 ⸢フン⸣トー ⸣プサカー ⸢ナシキルンティ サンドー⸣シ ⸢ナシキランドー⸣シ ⸢マン⸣カ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリ⸣バ [⸢ɸun⸣toː ⸣pu̥sakaː ⸢naʃikirunti sandoː⸣ʃi ⸢naʃi̥kirandoː⸣ʃi ⸢maŋ⸣ka ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sari⸣ba] (本当に欲しければ口実などつけようとしないで、口実つけないで、直接申し上げなさいよ)。 ⸢ナシキティ⸣ パ⸢リ⸣ プサンドゥ ⸢クン⸣ナー ⸢ナシキル⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢naʃi̥kiti⸣ pa⸢ri⸣ pusandu ⸢kun⸣naː ⸢naʃi̥kiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (口実にして行きたいが、これを<これに>口実にすることはできない)。 ⸢ナシキレー⸣ ミサムヌ [⸢naʃi̥kireː⸣ misamunu] (口実にすればいいのに)。 ⸢クン⸣ナー ⸢ナシキリ [⸢kun⸣naː ⸢naʃi̥kiri] (これを口実にしろ<かこつけろ>) 11957 0 0 11581 htmvoc_11957.wav ナシクン ナ⸢シクン [⸢naʃi̥kuŋ] 他動 事寄せる。かこつけ(託け)る。口実にする。 パ⸢ナシキ⸣ナ ⸢ナシキティ⸣ シ⸢グトゥ サンバン [pa⸢naʃi̥ki⸣na ⸢naʃi̥kiti⸣ ʃi⸢gutu sambaŋ] (風邪にかこつけて<口実にして>仕事をしないよ)。 パ⸢ナシキ⸣ナ ⸢ナシゥカンドー⸣シ ⸢フントー⸣ヌ ⸣クトゥ パ⸢ナ⸣シ [pa⸢naʃi̥ki⸣na ⸢naʃi̥kandoː⸣ʃi ⸢ɸuntoː⸣nu ⸣kutu pa⸢na⸣ʃi] (風邪に託けないで本当のことを話せよ) 11958 0 0 11582 htmvoc_11958.wav ナシシキ ナ⸢シ⸣シキ [na⸢ʃi⸣ʃi̥ki] 名 臨月。産み月。「生し月」の義。 ⸢ワー⸣ ナ⸢シ⸣シケー イ⸢チ⸣ヤー ⸣クー ⸣シケー ナ⸢シ⸣シキ ア⸢タリ ブーバ⸣ イ⸢サナキ⸣ナーティ ⸣ナス ス⸢コール シーベー [⸢waː⸣ na⸢ʃi⸣ʃi̥keː ʔi⸢ʧi⸣jaː ⸣kuː ⸣ʃi̥keː na⸢ʃi⸣ʃi̥ki ʔa⸢tari buːba⸣ ʔi⸢sanaki⸣naːti ⸣nasu su̥⸢koːru ʃiːbeː] (君の産み月はいつか{EOS}来月<来る月>は産み月に当っているので石垣島で産む支度をしている) 11959 0 0 11583 htmvoc_11959.wav ナシゾージ ナ⸢シゾー⸣ジ [na⸢ʃiʣoː⸣ʤi] 名 産み上手。安産の人。お産の軽い人。 ユ⸢メー⸣ ナ⸢シゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ ウン⸣ネーヤ ⸢パン⸣ゾー ⸢シーブー [ju⸢meː⸣ na⸢ʃiʣoː⸣ʤi ja⸢runda ʔun⸣neːja ⸢pan⸣ʣoː ⸢ʃiːbuː] (嫁は産み上手<安産の人>だから、あの家は繁昌している) 11961 0 0 11584 htmvoc_11961.wav ナシッキラー ⸣ナシッキラー [⸣naʃikkiraː] 名 一人っ子。 ウ⸢レー⸣ ナシッキラー ヤ⸢ルンダ フンダイ シーブー [ʔu⸢reː⸣ naʃikkiraː ja⸢runda ɸundai ʃiːbuː] (彼は一人っ子だから我がままになって<やりたい放題にして>いる) 11962 0 0 11585 htmvoc_11962.wav ナシックル ナ⸢シッ⸣クル [na⸢ʃik⸣kuru] 名 末っ子。「生し殻」の義。先に生まれた者に中身の良いものがすっかり取られてしまい、末っ子は残り殻だけだという意味。 ク⸢リル バン⸣テヌ ナ⸢シッ⸣クル ヤ⸢ルンドゥ⸣ ウ⸢リル⸣ イッ⸢ケナ フー⸣ヤ ⸣アリ ブ⸢レー⸣バン ⸢ソーユミ⸣ ア⸢タリ⸣ マ⸢リパンジョー シーベー⸣ シザマリンケーヤ イ⸢ク⸣サナー シ⸢ニナー⸣ヌ [ku⸢riru ban⸣tenu na⸢ʃik⸣kuru ja⸢rundu⸣ ʔu⸢riru⸣ ʔik⸢kena ɸuː⸣ja ⸣ʔari bu⸢reː⸣ban ⸢soːjumi⸣ ʔa⸢tari⸣ ma⸢ripanʤoː ʃiːbeː⸣ ʃiʣamariŋkeːja ʔi⸢ku⸣sanaː ʃi⸢ninaː⸣nu] (これが私の家の末っ子ですが、彼が非常に幸運<嘉報>があった<幸運に恵まれた>ようだ{EOS}いい嫁に当って子孫繁盛しているよ{EOS}兄達<兄生まれ達>は戦争で死んでしまったよ) 11965 0 0 11586 htmvoc_11965.wav ナシッふァ ナ⸢シ⸣ッふァ [na⸢ʃi⸣ffa] 名 生みの子。実子。「生し子」の義。⸢イーリ⸣ッふァ[⸢ʔiːri⸣ffa](貰い子)の対義語。 ⸢ドゥー⸣ヌ ナ⸢シ⸣ッふァテー ミ⸢ドーン⸣ッふァ ⸢タンガ⸣ル ⸢ブー [⸢duː⸣nu na⸢ʃi⸣ffateː mi⸢doːn⸣ffa ⸢taŋga⸣ru ⸢buː] (自分の実子<生みのこ>としては女の子だけしかいない<女の子だけがいる>) 9109 0 0 11587 htmvoc_9109.wav ナシヌウヤ ナ⸢シ⸣ヌ ⸣ウヤ [na⸢ʃi⸣nu ⸣ʔuja] 連 生みの親 11960 0 0 11588 htmvoc_11960.wav ナシヌウヤ ナ⸢シ⸣ヌウヤ [na⸢ʃi⸣nuʔuja] 名 生みの親。実の親。⸢ソーウヤ[⸢soːʔuja](真の親{EOS}本当の親)ともいう。 ⸣バー ナ⸢シ⸣ヌウヤー ク⸢ヌ プス⸣ダー [⸣baː na⸢ʃi⸣nuʔujaː ku⸢nu pu̥su⸣daː] (私の生みの親はこの人だよ) 11963 0 0 11589 htmvoc_11963.wav ナシヌッふァ ナ⸢シヌ⸣ッふァ [na⸢ʃinu⸣ffa] 名 実子。自分の産んだ子。「産みの子」の義。「~授け給へる宇美乃古能<ウミノコノ>~。万、4465」の転訛したもの。「~おのが生さぬ子なれば~」『竹取物語』参照。 ⸢バン⸣ター ナ⸢シヌ⸣ッふァティン タ⸢ボーラリ⸣ ブーバ ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢ban⸣taː na⸢ʃinu⸣ffatin ta⸢boːrari⸣ buːba noː⸢n soːja naː⸣nu] (私どもは産みの子とても神から授かって<賜って>いるので、何も心配はない) 11964 0 0 11590 htmvoc_11964.wav ナシパンジョー ⸣ナシパンジョー [⸣naʃipanʤoː] 名 子孫繁盛。子孫繁栄。子宝に恵まれること。「生し繁盛」の義。 ⸣ナシパンジョウ マ⸢リパンジョウ⸣ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣リティル ⸣ニガイ ⸢ヨー⸣ル [⸣naʃipanʤoː ma⸢ripanʤoː⸣ ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ritiru ⸣naigai ⸢joː⸣ru] (生し繁盛、生まれ繁盛させて<有らしめて>下さいと祈られる) 11966 0 0 11591 htmvoc_11966.wav ナシマイ ナ⸢シ⸣マイ [na⸢ʃi⸣mai] 名 産前。出産の直前。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢ルミ⸣プソー ナ⸢シ⸣マイ ⸣ナルンケン バー⸣キン パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シン パ⸢リ⸣シタ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢rumi⸣pu̥soː na⸢ʃi⸣mai ⸣naruŋkem ⸢baː⸣kim pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃim pa⸢ri⸣ʃi̥ta⸢daː] (昔は、妊婦は出産直前になるまで畑を耕しに行ったものだよ) 11967 0 0 11592 htmvoc_11967.wav ナシユースン ナ⸢シユー⸣スン [na⸢ʃijuː⸣suŋ] 自動 出産できる。 マ⸢ナマー⸣ケー ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢シユー⸣スン [ma⸢namaː⸣keː f⸢faː⸣ na⸢sʃijuː⸣suŋ] (今までは子供を産むことが出来る) 11968 0 0 11593 htmvoc_11968.wav ナシンガタ ナ⸢シン⸣ガタ [na⸢ʃiŋ⸣gata] 名 産む頃。臨月。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢ルミ⸣プソー ナ⸢シン⸣ガタ ナ⸢リ⸣ブー⸢ナー [ku⸢nu⸣ pa⸢rumi⸣pu̥soː na⸢ʃiŋ⸣gata na⸢ri⸣bu⸢naː] (この妊婦<孕み人>は臨月になっているねえ) 11969 0 0 11594 htmvoc_11969.wav ナスクン ⸢ナスクン [⸢nasu̥kuŋ] 他動 かこつけ<託け>る。口実にする。言い訳にする。言寄せる。 ⸢ヨイ⸣ヤーナー ⸢テー⸣ナイ ナ⸢シキ シー ヨイヌ⸣ムヌ ウ⸢ヤーン⸣ツンティ ウ⸢ムー⸣ヌ ⸢ナスク ムヌン⸣ トゥ⸢ミララ⸣ヌ [⸢joi⸣jaːnaː ⸢teː⸣nai ⸢naʃi̥ki ʃiː joinu⸣munu ʔu⸢jaːn⸣ʦunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢nasu̥ku munun⸣ tu⸢mirara⸣nu] (祝儀の家に手伝いを口実にして祝儀の引き出物<心づけ>を頂くべく念願しようと思うが、口実にするものも見つからない)。 ⸢ウン⸣ナー ナ⸢スクンティ⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [⸢ʔun⸣naː ⸢nasu̥kunti⸣ su⸢na⸣joː] (それに託けようとするなよ)。 プ⸢スヌ スー⸣ クトゥナー ⸢ナシゥカンドー⸣シ ⸢ドゥー⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ ⸢シー [pu̥⸢sunu suː⸣ ku̥tunaː ⸢nasï̥kandoː⸣ʃi ⸢duː⸣nu pa⸢na⸣ʃi ⸢ʃiː] (他人のすることに託けないで、自分の話をしなさい)。 ⸢ナシケー⸣ ミサムヌ [⸢naʃi̥keː⸣ misamunu] (言い訳にすればいいのに)。 ⸢ウン⸣ナ ⸢ナシキ⸣バ [⸢ʔun⸣na ⸢naʃi̥ki⸣ba] (それに託けなさい<口実にしなさい>よ)。 ⸢ウン⸣ナー ⸢ナスクンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナシゥカンセン [⸢ʔun⸣naː ⸢nasu̥kunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸢nasï̥kaŋʃeŋ] (それにかこつけようと思ったがかこつけなかった)。 ⸢クン⸣ナー ⸢ナシキティ⸣ パ⸢リ⸣ プサンド ⸢ナスク⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kun⸣naː ⸢naʃi̥kiti⸣ pa⸢ri⸣ pu̥sandu ⸢nasu̥ku⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これにかこつけて行きたいが、かこつけることはできない)。 ⸢ナシケー⸣ ミサムヌ [⸢naʃikeː⸣ misamunu] (かこつければいいのに)。 ⸢クン⸣ナー ⸢ナシキ⸣バ [⸢kun⸣naː ⸢naʃi̥ki⸣ba] (これにかこつけろよ) 11970 0 0 11595 htmvoc_11970.wav ナスビ ナ⸢ス⸣ビ [na⸢su⸣bi] 名 (植)野菜の一種。なす(茄子)。歌謡語。日常会話では、ナ⸢サ⸣ビ[na⸢sa⸣bi](茄子)という。「茄子、奈須比(なすび)」『和名抄』の転訛したもの。/ウギヌ スラ ウリ ナスビ キザンムヌ シースヌ ウハンキヌ ミジスイティ~/(砂糖黍の茎、ウリ ナスビの刻んだもの、メドハギ<蓍萩{EOS}マヤーブー>の束で戸外へ撒き撥ねて無縁仏に布施をするミジヌクーに水を添えて)「念仏歌(ウシトゥヌクイ<弟の声>)」『鳩間島古典民謡古謡集』 11971 0 0 11596 htmvoc_11971.wav ナスン ⸣ナスン [⸣nasuŋ] 他動 産む。「生す。おのが生さぬ子なれば~。『竹取物語』」の義。 マ⸢ナ⸣マー ⸢グン⸣ズ ⸢バー⸣キ ッ⸢ふァ⸣ ナスンティ ス⸢クタヌ⸣ ムー⸢ロー⸣ ナ⸢サン⸣パジ [ma⸢na⸣maː ⸢gun⸣ʣuː ⸢baː⸣ki f⸢fa⸣ nasunti su̥⸢kutanu⸣ muː⸢roː⸣ na⸢sam⸣paʤi] (今は五十歳まで子供を産むと聞いたが、皆は産まないはずだ)。 ⸣ナシ ⸣ミサカー ギュター⸢ルン⸣ ナス ⸣クトー ナ⸢ル⸣ヌ ⸣アイヤー ナ⸢サラン⸣パジ [⸣naʃi ⸣misakaː gjutaː⸢run⸣ nasu ⸣ku̥toː na⸢ru⸣nu ⸣ʔaijaː na⸢saram⸣paʤi] (産んでよければ何人でも産むことはできるが、そうは産めないはずだ)。 ミ⸢ツァーロー⸣ ナシェー ⸣ミサムヌ [mi⸢ʦaːroː⸣ naʃeː ⸣misamunu] (三人は産めばよいのに)。 ビ⸢コーンッふァ⸣ ナシバ [bi⸢koːŋffa⸣ naʃiba] (男児を産めよ) 11972 0 0 11597 htmvoc_11972.wav ナスン ⸣ナスン [⸣nasuŋ] 他動 なす(為す)。~にする。自動詞⸣ナルン[⸣naruŋ](なる)の対語。 サ⸢ク⸣シェー ⸢シン⸣シー ⸣ナスンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ⸣ ⸢ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザサン⸣カー ⸢シン⸣シェー ナ⸢サラ⸣ヌ [sḁ⸢ku⸣ʃeː ⸢ʃiŋ⸣ʃiː ⸣nasunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢ʔuinu gak⸣koː ʔn⸢ʣasaŋ⸣kaː ⸢ʃiŋ⸣ʃeː na⸢sara⸣nu] (長男は先生にしようと思うが、上の学校<上級学校>へ出さないと先生には為せない)。 ⸢シン⸣シー ⸣ナシ ⸣ミサン [⸢ʃiŋ⸣ʃiː ⸣naʃi ⸣misaŋ] (先生にしても<為しても>よい)。 ⸢シン⸣シー ⸣ナス ⸣クトー ム⸢チ⸣キサン [⸢ʃiŋ⸣ʃiː ⸣nasu ⸣ku̥toː mu⸢ʧi⸣ki̥saŋ] (先生にする<為す>ことは難しい)。 ⸢シン⸣シー ⸣ナシェー ⸣ミサムヌ [⸢ʃiŋ⸣ʃiː ⸣naʃeː ⸣misamunu] (先生にすれば<為せば>いいのに)。 ヤー⸢ディン シン⸣シー ⸣ナシバ⸢ヨー [jaː⸢diŋ ʃiŋ⸣ʃiː ⸣naʃiba⸢joː] (きっと<必ず>先生にしなさい<為しなさい>ね) 11973 0 0 11598 htmvoc_11973.wav ナダ ⸣ナダ [⸣nada] 名 涙。「ま袖持ち奈美太<なみだ>をのごひ~。万、4398」の転訛。 ⸣ナダ パ⸢ラ⸣スン [⸣nada pa⸢ra⸣suŋ] (涙を流す)。 ナ⸢ダ⸣ヌ ⸣パルンケン バ⸢ラーサリ ミッ⸣タン [na⸢da⸣nu ⸣paruŋkem ba⸢raːsari mit⸣taŋ] (涙が落ちる<流れる>ほど笑わされてみたよ)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キティ⸣ ナダグルグルー ⸢シー ベー [ʔu⸢ja⸣nu pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kiti⸣ nadaguruguruː ⸢ʃiːbeː] (親の話を聞いて涙ぐんで<目を潤ませて>いる) 11975 0 0 11599 htmvoc_11975.wav ナダカ ナ⸢ダ⸣カ [na⸢da⸣ka] 名 物の高さ。たけ(丈)。 イ⸢チチ⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ベー ユ⸢ヌ⸣ ナ⸢ダ⸣カー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʧiʧi⸣nu ʔu⸢ja⸣beː ju⸢nu⸣ na⸢da⸣kaː ⸢naː⸣nu] (五本の指は同じ高さではない<同じ高さはない>)。 ウ⸢ヌ⸣ ナカーラ ユ⸢ヌ⸣ ナ⸢ダカ⸣ヌ ⸣ムヌバ イ⸢ラ⸣ビ ⸣クー [ʔu⸢nu⸣ nakaːra ju⸢nu⸣ na⸢daka⸣nu ⸣munuba ʔi⸢ra⸣bi ⸣kuː] (その中から同じ高さの物を選んでこい) 11974 0 0 11600 htmvoc_11974.wav ナダグルグルー ⸣ナダグルグルー [⸣nadaguruguruː] 副 涙ぐむさま。目を潤ませるさま。 ビ⸢ケーン⸣ウヤン イ⸢ザリティ⸣ ナダグルグル ⸢シェー⸣ティ パ⸢タラキ ベー [bi⸢keːŋ⸣ʔujaŋ ʔi⸢ariti⸣ nadaguruguru ⸢ʃeː⸣ti pḁ⸢taraki beː] (父親に叱られて涙ぐんで働いている)。 ニ⸢シムレー⸣ヌ ⸣アチャー キ⸢チゴンヌ キョン⸣ギン ミ⸢ロー⸣ルカー ⸢チャー⸣ ナダグルグルー ⸢シー オーッ⸣タ [ni⸢ʃimureː⸣nu ⸣ʔaʧaː ki̥⸢ʧigonnu kjoŋ⸣gim mi⸢roː⸣rukaː ⸢ʧaː⸣ nadaguruguruː ⸢ʃiː ʔoːt⸣ta] (米盛家のお父さんは結願祭の奉納劇<狂言>をご覧になると、いつも涙ぐんでおられた) 11976 0 0 11601 htmvoc_11976.wav ナダシトゥルンケーリ ナ⸢ダシトゥルンケー⸣リ [na⸢daʃi̥turuŋkeː⸣ri] 副 涙ぐむさま。涙がじわっとにじみ出るさま。涙がしっとりとにじみ出るさま。 ⸢ヌー⸣バ ウ⸢ムインザ⸣ソーッタユー ⸣アボー ナ⸢ダシトゥルンケー⸣リ ⸢オーッ⸣タ [⸢nuː⸣ba ʔu⸢muinʣa⸣soːttajuː ⸣ʔaboː na⸢daʃi̥turuŋkeː⸣ri ⸢ʔoːt⸣ta] (何を思い出されたのか、お母さんはしっとりと涙ぐんでおられた) 11977 0 0 11602 htmvoc_11977.wav ナダズーワン ナ⸢ダズー⸣ワン [na⸢daʣuː⸣waŋ] 形 なかなか涙を見せないさま。強く涙を堪えることが出来るさま。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ナ⸢ダズー⸣ワンダ イ⸢ザリタンティン⸣ ナ⸢カヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ na⸢daʣuː⸣wanda ʔi⸢ʣaritantin⸣ na⸢kanu] (この子は、強く涙を堪えるから、叱られても泣かない) 11978 0 0 11603 htmvoc_11978.wav ナダホースン ⸣ナダ ⸢ホー⸣スン [⸣nada ⸢hoː⸣suŋ] 連 涙を落とす。涙を流す。「涙降らす」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ナ⸢ク⸣カー ス⸢ディヌ⸣ ダッ⸢カティ ゾールン⸣ケン ⸣ナダ ⸢ホー⸣スン<パ⸢ラ⸣スン> [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ na⸢ku⸣kaː su⸢dinu⸣ dak⸢kati ʣoːruŋ⸣ken ⸣nada ⸢hoː⸣suŋ] (この子は泣いたら袖がぐっしょり濡れるほど涙を流す) 11985 0 0 11604 htmvoc_11985.wav ナダマールン ナ⸢ダマー⸣ルン [na⸢damaː⸣ruŋ] 自動 涙ぐむ。目が潤む。 ッ⸢ふァヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キティ⸣ ナ⸢ダマー⸣リ ⸢オー⸣ル [f⸢fanu⸣ pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kiti⸣ na⸢damaː⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (子供の話を聞いて涙ぐんでおられる)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン⸣ ナ⸢ダマー⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ナ⸢ダマーラン⸣ プ⸢スン ブン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː taː⸢n⸣ na⸢damaː⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du na⸢damaːram⸣ pu̥⸢sum buŋ] (その話を聞いたら誰でも涙ぐむと思ったが、涙ぐまない人もいる)。 ナ⸢ダマー⸣ル プ⸢ソー⸣ ナ⸢ダヨー⸣シジ [na⸢damaː⸣ru pu̥⸢soː⸣ na⸢dajoː⸣ ʃiʤi] (涙ぐむ人は涙もろいわけだ)。 ン⸢メーマー⸣ ナ⸢ダマー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ na⸢damaː⸣reː ⸣misamunu] (少しは涙ぐめばいいのに) 11986 0 0 11605 htmvoc_11986.wav ナダミルン ナ⸢ダミ⸣ルン [na⸢dami⸣ruŋ] 他動 なだめる(宥める)。穏やかにする。機嫌をとる。しずめる。怒りや悲しみの感情を和らげる。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ナ⸢ダミ⸣ルンティ シ⸢タンドゥ バン⸣マー ナ⸢ダミララ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ f⸢fa⸣ na⸢dami⸣runti ʃi̥⸢tandu bam⸣maː na⸢damirara⸣nu] (あの子を宥めようとしたが、私には宥められない)。 ナ⸢ダ⸣ミ ッ⸢ふィーリ [na⸢da⸣mi f⸢fiːri] (宥めてくれ)。 ナ⸢ダミ⸣ル プ⸢ソー パー⸣ク ナ⸢ダミ⸣レー ⸣ミサムヌ [na⸢dami⸣ru pu̥⸢soː paː⸣ku na⸢dami⸣reː ⸣misamunu] (宥める人は早く宥めればいいのに)。 ヤー⸢ディン ワー⸣シ ナ⸢ダミ⸣リ [jaː⸢diŋ waː⸣ʃi na⸢dami⸣ri] (必ず君の方で宥めろ<宥めれ>) 11987 0 0 11606 htmvoc_11987.wav ナダムン ナ⸢ダ⸣ムン [na⸢da⸣muŋ] 他動 宥める。機嫌をとる。しずめる。怒りや悲しみの感情を和らげる。「なだむ(宥む)下二段活用」の四段活用化したもの。「寛、ナダム・ユルス」『類聚名義抄』の転訛。 ナ⸢キベー⸣ ッ⸢ふァヨー⸣ ナ⸢ダ⸣ムンティ ⸢スンドゥ バン⸣マー ナ⸢ダマラ⸣ヌ [na⸢ki beː⸣ f⸢fajoː⸣ na⸢da⸣munti ⸢sundu bam⸣maː na⸢damara⸣nu] (泣いている子を宥めようとするが、私には宥められない)。 ナ⸢ダミ⸣ プサカー ⸢パー⸣ク ナ⸢ダ⸣メー ⸣ミサムヌ [na⸢dami⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku na⸢da⸣meː ⸣misamunu] (宥めたければ早く宥めればいいのに)。 ナ⸢ダ⸣ム ⸣クトー ム⸢チ⸣カサラバン ヤー⸢ディン⸣ ナ⸢ダ⸣ミ [na⸢da⸣mu ⸣ku̥toː mu⸢ʧi⸣kasarabaɲ jaː⸢din⸣ na⸢da⸣mi] (宥めることは難しくても、必ず宥めよ)。 ⸢ヤー ペーリマー⸣キ ⸢ベー⸣ムヌ ナ⸢ダ⸣ミ ⸢サーリ⸣ クーバ [⸢jaː peːrimaː⸣ki ⸢beː⸣munu na⸢da⸣mi ⸢saːri⸣ kuːba] (家の中に入りかねているから、宥めて連れてきなさいよ) 11984 0 0 11607 htmvoc_11984.wav ナダヤシー ナ⸢ダヤシー [na⸢dajaʃiː] 連体 簡単な。易しい。 ⸣アイブ ⸣クトー ク⸢リ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ナ⸢ダヤシー⸣<ナ⸢ダヤッ⸣サル> ク⸢トゥ⸣ル ヤ⸢ル [⸣ʔaibu ⸣ku̥toː ku⸢ri⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː na⸢dajaʃiː⸣ ku̥⸢tu⸣ru ja⸢ru] (あんなことは、これに較べると簡単なことである) 11983 0 0 11608 htmvoc_11983.wav ナダヤッサン ナ⸢ダヤッ⸣サン [na⸢dajas⸣saŋ] 形 おとなしい(大人しい)。優しい。性格が穏やかである。 ビ⸢コーンッふァ⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢ダヤッ⸣サン [bi⸢koːnffa⸣ ja⸢rundu⸣ ʔik⸢kena⸣ na⸢dajas⸣saŋ] (男の子だが非常におとなしい)。 ⸣キサー シ⸢キ⸣ルカー イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢ダヤッ⸣サ ナ⸢リ⸣ブー [⸣ki̥saː ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʔik⸢kena⸣ na⸢dajas⸣sa na⸢ri⸣ buː] (以前に較べたら非常におとなしくなっている)。 サ⸢ク⸣シ シ⸢キ⸣ルカー ⸢ナン⸣ゾー ナ⸢ダヤッサー ナー⸣ヌ [sḁ⸢ku⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢nan⸣ʣoː na⸢dajassaː naː⸣nu] (長男に較べると、あまり大人しくない)。 ⸣クナーテー ナ⸢ダヤッ⸣サー プ⸢ソー⸣ タティ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣kunaːteː na⸢dajas⸣saː pu̥⸢soː⸣ tḁti pa⸢rara⸣nu] (ここでは、大人しい人は暮らしていけない)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ ナ⸢ダヤッ⸣サカ⸢ナー [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ na⸢dajas⸣saka⸢naː] (もう少し優しければ良いのになあ) 11990 0 0 11609 htmvoc_11990.wav ナダヨーン ナ⸢ダヨー⸣ン [na⸢dajoː⸣ŋ] 形 涙もろい。「涙弱い」の義。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ナ⸢ダヨー⸣ン [mi⸢doːn⸣ffaː na⸢dajoː⸣ŋ] (女の子は涙もろい)。 ナ⸢ダヨーナー⸣ヌ [na⸢dajoːnaː⸣nu] (涙もろくない)。 ナ⸢ダヨー⸣ プ⸢ス [na⸢dajoː⸣ pu̥⸢su] (涙もろい人)。 ⸣アブジェー ナ⸢ダヨー⸣ンダ ⸢キョン⸣ギン ⸣ミリティン ナ⸢キル ソー⸣ル [⸣ʔabuʤeː na⸢dajoː⸣nda ⸢kjoŋ⸣gim ⸣miritin na⸢kiru soː⸣ru] (お祖父さんは涙もろいから、村芝居<狂言>を見ても泣きなさる<泣きぞされる>)。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ナ⸢ダヨー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː na⸢dajoː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (年を取ったので涙もろくなってしまった)。 イッ⸢カ⸣ ナ⸢ダヨー ナー⸣ヌ [ʔik⸢ka⸣ na⸢dajoː naː⸣nu] (決して涙もろくない)。 ナ⸢ダヨー⸣ プ⸢スンマー⸣ ミ⸢シララ⸣ヌ [na⸢dajoː⸣ pu̥⸢summaː⸣ mi⸢ʃirara⸣nu] (涙もろい人には見せられない)。 ウ⸢レー⸣ ドゥク ナ⸢ダヨー⸣ヌ ウ⸢リンマー⸣ ミ⸢シララ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ duku na⸢dajoː⸣nu ʔu⸢rimmaː⸣ mi⸢ʃirara⸣nu] (彼はあまりにも涙もろいので、彼には見せられない) 11980 0 0 11610 htmvoc_11980.wav ナダラカ ナ⸢ダラ⸣カ [na⸢dara⸣ka] 名 平ら。勾配のゆるいさま。平らかなさま。 ク⸢ヌ⸣ ミチェー ナ⸢ダラカミチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ラキヤッ⸣サン [ku⸢nu⸣ miʧeː na⸢darakamiʧi⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢rakijas⸣saŋ] (この道は平坦な道だから歩きやすい) 11981 0 0 11611 htmvoc_11981.wav ナダラカスン ナ⸢ダラカスン [na⸢darakasuŋ] 他動 平坦にする。均す。平らかにする。 ⸢タウミ ブン⸣ トンマー ナ⸢ダラカスンティ スンドゥ⸣ ナ⸢ダダラカサランバン [⸢taumi bun⸣ tommaː na⸢darakasunti sundu⸣ na⸢darakasarambaŋ] (\ruby{窪}{クボ}んでいる所は均そうとするが、\ruby{均}{ナラ}されないわい)。 ナ⸢ダラカ⸣シ ⸣ミサカー ナ⸢ダラカス⸣ クトー ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ [na⸢darakaʃi⸣ misakaː na⸢darakasu⸣ ku̥toː ⸣wakeː ⸢naː⸣nu] (均してよければ、均すことは簡単だ<訳はない>)。 ナ⸢ダラカシェー⸣ ミサムヌ [na⸢darakaʃeː⸣ misamunu] (均せばいいのに)。 ク⸢マン⸣ トンマー ⸢マー⸣ビン ナ⸢ダラカシ [ku⸢man⸣ tommaː ⸢maː⸣bin na⸢darakaʃi] (ここの所はもっと均せ) 11982 0 0 11612 htmvoc_11982.wav ナダラカミチ ナ⸢ダラカミチ [na⸢darakamiʧi] 名 平坦な道。 ⸣クマー ナ⸢ダラカミチヌ⸣ シ⸢ジキ ブー [⸣kumaː na⸢darakamiʧinu⸣ ʃi⸢ʤiki buː] (ここは平坦な道が続いている) 11988 0 0 11613 htmvoc_11988.wav ナダラクン ナ⸢ダラクン [na⸢darakuŋ] 他動 なだらかにする。平らかにする。 タ⸢カ⸣トー ⸣ナリ ⸢ブー ジー⸣ヤ ナ⸢ダラキティ⸣ イ⸢ビ⸣バ [ta⸢ka⸣toː ⸣nari ⸢buː ʤiː⸣ja na⸢darakiti⸣ ʔi⸢bi⸣ba] (凸凹になっている土地は平らかにして植え付けなさいよ)。 ナ⸢ダラクンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ナ⸢ダラカン⸣タンティン ⸣ミサンティ ア⸢ゾーッター⸣ル ナー⸢イ⸣ シケー [na⸢darakunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ na⸢darakan⸣tantim ⸣misanti ʔa⸢ʣoːttaː⸣ru naː⸢i⸣ ʃi̥keː] (平らかにしようとしたが、平らかにしなくてもいいと言われたので放置してある)。 ナ⸢ダラク⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸢パー⸣ク ナ⸢ダラケー⸣ ミサムヌ [na⸢daraku⸣ ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ⸢paː⸣ku na⸢darakeː⸣ misamunu] (平らかにすることが出来れば、早く平らかにすればいいのに)。 ⸣クマーラ ナ⸢ダラキ⸣バ [⸣kumaːra na⸢daraki⸣ba] (ここから平らかにしろよ) 11989 0 0 11614 htmvoc_11989.wav ナチ ナ⸢チ [na⸢iʧi] 名 夏。「~鮎走る 奈都能左加利等<ナツノサカリト>~。万、4011」の転訛。 ナ⸢チェー⸣ ア⸢サカイヌ⸣ アルンケンナール パ⸢タキシグ⸣トー ⸣ナル [na⸢ʧeː⸣ ʔa⸢sakainu⸣ ʔaruŋkennaːru pḁ⸢takiʃigu⸣toː ⸣naru] (夏は朝の涼しいうち<朝陰の内>にしか畑仕事は出来ない<朝陰の内にぞ畑仕事はできるものだ>)。 ナ⸢チ⸣ヌ ⸣ティダナー ノー⸢ン⸣ ン⸢ブリ⸣ス [na⸢ʧinu⸣ tidanaː noː⸢m⸣ ʔm⸢buri⸣su] (夏の太陽の暑さには総てのものが<何でも>蒸れてしまう<蒸される>) 11991 0 0 11615 htmvoc_11991.wav ナチアシブ ナ⸢チアシブ [na⸢ʧiʔaʃibu] 名 あせぼ(汗疹)。「夏あせぼ」の義。「Axebo.アセボ(熱沸瘡・汗瘡) あせも、または水疱」『邦訳日葡辞書』。 ナ⸢チアシブヌ アーリティ⸣ ム⸢ヌ ウモーラ⸣ヌ [na⸢ʧiʔaʃibunu ʔaːriti⸣ mu⸢nu ʔumoːra⸣nu] (夏あせぼが痒くて<暴れて>たまらない<ものを考えることができない>) 11992 0 0 11616 htmvoc_11992.wav ナチアミ ナ⸢チアミ [na⸢ʧiami] 名 夏の通り雨。そばえ。 ナ⸢チアメー⸣ ウ⸢シヌ⸣ カ⸢タ⸣シヌ ⸢ゾーラスン [na⸢ʧiʔameː⸣ ʔu⸢ʃini⸣ kḁ⸢ta⸣ʃinu ⸢ʣoːrasuŋ] (夏の通り雨<そばえ{EOS}わたくしあめ{EOS}日照り雨>は牛の片角を濡らす) 11993 0 0 11617 htmvoc_11993.wav ナチアモーリ ナ⸢チアモーリ [na⸢ʧiʔamoːri] 名 夏の雨。夕立。にわか雨。「夏あまぐれ」の義。 ナ⸢チアモーリル⸣ ヤ⸢リバ⸣ タ⸢デー⸣マンチン パ⸢リ⸣ルンパジ [na⸢ʧiʔamoːriru⸣ ja⸢riba⸣ ta⸢deː⸣manʧim pa⸢ri⸣rum ⸣paʤi] (夏の夕立だからすぐに晴れるだろうよ) 11997 0 0 11618 htmvoc_11997.wav ナチキン ナ⸢チ⸣キン [na⸢ʧi⸣kiŋ] 名 夏着。夏用衣服。「夏衣(素、キヌ{EOS}『類聚名義抄』)」の転訛。 ⸣バサキンマー ナ⸢チキン⸣ドゥ シ⸢ラリル⸣ フ⸢ヨー ピーヤ⸣ヌ キ⸢サラヌ [⸣basakimmaː na⸢ʧikin⸣du ʃi⸢rariru⸣ ɸu⸢joː piːja⸣nu ki̥⸢saranu] (芭蕉布の着物は夏着にしかできない<夏着にぞせられる>{EOS}冬は寒くて着られない) 12002 0 0 11619 htmvoc_12002.wav ナチマキ ナ⸢チマキ [na⸢ʧimaki] 名 夏ばて。暑気あたり。夏負け。夏の暑さのために体が衰弱すること。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢チマキバ シー⸣ ムヌーン ッ⸢ふァイユーサムティ ヨーガリ ベー [ja⸢ra⸣beː na⸢ʧimakiba ʃiː⸣ munuːŋ f⸢faijuːsamuti joːgari beː] (子供は夏負けして食べ物も食べられないで<ものも食べきれなくて>痩せている) 12003 0 0 11620 htmvoc_12003.wav ナチムヌ ナ⸢チ⸣ムヌ [na⸢ʧi⸣munu] 名 夏物。夏の着物。⸣バサキン[⸣basakiŋ](芭蕉布の着物)や⸣ブーキン[⸣buːkiŋ](麻布の着物)をいう。 マ⸢ナマー⸣ケー ナ⸢チ⸣ムヌ プ⸢スッ⸣クビシン ⸢トゥーサリ⸣スンドゥ フ⸢ユ⸣ ナルカー ナ⸢チ⸣ムヌシェー ク⸢ラサラヌ [ma⸢namaː⸣keː na⸢ʧi⸣munu pu̥⸢suk⸣kubiʃin ⸢tuːsari⸣sundu ɸu⸢ju⸣ narukaː na⸢ʧi⸣munuʃeː ku⸢rasaranu] (今までは夏物一着でも通されるが、冬になったら夏着では暮らされない) 12004 0 0 11621 htmvoc_12004.wav ナツァーラ ナ⸢ツァー⸣ラ [na⸢ʦaː⸣ra] 名 (植)海草の名。かいにんそう(海人草)。回虫駆除薬として重用された。鳩間島の海岸や西表島北岸の海岸で採集された。これを乾燥して石垣島へ輸出した。島の学校では、毎年夏に回虫駆除のため、全校生徒にナツァーラを煎じて飲ませた。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ガッ⸣コーナーティ ナ⸢ツァーラ⸣バ ⸣シジティ ⸢シー⸣トゥンケー ムー⸢ルン⸣ ヌ⸢マ⸣ソーッタン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gak⸣koːnaːti na⸢ʦaːra⸣ba ⸣ʃiʤiti ⸢ʃiː⸣tuŋkeː muː⸢run⸣ nu⸢ma⸣soːttaŋ] (昔は学校で海人草を煎じて生徒たち全員に飲まされたものだ) 12007 0 0 11622 htmvoc_12007.wav ナツァガスン ナ⸢ツァガスン [na⸢ʦagasuŋ] 他動 はかどらせる(捗らせる)。 シ⸢グトゥ⸣ ナ⸢ツァガスンティ スンドゥ⸣ ナ⸢ツァガサラヌ [ʃi⸢gutu⸣ na⸢ʦagasunti sundu⸣ na⸢ʦagasaranu] (仕事を捗らせようとするが、捗らされない)。 ナ⸢ツァガシ⸣ プサン [na⸢ʦagaʃi⸣ pu̥saŋ] (捗らせたい)。 ナ⸢ツァガス⸣ クトー ム⸢チカサ⸣ル [na⸢ʦagasu⸣ ku̥toː mu⸢ʧikasa⸣ru] (捗らせることは難しい)。 ナ⸢ツァガシェー⸣ ミサムヌ [na⸢ʦagaʃeː⸣ misamunu] (捗らせたらいいのに)。 ナ⸢ツァガシ [na⸢ʦagaʃi] (捗らせよ) 12006 0 0 11623 htmvoc_12006.wav ナツァグン ナ⸢ツァグン [na⸢ʦaguŋ] 自動 はかどる(捗る)。らちがあく(埒が明く)。 ⸢イー⸣ パ⸢ダム⸣チ ⸣ナレーチバ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ツァグン [⸢ʔiː⸣ pa⸢damu⸣ʧi ⸣nareːʧiba ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ʦaguŋ] (よい肌心地の気候になったので仕事は\ruby{捗}{ハカド}るよ)。 タ⸢ンガ⸣シェー ナ⸢ツァガヌ [⸢taŋga⸣ʃeː na⸢ʦaganu] (一人では仕事は捗らない)。 ナ⸢ツァギン⸣ ギサン [na⸢ʦagiŋ⸣ gisaŋ] (捗りそうだ)。 ク⸢ヌ シー⸣ヨーシェー ナ⸢ツァグ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu ʃiː⸣joːʃeː na⸢ʦagu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (この仕方では捗ることはない)。 ⸢マー⸣ビン ナ⸢ツァゲー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin na⸢ʦageː⸣ misamunu] (もっと捗ればいいのに) 11947 0 0 11624 htmvoc_11947.wav ナツァラカツァラ ナ⸢ツァラカツァ⸣ラ [na⸢ʦarakaʦa⸣ra] 副 色々様々。あれやこれや。つまらないことども。 マ⸢ナマー⸣キ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ツァラカツァ⸣ラ ⸢シー ミッタ⸣ヌ ⸣カイブ シ⸢グトー クン⸣ドゥ パ⸢ジミティ [ma⸢namaː⸣ki ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ʦarakaʦa⸣ra ⸢ʃiː mitta⸣nu ⸣kaibu ʃi⸢gutoː kun⸣du pa⸢ʤimiti] (今まで仕事はいろいろと<様々に>やってみたが、こんな仕事は今度が始めてだ)。 ナ⸢ツァラカツァ⸣ラ ア⸢ツァ⸣ミ ⸢キー⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ タ⸢ラーシタ [na⸢ʦarakaʦa⸣ra ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢kiː⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ta⸢raːʃita] (種々様々に集めてきて、やっとのことで充足させた<足らした>) 12005 0 0 11625 htmvoc_12005.wav ナツァラカツァラ ナ⸢ツァ⸣ラカツァラ [na⸢ʦa⸣rakaʦara] 名 いろいろ。さまざま。ABCDBC型の重言。 ナ⸢ツァ⸣ラカツァラヌ シ⸢ジフチル⸣バ トゥ⸢ヤー⸣シ ⸣シジ ⸣ヌミティル ウ⸢ヌ ヤン⸣マー ⸢ノーシ⸣タ⸢ダー [na⸢ʦa⸣rakaʦaranu ʃi⸢ʤiɸu̥ʧiru⸣ba tu⸢jaː⸣ʃi ⸣ʃiʤi ⸣numitiru ʔu⸢nu jam⸣maː ⸢noːʃi̥⸣ta⸢daː] (いろいろの煎じ薬を混ぜて<取り合わせて>、煎じて飲んで<ぞ>、あの病気は治したのだよ) 12015 0 1 11626 htmvoc_12015.wav ナッチン ⸢ナッ⸣チン [⸢nat⸣ʧiŋ] 名 {Mn_1}同じ小ささ。 ユ⸢ヌ ナッチン⸣ヌ ム⸢ヌ⸣バ ⸣トゥグ [ju⸢nunatʧin⸣nu mu⸢nu⸣ba ⸣tugu] (同じ程度の小さい物を取って来い)。 12015 0 2 11627 htmvoc_12015.wav ナッチン ⸢ナッ⸣チン [⸢nat⸣ʧiŋ] 名 {Mn_2}小さいものを表す。 ウ⸢ヌナッチン⸣ドゥ ⸣アル [ʔu⸢nu natʧin⸣du ⸣ʔaru] (その細かい程度の大きさしかない<その細かささぞある>) 12016 0 0 11628 htmvoc_12016.wav ナットゥク ⸢ナットゥ⸣ク [⸢nattu⸣ku] 名 納得。承知すること。認めること。標準語からの転訛。老年層は、キ⸢ム⸣フグン[ki⸢mu⸣ ɸuguŋ](満足する{EOS}納得する)という。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢バン⸣マー ⸢ナットゥ⸣ク サ⸢ラヌ<シ⸢ララヌ> [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢bam⸣maː ⸢nattu⸣ku sa⸢ranu<ʃi⸢raranu>] (その話は私には納得できない) 12017 0 1 11629 htmvoc_12017.wav ナティ ⸢ナ⸣ティ [⸢na⸣ti] 接尾 日、年を表す語に付いて、⸢~日(年)前」の意味を表す。何日前、何年前。{Mn_1}⸣キノー[⸣kinoː](昨日)、⸢ブシ⸣トゥイ[⸢buʃi̥⸣tui](一昨日)、⸢ミーカナ⸣ティ[⸢miːkana⸣ti](三日前の日)、⸢ユーカナ⸣ティ[⸢juːkana⸣ti](四日前の日)。 ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ユーカナ⸣ティ ⸢ヤッタ⸣ナー [⸢joi⸣jaː ⸢juːkana⸣ti ⸢jatta⸣naː] (お祝いは四日前だったねえ)。 12017 0 2 11630 htmvoc_12017.wav ナティ ⸢ナ⸣ティ [⸢na⸣ti] 接尾 {Mn_2}⸣クズ[⸣kuʣu](去年)、⸢ミーティナ⸣ティ[⸢miːtina⸣ti](三年前)、⸢ユーティナ⸣ティ[⸢juːtina⸣ti](四年前)。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ミーティナ⸣ティナー ウ⸢キ⸣ナー ⸢クーシ⸣ パレーン [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢miːtina⸣tinaː ʔu⸢ki⸣naː ⸢kuːʃi⸣ pareːŋ] (彼らは三年前に沖縄へ引っ越して行った) 12018 0 0 11631 htmvoc_12018.wav ナディマースン ナ⸢ディマー⸣スン [na⸢dimaː⸣suŋ] 他動 撫で回す。手のひらで撫でる。 ア⸢タラ⸣サティ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ス⸢ブ⸣ル ナ⸢ディマー⸣スンティ シ⸢タンドゥ⸣ ウ⸢バイティ⸣ ナ⸢クター⸣ ナ⸢ディマーサン⸣シェン [ʔa⸢tara⸣sati ja⸢rabi⸣nu su⸢bu⸣ru na⸢dimaː⸣sunti ʃi̥⸢tandu⸣ ʔu⸢dara⸣kiti na⸢kutaː⸣ na⸢dimaːsaŋ⸣ʃeŋ] (可愛いので子供の頭を撫で回そうとしたが、驚いて泣いたので撫で回さなかった)。 ナ⸢ディマーシ⸣ ミサカー ナ⸢ディマー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [na⸢dimaː⸣ʃi ⸣misakaː na⸢dimaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (撫で回してよければ撫で回すことはできる)。 ナ⸢ディマー⸣シェー ⸣ミサムヌ [na⸢dimaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (撫で回せばいいのに)。 ヤー⸢ラマ⸣シ ナ⸢ディマー⸣シバ [jaː⸢rama⸣ʃi na⸢dimaː⸣ʃiba] (丁寧に優しく、軽く撫で回しなさいよ) 12019 0 0 11632 htmvoc_12019.wav ナディルン ナ⸢ディ⸣ルン [na⸢di⸣ruŋ] 他動 撫でる。優しくさする。⸣ナドゥン[⸣naduŋ](なづ<撫づ>)ともいう。「~袖もち奈弖氐<ナデテ>わがからに~。万、4356」の転訛したもの。 ス⸢ブ⸣ル ナ⸢ディ⸣ルン [su⸢bu⸣ru na⸢di⸣ruŋ] (頭を撫でる)。 ナ⸢ディラ⸣ヌ [na⸢dira⸣nu] (撫でない)。 ナ⸢ディ⸣プサン [na⸢di⸣pusaŋ] (撫でたい)。 ナ⸢ディ⸣ル ⸣クトゥ [na⸢di⸣ru ⸣ku̥tu] (撫でること) ナ⸢ディ⸣レー ⸣ミサムヌ [na⸢di⸣reː ⸣misamunu] (撫でればいいのに))。 ナ⸢ディ⸣リ [na⸢di⸣ri] (撫でろ) 12021 0 1 11633 htmvoc_12021.wav ナドゥ ⸣ナドゥ [⸣nadu] 名 {Mn_1}空間的長さ。 カ⸢マ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ ナ⸢ドゥ⸣ヌ ⸣ミチ ア⸢ラ⸣キ ⸢クー⸣タ [ka⸢ma⸣tu ju⸢nu⸣ na⸢du⸣nu ⸣miʧi ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuː⸣ta] (あそこと同じ長さの道を歩いてきた)。 12021 0 2 11634 htmvoc_12021.wav ナドゥ ⸣ナドゥ [⸣nadu] 名 {Mn_2}時間的長さ。 ⸢オー⸣ヤ イ⸢チニン⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシェー⸣ンドゥ ピ⸢ビザン⸣ ユ⸢ヌ⸣ ナドゥ カ⸢カリ⸣ル フ⸢ドゥバサリ⸣ パジ [⸢ʔoː⸣ja ʔi⸢ʧinin⸣ sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃeː⸣ndu pi⸢biʣaɲ⸣ ju⸢nu⸣ nadu kḁ⸢kari⸣ru ɸu⸢dubasari⸣ paʤi] (豚は一年飼育して成長させたが、山羊も同じ期間<長さ>かかって<ぞ>成長させられるだろう) 12020 0 0 11635 htmvoc_12020.wav ナドゥン ⸣ナドゥン [⸣naduŋ] 他動 撫でる。「なづ(撫づ)下二段活用」の四段活用化したもの。「梳、ナヅ」『類聚名義抄』。「我が母の袖もちなでて~。万、4356」の転訛。 ス⸢ブ⸣ル ⸣ナドゥン [su⸢bu⸣ru ⸣naduŋ] (頭を撫でる)。 ⸣バー ナ⸢ダン⸣シェン [⸣baː na⸢daŋʃeŋ] (私は撫でなかった)。 ⸣ナディ ッ⸢ふィーリ [⸣nadi f⸢fiːri] (撫でてくれ)。 ⸣ナドゥ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣nadu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (撫でる人はいない)。 ⸣ナデー ⸣ミサムヌ [⸣nadeː ⸣misamunu] (撫でればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ナディバ [⸢paː⸣ku ⸣nadiba] (早く撫でよ) 12022 0 0 11636 htmvoc_12022.wav ナナ ⸣ナナ [⸣nana] 名 (数)数の名。なな(七)。しち。⸢ティー[⸢tiː](ひとつ)、⸢ター[⸢taː](二つ)、⸢ミー[⸢miː](みっつ)、⸢ユー[⸢juː](四つ)、⸣イチ[⸣ʔiʧi](五つ)、⸢ムー[⸢muː](六つ)、⸣ナナ[⸣nana](七つ)、⸢ヤー[⸢jaː](八つ)、ク⸢ク⸣ヌ[ku̥⸢ku⸣nu](九つ)、⸢トゥー[⸢tuː](十)の⸢七つ」の意。 ッ⸢ふァーン⸣ ッ⸢ふァアーン⸣ ナ⸢ナマカ⸣ル [f⸢faːn⸣ f⸢faːn⸣ na⸢namaka⸣ru] (食べない食べないと言いながら七杯もお代わりして食うほどの大食漢だ)。 ナ⸢ナケー⸣ラ カ⸢ユーンドゥ ソーダン⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [na⸢nakeː⸣ra ka⸢juːndu soːdan⸣nu na⸢ra⸣nu] (七回も通うけれど相談がまとまらない)。 ナ⸢ナ⸣ティー [na⸢na⸣tiː] (七年)。 ナ⸢ナ⸣ユー ⸣クミー ⸢ニン⸣ガイ ⸢ヨーッ⸣タ [na⸢na⸣juː ⸣kumiː ⸢niŋ⸣gai ⸢joːt⸣ta] (七夜を籠めて祈願された) 12023 0 0 11637 htmvoc_12023.wav ナナイラ ナ⸢ナイ⸣ラ [na⸢nai⸣ra] 名 七枚。七平。⸢イラ⸣ [⸢ira⸣] は皿や紙などを数える数詞。 プ⸢スイ⸣ラ [pu̥⸢sui⸣ra] (一枚)。 フ⸢タイラ [ɸu̥⸢taira] (二枚)。 ⸢ミーラ [⸢miːra] (三枚)。 ⸢ユイラ [⸢juira] (四枚)。 イ⸢チ⸣イラ [ʔi⸢ʧi⸣ira] (五枚)。 ⸢ムイラ [⸢muira] (六枚)。 ナ⸢ナイ⸣ラ [na⸢nai⸣ra] (七枚)。 ⸢ヤイラ [⸢jaira] (八枚)。 ク⸢ヌイ⸣ラ [ku⸢nui⸣ra] (九枚) 12024 0 0 11638 htmvoc_12024.wav ナナカサビ ナ⸢ナカサ⸣ビ [na⸢nakasa⸣bi] 名 七重。七重ね。七枚重ねること。衣類の場合は、普通ナ⸢ナッ⸣クビ[na⸢nak⸣kubi](七重)という。 ナ⸢ナカサ⸣ビ ⸢ヤーカサビ シー⸣ シケー [na⸢nakasa⸣bi ⸢jaːkasabi ʃiː⸣ ʃi̥keː] (七重ね、八重ねにしてある)。 ⸢キン⸣バ ナ⸢ナッ⸣クビ カ⸢サビ⸣ キ⸢ソー⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タンツォー [⸢kim⸣ba na⸢nak⸣kubi ka⸢sabi⸣ ki̥⸢soː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣tanʦoː] (着物を七着重ねて着られる人もおられたそうです) 12025 0 0 11639 htmvoc_12025.wav ナナクルビヤーウキ ナ⸢ナクル⸣ビ ⸢ヤーウキ [na⸢nakuru⸣bi ⸢jaːʔuki] 連 七転び八起。 ナ⸢ナクル⸣ビ ⸢ヤーウキ⸣ティル ム⸢カ⸣シムネー ⸣アル ⸢ギーバリ⸣ヨー [na⸢nakuru⸣bi ⸢jaːʔuki⸣tiru mu⸢ka⸣ʃimuneː ⸣ʔaru ⸢giːbari⸣joː] (七転び八起きと昔の言葉<諺>にはある{EOS}頑張りなさいよ) 12026 0 0 11640 htmvoc_12026.wav ナナサイヌパナ ナ⸢ナサイ⸣ヌ ⸣パナ [na⸢nasai⸣nu ⸣pana] 連 七咲きの波の花。\ruby{渚}{ナギサ}に寄せてくる波の花を七回汲み取って家に持ち帰り、家を清めるために撒いた海水。お祓いのために用いる海水。波打ちぎわから砂を七回掴みとって撒くこともある。 ナ⸢ナサイ⸣ヌ ⸣パナシ ⸣ヤー キ⸢ユ⸣ミ シ⸢キ⸣リ [na⸢nasai⸣nu ⸣panaʃi ⸣jaː ki⸢ju⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri] (七咲きの波の花で家を清めておきなさい) 12028 0 0 11641 htmvoc_12028.wav ナナシキ ナ⸢ナ⸣シキ [na⸢na⸣ʃi̥ki] 名 七ヶ月。妊娠七ヶ月。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢ルミ⸣プソー ナ⸢ナ⸣シキ ナ⸢リ⸣ブツォー [ku⸢nu⸣ pa⸢rumi⸣pu̥soː na⸢na⸣ʃi̥ki na⸢ri⸣buʦoː] (この妊婦は妊娠七ヶ月になっているそうだ) 12029 0 0 11642 htmvoc_12029.wav ナナシキッふァ ナ⸢ナシキ⸣ッふァ [na⸢naʃi̥ki⸣ffa] 名 妊娠七ヶ月で生まれる子。「七月子」の義。 ナ⸢ナシキ⸣ッふァー ム⸢カ⸣シェーラ トゥ⸢ラ⸣リンティ ア⸢ザリブー [na⸢naʃi̥ki⸣ffaː mu⸢ka⸣ʃeːra tu⸢ra⸣rinti ʔa⸢ʣari buː] (妊娠七ヶ月の早産で生まれる子は昔から育てることができる<親の手に取ることが出来る>といわれている) 12030 0 0 11643 htmvoc_12030.wav ナナスーヌナナスク ナ⸢ナスー⸣ヌ ナ⸢ナ⸣スク [na⸢nasuː⸣nu na⸢na⸣su̥ku] 連 海の底。深海底。「七潮の七底」の義。浜の砂は深海底より湧き出てきたものと考えられている。波打ち際の人の足跡の付いてない砂は聖なるものといわれ、その砂を運んで屋敷内に撒き、祓い清めた。 ナ⸢ナスー⸣ヌ ナ⸢ナ⸣スコーラ フ⸢キ⸣タテール イ⸢ノンヌ⸣ パ⸢チェー⸣ ヤー⸢ディン⸣ トゥリキー ピ⸢ナカンヌ コー⸣ローナ イ⸢ローッ⸣タ [na⸢nasuː⸣nu na⸢na⸣su̥koːra ɸu̥⸢ki⸣tateːru ʔi⸢nonnu⸣ pḁ⸢ʧeː⸣ jaː⸢din⸣ turikiː pi⸢nakannu koː⸣roːna ʔi⸢roːt⸣ta] (七潮の七底から湧き出た砂のお初<花>を必ず取ってきて、火の神の香炉に入れた)。 イ⸢ノンヌ⸣ パナー ム⸢ヌヌキ⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ ウ⸢リ⸣ マキティ ⸢ヤー⸣ザライ ⸢シー [ʔi⸢nonnu⸣ panaː mu⸢nunuki⸣munu ja⸢riba⸣ ʔu⸢ri⸣ makiti ⸢jaː⸣ʣarai ⸢ʃiː] (砂の花<人の足跡のない砂>は魔除けだから、それを撒いて屋敷を祓い清め<家さらえ(浚え)し>なさい) 12031 0 0 11644 htmvoc_12031.wav ナナタンブー ナ⸢ナタン⸣ブー [na⸢natam⸣buː] 名 七反の布で作った帆。七反帆。七反帆帆船(伝馬船)。伝馬船の大きさを表す語。 ム⸢カ⸣シェー ナ⸢ナタンブー⸣ヌ ⸢ティンマ⸣ナール ⸢マイヤー ヌーシティ グイ⸣フゾーノー ウ⸢サ⸣モーッタツォー [mu⸢ka⸣ʃeː na⸢natambuː⸣nu ⸢timma⸣naːru ⸢maija nuːʃi̥ti gui⸣ɸuʣoːnoː ʔu⸢sa⸣moːttaʦoː] (昔は七反帆の伝馬船に米を積んで<載せて>御用布、上納米を納められたそうだ) 12027 0 0 11645 htmvoc_12027.wav ナナチ ナ⸢ナ⸣チ [na⸢na⸣ʧi] 名 七つ。七歳。ナ⸢ナッ⸣チ[na⸢nat⸣ʧi](七つ{EOS}七歳)ともいう。 ナ⸢ナチ⸣ナー ⸣バキ ⸣トゥリバ [na⸢naʧi⸣naː ⸣baki ⸣turiba] (七つずつ分けて取りなさい)。 ナ⸢ナ⸣チ ⸣ナルカー ⸢ガッ⸣コー ン⸢ジ⸣ルン [na⸢na⸣ʧi ⸣narukaː ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (七歳になったら学校にあがる<出る>) 12032 0 0 11646 htmvoc_12032.wav ナナチンブシ ナ⸢ナチン⸣ブシ [na⸢naʧim⸣buʃi] 名 七つ星。北斗七星。 ナ⸢ナチンブシ⸣バ ミ⸢ヤティ⸣バ ⸢シー⸣ パリバ [na⸢naʧimbuʃi⸣ba mi⸢jati⸣ba ⸢ʃiː⸣ pariba] (北斗七星を目当てにして行けよ) 12033 0 0 11647 htmvoc_12033.wav ナナック ナ⸢ナッ⸣ク [na⸢nak⸣ku] 名 七個。卵や丸い小石、瓶や水瓶等を数える単位。 トゥ⸢ルヌ コー⸣マ ナ⸢ナッ⸣ク ⸣ナシシケー [tu⸢runu koː⸣ma na⸢nak⸣ku ⸣naʃiʃi̥keː] (鶏が卵を七個生んである) 12034 0 1 11648 htmvoc_12034.wav ナナッチ ナ⸢ナッ⸣チ [na⸢nat⸣ʧi] 名 {Mn_1}七つ。 ⸣クナー ⸢シーヤ⸣ ナ⸢ナッ⸣チ ⸣アン [⸣kunaː ⸢ʃiːja⸣ na⸢nat⸣ʧi ʔaŋ] (ここには釣り針が七つある)。 12034 0 2 11649 htmvoc_12034.wav ナナッチ ナ⸢ナッ⸣チ [na⸢nat⸣ʧi] 名 {Mn_2}七歳。 ⸣トゥシェー ナ⸢ナッ⸣チ ⸣ナル ッ⸢ふァヌ ブン [⸣tu̥ʃeː na⸢nat⸣ʧi ⸣naru f⸢fanu buŋ] (年は七歳になる子がいる) 12035 0 0 11650 htmvoc_12035.wav ナナティ ナ⸢ナ⸣ティ [na⸢na⸣ti] 名 七年。七年目。 ⸢タンカー [⸢taŋkaː] (一年の誕生日{EOS}一周忌)。 ユ⸢ノー⸣レー [ju⸢noː⸣reː] (死後ニ年目の法事、一周忌)。 ⸢ミーティ [⸢miːti] (~から三年め)。 ⸢ユーティ [⸢juːti] (~から四年め)。 イ⸢チ⸣ティ [ʔi⸢ʧi⸣ti] (~から五年)。 ⸢ムーティ [⸢muːti] (~から六年)。 ナ⸢ナ⸣ティ [na⸢na⸣ti] (~から七年)。 ⸢ヤーティ [⸢jaːti] (~から八年)。 ク⸢クヌ⸣ティ [ku̥⸢kunu⸣ti] (~から九年) 12036 0 0 11651 htmvoc_12036.wav ナナティヌソッコー ナ⸢ナティ⸣ヌ ⸢ソッ⸣コー [na⸢nati⸣nu ⸢sok⸣koː] 連 七年忌。七回忌。「七年の焼香」の義。若年層は、シ⸢チニン⸣キ[ʃi̥⸢ʧiniŋ⸣ki](七年忌)ともいう。三年忌から十三年忌までの焼香<法事>をバ⸢カソッ⸣コー[ba⸢kasok⸣koː](若焼香)という。 ク⸢トゥシェー⸣ アボー ナ⸢ナティ⸣ヌ ⸢ソッ⸣コー ア⸢タリ ブーバ⸣ ウ⸢ヌ⸣ ス⸢コール シー⸣ヨー [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔaboː na⸢nati⸣nu ⸢sok⸣koː ʔa⸢tari buːba⸣ ʔu⸢nu⸣ su̥⸢koːru ʃiː⸣joː] (今年はお母さんの七年忌に当っているので、その準備をしなさいね) 12037 0 0 11652 htmvoc_12037.wav ナナトゥ ナ⸢ナ⸣トゥ [na⸢na⸣tu] 名 (数)七斗。 ⸢マイヌ⸣ ナ⸢ナ⸣トゥ ⸢ペー⸣ル カ⸢シガーフク⸣ロー ナ⸢ナトゥダー⸣ラティ ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢mainu⸣ na⸢na⸣tu ⸢peː⸣ru kḁ⸢ʃigaːɸu̥ku⸣roː na⸢natudaː⸣rati ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (米が七斗入る南京袋を七斗俵といわれた) 12038 0 0 11653 htmvoc_12038.wav ナニックラ ナニッ⸢クラ [nanik⸢kura] 副 突然。だしぬけに。 ノー⸢ンティン ナー⸣ムティ ナニッ⸢クラ ペー⸣リ ⸣キー ウ⸢ヤー⸣リ プ⸢スバ⸣ ウ⸢バーシ⸣ シケー [noː⸢ntin naː⸣muti nanik⸢kura peːri⸣ kiː ʔu⸢jaː⸣ri pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥keː] (何の合図もしないで<何ともないで>、突然入ってきて大声を出して、人を驚かせている)。 ナニッ⸢クラ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸣パレーン [nanik⸢kura⸣ kḁ⸢ta⸣mi ⸣pareːŋ] (突然担いで行った) 12039 0 0 11654 htmvoc_12039.wav ナハ ⸣ナハ [⸣naha] 名 (地)那覇市。 ナ⸢ハ⸣ヌ ⸣マチナーヤ ノー⸢ン⸣ アンツォー ⸢ナーン⸣ムノー ⸢ナーン⸣ティバーヤ [na⸢ha⸣nu ⸣maʧinaːja noː⸢ŋ⸣ ʔanʦoː ⸢naːm⸣ munoː ⸢naːn⸣tibaːja] (那覇の市場<町>には、何でもあるそうだ{EOS}無いものは無いんだってよ) 12040 0 0 11655 htmvoc_12040.wav ナバ ⸣ナバ [⸣naba] 名 しいたけ(椎茸)。キノコ類。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣ナバー ⸢ナン⸣ゾー ⸢ムイラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸣nabaː ⸢nan⸣ʣoː ⸢muiraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島ではキノコ類はあまり生えなかった)。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸣ナバー ッ⸢ふァーリンドゥ⸣ ウシキーヌ ⸣ナバー ッ⸢ふァーラヌティ⸣ ア⸢ゾーッ⸣タ [ga⸢ʤimaru⸣nu ⸣nabaː f⸢faːrindu⸣ ʔuʃi̥kiːnu ⸣nabaː f⸢faːranuti⸣ ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (ガジマルの\ruby{SqBr}g{/SqBr}{木耳}{キクラゲ}は食べられるがハスノハギリに生える木耳は食べられないと言われた)。 ⸣ドゥクナバー ッ⸢ふァーランバ⸣ シ⸢ティリ [⸣dukunabaː f⸢faːramba⸣ ʃi̥⸢tiri] (毒キノコ<毒きくらげ>は食べられないから捨てなさい) 12041 0 0 11656 htmvoc_12041.wav ナバンドー ナ⸢バン⸣ドー [na⸢ban⸣doː] 名 (地)⸣カンドー[⸣kandoː]の北側奥にある窪地。ナ⸢ビン⸣ドー[na⸢bin⸣doː]ともいう。 ナ⸢バン⸣ドーナー ⸢タッ⸣テヌ パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [na⸢ban⸣doːnaː ⸢tat⸣tenu pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (ナバンドーには何処の家の畑があるのか) 12042 0 0 11657 htmvoc_12042.wav ナビ ⸣ナビ [⸣nabi] 名 なべ(鍋)。 ⸢イー⸣ナビ [⸢ʔiː⸣nabi] (ご飯を炊く鍋)。 ⸢スー⸣ナビ [⸢suː⸣nabi] (汁鍋)。 ⸣ビーナビ [⸣biːnabi] (注ぎ口のある鍋)。 ⸢ティー⸣ナビ [⸢tiː⸣nabi] (鍋づるの付いた鍋)。 ア⸢ギナビ [ʔa⸢ginabi] (揚げ物用の鍋)。 ウ⸢ブ⸣ナビ [ʔu⸢bu⸣nabi] (大鍋)。⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](四枚鍋{EOS}大鍋)などがある。「さし名倍<ナベ>に 湯沸かせ~。万、3824」の転訛したもの。 ナ⸢ビ⸣ヌ ピ⸢サ⸣ベー ヌ⸢キ⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢タイ⸣ナー ⸣シキ ッ⸢ふィーリ⸣バ [na⸢bi⸣nu pi̥⸢sa⸣beː nu⸢ki⸣munu ja⸢riba⸣ ja⸢rabi⸣nu ɸu̥⸢tai⸣naː ⸣ʃi̥ki f⸢fiːri⸣ba] (鍋の鍋墨は魔除け<護符>だから幼児の額に付けてやりなさいよ) 12045 0 0 11658 htmvoc_12045.wav ナビウティフチ ナ⸢ビウティ⸣フチ [na⸢biʔuti⸣ɸu̥ʧi] 名 鍋取。「鍋取り草履<靴>」の転訛したもの。つる<鉉>のない鍋を竈からおろす際、鍋に当てて持つ藁製の道具。幅約5センチ、長さ約10センチのわらじ(草鞋)形に編んだもの二枚を藁縄で\ruby{繋}{ツナ}いで一式としたもの。 ナ⸢ビウティ⸣フチシ ウ⸢タン⸣カー イ⸢ツァー⸣ヌ カ⸢サマラン⸣ダー [na⸢biʔuti⸣ɸu̥ʧiʃi ʔu⸢taŋ⸣kaː ʔi⸢ʦaː⸣nu kḁ⸢samaran⸣daː] (鍋取で鍋を竈から下ろさないと熱くて掴めないぞ)。 ナ⸢ビウティ⸣フチェー ⸣マナー ⸣シケーワ [na⸢biʔuti⸣ɸu̥ʧeː ⸣manaː ⸣ʃi̥keːwa] (鍋取り<鍋を下ろす際の鍋取靴>は何処に置いてあるか) 12043 0 0 11659 htmvoc_12043.wav ナビカマ ⸣ナビカマ [⸣nabikama] 名 鍋釜。炊事道具。 ⸣ナビカマー ス⸢ロー⸣シティ ⸢ヤーバカ⸣リ ⸢シー⸣バ [⸣nabikamaː su⸢roː⸣ʃi̥ti ⸢jaːbaka⸣ri ⸢ʃiː⸣ba] (鍋釜を揃えて分家しなさい) 12047 0 0 11660 htmvoc_12047.wav ナビクーサー ⸣ナビクーサー [⸣nabikuːsaː] 名 鋳掛屋。鍋の壊れたところを修理する人。⸣ナビ ⸢クーシ⸣プス[⸣nabi ⸢kuːʃi⸣pu̥su](鋳掛屋{EOS}鍋の破損を修復する人)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ナビクーサーバ ⸢シェー⸣ティン ク⸢ラシ⸣ パ⸢ラリ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣nabikuːsaːba ⸢ʃeː⸣tiŋ ku⸢raʃi⸣ pa⸢rari⸣taŋ] (昔は鋳掛屋をしても暮らしていけた) 12044 0 0 11661 htmvoc_12044.wav ナビシケー ⸣ナビシケー [⸣nabiʃi̥keː] 名 \ruby{鍋敷}{ナベ|シ}き。\ruby{釜敷}{カマ|シ}き。⸣ナビシキ[⸣nabiʃi̥ki]ともいう。竈から鍋を下ろした時に丸底の鍋を安定させるために敷くもの。「鍋敷き」の義。直径約2センチの太さに藁や藁縄を巻き締めて、直径約12センチの輪に作ったもの。 カ⸢マチェーラ⸣ ナビ ウ⸢トゥ⸣カー ⸣ナビシケーナ ビ⸢シ⸣バ [ka⸢maʧeːra⸣ nabi ʔu⸢tu⸣kaː ⸣nabiʃi̥keːna bi⸢ʃi⸣ba] (竈から鍋を降ろしたら<移したら>鍋敷きに据えなさい<座らせ>よ) 12048 0 0 11662 htmvoc_12048.wav ナビッツ ナ⸢ビッ⸣ツ [na⸢bit⸣ʦu] 名 (人)女性の名前。 ナ⸢ビッ⸣ツン ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸢ナー ヤッタ [na⸢bit⸣ʦum mi⸢dumu⸣nu ⸢naː jatta] (ナビッツも女性の名前であった) 12049 0 0 11663 htmvoc_12049.wav ナビッツォンマー ナ⸢ビッ⸣ツォンマー [na⸢bit⸣ʦommaː] 固 ナビツ姉さん。ナビツお母さん。 ナ⸢カシ⸣ケヌ ⸣アンマー ⸢ナーヤ⸣ ナ⸢ビッ⸣ツォンマーティ ア⸢ゾーッ⸣タ [na⸢kaʃi̥⸣kenu ⸣ʔammaː na⸢bit⸣ʦommaːti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (仲底家のお母さんの名前はナビッツォンマーといわれた) 12046 0 0 11664 htmvoc_12046.wav ナビヌクー ナ⸢ビ⸣ヌ ⸣クー [na⸢bi⸣nu ⸣kuː] 連 いかけ(鋳掛)。鍋の壊れた部分を修理すること。鍋の穴を\ruby{塞}{フサ}ぐこと。⸣クー[⸣kuː]は、漢語の「金固」の義か。 ナ⸢ビ⸣ヌ ⸣クー ⸢シープソー⸣ パ⸢トゥ⸣マナー ⸢オーラン⸣ ベーティ イ⸢サンケー⸣ ムティ ⸢ギール⸣ クー シ⸢ミター [na⸢bi⸣nu ⸣kuː ⸢ʃiːpu̥soː⸣ pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʔoːram⸣ beːti ʔi⸢sanakeː⸣ muti ⸢giːru⸣ kuː ʃi⸢mitaː] (\ruby{鋳掛屋}{イ|カケ|ヤ}は鳩間島にはおられないから、石垣島へ持っていって修理をさせた) 12050 0 0 11665 htmvoc_12050.wav ナビヌティー ナ⸢ビ⸣ヌ ⸣ティー [na⸢bi⸣nu ⸣tiː] 連 鍋づる(鍋弦)。鍋に取り付けたつる。「鍋の手」の義。 ナ⸢ビ⸣ヌ ⸢ティー⸣ヤ ⸣アチティ イ⸢ツァー⸣ヌ カ⸢サマラヌ [na⸢bi⸣nu ⸢tiː⸣ja ⸣ʔaʧiti ʔi⸢ʦaː⸣nu ka⸢samaranu] (鍋づるは熱せられていて、熱くて掴め<掴まれ>ない) 12051 0 0 11666 htmvoc_12051.wav ナビヌピサビ ナ⸢ビ⸣ヌ ピ⸢サ⸣ビ [na⸢bi⸣nu pi̥⸢sa⸣bi] 連 鍋墨。鍋の墨。鍋墨は魔除けとされ、乳児が外出する際には鍋墨を眉間に付けた。 ナ⸢ビ⸣ヌ ピ⸢サ⸣ベー ヌ⸢キ⸣ムヌティ ア⸢ザリ ブー [na⸢bi⸣nu pi̥⸢sa⸣beː nu⸢ki⸣munuti ʔa⸢ʣari buː] (鍋墨は魔除けといわれている) 12052 0 0 11667 htmvoc_12052.wav ナビヌピング ナ⸢ビ⸣ヌ ⸢ピング [na⸢bi⸣nu ⸢piŋgu] 連 鍋墨。鍋の煤。⸢ピング[⸢piŋgu](鍋墨)は「竈・黒<ヘ・クロ>」の転訛したものか。ナ⸢ビ⸣ヌ ピ⸢サ⸣ビ[na⸢bi⸣nu pi⸢sa⸣bi](鍋墨{EOS}⸢鍋の竈・錆」の転訛したものか)ともいう。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢タイ⸣ナー ナ⸢ビ⸣ヌ ⸢ピング⸣ シキバ [ja⸢rabi⸣nu ɸu̥⸢tai⸣naː na⸢bi⸣nu ⸢piŋgu⸣ ʃi̥kiba] (子供の額に鍋墨をつけなさい) 12053 0 0 11668 htmvoc_12053.wav ナビンフタ ナ⸢ビン⸣フタ [na⸢biŋ⸣ɸu̥ta] 名 鍋蓋。「鍋の蓋」の転訛したもの。茅で円錐形に編み上げて作った鍋蓋。⸢マーガヤ[⸢maːgaja](⸢真茅」の義{EOS}約1メートル50センチの茅)を根元から刈り取り、2~3日陰干しにし、柔らかくなったところを直径約1、5センチの太さに束ね、⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](籐蔓もどき)の皮や⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](くろつぐ<桄榔>)の皮で強く締め付けて、直径約60センチ、高さ約30センチの円錐形に編み上げて作った鍋蓋。⸢シンマイ⸣ナビ[⸢ʃimmai⸣nabi](四枚鍋{EOS}芋を煮る大鍋)の鍋蓋に用いた。 ナ⸢ビン⸣フター ⸣ガヤーシル フ⸢モーッ⸣タ [na⸢biŋ⸣ɸu̥taː ⸣gajaːʃiru ɸu⸢moːt⸣ta] (鍋蓋は茅で<ぞ>編まれた) 12055 0 0 11669 htmvoc_12055.wav ナブッタールン ナ⸢ブッター⸣ルン [na⸢buttaː⸣ruŋ] 自動 腹ばう。横になる。縁側にべったりと腹ばう。 プ⸢スヌ⸣ マンタナー ナ⸢ブッター⸣ルンティ ⸢ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ イ⸢ズター⸣ ⸣ウナー ナ⸢ブッターラン⸣ドーシ ⸣パレーン [pu̥⸢sunu⸣ mantanaː na⸢buttaː⸣runti ⸢beː⸣ta ⸢beː⸣ti ʔi⸢ʣutaː⸣ ʔunaː na⸢buttaːran⸣doːʃi ⸣pareːŋ] (他人の前で腹ばおうとしていたので、叱ったらばそこには腹ばいにならないで<腹ばわないで>行ってしまった)。 ⸣ウナー ナ⸢ブッター⸣リ ⸢ベーン⸣ティ [⸣ʔunaː na⸢buttaː⸣ri ⸢beːn⸣ti] (そこに腹ばっているさ)。 ナ⸢ブッター⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [na⸢buttaː⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (腹ばうことは出来ない<ならない>)。 ⸢ワンヌン⸣ ナ⸢ブッター⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢wannun⸣ na⸢buttaː⸣reː ⸣misamunu] (君も腹ばえばいいのに)。 ⸣クナー ナ⸢ブッター⸣リ [⸣kunaː na⸢buttaː⸣ri] (ここに腹ばいなさい) 12056 0 0 11670 htmvoc_12056.wav ナブッツァーン ナ⸢ブッ⸣ツァーン [na⸢but⸣ʦaːŋ] 形 滑らかである。すべりやすい。すべっこい。ナ⸢ブラーッ⸣ツァンとも言う。 ⸣クマー イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢ブッ⸣ツァーンダ ナ⸢ブッツァーナーン⸣ トンラ ア⸢ラ⸣キ [⸣kumaː ʔik⸢kena⸣ na⸢but⸣ʦaːnda na⸢butʦaː naːn⸣ tonra ʔa⸢ra⸣ki] (ここは非常にすべっこいから、すべっこくない所から歩け)。 ナ⸢ブッツァー⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [na⸢butʦaː⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (すべっこくて歩けない)。 ナ⸢ブッ⸣ツァー ⸣ナリ ⸣ケーン [na⸢but⸣ʦaː ⸣narikeːŋ] (すべっこくなってきた)。 ナ⸢ブッ⸣ツァー ⸣トンマー パ⸢ル⸣ナ [na⸢but⸣ʦaː ⸣tommaː pa⸢ru⸣na] (すべっこい所へは行くな) 12057 0 0 11671 htmvoc_12057.wav ナブラーッツァン ナ⸢ブラーッ⸣ツァン [na⸢buraːt⸣ʦaŋ] 形 すべっこい(滑っこい)。すべすべしている。 ク⸢マ⸣ヌ ⸣トンマー ナ⸢ブラーッ⸣ツァンダー ナ⸢ブラーッツァー ナーン⸣ トンバ ⸢ミシ⸣キ ⸣パリバ [ku⸢ma⸣nu ⸣tommaː na⸢buraːt⸣ʦanda na⸢buraːtʦaː naːn⸣ tomba ⸢miʃi̥⸣ki ⸣pariba] (ここの所はすべっこいから、すべっこくない所を探して行きなさい)。 ⸢シンダイ⸣ ナ⸢ブラーッ⸣ツァー ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ na⸢buraːt⸣ʦaː ⸣naruŋ] (次第にすべっこくなる)。 ナ⸢ブラーッツァ⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [na⸢buraːtʦa⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (すべっこくて歩けない)。 ナ⸢ブラーッ⸣ツァー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [na⸢buraːt⸣ʦaː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (すべっこいことはない) 12058 0 0 11672 htmvoc_12058.wav ナブラーナブラーシ ナブ⸢ラーナブラー⸣シ [nabu⸢raːnaburaː⸣ʃi] 副 すべすべして。なめらかで。つるつるして。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター ア⸢ガミツァミツェー⸣ ナブ⸢ラーナブラー⸣ シティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ʔa⸢gamiʦamiʧeː⸣ nabu⸢raːnaburaː⸣ ʃi̥ti ʔa⸢rakara⸣nu] (雨が降ったので、赤土<赤粘土>の道はつるつるして、すべっこくて歩け<歩かれ>ない) 12063 0 0 11673 htmvoc_12063.wav ナベー ⸣ナベー [⸣nabeː] 名 平民女子の名前。 ⸣ナベーヤ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸢ナー⸠ダー [⸣nabeːja mi⸢doːŋ⸣ffanu ⸢naː⸠daː] (ナベーは女の子の名前だよ) 12059 0 0 11674 htmvoc_12059.wav ナベーマ ナ⸢ベー⸣マ [na⸢beː⸣ma] 名 小さな鍋。小鍋。⸣ナビ[⸣nabi](鍋)に指小辞の-マ[-ma](小)が付いて形成された合成語。 ナ⸢ベー⸣マナ ⸢シンジ⸣ムヌ イ⸢リティ⸣ シジバ [na⸢beː⸣mana ⸢ʃinʤi⸣munu ʔi⸢riti⸣ ʃiʤiba] (小鍋に煎じ薬を入れて煎じなさいよ) 12060 0 0 11675 htmvoc_12060.wav ナベーラ ナ⸢ベー⸣ラ [na⸢beː⸣ra] 名 (植)和名、ヘチマ(糸瓜)。果実は円柱状で若いうちは食用、完熟すると繊維組織が網目状に生じるので、晒して垢すりに使われた。普通は食用として利用される。 イ⸢ズヌ⸣ スーナー ナ⸢ベー⸣ラ イ⸢ルバン⸣ タ⸢ク⸣ヌ イ⸢ラキ⸣ムヌ サ⸢バン⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ʔi⸢ʣunu⸣ suːna na⸢beː⸣ra ʔi⸢ruban⸣ tḁ⸢ku⸣nu ʔi⸢raki⸣munu sa⸢baŋ⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (魚の汁にヘチマを入れても、蛸の炒めものにしても非常に美味しい) 12061 0 0 11676 htmvoc_12061.wav ナベーラシー ナ⸢ベー⸣ラシー [na⸢beː⸣raʃiː] 名 ヘチマ乳房。ヘチマのように長く垂れ下がった乳房。 ム⸢カ⸣シ ⸣アッパター ナ⸢ベー⸣ラシール ⸢ゴー⸣ラー ア⸢ローッ⸣タティ⸢ダー<ヤ⸢ローッ⸣タティダー> [mu⸢ka⸣ʃi ⸣ʔappataː na⸢beː⸣raʃiːru ⸢goː⸣raː ʔa⸢roːt⸣tati⸢daː] (昔のお婆さんたちはヘチマ乳房が多かった<多くおられた>そうですよ) 12062 0 0 11677 htmvoc_12062.wav ナベーラダナ ナ⸢ベー⸣ラダナ [na⸢beː⸣radana] 名 ヘチマ棚。ヘチマを栽培するために竹などで作った棚。 ⸢ナベー⸣ラダナ ス⸢ク⸣リティ ナ⸢ベー⸣ラ ⸢パー⸣シバ [na⸢beː⸣radana su̥⸢ku⸣riti na⸢beː⸣ra ⸢paː⸣ʃiba] (ヘチマ棚を作ってヘチマを\ruby{這}{ハ}わせなさいよ) 12054 0 0 11678 htmvoc_12054.wav ナベンマー ⸣ナベンマー [⸣nabemmaː] 名 ナベ姉さん。ナビ・アンマ[nabi・ʔamma](ナビ・姉さん)の義 12064 0 0 11679 htmvoc_12064.wav ナベンマテー ⸣ナベンマテー [⸣nabemmateː] 名 屋号。大浜トミ氏宅。 ⸢クシケーヌ サン⸣ドーザーテーヌ ⸢アンタル⸣ ナベンマテー ⸢ヤッタ [⸢kuʃi̥keːnu san⸣doːʣaːteːnu ⸢ʔantaru⸣ nabemmateː ⸢jatta] (小底三戸氏宅の東が<ぞ>大浜トミ氏宅だった) 12065 1 0 11680 htmvoc_12065.wav ナマ ナマ- [nama-] 名 {PoS_1}なま(生)。煮たり、焼いたり、干したりしていないもの。 ク⸢レー⸣ ナ⸢マ⸣ヌ ⸢マーマ⸣シ<ナ⸢マシケー⸣ナ> ッ⸢ふァーリン [ku⸢reː⸣ na⸢ma⸣nu ⸢maːma⸣ʃi f⸢faːriŋ] (これは生のままで食べられる)。 12065 2 0 11681 htmvoc_12065.wav ナマ ナマ- [nama-] 接頭 {PoS_2}ナ⸢マ⸣ムヌ[na⸢ma⸣munu](生もの)。 ナ⸢マ⸣イズ [na⸢ma⸣ʔiʣu] (生魚)。 ナ⸢マ⸣ミジ [na⸢ma⸣miʤi] (生水{EOS}煮沸してない水)。 ナ⸢マコー⸣マ [na⸢makoː⸣ma] (生卵)。 ナ⸢マ⸣キジ [na⸢ma⸣kiʤi] (生傷)。 ヤ⸢ラビン⸣マー ナ⸢マ⸣ムヌ ッ⸢ふァースナ⸣ヨー [ja⸢rabim⸣maː na⸢ma⸣munu f⸢faːsuna⸣joː] (子供には生ものを食べさせるなよ) 12073 0 0 11682 htmvoc_12073.wav ナマーナマシ ナマー⸢ナマ⸣シ [namaː⸢nama⸣ʃi] 副 ふてぶてしく。生意気に。 ナマー⸢ナマー⸣シ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク ⸢シー⸣ヨー ミ⸢リバ⸣ル ⸢ニッ⸣ふァー⸢ツォー [namaː⸢namaː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku ⸢ʃiː⸣joː mi⸢riba⸣ru ⸢nif⸣faː⸢ʦoː] (生意気に振舞っている様子を見ると憎らしいんだよ) 12066 0 0 11683 htmvoc_12066.wav ナマアシ ナ⸢マ⸣アシ [na⸢ma⸣ʔaʃi] 名 冷や汗。緊張したり、ひどく恥ずかしい思いをする時に出る冷たい汗。 プ⸢スヌ⸣ マイナーティ イ⸢ザリティ⸣ ダッ⸢カティ ゾーリルン⸣ケン ナ⸢マ⸣アシ ⸣パリ ⸢ベー⸣タ [pu̥⸢sunu⸣ mainaːti ʔi⸢ʣariti⸣ dak⸢kati ʣoːriruŋ⸣keŋ na⸢ma⸣aʃi ⸣pari ⸢beː⸣ta] (人前で叱られて、びっしょり濡れるほど冷や汗をかいていた) 12070 0 1 11684 htmvoc_12070.wav ナマイー ナ⸢マ⸣イー [na⸢ma⸣ʔiː] 名 {Mn_1}生煮えのご飯。「生飯」の義。 ⸢ワー イー⸣ヤ ナ⸢マ⸣イー ⸣ナリティ ッ⸢ふァーラヌ [⸢waː ʔiː⸣ja na⸢ma⸣ʔiː ⸣nariti f⸢faːranu] (君のご飯は、生煮えのご飯<生飯>になって、食えない)。 12070 0 2 11685 htmvoc_12070.wav ナマイー ナ⸢マ⸣イー [na⸢ma⸣ʔiː] 名 {Mn_2}其の他、ナ⸢マ[na⸢ma](生)が接頭語となって形成される合成語に、ナ⸢マ⸣イズ[na⸢ma⸣ʔiʣu](生魚)、ナ⸢マ⸣ウン[na⸢ma⸣ʔuŋ](生芋)、ナ⸢マコー⸣マ[na⸢makoː⸣ma](生卵)、ナ⸢マ⸣キー[na⸢ma⸣kiː](生木)、ナ⸢マ⸣タキ[na⸢ma⸣taki](生竹)、ナ⸢マ⸣カザ[na⸢ma⸣kaʣa](生蔓)、ナ⸢マ⸣ッス[na⸢ma⸣ssu](生糞{EOS}脱糞したばかりの糞)など多い 12074 0 0 11686 htmvoc_12074.wav ナマイズ ナ⸢マ⸣イズ [na⸢mai⸣ʣu] 名 生魚。 ナ⸢チェー⸣ ナ⸢マ⸣イゾー ⸢ヨーリパヤー⸣ンダ ⸢パー⸣ク バ⸢ザイ⸣ プシバ [na⸢ʧeː⸣ na⸢ma⸣ʔiʣoː ⸢joːripajaː⸣nda ⸢paː⸣ku ba⸢ʣai⸣ pu̥ʃiba] (夏は生魚は痛みやすい<弱り速い>から、早く\ruby{捌}{サバ}いて干しなさいよ)。 ナ⸢マ⸣イゾー ナ⸢マ⸣シ ⸢シーバル⸣ ン⸢マー [na⸢ma⸣ʔiʣoː na⸢ma⸣ʃi ⸢ʃiːbaru⸣ ʔm⸢maː] (生魚は刺身<膾・なます>にした方が美味しい) 12106 0 0 11687 htmvoc_12106.wav ナマウン ナ⸢マ⸣ウン [na⸢ma⸣ʔuŋ] 名 生芋。生のサツマイモ。⸢ネーシウン[⸢neːʃiʔuŋ](煮芋)、プ⸢シ⸣ウン[pu̥⸢ʃi⸣uŋ](干し芋{EOS}切り干し芋)の対義語。 パ⸢タ⸣キナーテー ⸢ヤー⸣サ ⸣ピンマー ナ⸢マウン⸣ユン キ⸢ジッふァイシタ [pḁ⸢ta⸣kinaːteː ⸢jaː⸣sa ⸣pimmaː na⸢mauɲ⸣juŋ ki⸢ʤiffai ʃi̥ta] (畑では、ひもじい時は生芋をも皮を削って食べたものだ)。 ア⸢ガウン [ʔa⸢gaʔuŋ] (中身の赤色、紫色の芋) ッ⸢ス⸣ウン [s⸢suʔuŋ] (中身の白い芋))。⸢キールウン[⸢kiːruʔuŋ](中身の黄色い芋)などがあった。 ム⸢カ⸣シプソー ナ⸢マ⸣ウン ッ⸢ふー⸣カー ム⸢シ⸣ シ⸢ディ⸣ルンティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː na⸢ma⸣ʔuŋ f⸢fuː⸣kaː mu⸢ʃi⸣ ʃi⸢di⸣runti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は、生芋を食べたらお腹に回虫<虫>が発生する<すでる{EOS}孵化する>と言われた) 12077 0 0 11688 htmvoc_12077.wav ナマカー ナ⸢マ⸣カー [na⸢ma⸣kaː] 名 生皮。生の皮膚。 ク⸢ルビティ⸣ フ⸢タイヌ⸣ ナ⸢マ⸣カー ⸣パギ ⸣シケー [ku⸢rubiti⸣ ɸu̥⸢tainu⸣ na⸢ma⸣kaː ⸣pagi ⸣ʃi̥keː] (転んで額の生皮を剥いてある) 12078 0 0 11689 htmvoc_12078.wav ナマカザ ナ⸢マ⸣カザ [na⸢ma⸣kaʣa] 名 生臭い臭い。特に魚類の生臭さについていう。生の臭い。⸢アウカザ[⸢ʔaukaʣa](魚類の生臭い臭い)、⸢アウッサリ⸣カザ[⸢ʔaussari⸣kaʣa](生臭い匂い)ともいう。 ⸢ワー キン⸣マー ナ⸢マカザ⸣ヌ ⸢シーバ⸣ ア⸢ライ⸣ プシバ [⸢waː kim⸣maː na⸢makaʣa⸣nu ⸢ʃiːba⸣ ʔa⸢rai⸣ pu̥ʃiba] (君の着物は魚の生臭い臭いがするので洗って干しなさいよ)。⸢アウッサリ⸣カザ[⸢ʔaussari⸣kaʣa](魚の生臭い臭い{EOS}生臭さ{EOS}腐臭)ともいう 12083 0 0 11690 htmvoc_12083.wav ナマキー ナ⸢マ⸣キー [na⸢ma⸣kiː] 名 生木。サ⸢リキー[sa⸢rikiː](枯れ木)の対義語。 ナ⸢マキー⸣バ ⸣キシ バ⸢リティ⸣ タ⸢キタブル⸣ シ⸢ティル カーシタ [na⸢makiː⸣ba ⸣ki̥ʃi ba⸢riti⸣ tḁ⸢kitaburu⸣ ʃi⸢tiru kaːʃi̥ta] (生木を切って割って、竹の皮で束ねて売った) 12080 0 0 11691 htmvoc_12080.wav ナマキジ ナ⸢マ⸣キジ [na⸢ma⸣kiʤi] 名 生傷。生々しい傷。新しい傷。擦ったり、切ったり、打ったりしてできた傷。ッ⸢ふ⸣キジ[f⸢fu⸣kiʤi](古傷)の対義語。 ビ⸢コーンッふァー⸣ パ⸢ナン⸣ギ ⸢スンダ⸣ ナ⸢マキジ⸣ヌ ⸣キシテー ⸢ナー⸣ヌ [bi⸢koːŋffaː⸣ pa⸢naŋ⸣gi ⸢sunda⸣ na⸢makiʤi⸣nu ⸣ki̥ʃiteː ⸢naː⸣nu] (男の子は、悪戯や悪ふざけをするから生傷のなくなることは無い) 12084 0 0 11692 htmvoc_12084.wav ナマキムヌ ナ⸢マキ⸣ムヌ [na⸢maki⸣munu] 名 怠け者。標準語からの借用語。普通は⸣スブットゥ[⸣subuttu](怠け者)、ウ⸢シクラシムヌ[ʔu⸢ʃikuraʃimunu](怠け者{EOS}<牛屠殺者>)という。 ⸣アイブ ナ⸢マキ⸣ムノー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu na⸢maki⸣munoː ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (あんな怠け者は見たことがない) 12085 0 0 11693 htmvoc_12085.wav ナマキルン ナ⸢マキ⸣ルン [na⸢maki⸣ruŋ] 自動 怠ける。労を惜しんで精を出さない。老年層は⸣フユー ス⸢ン[⸣ɸujuː ⸢suŋ](怠ける)という。 プ⸢スヌ⸣ ミ⸢ラン⸣カー ナ⸢マキ⸣ルンダ ナ⸢マキラン⸣ヨーニ ⸢マーリ⸣ ミリバ [pu̥⸢sunu⸣ mi⸢raŋ⸣kaː na⸢maki⸣runda na⸢makiraŋ⸣joːni ⸢maːri⸣miriba] (人が見ないと怠けるので、怠けないように回って見なさいよ) 12086 0 0 11694 htmvoc_12086.wav ナマグミ ナ⸢マ⸣グミ [na⸢ma⸣gumi] 名 生米。炊いたり炒ったりしてない米。ナ⸢マ⸣マイ[na⸢ma⸣mai](生米)ともいう。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ナ⸢マ⸣グミ ⸢カン⸣ザリ ッ⸢ふー⸣カー パ⸢ル⸣ミ ⸢プー スー⸣ク [mi⸢dumu⸣nu na⸢ma⸣gumi ⸢kan⸣ʣari f⸢fuː⸣kaː pa⸢ru⸣mi ⸢buː suː⸣ku] (女が生米をかじって食うと妊娠している証拠だ) 12089 0 0 11695 htmvoc_12089.wav ナマクラシ ナ⸢マクラ⸣シ [na⸢makura⸣ʃi] 名 生殺し。半殺し。若年層は⸢ハングルシ[⸢haŋguruʃi](半殺し)ともいう。 パ⸢ボー⸣ ク⸢ラス⸣カー カ⸢シーカシール⸣ ク⸢ラス⸣ ナ⸢マクラ⸣シェー ス⸢ナ⸣ヨー [pa⸢boː⸣ ku⸢rasu⸣kaː ka⸢ʃiːkaʃiːru⸣ ku⸢rasu⸣ na⸢maku⸣raʃeː su⸢na⸣joː] (蛇は殺すならしっかり殺すものだ、生殺しはするなよ) 12087 0 0 11696 htmvoc_12087.wav ナマクン ナ⸢マ⸣クン [na⸢ma⸣kuŋ] 他動・自動 怠ける。労を惜しんで精を出さない。ア⸢サブンとも言う。 ウ⸢レー⸣ ギ⸢チ サン⸣カー ナ⸢マ⸣クンダ ナ⸢マカサン⸣ヨーニ ⸢トゥシキ⸣リ [ʔu⸢reː⸣ gi⸢ʧi saŋ⸣kaː na⸢ma⸣kunda na⸢makasaŋ⸣joːni ⸢tuʃi̥ki⸣ri] (彼は下知<命令>しないと怠けるから、怠けさせないように言いつけ<命令し>なさい) 12076 0 0 11697 htmvoc_12076.wav ナマコーマ ナ⸢マコー⸣マ [na⸢makoː⸣ma] 名 生卵。 ナ⸢マコー⸣マ ⸢ピッツァ⸣シティ ピ⸢ルザキ⸣ナー カ⸢ケー⸣シティ ⸣ヌムカー パ⸢ナシケー⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [na⸢makoː⸣ma ⸢pitʦa⸣ʃi̥ti pi⸢ruʣaki⸣naː kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ⸣numukaː pa⸢naʃi̥keː⸣ kḁ⸢kara⸣nu] (生卵を\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}\ruby{酒}{ザケ}に掻き混ぜて飲むと風邪をひかない<風邪に\ruby{罹}{カカ}らない>)。 ナ⸢マコー⸣マ ⸢ピッツァ⸣シティ ピ⸢ルザキ⸣ナー カ⸢ケー⸣シ ⸣ヌミティ ⸢クンキ⸣ シ⸢キ⸣リバ [na⸢makoː⸣ma ⸢pitʦa⸣ʃiti pi⸢ruʣaki⸣naː kḁ⸢keː⸣ʃi ⸣numiti ⸢kuŋki⸣ ʃi̥⸢ki⸣riba] (生卵を潰して大蒜酒に掻き混ぜて飲んで精をつけなさいよ) 12090 0 0 11698 htmvoc_12090.wav ナマザリ ナ⸢マ⸣ザリ [na⸢ma⸣ʣari] 名 生枯れ。半枯れ。半ば枯れかかっていること。 ク⸢レー⸣ ナ⸢マ⸣ザリ ⸢シー ブンダ ナン⸣ゾー ⸢ムイラヌ [ku⸢reː⸣ na⸢ma⸣ʣarji ⸢ʃiː buda nan⸣ʣoː ⸢muiranu] (これは生枯れしているから、あまり燃えない) 12091 0 0 11699 htmvoc_12091.wav ナマザリキー ナ⸢マ⸣ザリキー [na⸢ma⸣ʣarikiː] 名 生枯れの木。半枯れの木。「生枯れ木」の義。 ナ⸢マ⸣ザリキー ヤ⸢ルンダ モーヌ [na⸢ma⸣ʣarikiː ja⸢runda moːnu] (半枯れの木だから燃えない)。 ナ⸢マ⸣ザリ ⸢シー ブー キー⸣ヤ ⸢ムイランバ⸣ ティダナー ⸣プシバ [na⸢ma⸣ʣari ⸢ʃiː buː kiː⸣ja ⸢muiramba⸣ tidanaː ⸣pu̥ʃiba] (生枯れしている木は燃えないから日光に干せよ) 12092 0 0 11700 htmvoc_12092.wav ナマシ ナ⸢マ⸣シ [na⸢ma⸣ʃi] 名 刺身。生魚の肉などを細かく切って作った食品。「~吾宍者<ヮ ガシシハ>御奈麻須<ミナマス>はやし~。万、3885」の転訛したもの。 カ⸢ツナマシ [kḁ⸢ʦunamaʃi] (カツオの刺身)。 イ⸢ラブ⸣チナマシ [ʔi⸢rabu⸣ʧinamaʃi] (ブダイの刺身)。シ⸢ヌマー⸣ルナマシ[ʃi⸢numaː⸣runamaʃi](テングハギの刺身)がよく食べられた。刺身は水に味噌を濃く溶かし、フ⸢ナ⸣ブ[ɸu⸢na⸣bu](九年母{EOS}シークヮーサー)の汁をたっぷりかけ、⸢クース[⸢kuːsu](唐辛子)を入れた\ruby{垂}{タレ}に付けて食べるのが普通であった。カツオ漁船での刺身は、ザ⸢コーバ⸣チ[ʣa⸢koːba⸣ʧi](撒き餌をする雑魚<カツオの餌>を入れる木製の枡形の箱)に味噌を溶かし、釣りたてのカツオを切り込んで食べる豪快な食べ方であった。イ⸢ラブ⸣チや⸢ボー⸣ダ[⸢boː⸣da](キツネブダイ)の刺身はイラブチの肝を潰し、垂れに混ぜて食べると実に美味であった。シ⸢ヌマー⸣ル[ʃi⸢numaː⸣ru](テングハギ)の刺身は魚肉に脂がのっていて垂れの味と調和して実に美味であった。 イ⸢ガヌナマシン⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [ʔi⸢ganamaʃiŋ⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (烏賊の刺身も非常に美味しかった) 12100 0 0 11701 htmvoc_12100.wav ナマシー ナ⸢マ⸣シー [na⸢ma⸣ʃiː] 名 生血。 サ⸢バナーヤ オー⸣ヌ ナ⸢マ⸣シーナ シ⸢キティ⸣ ン⸢ブ⸣シティル シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [sa⸢banaːja ʔoː⸣nu na⸢ma⸣ʃiːna ʃi̥⸢kiti⸣ ʔm⸢bu⸣ʃi̥tiru sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (鱶釣り縄は豚の生血に浸けて蒸してから使われた)。 ⸢カイ⸣リティ フ⸢タイ⸣ パギティ ナ⸢マ⸣シー パ⸢ラ⸣シ ⸢ベー [⸢kai⸣riti ɸu̥⸢tai⸣ pagiti na⸢ma⸣ʃiː pa⸢ra⸣ʃi ⸢beː] (転んで額を擦り剥いて鮮血を流している) 12101 0 0 11702 htmvoc_12101.wav ナマシキ ナ⸢マ⸣シキ [na⸢ma⸣ʃi̥ki] 名 おこげ(お焦げ)。鍋や釜などの底に焦げ付いたもの。子供はそれを⸢ガー⸣ガー[⸢gaː⸣gaː](おこげ)といって好んで食した。 ⸢マイヌイー⸣ヌ ナ⸢マシ⸣ケー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ミーコー⸣ヤー ⸢ヤッタル [⸢mainuʔiː⸣nu na⸢maʃi̥⸣keː ja⸢rabi⸣nu ⸢miːkoː⸣jaː ⸢jattaru] (お米のご飯のお焦げは子供のお目覚めだったよ) 12102 0 0 11703 htmvoc_12102.wav ナマシキ ナ⸢マ⸣シキ [na⸢ma⸣ʃiki] 名 ながじり(長尻)して立ち去らないこと。長座すること。特に、酒席で長居をすることに嫌味の意味をこめていう。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ナ⸢マ⸣シキ ⸢スンダ パー⸣ク ⸢サーリ⸣ パリ [ʔu⸢reː⸣ sa⸢ki⸣ numukaː na⸢ma⸣ʃi̥ki ⸢sunda paː⸣ku ⸢saːri⸣ pari] (彼は酒を飲むと長尻<長座>するから、早く連れて行け) 12103 0 0 11704 htmvoc_12103.wav ナマシキカザ ナ⸢マシキ⸣カザ [na⸢maʃi̥ki⸣kaʣa] 名 おこげの匂い。焦げつきの匂い。焦げ臭い匂い。 ナ⸢マシキカザ⸣ヌ ⸢シーブーバ ピー⸣ヤ ピ⸢キ⸣バ [na⸢maʃi̥kikaʣa⸣nu ⸢ʃiː buːba piː⸣ja pi̥⸢ki⸣ba] (焦げ臭い匂いがしているから、火を引きなさい<火を止めなさい>) 12067 0 0 11705 htmvoc_12067.wav ナマシケーナ ナ⸢マシケー⸣ナ [na⸢maʃi̥keː⸣na] 副 生のままで。生の状態で。加工せずに。調理せずに。 ウ⸢シヌ⸣ ニク ナ⸢マシケー⸣ナ ッ⸢ふー⸣ プ⸢スン ブン⸣ティ⸢ダー [ʔu⸢ʃinu⸣ niku na⸢maʃi̥keː⸣na f⸢fuː⸣ pu̥⸢sum bun⸣ti⸢daː] (牛の肉を生のままで食う人もいるそうだよ) 12105 0 0 11706 htmvoc_12105.wav ナマシミ ナ⸢マ⸣シミ [na⸢ma⸣ʃimi] 名 生爪。 イ⸢シヌ⸣ ウティ ⸣キー ⸢パン⸣ヌ ⸣シミナー ア⸢タリ⸣ ナ⸢マ⸣シミ ⸣パギ ⸣シケー [ʔi⸢ʃinu⸣ ʔuti ⸣kiː ⸢pan⸣nu ⸣ʃiminaː ʔa⸢tari na⸢ma⸣ʃimi ⸣pagi ⸣ʃi̥keː] (石が落ちてきて足の爪に当って、生爪を剥いである) 12093 0 0 11707 htmvoc_12093.wav ナマジラー ナ⸢マ⸣ジラー [na⸢ma⸣ʤiraː] 名 生意気な面構えの者。卑下した言い方。「生面」の転訛。 ⸢ウンザー⸣ ナ⸢マ⸣ジラー ヤ⸢ルンダル⸣ プ⸢スン⸣ イ⸢ザリ⸠ツォー [⸢ʔunʣaː⸣ na⸢ma⸣ʤiraː ja⸢rundaru⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ʔi⸢ari⸠ʦoː] (奴は生意気な面構えだから他人から叱られるんだよ) 12095 0 1 11708 htmvoc_12095.wav ナマジラスン ナ⸢マジラ⸣スン [na⸢maʤira⸣suŋ] 他動 {Mn_1}こじらす(\ruby{拗}{コジ}らす)。 パ⸢ナシキ⸣ ナ⸢マジラ⸣スン [pa⸢naʃi̥ki⸣ na⸢maʤira⸣suŋ] (風邪を\ruby{拗}{コジ}らす)。 パ⸢ナシキ⸣ ナ⸢マジラサン⸣ ヨーニ ⸣ドゥー ⸢ヌフタミ⸣リ [pa⸢naʃi̥ki⸣ na⸢maʤirasaŋ⸣ joːni ⸣duː ⸢nuɸu̥tami⸣ri] (風邪を拗らさないように体を温めなさい)。 パ⸢ナシキ⸣ ナ⸢マジラ⸣シティ ビ⸢スンカーリベー [pa⸢naʃi̥ki⸣ na⸢maʤira⸣ʃi̥ti bi⸢suŋkaːri beː] (風邪を拗らして酷く打ち据えられて<衰弱して>いる)。 ナ⸢マジラ⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [na⸢maʤira⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (拗らすことはない)。 ナ⸢マジラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [na⸢maʤira⸣ʃeː ⸣misamunu] (拗らせばいいのに)。 ナ⸢マジラ⸣シバ [na⸢maʤira⸣ʃiba] (拗らせよ)。 12095 0 2 11709 htmvoc_12095.wav ナマジラスン ナ⸢マジラ⸣スン [na⸢maʤira⸣suŋ] 他動 {Mn_2}じらす(焦らす)。じれさせる。いらいらさせる。 ⸣アイニ ⸢スー⸣カー プ⸢スバ⸣ マ⸢タ⸣シ ナ⸢マジラ⸣スンダ ナ⸢マジラサン⸣ドーシ ⸢ヌー⸣スーティ ⸢パー⸣ク  キ⸢ミリ⸣バ [⸣ʔaini ⸢suː⸣kaː pu̥⸢suba⸣ ma⸢ta⸣ʃi na⸢maʤira⸣sunda na⸢maʤirasan⸣doːʃi ⸢nuː⸣suːti ⸢paː⸣ku ki⸢miri⸣ba] (そうやったら、人を待たせることになって焦らすから、焦らさないで、如何すると早く決めなさい)。 ナ⸢マジラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [na⸢maʤira⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (\ruby{焦}{ジ}らせてしまった)。 ナ⸢マジラ⸣ス プ⸢スル ワッ⸣サ [na⸢maʤira⸣su pu̥⸢suru was⸣sa] (焦らせる人が悪い)。 ナ⸢マジラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [na⸢maʤira⸣ʃeː ⸣misamunu] (焦らせばいいのに)。 ナ⸢マジラ⸣シバ [na⸢maʤira⸣ʃiba] (焦らせよ)。 12095 0 3 11710 htmvoc_12095.wav ナマジラスン ナ⸢マジラ⸣スン [na⸢maʤira⸣suŋ] 他動 {Mn_3}病気を完治させないで長引かせる。 ⸢ヤン⸣マイ ナ⸢マジラス⸣ナ [⸢jam⸣mai na⸢maʤirasu⸣na] (病気を長引かせるな) 12096 0 0 11711 htmvoc_12096.wav ナマジリッふァイ ナ⸢マジリ⸣ッふァイ [na⸢maʤiri⸣ffai] 名 嫌々ながら食べること。食傷気味の食い方。食いあきたような食べ方。 ッ⸢ふァイアキリバ シー⸣ ナ⸢マジリ⸣ッふァイ ⸢シー⸣ シケー [f⸢faiʔakiriba ʃiː⸣ na⸢maʤiri⸣ffai ⸢ʃiː⸣ʃi̥keː] (食い厭きて食傷気味な食い方をしてある) 12097 0 0 11712 htmvoc_12097.wav ナマジリフイ ナ⸢マジリ⸣フイ [na⸢maʤiri⸣ɸui] 名 しょぼしょぼと降ること。本降りにならないでだらだら降ること。 カシー⸢カシー フイ⸣ヤー サ⸢ムティ⸣ キューン ナ⸢マジリ⸣フイ ⸢スンダ ピッ⸣チンツァン  ウ⸢ロイ⸣ヤー ⸢サンバン [kaʃiː⸢kaʃiː ɸui⸣jaː sa⸢muti⸣ kjuːn na⸢maʤiri⸣ɸui ⸢sunda pit⸣ʧinʦaŋ ʔu⸢roi⸣jaː ⸢sambaŋ] (ちゃんと<本格的に>降りはしないで、今日もしょぼしょぼ降りをするから、畑にはちっとも潤いがしないよ) 12094 0 0 11713 htmvoc_12094.wav ナマジルン ナ⸢マ⸣ジルン [na⸢ma⸣ʤiruŋ] 自動 ぐずつく(愚図つく)。のろのろする。優柔不断になる。 キ⸢ミラムティ⸣ ナ⸢マ⸣ジリ ⸢ベーン⸣ケンマー ウ⸢クリ ナー⸣ヌ [ki⸢miramuti⸣ na⸢ma⸣ʤiri ⸢beːŋ⸣kemmaː ʔu⸢kuri naː⸣nu] (決めないでぐずぐずしているうちに遅れてしまった)。 ナ⸢マジラン⸣ドーシ ⸢パー⸣ク キ⸢ミリ [na⸢maʤiran⸣doːʃi ⸢paː⸣ku ki⸢miri] (ぐずぐずしないで早く決めろ)。 ウ⸢リン⸣ シ⸢ミル⸣カー ナ⸢マ⸣ジルンダー シ⸢ミルナ [ʔu⸢riŋ⸣ ʃi⸢miru⸣kaː na⸢ma⸣ʤirunda ʃi⸢miruna] (彼にさせると愚図つくからさせるな)。 ナ⸢マ⸣ジル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [na⸢ma⸣ʤiru ⸣kutoː ⸢naːm⸣ paʤi] (愚図つくことはないはずだ)。 ナ⸢マ⸣ジレー ⸣ミサムヌ [na⸢ma⸣ʤireː ⸣misamunu] (愚図つけばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ナ⸢マ⸣ジリバ [⸢maː⸣bin na⸢ma⸣ʤiriba] (もっと愚図つけよ)。 シ⸢グトゥ⸣ ナ⸢マ⸣ジリ ⸢ベー [ʃi⸢gutu⸣ na⸢ma⸣ʤiri ⸢beː] (仕事をのろのろとやっている) 12109 0 0 11714 htmvoc_12109.wav ナマスブル ナ⸢マスブ⸣ル [na⸢masubu⸣ru] 名 生首。⸢生頭」の義。サ⸢リスブル[sa⸢risuburu](しゃれこうべ<髑髏>)の対義語。 カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢マスブ⸣ル ⸢イー⸣リ ⸣キーティ ⸢オー⸣ヌ ⸣ダシ ⸢シー⸣バ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢masubu⸣ru ⸢ʔiː⸣ri ⸣kiːti ⸢ʔoː⸣nu ⸣daʃi ⸢ʃiː⸣ba] (カツオの頭を貰ってきて豚の餌の出汁にしなさいよ) 12104 0 0 11715 htmvoc_12104.wav ナマスブルヤン ナ⸢マスブル⸣ヤン [na⸢masuburu⸣jaŋ] 名 少々の頭痛。何となしに痛むような頭痛。二日酔いのような鈍痛。 シ⸢トゥム⸣テーラ ナ⸢マスブル⸣ヤンバ ⸢シー ベータ⸣ヌ ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンティル ⸣アイ ブ⸢レー⸣ル [ʃi̥⸢tumu⸣teːra na⸢masuburu⸣jamba ⸢ʃiː beːta⸣nu ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣runtiru ⸣ʔai bu⸢reː⸣ru] (今朝から少々の頭痛がしていたが、熱が出る前兆で<熱が出ようとして>そうだったのであろう) 12110 0 0 11716 htmvoc_12110.wav ナマタキ ナ⸢マ⸣タキ [na⸢ma⸣taki] 名 生竹。サ⸢リタキ[sa⸢ritaki](枯れた竹)の対義語。青竹。 ナ⸢マ⸣タキ ⸣キシ ⸣クーバ [na⸢ma⸣tḁki ⸣ki̥ʃi ⸣kuːba] (青竹を切ってこいよ)。 ナ⸢マタキ⸣ヌ ⸣カーシル ⸢バー⸣キ フ⸢ム⸣タ [na⸢mataki⸣nu ⸣kaːʃiru ⸢baː⸣ki ɸu⸢mu⸣ta] (生竹の皮でバーキ<竹笊>を編んだ) 12099 0 0 11717 htmvoc_12099.wav ナマタムヌ ナ⸢マタム⸣ヌ [na⸢matamu⸣nu] 名 生の薪。生木を切って割った薪。「生焚き物」の転訛したものか。 ナ⸢マタム⸣ノー ⸣プシティ タ⸢ム⸣ヌダナナ シ⸢ミティル モーシタ [na⸢matamu⸣noː ⸣puʃi̥ti ta⸢mu⸣nudananaː ʃi⸢mitiru moːʃita] (生の薪は日に干して、竈の上の薪棚に積んで<ぞ>燃やしたものだ)。サ⸢リタムヌ[sa⸢ritamunu](乾燥した薪{EOS}枯れ木の薪)の対義語。 ナ⸢マタム⸣ノー ⸣プシティ サ⸢ラサン⸣カー ⸢ムイラヌ [na⸢matamu⸣noː ⸣pu̥ʃiti sa⸢rasaŋ⸣kaː ⸢muiranu] (生木の薪は干して枯らさないと燃えない) 12088 0 0 11718 htmvoc_12088.wav ナマッサ ナ⸢マ⸣ッサ [na⸢ma⸣ssa] 名 生の草。青々とした草。サ⸢リッサ[sa⸢rissa](枯れ草)の対義語。 ピ⸢ビザー⸣ ナ⸢マッサ⸣ル ッ⸢ふー⸣ダー サ⸢リッサー⸣ ッ⸢ふァーヌ [pi⸢biʣaː⸣ na⸢massa⸣ru f⸢fuː⸣daː sa⸢rissaː⸣ f⸢faːnu] (山羊は生の草を食べるのだよ{EOS}枯れ草は食べない) 12079 0 0 11719 htmvoc_12079.wav ナマッサリカザ ナ⸢マッサリ⸣カザ [na⸢massari⸣kaʣa] 名 生臭い臭い。魚類の腐臭。⸢アウッサリ⸣カザ[⸢ʔaussari⸣kaʣa](生臭い臭い{EOS}魚類の腐臭)ともいう。 ミ⸢ジンダラ⸣ヌ ミ⸢ジバ⸣ ナー⸢イ⸣ タ⸢ミ⸣ シケーティル ナ⸢マッサリカザ⸣ヌ ⸢スー⸠ナー [mi⸢ʤindara⸣nu mi⸢ʤiba⸣ naː⸢i⸣ ta⸢mi⸣ ʃi̥keːtiru na⸢massarikaʣa⸣nu ⸢suː⸠naː] (台所の流しの水を溜めて放置してあるので生臭い臭いがするのだなあ) 12112 0 0 11720 htmvoc_12112.wav ナマッス ナ⸢マ⸣ッス [na⸢ma⸣ssusu] 名 なまぐそ(生糞)。排便後間のない、生の状態の糞。乾燥していない糞便。 ミ⸢チ⸣ナー ⸢イン⸣ヌ ッ⸢ス⸣バ ⸣マリシケー ⸣ムヌ ナ⸢マ⸣ッス ⸢フンキティ⸣ スズー⸢コ オス⸣ク シ⸢ラリ ナーン⸣シェン [mi⸢ʧi⸣naː ⸢ʔin⸣nu s⸢su⸣ba ⸣mariʃi̥keː ⸣munu na⸢ma⸣ssu ⸢ɸuŋkiti⸣ suʣuː⸢ko ʔosu̥⸣ku ʃi⸢rari naːŋ⸣ʃeŋ] (道中に犬が糞をしてあるものを、生糞を踏みつけて、したたかに迷惑を<難儀を>かけられてしまった<ひどい目にあわされた>) 12114 0 0 11721 htmvoc_12114.wav ナマトーフ ナ⸢マトー⸣フ [na⸢matoː⸣ɸu] 名 生豆腐。加熱してない豆腐。煮る、焼く、揚げる等の調理をしてない豆腐。 イ⸢サナキヌ⸣ マチナーヤ ナ⸢マトー⸣フン ⸢カーシブン⸣ツォー [ʔi⸢sanakinu⸣ maʧinaːja na⸢matoː⸣ɸuŋ ⸢kaːʃibun⸣ʦoː] (石垣の市場では生豆腐も売っているそうだ) 12107 0 0 11722 htmvoc_12107.wav ナマドゥー ナ⸢マ⸣ドゥー [na⸢ma⸣duː] 名 生身。生身の体。 ナ⸢マ⸣ドゥー ム⸢ティムヌ⸣ヌ ⸣ヌンティ ⸣アイブ ク⸢ト⸣バ シ⸢ラリラー<シ⸢ラリワ> [na⸢ma⸣duː mu⸢timunu⸣nu ⸣nunti ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ʃi⸢rariraː<ʃi⸢rariwa>] (生身の体を持つ者が、どうしてあんなことが出来ようか)。 ナ⸢マ⸣ドゥー キ⸢サ⸣リスコー ⸢ンーニ⸣ ヤ⸢ミ⸣シタ [na⸢ma⸣duː ki̥⸢sa⸣risu̥koː ⸢nːni⸣ ja⸢mi⸣ʃi̥ta] (生身を切られるほど胸が痛んだ)。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢ウー⸣ミティ ヤ⸢ム⸣バティ ⸢シー⸣ バー ナ⸢マ⸣ドゥーナ ⸢カン⸣スル ⸣カキ バ⸢ル⸣ クトー ⸢シー ユーサヌ [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢ʔuː⸣miti ja⸢mu⸣bati ⸢ʃiː⸣ baː na⸢ma⸣duːna ⸢kan⸣suru ⸣kḁki ba⸢ru⸣ ku̥toː ⸢ʃiː juːsanu] (おでき<御出来>が化膿して痛むからといって、私は生の体に剃刀をかけて切開することは出来ない<なし得ない>) 12115 0 0 11723 htmvoc_12115.wav ナマニー ナ⸢マ⸣ニー [na⸢ma⸣niː] 名 生煮え。 ク⸢ヌ イー⸣ヤ ナ⸢マ⸣ニー ⸢シーベー ニー⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢nu ʔiː⸣ja na⸢ma⸣niː ⸢ʃiːbeː niː⸣ bu⸢raːnu] (このご飯は生煮えしている{EOS}十分に煮えていない)。 ⸢ピー⸣バ カ⸢タモー⸣シ シ⸢タール⸣ ユー ⸢イー⸣ヤ ナ⸢マ⸣ニー ⸢シーブー [⸢piː⸣ba kḁ⸢tamoː⸣ʃi ʃi̥⸢taːru⸣juː ⸢ʔiː⸣ja na⸢ma⸣niː ⸢ʃiːbuː] (火を竈の片側に燃やしたからか、ご飯は生煮えしているのだ)。 ⸢ワー イー⸣ヤ ナ⸢マ⸣ニー ⸢シー ベー⸣バ ッ⸢ふァーラヌ [⸢waː ʔiː⸣ja na⸢ma⸣niː ⸢ʃiː beː⸣ba f⸢faːranu] (君の炊いたご飯は半煮え<生煮え>しているから食べられない) 12116 0 0 11724 htmvoc_12116.wav ナマニク ナ⸢マ⸣ニク [na⸢ma⸣niku] 名 生肉。なまの肉。調理してない肉。 ⸢オー⸣ヌ ナ⸢マ⸣ニコー ッ⸢ふァーヌヌ ンーマ⸣ヌ ナ⸢マ⸣ニコー ッ⸢ふー⸣ プ⸢スン ブン⸣ツォー [⸢ʔoː⸣nu na⸢ma⸣nikoː f⸢faːnunu ʔmːma⸣nu na⸢ma⸣nikoː f⸢fuː⸣ pu̥⸢sum bun⸣ʦoː] (豚の生肉は食べないが、馬の生肉は食べる人もいるそうだ) 12117 0 0 11725 htmvoc_12117.wav ナマパー ナ⸢マ⸣パー [na⸢ma⸣paː] 名 生の葉っぱ。青葉。サ⸢リパー[sa⸢ripaː](枯れ葉)の対義語。 ⸢タイ⸣フーナー ⸢キー⸣ヌ ナ⸢マ⸣パー ムー⸢ル アイ⸣ウティ ⸢ナー⸣ヌ [⸢tai⸣ɸuːnaː ⸢kiː⸣nu na⸢ma⸣paː muː⸢ru ʔai⸣ʔuti ⸢naː⸣nu] (台風で樹木の青葉が全部ちぎれ落ちて<\ruby{毟}{ムシ}られ、\ruby{捥}{モガ}がれるように散り落ちて>しまった) 12118 0 0 11726 htmvoc_12118.wav ナマパー ナ⸢マ⸣パー [na⸢ma⸣paː] 名 虫歯になっていない健康な歯。⸢生歯」の義。フ⸢トゥッチ⸣パー[ɸu̥⸢tutʧi⸣paː](虫歯{EOS}朽ち歯)の対義語。 ナ⸢マパー⸣ヌ ブ⸢リ⸣ルンケン ⸢ティー⸣スクン ッ⸢ふァーサリ ベー [na⸢mapaː⸣nu bu⸢ri⸣ruŋken ⸢tiː⸣su̥kuŋ f⸢faːsari beː] (生歯が折れるほどに拳骨を食わされている) 12120 0 0 11727 htmvoc_12120.wav ナマパティムヌ ナ⸢マパティ⸣ムヌ [na⸢mapati⸣munu] 名 生意気な者。横着な者。「生果て者」の義。 ⸢ウンザー⸣ ナ⸢マパティ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン⸣ ウ⸢バーヌ [⸢ʔunʣaː⸣ na⸢mapati⸣munu ja⸢runda noː⸢ŋ⸣ ʔu⸢baːnu] (あいつ<彼奴>は横着者だから何も恐れない) 12119 0 0 11728 htmvoc_12119.wav ナマバライ ナ⸢マ⸣バライ [na⸢ma⸣barai] 名 生意気な笑い。人を食った笑い。人を馬鹿にした笑い。ふてぶてしい<不敵不適しい>笑い。 ナ⸢マ⸣バライ ⸢シー⸣ ナー⸢イ⸣ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ シ⸢キベー [na⸢ma⸣barai ⸢ʃiː⸣ naː⸢i⸣ pu̥⸢sunu⸣ pa⸢naʃi⸣ba ʃi̥⸢ki beː] (人を小馬鹿にしたような笑いを顔に浮かべて、ただ人の話をきいている) 12121 0 0 11729 htmvoc_12121.wav ナマプニ ナ⸢マ⸣プニ [na⸢ma⸣puni] 名 生の骨。サ⸢リプニ[sa⸢ripuni](枯れた骨{EOS}死後何年も経つた骨)の対義語。 カ⸢ツヌ⸣ ナ⸢マ⸣プニ パ⸢タ⸣ケー カ⸢タ⸣ミ ⸣パリ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ma⸣puni pḁ⸢ta⸣keː kḁ⸢ta⸣mi ⸣pari] (カツオの生の骨を畑に担いでいけ) 12122 0 0 11730 htmvoc_12122.wav ナマプリムヌ ナ⸢マプリ⸣ムヌ [na⸢mapuri⸣munu] 名 半気違い。うすばか。「生狂れ者」の義。ナ⸢マンダプリムヌ[na⸢mandapurimunu](半気違い{EOS}<生狂れ者>)ともいう。 プ⸢リル⸣カー カ⸢シーカシール⸣ プ⸢リル⸣ ナ⸢マプリ⸣ムヌ ⸣ナリティ プ⸢スバ オス⸣ク ⸢シーベー [pu⸢riru⸣kaː ka⸢ʃiːkaʃiːru⸣ pu⸢riru⸣ na⸢mapuri⸣munu ⸣nariti pu̥⸢suba ʔosu̥⸣ku ⸢ʃiːbeː] (狂うならいっそのこと完全に狂えばよいのに、半気違いになって人に迷惑をかけている) 12123 0 0 11731 htmvoc_12123.wav ナママイ ナ⸢マ⸣マイ [na⸢ma⸣mai] 名 生米。玄米。 ナ⸢マ⸣マイ ⸢カン⸣ザリ ッ⸢ふー⸣ ッ⸢ふァー⸣ ム⸢シヌ ブー⸣ティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [na⸢ma⸣mai ⸢kan⸣ʣari f⸢fuː⸣ f⸢faː⸣ mu⸢ʃinu buː⸣ti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (生米を咬んで食べる子供は、御腹に虫がいると昔の人は言われた) 12125 0 0 11732 htmvoc_12125.wav ナマミース ナ⸢マミー⸣ス [na⸢mamiː⸣su] 名 生味噌。料理してない味噌。⸢アンダミー⸣ス[⸢ʔandamiː⸣su](脂味噌)の対義語。 ナ⸢マミース⸣バ ミ⸢ジ⸣ナ ⸣タリティ ⸢クースン⸣ イ⸢リティル⸣ ナ⸢マ⸣シェー ン⸢コーッ⸣タ [na⸢mamiːsu⸣ba mi⸢ʤi⸣naː ⸣tariti ⸢kuːsuŋ⸣ ʔi⸢ritiru⸣ na⸢ma⸣ʃeː ʔŋ⸢koːt⸣ta] (生味噌を水に溶かして唐辛子も入れて<ぞ>刺身は召し上がられたものだ) 12124 0 0 11733 htmvoc_12124.wav ナマミジ ナ⸢マ⸣ミジ [na⸢ma⸣miʤi] 名 生水。 ナ⸢マ⸣ミジェー ヌ⸢マサン⸣ドーシ ヤー⸢ディン⸣ フ⸢カ⸣シティ ヌ⸢マ⸣シ [na⸢ma⸣miʤeː nu⸢masan⸣doːʃi jaː⸢diŋ⸣ ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ⸣numi] (生水は飲まさないで、必ず沸かして飲ませなさい)。 ナ⸢マ⸣ミジ ⸣ヌムカー ⸣バター ヤ⸢ビ⸣シバ ヤー⸢ディン⸣ ユー フ⸢カシ⸣ティ ヌミ⸢ヨー [na⸢ma⸣miʤi ⸣numukaː ⸣bataː ja⸢bi⸣ʃiba jaː⸢diɲ⸣ juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti numi⸢joː] (生水を飲むと御腹をこわすから、必ずお湯を沸かして飲みなさいよ) 12068 0 0 11734 htmvoc_12068.wav ナマムヌ ナ⸢マ⸣ムヌ [na⸢ma⸣munu] 名 生もの。加熱調理して無いもの。 ⸣ドゥク ナ⸢マ⸣ムヌ ッ⸢ふァイティル⸣ バタ ⸢ピーラシ⸣ティ ⸣バタ ヤ⸢ブ⸣リシケー [⸣duku na⸢ma⸣munu f⸢faitiru⸣ bata ⸢piːraʃi̥⸣ti ⸣bata ja⸢bu⸣riʃi̥keː] (過度に生ものを食べてお腹を冷して、お腹を壊して<下痢して>あるよ)。 ナ⸢マ⸣ムノー ⸣ナルダケー ヤ⸢ラビン⸣マー ッ⸢ふァースナ⸠ヨー [na⸢ma⸣munoː ⸣narudakeː ja⸢rabim⸣maː f⸢faːsuna⸠joː] (生ものは、出来るだけ子供には食べさせるなよ)。 ナ⸢マ⸣ムノー ⸢ナームテー サンバ パー⸣ク ッ⸢ふァイ⸣ヨー [na⸢ma⸣munoː ⸢naːmuteː samba paː⸣ku f⸢fai⸣joː] (生物は長持ちしないので早く食べなさいよ) 12127 0 1 11735 htmvoc_12127.wav ナマラスン ナ⸢マラ⸣スン [na⸢mara⸣suŋ] 他動 {Mn_1}刃物を切れないようにする。 カ⸢タナ⸣ヌ ⸣パー ナ⸢マラ⸣スン [kḁ⸢tana⸣nu ⸣paː n⸢amara⸣suŋ] (刀の刃を\ruby{鈍}{ナマ}らす)。 12127 0 2 11736 htmvoc_12127.wav ナマラスン ナ⸢マラ⸣スン [na⸢mara⸣suŋ] 他動 {Mn_2}不名誉にする。人の名をおとしめ(貶め)る。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ サ⸢キバ⸣ ヌミティ ⸣ウヤ ナ⸢マラ⸣スンティ ⸣クトー ス⸢ナ⸣ ウヤ ナ⸢マラサン⸣ドーシ パ⸢タラキ [ja⸢rabi⸣nu sḁ⸢kiba⸣ numiti ⸣ʔuja na⸢mara⸣sunti ⸣ku̥toː su⸢na⸣ ʔuja na⸢marasan⸣doːʃi pḁ⸢taraki] (子供が酒を飲んで親の名を\ruby{貶}{オトシ}めようとすることはするな{EOS}親を貶めないで働きなさい)。 ⸣ウヤ ナ⸢マラ⸣シ ⸢ナーヌ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マーラ ⸣アトー ⸣ウヤ ナ⸢マラ⸣ス ⸣クトー サ⸢ヌ [⸣ʔuja na⸢mara⸣ʃi ⸢naːnu⸣nu ma⸢na⸣maːra ⸣ʔatoː ⸣ʔuja na⸢mara⸣su ⸣ku̥toː sa⸢nu] (親の名を貶めてしまったが、今後は親を貶めることはしない)。 ナ⸢マラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [na⸢mara⸣ʃeː ⸣misamunu] (貶めればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ナ⸢マラ⸣シ [⸢maː⸣bin na⸢mara⸣ʃi] (もっと貶めよ) 12129 0 0 11737 htmvoc_12129.wav ナマリ ナ⸢マ⸣リ [na⸢ma⸣ri] 名 鉛。 ウ⸢ツァン⸣ヌ ⸣アシェー ナ⸢マ⸣リシル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ʔu⸢ʦan⸣nu ⸣ʔaʃeː na⸢ma⸣riʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (投網のおもり<錘>は鉛で作られている)。 サ⸢ビ⸣ケー ナ⸢マリ⸣トゥ トゥ⸢ルンパニ⸣シル ス⸢ク⸣ローッタ [sa⸢bi⸣keː na⸢mari⸣tu tu⸢rumpani⸣ʃiru su̥⸢ku⸣roːtta] (さびき釣りの疑似餌は鉛と鶏の羽で作られた) 12130 0 0 11738 htmvoc_12130.wav ナマルン ナ⸢マ⸣ルン [na⸢ma⸣ruŋ] 自動 不名誉になる。恥をかく。⸣ウヤ ナ⸢マラ⸣スン[⸣ʔuja na⸢mara⸣suŋ](親に恥をかかせる)ともいう。 ⸢ホール⸣キシムニ イ⸢ズ⸣カー ナ⸢マ⸣ルンダ ナ⸢マラン⸣スコーシ ⸣ムネー イ⸢ジ⸣ヨー [⸢hoːru⸣ki̥ʃimuni ʔi⸢ʣu⸣kaː na⸢ma⸣runda na⸢maran⸣su̥koːʃi ⸣muneː ʔi⸢ʤi⸣joː] (思慮分別のない<常識外れの>ことを言うと恥をかくから、恥をかかないようにものは言いなさいよ)。 キサー⸢ティ⸣ ナ⸢マ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [kisaː⸢ti⸣ na⸢ma⸣ri ⸢naː⸣nu] (すでに恥をかいてしまった)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトゥシ ナ⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥tuʃi na⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これぽちのことで恥をかくことはない)。 ナ⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [na⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (恥をかけばいいのに)。 ナ⸢マ⸣リバ [na⸢ma⸣riba] (恥をかけ) 12131 0 0 11739 htmvoc_12131.wav ナマルン ナ⸢マ⸣ルン [na⸢ma⸣ruŋ] 自動 なまる(鈍る)。切れ味が鈍くなる。技量や力が落ちてくる。 ユ⸢ヌ⸣ カ⸢タ⸣ナ カー⸢ニ⸣ シゥ⸢カウ⸣カー ナ⸢マ⸣ルンダ ビ⸢チ⸣ヌ カ⸢タ⸣ナン シゥ⸢カウ⸣カー ナ⸢マラ⸣ヌ [ju⸢nu⸣ ka⸢ta⸣na kaː⸢ni⸣ sï̥⸢kau⸣kaː na⸢ma⸣runda bi⸢ʧi⸣nu kḁ⸢ta⸣nan sï̥⸢kau⸣kaː na⸢mara⸣nu] (同じ包丁だけ使うと鈍るので、別の包丁も使ったら鈍らない)。 ナ⸢マ⸣リティ キ⸢シラン⸣バン [na⸢ma⸣riti ki̥⸢ʃiram⸣baŋ] (鈍って切れないよ)。 ⸢オーパ⸣ヤー ナ⸢マ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː na⸢ma⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く鈍ることはない)。 ナ⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [na⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (鈍ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ナ⸢マ⸣リバ [⸢paː⸣ku na⸢ma⸣riba] (早く鈍れ) 12132 0 0 11740 htmvoc_12132.wav ナマルン ナ⸢マ⸣ルン [na⸢ma⸣ruŋ] 自動 小潮になる。潮の干満の差が小さくなる。⸢訛る」の意味派生したもの。 シ⸢キ⸣ヌ ン⸢ジラン⸣ ピンマー ⸢スー⸣ヤ ナ⸢マ⸣ルン [ʃi̥⸢ki⸣nu ʔn⸢ʤiram⸣ pimmaː ⸢suː⸣ja na⸢ma⸣ruŋ] (月の出ない時は潮は小潮になる<余り潮が引かない>) 12134 0 0 11741 htmvoc_12134.wav ナマンダ ナ⸢マンダ- [na⸢manda-] 接頭 中途半端。生半可。名詞、動詞の連用形(転成名詞)に上接してそれを修飾し、未熟なもの、不十分なこと、完全に~しない状態の意を表す。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢マンダニビ⸣ シ⸢ティル⸣ キ⸢ム⸣シル ⸢シー ベー⸣ナー [ja⸢ra⸣beː na⸢mandanibi⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ki⸢mu⸣ʃiru ⸢ʃiː beː⸣naː] (子供は熟睡できなくて<中途半端に寝て>、愚図ついて<ぐずって>いるのだなあ) 12135 0 0 11742 htmvoc_12135.wav ナマンダアクビ ナ⸢マンダアクビ [na⸢mandaʔakubi] 名 なまあくび(生欠伸)。中途半端な欠伸。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢マンダアクビ シーベー⸣バ ⸢ニフター⸣ル ⸣パジ ⸢パー⸣ク ニ⸢バシ [ja⸢ra⸣beː na⸢mandaʔakubi ʃiːbeː⸣ba ⸢niɸu̥taː⸣ru ⸣paʤi ⸢paː⸣ku ni⸢baʃi] (子供は生欠伸をしているから眠たいのだろう、早く寝かせなさい) 12136 0 0 11743 htmvoc_12136.wav ナマンダイキ ナ⸢マンダイキ [na⸢mandaʔiki] 名 絶え絶えの息。やっとで呼吸しているような息遣い。カ⸢ライキ[ka⸢raiki](絶え絶えの息遣い)ともいう。 ナ⸢マンダイキル ソーリ⸣バ ⸢ソーサン⸣カー ナ⸢ラン⸠ナー [na⸢mandaʔikiru soːri⸣ba ⸢soː saŋ⸣kaː na⸢ran⸠naː] (絶え絶えの息遣いをしておられるから、今後の心配をしないとけないねえ) 12138 0 0 11744 htmvoc_12138.wav ナマンダイビ ナ⸢マンダイビ [na⸢mandaʔibi] 名 不十分な植え方。粗雑な植え方。整然としない半端な植え方。手入れの悪い植え方。 ヤ⸢サイ⸣ヤー ナ⸢マンダイビ シー⸣ シケーティ ガ⸢ギリ ベー [ja⸢sai⸣jaː na⸢mandaʔibi ʃiː⸣ ʃi̥keːti ga⸢giri beː] (野菜は粗雑に植えてあるので発育不良になっている) 12139 0 1 11745 htmvoc_12139.wav ナマンダウーミ ナ⸢マンダウーミ [na⸢mandaʔuːmi] 名 {Mn_1}半熟すること。中途半端に熟れること。未熟。「生熟れ」の義。 ⸢バン⸣スロー ナ⸢マンダウーミ シー ベー⸣テイ ン⸢マーナー⸣ヌ [⸢ban⸣suroː na⸢mandaʔuːmi ʃiː beː⸣ti ʔm⸢maː naː⸣nu] (番石榴<グワバ>は中途半端に熟れて<半熟して>いるから美味しくない)。 12139 0 2 11746 htmvoc_12139.wav ナマンダウーミ ナ⸢マンダウーミ [na⸢mandaʔuːmi] 名 {Mn_2}中途半端に化膿すること。 ア⸢シ⸣ボー ナ⸢マンダウーミ シーベー⸣ティ ヤ⸢ミ⸣ス [ʔa⸢ʃi⸣boː na⸢mandaʔuːmi ʃiː beː⸣ti ja⸢mi⸣su] (御出来は半分化膿しているので痛むよ) 12140 0 0 11747 htmvoc_12140.wav ナマンダウブイ ナ⸢マンダウブイ [na⸢mandaʔubui] 名 なまおぼえ(生覚え)。\ruby{疎}{ウロ}覚え。中途半端な記憶。 ⸢ウンマー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢レー⸣ティ⸢ヨー⸣ イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣クトー ナ⸢マンダウブイル シー ブー⸣サー [⸢ʔummaː⸣ ja⸢ra⸣bi ja⸢reː⸣ti⸢joː⸣ ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ku̥toː na⸢mandaʔubuiru ʃiː buː⸣saː] (あの頃は子供だったからねえ、戦争の頃の<戦世の>ことはうろ覚えしているさ) 12141 0 0 11748 htmvoc_12141.wav ナマンダカーラキ ナ⸢マンダカーラキ [na⸢mandakaːraki] 名 生乾き。半乾き。十分に乾いていないこと。「生乾き」の転訛したもの。 ク⸢ヌ キン⸣マー ナ⸢マンダカーラキ シー ベー⸣バ ⸢マー⸣ビン ⸣プシバ [ku⸢nu kim⸣maː na⸢manda kaːraki ʃiː beː⸣ba ⸢maː⸣bim ⸣pu̥ʃiba] (この着物は半乾きしているから、もっと干しなさいよ) 12142 0 0 11749 htmvoc_12142.wav ナマンダカイシ ナ⸢マンダカイシ [na⸢mandakaiʃi] 名 中途半端な耕し方。じっくり耕さないこと。念入りに耕さないこと。 ⸣スブットーヤ ナ⸢マンダカイシ シティ⸣ ウン イ⸢ビ⸣ シケーティ ウ⸢リヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣シティ ⸢ウン⸣マー ⸢ミーラヌ [⸣subuttoːja na⸢mandakaʃi ʃi̥ti⸣ ʔuŋ ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keːti ʔu⸢rinu⸣ pḁ⸢ta⸣keː s⸢sa⸣nu ⸢muiaba⸣ʃi̥ti ⸢ʔum⸣maː ⸢miːranu] (怠け者は中途半端に耕して芋を植えてあるので、彼の畑は雑草が繁茂して芋はちっとも実らない) 12144 0 0 11750 htmvoc_12144.wav ナマンダカマンダ ナ⸢マンダカマン⸣ダ [na⸢mandakaman⸣da] 副 不十分に。中途半端に。ABCDEBCD型の重言。 シ⸢グトー⸣ ナ⸢マンダカマン⸣ダ ⸢スー⸣カー ⸣ティマー ⸢イーララ⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ na⸢mandakaman⸣da ⸢suː⸣kaː ⸣timaː ⸢ʔiːrara⸣nu] (仕事は中途半端にすると、手間賃は貰えない) 12143 0 0 11751 htmvoc_12143.wav ナマンダカンザリ ナ⸢マンダカンザリ [na⸢mandakanʣari] 名 充分に\ruby{咀嚼}{ソ|シャク}しないこと。中途半端に噛むこと。生半可な噛み方。 ッ⸢ふァイムノー⸣ ナ⸢マンダカンザリ サンドー⸣シ イッ⸢ケン カン⸣ザリティ ッ⸢ふァイ⸠ヨー [f⸢faimunoː⸣ na⸢mandakanʣari sandoː⸣ʃi ʔik⸢keŋ kan⸣ʣariti f⸢fai⸠joː] (食べ物は生半可に噛まないで、充分に<たくさん>噛んで食べなさいよ) 12145 0 0 11752 htmvoc_12145.wav ナマンダクラシ ナ⸢マンダクラシ [na⸢mandakuraʃi] 名 半殺し。生殺し。 ナ⸢マンダクラシ シー⸣ シケータ パ⸢ボー⸣ ヌ⸢チ⸣ ムイ ⸢ピン⸣ギ ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [na⸢mandakuraʃi ʃiː⸣ ʃi̥keːta pa⸢paboː⸣ nu⸢ʧi⸣mui ⸢piŋ⸣gi ⸣pari ⸢naː⸣nu] (半殺しにしてあった蛇は生き返って逃げていってしまった) 12146 0 0 11753 htmvoc_12146.wav ナマンダシー ナ⸢マンダシー [na⸢mandaʃiː] 名 中途半端にすること。好い加減にすること。 ナ⸢マンダシー サンドー⸣シ ⸢スー⸣カー カ⸢シーカシー シー⸣バ [na⸢mandaʃiː sandoː⸣ʃi ⸢suː⸣kaː kḁ⸢ʃiːkaʃiː ʃiː⸣ba] (中途半端な仕方はしないで、するならしっかりと最後までやりなさい) 12147 0 0 11754 htmvoc_12147.wav ナマンダシキ ナ⸢マンダシキ [na⸢mandaʃi̥ki] 名 なまぎき(生聞き)。十分に聞き取らないこと。中途半端な聞き方。ちょっと聞いて知ったふりをすること。 プ⸢スヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムニ ナ⸢マンダシキ スンダル⸣ マ⸢チガイ⸣ル⸢ダー [pu̥⸢sunu⸣ muni na⸢mandaʃi̥ki sundaru⸣ ma⸢ʧigai⸣ru⸢daː] (人の言うことを生聞きするから間違えるのだよ)。 ナ⸢マンダシキ サンドー⸣シ ⸢ミン⸣バ サ⸢ライ⸣<トゥ⸢ルッ⸣サイ> シ⸢キ⸣バ [na⸢mandaʃi̥ki sandoː⸣ʃi ⸢mim⸣ba sa⸢rai⸣ ʃi̥⸢ki⸣ba] (生聞きしないで耳を澄まして<耳を浚えて>聞きなさい) 12148 0 0 11755 htmvoc_12148.wav ナマンダシキ ナ⸢マンダシキ [na⸢mandaʃi̥ki] 名 不十分な漬け方。塩分不足の不完全な浸け方。 ⸢ダイ⸣クネー ナ⸢マンダシキ シー⸣ シケーティ ⸣ッサリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢dai⸣kuneː na⸢mandaʃi̥ki ʃiː⸣ ʃi̥keːti ⸣ssari ⸢naː⸣nu] (大根は塩分不足の漬け方をしてあったので腐れてしまった) 12150 0 0 11756 htmvoc_12150.wav ナマンダシグトゥ ナ⸢マンダシグトゥ [na⸢mandaʃigutu] 名 中途半端な仕事。いい加減な仕事。 ナ⸢マンダシグトゥ スー⸣カー マ⸢タザークル シーバ ニン⸣バ ⸣イリ シ⸢グトゥ シー⸣ヨー [na⸢mandaʃigutu suː⸣kaː ma⸢taʣaːɸuru ʃiːba nim⸣ba ⸣ʔiri ʃi⸢gutu ʃiː⸣joː] (中途半端な仕事をしたら、やり直し<二度手間{EOS}二度仕事>をするから、念入りに仕事をしなさいよ) 12151 0 0 11757 htmvoc_12151.wav ナマンダシニ ナ⸢マンダシニ [na⸢mandaʃini] 名 半死半生。「半端死に」の義。生殺しの状態。半殺しの状態。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢ボー⸣ ナ⸢マンダシニ シー ベー [ku⸢nu⸣ pa⸢boː⸣ na⸢mandaʃini ʃiː beː] (この蛇は完全に死んでいない<中途半端に死んでいる>) 12153 0 0 11758 htmvoc_12153.wav ナマンダスーピサール ナ⸢マンダ⸣スーピサール [na⸢manda⸣suːpisaːru] 名 小潮。大潮でないときの潮干。⸢スー⸣チズー[⸢suː⸣ʧiʣuː](大潮の時の潮干)の対義語。 ク⸢ヌ⸣ シケー ナ⸢マンダ⸣スーピサール ⸣ナリティ イ⸢ソー⸣ パ⸢ラ⸣バン ⸣タクン トゥ⸢ララ⸣ヌ パ⸢ギ⸣ス [ku⸢nu⸣ ʃi̥keː na⸢manda⸣suːpi̥saːru ⸣nariti ʔi⸢soː⸣ pa⸢ra⸣ban ⸣tḁkun tu⸢rara⸣nu pa⸢gi⸣su] (今月は小潮になって、潮干狩りに行っても蛸も獲れない{EOS}まるはげ<不漁>になる) 12152 0 0 11759 htmvoc_12152.wav ナマンダスクリ ナ⸢マンダスクリ [na⸢mandasu̥kuri] 名 中途半端な作り方。いい加減な作り方。 イ⸢ガジー⸣ ス⸢クラシ⸣ター ナ⸢マンダスクリ⸣ シ⸢ティ⸣ シ⸢ティシ⸣ケー [ʔi⸢gaʤiː⸣ su̥⸢kuraʃi̥⸣taː na⸢mandasu̥kuri⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʃi̥⸢tiʃi̥⸣keː] (烏賊釣り用の餌木を作らせたら中途半端に作ってほったらかしにしてある) 12154 0 1 11760 htmvoc_12154.wav ナマンダスリ ナ⸢マンダスリ [na⸢mandasuri] 名 {Mn_1}中途半端な茅の刈り方。 ガ⸢ヤー⸣バ ナ⸢マンダスリ シー⸣ シケーティ シゥ⸢カイミチェー ナー⸣ヌ [ga⸢jaː⸣ba na⸢mandasuri ʃiː⸣ ʃi̥keːti sï̥⸢kaimiʧeː naː⸣nu] (茅を中途半端な刈り方をしてあるので使い道<用途>がない)。 12154 0 2 11761 htmvoc_12154.wav ナマンダスリ ナ⸢マンダスリ [na⸢mandasuri] 名 {Mn_2}中途半端な髭剃り。 ピ⸢ニバ⸣ ナ⸢マンダスリ シー⸣ シケーティ ホー⸢ガーホーガー⸣シ ⸢ベー [pi⸢niba⸣ na⸢mandasuri ʃiː⸣ ʃi̥keːti hoː⸢gaːhoːgaː⸣ʃi ⸢beː] (鬚を中途半端に剃ってあるので間抜け面<とんまな顔>をしているよ) 12155 0 0 11762 htmvoc_12155.wav ナマンダソーリ ナ⸢マンダソーリ [na⸢mandasoːri] 名 中途半端な草取り。不徹底な草取り。 ウ⸢リン⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサ ⸢ソーラシタール⸣ ナ⸢マンダソーリ シー⸣ シケーバン [ʔu⸢rim⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssa ⸢soːraʃi̥taːru⸣ na⸢mandasoːri ʃiː⸣ ʃi̥keːbaŋ] (彼に畑の草取りをさせたらば中途半端な草取りをしてあるよ) 12156 0 0 11763 htmvoc_12156.wav ナマンダッサーク ナ⸢マンダッサーク [na⸢mandassaːku] 名 中途半端な仕事。 ナ⸢マンダッサーク スー⸣カー ⸣ティマー ⸢イーララ⸣ヌ [na⸢mandassaːku suː⸣kaː ⸣timaː ⸢ʔiːrara⸣nu] (中途半端な仕事をすると手間賃はもらえない) 12149 0 0 11764 htmvoc_12149.wav ナマンダッシ ナ⸢マンダッシ [na⸢mandaʃʃi] 名 中途半端な理解をすること。一知半解すること。なまかじり。なまわかり。「なま<生>知り」の義。 ナ⸢マンダッシバ シーティ⸣ ッ⸢シェー⸣ン ⸢コーラ⸣シ ム⸢ヌ⸣バ イ⸢ジ アー⸣ク [na⸢mandaʃʃiba ʃiːti⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ŋ ⸢koːra⸣ʃi mu⸢nu⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (中途半端な理解をして、知ったかぶりをしてものを言っている) 12165 0 0 11765 htmvoc_12165.wav ナマンダッふァイ ナ⸢マンダッふァイ [na⸢mandaffai] 名 中途半端な食べ方。しっかり食べないこと。食い散らすこと。 ⸣アシェー ナ⸢マンダッふァイ シーティル ヤー⸣サティ ⸢ユー⸣ボン⸢バー⸣キ マ⸢ティユーサン⸣ツォー [⸣ʔaʃeː na⸢mandaffai ʃiːtiru jaː⸣sati ⸢juː⸣bom⸢baː⸣ki ma⸢tijuːsan⸣ʦoː] (昼食は中途半端にすこしだけ食べたので、ひもじくて夕飯まで待てないそうだ) 12157 0 0 11766 htmvoc_12157.wav ナマンダニー ナ⸢マンダニー [na⸢mandaniː] 名 生煮え。全体的に十分に煮えないこと。よく煮えていないこと。 カ⸢マチヌ⸣ ピー カ⸢タモー⸣シ ⸢スー⸣カー ⸢イー⸣ヤ ナ⸢マンダニー スン⸠ダー [ka⸢maʧinu⸣ piː kḁ⸢tamoː⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ⸢ʔiː⸣ja na⸢mandaniː sun⸠daː] (竈の火を偏って燃やすとご飯は生煮えするぞ) 12158 0 0 11767 htmvoc_12158.wav ナマンダニビ ナ⸢マンダニビ [na⸢mandanibi] 名 なまね(生寝)。十分に眠らないこと。熟睡してないこと。 ⸣ユベー ヤ⸢ミプス⸣ヌ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢スンティ⸣ ナ⸢マンダニビ シェー⸣ティ ⸢ニフター⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣jubeː ja⸢mipusu⸣nu ⸢tunʣa⸣ku ⸢sunti⸣ na⸢mandanibi ʃeː⸣ti ⸢niɸutaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (昨夜は病人の看病<頓着>をしようとして熟睡してないから<生寝したから>眠たくてたまらない) 12159 0 0 11768 htmvoc_12159.wav ナマンダネーシ ナ⸢マンダネーシ [na⸢mandaneːʃi] 名 生煮えにすること。 ナ⸢マンダネーシ サンドー⸣シ シゥカイ⸢トゥ ネーシ⸣ヨー [na⸢mandaneːʃi sandoː⸣ʃi sï̥kai⸢tu neːʃi⸣joː] (生煮えにしないで、しっかり<しかと>煮なさいよ) 12161 0 0 11769 htmvoc_12161.wav ナマンダノーシ ナ⸢マンダノーシ [na⸢mandanoːʃi] 名 不完全な治療。中途半端な治療。「生治し」の義。 ⸢ヤンマイ⸣ヤー ナ⸢マンダノーシ スー⸣カー ⸢フッカイスンダ⸣ マ⸢ナマ⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナー シカイ⸢トゥ ノー⸣シ [⸢jammai⸣jaː na⸢mandanoːʃi suː⸣kaː ⸢ɸukkaisunda⸣ ma⸢nama⸣nu ʔu⸢ʧi⸣naː sï̥kai⸢tu noː⸣ʃi] (病気は中途半端な治療をしたら再発するから、今のうちに完全に<しっかりと{EOS}しかと>治せ) 12160 0 0 11770 htmvoc_12160.wav ナマンダノーリ ナ⸢マンダノーリ [na⸢mandanoːri] 名 なまいえ(生癒え)。病気や傷が、まだ治りきっていないこと。半分治り。「生治り」の義。 ⸢ソーノーレー⸣<⸢ソーナウレー⸣> ア⸢ラ⸣ヌ ナ⸢マンダノーリル⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ アイニ ⸢ウー⸣キカーキ ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢soːnoːreː⸣<⸢soːnaureː⸣> ʔa⸢ra⸣nu na⸢mandanoːriru⸣ ja⸢runda⸣ ʔaini ⸢ʔuː⸣kikaːki ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (完治ではなく生癒えだから、あんなに動き回ってはいけないよ) 12162 0 0 11771 htmvoc_12162.wav ナマンダバライ ナ⸢マンダバライ [na⸢mandabarai] 名 苦笑い。作り笑い。そら笑い。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢ナン⸣ゾー ウ⸢ムッサナー⸣ユンダ ムー⸢ル⸣ ナ⸢マンダバライ シー ベー [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢nan⸣ʣoː ʔu⸢mussanaː⸣junda muː⸢ru⸣ na⸢mandabarai ʃiː beː] (彼の話はあまり面白くないので、みんな作り笑いをしている) 12163 0 0 11772 htmvoc_12163.wav ナマンダビー ナ⸢マンダビー [na⸢mandabiː] 名 生酔い。ほろ酔い。酒に少し酔うこと。 ウ⸢レー⸣ ナ⸢マンダビー スー⸣カー シ⸢グ⸣ ウ⸢ブムニ⸣バ イ⸢ズンダル⸣ プ⸢ストゥ⸣ アウ⸢ツォー [ʔu⸢reː⸣ na⸢mandabiː suː⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ʔu⸢bumuni⸣ba ʔi⸢ʣundaru⸣ pu̥⸢sutu⸣ ʔau⸢ʦoː] (彼はほろ酔いすると、すぐ大言壮語するので人と喧嘩するのだよ) 12164 0 0 11773 htmvoc_12164.wav ナマンダピーリ ナ⸢マンダピーリ [na⸢mandapiːri] 名 十分に冷えないこと。中ほどに冷めること。「生冷え」の義。 ア⸢チユー⸣ヤ ナ⸢マンダピーリ シー ベー⸣バ ⸢ピーリキサン⸣ケン ⸣ヌミバ [ʔa⸢ʧijuː⸣ja na⸢mandapiːri ʃiː beː⸣ba ⸢piːriki̥saŋ⸣ken ⸣numiba] (熱湯は半分ほど冷めているから、すっかり冷め切らないうちに飲みなさいよ) 12166 0 0 11774 htmvoc_12166.wav ナマンダフイ ナ⸢マンダフイ [na⸢mandaɸui] 名 小雨が陰気に降り続くさま。中途半端な降り方。本降りにならないで、小雨がしょぼしょぼ降ること。そぼ降り。しとしと降り。 ナ⸢マンダフイヤ⸣ ウロイ サ⸢ヌ [na⸢mandaɸuijaː⸣ ʔuroi sa⸢nu] (そぼ降りは畑に潤いを与えない)。ウ⸢ブフイ[ʔu⸢buɸui](大降り)、⸢ザー⸣カフイ[⸢ʣaː⸣kaɸui](ザーザー降り)の対義語。 ⸣アメー カシー⸢カシー ホー⸣ムティ ナ⸢マンダフイ シーベー [⸣ʔameː kaʃiː⸢kaʃiː hoː⸣muti na⸢mandaɸui ʃiːbeː] (雨は本降りにならない<しっかりと降らない>で、しょぼしょぼと降っている) 12167 0 0 11775 htmvoc_12167.wav ナマンダプシ ナ⸢マンダプシ [na⸢mandapuʃi] 名 半乾燥。中途半端な乾燥。「生干し」の義。 ⸣タクン イ⸢ガン⸣ ナ⸢マンダプシ スー⸣カー ッサルン⸢ダー [⸣takuŋ ʔi⸢gan⸣ na⸢mandapuʃi suː⸣kaː ssarun⸢daː] (蛸も烏賊も半乾燥にすると腐れるよ) 12169 0 0 11776 htmvoc_12169.wav ナマンダミリ ナ⸢マンダミリ [na⸢mandamiri] 名 中途半端に見ること。しっかり見ないこと。注意して見ないこと。⸢キシ⸣キミリ[⸢kiʃi̥⸣kimiri](注視すること{EOS}凝視すること)の対義語。 ⸢ワーン⸣ カタチニ ナ⸢マンダミリ スー⸣カー トゥ⸢ルマケー ミシキユーサ⸣ヌ [⸢waːŋ⸣ kḁtaʧini na⸢mandamiri suː⸣kaː tu⸢rumakeː miʃi̥kijuːsa⸣nu] (君のように中途半端に見るとカツオ鳥の鳥巻きは見つけることができない) 12170 0 0 11777 htmvoc_12170.wav ナマンダムーミ ナ⸢マンダムーミ [na⸢mandamuːmi] 名 中途半端な揉み方。心無い揉みかた。 ア⸢キリティ⸣ ナ⸢マンダムーミ スー⸣カー シ⸢グ⸣ ワ⸢カ⸣ルン⸢ダー ニン⸣イリ ⸢ムーミ オーシ⸣バ [ʔa⸢kiriti⸣ na⸢mandamuːmi suː⸣kaː ʃi⸢gu⸣ wa⸢ka⸣run⸢daː niŋ⸣ ʔiri ⸢muːmi ʔoːʃi⸣ba] (厭きて心無い中途半端な揉み方をするとすぐ分かるよ{EOS}入念に揉んで差し上げなさいよ) 12168 0 0 11778 htmvoc_12168.wav ナマンダムニ ナ⸢マンダムニ [na⸢mandamuni] 名 中途半端な言い方。煮え切らない言い方。不明瞭な言い回し。なまへんじ(生返事)。 ナ⸢マンダムニ⸣ル ア⸢ゾー⸣ルンダ ⸢クンドゥ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー ⸢ナン⸣ゾー ミ⸢ク⸣メー ⸢ナー⸣ヌ [na⸢mandamuni⸣ru ʔa⸢ʣoː⸣runda ⸢kundu⸣nu pa⸢na⸣ʃeː ⸢nan⸣ʣoː mi⸢ku⸣meː ⸢naː⸣nu] (生返事<中途半端な言い方>をなさるから、今度の話はあまり見込みはないよ) 12171 0 0 11779 htmvoc_12171.wav ナマンダリムヌ ナ⸢マンダリ⸣ムヌ [na⸢mandari⸣munu] 名 怠け者。だらだらして仕事をしない者。ウ⸢シクラシムヌ[ʔu⸢ʃikuraʃimunu](怠け者)ともいう。 ナ⸢マンダリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スヌ パンブン⸣ドゥ シ⸢グトゥン シーユース [na⸢mandari⸣munu ja⸢runda⸣ pu̥⸢sunu pambun⸣du ʃi⸢gutuŋ ʃiːjuːsu] (怠け者だから人の半分しか仕事もできない<~半分ぞ仕事もし得る>) 12173 0 0 11780 htmvoc_12173.wav ナミ ナ⸢ミ [na⸢mi] 名 普通。平均的。特によくも悪くもないこと。 ウ⸢レー⸣ ナ⸢ミヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ na⸢minu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (彼は並の人ではない)。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢ダイバン⸣マー ナ⸢ミダイユン⸣ナー トゥ⸢ビダイヤー マー⸣ビン ⸢マイ⸣ヤン [⸢kjuː⸣nu ⸢daibam⸣maː na⸢midai jun⸣naː tu⸢bidaijaː maː⸣bim ⸢mai⸣jaŋ] (今日のカツオの大判<大型のカツオ>は並の大判だねえ{EOS}超大型のカツオ<飛び大判>はもっと大きいよ) 12174 0 0 11781 htmvoc_12174.wav ナミ ナ⸢ミ [na⸢mi] 名 波。⸣ナン[⸣naŋ](大波)ともいう。「~寄する奈弥見尓<ナミミニ>。万、3954」の転訛。 ナ⸢ミヌ ユーシ⸣ クーン [na⸢minu juːʃi⸣ kuːŋ] (波が寄せてくる)。 ナ⸢ミヌ⸣ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣ンズン [na⸢minu⸣ pa⸢na⸣nu ⸣ʔnʣuŋ] (波の花<白波>が出る)。 ヤ⸢ダン⸣ブレピーヌ ナ⸢ミヌ⸣ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクカー ⸢オシキ⸣ ヤ⸢ブ⸣ルンツォー [⸢jadam⸣burepiːnu na⸢minu⸣ pa⸢na⸣nu ⸣sḁkukaː ⸢ʔoʃi̥ki⸣ ja⸢bu⸣runʦoː] (上原北岸のヤダンブレ干瀬の波の花が咲くと天気が崩れるそうだ) 12175 0 0 11782 htmvoc_12175.wav ナミカジ ナ⸢ミ⸣カジ [na⸢mi⸣kaʤi] 名 波風。風波。 ナ⸢ミカジ⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [na⸢mikaʤi⸣nu ⸢suː⸣wanda ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (波風が強いので船は出されない)。 ⸢ヤー⸣キナイナー ナ⸢ミ⸣カジ タ⸢ティル⸣ナ [⸢jaː⸣kinainaː na⸢mi⸣kaʤi ta⸢tiru⸣na] (家庭に波風を立てるな) 12172 0 0 11783 htmvoc_12172.wav ナミナミートゥ ナ⸢ミナミートゥ [na⸢minamiːtu] 副 満々と。溢れるほどに満ちたさま。 サ⸢カシキ⸣ナー ナ⸢ミナミートゥ⸣ サ⸢ケー⸣ シ⸢ギ オーシ⸣バ [sḁ⸢kaʃi̥ki⸣naː na⸢minamiːtu⸣ sḁ⸢keː⸣ ʃi⸢gi ʔoːʃi⸣ba] (さかずき<杯>に溢れるほどに酒を注いで差し上げなさい) 12176 0 0 11784 htmvoc_12176.wav ナミヌパナ ナ⸢ミヌ⸣ パナ [na⸢minu⸣ pana] 連 白波。「波の花」の義。白波を花に譬えていう語。 ヤ⸢ダン⸣ブレビーナ ナ⸢ミヌ⸣ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクカー ⸢オシケー⸣ ヤ⸢ブ⸣ルン [ja⸢dam⸣burebiːnaː na⸢minu⸣ pa⸢na⸣nu ⸣sḁkukaː ⸢ʔoʃi̥keː⸣ ja⸢bu⸣ruŋ] (西表島字上原北岸の干瀬<ヤダンブレ干瀬>に白波が立つ<波の花が咲く>と天気が崩れる<破れる>) 12177 0 0 11785 htmvoc_12177.wav ナミルン ナ⸢ミルン [na⸢miruŋ] 他動 並べる。平均にする。ならす(均す)。比較する。老年層のことば。 プ⸢ストゥ⸣ ナ⸢ミルンティ サンドー⸣シ プ⸢ストゥ⸣ ナ⸢ミラン⸣タンティン ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢シー⸣プサ ⸣ヨーニ ⸢スー⸣カ ⸣ミサン [pu̥⸢sutu⸣ na⸢mirunti sandoː⸣ʃi pu̥⸢sutu⸣ na⸢miran⸣tantin ⸢duː⸣nu ⸢ʃiː⸣pu̥sa ⸣joːni ⸢suː⸣ka ⸣misaŋ] (自分を他人と並べようとしないで、他人と並べなくても自分のしたいようにすればいい)。 ク⸢リトー⸣ ナ⸢ミ ヤッ⸣サン [ku⸢ritoː⸣ na⸢mi jas⸣saŋ] (これとは並べやすい)。 ク⸢リトゥ⸣ ナ⸢ミル⸣ クトー ム⸢チキサ⸣ル [ku⸢ritu⸣ na⸢miru⸣ ku̥toː mu⸢ʧikisa⸣ru] (これと並べることは難しい)。 ク⸢リトゥ⸣ ナ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [ku⸢ritu⸣ na⸢mireː⸣ misamunu] (これと並べれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ナ⸢ミリ [jaː⸢din⸣ na⸢miri] (必ず並べろ)。 ナ⸢ミルンティ⸣ サ⸢バン⸣ ナ⸢ミララヌ [na⸢mirunti⸣ sa⸢ban⸣ na⸢miraranu] (並べようとしても並べられない) 12178 0 0 11786 htmvoc_12178.wav ナミルン ナ⸢ミ⸣ルン [na⸢mi⸣ruŋ] 他動 なめる(嘗める)。ねぶる。舌先でなでる。老年層は、ヌ⸢ベー⸣ルン[nu⸢beː⸣ruŋ](嘗める)という。 ⸣サタ ナ⸢ミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ サ⸢バン⸣ヌ フ⸢カー⸣ティ ナ⸢ミララ⸣ヌ [⸣sḁta na⸢mi⸣runti ⸢sundu⸣ sa⸢ban⸣nu ɸu̥⸢kaː⸣ti na⸢mirara⸣nu] (砂糖を嘗めようとするが、茶碗が深いので嘗められない)。 ⸣ナミ ⸣ミサカー ナ⸢ミ⸣ルクトー ⸣ナルン [⸣nami ⸣misakaː na⸢mi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (嘗めて良ければ嘗めることは出来る)。 プ⸢ス⸣フチ ナ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧi na⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (一口嘗めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ナ⸢ミ⸣リ [⸢paː⸣ku na⸢mi⸣ri] (早く嘗めろ) 12179 0 0 11787 htmvoc_12179.wav ナヤ ナ⸢ヤ [na⸢ja] 名 納屋。カツオ漁業でカツオ節を製造する建物をいう。カツオ漁業の導入と共に沖縄の本部や慶良間島から借用された語であろう。魚網や漁具を収納し保管する小屋に対してもいう。カツオ節製造工場全体を、⸢シーゾー⸣ヤー[⸢siːʣoː⸣jaː](製造屋)といい、その中の燻製室を、⸢バイカン⸣ヤー[⸢baikaŋ⸣jaː](焙乾屋)という 12180 0 0 11788 htmvoc_12180.wav ナユ ナ⸢ユ [na⸢ju] 副 なぜ(何故)。古語。歌謡などで用いられる。イ⸢カ⸣シャル[ʔi⸢ka⸣ʃaru](如何なる)と対語で用いられる。鳩間方言の口語では、⸣ヌー[⸣nuː](何)、⸢ヌー⸣シ[⸢nuː⸣ʃi](如何に)、ヌー⸢シェー⸣ル[nuː⸢ʃeː⸣ru](どのような)の意味に用いられている。/ナユシャル フニヌドゥ カヨーダ イカシャル フニヌドゥ カシャラクガ/(如何なる船が通うたのか、如何なる船が走っている<徒歩く{EOS}「~多摩の横山 加志由加也良牟<カシユカ ヤラム>{EOS}万、4417」の転訛したものか)「鳩間節」『宮良当壮全集12』 12183 0 1 11789 htmvoc_12183.wav ナラーシ ナ⸢ラー⸣シ [na⸢raː⸣ʃi] 名 {Mn_1}しつけ(躾け)。教育。 ⸢ヤー⸣ヌ ナ⸢ラーシ⸣ヌ ⸢ワッサ⸣カー シ⸢キン⸣ヌ バ⸢ライムヌ⸣ シ⸢ラリン⸠ダー [⸢jaː⸣nu na⸢raːʃi⸣nu ⸢was⸣sakaː ʃi̥⸢kin⸣nu ba⸢raimunu⸣ ʃi⸢rarin⸠daː] (家庭の仕付け<躾>が悪いと世間の笑いものにされるぞ)。教育。躾け。教え。若年層は、ナ⸢ラワ⸣シ[na⸢rawa⸣ʃi](慣習)ともいう。 ッ⸢ふァー⸣ ナ⸢ラーシ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカー ナ⸢カヤブ⸣リ ⸢スン⸣ダー [f⸢faː⸣ na⸢raːʃi⸣nu ⸢was⸣sakaː na⸢kajabu⸣ri ⸢sun⸣daː] (子供は教育<躾け{EOS}教え>が悪いと中途でぐれる<中破れ>するぞ)。 12183 0 2 11790 htmvoc_12183.wav ナラーシ ナ⸢ラー⸣シ [na⸢raː⸣ʃi] 名 {Mn_2}習わし。習慣。 ウ⸢レー⸣ ム⸢カ⸣シェーラヌ シ⸢マ⸣ヌ ナ⸢ラー⸣シ ヤ⸢ルンダ ノーサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ mu⸢ka⸣ʃeːranu ʃi⸢ma⸣nu na⸢raː⸣ʃi ja⸢runda noːsara⸣nu] (それは昔からの、島の習わしだから直されない)。 ヤ⸢ナナラーシ⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [ja⸢nanaraːʃi⸣ su⸢na⸣joː] (悪い習慣をつけるなよ)。慣習。習慣。習わし。 シ⸢マ⸣ヌ ナ⸢ラー⸣シェー マ⸢ダ バシキランバン [ʃi⸢ma⸣nu na⸢raː⸣ʃeː ma⸢da baʃi̥kirambaŋ] (島の慣習は、まだ忘れていないわい) 12194 0 0 11791 htmvoc_12194.wav ナラーシグリサン ナ⸢ラーシグリ⸣サン [na⸢raːʃiguri⸣saŋ] 形 教えにくい。ナ⸢ラーシヤッ⸣サン[na⸢raːʃijas⸣saŋ](教えやすい)の対義語。 ク⸢ヌ⸣ ブ⸢ドゥロー⸣ イッ⸢ケン⸣ ナ⸢ラーシグリ⸣サン [ku⸢nu⸣ bu⸢duroː⸣ ʔik⸢ken⸣ na⸢raːʃiguri⸣saŋ] (この踊りは非常に教えにくい)。 ナ⸢ラーシグリサナー⸣ヌ [na⸢raːʃigurisanaː⸣nu] (教えにくくない)。 ナ⸢ラーシグリ⸣サ ッ⸢ふァ [na⸢raːʃiguri⸣sa f⸢fa] (教えにくい子供) 12195 0 0 11792 htmvoc_12195.wav ナラーシゾージ ナ⸢ラーシゾー⸣ジ [na⸢raːʃiʣoː⸣ʤi] 名 教え上手。ブ⸢ク[bu⸢ku](不得手{EOS}下手)、ナ⸢ラーシ⸣ピタ[na⸢raːʃi⸣pi̥ta](教え方が下手)の対義語。 ブ⸢ドゥロー⸣ ナ⸢ラーシゾージ⸣ヌ ナ⸢ラー⸣スカー ウブイヤッサン [bu⸢duroː⸣ na⸢raːʃiʣoːʤi⸣nu na⸢raː⸣sukaː ʔu⸢buijas⸣saŋ] (踊りは教え上手が教えると覚えやすい) 12196 0 0 11793 htmvoc_12196.wav ナラーシナムヌ ナ⸢ラーシ⸣ナ ⸣ムヌ [na⸢raːʃi⸣na ⸣munu] 連 教え方次第。教え方の問題。躾け方次第で如何様にも変わるということ。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢ラーシ⸣ナ ⸣ムヌティル ⸣アル [ja⸢ra⸣beː na⸢raːʃi⸣na ⸣munutiru ⸣ʔaru] (子供は躾け次第といわれている<教え方次第では立派に成長するの意>) 12197 0 0 11794 htmvoc_12197.wav ナラーシミチ ナ⸢ラーシ⸣ミチ [na⸢raːʃi⸣miʧi] 名 教え方。教える方法。躾け方。教育方法。 ウ⸢レー⸣ プ⸢ス⸣ ナ⸢ラーシ⸣ミチェー ッ⸢シブンドゥ⸣ プ⸢ソー⸣ラヌ ナ⸢ライ⸣ミチェー ッ⸢サヌ [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢su⸣ na⸢raːʃi⸣miʧeː ʃ⸢ʃibundu⸣ pu̥⸢soː⸣ranu na⸢rai⸣miʧeː s⸢sanu] (彼は人を教え導く方法<他人の教え方>は知っているが、他人からの学び方は知らない) 12198 0 0 11795 htmvoc_12198.wav ナラーシヨー ナ⸢ラーシ⸣ヨー [na⸢raːʃi⸣joː] 名 教え方。ナ⸢ラーシ⸣カタ[na⸢raːʃi⸣kḁta](教え方)ともいう。 ナ⸢ラーシヨー⸣ヌ ⸢ワッ⸣サカー ウ⸢ヌ⸣ フ⸢シェー⸣ イッ⸢カ ノーラ⸣ヌ [na⸢raːʃijoː⸣nu ⸢was⸣sakaː ʔu⸢nu⸣ ɸu̥⸢ʃeː⸣ ʔik⸢ka noːra⸣nu] (教え方が悪いと、その癖は決して<一向に>直らない)。 ⸢ワー⸣ ブ⸢ドゥル⸣ ナ⸢ラーシヨー⸣ヤ ア⸢タラヌ⸣ ム⸢カ⸣シプスヌ ⸢ティー⸣トゥ ⸢カウリ ブー [⸢waː⸣ bu⸢duru⸣ na⸢raːʃijoː⸣ja ʔa⸢taranu⸣ mu⸢ka⸣ʃipu̥sunu ⸢tiː⸣tu ⸢kauri buː] (君の踊りの教え方間違っている<当たらない>{EOS}昔の人の手<踊りの手{EOS}踊りの型>と変わっている) 12186 0 0 11796 htmvoc_12186.wav ナラースン ナ⸢ラー⸣スン [na⸢raː⸣suŋ] 他動 教える。⸢習わせる」の義。 バ⸢カー⸣ムン ⸣バー ブ⸢ドゥルヌ⸣ ティー ナ⸢ラー⸣スンティ ⸢スンドゥ バン⸣マー ナ⸢ラーサラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣mum ⸣baː bu⸢durunu⸣ tiː na⸢raː⸣sunti ⸢sundu bam⸣maː na⸢raːsara⸣nu] (若者に私の踊りの技を教えようとするが、私には教えられない)。 ⸣バーヤ ナ⸢ラーシ⸣ プサンドゥ ⸢ワンマー⸣ ナ⸢ラー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [⸣baːja na⸢raːʃi⸣ pu̥sandu ⸢wammaː⸣ na⸢raː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (私は教えたいが、君には教えることは罷り成らぬ<いけない>そうだ)。 ナ⸢ラー⸣シェー ⸣ミサムヌ [na⸢raː⸣ʃeː ⸣misamunu] (教えればいいのに)。 ナ⸢ラー⸣シバ [na⸢raː⸣ʃiba] (教えなさいよ)。「習わす」の転訛したもの。 ⸢ジー⸣ ナ⸢ラー⸣スン [⸢ʤiː⸣ na⸢raː⸣suŋ] (文字を教える)。 ナ⸢ラーシ⸣プサン [na⸢raːʃi⸣pusaŋ] (教えたい)。 イッ⸢カ⸣ ナ⸢ラーサ⸣ヌ [ʔik⸢ka⸣ na⸢raːsa⸣nu] (決して教えない)。 ナ⸢ラー⸣ス ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [na⸢raː⸣su ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (教えるものはない)。 ナ⸢ラー⸣シェー ⸣ミサムヌ [na⸢raː⸣ʃeː ⸣misamunu] (教えれば良いのに)。 カ⸢リン ジー⸣ ナ⸢ラー⸣シ [ka⸢rin ʤiː⸣ na⸢raː⸣ʃi] (彼に文字を教えろ) 12200 0 0 11797 htmvoc_12200.wav ナラースン ナ⸢ラー⸣スン [na⸢raː⸣suŋ] 他動 慣らす。馴らす。慣れるようにする。馴れさせる。 ⸢イン⸣マー ⸣ユー プ⸢スン⸣ ナ⸢ラー⸣シ シ⸢キ⸣リ [⸢ʔim⸣maː ⸣juː pu̥⸢sun⸣ na⸢raː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (犬はよく人馴れさせておけ)。 ナ⸢ラー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ナ⸢ラーサラ⸣ヌ [na⸢raː⸣sunti ⸢sundu⸣ na⸢raːsara⸣nu] (人馴れさせようとするが、馴れさせられない)。 ナ⸢ラー⸣シ ⸣ミサカー ナ⸢ラー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [na⸢raː⸣ʃi ⸣misakaː na⸢raː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (人馴れさせて良ければ馴れさせることはできる)。 ⸢マー⸣ビン プ⸢スン⸣ ナ⸢ラー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pu̥⸢sun⸣ na⸢raː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと人に馴れさせれば良いのに) 12201 0 0 11798 htmvoc_12201.wav ナラーリン ナ⸢ラー⸣リン [na⸢raː⸣riŋ] 自動 習える。習うことが出来る。動詞⸣ナラウン[⸣narauŋ](習う)の未然形に、可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された可能の派生動詞。 ⸢ジン⸣ヌ ⸣アルカー ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラー⸣リン [⸢ʤin⸣nu ⸣ʔarukaː noː⸢n⸣ na⸢raː⸣riŋ] (お金があれば何でも習える)。 バ⸢カヤ⸣ヌ ⸢ワーラ⸣ル ナ⸢ラーリ⸣ル プ⸢ソー⸣ラー ナ⸢ラーラ⸣ヌ [ba⸢kaja⸣nu ⸢waːra⸣ru na⸢raːri⸣ru pu̥⸢soː⸣raː na⸢raːra⸣nu] (恥ずかしくて、君からが<ぞ>習える{EOS}他人からは習えない) 12187 0 1 11799 htmvoc_12187.wav ナライ ⸣ナライ [⸣narai] 名 {Mn_1}習慣。慣習。しきたり。癖。動詞⸣ナラウン[⸣narauŋ](習う{EOS}学ぶ)の連用形が名詞化したもの。 ⸢ヤー⸣ナライ [⸢jaː⸣narai] (家庭の習慣、仕付け)。 ⸢ヤーナライ⸣ル ⸣フカナライ [⸢jaːnarai⸣ru ⸣ɸu̥kanarai] (家庭内の生活習慣<悪癖>が世間に出ても無意識に出てくるものだ)。 ム⸢カ⸣シェーラヌ ⸣ナライ [mu⸢ka⸣ʃeːranu ⸣narai] (昔からの習慣)。 ウ⸢ヌ⸣ ナライ [ʔu⸢nu⸣ narai] (そういう習慣{EOS}その風習)。 シ⸢マ⸣ヌ ⸣ナライ [ʃi⸢ma⸣nu ⸣narai] (島の習慣{EOS}風習)。 12187 0 2 11800 htmvoc_12187.wav ナライ ⸣ナライ [⸣narai] 名 {Mn_2}馴れること。動物が飼い主に馴れること。 ク⸢ヌ イン⸣マー プ⸢スナライ シー⸣ ブ⸢ラーヌ [ku⸢nu ʔim⸣maː pu̥⸢sunarai ʃiː⸣ bu⸢raːnu] (この犬は人馴れしていない) 12189 0 1 11801 htmvoc_12189.wav ナラウン ⸣ナラウン [⸣narauŋ] 他動 {Mn_1}習う。学ぶ。 ⸢ワー⸣ラ ⸢ジー⸣ ナラウンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ナ⸢ラーラ⸣ヌ [⸢waː⸣ra ⸢ʤiː⸣ naraunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː na⸢raːra⸣nu] (君から字を習おうと思うが、今は習え<習われ>ない)。 ナ⸢ライ⸣ プサカー ナ⸢ライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [na⸢rai⸣ pu̥sakaː na⸢rai⸣jaː ⸣misamunu] (習いたければ習えばいいのに)。 ク⸢レー⸣ キサー⸢ティ⸣ ナ⸢ライ⸣ヤン [ku⸢reː⸣ kisaː⸢ti⸣ na⸢rai⸣jaŋ] (これは既に習った)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ジン⸣ヌ ⸢ナーン⸣ベーティ ⸣ナラウクトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢ʤin⸣nu ⸢naːm⸣beːti ⸣narau ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今はお金がないので習うことは出来ない)。 ヤー⸢ディン⸣ ナライバ [jaː⸢din⸣ naraiba] (必ず習いなさいよ)。 12189 0 2 11802 htmvoc_12189.wav ナラウン ⸣ナラウン [⸣narauŋ] 他動 {Mn_2}慣れる。馴れる。動物が人間になつく。ナ⸢リ⸣ルン[na⸢ri⸣ruŋ](慣れる{EOS}馴れる)ともいう。 シ⸢グトー⸣ ナ⸢ライ⸣ヤン [ʃi⸢gutoː⸣ na⸢rai⸣jaŋ] (仕事は慣れたよ)。 ク⸢ヌ イン⸣マー イッ⸢ケン⸣ プ⸢ス⸣ナ ナ⸢ライ⸣ ブー [ku⸢nu ʔim⸣maː ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢su⸣naː na⸢rai⸣ buː] (この犬は非常に人に馴れている) 12190 0 1 11803 htmvoc_12190.wav ナラシケー ⸣ナラシケー [⸣naraʃi̥keː] 名 {Mn_1}屋号。成底家(本家)。鳩間西村七班の成底伊久津氏宅。 ⸣ナラシケーヤ ⸢インタプサッ⸣キャーヌ ⸢アー⸣ネー ⸢ヤッタ [⸣naraʃi̥keːja ⸢ʔintapu̥sak⸣kjaːnu ʔaː⸣neː ⸢jatta] (成底家は西富里家の東隣の家だった)。 12190 0 2 11804 htmvoc_12190.wav ナラシケー ⸣ナラシケー [⸣naraʃi̥keː] 名 {Mn_2}成底家の空き屋敷。⸢キー⸣ヤザーテー[⸢kiː⸣jaʣaːteː](木屋兄さんの家)ともいう。元々空き屋敷であったが、小浜木屋氏が戦後与那国からそこへ引っ越してこられた。 ⸣ウマー ⸣キサー ア⸢キカク<⸢ンーナカク> ヤッタ [⸣ʔumaː ⸣ki̥saː ʔa⸢kikaku<⸢nːnakaku> jatta] (そこは、以前は空き屋敷であった) 12192 0 1 11805 htmvoc_12192.wav ナラスン ナ⸢ラ⸣スン [na⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_1}作り上げる。実らせる。結実させる。「成らせる」の義。 バ⸢サン⸣ナル ナ⸢ラ⸣スンティ シ⸢キゴイ⸣ イ⸢リ⸣シケータンドゥ カ⸢ジヌ⸣ フキ ナ⸢ラサラ⸣ヌ [ba⸢san⸣naru na⸢ra⸣sunti ʃi̥⸢kigoi⸣ ʔi⸢ri⸣ʃi̥keːtandu ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ki na⸢rasara⸣nu] (バナナを実らせようと堆肥を入れてあったが、台風が吹いて実らせない)。 ナ⸢ラシ⸣プサカー カ⸢タ⸣カナ イ⸢ビティ⸣ ナ⸢ラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [na⸢raʃi⸣pu̥sakaː kḁ⸢ta⸣kanaː ʔi⸢biti⸣ na⸢ra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (実らせたかったら風除けの側に植えて実らすことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ナ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin na⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと実らせばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ナ⸢ラ⸣シ [jaː⸢din⸣ na⸢ra⸣ʃi] (必ず実らせなさい)。 12192 0 2 11806 htmvoc_12192.wav ナラスン ナ⸢ラ⸣スン [na⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_2}~に成す。成長させる。 ウ⸢ブ⸣プス ナ⸢ラ⸣スン [ʔu⸢bu⸣pu̥su na⸢ra⸣suŋ] (大人に成長させる)。 ⸢マイ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣スン [⸢mai⸣jaː na⸢ra⸣suŋ] (大きくなす) 12208 0 0 11807 htmvoc_12208.wav ナラスン ナ⸢ラ⸣スン [na⸢ra⸣suŋ] 他動 均す。平らにする。平坦にする。 ⸢ヤシキ⸣バ ピ⸢サーピサー⸣シ ナ⸢ラ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ナ⸢ラサラ⸣ヌ [⸢jaʃi̥ki⸣ba pi̥⸢saːpisaː⸣ʃi na⸢ra⸣sunti ⸢beː⸣ndu na⸢rasara⸣nu] (屋敷を平らに均そうとしているが、均されない)。 ⸣ドゥーシ ナ⸢ラ⸣シ ⸣ミサカー ナ⸢ラ⸣ス ⸣クトー ナルン⸢ダー [⸣duːʃi na⸢ra⸣ʃi ⸣misakaː na⸢ra⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (自分で均して良ければ均すことは出来るよ)。 ⸣カマン ナ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣kaman na⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (あそこも均せば良いのに)。 ムー⸢ル⸣ ナ⸢ラ⸣シ [muː⸢ru⸣ na⸢ra⸣ʃi] (全部均せ) 12209 0 1 11808 htmvoc_12209.wav ナラヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [na⸢ra⸣nu] 連 {Mn_1}~\ruby{堪}{タマ}らない。~てならない。感覚や感情が抑えられない意味を表す。 バ⸢カヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢kaja⸣nu na⸢ra⸣nu] (恥ずかしくて堪らない)。 ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣jami na⸢ra⸣nu] (痛くて堪らない)。 12209 0 2 11809 htmvoc_12209.wav ナラヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [na⸢ra⸣nu] 連 {Mn_2}義務、当然、必要を表す。 ク⸢レー⸣ キューズーナ カ⸢カン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ kjuːʣuːna kḁ⸢kaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (これは今日中に書かないといけない)。 12209 0 3 11810 htmvoc_12209.wav ナラヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [na⸢ra⸣nu] 連 {Mn_3}禁止の意味を表す。 ヤ⸢ラ⸣ベー サ⸢キ⸣ ヌメー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː sḁ⸢ki⸣ numeː na⸢ra⸣nu] (子供は酒を飲んではならない<禁止>) 12210 0 0 11811 htmvoc_12210.wav ナラバスン ナ⸢ラバスン [na⸢rabasuŋ] 他動 並ばせる。ナ⸢ラブン[na⸢rabuŋ](並ぶ)の未然形に使役の助動詞⸢スン[⸢suŋ](す{EOS}せる{EOS}させる)が付いて派生した使役動詞。 シ⸢ナムヌ⸣ ナ⸢ラバスン [ʃi⸢namunu⸣ na⸢rabasuŋ] (品物を並ばせる)。 ナ⸢ラバシティ⸣ ユー ⸣ミリバ [na⸢rabaʃi̥ti⸣ juː ⸣miriba] (並ばせてよく見ろよ)。 ⸣クナー ナ⸢ラバス⸣ クトー ス⸢ナ [⸣kunaː na⸢rabasu⸣ ku̥toː su⸢na] (此処に並ばせることはするな) 12211 0 0 11812 htmvoc_12211.wav ナラビ ナ⸢ラビ [na⸢rabi] 名 並び。並ぶこと。れつ。沿道。老年層は、⸣ナン[⸣naŋ](並び{EOS}沿道<⸢\ruby{並}{ナミ}」の転訛したもの>)という。 ア⸢ラヤートゥ ユービン⸣キョコー ユ⸢ヌ⸣ ナ⸢ラ⸣ビナル ⸢アッ⸣タ [ʔa⸢rajaːtu juːbiŋ⸣kjokoː ju⸢nu⸣ na⸢ra⸣binaːru ⸢ʔat⸣ta] (吉川家と郵便局は同じ道沿い<同じ並び>にあった) 12212 0 0 11813 htmvoc_12212.wav ナラビルン ナ⸢ラビルン [na⸢rabiruŋ] 他動 並べる。「~那良敝弖<ナラベテ>見れば~。万、3450」の転訛したもの。 ユ⸢ヌ(ン)⸣ トンナー ナ⸢ラビルンティ スンドゥ⸣ ナ⸢ラビララヌ [ju⸢nu(n)⸣tonnaː na⸢rabirunti sundu⸣ na⸢rabiraranu] (同じ所に並べようとするが、並べられない)。 ナ⸢ラビ⸣ ミサカー ナ⸢ラビル⸣クトー ⸣ナルン [na⸢rabi⸣ misakaː na⸢rabiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (並べてよければ並べることは出来る)。 ナ⸢ラビレー⸣ ミサムヌ [na⸢rabireː⸣ misamunu] (並べればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ナ⸢ラビリ [⸢paː⸣ku na⸢rabiri] (早く並べろ) 12213 0 0 11814 htmvoc_12213.wav ナラブン ナ⸢ラブン [na⸢rabuŋ] 自動 並ぶ。「比・雙・駢・方、ナラブ」『類聚名義抄』、「~二人那良田比<ナラビ>居~。万794」の転訛。 マー⸢ズン⸣ ナ⸢ラブンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ナ⸢ラバンシェン [maː⸢ʣun⸣ na⸢rabunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ na⸢rabaŋʃeŋ] (一緒に並ぼうとしたが並ばなかった)。 ナ⸢ラビ⸣ プサー プ⸢ソー⸣ ナ⸢ラベー⸣ ミサムヌ [na⸢rabi⸣ pu̥saː pu̥⸢soː⸣ na⸢rabeː⸣ misamunu] (並びたい人は並べばいいのに)。 ⸣クナー ナ⸢ラブ⸣ クトゥ [⸣kunaː na⸢rabu⸣ ku̥tu] (ここに並ぶこと)。 ⸢パー⸣ク ナ⸢ラビ⸣バ [⸢paː⸣ku na⸢rabi⸣ba] (早く並べよ) 12214 0 0 11815 htmvoc_12214.wav ナラリパマ ナ⸢ラ⸣リパマ [na⸢ra⸣ripama] 名 (地)浜の名。現在の鳩間小中学校の祈念運動場の東南一帯の浜の名。海岸にはア⸢ダン⸣ブラ[ʔa⸢dam⸣bura](アダン{EOS}タコノキ科の熱帯性常緑低木)や⸣ユナキー[⸣junakiː](はまぼう<黄槿>{EOS}島はまぼう)、シ⸢ダフ⸣カ[ʃi⸢daɸu̥⸣ka](はまゆう<浜木綿>{EOS}ハマオモト<浜万年青>)が密生していた 12216 0 0 11816 htmvoc_12216.wav ナリウチ ナ⸢リウ⸣チ [na⸢riʔu⸣ʧi] 名 事情。内情。 キ⸢ナイヌ⸣ ナ⸢リウ⸣チェー ⸢ヌー⸣シ ⸣ナリ ⸢ブーワ [ki⸢nainu⸣ na⸢riʔu⸣ʧeː ⸢nuː⸣ʃi ⸣nari ⸢buːwa] (家庭の事情<家族や家計の様子>は\ruby{如何}{ド|ウ}なっているのか) 12207 0 0 11817 htmvoc_12207.wav ナリウン ⸣ナリウン [⸣nariʔuŋ] 名 (植)芋の一種。ジャガイモに似て、皮が固く、凸凹になっている。「生り芋」の義か。「むかご」の生る山芋のこと。西表島の船浦や上原辺りで栽培されていた。 パ⸢トゥ⸣マナテー ⸣ナリウンマー ス⸢ク⸣ロー⸢ラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manateː ⸣nariʔummaː su̥⸢ku⸣roː⸢raŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島ではナリウンは作られなかった) 12215 0 0 11818 htmvoc_12215.wav ナリカールン ナ⸢リカー⸣ルン [na⸢rikaː⸣ruŋ] 自動 なりかわる(為り変わる)。生まれ変わる。 ナ⸢リカー⸣リ マ⸢リカーリ スン [na⸢rikaː⸣ri ma⸢rikaːri suŋ] (為り代わり、生まれ変わりする)。 プ⸢スン⸣ ナ⸢リカー⸣ルンテー ウ⸢ムー⸣ナ ⸢ドゥー⸣ヤ ⸣ドゥーンドゥ ナ⸢リカー⸣ル プ⸢ス⸣ネー ナ⸢リカーラ⸣ヌ [pu̥⸢sun⸣ na⸢rikaː⸣runteː ʔu⸢muː⸣na ⸢duː⸣ja ⸣duːndu na⸢rikaː⸣ru pu̥⸢su⸣neː na⸢rikaːra⸣nu] (他人に為り変わろうと思うな、自分は自分にしか<ぞ>為り変われない<為り変わる>{EOS}他人には為り変われないものだ)。 ナ⸢リカー⸣レー ⸣ミサムヌ [na⸢rikaː⸣reː ⸣misamunu] (為り変わればいいのに)。 ナ⸢リカー⸣リ [na⸢rikaː⸣ri] (為り変われ) 12217 0 0 11819 htmvoc_12217.wav ナリヌムヌ ナ⸢リ⸣ヌ ⸣ムヌ [na⸢ri⸣nu ⸣munu] 連 要するに慣れることだ。慣れることが大事だ。「慣れのものだ」の義。 シ⸢グトー⸣ ナ⸢リ⸣ヌ ⸣ムヌ⸢ゲ⸣ラ パ⸢ジメー⸣ ム⸢チ⸣キサンドゥ ナ⸢リ⸣ルカー ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ri⸣nu ⸣munu⸢ge⸣ra pa⸢ʤimeː⸣ mu⸢ʧi⸣kisandu na⸢ri⸣rukaː ⸣wakeː ⸢naː⸣nu] (仕事は慣れることが大事だ{EOS}はじめは難しいが、なれると造作ない<\ruby{訳}{ワケ}なしだ>よ) 12219 0 0 11820 htmvoc_12219.wav ナリバサ ナ⸢リ⸣バサ [na⸢ri⸣basa] 名 実の生るバショウ。⸢生り芭蕉」の義。 ⸢ヤーン⸣ カ⸢クヌ⸣ ナ⸢リ⸣バサー ⸢タイ⸣フーナー ムー⸢ル トー⸣リ バ⸢サン⸣ナロー トゥ⸢ララ⸣ヌ [⸢jaːŋ⸣ kḁ⸢kunu⸣ na⸢ri⸣basaː ⸢tai⸣ɸuːnaː muː⸢ru toː⸣ri ba⸢san⸣naroː tu⸢rara⸣nu] (屋敷内の生り芭蕉は台風で全部倒れてしまい、バナナは収穫出来<取れ>ない) 12218 0 0 11821 htmvoc_12218.wav ナリムヌ ナ⸢リ⸣ムヌ [na⸢ri⸣munu] 名 生り物。食用となる果実。果物。 ク⸢トゥシェー タイフー⸣ヌ ⸢クーン⸣ベーティ ナ⸢リ⸣ムノー イッ⸢ケナ⸣ ナレーンツォー [ku̥⸢tuʃeː taiɸuː⸣nu ⸢kuːm⸣beːti na⸢ri⸣munoː ʔik⸢kena⸣ nareːnʦoː] (今年は台風が来ないので生り物が非常によく実っているそうだ)。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナー ナ⸢リ⸣ムヌ イ⸢ビバル⸣ マ⸢シ⸣ツォー [⸢jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣naː na⸢ri⸣munu ʔi⸢bibaru⸣ ma⸢ʃi⸣ʦoː] (屋敷内には果樹<生り物>を植えた方がいいそうだ) 12206 0 0 11822 htmvoc_12206.wav ナリムヌヤサイ ナ⸢リ⸣ムヌヤサイ [na⸢ri⸣munujasai] 名 実を食べる野菜。「生り物野菜」の義。ナ⸢サ⸣ビ[na⸢sa⸣bi](ナスビ<茄子>)、カ⸢ブッチ[ka⸢butʧi](カボチャ<南瓜>)、シ⸢ブル[ʃi⸢buru](トウガン<冬瓜>)、⸢ウー⸣ル[⸢ʔuː⸣ru](キュウリ<胡瓜>)、ナ⸢ベー⸣ラ[na⸢beː⸣ra](ヘチマ<糸瓜>)など。⸢パーヤサイ[⸢paːjasai](葉野菜)の対義語。 カ⸢ジフキヌ⸣ アトー ナ⸢リ⸣ムヌヤサイ ⸢タンガ⸣ル ⸣アル ⸢パーヤサイヤー ナー⸣ヌ [ka⸢ʤiɸukinu⸣ ʔatoː na⸢ri⸣munujasai ⸢taga⸣ru ⸣ʔaru ⸢paːjasaijaː naː⸣nu] (台風の後は生り物野菜しかない<生り物野菜だけがある>、葉野菜はない) 12220 0 1 11823 htmvoc_12220.wav ナリルン ナ⸢リ⸣ルン [na⸢ri⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}慣れる。 ⸢キューバー⸣キシェー シ⸢グトゥ⸣ナー ナ⸢リ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ ナ⸢リラン⸣バン [⸢kjuːbaː⸣kiʃeː ʃi⸢gutu⸣naː na⸢ri⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da⸣ na⸢riram⸣baŋ] (今日までには仕事に慣れるだろうと思ったが、まだ慣れないよ)。 ⸢パー⸣ク シ⸢グトゥ⸣ナー ナ⸢リ⸣プサンドゥ ナ⸢リ⸣ル ⸣クトー ⸣アンカヤー [⸢paː⸣ku ʃi⸢gutu⸣naː na⸢ri⸣ pusandu na⸢ri⸣ru ⸣ku̥toː ⸣ʔaŋkajaː] (早く仕事に慣れたいが、慣れることはあるかなあ)。 ナ⸢リ⸣レー ⸣ミサムヌ [na⸢ri⸣reː ⸣misamunu] (慣れれば良いのに)。 シ⸢グトゥ⸣ナー ナ⸢リ⸣リ [ʃi⸢gutu⸣naː na⸢ri⸣ri] (仕事に慣れろ)。 12220 0 2 11824 htmvoc_12220.wav ナリルン ナ⸢リ⸣ルン [na⸢ri⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}馴れる。 ク⸢ヌ イン⸣マー プ⸢ス⸣ナー ナ⸢リ⸣ルンカヤー [ku⸢nu ʔim⸣maː pu̥⸢su⸣naː na⸢ri⸣ruŋkajaː] (この犬は人に馴れるかなあ) 12221 0 0 11825 htmvoc_12221.wav ナリンナラナーン ⸣ナリン ナ⸢ラ⸣ナーン [⸣narin na⸢ra⸣naːŋ] 連 どのみち。いずれにしても。「出来るにせよ、出来ないにせよ」の義。 ⸣ナリン ナ⸢ラ⸣ナーン ⸢シール⸣ シ⸢ラリル [⸣narin na⸢ra⸣naːŋ ⸢ʃiːru⸣ ʃi⸢rariru] (出来るにせよ、出来ないにせよ、是非ともしなければならない<~しぞせられる>) 12222 0 0 11826 htmvoc_12222.wav ナル ⸣ナル [⸣naru] 名 果実。草木の実。生り物。なりくだもの。「生り」の転訛したもの。 ク⸢トゥシェー⸣ ナ⸢リムヌ⸣ヌ イッ⸢ケナ⸣ ナレーンツォー [ku̥⸢tuʃeː⸣ na⸢rimunu⸣nu ʔik⸢kena⸣ nareːnʦoː] (今年は果物が<生り物>が豊作だ<沢山生った>そうだ)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ナル [⸢kiː⸣nu ⸣naru] (木の実)。 キ⸢ダヌ⸣ ナル [ki⸢danu⸣ naru] (黒檀<黒木>の実) フ⸢ナブ⸣ヌ ⸣ナル [ɸu⸢nabu⸣nu ⸣naru] (みかん<九年母>の実)) 12223 0 0 11827 htmvoc_12223.wav ナルカー ⸣ナルカー [⸣narukaː] 連 できたら。なるべく。可能なら。⸣ナルン[⸣naruŋ](成る{EOS}出来る)の仮定条件の意味を表す。 ⸣ナルカー ⸢ワンヌン⸣ シ⸢ミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢クン⸣ドー シ⸢ミララン⸣ティバーヤ [⸣narukaː ⸢wannuŋ⸣ ʃi⸢mirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢kun⸣doː ʃi⸢miraran⸣tibaːja] (出来たら君にもさせようと思うが、今度はさせられないんだってよ)。 ⸣ナルカー ⸢ワー シーッふィーリ [⸣narukaː ⸢waː ʃiːffiːri] (出来たら君がしてくれ) 12224 0 0 11828 htmvoc_12224.wav ナルカギリ ⸣ナルカギリ [⸣narukagiri] 副 できるだけ。なりたけ。なるたけ(成る丈)。なるべく。可能な限り。 ⸣ナルカギリ ⸢パイ⸣サ クー⸢ヨー [⸣narukagiri ⸢pai⸣sa kuː⸢joː] (成る丈早く来いよ) 12226 0 0 11829 htmvoc_12226.wav ナルスクンデーカー ⸣ナルスクン ⸢デー⸣カー [⸣narusu̥kun ⸢deː⸣kaː] 連 出来ることならば。出来るかぎり。可能ならば。⸣ナルスクンドゥ ヤ⸢ル⸣カー[⸣narusu̥kundu ja⸢ru⸣kaː](出来ることならば)の縮約融合した形。 ⸣ナルスクン ⸢デー⸣カー ⸢ワー⸣ キー ッ⸢ふィーラン⸣ノ-レー [⸣narusu̥kun ⸢deː⸣kaː ⸢waː⸣ kiː f⸢fiːran⸣noːreː] (出来ることならば、君が来てくれないかね) 12227 0 1 11830 htmvoc_12227.wav ナルスコーアラヌ ⸣ナルスコー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢narusu̥koː ʔa⸢ra⸣nu] 連 {Mn_1}手に負えない。如何にもならない。「成る程度ではない」の義。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ヤ⸢マン⸣グ ⸣ナリティ ⸣ナルスコー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ja⸢maŋ⸣gu ⸣nariti ⸣narusu̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (あの子は腕白坊主になって手に負えない)。 12227 0 2 11831 htmvoc_12227.wav ナルスコーアラヌ ⸣ナルスコー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢narusu̥koː ʔa⸢ra⸣nu] 連 {Mn_2}我慢できない。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤー ⸣ナルスコー ア⸢ラン⸣バン [⸢kjuː⸣nu ⸢piː⸣jaː ⸣narusu̥koː ʔa⸢ram⸣baŋ] (今日の寒さは我慢できないよ) 12229 0 0 11832 htmvoc_12229.wav ナルダキ ⸣ナルダキ [⸣narudaki] 副 なるたけ(成る丈)。可能なかぎり。力の及ぶかぎり。 キ⸢ラ⸣リカー ⸣ナルダケー ⸢ワー⸣ クーバ [ki⸢ra⸣rikaː ⸣narudakeː ⸢waː⸣ kuːba] (来れるなら成る丈君が来いよ)。 ⸢カーリ⸣カー ⸣ナルダケー ⸢ゴー⸣ラー ⸢カイ ッふィーリ [⸢kaːri⸣kaː ⸣narudakeː ⸢goː⸣raː ⸢kai ffiːri] (買えるなら成る丈多く買ってくれ) 12228 0 0 11833 htmvoc_12228.wav ナルニ ⸣ナルニ [⸣naruni] 副 成るように。自然に推移するままに。老年層の言葉。若年層は、⸣ナルヨーニ[⸣narujoːni](なるように)という。 ⸢バン⸣マー ウ⸢ビ⸣ル ⸣ナル ⸣アトー ⸣ナルニル ⸣ナル [⸢bam⸣maː ʔu⸢bi⸣ru ⸣naru ⸣ʔatoː ⸣naruniru ⸣naru] (私にはこれだけしか出来ない{EOS}後は成るようにしかならない<成るようにぞなる>) 12225 0 0 11834 htmvoc_12225.wav ナルビク ナ⸢ルビ⸣ク [na⸢rubi⸣ku] 副 できるだけ。なるべく(成るべく)。なるたけ。 ナ⸢ルビ⸣ク ⸢ソームノーラ⸣ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥグバ [na⸢rubi⸣ku ⸢soːmunoːra⸣ ʔi⸢ra⸣bi ⸣tuguba] (なるべく良い物から選んで持ってきなさい) 12230 0 0 11835 htmvoc_12230.wav ナルフーナー ⸣ナル ⸣フーナー [⸣naru ⸣ɸuːnaː] 連 出来るふり。出来る素振り。 パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ⸣ナル ⸣フーナー<⸣フージー> ⸢シー ベーン⸣ドゥ ノー⸢ン シーサン⸣ダ⸢レー [pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ⸣naru ⸣ɸuːnaː<⸣ɸuːʤiː> ⸢ʃiː beːn⸣du noː⸢ŋ ʃiːsan⸣da⸢reː] (話しを聞くと出来るふりしているが、何も出来ないんだよ、そいつ<それ>は) 12231 0 0 11836 htmvoc_12231.wav ナルフドゥ ⸣ナルフドゥ [⸣naruhudu] 副 なるほど。いかにも。⸣アイヌシェーとも言う。 ⸣ナルフドゥ ⸢ワー⸣ アズ ⸢トゥール⸣ ユン [⸣naruɸudu ⸢waː⸣ ʔaʣu ⸢tuːru⸣ juŋ] (なるほど、君が言うとおりだよ)。 ⸣ナルフドゥ ⸣アイヌ ⸣シジ ヤ⸢レー⸣バン⸢ナー [⸣naruɸudu ⸣ʔainu ⸣ʃiʤi ja⸢reː⸣ban⸢naː] (なるほど、そういう訳だったんだねえ) 12232 0 0 11837 htmvoc_12232.wav ナルヨーニ ⸣ナルヨーニ [⸣narujoːni] 連 なるように。出来るように。 イ⸢コーラ⸣ イ⸢スガ⸣バン ⸣ナルヨウニル ⸣ナル ⸣ドゥク ア⸢バトゥナ [ʔi⸢koːra⸣ ʔi⸢suga⸣ban ⸣narujoːniru ⸣naru ⸣duku ʔa⸢batuna] (いくら急いでも出来るようにしか出来ない<なるようにがなる{EOS}なるようにぞ なる>{EOS}あまり急ぐな{EOS}あわて<慌て>るな{EOS}) 12233 0 1 11838 htmvoc_12233.wav ナルン ⸣ナルン [⸣naruŋ] 自動 {Mn_1}成る。~になる。成長して~になる。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナルカー ⸢シン⸣シー ⸣ナルンティ ⸢ビンキョー シー ベー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔu⸢bu⸣pusu ⸣narukaː ⸢ʃiŋ⸣ʃiː ⸣narunti ⸢biŋkjoː ʃiː beː] (この子は大人になったら先生になるといって勉強している)。 ⸣バー ⸢シン⸣シー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣baː ⸢ʃiŋ⸣ʃiː na⸢ra⸣nu] (私は先生にならない)。 ⸢シン⸣シー ナ⸢リ⸣ プサカー ⸣ナレー ⸣ミサムヌ [⸢ʃiŋ⸣ʃiː na⸢ri⸣ pu̥sakaː ⸣nareː ⸣misamunu] (先生になりたければなればいいのに)。 ⸢シン⸣シー ⸣ナル プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸢ʃiŋ⸣ʃiː naru pu̥⸢soː taː⸣ja] (先生になる人は誰か)。 ⸢ワー シン⸣シー ⸣ナリ [⸢waː ʃiŋ⸣ʃiː ⸣nari] (君は先生になれ)。 12233 0 2 11839 htmvoc_12233.wav ナルン ⸣ナルン [⸣naruŋ] 自動 {Mn_2}出来る。 ク⸢レー バン⸣ヌン ⸣ナルン [ku⸢reː ban⸣nun ⸣naruŋ] (これは私にも出来る)。 ク⸢レー バン⸣マー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː bam⸣maː na⸢ra⸣nu] (これは私には出来ない)。 ク⸢レー バン⸣ヌン ナ⸢リン⸣ギサン [ku⸢reː ban⸣nun na⸢riŋ⸣gisaŋ] (これは私にも出来そうだ)。 ミ⸢ドゥ⸣ムンツァン ⸣ナルムヌ ビ⸢キドゥヌ⸣ ナ⸢ラン⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢du⸣munʦan ⸣narumunu bi⸢kidumunu⸣ na⸢raŋ⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (女でさえ出来るのに、男が出来ないことはない)。 12233 0 3 11840 htmvoc_12233.wav ナルン ⸣ナルン [⸣naruŋ] 自動 {Mn_3}草木の実が生る。実る。 ナ⸢チ⸣ ナルカー フ⸢ナブ⸣ヌ ⸣ナルン [na⸢ʧi⸣ narukaː ɸu⸢nabu⸣nu ⸣naruŋ] (夏になったらみかん<九年母>が生る)。 フ⸢ナ⸣ボー マ⸢ダ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ɸu⸢na⸣boː ma⸢da⸣ na⸢ra⸣nu] (みかん<九年母>は、まだ生らない)。 12233 0 4 11841 htmvoc_12233.wav ナルン ⸣ナルン [⸣naruŋ] 自動 {Mn_4}以前と違ったある状態・内容になる。 ⸢ヤン⸣マー ⸢シンダイ⸣ マ⸢シ⸣ ナルンツォー [⸢jam⸣maː ⸢ʃindai⸣ ma⸢ʃi⸣ narunʦoː] (病気は次第に良くなるそうだ)。 マ⸢シ⸣ ナレーン [ma⸢ʃi⸣ nareːŋ] (良くなった) 12234 0 1 11842 htmvoc_12234.wav ナン ⸣ナン [⸣naŋ] 名 {Mn_1}大波。 ⸢ナン⸣ヌ ⸣ブリクーン [⸢nan⸣nu ⸣buri ⸣kuːŋ] (大波が群れ寄せてくる)。 12234 0 2 11843 htmvoc_12234.wav ナン ⸣ナン [⸣naŋ] 名 {Mn_2}津波。 ⸢ナン⸣ヌ ⸢ユーシ クー⸣タ ⸣ピン ⸢カンヌマイ⸣ヌ パ⸢トゥマ⸣バ ⸣ティーシ ⸣ムタイ ⸢ヨー⸣レーティ ⸢ナン⸣マー フ⸢タマター⸣ニ バ⸢カ⸣リ ⸢パッ⸣タティル ム⸢カ⸣シパナシェー アル⸢ダー [⸢nan⸣nu ⸢juːʃikuː⸣ta ⸣piŋ ⸢kannumai⸣nu pḁ⸢tuma⸣ba ⸣tiːʃi ⸣mutai ⸢joː⸣reːti ⸢nam⸣maː ɸu̥⸢tamataː⸣ni ba⸢ka⸣ri ⸢pat⸣tatiru mu⸢ka⸣ʃipanaʃeː ʔaru⸢daː] (津波が寄せてきた時、神様が鳩間島を手で持ち上げられたので、津波は二股に分かれていったと<ぞ>昔話にはあるのだよ) 12235 0 0 11844 htmvoc_12235.wav ナン ⸣ナン [⸣naŋ] 名 並。程度。 ク⸢リトゥ⸣ ユ⸢ヌ ナン⸣ヌ ⸣ムヌ ⸣ムティ ⸣クー [ku⸢ritu⸣ ju⸢nu nan⸣nu ⸣munu ⸣muti ⸣kuː] (これと同じ程度の物を持ってこい) 12236 0 1 11845 htmvoc_12236.wav ナン ⸣ナン [⸣naŋ] 接尾 {Mn_1}~に沿って。~沿いに。「並み」の義か。老年層が多用する。若年層が多用する接尾語⸢ダー⸣チ[⸢daː⸣ʧi](~に沿って{EOS}~伝い)と同じ。 ウ⸢ヌ ヤー⸣ナン<⸢ヤーダー⸣チ> ア⸢ラ⸣キ ⸣パルカー トゥ⸢ミラ⸣リンヨー [ʔu⸢nu jaː⸣naŋ<⸢jaːdaː⸣ʧi> ʔa⸢ra⸣ki ⸣parukaː tu⸢mira⸣riɲjoː] (あの家並み沿いに歩いて行くと探せるよ)。 12236 0 2 11846 htmvoc_12236.wav ナン ⸣ナン [⸣naŋ] 接尾 {Mn_2}並び。「並み」の転訛したもの。 ⸣マンタヌ ミ⸢チ⸣ナン ⸢アーラー⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸣パリバ [⸣mantanu mi⸢ʧi⸣naŋ ⸢ʔaːraː⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸣pariba] (前の道沿いに東の方へ歩いて行けよ) 12238 0 1 11847 htmvoc_12238.wav ナン ⸣ナン [⸣nan] 代 {Mn_1}疑問代名詞ナニ[nani](何)の音便形。 12238 0 2 11848 htmvoc_12238.wav ナン ⸣ナン [⸣nan] 代 {Mn_2}接頭語。どれくらい。どういう。 マ⸢ナ⸣マー ⸣ナンドゥキヤー [ma⸢na⸣maː ⸣nandukijaː] (今は何時か)。 ⸣キューシ ⸢ナンニ⸣チ ナ⸢ル⸣ワ [⸣kjuːʃi ⸢nanni⸣ʧi na⸢ru⸣wa] (今日で何日になるか)。 ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ナンガ⸣チナー ⸢ソール⸣ワ [⸢joi⸣jaː ⸢naŋga⸣ʧinaː ⸢soːru⸣wa] (お祝いは何月になさいますか) 12239 0 0 11849 htmvoc_12239.wav ナンカ ⸢ナン⸣カ [⸢naŋ⸣ka] 名 なぬか(七日)。 ⸣プスイ [⸣pu̥sui] (一日)。 ⸢フシゥカ [⸢ɸusi̥ka] (二日)。 ⸢ミーカ [⸢miːka] (三日)。 ⸢ユーカ [⸢juːka] (四日)。 ⸢イシゥ⸣カ [⸢ʔisi̥⸣ka] (五日)。 ⸢ムイカ [⸢muika] (六日)。 ⸢ナン⸣カ [⸢naŋ⸣ka] (七日)。 ⸢ヨーカ [⸢joːka] (八日)。 ク⸢クヌ⸣カ [ku̥⸢kunu⸣ka] (九日)。 ⸢トゥッカ [⸢tukka] (十日)。トゥ⸢カ[tu̥⸢ka](十日)ともいう。七日忌。死後、七日毎に四十九日まで執り行う法事。 プ⸢スナン⸣カ [pu̥⸢sunaŋ⸣ka] (一七日)。 フ⸢タナンカ [ɸu̥⸢tanaŋka] (二七日)。 ⸢ミーナンカ [⸢miːnaŋka] (三七日)。 ⸢ユーナンカ [⸢juːnaŋka] (四七日)。 イ⸢チナン⸣カ [ʔi⸢ʧinaŋ⸣ka] (五七日)。 ⸢ムーナンカ [⸢muːnaŋka] (六七日)。⸣シンズク[⸣ʃinʣuku](四十九日)のように執り行われる 12241 0 0 11850 htmvoc_12241.wav ナンカソーラン ⸢ナンカソー⸣ラン [⸢naŋkasoː⸣raŋ] 名 旧暦七月七日。「七日精霊」の義。タ⸢ナバタ[ta⸢nabata](七夕)ともいう。この日に墓の掃除をし、また仏前を清め、パ⸢ナ⸣イキ[pa⸢na⸣ʔiki](花生け)、⸢サー⸣ドー[⸢saː⸣doː](茶湯)、ぶっしょう(仏餉)、お茶請けなどを供える。 ⸢ナンカソー⸣ラン ン⸢カイ ヨー⸣レーチバ ウ⸢ヤ⸣プスンケーヌ ⸣コーヨー ⸢シー オーシラ [⸢naŋkasoː⸣raŋ ʔŋ⸢kai joː⸣reːʧiba ʔu⸢japusu⸣ŋkeː ⸣koːjoː ⸢ʃiː ʔoːʃira] (七日精霊をお迎えしたから、先祖さまの孝養そして差し上げよう) 12240 0 0 11851 htmvoc_12240.wav ナンカソッコー ⸢ナンカソッ⸣コー [⸢naŋkasok⸣koː] 名 旧暦七月七日のタ⸢ナバタ[ta⸢nabata](七夕)に執り行う法事(焼香)。七日焼香。この日には法事のための⸢ピール[⸢piːru](ひえり<日択り>)をせずに執り行うことができるという。都合によって延び延びになっている法事はタ⸢ナバタ[ta⸢nabata](七夕)に執り行った。 ⸢ナンカソッコー⸣ヤ ⸢ピューロー⸣ トゥ⸢ラン⸣ドーシ ⸣ナルンツォー [⸢naŋkasokkoː⸣ja ⸢pjuroː⸣ tu⸢ran⸣doːʃi ⸣narunʦoː] (七夕に執り行う法事<七日焼香>は日択りしないで出来るそうだ) 12242 0 0 11852 htmvoc_12242.wav ナンカナンカ ⸢ナン⸣カナンカ [⸢naŋ⸣kanaŋka] 名 人の死後の初七日からしちしちき(七七忌)までの法事。各七日忌。 ⸢シー⸣ネヌ ⸣アッパー ⸢ナン⸣カナンカー ⸢バスクンドー⸣シ ⸣ティー ウ⸢サーシ⸣ クー⸢ヨー [⸢ʃiː⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢naŋ⸣kanaŋkaː ⸢basu̥kundoː⸣ʃi ⸣tiː ʔu⸢saːʃi⸣ kuː⸢joː] (後隣の家のお祖母さんの初七日から四十九日の法事は忘れないで手を合わせてきなさいよ) 12243 0 0 11853 htmvoc_12243.wav ナンカマーシ ⸢ナンカマー⸣シ [⸢naŋkamaː⸣ʃi] 連 七日続けて。 アー⸢パーレー ナンカ⸣マーシ イ⸢ワ⸣イ ⸢スー [ʔaː⸢paːreː naŋkamaː⸣ʃi ʔi⸢wa⸣i ⸢suː] (ああ、素晴らしい{EOS}七日続けて祝いをしよう)(アーパーレー歌) 12244 0 0 11854 htmvoc_12244.wav ナンギ ⸢ナン⸣ギ [⸢naŋ⸣gi] 名 難儀。苦労。 ⸢ナンギ⸣ヌ ⸣アトー ラ⸢ク⸣ヌ ⸣クーティ ア⸢ザリ ブー [⸢naŋgi⸣nu ⸣ʔatoː ra⸢ku⸣nu ⸣kuːti ʔa⸢ʣari buː] (難儀の後には楽が来るといわれている)。 ウ⸢ヌ⸣ クトゥシ ⸣ドゥク ⸢ナン⸣ギ ス⸢ナ⸣ヨー [ʔu⸢nu⸣ ku̥tuʃi ⸣duku ⸢naŋ⸣gi su⸢na⸣joː] (そのことであまり難儀<苦労>するなよ) 12245 0 0 11855 htmvoc_12245.wav ナンギアワリ ⸢ナン⸣ギアワリ [⸢naŋ⸣giʔawari] 名 難儀苦労。⸢ナン⸣ギアウリ[⸢naŋ⸣giʔauri](難儀苦労)、ア⸢ワ⸣リナンギ[ʔa⸢wa⸣rinaŋgi](難儀苦労{EOS}「哀れ難儀」の義)ともいう。 ⸣ウヤー ⸢ナン⸣ギアワリバ ⸢シール⸣ ッ⸢ふァヨー ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸣ʔujaː ⸢naŋ⸣giʔawariba ⸢ʃiːru⸣ f⸢fajoː ʔuinu gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (親は難儀苦労をして子供を上級学校へ進学させられた<出された>) 12246 0 0 11856 htmvoc_12246.wav ナンギクチサ ⸢ナン⸣ギクチサ [⸢naŋ⸣giku̥ʧisa] 名 難儀苦労。肉体的苦労と精神的苦しみ。 ウ⸢ヌ ナン⸣ギクチサー ア⸢タレー⸣ プ⸢スンドゥ⸣ ッ⸢シェー⸣ プ⸢スノー⸣ ッ⸢サヌ [ʔu⸢nu naŋ⸣giku̥ʧisaː ʔa⸢tareː⸣ pu̥⸢sundu⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢sunoː⸣ s⸢sanu] (その難儀苦労は経験した人<当った人>が分かる{EOS}他人がは知らない) 12247 0 0 11857 htmvoc_12247.wav ナンギシティルン ⸢ナンギシティ⸣ルン [⸢naŋgiʃi̥ti⸣ruŋ] 他動 投げ捨てる。惜しげもなく捨てる。 シゥ⸢カーランムノー ナンギシティ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢ムイツァー⸣ヌ シ⸢ティララヌ [si̥⸢kaːrammunoː naŋgiʃi̥ti⸣runti ⸢sundu⸣ ʔu⸢muiʦaː⸣nu ʃi̥⸢tiraranu] (使えない物は投げ捨てようとするのだが、惜しいので捨てられない) 12254 0 0 11858 htmvoc_12254.wav ナンギシトゥン ⸢ナン⸣ギ シ⸢トゥン [⸢naŋ⸣gi ʃi̥⸢tuŋ] 連 投げ捨てる。投げて捨てる。 ⸣アイ ⸣ブムノー ノー⸢ン⸣ シゥ⸢カイユーゾー ナー⸣ヌ ⸢ナン⸣ギ シ⸢トゥンティ⸣ ウムイ ⸢ベー [⸣ʔaibu ⸣munoː noː⸢n⸣ sï̥⸢kaijuːʣoː naː⸣nu ⸢naŋ⸣gi ʃi̥⸢tunti⸣ ʔumui ⸢beː] (あんなものは何も価値が<使い道{EOS}用途>ない{EOS}投げ捨てようと思っている) 12248 0 0 11859 htmvoc_12248.wav ナンギッツァースン ⸢ナンギッツァー⸣スン [⸢naŋgitʦaː⸣suŋ] 他動 投げ散らす。動詞⸢ナン⸣グン[⸢naŋguŋ](投げる)の連用形に、⸢ッツァー⸣スン[⸢tʦaː⸣suŋ](散らす{EOS}「~鶯の木傳落<ちらす>~{EOS}万、1873」)が複合して形成された合成語。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ⸣ヌーン ⸣クイン ⸢ナンギッツァー⸣スンダ ⸢ナンギッツァーサン⸣ヨーニ ウ⸢ティシゥカ⸣シ [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ⸣nuːŋ ⸣kuin ⸢naŋgitʦaː⸣sundaː ⸢naŋgitʦaːsaɲ⸣joːni ʔu⸢tisï̥ka⸣ʃi] (怒ったら何もかも投げ散らすから、投げ散らさないように落ち着かせなさい)。 ⸢ナンギッツァー⸣シ ⸢ベー [⸢naŋgitʦaː⸣ʃi ⸢beː] (投げ散らしている)。 ⸢ナンギッツァー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢naŋgitʦaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (投げ散らすことは出来ない)。 ⸢ナンギッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢naŋgitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (投げ散らせばいいのに)。 ⸢ナンギッツァー⸣シ [⸢naŋgitʦaː⸣ʃi] (投げ散らかせ) 12249 0 0 11860 htmvoc_12249.wav ナンギルン ⸢ナンギ⸣ルン [⸢naŋgi⸣ruŋ] 他動 投げる。⸢ナン⸣グンとも言う。 ムー⸢ル⸣シ イ⸢シ ナンギ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸣バー ⸢タン⸣ガー ⸢ナンギラ⸣ヌ [muː⸢ru⸣ʃi ʔi⸢ʃi naŋgi⸣runti ⸢beː⸣ndu ⸣baː ⸢taŋ⸣gaː ⸢naŋgira⸣nu] (皆で石を投げようとしているが、私一人は投げない)。 ⸢ナン⸣ギ ⸣ミサカー ⸢ナンギ⸣ル ⸣クトー ナ⸢リ⸣スンダ ⸢ナンギ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢naŋ⸣gi ⸣misakaː ⸢naŋgi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ri⸣sunda ⸢naŋ⸣gireː ⸣misamunu] (投げてよければ、投げることは出来るから投げれば良いのに)。 ⸣クマーラ ⸢ナンギ⸣リバ [⸣kumaːra ⸢naŋgi⸣riba] (ここから投げよ) 12250 0 0 11861 htmvoc_12250.wav ナンギン ⸣ナンギン [⸣naŋgiŋ] 名 何斤。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ゾー⸣ プ⸢スッ⸣カラシ ⸣ナンギン カ⸢カル⸣ワ [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ pu̥⸢suk⸣karaʃi ⸣naŋgiŋ kḁ⸢karu⸣wa] (この魚は一匹で何斤かかるか<何斤になるか>) 12251 0 0 11862 htmvoc_12251.wav ナンギングイ ⸢ナンギン⸣グイ [⸢naŋgiŋ⸣gui] 名 捨てぜりふ。逃げ吠え。暴言を吐くこと。「投げ声」の義。 サ⸢キバ⸣ ヌミティ ミ⸢チェー⸣ラ ⸢ナンギングイ⸣バ ⸢シェー⸣ティ ⸢パッ⸣タヤー [sḁ⸢kiba⸣ numiti mi⸢ʧeː⸣ra ⸢naŋgiŋgui⸣ba ⸢ʃeː⸣ti ⸢pat⸣tajaː] (酒を飲んで道から捨てぜりふを吐きながら去って行ったよ) 12252 0 0 11863 htmvoc_12252.wav ナンククル ⸢ナンクク⸣ル [⸢naŋkuku⸣ru] 副 自然に。ひとりでに。おのずと。若年層は、⸢ナンク⸣ル[⸢nakku⸣ru](自然に)ともいう。 シ⸢ティシキ⸣リ ナ⸢キブガリ スー⸣カー ⸢ナンクク⸣ル ナ⸢キヤムン [ʃi̥⸢tiʃi̥ki⸣ri na⸢kibugari suː⸣kaː ⸢naŋkuku⸣ru na⸢kijamuŋ] (ほって<捨てて>おけ{EOS}泣き疲れたら自然に泣き止むよ)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ア⸢シ⸣ボー ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸣シル ⸢ヌーリ⸣ スクカー ⸢ナンクク⸣ル シ⸢ビリ⸣ パルン [ʔu⸢bitʧin⸣nu ʔa⸢ʃi⸣boː ga⸢ʤimaru⸣nu ⸣ʃiru ⸢nuːri⸣ su̥kukaː ⸢naŋkuku⸣ru ʃibiri⸣ paruŋ] (それぽっちのおできはガジマルの白い樹液を塗っておくと自然に\ruby{萎}{シボ}んで枯れていくよ) 12253 0 0 11864 htmvoc_12253.wav ナングン ⸢ナン⸣グン [⸢naŋ⸣guŋ] 他動 投げる。下二段活用「なぐ、~鮎を惜しみ投左乃<ナグルサノ>~。万、3330」の四段活用化したもの。 ⸢バン⸣ヌン ⸢ナン⸣グン [⸢ban⸣nun ⸢naŋ⸣guŋ] (私も投げる)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ナンガ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢naŋga⸣nu] (今は投げない)。 ⸢ワー ナン⸣ギ ⸣ミサン [⸢waː naŋ⸣gi ⸣misaŋ] (君は投げても良い)。 ⸢ナン⸣ギ シ⸢ティルン [⸢naŋ⸣gi ʃi̥⸢tiruŋ] (投げて捨てる)。 ⸢ナン⸣グ プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸢naŋ⸣gu pu̥⸢soː taː⸣ja] (投げる人は誰か)。 ⸢ワンヌン ナン⸣ゲー ⸣ミサムヌ [⸢wannun naŋ⸣geː ⸣misamunu] (君も投げればいいのに)。 ⸣クマーラ ⸢ナン⸣ギバ [⸣kumaːra ⸢naŋ⸣giba] (ここから投げよ) 12255 0 0 11865 htmvoc_12255.wav ナングン ⸢ナン⸣グン [⸢naŋ⸣guŋ] 自動 びっこ(跛)をひく。「なえ<蹇>ぐ」の義。「跛、那閇久<なへく>」『和名抄』の転訛。 イ⸢ク⸣サナー ⸣パン イ⸢ラリティル ナン⸣ゲーティ ⸢アー⸣ク⸢ダー [ʔi⸢ku⸣sanaː ⸣paŋ ʔi⸢raritiru naŋ⸣geːtei ⸢ʔaː⸣ku⸢daː] (戦争で足を撃たれてびっこをひいているんだよ)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ナングン⸣ドゥ ⸣キサー ⸢ナンガン⸣シェン [ma⸢na⸣maː ⸢naŋgun⸣du ⸣ki̥saː ⸢naŋgaŋ⸣ʃeŋ] (今はびっこをひく<蹇ぐ>が、以前はびっこをひかなかった)。 イ⸢ク⸣サー パ⸢ラン⸣シェーカー ⸣パン ⸢ナン⸣グ ⸣クトゥン ⸢ナーン⸣シェー ⸣パジ [ʔi⸢ku⸣saː pa⸢raŋ⸣ʃeːkaː ⸣pan ⸢naŋ⸣gu ⸣ku̥tun ⸢naːŋ⸣ʃeː ⸣paʤi] (戦争に行かなかったら足をびっこひくこと<なえぐこと>もなかったはず) 12256 0 0 11866 htmvoc_12256.wav ナンゲー ⸣ナンゲー [⸣naŋgeː] 名 びっこ(跛)。びっこをひくこと。⸢跛、那閇久(なへぐ)」『和名抄』の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ ナンゲー ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ カタチニ カ⸢キッツァー⸣シ パ⸢リユーサ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ naŋgeː ja⸢runda⸣ pu̥⸢sunu⸣ kḁtaʧini kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi pa⸢rijuːsa⸣nu] (彼はびっこだから、他人のように駆け出して行けない) 12257 0 0 11867 htmvoc_12257.wav ナンゲーナルン ⸣ナンゲー ⸣ナルン [⸣naŋgeː ⸣naruŋ] 連 びっこ(跛)になる。 ウ⸢リヌ⸣ クヌヨーナ ⸣ナンゲー ⸣ナレーモー イ⸢ク⸣サ ユイ⸢ダー [ʔu⸢rinu⸣ kunujoːnaː ⸣naŋgeː ⸣nareːmoː ʔi⸢ku⸣sa jui⸢daː] (彼がこのようなびっこになったのも戦ゆえだよ) 12259 0 0 11868 htmvoc_12259.wav ナンザン ⸢ナンザン [⸢nanʣaŋ] 名 難産。 ⸢ナンザン⸣シ マ⸢レー⸣ル ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ カイニ ⸢スー⸣リ フ⸢ドゥビ ベー⸠ツォー [⸢nanʣaŋ⸣ʃi ma⸢reː⸣ru f⸢fa⸣ ja⸢rundu⸣ kaini ⸢suː⸣ri ɸu⸢dubi beː⸠ʦoː] (難産で生まれた子供だが、こんなに発育して成長しているんだよ) 12260 0 0 11869 htmvoc_12260.wav ナンズー ⸣ナンズー [⸣nanʣuː] 名 何艘。船の数が分からない時に用いる。 イ⸢ガメーフネー⸣ ナンズー ン⸢ズ⸣ター  [ʔi⸢gameːɸuneː⸣ nanʣuː ʔn⸢ʣu⸣taː] (烏賊釣り船は何艘出漁した<出た>か) 12261 0 0 11870 htmvoc_12261.wav ナンゾー ⸢ナン⸣ゾー [⸢nan⸣ʣoː] 副 それほど~ない。あまり~ない。否定の陳述と呼応してもちいられる陳述副詞。 ク⸢トゥシヌ⸣ カ⸢ジフケー ナン⸣ゾー ⸢スーヤ ナー⸣ヌ [ku̥⸢tuʃinu⸣ ka⸢ʤiɸu̥keː nan⸣ʣoː ⸢suːja naː⸣nu] (今年の台風はあまり強くない)。 ⸢ナン⸣ゾー ッ⸢ふァーラヌ [⸢nan⸣ʣoː f⸢faːranu] (あまり食べられない)。 ⸢ナン⸣ゾー ウ⸢ムッサー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ʔu⸢mussaː naː⸣nu] (あまり面白くない) 12262 0 0 11871 htmvoc_12262.wav ナンツァ ⸢ナン⸣ツァ [⸢nan⸣ʦa] 名 銀。「なんりょう(南鐐)」の転訛したもの。 ⸢ナンツァ⸣ピー ク⸢ガニピーバ⸣ ム⸢トゥ⸣バ ⸢シー [⸢nanʦa⸣piː ku⸢ganipiːba⸣ mu⸢tu⸣ba ⸢ʃiː] (銀のような良き日、黄金のような立派な日をもとにして)。 ⸢ナンツァヨー⸣チ ク⸢ガニヨーチ [⸢nanʦajoː⸣ʧi ku⸢ganijoːʧi] (銀の簪、黄金の簪)。 ⸢ナンツァマー⸣ス ク⸢ガニマース⸣ タ⸢ボーラ⸣リバ [⸢nanʦamaː⸣su ku⸢ganimaːsu⸣ ta⸢boːra⸣riba] (銀の塩、黄金の塩を頂きなさい<賜られなさい>) 12263 0 0 11872 htmvoc_12263.wav ナンツァガニ ⸢ナンツァ⸣ガニ [⸢nanʦa⸣gani] 名 銀の鋼材。「銀のような優れた鋼材」の義。歌謡語。 ⸢ナンツァガニ⸣バ ウ⸢ダ⸣ティ ⸣シー~ [⸢nanʦakugani⸣ba ʔu⸢da⸣ti ⸣ʃiː~] (銀の鋼材を梲<うだち{EOS}梁の上に立て、棟木を支える小さな柱>にして~)(アーパーレー歌) 12264 0 0 11873 htmvoc_12264.wav ナンツァピュールクガニピュール ⸢ナンツァピュー⸣ル ク⸢ガニピュール [⸢nanʦapjuː⸣ru ku⸢ganipjuːru] 連 銀の日和、黄金の日和。金銀のような素晴らしい日和 12265 0 0 11874 htmvoc_12265.wav ナンツァヨーチ ⸢ナンツァヨー⸣チ [⸢nanʦajoː⸣ʧi] 名 銀の簪。銀簪。 ⸢ナンツァヨーチ⸣バ ⸢マーリ⸣ザ ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー [⸢nanʦajoːʧi⸣ba ⸢maːri⸣ʣa ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (銀簪をマーリザ<甍どめ>にして家を造ってあるという)(アーパーレー歌) 12267 0 0 11875 htmvoc_12267.wav ナントゥキン ⸣ナントゥキン [⸣nantukiŋ] 名 何時。何時。普通に話すと[n]の後ろでは連濁して、⸣ナンドゥキン[⸣nandukiŋ](何時)となり、[t]、[d]は自由変異。 マ⸢ナ⸣マー ⸣ナンドゥキンヤー [ma⸢na⸣maː ⸣nandukiɲjaː] (今は何時<何時>か)。 ⸣ナンドゥキン ヤ⸢ラバン⸣ ミサバ マ⸢リン⸣ギサカー ⸢サーリン⸣ クーバ⸢ヨー [⸣nandukiɲ ja⸢rabam⸣ misaba ma⸢riŋ⸣gisakaː ⸢saːriŋ⸣ kuːba⸢joː] (何時でも良いから、生まれそうになったら呼び<連れ>に来なさいよ) 12266 0 0 11876 htmvoc_12266.wav ナンドゥキン ナン⸢ドゥキン [nan⸢dukiŋ] 名 いつでも。何時でも。「何時も」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ナン⸢ドゥキン⸣ イ⸢サン⸣ヤー ⸢サーリ⸣ パリ [ja⸢ra⸣beː ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː nan⸢dukiŋ⸣ ʔi⸢saŋ⸣jaː ⸢saːri⸣ pari] (子供は発熱したら<熱が出たら>何時でも病院<医者の家>へ連れて行け) 12268 0 0 11877 htmvoc_12268.wav ナントゥムチ ⸢ナントゥ⸣ムチ [⸢nantu⸣muʧi] 名 もち米の粉に味噌、黒糖、胡椒などを入れて月桃の葉に包んで蒸し上げた餅。ハチジュー⸢ゴーヌ ソーニヨイ[haʧiʤuː⸢goːnu soːnijoi](八十五の生年祝い)やウ⸢ブソッ⸣コー[ʔu⸢busok⸣koː](二十五年忌以上の大法事)に作られた。 ウ⸢ブソッ⸣コーナー ア⸢ロー⸣ル プ⸢ソー ナントゥ⸣ムチン ス⸢ク⸣ローッタン [ʔu⸢busok⸣koːnaː ʔa⸢roː⸣ru pu̥⸢soː nantu⸣muʧin su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (二十五年忌以上の大法事には、余裕のある家では<人は>ナントゥムチも作られた) 12269 0 0 11878 htmvoc_12269.wav ナンニチ ⸢ナンニ⸣チ [⸢nanni⸣ʧi] 名 何日。日数が不明なときに用いる。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー ナンニ⸣チシ ナ⸢ル⸣ワ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː nanni⸣ʧiʃi na⸢ru⸣wa] (この仕事は何日でできるか)。 ⸢ナンニ⸣チ カ⸢カラ⸣バン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nanni⸣ʧi kḁ⸢kara⸣ban ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (何日かかってもしなければならない) 12270 0 0 11879 htmvoc_12270.wav ナンニン ⸢ナン⸣ニン [⸢nan⸣niŋ] 名 何人。標準語からの借用語の転訛。人数が不明の時に用いる。普通は、ギュ⸢タール[gju⸢taːru](何人{EOS}「幾たり」の義)という。 フ⸢ナ⸣カコー ⸢ナン⸣ニンブカラ ⸢ブーワ [ɸu⸢na⸣kḁkoː ⸢nan⸣nimbukara ⸢buːwa] (船員は何人ほどいるか)。 バ⸢コーシン⸣カー ⸢ナン⸣ニン タ⸢ナム⸣ワ [ba⸢koːʃiŋ⸣kaː ⸢nan⸣n ta⸢namu⸣wa] (共同作業の仲間<人衆>は何人頼むか) 12271 0 0 11880 htmvoc_12271.wav ナンニン ⸢ナン⸣ニン [⸢nan⸣niŋ] 名 何年。標準語からの借用語が転訛したもの。老年層は⸢ギュートゥシ[⸢gjuːtuʃi](幾年{EOS}何年)という。 ⸢ワーッテ⸣ ウ⸢キ⸣ナー ⸣パレーラ ⸢ナン⸣ニン ナ⸢ル⸣ワ [⸢waːtte⸣ ʔu⸢ki⸣naː ⸣pareːra ⸢nan⸣nin na⸢ru⸣wa] (君は、それで、沖縄へ行って何年になるか)。 シ⸢グトー ナンニン⸣ヌ ヤ⸢クスク⸣ヤー [ʃi⸢gutoː nannin⸣nu ja⸢kusu̥ku⸣jaː] (仕事は何年の約束か) 12272 0 0 11881 htmvoc_12272.wav ナンバ ⸢ナン⸣バ [⸢nam⸣ba] 名 滑車。軸を中心に回転する円板で、周囲に溝があり、これに綱をかけて回転させ、重い物を持ち上げる際に使用する道具。鰹漁船を陸揚げする際に滑車を⸣ビービー[⸣biːbiː](巻上げ機)に装着して利用した。 ⸣ビービーナ ⸢ナン⸣バー フ⸢ターチミーチ⸣ シ⸢キラン⸣カー カ⸢ツシンマー グッふァ⸣ヌ ア⸢ギラランシェン [⸣biːbiːna ⸢nam⸣baː ɸu̥⸢taːʧimiːʧi⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː kḁ⸢ʦuʃimmaː guffa⸣nu ʔa⸢giraranʃeŋ] (巻上げ機に滑車を二、三個付けないと鰹漁船は重くて陸揚げできなかった) 12273 0 0 11882 htmvoc_12273.wav ナンバンガミ ⸢ナンバンガミ [⸢nambaŋgami] 名 なんばんがめ(南蛮甕)。南方渡来の甕で、酒を入れるのに用いた。陶質が蜜で上質の甕といわれていた。 ウ⸢ヤ⸣キヤーナー ⸢ナンバンガミン⸣ ア⸢ローッ⸣タンツォー [ʔu⸢ja⸣kijaːnaː ⸢nambaŋgamiŋ⸣ ʔa⸢roːt⸣tanʦoː] (金持ちの家には南蛮甕もあられた<おありなさった>そうだ) 12274 0 1 11883 htmvoc_12274.wav ニ ⸣-ニ [⸣-ni] 格助 {Mn_1}~に。場所を表す。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌシタニ パリヌブリ ハイヤヨーティバ カイダキ ティトゥルトゥ テンヨー マサティミグトゥ/(鳩間中岡を駆け上って、クバ<蒲葵>の下に駆け上って、南の方はと云えば、美しい古見岳が手に取るように、実に美しく見事である)(鳩間中岡<節>)。 12274 0 2 11884 htmvoc_12274.wav ニ ⸣-ニ [⸣-ni] 格助 {Mn_2}動作作用の結果の状態を表す。/~シマヌナガリユ ミワタシバ ルクヌ イチジニ チカクアリ~/(~島の流れ<島の形{EOS}傾斜>を見渡すと、禄の一字に字画がある<字画に意味がこめられている>)(鳩間口説)『新本家文書 家訓歌語並萬口説集』(咸豊九年<1859年>書)。 12274 0 3 11885 htmvoc_12274.wav ニ ⸣-ニ [⸣-ni] 格助 {Mn_3}動作・作用の相手を表す。ぞんざいに発音する時は、⸢-ン[⸢-ŋ](~に)となる。 ⸢ターニ⸣ル ア⸢ズター [⸢taːni⸣ru ʔa⸢ʣutaː] (誰に<ぞ>云ったのか)。 ⸢ターン⸣ ス⸢クワ [⸢taːn⸣ su̥⸢kuwa] (誰に聞くか)。 ⸢ターニ⸣ル タ⸢ナム⸣ター [⸢taːni⸣ru ta⸢namu⸣taː] (誰に<ぞ>頼んだのか)。 ⸢ワー ターンドゥ⸣ タ⸢ナム⸣ワ [⸢waː taːndu⸣ ta⸢namu⸣wa] (君は誰に<ぞ>頼むか)。 ムー⸢ル⸣ニン パ⸢ナ⸣シ ⸣シケーバ ⸢カン⸣ガイ ッ⸢ふィーリ [muː⸢ru⸣nim pa⸢na⸣ʃi ⸣ʃi̥keːba ⸢kaŋ⸣gai f⸢fiːri] (皆にも話してあるから、考えてくれ)。 12274 0 4 11886 htmvoc_12274.wav ニ ⸣-ニ [⸣-ni] 格助 {Mn_4}取立ての助詞⸢ヤ[⸢ja](は)が下接すると、[ni](に)・[ja](は)→ ネー[neː](には)となる。 ⸢ワー⸣ネー ア⸢ザンシェン [⸢waː⸣neː ʔa⸢ʣaŋʃeŋ] (君には言わなかった) 12275 0 0 11887 htmvoc_12275.wav ニー ⸣ニー [⸣niː] 名 二。 ⸢ニー⸣バン ⸣ナレーン [⸢niː⸣ban ⸣nareːŋ] (二番になった)。 ⸢ニーバン⸣ザ [⸢niːban⸣ʣa] (二番座)。 ⸢ニッ⸣キン [⸢nik⸣kiŋ] (二斤)。 ⸢ニン⸣ゴー [⸢niŋ⸣goː] (二合)。 ⸣ニス [⸣nisu] (二升)。 ⸢ニッ⸣タン [⸢nit⸣taŋ] (二反) 12276 0 0 11888 htmvoc_12276.wav ニー ⸣ニー [⸣niː] 名 植物の根。ニ⸢バ⸣ル[ni⸢ba⸣ru](大木の根)ともいう。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ニー [⸢kiː⸣nu ⸣niː] (木の根)。 ⸣ニー ⸢コースン [⸣niː ⸢koːsuŋ] (根を掘り起こす)。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ニー ⸣トゥリ [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣niː ⸣turi] (お出来の根<芯>を取りされ) 12277 0 0 11889 htmvoc_12277.wav ニー ⸣ニー [⸣niː] 名 荷。荷物。 ⸣イダフネーラル ⸢ニー⸣ヤ カ⸢ヨーシタ [⸣ʔidaɸuneːraru ⸢niː⸣ja ka⸢joːʃita] (板船<サバニ>から<ぞ>荷物は運んだ<通わした>)。 ⸢ヌー⸣ル ⸢ワー⸣ ニーヤ [⸢nuː⸣ru ⸢waː⸣ niːja] (何が君の荷物か)。 イ⸢サナケーラヌ ニー⸣ヤ マ⸢ダ⸣ トゥ⸢ドゥカ⸣ヌ [ʔi⸢sanakeːranu niː⸣ja ma⸢da⸣ tu⸢duka⸣nu] (石垣島からの荷物はまだ届かない) 12278 0 1 11890 htmvoc_12278.wav ニー ⸣ニー [⸣niː] 名 {Mn_1}ね(子)。十二支の一つで、第一番目に位するもの。 12278 0 2 11891 htmvoc_12278.wav ニー ⸣ニー [⸣niː] 名 {Mn_2}方角を示す、北。 ⸢ニーヌ⸣パー [⸢niːnu⸣paː] (子の方向{EOS}北)。 ⸢ニーヌ⸣パーカジヌ ⸣フクン [⸢niːnu⸣paːkaʤinu ⸣ɸukuŋ] (北風が吹く)。 12278 0 3 11892 htmvoc_12278.wav ニー ⸣ニー [⸣niː] 名 {Mn_3}時<年>を表す。 ⸢ニー⸣ディマリ [⸢niː⸣dimari] (子年の生まれ)。 ⸣クナー ⸢ニー⸣ディプソー ギュ⸢タール⸣ ブ⸢ワ [⸣kunaː ⸢niː⸣dipu̥soː gju⸢taːru⸣ bu⸢wa] (ここに、子年生まれの人は何人いるか)。 ⸢ニー⸣ディマリプソー ⸢ネーランケー⸣ンツォー [⸢niː⸣dimaripu̥soː ⸢neːraŋkeː⸣nʦoː] (子年生まれの人は粘り強い<緻密な性格だ>そうだ) 12279 0 0 11893 htmvoc_12279.wav ニーアーリ ⸢ニーアー⸣リ [⸢niːʔaː⸣ri] 名 植物の根が地上に出ること。「根上がり」の義。 カ⸢ブッチヌ ニー⸣ヌ ⸢ニーアー⸣リ ⸢シー ベー⸣バ ⸣ジー カ⸢バ⸣シティ ⸣ニー ウ⸢スイ⸣バ [ka⸢butʧinu niː⸣nu ⸢niːʔaː⸣ri ⸢ʃiː beː⸣ba ⸣ʤiː ka⸢ba⸣ʃi̥ti ⸣niː ʔu⸢sui⸣ba] (南瓜の根が地上に出ているので、土を被せて根を覆いなさいよ) 12280 0 0 11894 htmvoc_12280.wav ニーアギ ⸢ニー⸣アギ [⸢niː⸣ʔagi] 名 二上がり。三線のナ⸢カ⸣ジル[na⸢ka⸣ʤiru](中弦)を本調子より高く音程を上げること。二の弦を上げること。 ク⸢ヌ⸣ ウター ⸢ニー⸣アギシ ピ⸢カン⸣カー ⸢クンクンシー⸣トゥ ア⸢タラヌ [ku⸢nu⸣ ʔutaː ⸢niː⸣ʔagiʃi pi̥⸢kaŋ⸣kaː ⸢kuŋkuŋʃiː⸣tu ʔa⸢taranu] (この歌は二上がりで弾かないと工工四<三線楽譜>の譜面と合わない) 12281 0 0 11895 htmvoc_12281.wav ニーウスイ ⸣ニー ウ⸢スイ [⸣niː ʔu⸢sui] 連 地上に出ている根を除草の際に土を被せて覆うこと。 ⸢ニーアー⸣リ ⸢シー ベー⸣モー ⸣ッサ トゥ⸢リンテー⸣ナー ⸣ピラシ ⸣ジー ⸣カキ カ⸢バ⸣シ ⸣ニー ウ⸢スイ⸣バ [⸢niːʔaː⸣ri ⸢ʃiː beː⸣moː ⸣ssa tu⸢rinteː⸣naː ⸣piraʃi ⸣ʤiː ⸣kḁki ka⸢ba⸣ʃi ⸣niː ʔu⸢sui⸣ba] (根が出ている<根上がりしている>ものは除草しながら箆で土を掻き被せて根を覆いなさいよ) 12282 0 0 11896 htmvoc_12282.wav ニーウラスン ⸣ニー ウ⸢ラ⸣スン [⸣niː ʔu⸢ra⸣suŋ] 連 荷を降ろす。積荷を降ろす。 ⸢アー⸣ヤー ⸢パイター⸣ラヌ ⸣ニー ウ⸢ラ⸣スンティル ⸢オー⸣ル [⸢ʔaː⸣jaː ⸢paitaː⸣ranu ⸣niː ʔu⸢ra⸣suntiru ⸢ʔoː⸣ru] (お父さんは南端<西表島>からの荷を降ろそうとして居られる) 12283 0 0 11897 htmvoc_12283.wav ニーウラスン ⸣ニー ウ⸢ラ⸣スン [⸣niː ʔu⸢ra⸣suŋ] 連 根を下ろす。植物が根付く。 ク⸢ヌ⸣ ウロイナー カ⸢ブッチン⸣ ニー ウ⸢ラ⸣スン ⸣パジ [ku⸢nu⸣ ʔuroinaː ka⸢butʧin⸣ niː ʔu⸢ra⸣sum ⸣paʤi] (この雨<潤い>で南瓜も根付く<根を下ろす>でしょう<はずだ>) 12284 0 0 11898 htmvoc_12284.wav ニーウリルン ⸣ニー ウ⸢リ⸣ルン [⸣niː ʔu⸢ri⸣ruŋ] 連 根が下りる。根付く。活着する。 ク⸢ヌ⸣ ウロイナー ヤ⸢トゥイ⸣ヤール ス⸢クリ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ ニー ウ⸢リ⸣ルン パジ [ku⸢nu⸣ ʔuroinaː ja⸢tui⸣jaːru su̥⸢kuri⸣munoː muː⸢ru⸣ niː ʔu⸢ri⸣rum ⸣paʤi] (この雨<潤い>で移植した作物は全部活着する<根が下りる>だろう<はずだ>) 12285 0 0 11899 htmvoc_12285.wav ニーウレー ⸢ニー⸣ウレー [⸢niː⸣ʔureː] 名 船着場。「荷下し所」の義。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)の荷を降ろしたり、積荷をしたりする浜。 トゥ⸢マダヌ ニー⸣ウレー [tu⸢madanu niː⸣ʔureː] (トゥマダ田袋の船着場)。 ⸢ケーダ⸣ヌ ⸢ニー⸣ウレー [⸢keːda⸣nu ⸢niː⸣ʔureː] (ケーダ田袋の船着場)。 ⸢ユシ⸣キダーヌ ⸢ニー⸣ウレー [⸢juʃi̥⸣kidaːnu ⸢niː⸣ʔureː] (ユシキダ田袋の船着場)。 ⸢パイター⸣ラ タ⸢ム⸣ヌキーバ ⸣キシ ⸣キー ⸢ニー⸣ウレーナー シ⸢ミ⸣ シケー [⸢paitaː⸣ra ta⸢mu⸣nukiːba ⸣ki̥ʃi ⸣kiː ⸢niː⸣ʔureːna ʃi⸢mi⸣ ʃi̥keː] (南端<西表島北岸>から薪にする木を伐ってきて、荷下ろしをする浜に積んである) 12286 0 0 11900 htmvoc_12286.wav ニーカタミ ⸢ニーカタ⸣ミ [⸢niːkata⸣mi] 名 荷担ぎ。荷物を担ぐこと。荷物を担いで運ぶこと。 ⸢ニーカタ⸣ミ ⸢テー⸣ナイ ⸢スンティル クー⸣タ [⸢niːkata⸣mi ⸢teː⸣nai ⸢suntiru kuː⸣ta] (荷担ぎ手伝いをしようと<ぞ>来た) 12287 0 0 11901 htmvoc_12287.wav ニーカタミプス ⸢ニーカタミ⸣プス [⸢niːkatami⸣pu̥su] 名 仲仕。土木人夫。荷物を担いで運ぶ人。 シ⸢グトゥヌ ナーン⸣ベーティ ⸢ニーカタミプス⸣バ ⸢シール⸣ ムノー ッ⸢ふァイ ブー⸣ダー [ʃi⸢gutunu naːm⸣beːti ⸢niːkatamipu̥su⸣ba ⸢ʃiːru⸣ munu f⸢fai buː⸣daː] (仕事がないので仲仕をして生活して<物を食べて>いるよ) 12288 0 0 11902 htmvoc_12288.wav ニーカタムン ⸣ニー カ⸢タ⸣ムン [⸣niː kḁ⸢ta⸣muŋ] 連 荷物を担いで運ぶ。荷を担ぐ。 ⸣ニー カ⸢タ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢タマラ⸣ヌ [⸣niː kḁ⸢ta⸣munti ⸢sundu⸣ kḁ⸢tamara⸣nu] (荷物を担ごうとするが、担がれない) 12289 0 0 11903 htmvoc_12289.wav ニーキシルン ⸢ニーキシ⸣ルン [⸢niːki̥ʃi⸣ruŋ] 自動 根絶やしになる。すっかりなくなる。絶滅する。「根切れる」の義。 ⸣ガンボーシェー ⸢ニーキシ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ニーキシラン⸣バン [⸣bamboʃeː ⸢niːki̥ʃi⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢niːki̥ʃiram⸣baŋ] (ガンボーシ<雑草の名>は絶滅するかと思ったが、絶滅しないよ)。 ⸢ニー⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [⸢niː⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (絶滅してしまった)。 ⸢ニーキシ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢niːki̥ʃi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (絶滅することはない)。 ⸢ニーキシ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢niːki̥ʃi⸣reː ⸣misamunu] (絶滅すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニーキシ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢niːki̥ʃi⸣ri] (早く絶滅しろ)。 ⸢ヤン⸣マー ⸢ニーキサ⸣シ [⸢jam⸣maː ⸢niːki̥sa⸣ʃi] (病気は根絶<完治>させなさい) 12290 0 0 11904 htmvoc_12290.wav ニーキスン ⸢ニー⸣キスン [⸢niː⸣kisuŋ] 自動 絶滅する。すっかりなくなる。根絶やす。「根切る」の義。 ⸣ガンボーシェー ⸢ニー⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [⸣gamboʃeː ⸢niː⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (ガンボーシ<雑草の名>は絶滅してしまった)。 ⸢ニーキサン⸣ドーシ ⸣ムイ ⸢ベー [⸢niːki̥san⸣doːʃi ⸣mui ⸢beː] (絶滅しないで生えている)。 フ⸢チ⸣ル ⸣マケーンダ ⸢ニー⸣キスンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ニー⸣キス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣makeːnda ⸢niː⸣ki̥sunti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢niː⸣ki̥su ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣baŋ] (農薬を撒いたから絶滅すると思ったが絶滅することはないよ)。 ⸢ニー⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸢niː⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (絶滅すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニー⸣キシ [⸢paː⸣ku ⸢niː⸣ki̥ʃi] (早く絶滅しろ) 12291 0 0 11905 htmvoc_12291.wav ニークサイ ⸢ニー⸣クサイ [⸢niː⸣kusai] 名 作物の根元の枯れ葉等を取り払って成長させること。野菜等の根元の古い皮を除去して調理すること。こしらえ(拵え)ること。「誘、古之良布(こしらふ)」『華厳音義私記』と関係ある語か。 ⸢シン⸣ザー ッ⸢サバー⸣ トゥリティ ⸢ニー⸣クサイ ⸢シー⸣バ [⸢ʃin⸣ʣaː s⸢sabaː⸣ turiti ⸢niː⸣kusai ⸢ʃiː⸣ba] (砂糖黍は枯れ葉<下葉>を剥ぎ取って根元を綺麗にしなさいよ)。 シ⸢ビラー ニー⸣クサイ シ⸢ティ⸣ キ⸢ザミ⸣ ウ⸢ラ⸣シバ [ʃi⸢biraː niː⸣kusai ʃi̥⸢ti⸣ ki⸢ʣami⸣ ʔu⸢ra⸣ʃiba] (\ruby{葱}{ネギ}は根元の枯れ葉を除去して細かく刻んで下ろしなさいよ) 12292 0 0 11906 htmvoc_12292.wav ニークミルン ⸢ニークミルン [⸢niːkumiruŋ] 他動 煮込む。カツオ節製造工場で、四つ割りにしたカツオを円形の\ruby[g]{蒸籠}{セイロウ}に並べ、それを8~10段重ね、大釜に入れて煮込むこと。 カ⸢ツォー ニークミルンティ ベーン⸣ドゥ タ⸢ムヌ⸣ヌ タ⸢ラーンダ ニークミララヌ [kḁ⸢ʦoː niːkumirunti beːn⸣du ta⸢munu⸣nu ta⸢raːnda niːkumiraranu] (カツオを煮込もうとしているが、燃料の薪が足りないもので煮込められない)。 ⸢ニークミル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢niːkumiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (煮込むことは出来る)。 ⸢ニークミ ヤッ⸣サン [⸢niːkumi jas⸣saŋ] (煮込みやすい)。 ⸢ニークミレー⸣ ミサムヌ [⸢niːkumireː⸣ misamunu] (煮込めば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニークミリ [⸢paː⸣ku ⸢niːkumiri] (早く煮込めろ) 12300 0 0 11907 htmvoc_12300.wav ニーグルマ ⸢ニーグル⸣マ [⸢niːguru⸣ma] 名 荷車。人や牛馬が荷物を運搬する車。 ウ⸢キ⸣ナーラ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢ペー⸣ルカー イ⸢サンケヌ⸣ サンバシナー ⸢ニーグルマ⸣ヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢キー⸣ル マ⸢チヤーカージヌ⸣ ニー ハ⸢クブタル<カ⸢ヨーシタル> [ʔu⸢ki⸣naːra ɸu⸢ni⸣nu ⸢peː⸣rukaː ʔi⸢saŋkenu⸣ sambaʃinaː ⸢niːguruma⸣nu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢kiː⸣ru ma⸢ʧijaːkaːʤinu⸣ niː hḁ⸢kubutaru] (沖縄から船が入ると石垣島の桟橋には荷車が集まってきて<ぞ>お店ごとの荷物を運んだものだ) 12302 0 0 11908 htmvoc_12302.wav ニーザマ ⸢ニーザマ [⸢niːʣama] 名 寝言。 ⸢ニーザマ シー⸣ ウ⸢ヤー⸣リティ プ⸢スバ⸣ ウ⸢バーシ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [⸢niːʣama ʃiː⸣ ʔu⸢jaː⸣riti pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ nuːja ʔu⸢reː] (寝言をして、大声を出して他人を驚かせて、何だよ、これは) 12303 0 0 11909 htmvoc_12303.wav ニーザラコーザラ ⸢ニー⸣ザラコーザラ [⸢niː⸣ʣarakoːʣara] 副 根掘り葉掘りして。しつこく。残さず。「根浚え」の畳語化したもの。⸢ニー⸣ザコーザ[⸢niː⸣ʣakoːʣa](しつこく)ともいう。 ヤー⸢ディン ニー⸣ザラコーザラ ⸢トゥイシゥカン⸣カー ⸣キモー フ⸢ガン⸣ ブ⸢リン⸣ギサバン [jaː⸢din niː⸣ʣarakoːʣara ⸢tuisï̥kaŋ⸣kaː ⸣kimoː ɸu⸢gaŋ⸣ bu⸢riŋ⸣gisabaŋ] (必ず根掘り葉掘り問い尋ねないと<聞かない>と納得<満足>しないようだ) 12305 0 0 11910 htmvoc_12305.wav ニーシーキーシー ニー⸢シー⸣キー ⸢シー [niː⸢ʃiː⸣kiː ⸢ʃiː] 連 もとにして。基礎にして。基盤にして。歌謡語。日常会話では、⸢ニー⸣シキ ⸢シー[⸢niː⸣ʃi̥ki ⸢ʃiː]という。「根付きにして」の義。 アー⸢パーレー キューヌ ピー⸣バ ニー⸢シー⸣キー ⸢シー [ʔaː⸢paːreː kjuːnu piː⸣ba niː⸢ʃiː⸣kiːʃi] (ああ、すばらしい{EOS}今日の日を基<根付き>にして)(アーパーレー歌) 12314 0 0 11911 htmvoc_12314.wav ニーシェー ⸢ニー⸣シェー [⸢niː⸣ʃeː] 名 若者。青年。「二才」の転訛したもの。沖縄首里方言からの借用語であろう。八重山舞踊勤王流の鼻祖といわれる比屋根安弼(ひやごんあんひつ)は尚泰王7年(1854年)に首里城納殿筆者となり、若里之子に叙されたが、尚泰王18年(1865年)、30歳の時にある罪で鳩間島へ配流となり、廃藩置県の年(明治12年)に流罪放免となるまでの14年間を鳩間島で過ごした「八重山舞踊勤王流伝承略譜」當山善堂『八重山舞踊勤王流関係論考・資料集』という。その間に比屋根安弼が琉球古典芸能を鳩間島の人に伝えたという伝承がある<米盛クヤ氏伝承>。また「鳩間口説」の第6連の囃子には、/イヤイヤー ユタカナルユヌ シルシサミエイー アミヤトゥカグシ カジヤシジカニ シクリムジクイ マンサクソーリバ イヒンカタトゥキ ユダンヤナランサ キットゥキバリヨ ニセタ ウムシルムヌサミ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(いやいやー豊かなる御世の前兆だというものだ{EOS}雨は十日ごしに降り、風は静かに吹く{EOS}作物は豊年満作しているから、一時も片時も油断はできないよ{EOS}しっかり頑張れよ、若者達よ{EOS}ずばらしく楽しいものだ{EOS}今の囃子で口説きを歌えよ、歌えよ)とあるように、歌詞が沖縄方言で表出されていること、田代安定の「鳩間島巡検統計誌」(明治18年)によると、当時の鳩間島の人口は161人で、うち寄留者は5人おり、丸木舟の所有者も1人は糸満出身であったということから、鳩間島における沖縄方言の受容過程が推定される。鳩間方言の⸢ニー⸣シェー[⸢niː⸣ʃeː](青年{EOS}若者)は、以上の理由から首里方言の⸢ニー⸣セー[⸢niː⸣seː](二才{EOS}青年)の転訛したものであると考えるのが普通であろう 12315 0 0 11912 htmvoc_12315.wav ニーシェーター ⸢ニーシェー⸣ター [⸢niːʃeː⸣taː] 名 若者たち。青年たち。首里方言より転訛したもの。歌謡語。「~キットゥ キバリヨ ニシェタ[⸢kittu kibarijo niʃeta](しっかり頑張れよ、若者たちよ)」(鳩間口説) 12304 0 0 11913 htmvoc_12304.wav ニーシキイシ ⸢ニーシキ⸣イシ [⸢niːʃi̥ki⸣ʔiʃi] 名 地中に深く根を下ろした石。地中の岩盤に繋がる石。「根付き石」の義。 ウ⸢リヌ⸣ キー ビ⸢レーラー ニーシキイシ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢ウー⸣キ ⸣パルンティ ⸣クトゥ ッ⸢サヌ [ʔu⸢rinu⸣ kiː bi⸢reːraː niːʃi̥kiʔiʃi⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢ʔuː⸣ki ⸣parunti ⸣ku̥tu s⸢sanu] (彼が来て一旦座ったら、根付き石のように動いて立ち去ることを知らない) 12306 0 0 11914 htmvoc_12306.wav ニーシキルン ⸢ニーシキ⸣ルン [⸢niːʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 根付く。根を下ろす。作物の根がおりて成長する。⸢ニー⸣スクン[⸢niː⸣su̥kuŋ](根付く)ともいう。 イ⸢ビ⸣シケール ⸢ウン⸣マー ウ⸢ロイ⸣ヌ ⸣アルユンダ(⸣アンダ) シ⸢グ ニーシキ⸣ルンパジ [ʔi⸢bi⸣ʃi̥keːru ⸢ʔum⸣maː ʔu⸢roi⸣nu ⸣ʔarujunda(⸣ʔanda) ʃi⸢gu niːʃi̥ki⸣rumpaʤi] (植えつけた芋は潤い<湿り気>があるから、すぐ根付くはずだ) 12308 0 0 11915 htmvoc_12308.wav ニージマルン ⸢ニージマ⸣ルン [⸢niːʤima⸣ruŋ] 自動 その土地に定着する。定住する。根付く。根を下ろす。 ジ⸢ナン サンナン⸣マー タ⸢ビ⸣ナー ⸢ニージマ⸣ルン [ʤi⸢nan sannam⸣maː ta⸢bi⸣naː ⸢niːʤima⸣ruŋ] (次男三男は旅で定着する)。 シ⸢グトゥヌ⸣ アル ⸣トンナール ⸢ニージマ⸣ル ⸢ナーン⸣ トンナー ⸢ニージマラ⸣ヌ [ʃi⸢gutunu⸣ ʔaru ⸣tonnaːru ⸢niːʤima⸣ru ⸢naːn⸣ tonnaː ⸢niːʤimara⸣nu] (仕事のある所に<ぞ>定住する{EOS}無いところには定住しない)。 ⸢ニージマ⸣リ ⸢ベー [⸢niːʤima⸣ri ⸢beː] (定住している)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニージマ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢niːʤima⸣reː ⸣misamunu] (早く定住すれば良いのに)。 ⸣クナー ⸢ニージマ⸣リバ [⸣kunaː ⸢niːʤima⸣riba] (ここで定住しなさいよ)。 ⸢ニージマリ⸣ プサンドゥ ⸢ニージマ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢niːʤimari⸣ pu̥sandu ⸢niːʤima⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (住み着きたいが、住み着くことができない)。 ⸣クナー ⸢ニージマ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣kunaː ⸢niːʤima⸣reː ⸣misamunu] (ここに住み着けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニージマ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢niːʤima⸣ri] (早く住み着け) 12309 0 0 11916 htmvoc_12309.wav ニーシムン ⸣ニー シ⸢ムン [⸣niː ʃi⸢muŋ] 連 荷を積む。荷を積み込む。 ⸢ウンパンシン⸣マー ⸢サンバ⸣シナーティ ⸣ニー シ⸢ムンティ スンドゥ⸣ ドゥク ⸢スー⸣ヌ ⸣ピシティ ⸣ニー シ⸢マラヌ [⸢ʔumpaŋʃim⸣maː ⸢samba⸣ʃinaːti ⸣niː ʃi⸢munti sundu⸣ duku ⸢suː⸣nu ⸣pi̥ʃiti ⸣niː ʃi⸢maranu] (運搬船は桟橋で荷物を積もうとするが、あまりにも潮が引いて荷が積まれ<積め>ない) 12310 0 0 11917 htmvoc_12310.wav ニージル ⸢ニージル [⸢niːʤiru] 名 おもゆ(重湯)。物を煮た汁。「煮汁」の義。 ブ⸢ネーヌ シー⸣ヌ ン⸢ジラン⸣ ベーティ ⸢カイバ⸣ タ⸢キティ カイヌ ニージルバ⸣<オージルバ⸣> ヌ⸢マシ⸣ル シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢クー⸣タ [bu⸢neːnu ʃiː⸣nu ʔn⸢ʤiram⸣ beːti ⸢kaiba⸣ tḁ⸢kiti kainu niːʤiruba⸣<ʔoːʤiruba⸣> nu⸢maʃi⸣ru sï̥⸢ka⸣nai ⸢kuː⸣ta] (母親の乳が出ないので、お粥を炊いて粥の重湯<煮汁>を飲ませて<ぞ>養育した)。 ⸢ウン⸣ヌ ⸢ニージル⸣ナー ⸢ウン⸣バ ⸣タリティ ⸢オーヌ⸣イー ス⸢コーリ⸣バ [⸢ʔun⸣nu ⸢niːʤiru⸣naː ⸢ʔum⸣ba ⸣tariti ⸢ʔoːnu⸣ʔiː su̥⸢koːri⸣ba] (サツマイモの煮汁に煮芋を潰して溶かし、豚の飼料<豚の飯>の準備をしなさいよ) 12317 0 0 11918 htmvoc_12317.wav ニーズーワン ⸢ニーズー⸣ワン [⸢niːʣuː⸣waŋ] 形 荷が重い。「荷強し」の義。⸢ニーカロー⸣ン[⸢niːkaroː⸣ŋ](荷が軽い)、カ⸢ラ⸣ニー[ka⸢ra⸣niː](軽い荷)の対義語。 ウ⸢ビ⸣ナー ⸢ヌース⸣カー ⸢ニーズー⸣ワンダ ⸣バキティ ⸢ヌーシ [ʔu⸢bi⸣naː ⸢nuːsu⸣kaː ⸢niːʣuː⸣wanda ⸣bakiti ⸢nuːʃi⸣ba] (あんなに多く積む<載せる>と荷が重いから、分けて積み<載せ>なさい)。 ⸢オシケー カイ⸣ヤーバ ⸢ニーズーワ ナー⸣ヌ [⸢ʔoʃi̥keː kai⸣jaːba ⸢niːʣuːwaː naː⸣nu] (天気が良いから荷は重くない)。 ⸢ニーズーワ⸣ヌ ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢niːʣuːwa⸣nu ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (荷が重くて船は出されない)。 ⸢ニーズー⸣ワ ⸣フネー ナ⸢クラー⸣ン [⸢niʣuː⸣wa ⸣ɸuneː na⸢kuraː⸣ŋ] (荷を積みすぎた<荷の重い>船は怖い)。 ⸢ニーズー⸣ワ ⸣ナリ ⸢キー⸣ブンダ ⸣メー シ⸢ムナ [⸢niːʣuː⸣wa ⸣nari ⸢kiː⸣bunda ⸣meː ʃi⸢muna] (積載過重<荷が重く>になってきているから、もう積むな) 12319 0 0 11919 htmvoc_12319.wav ニースクライ ⸢ニースク⸣ライ [⸢niːsu̥ku⸣rai] 名 根ごしらえ。料理する際に野菜の根をきれいに整えること。「\ruby{根拵}{ネ|コシラエ}」の[k]と[s]のメタテーゼ(音位転換)。 ⸣アボー シ⸢ビラトゥ ラッキョー⸣ヌ ⸢ニースク⸣ライ ⸢シー オー⸣ル [⸣ʔaboː ʃi⸢biratu rakkjoː⸣nu ⸢niːsu̥ku⸣rai ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (お母さんはわけぎ<分葱>とラッキョウの根ごしらえをしておられる) 12307 0 1 11920 htmvoc_12307.wav ニースクン ⸢ニー⸣スクン [⸢niː⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_1}根付く。根をおろす。 ⸢ウンヌ⸣カザー ク⸢ヌ⸣ アミナー ⸢ニー⸣スクンパジ [⸢ʔunnu⸣kaʣaː ku⸢nu⸣ ʔaminaː ⸢niː⸣su̥kumpaʤi] (芋葛は、この雨で根付くはずだ<でしょう>)。 ク⸢ヌ⸣ ウロイナー ナ⸢イ⸣ヤー ⸢ニー⸣スクン ⸣パジ [ku⸢nu⸣ ʔuroinaː ⸢nai⸣jaː ⸢niː⸣su̥kum ⸣paʤi] (この雨<潤い>で苗は根付くはだろう<はず>)。 マ⸢ダ ニーシゥカ⸣ヌ [ma⸢da niːsï̥ka⸣nu] (まだ根付か<活着し>ない)。 キ⸢サーティ ニー⸣シキ ⸢ベー [ki̥⸢saːti niː⸣ʃi̥ki ⸢beː] (すでに根付いている)。 ⸢ペーレーサーリ⸣ ヤ⸢トゥー⸣タンティン ⸢ニー⸣スク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢peːreːsaːri⸣ ja⸢tuː⸣tantin ⸢niː⸣su̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (旱魃で、<旱魃の時に>移植しても根付くことはない)。 ⸢パンブン⸣マーンツァン ⸢ニー⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢pambum⸣maːnʦan ⸢niː⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (半分だけでも根付けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニー⸣シキ [⸢paː⸣ku ⸢niː⸣ʃi̥ki] (早く根付け)。 12307 0 2 11921 htmvoc_12307.wav ニースクン ⸢ニー⸣スクン [⸢niː⸣su̥kuŋ] 自動 {Mn_2}住みつく。定住する。 ⸣ウナー ⸢ニー⸣スクンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢タ ヤーウチ⸣リ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸣ʔunaː ⸢niː⸣su̥kuŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢ta jaːuʧi⸣ri ⸢ʃiː naː⸣nu] (そこに根付く<定住する>かと思ったが、また引っ越し<家移り>してしまった) 12318 0 0 11922 htmvoc_12318.wav ニースラ ⸣ニースラ [⸣niːsura] 名 根と梢。根元と先端。根本と\ruby[g]{末梢}{コズエ}。 ⸣ニースラ バ⸢カ⸣シティ シゥ⸢カイ⸣バ [⸣niːsura ba⸢ka⸣ʃi̥ti sï̥⸢kai⸣ba] (根元と先端を区別して使いなさいよ)。 ム⸢ヌ⸣ヌ ⸣ニースラ バ⸢カラン⸣ムヌ<ッ⸢サンムヌ> [mu⸢nu⸣nu ⸣niːsura ba⸢karam⸣munu] (ものごとの順序<根本と枝葉末節>をわきまえない者) 12321 0 0 11923 htmvoc_12321.wav ニーターグー ⸢ニーター⸣グー [⸢niːtaː⸣guː] 名 似た者同士。似たもの同士の夫婦。程度の低い者に対する卑下の意味合いが加わる。 ⸢ウッ⸣ツァー トゥ⸢ジブトー ニーター⸣グー [⸢ʔut⸣ʦaː tu⸢ʤibutoː niːtaː⸣guː] (彼ら夫婦は似た者同士だ) 12322 0 0 11924 htmvoc_12322.wav ニーディプス ⸢ニー⸣ディプス [⸢niː⸣dipu̥su] 名 子年生まれの人。 ⸢ニー⸣ディプソー ニ⸢ジズー⸣ワンツォー [⸢niː⸣dipu̥soː ni⸢ʤiʣuː⸣wanʦoː] (子年生まれの人は我慢強いそうだ) 12323 0 0 11925 htmvoc_12323.wav ニーディマリ ⸢ニー⸣ディマリ [⸢niː⸣dimari] 名 ねどし(子年)生まれ。 ⸢ニー⸣ディマリプソー ⸢クン⸣ネーナー フ⸢タール オー⸣ルン [⸢niː⸣dimaripu̥soː ⸢kun⸣neːnaː ɸu̥⸢taːru ʔoː⸣ruŋ] (子年生まれの人は、この家には二人いらっしゃる) 12325 0 0 11926 htmvoc_12325.wav ニーナル ⸣ニーナル [⸣niːnaru] 名 もとなり(本生り)。植物のつるや幹の元のほうに実がなるもの。⸣スラナル[⸣suranaru](うらなり)の対義語。ム⸢トゥ⸣ナル[mu⸢tu⸣naru](本生り)ともいう。 カ⸢ブッチェー⸣ ニーナルンドゥ ン⸢マー⸣ティバン⸢ナー [ka⸢butʧeː⸣ niːnarundu(mu⸢tu⸣narundu) ʔm⸢maː⸣tiban⸢naː] (カボチャ<南瓜>はもとなりが美味しいんだってねえ)。 ⸣ニーナローラー カ⸢カイ⸣ クーバ [⸣niːnaroːra kḁ⸢kai⸣ kuːba] (もとなりの方から\ruby{捥}{モ}いでこいよ) 12326 0 0 11927 htmvoc_12326.wav ニーニ ⸣ニーニ [⸣niːni] 名 ね(子)の日。 ウ⸢シニー [ʔu⸢ʃiniː] (丑の日)。 トゥ⸢ラニー [tu⸢raniː] (寅の日)。 ⸣ウニー [⸣ʔuniː] (卯の日)。 タ⸢チニー [tḁ⸢ʧiniː] (辰の日)。 ⸢ミーニ [⸢miːni] (巳の日)。 ン⸢マ⸣ニー [ʔm⸢ma⸣niː] (午の日)。 ピ⸢チニー [pi̥⸢ʧiniː] (未の日)。 ⸣サニー [⸣saniː] (申の日)。 トゥ⸢ニー [tu⸢niː] (酉の日)。 ⸢イン⸣ニー [⸢ʔin⸣niː] (戌の日)。 ⸢ビーニー [⸢biːniː] (亥の日)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ヌーニーヤ [⸢kjuː⸣ja ⸣nuːniːja] (今日は十二支の何の日か)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ニーニール ⸣ナリ ⸢ブー [⸢kjuː⸣ja ⸣niːniːru ⸣nari ⸢buː] (今日は十二支の子の日になっています) 12327 0 0 11928 htmvoc_12327.wav ニーヌジン ⸢ニー⸣ヌ ⸣ジン [⸢niː⸣nu ⸣ʤiŋi] 連 二の膳。大きな神事、祈願等に神前に供える供物で、二番目に出す供物の膳。ピ⸢カイ[pi̥⸢kai](控えの膳)ともいう。 ⸢ニー⸣ヌ ⸣ジン ス⸢コーラレー⸣カー シ⸢キル⸣ ス⸢コール シー⸣ヨー [⸢niː⸣nu ⸣ʤin su̥⸢koːrareː⸣kaː ʃi̥⸢kiru⸣ su̥⸢koːru ʃiː⸣joː] (二の膳の用意が出来たのなら、神前に供える準備をしなさいよ) 12328 0 0 11929 htmvoc_12328.wav ニーヌスーリバルユダパーンスール ⸢ニー⸣ヌ ⸢スーリバ⸣ル ユ⸢ダパーン スー⸣ル [⸢niː⸣nu ⸢suːriba⸣ru ju⸢dapaːn suː⸣ru] 連 (根<本家>が強くなって<繁昌して>こそ枝葉<分家>も強くなる<繁昌する>)<諺> 12329 0 0 11930 htmvoc_12329.wav ニーヌパー ⸢ニーヌ⸣パー [⸢niːnu⸣paː] 名 北。ね(子)の方向。 ⸢ニーヌ⸣パーカジヌ ⸣ウティクン [⸢niːnu⸣paːkaʤinu ⸣ʔutikuŋ] (北風<子の方から吹く強風>が強く吹き出す<落ちてくる>)。 カ⸢ジェー マーリ ニーヌ⸣パー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʤeː maːri niːnu⸣paː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (風は回って北風<子の方の風>になってしまった) 12330 0 0 11931 htmvoc_12330.wav ニーヌパーカジ ⸢ニーヌ⸣パーカジ [⸢niːnu⸣paːkaʤi] 名 北風。強い北風。「子の方の風」の義。冬季の季節風。この北風が吹くと時化になるので、西表島への通耕は難儀を極めた。 ⸢パイター⸣ラ ⸣クー ⸣ピン ⸢ニーヌ⸣パーカジヌ ⸣フクカー マ⸢ギフニ⸣バ ⸢シェー⸣ティル ⸢クー⸣タ⸢ダー [⸢paitaː⸣ra ⸣kuː ⸣pin ⸢niːnu⸣paːkaʤinu ⸣ɸu̥kukaː ma⸢giɸuni⸣ba ⸢ʃeː⸣tiru ⸢kuː⸣ta⸢daː] (西表島<南端>から帰って来る時に北風が吹くとジグサグ航法<曲げ舟>して帰ってきたのだよ) 12331 0 0 11932 htmvoc_12331.wav ニーヌパーシヌ ⸢ニーヌ⸣パーシヌ [⸢niːnu⸣paːʃinu] 名 北。北の方角。「子の方角」の転訛したもの。 カ⸢ジェー ニーヌ⸣パーシノーラ フ⸢キッツァー⸣シ ⸣ケーン [ka⸢ʤeː niːnu⸣paːʃinoːra ɸu̥⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣keːŋ] (風は北<子の方角>から吹きまくって<吹き散らして>きた) 12332 0 0 11933 htmvoc_12332.wav ニーヌパープシ ⸢ニーヌ⸣パープシ [⸢niːnu⸣paːpuʃi] 名 北極星。「子の方の星」の義。 ⸢ユー⸣ル パ⸢ラ⸣ス ⸣フネー ⸢ニーヌ⸣パー ⸣プシル ⸢ミーヤ⸣ティ [⸢juː⸣ru pa⸢ra⸣su ⸣ɸuneː ⸢niːnu⸣paː ⸣pu̥ʃiru ⸢miːja⸣ti] (夜間航行する<夜走らせる>船は北極星が目当てだ) 12333 0 0 11934 htmvoc_12333.wav ニーヌブル ⸢ニーヌブル [⸢niːnuburu] 名 居眠り。若年層は⸢ニーブル[⸢niːburu](居眠り)という。 パ⸢ナ⸣シ シ⸢キンテーナ ゴッふァゴッふァ⸣シ ⸢ニーヌブルバ シー ベー [pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kinteːna goffagoffa⸣ʃi ⸢niːnuburuba ʃiːbeː] (話を聞きながらコックリコックリと居眠りをしている) 12349 0 0 11935 htmvoc_12349.wav ニーバキ ⸢ニー⸣バキ [⸢niː⸣baki] 名 根分け。株分け。「根分け」の転訛したもの。ニラ、ワケギ等の根を分けて移植すること。 シ⸢ビラー ニー⸣バキ ⸢シー⸣ イ⸢ビバル<イ⸢ブバル> サ⸢カル⸣ツォー [ʃi⸢biraː niː⸣baki ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢bibaru<ʔi⸢bubaru> sḁ⸢karu⸣ʦoː] (ワケギ<分葱>は根分けした方が繁茂する<盛る>そうだ) 12336 0 0 11936 htmvoc_12336.wav ニーバパヤー ⸢ニー⸣バパヤー [⸢niː⸣bapajaː] 副 早晩。遅かれ早かれ。「遅い速い」の義。 ⸢ニー⸣バパヤール ⸣アル ⸣アトゥフー シ⸢キ⸣ルンヨー [⸢niː⸣bapajaːru ⸣ʔaru ⸣ʔatuɸuː ʃi̥⸢ki⸣ruɲjoː] (遅かれ早かれの問題だから<遅いか早いかぞある>、きっと後の幸運<嘉報>がつくよ) 12353 0 0 11937 htmvoc_12353.wav ニーバル ⸣ニーバル [⸣niːbaru] 名 (動)魚の名。ハタの仲間の総称。老年層は、⸣ニバル[⸣nibaru]という。和名、サラサハタ(体長約50センチ{EOS}薄灰色の体色に黒の斑点が体全体につく)。和名、ユカタハタの仲間(体長約35センチ、灰黒色)。和名、アオノメハタ(体長約35センチ、灰黒色)。和名、アズキハタ(体長約40センチ、薄茶色に茶色の斑点が筋状に並ぶ)。和名、カンモンハタ(体長約20センチ、薄い黄色に灰色の丸い斑点が体表全体、背びれ、尾びれに付く{EOS}島の子供たちが礒釣りでよく釣り上げた)。和名、ナミハタ(体長約30センチ、薄い灰色に黒色の斑点が体表全体に付く{EOS}⸢マイ⸣ズニ{SqBr}⸢mai⸣ʣuni{/SqBr}<前曽根>や⸢クー⸣シビー{SqBr}⸢kuː⸣ʃibiː{/SqBr}<島の西の干瀬>でタ⸢ティ⸣ナー{SqBr}tḁ⸢ti⸣naː{/SqBr}<一本釣り>でよく釣れた)。和名、セダカハタ(体長約40センチ{EOS}薄い黄色に淡い赤色がかった体色)。和名、オオモンハタ(体長約50センチ{EOS}薄い灰色に薄く青みがかった体色に灰色の斑点が体表全体にまばらに付く)。和名、シロブチハタ(体長約50センチ{EOS}薄い灰色に黒褐色の丸いはんてんが体表全体に付く)。和名、ホオキハタ(体長約80センチ、薄い灰色に黒い筋が斜めに、不規則に走る)、などの総称。などが釣れる 12354 0 0 11938 htmvoc_12354.wav ニーバルイズ ⸣ニーバルイズ [⸣niːbaruʔiʣu] 名 (動)魚の名。ハタの仲間の総称。「ハタ魚」の義。 ⸣ニーバルイゾー ⸢ミーヤ⸣ ッソーッ⸢ソー⸣シティ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [⸣niːbaruʔiʣoː ⸢miːja⸣ ssoːs⸢soː⸣ʃi̥ti ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (ハタの仲間は身は真っ白で、非常に美味しい) 12337 0 0 11939 htmvoc_12337.wav ニーバン ⸢ニー⸣バン [⸢niː⸣baŋ] 形 遅い。 ⸢ワー⸣ パルムヌ ⸢ニー⸣バンダル ⸢カーラヌ ニーバ ナーン⸣カー ⸢カーリン [⸢waː⸣ parumunu ⸢niː⸣bandaru ⸢kaːranu niːbanaːŋ⸣kaː ⸢kaːriŋ] (君が行くのが遅いから買えないのだ{EOS}遅くなかったら買える)。 ⸣ドゥク ⸢ニーバ⸣ヌ マ⸢ニアーヌ [⸣duku ⸢niːba⸣nu ma⸢niʔaː⸣nu] (あまりにも遅いから間に合わない)。 ⸢ニー⸣バ ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸢niː⸣ba ⸣nari ⸢naː⸣nu] (遅くなってしまった)。 ⸢ニー⸣バ プ⸢ソー⸣ フニナー ⸢ヌーララヌ [⸢niː⸣ba pu̥⸢soː⸣ ɸuninaː ⸢nuːraranu] (遅い人は船に乗られない)。 ⸣アイニ ニー⸣バレーラ ⸢ヌーララン⸣ヨー [⸣ʔaini ⸢niː⸣bareːra ⸢nuːraraɲ⸣joː] (あんなに遅かったら船に乗られないよ) 12356 0 0 11940 htmvoc_12356.wav ニーバンウラザ ⸢ニーバンウラ⸣ザ [⸢niːbaŋʔura⸣ʣa] 名 二番裏座。仏間(二番座)の裏座。通常は味噌瓶や\ruby{米櫃}{コメ|ビツ}、南瓜、冬瓜、炊事道具等が保管されている。主婦の出産に際しては床を切り落として地炉をつくり、\ruby{標縄}{シメ|ナワ}を張り巡らして\ruby{産屋}{ウブ|ヤ}を作った所。 ⸢ニーバンウラ⸣ザナーティル ⸣ジロー ビ⸢シティ⸣ シラー ス⸢ク⸣ローッタ [⸢niːbaŋʔura⸣ʣanaːtiru ⸣ʤiroː bi⸢ʃiti⸣ ʃiraː su̥⸢ku⸣roːtta] (二番裏座に地炉を据えて産屋を作られた) 12357 0 0 11941 htmvoc_12357.wav ニーバンザー ⸢ニーバン⸣ザー [⸢niːban⸣ʣaː] 名 二番座。戸主夫婦のニ⸢ビシキニ[ni⸢biʃi̥kini](寝室、寝所)となる部屋。この部屋の北面にトゥ⸢クニ[tu̥⸢kuni](仏壇)が設置された。一番座や二番座とはナ⸢カ⸣ヤドゥ[na⸢ka⸣jadu](中戸)で仕切られている。仏事に関する行事はこの部屋から西の座敷が使用された。トゥ⸢クニ[tu̥⸢kuni](仏壇)の下の空間を利用した押入れを、⸢ダン⸣トゥク[⸢dan⸣tuku]という。 ⸢ニーバン⸣ザーナール トゥ⸢クネー⸣ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢niːban⸣ʣaːnaːru tu̥⸢kuneː⸣ su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (二番座に<ぞ>仏壇は作られている) 12358 0 0 11942 htmvoc_12358.wav ニーバンシームヌ ⸢ニーバンシー⸣ムヌ [⸢niːbaŋʃiː⸣munu] 名 料理の名。二番吸い物。主として肉類の吸い物。法事に供える二番吸い物には、⸣サリ[⸣sari](白豆腐{EOS}巾約2センチ、厚さ約1センチ、長さ約10センチに切ったもの3本を1皿に入れたものの一対{EOS}「舎利」の義か)を添える。神前に供える二番吸い物は、特にフ⸢ク⸣サ[ɸu̥⸢ku⸣sa](⸢袱紗料理」の義か)という。 ⸢カンヌ⸣マイナー マ⸢ツォー⸣ル ⸢ニーバンシー⸣ムノー フ⸢ク⸣サティル ア⸢ゾー⸣ル [⸢kannu⸣mainaː ma⸢ʦoː⸣ru ⸢niːbaŋʃiː⸣munoː ɸu̥⸢ku⸣satiru ʔa⸢ʣoː⸣ru] (神前に供えられる二番吸い物はフクサといわれる)。 ⸢ニーバンシー⸣ムノー ⸢オー⸣ヌ ナ⸢カミー⸣ヌ ⸢シームヌバ⸣ シ⸢キ オーシタ [⸢niːbaŋʃiː⸣munoː ⸢ʔoː⸣nu na⸢kamiː⸣nu ⸢ʃiːmunuba⸣ ʃi̥⸢kioːʃi̥ta] (二番吸い物は豚の中身<内臓>の吸い物をお供えして差し上げた) 12359 0 0 11943 htmvoc_12359.wav ニーバンドゥル ⸢ニーバン⸣ドゥル [⸢niːban⸣duru] 名 二番鶏。夜明けを告げて二番目に鳴く鶏。午前3~4時頃の鶏鳴。 ⸢タイパン⸣ズニ カ⸢キ⸣ル ⸣ピンマー ⸢ニーバンドゥル⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ⸢ティンマムチェー⸣ カ⸢ツシンシンカー⸣ ウ⸢コー⸣シン ⸢パッ⸣タ [⸢taipan⸣ʣuni kḁ⸢ki⸣ru ⸣pimmaː ⸢niːbanduru⸣nu na⸢ku⸣kaː ⸢timmamuʧeː⸣ kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋkaː⸣ ʔu⸢koː⸣ʃim ⸢pat⸣ta] (台湾曽根を掛けて出漁する際は、小伝馬持ちの人はカツオ魚船の船員を起こしに行った) 12338 0 0 11944 htmvoc_12338.wav ニービキ ⸣ニービキ [⸣niːbiki] 名 結婚。結婚式。 ⸣ニービキ ⸢スン [⸣niːbiki ⸢suŋ] (結婚する)。 ⸢ワター⸣ ニービキヌ ⸢ピューロー⸣ トゥレーンカヤー [⸢wataː⸣ niːbikinu ⸢pjuːroː⸣ tureːŋkajaː] (君達は結婚式の日取りは取ったかなあ) 12339 0 0 11945 htmvoc_12339.wav ニービキヨイ ⸣ニービキヨイ [⸣niːbikijoi] 名 結婚祝い。 ア⸢ボー⸣トゥ ⸢アー⸣ヤー ⸢シー⸣ネヌ ⸣ニービキヨイ ⸢シン オーッ⸣タ [ʔa⸢boː⸣tu ⸢ʔaː⸣jaː ⸢ʃiː⸣nenu ⸣niːbikijoi ⸢ʃiŋ ʔoːt⸣ta] (お母さんとお父さんは後ろ隣りの家の結婚祝いをしに行かれた) 12334 0 0 11946 htmvoc_12334.wav ニーブイカーブイ ⸢ニーブイカー⸣ブイ [⸢niːbuikaː⸣bui] 名 こくりこくりと居眠りすること。ねぼける(寝惚ける)。ぼんやりする。ABCDEBCD型の重言。強調表現。 ⸢ニーブイカー⸣ブイ ⸢サンドー⸣シ ⸢ダンダン⸣シ シ⸢グトゥ シー⸣バ [⸢niːbuikaː⸣bui ⸢sandoː⸣ʃi ⸢dandaŋ⸣ʃi ʃi⸢gutu ⸢ʃiː⸣ba] (居眠りしないで、さっさと急いで仕事をしなさいよ) 12293 0 0 11947 htmvoc_12293.wav ニーフダ ⸢ニー⸣フダ [⸢niː⸣ɸuda] 名 荷札。 ⸢ニー⸣フダ シ⸢キラン⸣カー トゥ⸢ドゥカ⸣ヌ [⸢niː⸣ɸuda ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː tu⸢duka⸣nu] (荷札を付けないと届かない) 12335 0 0 11948 htmvoc_12335.wav ニーブター ⸣ニーブター [⸣niːbutaː] 名 悪性の腫れ物(おでき)。⸢膿瘍(abscess)、細菌性または非細菌性でおこる化膿性の病気。小児に多い」『医学沖縄語辞典』。大腿部、臀部などの脂肪の多い部分に生ずる腫れ物。「Nebuto.ネブト(根太)癤瘍(せつよう)~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーラン⸣ ユンダ カ⸢ティヌ⸣ アル プ⸢スヌル⸣ ク⸢ビン⸣ヌ バ⸢リ⸣シ ⸣ニーブター バ⸢リティ アーソーッ⸣タ [ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːraɲ⸣ junda kḁ⸢tinu⸣ ʔaru pu̥⸢sunuru⸣ ku⸢bin⸣nu ba⸢ri⸣ʃi ⸣niːbutaː ba⸢riti ʔaːsoːt⸣ta] (医者がおられないので、経験のある人<勝手の分かる人>が瓶の鋭利な破片でお出来<根太>を切開して膿みを出された)。 ム⸢ムッ⸣タラナー ⸣ニーブターヌ ⸣ンジティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢mut⸣taranaː ⸣niːbutaːnu ⸣ʔnʤiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (腿にねぶと<根太>ができて、痛くて堪らない) 12360 0 0 11949 htmvoc_12360.wav ニーブター ⸣ニーブター [⸣niːbutaː] 名 (動)魚の名。ヨコシマタマガシラ(体長約20センチ{EOS}糸満方言では、ヒシムチグヮ―)という。ム⸢チイズ[mu⸢ʧiiʣu]に似ている 12340 0 0 11950 htmvoc_12340.wav ニーブターアースン ⸣ニーブター ⸢アースン [⸣niːbutaː ⸢ʔaːsuŋ] 連 おでき<膿腫>を切開して膿を出す。悪性の腫物を切開して膿を出す 12348 0 0 11951 htmvoc_12348.wav ニーブヤー ⸢ニーブヤー [⸢niːbujaː] 名 よく居眠りするひと。寝坊。 ⸢ニーブヤーヤー キュー⸣ユン ⸢ニーヌブルタン⸣ガー ⸢シーティ⸣ パ⸢タラカンバン [⸢niːbujaːja kjuː⸣jun ⸢niːnuburutaŋ⸣gaː ⸢ʃiːti⸣ pḁ⸢tarakambaŋ] (居眠り野郎は今日も居眠りだけして働かないよ)。寝坊助。 ⸢ニーブヤーヤ⸣ キューンタ ア⸢サ⸣ニビ ⸢シー ベー⸣バン⸢ナー [⸢niːbujaːja⸣ kjuːnta ʔa⸢sa⸣nibi ⸢ʃiː beː⸣ban⸢naː] (寝坊助は今日もまた朝寝坊をしているんだねえ) 12341 0 0 11952 htmvoc_12341.wav ニープリパープリ ⸢ニー⸣プリ ⸣パープリ [⸢niː⸣puri ⸣paːpuri] 副 根掘り葉掘りして。 ⸢ニー⸣プリ ⸣パープリ プ⸢スン⸣ヤヌ ⸣クトー ス⸢ク⸣ ム⸢ノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢niː⸣puri ⸣paːpuri pu̥⸢suɲ⸣janu ⸣ku̥toː su̥⸢ku⸣ mu⸢noː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (根掘り葉掘り他所の家のことを聞くものでない) 12342 0 0 11953 htmvoc_12342.wav ニーブル ⸢ニーブル [⸢niːburu] 名 居眠り。若年層が多く用いる。老年層は⸢ニーヌブル[⸢niːnuburu](居眠り)という。 バ⸢カー⸣ムノー ⸢ユー⸣キ ⸢スンダル ニーブル スー [ba⸢kaː⸣munoː ⸢juː⸣ki ⸢sundaru niːburu suː] (若者は夜更かしするから居眠りするのだ) 12345 0 0 11954 htmvoc_12345.wav ニーブルカーブル ⸢ニーブルカー⸣ブル [⸢niːburukaː⸣buru] 名 しきりに居眠りすること。コクリコクリ居眠りすること。しきりに眠気がさすこと。⸢ニーブル[⸢niːburu](居眠り)を強調した、ABCDEBCD形の重言。若年層は⸢ニーブイカー⸣ブイ[⸢niːbuikaː⸣bui](しきりに居眠りすること)ともいうが、これは首里方言からの借用語。⸢カー⸣ブル[⸢kaː⸣buru]は「かぶり<頭>」の義とする説あり『石垣方言辞典』。 ⸢ニーブルカー⸣ブル ⸢シェー⸣テー シ⸢グトー⸣ マイ ⸢ユーザヌ [⸢niːburukaː⸣buru ⸢ʃeː⸣teː ʃi⸢gutoː⸣ mai ⸢juːʣanu] (居眠りたらたらしては仕事は前に進まない) 12343 0 0 11955 htmvoc_12343.wav ニーブルスン ⸢ニーブル スン [⸢niːburu suŋ] 連 居眠りする。 ⸣バタ ⸣ミツカー ⸢ニーブル スン [⸣bata ⸣miʦukaː ⸢niːburu suŋ] (満腹すると<腹満つと>居眠りする) 12346 0 0 11956 htmvoc_12346.wav ニーブルナキ ⸢ニーブルナキ [⸢niːburunaki] 名 乳幼児が寝たがって泣くこと。「眠り泣き」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ニーブルナキ シーベー⸣バ ⸢パー⸣ク ニ⸢バシ [ja⸢ra⸣beː ⸢niːburunaki ʃiːbeː⸣ba ⸢paː⸣ku ni⸢baʃi] (子供は居眠り泣きしているから、早く寝かせなさい) 12347 0 0 11957 htmvoc_12347.wav ニーブルミー ⸢ニーブルミー [⸢niːburumiː] 名 眠たそうな目つき。「居眠り目」の義。眠気を催した目つき。今にも眠りそうな目付き。ダ⸢リ⸣ミー[da⸢ri⸣miː](だれ目{EOS}疲れた目つき)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ニーブルミー シーベー⸣バン ニ⸢バシ⸣バ [ku⸢nu⸣ f⸢faː niːburumiː ʃiːbeː⸣ban ni⸢baʃi⸣ba] (この子は眠たそうな目付きをしているよ{EOS}寝かせなさいよ) 12344 0 0 11958 htmvoc_12344.wav ニープルン ⸣ニー ⸣プルン [⸣niː ⸣puruŋ] 連 さらけだす(\ruby{曝}{サラ}け出す)。「根を掘る」の義。よからぬ事をして、親や先祖の失敗や悪い事までも世間にさらけ出すこと。 サ⸢キバ⸣ ヌミ プ⸢ストゥ⸣ アイティ ウ⸢ヤ⸣ヌ ッ⸢ふァティ⸣ ア⸢ザリ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ニー ⸣プリ ⸢アー⸣ク [sḁ⸢kiba⸣ numi pu̥⸢sutu⸣ ʔaiti ʔu⸢ja⸣nu f⸢fa⸣ti ʔa⸢ʣari⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣niː ⸣puri ⸢ʔaː⸣ku] (酒を飲んで他人と喧嘩し、親の子だなあといわれ、親の旧悪まで\ruby{曝}{サラ}け出して<根を掘って>いるよ) 12294 0 0 11959 htmvoc_12294.wav ニームチ ⸢ニーム⸣チ [⸢niːmu⸣ʧi] 名 荷物。 ⸢ニームチ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ⸢タンガ⸣シェー ム⸢タラ⸣ヌ [⸢niːmuʧi⸣nu ⸢goː⸣raːnda ⸢taŋga⸣ʃeː mu⸢tara⸣nu] (荷物が多いから一人では持てない)。 ⸢ワー ニーム⸣チェー ⸢ヌー⸣トゥ ⸣ヌーヤ [⸢waː niːmu⸣ʧeː ⸢nuː⸣tu nuːja] (君の荷物はどれとどれ<何と何>か)。 ⸢ニーム⸣チェー ⸢パー⸣ク ⸣フネー ⸢ヌーシ [⸢niːmu⸣ʧeː ⸢paː⸣ku ⸣ɸuneː ⸢nuːʃi] (荷物は早く船に載せなさい)。 タ⸢ベーラヌ ニーム⸣チ [ta⸢beːranu niːmu⸣ʧi] (旅からの荷物) 12295 0 1 11960 htmvoc_12295.wav ニームトゥ ⸢ニー⸣ムトゥ [⸢niː⸣mutu] 名 {Mn_1}根本。根っこ。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサー ⸢ニー⸣ムトーラ ⸢コーシ<⸢ソーリ> [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssaː ⸢niː⸣mutoːra ⸢koːʃi⸣ba<⸢soːri>] (畑の雑草は根っこから引き抜け<引き起こせ>) 12295 0 2 11961 htmvoc_12295.wav ニームトゥ ⸢ニー⸣ムトゥ [⸢niː⸣mutu] 名 {Mn_2}基本となるところ。血統関係における本家。 ム⸢トゥ⸣ヌ サ⸢カリバル⸣ ユ⸢ダパニン⸣ サ⸢カル [mu⸢tu⸣nu sḁ⸢karibaru⸣ ju⸢dapanin⸣ sḁ⸢karu] (根本<本家>が栄えたらば<栄えて>こそ分家<枝>も栄える) 12364 0 0 11962 htmvoc_12364.wav ニームトゥ ⸢ニーム⸣トゥ [⸢niːmu⸣tu] 名 根元。根源。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ニー⸣ムトーラ ⸢バイ⸣ヌ ⸣ンジケーン [⸢kiː⸣nu ⸢niː⸣mutoːra ⸢bai⸣nu ⸣ʔnʤikeːŋ] (木の根元から芽が出てきた)。 フ⸢クンキーヤ スー⸣ワンダ ⸢タイ⸣フーナーン ユ⸢ダー⸣ ブ⸢ル⸣バン ⸢ニーム⸣トー ブ⸢リラ⸣ヌ [ɸu̥⸢kuŋkiːja suː⸣wanda ⸢tai⸣ɸuːnaːɲ ju⸢daː⸣ bu⸢ru⸣ban ⸢niːmu⸣toː bu⸢rira⸣nu] (福木は強いから、台風で枝は折れても根元は折れない) 12324 0 0 11963 htmvoc_12324.wav ニーヤーニーヤーシ ニー⸢ヤーニーヤー⸣シ [niː⸢jaːniːjaːʃi] 副 どことなく似ているさま。⸢ワター⸣ ニー⸢ヤーニーヤー⸣シ ⸢ブーヌ⸣ ウ⸢トゥザ?。⸢クイ⸣ユン ニー⸢ヤーニーヤー⸣シル ⸢ブーバン[⸢wataː⸣ niː⸢jaːniːjaː⸣ʃi ⸢buːnu⸣ ʔu⸢tuʣa。kui⸣jun niː⸢jaːniːjaː⸣ʃiru ⸢buːbaŋ](君達はどことなく似ているが親戚か{EOS}声もどことなく似ているよ) 12365 0 0 11964 htmvoc_12365.wav ニーヤーン ⸢ニーヤー⸣ン [⸢niːjaː⸣ŋ] 形 似ている。似ているさま。 ウ⸢ヤッ⸣ふァ フ⸢ターロー⸣ イッ⸢ケナ ニーヤー⸣ン [ʔu⸢jaf⸣fa ɸu̥⸢taːroː⸣ ʔik⸢kena niːjaː⸣ŋ] (親子二人は非常に似ている)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ニーヤー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢niːjaː naː⸣nu] (あまり似ていない)。 ⸣ドゥク ⸢ニーヤー⸣ティ ⸢バッ⸣パイ ⸢ナーン⸣シェン [⸣duku ⸢niːjaː⸣ti ⸢bap⸣pai ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (あまりにも似ているので取り違えてしまった)。 ⸣アイニ ⸢ニーヤー⸣ル ⸣ムヌティン ア⸢リ⸣ブバン [⸣ʔaini ⸢niːjaː⸣ru munutiŋ ʔa⸢ri⸣bubaŋ] (あんなに似ているものとてもあるものだ)。 ⸣アイニ ⸢ニーヤー⸣カー ター⸢ン バッパイ⸣スヨー [⸣ʔaini ⸢niːjaː⸣kaː taː⸢m bappai⸣sujoː] (あんなに似ているのなら誰でも取り違えるよ) 12296 0 1 11965 htmvoc_12296.wav ニーラ ⸣ニーラ [⸣niːra] 副 {Mn_1}根っから。もとから。全くの。生来の。 ウ⸢レー⸣ ニーラヌ ピ⸢ジガンク [ʔu⸢reː⸣ niːranu pi⸢ʤigaŋku] (彼は根っから<生来>のけちんぼだ)。 12296 0 2 11966 htmvoc_12296.wav ニーラ ⸣ニーラ [⸣niːra] 副 {Mn_2}下に打消しの陳述を伴って、「決して~ない」。「一向に~ない」の意を表す。 ウ⸢リトー⸣ ニーラ シ⸢グトー シープサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢ritoː⸣ niːra ʃi⸢gutoː ʃiːpusaː naː⸣nu] (彼とは全く<根っから>仕事をしたくない) 12366 0 0 11967 htmvoc_12366.wav ニーラコーラ ⸢ニー⸣ラコーラ [⸢niː⸣rakoːra] 副 一生懸命。しつこく。隅々まで入念に。根掘り葉掘り。 ⸢ニー⸣ラコーラ ミ⸢ナカ⸣ヌ ⸣ッサ ⸢ソールンティ ベー [⸢niː⸣rakoːra mi⸢naka⸣nu ⸣ssa ⸢soːrunti beː] (隅々まで入念に庭の草を根こそぎに取ろう<さくろう{EOS}\ruby{刳}{サク}ろう>としている)。 ⸢ニー⸣ラコーラ フ⸢ジ⸣リ ス⸢クン⸣ツォー [⸢niːra⸣koːra ɸu⸢ʤi⸣ri su̥⸢kun⸣ʦoː] (根堀り葉堀りほじくり<穿り>かえして聞くそうだ)。⸢ネーランケー⸣リ[⸢neːraŋkeː⸣ri](入念に)ともいう 12367 0 0 11968 htmvoc_12367.wav ニーラスク ⸣ニーラスク [⸣niːrasu̥ku] 名 幽界。根の国。地の底。「根の底」の義。⸢ニー⸣レースク[⸢niː⸣reːsu̥ku](根の底)ともいう。遙か彼方。地底に幽界があると考えられている。⸣シチ[⸣ʃi̥ʧi](節祭り)の夜、井戸の側で鍋蓋を被ってうずくまっていると、井戸の底からあの世の生活情報が聞こえてくるという。その音を聞いて、どの家にどんなことが起きるか判断できたという。 シ⸢チ⸣ヌ ⸢ユー⸣ル ⸢カーヌ⸣ パ⸢タ⸣ナー ナ⸢ビ⸣ヌフタ ⸣カビティ ス⸢ク⸣マリ ⸢ベー⸣ルカー グ⸢ソー⸣ヌ ウ⸢トゥヌ⸣ シゥ⸢カリタン⸣ツォー [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸢juː⸣ru ⸢kaːnu⸣ pḁ⸢ta⸣naː na⸢bi⸣nuɸu̥ta ⸣kabiti su̥⸢ku⸣mari ⸢beː⸣rukaː gu⸢soː⸣nu ʔu⸢tunu⸣ sï̥⸢karitan⸣ʦoː] (節祭りの夜、井戸端で鍋蓋を被ってうずくまっていると後生の世界の音が聞こえたそうだ) 12297 0 0 11969 htmvoc_12297.wav ニーラスラーバーキ ⸣ニーラ ⸣スラー ⸢バー⸣キ [⸣niːra ⸣suraː ⸢baː⸣ki] 連 全部。総て。「根から梢まで」の義。 ⸢ワー⸣クトー ⸣ニーラ ⸣スラー ⸢バー⸣キ ッ⸢シフカシル ブー [⸢waː⸣ ku̥toː ⸣niːra ⸣suraː ⸢baː⸣ki ʃ⸢ʃiɸukaʃiru buː] (君のことは頭のてっぺんから足の先<根から梢>まで、総て知り尽くしている) 12368 0 0 11970 htmvoc_12368.wav ニーラブチ ⸢ニーラブ⸣チ [⸢niːrabu⸣ʧi] 名 (動)ガ⸢バ⸣ラ[ga⸢ba⸣ra](スズメダイ)の仲間。珊瑚礁の中に住む熱帯魚。 ⸢ニーラブ⸣チーン バ⸢カス⸣カー ン⸢マーン⸣ダー [⸢niːrabu⸣ʧiːm ba⸢kasu̥⸣kaː ʔm⸢maːn⸣daː] (ニーラブチ魚も煮たら美味しいよ) 12369 0 0 11971 htmvoc_12369.wav ニーリ ⸢ニーリ [⸢niːri] 名 右。「みぎり<右>」の転訛。「左みぎりに着座して」『謡曲・<草子洗>』。 ⸢ニーリヌ⸣ ティーシ ⸣ムティバ [⸢niːrinu⸣ tiːʃi ⸣mutiba] (右の手で 持てよ)。 ⸢ニーレー⸣ ン⸢カイ⸣バ [⸢niːreː⸣ ʔŋ⸢kai⸣ba] (右へ向きなさいよ)。 ピ⸢ダリ⸣トゥ ⸢ニーリヌ⸣ ティーシ ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サミ⸣バ [pi⸢dari⸣tu ⸢niːrinu⸣ tiːʃi git⸢ti⸣ ka⸢sami⸣ba] (左と右の手でぎゅっとつかめ<掴め>よ) 12370 0 0 11972 htmvoc_12370.wav ニーリッふァイ ⸢ニーリ⸣ッふァイ [⸢niːri⸣ffai] 名 飽き飽きした食べ方。嫌嫌ながら食べること。 ⸣アイニ ⸢ニーリ⸣ッふァイ ⸢サンドー⸣シ ⸢ミー⸣ザタンティン ウ⸢ヤ⸣ヌ バ⸢カソー⸣レー ⸢イー⸣ヤ ンマー⸢ンマー⸣シ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣ʔaini ⸢niːri⸣ffai ⸢sandoː⸣ʃi ⸢miː⸣ʣatantiŋ ʔu⸢ja⸣nu ba⸢kasoː⸣reː ⸢ʔiː⸣ja ʔmmaː⸢ʔmmaː⸣ʃi f⸢fai⸣ba] (そんなに飽き飽きした食べ方をしないで、不味くても親が炊かれたご飯は美味しく<⸢~味母不在~{EOS}ウマクモアラズ{EOS}万、3857」の義>食べなさい) 12371 0 0 11973 htmvoc_12371.wav ニーリティー ⸢ニーリティー [⸢niːritiː] 名 右手。ピ⸢ダリ⸣ティー[pi⸢dari⸣tiː](左手)の対義語。 ⸢ニーリティー⸣シル ⸣パシェー ⸣ムトゥ ピ⸢ダリ⸣ティーシェー ム⸢タ⸣ヌ [⸢niːritiː⸣ʃiru ⸣paʃeː ⸣mutu pi⸢dari⸣tiːʃeː mu⸢ta⸣nu] (右手でぞ箸は持つ<のであって>、左手では待たない) 12375 0 0 11974 htmvoc_12375.wav ニールン ⸢ニールン [⸢niːruŋ] 自動 似る。「~猿二鴨似<ニム>」(万、344)の転訛したもの。 ⸢キョーダイ⸣サー ⸢ニールンティ⸣ ア⸢ザリ ブーンドゥ ウッ⸣ツァー ⸢ナン⸣ゾー ⸢ニーランバン [⸢kjoːdai⸣saː ⸢niːrunti⸣ ʔa⸢ʣari buːndu ʔut⸣ʦaː ⸢nan⸣ʣoː ⸢niːrambaŋ] (兄弟は似るといわれているが、彼らはあまり似ないよ)。古老は、⸢ピッ⸣チン ⸢ニューヌ[⸢pit⸣ʧin ⸢ɲuːnu](ちっとも似ない)ともいう。 ⸣アイニ ⸢ニーベーン⸣ティ ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔaini ⸢niːbeːn⸣ti ⸢ge⸣ra] (あんなによく似ているさ)。 ⸢ニール⸣ ワケー ⸢ナー⸣ヌ [⸢niːru⸣ wakeː ⸢naː⸣nu] (似るわけがない)。 ビ⸢ケー⸣ラン ブ⸢ネーン ニーヤー⸣ ミサムヌ [bi⸢keː⸣ram bu⸢neːn niːjaː⸣ misamunu] (父親よりも母親に似ればいいのに)。 ⸢ニーレー⸣ ミサムヌ [⸢niːreː⸣ misamunu] (似たら良いのに)。 ⸣ウヤン ⸢ニー⸣バ [⸣ʔujan ⸢niː⸣ba] (親に似よ)。 ⸣ウヤン ⸢ニーリ⸣バ [⸣ʔujan ⸢niːri⸣ba] (親に似れよ) 12376 0 0 11975 htmvoc_12376.wav ニールン ⸢ニールン [⸢niːruŋ] 自動 煮える。 ⸢イー⸣ヤ プ⸢スマバー⸣キナ ⸢ニールンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ダ ニーランバン [⸢ʔiː⸣ja pu̥⸢sumabaː⸣kina ⸢niːrunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢da niːrambaŋ] (ご飯は正午までには煮えると思ったが、まだ煮えないよ)。 キサー⸢ティ ニーヤー⸣ン [kisaː⸢ti niːjaː⸣ŋ] (すでに煮えたよ)。 ⸢ニーキシル ブー [⸢niːkiʃiru buː] (すっかり煮えている)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢ニール⸣ ワケー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢niːru⸣ wakeː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く煮える訳がない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニーヤー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢niːjaː⸣ misamunu] (早く煮えればいいのに)。⸢パー⸣ク ⸢ニーレー⸣ ミサムヌ[⸢paː⸣ku ⸢niːreː⸣ misamunu](早く煮えればいいのに)ともいう。 ⸢パー⸣ク ⸢ニーリ [⸢paː⸣ku ⸢niːri] (早く煮えよ) 12377 0 0 11976 htmvoc_12377.wav ニールン ⸢ニー⸣ルン [⸢niː⸣ruŋ] 他動 握る。 ⸣バー ⸢ティ―⸣バ ギッ⸢ティ ニー⸣リティ パ⸢ナサ⸣ヌ [⸣baː ⸢tiː⸣ba git⸢ti niː⸣riti pa⸢nasa⸣nu] (私の手をぎゅっと握って放さない)。 ⸢ニーリティー⸣シ ⸢ニー⸣ルンティ ⸢スンドゥ ニーラ⸣ラヌ [⸢niːritiː⸣ʃi ⸢niː⸣runti ⸢sundu niːrara⸣nu] (右手で握ろうとするが、握られない)。 ⸢ニーリティーヤ⸣ ヤミティ ⸢ニー⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢niːritiːja⸣ jamiti ⸢niː⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (右手は痛くて握ることは出来ない)。 ピ⸢ダリ⸣ティーシ ⸢ニー⸣レー ⸣ミサムヌ [pi⸢dari⸣tiːʃi ⸢niː⸣reː ⸣misamunu] (左手で握ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢niː⸣ri] (早く握れ) 12378 0 1 11977 htmvoc_12378.wav ニールン ⸢ニー⸣ルン [⸢niː⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}こねる(捏ねる)。ひねる(捻る)。 シゥ⸢カラ⸣ ンジ ⸢ニー⸣リ ⸣ミリバ [sï̥⸢kara⸣ʔnʤi ⸢niː⸣ri ⸣miriba] (力を出してひねて<捻て>みなさい)。 12378 0 2 11978 htmvoc_12378.wav ニールン ⸢ニー⸣ルン [⸢niː⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}つねる(抓る)。 シ⸢ビッタラ ニー⸣リ トゥ⸢ラ⸣シ [ʃi⸢bittara niː⸣ri tu⸢ra⸣ʃi] (臀部をつねって<抓って>やれ) 12379 0 0 11979 htmvoc_12379.wav ニールン ⸢ニー⸣ルン [⸢niː⸣ruŋ] 自動 \ruby{飽}{アキ}る。うんざりする。ア⸢キルンとも言う。 ⸢ウン⸣マー ⸢ニールンケン ッ⸢ふァーサリタンドゥ⸣ バー ⸢ニーラン⸣シェン [⸢ʔum⸣maː ⸢niː⸣ruŋkeŋ f⸢faːsaritandu⸣ baː ⸢niːraŋ⸣ʃeŋ] (サツマイモは飽きるほど食べさせられたが、私は飽きなかった)。 ⸢ウン⸣マー ⸢ニー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔum⸣maː ⸢niː⸣ri ⸢naː⸣nu] (サツマイモは飽きてしまった)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン ニー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːban niː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (いくら食べても飽きることはない)。 ⸢ニー⸣レーラー ミ⸢リ⸣プサン ⸢ナー⸣ヌ [⸢niː⸣reːraː mi⸢ri⸣pusan ⸢naː⸣nu] (飽きたら見たくもない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ニー⸣リバ [⸢paː⸣ku ⸢niː⸣riba] (早く飽きよ) 12372 0 0 11980 htmvoc_12372.wav ニーレーヌコンチェンマ ⸣ニーレーヌ コン⸢チェン⸣マ [⸣niːreːnu kon⸢ʧem⸣ma] 連 (動)昆虫の名。けら(螻)『八重山語彙』。湿った土の中から出てくるという。死語化しつつある。 ⸣ニーレーヌ コン⸢チェン⸣マティ ⸢スー⸣ ム⸢シェー⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣niːreːnu kon⸢ʧem⸣mati ⸢suː⸣ mu⸢ʃeː⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (けら<螻>という虫は見たことがない) 12350 0 0 11981 htmvoc_12350.wav ニーレンツー ⸢ニー⸣レンツー [⸢niː⸣renʦuː] 名 みりん(味醂)。「味醂酒」の義。石垣方言からの転訛。滅多に作らなかった。 ン⸢ブシ⸣ムヌナー ⸢ニー⸣レンツー ⸣カクカー ン⸢マーン⸣ダー [ʔm⸢buʃi⸣mununaː ⸢niː⸣renʦuː ⸣kḁkukaː ʔm⸢maːn⸣daː] (蒸し物に味醂をかけると美味しいよ)。 ウ⸢ヤ⸣キヤーナーテー ⸢ニー⸣レンツーン ス⸢ク⸣リ ン⸢コーッ⸣タンツォー [ʔu⸢ja⸣kijaːnaːteː ⸢niː⸣renʦuːn su̥⸢ku⸣ri ʔŋ⸢koːt⸣tanʦoː] (金持ちの家では味醂も造って召し上がられたそうだ) 12373 0 0 11982 htmvoc_12373.wav ニーレンツォー ⸢ニー⸣レンツォー [⸢niː⸣renʦoː] 名 地底の人。根の国の人。後生の人。あの世の人。 ム⸢カ⸣シプソー グ⸢ソーンプス⸣バ ⸢ニー⸣レンツォーティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː gu⸢soːmpusu⸣ba ⸢niː⸣renʦoːti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は後生の人をニーレンツォーと言われた) 12385 0 0 11983 htmvoc_12385.wav ニカ ⸣ニカ [⸣nika] 名 今夜。今晩。 プ⸢スマー⸣ イ⸢スガサ⸣ヌ キ⸢ララ⸣ヌ ニ⸢カ⸣ル キ⸢ラ⸣リ [pu̥⸢sumaː⸣ ʔi⸢sugasa⸣nu ki⸢rara⸣nu ni⸢ka⸣ru ki⸢ra⸣ri] (昼間は忙しくて来られない{EOS}今晩が<ぞ>来られる) 12386 0 1 11984 htmvoc_12386.wav ニガイ ⸣ニガイ [⸣nigai] 名 {Mn_1}願い。願い事。歌謡語。/ウマンチュヌ ニガイヤヨー アカカラジヌ ニガイヤヨー ハーリ アミタバリ リューガナシ/(庶民の願いは、百姓の願いは、はーり、雨をお恵み下さい竜神さま)(アマングイウタ<雨乞い歌>)。神事に関する祈願は、日常会話では、⸢ニン⸣ガイ[⸢niŋ⸣gai](祈願)というのが普通である。「~なほし祢我比都千歳の命を。万、4470」の義。若年層はこれを⸣ニガイ[⸣nigai](祈願)というようになっている。⸢ウンキヌニン⸣ガイ[⸢ʔuŋkinu niŋ⸣gai](運気の祈願)、⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai](屋敷の祈願)のようにいうのが普通。 12386 0 2 11985 htmvoc_12386.wav ニガイ ⸣ニガイ [⸣nigai] 名 {Mn_2}⸣ニガイ[⸣nigai](願い)は、発話者の希望や願望を表す。/ウマンチュヌ ニガイヤヨー アカカラジヌ ニガイヤヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ/(御万人<人民>の願いは、百姓の願いは、ああ雨を賜れ、竜神さま)(雨乞い歌{EOS}<ハヤミク>)『鳩間島古典民謡古謡集』 12387 0 0 11986 htmvoc_12387.wav ニガイグトゥ ニ⸢ガイ⸣グトゥ [ni⸢gai⸣gutu] 名 願い事。 ム⸢ラヌ⸣ ニ⸢ガイグトゥ⸣バ シ⸢キトゥドゥキ⸣ タ⸢ボー⸣リ フ⸢コーラサ [mu⸢ranu⸣ ni⸢gaigutu⸣ba ʃi̥⸢kituduki⸣ ta⸢boː⸣ri ɸu̥⸢koːrasa] (村の願い事を聞き届けてくださり、有難うございます) 12391 0 0 11987 htmvoc_12391.wav ニガイシキルン ニ⸢ガイシキ⸣ルン [ni⸢gaiʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 深く祈る。深く祈願する。一所懸命に祈る。 ⸢ヤーニンズ⸣ヌ ⸣ドゥーパダニガイ ニ⸢ガイシキ⸣ルンティ ⸢ベー [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpadanigai ni⸢gaiʃi̥ki⸣runti ⸢beː] (家族の健康祈願を深く祈ろうとしている)。 ⸢カンヌ⸣マイ ニ⸢ガイシキル⸣バ ⸣ドゥーパダ ⸢ガン⸣ズーシ パ⸢タラキ⸣ヨー [⸢kan⸣numai ni⸢gaiʃi̥kiru⸣ba ⸣duːpada ⸢gan⸣ʣuːʃi pḁ⸢taraki⸣joː] (神様に深く祈願するから、からだ健康<頑丈>で働きなさいよ)。 ニ⸢ガイ⸣シキ ッ⸢ふィーリ [ni⸢gai⸣ʃi̥ki f⸢fiːri] (深く祈ってくれ)。 ニ⸢ガイシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ni⸢gaiʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (深く祈ればいいのに)。 ⸢カンヌ⸣マイ ニ⸢ガイシキ⸣リ [⸢kannu⸣mai ni⸢gaiʃi̥ki⸣ri] (神 様の前に一所懸命祈りなさい) 12392 0 0 11988 htmvoc_12392.wav ニガイスクン ニ⸢ガイ⸣スクン [ni⸢gai⸣su̥kuŋ] 他動 深く祈る。深く祈願する。一所懸命に祈る。 ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ ニ⸢ガイ⸣スクン [⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ ni⸢gai⸣su̥kuŋ] (健康を深く祈願する)。 ク⸢トシェー⸣ マ⸢ダ⸣ ニ⸢ガイシゥカ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃeː⸣ ma⸢da⸣ ni⸢gaisï̥ka⸣nu] (今年はまだ祈らない)。 ニ⸢ガイ⸣シキ ッ⸢ふィーリ [ni⸢gai⸣ʃi̥ki f⸢fiːri] (深く祈ってくれ)。 ニ⸢ガイ⸣スク ⸣クトゥ [ni⸢gai⸣su̥ku ⸣ku̥tu] (深く祈ること)。 ニ⸢ガイスク⸣バ カ⸢リユ⸣シ ⸢シー オー⸣リ [ni⸢gaisu̥ku⸣ba ka⸢riju⸣ʃi ⸢ʃiː ʔoː⸣ri] (一生懸命祈願しますから航海安全<嘉例吉>の旅行をしてください)。 ニ⸢ガイ⸣シケー ⸣ミサムヌ [ni⸢gai⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (深く祈ればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ニ⸢ガイシ⸣キ [jaː⸢din⸣ ni⸢gai⸣ʃi̥ki] (必ず深く祈れ) 12393 0 0 11989 htmvoc_12393.wav ニガイプス ニ⸢ガイ⸣プス [ni⸢gai⸣pu̥su] 名 祈願者。⸢ニンガイ⸣プス[⸢niŋgai⸣pu̥su](祈願する人)ともいう。普通はサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)が担当するが、司に準じて神仏に祈願することの出来る親戚縁者の老婆が担当することもある。神仏に祈願することを職能とする人。祈願する人。 ニ⸢ガイ⸣プス タ⸢ナ⸣ミ ヤ⸢ミプス⸣ヌ マ⸢ブ⸣ル ⸣クミ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ni⸢gai⸣pu̥su ta⸢na⸣mi ja⸢mipusu⸣nu ma⸢bu⸣ru ⸣kumi f⸢fiːri⸣ba] (祈願する人を頼んで病人のマブル<遊離魂>を呼び戻して肉体内に籠めてやりなさいよ) 12394 0 0 11990 htmvoc_12394.wav ニガイブスク ニ⸢ガイブス⸣ク [ni⸢gaibusu̥⸣ku] 名 祈願不足。老年層は、⸢ニンガイブス⸣ク[⸢niŋgaibusu̥⸣ku](祈願不足)という。 ⸢ウン⸣ネナー ニ⸢ガイブスク⸣ヌ ⸣アルティル ⸢キーラ⸣ ンジェーティ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソー⸣ルツォー [⸢ʔun⸣nenaː ⸢nigaibusu̥ku⸣nu ⸣ʔarutiru ⸢kiːra⸣ ʔnʤeːti ⸢niŋ⸣gai ⸢soː⸣ruʦoː] (その家には祈願不足があるとて易者<三世相>の占い<卦>からその判断が出たので、祈願をされるそうだ) 12395 0 0 11991 htmvoc_12395.wav ニガイフチ ニ⸢ガイ⸣フチ [ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi] 名 のりと(祝詞)。⸢ニンガイ⸣フチ[⸢niŋgai⸣ɸu̥ʧi](祝詞)ともいう。 ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸢カン⸣フチ ニ⸢ガイ⸣フチ ウ⸢キ⸣トゥルンティ ⸣ユー ア⸢ツァ⸣マローッタン [⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢kaŋ⸣ɸu̥ʧi ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi ʔu⸢ki⸣turunti ⸣juː ʔa⸢ʦa⸣maraoːttaŋ] (神職者<司や手摺り部>たちは呪詞<神口>や祝詞を伝授する<受け取る>ためによく集まられた) 12396 0 0 11992 htmvoc_12396.wav ニカイヤー ⸣ニカイヤー [⸣nikaijaː] 名 二階建。「二階家」の義。鳩間島に二階建の家はなかった。鰹節製造工場の⸢バイカン⸣ヤー[⸢baikaŋ⸣jaː](焙乾屋)は切妻屋根の構造で、中二階、屋根裏部屋の三段に仕切られていた。最上段まで上げて焙乾し、燻製にした鰹節を⸣ピギテイ[⸣pigiti](表面を削って<剥いで>)製品化して出荷した。 イ⸢サナケー⸣ パ⸢ラバ⸣ル ⸣ニカイヤーヤ ミ⸢ラリ⸣タ [ʔi⸢sanakeː⸣ pa⸢raba⸣ru ⸣nikaijaːja mi⸢rari⸣ta] (石垣島へ行ったらばこそ二階建の家は見られたものだ<行かないと見られない>)。二階屋。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸣ニカイヤーヤ ⸢ナーン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaːja ⸣nikaijaːja ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島には二階屋はなかった) 12398 0 0 11993 htmvoc_12398.wav ニガイルン ニ⸢ガイ⸣ルン [ni⸢gai⸣ruŋ] 他動 願う。祈る。祈願する。 ⸣バーラ パ⸢ジミ⸣ ニ⸢ガイ⸣ルン [⸣baːra pa⸢ʤimi⸣ ni⸢gai⸣ruŋ] (私から最初に祈願する)。 ニ⸢ガイラ⸣ヌ [ni⸢gaira⸣nu] (祈願しない)。 ニ⸢ガイ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ni⸢gai⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (祈願することはない)。 ⸢パー⸣ク ニ⸢ガイ⸣リ [⸢paː⸣ku ni⸢gai⸣ri] (早く祈願しなさい) 12388 0 1 11994 htmvoc_12388.wav ニガウン ⸣ニガウン [⸣nigauŋ] 他動 {Mn_1}祈願する。神仏に祈る。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダ ⸢キンコーバ⸣ ニガウンティ ⸢ベー [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpada ⸢kiŋkoːba⸣ nigaunti ⸢beː] (家族の体の健康を祈願しようとしている)。願う。祈る。祈願する。 ⸣バーラ ⸣ニガウン [⸣baːra ⸣nigauŋ] (私から願う<祈る>)。 ⸢ピーチピー⸣チ ニ⸢ガーン⸣ドーシ マ⸢トゥミティ⸣ ニガイバ [⸢piːʧipiː⸣ʧi ni⸢gaːn⸣doːʃi ma⸢tumiti⸣ nigaiba] (一つ一つ願わない<祈らない>で纏めて願いなさい)。 ⸣ニガイ ッ⸢ふィーリ [⸣nigai f⸢fiːri] (願ってくれ{EOS}祈ってくれ{EOS}祈願してくれ)。 ⸣ニガウ プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸣nigau pu̥⸢soː taː⸣ja] (願う人は誰か)。 ニ⸢ガイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ni⸢gai⸣jaː ⸣misamunu] (願えば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ⸣ニガイバ [⸣duːʃi ⸣nigaiba] (自分で願い<祈り>なさいよ)。 12388 0 2 11995 htmvoc_12388.wav ニガウン ⸣ニガウン [⸣nigauŋ] 他動 {Mn_2}お願いする。 ⸢コー⸣チョーシンシン⸢ナー⸣ニ ウ⸢ヌ⸣ クトゥ ⸣ニガイ ッ⸢サリ⸣バ [⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃin⸢naː⸣ni ʔu⸢nu⸣ ku̥tu ⸣nigai s⸢sari⸣ba] (校長先生にそのことをお願い申し上げなさいよ) 12400 0 0 11996 htmvoc_12400.wav ニカヌユー ニ⸢カ⸣ヌ ⸣ユー [ni⸢ka⸣nu ⸣juː] 連 今夜。「今夜の夜」の義。 ニ⸢カ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ⸢マーズン⸣シ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣ラ [ni⸢ka⸣nu ⸢juː⸣ja ⸢maːʣuŋ⸣ʃi ⸣joi ⸢soː⸣ra] (今夜は一緒にお祝いをしましょうよ)。 ニ⸢カ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ⸢プール⸣ヌ ⸢ユードゥー⸣シ [ni⸢ka⸣nu ⸢juː⸣ja ⸢puːru⸣nu ⸢juːduː⸣ʃi] (今夜は豊年祭の夜通し<夜を籠めて祈願する祭り>だ) 12401 0 0 11997 htmvoc_12401.wav ニキマイ ニ⸢キ⸣マイ [ni⸢ki⸣mai] 名 二期作のお米。一期作の稲を収穫した後、田を耕し播種植え付けをして10月頃に稲刈り収穫する稲。蓬莱米が作付けされるようになって水稲の二期作が広まった。 ニ⸢キ⸣マイ ス⸢ク⸣ルカー ⸢ジー⸣ヤ パ⸢ギ⸣ルンダ ⸣ヒリョー イ⸢リラン⸣カー ナ⸢ラン⸣シェン [ni⸢ki⸣mai su⸢ku⸣rukaː ⸢ʤiː⸣ja pa⸢gi⸣runda ⸣çirjoː ʔi⸢riraŋ⸣kaː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (二期作を作ると土地が痩せるので肥料を入れないといけなかった) 12402 0 1 11998 htmvoc_12402.wav ニク ⸣ニク [⸣niku] 名 {Mn_1}肉。豚や牛、猪、山羊の肉等にいう。 ⸢オー⸣ヌ ⸣ニク ⸢カイ⸣ クー [⸢ʔoː⸣nu ⸣niku ⸢kai⸣ kuː] (豚肉を買ってこい)。 ム⸢ムッタラ⸣ヌ ⸣ニク [mu⸢muttara⸣nu ⸣niku] (腿の肉)。 12402 0 2 11999 htmvoc_12402.wav ニク ⸣ニク [⸣niku] 名 {Mn_2}人の筋肉や豚肉や牛肉、猪の肉には⸢シー⸣シ[⸢ʃiː⸣ʃi](肉)という。「肉、之之(しし)、肌膚之肉也」『和名抄』の転訛。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ ⸢シー⸣シフイ ⸢シー ベー [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ⸢ʃiː⸣ʃiɸui ⸢ʃiː beː] (余りにも寒いので身震いしている) 12403 0 0 12000 htmvoc_12403.wav ニクシキヨー ニ⸢クシキ⸣ヨー [ni⸢kuʃi̥ki⸣joː] 名 肉付き。筋肉の付き方。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ニ⸢クシキヨー⸣ヤ ミ⸢グトゥ ユン [ku⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ ni⸢kuʃi̥kijoː⸣ja mi⸢gutu juŋ] (この子の肉付きは見事だ) 12404 0 0 12001 htmvoc_12404.wav ニコミ ニ⸢コミ [ni⸢komi] 名 煮込み。標準語からの借用語か。カツオ漁業の導入によって借用された語であろう。伝統方言では、イ⸢ズネーシ[ʔi⸢ʣuneːʃi](魚煮)という。鰹節製造工場には直径約1、2メートル、深さ約1、5メートルの大釜が三基設置されており、そのイ⸢ズネーシガマ[ʔi⸢ʣuneːʃigama](魚を煮る釜)の中にナカワリ(三枚卸)やヨツワリ(四つ割{EOS}雄節<背肉部>、雌節<腹肉>に分けること)にしたカツオを、直径約90センチ、高さ約10センチの丸いカ⸢グ[ka⸢gu](煮籠)に詰め並べ、その上に新鮮な⸣ガヤー[⸣gajaː](茅)で薄く被い、その煮籠を12~13枚重ねて大きな板の蓋をし、重石を乗せて煮込むこと。煮込んだカツオは大釜の上の滑車にロープをかけて引き上げた 12405 0 0 12002 htmvoc_12405.wav ニザマ ニ⸢ザマ [ni⸢ʣama] 名 寝相。「寝様」の義。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ニ⸢ザマヌ ワッサ⸣ヌ ⸣マジ ウ⸢レー⸣ラ ⸢ノー⸣シ [mi⸢dumu⸣nu ni⸢ʣamanu wassa⸣nu ⸣maʤi ʔu⸢reː⸣ra ⸢noː⸣ʃi] (女のくせに寝相がわるくて大変だ{EOS}先ずは、それから直せ) 12408 0 0 12003 htmvoc_12408.wav ニシ ニ⸢シ [ni⸢ʃi] 名 北。「子・し<風>の方」の義か。 ニ⸢シカジ [ni⸢ʃikaʤi] (北風)。 ニ⸢シンタ [ni⸢ʃinta] (北の方)。 ニ⸢シェーキ [ni⸢ʃeːki] (北側)。 ミ⸢チ⸣ヌ ニ⸢シェーキ⸣ナー ⸢バン⸣テヌ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アン [mi⸢ʧi⸣nu ni⸢ʃeːki⸣na ⸢ban⸣tenu pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaŋ] (道の北側に私の家の畑がある) 12406 0 0 12004 htmvoc_12406.wav ニジ ⸣ニジ [⸣niʤi] 名 ねじ(螺子)。 ニ⸢ジ⸣ヌ ⸢ヨー⸣リ ⸢ベー⸣バ ⸣シミ ⸣シキ [ni⸢ʤi⸣nu ⸢joː⸣ri ⸢beː⸣ba ⸣ʃimi ⸣ʃi̥ki] (螺子が緩んでいるので締めておきなさい) 12407 0 0 12005 htmvoc_12407.wav ニジ ⸣ニジ [⸣niʤi] 名 我慢。堪えること。⸣ニズン[⸣niʣuŋ](我慢する)の連用形から転成した名詞。 ⸢ヤーサ⸣ニジ [⸢jaːsa⸣niʤi] (空複を我慢すること)。 ニ⸢ジ⸣ヌ タ⸢ラーヌ [ni⸢ʤi⸣nu ta⸢raːnu] (我慢がたりない) 12421 0 0 12006 htmvoc_12421.wav ニシェーキ ニ⸢シェーキ [ni⸢ʃeːki] 名 北側。北の方。基準となる地点から連続した北側の地点。 ニ⸢シドー⸣ヌ パ⸢タキ⸣ヌ ニ⸢シェーキナー⸣ル パ⸢チンガカーヤ⸣ アル [ni⸢ʃidoː⸣nu pḁ⸢taki⸣nu ni⸢ʃeːkinaː⸣ru pḁ⸢ʧiŋgakaːja⸣ ʔaru] (西堂の畑の北側にパチンガカー<初の洞穴井戸>はある)。パ⸢ヤー⸣キ[pa⸢jaː⸣ki](南側)の対語。⸢イーリキ[⸢ʔiːriki](西側)、⸢アーリキ[⸢ʔaːriki](東側)参照 12422 0 0 12007 htmvoc_12422.wav ニシェーパヤー ニ⸢シェーパヤー [ni⸢ʃeːpajaː] 名 南北。「北・南」の義。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸣イダフネーラ ニ⸢シェーパヤー⸣ カ⸢ユイヤー⸣ティル ⸢タースク⸣ル ⸢ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣mapusoː ⸣ʔidaɸuneːra ni⸢ʃeːpajaː⸣ ka⸢juijaː⸣tiru ⸢taːsu̥ku⸣ru ⸢soːt⸣ta] (鳩間の人は板舟で<サバニから>鳩間島と西表島の間を北へ南へと通いながら稲作<田作り>をされた) 12409 0 0 12008 htmvoc_12409.wav ニシカジ ニ⸢シカジ [ni⸢ʃikaʤi] 名 北風。 ニ⸢シカジヌ⸣ フクカー ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [ni⸢ʃikaʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣su] (北風が吹くと天気は崩れ<破れ>る) 12446 0 0 12009 htmvoc_12446.wav ニジカンティ ニ⸢ジカン⸣ティ [ni⸢ʤikan⸣ti] 名 こらえ(堪え)兼ねること。動詞の連用形に⸢~カン⸣ティ[⸢~kan⸣ti](~出来ない<不可能>)が付いた形。「~流るる涙 等騰未可祢都母<とどみかねつも>。万、4160」の転訛。 ⸣ユベー バ⸢タ⸣ヌ カ⸢ミラ⸣リ ⸣ヤミティ ニ⸢ジカン⸣ティ ⸢シー ベー⸣タ [⸣jubeː ba⸢ta⸣nu ka⸢mira⸣ri ⸣jamiti ni⸢ʤikan⸣ti ⸢ʃiː beː⸣ta] (昨夜はお腹が差し込むように痛んで、我慢しかねていた) 12410 0 1 12010 htmvoc_12410.wav ニシクビ ニ⸢シクビ [ni⸢ʃikubi] 名 {Mn_1}北壁。家の北壁。 ⸢ヤー⸣ヌ ニ⸢シクビヌ⸣ ヤドー ス⸢ギイツァ⸣シ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸢jaː⸣nu ni⸢ʃikubinu⸣ jadoː su⸢giʔiʦa⸣ʃi su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (家の北壁の戸は杉板で作ってある)。 ニ⸢シクベー⸣ ティ⸢ダ⸣ヌ ア⸢タランダ ヨーリ⸣パヤーン [ni⸢ʃikubeː⸣ ti⸢da⸣nu ʔa⸢taranda joːri⸣pajaːŋ] (北壁は太陽が当たらないので、弱くなりやすい<弱り早い>)。 12410 0 2 12011 htmvoc_12410.wav ニシクビ ニ⸢シクビ [ni⸢ʃikubi] 名 {Mn_2}北の空。四周を取り巻く壁のような大空の北側。北壁。 カ⸢ジェー マーリティ⸣ ニ⸢シクベーラ⸣ ア⸢ミカジ⸣ヌ タ⸢タ⸣キ ⸣ウティクーン [ka⸢ʤeː maːriti⸣ ni⸢ʃikubeːra⸣ ʔa⸢mikaʤi⸣nu tḁ⸢ta⸣ki ⸣ʔutikuːŋ] (風が北へ回って、北壁の空から雨風が叩きつけて吹き降ろしてくる) 12411 0 0 12012 htmvoc_12411.wav ニジッピル ⸣ニジッピル [⸣niʤippiru] 名 二十尋。⸣ピル[⸣piru]は、10未満の数に付く際は⸣ヒル[⸣çiru]といい、両手を左右に広げた時の両手先の間の距離を表して、プ⸢ス⸣ヒル[pu̥⸢su⸣çiru](一尋)、フ⸢タヒル[ɸu̥⸢taçiru](二尋)と数える。10以上を数える際、10、11、13、14、16、18、20の数に⸣ピルを用いる。縄の長さや水深などを計る際の単位として用いられる。 ク⸢マ⸣ヌ ⸢トゥーヌ⸣ フ⸢カ⸣サー ⸣ニジッピル ⸣タトゥン [ku⸢ma⸣nu ⸢tuːnu⸣ ɸu̥⸢ka⸣saː ⸣niʤippiru ⸣tḁtuŋ] (ここの深海の深さは二十尋たつ<深い>) 12380 0 0 12013 htmvoc_12380.wav ニシドー ニ⸢シ⸣ドー [ni⸢ʃi⸣doː] 固 (地)西堂と表記されているが、語源は、ニ⸢シ[ni⸢ʃi](北)・⸢タウ[⸢tau](窪地、平地)であろう。「北窪地」の義である。ナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡)の北部の麓から⸢ウイヌカー[⸢ʔuinukaː](上の井戸)に至る一帯の平坦な窪地を指す。 ニ⸢シドー⸣ヌ パ⸢タ⸣キナー ア⸢ガマミ⸣ イ⸢ビ⸣シケーンドゥ ⸣パトゥザン ッ⸢ふァーリティ ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ni⸢ʃidoː⸣nu pḁ⸢ta⸣kinaː ʔa⸢gamami⸣ ʔi⸢bi⸣ʃi̥keːndu ⸣pḁtuʣaŋ f⸢faːriti daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (ニシドーの畑に小豆を植えてあるが、鳩に食べられて<収穫は>よくない)。ナ⸢カン⸣ブレー[na⸢kam⸣bureː](中岡<森>)の北側の平坦地。 ナ⸢カン⸣ブレートゥ パ⸢カヤマヌ⸣ ニ⸢シンタヌ タウ⸣ ナリ ⸢ブン⸣トンル ニ⸢シ⸣ドーティ ア⸢ズ⸣ダー [na⸢kam⸣bureːtu pḁ⸢kajamanu⸣ ni⸢ʃintanu tau⸣ nari ⸢bun⸣tonru ni⸢ʃi⸣doːti ʔa⸢ʣu⸣daː] (中岡と墓山の北側の平坦地<窪地>になっている所がニシドーと言うのだよ) 12381 0 0 12014 htmvoc_12381.wav ニシドーウガン ニ⸢シ⸣ドーウガン [ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ] 固 西堂御嶽。{ナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](鳩間中岡)の西にあるパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山)の北東斜面に位置する⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽)}。東北に向いた墓を御嶽にしたもの。伝承によると、宮古島の方に向けて作られているという。島の創建者となった人が宮古島から与那国のウニトゥラ征伐に行く途中、一旦鳩間島で休んで力をつけ、与那国征伐を成功させたという。その人が与那国から宮古島へ凱旋の途中鳩間島に残り、そこで一生を終えたという。その人を葬った墓が現在のニ⸢シ⸣ドーウガンであり、そこに⸣サヤンガタナ[⸣sajaŋgatana](鞘刀)と杯が副葬品として埋葬されていたという。明治期に入り、糸満から来島したイ⸢ガピキプス[ʔi⸢gapi̥kipusu](烏賊漁師)と妻の⸣ミサーバーチー[⸣misaːbaːʧiː](ミサー叔母さん)がキ⸢ダシケー[ki⸢daʃi̥keː](石嶺家)に宿っていた。そのミサーバーチーがスズー⸢コ⸣ フ⸢ダマリティ[suʣuː⸢ko⸣ ɸu⸢damariti](重篤な神懸り)をしてウ⸢ブナクラーローッ⸣タンツォー[ʔu⸢bunakuraːroːt⸣tanʦoː](大変怖かったそうだ)。その方の⸢カンダー⸣リ[⸢kandaː⸣ri](神懸りして神のお告げをすること)に基づいて墓が御嶽に建立され、初代のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)にはパ⸢トゥ⸣メーヌ ⸣アッパ[pḁ⸢tu⸣meːnu ⸣ʔappa](鳩間家のお祖母さん)が就任され、二代目の司にはニ⸢シムレーヌ⸣ アンマー[ni⸢ʃimureː⸣nu ⸣ʔamma](米盛クヤ氏)が後を継がれた。⸢カンダー⸣リ[⸢kandaː⸣ri](神懸り)に基き、その墓をニ⸢シ⸣ドーウガン[ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ](御嶽)として創建した際、仲底家、鳩間家の方々によって墓が開けられたが、その時には金の杯と刀剣が発掘されたという。そこで村人と共に、その杯で酒を酌み交わそうとしたが、その際に杯が音をたてて割れたので人々は神慮を感じ、それらをもとの場所に戻して墓を密閉し、神域として祭るようになったという。以後、同御嶽は代々仲底家と鳩間家の血統による神司によって司祭されてきたが、墓の宝物は盗掘にあって今は伝わらないという(鳩間真吉氏伝承) 12414 0 0 12015 htmvoc_12414.wav ニシバネー ニ⸢シバネー [ni⸢ʃibaneː] 名 屋号。鳩間村六班の、ナ⸢カン⸣テーヌ ⸢ヤシ⸣キ[na⸢kan⸣teːnu ⸢jaʃi̥⸣ki](仲本家の屋敷)の西隣の空き屋敷の名 12415 0 0 12016 htmvoc_12415.wav ニシマッふァ ニ⸢シマッふァ [ni⸢ʃimaffa] 名 北枕。 ニ⸢ブ⸣ ピンマー ニ⸢シマッふァー⸣ シ⸢ミルナ⸣ヨー [ni⸢bu⸣ pimmaː ni⸢ʃimaffaː⸣ ʃi⸢miruna⸣joː] (寝る時は、北枕はさせるなよ) 12417 0 0 12017 htmvoc_12417.wav ニシミジ ニ⸢シ⸣ミジ [ni⸢ʃi⸣miʤi] 名 (地)現在の中野集落と住吉集落の中間の水田地帯。ウ⸢ランザ⸣キ[ʔu⸢ranʣa⸣ki](宇奈利崎)の東部一帯の湿地帯を開拓して水田にした所。ッ⸢サンタヌ⸣ イ⸢ラ⸣ブレー[s⸢santanu⸣ ʔi⸢ra⸣bureː](下の西原家)、⸢ヨー⸣カヤー[⸢joː⸣kajaː](西原家)、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家{EOS}田代家)などの水田があった 12382 0 0 12018 htmvoc_12382.wav ニシムレー ニ⸢シムレー [ni⸢ʃimureː] 名 屋号。米盛松氏宅。若年層は、ユ⸢ニムレー[ju⸢nimureː](米盛家)ともいう。米盛松氏の妻、米盛クヤ氏は鳩間家の出身で、ニ⸢シ⸣ドーウガン[ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ](西堂御嶽)のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)であった。クヤ氏は大工ヨボシ氏(大正12年8月現在、友利御嶽のサ⸢カサ{SqBr}sḁ⸢kasa{/SqBr}<神司>であった)から鳩間島の古謡や神歌、ニ⸢ガイ⸣フチ[ni⸢gai⸣ɸu̥ʧi](のりと<祝詞>)を習い覚えたと言う。米盛正雄氏は、戦後鳩間島から友利武雄氏と共に最初に竹富町役場に就職された。 ニ⸢シムレーヌ⸣ アンマー ニ⸢シ⸣ドーウガンヌ サ⸢カサ⸣ ヤ⸢ロー⸣リ キ⸢モ⸣ネーザーヤ ⸢ウイヌウガン⸣ヌ ティ⸢ジリ⸣ビー ヤ⸢ローッ⸣タ [ni⸢ʃimureː⸣nu ⸣ʔammaː ni⸢ʃi⸣doː ⸣ʔugannu sḁ⸢kasa⸣ ja⸢roː⸣ri ki⸢mo⸣neʣaːja ⸢ʔuinuʔugan⸣nu ti⸢ʤiri⸣biː ja⸢roːt⸣ta] (米盛家のお母さんは西堂御嶽の司であられ、冨太郎氏は友利御嶽のティジリビー<男性神職者>であられた) 12383 0 0 12019 htmvoc_12383.wav ニシムレーヌギサザーテー ニ⸢シムレーヌ⸣ ギサザーテー [ni⸢ʃimureːnu⸣ gisazaːteː] 連 屋号。米盛敏夫氏宅。ニ⸢シムレー[ni⸢ʃimureː](米盛家)の分家で、本家の西側の屋敷にあった 12419 0 0 12020 htmvoc_12419.wav ニジュー ⸣ニジュー [⸣niʤuː] 名 二十。標準語からの借用語。老年層は、普通⸢ニン⸣ズ[⸢nin⸣ʣu](二十)という。 トゥ⸢シ⸣ヌ ⸣ニジュー ⸣ナレーラー ⸣ドゥームティ ⸣ミサンティ ア⸢ザリブー [tu̥⸢ʃi⸣nu ⸣niʤuː ⸣nareːraː ⸣duːmuti ⸣misanti ʔa⸢ʣari buː] (二十歳<年が二十>になったら結婚して<嫁いでも>もよいといわれている) 12420 0 0 12021 htmvoc_12420.wav ニジューグニンキ ニジューグ⸢ニンキ [⸣niʤuːgu⸢niŋki] 名 二十五年忌。法事で始めて赤い色を料理や仏具に用いることができる。祝いに準じる法事。 ⸣アブジェー ニジューグ⸢ニンキ シー オースンティ⸣ ス⸢コーリベー [⸣ʔabuʤeː niʤuːgu⸢niŋki ʃiː ʔoːsunti⸣ su̥⸢koːri beː] (お祖父さんの二十五年忌の法事をして差し上げようと準備している) 12418 0 0 12022 htmvoc_12418.wav ニジルン ニ⸢ジ⸣ルン [ni⸢ʤi⸣ruŋ] 他動 我慢する。堪える。「念ずる」の転訛したもの。⸣ニズン[⸣niʣuŋ](我慢する)のラ行四段化したもの。 バ⸢タ⸣ヤンバ ニ⸢ジ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ヌンドゥ ニ⸢ジララ⸣ヌ [ba⸢ta⸣jamba ni⸢ʤi⸣runti ⸢beː⸣nundu ni⸢ʤirara⸣nu] (腹痛を我慢しようとしているが、我慢できない)。 ⸢マー⸣ビン ニ⸢ジ⸣ル ⸣クトゥ [⸢maː⸣bin ni⸢ʤi⸣rukutu] (もっと我慢すること)。 ⸢マー⸣ビン ニ⸢ジ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ni⸢ʤi⸣reː ⸣misamunu] (もっと我慢すればいいのに) 12423 0 0 12023 htmvoc_12423.wav ニシンタ ニ⸢シンタ [ni⸢ʃinta] 名 北側。北の方。基準点と連続していなくてもよい北側。 ⸢バン⸣テヌ ⸢クーラヌ⸣ バ⸢ケーラマシヌ⸣ ニ⸢シンタナー⸣ル ⸣ユージェヌ ⸢ター⸣ヤ ⸢アッ⸣タ [⸢ban⸣tenu ⸢kuːranu⸣ ba⸢keːramaʃinu⸣ ni⸢ʃintanaː⸣ru ⸣juːʤenu ⸢taː⸣ja ⸢ʔat⸣ta] (私の家の久浦のバケーラマシ<湧き水の田圃>の北側に松竹家の田圃はあった) 12424 0 0 12024 htmvoc_12424.wav ニス ⸣ニス [⸣nisu] 名 二升<数詞>。 ク⸢ヌ パンガマ⸣ナー サ⸢ク⸣マイ ⸣ニス イ⸢リティ⸣ バ⸢カシ⸣バ [ku⸢nu pamgama⸣naː sḁ⸢ku⸣mai ⸣nisu ʔi⸢riti⸣ ba⸢kaʃi⸣ba] (この羽釜に粳米を二升入れて<ご飯を>炊きなさい) 12425 0 0 12025 htmvoc_12425.wav ニスダキ ニ⸢ス⸣ダキ [ni⸢su⸣daki] 名 二升炊き用の釜。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ⸢イー⸣ヤ ニ⸢ス⸣ダキナ バ⸢カシ⸣バ [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸢goː⸣raːnda ⸢ʔiː⸣ja ni⸢su⸣dakina ba⸢kaʃi⸣ba] (家族が多いので、御飯は二升炊き釜で炊きなさいよ) 12426 0 0 12026 htmvoc_12426.wav ニズン ⸣ニズン [⸣niuŋ] 自動 我慢する。こらえる(堪える)。辛抱する。「~念じ過ぐし給ひつつ~」『源氏物語、幻』。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ⸣ニズンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ニ⸢ザラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ⸣niʣunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ni⸢ʣara⸣nu] (この程度は我慢しようと思うが、私には我慢できない)。 ⸣ニジ ッ⸢ふィーリ [⸣niʤi f⸢fiːri] (我慢してくれ)。 ⸣ニズ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸣ニジェー ⸣ミサムヌ [⸣niʣu ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ⸣niʤeː ⸣misamunu] (我慢することができたら我慢すればいいのに)。 ⸣ニジバ [⸣niʤiba] (我慢せよ) 12427 0 0 12027 htmvoc_12427.wav ニターニターシ ニ⸢ターニター⸣シ [ni⸢taːnitaː⸣ʃi] 副 ねたましい<妬ましい>そうに。憎らしいそうに。ニッ⸢ターニッター⸣シ[nit⸢taːnittaː⸣ʃi](妬ましいそうに)ともいう。 ⸢ワー⸣ ヌンティ プ⸢スバ⸣ ニ⸢ターニター⸣シ ⸣ミリ ⸢ベー⸣ワ [⸢waː⸣ nunti pu̥⸢suba⸣ ni⸢taːnitaː⸣ʃi ⸣miri ⸢beː⸣wa] (君はどうして人を妬ましそうに見ているか) 12428 0 0 12028 htmvoc_12428.wav ニタカマ ニ⸢タカマ [ni⸢takama] 名 似た者同士。同類。 ⸢ウッ⸣ツァー トゥ⸢ジブトー⸣ ニ⸢タカマ⸣ プ⸢スピライ シーユーサヌ [⸢ʔut⸣ʦaː tu⸢ʤibutoː⸣ ni⸢takama⸣ pu̥⸢supirai ʃiːjuːsanu] (彼ら夫婦は似た者同士だ{EOS}世間との交際<他人付き合い>ができない) 12429 0 0 12029 htmvoc_12429.wav ニタムヌ ニ⸢タムヌ [ni⸢tamunu] 名 似た者。似通った者。標準語から転訛。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ニ⸢タムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カサバン⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː ni⸢tamunu⸣ ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ pa⸢na⸣ʃi si̥⸢kasabaŋ⸣ wa⸢kara⸣nu] (彼ら<それら>二人は似た者同士だから、いくら話して聞かせても分からない<理解出来ない>) 12432 0 0 12030 htmvoc_12432.wav ニタムン ニ⸢タ⸣ムン [ni⸢ta⸣muŋ] 他動 ねたむ(妬む)。恨む。標準語から転訛したもの。普通は、⸢ニッ⸣ター ⸢スン[⸢nit⸣taː ⸢suŋ](妬む{EOS}<妬さ・する>の義)という。 イ⸢ザリ イットゥ⸣ケー イ⸢ズ プスヨー⸣ ニ⸢タムン⸣ドゥ ⸢フントー⸣ヤ ニ⸢タマン⸣ドーシ ⸣ユー ス⸢クバル ドゥー⸣ヌ タ⸢ミ⸠ダー [ʔi⸢ʣari ʔittu⸣keː ʔi⸢ʣu pu̥sujoː⸣ ni⸢tamun⸣du ⸢ɸuntoː⸣ja ni⸢taman⸣doːʃi ⸣juː su̥⸢kubaru duː⸣nu ta⸢mi⸠daː] (叱られる一時は叱る人を妬むが、本当は妬まないでよく聞いた方が自分のためだよ)。 ⸢バイ⸣ヨー ニ⸢タミ⸣プサカー ニ⸢タ⸣ミバ [⸢bai⸣joː ni⸢tami⸣ pu̥sakaː ni⸢ta⸣miba] (私を妬みたかったら妬みなさい)。 プ⸢スヨー⸣ ニ⸢タ⸣ム ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢sujoː⸣ ni⸢ta⸣mu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (他人を妬むことはしてはならない)。 ニ⸢タ⸣メー ⸣ミサムヌ [ni⸢ta⸣meː ⸣misamunu] (妬めばいいのに) 12430 0 0 12031 htmvoc_12430.wav ニダン ニ⸢ダン [ni⸢daŋ] 名 値段。標準語の「値段」から転訛。普通は、⸢ダイ[⸢dai](値段{EOS}代価)という。 ニ⸢ダンヌ⸣ タ⸢カー⸣ヌ ⸢カーラヌ [ni⸢dannu⸣ tḁ⸢kaː⸣nu ⸢kaːranu] (値段が高くて買えない)。 カ⸢ツブシヌ⸣ ニ⸢ダンマー ギュー⸣サヤー [kḁ⸢ʦubuʃinu⸣ ni⸢dammaː gjuː⸣sajaː] (鰹節の値段はいくらかね)。 ニ⸢ダンヌ⸣ タ⸢カー⸣ ムノー ⸢カーラヌ⸣ ニ⸢ダンヌ ヤッ⸣サ ⸣ムヌバ イ⸢ラ⸣ビ [ni⸢dannu⸣ tḁ⸢kaː⸣ munoː ⸢kaːranu⸣ ni⸢dannu jas⸣sa ⸣munuba ʔi⸢ra⸣bi] (値段の高いものは買われ<買え>ない{EOS}値段の安いものを選べ) 12437 0 1 12032 htmvoc_12437.wav ニチ ⸣ニチ [⸣niʧi] 名 {Mn_1}熱。暑さ。 ティ⸢ダ⸣ヌ ニ⸢チ⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ ミ⸢チェー⸣ラ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ti⸢da⸣nu ni⸢ʧi⸣nu ⸢suːwa⸣nu mi⸢ʧeː⸣ra ʔa⸢rakara⸣nu] (太陽の熱<熱気>が強くて道から歩かれない)。 12437 0 2 12033 htmvoc_12437.wav ニチ ⸣ニチ [⸣niʧi] 名 {Mn_2}体温。病気などによる発熱。 パ⸢ナシキヌ⸣ ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー フ⸢チ⸣ル ヌ⸢マ⸣シバ⸢ヨー [pa⸢naʃi̥kinu⸣ ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ɸu̥⸢ʧi⸣ru nu⸢ma⸣ʃiba⸢joː] (風邪の熱が出たら薬を飲ませなさいねえ)。 ウ⸢チニチェー⸣ フ⸢チン⸣パー ⸢シッ⸣キ ヌ⸢マ⸣シティ パッサン シ⸢ミリ [ʔu⸢ʧiniʧeː⸣ ɸu̥⸢ʧim⸣paː ⸢ʃik⸣ki nu⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣passaŋ ʃi⸢miri] (体内に籠もる熱は蓬の葉を搗いて汁を搾って飲ませて発散させなさい) 12438 0 0 12034 htmvoc_12438.wav ニチ ⸣ニチ [⸣niʧi] 助数 日。日数を数える単位。 イ⸢チニ⸣チ [ʔi⸢ʧini⸣ʧi] (1日)。 ニ⸢ニ⸣チ [ni⸢ni⸣ʧi] (2日) ⸢サンニチ [⸢sanniʧi] (3日) ユ⸢ニチ [ju⸢niʧi] (4日) グ⸢ニチ [gu⸢niʧi] (5日))。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ナンニ⸣チヤ [⸢kjuː⸣ja ⸢nanni⸣ʧija] (今日は何日か)。 パ⸢チングチ⸣ヌ ⸢ジューグニ⸣チ<⸢ズングニ⸣チ> [pḁ⸢ʧiŋguʧi⸣nu ⸢ʤuːguni⸣ʧi<⸢ʣuŋguni⸣ʧi>] (八月の十五日だ)。 ⸢クンガ⸣チ ⸣クニチ [⸢kuŋga⸣ʧi ⸣kuniʧi] (九月九日) 12439 0 0 12035 htmvoc_12439.wav ニチーニチー ニチー⸢ニチー [niʧiː⸢niʧiː] 副 粘り強いさま。しつっこいさま。執念深いさま。「ねちねち」の訛言か。 ウ⸢リヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ パ⸢ジメーラ⸣ ニチー⸢ニチー⸣シ イ⸢チンバー⸣キン ⸢シース [ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢gutu⸣ pa⸢ʤimeːra⸣ niʧiː⸢niʧiː⸣ʃi ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ⸢ʃiːsu] (彼が仕事を始めたら、粘り強く<ねちねちと>何時までもやる) 12442 0 0 12036 htmvoc_12442.wav ニチサマシ ニ⸢チサマ⸣シ [ni⸢ʧisama⸣ʃi] 名 解熱剤。熱冷まし。 イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーラン⸣ シマ ヤ⸢ルンダ⸣ ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー フ⸢チン⸣パーバ ニ⸢チサマ⸣シティ ⸢シー シッ⸣キティ ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ル⸣バ ヌ⸢マ⸣ソーッタ [ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːraŋ⸣ ʃima ja⸢runda⸣ ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ɸu̥⸢ʧim⸣paːba ni⸢ʧisama⸣ʃiti ⸢ʃiː ʃik⸣kiti ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢ru⸣ba nu⸢ma⸣soːtta] (医者の居られないしまだから、熱が出ると蓬の葉を熱冷ましといって、それを搗いて、その汁を飲まされた) 12440 0 0 12037 htmvoc_12440.wav ニチサマルン ⸣ニチ サ⸢マ⸣ルン [⸣niʧi sa⸢ma⸣ruŋ] 連 解熱する。熱が冷める。熱が下がる。 フ⸢チン⸣パーヌ ⸣シル ヌ⸢マ⸣スカー ⸣ニチェー サ⸢マ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧim⸣paːnu ⸣ʃiru nu⸢ma⸣su̥kaː ⸣niʧeː sa⸢ma⸣ruŋ] (蓬の葉の汁を飲ますと熱が下がる) 12443 0 0 12038 htmvoc_12443.wav ニチパンパン ⸣ニチパンパン [⸣niʧipampaŋ] 副 高熱が出てほめくさま。熱で火照るさま。 ⸣ニチパンパン シ⸢ティ⸣ ⸣フカイティ ⸣シラー ア⸢ガミ ベー [⸣niʧipampaŋ⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ⸣ɸu̥kaiti ⸣ʃiraː ʔa⸢bami beː] (高熱が出て火照って顔は赤らんでいる) 12441 0 0 12039 htmvoc_12441.wav ニチポーポー ⸣ニチ ⸢ポーポー [⸣niʧi ⸢poːpoː] 連 熱が高いさま。発熱しているさま。「ねつほうほう(熱蓬蓬)」の義か。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ニチ ⸢ポーポー⸣シ ⸢ベー⸣バ ⸢パー⸣ク ⸣イサン ミ⸢サ⸣シ ⸣クー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ niʧi ⸢poːpoː⸣ʃi ⸢beː⸣ba ⸢paː⸣ku ⸣ʔisam mi⸢sa⸣ʃi ⸣kuː] (この子は発熱しているから、早く医者に診てもらってきなさい) 12444 0 0 12040 htmvoc_12444.wav ニチョールー ニ⸢チョー⸣ルー [ni⸢ʧoː⸣ruː] 名 似たもの同士。似たり寄ったり。大同小異の者同士。変りばえのしない者同士。ニ⸢タカマ[ni⸢takama](似た者同士)と同じ。沖縄方言からの借用語か。 ⸢ウッ⸣ツァー ニ⸢チョー⸣ルー [⸢ʔut⸣ʦaː ni⸢ʧoː⸣ruː] (彼らは似たもの同士だ) 12445 0 1 12041 htmvoc_12445.wav ニッカ ニッ⸢カ [nik⸢ka] 名 {Mn_1}遅い時刻。夜更け。 ニッ⸢カ スン⸣ケン パ⸢タラキ ベー⸣タ [nik⸢ka suŋ⸣kem pḁ⸢taraki beː⸣ta] (夜遅くまで働いていた)。 ニッ⸢カ シェーラ⸣ プ⸢スン⸣ヤー ⸣パルモー ア⸢ラ⸣ヌ [nik⸢ka ʃeːra⸣ pu̥⸢suɲ⸣jaː ⸣parumoː ʔa⸢ra⸣nu] (夜更けに余所の家に行くものではない)。 12445 0 2 12042 htmvoc_12445.wav ニッカ ニッ⸢カ [nik⸢ka] 名 {Mn_2}遅い時期。長期間経つこと。 サ⸢ク⸣シ ⸣ナシティ ニッ⸢カ シェーラル ウシ⸣トー ⸣ナシェー⸢ダー [sḁ⸢ku⸣ʃi ⸣naʃi̥ti nik⸢kaʃeːraru ʔuʃi̥⸣toː naʃeː⸢daː] (長男を産んでから、だいぶ経ってから弟を産んだのだよ)。 ニッ⸢カバー⸣キ ⸢ヨイ⸣ スンティ ⸢ウン⸣ネナー ⸢アーク⸣タ [nik⸢kabaː⸣ki ⸢joi⸣ sunti ⸢ʔun⸣nenaː ⸢ʔaːku⸣ta] (夜遅くまでお祝いをいようとして、あの家にいた) 12434 0 0 12043 htmvoc_12434.wav ニッタースン ⸢ニッ⸣ター ⸢スン [⸢nit⸣taː ⸢suŋ] 連 妬ましく思う。ねたむ(妬む)。恨む。「妬ましさ・する」の義。 イ⸢ジナラー⸣スカー イ⸢ズ プスヨー ニッ⸣ター ⸢スンダ⸣ イ⸢ザンモー⸣ マ⸢シ [ʔi⸢ʤinaraː⸣su̥kaː ʔi⸢ʣu pu̥sujoː nit⸣taː ⸢sunda⸣ ʔi⸢ʣammoː⸣ ma⸢ʃi] (叱って教えたら叱る人を恨む<妬ましく思う>ので、叱らない方がいい) 12431 0 0 12044 htmvoc_12431.wav ニッターン ⸢ニッ⸣ターン [⸢nit⸣taːŋ] 形 ねたましい(妬ましい)。恨めしい。憎らしい。 イ⸢ザリティ ニッ⸣ターンティ ウ⸢ムー⸣ナ⸢ダー [ʔi⸢ʣariti nit⸣taːnti ʔu⸢muː⸣na⸢daː] (叱られて妬ましいと思うなよ)。 ノー⸢ン ニッター ナー⸣ヌ [noː⸢n nittaː naː⸣nu] (ちっとも妬ましくない)。 ウ⸢リン⸣ スズー⸢コ⸣ イ⸢ザリティ ニッター⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rin⸣ suʣuː⸢ko⸣ ʔi⸢ʣariti nittaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (彼にしたたか叱られて憎らしくてたまらない)。 ⸣アイニ イ⸢ザリ⸣カー ⸢ニッ⸣ター ナ⸢リ⸣ス [⸣ʔaini ʔi⸢ʣari⸣kaː ⸢nit⸣taː na⸢ri⸣su] (あんなに叱られたら憎らしくなる)。 ⸢ニッ⸣ター ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nit⸣taː ku̥toː ⸢naː⸣nu] (妬ましいことはない)。 ⸣アイニ ⸢ニッ⸣ターレーラー ター⸢ン クン⸣ゾーン ン⸢ジ⸣ス [⸣ʔaini ⸢nit⸣taːreːraː taː⸢ŋ kun⸣ʣoːn ʔn⸢ʤi⸣su] (あんなに妬ましいのなら誰でも立腹するよ) 12435 0 0 12045 htmvoc_12435.wav ニッタサガマラサ ⸢ニッタ⸣サガマラサ [⸢nitta⸣sagamarasa] 名 恨めしく悲しく思うこと。「憎らしさ悲しさ」の義。 ⸣アイブ ⸢ニッタ⸣サガマラサテー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸢nitta⸣sagamarasateː ⸢naː⸣nu] (あんなに恨めしく悲しく思うことはない)。 ⸢ニッタ⸣サガマラサン ⸢サンドー⸣シ イ⸢ジ⸣ンジ パ⸢タラキ⸣ヨー [⸢nitta⸣sagamarasan ⸢sandoː⸣ʃi ʔi⸢ʤi⸣nʤi pḁ⸢taraki⸣joː] (恨めしく悲しく思うことをしないで、一所懸命に働きなさいね) 12436 0 0 12046 htmvoc_12436.wav ニッタンツルギ ⸢ニッタンツル⸣ギ [⸢nittanʦuru⸣gi] 名 二反続きの反物。「二反繋ぎ」の転訛。一疋(布帛二反)。 ⸢ニッタンツルギ⸣ヌ ⸢ヌーヌバ⸣ フ⸢タール⸣シ バ⸢ク⸣タ [⸢nittanʦurugi⸣nu ⸢nuːnuba⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ba⸢ku⸣ta] (二反続きの反物を二人で分けた) 12447 0 0 12047 htmvoc_12447.wav ニットー ⸢ニットー [⸢nittoː] 名 日当。日給。標準語から転訛。 ⸢ワー ニットー<⸢ピー⸣ヨー> ギューサ⸣ナーシ タ⸢ナマ⸣リ ⸢アーク⸣ワ [⸢waː nittoː<⸢piː⸣joː> gjuːsa⸣naːʃi ta⸢nama⸣ri ⸢ʔaːku⸣wa] (君は日当<日雇>いくらで頼まれているのか) 12449 0 0 12048 htmvoc_12449.wav ニッふァースン ⸢ニッ⸣ふァー ⸢スン [⸢nif⸣faː ⸢suŋ] 連 憎む。「憎く・する」の義。 ⸢ワー トゥス⸣ク ⸣ムニ シゥ⸢カンバ⸣ティ ⸢シー⸣ ウ⸢リヨー ニッ⸣ふァー ス⸢ナ⸣ヨー [⸢waː tusu̥⸣ku ⸣muni sï̥⸢kamba⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢rijoː nif⸣faː su⸢na⸣joː] (君が言い付けること<訓戒{EOS}命令>を聞かないからといって彼を憎く思うな<憎くするな>よ) 12448 0 0 12049 htmvoc_12448.wav ニッふァーン ⸢ニッ⸣ふァーン [⸢nif⸣faːŋ] 形 憎らしい。憎い。 イ⸢ザリタ⸣ ピンマー ⸢ニッ⸣ふァーンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ニッふァー ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʣarita⸣ pimmaː ⸢nif⸣faːnti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢na⸣maː ⸢niffaː naː⸣nu] (叱られた時は憎いと思ったが、今は憎くない)。 ⸢ニッふァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢niffaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (憎くてたまらない)。 バー⸢バー⸣キ ⸢ニッ⸣ふァー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [baː⸢baː⸣ki ⸢nif⸣faː ⸣nairi ⸢naː⸣nu] (私まで憎くなってしまった)。 ⸢ニッ⸣ふァー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nif⸣faː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (憎いことはない)。 ⸣アイニ ⸢ニッ⸣ふァーレーラー パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢nif⸣faːreːraː pa⸢na⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (あんなに憎かったら話は出来ない) 12450 0 0 12050 htmvoc_12450.wav ニッふァイジ ⸢ニッふァイジ [⸢niffaʔiʤi] 名 憎らしげに叱ること。口汚く叱ること。憎さにまかせて叱ること。「憎さ・叱り」の義。 ⸢マイフナー⸣ マ⸢ラスンティル ワイヨー⸣ イ⸢ゾー⸣ル ⸢ニッふァイジェー⸣ ア⸢ラン⸣ダー [⸢maiɸunaː⸣ ma⸢rasuntiru waijoː⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ru ⸢niffaʔiʤeː⸣ ʔa⸢ran⸣daː] (立派な人に育てようと君を叱られるのだ{EOS}憎らしくて叱るのではないよ)。 ⸢ニッふァイジ⸣ ス⸢ナ [⸢niffaʔiʤi⸣ su⸢na] (憎らしげに叱るな) 12451 0 0 12051 htmvoc_12451.wav ニッふァマリ ⸢ニッふァマリ [⸢niffamari] 名 憎まれっ子。皆から嫌われる、可愛げのない子。人に好かれない性格。 シ⸢ラカタ⸣チ ⸣ミルカー ⸣アイニ ⸢ニッふァマリ シー ブンドゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ムカイ⸣ヤンダ⸢レー [ʃi⸢rakata⸣ʧi ⸣mirukaː ⸣ʔaini ⸢niffamari ʃiːbundu⸣ ʔik⸢kena⸣ ki⸢mukai⸣janda⸢reː] (顔立ち<面形>を見ると、あんなに憎まれっ子に生まれついているが、心は非常に美しい<肝美しい{EOS}心優しい>のだよ) 12453 0 0 12052 htmvoc_12453.wav ニッふァムー ⸢ニッふァムー [⸢niffamuː] 名 憎まれもの。嫌われ者。憎らしく思う者。憎い者。憎く思う対象。⸢ニッふァムヌ[⸢niffamunu](嫌われ者)のぞんざいな発音。 ウ⸢リバ サッ⸣コー ⸢ニッふァ⸣ムー シー オー⸣ル [ʔu⸢riba sak⸣koː ⸢niffa⸣muː ʃiː ʔoː⸣ru] (彼を非常に憎く思って<憎まれものにして>おられる) 12452 0 0 12053 htmvoc_12452.wav ニッふァムニ ⸢ニッふァムニ [⸢niffamuni] 名 憎まれ口。憎憎しい物言い。 ⸢ワー⸣ ヌンティ ワ⸢ザットゥ ニッふァムニバ⸣ カー⸢ニ⸣ イ⸢ジ アーク⸣ワ [⸢waː⸣ nunti wa⸢ʣattu niffamuniba⸣ kaː⸢ni⸣ ʔi⸢ʤi ʔaːku⸣wa] (君は何故、わざと憎まれ口だけをたたいているのか) 12454 0 0 12054 htmvoc_12454.wav ニッふァムヌ ⸢ニッふァムヌ [⸢niffamunu] 名 憎まれもの。憎らしく思う者。憎らしく思われている者。嫌われている者。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カムティ アー⸣クンダル ⸢ニッふァムヌ⸣ シ⸢ラリ ブー⸣ツォー [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni sï̥⸢kamuti ʔaː⸣kundaru ⸢niffamunu⸣ ʃi⸢rari buː⸣ʦoː] (親の言うことを聞かないでいるから、親の憎まれ者になっているそうだ) 12455 0 0 12055 htmvoc_12455.wav ニニチ ニ⸢ニ⸣チ [ni⸢ni⸣ʧi] 名 二日。標準語からの借用語。 ク⸢レー⸣ イ⸢チニ⸣チ ニ⸢ニ⸣チシェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ʔi⸢ʧini⸣ʧi ni⸢ni⸣ʧiʃeː na⸢ra⸣nu] (これは一日二日では出来ない)。老年層は、⸢フシゥカ[⸢ɸusï̥ka](二日)という。 ⸢ユーニガイヤー シンガチ⸣ヌ ⸢フシゥカ⸣ナー ⸢ソー⸣ルツォー [⸢juːnigaijaː ʃiŋgaʧi⸣nu ⸢ɸusï̥ka⸣naː ⸢soː⸣ruʦoː] (世願いは四月の二日に執り行われる<なさる>そうだ) 12456 0 0 12056 htmvoc_12456.wav ニヌブーヤー ニ⸢ヌブーヤー [ni⸢nubuːjaː] 名 鋼材で造った家。歌謡語。カ⸢ニブーヤー[ka⸢nibuːjaː](鋼材で造った家)の対語。 ウ⸢クダ⸣カ ⸢エンヤー⸣ ニ⸢ヌブーヤー⸣ヌ ⸢サイ⸣ ヤ⸢リ [ʔu⸢kuda⸣ka ⸢ʔeŋjaː⸣ ni⸢nubuːjaː⸣nu ⸢sai⸣ ja⸢ri] (これだけの数のものが鋼材で造った家の支え<守護神>である) 12457 0 1 12057 htmvoc_12457.wav ニバスン ニ⸢バスン [ni⸢basuŋ] 他動 {Mn_1}寝かせる。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢パー⸣ク ニ⸢バスンティ スンドゥ⸣ ニ⸢バサランバン [ja⸢ra⸣beː ⸢paː⸣ku ni⸢basunti sundu⸣ ni⸢basarambaŋ] (子供は早く寝かせようとするが寝かされないよ)。 ニ⸢バシ⸣ ミサカー ニ⸢バス⸣ クトー ⸣ナルン [ni⸢baʃi⸣ misakaː ni⸢basu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (寝かせてよければ寝かせることは出来る)。 ⸣クナー ニ⸢バシェー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː ni⸢baʃeː⸣ misamunu] (ここに寝かせればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ニ⸢バシ [⸢paː⸣ku ni⸢baʃi] (早く寝かせよ) 12457 0 2 12058 htmvoc_12457.wav ニバスン ニ⸢バスン [ni⸢basuŋ] 他動 {Mn_2}米、麦、粟などを蒸して、むろ<室>に入れ、麹になるようにする。 ⸢コージ⸣ ニ⸢バスン [⸢koːʤi⸣ ni⸢basuŋ] (麹を寝かせる) 12351 0 1 12059 htmvoc_12351.wav ニバル ニ⸢バ⸣ル [ni⸢ba⸣ru] 名 {Mn_1}木の根っこ。木の根元。 ⸢キー⸣ヌ ニ⸢バ⸣ル ⸢コーシティ⸣ ア⸢ラシ⸣ ア⸢クタ [⸢kiː⸣nu ni⸢ba⸣ru ⸢koːʃi̥ti⸣ ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢kuta] (木の根っこを掘り起こして開墾した<新しい仕明地を開けた>)。 ⸢シンザ⸣ヌ ニ⸢バ⸣ル ⸢コーシ [⸢ʃinʣa⸣nu ni⸢ba⸣ru ⸢koːʃi] (砂糖黍の根っこを掘り起こせ)。 12351 0 2 12060 htmvoc_12351.wav ニバル ニ⸢バ⸣ル [ni⸢ba⸣ru] 名 {Mn_2}根が地表に這っている部分。「根張り」の義か。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ニ⸢バル⸣ヌ ナー⸢ナー⸣シ ⸣パイ ⸢ベー [ga⸢ʤimaru⸣nu ni⸢baru⸣nu naː⸢naː⸣ʃi ⸣pai ⸢beː] (ガジマルの根<根張り>が地表に長々と這っている) 12352 0 0 12061 htmvoc_12352.wav ニバル ⸣ニバル [⸣nibaru] 名 (動)魚の名。ハタの仲間の総称。若年層では、⸣ニーバル[⸣niːbaru](ハタの仲間)ともいう。⸢イーリマイズニ[⸢ʔiːrimaiʣuni](西前曽根)辺りでは、サラサハタがよく釣れた。ミーグチグヮー[⸢miːguʧi⸣gwaː](「新小津口」の義)では、ユ⸢ダヤー⸣ニバル[ju⸢dajaː⸣nibaru](マダラハタ)や⸢アーラ⸣ニバル[⸢ʔaːra⸣nibaru](マハタ)などが、ム⸢チイズ[mu⸢ʧiʔiʣu](のこぎりだい)を生餌にするとよく釣れた。 ⸢イーリマイズニ⸣ナーテー ⸣ニバルン ⸣ユー ⸢ホーサリ⸣タン [⸢ʔiːrimaiʣuni⸣naːteː ⸣nibaruɲ ⸣juː ⸢hoːsari⸣taŋ] (西前曽根ではハタがよく釣れた) 12458 0 0 12062 htmvoc_12458.wav ニバル ⸣ニバル [⸣nibaru] 名 (動)魚の名。和名、サラサハタ。明治生まれの老年層のことば。若年層は⸣ニーバル[⸣niːbaru](サラサハタの仲間)という。⸣ニーバル[⸣niːbaru]の項参照 12355 0 0 12063 htmvoc_12355.wav ニバルブッター ニ⸢バ⸣ルブッター [ni⸢ba⸣rubuttaː] 名 根っこが膨らんでいるもの。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ニ⸢バ⸣ルブッター ⸣ナリティ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢nu kiː⸣ja ni⸢ba⸣rubuttaː ⸣naritti sï̥⸢kaːranu] (この木は根っこが膨らんでいて使われない) 12460 0 0 12064 htmvoc_12460.wav ニビアウ ニ⸢ビアウ [ni⸢biʔau] 名 添い寝をする人。そいぶし(添い臥し)する友。花嫁と一緒に添い寝をする友。ニ⸢ビアグ[ni⸢biʔagu](寝仲間)の転訛したものか。古くは結婚式の夜、花嫁が寂しがらないようにと、友達が一緒に寝てやる習慣があったという。 マ⸢ナ⸣マ ⸢カンガイ⸣ルカー ニ⸢ビアウ⸣ティ ⸢スー ムノー⸣ ミ⸢ジラ⸣シ ⸣ナライル ヤ⸢レー⸣バン⸢ナー [ma⸢na⸣ma ⸢kaŋgai⸣rukaː ni⸢biʔau⸣ti ⸢suː munoː⸣ mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣narairu ja⸢reː⸣ban⸢naː] (今考えたら「添い寝をする友だち」というのは珍しい風習であったのだねえ) 12461 0 0 12065 htmvoc_12461.wav ニビアシ ニ⸢ビアシ [ni⸢biaʃi] 名 寝汗。 ダッ⸢カティ⸣ ニ⸢ビアシ⸣ パリ⸢ベー [dak⸢kati⸣ ni⸢biaʃi⸣ pari⸢beː] (びっしょり寝汗をかいている) 12462 0 0 12066 htmvoc_12462.wav ニビウイ ニ⸢ビウイ [ni⸢biʔui] 名 背泳。「寝泳ぎ」の義。 ⸢ワー⸣ ニ⸢ビウイ シーシェー⸢ン [⸢waː⸣ ni⸢biʔui ʃiːʃeː⸢ŋ] (君は寝泳が出来る<し得る>か)。 ⸣バー ニ⸢ビウイヤー⸣ ター⸢ン⸣ラン マ⸢キラヌ [⸣baː ni⸢biʔuijaː⸣ taː⸢n⸣ram ma⸢kiranu] (私は、寝泳は誰にも<誰からも>負けない) 12463 0 0 12067 htmvoc_12463.wav ニビカイヤン ニ⸢ビカイ⸣ヤン [ni⸢bikai⸣jaŋ] 形 \ruby{寝相}{ネ|ゾウ}がよい<美しい>。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ニ⸢ビカイ⸣ヤン [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ ni⸢bikai⸣jaŋ] (あの子は非常に寝相が美しい) 12464 0 0 12068 htmvoc_12464.wav ニビキン ニ⸢ビキン [ni⸢bikiŋ] 名 寝間着。 ム⸢カ⸣シェー ニ⸢ビキンテー ナーン⸣シェン フ⸢タ⸣キシキンバ キ⸢シティル⸣ ニ⸢ブタル [mu⸢ka⸣ʃeː ni⸢bikinteː naːŋ⸣ʃeŋ ɸu̥⸢taki̥ʃikim⸣ba ki̥⸢ʃitiru⸣ ni⸢butaru] (昔は寝間着というのは無かった{EOS}普段着を着て<ぞ>寝たものだ) 12465 0 0 12069 htmvoc_12465.wav ニビククチ ニ⸢ビククチ [ni⸢bikukuʧi] 名 寝心地。 タ⸢キフンツァヌ ⸢ウイ⸣ラン タ⸢タミヌ ウイル⸣ ニ⸢ビククチェー⸣ マ⸢シ [tḁ⸢kiɸunʦanu ʔui⸣ran tḁ⸢taminu ʔuiru⸣ ni⸢biku̥kuʧeː⸣ ma⸢ʃi] (竹床の上よりも畳の上の方が寝心地はいい)。 ナ⸢チェー トゥーシヌ⸣ イ⸢ツァフンツァ⸣ヌ ⸢ウイル⸣ ピ⸢ラ⸣ケーユンダ ニ⸢ビククチェー⸣ マ⸢シヤッタ [na⸢ʧeː tuːʃinu⸣ ʔi⸢ʦaɸunʦa⸣nu ⸢ʔuiru⸣ pi⸢ra⸣keːjunda ni⸢bikukuʧeː⸣ ma⸢ʃijatta] (夏は縁側の板床の上が涼しいから寝心地はよかった) 12466 0 0 12070 htmvoc_12466.wav ニビザマ ニ⸢ビザマ [ni⸢biʣama] 名 \ruby{寝相}{ネ|ゾウ}。ねざま。寝ている時の格好。 ウ⸢レー サッ⸣コー ニビ⸢ザマヌ ワッ⸣サン [ʔu⸢reː sak⸣koː ni⸢biʣamanu was⸣saŋ] (彼は非常に寝相が悪い) 12467 0 0 12071 htmvoc_12467.wav ニビシガーシ ニ⸢ビシガーシ [ni⸢biʃigaːʃi] 名 寝違え。筋違いスジチ ガィ。寝方が悪かったため、首などが筋ちがいをして痛むこと。 ニ⸢ビシガーシ シーナー⸣ヌ [ni⸢biʃigaːʃi ʃiːnaː⸣nu] (寝違えをして首筋を痛めてしまった)。 ニ⸢ビシガーシ シー⸣ ヌビ ⸢マーサラヌ [ni⸢biʃigaːʃi ʃiː⸣ nubi ⸢maːsaranu] (寝違えをして首を回すことができない) 12468 0 0 12072 htmvoc_12468.wav ニビシキニ ニ⸢ビシキニ [ni⸢biʃi̥kini] 名 寝床。寝室。座敷。「寝・敷き寝」の義か。シ⸢キ⸣ニ[ʃi̥⸢ki⸣ni](寝床{EOS}座る場所{EOS}敷き寝)ともいう。 ⸢ドゥー⸣ヌ ニ⸢ビシキニ⸣ナー ⸢ギー⸣ ニ⸢ビ⸣バ [⸢duː⸣nu ni⸢biʃi̥kini⸣naː ⸢giː⸣ ni⸢bi⸣ba] (自分の寝床に行って寝なさいよ)。 ニ⸢ビシキニ⸣ナーテー ⸣ムノー ッ⸢ふーナ [ni⸢biʃi̥kini⸣naːteː ⸣munoː f⸢fuːna] (寝床ではものを食べるな) 12469 0 0 12073 htmvoc_12469.wav ニビシギルン ニ⸢ビシギルン [ni⸢biʃigiruŋ] 自動 寝過ごす。度を超して寝る。若年層は、ニ⸢ビスギルン[ni⸢bisugiruŋ](寝過ごす)という。 ⸢ユー⸣キ ⸢スー⸣カー ニ⸢ビシギルンダ⸣ ニ⸢ビシギラン⸣ヨーニ ⸢パイ⸣サ ニ⸢ビ [⸢juː⸣ki ⸢suː⸣kaː ni⸢biʃigirunda⸣ ni⸢biʃigiraŋ⸣joːni ⸢pai⸣sa ni⸢bi] (夜更かしすると寝過ごすから、寝過ごさないように早く寝なさい) 12470 0 0 12074 htmvoc_12470.wav ニビスーブ ニ⸢ビスーブ [ni⸢bisuːbu] 名 眠り競争。寝付きの早いのを競うこと。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸢タール パイ⸣サ ニ⸢ブ⸣ユーティ ニ⸢ビスーブ シーベー⸣タ [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸢taːru pai⸣sa ni⸢bu⸣juːti ni⸢bisuːbu ʃiːbeː⸣ta] (子供達は誰が早く寝るかといって寝付き勝負<眠り勝負>をしていた) 12471 0 0 12075 htmvoc_12471.wav ニビズク ニ⸢ビズク [ni⸢biʣuku] 名 寝る頃合い。寝るのに丁度良い時刻。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢ビズク⸣ ナ⸢リ⸣ブーバ ⸢パー⸣ク ニ⸢バシ⸣バ [ja⸢ra⸣beː ni⸢biʣuku⸣ na⸢ri⸣buːba ⸢paː⸣ku ni⸢baʃi⸣ba] (子供は寝るのに丁度良い時刻になっているから、早く寝かせなさいよ) 12472 0 0 12076 htmvoc_12472.wav ニビスグシ ニ⸢ビスグシ [ni⸢bisuguʃi] 名 寝過ごし。朝寝坊。若年層の言葉。老年層は、ア⸢サ⸣ニビ[ʔa⸢sa⸣nibi](朝寝)という。 ⸢ユー⸣キ シ⸢ティ⸣ ニ⸢ビスグシ シー ナー⸣ヌ [⸢juː⸣ki ʃi̥⸢ti⸣ ni⸢bisuguʃi ʃiː naː⸣nu] (夜更かしして、寝過ごし<朝寝坊>してしまった) 12473 0 0 12077 htmvoc_12473.wav ニビスクライ ニ⸢ビスクライ [ni⸢bisu̥kurai] 名 寝たふり。「寝繕い」の義か。若年層は、ニ⸢ビマービ[ni⸢bimaːbi](眠り真似)ともいう。 ニ⸢ビスクライバ シーベー⸣ティ ムー⸢ルヌ⸣ ア⸢ズ⸣ ムネー シ⸢キル ブー [ni⸢bisu̥kuraiba ʃiːbeː⸣ti muː⸢runu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ muneː ʃi̥⸢kiru buː] (寝たふりをしていて、皆の言うことを聞いている) 12474 0 0 12078 htmvoc_12474.wav ニビスコール ニ⸢ビスコール [ni⸢bisu̥koːru] 名 寝る準備。寝支度。 ⸢ウイ⸣プソー ⸣ユネン ⸣ナルカー ニ⸢ビスコール シーソーッ⸣タ [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸣junen ⸣narukaː ni⸢bisu̥koːru ʃiːsoːt⸣ta] (年寄りは宵の口になると寝支度をされた<しなさった>ものだ) 12475 0 0 12079 htmvoc_12475.wav ニビタールン ニ⸢ビタールン [ni⸢bittaruŋ] 自動 寝入る。眠りふける。熟睡する。ぐっすり寝る。「ね・たはれ(寝・戯れ)」の転訛したものか。「戯れ」は「~容<かほ>よきによりてぞ妹は多波礼弖<タハレテ>ありける。万葉、1783」の転訛したものか。 ブ⸢ガ⸣リティ ニ⸢ビターリ⸣ ウ⸢キ⸣ルスコー<⸢ウー⸣クスコー> ア⸢ラ⸣ヌ [bu⸢ga⸣riti ni⸢bitaːri⸣ ʔu⸢ki⸣rusu̥koː<⸢ʔuː⸣kusukoː> ʔa⸢ra⸣nu] (疲れ果て眠り耽り、起きるどころではない)。 ブ⸢ガ⸣ルカー イ⸢チンマー⸣ ニ⸢ビタールンドゥ キュー⸣ヤ ニ⸢ビターラヌ [bu⸢ga⸣rukaː ʔi⸢ʧimmaː⸣ ni⸢bitarundu kjuː⸣ja ni⸢bitaranu] (疲れたら、いつもは熟睡するが、今日は熟睡しない)。 ウ⸢レー⸣ ニ⸢ビター⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ンダ ⸢ワーンツァン パー⸣ク ニ⸢ビターレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢reː⸣ ni⸢bitaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nda ⸢waːnʦan paː⸣ku ni⸢bitaːreː⸣ misamunu] (彼は熟睡することはないから、君だけでも早く熟睡すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ニ⸢ビターリ⸣バ [⸢paː⸣ku ni⸢bitaːri⸣ba] (早く熟睡しなさいよ) 12476 0 0 12080 htmvoc_12476.wav ニビッタルウキッタル ニ⸢ビッタル⸣ ウ⸢キッ⸣タル [ni⸢bittaru⸣ ʔu⸢kit⸣taru] 連 寝たり起きたり。起き伏しすること。不元気な状態でいること。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マリティ⸣ マサーカサー ⸢ナー⸣ムティ ニ⸢ビッタリ⸣ ウ⸢キタリ ⸢シーベー [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢mariti⸣ masaːkasaː ⸢naː⸣muti ni⸢bittari⸣ ʔu⸢kit⸣tari ⸢ʃiːbeː] (風邪をひいて<塗られて>不元気で、寝たり起きたりの生活をしている) 12478 0 0 12081 htmvoc_12478.wav ニビバナ ニ⸢ビバナ [ni⸢bibana] 名 寝入りばな。熟睡した頃。深く寝入ったころ。「ねばな(寝端)」の義。「Neiribana,ネイリバナ(寝入り端) 人が眠りについた初めの深い眠り」『邦訳日葡辞書』の転訛か。 マ⸢ナ⸣マー ニ⸢ビバナ⸣ ヤ⸢ルムヌ⸣ ウ⸢コース⸣ナ [ma⸢na⸣maː ni⸢bibana⸣ ja⸢rumunu⸣ ʔu⸢koːsu⸣na] (今は寝入りばな<熟睡中>だから起こすな)。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ニ⸢ビバナー⸣ ドゥ⸢ラーンガニ⸣ ウティティン ウ⸢コーサラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣mununu ni⸢bibanaː⸣ du⸢raːŋgani⸣ ʔutitiŋ ʔu⸢koːsara⸣nu] (若者の寝入りばなは銅鑼鐘を打っても起こされない) 12479 0 0 12082 htmvoc_12479.wav ニビパナシ ニ⸢ビパナシ [ni⸢bipanaʃi] 名 寝物語。夫婦、兄弟、友人等が寝ながら話をすること。 ⸣ユベー トゥ⸢ジブトゥザーン⸣ナリ ナー⸢イ⸣ ニ⸢ビパナシバ シーベー⸣ティ ニ⸢バランシェン [⸣jubeː tu⸢ʤibutuʣaːn⸣nari naː⸢i⸣ ni⸢bipanaʃiba ʃiːbeː⸣ti ni⸢baraŋʃeŋ] (昨夜は夫婦で寝物語をして寝られなかった) 12480 0 0 12083 htmvoc_12480.wav ニビパンツァスン ニ⸢ビパンツァスン [ni⸢bipanʦasuŋ] 自動 寝そびれる。眠り損ねる。ねはぐれる。「眠り外す」の義。 ⸣ユベー ⸢ビープス⸣ヌ ⸢ペー⸣リケーティ ニ⸢ビパンツァシ ナーン⸣シェン [⸣jubeː ⸢biːpusu⸣nu ⸢peː⸣rikeːti ni⸢bipanʦaʃi naːŋ⸣ʃeŋ] (昨夜は酔っ払いが入ってきたので寝そびれてしまった)。 ⸢ビープス⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ⸣クーカ ニ⸢ビパンツァスンダ⸣ ニ⸢ビパンツァサン⸣ヨーニ ⸢ピン⸣ギ ⸣パリバ [⸢biːpusu⸣nu ⸢peː⸣ri ⸣kuːkaː ni⸢bipanʦasunda⸣ ni⸢bipanʦasaɲ⸣joːni ⸢piŋ⸣gi ⸣pariba] (酔っ払いが入ってきたら寝そびれるから、寝そびれないように逃げていきなさい)。 ニ⸢ビパンツァス⸣ ピンマー ア⸢サ⸣ニビ ⸢シー⸠ツォー [ni⸢bipanʦasu⸣ pimmaː ʔa⸢sa⸣nibi ⸢ʃiː⸠ʦoː] (寝そびれる時は朝寝坊をしなさいよ)。 ⸢ワンヌン⸣ ニ⸢ビパンツァシェー⸣ ミサムヌ [⸢wannun⸣ ni⸢bipanʦaʃeː⸣ misamunu] (君も寝そびれたらいいのに)。 ニ⸢ビパンツァシ⸣バ [ni⸢bipanʦaʃi⸣ba] (眠り損ねろよ) 12477 0 0 12084 htmvoc_12477.wav ニビフカスン ニ⸢ビフカスン [ni⸢biɸukasuŋ] 自動 寝過ごす。深く寝入る。 マー ン⸢ベー⸣スカー ニ⸢ビフカスンティ アーク⸣タ [maː ʔm⸢beː⸣su̥kaː ni⸢biɸu̥kasunti ʔaːku⸣ta] (もうじき寝過ごすところだった)。 サ⸢ケー⸣ ヌ⸢ム⸣タンティン ニ⸢ビフカサヌ [sḁ⸢keː⸣ nu⸢mu⸣tantin ni⸢biɸukasanu] (酒は飲んでも寝過ごさない)。 ニ⸢ビフカシ ナー⸣ヌ [ni⸢biɸukaʃi naː⸣nu] (寝過ごしてしまった)。 ニ⸢ビフカス⸣ クトー ⸢ナーン⸣シェン [ni⸢biɸu̥kasu⸣ ku̥toː naːŋ⸣ʃeŋ] (寝過ごすことはなかった)。 ニ⸢ビフカシェー⸣ ミサムヌ [ni⸢biɸu̥kaʃeː⸣ misamunu] (寝過ごせばいいのに)。 ⸢キュー⸣ヤ ニ⸢ビフカシ⸣バ [⸢kjuː⸣ja ni⸢biɸu̥kaʃi⸣ba] (今日は寝過ごしなさいよ) 12481 0 0 12085 htmvoc_12481.wav ニビブガリ ニ⸢ビブガリ [ni⸢bibugari] 名 寝疲れ。寝過ぎたためにかえってだるく感じること。 ⸣ユベー ニ⸢ビシギティル⸣ ニ⸢ビブガリ シーベー⸣バン [⸣jubeː ni⸢biʃigitiru⸣ ni⸢bibugari ʃiːbeː⸣baŋ] (昨夜は寝過ぎて、寝疲れしているわい) 12483 0 0 12086 htmvoc_12483.wav ニビブスク ニ⸢ビブスク [ni⸢bibusuku] 名 寝不足。睡眠不足。ニ⸢ビタラーヌ[ni⸢bitaraːnu](眠り足りない{EOS}寝不足)ともいう。 ク⸢ヌ⸣グロー ⸢ユーキ⸣ヌ シ⸢ジクンダ⸣ ニ⸢ビブスク ユン⸣ナー [ku⸢nu⸣guroː ⸢juːki⸣nu ʃi⸢ʤikunda⸣ ni⸢bibusukujun⸣naː] (此の頃は徹夜<夜起き>が続くので寝不足だなあ) 12482 0 0 12087 htmvoc_12482.wav ニビフチ ニ⸢ビフチ [ni⸢biɸuʧi] 名 ねいりばな(寝入り端)。どうやって、いつ寝たかということ。ねむること。睡眠の仕方。 ⸣ユベー ブ⸢ガ⸣リティ ⸢ヌー⸣シ ニ⸢ブタ⸣ユー ニ⸢ビフチ⸣ ッ⸢サヌ [⸣jubeː bu⸢ga⸣riti ⸢nuː⸣ʃi ni⸢buta⸣juː ni⸢biɸuʧi⸣ s⸢sanu] (昨夜は疲れて、何時どうやって寝たのか、睡眠の仕方<寝入り方>が分らない) 12484 0 0 12088 htmvoc_12484.wav ニビフチル ニ⸢ビフチル [ni⸢biɸu̥ʧiru] 名 眠り薬。 ⸢ミーコー⸣リティ ニ⸢バランベー⸣ティ ニ⸢ビフチル⸣ ヌ⸢ム⸣タ [⸢miːkoː⸣riti ni⸢barambeː⸣ti ni⸢biɸu̥ʧiru⸣ nu⸢mu⸣ta] (目が冴えて眠れないので眠り薬<睡眠薬>を飲んだ) 12487 0 0 12089 htmvoc_12487.wav ニビマービ ニ⸢ビマービ [ni⸢bimaːbi] 名 寝たふり。寝る真似。 ⸢ソーニベー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ニ⸢ビマービル シーベー [⸢soːnibeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ni⸢bimaːbiru ʃiːbeː] (本眠りではなくて、寝たふりをしているのだ) 12485 0 0 12090 htmvoc_12485.wav ニビヤッサン ニ⸢ビヤッ⸣サン [ni⸢bijas⸣saŋ] 形 寝やすい。寝入りやすい。寝つきやすい。 ピ⸢ラ⸣ケーンダ⸣ ニ⸢ビヤッ⸣サン [pi⸢ra⸣keːnda ni⸢bijas⸣saŋ] (涼しいから寝つきやすい) 12486 0 0 12091 htmvoc_12486.wav ニビヤニヤン ニ⸢ビヤニ⸣ヤン [ni⸢bijani⸣jaŋ] 形 寝相が悪い。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ニ⸢ビヤニ⸣ヤンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ニ⸢ビヤニヤー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ ni⸢bijani⸣janti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ni⸢bijanijaː naː⸣nu] (彼は非常に寝相が悪いと聞いたが、あまり寝相は悪くない)。 ⸣ドク ニ⸢ビヤニヤ⸣ヌ プ⸢スン⸣ヤーナー ニ⸢バサラヌ [⸣duku ni⸢bijanija⸣nu pu̥⸢suɲ⸣jaːnaː ni⸢basaranu] (あまりにも寝相が悪くて余所の家では寝かされない)。 ニ⸢ビヤニ⸣ヤー プ⸢ソー⸣ ウ⸢リバーキ⸣ル ヤ⸢ル [ni⸢bijani⸣jaː pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢ribaːki⸣ru ja⸢ru] (寝相の悪いのは彼までだ) 12488 0 0 12092 htmvoc_12488.wav ニビングリサン ニ⸢ビングリ⸣サン [ni⸢biŋguri⸣saŋ] 形 寝苦しい。 タ⸢キフンツァー⸣ ニ⸢ビングリ⸣サンティ ア⸢ズヌ⸣ ニ⸢ビングリサー ⸢ナー⸣ヌ [tḁ⸢kiɸunʦaː⸣ ni⸢biŋguri⸣santi ʔa⸢ʣunu⸣ ni⸢biŋgurisaː naː⸣nu] (竹床は寝苦しいというが、寝苦しくはない)。 ニ⸢ビングリサ⸣ヌ ⸣クナーヤ ニ⸢バラヌ [ni⸢biŋgurisa⸣nu ⸣kunaːja ni⸢baranu] (寝苦しくて、ここには寝られない)。 ⸢シンダイ⸣ ニ⸢ビングリ⸣サ ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai⸣ ni⸢biŋguri⸣sa ⸣narikeːŋ] (次第に寝苦しくなってきた)。 ニ⸢ビングリ⸣サ ⸣トンナー ニ⸢ブナ [ni⸢biŋguri⸣sa ⸣tonnaː ni⸢buna] (寝苦しい所には寝るな) 12489 0 0 12093 htmvoc_12489.wav ニビントン ニ⸢ビントン [ni⸢bintoŋ] 名 寝る所。寝所。 ⸣クマー ⸣バー ニ⸢ビントン<ニ⸢ビシキニ> [⸣kumaː ⸣baː ni⸢bintoŋ] (ここは私の寝る所<寝所>です) 12493 0 0 12094 htmvoc_12493.wav ニブク ニ⸢ブ⸣ク [ni⸢bu⸣ku] 名 いなばきむしろ(稲掃筵)。藁で\ruby{絨毯}{ジュー|タン}のように精巧に編み上げた筵。縦横六尺と九尺の大きさに編んだ二種類のニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku]があった。石垣ではニ⸢カフク[ni⸢kaɸuku]という。その上に籾を干したり、ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](碾き臼{EOS}磨臼)を据え置いてイ⸢ニ⸣ピキ[ʔi⸢ni⸣pi̥ki](籾擂り{EOS}籾殻を取り去る)の作業をしたり、シ⸢キ⸣ウシ[ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi](搗き臼)を据えて米搗きをしたりした。畳が導入される前は、これをタ⸢キフン⸣ツァ[tḁ⸢kiɸun⸣ʦa](竹床)の上に敷き、更にその上にアダンバ筵を敷いて寝たという。 ミ⸢ナカ⸣ナー ニ⸢ブ⸣ク シ⸢キティ⸣ ウ⸢ヌ ウイナー⸣ル ⸢マイユン⸣ プ⸢ソーッ⸣タ [mi⸢naka⸣naː ni⸢bu⸣ku ʃi̥⸢kiti⸣ ʔu⸢nu ʔuinaː⸣ru ⸢maijun⸣ pu̥⸢soːt⸣ta] (庭にニブクを敷いて、その上に籾をも干された) 12491 0 0 12095 htmvoc_12491.wav ニフターン ⸢ニフ⸣ターン [⸢niɸu̥⸣taːŋ] 形 眠たい。「ねぶたし(眠たし)」『源氏・若紫』の転訛したもの。 ⸢ニフ⸣ターンドゥ ⸢ニフターナーン⸣ティ ア⸢ジ アー⸣ク [⸢niɸu̥⸣taːndu ⸢niɸu̥taːnaːn⸣ti ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (眠たいが、眠たくないといっている)。 ⸢ニフター⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢niɸutaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (眠たくてたまらない)。 ⸢シンダイ ニフ⸣ター ⸣ナリ ⸣クーン [⸢ʃindai niɸu⸣taː ⸣nari ⸣kuːŋ] (次第に眠たくなってくる)。 ⸢ニフ⸣ター プ⸢ソー⸣ ニ⸢ビ⸣バ [⸢niɸu̥⸣taː pu̥⸢soː⸣ ni⸢bi⸣ba] (眠たい人は寝なさい)。 ⸣アイニ ⸢ニフ⸣ターレーラー ウ⸢キララ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢niɸu̥⸣taːreːraː ʔu⸢kirara⸣nu] (あんなに眠たかったら起きられない) 12492 0 1 12096 htmvoc_12492.wav ニフターンギサン ⸢ニフターン⸣ギサン [⸢niɸu̥taːŋ⸣gisaŋ] 形 眠たげ。眠たそうである。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ニフターン⸣ ギサンダ ⸢パー⸣ク ニ⸢バシ⸣バ [ja⸢ra⸣beː ⸢niɸutaːŋ⸣gisanda ⸢paː⸣ku ni⸢baʃi] (子供は眠たそうだから、早く寝かせなさい)。{⸢-ン⸣ギサン[⸢-ŋ⸣gisaŋ](~気{EOS}~様子~そうだ)は、{Mn_1}動詞、動詞型助動詞の連用形に付いて、パ⸢リン⸣ギサン[pa⸢riŋ⸣gisaŋ](行きそうだ<行き気>)、カ⸢カリン⸣ギサン[kḁ⸢kariŋ⸣gisaŋ](書け<書かれ>そうだ) 12492 0 2 12097 htmvoc_12492.wav ニフターンギサン ⸢ニフターン⸣ギサン [⸢niɸu̥taːŋ⸣gisaŋ] 形 {Mn_2}形容詞、形容詞型助動詞の語幹に接尾語「⸢-ン⸣ギサン[⸢-ŋ⸣gisan](~気{EOS}~そうだ)」が下接して、⸣プサンギサシ[⸣pu̥saŋgisaʃi](欲しそうに<欲しげに{EOS}欲しそうに>)、カ⸢キ⸣プサンギサシ ミリ⸢ベー[kḁ⸢ki⸣pu̥saŋgisaʃi miri⸢beː](書きた気に<そうに>見ている)のように用いられる} 12494 0 0 12098 htmvoc_12494.wav ニブタターナ ニ⸢ブタター⸣ナ [ni⸢butataː⸣na] 連 寝たまま。寝たっきり。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ア⸢ム⸣サティ ニ⸢ブタター⸣ナ ⸢チャー⸣ニビ⸢シーベー [du⸢ku⸣nu ʔa⸢mu⸣sati ni⸢butataː⸣na ⸢ʧaː⸣nibi ⸢ʃiːbeː] (あまりにも頭痛がしたので<風邪気味で気分が悪くて>寝たまま眠り続けているよ) 12495 0 0 12099 htmvoc_12495.wav ニブマドゥ ニ⸢ブ⸣マドゥ [ni⸢bu⸣madu] 連 寝る暇。寝るべき時間。睡眠時間。 トゥ⸢リパン⸣タナー ス⸢クリ⸣プソー ニ⸢ブ⸣マドゥ ⸢ナーン⸣シェン [tu⸢ripan⸣tanaː su̥⸢kuri⸣pu̥soː ni⸢bu⸣madu ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (農繁期には、百姓は寝る時間はなかった) 12496 0 0 12100 htmvoc_12496.wav ニブミーンニバヌ ニ⸢ブ⸣ミーン ニ⸢バヌ [ni⸢bu⸣miːn ni⸢banu] 連 眠る目も眠らないで。寝るべき時間にも寝ずに。休む暇もなく。 ⸢ユール⸣ヌ ニ⸢ブ⸣ミーン ニ⸢バンドー⸣シ ヤ⸢ミプス⸣ヌ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢シー オーシタ [⸢juːru⸣nu ni⸢bu⸣miːn ni⸢bandoː⸣ʃi ja⸢mipusu⸣nu ⸢tunʣa⸣ku ⸢ʃiː ʔoːʃi̥ta] (夜の寝る時間も寝ないで病人の看病をしてさしあげた) 12497 0 0 12101 htmvoc_12497.wav ニブン ニ⸢ブン [ni⸢buŋ] 自動 眠る。寝る。「Nemuri、u、utta.ネムリ、ル、ッタ(眠り、る、った)」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ⸢パー⸣ク ニ⸢ブンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ カ⸢サマサ⸣ヌ ニ⸢バラヌ [⸢paː⸣ku ni⸢bunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ka⸢samasa⸣nu ni⸢baranu] (早く寝ようと思うがうるさくて寝られない)。 ニ⸢ビ⸣ ミサカー ⸢パー⸣ク ニ⸢ビ⸣バ [ni⸢bi⸣ misakaː ⸢paː⸣ku ni⸢bi⸣ba] (寝てよければ早く寝なさい)。 ニ⸢ブ プソー パー⸣ク ニ⸢ベー⸣ ミサムヌ [ni⸢bu pu̥soː paː⸣ku ni⸢beː⸣ misamunu] (寝る人は早く寝ればいいのに) 12498 0 0 12102 htmvoc_12498.wav ニボシ ニ⸢ボシ [ni⸢boʃi] 名 煮干し。標準語からの借用語。⸢シー⸣ラ[⸢ʃiː⸣ra](カツオの餌となる小魚)、ガ⸢サガ⸣サー[gasagasaː](カツオの餌となる小魚)、サ⸢ネー⸣ラ[sa⸢neː⸣ra](カツオの餌となる小魚)、⸣ザコー[⸣ʣakoː](雑魚{EOS}カツオの餌となる小魚)、バ⸢カザ⸣コー[ba⸢kaʣa⸣koː](カツオの餌になる小魚)などを煮て天日乾燥したもの。出汁用に売っていた。 ニ⸢ボシェー⸣ タ⸢ブイ⸣ シキティ フ⸢ユ⸣ ナルカー ⸢スー⸣ヌダシ ⸢ソーッ⸣タ [ni⸢boʃeː⸣ ta⸢bui⸣ ʃi̥kiti ɸu⸢ju⸣ narukaː ⸢suː⸣nudaʃi ⸢soːt⸣ta] (煮干しは保存しておいて、冬になると出汁にされた) 12499 0 0 12103 htmvoc_12499.wav ニヤー ⸣ニヤー [⸣nijaː] 名 琉球国時代の新参士族。先島の士族が元服後最初に付ける称号。役職に付いた百姓も称するという。「仁屋」と書く。『石垣方言辞典』。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢イーパイ⸣ナーン ⸣ニヤーティ カ⸢カ⸣リ ⸢ブー ジーヌ⸣ ミ⸢ラ⸣リン [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢ʔiːpai⸣naːn ⸣nijaːti kḁ⸢ka⸣ri ⸢buː ʤiːnu⸣ mi⸢ra⸣riŋ] (鳩間島の位牌にも「仁屋」と書かれた文字が見られる) 12500 0 0 12104 htmvoc_12500.wav ニューカン ⸢ニューカン [ɲuːkan] 名 入棺。最後の別れをしてから、死者を棺に納めること。標準語からの借用語。 タ⸢ベーラヌ⸣ ッ⸢ふァンケー⸣ヌ ⸢クーバ⸣ル ⸢ニューカンマー⸣ シ⸢ラリル [ta⸢beːranu⸣ f⸢faŋkeː⸣nu ⸢kuːba⸣ru ⸢ɲuːkammaː⸣ ʃi⸢rariru] (旅からの子供達が来たら<来ればぞ>入棺することができる) 12384 0 0 12105 htmvoc_12384.wav ニヨープトゥキ ⸣ニヨープトゥキ [nioːpu̥tuki] 名 仁王仏。石垣島の桃林寺の山門に安置されている「仁王仏像」。鳩間島では、幼児期に病弱な子供は、この仁王仏像を拝ませると健康になると信じられていた。病弱な子供は年に一度仁王仏像を拝ませに桃林寺へ連れて行った。仁王像の法力によって幼児に取り憑いている病気の神が祓われると信じられていたからである。 ⸣ニヨープトゥキ ウ⸢ガマ⸣スカー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ガン⸣ゾー ⸣ナルンツォー [⸣nijoːpu̥tuki ʔu⸢gama⸣su̥kaː ja⸢ra⸣beː ⸢gan⸣ʣoː ⸣narunʦoː] (仁王物を拝ませると、子供は頑丈になるそうだ)。 ティ⸢ラヌ⸣ ニヨープトゥキ ウ⸢ガマ⸣シ クー⸢ディー [ti⸢ranu⸣ nijoːpu̥tuki ʔu⸢gama⸣ʃi kuː⸢diː] (寺の仁王仏を拝まして来ようよ) 12502 0 1 12106 htmvoc_12502.wav ニン ⸣ニン [⸣niŋ] 名 {Mn_1}念。入念。心をこめること。 シ⸢グトー ニン⸣バ イ⸢リ シー⸠ヨー [ʃi⸢gutoː nim⸣ba ʔi⸢ri ʃiː⸠joː] (仕事は念を入れて<入念に>しなさいよ)。 12502 0 2 12107 htmvoc_12502.wav ニン ⸣ニン [⸣niŋ] 名 {Mn_2}熱意。執念。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ナー ムッ⸢トゥ ニン⸣ヌ ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu⸣naː mut⸢tu nin⸣nu ⸢naː⸣nu] (この仕事にちっとも熱意<執念>がない) 12505 0 0 12108 htmvoc_12505.wav ニン ⸣ニン [⸣niŋ] 助数 人。人数を数える単位。1から4までの数にはル[ru](人)が付き、それ以上はニン[niŋ](人)が付く。標準語からの借用語。 ⸢ヨイシー⸣プソー ⸢ナン⸣ニンブカラ ⸢オール⸣ワ [⸢joiʃiː⸣pu̥soː ⸢nan⸣nimbukara ⸢ʔoːru⸣wa] (お祝いの参加者<祝いする人>は何人ほどおられるか)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ジュー⸣ニン ⸢オー⸣ルン [ma⸢na⸣maː ⸢ʤuː⸣niŋ ⸢ʔoː⸣ruŋ] (今は十人おられる) 12506 0 0 12109 htmvoc_12506.wav ニン ⸣ニン [⸣nin] 助数 ねん(年)。年を数える単位。 ウ⸢キ⸣ナー ⸣パレーラー ⸢ナン⸣ニン ナ⸢ル⸣ワ [ʔu⸢ki⸣naː ⸣pareːraː ⸢nan⸣nin na⸢ru⸣wa] (沖縄へ行ってから何年になるか)。 グ⸢ニン⸣ ナルン⸢ダー [gu⸢nin⸣ narun⸢daː] (五年になるよ) 12503 0 0 12110 htmvoc_12503.wav ニンイラー ⸣ニンイラー [⸣niŋʔiraː] 名 入念な人。熱心な人。念を入れて仕事をする人。 ウ⸢レー⸣ ニンイラー ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ンシグトゥ⸣ シ⸢ミルバン⸣ マ⸢チガイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ niŋʔiraː ja⸢runda⸣ noː⸢ŋ ʃigutu⸣ ʃi⸢mirubam⸣ ma⸢ʧigai⸣jaː ⸢naː⸣nu] (彼は入念な人だから、どんな仕事をさせても間違いは犯さない<間違いはない>) 12504 0 0 12111 htmvoc_12504.wav ニンイリ ⸢ニン⸣イリ [⸢niŋ⸣ʔiri] 副 念入りに。注意深く丁寧に。熱心に。几帳面に。 ウ⸢レー⸣ ノー⸢ンヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ナーン ⸢ニン⸣イリ ⸢スン [ʔu⸢reː⸣ noː⸢nnu⸣ ʃi⸢gutu⸣naːn ⸢niŋ⸣ʔiri ⸢suŋ] (彼はどんな仕事にも入念に<熱心に>する) 12510 0 0 12112 htmvoc_12510.wav ニンイルン ⸣ニン イ⸢ルン [⸣niŋ ʔi⸢ruŋ] 連 思いを籠める。念を入れる。入念にする。一所懸命にする。 マ⸢ナ⸣マーラー ⸢ビンキョー⸣ナーン ⸣ニン イ⸢ルンティ カン⸣ガイ ⸢ベー [ma⸢na⸣maːra ⸢biŋkjoːn⸣ niŋ ʔi⸢runti kaŋ⸣gai ⸢beː] (今からは勉強にも念を入れようと考えている)。 ⸢ニン⸣ イリ ⸢ビンキョー シー [⸢niŋ⸣ ʔiri ⸢biŋkjoː ʃiː] (一生懸命に勉強しなさい) 12389 0 0 12113 htmvoc_12389.wav ニンガイ ⸢ニン⸣ガイ [⸢niŋ⸣gai] 名 祈願。願いごと。⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai](屋敷の祈願)、⸢ウンキヌ ニン⸣ガイ[⸢ʔuŋkinu niŋ⸣gai](運気の祈願{EOS}健康祈願)等がある。 ⸢ヤーニンズ⸣ヌ ⸢ウンキヌ ニンガイ⸣ヤー パ⸢チンガ⸣チシキナー ⸢シー オーラ⸣スンティ ス⸢コーリ ベー [⸢jaːninʣu⸣nu ⸢ʔuŋkinu niŋgai⸣jaː pḁ⸢ʧiŋga⸣ʧi ⸣ʃi̥kinaː ⸢ʃiː ʔoːra⸣sunti su̥⸢koːri beː] (家族の運気<健康>の祈願は八月にして差し上げようと準備している)。 ⸣ドゥーパダニンガイ [⸣duːpadaniŋgai] (健康祈願)。 ⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai] (屋敷の祈願) 12390 0 0 12114 htmvoc_12390.wav ニンガイグトゥ ⸢ニンガイ⸣グトゥ [⸢niŋgai⸣gutu] 名 神事祈願。仏事祈願。 ⸢ウン⸣ネーナー ⸢ニンガイグトゥ⸣ヌ ⸣アルツォー [⸢ʔun⸣neːnaː ⸢niŋgaigutu⸣nu ⸣ʔaruʦoː] (あの家には祈願不足の神事祈願があるそうだ)。 ⸢ニンガイグトゥ⸣ヌ ⸣アルテイ ア⸢ゾール⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ⸣クトゥカヤー [⸢niŋgaigutu⸣nu ⸣ʔaruti ʔa⸢ʣoːru⸣nu ⸢nuː⸣nu ⸣ku̥tukajaː] (神仏への祈願ごとがあるといわれるが、何の事だろうか) 12513 0 0 12115 htmvoc_12513.wav ニンガイプス ⸢ニンガイ⸣プス [⸢niŋgai⸣pu̥su] 名 祈願する人。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者{EOS}手擦り部)などの神職者。 ⸢ニンガイ⸣プス タ⸢ナ⸣ミ シゥ⸢カシ⸣ キーティル ⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー シ⸢ミ オーサリル [⸢niŋgai⸣pu̥su ta⸢na⸣mi sï̥⸢kaʃi⸣ kiːtiru ⸢jaʃiki⸣nu ⸢niŋgai⸣jaː ʃi⸢mi ʔoːsariru] (祈願する人<司>を頼んでお連れしてきて<ぞ>屋敷の祈願はさせられる) 12514 0 0 12116 htmvoc_12514.wav ニンガイフチ ⸢ニンガイ⸣フチ [⸢niŋgai⸣ɸu̥ʧi] 名 祝詞。祈りの詞。「願い口」の義。 ⸢ニンガイ⸣フチェー サ⸢カサヌ⸣ アッパターラ ⸣ナライ ウ⸢キ⸣トゥリティル ⸢ニンガイ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タ [⸢niŋgai⸣ɸu̥ʧeː sḁ⸢kasa⸣nu ⸣ʔapptaːra ⸣narai ʔu⸢ki⸣turitiru ⸢niŋgai⸣jaː ⸢soːt⸣ta] (願い口は司のお婆さん達から習い、伝授して<ぞ>祈願はされた) 12515 0 0 12117 htmvoc_12515.wav ニンガイムヌ ⸢ニンガイ⸣ムヌ [⸢niŋgai⸣munu] 名 神への供え物。供物。神仏への供物のお下がりのご馳走は、⸣ウサンダイ[⸣ʔusandai](供物のお下がり)という。 ⸢ニンガイ⸣ムノー ⸢ヌー⸣ル ス⸢コール⸣ワ [⸢nigai⸣munoː ⸢nuː⸣ru su̥⸢koːru⸣wa] (祈願の供物は何を供えられますか) 12397 0 0 12118 htmvoc_12397.wav ニンガイルン ⸢ニンガイ⸣ルン [⸢niŋgai⸣ruŋ] 他動 祈る。祈願する<老年層>。ニ⸢ガイ⸣ルン[ni⸢gai⸣ruŋ](願う{EOS}祈る{EOS}祈願する)<若年層>ともいう。 ⸣ドゥーシ ⸢ニンガイ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー ⸢ニンガイララ⸣ヌ [⸣duːʃi ⸢niŋgai⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ⸢niŋgairara⸣nu] (自分自身で祈願しようと思うが私には祈願できない)。 ⸢ニンガイ⸣ル ⸣ピンマー ⸢マーズン⸣シ ⸢ニンガイ⸣レー<⸢ニンガイリ⸣バ> ⸣ミサムヌ [⸢niŋgai⸣ru ⸣pimmaː ⸢maːʣuŋ⸣ʃi ⸢niŋgai⸣reː<⸢niŋgairi⸣ba> misamunu] (祈願する時は一緒に祈願すればいいのに) 12516 0 0 12119 htmvoc_12516.wav ニンガウン ⸢ニン⸣ガウン [⸢niŋ⸣gauŋ] 自動 願う。祈願する。祈る。⸣ニガウン[⸣nigauŋ](祈願する{EOS}願う)ともいう。 ⸢カンヌ⸣マイ ⸢ニン⸣ガウンティ ⸢ウムーン⸣ドゥ ⸢ニン⸣ガウ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢kannu⸣mai ⸢niŋ⸣gaunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢niŋ⸣gau pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (神様に祈願しようと思うが祈願する人がいない)。 ⸢バン⸣マー ⸢ニンガーラン⸣バ ⸢ワー ニン⸣ガイ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢bam⸣maː ⸢niŋgaːram⸣ba ⸢waː niŋ⸣gai f⸢foː⸣ri] (私には祈願できないから、貴方が祈願してください)。 ⸣ドゥーシ ⸢ニンガイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸢niŋgai⸣jaː ⸣misamunu] (自分で祈願すればいいのに)。 ⸢ニン⸣ガイバ [⸢niŋ⸣gaiba] (祈願せよ) 12526 0 0 12120 htmvoc_12526.wav ニンガチ ⸢ニンガ⸣チ [⸢niŋga⸣ʧi] 名 二月。若年層のことば。 ⸢キューヌ ニンガ⸣チナール ⸢ニンガチニンガイ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タ [⸢kjuːnu niŋga⸣ʧinaːru ⸢niŋgaʧiniŋgai⸣jaː ⸢soːt⸣ta] (旧暦二月に<ぞ>二月祈願祭はなさった) 12518 0 0 12121 htmvoc_12518.wav ニンガラニンズー ⸢ニンガラニンズー [⸢niŋgaraninʣuː] 連 年から年中。一年中。⸢ニンガニンズー[niŋganinʣuː](年中)ともいう。 ⸢ニンガラニンズー⸣ ユ⸢ヌ⸣ キン カー⸢ニ⸣ キ⸢シ ベー⸣バ キ⸢ムイツァー⸣ヌ ⸣キン ⸢カイ⸣ キ⸢サシ [⸢niŋgaraninʣuː⸣ ju⸢nu⸣ kiŋ kaː⸢ni⸣ ki̥⸢ʃibeː⸣ba ki⸢muiʦaː⸣nu ⸣kiŋ ⸢kai⸣ ki̥⸢saʃi] (一年中同じ着物だけ着ているから、可哀相でたまらない{EOS}着物を買って着せなさい) 12519 0 0 12122 htmvoc_12519.wav ニンキソッコー ⸢ニンキソッ⸣コー [⸢niŋkisok⸣koː] 名 年忌の法事。命日に行う法事。「年忌焼香」の義。ユ⸢ノー⸣レー[ju⸢noː⸣reː](一年忌)、⸢サンニン⸣キ[sanniŋ⸣ki](三年忌)、シ⸢チニン⸣キ[ʃi̥⸢ʧiniŋ⸣ki](七年忌)、⸢ジュー⸣サンニンキ[⸢ʤuː⸣sanniŋki](十三年忌)、⸣ニジューグ⸢ニンキ[⸣niʤuːgu⸢niŋki](二十五年忌)、⸣サンジュー⸢サンニン⸣キ[⸣sanʤuː⸢sanniŋ⸣ki](三十三年忌)、ウ⸢サンギソッコー[ʔu⸢saŋgisokkoː](押し上げ焼香{EOS}三十三年忌)ともいう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ニンキソッ⸣コーナーヤ ウ⸢キ⸣ナーラン ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸣クーン [ʔu⸢ja⸣nu ⸢niŋkisok⸣koːnaːja ʔu⸢ki⸣naːram muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸣kuːŋ] (親の年忌焼香には沖縄からも皆集まって来る) 12520 0 0 12123 htmvoc_12520.wav ニンキフークー ⸢ニンキフー⸣クー [⸢niŋkiɸuː⸣kuː] 名 ねんきぼうこう(年季奉公)。 イ⸢サナキヌ⸣ ウ⸢ヤカタ⸣ヌ ⸣ヤーナー ⸢ニンキフー⸣クー ⸢シーベー [ʔi⸢sanakinu⸣ ʔu⸢jakata⸣nu ⸣jaːnaː ⸢niŋkiɸuː⸣kuː ⸢ʃiː beː] (石垣島の親方の家で年季奉公をしている) 12521 0 0 12124 htmvoc_12521.wav ニンギョー ⸢ニン⸣ギョー [⸢niŋ⸣gjoː] 名 人形。標準語からの借用語。 ⸢ニンギョー⸣ヤ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ム⸢タビ⸣ムヌ [⸢niŋgjoː⸣ja mi⸢doːŋ⸣ffanu mu⸢tabi⸣munu] (人形は女の子の玩具だ) 12522 0 0 12125 htmvoc_12522.wav ニンギン ⸢ニン⸣ギン [⸢niŋ⸣giŋ] 名 人間。プ⸢スニンギン[pu̥⸢suniŋgiŋ](人間{EOS}ひと人間)ともいう。 ⸣アイ ⸣ブー シ⸢グトー ニンギン⸣ヌ ⸢スー⸣ ワザー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔai ⸣buː ʃi⸢gutoː niŋgin⸣nu ⸢suː⸣ waʣaː ʔa⸢ra⸣nu] (あんな仕事は人間のする業ではない) 12523 0 0 12126 htmvoc_12523.wav ニング ⸢ニング [⸢niŋgu] 名 年貢。 ク⸢トゥシェー⸣ カ⸢ジヌ⸣ フキ ⸢ニング⸣ ウ⸢サミユーサ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃeː⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ki ⸢niŋgu⸣ ʔu⸢samijuːsa⸣nu] (今年は台風が吹いて年貢を納めることができない) 12524 0 0 12127 htmvoc_12524.wav ニングゾーノー ⸢ニングゾーノー [⸢niŋguʣoːnoː] 名 年貢上納。 ⸢ニングゾーノーン⸣ ウ⸢サ⸣ミ ウ⸢ミナーク シェー⸣ン [⸢niŋguʣoːnoːŋ⸣ ʔu⸢sa⸣mi ʔu⸢minaːku ʃeː⸣ŋ] (年貢上納も納めてほっと<安心>した)。 ⸢ニングゾーノー⸣ ウ⸢サ⸣ムンティル ⸢アウ⸣リナンゲー ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢niŋguʣoːnoː⸣ ʔu⸢sa⸣muntiru ⸢ʔau⸣rinaŋgeː ⸢soːt⸣taʦoː] (年貢上納を納めるのに難儀苦労<難儀哀れ>はされたそうだ) 12525 0 0 12128 htmvoc_12525.wav ニングマイ ⸢ニングマイ [⸢niŋgumai] 名 年貢米。⸢ゾーノー⸣マイ[⸢ʣoːnoː⸣mai](上納米)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ニングマイ⸣ ウ⸢サ⸣ミティヌ ア⸢マリ⸣ル ⸢ドゥー⸣ヤ ⸢マイヌ⸣イー ッ⸢ふァーリタ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢niŋgumai⸣ ʔu⸢sa⸣mitinu ʔa⸢mari⸣ru ⸢duː⸣ja ⸢mainu⸣ʔiː f⸢faːrita⸣ʦoː] (昔は年貢米を納めて、その余りをもって自分は米飯を食べることが出来たそうだ) 12527 0 0 12129 htmvoc_12527.wav ニングヮチ ⸢ニングヮ⸣チ [⸢niŋgwa⸣ʧi] 名 二月。若年層は⸢ニンガ⸣チ[⸢niŋga⸣ʧi]という。 ⸢ニングヮ⸣チ ⸣シキン<シキヌ> ⸣タテーン [⸢niŋgwa⸣ʧi ʃi̥kin<ʃikinu> ⸣tḁteːŋ] (二月の月も立った)。 ⸢ニングヮ⸣チナール ⸢ニングヮチニンガイ⸣トゥ ヤ⸢マタカビ⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タ [⸢niŋgwa⸣ʧinaːru ⸢niŋgwaʧiniŋgai⸣tu ja⸢matakabi⸣nu ⸢niŋgai⸣jaː ⸢soːt⸣ta] (旧暦二月に<ぞ>二月願いとヤマタカビ<山崇べ>の願いはなされた) 12528 0 0 12130 htmvoc_12528.wav ニングヮチウーアミ ⸢ニングヮチウー⸣アミ [⸢niŋgwaʧiʔuː⸣ʔami] 名 旧暦二月に降る大雨。⸢ニンガチウー⸣アミ[⸢niŋgaʧiʔuː⸣ʔami]ともいう。⸢ニングヮチカジマー⸣ル[⸢niŋgwaʧikaʤimaː⸣ru](旧暦二月に急に吹く強い北風{EOS}台湾坊主{EOS}東シナ海に発生する低気圧)とともにやってくる。 ⸢ニングヮチカジマー⸣ルナール ⸢ニングヮチウー⸣アミン ⸣フー [⸢niŋgwaʧikaʤimaː⸣runaːru ⸢niŋgwaʧiʔuː⸣ʔamiŋ ⸣ɸuː] (二月風回り<台湾坊主>のときに大雨も降るものだ) 12529 0 0 12131 htmvoc_12529.wav ニングヮチカジマール ⸢ニングヮチカジマー⸣ル [⸢niŋgwaʧikaʤimaː⸣ru] 名 二月風回り。若年層は⸢ニンガチカジマー⸣ル[⸢niŋgaʧikaʤimaː⸣ru]ともいう。旧暦二月に急に吹く強風。台湾坊主<東シナ海低気圧>の一種。東シナ海に発生する低気圧。 ⸢ニングヮチカジマール⸣ヌ ⸣シチェー ⸢アッ⸣タニ カ⸢ジェー マーリティ⸣ ニ⸢シカジヌ⸣ ウティ カ⸢バ⸣シ ⸣クーユンダ ナ⸢クラーン⸠ダー [⸢niŋgwaʧikaʤimaːru⸣nu ⸣ʃi̥ʧeː ⸢ʔat⸣tani ni⸢ʃikaʤinu⸣ ʔuti ka⸢ba⸣ʃi ⸣kuːjunda na⸢kuraːn⸠daː] (二月風回りの季節には、急に台湾坊主が発生して<風が北へ回って>北風が強く落ちてきて吹き荒れ、吹き被せてくるから怖いよ) 12530 0 0 12132 htmvoc_12530.wav ニングヮチタカビ ⸢ニングヮチタカ⸣ビ [⸢niŋgwaʧitaka⸣bi] 名 ⸢ニンガチタカ⸣ビ[⸢niŋgaʧitaka⸣bi]ともいう。この祭祀において、⸢ニングヮチニン⸣ガイ[⸢niŋgwaʧiniŋ⸣gai](二月願い)とヤ⸢マタカビ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[ja⸢matakabi⸣nu ⸢niŋŋ⸣gai](山崇べの祈願{EOS}虫払いの祈願)が行われた。 ⸢ニングヮチタカ⸣ベー ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ イ⸢チヤマ⸣ヌ ウ⸢ガン⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [⸢niŋgwaʧitaka⸣beː ⸢ʔuinu⸣ʔugannaːti ʔi⸢ʧijama⸣nu ʔu⸢gan⸣nu ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (二月たかべの祈願は友利お嶽<上のお願>で、五箇所<五山>のお嶽の祈願をされた) 12531 0 0 12133 htmvoc_12531.wav ニングヮチニンガイ ⸢ニングヮチニン⸣ガイ [⸢niŋgwaʧiniŋ⸣gai] 名 「二月願い」の義。⸢ニンガチニン⸣ガイ[⸢niŋgaʧiniŋ⸣gai]ともいう。旧暦二月のミ⸢ジニー[mi⸢ʤiniː](壬)の日に執り行われる祭祀。この祭祀には (i) ⸢ゾーシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢ʣoːʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai](雑色<村役人>の健康と、村の祭祀がスムースに執り行えるように祈願するもの)、(ii) ⸣アカカラジヌ ⸣ニガイ[⸣ʔakakaraʤinu ⸣nigai](一般百姓のための健康祈願)、(iii) イ⸢ニアー⸣ヌ ⸣ニガイ[ʔi⸢niʔaː⸣nu ⸣nigai](⸢稲粟の祈願」{EOS}豊作祈願)、(iv) ア⸢ミニン⸣ガイ[ʔa⸢miniŋ⸣gai](「雨願い」の義{EOS}農作物のために、十日超し、十五日超しの夜雨の降ることを祈願すること)、(v) マ⸢ミ⸣ヌ ⸣ニガイ[ma⸢mi⸣nu ⸣nigai](豆の豊作祈願)、(vi) ⸢ミー⸣シキパナシキヌ ⸣ニガイ[⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥kinu ⸣nigai](流行病<風邪>予防の祈願)、(vii) ⸢マイムン⸣ヌ ッ⸢サバー⸣ヌ ⸣ニガイ[⸢maimun⸣nu s⸢sabaː⸣nu ⸣nigai](稲、麦の下葉の願い<稲、麦の成長祈願>)、(viii) ム⸢シヌ ニン⸣ガイ[mu⸢ʃinu niŋ⸣gai](害虫駆除の祈願)などが執り行われていたが、大部分の祈願が省略された。 ⸢ニンガチニンガイ⸣ヤー ウ⸢ブ⸣ニガイ ヤ⸢ロー⸣レーティ マ⸢ナ⸣マー ダイ⸢ブ⸣ キ⸢サリ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢niŋgaʦiniŋgai⸣jaː ʔu⸢bu⸣nigai ja⸢roː⸣reːti ma⸢na⸣maː dai⸢bu⸣ ki̥⸢sari⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (二月願は大きな祈願祭であられるから、今は大分省略<切られて>あられる)。昭和30年代に祭祀の省略が実施された 12532 0 0 12134 htmvoc_12532.wav ニングヮチピラク ⸢ニングヮチピラ⸣ク [⸢niŋgwaʧipira⸣ku] 名 旧暦二月頃の厳しい寒さ。若年層は、⸢ニンガチピラ⸣ク[⸢niŋgaʧipira⸣ku]ともいう。その時期は田植え仕事と重なるので、鳩間島の人は西表島北岸の田圃小屋で一週間ずつ寝泊りしながら、厳しい寒さの中で田仕事をした。そんな時にピ⸢ラ⸣クイズ[pi⸢ra⸣kuʔiʣu](凍死寸前の魚{EOS}沿岸に浮いている)を拾って食したものである。 ⸢ニングヮチピラ⸣クナー ピ⸢ラ⸣クイズン ウ⸢ケーリ⸣ クースク ピ⸢ラ⸣コー ⸢スー⸣ワタン [⸢niŋgwaʧipira⸣kunaː pi⸢ra⸣kuʔiʣuŋ ʔu⸢keːri⸣ kuːsu̥ku pi⸢ra⸣koː ⸢suː⸣wataŋ] (旧暦二月の寒さに凍死する魚が浮いてくるほど寒さは厳し<強>かった) 12533 0 0 12135 htmvoc_12533.wav ニングヮン ⸢ニングヮン [⸢niŋgwaŋ] 名 念願。心にかけて願うこと。 ⸢ユールピー⸣ル ⸢ニングヮン シー トゥーシ アーキ⸣バ カ⸢リユ⸣シ ⸢シー⸣ パリ⸢ヨー [⸢juːrupiː⸣ru ⸢niŋgwaŋ ʃiːtuːʃi ʔaːki⸣ba ka⸢riju⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ pari⸢joː] (夜昼かけて念願しているから航海安全<嘉例吉>に旅をして行きなさいね) 12534 0 0 12136 htmvoc_12534.wav ニンゴー ⸢ニン⸣ゴー [⸢niŋ⸣goː] 名 酒、醤油や米、麦、粟、豆などを計量する単位。二合。 サ⸢キ ニン⸣ゴー ⸢カイ⸣クーバ [sḁ⸢ki niŋ⸣goː ⸢kai⸣kuːba] (酒を二合買ってきなさいよ)。 シ⸢タ⸣ディーン ⸢ニン⸣ゴーブカラー ⸢カイ⸣クーバ [ʃi⸢ta⸣diːn ⸢niŋ⸣goːbukara ⸢kai⸣kuːba] (醤油も二合ほど買って来なさいよ ) 12517 0 0 12137 htmvoc_12517.wav ニンゴーイー ⸢ニンゴー⸣イー [⸢niŋgoː⸣ʔiː] 名 白米二合を炊いたもの。 バ⸢カー⸣ンダ ⸢ニンゴー⸣イーン プ⸢ス⸣キ ⸣ブンドゥ ⸣アル [ba⸢kaː⸣nda ⸢niŋgoː⸣ʔiːm pu̥⸢su⸣ki ⸣bundu ⸣ʔaru] (若いから二合炊いたご飯も一食ぶんしかない<一食ぶんぞある>)。 ⸢ニンゴー⸣イー ⸣フナイ ム⸢タ⸣シバ [⸢niŋgoː⸣ʔiː ⸣ɸunai mu⸢ta⸣ʃiba] (二合飯を<弁当箱に>いっぱい詰め込んで持たせなさいよ) 12535 0 0 12138 htmvoc_12535.wav ニンゴーパナ ⸢ニンゴー⸣パナ [⸢niŋgoː] 名 二合のパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米{EOS}神仏に供える米)。1960年ごろまでは、親戚の家に法事があると、香典は包まず、小さな重箱に二合の米を入れ、イ⸢ツァ⸣カウ[ʔi⸢ʦa⸣kau](板線香)三枚を入れて届けた。緊急に神仏へ祈願する必要がある場合は、⸢ニンゴー⸣パナ[⸢niŋgoː⸣pana](二合花米)と⸣グシ[⸣guʃi](酒)を用意して祈願した。 ⸢ニンゴー⸣パナー ス⸢コーリティ ニン⸣ガイ シ⸢ミ オーシリ [⸢niŋgoː⸣pana su̥⸢koːriti niŋ⸣gai ʃi⸢mi ʔoːʃiri] (二合花米を準備して祈願をさせてさしあげなさい) 12536 0 0 12139 htmvoc_12536.wav ニンゴービン ⸢ニンゴー⸣ビン [⸢niŋgoː⸣biŋ] 名 二合瓶。二合入りの酒瓶。⸢ニンゴー⸣クビン[⸢niŋgoː⸣kubiŋ](二合瓶)ともいう。 ⸢ニンゴー⸣ビン プ⸢スッ⸣ク ⸢カーニ⸣テー ⸣ムティ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢niŋgoː⸣bim pu̥⸢suk⸣ku ⸢kaːni⸣teː ⸣muti pa⸢rara⸣nu] (二合瓶一個だけとは持っていかれない) 12537 0 0 12140 htmvoc_12537.wav ニンジュー ⸢ニン⸣ジュー [⸢nin⸣ʤuː] 名 二十。二十歳。 ⸣トゥシェー ⸢ニン⸣ジュ<⸢ニン⸣ズ> ナ⸢リ⸣ブンドゥ マ⸢ダ⸣ ドゥー ム⸢タ⸣ヌ [⸣tuʃeː ⸢ninʃʤu<⸢nin⸣ʣu> na⸢ri⸣bundu ma⸢da⸣ duː mu⸢ta⸣nu] (歳は二十歳になっているが、まだ結婚して<身持ちして>いない) 12539 0 0 12141 htmvoc_12539.wav ニンジョー ⸢ニンジョー [⸢ninʤoː] 名 人情。標準語からの借用語。なさけ(情け)。普通は、キ⸢ムアツァー⸣ン[ki⸢muʔaʦaː⸣ŋ](肝<人情>が篤い)という。 ウ⸢リヌ⸣ スコー ⸢ニンジョーヌ⸣ ア⸢ツァー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥koː ⸢ninʤoːnu⸣ ʔa⸢ʦaː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼ほど人情の篤い人はいない) 12540 0 0 12142 htmvoc_12540.wav ニンジョームチ ⸢ニンジョームチ [⸢ninʤoːmuʧi] 名 人情に篤い人。愛情深い人。愛情のこまやかな人。「人情持ち」の義。⸢ジョームチ[⸢ʤoːmuʧi](人情持ち<人情に厚い>)ともいう。 ウ⸢レー ニンジョームチ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ユー プ⸢スヌ⸣ クトゥ ⸢シーフィールン [ʔu⸢reː ninʤoːmuʧi⸣ ja⸢runda⸣ juː pu̥⸢sunu⸣ ku̥tu ⸢ʃiː fiːruŋ] (彼は人情に篤いから、よく他人のことをしてくれる) 12316 0 0 12143 htmvoc_12316.wav ニンジンキョー ⸢ニン⸣ジンキョー [⸢nin⸣ʤiŋkjoː] 名 (植)薬草の名。ウイキョウ(茴香)。全体的に芳香がある。山羊汁や鶏汁、魚汁に入れ、健胃薬として食された。 ⸢ニン⸣ジンキョーヤ バ⸢タ⸣ヌ フ⸢チ⸣ルティ ⸢シー⸣ イ⸢ズヌ⸣スー ピ⸢ビザヌ⸣スー トゥ⸢ルヌ⸣スーナ イ⸢リティ⸣ ン⸢コーッ⸣タ [⸢nin⸣ʤiŋkjoːja ba⸢ta⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢ʣunu⸣suː pi⸢biʣanu⸣suː tu⸢runu⸣suːna ʔi⸢riti⸣ ʔŋ⸢koːt⸣ta] (茴香は腹薬として魚の汁、山羊汁、鶏汁に入れて食べられた)。 ⸢ニン⸣ジンキョーヤ パ⸢トゥ⸣マナーテー ⸢ナン⸣ゾー ス⸢ク⸣ローランシェン [⸢nin⸣ʣiŋkjoːja pḁ⸢tu⸣manateː ⸢nan⸣ʣoː su̥⸢ku⸣roːraŋseŋ] (ウイキョウは鳩間島ではあまり作付けされなかった) 12544 0 0 12144 htmvoc_12544.wav ニンズ ⸢ニン⸣ズ [⸢nin⸣ʣu] 名 数詞。二十。若年層は⸢ニン⸣ジュ[⸢nin⸣ʤu](二十)ともいう。 ⸢マイタブル ニンズタブ⸣ルシェー プ⸢スマラ⸣キ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maitaburu ninʣutabu⸣ruʃeː pu̥⸢sumara⸣ki na⸢ra⸣nu] (稲束二十束では一丸<30束で一丸ぎ>にはならない) 12541 0 0 12145 htmvoc_12541.wav ニンスー ⸢ニンスー [⸢ninsuː] 名 年数。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ニンスーヌ⸣ タトゥカー ⸣ヤーン ⸢ヨー⸣ミー イ⸢リス [ʔu⸢bi⸣nu ⸢ninsuːnu⸣ tḁtukaː ⸣jaːɲ ⸢joː⸣miː ʔi⸢risu] (あれだけの年数が経つと家も弱くなる<弱みが入る>よ) 12507 0 0 12146 htmvoc_12507.wav ニンズー ⸢ニンズー [⸢ninʣuː] 名 年中。一年の間。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ニンズーヌ ユーズピー⸣ゾー ⸢ギューチ⸣ ア⸢ロール⸣ワ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ninʣuːnu juːʣupiː⸣ʣoː ⸢gjuːʧi⸣ ʔa⸢roːru⸣wa] (鳩間島には年中の神行事はいくつございます<有られます>か)。 ⸢ニンズーヌ⸣ ッ⸢ふァイ⸣フチェー ⸣トゥリシキティ ヌ⸢カ⸣ロー ⸢カーシ⸣バ [⸢ninʣuːnu ffai⸣ɸu̥ʧeː ⸣turiʃi̥kiti nu⸢ka⸣roː ⸢kaːʃi⸣ba] (一年中<一年間の>の食い扶持は取っておいて、残りは売りなさい) 12542 0 1 12147 htmvoc_12542.wav ニンズー ⸢ニン⸣ズー [⸢nin⸣ʣuː] 名 {Mn_1}仲間。 ⸢バン⸣ヌン ⸢ニン⸣ズー イ⸢リ ッふォー⸣リ [⸢ban⸣nun ⸢nin⸣ʣuː ʔi⸢riffoː⸣ri] (私も仲間に入れてください)。 ⸢ヤーニン⸣ズー [⸢jaːnin⸣ʣuː] (家族)。 12542 0 2 12148 htmvoc_12542.wav ニンズー ⸢ニン⸣ズー [⸢nin⸣ʣuː] 名 {Mn_2}人数。 ⸢ニン⸣ズー ユミ⸢ミー [⸢nin⸣ʣuː jumi⸢miː] (人数を数えてごらん)。 ⸢ニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーン [⸢ninʣuː⸣nu ⸢goː⸣raːŋ] (人数が多い) 12545 0 0 12149 htmvoc_12545.wav ニンズダー ⸢ニンズ⸣ダー [⸢ninʣu⸣daː] 名 約二百坪の田。20⸢マラ⸣キ[⸢mara⸣ki](丸ぎ)の稲を収穫できる田の意。 ⸢ニンズダー⸣ヤ ⸢イッ⸣タンナ タ⸢ラーヌ [⸢ninʣudaː⸣ja ⸢ʔit⸣tanna ta⸢raːnu] (ニンズダーの面積は一反に足りない) 12546 0 0 12150 htmvoc_12546.wav ニンソー ⸢ニンソー [⸢ninsoː] 名 人相。人の顔つき。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ ニンソーヤ⸣ ナ⸢クラー⸣ンダ ス⸢バー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu ninsoːja⸣ na⸢kuraː⸣nda su⸢baː⸣ pa⸢rara⸣nu] (あの人の人相は怖いから側へは行かれない)。 ⸢ニンソーヌ ワッ⸣サン [⸢ninsoːnu wa⸣saŋ] (人相が悪い) 12547 0 0 12151 htmvoc_12547.wav ニントゥー ⸢ニントゥー [⸢nintuː] 名 年頭の挨拶。「年頭」の義。年賀。年始。 カ⸢ミニン⸣トゥ [ka⸢minun⸣tu] (神様への年始)。元旦の朝、シ⸢ディ⸣ミジ[ʃi⸢di⸣miʤi](若水{EOS}「\ruby{孵化}{ス|デ}水」の義)で顔を洗い、家族全員がイ⸢チバン⸣ザー[ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː](一番座{EOS}床の間)に集まって、⸢ザー⸣トゥク[⸢ʣaː⸣tuku](床の神)に供えてある⸣グシ[⸣guʃi](酒{EOS}御酒)とカ⸢ラマース[ka⸢ramaːsu](力塩)を家長から頂き、旧年中の神の加護に感謝し、新年度も神の加護のもと健康で働くことができるようにという祝詞を受ける。妻子も家長に対して返杯し、同様の祝詞を述べる。その後、フ⸢ルマイ[ɸu⸢rumai](正月のご馳走{EOS}「振る舞い」の義)をいただく。祝詞の大略は次の通り。 ク⸢トゥシン ミードゥシ⸣ ン⸢カイヨーラ⸣リ フ⸢コーラサ カンヌマイ⸣ヌ マ⸢ムリ⸣スコーッタ ウ⸢カ⸣ギシ ⸢ヤーニン⸣ズ ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣シ パ⸢タラカリタ⸣ ウ⸢カ⸣ギ ヤ⸢ルタ⸣ シ⸢キン⸣ドゥ ⸢カンヌ⸣マイニン  シゥカイ⸢トゥ⸣ フ⸢コーラサ⸣ ア⸢ジ ッサリ⸣ ニガイ ⸢オーサバ⸣ クズ マ⸢サルヌ イートゥシ⸣ ナ⸢ラ⸣シミン タ⸢ボー⸣レーティ ケー⸢ラ⸣ ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣レーティ ⸢エン⸣ヌ ⸢ユー⸣ ン⸢カイル ユーヤ⸣ マ⸢サルヌ ユー⸣ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣ローリ⸢ヨー [ku̥⸢tuʃim miːduʃi⸣ ʔŋ⸢kaijoːra⸣ri ɸu̥⸢koːrasa kannumai⸣nu ma⸢muri⸣su̥koːtta ʔu⸢ka⸣giʃi ⸢jaːnin⸣ʣu ⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ʃi pḁ⸢tarakarita⸣ ʔu⸢ka⸣gi ja⸢ruta⸣ ʃi̥⸢kin⸣du ⸢kannu⸣mainin sï̥kai⸢tu⸣ ɸu̥⸢koːrasa⸣ ʔa⸢ʤissari⸣ nigai ⸢ʔoːsaba⸣ kuʣu ma⸢sarunu ʔiːtuʃi⸣ na⸢ra⸣ʃimin ta⸢boː⸣reːti keː⸢ra⸣ duːpada ⸢kiŋkoː⸣ ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣reːti ⸢jen⸣nu ⸢juː⸣ ʔŋ⸢kairu juːja⸣ ma⸢saru juː⸣ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣roːri⸢joː] (今年も新年を迎えることができておめでとう<有難う>ございます{EOS}神様がお守りくださったお陰で、家族一同、体も健康で働くことができたお陰でありますので、神様にもしっかりお礼を申し上げ祈願致しますから、去年以上の良い年になしてくださって、皆の体も健康にして下さって、来る年は、迎える年は今年以上の豊年にしてくださいよ) 12548 0 0 12152 htmvoc_12548.wav ニントゥマール ⸢ニントゥマール [⸢nintumaːru] 名 年頭の回礼。年始回り。「年頭回り」の義。 ⸢グヮンタン⸣ヌ ⸣ピンマー ビ⸢キドゥモー ニントゥマールバ シー⸣ サ⸢キ⸣ ヌ⸢モーッ⸣タ [⸢gwantan⸣nu ⸣pimmaː bi⸢kidumoː nintumaːruba ʃiː⸣ sḁ⸢ki⸣ nu⸢moːt⸣ta] (元旦に日には男は年始回りをして酒を飲まれた) 12509 0 0 12153 htmvoc_12509.wav ニンニン ⸢ニン⸣ニン [⸢nin⸣niŋ] 名 年年。毎年。 ⸢ニン⸣ニン ユ⸢チ⸣クニ ⸣ナリ ⸢キー⸣ブンドゥ ク⸢ラシグリサン⸣ ナリ ⸢キー⸣ ブー [⸢nin⸣niɲ ju⸢ʧi⸣kuni ⸣nari ⸢kiː⸣bundu ku⸢raʃigurisan⸣ nari ⸢kiː⸣buː] (年々豊かになってきているが、暮らしにくくもなってきている)。 ク⸢ヌ⸣グロー ⸢ニン⸣ニン ⸣アツァー ⸣ナリキー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣guroː ⸢nin⸣niŋ ⸣ʔaʦaː ⸣narikiː ⸢naː⸣nu] (この頃は、年々暑くなってきてしまった)。 ⸢ニン⸣ニン ⸣キン ⸢カイ カイルン [⸢nin⸣niŋ ⸣kiŋ ⸢kai kairuŋ] (年々着物を買い換える) 12551 0 0 12154 htmvoc_12551.wav ニンヌシー ⸢ニンヌ⸣ シー [⸢ninnu⸣ ʃiː] 連 年末。「年の末」の義。 ⸢ニンヌ⸣ シー ⸣ナルカー ⸢パンタ⸣サンダ マ⸢ナマ⸣ヌ ⸣アイナー ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢ninnu⸣ ʃiː ⸣narukaː ⸢panta⸣sanda ma⸢nama⸣nu ⸣ʔainaː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (年末になると忙しいから、今のうちにしておきなさい) 12552 0 0 12155 htmvoc_12552.wav ニンヌタミシ ⸢ニン⸣ヌ タ⸢ミ⸣シ [⸢nin⸣nu ta⸢mi⸣ʃi] 連 念のため。確認のため。用心して。 ⸢ニン⸣ヌ タ⸢ミ⸣シ ⸢マープス⸣ケン シ⸢ラ⸣ビ ⸣ミリバ [⸢nin⸣nu ta⸢mi⸣ʃi ⸢maː⸣ pu̥⸢su⸣keŋ ʃi⸢ra⸣bi ⸣miriba] (念のため、もう一度調べてみなさいよ) 12554 0 0 12156 htmvoc_12554.wav ニンプ ⸢ニンプ [⸢nimpu] 名 にんぷ(人夫)。標準語からの借用語。 ⸢ニンポー⸣ ギュ⸢タール ブカラ⸣ タ⸢ナマバ⸣ル ⸣ナルカヤー [⸢nimpoː⸣ gju⸢taːru bukara⸣ ta⸢namaba⸣ru ⸣narukajaː] (人夫は何人ほど頼んだら<頼まばぞ>良い<出来る>のかなあ) 12553 0 0 12157 htmvoc_12553.wav ニンブツァー ⸢ニンブ⸣ツァー [⸢nimbu⸣ʦaː] 名 「念仏歌」の義。⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)に先祖供養の歌として仏前で歌われる歌。沖縄本島の「念仏歌」が八重山地方へ流布してきたものといわれている。「念仏者」が原義で、「念仏者が歌う歌」の意に転訛し、今日のように「念仏歌」そのものをさすようになったと考えられる。鳩間島では、(i) ム⸢ヌン⸣グイウタ[mu⸢nuŋ⸣guiʔuta](物乞い歌)、(ii) シ⸢ザ⸣ヌクイ[ʃi⸢ʣa⸣nukui](兄の声)、(iii) ⸢ウシトゥ⸣ヌクイ[⸢ʔuʃi̥tu⸣nukui](弟の声)などは鳩間島の特徴的な念仏歌であるが、(iv) ン⸢ゾーニンブツァー[ʔn⸢ʣoːnimbuʦaː](無蔵念仏歌{EOS}「無常念仏歌」の義)は八重山地方一円に流布伝承されている(『沖縄文化』36・37参照)。 ン⸢ゾーニンブツァーヤ⸣ シマジマ ⸢ニーブンドゥ⸣ シ⸢ザ⸣ヌ ⸢クイ⸣トゥ ⸢ウシトゥ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ⸢ベー⸣シマナール アルダ⸢ナー [ʔn⸢ʣoːnimbuʦaːja⸣ ʃimaʤima ⸢niːbundu⸣ ʃi⸢ʣa⸣nu ⸢kui⸣tu ⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸢kui⸣jaː ⸢beː⸣ʃimanaːru ʔaruda⸢naː] (無蔵<常>念仏歌は島々のものが似ているが、「兄の声」と「弟の声」は我々の島にが<ぞ>あるんだよねえ) 12550 0 0 12158 htmvoc_12550.wav ニンマイナビ ⸢ニンマイ⸣ナビ [⸢nimmai⸣nabi] 名 三升炊きの鍋。ウ⸢ブ⸣ナビ[ʔu⸢bu⸣nabi](大鍋)の中で最も小さい鍋。⸢サンス⸣ダキ[⸢sansu⸣daki](三升炊き)ともいう。 ⸢ニンマイ⸣ナビシ ⸢アラン⸣カー ウ⸢ビ⸣ヌ バ⸢コーシンカ⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ バ⸢カサラヌ [⸢nimmai⸣nabiʃi ʔa⸢raŋ⸣kaː ʔu⸢bi⸣nu ba⸢koːʃiŋka⸣nu ⸢ʔiː⸣ja ba⸢kasaranu] (三升炊きの鍋でないとあれだけの共同作業の人々のご飯は炊かれない) 12555 0 0 12159 htmvoc_12555.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 助動 否定、打消しの意を表す。用言の未然形に接続する。 ター⸢ン⸣ マ⸢ダ⸣ カ⸢カ⸣ヌ [taː⸢m⸣ ma⸢da⸣ カ⸢カ⸣ヌ] (誰もまだ書かない)。 ⸣バー カ⸢カ⸣ナー ア⸢ラ⸣ヌ カ⸢キ⸣スンドゥ マ⸢ナ⸣マー カ⸢キプサ ナー⸣ヌ [⸣baː kḁ⸢ka⸣naː ʔa⸢ra⸣nu kḁ⸢ki⸣sundu ma⸢na⸣maː kḁ⸢kipusa naː⸣nu] (私は書かないではない{EOS}書きはするが、今は書きたくない)。 ⸢ワー⸣ カ⸢カン⸣ドーシ カ⸢リン⸣ カ⸢カ⸣シ [⸢waː⸣ kḁ⸢kan⸣doːʃi ka⸢riŋ⸣ kḁ⸢ka⸣ʃi] (君は書かないで彼に書かせなさい)。 カ⸢カン⸣ プ⸢ソー クー⸣ナ [kḁ⸢kam⸣ pu̥⸢soː kuː⸣na] (書かない人は来るな)。 ⸢ワー⸣ ヤー⸢ディン⸣ カ⸢カン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢kaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (君は必ず書かなければならない)。 ⸢ワー⸣ カ⸢カン⸣ミサン [⸢waː⸣ kḁ⸢kam⸣misaŋ] (君は書かなくても良い)。 ⸣ヌンティ カ⸢カン⸣ワ [⸣nunti kḁ⸢kaŋ⸣wa] (何故書かないか) 12556 1 1 12160 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {PoS_1}主格を表す。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ] (雨が降る)。 パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクン [pa⸢na⸣nu ⸣sḁkuŋ] (花が咲く)。 ティ⸢ガミ⸣ヌ ウ⸢クラリ⸣ ケーン [ti⸢gami⸣nu ʔu⸢kurari⸣ keːŋ] (手紙が送られてきた)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムニ シ⸢キ⸣バ [ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣muni ʃi̥⸢ki⸣ba] (親のおっしゃることを聞きなさいよ)。 ス⸢ブル⸣ヌ ⸣ヤミティ ウ⸢キララ⸣ヌ [su⸢buru⸣nu ⸣jamiti ʔu⸢kirara⸣nu] (頭が痛くて起きられない)。{Mn_1}取り立て強調のドゥ[du](ぞ)が付いて⸣-ヌドゥ[⸣-nudu](~がぞ)となる。 ⸢カンザヌドゥ⸣ シゥ⸢カン⸣ッふー [⸢kanʣanudu⸣ sï̥⸢kaŋ⸣ffuː] (あの野郎が<ぞ>うち食らう)。 ⸢ワーンドゥ⸣ アイ ア⸢ゾー⸣ルカー ⸣ミサシジ [⸢waːndu⸣ ʔai ʔa⸢ʣoː⸣rukaː ⸣misa ⸣ʃiʤi] (貴方がそうおっしゃるのなら、それで良いわけです)。 12556 1 2 12161 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_2}代名詞がはだかのままで主格を表す。 ⸣バー シ⸢キ⸣ナ ⸣ムノー ク⸢リ [⸣baː ʃi̥⸢ki⸣na ⸣munoː ku⸢ri] (私が好きなものはこれだ)。 ⸣バー ア⸢ズタ⸣ クトゥ イッ⸢カ バシキルナ<⸢バスクナ> [⸣baː ʔa⸢ʣuta⸣ ku̥tu ʔik⸢ka baʃi̥kiruna<⸢basukuna>] (私が言ったことを決して忘れるな)。 12556 1 3 12162 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_3}とりたての係助詞「は」が付いて、⸢-ノー[⸢-noː](~がは)となり、主格のとりたて限定表現となる。 ウ⸢リノー スン⸣ユー ワ⸢カラン⸠ダー [ʔu⸢rinoː suɲ⸣juː wa⸢karan⸠daː] (彼がはするかもしれないよ)。 12556 1 4 12163 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_4}とりたての係助詞「も」がついて、⸢-ヌン[⸢-nuŋ](がも)となり、文末の肯定陳述と呼応して、主格の強調表現となる。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー カ⸢リヌン⸣ ナルン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ka⸢rinun⸣ naruŋ] (それくらい<程度>は彼がもできる)。 12556 1 5 12164 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_5}副助詞⸣-サーギ[⸣-saːgi](~さえ)が付き限定表現を表す。 ⸢ガッコー⸣ヌサーギ ⸣アルカー ⸣シマー ⸢トーリラ⸣ヌ<⸢トーラ⸣ヌ> [⸢gakkoː⸣nusaːgi ⸣ʔarukaː ⸣ʃimaː ⸢toːrira⸣nu<⸢toːra⸣nu>] (学校がさえあれば島<村>は廃村になら<島は倒れ>ない)。 プ⸢スヌサーギ ブー⸣カー ⸢ノー⸣シン ナ⸢リ⸣ス [pu̥⸢sunusaːgi buː⸣kaː ⸢noː⸣ʃin na⸢ri⸣su] (人がさえおれば何とかできる)。 12556 1 6 12165 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_6}{Ref_Mn_4}の形にさらに副助詞⸢ツァン[⸢ʦaŋ](~すら)がついて限定強調の意味を表す。 ⸢クンザヌンツァン⸣ パ⸢タラキシェー⸣カー⸢ツォー⸣ ン⸢メーマ⸣ナーンツァン ⸢オーサリスンドゥ [⸢kunʣanunʦam⸣ pḁ⸢tarakiʃeː⸣kaː⸢ʦoː⸣ ʔm⸢meːma⸣naːnʦaŋ ⸢ʔoːsarisundu] (こいつがさえも働くことがたらなあ、少しずつでも費用を負担することができて手助けになるんだが) 12556 2 1 12166 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {PoS_2}⸣-ヌ[-nu](の)属格を表す連体助詞。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ザイサンマー サ⸢クシ⸣ル シ⸢グタ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʣaisammaː sḁ⸢kuʃi⸣ru ʃi⸢guta] (親の財産は長男が継いだ)。 シ⸢マ⸣ヌ ナ⸢ガリ⸣ユ ミ⸢ワタシ⸣バ ル⸢ク⸣ヌ イ⸢チ⸣ジニ チ⸢カク⸣アリ [ʃi⸢ma⸣nu na⸢gari⸣ju mi⸢wataʃi⸣ba ru⸢ku⸣nu ʔi⸢ʧi⸣ʤini ʧi̥⸢kaku⸣ ʔari] (島の流れを見渡すと六<禄>の一字<字画の意味に>に近くみえる)(鳩間口説)。 ⸢パイ⸣ヌ カ⸢タ⸣ナー シ⸢マ⸣ヌ ⸣アン [⸢pai⸣nu kḁ⸢ta⸣naː ʃi⸢ma⸣nu ⸣ʔaŋ] (南の方に島がある)。 プ⸢スン⸣ヤヌ パ⸢タ⸣ケー ⸢ペール⸣ナ [pu̥⸢suɲ⸣janu pḁ⸢ta⸣keː ⸢peːru⸣na] (余所の家の畑に入るな)。{Mn_1}格助詞⸢トゥ[⸢tu](~と{EOS}相手格)に付いて、⸢-トゥヌ[⸢-tunu](~との)となる。 ドゥ⸢シトゥヌ⸣ ヤ⸢クスク バシキルナ [du⸢ʃitunu⸣ ja⸢kusu̥ku baʃi̥kiruna] (友達との約束を忘れるな)。 ⸢バントゥ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー ⸢ヌー⸣スワ [⸢bantu⸣nu pa⸢na⸣ʃeː ⸢nuː⸣suwa] (私との話はどうするか)。 12556 2 2 12167 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_2}格助詞⸣-ラー[⸣-raː](~から)に付いて、⸣-ラヌ[⸣-ranu](~からの{EOS}空間的、時間的⸢離脱」の意味を表す)となる。 ⸢ガッ⸣コーラヌ ⸢カイ⸣ルナー ドゥ⸢シトゥ⸣ ア⸢サブタ [⸢gak⸣koːranu ⸢kai⸣runaː du⸢ʃitu⸣ ʔa⸢sabuta] (学校からの帰りに友達と遊んだ)。 ヤ⸢マトー⸣ラヌ ⸢シンシー⸣ヌ ⸢オー⸣レーン [ja⸢matoː⸣ranu ⸢ʃiŋʃiː⸣nu ⸢ʔoː⸣reːŋ] (本土<大和>からの先生が来られた)。 12556 2 3 12168 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_3}格助詞⸣-ナーティ[⸣-naːti](~に{EOS}~にて{EOS}場所格)に付いて、⸣-ナーティヌ[⸣-naːtinu](~での{EOS}場所格)となる。 ヤ⸢マトゥ⸣ナーティヌ シ⸢グトー ヌー⸣シ ⸢ヤッター [ja⸢matu⸣naːtinu ʃi⸢gutoː nuː⸣ʃi ⸢jattaː] (本土での仕事はどうだったか)。 12556 2 4 12169 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_4}格助詞⸣シ[⸣ʃi](~で{EOS}手段格)に付いて、⸣-シヌ[⸣-ʃinu](~での{EOS}手段格)となる。 ⸢タンガ⸣シヌ シ⸢グトー⸣ ク⸢チ⸣サン [⸢taŋga⸣ʃinu ʃi⸢gutoː⸣ ku̥⸢ʧi⸣saŋ] (一人での仕事<一人でする仕事>は苦しい)。 12556 2 5 12170 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_5}引用の格助詞⸣ティ[⸣-ti](~と)に付いて、⸣ティヌ[⸣-tinu](~との{EOS}引用格{EOS}伝聞)となる。 ⸢パイ⸣サ ⸣クーティヌ イ⸢エイ⸣ヌ キー ⸢ベー [⸢pai⸣sa ⸣kuːtinu ʔi⸢jei⸣nu ⸣kiː ⸢beː] (早く来いとの伝言がきている)。 12556 2 6 12171 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_6}副助詞⸣ブカラ[⸣bukara](~ぐらい)に付いて、程度を表す⸣ブカラヌ[⸣bukaranu](~ぐらいの{EOS}事物の大きさ、分量、程度を表す)となる。 ⸣クビブカラヌ ウ⸢ブ⸣イズ ⸢ホー⸣シタン [⸣kubibukaranu ʔu⸢bu⸣ʔiʣu ⸢hoː⸣ʃi̥taŋ] (これぐらいの大きな魚を釣った)。 ⸣イチジカンブカラヌ ウ⸢クレー⸣ ミサン [⸣ʔiʧiʤikambukaranu ʔu⸢kureː⸣ misaŋ] (一時間ぐらいの遅れはいいよ)。 12556 2 7 12172 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_7}副助詞カー⸢ニ[kaː⸢ni](~だけ)に付いて、カー⸢ニヌ[kaː⸢nunu](~だけの)となり、限定表現となる。 ⸢ワー⸣ カー⸢ニヌ⸣ ウヤー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ kaː⸢ninu⸣ ʔujaː ʔa⸢ra⸣nu] (君だけの親ではない)。 12556 2 8 12173 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_8}副助詞⸢バー⸣キ[⸢baː⸣ki](~まで)に付いて、⸢バーキ⸣ヌ[⸢baːki⸣nu](~までの{EOS}動作作用の継続が時間的、空間的、状態的到達点を表す)となる。 ⸢キューバーキ⸣ヌ ヌ⸢チ⸣ミー ヤ⸢レー⸠ナー [⸢kjuːbaki⸣nu nu⸢ʧi⸣miː ja⸢reː⸠naː] (今日までの命であったんだなあ)。 12556 2 9 12174 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_9}副助詞⸣スク[⸣su̥ku](~ほど{EOS}程度)に付いて、ス⸢ク⸣ヌ[su̥⸢ku⸣nu](~ほどの{EOS}物事の程度、数量の度合)となる。 ウ⸢ヌ⸣ ス⸢ク⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ヌンティ ⸣アイブ ⸣クトゥ シ⸢ター [ʔu⸢nu⸣ su̥⸢ku⸣nu pu̥⸢sunu⸣ nunti ⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ʃi̥⸢taː] (あれほどの人がどうしてあんなことをしたのか)。 12556 2 10 12175 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_10}副助詞ア⸢タ⸣ル[ʔa⸢ta⸣ru](低い程度)に付いて、ア⸢タル⸣ヌ[ʔa⸢taru⸣nu](~程度の{EOS}<下の程度、分量>を表す)となる。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ シ⸢グトゥバ⸣ ク⸢チ⸣サンティ ア⸢ジ アー⸣ク [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ʃi⸢gutuba⸣ ku̥⸢ʧi⸣santi ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (その程度の仕事を苦しいなどと言っている<あるく>よ)。 12556 2 11 12176 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {Mn_11}自称の代名詞⸣バー[⸣baː](私)、対称の代名詞⸢ワー[⸢waː](あなた)、不定称代名詞⸢ター[⸢taː](誰)がはだかのままで属格を表す。 ク⸢レー バー⸣ ムヌ [ku⸢reː baː⸣ munu] (これは私のものだ)。 ク⸢レー ワー⸣ ムヌ [ku⸢reː waː⸣ munu] (これは貴方のものだ)。 ク⸢レー ター⸣ ムヌヤ [ku⸢reː taː⸣ munuja] (これは誰のものか) 12556 3 0 12177 htmvoc_12556.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 格助 {PoS_3}⸣-ヌ[⸣-nu](~の)同格を表す。 ⸢ウン⸣ネーヤ サ⸢クシ⸣ヌ マ⸢ツァー⸣ル ⸣アトー ⸣ミル [⸢ʔun⸣neːja sḁ⸢kuʃi⸣nu ma⸢ʦaː⸣ru ⸣ʔatoː ⸣miru] (あの家は長男の松氏が後を継ぐ<見る>) 12557 0 0 12178 htmvoc_12557.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 接助 逆接。~が。~けれど。~だが。動詞の連体形に付いて逆接の条件節をつくる。 ⸣バー パ⸢ル⸣ヌ ⸢ワー ヌー⸣ スー ⸢カン⸣ガイヤ [⸣baː pa⸢ru⸣nu ⸢waː nuː⸣ suː ⸢kaŋ⸣gaija] (私は行くが、君はどうするつもりが)。 ス⸢ク⸣ル ⸣クトー ス⸢クル⸣ヌ ⸢カーサラヌ [su̥⸢ku⸣ru ⸣ku̥toː su̥⸢kuru⸣nu ⸢kaːsaranu] (作ることは作るが、売れない)。 ⸢カイ⸣ヤ ⸣クトー ⸢カイ⸣ヤヌ(ンドゥ) シゥ⸢カーラヌ [⸢kai⸣ja ⸣ku̥toː ⸢kai⸣janu(ndu) si̥⸢kaːranu] (美しいことは美しいが<がぞ>、使えない) 12558 0 0 12179 htmvoc_12558.wav ヌ ⸣-ヌ [⸣-nu] 接助 ~ので。~だから。形容詞の連用形に付き、原因、理由の感情を表す。 ク⸢ヌ キン⸣マー タ⸢カー⸣ヌ ⸢カーラヌ [ku⸢nu kim⸣maː tḁ⸢kaː⸣nu ⸢kaːranu] (この着物は値段が高くて買えない)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ナ⸢キティ⸣ ン⸢ガマサ⸣ヌ ムッ⸢トゥ⸣ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カラヌ [ja⸢rabi⸣nu na⸢kiti⸣ ʔŋ⸢gamasa⸣nu mut⸢tu⸣ pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃi si̥⸢karanu] (子供が泣いて、うるさく<煩く>て、ちっとも他人の話が聞き取れ<聞かれ>ない)。 ユ⸢ム ニッふァー⸣ヌ ウ⸢リヌ⸣ シラー ミ⸢リ⸣プサン ⸢ナー⸣ヌ [ju⸢mu niffaː⸣nu ʔu⸢rinu⸣ ʃiraː mi⸢ri⸣pu̥sanʦan ⸢naː⸣nu] (小憎らしくて、あいつの顔は見たく<すら>もない) 12567 0 0 12180 htmvoc_12567.wav ヌー ⸣ヌー [⸣nuː] 名 野。野原。 ⸢ヌーシグ⸣トゥ [⸢nuːʃigu⸣tu] (野良仕事)。 ブ⸢ナージマヌーラ⸣ キー ⸣キシ ウ⸢ラ⸣ソーッタ [bu⸢naːʤimanuːra⸣ kiː ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ra⸣soːtta] (トゥマダーの上のブナージマ野原から木を伐って下ろされた) 12568 0 0 12181 htmvoc_12568.wav ヌー ⸣ヌー [⸣nuː] 代 何。「なお(オモロ、組踊り、古謡)」『沖縄古語大辞典』の転訛したもの。疑問を表す。 ⸢ワー ヌー⸣ル マ⸢シ⸣ヤー [⸢waː nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣jaː] (君は何が良いか)。 ク⸢レー⸣ ヌーヤ [ku⸢reː⸣ nuːja] (これは何か?)。 ウ⸢レー⸣ ヌーカヤー [ʔu⸢reː⸣ nuːkajaː] (それは何かなあ)。 ⸣ヌーティル ア⸢ジ ブーワレー [⸣nuːtiru ʔa⸢ʤi buːwareː] (何と言っているのか)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ヌー⸣ル ⸢スーワ [⸢kjuː⸣ja ⸢nuː⸣ru ⸢suːwa] (今日は何を<何ぞ>するか)。 ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァイ⸣ プサワ [⸢nuː⸣ru f⸢fai⸣ pu̥sawa] (何が<ぞ>食べたいか) 12569 0 0 12182 htmvoc_12569.wav ヌー ヌ⸢ー [nu⸢ː] 感 何?何だって?反問したり、問いかけたりする言葉。 ヌ⸢ー ワール⸣ シ⸢タ⸣ー⸢ー [nu⸢ː waːru⸣ ʃi̥⸢ta⸣ː⸢ː] (何だって?君がしたって?)。 ヌ⸢ー キュー⸣ヤ パ⸢ララ⸣ヌ⸢ー [nu⸢ː kjuː⸣ja pa⸢rara⸣nu⸢ː] (何だって?今日は行けないって?) 12582 0 0 12183 htmvoc_12582.wav ヌーアー ⸢ヌー⸣アー [⸢nuː⸣ʔaː] 名 搗いてない粟。未精米の粟。 ⸢ヌー⸣マイ [⸢nuː⸣mai] (搗いてない米{EOS}玄米)。 ⸢フイ⸣バナー イ⸢リ⸣ シケー ⸣ムノー ⸢ヌー⸣アーダ⸢レー⸣ マ⸢ダ⸣ ッ⸢サー⸣リ ブ⸢ラーヌ [⸢ɸui⸣banaː ʔi⸢ri⸣ ʃi̥keː ⸣munoː ⸢nuː⸣ʔaːda⸢reː⸣ ma⸢da⸣ s⸢saː⸣ri bu⸢raːnu] (茅籠<ガイジゥバラ>に入れてあるのは未精米の粟だよ{EOS}まだ精米され<搗かれ>てない) 12583 0 0 12184 htmvoc_12583.wav ヌーカヤークイカヤー ⸣ヌーカヤー ⸢クイ⸣カヤー [⸣nuːkajaː ⸢kui⸣kajaː] 連 何だろうか。「何かな、かく<斯>にかな」の義。 イ⸢ミ⸣バ ⸣ミリティ ⸣ヌーカヤー ⸢クイ⸣カヤーティ ⸢ソーバ シーベータン⸣ドゥ イ⸢ミ⸣ヌ プ⸢リムヌ⸣ ヤ⸢リ⸣ ブ⸢レー⸣バン [ʔi⸢mi⸣ba ⸣miriti ⸣nuːkajaː ⸢kui⸣kajaːti ⸢soːba ʃiːbeːtan⸣du ʔi⸢mi⸣nu pu⸢rimunu⸣ ja⸢ri⸣ bu⸢reː⸣baŋ] (夢をみて、何だろうか、こうだろうかと心配していたが、夢はふれ<狂れ>ものだったようだよ) 12584 0 0 12185 htmvoc_12584.wav ヌーキシキン ⸢ヌー⸣キシキン [⸢nuː⸣ki̥ʃikiŋ] 名 野良着。「野着衣」の義。パ⸢タキ⸣キン[pḁ⸢taki⸣kiŋ](畑着)、シ⸢グトゥキン[ʃi⸢gutukiŋ](仕事着)ともいう。 ク⸢レー ヌー⸣キシキン ⸢バーキ⸣ル ⸣ナル [ku⸢reː nuː⸣ki̥ʃikim ⸢baːki⸣ru ⸣naru] (これは野良着にしかできない<野良着までぞなる(できる)>) 12585 0 0 12186 htmvoc_12585.wav ヌーキン ⸢ヌー⸣キン [⸢nuː⸣kiŋ] 名 精白してないキビ(黍)。「のきび<野黍>」の義。 ク⸢レー ヌー⸣キン ヤ⸢ルンダ⸣ ッ⸢サーン⸣カー バ⸢カサラヌ [ku⸢reː nuː⸣kiɲ ja⸢runda⸣ s⸢saːŋ⸣kaː ba⸢kasaranu] (これは精白してない黍だから、精げないと炊け<炊かれ>ない) 12570 0 0 12187 htmvoc_12570.wav ヌークイ ⸣ヌークイ [⸣nuːkui] 名 何だこれだ。あれだこれだ。何と何。何くれ。「何これ」の転訛したもの。 ⸣ヌークイテー ⸢ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ ウ⸢リヌ⸣ ウ⸢カ⸣ギシル フ⸢ドゥビ⸣ ケール [⸣nuːkuiteː ⸢naː⸣nu muː⸢ru⸣ ʔu⸢rinu⸣ ʔu⸢ka⸣giʃiru ɸu⸢dubi⸣ keːru] (どれと此れ、<何とこれ>と限定できない{EOS}総ては彼のお陰で成長してきたのだ) 12571 0 0 12188 htmvoc_12571.wav ヌーグトゥ ⸢ヌーグトゥ [⸢nuːgutu] 名 何事。どんなこと。 ク⸢ヌ⸣ ヤーナー ⸢ヌーグトゥーン⸣ ア⸢ラ⸣シ ⸢タボーン⸣ナ [ku⸢nu⸣ jaːnaː ⸢nuːgutuːŋ⸣ ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boːn⸣na] (この家には何事も起こして<あらしめて>くださいますな{EOS}「平穏無事をお祈り致します」の意) 12588 0 0 12189 htmvoc_12588.wav ヌーサラ ヌー⸢サラ [nuː⸢sara] 副 しばしば。たびたび。なおさら(猶更)。 ⸢ワール⸣ ヌー⸢サラ⸣ ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢カシゥカー⸣シ ⸢ブー⸣ティバン⸢ナー [⸢waːru⸣ nuː⸢sara⸣ ja⸢rabi⸣ba ⸢kaʃi̥kaː⸣ʃi ⸢buː⸣tiban⸢naː] (君がしばしば<何かと>子供を\ruby{賺}{スカ}しているそうだなあ) 12589 0 0 12190 htmvoc_12589.wav ヌーザラシ ⸢ヌーザラ⸣シ [⸢nuːʣara⸣ʃi] 名 野原に放置して風雨に\ruby{晒}{サラ}すこと。「野晒し」の転訛したもの。 ⸢アッ⸣タル ⸢キン⸣バ ガ⸢ラサ⸣ヌ ヌ⸢キ⸣ムヌ ⸣ナシティ ⸢ヌーザラ⸣シ ⸢シー⸣ シケー [⸢ʔat⸣taru ⸢kim⸣ba ga⸢rasa⸣nu nu⸢ki⸣munu ⸣naʃi̥ti ⸢nuːʣara⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (勿体無いことに着物を\ruby{烏威}{カラス|オドシ}<烏を追い払う案山子に着せるもの>にして、野晒しにしてあるよ) 12590 0 0 12191 htmvoc_12590.wav ヌーサン ヌー⸢サン [nuː⸢saŋ] 副 しばしば。たびたび。幾度と無く。なおさら。話し手の意に反したことをしている意を表す。怒りの意が内包されている語。ノー⸢サン[noː⸢saŋ](しばしば)ともいう。 ⸢ワー⸣ ヌー⸢サン バン⸣テヌ ⸢ドン⸣グ ⸢カッティニ⸣ シゥ⸢カイブー⸣ ティバン⸢ナー [⸢waː⸣ noː⸢sam ban⸣tenu ⸢doŋ⸣gu ⸢kattini⸣ si̥⸢kai buː⸣ tiban⸢naː] (君は幾度となく私の家の道具を勝手に使っているそうだねえ) 12572 0 1 12192 htmvoc_12572.wav ヌーシ ⸢ヌー⸣シ [⸢nuː⸣ʃi] 副 {Mn_1}いかに。どのように。どう。様子や方法を尋ねる。 ク⸢レー ヌー⸣シ ⸢スーワ [ku⸢reː nuː⸣ʃi ⸢suːwa] (これはどのようにするのか)。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ゾーラキヌ⸣ ス⸢クメー ヌー⸣シ ⸣ナリ ⸢ブーワ [⸢puːru⸣nu ⸢ʣoːrakinu⸣ su̥⸢kumeː nuː⸣ʃi ⸣nari ⸢buːwa] (豊年祭の常楽舞踊<入子踊り>の仕込み<リハーサル>はどうなっているか)。方法を問う。いかが。どんなに。どう。 ⸢クン⸣ドー カ⸢リン ヌー⸣シ シ⸢ミルワ⸣ マ⸢シ⸣カヤー [⸢kun⸣doː ka⸢rin nuː⸣ʃi ʃi⸢miruwa⸣ ma⸢ʃi⸣kajaː] (今度は彼にどうさせたらよいでしょうか)。 12572 0 2 12193 htmvoc_12572.wav ヌーシ ⸢ヌー⸣シ [⸢nuː⸣ʃi] 副 {Mn_2}相手の気持ちを確かめる。 ⸢ワー スー⸣カー ⸢ヌー⸣シヤー [⸢waː suː⸣kaː ⸢nuː⸣ʃijaː] (君がやったら<すれば>どうか)。 ク⸢レー ヌー⸣シ ⸢スーワ [ku⸢reː nuː⸣ʃi ⸢suːwa] (これは、どのようにするのか)。 12572 0 3 12194 htmvoc_12572.wav ヌーシ ⸢ヌー⸣シ [⸢nuː⸣ʃi] 副 {Mn_3}感動詞。呼びかけとして用いる。 イ⸢ソーヤ ヌー⸣シヤー [ʔi⸢soːja nuː⸣ʃijaː] (漁はどうですか)。 ⸢スー⸣ヤ ⸢ヌー⸣シヤー [⸢suː⸣ja ⸢nuː⸣ʃijaː] (潮の流れはどうか)。 ⸢ター⸣ヤ ⸢ヌー⸣シヤー [⸢taː⸣ja ⸢nuː⸣ʃijaː] (稲作<水田>の具合はどうか) 12575 0 0 12195 htmvoc_12575.wav ヌージ ⸢ヌー⸣ジ [⸢nuː⸣ʣi] 名 虹。雨上がりなどの空にかかる七色の円弧状の帯。「~夜左可の井堤に立つ努自能<ノジの>~。万、3414」の転訛したもの。⸣イツァフクビ[⸣ʔiʦaɸu̥kubi](板帯)ともいう。 シ⸢トゥムティ⸣ヌ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢アールター インタヌ ティン⸣ナー ⸢ヌージ⸣ヌ ⸣パイ ⸢ベー [ʃi̥⸢tumuti⸣nu ʔa⸢mi⸣nu ⸢ʔaːrutaː ʔintanu tin⸣naː ⸢nuːʣi⸣nu ⸣pai ⸢beː] (朝の雨が上がったので西空に虹が這っている) 12592 0 1 12196 htmvoc_12592.wav ヌーシオールワ ⸢ヌー⸣シ ⸢オール⸣ワ [⸢nuː⸣ʃi ⸢ʔoːru⸣wa] 連 {Mn_1}ご機嫌いかがでいらっしゃいますか。お元気ですか。「如何していらっしゃいますか」の義。 アッ⸢パー ヌー⸣シ ⸢オール⸣ワ ⸣ミサーレーティ ⸢オールン [ʔap⸢paː nuː⸣ʃi ⸢ʔoːru⸣wa ⸣misaːreːti ⸢ʔoːruŋ] (お祖母さん、ご機嫌いかがですか{EOS}お元気でいらっしゃいますか)。 12592 0 2 12197 htmvoc_12592.wav ヌーシオールワ ⸢ヌー⸣シ ⸢オール⸣ワ [⸢nuː⸣ʃi ⸢ʔoːru⸣wa] 連 {Mn_2}日中に用いられると、こんにちは、夕方に用いられると、こんばんは、の挨拶言葉として用いられる 12593 0 0 12198 htmvoc_12593.wav ヌーシカーシ ⸢ヌー⸣シカーシ [⸢nuː⸣ʃi̥kaːʃi] 副 如何様に。どのように。⸢ヌー⸣シ[⸢nuː⸣ʃi](どんなに)の強調表現で、ABCDBC型の重言。 ⸢ヌー⸣シカーシ ⸢シェー⸣ティ ク⸢ヌ オーシキ⸣ナー キ⸢ラリ⸣ター [⸢nuː⸣ʃikaːʃi ⸢ʃeː⸣ti ku⸢nu ʔoːʃi̥ki⸣naː ki⸢rari⸣taː] (一体、どうやってこんな天気の悪い日に来ることができたのか) 12594 0 0 12199 htmvoc_12594.wav ヌーシキー ⸢ヌー⸣シキー [⸢nuː⸣ʃi̥kiː] 副 何故に。どうして。どういう訳で。⸢ヌー⸣・シー・キー[⸢nuː⸣・ʃiː・kiː](何を・した・ので{EOS})の縮約形。 ⸢ヌー⸣シ ⸢キー⸣ル ⸣カイ ⸢ナッ⸣タティ ク⸢マークマー⸣ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カサン⸣カー ⸢ガッ⸣ティン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nuː⸣ʃi ⸢kiː⸣ru ⸣kai ⸢nat⸣tati ku⸢maːkumaː⸣ pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢kasaŋ⸣kaː ⸢gat⸣tin na⸢ra⸣nu] (どういう訳でこうなったと細かく説明し<話して聞かさ>ないと合点できない) 12708 0 1 12200 htmvoc_12708.wav ヌーシタ ⸣ヌーシタ [⸣nuːʃita] 連体 {Mn_1}いかなる。何たる。多少卑下した表現で、⸢一体いかなる~」の意味を内包する。 ⸢ワー⸣ ムティ ⸢ベー⸣ ムノー ⸣ヌーシタ ⸢ムン⸣ヤ [⸢waː⸣ muti ⸢beː⸣ munoː ⸣nuːʃi̥ta ⸢muɲ⸣ja] (君が持っているのは、一体どんなものか)。 ⸣カマーラ ⸣クームノー ⸣ヌーシタ ⸢ムン⸣ヤー [⸣kamaːra ⸣kuː ⸣munoː ⸣nuːʃi̥ta ⸢muɲ⸣jaː] (向こう<あそこ>から来る者は一体いかなる者か)。 12708 0 2 12201 htmvoc_12708.wav ヌーシタ ⸣ヌーシタ [⸣nuːʃita] 連体 {Mn_2}「どうして~か。何だとて~ないことがあるものか」(疑問反語)の意味を有する形。 ⸣ヌーシター パ⸢ララン⸣ワ [⸣nuːʃi̥taː pa⸢raraŋ⸣wa] (何故に行かれないのか<行かれないことはあるまい>)。 ⸣ヌーシター ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [⸣nuːʃi̥taː ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (どうしてそんなことが起こりえようか<あり得ようか>、あり得まい) 12595 0 0 12202 htmvoc_12595.wav ヌーシター ⸣ヌーシター [⸣nuːʃi̥taː] 副 何故に~か。どうして~ものか。一体全体何故に~か。「何したから」の義。疑問反語。 ⸢オーシケー ノーリ⸣ブームヌ ⸣ヌーシター イ⸢ソー⸣ ン⸢ジララン⸣ワ [⸢ʔoːʃi̥keː noːri⸣buːmunu ⸣nuːʃi̥taː ʔi⸢soː⸣ ʔn⸢ʤiraraŋ⸣wa] (天気はよくなっているのに、何故に漁に出られないことがあろうか<あるはずがない>) 12596 0 0 12203 htmvoc_12596.wav ヌーシタイカシタ ⸣ヌーシタ イ⸢カ⸣シタ [⸣nuːʃi̥ta ʔi⸢ka⸣ʃi̥ta] 連 どうした、如何した。「どうした」を強調した畳語表現。形式名詞を伴って反語的に用いられる強調表現。 ⸣ヌーシタ イ⸢カ⸣シタ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣カイ ナ⸢ル⸣ワ [⸣nuːʃi̥ta ʔi⸢ka⸣ʃi̥ta ku̥⸢tu⸣nu ⸣kai na⸢ru⸣wa] (いったい\ruby{如何}{ド|ウ}したことが<あって>、こうなるのか{EOS}<こうなるはずがないのに>) 12597 0 0 12204 htmvoc_12597.wav ヌーシタムン ⸣ヌーシタ ⸣ムン [⸣nuːʃi̥ta ⸣muŋ] 連 如何したものか。一体如何したものか。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムネー シゥ⸢カムティ⸣ ドゥーカッティ ⸢シー アーク⸣ヌ ク⸢レー⸣ ヌーシタ ⸣ムンヤ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muneː sï̥k⸢amuti⸣ duːkatti ⸢ʃiː ʔaːku⸣nu ku⸢reː⸣ nuːʃi̥ta ⸣muɲja] (親のいうことは聞かないで自分勝手をしているが、これは一体どうしたことか) 12573 0 0 12205 htmvoc_12573.wav ヌーシブー ⸢ヌー⸣シ ⸢ブー [⸢nuː⸣ʃi ⸢buː] 連 どうしている。何をしている。 ウ⸢レー⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢ヌー⸣シ ⸢ブーワ [ʔu⸢reː⸣ ma⸢na⸣maː ⸢nuː⸣ʃi ⸢buːwa] (彼は、今は何をしているか) 12574 0 0 12206 htmvoc_12574.wav ヌーシヤー ⸢ヌー⸣シヤー [⸢nuː⸣ʃijaː] 連 どうか。いかが(如何)か。 ⸢ワー⸣ パ⸢ナシケー ヌー⸣シヤー ⸣ミサー ナ⸢レーン [⸢waː⸣ pa⸢naʃi̥keː nuː⸣ʃijaː ⸣misaː na⸢reːŋ] (君の風邪はどうか{EOS}良くなったか)。 ⸢ワンヌン⸣ マー⸢ズン⸣ パルカー ⸢ヌー⸣シヤー [⸢wannum⸣ maː⸢ʣum⸣ parukaː ⸢nuː⸣ʃijaː] (君も一緒に行ったらどうか)。 ク⸢ヌ⸣グロー シ⸢グトー ヌー⸣シヤー [ku⸢nu⸣guroː ʃi⸢gutoː nuː⸣ʃijaː] (最近は、仕事はどうか) 12576 0 0 12207 htmvoc_12576.wav ヌーシル ⸢ヌー⸣シル [⸢nuː⸣ʃiru] 連体 どんな。どのような。「何・しある」の転訛したもの。 ⸢ヌー⸣シル ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ンジクーユー ワ⸢カラ⸣ヌ [⸢nuː⸣ʃiru ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔnʤikuːjuː wa⸢kara⸣nu] (どのようなことが\ruby{出来}{シュッ|タイ}するか<出てくるか>わからない) 12599 0 0 12208 htmvoc_12599.wav ヌーシル ⸢ヌー⸣シル [⸢nuː⸣ʃiru] 副 どうして<ぞ>。何故に<ぞ>。「何をして」の義。一体どうして<ぞ>の強調表現。⸢ヌー⸣シル[⸢nuː⸣ʃi-ru](如何にして・ぞ)の縮約形。 ⸢ヌー⸣シル ⸣カイ ⸢ナッ⸣ター [⸢nuː⸣ʃiru ⸣kai ⸢nat⸣taː] (一体何故にこうなったのか) 12600 0 0 12209 htmvoc_12600.wav ヌーシルン ⸢ヌーシルン [⸢nuːʃiruŋ] 他動 載せる。乗せる。積む。 ⸢ニー⸣ヤ ⸣フニナー ⸢ヌーシルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヌーシララヌ [⸢niː⸣ja ⸣ɸuninaː ⸢nuːʃirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢nuːʃiraranu] (荷物は船に載せようと思うのだが、積まれない)。 ク⸢ヌ⸣ フニナー ⸢ヌーシ⸣プサカー ⸢ヌーシル⸣ クトー ⸣ナルン [ku⸢nu⸣ ɸuninaː ⸢nuːʃi⸣ pu̥sakaː ⸢nuːʃiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (この船に載せたければ載せることは出来る)。 ⸢クン⸣ナー ⸢ヌーシレー⸣ ミサムヌ [⸢kun⸣naː ⸢nuːʃireː⸣ misamunu] (これに載せればいいのに)。 ヤー⸢ディン ヌーシリ [jaː⸢din nuːʃiri] (必ず載せろ) 12577 0 0 12210 htmvoc_12577.wav ヌースワ ⸢ヌー⸣スワ [⸢nuː⸣suwa] 連 どうするか。どうしようか。 アン⸢デー⸣カ ⸢ワー ヌー⸣スワ [ʔan⸢deː⸣ka ⸢waː nuː⸣suwa] (そんなら、君はどうするのか)。 ⸢ヌー⸣スワ ⸣メー [⸢nuː⸣suwa ⸣meː] (どうしようか、もう) 12578 0 1 12211 htmvoc_12578.wav ヌースン ⸢ヌースン [⸢nuːsuŋ] 他動 {Mn_1}乗せる。人や物を運搬するものの上に積む。 ⸣フニナー ⸣ニー ⸢ヌースンティ スンドゥ ヌーサラヌ [⸣ɸuninaː ⸣niː ⸢nuːsunti sundu nuːsaranu] (船に荷を乗せよ<積載し>うとするが、乗せられ<積載でき>ない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヌーシ⸣ ミサン [⸢maː⸣bin ⸢nuːʃi⸣ misaŋ] (もっと乗せても良い)。 ⸢ヌース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nuːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (乗せる<積む>ことは出来ない)。 ⸢ヌーシェー⸣ ミサムヌ [⸢nuːʃeː⸣ misamunu] (乗せればいいのに)。 ヤー⸢ディン ヌーシ [jaː⸢din nuːʃi] (必ず乗せよ)。 12578 0 2 12212 htmvoc_12578.wav ヌースン ⸢ヌースン [⸢nuːsuŋ] 他動 {Mn_2}載せる。紙面に掲載する。 ⸢ホン⸣ナー ⸢ヌースン [⸢hon⸣naː ⸢nuːsuŋ] (本に載せる)。 ピ⸢ビザバ⸣ イダフニナー ⸢ヌースンティ スンドゥ ヌーサラヌ [pi⸢biʣaba⸣ ʔidaɸuninaː ⸢nuːsunti sundu nuːsaranu] (山羊をサバニに乗せようとするが、乗せられない)。 ⸢ヌーシ⸣ ミサカー ⸣バー ⸢ヌース⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸢nuːʃi⸣ misakaː ⸣baː ⸢nuː⸣su ⸣ku̥toː narun⸢daː] (乗せて良ければ、私は、乗せることは出来るよ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヌーシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢nuːʃeː⸣ misamunu] (早く乗せればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ク⸢ヌ ビン⸣ナー ⸢ヌーシ [jaː⸢diŋ⸣ ku⸢nu bin⸣naː ⸢nuːʃi] (必ずこの便<船便>に乗せなさい)。 12578 0 3 12213 htmvoc_12578.wav ヌースン ⸢ヌースン [⸢nuːsuŋ] 他動 {Mn_3}はめる。計略にかける。 プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シナ ⸢ヌーサリティル⸣ ウ⸢ドゥ⸣ケール [pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃina ⸢nuːsaritiru⸣ ʔu⸢du⸣keːru] (他人の話に乗せられて<はめられて>欠損したのだよ) 12602 0 0 12214 htmvoc_12602.wav ヌースンティ ヌー⸢スンティ [nuː⸢sunti] 副 何故。どうして<詰問>。「何するとて」の転訛したもの。重く尋問する雰囲気を漂わせる。更に縮約して、⸣ヌンティ[⸣nunti](何故{EOS}軽い質問)ともいう。 ⸣ヌー・⸢スンティ⸣ アイブ ⸣トンナー ⸢アーク⸣ワ [⸣nuː-⸢sunti⸣ ʔaibu ⸣tonnaː ⸢ʔaːku⸣wa] (何故にあんな所にうろついているのか)。 ⸢ワー⸣ ヌー⸢スンティ⸣ パ⸢ラン⸣ワ [⸢waː⸣ nuː⸢sunti⸣ pa⸢raŋ⸣wa] (君はどうして行かないのか<詰問>)。 ⸣ヌンティ ナ⸢キベー⸣ワ [⸣nunti na⸢kibeː⸣wa] (どうして泣いているのか) 12603 0 0 12215 htmvoc_12603.wav ヌーター ⸢ヌー⸣ター [⸢nuː⸣taː] 名 原野の中の田。「野田」の義。 ⸢ベー⸣ヌ ク⸢バシター⸣ヌ ⸣ター ⸣ウブシケーヌ タ⸢カスク⸣ヌ ⸣ター ⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸢シーヌウチヌ⸣ ターン ムー⸢ル ヌー⸣ター⸢ダー [⸢beː⸣nu ku⸢baʃi̥taː⸣nu ⸣taː ⸣ʔubuʃi̥keːnu tḁ⸢kasu̥ku⸣nu ⸣taː ⸢joː⸣kajaːnu ⸢ʃiːnuʔuʧinu⸣ taːm muː⸢ru nuː⸣taː⸢daː] (我が家のクバシタの田も、大城家のタカスクの田も、西原家のシーヌウチ<垣の内>の田も、みんな野原の中の田圃だよ) 12604 0 0 12216 htmvoc_12604.wav ヌーダークイダー ⸣ヌーダー ⸢クイ⸣ダー [⸣nuːdaː ⸢kui⸣daː] 連 なんだかんだ。何だ彼だ。なにやかや。 ⸢グヮンス⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ヌーダー ⸢クイ⸣ダーティ ア⸢ジアーク⸣ヌ カ⸢サマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢gwansu⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ⸣nuːdaː ⸢kui⸣daːti ʔa⸢ʤiʔaːku⸣nu ka⸢samasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (元祖のことを何だかんだと言っているが、うるさくて<煩くて>たまらない) 12579 0 0 12217 htmvoc_12579.wav ヌーッシェール ヌーッ⸢シェー⸣ル [nuːʃ⸢ʃeː⸣ru] 連体 どんな(奴)。いかなる(奴)。対象を悪しざまにいう、一種の卑語。「何・したる」の転訛したもの。 ヌーッ⸢シェー⸣ル ⸣ムヌヌ ⸢シーワザ⸣ヤー [nuːʃ⸢ʃeː⸣ru ⸣mununu ⸢ʃiːwaʣa⸣ja] (何奴の仕業かね)。 ク⸢レー⸣ ヌーッ⸢シェー⸣ル ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢シーワザ⸣ヤー [ku⸢reː⸣ nuːʃ⸢ʃeː⸣ru mu⸢nu⸣nu ⸢ʃiːwaʣa⸣jaː] (これは一体如何なる者<如何なる奴>の仕業か) 12613 0 0 12218 htmvoc_12613.wav ヌーテーナームティ ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ムティ [⸣nuːteː ⸢naː⸣muti] 連 訳も無く。何故ということも無く。取り立てて理由も無く。 ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ムティ ン⸢カイジラーラ⸣ プ⸢スバ⸣ イ⸢ジ アー⸣ク [⸣nuːteː ⸢naː⸣muti ʔŋ⸢kaiʤiraːra⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (訳もわからず<理由もなくて>顔を合わせるなり<迎え面から{EOS}対面するなり>、ひと<他人{EOS}私>を叱りつけている)。 ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ナー プ⸢スカーニ⸣ イ⸢ズ [⸣nuːteː ⸢naː⸣naː pu̥⸢sukaːni⸣ ʔi⸢ʣu] (訳も無く他人<私>だけ叱る) 12612 0 0 12219 htmvoc_12612.wav ヌーテーナーン ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ン [⸣nuːteː ⸢naː⸣ŋ] 連 片っ端から。何だからというわけもなく。何でも。「何とて無く」の義。⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ヌ[⸣nuːteː ⸢naː⸣nu](片っ端から<何が何だからという理由もなく>)ともいう。 ⸣アル ⸣ムノー ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ン ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふァイス [⸣ʔaru ⸣munoː ⸣nuːteː ⸢naː⸣m muː⸢ru⸣ f⸢faisu] (ある物は何でも食べる) 12580 0 0 12220 htmvoc_12580.wav ヌーティ ⸣ヌーティ [⸣nuːti] 連 何と。何とて。何たる。 ク⸢レー⸣ ヌーティ ⸢スー ジー⸣ヤ [ku⸢reː⸣ nuːti ⸢suː ʤiː⸣ja] (これは何という文字か)。 ⸣クナー ⸣ヌーティ カ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ワ [⸣kunaː ⸣nuːti kḁ⸢ka⸣ri ⸢beː⸣wa] (ここには何と書かれたいるか) 12581 0 0 12221 htmvoc_12581.wav ヌーティー ヌーティ⸢ー [nuːti⸢ː] 感 何だと?何だって?強く反問するときに用いる。 ヌーティ⸢ー⸣ カイ ⸣ブー ⸢オーシキ⸣ナー フ⸢ニ⸣バ ン⸢ザ⸣ス⸢ー [nuːti⸢ː⸣ kai ⸣buː ⸢ʔoːʃi̥ki⸣naː ɸu⸢ni⸣ba ʔn⸢ʣa⸣su⸢ː] (何だって?、こんな悪天気に船を出すって?)。 ヌーティヌーティ⸢ー マー⸣ プ⸢スム⸣シ ア⸢ズ⸣カー ⸢ヌンガーラサン⸠ダー [nuːtinuːti⸢ː maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢nuŋgaːrasan⸠daː] (何だとう{EOS!}もう一度言ったら許さないぞ{EOS!})。 ヌーティ⸢ー⸣ アン⸢デー⸣カー イ⸢チデージ⸣ ア⸢ラン⸣ノー [nuːti⸢ː⸣ ʔan⸢deː⸣kaː ʔi⸢ʧideːʧi⸣ ʔa⸢ran⸣noː] (何だって?、それなら一大事ではないか) 12606 0 0 12222 htmvoc_12606.wav ヌーティアズカー ⸣ヌーティ ア⸢ズ⸣カー [⸣nuːti ʔa⸢ʣu⸣kaː] 連 なぜなら。なぜかと言うと。何となれば。⸣ヌーティ ⸢スー⸣カー[⸣nuːti ⸢suː⸣kaː](なぜなら{EOS}何となれば)ともいう。 ⸣バー ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー シープサー ナー⸣ヌ ⸣ヌーティ ア⸢ズ⸣カー ⸢モーキララン⸣ ベーティ [⸣baː ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː ʃiːpusaː naː⸣nu ⸣nuːti ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢moːkiraram⸣ beːti] (私は、この仕事はしたくない{EOS}なぜなら儲けられないから) 12608 0 0 12223 htmvoc_12608.wav ヌーティスーユー ⸣ヌーティ ⸢スー⸣ユー [⸣nuːti ⸢suː⸣juː] 連 何というのか。不確実、不確定のものを言う際に用いる。 ウ⸢レー⸣ ヌーティ ⸢スー⸣ユー ッ⸢サン⸣サー [ʔu⸢reː⸣ nuːti ⸢suː⸣juː s⸢san⸣saː] (それは何というのか、知らないよ) 12609 0 0 12224 htmvoc_12609.wav ヌーティヌーティー ヌーティヌーティ⸢ー [nuːtinuːti⸢ː] 感 なんだと?なんてなんてえ?ヌーティヌーティ⸢ー⸣ アイヤ⸢ナー⸣ト イッ⸢カ⸣ シ⸢ミランバン⸣ヨー[nuːtinuːti⸢ː⸣ ʔaija⸢naː⸣to ʔik⸢ka⸣ ʃi⸢mirambaɲ⸣joː](なんてなんてえ?、そんなになんぞは決してさせないからなあ) 12611 0 0 12225 htmvoc_12611.wav ヌーティバクイティバ ⸣ヌーティバ ⸢クイティバ [⸣nuːtiba ⸢kuitiba] 連 何やかや。何の彼の。何とかかんとか。何とかこれとか。 ⸣ヌーティバ ⸢クイティバ⸣ ワ⸢キ⸣ヌ ワ⸢カラ⸣ン ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジアー⸣ク [⸣nuːtiba ⸢kuitiba⸣ wa⸢ki⸣nu wa⸢kara⸣m mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤiʔaː⸣ku] (何のかんの訳の分からないことを言っている) 12610 0 0 12226 htmvoc_12610.wav ヌーディマリ ⸣ヌーディマリ [⸣nuːdimari] 名 ⸢何年生まれ」の義。 ⸢ニー⸣ディマリ [⸢niː⸣dimari] (子年生まれ) ウ⸢シディマリ [ʔu⸢ʃidimari] (丑年生まれ) トゥ⸢ラディマリ [tu⸢radimari] (寅年生まれ) ⸣ウディマリ [⸣ʔudimari] (卯年生まれ) タ⸢チディマリ [tḁ⸢ʧidimari] (辰年生まれ) ⸢ミーディマリ [⸢miːdimari] (巳年生まれ) ン⸢マ⸣ディマリ [ʔm⸢ma⸣dimari] (午年生まれ) ピ⸢チディマリ [pi̥⸢ʧidimari] (未年生まれ) ⸣サディマリ [⸣sadimari] (申年生まれ) ⸢トゥンディマリ [⸢tundimari] (酉年生まれ) ⸢イン⸣ディマリ [⸢ʔin⸣dimari] (戌年生まれ) ⸢ビーディマリ [⸢biːdimari] (亥年生まれ))。マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠め)の際には、祈願文<願い口>の中に⸢魂籠め」をする本人の生まれ年と実名を入れて祈願する。トゥ⸢ラディマリヌ⸣ カ⸢ザケーヌ シンイチ[tu⸢radimarinu⸣ ka⸢ʣakeːnu ʃiŋʔiʧi](寅年生まれの加治工家の真市)の魂籠めであることを示す 12614 0 0 12227 htmvoc_12614.wav ヌーナークイナー ⸣ヌーナー ⸢クイ⸣ナー [⸣nuːnaː ⸢kui⸣naː] 連 何か、これか。こんなか、あんなか。どんなか、あんなか。態度のはっきりしない相手を尋問する際に用いる語。 ⸣ヌーナー ⸢クイ⸣ナーティ ⸢ミー⸣ミカーミ ⸢トゥイ⸣ シ⸢キソー⸣ル [⸣nuːnaː ⸢kui⸣naːti ⸢miː⸣mikaːmi ⸢tui⸣ ʃi̥⸢kisoː⸣ru] (こんなか、あんなかと微に入り細をうがって<細かい処まで>問い尋ねなさる) 12615 0 0 12228 htmvoc_12615.wav ヌーナルワ ⸢ヌー⸣ ナ⸢ル⸣ワ [⸢nuː⸣ na⸢ru⸣wa] 連 何になるものか<何にもなりはしない>。 パ⸢タラクタンティン⸣ ティ⸢マ⸣ヌ トゥ⸢ララン⸣カー ⸢ヌー⸣ ナ⸢ル⸣ワ [pḁ⸢tarakutantin⸣ ti⸢ma⸣nu tu⸢raraŋ⸣kaː ⸢nuː⸣ na⸢ru⸣wa] (働いても手間賃が取れなければ何になるものか) 12616 0 0 12229 htmvoc_12616.wav ヌーヌ ⸢ヌーヌ [⸢nuːnu] 名 布。「布、沼能<ぬの>、織ニ麻及紵一為レ帛也」『和名抄』。 ⸢ヌーヌ⸣ ウ⸢ルン [⸢nuːnu⸣ ʔu⸢ruŋ] (布を織る)。 ⸢ヌーヌ⸣ サ⸢ラスン [⸢nuːnu⸣ sa⸢rasuŋ] (布を晒す) 12617 0 0 12230 htmvoc_12617.wav ヌーヌ ⸢ヌー⸣ヌ [⸢nuː⸣nu] 副 どうして~ものか。「何の~ものか」の義。文末に疑問の終助詞⸣ワ[wa](~か)を伴って反語をあらわす。 ⸢ヌー⸣ヌ ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [⸢nuː⸣nu ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (どうしてそんなことがあるものか<何の~あるものか>、そんなことはない) 12618 0 0 12231 htmvoc_12618.wav ヌーヌー ⸣ヌーヌー [⸣nuːnuː] 代 何々。⸣ヌー[⸣nuː](何)の重言。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ヌーヌール ⸢カーシヌカ⸣レーワ [⸢kjuː⸣ja ⸣nuːnuːru ⸢kaːʃinuka⸣reːwa] (今日は何々が売れ残ったのか)。 ⸣ヌーヌール ⸣プサワ [⸣nuːnuːru ⸣pu̥sawa] (何々が欲しいか) 12620 0 0 12232 htmvoc_12620.wav ヌーヌウリ ⸢ヌーヌウリ [⸢nuːnuʔuri] 名 布織り。機織。 ⸢ヌーヌウリプス [⸢nuːnuuripusu] (機織をする人)。 ⸢ヌーヌウリゾージ [⸢nuːnuʔuriʣoːʤi] (布織り上手)。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アッパー ⸢ヌーヌウリヌ⸣ ウ⸢トゥンジ⸣プス ヤ⸢ローッ⸣タツォー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢nuːnuʔurinu⸣ ʔu⸢tuʔnʤi⸣pu̥su ja⸢roːt⸣taʦoː] (あの家のお祖母さんは布織りの名手<音に聞こえた織り手{EOS}有名な織り手>であられたそうだ) 12621 0 0 12233 htmvoc_12621.wav ヌーヌウリプス ⸢ヌーヌウリプス [⸢nuːnuʔuripusu] 名 布織職人。「布織り人」の義。 ⸢ヌーヌウリプソー マー⸣ル ⸢パッ⸣ターカヤー [⸢nuːnuʔuripusoː maː⸣ru ⸢pat⸣takajaː] (布織り人はどこへ行ったのかねえ) 12622 0 0 12234 htmvoc_12622.wav ヌーヌサラシ ⸢ヌーヌサラシ [⸢nuːnusaraʃi] 名 布晒し。 ム⸢カ⸣シェー ス⸢ナカ⸣ナー ⸢ヌーノー⸣ ア⸢ライ⸣ プシティール ⸢ヌーヌサラシ ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː su⸢naka⸣naː ⸢nuːnoː⸣ ʔa⸢rai⸣ pu̥ʃitiːru ⸢nuːnusaraʃi soːt⸣taʦoː] (昔は海で布を洗って干して<ぞ>布晒しをされたそうだ) 12626 0 0 12235 htmvoc_12626.wav ヌーヌヌピダ ⸢ヌーヌヌ⸣ ピダ [⸢nuːnunu⸣ pida] 連 布のひだ(襞)。布の皺。 ⸢ヌーヌヌ⸣ ピダ ヌ⸢バ⸣スン [⸢nuːnunu⸣ pida nu⸢ba⸣su] (布の皺<\ruby{襞}{ヒダ}>を伸ばす{EOS}布をきぬた<砧>で打ってのばす) 12623 0 0 12236 htmvoc_12623.wav ヌーヌヌミン ⸢ヌーヌヌ⸣ ミン [⸢nuːnunu⸣ miŋ] 連 布幅の両端。「布の耳」の義。 ⸢ヌーヌヌ ミン⸣マー ヤ⸢ゴーマサンドー⸣シ ⸢ミン⸣パルシ ス⸢ロー⸣シ ⸣タメーティ ウ⸢リ⸣ヨー [⸢nuːnunu mim⸣maː ja⸢goːmasandoː⸣ʃi ⸢mim⸣paruʃi su⸢roːʃi ⸣tameːti ʔu⸢ri⸣joː] (布の両端<布の耳>は歪ませないで揃えて、\ruby{伸子}{シン|シ}<耳張り>で真直ぐにしながら織りなさいよ) 12625 0 0 12237 htmvoc_12625.wav ヌーヌピカシ ⸢ヌーヌピカシ [⸢nuːnupi̥kaʃi] 名 ⸢グイ⸣フ[⸢gui⸣ɸu](御用布{EOS}貢納布)の貢納を済ませること。「布引かし」の義。 ⸢ヌーヌピカシン⸣ シ⸢マ⸣シ ウミ⸢ナーク ソー⸣レーン [⸢nuːnupikaʃiŋ⸣ ʃi⸢ma⸣ʃi ʔumi⸢naːku soː⸣reːŋ] (貢納布の貢納も済ませてほっとされた) 12628 0 0 12238 htmvoc_12628.wav ヌーヌピカシヨイ ⸢ヌーヌピカシヨイ [⸢nuːnupikaʃijoi] 名 貢納布完納祝い。貢納布<御用布>の検査に合格して貢納を済ませると百姓の娘達は喜びのあまり歌い踊って祝ったという。 ⸢グイ⸣フ ウ⸢サ⸣モールカー ムー⸢ル⸣ サ⸢ニ⸣ヤティ ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢キル⸣ ヨイ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢gui⸣ɸu ʔu⸢sa⸣moːrukaː muː⸢ru⸣ sa⸢ni⸣jati ⸢saŋʃimba⸣ pi̥⸢kiru⸣ joi ⸢soːt⸣taʦoː] (御用布を納め終わると皆嬉しいので、三線を弾いてお祝いをされたそうだ) 12627 0 0 12239 htmvoc_12627.wav ヌーヌピダーマスン ⸢ヌーヌ⸣ ピ⸢ダーマスン [⸢nuːnu⸣ pi⸢daːmasuŋ] 連 布をきぬた<砧>で打って平らにする。 ⸢ヌーヌ⸣ ウ⸢リティ⸣ イ⸢ナシケー⸣マシ ⸢シッ⸣キティ ピ⸢ダーマソーッ⸣タ [⸢nuːnu⸣ ʔu⸢riti⸣ ʔi⸢naʃi̥keː⸣maʃi ⸢ʃik⸣kiti pi⸢daːmasoːt⸣ta] (布を織って砧で叩いて平に延ばされた) 12619 0 0 12240 htmvoc_12619.wav ヌーヌフクビ ⸢ヌーヌフクビ [⸢nuːnuɸu̥kubi] 名 布の帯。田仕事や畑仕事などの場合は、⸣シナフクビ[⸣ʃinaɸu̥kubi](綱の帯)、バ⸢ラフ⸣タフクビ[ba⸢raɸu̥⸣taɸu̥kubi](稲藁を結んで作った帯)をして作業をした。⸢カーフク⸣ビ[⸢kaːɸu̥ku⸣bi](革製の帯{EOS}ベルト)は新しく入ってきたもの。 ⸢ヌーヌフクベー⸣ キ⸢ザルキザルトゥ ヨイ⸣ヌ ⸣ピンナードゥ ⸢ソーッ⸣タ [⸢nuːnuɸu̥kubeː⸣ ki⸢ʣarukiʣarutu joi⸣nu ⸣pindu ⸢soːt⸣ta] (布の帯は行事行事と祝儀の時に締められた) 12629 0 0 12241 htmvoc_12629.wav ヌーヌマッふァ ⸢ヌーヌマッふァ [⸢nuːnumaffa] 名 布製の枕。「布枕」の義。布袋に籾殻を入れたり、小豆を入れたりして作った枕。ハイカラな枕として男女に好まれたが、一般の家庭では木枕が多用されていた。 ⸢ヌーヌマッふァー⸣ バ⸢カー⸣ムンドゥ シ⸢タル ウイ⸣プソー ⸢ソーラン⸣シェン [⸢nuːnumaffaː⸣ ba⸢kaː⸣mundu ʃi̥⸢taru ʔui⸣pu̥soː ⸢soːraŋ⸣ʃeŋ] (布枕は若者がしたのであって、老人はしなかった) 12630 0 0 12242 htmvoc_12630.wav ヌーヌヤー ⸢ヌー⸣ヌヤー [⸢nuː⸣nujaː] 連 何の事もない。何ほどのこともない。何のその。意外にも。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢バー⸣ル イ⸢チ⸣バンティ ⸣ウムイ ⸣パルンケン ⸢ヌー⸣ヌヤー キ⸢サーティ⸣ プ⸢ソー キー⸣ ブタル [⸢kjuː⸣ja ⸢baː⸣ru ʔi⸢ʧi⸣banti ⸣ʔumui ⸣paruŋken ⸢nuː⸣nujaː ki̥⸢saːti⸣ pu̥⸢soː kiː⸣ butaru] (今日は、私が一番だと思って行くと、何の事もない<意外にも>既に他人が来ていたよ) 12631 0 0 12243 htmvoc_12631.wav ヌーピー ⸢ヌー⸣ピー [⸢nuː⸣piː] 名 野火。原野を焼く火。 ⸢ヌーピー⸣ヤ カ⸢ジヌ⸣ ッ⸢ソーマーラル⸣ ヤ⸢ク [⸢nuːpiː⸣ja ka⸢ʤinu⸣ s⸢soːmararu⸣ ja⸢ku] (野焼きの野火は風下から風上へと焼くものだ)。 ⸢タール ヌー⸣ピー ス⸢ク⸣タカヤー [⸢taːru nuː⸣piː su̥⸢ku⸣takajaː] (誰が野火を点けたのかなあ) 12632 0 0 12244 htmvoc_12632.wav ヌーピー ⸣ヌーピー [⸣nuːpiː] 名 何の日。「干支の何れの日」の意。老年層は、⸣ヌーニー[⸣nuːniː](何の干支)という。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ヌーピーヤ [⸢kjuː⸣ja ⸣nuːpiːja] (今日は<干支の>何の日か) 12633 0 0 12245 htmvoc_12633.wav ヌーマイ ⸢ヌー⸣マイ [⸢nuː⸣mai] 名 玄米。搗いてない米。「\ruby{能米}{ノウ|マイ}、黒米、玄米」の義『文明本節用集』の転訛。鎌倉時代の語。⸣ッサイマイ[⸣ssaimai](精米)の対義語。 グ⸢サークマイ⸣ヤー ⸢ヌー⸣マイシェー ア⸢ラ⸣ヌ ⸣ッサイマイシル ン⸢ザ⸣ソーッタ [gu⸢saːkumai⸣jaː ⸢nuː⸣maiʃeː ʔa⸢ra⸣nu ⸣ssaimaiʃiru ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (村行事に拠出する五勺米は玄米ではなく、精米で出された) 12634 0 0 12246 htmvoc_12634.wav ヌーミチ ⸢ヌー⸣ミチ [⸢nuː⸣miʧi] 名 野道。 ク⸢バシター⸣ヌ ⸢ター⸣ヤー ⸢ヌー⸣ミチ ヤ⸢マシゥ⸣カ ア⸢ラキ⸣ル ⸢パッ⸣タ [ku⸢baʃi̥taː⸣nu ⸢taː⸣jaː ⸢nuː⸣miʧi ja⸢masï̥⸣ka ʔa⸢raki⸣ru ⸢pat⸣ta] (クバシターの田圃へは野道をかなり歩いて<ぞ>行ったものだ) 12635 0 0 12247 htmvoc_12635.wav ヌーヤ ⸣ヌーヤ [⸣nuːja] 連 何か。何であるか。何なのか。疑問代名詞⸣ヌー[nuː](何)に、常に疑問詞と呼応して用いられる疑問の終助詞⸣ヤ[ja](か)の付いたもの。 ク⸢レー⸣ ヌーヤ [ku⸢reː⸣ nuːja] (これは何か)。 ⸢ギューチ⸣ヤ [⸢gjuːʧi⸣ja] (幾つか<何歳か>) 12637 0 0 12248 htmvoc_12637.wav ヌーヤーカヌー ⸢ヌー⸣ヤーカ ⸣ヌー [⸢nuː⸣jaːka ⸣nuː] 連 何だから何だ。何なら何だ。これこれしかじか。 ⸢ヌー⸣ヤーカ ⸣ヌーティ ア⸢ザバル⸣ ッ⸢シェー⸣ル [⸢nuː⸣jaːka ⸣nuːti ʔa⸢ʣabaru⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ru] (何だから何だと言わばこそ<ぞ他人は>始めてわかる<理解できる>ものだ) 12636 0 0 12249 htmvoc_12636.wav ヌーヤークイヤー ⸢ヌー⸣ヤークイヤー [⸢nuː⸣jaːkuijaː] 連 なにやかや(何や彼や)。あれやこれや。なんだのかんだの。 ⸢ヌー⸣ヤークイヤー ムー⸢ル⸣ バーントンル タ⸢ナ⸣ミン ⸣クー [⸢nuː⸣jaː ⸣kuijaː muː⸢ru⸣ baːntonru ta⸢na⸣miŋ ⸣kuː] (何やかや全部私のところに<ぞ>頼みに来る) 12638 0 0 12250 htmvoc_12638.wav ヌーヤツォー ヌーヤ⸢ツォー [nuːja⸢ʦoː] 連 何かってば。何だってば。 ヌーヤ⸢ツォー ヌー⸣ル ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ムティ プ⸢スカーニ⸣ ヤ⸢ラブワ⸠ツォー [nuːja⸢ʦoː nuː⸣ru ⸣nuːteː ⸢naː⸣muti pu̥⸢sukaːni⸣ ja⸢rabuwa⸠ʦoː] (何だってば、訳もなく<何が何だということもなく>、他人だけを呼ぶのか) 12640 0 0 12251 htmvoc_12640.wav ヌーヤラバン ⸣ヌー ヤ⸢ラバン [⸣nuː ja⸢rabaŋ] 連 何であっても。何でも。 キ⸢サリ ムノー⸣ ヌー ヤ⸢ラバン⸣ ミサン キ⸢スン⸣ダー [ki̥⸢sari munoː⸣ nuː ja⸢rabam⸣ misaŋ ki̥⸢sun⸣daː] (着られるものは何でも良い{EOS}着るよ)。 ッ⸢ふァーリ ムノー⸣ ヌー ヤ⸢ラバン⸣ ッ⸢ふン [f⸢faːri munoː⸣ nuː ja⸢rabaŋ⸣ f⸢fuŋ] (食べられるものは何でも食べる) 12639 0 0 12252 htmvoc_12639.wav ヌーヤリバル ⸢ヌー⸣ ヤリバル [⸢nuː⸣ jaribaru] 連 何様だから。「何だからぞ」の義。 ⸢ワー ヌー⸣ ヤリバル プ⸢スンナー⸣ニ ギ⸢チバ シー アーク⸣ワ [⸢waː nuː⸣ jaribaru pu̥⸢sunnaː⸣ni gi⸢ʧiba ʃiː ʔaːku⸣wa] (君は何様だから他人に指図<下知>しているのか) 12641 0 0 12253 htmvoc_12641.wav ヌーヤルユー ⸣ヌー ヤ⸢ル⸣ユー [⸣nuː ja⸢ru⸣juː] 連 何なのか。何であるのか。 ウ⸢レー⸣ ヌー ヤ⸢ル⸣ユー ⸢トゥイ⸣ シ⸢キ⸣ミリバ [ʔu⸢reː⸣ nuː ja⸢ru⸣juː ⸢tui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ miriba] (それは何なのか、問い尋ねてみなさい)。 ⸣ヌー ヤ⸢ル⸣ユー ッ⸢サヌ [⸣nuː ja⸢ru⸣juː s⸢sanu] (何なのか分から<知ら>ない) 12642 0 0 12254 htmvoc_12642.wav ヌーユイ ⸣ヌーユイ [⸣nuːjui] 名 何故。何のため。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢アウ⸣リナンギ ⸢ソー⸣ル ⸣ムノー ⸣ヌーユイヤ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʔau⸣rinaŋgi ⸢soː⸣ru ⸣munoː ⸣nuːjuija] (親が難儀苦労をされるのは何故か<何のためか>) 12643 0 0 12255 htmvoc_12643.wav ヌーユンサー ⸢ヌー⸣ユンサー [⸢nuː⸣junsaː] 連 なにゆえか。どうしてか。何なのか。「何故なのか」の義。 ⸢ヌー⸣ユンサー ッ⸢サンヌドゥ クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リ ⸢オー⸣ル [⸢nuː⸣junsaː s⸢sannudu kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (何故か分からないが怒っておられる) 12644 0 0 12256 htmvoc_12644.wav ヌーラスン ⸢ヌーラスン [⸢nuːrasuŋ] 他動 乗せる。乗船させる(乗組員にする)。⸢ヌースン[⸢nuːsuŋ](乗せる)ともいう。 カ⸢ツシン ヌーラスンティ⸣ シ⸢タンドゥ ヌーラサランシェン [kḁ⸢ʦuʃin nuːrasunti⸣ ʃi̥⸢tandu nuːrasaraŋʃeŋ] (カツオ漁船に乗せようとしたが、乗せられなかった)。 ⸢ヌーラシ⸣ ミサン [⸢nuːraʃi⸣ misaŋ] (乗船させてもも良い)。 ミ⸢ドゥ⸣モー カ⸢ツシン ヌーラス⸣ クトー ナ⸢ラン⸣シェン [mi⸢du⸣moː kḁ⸢ʦuʃin nuːrasu⸣ku̥toː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (女性はカツオ漁船に乗せることは出来なかった)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヌーラシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢nuːraʃeː⸣ misamunu] (早く乗船させれば良いのに)。 ヤー⸢ディン ヌーラシ [jaː⸢din nuːraʃi] (必ず乗船させなさい) 12645 0 0 12257 htmvoc_12645.wav ヌーリウリ ⸢ヌーリ⸣ウリ [⸢nuːri⸣ʔuri] 名 上り下り。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター フ⸢ニ⸣ヌ ⸢ヌーリ⸣ウリン ⸢タンガ⸣シェー ⸢シーユーサヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ɸu⸢ni⸣nu ⸢nuːri⸣ʔurin ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢ʃiːjuːsanu] (年をとったので船の乗り降りも出来ない<し得ない>) 12646 0 0 12258 htmvoc_12646.wav ヌーリカイルン ⸢ヌーリカイルン [⸢nuːrikairuŋ] 自動 乗り換える。 イ⸢サンケー ギーティ⸣ ウ⸢キ⸣ナーヌ ⸣フニナ ⸢ヌーリカイルンティ⸣ シ⸢タンドゥ ヌーリカイラランシェン [ʔi⸢saŋkeː giːti⸣ ʔu⸢ki⸣naːnu ⸣ɸunina ⸢nuːrikairunti⸣ ʃi̥⸢tandu nuːrikairaraŋʃeŋ] (石垣へ行って、沖縄への船に乗り換えようとしたが、乗り換えられなかった)。 ⸢ヌーリカイ⸣ ミサカー ⸣キューズーナ ⸢ヌーリカイル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢nuːrikai⸣ misakaː ⸣kjuːʣuːna ⸢nuːrikairu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (乗り換えてよければ、今日中に乗り換えることは出来る)。 ⸢ヌーリカイヤー⸣ ミサムヌ [⸢nuːrikaijaː⸣ misamunu] (乗り換えればいいのに)。 ヤー⸢ディン ヌーリカイリ [jaː⸢din nuːrikairi] (必ず乗り換えよ) 12824 0 0 12259 htmvoc_12824.wav ヌーリククチ ⸢ヌーリククチ [⸢nuːriku̥kuʧi] 名 乗り心地。標準語からの借用語の転訛したもの。 ⸢ワー ミークルマヌ ヌーリククチェー ヌー⸣シヤー [⸢waː miːkurumanu nuːriku̥kuʧeː nuː⸣ʃijaː] (君の新車の乗り心地はいかがですか) 12647 0 0 12260 htmvoc_12647.wav ヌーリザカ ⸢ヌーリザカ [⸢nuːriʣaka] 名 上り坂。 ヤ⸢マ⸣ミチェー ⸢ヌーリザカヌ ゴー⸣ラーン [ja⸢mami⸣ʧeː ⸢nuːriʣakanu goː⸣raːŋ] (山道は上り坂が多い) 12667 0 0 12261 htmvoc_12667.wav ヌーリッツァースン ⸢ヌーリッツァースン [⸢nuːritʦaːsuŋ] 他動 塗りたくる。めちゃくちゃに塗る。塗り散らす。 ⸣シン ⸢ヌーリッツァーシ⸣ シケー [⸣ʃiŋ ⸢nuːritʦaːʃi⸣ ʃi̥keː] (墨を塗りたくってある)。 ⸣アイニ ⸢ヌーリッツァーサン ブリ⸣バ [⸣ʔaini ⸢nuːritʦaːsam buri⸣ba] (あんなに塗りたくるなよ<塗りちらかすな>)。 ア⸢ザン⸣カー ⸢ヌーリッツァースン⸣ダー [ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː ⸢nuːritʦaːsun⸣daː] (言ってやらないと塗りたくるよ)。 ⸢ヌーリッツァース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌヌ⸣ ナルカー ⸢ヌーリッツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸢nuːritʦaːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnunu⸣ narukaː ⸢nuːritʦaːʃeː⸣ misamunu] (塗りたくる人はいないが、可能なら塗りたくればいいのに)。 ムー⸢ル ヌーリッツァーシ⸣バ [muː⸢ru ⸢nuːritʦaːʃi⸣ba] (全部塗りたくれよ) 12668 0 0 12262 htmvoc_12668.wav ヌーリパンツァスン ⸢ヌーリ パンツァスン [⸢nuːri panʦasuŋ] 連 乗り損ねる。乗り遅れる。「Norifazzuxi,su,zzuita.ノリハヅシ,ス,イタ(乗り外し、す、いた)乗るはずであった船に乗りそこなう、~」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ⸢ウンパンシン⸣ヌ ウ⸢クリテイ キュー⸣ヌ ウ⸢キ⸣ナーヌ ⸢ビン ヌーリ パンツァシ ナー⸣ヌ [⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ʔu⸢kuriti kjuː⸣nu ʔu⸢ki⸣naːnu ⸢bin nuːri panʦaʃi naː⸣nu] (運搬船が遅れて、今日の沖縄への便に乗り損ねてしまった) 12648 0 0 12263 htmvoc_12648.wav ヌーリフチ ⸢ヌーリフチ [⸢nuːriɸu̥ʧi] 名 上り口。山に入る入り口。 ヤ⸢マ⸣ヌ ⸢ヌーリフチ⸣ナー ウ⸢ブイシ⸣ヌ ⸣アン [ja⸢ma⸣nu ⸢nuːriɸuʧi⸣naː ʔu⸢buʔiʃi⸣nu ⸣ʔaŋ] (山の入り口に大きな石<岩>がある) 12649 0 0 12264 htmvoc_12649.wav ヌーリフチ ⸢ヌーリフチ [⸢nuːriɸuʧi] 名 登り方。 ⸢ヌー⸣シル ⸢ヌール⸣ユー ⸢ヌーリフチェー⸣ ッ⸢サヌ [⸢nuː⸣ʃiru ⸢nuːru⸣juː ⸢nuːriɸu̥ʧeː⸣ s⸢sanu] (どうやって登るか、登り方は知らない) 12650 0 0 12265 htmvoc_12650.wav ヌーリミチ ⸢ヌーリミチ [⸢nuːrimiʧi] 名 登り方。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ヌーリミチェー⸣ ッ⸢シティ⸣ ウ⸢リ⸣ミチェー ッ⸢サヌ [⸢kiː⸣nu ⸢nuːrimiʧeː⸣ ʃ⸢ʃiti⸣ ʔu⸢ri⸣miʧeː s⸢sanu] (木の登り方は知っているが、降り方は知らない) 12651 0 0 12266 htmvoc_12651.wav ヌーリムヌ ⸢ヌーリムヌ [⸢nuːrimunu] 名 乗り物。船や車。交通機関。 ⸢ヌーリムヌ⸣ナー ⸢ヌーレー⸣ティル ニ⸢シェーパヤー⸣ヌ ⸢ギームドゥロー ソーッ⸣タ [⸢nuːrimunu⸣naː ⸢nuːreː⸣tiru ni⸢ʃeːpajaː⸣nu ⸢giːmuduroː soːt⸣ta] (乗り物<イダフニ>に乗って、西表へ鳩間への<北へ南へ>の往来<行き戻り>はなさったのだ) 12652 0 0 12267 htmvoc_12652.wav ヌーリンーマ ⸢ヌーリンーマ [⸢nuːriʔmːma] 名 乗り馬。乗馬用の馬。鳩間島には馬はいなかったが、石垣島や西表島には荷馬車用の馬や乗馬用の馬が飼育されていた。 イ⸢サンケー⸣ナーヤ ⸢ヌーリンーマン⸣ ミツンケン ブ⸢リブタ [ʔi⸢saŋkeː⸣naːja ⸢nuːriʔmːmam⸣ miʦuŋkem bu⸢ributa] (石垣島には乗馬用の馬も沢山いた<居り居った>) 12653 0 0 12268 htmvoc_12653.wav ヌール ⸢ヌー⸣ル [⸢nuː⸣ru] 名 のり(糊)。 ⸢ウンヌ⸣クジシ ⸢ヌー⸣ル タ⸢キティ ソージ⸣ パ⸢リ⸣バ [⸢ʔunnu⸣kuʤiʃi ⸢nuː⸣ru tḁ⸢kiti soːʤi⸣ pa⸢ri⸣ba] (芋の澱粉で糊を炊いて障子を張りなさい) 12654 0 0 12269 htmvoc_12654.wav ヌール ⸢ヌー⸣ル [⸢nuː⸣ru] 名 \ruby{漆}{ウルシ}。ペンキ。 ジ⸢ブ⸣クナー ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァースン [ʤi⸢bu⸣kunaː ⸢nuː⸣ru f⸢faːsuŋ] (重箱に漆を塗る<食わせる>)。 ッ⸢ふヌー⸣ル [f⸢funuː⸣ru] (黒塗り)。 ア⸢ガヌール [ʔa⸢ganuːru] (朱塗り)。 カ⸢ツシン⸣ナー ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァースン [kḁ⸢ʦuʃin⸣naː ⸢nuː⸣ru f⸢faːsuŋ] (カツオ漁船にペンキを塗る<食わせる>) 12655 0 0 12270 htmvoc_12655.wav ヌール ⸢ヌー⸣ル [⸢nuː⸣ru] 名 (植)海藻。 トゥ⸢キドゥ⸣ケー ⸣フネー ア⸢ギティ⸣ ヤ⸢カン⸣カー ⸢ヌー⸣ル ⸢フイ⸣ス [tu̥⸢kidu⸣keː ⸣ɸuneː ʔa⸢giti⸣ ja⸢kaŋ⸣kaː ⸢nuː⸣ru ⸢ɸui⸣su] (時々は船を陸揚げして船底を焼かないと\ruby{苔}{コケ}<海藻>が生える) 12656 0 0 12271 htmvoc_12656.wav ヌールカブン ⸢ヌー⸣ル ⸣カブン [⸢nuː⸣ru ⸣kabuŋ] 連 顔にしみ(染み)が出る。 ウ⸢ム⸣テー ⸢ヌー⸣ル ⸣カビティ キ⸢ムイツァー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢mu⸣teː ⸢nuː⸣ru ⸣kabiti ki⸢muiʦaː⸣nu mi⸢rara⸣nu] (顔には染みがたくさん出て可哀相で見られない) 12657 0 0 12272 htmvoc_12657.wav ヌールシーオールワ ⸢ヌー⸣ル ⸢シーオール⸣ワ [⸢nuː⸣ru ⸢ʃiːoːru⸣wa] 連 何をしておられますか。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ヌー⸣ル<⸢ヌー⸣バ> ⸢シーオール⸣ワ [ma⸢na⸣maː ⸢nuː⸣ru<⸢nuː⸣ba> ⸢ʃiːoːru⸣wa] (今は何をしておられますか) 12658 0 0 12273 htmvoc_12658.wav ヌールシキ ⸢ヌール⸣シキ [⸢nuːru⸣ʃi̥ki] 名 衣類にのり付けをすること。 ナ⸢チキン⸣マー ⸢ヌール⸣シキ ⸢シェー⸣ティ キ⸢サシ⸣バ [na⸢ʧikim⸣maː ⸢nuːru⸣ʃi̥ki ⸢ʃeː⸣ti ki̥⸢saʃi⸣ba] (夏着はのり付けして着せてやり<着させ>なさい) 12659 0 0 12274 htmvoc_12659.wav ヌールシラリワ ⸢ヌー⸣ル シ⸢ラリワ [⸢nuː⸣ru ʃi⸢rariwa] 連 どうしようもない。どうにもならない。「何ができようか~出来ない」の義。 ⸢ミートゥンダバカ⸣リ ⸢シーナーン⸣ムヌ マ⸢ナ⸣マーラ ⸢ヌー⸣ル シ⸢ラリワ [⸢miːtundabaka⸣ri ⸢ʃiːnaːm⸣munu ma⸢na⸣maːra ⸢nuː⸣ru ʃi⸢rariwa] (夫婦分かれしてしまったのに、今からどうしようもない<何ができできようか>) 12660 0 0 12275 htmvoc_12660.wav ヌールヌーティナームティ ⸢ヌー⸣ル ⸣ヌーティ ⸢ナー⸣ムティ [⸢nuː⸣ru ⸣nuːti ⸢naː⸣muti] 連 何の理由もなく。訳も無く。「何が何だからとてもなく」の義。 ⸢ヌー⸣ル ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ムティ ウ⸢ブ⸣バライ ⸢シー ベー⸣ヌ ⸣ヌーカヤー [⸢nuː⸣ru ⸣nuːteː ⸢naː⸣muti ʔu⸢bu⸣barai ⸢ʃiː beː⸣nu ⸣nuːkajaː] (訳も無く大笑いしているが、一体どうしたのだろう) 12661 0 0 12276 htmvoc_12661.wav ヌールフーン ⸢ヌー⸣ル ⸣フーン [⸢nuː⸣ru ⸣ɸuːŋ] 連 苔むす。\ruby{海苔}{ノ|リ}が生える。汚れる。 ⸢ヤー⸣ヤ プ⸢スヌ⸣ シ⸢マン⸣カー ⸢ヌー⸣ル フーン⸢ダー [⸢jaː⸣ja pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢maŋ⸣kaː ⸢nuː⸣ru ɸuːn⸢daː] (家は人が住まないと苔が生えるよ) 12662 0 0 12277 htmvoc_12662.wav ヌールフム ⸢ヌー⸣ルフム [⸢nuː⸣ruɸumu] 名 入道雲。積乱雲。ヌ⸢リクム[nu⸢rikumu](入道雲{EOS}黒雲)ともいう。 ⸢ヌー⸣ルフムヌ ⸣ンジティ ッ⸢ふァガマーリ ブンダ⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーパジ [⸢nuː⸣ruɸumunu ⸣ʔnʤiti f⸢fagamaːri bunda⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːpaʤi] (入道雲が出て辺りが暗がってきたから雨が降るはずだ) 12663 0 0 12278 htmvoc_12663.wav ヌールムヌ ⸢ヌール⸣ムヌ [⸢nuːru⸣munu] 名 塗り物。漆を塗った器具類。重箱、膳、吸い物椀など。ヌ⸢リ⸣ムヌ[nu⸢ri⸣munu](塗りもの)ともいう。 ジ⸢ブ⸣ク ⸢ジン シームヌバン⸣ドレーヌ ⸢ヌール⸣ムノー ⸢ヨイ⸣トゥ キ⸢ザル ソッ⸣コーナール シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [ʤi⸢bu⸣ku ⸢ʤiŋ ʃiːmunuban⸣doːreːnu ⸢nuːru⸣munoː ⸢joi⸣tu ki⸢ʣaru sok⸣koːnaːru sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (重箱、お膳、吸い物椀などの塗り物は祝儀や年中行事、法事などで使われた) 12664 0 0 12279 htmvoc_12664.wav ヌールン ⸢ヌールン [⸢nuːruŋ] 自動 乗る。 ⸣フニナー ⸢ヌールンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ムー⸢ロー ヌーラランシェン [⸣ɸuninaː ⸢nuːrunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ muː⸢roː nuːraraŋʃeŋ] (船に乗ろうとしたが、皆<全員>は乗られなかった)。 ⸢ヌーリ⸣ ミサカー ⸢バン⸣ヌン ⸢ヌール⸣ クトー ⸣ナルン [⸢nuːri⸣ misakaː ⸢ban⸣nun ⸢nuːru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (乗ってよければ私も乗ることは出来る)。 ⸢ワンヌン ヌーレー⸣ ミサムヌ [⸢wannun nuːreː⸣ misamunu] (君も乗ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣フニナー ⸢ヌーリ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸣ɸuninaː ⸢nuːri⸣ba] (早く船に乗れよ) 12665 0 0 12280 htmvoc_12665.wav ヌールン ⸢ヌールン [⸢nuːruŋ] 自動 上がる。登る。 ⸢ウンター ヌールン [⸢ʔuntaː nuːruŋ] (上位に上る{EOS}位が上がる)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ウイ ⸢ヌールン [⸢kiː⸣nu ⸣ʔui ⸢nuːruŋ] (木の上に登る)。 ⸢ヌーラヌ [⸢nuːranu] (登らない{EOS}上がらない)。 ⸢ヌーリ⸣プサン [⸢nuːri⸣pusaŋ] (登りたい)。 ⸢ヌール⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nuːru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (登ることはできない)。 ⸢ヌーレー⸣ ミサムヌ [⸢nuːreː⸣ misamunu] (登ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヌーリ [⸢paː⸣ku ⸢nuːri] (早く登れ) 12666 0 0 12281 htmvoc_12666.wav ヌールン ⸢ヌールン [⸢nuːruŋ] 他動 塗る。塗布する。 ⸣フニナー ⸢ペン⸣キ ⸢ヌールンティ スンドゥ ヌーララヌ [⸣ɸuninaː ⸢peŋ⸣ki ⸢nuːrunti sundu nuːraranu] (船にペンキを塗ろうとするが、塗られない)。 ⸢ペン⸣キ ⸢ヌーリ⸣ プサンドゥ ⸢ヌール⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢peŋ⸣ki ⸢nuːri⸣ pu̥sandu ⸢nuːru⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (ペンキを塗りたいが、塗る人がいない)。 ア⸢ガペンキ ヌーレー⸣ ミサムヌ [ʔa⸢gapeŋki nuːreː⸣ misamunu] (赤ペンキを塗れば良いのに)。 ⸣クマー ⸢ペン⸣キ ⸢ヌーリ⸣バ [⸣kumaː ⸢peŋ⸣ki ⸢nuːri⸣ba] (ここはペンキを塗れよ)。 ⸣イル ⸢ヌールン [⸣ʔiru ⸢nuːruŋ] (色を塗る) 12669 0 0 12282 htmvoc_12669.wav ヌーン ⸣ヌーン [⸣nuːŋ] 他動 抜き取る。抜く。抜ける。「脱・袒、ヌグ」『類聚名義抄』。「~直に逢ふまでは吾將脱八方<ヌガメヤモ>。万、747」の転訛。 ⸢フン⸣ ヌーンティ ⸢スンドゥ ノーラン⸣バン [⸢ɸun⸣ nuːnti ⸢sundu noːram⸣baŋ] (釘を抜こうとするが、抜かれないよ)。 カ⸢ナパイヌ ユイ⸣ ヌイ⸢シティ ナー⸣ヌ [ka⸢napainu jui⸣ nui⸢ʃi̥ti naː⸣nu] (鍬の柄を抜き取ってしまった)。 ク⸢ヌ ユイヤー ヌイ⸣ス [ku⸢nu juijaː nui⸣su] (この柄は抜けるよ)。 ク⸢ヌ ユイヤー⸣ ヌー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu juijaː⸣ nuː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (この柄が抜けることはない)。 カ⸢ナパイヌ ユイヤー ヌイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ka⸢napainu juijaː nui⸣jaː ⸣misamunu] (鍬の柄は抜けばいいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸣ヌイバ [⸣duːʃi ⸣nuiba] (自分で抜けよ) 12670 0 0 12283 htmvoc_12670.wav ヌーン ⸣ヌーン [⸣nuːŋ] 他動 縫う。「~晒さず縫之<ヌヒシ>吾が下衣。万、1315」。 ク⸢リ⸣シ ⸣キン ⸣ヌーン [ku⸢ri⸣ʃi ⸣kin ⸣nuːŋ] (これで着物を縫う)。 ク⸢リ⸣シェー ⸢ノーラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ʃeː ⸢noːra⸣nu] (これでは縫われない)。 ⸣ドゥーシ ⸢ヌイ⸣ プサンドゥ ⸣ヌーク⸢トゥヌ⸣ル ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duːʃi ⸢nui⸣ pu̥sandu ⸣nuː ku̥⸢tunu⸣ru na⸢ra⸣nu] (自分で縫いたいが、縫うことができない)。 プ⸢スバ⸣ タ⸢ルガカンドー⸣シ ⸣ドゥーシ ⸢ヌイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [pu̥⸢suba⸣ ta⸢rugakandoː⸣ʃi ⸣duːʃi ⸢nui⸣jaː ⸣misamunu] (人を当てにしないで自分で縫えば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ドゥーシ ⸣ヌイバ [⸢paː⸣ku ⸣duːʃi ⸣nuiba] (早く自分で縫えよ) 12671 0 0 12284 htmvoc_12671.wav ヌーン ⸣ヌーン [⸣nuːŋ] 他動 \ruby{綯}{ナ}う。縄を綯う。古老は、⸣ナウン[⸣nauŋ](綯う)という。 ⸣シナ ⸣ヌーンティ ⸢スンドゥ⸣ ク⸢リ⸣シェー ⸢ノーラ⸣ヌ [⸣ʃina ⸣nuːnti ⸢sundu⸣ ku⸢ri⸣ʃeː ⸢noːra⸣nu] (縄<綱>を綯おうとするが、これでは綯えない)。 ⸣シナ ⸢ヌイ⸣プサカー ⸣ヌークトー ナルン⸢ダー [⸣ʃina ⸢nui⸣pu̥sakaː ⸣nuː ⸣ku̥toː narun⸢daː] (縄を綯いたければ綯うことはできるよ)。 ⸣シナ ⸢ヌイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣ʃina ⸢nui⸣jaː ⸣misamunu] (縄を綯えばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ヌイバ [⸢paː⸣ku ⸣nuiba] (早く綯えよ) 12672 0 0 12285 htmvoc_12672.wav ヌーンガナ ⸢ヌーンガ⸣ナ [⸢nuːʔŋga⸣na] 名 (植)ノニガナ。「のにがな(野苦菜)」の義。野原や畑に自生している。苦味が強く、胃腸病に効くといわれ、昔から刺身や魚のお汁に入れて食されてきた。カツオの頭の重厚なだし汁にはノニガナの苦味が調和した。刺身には細かく刻んで刺身の妻として重用された。 シ⸢ヌマール⸣ヌ ナ⸢マ⸣シ ⸢ボー⸣ダナマシナーヤ ⸢チャー⸣ ン⸢ガ⸣ナ キ⸢ザミティ⸣ イ⸢ローッ⸣タン [ʃi⸢numaːru⸣nu na⸢ma⸣ʃi ⸢boː⸣danamaʃinaːja ⸢ʧaː⸣ ʔŋ⸢ga⸣na ki⸢ʣamiti⸣ ʔi⸢roːt⸣taŋ] (テングハギの刺身やキツネブダイの刺身には常にニガナ<苦菜>を刻んで入れられたものだ) 12673 0 0 12286 htmvoc_12673.wav ヌーンクイン ⸣ヌーンクイン [⸣nuːŋkuiŋ] 副 何もかも。何事も。すべて。 ⸣ヌーンクイン ⸢ゾー⸣トゥニ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸣nuːŋkin ⸢ʣoː⸣tuni su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (何もかも立派<上等>に作ってある)。 ⸣ヌーンクイン ス⸢ルイ⸣ル ⸣ブー フ⸢スコー ナー⸣ヌ [⸣nuːŋkuin su⸢rui⸣ru ⸣buː ɸu̥⸢sukoː naː⸣nu] (何もかも揃っている{EOS}不足はない) 12674 0 0 12287 htmvoc_12674.wav ヌーンブカラ ⸢ヌーン⸣ブカラ [⸢nuːm⸣bukara] 副 いかほど(如何程)。どれほど。どのくらい。 ⸣イダフニナー ⸢ニー⸣ヤ ⸢ヌーン⸣ブカラ シ⸢マリワ [⸣ʔidaɸuninaː ⸢niː⸣ja ⸢nuːm⸣bukara ʃi⸢mariwa] (サバニ<板舟>には荷がどれほど積めるか) 12559 0 0 12288 htmvoc_12559.wav ヌイ ⸣ヌイ [⸣nui] 感 何。何か。何かね。目上の者から目下の者に対する返事。 ⸣ヌイ ヌイ⸢ツォー⸣ ヌーテー⸢ナー⸣ムティ プ⸢スバ⸣ ヤ⸢ラブワレー [⸣nui nui⸢ʦoː⸣ nuːteː ⸢naː⸣muti pu̥⸢suba⸣ ja⸢rabuwareː] (何、何だってば、用もないのに<何だからともないのに>人を呼ぶのかよ) 12560 0 0 12289 htmvoc_12560.wav ヌイイトゥ ⸢ヌイ⸣イトゥ [⸢nui⸣ʔitu] 名 縫い糸。裁縫糸。 ⸢キンヌイ⸣イトゥ ⸢カイ⸣ クー [⸢kinnui⸣ʔitu ⸢kai⸣ kuː] (着物を縫う糸<縫い糸>を買ってこい)。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ブーイトゥバル ⸢キンヌイ⸣イトゥ ⸢ソーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣buːʔitubaru ⸢kinnui⸣ʔitu ⸢soːtta⸣ru] (昔は麻糸を裁縫糸<縫い糸>に使用されたものだ) 12561 0 0 12290 htmvoc_12561.wav ヌイクムン ⸢ヌイ⸣クムン [⸢nui⸣kumuŋ] 他動 縫い込む。縫い付ける。 バ⸢キンッサー⸣ラー マ⸢チ⸣ ア⸢ティティ ヌイ⸣クミ ⸣シケー [ba⸢kinssaː⸣raː ma⸢ʧi⸣ ʔa⸢titi nui⸣kumi ⸣ʃi̥keː] (腋の下はマチをあてて縫い込んである) 12562 0 1 12291 htmvoc_12562.wav ヌイフチ ⸢ヌイ⸣フチ [⸢nui⸣ɸu̥ʧi] 名 {Mn_1}縫い初め。縫い口。 ⸢ヌイ⸣フチェー ク⸢マークマー⸣シ ⸣ヌイバ [⸢nui⸣ɸu̥ʧeː ku⸢maːkumaː⸣ʃi ⸣nuiba] (縫い始め<縫い口>は細かく縫いなさい)。 12562 0 2 12292 htmvoc_12562.wav ヌイフチ ⸢ヌイ⸣フチ [⸢nui⸣ɸu̥ʧi] 名 {Mn_2}縫い方。 ⸢キン⸣ヌ ⸢ヌイ⸣フチ ッ⸢サンベー⸣ティ ⸣キン ヌイ⸢サヌ [⸢kin⸣nu ⸢nui⸣ɸu̥ʧi s⸢sambeː⸣ti ⸣kin nui⸢sanu] (着物の縫い方を知らないので、着物を縫うことが出来ない) 12563 0 0 12293 htmvoc_12563.wav ヌイミー ⸢ヌイ⸣ミー [⸢nui⸣miː] 名 縫い目。 ⸢ヌイミー⸣ヌ ア⸢ラー⸣ユンダ ⸢タール ヌイ⸣ヤーティ ワ⸢カ⸣ルン [⸢nuimiː⸣nu ʔa⸢raː⸣junda ⸢taːru nui⸣jaːti wa⸢ka⸣ruŋ] (縫い目が粗いから誰が縫ったかがわかる) 12564 0 0 12294 htmvoc_12564.wav ヌイミチ ⸢ヌイ⸣ミチ [⸢nui⸣miʧi] 名 縫い方。 ⸢キン⸣ヌ ⸢ヌイ⸣ミチ ッ⸢サン⸣カー ⸢シン⸣シェーラ ⸣ナライ ⸣クーバ [⸢kin⸣nu ⸢nui⸣miʧi s⸢saŋ⸣kaː ⸢ʃiŋ⸣ʃeːra ⸣narai ⸣kuːba] (着物の縫い方を知らなければ先生から習ってきなさいよ) 12565 0 0 12295 htmvoc_12565.wav ヌイムヌ ⸢ヌイ⸣ムヌ [⸢nui⸣munu] 名 縫い物。裁縫。 ⸢ヌイ⸣ムヌ ⸢シール⸣ ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ シゥ⸢カナウタ⸣ル [⸢nui⸣munu ⸢ʃiːru⸣ ʔu⸢bi⸣nu f⸢faː⸣ sï̥⸢kanauta⸣ru] (縫い物をして<ぞ>あれだけの子供を養育したのだ) 12566 0 0 12296 htmvoc_12566.wav ヌイルン ⸢ヌイ⸣ルン [⸢nui⸣ruŋ] 自動 抜ける。「ぬげ<脱げ>る」の転訛したもの。 ウ⸢ブヤン スー⸣カー ガ⸢マ⸣ジェー ⸢ヌイ⸣ルンティ ス⸢クタヌ ヌイラン⸣シェン [ʔu⸢bujan suː⸣kaː ga⸢ma⸣ʤeː ⸢nui⸣runti su̥⸢kutanu nuiraŋ⸣ʃeŋ] (大病をすると頭髪が抜けると聞いたが、抜けなかった)。 ガ⸢マ⸣ジェー ⸣ヌイパリ ⸢ナー⸣ヌ [ga⸢ma⸣ʤeː ⸣nuipari ⸢naː⸣nu] (頭髪は抜けていってしまった)。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸢ヌイ⸣ル ⸣ピンマー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ga⸢maʤi⸣nu ⸢nui⸣ru ⸣pimmaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (頭髪が抜けるときは気をつけなさい) 12675 0 0 12297 htmvoc_12675.wav ヌカ ⸣ヌカ [⸣nuka] 名 ぬか(糠)。「糠、沼賀(ぬか)、米皮也」『和名抄』の転訛。 ⸢マイヌ⸣ ヌカシ ⸢ダイ⸣クニ シ⸢キ⸣バ [⸢mainu⸣ nukaʃi ⸢dai⸣kuni ʃi̥⸢ki⸣ba] (米糠で大根を漬けなさい)。 ⸢マイヌ⸣ ヌカシ ⸣マカルドング ア⸢ラウ⸣カー ユ⸢グリムノー⸣ イッ⸢ケン⸣ ウ⸢ティ⸣ルンティ⸢ダー [⸢mainu⸣ nukaʃi ⸣makarudoŋgu ʔa⸢rau⸣kaː ju⸢gurimunoː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢ti⸣runti⸢daː] (米糠でお椀類を洗うと、汚れは非常によく落ちるそうだよ) 9469 0 0 12298 htmvoc_9469.wav ヌカーシ ヌ⸢カー⸣シ [nu⸢kaː⸣ʃi] 名 主婦たちが共同の夜業をする際、小金を出し合ってソーメンを買いや食を調理して食すること 12677 0 0 12299 htmvoc_12677.wav ヌカースン ヌ⸢カー⸣スン [nu⸢kaː⸣suŋ] 他動 金を出し合う。金を募りあつめて一定の目的に使う。 ⸣ニカー ヒャ⸢クエン⸣ナー ヌ⸢カー⸣シティ ⸢ソーミ⸣ンチャンプルー ⸢シー⸣ ッ⸢ふァー⸣ディー [⸣nikaː ça⸢kujen⸣naː nu⸢kaː⸣ʃi̥ti ⸢soːminʧam⸣puruː ⸢ʃiː⸣ f⸢faː⸣diː] (今夜は百円ずつ出し合って素麺チャンプルーをして食べようよ)。 ヌ⸢カー⸣スンティ シ⸢タンドゥ アッ⸣タニ シ⸢グトゥヌ⸣ ン⸢ズ⸣ター ヌ⸢カーサン⸣シェン [nu⸢kaː⸣sunti ʃi̥⸢tandu ʔat⸣tani ʃi⸢gutunu⸣ ʔn⸢ʣu⸣taː nu⸢kaːsaŋ⸣ʃeŋ] (金を出し合おうとしたが、急に仕事が出てきたので金を出し合わなかった)。 マ⸢ナ⸣マー ヌ⸢カー⸣ス ⸣クトー サ⸢ヌ [ma⸢na⸣maː nu⸢kaː⸣su ⸣ku̥toː sa⸢nu] (今は金を出し合うことはしない)。 フ⸢タール⸣シ ヌ⸢カー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi nu⸢kaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (二人で金を出し合えばいいのに)。 ワ⸢ター⸣シ ヌ⸢カー⸣シバ [wa⸢taː⸣ʃi nu⸢kaː⸣ʃiba] (君達でお金を出し合いなさいよ) 12676 0 0 12300 htmvoc_12676.wav ヌカアミ ⸣ヌカアミ [⸣nukaʔami] 名 糠雨。こぬかあめ。霧雨。 ⸣ヌカアミ ヤ⸢ルンダ ゾーラヌ [⸣nukaʔami ja⸢runda ʣoːranu] (糠雨<霧雨>だから濡れないよ) 12678 0 0 12301 htmvoc_12678.wav ヌカスン ヌ⸢カ⸣スン [nu⸢ka⸣suŋ] 他動 残す。 ン⸢メーマー⸣ ヌ⸢カ⸣スンティ シ⸢タヌ⸣ ノー⸢ン⸣ ヌ⸢カサン⸣シェン [ʔm⸢meːmaː⸣ nu⸢ka⸣sunti ʃi̥⸢tanu⸣ noː⸢n⸣ nu⸢kasaŋ⸣ʃeŋ] (少しは残すといったが何も残さなかった)。 ク⸢レー⸣ ヌ⸢カシ⸣ プサンドゥ ヌ⸢カ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [ku⸢reː⸣ nu⸢kaʃi⸣ pu̥sandu nu⸢ka⸣su ⸣ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (これは残したいが、残すことは出来ないそうだ)。 ク⸢レー⸣ ヌ⸢カ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ku⸢reː⸣ nu⸢ka⸣ʃeː ⸣misamunu] (これは残せばいいのに)。 ⸣クベー ヌ⸢カ⸣シ [⸣kubeː ni⸢ka⸣ʃi] (これだけは残せ) 12679 0 0 12302 htmvoc_12679.wav ヌカリムヌ ヌ⸢カリ⸣ムヌ [nu⸢kari⸣munu] 名 残り物。 ⸢ヨイ⸣ヌ ヌ⸢カリ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ バキ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢joi⸣nu nu⸢kari⸣munoː muː⸢ru⸣ baki f⸢faːʃi⸣ba] (お祝いの残り物は全部分けてあげなさい<食べさせなさい>よ)。 ヌ⸢カリ⸣ムノー シ⸢ティランドー⸣シ タ⸢ブイ⸣ シ⸢キ⸣リ [nu⸢kari⸣munoː ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ta⸢bui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (残り物は捨てないで貯えておきなさい) 12680 0 0 12303 htmvoc_12680.wav ヌガリン ヌ⸢ガリン [nu⸢gariŋ] 自動 だまし取られる。出し抜かれる。ヌ⸢グン[nu⸢guŋ](だまし取る)の未然形に、受け身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる、られる)が下接した形。受け身動詞・可能動詞 12682 0 0 12304 htmvoc_12682.wav ヌカル ヌ⸢カ⸣ル [nu⸢ka⸣ru] 名 残り。 ッ⸢ふァイヌカル [f⸢fainukaru] (食い残り)。 イ⸢ラビヌカ⸣ル [ʔi⸢rabinuka⸣ru] (選び残り)。 シゥ⸢カイヌカル [sï̥⸢kainukaru] (使い残り)。 ヌ⸢カ⸣ロー ⸢ヌー⸣ スーワメー [nu⸢ka⸣roː ⸢nuː⸣ suːwa ⸣meː] (残りは如何しようかなあ、もう) 12681 0 0 12305 htmvoc_12681.wav ヌカルン ヌ⸢カ⸣ルン [nu⸢ka⸣ruŋ] 自動 残る。 ⸢ジン⸣マー ヤ⸢マシゥ⸣カ ヌ⸢カ⸣ルンティ シ⸢タヌ⸣ ク⸢ヌ ブン⸣シェー ヌ⸢カラ⸣ヌ [⸢ʤim⸣maː ja⸢masï̥⸣ka nu⸢ka⸣runti ʃi̥⸢tanu⸣ ku⸢nu buŋ⸣ʃeː nu⸢kara⸣nu] (お金は沢山残るといったが、この分では残らない)。 ⸣クナー ヌ⸢カリ⸣ プサカー ヌ⸢カ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kunaː nu⸢kari⸣ pu̥sakaː nu⸢ka⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (ここに残りたければ残ることは出来る)。 ⸢タン⸣ガー ヌ⸢カ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢taŋ⸣gaː nu⸢ka⸣reː ⸣misamunu] (一人は残ればいいのに)。 ⸢ワー タン⸣ガー ヌ⸢カ⸣リ [⸢waː taŋ⸣gaː nu⸢ka⸣ri] (君一人は残れ) 12683 0 0 12306 htmvoc_12683.wav ヌキ ヌ⸢キ [nu⸢ki] 名 ぬき(貫き)。柱と柱を横に貫いて連結し、構造体の柱を固める建材。厚さ約2センチ、巾約9センチ、長さ約一間半の板状の建材。\ruby{貫孔}{ヌキ|アナ}の両方からッ⸢サビ[s⸢sabi](楔)を打ち込んで柱の骨格を固める。ヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫木造りの家)のイ⸢ツァ⸣クビ[ʔi⸢ʦa⸣kubi](板壁)はヌ⸢キ[nu⸢ki](貫き)に直接に釘を打ち込んだ。 ク⸢レー⸣ ヌ⸢キ⸣ナ シゥ⸢カイ⸣バ [ku⸢reː⸣ nu⸢ki⸣naː sï̥⸢kai⸣ba] (これは貫き材に使いなさいよ) 12684 0 0 12307 htmvoc_12684.wav ヌキ ヌ⸢キ [nu⸢ki] 名 ぬき(緯)。織物の横糸。⸣カシ[⸣kaʃi](経糸)の対義語。 ⸣ムミンヌキ [⸣muminnuki] (木綿の横糸)。 ⸣ブーヌキ [⸣buːnuki] (苧麻の横糸)。⸣バサヌキ[⸣basanuki](芭蕉の横糸)などがある。 ム⸢カ⸣シェーラ ⸢ヌーヌヌ カイ⸣ヤー ヌ⸢キ⸣ラティル ア⸢ザリ ブー [mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢nuːnunu kai⸣jaː nu⸢ki⸣ratiru ʔa⸢ʣari buː] (昔から布の美しいのは横糸のでき次第<横糸から>といわれている) 12685 0 0 12308 htmvoc_12685.wav ヌキ ヌ⸢キ [nu⸢ki] 名 ⸢ミー⸣ス[⸢miː⸣su](味噌)を作ったり、サ⸢キ[sḁ⸢ki](酒)を醸造したりする際に、補助材として用いる穀物。元になる材料を⸣カシ[⸣kaʃi]といい、補助材をヌ⸢キ[nu⸢ki]という。ただし味噌作りの際は、\ruby{麹}{コウジ}を⸣カシ[⸣kaʃi]といい、大豆やおこわの米飯をヌ⸢キ[nu⸢ki]という。 ク⸢ヌ ミース⸣ヌ ヌ⸢ケー トー⸣フマミトゥ シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナル⸢ダー [ku⸢nu miːsu⸣nu nu⸢keː toː⸣ɸumamitu ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naru⸢daː] (この味噌の補助材は大豆と蘇鉄の実だよ) 12686 0 0 12309 htmvoc_12686.wav ヌギッふァイ ヌ⸢ギッふァイ [nu⸢giffai] 名 人目を盗んで公金を横領すること。 ウ⸢レー⸣ ヌ⸢ギッふァイ シーティル⸣ ヤ⸢ミシミラリタ⸣ツォー [ʔu⸢reː⸣ nu⸢giffai ʃiːtiru⸣ ja⸢miʃimirarita⸣ʦoː] (彼は公金を横領して辞めさせられたそうだ) 12687 0 0 12310 htmvoc_12687.wav ヌギパー ヌ⸢ギ⸣パー [nu⸢gi⸣paː] 名 死者の霊が落命した地に残らぬよう、祈願する行事。一種の成仏祈願。葬式後、日を選んで、寝室や最期の病室、事故死した所などで行う。「抜き方」の転訛したものか。 ⸢マーラソーッ⸣タ プ⸢スヌ⸣ ヌ⸢ギパー⸣ヤ ⸢パイ⸣サ ⸢シーオーサバル⸣ ヤ⸢ルヌー [⸢maːrasoːt⸣ta pu̥⸢sunu⸣ nu⸢gipaː⸣ja ⸢pai⸣sa ⸢ʃiːʔoːsabaru⸣ ja⸢runuː] (亡くなられた人の成仏祈願は早くして差し上げた方が良いのだが)。 ウ⸢キ⸣ナー ⸢オー⸣ル プ⸢ソー グヮンス⸣ヌ ヌ⸢ギ⸣パー ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ツォー [ʔu⸢ki⸣naː ⸢ʔoː⸣ru pu̥⸢soː gwansu⸣nu nu⸢gi⸣paː ⸢saŋ⸣kaː na⸢ran⸣ʦoː] (沖縄へ引っ越される人は元祖の霊を抜く「抜き方」祈願を島の天神地祇に対してしなければならないそうだ) 12688 0 0 12311 htmvoc_12688.wav ヌギバイ ヌ⸢ギバイ [nu⸢gibai] 名 逃走すること。逃げること。沖縄方言からの借用語か。 ウ⸢レー⸣ キサー⸢ティ⸣ ヌ⸢ギバイ シーナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ki̥saː⸢ti⸣ nu⸢gibai ʃiːnaː⸣nu] (彼はすでに逃走してしまった) 12689 0 1 12312 htmvoc_12689.wav ヌキバナ ヌ⸢キバナ [nu⸢kibana] 名 {Mn_1}貫き花。花を糸で貫き並べたもの。女の子たちがレイ(花輪)のように花を貫いて首にかけて遊んだもの。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣ユー ヌ⸢キバナ⸣ ス⸢ク⸣リ ア⸢サブタンドゥ⸠ナー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣juː nu⸢kibana⸣ su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢sabutandu⸠naː] (子供の頃は、女の子はよく貫き花を作って遊んだものだがなあ)。 12689 0 2 12313 htmvoc_12689.wav ヌキバナ ヌ⸢キバナ [nu⸢kibana] 名 {Mn_2}古典舞踊で用いる小道具の貫き花。その舞踊名。 パ⸢トゥ⸣マナーン ヌ⸢キバナブドゥロー⸣ アンカヤー [pḁ⸢tu⸣manaːn nu⸢kibanabuduroː⸣ ʔaŋkajaː] (鳩間島にも「貫き花踊」はあるかなあ) 12690 0 1 12314 htmvoc_12690.wav ヌキムヌ ヌ⸢キ⸣ムヌ [nu⸢ki⸣munu] 名 {Mn_1}魔除けの護符。魔除け。「除け物」の義。ヤ⸢ダン⸣ブレ[ja⸢dam⸣bure](和名、フシデサソリガイ{EOS}サソリガイ)や⸣ギラ[⸣gira](しゃこ貝)は形態的に女性の性器に似ているということから、魔除けの力があるという。⸣フル[⸣ɸuru](豚便所)、⸣オンケー[⸣ʔoŋkeː](豚舎)に吊るしておいて魔除けとした。 ヤ⸢ダンブレー⸣(ヤ⸢ドゥン⸣ブレーともいう)ヤ ⸣サイティ ヌ⸢キ⸣ムヌ ⸢シー⸣バ [ja⸢dambureː⸣ja ⸣saiti nu⸢ki⸣munu ⸢ʃiː⸣ba] (フシデサソリガイを吊るして魔除けにしなさい)。 12690 0 2 12315 htmvoc_12690.wav ヌキムヌ ヌ⸢キ⸣ムヌ [nu⸢ki⸣munu] 名 {Mn_2}除け者。仲間はずれ。世間から相手にされない者。 ドゥ⸢シン⸣ケー ムー⸢ローラ⸣ ヌ⸢キ⸣ムヌ シ⸢ラリ⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [du⸢ʃiŋ⸣keː muː⸢roːra⸣ nu⸢ki⸣munu ʃi⸢rari⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (友人達皆から除け者にされて残念無念なことよ) 12691 0 0 12316 htmvoc_12691.wav ヌキヤー ヌ⸢キヤー [nu⸢kijaː] 名 角材の柱に孔を開け、貫材を貫木を貫き通して組み合わせ、ッ⸢サビ[s⸢sabi](楔)を打ち込んで骨格を固め、イ⸢シジ[ʔi⸢ʃʤiʤi](礎石)の上に建てる本格的建築の家。本建築。「貫き家」の義。ア⸢ナ⸣プリヤー[ʔa⸢na⸣purijaː](穴堀家{EOS}掘建て小屋)の対義語。⸣アーパーレー[⸣ʔaːpaːreː](新室寿ぎ歌)はヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き家)を建築したときに歌う「室寿ぎ歌」である。 ⸢マイフナー⸣ マ⸢リ オーパ⸣ヤー ヌ⸢キヤーン⸣ ス⸢クラ⸣リ ⸣ウヤコーコー ⸢シー ボー⸣レー⸢ドー [⸢maiɸunaː⸣ ma⸢ri ʔoːpa⸣jaː nu⸢kijaːn⸣ su̥⸢kura⸣ri ⸣ʔujakoːkoː ⸢ʃiː boː⸣reː⸢doː] (成功して<立派な男に成長して>、こんなに早く本建築の家屋<貫き家>を建てることができて、親孝行もし、本当に素晴しい<お利口さんだ>よ)。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アブジェー パ⸢トゥ⸣マナティ ヌ⸢キヤー⸣ ス⸢ク⸣ル パ⸢ジミティヌ ヤーザイ⸣ク ヤ⸢ローッ⸣タツォー [⸢ban⸣tenu ⸣ʔabuʤeː pḁ⸢tu⸣manati nu⸢kijaː⸣ su̥⸢ku⸣ru pa⸢ʤimitinu jaːʣai⸣ku ja⸢roːt⸣taʦoː] (加治工津久利は、鳩間島で貫き屋<本建築>を造る最初の家大工<建築の棟梁>だったそうだ) 12692 0 0 12317 htmvoc_12692.wav ヌキル ヌ⸢キ⸣ル [nu⸢ki⸣ru] 名 鋸。「鋸、ノコギリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢キーバキヌキ⸣ル [⸢kiːbakinuki⸣ru] (木材を縦に切り裂く鋸)。 ヤ⸢マヌキ⸣ル [ja⸢manuki⸣ru] (山仕事用の鋸)。 ⸢サイクヌキ⸣ル [⸢saikunuki⸣ru] (細工用の鋸)。 タ⸢ティビ⸣キ [ta⸢tibi⸣ki] (たてびきのこ<縦挽鋸>)。 ⸢リョーバーヌキル [⸢rjoːbaːnukiru] (両刃鋸)。 カ⸢タパーヌキ⸣ル [kḁ⸢tapaːnuki⸣ru] (片刃鋸)。 ユ⸢クビキ [ju⸢kubiki] (よこびき<横挽鋸>)。⸢マーシヌキル[⸢maːʃinukiru](回し挽鋸)などがある。 ヤ⸢シ⸣ルシ ヌ⸢キル⸣ヌ ⸣パー ⸣タトゥンティ ⸢ベー [ja⸢ʃi⸣ruʃi nu⸢kiru⸣nu ⸣paː ⸣tḁtunti ⸢beː] (やすり<鑢>で鋸の歯を立てようとしている) 12693 0 0 12318 htmvoc_12693.wav ヌキルン ヌ⸢キルン [nu⸢kiruŋ] 他動 ヌ⸢クン[nu⸢kuŋ](退ける{EOS}除ける{EOS}取り除く)のラ行四段化したもの。のける(除ける{EOS}退ける)。他の場所へ行かせる。取り除く。 ⸢フシゥ⸣カリ ⸢ベー⸣ ヤ⸢ナ⸣ムヌ ヌ⸢キルンティ⸣ ウムーカー ⸢マー⸣ス ⸢パン⸣キバ [⸢ɸusi̥⸣kari ⸢beː⸣ ja⸢na⸣munu nu⸢kirunti⸣ ʔumuːkaː ⸢maː⸣su ⸢paŋ⸣kiba] (取り付いている魔物取り除こうと思うなら塩をふりかけ<弾け{EOS}指先でつまんで振りかけ>なさい)。 ヌ⸢キララヌ [nu⸢kiraranu] (取り除けられない)。 ヌ⸢キラリン [nu⸢kirariŋ] (取り除けられる)。 ヤ⸢ナ⸣ムヌ ヌ⸢キル⸣クトゥ [ja⸢na⸣munu nu⸢kiru⸣ ku̥tu] (魔物を取り除けること)。 ヌ⸢キレー⸣ ミサムヌ [nu⸢kireː⸣ misamunu] (取り除けばいいのに)。 ヌ⸢キリ [nu⸢kiri] (取り除け) 12694 0 0 12319 htmvoc_12694.wav ヌギルン ヌ⸢ギルン [nu⸢giruŋ] 自動 ぬける。脱退する。逃げる。逃れる。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ラ ヌ⸢ギルンティ スンドゥ⸣ イッ⸢カ⸣ ヌ⸢ギララヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoːra⸣ nu⸢girunti sundu⸣ ʔik⸢ka⸣ nu⸢giraranu] (この仕事から逃れようとするが、一向に逃れられない)。 キサー⸢ティ⸣ ヌ⸢ギ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ nu⸢gi⸣pari ⸢naː⸣nu] (すでに逃げていってしまった)。 ⸣クマーラ ヌ⸢ギル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaːra nu⸢gi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここから逃れることは出来ない)。 ヌ⸢ギレー⸣ ミサムヌ [nu⸢gireː⸣ misamunu] (逃げればいいのに)。 カ⸢タ⸣トゥキン ⸢パー⸣ク ヌ⸢ギリ [kḁ⸢ta⸣tukim ⸢paː⸣ku nu⸢giri] (一刻も早く逃げろ<逃れろ>) 12695 0 0 12320 htmvoc_12695.wav ヌキンジルン ヌ⸢キンジ⸣ルン [nu⸢kiʔnʤi⸣ruŋ] 自動 抜け出る。ぬきんでる。他より優れる。ひいでる(秀でる)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミラバン⸣ ヌ⸢キンジルンティ⸣ ア⸢ザリ ブンドゥ クン⸣ドー ヌ⸢キンジラン⸣バン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢miraban⸣ nu⸢kiʔnʤirunti⸣ ʔa⸢ʣari bundu kun⸣doː nu⸢kiʔnʤiram⸣baŋ] (この子は何をさせても抜きん出るといわれているが、今度は抜きん出ないなあ)。 ウ⸢リル⸣ ヌ⸢キンジ⸣ ブー [ʔu⸢riru⸣ nu⸢kiʔnʤi⸣ buː] (彼が抜きん出ている)。 ⸣アイニ ヌ⸢キンジ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaini nu⸢kiʔnʤi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (あのように抜きん出ることはない)。 ヌ⸢キンジ⸣レー ⸣ミサムヌ [nu⸢kiʔnʤi⸣reː ⸣misamunu] (抜きん出ればいいのに)。 ヌ⸢キンジ⸣リ [nu⸢kiʔnʤi⸣ri] (抜きん出ろ) 12696 0 0 12321 htmvoc_12696.wav ヌキンズン ヌ⸢キン⸣ズン [nu⸢kin⸣ʣuŋ] 自動 抜きん出る。他より優れる。秀でる。「抜き出づ」の転訛か。 プ⸢ソーラ⸣ ヌ⸢キン⸣ズンティ ウ⸢ムー⸣ナ [pu̥⸢soːra⸣ nu⸢kin⸣ʣunti ʔu⸢muː⸣na] (他人より抜きん出ようと思うな)。 ヌ⸢キンジ⸣ ブー [nu⸢kinʤi⸣ buː] (抜きん出ている)。 プ⸢ソーラ⸣ ヌ⸢キン⸣ズ ⸣クトゥティン ⸣アンカヤー [pu̥⸢soːra⸣ nu⸢kin⸣ʣu ⸣ku̥tutiŋ ⸣ʔaŋkajaː] (他人より秀でたこととてもあるのかなあ)。 ユ⸢ヌ⸣シリンケーラン ヌ⸢キン⸣ジェー ⸣ミサムヌ [ju⸢nu⸣ʃiriŋkeːran nu⸢kin⸣ʤeː ⸣misamunu] (同級生からも抜きん出れば良いのに)。 ヌ⸢キ⸣ンジバ [nu⸢ki⸣nʤiba] (抜きん出ろよ) 12697 0 0 12322 htmvoc_12697.wav ヌクッタマルン ヌ⸢クッタマ⸣ルン [nukuttamarun] 自動 温まる。⸢ヌフタマ⸣ルンとも言う。 ⸢ピー⸣ヤンダ ⸢キン⸣バ カ⸢サビ⸣ キ⸢シティ⸣ ドゥーシ ヌ⸢クッタマ⸣ルンティ ⸢ベー [⸢piː⸣janda ⸢kim⸣ba kḁ⸢sabi⸣ ki̥⸢ʃiti⸣ duːʃi nu⸢kuttama⸣runti ⸢beː] (寒いから着物を重ね着て自分で温まろうとしている) 12698 0 0 12323 htmvoc_12698.wav ヌクミルン ヌ⸢クミ⸣ルン [nu⸢kumi⸣ruŋ] 他動 温める。体を温める。 ⸢アーシ⸣キン カ⸢サビ⸣ キ⸢シティ⸣ ドゥー ヌ⸢クミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ヌ⸢クミララ⸣ヌ [⸢ʔaːʃikiŋ ki̥⸢ʃiti⸣ duː nu⸢kumi⸣runti ⸢sundu⸣ nu⸢kumirara⸣nu] (袷の着物を重ね着して体を温めようとするが、温められない)。 ⸢タン⸣ジン キ⸢ス⸣カー ⸣ドゥー ヌ⸢クミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢tan⸣ʤiŋ ki̥⸢su⸣kaː ⸣duː nu⸢kumi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (丹前を着たら体を温めることができる)。 ⸣ドゥー ヌ⸢クミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣duː nu⸢kumi⸣reː ⸣misamunu] (体を温めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ドゥー ヌ⸢クミ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸣duː nu⸢kumi⸣ri] (早く体を温めろ) 12699 0 0 12324 htmvoc_12699.wav ヌクムン ヌ⸢ク⸣ムン [nu⸢ku⸣muŋ] 自動 ぬくむ(温む)。暖をとる。あたたまる。 ⸣ピー ヌ⸢ク⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ヌ⸢クマラ⸣ヌ [⸣piː nu⸢ku⸣munti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ nu⸢kumara⸣nu] (火に当って体を温めようとするが、ちっとも温まれない)。 ⸢ピー⸣ヤ ヌ⸢クマ⸣ヌ [⸢piː⸣ja nu⸢kuma⸣nu] (火には当らない<温まない>)。 ⸣ピー ヌ⸢クミ⸣ プサン [⸣piː nu⸢kumi⸣ pusaŋ] (火に当って温まりたい<温みたい>)。 マ⸢ナ⸣マー ⸣ピー ヌ⸢ク⸣ム プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ⸣piː nu⸢ku⸣mu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今は火に当って暖をとる<温まる>人はいない)。 ヌ⸢ク⸣メー ⸣ミサムヌ [nu⸢ku⸣meː ⸣misamunu] (火に当って温まればいいのに)。 ク⸢マー⸣ キー ⸣ピー ヌ⸢ク⸣ミ [ku⸢maː⸣ kiː ⸣piː nu⸢ku⸣mi] (ここへ来て温まれ<火に当って温まれ{EOS}火を温め>) 12700 0 1 12325 htmvoc_12700.wav ヌクン ヌ⸢クン [nu⸢kuŋ] 他動 {Mn_1}貫く。貫き通す。 パ⸢ル⸣ヌ ⸣ミーナ ⸣イトゥ ヌ⸢クンティ スンドゥ⸣ ヌ⸢カラヌ [pa⸢ru⸣nu ⸣miːna ⸣ʔitu nu⸢kunti sundu⸣ nu⸢karanu] (針の穴に糸を貫こうと<通そうと>するが、貫かれ<通され>ない)。 ⸣イトゥ ヌ⸢キ ッふィーリ [⸣ʔitu nu⸢ki ffiːri] (糸を貫いて<通して>くれ)。 ⸣イトゥ ヌ⸢ク プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔitu nu⸢ku⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (糸を貫く人はいない)。 ⸢パー⸣ク ヌ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku nu⸢keː⸣ misamunu] (早く貫けば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ヌ⸢キ⸣バ [⸣duːʃi nu⸢ki⸣ba] (自分で貫けよ)。 ウ⸢ビン⸣ガニ ヌ⸢クン [ʔu⸢biŋ⸣gani nu⸢kuŋ] (指輪を貫く)。 12700 0 2 12326 htmvoc_12700.wav ヌクン ヌ⸢クン [nu⸢kuŋ] 他動 {Mn_2}刺す。刺し通す。 ⸢フン⸣ナー ⸣パン ヌ⸢キ⸣<⸢ピッ⸣キ> シケー [⸢ɸun⸣naː ⸣pan nu⸢ki⸣<⸢pik⸣ki> ʃi̥keː] (釘で足を突いてた<突いて怪我してある>) 12701 0 1 12327 htmvoc_12701.wav ヌクン ヌ⸢クン [nu⸢kuŋ] 自動 {Mn_1}退く。避けて離れる。除去する。 ⸢ミートゥンダバカ⸣リ ⸢シーティル⸣ ウ⸢ヤン⸣ヤートー ヌ⸢キブーバン [⸢miːtundabaka⸣ri ⸢ʃiːtiru⸣ ʔu⸢jaŋ⸣jaːtoː nu⸢kibuːbaŋ] (離婚<夫婦別れ>して親の家とは遠ざかっているよ)。 12701 0 2 12328 htmvoc_12701.wav ヌクン ヌ⸢クン [nu⸢kuŋ] 自動 {Mn_2}追い越す。 ⸢マイ⸣ヌ プ⸢ス⸣ ヌ⸢キ⸣パレーン [⸢mai⸣nu pu̥⸢su⸣ nu⸢ki⸣pareːŋ] (先頭の人を追い越して行った) 12702 0 0 12329 htmvoc_12702.wav ヌグン ⸣ヌグン [⸣nuguŋ] 他動 抜く。除去する。あく(灰汁)や渋を抜く。「抄、ヌク・ヌキヅ」『類聚名義抄』の転訛。 ⸣ドゥク ⸣ヌグン [⸣duku ⸣nuguŋ] (毒を抜く)。 ア⸢フ⸣ ヌ⸢ガン⸣カー ッ⸢ふァーラヌ [ʔa⸢ɸu⸣ nu⸢gaŋ⸣kaː f⸢faːranu] (灰汁を抜かないと食べられない)。 ⸢スーシキ⸣イゾー ⸣スー ⸣ヌギティ バ⸢カシ⸣バ [⸢suːʃi̥ki⸣ʔiʣo ⸣suː ⸣nugiti ba⸢kaʃi⸣ba] (塩漬け魚は塩分<塩>を抜いて炊きなさい)。 シ⸢トゥッチ⸣ヌ ⸣ナロー ミ⸢ジ⸣ナ シ⸢キティ⸣ ドゥク ⸣ヌグ ⸣クトゥ ⸢バシキルナ [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naroː mi⸢ʤi⸣na ʃi̥⸢kiti⸣ duku ⸣nugu ⸣ku̥tu ⸢baʃi̥kiruna] (蘇鉄の実は水に浸けて毒を抜くことを忘れるな)。 ⸣ドゥク ⸣ヌゲー ⸣ミサムヌ [⸣duku ⸣nugeː ⸣misamunu] (毒を抜けばいいのに)。 ⸣ドゥク ⸣ヌギバ [⸣duku ⸣nugiba] (毒を抜きなさいよ) 12703 0 0 12330 htmvoc_12703.wav ヌグン ヌ⸢グン [nu⸢guŋ] 他動 だます(騙す)。欺く。ごまかす(誤魔化す)。「抜く」の義。「抜かれはせまいぞ」『虎明本狂言・鏡男』の転訛か。 ウ⸢レー⸣ プ⸢ス⸣ ヌ⸢グン⸣ティ ⸢スンダ⸣ ヌ⸢ガラン⸣ヨーニ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢su⸣ nu⸢gun⸣ti ⸢sunda⸣ nu⸢garaɲ⸣joːni ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (彼は人を騙すというから、騙されないように気をつけなさい)。プ⸢ス⸣ ヌ⸢ギ⸣ ミサクトー ⸢ナー⸣ヌ。ヌ⸢グ⸣ プ⸢スンドゥ ワッ⸣サル[pu̥⸢su⸣ nu⸢gi⸣ misaku̥toː ⸢naː⸣nu。nu⸢gu⸣ pu̥⸢sundu was⸣saru](人を騙してよいことはない{EOS}騙す人が悪い)。 ヌ⸢ゲー⸣ ミサムヌ [nu⸢geː⸣ misamunu] (騙せばいいのに)。 ヌ⸢ギ⸣バ [nu⸢gi⸣ba] (騙せよ) 11944 0 0 12331 htmvoc_11944.wav ヌザキ ヌ⸢ザ⸣キ [nu⸢ʣa⸣ki] 名 (植)雑草の名。ハイキビ、『石垣方言辞典』という。根の切れ端からでも生えだすほどの生命力の強い雑草。主に砂地などに生えている。最も嫌われている雑草の一種。 ヌ⸢ザキ⸣ヌ ⸢ニー⸣ヤ ギュー⸢サ⸣ トゥリ シ⸢トゥバン⸣ ムイ ⸢キー⸣ス [nu⸢ʣaki⸣nu ⸢niː⸣ja gjuː⸢sa⸣ turi ʃi̥⸢tubam⸣ mui ⸢kiː⸣su] (ハイキビの根はいくら取って捨てても生えてくる)。 ヌ⸢ザキ⸣ヌ ⸢ムイ⸣ルカー パ⸢タ⸣ケー ス⸢クララ⸣ヌ [nu⸢ʣaki⸣nu ⸢mui⸣rukaː pḁ⸢ta⸣keː su̥⸢kurara⸣nu] (雑草のヌザキが生えると畑の作物は作られない)。鳩間島の祈念運動場(現鳩間小中学校のグラウンド)に繁茂していた。 ヌ⸢ザキ⸣ヌ ス⸢リ⸣バイナー ⸣パン ⸢ピッカ⸣リティ ヤ⸢ミ⸣ス [nu⸢ʣaki⸣nu su⸢ri⸣bainaː ⸣pam ⸢pikka⸣riti ja⸢mi⸣su] (ヌザキの刈り株に足を刺されて痛む) 12710 0 0 12332 htmvoc_12710.wav ヌザキダー ヌ⸢ザキ⸣ダー [nu⸢ʣaki⸣daː] 固 (地)西表島船浦の北部、ピ⸢ナイサキ[pi⸢naisaki](鬚川崎)を西へ約200メートル回った原野の中に開けた水田地帯。ア⸢ラヤー[ʔa⸢rajaː](吉川家)、ウ⸢チ⸣ネー[ʔu⸢ʧi⸣neː](仲伊部家)、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家、田代家)等の水田があった 12712 0 0 12333 htmvoc_12712.wav ヌシ ⸣ヌシ [⸣nuʃi] 名 主。持ち主。土地や家、荷物などの所有者。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ⸣ヌシェー ⸢ターヤ [ku⸢nu jaː⸣nu ⸣nuʃeː ⸢taː⸣ja] (この家の主は誰か)。 ヌ⸢シ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣ ヤー [nu⸢ʃi⸣nu bu⸢raːŋ⸣ jaː] (主の居ない家)。 ⸢ニー⸣ヌ ヌ⸢シ⸣トゥ パ⸢ナ⸣シ [⸢niː⸣nu nu⸢ʃi⸣tu pa⸢na⸣ʃi] (荷の持ち主と話せ)。 ヌ⸢シ⸣ヌ ⸢オー⸣ルカー ⸣ヌシン ⸢カイ⸣シ ⸢オースル⸣ ミ⸢チ [nu⸢ʃi⸣nu ⸢ʔoː⸣rukaː ⸣nuʃiŋ ⸢kai⸣ʃi ⸢ʔoːsuru⸣ mi⸢ʧi] (主がおられるなら、主に返してさしあげるの道理<筋道>だ) 12705 0 1 12334 htmvoc_12705.wav ヌシキルン ヌ⸢シキルン [⸢nuʃi̥kiruŋ] 他動 {Mn_1}のしかける(\ruby{伸}{ノ}し掛ける{EOS}挑みかかる)。顔を突き出して挑みかかるように覗く。 ⸢ヌシキルンティ スンド⸣ イ⸢ツァー⸣ヌ ⸢ヌシキララヌ [⸢nuʃi̥kirunti sundu⸣ ʔi⸢ʦaː⸣nu ⸢nuʃi̥kiraranu] (覗こう<顔を突き出して挑みかかるように覗こう>とするが、熱気が熱くて覗かれない)。 ン⸢ベーマ ヌシキ⸣ ミリバ [ʔm⸢beːma nuʃi̥ki⸣ miriba] (ちょっと伸しかかるように覗いてごらんよ)。 12705 0 2 12335 htmvoc_12705.wav ヌシキルン ヌ⸢シキルン [⸢nuʃi̥kiruŋ] 他動 {Mn_2}仕掛ける。挑む。喧嘩を吹っかける。かさにかかる。 ⸣クマーラ ⸢ヌシキル⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [⸣kumaːra ⸢nuʃi̥kiru⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (こちらから喧嘩を仕掛けることはするなよ)。 ⸢ヌシキレー⸣ ミサムヌ [⸢nuʃi̥kireː⸣ misamunu] (仕掛ければいいのに)。 ⸣クマーラ ⸢ヌシキリ [⸣kumaːra ⸢nuʃi̥kiri] (ここから仕掛けろ) 12711 0 0 12336 htmvoc_12711.wav ヌシトゥル ⸢ヌシ⸣トゥル [⸢nuʃi̥⸣turu] 名 盗人。ぬすっと。泥棒。 ⸢ヌシ⸣トゥロー ⸢ピン⸣ギ ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢nuʃi̥⸣turoː ⸢piŋ⸣gi ⸣pari ⸢naː⸣nu] (盗人は逃げていってしまった)。 ⸢ヌシトゥル⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣ シマ [⸢nuʃi̥turu⸣nu bu⸢raːŋ⸣ ʃima] (泥棒のいない島) 12713 0 0 12337 htmvoc_12713.wav ヌシトゥル ⸢ヌシ⸣トゥル [⸢nuʃi̥⸣turu] 名 竹床を編む際に根太に固定する竹竿。「乗せ取り」の義か。タ⸢キフンツァ[tḁ⸢kiɸunʦaː](竹床)や屋根のユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり)を\ruby{締縄}{シメ|ナワ}で絞めて固定するために根太や垂木に渡して縛る竹の棒。 タ⸢キフンツァン⸣ ユ⸢チルン ヌシ⸣トゥルナー フ⸢バリ⸣ ス⸢コー⸣ルンダル ⸢ウーカン⸣ シジ [tḁ⸢kiɸunʦaɲ⸣ ju⸢ʧirun nuʃi̥⸣turunaː ɸu⸢bari⸣ su̥⸢koː⸣rundaru ⸢ʔuːkaŋ⸣ ʃiʤi] (竹床も、屋根のえつり<桟>もヌシトゥルに縛っておくから動かない訳だ) 12714 0 0 12338 htmvoc_12714.wav ヌシトゥルン ⸢ヌシ⸣トゥルン [⸢nuʃi̥⸣turuŋ] 他動 盗む。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣プサー ⸣ムヌ ⸢ヌシ⸣トゥルンダ ⸢ヌシトゥラン⸣ヨーニ ナ⸢ラー⸣シ [ja⸢ra⸣beː ⸢duː⸣nu ⸣pu̥samunu ⸢nuʃi̥⸣turunda ⸢nuʃi̥turaŋ⸣joːni na⸢raː⸣ʃi] (子供は自分の欲しいものを盗むから、盗まないように教えなさい)。 ⸢ヌシトゥリ⸣ プサン [⸢nuʃi̥turi⸣ pu̥saŋ] (盗みたい)。 ⸢ヌシ⸣トゥル ⸣ピン [⸢nuʃi̥⸣turu ⸣piŋ] (盗むとき)。 ⸢ヌシ⸣トゥレー ⸣ミサムヌ [⸢nuʃi̥⸣tureː ⸣misamunu] (盗めば良いのに)。 ⸢ヌシ⸣トゥリバ [⸢nuʃi̥⸣turiba] (盗めよ)。 ウ⸢レー⸣ シ⸢ナムヌ ヌシ⸣トゥルンティ ⸢スン⸣ケン プ⸢スン⸣ ミ⸢ラリ⸣ター ⸢ヌシトゥラン⸣シェンツォー [ʔu⸢reː⸣ ʃi⸢namunu nuʃi̥⸣turunti ⸢suŋ⸣kem pu̥⸢sum⸣ mi⸢rari⸣taː ⸢nuʃi̥turaŋ⸣ʃenʦoː] (彼は品物を盗もうとしたところ、人に見られたので盗まなかったそうだ)。 キサー⸢ティ ヌシ⸣トゥリ ⸢ナー⸣ヌ [kisaː⸢ti nuʃi̥⸣turi ⸢naː⸣nu] (すでに盗んでしまった)。 ⸢ヌシ⸣トゥル ⸣クトー サ⸢ヌ [⸢nuʃi̥⸣turu ⸣ku̥toː sa⸢nu] (盗むことはしない)。 ⸢ヌシ⸣トゥレー ⸣ミサムヌ [⸢nuʃi̥⸣tureː ⸣misamunu] (盗めばいいのに)。 ⸣ワンザー ⸢ヌシ⸣トゥリバ [⸣wanʣaː ⸢nuʃi̥⸣turiba] (お前が盗めよ) 12715 0 0 12339 htmvoc_12715.wav ヌシトゥン ⸢ヌシ⸣トゥン [⸢nuʃi̥⸣tuŋ] 他動 尻をぬぐう(拭う)。拭き取る。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ユナキーヌ ⸢パー⸣シル シ⸢ベー ヌシトゥ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣junakiːnu ⸢paː⸣ʃiru ʃi⸢beː nuʃi̥tu⸣ta] (昔はオオハマボウの葉で尻を\ruby{拭}{ヌグ}った)。 パ⸢ナ ヌシ⸣トゥン [pa⸢na nuʃi̥⸣tuŋ] (\ruby{洟}{ハナ}を拭う)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ シ⸢ベー⸣ ク⸢シェーニ⸣ル ⸢ヌシ⸣トゥ ⸣マイネー ⸢ヌシタ⸣ヌティ ナ⸢ラー⸣ソッタ [mi⸢doːn⸣ffanu ʃi⸢beː⸣ ku̥⸢ʃeːni⸣ru ⸢nuʃi̥⸣tu ⸣maineː ⸢nuʃi̥ta⸣nuti na⸢raː⸣soːtta] (女の子のお尻は後ろ<腰>の方へと拭うもので、前方へは拭わないと教えられた)。 ⸢ヌシ⸣ティ ⸣ミサン [⸢nuʃi̥⸣ti ⸣misaŋ] (拭ってよい)。 マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢ラビ⸣ヌ パ⸢ナバ⸣ フ⸢チ⸣シ ユ⸢ビ ヌシ⸣トゥ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ja⸢rabi⸣nu pa⸢naba⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ʃi ju⸢bi nuʃi̥⸣tu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今は、子供の洟を口で吸って拭う人はいない)。 パ⸢ナ ヌシ⸣テー ⸣ミサムヌ [pa⸢na nuʃi̥⸣teː ⸣misamunu] (洟を拭えばいいのに)。 ⸣ドゥーシ シ⸢ビ ヌシ⸣ティバ [⸣duːʃi ʃi⸢bi nuʃi̥⸣tiba] (自分でお尻を拭けよ{EOS}<メタファー{EOS}失敗の責任を取れ>) 12706 0 0 12340 htmvoc_12706.wav ヌスクン ⸢ヌスクン [⸢nusu̥kuŋ] 他動 覗く(顔を突き出して覗き見る)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ヌー⸣シ ⸢ブー⸣ユーティ ⸢ヌシキティ クー⸣タ [ja⸢ra⸣beː ⸢nuː⸣ʃi ⸢buː⸣juːti ⸢nuʃi̥kiti kuː⸣ta] (子供はどうしているかのと思って覗いてきた)。 ⸢ヌシキ⸣ ミルン [⸢nuʃi̥ki⸣ miruŋ] (覗いてみる)。 ⸣ヌビ ⸢ナーリ ヌスクンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ヌスカンドー⸣シ ⸢クータ⸣ル [⸣nubi ⸢naːri nusu̥kunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nusi̥kandoː⸣ʃi ⸢kuːta⸣ru] (ちょっと顔をだして<首を伸ばして>覗こうと思ったが、覗かないで来てしまったよ)。⸣ヌビ ⸢ナールン[⸣nubi ⸢naːruŋ](首を伸ばして除く)ともいう 12707 0 0 12341 htmvoc_12707.wav ヌスクン ⸢ヌスクン [⸢nusu̥kuŋ] 他動 仕掛ける。喧嘩を挑む。ぶつかっていく。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー プ⸢スンナー⸣ニ ⸢ヌスクンドゥ キュー⸣ヤ ⸢ヌシゥカンバン [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː pu̥⸢sunnaː⸣ni ⸢nusu̥kundu kjuː⸣ja ⸢nusï̥kambaŋ] (彼は酒を飲むと人に喧嘩を\ruby{挑}{イド}むが今日は挑まないよ)。 ⸢ターティ ナー⸣ン ⸢ヌシキ ベー [⸢taːti naː⸣n ⸢nuʃi̥ki beː] (誰彼となく喧嘩を挑んでいる)。 ⸢ヌスク⸣ クトー ス⸢ナ [⸢nusu̥ku⸣ ku̥toː su⸢na] (喧嘩を挑むことはするな)。 ⸢ヌシケー⸣ ミサムヌ [⸢nuʃi̥keː⸣ misamunu] (喧嘩を挑めばいいのに)。 ⸢ヌシキ [⸢nuʃi̥ki] (喧嘩を挑め) 12717 0 0 12342 htmvoc_12717.wav ヌスビラ ヌ⸢ス⸣ビラ [nu⸢su⸣bira] 名 (植)ノビル。ニラに似て食用に供する野草。「のびる(野蒜)」の訛語か。ネギに似た臭気があり、魚の臭みや肉の臭みを消して甘味を出す食材として重宝される。 ヌ⸢ス⸣ビラ キ⸢ザミティ⸣ イ⸢ズヌ スー⸣ヌ ⸢オンガキ シー⸣バ [nu⸢su⸣bira ki⸢ʣamiti⸣ ʔi⸢ʣunu suː⸣nu ⸢ʔoŋgaki ʃiː⸣ba] (ノビルを刻んで魚のお汁のあしらい<妻>にしなさいよ) 12718 0 0 12343 htmvoc_12718.wav ヌスマリルン ヌ⸢スマリ⸣ルン [nu⸢sumari⸣ruŋ] 他動 盗まれる。 ⸣ウナー シ⸢キ⸣ルカー ヌ⸢スマリ⸣ルンティ ス⸢クタヌ フン⸣トーカヤー [⸣ʔunaː ʃi⸢ki⸣rukaː nu⸢sumari⸣runti su̥⸢kutanu ɸun⸣toːkajaː] (そこに置くと盗まれると聞いたが、本当かね) 12719 0 0 12344 htmvoc_12719.wav ヌスマリン ヌ⸢スマ⸣リン [nu⸢suma⸣riŋ] 他動 盗まれる。ヌ⸢ス⸣ムン[nu⸢su⸣muŋ](盗む)の未然形に、受け身、可能の助動詞リン[riŋ](れる、られる)が下接して形成された受け身・可能動詞。 ⸣ウナー シ⸢キ⸣ルカー ヌ⸢スマ⸣リン⸢ダー [⸣ʔunaː ʃi̥⸢ki⸣rukaː nu⸢suma⸣rin⸢daː] (そこに置くと盗まれるよ) 12720 0 0 12345 htmvoc_12720.wav ヌズミ ヌ⸢ズミ [nu⸢ʣumi] 名 望み。希望。 ⸢ナー メーメーヌ⸣ ヌ⸢ズミバ カンヌ⸣マイ ⸣ニガイ ア⸢ギリ⸣バ<ッ⸢サリ⸣バ> [⸢naː meːmeːnu⸣ nu⸢ʣumiba kannu⸣mai ⸣nigai ʔa⸢giri⸣ba] (各自、銘銘の望みを神様の前にお祈り<願い>申し上げなさい)。 ⸢ワー⸣ ヌ⸢ズミヌ⸣ ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリバ [⸢waː⸣ nu⸢ʣuminu⸣ munoːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turiba] (君の希望<望み>のものから選んで取りなさいよ) 12721 0 0 12346 htmvoc_12721.wav ヌズミプス ヌ⸢ズミプス [nu⸢ʣumipusu] 名 望む人。求婚者。 ヌ⸢ズミプスヌ オー⸣ルンティ シ⸢バ⸣ パ⸢ナ⸣シ ウ⸢キ⸣ラ⸢ナー [nu⸢ʣumipusunu ʔoː⸣runti ʃi⸢ba⸣ pa⸢na⸣ʃi ʔu⸢ki⸣ra⸢naː] (求婚者<望む人>がいらっしゃるというから、話を受けようね) 12722 0 0 12347 htmvoc_12722.wav ヌスムン ヌ⸢ス⸣ムン [nu⸢su⸣muŋ] 他動 盗む。 ウ⸢リ⸣ ヌ⸢ス⸣ムンティ ⸢ベーン⸣ケン ⸣ウヤン イ⸢ザリティ⸣ ヌ⸢スマン⸣シェン [ʔu⸢ri⸣ nu⸢su⸣munti ⸢beːŋ⸣keŋ ⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣariti⸣ nu⸢sumaŋ⸣ʃeŋ] (それを盗もうとしていたところ、親に叱られて盗まなかった)。 ヌ⸢ス⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [nu⸢su⸣mi ⸢naː⸣nu] (盗んでしまった)。 ヌ⸢ス⸣メー ⸣ミサムヌ [nu⸢su⸣meː ⸣misamunu] (盗めばいいのに)。 ヌ⸢ス⸣ミ [nu⸢su⸣mi] (盗め) 12723 0 0 12348 htmvoc_12723.wav ヌズムン ヌ⸢ズムン [nu⸢ʣumuŋ] 他動 所望する。切望する。欲する。期待する。「望む」の転訛。⸢~御後見望み給ふ人人は~」『源氏物語<若紫上>』。 ヌ⸢ズマリ ブン⸣ケン パ⸢ル⸣ル マ⸢シ⸣ ヌ⸢ズマラン⸣ ナレーラー マー⸢ン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [nu⸢ʣumari buŋ⸣kem pa⸢ru⸣ru ma⸢ʃi⸣ nu⸢ʣumaran⸣ nareːraː maː⸢m⸣ pa⸢rara⸣nu] (望まれているうちに行ったほうがいい{EOS}望まれなくなったら何処にもいけない)。 イッ⸢ケナ⸣ ヌ⸢ズミ ブンドゥ バン⸣マー ウ⸢ユバラン⸣ パジ [ʔik⸢kena⸣ nu⸢ʣumi bundu bam⸣maː ʔu⸢jubaram⸣ paʤi] (非常に欲して<切望して>いるが、私には手が届か<及ばれない>ないはずだ)。 ヌ⸢ズム⸣ ム⸢ノー⸣ラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリバ [nu⸢ʣumu⸣ mu⸢noː⸣ra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turiba] (欲しい<望む>ものから選んで取れ)。 ⸢マー⸣ビン ヌ⸢ズメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin nu⸢ʣumeː⸣ misamunu] (もっと欲すれば<望めば>いいのに)。 ⸢ワー⸣ラ ヌ⸢ズミ⸣バ [⸢waː⸣ra nu⸢ʣumi⸣ba] (君から所望し<望み>なさいよ) 12724 0 0 12349 htmvoc_12724.wav ヌチ ⸣ヌチ [⸣nuʧi] 名 命。生命。 ヌ⸢チ⸣ル タ⸢カ⸣ラ [nu⸢ʧi⸣ru tḁ⸢ka⸣ra] (命こそ宝だ)。 ヌ⸢チ⸣ヌ ア⸢リバ⸣ル ⸣ウムー ⸣クトゥーン カ⸢ナー⸣リ⸢ダー [nu⸢ʧi⸣nu ʔa⸢riba⸣ru ⸣ʔumuː ⸣ku̥tuːŋ ka⸢naː⸣ri⸢daː] (命があればこそ心に思うことも叶えられるのだ)。 ⸣ヌチ ⸢ムイ⸣ルン [⸣nuʧi ⸢mui⸣ruŋ] (生き返る{EOS}蘇生する<命萌える>)。 ⸣ヌチ シ⸢ティルン [⸣nuʧi ʃi̥⸢tiruŋ] (死ぬ{EOS}命を失う<命を捨てる>) 12735 0 0 12350 htmvoc_12735.wav ヌチェーアン ⸣ヌチェー ⸣アン [⸣nuʧeː ⸣ʔaŋ] 連 生きている。「命がある」の義。 ウ⸢ヌ イン⸣マー マ⸢ダ⸣ ヌチェー ⸣アンダー ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢マ⸣シ ミリ⸢ミー [ʔu⸢nu ʔim⸣maː ma⸢da⸣ nuʧeː ⸣ʔandaː mi⸢ʤi⸣ nu⸢ma⸣ʃi miri⸢mi] (この犬はまだ生きている<命がある>よ{EOS}水を飲ませてごらんよ)。 ⸣ヌチェー ア⸢リ⸣ブー [⸣nuʧeː ʔa⸢ri⸣bu] (生きている<命は有り居る>) 12725 0 0 12351 htmvoc_12725.wav ヌチカウン ⸣ヌチ ⸢カウン [⸣nuʧi ⸢kauŋ] 連 命が助かる。「命を買う」の義。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢チ⸣ル ⸣ヌミティ ⸣ヌチ ⸢カイ⸣ヨー [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numiti ⸣nuʧi ⸢kai⸣joː] (この薬を飲んで助かりなさい<命を買いなさい>よ) 12726 0 0 12352 htmvoc_12726.wav ヌチカギリ ⸣ヌチカギリ [⸣nuʧikagiri] 副 死力を尽くして。全力を奮って。一生懸命。「命の限り」の義。⸣カギリ[⸣kagiri]は「時間的限界点」の意を表す。 ⸢ウイヌ⸣ シキン ウ⸢キ⸣ルンティ ⸣ヌチガギリ ⸢ビンキョー シーミッ⸣タン [⸢ʔuinu⸣ ʃi̥kiŋ ʔu⸢ki⸣runti ⸣nuʧikagiri ⸢biŋkjoː ʃiː mit⸣taŋ] (上級学校の試験を受けようと死力を尽くして勉強したことがある)。 ⸣ヌチカギリ パ⸢タラキ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ス⸢ダティ⸣リ [⸣nuʧikagiri pḁ⸢taraki⸣ f⸢fa⸣ su⸢dati⸣ri] (一生懸命働いて子供を育てろ) 12727 0 0 12353 htmvoc_12727.wav ヌチガフー ヌ⸢チガ⸣フー [nu⸢ʧiga⸣ɸuː] 名 天寿。生命の運の強いこと。「命果報」の転訛。 ヌ⸢チガ⸣フー ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボー⸣リティル ⸣ニガイ ッ⸢サル⸠ダー [nu⸢ʧiga⸣ɸuː ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boː⸣ritiru ⸣nigai s⸢saru⸠daː] (天寿を授け<有らしめ>くださるようにとお祈り申し上げるんだよ) 12728 0 0 12354 htmvoc_12728.wav ヌチキシムヌ ヌ⸢チキシ⸣ムヌ [nu⸢ʧiki̥ʃi⸣munu] 名 死者。死んだもの。「命切れ者」の義。 ⸣ヌーンティ ⸣アイニ ヌ⸢チキシムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸣イロー ⸣ッサイ ⸢ソーバ シー アーク⸣ワ [⸣nuːnti ⸣ʔaini nu⸢ʧiki̥ʃimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸣ʔiroː ⸣ssai ⸢soːba ʃiː ʔaːku⸣wa] (どうしてあんなに死んだ者のように顔面蒼白になって<顔色が白んで>心配しいるのか) 12729 0 0 12355 htmvoc_12729.wav ヌチキシルン ⸣ヌチ キ⸢シ⸣ルン [⸣nuʧi ki̥⸢ʃi⸣ruŋ] 連 死ぬ。絶命する。こときれる(事切れる)。「命切れる」の義。 ⸣カイ ⸣ナレーラ ⸣ヌチェー ⸢モー⸣ヌ イ⸢カス⸣ク ⸢ソーフチル⸣ シゥ⸢カウバン⸣ ヌチ キ⸢シ⸣ルンティル ウ⸢モー⸣リ [⸣kai ⸣nareːra ⸣nuʧeː ⸢moː⸣nu ʔi⸢kasu̥⸣ku ⸢soːɸu̥ʧiru⸣ sï̥⸢kauban⸣ nuʧi ki̥⸢ʃi⸣runtiru ʔu⸢moː⸣ri] (こうなったら命は蘇生し<命は萌え>ない{EOS}どんな良薬を使っても死ぬ<命が切れる>と思われる) 12730 0 0 12356 htmvoc_12730.wav ヌチキスン ⸣ヌチ ⸣キスン [⸣nuʧi ⸣ki̥suŋ] 連 死ぬ。絶命する。「命切れる」の義。⸣ヌチ[⸣nuʧi](命)に⸣キスン[⸣ki̥suŋ](切る)がついた形。 ⸢ヨー⸣ゾーン サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ ベー⸣ルカー ⸣ヌチ キスン⸢ダー [⸢joː⸣ʣoːn sa⸢muti⸣ naː⸢ji beː⸣rukaː ⸣nuʧi ki̥sun⸢daː] (養生もしないで、ただ放置しておくと死ぬぞ<命切れるぞ>) 12731 0 0 12357 htmvoc_12731.wav ヌチキリバイ ヌ⸢チキリ⸣バイ [nu⸢ʧikiri⸣bai] 名 命がけの走り。死に物狂いで懸命に走ること。疾走。沖縄本島方言からの借用語であろう。 ヌ⸢チキリ⸣バイ ⸢シー⸣ パ⸢ラン⸣カー マ⸢ニアー⸣ヌ [nu⸢ʧikiri⸣bai ⸢ʃiː⸣ pa⸢raŋ⸣kaː ma⸢niʔaː⸣nu] (死に物狂いで走って行かないと間に合わない) 12732 0 1 12358 htmvoc_12732.wav ヌチグスイ ヌ⸢チグス⸣イ [nu⸢ʧigusu⸣i] 名 {Mn_1}妙薬。不思議なほどの効能がある薬。長寿延命の妙薬。「命薬」の義。沖縄本島方言からの借用語か。 ク⸢レー⸣ ヌ⸢チグス⸣イ ヤ⸢リバ ワー⸣ ヤー⸢ディン⸣ ヌミ [ku⸢reː⸣ nu⸢ʧigusu⸣i ja⸢riba waː⸣ jaː⸢din⸣ numi] (これは長寿延命の妙薬<命薬>だから、君は必ず飲め)。 12732 0 2 12359 htmvoc_12732.wav ヌチグスイ ヌ⸢チグス⸣イ [nu⸢ʧigusu⸣i] 名 {Mn_2}滋養分の多い美味しいもの。 ミ⸢ジラ⸣シ ⸣ムヌバ ⸢タボーラ⸣リ ヌ⸢チグス⸣イ ⸢シェー⸣チバン [mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣munuba ta⸢boːra⸣ri nu⸢ʧigusu⸣i ⸢ʃeː⸣ʧibaŋ] (珍しい物を頂いて体の滋養<長寿の妙薬>になりましたよ) 12733 0 0 12360 htmvoc_12733.wav ヌチシティワザ ヌ⸢チシティ⸣ワザ [nu⸢ʧiʃi̥ti⸣waʣa] 名 命を失う危険な仕事。「命捨て業」の義。 ⸣カイブ ヌ⸢チシティ⸣ワザー ⸣ティマー タ⸢カー⸣タンティン ⸢スー ムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣kaibu nu⸢ʧiʃi̥ti⸣waʣaː timaː tḁ⸢kaː⸣tantin ⸢suː munoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (このような命を失う危険な仕事は手間賃は高くてもすべきではない<するものではない>) 12734 0 1 12361 htmvoc_12734.wav ヌチズー ⸣ヌチズー [⸣nuʧiʣuː] 名 {Mn_1}一生涯。終生。 ウ⸢リ ピーチ⸣ル ⸣ヌチズーヌ ウ⸢ムイ⸣ムヌ [ʔu⸢ri piːʧi⸣ru ⸣nuʧiʣuːnu ʔu⸢mui⸣munu] (それだけ<それ一つ>が生涯の心残り<悩み>だ)。 12734 0 2 12362 htmvoc_12734.wav ヌチズー ⸣ヌチズー [⸣nuʧiʣuː] 名 {Mn_2}(副)命の限り。一生。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣クトー ⸣ヌチズー ⸢バシキララヌ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ku̥toː ⸣nuʧiʣuː ⸢baʃi̥kiraranu] (戦争時代<戦世>のことは生涯<命のある限り>忘れられない) 12736 0 0 12363 htmvoc_12736.wav ヌチズーワン ヌ⸢チズー⸣ワン [nu⸢ʧiʣuː⸣waŋ] 形 生命力が強い。長生きする。「命強い」の義。 ⸢ヨーガリプソー⸣ ヌ⸢チズー⸣ワンティ ス⸢クタヌ⸣ ウ⸢レー⸣ ヌ⸢チズーワ ナーン⸣シェン [⸢joːgaripu̥soː⸣ nu⸢ʧiʣuː⸣wanti su̥⸢kutanu⸣ ʔu⸢reː⸣ nu⸢ʧiʣuːwa naːŋ⸣ʃeŋ] (痩せた人は長生きする<生命力が強い>というが、彼は生命力が強くなかった)。 ウ⸢リヌ⸣ スコー ヌ⸢チズー⸣ワル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥koː nu⸢ʧiʣuː⸣waru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼くらい長生きする<生命力の強い>人はいない) 12737 0 0 12364 htmvoc_12737.wav ヌチドゥクル ヌ⸢チドゥク⸣ル [nu⸢ʧiduku⸣ru] 名 急所。ウ⸢トゥ⸣シ[ʔu⸢tu⸣ʃi](みぞおち<鳩尾>)など。体の中で、そこを害すると生命にかかわる大事なところ。 ウ⸢トゥ⸣シェー ヌ⸢チドゥク⸣ル ヤ⸢ルンダ⸣ ウマ ⸢ナー⸣ト シ⸢ケー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [ʔu⸢tu⸣ʃeː nu⸢ʧiduku⸣ru ja⸢runda⸣ ʔuma ⸢naː⸣to ʃi̥⸢keː⸣ na⸢ran⸣daː] (みぞおち<鳩尾>は急所だから、そこをなぞ突いてはいけないぞ) 12738 0 0 12365 htmvoc_12738.wav ヌチドゥタカラ ヌ⸢チ⸣ドゥ タ⸢カ⸣ラ [nu⸢ʧi⸣du tḁ⸢ka⸣ra] 連 命こそ宝。命は何ものにも代えがたい宝である。 ヌ⸢チ⸣ドゥ タ⸢カ⸣ラティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリブー [nu⸢ʧi⸣du tḁ⸢ka⸣rati mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣari buː] (命こそ宝と昔からいわれている) 12739 0 0 12366 htmvoc_12739.wav ヌチヌウヤ ヌ⸢チ⸣ヌ ⸣ウヤ [nu⸢ʧi⸣nu ⸣ʔuja] 連 命の恩人。命を危機から救ってくれた人。「命の親」の義。危険な状況から命を救ってもらった時に用いる。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スル⸣ バー ヌ⸢チ⸣バ ⸢モー⸣シ ッ⸢ふォー⸣レール ヌ⸢チ⸣ヌ ⸣ウヤ ヤ⸢ロー⸣ル [ku⸢nu⸣ pu̥⸢suru⸣ baː nu⸢ʧi⸣ba ⸢moː⸣ʃi f⸢foː⸣reːru nu⸢ʧi⸣nu ⸣ʔuja ja⸢roː⸣ru] (この人が私の命を救って<命を萌やして>下さった命の恩人でいらっしゃる<~であられる>)。 ク⸢ヌ⸣ イサー ⸣バー ヌ⸢チ⸣ヌ ⸣ウヤ ヤ⸢ロー⸣ル [ku⸢nu⸣ ʔisaː ⸣baː nu⸢ʧi⸣nu ⸣ʔuja ja⸢roː⸣ru] (このお医者さんは私の命の恩人であられる) 12740 0 0 12367 htmvoc_12740.wav ヌチパティムヌ ヌ⸢チパティ⸣ムヌ [nu⸢ʧipati⸣munu] 名 命知らず。向こう見ず。乱暴者。「命果て者」の義。 ウ⸢レー⸣ ヌ⸢チパティ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ⸢ヌー⸣ル ⸢スー⸣ユー ッ⸢サン⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ nu⸢ʧipati⸣munu ja⸢runda kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ⸢nuː⸣ru ⸢suː⸣juː s⸢san⸠daː] (彼は命知らずだから、怒ったら何をするかわからないよ) 12741 0 0 12368 htmvoc_12741.wav ヌチフキ ヌ⸢チ⸣フキ [nu⸢ʧi⸣ɸu̥ki] 副 死に物狂いに。必死に。一生懸命に。「命ふけるほど」の義。 ヌ⸢チ⸣フキ パ⸢タラカン⸣カー マ⸢ニヤーサラ⸣ヌ [nu⸢ʧi⸣ɸu̥ki pḁ⸢tarakaŋ⸣kaː ma⸢nijaːsara⸣nu] (死に物狂いで働かないと間に合わされない) 12742 0 0 12369 htmvoc_12742.wav ヌチフクン ヌ⸢チ⸣ フクン [nu⸢ʧi⸣ ɸu̥kuŋ] 連 死にそうな状態になる。死に追い込まれるほど。「命ふける<命抜ける>」の義。⸣ヌチ[⸣nuʧi](命)にフ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](ふける{EOS}抜け落ちる)のついた合成語。 イ⸢フーナ⸣<イ⸢フナ⸣> シ⸢グトゥバ オーサ⸣リティ ヌ⸢チ⸣ フクンティ ⸢アーク⸣タ [ʔi⸢ɸuːna⸣<ʔi⸢ɸuna⸣> ʃi⸢gutuba ʔoːsa⸣riti nu⸢ʧi⸣ ɸu̥kunti ⸢ʔaːku⸣ta] (妙な仕事をさせられて<負わされて>、すんでのところで死ぬところだった) 12743 0 0 12370 htmvoc_12743.wav ヌチミー ヌ⸢チ⸣ミー [nu⸢ʧi⸣miː] 名 命。生命と身体。身命。「\ruby{命}{ヌチ}・\ruby{身}{ミ}」の義。 プ⸢スヌ⸣ ヌ⸢チ⸣ミーナ カ⸢カ⸣ル ⸣クトゥ ヤ⸢リバ⸣ ウ⸢カットゥ⸣シ ⸢カンガイ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ nu⸢ʧi⸣minːna kḁ⸢ka⸣ru ⸣ku̥tu ja⸢riba⸣ ʔu⸢kattu⸣ʃi ⸢kaŋgai⸣jaː na⸢ra⸣nu] (人の身命にかかわることだから、\ruby{迂闊}{ウ|カツ}に考えてはならない) 12746 0 0 12371 htmvoc_12746.wav ヌチムーン ⸣ヌチ ⸣ムーン [⸣nuʧi ⸣muːŋ] 連 蘇生する。生き返る。\ruby{蘇}{ヨミガエ}る。「命・萌ゆ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸣ヌチェー ⸣ムーンティ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ ヌチェー ⸢モー⸣ヌ [⸣nuʧeː ⸣muːnti ʔa⸢ʣoːtta⸣nu ma⸢da⸣ nuʧeː ⸢moː⸣nu] (生き返る<命は蘇生する>と言われたが、まだ生き返らない)。 ⸣ヌチェー ⸣ムイ ⸣パレーン [⸣nuʧeː ⸣mui ⸣pareːŋ] (生き返って、帰って行ったよ<命は蘇生して行ったよ>)。 ⸣ヌチ ⸣ムー ⸣クトゥーン ⸣アン [⸣nuʧi ⸣muː ⸣ku̥tuːŋ ⸣ʔaŋ] (生き返ることもある)。 ⸣ヌチ ⸢ムイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣nuʧi ⸢mui⸣jaː ⸣misamunu] (生き返ればいいのに)。 ⸣ヌチ ⸢ムイ⸣リ [⸣nuʧi ⸢mui⸣ri] (生き返れ<命・萌えろ>) 12745 0 0 12372 htmvoc_12745.wav ヌチムイムヌ ヌ⸢チムイ⸣ムヌ [nu⸢ʧimui⸣munu] 名 生き物。「命を持っているもの<命萌えるもの>」の義。 ヌ⸢チムイ⸣ムノー ッ⸢ふァイル⸣ シゥ⸢カラ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢ジン⸣ジ ⸢クンキシキ⸣ムヌ ッ⸢ふァイ [nu⸢ʧimui⸣munoː f⸢fairu⸣ sï̥⸢kara⸣ ja⸢runda⸣ ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸢kuŋkiʃi̥ki⸣munu f⸢fai] (生き物は皆食べることが生きる力だから、頑張って<意地を出して>滋養分のあるもの<根気をつけるもの>を食べなさい) 12744 0 0 12373 htmvoc_12744.wav ヌチムイルン ⸣ヌチ ⸢ムイ⸣ルン [⸣nuʧi ⸢mui⸣ruŋ] 連 蘇生する。生き返る。「命萌える」の義。 ⸣アイブ ウ⸢ブヤンバ⸣ シ⸢ティ⸣ ヌチ ⸢ムイ⸣ルンティ ウ⸢モーラン⸣センドゥ ⸣カイニ ⸣ヌチ ⸢ムイラ⸣リ⸢ナー [⸣ʔaibu ʔu⸢bujamba⸣ ʃi̥⸢ti⸣ nuʧi ⸢mui⸣runti ʔu⸢moːraŋ⸣ʃendu ⸣kaini ⸣nuʧi ⸢muira⸣ri⸢naː] (あのような大病をして生き返るとは思えなかったが、こうして生き返えられて<命が萌えられて>ねえ) 12748 0 0 12374 htmvoc_12748.wav ヌチモーシフチル ヌ⸢チモーシフチ⸣ル [nu⸢ʧimoːʃiɸu̥ʧi⸣ru] 名 気付け薬。蘇生させる薬。酒類。「命萌やす薬」の義。気絶したり、意識不明になったりした時に酒を口に含んで気絶した人の顔面に強く吹きかけて蘇生させた。 サ⸢ケー⸣ ヌ⸢チモーシフチ⸣ルティ ア⸢ザリ ブー [sḁ⸢keː⸣ nu⸢ʧimoːʃiɸu̥ʧi⸣ruti ʔa⸢ʣari buː] (酒は気付け薬といわれている) 12747 0 0 12375 htmvoc_12747.wav ヌチモースン ⸣ヌチ ⸢モー⸣スン [⸣nuʧi ⸢moː⸣suŋ] 連 命を蘇らせる。生き返らせる。長生きさせる。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢サ⸣ヌ ⸢シンシー⸣ル ⸣バー ⸣ヌチ ⸢モー⸣シ ッ⸢ふォーッ⸣タ [ku⸢nu⸣ ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʃiŋʃiː⸣ru ⸣baː ⸣nuʧi ⸢moː⸣ʃi f⸢foːt⸣ta] (このお医者さん<医者の先生>が私の命を救って<命を萌やして{EOS}生き返らせて>下さった) 12749 0 0 12376 htmvoc_12749.wav ヌチヨーン ⸣ヌチ ⸢ヨー⸣ン [⸣nuʧi ⸢joː⸣ŋ] 連 短命である。薄命である。「命が弱い」の義。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸣ヌチ ⸢ヨー⸣ル タ⸢クライティ⸣ ア⸢ザリブー [⸢ʔun⸣neːja ⸣nuʧi ⸢joː⸣ru tḁ⸢kuraiti⸣ ʔa⸢ʣari buː] (あの家は短命な血統だといわれている) 12750 0 0 12377 htmvoc_12750.wav ヌチンガキ ヌ⸢チンガ⸣キ [nu⸢ʧiŋga⸣ki] 名 命懸け。命に懸けること。 ヌ⸢チンガ⸣キシ ス⸢ダ⸣ティ フ⸢ドゥバシェー⸣ル ⸢タンガッふァ⸣バ ミ⸢シーミシー ピー⸣タイ トゥ⸢ラ⸣リ シ⸢ナシ ナー⸣ヌ イナ⸢ムヌ⸣ダラ [nu⸢ʧiŋga⸣kiʃi su⸢da⸣ti ɸu⸢dubaʃeː⸣ru ⸢taŋgaffa⸣ba mi⸢ʃiːmiʃiː piː⸣tai tu⸢ra⸣ri ʃi⸢naʃi naː⸣nu ʔi⸢namunu⸣dara] (命懸けで育て成長させた一人っ子を、みすみす兵隊に採られて死なして<殺して>しまった{EOS}残念でたまらない) 12751 0 0 12378 htmvoc_12751.wav ヌッサン ⸢ヌッ⸣サン [⸢nus⸣saŋ] 形 暖かい。温い。老年層は⸢ヌッ⸣ふァン[⸢nuf⸣faŋ](温い)という。「Nucui.ヌクイ(温い) 暖かな(こと)、または、暖かである(こと).」『邦訳日葡辞書』の語幹nukuに接尾語saが付き、更に?aŋ<有り>が付いて形成された形容詞。語幹末尾子音のkが続くu母音の無声化により摩擦音化してΦとなり、続くsに融合同化したもの。 ⸢キュー⸣ヤ イッ⸢ケン ヌッ⸣サン [⸢kjuː⸣ja ʔik⸢ken nus⸣saŋ] (今日は非常に暖かい)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ヌッサー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢nussaː naː⸣nu] (あまり暖かくない)。 ⸢シンダイ ヌッ⸣サー ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai nus⸣saː ⸣nari ⸣keːŋ] (次第に暖かくなってきた)。 ⸢ヌッ⸣サー ⸣ピンマー イ⸢ズ⸣ シ⸢キンドゥ⸣ パル [⸢nus⸣saː ⸣pimmaː ʔi⸢ʣu⸣ ʃi̥⸢kindu⸣ paru] (暖かい日は魚を突きに行く) 12789 0 0 12379 htmvoc_12789.wav ヌッツァースン ⸢ヌッツァースン [⸢nutʦaːsuŋ] 他動 塗りたくる。⸢ヌーリッツァースン[⸢nuːritʦaːsuŋ](塗りたくる)ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ビン フ⸢ディ⸣ ム⸢タ⸣スカー ⸣シン ⸢ヌッツァースンダ ヌッツァーサン⸣ヨーニ カ⸢タジキ⸣リ [ja⸢ra⸣biŋ ɸu⸢di⸣ mu⸢ta⸣sukaː ⸣ʃin ⸢nutʦaːsunda nutʦaːsaɲ⸣joːni kḁ⸢taʤiki⸣ri] (子供に筆を持たせると墨を塗りたくるから、塗りたくらないように片付けよ)。 ⸢ヌッツァーシ⸣ シケー [⸢nutʦaːʃi⸣ ʃi̥keː] (塗りたくってある)。 ⸢ヌッツァース ムノー⸣ ムー⸢ル ヌッツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸢nutʦaːsu munoː⸣ muː⸢ru nutʦaːʃeː⸣ misamunu] (塗りたくる物は全部塗りたくればいいのに) 12752 0 0 12380 htmvoc_12752.wav ヌッツァールムヌ ヌッ⸢ツァー⸣ル ⸣ムヌ [nut⸢ʦaː⸣ru ⸣munu] 連 如何なるもの。「何たるもの」の転訛。相手を卑しめて言う場合に用いる。 ク⸢レー⸣ ヌッ⸢ツァー⸣ル ⸣ムヌヌ ⸢シェー⸣ ワザヤ [ku⸢reː⸣ nut⸢ʦaː⸣ru ⸣mununu ⸢ʃeː⸣ waʣaja] (これは如何なる者のなせるわざか) 12753 0 0 12381 htmvoc_12753.wav ヌッツァラカッツァラ ⸢ヌッ⸣ツァラカッツァラ [⸢nut⸣ʦarakatʦara] 連 なんだかだ(何だ彼だ)。なんやかんや。「なにたらかにたら」の転訛。卑しめた言い方。 ⸢ヌッ⸣ツァラカッツァラ シゥ⸢カーラン⸣ ムヌ カー⸢ニ⸣ ア⸢ツァ⸣ミ ⸣シケー [⸢nut⸣ʦarakatʦara sï̥⸢kaːram⸣ munu kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣ʃi̥keː] (あれやこれや<何やかんや>使えない物だけ集めてある)。 ⸢ヌッ⸣ツァラカッツァラ イ⸢ファナムニ⸣ イ⸢ズナ [⸢nut⸣ʦarakatʦara ʔi⸢ɸanamuni⸣ ʔi⸢ʣuna] (何たらかんたら、へんてこりん<変梃りん>なことを言うな) 12754 0 0 12382 htmvoc_12754.wav ヌッふァン ⸢ヌッ⸣ふァン [⸢nuf⸣faŋ] 形 温い。温かい。老年層のことば。若年層は、⸢ヌッ⸣サン[⸢nus⸣saŋ](温い)という。 ク⸢トゥシヌ⸣ フ⸢ヨー⸣ クゾーラ ⸢ヌッ⸣ふァンツォー [ku̥⸢tuʃinu⸣ ɸu⸢joː⸣ kuʣuːra ⸢nuf⸣fanʦoː] (今年の冬は去年より温いそうだ)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ヌッふァナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢nuffanaː⸣nu] (あまり温くない)。 ⸢シンダイ ヌッ⸣ふァ ⸣ナルン [⸢ʃindai nuf⸣fa ⸣naruŋ] (次第に温くなる)。 ⸢ヌッ⸣ふァ ⸣ピンマー ⸣オンダー ⸢シー⸣バ [⸢nuf⸣fa ⸣pimmaː ⸣ʔondaː ⸢ʃiː⸣ba] (温い時は海水浴をしなさいよ)。 ⸣ドゥク ⸢ヌッ⸣ふァレーティル パ⸢ダ⸣カ ⸣ナレーヨー [⸣duku ⸢nuf⸣fareːtiru pa⸢da⸣ka ⸣nareːjoː] (あまりにも温かったので裸になったのだようよ) 12790 0 0 12383 htmvoc_12790.wav ヌッふィルン ⸢ヌッふィルン [⸢nuffiruŋ] 他動 差し入れて水に浸ける。水に浸す。 ミ⸢ジヌ⸣ ナ⸢カー⸣ ティー ⸢ヌッふィルンティ スンドゥ⸣ ナ⸢クラー⸣ティ ⸢ヌッふィララヌ [mi⸢ʤinu⸣ na⸢kaː⸣ tiː ⸢nuffirunti sundu⸣ na⸢kuraː⸣ti ⸢nuffiraranu] (水の中へ手を差し入れて濡らそう<浸そう>とするが、怖いので水に浸けられない)。 ⸢ヌッふィ⸣ ミサカー ⸢ヌッふィル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢nuffi⸣ misakaː ⸢nuffiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (水に浸けてよければ浸けることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヌッふィレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢nuffireː⸣ misamunu] (もっと水に浸せばいいのに)。 ミ⸢ジ⸣ナー ⸣ティー ⸢ヌッふィリ [mi⸢ʤi⸣naː ⸣tiː ⸢nuffiri] (水に手を浸せ<濡らせ>) 12756 0 0 12384 htmvoc_12756.wav ヌッふン ⸢ヌッふン [⸢nuffuŋ] 他動 水に突っ込む。水に浸す。 ⸣サジェー ミ⸢ジ⸣ナ ⸢ヌッふィティ⸣ ッ⸢スリ⸣バ [⸣saʤeː mi⸢ʤi⸣na ⸢nuffiti⸣ s⸢suri⸣ba] (タオルを水に突っ込んで<浸して>拭きなさい)。 ⸢ヌッふァヌ [⸢nuffanu] (浸さない)。 ⸢ヌッふ⸣ クトゥ [⸢nuffu⸣ ku̥ru] (水に浸すこと)。 ⸢ヌッふィ⸣バ [⸢nuffi⸣ba] (水に浸せよ) 12791 0 0 12385 htmvoc_12791.wav ヌッふン ⸢ヌッふン [⸢nuffuŋ] 他動 差し入れて水に浸ける。中に入れて濡らす。 ユ⸢グレーン⸣ トンマー ミ⸢ジ⸣ナー ⸢ヌッふィティ⸣ ア⸢ライ⸣バ [ju⸢gureːn⸣ tommaː mi⸢ʤi⸣naː ⸢nuffiti⸣ ʔa⸢rai⸣ba] (汚れたところは水に浸けて洗いなさい)。 ⸢ヌッふン⸣ティ ⸢スンドゥ⸣ ピ⸢キシゥカリティ ヌッふァラヌ [⸢nuffun⸣ti ⸢sundu⸣ pi̥⸢kisï̥kariti nuffaranu] (差し入れて水に浸けようとするが、引張られているので水に浸けられない)。 ク⸢レー⸣ ミ⸢ジ⸣ナー ⸢ヌッふ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ mi⸢ʤi⸣naː ⸢nuffu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これは水に浸ける<濡らす>ことはできない)。 ⸢ヌッふェー⸣ ミサムヌ [⸢nuffeː⸣ misamunu] (水に浸けれ<濡らせば>ばいいのに)。 ン⸢ベーマ ヌッふィ⸣バ [ʔm⸢beːma nuffi⸣ba] (少し水に浸け<濡らし>なさい) 12758 0 0 12386 htmvoc_12758.wav ヌドゥ ⸣ヌドゥ [⸣nudu] 名 のど(喉)。 ウ⸢リヌ⸣ クトゥ ⸣ウムーカー ッ⸢ふー ムヌン⸣ ヌドー ウ⸢ティラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ku̥tu ⸣ʔumuːkaː f⸢fuː munun⸣ nudoː ʔu⸢tira⸣nu] (彼のことを思うと、食べるものも喉を通らない<喉から落ちない>)。 イ⸢ズヌ⸣ プニ ⸣ヌドゥナー カ⸢カラサン⸣ ヨーニ ⸢ヨーンナー スー⸣ヤ ⸣ヌミバ [ʔi⸢ʣunu⸣ puni ⸣nudunaː kḁ⸢karasan⸣ joːni ⸢joːnnaː suː⸣ja ⸣numiba] (魚の骨を喉に掛からさないように、ゆっくりとお\ruby{汁}{ツユ}は飲みなさいよ) 12759 0 0 12387 htmvoc_12759.wav ヌドゥカーキ ヌ⸢ドゥカー⸣キ [nu⸢dukaː⸣ki] 名 喉が渇くこと。「喉乾き」の義。「燥、保須<ほす>又、可和久<かわく>」『新撰字鏡』の転訛したもの。ミ⸢ジカーキ[mi⸢ʤikaaːki](喉が渇く<水渇き>)ともいう。 ヌ⸢ドゥカー⸣キ ⸢シー⸣ ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢ミ プサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [nu⸢dukaː⸣ki ⸢ʃiː⸣ mi⸢ʤi⸣ nu⸢mi pu̥sa⸣nu na⸢ra⸣nu] (喉渇きして、水が飲みたくてたまらない)。ミ⸢ジカーキ[mi⸢ʤikaːki](水渇き{EOS}喉が渇いて水が欲しいこと)ともいう 12760 0 0 12388 htmvoc_12760.wav ヌドゥクンツァー ヌ⸢ドゥクン⸣ツァー [nu⸢dukun⸣ʦaː] 名 喉を詰まらせて、むせかえる<\ruby{噎}{ム}せ返る>こと。むせぶ<咽ぶ>こと。激しく咳き込むこと。 ミ⸢ジバ⸣ ユ⸢クヌドー⸣ ウ⸢タシ⸣ティ ヌ⸢ドゥクン⸣ツァー ⸢シーベー [mi⸢ʤiba⸣ ju⸢kunudoː⸣ ʔu⸢taʃi̥⸣ti nu⸢dukun⸣ʦaː ⸢ʃiːbeː] (水を気管支<別喉>に落として喉を詰まらせて\ruby{噎}{ム}せ返っている) 12761 0 0 12389 htmvoc_12761.wav ヌドゥヌシターマ ヌ⸢ドゥ⸣ヌ シ⸢ター⸣マ [nu⸢du⸣nu ʃi̥⸢taː⸣ma] 連 のどびこ(喉彦)。口蓋垂。「喉の小舌」の義。 ウ⸢ブ⸣フチ パ⸢タックカー ヌ⸢ドゥ⸣ヌ ウ⸢ク⸣ナー ヌ⸢ドゥ⸣ヌ シ⸢ターマ⸣ヌ ッ⸢サー⸣リ ⸢ベー⸣ムヌ ミ⸢ラ⸣リン [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧi pḁ⸢takku⸣kaː nu⸢du⸣nu ʔu⸢ku⸣naː nu⸢du⸣nu ʃi̥⸢taːma⸣nu s⸢saː⸣ri ⸢beː⸣munu mi⸢ra⸣riŋ] (大口を開くと喉の奥に喉彦が下がっているのが見える) 12762 0 1 12390 htmvoc_12762.wav ヌドゥバルン ⸣ヌドゥ バ⸢ルン [⸣nudu ba⸢ruŋ] 連 {Mn_1}大声を出して稽古をする。「喉を割る」の義。 ヌ⸢ドゥ⸣ヌ バ⸢リルン⸣ケン ウ⸢ブ⸣クイ ン⸢ザ⸣シ ⸣ウター イ⸢ジ⸣ ナライ [nu⸢du⸣nu ba⸢riruŋ⸣keŋ ʔu⸢bu⸣kui ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣ʔutaː ʔi⸢ʤi⸣ narai] (喉が割れるまで大声を出して歌を歌って稽古しなさい<習いなさい>)。 12762 0 2 12391 htmvoc_12762.wav ヌドゥバルン ⸣ヌドゥ バ⸢ルン [⸣nudu ba⸢ruŋ] 連 {Mn_2}喉が裂ける。 ヌ⸢ドゥ⸣ヌ バ⸢ルン⸣ケン ウ⸢ヤー⸣ルン [nu⸢du⸣nu ba⸢ruŋ⸣keŋ ʔu⸢jaː⸣ruŋ] (喉が裂けるほど大声をだす) 12763 0 0 12392 htmvoc_12763.wav ヌドゥプトゥキ ヌ⸢ドゥプトゥ⸣キ [nu⸢duputu⸣ki] 名 のどぼとけ(喉仏)。喉頭隆起。 ビ⸢キドゥムナー⸣ル ヌ⸢ドゥプトゥ⸣ケー ン⸢ジ⸣ル [bi⸢kidumunaː⸣ru nu⸢duputu⸣keː ʔn⸢ʤi⸣ru] (男にが喉仏は出るのだ) 12764 0 1 12393 htmvoc_12764.wav ヌドゥマキ ヌ⸢ドゥ⸣マキ [nu⸢du⸣maki] 名 ジフテリア。のど(喉)の病気。「ジフテリア(diphtheria)ジフテリア菌による飛沫感染で小児に多かった伝染病。{Mn_1}中国の"馬鼻風"の訛と思われる。 12764 0 2 12394 htmvoc_12764.wav ヌドゥマキ ヌ⸢ドゥ⸣マキ [nu⸢du⸣maki] 名 {Mn_2}咽頭に義膜が生じ、これで喉を巻くことから生じた言葉と思われる」『医学沖縄語辞典』。呼吸困難をきたして死にいたる小児の病気。ピ⸢ル[pi⸢ru](大蒜)を\ruby{擂}{ス}り\ruby{潰}{ツブ}して、その絞り汁を二、三滴飲ませたり、絞り粕を喉の周囲に擦りつけてタオルで巻いておくとよいといわれていた。 ヌ⸢ドマ⸣キナーヤ ピ⸢ルル⸣ イッ⸢チン⸣ フ⸢チ⸣ルティ ア⸢ゾーッ⸣タ [nu⸢du⸣makinaːja pi⸢ruru⸣ ʔit⸢ʧiŋ⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (ジフテリアには大蒜が一番の薬といわれた) 12765 0 1 12395 htmvoc_12765.wav ヌバスン ヌ⸢バ⸣スン [nu⸢ba⸣suŋ] 他動 {Mn_1}伸ばす。 ⸢ティー⸣パン ヌ⸢バ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ドゥク シ⸢バー⸣ヌ ヌ⸢バサラ⸣ヌ [⸢tiː⸣pan nu⸢ba⸣sunti ⸢sundu⸣ duku ʃi⸢baː⸣nu nu⸢basara⸣nu] (手足を伸ばそうとするが、あまりにも狭くて伸ばされない)。 ヌ⸢バシ⸣ プサカー ヌ⸢バ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [nu⸢baʃi⸣ pu̥sakaː nu⸢ba⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (伸ばしたければ伸ばすことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ヌ⸢バ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin nu⸢ba⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと伸ばせばいいのに)。 ク⸢シェー スー⸣リ ヌ⸢バ⸣シ [ku̥⸢ʃeː suː⸣ri nu⸢ba⸣ʃi] (背中は反り返って伸ばせ)。 12765 0 2 12396 htmvoc_12765.wav ヌバスン ヌ⸢バ⸣スン [nu⸢ba⸣suŋ] 他動 {Mn_2}延ばす。延期する。 フ⸢チ⸣ルダイヌ ⸣ウカー ヌ⸢バ⸣シ ッ⸢ふォー⸣リ [ɸu̥⸢ʧi⸣rudainu ⸣ʔukaː nu⸢ba⸣ʃi f⸢foː⸣ri] (薬代の借金支払いは延期させて<延ばして>下さい)。 ⸢ソッ⸣コー ヌ⸢バ⸣スン [⸢sok⸣koː nu⸢ba⸣suŋ] (法事を延期する) 12766 0 0 12397 htmvoc_12766.wav ヌバルブザマテー ヌ⸢バ⸣ルブザマテー [nu⸢ba⸣rubuʣamateː] 名 屋号。寄合徹氏宅。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ユービンキュク⸣ヌ ⸢アー⸣ネー ⸢ヤッタヌ⸣ ア⸢ミリカ⸣ヌ バ⸢ク⸣ダン ⸣ウ⸢タサ⸣リティ ⸢クーサ⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸢ʔun⸣neːja ⸢juːbiŋkjuku⸣nu ⸢ʔaː⸣neː ⸢jattanu⸣ ʔa⸢mitika⸣nu ba⸢ku⸣daŋ ʔu⸢tasa⸣riti ⸢kuːsa⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (その家は郵便局の東隣だったがアメリカ軍の爆弾を落とされて破壊されてしまった)。 ヌ⸢バ⸣ルブザマー カ⸢ザケーヌ⸣ ウ⸢ヤプス⸣ヌ ⸢ナール⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢オー⸣ルツォー [nu⸢ba⸣rubuʣamaː ka⸢ʣakeːnu⸣ ʔu⸢japusu⸣nu ⸢naːru⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢ʔoː⸣ruʦoː] (野原おじさんは、加治工家の先祖の名前が付けられておられるそうだ) 12779 0 0 12398 htmvoc_12779.wav ヌバン ⸣ヌバン [nubaŋ] 名 (植)草の名。カワラニンジン。カワラヨモギ。 カ⸢ナ⸣サル ⸣ナカー ヌ⸢バン⸣ヌ ユ⸢ダ⸣シ ピ⸢キスングリ [ka⸢na⸣saru ⸣nakaː nu⸢ban⸣nnu ju⸢da⸣ʃi pi̥⸢kisuŋguri] (可愛い子供は、カワラヨモギの枝で打ち据えて教えなさい) 12767 0 0 12399 htmvoc_12767.wav ヌビ ⸣ヌビ [⸣nubi] 名 首。⸣ヌドゥ[⸣nudu](喉)とフ⸢ビ[ɸu⸢bi](首{EOS}頚部)の混交により、上接語の[du]と下接語の[ɸu]が脱落して形成されたもの。 ⸣ヌビ ⸣キスン [⸣nubi ⸣ki̥suŋ] (首を切る)。 ⸣ヌビ ⸣キシティ シ⸢ナイ⸣ シケー ⸣カタチニ ビッ⸢ツティ ニーブ [⸣nubi ⸣ki̥ʃiti ʃi⸢nai⸣ ʃi̥keː ⸣kḁtaʧini bit⸢ʦuti niːbu] (首を切って\ruby{挿}{ス}げ\ruby{替}{カ}えた<繋いである>ように、そっくり似ている) 12768 0 0 12400 htmvoc_12768.wav ヌビ ⸣ヌビ [⸣nubi] 名 あくび(欠伸)。 ⸢ニフ⸣タータル ム⸢ヌ⸣ユー ⸢ティー⸣パン ヌ⸢バ⸣シティ ⸣ヌビ ⸢シーベー [⸢niɸu̥⸣taːtaru mu⸢nu⸣juː ⸢tiː⸣pan nu⸢ba⸣ʃi̥ti ⸣nubi ⸢ʃiːbeː] (眠たかったのか、手足を伸ばして欠伸をしている) 12773 0 0 12401 htmvoc_12773.wav ヌビ ⸣ヌビ [⸣nubi] 名 両手を伸ばして後ろに反り返ること。背伸びすること。深呼吸をすること。 ブ⸢ガ⸣リ ブ⸢リン⸣ギサバ ⸣ヌベー ⸢シーティ⸣ マ⸢タ⸣ パ⸢ジミリ⸣バ [bu⸢ga⸣ri bu⸢riŋ⸣gisaba ⸣nubeː ⸢ʃiːti⸣ ma⸢ta⸣ pḁ⸢ʤimiri⸣ba] (疲れているようだから、深呼吸をして体を伸ばして、また始めなさいよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ヌビ ⸢シーベー⸣バ マ⸢ナ⸣マ ウ⸢キ⸣ルン⸢ドー [ja⸢ra⸣beː ⸣nubi ⸢ʃiː beː⸣ba ma⸢na⸣ma ʔu⸢ki⸣run⸢doː] (子供は\ruby{SqBr}g{/SqBr}{欠伸}{アクビ}をして背伸びをしているから、今起きるぞ)。 ⸣ヌビ ⸢スン [⸣nubi ⸢suŋ] (手足を伸ばして大きく反り返り、深呼吸をする) 12780 0 0 12402 htmvoc_12780.wav ヌビーカーミー ⸣ヌビーカーミー [⸣nubiːkaːmiː] 名 伸び縮み。 サ⸢ルマ⸣ター ⸣グム ⸣シキティ ⸣ヌビーカーミー ⸢スー⸣ カタチニ ⸢ヌイバ⸣ル キ⸢シヤッ⸣サ [sa⸢ruma⸣taː ⸣gumu ⸣ʃi̥kiti ⸣nubiːkaːmiː ⸢suː⸣ kḁtaʧini ⸢nui⸣baru ki̥⸢ʃijas⸣sa] (猿股はゴムを付けて伸び縮みするように縫った方が着易い) 12769 0 0 12403 htmvoc_12769.wav ヌビカーミ ⸣ヌビカーミ [⸣nubikaːmi] 名 伸縮。伸び縮み。 ク⸢ヌ キン⸣マー ア⸢ラウ⸣カー ⸣ヌビカーミ ⸢スン⸣ダー [ku⸢nu kim⸣maː ʔa⸢rau⸣kaː ⸣nubikaːmi ⸢sun⸣daː] (この着物は洗濯したら<洗ったら>伸び縮みするよ) 12770 0 0 12404 htmvoc_12770.wav ヌビガキルン ⸣ヌビ ガ⸢キ⸣ルン [⸣nubi ga⸢ki⸣ruŋ] 連 首を吊る。首を引っ掛ける。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ラー シゥ⸢カントー⸣リティ ⸣マー ン⸢ベー⸣スカー ⸣ヌビ ガ⸢キ⸣ルンティ ⸢アーク⸣タ [⸢kiː⸣nu ⸢ʔui⸣raː sï̥⸢kantoː⸣riti ⸣maː ʔm⸢beː⸣su̥kaː ⸣nubi ga⸢ki⸣runti ⸢ʔaːku⸣ta] (木の上から落っこちて、すんでのところ<既の所>で首を吊るところだった) 12771 0 0 12405 htmvoc_12771.wav ヌビガクン ⸣ヌビ ⸣ガクン [⸣nubi ⸣gakuŋ] 連 首を吊る<引っ掛ける>。 ⸣ヌベー ⸣ガキティ シ⸢ニナーン⸣シェンツォー [⸣nubeː ⸣gakiti ʃi⸢ninaːŋ⸣ʃenʦoː] (首を吊って死んでしまったそうだ) 12772 0 0 12406 htmvoc_12772.wav ヌビカジ ヌ⸢ビ⸣カジ [nu⸢bi⸣kaʤi] 名 うなじ(項、頸後也、宇奈自<うなじ>『新撰字鏡』)。首すじ。くび(頸)のうしろ側。 ヌ⸢ビカジ⸣ヌ ⸢コー⸣リティ ⸣ヤミ ⸣ヌビ ⸢マーサラヌ [nu⸢bikaʤi⸣nu ⸢koː⸣riti ⸣jami ⸣nubi ⸢maːsaranu] (首筋が凝って痛くて、首が回わされない) 12774 0 0 12407 htmvoc_12774.wav ヌビカジヌコールンケン ヌ⸢ビカジ⸣ヌ ⸢コー⸣ルンケン [nu⸢bikaʤi⸣nu ⸢koː⸣ruŋkeŋ] 連 \ruby{項}{ウナジ}が凝るほど。待ち焦がれるさま。 ヌ⸢ビカジ⸣ヌ ⸢コー⸣ルンケン ⸢ウンザン⸣ マ⸢タサ⸣リティ ⸢ザー⸣パイ ⸢シー ナー⸣ヌ [nu⸢bikaʤi⸣nu ⸢koː⸣ruŋkeŋ ⸢ʔunʣam⸣ ma⸢tasa⸣riti ⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiː naː⸣nu] (項が凝るほどに、あいつ<彼奴>に待たされて、ひどい目に遭った) 12775 0 0 12408 htmvoc_12775.wav ヌビシジ ヌ⸢ビ⸣シジ [nu⸢bi⸣ʃiʤi] 名 くびすじ(首筋)。えりくび。首の後部。 ヌ⸢ビシジ⸣ヌ ⸢コー⸣リ ⸣ヤミティ ⸣ヌビ ⸢マーサラヌ [nu⸢biʃiʤi⸣nu ⸢koː⸣ri ⸣jamiti ⸣nubi ⸢maːsaranu] (首筋がこって痛むので<痛んで>首を回されない) 12776 0 0 12409 htmvoc_12776.wav ヌビソッコー ヌ⸢ビソッ⸣コー [nu⸢bisok⸣koː] 名 延べ焼香。法事を延期すること。 ヌ⸢ビ⸣ヌ ⸢ソッ⸣コーティル ⸣アル ⸢ソッコー⸣ヌ ⸣ヌベー バ⸢ラ⸣サー ⸢ナー⸣ヌティル ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッタ⸣ル [nu⸢bi⸣nu ⸢sok⸣koːtiru ⸣ʔaru ⸢sokkoː⸣nu ⸣nubeː ba⸢ra⸣saː ⸢naː⸣nutiru mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (延期法事といわれている{EOS}法事が延びることは悪くはないと<ぞ>昔の人は言われたものだよ) 12777 0 0 12410 htmvoc_12777.wav ヌビチジミ ⸣ヌビチジミ [⸣nubiʧiʤimi] 名 伸び縮み。 ⸣ブーキンマー ア⸢ラシトゥ⸣カー ⸣ヌビチヂミ ⸢スン⸠ダー [⸣buːkimmaː ʔa⸢raʃi̥tu⸣kaː ⸣nubiʧiʤimi ⸢sun⸠daː] (麻の着物は洗濯したら伸び縮みするよ) 12778 0 0 12411 htmvoc_12778.wav ヌビッタールン ヌ⸢ビッター⸣ルン [nu⸢bittaː⸣ruŋ] 自動 長々と横たわる。長く腹ばう。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ヌ⸢ビッター⸣リ ニ⸢ビ ベー [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ nu⸢bittaː⸣ri ni⸢bi beː] (仕事はしないで長々と横たわっている)。 ヌ⸢ビッターラン⸣ドーシ パ⸢タラキ⸣バ [nu⸢bittaːran⸣doːʃi pḁ⸢taraki⸣ba] (長々と横たわらないで働けよ)。 イ⸢ザン⸣カー イ⸢チンバー⸣キン ヌ⸢ビッター⸣ルン [ʔi⸢ʣaŋ⸣kaː ʔi⸢ʧimbaː⸣kin nu⸢bittaː⸣ruŋ] (叱らないと何時までも長く腹ばう)。 ⸣クナー ヌ⸢ビッター⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣kunaː nu⸢bittaː⸣reː ⸣misamunu] (ここで腹ばえばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヌ⸢ビッター⸣リバ [⸢paː⸣ku nu⸢bittaː⸣riba] (早く腹ばいなさい) 12781 0 0 12412 htmvoc_12781.wav ヌビヌビ ヌ⸢ビ⸣ヌビ [nu⸢bi⸣nubi] 副 延び延び。延ばし延ばし。延期するさま。 ヌ⸢ビ⸣ヌビ ⸢シー⸣ シケール ⸢ソッコー⸣ヤ ク⸢トゥシ シー オーサ [nu⸢bi⸣nubi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːru ⸢sokkoː⸣ja ku̥⸢tuʃi ʃiː ʔoːsa] (延び延びにしてある法事<焼香>は今年やって差し上げようよ) 12782 0 0 12413 htmvoc_12782.wav ヌビパダ ヌ⸢ビ⸣パダ [nu⸢bi⸣pada] 名 成長期。伸び盛り。思春期。 マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ヌ⸢ビ⸣パダ ヤ⸢ルンダ⸣ ⸢アッ⸣タニル フ⸢ドゥビ⸣ クー⸢ダー [ma⸢na⸣maː ja⸢rabi⸣nu nu⸢bi⸣pada ja⸢runda ʔat⸣taniru ɸu⸢dubi⸣ kuː⸢daː] (今は子供の成長期<伸び盛り>だから、子供は急に<ぞ>成長してくるものだよ) 12783 0 0 12414 htmvoc_12783.wav ヌビルン ヌ⸢ビ⸣ルン [nu⸢bi⸣ruŋ] 自動 伸びる。延びる。延期する。 ⸢キン⸣マー ピ⸢キスク⸣カー ヌ⸢ビ⸣ルンダ ヌ⸢ビラン⸣ヨーニ キ⸢シ⸣バ [⸢kim⸣maː pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː nu⸢bi⸣runda nu⸢biraɲ⸣joːni ki̥⸢ʃi⸣ba] (着物は引張ると伸びるから、伸びないように着なさいよ)。 ヌ⸢ビ⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [nu⸢bi⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (伸びきってしまった)。 ヌ⸢ビ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [nu⸢bi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (伸びることはない)。 ⸢マー⸣ビン ヌ⸢ビ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin nu⸢bi⸣reː ⸣misamunu] (もっと伸びれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ヌ⸢ビ⸣リ [⸢paː⸣ku nu⸢bi⸣ri] (早く伸びろ)。 ⸢オシキヌ⸣ ヤ⸢ビ⸣ルカー ピ⸢ニチェー⸣ ヌ⸢ビ⸣ルン ⸣パジ [⸢ʔoʃi̥kinu⸣ ja⸢bi⸣rukaː pi⸢niʧeː⸣ nu⸢bi⸣rum ⸣paʤi] (天気が崩れたら日程は延期する<延びる>はずだ) 12784 0 0 12415 htmvoc_12784.wav ヌビルン ヌ⸢ビ⸣ルン [nu⸢bi⸣ruŋ] 自動 堪忍する。我慢する。 ⸣キム ヌ⸢ビ⸣ルン [⸣kimu nu⸢bi⸣ruŋ] (堪忍する{EOS}我慢する)。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢クラン⸣ドーシ ⸣キム ヌ⸢ビ⸣リ [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢kuran⸣doːʃi ⸣kimoː nu⸢bi⸣ri] (立腹しないで堪忍しろよ<肝は伸びよ{EOS}我慢せよ>) 12785 0 1 12416 htmvoc_12785.wav ヌビンピキンナラヌ ⸣ヌビン ⸣ピキン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣nubim ⸣pi̥kin na⸢ra⸣nu] 連 {Mn_1}身動きできない。 12785 0 2 12417 htmvoc_12785.wav ヌビンピキンナラヌ ⸣ヌビン ⸣ピキン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣nubim ⸣pi̥kin na⸢ra⸣nu] 連 {Mn_2}堪忍ならない。即座にしなければならない。我慢することも抑えることも出来ない。「伸ばしも引きもできない」の義。⸣タティン ⸣ビリン ナ⸢ラ⸣ヌ[⸣tḁtim ⸣birin na⸢ra⸣nu](身動き出来ない{EOS}⸢立つことも坐ることも出来ない」の義)と同じ表現。 ⸢ヤー⸣ヌ ナ⸢カ⸣ナー ウ⸢ビ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ フ⸢ジナカリティ⸣ ヌビン ⸣ピキン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢jaː⸣nu na⸢ka⸣naː ʔu⸢bi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ɸu⸢ʤinakariti⸣ nubim ⸣pi̥kin na⸢ra⸣nu] (家の中に、あれだけの大人数の人が押し込め<閉じ込め>られて身動き出来ない) 12792 0 0 12418 htmvoc_12792.wav ヌブシ ヌ⸢ブシ [nu⸢buʃi] 名 のぼせ(逆上せ)。上気。血が頭に上って顔がほてること。 ヌ⸢ブシミー [nu⸢buʃimiː] (のぼせて目が充血すること)。 ヌ⸢ブシル ブー⸣ユー ス⸢ブ⸣ル ⸢グッふァ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣バン [nu⸢buʃiru buː⸣juː su⸢bu⸣ru ⸢guffa⸣nu na⸢ram⸣baŋ] (のぼせて<逆上せて>いるのか、頭が重くてたまらないよ) 12793 0 0 12419 htmvoc_12793.wav ヌブシフチル ヌ⸢ブシフチル [nu⸢buʃiɸu̥ʧiru] 名 のぼせの薬。のぼせに効く薬。 ⸢ミー⸣ヌ ア⸢ガミベー⸣ティ ヌ⸢ブシフチル⸣ ヌミ⸢ベー⸠ダー [⸢miː⸣nu ʔa⸢gamibeː⸣ti nu⸢buʃiɸu̥ʧiru⸣ numi⸢beː⸠daː] (目が赤らんでいるので、のぼせの薬を飲んでいるよ) 12794 0 0 12420 htmvoc_12794.wav ヌブシミー ヌ⸢ブシミー [nu⸢buʃimiː] 名 充血した目。「のぼせめ<逆上目>」の義。 ⸢ワー ミー⸣ヤ ア⸢ガンターリティ⸣ ヌ⸢ブシミー⸣ ヤ⸢リン⸣ギサバ ⸣ギランドーレー サ⸢ギフチ⸣ル ⸣シジ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢waː miː⸣ja ʔa⸢gantaːriti⸣ nu⸢buʃimiː⸣ ja⸢riŋ⸣gisaba ⸣girandoːreː sa⸢giɸuʧi⸣ru ⸣ʃiʤi f⸢fai⸣ba] (君の目は赤らんで、のぼせめ<逆上目>のようだから、シャコ貝など利尿剤<下げ薬>を煎じて食べなさいよ) 12795 0 0 12421 htmvoc_12795.wav ヌブシムヌ ヌ⸢ブシムヌ [nu⸢buʃimunu] 名 のぼせもの(\ruby{SqBr}g{/SqBr}{逆上}{ノボセ}もの)。飲食すると逆上せる食品。鶏肉、落花生など滋養分の多い食品。 ウ⸢ブアシ⸣ブ ン⸢ジ⸣ プスン ヌ⸢ブシムヌ⸣ ッ⸢ふァース⸣カー ン⸢バイルン⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ [ʔu⸢buʔaʃi⸣bu ʔn⸢ʤi⸣ pu̥sun nu⸢buʃimunu⸣ f⸢faːsu⸣kaː ʔm⸢bairun⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (大きなお出来がでた人に逆上せる食物をあげると、お出来が化膿するといわれたものだ) 12796 0 0 12422 htmvoc_12796.wav ヌブシヤン ヌ⸢ブシヤン [nu⸢buʃijaŋ] 名 逆上せる病気。血が頭へのぼる病気。 ウ⸢レー⸣ ヌ⸢ブシヤン⸣ ム⸢ティ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ アツァサーレー ⸣ドゥク シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ nu⸢buʃijam⸣ mu⸢ti⸣munu ja⸢runda⸣ ʔaʦasaːreː ⸣duku sï̥⸢kaːranu] (彼は逆上せる病気(高血圧など)を持病を持つ人だから、暑い時はあまり使われない) 12797 0 0 12423 htmvoc_12797.wav ヌブスン ヌ⸢ブスン [nu⸢busuŋ] 自動 上気する。のぼせる(逆上せる)。頭に血がのぼる。 ナー⸢イ⸣ ウ⸢スンフキ ビンキョー スー⸣カー ヌ⸢ブスンダ⸣ ヌ⸢ブサン⸣ヨーニ ⸢ユー⸣クイバ [naː⸢ji⸣ ʔu⸢suŋɸu̥ki biŋkjoː suː⸣kaː nu⸢busunda⸣ nu⸢busaɲ⸣joːni ⸢juː⸣kuiba] (ずっと俯いて勉強すると逆上せるから、逆上せないように休みなさいよ)。 パ⸢ナジーヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルンケン ヌ⸢ブシ ナー⸣ヌ [pa⸢naʤiːnu⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋken nu⸢buʃi naː⸣nu] (鼻血が出るほど逆上せてしまった)。 イ⸢ラ⸣ブー ッ⸢ふァーバン⸣ ヌ⸢ブス⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ra⸣buː f⸢faːban⸣ nu⸢busu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (イラブー料理を食べてものぼせる(逆上せる)ことはない)。 ヌ⸢ブシェー⸣ ミサムヌ [nu⸢buʃeː⸣ misamunu] (逆上せばいいのに)。 ヌ⸢ブシ⸣バ [nu⸢buʃi⸣ba] (逆上せよ) 12798 0 0 12424 htmvoc_12798.wav ヌフタマルン ⸢ヌフタマ⸣ルン [⸢nuɸu̥tama⸣ruŋ] 自動 暖まる。首里方言のnukutamajuN(暖まる{EOS}暖をとる)の転訛したもの。 カ⸢マチヌ⸣ ピーナー ⸢ヌフタマ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ ヌフタマラ⸣ヌ [ka⸢maʧinu⸣ piːna ⸢nuɸu̥tama⸣runti ⸢sundu⸣ mut⸢tu nuɸu̥tamara⸣nu] (竈の火に当って暖まろうとするが、ちっとも暖まらない)。 ⸢ヌフタマ⸣リ ⸣ミサカー ⸣クナーティン ⸢ヌフタマ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢nuɸu̥tama⸣ri ⸣misakaː ⸣kunaːtin ⸢nuɸu̥tama⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (暖まってよければ、ここでも暖まることは出来る)。 ⸢ヌフタマ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢nuɸu̥tama⸣reː ⸣misamunu] (暖まればいいのに)。 ク⸢マー⸣ キー ⸢ヌフタマ⸣リ [ku⸢maː⸣ kiː ⸢nuɸu̥tama⸣ri] (ここへ来て暖まりなさい) 12799 0 0 12425 htmvoc_12799.wav ヌフタミルン ⸢ヌフタミ⸣ルン [⸢nuɸu̥tami⸣ruŋ] 他動 温める。暖める。首里方言のnukutamijuN(暖める{EOS}体を温める)の転訛したもの。 ピ⸢バ⸣チナー ⸢タン タシキティ⸣ ザー ⸢ヌフタミ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ムッ⸢トゥ ヌフタミララ⸣ヌ [pi⸢ba⸣ʧinaː ⸢tan taʃi̥kiti⸣ ʣaː ⸢nuɸu̥tami⸣runti ⸢beː⸣ndu mut⸢tu nuɸu̥tamirara⸣nu] (火鉢に炭を焚きつけて座敷を暖めようとしているが、ちっとも暖められない)。 ⸢ヌフタ⸣ミ ⸣ミサカー シ⸢グ ヌフタミ⸣ル ⸣クトゥン ⸣ナルン [⸢nuɸu̥ta⸣mi ⸣misakaː ʃi⸢gu nuɸutami⸣ru ⸣ku̥tun ⸣naruŋ] (暖めてよければ、すぐ暖めることもできる)。 ⸢ヌフタミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢nuɸu̥tami⸣reː ⸣misamunu] (暖めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヌフタミ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢nuɸu̥tami⸣ri] (早く暖めよ) 12800 0 0 12426 htmvoc_12800.wav ヌブリクドゥキ ヌ⸢ブリクドゥキ [nu⸢burikuduki] 名 歌謡、舞踊の名称。「上り口説」。那覇を出て薩摩に至るまでの叙景歌謡。石垣方言からの借用語。ヌ⸢ブリクドゥキヌ⸣ 12786 0 0 12427 htmvoc_12786.wav ヌブルン ヌ⸢ブルン [nu⸢buruŋ] 他動 登る。上る。歌謡語。石垣方言からの借用語か。普通は⸢ヌールン[⸢nuːruŋ](登る{EOS}上る)という。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌ シタニ パリヌブリ ハイヤヨーティバ カイダキ ティトゥユル テンヨー マサティ ミグトゥ/(鳩間中岡駆け上り、蒲葵の下に駆け上り、南の方を眺めると美しい古見の山々が手に取るようで、誠に見事な眺望である)鳩間中岡。『鳩間島古典民謡古謡集』 12787 0 0 12428 htmvoc_12787.wav ヌブン ⸣ヌブン [⸣nubuŋ] 自動 伸びる。「伸び<上二段>」の四段活用化したもの。 ⸣グモー ピ⸢キスク⸣カー ⸣ヌブン [⸣gumoː pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː ⸣nubuŋ] (ゴムは引張ったら伸びる)。 ク⸢レー⸣ ヌ⸢バ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ nu⸢ba⸣nu] (これは伸びない)。 ⸣ヌビ ⸢ナー⸣ヌ [⸣nubi ⸢naː⸣nu] (伸びてしまった)。 ⸣ヌブ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣nubu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (伸びることはない)。 ⸣ヌベー ⸣ミサムヌ [⸣nubeː ⸣misamunu] (伸びればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ヌビバ [⸢maː⸣bin ⸣nubiba] (もっと伸びろ) 12788 0 0 12429 htmvoc_12788.wav ヌブン ⸣ヌブン [⸣nubuŋ] 自動 堪忍する。堪える。 イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ム⸣ ヌブン [ʔik⸢kena⸣ ki⸢mu⸣ nubuŋ] (非常に我慢する<\ruby{堪}{タ}える>)。 ⸢クン⸣ゾー ン⸢ザン⸣ドーシ ⸣キモー ヌビ⸢ダー [⸢kun⸣ʣoː ʔn⸢ʣan⸣doːʃi ⸣kimoː nubi⸢daː] (立腹しないで堪えろ<肝を伸べ>よ) 12801 0 0 12430 htmvoc_12801.wav ヌベーカベー ⸣ヌベーカベー [⸣nubeːkabeː] 副 延ばし延ばし。ABCDBC型の重言。繰り返し引き延ばすこと。延期することの強調表現。 ⸢ヨイ⸣ヤー ナー⸢イ⸣ ヌベーカベー シ⸢ミ⸣ シ⸢キラン⸣ドーシ ⸢パイ⸣サ シ⸢ミルワ(バ)⸣ マ⸢シ [⸢joi⸣jaː naː⸢ji⸣ nubeːkabeː ʃi⸢mi⸣ ʃi̥⸢kiran⸣doːʃi ⸢pai⸣sa ʃi⸢miruwa(ba)⸣ ma⸢ʃi] (お祝いはだだ延ばし延ばしにしておかないで、早くさせる方が良い) 12802 0 0 12431 htmvoc_12802.wav ヌベーリッツァーン ヌ⸢ベーリッ⸣ツァーン [nu⸢beːrit⸣ʦaːŋ] 形 すべっこい(滑っこい)。ぬるぬるして滑っこい。 ア⸢ガミツァミチェー⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ヌ⸢ベーリッ⸣ツァーンドゥ イ⸢ノン⸣ マクカー ⸢ナン⸣ゾー ヌ⸢ベーリッツァー ナー⸣ヌ [ʔa⸢gamiʦamiʧeː⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː nu⸢beːrit⸣ʦaːndu ʔi⸢nom⸣ makukaː ⸢nan⸣ʣoː nu⸢beːritʦaː naː⸣nu] (赤粘土の道は雨が降ると滑っこいが、砂を撒くと、あまり滑っこくない)。 ⸣カマー ヌ⸢ベーリッツァー⸣ヌ ア⸢ラカラン⸣バ ヌ⸢ベーリッ⸣ツァー ⸣トン パ⸢ル⸣ナ [⸣kamaː nu⸢beːritʦaː⸣nu ʔa⸢rakaram⸣ba nu⸢beːrit⸣ʦaː ⸣tom pa⸢ru⸣na] (あそこは滑っこくて歩けないから、滑っこい所へは行くな) 12803 0 0 12432 htmvoc_12803.wav ヌベールン ヌ⸢ベー⸣ルン [nu⸢beː⸣ruŋ] 他動 なめる(嘗)。ねぶる。舌で嘗め回す。食べ物や食器を嘗める<下品な行為>。 ⸣ドゥク ン⸢マー⸣カー ⸢カイ⸣キ ⸢バー⸣キ ヌ⸢ベー⸣ルンティ ⸢スンダ⸣ ヌ⸢ベーラサン⸣ドーシ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣duku ʔm⸢maː⸣kaː ⸢kai⸣ki ⸢baː⸣ki nu⸢beː⸣runti ⸢sunda⸣ nu⸢beːrasan⸣doːʃi f⸢faːʃi⸣ba] (あまりにも美味しいとお皿まで嘗めるというから、嘗めさせないで食べさせなさい)。 イ⸢カス⸣ク ⸢ヤー⸣サタユー マ⸢カ⸣ル ヌ⸢ベー⸣リ ⸢ベー [ʔi⸢kasu̥⸣ku ⸢jaː⸣satajuː ma⸢ka⸣ru nu⸢beː⸣ri ⸢beː] (どんなにひだるかったのか、お椀を嘗めている)。 ヌ⸢ベー⸣ル ⸣クトー ス⸢ナ⸠ヨー [nu⸢beː⸣ru ⸣ku̥toː su⸢na⸠joː] (嘗めることはするなよ)。 ⸣シタシ ヌ⸢ベー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʃi̥taʃi nu⸢beː⸣reː ⸣misamunu] (舌で嘗めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヌ⸢ベー⸣リ [⸢paː⸣ku nu⸢beː⸣ri] (早く嘗めよ) 12804 0 0 12433 htmvoc_12804.wav ヌミウタスン ⸣ヌミ ウ⸢タ⸣スン [⸣numi ʔu⸢ta⸣suŋ] 連 飲み込む。喉にかかった魚の小骨などを、白湯を入れた茶碗に箸で十文字を作って乗せ、その箸の間から白湯を飲んで落とすこと。 ⸣サー ⸣ヌミティ ン⸢ギ⸣ ヌミ ウ⸢タ⸣シ [⸣saː ⸣numiti ʔŋ⸢gi⸣ numi ʔu⸢ta⸣ʃi] (茶<白湯>を飲んで、とげ<刺>を飲み込め<飲み落とせ>) 12805 0 0 12434 htmvoc_12805.wav ヌミウラスン ⸣ヌミ ウ⸢ラ⸣スン [⸣numi ʔu⸢ra⸣suŋ] 連 飲みおろす。呑み込む。 イ⸢ズン⸣プニ ⸣ヌドゥナー カ⸢カラ⸣シティ ヌ⸢ドゥカーカー⸣シ ⸢ブー⸣ ピンマー ⸣サバンナー ミ⸢ジェー サイティ⸣ パ⸢シ⸣バ ヤ⸢ラザイティ⸣ ヌムカー ⸣ヌミ ウ⸢ラサ⸣リンツォー [ʔi⸢ʣumpuni⸣ba ⸣nudunaː kḁ⸢kara⸣ʃi̥ti nu⸢dukaːkaː⸣ʃi ⸢buː⸣ pimmaː ⸣sabannaː mi⸢ʤeː saiti⸣ pḁ⸢ʃi⸣ba ja⸢raʣaiti⸣ numukaː ⸣numi ʔu⸢rasa⸣rinʦoː] (魚の骨を喉に引っかけている時は、茶碗に水を注いで、箸で十字に組んで、その間から飲むと骨は呑み下ろされるそうだ) 12806 0 0 12435 htmvoc_12806.wav ヌミキスン ヌ⸢ミ⸣キスン [nu⸢mi⸣ki̥suŋ] 他動 飲みきる。飲みつくす。 ヌ⸢ミ⸣キスンティ ⸢スンドゥ タンガ⸣シェー ヌ⸢ミキサラ⸣ヌ [nu⸢mi⸣ki̥sunti ⸢sundu taŋga⸣ʃeː nu⸢mikisara⸣nu] (飲みつくそうとするが、一人では飲み尽くされない)。 ヌ⸢ミ⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [nu⸢mi⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (飲みつくしてしまった)。 ⸢タンガ⸣シ ヌ⸢ミ⸣キス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃi nu⸢mi⸣ki̥su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (一人で飲みつくすことは出来ない)。 ヌ⸢ミ⸣キシェー ⸣ミサムヌ [nu⸢mi⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (飲み尽くせば良いのに)。 ヌ⸢ミ⸣キシバ [nu⸢mi⸣ki̥ʃiba] (飲み尽くせよ) 12815 0 0 12436 htmvoc_12815.wav ヌミグル ヌ⸢ミ⸣グル [nu⸢mi⸣guru] 名 飲み残し。液体の沈殿物。 ⸢ワー⸣ ヌ⸢ミ⸣グロー ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸢waː⸣ nu⸢mi⸣guroː ja⸢nija⸣nu nu⸢mara⸣nu] (君の飲み残しは汚くて飲めない) 12807 0 0 12437 htmvoc_12807.wav ヌミスクライ ヌ⸢ミスク⸣ライ [nu⸢misu̥ku⸣rai] 名 飲み下ろす口の動きを装うこと。生唾を飲み込むようにすること。「飲みつくろい」の義。フ⸢チックナー[ɸu̥⸢ʧikkunaː](飲食するように口を動かすこと)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣スコー サ⸢キ⸣ ヌ⸢ミ プサ⸣ル ⸣アルユー ヌ⸢ミスク⸣ライ ⸢シーベー [ʔu⸢nusu̥⸣ku sḁ⸢ki⸣ nu⸢mi pu̥sa⸣ru ⸣ʔarujuː nu⸢misu̥ku⸣rai ⸢ʃiː beː] (それほど酒が飲みたいのか、生唾を飲み込むようにしている) 12808 0 1 12438 htmvoc_12808.wav ヌミックムン ヌ⸢ミッ⸣クムン [nu⸢mik⸣kumuŋ] 他動 {Mn_1}飲み込む。\ruby{嚥下}{エン|ゲ}する。 ⸢チン⸣チ ヌ⸢ミッ⸣クムンティ ⸢スンドゥ⸣ ヌ⸢ミックマラ⸣ヌ [⸢ʧin⸣ʧi nu⸢mik⸣kumunti ⸢sundu⸣ nu⸢mikkumara⸣nu] (唾を飲み込もうとするが、飲み込めない)。 ヌ⸢ミッ⸣クミ ⸣ミサカー ヌ⸢ミッ⸣クム ⸣クトー ⸣ナルン [nu⸢mik⸣kumi ⸣misakaː nu⸢mik⸣kumu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (飲み込んでよければ飲み込むことはできる)。 ヌ⸢ミッ⸣クメー ⸣ミサムヌ [nu⸢mik⸣kumeː ⸣misamunu] (飲み込めばいいのに)。 ムー⸢ル⸣ ヌ⸢ミッ⸣クミバ [muː⸢ru⸣ nu⸢mik⸣kumiba] (全部飲み込めよ)。 プ⸢ス⸣フチシ ヌ⸢ミッ⸣クムン [pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧiʃi nu⸢mik⸣kumuŋ] (一口で飲み込む)。 12808 0 2 12439 htmvoc_12808.wav ヌミックムン ヌ⸢ミッ⸣クムン [nu⸢mik⸣kumuŋ] 他動 {Mn_2}見下す。見くびる。 ウ⸢レー⸣ プ⸢スバ⸣ ヌ⸢ミッ⸣クミティ ⸢ピッ⸣チン ウ⸢バイル⸣ スコー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢suba⸣ nu⸢mik⸣kumiti ⸢pit⸣ʧiŋ ʔu⸢bairu⸣ su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (彼は人を見下して<見くびって>ちっとも怖がらない<怖がるどころではない>) 12809 0 0 12440 htmvoc_12809.wav ヌミックル ヌ⸢ミッ⸣クル [nu⸢mik⸣kuru] 名 飲み残り。飲み残したもの。 ⸢ワー⸣ ヌ⸢ミックル⸣バ プ⸢スン⸣ ヌ⸢マ⸣スンティ ⸢スー [⸢waː⸣ nu⸢mikkuru⸣ba pu̥⸢sun⸣ nu⸢ma⸣sunti ⸢suː] (君の飲み残りを他人に飲まそうというのか<~とするのか>) 12810 0 0 12441 htmvoc_12810.wav ヌミッタルッふァイッタル ヌ⸢ミッタル⸣ ッ⸢ふァイッ⸣タル [nu⸢mittaru⸣ f⸢fait⸣taru] 連 飲んだり食ったり。 ⸢タイロー スー⸣カー サ⸢カナヤー⸣ナーティ ヌ⸢ミッタル⸣   ッ⸢ふァイッ⸣タル ⸢シー⸣ ア⸢サボーッ⸣タツォー [⸢tairoː suː⸣kaː sḁ⸢kanajaː⸣naːti nu⸢mittaru⸣ f⸢fait⸣taru ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢saboːt⸣taʦoː] (大漁したら料亭で飲んだり食ったりして遊ばれたそうだ) 12811 0 0 12442 htmvoc_12811.wav ヌミドゥシ ヌ⸢ミ⸣ドゥシ [nu⸢mi⸣duʃi] 名 飲み友達。 ヌ⸢ミ⸣ドゥシザーン ム⸢チ⸣レーティ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣アンティ ⸣クトゥ ⸢バシキ ブー [nu⸢mi⸣duʃiʣaːm mu⸢ʧi⸣reːti ⸢jaː⸣nu ⸣ʔanti ⸣ku̥tu ⸢baʃi̥ki buː] (飲み友達同士で遊び\ruby{惚}{ホウ}け<睦れ>て、家があることを忘れている) 12813 0 0 12443 htmvoc_12813.wav ヌミヌカスン ヌ⸢ミヌカ⸣スン [nu⸢minuka⸣suŋ] 他動 飲み残す。 ヌ⸢ミヌカ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢ビッチン⸣ドゥ ア⸢リ⸣バ ヌ⸢ミヌカサン⸣ドーシ ムー⸢ル⸣ ヌミバ [nu⸢minuka⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢bitʧin⸣du ʔa⸢ri⸣ba nu⸢minukasan⸣doːʃi muː⸢ru⸣ numiba] (飲み残そうと思うが、これぽっちしかないので、飲み残さないで全部のみなさいよ)。 ヌ⸢ミヌカ⸣シ ⸣ミサカー ヌ⸢ミヌカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [nu⸢minuka⸣ʃi ⸣misakaː nu⸢minuka⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (飲み残してよければ、飲み残すことはできる)。 ヌ⸢ミヌカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [nu⸢minuka⸣ʃeː ⸣misamunu] (飲み残せばいいのに)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ ヌ⸢ミヌカ⸣シ [⸣kubeː jaː⸢din⸣ nu⸢minuka⸣ʃi] (これだけは必ず飲み残しなさい) 12814 0 0 12444 htmvoc_12814.wav ヌミヌカル ヌ⸢ミヌカ⸣ル [nu⸢minuka⸣ru] 名 飲み残り。飲み残し。 ヌ⸢ミヌカル⸣バ プ⸢スン⸣ ヌ⸢マス⸣ナ [nu⸢minukaru⸣ba pu̥⸢sun⸣ nu⸢masu⸣na] (飲み残りを他人に飲ませるな) 12812 0 0 12445 htmvoc_12812.wav ヌミフチル ヌ⸢ミフチ⸣ル [nu⸢miɸu̥ʧi⸣ru] 名 飲み薬。ヌ⸢ミフシ⸣ル[nu⸢miɸu̥ʃi⸣ru](飲み薬)ともいう。シ⸢キフチ⸣ル[ʃi̥⸢kiɸu̥ʧi⸣ru](付け薬{EOS}塗り薬)の対義語。 イ⸢サン⸣ヤーナ ⸢ギー⸣ ッ⸢サーク⸣ヌ ヌ⸢ミフチ⸣ル ⸢イー⸣リ ⸣クー [ʔi⸢saɲ⸣jaːna ⸢giː⸣ s⸢saːku⸣nu nu⸢miɸu̥ʧi⸣ru ⸢ʔiː⸣ri ⸣kuː] (病院へ行って咳の飲み薬をもらってきなさい) 12816 0 0 12446 htmvoc_12816.wav ヌミミジ ヌ⸢ミ⸣ミジ [nu⸢mi⸣miʤi] 名 飲み水。飲料水。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジバ⸣ フ⸢ミル⸣ ヌ⸢ミ⸣ミジ ⸢ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤiba⸣ ɸu⸢miru⸣ nu⸢mi⸣miʤi ⸢soːt⸣ta] (昔は、鳩間の人は井戸の水を汲んで飲み水にされた)。 ⸢ウイヌカーヌ⸣ ヌ⸢ミ⸣ミジェー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢ʔuinukaːnu⸣ nu⸢mi⸣miʤeː ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (上の井戸<シ⸢マナカ{SqBr}ʃi⸢manaka{/SqBr}にある井戸>の飲料水は非常に美味しかった) 12817 0 0 12447 htmvoc_12817.wav ヌミムヌ ヌ⸢ミ⸣ムヌ [nu⸢mi⸣munu] 名 飲み物。水、茶、酒など。 ヌ⸢ドゥカー⸣キ ⸢シー⸣ ナ⸢ラン⸣バ ノー⸢ン ヤラバン⸣ ヌ⸢ミ⸣ムヌ ヌ⸢マ⸣シ ッ⸢ふィーラン⸣ノーレー [nu⸢dukaː⸣ki ⸢ʃiː⸣ na⸢ram⸣ba noː⸢ɲ jaraban⸣ nu⸢mi⸣munu nu⸢ma⸣ʃi f⸢fiːran⸣noːreː] (喉が渇いて<喉渇きして>堪らないから、何でも飲み物を飲ましてくれないかねえ) 12818 0 0 12448 htmvoc_12818.wav ヌムン ⸣ヌムン [⸣numuŋ] 他動 飲む。「~乃牟美豆尓<ノムミズニ>~。万、4322」の転訛。 ミ⸢ジ⸣ ヌムンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ヌ⸢マラ⸣ヌ [mi⸢ʤi⸣ numunti ʔu⸢muːn⸣du mut⸢tu⸣ nu⸢mara⸣nu] (水を飲もうと思うが、ちっとも飲めない<飲まれない>)。 ヌ⸢ミ⸣ プサカー ⸣ヌミバ [nu⸢mi⸣ pu̥sakaː ⸣numiba] (飲みたければ飲みなさい)。 ⸣ヌム プ⸢ソー⸣ アトーラ ⸣ヌメー ⸣ミサムヌ [⸣numu pu̥⸢soː⸣ ʔatoːra ⸣numeː ⸣misamunu] (飲む人は後から飲めばいいのに)。 ⸢ワー⸣ サ⸢キ⸣ ヌミバ [⸢waː⸣ sḁ⸢ki⸣ numiba] (君は酒を飲めよ)。 ク⸢レー⸣ ヌ⸢ミングリ⸣サン [ku⸢reː⸣ nu⸢miŋguri⸣saŋ] (これは飲みづらい) 12819 0 0 12449 htmvoc_12819.wav ヌメー ⸢-ヌ⸣メー [⸢-nu⸣meː] 接尾 ~たち(達)。~ども(共)。~ら(等)。複数を表す。ぞんざいに話すと、⸢-ンメー[⸢-mmeː](~たち{EOS}~ども{EOS}~ら)という。目下の者や卑下すべき対象、卑語などにつく。 ⸢クンザヌメーヤ スングリ⸣ トゥ⸢ラ⸣シ [⸢kunʣanumeːja suŋguri⸣ tu⸢ra⸣ʃi] (こいつ等は引っぱたいてやれ)。 ⸣ワンザンメーヤ ウ⸢ヤ⸣ヌ バ⸢チカビ⸣ムヌ [⸣wanʣammeːja ʔu⸢ja⸣nu ba⸢ʧikabi⸣munu] (お前等は親の罰当り<罰被り>だ) 12820 0 0 12450 htmvoc_12820.wav ヌヤー ⸣-ヌヤー [⸣-nujaː] 並立 並立助詞。~やら。~だの。~や。名詞類に付いて同類のものを並べたてて表す。 ⸢ヌー⸣ヌヤー ⸢クイヌ⸣ヤーティ ⸢シー⸣ プ⸢スヌ⸣ フ⸢シバ⸣ トゥルンティ カー⸢ニ シー アー⸣ク [⸢nuː⸣nujaː ⸢kuinu⸣jaːti ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢sunu⸣ ɸu̥⸢ʃiba⸣ turunti kaː⸢ni ʃiː ʔaː⸣ku] (あれやこれや<何だの此れだの>と他人の欠点<難癖>をあげつらおうと<取ろうと>だけしている)。 ⸢イー⸣ヌヤー ⸢スー⸣ヌヤー ナ⸢マシ⸣ヌヤーティ ⸢シー⸣ カ⸢ティ⸣ムヌ ス⸢コールンティ シー シッ⸣パイ ⸢シー オー⸣ル [⸢ʔiː⸣nujaː ⸢suː⸣nujaː na⸢maʃi⸣nujaːti ⸢ʃiː⸣ kḁ⸢ti⸣munu su̥⸢koːrunti ʃiː ʃip⸣pai ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (ご飯やらお汁やら刺身やらなどといって御数<副食物{EOS}「\ruby{糅}{カ}て物」の義{EOS}「雑、マジフ・カサヌ・カツ」『類聚名義抄』の転訛>を作ろうとして頑張っておられる) 12823 0 1 12451 htmvoc_12823.wav ヌリカブン ヌ⸢リカブン [nu⸢rikabuŋ] 自動 {Mn_1}ことばで激しく襲いかかる。反撃する。 ウ⸢レー⸣ イ⸢ジナラース⸣カー ヌ⸢リカブンダ⸣ ナ⸢ラーサラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢ʤinaraːsu⸣kaː nu⸢rikabunda⸣ na⸢raːsara⸣nu] (彼は叱って教えると逆に言葉で襲い掛かるから、教えられない)。 ⸢キュー⸣ヤ ヌ⸢リカバンバ⸣ ピ⸢ルマ⸣サ [⸢kjuː⸣ja nu⸢rikabamba⸣ pi⸢ruma⸣sa] (今日は逆襲しないから珍しいよ)。 ヌ⸢リカビ キー⸣スンダ ナ⸢クラー⸣ン [nu⸢rikabi kiː⸣sunda na⸢kuraː⸣ŋ] (反撃してくるから怖い)。 プ⸢スンナー⸣ニ ヌ⸢リカブ⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [pu̥⸢sunnaː⸣ni nu⸢rikabu⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (他人に言葉で襲い掛かることはするなよ)。 ヌ⸢リカベー⸣ ミサムヌ [nu⸢rikabeː⸣ misamunu] (言葉で反撃すればいいのに)。 ヌ⸢リカビ⸣バ [nu⸢rikabi⸣ba] (激しく反論しなさいよ)。 12823 0 2 12452 htmvoc_12823.wav ヌリカブン ヌ⸢リカブン [nu⸢rikabuŋ] 自動 {Mn_2}かぶりつく。喰らいつく。 ク⸢ヌ イン⸣マー プ⸢スンナー⸣ニ ヌ⸢リカビ⸣ クン [ku⸢nu ʔim⸣maː pu̥⸢sunnaː⸣ni nu⸢rikabi⸣ kuŋ] (この犬は人に向かって吠えて襲ってくる) 12825 0 0 12453 htmvoc_12825.wav ヌリクム ヌ⸢リクム [nu⸢rikumu] 名 入道雲。積乱雲。歌謡で用いられる語。 ヌ⸢リクムヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー [nu⸢rikumunu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuː] (入道雲が出ると雨が降る)。竹富島の⸢マザカイ節」に/竹富ヌ仲嵩ヌ 真上ナガ 白雲ヌ 乗雲ヌ立チュラバ 白雲デ 乗雲デ 思イヨンナ 女童デ カヌシャマデ 思イブリ/『八重山民謡誌』とある 12826 0 0 12454 htmvoc_12826.wav ヌリバン ヌ⸢リ⸣バン [nu⸢ri⸣baŋ] 名 黒板。「塗り板」の義。明治29年6月、鳩間島に大川尋常小学校の鳩間分校が設置された。ヌ⸢リ⸣バン[nu⸢ri⸣baŋ](黒板)はそれ以後に借用された語であろう。 ヌ⸢リ⸣バンナール ⸢ジーヤ⸣ カキティ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [nu⸢ri⸣bannaːru ⸢ʤiːja⸣ kḁkiti na⸢raː⸣soːtta] (黒板に<ぞ>文字を書いて教えられた<習わされた>) 12827 0 0 12455 htmvoc_12827.wav ヌルーヌルーシ ヌ⸢ルーヌルー⸣シ [nu⸢ruːnuruː⸣ʃi] 副 ぬるく(温く)。生暖かく。 ア⸢チユー⸣ヤ ヌ⸢ルーヌルー⸣シ サ⸢マ⸣シティ ヌ⸢マ⸣シバ [ʔa⸢ʧijuː⸣ja nu⸢ruːnuruː⸣ʃi sa⸢ma⸣ʃi̥ti nu⸢ma⸣ʃiba] (熱湯は温く冷まして飲ましなさい) 12828 0 0 12456 htmvoc_12828.wav ヌルマスン ヌ⸢ルマ⸣スン [nu⸢ruma⸣suŋ] 他動 ぬるめる。ぬるくする。 ア⸢チユー⸣バ ヌ⸢ルマ⸣スンティ ⸣シケーンドゥ ⸢パー⸣クティ ヌ⸢ルマサラン⸣バン [ʔa⸢ʧijuː⸣ja nu⸢ruma⸣sunti ⸣ʃi̥keːndu ⸢paː⸣kuti nu⸢rumasaram⸣baŋ] (熱湯をぬるめようとしてあるが、急には温められないよ)。 ヌ⸢ルマ⸣シ ⸣ミサカー シ⸢グ⸣ ヌ⸢ルマ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [nu⸢ruma⸣ʃi ⸣misakaː ʃi⸢gu⸣ nu⸢ruma⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (温めてよければ温めることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ヌ⸢ルマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin nu⸢ruma⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっとぬるめればいいのに)。 ヌ⸢ルマ⸣シバ [nu⸢ruma⸣ʃiba] (温めよ) 12829 0 0 12457 htmvoc_12829.wav ヌルミルン ヌ⸢ルミ⸣ルン [nu⸢rumi⸣ruŋ] 他動 ぬるめる(温める)。 ア⸢チ⸣ユー ヌ⸢ルミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ パー⸣ク ヌ⸢ルミララ⸣ヌ [ʔa⸢ʧi⸣juː nu⸢rumi⸣runti ⸢sundu paː⸣ku nu⸢rumirara⸣nu] (熱湯を温めようとするが、急には<早く>温められない)。 ⸢ユー⸣ヤ キ⸢サーティ⸣ ヌ⸢ル⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [⸢juː⸣ja ki̥⸢saːti⸣ nu⸢ru⸣mi ⸢naː⸣nu] (お湯は既に温めてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ヌ⸢ルミ⸣ル ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː nu⸢rumi⸣ru ⸣wakeː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く温める訳がない)。 ン⸢ベーマ⸣ ヌ⸢ルミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣ nu⸢rumi⸣reː ⸣misamunu] (少しは温めればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ヌ⸢ルミ⸣リ [jaː⸢din⸣ nu⸢rumi⸣ri] (必ず温めろ) 12830 0 0 12458 htmvoc_12830.wav ヌルムン ヌ⸢ル⸣ムン [nu⸢ru⸣muŋ] 自動 ぬるむ。\ruby{微温}{ヌ|ル}くなる。⸣サムン[⸣samuŋ](\ruby{冷}{サ}める)ともいう。 ⸢ユー⸣フルガマヌ フ⸢ター⸣ ア⸢ク⸣カー ⸢ユー⸣ヤ ヌ⸢ル⸣ムンダ ヌ⸢ルマン⸣ケン ⸢パー⸣ク ア⸢ミ⸣バ [⸢juː⸣ɸurugamanu ɸu̥⸢taː⸣ ʔa⸢ku⸣kaː ⸢juː⸣ja nu⸢ru⸣munda nu⸢rumaŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ʔa⸢mi⸣ba] (風呂釜の蓋を開けるとお湯が\ruby{微温}{ヌ|ル}むから、微温まないうちに早くお湯を浴びなさい)。 ⸢ユー⸣ヤ ヌ⸢ル⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [⸢juː⸣ja nu⸢ru⸣mi ⸢naː⸣nu] (お湯は微温んでしまった)。 ⸢ユー⸣ヌ ヌ⸢ル⸣ム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢juː⸣nu nu⸢ru⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (お湯が微温むことはない)。 ⸢マー⸣ビン ヌ⸢ル⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin nu⸢ru⸣meː ⸣misamunu] (もっと微温めばいいのに) 12831 0 0 12459 htmvoc_12831.wav ヌルントゥルンシ ⸣ヌルントゥルンシ [⸣nurunturuŋʃi] 副 のろりとろりと。のろのろと。だらだらと。ぼんやりして。 シ⸢グトゥン⸣ ヌルントゥルンシ ⸢ピッ⸣チン ⸣マイ ⸢ユーザヌ [ʃi⸢gutun⸣ nurunturuŋʃi ⸢pit⸣ʧim ⸣mai ⸢juːʣanu] (仕事ものろのろとして、ちっとも前に進まない) 12832 0 0 12460 htmvoc_12832.wav ヌローン ヌ⸢ロー⸣ン [nu⸢roː⸣ŋ] 形 ぬるい(温い)。 ⸢ユー⸣ヤ ヌ⸢ロー⸣ンダ フ⸢カ⸣シ ア⸢ツァ⸣シバ [⸢juː⸣ja nu⸢roː⸣nda ɸu̥⸢ka⸣ʃiti ⸢sai⸣ba] (お湯は温いから沸騰させて注ぎなさいよ)。 ヌ⸢ロー ナー⸣ヌ [nu⸢roː naː⸣nu] (\ruby{温}{ヌル}くない)。 ⸢サー⸣ヤ ヌ⸢ロー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸢saː⸣ja nu⸢roː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (お茶は\ruby{温}{ヌル}くて飲めない)。 ヌ⸢ロ⸣ー ⸢サー⸣ヤ ⸣ユー フ⸢カ⸣シ ⸢サイ⸣バ [nu⸢ro⸣ː ⸢saː⸣ja ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi ⸢sai⸣ba] (\ruby{温}{ヌル}いお茶はお湯を沸かして\ruby{注}{ツ}ぎなさいよ)。 ヌ⸢ロー⸣カー ヌ⸢ム⸣ナ [nu⸢roː⸣kaː nu⸢mu⸣na] (温かったら飲むな) 12833 0 0 12461 htmvoc_12833.wav ヌン ⸣ヌン [⸣nuŋ] 名 のみ(鑿)。木材や石材に穴をうがつのに用いる工具。「鑿、乃未<のみ>」『日本霊異記 上』の転訛。 シ⸢キヌン [ʃi̥⸢kinuŋ] (突き鑿) ピ⸢サヌン [pi̥⸢sanuŋ] (平鑿{EOS}厚さが薄く、巾の広い鑿))。マ⸢ルヌン[ma⸢runuŋ](丸鑿)、⸢サンブ⸣ヌン[⸢sambu⸣nuŋ](三分鑿)、ゴ⸢ブヌン[go⸢bunuŋ](五分鑿)、シ⸢チブ⸣ヌン[ʃi̥⸢ʧibu⸣nuŋ](七分鑿)等の種類があった。 ⸣ヌンシ パ⸢ラー⸣ヌ ⸣ミー ⸢ピッ⸣キバ [⸣nuŋʃi pa⸢raː⸣nu ⸣miː ⸢pik⸣kiba] (鑿で柱のほぞあな<枘穴>を堀りなさい<枘穴をほがせ>)。 ⸢ヌン⸣トゥ カ⸢ナートゥ⸣ ヌ⸢キル⸣ヌ ⸣アルカー ⸢タイゲー⸣ヌ ⸣ムノー ス⸢クラ⸣リン [⸢nun⸣tu ka⸢natu⸣ nu⸢kiru⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢taigeː⸣nu ⸣munoː su̥⸢kura⸣riŋ] (鑿と鉋と鋸があれば、大概のものは作れる) 12834 0 0 12462 htmvoc_12834.wav ヌン ⸣ヌン [⸣nuŋ] 名 (動)ノミ(蚤)。「蚤、乃美<のみ>」『新撰字鏡』の転訛。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸣キンナーン ⸢ヤーン⸣ナカナーン ⸢ヌン⸣ヌ ⸣シディッサリティ フ⸢シガラン⸣ベーティ ⸢ディーディー⸣ティーティ ⸢スー⸣ フ⸢チル⸣バ マ⸢コーッ⸣タツォー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸣kinnaːɲ ⸢jaːn⸣nakanaːn ⸢nun⸣nu ⸣ʃidissariti ɸu̥⸢ʃigaraŋ⸣beːti ⸢diːdiː⸣tiːti ⸢suː⸣ ɸu̥⸢ʧiru⸣ba ma⸢koːt⸣taʦoː] (戦後、着物にも家にも蚤が異常に発生して耐えられなかったので、DDTという薬を散布された<撒かれた>そうだ) 12835 0 0 12463 htmvoc_12835.wav ヌン ⸢ヌン [⸢nuŋ] 係助 ~も。係助詞ン[ŋ](も)が撥音Nで終わる語に付くと、連声ををおこして、ヌン[nuŋ](も)となる。どれか一つに限定せず、同種のものを並列列挙する際に用いる助詞。 ⸢ウン⸣ネーナー ウ⸢シン イン⸣ヌン シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ブン⸠ダー [⸢ʔun⸣neːnaː ʔu⸢ʃiŋ ʔin⸣nun si̥⸢ka⸣nai ⸢bun⸠daː] (その家には牛も犬も飼っているよ) 12836 0 0 12464 htmvoc_12836.wav ヌンガーラスン ⸢ヌンガーラ⸣スン [⸢nuŋgaːra⸣suŋ] 他動 許す。免れさせる。「逃れさす」の転訛。「~老いは、え逃れぬわざなり」『源氏物語<若菜下>』とも関係する語か。 ク⸢トゥワ⸣キ イ⸢リル⸣カー ⸢ヌンガーラ⸣スンティ シ⸢タヌ クン⸣ドー ⸢ヌンガラサ⸣ヌ [ku̥⸢tuwa⸣ki ʔi⸢riru⸣kaː ⸢nuŋgaːra⸣sunti ʃi̥⸢tanu kun⸣doː ⸢nuŋgaːrasa⸣nu] (侘びを入れたら許すといったが、今度は許さない)。 ⸢ヌンガーラ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ヌンガーラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢nuŋgaːra⸣ʃi ⸣misakaː ⸢nuŋgaːra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (許してよければ許すことはできる)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣クトー ⸢ヌンガーラ⸣シェー ⸣ミサムヌバ{EOS}⸢パー⸣ク ⸢ヌンガーラ⸣シ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ku̥toː ⸢nuŋgaːra⸣ʃeː ⸣misamunuba{EOS}⸢paː⸣ku ⸢nuŋgaːra⸣ʃi] (あれぽっちのことは許せば良いものを、早く許しなさい<免れさせよ>)。 ⸢クン⸣ドー ⸢ヌンガーラサラ⸣ヌ [⸢kun⸣doː ⸢nuŋgaːrasara⸣nu] (今度は許されない) 12837 0 0 12465 htmvoc_12837.wav ヌンガーリムニ ⸢ヌンガーリ⸣ムニ [⸢nuŋgaːri⸣muni] 名 逃げ口上。\ruby{言訳}{イイ|ワケ}。弁解。 ナー⸢イ ヌンガーリ⸣ムニ カー⸢ニ⸣ ア⸢ジ ベー [naː⸢ji nuŋgari⸣muni kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ʤibeː] (ただ逃げ口上<弁解>だけ言っている) 12838 0 0 12466 htmvoc_12838.wav ヌンガーリン ⸢ヌンガー⸣リン [⸢nuŋgaː⸣riŋ] 自動 許される。赦免される。負担や義務を免除される。 ⸣エンラー ン⸢ジマイ⸣ヤー ⸢ヌンガー⸣リンツォー [⸣jenraː ʔn⸢ʤimai⸣jaː ⸢nuŋgaː⸣rinʦoː] (来年からは出し前<割り当て金>は免除されるそうだ) 12839 0 0 12467 htmvoc_12839.wav ヌンガールン ⸢ヌンガー⸣ルン [⸢nuŋgaː⸣ruŋ] 自動 免れる。許される。 ⸣ウビシ ⸢ヌンガー⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ヌンガーララン⸣シェン [⸣ʔubiʃi ⸢nuŋgaː⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢nuŋgaːraraŋ⸣ʃeŋ] (これで許されると思ったが、許されなかった)。 ⸢ヌンガー⸣リ ⸣ケーン [⸢nuŋgaː⸣ri keːŋ] (許され<免れて>てきた)。 ⸢ヌンガー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nuŋgaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (許される<免れる>ことはない)。 ⸢トゥンガー⸣ヤ ⸣ウビシ ⸢ヌンガー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢tuŋgaː⸣ja ⸣ʔubiʃi ⸢nuŋgaː⸣reː ⸣misamunu] (罪科はこれで許されれば<免れれば>いいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヌンガーリ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢nuŋgaːri⸣ri] (早く許されなさい<免れろ>) 12840 0 0 12468 htmvoc_12840.wav ヌングンジマ ⸢ヌングンジマ [⸢nuŋgunʤima] 名 山や川、水田などのない島。隆起珊瑚礁からなる島。⸢ヌーグニジマ[⸢nuːguniʤima](野国島)の転化した語。対義語は⸢タングンジマ[⸢taŋgunʤima](山や川、水田のある大きな島)。 パ⸢トゥ⸣マ フ⸢シ⸣マ タ⸢キ⸣ドゥン パ⸢ナ⸣リンドーレーヤ ⸢ヌングンジマ⸣ティ ア⸢ザリ ブー [pa⸢tu⸣ma ɸu⸢ʃi⸣ma tḁ⸢ki⸣dum pa⸢na⸣rindoːreːja ⸢nuŋgunʤima⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (鳩間、黒島、竹富、新城<パナリ>などはヌングンジマ<隆起珊瑚礁からなる島>といわれている) 12841 0 0 12469 htmvoc_12841.wav ヌンツァー ⸢ヌン⸣ツァー [⸢nun⸣ʦaː] 名 唾や水を誤飲して激しく咳き込むこと。 ⸢サー⸣バ ユ⸢クヌドー⸣ ウ⸢タ⸣シティ ⸢ヌン⸣ツァー ⸢シー ベー [⸢saː⸣ba ju⸢kunudoː⸣ ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ⸢nun⸣ʦaː ⸢ʃiː beː] (お茶を気管<別喉>に落として激しく咳き込んでいる) 12757 0 0 12470 htmvoc_12757.wav ヌンツァースン ⸢ヌンツァー⸣スン [⸢nunʦaː⸣suŋ] 他動 なまつば<生唾>を飲む。 ン⸢マー⸣ ムヌバ ⸣ミリティ ナー⸢イ ヌン⸣ツァー ⸢シー ベー [ʔm⸢maː⸣ munuba ⸣miriti naː⸢ji nun⸣ʦaː ⸢ʃiːbeː] (美味しいものを見て、ただ生唾を飲んでいる)。 ン⸢マー⸣ムヌ ⸣ミルカー ⸢チン⸣チ ⸢ヌンツァー ⸢スン⸣ダー [ʔm⸢maː⸣munu ⸣mirukaː ⸢ʧin⸣ʧi ⸢nun⸣ʦaː ⸢sun⸣daː] (美味しいものを見ると生唾を飲むよ)。 ⸢ヌンツァーサ⸣ヌ [⸢nunʦaːsa⸣nu] (生唾を飲まない)。 ⸢ヌンツァー⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nunʦaː⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (生唾を飲むことはない) 12842 0 0 12471 htmvoc_12842.wav ヌンティ ⸣ヌンティ [⸣nunti] 副 なぜ(何故)。どうして。原因・理由について不審、不満、疑問、詰問の意を表し、終助詞ワ[wa](か)と係り結ぶ。ヌー⸢スンティ[nuː⸢sunti](なぜ{EOS}どうして)ともいう。「~何とて我が身消え残りけむ」『源氏物語 橋姫』、「Nanitote.ナニトテ(何とて)なぜ、あるいは、どうして」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ⸣ヌンティ パ⸢ラン⸣ワ [⸣nunti pa⸢raŋ⸣wa] (何故行かないのか)。 ⸣アイブー ム⸢ヌ⸣バ ⸣ヌンティ ⸢カウワ [⸣ʔaibuː mu⸢nu⸣ba ⸣nunti ⸢kauwa] (あんな物を何故買うのか) 12843 0 0 12472 htmvoc_12843.wav ヌンティユー ⸣ヌンティユー [nuntijuː] 連 何故なのか。どういう訳か。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ヌンティユー ムッ⸢トゥ⸣ キモー ガ⸢ランバン [⸢kjuː⸣ja ⸣nuntijuː mut⸢tu⸣ kimoː ga⸢rambaŋ] (今日は何故なのか、ちっとも心が晴れないわい<気分がすぐれない>) 12844 0 0 12473 htmvoc_12844.wav ヌンティル ⸣ヌンティル [⸣nuntiru] 連 どういう訳で<ぞ>。何故に<ぞ>。「何とて・ぞ」の転訛。 ウ⸢レー⸣ ヌンティル ⸢クーン⸣ユー ワ⸢カラン⸣サー [ʔu⸢reː⸣ nuntiru ⸢kuːŋ⸣juː wa⸢karan⸣saː] (彼は何故に来ないのか分からないよ) 12845 0 0 12474 htmvoc_12845.wav ネーガー ⸢ネー⸣ガー [⸢neː⸣gaː] 名 びっこ(跛)。足の怪我で歩行の釣合いがとれないこと。また、その人。「跛、那閇久(なへぐ)」『和名抄』の連用形に接尾語ヤー[jaː](~する)が下接して形成された語。ナンゲー[naŋgeː](びっこ{EOS}<那閉久>の転訛)、⸣グーナー[⸣guːnaː](びっこ)ともいう。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ラ ⸣ウティティ ⸣パン ⸣ブリティ ⸢ネー⸣ガー ⸣ナリ ⸢ベー [⸢kiː⸣nu ⸢ʔui⸣ra ⸣ʔutiti ⸣pam ⸣buriti ⸢neː⸣gaː ⸣nari ⸢beː] (木の上から落ちて脚を折って<骨折して>、びっこになっている) 12846 0 0 12475 htmvoc_12846.wav ネーザラコーザラ ⸢ネー⸣ザラコーザラ [⸢neː⸣ʣarakoːʣara] 副 根掘り葉堀り。しつこく。「根浚え孔浚え」の転訛か。⸢ミー⸣ミカーミ[⸢miː⸣mikaːmi]ともいう。 ⸢ネー⸣ザラコーザラ フ⸢ジ⸣リ ⸢トゥイシキ ベー [⸢neː⸣ʣarakoːʣara ɸu⸢ʤi⸣ri ⸢tuiʃi̥ki beː] (根堀り葉堀りほじくって<穿って>問い尋ねている) 12847 0 0 12476 htmvoc_12847.wav ネーシウン ⸢ネーシウン [⸢neːʃiuŋ] 名 煮芋。煮た芋。ふかしいも(蒸かし芋)。ナ⸢マ⸣ウン[na⸢ma⸣ʔuŋ](生芋)の対義語。 ⸢ネーシウンバ⸣ イ⸢ビ⸣ラシ ⸢ピッツァ⸣シ ク⸢ニティ ウンヌ⸣イー ム⸢ローッ⸣タ [⸢neːʃiʔumba⸣ ʔi⸢bi⸣raʃi ⸢pitʦa⸣ʃi ku⸢niti ʔunnu⸣ʔiː mu⸢roːt⸣ta] (煮芋を大型杓文字で\ruby{潰}{ツブ}し\ruby{捏}{コネ}て、芋団子を握られた) 12848 0 0 12477 htmvoc_12848.wav ネーシジル ⸢ネーシジル [⸢neːʃiʤiru] 名 煮汁。煮出し汁。 イ⸢ズヌ ネーシジルバ⸣ トゥリシキティ ウ⸢リ⸣シ ⸢ダイ⸣クニ ⸢ネーシ⸣バ [ʔi⸢ʣunu neːʃiʤiruba⸣ turiʃi̥kiti ʔu⸢ri⸣ʃi ⸢dai⸣kuni ⸢neːʃi⸣ba] (魚の煮汁を取っておいて、それで大根を煮なさい) 12849 0 0 12478 htmvoc_12849.wav ネーシムヌ ⸢ネーシムヌ [⸢neːʃimunu] 名 にせもの(\ruby{偽物}{ニセ|モノ}、\ruby{贋物}{ガン|ブツ})。似せて作ったもの。贋作。偽造物。 ⸢ソームノー⸣ ア⸢ラ⸣ムティ ⸢ネーシムヌバ カーシ アー⸣クケン ⸢ズン⸣サン カ⸢サマリナー⸣ヌ [⸢soːmunoː⸣ ʔa⸢ra⸣muti ⸢neːʃimunuba kaːʃi ʔaː⸣kuŋken ⸢ʣun⸣saŋ kḁ⸢samarinaː⸣nu] (本物ではなくて贋物を売り歩いていると巡査に捕まってしまった) 12850 0 0 12479 htmvoc_12850.wav ネースン ⸢ネースン [⸢neːsuŋ] 他動 似せる。似させる。まねる。 ⸢ワー⸣ ム⸢ニ⸣バ ⸢ネースンティ スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ ネーサラヌ [⸢waː⸣ mu⸢ni⸣ba ⸢neːsunti sundu⸣ mut⸢tu neːsaranu] (君の言葉に似せよう<言葉を真似よう>とするが、ちっとも似せ<まね>られない)。 ⸣バー ⸢ジー ネーシ⸣ カキバ [⸣baː ⸢ʤiː neːʃi⸣ kḁkiba] (私の字に似せて<字を真似て>書きなさいよ)。 ⸢ワー ジー ネース⸣クトー ム⸢チ⸣キサンドゥ ⸢ネーサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː ʤiː neːsu⸣ ku̥toː mu⸢ʧi⸣kisandu ⸢neːsaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (君の字を似せる<真似る>ことは難しいが、似せ<真似>ないといけない)。 シカイ⸢トゥ ネーシェー⸣ ミサムヌ [ʃi̥kai⸢tu neːʃeː⸣ misamunu] (きちんと<しっかり>似せれ<真似れ>ばいいのに)。 ク⸢レー⸣ ヤー⸢ディン ネーシ [ku⸢reː⸣ jaː⸢din neːʃi] (これは必ず似せ<真似>ろ) 12851 0 0 12480 htmvoc_12851.wav ネースン ⸢ネースン [⸢neːsuŋ] 他動 煮る。魚や蛸、芋等を鍋に入れて水から沸騰させて煮る。「熟、ニユル・カシク」『類聚名義抄』の転訛。「にえ・す<煮え・す>」の変化を経たものか。「~あをな煮持ち来~。万、3825」と関係ある語か。 イ⸢ズ ネースン [ʔi⸢ʣu neːsuŋ] (魚を煮る)。 ⸣ウン ⸢ネースン [⸣ʔun ⸢neːsuŋ] (芋を煮る)。 ク⸢ヌ⸣ ナビナー ⸢ネーサラヌ [ku⸢nu⸣ nabinaː ⸢neːsaranu] (この鍋では煮られない)。 ⸢イー⸣ヤ ⸢タール ネーシタ [⸢ʔiː⸣ja ⸢taːru neːʃi̥ta] (ご飯は誰が煮た<炊いた>か)。 ⸢ネース⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢neːsu⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːnu] (煮る人がいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ネーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸢neːʃeː⸣ misamunu] (もっと煮ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ネーシ [⸢paː⸣ku ⸢neːʃi] (早く煮ろ)。 ⸣イー バ⸢カスン [⸣ʔiː ba⸢kasuŋ] (ご飯を炊く)。 ⸣スー バ⸢カスン [⸣suː ba⸢kasuŋ] (お汁を炊く)。 ⸢カイ⸣ タ⸢クン [⸢kai⸣ tḁ⸢kuŋ] (お粥を炊く)。⸢カシ⸣キ ⸢アーラスン[⸢kaʃi̥⸣ki ⸢ʔaːrasuŋ](甑でこわめし<強飯>を蒸し煮する<ふかす>)ともいう 12852 0 0 12481 htmvoc_12852.wav ネーラ ⸢ネーラ [⸢neːra] 名 右。右側。「みぎり」の転訛か。「左みぎりに着座して~」『謡曲・草子洗い』。 ⸢ネーラー マーリ⸣バ [⸢neːraː maːri⸣ba] (右側へ回りなさいよ) 12853 0 1 12482 htmvoc_12853.wav ネーラ ネー⸢ラ [neː⸢ra] 終助 尊敬の終助詞。疑問、尋ねを表す。明治生まれの古老が用いる。~ですか。~ますか。~でございますか。{Mn_1}尊敬動詞の終止形に付く。 ⸢コー⸣チョーシンシー⸢ワンヌン⸣ カ⸢コー⸣ルンネー⸢ラ [⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiː ⸢wannuŋ⸣ kḁ⸢koː⸣run neː⸢ra] (校長先生、貴方もお書きになられますか)。 12853 0 2 12483 htmvoc_12853.wav ネーラ ネー⸢ラ [neː⸢ra] 終助 {Mn_2}係り結びの場合は連体形に付く。 ⸢タール⸣ カ⸢コー⸣ル ネー⸢ラ [⸢taːru⸣ kḁ⸢koː⸣ru neː⸢ra] (誰がお書きになられますか)。 12853 0 3 12484 htmvoc_12853.wav ネーラ ネー⸢ラ [neː⸢ra] 終助 {Mn_3}疑問代名詞や指示代名詞などに付く。 ⸢ワー⸣ ア⸢ゾーッ⸣タ ⸣ムノー ⸣ヌー ネー⸢ラ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣoːt⸣ta ⸣munoː ⸣nuː neː⸢ra] (貴方がおっしゃったものは何でございますか)。 ク⸢リ⸣ ネー⸢ラ [ku⸢ri⸣ neː⸢ra] (これでございますか) 12856 0 0 12485 htmvoc_12856.wav ネーラールウヤキ ⸢ネーラー⸣ル ウ⸢ヤ⸣キ [⸢neːraː⸣ru ʔu⸢ja⸣ki] 連 粘り強いことこそが金持ち。<諺>「何事も粘り強く続けることが成功の秘訣である」の意味。 ⸢アールヌ⸣ ムティン ピ⸢ナルンティル⸣ アル⸢ダー ネーラー⸣ル ウ⸢ヤ⸣キ ヤ⸢リバ⸣ ヤ⸢ミルナ⸣ヨー [⸢ʔaːrunu⸣ mutim pi⸢naruntiru⸣ ʔaru⸢daː neːraː⸣ru ʔu⸢ja⸣ki ja⸢riba⸣ ja⸢miruna⸣joː] (蟻が持っても減る<塵も積もれば山となる>というよ{EOS}粘り強いことが金持ちだから、止めるなよ) 12854 0 0 12486 htmvoc_12854.wav ネーラーン ⸢ネー⸣ラーン [⸢neː⸣raːŋ] 形 熱心なさま。勤勉なさま。入念に行うさま。細心に行うさま。綿密に行うさま。細部に気を配って仕事をするさま。しつこいさま。 ウ⸢レー⸣ シ⸢グトゥ⸣ナー ⸢ネー⸣ラーンダ イッ⸢カ⸣ ア⸢サバヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃi⸢gutu⸣naː ⸢neː⸣raːnda ʔik⸢ka⸣ ʔa⸢sabanu] (彼は仕事には熱心<入念>であるから、決して遊ばない)。 ⸣アッパー イ⸢ソーフジリ ネー⸣ラー ア⸢ロー⸣ルンダ ⸣ユー ⸣タク トゥ⸢ロー⸣ルン [⸣ʔappaː ʔi⸢soːɸuʤiri neː⸣raː ʔa⸢roː⸣runda ⸣juː ⸣tḁku tu⸢roː⸣ruŋ] (お祖母さんは潮干狩りが入念で熱心であられるから、よく蛸を獲られる)。 ⸣アイニ ⸢ネー⸣ラー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢neː⸣raː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに仕事に入念で熱心な人はいない)。 ア⸢マ⸣ヌ ⸢ネー⸣ラーティ シ⸢グトー ⸢ニーバー⸣タ [ʔa⸢ma⸣nu ⸢neː⸣raːti ʃi⸢gutoː niːbaː⸣ta] (あまりにも入念過ぎる<細かく仕事をする>ので仕事は遅かった) 12855 0 0 12487 htmvoc_12855.wav ネーランケーリ ⸢ネーランケー⸣リ [⸢neːraŋkeː⸣ri] 副 熱心に。入念に。細やかに。まめまめしく。一生懸命。精根をこめて。 ⸣アッパー ⸢ネーランケー⸣リ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサ ⸢ソールンティル オー⸣ル [⸣ʔappaː ⸢neːraŋkeː⸣ri pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssa ⸢soːruntiru ʔoː⸣ru] (お祖母さんは熱心に畑の草を取ろう<さくる、\ruby{刳}{サク}り取ろう>としておられる) 12857 0 0 12488 htmvoc_12857.wav ノー ⸢ノー [⸢noː] 名 脳。脳髄。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸢ノー⸣ ア⸢ガル⸣カー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [ni⸢ʧi⸣nu ⸢noː⸣ ʔa⸢garu⸣kaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (熱が脳に上がると大変だぞ) 12858 0 0 12489 htmvoc_12858.wav ノー ⸣-ノー [⸣-noː] 終助 ~<ない>か。打消しの助動詞⸣-ヌ[⸣-nu](~ない)の終止形に付いて反語確認の意味を表す。 ⸣メー ⸣ウビ イ⸢ズ⸣カー ⸣ミサー ⸢ナーン⸣ノー [⸣meː ⸣ʔubi ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸣misaː ⸢naːn⸣noː] (もう、これだけ叱ったらば良いのではないか)。 ⸢ピッ⸣チン カ⸢ラー ナーン⸣ワー ⸢ナーン⸣ノー [⸢pit⸣ʧiŋ ka⸢raː naːŋ⸣waː ⸢naːn⸣noː] (ちっとも辛くないではないか) 12860 0 0 12490 htmvoc_12860.wav ノーサバン ⸣ノー ⸢サバン [⸣noː ⸢sabaŋ] 連 何をしようと。何をしても。ノー(何を)+⸢\ruby{為}{ス}る」の未然形+逆接の接続助詞バン(~ても)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣ノー ⸢サバン⸣ ミサン ⸢ワー カッティ [⸢kjuː⸣ja ⸣noː ⸢sabam⸣ misaŋ ⸢waː katti] (今日は何をしてもよい{EOS}君の勝手だ) 12859 0 0 12491 htmvoc_12859.wav ノーサン ノー⸢サン [noː⸢saŋ] 副 しばしば~。たびたび~。幾度も~。動詞を修飾して、くり返す悪い動作内容を予告する。 ⸢ワー⸣ ノー⸢サン カッティニ バン⸣テヌ ⸢ドン⸣グ シゥ⸢カイ ブー⸣ティバン⸢ナー [⸢waː⸣ noː⸢saŋ kattini ban⸣tenu ⸢doŋ⸣gu si̥⸢kai buː⸣tiban⸢naː] (君は、しばしば勝手に我が家の道具を使っているんだってなあ) 12861 0 0 12492 htmvoc_12861.wav ノーサンクイサン ノー⸢サンクイサン [noː⸢saŋkuisaŋ] 副 しばしば~。良くないことを予告して、詰問の意を表す。ABCDEFCD型の重言。強調表現。 ⸢ワー⸣ ノー⸢サン クイサン⸣ シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ア⸢サビ ブー⸣ティバン⸢ナー [⸢waː⸣ noː⸢saŋkuisaŋ⸣ ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔa⸢sabi buː⸣tiban⸢naː] (君は、しばしば仕事はしないで遊んでいるんだってなあ) 12862 0 0 12493 htmvoc_12862.wav ノージ ⸢ノー⸣ジ [⸢noː⸣ʤi] 名 名字。その家に伝わる家の名前。姓名。首里方言のnoozi(名字)からの借用語。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸢ノー⸣ジェー ⸣ヌーティ ア⸢ル⸣ワ [⸢wat⸣tenu ⸢noː⸣ʤeː ⸣nuːti ʔa⸢ru⸣wa] (貴方の家の名字は何という<ある>か) 12865 0 0 12494 htmvoc_12865.wav ノーシシン ノー⸢シ⸣シン [noː⸢ʃi⸣ʃiŋ] 副 何としても。どうしても。どのような手段を尽くしても。絶対に。義務や任務の必要性が断定的に述語に係って強意の陳述を表す。 ク⸢ヌ⸣ クトー ノー⸢シ⸣シン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ku̥toː noː⸢ʃi⸣ʃin ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (このことは、何としてもしなければならない) 12866 0 0 12495 htmvoc_12866.wav ノーシタンティン ⸢ノー⸣シタンティン [⸢noː⸣ʃi̥tantiŋ] 副 何といったって。どうしても。誰が何と言おうと。ある事柄を強調する際に用いる表現。 ⸢ノー⸣シタンティン ウ⸢ビ⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣キプスル ヤ⸢ルムヌ⸣ ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ナ⸢リ⸣ス [⸢noː⸣ʃi̥tantiŋ ʔu⸢bi⸣nu ʔu⸢ja⸣kipu̥suru ja⸢rumunu⸣ ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː na⸢ri⸣su] (何といったってあれだけの大金持ちだもの、それぐらいのことはできるよ)。 ⸢ノー⸣シタンティン ウ⸢リヌ⸣ スコー ⸢シーユーサヌ [⸢noː⸣ʃi̥tantiŋ ʔu⸢rinu⸣ su̥koː ⸢ʃiːjuːsanu] (どうしたって彼のようにはできない<成しえない>) 12867 0 0 12496 htmvoc_12867.wav ノーシムヌ ⸢ノーシ⸣ムヌ [⸢noːʃi⸣munu] 名 修理品。修理すべき物。 ⸢ノーシ⸣ムノー ⸢ノー⸣シティル シ⸢グトー スー [⸢noːʃi⸣munoː ⸢noː⸣ʃi̥tiru ʃi⸢gutoː suː] (修理品は修理してから仕事はするものだ) 12868 0 0 12497 htmvoc_12868.wav ノーシン ノー⸢シン [noː⸢ʃiŋ] 副 いずれにしても。いずれにせよ。どの道。どっちみち。どうせ。ある事態を決め込んで投げやりな気持ちを表す語。 ノー⸢シン⸣ バー ⸣ムネー ス⸢コーラ⸣ンダ ア⸢ザンモー⸣ マ⸢シ [noː⸢ʃim⸣ baː ⸣muneː su̥⸢koːra⸣nda ʔa⸢ʣammoː⸣ ma⸢ʃi] (どうせ私の言うことはお聞きにならないから、言わない方がましだ)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトー ノー⸢シン⸣ サ⸢クシ⸣ヌ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣パジ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥toː noː⸢ʃin⸣ sḁ⸢kuʃi⸣nu ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣paʤi] (親のことは、いずれにしても長男がしないといけないだろう)。 ギュー⸢サ⸣ ア⸢ザバン⸣ ウ⸢リノー⸣ ノー⸢シン⸣ シゥ⸢カン⸣パジ [gjuː⸢sa⸣ ʔa⸢ʣaban⸣ ʔu⸢rinoː⸣ noː⸢ʃin⸣ sï̥⸢kam⸣paʤi] (いくら言っても、どの道彼がは聞かない<はず>だろう) 12869 0 0 12498 htmvoc_12869.wav ノーシンクイシン ノー⸢シンクイシン [noː⸢ʃiŋkuiʃiŋ] 副 いずれにしても。どの道。結局。「何しても、これしても」の義。ノー⸢シン[noː⸢ʃiŋ](何しても)の強調表現で、ABCDEFCD型の重言。 ク⸢レー⸣ ノー⸢シンクイシン サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ン シ⸢グトゥ⸣ ヤ⸢ルンデー⸣カー ⸢ダンダン⸣シ カ⸢タジキリバ⸣ル マ⸢シ [ku⸢reː⸣ noː⸢ʃiŋkuiʃin saŋ⸣kaː na⸢ra⸣ŋ ʃi⸢gutu⸣ ja⸢rundeː⸣kaː ⸢dandaŋ⸣ʃi kḁ⸢taʤikiriba⸣ru ma⸢ʃi] (これはいずれにせよ、<結局>やらなければならない仕事であるなら、さっさと片付けたほうが良い) 12863 0 0 12499 htmvoc_12863.wav ノースン ⸢ノー⸣スン [⸢noː⸣suŋ] 他動 液体を一気に\ruby{零}{コボ}す。器物の中のものを一気に他へ移す。 ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジェー ノー⸣スンティ ⸢スンドゥ グッふァ⸣ヌ ⸢ノーサラヌ [⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤeː noː⸣sunti ⸢sundu guffa⸣nu ⸢noːsara⸣nu] (担桶の水は一気に零そうとするが、重くて零されない)。 ⸢ノー⸣シ シ⸢ティ⸣ ミサカー ⸢ノー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルンン [⸢noː⸣ʃi ʃi̥⸢ti⸣ misakaː ⸢noː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (零して捨ててよければ、零すことはできる)。 ⸢ノー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢noː⸣ʃeː ⸣misamunu] (零せばいいのに)。 ⸣クナー ⸢ノー⸣シ [⸣kunaː ⸢noː⸣ʃi] (ここに零せ)。 ⸢ウーキ⸣ヌ ミ⸢ジ ノー⸣スンティ ⸢スンドゥ ノーサラ⸣ヌ [⸢ʔuːki⸣nu mi⸢ʤi noː⸣sunti ⸢sundu noːsara⸣nu] (桶の水を零そうとするが、零されない)。 ⸣クナー ⸢ノー⸣シ ⸣ミサン [⸣kunaː ⸢noː⸣ʃi ⸣misaŋ] (ここに零してもいい)。 ⸣クナー ⸢ノー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaː ⸢noː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここに零すことはできない)。 ⸢ノー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢noː⸣ʃeː ⸣misamunu] (零せばいいのに)。 ⸢パーク ⸢ノー⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢noː⸣ʃi] (早く零せ) 12871 0 1 12500 htmvoc_12871.wav ノースン ⸢ノー⸣スン [⸢noː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}\ruby{治}{ナオ}す。\ruby{癒}{イヤ}す。古老は⸢ナウ⸣スン[⸢nau⸣suŋ](治す)という。 ⸢ヤン⸣マー ⸢パー⸣ク ⸢ノー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ノーサラ⸣ヌ [⸢jam⸣maː ⸢paː⸣ku ⸢noː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ⸢noːsara⸣nu] (病気は早く治そうと思うが、今は治されない)。 ク⸢レー ノーシ ヤッ⸣サン [ku⸢reː noːʃijas⸣saŋ] (これは治しやすい)。 ⸣クナーテー ⸢ノー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaːteː ⸢noː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここでは治すことはできない)。 ⸢ヤン⸣マー ⸢ノー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢jam⸣maː ⸢noː⸣ʃeː ⸣misamunu] (病気は治せばいいのに)。 ヤー⸢ディン ノー⸣シ [jaː⸢din noː⸣ʃi] (きっと<必ず>治せ)。 12871 0 2 12501 htmvoc_12871.wav ノースン ⸢ノー⸣スン [⸢noː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}直す。修理する。 カ⸢ナパイヌ ユイヤー ノー⸣シ シ⸢キ⸣リ [ka⸢napainu juijaː noː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (鍬の柄は直して<修理して>おきなさい)。 12871 0 3 12502 htmvoc_12871.wav ノースン ⸢ノー⸣スン [⸢noː⸣suŋ] 他動 {Mn_3}複合動詞をつくる。動詞の連用形に付いて、⸢~し直す」の意を表す。 カ⸢キ⸣ヤビ ⸣シケー ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ カ⸢キノー⸣シ [kḁ⸢ki⸣jabi ⸣ʃi̥keː ⸣munoː muː⸢ru⸣ kḁ⸢ki noː⸣ʃi] (書き損じてあるものは総て書き直せ) 12872 0 0 12503 htmvoc_12872.wav ノーラシミーラシ ⸢ノーラ⸣シ ⸢ミーラシ [⸢noːra⸣ʃi ⸢miːraʃi] 連 豊年満作にして。稲の穂を完熟させ、芋類の実<地下茎>を太らせる。⸢稔らせ、実入らせる」の義 12873 0 0 12504 htmvoc_12873.wav ノーラスン ⸢ノーラ⸣スン [⸢noːra⸣suŋ] 他動 稔らせる。⸢ノー⸣ルン[⸢noː⸣ruŋ](稔る)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が下接して形成された使役動詞。 ク⸢ヌ⸣ ターナ ⸢マイバ⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢ノーラ⸣スンティ ⸢ベー [ku⸢nu⸣ taːna ⸢maiba⸣ su̥⸢ku⸣ri⸢noːra⸣sunti ⸢beː] (この田圃で稲を作って稔らせようとしている) 12874 0 0 12505 htmvoc_12874.wav ノーリオシキ ⸢ノーリオシ⸣キ [⸢noːriʔoʃi̥⸣ki] 名 晴天。良い天気。⸢ノーリオシ⸣キ[⸢noːriʔoʃi̥⸣ki](直り・天気)の義。ヤ⸢ブリオシ⸣キ[ja⸢buriʔoʃi̥⸣ki](悪天候)の対義語。 ⸢ノーリオシ⸣キ ⸣ナリケーン [⸢noːriʔoʃi̥⸣ki ⸣narikeːŋ] (晴天<良い天気>になってきた) 12875 0 0 12506 htmvoc_12875.wav ノーリパヤーン ⸢ノーリパヤー⸣ン [⸢noːripajaː⸣ŋ] 形 治り易い。「治り早い」の義。⸢ノー⸣ルン[⸢noː⸣ruŋ](治る)の連用形に、形容詞パ⸢ヤー⸣ン[pa⸢jaː⸣ŋ](早い)が下接して形成された派生形容詞。 ⸣ドゥガイ サキティ キ⸢ジ⸣ ッ⸢ス⸣ミ ⸣スクカー ⸢ノーリパヤー⸣ン [⸣dugai ⸣sḁkiti ki⸢ʤi⸣ s⸢su⸣mi ⸣su̥kukaː ⸢noːripajaː⸣ŋ] (アロエ<\ruby{蘆}{ロ}かい>を割いて傷を包んでおくと治り早い) 12876 0 0 12507 htmvoc_12876.wav ノーリユー ⸢ノーリ⸣ユー [⸢noːri⸣juː] 名 豊年。豊作。「稔り世」の義。 マ⸢サルユー [ma⸢sarujuː] (勝る世{EOS}今年以上の豊年)。⸢ノー⸣ルン[⸢noː⸣ruŋ](稔る)の連用形に名詞⸢ユー[juː](世)が付いて形成された複合名詞。呪言や古謡で多く用いられる。 ⸢エン⸣マー ク⸢トゥシ⸣ マ⸢サルヌ ノーリ⸣ユー ン⸢カイヨー⸣ラ [⸢jem⸣maː ku̥⸢tuʃi⸣ ma⸢sarunu noːri⸣juː ʔŋ⸢kaijoː⸣ra] (来年は今年以上の豊年を迎えましょう) 12877 0 0 12508 htmvoc_12877.wav ノーリユーサナ ⸢ノーリユーサ⸣ナ [⸢noːrijuːsa⸣na] 連 治りえずに。病気や怪我が治りえないで。⸢ノーリユー⸣スン[⸢noːrijuː⸣suŋ](治ることができる{EOS}治り得る)の未然形に打消しの助動詞ヌ[nu](ず{EOS}ない)の連用形ナ[na](ずに{EOS}ないで)の付いた形。 ⸢ヤン⸣マイ ⸢ノーリユーサ⸣ナ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸣イサン ミ⸢シユーサン⸣ツォー [⸢jam⸣mai ⸢noːrijuːsa⸣na ⸢beːn⸣du ⸣ʔisam mi⸢ʃijuːsa⸣nu] (病気が治りえないでいるのに、医者に見せることができない) 12878 0 0 12509 htmvoc_12878.wav ノール ⸢ノー⸣ル [⸢noː⸣ru] 名 屋根の桁材と⸣キチ[⸣ki̥ʧi]を固定するために使われるもの。桁と桁の間に横に渡してキチを結わえ、固定するもの。キチの直ぐなものを選んで使った 12879 0 0 12510 htmvoc_12879.wav ノールマイルフベーブル ⸢ノー⸣ル ⸢マイル⸣ フ⸢ベー⸣ ブル [⸢noː⸣ru ⸢mairu⸣ ɸu⸢beː⸣ buru] 連 実る稲は頭を垂れる。⸢稔る稲が首を折る」の義。中身の充実した人は頭を低くして謙遜する。<諺> 12880 0 0 12511 htmvoc_12880.wav ノールン ⸢ノー⸣ルン [⸢noː⸣ruŋ] 自動 治る。治癒する。(直る)。壊れたものが直る。元通りに回復する。古老は、⸢ナウ⸣ルン[⸢nau⸣ruŋ](治る{EOS}実る{EOS}稔る)という。 イ⸢サ⸣ヌ フ⸢チ⸣ル ⸣ヌムカー ⸢ヤン⸣マー ⸢ノー⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ マ⸢ダ ノーラン⸣サー [ʔi⸢sa⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numukaː ⸢jam⸣maː ⸢noː⸣runti ⸢sundu⸣ ma⸢da noːran⸣saː] (医者の薬を飲むと病気は治るというが、まだ治らないよ)。 キ⸢ジェー ノーリ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [ki⸢ʤeː noːri⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (傷は治り易い<直り早い>)。 シゥカイ⸢トゥ ノー⸣ル ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ン⸢メーマンツァン ノー⸣レー ⸣ミサムヌ [sï̥kai⸢tu noː⸣ru ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ʔm⸢meːmanʦan noː⸣reː ⸣misamunu] (完全に<しかと>治ることはないが、少しでも治ればいいのに)。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌミティ ⸢パー⸣ク ⸢ノー⸣リバ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numiti ⸢paː⸣ku ⸢noː⸣riba] (薬を飲んで早く治りなさいよ) 12881 0 0 12512 htmvoc_12881.wav ノールン ⸢ノー⸣ルン [⸢noː⸣ruŋ] 自動 作物が実る。豊作になる。 ⸢マイヤー⸣ イッ⸢ケナ ⸢ノー⸣レーン [⸢maijaː⸣ ʔik⸢kena noː⸣reːŋ] (米<稲>は非常によく実っている)。 ク⸢トゥシン マイヤー ノー⸣ルンパジ [ku̥⸢tuʃim maijaː noː⸣rumpaʤi] (今年も米<稲>は稔るだろう) 12882 0 0 12513 htmvoc_12882.wav ノーン ノー⸢ン [noː⸢ŋ] 副 何も。何でも。みな。下にくる打消しの語と呼応して、「少しも~ない。全く~ない」の意を表す。 ⸣クナー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [⸣kunaː noː⸢n naː⸣nu] (ここには何も無い)。 ノー⸢ン カイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [noː⸢ŋ kai⸣jaː ⸢naː⸣nu] (ちっとも<何も>美しくない)。 ウ⸢リヌ⸣ ケーラー ノー⸢ン⸣ ヌ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ keːraː noː⸢n⸣ nu⸢kara⸣nu] (彼が来たら何も残らない)。 ⸣バー ノー⸢ン⸣ ア⸢ザヌ [⸣baː noː⸢ŋ⸣ ʔa⸢ʣanu] (私は何も言わない) 12883 0 0 12514 htmvoc_12883.wav ノーンガサ ノー⸢ンガサ [noː⸢ŋgasa] 連 何か。何らか。何かしら。内容や実態が特定できない物事、未知の物事を指す。 ノー⸢ンガサ⸣ ッ⸢ふァーリ ムノー⸣ ナー⸢ヌー [noː⸢ŋgasa⸣ f⸢faːri munoː⸣ naː⸢nuː] (何か食えるものはないか)。 ノー⸢ンガサ ミシ⸣キ ⸣クーバ [noː⸢ŋgasa miʃi̥⸣ki ⸣kuːba] (何かを探してこいよ) 12884 0 0 12515 htmvoc_12884.wav ノーンコーレー ⸣ノーンコーレー [⸣noːŋkoːreː] 名 なにもかも(何も彼も)。何事も。総て。 ⸣ノーンコーレー ス⸢コーレー⸣ティ ⸢ソッ⸣コーン シ⸢ミ オーラ⸣シバ [⸣noːŋkoːreːn su̥⸢koːreː⸣ti ⸢sok⸣koːŋ ʃi⸢mi ʔoːra⸣ʃiba] (何もかも、総て準備して法事<焼香>をさせて差し上げなさいよ) 12885 0 0 12516 htmvoc_12885.wav ノーンシタンティン ⸢ノーン⸣シタンティン [⸢noːŋ⸣ʃi̥tantiŋ] 副 いずれにしても。どうしても。どの道。結局。「何としても」の義。 ク⸢レー ノーン⸣シタンティン ⸢ワー サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː noːŋ⸣ʃi̥tantiŋ ⸢waː saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (これは、どうしても君がしなければならない) 12886 0 0 12517 htmvoc_12886.wav ノーンティ ノー⸢ンティ [naoː⸢nti] 副 何と~<とも>~、どのように~<とも>~、いかように(如何様に)~<とも>~の形で下に程度を強調する逆接の条件句を続け、文末の打ち消し表現と呼応した強調表現をす作る。 ⸢ワー⸣ ノー⸢ンティ⸣ ア⸢ゾーラ⸣バン ⸣バー パ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ noː⸢nti⸣ ʔa⸢ʣoːra⸣bam ⸣baː pa⸢ra⸣nu] (貴方が何と言われても私は行かない) 12887 0 0 12518 htmvoc_12887.wav ノーンティン ノー⸢ンティン [noː⸢ntiŋ] 副 なんとも。なにごととも。文末に打ち消しの語を伴って、「何とも<全く>~ない」の意を表す。 イ⸢コーラ⸣ イ⸢ゾーッ⸣タンティン ⸣バー ノー⸢ンティン⸣ ウ⸢モー⸣ヌ [ʔi⸢koːra⸣ ʔi⸢ʣoːt⸣tantim ⸣baː noː⸢ntiŋ⸣ ʔu⸢moː⸣nu] (いくらお叱りになっても、私はなんとも思わない) 12888 0 0 12519 htmvoc_12888.wav ノーンティンアザランスコー ノー⸢ンティン⸣ ア⸢ザラン⸣スコー [noː⸢ntiŋ⸣ ʔa⸢ʣaran⸣su̥koː] 連 何とも言えないほど。 ウ⸢リバ⸣ シ⸢キティ⸣ ノー⸢ンティン⸣ ア⸢ザラン⸣スコー サ⸢ニ⸣ヤタンツォー [ʔu⸢riba⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ noː⸢ntiŋ⸣ ʔa⸢ʣaran⸣su̥koː sa⸢ni⸣jatanʦoː] (それを聞いて何とも言えないほどれしかったそうだ) 12889 0 0 12520 htmvoc_12889.wav ノーンティンクイティン ノー⸢ンティン クイティン [noː⸢ntiŋ kuitiŋ] 連 うんともすんとも~ない。ほんの一言も~ない。文末に打消しの語を伴う。 ノー⸢ンティン クイティン ナー⸣ヌ [noː⸢ntiŋ kuitin naː⸣nu] (うんともすんともない)。 ウ⸢ヌ⸣ スク ⸢トゥイ⸣ ス⸢クバン⸣ ノー⸢ンティン クイティン ピントーン サヌ [ʔu⸢nu⸣ su̥ku ⸢tui⸣ su̥⸢kuban⸣ noː⸢ntiŋ kuitim pintoːn sanu] (あれほど問い尋ねても、うんともすんとも、返答もしない) 12890 0 0 12521 htmvoc_12890.wav ノーンナーカ ノー⸢ンナー⸣カ [noː⸢nnaː⸣ka] 連 何か。何らか。代名詞に特定できない事物や出来事を表す語、⸢ナー⸣カ[⸢naː⸣ka](など)が付いて形成された語。 ノー⸢ンナー⸣カ ッ⸢ふァイムノー ナー⸢ヌー [noː⸢nnaː⸣ka f⸢faimunoː naː⸢nuː] (何か食い物はないか)。 ノー⸢ンナー⸣カ ⸢バシキ ブラー⸢ヌー [noː⸢nnaː⸣ka ⸢baʃi̥ki bu⸢raːnuː] (何か忘れていないか) 12891 0 0 12522 htmvoc_12891.wav ノーンナーヌ ノー⸢ン ナー⸣ヌ [noː⸢n naː⸣nu] 連 何も無い。 ⸢ジン⸣マー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [⸢ʤim⸣maː noː⸢n naː⸣nu] (お金は何もない) 12892 0 0 12523 htmvoc_12892.wav ノンカー ⸢ノン⸣カー [⸢noŋ⸣kaː] 名 のんき者(呑気者)。標準語の「呑気」に接尾語⸣ヤー[⸣jaː](~者)が下接して形成された語。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸢ノン⸣カー ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン ソーヤナーン⸣ パジ⸢ダー [⸢ʔureː sak⸣koː ⸢noŋ⸣kaː ja⸢runda⸣ noː⸢n soːjanaːm⸣ paʣi⸢daː] (彼は非常に呑気者だから、何の心配も無いはずだよ) 12896 0 1 12524 htmvoc_12896.wav バ ⸣バ [⸣ba] 接助 {Mn_1}~ば。~たら。未然形に接続して仮定条件を表す。 ⸣ムニ イ⸢ザバ⸣ チ⸢チシミ⸣ フ⸢チヌ⸣ フカー ン⸢ザス⸣ナ⸢ヨー [⸣muni ʔi⸢ʣaba⸣ ʧi̥⸢ʧiʃimi⸣ ɸu̥⸢ʧinu⸣ ɸu̥kaː ʔn⸢ʣasu⸣na⸢joː] (ものを言う時は慎み深く慎重に、むやみやたらと口外するではないよ)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーバ⸣ル ⸣カザン イ⸢ビラリル [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːba⸣ru ⸣kaʣaŋ ʔi⸢birariru] (雨が降らないと<降らばぞ>芋蔓も植えられない<植えられる>)。 ⸢ワー⸣ サ⸢バ マービ スンティ⸣ マティ ⸢ブー⸣ プ⸢スン ブン⸣ダー [⸢waː⸣ sa⸢ba maːbi sunti⸣ mati ⸢buː⸣ pu̥⸢sum bun⸣daː] (君がしたら真似しようと待っている人もいるよ)。 12896 0 2 12525 htmvoc_12896.wav バ ⸣バ [⸣ba] 接助 {Mn_2}~ので。~から。已然形に接続して確定条件を表す。 ⸣クマー ⸣バー ⸢カイ⸣シェーバ ⸢ワー⸣ カマ ⸢カイ⸣シバ [⸣kumaː ⸣baː ⸢kai⸣ʃeːba ⸢waː⸣ kama ⸢kai⸣ʃiba] (ここは私が耕したから、君はあそこを耕しなさい)。 ク⸢モマティル⸣ シ⸢マ⸣ヤ カ⸢フ⸣ヌ ⸣シマ ヤ⸢リバ⸣ ウ⸢フダキ⸣バ ク⸢サティ⸣ シ⸢ルパマ⸣バ ⸣マイナシ [ku⸢momatiru⸣ ʃi⸢ma⸣ja kḁ⸢ɸu⸣nu ⸣ʃima ja⸢riba⸣ ʔu⸢ɸudaki⸣ba ku̥⸢sati⸣ ʃi⸢rupama⸣ba ⸣mainaʃi] (小浜という島は果報の島であるから、大岳を腰当にして白浜を前にして)(小浜節) 12897 0 0 12526 htmvoc_12897.wav バ ⸣バ [⸣ba] 終助 ~よ。動詞の命令形に下接して話者の強い意志をあらわす。 ⸣クマー ⸢ワー カイ⸣シバ [⸣kumaː ⸢waː kai⸣ʃiba] (ここは君が耕しなさいよ)。 ⸢パー⸣ク ⸣パリバ [⸢paː⸣ku ⸣pariba] (早く行けよ)。 ⸣マー ン⸢ベーマ ヨーンナ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣maː ʔm⸢beːma joːnna⸣ f⸢fai⸣ba] (もう少しゆっくり食べなさいよ)。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢マーズン⸣ クーバ [⸢kjuː⸣ja ⸢maːʣuŋ⸣ kuːba] (今日は一緒に来なさいよ)。 ⸢ワー⸣ カキバ [⸢waː⸣ kḁkiba] (君が書けよ)。 ⸣カー ⸣パギバ [⸣kaː ⸣pagiba] (皮を剥げよ)。 ⸣クマーラ トゥ⸢ビ⸣バ [⸣kumaːra tu⸢bi⸣ba] (ここから飛べよ)。 ン⸢ベーマ⸣ マティバ [ʔm⸢beːma⸣ matiba] (少し待てよ)。 ⸢コー⸣マ シ⸢ダ⸣シバ [⸢koː⸣ma ʃi⸢da⸣ʃiba] (卵を孵化さ<産ま>せよ)。 ⸣ドゥーシ ⸢シー⸣バ [⸣duːʃi ⸢ʃiː⸣ba] (自分でしなさいよ)。 ⸢クン⸣ドー ⸢ワー⸣ カチバ [⸢kun⸣doː ⸢waː⸣ kḁʧiba] (今度は君が勝ちなさいよ)。 ミ⸢ジ⸣ナー ⸢ヌッふィ⸣バ [mi⸢ʤi⸣naː ⸢nuffi⸣ba] (水に浸しなさいよ)。 ティ⸢ガ⸣ミ ⸣ユミバ [ti⸢ga⸣mi ⸣jumiba] (手紙を読みなさいよ)。 シ⸢ニ⸣バ [ʃi⸢ni⸣ba] (死ねよ)。 ⸣ドゥーシ ⸣トゥリバ [⸣duːʃi ⸣turiba] (自分で取れよ)。 ⸣キン ア⸢ライ⸣バ [⸣kiŋ ʔa⸢rai⸣ba] (着物を洗えよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢カイ⸣バ [⸢maː⸣biŋ ⸢kai⸣ba] (もっと買えよ)。 ⸣ヤク ⸣クイバ [⸣jaku ⸣kuiba] (櫂を漕げよ)。 ⸢ワー⸣ ナー⸢イ⸣ ウナー ⸢ベー⸣リバ [⸢waː⸣ naː⸢i⸣ ʔunaː ⸢beː⸣riba] (君はずっとここに居れよ) 12898 0 1 12527 htmvoc_12898.wav バ ⸣バ [⸣ba] 格助 {Mn_1}~を。対格(目的格)。体言またはそれに準ずる語に付く。他動詞と対応して対格をあらわす。 イ⸢ズバ ホー⸣シ ⸣キー ナ⸢マ⸣シ ⸣キシ [ʔi⸢ʣuba hoː⸣ʃi ⸣kiː na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥ʃi] (魚を釣ってきて刺身にしなさい<刺身を切れ>)。 ⸢ヌー⸣バ ⸢カウター [⸢nuː⸣ba ⸢kautaː] (何を買ったのか)。 ⸢ティー⸣バ ⸣ウティ サ⸢ニ⸣ヤ ⸢シーベー<ティッツァー シーベー> [⸢tiː⸣ba ⸣ʔuti sa⸢ni⸣ja ⸢ʃiːbeː] (手を打って喜んでいる)。 ス⸢ムチ⸣バ ⸢カイ⸣キー ⸣ユミバ [su⸢muʧi⸣ba ⸢kai⸣kiː ⸣jumiba] (書物を買ってきて読めよ)。 12898 0 2 12528 htmvoc_12898.wav バ ⸣バ [⸣ba] 格助 {Mn_2}はだか格。他動詞が述語となる際、多くの場合、名詞がはだかのままで対格を表す。 イ⸢ズ ホー⸣スン [ʔi⸢ʣu hoː⸣suŋ] (魚を釣る)。 パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スン [pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣suŋ] (畑を耕す)。 ⸢ジー⸣ カクン [⸢ʤiː⸣ kḁkuŋ] (字を書く)。 ス⸢ム⸣チ ⸣ユムン [su⸢mu⸣ʧi ⸣jumuŋ] (書物を読む) 12901 0 0 12529 htmvoc_12901.wav バー ⸣バー [⸣baː] 代 わたし。自分。一人称。単数。「吾・我、~和我多知久礼婆<吾が立ち来れば>~和波漕ぎ出ぬと~。万、4408」の転訛。「我 昴哇」『使琉球録。1534』、「我 瓦奴」『音韻字海。1572頃』、「我 昴哇」、「我酔了 昴哇由的」『琉球館訳語。16世紀半ば』とあり、アン系の音韻を写したもの『図説琉球語辞典』(中本正智著)といわれている。老年層は、⸣バン[⸣baŋ](私)ともいう。そのままの形で主格、属格を表す。 ⸣バー ⸣パルン [⸣baː ⸣paruŋ] (私は<が>行く)。 ク⸢レー バー⸣ ムヌ [ku⸢reː baː⸣ munu] (これは私の物だ)。 ⸣バン ッ⸢ふィーリ [⸣baŋ f⸢fiːri] (私に呉れ)。 ⸢バー⸣バ イ⸢ジ ベー [⸢baː⸣ba ʔi⸢ʤi beː] (私を叱っている)。 ク⸢レー バー⸣ル カ⸢ク⸣タ [ku⸢reː baː⸣ru kḁ⸢ku⸣ta] (これは私が<ぞ>書いた)。 ⸣バーラ パ⸢ジミラ⸣ナー [⸣baːra pa⸢ʤimira⸣naː] (私から始めようね)。 ⸣バーラン タ⸢カー⸣ル プ⸢ス [⸣baːran ta⸢kaː⸣ru pu̥⸢su] (私よりも高い人)。 ク⸢レー バン⸣トゥ ⸢マーズン⸣シ ス⸢ク⸣レー ムヌ [ku⸢reː ban⸣tu ⸢maːʣuŋ⸣ʃi su̥⸢ku⸣reː ⸣munu] (これは私と一緒に作ったものだ) 12903 0 0 12530 htmvoc_12903.wav バー ⸢バー [⸢baː] 終助 ~できたらなあ。~したいなあ。動詞の未然形に下接して希望、願望の意を表す「ばや」(~たいなあ<希望、願望>)の転訛したもの。「~取り替えて著者也<着なばや>~。万、2829」の「ばや」が転訛。 ⸢クン⸣ドー ⸢バン⸣ヌン ウ⸢キ⸣ナー パラ⸢バー⸣ティ ⸣ウムイ ⸢ベー [⸢kun⸣doː ⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ki⸣naː para⸢baː⸣ti ⸣ʔumui ⸢beː] (今度は私も沖縄へ行きたいなあと思っている)。 ⸣アイ ヤ⸢ラバー⸣ティン ウ⸢モー⸣リン [⸣ʔai ja⸢rabaː⸣tiŋ ʔu⸢moː⸣riŋ] (そうであったらなあ<そうであって欲しい>とも思われる)。 ⸣ドゥーシ トゥラ⸢バー⸣ティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ イ⸢ジヌ ナー⸣ンダ トゥ⸢リユーサ⸣ヌ [⸣duːʃi tura⸢baː⸣ti ʔu⸢muːn⸣du ʔi⸢ʤinu naː⸣nda tu⸢rijuːsa⸣nu] (自分で取ろうかと思うんだが意気地が無いので取れない) 12904 0 0 12531 htmvoc_12904.wav パー ⸣パー [⸣paː] 名 歯。「歯、波<は>」『和名抄』の義。 ⸣パー ⸢ムイ⸣ヤン [⸣paː ⸢mui⸣jaŋ] (歯が生えた)。 ⸢パー⸣ヌ ⸣ヤミティ ニ⸢ザラ⸣ヌ [⸢paː⸣nu ⸣jamiti ni⸢ʣara⸣nu] (歯が痛くて我慢でき<念じられ>ない)。 ⸢ギーバーヌ⸣ ムイ ⸢ベー [⸢giːbaːnu⸣ mui ⸢beː] (八重歯<牙>が生えている)。 ウ⸢クバーヌ⸣ フ⸢トゥッチ⸣パー ⸣ナリティ ⸣ヤミ フ⸢シガラ⸣ヌ<ナ⸢ラ⸣ヌ> [ʔu⸢kubaːnu⸣ ɸu̥⸢tutʧi⸣paː ⸣nariti ⸣jami ɸu̥⸢ʃigara⸣nu] (奥歯が虫歯<朽ち歯>になって痛くて\ruby{堪}{タマ}らない)。 ⸣ウシパー カ⸢カイヤン [⸣ʔuʃi̥paː kḁ⸢kaijaŋ] (臼歯<奥歯>を抜い<欠い>た)。 ⸢パー⸣ヌ ⸣ッス ⸣トゥルン [⸢paː⸣nu ⸣ssu ⸣turuŋ] (歯糞<はかす{EOS}歯垢>を取る) 12905 0 0 12532 htmvoc_12905.wav パー ⸣パー [⸣paː] 名 刃。 カ⸢タナ⸣ヌ ⸣パー ⸣トゥイバ [kḁ⸢tana⸣nu ⸣paː ⸣tuiba] (包丁の刃を研ぎなさいよ)。 ヌ⸢キル⸣ヌ ⸣パー ⸣タトゥン [nu⸢kiru⸣nu ⸣paː ⸣tḁtuŋ] (鋸の目<刃>を立てる)。 カ⸢タナ⸣ヌ ⸣パー ナ⸢マ⸣リティ キ⸢シラ⸣ヌ [kḁ⸢tana⸣nu ⸣paː na⸢ma⸣riti ki̥⸢ʃira⸣nu] (包丁の刃が鈍って切れない) 12906 0 0 12533 htmvoc_12906.wav パー ⸣パー [⸣paː] 名 祖母の名称。⸣アッパー[⸣ʔappaː](祖母)ともいう。⸣アッパーは、名称、呼称に用いられる。⸣パー[⸣paː]は呼称には用いない。 ブ⸢ネーヌ マーラシター パー⸣ル ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヨー⸣ ス⸢ダ⸣ティ フ⸢ドゥバソー⸣レール [bu⸢neːnu maːraʃitaː paː⸣ru ʔu⸢nu⸣ f⸢fajoː⸣ su⸢da⸣ti ɸu⸢dubasoː⸣reːru] (母親が亡くなったので、祖母がその子を養育された<育て成長させられた>のだ) 12908 0 0 12534 htmvoc_12908.wav パー ⸢パー [⸢paː] 名 葉。 ⸢キーヌ⸣ パー [⸢kiːnu⸣ paː] (木の葉)。 ⸢アウパー [⸢ʔaupaː] (青葉)。 サ⸢リパー [sa⸢ripaː] (枯れ葉)。 カ⸢サン⸣パー [kḁ⸢sam⸣paː] (樹木の大きな葉{EOS}餅を包んだり、お握りを包んだり出来る木の葉)。 バ⸢サン⸣パー [ba⸢sam⸣paː] (芭蕉の葉)。 ⸢パーヌ アイ⸣ ウ⸢ティ⸣ルン [⸢paːnu ʔai⸣ ʔu⸢ti⸣ruŋ] (木の葉<木の葉の葉柄>が\ruby{剥離}{ハク|リ}して落ちる)。 カ⸢ジフキヌ⸣ アトー ⸢キーヌ⸣パー ア⸢ツァ⸣ミティ パ⸢タ⸣ケー カ⸢タ⸣ミ ⸢パッ⸣タ [ka⸢ʤiɸu̥kinu⸣ ʔatoː ⸢kiːnu⸣paː ʔa⸢ʦa⸣miti pḁ⸢ta⸣keː kḁ⸢ta⸣mi ⸢pat⸣ta] (台風<風吹き>の後は落ち葉<木の葉>を集めて畑へ運んだ<担いで行った>) 12909 0 0 12535 htmvoc_12909.wav パー ⸣パー [⸣paː] 助数 機織りの用語。数詞の下に添えて数量を表す。おさ(筬)の一目の中に入れる二本の経糸を表す単位。 プ⸢ドゥキ⸣ヌ プ⸢ス⸣ミーナー ヌ⸢キトゥー⸣ス ⸣カシ フ⸢タムトゥ⸣シル プ⸢ス⸣パーティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [pu⸢duki⸣nu pu̥⸢su⸣miːna nu⸢kituːsu⸣ kaʃi ɸu̥⸢tamutu⸣ʃiru pu̥⸢su⸣paːti ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (おさ<筬>の一目に貫き通す経糸<かせ糸>二本で一パーと言われたものだ) 12910 0 0 12536 htmvoc_12910.wav パー ⸣パー [⸣paː] 名 方角。方向。方位。方。「Fo∨gacu.ハゥガク(方角)方向,または,側(がわ)」『邦訳日葡辞書』を、トゥ⸢ランパーカドゥ[tu⸢rampaːkadu](寅の方角)のように、⸢パーカドゥ[⸢paːkadu](方角{EOS}方向)という。 ⸢ニーヌ⸣パー [⸢niːnu⸣paː] (北{EOS}<子の方>)。 トゥ⸢ラヌパー [tu⸢ranupaː] (東北方{EOS}<寅の方>)。 ン⸢マヌ⸣パー [ʔm⸢manu⸣paː] (南{EOS}<午の方>)。 ⸢サン⸣ヌパー [⸢san⸣nupaː] (南西{EOS}<申の方>)。 カ⸢ジェー ニーヌ⸣パーラ ⸣フキクンツォー [ka⸢ʤeː niːnu⸣paːra ⸣ɸu̥kikunʦoː] (風は北から吹いてくるそうだ) 12911 0 0 12537 htmvoc_12911.wav パーアーラスン ⸣パー ⸢アーラスン [⸣paː ⸢ʔaːrasuŋ] 連 碾き臼(籾磨り臼)の歯を立てる。臼の歯が擦り減ると\ruby{鑿}{ノミ}で削って歯を立てた。 ピ⸢キウシヌ⸣ パー ⸢アーラシ⸣ シケーンダ イッ⸢ケナ⸣ パー ⸣フイティ ア⸢ラム⸣トー ン⸢ジラ⸣ヌ [pi̥⸢kiʔuʃinu⸣ paː ⸢ʔaːraʃi⸣ ʃi̥keːnda ʔik⸢kena⸣ paː ⸣ɸuiti ʔa⸢ramu⸣toː ʔn⸢ʤira⸣nu] (碾き臼の歯を立ててあるので、非常によく歯がかみ合ってアラムトゥ<\ruby{粗糠}{アラ|ヌカ}、籾殻付きの米>が出ない)。ウ⸢シ⸣ヌ ⸣パー ⸣タトゥン[ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː⸣tatuŋ](臼の歯をたてる)ともいう 12893 0 0 12538 htmvoc_12893.wav ハーガイ ⸢ハー⸣ガイ [haː⸣gai] 名 浅瀬。暗礁。 ⸣ウマー ⸢ハーガイ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ⸢キー⸣シケーティ ⸣フネー ⸢マーシ⸣ パリ [⸣ʔumaː ⸢haːgai⸣nu ⸢goː⸣raːnda ⸢kiː⸣ʃi̥keːti ⸣ɸuneː ⸢maːʃi⸣ pari] (そこは浅瀬<暗礁>が多いから気をつけながら暗礁を避けて操船して行きなさい)。 ⸢ハー⸣ガイナ ⸣フニ ⸢ハーガラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢haː⸣gaina ⸣ɸuni ⸢haːgara⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (海底の暗礁に船を乗り上げて<\ruby{座礁}{ザ|ショウ}させて>しまった) 12913 0 1 12539 htmvoc_12913.wav パーカウワン ⸢パーカウ⸣ワン [⸢paːkau⸣waŋ] 形 {Mn_1}金属のきしむ(軋む)音を聞いた時に感じる不快な気持ちの形容。歯が浮くような悪い気持ちになることの形容。ぞっとして身の毛がよだつ不快な気持ち。不快な金属の\ruby{軋}{キシ}む音を聞いて総毛立ってむず痒い感じ。「歯痒し」の義。 ヤ⸢シ⸣ルシ ヌ⸢キル⸣ヌ ⸣パー ⸣タティ ⸢アーラス⸣ ウ⸢トゥ⸣ ス⸢ク⸣カー ⸢パーカウワ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ʃi⸣ruʃi nu⸢kiru⸣nu ⸣paː ⸣tḁti ⸢ʔaːrasu⸣ ʔu⸢tu⸣ su̥⸢ku⸣kaː ⸢paːkauwa⸣nu na⸢ra⸣nu] (やすり<鑢>で鋸の歯を立てる音を聞くと総毛立ち、むず痒くて堪らない)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢パーカウワ ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢paːkauwa naː⸣nu] (あまりむず痒くない)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢パーカウ⸣ワティ ⸢ミン⸣マー ッ⸢サイ ベー⸣タ [du⸢ku⸣nu ⸢paːkau⸣wati ⸢mim⸣maː s⸢sai beː⸣ta] (あまりにもむず痒いので、耳を塞いでいたよ)。 ⸢シンダイ パーカウ⸣ワ ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai paːkau⸣wa ⸣nari ⸣keːŋ] (次第に総毛立ちむず痒くなってきた)。 ⸢パーカウ⸣ワ ⸣ピンマー ⸢ミン⸣マー ッ⸢サイティ⸣ ス⸢クナ [⸢paːkau⸣wa ⸣pimmaː ⸢mim⸣maː s⸢saiti⸣ su̥⸢kuna] (総毛立ちむず痒い時は耳を塞いで聞くな)。 12913 0 2 12540 htmvoc_12913.wav パーカウワン ⸢パーカウ⸣ワン [⸢paːkau⸣waŋ] 形 {Mn_2}歯痒い。じれったい。 ⸣スブットゥヌ シ⸢グトゥ スー⸣ シ⸢ナタ⸣ ミルカー ⸢パーカウワ⸣ヌ ⸣ミリ ブ⸢ララヌ [⸣subuttunu ʃi⸢gutu suː⸣ ʃi⸢nata⸣ mirukaː ⸢paːkauwa⸣nu ⸣miri bu⸢raranu] (怠け者が仕事をする姿を見ると、歯痒くて見てはおられない) 12914 0 0 12541 htmvoc_12914.wav パーカカー ⸣パーカカー [⸣paːkakaː] 名 歯のない人。「歯欠け者」の義。卑語。⸢パーカキ⸣ムヌ[⸢paːkaki⸣munu](歯欠け者)よりも更に卑しめた言い方。⸢パー⸣モー[⸢paː⸣moː](歯の無い者)は沖縄本島(首里)方言からの借用語の転訛。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸣パーカカー ⸣ナリティ バ⸢カヤ⸣ヌ ⸣ムニン イ⸢ザラヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ⸣paːkakaː ⸣nariti ba⸢kaja⸣nu ⸣muniŋ ʔi⸢ʣaranu] (年をとったので歯欠け者になって、恥ずかしくて話もできない) 12915 0 0 12542 htmvoc_12915.wav パーカキムヌ ⸢パーカキ⸣ムヌ [⸢paːkaki⸣munu] 名 歯欠け者。歯の欠けた人。 ⸢パーカキムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸣ムニン シカイ⸢トー⸣ イ⸢ジユーサヌ [⸢paːkakimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸣munin sï̥kai⸢toː⸣ ʔi⸢ʤijuːsanu] (歯欠け者のように言葉もしっかりと言えない<言い得ない>) 12916 0 1 12543 htmvoc_12916.wav パーカムン ⸣パー ⸣カムン [⸣paː ⸣kamuŋ] 連 {Mn_1}歯を噛む。睡眠中に歯軋りする。歯軋りする。「齘歯、波賀美(はがみ)」『和名抄』の転訛。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ ニ⸢ビベー⸣ティ ⸣パー⸣カム フ⸢シヌ⸣ アルサー [ku⸢nu ffaː⸣ ni⸢bibeː⸣ti ⸣paː ⸣kamu ɸu̥⸢ʃinu⸣ ʔarusaː] (この子は睡眠中に<寝ていて>歯を噛む癖があるよ)。 12916 0 2 12544 htmvoc_12916.wav パーカムン ⸣パー ⸣カムン [⸣paː ⸣kamuŋ] 連 {Mn_2}激怒する。悔しさや怒りを堪える。怒る。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キティ⸣ アブジェー ⸣パー カ⸢ミ⸣ル ⸢オー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢kiti⸣ ʔabuʤeː ⸣paː ka⸢mi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (その話を聞いてお祖父さんは激怒しておられる) 12895 0 0 12545 htmvoc_12895.wav ハーガラスン ⸢ハーガラ⸣スン [⸢haːgara⸣suŋ] 他動 暗礁や浅瀬に船を乗り上げる。首里方言のhjaagajuN(干上がる)が転訛して他動詞化したものか。 ⸣スーピサールサーリ ⸣ウマーラ ⸣フニ ⸣ムティ ⸣パルカー ⸢ハーガラ⸣スンダー ⸢ハーガラサン⸣ スコー ⸣スーミツァールサーリ パリバ [⸣suːpisaːrusaːri ⸣ʔumaːra ⸣ɸuni ⸣muti ⸣parukaː ⸢haːgara⸣sundaː ⸢haːgarasan⸣ su̥koː ⸣suːmiʦaːrusaːri ⸣pariba] (干潮時にそこから操船して<舟を持って>いくと浅瀬に乗り上げるから、浅瀬に乗り上げないよう、満潮時に行けよ)。 ⸢ハーガラ⸣ス ⸣クトー ⸢ナーン⸣センドゥ ⸢クン⸣ドー ⸢ハーガラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢haːgara⸣su ⸣ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃendu ⸢kun⸣doː ⸢haːgara⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (浅瀬に乗り上げることは無かったが、今度は乗り上げてしまった)。 ⸢ハーガラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢haːgara⸣ʃeː ⸣misamunu] (浅瀬に乗り上げれば良いのに)。 パ⸢ララン⸣カー ⸣クナーティ ⸢ハーガラ⸣シ [pa⸢raraŋ⸣kaː ⸣kunaːti ⸢haːgara⸣ʃi] (通り抜け出来なければ、ここで浅瀬に乗り上げよ)。 ミ⸢チ⸣スーナ パ⸢ラン⸣カー ⸣フニ ⸢ハーガラ⸣スンダ ⸢ハーガラサン⸣ヨーニ ミ⸢チ⸣スー ⸣マティ [mi⸢ʧi⸣suːna pa⸢raŋ⸣kaː ⸣ɸuni ⸢haːgara⸣sunda ⸢haːgarasaŋ⸣joːni mi⸢ʧi⸣suː ⸣mati] (満潮時に行かないと船を座礁させるから、座礁させないように満潮を待て)。 ⸣フニ ⸢ハーガラ⸣シティ ⸢ウー⸣キ サ⸢ヌ [⸣ɸuni ⸢haːgara⸣ʃi̥ti ⸢ʔuː⸣ki sa⸢nu] (船を座礁させて動けない)。 ⸢ニー⸣バ ⸢マン⸣シン ⸢シーブンダ ハーガラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢niː⸣ba ⸢maŋ⸣ʃiŋ ⸢ʃiːbunda ⸢haːgara⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (荷を満載しているから座礁させることはできない)。 ⸢ハーガラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢haːgara⸣ʃeː ⸣misamunu] (座礁させれば良いのに)。 ⸢ハーガラ⸣シ [⸢haːgara⸣ʃi] (座礁させろ) 12894 0 0 12546 htmvoc_12894.wav ハーガルン ⸢ハー⸣ガルン [⸢haː⸣garuŋ] 自動 座礁する。浅瀬に乗り上げる。 マ⸢ナ⸣マ ⸣パルカー ⸢ハー⸣ガルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ハーガラン⸣ シジン⸢デー⸣カー ⸣パリバ [ma⸢na⸣ma ⸣parukaː ⸢haː⸣garunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢haːgaraŋ⸣ ʃiʤin⸢deː⸣kaː ⸣pariba] (今行くと座礁すると思うが、座礁しないつもりであれば行きなさい)。 マ⸢ナ(マ)バー⸣ケー ⸢ハー⸣ガル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ⸢ダー⸣ヌ ⸢ハー⸣ガリ ⸢ナーン⸣ツォー [ma⸢na(ma)baː⸣keː ⸢haː⸣garu ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi⸢daː⸣nu ⸢haː⸣gari ⸢naːm⸣ʦoː] (今の時刻までは座礁することはないはずだが{EOS}座礁してしまったそうだ)。 ⸢ハー⸣ガレー ⸣ミサムヌ [⸢haː⸣gareː ⸣misamunu] (座礁すれば良いのに)。 ⸢ハー⸣ガリバ [⸢haː⸣gariba] (座礁しろ) 12918 0 1 12547 htmvoc_12918.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 名 {Mn_1}竹製の\ruby{笊}{ザル}の総称。竹の薄い皮で編み上げて造った容器。芋や烏賊、魚を入れるのに用いる。農業用の笊は、⸣ティル[⸣tiru](笊)といい、⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](トウズルモドキ)の皮で製作されるのが普通であったが、稀にタ⸢キバーキ[tḁ⸢kibaːki](竹製の笊)を使用することもあった。イ⸢ガバーキ[ʔi⸢gabaːki](烏賊釣り漁の竹笊)は漁業用の笊である。 ⸢バー⸣キナ ⸣ウン イ⸢リティ⸣ ス⸢ナカ⸣ナー ⸣ムティ ⸢ギー⸣ ア⸢ライ⸣クー [⸢baː⸣kina ⸣ʔuŋ ʔi⸢riti⸣ su⸢naka⸣naː ⸣muti ⸢giː⸣ ʔa⸢rai⸣kuː] (竹製の笊に芋を入れて海へ持って行って洗ってきなさい)。 ⸢ウン⸣マー ⸢バー⸣キナ イ⸢リティ⸣ カミパリ [⸢ʔum⸣maː ⸢baː⸣kina ʔi⸢riti⸣ kamipari] (芋は竹笊に入れて頭に載せて担いで行け)。 12918 0 2 12548 htmvoc_12918.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 名 {Mn_2}大食漢。大食い。 ⸢ウンザー バー⸣キ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ タ⸢ラーヌ [⸢ʔunʣaː baː⸣ki ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ f⸢fasaban⸣ ta⸢raːnu] (あいつは大食漢だから、いくら食べさせても足りない) 12919 0 0 12549 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 {Exp_1}さらに格助詞⸣-ヌ[⸣-nu](~の<所属>)が付く。 ウ⸢キ⸣ナー⸢バーキ⸣ヌ ⸢キッ⸣ポー ⸢カイヤー⸣ン [ʔu⸢ki⸣naː ⸢baːki⸣nu ⸢kip⸣poː ⸢kaijaː⸣ŋ] (沖縄までの切符は買った)。 12919 0 0 12550 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 {Exp_2}さらに格助詞⸣ン[⸣-ŋ](~に<時間的限界点>)が付く。 ⸢サン⸣ジ ⸢バー⸣キン ⸢デー⸣カー ⸢バン⸣ヌン ⸣ウナー ブ⸢ラリン [⸢san⸣ʤi ⸢baː⸣kin ⸢deː⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ⸣ʔunaː bu⸢rariŋ] (3時までになら<であれば>私もそこに居られる)。 12919 0 0 12551 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 {Exp_3}さらに副助詞⸣-ン[⸣-ŋ](~も)同類のものを付け加える。 ⸢ワー バー⸣キン ⸣アイル ⸢スー [⸢waː baː⸣kiŋ ⸣ʔairu ⸢suː] (君までもそんなにするのか)。 12919 0 0 12552 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 {Exp_4}さらに格助詞⸣-ナー[⸣-naː](に)を介して係助詞⸣ン[⸣-ŋ]、副助詞⸣-ツァン[⸣-ʦaŋ](すら{EOS}さえ{EOS}だに)が付く(限界点の強調)。 ⸣ユネン ⸢バー⸣キナー(マーキナ)ンツァン ム⸢ドゥラ⸣リカー ミサムヌ⸢ナー [⸣junem ⸢baː⸣kinaː(⸢maː⸣kinaː)nʦam mu⸢dura⸣rikaː misamunu⸢naː] (夕方までにでも戻られたらいいのになあ)。 12919 0 0 12553 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 {Exp_5}さらに係助詞⸣-ル[⸣-ru](~ぞ)が付く(限定強調)。 イ⸢ジ⸣ シゥ⸢カシ バーキ⸣ル ⸣ナル ⸢ティー⸣ カケー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢ʤi⸣ sï̥⸢kaʃi baːki⸣ru ⸣naru ⸢tiː⸣ kḁkeː na⸢ra⸣nu] (叱って教えることまでがしかできない<~までぞ出来る>{EOS}手をかけて教えることは出来ない)。 ⸣ウビ ⸢バーキ⸣ル ⸣ナル ⸢マービン⸣マー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔubi ⸢baːki⸣ru ⸣naru, ⸢maːbim⸣maː na⸢ra⸣nu] (これくらいしか出来ない<これぐらいまでぞ出来る>、それ以上<更に{EOS}もっと>は出来ない)。 12919 0 0 12554 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 {Exp_6}さらに格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](~で)が付く(区切り点{EOS}限度)。 ⸢キュー⸣ヌ シ⸢ケン⸣マー ⸢ワーバー⸣キシ シ⸢マイ [⸢kjuː⸣nu ʃi̥⸢kem⸣maː ⸢waːbaː⸣kiʃi ʃi⸢mai] (今日の試験は君までで終わり<仕舞い>だ)。 12919 0 0 12555 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 {Exp_7}更にとりたて強調の係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](~は)が付く。 カ⸢ジフキサーリ⸣ イノーダーチ ⸣フニ ⸢マーシ⸣ クン⸢バー⸣ケー ヤッ⸢トゥ⸣シ タ⸢ドゥ⸣リ ⸢ゲー⸣タン [ka⸢ʤiɸukisaːri⸣ ʔinoːdaːʧi ⸣ɸuni ⸢maːʃi⸣ kum⸢baː⸣ki jat⸢tu⸣ʃi ta⸢du⸣ri ⸢geː⸣taŋ] (嵐で<風吹きで>、沿岸沿いに舟を漕いで<回して>、古見まではやっとのことで辿って行ったことがある) 12919 0 1 12556 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 ~まで。動作・作用の到達するところ、範囲、極端な程度を表す。上接語の末尾子音が鼻音、または長母音の場合、⸢マー⸣キ[⸢maː⸣ki](まで)となる傾向にあり、[b]と[m]は条件異音の関係にある場合もあり、また自由変異の場合も認められる。{Mn_1}場所の限界点。 ミ⸢ナトゥバー⸣ケー カ⸢サ⸣ナイ ⸣パリバ [mi⸢natubaː⸣keː kḁ⸢sa⸣nai ⸣pariba] (港までは負ぶっていきなさい)。 12919 0 2 12557 htmvoc_12919.wav バーキ ⸢バー⸣キ [⸢baː⸣ki] 副助 {Mn_2}時間的限界点。 ⸢サン⸣ジ ⸢バー⸣キ ⸣マティ [⸢san⸣ʤi ⸢baː⸣ki ⸣mati] (三時まで待て<待つ時間の限界点が3時>)。 ⸢サン⸣ジ ⸢バー⸣キナー キ⸢ラ⸣リンカヤー [⸢san⸣ʤi ⸢baː⸣kinaː ki⸢ra⸣riŋkajaː] (3時までには帰って来られるかなあ<帰着点が三時きっかり{EOS}待ち時間は3時以前>)。 12920 0 1 12558 htmvoc_12920.wav パーギシミ ⸢パーギシ⸣ミ [⸢paːgiʃi⸣mi] 名 {Mn_1}はぎしり(歯軋り)。せっし(切歯)。はまみ。 ウ⸢レー⸣ ニ⸢ビティ パーギシ⸣ミ ⸢スンダ⸣ ナ⸢クラーン⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ ni⸢biti paːgiʃi⸣mi ⸢sunda⸣ na⸢kuraːn⸠daː] (彼は寝て歯軋りするから怖いよ)。 12920 0 2 12559 htmvoc_12920.wav パーギシミ ⸢パーギシ⸣ミ [⸢paːgiʃi⸣mi] 名 {Mn_2}怒りや悔しさで歯軋りすること。残念がって歯軋りすること。 ⸣アブジェー シ⸢ティムヌ⸣バ ダ⸢マサリ⸣ タ⸢カガイ⸣ シ⸢ミラリティ パーギシ⸣ミ ⸢シー オー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ʃi̥⸢timunu⸣ba da⸢masari⸣ tḁ⸢kagai⸣ ʃi⸢mirariti paːgiʃi⸣mi ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (お祖父さんは、捨て値の安物を騙されて高値で買わされて歯軋りして\ruby{憤慨}{フン|ガイ}しておられる) 12921 0 0 12560 htmvoc_12921.wav パーク ⸢パー⸣ク [⸢paː⸣ku] 副 早く。速く。*[paiaku] → *[pajaku] → [paːku] と音韻変化したものか。 ⸣パルシジン ⸢デー⸣カー ⸢パー⸣ク ⸣パリバ [⸣paruʃiʤin ⸢deː⸣kaː ⸢paː⸣ku ⸣pariba] (行くのなら<行くつもりであれば>早く行けよ) 12922 0 0 12561 htmvoc_12922.wav パークティ ⸢パー⸣クティ [⸢paː⸣kuti] 副 急いで。早々と。 ⸢パー⸣クティ ⸢クーン⸣カー ⸢ソームノー⸣ ア⸢タラン⸣ダー [⸢paː⸣kuti ⸢kuːŋ⸣kaː ⸢soːmunoː⸣ ʔa⸢taran⸣daː] (急いで来ないと良いものには当たらないぞ) 12923 0 0 12562 htmvoc_12923.wav パークブ ⸢パークブ [⸢paːkubu] 名 葉昆布。普通の昆布。ウ⸢ラシ⸣クブ[ʔu⸢raʃi⸣kubu](卸し昆布{EOS}刻み昆布)の対義語。 ⸢パークブ⸣シ イ⸢ズン⸣ タクン マ⸢キティ ネーシバ⸣ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢paːkubu⸣ʃi ʔi⸢ʣun⸣ tḁkum ma⸢kiti neːʃiba⸣ ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (葉昆布で魚も蛸も巻いて煮るから非常に美味しい) 12924 0 0 12563 htmvoc_12924.wav バークラウン ⸢バー⸣クラウン [⸢baː⸣kurauŋ] 他動 からかう。揶揄する。ひやかす。なぶる。 ⸢バイ⸣ヨー ⸣ムノー ワ⸢カラン⸣ティ ウ⸢ムイ⸣ル ⸢バー⸣クラウンダ ⸢バークラーサン⸣ヨーニ ⸣アジ シゥ⸢カシ [⸢bai⸣joː ⸣munoː wa⸢karan⸣ti ʔu⸢mui⸣ru ⸢baː⸣kuraunda ⸢baːkuraːsaɲ⸣joːni ⸣ʔaʤi sï̥⸢kaʃi] (私を物知らずと思って<ぞ>からかうのだから、ひやかさないように言ってやりなさい)。 ⸢ウンザー⸣ プ⸢スバ バーク⸣ライ ⸢ベー⸣ヌ ⸢バー⸣クラウ プ⸢ソー マーパカラサー ナー⸣ンダ シ⸢ティ シキ⸣リ [⸢ʔunʣaː⸣ pu̥⸢suba baː⸣kurai ⸢beː⸣nu ⸢baː⸣kurau pu̥⸢soː maːpakarasaː naː⸣nda ʃi̥⸢tiʃi̥ki⸣ri] (あいつは人をからかっているが、からかう人はまとも<真面>な人間ではないからほっておけ)。 ⸢バークライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢baːkurai⸣jaː ⸣misamunu] (からかってやればば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢バー⸣クライ [⸢maː⸣bim ⸢baː⸣kurai] (もっとからかえ<ひやかせ>) 12925 0 0 12564 htmvoc_12925.wav パーサリン ⸢パーサ⸣リン [⸢paːsa⸣riŋ] 自動 おだてられる。「\ruby{囃}{ハヤ}される」の義。⸢パーサリ⸣ルン[⸢paːsari⸣ruŋ](おだてられる{EOS}囃される)ともいう。⸢パー⸣スン[⸢paː⸣suŋ](囃す)の未然形に受け身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)、⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](られる)が下接して形成された受け身・可能の派生動詞。 プ⸢スン パーサ⸣リティ プ⸢リープリー⸣シ ⸢モー⸣ヤー ⸢シーベー [pu̥⸢sum paːsa⸣riti pu⸢riːpuriː⸣ʃi ⸢moː⸣jaː ⸢ʃiː beː] (他人におだてられて、馬鹿みたいに歩き舞をしているよ) 12926 0 1 12565 htmvoc_12926.wav パースン ⸢パー⸣スン [⸢paː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}囃し立てる。けしかける。「~七重花咲く 八重花咲くと白賞尼<マヲシハヤサネ>万、3885」の転訛か。 ⸢シー⸣シ ⸢パー⸣スン [⸢ʃiː⸣ʃi ⸢paː⸣suŋ] (獅子舞の獅子を囃し立てて盛んに舞わせる)。 ブ⸢ドゥル パー⸣シ シ⸢ミルンティ スンドゥ サンシンヌ⸣ シ⸢ルヌ⸣ キシティ ⸢パーサラ⸣ヌ [bu⸢duru paː⸣ʃi ʃi⸢mirunti sundu saŋʃinnu⸣ ʃi⸢runu⸣ ki̥ʃiti ⸢paːsara⸣nu] (踊りを囃し立てて踊らせようするが、三線の弦が切れて囃されない)。 ⸢シー⸣シ ⸢パー⸣ス プ⸢ソー マー⸣ル ⸣ムテーティ ⸢パー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʃiː⸣ʃi ⸢paː⸣su pu̥⸢soː maː⸣ru ⸣muteːti ⸢paː⸣ʃeː ⸣misamunu] (獅子舞を囃す人は鞠を持って囃せばいいのに)。 ⸣マンターラ ⸢パー⸣シ [⸣mantaːra ⸢paː⸣ʃi] (前方から囃し立てろ)。 12926 0 2 12566 htmvoc_12926.wav パースン ⸢パー⸣スン [⸢paː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}そそのかす。おだてる。 プ⸢スン パーサ⸣リティ ⸢シーミラ⸣ヌ ア⸢キ⸣ナイ ⸢スンティ アー⸣キ ウ⸢ル⸣キ シ⸢ルッ⸣コー ⸣ナリ ⸢ベーン⸣ティ [pu̥⸢sum paːsa⸣riti ⸢ʃiːmira⸣nu ʔa⸢ki⸣nai ⸢sunti ʔaː⸣ki ʔu⸢ru⸣ki ʃi⸢ruk⸣koː ⸣nari ⸢beːn⸣ti] (人におだてられて、したことのない商売をしようとして欠損して、破産している<何もかもがぶち壊しになっている>さ、ほら見てごらん) 12927 0 1 12567 htmvoc_12927.wav パースン ⸢パー⸣スン [⸢paː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}這わせる。 ッ⸢ふァー⸣ タ⸢タミヌ ウイ⸣ナー ⸢パー⸣スンティ ⸢スンドゥ パーサラ⸣ヌ [f⸢faː⸣ tḁ⸢taminu ʔui⸣naː ⸢paː⸣sunti ⸢sundu paːsara⸣nu] (子供を畳の上に這わせようとするが、這わされない)。 ⸣ウナー ⸢イットゥ⸣キ ⸢パー⸣シティ ア⸢サバスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢パー⸣ス プ⸢ソー⸣ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーンバン [⸣ʔunaː ⸢ʔittu⸣ki ⸢paː⸣ʃi̥ti ʔa⸢sabasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du paː⸣su pu̥⸢soː⸣ taː⸢m⸣ bu⸢raːmbaŋ] (そこに一時這わせて遊ばせようと思うが、這わせる人は他に誰もいないわい)。 ⸢パー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ʃeː ⸣misamunu] (這わせれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ⸣クナー ⸢パー⸣シ [jaː⸢diŋ⸣kunaː ⸢paː⸣ʃi] (必ずここに這わせなさい)。 12927 0 2 12568 htmvoc_12927.wav パースン ⸢パー⸣スン [⸢paː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}広げる。伸ばす。 ⸢ウー⸣ロー ⸢ジー⸣ナー ⸢パー⸣シ [⸢ʔuː⸣roː ⸢ʤiː⸣naː ⸢paː⸣ʃi] (瓜は地面に這わせ広げよ<露地栽培せよ>) 12928 0 0 12569 htmvoc_12928.wav パータキ ⸢パータキ [⸢paːtaki] 名 葉の付いた竹。 ⸢パータキバ⸣ フ⸢バリティ⸣ タ⸢キポーキ⸣ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸢paːtakiba⸣ ɸu⸢bariti⸣ tḁ⸢kipoːki⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (葉の付いた竹を束ねて竹箒を作ってある) 12929 0 0 12570 htmvoc_12929.wav パータトゥン ⸣パー ⸣タトゥン [⸣paː ⸣tatuŋ] 連 鋸の歯を立てる。 ヤ⸢シ⸣ルシ ヌ⸢キル⸣ヌ ⸣パー ⸣タトゥン [ja⸢ʃi⸣ruʃi nu⸢ki⸣ru ⸣paː ⸣tatuŋ] (\ruby{鑢}{ヤスリ}で\ruby{鋸}{ノコギリ}の歯を立てる)。\ruby{磨臼}{スリ|ウス}の歯をたてる。 ピ⸢キウシヌ⸣ パー ⸣タティティ ⸢マイ⸣ ピ⸢キ⸣バ [pi̥⸢kiʔuʃinu⸣ paː ⸣tḁtiti ⸢mai⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (磨り臼<碾き臼>の歯を立てて籾を磨りなさいよ) 12930 0 0 12571 htmvoc_12930.wav パータバク ⸢パータバク [⸢paːtabaku] 名 葉タバコ。刻み下ろしてない煙草の葉。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー タ⸢バク⸣ヌ ⸢パーバ カン⸣ソー シ⸢ティ⸣ ナ⸢カヌ シン⸣マー ⸣トゥリティ ク⸢マークマー⸣シ ウ⸢ラ⸣シティ キ⸢シ⸣ルシル フ⸢コーッタ⸣ル [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ta⸢baku⸣nu ⸢paːba kan⸣soː ʃi̥⸢ti⸣ na⸢kanu ʃim⸣maː ⸣turiti ku⸢maːkumaː⸣ʃi ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ki̥⸢ʃi⸣ruʃiru ɸu̥⸢koːtta⸣ru] (終戦後は、タバコの葉を乾燥させて中の芯は取り、細かく下ろして煙管で煙草を吸われたものだ) 12931 0 0 12572 htmvoc_12931.wav パーダリムヌ ⸢パーダリ⸣ムヌ [⸢paːdari⸣munu] 名 だらしない者。締まりのない者。着物の帯をしめず、前を開けたままだらだらしている者。 イ⸢コーラ ヤーン⸣ナカ ヤ⸢ラバン⸣ アイニ ⸢パーダリ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ベーン⸣ナ [ʔi⸢koːra jaːn⸣naka ja⸢rabaŋ⸣ ʔaini ⸢paːdari⸣munu ⸣nari ⸢beːn⸣na] (いくら家の中であっても、あんなにだらしない者の恰好をしているなよ) 12932 0 0 12573 htmvoc_12932.wav バーックラウン ⸢バーッ⸣クラウン [⸢baːk⸣kurauŋ] 他動 からかう。揶揄する。冗談をいってひやかす。冗談をいって他人をばかにする。首里方言の'wacakujuN(からかう)の転訛したもの。⸢バー⸣クラウン[⸢baː⸣kuraun](からかう{EOS}揶揄する{EOS}ひやかす)ともいう。 イ⸢ファナムニバ⸣ イ⸢ジ⸣ プ⸢スバ バーッ⸣クライ ⸢ベー⸣バ ⸢バーックララン⸣ ス⸢コール シー ベー⸣リ [ʔi⸢ɸanamuniba⸣ ʔi⸢ʤi⸣ pu̥⸢suba baːk⸣kurai ⸢beː⸣ba ⸢baːkkuraran⸣ su̥⸢koːru ʃiːbeː⸣ri] (妙なことを言って他人をからかっているから、からかわれないように準備をしておきなさい)。 プ⸢ス バーッ⸣クライ ⸣ミサカー ⸢バン⸣ヌン ⸢バーッ⸣クラウン⸢ダー [pu̥⸢su baːk⸣kurai ⸣misakaː ⸢ban⸣num ⸢baːk⸣kuraun⸢daː] (他人をからかってよければ、私もからかうよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢バーックライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢baːkkurai⸣jaː ⸣misamunu] (もっとからかえば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢バーッ⸣クライバ [⸢paː⸣ku ⸢baːk⸣kuraiba] (早くからかえよ) 12933 0 0 12574 htmvoc_12933.wav パーッサザラスン ⸣パー ッ⸢サザラ⸣スン [⸣paː s⸢saʣara⸣suŋ] 連 白い歯をみせる。「歯・白々す」の義。∫iraʤira(白々)が音韻の融合同化現象を起こして[s⸢saʣara](白々)となり、それに助動詞⸣スン[⸣suŋ](~させる<使役>)が付いたもの。 マ⸢ジムヌヌ⸣ パー ッ⸢サザラ⸣シ ⸣クーカー ⸢ガイスンティ⸣ ア⸢ザリ ブーユンダ サン⸣マー ⸣ムティ ⸢アー⸣キ [ma⸢ʤimununu⸣ paː s⸢saʣara⸣ʃi ⸣kuːkaː ⸢gai sunti⸣ ʔa⸢ʣari buːjunda sam⸣maː ⸣muti ⸢ʔaː⸣ki] (まじもの<蠱物、魔物、お化け>が白い歯を見せてやって来ると人に害を与えると言われているから、サン<魔除けの結び紐>を持っていなさい<持ってあるけ>) 12934 0 0 12575 htmvoc_12934.wav パーッティ パーッ⸢ティ [paːt⸢ti] 副 ぱあっと。急に明るくなるさま。 ⸢トゥール⸣ヌ ⸢ユー⸣ラ ⸢デントー⸣ヌ ⸢ユー⸣ ナ⸢ル⸣ター パーッ⸢ティ⸣ ガ⸢リティ⸣ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カ⸣バン ⸢キーラヌ [⸢tuːru⸣nu ⸢juː⸣ra ⸢dentoː⸣nu ⸢juː⸣ na⸢ru⸣taː paːt⸢ti⸣ ga⸢riti⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢ka⸣baŋ ⸢kiːranu] (ランプ<灯籠>の時代から電灯の時代になったので、ぱあっと明るくなって風が吹いても消えない) 12935 0 0 12576 htmvoc_12935.wav パートゥンター ⸢パートゥン⸣ター [⸢paːtun⸣taː] 名 出っ歯の人。八重歯の人。「歯の突き出た者」の義。⸢パートゥンティ⸣ムヌ[⸢paːtunti⸣munu](出っ歯の者)ともいう。 ⸢パートゥン⸣ター ア⸢ラン⸣カー シ⸢ラカタ⸣チェー ⸢カイ⸣ヤンドゥ⸢ナー [⸢paːtun⸣taː ʔa⸢raŋ⸣kaː ʃi⸢rakata⸣ʧeː ⸢kai⸣jandu⸢naː] (出っ歯でなければ容貌<顔形>はきれいんだがなあ) 12936 0 0 12577 htmvoc_12936.wav パートゥンティムヌ ⸢パートゥンティ⸣ムヌ [⸢paːtunti⸣munu] 名 出っ歯の人。 ⸢パートゥンティ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ バ⸢ラウ⸣カー ⸢ギーパーヌ トゥンジティ⸣ ナ⸢クラー⸣ン [⸢paːtunti⸣munu ja⸢runda⸣ ba⸢rau⸣kaː ⸢giːpaːnu tunʤiti⸣ na⸢kuraː⸣ŋ] (出っ歯だから、笑うと犬歯が飛び出して怖い) 12937 0 0 12578 htmvoc_12937.wav パーナライ ⸣パーナライ [⸣paːnarai] 名 ばあさんっ子育ち。身勝手、甘ったれの生活習慣。「祖母習い」の義。祖母は孫を可愛がりすぎるあまり、我儘で身勝手な性癖の孫に育てがちであるといわれている。 ウ⸢レー⸣ パーナライ ⸢シール⸣ アイニ ⸢フンダヤー⸣ ナリ ⸢ブー⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ paːnarai ⸢ʃiːru⸣ ʔaini ⸢ɸundajaː⸣ nari ⸢buː⸠daː] (彼はばあさんっ子育ちをしたので、あんなに我儘で身勝手で、やりたい放題性癖の子供になっているのだよ)。 ⸣パー ⸣ナライヤー ア⸢マナラーシティル⸣ ア⸢ザリブー [⸣paː ⸣naraijaː ʔa⸢manaraːʃitiru⸣ ʔa⸢ʣaribuː] (祖母の躾<仕付け>は甘やかす躾<甘い躾、甘い習わし>であるといわれている) 12938 0 0 12579 htmvoc_12938.wav パーヌッス ⸢パー⸣ヌ ⸣ッス [⸢paː⸣nu ⸣ssu] 連 歯くそ。はかす。「歯の糞」の義。 ⸢ヨー⸣ジシ ⸢パー⸣ヌ ⸣ッス フ⸢ジ⸣リ ⸣トゥルン [⸢joː⸣ʤiʃi ⸢paː⸣nu ⸣ssu ɸu⸢ʤi⸣ri ⸣turuŋ] (楊枝で歯の糞<はかす>をほじくって<穿って{EOS}\ruby{抉}{コジ}って>取る) 12940 0 0 12580 htmvoc_12940.wav バーバ ⸢バー⸣バ [⸢baː⸣ba] 名 (動)魚の名。和名、テンジクイサギ(体長25~30センチ、薄い青みがかった灰色の体色)。満潮時に鳩間島の裏海岸に群れて寄るところを網で巻き取って漁獲していた 12939 0 0 12581 htmvoc_12939.wav ハーハー ⸢ハーハー [⸢haːhaː] 副 はあはあ。あえぐ<喘ぐ>様子。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸢クー⸣ター ⸢ハーハー⸣シ イ⸢キ⸣フキ ⸢ベー [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸢kuː⸣taː ⸢haːhaː⸣ʃi ʔi⸢ki⸣ɸu̥ki ⸢beː] (走ってきたので、はあはあと息をついている)。 カ⸢キッツァー⸣シ ⸢クー⸣ター ⸢ハーハー⸣シ ⸢アーフキ ベー [kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸢kuː⸣taː ⸢haːhaː⸣ʃi ⸢ʔaːɸuki beː] (走って来たので、はあはあとあえいで<喘いで>いる) 12941 0 1 12582 htmvoc_12941.wav バーバー ⸢バーバー [⸢baːbaː] 副 {Mn_1}風が強く吹くさま。びゅうびゅう。擬音語。 カ⸢ジェー バーバー⸣シ ⸣フキ ⸢ブームヌ ヌー⸣シ ⸣フニ ン⸢ザサリ⸣ワ [ka⸢ʤeː baːbaː⸣ʃi ⸣ɸu̥ki ⸢buːmunu nuː⸣ʃi ⸣ɸuni ʔn⸢ʣasari⸣wa] (風はびゅうびゅうと吹いているのに、どうして船を出されようか)。 カ⸢ジバーバースン [ka⸢ʤibaːbaːsuŋ] (時化る{EOS}風が強く吹く)。 12941 0 2 12583 htmvoc_12941.wav バーバー ⸢バーバー [⸢baːbaː] 副 {Mn_2}ぼうぼう。火が勢いよく燃えるさま。 カ⸢マチ⸣ナー ⸢ピー⸣ヤ ⸢バーバー⸣シ ⸢モーシェー⸣ティ ⸣イー バ⸢カシ⸣バ [ka⸢maʧi⸣naː ⸢piː⸣ja ⸢baːbaː⸣ʃi ⸢moːʃeː⸣ti ⸣ʔiː ba⸢kaʃi⸣ba] (竈には火をぼうぼう燃やしてご飯を炊きなさいよ)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ キサー⸢ティ バーバー⸣シ タ⸢バ⸣ク ⸣フキ ⸢アー⸣ク [ja⸢rabi⸣nu ki̥saː⸢ti baːbaː⸣ʃi ta⸢ba⸣ku ⸣ɸu̥ki ⸢ʔaː⸣ku] (子供のくせに、すでにプカプカと盛んにタバコをふかしている<あるく>) 12944 0 0 12584 htmvoc_12944.wav バーブー ⸢バーブー [⸢baːbuː] 名 幼児語。虫。 ⸣ウリウリ ⸢バーブーヌ⸣ パイ クン⸢ドー [⸣ʔuriʔuri ⸢baːbuːnu⸣ pai kun⸢doː] (ほらほら、虫が這ってくるぞ) 12943 0 1 12585 htmvoc_12943.wav パーフーン ⸣パー ⸣フーン [⸣paː ⸣ɸuːŋ] 連 {Mn_1}歯を噛む。歯ぎしり<歯軋り>する。歯を食い縛る。怒る。⸣パー ⸣カムン[⸣paː ⸣kamuŋ](歯を噛む)ともいう。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸣パー ⸣フー フ⸢シヌル⸣ アル⸢ツォー [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸣paː ⸣ɸuː ɸu̥⸢ʃinuru⸣ ʔaru⸢ʦoː] (彼は酒を飲むと歯軋りする癖があるんだよ)。 12943 0 2 12586 htmvoc_12943.wav パーフーン ⸣パー ⸣フーン [⸣paː ⸣ɸuːŋ] 連 {Mn_2}寒さで歯をがくがくさせて震える。 ⸢ピー⸣ヤサーリ ⸣アミン ⸢ゾッふァーリティ⸣ パーフイ ⸢ベー [⸢piː⸣jasaːri ⸣ʔamin ⸢ʣoffaːriti⸣ paːɸui ⸢beː] (寒い上に雨に濡れて、がくがく\ruby{歯噛}{ハ|ガ}みして震えている) 12942 0 0 12587 htmvoc_12942.wav パーフイ ⸢パー⸣フイ [⸢paː⸣ɸui] 名 寒さで歯をガチガチさせて震えること。\ruby{歯噛}{ハ|ガ}みすること。寒さで震えること。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ ⸢パー⸣フイ ⸢ベー [du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ⸢paː⸣ɸui ⸢beː] (あまりにも寒いので<余りの寒さに>歯をガチガチ歯噛みさせて震えている) 12945 0 0 12588 htmvoc_12945.wav パーフイッカースン ⸣パー ⸢フイッカー⸣スン [⸣paː ⸢ɸuikkaː⸣suŋ] 連 歯をかみ合わせる。歯をくいしばる。 ⸣パー ⸢フイッカー⸣シティ ギーッ⸢ティ⸣ ニジ ⸢ベー [⸣paː ⸢ɸuikkaː⸣ʃi̥ti giːt⸢ti⸣ niʤi ⸢beː] (歯を食い縛って、ぐっと我慢している) 12946 0 0 12589 htmvoc_12946.wav パーフカー ⸣パーフカー [⸣paːɸu̥kaː] 名 ほらふき(法螺吹き)。大言をする人。 ウ⸢レー⸣ パーフカー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ムネー ア⸢テー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ paːɸu̥kaː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ muneː ʔa⸢teː⸣ na⸢ra⸣nu] (彼は法螺吹きだから、彼の言葉<物言い>は信用できない<当てにならない>) 12947 0 0 12590 htmvoc_12947.wav パープジ ⸣パープジ [⸣paːpuʤi] 名 祖父母。「⸣パー[⸣paː](祖母)にア⸢ブ⸣ジ[ʔa⸢bu⸣ʤi](大爺)」付いた複合名詞。 ⸣ウヤパープジヌ カナイ⸢ヨー⸣ル キ⸢ナイ⸣ ヤ⸢ルンダ スー⸣ワン⸢ダー [⸣ʔujapaːpuʤinu kanai⸢joː⸣ru ki⸢nai⸣ ja⸢runda suː⸣wan⸢daː] (父母、祖父母が健在でしっかりしておられる家庭であるから、家庭のしつけや家庭経営方針は厳しいよ)。 ⸣パープジヌ ア⸢ラ⸣ソーレール ⸣ザイサン [⸣paːpuʤinu ʔa⸢ra⸣soːreːru ⸣ʣaisaŋ] (祖父母が築かれた財産) 12948 0 0 12591 htmvoc_12948.wav パーフッカースン ⸣パー ⸢フッカー⸣スン [⸣paː ⸢ɸukkaː⸣suŋ] 連 歯を器物で\ruby{挿}{ハサ}む。歯を両側から固定する。 ⸣マイバー ⸢フッカー⸣シティ カ⸢カイ⸣バ [⸣maibaː ⸢ɸukkaː⸣ʃi̥ti kḁ⸢kai⸣ba] (前歯を挿んで<固定して>抜き取り<欠き取り>なさい) 13647 0 0 12592 htmvoc_13647.wav パーミガキクー ⸢パーミガキ⸣クー [⸢paːmigaki⸣kuː] 名 歯磨き粉。若年層は、ハ⸢ミガキ⸣クー[ha⸢migaki⸣kuː](歯磨き粉)という。ム⸢カエィ⸣シェー ⸢パーミガキ⸣クーティ ⸢スーモー ナーン⸣シェン。⸢マー⸣スシル ミ⸢ガクタル[mu⸢ka⸣ʃeː ⸢paːmigaki⸣kuːti ⸢suːmoː naːŋ⸣ʃeŋ。⸢maː⸣suʃiru mi⸢gakutaru](昔は、歯磨き粉というのはなかった{EOS}塩で磨いたものだ) 12949 0 0 12593 htmvoc_12949.wav パームイジブン ⸢パームイ⸣ジブン [⸢paːmui⸣ʤibuŋ] 名 歯の生える時分。歯が生える頃。 ⸢パームイジブン⸣マー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ユー プ⸢ス⸣ フーン⸢ダー [⸢paːmuiʤibum⸣maː ja⸢ra⸣beː ⸣juː pu̥⸢su⸣ ɸuːn⸢daː] (歯が生え始める頃は、乳児はよく人を噛むよ) 12950 0 0 12594 htmvoc_12950.wav パームイパヤーン ⸢パームイ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢paːmui⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] 連 歯の生えるのが早い。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー パームイ⸣ パ⸢ヤー⸣ンティ ア⸢ザリ ブンドゥ⸣ シザー ⸢マービン⸣ドゥ パ⸢ヤー⸣タル [ku⸢nu⸣ f⸢faː paːmui⸣ pa⸢jaː⸣nti ʔa⸢ʣari bundu⸣ ʃiʣaː ⸢maːbin⸣du pa⸢jaː⸣taru] (この子は歯の生えるのが早いといわれているが、上の子<兄者>はもっと早かったよ) 12951 0 1 12595 htmvoc_12951.wav パームヌ ⸢パー⸣ムヌ [⸢paː⸣munu] 名 {Mn_1}刃物。山刀や包丁、鑿、鎌、剃刀など。 ヤ⸢マー ペー⸣ル ⸣プソー ⸢パー⸣ムノー ク⸢シ⸣ナー ク⸢シケー⸣ティ ヌ⸢キ⸣ルン ⸣ムティティル ⸢オーッ⸣タル [ja⸢maː peː⸣ru ⸣pu̥soː ⸢paː⸣munoː ku̥⸢ʃi⸣naː ⸢kuʃi̥keː⸣ti nu⸢ki⸣rum ⸣mutitiru ⸢ʔoːtta⸣ru] (山へ入る時は刃物<山刀>を腰に差して、鋸も持って行かれたものだ)。 ⸢パー⸣ムノー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ティー⸣ヌ トゥ⸢ドゥ⸣クントンナー ス⸢ク⸣ナ [⸢paː⸣munoː ja⸢rabi⸣nu ⸢tiː⸣nu tu⸢du⸣kun ⸣tonnaː su̥⸢ku⸣na] (刃物は幼児の手の届く所には置くな)。 12951 0 2 12596 htmvoc_12951.wav パームヌ ⸢パー⸣ムヌ [⸢paː⸣munu] 名 {Mn_2}酒癖の悪い人。 ウ⸢レー パー⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ ウ⸢リンマー⸣ サ⸢キ⸣ ヌ⸢マス⸣ナ⸢ヨー [ʔu⸢reː paː⸣munu ja⸢riba⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ sḁ⸢ki⸣ nu⸢masu⸣na⸢joː] (あれは酒癖の悪い人だから、彼には酒を飲ませるなよ) 12952 0 0 12597 htmvoc_12952.wav パーメー ⸣パーメー [⸣paːmeː] 名 ばばあ(婆)。老女の卑語。沖縄本島方言からの借用語。 ヤ⸢ナ⸣ パーメー カ⸢マー⸣ パリ [ja⸢na⸣ paːmeː ka⸢maː⸣ pari] (嫌な婆、あっちへ行け) 12953 0 0 12598 htmvoc_12953.wav パーモー ⸢パー⸣モー [⸢paː⸣moː] 名 歯のない者。歯欠け者。首里方言からの借用語が転訛したもの。若年層は、⸢ハー⸣モー[⸢haː⸣moː](歯のない者{EOS}歯欠け者)ともいう。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢パー⸣モー ⸣ナリティ ⸢コー⸣ムノー ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふァーラヌ [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ⸢paː⸣moː ⸣nariti ⸢koː⸣munoː noː⸢n⸣ f⸢faːranu] (年をとったので歯のない者になって、硬い物は何も食べられない) 12954 0 0 12599 htmvoc_12954.wav バーヤー ⸣バー ⸣ヤー [⸣baː ⸣jaː] 連 私の家。 ⸣バー ⸣ヤーナ ⸢カッティニ ペール⸣ナ [⸣baː ⸣jaːna ⸢kattini ⸢peːru⸣na] (私の家に勝手に入るな) 12955 0 0 12600 htmvoc_12955.wav パーヤサイ ⸢パーヤサイ [⸢paːjasai] 名 葉野菜。葉菜。主に葉を食用とする野菜。対義語は、ナ⸢リ⸣ムヌヤサイ[na⸢ri⸣munujasai](果菜)。 ⸢パーヤサイヤー ナーンパー⸣トゥ タ⸢マナー⸣ル ス⸢ク⸣リ ブ⸢タ⸣ナー [⸢paːjasaijaː naːmpaː⸣tu ta⸢manaː⸣ru su̥⸢ku⸣ri bu⸢ta⸣naː] (葉野菜は菜っ葉とキャベツ<玉菜>を栽培して<作って>いたなあ)。 ⸢パーヤサイヤー ナン⸣ゾー ス⸢クラン⸣シェン [⸢paːjasaijaː nan⸣ʣoː su̥⸢kuraŋ⸣ʃeŋ] (葉野菜はあんまり作らなかった) 12956 0 0 12601 htmvoc_12956.wav パーヤミ ⸢パー⸣ヤミ [⸢paː⸣jami] 名 歯痛。「歯病み」の転訛したもの。 ⸢パーヤミ⸣ヌ ⸢スー⸣ワティ ⸣ムヌン ッ⸢ふァーラヌ [⸢paːjami⸣nu ⸢suː⸣wati ⸣munuŋ f⸢faːranu] (歯痛が激しい<強い>ので、物も食えない) 12957 0 0 12602 htmvoc_12957.wav パーユシキ ⸢パーユシキ [⸢paːjuʃi̥ki] 名 葉ススキ。葉のついたままのススキ。 マ⸢ミ⸣ マキティ ⸣アトー ⸢パーユシキヌ⸣ フキシ ⸣サン ⸢ユイティ⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣シノーラ ウ⸢チェー ミーペー ユーシティ⸣ ッ⸢ソーッ⸣タ [ma⸢mi⸣ makiti ⸣ʔatoː ⸢paːjuʃi̥kinu⸣ ɸu̥kiʃi ⸣saɲ ⸢juiti⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʃinoːra ʔu⸢ʧeː miːpeː juːʃiti⸣ s⸢soːt⸣ta] (豆を播いた後、葉ススキの茎でサン<\ruby{藁}{ワラ}やススキの葉で輪を作るように結んだ魔除けの呪符>を結んで、畑の角から内側へ三足ほど寄せて挿した)。 ⸢ユシキ⸣ヌ ⸢パーヤ スー⸣リティ シ⸢ダ⸣ル ⸣フミティル ⸢ウン⸣ナー イ⸢ガー⸣ プ⸢ス⸣タ [⸢juʃi̥ki⸣nu ⸢paːja suː⸣riti ʃi⸢da⸣ru ⸣ɸumitiru ⸢ʔun⸣naː ʔi⸢gaː⸣ pu̥⸢su⸣ta] (ススキの葉を\ruby{扱}{シゴ}いて削ぎ、\ruby{簾}{スダ}に編んで、それに\ruby{烏賊}{イ|カ}を干した) 12958 0 0 12603 htmvoc_12958.wav パーヨージ ⸢パーヨー⸣ジ [⸢paːjoː⸣ʤi] 名 楊枝。歯の間にはさまっているものを除去して清潔にするのに用いる具。 ⸢パーヨー⸣ジシ ⸢パー⸣ヌ ⸣ッス ⸣トゥリバ [⸢paːjoː⸣ʤiʃi ⸢paː⸣nu ⸣ssu ⸣turiba] (楊枝で歯に付着したかす<歯くそ{EOS}はかす>を取れよ) 12959 0 0 12604 htmvoc_12959.wav パーヨーン ⸣パー ⸢ヨー⸣ン [⸣paː ⸢joː⸣ŋ] 連 歯が弱い。 ⸣パー ⸢ヨー⸣ンダ ⸢コー⸣ムノー カ⸢マラ⸣ヌ [⸣paː ⸢joː⸣nda ⸢koː⸣ munoː ka⸢mara⸣nu] (歯が弱いので固いものは噛めない) 12960 0 1 12605 htmvoc_12960.wav パーラパーラ ⸢パーラパーラ [⸢paːrapaːra] 副 {Mn_1}ひらひら。風に吹かれてひらひら揺れるさま。 カ⸢ジバナ⸣ナー ⸢キン⸣バ ⸣プシ⸣シケーター カ⸢ジヌ スイティ パーラパーラ⸣シ トゥ⸢バサリ ベー [ka⸢ʤibana⸣naː ⸢kim⸣ba ⸣pu̥ʃi ⸣ʃi̥keːtaː ka⸢ʤinu suiti paːrapaːra⸣ tu⸢basaribeː] (風の通り道<風端>に着物を干しておいたら、風が吹いてひらひら揺れている<ひらひらと飛ばされている>)。 カ⸢ベー パーラパーラ⸣シ カ⸢ジン⸣ トゥ⸢バサリ ナー⸣ヌ [ka⸢beː paːrapaːra⸣ʃi ka⸢ʤin⸣ tu⸢basari naː⸣nu] (紙はひらひらと風に飛ばされてしまった)。 12960 0 2 12606 htmvoc_12960.wav パーラパーラ ⸢パーラパーラ [⸢paːrapaːra] 副 {Mn_2}ぺらぺら。 プ⸢スヌ⸣ マイナー ヤ⸢マトゥムニ⸣バ ⸢パーラパーラ⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [pu̥⸢sunu⸣ mainaː ja⸢matumuni⸣ba ⸢paːrapaːra⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (人前で標準語<大和言葉>をぺらぺらとしゃべっているよ) 12961 0 0 12607 htmvoc_12961.wav パーレー ⸢パー⸣レー [⸢paː⸣reː] 名 爬龍船競漕の行事。旧暦六月のミ⸢ジニー[mi⸢ʤiniː](壬)の日を選んで執り行われる⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)の初日、⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](西村、東村対抗の伝統的入子型奉納舞踊)の最終演目の終了と同時に、イ⸢リクヌ⸣ティー[ʔi⸢rikunu⸣tiː](入子の笛)が一段と高く吹き鳴らされると、ドゥ⸢ラーン[du⸢raːŋ](銅鑼)が強打され、カシラ持ちが旗頭を持ち上げ、棒踊りの曲に合わせながら東回りでカシラ[ka⸢ʃi⸣ra](旗頭)を⸣サンシキ[⸣saŋʃiki](桟敷)の浜に移動させる。浜には東西に二本のポール(旗頭の支柱)が立っており、カシラを支柱に結わえて立てておく。ポールの前には、東西の⸢パーレー⸣フニ[⸢paːreː⸣ɸuni](爬龍船)が並べてある。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)達が所定の座に着かれると、二艘の⸢パーレー⸣フニは漕ぎ手達によって、手で下げ持つようにして勢いよく進水され、漕ぎ手たちが一斉に乗船する。漕ぎ手が乗船すると、舳先が揃えられる。同時に⸢ユークイジラ⸣マ[⸢juːkuiʤira⸣ma](世乞い歌<豊年を引き寄せる神歌{EOS}世乞いジラマ>)が神職者、漕ぎ手、村人達によって厳かに歌い出される。漕ぎ手達は神歌ジラマのフレーズに合わせてゆっくりと一櫂漕いで櫂を高く持ち上げ、一節歌い終えて櫂を海に入れ、一漕ぎして船を進める。東西の爬龍船はトゥ⸢ムヌー⸣ル[tu⸢munuː⸣ru](船頭{EOS}艫乗り)によって直径約30メートルの円形に漕ぎ回されて舳先を揃え、出発の銅鑼の音を合図にスタートする。爬龍船は沖合い約200メートルに浮かべた折り返し点を目指して漕ぎ進む。折り返し点には⸢ブイ[⸢bui](浮標{EOS}うき{EOS}英語からの借用語)に小旗が立ててあるので、そこでUターンして桟敷の方へ漕ぎ帰る。ブイは桟敷から鳩離島のパンガマイシ[⸢pagamaiʃi](羽釜石)とピ⸢ナイサキ[pi⸢naisaki](ピナイ崎)のマ⸢ニ⸣ツァイシ[ma⸢ni⸣ʦaiʃi](俎板石)の方向にあわせることになっている。パーレーフニがターンする際に船頭が小旗を櫂で倒す。これがルールであるが、出発の時点で、神歌の歌詞に東と西で違いがある。東の神歌の歌詞が一節だけ長い。従ってスタート時点において西村の爬龍船が一櫂入れる分だけ早めにスタートすることになるので、常に西村の爬龍船が勝つ仕組みになっている。これは西村<女性>が勝てば豊年が約束されるという伝承に基いている。若い人達はこの仕組みを知らないから、喧嘩沙汰を引き起こしたこともあった。両爬龍船がスタートした浜に到着すると、イ⸢チバン⸣ヤク[ʔi⸢ʧibaɲ⸣jaku](一番漕ぎ手)が船から飛び降り、サ⸢カサ達の座っているところへ駆け上り、先着順に\ruby{跪}{ヒザマズ}いて神酒を頂く。その間、浜では老若男女銅鑼や太鼓を乱打して⸢ガー⸣リ[⸢gaː⸣ri](応援{EOS}「自慢合戦」の義)をする。それが済むと、漕ぎ手を先頭に、⸢ユーアギジラ⸣マ[⸢juːagiʤira⸣ma](世揚げジラマ<豊年を迎える神歌>)と⸢パイミジラ⸣マ[⸢paimiʤira⸣ma]を応援参加者も共に歌いながら、東西それぞれの爬龍船の回りを廻る。漕ぎ手は櫂を立てて囃子の「サーユイユイ」と「ハイヨーシュラヨー」の部分を歌いながら進み、立てた櫂を左右に振る。爬龍船に海水が沢山入るとユ⸢ガフー[ju⸢gaɸuː](世果報)が\ruby{齎}{モタラ}されたといって喜ぶ。船のあか(淦)を方言で⸣ユー[⸣juː](湯)ともいうが、それを⸢ユー[⸢juː](世{EOS}世果報)に掛けたものである。歌い終わると、東村を先頭にして桟敷へ戻る。サカサ達が所定の場所に座ると、旗頭をサカサ達の前に立てて、⸣サンシキヌウタ[⸣saŋʃikinuʔuta](桟敷の歌)を歌う。それが済むと旗頭を⸢アイ⸣ザムトゥ[⸢ʔai⸣ʣamutu](旗頭出迎えの座)へ進め、⸢アイ⸣ザムトゥヌ ⸣ウタ[⸢ʔai⸣ʣamutunu ⸣ʔuta](旗頭出迎えの座の歌)を歌い、各トゥ⸢ニムトゥ[tu⸢nimutu](村の宗家{EOS}旗頭を保存する家)へ別れて帰り、トゥ⸢ニムトゥの門前でトゥ⸢ニムトゥヌ⸣ ウタ[tu⸢nimutunu⸣ ʔuta](村の宗家の歌)を歌いながら家の中へ入る。旗頭は一番座の東の所定の場所に立てて置きく。ピ⸢キ[pi⸢ki](血筋)の人、漕ぎ手、ティジリビー等が参加するが漕ぎ手は庭で、他の者は座敷に上がって酒肴の持て成しを受け、⸢サンバーレ[⸢sambaːreː]歌を歌う。その後漕ぎ手達は⸢パーレー⸣フニ[⸢paːraː⸣ɸuni](爬龍船)のフ⸢ナム⸣トゥ[ɸu⸢namu⸣tu](船主)の家へ、爬竜船の淦を瓶に入れて持参する。船主の家では酒肴の持て成しを受け、フ⸢ナム⸣トゥ[ɸu⸢namu⸣tu](船元)の歌を歌って解散する 12962 0 0 12608 htmvoc_12962.wav パーレークーン ⸢パー⸣レー ⸣クーン [⸢paː⸣reː ⸣kuːŋ] 連 爬竜船を漕ぐ。 ⸢プー⸣ルナーヤ ⸢パー⸣レー ⸣クーンティ ⸢シー⸣ アイ⸢ヨーッ⸣タン [⸢puː⸣ruːnaːja ⸢paː⸣reː ⸣kuːnti ⸢ʃiː⸣ ʔai⸢joːt⸣taŋ] (豊年祭には爬竜船を漕ぐとて喧嘩もされたものだ) 12963 0 0 12609 htmvoc_12963.wav パーレーシンカ ⸢パーレーシン⸣カ [⸢paːreːiŋ⸣ka] 名 爬竜船の漕ぎ手。「爬竜船臣下」の義。トゥ⸢ム⸣ヤク[tu⸢mu⸣jaku](船頭{EOS}⸢艫櫂」の義)、イ⸢チバン⸣ヤク[ʔi⸢ʧibaɲ⸣jaku](一番櫂{EOS}一番漕ぎ手)、⸢ピーヌル[⸢piːnuːru](⸢舳乗り」の義{EOS}二人)、⸢マイヌー⸣ル[⸢mainuː⸣ru](「前乗り」の義{EOS}二人)、ナ⸢カヌー⸣ル[na⸢kanuː⸣ru](「中乗り」の義{EOS}二人)、トゥ⸢ムヌー⸣ル[tu⸢munuː⸣ru](「艫乗り」の義{EOS}二人)の計10人の漕ぎ手のこと。トウムヤク(艫櫂{EOS}舵取り)とイチバンヤク(一番漕ぎ手)の出来が勝負を左右するといわれ、最も重視される。 ⸢パーレーシン⸣カー イ⸢チバンヤク⸣ヌ ヤ⸢グイ⸣ナー ⸢アーシ⸣ル ⸣ヤコー ⸣クーンダ ⸣アトー トゥ⸢ムヤク⸣ヌ ⸣フニ マ⸢ギカタ⸣シル ⸣カチマケー キ⸢マル [⸢paːreː ʃiŋ⸣kaː ʔi⸢ʧibaɲjaku⸣nu ja⸢gui⸣naː ⸢ʔaːʃi⸣ru ⸣jakoː ⸣kuːnda ⸣ʔatoː tu⸢mujaku⸣nu ⸣ɸuni ma⸢gikataʃi⸣ru ⸣kaʧimakeː ki⸢maru] (爬竜船の漕ぎ手達は一番漕ぎ手の掛け声に合わせて櫂を漕ぐから、後は舵取り<艫櫂>が船を旋回させる曲げ方によって勝ち負けは決まる) 12964 0 0 12610 htmvoc_12964.wav パーレーフニ ⸢パーレー⸣フニ [⸢paːreː⸣ɸuni] 名 爬竜船。爬竜船競漕に使用する⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)。東村、西村それぞれ一艘ずつ選び出す。各家は一艘のイダフニを所有していたから、青年たちがそれらのイダフニを漕ぎ比べて船足の速いイダフニを選出し、爬竜船に決めて豊年祭の当日に青と白のペンキで船側を波形模様に装飾した。みよし(舳先)も水切りの工夫を凝らして大きな目玉をペンキで描き入れた。櫂は中心から左右に白いペンキで羽模様の斜線を描き入れて装飾をほどこした。爬竜船が一斉に漕ぎ出すと、櫂の上下する様があたかも鶏が羽ばたくように見えた。 ク⸢トゥシェー タッ⸣テヌ フ⸢ニ⸣バ ⸢パーレー⸣フニティ キ⸢モーッ⸣ター [ku̥⸢tuʃeː tat⸣tenu ɸu⸢ni⸣ba ⸢paːreː⸣ɸuniti ki⸢moːt⸣taː] (今年はどこの家のイダフニを爬竜船に決められたのか) 12965 0 0 12611 htmvoc_12965.wav パーレーヤク ⸢パーレー⸣ヤク [⸢paːreː⸣jaku] 名 爬竜船漕ぎに用いる櫂。ヤ⸢コー⸣マ[ja⸢koː⸣ma](小型の櫂)の中央部から白いペンキで斜線を描いて装飾していた。 ⸢パーレー⸣ヤクーン ⸢ペン⸣キ ⸢ヌーリティ⸣ シ⸢ダーシ ソーッ⸣タ [⸢paːreː⸣jakuːŋ ⸢peŋ⸣ki ⸢nuːriti⸣ ʃi⸢daːʃi soːt⸣ta] (爬竜船漕ぎの櫂もペンキを塗って装飾された) 12966 0 0 12612 htmvoc_12966.wav パーンケー ⸣パーンケー [⸣paːŋkeː] 名 お祖母さん方。祖母たち。 ⸣パーンケーヤ ⸢ガン⸣ゾー ア⸢ロールン [⸣paːŋkeːja ⸢gan⸣ʣoː ʔa⸢roːruŋ] (お祖母さん方は元気でいらっしゃいますか) 12967 0 0 12613 htmvoc_12967.wav ハイ ⸢ハ⸣イ [⸢ha⸣i] 感 ほれ。そら。軽く呼びかける時に発する語。自分と同等以下の者に対して、促すときに用いる。 ⸢ハ⸣イ ク⸢レー ワー⸣ タ⸢マシ⸣ ムティパリバ [⸢ha⸣i ku⸢reː waː⸣ ta⸢maʃi⸣ muti ⸣pariba] (ほれ、これは君の受け取り分だ{EOS}持って行きなさい)。 ⸢ハ⸣イ ク⸢リ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢ha⸣i ku⸢ri⸣ f⸢fai⸣ba] (はい、これを食べなさいよ) 12968 0 0 12614 htmvoc_12968.wav バイ ⸣バイ [⸣bai] 名 芽。新芽。萌芽。「~伐れば伴要須礼<ハエスレ>~、万、3491」の名詞化したものか。 ⸢キー⸣ヌ ⸣バイ ン⸢ジ⸣ルン [⸢kiː⸣nu ⸣bai ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (木の芽がでる{EOS}萌え出る)。 カ⸢ブッチヌ⸣ サニ ウ⸢ラ⸣シ ⸣シケータ ⸣バイ ⸣ンジ ⸢ベー [ka⸢butʧinu⸣ sani ʔu⸢ra⸣ʃi ⸣ʃi̥keːtaː ⸣bai ⸣ʔnʤi ⸢beː] (カボチャ<南瓜>の種を播いて<下ろして>おいたら芽が出ている)。⸢バインジ⸣ルン[⸢baiʔnʤi⸣ruŋ](芽生える)ともいう 12969 0 0 12615 htmvoc_12969.wav バイ ⸣バイ [⸣bai] 名 二倍。同じ数を二つ合わせること。 プ⸢スヌ⸣ バイ パ⸢タラカン⸣カー ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ シゥ⸢カナイヨーサ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ bai pḁ⸢tarakaŋ⸣kaː ʔu⸢bi⸣nu f⸢faː⸣ si̥⸢kanaijoːsa⸣nu] (他人の二倍働かないとあれだけ<多数>の子供を養育できない) 12970 0 0 12616 htmvoc_12970.wav パイ ⸣パイ [⸣pai] 名 南。南方。 ⸢パイ⸣カジ [⸢pai⸣kaʤi] (南風{EOS}穏やかな順風)。 ⸢パイ⸣タ [⸢pai⸣ta] (南方{EOS}西表島)。 カ⸢ジェー⸣ パイラン ニ⸢シェー⸣ラン ⸣フキ ⸢クー⸣タン [ka⸢ʤeː⸣ pairan ni⸢ʃeː⸣raŋ ⸣ɸu̥ki ⸢kuː⸣taŋ] (風は南からも北からも吹いてきた) 12971 0 0 12617 htmvoc_12971.wav パイ ⸣パイ [⸣pai] 名 拝。礼拝。神仏に祈願をする際の礼拝の仕方。男女の区別がある。神前で大きな祈願が行われるとき、サ⸢カサ[sa⸢kasa](司{EOS}女性神職者)は膝をついて前屈みに座り、まず両手を胸の位置で深く\ruby{合掌}{ガッ|ショウ}した後、合掌したまま七回ほど畳を軽くたたいて祈願する。この祈願を五回ほど繰り返す。ティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](手擦り部{EOS}男性神職者)は、四立五屈(よんりゅうごくつ)といい、\ruby{跪}{ヒザマズ}いて合掌したのち頭を下げたまま立ち上がり、また座って合掌する。四回立ち上がって五回の合掌を繰り返したのち、立ったまま両手を帯の位置で前方へ出し、手首を上下に振り動かして、サカサの祈願が終わるまでこれを続ける。最後は跪き、合掌して祈願を終える。 サ⸢カサン⸣ケー ティ⸢ジリ⸣ビーンケーヤ ⸣ウガンナーティ ⸣パイ ア⸢ギティル ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [sḁ⸢kasaŋ⸣keː ti⸢ʤiri⸣biːŋkeːja ⸣ʔugannaːti ⸣pai ʔa⸢gitiru niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (サカサ<司{EOS}女性神職者>方やティジリビー<手磨り部{EOS}男性神職者>方は四立五屈の拝をあげて祈願をされた) 12975 0 0 12618 htmvoc_12975.wav パイ ⸢パイ [⸢pai] 名 灰。きばい(木灰)。\ruby{灰燼}{カイ|ジン}。「~灰指物曾<ハヒサスモノゾ>~。万、3101」、「Fai ハイ(灰)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 カ⸢ラパイヌ⸣ カ⸢ジン⸣ トゥ⸢バサリティ ミー⸣ヌ ⸣ナカー ⸢ペー⸣リ ミ⸢ツ⸣ム ⸣ナリ ⸢ベー [ka⸢rapainu⸣ ka⸢ʣin⸣ tu⸢basariti miː⸣nu ⸣nakaː ⸢peː⸣ri mi⸢ʦu⸣mu ⸣nari ⸢beː] (乾燥した灰が風に飛ばされて目の中に入り、目の\ruby{芥}{アクタ}<\ruby{目潰}{メ|ツブシ}>になっている)。 カ⸢マチヌ パイヤー⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ パ⸢タ⸣ケー ⸣ムティパリ [ka⸢maʧinu paija⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti pḁ⸢ta⸣keː ⸣mutipari] (\ruby{竈}{カマド}の灰は集めて畑に持って行け)。 ヤ⸢カリティ⸣ ムー⸢ル パイ⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢kariti⸣ muː⸢ru pai⸣ nari ⸢naː⸣nu] (焼かれて皆灰になってしまった) 12976 0 0 12619 htmvoc_12976.wav パイ ⸢パイ [⸢pai] 名 (動)はえ(蝿)。「蝿、波閉<はへ>」『和名抄』。「Fai ハイ(蝿).Voifarai」『邦訳日葡辞書』。 ⸢アウバイ [⸢ʔaubai] (青蝿)。 ⸢ギンバイ [⸢bimbai] (銀蝿)。⸣ウシパイ[⸣ʔuʃi̥pai](牛蝿{EOS}牛にたかる大きな蝿)、⸢シー⸣バイ[⸢ʃiː⸣bai](⸢饐え蝿」の義{EOS}饐えたものにたかる小さな蛾のような昆虫)などがいる。 サ⸢バン⸣ヌ フ⸢チ⸣ナー ⸢パイヌ⸣ トゥ⸢マリティ⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤバ ア⸢ライ⸣ クー [sa⸢ban⸣nu ɸu⸢ʧi⸣naː ⸢painu⸣ tu⸢mariti⸣ ja⸢ni⸣jaba ʔa⸢rai⸣kuː] (茶碗の縁に蝿が止まって汚いから洗ってこい)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ス⸢ブル⸣ヌ ⸢パイユンツァン ウイユーサムティ⸣ プ⸢スヌ ソー サン ブリ⸣バ [⸢duː⸣nu su⸢buru⸣nu ⸢paijunʦaŋ ʔuijuːsamuti⸣ pu̥⸢sunu soː samburi⸣ba] (自分の頭の蝿すらも追えないくせに、他人の心配をするなよ) 12972 0 0 12620 htmvoc_12972.wav パイカジ ⸢パイ⸣カジ [⸢pai⸣kaʤi] 名 南風。 ⸢パイカジ⸣ヌ ヤー⸢ラヤーラ⸣シ ⸢スイ⸣クーン [⸢paikaʤi⸣nu jaː⸢rajaːra⸣ʃi ⸢sui⸣kuːŋ] (南風がそよそよと<やわやわと{EOS}柔柔>吹いてくる) 12974 0 0 12621 htmvoc_12974.wav パイカブン ⸢パイ⸣カブン [⸢pai⸣kabuŋ] 自動 はびこる(蔓延る)。蔓草が延び拡がりすぎる。蔓草が増殖し\ruby{蔓延}{マン|エン}する。「這い被る」の義。 ⸣カザー ⸢ヤー⸣ヌ ティ⸢ジバー⸣キ ⸢パイ⸣カビ ⸢ナー⸣ヌ [⸣kaʣaː ⸢jaː⸣nu ti⸢ʤibaː⸣ki ⸢pai⸣kabi ⸢naː⸣nu] (蔓は屋根の頂まではびこって<蔓延って>しまった)。 ナー⸢イ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢パイ⸣カブンダ ⸢パイカバン⸣ヨーニ ⸣スリ シ⸢ティリ [naː⸢i⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢pai⸣kabunda ⸢paikabaɲ⸣joːni ⸣suri ʃi̥⸢tiri] (放置しておくと蔓草が蔓延するから蔓延しないように刈り取れ<刈り捨てろ>)。 ⸣カザー ⸢ムイ⸣カビ ⸢パイカビ⸣ パ⸢ヤー⸣ンダ ⸢パイ⸣カブ ⸣ピンマー ⸣ニーラ ⸣スリバ⸢ヨー [⸣kaʣaː ⸢mui⸣kabi ⸢paikabi⸣ pa⸢jaː⸣nda ⸢mui⸣kabu ⸣pimmaː ⸣niːra suriba⸢joː] (蔓は増殖し、\ruby{SqBr}g{/SqBr}{蔓延}{ハビコリ}やすいから、蔓延する時は根っこから刈り取りなさいね)。 ウ⸢ビ⸣ナー ⸢パイ⸣カベーラ ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣naː ⸢pai⸣kabeːraː ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (これほど蔓延したら手がつけられない<養生できない>)。 ⸢パイ⸣カビ [⸢pai⸣kabi] (蔓延しろ) 12973 0 0 12622 htmvoc_12973.wav ハイカラー ⸢ハイ⸣カラー [⸢hai⸣karaː] 名 おしゃれ(お洒落)。お洒落な人。現代風な人。「high collar(たけの高い襟)。英語」からの借用語が和語化したものが、更に鳩間方言に借用され、転訛したもの。 バ⸢カー⸣ムノー ⸢ハイ⸣カラー ヤ⸢ルンダ ピーズンマー(ピーゾー)⸣ ズ⸢ボン⸣ル キ⸢スタ [ba⸢kaː⸣munoː ⸢hai⸣karaː ja⸢runda piːʣummaː(piːʣoː)⸣ ʣu⸢bon⸣ru ki̥⸢suta] (若者はお洒落だから、日頃<いつも>はズボンを穿いた<着た>) 12977 0 0 12623 htmvoc_12977.wav バイカン ⸢バイ⸣カン [⸢bai⸣kaŋ] 名 \ruby{焙乾}{バイ|カン}。鰹節製造の際、ヨ⸢ツワリ[jo⸢ʦuwari](四つ割り)にしたカツオをニ⸢コミ[ni⸢komi](煮込み)した後、バ⸢ラ⸣ヌギ[ba⸢ra⸣nugi](ピンセットで骨を抜くこと)をし、シ⸢ル⸣ク[ʃi⸢ru⸣ku](鰹節補修用に煮た魚肉を搗き練ったもの)を付けて乾燥部屋に移し、薪を焚いて燻製にすること。 カ⸢ツブシェー バイカン⸣ヤーナーティ ッ⸢サンター⸣ラ ⸢ウンター⸣ニ ⸣サンダン ム⸢チナ⸣シェーティ ⸢バイカン⸣マー カ⸢キル⸣タ [kḁ⸢ʦubuʃeː baikaɲ⸣jaːnaːti s⸢santaː⸣ra ⸢ʔuntaː⸣ni ⸣sandam mu⸢ʧina⸣ʃeːti ⸢baikam⸣maː kḁ⸢kiru⸣ta] (鰹節は焙乾屋で下から上の段へと三段に移しながら焙乾をかけた) 12978 0 0 12624 htmvoc_12978.wav バイカンガマ ⸢バイカン⸣ガマ [⸢baikaŋ⸣gama] 名 焙乾窯。バ⸢ラ⸣ヌギ[ba⸢ra⸣nugi]して、シ⸢ル⸣ク[ʃi⸢ru⸣ku]を塗って補修したカツオ節の素材を幅約60センチ、長さ約1、5メートルの⸢シェイローカグ[ʃeiroːkaku](蒸籠)に並べて、それを4、5枚重ね、窯に薪を燃やし、その熱と煙で半乾燥する窯。総ての蒸籠が下段に来るように時間を約2時間おきに下から上へと順に重ね替えた。そこで半乾燥した鰹節を⸢バイカン⸣ヤー[⸢baikaŋ⸣jaː](焙乾屋)に移して完成した 12979 0 0 12625 htmvoc_12979.wav バイカンヤー ⸢バイカン⸣ヤー [⸢baikaɲ⸣jaː] 名 焙乾屋。⸢バイカン⸣ガマ[⸢baikaŋ⸣gama](焙乾窯)で半乾燥したカツオ節を更に焙乾して鰹節を完成する小屋。一階の土間には数箇所に薪を焚くため、壁には粘土を漆喰のように厚めに塗ってある。二階と中二階、三階の床は竹床にし、そこにカツオ節を並べて本格的に焙乾した。 ⸢シーゾー⸣ヤーナー ⸢バイカン⸣ヤーン ス⸢クラリ⸣ ブタ [⸢ʃiːʣoː⸣jaːnaː ⸢baikaɲ⸣jaːn su̥⸢kurari⸣ buta] (鰹節製造工場<製造屋>には焙乾屋も作られていた) 12980 0 0 12626 htmvoc_12980.wav ハイグヮー ⸢ハイ⸣グヮー [⸢hai⸣gwaː] 名 小さな梁。「小梁」の義。糸満方言からの借用語。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)の艫の\ruby{梁}{ハリ}。直径約5センチ、長さ約70センチの棒を両舷側にわたし、舷側を固定したもの。その下に銅線のワイヤーで舷側を引き締め、ハイグヮーにしっかり巻き締めてある。ウ⸢シカキの梁とハイグヮーの梁で⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni]の船腹は固められている 12981 0 0 12627 htmvoc_12981.wav パイサ ⸢パイ⸣サ [⸢pai⸣sa] 副 早く。 シ⸢グトゥ⸣ トゥ⸢ズ⸣メーカー ⸢パイ⸣サ ⸢カイ⸣リ ⸣クー⸢ヨー [ʃi⸢gutu⸣ tu⸢ʣu⸣meːkaː ⸢pai⸣sa ⸢kai⸣ri kuː⸢joː] (仕事を片付け<終え>たのなら、早く帰って来なさいよ) 12982 0 0 12628 htmvoc_12982.wav パイザイ ⸢パイ⸣ザイ [⸢pai⸣ʣai] 名 \ruby{蒲鉾}{カマ|ボコ}を作る際に、魚肉の擂り身に加える澱粉。つなぎ(繋ぎ)となる澱粉。適切に配分して加えるもの。「配剤」の義。 カ⸢マブクヌ パイザイ⸣ヤー ⸢ウンヌ⸣クジ ⸣タリ イ⸢リリ⸣バ [ka⸢mabukunu paiʣai⸣jaː ⸢ʔunnu⸣kuʤi ⸣tari ʔi⸢riri⸣ba] (蒲鉾の配剤には芋の葛粉<澱粉>を溶いて入れなさいよ) 12983 0 0 12629 htmvoc_12983.wav ハイジョー ⸢ハイジョー [⸢haiʤoː] 名 ⸢張り竿」の義。フ⸢クル⸣プー[ɸu̥⸢kuru⸣puː](袋帆)の⸣カタ[⸣kḁta](左半分{EOS}「肩」の義か)の中間部にある⸢ジー⸣ヨー[⸢ʤiː⸣joː](前方へ張る縄{EOS}帆をバタつかせないために張る縄{EOS}前方へ張る⸢ティン⸣ナー{SqBr}⸢tin⸣naː{/SqBr}<手縄>)に結んで⸢プーザンプーをバタつかせないように固定する竿 12984 0 0 12630 htmvoc_12984.wav パイジン ⸢パイ⸣ジン [⸢pai⸣ʤiŋ] 名 配膳。神事や法事の供物を供えること。普通は⸢ジンバイ[⸢ʣimbai](膳配り)という。「Faijen.ハイゼン(配膳) Ienuo cubaru(膳を配る)」『邦訳日葡辞書』。 ⸢パイ⸣ジン ⸢シェー⸣カー ⸣アッパター シゥ⸢カシ⸣キー ⸣パイ シ⸢ミ オーラ⸣シ [⸢pai⸣ʤiŋ ⸢ʃeː⸣kaː ⸣ʔappataː sï̥⸢kaʃi⸣kiː ⸣pai ʃi⸢mi ʔoːra⸣ʃi] (供物の配膳をしたのなら、お婆さん<司の神女>達を案内してきて拝<祈願の儀式>をして頂きなさい)。⸢ジンバイ[⸢ʤimbai](配膳係)は村行事に従事する最下級の村役人  12990 0 0 12631 htmvoc_12990.wav パイタ ⸢パイ⸣タ [⸢pai⸣ta] 名 南。南方。西表島北岸一帯の水田地帯。⸣パンター[⸣pantaː](南{EOS}南方{EOS}西表)ともいう。 ⸢バン⸣ヌン ⸢パイ⸣ター ⸢トーサ⸣ トゥリン ⸣パルン [⸢ban⸣num ⸢pai⸣taː ⸢toːsa⸣ turim ⸣paruŋ] (私も西表島<南方>へ田草を取りに行く)。 ⸢パイタ⸣ナー ⸢ター⸣ヤー ス⸢ク⸣リティ ⸣ウナー トゥ⸢マレー⸣ティル ⸢マイヤー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸢paita⸣naː ⸢taː⸣jaː su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔunaː tu⸢mareː⸣tiru ⸢maijaː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (西表島北岸一帯<南方>に田小屋を作って、そこに宿泊し<泊り>ながら稲作され<米を作られ>た) 12985 0 0 12632 htmvoc_12985.wav パイディン ⸢パイ⸣ディン [⸢pai⸣diŋ] 名 ⸢拝殿」の義。⸣ウボー[⸣ʔuboː](威部{EOS}杜の中の神の坐す神聖な所)へ通ずる道の入り口にある小屋付きの門。そこには⸢コー⸣ロ[⸢koː⸣ro](香炉)が据えられてあり、男性はそこより中へは入れないといわれている。普通はそこで香を焚き、祈願を行う。パイディン(拝殿)とウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](母屋)の間の空間を、⸣メー[⸣meː](庭{EOS}広場)という。キ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)には、パイディンの前にサカサ(司)やティジリビー(手擦り部{EOS}男性神職者)、バ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa](脇司)らが座り、左右の見物席には村人達が筵を敷いて座る。ウブヤー(母屋)の南側にバンコ(舞台)を作ってブドゥ⸢ルキョンギン[bu⸢durukjoŋgiŋ](踊り狂言)が奉納された。その際、ウブヤー(母屋)は楽屋の機能を果たした。余興は総てバンコの舞台で上演され、西村と東村が合同でなされた。⸣ジーシンカ[⸣ʤiːʃiŋka](地謡方<臣下>)、ブ⸢ドゥルシンカ[bu⸢duruʃiŋka](舞い方<臣下>{EOS}踊り方<臣下>)が豊年祭のように東村、西村が対抗して競演することはなかった 12992 0 0 12633 htmvoc_12992.wav パイナー ⸢パイ⸣ナー [⸢pai⸣naː] 名 延縄。\ruby{釣漁法}{チョウ|ギョ|ホウ}の一つ。\ruby{釣具}{ツリ|グ}の一つ。一条の長いム⸢トゥ⸣ナー[mu⸢tu⸣naː](本縄)に一定間隔にユ⸢ダナー[ju⸢danaː](枝縄)を取り付け、それぞれに釣り針をつけて釣る漁法、または漁具。鳩間島では本格的な延縄漁はなく、簡単な⸣イノーパイナー[⸣ʔinoːpainaː](沿岸での延縄漁)が行われていた。 ⸢パイ⸣ナー ⸢シン⸣ パル ⸣ピンマー カ⸢ツヌ⸣ ハ⸢ラ⸣ゴー ⸣キシティ ウ⸢リバ ムン⸣ダニ シ⸢ティ ホーシ⸣タ [⸢pai⸣naː ⸢ʃim⸣ paru ⸣pimmaː kḁ⸢ʦunu⸣ ha⸢ra⸣goː ⸣ki̥ʃiti ʔu⸢riba mun⸣dani ʃi̥⸢ti hoːʃi̥⸣ta] (延縄漁をしに行く時は、カツオの腹皮を切って、それを餌にして釣った) 12993 0 0 12634 htmvoc_12993.wav パイニー ⸢パイ⸣ニー [⸢pai⸣niː] 名 支根。主根から分かれた小さい根。「這い根」の義。ム⸢トゥ⸣ニー[mu⸢tu⸣niː](主根)の対義語。 ⸢ウン⸣マー ム⸢トゥ⸣ニーナーン ⸢パイ⸣ニーナーン イッ⸢ケナ ミーレー⸣ン [⸢ʔum⸣maː mu⸢tu⸣niːnaːm ⸢pai⸣niːnaːŋ ʔik⸢kena miːreː⸣ŋ] (芋は主根にも支根にも沢山実っている) 12994 0 0 12635 htmvoc_12994.wav パイヌッス ⸢パイヌ⸣ ッス [⸢painu⸣ ssu] 連 はえ(蝿)の糞。「そばかす」の義はない。 ⸢パイヌ⸣ ッ⸢ふァイムヌ⸣ナー トゥ⸢マル⸣カー ⸣ッス ⸣マルンダ イッ⸢ケナ⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤン [⸢painu⸣ f⸢faimunu⸣naː tu⸢maru⸣kaː ⸣ssu ⸣marunda ʔik⸢kena⸣ ja⸢ni⸣jaŋ] (蝿が食べ物に止まると糞をまる<放る>ので非常にきたない) 12996 0 0 12636 htmvoc_12996.wav パイヌボーンケールン ⸢パイヌ ボーンケー⸣ルン [⸢painu boːŋkeː⸣ruŋ] 連 蝿がたかる。 ⸢タール⸣ シ⸢トゥタ⸣ユー ⸣ッサリイズナー ⸢パイヌ ボーンケー⸣リティ ン⸢カーラヌ [⸢taːru⸣ ʃi̥⸢tuta⸣juː ⸣ssariʔiʣunaː ⸢painu boːŋkeː⸣riti ʔŋ⸢kaːranu] (誰が捨てたのか、腐れた魚にわっと蝿がたかって近寄れない) 12997 0 0 12637 htmvoc_12997.wav パイネー ⸢パイ⸣ネー [⸢pai⸣neː] 名 屋号。友利家の東にある小浜家の屋敷の古い名称 12998 0 0 12638 htmvoc_12998.wav パイノーラ ⸢パイノー⸣ラ [⸢painoː⸣ra] 名 伝承上、遠い南方に存在すると想念された島。 ⸢パイノーラ⸣ヌ ⸣シマーラ ⸢ノーリユー⸣バ ⸢ユーシ オー⸣リ [⸢painoːra⸣nu ⸣ʃimaːra ⸢noːrijuː⸣ba ⸢juːʃi ʔoː⸣ri] (遠い南方の島から豊 年を引き寄せてきてください) 12991 0 0 12639 htmvoc_12991.wav パイバタ ⸢パイバ⸣タ [⸢paiba⸣ta] 名 南。南方。西表北岸一帯の水田地帯。「南端」の義。/⸢マンカ パイバタ⸣ ミ⸢ワタシ⸣バ パ⸢マヌ⸣ ミ⸢ル⸣スヤ ク⸢ラ⸣ヌ ⸣パマ/[⸢maŋka paibata⸣ mi⸢wataʃi⸣ba pa⸢manu⸣ mi⸢ru⸣suja ku⸢ra⸣nu ⸣pama](真直ぐ南方を見渡すと浜が見えるのは久浦の浜)。鳩間中岡(鳩間節)『鳩間島古典民謡古謡集』 12995 0 0 12640 htmvoc_12995.wav パイフキ ⸢パイフキ [⸢paiɸuki] 名 灰吹き。煙草の吸殻を叩き入れるための竹筒。煙草盆に備え付けてある。「Faibuqi.ハイブキ(灰吹)」『邦訳日葡辞書』。 ム⸢カ⸣シェー キ⸢シル⸣バ ⸢パイフキ⸣ナー ⸢シッ⸣キティル タ⸢バク⸣ヌ ⸢スイガラー⸣ ウ⸢タ⸣ソーッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ki̥⸢ʃiru⸣ba ⸢paiɸu̥ki⸣naː ⸢ʃik⸣kitiru ta⸢baku⸣nu ⸢suigaraː⸣ ʔu⸢ta⸣soːtta] (昔は煙管を灰吹きに叩いて<ぞ>煙草の吸殻をおとされた) 12987 0 0 12641 htmvoc_12987.wav パイマール ⸢パイマー⸣ル [⸢paimaː⸣ru] 名 先回り。他人を出し抜くこと。抜け駆けすること。「早回り」の義。 ⸢カッ⸣ツァー ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスムバ マ⸢ティ⸣ル パ⸢リ⸣バ ⸢ワー ウイヌ⸣ ミチェーラ ⸢パイマー⸣ル ⸢シー ギー ベー⸣リ [⸢kat⸣ʦaː ⸢suː⸣nu ⸣pi̥su ⸣muba ma⸢ti⸣ru pa⸢ri⸣ba ⸢waː ʔuinu⸣ miʧeːra ⸢paimaː⸣ru ⸢ʃiː giːbeː⸣ri] (彼らは潮の退くのを待って行くから、君は上の道から先回りして行って居れ) 12988 0 1 12642 htmvoc_12988.wav パイマルン ⸢パイ⸣マルン [⸢pai⸣maruŋ] 自動 {Mn_1}早まる。速さが増す。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ピューロー ⸢パイ⸣マルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢パイマラン⸣ツォー [⸢puːru⸣nu ⸢pjuːroː pai⸣maruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢paimaran⸣ʦoː] (豊年祭の日程<日選り>は早まるだろうとかとも思ったが、早まらないそうだ)。 ⸢ピューロー パイ⸣マリ ⸢ナーン⸣ドゥ ⸢パイ⸣マル ⸣クトー カ⸢ニテー⸣ラ ッ⸢シ ブタ [⸢pjuːroː pai⸣mari ⸢naːn⸣du ⸢pai⸣maru ⸣kutoː ka⸢niteː⸣ra ʃ⸢ʃibuta] (日程は早まってしまったが、早まることは予てから分かっていた)。 ン⸢ベーマー パイ⸣マレー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː pai⸣mareː ⸣misamunu] (少しは早まれば良いのに)。 ⸢パイ⸣マリ [⸢pai⸣mari] (早まれ{EOS}急げ)。早まる。早くなる。 ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢パイ⸣マルンティ シ⸢バ ワー パイ⸣マリ ⸣パリバ [⸢joi⸣jaː ⸢pai⸣marunti ⸢ʃiba waː pai⸣mari ⸣pariba] (お祝いは日程が早まるというから、君は早めに行きなさいよ)。 12988 0 2 12643 htmvoc_12988.wav パイマルン ⸢パイ⸣マルン [⸢pai⸣maruŋ] 自動 {Mn_2}急ぎすぎて判断を誤る。 ヨー⸢ヨー パイマル⸣ナ⸢ダー [joː⸢joː paimaru⸣na⸢daː] (よく注意して判断を早まるなよ) 13000 0 0 12644 htmvoc_13000.wav パイミ ⸢パイ⸣ミ [⸢pai⸣mi] 名 地名。南風見(西表島東部の豊原<大原、大富>地区)。竹富住民の移住によって開拓された。 ⸢パイ⸣メー タ⸢キ⸣ドゥンプスヌ イ⸢ジュー⸣ シ⸢ティル⸣ ス⸢クラ⸣レーツォー [⸢pai⸣meː tḁ⸢ki⸣dumpu̥sunu ʔi⸢ʤuː⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ su̥⸢kura⸣reːʦoː] (南風見集落は竹富人が移住して作られたそうだ) 12989 0 0 12645 htmvoc_12989.wav パイミジラマ ⸢パイ⸣ミジラマ [⸢pai⸣miʣirama] 名 豊年祭の歌の一つ。⸢パー⸣レー(爬竜船競漕)の後、⸢ユーアギジラ⸣マ(世揚げジラマ)の後に歌われる神歌。⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta](豊年祭の歌)参照 13001 0 0 12646 htmvoc_13001.wav パイミルン ⸢パイミ⸣ルン [⸢paimi⸣ruŋ] 他動 早める。早くする。若年層は、パ⸢ヤミ⸣ルン[pa⸢jami⸣ruŋ](早める)という。 シ⸢グトゥ パイミ⸣ルンティ ⸣ウムーカ ⸣ティマ ア⸢ギリ⸣バ [ʃi⸢gutu paimi⸣runti ⸣ʔumuːka ⸣tima ʔa⸢giri⸣ba] (仕事を早めようと思うなら手間賃を上げなさいよ) 13002 0 0 12647 htmvoc_13002.wav パイムキ ⸢パイ⸣ムキ [⸢pai⸣muki] 名 南向き。ニ⸢シムキ[ni⸢ʃimuki](北向き)の対義語。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヤ ムー⸢ル パイ⸣ムキニル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢jaː⸣ja muː⸢ru pai⸣mukiniru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (鳩間島の家は全部南向きに作られている) 13003 0 0 12648 htmvoc_13003.wav バイヤーマ バイ⸢ヤー⸣マ [bai⸢jaː⸣ma] 名 わかめ(若芽)。しんめ(新芽)。バ⸢カ⸣バイ[ba⸢ka⸣bai](若芽)ともいう。 ウ⸢ル⸣ズン ⸣ナルカー ⸢キー⸣ヌ バイ⸢ヤー⸣マン バ⸢カ⸣パー ⸣ナリ ⸣クン [ʔu⸢ru⸣ʣun ⸣narukaː ⸢kiː⸣nu bai⸢jaː⸣mam ba⸢ka⸣paː ⸣nari ⸣kuŋ] (初夏になると木の新芽も若葉になってくる) 13004 0 0 12649 htmvoc_13004.wav パイヤキガマ ⸢パイヤキガマ [⸢paijakigama] 名 石灰焼き窯。⸢ウールパイ[⸢ʔuːrupai](石灰)を作る窯。⸢ウールイシ[⸢ʔuːruiʃi](枝珊瑚)を焼いて石灰を作るために砂浜で急ごしらえの窯を作っていた。 ⸢パイヤキガマ⸣ナー ⸢ウールイシバ⸣ イ⸢リ⸣ ヤ⸢キティ ウールパイ⸣ ス⸢クル⸣タ [⸢paijakigama⸣naː ⸢ʔuːruiʃiba⸣ ʔi⸢ri⸣ ja⸢kiti ʔuːrupai⸣ su̥⸢kuru⸣ta] (石灰焼き窯に珊瑚石を入れ、焼いて石灰を作った) 13005 0 0 12650 htmvoc_13005.wav パイル ⸢パイル [⸢pairu] 名 酢。明治・大正生まれの老年層が用いる。 サ⸢キカシパイル [sḁ⸢kikaipairu] (酒かすで醸造した酢)。 ⸢ウンヌ⸣シルパイル [⸢ʔunnu⸣ʃirupairu] (芋の煮汁で醸造した酢)。お盆の「獅子舞」の歌の「道歌」に/~パダラヤ ナマシ ナマシヤ パイル パイルヤ フナブ~(トウゴロウイワシは刺身にし、刺身はパイル<酢>をかけ、酢には九年母の実を~)/と歌われている。 ク⸢ヌ パイロー⸣ イッ⸢ケン⸣ キ⸢シ⸣ルン [ku⸢nu pairoː⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ki̥⸢ʃi⸣ruŋ] (この酢は熟成して非常に酸味がつよい)。 ⸢パイル⸣ ニ⸢バシティ⸣ キ⸢サ⸣スン [⸢pairu⸣ ni⸢baʃi̥ti⸣ ki̥⸢sa⸣suŋ] (酢を寝かせて熟成させる) 13006 0 0 12651 htmvoc_13006.wav パイルヌッふァ ⸢パイルヌ ッふァ [⸢pairunu ffa] 連 酢の素。「酢の子」の義。酢を入れた瓶の底に溜まるどろどろとした粘液状の物質。新しく酢を作る際に、これを入れると酢の素になって早く酢を醸造することができるので,各家庭で大事に保存されていた。 ⸢パイルヌ ッふァー ヤーカー⸣ジ タ⸢ブイヨーッ⸣タン [⸢pairunu ffaː jaːkaː⸣ʤi ta⸢buijoːt⸣taŋ] (酢の素は家毎に保存されていた) 13008 0 0 12652 htmvoc_13008.wav バイルン ⸢バイルン [⸢bairuŋ] 他動 酒などに他の液体を混ぜて薄める。水で割る。⸢バウン[⸢bauŋ](水で薄める)ともいう。 パ⸢ナザ⸣ケー ⸢バイラン⸣カー ⸢スーワ⸣ヌ ヌ⸢マラン⸣ダー ミ⸢ジ⸣シ ⸢バイリ [pa⸢naʣa⸣keː ⸢bairaŋ⸣kaː nu⸢maran⸣daː ⸢bairi] (はなざけ<最初に出る蒸留酒>はアルコール度数が強くて水で割らないと飲めないから水で割れ)。 ⸢バイティ⸣ ヌミ ⸣ミサカー ⸢バイル⸣ クトゥン ⸣ナルン [⸢baiti⸣ numi ⸣misakaː ⸢bairu⸣ ku̥tun ⸣naruŋ] (水で割って飲んでよければ、割ることもできる)。 ⸣バー ミ⸢ジ⸣シ ⸢バイルン [⸣baː mi⸢ʤi⸣ʃi ⸢bairuŋ] (私は水で割る)。 ⸢ワンヌン バイレー(⸢バイリバ)⸣ ミサムヌ [⸢wannum baireː(⸢bairiba)⸣ misamunu] (君も水で割れば良いのに)。 ミ⸢ジ⸣シ ⸢バイリ [mi⸢ʤi⸣ʃi ⸢bairi] (水で割れ) 13007 0 0 12653 htmvoc_13007.wav パイルン ⸢パイ⸣ルン [⸢pai⸣ruŋ] 他動 縄や綱を引き延ばす。地面や海面に這わせて延ばす。網を延べる。這わせる。 ⸣ナー ⸢パイ⸣ルンティ ⸢ベーン⸣ドゥ カ⸢ジヌ スーワ⸣ヌ ⸢パイララ⸣ヌ [⸣naː ⸢pai⸣runti ⸢beːn⸣du ka⸢ʤinu suːwa⸣nu ⸢pairara⸣nu] (縄を引き延ばそうとしているが、風が強くて引き延ばされない)。 ⸣ナー ⸣パイ ⸣ミサカー ⸢パイ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣naː ⸣pai ⸣misakaː ⸢pai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (縄を引き延ばしてよければ、引き延ばすことはできる)。 ナー⸢ナー⸣シ ⸢パイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [naː⸢naː⸣ʃi ⸢pai⸣jaː ⸣misamunu] (長く引き延ばせばいいのに)。 サ⸢バナーヤ⸣ クナーティ ⸢パイ⸣リ [sa⸢banaːja⸣ kunaːti ⸢pai⸣ri] (鱶<鮫>釣り縄はここにひっぱって延ばしなさい{EOS}砂浜から沖合いへ鱶釣り縄を這わせておけ) 13009 0 1 12654 htmvoc_13009.wav バウ ⸢バウ [⸢bau] 名 {Mn_1}棒。手に持てる細長い木や竹。老年層の言葉。若年層は、⸣ボー[⸣boː](棒)という。[au] → [oː] の音韻変化によるもの。 ⸣タンコー ⸢ピンギ⸣ムノー ⸣バウシ シ⸢トゥナー⸣リ ⸢ベー⸣タ [⸣taŋkoː ⸢piŋgi⸣munoː ⸣bauʃi ʃi̥⸢tunaː⸣ri ⸢beː⸣ta] (炭坑逃亡者は棒で叩かれていた)。 13009 0 2 12655 htmvoc_13009.wav バウ ⸢バウ [⸢bau] 名 {Mn_2}棒術。棒踊り。豊年祭には棒踊りが上演された。 ⸢プール⸣ナー ⸣バウ ウ⸢トゥ⸣タン [⸢puːru⸣naː ⸣bau ʔu⸢tu⸣taŋ] (豊年祭には棒を打った<棒踊りをした>) 13010 0 0 12656 htmvoc_13010.wav バウウトゥン ⸣バウ ⸣ウトゥン [⸣bau ⸣ʔutuŋ] 連 棒を打つ(棒踊りをする)。豊年祭りには奉納舞踊として、伝統的「棒踊り」が上演された。西村、東村対抗で競演された。サ⸢ク⸣ボー[sḁ⸢ku⸣boː](木刀踊り)、ル⸢クサク⸣ボー[ru⸢kusaku⸣boː](六尺棒踊り)、ナ⸢ギナタ[na⸢ginata](長刀踊り)が演じられたが、東村の棒踊りは一般的に力強く、激しい動きが特徴であり、西村の棒踊りは動きが柔らかで、型を重視するものであった。 ⸢インヌムラヌ バウ⸣ワー ガ⸢マ⸣ク イ⸢リティ⸣ ウティティ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [⸢ʔinnumuranu bau⸣waː ga⸢ma⸣ku ʔi⸢riti⸣ ʔutiti na⸢raː⸣soːtta] (西村の棒踊りは腰を入れて打て<踊れ>と教えられた) 13011 0 0 12657 htmvoc_13011.wav パウル ⸢パウル [⸢pauru] 名 羽織。一般の人は着用しなかった。 ⸢パウル⸣ キ⸢ソー⸣ル プ⸢ソー⸣ シ⸢マ⸣ナー ギュ⸢タール オーッ⸣タカヤー [⸢pauru⸣ ki̥⸢soː⸣ru pu̥⸢soː⸣ ʃi⸢ma⸣naː gju⸢taːru ʔoːt⸣takajaː] (羽織を着られる人は、島では何人おられたかねえ) 13012 0 0 12658 htmvoc_13012.wav バウン ⸢バウン [⸢bauŋ] 他動 酒を水で割る。薄める。⸢バイルンとも言う。 ミ⸢ジ⸣シ ⸢バウンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バーラヌ [mi⸢ʤi⸣ʃi ⸢baunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢baːranu] (水で割ろうと思うが割れない)。 ミ⸢ジ⸣シ ⸢バイ⸣ミサカー ⸢バウ⸣ クトー ⸣ナルン [mi⸢ʤi⸣ʃi ⸢bai⸣ misakaː ⸢bau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (水で割ってよければ、割ることはできる)。 ン⸢ベーマー バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː baijaː⸣ misamunu] (少しは水で薄めたら<割ったら>いいのに)。 ミ⸢ドゥムンケー⸣ヌ ヌ⸢モー⸣ル サ⸢ケー コー⸣ラーシ ⸢バイ⸣バ [mi⸢dumuŋkeː⸣nu nu⸢moː⸣ru sḁ⸢keː koː⸣raːʃi ⸢bai⸣ba] (ご婦人<女性>方の飲まれる酒はコカコーラーで割れよ)。 サ⸢ケー ミ⸢ジ⸣シ ⸢バイ⸣ シキ [sḁ⸢keː⸣ mi⸢ʤi⸣ʃi bai⸣ ʃi̥ki] (酒は水で割っておけ) 13013 0 0 12659 htmvoc_13013.wav パウン ⸢パウン [⸢pauŋ] 他動 配る。配布する。 ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢パウンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー ⸢パーラヌ [⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢paunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ⸢paːranu] (家毎に<家の数>配ろうと思うが、一人では配られない)。 フ⸢タール⸣シ ⸢パイ⸣ ミサカー ア⸢ツァバー⸣キナ ムー⸢ル パウ⸣ クトー ⸣ナルン [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸢pai⸣ misakaː ʔa⸢ʦabaː⸣kina muː⸢ru pau ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (二人で配ってよければ、明日までに全部配ることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸢パイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢paijaː⸣ misamunu] (もっと配ればいいのに)。 ⸢ワー タンガ⸣シ ⸢パイ [⸢waː tanga⸣ʃi ⸢pai] (君一人で配れ) 13014 1 0 12660 htmvoc_13014.wav パウン ⸣パウン [⸣pauŋ] 自動 {PoS_1}這う。腹這う。動物が腹部を物の表面につけて、伝うように移動する。蔓草などがものに絡み付いて伝わっていく。 ⸣アツァティ ⸢トゥーシ⸣ナ ⸣パウンティ シ⸢タンドゥ ⸢パーラン⸣シェン [⸣ʔaʦati ⸢tuːʃi⸣na ⸣paunti ʃi̥⸢tandu paːraŋ⸣ʃeŋ] (暑いので縁側に這おうとしたが、這われなかった)。 ⸣パイミサタンティン ⸣クナー ⸣パウ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣paimisatanitiŋ ⸣kunaː ⸣pau ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (這ってよくても、ここでは這うことはできない)。 ⸢トゥーシ⸣ナ ⸢パイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢tuːʃi⸣na ⸢pai⸣jaː ⸣misamunu] (縁側に這えば良いのに)。 ⸣クナー ⸣パイバ [⸣kunaː ⸣paiba] (ここで這えよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー キ⸢サ パイ⸣ ブー [ja⸢ra⸣beː ki⸢sa pai⸣buː] (乳児はすでに這っているよ)。 13014 2 0 12661 htmvoc_13014.wav パウン ⸣パウン [⸣pauŋ] 他動 {PoS_2}縄などを長く延ばす。 サ⸢バナー⸣ パイ ⸣クー [sa⸢banaː⸣ pai ⸣kuː] (鱶<鮫>釣り用の縄を引き延べて<這わせて>きなさい) 13015 0 0 12662 htmvoc_13015.wav パウン ⸢パウン [⸢pauŋ] 他動 船を造る。造船する。「Fagu,i,u,aida.ハギ,グ,イダ(矧・接ぎ,ぐ,いだ)~.Itauo fagu.(板を接ぐ)戸・扉などを作る時に板を接着する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。「接ぐ」の連用形が音便化してg音脱落し(Faida『邦訳日葡辞書』)、それに「居り」が下接して形成された語。 ⸣フニ ⸢パウン [⸣ɸuni ⸢pauŋ] (船を造る<接ぐ>)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー カ⸢ザケヌ⸣ ミ⸢ナ⸣カナーティ ⸢ティンマ パウンティ⸣ ス⸢コーリティ⸣ ドゥーシ ⸢フンユン⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸣ウスマイヤー ⸢ティンマ パイヨーッ⸣タ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ka⸢ʣakenu⸣ mi⸢na⸣kanaːti ⸢timma paunti⸣ su̥⸢koːriti⸣ duːʃi ⸢ɸuɲjun⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔusumaijaː ⸢timma paijoːt⸣ta] (戦後に加治工家の庭で伝馬船を作る<接ぐ>といって準備して、自分で平釘も作ってウスマイ<伊佐>氏は伝馬船を作られた<接ぎなさった>)。 ⸢バン⸣マー ⸣フネー ⸢パーラヌ [⸢bam⸣maː ⸣ɸuneː ⸢paːranu] (私には船は造れ<接がれ>ない)。 ⸣フニ ⸢パウ プソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ɸuni ⸢pau pusoː⸣ bu⸢raːnu] (船を作る<接ぐ>人はいない)。 シ⸢マ⸣ナーティ ⸣フニ ⸢パイヤー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢ma⸣naːti ⸣ɸuni ⸢paijaː⸣ misamunu] (島で船を造れ<接げ>ばいいのに)。 ⸢ワー タンガ⸣シ ⸣フニ ⸢パイ⸣バ [⸢waː taŋga⸣ʃi ⸣ɸuni ⸢pai⸣ba] (君一人で船を造れ<接げ>よ) 13016 0 0 12663 htmvoc_13016.wav バカ ⸣バカ- [⸣baka-] 接頭 形容詞の語幹で、名詞に冠して⸢若い」「新しい」の意を表す接頭語となる。 バ⸢カ⸣シキ [ba⸢ka⸣ʃi̥ki] (新月)。 バ⸢カ⸣キジ [ba⸢ka⸣kiʤi] (生傷{EOS}新しい傷)。 バ⸢カ⸣バイ [ba⸢ka⸣bai] (若芽{EOS}新芽)。 バ⸢カ⸣フキ [ba⸢ka⸣ɸu̥ki] (若い茎)。 バ⸢カ⸣マチ [ba⸢ka⸣maʧi] (松の幼木)。 ⸣バカブジ [⸣bakabuʤi] (祖父母の三番目の兄{EOS}バカアブジからの転訛)。 ⸣バカバー [⸣bakabaː] (祖父母の三番目の姉{EOS}バカアッパからの転訛)。 バ⸢カー⸣ムヌ [ba⸢kaː⸣munu] (若者)。 ウ⸢ル⸣ズン ナ⸢ル⸣ター ヤ⸢マ⸣ヌ ⸣キーン バ⸢カ⸣バイ ⸣ンジ ⸣ケーン [ʔu⸢ru⸣ʣun na⸢ru⸣taː ja⸢ma⸣nu ⸣kiːn ba⸢ka⸣bai ⸣ʔnʤi ⸣keːŋ] (初夏になったので山野木も若芽が出てきた) 13017 0 0 12664 htmvoc_13017.wav パカ パ⸢カ [pḁ⸢ka] 名 墓。亀甲墓。明治中期以降、糸満系寄留民(金城二郎氏)等の手で砂岩を掘り抜いて作られた、いわゆる⸢フインチ⸣バカ[⸢ɸuinʧi⸣baka](掘り抜き墓)が、現在のパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山)南面から西面一体に建造されたという。古い時代には、フ⸢ジマレーパカ[ɸu⸢ʤimareːpaka](テーブルサンゴで四角く囲って郭を作り、テーブルサンゴで蓋をして土で\ruby{被}{オオ}い、その周囲を丸く石積みにした墓)があった。柔らかい砂岩を刳り貫いて建造した本墓には、本墓の両脇に小さな袖墓が作られている。⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)では、墓のことを⸣フカヤー[⸣ɸu̥kajaː](外の家)と歌われている。 ナ⸢カンブレー⸣ヌ ⸢イーリキーヌ⸣ パ⸢カヤマ⸣ナール パ⸢カー⸣ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [na⸢kambureː⸣nu ⸢ʔiːrikiːnu⸣ pḁ⸢kajama⸣naːru pḁ⸢kaː⸣ su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (鳩間島のなかもり<中岡>の西側の墓山に<ぞ>墓は作られている) 13018 0 0 12665 htmvoc_13018.wav パカ ⸣パカ [⸣pḁka] 名 区切り。畑や宅地などの区切り。稲を植えたり、刈ったり、畑や田を耕す際に受け持つ区切り。「秋の田の吾が刈婆可<カリバカ>の~。万、2133」の転訛したもの。 プ⸢ス⸣パカ ⸢カイ⸣スカー ⸢ユー⸣クイバ [pu̥⸢su⸣pḁka ⸢kai⸣su̥kaː ⸢juː⸣kuiba] (一ハカ<一区切り>耕したら休みなさいよ)。 ⸢インタヌ⸣ パカー ⸣バー ⸢カイス⸣バ ⸢アンタ⸣ヌ ⸣パカー ⸢ワー カイ⸣シバ [⸢ʔintanu⸣ pḁkaː ⸣baː ⸢kaisu⸣ba ⸢ʔantanu⸣ pḁkaː ⸢waː kai⸣ʃiba] (畑の西側の区切りは私が耕すから、東側の区切りは君が耕しなさい) 13019 0 0 12666 htmvoc_13019.wav パガー ⸣パガー [⸣pagaː] 名 禿げ頭。頭の禿げた人。卑称。 ウ⸢レー⸣ バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸢オーパ⸣ヤーラ ⸣パガー ⸣ナリティ キ⸢ムイツァー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ba⸢kaː⸣mununu ⸢ʔoːpa⸣jaːra ⸣pagaː ⸣nariti ki⸢muiʦaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (彼は若い者のに、こんなに早くから禿げ頭になってしまって可哀相<気の毒>でたまらない)。⸣スブルパガー[⸣suburupagaː](はげ頭<禿頭>)には軽蔑のニュアンスがある 13021 0 0 12667 htmvoc_13021.wav バカーバカーシ バ⸢カーバカー⸣シ [ba⸢kaːbakaː⸣ʃi] 副 細かく。非常に細く。 ⸢ブー⸣ヤ バ⸢カーバカー⸣シ ⸢ウー⸣ミ [⸢buː⸣ja ba⸢kaːbakaː⸣ʃi ⸢ʔuː⸣mi] (麻糸は細かく\ruby{績}{ウ}みなさい) 13020 0 0 12668 htmvoc_13020.wav バカーミドゥム バ⸢カー⸣ ミ⸢ドゥ⸣ム [ba⸢kaː⸣ mi⸢du⸣mu] 連 若い女。 シ⸢マ⸣ナー バ⸢カー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ブ⸢ラーヌ [ʃi⸢ma⸣naː ba⸢kaː⸣ mi⸢du⸣moː bu⸢raːnu] (島には若い女はいない) 13022 0 0 12669 htmvoc_13022.wav バカームヌ バ⸢カー⸣ムヌ [ba⸢kaː⸣munu] 名 若者。青年男女。 バ⸢カー⸣ムンケー ア⸢ツァ⸣ミ ⸢クーン⸣カー ク⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣muŋkeː ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢kuːŋ⸣kaː ku⸢bi⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (若者達を集めてこないと、これだけの大きな仕事はできない)。 ⸢バカー⸣ムノー グ⸢タイ⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ シゥ⸢カイル⸣ マ⸢キル [ba⸢kaː⸣munoː gu⸢tai⸣nu ⸣kanai ⸢bunda⸣ sï̥⸢kairu⸣ ma⸢kiru] (若者は体力<五体>が叶って<優れて>いるから、いくら使っても仕事が負けるほどだ) 13030 0 0 12670 htmvoc_13030.wav バカームンケー バ⸢カー⸣ムンケー [ba⸢kaː⸣muŋkeː] 連 若者たち。 バ⸢カー⸣ムンケーヌ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢パーレー⸣フニ シ⸢ダーシ ベー [ba⸢kaː⸣muŋkeːnu ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢paːreː⸣ɸuni ʃi⸢daːʃi beː] (若者たちが集まって爬竜船漕ぎの舟を飾り立て<為出だして>いる) 13023 0 0 12671 htmvoc_13023.wav バカーン バ⸢カー⸣ン [ba⸢kaː⸣ŋ] 形 若い。幼年である。青年期である。「和可家礼婆<ワカケレバ>~。万、905」の転訛したもの。 ⸣ドゥーシェー バ⸢カー⸣ンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ワーン⸣スコー バ⸢カーナーン⸣バン [⸣duːʃeː ba⸢kaːn⸣ti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢waːn⸣ su̥koː ba⸢kaːnaːm⸣baŋ] (自分では若いと思ったが、君ほど若くないよ)。 ⸢シンダイ⸣ バ⸢カー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ba⸢kaː⸣naruŋ] (次第に若くなる)。 バ⸢カー⸣ プ⸢ソー⸣ラ ヤ⸢トゥイバ⸣ル シ⸢グトー⸣ ナ⸢ツァグ [ba⸢kaː⸣ pu̥⸢soː⸣ra ja⸢tuiba⸣ru ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ʦagu] (若い人から雇った方が仕事ははかどる<捗る>)。 ⸢マー⸣ビン バ⸢カー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ba⸢kaː⸣reː ⸣misamunu] (もっと若ければいいのに) 13025 0 0 12672 htmvoc_13025.wav バカーン バ⸢カー⸣ン [ba⸢kaː⸣ŋ] 形 細い。細かい。糸、髪の毛、などの細いものについていう。ア⸢ラー⸣ン[ʔa⸢raː⸣](粗い)の対義語。 ⸣アボー ⸢ウー⸣モール ⸢ブー⸣ヤ イッ⸢ケナ⸣ バ⸢カー⸣ン [⸣ʔaboː ⸢ʔuː⸣moːru ⸢buː⸣ja ʔik⸢kena⸣ ba⸢kaː⸣ŋ] (お母さんが績まれる麻糸は非常に細かい)。 バ⸢カ⸣キー [ba⸢ka⸣kiː] (細かい毛)。 バカー⸢バカー⸣シ ⸣ブー ⸢ウー⸣ムン [bakaː⸢bakaː⸣ʃi ⸣buː ⸢ʔuː⸣muŋ] (細く麻糸を績む) 13024 0 0 12673 htmvoc_13024.wav バカーンケン ⸢バカーン⸣ケン [ba⸢kaːŋ⸣keŋ] 連 若い時。若かりし時。 バ⸢カーン⸣ケンマー イッ⸢ケン⸣ ア⸢バ⸣レータン [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢ba⸣reːtaŋ] (若い時は非常に美しかった) 13026 0 0 12674 htmvoc_13026.wav バカイックナー バ⸢カイッ⸣クナー [ba⸢kaik⸣kunaː] 名 奪い合い。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢タビムヌ⸣バ バ⸢カイッ⸣クナー シ⸢ティ⸣ アイティ ナ⸢キ ベー [ja⸢ra⸣beː mu⸢tabimunu⸣ba ba⸢kaik⸣kunaː ʃi̥⸢ti⸣ ʔaiti na⸢kibeː] (子供は玩具を奪い合いし、喧嘩して泣いている) 13027 0 0 12675 htmvoc_13027.wav バカイトゥルン ⸣バカイトゥルン [⸣bakaituruŋ] 他動 奪い取る。ひったくる。\ruby{掠}{カス}め取る。 プ⸢スヌ⸣ ム⸢ヌ⸣バ ⸣バカイトゥルンティ シ⸢タンドゥ⸣ バカイトゥ⸢ララン⸣シェンツォー [pu̥⸢sunu⸣ mu⸢nu⸣ba ⸣bakaiturunti ʃi̥⸢tandu⸣ bakaitu⸢raraŋ⸣ʃenʦoː] (他人のものを奪い取ろうとしたが、奪い取れなかったそうだ)。 ⸣バカイトゥリ ⸣ミサカー ⸣バカイトゥレー ⸣ミサムヌ [⸣bakaituri ⸣misakaː ⸣bakaitureː ⸣misamunu] (奪い取ってよければ奪い取ればいいのに)。 ⸣バカイトゥル プ⸢ソー⸣ バカイトゥリバ [⸣bakaituru pu̥⸢soː⸣ bakaituriba] (奪い取る人は奪い取れよ) 13028 0 0 12676 htmvoc_13028.wav バカウン ⸣バカウン [⸣bakauŋ] 他動 奪う。取り上げる。無理に取る。 プ⸢スヌ⸣ ムノー ⸣バカウンティ シ⸢タンティン⸣ バ⸢カーラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ munoː ⸣bakaunti ʃi̥⸢tantim⸣ ba⸢kaːra⸣nu] (他人の物は奪おう<奪う>としても奪われない)。 ⸣バカイ ⸣ミサカー ⸣バカイバ [⸣bakai ⸣misakaː ⸣bakaiba] (奪ってよければ奪えよ)。 ⸣バカウ プ⸢ソー⸣ バ⸢カイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣bakau pu̥⸢soː⸣ ba⸢kai⸣jaː ⸣misamunu] (奪う人は奪えば良いのに)。 ⸢ワー⸣ バカウカー ⸢バン⸣ヌン ⸣バカウン [⸢waː⸣ bakaukaː ⸢ban⸣num ⸣bakauŋ] (君が奪ったら私も奪う)。 プ⸢スヌ⸣ ムヌ バ⸢カウ⸣ナ [pu̥⸢su⸣nu ⸣munu ba⸢kau⸣na] (他人の物を奪うな) 13031 0 0 12677 htmvoc_13031.wav バカキー バ⸢カ⸣キー [ba⸢ka⸣kiː] 名 若木。幼木。 ⸢キャーンギキーヤ⸣ バ⸢カ⸣キーラ ス⸢ダ⸣ティティ ウ⸢ブ⸣キー ナ⸢ス⸣タ [⸢kjaːŋgikiːja⸣ ba⸢ka⸣kiːra su⸢da⸣titi ʔu⸢bu⸣kiː na⸢su⸣ta] (いぬまき<犬槇>は幼木から育てて大木になした) 13032 0 0 12678 htmvoc_13032.wav バカギー バ⸢カ⸣ギー [ba⸢ka⸣giː] 名 うぶげ(産毛)。 ⸢オーシバ⸣ナー バ⸢カギー⸣ヌ ⸣ムイ ⸢ベー [⸢ʔoːʃiba⸣naː ba⸢kagiː⸣nu ⸣mui ⸢beː] (上唇に産毛が生えている) 13033 0 0 12679 htmvoc_13033.wav バカサ バ⸢カ⸣サ [ba⸢ka⸣sa] 名 若さ。若い年代。 マ⸢ナマ⸣ヌ バ⸢カ⸣サー イ⸢チンバー⸣キン タ⸢ムタ⸣リ ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ma⸢nama⸣nu ba⸢ka⸣saː ʔi⸢ʧimbaː⸣kin ta⸢muta⸣ri ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (今の若さは何時までも保たれるものではない) 13034 0 0 12680 htmvoc_13034.wav バカザコー バ⸢カザ⸣コー [ba⸢kaʣa⸣koː] 名 カツオの撒き餌にする小魚。体長3~4センチ、幅2~3ミリ、銀白色の小魚。キビナゴの稚魚といわれている。 ザ⸢コー⸣ヤ ⸢ゴー⸣ラー バ⸢カザコー⸣ル トゥ⸢ローッ⸣タ [ʣa⸢koː⸣ja ⸢goː⸣raː ba⸢kaʣakoː⸣ru tu⸢roːt⸣ta] (カツオの餌には、多くはバカザコー<キビナゴの稚魚か>を漁獲された) 13035 0 0 12681 htmvoc_13035.wav バカシ バ⸢カ⸣シ [ba⸢ka⸣ʃi] 名 区別。バ⸢カ⸣スン[ba⸢ka⸣suŋ](分ける)の連用形から転成した名詞。 ⸣シザ ⸢ウシトゥ⸣ヌ バ⸢カシ⸣ ッ⸢サン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ ホー⸣ル キ⸢シ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ベー [⸣ʃiʣa ⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ba⸢ka⸣ʃi s⸢sam⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi hoː⸣ru ki̥⸢ʃi⸣munu ⸣nari ⸢beː] (年上、年下の区別を知らない話し<物言い>をして礼儀作法をわきまえない<思慮分別の切れた、~の欠けた>者になっているよ)。 ティ⸢マチン⸣ヌ バ⸢カ⸣シェー ア⸢リバ⸣ル ヤ⸢ル [ti⸢maʧin⸣nu ba⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢riba⸣ru ja⸢ru] (手間賃の区別はあって当然である) 13036 0 0 12682 htmvoc_13036.wav バカシ バ⸢カ⸣シ [ba⸢ka⸣ʃi] 名 酒瓶の名。口の小さい黒茶色の陶器の一升入りの瓶。 サ⸢ケー⸣ バ⸢カ⸣シナー イ⸢リティ⸣ パ⸢カ⸣リバ [sḁ⸢keː⸣ ba⸢ka⸣ʃinaː ʔi⸢riti⸣ pḁ⸢ka⸣riba] (酒はバカシ<陶器の瓶>に入れて量れよ) 13037 0 0 12683 htmvoc_13037.wav バカシキ バ⸢カ⸣シキ [ba⸢ka⸣ʃi̥ki] 名 新月。三日月。「若月」の義。「ふりさけて若月見者<ミカヅキミレバ>~。万、994。若月の さやにも見えず~。万、2464」の転訛。月の始めから三日目の月。ミ⸢チ⸣シキ[mi⸢ʧi⸣ʃi̥ki](満月{EOS}満ち月)、⸢ウイ⸣シキ[⸢ʔui⸣ʃi̥ki](老い月{EOS}下弦の月)の対義語。 キサー⸢テイ⸣ バ⸢カシキ⸣ヌ ⸢アーリ オール⸣ バン ミリ⸢ミー [ki̥saː⸢ti⸣ ba⸢kaʃi̥ki⸣nu ⸢ʔaːri ʔoːru⸣bam miri⸢miː] (すでに三日月<若月>があがっておられるよ、見てごらん) 13038 0 0 12684 htmvoc_13038.wav パカシキ パ⸢カシキ [pḁ⸢kaʃiki] 名 墓所。墓地。墓の敷地。墓の地相。「墓敷」の義。 ⸢バン⸣テヌ パ⸢カシケー⸣ イッ⸢ケナ フン⸣シ ⸢カイ⸣ヤンティ⸢ダー [⸢ban⸣tenu pḁ⸢kaʃi̥keː⸣ ʔik⸢kena ɸuŋ⸣ʃi ⸢kai⸣janti⸢daː] (私の家の墓所は非常に風水が良いそうだよ) 13039 0 0 12685 htmvoc_13039.wav バカジニ バ⸢カ⸣ジニ [ba⸢ka⸣ʤini] 名 若死。 イ⸢ク⸣サナ ⸢サンガリ ギーティ⸣ バ⸢カ⸣ジニ ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸢ブン⸠ダー [ʔi⸢ku⸣sana ⸢saŋgari giːti⸣ ba⸢ka⸣ʤini ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ ja⸢masi̥⸣ka ⸢bun⸠daː] (戦争に引っ張り出されて若死した人は相当たくさんいるよ) 13040 0 0 12686 htmvoc_13040.wav バカジラプス バ⸢カ⸣ジラプス [ba⸢ka⸣ʤirapu̥su] 名 出産して間もない産婦。産屋<地炉>から出て間もない産婦。「若・地炉・人」の義。バ⸢カ⸣ジラムヌ[ba⸢ka⸣ʤiramunu]ともいう。 バ⸢カ⸣ジラプソー ⸢ピーリ⸣ミジ シゥ⸢カウナ⸠ヨー [ba⸢ka⸣ʤirapusoː ⸢piːri⸣miʤi sï̥⸢kauna⸠joː] (出産して間もない産婦は冷たい水を使うなよ) 13041 0 0 12687 htmvoc_13041.wav バカジラムヌ バ⸢カ⸣ジラムヌ [ba⸢ka⸣ʤiramunu] 名 出産して間もない者(産婦)。 バ⸢カ⸣ジラ ⸣ムヌヌ ⸢ドゥー⸣ヤ ⸢ザーリグジトゥ⸣ ユ⸢ヌ⸣ムヌティ ア⸢ザリブー⸣ダー [ba⸢ka⸣ʤira ⸣mununu ⸢duː⸣ja ⸢ʣaːriguʤitu⸣ ju⸢nu⸣munuti ʔa⸢ʣaribuː⸣daː] (産後間もない時期の産婦の体は芯が中空になったデイゴの木のように\ruby{脆}{モロ}いといわれているんだよ) 13042 0 0 12688 htmvoc_13042.wav バカスー バ⸢カ⸣スー [ba⸢ka⸣suː] 名 干満の差の小さい潮干。「若潮」の義。カ⸢ラスー[ka⸢rasuː](あまりひかない時期の引き潮<干潮>)ともいう。⸢ウー⸣スー[⸢ʔuː⸣suː](大潮)の対義語 13043 0 0 12689 htmvoc_13043.wav バカスーチ バ⸢カスー⸣チ [ba⸢kasuː⸣ʧi] 名 干満の差の小さい潮干。「若潮干」の義。「難波方 潮干<シホヒノ>~。万、976」の義。⸢ウー⸣スー[⸢ʔuː⸣suː](大潮)、⸢スー⸣チズー[⸢suː⸣ʧiʣuː](大潮干)の対義語。 バ⸢カスー⸣チナー イ⸢ソー パッ⸣タンティン ⸢ナン⸣ゾー トゥ⸢ララ⸣ヌ [ba⸢kasuː⸣ʧinaː ʔi⸢soː pat⸣tantin ⸢nan⸣ʣoː tu⸢rara⸣nu] (干満の差の小さい<若潮干>潮干に潮干狩りに行ってもあまり獲物は獲れない) 13044 0 0 12690 htmvoc_13044.wav バカスクリ バ⸢カスク⸣リ [ba⸢kasu̥Ku⸣ri] 名 若作り。年齢よりも若く見える面立ち。若い顔立ち。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸣アボー バ⸢カスク⸣リ サ⸢リオー⸣ルンダ ⸣トゥシェー ア⸢ティンガーラヌ [⸢wat⸣tenu ⸣ʔaboː ba⸢kasu̥ku⸣ri sa⸢ri ʔoː⸣runda ⸣tuʃeː ʔa⸢tiŋgaːranu] (君の家<お宅>のお母さんは若作りされておられるから実年齢は見当がつけられない) 13045 0 0 12691 htmvoc_13045.wav バカスン バ⸢カスン [ba⸢kasuŋ] 他動 炊く。「沸かし」の義。「和可須(わかす)」『新撰字鏡』の転訛。 ⸢⸣スー バ⸢カスン [⸣suː ba⸢kasuŋ] (お汁を炊く)。 ⸣イー バ⸢カスン [⸣ʔiː ba⸢kasuŋ] (ご飯を炊く)。芋や魚は⸢ネースン[⸢neːsuŋ](煮る)ともいう。 ⸣ウン ⸢ネースン [⸣ʔun ⸢neːsuŋ] (芋を煮る)。 イ⸢ズ ネースン [ʔi⸢ʣu neːsuŋ] (魚を煮る)。 ⸣イー バ⸢カスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ タ⸢ムヌ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ダ バ⸢カサラヌ [⸣ʔiː ba⸢kasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ta⸢munu⸣nu ⸢naːn⸣da ba⸢kasaranu] (ご飯を炊こうと思うが、薪が無いので炊かれない)。 バ⸢カシ⸣ プサカー ⸣ドゥーシ バ⸢カシ⸣バ [ba⸢kaʃi⸣ pu̥sakaː ⸣duːʃi ba⸢kaʃi⸣ba] (炊きたかったら自分で炊きなさいよ)。 ⸣イー バ⸢カス⸣ プ⸢ソー パー⸣ク バ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [⸣ʔiː ba⸢kasu⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku ba⸢kaʃeː⸣ misamunu] (ご飯を炊く人は早く炊けばいいのに) 13046 0 0 12692 htmvoc_13046.wav バカスン バ⸢カ⸣スン [ba⸢ka⸣suŋ] 他動 分けて離す。区別する。分類する。分ける。 グ⸢マー⸣ムヌトゥ マ⸢ギ⸣ムノー バ⸢カ⸣シ シ⸢キ⸣リ [gu⸢maː⸣munutu ma⸢gi⸣munoː ba⸢ka⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (小さいものと大きいものを分けておきなさい)。 バ⸢カ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ バ⸢カサラ⸣ヌ [ba⸢ka⸣sunti ⸢sundu⸣ ba⸢kasara⸣nu] (分けようとするが分けられない)。 バ⸢カシ⸣ プサカー ⸢パー⸣ク バ⸢カ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ba⸢kaʃi⸣ pu̥sakaː ⸢paː⸣ku ba⸢ka⸣ʃeː ⸣misamunu] (分けたければ早く分ければいいのに)。 バ⸢カ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢ka⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (分けることは出来ない) 13047 0 0 12693 htmvoc_13047.wav パカスン パ⸢カ⸣スン [pḁ⸢ka⸣suŋ] 他動 吐かせる。嘔吐させる。 ク⸢シナカ⸣ タ⸢タッ⸣ケーティ パ⸢カ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ パ⸢カサラ⸣ヌ [ku̥⸢ʃinaka⸣ tḁ⸢tak⸣keːti pḁ⸢ka⸣sunti ⸢beːn⸣du pḁ⸢kasara⸣nu] (背中を叩いて吐かそうとしているが、吐かされない)。 パ⸢カ⸣シ ⸣ミサカー ⸢パー⸣ク パ⸢カ⸣シ [pḁ⸢ka⸣ʃi ⸣misakaː ⸢paː⸣ku pḁ⸢ka⸣ʃi] (吐かせてよければ早く吐かせなさい)。 パ⸢カ⸣ス ⸣プソー ウ⸢スンフカシティ⸣ パ⸢カ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pḁ⸢ka⸣su ⸣pu̥soː ʔu⸢suŋɸu̥kaʃi̥ti⸣ pḁ⸢ka⸣ʃeː ⸣misamunu] (吐かせる時は\ruby{俯}{ウツム}かせて吐かせればいいのに) 13048 0 1 12694 htmvoc_13048.wav パカスン パ⸢カスン [pḁ⸢kasuŋ] 他動 {Mn_1}首に掛けさせる。首に\ruby{穿}{ハ}かせる。 ピ⸢ルバ⸣ イトゥシ ヌ⸢キティ⸣ ヌビナー パ⸢カスンティ スンドゥ⸣ パ⸢カサラヌ [pi⸢ruba⸣ ʔituʃi nu⸢kiti⸣ nubinaː pḁ⸢kasunti sundu⸣ pḁ⸢kasaranu] (にんにく<大蒜>を糸に貫いて首に穿かせようとするが、穿かされない)。 パ⸢カシ ヤッ⸣サ ⸣ムノーラ パ⸢カシ⸣バ [pḁ⸢kaʃi jas⸣sa ⸣munoːra pḁ⸢kaʃi⸣ba] (穿かせ易いものから穿かせなさい)。 パ⸢カス⸣ ピンマー ⸣ヌビナー パ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [pḁ⸢kasu⸣ pimmaː ⸣nubinaː pḁ⸢kaʃeː⸣ misamunu] (穿かせる時は首はかせればいいのに)。 13048 0 2 12695 htmvoc_13048.wav パカスン パ⸢カスン [pḁ⸢kasuŋ] 他動 {Mn_2}弁償させる。負わせる。 ⸢ダイヤー⸣ ウ⸢リン⸣ パ⸢カシ [⸢daijaː⸣ ʔu⸢rim⸣ pḁ⸢kaʃi] (代金は彼に弁償させ<負わせ>なさい) 13049 0 0 12696 htmvoc_13049.wav パガスン パ⸢ガ⸣スン [pa⸢ga⸣suŋ] 他動 剥がす。はぎ取らせる。引き剥く。 ⸣カー パ⸢ガ⸣スン [⸣kaː pa⸢ga⸣suŋ] (皮を剥がす)。 バ⸢サン⸣パームチ パ⸢ガシ⸣ティ ッ⸢ふァイ⸣バ [ba⸢sam⸣paːmuʧi pa⸢gaʃi̥⸣ti f⸢fai⸣ba] (芭蕉の葉餅を剥がして食べなさいよ)。 シ⸢ビシゥカリティ⸣ パ⸢ガサラ⸣ヌ [ʃi⸢bisï̥kariti⸣ pa⸢gasara⸣nu] (くっ付いて剥がされない)。 パ⸢ガ⸣ス ⸣ムノー カシー⸢カシ⸣ パ⸢ガ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pa⸢ga⸣su ⸣munoː kaʃiː⸢kaʃiː⸣ pa⸢ga⸣ʃeː ⸣misamunu] (剥がすものは、しっかりと剥がせばいいのに)。 ⸣クマーラ パ⸢ガ⸣シ [⸣kumaːra pa⸢ga⸣ʃi] (ここから剥がせ) 13050 0 0 12697 htmvoc_13050.wav パカソージ パ⸢カソー⸣ジ [pḁ⸢kasoː⸣ʤi] 名 墓掃除。ジ⸢ル⸣クンチ[ʤi⸢ru⸣kunʧi](旧暦十六日祭)の当日や⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆<精霊会>)の一週間前のタ⸢ナバタ[ta⸢nabata](旧暦の7月7日)に墓の清掃をすること。 ⸣アツァー タ⸢ナバタ⸣ ヤ⸢リバ ベー⸣ヌ パ⸢カソー⸣ジ ⸢シン⸣ パラ⸢ナー [⸣ʔaʦaː ta⸢nabata⸣ ja⸢riba beː⸣nu pḁ⸢kasoː⸣ʤi ⸢ʃim⸣ para⸢naː] (明日は七夕だから、我が家の墓の掃除をしに行こうねえ) 13051 0 0 12698 htmvoc_13051.wav バカソッコー バ⸢カソッ⸣コー [ba⸢kasok⸣koː] 名 死後間もない時期の法事。一周忌の法事から十三年忌までの法事。「若・焼香」の義。これらの法事には蒲鉾、餅などの供物や道具類に朱色の色物は一切使用しない。 バ⸢カソッ⸣コーナーヤ イ⸢ル⸣ムノー シゥ⸢カイヨーラ⸣ヌ [ba⸢kasok⸣koːnaːja ʔi⸢ru⸣munoː sï̥⸢kaijoːra⸣nu] (三年忌までの法事<若焼香>には色ものはお使いにならない) 13052 0 0 12699 htmvoc_13052.wav バカッサ バ⸢カ⸣ッサ [ba⸢ka⸣ssa] 名 若草。若い雑草。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペール⸣ター パ⸢タキ⸣ヌ バ⸢カ⸣ッサン グ⸢ダランケー⸣リ ⸣ムイケーン [ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peːru⸣taː pḁ⸢taki⸣nu ba⸢ka⸣ssaŋ gu⸢daraŋkeː⸣ri ⸣muikeːŋ] (春<若夏>の季節に入ったので畑の若草も青々と瑞々しく生えてきた)。 パ⸢タキ⸣ヌ バ⸢カッ⸣サ ⸢パー⸣ク ⸢ソーラン⸣カー ⸢ムイ⸣カビ クン⸢ダー [pḁ⸢taki⸣nu ba⸢ka⸣ssaː ⸢paː⸣ku ⸢soːraŋ⸣kaː ⸢mui⸣kabi ⸣kun⸢daː] (畑の若草は早く除草しないと繁茂してくる<生え\ruby{被}{カブ}さってくる>ぞ)。 バ⸢カ⸣ッサ ⸢ソールン [ba⸢ka⸣ssa ⸢soːruŋ] (若草を\ruby{箆}{ヘラ}で除草する<\ruby{刳}{サク}るように>) 13053 0 0 12700 htmvoc_13053.wav バカッサイ バ⸢カ⸣ッサイ [ba⸢ka⸣ssai] 名 若白髪。 バ⸢カームヌ⸣ヌ バ⸢カ⸣ッサイ ⸣ムイティ キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [ba⸢kaːmunu⸣nu ba⸢ka⸣ssai ⸣muiti ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (若者だのに若白髪が生えて気の毒<可哀そう>なんだよ) 13056 0 0 12701 htmvoc_13056.wav バカドゥームティ バ⸢カドゥー⸣ムティ [ba⸢kaduː⸣muti] 名 早婚。「若身持ち」の義。「Mimochi.ミモチ(身持) 妊娠.Cano vonna mimochini natta,」『邦訳日葡辞書』の義。早く結婚して所帯を持つことの意。 ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァン⸣ケーヤ ムー⸢ル⸣ バ⸢カ⸣ドゥームティ ⸢シェー⸣ルバン [⸢ʔun⸣nenu f⸢faŋ⸣keːja muː⸢ru⸣ ba⸢ka⸣duːmuti ⸢ʃeː⸣rubaŋ] (あの家の子供達は、みんな早婚<若身持ち>しているよ) 13057 0 0 12702 htmvoc_13057.wav パカドゥルン パ⸢カ⸣ドゥルン [pḁ⸢ka⸣duruŋ] 自動 はかどる(捗る)。仕事が\ruby{進捗}{シン|チョク}する。 フ⸢タール⸣シ ⸢スー⸣カー パ⸢カドゥルン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー パ⸢カドゥラ⸣ヌ [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸢suː⸣kaː pḁ⸢kadurun⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː pḁ⸢kadura⸣nu] (二人でしたら捗るが、一人では捗らない)。 ⸣アイニ パ⸢カ⸣ドゥル ⸣クトー ⸢ナーン⸣シェン [⸣ʔaini pḁ⸢ka⸣duru ⸣ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (あのように捗ることはなかった) 13058 0 0 12703 htmvoc_13058.wav パガナーン パ⸢ガ⸣ナーン [pa⸢ga⸣naːŋ] 形 おんなたらし(女誑し)である。好色な人である。利口でよく女を騙す。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ パ⸢ガ⸣ナーンティ ス⸢クタヌ⸣ パ⸢ガナー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ pa⸢ga⸣naːnti su̥⸢kutanu⸣ pa⸢ganaː naː⸣nu] (彼は大変な\ruby{女誑}{オンナ|タラシ}<好色>だと聞いたが、女誑しではない)。 ウ⸢レー サッ⸣コー パ⸢ガ⸣ナー ⸣ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [ʔu⸢reː sak⸣koː pa⸢ga⸣naː ⸣nariti ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (彼は大変な女誑しになって手がつけられ<養生でき>ない)。 パ⸢ガ⸣ナー プ⸢ソー⸣ タ⸢ナム⸣ナ [pa⸢ga⸣naː pu̥⸢soː⸣ ta⸢namu⸣na] (女を誑す人は頼むな) 13059 0 0 12704 htmvoc_13059.wav バカナイ バ⸢カ⸣ナイ [ba⸢ka⸣nai] 名 若苗。早苗。若い苗木。 バ⸢カナイ⸣ヤー ⸢ニーシキラ⸣ヌ サ⸢リス [ba⸢kanai⸣jaː ⸢niːʃi̥kira⸣nu sa⸢risu] (若苗は根づかない{EOS}枯れる) 13060 0 0 12705 htmvoc_13060.wav バカナシ バ⸢カ⸣ナシ [ba⸢ka⸣naʃi] 名 歳若くして出産すること。「若生し」の義。 バ⸢カ⸣ナシ ⸢シェー⸣ プ⸢ソー⸣ アトー ⸣ケー ⸣ラク ⸢スン [ba⸢ka⸣naʃi ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔatoː ⸣keː ⸣raku ⸢suŋ] (歳若くして出産したひとは、後になっては楽をする) 13061 0 0 12706 htmvoc_13061.wav バカナチ バ⸢カ⸣ナチ [ba⸢ka⸣naʧi] 名 初夏。若夏。旧暦四、五月ごろ。ウ⸢ル⸣ズン[ʔu⸢ru⸣ʣuŋ](旧暦二、三月ごろ)の対語。 バ⸢カナチ⸣ヌ シ⸢チ⸣ヌ ⸣タトゥカー ⸢カーチーバイ⸣ヌ ⸣フクン [ba⸢kanaʧi⸣nu ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣tḁtukaː ⸢kaːʧiːbai⸣nu ⸣ɸu̥kuŋ] (初夏<若夏>の季節になるとカーチーバイ<夏至の頃に吹く南風>が吹く) 13062 0 1 12707 htmvoc_13062.wav パガニ パ⸢ガ⸣ニ [pa⸢ga⸣ni] 名 {Mn_1}はがね(鋼)。鋼鉄。 カ⸢タ⸣ナー パ⸢ガニ⸣ヌ カ⸢カウター⸣ キ⸢シラン⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢ta⸣naː pa⸢gani⸣nu kḁ⸢kautaː⸣ ki̥⸢ʃiran⸣ nari⸢naː⸣nu] (包丁は鋼が欠けたので切れなくなってしまった)。 13062 0 2 12708 htmvoc_13062.wav パガニ パ⸢ガ⸣ニ [pa⸢ga⸣ni] 名 {Mn_2}切れ者。達者な人。利口者。 フ⸢タールバー⸣キ フ⸢チェー⸣ パ⸢ガ⸣ニ ⸣ナリティル ⸢アウ⸣タツォー [ɸu̥⸢taːrubaː⸣ki ɸu̥⸢ʧeː⸣ pa⸢ga⸣ni ⸣naritiru ⸢ʔauta⸣ʦoː] (二人とも口<弁>は達者<切れ者>になって喧嘩したそうだ) 13064 0 0 12709 htmvoc_13064.wav パガニムヌ パ⸢ガニ⸣ムヌ [pa⸢gani⸣munu] 名 才知にたけて女を騙す者。\ruby{女誑}{オンナ|タラシ}。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢トゥンジ⸣ パ⸢ガニ⸣ムヌティ⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢tuʔnʤi⸣ pa⸢gani⸣munuti⸢daː] (彼は有名な女誑しだそうだ) 13063 0 0 12710 htmvoc_13063.wav パカヌゾー パ⸢カヌ⸣ ゾー [pḁ⸢kanu⸣ ʣoː] 連 墓の庭。 ジ⸢ル⸣クンチナー ムー⸢ル⸣ パ⸢カヌ⸣ ゾー ⸢ソー⸣ジ ⸢シン⸣ パ⸢リ⸣シタ [ʤi⸢ru⸣kunʧinaː muː⸢ru⸣ pa⸢nanu⸣ ʣoː ⸢soː⸣ʤi ⸢ʃim⸣ pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (十六日祭には、みんな墓の庭の掃除をしに行った) 13065 0 0 12711 htmvoc_13065.wav パカヌヨイ パ⸢カヌ⸣ ヨイ [pḁ⸢kanu⸣ joi] 連 墓の落成祝い。 パ⸢カ⸣ ス⸢ク⸣リティ パ⸢カヌ⸣ ヨイ ⸢スンティ オー⸣ル [pḁ⸢ka⸣ su̥⸢ku⸣riti pḁ⸢kanu⸣ joi ⸢sunti ʔoː⸣ru] (墓を作って、墓の祝いをしようとしておられる) 13067 0 0 12712 htmvoc_13067.wav バカバー ⸣バカバー [⸣bakabaː] 名 祖父母の三番目の姉や妹。名称、呼称にもいう。 バカ⸢バー マー⸣ティ ⸢オール⸣ワ [baka⸢baː maː⸣ti ⸢ʔoːru⸣wa] (お祖母さん、何処へいらっしゃいますか) 13066 0 0 12713 htmvoc_13066.wav バカパー バ⸢カ⸣パー [ba⸢ka⸣paː] 名 若葉。 ⸢パーヤサイヤー⸣ バ⸢カ⸣パー カ⸢カイ⸣ キー バ⸢カシ⸣バ [⸢paːjasaijaː⸣ ba⸢ka⸣paː kḁ⸢kai⸣ kiː ba⸢kaʃi⸣ba] (葉野菜は若葉をもいで<捥いで>きて炊きなさい)。⸢ウイ⸣パー[⸢ʔui⸣paː](古い葉{EOS}「老い葉」の義)の対義語 13068 0 0 12714 htmvoc_13068.wav バカバイ バ⸢カ⸣バイ [ba⸢ka⸣bai] 名 若芽。バイ⸢ヤー⸣マ[bai⸢jaː⸣ma](小さい若芽、新芽)、バ⸢カ⸣フキ[ba⸢ka⸣ɸu̥ki](若い茎、新芽)ともいう。 ⸢ゴーナキー⸣ヌ ユ⸢ダー⸣ラ バ⸢カバイ⸣ヌ ⸣ンジケーン [⸢goːnakiː⸣nu ju⸢daː⸣ra ba⸢kabai⸣nu ⸣ʔnʤikeːŋ] (桑の木の枝から若芽が出てきた) 13069 0 0 12715 htmvoc_13069.wav パカバリ パ⸢カ⸣バリ [pḁ⸢ka⸣bari] 名 うねたて(畝立て)。「はか<量>割」の義。稲を植えたり、刈ったり、畑を耕したりする時の分担する範囲を決めること。 ⸣パカバレー ⸢シーティ ウン⸣マー イ⸢ビ⸣バ [⸣pḁkabareː ⸢ʃiːti ʔum⸣maː ʔi⸢bi⸣ba] (畝立てをして芋を植えなさいよ) 13070 0 0 12716 htmvoc_13070.wav パカバルン ⸣パカ バ⸢ルン [⸣pḁka ba⸢ruŋ] 連 畝を立てる。耕す範囲を決める。 ⸣パカー バ⸢リティ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢カイ⸣シバ [⸣pḁkaː ba⸢riti⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢kai⸣ʃiba] (畝を立てて<耕す範囲を決めて>畑を耕しなさいよ) 13071 0 0 12717 htmvoc_13071.wav バカビキドゥム バ⸢カビキ⸣ドゥム [ba⸢kabiki⸣dumu] 名 若い男。 バ⸢カビキドゥム⸣ヌ ⸣スルーカー シ⸢グトー シーヤッ⸣サン [ba⸢kabikidumu⸣nu ⸣suruːkaː ʃi⸢gutoː ʃiːjas⸣saŋ] (若い男が揃うと仕事はしやすい) 13073 0 0 12718 htmvoc_13073.wav バカピル バ⸢カ⸣ピル [ba⸢ka⸣piru] 名 まだ鱗形が形成されていない若いニンニク(大蒜)。若大蒜。 イ⸢サナキプソー⸣ バ⸢カピル⸣バ ピ⸢キ⸣キー ッ⸢スニー⸣バ ⸣キシティ ⸢マース⸣トゥ ⸢マーズン⸣ ソンガチヌ フ⸢ルマイ⸣ナー ン⸢ザ⸣ソールンツォー [ʔi⸢sanakipusoː⸣ ba⸢kapiru⸣ba pi̥⸢ki⸣kiː s⸢suniː⸣ba ⸣ki̥ʃiti ⸢maːsu⸣tu ⸢maːʣun⸣ soŋgaʧi ɸu⸢rumai⸣naː ʔn⸢ʣa⸣soːrunʦoː] (石垣島の人は、若大蒜を引き抜いてきて、白根を切って塩と一緒に正月の振舞ご馳走にだされるそうだ) 13074 0 0 12719 htmvoc_13074.wav バカフキ バ⸢カ⸣フキ [ba⸢ka⸣ɸu̥ki] 名 新芽。若芽。「若茎」の義。 ⸢ユシキ⸣ヌ バ⸢カ⸣フキ ⸣スリキー ⸣サン ⸢ユイティ⸣ パ⸢タキ⸣ シヌナー ⸣ッシバ [⸢juʃi̥ki⸣nu ba⸢ka⸣ɸu̥ki ⸣surikiː ⸣san ⸢juiti⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʃinunaː ⸣ʃʃiba] (ススキの若芽<茎>を刈ってきて魔除けのサンを結んで畑の角に差しなさいよ) 13072 0 0 12720 htmvoc_13072.wav バカプスマ バ⸢カプス⸣マ [ba⸢kapusu⸣ma] 名 午前十時~十一時ごろ。「若昼間」の義。⸢マープスマ[⸢maːpusuma](真昼間{EOS}現在の正午頃{EOS}九つ時分)の前で、あまり暑くならないころ。「わかひるま 九つ時分。ひるまとは八つ時分也「混効験集」」『おもろ語辞書』。ア⸢サカイ[ʔa⸢sakai](午前六時~十時ごろ{EOS}朝陰時)の直後ごろ。夏場はア⸢サカイの内に畑仕事を終えて帰り、⸣アシスコール[⸣ʔaʃisu̥koːru](昼食準備)をし、一息入れて午後は⸢ヨーコイ[⸢joːkoi](午後三時~四時ごろ{EOS}夕陰時)になったら畑仕事に出たものである。夕方は六時~七時ごろに帰宅し、⸢ユー⸣ボンスコール[⸢juː⸣bonsu̥koːru](夕飯支度)をした。 バ⸢カプス⸣マ ⸣ナルンケン パ⸢タ⸣キナー シ⸢グトゥ シーベー [ba⸢kapusu⸣ma ⸣naruŋkem pa⸢ta⸣kinaː ʃi⸢gutu ʃiːbeː] (若昼間時になるまで畑に仕事をしている) 13076 0 0 12721 htmvoc_13076.wav パカマ パ⸢カマ [pḁ⸢kama] 名 袴。 シ⸢マ⸣ナー パ⸢カマ⸣ キ⸢ソー⸣ル プ⸢ソー ナン⸣ゾー ⸢オーラン⸣シェン [ʃi⸢ma⸣naː pḁ⸢kama⸣ ki̥⸢soː⸣ru pu̥⸢soː nan⸣ʣoː ⸢ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (島では袴を着られる人は、あまりいらっしゃらなかった) 13077 0 0 12722 htmvoc_13077.wav パカマイル パ⸢カマイ⸣ル [pḁ⸢kamai⸣ru] 名 墓参り。旧暦の一月十六日祭とお盆の七夕には墓参りをして墓の掃除をし、茶湯をした。また、死後一週間は朝早く墓参りをした。三十三年忌までの法事の前日に墓参をして掃除をしたが、それ以外の日に墓参りをする習慣はほとんどなかった。 ⸢ニン⸣ニン ジ⸢ル⸣クンチトゥ ⸢ソーラン⸣ヌ タ⸢ナバタナー⸣ル パ⸢カマイ⸣ロー ⸢ソーッ⸣タ [⸢nin⸣nin ʤi⸢ru⸣kunʧitu ⸢soːran⸣nu ta⸢nabatanaː⸣ru pḁ⸢kamai⸣roː ⸢soːt⸣ta] (毎年、十六日祭とお盆の七夕に<ぞ>墓参りはされた) 13054 0 0 12723 htmvoc_13054.wav バカマチ バ⸢カ⸣マチ [ba⸢ka⸣maʧi] 名 若松。松の若木。常緑樹の松と竹は長寿、若返りの縁起物として門松に使用されたが、1950年代に緑化推進のために廃止された。 マ⸢ナ⸣マー バ⸢カ⸣マチ カ⸢ザル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ba⸢ka⸣maʧi ka⸢ʣaru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今は若松を飾る他人はいない) 13078 0 0 12724 htmvoc_13078.wav バカマリ バ⸢カ⸣マリ [ba⸢ka⸣mari] 名 早産の子。月足らずで生まれた子。「若生まれ」の義。⸣シキ タ⸢ラーン マリ[⸣ʃi̥ki ta⸢raːmmari](月足らずのうまれ{EOS}月足らず)ともいう。 バ⸢カ⸣マリ ヤ⸢レー⸣ティル フ⸢ドー⸣ グ⸢マー⸣ル ⸣ズコー ⸢シーブタ [ba⸢ka⸣mari ja⸢reː⸣tiru ɸu⸢doː⸣ gu⸢maː⸣ru ⸣ʣukoː ⸢ʃiːbuta] (早産の子であったから<ぞ>体は小さいのであって、成熟はしていたよ) 13079 0 0 12725 htmvoc_13079.wav バカミース バ⸢カミー⸣ス [ba⸢kamiː⸣su] 名 作り立ての味噌。新味噌。「若味噌」の義。⸢ミーミース[⸢miːmiːsu](新味噌)ともいう。ッ⸢ふミー⸣ス[f⸢fumiː⸣su](古い味噌)の対義語。 ク⸢ヌ⸣ バ⸢カミー⸣ソー ⸢トー⸣フマミバ ヌ⸢キバ シー⸣ タテーンダ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ku⸢nu⸣ ba⸢kamiː⸣soː ⸢toː⸣ɸumamiba nu⸢kiba ʃiː⸣ tḁteːnda ʔi⸢kkena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (この新味噌<若味噌>は大豆をヌキ<補助材>にして製造した<たてた>から非常に美味しいよ) 13080 0 0 12726 htmvoc_13080.wav バカミートゥ バ⸢カミー⸣トゥ [ba⸢kamiː⸣tu] 名 若夫婦。「わかめおと<若夫婦>」の義。 バ⸢カミートゥ⸣ヌ ⸣ヤーナ ニッ⸢カバー⸣キ ⸢ベーン⸣ナ⸢ヨー [ba⸢kamiːtu⸣nu ⸣jaːna nik⸢kabaː⸣ki ⸢beːn⸣na⸢jo] (若夫婦の家に夜遅くまでいるなよ) 13081 0 0 12727 htmvoc_13081.wav バカムティ バ⸢カム⸣ティ [ba⸢kamu⸣ti] 名 早婚。若身持ち。「若持ち」の義。 ⸢ウッ⸣ツァー バ⸢カム⸣ティ ヤ⸢レー⸣ティ キッ⸢サ⸣ ナ⸢シアガ⸣レーンティ ウ⸢ラーミ⸣サ [⸢ʔut⸣ʦaː ba⸢kamu⸣ti ja⸢reː⸣ti kis⸢sa⸣ na⸢ʃiʔaga⸣reːnti ʔu⸢raːmi⸣sa] (彼らは早婚だったから、すでに生み育ては終了している<生みあがっている>さ、羨ましいことよ) 13083 0 0 12728 htmvoc_13083.wav バカヤクトゥ バ⸢カ⸣ヤ ⸣クトゥ [ba⸢ka⸣ja ⸣ku̥tu] 連 恥ずかしいこと。 ⸣アイブー バ⸢カ⸣ヤ ⸣クトー ⸢サンブリ⸣バ [⸣ʔaibuː ba⸢ka⸣jaː ⸣ku̥toː ⸢samburi⸣ba] (あんな恥ずかしいことはするなよ) 13084 0 0 12729 htmvoc_13084.wav バカヤシミルン バ⸢カ⸣ヤ シ⸢ミルン [ba⸢ka⸣ja ʃi⸢miruŋ] 連 恥ずかしがらせる。恥をかかせる。 ン⸢メーマー⸣ バ⸢カ⸣ヤ シ⸢ミラン⸣カー ヤ⸢ナフシェー ノーラ⸣ヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ ba⸢ka⸣ja ʃi⸢miraŋ⸣kaː ja⸢naɸu̥ʃeː noːra⸣nu] (少しは恥ずかしがらせないと悪い癖は治らない) 13087 0 1 12730 htmvoc_13087.wav バカヤスン バ⸢カ⸣ヤ ⸢スン [ba⸢ka⸣ja ⸢suŋ] 連 {Mn_1}可笑しがる。 ムー⸢ルヌ⸣ バ⸢カ⸣ヤ ⸢スンダ マービン⸣ドゥ プ⸢ス⸣ バ⸢ラース⸣ツォー [muː⸢runu⸣ ba⸢ka⸣ja ⸢sunda maːbin⸣du pu̥⸢su⸣ ba⸢raːsu⸣ʦoː] (皆が可笑しがるから、余計に他人を笑わせるんだよ)。 13087 0 2 12731 htmvoc_13087.wav バカヤスン バ⸢カ⸣ヤ ⸢スン [ba⸢ka⸣ja ⸢suŋ] 連 {Mn_2}恥ずかしがる。「恥ずかしくする」の義。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー バ⸢カ⸣ヤ ⸢スンダ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ プ⸢ス⸣ヌ ⸣マイナー ブ⸢ドゥル⸣ シ⸢ミララヌ [mi⸢doːn⸣ffaː ba⸢ka⸣ja ⸢sunda⸣ mut⸢tu⸣ pu̥⸢sunu⸣ mainaː bu⸢duru⸣ ʃi⸢miraranu] (女の子は恥ずかしがるので、ちっとも人前で踊らされない<踊りをさせられない>) 13082 0 0 12732 htmvoc_13082.wav パカヤマ パ⸢カヤマ [pḁ⸢kajama] 名 墓地のある岡の森。「墓山」の義。ナ⸢カン⸣ブレー[na⸢kam⸣bureː](ナカモリ<中岡>)の西側にある岡の森で、フ⸢クンキー[ɸu̥⸢kuŋkiː](福木)やガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](ガジマル<榕樹>)、ヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](テリハボク)、キ⸢ダ[ki⸢da](リュウキュウコクタン{EOS}黒檀{EOS}「烏木」『中山伝信録』)、⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](クロツグ)、⸢バン⸣スル[⸢ban⸣suru](バンジロウ)、その他雑木が密生している。岡の南斜面の砂岩を利用して横穴を掘り抜いて造った亀甲墓群がある。各家の本墓が約三十基ほどある。ジ⸢ル⸣クンチ[ʤi⸢ru⸣kunʧi](十六日祭)は各家の墓前でご馳走を供え、親戚一同が集まって祈願が行われた。パカヤマの頂上部は⸣ナーマヤーヌ ⸢ヤシ⸣キ[⸣naːmajaːnu ⸢jaʃi̥⸣ki](長間屋の屋敷)といわれており、石垣積みの跡が残っている 13085 0 0 12733 htmvoc_13085.wav バカヤン バ⸢カ⸣ヤン [ba⸢ka⸣jaŋ] 形 おかしい(可笑しい)。こっけいである。「わが心しぞ いや袁許<ヲコ>にして~『古事記 中・歌謡』」、「~可笑し<をかし>と思ひて~」『今昔物語』の転訛したもの。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー バ⸢カヤ⸣ヌ バ⸢ライル⸣ シ⸢ラリ [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ba⸢kaja⸣nu ba⸢rairu⸣ ʃi⸢rari] (彼の話は可笑しくて笑わずにはおれない<笑いぞされる>)。 ク⸢トゥシヌ キョンギン⸣マー バ⸢カ⸣ヤンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー バ⸢カヤー ナーン⸣ワー⸢ヌー [ku̥⸢tuʃinu kjoŋgim⸣maː ba⸢ka⸣janti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ba⸢kajaː naːŋ⸣waː⸢nuː] (今年の狂言は可笑しい<笑が止まらない>と聞いたが、あまりおかしくないではないか)。 シ⸢キベーン⸣ケンマー バ⸢カ⸣ヤ ⸣ナリキー ウ⸢ブバライ シー ナーン⸣シェン [ʃi̥⸢ki beːŋ⸣kemmaː ba⸢ka⸣ja ⸣narikiː ʔu⸢bubarai ʃiː naːŋ⸣ʃeŋ] (聞いているうちに可笑しくなってきて、大笑してしまった)。 ⸣アイニ バ⸢カ⸣ヤ ブ⸢ドゥロー⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ba⸢ka⸣ja bu⸢duroː⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (あんなに可笑しな踊りは見たことが無い) 13086 0 0 12734 htmvoc_13086.wav バカヤン バ⸢カ⸣ヤン [ba⸢ka⸣jaŋ] 形 恥ずかしい。 ク⸢レー⸣ バ⸢カヤ⸣ヌ キ⸢シ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ba⸢kaja⸣nu ki̥⸢ʃi⸣ pa⸢rara⸣nu] (これは恥ずかしくて着て行かれない)。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣マイ ン⸢ジ⸣ルカー バ⸢カ⸣ヤン [mi⸢dumu⸣nu ⸣mai ʔn⸢ʤi⸣rukaː ba⸢ka⸣jaŋ] (女性の前に出ると恥ずかしい)。 プ⸢スバカヤヌ⸣ シキンラ ⸣シラ ⸣ムテーティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [pu̥⸢subakaja⸣nu ⸣ʃi̥kinra ⸣ʃira ⸣muteːti ʔa⸢rakara⸣nu] (外聞が悪くて<恥ずかしくて>世間から顔<面>を持ってあるけない)。 ノー⸢ン⸣ バ⸢カ⸣ヤ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [noː⸢m⸣ ba⸢ka⸣ja ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (何にも恥ずかしいことはない) 13088 0 0 12735 htmvoc_13088.wav バカラ ⸣-バカラ [⸣-bakara] 副助 ばかり。ぐらい。ほど。体言に下接して分量、程度など、おおよその見積りを表す。普通は⸣-ブカラー[⸣-bukaraː](ばかり{EOS}ぐらい{EOS}ほど)という。 ⸣クビバカラ ⸣バキ ッ⸢ふィーリ [⸣kubibakara ⸣baki f⸢fiːri] (これくらい分けてくれ) 13089 0 0 12736 htmvoc_13089.wav パカラーサン パ⸢カラー⸣サン [pḁ⸢karaː⸣saŋ] 形 しっかりして信頼できる。思慮分別があり、きちんとしている。まともである。⸢計<ハカ>らさあり」の義。普通は⸢マーパカラー⸣サン[⸢maːpakaraː⸣saŋ](全く信頼できる{EOS}真っ当である)という。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ パ⸢カラー⸣サンティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー パ⸢カラーサ ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ pḁ⸢karaː⸣santi su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː pḁ⸢karaːsa naː⸣nu] (その子は非常にしっかりして信頼できると聞いたが、あんまり信頼できない<思慮分別がない>)。 パ⸢カラー⸣サル プ⸢スンドゥ⸣ タ⸢ナマリ⸣ル [pḁ⸢karaː⸣saru pu̥⸢sundu⸣ ta⸢namari⸣ru] (まともな、信頼できる人にしか頼まれない<信頼出来る人にぞ頼まれる>)。 パ⸢カラー⸣サリバル タ⸢ナマ⸣リ [pḁ⸢karaː⸣saribaru ta⸢nama⸣ri] (しっかりして信頼出来ればこそ頼める)。 ⸢マーパカラー⸣サン [⸢maːpakaraː⸣saŋ] (まともで、本当に信頼出来る{EOS}正道で、しっかりしている)。⸢マーパカラサナー⸣ヌ[⸢maːpakarasanaː⸣nu](本当に信頼できない{EOS}邪道で、しっかりしてなく、まともでない)ともいう 13090 0 0 12737 htmvoc_13090.wav パカライグトゥ パ⸢カライ⸣グトゥ [pḁ⸢karai⸣gutu] 名 悪巧み。奸計。計略。「計らいごと」の転訛。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ヌー⸣ヌ パ⸢カライグトゥ⸣バ ⸢スンティ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー⸣ワ [ma⸢na⸣maː ⸢nuː⸣nu pḁ⸢karaigutu⸣ba ⸢sunti⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː⸣wa] (今はどんな悪巧みをしようと集まっているのか) 13091 0 0 12738 htmvoc_13091.wav パカラウン パ⸢カ⸣ラウン [pḁ⸢ka⸣rauŋ] 他動 塩梅する。相談する。協議する。手加減する。配慮する。調整する。適当に処置する。⸢計らう」の転訛。 シ⸢グトゥヌ⸣ クトゥン ⸣ヌーンクイ パ⸢カ⸣ライ ッ⸢ふィーリ [ʃi⸢gutu⸣nu ⸣ku̥tun ⸣nuːŋkui pḁ⸢ka⸣rai f⸢fiːri] (仕事のこともいろいろと配慮してくれ)。 ⸢イーシ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ パ⸢カ⸣ラウンティ ⸣シケータンドゥ イ⸢シヌ ゴー⸣ラーティ パ⸢カラーラン⸣シェン [⸢ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ pḁ⸢ka⸣raunti ⸣ʃi̥keːtandu ʔi⸢ʃinu goː⸣raːti pḁ⸢karaːraŋ⸣ʃeŋ] (ツノマタの値段は配慮しようとしていたが、小石ガ多く混入していたので配慮できなかった)。 パ⸢カ⸣ラウ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー パ⸢カライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [pḁ⸢ka⸣rau ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː pḁ⸢karai⸣jaː ⸣misamunu] (配慮することが出来たら配慮してくれればいいのに)。 ⸢ワー⸣シ ⸣ミサヨーニ パ⸢カ⸣ライバ [⸢waː⸣ʃi ⸣misajoːni pḁ⸢ka⸣rai ba] (君で良いように塩梅しろよ{EOS}調整せよ{EOS}) 13092 0 1 12739 htmvoc_13092.wav バカリ バ⸢カ⸣リ [ba⸢ka⸣ri] 名 {Mn_1}分かれ。分岐。分家。 ユ⸢レーヤ⸣ カ⸢ザケーラヌ⸣ バ⸢カ⸣リティ⸢ダー [ju⸢reːja⸣ ka⸢ʣakeːranu⸣ ba⸢ka⸣riti⸢daː] (寄合家は加治工家からの分かれだそうだよ)。 13092 0 2 12740 htmvoc_13092.wav バカリ バ⸢カ⸣リ [ba⸢ka⸣ri] 名 {Mn_2}別れ。離別。離婚。 ウ⸢ヤッふァ⸣ バ⸢カ⸣レー ク⸢チ⸣サン⸢ダー [ʔu⸢jaffa⸣ ba⸢ka⸣reː ku̥⸢ʧi⸣san⸢daː] (親子の離別は苦しいよ)。 ト⸢ジブトゥバカ⸣リ ⸢スンティ⸣ アイ ⸢ベー [tu⸢ʤibutubaka⸣ri ⸢sunti⸣ ʔai ⸢beː] (離婚<夫婦別れ>しようとして喧嘩している) 13093 0 0 12741 htmvoc_13093.wav バカリカンティ バ⸢カリカン⸣ティ [ba⸢karikan⸣ti] 名 別れかねること。「別れかねて」の転訛したもの。 ッ⸢ふァバ⸣ ウ⸢キ⸣ナー パ⸢ラ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢ヤッ⸣ふァ バ⸢カリカン⸣ティ ⸢シーベー [f⸢faba⸣ ʔu⸢ki⸣naː pa⸢ra⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔu⸢jaf⸣fa ba⸢karikan⸣ti ⸢ʃiːbeː] (子供を沖縄へ行かせようとするが、親子が別れづらく<別れかねて>している) 13094 0 0 12742 htmvoc_13094.wav バカリキナイ バ⸢カリ⸣キナイ [ba⸢kari⸣kinai] 名 分家。「分かれ家内」の義。キ⸢ナイバカリ[ki⸢naibakari](分家{EOS}「家内分かれ」の義)、⸢ヤーバカ⸣リ[⸢jaːbaka⸣ri](家別れ{EOS}分家)というのが普通。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢バン⸣テーラヌ バ⸢カリ⸣キナイ [⸢ʔun⸣neːja ⸢ban⸣teːranu ba⸢kari⸣kinai] (あの家は私の家からの分家だ) 13095 0 0 12743 htmvoc_13095.wav バカリグリサン バ⸢カリグリ⸣サン [ba⸢kariguri⸣saŋ] 形 別れづらい。別れることが辛い。バ⸢カ⸣ルン[ba⸢ka⸣ruŋ](別れる)の連用形に、形容詞型助動詞のグ⸢リサン[gu⸢ri⸣saŋ](~辛い{EOS}~にくい)が下接して形成された派生形容詞。 ヤ⸢マトゥ⸣タベー ⸢トゥー⸣ワンダ ウ⸢ヤッ⸣ふァー バ⸢カリグリ⸣サン [ja⸢matu⸣tabeː ⸢tuː⸣wanda ʔu⸢jaf⸣faː ba⸢kariguri⸣saŋ] (大和旅<本土への旅>は遠いから、親子は別れづらい) 13096 0 0 12744 htmvoc_13096.wav バカリナチ バ⸢カリ⸣ナチ [ba⸢kari⸣naʧi] 名 残暑。「別れ夏」の義。秋口に一段と暑さが増して、それが最後の暑さとなること。 バ⸢カリナチ⸣ヌ ⸣アツァー ヤ⸢レーティ⸣ル ⸣カイニ アツァール⸢ナー [ba⸢karinaʧi⸣nu ⸣ʔaʦaː ja⸢reːti⸣ru ⸣kaini ʔaʦaːru⸢naː] (残暑<別れ夏>の暑さだら<ぞ>あんなに暑いのだなあ) 13097 0 0 12745 htmvoc_13097.wav バカリピーサ バ⸢カリピー⸣サ [ba⸢karipiː⸣sa] 名 寒の戻り。「別れ寒さ」の義。春先に一時的に寒波が押し寄せて寒さがぶり返し、最後の寒さとなること。沖縄方言からの借用語か。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤー ⸣ヌーカヤー バ⸢カリピー⸣サティ ア⸢ズムヌ⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ⸣カイニ ⸢ピー⸣ヤワレー [⸢kjuː⸣nu ⸢piː⸣jaː ⸣nuːkajaː ba⸢karipiː⸣sati ʔa⸢ʣumunu⸣ ja⸢ru⸣juː ⸣kaini ⸢piː⸣jawareː] (今日の寒さはいったい何だろうか{EOS}寒の戻り<分かれ寒さ>というものだろうか{EOS}こんなにも寒いことよ) 13098 0 0 12746 htmvoc_13098.wav バカリピラク バ⸢カリピラ⸣ク [ba⸢karipira⸣ku] 名 寒の戻り。「別れ寒さ」の義。春先に一時的に寒波が押し寄せて寒さがぶり返し、最後の寒さとなること。バ⸢カ⸣リ[ba⸢ka⸣ri](別れ)に、ピ⸢ラ⸣ク[pi⸢ra⸣ku](寒波)が付いて合成された「最後の寒波」の意の複合名詞。 バ⸢カリピラ⸣クナー イ⸢ズン⸣ ウ⸢ケーリ キー⸣シタ [ba⸢karipira⸣kunaː ʔi⸢ʣuŋ⸣ ʔu⸢keːri kiː⸣ʃi̥ta] (寒の戻りには魚も浮いてきたものだよ) 13099 0 0 12747 htmvoc_13099.wav パカリビリ パ⸢カリ⸣ビリ [pa⸢kari⸣biri] 名 計り減り。枡や秤で計量して売買するうちに、量りこんで全体として減量すること。また穀類などを干しているうちに量が減ること。 ⸢イットゥ⸣ヌ ⸢マイ⸣ パ⸢カリカー⸣シ ⸢スー⸣カー ノー⸢シン⸣ パ⸢カリ⸣ビレー ⸢シース [⸢ʔittu⸣nu ⸢mai⸣ pḁ⸢karikaː⸣ʃi ⸢suː⸣kaː noː⸢ʃim⸣ pḁ⸢kari⸣bireː ⸢ʃiːsu] (一斗のお米を量り売りすると、どうしても計り減りが生ずる<計り減りする>)。生魚や生の海草類を乾燥したときに減る斤量は、⸢キンビリ[⸢kimbiri](斤減り)という 13100 0 0 12748 htmvoc_13100.wav バカリミチ バ⸢カリ⸣ミチ [ba⸢kari⸣miʧi] 名 分かれ道。岐路。 ウ⸢ブ⸣マイラ タ⸢チ⸣バロー ⸣パル ⸣ミチェーラ ピ⸢ダ⸣レーニ バ⸢カリミチ⸣ヌ ア⸢リ⸣バ ウ⸢マー⸣ パルカー ヤ⸢ラヌ⸣ パマー ン⸢ジ⸣ルン [ʔu⸢bu⸣maira ta⸢ʧi⸣baroː ⸣paru ⸣miʧeːra pi⸢da⸣reːni ba⸢karimiʧi⸣nu ʔa⸢ri⸣ba ʔu⸢maː⸣ parukaː ja⸢ranu⸣ pamaː ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (大前から立原の浜へと通じる道から左の方へ分かれ道があるから、そこへ行くと屋良の浜へ出る) 13101 0 0 12749 htmvoc_13101.wav バカリムラ バ⸢カリ⸣ムラ [ba⸢kari⸣mura] 名 分村。「分かれ村」の義。普通は、ム⸢ラバカリ[mu⸢rabakari](村分かれ)という。 サ⸢キ⸣ヤマー パ⸢ティルマー⸣ラヌ バ⸢カリ⸣ムラ ⸢メーラー⸣ ク⸢モーマラヌ⸣ バ⸢カリ⸣ムラ パ⸢トゥ⸣マー ク⸢ル⸣シマラーヌ バ⸢カリ⸣ムラティ ア⸢ザリ ブー [sḁ⸢ki⸣jamaː pḁ⸢tirumaː⸣ranu ba⸢kari⸣mura ⸢meːraː⸣ ku⸢moːmaranu⸣ ba⸢kari⸣mura pḁ⸢tu⸣maː ku⸢ru⸣ʃimaːranu ba⸢kari⸣murati ʔa⸢ʣari buː] (崎山村は波照間島からの分村、宮良村は小浜島からの分村、鳩間村は黒島からの分村といわれている) 13102 0 0 12750 htmvoc_13102.wav バカリヤー バ⸢カリ⸣ヤー [ba⸢kari⸣jaː] 名 分家。本家から分家した次男以下の所帯。普通は、⸢ヤーバカ⸣リ[⸢jaːbaka⸣ri](分家{EOS}<家分かれ>)という。 ⸢ヤーム⸣トーラヌ バ⸢カリ⸣ヤーナーン マ⸢リサカレー ゴー⸣ラーン [⸢jaːmu⸣toːranu ba⸢kari⸣jaːnaːm ma⸢risakareː goː⸣raːŋ] (本家からの分家にも子孫繁昌<生まれ盛り>は多い) 13105 0 1 12751 htmvoc_13105.wav バカリルン バ⸢カリ⸣ルン [ba⸢kari⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}分かれる。分離される。動詞⸣バクン[⸣bakuŋ](分ける)の未然形に助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](られる)が下接して形成された形。 ⸣ミチェー ⸣クマーラ フ⸢タマター⸣ バ⸢カリ⸣ルンティ ス⸢クタヌ ミーマター⸣ニ バ⸢カリ⸣ ブーバン [⸣miʧeː ⸣kumaːra ɸu̥⸢tamataː⸣ ba⸢kari⸣runti su̥⸢kutanu miːmataːni⸣ ba⸢kari⸣ buːbaŋ] (道は二股に分かれると聞いたが三叉路<三叉>に分かれているよ)。 バ⸢カリ⸣ル ⸣トンナー シ⸢ルシ⸣ タティシケーバ ⸣ウマーラ フ⸢タテー⸣ニ バ⸢カリ⸣リバ [ba⸢kari⸣ru ⸣tonnaː ʃi⸢ruʃi⸣ tḁti ⸣ʃi̥keːba ⸣ʔumaːra ɸu̥⸢tateː⸣ni ba⸢kari⸣riba] (別れるところに目印を立てて置いてあるから、そこから二手に分かれなさい<別れれ>よ)。 ⸣ウマーラ バ⸢カリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʔumaːra ba⸢kari⸣reː ⸣misamunu] (そこから別れればいいのに)。 13105 0 2 12752 htmvoc_13105.wav バカリルン バ⸢カリ⸣ルン [ba⸢kari⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}別れる。離別する。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ バ⸢カリ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー バ⸢カリラ⸣ヌ [⸢ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːaroː⸣ ba⸢kari⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢na⸣maː ba⸢karira⸣nu] (彼ら二人は別れる<離別する>と聞いたが、今は別れないよ) 13106 0 0 12753 htmvoc_13106.wav パガリルン パ⸢ガリ⸣ルン [pa⸢gari⸣ruŋ] 自動 剥がれる。剥ぐことができる。 ⸣ティダナ ⸣プスカー ⸢ペン⸣キ パ⸢ガリ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ パ⸢ガリラン⸣バン⸢ナー [⸣tidana ⸣pu̥sukaː ⸢peŋ⸣ki pa⸢gari⸣runti su̥⸢kutanu⸣ pa⸢gariram⸣ban⸢naː] (太陽に干すとペンキがはがれると聞いたが、剥がれないのだねえ) 13103 0 0 12754 htmvoc_13103.wav バカリン バ⸢カ⸣リン [ba⸢ka⸣riŋ] 自動 分けられる。分けることが出来る。バ⸢キラ⸣リン[ba⸢kira⸣riŋ](分けられる)ともいう。⸣バクン[⸣bakuŋ](分ける)の未然形に助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が下接して形成された可能動詞。 フ⸢ターチェー⸣ニ バ⸢カ⸣リンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ バ⸢カラン⸣サー [ɸu̥⸢taːʧeː⸣ni ba⸢ka⸣rinti ʔu⸢muːtan⸣du ba⸢karan⸣saː] (二つに分けられると思ったが分けられないさ)。 ⸣ウナー バ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ ムノー ヌーヤ [⸣ʔunaː ba⸢ka⸣ri ⸢beː⸣ munoː ⸣nuːja] (そこに分けられているのは何か)。 ⸢マー⸣ビン バ⸢カ⸣リ ⸣ムノー ⸢ナーヌ [⸢maː⸣bim ba⸢ka⸣ri ⸣munoː ⸢naːnu] (もっと分けられるものはないか) 13104 0 0 12755 htmvoc_13104.wav パガリン パ⸢ガ⸣リン [pa⸢ga⸣riŋ] 自動 剥がれる。剥げる。剥ぐことができる。⸣パグン[⸣paguŋ](剥ぐ)の未然形に助動詞⸣-リン[⸣-riŋ](れる)が下接して形成された受け身・可能動詞。 バ⸢サ⸣ヌ ⸢カー⸣ヤ ⸢タンガ⸣シ パ⸢ガ⸣リンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ パ⸢ガラン⸣バン [ba⸢sa⸣nu ⸢kaː⸣ja ⸢taŋga⸣ʃi pa⸢ga⸣rinti ʔu⸢muːtan⸣du pa⸢garam⸣baŋ] (芭蕉の皮は一人で剥がれる<剥ぐことができる>と思ったが、剥がれないわい)。 パ⸢ガ⸣リ ⸢ベー⸣ン [pa⸢ga⸣ri ⸢beː⸣ŋ] (剥がれている<受身>)。 パ⸢ガリ⸣ル ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [pa⸢gari⸣ru ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (剥がれるものではない<可能>) 13107 0 1 12756 htmvoc_13107.wav バカルン バ⸢カ⸣ルン [ba⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}分かる。別々になる。離れる。「派、水出流也、美奈万太和加留<みなまたわかる>也」『新撰字鏡』。「天地と別之時從<わかれしときに>~。万、2092」の義。 ⸣アイティ トゥ⸢ジブトゥ⸣ バ⸢カ⸣ルンティ ⸢ベータン⸣ドゥ バ⸢カラン⸣トゥワー⸢ヌ [⸣ʔaiti tu⸢ʤibutu⸣ ba⸢ka⸣runti ⸢beːtan⸣du ba⸢karan⸣tuwaː⸢nu] (喧嘩して夫婦分かれると言っていたが、別れないそうだよ)。 バ⸢カ⸣リ ⸣ミサカー バ⸢カ⸣レー ⸣ミサムヌ [ba⸢ka⸣ri ⸣misakaː ba⸢ka⸣reː ⸣misamunu] (別れてよければ別れれば良いのに)。 イッ⸢カ⸣ バ⸢カ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔik⸢ka⸣ ba⸢ka⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (決して分かれることは許さない<ならない>)。 バ⸢カ⸣リバ [ba⸢ka⸣riba] (別れろ)。 13107 0 2 12757 htmvoc_13107.wav バカルン バ⸢カ⸣ルン [ba⸢ka⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}分かる。理解する。了解する。合点が行く。筋道がはっきりする。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣ クトー バ⸢カラ⸣ヌテー ア⸢ラ⸣ヌ バ⸢カルン⸣ドゥ マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢シー⸣ヨーシェー ミ⸢トゥミララ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣ku̥toː ba⸢karan⸣teː ʔa⸢ra⸣nu ba⸢karun⸣du ma⸢nama⸣nu ⸢ʃiː⸣joːʃeː mi⸢tumirara⸣nu] (君の言うことは分からないということではない{EOS}分かるが、今のやり方では認められない) 13108 0 1 12758 htmvoc_13108.wav パカルン パ⸢カ⸣ルン [pḁ⸢ka⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}測る。量る。計測する。物差しや秤、枡などで距離、重量、体積、形態などを計量する。「計、ハカル・ハカリミル」『類聚名義抄』の転訛。 ⸣グシン ⸣アバン シタディン ムー⸢ル⸣ パ⸢カ⸣リティル ⸢カーシタ [⸣guʃiŋ ⸣ʔabaŋ ʃi̥⸢ta⸣dim muː⸢ru⸣ pḁ⸢ka⸣ritiru ⸢kaːʃi̥ta] (酒<御酒>も油も醤油<下地>も皆量って<ぞ>売った)。 ⸣グシ パ⸢カ⸣ルンティ ⸢ベーン⸣ケン ク⸢バシ⸣ティ パ⸢カララン⸣シェン [⸣guʃi pḁ⸢ka⸣runti ⸢beːŋkeŋ ku⸢ba⸣ʃi̥ti pḁ⸢kararaŋ⸣ʃeŋ] (酒を量ろうとしてこぼしてしまい、量れなかった)。 パ⸢カ⸣ル ⸣ピンマー ク⸢メーキ⸣ パ⸢カ⸣レー ⸣ミサムヌ [pḁ⸢ka⸣ru ⸣pimmaː ku⸢meːki⸣ pḁ⸢ka⸣reː ⸣misamunu] (量る時は注意深く<細やかに>量ればいいのに)。 ⸢ワー⸣ ドゥーシ パ⸢カ⸣リ [⸢waː⸣ duːʃi pḁ⸢ka⸣ri] (君は自分で量れ)。 13108 0 2 12759 htmvoc_13108.wav パカルン パ⸢カ⸣ルン [pḁ⸢ka⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}\ruby{謀}{ハカ}る。他人を陥れようと\ruby{企}{タクラ}む。 プ⸢スバ⸣ パ⸢カ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ ⸣ドゥー パ⸢カラ⸣リ ⸢ベーン⸣ティ [pu̥⸢suba⸣ pḁ⸢ka⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ⸣duː pḁ⸢kara⸣ri ⸢beːn⸣ti] (人を陥れようと企んでいて、自分が謀られているよ) 13109 0 0 12760 htmvoc_13109.wav バカンガイルン バ⸢カンガイ⸣ルン [ba⸢kaŋgai⸣ruŋ] 自動 若返る。若年層は、バ⸢カンゲー⸣ルン[ba⸢kaŋgeː⸣ruŋ](若返る)ともいう。 ⸣アッパー ⸢トーカキ⸣ヌヨイ ⸢シー オーシター⸣ バ⸢カンガイ⸣リ ⸢オール⸣バン [⸣ʔappaː ⸢toːkaki⸣nujoi ⸢ʃiː ʔoːʃitaː⸣ ba⸢kaŋgai⸣ri ⸢ʔoːru⸣baŋ] (お祖母さんは米寿<トカキの祝い>をして差し上げたら若返っておられるわい)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター ⸢ナーンパー⸣ヤ バ⸢カンガイ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ピッ⸣チン バ⸢カンガイラン⸣バン [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ⸢naːmpaː⸣ja ba⸢kaŋgai⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢pit⸣ʧim ba⸢kaŋgairam⸣baŋ] (雨が降ったので菜っ葉は若返ると思ったが、ちっとも若返らないわい)。 バ⸢カンガイ⸣ル プ⸢ソー⸣ ク⸢リ⸣ ヌミティ ⸢マー⸣ビン バ⸢カンガイ⸣レー ⸣ミサムヌ [ba⸢kaŋgai⸣ru pu̥⸢soː⸣ ku⸢ri⸣ numiti ⸢maː⸣biŋ ba⸢kaŋgai⸣reː ⸣misamunu] (若返る人は、これを飲んでもっと若返れば良いのに)。 シ⸢ディ⸣ミジ ⸣ヌミティ バ⸢カンガイ⸣リバ [ʃi⸢di⸣miʤi ⸣numiti ba⸢kaŋgai⸣riba] (若水を飲んで若返れよ) 13110 0 0 12761 htmvoc_13110.wav ハギ ハ⸢ギ [ha⸢gi] 名 軒。ひさし(庇)。母屋の縁側から更に軒を出したところ。そこは天井を張らない。「接ぎ」の転訛か。ピ⸢サシ[pi̥⸢saʃi](庇)とも、パ⸢ギ[pa⸢gi](庇)ともいう。シ⸢ティパギ[ʃi̥⸢tipagi](軒の下、土間の部分)は防風、灼熱の太陽光を防ぐ機能を果たした。 ハ⸢ギヌ ナーン⸣カー ナ⸢チェー イーリティダヌ スーワ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヌ ナ⸢カ⸣ナー ブ⸢ララヌ [ha⸢ginu naːŋ⸣kaː na⸢ʧeː ʔiːritidanu suːwa⸣nu ⸢jaː⸣nu na⸢ka⸣naː bu⸢raranu] (庇がないと夏は西日が強くて家の中には居られない) 13111 0 0 12762 htmvoc_13111.wav バキ ⸣バキ [⸣baki] 名 脇。腋。 ⸣バキナー ⸢キーヌ ムイ⸣ルカー イ⸢チニン⸣マイ⸢ダー [⸣bakinaː ⸢kiːnu mui⸣rukaː ʔi⸢ʧinim⸣mai⸢daː] (腋に毛が生えたら一人前だよ)。 ⸢キン⸣ヌ バ⸢キ⸣ヌ シ⸢バー⸣ヌ キ⸢サラヌ [⸢kin⸣nu ba⸢ki⸣nu ʃi⸢baː⸣nu ki̥⸢saranu] (着物の腋が狭くて着られない) 13112 0 1 12763 htmvoc_13112.wav パギ ⸣パギ [⸣pagi] 名 {Mn_1}はげ(禿げ)。禿頭。「頇、ハゲ、無\kaeriten{㆑}髪也」『文明本節用集』の転訛したもの。 ⸢ウン⸣ネーヤ パ⸢ギ⸣ヌ ⸢タックイ [⸢ʔun⸣neːja pa⸢gi⸣nu ⸢takkui] (あの家は禿頭の血統だよ)。 13112 0 2 12764 htmvoc_13112.wav パギ ⸣パギ [⸣pagi] 名 {Mn_2}不漁。 カ⸢ツシンマー⸣ イ⸢ソー ゲータ⸣ヌ ⸣パギ ⸢ヤッタ⸣ツォー [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔi⸢soː geːta⸣nu ⸣pagi ⸢jatta⸣ʦoː] (カツオ漁船は漁に行ったがハゲ<不漁>だったそうだ) 13114 0 0 12765 htmvoc_13114.wav パギカクン パ⸢ギ⸣カクン [pa⸢gi⸣kakuŋ] 自動 脱色しはじめる。色が落ち始める。剥げかける。剥げ始める。 ⸣ドゥク ッ⸢シットーシ⸣ ア⸢ラウター⸣ イロー パ⸢ギ⸣カキ ⸢ナー⸣ヌ [⸣duku ʃ⸢ʃittoː⸣ʃi ʔa⸢rautaː⸣ ʔiroː pa⸢gi⸣kḁki ⸢naː⸣nu] (あまりにも\ruby{擦}{コス}りすぎて洗ったので脱色しかけて<剥げかけて>しまった)。 ⸢ゾーラス⸣カー ⸢ヌー⸣ロー パ⸢ギ⸣カクンダ パ⸢ギカカン⸣ヨーニ ⸢ゾーラサン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸢ʣoːrasu⸣kaː ⸢nuː⸣roː pa⸢gi⸣kḁkunda pa⸢gikḁkaɲ⸣joːni ⸢ʣoːrasam⸣ bu⸢ri⸣ba] (濡らすと糊は剥げかけるから、剥げかけないように濡らすなよ)。 パ⸢ギ⸣カケーラ トゥ⸢マラヌ [pa⸢gi⸣kḁkeːra tu⸢maranu] (剥げかけたら止まらない) 13115 0 0 12766 htmvoc_13115.wav パギクジ パ⸢ギ⸣クジ [pa⸢gi⸣kuʤi] 名 からくじ(空籤)。しらくじ。当らない籤。「剥げ籤」の義。 ク⸢ジコー⸣ンダ ギュー⸢ムシ⸣ ピ⸢クバン⸣ パ⸢ギ⸣クジ カー⸢ニル⸣ ア⸢タル [ku⸢ʤikoː⸣nda gjuː⸢muʃi⸣ pi̥⸢kubam⸣ pa⸢gi⸣kuʤi kaː⸢niru⸣ ʔa⸢taru] (籤運が悪い<籤硬い>ので何度引いても空籤しか当らない<空籤だけぞ当る>) 13116 0 0 12767 htmvoc_13116.wav バキサカサ バ⸢キサカ⸣サ [ba⸢kisaka⸣sa] 名 神女<巫女>の一人。⸢脇司」の義。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}巫女)の側で祈願に必要な祭具類を揃えたり、⸢コー⸣パナ[⸢koː⸣pana](線香や花米)の準備をし、ア⸢ライパナ[ʔa⸢raipana](花米を洗って供えるもの)の準備をしたりする巫女で、サカサの脇で手を合わせて拝礼する。それぞれのピ⸢キ[pi̥⸢ki](ひき{EOS}血統)の中から⸣サーダカマリ[⸣saːdakamari](セヂ高い生まれの人)の女性がそれになる。 ピ⸢キピキヌ⸣ ウガンナー バ⸢キサカサ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [pi̥⸢kipikinu⸣ ʔugannaː ba⸢kisakasa⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (各ヒキの御嶽にはバキサカサ<脇司>がおられる) 13117 0 0 12768 htmvoc_13117.wav パギジー パ⸢ギ⸣ジー [pa⸢gi⸣ʤiː] 名 痩せ地。地味が痩せて作物があまり生長しない土地。フ⸢キ⸣ジー[ɸu̥⸢ki⸣ʤiː](\ruby{沃土}{ヨク|ド})の対義語。「剥げ地」の義。 ⸢キー⸣ウン イ⸢ビル⸣カー パ⸢ギ⸣ジー ⸣ナリティ ム⸢ヌスク⸣ロー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kiːʔuŋ ʔi⸢biru⸣kaː pa⸢gi⸣ʤiː ⸣nariti mu⸢nusu̥ku⸣roː na⸢ra⸣nu] (キャッサバを植えると痩せ地になって他の作物は実らない) 13118 0 0 12769 htmvoc_13118.wav パギスブル パ⸢ギスブ⸣ル [pa⸢gisubu⸣ru] 名 剥げ頭。禿頭。 ウ⸢レー⸣ バ⸢カー⸣ムヌヌ パ⸢ギスブ⸣ル ⸣ナリティ バ⸢カ⸣ヤワレー [ʔu⸢reː⸣ ba⸢kaː⸣mununu pa⸢gisubu⸣ru ⸣nariti ba⸢ka⸣jawareː] (彼は若者のくせに剥げ頭になって可笑しいねえ) 13119 0 0 12770 htmvoc_13119.wav パギター パ⸢ギ⸣ター [pa⸢gi⸣taː] 名 痩せた田圃。地味の痩せた田。「はげ田」の義。 パ⸢ギ⸣ターナーヤ マ⸢タバイン キーヌ⸣パーン シ⸢キックミティ⸣ コイ ナ⸢サン⸣カー ⸢マイヤー ノーラ⸣ヌ [pa⸢gi⸣taːnaːja ma⸢tabaiŋ kiːnu⸣paːŋ ʃi̥⸢kikkumiti⸣ koi na⸢saŋ⸣kaː ⸢maijaː noːra⸣nu] (痩せた田圃には、ひこばえ<又生え>も木の葉も鋤き込んで肥料にしないと稲は実らない) 13121 0 0 12771 htmvoc_13121.wav バキダマ バ⸢キ⸣ダマ [ba⸢ki⸣dama] 名 分け前。分与された財産。権利として配分されたもの。追い込み漁等で漁獲物を能力に応じて配分した分量。 ジ⸢ナン サンナン⸣ヌ バ⸢キ⸣ダマー カ⸢キマカル⸣ティ ア⸢ザリブー [ʤi⸢nan sannan⸣nu ba⸢ki⸣damaː kḁ⸢kimakaru⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (次男三男への財産分与は欠けたお碗のみと言われている) 13120 0 0 12772 htmvoc_13120.wav バキチ バ⸢キ⸣チ [ba⸢ki⸣ʧi] 名 バケツ(bucket)。外来語(英語)の転訛したもの。アルミ板や鉄板製の水桶。逆円錐形の桶で半円形の柄が付いており、天秤棒で担いで水を運んだ。 バ⸢キ⸣チナー ア⸢バッカイルン⸣ケン ミ⸢ジ⸣ イ⸢リティ⸣ ムティクー [ba⸢ki⸣ʧinaː ʔa⸢bakkairuŋ⸣kem mi⸢ʤi⸣ ʔi⸢riti⸣ mutikuː] (バケツに\ruby{溢}{アフレ}るほど水を入れて持ってこい) 13126 0 0 12773 htmvoc_13126.wav パキッツァースン パ⸢キッツァー⸣スン [pḁ⸢kitʦaː⸣suŋ] 他動 吐き散らす。散々に吐く。 ⸢ビーバ⸣キ シ⸢ティ⸣ マーカマーティ ⸢ナー⸣ン ⸣ムヌ パ⸢キッツァー⸣シ ⸣シケー [⸢biːba⸣kiti ⸣maːkamaːti ⸢naː⸣m ⸣munu pḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (嘔吐して<上げて{EOS}吐いて>所構わず<どこそことなく>吐き散らしてある) 13125 0 0 12774 htmvoc_13125.wav パギッツァースン パ⸢ギッツァー⸣スン [pa⸢gitʦaː⸣suŋ] 他動 剥ぎ散らす。散々に剥ぐ。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リティ パ⸢ギッツァー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ギャン⸢ティ⸣ シ⸢ビシゥカリティ⸣ パ⸢ギッツァーサラ⸣ヌ [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣riti pa⸢gitʦaː⸣sunti ⸢sundu⸣ gjan⸢ti⸣ ʃi⸢bisï̥kariti⸣ pa⸢gitʦaːsara⸣nu] (腹が立って剥ぎ散らそうとするが、強くくっ付いていて剥ぎ散らされない)。 パ⸢ギッツァー⸣シ ⸣ミサカー パ⸢ギッツァー⸣ス ⸣クトー ナ⸢リ⸣シバ ⸣カイニ パ⸢ギッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [pa⸢gitʦaː⸣ʃi ⸣misakaː pa⸢gitʦaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ⸣kaini pa⸢gitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (剥ぎ散らしてよければ剥ぎ散らすことは出来るから、このように剥ぎ散らさばいいのに)。 パ⸢ギッツァー⸣シ [pa⸢gitʦaː⸣ʃi] (剥ぎ散らせよ) 13127 0 0 12775 htmvoc_13127.wav パキッツァーン パ⸢キッ⸣ツァーン [pḁ⸢kit⸣ʦaːŋ] 形 嘔吐しそうである。嘔吐をもよおす。船酔いしてもどしそうである。「吐きたさ・あり」の転訛したもの。 ⸣フナイ シ⸢ティ⸣ ム⸢ヌ パキッ⸣ツァーン [⸣ɸunai ʃi̥⸢ti⸣ mu⸢nu pakit⸣ʦaːŋ] (船酔いをして、ものを吐きそうである)。 ム⸢ヌ パキッ⸣ツァー ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢nu pakit⸣ʦaː ⸢naː⸣nu] (嘔吐しそうでない<吐きたくない>)。 ム⸢ヌ パキッ⸣ツァー ⸣ナルン [mu⸢nu pakit⸣ʦaː ⸣naruŋ] (嘔吐しそうになる)。 ム⸢ヌパキッ⸣ツァー ⸣ピンマー フ⸢ナブ⸣ヌ カ⸢ザ⸣ カ⸢ビ⸣バ [mu⸢nu pakit⸣ʦaː ⸣pimmaː ɸu⸢nabu⸣nu ka⸢ʣa⸣ ka⸢bi⸣ba] (嘔吐しそうな時はミカン<九年母>の香を嗅ぎなさい) 13128 0 0 12776 htmvoc_13128.wav バキトゥルブン バ⸢キトゥル⸣ブン [ba⸢kituru⸣buŋ] 名 ⸢脇取り盆」の義。かよいぼん(通盆)。給仕に使う盆。幅約33センチ、高さ約6センチ、長さ約70センチの長方形の盆。餅を作る際、脇取り盆に餅粉をふって餅を並べておいたり、供物の料理を並べて持ち運びするのに用いる。イ⸢キ⸣パナ[ʔi⸢ki⸣pana](活花)、ア⸢ライパナ[ʔa⸢raipana](洗い花米)、⸢サー⸣ドー[⸢saː⸣doː](茶湯)、⸢トゥイ⸣ミョー[⸢tui⸣mjoː](灯明)、ウ⸢ツァナ⸣ク[ʔu⸢ʦana⸣ku](白餅、団子{EOS}「御茶の子」の転訛したものか)、ミ⸢キ[mi⸢ki](神酒)、クバン[⸣kubaŋ](燻製魚肉の角切り)などの供物を各一対、バキトゥリブンに並べて供えられた。 ム⸢チェー⸣ バ⸢キトゥル⸣ブンナー ナ⸢ラビ シキ⸣リ [mu⸢ʧeː⸣ ba⸢kituru⸣bunnaː na⸢rabi ʃi̥ki⸣ri] (餅は通盆に並べておきなさい)。 ⸣ヤマヤマヌ ⸣グシパナトゥ ⸢クームチェー⸣ バ⸢キトゥル⸣ブンナー イ⸢リティ ナー⸣ ピ⸢キピキヌ⸣ ウガン ⸣カミパリバ [⸣jamajamanu ⸣guʃipanatu ⸢kuːmuʧeː⸣ ba⸢kituru⸣bunnaː ʔi⸢riti⸣ ⸢naː⸣ pi̥⸢kipikinu⸣ ʔugaŋ ⸣kamipariba] (嶽々への神酒、花米と供物は通盆に入れて各自のヒキ<氏子組織>の御嶽へ、頭上に載せて運んで行きなさい) 13122 0 0 12777 htmvoc_13122.wav バキトゥルン ⸣バキトゥルン [⸣bakituruŋ] 他動 分けて取る。分割する。他動詞⸣バクン[⸣bakuŋ]の連用形に、他動詞⸣トゥルン[⸣turuŋ](取る)が下接して形成された複合動詞。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ザイサン ⸣バキトゥルンティ ウ⸢ムー⸣ナ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʣaisam ⸣bakiturunti ʔu⸢muː⸣na] (親の財産を分けて取ろう<分割しよう>と思うな) 13123 0 0 12778 htmvoc_13123.wav パギトゥルン ⸣パギトゥルン [⸣pagituruŋ] 他動 剥ぎ取る。 ナ⸢マ⸣シキ ⸣パギトゥルンティ ⸢スンドゥ⸣ パギトゥ⸢ララ⸣ヌ [na⸢ma⸣ʃi̥ki ⸣pagiturunti ⸢sundu⸣ pagitu⸢rara⸣nu] (お焦げを剥ぎ取ろうとするが、剥ぎ取られない)。 ⸣パギトゥリ ⸣ミサカー ⸣パギトゥル ⸣クトー ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ [⸣pagituri ⸣misakaː ⸣pagituru ⸣ku̥toː ⸣wakeː ⸢naː⸣nu] (剥ぎ取ってよければ、剥ぎ取ることは簡単だ<訳は無い>)。 イ⸢ズヌ カー⸣ヤ ⸣パギトゥレー ⸣ミサムヌ [ʔi⸢ʣunu kaː⸣ja ⸣pagitureː ⸣misamunu] (魚の皮は剥ぎ取れば良いのに)。 シ⸢ヌマール⸣ヌ ⸢カー⸣ヤ ⸣パギトゥリバ [ʃi⸢numaːru⸣nu ⸢kaː⸣ja ⸣pagituriba] (テングハギ<チヌマン>の皮は剥ぎ取りなさいよ) 13124 0 0 12779 htmvoc_13124.wav パギヌー パ⸢ギ⸣ヌー [pa⸢gi⸣nuː] 名 地滑りを起こして山肌が露出したところ。「剥げ野」の義。樹木が生えていない原野。 ⸣ウマー パ⸢ギ⸣ヌー ⸣ナリティ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔumaː pa⸢gi⸣nuː ⸣nariti noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (そこは剥げ野になっていて、何にも利用できない) 13129 0 0 12780 htmvoc_13129.wav バキパカ バ⸢キ⸣パカ [ba⸢ki⸣paka] 名 脇墓。本墓の両脇にある小さな墓。ス⸢ディパカ[su⸢dipaka](袖墓)ともいう。本葬<洗骨して本墓に納めること>にする前に仮に棺を納めておく墓。出戻りの人や分家筋の人のお骨を納める墓。 バ⸢キ⸣パカー ⸢アウニ ブーバ⸣ ウナー ウ⸢サミ⸣リバ [ba⸢ki⸣pakaː ⸢ʔauni buːba⸣ ʔunaː ʔu⸢sami⸣riba] (脇墓は、今は空いているから、そこに納めなさいよ) 13113 0 0 12781 htmvoc_13113.wav ハギバラー ハ⸢ギバラー [ha⸢gibaraː] 名 軒下の柱。「\ruby{脛}{ハギ}・柱」の転訛か。ヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](本建築{EOS}<貫き家>)の最外側の柱列をいう。南面の軒を更に外側へ三尺延ばした軒の柱を、シ⸢ティハギ[ʃi⸢tihagi](「外脛」の転訛したものか)という。 ハ⸢ギバラー ゴー⸣ラー フ⸢クントゥ キャーンギバル⸣ シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [ha⸢gibaraː goː⸣raː ɸu̥⸢kuntu kjaːŋgibaru⸣ sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (脛柱は、多くは福木と槙<イヌマキ>を使われた) 13132 0 0 12782 htmvoc_13132.wav パギフタイ パ⸢ギ⸣フタイ [pa⸢gi⸣ɸu̥tai] 名 禿げ上がった額。「剥げ額」の義。 ウ⸢レー⸣ パ⸢ギ⸣フタイ ⸣ナリティ ス⸢ブル⸣ヌ ティ⸢ジ⸣ナー ⸢キーヤ⸣ プ⸢スム⸣トゥン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ pa⸢gi⸣ɸu̥tai ⸣nariti su⸢buru⸣nu ti⸢ʤi⸣naː ⸢kiːja⸣ pu̥⸢sumu⸣tun ⸢naː⸣nu] (彼は額が禿げ上がって<剥げ額になって>、頭の頂上には毛が一本も生えてない) 13133 0 0 12783 htmvoc_13133.wav パギミー パ⸢ギ⸣ミー [pa⸢gi⸣miː] 名 ただれ目。眼瞼湿疹。「蠛、タダレメ」『類聚名義抄』の義。⸣ミーパガー[⸣miːpagaː](剥げ目の人)ともいう。 ⸢スイドーヌ ナーン⸣タ ⸣ケンマー パ⸢ギミー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラータル [⸢suidoːnu naːŋ⸣ta ⸣kemmaː pa⸢gimiː⸣nu ⸢goː⸣raːtaru] (水道がなかった頃はただれ目が多かったものだ) 13134 0 0 12784 htmvoc_13134.wav バキミジ バ⸢キミジ [ba⸢kimiʤi] 名 湧き水。 バ⸢キミジェー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ピ⸢ラ⸣ケーン [ba⸢kimiʤeː⸣ ʔik⸢kena⸣ pi⸢ra⸣keːŋ] (湧き水は非常に涼しい)。 バ⸢キミジン⸣ ア⸢ラ⸣ナー ⸣アイニ ⸢ジン⸣バ シゥ⸢カイバ ヌー⸣シル タ⸢ラースワレー  [ba⸢kimiʤiŋ⸣ ʔa⸢ra⸣naː ⸣ʔaini ⸢ʤim⸣ba sï̥⸢kaiba nuː⸣ʃiru ta⸢raːsuwareː] (湧き水でもないのに、あんなにお金を使ったらどうやって埋め合わされよう<足す>か) 13135 0 0 12785 htmvoc_13135.wav バキムヌ バ⸢キ⸣ムヌ [ba⸢ki⸣munu] 名 分配物。分配すべき物。「分け物」の義。 ク⸢レー ワー タンガ⸣ヌ ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ ムー⸢ルヌ⸣ バ⸢キ⸣ムヌ [ku⸢reː waː taŋga⸣nu ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu muː⸢runu⸣ ba⸢ki⸣munu] (これは君一人の物ではない{EOS}皆への分配物だ) 13136 0 0 12786 htmvoc_13136.wav ハギヤー ハ⸢ギヤー [ha⸢gijaː] 名 母屋に接ぎ足して作った小家。 ⸢ヤーバカ⸣リ ⸢スン⸣ケンマー ⸢ウシ⸣トー ⸣シンタナ ハ⸢ギヤー⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸣ウナール ⸢ベータ⸣ル [⸢jaːbaka⸣ri ⸢suŋ⸣kemmaː ⸢ʔuʃi̥⸣toː ⸣ʃintana ha⸢gijaː⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔunaːru ⸢beːta⸣ru] (分家するまでは、弟は家の後ろに母屋に接ぎ足した小屋を作って、そこに<ぞ>いたのだ) 13137 0 0 12787 htmvoc_13137.wav パギヤマ パ⸢ギ⸣ヤマ [pa⸢gi⸣jama] 名 はげやま(禿山)。草ばかり生えて、樹木の生えてない山。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢ギ⸣ヤマナー ム⸢カ⸣シェー フ⸢クンキーン キャーンギキーン⸣ ムイ ⸢ブタン [ku⸢nu⸣ pa⸢gi⸣jamanaː mu⸢ka⸣ʃeː ɸu̥⸢kuŋkiːŋ kjaːŋgikiːm⸣ mui ⸢butaŋ] (この禿山には、昔は福木も槇の木<イヌマキ>も生えていた) 13138 0 0 12788 htmvoc_13138.wav バキラリン バ⸢キラ⸣リン [ba⸢kira⸣riŋ] 自動 分けられる。他動詞バ⸢キ⸣ルン[ba⸢ki⸣ruŋ](分ける)の未然形に受け身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が下接して形成された受身・可能の派生動詞。 ⸣バー ⸢ジン⸣マー ⸢ミーチェー⸣ニ バ⸢キラ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣baː ⸢ʤim⸣maː ⸢miːʧeː⸣ni ba⸢kira⸣ri ⸢naː⸣nu] (私のお金は三つに分けられてしまった{EOS}受身)。 フ⸢ターチェー⸣ニ バ⸢キラ⸣リン [ɸu̥⸢taːʧeː⸣ni ba⸢kira⸣riŋ] (二つに分けられる<分けることが出来る>{EOS}可能) 13139 0 0 12789 htmvoc_13139.wav バキルン バ⸢キ⸣ルン [ba⸢ki⸣ruŋ] 他動 分ける。分配する。分割する。 ⸢モー⸣ケー ⸢マータキナー⸣ バ⸢キ⸣ルンティ シ⸢タンドゥ⸣ バ⸢キラ⸣ヌ [⸢moː⸣keː ⸢maːtakinaː⸣ ba⸢ki⸣runti ʃi̥⸢tandu⸣ ba⸢kira⸣nu] (儲けは等しく分けると言ったのに分けないよ)。 バ⸢キ⸣ プサンドゥ バ⸢キ⸣ル ム⸢ヌ⸣ヌ ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢ki⸣ pu̥sandu ba⸢ki⸣ru mu⸢nu⸣nu ⸢naː⸣nu] (分けたいが、分けるものがない)。 ⸢マー⸣ビン バ⸢キ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ba⸢ki⸣reː ⸣misamunu] (もっと分ければ良いのに)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ バ⸢キ⸣リ [⸣kubeː jaː⸢dim⸣ ba⸢ki⸣ri] (これだけは必ず分けろ) 13140 0 1 12790 htmvoc_13140.wav パギルン パ⸢ギ⸣ルン [pa⸢gi⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}はげる(禿げる)。毛がなくなる。剥げる。「はぐ<剥ぐ>、下一・二段」のラ行四段活用化したもの。 ス⸢ブ⸣ル パ⸢ギ⸣ルンカヤーティ ⸢ソー シー ベータン⸣ドゥ パ⸢ギラン⸣バン [su⸢bu⸣ru pa⸢gi⸣ruŋkajaːti ⸢soː ʃiː beːtan⸣du pa⸢giram⸣baŋ] (頭が禿げるかと心配していたが、禿げないよ)。 13140 0 2 12791 htmvoc_13140.wav パギルン パ⸢ギ⸣ルン [pa⸢gi⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}土地が痩せる。 ⸢ジー⸣ヤ ⸣パギティ ⸢ウン⸣マー ⸢ミーラヌ [⸢ʤiː⸣ja ⸣pagiti ⸢ʔum⸣maː ⸢miːranu] (土地が痩せて、芋は実らない)。 13140 0 3 12792 htmvoc_13140.wav パギルン パ⸢ギ⸣ルン [pa⸢gi⸣ruŋ] 自動 {Mn_3}色が褪せる。 ⸣ティダナー プ⸢サリ⸣タンティン イ⸢ル⸣ヌ パ⸢ギ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣tidanaː pu̥⸢sari⸣tantiŋ ʔi⸢ru⸣nu pa⸢gi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (太陽光に晒され<干され>ても色が褪せる<禿げる>ことはない)。 13140 0 4 12793 htmvoc_13140.wav パギルン パ⸢ギ⸣ルン [pa⸢gi⸣ruŋ] 自動 {Mn_4}籤が外れる。籤が当らない。 ム⸢エーヌ⸣ クジェー パ⸢ギ⸣レー ⸣ミサムヌ [mu⸢jeːnu⸣ kuʤeː pa⸢gi⸣reː ⸣misamunu] (頼母子講の籤は当たらなけれ<外れれ>ば良いのに)。 13140 0 5 12794 htmvoc_13140.wav パギルン パ⸢ギ⸣ルン [pa⸢gi⸣ruŋ] 自動 {Mn_5}失敗する。外れる。 シ⸢キン⸣マー ク⸢トゥシン⸣ パギ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥⸢kim⸣maː ku̥⸢tuʃim⸣ pagi ⸢naː⸣nu] (試験は今年も落ち<外れて>てしまった) 13131 0 0 12795 htmvoc_13131.wav バキンッサーラ バ⸢キンッサー⸣ラ [ba⸢kinssaː⸣ra] 名 腋。腕のつけ根の下部。「腋の下」の義。 バ⸢キンッサー⸣ラナー ッ⸢ふァバ⸣ ユ⸢クサンダキバ シー⸣ パリ ⸢パッ⸣タヤー [ba⸢kinssaː⸣ranaː f⸢faba⸣ ju⸢kusandakiba ʃiː⸣ pari ⸢pat⸣tajaː] (脇に子供を横ざまに抱き抱えて走って行ったよ)。 バ⸢キンッサー⸣ラナ ⸣グリグリヌ ⸣タニ ス⸢ク⸣リティ ヤ⸢ミ⸣スバン [ba⸢kinssaː⸣rana ⸣gurigurinu ⸣tani su̥⸢ku⸣riti ja⸢mi⸣subaŋ] (腋の下にぐりぐりの種ができて<ぐりぐりが丸い種を作って>痛むよ) 13142 0 0 12796 htmvoc_13142.wav パク パ⸢ク [pḁ⸢ku] 名 箱。 ⸢キー⸣パク [⸢kiː⸣paku] (木箱)。 カ⸢ビパク [ka⸢bipaku] (紙箱)。 ⸢トー⸣フパク [⸢toː⸣ɸupḁku] (豆腐箱)。 ⸢ナーブ⸣ク [⸢naːbu⸣ku] (縄箱)。⸢コーブ⸣ク[⸢koːbu⸣ku](香箱{EOS}線香を入れる箱)などがある。 シ⸢ギイツァ⸣シル パ⸢コー⸣ ス⸢ク⸣ル [ʃi⸢giʔiʦa⸣ʃiru pḁ⸢koː⸣ su̥⸢ku⸣ru] (杉板で<ぞ>箱は作る)。 パ⸢ク⸣ ス⸢ク⸣ラ⸢ディー [pḁ⸢ku⸣ su̥⸢ku⸣ra⸢diː] (箱をつくろうよ) 13143 0 0 12797 htmvoc_13143.wav ハクサイ ハ⸢ク⸣サイ [hḁ⸢ku⸣sai] 名 白菜。標準語からの借用語か。石垣島の商店から種子を購入して栽培していた。 ハ⸢クサイ⸣ヌ ⸣タネー イ⸢サナケー⸣ラール ⸢カイヨーッ⸣タ [hḁ⸢kusai⸣nu ⸣taneː ʔi⸢sanakeː⸣raːru ⸢kaijoːt⸣ta] (白菜の種子は石垣島から<ぞ>買われた) 13144 0 0 12798 htmvoc_13144.wav パクジミ パ⸢ク⸣ジミ [pḁ⸢ku⸣ʤimi] 名 箱詰め。箱の中に物を詰め込むこと。貴重品は箱に入れて保管したり輸送したりした。 ⸢カン⸣ネヌ プ⸢ソー ヤーウチ⸣リ ⸢スンティ ニーム⸣チ ⸣ナビカマ マ⸢カ⸣ルドングン ムー⸢ル⸣ パ⸢ク⸣ジミ ⸢シー⸣ ス⸢コー⸣レー [⸢kan⸣nenu pu̥⸢soː jaːʔuʧi⸣ri ⸢sunti niːmu⸣ʧi ⸣nabikama ma⸢ka⸣rudoŋgum muː⸢ru⸣ pḁ⸢ku⸣ʤimi ⸢ʃiː⸣ su̥⸢koː⸣reː] (あの家の人は家移り<引越し>しようとして、荷物、鍋釜やお椀類も全部箱詰めにされて置いてある) 13145 0 0 12799 htmvoc_13145.wav ハクジョー ハ⸢クジョー [hḁ⸢kuʤoː] 名 薄情。人情の薄いこと。標準語からの借用語。 ⸣アイブー ハ⸢クジョーヌ ニン⸣ギンテー ⸢バン⸣マー ウ⸢モーラン⸣シェン [⸣ʔaibuː ha⸢kuʤoːnu niŋ⸣ginteː ⸢bam⸣maː ʔu⸢moːraŋ⸣ʃeŋ] (あのような薄情な人間だとは私には思われなかった) 13146 0 0 12800 htmvoc_13146.wav ハクジョースン ハ⸢クジョー スン [hakuʤoː suŋ] 連 隠し事を打ち明ける。自分の犯した罪を申し立てる。白状する。標準語からの借用語が転訛したもの。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢シェー⸣ クトゥ ムー⸢ル⸣ ハ⸢クジョー スン⸣ツォー [⸢duː⸣nu ⸢ʃeː⸣ ku̥tu muː⸢ru⸣ hḁ⸢kuʤoː sun⸣ʦoː] (自分のしたことはすべて白状するそうだ) 13147 0 0 12801 htmvoc_13147.wav ハクブン ハ⸢クブン [hḁ⸢kubuŋ] 他動 運ぶ。荷物を運送する。「Facobi, u, ôda. ハコビ,ブ,ウダ(運び,ぶ,だ)運搬する」『邦訳日葡辞書』。 ⸢パイター⸣ラ パ⸢トゥ⸣マー ⸢マイ⸣ ハ⸢クブン<カ⸢ヨースン> [⸢paitaː⸣ra pḁ⸢tu⸣maː ⸢mai⸣ hḁ⸢kubuŋ] (西表島<南端>から鳩間島へ米を運ぶ)。 ⸢キュー⸣ヤ ハ⸢クバヌ [⸢kjuː⸣ja hḁ⸢kubanu] (今日は運ばない)。 ハ⸢クビ⸣ プサン [hḁ⸢kubi⸣ pu̥saŋ] (運びたい)。 ハ⸢クブ⸣ プ⸢ソー ター⸣ヤ [hḁ⸢kubu⸣ pu̥⸢soː taː⸣ja] (運ぶ人は誰か)。 ⸢パー⸣ク ハ⸢クベー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku hḁ⸢kubeː⸣ misamunu] (早く運べば良いのに)。 ⸢ワー⸣ ドゥーシ ハ⸢クビ [⸢waː⸣ duːʃi hḁ⸢kubi] (君は自分で運べ) 13148 0 0 12802 htmvoc_13148.wav パクマッふァ パ⸢クマッふァ [pḁ⸢kumaffa] 名 箱枕。板で箱形に作った枕。縦約12センチ、横約18センチ、高さ約7センチの箱を作って枕としたもの。軽くて扱いやすく、老人たちに重宝された。 パ⸢クマッふァー⸣ カ⸢ニフン ピッ⸣チン シゥ⸢カーンドー⸣シ ス⸢クラ⸣リ ブ⸢タ⸠ダー [pḁ⸢kumaffaː⸣ ka⸢niɸum pit⸣ʧin si̥⸢kaːndoː⸣ʃi su̥⸢kura⸣ri bu⸢ta⸠daː] (箱形枕は鉄釘一本も使わないで作られていたよ) 13149 0 0 12803 htmvoc_13149.wav バクヨー バ⸢ク⸣ヨー [ba⸢ku⸣joː] 名 牛馬などの家畜を仲介、\ruby{周旋}{シュウ|セン}する人。西表の山から貴重な建築材を伐り出したり、その仲介、周旋をする人。建材の仲買人。「ばくろう(博労)」の転訛したものか。 ウ⸢レー⸣ バ⸢クヨー⸣バ ⸢シール⸣ ムノー ッ⸢ふァイ ブー⸣ティバン⸢ナー [ʔu⸢reː⸣ ba⸢kujoː⸣ba ⸢ʃiːru⸣ munoː f⸢faibuː⸣tiban⸢naː] (彼は博労をして生活して<飯を食って>いるってねえ) 13150 0 0 12804 htmvoc_13150.wav ハクラン ⸣ハクラン [⸣hḁkuraŋ] 名 病気の名。コレラ(cholera)。コレラ菌による、米のとぎ汁状の激しい下痢を伴う疾患『医学沖縄語辞典』。「かくらん<霍乱>」の転訛したもの『石垣方言辞典』。 ⸣ハクラン カ⸢カ⸣リティ ユ⸢ナカー⸣ラ ⸣マリ ⸣パキ ⸢シー ベー⸣タ [⸣hakuraŋ kḁ⸢ka⸣riti ju⸢nakaː⸣ra ⸣mari ⸣pḁki ⸢ʃiː beː⸣ta] (コレラ<霍乱>に罹って、夜中から下痢や嘔吐していた) 13151 0 0 12805 htmvoc_13151.wav バクン ⸣バクン [⸣bakuŋ] 他動 わかつ。区別する。弁別する。配分する。「~布由奈都登 和久許等<ワクコト>母奈久~。万、4003」の転訛。 イ⸢ゾー ミーキブル⸣ニ ⸣バクンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ バ⸢カラン⸣サー [ʔi⸢ʣoː miːkiburu⸣ni ⸣bakunti ʔu⸢muːn⸣du ba⸢karan⸣saː] (魚は三軒分に分けようと思うが、分けられないさ)。 ⸢カッティニ⸣ バキ ⸣ミサカー ⸣バク ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kattini⸣ baki ⸣misakaː ⸣baku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (勝手に分けてよければ、分けることは出来る)。 フ⸢ターチェー⸣ニ ⸣バケー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢taːʧeː⸣ni ⸣bakeː ⸣misamunu] (二つに分ければ良いのに)。 ヤー⸢ディン ミーチェー⸣ニ ⸣バキ [jaː⸢dim miːʧeː⸣ni ⸣baki] (必ず三つに分けよ) 13152 0 0 12806 htmvoc_13152.wav バクン ⸣バクン [⸣bakuŋ] 他動 木をひく<\ruby{挽}{ヒ}く>。切り割る。鋸を挽いて木を縦に切り裂く。「わく<分く>」の義。 ⸢キー⸣バ ⸣バキティ ⸣イツァ ス⸢ク⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー バ⸢カラ⸣ヌ [⸢kiː⸣ba ⸣bakiti ⸣ʔiʦa su̥⸢ku⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː ba⸢kara⸣nu] (木を挽いて板を作ろうと思うが、一人では挽かれない)。 バ⸢キ ヤッ⸣サル ⸣キーラ ⸣バク ⸣クトゥ [ba⸢ki jas⸣saru ⸣kiːra ⸣baku ⸣kutu] (挽きやすい木から挽くこと)。 ⸢コー⸣キーン ⸣バケー ⸣ミサムヌ [⸢koː⸣ kiːm ⸣bakeː ⸣misamunu] (硬い木材も挽けばいいのに)。 ⸢キーバキヌキ⸣ルシ ⸣キー ⸣バキバ [⸢kiːbakinuki⸣ruʃi ⸣kiː ⸣bakiba] (木挽き鋸で木を挽けよ) 13153 0 1 12807 htmvoc_13153.wav バクン バ⸢クン [ba⸢kuŋ] 自動 {Mn_1}湧く。湧出する。「~又、水之泡、和久(わく)」『新撰字鏡』の転訛。 ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジヌ⸣ バ⸢クン⸣ケン ニ⸢ビ⸣ マティ ⸢ベーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マート バ⸢カンバン [⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤinu⸣ ba⸢kuŋ⸣ken ni⸢bi⸣ mati ⸢beːn⸣du ma⸢na⸣maːtoː ba⸢kambaŋ] (井戸の水が湧くまで寝て待っているが、まだまだ湧かないよ)。 ⸢ター⸣ヌ ⸢カン⸣ヌ ⸣アザーラ ミ⸢ジヌ⸣ バ⸢キ⸣ンジ ⸢ベー [⸢taː⸣nu ⸢kan⸣nu ⸣ʔaʣaːra mi⸢ʤinu⸣ ba⸢ki⸣ ʔnʤi ⸢beː] (田圃の上の畦から水が湧き出ている)。 ミ⸢ジヌ⸣ バ⸢ク ター⸣ヤ バ⸢ケーラマシティル⸣ ア⸢ズ [mi⸢ʤinu⸣ ba⸢ku taː⸣ja ba⸢keːramaʃitiru⸣ ʔa⸢ʣu] (水が湧く田圃はバケーラマシという)。 ミ⸢ジェー パー⸣ク バ⸢ケー⸣ ミサムヌ [mi⸢ʤeː paː⸣ku ba⸢keː⸣ misamunu] (水は早く湧けばいいのに)。 13153 0 2 12808 htmvoc_13153.wav バクン バ⸢クン [ba⸢kuŋ] 自動 {Mn_2}醗酵する。熟成する。 ⸢ミー⸣ソー ンマー⸢ンマー⸣シ バ⸢ケー⸣ン [⸢miː⸣soː ʔmmaː⸢ʔmmaː⸣ʃi ba⸢keː⸣ŋ] (味噌は美味しく熟成した<醗酵した>) 13154 0 0 12809 htmvoc_13154.wav パクン ⸣パクン [⸣pḁkuŋ] 他動 吐く。嘔吐する。 ⸣フナイ シ⸢ティ⸣ ムヌ ⸣パクンティ シ⸢タンドゥ⸣ パ⸢カラン⸣シェン [⸣ɸunai ʃi̥⸢ti⸣ munu ⸣pḁkunti ʃi̥⸢tandu⸣ pḁ⸢karaŋ⸣ʃeŋ] (船酔いして吐こうとしたが吐かれなかった)。 ⸣クナー ⸣パキ ⸣ミサン [⸣kunaː ⸣pḁki ⸣misaŋ] (ここに吐いていい)。 ⸣パク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣pḁku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (吐く人はいない)。 ⸢パー⸣ク ⸣パキ [⸢paː⸣ku ⸣pḁki] (早く吐け) 13155 0 0 12810 htmvoc_13155.wav パクン パ⸢クン [pḁ⸢kuŋ] 他動 首にかける。数珠やネックレスなどを首に貫きかける。⸢穿く、佩く」と同源か。 マ⸢ブ⸣ル ⸣クミティ ⸢ブー⸣ダマ ⸣ヌビナー パ⸢クンティ スンドゥ⸣ パ⸢カラヌ [ma⸢bu⸣ru ⸣kumiti ⸢buː⸣dama ⸣nubinaː pḁ⸢kunti sundu⸣ pḁ⸢karanu] (霊籠めをして麻玉を首にかけようとするが、首にかけられない)。 パ⸢キ⸣ ミサカー パ⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [pḁ⸢ki⸣ misakaː pḁ⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (首にかけてよければ、かけることは出来る)。 ⸣ヌビナー パ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣nubinaː pḁ⸢keː⸣ misamunu] (首にかければいいのに)。 ク⸢レー⸣ ヌビナー パ⸢キ⸣バ [ku⸢reː⸣ nubinaː pa⸢ki⸣ba] (これは首にかけなさいよ) 13156 0 0 12811 htmvoc_13156.wav パクン パ⸢クン [pḁ⸢kuŋ] 他動 被る。背負う。背負い込む。償う。弁償する。 ク⸢ヌ⸣ ウカー ⸣バー パ⸢クンダ ワー⸣ パ⸢カン⸣タンティン ⸣ミサン [ku⸢nu⸣ ʔukaː ⸣baː pḁ⸢kunda waː⸣ pḁ⸢kan⸣tantim ⸣misaŋ] (この借金は私が被るから、君は被らなくてもいい)。 ⸣ウカー ムー⸢ル⸣ バー パ⸢キ⸣ミサンドゥ パ⸢ク プソー⸣ ビチナーン ブ⸢リブンダー⸣ ウ⸢リンヌン⸣ パ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [⸣ʔukaː muː⸢ru⸣ baː pa⸢ki⸣ misandu pḁ⸢ku pu̥soː⸣ biʧinaːm bu⸢ribundaː⸣ ʔu⸢rinnum⸣ pḁ⸢kaʃeː⸣ misamunu] (借金は全部私が被ってもよいが、被る<背負い込む>人は他にもいるから、彼にも被らせれば<背負わせれば>いいのに)。 ⸣クベー ⸢ワー⸣ パ⸢キ⸣バ [⸣kubeː ⸢waː⸣ pḁ⸢ki⸣ba] (これだけは君が被り<弁償>なさいよ) 13157 0 0 12812 htmvoc_13157.wav パグン ⸣パグン [⸣paguŋ] 他動 剥ぐ。はがす。へがす。「~もむ楡を五百枝波伎<ハギ>垂れ~。万、3886」の転訛したもの。 シ⸢ヌマール⸣ヌ ⸣カー ⸣パグンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー パ⸢ガラ⸣ヌ [ʃi⸢numaːru⸣nu ⸣kaː ⸣pagunti ⸢beːn⸣du ⸢bam⸣maː pa⸢gara⸣nu] (テングハギの皮を剥ごうとしているが、私には剥がれない)。 ⸣パギ ミサカー ⸢パー⸣ク ⸣パゲー ⸣ミサムヌ [⸣pagi misakaː ⸢paː⸣ku ⸣pageː ⸣misamunu] (剥いでよければ早く剥げば良いのに)。 ⸢カー⸣ヤ ⸣ドゥーシ ⸣パグ ⸣クトゥ [⸢kaː⸣ja ⸣duːʃi ⸣pagu ⸣ku̥tu] (皮は自分で剥ぐこと)。 ⸣パギバ [⸣pagiba] (剥げよ) 13158 0 1 12813 htmvoc_13158.wav パグン ⸣パグン [⸣paguŋ] 自動 {Mn_1}禿げる。⸢禿ぐ<下二活用>」の四段活用化したもの。パ⸢ギ⸣ルン[pa⸢gi⸣ruŋ](禿げる)ともいう。 ス⸢ブ⸣ル ⸣パグン [su⸢bu⸣ru ⸣paguŋ] (頭が禿げる)。 パ⸢ガ⸣ヌ [pa⸢ga⸣nu] (禿げない)。 ⸣パギ ⸢ナー⸣ヌ [⸣pagi ⸢naː⸣nu] (剥げてしまった)。 ⸣パグ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣pagu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (禿げることは無い)。 ⸣パゲー ⸣ミサムヌ [⸣pageː ⸣misamunu] (禿げれば良いのに)。 ⸣パギ [⸣pagi] (禿げろ)。 13158 0 2 12814 htmvoc_13158.wav パグン ⸣パグン [⸣paguŋ] 自動 {Mn_2}脱色する。 ⸣テダナー ⸣プスカー ⸣イロー パグン⸢ダー [⸣tidanaː ⸣pu̥sukaː ⸣ʔiroː pagun⸢daː] (太陽に干すと色が褪せる<禿ぐ{EOS}禿げる>よ) 13159 0 0 12815 htmvoc_13159.wav バケーラ バ⸢ケーラ [ba⸢keːra] 名 湧泉。「湧き川原」の転訛したものか。 バ⸢ケーラヌ⸣ アン ⸣トンマー ミ⸢ジェー⸣ キ⸢シラ⸣ヌ [ba⸢keːranu⸣ ʔan ⸣tommaː mi⸢ʤeː⸣ ki̥⸢ʃira⸣nu] (湧水のある所は、水は切れない) 13160 0 0 12816 htmvoc_13160.wav バケーラマシ バ⸢ケーラマシ [ba⸢keːramaʃi] 名 湧水のある田圃。「湧水田」の義。 ⸢クーラ⸣ナー バ⸢ケーラマシティ スー⸣ カ⸢ザケーヌ ター⸣ヌ ⸣アン [⸢kuːra⸣naː ba⸢keːramaʃiti suː⸣ ka⸢ʣakeːnu taː⸣nu ⸣ʔaŋ] (久浦にバケーラマシ<湧水田>という加治工家の田圃がある) 13161 0 0 12817 htmvoc_13161.wav バコー ⸣バコー [⸣bakoː] 名 結いによる共同作業。村人が相互に労働提供の義務を負う共同作業。「ばくろう(博労、バクラウ)『文明本節用集』(室町)」→ [bakurau] → [bakuroː] → [bakkoː] → [bakoː]<物と物を交易すること>と音韻変化し、意味も「結いによる共同作業」へと派生変化したものと考えられる。 ヤ⸢マ⸣バコー [ja⸢ma⸣bakoː] (建築用材伐り出しの共同作業)。⸢ヤースクリ⸣バコー[⸢jaːsukuri⸣bakoː](家作りの共同作業)などがある。 バ⸢コーシン⸣カ タ⸢ナ⸣ミティ ⸢マーレー⸣ヌ ⸣ヤマーラ ⸢ザイ⸣ギ ⸣キシ ウ⸢ラ⸣ソーッタ [ba⸢koːʃiŋ⸣ka ta⸢na⸣miti ⸢maːreː⸣nu ⸣jamaːra ⸢ʣai⸣gi ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ra⸣soːtta] (共同作業の人員<仲間、「臣下」の義か>を頼んで、西表島のマーレー山から建築用材を切って下ろされた)。 ⸣バコー ⸢シェー⸣ティル ⸢ヤー⸣ヤ ス⸢ク⸣ル [⸣bakoː ⸢ʃeː⸣tiru ⸢jaː⸣ja su̥⸢ku⸣ru] (共同作業をして家は建てる) 13162 0 1 12818 htmvoc_13162.wav パゴーサン パ⸢ゴー⸣サン [pa⸢goː⸣saŋ] 形 パ⸢ゴー⸣ン[pa⸢goː⸣ŋ]ともいう。{Mn_1}汚い。嫌らしい。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣カキソージン ⸢サンユンダ ウン⸣ネーヤ パ⸢ゴー⸣サン⸢ダー [⸢jaː⸣nu ⸣kḁkisoːʤin ⸢saɲjunda ʔun⸣neːja pa⸢goː⸣san⸢daː] (家の掃除もしないから、あの家は汚いよ)。 パ⸢ゴーサ⸣ヌ ⸣パン イ⸢リララヌ [pa⸢goːsa⸣nu ⸣paŋ ʔi⸢riraranu] (汚くて足も入れられない)。 パ⸢ゴーサ ナー⸣ヌ [pa⸢goːsa naː⸣nu] (汚くない) パ⸢ゴー⸣サ ⸣トン ⸢パン⸣ナ [pa⸢goː⸣sa ⸣tom ⸢pan⸣na] (汚い所へ行くな))。 13162 0 2 12819 htmvoc_13162.wav パゴーサン パ⸢ゴー⸣サン [pa⸢goː⸣saŋ] 形 {Mn_2}くすぐったい。 グ⸢ズラ⸣リティ パ⸢ゴーサ⸣ヌ ⸢カウワ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [gu⸢ʣura⸣riti pa⸢goːsa⸣nu ⸢kauwa⸣nu na⸢ra⸣nu] (くすぐられ<擽>て、くすぐったくて堪らない)。 13162 0 3 12820 htmvoc_13162.wav パゴーサン パ⸢ゴー⸣サン [pa⸢goː⸣saŋ] 形 {Mn_3}畏れ多い。 シ⸢タ⸣フ カ⸢キラン⸣カー パ⸢ゴーサ⸣ヌ ⸢カンヌ⸣マイ ン⸢ジララ⸣ヌ [ʃi̥⸢ta⸣ɸu kḁ⸢kiraŋ⸣kaː pa⸢goːsa⸣nu⸢kannu⸣mai ʔn⸢ʤirara⸣nu] (神衣装を着ないと畏れ多くて神様の前には出られない) 13163 0 0 12821 htmvoc_13163.wav バコーシンカ バ⸢コーシン⸣カ [ba⸢koːʃiŋ⸣ka] 名 共同作業の人員。共同作業仲間。 バ⸢コーシン⸣カ タ⸢ナ⸣ミティ ⸣イダフニ ⸣ニスーラ ⸢ザイ⸣ギ ⸣キシン ⸢パイ⸣ター ⸢オーッ⸣タ [ba⸢koːʃiŋ⸣ka ta⸢na⸣miti ⸣ʔidaɸuni ⸣nisuːra ⸢ʣai⸣gi ⸣kiʃim ⸢pai⸣taː ⸢ʔoːt⸣ta] (共同作業の人員を頼んで、サバニ2隻から、建築用材木を伐り出しに西表<南端>へ行かれた) 13164 0 0 12822 htmvoc_13164.wav バコープス バ⸢コー⸣プス [ba⸢koː⸣pu̥su] 名 共同作業をする人。 ⸢ヤースクリヤー⸣ヌ バ⸢コー⸣プス シゥ⸢カ⸣ナウンティ ⸢キッ⸣ス ⸢シーベー [⸢jaːsu̥kurijaː⸣nu ba⸢koː⸣pu̥su sï̥⸢ka⸣naunti ⸢kis⸣su ⸢ʃiːbeː] (新築をする家の共同作業人を接待する<養う>のに一生懸命やっている) 13165 0 0 12823 htmvoc_13165.wav パコーマ パ⸢コー⸣マ [pḁ⸢koː⸣ma] 名 小箱。⸢コーブ⸣ク[⸢koːbu⸣ku](香箱)や⸢ジン⸣パク[⸢ʤim⸣pḁku](銭箱)などは、パ⸢コー⸣マ[pḁ⸢koː⸣ma](小箱)であった。 ウ⸢ブ⸣パコーラ パ⸢コー⸣マー ン⸢ベーマ⸣ナー ⸣バキ イ⸢リ⸣バ [ʔu⸢bu⸣pḁkoːra pḁ⸢koː⸣maː ʔm⸢beːma⸣naː ⸣baki ʔi⸢ri⸣ba] (大きな箱から小箱へ少しずつ分けて入れなさいよ) 13166 0 0 12824 htmvoc_13166.wav パゴームニ パ⸢ゴー⸣ムニ [pa⸢goː⸣muni] 名 汚い言葉。いやらしい言葉。畏れ多い言葉。神仏にたいする失礼な言葉。 ⸣アイブ パ⸢ゴームニ⸣バ プ⸢スンナー⸣ニ ア⸢ズムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu pa⸢goːmuni⸣ba pu̥⸢sunnaː⸣ni ʔa⸢ʣumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (あんな汚い言葉を他人に言うものではない) 13167 0 0 12825 htmvoc_13167.wav パゴームヌ パ⸢ゴー⸣ムヌ [pa⸢goː⸣munu] 名 汚いもの。不潔なもの。 ⸣アイブ パ⸢ゴー⸣ムノー カ⸢サムナ [⸣ʔaibu pa⸢goː⸣munoː kḁ⸢samuna] (あんな汚いものはつかむな) 13168 0 0 12826 htmvoc_13168.wav バコーヤー バ⸢コー⸣ヤー [ba⸢koː⸣jaː] 名 ⸣バコー[⸣bakoː](共同作業)を行う家。共同作業をするために人手を集めている家。 バ⸢コー⸣ヤーナ ⸢ギー⸣ ノー⸢ン⸣ ヤ⸢ラバン テー⸣ナイ ⸢シー⸣ クー⸢ディー [ba⸢koː⸣jaːna ⸢giː⸣ noː⸢ɲ⸣ ja⸢raban teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ kuː⸢diː] (共同作業をする家に行って、何か<何であっても>手伝いをしてこようよ) ハサ 13169 0 0 12827 htmvoc_13169.wav バサ ⸣バサ [⸣basa] 名 (植)芭蕉。 ⸢トー⸣バサ [⸢toː⸣basa] (実芭蕉、唐芭蕉) シ⸢マ⸣バサ [ʃi⸢ma⸣basa] (繊維を採る芭蕉、島芭蕉、実の小さい在来種の芭蕉) ⸢マーバサ [⸢maːbasa] (実のなる芭蕉))。⸢タイワン⸣バサ[⸢taiwam⸣basa](台湾渡来の実の大きい芭蕉)などがある。 ム⸢カ⸣シェー ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー バ⸢サ⸣ムトゥ ⸢トー⸣シキー ⸣キシ ⸢マンナカー シッ⸣キティ ⸢マッ⸣ふァ シ⸢ミティ⸣ ウ⸢リシ⸣ル ⸣ニチェー サ⸢マシタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ba⸢samu⸣tu ⸢toː⸣ʃikiː ⸣kiʃi ⸢mannakaː ʃik⸣kiti ⸢maf⸣fa ʃi⸢miti⸣ ʔu⸢riʃi⸣ru ⸣niʧeː sa⸢maʃi̥ta⸣ru] (昔は熱が出ると芭蕉の木を切り倒してきて、適当に切って真ん中を叩いて枕にさせて、それで<ぞ>熱を冷ま<解熱>させたものだ) 13170 0 0 12828 htmvoc_13170.wav バサ バ⸢サ [ba⸢sa] 名 馬車。若年層は、バ⸢シャ[ba⸢ʃa](馬車)という。貨物運搬用の荷馬車。鳩間島にはなかった。昭和40年頃まで、石垣島の桟橋には、沖縄からの貨物を各商店へ運ぶ荷馬車が多数待機していた。 ム⸢カ⸣シェー イ⸢サナキヌ サンバ⸣シェーラ マ⸢チヤーバー⸣ケー バ⸢サ⸣シル ⸢ニー⸣ヤー カ⸢ヨーシタ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔi⸢sanakinu samba⸣ʃeːra ma⸢ʧijaːbaː⸣keː ba⸢sa⸣ʃiru ⸢niː⸣ja ka⸢joːʃi̥ta] (昔は、石垣の桟橋から商店までは馬車で荷を運んだ<通わせた>) 12899 0 0 12829 htmvoc_12899.wav バサーギ ⸣バサーギ [⸣basaːgi] 助 助詞連語。~をさえ。対格の格助詞⸣バ[⸣ba](を)に副助詞⸣サーギ[⸣saːgi](さえ)が付いた形。 ウ⸢ヤ⸣バサーギ ウ⸢キ⸣ナー シゥ⸢カシ⸣ キ⸢ラ⸣リカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌドゥ [ʔu⸢ja⸣basaːgi ʔu⸢ki⸣naː sï̥⸢kaʃi⸣ ki⸢ra⸣rikaː ⸢soːja naː⸣nudu] (親をさえ沖縄へお連れして来れたら心配はないのだが) 12900 0 0 12830 htmvoc_12900.wav バサーギル ⸣バサーギル [⸣basaːgiru] 助 助詞連語。~をさえ<ぞ>。 ティ⸢ガミ⸣バサーギル ⸣カク ス⸢ム⸣チ ユ⸢マン⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ti⸢gami⸣basaːgiru ⸣kḁku su⸢mu⸣ʧi ju⸢maŋ⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (手紙をさえ<ぞ>書くのだから、書物を読まないことはない) 13172 0 0 12831 htmvoc_13172.wav バザールン バ⸢ザールン [ba⸢ʣaːruŋ] 自動 勢いづく。勢いが強くなり、暴れまくる。 パ⸢ジンヌ⸣ シー ⸢コー⸣スカー パ⸢ジンマー⸣ バ⸢ザールンダ⸣ バ⸢ザーラサン⸣ヨーニ キ⸢ボーシ⸣ フ⸢チマラ⸣シ [pa⸢ʤinnu⸣ ʃiː ⸢koːsu⸣kaː pa⸢ʤimmaː⸣ ba⸢ʣaːrunda⸣ ba⸢ʣaːrasaɲ⸣joːni ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧimara⸣ʃi] (蜂の巣を取り\ruby{潰}{ツブ}す<壊す>と蜂は猛烈に暴れまくるから暴れないように煙を\ruby{燻}{クスブ}らせなさい)。 パ⸢ジンヌ⸣ バ⸢ザーリティ⸣ ン⸢カーラヌ [pa⸢ʤinnu⸣ ba⸢ʣaːriti⸣ ʔŋ⸢kaːranu] (蜂が暴れて近寄れない)。 バ⸢ラフ⸣タ ⸢モーシティ⸣ キ⸢ボーシ⸣ フ⸢チマラ⸣スカー バ⸢ザール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢raɸu̥⸣ta ⸢moːʃi̥ti⸣ ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧimara⸣sukaː ba⸢ʣaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (稲藁を燃やして燻らせると蜂が暴れることはない)。 パ⸢ジンヌ⸣ バ⸢ザーレー⸣ラー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [pa⸢ʤinnu⸣ ba⸢ʣaːreː⸣raː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (蜂が暴れたら大変だよ)。 カ⸢タ⸣ヌ バ⸢ザーリティ マイヌパー⸣ ッ⸢ふァイキサリ ナー⸣ヌ [kḁ⸢ta⸣nu ba⸢ʣaːriti mainupaːja⸣ f⸢faikisari naː⸣nu] (バッタ<\ruby{飛蝗}{ヒ|コウ}{EOS}イナゴ>が異常発生して暴れまくり、稲の葉は食い尽くされてしまった) 13173 0 0 12832 htmvoc_13173.wav バザウン バ⸢ザウン [ba⸢ʣauŋ] 他動 さばく(捌く)。解体する。魚や鶏、豚などを切り開いて肉・骨などに分ける。 イ⸢ズ⸣ バ⸢ザイティ⸣ バタ ⸣トゥリバ [ʔi⸢ʣu⸣ ba⸢ʣaiti⸣ bata ⸣turiba] (魚を\ruby{捌}{サバ}いてはらわた<腸>を取りなさいよ)。 バ⸢ザイ シェー⸣カー ⸣ドゥーシ バ⸢ザウンドゥ バン⸣マー バ⸢ザーラヌ [ba⸢ʣai ʃeː⸣kaː ⸣duːʃi ba⸢ʣaundu bam⸣maː ba⸢ʣaːranu] (捌き得たら自分で捌くが、私には捌かれない)。 バ⸢ザウ⸣ イ⸢ゾー パー⸣ク バ⸢ザイヤー⸣ ミサムヌ [ba⸢ʣau⸣ ʔi⸢ʣoː paː⸣ku ba⸢ʣaijaː⸣misamunu] (捌く魚は早く捌けばいいのに)。 イ⸢ゾー⸣ ドゥーシ バ⸢ザイ⸣バ [ʔi⸢ʣoː⸣ duːʃi ba⸢ʣai⸣ba] (魚は自分で捌きなさいよ) 13175 0 0 12833 htmvoc_13175.wav パザキルン パ⸢ザキルン [pa⸢ʣakiruŋ] 他動 機会を逸する。幸運を取り逃がす。パ⸢ザクン[pa⸢ʣakuŋ](機会を逸する{EOS}幸運を逸する)ともいう。補助動詞となって動詞の連用形に下接し、~損ねる、~する機会を逸する、~チャンスを逸する、の意味を表す。 ⸢ヨーンナー スー⸣カー ⸢コッ⸣チー ッ⸢ふァイ⸣ パ⸢ザキルンダ⸣ ッ⸢ふァイ⸣ パ⸢ザキラン⸣ ヨーニ ⸢パー⸣ク カ⸢タジキ⸣リバ [⸢joːnnaː suː⸣kaː ⸢kot⸣ʧiː f⸢fai⸣ pa⸢ʣakirunda⸣ f⸢fai⸣ pa⸢ʣakiraɲ⸣ joːni ⸢paː⸣ku ka⸢taʤiki⸣riba] (ゆっくりするとご馳走にありつける機会を逸するから、機会を逸しないように早く片付けなさいよ)。 ッ⸢ふァイ⸣ パ⸢ザキル⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ッ⸢ふァイ⸣ パ⸢ザキ ナーン⸣カー シ⸢カター<⸢シー⸣ヨー> ナー⸣ヌ [f⸢fai⸣ pa⸢ʣakiru⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu f⸢fai⸣ pa⸢ʣaki naːŋ⸣kaː ʃi̥⸢kataː<⸢ʃiː⸣joː> naː⸣nu] (食べる幸運を逸することはないが、逸してしまったのなら仕方が無い)。 ッ⸢ふァイ⸣ パ⸢ザキレー⸣ ナラヌ [f⸢fai⸣ pa⸢ʣakireː⸣ na⸢ra⸣nu] (食べる好機を逸してはならぬ)。 ナー⸢イ ベー⸣ティ ッ⸢ふァイ⸣ パ⸢ザキリ⸣バ [naː⸢i beː⸣ti f⸢fai⸣ pa⸢ʣakiri⸣ba] (何もしないでいて、食べる好機を逸しろよ) 13174 0 0 12834 htmvoc_13174.wav バサキン ⸣バサキン [⸣basakiŋ] 名 芭蕉布で作った着。「芭蕉着」の義。 ⸣バサキンマー ピ⸢ラ⸣ケーンダー ナ⸢チェー⸣ ウ⸢リシ⸣ル ⸢キン⸣マー ⸢サーソーッ⸣タ [⸣basakimmaː pi⸢ra⸣keːndaː na⸢ʧeː⸣ ʔu⸢riʃi⸣ru ⸢kim⸣maː ⸢saːsoːt⸣ta] (芭蕉着は涼しいので、夏はそれで<ぞ>着物は新調された)。 ナ⸢チェー⸣ バサキン キ⸢ス⸣カー イッ⸢ケン⸣ ピ⸢ラ⸣ケータン [na⸢ʧeː⸣ basakiŋ ki̥⸢su⸣kaː ʔik⸢kem⸣ pi⸢ra⸣keːtaŋ] (夏は芭蕉着を着ると非常に涼しかった) 13176 0 1 12835 htmvoc_13176.wav パザクン パ⸢ザクン [pa⸢ʣakuŋ] 他動 {Mn_1}(他動)。機会を逸する。幸運を取り逃がす。 ⸢クン⸣ドー シ⸢キン⸣マー パ⸢ザキナー⸣ヌ [⸢kun⸣doː ʃi̥⸢kim⸣maː pa⸢ʣakinaː⸣nu] (今度は、試験は失敗してしまった)。 13176 0 2 12836 htmvoc_13176.wav パザクン パ⸢ザクン [pa⸢ʣakuŋ] 他動 {Mn_2}補助動詞。動詞の連用形に下接して、~損ねる、~する機会を逸する、~チャンスを逸する、の意味を表す。 ッ⸢ふァイパザクン [f⸢faipaʣakuŋ] (食べ損ねる{EOS}食べる機会を逸する)。 ミ⸢リパザ⸣クン [mi⸢ripaʣa⸣kuŋ] (見損ねる{EOS}見る機会を逸する)。 ⸢シーパザクン [⸢ʃiːpaʣakuŋ] (し損ねる{EOS}する機会を逸する)。 ⸢コッ⸣チー ッ⸢ふァイ パザキナー⸣ヌ [⸢kot⸣ʧiː f⸢fai paʣakinaː⸣nu] (ご馳走を食べ損ねてしまった)。 ウ⸢クリル⸣カー ッ⸢ふァイパザクン [ʔu⸢kuriru⸣kaː f⸢faipaʣakuŋ] (遅れたら食い損ねる)。 イッ⸢カ⸣ ッ⸢ふァイパザカヌ [ʔik⸢ka⸣ f⸢faipaʣakanu] (決して食い損ねない)。 ⸢パイ⸣サ ⸣パルカー ッ⸢ふァイパザク⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pai⸣sa ⸣parukaː f⸢faipaʣaku⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (早く行ったら食い損ねることはない)。 ッ⸢ふァイパザケー⸣ ミサムヌ [f⸢faipaʣakeː⸣ misamunu] (食い損ねたらいいのに)。 ッ⸢ふァイパザキ⸣バ [f⸢faipaʣaki⸣ba] (食い損ねろ) 13177 0 0 12837 htmvoc_13177.wav パサシ パ⸢サ⸣シ [pḁ⸢sa⸣ʃi] 名 しゃこ貝の貝柱。 ギ⸢ラ⸣ヌ パ⸢サ⸣シェー ナ⸢マ⸣シ ⸢スー⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [gi⸢ra⸣nu pḁ⸢sa⸣ʃeː na⸢ma⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (しゃこ貝の貝柱は刺身にすると非常に美味しい) 13178 0 0 12838 htmvoc_13178.wav パザスン パ⸢ザ⸣スン [pa⸢ʣa⸣suŋ] 他動 着物を脱がせる。脱衣させる。使役動詞。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣キン パ⸢ザ⸣スン [ja⸢rabi⸣nu ⸣kim pa⸢ʣa⸣suŋ] (子供の着物を脱がせる)。 ⸣キン パ⸢ザサラ⸣ヌ [⸣kim pa⸢ʣasara⸣nu] (着物を脱がされない)。 パ⸢ザシ⸣ グ⸢リ⸣サン [pa⸢ʣaʃi⸣ gu⸢ri⸣saŋ] (脱がせにくい{EOS}脱がせることが難しい)。 ⸣キン パ⸢ザ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kim pa⸢ʣa⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (着物を脱がせることは出来ない)。 パ⸢ザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pa⸢ʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (脱がせれば良いのに)。 パ⸢ザ⸣シバ [pa⸢ʣa⸣ʃiba] (脱がせろ) 13179 0 0 12839 htmvoc_13179.wav バサヌウディ バ⸢サ⸣ヌ ⸣ウディ [ba⸢sa⸣nu ⸣ʔudi] 連 芭蕉の葉柄。「芭蕉の腕」の義。長さ約30センチの芭蕉の葉柄2本を約20センチのススキの幹2本で井の字型のカ⸢ビヤキムヌ[ka⸢bijakimunu](紙銭焼き台)を作った。 バ⸢サ⸣ヌ ⸣ウディシ カ⸢ビヤキムヌ⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸢ウンナー⸣ル ウ⸢ティン⸣ガベー ア⸢ボーッ⸣タ [ba⸢sa⸣nu ⸣ʔudiʃi ka⸢bijakimunu⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸢ʔunnaː⸣ru ʔu⸢tiŋga⸣beː ʔa⸢boːt⸣ta] (芭蕉の葉柄で紙銭焼き台を作って、その上に紙銭<打ち紙>を焼かれた<炙られた{EOS}老年層の言葉>) 13180 0 0 12840 htmvoc_13180.wav バサヌカー バ⸢サ⸣ヌ ⸣カー [ba⸢sa⸣nu ⸣kaː] 連 芭蕉の皮。 バ⸢サ⸣ヌ ⸣カー ⸣パギティ ⸣ナビナ ⸢ネーシティ⸣ バター ⸣パギ ⸣トゥリティル ⸣イトー トゥ⸢ローッ⸣タ [ba⸢sa⸣nu ⸣kaː ⸣pagiti ⸣nabinaː ⸢neːʃi̥ti⸣ bataː ⸣pagi ⸣turitiru ⸣ʔitoː tu⸢roːt⸣ta] (芭蕉の皮を剥いで、鍋に煮て肉質部<腸>を剥ぎ取って糸を取られた) 13181 0 0 12841 htmvoc_13181.wav バサヌスブ バ⸢サ⸣ヌ ス⸢ブ [ba⸢sa⸣nu su⸢bu] 連 芭蕉の渋。 ス⸢ブバリサンシンマー⸣ バ⸢サ⸣ヌ ス⸢ブ⸣シ カ⸢ビ⸣ パ⸢リティ⸣ ス⸢クル⸣タ [su⸢bubarisaŋʃimmaː⸣ ba⸢sa⸣nu su⸢bu⸣ʃi ka⸢bi⸣ pa⸢riti⸣ su̥⸢kuru⸣ta] (渋張り三線は芭蕉の渋で和紙を張って作った) 13182 0 0 12842 htmvoc_13182.wav パサパサスン パ⸢サパサ スン [pḁ⸢sapasa suŋ] 連 さくさくする。粘り気がなく、さくさくする。 サ⸢バソーギレー⸣ ピーナ ヤ⸢ク⸣カー パ⸢サパサ⸣ シ⸢ティ⸣ ン⸢マーン⸠ダー [sa⸢basoːgireː⸣ piːna ja⸢ku⸣kaː pḁ⸢sapasa⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔm⸢maːn⸠daː] (日干し乾燥した鱶<鮫>肉は火で焼くとさくさくして美味しいよ) 13183 0 0 12843 htmvoc_13183.wav バサムチ バ⸢サムチ [ba⸢samuʧi] 名 荷馬車で貨物を運搬する人。荷馬車の運送業者。「馬車持ち」の義。 ク⸢ルマ⸣ヌ ⸢ユー⸣ ナ⸢ル⸣ター バ⸢サムチーン⸣ ブ⸢ラーン⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢ruma⸣nu ⸢juː⸣ na⸢ru⸣taː ba⸢samuʧiːm⸣ bu⸢raːn⸣ nari ⸢naː⸣nu] (車の時代になったので、馬車持ち<馬車で貨物を運送する人>もいなくなってしまった) 13184 0 0 12844 htmvoc_13184.wav パサムン パ⸢サ⸣ムン [pḁ⸢sa⸣muŋ] 他動 挟む。箸などで挟む。「間、ハサマル」『類聚名義抄』。 ⸣パシシ パ⸢サ⸣ミ ⸣トゥルン [⸣pḁʃiʃi pḁ⸢sa⸣mi ⸣turuŋ] (箸で挟んで取る)。 パ⸢サ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ パ⸢サマラ⸣ヌ [pḁ⸢sa⸣munti ⸢sundu⸣ pḁ⸢samara⸣nu] (挟もうとするが、挟まれない)。 パ⸢サ⸣ム ⸣ムノー パ⸢サ⸣メー ⸣ミサムヌ [pḁ⸢sa⸣mu ⸣munoː pḁ⸢sa⸣meː ⸣misamunu] (挟むものは挟めばいいのに)。 ク⸢リ⸣シ パ⸢サ⸣ミ [ku⸢ri⸣ʃi pḁ⸢sa⸣mi] (これで挟め)。 カ⸢ジフキヌ⸣ ピンマー ⸣ヤドー ⸣サウシ ウ⸢チ⸣フカーラ パ⸢サ⸣ミティ フ⸢バローッ⸣タ [ka⸢ʤiɸukinu⸣ pimmaː ⸣jadoː ⸣sauʃi ʔu⸢ʧi⸣ɸu̥kaːra pḁ⸢sa⸣miti ɸu⸢baroːt⸣ta] (暴風の時は戸は竿で内外から挟んで縛られた) 13185 0 0 12845 htmvoc_13185.wav バザラー バザ⸢ラー [baʣa⸢raː] 副 さっと。迅速に。敏速に。 ⸢スンティ⸣ ウムーッカー ⸢ウッ⸣カイムッカイ ⸢サンドー⸣シ バザ⸢ラーッティ シー⸣ シ⸢マ⸣シバ [⸢sunti⸣ ʔumuːkkaː ⸢ʔuk⸣kaimukkai ⸢sandoː⸣ʃi baʣa⸢raːtti ʃiː⸣ ʃi⸢ma⸣ʃiba] (しようと決心したら<思うなら>、ためらわずに、さっとやって済ませ<やり遂げ>なさいよ) 13186 0 1 12846 htmvoc_13186.wav バザラバザラ バ⸢ザラバザラ [ba⸢ʣarabaʣara] 副 {Mn_1}さっさと。手早く。 ⸢ダーラダーラ⸣シ シ⸢グトー サンドー⸣シ バ⸢ザラバザラ⸣シ ⸢シー⸣バ [⸢daːradaːra⸣ʃi ʃi⸢gutoː sandoː⸣ʃi ba⸢ʣarabaʣara⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ba] (ぐずぐず<だらだら>仕事をしないで、仕事はさっさとしなさいよ)。 13186 0 2 12847 htmvoc_13186.wav バザラバザラ バ⸢ザラバザラ [ba⸢ʣarabaʣara] 副 {Mn_2}\ruby{蛆}{ウジ}などが群がるさま。うようよ。 ウ⸢ジ⸣ヌ ⸣シディティ バ⸢ザラバザラ⸣シ パイ⸢ベー [ʔu⸢ʤi⸣nu ⸣ʃiditi ba⸢ʣabaʣara⸣ʃi pai⸢beː] (蛆が孵化してバザラバザラ<うようよ>と群がって這い出している) 13187 0 0 12848 htmvoc_13187.wav パサン ⸣パサン [⸣pasaŋ] 名 はさみ(鋏)。「Fasami.ハサミ(鋏)、また、蟹の手、すなわち、蟹の鋏」『邦訳日葡辞書』。 ⸣パサンシ ガ⸢マ⸣ジ ⸢フッツァシ⸣ター ス⸢ブ⸣ロー ⸣アミツァヌ グ⸢ル⸣ ナリ ⸢ベー [⸣pḁsaŋʃi ga⸢ma⸣ʤi ⸢ɸutʦaʃi̥⸣taː su⸢bu⸣roː ⸣ʔamiʦanu gu⸢ru⸣ nari ⸢beː] (鋏で髪の毛を切ったので<切ったところ>、頭はヤドカリの殻のよにでこぼこになっている) 13188 0 0 12849 htmvoc_13188.wav バサンナル バ⸢サン⸣ナル [ba⸢san⸣naru] 名 芭蕉の実。バナナ。 シ⸢マバサン⸣ナル [ʃi⸢mabasan⸣naru] (島芭蕉の実{EOS}モンキーバナナ)。 ⸣サンジャクバサンナル [⸣sanʤakubasannaru] (三尺芭蕉の実{EOS}台湾バナナ{EOS}幹が三尺程度の高さで実をつけることからの命名)。 バ⸢サン⸣ナル プ⸢スタタラ⸣ナー  ⸣シトゥ ⸢シー⸣バ [ba⸢san⸣naru pu̥⸢sutatara⸣naː ⸣ʃi̥tu ⸢ʃiː⸣ba] (バナナを一房ずつお土産<\ruby{苞}{ツト}>にしなさいよ) 13189 0 0 12850 htmvoc_13189.wav バサンパームチ バ⸢サン⸣パームチ [ba⸢sam⸣paːmuʧi] 名 芭蕉の葉餅。芭蕉の葉で包んで蒸し上げた餅。⸢プール⸣ムチ[⸢puːru⸣muʧi](豊年祭の餅)ともいう。豊年祭の時に月桃の葉で包んだ餅と芭蕉の葉で包んだ餅を作って食べた。バ⸢サン⸣パームチは芭蕉の葉を、幅約20センチ、長さ約25センチに裂いて、それに餅のたねを置き、その上に芭蕉の葉を幅約10センチほどの大きさに裂いたものを載せて包み、蒸し煮して作ったもの。 バ⸢サン⸣パームチェー ⸢カー⸣ヤ パ⸢ギヤッ⸣サン [ba⸢sam⸣paːmuʧeː ⸢kaː⸣ja pa⸢gijas⸣saŋ] (芭蕉の葉餅は包み皮は\ruby{剥}{ム}きやすい) 13190 0 0 12851 htmvoc_13190.wav パシ ⸣パシ [⸣paʃi] 名 箸。「Faxi.ハシ(箸)日本人が物を食べるのに使う、二本の小さな棒」『邦訳日葡辞書』とある。 タ⸢キパシ [tḁ⸢kipaʃi] (竹箸)。 ⸢キー⸣パシ [⸢kiː⸣paʃi] (木箸)。 ⸢ヌール⸣パシ [⸢nuːru⸣paʃi] (漆塗りの箸)。 キ⸢ダパシ [ki⸢dapaʃi] (黒檀の木で作った箸)。⸢ユシ⸣キパシ[⸢juʃi̥⸣kipḁʃi](ススキで作った箸{EOS}ウ⸢ティン⸣ガビ{SqBr}ʔu⸢tiŋ⸣gabi{/SqBr}<紙銭>を焼く際に用いる箸)などがある。 ⸢ティー⸣シゥカン ⸢サンドー⸣シ ⸣パシシ パ⸢サ⸣メーティ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢tiː⸣sï̥kan ⸢sandoː⸣ʃi ⸣pḁʃiʃi pḁ⸢sa⸣meːti f⸢fai⸣ba] (手掴みしないで箸で挟んで<鋏みながら>食べなさい) 13191 0 1 12852 htmvoc_13191.wav パシ パ⸢シ [pa⸢ʃi] 名 {Mn_1}橋。「安麻能我波 々志和多世良波~。万、4126」の義。 パ⸢シ⸣ カ⸢キ⸣ルン [pḁ⸢ʃi⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ] (橋を架ける)。 ウ⸢ラッチガー⸣ラナー ム⸢カ⸣シェー パ⸢シェー ナーン⸣ベーティ ⸣フニシル バ⸢タシ ブタ [ʔu⸢ratʧigaː⸣ranaː mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢ʃinu naːm⸣beːti ⸣ɸuniʃiru ba⸢taʃi buta] (浦内川には、昔は橋がなかったので舟で渡していた)。 13191 0 2 12853 htmvoc_13191.wav パシ パ⸢シ [pa⸢ʃi] 名 {Mn_2}はしご(梯子)。 パ⸢シ⸣カキティ ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ウイ ヌーリ⸣バ [pḁ⸢ʃi⸣ kḁkiti ⸢jaː⸣nu ⸢ʔui nuːri⸣ba] (梯子をかけて屋根に登りなさい) 13192 0 1 12854 htmvoc_13192.wav パシ パ⸢シ [pḁ⸢ʃi] 名 {Mn_1}端。へり。縁。端っこ。先端。切れ端。「短きものを端伎流等<ハシキルト>~。万、892」の「端」の義。 ⸢キン⸣ヌ パ⸢シ [⸢kin⸣nu pa⸢ʃi] (着物の端)。 13192 0 2 12855 htmvoc_13192.wav パシ パ⸢シ [pḁ⸢ʃi] 名 {Mn_2}はしばし(端々)。ちょっとした部分。 ム⸢ニ⸣ヌ パ⸢シ⸣ナー イ⸢バリムヌヌ⸣ ウ⸢ムイアンガリ⸣ヌ ミ⸢ラ⸣リン [mu⸢ni⸣nu pḁ⸢ʃi⸣naː ʔi⸢barimununu⸣ ʔu⸢muiʔaŋgari⸣nu mi⸢ra⸣riŋ] (言葉の端々に驕り者の思い上がりが見られる) 13193 0 1 12856 htmvoc_13193.wav パジ ⸣パジ [⸣paʤi] 名 {Mn_1}恥。「~標結い立てて 結之辱爲都。万、401」の義。 ⸢ジー⸣ ユミ⸢サン⸣カー プ⸢スヌ⸣ マイナーティ ⸣パジ ⸣カクン⸢ダー [⸢ʤiː⸣ jumi⸢saŋ⸣kaː pu̥⸢sunu⸣ mainaːti ⸣paʤi kḁkun⸢daː] (字を読めなかったら人前で辱をかくよ)。 ア⸢ガパジ⸣ カクン [ʔa⸢gapaʤi⸣ kḁkuŋ] (大恥をかく)。 ア⸢ガパジ⸣ カ⸢カサ⸣リン [ʔa⸢gapaʤi⸣ kḁ⸢kasa⸣riŋ] (赤っ恥をかかされる)。 13193 0 2 12857 htmvoc_13193.wav パジ ⸣パジ [⸣paʤi] 名 {Mn_2}陰部。 ⸣パジ ウ⸢スイリ [⸣paʤi ʔu⸢suiri] (陰部を隠せ<覆え>よ) 13206 0 1 12858 htmvoc_13206.wav パジ ⸣パジ [⸣paʤi] 名 {Mn_1}⸢はず(道理)」、「すること(~わけ{EOS}可能性)」を表す形式名詞。活用語の連体形に付く。 マ⸢ナ⸣マ ⸣クーパジェー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸣ヌンティ ⸢クー⸣タカヤー [ma⸢na⸣ma ⸣kuːpaʤeː ⸢naːnu⸣nu ⸣nunti ⸢kuː⸣takajaː] (今来るはずはないのだが、どうして来たのかなあ)。 13206 0 2 12859 htmvoc_13206.wav パジ ⸣パジ [⸣paʤi] 名 {Mn_2}文末に用いられて確率の高い推量<~するはずだ。~だろう>の意を表す形式名詞。 ア⸢ツァー⸣ラー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーパジ [ʔa⸢ʦaː⸣raː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːpaʤi] (明日からは雨が降るはずだ<降るだろう>)。 ⸣アイヤー ア⸢ラン⸣パジ [⸣ʔaijaː ʔa⸢ram⸣paʤi] (そうでは無いはずだ<~無いだろうよ>)。~そうなる予定(見込み)。転じて、⸢~だろう」の意を表す。 ⸣アイニ ⸣ナル ⸣パジェー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaini ⸣naru ⸣paʤeː ⸢naː⸣nu] (そのようになるはずがない)。 ウ⸢レー⸣ アツァー ウ⸢キ⸣ナー ⸣パルパジ [ʔu⸢reː⸣ ʔaʦaː ʔu⸢ki⸣naː ⸣parupaʤi] (彼は明日沖縄へ行くはずだ) 13194 0 0 12860 htmvoc_13194.wav パジアーラスン パ⸢ジアーラ⸣スン [pa⸢ʤiʔaːra⸣suŋ] 他動 品物を等しく分配する。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ ⸣シトゥ ムー⸢ルン⸣ パ⸢ジアーラ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ パ⸢ジアーラサラン⸣バン [ʔu⸢ki⸣naːranu ⸣ʃi̥tu muː⸢rum⸣ pa⸢ʤiaːra⸣sunti ⸢sundu⸣ pa⸢ʤiʔaːrasaram⸣baŋ] (沖縄からのお土産<苞>を皆に分配しようとするが、分配出来ないよ)。 パ⸢ジアーラ⸣シティ [pa⸢ʤiʔaːra⸣ʃi̥ti] (分配して)。 パ⸢ジアーラ⸣ス ⸣クトゥ [pa⸢ʤiʔaːra⸣su ⸣ku̥tu] (分配すること)。 パ⸢ジアーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pa⸢ʤiʔaːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (分配すればいいのに)。 パ⸢ジアーラ⸣シ [pa⸢ʤiʔaːra⸣ʃi] (分配せよ) 13196 0 0 12861 htmvoc_13196.wav パシゥカ ⸢パシゥカ [⸢pasï̥ka] 名 (数詞)廿日。 ⸢パシゥカユーヤ⸣ ッ⸢ふァー⸣ヌ ⸣ムヌ ⸢ミララン⸣ダー ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢pasï̥kajuːja⸣ f⸢faː⸣nu ⸣munu mi⸢raran⸣daː mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (廿日夜は暗くて、ものが見えないから道には出られない) 13199 0 0 12862 htmvoc_13199.wav パシゥカソージ ⸢パシゥカソージ [⸢pasï̥kasoːʤi] 名 ⸢廿日精進」の義。産後廿日に行う行事。産後廿日めに、産褥中無事に経過することが出来たことに対する感謝の祈願を行い、産褥に張り巡らした注連縄を取り払って産屋を片付けること。 ⸢パシゥカソー⸣ジン シ⸢マ⸣シ ⸣ジルーン カ⸢タジ⸣ケーチバ シカイ⸢トゥ⸣ ドゥーヨーゾー ⸢シー⸣ヨー [⸢pasï̥kasoːʤiŋ⸣ ʃi⸢ma⸣ʃi ⸣ʤiruːŋ ka⸢taʤi⸣keːʧiba ʃi̥kai⸢tu⸣ duːjoːʣoː ⸢ʃiː⸣joː] (廿日精進も済ませ、地炉も片付けたので、しっかり体の養生をしなさいよ) 13198 0 0 12863 htmvoc_13198.wav パシゥカヨーン ⸢パシゥカヨーン [⸢pasï̥kajoːŋ] 名 廿日宵闇。 ⸢パシゥカヨーンヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ー プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣ カ⸢サムンティン⸣ ッ⸢サヌ [⸢pasï̥kajoːnnu⸣ f⸢fa⸣ː pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ kḁ⸢samuntin⸣ s⸢sanu] (廿日宵闇の暗さは、他人が鼻を摘むのも分からない<知らない>) 13207 0 0 12864 htmvoc_13207.wav パシカ ⸢パシ⸣カ [⸢paʃi̥⸣ka] 名 病気の名。はしか(麻疹)。麻疹ウイルスによる急性伝染病。5~6歳までの幼児に多く、一度の罹患でほとんど一生免疫を得る。⸢イリガサー[⸢ʔirigasaː](はしか{EOS}measles)『医学沖縄語辞典』。ハシカの転訛したもの。鳩間島では、ア⸢ガニチ[ʔa⸢ganiʧi](赤熱)ともいう。 ⸢パシカ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣リ ブ⸢リン⸣ギサバ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢paʃi̥ka⸣nu pa⸢jaː⸣ri bu⸢riŋ⸣gisaba ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (ハシカが流行っているようだから気を付けなさいよ) 13203 0 0 12865 htmvoc_13203.wav パジカカスン ⸣パジ カ⸢カ⸣スン [⸣paʤi kḁ⸢ka⸣suŋ] 連 恥をかかせる。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸣ウヤン ⸣パジ カ⸢カ⸣スン [ja⸢nakutu suː⸣kaː ⸣ʔujam ⸣paʤi kḁ⸢ka⸣suŋ] (悪いことをすると親に恥をかかせる) 13208 0 1 12866 htmvoc_13208.wav パシカキルン パ⸢シ⸣ カ⸢キ⸣ルン [pḁ⸢ʃi⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ] 連 {Mn_1}橋を架け渡す。 ⸢メーラガーラ⸣ナ パ⸢シカキ⸣ルンティ イッ⸢ケン⸣ ク⸢ロー ソーッ⸣タンツォー [⸢meːragaːra⸣na pḁ⸢ʃikaki⸣runti ʔik⸢keŋ⸣ ku⸢roː soːt⸣tanʦoː] (宮良川に橋を架けようとして非常に苦労されたそうだ)。 13208 0 2 12867 htmvoc_13208.wav パシカキルン パ⸢シ⸣ カ⸢キ⸣ルン [pḁ⸢ʃi⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ] 連 {Mn_2}男女の仲に橋を架ける(男女が情を通ずる)。 フ⸢タールヌ⸣ ナカナー パ⸢シカキ⸣ルンティ カ⸢ユイオー⸣ルツォー [ɸu̥⸢taːrunu⸣ nakanaː pḁ⸢ʃikaki⸣runti ka⸢juiʔoː⸣ruʦoː] (二人の仲に橋を架けようと通っておられるそうだ) 13197 0 0 12868 htmvoc_13197.wav パジカクン ⸣パジ ⸣カクン [⸣paʤi ⸣kḁkuŋ] 連 恥をかく。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ ⸣クトゥンツァン ッ⸢サン⸣カー ⸣パジ カクン⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ⸣ku̥tunʦan s⸢saŋ⸣kaː ⸣paʤi kḁkun⸢daː] (その程度のことをさえ知らないと恥をかくぞ)。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ パジ カクン⸢ダー [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ paʤi kḁkun⸢daː] (あんなことをして、恥をかくぞ)。 ⸢パシゥカシキヌ アール⸣カー ⸢マーユナカ [⸢pasi̥kaʃi̥kinu ʔaːru⸣kaː ⸢maːjunaka] (旧暦二十日<ふけまちづき>の月が上がると、真夜中の時刻である{EOS}<諺>)。終戦後のイカ釣り漁の遭難事故の際、この諺を覚えていた加治工伊佐は真夜中に風が北風から南風に変わったことを知った。それを知らない人々が前日と同じ北風と思い込み、風を帆に孕ませて島とは逆の方向へ帆走したのである。加治工伊佐は小型のコンパスを信頼して近くのイカ釣り舟三隻を説得し、南風に向かってジグザグ帆走してその日の午前中に石垣島の川平に到着することができ、事故を通報したという 13209 0 0 12869 htmvoc_13209.wav パシカヌピキックミ ⸢パシカ⸣ヌ ピ⸢キッ⸣クミ [⸢pḁʃika⸣nu pi̥⸢kik⸣kumi] 連 「はしか(麻疹)の引っ込み」の義。\ruby[g]{麻疹}{ハシカ}の熱が一旦下がった状態。その後再発して高熱を発する。この種の病状をピ⸢キッ⸣クムン[pi̥⸢kik⸣kumuŋ](引っ込む)といい、悪質な麻疹の病状で、重病になることがある。麻疹に罹患して体を冷やすことによって発病するといわれている。 ⸢パシカ⸣ヌ ピ⸢キックメー⸣ラ ⸢デー⸣ジ ヤ⸢リバ ⸢ピングラス⸣ナ⸢ヨー [⸢pḁʃika⸣nu pi̥⸢kikkumeː⸣ra ⸢deː⸣ʤi ja⸢riba pigurasu⸣na⸢joː] (麻疹が引っ込んだら大変だから、体を冷やすなよ) 13210 0 0 12870 htmvoc_13210.wav バシキカールン ⸢バシキカールン [⸢baʃikikaːruŋ] 自動 すっかり忘れ去る。 シ⸢ラカタ⸣チ ⸢バシキカールン⸣ケン ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢rakata⸣ʧi ⸢baʃi̥kikaːruŋ⸣kem ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (顔貌をすっかり忘れ去るまで会って<見て>いない)。 ⸢バシキカーラン⸣ケン ミリクー⸢ディー [⸢baʃi̥kikaːraŋ⸣kem mirikuː⸢diː] (忘れ去らないうちに見て来ようよ)。 シ⸢ラカタ⸣チ ン ⸢バシキカーリ ナー⸣ヌ [ʃi⸢rakata⸣ʧim ⸢baʃi̥kikaːri naː⸣nu] (顔貌も忘れ去ってしまった)。 ⸢バシキカール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢baʃi̥kikaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (忘れ去ることはない)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢バシキカーレー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢baʃi̥kikaːreː⸣ na⸢ra⸣nu] (こんなに早く忘れ去ってはいけない) 13211 0 0 12871 htmvoc_13211.wav バシキグリサン ⸢バシキグリ⸣サン [⸢baʃi̥kiguri⸣saŋ] 連 忘れることが難しい。忘れにくい。動詞バ⸢シゥクン[ba⸢ʃi̥kuŋ](忘れる)の連用形に、形容詞型助動詞の-グ⸢リ⸣サン[-gu⸢ri⸣saŋ](~がたい{EOS}~にくい)が下接して形成された派生形容詞。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣クトー ⸢バシキグリ⸣サン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ku̥toː ⸢baʃikiguri⸣saŋ] (戦争の時代のことは忘れることが難しい<忘れにくい>) 13214 0 0 12872 htmvoc_13214.wav パジキサー ⸣パジキサー [⸣paʤiki̥saː] 名 恥知らず。「恥切れ者」の義。 イ⸢コーラ⸣ パジ カ⸢カリ⸣タンティン ⸣パジキサー ヤ⸢ルンダ⸣ バ⸢カ⸣ヤティン ッ⸢サヌ [ʔi⸢koːra⸣ paʤi kḁ⸢kari⸣tantim ⸣paʤikisaː ja⸢runda⸣ ba⸢ka⸣jatin s⸢sanu] (いくら恥をかかれても、恥知らずだから、恥ずかしいということも知らない) 13201 0 0 12873 htmvoc_13201.wav パジキシムヌ パ⸢ジキシ⸣ムヌ [pa⸢ʤikiʃi⸣munu] 名 恥知らず。厚顔無恥の者。鉄面皮の者。「恥切れ者」の義。⸣パジキラー[⸣paʤikiraː](恥知らず{EOS}厚顔無恥の者{EOS}恥切れ者)<卑語>ともいう。 パ⸢ジキシ⸣ムヌ ⸣ナリティ ⸣シキンラ ⸣シラ ⸣ムティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [pa⸢ʤikiʃi⸣munu ⸣nariti ⸣ʃikinra ⸣ʃira ⸣muti ʔa⸢rakara⸣nu] (恥知らずになって、世間に顔向けできない<世間からから顔を引っさげて(顔を持って)歩けない>) 13212 0 0 12874 htmvoc_13212.wav バシキパヤーン ⸢バシキパヤー⸣ン [⸢baʃi̥kipajaː⸣ŋ] 連 忘れやすい。「忘れ早い」の義。⸢バシキヤッ⸣サン[⸢baʃi̥kijas⸣saŋ](忘れやすい)ともいう。 ⸢ウイ⸣プソー ⸢バシキパヤー⸣ン⸢ダー [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸢baʃi̥kipajaː⸣n⸢daː] (年寄りは忘れやすい<忘れ早い>よ) 13202 0 0 12875 htmvoc_13202.wav バシキムヌ ⸢バシキムヌ [⸢baʃi̥kimunu] 名 忘れ物。 ⸢ウンパンシン⸣ヌ ⸢クー⸣ター ア⸢バティティ ヌールタ⸣ クトー ⸢バシキムヌ シー⸣ キー⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔumpaŋʃin⸣nu ⸢kuː⸣taː ʔa⸢batiti nuːrutaː⸣ ku̥toː ⸢baʃi̥kimunu ʃiː⸣ kiː⸢naː⸣nu] (運搬船が来たので慌てて乗ったところ、忘れ物をしてきてしまった)。 ⸢バシキムヌ⸣ トゥ⸢ドゥ⸣キ ッ⸢ふィーリ [⸢baʃi̥kimunu⸣ tu⸢du⸣ki f⸢fiːri] (忘れ物を届けてくれ)。 ⸢バシキムヌ⸣ トゥ⸢ドゥ⸣キン ⸢ゲー⸣タ [⸢baʃikimunu⸣ tu⸢du⸣kiŋ ⸢geː⸣ta] (忘れ物を届けに行ってきた) 13205 0 0 12876 htmvoc_13205.wav バシキルン ⸢バシキルン [⸢baʃi̥kiruŋ] 他動 忘れる。 ⸢ワー⸣ ア⸢ザン⸣カー ⸢バシキルンダ バシキラン⸣ヨーニ ⸣パル ⸣マイナー ⸢トゥシキ⸣リ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː ⸢baʃi̥kirunda baʃi̥kiraɲ⸣joni ⸣paru ⸣mainaː ⸢tuʃi̥ki⸣ri] (君が言わないと忘れるから、忘れないように、行く前に忠告し<言い聞かせ>なさい)。 キサー⸢ティ バシキナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti baʃi̥ki naː⸣nu] (既に忘れてしまった)。 ⸢バシキル⸣ クトゥン アン⸢ダー⸣ヌ ク⸢ヌ⸣ クトー ⸢バシケー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢baʃi̥kiru⸣ ku̥tuŋ ʔan⸢daː⸣nu ku⸢nu⸣ ku̥toː ⸢baʃi̥keː⸣ na⸢ra⸣nu] (忘れることもあるだろうが、このことは忘れてはならない)。 ⸢パー⸣ク ⸢バシキリ [⸢paː⸣ku ⸢baʃi̥kiri] (早く忘れろ)。 ッ⸢ふァヌ⸣ シ⸢ラカタ⸣チ ⸢バシキルン⸣ケン ミリミ⸢ラ⸣ヌ [f⸢fanu⸣ ʃi⸢rakata⸣ʧi ⸢baʃikiruŋ⸣kem mirimi⸢ra⸣nu] (子供の顔かたちを忘れるほど見ていない)。 ⸢ワ  ブン⸣ゲー バ⸢シキラヌ [⸢waː buŋ⸣geː ⸢baʃi̥kiranu] (君の恩義は忘れない)。 ⸢バシキル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ  [⸢baʃi̥kiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (忘れることはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢バシキリ [⸢paː⸣ku ba⸢ʃikiri] (早く忘れろ) 13216 0 0 12877 htmvoc_13216.wav パシグ パ⸢シ⸣グ [pḁ⸢ʃi⸣gu] 名 はしご(梯子)。「天端文<アマハシモ>ながくもがも~。万、3245」の義。二本の垂木の間に幾段もの横木を渡し、それを踏んで高い所に上る道具。屋根葺きなどの際に使用した。使用後はユ⸢クンツァ⸣メー[ju⸢kunʦa⸣meː](床下の孔)に納めて保管した。 パ⸢シ⸣グ ⸣カキティ ⸢ヤー⸣ヌウイ ⸢ヌールン [pḁ⸢ʃi⸣gu ⸣kḁkiti ⸢jaː⸣nuʔui ⸢nuːruŋ] (梯子を掛けて屋根に上る) 13217 0 0 12878 htmvoc_13217.wav パシケー ⸢パシケー [⸢paʃi̥keː] 名 破水。羊膜が破れて出る羊水。 ⸢パシケーヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ッ⸢ふァー⸣ シ⸢グ⸣ マ⸢リルン⸣ツォー [⸢paʃi̥keːnu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː f⸢faː⸣ ʃi⸢gu⸣ ma⸢rirun⸣ʦoː] (破水が出たら、子供はすぐ生まれるそうだ) 13218 0 0 12879 htmvoc_13218.wav パシシ パ⸢シ⸣シ [pa⸢ʃi⸣ʃi] 名 歯茎。「齗、波之々<はじし>、歯之肉也」『和名抄』の転訛。 パ⸢シ⸣シェーラ ⸢シーヌ⸣ パリ ⸢ベー [pa⸢ʃi⸣ʃeːra ⸢ʃiːnu⸣ pari ⸢beː] (歯茎から血が流れて<出血して>いる) 13219 0 0 12880 htmvoc_13219.wav パシットゥ パ⸢シットゥ [pḁ⸢ʃittu] 副 すっきりと。気分が爽快になるさま。病気が全快して元気になるさま。 ⸣ニチン サ⸢マ⸣リティ パ⸢シットゥ⸣ ナレーン [⸣niʧin sa⸢ma⸣riti pa⸢ʃittu⸣ nareːŋ] (熱も下がって<冷めて>気分がすっきりした)。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マリティ⸣ ナ⸢マジラ⸣シティ ⸣マサーカサー ⸢ナー⸣ナ ⸢アークタン⸣ドゥ ⸢キョー⸣ラ パ⸢シットゥ⸣ ナリ ⸢アー⸣クンティ [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢mariti⸣ na⸢maʤira⸣ʃi̥ti ⸣masaːkasaː ⸢naː⸣na ⸢ʔaːkutan⸣du ⸢kjoː⸣ra pḁ⸢ʃittu⸣ nari ⸢ʔaː⸣kunti] (風邪をひいて長くこじらせて不元気でいたが、今日から全快して元気になり、気分爽快になっているさ) 13220 0 0 12881 htmvoc_13220.wav パシナー パ⸢シ⸣ナー [pa⸢ʃi⸣naː] 名 (動)魚の名。和名、イットウダイの仲間(体長20~25センチ)。若年層は、パ⸢チ⸣ナー[pḁ⸢ʧi⸣naː]ともいう。鳩間島では、夜の大潮の日に十四、五歳の子供たちが島の後ろの干瀬のヤ⸢トゥ[ja⸢tu](干瀬の割れ目{EOS}「やと(谷戸)関東方言」の転訛か)でよく釣った。 パ⸢シナー⸣ヤ ⸢ユー⸣チズーナー ⸣シンタヌ ⸢ピー⸣ヌ ヤ⸢トゥ⸣ナーティル ⸢ホーシ⸣タ [pḁ⸢ʃinaː⸣ja ⸢juː⸣ʧiʣuːna ⸣ʃintanu ⸢piː⸣nu ja⸢tu⸣naːtiru ⸢hoːʃi̥⸣ta] (パシナーは、夜の大潮の日に、後ろの干瀬ヤトゥ<干瀬の割れ目{EOS}谷>で釣った)。パ⸢シ⸣ナーには、ビ⸢キパシナー[bi⸢kipaʃinaː](和名、スミツキエビス{EOS}パシナーの雄)、⸢ミーパシ⸣ナー[⸢miːpaʃi⸣naː](和名、トガリエビス{EOS}パシナーの雌)がいる 13221 0 0 12882 htmvoc_13221.wav バシヌトゥル バ⸢シヌ⸣トゥル [ba⸢ʃinu⸣turu] 名 歌謡の「鷲の鳥節」。 イ⸢サナキプソー ヨイ⸣ヌ パ⸢ジメー⸣ サンビンティ ⸢シー⸣ アカンマー バ⸢シヌ⸣トゥル ツ⸢ルカミブシバル ザーピラ⸣キティ ⸢シー⸣ ウ⸢レーラ⸣ル ⸣ウター イ⸢ゾー⸣ル [ʔi⸢sanakipu̥soː joi⸣nu pa⸢ʤimeː⸣ sambinti ⸢ʃiː⸣ ʔakammaː ba⸢ʃinu⸣turu ʦu⸢rukamibuʃibaru ʣaːpira⸣kiti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢reːra⸣ru ⸣ʔutaː ʔi⸢ʣoː⸣ru] (石垣島の人は、祝いの初めに三品といって、赤馬節、鷲の鳥節、鶴亀節を祝宴開演<座開き>の歌として、それらから歌を歌われる) 13222 0 0 12883 htmvoc_13222.wav パジマキ パ⸢ジマキ [pa⸢ʤimaki] 名 はぜまけ(櫨負)。はぜ<\ruby{黄櫨}{コウ|ロ}>にかぶれること。漆かぶれ。 パ⸢ジンキー⸣ナ ⸢サウルター⸣ パ⸢ジマキ⸣ シ⸢ティー⸣ シラー ア⸢ガーアガー⸣シ フ⸢クリ ベー [pa⸢ʤiŋkiː⸣na ⸢saurutaː⸣ pa⸢ʤimaki⸣ ʃi̥⸢tiː⸣ ʃiraː ʔa⸢gaːʔagaː⸣ʃi ɸu̥⸢kuri beː] (はぜ<\ruby{黄櫨}{ハ|ゼ}>の木に触ったので、黄櫨にかぶれ<黄櫨負けし>て、顔は真っ赤に<赤赤と>なって腫れている)。 パ⸢ジマキ⸣ シ⸢ティル⸣ シラー ア⸢ガミティ ビー⸣ヨーティ ガジ⸢ベー [pa⸢ʤimaki⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ʃiraː ʔa⸢gamiti biː⸣joːti gaʤi⸢beː] (漆かぶれして、顔は赤らんで、痒いので掻いている) 13223 0 0 12884 htmvoc_13223.wav パジマリ パ⸢ジマリ [pa⸢ʤimari] 名 始まり。 パ⸢トゥ⸣マナテー ⸢ヨイヤー⸣ヌ ウ⸢タ⸣ヌ パ⸢ジマレー⸣ パ⸢トゥ⸣マナカムリラティ キ⸢マリ ブー [pḁ⸢tu⸣manateː ⸢joijaː⸣nu ʔu⸢ta⸣nu pa⸢ʤimareː⸣ pḁ⸢tu⸣manakamurirati ki⸢mari buː] (鳩間島では祝いの座の歌の始まりは鳩間中岡<鳩間節>からと決まっている) 13224 0 0 12885 htmvoc_13224.wav パジマルン パ⸢ジマルン [pa⸢ʤimaruŋ] 自動 始まる。 ⸢ガッコー⸣ヤ ⸢シンガ⸣チェーラ パ⸢ジマルンドゥ⸣ ク⸢トゥシェー⸣ マ⸢ダ⸣ パ⸢ジマラヌ [⸢gakkoː⸣ja ⸢ʃiŋga⸣ʧeːra pa⸢ʤimarundu⸣ ku̥⸢tuʃeː⸣ ma⸢da⸣ pa⸢ʤimaranu] (学校は四月から始まるが、今年は未だ始まらない)。 ブ⸢ドゥロー⸣ マ⸢ダ⸣ パ⸢ジマリ ブラーンドゥ⸣ ナー⸢イ⸣ パ⸢ジマルムバ⸣ マティ ⸢ベー [bu⸢duroː⸣ ma⸢da⸣ pa⸢ʤimari buraːndu⸣ naː⸢ji⸣ pa⸢ʤimarumuba⸣ mati ⸢beː] (踊りはまだ始まっていないが、じっと始まるのを待っている)。 ⸢パー⸣ク パ⸢ジマレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku pa⸢ʤimareː⸣ misamunu] (早く始まればいいのに)。 パ⸢ジマリ⸣バ [pa⸢ʤimari⸣ba] (始まれよ) 13225 0 0 12886 htmvoc_13225.wav パジミ パ⸢ジミ [pa⸢ʤimi] 名 初め。最初。 パ⸢ジミヌ⸣ パ⸢ナシ⸣トー ⸢カウリ ブー [pa⸢ʤiminu⸣ pa⸢naʃi⸣toː ⸢kauri buː] (最初の話しとは違っている)。 パ⸢ジメー ヤッ⸣サ ⸣ムノーラ ナ⸢ラー⸣シティ ⸢シンダイ⸣ ム⸢チキ⸣サ ⸣ムヌ ナ⸢ラー⸣シバ [pa⸢ʤiimeː jas⸣sa ⸣munoːra na⸢raː⸣ʃi̥ti ⸢ʃindai⸣ mu⸢ʧiki⸣sa ⸣munu na⸢raː⸣ʃiba] (初めは易しいものから教えて次第に難しいものを教えなさいよ) 13226 1 0 12887 htmvoc_13226.wav パジミティ パ⸢ジミティ [pa⸢ʤimiti] 副 {PoS_1}初めて。 ッ⸢ふァ⸣ ナシティ パ⸢ジミティ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ク⸢ローヤ⸣ ワ⸢カ⸣ル [f⸢fa⸣ naʃi̥ti pa⸢ʤimiti⸣ ʔu⸢ja⸣nu ku⸢roːja⸣ wa⸢ka⸣ru] (子供を産んで初めて親の苦労はわかる)。 13226 2 0 12888 htmvoc_13226.wav パジミティ パ⸢ジミティ [pa⸢ʤimiti] 名 {PoS_2}最初。 パ⸢ジミティヌ⸣ タ⸢ビ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ マナール トゥ⸢マル⸣ユー ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢ʤimitinu⸣ ta⸢bi⸣ ja⸢runda⸣ manaːru tu⸢maru⸣juː ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (初めての旅なので、何処に泊まるのか心配でならない) 13227 1 0 12889 htmvoc_13227.wav パジミルン パ⸢ジミルン [pa⸢ʤimiruŋ] 他動 {PoS_1}始める。 ⸢キョー⸣ラ シ⸢グトゥ⸣ パ⸢ジミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ パ⸢ジミララン⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kjoː⸣ra ʃi⸢gutu⸣ pa⸢ʤimirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du pa⸢ʤimiraran⸣ nari ⸢naː⸣nu] (今日から仕事を始めよと思うが、始められなくなってしまった)。 ノー⸢ン ヤラバン⸣ パ⸢ジミ⸣ ミ⸢リバ⸣ル ワ⸢カ⸣ルンダ パ⸢ジミル⸣ ク⸢トゥ⸣ル ⸢カンユー [noː⸢ɲ jarabam⸣ pa⸢ʤimi⸣ mi⸢riba⸣ru wa⸢ka⸣runda pa⸢ʤimiru⸣ ku̥⸢tu⸣ru ⸢kaɲjuː] (何でも始めてみないと分からない<始めてみればぞ分る>から、始めることが肝要だ)。 ⸢パー⸣ク パ⸢ジミレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku pa⸢ʤimireː⸣ misamunu] (早く始めればいいのに)。 ⸢ワー⸣ラ パ⸢ジミリ⸣バ [⸢waː⸣ra pa⸢ʤimiri⸣ba] (君から始めなさいよ)。 13227 2 0 12890 htmvoc_13227.wav パジミルン パ⸢ジミルン [pa⸢ʤimiruŋ] 補動 {PoS_2}連用形に下接してアスペクト動詞をかたちづくる。アクセントが中高アクセントに変わる。 ク⸢レー⸣ラ カ⸢キパジミ⸣ルン [ku⸢reː⸣ra kḁ⸢kipaʤimi⸣ruŋ] (これから書き始める) 13228 0 0 12891 htmvoc_13228.wav パジムン パ⸢ジムン [pa⸢ʤimuŋ] 他動 始める。「始む<下二段活用>」の四段活用化したもの。 シ⸢グトゥ⸣ パ⸢ジムンティ⸣ ウムーカー パ⸢ジマリンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー パ⸢ジム⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢gutu⸣ pa⸢ʤimunti⸣ ʔumuːkaː pa⸢ʤimarindu⸣ ma⸢na⸣maː pa⸢ʤimu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (仕事を始めようと思えば始められるが、今は始めることは出来ない)。 シ⸢グトゥ⸣ パ⸢ジミ⸣ ミサカー ⸢パー⸣ク パ⸢ジミ⸣バ [ʃi⸢gutu⸣ pa⸢ʤimi⸣ misakaː ⸢paː⸣ku pa⸢ʤimi⸣ba] (仕事を始めてよければ早く始めなさいよ)。 パ⸢ジメー⸣ ミサムヌ [pa⸢ʤimeː⸣ misamunu] (始めればいいのに) 13229 0 0 12892 htmvoc_13229.wav バシャ バ⸢シャ [ba⸢ʃa] 名 馬車。標準語からの借用語。荷車。鳩間島には馬車はなかったが、石垣島の桟橋では荷役に従事する人が馬車や荷車で貨物を運搬していた。 パ⸢トゥ⸣マナー バ⸢シャー ナーン⸣シェンドゥ イ⸢サナキナー⸣ヤ バ⸢シャー⸣ラ ⸣ニー カ⸢ヨース⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢タン⸣ダー [pḁ⸢tu⸣manaː ba⸢ʃaː naːŋ⸣ʃendu ʔi⸢sanakinaː⸣ja ba⸢ʃaː⸣ra ⸣niː ka⸢joːsu⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢tan⸣daː] (鳩間島には馬車はなかったが、石垣島では馬車で荷物を運ぶ<通わせる>人もいたよ) 13230 0 0 12893 htmvoc_13230.wav バシャムチ バ⸢シャムチ [ba⸢ʃamuʧi] 名 馬車引き。「馬車持ち」の義。馬車で貨物を運ぶことを生業とする人。 バ⸢シャムチェー⸣ シゥ⸢カラヌ ナーン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー バ⸢カー⸣ムンドゥ ⸣ナル [ba⸢ʃamuʧeː⸣ sï̥⸢karanu naːŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː ba⸢kaː⸣mundu ⸣naru] (馬車引きは力がないと出来ないから、若者にしか出来ない<若者にぞできる>) 13231 0 0 12894 htmvoc_13231.wav バシャンーマ バ⸢シャンーマ [ba⸢ʃaʔmːma] 名 荷車を引く馬。遮二無二働く人。 バ⸢シャンーマヌ⸣ カタチニ ⸣ミーラ ⸢ピー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンケン パ⸢タラクバン モーカラ⸣ヌ [ba⸢ʃaʔmːmanu⸣ kḁtaʧini ⸣miːra ⸢piː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋkem pḁ⸢tarakubam moːkara⸣nu] (荷車を引く馬のように遮二無二働いても儲からない) 13232 0 0 12895 htmvoc_13232.wav ハショーフー ハ⸢ショーフー [ha⸢ʃoːɸuː] 名 破傷風。破傷風菌によって咬筋が強直し、開口不全、顔面筋その他の随意筋強直性\ruby{痙攣}{ケイ|レン}となって高熱を発し、重症のものは一日以内で死亡するといわれる。古釘を踏んで発症することが多かったという。 ッ⸢ふ⸣フン ⸢フンク⸣カー ハ⸢ショーフー⸣ カ⸢カ⸣ルンユー ッ⸢サンベー⸣ティ ⸢ゲン⸣ノーシ キ⸢ジフチ シッ⸣キティ ⸢シー⸣ パ⸢ラシ⸣ティ ピ⸢ルザキ⸣シ トゥ⸢イットー⸣シティ ⸢マー⸣スシ ッ⸢ス⸣モーッタツォー [f⸢fu⸣ɸuŋ ⸢ɸuŋku⸣kaː ha⸢ʃoːɸuː⸣ kḁ⸢ka⸣ruŋjuː s⸢sambeː⸣ti ⸢gen⸣noːʃi ki⸢ʤiɸu̥ʧi ʃik⸣kiti ⸢ʃiː⸣ pa⸢ra⸣ʃi̥ti pi⸢ruʣaki⸣ʃi ⸢tuittoː⸣ʃi̥ti ⸢maː⸣suʃi s⸢su⸣moːttaʦoː] (古釘を踏むと破傷風に罹るかもしれないので、金槌で傷口を叩いて血を流して、ニンニク酒で洗い流し<消毒し>て塩で傷口を包まれたそうだ) 13233 0 0 12896 htmvoc_13233.wav パシル パ⸢シ⸣ル [pa⸢ʃi⸣ru] 名 戸。雨戸。ヤ⸢ドゥパシ⸣ル[ja⸢dupaʃi⸣ru](戸)ともいう。老年層の言葉。 パ⸢シル⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カ⸣バン ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [pa⸢ʃiru⸣nu ⸣kanai ⸢bundda⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢ka⸣ban ⸢soːja naː⸣nu] (戸が頑丈だ<叶っている>から台風が吹いても心配はない) 13234 0 0 12897 htmvoc_13234.wav パジン パ⸢ジン [pa⸢ʤiŋ] 名 (昆)蜂。 ⸣アガパジン [⸣ʔagapaʤiŋ] (赤蜂)。⸣ガーパジン[⸣gaːpaʤiŋ](茅蜂{EOS}茅の中に巣をつくる蜂)ともいう。⸣ッふパジン[⸣ffupaʤiŋ](黒蜂{EOS}獰猛な蜂)などがいる。 ⸣ガヤー ⸣スルンティ ⸢ベーン⸣ケン パ⸢ジン⸣ ッ⸢サ⸣リティ ア⸢ガフクリ シー ベー [⸣gajaː ⸣surunti ⸢beːŋ⸣kem pa⸢ʤin⸣ s⸢sa⸣riti ʔa⸢gaɸukuri ʃiː beː] (茅を刈りているうちに、蜂に刺されて赤く腫れあがっている) 13235 0 0 12898 htmvoc_13235.wav パジンキー パ⸢ジンキー [pa⸢ʤiŋkiː] 名 (植)木の名。はぜ。はぜのき(黄櫨の木)。 パ⸢ジンキーヌ⸣ ッ⸢サーラー パン⸣ナ⸢ヨー⸣ パ⸢ジマキ スン⸠ダー [pa⸢ʤiŋkiːnu⸣ s⸢saːraː pan⸣na⸢joː⸣ pa⸢ʤimaki sun⸠daː] (\ruby{黄櫨}{ハ|ゼ}の木の下に行くなよ{EOS}かぶれる<黄櫨負けする>よ) 13236 0 0 12899 htmvoc_13236.wav パジンヌシー パ⸢ジンヌ⸣ シー [pa⸢ʤinnu⸣ ʃiː] 連 蜂の巣。 ガ⸢ヤーン⸣ミーナ パ⸢ジンヌ シーヌ⸣ アン [ga⸢jaːm⸣miːna pa⸢ʤinnu ʃiː⸣nu ⸣ʔaŋ] (茅野<原野>の中に蜂の巣がある) 13237 0 0 12900 htmvoc_13237.wav バス ⸣バス [⸣basu] 名 時。場合。実質的意味を欠いた形式名詞。 ⸢ワー イーバス⸣ キー ッ⸢ふィーレー⸣ティ ⸢タシゥカ⸣レーン [⸢waː ʔiːbasu⸣ kiː f⸢fiːreː⸣ti ⸢tasi̥ka⸣reːŋ] (君がいい時に来てくれたので助かった)。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸢ダイ⸣ダマ ⸢パスクラ⸣シティ イ⸢ズ⸣ トゥ⸢ロー⸣ル ⸣バスン ⸢アッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatuna ⸢dai⸣dama ⸢pasu̥kura⸣ʃi̥ti ʔi⸢ʣu⸣ tu⸢roː⸣ru ⸣basuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (戦後にはダイナマイトを爆発させて魚を捕られる時もあった) 13238 0 0 12901 htmvoc_13238.wav パスクリルン ⸢パスクリ⸣ルン [⸢pasu̥kuri⸣ruŋ] 自動 はじける(弾ける)。破裂する。爆発する。 カ⸢マチヌ⸣ パ⸢タ⸣ナー ⸢ピャーシング⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢パスクリ⸣ルンティ ⸢スンダ⸣ パ⸢スクリラン⸣ヨーニ シ⸢ズミ⸣リ [ka⸢maʧinu⸣ pḁ⸢ta⸣naː ⸢pjaːʃiŋgu⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢pasu̥kuri⸣runti ⸢sunda pasu̥kuriraɲ⸣joːni ʃi⸢ʣu⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri] (竈の側に爆竹を置いておくと弾ける<破裂する>というから、弾けないように片付けなさい)。 ⸣グムプーカー フ⸢クラシター パス⸣クリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣gumupuːkaː ɸu̥⸢kuraʃi̥taː pasu̥⸣kuri ⸢naː⸣nu] (ゴム風船を膨らませたら弾けてしまった)。 ⸢パスクリ⸣ル ⸣ムノー ⸢ヤー⸣ トゥ⸢グ⸣ナ [⸢pasu̥kuri⸣ru ⸣munoː ⸢jaː⸣ tu⸢gu⸣na] (弾ける物は家に持ってくるな)。 ⸢パスクリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢pasu̥kuri⸣reː ⸣misamunu] (弾ければいいのに)。 ⸢パスクリ⸣リ [⸢pasu̥kuri⸣ri] (弾けろ) 13239 0 0 12902 htmvoc_13239.wav パスクルン ⸢パス⸣クルン [⸢pasu̥⸣kuruŋ] 自動 破裂する。弾ける。爆発する。「はじく<下二段活用>」の四段活化したもの。 ⸢ピャーシンゴー パス⸣クルンユー ッ⸢サンバ⸣ マ⸢ダカ⸣シ [⸢pjaːʃiŋgoː passu̥kuri⸣ruɲjuː s⸢sassamba⸣ ma⸢daka⸣ʃi] (爆竹は破裂する<弾ける>かも知れないから、どかし<退かし>なさい)。 シ⸢ミッケー⸣リ ⸢ブンダ パスクラ⸣ヌ [ʃi⸢mikkeː⸣ri ⸢bunda pasu̥kura⸣nu] (湿っているので破裂しない<弾けない>)。 ⸣ウナー ⸣シケーンケン ⸢パス⸣クリ ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢パス⸣クル ウ⸢トー⸣ シゥ⸢カランシェン [⸣ʔunaː ⸣ʃi̥keːŋkem ⸢pasu̥⸣kuri ⸢naːnu⸣nu ⸢pasu̥⸣kuru ʔu⸢toː⸣ si̥⸢karaŋʃeŋ] (そこに置いておいたところ破裂してしまったが、破裂する音は聞かれなかった<聞こえなかった>)。 ⸢マー⸣ビン ⸢パス⸣クレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim⸢pasu̥⸣kureː ⸣misamunu] (もっと破裂すればいいのに)。 ⸢パス⸣クリ [⸢pasu̥⸣kuri] (破裂しろ<はじけろ>)。 ア⸢ガマメー ウー⸣ミ ⸢パス⸣クリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢gamameː ʔuː⸣mi ⸢pasu̥⸣kuri ⸢naː⸣nu] (小豆は完熟して弾けていまった) 13241 0 0 12903 htmvoc_13241.wav バスクン ⸢バスクン [⸢basu̥kuŋ] 他動 忘れる。「忘る<下二段活用>、~飯炊く事も和須礼提~。万、892」の四段活用化したもの。 ⸢ジーヤ⸣ カ⸢カン⸣カー ⸢バスクンダ バシゥカン⸣ヨーニ カ⸢キトゥミ⸣リ [⸢ʤiːja⸣ kḁ⸢kaŋ⸣kaː ⸢basu̥kunda basi̥kaɲ⸣joːni kḁ⸢kitumi⸣ri] (文字は書かないと忘れるから、忘れないように書きとめよ)。 ⸢バシキ⸣ ミサタンティン ⸢バスク⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢baʃi̥ki⸣ misatantim ⸢basu̥ku⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (忘れてよくても、忘れることは出来ない)。 ⸢バシケー⸣ ミサムヌ [⸢baʃi̥keː⸣ misamunu] (忘れればよいのに)。 ⸢バシキ [⸢baʃi̥ki] (忘れろ) 13240 0 0 12904 htmvoc_13240.wav パスクン ⸢パス⸣クン [⸢pasu̥⸣kuŋ] 他動 弾く。指や竹、小枝などを曲げて、そのはね返る力で打つ。 タ⸢キバ⸣ マ⸢ギティ⸣ プ⸢スバ パス⸣クンティ ⸢ベー⸣ヌ プ⸢ス パシゥカン⸣ドーシ ア⸢サビ⸣バ [tḁ⸢kiba⸣ ma⸢giti⸣ pu̥⸢su pasu̥⸣kunti ⸢beː⸣nu pu̥⸢su pasi̥kan⸣doːʃi ʔa⸢sabi⸣ba] (竹を曲げて他人を弾こうとしているが、人を弾かないで遊べよ)。 ウブシ⸢ケー⸣マ ⸢パシ⸣キティ ア⸢サブタヌ パス⸣ク ⸣ピンマー ⸢ナン⸣ゾー ア⸢タランシェン [ʔubuʃi̥⸢keː⸣ma ⸢paʃi̥⸣kiti ʔa⸢sabutanu pasu̥⸣ku ⸣pimmaː ⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢taraŋʃeŋ] (おはじきを弾いて遊んだが、弾く時はあまり当らなかった)。 ⸢ワー パシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢waː paʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (君が弾けばいいのに)。 ⸣クマーラ ⸢パシ⸣キ [⸣kumaːra ⸢paʃi̥⸣ki] (ここから弾け) 13242 0 0 12905 htmvoc_13242.wav パスコーン ⸢パス⸣コーン [⸢pasu̥⸣koːŋ] 形 はしかし。こそばゆい。むずがゆい。ちくちくと痛痒い。稲や麦などの芒<のぎ>が皮膚に浅くちくちく刺すような、痛くて痒い感じがするさま。「苛、ハシカシ」『類聚名義抄』の転訛したもの。⸢パスコー⸣ン[⸢pasu̥koː⸣ŋ](はしかし<強調>)ともいう。 ⸢マイ アーシティ⸣ ス⸢ク⸣ブ カ⸢ブ⸣ター ⸢パスコー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢mai ʔaːʃi̥ti⸣ su̥⸢ku⸣bu ka⸢bu⸣taː ⸢pasu̥koː⸣nu na⸢ra⸣nu] (稲を脱穀機にかけて脱穀してスクモ<塵埃、藻屑>を浴びたので、ちくちく刺されて痒くてたまらない)。 ⸣バー ⸢ナン⸣ゾー ⸢パスーコー ナー⸣ヌ [⸣baː ⸢nan⸣ʣoː ⸢pasu̥koː naː⸣nu] (私はあまり痒くない<はしかしくない>)。 ス⸢ク⸣ブ ⸣カブカー ⸢パスコー⸣ンダー ⸢パスコー⸣ プソー ⸣オンダー ⸢シー⸣バ [su̥⸢ku⸣bu ⸣kabukaː ⸢pasu̥koː⸣ndaː ⸢pasu̥koː⸣ pu̥soː ⸣ʔondaː ⸢ʃiː⸣ba] (塵埃を浴びると、ちくちく痛痒い<はしかしい>から、痛痒い<はしかし>時は海水浴をしなさい)。 ⸢シンダイ パス⸣コー ⸣ナルン [⸢ʃindai pasu̥⸣koː ⸣naruŋ] (次第に肌がちくちく痛痒く<はしかしく>なる) 13243 1 0 12906 htmvoc_13243.wav バスバス ⸣バスバス [⸣basubasu] 名 {PoS_1}時々。折々。 キ⸢ザルヌ⸣ バスバスヌ ⸢クームチェー⸣ ス⸢コーリ⸣ マ⸢チオーシリ⸣ヨー [ki⸢ʣarunu⸣ basubasunu kuː⸢muʧeː⸣ su̥⸢koːri⸣ ma⸢ʧi ʔoːʃiri⸣joː] (祭祀行事の折々の供物は作って供えて差し上げなさいよ)。 13243 2 0 12907 htmvoc_13243.wav バスバス ⸣バスバス [⸣basubasu] 副 {PoS_2}時としては。時には。折々には。 ⸣バスバソー ッ⸢ふァン⸣ケー イ⸢ジ⸣ ナ⸢ラー⸣シバ [⸣basubasoː f⸢faŋ⸣keː ʔi⸢ʤi⸣ na⸢raː⸣ʃiba] (時々は子供たちを叱って教えなさいよ) 13244 0 1 12908 htmvoc_13244.wav パズン ⸣パズン [⸣paʣuŋ] 他動 {Mn_1}脱ぐ。脱衣する。 ⸣キン ⸣パズンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ パ⸢ザラ⸣ヌ [⸣kim ⸣paʣunti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ pa⸢ʣara⸣nu] (着物を脱ごうとするが、ちっとも脱がれない)。 ⸣キン ⸣パズ プ⸢ソー⸣ カーナーティ ⸣パジェー ⸣ミサムヌ [⸣kim ⸣paʣu pu̥⸢soː⸣ kanaːti ⸣paʤeː ⸣misamunu] (着物を脱ぐ人はあそこで脱げばいいのに)。 ⸢キン⸣マー ⸣パジ ⸣ミサカー ⸢パー⸣ク ⸣パジ [⸢kim⸣maː ⸣paʤi ⸣misakaː ⸢paː⸣ku ⸣paʤi] (着物は、脱いでよければ早く脱げ)。 13244 0 2 12909 htmvoc_13244.wav パズン ⸣パズン [⸣paʣuŋ] 他動 {Mn_2}外す。ほどく(解く)。祈願を解く。 フ⸢バリ⸣ シケー ⸣シナー ⸢パー⸣ク ⸣パジ [ɸu⸢bari⸣ ʃikeː ⸣ʃinaː ⸢paː⸣ku ⸣paʤi] (縛ってある綱は早く外せ<解け>)。 ⸣バン ⸣パズン [⸣bam ⸣paʣuŋ] (祈願を解く) 13245 0 1 12910 htmvoc_13245.wav バタ ⸣バタ [⸣bata] 名 {Mn_1}腹。「鱁、魚乃和太<うをのわた>」『新撰字鏡』の義。 バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤムン [ba⸢ta⸣nu ⸣jamuŋ] (お腹が痛い<病む>)。 13245 0 2 12911 htmvoc_13245.wav バタ ⸣バタ [⸣bata] 名 {Mn_2}はらわた(腸)。臓物。内臓。 ⸢オー⸣ヌ ⸣バタ [⸢ʔoː⸣nu ⸣bata] (豚の腸)。 カ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス [kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣su] (カツオの内臓の塩辛)。 イ⸢ズヌ⸣ バタ ⸣トゥリ [ʔi⸢ʣunu⸣ bata ⸣turi] (魚の腸を取れ)。 13245 0 3 12912 htmvoc_13245.wav バタ ⸣バタ [⸣bata] 名 {Mn_3}なかご。瓜類の内部にある、種を含んだ柔らかい部分。 ⸢ゴーヤー⸣ヌ ⸣バター ⸣トゥリティ イ⸢ラ⸣キバ [⸢goːjaː⸣nu ⸣bataː ⸣turiti ʔi⸢ra⸣kiba] (にがうり<苦瓜>の中子を取り去って炒めなさい)。 13245 0 4 12913 htmvoc_13245.wav バタ ⸣バタ [⸣bata] 名 {Mn_4}布団の中身の綿。餅の餡。 ウ⸢ズ⸣ヌ ⸣バタ ク⸢ミ⸣ルン [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣bata ku⸢mi⸣ruŋ] (布団の中身の綿を籠める)。 13245 0 5 12914 htmvoc_13245.wav バタ ⸣バタ [⸣bata] 名 {Mn_5}心。 プ⸢スヌ⸣ バ⸢タ⸣ウチェー ワ⸢カラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ba⸢ta⸣ʔuʧeː wa⸢kara⸣nu] (他人の内心は分からないものだ)。 ⸣バター ⸢ムイブンドゥ⸣ ウ⸢シダマリ ベー [⸣bataː ⸢muibundu⸣ ʔu⸢ʃidamari beː] (腹は煮えたぎっているが、押し黙っている)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イツバタ ヤ⸢ロー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔiʦubata ja⸢roː⸣ru] (あの人は心の美しい方<絹の\ruby{腸}{ハラワタ}{EOS}絹の心>でいらっしゃる) 13247 0 0 12915 htmvoc_13247.wav バタ ⸣バタ [⸣bata] 名 湾。入り江。「ささ波の志賀の大和太<ワダ>よどむとも~。万、31」の「和太」の転訛したもの。 フ⸢ノーラ⸣ヌ ⸣バタダーチ ⸣フネー ⸢マーシェー⸣ティ バ⸢タリ クー⸣タ [ɸu⸢noːra⸣nu ⸣batadaːʧi ⸣ɸuneː ⸢maːʃeː⸣ti ba⸢tari kuː⸣ta] (船浦湾の湾沿いに舟を回して<漕ぎ回して>渡ってきた) 13248 0 0 12916 htmvoc_13248.wav パタ パ⸢タ [pḁ⸢ta] 名 旗。大漁旗。「\ruby{幡}{バン} \ruby{旒附}{リュウ|フ} 考工記云幡(音翻 和名波太)~」『二十巻本和名抄』の義。カツオ漁船は漁獲高によって、ヒ⸢ノマル[çi⸢nomaru](日の丸{EOS}漁獲高約300キロ)、ア⸢ガパタ[ʔa⸢gapata](赤旗{EOS}漁獲高約500キロ)、⸢ミール[⸢miːru](三色の旗{EOS}漁獲高約800キロ)、⸢グイル[⸢guiru](五色の旗{EOS}漁獲高約1000キロ)等の旗を立てて帰港した。 カ⸢ツシンマー タイロー スー⸣カー パ⸢ター⸣ タティティル ⸣ウケーラ ⸢カイ⸣リ ⸢クー⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː tairoː suː⸣kaː pḁ⸢taː⸣ tatitiru ⸣ʔukeːra ⸢kai⸣ri ⸢kuː⸣ta] (カツオ漁船は大漁すると旗を立てて<ぞ>沖<漁場>から帰港した<家に帰ってきた>) 13249 0 1 12917 htmvoc_13249.wav パタ パ⸢タ [pḁ⸢ta] 名 {Mn_1}ふち(縁)。へり。周囲。 フ⸢チヌ⸣ パ⸢タ⸣ナー イ⸢ガヌ⸣ ッ⸢ふェー⸣ヌ ⸣シキ ⸢ベー [ɸu̥⸢ʧinu⸣ pḁ⸢ta⸣naː ʔi⸢ganu⸣ f⸢feː⸣nu ⸣ʃi̥ki ⸢beː] (口の周囲に烏賊の墨が付いている)。 13249 0 2 12918 htmvoc_13249.wav パタ パ⸢タ [pḁ⸢ta] 名 {Mn_2}側。 ⸢ダイ⸣ケーヤ ⸢カーヌ⸣ パ⸢タ⸣ナー ⸣アリ⸢ベー⸣ティル ⸢カーンパタ⸣ヤーティ ア⸢ズ⸣ダー [⸢dai⸣keːja ⸢kaːnu⸣ pḁ⸢ta⸣naː ⸣ʔari ⸢beː⸣tiru ⸢kaːmpata⸣jaːti ʔa⸢ʣu⸣daː] (大工家は西村井戸の側にあるのでカーンパタヤー<井戸端の家>というのだよ)。 パ⸢タカキマカル [pḁ⸢takakimakaru] (縁欠碗) 13250 0 0 12919 htmvoc_13250.wav パダ ⸣パダ [⸣pada] 名 肌。皮膚。「あからひく 秦不經<肌も触れずて>~。万、2399」、「連膚、連訓安牟、下波太<ハダ>、音普」『新訳華厳経音儀私記』の転訛。 パ⸢ダ カイ⸣ヤン [pa⸢da kai⸣jaŋ] (肌が美しい)。 パ⸢ダ ヨー⸣ンダ ム⸢シン⸣ ッ⸢サ⸣リカー シ⸢グ⸣ フ⸢クリス [pa⸢dajoː⸣nda mu⸢ʃin⸣ s⸢sa⸣rikaː ʃi⸢gu⸣ ɸu̥⸢kurisu] (肌が弱いから虫に刺されると、すぐ腫れる)。 ⸣パダ ⸣ヤブン [⸣pada ⸣jabuŋ] (肌が破れる{EOS}ハンセン病になる)。 パ⸢ダ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤー⸢ヨー⸣ ン⸢キコーマ⸣ヌ ⸣カタチニル ⸢ブー [pa⸢da⸣nu ⸢kai⸣jaː⸢joː⸣ ʔŋ⸢kikoːma⸣nu ⸣kḁtaʧiniru ⸢buː] (肌が美しいことよ、むき卵のようだ) 13251 0 0 12920 htmvoc_13251.wav パダ ⸣パダ [⸣pada] 名 ころ。時。時分。時節。時代。 マ⸢ナ⸣マー ア⸢サビパダ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ トゥ⸢レー⸣シ ア⸢サビプサ⸣ル ⸣アル [ma⸢na⸣maː ʔa⸢sabipada⸣ ja⸢runda⸣ tu⸢reː⸣ʃi ʔa⸢sabipusa⸣ru ⸣ʔaru] (今は遊びたい年頃だから、友達同士連れ立って遊びたいのだ)。 ビ⸢コーンッふァー⸣ ター⸢ン⸣ ヤ⸢マン⸣グパダー ア⸢リ⸣ル フ⸢ドゥビ⸣ クーユンダ ⸣ドゥク イ⸢ズナ [bi⸢koːŋffaː⸣ taː⸢ɲ⸣ ja⸢maŋ⸣gu padaː ʔa⸢ri⸣ru ɸu⸢dubi⸣ kuːjunda ⸣duku ʔi⸢ʣuna] (男の子は誰もいたずら盛りの時期があって成長してくるのだから、あんまり叱るな)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢ヌウムイ⸣パダナー ザ⸢マンドゥラス⸣ナ⸢ヨー [ja⸢ra⸣beː mu⸢nuʔumui⸣padanaː ʣa⸢mandurasu⸣na⸢joː] (子供は、思春期に思い悩ませることはするなよ) 13252 0 0 12921 htmvoc_13252.wav バターウイナスン ⸣バター ⸢ウイ⸣ ナスン [⸣bataː ⸢ʔui⸣ nasuŋ] 連 仰向けに寝る。「腹を上になす」の義。ア⸢バナクン[ʔa⸢banakuŋ](仰向けに寝る)、ウ⸢ツァバナ⸣クン[ʔu⸢ʦabana⸣kuŋ](仰向けになる{EOS}仰向けに寝る{EOS}卑語)ともいう。 ⸣スブットーヤ シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ バター ⸢ウイ⸣ ナシ ニ⸢ビベー [⸣subuttoːja ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ bataː ⸢ʔui⸣ naʃi ni⸢bi beː] (怠け者野郎めが、仕事はしないで仰向けになって寝ているよ) 13329 0 0 12922 htmvoc_13329.wav バターナールン ⸣バター ⸢ナールン [⸣bataː ⸢naːruŋ] 連 腹が突き出る。妊婦のお腹が出てくる。 ⸣バター ⸢ナーリ ブンダ⸣ ビ⸢コーンッふァ⸣ ヤ⸢ル⸣パジ [⸣bataː ⸢naːri bunda⸣ bi⸢koːŋffa⸣ ja⸢ru⸣paʤi] (お腹が突き出ているから<胎児は>男の子だはず) 13333 0 0 12923 htmvoc_13333.wav パダーナーンムヌ ⸣パダー ⸢ナーン⸣ ムヌ [⸣padaː ⸢naːm⸣ munu] 連 しまりのない者。落ち着きのない者。悪ふざけをする者。女癖の悪い者。 ウ⸢レー⸣ パダー ⸢ナーン⸣ ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー アシキララ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ padaː ⸢naːm⸣ munu ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː ʔaʃi̥kirara⸣nu] (彼はしまりのない悪ふざけをする者だから、彼には預けられない) 13353 0 0 12924 htmvoc_13353.wav バターフツルンケーリ ⸣バター フ⸢ツルンケー⸣リ [⸣bataː ɸu̥⸢ʦuruŋkeː⸣ri] 副 激しく怒り。はらわたが煮え返って。腸が煮えくり返り。 ⸣バター フ⸢ツルンケー⸣リ ⸢ベー⸣ンドゥ ナー⸢イ⸣ ダ⸢マ⸣リ ⸢ベー⸠ダー [⸣bataː ɸu̥⸢ʦuruŋkeː⸣ri ⸢beː⸣ndu naː⸢i⸣ da⸢ma⸣ri ⸢beː⸠daː] (腸は煮えくり返っているが、じっと黙っているんだよ) 13256 0 0 12925 htmvoc_13256.wav バターマ バ⸢ター⸣マ [ba⸢taː⸣ma] 名 小腸。ウ⸢ブ⸣バタ[ʔu⸢bu⸣bata](大腸)の対義語。 ⸢オー⸣ヌ バ⸢ター⸣マ ⸢カイ⸣ キー ナ⸢カミー⸣ヌ ⸢シームヌ⸣ バ⸢カシ⸣バ [⸢ʔoː⸣nu ba⸢taː⸣ma ⸢kai⸣ kiː na⸢kamiː⸣nu ⸢ʃiːmunu⸣ ba⸢kaʃi⸣ba] (豚の小腸を買ってきて、中身<臓物>の吸い物を炊きなさい) 13246 0 0 12926 htmvoc_13246.wav バタアウニブー ⸣バタ ⸢アウニ ブー [⸣bata ⸢ʔauni buː] 連 お腹が空になっている。妊娠していない。 ユ⸢メー⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸣バター ⸢アウニブー [ju⸢meː⸣ ma⸢na⸣maː ⸣bataː ⸢ʔauni buː] (嫁は、今は懐妊していない<お腹が空になっている{EOS}空いている>) 13253 0 0 12927 htmvoc_13253.wav バタアスクン ⸣バタ ⸢アス⸣クン [⸣bata ⸢ʔasu̥⸣kuŋ] 連 腹を預ける。お産の軽い人に肖る呪術行為。お産の重い人がお産の軽い人に対して、宜しくと頼むこと。 ム⸢カ⸣シェー ⸣シラ カ⸢ロー⸣ル プ⸢スン⸣ バタ ⸢アシ⸣キ ⸢シェー⸣ティ ッ⸢ふァ⸣ ナス プ⸢スン ⸢オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʃira ka⸢roː⸣ru pu̥⸢sum⸣ bata ⸢ʔaʃi̥⸣ki ⸢ʃeː⸣ti f⸢fa⸣ nasu pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣tanʦoː] (昔はお産の軽い人に腹を預けることをして子を生む人も居られたそうだよ) 13255 0 0 12928 htmvoc_13255.wav バタイシ バ⸢タ⸣イシ [ba⸢ta⸣ʔiʃi] 名 石垣を積む際に、表側と裏側の二重石積みの間に入れる小石。「腹石」の義。 バ⸢タ⸣イシ イ⸢ル⸣カー ⸢グス⸣コー ⸢スー⸣ヤ(ワ) ⸣ナリティ ⸢クーリラ⸣ヌ [ba⸢ta⸣ʔiʃi ʔi⸢ru⸣kaː ⸢gusu̥⸣koː ⸢suː⸣ja(wa) ⸣nariti ⸢kuːrira⸣nu] (腹石を入れると石垣は強くなって崩れない) 13257 0 0 12929 htmvoc_13257.wav バタイリ バ⸢タ⸣イリ [ba⸢ta⸣ʔiri] 名 綿入れ。綿を入れた冬着。⸢タン⸣ジン[⸢tan⸣ʤiŋ](丹前)ともいう。一般の人は着用できなかった。標準語からの借用語。 ⸢ピー⸣ヤンダ バ⸢タ⸣イリ キ⸢サン⸣カー ⸢ヤー⸣ヌ⸣フカー ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢piː⸣janda ba⸢ta⸣ʔiri ki⸢saŋ⸣kaː ⸢jaː⸣nu ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (寒いので綿入れを着ないと家の外へは出られない) 13258 0 0 12930 htmvoc_13258.wav バタイリムチ バ⸢タイリ⸣ムチ [ba⸢taʔiri⸣muʧi] 名 あんもち(餡餅)。普通は⸢アン⸣ムチ[⸢ʔam⸣muʧi](餡餅)、バ⸢タ⸣ムチ[ba⸢ta⸣muʧi](餡をを入れた餅{EOS}「腸餅」の義)という。 ⸣アボー ス⸢ク⸣ロール グ⸢マ⸣ヌ バ⸢タイリ⸣ムチェー イ⸢カス⸣ク ン⸢マー⸣ワ⸢ツォー [⸣ʔaboː su̥⸢ku⸣roːru gu⸢ma⸣nu ba⸢taʔiri⸣muʧeː ʔi⸢ka⸣su̥ku ʔm⸢maː⸣wa⸢ʦoː] (お母さんが作られる胡麻餡入りの餅はどんなに美味しいことかってば) 13259 0 0 12931 htmvoc_13259.wav バタウチ バ⸢タ⸣ウチ [ba⸢ta⸣ʔuʧi] 名 内心。腹の中。胸中。「腹内」の義。 プ⸢スヌ⸣ バ⸢タ⸣ウチェー ワ⸢カラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ba⸢ta⸣ʔuʧeː wa⸢kara⸣nu] (他人の腹の中<内心>は分からないものだ)。 ク⸢ヌ⸣ クトー ⸢ワー タンガ⸣ヌ バ⸢タ⸣ウチナー トゥ⸢ドゥ⸣ミ シ⸢キ⸣リ プ⸢スンナー⸣ネー イッ⸢カ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ku̥toː ⸢waː taŋga⸣nu ba⸢ta⸣ʔuʧinaː tu⸢du⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri pu̥⸢sunnaː⸣neː ʔik⸢ka⸣ pa⸢na⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (この件<こと>は君一人の腹の内に納め<とどめて>ておけ、他人には決して話してはならない) 13262 0 0 12932 htmvoc_13262.wav パダカ パ⸢ダ⸣カ [pa⸢da⸣ka] 名 裸。「裸、波太加奈利<はだかなり>」『新撰字鏡』の義。 マ⸢ルパダカ [ma⸢rupadaka] (丸裸)。 ア⸢ガパダカ [ʔa⸢gapadaka] (全裸{EOS}丸裸)。 ⸢マーパダカ [⸢maːpadaka] (真っ裸)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー パ⸢ダ⸣カ ⸣ナリティル ⸣オンダー シ⸢タル [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː pa⸢da⸣ka ⸣naritiru ⸣ʔondaː ʃi̥⸢taru] (子供の頃は裸になって海水浴をしたものだ)。 ⸣アツァバティ ⸢シー⸣ パ⸢ダ⸣カナシ ニ⸢バス⸣カー パ⸢ナシキ フシゥカラ⸣スン⸢ダー [⸣ʔaʦabati ⸢ʃiː⸣ pa⸢da⸣ka ⸣naʃi ni⸢basu⸣kaː pa⸢naʃi̥ki ɸusï̥kara⸣sun⸢daː] (暑いからといって裸にして寝かせると風邪をひかせる<鼻風邪(鼻つき)をくっつかせる>ぞ) 13260 0 0 12933 htmvoc_13260.wav バタガー バ⸢タ⸣ガー [ba⸢ta⸣gaː] 名 腹の皮。 ウ⸢シヌ⸣ バ⸢タ⸣ガーシル ⸢タイ⸣コー パ⸢ル⸣ティ⸢ダー [ʔu⸢ʃinu⸣ ba⸢ta⸣gaːʃiru ⸢tai⸣koː pa⸢ru⸣ti⸢daː] (牛の腹の皮で太鼓を張るそうだよ) 13261 0 0 12934 htmvoc_13261.wav パタガー パ⸢タガー [pḁ⸢tagaː] 名 \ruby{鍋縁}{ナベ|ブチ}に張り付く黒糖。黒糖を製造する際に砂糖黍の汁を煮詰める鍋の内側に張り付く薄い黒糖。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢シートーヤーン⸣ アリティ ⸣サタ ⸣タリ ⸢オーッタ⸣ヌ ⸢ウン⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タ パ⸢タガーヌ⸣ ア⸢ジェー バシキララヌ [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣manaːŋ ⸢ʃiːtoːjaːŋ⸣ ʔariti ⸣sḁta ⸣tari⸢ʔoːtta⸣nu ⸢ʔuŋ⸣ f⸢faːsoːt⸣ta pḁ⸢tagaːnu⸣ ʔa⸢ʤeː baʃi̥kiraranu] (昔は鳩間島にも製糖小屋があって、黍汁を煮詰めて黒糖を作っておられたが、あの時に食べさせて下さった、鍋縁に張りつく薄い黒糖の味が忘れられない) 13263 0 0 12935 htmvoc_13263.wav バタカーラスン ⸣バタ ⸢カーラ⸣スン [⸣bata ⸢kaːra⸣suŋ] 連 空複を凌ぐために少量の食物をとる。空腹を紛らわすために少量の代用食をとる。 ⸢ユー⸣ボンスコール ⸢スン⸣ケン ⸢サーフキ⸣ヌ ヌ⸢カ⸣ローンツァン ッ⸢ふァイティ⸣ バタ ⸢カーラ⸣シバ [⸢juː⸣bonsu̥koːru ⸢suŋ⸣ken ⸢saːɸu̥ki⸣nu nu⸢ka⸣roːnʦaŋ f⸢faiti⸣ bata ⸢kaːra⸣ʃiba] (夕食の支度ができるまで、茶請けの残りものだけでも食べて空腹を紛らわしなさいよ) 13264 0 0 12936 htmvoc_13264.wav バタカイヤン ⸣バタ ⸢カイ⸣ヤン [⸣bata ⸢kai⸣jaŋ] 連 心が美しい。こころね(心根)が優しい。我慢強い。キ⸢ムカイ⸣ヤン[ki⸢mukai⸣jaŋ]ともいう。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ バタ ⸢カイ⸣ヤル プ⸢ス ユン⸣ アイニ イ⸢ザリタンティン クン⸣ゾー ウ⸢クラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ bata ⸢kai⸣jaru pu̥⸢su juŋ⸣ ʔaini ʔi⸢ʣaritantiŋ kun⸣ʣoː ʔu⸢kura⸣nu] (彼は非常に心根の優しい人だ{EOS}あんなに叱られても腹を立てない) 13265 0 0 12937 htmvoc_13265.wav パダカイヤン ⸣パダ ⸢カイ⸣ヤン [⸣pada ⸢kai⸣jaŋ] 連 肌が美しい<綺麗である>。肌の色が白く、きめ<木目>が細かい。 ⸢クン⸣ネヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ムー⸢ル⸣ パダ ⸢カイ⸣ヤン [⸢ʔun⸣nenu mi⸢doːŋ⸣ffaː muː⸢ru⸣ pada ⸢kai⸣jaŋ] (その家の女の子はみんな肌が美しい) 13266 0 0 12938 htmvoc_13266.wav パダカウワン パ⸢ダカウ⸣ワン [pa⸢dakau⸣waŋ] 形 怖くて身震いするさま。怖くて寒気立つ。悪寒をおぼえるほど怖い。おじけだつ。身の毛立つ。ぞっとする。 ⸢キーヌパン⸣ター ⸢ヌール⸣カー パ⸢ダカウワ⸣ヌ ッ⸢サンター⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ<ミリ⸢サヌ> [⸢kiːnupan⸣taː ⸢nuː⸣rukaː pa⸢dakauwa⸣nu s⸢santaː⸣ mi⸢rara⸣nu] (木の先端に登ると怖くて下を見られない)。 パ⸢ダカウ⸣ワンダー ⸢ウンター ヌールナ [pa⸢dakau⸣wandaː ⸢ʔuntaː nuːruna] (怖いから上に登るな)。 ⸢ウンター ヌールアー⸣シ パ⸢ダカウ⸣ワ ⸣ナルン [⸢ʔuntaː nuːru ʔaː⸣ʃi pa⸢dakau⸣waː ⸣naruŋ] (上に登るにつれて怖くなる)。 パ⸢ダカウワ ナー⸣ヌ [pa⸢dakauwaː naː⸣nu] (身震いするほど怖くない<寒気立たない>)。 パ⸢ダカウ⸣ワ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢dakau⸣wa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (身震いするほど怖いことはない) 13267 0 0 12939 htmvoc_13267.wav パタカキムヌ パ⸢タカキムヌ [pḁ⸢takakimunu] 名 茶碗など陶器類の縁が一部分欠けたもの。縁が欠けた不良品。フ⸢チカキムヌ[ɸu̥⸢ʧikakimunu](口欠けもの)ともいう。 パ⸢タカキムノー カーサラヌ [pḁ⸢takakimunoː kaːsaranu] (陶器類の縁の欠けたものは売れない) 13268 0 0 12940 htmvoc_13268.wav パダカムン パ⸢ダカ⸣ムン [pa⸢daka⸣muŋ] 名 裸麦。麦の穂にのぎ<芒>が少なく、脱穀しやすい麦。 パ⸢ダカムン⸣マー ⸢ナン⸣ゾー ス⸢クラン⸣シェン [pa⸢dakamum⸣maː ⸢nan⸣ʣoː su̥⸢kuraŋ⸣ʃeŋ] (裸麦はあまり作らなかった) 13269 0 0 12941 htmvoc_13269.wav バタカルン ⸣バタ カ⸢ルン [⸣bata ka⸢ruŋ] 連 経産婦の腹を名義的に借りること。妊婦が胎児との相性が悪い時、相性の良い経産婦のお腹を名義的に借りること 13270 0 1 12942 htmvoc_13270.wav バタカローン ⸣バタ カ⸢ロー⸣ン [⸣bata ka⸢roː⸣ŋ] 連 {Mn_1}お産が軽い。安産である。 ⸣バタ カ⸢ロー⸣ル プ⸢ソー⸣ ギュ⸢タール⸣ ナ⸢サ⸣バン ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸣bata ka⸢roː⸣ru pu̥⸢soː⸣ gju⸢taːru⸣ na⸢a⸣ban ⸢soːja naː⸣nu] (お産の軽い人は何人産んでも心配はない)。 13270 0 2 12943 htmvoc_13270.wav バタカローン ⸣バタ カ⸢ロー⸣ン [⸣bata ka⸢roː⸣ŋ] 連 {Mn_2}お腹が軽い。 ⸢イー⸣ヤ ⸣バタ ハ⸢チブナー⸣ル ッ⸢ふァイブンダ⸣ バタ カ⸢ロー⸣ン [⸢ʔiː⸣ja ⸣bata hḁ⸢ʧibunaː⸣ru f⸢faibunda⸣ bata ka⸢roː⸣ŋ] (ご飯は腹八分ずつ食べているので、お腹は軽い) 13271 0 0 12944 htmvoc_13271.wav パタキ パ⸢タ⸣キ [pḁ⸢ta⸣ki] 名 畑。「~蒔きし波多氣毛~。万、4122」、「陸田種子、<ハタケツモノ>」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ウ⸢ブパタ⸣キ [ʔu⸢bupata⸣ki] (大きな畑)。 パ⸢タケー⸣マ [pḁ⸢takeː⸣ma] (小さな畑)。 パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スン [pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣suŋ] (畑を耕す)。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザ [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣaː] (畑の畦)。 ア⸢ラシ⸣ ア⸢クン [ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢kuŋ] (開墾する)。畑を開墾する際は、先ず原野の⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](ススキ)を焼く。その後、立ち枯れのススキを刈り取る。これを、ヤ⸢キバイ⸣スリ[ja⸢kibai⸣suri](焼けたススキ刈り)という。立ち枯れのススキをヤ⸢キバイ[ja⸢kibai]という。ススキの刈り株を掘り起こして土地を耕すことを、ア⸢ラシアキ[ʔa⸢raʃiʔaki](新仕開け<開墾>)という。その次に、マ⸢タカイシ[ma⸢takaiʃi](又耕し{EOS}二度打ち)をして作付けした。 ヤ⸢キバイ⸣ スリティ ア⸢ラシ⸣ ア⸢キ⸣ パ⸢タ⸣キ ス⸢ク⸣ローッタ [ja⸢kibai⸣ suriti ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢ki⸣ pḁ⸢ta⸣ki su̥⸢ku⸣roːtta] (焼き払ったススキを刈り取って開墾して畑を作られた) 13272 0 0 12945 htmvoc_13272.wav パダギ パ⸢ダ⸣ギ [pa⸢da⸣gi] 名 肌着。標準語からの借用語が転訛したもの。老年層は、⸣ジバン[⸣ʤibaŋ](襦袢)と言った。 ⸢キュー⸣ヤ ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ パ⸢ダ⸣ギ ⸢タン⸣ガ キ⸢シ ベー [⸢kjuː⸣ja du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati pa⸢da⸣gi ⸢taŋ⸣ga ki̥⸢ʃibeː] (今日は、あまりにも暑いので肌着だけ着ている) 13273 0 0 12946 htmvoc_13273.wav パタキウヤザ パ⸢タキウヤ⸣ザ [pḁ⸢takiʔuja⸣ʣa] 名 (動)野鼠。「畑鼠」の義。 パ⸢タキウヤザ⸣ヌ ウ⸢スマ⸣シスコー ⸣シディティ パ⸢タキ⸣ヌ ⸢ウン⸣マー ムー⸢ル⸣ シ⸢ラリ ナー⸣ヌ [pḁ⸢takiʔujaʣa⸣nu ʔu⸢suma⸣ʃisu̥koː ⸣ʃiditi pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʔum⸣maː muː⸢ru⸣ ʃi⸢rari naː⸣nu] (野鼠が異常発生<おぞましいほど発生>して畑の芋は全部やられてしまった) 13274 0 0 12947 htmvoc_13274.wav バタキクッツァーン バ⸢タキクッ⸣ツァーン [ba⸢takikut⸣ʦaːŋ] 形 腹具合がわるい。「腹が重苦しい」の義。 ⸢ヌー⸣ヌ ア⸢タラン⸣ターユー バ⸢タキクッツァー⸣ヌ ナ⸢ラン⸣サー [⸢nuː⸣nu ʔa⸢taran⸣taːjuː ba⸢takikutʦaː⸣nu na⸢ran⸣saː] (何が合わなかったのか、腹具合が悪くてたまらないよ)。 バ⸢タキクッ⸣ツァーンティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー バ⸢タキクッツァーナーン⸣ティバン [ba⸢takikut⸣ʦaːnti su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː ba⸢takikutʦaːnaːn⸣tibaŋ] (腹具合が悪いと聞いたんだが、それほど腹具合は悪くないんだってよ)。 バ⸢タキクッ⸣ツァー ⸣ナリクン [ba⸢takikut⸣ʦaː narikuŋ] (腹具合が悪くなってくる) 13275 0 0 12948 htmvoc_13275.wav パダキクッツァーン パ⸢ダキクッ⸣ツァーン [pa⸢dakikut⸣ʦaːŋ] 形 蒸し暑くて息苦しい。暑苦しい。熱気がこもって不快である。 ナ⸢チェー⸣ ン⸢ブリオーシ⸣キ ⸣ナリティ パ⸢ダキクッツァー⸣ヌ ニ⸢バラヌ [na⸢ʧeː⸣ ʔm⸢buriʔoʃi̥⸣ki ⸣nariti pa⸢dakikutʦaː⸣nu ni⸢baranu] (夏は蒸し暑い天気になって、暑苦しくて眠られない)。 パ⸢ダキクッ⸣ツァーンティ ア⸢ズヌ⸣ カ⸢マ⸣トゥ ア⸢ティル⸣カー パ⸢ダキクッツァー ナー⸣ヌ [pa⸢dakikut⸣ʦaːnti ʔa⸢ʣunu⸣ ka⸢ma⸣tu ʔa⸢tiru⸣kaː pa⸢dakikutʦaː naː⸣nu] (暑苦しいというけれど、あそこと較べれば暑苦しくないよ)。 ⸢シンダイ⸣ パ⸢ダキクッ⸣ツァー ⸣ナリクン [⸢ʃindai⸣ pa⸢dakikut⸣ʦaː ⸣narikuŋ] (次第に暑苦しくなってくる)。 パ⸢ダキクッ⸣ツァー ⸣ピンマー ⸢ピーリ⸣ミジ ア⸢ミ⸣バ [pa⸢dakikut⸣ʦaː ⸣pimmaː ⸢piːri⸣miʤi ʔa⸢mi⸣ba] (暑苦しい時は冷や水を浴びなさいよ) 13276 0 0 12949 htmvoc_13276.wav パタキシグトゥ パ⸢タキシグ⸣トゥ [pḁ⸢takiʃigu⸣tu] 名 畑仕事。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢ヨーコイ⸣ ナ⸢ラ⸣バール パ⸢タキシグ⸣トー ⸣ナル [ti⸢da⸣nu ⸢joːkoi⸣ na⸢ra⸣baːraru pḁ⸢takiʃigu⸣toː ⸣naru] (太陽が傾いて暑気が緩む<夕影の>頃になってから<頃になればぞ>畑仕事はできる) 13277 0 0 12950 htmvoc_13277.wav パタキスクリプス パ⸢タキスクリ⸣プス [pḁ⸢takisu̥kuri⸣pu̥su] 名 農夫。畑作人。百姓。「畑作り人」の義。 ⸣アブジェー パ⸢タキスクリプス⸣ヌ ⸣ティフン ヤ⸢ロー⸣ルンダ パ⸢タキ⸣ヌ シ⸢キゴイン⸣ ク⸢メーキ⸣ ス⸢ク⸣ロールン [⸣ʔabuʤeː pḁ⸢takisu̥kuripusu⸣nu ⸣ti̥ɸuɲ ja⸢roː⸣runda pḁ⸢taki⸣nu ʃi̥⸢kigoiŋ⸣ ku⸢meːki⸣ su̥⸢ku⸣roːruŋ] (お祖父さんは畑作人の手本であられるから、畑の堆肥<敷き肥>造りも細かく念入りに造られる) 13278 0 0 12951 htmvoc_13278.wav パタキトゥナル パ⸢タキトゥナ⸣ル [pḁ⸢takituna⸣ru] 名 畑隣り。畑がと隣り合っていること。 ⸢ウン⸣ネートー パ⸢タキトゥナ⸣ル ヤ⸢ルンダ⸣ マー⸢ズン⸣シル パ⸢タ⸣ケーン ⸢パッタ⸣ル [⸢ʔun⸣neːtoː pḁ⸢takituna⸣ru ja⸢runda⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ʃiru pḁ⸢ta⸣keːm ⸢patta⸣ru] (あの家とは畑隣だから一緒に畑へも行ったものだ) 13279 0 0 12952 htmvoc_13279.wav パタキドング パ⸢タキドン⸣グ [pḁ⸢takidoŋ⸣gu] 名 畑道具。鍬、鎌、箆などの農具。 パ⸢タキドン⸣ゴー イ⸢チン⸣ ピ⸢カラ⸣シ シキ⸢ヨー [pḁ⸢takidoŋ⸣goː ʔi⸢ʧim⸣ pi̥⸢kara⸣ʃi ⸣ʃi̥ki⸢joː] (畑道具<農具>は、いつも磨いて<光らせて>おけよ) 13280 0 0 12953 htmvoc_13280.wav パタキヌッサソールン パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサ ⸢ソールン [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssa ⸢soːruŋ] 連 畑の草をへら<箆>で鋤き起こして取る<除草する>。 ア⸢サカイナー⸣ル パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサー ⸢ソール⸣ アツァサーリ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [ʔa⸢sakainaː⸣ru pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssaː ⸢soːru⸣ ʔaʦasaːri ⸣nuːja ʔu⸢reː] (朝の涼しいうちに<朝影に>畑の草取りはするのであって、暑いのに何ですか、これは{EOS}) 13281 0 0 12954 htmvoc_13281.wav パダキネーン パ⸢ダキネー⸣ン [pa⸢dakineː⸣ŋ] 形 いたずらっこ(悪戯っ児)である。腕白である。暴れん坊である。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ パ⸢ダキネー⸣ンティ ス⸢クタヌ⸣ アイ⸢スン⸣スコー<アイ⸢スー⸣スコー> パ⸢ダキネー ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pa⸢dakineː⸣nti su̥⸢kutanu⸣ ʔai⸢sun⸣su̥koː<ʔai⸢suː⸣sukoː> pa⸢dakineː naː⸣nu] (この子は悪戯っ子<腕白坊主>であると聞いたが、それほど腕白ではない)。 パ⸢ダキネー⸣ヌ ⸢バン⸣マー ⸢アシゥカーラヌ [pa⸢dakineː⸣nu ⸢bam⸣maː ⸢ʔasi̥kaːranu] (あまりにも悪戯っ子<腕白>で、私には扱えない)。 ⸢シンダイ⸣ パ⸢ダキネー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ pa⸢dakineː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (次第に悪戯っ子<腕白坊主>になってしまった)。 ⸣アイニ パ⸢ダキネー⸣(ル) ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini pa⸢dakineː⸣(ru) f⸢faː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに腕白な子供はいない) 13282 0 0 12955 htmvoc_13282.wav パタキマール パ⸢タキマー⸣ル [pḁ⸢takimaː⸣ru] 名 畑の見回り。作物の生育状況や鳥虫害の有無などを調べ、収穫時期の予想をたてるために畑を見回ること。 ⸣ユー パ⸢タキマー⸣ル ⸢ソー⸣ルンダ ス⸢クリ⸣ムヌナー キ⸢ジェー ピー⸣チン ⸢ナー⸣ヌ [⸣juː pḁ⸢takimaː⸣ru ⸢soː⸣runda su̥⸢kuri⸣mununaː ki⸢ʤeː piː⸣ʧin ⸢naː⸣nu] (よく畑の見回りをされるので、作物には、傷は一つもない) 13283 0 0 12956 htmvoc_13283.wav パタキマイ パ⸢タキ⸣マイ [pḁ⸢taki⸣mai] 名 陸稲。おかぼ。「畑米」の義。終戦後の一時期、西表島から陸稲が導入されたことがあったが、味が不味く、鳩間島では定着しなかった。 パ⸢タキマイ⸣ヌ ア⸢ジェー ナン⸣ゾー ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナーン⸣シェン [pḁ⸢takimai⸣nu ʔa⸢ʤeː nan⸣ʣoː ⸢daːs⸣saː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (陸稲の味はあまり良くなかった) 13284 0 0 12957 htmvoc_13284.wav パタキヤーマ パ⸢タキヤー⸣マ [pḁ⸢takijaː⸣ma] 名 畑小屋。畑の側に小さな小屋を作って畑作業の後、休憩をしたり、昼食のための湯茶をたてたりしたところ。戦後はほとんどなくなってしまった。 ⸣アブジェー パ⸢タキヤー⸣マナー ⸢ユー⸣クイティ ⸣ウナー プ⸢スマニビン ソーッ⸣タツォー [⸣ʔabuʤeː pḁ⸢takijaː⸣manaː ⸢juː⸣kuiti ⸣ʔunaː pu̥⸢sumanibin soːt⸣taʦoː] (お祖父さんは畑小屋で休憩をして、そこで昼寝もされたそうだ) 13285 0 0 12958 htmvoc_13285.wav パダキン パ⸢ダ⸣キン [pa⸢da⸣kiŋ] 名 肌着。⸣ジバン[⸣ʤibaŋ](ジバン{EOS}gibão<ポルトガル語、肌着>の転訛したもの{EOS}襦袢{EOS})ともいう。 ナ⸢チェー⸣ アツァンダ パ⸢ダ⸣キン プ⸢スッ⸣クビシ ス⸢グサ⸣リン<⸢トゥーサ⸣リン> [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦanda pa⸢da⸣kim pu̥⸢suk⸣kubiʃi su⸢gusa⸣riŋ<⸢tuːsa⸣riŋ>] (夏は暑いから肌着一着で過ごされる) 13286 0 0 12959 htmvoc_13286.wav パタキンガナ パ⸢タキンガ⸣ナ [pḁ⸢takiʔŋga⸣na] 名 畑で栽培したにがな<苦菜>。栽培にがな。「畑苦菜」の義。⸢ヌーンガ⸣ナ[⸢nuːʔŋga⸣na](野苦菜{EOS}野生の苦菜)の対義語。 パ⸢タキンガ⸣ナー バ⸢タ⸣ヌ フ⸢チ⸣ルティ ⸢シール⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [pḁ⸢takiʔŋga⸣naː ba⸢ta⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiːru⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (栽培苦菜はお腹の薬として栽培さ<作ら>れた) 13287 0 0 12960 htmvoc_13287.wav バタククチ バ⸢タクク⸣チ [ba⸢takuku⸣ʧi] 名 腹具合。胃腸の調子。「腹心地」の義。 バ⸢タククチ⸣ヌ ムッ⸢トゥ マーダーッサー ナーン⸣サー [ba⸢takukuʧinu mut⸢tu maːdaːssaː naːn⸣saː] (腹具合がちっとも調子良くないよ) 13288 0 0 12961 htmvoc_13288.wav バタクサー バ⸢タ⸣クサー [ba⸢ta⸣ku̥saː] 名 へそくり(臍繰り)。密かに溜めたお金。ワ⸢タ⸣クサー[wa⸢ta⸣kusaː](へそくり)ともいう。糸満方言からの借用語か。 ミ⸢ドゥ⸣モー ン⸢メーマ⸣ナー バ⸢タ⸣クサーン ア⸢リバ⸣ル ⸣ナル [mi⸢du⸣moː ʔm⸢meːma⸣naː ba⸢ta⸣ku̥saːŋ ʔa⸢riba⸣ru ⸣naru] (女は、少しは臍繰りも無くてはならない<あったほうがよい>) 13291 0 0 12962 htmvoc_13291.wav バタグスク バ⸢タグス⸣ク [ba⸢tagusu̥⸣ku] 名 二重積みの石垣。前と後ろに二重に石垣を積んで、中間にバ⸢タ⸣イシ[ba⸢ta⸣ʔiʃi](腹石)を入れて積み上げた石垣。 バ⸢タグス⸣ク シ⸢ム⸣カー ⸢クーリラ⸣ヌ [ba⸢tagusu̥⸣ku ʃi⸢mu⸣kaː ⸢kuːrira⸣nu] (二重積みの石垣を積んだら崩れない) 13292 0 0 12963 htmvoc_13292.wav バタクダスン ⸣バタ ク⸢ダスン [⸣bata ku⸢dasuŋ] 連 下痢する。⸢腹を下す」の義。 ⸢シーリ⸣ムヌ ッ⸢ふー⸣カー ⸣バタ ク⸢ダスン⸠ダー [⸢ʃiːri⸣munu f⸢fuː⸣kaː ⸣bata ku⸢dasun⸠daː] (\ruby{饐}{ス}えたものを食べると下痢するよ<腹下すよ>) 13296 0 0 12964 htmvoc_13296.wav バタグッふァン ⸣バタ ⸢グッ⸣ふァン [⸣bata ⸢guf⸣faŋ] 連 お腹がもたれる。お腹が張って重い。腹具合がわるい。「腹が重い」の義。 ウ⸢ブッ⸣ふァイ ⸢シーティ⸣ バタ ⸢グッふァ⸣ヌ ⸢ウーカラ⸣ヌ [ʔu⸢buf⸣fai ⸢ʃiːti⸣ bata ⸢guffa⸣nu ⸢ʔuːkara⸣nu] (大食いして、お腹が重くて動かれ<動け>ない) 13293 0 0 12965 htmvoc_13293.wav バタグルグルー ⸣バタグルグルー [⸣bataguruguruː] 名 下痢気味になること。腹がごろごろと鳴ること。「腹ゴロゴロ」の義。 ⸢ヌー⸣ヌ ア⸢タランタ⸣ユー ⸣バタグルグルー ⸢シーベー⸣サー [⸢nuː⸣nu ʔa⸢taranta⸣juː ⸣bataguruguruː ⸢ʃiːbeː⸣saː] (何が<腹に>合わなかったのか、下痢気味になっているよ<腹がごろごろと鳴っているよ>) 13297 0 0 12966 htmvoc_13297.wav バタグルスン バ⸢タ⸣グル ⸢スン [ba⸢ta⸣guru ⸢suŋ] 連 お腹の具合が悪くなる。下痢気味になる。 バ⸢タ⸣グル シ⸢ティ ウーカラ⸣ヌ [ba⸢ta⸣guru ʃi̥⸢ti ʔuːkara⸣nu] (下痢気味で働け<動かれ>ない) 13298 0 0 12967 htmvoc_13298.wav バタグローン バ⸢タグロー⸣ン [ba⸢taguroː⸣ŋ] 形 お腹の調子が悪い。下痢しやすい。 ⸣バー バ⸢タグロー⸣ンダ ⸢コー⸣ ムノー ッ⸢ふァーラヌ [⸣baː ba⸢taguroː⸣nda ⸢koː⸣ munoː f⸢faːranu] (私は下痢しやすいから硬い物は食べられない)。 バ⸢タグロー ナーン⸣シェンドゥ ⸢シンダイ⸣ バ⸢タグロー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢taguroː naːŋ⸣ʃendu ⸢ʃindai⸣ ba⸢taguroː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (下痢しやすくなかったが、次第に下痢しやすくなってしまった)。 バ⸢タグロー⸣ プ⸢ソー⸣ ッ⸢ふァーン⸣ ブ⸢リ⸣バ [ba⸢taguroː⸣ pu̥⸢soː⸣ f⸢faːm⸣ bu⸢ri⸣ba] (下痢しやすい人は食べるなよ) 13294 0 1 12968 htmvoc_13294.wav バタコールン ⸣バタ ⸢コー⸣ルン [⸣bata ⸢koː⸣ruŋ] 連 {Mn_1}腹が落ち着く。お腹がかたくなる。 ⸢ベー⸣カー ⸢シー ベータ⸣ヌ ⸣バター ⸢コー⸣レーン [⸢beː⸣kaː ⸢ʃiː beːta⸣nu ⸣bataː ⸢koː⸣reːŋ] (ひどい下痢をしていたが、お腹が落ち着いた<お腹がかたくなった>)。 13294 0 2 12969 htmvoc_13294.wav バタコールン ⸣バタ ⸢コー⸣ルン [⸣bata ⸢koː⸣ruŋ] 連 {Mn_2}妊婦のお腹<胎児>が安定する。「腹強る」の義。 パ⸢ルミ⸣プソー ⸢ムーシキ⸣ タトゥカー ⸣バター ⸢コー⸣ルン [pa⸢rumi⸣pu̥soː ⸢muːʃi̥ki⸣ tḁtukaː ⸣bataː ⸢koː⸣ruŋ] (妊婦<孕み人>は六月たてばお腹は安定する<妊婦のお腹はかたくなる>)。 13294 0 3 12970 htmvoc_13294.wav バタコールン ⸣バタ ⸢コー⸣ルン [⸣bata ⸢koː⸣ruŋ] 連 {Mn_3}腹の皮がよじれる<腹の皮が硬くなる>。 ウ⸢リンマー⸣ バタ ⸢コー⸣ルンケン バ⸢ラーサリ ミッ⸣タン [ʔu⸢rimmaː⸣ bata ⸢koː⸣ruŋkem ba⸢raːsari mit⸣taŋ] (あいつには腹の皮がよじれるまで笑わされたことがある<笑わされてみた>よ) 13295 0 0 12971 htmvoc_13295.wav パダコールン ⸣パダ ⸢コー⸣ルン [⸣pada ⸢koː⸣ruŋ] 連 新生児や乳児が成長すること。赤ちゃんの首がすわる。「肌強る」の義。 グイ⸢ユー イットゥ⸣キ ミ⸢ラン⸣ケンナー ッ⸢ふァー⸣マー イッ⸢ケナ⸣ パダー ⸢コーリ⸣ ブーバン [gui⸢juː ʔittu⸣ki mi⸢raŋ⸣kennaː f⸢faː⸣maː ʔik⸢kena⸣ padaː ⸢koːri⸣ buːbaŋ] (あらまあ、ちょっと見ぬうちに赤ちゃんはすっかり成長している<肌が硬くなっている>わい) 13289 0 0 12972 htmvoc_13289.wav ハダシ ハ⸢ダ⸣シ [ha⸢da⸣ʃi] 名 裸足。標準語からの借用語。老年層は、カ⸢ラピサ[ka⸢rapisa](裸足)、カ⸢ラパン[ka⸢rapaŋ](裸足{EOS}<空足・カラァシ>の転訛)。キ⸢ザ⸣パン[ki⸢ʣa⸣paŋ](裸足{EOS}汚れた足)という。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ハ⸢ダ⸣シシル ⸢ガッ⸣コーン ⸢パッタ⸣ル [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ha⸢da⸣ʃiʃiru ⸢gak⸣koːm ⸢patta⸣ru] (子供のころは裸足で学校に<へ>も行ったものだ) 13290 0 0 12973 htmvoc_13290.wav バタシ バ⸢タ⸣シ [ba⸢ta⸣ʃi] 名 酒器の一つ。神酒を入れて神前に供えるための挽き物の祭具。 ⸣インダヌ ウ⸢シヌ⸣ ウガンナーティ ウ⸢シヌ ニン⸣ガイ ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー ミ⸢キバタ⸣シナ ミ⸢キバ⸣ イ⸢リティ ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʔindanu ʔu⸢ʃinu⸣ʔugannaːti ʔu⸢ʃinu niŋ⸣gai ⸢soː⸣ru ⸣pimmaː mi⸢kibata⸣ʃina mi⸢kiba⸣ ʔi⸢riti niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (伊武田の牛の御嶽で牛の祈願をされる時はミキバタシ<神酒入れの酒器>に神酒を入れて祈願をされた) 13387 0 0 12974 htmvoc_13387.wav バタシ バ⸢タシ [ba⸢taʃi] 名 渡し場。 ウ⸢ラッチガーラ⸣ヌ バ⸢タシ⸣ナーティ タ⸢ナ⸣ムカー バ⸢タシ ッふィールタン [ʔu⸢ratʧigaːra⸣nu ba⸢taʃi⸣naːti ta⸢na⸣mukaː ba⸢taʃi ffiːrutaŋ] (浦内川の渡し場で頼んだら渡してくれるよ) 13300 0 0 12975 htmvoc_13300.wav パダシ パ⸢ダ⸣シ [pa⸢da⸣ʃi] 名 裸足。「踱跣、波太志<はだし>」『新撰字鏡』の義。老年層は、キ⸢ザ⸣パン[ki⸢ʣa⸣paŋ](土足)、カ⸢ラピサ[ka⸢rapisa](裸足)、カ⸢ラパン[ka⸢rapaŋ](裸足)ともいう。 パ⸢ダ⸣シシ ⸢ヤーン⸣ナカー ⸢ペール⸣ナ [pa⸢da⸣ʃiʃi ⸢jaːn⸣nakaː ⸢peːru⸣na] (裸足で室内<家の中>に入るな) 13301 0 0 12976 htmvoc_13301.wav パダシズマルン ⸣パダ シ⸢ズ⸣マルン [⸣pada ʃi⸢ʣu⸣maruŋ] 連 緊張する。かしこまる。恐れ慎む。うやうやしく<恭しく>かしこまる。「肌鎮まる」の義。 ヨー⸢ヨー⸣ パダー シ⸢ズ⸣マレーティル シ⸢キン⸣マー バ⸢タル⸣ダー [joː⸢joː⸣ padaː ʃi⸢ʣu⸣mareːtiru ʃi̥⸢kim⸣maː ba⸢taru⸣daː] (よくよく注意しなさいよ{EOS}緊張して、恐れ敬いながら世間は渡るものだぞ)。 ⸢カンヌ⸣マイナー ⸢デー⸣ジ ⸣ゴーサ ⸢シー⸣ パダ シ⸢ズ⸣マレーティ ⸢アー⸣キ [⸢kannu⸣mainaː ⸢deː⸣ʤi ⸣goːsa ⸢ʃiː⸣ pada ʃi⸢ʣu⸣mareːti ⸢ʔaː⸣ki] (神様の前では「大変だの気持ち」で恐れ慎みながら、緊張して行動しなさい<あるきなさい>) 13302 0 0 12977 htmvoc_13302.wav バタシブニ バ⸢タシ⸣ブニ [ba⸢taʃi⸣buni] 名 渡し船。 ウ⸢ラッチガー⸣ラナー バ⸢タシブニ⸣ヌ ⸢アッ⸣タン [ʔu⸢ratʧigaː⸣ranaː ba⸢taʃibuni⸣nu ⸢ʔat⸣taŋ] (1959年頃まで、浦内川には渡し船があった) 13303 0 0 12978 htmvoc_13303.wav パダシマルン ⸣パダ シ⸢マ⸣ルン [⸣pada ʃi⸢ma⸣ruŋ] 連 緊張する。気を引き締める。「肌締まる」の義。⸣パダ ヌ⸢ビ⸣ルン[⸣pada nu⸢bi⸣ruŋ](気がゆるむ{EOS}油断する<怠ける>)の対義語。 ノー⸢ンヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ パダ シ⸢マ⸣レーティ ⸢サン⸣カー ⸣ムノー ナ⸢ラ⸣ヌ [noː⸢nnu⸣ ʃi⸢gutu⸣ ja⸢rabam⸣ pada ʃi⸢ma⸣reːti ⸢saŋ⸣kaː ⸣munoː na⸢ra⸣nu] (どんな仕事でも緊張してしないと成功しない<物にならない>) 13304 0 0 12979 htmvoc_13304.wav バタジルコールン バ⸢タ⸣ジル ⸢コー⸣ルン [ba⸢ta⸣ʤiru ⸢koː⸣ruŋ] 連 腹の筋が硬くなる。腹筋を縒<よ>る。 ⸢ウンザン⸣ バ⸢ラーサリティ⸣ バ⸢タ⸣ジル ⸢コー⸣ルンケン バ⸢ライ ミッ⸣タン [⸢ʔunʣam⸣ ba⸢raːsariti⸣ ba⸢ta⸣ʤiru ⸢koː⸣ruŋkem ba⸢rai mit⸣taŋ] (あいつに笑わされて、腹の筋が硬くなるまで<腹筋がよじれるほど>笑ってみたよ) 13305 0 0 12980 htmvoc_13305.wav バタズーワン バ⸢タズー⸣ワン [ba⸢taʣuː⸣waŋ] 形 お腹が丈夫である。内臓機能が強くてお腹をこわしにくい。「腹強し」の義。 バ⸢タズー⸣ワンダ ノー⸢ン ッふァーサリン [ba⸢taʣuː⸣wanda noː⸢ŋ ffaːsariŋ] (お腹が丈夫だから何でも食べさせられる)。 ⸣キサー バ⸢タズーワ ナーン⸣シェンドゥ フ⸢ドゥブアーシ⸣ バ⸢タズー⸣ワ ⸣ナリケーン [⸣ki̥saː ba⸢taʣuːwa naːŋ⸣ʃendu ɸu⸢dubuʔaːʃi⸣ ba⸢taʣuː⸣wa ⸣narikeːŋ] (以前はお腹が丈夫でなかったが、成長するにつれてお腹が丈夫になってきた)。 ウ⸢リン⸣スコー バ⸢タズー⸣ワ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rin⸣su̥koː ba⸢taʣuː⸣wa pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼ぐらいお腹の丈夫な人はいない) 13307 0 0 12981 htmvoc_13307.wav パダスクマルン ⸣パダ ス⸢ク⸣マルン [⸣pada su̥⸢ku⸣maruŋ] 連 肌が縮まる。体が縮まる。驚いて身が縮まる。身がすくま(竦ま)る。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸣パダン ス⸢ク⸣マリティ マ⸢ガリベー [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ⸣padan su̥⸢ku⸣mariti ma⸢garibeː] (年を取ったので体<肌>も縮まってうずくま<蹲>っている)。 ウ⸢ダラ⸣キティ ⸣パダ ス⸢ク⸣マリ ⸢ベー [ʔu⸢dara⸣kiti ⸣pada su̥⸢ku⸣mari ⸢beː] (驚いてちぢまりこんでいる) 13306 0 0 12982 htmvoc_13306.wav バタスクムン ⸣バタ ス⸢ク⸣ムン [⸣bata su̥⸢ku⸣muŋ] 連 お腹がすくむ<竦む>。腹がへこむ。お腹が縮む。 キ⸢ノー⸣ラ ⸢イー⸣ユン ッ⸢ふァーランベー⸣ティ ⸣バター ス⸢ク⸣ミティ ク⸢シン⸣ マ⸢ガリベー [ki⸢noː⸣ra ⸢ʔiː⸣juŋ f⸢faːrambeː⸣ti ⸣bataː su̥⸢ku⸣miti ku⸢ʃim⸣ ma⸢garibeː] (昨日からご飯も食べられないので、お腹はへこんで腰も曲がっている) 13308 0 0 12983 htmvoc_13308.wav バタスクライ バ⸢タスク⸣ライ [ba⸢tasuku⸣rai] 名 腹ごしらえ<腹拵え>。小腹が減るときに少量の食べ物を取って本食事に備えること。 ⸢イー⸣ヌ ⸢ニールン⸣ケン ユ⸢ナ⸣クンツァン ン⸢キティ⸣ バ⸢タスク⸣ライ ⸢シー⸣ ス⸢コー⸣リバ [⸢ʔiː⸣nu ⸢niːruŋ⸣keɲ ju⸢na⸣kunʦaŋ ʔŋ⸢kiti⸣ ba⸢tasu̥ku⸣rai ⸢ʃiː⸣ su̥⸢koː⸣riba] (ご飯が炊けるまで、麦焦がしでも召し上がって腹ごしらえをしておいてください<~おかれなさい>) 13309 0 0 12984 htmvoc_13309.wav バタスン バ⸢タスン [ba⸢tasuŋ] 他動 渡す。 ⸣フネーラ バ⸢タスンティ スンドゥ⸣ バ⸢タサラヌ [⸣ɸuneːra ba⸢tasunti sundu⸣ ba⸢tasaranu] (はしけ<艀>から本船に渡そうとするが、渡されない)。 バ⸢タシ⸣ ミサカー ⸢ジン⸣マー バ⸢タス⸣クトー ⸣ナルン [ba⸢taʃi⸣ misakaː ⸢ʤim⸣maː ba⸢tasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (渡してよければ、お金は渡すことはできる)。 マ⸢ナ⸣マ バ⸢タシェー⸣ ミサムヌ [ma⸢na⸣ma ba⸢taʃeː⸣ misamunu] (今、渡せば良いのに)。 カ⸢リン⸣ バ⸢タシ⸣バ [ka⸢rim⸣ ba⸢taʃi⸣ba] (彼に渡しなさいよ) 13310 0 0 12985 htmvoc_13310.wav パタスン パ⸢タ⸣スン [pa⸢ta⸣suŋ] 他動 果たす。成し遂げる。「~結びてし事者不果<言は果たさず>~。万、481」の義。 ⸢ドゥー⸣ヌ ヌ⸢ズミ⸣ パ⸢タ⸣スンティ ⸢ギーバルタンドゥ⸣ パ⸢タサラン⸣シェン [⸢duː⸣nu nu⸢ʣumi⸣ pḁ⸢ta⸣sunti ⸢giːbarutandu⸣ pḁ⸢tasaraŋ⸣ʃeŋ] (自分の望みを果たそうと頑張った<気張った>が果たされなかった)。 マ⸢ナ⸣マー ヌ⸢ズミ⸣ パ⸢タ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラン⸣バ パ⸢タシ ヤッ⸣サル ヌ⸢ズメーラ⸣ パ⸢タ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ma⸢na⸣maː nu⸢ʣumi⸣ pḁ⸢ta⸣su ⸣ku̥toː na⸢ram⸣ba pḁ⸢taʃijas⸣saru nu⸢ʣumeːra⸣ pḁ⸢ta⸣ʃeː ⸣misamunu] (今は望みを果たすことは出来ないから、果たしやすい望みから果たせばいいのに)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ヌ⸢ズメー⸣ ヤー⸢ディン⸣ パ⸢タ⸣シ [⸢duː⸣nu nu⸢ʣumeː⸣ jaː⸢dim⸣ pḁ⸢ta⸣ʃi] (自分の望みは必ず果たせ) 13311 0 0 12986 htmvoc_13311.wav バタダイ バ⸢タ⸣ダイ [ba⸢ta⸣dai] 名 腹持ち。腹力。食物の消化が遅く、満腹感が保たれること。バ⸢タ⸣タヤ[ba⸢ta⸣taja](腹の力)の転訛したもの。 ⸢カイヤー⸣ バ⸢タ⸣ダイ ⸢ナー⸣ンダ ウ⸢リ⸣ ッ⸢ふァイテー⸣ パ⸢タキシグ⸣トー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kaijaː⸣ ba⸢ta⸣dai ⸢naː⸣nda ʔu⸢ri⸣ f⸢faiteː⸣ pḁ⸢takiʃigu⸣toː na⸢ra⸣nu] (お粥は腹持ちがないから、それを食べては畑仕事は出来ない)。 バ⸢タ⸣ダイ ⸣アルムヌ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ba⸢ta⸣dai ⸣ʔaru ⸣munu f⸢faːʃi⸣ba] (腹持ちのある物を食べさせなさいよ) 13312 0 0 12987 htmvoc_13312.wav バタタヤ バ⸢タ⸣タヤ [ba⸢ta⸣taja] 名 腹の力。腹力(腹もち)。バ⸢タ⸣ダヤ[ba⸢ta⸣daja](腹の力)ともいう。 ム⸢チェー⸣ ッ⸢ふー⸣カー イッ⸢ケナ⸣ バ⸢タ⸣ダヤー ⸣アン [mu⸢ʧeː⸣ f⸢fuː⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ba⸢ta⸣dajaː ʔaŋ] (餅は食べると非常に腹持ちがよい<腹の力がある>) 13313 0 0 12988 htmvoc_13313.wav パタチ パ⸢タチ [pḁ⸢taʧi] 名 二十歳。 パ⸢タチ⸣ ナルカー ⸣ドゥームティ ⸣ミサンツォー [pḁ⸢taʧi⸣ narukaː ⸣duːmuti ⸣misanʦoː] (二十歳になったら結婚してよいそうだ)。 ⸢ピャー⸣ク ⸣パタチ ⸣ナルンケン イ⸢キラ⸣リカ⸢ナー [⸢pjaː⸣kupḁtaʧi ⸣naruŋkeŋ ʔi⸢kira⸣rika⸢naː] (百二十歳になるまで生きられたらなあ) 13314 0 0 12989 htmvoc_13314.wav バタチガイ バ⸢タチガ⸣イ [ba⸢taʧiga⸣i] 名 腹違い。異母兄弟姉妹。 ⸢カッ⸣ツァー バ⸢タチガイ⸣ヌ ⸢キョー⸣ダイ⸢ゲ⸣ラ [⸢kat⸣ʦaː ba⸢taʧigai⸣nu ⸢kjoː⸣dai⸢ge⸣ra] (彼らは異母兄弟姉妹さ) 13315 0 1 12990 htmvoc_13315.wav パタッカルン パ⸢タッカルン [pḁ⸢takkaru] 他動 {Mn_1}手足などを開き広げる。広げる。開く。「開、ハダクル『運歩色葉集』」の転訛したもの。 ⸣マタ パ⸢タッカルンティ スンドゥ⸣ パ⸢タッカララヌ [⸣mata pḁ⸢takkarunti sundu⸣ pḁ⸢takkararanu] (股を大きく広げようとするが広げられない)。 ⸣ウナー ⸣マタ パ⸢タッカリティ⸣ ニ⸢ビ ベー⸣ムヌヌ ⸢ミーヌッ⸣サ⸢ヨー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸣マタ パ⸢タッカル ムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔunaː ⸣mata pḁ⸢takkariti⸣ ni⸢bi beː⸣mununu ⸢miːnus⸣sa⸢joː⸣ mi⸢du⸣moː ⸣mata pḁ⸢takkaru munoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (そこに股を広げて寝ている者の見苦しいことよ{EOS}女は股を広げるものではない)。 パ⸢タック⸣カー パ⸢タッカルン [pḁ⸢takku⸣kaː pḁ⸢takkaruŋ] (広げたら広がる)。 パ⸢タッカレー⸣ ミサムヌ [pḁ⸢takkareː⸣ misamunu] (広がれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢タッカリ [⸢maː⸣bim pḁ⸢takkari] (もっと広がれ)。 13315 0 2 12991 htmvoc_13315.wav パタッカルン パ⸢タッカルン [pḁ⸢takkaru] 他動 {Mn_2}着物を開いて体を露出させる。 ⸣バタ パ⸢タッカリティ⸣ バ⸢カ⸣ヤワ⸢レー [⸣bata pḁ⸢takkariti⸣ ba⸢ka⸣jawa⸢reː] (お腹を露出させて恥ずかしいねえ) 13316 0 0 12992 htmvoc_13316.wav パダッカルン パ⸢ダッカルン [pa⸢dakkaruŋ] 自動 手足を開き広げて立ち塞ぐ。立ちはだかる。前に立ち塞がる。パ⸢ダカルン[pa⸢dakaruŋ](立ちはだかる)ともいう。「跨、ハタカル」『類聚名義抄』の転訛したもの。「Fatacari,u,atta(ハタカル)」『邦訳日葡辞書』の義。 プ⸢スヌ⸣ マイナー パ⸢ダッカルンダル⸣ マイ ⸢ユーザラヌ⸣ パ⸢ダッカランドー⸣シ ア⸢ラカ⸣シバ [pu̥⸢sunu⸣ mainaː pa⸢dakkarundaru⸣ mai ⸢juːʣaranu⸣ pa⸢dakkarandoː⸣ʃi ʔa⸢raka⸣ʃiba] (他人の前に立ちはだかるから前に進め<寄られ>ない{EOS}立ちはだからないで歩かせなさい)。 ⸣マイナー パ⸢ダッカリティ⸣ ミ⸢チ⸣バ ッ⸢サイ ベー⸣ヌ パ⸢ダッカル⸣ クトー ユ⸢ラサラ⸣ヌ [⸣mainaː pa⸢dakkariti⸣ mi⸢ʧi⸣ba s⸢sai beː⸣nu pa⸢dakkaru⸣ ku̥toː ju⸢rasara⸣nu] (前に立ちはだかって道を塞いでいるが、立ちはだかることは許されない)。 パ⸢ダッカレー⸣ ミサムヌ [pa⸢dakkareː⸣ misamunu] (立ちはだかればいいのに)。 ウ⸢リヌ⸣ マイナー パ⸢ダッカリ⸣バ [ʔu⸢rinu⸣ mainaː pa⸢dakkari⸣ba] (彼の前に立ちはだかれよ) 13317 0 0 12993 htmvoc_13317.wav パタッキルン パ⸢タッキルン [pḁ⸢takkiruŋ] 他動 開ける。広げる。「はだける<開ける>」。「開、ハダクル」『運歩色葉集』の義。「Fatacari,u,atta.ハタカリ、ル、ッタ(扈り、る、った)両脚を開き、踏み広げて立つ」『邦訳日葡辞書』。 ⸣マタ パ⸢タッキルン [⸣mata pḁ⸢takkiruŋ] (股を広げる)。 フ⸢チ⸣ パ⸢タッキルンティ スンドゥ⸣ パ⸢タッキララヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ pḁ⸢takkirunti sundu⸣ pḁ⸢takkiraranu] (口を開けようとするが、開けられない)。 フ⸢チェー⸣ パ⸢タッキ⸣ ミサカー パ⸢タッキレー⸣ ミサムヌ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ pḁ⸢takki⸣ misakaː pḁ⸢takkireː⸣ misamunu] (口を開けてよければ、開ければいいのに)。 フ⸢チ⸣ パ⸢タッキル⸣ ピンマー ウ⸢ムイ⸣キシ パ⸢タッキリ [ɸu̥⸢ʧi⸣ pḁ⸢takkiru⸣ pimmaː ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi pḁ⸢takkiri] (口を開ける時は思い切って大きく開けなさい) 13319 0 0 12994 htmvoc_13319.wav パタックン パ⸢タックン [pḁ⸢takkuŋ] 自動 ひらく(開く)。「開、ハダクル」『運歩色葉集』。 ⸣マタ パ⸢タックン [⸣mata pḁ⸢takkuŋ] (股を開ける<広げる>)。 フ⸢チ⸣ パ⸢タックンティ スンド⸣ パ⸢タッカラヌ [ɸu⸢ʧi⸣ pḁ⸢takkunti sundu⸣ pḁ⸢takkaranu] (口を開けようとするが、開けられない)。 パ⸢タッキ⸣ ミサン [pḁ⸢takki⸣ misaŋ] (開けてもいい)。 パ⸢タック⸣ ピンマー ⸢ヨーンナー⸣ パ⸢タッキ [pḁ⸢takku⸣ pimmaː ⸢joːnnaː⸣ pḁ⸢takki] (開ける時はゆっくり開けなさい)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢タッケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pḁ⸢takkeː⸣ misamunu] (もっと開けばよいのに)。 フ⸢チェー⸣ パ⸢タッカヌンドゥ⸣ ムネー イ⸢ズン [ɸu̥⸢ʧeː⸣ pḁ⸢takkanundu⸣ muneː ʔi⸢ʤuŋ] (口を開けないが、ものは言う)。 ⸢ネース⸣カー パ⸢モール⸣ヌ フ⸢チェー⸣ パ⸢タックン [⸢neːsu⸣kaː pa⸢moːru⸣nu ɸu̥⸢ʧeː⸣ pḁ⸢takkuŋ] (煮ると蛤の口は開く)。 フ⸢チェー⸣ パ⸢タッキ ベー⸣ンドゥ ⸣ムノー ッ⸢ふァイユーサヌ [ɸu̥⸢ʧeː⸣ pḁ⸢takki beː⸣ndu ⸣munoː f⸢faijuːsanu] (口は開いているが、ものを食べることが出来ない)。 パ⸢モール⸣ヌ フ⸢チヌ⸣ パ⸢タック⸣カー ⸢ニーブ⸣ シジ [pa⸢moːru⸣nu ɸu̥⸢ʧinu⸣ pḁ⸢takku⸣kaː ⸢niː⸣bu ⸣ʃiʤi] (蛤が口を開いたら煮えている証拠<訳>だ)。 パ⸢タッケー⸣ ミサムヌ [pḁ⸢takkeː⸣ misamunu] (開けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢タッキ⸣バ [⸢maː⸣bim pḁ⸢takki⸣ba] (もっと開けよ) 13320 0 0 12995 htmvoc_13320.wav バタッサラー ⸣バタッサラー [⸣batassaraː] 名 よく怒る人。激しやすく腹黒い人。心根の腐った人。「腹腐れ者」の義。⸣バタッサリムヌ[⸣batassarimunu](よく怒る者{EOS}腹腐れ者{EOS}腹黒い者)ともいう。 ⸢ウンザー⸣ バタッサラー ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢メーマヌ⸣ クトゥシン プ⸢ストゥ アイ⸣ス [⸢ʔunʣaː⸣ batassaraː ja⸢runda⸣ ʔm⸢meːmanu⸣ ku̥tuʃim pu̥⸢sutu ʔai⸣su] (あいつは心根の腐った奴だからちょっとしたことでも他人と喧嘩する) 13321 0 0 12996 htmvoc_13321.wav バタッサリムニ バ⸢タッサリ⸣ムニ [ba⸢tassari⸣muni] 名 腹立たしい言葉。\ruby{癪}{シャク}に障る言葉。「腹腐れ物言い」の義。 ⸢ウンザトゥ⸣ パ⸢ナ⸣スカー バ⸢タッサリ⸣ムニ カー⸢ニル⸣ シゥ⸢カサリンダ⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢キ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔunʣatu⸣ pa⸢na⸣su̥kaː ba⸢tassari⸣muni kaː⸢niru⸣ sï̥⸢karinda⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣pu̥saː ⸢naː⸣nu] (あいつと話すと癪にさわる言葉だけ聞かされるから、何も聞きたくない) 13322 0 0 12997 htmvoc_13322.wav バタッサリムヌ バ⸢タッサリ⸣ムヌ [ba⸢tassari⸣munu] 名 よく怒る者。腹腐れ者。腹黒い者。 ⸣アイブ バ⸢タッサリ⸣ムノー プ⸢ストゥ⸣ パ⸢ナシアー⸣シ ⸢シーユーサヌ [⸣ʔaibu ba⸢tassari⸣munoː pu̥⸢sutu⸣ pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi ⸢ʃiːjuːsanu] (あんな腹腐れ者<腹黒い者>は他人と話し合いすることは出来ない<話し合いをし得ない>) 13323 0 0 12998 htmvoc_13323.wav バタッサルン ⸣バタ ⸣ッサルン [⸣bata ⸣ssaruŋ] 連 腹立たしくなる。癪に\ruby{障}{サワ}る。不愉快になる。「腹が腐れる」の義。 ウ⸢リヌ⸣ ム⸢ニ⸣バ ス⸢ク⸣カー ⸢カイ⸣テー ⸣バタ ⸣ッサルンダー シゥ⸢カンモー⸣ マ⸢シ [ʔu⸢rinu⸣ mu⸢ni⸣ba su̥⸢ku⸣kaː ⸢kai⸣teː ⸣bata ⸣ssarundaː sï̥⸢kammoː⸣ ma⸢ʃi] (彼の話を聞くと却って癪に障るので聞かない方がいい) 13324 0 0 12999 htmvoc_13324.wav パダッソーン ⸣パダ ッ⸢ソー⸣ン [⸣pada s⸢soː⸣ŋ] 連 肌が白い。色白である。 ⸢クン⸣ネヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ムー⸢ル⸣ パダ ッ⸢ソー⸣ン [⸢kun⸣nenu mi⸢doːŋ⸣ffaː muː⸢ru⸣ pada s⸢soː⸣ŋ] (この家の女の子は皆肌が白い<色白である>) 13327 0 0 13000 htmvoc_13327.wav バタッふァー バ⸢タッ⸣ふァー [ba⸢taf⸣faː] 名 怒りっぽい人。「腹暗い者」の義。 ⸢ウンザー⸣ バ⸢タッ⸣ふァー ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢ベーマ⸣ イ⸢ズバン⸣ シ⸢グ クン⸣ゾー ウ⸢クリ⸣ス [⸢ʔunʣaː⸣ ba⸢taf⸣faː ja⸢runda⸣ ʔm⸢beːma⸣ ʔi⸢ʣubaŋ⸣ ʃi⸢gu kun⸣ʣoː ʔu⸢kuri⸣su] (あいつは怒りっぽいから、少し叱ってもすぐ腹を立てる<怒る>) 13328 0 0 13001 htmvoc_13328.wav バタッふァーン バ⸢タッ⸣ふァーン [ba⸢taf⸣faːŋ] 形 怒りっぽい。立腹しやすい。「腹暗い」の義。 ウ⸢レー⸣ バ⸢タッ⸣ふァーンダ シゥ⸢カーラヌ⸣ バ⸢タッふァー ナーン⸣ プ⸢スバ⸣ タ⸢ナ⸣ミ [ʔu⸢reː⸣ ba⸢taf⸣faːnda sï̥⸢kaːranu⸣ ba⸢taffaː naːm⸣ pu̥⸢suba⸣ ta⸢na⸣mi] (彼は怒りっぽいから使えない{EOS}怒りっぽくない人を頼め)。 ⸢シンダイ⸣ バ⸢タッ⸣ァふァー ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ ba⸢taf⸣faː nari⸢naː⸣nu] (次第に怒りっぽくなってしまった)。 バ⸢タッ⸣ふァー プ⸢ソー⸣ ピ⸢ライグリ⸣サン [ba⸢taf⸣faː pu̥⸢soː⸣ pi⸢raiguri⸣saŋ] (怒りっぽい人は付き合いにくい)。 ⸣アイニ バ⸢タッ⸣ふァーレーラー プ⸢スピライヤー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ba⸢taf⸣faːreːraː pu̥⸢supiraijaː⸣ na⸢ra⸣nu] (あんなに怒りっぽいのであれば人付き合いは出来ない) 13332 0 0 13002 htmvoc_13332.wav パダナーン パ⸢ダナー⸣ン [pa⸢danaː⸣ŋ] 形 悪戯っぽい。悪ふざけする。しまりがなく、怠惰である。落ち着きが無い。女癖が悪い。「肌長し」の義。 ⸢ウンザー ピーズ⸣ パ⸢ダナー⸣ クトゥ カー⸢ニル スー⸠ツォー [⸢ʔunʣaː piːʣu pa⸢danaː⸣ kutu kaː⸢niru suː⸠ʦoː] (あいつは、いたずら坊主で危なっかしいことだけするそうだ)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ パ⸢ダナー⸣ンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー パ⸢ダナー ナーン⸣ワー⸢ン⸣ノー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pa⸢danaː⸣nti su̥⸢kutanu na⸣ʣoː pa⸢danaː naːŋ⸣waː⸢n⸣noː] (あの子は怠惰で悪戯っぽいと聞いたが、それほど悪戯っぽくないではないか)。 ⸣ドゥク パ⸢ダナー⸣ヌ ⸢サーリ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣duku pa⸢danaː⸣nu ⸢saːri⸣ pa⸢rara⸣nu] (あまりにも怠惰でいたずらっぽいので連れて行かれない)。 ⸢シンダイ⸣ パ⸢ダナー⸣ ナリ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ pa⸢danaː⸣ nari ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (次第に悪ふざけをし、いたずらっぽくなって手がつけられ<養生でき>ない)。 パ⸢ダナー⸣ ッ⸢ふァー ヨーンナー⸣ パ⸢ナ⸣シ ウ⸢ティシゥカ⸣シ [pa⸢danaː⸣ f⸢faː joːnnaː⸣ pa⸢na⸣ʃi ʔu⸢tisï̥ka⸣ʃi] (落ち着きが無く、悪戯っぽい子にはゆっくり話して落ち着かせなさい) 13334 0 0 13003 htmvoc_13334.wav バタナカラ バ⸢タナカ⸣ラ [ba⸢tanaka⸣ra] 名 腹半分。五分腹。 マ⸢ナ⸣マー ⸢パンタリプス⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ⸢イー⸣ヤ ナ⸢カラ⸣バタ ッ⸢ふァイバル キンコー⸣<ドゥゾー> ナルツォー [ma⸢na⸣maː ⸢pantaripu̥su⸣nu ⸢goː⸣raːnda ⸢ʔiː⸣ja na⸢kara⸣bata f⸢faibaru kiŋkoː⸣ naruʦoː] (今は肥満体の人が多いので、ご飯は腹半分に食べた方が健康になるそうだ) 13335 0 0 13004 htmvoc_13335.wav バタニジ バ⸢タ⸣ニジ [ba⸢ta⸣niʤi] 名 空腹の我慢。ひだるい<ひもじい>思いを我慢すること。「腹念じ」の義。 ウ⸢レー ピッ⸣チン バ⸢タ⸣ニジ ⸢シーユーサヌ [ʔu⸢reː pit⸣ʧim ba⸢ta⸣niʤi ⸢ʃiːjuːsanu] (彼は少しも空腹の我慢をすることが出来ない) 13336 0 0 13005 htmvoc_13336.wav バタヌカー バ⸢タ⸣ヌ ⸣カー [ba⸢ta⸣nu ⸣kaː] 連 腹の皮。カツオの腹皮は、ハ⸢ラ⸣ゴー[ha⸢ra⸣goː](腹皮)という 13299 0 0 13006 htmvoc_13299.wav バタヌサールン バ⸢タ⸣ヌ ⸢サールン [ba⸢ta⸣nu ⸢saːruŋ] 連 膨れた腹が痩せる。膨れた腹が細くなる。 バ⸢タ⸣ヌ ⸢サールター⸣ ア⸢ラカ⸣リン⸢ダー [ba⸢ta⸣nu ⸢saːrutaː⸣ ʔa⸢raka⸣rin⸢daː] (お腹が細くなったので歩けるよ) 13337 0 0 13007 htmvoc_13337.wav バタヌシームヌ バ⸢タ⸣ヌ ⸢シームヌ [ba⸢ta⸣nu ⸢ʃiːmunu] 連 腸(はらわた)の吸い物。豚の中身の吸い物。若年層は、ナ⸢カミ⸣ヌ ⸢シームヌ[na⸢kami⸣nu ⸢ʃiːmunu](中身の吸い物)という。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャー ⸢オー⸣ヌ バ⸢タ⸣ヌ ⸢シームノー⸣ ン⸢コーラン⸣シェン [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaː ⸢ʔoː⸣nu ba⸢ta⸣nu ⸢ʃiːmunoː⸣ ʔŋ⸢koːraŋ⸣ʃeŋ] (私の家のお父さんは豚の中身の吸い物は召し上がらなかった) 13338 0 0 13008 htmvoc_13338.wav バタヌシゥカイルン バ⸢タ⸣ヌ シゥ⸢カイルン [ba⸢ta⸣nu sï̥⸢kairuŋ] 連 腹が差し込むように痛む。 イ⸢クサユー⸣ヌ アトゥ⸢バー⸣ケー バ⸢タ⸣ヌ シゥ⸢カイ⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌティ ク⸢チ⸣サ ⸢シー⸣ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マ ⸣ウムーカー イ⸢ガンドゥ⸣ ヤ⸢ロー⸣レール⸢ナー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ʔatu⸢baː⸣keː ba⸢ta⸣nu sï̥⸢kai⸣ jami na⸢ra⸣nuti ku̥⸢ʧi⸣sa ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢ʣoːtta⸣nu ma⸢na⸣ma ⸣ʔumuːkaː ʔi⸢gandu⸣ ja⸢roː⸣reːru⸢naː] (戦後までは、「お腹が差し込むように痛む」と苦しそうに言われたが、今思うと胃癌であられただろうなあ) 13339 0 0 13009 htmvoc_13339.wav バタヌピッチン バ⸢タ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン [ba⸢ta⸣nu ⸢pit⸣ʧiŋ] 連 お腹のいっぱい。満腹。 バ⸢タ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイ⸣ プサン [ba⸢ta⸣nu ⸢pit⸣ʧim ʔm⸢maː⸣ munu f⸢fai⸣ pu̥saŋ] (お腹いっぱい美味しいものを食べたい) 13340 0 0 13010 htmvoc_13340.wav パダヌビムヌ パ⸢ダヌビ⸣ムヌ [pa⸢danubi⸣munu] 名 ずぼら。怠け者。しまりのない者。 パ⸢ダヌビ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトゥン⸣ トゥ⸢ズミラ⸣ムティ ア⸢サビマール シー ベー [pa⸢danubi⸣munu ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutun⸣ tu⸢ʣumira⸣muti ʔa⸢sabimaːru ʃiː beː] (怠け者だから、仕事もやり遂げない<完結しない>で遊びまわっている) 13341 0 0 13011 htmvoc_13341.wav バタヌフチル バ⸢タ⸣ヌ フ⸢チ⸣ル [ba⸢ta⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru] 連 腹薬。整腸薬。下痢止め。「腹の薬」の義。 ク⸢ダス⸣ ピンマー バ⸢タ⸣ヌ フ⸢チ⸣ルティ ⸢シー セイロー⸣ガン ヌ⸢マ⸣ソーッタ [ku⸢dasu⸣ pimmaː ba⸢ta⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiː seiroː⸣gan nu⸢ma⸣soːtta] (下痢する<くだす>時は腹の薬<下痢止め>として正露丸を飲まされた) 13342 0 0 13012 htmvoc_13342.wav パダヌブン ⸣パダ ⸣ヌブン [⸣pada ⸣nubuŋ] 連 怠ける。気がゆるむ。やる気を失って遊びまわる。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ミー ピ⸢カラ⸣シ ⸢ベーラン⸣カー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣パダ ⸣ヌブンダ ⸣パダ ヌ⸢バサン⸣スコー シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミリ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣miː pi̥⸢kara⸣ʃi ⸢beːraŋ⸣kaː ja⸢ra⸣beː pada ⸣nubunda ⸣pada nu⸢basan⸣su̥koː ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miri] (親が見張って<目を開いて監視して>いないと子供は気がゆるんで怠けるから、怠けさせないように仕事をさせなさい) 13343 0 0 13013 htmvoc_13343.wav パダヌベーン パ⸢ダヌベー⸣ン [pa⸢danubeː⸣ŋ] 形 だらしない。しまりがない。節度が無い。無分別で悪戯っぽい。ずぼらである。「肌伸び・あり」の義。 ウ⸢ヌ ッふァー サッ⸣コー パ⸢ダヌベー⸣ン [ʔu⸢nu ffaː sak⸣koː pa⸢danubeː⸣ŋ] (あの子は非常にだらしなくてずぼらである)。 ⸣ドゥク パ⸢ダヌベー⸣ティ マー⸢ン サーリ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣duku pa⸢danubeː⸣ti maː⸢n saːri⸣ pa⸢rara⸣nu] (あまりにも悪戯っぽくて、だらしないので何処へも連れて行かれない)。 ⸣キサー ⸣アイニ パ⸢ダヌベー ナーン⸣シェンドゥ フ⸢ドゥブアーシ⸣ パ⸢ダヌベー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ki̥saː ⸣ʔaini pa⸢danubeː naːŋ⸣ʃendu ɸu⸢dubuʔaːʃi⸣ pa⸢danubeː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (以前はあんなにだらしがなく、ずぼらでなかったが、成長するにつれて、しまりがなくずぼらになってしまった) 13344 0 1 13014 htmvoc_13344.wav バタヌムシ バ⸢タ⸣ヌ ム⸢シ [ba⸢ta⸣nu mu⸢ʃi] 連 {Mn_1}腹の虫。寄生虫。 ナ⸢ツァー⸣ラ ⸣シジ ヌ⸢マ⸣スカー バ⸢タ⸣ヌ ム⸢シェー⸣ サ⸢ギ⸣ルン [na⸢ʦaː⸣ra ⸣ʃiʤi nu⸢ma⸣sukaː ba⸢ta⸣nu mu⸢ʃeː⸣ sa⸢gi⸣ruŋ] (かいにんそう<海人草>を煎じて飲ませると腹の虫<回虫>が駆除される<下がって出る>)。 13344 0 2 13015 htmvoc_13344.wav バタヌムシ バ⸢タ⸣ヌ ム⸢シ [ba⸢ta⸣nu mu⸢ʃi] 連 {Mn_2}空腹の原因を比喩的に⸢腹の虫が鳴く」と表現する。 バ⸢タ⸣ヌ ム⸢シヌ⸣ ナ⸢キ ベー⸣バ ⸢パー⸣ク ⸢イー ッふァー⸣シ [ba⸢ta⸣nu mu⸢ʃinu⸣ na⸢ki beː⸣ba ⸢paː⸣ku ⸢ʔiː ffaː⸣ʃi] (腹の虫が鳴いているから早くご飯を食べさせなさい) 13330 0 0 13016 htmvoc_13330.wav バタバタ バ⸢タバタ [ba⸢tabata] 副 擬態語。忙しいさま。 ⸢ピーズ⸣ バ⸢タバタ⸣シ パ⸢タラキ ベー [⸢piːʣu⸣ ba⸢tabata⸣ʃi pḁ⸢taraki beː] (毎日ばたばたと忙しく働いている) 13331 0 0 13017 htmvoc_13331.wav パタパタ パ⸢タパタ [pḁ⸢tapata] 副 擬音語。 パ⸢タパタ⸣シ ⸢オン⸣ギ ⸢アウ⸣ルン [pḁ⸢tapata⸣ʃi ⸢ʔoŋ⸣gi ⸢ʔau⸣ruŋ] (パタパタと扇をあおる<煽る>) 13345 0 0 13018 htmvoc_13345.wav バタピーチ バ⸢タピー⸣チ [ba⸢tapiː⸣ʧi] 名 同母兄弟姉妹。同じ母から生まれたこと。「腹一つ」の義。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢キョーダイ⸣ヤー バ⸢タピー⸣チ ヤ⸢ルヌ⸣ タネー ク⸢ティ⸣ル ヤ⸢ル [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢kjoːdai⸣jaː ba⸢tapiː⸣ʧi ja⸢runu⸣ taneː ku⸢ti⸣ru ja⸢ru] (彼ら兄弟姉妹は同母兄弟であるが、父<種>は異なる) 13325 0 0 13019 htmvoc_13325.wav バタピナラスン ⸣バタ ピ⸢ナラスン [⸣bata pi⸢narasuŋ] 連 お腹を減らす。腹ごなしをする。食後に運動をして消化を助ける。 ッ⸢ふァイシギ シーティル⸣ バタ ピ⸢ナラスンティ⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸢ベー⸣ダー [f⸢faiʃigi ʃiːtiru⸣ bata pi⸢narasunti⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸢beː⸣daː] (食べ過ぎて、腹ごなしをするとて<腹を減らそうと>歩いているのだよ) 13346 0 0 13020 htmvoc_13346.wav バタピナルン ⸣バタ ピ⸢ナルン [⸣bata pi⸢naruŋ] 連 腹が減る。腹が空く。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸣イー ッ⸢ふァイヤー⸣ツバ マ⸢ナマー⸣キシェー ⸣バター ピ⸢ナリ ブー⸣パジ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸣ʔiː f⸢faijaː⸣ʦuba ma⸢namaː⸣kiʃeː ⸣bataː pi⸢nari buː⸣paʤi] (朝早くご飯を食べたので、今までにはお腹は減っているはずだ)。 ⸣ドゥー ⸢ウーカ⸣スカー ⸣バター ピ⸢ナルン [⸣duː ⸢ʔuːka⸣su̥kaː ⸣bataː pi⸢naruŋ] (体を動かすとお腹は減る<空く>) 13347 0 0 13021 htmvoc_13347.wav バタフクビ バ⸢タフク⸣ビ [ba⸢taɸuku⸣bi] 名 腹に巻く帯。腹帯。カ⸢サナイフク⸣ビ[kḁ⸢sanaiɸu̥ku⸣bi](負ぶい紐{EOS}おんぶひも)の対義語。 バ⸢タフク⸣ビシル ッ⸢ふァ⸣ カ⸢サナウ⸣タ [ba⸢taɸu̥ku⸣biʃiru f⸢fa⸣ kḁ⸢sanau⸣ta] (腹に巻く帯<腹帯>で子供を負ぶった) 13348 0 0 13022 htmvoc_13348.wav バタフクラー バ⸢タフク⸣ラー [ba⸢taɸu̥ku⸣raː] 名 お腹の大きい者。「腹膨れ者」の義。卑語。⸣バタブター[⸣batabutaː](はらぶと<腹太>)ともいう。 ⸣ドク ⸢イー ッふァイ⸣ダーティル バ⸢タフク⸣ラー ⸣ナリ ⸢アー⸣ク [⸣duku ⸢ʔiː ffai⸣daːtiru ba⸢taɸu̥ku⸣raː ⸣nari ⸢ʔaː⸣ku] (あまりにもご飯を食べ過ぎるのでお腹の大きい者<腹膨れ>になっている) 13350 0 0 13023 htmvoc_13350.wav バタフクリ バ⸢タフク⸣リ [ba⸢taɸu̥ku⸣ri] 名 腹膨れ。お腹にガスが溜まって腹が膨張すること。食いすぎによる消化不良でお腹が張ること。 ウ⸢ブ⸣ッふァイ ⸢スー⸣カー バ⸢タフク⸣リ ⸢スンダ⸣ ン⸢ベーマ⸣ナー ッ⸢ふァイ⸣バ [ʔu⸢buf⸣fai ⸢suː⸣kaː ba⸢taɸu̥ku⸣ri ⸢sunda⸣ ʔm⸢beːma⸣naː f⸢fai⸣ba] (大食いすると腹膨れするから、少しずつ食べなさいよ) 13349 0 1 13024 htmvoc_13349.wav バタフクル バ⸢タフク⸣ル [ba⸢taɸu̥ku⸣ru] 名 {Mn_1}ふくこう(腹腔)。お腹。腹部。「腹袋」の義。 ⸣シマ ⸣トゥリ ⸢ベーン⸣ケン ⸢ナンギラー⸣リティ バ⸢タフク⸣ル ヤ⸢マ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃima ⸣turi ⸢beːŋ⸣ken ⸢naŋgiraː⸣riti ba⸢taɸu̥ku⸣ru ja⸢ma⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (相撲を取っているときに投げられて、お腹<腹腔>を痛めてしまった)。 バ⸢タフク⸣ル キ⸢ラ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢taɸu̥ku⸣ru ki⸢ra⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (腹部を蹴られて痛くて堪らない)。 13349 0 2 13025 htmvoc_13349.wav バタフクル バ⸢タフク⸣ル [ba⸢taɸu̥ku⸣ru] 名 {Mn_2}心。内心。 プ⸢スヌ⸣ バ⸢タフク⸣ロー ア⸢キ⸣ ミ⸢ラン⸣カー ワ⸢カラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ba⸢taɸu̥ku⸣roː ʔa⸢ki⸣ mi⸢raŋ⸣kaː wa⸢kara⸣nu] (人の心の内は開腹してみないと分らないものだ) 13326 0 0 13026 htmvoc_13326.wav バタフジムニ バ⸢タフジ⸣ムニ [ba⸢taɸuʤi⸣muni] 名 憎まれ口。他人を不愉快にする言葉遣い。感情を逆撫でする物言い。⸢腹をくじる<抉る>物言い」の義。 ⸢ウンザー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー プ⸢スヌ⸣ バ⸢タフジ⸣ムニ ⸢シー⸣ナー ナ⸢ラン⸠ツォー [⸢ʔunʣaː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː pu̥⸢sunu⸣ ba⸢taɸuʤi⸣muni ⸢ʃiː⸣naː na⸢ran⸠ʦoː] (あいつは酒を飲むと他人の感情を逆撫でする物言いをする<憎まれ口をたたく>ので困るんだよ) 13351 0 0 13027 htmvoc_13351.wav バタフズン バ⸢タ⸣フズン [ba⸢ta⸣ɸuʣuŋ] 他動 他人の感情を逆撫でする。憎まれ口をたたく。故意に嫌なことを言い立てて他人を不愉快にする。「腹くじる<抉る>」の転訛したもの。「挑 天彫反、久自流」『新訳華厳経音義私記』の義か。⸣バタ ⸣フズン[⸣bata ɸuʣuŋ](憎まれ口を叩く<腹くじる{EOS}心を抉る>)ともいう。 ウ⸢レー サッ⸣コー プ⸢スヌ⸣ バ⸢タ⸣フズンダ ウ⸢ヌ カン⸣ガイ ⸢シー⸣ ピライ⸢ヨー [ʔu⸢reː sak⸣koː pu̥⸢sunu⸣ ba⸢ta⸣ɸuʣunda ʔu⸢nu kaŋ⸣gai ⸢ʃiː⸣ pirai⸢joː] (彼は非常に憎まれ口をたたくから、そのつもりで付き合いなさいよ)。 バ⸢タフザン⸣ドーシ パ⸢ナ⸣シバ バ⸢タ⸣フズ プ⸢ソー ニッ⸣ふァー サ⸢リン⸣ダー [ba⸢taɸuʣan⸣doːʃi pa⸢na⸣ʃiba ba⸢ta⸣ɸuʣu pu̥⸢soː nif⸣faː sa⸢rin⸣daː] (憎まれ口を叩かないで話しなさいよ{EOS}憎まれ口を叩くと人に憎まれるよ)。 バ⸢タ⸣フジ ⸣ミサカー ウ⸢ムイ⸣キシ バ⸢タ⸣フジバ [ba⸢ta⸣ɸuʤi ⸣misakaː ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ba⸢ta⸣ɸuʤiba] (憎まれ口をたたいてよければ、思い切って憎まれ口を叩きなさい)。 ⸢マー⸣ビン バ⸢タ⸣フジェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ba⸢ta⸣ɸuʤeː ⸣misamunu] (もっと憎まれ口をたたけばいいのに) 13352 0 0 13028 htmvoc_13352.wav バタブター ⸣バタブター [⸣batabutaː] 名 お腹の大きい人。太鼓腹。大食漢。卑語。「腹太奴」の義。ウ⸢ブ⸣バタ[ʔu⸢bu⸣bata](大きなお腹{EOS}妊婦{EOS}妊婦に対して親愛の情を持って言う)には卑語の意味はない。 ⸣バタブター ⸢マーシ⸣ノ ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ メーティ ア⸢ザヌ [⸣batabutaː ⸢maːʃi⸣no gjuː⸢sa⸣ f⸢faːsabam⸣ meːti ʔa⸢ʣanu] (太鼓腹奴<猿>めが、いくら食わせても十分<もう結構>だとは言わない) 13354 0 0 13029 htmvoc_13354.wav バタマールン バ⸢タマー⸣ルン [ba⸢tamaː⸣ruŋ] 自動 湾曲する。曲がる。たわむ(撓む)。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ バ⸢タマー⸣リ ⸢ブンダ⸣ パラー ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢フー⸣タイ ⸣ナシ シゥ⸢カイ⸣バ [ku⸢nu kiː⸣ja ba⸢tamaː⸣ri ⸢bunda⸣ paraː na⸢ra⸣nu ⸢ɸuː⸣tai ⸣naʃi sï̥⸢kai⸣ba] (この木は湾曲しているから柱には使えない{EOS}うつばり<梁>にして使いなさいよ)。 ⸢グッ⸣ふァムヌ カ⸢タ⸣ムカー ⸢キーアイ⸣コー ⸢ビッタビッタ⸣シ バ⸢タマール⸣ヌ タ⸢キアイコー⸣ バ⸢タマーラ⸣ヌ [⸢guf⸣famunu kḁ⸢ta⸣mukaː ⸢kiːʔai⸣koː ⸢bittabitta⸣ʃi ba⸢tamaːru⸣nu ta⸢kiʔaikoː⸣ ba⸢tamaːra⸣nu] (重いものを担ぐと木製のおうご<朸>はびしびしと撓むが、竹製のおうご<朸>は撓まない)。 ク⸢ヌ アイ⸣コー バ⸢タマー⸣ルンダ シゥ⸢カウナ [ku⸢nu ʔai⸣koː ba⸢tamaː⸣runda sï̥⸢kauna] (このおうご<朸>は撓むから使うな) 13355 0 0 13030 htmvoc_13355.wav バタマイヤン ⸣バタ ⸢マイ⸣ヤン [⸣bata ⸢mai⸣jaŋ] 連 お腹が大きい。大食いである。 ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ルンドゥ⸣ バター スズー⸢コ マイ⸣ヤン ⸢ユーマカルナー⸣ ッ⸢ふァイスバン [ja⸢ra⸣bi ja⸢rundu⸣ bataː suʣuː⸢ko mai⸣jaɲ ⸢juːmakarunaː⸣ f⸢faisubaŋ] (子供だがお腹は相当に大きい<大食いである>{EOS}お碗の四杯も食べるわい) 13356 0 0 13031 htmvoc_13356.wav パダミー パ⸢ダ⸣ミー [pa⸢da⸣miː] 名 肌身。 マ⸢ブ⸣ロー タ⸢ベー⸣ パ⸢ラ⸣バン パ⸢ダ⸣ミー パ⸢ナサン⸣ドーシ ⸣ヌベーラ パ⸢ケー⸣ティ ⸢アー⸣キ [ma⸢bu⸣roː ta⸢beː⸣ pa⸢ra⸣bam pa⸢da⸣miː pa⸢nasan⸣doːʃi ⸣nubeːra pḁ⸢keː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki] (マブル<生霊を籠めた麻糸の苧玉>は旅へ行っても肌身離さず、首から穿いていなさい<あるきなさい>) 13357 0 0 13032 htmvoc_13357.wav バタミチ バ⸢タ⸣ミチ [ba⸢ta⸣miʧi] 副 満腹するほど。腹一杯に。「腹満ち」の義。 ⸢イー⸣ヤ バ⸢タ⸣ミチ ッ⸢ふァイティ⸣ パ⸢タラキ⸠ヨー [⸢ʔiː⸣ja ba⸢ta⸣miʧi f⸢faiti⸣ pḁ⸢taraki⸠joː] (ご飯は腹一杯食べて働きなさいね) 13358 0 0 13033 htmvoc_13358.wav バタミチソージ バ⸢タミチソー⸣ジ [ba⸢tamiʧisoː⸣ʤi] 名 祭祀の名。パ⸢マウリソー⸣ジ[pa⸢maʔurisoː⸣ʤi](浜下り精進)の別名。満腹する精進祈願の義。ご馳走を作って、村中の人々が⸣サンシキ[⸣saŋʃi̥ki](桟敷)に集まり、神職者(司や手擦り部)が友利御嶽で稲の下葉枯れ予防を祈願をしている間、村人等が模擬的に夜籠もりをした後、村役人の鶏鳴の合図によって一斉に起き出して、昼食のご馳走を食して帰宅した村行事。 ム⸢カ⸣シプソー パ⸢マウリソージ⸣バ バ⸢タミチソー⸣ジティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː pa⸢maurisoːʤi⸣ba ba⸢tamiʧisoː⸣ʤiti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は浜下り精進を腹満ち精進と言われた) 13359 0 0 13034 htmvoc_13359.wav バタミツン バ⸢タ⸣ミツン [ba⸢ta⸣miʦuŋ] 自動 満腹する。⸢腹満つ」の転訛したもの。 バ⸢タ⸣ミツンケン ッ⸢ふァイヤン [ba⸢ta⸣miʦuŋkeŋ f⸢faijaŋ] (満腹するほど食べた)。 ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふー⸣カー バ⸢タミツン⸣ドゥ ウ⸢ビッ⸣チンシェー バ⸢タミツァ⸣ヌ [muː⸢ru⸣ f⸢fuː⸣kaː ba⸢tamiʦun⸣du ʔu⸢bit⸣ʧiŋʃeː ba⸢tamiʦa⸣nu] (全部食べたら満腹するが、これぽっちでは満腹しない)。 バ⸢タ⸣ミチ ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢ta⸣miʧi ⸢naː⸣nu] (満腹した)。 バ⸢タ⸣ミツ ⸣クトゥン ⸣アン [ba⸢ta⸣miʦu ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (満腹することもある)。 ⸢パー⸣ク バ⸢タ⸣ミチェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ba⸢ta⸣miʧeː ⸣misamunu] (早く満腹すればいいのに) 13360 0 0 13035 htmvoc_13360.wav バタミングル バ⸢タミン⸣グル [ba⸢tamiŋ⸣guru] 名 腹具合。腹巡り。お腹の循環具合。消化から排泄までの胃腸の循環。「腹廻り」の義。 チ⸢カ⸣グロー バ⸢タミングル⸣ヌ ⸢ワッ⸣サリンギサバ イ⸢サン⸣ヤー ⸢サーリ ギー⸣ ミ⸢サ⸣シ ⸣クー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ba⸢tamiŋguru⸣nu ⸢was⸣sariŋgisaba ʔi⸢saɲ⸣jaː ⸢saːri giː⸣ mi⸢sa⸣ʃi ⸣kuː] (近頃はお腹の具合が悪そうだから、病院<医者の家>に連れて行って診せてきなさい)。 バ⸢タミングル⸣ヌ ⸢ワッサ⸣カー ン⸢ガナ⸣ヌ ⸣シル ヌ⸢マ⸣シ [ba⸢tamiŋguru⸣nu ⸢was⸣sakaː ʔŋ⸢gana⸣nu ⸣ʃiru nu⸢ma⸣ʃi] (腹具合が悪かったらニガナ<苦菜>の汁を飲ませなさい) 13362 0 0 13036 htmvoc_13362.wav バタムーン ⸣バタ ⸢ムーン [⸣bata ⸢muːŋ] 連 はら<腸>が煮えくり返る。非常に立腹する。激怒する。「腹・燃ゆ<下二>」の転訛したもの。 ⸣バタ ⸢モーヌ [⸣bata ⸢moːnu] (激怒しない) 13361 0 0 13037 htmvoc_13361.wav バタムイルン ⸣バタ ⸢ムイルン [⸣bata ⸢muiruŋ] 連 はら<腸>が煮えくり返る。非常に立腹する。非常に腹が立つ。激怒する。「腹が燃える」の義。 ⸣アイブ ヤ⸢ナ⸣ムニ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン⸣ バター ⸢ムイルン⸣ヨー [⸣ʔaibu ja⸢na⸣muni su̥⸢ku⸣kaː taː⸢m⸣ bataː ⸢muiruɲ⸣joː] (あんな悪口を聞くと誰でも腹が煮えくり返るよ) 13363 0 0 13038 htmvoc_13363.wav バタムゲールン ⸣バタ ム⸢ゲールン [⸣bata mu⸢geːruŋ] 連 はら<腸>が煮え返る。激怒する。「はら<腸>が沸騰する」の義。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー ⸣バタ ム⸢ゲールン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ⸣bata mu⸢geːruŋ] (その話を聞くとはらわた<腸>が煮えくり返る<沸騰する>) 13364 0 0 13039 htmvoc_13364.wav パダムス パ⸢ダ⸣ムス [pa⸢da⸣musu] 名 寝具用の\ruby{筵}{ムシロ}。ねござ(寝茣蓙)。「肌筵」の義。就寝の際に畳の上に敷く上質の筵。上質の備後産の藺で編んだ茣蓙。直接肌に接触する筵であることから命名されたものであろう。普通は幅3尺、長さ6尺の筵であるが、二枚続きで長さ9尺の筵もある。6畳敷きの筵は長いので、⸢ナー⸣ムス[⸢naː⸣musu](長筵)という。 ナ⸢チェー⸣ アツァンダ パ⸢ダ⸣ムス ⸢タン⸣ガー シ⸢キティ⸣ ノー⸢ン⸣ カ⸢バン⸣ドーシ ニ⸢ブタル [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦanda pa⸢da⸣musu ⸢taŋ⸣ga ʃi̥⸢kiti⸣ noː⸢ŋ⸣ ka⸢ban⸣doːʃi ni⸢butaru] (夏は暑いので肌筵だけ敷いて、何も被らないで寝たものだ) 13365 0 0 13040 htmvoc_13365.wav バタムチ バ⸢タ⸣ムチ [ba⸢ta⸣muʧi] 名 あんもち(餡餅)。「わた<腹>餅」の義。あずきあん(小豆餡)、ごまあん(胡麻餡)、ユ⸢ナ⸣クアン[ju⸢na⸣kuʔaŋ](黒糖を削って麦焦がしに混ぜ、餅餡にしたもの)等を中に入れた餅。⸢アンム⸣チ[⸢ʔammu⸣ʧi](餡餅)ともいう。バ⸢タム⸣チ[ba⸢tamu⸣ʧi](餡餅)ともいう。 ム⸢チゾーゴー⸣ バ⸢タム⸣チェーラン ッ⸢スムチ⸣ル ン⸢マ⸣ー ⸢ソー⸣ル [mu⸢ʧiʣoːgoː⸣ ba⸢tamu⸣ʧeːran s⸢sumuʧi⸣ru ʔm⸢ma⸣ː ⸢soː⸣ru] (餅の好きな人<餅上戸>は餡餅よりも白餅<餡のない餅>が美味しいといわれ<され>る) 13366 0 0 13041 htmvoc_13366.wav パダムチ パ⸢ダム⸣チ [pa⸢damu⸣ʧi] 名 肌触り。外気が肌に心地よく感じる感覚。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペール⸣ター ピ⸢ラ⸣クン ア⸢ガリキシ イー⸣ パ⸢ダム⸣チ ⸣ナリケーツバン⸢ナー [ʔu⸢ruʣun⸣nu ʃi̥ʧi ⸢peːru⸣taː pi⸢ra⸣kuŋ ʔa⸢garikiʃi ʔiː⸣ pa⸢damu⸣ʧi ⸣narikeːʦuban⸢naː] (初春の季節に入って、寒さもすっかり上がってしまい、寒くもなく暑くも無い、良い肌触りの季節になりましたなあ) 13367 0 0 13042 htmvoc_13367.wav バタムトゥン ⸣バタ ⸣ムトゥン [⸣bata ⸣mutuŋ] 連 はらむ(孕む)。妊娠する。「腹を持つ」の義。 ミ⸢ドゥ⸣モー ⸣バタ ⸣ムトゥカー ⸢グッ⸣ふァムヌ ⸣ムテー ナ⸢ラン⸣ダー [mi⸢du⸣moː ⸣bata ⸣mutukaː ⸢guf⸣famunu ⸣muteː na⸢ran⸣daː] (女は懐妊したら重いものを持ってはいけないよ) 8399 0 0 13043 htmvoc_8399.wav バタヤビ バ⸢タ⸣ヤビ [ba⸢ta⸣jabi] 名 下痢。腹痛 13368 0 0 13044 htmvoc_13368.wav パダヤビプス パ⸢ダヤビ⸣プス [pa⸢dajabi⸣pu̥su] 名 ハンセン病患者。「肌破れ者」の義。⸢クン⸣キャー[⸢kuŋ⸣kjaː](ハンセン病患者)は卑語。パ⸢ダヤビ⸣ムヌ[pa⸢dajabi⸣munu](ハンセン病患者)ともいう。 パ⸢トゥ⸣マナー パ⸢ダヤビ⸣プソー プ⸢ス⸣ローンツァン ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaː pa⸢dajabi⸣pu̥soː pu̥⸢su⸣roːnʦam bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島にはハンセン病患者は一人もいなかった) 13369 0 0 13045 htmvoc_13369.wav パダヤビヤン パ⸢ダヤビ⸣ヤン [pa⸢dajabi⸣jaŋ] 名 ハンセン病。 マ⸢ナ⸣マー フ⸢チル⸣ヌ カ⸢ナイ⸣ブンダ パ⸢ダヤビ⸣ヤン カ⸢カラ⸣バン ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ɸu̥⸢ʧiru⸣nu ka⸢nai⸣bunda pa⸢dajabi⸣jaŋ kḁ⸢kara⸣ban ⸢soːja naː⸣nu] (今は薬が完備している<叶っている>からハンセン病に罹っても心配ない) 13371 0 0 13046 htmvoc_13371.wav バタヤブルン ⸣バタ ヤ⸢ブ⸣ルン [⸣bata ja⸢bu⸣ruŋ] 連 お腹をこわす。 ⸢ピーリムヌ⸣バ ⸣ドゥク ッ⸢ふァイティル⸣ バター ヤ⸢ブ⸣リシケー [⸢piːrimunu⸣ba ⸣duku f⸢faitiru⸣ bataː ja⸢bu⸣riʃi̥keː] (冷たいものをあまりにも食べ過ぎてお腹をこわしてある)。 ⸢ピーリ⸣ムヌ ッ⸢ふー⸣カー ⸣バタ ヤ⸢ブ⸣ルン⸢ダー [⸢piːri⸣munu f⸢fuː⸣kaː ⸣bata ja⸢bu⸣run⸢daː] (冷たいものを食べるとお腹をこわすよ) 13370 0 0 13047 htmvoc_13370.wav バタヤブン バ⸢タ⸣ ヤブン [ba⸢ta⸣ jabuŋ] 連 お腹をこわす。「腹を破る」の義。 ビ⸢トゥラー⸣ムヌ ッ⸢ふァイシギル⸣カー バ⸢タ⸣ ヤブンティ⸢ダー [bi⸢turaː⸣munu f⸢faiʃigiru⸣kaː ba⸢ta⸣ jabunti⸢daː] (脂っこいものを食いすぎるとお腹をこわすそうだよ) 13372 0 0 13048 htmvoc_13372.wav バタヤムン バ⸢タ⸣ ヤムン [ba⸢ta⸣ jamuŋ] 連 腹が痛む。腹痛がする。 ⸢キュー⸣ヤ バ⸢タ⸣ ヤムンダ ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァーラヌ [⸢kjuː⸣ja ba⸢ta⸣jamunda ⸢ʔiː⸣ja f⸢faːranu] (今日は腹痛がするから<腹が痛むから>、ご飯は食べられない) 13373 0 0 13049 htmvoc_13373.wav バタヤン バ⸢タ⸣ヤン [ba⸢ta⸣jaŋ] 名 腹痛。腹の病気。「腹病み」の義。 ン⸢ガ⸣ナー バ⸢タ⸣ヤンヌ フ⸢チ⸣ルティ ア⸢ザリ ブー [ʔŋ⸢ga⸣naː ba⸢ta⸣jannu ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ʔa⸢ʣari buː] (苦菜は腹痛の薬といわれている) 13374 0 0 13050 htmvoc_13374.wav バタヨーン バ⸢タヨー⸣ン [ba⸢tajoː⸣ŋ] 形 お腹をこわしやすい。腹を下しやすい。下痢しやすい。「腹・弱い」の義。 バ⸢タヨー⸣ンティ ス⸢クタヌ⸣ ク⸢リ⸣ ッ⸢ふァーリ⸣カー ⸢ナン⸣ゾー バ⸢タヨーナー⸣ヌ [ba⸢tajoː⸣nti su̥⸢kutanu⸣ ku⸢ri⸣ f⸢faːri⸣kaː ⸢nan⸣ʣoː ba⸢tajoːnaː⸣nu] (お腹が弱いと聞いたが、これが食べられるなら、それほどお腹は弱くない)。 バ⸢タヨー⸣ヌ ア⸢バ⸣ムノー ッ⸢ふァーラヌ [ba⸢tajoː⸣nu ʔa⸢ba⸣munoː f⸢faːranu] (お腹が弱くて脂っこいものは食べられない)。 バ⸢タヨー⸣ プ⸢スンマー⸣ イ⸢ル⸣ジナムノー ッふァースナ [ba⸢tajoː⸣ pu̥⸢summaː⸣ ʔi⸢ru⸣ʤina ⸣munoː f⸢faːsuna] (お腹の弱い人には通常食と変わった様々なものを食わせるな)。 バ⸢タヨー⸣カー ⸢サーリ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ba⸢tajoː⸣kaː ⸢saːri⸣ pa⸢rara⸣nu] (お腹が弱ければ連れては行かれない) 13375 0 0 13051 htmvoc_13375.wav パダラ パ⸢ダ⸣ラ [pa⸢da⸣ra] 名 (動)魚の名。和名、ヤクシマイワシ(体長約12センチ)。和名、オキナワトウゴロイワシ(体長約13センチ)。パ⸢ダ⸣ライズ[pa⸢da⸣raʔiʣu]とも言う。成魚は夏に群れをなして海岸近くまで遊泳してくる。投網で漁獲し、パ⸢ダ⸣ラナマシ[pa⸢da⸣ranamaʃi](トウゴロイワシの刺身)にして食したが、あっさりした味で、あまり美味ではなかった。お盆の獅子舞のミ⸢チウタ[mi⸢ʧiʔuta](道歌)に/シシェマヌ オールンドー アンガマターヌ オールンドー パダラヤ ナマシ ナマシヤ パイル パイルヤ フナブ オンガキヤ シーソヌパー ソーランヤーヌ アッパター ミーザンマーザン オーショーリー ソーランヤーヌ アッパター/(獅子舞が来られるよ、入子踊り隊のアンガマ達が来られるよ、パダラ魚を刺身にして、刺身には酢を掛けて、酢には九年母を用い、刺身の妻<あしらい>には紫蘇の葉を用いてある、精霊会のお婆さん達よ、美味くても不味くても召し上がってください、精霊会のお婆さん達よ)『鳩間島古典民謡古謡集』と歌われている 13376 0 1 13052 htmvoc_13376.wav パタラーッティ パタ⸢ラーッティ [pata⸢raːtti] 副 {Mn_1}ばたばたと。鳥が羽ばたいて飛び立つさまの様子。 ⸣パトゥザヌ ⸢コー⸣マ ⸣トゥルンティ シ⸢ター⸣ パタ⸢ラーッティ⸣ トゥ⸢ビ パッ⸣タヤー [⸣pḁtuʣanu ⸢koː⸣ma ⸣turunti ʃi̥⸢taː⸣ pḁta⸢raːtti⸣ tu⸢bi pat⸣tajaː] (鳩の卵を獲ろうとしたら、ばたばたと鳩が飛んでいったよ)。 13376 0 2 13053 htmvoc_13376.wav パタラーッティ パタ⸢ラーッティ [pata⸢raːtti] 副 {Mn_2}ぱったりと。はたと。すっかり。途絶えるさま。 ウ⸢ヌッキリ⸣ パタ⸢ラッティ⸣ ミ⸢ララン⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nukkiri⸣ pḁta⸢ratti⸣ mi⸢raran⸣ nari ⸢naː⸣nu] (それっきり、ぱったりと見えなくなってしまった) 13377 0 0 13054 htmvoc_13377.wav パダラーン パ⸢ダラー⸣ン [pa⸢daraː⸣ŋ] 形 俊敏である。素早く動き回る。すばしこい。腕白ではしこい。腕白で、言うことを聞かない。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ パ⸢ダラー⸣ンティ ス⸢クタヌ⸣ パ⸢ダラーナーン⸣ワー⸢ン⸣ノー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ pa⸢daraː⸣nti su̥⸢kutanu⸣ pa⸢daraːnaːŋ⸣waː⸢n⸣noː] (この子は非常に敏捷で腕白だと聞いたが、腕白ではしこく無いではないか)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ パ⸢ダラー⸣ヌ プ⸢スン⸣ヤー ⸢サーリ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pa⸢daraː⸣nu pu̥⸢suɲ⸣jaː ⸢saːri⸣ pa⸢rara⸣nu] (この子は腕白ですばしこいから余所の家に連れて行かれない)。 パ⸢ダ⸣ラー ッ⸢ふァー アシゥカララ⸣ヌ [pa⸢da⸣raː f⸢faː ʔasï̥karara⸣nu] (腕白ではしこい子は預かれない)。 ⸢シンダイ⸣ パ⸢ダ⸣ラー ⸣ナリ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ pa⸢da⸣raː ⸣nari ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (次第に腕白ですばしこくなって、手がつけられない) 13378 0 0 13055 htmvoc_13378.wav パタラカー パ⸢タラカー [pḁ⸢tarakaː] 名 働き者。働きすぎる者への多少のジェラシーをこめて言う。 ウ⸢レー⸣ パ⸢タラカー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リン⸣ シ⸢ミリ [ʔu⸢reː⸣ pḁ⸢tarakaː⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢riŋ⸣ ʃi⸢miri] (彼は働き者だから、彼にさせなさい) 13379 0 0 13056 htmvoc_13379.wav パタラキジブン パ⸢タラキジブン [pḁ⸢tarakiʤibuŋ] 名 働く時刻<時分>。作業をする時刻<時分>。 ⸢ユー⸣クイ ⸢ベーン⸣ケン パ⸢タラキジブン⸣ ナレーツバ ⸢マー⸣ プ⸢スギー⸣バリ ⸢シー⸣ クー⸢ディー [⸢juː⸣kui ⸢beːŋ⸣kem pḁ⸢tarakiʤibun⸣ nareːʦuba ⸢maː⸣ pu̥⸢sugiː⸣bari ⸢ʃiː⸣ kuː⸢diː] (休んでいるうちに働く時刻になったので、もう一頑張りして来ようよ) 13380 0 0 13057 htmvoc_13380.wav パタラキバナ パ⸢タラキバナ [pḁ⸢tarakibana] 名 働き盛り。働き盛りの年頃。-バナ[-bana](~時期{EOS}~年ごろ{EOS}~真っ最中)は、接尾語の-パナ[-pana](~時期{EOS}~年ごろ{EOS}~真っ最中)が複合語を構成する際に連濁をおこしたもの。プ⸢ス⸣パナー[pu⸢su⸣panaː](一頃、一時期)、ウ⸢ヌ⸣ パナー イッ⸢ケン⸣ サ⸢カリパンジョー シーブタン[ʔu⸢nu⸣ panaː ʔik⸢ken⸣ sa⸢karipanʤoː ʃiːbutaŋ](その頃は非常に繁昌していた)のように用いられる。 ⸢ウン⸣ネナー パ⸢タラキバナヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ カナイ ⸢ブンダ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenaː pḁ⸢tarakibananu⸣ f⸢fanu⸣ kanai ⸢bunda⸣ ʔu⸢raːmi⸣san⸢daː] (あの家には働き盛りの子供が揃って<叶って>いるから羨ましいよ) 13381 0 0 13058 htmvoc_13381.wav パタラキムヌ パ⸢タラキムヌ [pḁ⸢tarakimunu] 名 働き者。働き手。精出して働く人。 ウ⸢レー⸣ パ⸢タラキムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ ピッ⸣チン ア⸢サブ⸣クトゥ ッ⸢サヌ [ʔu⸢reː⸣ pḁ⸢tarakimunu⸣ ja⸢runda pit⸣ʧiŋ ʔa⸢sabu⸣ ku̥tu s⸢sanu] (彼は働き者だから、ちっとも<一つも>遊ぶことを知らない) 13382 0 0 13059 htmvoc_13382.wav パタラクン パ⸢タラクン [pḁ⸢tarakuŋ] 自動 働く。活動する。 ⸢マー⸣ビン パ⸢タラクンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ トゥ⸢シ⸣バ ⸣トゥリ パ⸢タラカラヌ [⸢maː⸣bim pḁ⸢tarakunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du tu⸢ʃi⸣ba ⸣turi pḁ⸢tarakaranu] (もっと働こうと思うが、年をとって働かれない)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢タラキ⸣ プサカー パ⸢タラケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pḁ⸢taraki⸣ pu̥sakaː pḁ⸢tarakeː⸣ misamunu] (もっと働きたければ、働けばいいのに)。 ⸣クナー パ⸢タラク⸣ プ⸢ソー パー⸣ク パ⸢タラキ⸣バ [⸣kunaː pḁ⸢taraku⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku pḁ⸢taraki⸣ba] (ここで働く人は早く働けよ) 13383 0 0 13060 htmvoc_13383.wav パタラッティ パタ⸢ラッティ [pḁta⸢ratti] 副 ぱっと。ぱたっと。 パタ⸢ラッティ⸣ トゥ⸢ビ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [pata⸢ratti⸣ tu⸢bi⸣ pari⸢naː⸣nu] (ぱっと飛んでいってしまった) 13384 0 0 13061 htmvoc_13384.wav パダラムン パ⸢ダラムン [pa⸢daramuŋ] 名 腕白者。腕白坊主。 ビ⸢コーンッふァー⸣ シ⸢ナーン⸣ケンマー パ⸢ダラムン⸣ ヤ⸢タンティン⸣ フ⸢ドゥブ⸣カー ウ⸢ティ⸣スクン [bi⸢koːŋffaː⸣ ʃi⸢naːŋ⸣kemmaː pa⸢daramuɲ⸣ ja⸢tatantiŋ⸣ ɸu⸢dubu⸣kaː ʔu⸢ti⸣su̥kuŋ] (男の子は、幼い時は腕白者であっても成長したら落ち着くよ) 13385 0 0 13062 htmvoc_13385.wav パタランケーリ パ⸢タランケー⸣リ [pḁ⸢taraŋkeː⸣ri] 副 バタバタのた打ち回って。 ⸢パー⸣ヌ ⸣ヤミ ニ⸢ザラ⸣ヌティ ⸢シー⸣ パ⸢タランケー⸣リ ⸢ベー [⸢paː⸣nu ⸣jami ni⸢ʣan⸣ti ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢taraŋkeː⸣ri ⸢beː] (歯が痛くて我慢できないといって、のた打ち回っている) 13386 0 1 13063 htmvoc_13386.wav バタルン バ⸢タルン [ba⸢taruŋ] 他動 {Mn_1}渡る。 ⸢マイ⸣ヌ ⸢トゥー⸣ バ⸢タルンティ スンドゥ ナン⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ バ⸢タララヌ [⸢mai⸣nu ⸢tuː⸣ ba⸢tarunti sundu nan⸣nu ⸢suːwa⸣nu ba⸢tararanu] (前の鳩間海峡<渡>を渡ろうとするが、波が激しくて<強くて>渡られない)。 フ⸢ノー⸣ラー バ⸢タリティ⸣ イ⸢サナケー パッ⸣タ [ɸu⸢noː⸣raː ba⸢tariti⸣ ʔi⸢sanakeː pat⸣ta] (船浦へ渡って石垣へ行った)。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸢クーン⸣カー ⸣パンター バ⸢タル⸣ クトー ナ⸢ラン⸣バ ⸢ビンヌ⸣ アルンケンナー ⸢パー⸣ク バ⸢タリ [ɸu⸢ni⸣nu ⸢kuːŋ⸣kaː ⸣pantaː ba⸢taru⸣ ku̥toː na⸢ram⸣ba ⸢binnu⸣ ʔaruŋkennaː ⸢paː⸣ku ba⸢tari] (船が来ないと南端<船浦>へ渡ることは出来ないから、便船のあるうちに早く渡りなさい)。 ⸢パイ⸣サ バ⸢タレー⸣ ミサムヌ [⸢pai⸣sa ba⸢tareː⸣ misamunu] (早く渡ればいいのに)。 13386 0 2 13064 htmvoc_13386.wav バタルン バ⸢タルン [ba⸢taruŋ] 他動 {Mn_2}もらう。手渡す。 ⸢ガッ⸣コーラ ⸢ツーシン⸣ボー バ⸢タリ⸣ ケーン [⸢gak⸣koːra ⸢ʦuːʃim⸣boː ba⸢tari⸣ keːŋ] (学校から通信簿<通知表>を手渡して貰ってきた) 13388 0 0 13065 htmvoc_13388.wav バタンバタンシ バ⸢タンバタン⸣シ [ba⸢tambataŋ] 副 バタンバタント。擬音語。 バ⸢タンバタン⸣シ ⸣ヤドゥ タ⸢タック⸣ナ [ba⸢tambataŋ⸣ʃi ⸣jadu tḁ⸢takku⸣na] (バタンバタント戸を叩くな) 13389 0 0 13066 htmvoc_13389.wav ハチ ⸣ハチ [⸣haʧi] 名 (数詞)八。標準語からの借用語。普通は⸢ヤーチ[⸢jaːʧi](八つ{EOS}八)、パ⸢チングヮ⸣チ[pḁ⸢ʧiŋgwa⸣ʧi](八月)という。 ⸢ハッスンジブ⸣ク [⸢hassunʤibu⸣ku] (八寸重箱) ハ⸢チニ⸣チ [hḁ⸢ʧini⸣ʧi] (八日))。 ハ⸢チニンキョー⸣ダイ [hḁ⸢ʧiniŋkjoː⸣dai] (八人兄弟)。 ハチジュー⸢ゴーヌ ソーニヨイ [hḁʧiʤuː⸢goːnu soːnijoi] (八十五の生年祝い) 13391 0 0 13067 htmvoc_13391.wav バチ バ⸢チ [ba⸢ʧi] 名 ばち(桴)。太鼓などを打ち鳴らす棒。「木包、豆豆美乃波知(つづみのばち)」『和名抄』の転訛。 ク⸢リ⸣シ ⸢タイク⸣ヌ バ⸢チ⸣ ス⸢ク⸣リバ [ku⸢ri⸣ʃi ⸢taiku⸣nu ba⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣riba] (これで太鼓のばち<桴>を作りなさいよ)。三線のばち<撥>は、⸣シミ[⸣ʃimi](撥{EOS}「つめ」の義)という 13392 0 1 13068 htmvoc_13392.wav バチ ⸣バチ [⸣baʧi] 名 {Mn_1}ばち(罰)。神罰。 ウ⸢ガン⸣ヌ ⸣キー ⸣キスカー ⸣バチ ア⸢タルン⸣ティ⸢ダー [ʔu⸢gan⸣nu ⸣kiː ⸣ki̥sukaː ⸣baʧi ʔa⸢tarun⸣ti⸢daː] (御嶽の木を切ると神罰が当たるそうだよ)。 13392 0 2 13069 htmvoc_13392.wav バチ ⸣バチ [⸣baʧi] 名 {Mn_2}悪事のむくい。たたり。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー プ⸢スヌ⸣ バチ ⸣カブン⸢ダー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː pu̥⸢sunu⸣ baʧi kabun⸢daː] (そんなことをすると、他人の罰をかぶるぞ) 13390 1 0 13070 htmvoc_13390.wav パチ パ⸢チ [pḁ⸢ʧi] 名 {PoS_1}お初。 ⸢マイヌ⸣ パ⸢チ⸣ ウ⸢サギ オーシ [⸢mainu⸣ pḁ⸢ʧi⸣ ʔu⸢sagi ʔoːʃi] (お米のお初をお供えして差し上げなさい)。 13390 2 0 13071 htmvoc_13390.wav パチ パ⸢チ [pḁ⸢ʧi] 接頭 {PoS_2}パ⸢チウクシ[pḁ⸢ʧiʔukuʃi](正月二日の仕事初め{EOS}初起こし)。 パ⸢チイミ [pḁ⸢ʧiʔimi] (初夢)。 パ⸢チマー [pa⸢ʧimaː] (初孫)。 ⸣ソンガチ パ⸢チニンガイ [⸣soŋga⸢ʧipḁʧiniŋgai] (旧暦正月の初願) 13393 0 0 13072 htmvoc_13393.wav パチ パ⸢チ [pḁ⸢ʧi] 名 鉢。皿より大きくて深い容器。鰹漁船で餌を入れる木製の箱状の容器はザ⸢コー⸣バチ[ʣa⸢koː⸣baʧi](餌<雑魚>鉢)という。 ナ⸢マ⸣シ パ⸢チ⸣ナー ム⸢リ⸣ クーバ [na⸢ma⸣ʃi pḁ⸢ʧi⸣naː mu⸢ri⸣ kuːba] (刺身を鉢に盛ってきなさいよ) 13394 0 0 13073 htmvoc_13394.wav パチイミ パ⸢チイミ [pḁ⸢ʧiʔimi] 名 初夢。元旦の夜にみる夢。 ⸣ソンガチ パ⸢チイメー イー イミバ⸣ ミ⸢サ⸣シ タ⸢ボー⸣リ [⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧiʔimeː ʔiː ʔimiba⸣ mi⸢sa⸣ʃi ta⸢boː⸣ri] (正月の初夢は、いい夢を見させてください) 13395 0 0 13074 htmvoc_13395.wav パチウクシ パ⸢チウクシ [pḁ⸢ʧiʔukuʃi] 名 正月二日(元旦の翌日)の仕事始め。新年の仕事初め。「初起こし」の義。 ⸣ソンガチ パ⸢チウクシ⸣ティ ⸢シー⸣ ソンガチ ⸢フシゥカヌ⸣ シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サーラ フ⸢ナダマ⸣ヌ ⸣マイ サ⸢キ⸣ シ⸢キオーシ ティー⸣ ッサイティ イ⸢ソー⸣ ンジ ⸢ピーヌ⸣クシェーラ ⸢ダイ⸣バン ⸢ホー⸣シキー プ⸢スマ⸣アトーラー ⸢ヨイ⸣バ ⸢ソーッ⸣タ [⸣soŋgaʧi pḁ⸢ʧiʔukuʃi⸣ti ⸢ʃiː⸣ soŋgaʧi ⸢ɸusï̥kanu⸣ ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣saːra ɸu⸢nadama⸣numai sḁ⸢ki⸣ ʃi̥⸢kiʔoːʃi tiː⸣ ssaiti ʔi⸢soː⸣ ʔnʤi ⸢piːnu⸣ ku̥ʃeːra ⸢dai⸣baŋ ⸢hoː⸣ʃikiː pu̥⸢suma⸣ʔatoːraː ⸢joi⸣ba ⸢soːt⸣ta] (正月初起こし<仕事始め>といって、正月二日の朝早くから船霊様の前に酒を供え、手を合わせて漁に出て、島の北<腰{EOS}後ろ>の海から大判のカツオを釣ってきて、午後<昼後>からはお祝いをされた) 13396 0 0 13075 htmvoc_13396.wav パチウクスン パ⸢チ⸣ ウ⸢ク⸣スン [pḁ⸢ʧi⸣ ʔu⸢ku⸣suŋ] 連 供物料理のお初を起こすこと。法事の際に仏前に供えた料理を祈願の途中に、「お初」として、重詰め料理の各品を箸で起こすこと。それによって先祖が召し上がったことを意味しているといわれている。 パ⸢チ⸣ ウ⸢ク⸣シティ ⸢カウ⸣ シキ タ⸢ティ⸣ルカー ウ⸢サイ⸣ヤー ピ⸢キ⸣ ミサン [pḁ⸢ʧi⸣ ʔu⸢ku⸣ʃi̥ti ⸢kau⸣ ʃi̥ki ta⸢ti⸣rukaː ʔu⸢sai⸣jaː pi̥⸢ki⸣ misaŋ] (お初を起こして、線香を点けて立てたらご馳走は下げてもよい) 13397 0 0 13076 htmvoc_13397.wav バチカビムヌ バ⸢チカビ⸣ムヌ [ba⸢ʧikabi⸣munu] 名 罰当たり。「罰被り者」の義。他人を罵るときに用いる卑語。 バ⸢チカビ⸣ムノー ⸢マーシ⸣ノ ⸢ピッ⸣チン ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カヌ [ba⸢ʧikabi⸣munoː ⸢maːʃi⸣no ⸢pit⸣ʧiŋ ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni sï̥⸢kanu] (罰当たりめ野郎が、ちっとも親の言うことを聞き入れないよ) 13398 0 0 13077 htmvoc_13398.wav バチカブン バ⸢チ⸣ カブン [ba⸢ʧi⸣ kabuŋ] 連 罰があたる。「罰を被る」の義。 ウ⸢ヤン⸣ナーニ フ⸢チウタイ スー⸣カー ⸣バチ⸣カブン⸢ダー [ʔu⸢jan⸣naːni ɸu̥⸢ʧiʔutai suː⸣kaː ⸣baʧi kabun⸢daː] (親に口答えすると罰があたるよ)。 ッ⸢ふァバ⸣ アイニ ⸢シッ⸣キクラシ ⸢シー シシキルナ⸣ バチ カブン⸢ダー [f⸢faba⸣ ʔaini ⸢ʃik⸣kikuraʃi ⸢ʃiː ʃiʃi̥kiruna⸣ baʧi ⸣kabun⸢daː] (子供をあんなに叩き殴って躾けるな、罰があたるぞ) 13399 0 0 13078 htmvoc_13399.wav パチカンナール パ⸢チカンナール [pḁ⸢ʧikannaːru] 名 初夏に最初に鳴り響く雷鳴。「初雷」の義。 パ⸢チカンナールヌ ナール⸣カー ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチ [pḁ⸢ʧikannaːrunu naːru⸣kaː ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi] (初雷が鳴ると初夏の季節だ) 13401 0 0 13079 htmvoc_13401.wav バチクヮースン バ⸢チクヮースン [ba⸢ʧikwaːsuŋ] 自動 すばらしい目にあう。\ruby{僥倖}{ギョウ|コウ}に恵まれる。幸運にめぐり合う。沖縄(首里)方言からの借用語。バ⸢チックァースン[ba⸢ʧikkwaːsuŋ]ともいう。 ⸢シ⸢タイヒャー⸣ バ⸢チ クヮーシェー⸣ツバン [ʃi⸢taiçaː⸣ ba⸢ʧikwaːʃeː⸣ʦubaŋ] (でかしたぞ<これは したり>{EOS!}幸運にめぐり合えたぞ{EOS!}) 13402 0 0 13080 htmvoc_13402.wav バチクヮイ バ⸢チクヮイ [ba⸢ʧikwai] 感 しめた!やった!沖縄方言からの借用語。思い通りに事が運んだ時に喜んで発する語。 バ⸢チクヮイ⸣ シケンナー ア⸢タレー⸣ン [ba⸢ʧikwai ⸣ʃi̥kennaː ʔa⸢tareː⸣ŋ] (やった{EOS!}{EOS!}試験に合格した<当たった>ぞ{EOS!}) 13403 0 0 13081 htmvoc_13403.wav パチソーラン パ⸢チソーラン [pa⸢ʧisoːraŋ] 名 初盆。新盆。「初精霊会」の義。死者が迎える最初のお盆。 ク⸢トゥシェー⸣ アブジェー パ⸢チソーラン⸣ ン⸢カイ オーリ⸣バ シカイ⸢トゥ⸣ トゥ⸢ルム⸣チ ⸢シー オーシティ⸣ ウ⸢クリ オーラ⸣シ [ku̥tuʃeː⸣ ʔabuʤeː pḁ⸢ʧisoːraŋ⸣ ʔŋ⸢kai ʔoːri⸣ba ʃi̥kai⸢tu⸣ tu⸢rumu⸣ʧi ⸢ʃiː ʔoːʃi̥ti⸣ ʔu⸢kuri ʔoːra⸣ʃi] (今年はお祖父さんの新盆をお迎えするので、しっかりと接待<取り持>をして上げて、お送りして差し上げなさい) 13404 0 0 13082 htmvoc_13404.wav パチソンガチ パ⸢チ⸣ソンガチ [pḁ⸢ʧi⸣soŋgaʧi] 名 節祭のこと。「初正月」の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シプソー シ⸢チ⸣バ パ⸢チ⸣ソンガチティル ア⸢ゾーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʃi̥⸢ʧi⸣ba pḁ⸢ʧi⸣soŋgaʧitiru ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (昔の人は節祭を初正月と言われたものだ) 13406 0 0 13083 htmvoc_13406.wav パチタビ パ⸢チタビ [pa⸢ʧitabi] 名 初旅。 ⸢キュー⸣ヤ ウ⸢キ⸣ナーヌ パ⸢チタビ⸣ ヤ⸢リバ カンヌ⸣マイ ⸢ニン⸣ガイ ッ⸢サリティ オーシキ⸣ ウ⸢ヤーンチジ⸣リ [⸢kjuː⸣ja ʔu⸢ki⸣naːnu pḁ⸢ʧitabi⸣ ja⸢riba kannu⸣mai ⸢niŋ⸣gai s⸢sariti ʔoːʃi̥ki⸣ ʔu⸢jaːnʧiʤi⸣ri] (今日は沖縄への初旅だから、神様にお祈り申し上げて好天気<嘉例吉>を肖れるよう、念願しなさい) 13405 0 0 13084 htmvoc_13405.wav パチタユル パ⸢チタユル [pa⸢ʧitajuru] 名 初便り。 ッ⸢ふァヌ⸣ トンラ パ⸢チタユルヌ⸣ ケーティ イッ⸢ケナ⸣ サ⸢ニ⸣ヤ ⸢シー オー⸣ル [f⸢fanu⸣ tonra pa⸢ʧitajurunu⸣ keːti ʔik⸢kena⸣ sa⸢ni⸣ja ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (子供の所から初便りが来たので、非常に嬉しがっておられる) 13414 0 0 13085 htmvoc_13414.wav パチッふァ パ⸢チッふァ [pḁ⸢ʧiffa] 名 初子。ういご。 ⸢ウン⸣ネヌ パ⸢チッふァーヤ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌドゥ マ⸢レー⸣トゥツォー [⸢ʔun⸣nenu pḁ⸢ʧiffaːja⸣ mi⸢doːŋ⸣ffanudu ma⸢reː⸣tuʦoː] (あの家のういご<初子>は女の子が生まれたそうだ) 13400 0 0 13086 htmvoc_13400.wav パチナシ パ⸢チナシ [pa⸢ʧinaʃi] 名 初産。「はつなし<初生し>」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァル⸣ パ⸢チナシ⸣ ヤ⸢ルヌ ソートゥ⸣ ア⸢タラン⸣ オ⸢サン⸣マー カ⸢ロー⸣タンツォー [ku⸢nu⸣ f⸢faru⸣ pḁ⸢ʧinaʃi⸣ ja⸢runu soːtu⸣ ʔa⸢taraŋ⸣ ʔo⸢sam⸣maː ka⸢roː⸣tanʦoː] (この子が初産<初生し>だが、心配とは裏腹<当らず>にお産は軽かったそうだ)。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢チナシェー⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァ ヤ⸢レー⸣ル [ʔu⸢rinu⸣ pḁ⸢ʧinaʃeː⸣ mi⸢doːŋ⸣ffa ja⸢reː⸣ru] (あれ<彼女>の初産は女の子であったよ) 13408 0 0 13087 htmvoc_13408.wav パチナル パ⸢チナル [pḁ⸢ʧinaru] 名 初生り。果実や野菜の最初に生る果実。 ⸢ウー⸣ルン ⸢ゴー⸣ヤーン カ⸢ブッチン⸣ パ⸢チナロー⸣ ブリキー ウ⸢ヤプス⸣ンマイ シ⸢キ オーシティル⸣ バ⸢カス⸣ダー [⸢ʔuː⸣ruŋ ⸢goː⸣jaːŋ ka⸢butʧim⸣ pḁ⸢ʧinaroː⸣ burikiː ʔu⸢japu̥su⸣mmai ʃi̥⸢ki ʔoːʃi̥tiru⸣ ba⸢kasu⸣daː] (キュウリ<胡瓜>もゴーヤー<苦瓜>もカボチャ<南瓜>も初生りは\ruby{捥}{モ}いできて先祖に供えてから炊くのだよ) 13409 0 0 13088 htmvoc_13409.wav パチナンカ パ⸢チナンカ [pḁ⸢ʧinaŋka] 名 初七日。死後七日目の⸢ソッ⸣コー[⸢sok⸣koː](法事)。ア⸢ラナン⸣カ[ʔa⸢ranaŋ⸣ka](新七日法事)ともいう。以下、フ⸢タナンカ[ɸu̥⸢tanaŋka](二七日)、⸢ミーナンカ[⸢miːnaŋka](三七日)、⸢ユーナンカ[⸢juːnaŋka](四七日)、イ⸢チナン⸣カ[ʔi⸢ʧinaŋ⸣ka](五七日)、⸢ムーナンカ[⸢muːnaŋka](六七日)、⸣シンズク[⸣ʃinʣuku](四十九日)、⸢ピャーッカニ⸣チ[⸢pjaːkkani⸣ʧi](百か日焼香)が行われる 13410 0 0 13089 htmvoc_13410.wav パチヌッふァ パ⸢チヌ⸣ ッ⸢ふァ [pḁ⸢ʧinu⸣ f⸢fa] 連 初の子。第一子。最初に生まれた子。 ウ⸢レー⸣ パ⸢チヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢レー⸣ティル ⸣アイニ ア⸢タラサ⸣ シ⸢ラリ ブー⸣ヨー [ʔu⸢reː⸣ pḁ⸢ʧinu⸣ f⸢fa⸣ ja⸢reː⸣tiru ⸣ʔaini ʔa⸢tara⸣sa ʃi⸢raribuː⸣joː] (彼<それ>は初の子だからあんなに大切にされているのだよ) 13411 0 0 13090 htmvoc_13411.wav パチパチ パ⸢チパチ [pḁ⸢ʧipaʧi] 名 各果物のお初。各種果物の初生り。根菜や果物、野菜の初生り。食べられる木の実の初生り。/ナチカシヤ ナチンガチヌ ナチヌヤマ キーヌナル パチパチバ ブリカザリ ムスビティ ウヤニ マイラシバ スリトゥム ウヤヌヨー タミドゥナル/(懐かしい夏季の夏山の木の実のお初<初生り>を取り供え、結んで亡き親に差し上げると、あるいは親の孝行<ため>になる)。「⸢ウシトゥヌ クイ[⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸣kui](弟の声<歌>)。念仏歌」『鳩間島古典民謡古謡集』 13412 0 0 13091 htmvoc_13412.wav パチパチ パ⸢チパチ [pḁ⸢ʧipaʧi] 副 擬音語。ぱちぱち。拍手する音。はじける音。 ブ⸢ドゥルヌ⸣ ウ⸢ムッ⸣サティ パ⸢チパチ⸣シ ⸢ティッ⸣ツァー ⸢シーベー [bu⸢durunu⸣ ʔu⸢mus⸣sati pḁ⸢ʧipaʧi⸣ʃi ⸢tit⸣ʦaː ⸢ʃiːbeː] (踊りが面白いのでパチパチと拍手している) 13413 0 0 13092 htmvoc_13413.wav ハチバンシェン ハ⸢チバン⸣シェン [hḁ⸢ʧibaŋ⸣ʃeŋ] 名 「八番線」の義か。直径約4ミリの鋼線。ワイヤロープに用いる鋼線。これを約30センチに切り、先端部を研いで竹竿の先に填めて小魚を突く\ruby{銛}{モリ}に作った。 ハ⸢チバン⸣シェン ⸣キシティ フ⸢チ⸣ トゥイティ サフ⸢ケー⸣マ ⸢トゥンガラ⸣シ タ⸢キユイ⸣ シキ ユクン⸢ナー⸣マ ス⸢ク⸣リティ ウ⸢リ⸣シル ⸢アイイズ⸣ ス⸢クタ [hḁ⸢ʧibaŋ⸣ʃeŋ ⸣ki̥ʃiti ɸu̥⸢ʧi⸣ tuiti saɸu⸢keː⸣ma ⸢tuŋgara⸣ʃi tḁ⸢kijui⸣ ʃi̥ki jukun⸢naː⸣ma su̥⸢ku⸣riti ʔu⸢ri⸣ʃiru ⸢ʔaiiʣu⸣ su̥⸢kuta] (八番線を切って、先端を研いで先鋭に尖らして竹の柄を付けて小さな銛に作り、それでアイゴを突いた) 13415 0 0 13093 htmvoc_13415.wav ハチブランプ ハ⸢チブ⸣ランプ [hḁ⸢ʧibu⸣rampu] 名 八分ランプ。灯心が八分のランプ。 ゴ⸢ブ⸣ランポーラン ハ⸢チブ⸣ランプル ガ⸢リダー(ガ⸢ロー) [go⸢bu⸣rampoːraŋ hḁ⸢ʧibu⸣rampuru ga⸢ridaː(ga⸢roː)] (五分ランプよりも八分ランプのほうがより明るい<より輝く>) 13416 0 0 13094 htmvoc_13416.wav パチマー パ⸢チマー [pḁ⸢ʧimaː] 名 初孫。 ⸢バン⸣テナー パ⸢チマーヌ⸣ マ⸢レー⸣ン [⸢ban⸣tenaː pḁ⸢ʧimaːnu⸣ ma⸢reː⸣ŋ] (私の家に初孫が生まれた)。 パ⸢チマーヤ⸣ マ⸢ダ ミュー⸣ヌ<ミ⸢ラ⸣ヌ> [pa⸢ʧimaːja⸣ ma⸢da mjuː⸣nu] (初孫はまだ見ない<九十歳以上の古老の使用語>) 13417 0 0 13095 htmvoc_13417.wav ハチマキ ハ⸢チマ⸣キ [ha⸢ʧima⸣ki] 名 鉢巻。標準語からの借用語。 ⸢ウンドークヮイ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢シー⸣トゥンケーヤ ス⸢ブ⸣ルナー ハ⸢チマ⸣ケー ⸢シーティル⸣ パ⸢リスー⸣ブ シ⸢タル [⸢ʔundoːkwai⸣nu ⸣pimmaː ⸢ʃiː⸣tuŋkeːja su⸢buru⸣naː hḁ⸢ʧima⸣keː ⸢ʃiːtiru⸣ pa⸢risuː⸣bu ʃi̥⸢taru] (運動会の時は生徒達は頭に鉢巻をして競走<走り勝負>をしたものだ) 13419 0 0 13096 htmvoc_13419.wav パチミカスン パ⸢チミカ⸣スン [pḁ⸢ʧimika⸣suŋ] 他動 パチンと平手打ちにする。張りとばす。ぶん殴る。 ⸣ドゥクナリ ⸢ブー⸣カー パ⸢チミカ⸣シバ [⸣dukunari ⸢buː⸣kaː pḁ⸢ʧimika⸣ʃiba] (ひどく我儘で言う事を聞かなければ平手打ちにしてやれよ)。 パ⸢チミカ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ タケー ⸣バーラ タ⸢カー⸣ルンダ パ⸢チミカサラ⸣ヌ [pḁ⸢ʧimika⸣sunti ⸢sundu⸣ takeː ⸣baːra tḁ⸢kaː⸣runda pḁ⸢ʧimikasara⸣nu] (張り倒そうとするが、身の丈が私よりも高いので張り倒されない)。 パ⸢チミカ⸣シ ⸣ミサカー ⸢バン⸣ヌン パ⸢チミカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [pḁ⸢ʧimika⸣ʃi ⸣misakaː ⸢ban⸣num pḁ⸢ʧimika⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (張り倒してよければ、私も張り倒すことはできる)。 ⸢ウンザー⸣ パ⸢チミカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔunʣaː⸣ pḁ⸢ʧimika⸣ʃeː ⸣misamunu] (あの野郎は張り倒せばいいのに) 13420 0 0 13097 htmvoc_13420.wav パチミングラスン パ⸢チミングラ⸣スン [pḁ⸢ʧimiŋgura⸣suŋ] 他動 平手で打って張り倒す。殴り倒す。ぶん殴る。 フ⸢チ⸣シ ア⸢ジシゥカシタンティン⸣ シゥ⸢カン⸣カー パ⸢チミングラシ⸣ ナ⸢ラー⸣シバ [ɸu̥⸢ʧi⸣ʃi ʔa⸢ʤisï̥kaʃitantin⸣ sï̥⸢kaŋ⸣kaː pḁ⸢ʧimiŋgura⸣ʃi na⸢raː⸣ʃiba] (口で言って教えて<聞かせて>も、聞かないなら、ぶん殴って教えろよ) 13421 0 0 13098 htmvoc_13421.wav パチユー パ⸢チユー [pḁ⸢ʧijuː] 副 お供え用に。ほんの少量。ほんの少しの供物用として。神仏に供える少量の穀物。程度をあららわす。「お初用に」の義。 パ⸢チユーナー⸣ トゥリ ⸣シキティ ⸣アトー ムー⸢ル カーシ⸣バ [pḁ⸢ʧijuːnaː⸣ turi ⸣ʃi̥kiti ⸣ʔatoː muː⸢ru kaːʃi⸣ba] (お供え用に少しずつ取っておいて、残り<後>は全部売りなさいよ) 13422 0 0 13099 htmvoc_13422.wav ハチョーフ ハ⸢チョーフ [hḁ⸢ʧoːɸu] 名 破傷風。標準語の「破傷風」の転訛したもの。普通は、⸢ピン⸣グル ⸢ペー⸣ルン[⸢piŋ⸣guru ⸢peː⸣ru](ヒジュル<破傷風菌が傷口から侵入しておこる病気>が入る)『医学沖縄語辞典』という。 ⸢ヤースクリ⸣ヤーナーティ サ⸢ビフイ⸣フン ⸢フンキ⸣ パン ⸢ピッキ⸣テイ ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティ カ⸢ク⸣チ ⸢コー⸣リ ⸢ベータン⸣ドゥ ピ⸢ル シッ⸣キティ サ⸢キトゥ マー⸣ス マ⸢ザー⸣シティ ッ⸢シットー⸣シ ⸢トゥン⸣ザク シ⸢ティル⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣ヌチ ⸢モーシ⸣タツォー [⸢jaːsu̥kuri⸣jaːnaːti sa⸢biɸui⸣ɸuŋ ⸢ɸuŋki⸣ pam ⸢pik⸣kiti ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤiti kḁ⸢ku⸣ʧi ⸢koː⸣ri ⸢beːtan⸣du pi⸢ru ʃik⸣kiti sḁ⸢kitu maː⸣su ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ʃ⸢ʃittoː⸣ʃi ⸢tunʣa⸣ku ʃi̥⸢tiru⸣ jat⸢tu⸣ʃi ⸣nuʧi ⸢moːʃi⸣taʦoː] (建築中の家で錆びた釘を踏んで足を傷つけ<足に孔をあけ>、発熱して顎も硬くなっていたが、大蒜を搗いて酒と塩を混ぜて、手で全身から傷口を擦りこみ、こすり下ろして看護<頓着>して、やっとで命を取り留め<命を萌えさせ>たそうだ) 13423 0 0 13100 htmvoc_13423.wav パチンガカー パ⸢チンガカー [pa⸢ʧiŋgakaː] 固 ニ⸢シ⸣ドー[ni⸢ʃi⸣doː](西堂{EOS}「北の窪地」の義)と⸣カンドー[⸣kandoː](地名{EOS}「上の窪地」の義)の境界地点の、加治工家の畑の側にある鍾乳洞洞穴の井戸。昔は、農作業の途中に水が欲しくなると、この鍾乳洞の洞穴を下りていって、洞窟底の湧水を汲んで飲料水に利用したという。⸢ウイヌカー[⸢ʔuinukaː]が整備されて以後、あまり利用されなくなったという。伝説によると、この洞窟は西表島のウ⸢ラン⸣ザキ[ʔu⸢ran⸣ʣaki](宇奈利崎)に通じているという 13424 0 0 13101 htmvoc_13424.wav パチングヮチ パ⸢チングヮ⸣チ [pḁ⸢ʧiŋgwa⸣ʧi] 名 八月。若年層は、パ⸢チンガ⸣チ[pḁ⸢ʧiŋga⸣ʧi](八月)という。八月は良い月といわれており、⸢ソーニヨイ[⸢soːnijoi](生年祝い)や⸣ドゥーパダニンガイ[⸣duːpadaniŋgai](健康祈願)を行う月である。 パ⸢チングヮ⸣チナール ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダニンガイヤー ⸢ソー⸣ル [pḁ⸢ʧiŋgwa⸣ʧinaːru ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpadaniŋgaijaː ⸢soː⸣ru] (旧暦八月に<ぞ>家族の健康祈願はなされる) 13425 0 0 13102 htmvoc_13425.wav パチングヮチシキ パ⸢チングヮチ⸣シキ [pḁ⸢ʧiŋgwaʧi⸣ʃi̥ki] 名 八月。八月の月。「八月・月」の義。 ⸢キョー⸣ラ パ⸢チングヮチ⸣シキン タ⸢トー⸣レーン [⸢kjoː⸣ra pḁ⸢ʧiŋgwaʧi⸣ʃi̥kiːn tḁ⸢toː⸣reːŋ] (今日から八月の月に入った<八月・月も立たれた>) 13426 0 1 13103 htmvoc_13426.wav パチンジ パ⸢チンジ [pḁ⸢ʧiʔnʤi] 名 {Mn_1}初出。初出漁。 カ⸢ツシンマー キュー⸣ル パ⸢チンジ⸣ ヤ⸢ルヌ タイロー シー⸣ ケーン [kḁ⸢ʦuʃimmaː kjuː⸣ru pḁ⸢ʧiʔnʤ⸣ ja⸢runui tairoː ʃiː⸣ keːŋ] (カツオ漁船は今日が初出漁だが、大漁してきたよ)。 13426 0 2 13104 htmvoc_13426.wav パチンジ パ⸢チンジ [pḁ⸢ʧiʔnʤi] 名 {Mn_2}産婦が出産後の\ruby{庚}{カノエ}、\ruby{辛}{カノト}の日に実家の仏前、親戚の家の仏前にお参りして元祖拝みをすること。 ⸢オーシキヌ カイ⸣ヤ ⸢ベー⸣ティ バ⸢カ⸣ジラプソー パ⸢チンジ シー グヮン⸣ス ウ⸢ガマ⸣シン ⸢パッ⸣タ [⸢ʔoːʃikinu kai⸣jaː ⸢beː⸣ti ba⸢ka⸣ʤirapu̥soː pḁ⸢ʧiʔnʤi ʃiː ⸢gwan⸣su ʔu⸢gama⸣ʃim ⸢pat⸣ta] (天気が良いので産後間もない産婦が初出<初外出>をして実家や親戚の仏壇の元祖を拝ませに行った) 13427 0 0 13105 htmvoc_13427.wav パツァーン パ⸢ツァー⸣ン [pḁ⸢ʧaː⸣ŋ] 形 せっかちである。性急で落ち着かない。怒りっぽい。普通は、⸢キーパツァー⸣ン[⸢kiːpaʦaː⸣ŋ](せっかちで怒りっぽい性分である)という。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ キーパツァー⸣ンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ⸢キーパツァー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena kiːpaʦaː⸣nti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ⸢kiːpaʦaː naː⸣nu] (彼はせっかちで怒りっぽいと聞いていたが、あまりせっかちで怒りっぽくない)。 ⸣ドゥク ⸢キーパツァー⸣ヌ ウ⸢リトー⸣ マー⸢ズン⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ララヌ [⸣duku ⸢kiːpaʦaː⸣nu ʔu⸢ritoː⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢raranu] (あまりにもせっかちで怒りっぽいので、彼とは一緒に仕事は出来ない<仕事はされない>)。 ⸢キーパツァー⸣ プ⸢ソー⸣ シ⸢グトゥ パヤー⸣ン [⸢kiːpaʦaː⸣ pu̥⸢soː⸣ ʃi⸢gutu pajaː⸣ŋ] (せっかちな人は、仕事が早い)。 ⸢キーパツァー⸣ ナルン [⸢kiːpaʦaː⸣ naruŋ] (せっかちになる) 13428 0 0 13106 htmvoc_13428.wav パツァーンパツァーン パ⸢ツァーンパツァーン [pḁ⸢ʦaːmpaʦaːŋ] 副 擬音語。ぽきりぽきり。ぽきぽき。木の枝などが\ruby{脆}{モロ}く折れる音。 パ⸢ツァーンパツァーン⸣シ ウ⸢ジ⸣ル ⸣ブリティ カ⸢マチ⸣ナ ⸢モーシバ⸣ キ⸢モーッ⸣サ ⸢ムイルン [pa⸢ʦaːmpaʦaːŋ⸣ʃi ʔu⸢ʤi⸣ru ⸣buriti ka⸢maʧi⸣na ⸢moːʃiba⸣ ki⸢moːs⸣sa ⸢muiruŋ] (ぽきりぽきりと枯れた柴<潅木>を折って竈にくべて燃やすと気持ちよく燃える) 13429 0 0 13107 htmvoc_13429.wav パツァグミ パ⸢ツァ⸣グミ [pḁ⸢ʦa⸣gumi] 名 おこし(興し{EOS}\ruby{SqBr}g{/SqBr}{粔籹}{オコシ})。 パ⸢ツァ⸣グミティ ア⸢ズ コー⸣シン ⸣キサー イ⸢サナケー⸣ パ⸢ラン⸣カー ッ⸢ふァーランシェン [pḁ⸢ʦa⸣gumiti ʔa⸢ʣu koː⸣ʃiŋ ⸣kisaː ʔi⸢sanakeː⸣ pa⸢raŋ⸣kaː f⸢faːraŋʃeŋ] (おこしというお菓子も以前は石垣島へ行かないと食べられなかった)。 パ⸢ツァ⸣グメー ン⸢マーン⸣ドゥ ⸣ティー ム⸢チンダーリティ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pḁ⸢ʦa⸣gumeː ʔm⸢maːn⸣du ⸣tiː mu⸢ʧindaːriti⸣ na⸢ra⸣nu] (おこしは美味しいが、手に粘っこくくっ付いて堪らない) 13454 0 0 13108 htmvoc_13454.wav バツァミルン バ⸢ツァミ⸣ルン [ba⸢ʦami⸣ruŋ] 他動 鼻綱を結わえる。牛馬など家畜類の鼻綱を草木に結わえ、一定時間放置して草を食べさせる。バ⸢ツァ⸣ムン[ba⸢ʦa⸣muŋ]ともいう。 ウ⸢シ⸣ バ⸢ツァミ⸣ルンティ ⸢ベーン⸣ドゥ バ⸢ツァミララ⸣ヌ [ʔu⸢ʃi⸣ ba⸢ʦami⸣runti ⸢beːn⸣du ba⸢ʦamirara⸣nu] (牛の鼻綱を繋ごうとしているが繋がれない)。 ⸣クナー バ⸢ツァミ⸣ プサンドゥ バ⸢ツァミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [⸣kunaː ba⸢ʦami⸣ pu̥sandu ba⸢ʦami⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (ここに牛の鼻綱を繋ぎたいが、繋ぐことは出来ないそうだ)。 ウ⸢シ⸣ バ⸢ツァミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ バ⸢ツァミ⸣ル ⸣トンドゥ ⸢ナーン⸣サー [ʔu⸢ʃi⸣ ba⸢ʦami⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ba⸢ʦami⸣ru ⸣tondu ⸢naːn⸣saː] (牛の鼻綱を結わえようと思うが、結わえる所がないさ)。 ⸣クナー バ⸢ツァミラ⸣リン [⸣kunaː ba⸢ʦamira⸣riŋ] (ここには鼻綱を結わえて置ける)。 ⸣クナー バ⸢ツァミララン⸣カー ⸣カナー バ⸢ツァミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣kunaː ba⸢ʦamiraraŋ⸣kaː ⸣kanaː ba⸢ʦami⸣reː ⸣misamunu] (ここに鼻綱を結わえられなければ、あそこに鼻綱を結わえれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ クナー バ⸢ツァミ⸣リ [jaː⸢diŋ⸣ kunaː ba⸢ʦami⸣ri] (必ずここに鼻綱を結わえろ) 13431 0 0 13109 htmvoc_13431.wav バツァムン バ⸢ツァ⸣ムン [ba⸢ʦa⸣muŋ] 他動 牛馬などの鼻綱を草木に繋いで放牧する。 バ⸢ツァマ⸣ヌ [ba⸢ʦama⸣nu] (繋がない)。 ウ⸢シェー⸣ ガ⸢ヤー⸣ヌーナ バ⸢ツァ⸣ミティ ⸣ッサ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ʔu⸢ʃeː⸣ ga⸢jaː⸣nuːna ba⸢ʦa⸣miti ⸣ssa f⸢faːʃi⸣ba] (牛は茅野に繋いで草を食べさせなさい)。 ⸣クナー バ⸢ツァ⸣ムンティ シ⸢タンドゥ⸣ バ⸢ツァマラン⸣シェン [⸣kunaː ba⸢ʦa⸣munti ʃi̥⸢tandu⸣ ba⸢ʦamaraŋ⸣ʃeŋ] (ここに牛の鼻綱を繋ごうとしたが、繋がれなかった)。 ⸣カナー バ⸢ツァ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸣kanaː ba⸢ʦa⸣meː ⸣misamunu] (あそこに鼻綱を繋げばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ クナー バ⸢ツァ⸣ミ [jaː⸢diŋ⸣ kunaː ba⸢ʦa⸣mi] (必ずここで牛の鼻綱を繋げ)。バ⸢ツァミ⸣ルン[ba⸢ʦami⸣ruŋ]と同じ意味。 ⸣クナー ウ⸢シ⸣ バ⸢ツァ⸣ムンティ シ⸢タンドゥ⸣ ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ダ バ⸢ツァマラ⸣ヌ [⸣kunaː ʔu⸢ʃi⸣ ba⸢ʦa⸣munti ʃi̥⸢tandu⸣ s⸢sa⸣nu ⸢naːn⸣da ba⸢ʦamara⸣nu] (ここに牛の鼻綱を結わえようとしたが、草がないのでここでは鼻綱を結わえられない)。 ⸣クナー ウ⸢シ⸣ バ⸢ツァミ⸣ プサンドゥ バ⸢ツァ⸣ム ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [⸣kunaː ʔu⸢ʃi⸣ ba⸢ʦami⸣ pu̥sandu ba⸢ʦa⸣mu ⸣ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (ここに牛の鼻綱を結わえたいが、結わえることは出来ないそうだ) 13432 0 1 13110 htmvoc_13432.wav パツァラパツァラ パ⸢ツァラパツァラ [pa⸢ʦarapaʦara] 副 {Mn_1}ぱちぱち。枯ススキや竹が燃えはじけるさま。擬音語。 ⸢ユシ⸣キン タ⸢キン モース⸣カー パ⸢ツァラパツァラ⸣シ ⸢ムイルン [⸢juʃi̥⸣kin tḁ⸢kim moːsu⸣kaː pḁ⸢ʦarapaʦara⸣ʃi ⸢muiruŋ] (ススキも竹も燃やすとパチパチと音を立てて燃える)。 13432 0 2 13111 htmvoc_13432.wav パツァラパツァラ パ⸢ツァラパツァラ [pa⸢ʦarapaʦara] 副 {Mn_2}ぽりぽり。煎り豆などを噛み砕く音の形容。 ⸢パー⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブー⸣ プ⸢ソー⸣ イ⸢ラキ⸣マミン パ⸢ツァラパツァラ⸣シ ウ⸢トー⸣ タティティ ッ⸢ふーユンダ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [⸢paː⸣nu ⸣kanai ⸢buː⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢raki⸣mamim pḁ⸢ʦarapaʦara⸣ʃi ʔu⸢toː⸣ tatiti f⸢fuːjunda⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (歯の強い<叶っている>人は煎り豆もぽりぽりと音を立てて食べるから羨ましい) 13456 0 0 13112 htmvoc_13456.wav パツァラパツァラシ パ⸢ツァラパツァラ⸣シ [pḁ⸢ʦarapaʦara⸣ʃi] 副 擬声語。ぽきぽきと。ぽきぽきと音を立てて食うさま。 ウ⸢レー パー⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ シン⸣ビーン パ⸢ツァラパツァラ⸣シ ン⸢マーン⸣ギサシル ッ⸢ふー⸠ダー [ʔu⸢reː paː⸣nu ⸣kanai ⸢bunda ʃim⸣biːm pḁ⸢ʦarapaʦara⸣ʃi ʔm⸢maːŋ⸣gisaʃiru f⸢fuː⸠daː] (彼は歯が揃っている<叶っている>から煎餅もパツァラパツァラと音をたてて美味しそうに食べるんだよ) 13433 0 0 13113 htmvoc_13433.wav パツァンティ パツァン⸢ティ [pḁʦan⸢ti] 副 ぷつりと。ぷつんと。綱や縄、糸や紐などが切れるさま。擬音語からの転訛。 ⸣アガヤー ⸢ヤーフキ⸣ヌ シ⸢ミナー⸣バ ウ⸢ムイ⸣キシ シ⸢ム⸣タ ⸣クトー パツァン⸢ティ⸣ キシ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔagajaː ⸢jaːɸu̥ki⸣nu ʃi⸢minaː⸣ba ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ʃi⸢mu⸣ta ⸣ku̥toː pḁʦan⸢ti⸣ ki̥ʃi⸢naː⸣nu] (あ、痛{EOS!}<仕舞った{EOS!}>、屋根葺き<家葺き>の締め縄を思い切って引き締めたところ、ぷつんと切れてしまった) 13434 0 0 13114 htmvoc_13434.wav ハッカ ⸢ハッ⸣カ [⸢hak⸣ka] 名 (植)ハッカ(薄荷)。標準語からの借用語か。頭痛薬として用いられた。戦前は台湾から防虫、防臭用の⸢ショー⸣ノー[⸢ʃoː⸣noː](樟脳)などと共に輸入されていた。 ⸢ハッカ⸣ヌ カ⸢ザ⸣ カ⸢ブ⸣カー ガ⸢マジ⸣ヤン ⸢ノール⸣タンティ⸢ダー [⸢hakka⸣nu ka⸢ʣa⸣ ka⸢bu⸣kaː ga⸢maʤi⸣jan ⸢noːru⸣tanti⸢daː] (ハッカの香りを嗅ぐと頭痛が治ったそうだよ) 13435 0 0 13115 htmvoc_13435.wav ハッカク ⸣ハッカク [⸣hakkaku] 名 八角形の凧。⸣ハッカクピキダマ[⸣hakkakupi̥kidama](八角凧)の略語。 ⸣ハッカコー シ⸢カク⸣バ カ⸢サビティ⸣ ス⸢ク⸣ルンダ ⸣シノー ⸢ヤーチ⸣ ア⸢リ⸣ブタル [⸣hakkakoː ʃi̥⸢kaku⸣ba kḁ⸢sabiti⸣ su̥⸢ku⸣runda ⸣ʃinoː ⸢jaːʧi⸣ ʔa⸢ri⸣butaru] (八角形の凧は四角を重ねて作るのだから、角が八つもあったよ) 13436 0 0 13116 htmvoc_13436.wav パッキルン ⸢パッキルン [⸢pakkiruŋ] 自動 はち切れる。内部が膨らんできて、表面が裂け切れる。 バ⸢タ⸣ヌ ⸢パッキルン⸣ケン ⸣イー ッ⸢ふァイ ベー [ba⸢ta⸣nu ⸢pakkiruŋ⸣keŋ ⸣ʔiː f⸢fai beː] (腹がはち切れるまで飯を食べている)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン パッキラヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbam pakkiranu] (いくら食ってもはち切れない)。 ン⸢グムタ⸣ クトー ズ⸢ボン⸣マー ⸢パッキリ ナー⸣ヌ [ʔŋ⸢gumuta⸣ ku̥toː ʣu⸢bom⸣maː ⸢pakkiri naː⸣nu] (下っ腹に力をこめて力んだところ、ズボンがはち切れてしまった)。 ⸢パッキル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pakkiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (はち切れることはない) 13437 0 0 13117 htmvoc_13437.wav バッキン ⸢バッキン [⸢bakkiŋ] 名 罰金。 ク⸢ルマ⸣ヌ ス⸢ピード⸣イハンシ ⸢バッキン⸣ ウ⸢サム⸣タ [ku⸢ruma⸣nu su⸢piːdo⸣ʔihaŋʃi ⸢bakkiŋ⸣ ʔu⸢samu⸣ta] (車のスピード違反で罰金を納めた) 13438 0 0 13118 htmvoc_13438.wav バックラスン ⸢バックラスン [⸢bakkurasuŋ] 他動 ばらばらにする。こわす。割って壊す。 ⸢ウー⸣キ ⸢バックラスン [⸢ʔuː⸣ki ⸢bakkurasuŋ] (桶をばらばらにする)。 ⸢シン⸣カー ⸢バックラサンドー⸣シ マ⸢トゥミリ [⸢ʃiŋ⸣kaː ⸢bakkurasandoː⸣ʃi ma⸢tumiri] (仲間<組合員>をばらばらにしないで纏めろ)。 ⸢バックラシ ナー⸣ヌ [⸢bakkuraʃi naː⸣nu] (ばらばらにしてしまった)。 ⸢バックラシ⸣ ミサカー ⸢バックラス⸣ クトー⸣ナルン [⸢bakkuraʃi⸣ misakaː ⸢bakkurasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (ばらばらに壊して良ければ壊すことはできる)。 ⸢バックラシェー⸣ ミサムヌ [⸢bakkuraʃeː⸣ misamunu] (ばらばらにすれば良いのに)。 ⸢バックラシ [⸢bakkuraʃi] (ばらばらに壊せ) 13439 0 0 13119 htmvoc_13439.wav バックリルン ⸢バックリルン [⸢bakkuriruŋ] 自動 ばらばらに割れる。割れて崩れる。 マルー⸢マルー⸣シ ス⸢ブ⸣リ ⸣シケー ⸢ウンヌ⸣カシェー ⸣ティダナ ⸣プスカー ⸢バックリルンダ バックリラン⸣ヨーニ ギッ⸢ティ⸣ ス⸢ブ⸣リ [maruː⸢maruː⸣ʃi su⸢bu⸣ri ⸣ʃi̥keː ⸢ʔunnu⸣kaʃeː ⸣tidana ⸣pu̥sukaː ⸢bakkurirunda bakkuriraɲ⸣joːni git⸢ti⸣ su⸢bu⸣ri] (丸く握ってある芋粕は太陽に干すとバラバラに割れるからバラバラに割れないようにぎゅっと力を入れて握り<\ruby{搾}{シボ}り>なさい)。 ⸢バックリ ナー⸣ヌ [⸢bakkuri naː⸣nu] (バラバラに割れて<崩れて>しまった)。 ⸢バックリル⸣ ムノー シ⸢ティリ⸣バ [⸢bakkuriru⸣ munoː ʃi̥⸢tiri⸣ba] (ばらばらに割れるものは捨てなさい)。 ⸢バックリレー⸣ ミサムヌ [⸢bakkurireː⸣ misamunu] (ばらばらに割れればいいのに)。 ⸢バックリリ⸣バ [⸢bakkuriri⸣ba] (ばらばらに割れろ) 13440 0 0 13120 htmvoc_13440.wav バックルン ⸢バックルン [⸢bakkuruŋ] 自動 ばらばらに割れる。割れて崩れる。 ⸢ウー⸣ケー ⸣ティダナー ⸣プスカー ⸢バックルンダ バックラサン⸣ヨーニ ⸣カイナカー ⸢ペーラ⸣シ [⸢ʔuː⸣keː ⸣tidanaː ⸣pu̥sukaː ⸢bakkurunda bakkurasaɲ⸣joːni ⸣kainakaː ⸢peːra⸣ʃi] (桶は太陽に干すとバラバラに割れて崩れるから、割れて崩れないように日陰に入れなさい)。 ⸢ウー⸣ケー ⸢バックリ ナー⸣ヌ [⸢ʔuː⸣keː ⸢bakkuri naː⸣nu] (桶は割れ崩れてしまった)。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢グー⸣ヤ ⸢バックル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢guː⸣ja ⸢bakkuru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (彼らの組はばらばらに崩れることはない)。 ⸢バックレー⸣ ミサムヌ [⸢bakkureː⸣ misamunu] (ばらばらに割れればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢バックリ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢bakkuri⸣ba] (早くばらばらに割れろ) 13441 0 0 13121 htmvoc_13441.wav バッサイ ⸢バッ⸣サイ [⸢bas⸣sai] 名 伐採。山や森の樹木を伐りとること。標準語からの借用語。 ヤ⸢マ⸣ヌ ⸣キー ⸢バッ⸣サイ ス⸢ナ⸠ヨー [ja⸢ma⸣nu ⸣kiː ⸢bas⸣sai su⸢na⸠joː] (山の木<樹木>を伐採するなよ) 13442 0 0 13122 htmvoc_13442.wav ハッサマヨー ⸣ハッサマヨー [⸣hassamajoː] 感 \ruby{驚愕}{キョウ|ガク}したり、\ruby{呆}{アキレ}返る際に発する語。呆れて言いようがない。何とまあ。沖縄本島糸満方言からの借用語が転訛したものか。 ⸣ハッサマヨー ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ブバター⸠ヨー ⸢ムーマカルン⸣ イー ッ⸢ふァイス⸠ダー [⸣hassamajoː ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢bubata⸠joː ⸢muːmakaruŋ⸣ ʔiː f⸢faisu⸠daː] (何とまあ呆れたものだ{EOS}あいつの底なしのお腹だことよ{EOS}六碗<お碗の六杯>もご飯を食うのだよ) 13443 0 1 13123 htmvoc_13443.wav バッザラバザラ ⸢バッザラバザラ [⸢badʣarabaʣara] 副 {Mn_1}うじゃうじゃ。うようよ。多数の虫や昆虫が重なり合ったり\ruby{絡}{カラミ}合ったりしてうごめくさま。バ⸢ザラバザラ[ba⸢ʣarabaʣara]ともいう。 ⸢バッザラバザラ⸣シ ウ⸢ジ⸣ヌ バ⸢キティ⸣(⸣シディティ) キ⸢ムフクレー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢badʣarabaʣara⸣ʃi ʔu⸢ʤi⸣nu ba⸢kiti⸣(⸣ʃiditi) ki⸢muɸu̥kureː⸣nu na⸢ra⸣nu] (うじゃうじゃと蛆が湧いて汚くてたまらない)。 13443 0 2 13124 htmvoc_13443.wav バッザラバザラ ⸢バッザラバザラ [⸢badʣarabaʣara] 副 {Mn_2}むずむず。あせも<汗疹>などが盛んに痒くなるさま。 ナ⸢チアシブヌ⸣ バッ⸢ザラバザラ⸣シ ⸢アーリティ⸣ キ⸢ム⸣シル ⸢シー ベー [na⸢ʧiʔaʃibunu⸣ bad⸢ʣarabaʣara⸣ʃi ⸢ʔaːriti⸣ ki⸢mu⸣ʃiru ⸢ʃiː beː] (夏に出るあせも<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{汗疹}{アセモ}>がむずむずと肌のうえで暴れ出しているようで、むず痒く、むしゃくしゃしている) 13444 0 0 13125 htmvoc_13444.wav パッサン ⸣パッサン [⸣passaŋ] 名 発散。発熱後、熱が体内にこもらないように発汗させて体熱を外へ発し散らすこと。 パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カ⸣ルカー(マ⸢マル⸣カー) ⸣ドゥー ⸢ピーラサン⸣ドーシ ⸢カイ⸣ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーシティ⸣ パッサン シ⸢モーッ⸣タ [pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣rukaː(ma⸢maru⸣kaː) ⸣duː ⸢piːrasan⸣doːʃi ⸢kai⸣ tḁ⸢ki⸣ f⸢faːʃi̥ti⸣ passaŋ ʃi⸢moːt⸣ta] (風邪を引く<風邪を塗られる>と体を冷やさないようにして御粥を炊いて食べさせて熱を発散させられた) 13445 0 0 13126 htmvoc_13445.wav ハッスンジブク ⸢ハッスンジブ⸣ク [⸢hassunʤibu⸣ku] 名 八寸角の正方形の重箱。「八寸重箱」の義。祝儀や法事の際に用いられる重箱。石垣方言からの借用語か。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピントゥ ⸢ソッコー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ハッスンジブ⸣クナール ム⸢チン⸣ カ⸢マブクン⸣ ム⸢リティル⸣ マ⸢ツォーッ⸣タ [⸢joi⸣nu ⸣pintu ⸢sokkoː⸣nu ⸣pimmaː ⸢hassunʤibu⸣kunaːru mu⸢ʧiŋ⸣ ka⸢mabukum⸣ mu⸢ritiru⸣ ma⸢ʦoːt⸣ta] (お祝いの時と法事<焼香>の時には八寸重箱に餅も蒲鉾も盛って供えられ<祀られ>た) 13446 0 0 13127 htmvoc_13446.wav パッタシキ ⸢パッ⸣タ ⸣シキ [⸢pat⸣ta ⸣ʃi̥ki] 連 先月。「去った月」の義。 ⸢パッ⸣タ シ⸢キ⸣ヌ シ⸢キダ⸣チナール ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッ⸣タ [⸢pat⸣ta ʃi̥⸢ki⸣nu ʃi̥⸢kida⸣ʧinaːru ʔu⸢ki⸣naː ⸢pat⸣ta] (先月<去った月>の朔日に沖縄へ発った<行った>)。⸢パッ⸣タ ⸣トゥシ[⸢pat⸣ta ⸣tu̥ʃi](先年<去った年>)は、⸣クズ[⸣kuʣu](去年)と対をなすが、⸢パッ⸣タシキ[⸢pat⸣ta ⸣ʃi̥ki](去った月)に対をなす語は欠落している 13447 0 0 13128 htmvoc_13447.wav パッタンティン ⸢パッ⸣タンティン [⸢pat⸣tantiŋ] 連 行ったとしても。行ったところで。自動詞⸣パルン[⸣paruŋ](行く)の連用形⸣パリ[⸣pari](行き)に完了の助動詞⸣タン[⸣taŋ](た{EOS}たり)が下接し、その連用形にさらに接続助詞⸣ティン[tiŋ](~ても)が下接した形。 ⸢ワー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢パッ⸣タンティン ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ ma⸢na⸣ma ⸢pat⸣tantin noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (君は今行っても何にもできないよ) 13448 0 0 13129 htmvoc_13448.wav パッチー ⸢パッ⸣チー [⸢pat⸣ʧiː] 名 めんこ。子供の遊具。円形または方形に作られ、表面に絵や写真が張られた厚紙。地上に置いた相手のものに交互に打ち付けて裏返す遊びに用いる。 ⸢パッ⸣チーン イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー イ⸢サナケー⸣ラ ⸢ペー⸣リケー ア⸢サビ ヤッタ [⸢pat⸣ʧiːŋ ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ʔi⸢sanakeː⸣ra ⸢peː⸣rikeː ʔa⸢sabi jatta] (めんこも戦後に石垣島から入ってきた遊びであった) 13449 0 0 13130 htmvoc_13449.wav パッチマルン ⸢パッチマ⸣ルン [⸢patʧima⸣ruŋ] 自動 お腹等がパンパンに張る。はち切れる。 バ⸢タ⸣ヌ ⸢パッチマ⸣ルンケン ⸢イー⸣バ ッ⸢ふァイティ⸣ バ⸢タキクッツァ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢ta⸣nu ⸢patʧima⸣ruŋkeŋ ⸢ʔiː⸣ba f⸢faiti⸣ ba⸢takikutʦa⸣nu na⸢ra⸣nu] (お腹がパンパンに張るまでご飯を食べて、お腹が苦しくて堪らない)。 ⸢パッチマラン⸣ ヨーニ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢patʧimaraŋ⸣ joːni f⸢fai⸣ba] (はち切れないように食べなさいよ) 13450 0 0 13131 htmvoc_13450.wav ハッチョールー ⸢ハッチョー⸣ルー [⸢hatʧoː⸣ruː] 名 八丁艪。⸢プーシン[⸢puːʃiŋ](帆船)時代のカツオ漁は八丁の艪を装着して漕ぎながらカツオを釣ったという。 ⸢プーシンマー⸣ ハッチョールーバ ⸢クイ⸣ヤーティル カ⸢ツォー ホー⸣ソーッタツォー [⸢puːʃimmaː⸣ hatʧoːruːba ⸢kui⸣jaːtiru kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːttaʦoː] (帆船は八丁艪を漕ぎながらカツオを釣られたそうだ) 13451 0 0 13132 htmvoc_13451.wav バッツァースン ⸢バッツァースン [⸢batʦaːsuŋ] 他動 粉々に割り砕く。「割り散らかす」の義。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ⸣マカルドング ⸢バッツァースン⸣ティ ス⸢クタヌ キュー⸣ヤ ⸢バッツァーサンワーン⸣ノー [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ⸣makarudoŋgu ⸢batʦaːsunti⸣ su̥⸢kutandu kjuː⸣ja ⸢batʦaːsaŋwaːn⸣noː] (怒ったらお碗類を粉々に割り砕くと聞いたが、今日は割り砕かないではないか)。 キサー⸢ティ バッツァーシ ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti batʦaːʃi naː⸣nu] (すでに粉々に割り砕いてしまった)。 ⸢バッツァース ムノー バッツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸢batʦaːsu munoː batʦaːʃeː⸣ misamunu] (粉々に砕くものは粉々に砕けばいいのに)。 ⸢バッツァーシ [⸢batʦaːʃi] (粉々に砕け)。 ウ⸢リバ バッツァースンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢バッツァーサランシェン [ʔu⸢riba batʦaːsunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸢batʦaːsaraŋʃeŋ] (それを粉々に割ろうと思ったが割られなかった)。 ⸢バッツァーシ⸣ ミサカー ⸢バッツァース⸣ クトー ⸣ナルン [⸢batʦaːʃi⸣ misakaː ⸢batʦaːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (粉々に割ってよければ粉々に割ることはできる)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢バッツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢batʦaːʃeː⸣ misamunu] (あんな物は粉々に割ってしまえばいいのに)。 ⸢バッツァーシ⸣バ [⸢batʦaːʃi⸣ba] (粉々に割れよ)。 トゥ⸢ジブトゥ⸣ アウカー マ⸢カ⸣ルドング ⸢バッツァースン [tu⸢ʤibutu⸣ ʔaukaː ma⸢ka⸣rudoŋgu ⸢batʦaːsuŋ] (夫婦喧嘩すると食器類<お椀道具>粉々に割る<割り散らす>) 13452 0 0 13133 htmvoc_13452.wav パッツァースン ⸢パッツァー⸣スン [⸢patʦaː⸣suŋ] 自動 夢中で走る。走りまくる。⸢走り散らす」の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ ア⸢ザン⸣カー ⸢パッツァー⸣スンダ ⸢パッツァーサン⸣ ヨーニ ア⸢ジ⸠ツォー [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː ⸢patʦaː⸣sunda ⸢patʦaːsaŋ⸣joːni ʔa⸢ʤi⸠ʦoː] (彼は言わないと走りまくるので、走りまくらないように言ってやりなさい<言いなさい>ってば)。 ⸢パッツァー⸣シ ⸣パルカー マ⸢ニ⸣アウン [⸢patʦaː⸣ʃi ⸣parukaː ma⸢ni⸣auŋ] (走って行ったら間に合う) 13453 0 0 13134 htmvoc_13453.wav バッツァールン ⸢バッツァールン [⸢batʦaːruŋ] 自動 粉々に砕ける。粉々に割れる。散り散りになる。ばらばらになる。 ク⸢ビン⸣マー タ⸢カーン⸣トンラ ⸣ウティティ イ⸢シ⸣ナ ア⸢タル⸣カー ⸢バッツァールンドゥ⸣ ク⸢レー バッツァーランシェン [ku⸢bim⸣maː tḁ⸢kaːn⸣tonra ⸣ʔutiti ʔi⸢ʃi⸣na ʔa⸢taru⸣kaː ⸢batʦaːrundu⸣ ku⸢reː batʦaːraŋʃeŋ] (瓶は高い所から落ちて石に当ると粉々に砕けるが、これは粉々に砕けなかった)。 ⸢バッツァーリ ナー⸣ヌ [⸢batʦaːri naː⸣nu] (粉々に砕けてしまった)。 ⸢バッツァール ムノー⸣ シゥ⸢カーラヌ [⸢batʦaːru munoː⸣ si̥⸢kaːranu] (粉々に砕けるものは使われない)。 ⸢ウッ⸣ツァー ドゥ⸢シェー バッツァーレー⸣ ミサムヌ [⸢ʔut⸣ʦaː du⸢ʃeː batʦaːreː⸣ misamunu] (彼らの友達は散り散りばらばらになればいいのに)。 マ⸢ナマ⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナー ⸢バッツァーリ [ma⸢na⸣manu ʔu⸢ʧi⸣naː ⸢batʦaːri] (今のうちに粉々に砕けろ{EOS}散り散りばらばらになれ) 13055 0 0 13135 htmvoc_13055.wav パッツォールン ⸢パッツォー⸣ルン [⸢patʦoː⸣ruŋ] 自動 ばらばらに散る。ほつれ<解れ>てばらばらになる。散らかる。はじけ散る。 ギャン⸢ティ⸣ ヌイティ フ⸢バリ⸣ シケータ ⸣シナー ⸢パッツォー⸣リ ⸢ベー⸣バ ⸢パッツォーラサン⸣ヨーニ フ⸢バリノーシ⸣バ [gjan⸢ti⸣ nuiti ɸu⸢bari⸣ ʃi̥keːta ⸣ʃinaː ⸢patʦoː⸣ri ⸢beː⸣ba ⸢patʦoːrasaɲ⸣joːni ɸu⸢barinoːʃi⸣ba] (ぎゅっと強く\ruby{綯}{ナ}って縛っておいた綱がほつれてばらばらになっているから、ばらばらにしないようにくくり直せ)。 ヨー⸢ヨー⸣シ フ⸢バル⸣カー ⸢パッツォー⸣ルンダー ⸢パッツォー⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ⸣バ [joː⸢joː⸣ʃi ɸu⸢baru⸣kaː ⸢patʦoː⸣rundaː ⸢patʦoː⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri⸣ba] (弱く縛ると解れてばらばらになるから、\ruby{解}{ホツ}れてばらばらになったものは捨てなさい)。 ⸢パッツォー⸣レーラー シゥ⸢カーラヌ [⸢patʦoː⸣reːraː sï̥⸢kaːranu] (解れてばらばらになったら使えない)。 ⸢パッツォーリ⸣リ [⸢patʦoːri⸣ri] (解れてばらばらになれ)。 ⸢ワー キン⸣ヌ ッ⸢ソー パッツォー⸣リ ⸢ベー [⸢waː kin⸣nu s⸢soː patʦoː⸣ri ⸢beː] (君の着物の裾は\ruby{解}{ホツ}れている)。 ユ⸢ヌ⸣ キン カー⸢ニ⸣ キ⸢ス⸣カー ッ⸢ソー パッツォー⸣ルン⸢ダー カイ⸣ キ⸢ス⸣カー ⸢パッツォーラ⸣ヌ [ju⸢nu⸣ kiŋ kaː⸢ni⸣ ki̥⸢su⸣kaː s⸢soː patʦoː⸣run⸢daː kai⸣ ki̥⸢su⸣kaː ⸢patʦoːra⸣nu] (同じ着物だけ着ると裾が\ruby{解}{ホツ}れるよ{EOS}着替えると解れない)。 ⸢パッツォー⸣ル ⸣トンマー クー⸢シティ⸣ キ⸢シ⸣バ [⸢patʦoː⸣ru ⸣tommaː ⸣kuː ʃi̥⸢ti⸣ ki̥⸢ʃi⸣ba] (\ruby{解}{ホツ}れる所は\ruby{繕}{ツクロ}って着なさい)。 ⸢パッツォー⸣レーラ キ⸢サラヌ [⸢patʦoː⸣reːraː ki̥⸢saranu] (解れたら着られない)。 ⸢パッツォー⸣リバ [⸢paː⸣ku ⸢patʦoː⸣riba] (早く解れろ) 13458 0 0 13136 htmvoc_13458.wav パットゥ ⸢パットゥ [⸢pattu] 名 法度。おきて。禁令。禁制。禁止。 ⸣アッパターラー ⸣アトー パ⸢ルシケー⸣ヤ ⸢パットゥ⸣ ナリ ⸢ティーヌ⸣クシナー パ⸢ル⸣シケー シ⸢モーラン⸣シェンツォー [⸣ʔappataːra ⸣ʔatoː pa⸢ruʃi̥keː⸣ja ⸢pattu⸣ nari ⸢tiːnu⸣ku̥ʃinaː pa⸢ru⸣ʃi̥keː ʃi⸢moːraŋ⸣ʃenʦoː] (お祖母さんたちから以後は入れ墨は禁止<法度>になって、手の甲<手の後ろ>に入れ墨を刺はされなかったそうだ) 13459 0 0 13137 htmvoc_13459.wav ハッパ ⸢ハッ⸣パ [⸢hap⸣pa] 名 ダイナマイト。⸢ダイ⸣ダマ[⸢dai⸣dama](ダイナマイト)ともいう。「発破」の義。西表炭坑などで使用されていた語が借用されたもの。戦後の一時期、八重山では⸢ハッ⸣パ[⸢hap⸣pa]で魚を乱獲する人が現れ、誤って死亡する事件が続発したので、その使用が禁止された。 ⸣タンコーナーテー ⸢ハッ⸣パ ⸣カキティル シ⸢キ⸣タン ⸣プリ ブ⸢タ⸣ティ⸢ダー [⸣taŋkoːnaːteː ⸢hap⸣pa ⸣kḁkitiru ʃi̥⸢ki⸣tam ⸣puri bu⸢ta⸣ti⸢daː] (炭坑では発破をかけて石炭を掘っていたそうだよ) 13460 0 0 13138 htmvoc_13460.wav バッパー ⸢バッパー [⸢bappaː] 名 (幼)タバコ(煙草)。 ⸣アブジェーン ⸣アッパーン ⸣バッパー<タ⸢バ⸣ク> フ⸢コー⸣ルン [⸣ʔabuʤeːm ⸣ʔappaːm ⸣bappaː ɸu̥⸢koː⸣ruŋ] (お祖父さんもお婆さんもタバコを吸われる<吹かれる>) 13461 0 0 13139 htmvoc_13461.wav バッパイ ⸢バッ⸣パイ [⸢bap⸣pai] 名 誤り。間違い。取り違え。誤解。⸢バッパイ⸣ルン[⸢bappai⸣ruŋ](間違える{EOS}取り違える)の連用形より転成した名詞。 ⸢バッパイ⸣ヤー ⸢ターン⸣ナーン ア⸢リ⸣ス [⸢bappai⸣jaː taː⸢n⸣naːn ʔa⸢ri⸣su] (誤りは誰にでもあることだ) 13462 0 0 13140 htmvoc_13462.wav バッパイルン ⸢バッパイ⸣ルン [⸢bappai⸣ruŋ] 他動 間違える。誤る。取り違える。誤解する。 ユ⸢ヌン⸣トンナー シ⸢キ⸣ルカー ⸢バッパイ⸣ルンダ ⸢バッパイラン⸣ヨーニ ビ⸢チン⸣トンナー シ⸢キ⸣リ [ju⸢nun⸣tonnaː ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢bappai⸣runda ⸢bappairaɲ⸣joːni bi⸢ʧin⸣tonnaː ʃi̥⸢ki⸣ri] (同じ所に置くと間違えるから、間違えないように別の所に置きなさい)。 ⸢バッパイ ヤッ⸣サン [⸢bappai jas⸣saŋ] (間違い易い)。 ⸢バッパイ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [⸢bappai⸣ru ⸣kutoː ⸢naːm⸣ paʤi] (間違えることは無いはずだ)。 ⸢バッパイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢bappai⸣reː ⸣misamunu] (間違えたら良いのに)。 ⸢バッパイ⸣リ [⸢bappai⸣ri] (間違えろ) 13463 0 0 13141 htmvoc_13463.wav バッパウン ⸢バッ⸣パウン [⸢bap⸣pauŋ] 他動 間違える。誤る。取り違える。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣トゥ ⸣ユー ⸢バッ⸣パウンティ ス⸢クタヌ⸣ バー ⸢バッパーン⸣シェン [ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣tu ⸣juː ⸢bap⸣paunti su̥⸢kutanu⸣ baː ⸢bappaːŋ⸣ʃeŋ] (親の声とよく間違えると聞いたが、私は間違えなかった)。 ⸢ニーブンダ バッパイ ヤッ⸣サンドゥ ⸢バッ⸣パウ ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸢niːbunda bappai jas⸣sandu ⸢bap⸣pau ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (似ているから間違えやすいが、間違うことは無いはずだ)。 ⸢バッパイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢bappai⸣jaː ⸣misamunu] (間違えれば良いのに)。 ワザッ⸢トゥ バッ⸣パイバ [waʣat⸢tu bap⸣paiba] (わざと<態と>間違えなさいよ) 13464 0 0 13142 htmvoc_13464.wav バップー ⸢バッ⸣プー [⸢bap⸣puː] 名 配分。分配。等分に分け合うこと。「割賦」の転訛したあもの。⸢ワッ⸣プー[⸢wap⸣puː]ともいう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ザイサンマー ⸢キョーダイ⸣サ ⸣ザーンシ ⸢マータキナー バッ⸣プー シ⸢タ⸣ツォー [ʔu⸢ja⸣nu ⸣ʣaisammaː ⸢kjoːdai⸣sa ⸣ʣaːŋʃi ⸢maːtakinaː bap⸣puː ʃi̥⸢ta⸣ʦoː] (親の財産は兄弟で等しく配分したそうです) 13465 0 0 13143 htmvoc_13465.wav パップガスン ⸢パップガスン [⸢pappugasuŋ] 他動 暴露する。ばらす。秘密を暴く。若年層は⸢ハップガスン[⸢happugasuŋ](暴露する)ともいう。「Fogaxi,u,aita.ホガシ、ス、イタ(ほがし、ほがす、いた)\ruby{穿孔}{セン|コウ}する、すなわち、孔をあける」『邦訳日葡辞書』に強意の接頭語⸢パッー[⸢pap-](うち~)が付いて再転訛した語か。 ⸣バークトゥ ⸢パップガスンティ⸣ ウ⸢ドーシ ベータン⸣ドゥ ⸢パップガサンシェン [⸣baː ⸣ku̥tu ⸢pappugasunti⸣ ʔu⸢doːʃi beːtan⸣du ⸢pappugasaŋʃeŋ] (私のことを暴露する<うちほがす>といって威していたが、暴露しなかったよ)。 ⸢パップガシ ヤッ⸣サカー ⸢パップウガス⸣ プ⸢スン ブンダー⸣ヌ ⸢ワー⸣ イッ⸢カナ⸣シ ⸢パップガシェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pappugaʃi jas⸣sakaː ⸢pappugasu⸣ pu̥⸢sum bundaː⸣nu ⸢waː⸣ ʔik⸢kana⸣ʃi ⸢pappugaʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (暴露しやすければ暴露する人もいるだろうが、君は決して暴露してはならない)。 ⸢パー⸣ク ⸢パップガシ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢pappugaʃi⸣ba] (早く暴露しなさいよ) 13466 0 0 13144 htmvoc_13466.wav パップギルン ⸢パップギルン [⸢pappugiruŋ] 自動 ばれる。発覚する。露見する。⸢⸢ハップギルン[happugiruŋ](ばれる)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢パップギルンテー⸣ ウ⸢モーン⸣シェンドゥ ムー⸢ル パップギ ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢pappugirunteː⸣ ʔu⸢moːŋ⸣ʃendu muː⸢ru pappugi naː⸣nu] (そのことは、ばれるとは思わなかったが、全部ばれてしまった)。 ⸢パップギル⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢パップギランティ スー スー⸣クーン ⸢ナー⸣ヌ [⸢pappugiru⸣ kutoː ⸢naːnu⸣nu ⸢pappugiranti suː suː⸣kuːn ⸢naː⸣nu] (ばれることは無いが、ばれないという証拠も無い)。 ⸢パー⸣ク ⸢パップギレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢pappugireː⸣ misamunu] (早くばれればいいのに)。 ⸢パップギリ [⸢pappugiri] (ばれよ{EOS}露見せよ) 13467 0 0 13145 htmvoc_13467.wav ハッポー ⸣ハッポー [⸣happoː] 名 八方。方々。標準語からの借用語か。普通は⸣ウマーカマー[⸣ʔumaːkamaː](あちこち{EOS}<ここあそこ>)という。 ⸣シホー ⸣パッポーラ ⸢ナン⸣ヌ ⸢ユーシ⸣クン [⸣ʃi̥hoː ⸣happoːra ⸢nan⸣nu ⸢juːʃi⸣kuŋ] (四方八方から波が寄せてくる) 13468 0 0 13146 htmvoc_13468.wav ハツリ ハ⸢ツリ [hḁ⸢ʦuri] 名 はつる(削る)こと。材木をはつること。山で材木を伐り、運び出した後、斧で軽く斜めに切り込み、次に本格的に削って角材に作ること。少しずつ削り落としていくことをいう。左足を丸太にかけ、右足で体重を支えながら、ヤ⸢マブー⸣ヌ[ja⸢mabuː⸣nu](山斧)で木材の右側から10センチ間隔に打ち込んでおいてから削ると削りやすいという。これを繰り返して角材に仕上げた 13469 0 0 13147 htmvoc_13469.wav ハツルン ハ⸢ツルン [hḁ⸢ʦuruŋ] 他動 はつる(削る)。丸太を削って角材にしあげる。大工用語。家屋建築の技術が導入された時に定着した語であろう。 ⸢ザイ⸣ギ ハ⸢ツ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ク⸢リ⸣シェー ハ⸢ツララ⸣ヌ [⸢ʣai⸣gi hḁ⸢ʦu⸣runti ⸢sundu⸣ ku⸢ri⸣ʃeː hḁ⸢ʦurara⸣nu] (材木を削ろうとするが、これでは削られない)。 ハ⸢ツリヤッ⸣サン [ha⸢ʦurijas⸣saŋ] (削りやすい)。 ハ⸢ツ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [hḁ⸢ʦu⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (削ることは出来ない)。 ⸣クマーラ ハ⸢ツ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣kumaːra hḁ⸢ʦu⸣reː ⸣misamunu] (ここから削ればいいのに)。 ⸢タンガ⸣シ ハ⸢ツ⸣リ [⸢taŋga⸣ʃi ha⸢ʦu⸣ri] (一人で削れ) 13470 0 0 13148 htmvoc_13470.wav パティ パ⸢ティ [pḁ⸢ti] 名 果て。おわり。はしっこ。かぎり。端。はずれ。限界に行きつくところ。 シ⸢マ⸣ヌ パ⸢ティ⸣ナー シ⸢ティリ [ʃi⸢ma⸣nu pa⸢ti⸣naː ʃi̥⸢tiri] (島の最北端<果て>に捨てなさい)。 ク⸢ヌ ユーヌ⸣ パ⸢ティ [ku⸢nu juːnu⸣ pḁ⸢ti] (この世の果て) 13471 0 0 13149 htmvoc_13471.wav パティムニ パ⸢ティ⸣ムニ [pa⸢ti⸣muni] 名 すてぜりふ(捨て台詞)。最低のことば。「すてことば<物言い>」の義。去り際に言いたい放題、悪しざまにいうこと。 ⸣アイブ パ⸢ティ⸣ムニ シ⸢ティムニバ⸣ イ⸢ズムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu pḁ⸢ti⸣muni ʃi̥⸢timuniba⸣ ʔi⸢ʣumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (あんな最低のことば、捨て台詞をいうものではない) 13472 0 0 13150 htmvoc_13472.wav パティムヌ パ⸢ティ⸣ムヌ [pḁ⸢ti⸣munu] 名 命知らず。怖いもの知らず。「果て者」の義。 パ⸢ティ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ スンティ シェーラ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ⸢ナー⸣ト シゥ⸢カヌ⸣ マー⸢ンバーキ⸣ン パ⸢リ⸣ス [pḁ⸢ti⸣munu ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu sunti ʃeːra⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni⸢naː⸣to sï̥⸢kanu⸣ maː⸢mbaː⸣kim pa⸢ri⸣su] (怖いもの知らず<命しらす>だから、彼がすると決めたら他人の話など聞かない{EOS}どこまでも行くよ) 13473 0 0 13151 htmvoc_13473.wav パティヨーゾー パ⸢ティヨー⸣ゾー [pḁ⸢tijoː⸣ʣoː] 名 荒療治。手荒く治療すること。「果て養生」の義。 イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーラン⸣ダー ⸣ニーブターアシボー ⸢ティーパン⸣マー ⸢ウシキティ⸣ タ⸢マ⸣ヌ バ⸢リ⸣シ ア⸢シ⸣ブ バ⸢リティ アース⸣ パ⸢ティヨーゾー⸣バ ⸢シェー⸣ティル ⸢ノー⸣ソーッタ [ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːran⸣daː ⸣niːbutaːʔaʃiboː ⸢tiːpam⸣maː ⸢ʔuʃi̥kiti⸣ ta⸢ma⸣nu ba⸢ri⸣ʃi ʔa⸢ʃi⸣bu ba⸢riti ʔaːsu⸣ pḁ⸢tijoːʣoː⸣ba ⸢ʃeː⸣tiru ⸢noː⸣soːtta] (お医者さんがいらっしゃらないので、おできの根太は手足を抑えて、ガラスの破片で切開し、膿みを出しす荒療治をして治された) 13474 0 0 13152 htmvoc_13474.wav パティルマ パ⸢ティルマ [pa⸢tiruma] 名 (地)波照間島。石垣島の南西約53キロメートルの洋上に浮かぶ日本最南端の島。 パ⸢ティルマ⸣ナー ⸢パイパティ⸣ローティ ⸢スー⸣ ム⸢カ⸣シパナシヌ アン⸢ダー [pḁ⸢tiruma⸣naː ⸢paipati⸣roːti ⸢suː⸣ mu⸢ka⸣ʃipanaʃinu ʔan⸢daː] (波照間島には南波照間という昔話があるよ) 13475 0 0 13153 htmvoc_13475.wav パティルマプス パ⸢ティルマプス [pa⸢tirumapusu] 名 波照間の人。 パ⸢ティルマプソー ターティ ナー⸣ン ムー⸢ル⸣ イッ⸢ケナ⸣ ミサ⸢ロー⸣ルン [pḁ⸢tirumapusoː taːti naː⸣m muː⸢ru⸣ ʔik⸢kena⸣ misa⸢roː⸣ruŋ] (波照間人は誰彼というのでなく、みんな非常に良い人ばかりでいらっしゃる) 13476 0 0 13154 htmvoc_13476.wav パティルマムル パ⸢ティルマムル [pa⸢tirumamuru] 名 波照間森<波照間岳>。西表島の浦内川の源流にある山。カツオ漁船は沖へ出漁する際、鳩間島や西表島が水平線に没するところで波照間森が目印となる。 パ⸢ティルマムルバ⸣ ア⸢ティバ シール⸣ ナ⸢カヌ⸣スニ タイパン⸣ズネー ⸣カキ カ⸢ツ ホー⸣シン ⸢オーッ⸣タツォー [pḁ⸢tirumamuruba⸣ ʔa⸢tiba ʃiːru⸣ na⸢kanu⸣suni ⸢taipan⸣ʣuneː ⸣kaki kḁ⸢ʦu hoː⸣ʃiŋ ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (波照間森を目印にして中の曽根、台湾曽根をかけてカツオを釣りに行かれたそうだ) 13477 0 0 13155 htmvoc_13477.wav パティルン パ⸢ティ⸣ルン [pḁ⸢ti⸣ruŋ] 自動 我慢できず爆発する。限界に達して理性が失われる。切れる。きわまる。死ぬ。「果てる」の転訛したもの。日常的にはあまり使用されない。「昨日こそ年は極之賀<はてしか>~。万、1843」の義。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ パ⸢ティ⸣ルカー ⸣ザー ⸣ナルンティ ア⸢ザリブー [mi⸢dumu⸣nu pḁ⸢ti⸣rukaː ⸣ʣaː ⸣narunti ʔa⸢ʣaribuː] (女が果てる<切れる>と蛇になるといわれている)。 パ⸢ティラ⸣ヌ [pa⸢tira⸣nu] (爆発しない{EOS}切れない)。 ⸣パティ ⸢ナー⸣ヌ [⸣pati ⸢naː⸣nu] (切れてしまった)。 パ⸢ティ⸣ル ⸣クトー サ⸢ヌ [pḁ⸢ti⸣ ru̥kutoː sa⸢nu] (切れること<理性を失った行動>はしない)。 パ⸢ティ⸣レー ミサムヌ [pa⸢ti⸣reː ⸣misamunu] (理性を失って、切れればいいのに)。 ⸣クナーティ パ⸢ティ⸣リ [⸣kunaːti pa⸢ti⸣ri] (ここで果てろ<死ね>) 13478 0 0 13156 htmvoc_13478.wav パティワザ パ⸢ティ⸣ワザ [pa⸢ti⸣waʣa] 名 命がけの仕事。最低の仕事。冒険。 ⸣アイブ パ⸢ティワザ⸣バ ⸢シー アー⸣キ ⸣ヌチ シ⸢ティルン⸣ダー [⸣ʔaibu ʃi̥⸢tiwaʣaba ʃiːʔaː⸣ki ⸣nuʧi ʃi̥⸢tirun⸣daː] (あんな命がけの仕事をしていて、命を落とす<捨てる>ぞ) 13479 0 0 13157 htmvoc_13479.wav パトゥグザ ⸣パトゥグザ [⸣patuguʣa] 名 はと。山鳩。きじばと(雉鳩)。子供は、⸣パトゥザ[⸣pḁtuʣa](山鳩)ともいう。鳩間島には山鳩が多かった。体長約20センチで、稲や豆、麦などを食い荒らす害鳥であった。木の枝やススキの中に巣を作ったので、子供達は雛を捕らえて鳥かごの中で育てて楽しんだ。パ⸢トゥザー⸣ グックー[pḁ⸢tuʣaː⸣ gukkuː]と鳴いた。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マナーン パ⸢トゥ⸣マレーナーン ⸣パトゥザー ⸢イッ⸣パイ ブ⸢タン⸠ダー [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣manaːm pḁ⸢tu⸣mareːnaːm ⸣pḁtuʣaː ⸢ʔip⸣pai bu⸢tan⸠daː] (昔は鳩間島にも鳩離島にも山鳩はたくさんいたよ) 13480 0 0 13158 htmvoc_13480.wav パトゥザ ⸣パトゥザ [⸣pḁtuʣa] 名 はと。山鳩。きじばと(雉鳩)。老年層は、⸣パトゥグザ[⸣pḁtuguʣa](山鳩)という。 ⸣パトゥザヌ ⸢コー⸣マ ⸢ミシ⸣キン パラ⸢ディー [⸣pḁtuʣanu ⸢koː⸣ma ⸢miʃi̥⸣kim para⸢diː] (山鳩の卵を探しに行こうよ) 13481 0 0 13159 htmvoc_13481.wav パトゥザーグック パ⸢トゥザー⸣グック [pḁ⸢tuʣaː⸣gukku] 名 擬声語。山鳩の鳴く声。転じて山鳩の幼児語。幼児たちは、パ⸢トゥザー⸣グック ⸢ベントー⸣ヌ ⸣ヌカル ⸢タール⸣ ッふーッふ[pḁ⸢tuʣaː⸣gukku ⸢bentoːnu⸣ nukaru ⸢taːru⸣ ffuːffu](パトゥアーグックと鳴く山鳩よ、弁当の残りは誰が食うか)と歌っていた 13482 0 0 13160 htmvoc_13482.wav パトゥマ パ⸢トゥ⸣マ [pḁ⸢tu⸣ma] 名 (地)鳩間島。西表島の北約5,5キロメートルの洋上に浮かぶ小島。周囲約3、491キロメートル、面積は約1、080平方キロ。中央にナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡{EOS}標高34メートル)があり、その東側に⸣ウガンヤマ[⸣ʔugaɲjama](⸢ウイヌ⸣ウガン{SqBr}⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ{/SqBr}<友利御嶽>の杜)、西側にはパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山)がある。周囲は珊瑚礁がよく発達していて、島はリーフで囲われ、昔から良好な漁場となっている。島の南面には⸢マイ⸣ヌパマ[⸢mai⸣nupama](前の浜)、⸢イントゥ⸣マパマ[⸢ʔintu⸣mapama](イントゥマ浜)が形成されている。リーフも島の南側には⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)が形成発達し、東南のタ⸢カ⸣ビー[ta⸢ka⸣biː](高干瀬)との間と、西の⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː](クーシ干瀬)の間に天然の津口が形成され、船の出入港となっている。カツオ漁業、烏賊漁の漁船もそこから出入りして漁業を発達させた。集落は島の南斜面に形成され、西村と東村に分かれて発達している。村井戸も⸢インヌカー[⸢ʔinnukaː](西村井戸)、⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東村井戸{EOS}下り井戸)、⸢ウイヌカー[⸢ʔuinukaː](上の井戸)、パ⸢チンガカー[pḁ⸢ʧiŋgakaː](初の井戸{EOS}アブ{SqBr}ʔa⸢bu{/SqBr}<洞穴>型の井戸)などがある。古記録によると、1702(元禄15)年、黒島から60人、を強制移住させ、鳩間の人口50人を加えて独立村とした『八重山民謡誌』という。人口は1737(元文2年)に381人、1753(宝暦3)年に450人、1873(明治6)年に110人、1892(明治25)年に163人、1925(大正14)年に380人、1930(昭和5)年に499人、1936(昭和11)年に525人であったが、1995(平成7)年には45人に激減している。島では、昔から男性は⸢パイ⸣ター[⸢pai⸣taː](西表島北岸)に渡って稲作に従事し、女性は島で畑を耕し、イモ、麦、粟、豆、黍、などを栽培し、干潮時には島を取り巻くリーフに降りてタコや魚、貝類の蛋白源を漁獲して生活するのが慣わしであった。明治37年以前、女性は人頭税である⸢グイ⸣フ[⸢gui⸣ɸu](御用布)の芭蕉布や麻布を織って納入しなければならず、生活を支えるのに追われたという。鳩間島は昔からマラリヤの風土病がない島として、西表島上原村や船浦の鬚川村から人々が移住してきた。黒島や古見村からの琉球王府の移住政策による移住民が増え、友利御願<御嶽>を中心として、ピナイ<鬚川>御願、新川御願、西堂御願、前泊(旅)御願などの宗教基盤が築かれ、祭祀行事が盛んとなった。明治以降はカツオ漁業、イカ釣り漁が導入され、西表島の石炭産業との商業上の交流も盛んになって島の経済が発展した。戦後は一時600余人に人口増加し、カツオ漁業やイカ釣り漁も賑わったが、高度経済発展に伴う日本政府の所得倍増計画政策によって若者が島から流出し、高校進学のために一家ごと石垣島への移住が増えて人口は激減し、今日の状態に至った 13483 0 0 13161 htmvoc_13483.wav パトゥマナカムリ パ⸢トゥ⸣マナカムリ [pḁ⸢tuma⸣nakamuri] 名 節歌の⸢鳩間節」、及びその古典舞踊。石垣島では節歌の⸢鳩間節」と称されているが、鳩間島ではパ⸢トゥ⸣マナカムリ(鳩間中岡)、またはウ⸢ブ⸣ブシ[ʔu⸢bu⸣buʃi](本節)といっている。名優伊良波尹吉がアレンジ創作した「鳩間節」は「早節」といって区別している。パ⸢トゥ⸣マナカムリは、従来「鳩間中森」と表記されてきたが、鳩間方言では、ム⸢ル[mu⸢ru](岡{EOS}土が盛り上がったところ)の義で、漢字表記の「岡」が意味上はより正確に対応する。森や林は鳩間方言では、⸣ヤマ[⸣jama](林{EOS}密林)という。⸣ウガンヤマ[⸣ʔugaɲjama](友利御嶽の杜)、パ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山{EOS}墓所の杜{EOS}中岡の西側にある林)がこれを実証する。「鳩間節」は、原歌「鳩間ユンタ」の口碑によると仲底真那の作という。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌシタニ パリヌブリ ハイヤヨーティーバ カイダキ ティトゥルトゥ テンヨーマサティ ミグトゥ/(鳩間中岡を走り上って、蒲葵の下に走り上ってみると、<囃子>南の方はといえば、美しい古見岳<古見の連山>が手に取るようで、実に何処よりも勝って見事な眺めである)以下略。『鳩間島古典民謡古謡集』 13484 0 0 13162 htmvoc_13484.wav パトゥマナツァーラ パ⸢トゥ⸣マナツァーラ [pḁ⸢tu⸣manaʦaːra] 名 (固)鳩間人のあだ名。鳩間産の海人草をよく石垣島への土産にしたからという。 パ⸢トゥ⸣マプソー ナ⸢ツァーラ⸣バ ⸣シトゥ ⸢ソー⸣レーティル パ⸢トゥ⸣マナツァーラティ ア⸢ザナー⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢オー⸣リ ブ⸢レー⸣ル [pḁ⸢tu⸣mapusoː na⸢ʦaːra⸣ba ⸣ʃi̥tu ⸢soː⸣reːtiru pḁ⸢tu⸣manaʦaːrati ʔa⸢ʣanaː⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢ʔoː⸣ri bu⸢reː⸣ru] (鳩間の人は海人草を御土産<つと>にされたので鳩間海人草とあだ名をつけられておられたのだろう) 13485 0 0 13163 htmvoc_13485.wav パトゥマブシ パ⸢トゥ⸣マブシ [pḁ⸢tu⸣mabuʃi] 名 節歌の⸢鳩間節」。石垣島の歌集に収載された古典民謡の鳩間節。鳩間島では、パ⸢トゥ⸣マナカムリ(鳩間中岡)という。伊良波尹吉がアレンジした鳩間節は「早節」といっている 13486 0 0 13164 htmvoc_13486.wav パトゥマムニ パ⸢トゥ⸣マムニ [pḁ⸢tu⸣mamuni] 名 鳩間言葉。鳩間方言。「鳩間物言い」の義。 パ⸢トゥ⸣マムネー フ⸢シ⸣マムニトゥ ⸢ニーブンドゥ、パ、ピ、プ、ペ、ポ、ティ ⸢スー⸣ ウ⸢トゥヌ⸣ アルンダ チ⸢ガイスヌ タイゲー⸣ヤ シゥ⸢カリン⸠ダー [pḁ⸢tu⸣mamuneː ɸu̥⸢ʃi⸣mamunitu ⸢niːbundu pa、pi、pu、pe、po、ti ⸢suː⸣ ʔu⸢tunu⸣ ʔarunda ʧi⸢gaisunu taigeː⸣ja sï̥⸢karin⸠daː] (鳩間言葉は黒島言葉と似ているが、pa、pi、pu、pe、po、という音があるので異なるが、大概は聞ける<聞いて理解できる>よ) 13487 0 0 13165 htmvoc_13487.wav パトゥマレー パ⸢トゥ⸣マレー [pḁ⸢tu⸣mareː] 名 地名。鳩離島。老年層のことば。若年層(昭和生まれ以降)は、⸢ホートゥ⸣バレー[⸢hoːtu⸣bareː](鳩離)という。西表島船浦湾の北部湾口に位置する。干潮時にはピナイ崎から潮干狩りに行くことができる。無数の土鳩が島のススキの上や下に巣を作っており、岩の間にはウミネコがたくさん卵を産んでいた。昭和40年ごろまでは、故慶田城勇氏所有の島だったという。 ⸢カンザトゥ⸣ヤーヌ ⸣オトーン ⸢サーラリティ⸣ パトゥザヌ ⸢コー⸣マ ⸣トゥリン パ⸢トゥ⸣マレー ⸢ゲー⸣タン⸢ダー [⸢kanʣatu⸣jaːnu ⸣ʔotoːn ⸢saːrariti⸣ pḁtuʣanu ⸢koː⸣ma ⸣turim pḁ⸢tu⸣mareː ⸢geː⸣tan⸢daː] (慶田城のお父さんに連れられて、土鳩の卵を取りに鳩離島へ行ったよ) 13488 0 0 13166 htmvoc_13488.wav パトゥムヌ パ⸢トゥ⸣ムヌ [pḁ⸢tu⸣munu] 名 機。織機。「はたもの<機物>」の義。「~織りつがむ 我が廿物~。万、1298」、「機、ハタモノ・ハタ」『類聚名義抄』の転訛したもの。タ⸢カバ⸣タ[tḁ⸢kaba⸣ta](高機)と⸢ジーバ⸣タ[⸢ʤiːba⸣ta](地機)がある。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ヤーカー⸣ジナー パ⸢トゥ⸣ムヌ ⸣タティティ ⸢ヌーヌ⸣ ウ⸢ローッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢jaːkaː⸣ʤinaː pa⸢tu⸣munu ⸣tatiti ⸢nuːnu⸣ ʔu⸢roːt⸣taŋ] (昔は家毎に織機をたてて布を織られたものだ) 13489 0 0 13167 htmvoc_13489.wav パトゥメー パ⸢トゥ⸣メー [pḁ⸢tu⸣meː] 名 屋号。鳩間家。鳩間真佐氏宅。鳩間村創建時の古い家という伝承がある。 パ⸢トゥ⸣メヌ ⸢スン⸣ザー キ⸢チゴンヌ ザーピラキキョンギン⸣ヌ ⸣ピラー イッ⸢ケン ゾー⸣ジ ヤ⸢ローッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣menu ⸢sun⸣ʣaː ki̥⸢ʧigonnu ʣaːpirakikjoŋgin⸣nu ⸣piraː ʔik⸢ken ʣoː⸣ʤi ja⸢roːt⸣ta] (鳩間家のスンザー氏は結願祭の開幕・座開き狂言のピラ<箆>が非常に上手であられた) 13490 0 0 13168 htmvoc_13490.wav パトゥメーヌカブッチテー パ⸢トゥ⸣メーヌ カ⸢ブッチテー [pḁ⸢tu⸣menu ka⸢butʧiteː] 連 屋号。鳩間真吉氏宅。鳩間家の本家という。「鳩間カブ・ヤッチー<兄>宅」の転訛したもの。⸢ヤッチー[⸢jatʧiː](兄)、首里方言」は沖縄方言からの借用語。鳩間真吉氏は、フ⸢ナ⸣バルウガン[ɸu⸢na⸣baruʔugaŋ](船原御嶽)のティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)を努められた。鳩間カブ氏は太平洋戦争中、軍による西表島避難命令を無視し、老齢の夫婦二人で島に残って芋を栽培した。敗戦後、鳩間島に帰った住民で、カブ氏の畑から芋蔓の苗を分けてもらってイモの植え付けをした人も多い 13491 0 0 13169 htmvoc_13491.wav パトゥン ⸣-パトゥン [⸣-patuŋ] 補動 限界に行き着くことを表す補助動詞。⸢~しつくす」。⸢~きわまる」の義。下二段動詞「はつ(果つ)」の四段活用化したもの。動詞の連用形に下接する。 シゥ⸢カイパティ ナー⸣ヌ [sï̥⸢kaipati naː⸣nu] (使い尽くしてしまった) ハナ 13502 0 0 13170 htmvoc_13502.wav バナ ⸣バナ [⸣bana] 名 わな(罠)。針金などを輪状につくり、⸣カマイ[⸣kamai](猪)の獣道に仕掛けておいて足を縛って締め上げ捕獲する装置。「罥 和奈<わな>」『新撰字鏡』、「~彼面此面に 佐須 和奈乃~。万、3361」の義。 ⸢シン⸣ダシ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸣バナ ス⸢ク⸣リ ア⸢ギティ⸣ カマイ ⸣トゥルンティ ス⸢コーリ⸣ ス⸢コー⸣レー [⸢ʃin⸣daʃi ja⸢masï̥⸣ka ⸣bana su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢giti⸣ kamai ⸣turunti su̥⸢koːri⸣ su̥⸢koː⸣reː] (針金で沢山罠を作って獣道に仕掛けて<掛けあげて>、猪を捕獲しようと<獲ろうと>準備しておかれてある)。 ⸣バナ ア⸢ギルン [⸣bana ʔa⸢giruŋ] (罠を仕掛ける) 13492 0 1 13171 htmvoc_13492.wav パナ ⸣パナ [⸣pana] 名 {Mn_1}かび(黴)。こうじかび(麹黴)。 ⸣パナ ⸣フーン [⸣pana ⸣ɸuːŋ] (\ruby{黴}{カビ}が生える)。 ⸢ミー⸣スン シ⸢タ⸣ディン サ⸢キン コージ⸣ タティティ ⸣パナ ホー⸣シティル ス⸢ク⸣ローッタル [⸢miː⸣suŋ ʃi̥⸢ta⸣din sḁ⸢kiŋ koːʤi⸣ tatiti ⸣pana ⸢hoː⸣ʃitiru su̥⸢ku⸣roːttaru] (味噌も醤油<下地>も酒も、\ruby{麹}{コウジ}をたてて\ruby{麹黴}{コウジ|カビ}を付かせて<生えさせて>から造られた)。 13492 0 2 13172 htmvoc_13492.wav パナ ⸣パナ [⸣pana] 名 {Mn_2}こうじ(麹)。 ⸣パナ タ⸢ティ⸣ルン [⸣pana tḁ⸢ti⸣ruŋ] (麹をたてる) 13493 0 0 13173 htmvoc_13493.wav パナ ⸣パナ [⸣pana] 名 花。 パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクン [pa⸢na⸣nu ⸣sḁkuŋ] (花が咲く)。 ⸣パナー サ⸢カ⸣ヌ [⸣panaː sḁ⸢ka⸣nu] (花は咲かない)。 パ⸢ナ⸣バ サ⸢カ⸣シ [pa⸢na⸣ba sa⸢ka⸣ʃi] (花を咲かせよ)。 ⸣パナナー トゥ⸢マルン [⸣pananaː tu⸢maruŋ] (花にとまる)。 ⸣パナ ⸣ブリン ⸢パッ⸣タ [⸣pana ⸣burim ⸢pat⸣ta] (花を捥ぎ<折り>に行った) 13494 0 0 13174 htmvoc_13494.wav パナ ⸣パナ [⸣pana] 名 綿。綿花。 ム⸢カ⸣シェー ⸣パナン ス⸢ク⸣ローッタンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣panan su̥⸢ku⸣roːttanʦoː] (昔は綿花も栽培され<作られ>たそうだ) 13495 0 1 13175 htmvoc_13495.wav パナ パ⸢ナ [pa⸢na] 名 {Mn_1}鼻。「鼻 pana」『語音翻訳』、「鼻 花那」『琉球館訳語』とある。 パ⸢ナヌ⸣ タ⸢カー⸣ン [pa⸢nanu⸣ ta⸢kaː⸣ŋ] (鼻が高い)。 パ⸢ナヌ⸣ シ⸢マ⸣リティ ⸣イキ サ⸢ラヌ [pa⸢nanu⸣ ʃi⸢ma⸣riti ⸣ʔiki sa⸢ranu] (鼻が詰まって息が出来ない)。 パ⸢ナ⸣ フクン [pa⸢na⸣ ɸu̥kuŋ] (子供が泣き出す{EOS}べそをかく{EOS}<鼻を吹く>義)。 タ⸢カ⸣パナ [tḁ⸢ka⸣pana] (高い鼻)。 ピ⸢タパナ [pi̥⸢tapana] (低い鼻、平たい鼻)。 13495 0 2 13176 htmvoc_13495.wav パナ パ⸢ナ [pa⸢na] 名 {Mn_2}先端。岬。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナー⸣ ブ⸢ラ⸣リ ⸢ベー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢naː⸣ bu⸢ra⸣ri ⸢beː] (その先端部は折られている)。 13495 0 3 13177 htmvoc_13495.wav パナ パ⸢ナ [pa⸢na] 名 {Mn_3}「鼻・先端」の義か。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)の舳先の内側にある、⸢アン⸣カージナ[⸢ʔaŋ⸣kaːʤina](碇綱{EOS}碇縄{EOS}アンカーロープ)を結わえておくところ。⸣イダフニ[⸣ʔidahuni]の項参照 13496 0 0 13178 htmvoc_13496.wav パナ ⸣パナ [⸣pana] 名 神仏に供える精白した米。 パ⸢ナン⸣グミ [pa⸢naŋ⸣gumi] (花米)。 ⸢コー⸣パナ [⸢koː⸣pana] (⸢香花」の義か{EOS}線香と一合ほどの精白米)。 イ⸢チンゴー⸣パナ [ʔi⸢ʧiŋgoː⸣pana] (一合花米{EOS}小さな法事などに親戚の仏前へ供える花米)。 ⸢サンゴー⸣パナ [⸢saŋgoː⸣pana] (三合花米{EOS}普通の法事などに親戚の仏前へ供える花米)。⸢グンゴー⸣パナ[⸢guŋgoː⸣pana](五合花米{EOS}大きな法事の際に親戚の仏前へ供える花米)などがある。 ア⸢ライパナ [ʔa⸢raipana] (神前に供える、水で洗った供物の花米)。 カ⸢ミニン⸣ガイナー ⸣パナー ⸣サバンナー ム⸢リティ⸣ イ⸢ツァン⸣パイキーヌ ⸢パーバ⸣ ッシ ⸣タティティ ウ⸢リバ イッチー⸣ ス⸢コーッ⸣タン [ka⸢miniŋ⸣gainaː ⸣panaː ⸣sabannaː mu⸢riti⸣ ʔi⸢ʦam⸣paikiːnu ⸢paːba⸣ ʃʃi ⸣tḁtiti ʔu⸢riba ʔitʧiː⸣ su̥⸢koːt⸣taŋ] (神願いには、花米は茶碗に盛って、サカキの葉を茶碗の周りに挿し立て、それを一対供えられた) 13498 0 0 13179 htmvoc_13498.wav パナ ⸣パナ [⸣pana] 接尾 時期。頃。複合語の後部要素となる場合は連濁を起こして、⸣バナ[⸣bana](時期{EOS}頃)ともいう。 プ⸢ス⸣ パナー ア⸢キ⸣ナイ ⸢シー オーッ⸣タン [pu̥⸢su⸣ panaː ʔa⸢ki⸣nai ⸢ʃiːoːt⸣taŋ] (一時期は商いをしておられた)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ム⸢ヌウムイ⸣パナー ⸢キー シキ⸣リ [ja⸢rabi⸣nu mu⸢nuʔumui⸣panaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (子供の思春期<もの思う時期>は、よく気をつけなさい)。時期。最盛期。最中。⸣パナ[⸣pana](~時期{EOS}~最中)の異形態が動詞の連用形に下接して連濁を起こし、「動詞が指し示す意味の動作に入った頃、動作の最盛期」を表す。 ア⸢サビバナ [ʔa⸢sabibana] (遊ぶ時期{EOS}遊びに夢中になる時期)。 ニ⸢ビバナ [ni⸢bibana] (寝入りばな{EOS}熟睡中{EOS}睡眠の最中)。 ア⸢サビバナ⸣ ヤ⸢ルンダ ヤー⸣ナ カ⸢カラ⸣ヌ [ʔa⸢sabibana⸣ ja⸢runda jaː⸣na kḁ⸢kara⸣nu] (遊びに熱中する時期だから、ほとんど家にいない)。 ニ⸢ビバナーラ⸣ サ⸢キヌミ⸣プスン ウ⸢コーサ⸣リティ ⸢オス⸣ク シ⸢ラリ ミッ⸣タン [ni⸢bibanaːra⸣ sḁ⸢kinumi⸣pu̥suŋ ʔu⸢koːsa⸣riti ⸢ʔosu̥⸣ku ʃi⸢rarimit⸣taŋ] (寝入りばなから酔っ払いに起こされて非常に邪魔され<迷惑かけられ>たことがある) 13548 0 0 13180 htmvoc_13548.wav パナースン パ⸢ナー⸣スン [pa⸢naː⸣suŋ] 他動 離す。切り離す。別々にする。 ⸢ミーウシ⸣トゥ ビ⸢キウシェー⸣ パ⸢ナーサン⸣カー ズ⸢ブ⸣マイ シ⸢ティ アールン⸣ダー [⸢miːʔuʃi⸣tu bi⸢kiʔuʃeː⸣ pa⸢naːsaŋ⸣kaː ʣu⸢bu⸣mai ʃi̥⸢ti ʔaːrun⸣daː] (牝牛と雄牛は離さないと発情して暴れるよ)。 パ⸢ナー⸣スンティ ⸣ウムーカー パ⸢ナー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [pa⸢naː⸣sunti ⸣ʔumuːkaː pa⸢naː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (離そうと思えば離すことは出来る)。 パ⸢ナー⸣シェー ⸣ミサムヌ [pa⸢naː⸣ʃeː ⸣misamunu] (離せばいいのに)。 パ⸢ナー⸣シ [pa⸢naː⸣ʃi] (離せ) 13497 0 0 13181 htmvoc_13497.wav パナーマ パ⸢ナー⸣マ [pa⸢naː⸣ma] 名 少量の花米。イ⸢チンゴー⸣パナ[ʔi⸢ʧiŋgoː⸣pana](一合花米)に⸣グシ[⸣guʃi](御酒)を⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](銚子{EOS}燗瓶)2本に入れ、それに\ruby{杯}{サカズキ}を添えて一式にしたもの。マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠め{EOS}マブイクミ)や⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai](屋敷の祈願)などの際に供えた。 パ⸢ナー⸣マンツァン ス⸢コーリ⸣ マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣シミ ⸢オーシリ [pa⸢naː⸣manʦan su̥⸢koːri⸣ ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣ʃimi ⸢ʔoːʃiri] (少量の花米でも準備して魂籠め<マブイクミ>の祈願をして差し上げなさい<マブイを籠めさせて差し上げなさい>) 13549 0 0 13182 htmvoc_13549.wav パナーラスン パ⸢ナーラ⸣スン [pa⸢naːra⸣suŋ] 他動 離す。離すようにする。 ビ⸢キウシェー ミー⸣ウシェーラ パ⸢ナーラ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ パ⸢ナーラサラ⸣ヌ [bi⸢kiʔuʃeː miː⸣ʔuʃeːra pa⸢naːra⸣sunti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ pa⸢naːrasara⸣nu] (雄牛を牝牛より引き離そうとするが、一向に離されない)。 ン⸢ベーマ⸣ パ⸢ナーラ⸣シティ バ⸢ツァ⸣ミバ [ʔm⸢beːma⸣ pa⸢naːra⸣ʃi̥ti ba⸢ʦa⸣miba] (少しは離して鼻綱を結わえなさいよ)。 パ⸢ナーラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢naːra⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (離すことは出来ない)。 パ⸢ナーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pa⸢naːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (離せば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ パ⸢ナーラ⸣シ [jaː⸢dim⸣ pa⸢naːra⸣ʃi] (必ず離せ) 13499 0 0 13183 htmvoc_13499.wav パナーリルン パ⸢ナーリ⸣ルン [pa⸢naːri⸣ruŋ] 自動 離れる。遠ざかる。日本古語の「離れる(下一段)」から転訛したもの。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ナーリ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー パ⸢ナーリラン⸣バン⸢ナー [⸢maː⸣bim pa⸢naːri⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː pa⸢naːriram⸣ban⸢naː] (もっと離れるかと思ったが、あまり離れないんだね) 13550 0 0 13184 htmvoc_13550.wav パナーリルン パ⸢ナーリルン [pa⸢naːri⸣ruŋ] 自動 離れる。 ヤ⸢ラ⸣ベー フ⸢ドゥベー⸣チバ ⸣ウヤーラ パ⸢ナーリ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸣ウヤナー ⸢フシゥ⸣カリティ イッ⸢カ⸣ パ⸢ナーリラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː ɸu⸢dubeː⸣ʧiba ⸣ʔujaːra pa⸢naːri⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸣ʔujanaː ⸢ɸusï̥⸣kariti ʔik⸢ka⸣ pa⸢naːrira⸣nu] (子供は成長したのだから親から離れるかと思ったけれど、親にくっついて一向に離れない)。 パ⸢ナー⸣リ ⸣ミサカー パ⸢ナーリ⸣ル ⸣クトー ナ⸢リ⸣シバ ⸢パー⸣ク パ⸢ナーリ⸣リ [pa⸢naː⸣ri ⸣misakaː pa⸢naːri⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ⸢paː⸣ku pa⸢naːri⸣ri] (離れてよければ離れることは出来るから、早く離れなさい<離れれ>)。 パ⸢ナーリ⸣レー ⸣ミサムヌ [pa⸢naːri⸣reː ⸣misamunu] (離れればいいのに) 13551 0 0 13185 htmvoc_13551.wav パナールン パ⸢ナー⸣ルン [pa⸢naː⸣ruŋ] 自動 離れる。「離れ、下二段活用」の四段活用に転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー フ⸢ドゥブ⸣カー ウ⸢ヤム⸣トゥ パ⸢ナー⸣リ ⸣パルンティ ス⸢クタヌ⸣ パ⸢ナーラン⸣バン [ja⸢ra⸣beː ɸu⸢dubu⸣kaː ʔu⸢jamu⸣tu pa⸢naː⸣ri ⸣parunti su̥⸢kutanu⸣ pa⸢naːram⸣baŋ] (子供は成長すると親元を離れていくと聞いたが、離れないよ)。 ⸢ナンクク⸣ル パ⸢ナー⸣ルンヨー [⸢naŋkuku⸣ru pa⸢naː⸣ruɲjoː] (自然に離れるよ)。 マ⸢ナ⸣マー パ⸢ナー⸣ル ⸣クトー ム⸢チカ⸣サンダ ヨー⸢ンナー⸣ パ⸢ナー⸣リバ [ma⸢na⸣maː pa⸢naː⸣ru ⸣ku̥toː mu⸢ʧika⸣sanda joː⸢nnaː⸣ pa⸢naː⸣riba] (今離れることは難しいから、ゆっくり離れなさい)。 ⸢パー⸣ク パ⸢ナー⸣リ [⸢paː⸣ku pa⸢naːri] (早く離れなさい)。 ⸣フネー ⸢ジュー⸣ジナー ⸢サンバ⸣シェーラ パ⸢ナー⸣ルンティ ス⸢クタンドゥ⸣ マ⸢ダ⸣ パ⸢ナーラ⸣ヌ [⸣ɸuneː ⸢ʤuː⸣ʤinaː ⸢samba⸣ʃeːra pa⸢naː⸣runti su̥⸢kutandu⸣ ma⸢da⸣ pa⸢naːra⸣nu] (船は10時に桟橋から離れると聞いたが、まだ離れない)。 キ⸢サ⸣ パ⸢ナー⸣リパリ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥⸢sa⸣ pa⸢naː⸣ripari ⸢naː⸣nu] (既に離れて行ってしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー パ⸢ナー⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ ⸢ダー⸣ヌ パ⸢ナー⸣レーカー ⸣メー シ⸢カター ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː pa⸢naː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi ⸢daː⸣nu pa⸢naː⸣reːkaː ⸣meː ʃi̥⸢kataː naː⸣nu] (そんなに早く離れることはないはずだが、離れたのならもう仕方がない)。 パ⸢ナー⸣レー ⸣ミサムヌ [pa⸢naː⸣reː ⸣misamunu] (離れたらいいのに)。 ⸣クマーラ パ⸢ナール⸣ナ [⸣kumaːra pa⸢naːru⸣na] (ここから離れるな) 13504 0 0 13186 htmvoc_13504.wav パナイ パ⸢ナイ [pa⸢nai] 名 へさき(舳先)。パ⸢ナイサキ[pa⸢naisaki](サバニの舳先{EOS}「舳の端」の義)ともいう。船首の部分。サバニの船首。 ⸣イダフニヌ パ⸢ナイ⸣ナー ⸣パラー ⸢トー⸣シ シ⸢キ⸣リ [⸣ʔidaɸuninu pa⸢nai⸣naː ⸣paraː ⸢toː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (板舟<サバニ>の舳先に帆柱を倒して置きなさい) 13505 0 0 13187 htmvoc_13505.wav パナイカ パ⸢ナ⸣イカ [pa⸢na⸣ʔika] 名 料理名。祝儀料理の一つ。はないか(花烏賊)の義。\ruby{烏賊}{イ|カ}の腹部に浅く切り込みを入れ、丸めて茹で、食紅で赤く染めて菊形に切り、盛り付けた料理。赤と白身とのコントラストが料理の華やかさを作り出す。ア⸢ガカマブク[ʔa⸢gakamabuku](赤蒲鉾)と共に祝儀料理には欠かせない食材。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ウサイナー パ⸢ナイカ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢ザー⸣ヤ ガ⸢ルン [⸢joi⸣nu ⸣ʔusainaː pa⸢najika⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢ʣaː⸣ja ga⸢ruŋ] (祝いの料理に花烏賊料理があると、一座が明るくなる) 13506 0 0 13188 htmvoc_13506.wav パナイキ パ⸢ナイキ [pa⸢najiki] 名 高慢な人。傲慢な人。高慢ちき。驕りたかぶる人。自惚れもの。威張る人。 ウ⸢レー⸣ パ⸢ナイキ⸣ ヤ⸢ルンダ バンタ⸣ヨー ⸢ミームタイ⸣ヤンツァン サ⸢ヌ [ʔu⸢reː⸣ pa⸢naiki⸣ ja⸢runda banta⸣joː ⸢miːmutai⸣janʦan sa⸢nu] (彼は高慢ちきだから、私たちを見向きさえもしない)。 パ⸢ナイキ⸣ ガルン [pa⸢naiki⸣ garuŋ] (威張る) 13507 0 0 13189 htmvoc_13507.wav パナイキ パ⸢ナ⸣イキ [pa⸢na⸣ʔiki] 名 花活け。花瓶。花筒。花器。仏壇や床の間に花木の枝を活けて供えるのに用いる陶製の器。床の間の花活けは大型で、約10センチ方形に高さ約30センチの陶製が多かった。仏壇の花活は徳利型で、両側に耳状の飾りがあり、正面には蓮華の透かし彫りがあった。床の間にはトゥ⸢ラヌズー[tu⸢ranuʣuː](虎の尾)をいけるのが普通で、仏壇には、イ⸢ツァン⸣パイキー[ʔi⸢ʦam⸣paikiː](ヒサカキの一種か{EOS}葉はゲッキツに似る)やパ⸢ナ⸣ギ[pa⸢na⸣gi](⸢花木」の義{EOS}クロトン)、⸢キャーンギ[⸢kjaːŋgi](槙)の枝を旧暦の朔日と十五日に活けるのが習慣であった。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチェー ⸢ザートゥク⸣トゥ トゥ⸢クニヌ⸣ パ⸢ナイ⸣キナー ⸣パナ イ⸢キ⸣リ [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸢ʣuŋguni⸣ʧeː ⸢ʣaːtuku⸣tu tu̥⸢kuninu⸣ pa⸢na⸣ʔikinaː ⸣pana ʔi⸢ki⸣ri] (朔日十五日には、床の間と仏壇の花生けに花を活けなさい) 13508 0 0 13190 htmvoc_13508.wav パナイキガリムヌ パ⸢ナイキガリ⸣ムヌ [pa⸢naikigari⸣munu] 名 高慢ちき。尊大にふるまう者。威張り散らかす者。鼻息の荒い者。 ウ⸢レー サッ⸣コー パ⸢ナイキガリ⸣ムヌ⸢ダー [ʔu⸢reː sak⸣koː pa⸢naikigari⸣munu⸢daː] (彼は非常に威張り散らかす<高慢ちき>野郎だ) 13509 0 0 13191 htmvoc_13509.wav パナイキガルン パ⸢ナイキ⸣ガルン [pa⸢najiki⸣garuŋ] 自動 驕りたかぶる。高慢になる。威張りちらかす。自慢する。 ウ⸢ヤ⸣キプソー パ⸢ナイキ⸣ガルンティ ス⸢ヌ⸣ パ⸢ナイキガラン⸣ プ⸢スン ブン [ʔu⸢ja⸣kipu̥soː pa⸢najiki⸣garunti su⸢nu⸣ pa⸢najikigaram⸣ pu̥⸢sum buŋ] (金持ちは驕り高ぶるというが、驕り高ぶらない人もいる)。 ア⸢リ⸣バティ ⸢シー⸣ パ⸢ナイキ⸣ガリ ⸢ベー [ʔa⸢ri⸣bati ⸢ʃiː⸣ pa⸢najiki⸣gari ⸢beː] (<金が>あるからといって驕りたかぶっている)。 パ⸢ナイキ⸣ガル プ⸢ソー ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢najiki⸣garu pu̥⸢soː daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (驕り高ぶる人は信頼できない<よくない>)。 パ⸢ナイキ⸣ガレー ⸣ミサムヌ [pa⸢najiki⸣gareː ⸣misamunu] (威張ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビンパ⸢ナイキ⸣ガリ [⸢maː⸣bim pa⸢najiki⸣gari] (もっと威張れ) 13552 0 0 13192 htmvoc_13552.wav パナイサキ パ⸢ナイサキ [pa⸢naisaki] 名 ⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟)の舳先の上面。単にパ⸢ナイ[pa⸢nai](へさき<舳先>)ともいう。⸣パラー[⸣paraː](帆柱)を倒して掛けておくところ。帆柱を固定するために凹状に木を刳り抜いて竹釘で固定してあるところ。 パ⸢ナイサキ⸣ナー ⸣パラー ⸢トー⸣シ ウ⸢サッ⸣キ シ⸢キ⸣リバ [pa⸢naisaki⸣naː ⸣paraː ⸢toː⸣ʃi ʔu⸢sak⸣ki ʃi̥⸢ki⸣riba] (パナイサキ<舳先の上面>に帆柱を倒して掛けておきなさいよ) 13511 0 0 13193 htmvoc_13511.wav パナウトゥン パ⸢ナ⸣ウトゥン [pa⸢na⸣ʔutuŋ] 他動 指示する。指図する。鼻綱で牛馬の顔を打ったり、引いたりして使うことから転訛。 プ⸢スン⸣ パ⸢ナウタラン⸣ドーシ ⸣ドゥーシ ⸢カンガイ⸣ヤーティ シ⸢グトゥ シー [pu̥⸢sum⸣ pa⸢naʔutaran⸣doːʃi ⸣duːʃi ⸢kaŋgai⸣jaːti ʃi⸢gutu ʃiː] (他人に指図されないで、自分で考えながら仕事をしなさい)。 ⸢ワー⸣ ドゥーシ ⸢カン⸣ガイ ⸢シーユーサンダル⸣ パ⸢ナ⸣ウトゥンダ パ⸢ナ⸣ウトゥ プ⸢スバ ニッ⸣ふァー ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ duːʃi ⸢kaŋ⸣gai ⸢ʃiːjuːsandaru⸣ pa⸢na⸣ʔutunda pa⸢na⸣ʔutu pu̥⸢suba nif⸣faː ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (君は自分で考えて行動することが出来ないから指図するのであって、指図する人を憎んではならない)。 パ⸢ナ⸣ウティ シ⸢ミラン⸣カー シ⸢グトー サンバン [pa⸢na⸣ʔutiti ʃi⸢miraŋ⸣kaː ʃi⸢gutoː sambaŋ] (指図してさせないと仕事をしないよ)。 パ⸢ナ⸣ウテー ⸣ミサムヌ [pa⸢na⸣ʔuteː ⸣misamunu] (指図すればいいのに)。 パ⸢ナ⸣ウティバ [pa⸢na⸣ʔutiba] (指図しなさいよ) 13512 0 0 13194 htmvoc_13512.wav パナガーラ パ⸢ナガー⸣ラ [pa⸢nagaː⸣ra] 名 軒瓦。⸢花瓦」の義。屋根の棟の両端や軒先に取り付ける、装飾を施した雄瓦。 パ⸢ナガー⸣ラ シゥ⸢カイヨー⸣ル プ⸢ソー ナン⸣ゾー ⸢オーラ⸣ヌ ナー⸢イ⸣ ム⸢チバ ヌーリ⸣ ス⸢コー⸣ル [pa⸢nagaː⸣ra sï̥⸢kaijoː⸣ru pu̥⸢soː nan⸣ʣoː ⸢ʔoːra⸣nu naː⸢ji⸣ mu⸢ʧiba nuːri⸣ su̥koːru] (花瓦を使用される人は、あまりいらっしゃらない{EOS}ただ漆喰を塗っておかれるだけだ) 13513 0 0 13195 htmvoc_13513.wav パナカカー パ⸢ナカカー [pa⸢nakakaː] 名 鼻の欠けた者。卑称。パ⸢ナカキムヌ[pa⸢nakakimunu](鼻の欠けた者)、パ⸢ナモー[pa⸢namoː](鼻の欠けた者)ともいう。 ⸣ヌンティ ⸣アイニ パ⸢ナカカー⸣ ナリ ⸢ベー⸣ワ [⸣nunti ⸣ʔaini pa⸢nakakaː⸣ nari ⸢beː⸣wa] (何故あんなに鼻の欠けた者になっているのか) 13514 0 0 13196 htmvoc_13514.wav パナカキムヌ パ⸢ナカキ⸣ムヌ [pa⸢nakaki⸣munu] 名 鼻の欠けた者。 パ⸢ナカキ⸣ムヌ ⸣ナリティ キ⸢ムイ⸣ツァーワレー [pa⸢nakaki⸣munu ⸣nariti ki⸢mui⸣ʦaːwareː] (鼻の欠けた者になって可哀相なことだ) 13515 0 0 13197 htmvoc_13515.wav パナガサ パ⸢ナガ⸣サ [pa⸢naga⸣sa] 名 花笠。石垣方言、ハ⸢ナガ⸣サ[ha⸢naga⸣sa](花笠)の転訛したもの。花飾りをつけた笠で、⸣カサブドゥル[⸣kasabuduru](沖縄の古典笠踊り)に用いる小道具。 ⸣カサブドゥロー パ⸢ナガサ⸣バ ⸣カビティル ブ⸢ドゥル ソー⸣ル [⸣kasabuduroː pa⸢naga⸣sa ⸣kabitiru bu⸢duru soː⸣ru] (笠踊りは花笠を被って踊られる) 13516 0 0 13198 htmvoc_13516.wav パナガラ パ⸢ナ⸣ガラ [pa⸢na⸣gara] 名 花柄。花模様。 ⸢ワー⸣ バ⸢カー⸣ンダ パ⸢ナ⸣ガラキンヌン イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢チ⸣ルン⸢ダー [⸢waː⸣ ba⸢kaː⸣nda pa⸢na⸣garakinnuŋ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢ʧi⸣run⸢daː] (君は若いから花柄の着物もよく似合う<移る>よ) 13517 0 0 13199 htmvoc_13517.wav パナギ パ⸢ナ⸣ギ [pa⸢na⸣gi] 名 かき(花卉)。クロトンなど、観賞用の花や木。ハ⸢ナ⸣ギ[ha⸢na⸣gi](花木)ともいう。「花木」の義。 シ⸢キダ⸣チ ⸣ズングニチェー パ⸢ナ⸣ギ ⸣キシキー パ⸢ナ⸣イキナー イ⸢キ⸣リ [ʃi̥⸢kida⸣ʧi ⸣ʣuŋguniʧeː pa⸢na⸣gi ⸣ki̥ʃikiː pa⸢na⸣ʔikinaː ʔi⸢ki⸣ri] (朔日十五日には花木を切ってきて、花生けに活けなさい) 13518 0 0 13200 htmvoc_13518.wav パナギー パ⸢ナギー [pa⸢nagiː] 名 鼻毛。 パ⸢ナギーヌ⸣ ナー⸢ナー⸣シ ⸣ムイ ⸢ベー [pa⸢nagiːnu⸣ naː⸢naː⸣ʃi ⸣mui ⸢beː] (鼻毛が長く生えている) 13519 0 0 13201 htmvoc_13519.wav パナギタ パ⸢ナギタ [pa⸢nagita] 名 鼻柱。鼻筋。「鼻桁」の義。 ⸢カイ⸣リ シ⸢キッ⸣クミティ パ⸢ナギタ⸣ ブリ ⸣シケーバン [⸢kai⸣ri ʃi̥⸢kik⸣kumiti pa⸢nagita⸣ buri ⸣ʃi̥keːbaŋ] (転んで頭から突っ込んで鼻柱<鼻桁>を折ってしまってあるよ) 13520 0 0 13202 htmvoc_13520.wav パナクラガー パ⸢ナクラ⸣ガー [pa⸢nakura⸣gaː] 名 (植)甘藷の品種名。ク⸢ラ⸣ガー[ku⸢ra⸣gaː](サツマイモの品種名)は、中身は白く、外皮が赤い、美味な芋である。読谷村クラガー<暗川>から栽培され始めたことからこの名前ついたという『石垣方言辞典』。 プ⸢ス⸣パナー パ⸢ナクラガー⸣ル ン⸢マー⸣ティ ⸢シー⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢オーッ⸣タン [pu̥⸢su⸣panaː pa⸢nakuragaː⸣ru ʔm⸢maː⸣ti ⸢ʃiː⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoːt⸣taŋ] (一頃<一時期>はハナクラガーが美味しいといって、それを作っておられたことがある) 13521 0 0 13203 htmvoc_13521.wav パナゴザ パ⸢ナ⸣ゴザ [pa⸢na⸣goʣa] 名 花茣蓙。\ruby{茣蓙}{ゴ|ザ}の表に花柄のプリントのある筵。⸢ビー⸣グ[⸢biː⸣gu](備後藺)を細かく裂いて織り上げた上質の筵。肌触りがよく、夏場はこの筵を敷いて、その上に寝ると涼感があり、喜ばれたものである。畳が古くなると、花茣蓙を敷いて畳の表替えの代わりにしていた。 タ⸢タミヌ⸣ フ⸢ル⸣ミ ⸢ブンダ⸣ パ⸢ナ⸣ゴザ シ⸢キティ⸣ ニ⸢ビ⸣バ [tḁ⸢taminu⸣ ɸu⸢ru⸣mi ⸢bunda⸣ pa⸢na⸣goʣa ʃi̥⸢kiti⸣ ni⸢bi⸣ba] (畳が古くなっているから花茣蓙を敷いて寝なさい) 13522 0 0 13204 htmvoc_13522.wav パナザキ パ⸢ナザ⸣キ [pa⸢naʣa⸣ki] 名 泡盛醸造過程で最初に蒸留される酒。アルコール度数が高く、最上級酒とされている。「花酒」の義。 パ⸢ナザ⸣キティ ア⸢ズ⸣カー ユ⸢ノンヌ⸣ パ⸢ナザキ⸣ル イッ⸢チン スー⸣ワ⸢ナー [pa⸢naʣa⸣kiti ʔa⸢ʣu⸣kaː ju⸢nonnu⸣ pa⸢naʣaki⸣ru ʔit⸢ʧin suː⸣wa⸢naː] (花酒といえば、与那国の花酒が一番強いねえ) 13523 0 1 13205 htmvoc_13523.wav パナシ パ⸢ナ⸣シ [pa⸢na⸣ʃi] 名 {Mn_1}話。話すこと。談話。 ム⸢カ⸣シパナシ [mu⸢ka⸣ʃipanaʃi] (昔話{EOS}金言{EOS}金句{EOS}先祖の残した処世訓)。 パ⸢ナ⸣シゾージ [pa⸢na⸣ʃiʣoːʤi] (話し上手)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢ヌー⸣シ ⸢ナッ⸣ター [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢nuː⸣ʃi ⸢nat⸣taː] (その話はどうなったのか)。 パ⸢ナシ⸣ヌ ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ロー⸣ルンダ ナー⸢イ⸣ シ⸢キプリ シーベー [pa⸢naʃi⸣nu ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢roː⸣runda naː⸢ji⸣ ʃi̥⸢kipuri ʃiːbeː] (話が上手でいらっしゃるから、じっと聞き惚れている)。 13523 0 2 13206 htmvoc_13523.wav パナシ パ⸢ナ⸣シ [pa⸢na⸣ʃi] 名 {Mn_2}うわさ(噂)。評判。 パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー イッ⸢ケン マイフナー⸣ティバン ⸢ナー [pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ʔik⸢kem maiɸunaː⸣ tiban⸢naː] (噂による<話に聞くと>と、よく働く非常に真面目な人だそうだねえ) 13525 0 0 13207 htmvoc_13525.wav パナジー パ⸢ナジー [pa⸢naʤiː] 名 鼻血。 ヌ⸢ブシティ⸣ パ⸢ナジーヌ⸣ ンジ トゥ⸢マラヌヌ ヌー⸣ スバル ⸣ミサカヤー [nu⸢buʃi̥ti⸣ pa⸢naʤiːnu⸣ ʔnʤi tu⸢maranunu nuː⸣ subaru ⸣misakajaː] (鼻血が出て止まらないが如何すればよいでしょうか) 13524 0 0 13208 htmvoc_13524.wav パナシアースン パ⸢ナシアー⸣スン [pa⸢naʃiʔaː⸣suŋ] 他動 話し合う。語らう。睦まじく語り合う。 イ⸢チンマー⸣ ユー パ⸢ナシアースン⸣ドゥ ⸢クン⸣ドー パ⸢ナシアーサン⸣シェンツォー [ʔi⸢ʧimmaː⸣ juː pa⸢naʃiʔaːsun⸣du ⸢kun⸣doː pa⸢naʃiʔaːsaŋ⸣ʃenʦoː] (いつもはよく話し合うが、今度は話し合わなかったそうだ)。 パ⸢ナシアー⸣シ ⸣ミリティ パ⸢ナシアー⸣ス ク⸢トゥ⸣ヌ ⸢カンヌーナ⸣ クトゥ ⸢サッシリ⸣バ [pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi ⸣miriti pa⸢naʃiʔaː⸣su ku̥⸢tu⸣nu ⸢kannuːna⸣ ku̥tu ⸢saʃʃiri⸣ba] (話し合ってみて話し合うことの肝要なことを察し<理解し>なさいよ)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ナシアー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pa⸢naʃiʔaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと話し合えばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ パ⸢ナシアー⸣シ [jaː⸢dim⸣ pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi] (必ず話し合え) 13526 0 0 13209 htmvoc_13526.wav パナシキ パ⸢ナシキ [pa⸢naʃi̥ki] 名 風邪。「はなひせ(鼻塞)~波奈比世~」『和名抄』の転訛したものか。 パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カ⸣ルン [pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣ruŋ] (風邪をひく<風邪に罹る>)。 パ⸢ナシキヌ⸣ パ⸢ヤー⸣リ ⸢ブンダー キン⸣マー ア⸢チーアチー⸣シ キ⸢シ アー⸣キバ [pa⸢naʃi̥kinu⸣ pa⸢jaː⸣ri ⸢bundaː kim⸣maː ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi ki̥⸢ʃi ʔaː⸣kiba] (風邪が流行っているから、着物は厚めに着ていなさい<着ておりなさい>よ) 13527 0 0 13210 htmvoc_13527.wav パナシキウツァスン パ⸢ナシキ⸣ ウ⸢ツァ⸣スン [pa⸢naʃi̥ki⸣ ʔu⸢ʦa⸣suŋ] 連 風邪を移す。風邪を伝染させる。 プ⸢スン⸣ パ⸢ナシキ⸣ ウ⸢ツァス⸣ナ [pu̥⸢sum⸣ pa⸢naʃi̥ki⸣ ʔu⸢ʦasu⸣na] (他人に風邪を移す<伝染させる>な) 13532 0 0 13211 htmvoc_13532.wav パナシキカカリンギサン パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カリン⸣ギサン [pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢kariŋ⸣gisaŋ] 連 風邪を引きそうだ。 パ⸢ダピー⸣ヤ ⸣ナリ パ⸢ナ⸣プス ⸢ギン⸣シェー ク⸢ヌ⸣ッ⸢ふァー⸣ パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カリン⸣ギササー [pa⸢dapiː⸣ja ⸣nari pa⸢na⸣pu̥su ⸢giŋ⸣ʃeː ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢kariŋ⸣gisasaː] (肌寒くなって、くしゃみをするから、この子はどうも風邪を引きそうだよ) 13531 0 0 13212 htmvoc_13531.wav パナシキカカルン パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カ⸣ルン [pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣ruŋ] 連 風邪を引く。 パ⸢ナシキカカリプス⸣ヌ ⸣トン ⸣パルカー パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カ⸣ルンダ ウ⸢マー パン⸣ナ⸢ヨー [pa⸢naʃi̥kikakaripu̥su⸣nu ⸣tom ⸣parukaː pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣runda ʔu⸢maː pan⸣na⸢joː] (風邪を引いた人の所へ行くと風邪を引くから、そこへは行くなよ) 13528 0 0 13213 htmvoc_13528.wav パナシキガマーラサン パ⸢ナシキ⸣ ガ⸢マーラ⸣サン [pa⸢naʃi̥ki⸣ ga⸢maːra⸣saŋ] 連 風邪気味である。風邪ひきがちである。 パ⸢ナシキ⸣ ガ⸢マーラ⸣サンダー シゥ⸢カラシグトー シーユーサンバン [pa⸢naʃi̥ki⸣ ga⸢maːra⸣sanda sï̥⸢karaʃigutoː ʃiːjuːsambaŋ] (風邪気味で力仕事は出来ないよ) 13533 0 0 13214 htmvoc_13533.wav パナシキヌニンガイ パ⸢ナシキヌ ニン⸣ガイ [pa⸢naʃi̥kinu niŋ⸣gai] 連 風邪予防の祈願。鳩間島では、風邪の神が上陸することによって風邪が流行すると考えられていた。それ故シ⸢マッサル[ʃi⸢massa⸣ru](11月に執り行われたシマクサラシ祭)には島の南海岸に通じる幹道の入り口に大蒜を吊るした注連縄が張り巡らされて風邪の神様の侵入を防いだ 13534 0 0 13215 htmvoc_13534.wav パナシキヌフチル パ⸢ナシキヌ⸣ フ⸢チ⸣ル [pa⸢naʃi̥kinu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru] 連 風邪の薬。風邪薬。 ナ⸢マ⸣ピロー パ⸢ナシキヌ⸣ フ⸢チ⸣ルティ ⸢シー⸣ サ⸢キ⸣ナ シ⸢キティ⸣ ユー ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [na⸢ma⸣piroː pa⸢naʃi̥kinu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiː⸣ sḁ⸢ki⸣na ʃi̥⸢kiti⸣ juː f⸢faːsoːt⸣taŋ] (生の大蒜は風邪の薬といって、酒に漬けて良く食べさせて下さった<食べさせられた>) 13529 0 0 13216 htmvoc_13529.wav パナシキフシゥカルン パ⸢ナシキ フシゥ⸣カルン [pa⸢naʃi̥ki ɸusi̥⸣karuŋ] 連 風邪をひく<風邪が取り付く。くっつく>。風邪は病気の神が人に取り付いて病気を起こさせると考えられていた。それで、シ⸢マッサ⸣ル[ʃi⸢massa⸣ru](島くさらし)の行事に⸣イソーパーレー[⸣ʔisoːpaːreː](銅鑼や\ruby{瓶}{カメ}の破片を打ち鳴らして悪霊を追い払う行事、神事)をして村浚えをし、風邪の神を島から追い払って島への再侵入を防ぐために村の入り口に注連縄を張り巡らした。 パ⸢ナシキヌ フシゥ⸣カリティ ア⸢ムサ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣サー [pa⸢naʃi̥kinu ɸusi̥⸣kariti ʔa⸢musa⸣nu na⸢ran⸣saː] (風邪にかかって<風邪が取り付いて>気分がわるく、頭痛がしてたまらないよ) 13530 0 0 13217 htmvoc_13530.wav パナシキママルン パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マルン [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢maruŋ] 連 風邪をひく。風邪に感染する。「風邪にまめる<塗る>」の義。「Mameri,meru,etta.マメリ、ル、ッタ(まめり、る、った)ずぶ濡れになる、~泥だらけになる、泥にまみれる.上(Cami)では、Mabururu(塗るる)と言う」『邦訳日葡辞書』と関連のある語であろう。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マリ⸣ キ⸢タ⸣シキティ マ⸢ナ⸣マー シ⸢グトゥ シーユーサヌ [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢mari⸣ ki̥⸢ta⸣ʃi̥kiti ma⸢na⸣maː ʃi⸢gutu ʃiːjuːsanu] (風邪に罹って<塗られて>すっかり衰弱して<痛めつけられて>、今は仕事をすることが出来ない) 13535 0 0 13218 htmvoc_13535.wav パナシケー パ⸢ナシケー [pa⸢naʃi̥keː] 固 花城家。ウ⸢ブパナシ⸣ケー[ʔu⸢bupanaʃi̥⸣keː](「大・花城家」の義{EOS}花城真佐氏の本家)と、⸢インタパナシケー[⸢ʔintapanaʃi̥keː](⸢西・花城家」の義、花城伊佐氏宅<分家>)がある。 パ⸢ナシケーヌ⸣ イガンマー ピ⸢ナイウガン⸣ヌ サ⸢カサ⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ [pa⸢naʃi̥keːnu⸣ ʔigammaː pi⸢naiʔugan⸣nu sḁ⸢kasa⸣ ja⸢roːt⸣ta] (花城家のイガお母さんは鬚川お願の司であられた) 13536 0 0 13219 htmvoc_13536.wav パナシケーヌアーニヤーテー パ⸢ナシケーヌ アー⸣ニヤーテー [pa⸢naʃi̥keːnu ʔaː⸣nijaːteː] 連 屋号。花城英行氏宅。「花城の安仁屋宅」の義か。鳩間村三班のク⸢メー[ku⸢meː](小浜真那氏宅)の西隣にある 13537 0 0 13220 htmvoc_13537.wav パナシジ パ⸢ナシジ [pa⸢naʃiʤi] 名 鼻筋。鼻茎。鼻柱。 ブ⸢ネーン⸣ウヤン ⸢ニー⸣ パ⸢ナシジヌ⸣ タ⸢カーン⸣ダル ⸣アイニ ア⸢バ⸣レー⸢ツォー [bu⸢neːŋ⸣ʔujan ⸢niː⸣ pa⸢naʃiʤinu⸣ tḁ⸢kaːn⸣daru ⸣ʔaini ʔa⸢ba⸣reː⸢ʦoː] (母親に似て、鼻筋が高いので<ぞ>あんなに美しいのだよ) 13538 0 0 13221 htmvoc_13538.wav パナシゾージ パ⸢ナ⸣シゾージ [pa⸢na⸣ʃiʣoːʤi] 名 話し上手。 パ⸢ナ⸣シゾージェー シ⸢キゾージ⸣ティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリブンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸣ユー シ⸢キ [pa⸢na⸣ʃiʣoːʤeː ʃi̥⸢kiʣoːʤi⸣ti mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣaribunda⸣ pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸣juː ʃi̥⸢ki] (話し上手は聞き上手と昔から言われているから、他人の話はよく聞きなさい) 13539 0 0 13222 htmvoc_13539.wav パナジナ パ⸢ナジナ [pa⸢naʤina] 名 牛の手綱。牛の鼻に繋ぐ綱。はななわ。「鼻綱」の義。 ウ⸢シヌ⸣ パ⸢ナジナー フー⸣カラジナシル シゥ⸢カイヨー⸣ル バ⸢ラフ⸣タジナー ⸢フッ⸣チ ッ⸢ふァイスンダ⸣ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ pa⸢naʤinaː ɸuː⸣karaʤinaru sï̥⸢kaijoː⸣ru ba⸢raɸu⸣taʤinaː ⸢ɸut⸣ʧi f⸢faisunda⸣ sï̥⸢kaːranu] (牛の鼻綱はクロツグ<桄榔子>の鬚で\ruby{綯}{ナ}った綱が使われる{EOS}藁縄はかじって食うから使えない) 13540 0 0 13223 htmvoc_13540.wav パナシナラヌ パ⸢ナ⸣シ ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢na⸣ʃi na⸢ra⸣nu] 連 お話にならない。問題にもならない。あきれてものが言えない。 ウ⸢リヌ⸣ イ⸢ズ ホー⸣シェー ⸢バンター⸣トー パ⸢ナ⸣シ ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢サッ⸣コー ⸢ゾー⸣ジ [ʔu⸢rinu⸣ ʔi⸢ʣu hoː⸣ʃeː ⸢bantaː⸣toː pa⸢na⸣ʃi na⸢ra⸣nu ⸢sak⸣koː ⸢ʣoː⸣ʤi] (彼の魚釣りは、僕らとはお話にならない{EOS}非常に<魚釣りが>上手である) 13541 0 0 13224 htmvoc_13541.wav パナシマルン パ⸢ナ⸣ シマ⸢ル⸣ン [pa⸢na⸣ ʃi⸢ma⸣ruŋ] 連 鼻が詰まる。風邪をひいて鼻孔が詰まる。 パ⸢ナシキ フシゥカル⸣ター パ⸢ナ⸣ シ⸢マ⸣リティ ムッ⸢トゥ⸣ イキ サ⸢ラヌ [pa⸢naʃi̥ki ɸusï̥karu⸣taː pa⸢na⸣ ʃi⸢ma⸣riti mut⸢tu⸣ ʔiki ʃi⸢raranu] (風邪をひいた<風邪がくっついた>ので、鼻が詰まってちっとも息できない) 13542 0 0 13225 htmvoc_13542.wav パナシムチ パ⸢ナ⸣シムチ [pa⸢na⸣ʃimuʧi] 名 話題の豊富な人。話の面白い人。「話し持ち」の義。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸣アボー(⸣アンマー) パ⸢ナ⸣シムチ ヤ⸢ロー⸣ルンダ ⸣アボー<⸣アンマー> パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キグトゥ⸠ツォー [⸢wat⸣tenu ⸣ʔaboː<⸣ʔammaː> pa⸢na⸣ʃimuʧi ja⸢roː⸣runda ⸣ʔaboː pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢kigutu⸠ʦoː] (お宅のお母さんは話題の豊富な人だから、お母さんの話は面白くて聞き事<聞く値打ちがある>なんですよ) 13543 0 0 13226 htmvoc_13543.wav パナシムヌ パ⸢ナシ⸣ムヌ [pa⸢naʃi⸣munu] 名 話の種。噂話の材料。「話もの」の義。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢スー⸣カー シ⸢キン⸣ヌ パ⸢ナシ⸣ムヌ バ⸢ライムヌ⸣ シ⸢ラリン⸣ダー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢suː⸣kaː ʃi̥⸢kin⸣nu pa⸢naʃi⸣munu ba⸢raimunu⸣ ʃi⸢rarin⸣daː] (あんなことをすると世間の話しの種、笑いものにされるぞ) 13544 0 0 13227 htmvoc_13544.wav パナシヨー パ⸢ナシ⸣ヨー [pa⸢naʃi⸣joː] 名 話し方。話しぶり。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナシヨー⸣ヤ プ⸢ストゥ カウリティ⸣ イッ⸢ケン⸣ ウ⸢ムッ⸣サン [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢naʃijoː⸣ja pu̥⸢sutu kauriti⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔu⸢mus⸣saŋ] (彼の話し方は他人とは違って、非常に面白い) 13545 0 0 13228 htmvoc_13545.wav パナジル パ⸢ナジル [pa⸢naʤiru] 名 鼻汁。風邪を引くときに鼻孔から出る無色の粘液。 ッ⸢サーク⸣トゥ パ⸢ナジルヌ⸣ トゥ⸢マラヌ [s⸢saːku⸣tu pa⸢naʤirunu⸣ tu⸢maranu] (咳と鼻汁が止まらない) 13546 0 0 13229 htmvoc_13546.wav パナシングイ パ⸢ナシン⸣グイ [pa⸢naʃiŋ⸣gui] 名 話し声。話をする声。人声。 ⸢ヨーンヌ⸣ ミーラ パ⸢ナシングイ⸣ヌ シゥ⸢カリヌ ター⸣カヤー [⸢joːnnu⸣ miːra pa⸢naʃiŋgui⸣nu si̥⸢karinu taː⸣kajaː] (暗闇の中から話し声が聞こえるが、誰だろうか) 13560 0 0 13230 htmvoc_13560.wav パナズミティサジ パ⸢ナ⸣ズミティサジ [pa⸢na⸣ʣumitisaʤi] 名 紅花染料で赤く染めた手拭。⸢花染め手拭」の義。沖縄本島から導入された民俗舞踊で、踊り手の女性が用いる鉢巻用の手拭。 ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンヌ ブ⸢ドゥル⸣ナー シゥ⸢カイヨー⸣ル サ⸢ジ⸣バ パ⸢ナ⸣ズミティサジティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu bu⸢duru⸣naː sï̥⸢kaijoː⸣ru sa⸢ʤi⸣ba pa⸢na⸣ʣumitisaʤiti ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (豊年祭、結願祭の踊りに使われる、紅花染料で赤く染めた手拭を花染め手拭といわれたよ) 13547 0 0 13231 htmvoc_13547.wav パナスン パ⸢ナ⸣スン [pa⸢na⸣suŋ] 他動 話す。語る。言う。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸣バーラ パ⸢ナ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ パ⸢ナサラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸣baːra pa⸢na⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du pa⸢nasara⸣nu] (そのことは私から話そうと思うが、話されない)。 パ⸢ナ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ワー⸣ラ パ⸢ナ⸣シバ [pa⸢na⸣ʃi ⸣misakaː ⸢waː⸣ra pa⸢na⸣ʃiba] (話してよければ君から話しなさいよ)。 パ⸢ナ⸣ス ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アルカー マ⸢ナ⸣マ パ⸢ナ⸣シェー ミサムヌ [pa⸢na⸣su ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔarukaː ma⸢na⸣ma pa⸢na⸣ʃeː ⸣misamunu] (話すことがあれば今話せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク パ⸢ナ⸣シバ [⸢paː⸣ku pa⸢na⸣ʃiba] (早く話せよ) 13561 0 1 13232 htmvoc_13561.wav パナスン パ⸢ナ⸣スン [pa⸢na⸣suŋ] 他動 {Mn_1}放す。解放す。自由にする。 カ⸢サミ ベー ティー⸣ヤ パ⸢ナ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ パ⸢ナサラン⸣サー [ka⸢sami beː tiː⸣ja pa⸢na⸣sunti ⸢sundu⸣ pa⸢nasaran⸣saː] (掴んでいる手は放そうとするが、放されないさ)。 パ⸢ナ⸣シ ⸣ミサカー パ⸢ナ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [pa⸢na⸣ʃi ⸣misakaː pa⸢na⸣su ⸣ku̥toː naruŋ] (放してよければ放すことは出来る)。 パ⸢ナ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pa⸢na⸣ʃeː ⸣misamunu] (放せばいいのに)。 ウ⸢シェー⸣ バ⸢ツァマン⸣ドーシ パ⸢ナ⸣シ ⸣シキバ⸢ヨー [ʔu⸢ʃeː⸣ ba⸢ʦaman⸣doːʃi pa⸢na⸣ʃi ⸣ʃi̥kiba⸢joː] (牛は鼻綱を結わえないで放しておきなさいよ)。 13561 0 2 13233 htmvoc_13561.wav パナスン パ⸢ナ⸣スン [pa⸢na⸣suŋ] 他動 {Mn_2}解きほぐす。 ア⸢ザー⸣リ ⸢ベー⸣ シナー パ⸢ナ⸣シバ [ʔa⸢ʣaː⸣ri ⸢beː⸣ ʃinaː pa⸢na⸣ʃiba] (もつれ<縺れ>ている綱を解きほぐしなさいよ) 13563 0 0 13234 htmvoc_13563.wav パナダヤー パ⸢ナダヤー [pa⸢nadajaː] 名 洟垂れ小僧。「洟垂らし奴」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー パ⸢ナダヤー ヤッタンドゥ⸣ フ⸢ドゥブター⸣ イッ⸢ケナ マイフナー⸣ マ⸢レー⸣ン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː pa⸢nadajaː jattandu⸣ ɸu⸢dubutaː⸣ ʔik⸢kena maiɸunaː⸣ ma⸢reː⸣ŋ] (子供の頃は洟垂れ小僧だったが、成長したら非常に立派な男<勤勉でよく働き、子供に恵まれ、財を成した人>に育っているよ) 13564 0 0 13235 htmvoc_13564.wav パナダリムヌ パ⸢ナダリ⸣ムヌ [pa⸢nadari⸣munu] 名 洟垂れ小僧。「洟垂れ者」の義。パ⸢ナダヤー[pa⸢nadajaː](洟垂れ小僧)ともいう。 ウ⸢ヌ ッふァー⸣ パ⸢ナダリ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ジン⸣ブン ⸢トー⸣リティ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢nu ffaː⸣ pa⸢nadari⸣munu ⸣nari ⸢ʤim⸣bun ⸢toː⸣riti sï̥⸢kaːranu] (あの子は洟垂れ小僧になって、智恵<存分>がなくて、使えない) 13562 0 0 13236 htmvoc_13562.wav パナダル パ⸢ナダル [pa⸢nadaru] 名 はな(洟)。鼻じる。「洟垂れ」の義。パ⸢ナドゥル[pa⸢naduru](洟)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢ナダル⸣ ッ⸢サーラ⸣シ ⸢アー⸣ク ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラータン [mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢nadaru⸣ s⸢saːra⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ku ja⸢rabi⸣nu ⸢goː⸣raːtaŋ] (昔は洟を垂らしている子供が多かった) 13566 0 0 13237 htmvoc_13566.wav パナダルタリムヌ パ⸢ナダルタリ⸣ムヌ [pa⸢nadarutari⸣munu] 名 洟垂れ小僧。「洟垂れ者」の義。未熟な者。パ⸢ナドゥルタリ⸣ムヌ[pa⸢nadurutari⸣munu](洟垂れ小僧)ともいう。 ⸣アイブ パ⸢ナダルタリムヌ⸣ヌ ⸢ヌー⸣ ッ⸢シェー⸣ワ [⸣ʔaibu pa⸢nadarutarimunu⸣nu ⸢nuː⸣ ʃ⸢ʃeː⸣wa] (あんな洟垂れ小僧に何が分かるものか) 13565 0 0 13238 htmvoc_13565.wav パナッスン パ⸢ナ⸣ ッスン [pa⸢na⸣ ssuŋ] 連 臭気が鼻を突く。 カ⸢ツシンヌ⸣ ナ⸢ヤ⸣ナー ⸢カーバイト⸣バ ⸢モーシ ブー⸣ユー カ⸢ザヌ⸣ パ⸢ナ⸣ ッシ ⸢ビーバキンギサ⸣ル [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ na⸢ja⸣naː ⸢kaːbaito⸣ba ⸢moːʃi buː⸣juː ka⸢ʣanu⸣ pa⸢na⸣ ʃʃi ⸢biːbakiŋgisa⸣ru] (カツオ船の納屋<鰹節工場>でカーバイトを燃やしているのか、臭気が鼻を突いて、嘔吐しそうだ) 13568 0 0 13239 htmvoc_13568.wav パナトーラー パ⸢ナトーラー [pa⸢natoːraː] 名 はなつんぼ(鼻聾)。\ruby{嗅覚}{キュウ|カク}を失った人。卑語。パ⸢ナトーリ⸣ムヌ[pa⸢natoːri⸣munu](鼻つんぼ)の卑語。 ウ⸢レー⸣ パ⸢ナトーラール⸣ ヤ⸢ルムヌ⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ カ⸢ザナー⸣ト ワ⸢カラ⸣ヌ<ッ⸢サヌ> [ʔu⸢reː⸣ pa⸢natoːraːru⸣ ja⸢rumunu⸣ mu⸢nu⸣nu ka⸢ʣaːnaː⸣to wa⸢kara⸣nu] (彼は鼻つんぼだから、物の匂いなど分からない) 13569 0 0 13240 htmvoc_13569.wav パナトーリムヌ パ⸢ナトーリ⸣ムヌ [pa⸢natoːri⸣munu] 名 はなつんぼ(鼻聾)。病的に物の匂いを感じない人。「鼻倒れ者」の義。 パ⸢ナトーリ⸣ムヌ ⸣ナリティル ⸢ピッ⸣チン ム⸢ヌ⸣ヌ カ⸢ザ⸣ カ⸢バラヌ [pa⸢natoːri⸣munu ⸣naritiru ⸢pit⸣ʧim mu⸢nu⸣nu ka⸢ʣa⸣ ka⸢baranu] (はなつんぼになってしまって物の匂いがちっとも\ruby{嗅}{カ}がれない) 13567 0 0 13241 htmvoc_13567.wav パナドゥル パ⸢ナドゥル [pa⸢naduru] 名 はな(洟)。鼻孔から出る黄色い粘液。慢性の副鼻腔炎で鼻孔から出る黄色い粘液。パ⸢ナダル[pa⸢nadaru](洟垂れ)ともいう。 パ⸢ナドゥル ヌシ⸣ティバ [pa⸢naduru nuʃi̥⸣tiba] (洟をぬぐい取りなさいよ)。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢ナドゥル⸣ タ⸢ラ⸣シ ⸢アークタ⸣ヌ ⸣カイニ ウ⸢ブ⸣プス ナリ⸢ナー [mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢naduru⸣ ta⸢ra⸣ʃi ⸢ʔaːkuta⸣nu ⸣kaini ʔu⸢bu⸣pu̥su nari⸢naː] (昔は黄色い洟を垂らしていたのだが、こんなに立派な大人になってねえ) 13570 0 0 13242 htmvoc_13570.wav パナヌキ パ⸢ナ⸣ヌキ [pa⸢na⸣nuki] 名 貫き花。花を紐で貫き連ねたもの。「花貫き」の義。女の子らがオシロイバナやニチニチソウの花を糸や藁しべなどで貫いて花輪にし、首にかけたり、持って踊ったりして遊ぶのに用いた。 マ⸢ナマ⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ベー パ⸢ナ⸣ヌキ ⸢シー⸣ ア⸢ザブ⸣ クトー ッ⸢サン⸣ ナー⸢レー [ma⸢nama⸣nu ja⸢ra⸣beː pa⸢na⸣nuki ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabu⸣ ku̥toː s⸢san⸣naː⸢reː] (今の子供は貫き花<オシロイバナやニチニチソウの花を糸に貫き通してレイに作ること>をして遊ぶことも知らないだろうなあ) 13571 0 0 13243 htmvoc_13571.wav パナヌキー パ⸢ナヌ キー [pa⸢nanu kiː] 連 鼻の毛。鼻毛。パ⸢ナギー[pa⸢nagiː](鼻毛)ともいう。 パ⸢ナヌ キーヌ ナームイ シー ベー [pa⸢nanu kiːnu naːmui ʃiː beː] (鼻毛が長く生え<長生えして>いる) 13572 0 0 13244 htmvoc_13572.wav パナヌサキ パ⸢ナヌ⸣ サ⸢キ [pa⸢nanu⸣ sḁ⸢ki] 連 鼻の先。極めて近いところ。普通は、⸢ミー⸣トゥ パ⸢ナヌ⸣ サ⸢キ[⸢miː⸣tu pa⸢nanu⸣ sḁ⸢ki](目と鼻の先)という。 ⸢ワッ⸣テートゥ ⸢バン⸣テーヤ ⸢ミー⸣トゥ パ⸢ナヌ⸣ サ⸢キル⸣ ヤ⸢ル⸣ ヌンティ キ⸢ララン⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [⸢wat⸣teːtu ⸢ban⸣teːja ⸢miː⸣tu pa⸢nanu⸣ sḁ⸢kiru⸣ ja⸢ru⸣ nunti ki⸢raraŋ⸣ ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (君の家と私の家は目と鼻の先の近いところだ{EOS}どうして来れないことがあろうか) 13573 0 0 13245 htmvoc_13573.wav パナヌジッチ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣ジッチ [pa⸢na⸣nu ⸣ʤitʧi] 連 花の蜜。「花の乳」の義。⸣ジッチ[⸣ʤitʧi](乳)は幼児語である。野草の花の芯に含まれている甘い汁を⸣ジッチ[⸣ʤitʧi](乳)といって、子供達は花や植物の茎を折ってしゃぶったものである。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ユー パ⸢ナ⸣ヌ ⸣ジッチ シ⸢ビリ⸣ ア⸢サブタヌ⸣ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ra⸣beː ⸣juː pa⸢na⸣nu ⸣ʤitʧi ʃi⸢biri⸣ ʔa⸢sabutanu⸣naː] (昔は、子供達はよく花の乳<花の芯の甘い汁>をしゃぶって遊んだものだがなあ) 13574 0 0 13246 htmvoc_13574.wav パナヌッス パ⸢ナヌ⸣ ッス [pa⸢nanu⸣ ssu] 連 鼻くそ。「鼻の糞」の義。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ナー⸢イ⸣ パ⸢ナヌ⸣ ッス フ⸢ジ⸣リ ⸢ブー⸣カー ム⸢シ⸣ティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [ja⸢rabi⸣nu naː⸢ji⸣ pa⸢nanu⸣ ssu ɸu⸢ʤi⸣ri ⸢buː⸣kaː mu⸢ʃiti⸣ ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (子供がずっと鼻の糞をほじくって<穿って>ばかりいると、虫がいる<虫だ>といわれているよ) 13575 0 0 13247 htmvoc_13575.wav パナヌミー パ⸢ナヌ⸣ ミー [pa⸢nanu⸣ miː] 連 鼻の穴。 ⸢パナヌ⸣ ミー ウ⸢ブフラッ⸣キ ⸢シー ベー [pa⸢nanu⸣ miː ʔu⸢buɸurak⸣ki ⸢ʃiː beː] (鼻の穴を大開きさせて<非常に自慢そうにして>いる{EOS}得意満面にしている) 13576 0 0 13248 htmvoc_13576.wav パナパスクン パ⸢ナ パス⸣クン [pa⸢na pasu̥⸣kuŋ] 連 鼻を弾く。指先で鼻を弾く。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢テン⸣ガマー ⸢スー⸣カー ウ⸢ブウヤビ⸣トゥ ナ⸢カ⸣イビシ ヤー⸢ラマ⸣シ パ⸢ナ パスク⸣タン [ja⸢rabi⸣nu ⸢teŋ⸣gamaː ⸢suː⸣kaː ʔu⸢buʔujabi⸣tu na⸢ka⸣ʔibiʃi jaː⸢rama⸣ʃi pa⸢na pasu̥ku⸣taŋ] (子供が悪戯すると親指と中指で柔らかく鼻を弾いたものだ) 13577 0 0 13249 htmvoc_13577.wav パナバチ パ⸢ナバ⸣チ [pa⸢naba⸣ʧi] 名 花瓶。「花鉢」の義。 パ⸢ナバ⸣チナー ⸣イキ シケー パ⸢ナ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤワ⸢ナー [pa⸢naba⸣ʧinaː ⸣ʔiki ⸣ʃi̥keː pa⸢na⸣nu ⸢kai⸣jawa⸢naː] (花瓶<花鉢>に活けてある花が美しいねえ<きれいだねえ>) 13578 0 0 13250 htmvoc_13578.wav パナパナ パ⸢ナ⸣パナ [pa⸢na⸣pana] 名 はしばし。端々。ところどころ。老年層は、⸢パンタパンタ[⸢pantapanta](端々)という。 パ⸢ナシ⸣ヌ パ⸢ナ⸣パナー(⸢パンタパンター)⸣ シゥ⸢カリシタンドゥ⸣ ムー⸢ロー⸣ シゥ⸢カランシェン [pa⸢naʃi⸣nu pa⸢na⸣panaː(⸢pantapantaː)⸣ sï̥⸢kariʃi̥tandu⸣ muː⸢roː⸣ sï̥⸢karaŋʃeŋ] (話の端々<ところどころ>は聞こえたが、全体は聞こえなかった) 13579 0 0 13251 htmvoc_13579.wav パナパンキカザ パ⸢ナパンキ⸣カザ [pa⸢napaŋki⸣kaʣa] 名 嗅覚を強く刺激する臭気。\ruby{臭}{ニオイ}がきつくて鼻を刺激するもの。からし菜の塩もみしたものなど。「鼻弾き臭い」の義。 パ⸢ナパンキカザ⸣ヌ ⸢スーユンダル⸣ バー ウ⸢リ⸣ ッ⸢ふァイユーサン⸠ツォー [pa⸢napaŋkikaʣa⸣nu ⸢suːjundaru⸣ baː ʔu⸢ri⸣ f⸢faijuːsan⸠ʦoː] (臭いがきつくて鼻を刺激<鼻弾き臭いが>するから私はそれを食べることが出来ないのですよ) 13580 0 0 13252 htmvoc_13580.wav パナパンクン パ⸢ナ パン⸣クン [pa⸢na paŋ⸣kuŋ] 連 強く嗅覚を刺激する。鼻を突く。臭いがきつくて、鼻を弾くように感じる場合にいう。「鼻を弾く」の義。 サ⸢バヌ⸣ アバ ⸣タル ⸣ピンマー ウ⸢ヌ⸣ カ⸢ザー⸣ パ⸢ナ パン⸣クンダ ン⸢カーランシェン [sa⸢banu⸣ ʔaba ⸣turu ⸣pimmaː ʔu⸢nu⸣ ka⸢ʣanu⸣ pa⸢na paŋ⸣kunda ʔŋ⸢kaːraŋʃeŋ] (鱶の肝臓を煎って鱶油を搾油する時は、その臭いが鼻を突く<鼻を弾く>ので側に近寄れなかった) 13581 0 0 13253 htmvoc_13581.wav パナピーピー パ⸢ナピーピー [pa⸢napiːpiː] 名 風邪のため、鼻づまりして変な音を出すこと。みずっぱな(水っ洟)を\ruby{啜}{スス}る音。鼻を啜る音。 パ⸢ナシケー フシゥ⸣カリティ パ⸢ナピーピー⸣シ シ⸢グトゥン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢naʃi̥keː ɸusï̥⸣kariti pa⸢napiːpiː⸣ʃi ʃi⸢gutun⸣ na⸢ra⸣nu] (風邪をひいて<風邪がくっついて>鼻づまりをして仕事も出来ない) 13582 0 0 13254 htmvoc_13582.wav パナビラー パ⸢ナビラー [pa⸢nabiraː] 名 鼻の低い人。鼻のひしゃげた人。若年層はハ⸢ナビラー[ha⸢nabiraː]という。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ パ⸢ナビラー⸣ ナリティ キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [mi⸢doːŋ⸣ffanu pa⸢nabiraː⸣ nariti ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (女の子がひしゃげ鼻<つぶれ鼻{EOS}平たい鼻>になって、可哀そうなんだよ) 13584 0 1 13255 htmvoc_13584.wav パナブー パ⸢ナブー [pa⸢nabuː] 名 {Mn_1}鼻緒。 ア⸢シツァ⸣ヌ パ⸢ナブー⸣ キシ ⸢ナーン⸣バ バ⸢ラフ⸣タシ ⸣ナイティ パ⸢ナブー⸣ シキ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ʔa⸢ʃiʦa⸣nu pa⸢nabuː⸣ ki̥ʃi ⸢naːm⸣ba ba⸢raɸu̥⸣taʃi ⸣naiti pa⸢nabuː⸣ ʃi̥ki f⸢fiːri⸣ba] (下駄の鼻緒が切れてしまったので、藁で綯って鼻緒をすげて<付けて>あげなさいよ)。 13584 0 2 13256 htmvoc_13584.wav パナブー パ⸢ナブー [pa⸢nabuː] 名 {Mn_2}牛の鼻綱。パ⸢ナジナ[pa⸢naʤina](鼻綱)ともいう 13585 0 0 13257 htmvoc_13585.wav パナフーン ⸣パナ ⸣フーン [⸣pana ⸣ɸuːŋ] 連 かびる(黴びる)。黴が生える。「黴食う」の義。 カ⸢ジ⸣ イ⸢リラン⸣カー フ⸢トゥミティ⸣ パナ ⸣フーンティ ⸢スンダ⸣ パナ ⸢ホーン⸣ヨーニ ⸣ヤドゥ ア⸢キティ⸣ カ⸢ジ⸣ イ⸢リリ⸣バ [ka⸢ʤi⸣ ʔi⸢riraŋ⸣kaː ɸu̥⸢tumiti⸣ pana ⸣ɸuːnti ⸢sunda⸣ pana ⸢hoːɲ⸣joːni ⸣jadu ʔa⸢kiti⸣ ka⸢ʤi⸣ ʔi⸢riri⸣ba] (風が通らない<入らない>と、ほてって<ほめいて>黴がはえるというから、黴が生えないように戸を開けて風を通し<入れ>なさいよ) 13583 0 0 13258 htmvoc_13583.wav パナフイカザ パ⸢ナフイ⸣カザ [pa⸢naɸui⸣kaʣa] 名 かびくさい<黴臭い>におい。「黴食い<生え>臭い」の義。フ⸢クイカザ[ɸu̥⸢kuikaʣa](湿った黴臭い、埃っぽいにおい)ともいう。 ⸢ヤー⸣ヌ ナ⸢カー⸣ パ⸢ナフイカザ⸣ヌ ⸢シー ブーバ⸣ ヤドー ア⸢キティ⸣ カ⸢ジン トゥー⸣シ ⸣フキソージ ⸢シー⸣バ [⸢jaː⸣nu na⸢kaː⸣ pa⸢naɸuikaʣa⸣nu ⸢ʃiː buːba⸣ jadoː ʔa⸢kiti⸣ ka⸢ʤin tuː⸣ʃi ɸukisoːʤi ⸢ʃiː⸣ba] (家の中は黴臭い臭いがしているから、戸を開け放して風も通し、拭き掃除をしなさいよ) 13586 0 0 13259 htmvoc_13586.wav パナフキ パ⸢ナ⸣フキ [pa⸢na⸣ɸu̥ki] 名 いびき(鼾)。「鼻吹き」の義。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣フケー ウ⸢トゥンジ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ムー⸢ル⸣ ッ⸢シ ブー [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ɸu̥keː ʔu⸢tuʔnʤi⸣munu ja⸢runda⸣ muː⸢ru⸣ ʃ⸢ʃi buː] (彼のいびき<鼾>は有名<音に聞こえたもの>だから、みんな知っている) 13587 0 0 13260 htmvoc_13587.wav パナフクル パ⸢ナフクル [pa⸢naɸu̥kuru] 名 小鼻。左右の鼻孔を丸く包み、ふくらんだ部分。「鼻袋」の義。 パ⸢ナフクル⸣バ ⸢ウーカ⸣シ ⸢ベー ギン⸣シェー ノー⸢シン⸣ サ⸢ニ⸣ヤ ク⸢トゥヌ⸣ル アル⸢ナー [pa⸢naɸukuru⸣ba ⸢ʔuːka⸣ʃi ⸢beː giŋ⸣ʃeː noː⸢ʃin⸣ sa⸢ni⸣ja ku̥⸢tunu⸣ru ʔaru⸢naː] (小鼻を動かしているからには、きっと嬉しいことがあるねえ) 13501 0 0 13261 htmvoc_13501.wav パナフクン パ⸢ナ⸣ フクン [pa⸢na⸣ ɸu̥kuŋ] 連 子供が泣き出す。泣きべそをかく。 カ⸢ジェー マーリ⸣ パ⸢ナ⸣ フキ ⸢ベー⸣ムヌ ノー⸢ン ヤラバン ッふァーシ⸣ キ⸢ム⸣ トゥリ [ka⸢ʤeː maːri⸣ pa⸢na⸣ ɸu̥ki ⸢beː⸣munu noː⸢ɲ jarabaŋ ffaːʃi⸣ ki⸢mu⸣ turi] (子供は機嫌を損ねて<風が北に回って>泣き出しているんだから、何か食べさせて機嫌をとりなさい) 13588 0 1 13262 htmvoc_13588.wav パナフクン パ⸢ナ⸣フクン [pa⸢na⸣ɸu̥kuŋ] 他動 {Mn_1}いびき<鼾>をかく。 ⸣ビーティ ニ⸢ブ⸣カー パ⸢ナ⸣フクンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー パ⸢ナフカン⸣ワー ⸢ン⸣ノー [⸣biːti ni⸢bu⸣kaː pa⸢na⸣ɸu̥kunti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː pa⸢naɸu̥kaŋ⸣waː ⸢n⸣noː] (酔って寝ると鼾をかくと聞いたが、あまり鼾をかかないではないか)。 パ⸢ナ⸣フク プ⸢ストー⸣ ニ⸢バラヌ [pa⸢na⸣ɸu̥ku pu̥⸢sutoː⸣ ni⸢baranu] (鼾をかく人とは寝れない)。 ⸣キューユン パ⸢ナ⸣フキ ⸢ベー [⸣kjuːm pa⸢na⸣ɸu̥ki ⸢beː] (今日も鼾をかいている)。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣フケーラー ニ⸢バラヌ [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ɸu̥keːraː ni⸢baranu] (彼が鼾をかいたら寝れない)。 パ⸢ナ⸣フキバ [pa⸢na⸣ɸu̥kiba] (鼾をかけよ)。 13588 0 2 13263 htmvoc_13588.wav パナフクン パ⸢ナ⸣フクン [pa⸢na⸣ɸu̥kuŋ] 他動 {Mn_2}しくしく泣く。べそをかく。 ヤ⸢ラ⸣ベー パ⸢ナ⸣フキ ⸢ベー⸣バ ユ⸢ナコー⸣マーンツァン ス⸢クイ ッふァーシ⸣バ [ja⸢ra⸣beː pa⸢na⸣ɸu̥ki ⸢beː⸣ba ju⸢nakoː⸣manʦan su̥⸢kui ffaːʃi⸣ba] (子供がしくしく泣いているから、麦焦がしでも掬ってあげなさいよ) 13589 0 0 13264 htmvoc_13589.wav パナプシ パ⸢ナ⸣プシ [pa⸢na⸣puʃi] 名 くさめ<嚏>。くしゃみ。「眉根掻き鼻火紐解<ハナヒヒモトケ>~。万、2808」。「嚏、ハナヒル」『類聚名義抄』の転訛。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ パ⸢ナ⸣プシ ⸢スー⸣カー パ⸢ナシキ フシゥ⸣カルンダー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ja⸢rabi⸣nu pa⸢na⸣pu̥ʃi ⸢suː⸣kaː pa⸢naʃi̥ki ɸusï̥⸣karundaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (子供がくさめ<嚏>をしたら風邪をひく<風邪がくっつく>から気をつけなさいよ) 13590 0 0 13265 htmvoc_13590.wav パナプスン パ⸢ナ⸣プスン [pa⸢na⸣pusuŋ] 自動 くさめ<くしゃみ>をする。はなひる(嚏る)。「眉根掻き鼻火紐解け<ハナヒヒモトケ>~。万、2808」。「嚏、ハナヒル」『類聚名義抄』の転訛。 ⸢ピン⸣グルカー パ⸢ナ⸣プスンティ ⸢スンダ⸣ パ⸢ナプサン⸣ヨーニ ⸢キン⸣マー カ⸢サビ⸣ キ⸢シ⸣バ [⸢piŋ⸣gurukaː pa⸢na⸣pu̥sunti ⸢sunda⸣ pa⸢napusaɲ⸣joːni ⸢kim⸣maː kḁ⸢sabi⸣ ki̥⸢ʃi⸣ba] (冷え込んだらくしゃみをするから、くしゃみをしないように着物は重ねて着なさい)。 パ⸢ナ⸣プシ ⸢ベー [pa⸢na⸣pu̥ʃi ⸢beː] (くしゃみをしている)。 パ⸢ナ⸣プス ⸣ピンマー ⸣カマンター ン⸢カイティ⸣ パ⸢ナ⸣プシバ [pa⸢na⸣pu̥su ⸣pimmaː ⸣kamantaː ʔŋ⸢kaiti⸣ pa⸢na⸣pu̥ʃiba] (くしゃみをする時は、向こう側に向いてくしゃみをしなさい)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ナ⸣プシェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pa⸢na⸣pu̥ʃeː ⸣misamunu] (もっとくしゃみをすればいいのに) 13591 0 0 13266 htmvoc_13591.wav パナブニ パ⸢ナブニ [pa⸢nabuni] 名 鼻骨。 ⸢ティス⸣クン ッ⸢ふァーサリティ⸣ パ⸢ナブニバ⸣ ブリ ヤ⸢ゴーマシ⸣ ⸣シケーティバン ⸣ヌヤー [⸢tisu̥⸣kun f⸢faːsariti⸣ pa⸢nabuniba⸣ buri ja⸢goːmaʃi⸣ ʃi̥keːtiban ⸣nujaː] (拳骨を食らわされて鼻骨を折って、<鼻を>\ruby{歪}{ユガ}ましておいてあるんだってさ、何だ<何かと思ったよ>) 13592 0 0 13267 htmvoc_13592.wav パナブルン パ⸢ナ⸣ ブルン [pa⸢na⸣ buruŋ] 連 鼻を折る。相手の慢心をくじく。やりこめる。鼻っ柱を折る。 ⸢ウンザー⸣ ドゥクナリ パ⸢ナイキ⸣ガリ ⸣シザウヤンケーユン ウ⸢サイル ブンダ⸣ パ⸢ナ⸣ ブリ トゥ⸢ラ⸣シ [⸢ʔunʣaː⸣ dukunari pa⸢najiki⸣gari ⸣ʃiʣaʔujaŋkeːjuŋ ʔu⸢sairu bunda⸣ pa⸢na⸣ buri tu⸢ra⸣ʃi] (あいつ<彼奴>は、あまりにも高慢ちきで年輩方をも小馬鹿回しにして<押さえて>いるから鼻をへし折ってやれ) 13593 0 0 13268 htmvoc_13593.wav パナホーシヤマ ⸣パナ ⸢ホーシ⸣ヤマ [⸣pana ⸢hoːʃi⸣jama] 連 綿繰り機。綿花の種子と繊維を分離する器具。「綿挟み仕掛け」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸣パナ ⸢ホーシ⸣ヤマン ⸢アッ⸣タンティ ス⸢ヌ バン⸣ター ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣pana ⸢hoːʃi⸣jamaŋ ⸢ʔat⸣tanti su⸢nu ban⸣taː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (昔は綿繰り機もあったそうだが、私らは見たことがなかった) 13594 0 0 13269 htmvoc_13594.wav ハナボール ハ⸢ナボー⸣ル [ha⸢naboː⸣ru] 名 菓子の名。小麦粉で造った花形の菓子。石垣島で購入して島への土産にした。 ハ⸢ナボー⸣ロー イ⸢サナキ⸣ナーティ ⸢カイティ⸣ パ⸢トゥ⸣マーヌ ⸣シトゥ ⸢ソーッ⸣タ [ha⸢naboː⸣roː ʔi⸢sanaki⸣naːti ⸢kaiti⸣ pḁ⸢tu⸣maːnu ⸣ʃi̥tu ⸢soːt⸣ta] (ハナボールは石垣島で買って鳩間島への土産にされた) 13595 0 0 13270 htmvoc_13595.wav パナミジ パ⸢ナミジ [pa⸢namiʤi] 名 鼻水。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マルタ⸣ユー パ⸢ナミジヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルサー [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢maruta⸣juː pa⸢namiʤinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rusaː] (風邪を引いたのか、鼻水が出るよ) 13596 0 0 13271 htmvoc_13596.wav パナムス パ⸢ナ⸣ムス [pa⸢na⸣musu] 名 はなむしろ(花筵)。藺で織り上げた花模様の筵。接客用に用いたはなござ(花茣蓙)。 イ⸢サナケーラヌ⸣ プ⸢スヌ オー⸣ル ⸣ピンドゥ パ⸢ナ⸣ムソー ス⸢コーッ⸣タ [ʔi⸢sanakeːranu⸣ pu̥⸢sunu ʔoː⸣ru ⸣pindu pa⸢na⸣musoː su̥⸢koːt⸣ta] (石垣島からの人がいらっしゃる時に<ぞ>花筵は敷かれた) 13597 0 0 13272 htmvoc_13597.wav パナムニ パ⸢ナムニ [pa⸢namuni] 名 鼻声。「鼻物言い」の義。 パ⸢ナシキ フシゥカリ⸣ル ⸢ブー⸣ユー パ⸢ナムニバ シーブー⸣サー [pa⸢naʃi̥ki ɸusï̥kari⸣ru ⸢buː⸣juː pa⸢namuniba ʃiːbuː⸣saː] (風邪をひいて<風邪がくっついて>いるのか、鼻声<鼻物言い>をしているよ) 13598 0 0 13273 htmvoc_13598.wav パナモーモー パ⸢ナモー⸣モー [pa⸢namoː⸣moː] 名 鼻の欠けた人。 パ⸢ナモーモー⸣ヤ パ⸢トゥ⸣マナー ブ⸢ラーンシェン [pa⸢namoːmoː⸣ja pḁ⸢tu⸣manaː bu⸢raːŋʃeŋ] (鼻の欠けた人は、鳩間島にはいなかった) 13553 0 0 13274 htmvoc_13553.wav パナヤカ パ⸢ナヤ⸣カ [pa⸢naja⸣ka] 名 勢いが盛んなさま。賑やかなさま。美しくきらびやかなさま。形容動詞の語幹から転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンマー プ⸢スヌ ゴー⸣ラーレーンダ ブ⸢ドゥルキョンギン⸣ヌン イッ⸢ケン⸣ パ⸢ナヤ⸣カ ⸢ヤッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigommaː pu̥⸢sunu goː⸣raːreːnda bu⸢durukjoŋginnuŋ⸣ ʔik⸢kem⸣ pa⸢naja⸣ka ⸢jatta] (昔は豊年祭や結願祭は、人が多かったから、踊りや芝居<狂言>も非常に華やかだった) 13555 0 0 13275 htmvoc_13555.wav パナリ パ⸢ナ⸣リ [pa⸢na⸣ri] 固 (地)新城島。ア⸢ラグス⸣ク[ʔa⸢ragusu̥⸣ku](新城島)ともいう。西表島の東約6キロの洋上に位置する。黒島との中間にあり、親島の上地(かみじ)と子島の下地(しもじ)の二島からなる。古来、⸣ザン[⸣ʣaŋ](ジュゴン)とパ⸢ナリ⸣ヤキ[pa⸢nari⸣jaki](パナリ焼きの土器)で有名である。 ⸢ショーワ サンジューネン⸣ マーラ⸢バー⸣ケー パ⸢ナ⸣リナーン ⸢ガッコー⸣ヤ ア⸢リ⸣ブタ⸢ダー [⸢ʃoːwa sanʤuːnem⸣ maːra⸢baː⸣keː pa⸢na⸣rinaːŋ ⸢gakkoː⸣ja ʔa⸢ri⸣buta⸢daː] (昭和三十年ごろまでは新城島にも学校はあった<ありおった>よ)。 パ⸢ナ⸣リナー ⸢ザン⸣ヌ ウ⸢ガン⸣ヌ アンティ⸢ダー [pa⸢na⸣rinaː ⸢ʣan⸣nu ʔu⸢gan⸣nu ʔanti⸢daː] (新城島にはジュゴン<儒艮>を祀った御嶽があるそうだよ)。 パ⸢ナ⸣レー ⸢カンジ⸣トゥ ス⸢ムジヌ⸣ フ⸢タシマー⸣ラ ⸣ナリ ⸢ブー⸣ダー [pa⸢na⸣reː ⸢kanʤi⸣tu su⸢muʤinu⸣ ɸu̥⸢taʃimaː⸣ra ⸣nari ⸢buː⸣daː] (新城島は上地島と下地島の二島から出来て<なって>いるよ) 13556 0 0 13276 htmvoc_13556.wav パナリアカマター パ⸢ナ⸣リ ⸣アカマター [pa⸢na⸣ri ⸣ʔakamataː] 連 新城島のアカマター神信仰。秘密結社による信仰で、島外の者には見ることの出来ない草装の仮面神信仰であった。 パ⸢ナリ⸣ヌ ⸣アカマター マ⸢ナ⸣マン ⸢プール⸣ナー ⸣ンジ ⸢オー⸣ルンティ⸢ダー [pa⸢nari⸣nu ⸣ʔakamataː ma⸢na⸣mam ⸢puːru⸣naː ⸣ʔnʤi ⸢ʔoː⸣runti⸢daː] (新城島のアカマター神は今も豊年祭には御出座しになる<出て来られる>そうだよ) 13557 0 0 13277 htmvoc_13557.wav パナリザンカミ パ⸢ナ⸣リザンカミ [pa⸢na⸣riʣaŋkami] 名 新城島で漁獲されたという⸣ザン[⸣ʣaŋ](ジュゴン)。琉球国時代には新城島の特産品として王府への貴重な貢納品であった。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ザン⸣マー パ⸢ナリ⸣ヌ ⸢グイ⸣フゾーノーティ ア⸢ザリブタ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʣam⸣maː pa⸢nari⸣nu ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːti ʔa⸢ʣaributa⸣ʦoː] (昔は、ジュゴンは新城島から王府への税金<御庸布・上納>と言われていたそうだ) 13558 0 0 13278 htmvoc_13558.wav パナリジマ パ⸢ナリ⸣ジマ [pa⸢nari⸣ʤima] 名 離れ島。 イ⸢ラムティ⸣ナー フ⸢カバナ⸣リ ウ⸢チバナリ⸣ティ ⸢スー⸣ パ⸢ナリジマ⸣ヌ ⸣アン [ʔi⸢ramuti⸣naː ɸu̥⸢kabana⸣ri ʔu⸢ʧibanari⸣ti ⸢suː⸣ pa⸢nariʤima⸣nu ⸣ʔaŋ] (西表島には、外離島、内離島という離れ島がある) 13559 0 0 13279 htmvoc_13559.wav パナリヤキ パ⸢ナリ⸣ヤキ [pa⸢nari⸣jaki] 名 土器名。新城島で焼成された焼き物。カタツムリを砕き、土に混ぜて焼成した質の粗い素焼きの焼き物。茅で焼いたといわれている。 パ⸢ナリ⸣ヤケー シ⸢ダミ⸣バ ⸢シッ⸣キティ ドゥ⸢ル⸣ナ マ⸢ザー⸣シティル ⸣カミン マ⸢カ⸣ルン ヤ⸢カリ ブー [pa⸢nari⸣jakeː ʃi⸢dami⸣ba ⸢ʃik⸣kiti du⸢ru⸣na ma⸢ʣaː⸣ʃi̥tiru ⸣kamim ma⸢ka⸣ruɲ ja⸢kari buː] (パナリ焼きはカタツムリを搗き砕いて土に混ぜて<ぞ>、瓶もお碗も焼成されて<焼かれて>いる) 13600 0 0 13280 htmvoc_13600.wav パナンギ パ⸢ナン⸣ギ [pa⸢naŋ⸣gi] 名 ふざけ。いたずら(悪戯)。冗談。悪ふざけすること。じゃれて暴れること。 パ⸢ナン⸣ギラール ⸢ソーアイ⸣ ナルンダー ⸣ドゥク パ⸢ナン⸣ギ ス⸢ナ⸣ヨー [pa⸢naŋ⸣giraːru ⸢soːʔai⸣ narundaː ⸣duku pa⸢naŋ⸣gi su⸢na⸣joː] (悪戯から本当の喧嘩になるのだから、あまり悪戯するなよ)。 パ⸢ナン⸣ギ ⸢サンドー⸣シ カ⸢シーカシー⸣ シ⸢グトゥ シー [pa⸢naŋ⸣gi ⸢sandoː⸣ʃi kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʃi⸢gutu ʃiː] (悪戯しないで、しっかり仕事をしろ)。 ビ⸢コーンッふァー⸣ ユー パ⸢ナン⸣ギ ⸢スン [bi⸢koːŋffaː⸣ juː pa⸢naŋ⸣gi ⸢suŋ] (男の子はよく悪戯する) 13602 0 0 13281 htmvoc_13602.wav パナンギタ パ⸢ナンギタ [pa⸢naŋgita] 名 鼻柱。「鼻桁」の義。パ⸢ナシジ[pa⸢naʃiʤi](鼻筋)ともいう。 パ⸢ナンギタ ティス⸣クン ッ⸢ふァーサリティ⸣ ブ⸢チ⸣クン ⸢シー ベー⸣タ [pa⸢naŋgita tisu̥⸣kuŋ f⸢faːsariti⸣ bu⸢ʧi⸣kuŋ ⸢ʃiːbeː⸣ta] (鼻柱に拳骨を食わされて失神していた) 13601 0 0 13282 htmvoc_13601.wav パナンギムニ パ⸢ナンギ⸣ムニ [pa⸢naŋgi⸣muni] 名 冗談。悪ふざけ。「悪戯物言い」の義。 パ⸢ナンギ⸣ムニ カー⸢ニ⸣ ア⸢ザンドー⸣シ プ⸢スケンナー⸣ヤ ⸢マームニン⸣ ア⸢ジ⸣バ [pa⸢naŋgi⸣muni kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi pu̥⸢sukennaː⸣ja ⸢maːmuniŋ⸣ ʔa⸢ʤi⸣ba] (冗談<悪ふざけ>ばかり言わないで、一度ぐらいは真面目なこと<真物言い>も言いなさいよ) 13603 0 0 13283 htmvoc_13603.wav パナングミ パ⸢ナン⸣グミ [pa⸢naŋ⸣gumi] 名 神仏に供える白米。⸢花米」の義。重箱に白米を1合、2合、3合、5合、のように入れて、それぞれイ⸢チンゴー⸣パナ[ʔi⸢ʧiŋgoː⸣pana](1合花米)、⸢ニンゴー⸣パナ[⸢niŋgoː⸣pana](2合花米)、⸢サンゴー⸣パナ[⸢saŋgoː⸣pana](3合花米)、⸢グンゴー⸣パナ[⸢guŋgoː⸣pana](5合花米)という。近しい親戚の法事には⸢グンゴー⸣パナ[⸢guŋgoː⸣pana](5合花米)に線香を添えた⸢コー⸣パナ[⸢koː⸣pana](線香と花米)を供えた。 カ⸢ミグトゥ⸣トゥ ⸢グァンス⸣グトゥナー パ⸢ナング⸣ミン シ⸢キ ソーッ⸣タ [ka⸢migutu⸣tu ⸢gwansu⸣gututunaː pa⸢naŋ⸣gumiŋ ʃi̥⸢ki soːt⸣ta] (神事と仏事<元祖事>には花米も供えなさった) 13604 0 1 13284 htmvoc_13604.wav パニ パ⸢ニ [pa⸢ni] 名 {Mn_1}羽。つばさ(翼)。 パ⸢ニ ムイ⸣ルン [pa⸢ni mui⸣ruŋ] (羽が生える)。 トゥ⸢ルヌ⸣ パ⸢ニ⸣ ヌイバ [tu⸢runu⸣ pa⸢ni⸣ nuiba] (鶏の羽を抜きなさい)。/ヤー トゥルパニバ ガヤーバシー ヤーバ スクリ アンティスー/(やあ 鳥の羽を茅にして、家を葺いてあるという)⸢アーパーレー歌<ハヤミク>」『鳩間島古典民謡古謡集』。 13604 0 2 13285 htmvoc_13604.wav パニ パ⸢ニ [pa⸢ni] 名 {Mn_2}ひれ(鰭)。 イ⸢ズヌ パニ⸣ キシティ シ⸢ティリ [ʔi⸢ʣunu⸣ pa⸢ni⸣ ki̥ʃiti ʃi̥⸢tiri] (魚のひれ<鰭>を切って捨てなさい)。 サ⸢バヌ⸣ パ⸢ネー⸣ ティダナ ⸣プシティ ⸢カン⸣ソー シ⸢ティ カーソーッ⸣タ [sa⸢banu⸣ pa⸢neː⸣ tidana ⸣pu̥ʃiti ⸢kan⸣soː ʃi̥⸢ti kaːsoːt⸣ta] (鱶の鰭は太陽に干し、乾燥して売られた) 13605 0 0 13286 htmvoc_13605.wav パニ パ⸢ニ [pa⸢ni] 名 はね(跳ね)。衣服などに飛び散った泥。「Fane,ハネ(跳ね)日本の靴(下駄)や草履から着物の後に跳ねついた泥.」『邦訳日葡辞書』。 ア⸢ミフイ⸣ヤー ⸢キン⸣ヌ ク⸢シェー⸣ パ⸢ニヌ⸣ スクンダ シ⸢ベー⸣ カライティ ミ⸢スコーミスコー⸣ ア⸢ラ⸣キバ [ʔa⸢miɸui⸣jaː ⸢kin⸣nu ku̥⸢ʃeː⸣ pa⸢ninu⸣ su̥kunda ʃi⸢beː⸣ karaiti misu⸢koːmisukoː⸣ ʔa⸢ra⸣kiba] (雨降りには着物の背には跳ね<泥>が付くから、裾をからげてゆっくりゆっくり注意深く歩きなさいよ) 13606 0 0 13287 htmvoc_13606.wav パニアキ パ⸢ニアキ [pa⸢niʔaki] 名 (動)魚の名。和名、バショウカジキ(体長約2メートル)。終戦後まで、ツ⸢キセン[ʦu̥⸢kiʃeŋ](突船)が鳩間島で操業されていて、尖閣諸島付近に出漁してパ⸢ニアキなどのカジキを漁獲していた。またイカ釣り漁の時期に漁獲されることもあった 13607 0 0 13288 htmvoc_13607.wav パニウトゥ パ⸢ニウトゥ [pa⸢niutu] 名 羽音。羽ばたく音。 パ⸢トゥ⸣マレー ⸣パトゥザヌ ⸢コー⸣マ ⸣トゥリン ⸣パル ⸣バソー ⸣パトゥザヌ ⸢アーリ⸣ トゥ⸢ビ⸣パルンダ ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ニウトゥ⸣ナー ウ⸢ダラカサリ⸣シタ [pa⸢tu⸣mareː ⸣pḁtuʣanu ⸢koː⸣ma ⸣turim ⸣paru ⸣basoː ⸣patuʣanu ⸢ʔaːri⸣ tu⸢bi⸣parunda ʔu⸢nu⸣ pa⸢niutu⸣naː ʔu⸢darakasari⸣ʃi̥ta] (鳩離島へ鳩の卵を取りに行く時は、鳩が慌てふためいて飛び立つので、その羽音に驚かされたものだ) 13608 0 0 13289 htmvoc_13608.wav パニジクルー パ⸢ニジクルー [pa⸢niʤikuruː] 名 (植)伝統稲作品種の名。「羽地黒穂」の義。芒の長さは4~6センチで、玄米の色は赤紫『西表島の農耕文化』という。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー カ⸢マイ⸣ヤー ッ⸢ふァーンベー⸣ティ ⸢ショーワ ヨンジューネンバー⸣ケー ク⸢バシ⸣ターナー ⸢ザイレーマイ⸣ヌ パ⸢ニジクルー⸣バ ⸢トゥー⸣シ ス⸢ク⸣リティ シ⸢ラン⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢オーッ⸣タン [⸢ʣaireːmai⸣jaː ka⸢mai⸣jaː f⸢faːmbeː⸣ti ⸢ʃoːwa jonʤuːnembaː⸣keː ku⸢baʃi̥⸣taːnaː ⸢ʣaireːmai⸣nu pa⸢niʤikuruː⸣ba ⸢tuː⸣ʃi su̥⸢ku⸣riti ʃi⸢ran⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoːt⸣taŋ] (在来種稲は猪は食べないから、昭和40年まではクバシターの田圃に在来種稲の羽地黒穂を通して作付けし、いなむら<叢>も作っておられた) 13609 0 0 13290 htmvoc_13609.wav パニダリムヌ パ⸢ニダリ⸣ムヌ [pa⸢nidari⸣munu] 名 意気消沈した者。羽がだれた(垂れた)鳥のように、元気のない者。 ⸣ヌンティ ⸣アイニ パ⸢ニダリ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ベー⸣ワ [⸣nunti ⸣ʔaini pa⸢nidari⸣munu ⸣nari ⸢beː⸣wa] (どうしてあんなに元気のない者になっているのか<羽垂れ者になっているのか{EOS}意気消沈しているのか>) 13610 0 0 13291 htmvoc_13610.wav パニッカイスン パ⸢ニッカイ⸣スン [pa⸢nikkai⸣suŋ] 他動 撥ね返す。当たってきたものを勢いよく返す。はねてひっくりかえす。 ゴ⸢ガン⸣マー ⸢タイフー⸣ヌ ナ⸢ミ⸣ パ⸢ニッカイ⸣スン [go⸢gam⸣maː ⸢taiɸuː⸣nu na⸢mi⸣ pa⸢nikkai⸣suŋ] (護岸は台風の際の大波を撥ね返す) 13611 0 0 13292 htmvoc_13611.wav パニックルン パ⸢ニッ⸣クルン [pa⸢nik⸣kuruŋ] 自動 そっくり返る。そりかえる。板や蓋などが反り返る。 ⸣イツァー ⸣ティダナー ⸣プスカー パ⸢ニックルン⸣ドゥ ⸣カイナカナー シ⸢キ⸣ルカー パ⸢ニックラ⸣ヌ [⸣ʔiʦaː ⸣tidanaː ⸣pu̥sukaː pa⸢nikkurun⸣du ⸣kainakanaː ʃi̥⸢ki⸣rukaː pa⸢naikkura⸣nu] (板は、ひなた<日向>に置くと反り返るが、日陰に置いたら反り返らない)。 フ⸢ター⸣ パ⸢ニッ⸣クリティ シゥ⸢カーラヌ [ɸu̥⸢taː⸣ pa⸢nik⸣kuriti sï̥⸢kaːranu] (蓋は反り返って使えない)。 パ⸢ニッ⸣クル ⸣イツァー シゥ⸢カウナ [pa⸢nik⸣kuru ⸣ʔiʦaː sï̥⸢kauna] (反り返る板は使うな)。 パ⸢ニッ⸣クレー ⸣ミサムヌ [pa⸢nik⸣kureː ⸣misamunu] (反り返れば良いのに)。 パ⸢ニッ⸣クリ [pa⸢nik⸣kuri] (反り返れ) 13612 0 1 13293 htmvoc_13612.wav パニッケールン パ⸢ニッケー⸣ルン [pa⸢nikkeː⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}はね返る。パ⸢ニッカイ⸣ルン[pa⸢nikkai⸣ruŋ]ともいう。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸢ナン⸣マー イ⸢シバナ⸣ナー ア⸢タル⸣カー パ⸢ニッケールン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢オーシキヌ カイ⸣ヤンダ パ⸢ニッケラ⸣ヌ [⸢taiɸuː⸣nu ⸢nam⸣maː ʔi⸢ʃibana⸣naː ʔa⸢taru⸣kaː pa⸢nikkeːrun⸣du ma⸢na⸣maː ⸢ʔoːʃi̥kinu kai⸣janda pa⸢nikkera⸣nu] (台風の波は海岸の\ruby{岩端}{イワ|ハナ}<岩鼻>に当るとはね返るが、今は天気が良いからはね返らない)。 パ⸢ニッケー⸣リ ⸣パル ⸣スーン ⸢サンガリ ナー⸣ヌ [pa⸢nikkeː⸣ri ⸣paru ⸣suːn ⸢saŋgari naː⸣nu] (はね返っていく潮に引張られてしまった)。 パ⸢ニッケー⸣ル ⸣ピン ッ⸢スパナ⸣ヌ ⸣サクン [pa⸢nikkeː⸣ru ⸣pin s⸢supana⸣nu ⸣sḁkuŋ] (はね返る時、白い波の花が咲く)。 パ⸢ニッケー⸣レー ⸣ミサムヌ [pa⸢nikkeː⸣reː ⸣misamunu] (はね返れば良いのに)。 パ⸢ニッケー⸣リ [pa⸢nikkeː⸣ri] (はね返れ)。 13612 0 2 13294 htmvoc_13612.wav パニッケールン パ⸢ニッケー⸣ルン [pa⸢nikkeː⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}反り返る。 ク⸢ヌ⸣ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢ク⸣カー ⸣シンター パ⸢ニッケー⸣ルン [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː na⸢ku⸣kaː ⸣ʃintaː pa⸢nikkeː⸣ruŋ] (この子供<童>は泣くと後ろに反り返る) 13613 0 0 13295 htmvoc_13613.wav パニットゥバスン パ⸢ニットゥバ⸣スン [pa⸢nittuba⸣suŋ] 他動 跳ね飛ばす。勢いよく遠くへ投げる。 ウ⸢リトゥ⸣ シマ ⸣トゥルカー パ⸢ニットゥバ⸣スンダ ウ⸢リトー⸣ シマ トゥ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ritu⸣ ʃima ⸣turukaː pa⸢nittuba⸣sunda ʔu⸢ritoː⸣ ʃima tu⸢ra⸣nu] (彼と相撲をとると跳ね飛ばすので、彼とは相撲をとらない) 13614 0 0 13296 htmvoc_13614.wav パニヌキルン パ⸢ニヌキ⸣ルン [pa⸢ninuki⸣ruŋ] 他動 はねのける。外側へ強く押しのける。 ⸣フカーラ ⸢ユーシ⸣ クー ヤ⸢ナ⸣ムネー ⸣ドゥーシ パ⸢ニヌキ⸣ルン [⸣ɸu̥kaːra ⸢juːʃi⸣ kuː ja⸢na⸣muneː ⸣duːʃi pa⸢ninuki⸣ruŋ] (外から寄せてくる悪口は自分ではねのける) 13615 0 0 13297 htmvoc_13615.wav パニヌバスン パ⸢ニ ヌバ⸣スン [pa⸢ni nuba⸣suŋ] 連 羽を伸ばす。自由に遊ぶ。自由に伸び伸びとふるまう。 イ⸢ズ⸣ プ⸢スヌ オーラン⸣カー ヤ⸢ラ⸣ベー パ⸢ニ ヌバ⸣スン [ʔi⸢ʣu⸣ pu̥⸢sunu ʔoːraŋ⸣kaː ja⸢ra⸣beː pa⸢ni nuba⸣suŋ] (叱る人がおられないと子供は羽を伸ばして遊ぶ) 13616 0 0 13298 htmvoc_13616.wav パニビキ パ⸢ニビキ [pa⸢nibiki] 名 引縄釣り。擬餌針をつけた縄を船から引いてカツオやマグロ類を釣る漁法。ハ⸢ニビキ[ha⸢nibiki](引縄釣り)ともいう。直径約8ミリ、長さ約12ミリの鉛に雄鶏の柔らかい羽を丸く縛りつけ、その上にヒ⸢ロー⸣サー[çi⸢roː⸣saː](めがねもちのうお)の成魚の鱗を剥がして羽を押さえて縛り、それに釣り針を仕込んだ疑似餌を船尾から約70メートルほどの長さの釣り縄で流して引きながら釣る漁法。 カ⸢ツシンラ⸣ イ⸢サナケー⸣ パルピン パ⸢ニビキ スー⸣カー ⸢マーガツン⸣ シ⸢ブ⸣タン ⸢サー⸣ラン ユー ⸢ホー⸣ソーッタン [kḁ⸢ʦuʃinra⸣ ʔi⸢sanakeː⸣ parupim pa⸢nibiki suː⸣kaː ⸢maː⸣gaʦun ʃi⸢bu⸣tan ⸢saː⸣raɲ ⸣juː ⸢hoː⸣soːttaŋ] (カツオ漁船から石垣島へ行くとき、引縄釣りをするとカツオもソウダガツオもサワラもよく釣られた) 13617 0 0 13299 htmvoc_13617.wav パニポーキ パ⸢ニポーキ [pa⸢nipoːki] 名 けぼうき(毛箒)。鳥の羽で作った箒。けご(毛蚕)を掃き落としたり、細かいごみやほこり(埃)を掃き落とすのに用いる。 トゥ⸢クニヌ イーパイヤー⸣ パ⸢ニポーキ⸣シ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸢ポー⸣キバ [tu̥⸢kuninu ʔiːpaijaː⸣ pa⸢nipoːki⸣ʃi jaː⸢rama⸣ʃi ⸢poː⸣kiba] (仏壇の位牌は羽箒で柔らかく丁寧に掃きなさいよ) 13618 0 0 13300 htmvoc_13618.wav パニポールン パ⸢ニポー⸣ルン [pa⸢nipoː⸣ruŋ] 他動 散らかす。撒き散らす。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢タビ⸣ムヌ ⸢ザー⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン パ⸢ニポー⸣リティ ア⸢サビベー [ja⸢ra⸣beː mu⸢tabi⸣munu ⸢ʣaː⸣nu ⸢pit⸣ʧim pa⸢nipoː⸣riti ʔa⸢sabibeː] (子供は座敷の一杯玩具を散らかして遊んでいる)。 パ⸢ニポー⸣ルンティ ⸢ベー ベー⸣ティ パ⸢ニポーラン⸣ ヨー ⸢トゥシキ⸣リ [pa⸢nipoː⸣runti ⸢beː beː⸣ti pa⸢nipoːraŋ⸣joː ⸢tuʃi̥ki⸣ri] (散らかそうとしているから、散らかさないように諭し<言い付け>なさい)。 パ⸢ニポー⸣ル ⸣プソー ⸢マー⸣ビン パ⸢ニポー⸣レー ⸣ミサムヌ [pa⸢nipoː⸣ru ⸣pu̥soː ⸢maː⸣bim pa⸢nipoː⸣reː ⸣misamunu] (散らかす時は、もっと散らかせば良いのに)。 ⸣クナー パ⸢ニポー⸣リバ [⸣kunaː pa⸢nipoː⸣riba] (ここで散らかせよ) 13619 1 0 13301 htmvoc_13619.wav パニルン パ⸢ニ⸣ルン [pa⸢ni⸣ruŋ] 自動 {PoS_1}跳ねる。飛び上がる。飛び散る。 ア⸢マダラミジ⸣ヌ イ⸢シ⸣ナー ア⸢タリティ⸣ パ⸢ニ⸣ルンダ パ⸢ニラ⸣ン ⸢シー⸣ヨー ⸢シー [ʔa⸢madaramiʤi⸣nu ʔi⸢ʃi⸣naː ʔa⸢tariti⸣ pa⸢ni⸣runda pa⸢nira⸣ŋ ⸢ʃiː⸣joː ⸢ʃiː] (雨垂れが石に当って跳ねて飛び散るから、跳ねない方法<仕方>を工夫しなさい)。 パ⸢ニ⸣ル ミ⸢ジ⸣ナー ⸢キン⸣マー ⸢ゾッふィス [pa⸢ni⸣ru mi⸢ʤi⸣naː ⸢kim⸣maː ⸢ʣoffisu] (跳ねる水で着物は濡れるよ)。 ミ⸢ジェー⸣ パニティ ⸢ゾッふァシス [mi⸢ʤeː⸣ paniti ⸢ʣoffaʃisu] (水が跳ねて濡らしてしまう)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ニ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pa⸢ni⸣reː ⸣misamunu] (もっと跳ねればいいのに)。 13619 2 0 13302 htmvoc_13619.wav パニルン パ⸢ニ⸣ルン [pa⸢ni⸣ruŋ] 他動 {PoS_2}水を跳ねる。跳ね飛ばす。「~沖つ櫂 いたくな波祢曾~。万、153」の義。 ⸢サンスイ⸣キシ ミ⸢ジェー⸣ パニティ ⸣ザコーン ⸣マキティル カ⸢ツォー ホー⸣ソール [⸢sansui⸣kiʃi mi⸢ʤeː⸣ paniti ⸣ʣakoːm ⸣makitiru kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːru] (散水器で潮水を撒き跳ねて、餌<雑魚>も撒いてカツオを釣られた) 13620 0 0 13303 htmvoc_13620.wav パニンガーリ パ⸢ニンガーリ [pa⸢niŋgaːri] 名 羽の生え変わり。「羽変わり」の義。パ⸢ニムインガー⸣リ[pa⸢nimuiŋgaː⸣ri](羽生え変わり)ともいう。 トゥ⸢ロー⸣ パ⸢ニンガーリ シー⸣ ジ⸢ブン⸣ ヤ⸢レー⸣ティル ⸢キー⸣ パギ ⸢アー⸣ク⸢ナー [tu⸢roː⸣ pa⸢niŋgaːri ʃiː⸣ ʤi⸢buɲ⸣ ja⸢reː⸣tiru ⸢kiː⸣ pagi ⸢ʔaː⸣ku⸢naː] (鶏は羽が生え変わる時期だから、毛が禿げていうるのだねえ) 13554 0 0 13304 htmvoc_13554.wav パネーカスン パ⸢ネーカ⸣スン [pa⸢neːka⸣suŋ] 他動 \ruby{賑}{ニギ}わす。盛んにする。賑やかにする。パ⸢ナヤカ⸣スン[pa⸢najaka⸣suŋ](他動)ともいう。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢キティ マー⸣ビン パ⸢ネーカ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ パ⸢ネーカサラ⸣ヌ [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kiti maː⸣bim pa⸢neːka⸣sunti ⸢sundu⸣ pa⸢neːkasara⸣nu] (三線を弾いて、もっと賑わせようとするが、賑わせられない)。 パ⸢ネーカ⸣シ ⸣ミサカー パ⸢ネーカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [pa⸢neːka⸣ʃi ⸣misakaː pa⸢neːka⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (賑わしてよければ賑わせることはできる)。 パ⸢ネーカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pa⸢neːka⸣ʃeː ⸣misamunu] (賑わせれば良いのに)。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢キティ⸣ パ⸢ネーカ⸣シ [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kiti⸣ pa⸢neːka⸣ʃi] (三線を弾いて賑わせよ) 13621 0 0 13305 htmvoc_13621.wav パネーザ パ⸢ネー⸣ザ [pa⸢neː⸣ʣa] 名 (動)サヨリ科の魚名。和名、リュウキュウサヨリ(体長約25センチの細長い魚)。老年層は、パ⸢レー⸣ザ[pa⸢reː⸣ʣa]ともいう。和名、マルサヨリ(体長約35センチ)。和名、センニンサヨリ(体長約35センチ)。和名、ホシサヨリ(体長約40センチ)などの総称。秋から冬にかけて、浮きを付けた釣り糸を浜辺から釣竿で投げ入れて、よく釣り上げたものである。味はあっさりとしている。 パ⸢ネー⸣ザー ⸢ティングス⸣ルナー ウ⸢キバ⸣ シケーティル パ⸢マー⸣ラ ⸢ナン⸣ゲーティ ⸣ユー ⸢ホーシタ⸣ル [pa⸢neː⸣ʣaː ⸢tiŋgusu⸣runaː ʔu⸢kiba⸣ ʃi̥keːtiru pa⸢maː⸣ra ⸢naŋ⸣geːti ⸣juː ⸢hoːʃi̥ta⸣ru] (リュウキュウサヨリは、てぐす<天蚕糸>に浮きをつけて<ぞ>、浜から投げ入れてよく釣ったものだ) 13622 0 0 13306 htmvoc_13622.wav パネーラ パ⸢ネーラ [pa⸢neːra] 名 (昆虫)、白蟻の羽化したもの。「はあり<羽蟻>」の転訛。夜明かりを求めて室内に侵入してくる。 パ⸢ネーラヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ッ⸢サール⸣ヌ ⸣シディ ⸢ブー⸣ タ⸢ミ⸣シ [pa⸢neːranu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː s⸢saːru⸣nu ⸣ʃidi ⸢buː⸣ ta⸢mi⸣ʃi] (パネーラが出ると白蟻が発生<\ruby{孵化}{フ|カ}して>いる証拠である) 13623 0 0 13307 htmvoc_13623.wav パノール パ⸢ノー⸣ル [pa⸢noː⸣ru] 名 (植)野原の砂地に生ずるノリ(海苔)の一種。 ⸢ミン⸣グル [⸢miŋ⸣guru] (きくらげ)に似た、緑褐色で寒天質状の柔らかいノリ(海苔)。踏むと潰れて水分がにじみ出るので滑りやすい。鳩間島の人は食しない。パ⸢タキアー⸣サ[pḁ⸢takiʔaː⸣sa](モーアーサ{EOS}畑の海苔)ともいう。 ⸣キサー ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢ウンドー⸣バナー ⸣ユー パ⸢ノール⸣ヌ ⸢ムー⸣タン [⸣ki̥saː ⸢gakkoː⸣nu ⸢ʔundoː⸣banaː ⸣juː pa⸢noːru⸣nu ⸢muː⸣taŋ] (以前は、学校の記念運動場にパノールがよく生えたものだ) 13624 0 0 13308 htmvoc_13624.wav パバ パ⸢バ [pa⸢ba] 名 幅。若年層はハバ[ha⸢ba](幅)ともいう。 パ⸢バヌ マイ⸣ヤワレー [pa⸢banu mai⸣jawareː] (幅が大きいねえ)。 ⸢ダンベー⸣ヌ パ⸢ババ⸣ パ⸢カ⸣リ ⸢ミー [⸢dambeː⸣nu pa⸢baba⸣ pḁ⸢ka⸣ri ⸢miː] (だんべーぶね<団平船>の幅をはかってごらん)。 ⸢ダン⸣ベーナー シ⸢キ⸣タン シ⸢ミティ サンギ⸣パルンダ パ⸢バヌ マイ⸣ヤバル ⸢ゴー⸣ラー シ⸢マリ [⸢dam⸣beːnaː ʃi̥⸢ki⸣taŋ ʃi⸢miti saŋgi⸣parunda pa⸢banu mai⸣jabaru ⸢goː⸣raː ʃimari] (団平船に石炭を積んで引張っていくから、幅の大きいのが<大きいければこそ>多く積める) 13625 0 0 13309 htmvoc_13625.wav パバカー パ⸢バ⸣カー [pa⸢ba⸣kaː] 名 ききもの(利き者)。はたらきのある人。精力のある人。幅利き。交渉能力のある人。商売上手。ハ⸢バ⸣カー[ha⸢ba⸣kaː]ともいう。トゥ⸢ジェー⸣ パ⸢バ⸣カー ヤ⸢ルンダ⸣ ブ⸢トー ミンダリ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ベー[tu⸢ʤeː⸣ pa⸢ba⸣kaː ja⸢runda⸣ bu⸢toː mindari⸣munu ⸣nari ⸢beː](妻は利き者(働き者)だから、夫は大人しくて、やる気のない人<⸢耳垂れ」の義。おとなしく、従順な人>になっている) 13626 0 1 13310 htmvoc_13626.wav パバクン パ⸢バ⸣クン [pa⸢ba⸣kuŋ] 他動 {Mn_1}物事を上手に処理する。よく働きかけて調整する。物事が進捗するよう交渉する。ハ⸢バ⸣クン[ha⸢ba⸣kuŋ]ともいう(若年層)。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢バ⸣キ ッ⸢ふィーッタル⸣ シ⸢グトゥン⸣ トゥ⸢ミラ⸣レール パ⸢バカン⸣カー トゥ⸢ミララ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢ba⸣ki f⸢fiːttaru⸣ ʃi⸢gutun⸣ tu⸢mira⸣reːru pa⸢bakaŋ⸣kaː tu⸢mirara⸣nu] (彼が積極的に調整して働きかけたから仕事も探せたのであって、働きかけなければ探せない)。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢バ⸣クンティ シ⸢タンドゥ⸣ パ⸢バ⸣ク プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢ba⸣kunti ʃi̥⸢tandu⸣ pa⸢ba⸣ku pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːn⸣nari ⸢naː⸣nu] (彼が調整して働きかけると言ったが、働きかける人がいなくなってしまった)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢バ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pa⸢ba⸣keː ⸣misamunu] (もっと働きかければ良いのに)。 ⸢パー⸣ク パ⸢バ⸣キ [⸢paː⸣ku pa⸢ba⸣ki] (早く働きかけよ)。 13626 0 2 13311 htmvoc_13626.wav パバクン パ⸢バ⸣クン [pa⸢ba⸣kuŋ] 他動 {Mn_2}品物を売りつくす。 ⸣バー シ⸢ナムノー⸣ ムー⸢ル⸣ パ⸢バ⸣ケーン [⸣baː ʃi⸢namunoː⸣ muː⸢ru⸣ pa⸢ba⸣keːŋ] (僕の品物は全部売り尽くした)。 13626 0 3 13312 htmvoc_13626.wav パバクン パ⸢バ⸣クン [pa⸢ba⸣kuŋ] 他動 {Mn_3}大食いする。ぱくつく。 ⸢ヤー⸣サカー ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ヌ ムー⸢ル⸣ ハ⸢バキ⸣ス [⸢jaː⸣sakaː ⸣nuːteː⸢naː⸣nu muː⸢ru⸣ ha⸢baki⸣su] (ひもじかったら何でも区別せずぱくつく) 13627 0 0 13313 htmvoc_13627.wav パビル パ⸢ビ⸣ル [pa⸢bi⸣ru] 名 (動)チョウ(蝶)。ガ(蛾)。「蛾、比々流(ひひる)」『和名抄』の転訛したものか。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢ビル⸣ヌ ⸢ユー⸣ル ⸢ヤーン⸣ナカー ⸢ペー⸣リクーカー シゥ⸢カ⸣ミティ ピ⸢ネー⸣ ヤ⸢キティ⸣ ク⸢サテー⸣ニ ⸣フカー ⸢ナン⸣ギ シ⸢トーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢biru⸣nu ⸢juː⸣ru ⸢jaːn⸣nakaː ⸢peː⸣rikuːkaː sï̥⸢ka⸣miti pi⸢neː⸣ ja⸢kiti⸣ ku̥⸢sateː⸣ni ⸣ɸu̥kaː ⸢naŋ⸣gi ʃi̥⸢toːt⸣ta] (昔は蝶<蛾>が夜家の中に入ってきたら、捕まえて触覚<鬚>を焼いて、後ろ手<腕を前方から後方へ振りつつ、内側から外側へ捻るように>にして外へ投げ捨てた) 13628 0 0 13314 htmvoc_13628.wav パブ パ⸢ブ [pa⸢bu] 名 (動)蛇類の総称。⸢マーパブ[⸢maːpabu](毒蛇{EOS}体長は普通60センチ~1メートル{EOS}頭はほぼ三角形{EOS}西表島に棲息する{EOS}鳩間島には棲息しない)、タ⸢コー⸣ラ[ta⸢koː⸣ra](無毒の蛇{EOS}体長1メートル~2メートル、灰色)、⸢アウナ⸣ジ[⸢ʔauna⸣ʤi](無毒の蛇{EOS}体長約50センチ、青色{EOS}水田地帯に生息)、ガ⸢ラ⸣サパブ[ga⸢ra⸣sapabu](「烏蛇」の義{EOS}無毒{EOS}体長約50センチ{EOS}鳩間島にも大雨の後などに、稀にみられることがある{EOS}神の使いといわれている)などがいる。 パ⸢トゥ⸣マー パ⸢ブヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ シマ ヤ⸢ルンダ ヨーンヌ⸣ ミーナーン パ⸢タ⸣ケーン マー⸢ン⸣ パ⸢ラ⸣リン [pḁ⸢tu⸣maː pa⸢bunu⸣ bu⸢raːŋ⸣ ʃima ja⸢runda joːnnu⸣ miːnaːm pḁ⸢ta⸣keːm maː⸢m⸣ pa⸢ra⸣riŋ] (鳩間島は毒蛇のいない島だから闇夜の中でも、畑にも何処にも行ける<行かれる>) 13629 0 0 13315 htmvoc_13629.wav パブカクチ パ⸢ブカクチ [pa⸢bukakuʧi] 名 えら(鰓)が張った顔。へびの頭のように出ばったあご(顎)。「ハブ顎」の義。えらぼねの張った、いかつい顔。 カ⸢ク⸣チェー ⸢トゥン⸣ガリティ パ⸢ブカクチ⸣ ナリ ⸢ベー [kḁ⸢ku⸣ʧeː ⸢tuŋ⸣gariti pa⸢bukakuʧi⸣ nari ⸢beː] (顎は尖って、えら<鰓>が張った顔になっている) 13630 0 0 13316 htmvoc_13630.wav ハブチャー ハ⸢ブチャー [ha⸢buʧaː] 名 (植)ハブソウ。エビスグサ。ハブソウの実を煎ってお茶にしたもの。漢方薬として石垣島から購入していた。 ハ⸢ブチャー⸣ ヌ⸢ムター⸣ル ヤ⸢ル⸣ユー ク⸢ダシティ⸣ シ⸢ビン オーリトゥーシ ブー⸣サー [ha⸢buʧaː⸣ nu⸢mutaː⸣ru ja⸢ru⸣juː ku⸢daʃi̥ti⸣ ʃi⸢biŋ ʔoːrituːʃiru buː⸣saː] (ハブ茶を飲んだ所為だろうか、下痢をして、尻に追われ通しでいる<頻繁にトイレに立つ>よ) 13631 0 0 13317 htmvoc_13631.wav パマ パ⸢マ [pa⸢ma] 名 浜。鳩間島には⸢マイ⸣ヌパマ[⸢mai⸣nupama](前の浜{EOS}集落の南海岸、桟橋より東に形成された浜)、⸢イントゥ⸣マパマ[⸢ʔintu⸣mapama](桟橋の西側に形成された浜)、ナ⸢ラ⸣リパマ[na⸢ra⸣ripama](前の浜とフ⸢ナ⸣バル浜の間に形成された小さな浜{EOS}現在の鳩間校グラウンドの南海岸の浜)、フ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](島の東北海岸にある浜{EOS}島建ての神々が船を着けた浜という口碑が伝わる)、フ⸢カバ⸣カパマ[ɸu̥⸢kaba⸣kapama](シマナカ浜とフナバル浜の中間にある浜)、シ⸢マナカ⸣パマ[ʃi⸢manaka⸣pama](桟橋通りを真北に抜けた、島の北岸に形成された浜)、タ⸢チ⸣バルパナ[ta⸢ʧi⸣barupama](立原浜{EOS}島の北西海岸の浜{EOS}ナ⸢カウー⸣ル{SqBr}na⸢kaʔuː⸣ru{/SqBr}やピ⸢ザ⸣キ{SqBr}pi⸢ʣa⸣ki{/SqBr}方面へ潮干狩りに出る際に利用する浜)、ヤ⸢ラヌ⸣パマ[ja⸢ranu⸣pama](屋良の浜)、⸢ナードーパマ[⸢naːdoːpama](長堂浜)などがある 13632 0 0 13318 htmvoc_13632.wav パマイ パ⸢マイ [pa⸢mai] 名 飯米。食糧。⸢パンマイ[⸢pammai](飯米{EOS}食糧)ともいう。 グ⸢ニチブンヌ⸣ パ⸢マイ⸣ ス⸢コーリティ パイ⸣ター ア⸢ロー⸣ナ ⸢シン オーッ⸣タ [gu⸢niʧibunnu⸣ pa⸢mai⸣ su̥⸢koːriti pai⸣taː ʔa⸢roː⸣na ⸢ʃiŋ ʔoːt⸣ta] (五日分の飯米を用意して西表島へ最初の田こなし<荒ごなし>をしに行かれた)。 イ⸢ズン⸣ タクン ⸣ガシシケーバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ ⸢ダン⸣シ ⸢マイ⸣ ッサイティ パ⸢マイ⸣ ス⸢コーリ [ʔi⸢ʣun⸣ takuŋ ⸣gaʃiʃi̥keːba ⸢soːja naː⸣nu ⸢daŋ⸣ʃi ⸢mai⸣ ssaiti pa⸢mai⸣ su̥⸢koːri] (魚も蛸も焙乾してあるから心配ない{EOS}早く米を搗いて<精げて>飯米を用意しなさい) 13633 0 0 13319 htmvoc_13633.wav パマウリ パ⸢マ⸣ウリ [pa⸢ma⸣ʔuri] 名 浜へ下りること。旧暦三月三日の大潮の日の干潮時に女性が潮干狩りに出ること。女性が魔除け、邪気払いのために浜へ下り、潮干狩りをすること。 ⸢サングヮ⸣チサニチェー ミ⸢ドゥ⸣モー パ⸢マ⸣ウリ ⸢シー⸣ イ⸢ソー⸣ パルカー ヤ⸢ク⸣バライ ⸣ナルンツォー [⸢saŋgwa⸣ʧisaniʧeː mi⸢du⸣moː pa⸢ma⸣ʔuri ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢soː⸣ parukaː ja⸢ku⸣barai ⸣narunʦoː] (三月三日は女は浜下りをして、潮干狩りに行くと厄払いになるそうだ) 13639 0 0 13320 htmvoc_13639.wav パマウリソージ パ⸢マウリソー⸣ジ [pa⸢maʔurisoː⸣ʤi] 名 「浜下り精進」の義。旧暦3月の庚の日を選んで執り行われる。別名バ⸢タミチソー⸣ジ[ba⸢tamiʧisoː⸣ʤi](腹満ち精進)ともいわれる。虫祓いの祈願。部落の住民総出で、⸣サンシキ[⸣saŋʃiki](桟敷)に集まり、⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)でサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)が「稲の下葉の願い」をしている間、ヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人)の指示に従って一斉にサンシキで就寝し、村役人が両手でバタバタと羽音を作ってコケコッコーという鶏鳴の合図をすることによって起き、ご馳走<昼食>を食べて帰宅した。この祈願は、友利御嶽において他の四箇所の御嶽の分まで、ウ⸢トゥー⸣シ[ʔu⸢tuː⸣ʃi](遥拝)で祈願される。合計イ⸢チ⸣ヤマ[ʔi⸢ʧi⸣jama](五箇所の御嶽)の祈願が執り行われるものである。ムラヤクサ(村役人)達は手分けして⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)に分乗し、西表島の⸢タータバ⸣ル[⸢taːtaba⸣ru](田原)へ行き、⸢ユシキ⸣ヌサン[⸢juʃi̥ki⸣nusaŋ](ススキで作ったサン)を田圃の中に差し立てて島に帰った。「浜下り精進」の三日前の夜、村ヤクサたちによって⸣ッサレー[⸣ssareː](知らせごと{EOS}お触れごと)」が行われる。声色を使って、声の主が誰であるか分からないように「ッサレー」を申し述べる。闇の中から「ッサレーッサレー」という声が聞こえると、家の中の母親たちが畏まって、「⸢オー[⸢ʔoː](はい)」と答えた。親達は、それを神の声として聞き、謹んで応答したものである。ややあって、戸外の闇の中から、⸢アシ⸣トー パ⸢マウリソー⸣ジ ア⸢タリオーッ⸣タ シ⸢キン⸣ドゥ カ⸢マチヌ マーラヌ⸣ カキソージ ピ⸢ナカンヌ マイ⸣ヌ ア⸢ガムノーマ⸣ヌ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ タ⸢ボー⸣ローリ」[⸢ʔaʃi̥⸣toː pa⸢maʔurisoː⸣ʤi ʔa⸢tariʔoːt⸣ta ʃi̥⸢kin⸣du ka⸢maʧinu maːranu⸣ kḁkisoːʤi pi⸢nakannu mai⸣nu ʔa⸢gamunoːma⸣nu kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣ ta⸢boː⸣roːri](明後日は「浜下り精進」に当っておりますので、竈の回りの掃除、火の神様の前の「赤もの」<火>の用心<格護>をよくしてください)というと、家の中の者は「⸢ウ⸣ー[⸢ʔu⸣ː](畏まりました)」と答えた。これを全戸に触れまわって唱えたものである。唱え方が下手な人は、声の主が誰だと分かるので、「ッサレー」が帰った後、家の中は哄笑の渦となるのことがあった。それでも親立ちは、「シーッ」といって子供達をたしなめ<窘>た。昔は、パ⸢マウリソー⸣ジの日に、日頃の行いの悪い人や⸢グイ⸣フゾーノー[⸢gui⸣ɸuʤoːnoː](貢納布)の検査で不合格となった女性がサンシキに引き出されて、⸢トゥン⸣ガー ⸢ッふァーサリタ[⸢tuŋ⸣gaː f⸢faːsarita](⸢科を食わされた」、罰を与えられた)といわれている 13634 0 0 13321 htmvoc_13634.wav パマカザ パ⸢マ⸣カザ [pa⸢ma⸣kaʣa] 名 (植)カズラの名。グンバイヒルガオ。 ⸢バン⸣テヌ ⸣マンタヌ パ⸢マ⸣ナー パ⸢マカザ⸣ヌ ⸢イッ⸣パイ ⸣ムイティ ⸣パナン サ⸢ク⸣タン⸢ダー [⸢ban⸣tenu ⸣mantanu pa⸢ma⸣naː pa⸢makaʣa⸣nu ⸢ʔip⸣pai ⸣muiti ⸣panan sa⸢ku⸣tan⸢daː] (我が家の前の浜にはグンバイヒルガオが沢山生えていて、花も咲いたよ) 13635 0 0 13322 htmvoc_13635.wav パマカジ パ⸢マ⸣カジ [pa⸢ma⸣kaʤi] 名 浜風。海から陸の方へ吹く風。 パ⸢マンパタ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヤ パ⸢マカジ⸣ヌ ⸢スーンダ⸣ カ⸢ジボー⸣ンドゥ ナ⸢チェー⸣ ピ⸢ラ⸣ケーン [pa⸢mampata⸣nu ⸢jaː⸣ja pa⸢makaʤi⸣nu ⸢suːnda⸣ ka⸢ʤiboː⸣ndu na⸢ʧeː⸣ pi⸢ra⸣keːŋ] (浜端<浜辺>の家は、浜風が吹くから風が強いが夏は涼しい) 13636 0 0 13323 htmvoc_13636.wav パマザキ パ⸢マザ⸣キ [pa⸢maʣa⸣ki] 名 (地)鳩間島の南海岸に形成された砂浜は島人の生産的、宗教的生活の基点として重要な機能を持つ浜で、⸢マイ⸣ヌパマ[⸢mai⸣nupama](前の浜)という。干潮時になると、この浜の東南の方から砂洲が沖へ約100メートルほど延びる。この砂洲の干瀬をパ⸢マザ⸣キ[pa⸢maʣa⸣ki](浜崎)という。現在は防波堤がその上に建造されている。防波堤が建造される以前は、干潮時に\ruby{白鷺}{シラ|サギ}やカモメが降り立って餌をついばみ、満潮時にはカツオドリが波間を飛び交っていた。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー パ⸢マザキ⸣ヌ サ⸢キバー⸣キン ア⸢ラ⸣キ パ⸢ラリ⸣タン [⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː pa⸢maʣaki⸣nu sḁ⸢kibaː⸣kiŋ ʔa⸢ra⸣ki pa⸢rari⸣taŋ] (潮が引くと浜崎の先まで歩いて行けた) 13637 0 0 13324 htmvoc_13637.wav パマザラシ パ⸢マザラ⸣シ [pa⸢maʣara⸣ʃi] 名 布を海水で洗って浜に干し、日光に晒すこと。主として貢納布を晒したという。 ⸣マンタヌ パ⸢マ⸣ナール ⸢グイ⸣ホー パ⸢マザラ⸣シ ⸢ソーッ⸣タティ⸢ダー [⸣mantanu pa⸢manaː⸣ru ⸢gui⸣hoː pa⸢maʣara⸣ʃi ⸢soːt⸣tati⸢daː] (前の浜で貢納布<御用布>は浜晒しされたそうだよ) 13638 0 0 13325 htmvoc_13638.wav パマダーチ パ⸢マダー⸣チ [pa⸢madaː⸣ʧi] 連 浜沿いに。浜づたいに。浜に沿って。 ⸣クマーラ パ⸢マダー⸣チ ア⸢ラ⸣キ ⸣パルカー フ⸢ノー⸣ラー パ⸢ラ⸣リン [⸣kumaːra pa⸢madaː⸣ʧi ʔa⸢ra⸣ki ⸣parukaː ɸu⸢noː⸣raː pa⸢ra⸣riŋ] (ここから浜沿いに歩いて行くと船浦に行ける) 13640 0 0 13326 htmvoc_13640.wav パマチジュヤー パ⸢マチジュ⸣ヤー [pa⸢maʧiʤu⸣jaː] 名 浜千鳥節。 パ⸢マチジュ⸣ヤーナー パ⸢トゥマ⸣ヌ ク⸢クヌチ⸣ヌ パ⸢マヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ル ⸣ウタナー カ⸢キラ⸣リ イ⸢ザリ ブー⸣ダー [pa⸢maʧiʤu⸣jaːnaː pḁ⸢tuma⸣nu ku̥⸢kunuʧi⸣nu pa⸢manu⸣ ku̥⸢tu⸣ru kḁ⸢kira⸣ri ʔi⸢ʣari buː⸣daː] (浜千鳥節には、鳩間の九つの浜のことが歌に掛けられて歌われているよ) 13641 0 0 13327 htmvoc_13641.wav パマバタ パ⸢マバ⸣タ [pa⸢maba⸣ta] 名 浜辺。浜の上。「浜端」の義。 ⸢バン⸣テーヤ パ⸢マバタ⸣ヌ ⸣ヤー ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン⸣ サ⸢バン⸣ イッ⸢ケナ⸣ タ⸢ユル⸣ヌ ⸣アン [⸢ban⸣teːja pa⸢mabata⸣nu ⸣jaː ja⸢runda⸣ noː⸢n⸣ sa⸢baŋ⸣ ʔik⸢kena⸣ ta⸢juru⸣nu ⸣ʔaŋ] (私の家は浜辺<浜端>にある家だから何をするにしても非常に便利がいい) 13642 0 0 13328 htmvoc_13642.wav パマヤー パ⸢マ⸣ヤー [pa⸢ma⸣jaː] 名 浜に造った小屋。「浜屋」の義。魚網や漁具類を収納するのに利用した小屋。また糸満漁民が鳩間島で季節的に漁をする際は、浜で簡単な小屋を作って短期間の宿泊に利用した。 ⸣アンティバ ッ⸢サ⸣ジナティバ イ⸢ソードンゴー⸣ パ⸢マ⸣ヤーナール ⸢イットゥ⸣キ カ⸢キン⸣グ ⸢ソーッ⸣タ [⸣ʔantiba s⸢sa⸣ʤinatiba ʔi⸢soːdoŋgoː⸣ pa⸢ma⸣jaːnaːru ⸢ʔittu⸣ki kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢soːt⸣ta] (網とか草綱<追い込み漁の魚威し綱>とかの漁具類は一時的に浜小屋で保管された) 13643 0 0 13329 htmvoc_13643.wav パマル パ⸢マ⸣ル [pa⸢ma⸣ru] 名 貝の名。ハマグリ(蛤)。若年層の言葉。老年層は、パ⸢モー⸣ル[pa⸢moː⸣ru](蛤)という。 ピ⸢ザフチ⸣ヌ イ⸢ノン⸣ ティーシ ⸣ガジティ パ⸢マ⸣ル ⸣カキ ⸣クーバ [pi⸢ʣaɸuʧi⸣nu ʔi⸢non⸣ tiːʃi ⸣gaʤiti pa⸢ma⸣ru ⸣kḁkikuːba] (渚<波打ち際>の砂を手で掻き寄せて蛤を掻き取ってきなさいよ) 13644 0 0 13330 htmvoc_13644.wav パマルン パ⸢マ⸣ルン [pa⸢ma⸣ruŋ] 自動 一生懸命努力する。一生懸命頑張る。若年層は、ハ⸢マ⸣ルン[ha⸢ma⸣ruŋ](一生懸命頑張る)ともいう。 ティ⸢マ⸣ヌサーギ タ⸢カー⸣カー パ⸢マ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ ヌンティ パ⸢マラン⸣ワ [ti⸢ma⸣nusaːgi tḁ⸢kaː⸣kaː pa⸢ma⸣runti su̥⸢kutanu⸣ nunti pa⸢maraŋ⸣wa] (手間賃がさえ高ければ一生懸命頑張ると聞いたが、どうして一生懸命頑張らないか)。 パ⸢マ⸣リティ シ⸢グトゥ シー [pa⸢ma⸣riti ʃi⸢gutu ʃiː] (一生懸命頑張って仕事をしなさい)。 パ⸢マ⸣ル プ⸢スンドゥ⸣ ⸢モーキ⸣ル [pa⸢ma⸣ru pu̥⸢sundu moːki⸣ru] (一生懸命頑張る人が儲ける)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢マ⸣リ [⸢maː⸣bim pa⸢ma⸣ri] (もっと一生懸命頑張れ)。 パ⸢マ⸣レー ⸣ミサムヌ [pa⸢ma⸣reː ⸣misamunu] (一生懸命頑張れば良いのに) 13645 0 0 13331 htmvoc_13645.wav パマンパタ パ⸢マン⸣ パタ [pa⸢mam⸣ pḁta] 連 浜の端。浜の側。 パ⸢マン⸣ パタナ ⸣ヤー ス⸢ク⸣ルン [pa⸢mam⸣ pḁtana ⸣jaː su̥⸢ku⸣ruŋ] (浜の側に家を作る) 13646 0 0 13332 htmvoc_13646.wav パマンパタヤー パ⸢マン⸣パタヤー [pa⸢mam⸣pḁtajaː] 名 海岸の家。「浜の端の家」の義。 ⸢バン⸣テーン ⸢ワッ⸣テーン パ⸢マン⸣パタヤー ⸢ヤッタ⸣ナー [⸢ban⸣teːŋ ⸢wat⸣teːm pa⸢mam⸣pḁtajaː ⸢jatta⸣naː] (私の家も君の家も浜端の家だったねえ) 13648 0 0 13333 htmvoc_13648.wav パミルン パ⸢ミ⸣ルン [pa⸢mi⸣ruŋ] 他動 はめる(嵌)。くぼみに入れて固定する。差し込む。年層は、ハ⸢ミ⸣ルン[ha⸢mi⸣ruŋ](嵌める)ともいう。 ボ⸢タン⸣ パ⸢ミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ パ⸢ミララ⸣ヌ [bo⸢tam⸣ pa⸢mi⸣runti ⸢sundu⸣ pa⸢mirara⸣nu] (ボタンを嵌めようとするが、嵌められない)。 ⸢ウー⸣キナ タ⸢マガラ⸣ス ⸣パミティル タ⸢マウー⸣キ ス⸢クル⸣タ [⸢ʔuː⸣kinaː ta⸢magara⸣su ⸣pamitiru ta⸢maʔuː⸣ki su̥⸢kuru⸣ta] (桶の底にガラスを嵌めてガラス桶<水中を覗く桶>を作った) 13649 0 0 13334 htmvoc_13649.wav パモール パ⸢モー⸣ル [pa⸢moː⸣ru] 名 (動)二枚貝の一種。はまぐり(蛤)。「蚌蛤、波万久理(はまぐり)」『和名抄』の転訛。*[pamakurï] → *[pamaɸuri] → *[pamauri] → [pamoːru] と音韻変化したもの。海辺のピ⸢ザ⸣フチ[pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧi](渚{EOS}波打ち際)の砂地に棲息する。手や足で砂を掻くと出てくる。貝長1~1,5センチの二枚貝。煮ると旨み成分の\ruby{琥珀酸}{コ|ハク|サン}が\ruby{滲出}{シン|シュツ}して美味である。 ⸣マンタヌ パ⸢マー⸣ラ パ⸢モー⸣ル ⸣カキ ⸣キー ⸣スー バ⸢カシ⸣バ [⸣mantanu pa⸢maː⸣ra pa⸢moː⸣ru ⸣kḁki ⸣kiː ⸣suː ba⸢kaʃi⸣ba] (前の浜から蛤を掻き出してきてお汁に炊きなさいよ) 13654 0 0 13335 htmvoc_13654.wav パヤーキ パ⸢ヤー⸣キ [pa⸢jaː⸣ki] 名 南側。南の方。ニ⸢シェーキ[ni⸢ʃeːki](北側)の対義語。{⸢イーリキ[⸢ʔiːriki](西側)の対義語は⸢アーリキ[⸢ʔaːriki](東側)}。 ウ⸢ブ⸣マイミチヌ パ⸢ヤー⸣キナール イ⸢ラ⸣カマイヤー ⸣アル [ʔu⸢bu⸣maimiʧinu pa⸢jaː⸣kinaːru ʔi⸢ra⸣kamaijaː ⸣ʔaru] (大前道の南側にイ⸢ラ⸣カマイ{SqBr}ʔi⸢ra⸣kamai{/SqBr}<地名{EOS}⸢甍前」の義>はある) 13652 0 0 13336 htmvoc_13652.wav パヤーパヤ パ⸢ヤーパヤ [pa⸢jaːpaja] 副 早々。たいそう早いさま。 ユ⸢ダル⸣ ピ⸢カンドー⸣シ ⸢マー⸣ビン パ⸢ヤーパヤ⸣シ シ⸢グトー シー⸣バ [ju⸢daru⸣ pi̥⸢kandoː⸣ʃi ⸢maː⸣bim pa⸢jaːpajaː⸣ʃi ʃi⸢gutoː ʃiː⸣ba] (だらだらと涎を垂らしたようにしないで<涎を引かないで>もっと早々と仕事をしなさいよ) 13653 0 0 13337 htmvoc_13653.wav パヤーパヤーシ パ⸢ヤーパヤー⸣シ [pa⸢jaːpajaː⸣ʃi] 副 手早く。すばやく。早々と。「Fayabaya.ハヤバヤ(早々)副詞.速やかに.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ヤーパヤー⸣シ ⸣カキバ [⸢maː⸣bim pa⸢jaːpajaː⸣ʃi ⸣kḁkiba] (もっと手早く書きなさいよ) 13655 0 0 13338 htmvoc_13655.wav パヤーラスン パ⸢ヤーラ⸣スン [pa⸢jaːra⸣suŋ] 他動 流行らす。自動詞パ⸢ヤー⸣ルン[pa⸢jaː⸣ruŋ](流行る)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる、~させる)が下接して形成された使役の派生動詞。 ⸢プーキ⸣ パ⸢ヤーラ⸣スン [⸢puːki⸣ pa⸢jaːra⸣sunŋ] (風土病<マラリア>を流行させる)。 ⸣ウタ パ⸢ヤーラ⸣スン [⸣ʔuta pa⸢jaːra⸣suŋ] (歌を流行らせる) 13656 0 0 13339 htmvoc_13656.wav パヤーリウタ パ⸢ヤーリ⸣ウタ [pa⸢jaːri⸣ʔuta] 名 流行歌。「はやりうた」の義。戦後の昭和22年から35年頃、鳩間島で若者が多かった時代、石垣島の映画館で上映された映画の主題歌の歌詞をノートに書き写して歌うのが流行っていた。 パ⸢ヤーリ⸣ウタ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸣ウタチョー ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [pa⸢jaːri⸣ʔuta ʔa⸢ʦa⸣miti ⸣ʔutaʧoː su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (流行歌を集めて歌帳<歌集>を作ってある) 13657 0 0 13340 htmvoc_13657.wav パヤーリミー パ⸢ヤーリ⸣ミー [pa⸢jaːri⸣miː] 名 流行性結膜炎。流行性眼病。「はやりめ(流行眼)」の義。 パ⸢ヤーリミー⸣ヤ ウ⸢チリ ヤッ⸣サンダ プ⸢スヌ⸣ サジェー シゥ⸢カウナ⸣ヨー [pa⸢jaːrimiː⸣ja ʔu⸢ʧirijas⸣sanda pu̥⸢sunu⸣ saʤeː sï̥⸢kauna⸣joː] (流行性結膜炎は伝染し<うつり>やすいから、他人の手拭は使うなよ) 13658 0 0 13341 htmvoc_13658.wav パヤーリヤン パ⸢ヤーリ⸣ヤン [pa⸢jaːri⸣jaŋ] 名  伝染病。流行病。「はやりやまい<流行病>」の義。 パ⸢ヤーリヤン⸣ヌ パ⸢ヤー⸣リ ⸢アーキ⸣バ ピ⸢ルバ⸣ イトゥナー ヌ⸢キティ⸣ パ⸢キ アー⸣キ [pa⸢jaːrijan⸣nu pa⸢jaː⸣ri ⸢ʔaːki⸣ba pi⸢ruba⸣ ʔituna nu⸢kiti⸣ pḁ⸢ki ʔaː⸣ki] (伝染病が流行っているから、\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}を糸に貫いて首に掛けて<\ruby{穿}{ハ}いてあるけ>いなさい) 13659 0 1 13342 htmvoc_13659.wav パヤール パ⸢ヤー⸣ル [pa⸢jaː⸣ru] 名 {Mn_1}はやり(流行)。 パ⸢ヤー⸣ルティ ⸢シー⸣ ノー⸢ンシェー⸣ル ⸣ムーン マ⸢ナマ⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ベー キ⸢シス⸠ツォーカ [pa⸢jaː⸣ruti ⸢ʃiː⸣ noː⸢ŋʃeː⸣ru ⸣muːm ma⸢nama⸣nu ja⸢ra⸣beː ki̥⸢ʃisu⸠ʦoːka] (流行だからといって、どんなものでも、今の子供は着るんだよ、<信じられない{EOS!}>)。 13659 0 2 13343 htmvoc_13659.wav パヤール パ⸢ヤー⸣ル [pa⸢jaː⸣ru] 名 {Mn_2}伝染病<風邪>。 フ⸢チン⸣パーヤ パ⸢ヤール⸣ヌ フ⸢チ⸣ル ⸢ヤッタ⸠ダー [ɸu̥⸢ʧim⸣paːja pa⸢jaːru⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢jatta⸠daː] (よもぎの葉<⸢蓬葉」の義>は流行病<風邪>の薬だったよ) 13660 0 0 13344 htmvoc_13660.wav パヤールン パ⸢ヤー⸣ルン [pa⸢jaː⸣ruŋ] 自動 流行する。はやる(流行る)。 ク⸢トゥシェー⸣ パ⸢ナシキヌ⸣ パ⸢ヤー⸣ルンティ ⸢シバ⸣ パ⸢ヤーラン⸣ケン ⸢チュー⸣サ イ⸢リシミリ [ku̥⸢tuʃeː⸣ pa⸢naʃi̥kinu⸣ pa⸢jaː⸣runti ʃi⸢ba⸣ pa⸢jaːraŋ⸣ken ⸢ʧuː⸣sa ʔi⸢riʃimiri] (今年は風邪が流行るというから、流行らないうちに注射を打たせなさい)。 キ⸢サーティ⸣ パ⸢ヤー⸣リ ナ⸢ー⸣ヌ [ki⸢saːti⸣ pa⸢jaː⸣ri ⸢naː⸣nu] (既に流行ってしまった)。 パ⸢ナシキヌ⸣ パ⸢ヤー⸣ル ⸣ピンマー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [pa⸢naʃi̥kinu⸣ pa⸢jaː⸣ru ⸣pimmaː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (風邪が流行る時は気をつけなさい)。 マ⸢ナ⸣マ パ⸢ナシキヌ⸣ パ⸢ヤー⸣レーラ ⸢デー⸣ジゲ⸢ゲ⸣ラ [ma⸢na⸣ma pa⸢naʃi̥kinu⸣ pa⸢jaː⸣reːraː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (今風邪が流行ったら大変さ) 13661 0 0 13345 htmvoc_13661.wav パヤーン パ⸢ヤー⸣ン [pa⸢jaː⸣ŋ] 形 早い。速い。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣ムネー パ⸢ヤーン⸣ティ ア⸢ズヌ⸣ ク⸢ヌ ッふァー⸣ ムネー パ⸢ヤー ナー⸣ヌ [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣muneːː pa⸢jaːn⸣ti ʔa⸢ʣunu⸣ ku⸢nu ffaːnu⸣ muneː pa⸢jaː naː⸣nu] (女の子の喋り<物言い始め>は早いというが、この子の喋り<物言い始め>は早くない)。 ム⸢ニ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣ヌ シゥ⸢カラヌ [mu⸢ni⸣nu pa⸢jaː⸣nu sï̥⸢karanu] (話<物言い>が早くて、理解できない<聞き取れない>)。 ⸢シンダイ⸣ パ⸢ヤー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ pa⸢jaː⸣ naruŋ] (次第に早くなる)。 パ⸢ヤー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢jaː⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (早いことはない)。 ム⸢ニ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣カー シ⸢キトゥララヌ<シ⸢キトゥララ⸣ヌ> [mu⸢ni⸣nu pa⸢jaː⸣kaː ʃi̥⸢kituraranu<ʃi⸢kiturara⸣nu>] (話しかた<物言い>が早いと聞き取れない)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ヤーパヤー⸣シ パ⸢ナ⸣シバ [⸢maː⸣bim pa⸢aːpajaː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃiba] (もっと早く<早々と>話しなさいよ) 13650 0 0 13346 htmvoc_13650.wav パヤアガリ パ⸢ヤアガ⸣リ [pa⸢jaʔaga⸣ri] 名 早上り。早仕舞い。仕事などを定刻より早く終えること。 ⸢キューヤ⸣ シ⸢グトー⸣ パ⸢ヤアガ⸣リ ⸢シー⸣バ⸢ヨー [⸢kjuː⸣ja ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢jaʔaga⸣ri ⸢ʃiː⸣ba⸢joː] (今日は、仕事は早上りしなさいね) 13651 0 0 13347 htmvoc_13651.wav パヤアシ パ⸢ヤ⸣アシ [pa⸢ja⸣ʔaʃi] 名 早足。足早。ア⸢シパヤー⸣ン[ʔa⸢ʃipajaː⸣ŋ](足早い{EOS}歩くのが早い)の名詞化したもの。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ パ⸢ヤ⸣アシシ ア⸢ラ⸣キバ [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ pa⸢ja⸣ʔaʃiʃi ʔa⸢ra⸣kiba] (もう少し早足で歩きなさいよ) 13662 0 0 13348 htmvoc_13662.wav パヤイキ パ⸢ヤ⸣イキ [pa⸢ja⸣ʔiki] 名 早い呼吸。激しく呼吸をすること。「早息」の義。イ⸢キ⸣フキ[ʔi⸢ki⸣ɸu̥ki](喘ぎ)、⸢アーフキ[⸢ʔaːɸu̥ki](喘ぎ)ともいう。 ⸢パッツァー⸣シ ⸢クータ⸣ル パ⸢ヤ⸣イキ(イ⸢キ⸣フキ) ⸢シーベー [⸢patʦaː⸣ʃi ⸢kuːta⸣ru pa⸢ja⸣ʔiki(ʔi⸢ki⸣ɸu̥ki) ⸢ʃiːbeː] (走って来たので激しく呼吸をしている<早息をついている>) 13663 0 0 13349 htmvoc_13663.wav パヤウキ パ⸢ヤ⸣ウキ [pa⸢ja⸣ʔuki] 名 早起き。 ⸣アツァー ⸢トーサ⸣ トゥリン ⸢パイ⸣ター パ⸢リ⸣バ パ⸢ヤ⸣ウキ ⸢シー⸣ヨー [⸣ʔaʦaː ⸢toːsa⸣ turim ⸢pai⸣taː pa⸢ri⸣ba pa⸢ja⸣ʔuki ⸢ʃiː⸣joː] (明日は田草を取りに西表<南端>へ行くから、早起きしなさいね) 13664 0 0 13350 htmvoc_13664.wav パヤウタ パ⸢ヤ⸣ウタ [pa⸢ja⸣ʔuta] 名 調子の早い歌。軽快なリズムの歌。早節。「早歌」の義。 マ⸢ミドー⸣マン パ⸢トゥ⸣マブシン パ⸢ヤ⸣ウタシル イ⸢ゾー⸣ル [ma⸢midoː⸣mam pḁ⸢tu⸣mabuʃim pa⸢ja⸣ʔutaʃiru ʔi⸢ʣoː⸣ru] (マミドーマ節も鳩間節も早節<早歌>で歌われる)。 パ⸢ヤ⸣ウター ピ⸢キティ⸣ ザー プ⸢ミカシ⸣バ [pa⸢ja⸣ʔutaː pi̥⸢kiti⸣ ʣaː pu⸢mikaʃi⸣ba] (早歌を三線で弾いて座敷を賑わしなさいよ) 13665 0 0 13351 htmvoc_13665.wav パヤカジ パ⸢ヤ⸣カジ [pa⸢ja⸣kaʤi] 名 台風シーズン以前に吹く台風。新暦の五、六月頃に吹く台風。「早風」の義。 ム⸢カ⸣シェー マ⸢ルケーティ⸣ナー パ⸢ヤカジ⸣ヌ ⸣フク ⸣トゥシン ⸢アッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ma⸢rukeːti⸣na pa⸢jakaʤi⸣nu ⸣ɸu̥ku ⸣tu̥ʃiŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (昔は、稀には暴風シーズン以前に台風が吹く年もあった) 13666 0 0 13352 htmvoc_13666.wav パヤガッティン パ⸢ヤガッ⸣ティン [pa⸢jagat⸣tiŋ] 名 早合点。 パ⸢ヤガッ⸣ティン ⸢サンドー⸣シ プ⸢スヌ⸣ ムネー シカイ⸢トゥ⸣ シ⸢キティ ピントー シー⸣バ [pa⸢jagat⸣tin ⸢sandoː⸣ʃiː pu̥⸢sunu⸣ muneː ʃi̥kai⸢tu⸣ ʃi̥⸢kiti pintoː ʃiː⸣ba] (早合点をしないで、他人の話をしっかりと聞いてから返答をしなさいよ) 13667 0 0 13353 htmvoc_13667.wav パヤシ パ⸢ヤ⸣シ [pa⸢ja⸣ʃi] 名 歌謡語の「はやし」(囃子)。日常会話では、⸢ヘー⸣シ[⸢heː⸣ʃi](囃子)という。歌謡の中や終わりに、\ruby{地方}{ジ|カタ}<地謡>や囃子方がそれを入れて調子を整え、雰囲気を盛り上げる語句。日常会話では、動詞⸢パー⸣スン[⸢paː⸣suŋ](はやす)の名詞形として、⸢パー⸣シ[⸢paː⸣ʃi](囃子)ともいう。ヘーシは、[hajaʃi] → [heːʃi] と音韻変化したもの。 パ⸢トゥ⸣マクドゥケー パ⸢ヤシヌ⸣ル イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サ⸢ツォー [pḁ⸢tu⸣makudukeː pa⸢jaʃinu⸣ru ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣sa⸢ʦoː] (鳩間口説は囃子が非常に面白いんですよ)。会話では、⸢ヘー⸣シ イ⸢リリ[⸢heː⸣ʃi ʔi⸢riri](囃子を入れよ)のようにいう 13668 0 0 13354 htmvoc_13668.wav パヤシガキ パ⸢ヤシガ⸣キ [pa⸢jaʃiga⸣ki] 名 仕事に早く取り掛かること。早朝開始。「早仕掛け」の義。 ⸣アツァー シ⸢グトー⸣ パ⸢ヤシガ⸣キ ヤ⸢ルンダ パー⸣ク ニ⸢ビ [⸣ʔaʦaː ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢jaʃiga⸣ki ja⸢unda paː⸣ku ni⸢bi] (明日は、仕事は早朝開始<早仕掛け>だから、早く寝ろ) 13669 0 0 13355 htmvoc_13669.wav パヤシニ パ⸢ヤ⸣シニ [pa⸢ja⸣ʃini] 名 早死。若死。 イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーラン⸣シマ ヤ⸢ルンダ⸣ ム⸢カ⸣シェー パ⸢ヤ⸣シニ ⸢スー プスヌ ゴー⸣ラータン [ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːraŋ⸣ ʃima ja⸢runda⸣ mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢ja⸣ʃini ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu goː⸣raːtaŋ] (医者のいない島だから、昔は早死にする人が多かった) 13671 0 1 13356 htmvoc_13671.wav パヤスーリ パ⸢ヤスー⸣リ [pa⸢jasuː⸣ri] 名 {Mn_1}子供の成長が早いこと。早熟すること。 ヤ⸢ラ⸣ベー パ⸢ヤスー⸣リ ⸢シー ミーッサラン⸣シェンバン [ja⸢ra⸣beː pa⸢jasuː⸣ri ⸢ʃiː miːssaraŋ⸣ʃembaŋ] (子供は成長が早くて、すぐには識別<見知ること、気付き>できなかったよ) 13671 0 2 13357 htmvoc_13671.wav パヤスーリ パ⸢ヤスー⸣リ [pa⸢jasuː⸣ri] 名 {Mn_2}病人や産婦などの回復が早いこと。 ⸣シラプソー パ⸢ヤスー⸣リ ⸢シー オーパ⸣ヤー ⸣フカー ⸣ンジェーティ ⸢アーク⸣バン [⸣ʃirapu̥soː pa⸢jasuː⸣ri ⸢ʃiː ʔoːpa⸣jaː ⸣ɸu̥kaː ⸣ʔnʤeːti ⸢ʔaːku⸣baŋ] (産婦は回復が早くて、そんなにも早く外出しているわい) 13670 0 0 13358 htmvoc_13670.wav パヤスクリムヌ パ⸢ヤスクリ⸣ムヌ [pa⸢jasu̥kuri⸣munu] 名 わせ(早生)。時期より早めに作る作物。 パ⸢ヤスクリムヌ⸣ル ⸢カーサバン ダイヤー⸣ ムトゥンダ ウ⸢リ⸣ ス⸢ク⸣リ⸢ヨー [pa⸢jasu̥kurimunu⸣ru ⸢kaːsaban daijaː⸣ mutunda ʔu⸢ri⸣ su̥⸢ku⸣ri⸢joː] (\ruby{早生}{ワ|セ}の品種が売っても高値になる<値段は持つ>から、それを栽培し<作り>なさいよ) 13672 0 0 13359 htmvoc_13672.wav パヤドゥームティ パ⸢ヤ⸣ドゥームティ [pa⸢ja⸣duːmuti] 名 早婚。「早身持ち」の義。「Mimochi.ミモチ(身持) 妊娠.Cano vonna mimochini natta、かの女身持になった、~」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ムー⸢ル⸣ パ⸢ヤ⸣ドゥームティ ⸢シー⸣ パレーンティ⸢ダー [mi⸢doːn⸣ffaː muː⸢ru⸣ pa⸢ja⸣duːmuti ⸢ʃiː⸣ pareːnti⸢daː] (女の子は皆早婚して嫁いでしまったそうだよ) 13673 0 0 13360 htmvoc_13673.wav パヤナイ パ⸢ヤ⸣ナイ [pa⸢ja⸣nai] 名 早苗。早稲の苗。 ク⸢ヌ ター⸣ヤ ⸢ニン⸣ニン パ⸢ヤナイ⸣バ イ⸢ビル⸣ ス⸢ク⸣リ⸢ブー [ku⸢nu taː⸣ja ⸢nin⸣nim pa⸢janai⸣ba ʔi⸢biru⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢buː] (この田圃は毎年早苗を植えて作っている) 13674 0 0 13361 htmvoc_13674.wav パヤニビ パ⸢ヤ⸣ニビ [pa⸢ja⸣nibi] 名 早寝。 パ⸢ヤ⸣ニビ ⸢シーティ⸣ パ⸢ヤ⸣ウキ サ⸢バル⸣ ドゥーガンゾー ⸣ナルティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリ ブー [pa⸢ja⸣nibi ⸢ʃiːti⸣ pa⸢ja⸣ʔuki sa⸢baru⸣ duːganʣoː ⸣naruti mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣari buː] (早寝して早起きすれば<ぞ>健康<胴頑丈>になると昔からいわれている) 13675 0 0 13362 htmvoc_13675.wav パヤノーリ パ⸢ヤノー⸣リ [pa⸢janoː⸣ri] 名 早く熟すること。「早実り」の義。 ⸢イー オーシキ⸣サーリ<⸢オーシキヌ カイ⸣ヤンダ> ク⸢トゥシヌ マイヤー⸣ パ⸢ヤノー⸣リ ⸢シー ブー⸣サー [⸢ʔiː ʔoːʃi̥ki⸣saːri<⸢ʔoːʃikinu kai⸣janda> ku̥⸢tuʃinu maijaː⸣ pa⸢janoː⸣ri ⸢ʃiː buː⸣saː] (よい天気で<天気が良いから>今年の稲は早く熟しているよ) 13677 0 0 13363 htmvoc_13677.wav パヤパン パ⸢ヤ⸣パン [pa⸢ja⸣paŋ] 名 早足。 ⸢ダーラダーラ⸣シ ア⸢ラカン⸣ドーシ ⸢マー⸣ビン パ⸢ヤ⸣パンシ ア⸢ラ⸣キバ [⸢daːradaːra⸣ʃi ʔa⸢rakan⸣doːʃi ⸢maː⸣bim pa⸢ja⸣paŋʃi ʔa⸢ra⸣kiba] (だらだらと歩かないで、もっと早足で歩きなさいよ) 13678 0 0 13364 htmvoc_13678.wav パヤブシ パ⸢ヤ⸣ブシ [pa⸢ja⸣buʃi] 名 テンポの早い歌。ハ⸢ヤ⸣ブシ[ha⸢ja⸣buʃi]ともいう。「早節」の義。伊良波尹吉がアレンジして、全国的に人口に膾炙されるようになった「鳩間節」など。 ⸢ザーピラ⸣キナー ウ⸢ブ⸣ウタ イ⸢ゾー⸣リ カ⸢ルイ⸣シキ ⸢ソー⸣ルカー ⸣アトー ハ⸢ヤ⸣ブシ ピ⸢キティ⸣ パ⸢ネーカ⸣ソーリバ [⸢ʣaːpira⸣kinaː ʔu⸢bu⸣ʔuta ʔi⸢ʣoː⸣ri ka⸢rui⸣ʃi̥ki ⸢soː⸣rukaː ⸣ʔatoː ha⸢ja⸣buʃi pi̥⸢kiti⸣ pa⸢neːka⸣soːriba] (開演<座開き>に荘重な本節<大歌>を歌われて幸運祈願<\ruby{嘉例付}{カ|リー|ツケ}>されたら、後は早節を弾いて一座を\ruby{賑}{ニギ}わして<華やかして>ください) 13676 0 1 13365 htmvoc_13676.wav パヤフチ パ⸢ヤ⸣フチ [pa⸢ja⸣ɸu̥ʧi] 名 {Mn_1}早口。はやことば。ことばの言い方が早いこと。 ウ⸢レー⸣ パ⸢ヤ⸣フチ ヤ⸢ルンダ⸣ ムネー シ⸢キグリ⸣サン [ʔu⸢reː⸣ pa⸢ja⸣ɸu̥ʧi ja⸢runda⸣ muneː ʃi̥⸢kiguri⸣saŋ] (彼は早口だから言葉は聴きづらい)。 13676 0 2 13366 htmvoc_13676.wav パヤフチ パ⸢ヤ⸣フチ [pa⸢ja⸣ɸu̥ʧi] 名 {Mn_2}急いで食べること。 パ⸢ヤ⸣フチシ ⸢イー⸣ヤ ッ⸢ふァーン ブリ⸣バ [pa⸢ja⸣ɸu̥ʧiʃi ⸢ʔiː⸣ja f⸢faːːm buri⸣ba] (早口でご飯は食べるなよ) 13679 0 0 13367 htmvoc_13679.wav パヤフニ パ⸢ヤ⸣フニ [pa⸢ja⸣ɸuni] 名 はやぶね(早船)。急ぎの船。 パ⸢ヤ⸣フニ タ⸢ナ⸣ミ イ⸢ラムティバー⸣キサーギ ⸣パルカー ⸢ゾーキ⸣ナ マ⸢ニ⸣アウン [pa⸢ja⸣ɸuni ta⸢na⸣mi ʔi⸢ramutibaː⸣kisaːgi ⸣parukaː ⸢ʣoːki⸣na ma⸢ni⸣ʔauŋ] (早舟を頼んで西表までさえ行けば台湾航路の定期蒸気船に間に合うよ) 13680 0 0 13368 htmvoc_13680.wav パヤマーラシ パ⸢ヤマーラ⸣シ [pa⸢jamaːra⸣ʃi] 名 早逝。早く亡くなること。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ パ⸢ヤマーラ⸣シ ⸢ソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ pa⸢jamaːra⸣ʃi ⸢soː⸣ri ⸢naː⸣nu] (その人は早世されてしまった) 13681 0 0 13369 htmvoc_13681.wav パヤマイ パ⸢ヤ⸣マイ [pa⸢ja⸣mai] 名 早稲。早く収穫できる品種の米。 ク⸢ヌ ター⸣ヤ パ⸢ヤ⸣マイ イ⸢ビラン⸣カー ⸢ノーラ⸣ヌ [ku⸢nu taː⸣ja pa⸢ja⸣mai ʔi⸢biraŋ⸣kaː ⸢noːra⸣nu] (この田圃には早稲品種の稲を植えないと実らない) 13683 0 0 13370 htmvoc_13683.wav パヤマリ パ⸢ヤ⸣マリ [pa⸢ja⸣mari] 名 早生まれ。一月から三月の間に生まれること。早生まれの子は一歳上の子と一緒に入学する。 ⸣バー パ⸢ヤ⸣マリ ヤ⸢ルンダ ウッツァー⸣トー ユ⸢ヌ⸣トゥシェー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣baː pa⸢ja⸣mari ja⸢runda ʔutʦaː⸣toː ju⸢nu⸣tu̥ʃeː ʔa⸢ra⸣nu] (私は早生まれだから彼らとは同じ年ではない)。 パ⸢ヤ⸣マリ ⸢ヤレー⸣ティ グ⸢マー⸣タンドゥ マ⸢ナ⸣マー ユ⸢ヌナダ⸣カ ナ⸢リ⸣ ブー [pa⸢ja⸣mari ja⸢reː⸣ti gu⸢maː⸣tandu⸣ ma⸢na⸣maː ju⸢nunada⸣ka na⸢ri⸣ buː] (早生まれだから小さかったが、今では同じ高さになっている) 13682 0 1 13371 htmvoc_13682.wav パヤマルン パ⸢ヤ⸣マルン [pa⸢ja⸣maruŋ] 自動 {Mn_1}早まる。早くなる。若年層は、ハ⸢ヤ⸣マルン[ha⸢ja⸣maruŋ](早まる)ともいう。 ン⸢ジ⸣フネー パ⸢ヤ⸣マルンティ ス⸢クタヌ⸣ パ⸢ヤマラン⸣ティバーヤ [ʔn⸢ʤi⸣ɸuneː pa⸢ja⸣marunti su̥⸢kutanu⸣ pa⸢jamaran⸣tibaːja] (出港<出船>は早まると聞いたが、早まらないんだってさ)。 パ⸢ヤ⸣マリ ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢ja⸣mari ⸢naː⸣nu] (早まってしまった)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ヤ⸣マルクトー ⸢ナーン⸣パジ [⸢maː⸣bim pa⸢ja⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (もっと早まることはないはずだ)。 ン⸢ベーマ⸣ パ⸢ヤ⸣マレー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣ pa⸢ja⸣mareː ⸣misamunu] (少しは早まれば良いのに)。 ⸢イー クトー⸣ パ⸢ヤ⸣マリ [⸢ʔiː ku̥toː⸣ pa⸢ja⸣mari] (善<良いこと>は急げ)。 13682 0 2 13372 htmvoc_13682.wav パヤマルン パ⸢ヤ⸣マルン [pa⸢ja⸣maruŋ] 自動 {Mn_2}時期尚早の誤った判断をする。急ぎすぎて判断を誤る。 ヨー⸢ヨー⸣ イッ⸢カナ⸣シ パ⸢ヤマル⸣ナ⸢ダー [joː⸢joː⸣ ʔik⸢kana⸣ʃi pa⸢jamaru⸣na⸢daː] (十分に注意して<善く善く>、決して早まった事をするなよ) 13684 0 0 13373 htmvoc_13684.wav ハヤミク ハ⸢ヤミ⸣ク [ha⸢jami⸣ku] 名 早め句。古謡の⸣アーパーレー[⸣ʔaːpaːreː](新室寿ぎ歌)や、ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞い歌)などので、途中からテンポが速くなる曲節 13685 0 0 13374 htmvoc_13685.wav パヤミルン パ⸢ヤミ⸣ルン [pa⸢jami⸣ruŋ] 他動 速める。速くする。急がせる。若年層はハ⸢ヤミ⸣ルン[ha⸢jami⸣ruŋ](速める)ともいう。 タ⸢ヌマリ⸣タ シ⸢グトー⸣ パ⸢ヤミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ティー⸣ヌ タ⸢ラーサランダ⸣ パ⸢ヤーミララ⸣ヌ [ta⸢numari⸣ta ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢jaːmi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢tiː⸣nu ta⸢raːsaranda⸣ pa⸢jamirara⸣nu] (頼まれた仕事は早めようと思うが、手が足りなくて早められない)。 パ⸢ヤ⸣ミ ⸣ミサカー パ⸢ヤミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [pa⸢ja⸣mi ⸣misakaː pa⸢jami⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (速めてよければ速めることはできる)。 パ⸢ヤミ⸣レー ⸣ミサムヌ [pa⸢jami⸣reː ⸣misamunu] (速めればよいのに)。 シ⸢グトー⸣ パ⸢ヤミ⸣リ [ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢jami⸣ri] (仕事は早めろ)。 ⸢ティー⸣ヤ パ⸢ヤ⸣ミティ シ⸢グトゥ シー [⸢tiː⸣ja pa⸢ja⸣miti ʃi⸢gutu ʃiː] (手を速めて仕事をしなさい) 13686 0 0 13375 htmvoc_13686.wav パヤムティ パ⸢ヤ⸣ムティ [pa⸢ja⸣muti] 名 早婚。「早身持」の義。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ムー⸢ル⸣ パ⸢ヤ⸣ムティ ⸢シー⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢doːn⸣ffaː muː⸢ru⸣ pa⸢ja⸣muti ⸢ʃiː⸣ pari⸢naː⸣nu] (女の子は皆早婚して嫁いでいってしまった)。パ⸢ヤドゥー⸣ムティ[pa⸢jaduː⸣muti](早婚{EOS}早身持)ともいう 13688 0 0 13376 htmvoc_13688.wav パヤムン パ⸢ヤ⸣ムン [pa⸢ja⸣muŋ] 他動 早める。早くする。急がせる。せきたてる。「早む<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ パ⸢ヤ⸣ムンティ ウ⸢ムー⸣ナ パ⸢ヤミラン⸣ドーシ ク⸢メーキティ シー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢ja⸣munti ʔu⸢muː⸣na pa⸢jamiran⸣doʃi ku⸢meːkiti ʃiː] (この仕事は早めようと思うな{EOS}早めないで入念に精密にしなさい)。 ⸣ティー パ⸢ヤ⸣ミティ ⸢シー⸣ ミサカー パ⸢ヤ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [⸣tiː pa⸢ja⸣miti ⸢ʃiː⸣ misakaː pa⸢ja⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (手を早めてしてよければ早めることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ヤ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pa⸢ja⸣meː ⸣misamunu] (もっと早めれば良いのに) 13687 0 0 13377 htmvoc_13687.wav パヤリッシン パ⸢ヤリッ⸣シン [pa⸢jariʃ⸣ʃiŋ] 名 早い立身出世。「早立身」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ピ⸢キ⸣シル パ⸢ヤリッ⸣シン シ⸢ラリタ⸣ツォー [ʔu⸢ja⸣nu pi̥⸢ki⸣ʃiru pa⸢jariʃ⸣ʃiŋ ʃi⸢rarita⸣ʦoː] (親の七光り<贔屓{EOS}威光>で早い立身出世が出来たそうだ) 13689 0 0 13378 htmvoc_13689.wav パヤワザ パ⸢ヤ⸣ワザ [pa⸢ja⸣waʣa] 名 すばやく巧みなわざ。敏捷な腕前。敏捷なやりかた。「早技」の義。 ウ⸢リヌ⸣ カ⸢ツホーシ⸣ヌ パ⸢ヤ⸣ワザー プ⸢スノー マーベー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ka⸢ʦuhoːʃi⸣nu pa⸢ja⸣waʣaː pu̥⸢sunoː maːbeː⸣ na⸢ra⸣nu] (彼のカツオ釣りの早業は、他人が<は>真似はできない) 13690 0 0 13379 htmvoc_13690.wav パヤンマ パ⸢ヤン⸣マ [pa⸢jaʔm⸣ma] 名 早馬。緊急の要件で発進する馬。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢ビ⸣ラーラー ⸣トゥヌスコー パ⸢ヤン⸣マ タ⸢ティ⸣ル シ⸢ラシグトー⸣ シ⸢モーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢bi⸣raːraː ⸣tunusu̥koː pa⸢jaʔm⸣ma tatiru ʃi⸢raʃigutoː⸣ ʃi⸢moːt⸣taʦoː] (昔は川平から登野城まで早馬をたてて知らせ事をされたそうだ) 13691 0 0 13380 htmvoc_13691.wav ハヨー ハ⸢ヨー [ha⸢joː] 名 はやお(早緒)。船を漕ぐ際に、ろ(艪)に掛ける綱。綱は舷側に繋いである。 ⸢リューヤ⸣ ハ⸢ヨー⸣ カ⸢キラン⸣カー ⸢コーラ⸣ヌ [⸢rjuːja⸣ ha⸢joː⸣ kḁ⸢kiraŋ⸣kaː ⸢koːra⸣nu] (\ruby{艪}{ロ}は\ruby{速緒}{ハヤ|オ}を掛けないと\ruby{漕}{コ}がれない) 13692 0 0 13381 htmvoc_13692.wav パラ ⸣パラ [⸣para] 助数 出産を数える単位。⸣パラン[⸣paraŋ](孕み)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ アヒャーオーヤ プ⸢ス⸣パラシ ⸢ギュッカラナー⸣ ナ⸢ス⸣ワ [ku⸢nu⸣ ʔaçaːʔoːja pu̥⸢su⸣paraʃi ⸢gjukkaranaː⸣ na⸢su⸣wa] (この母豚<繁殖用豚>は一度のお産で何匹ずつ生むのか) 13693 0 0 13382 htmvoc_13693.wav パラー ⸣パラー [⸣paraː] 名 柱。「軀、ミ・ハシラ」『類聚名義抄』の転訛したもの。ナ⸢カ⸣バラー[na⸢ka⸣baraː](中柱)、⸣ムヤーバラー[⸣mujaːbaraː](母屋柱{EOS}庇の内側の柱)、ハ⸢ギバラー[ha⸢gibaraː](軒柱{EOS}庇の柱{EOS}軒を支える柱{EOS}「脛柱」の義か{EOS}「~夜束波岐<ヤツカハギ>」『常陸風土記』の転訛か)などがある。 ⸢キャーンギバラー⸣ ウ⸢ヤ⸣キプスヌル ⸢ゴー⸣ラー シゥ⸢カイヨーッ⸣タ [⸢kjaːŋgibaraː⸣ ʔu⸢ja⸣kipu̥sunuru ⸢goː⸣raː sï̥⸢kaijoːt⸣ta] (犬槇の柱は金持ちの人が多く使われた)。/カクガニバ パラーバ シー ヤーバ スクリ アンティスー ウリユー ミューナーキャー ムイ/[kḁ⸢kuganiba⸣ pa⸢raː⸣ba ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ʔantisuː ʔu⸢rijuː mjuː⸣naːkjaːmui](四角い鉄材を柱にして家を造ってあるという{EOS}それを見なければならない)「アーパーレ、<ナガミク>」『鳩間島古典民謡古謡集』 13694 0 0 13383 htmvoc_13694.wav バラースン バ⸢ラースン [ba⸢raːsuŋ] 他動 笑わせる。自動詞バ⸢ラウン[ba⸢rauŋ](笑う)の未然形に、使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が下接して形成された使役の派生動詞。 ウ⸢レー サッ⸣コー プ⸢ス⸣ バ⸢ラースン [ʔu⸢reː sak⸣koː pu̥⸢su⸣ ba⸢raːsuŋ] (彼は非常によく人を笑わせる)。 バ⸢ラーサヌ [ba⸢raːsanu] (笑わさない)。 バ⸢ラーシ⸣プサン [ba⸢raːʃi⸣pu̥saŋ] (笑わせたい)。 バ⸢ラース⸣ クトゥ [ba⸢raːsu⸣ ku̥tu] (笑わせること)。 バ⸢ラーシ⸣バ [ba⸢raːʃi⸣ba] (笑わせよ) 13695 0 0 13384 htmvoc_13695.wav パラータティミー パ⸢ラータティ⸣ミー [pa⸢raːtati⸣miː] 名 サバニの帆柱を立てて固定するほぞあな(臍穴)。ウ⸢シカキ[ʔu⸢ʃikaki](帆柱を立てる梁)の真下の竜骨にある臍穴。帆柱の根っこの尖った部分をこの穴に入れて固定する。 パ⸢ラータティ⸣ミーナ パ⸢ラー⸣ヌ シ⸢ビ⸣ ッシ ⸢ペーラ⸣シ [pa⸢raːtati⸣miːna pa⸢raː⸣nu ʃi⸢bi⸣ ʃʃi ⸢peːra⸣ʃi] (竜骨の\ruby{臍穴}{ホゾ|アナ}に帆柱の尻を差し入れよ) 13696 0 0 13385 htmvoc_13696.wav パラーヌアナ パ⸢ラー⸣ヌアナ [pa⸢raː⸣nu] 名 ほぞ(枘)。「柱の穴」の義。ヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き家)を作る際、柱に穴を掘って柱と梁、桁材に連結させる。その枘穴のこと。 パ⸢ラー⸣ヌ ⸣アナ(⸣ミー) プ⸢リプス⸣(⸢ピッキプス⸣)ヌ タ⸢ラーンバ テー⸣ナイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふォーララン⸣カヤー [pa⸢raː⸣nuʔana(⸣miː) pu⸢ripusu⸣nu <⸢pikkipusu⸣nu> ta⸢raːmba teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ f⸢foːraraŋ⸣kajaː] (柱の枘穴を掘る<開ける>人が足りないから手伝ってくださいませんか) 13697 0 0 13386 htmvoc_13697.wav バライ バ⸢ライ [ba⸢rai] 名 笑い。バ⸢ラウン[ba⸢rauŋ](笑う)の連用形から転成した名詞。 バ⸢ライグイ [ba⸢raigui] (笑い声)。 バ⸢ライジラ [ba⸢raiʤira] (笑い顔)。 バ⸢ライムヌ [ba⸢raimunu] (笑われもの)。 バ⸢ライパダ [ba⸢raipada] (よく笑う年頃{EOS}女性の十七、八歳頃)。 ウ⸢ブ⸣バライ [ʔu⸢bu⸣barai] (大笑い)。 ッ⸢サ⸣バライ [s⸢sa⸣barai] (\ruby{嘲}{アザケ}り笑い)。 ナ⸢キバライ [na⸢kibarai] (泣き笑い)。 ウ⸢リヌ⸣ バ⸢ライヤー⸣ カ⸢タフチピケー⸣シ ⸢シール⸣ バラウ⸠ツォー [ʔu⸢rinu⸣ ba⸢raijaː⸣ kḁ⸢taɸu̥ʧipi̥⸢keː⸣ʃi ⸢ʃiːru⸣ ba⸢rau⸠ʦoː] (彼の笑いは片口をそっと引いて笑うんだよ) 13698 0 0 13387 htmvoc_13698.wav パライ ⸣パライ [⸣parai] 名 はらい(祓い)。神に祈願して罪や穢れ、厄、禍などを取り除くこと。「Farai.ハライ(祓い)神(Cami)の前で行われる、ある儀式」『邦訳日葡辞書』の義。 ヤ⸢フ⸣バライ シ⸢ミリ⸣バ [ja⸢ɸu⸣barai ʃi⸢miri⸣ba] (厄払いをさせなさいよ) 13699 0 0 13388 htmvoc_13699.wav パライウタスン ⸣パライ ウ⸢タ⸣スン [⸣parai ʔu⸢ta⸣suŋ] 連 祓い落とす。つきもの(憑物)を祓いのける。悪霊やもののけを祓い落とす。 ヤ⸢ナ⸣ムノー フ⸢チカザルバ⸣ シ⸢ティ⸣ パライ ウ⸢タ⸣シ [ja⸢na⸣munoː ɸu̥⸢ʧikaʣaruba⸣ ʃi̥⸢ti⸣ parai ʔu⸢ta⸣ʃi] (悪霊は魔除けの唱えごとを声を出して唱えて祓い落としなさい) 13700 0 0 13389 htmvoc_13700.wav バライグイ ⸢バライグイ [ba⸢raigui] 名 笑い声。 ウ⸢ヌス⸣ク バ⸢ライグイヌ シゥ⸢カリ ギン⸣シェー イッ⸢ケナ⸣ サ⸢ニ⸣ヤル ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣アレー ⸣パジ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ba⸢raiguinu⸣ si̥⸢kari giŋ⸣ʃeː ʔik⸢kena⸣ sa⸢ni⸣jaru ku̥⸢tu⸣nu ⸣ʔareː ⸣paʤi] (あれほどに笑い声が聞こえるからには、嬉しいことがあったのだろう<あったはず>) 13701 0 0 13390 htmvoc_13701.wav バライグトゥ バ⸢ライグトゥ [ba⸢raigutu] 名 笑い事。笑ってすまされること。 ク⸢ヌ⸣ クトー バ⸢ライグトゥ⸣ティ ⸢シー⸣ シ⸢マサリ⸣ル ⸣クトー ア⸢ラン⸣ダー [ku⸢nu⸣ ku̥toː ba⸢raigutu⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢masari⸣ru ⸣ku̥toː ʔa⸢ran⸣daː] (このことは、笑い事といって済まされることではないよ) 13702 0 0 13391 htmvoc_13702.wav バライジラ バ⸢ライジラ [ba⸢raiʤira] 名 笑顔。笑みを含んだ顔。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー バ⸢ライジラル⸣ タ⸢カ⸣ラ⸢ダー [mi⸢doːŋ⸣ffaː ba⸢raiʤiraru⸣ tḁ⸢ka⸣ra⸢daː] (女の子は笑顔が宝だよ) 13703 0 0 13392 htmvoc_13703.wav バライツォールン バ⸢ライツォールン [ba⸢raiʦoːruŋ] 自動 ほほえむ(微笑む)。微笑する。にっこり笑う。 ア⸢ガッふァー⸣マ ヤ⸢ルヌ⸣ ブ⸢ネーヌ⸣ シラ ミ⸢ラ⸣リカー バ⸢ライツォーリティ⸣ イッ⸢ケン⸣ ア⸢タラ⸣サン [ʔa⸢gaffaː⸣ma ja⸢runu⸣ bu⸢neːnu⸣ ʃira mi⸢ra⸣rikaː ba⸢raiʦoːriti⸣ ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢tara⸣saŋ] (赤ちゃん<赤子>だが母親の顔が見えると<見られると>、にっこり笑って非常にかわいい<アタラシ{EOS}可惜し>) 13737 0 0 13393 htmvoc_13737.wav バライックナー バ⸢ライックナー [ba⸢raikkunaː] 名 笑い競争。⸢笑い比べ」の転訛したもの。 ミ⸢ドーン⸣ッふァンケーヤ バ⸢ライックナーバ シー⸣ ア⸢サビベー [mi⸢doːŋ⸣ffaŋkeːja ba⸢raikkunaːba ʃiː⸣ ʔa⸢sabi beː] (女の子たちは笑い競争をして遊んでいる) 13741 0 0 13394 htmvoc_13741.wav バライッツォールン バ⸢ライッツォールン [ba⸢raitʦoːruŋ] 自動 微笑む。にっこり笑う。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウヤー ⸢ミーッシー⸣ル ⸢ブー⸣ユー バ⸢ライッツォーリ ベー⸣バン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔuja ⸢miːʃʃiː⸣ru ⸢buː⸣juː ba⸢raitʦoːri beː⸣baŋ] (この乳児<子>は親を見知っているのか、微笑んでいるよ)。 ン⸢ゴーンゴー⸣ティ ⸢パー⸣スカー バ⸢ライッツォールンダ パー⸣シ バ⸢ライッツォーラシ⸣バ [ʔŋ⸢goː⸣ʔŋ⸢goː⸣ti ⸢paː⸣su̥kaː ba⸢raitʦorunda paː⸣ʃi ba⸢raitʦoːraʃi⸣ba] (ンゴーンゴーといって囃すとにっこり笑うので、囃して微笑ませなさい)。 バ⸢ライッツォール⸣ ピンマー イッ⸢ケン⸣ ア⸢タラ⸣サン⸢ダー [ba⸢raitʦoːru⸣ pimmaː ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢tara⸣san⸢daː] (微笑む時は非常に可愛いよ)。 バ⸢ライッツォーレー⸣ ミサムヌ [ba⸢raitʦoːreː⸣ misamunu] (にっこり笑えば良いのに)。 バ⸢ライッツォーリ [ba⸢raitʦoːri] (にっこり笑え) 13704 0 0 13395 htmvoc_13704.wav パライヌキルン パ⸢ライヌキ⸣ルン [pa⸢rainuki⸣ruŋ] 他動 払いのける。除き去る。 プ⸢スヌ⸣ ヤ⸢ナ⸣フチェー ドゥーシ パ⸢ライヌキ⸣ルン [pu̥⸢sunu⸣ ja⸢na⸣ɸu̥ʧeː ⸣duːʃiː pa⸢rainuki⸣ruŋ] (他人の悪口は自分で払いのける) 13705 0 0 13396 htmvoc_13705.wav バライパダ バ⸢ライパダ [ba⸢raipada] 名 よく笑う年頃。思春期の女の子。 バ⸢ライパダヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー キーヌパー⸣ヌ ⸢ウーキ⸣バン バ⸢ラウンティ⸣ ア⸢ザリ ブー [ba⸢raipadanu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢kiːnupaː⸣nu ⸢ʔuːki⸣bam ba⸢raunti⸣ ʔa⸢ʣari buː] (よく笑う時期の女の子<思春期の女の子>は木の葉が動いても笑うといわれている) 13738 0 0 13397 htmvoc_13738.wav バライパナシ バ⸢ライパナシ [ba⸢raipanaʃi] 名 笑い話。滑稽な話。ユーモア。 ウ⸢リヌ⸣ バ⸢ライパナシ⸣ ス⸢ク⸣カー バ⸢カヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ba⸢raipanaʃi⸣ su̥⸢ku⸣kaː ba⸢kaja⸣nu na⸢ra⸣nu] (彼の笑い話を聞くと可笑しくてたまらない)。 ウ⸢レー⸣ バ⸢ライパナシヌ ゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ サッ⸣コー プ⸢ス⸣ バ⸢ラース⸠ツォー [ʔu⸢reː⸣ ba⸢raipanaʃinu ʣoː⸣ʤi ja⸢runda sak⸣koː pu̥⸢su⸣ ba⸢raːsu⸠ʦoː] (彼は笑い話が上手だから、よく他人を笑わせるんだよ) 13707 0 0 13398 htmvoc_13707.wav パライミー パ⸢ライ⸣ミー [pa⸢rai⸣miː] 名 負債。債務。金銭を支払う義務。払う分。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ウ⸢カ⸣ヌ ⸣バー パ⸢ライミー⸣ヤ ⸢ギュー⸣サ ヌ⸢カ⸣レーワ [ʔu⸢ja⸣nu ʔu⸢ka⸣nu ⸣baː pa⸢raimiː⸣ja ⸢gjuː⸣sa nu⸢ka⸣reːwa] (親の借金のうち、私が負担す<支払う>べき債務はいくら残っているか) 13739 0 0 13399 htmvoc_13739.wav バライムヌ バ⸢ライムヌ [ba⸢raimunu] 名 笑いもの。笑われ者。笑い\ruby{種}{グサ}。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー プ⸢スヌ⸣ バ⸢ライムヌ⸣ シ⸢ラリン⸣ダー [ja⸢naku̥tu suː⸣kaː pu̥⸢sunu⸣ ba⸢raimunu⸣ ʃi⸢rarin⸣daː] (悪いことをすると、人の笑い\ruby{種}{グサ}にされるよ)。 イ⸢ファナクトゥバ シー⸣ シ⸢キン⸣ヌ バ⸢ライムヌ ナン⸣ナ⸢ヨー [ʔi⸢ɸanaku̥tuba ʃiː⸣ ʃi̥⸢kin⸣nu ba⸢raimunu nan⸣na⸢joː] (妙なことをして世間の笑いものになるなよ)。 ⸢チャー⸣ メー ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ ⸢シー⸣ バ⸢ライムヌ シーベー⸣タ [⸢ʧaː⸣ meː ʔu⸢nu⸣ pa⸢naʃi⸣ba ⸢ʃiː⸣ ba⸢raimunu ʃiːbeː⸣ta] (いつも、もう、その話をして笑いぐさにしていた) 13709 0 0 13400 htmvoc_13709.wav ハラウビ ハ⸢ラ⸣ウビ [ha⸢ra⸣ʔubi] 名 腹帯。妊婦が締める腹帯。岩田帯。妊婦が妊娠5ヶ月に入ると、干支のイヌ(戌)の日を選んで締めた帯。胎児を安定させて支えるための帯であるという。新しく導入された妊婦用品。 ハ⸢ラ⸣ウビ ⸢サン⸣カー ⸣バター タダー⸢イ マイ⸣ヤー ナ⸢リ⸣ス [ha⸢ra⸣ʔubi ⸢saŋ⸣kaː ⸣bataː tadaː⸢ji mai⸣jaː na⸢ri⸣su] (腹帯をしないとお腹はどんどん大きくなるよ) 13740 0 0 13401 htmvoc_13740.wav バラウン バ⸢ラウン [ba⸢rauŋ] 他動 笑う。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣カー バ⸢ラウンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ バ⸢ラーンバン [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣kaː ba⸢raunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ba⸢raːmbaŋ] (その話を聞いたら笑うと思ったが、笑わないわい)。 バ⸢ライ⸣ ミサンドゥ マ⸢ナ⸣マー バ⸢ラウ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢rai⸣ misandu ma⸢na⸣maː ba⸢raru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (笑っても良いが、今は笑うことは出来ない)。 ン⸢ベーマー⸣ バ⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ba⸢raijaː⸣ misamunu] (少しは笑えばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ バ⸢ライ [jaː⸢dim⸣ ba⸢rai] (必ず笑え)。 プ⸢スバ⸣ バ⸢ラウンティ ベーン⸣ケン プ⸢スン⸣ バ⸢ラーリ ナー⸣ヌ [pu̥⸢suba⸣ ba⸢raunti beːŋ⸣kem pu̥⸢sum⸣ ba⸢raːri naː⸣nu] (他人を笑おうとしていて、他人に笑われてしまった)。 バ⸢ライ⸣ プサンドゥ バ⸢ラーラヌ [ba⸢rai⸣ pusandu ba⸢raːranu] (笑いたいが笑われない)。 バ⸢ラウ プソー⸣ バ⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [ba⸢rau pu̥soː⸣ ba⸢raijaː⸣ misamunu] (笑う人は笑えば良いのに) 13711 0 1 13402 htmvoc_13711.wav パラウン ⸣パラウン [⸣parauŋ] 他動 {Mn_1}払う。 ⸢ダイヤー⸣ バー ⸣パラウンティ ウ⸢ムー⸣ヌ ⸢キュー⸣ヤ パ⸢ラー⸣ヌ  [⸢daijaː⸣ baː ⸣paraunti ʔu⸢muː⸣nu ⸢kjuː⸣ja pa⸢raː⸣nu] (代金は私が払おうと思うが、今日は払わない)。 ⸢ゴー⸣ラー ⸣パライ ⸢ナー⸣ヌ [⸢goː⸣raː ⸣parai ⸢naː⸣nu] (多く払ってしまった)。 ⸣パラウ プ⸢ソー⸣ ン⸢メーマ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ パ⸢ライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣parau pu̥⸢soː⸣ ʔm⸢meːma⸣ ja⸢rabam⸣ pa⸢rai⸣jaː ⸣misamunu] (支払う人は少しでもいいから払えばいいのに)。 ア⸢ツァバー⸣キナ ⸣パライ [ʔa⸢ʦabaː⸣kina ⸣parai] (明日までに払え)。 13711 0 2 13403 htmvoc_13711.wav パラウン ⸣パラウン [⸣parauŋ] 他動 {Mn_2}祓う。 ⸣ヤホー フ⸢チカザル シー⸣ パライバ [⸣jahoː ɸu̥⸢ʧikaʣaru ʃiː⸣ paraiba] (厄は口で唱えごとをして祓えよ)。 13711 0 3 13404 htmvoc_13711.wav パラウン ⸣パラウン [⸣parauŋ] 他動 {Mn_3}\ruby{薙}{ナ}ぎ払う。草や茅を刈りはらう。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサ ⸣パラウンティル ⸢ベー [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssa ⸣parauntiru ⸢beː] (畑の雑草を刈り取ろうとしている) 13712 0 0 13405 htmvoc_13712.wav ハラガー ハ⸢ラ⸣ガー [ha⸢ra⸣gaː] 名 家畜類の腹部の肉。「腹皮」の義。 ⸢オー⸣ヌ ハ⸢ラガー⸣ヤ ⸢ダイヤー ヤッ⸣サン [⸢ʔoː⸣nu ha⸢ragaː⸣ja ⸢daijaː jas⸣saŋ] (豚の腹部の肉<腹皮>は値段は安い) 13742 0 0 13406 htmvoc_13742.wav ハラクリ ハ⸢ラ⸣クリ [ha⸢ra⸣kuri] 名 鰹節の腹部を\ruby{刳}{ク}り削る小刀。「腹刳り」の義。小刀の刃先が円くなり、左側に湾曲している。これで鰹節の腹部の湾入部を刳るように削ることができる。 ハ⸢ラ⸣クリシル ⸢ミーブシ⸣ヌ バ⸢タマー⸣ロー キ⸢ゾーッ⸣タ [ha⸢ra⸣kuriʃiru ⸢miːbuʃi⸣nu ba⸢tamaː⸣roː ki⸢ʣoːt⸣ta] (腹刳り小刀で鰹節の腹まわりは削られた) 13713 0 0 13407 htmvoc_13713.wav ハラゴー ハ⸢ラ⸣ゴー [ha⸢ra⸣goː] 名 魚の腹部の肉。「腹皮」の転訛。[harakawa] → [harakaua] → [harakoː] → [haragoː] と音韻変化したもの。 カ⸢ツヌ⸣ ハ⸢ラ⸣ゴー ヤ⸢ク⸣カー イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [kḁ⸢ʦunu⸣ ha⸢ra⸣goː ja⸢ku⸣kaː ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (カツオの腹皮を焼くと非常に美味しい) 13714 0 0 13408 htmvoc_13714.wav バラサ バ⸢ラ⸣サ [ba⸢ra⸣sa] 名 悪いこと。形容詞バ⸢ラ⸣サン[ba⸢ra⸣saŋ](悪い)の名詞形。 ⸢オーヌ⸣ バ⸢ラ⸣サテー ⸢ナーン⸣ユンダ ⸢チャー オー⸣ティ ア⸢ジ アー⸣キ [⸢ʔoːnu⸣ ba⸢ra⸣sateː ⸢naːŋ⸣junda ⸢ʧaː ʔoː⸣ti ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ki] (はいと返事することが悪いことは無いから、いつも「はい」と返事していなさい) 13715 0 0 13409 htmvoc_13715.wav バラサスン バ⸢ラ⸣サ ⸢スン [ba⸢ra⸣sa ⸢suŋ] 連 謝罪する。詫びる。 バ⸢ラ⸣サ ⸢シェー⸣チバ ⸣メー ユ⸢ラ⸣シバ [ba⸢ra⸣sa ⸢ʃeː⸣ʧiba ⸣meː ju⸢ra⸣ʃiba] (謝罪したから、もう許しなさいよ) 13716 0 0 13410 htmvoc_13716.wav バラサビナサスン バ⸢ラ⸣サビナサ ⸢スン [ba⸢ra⸣sabinasa ⸢suŋ] 連 お詫びを申し上げる。 バ⸢ラ⸣サビナサ ⸢スンティ⸣ ク⸢リバ サーリ ギーティル⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ ユ⸢ラサ⸣リ ⸢クー⸣タ [ba⸢ra⸣sabinasa ⸢sunti⸣ ku⸢riba saːri giːtiru⸣ jat⸢tu⸣ʃi ju⸢rasa⸣ri ⸢kuː⸣ta] (お詫びを申し上げようと、これを連れて行って<ぞ>やっとのことで許されてきたよ) 13717 0 0 13411 htmvoc_13717.wav バラサン バ⸢ラ⸣サン [ba⸢ra⸣saŋ] 形 悪い。古めかしい言い方。老年層が多く用いる。若年層は、普通⸢ワッ⸣サン[⸢was⸣saŋ](悪い)という。 ⸢ドゥー⸣ヌ バ⸢ラ⸣サンティ ⸣ウムーカー ⸣ワキ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリリ⸣ バ⸢ラサ ナーン⸣カー ウ⸢ヌ⸣ムティ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリ⸣バ [⸢duː⸣nu ba⸢ra⸣santi ⸣ʔumuːkaː ⸣waki ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sariri⸣ ba⸢rasa naːŋ⸣kaː ʔu⸢nu⸣muti ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sariri⸣ba] (自分が悪いと思うならばお詫び<訳>を申し上げなさい{EOS}悪くなければ、その旨申し上げなさい)。 ⸢オーシキヌ⸣ バ⸢ラサ⸣ヌ マー⸢ン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥kinu⸣ ba⸢rasa⸣nu maː⸢m⸣ pa⸢rara⸣nu] (天気が悪くて何処にも行かれない)。 バ⸢ラ⸣サル ⸣クトー イッ⸢カ シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢ra⸣saru ⸣ku̥toː ʔik⸢ka ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (悪いことは、決してやってはならない) 13718 0 0 13412 htmvoc_13718.wav バラザン バ⸢ラ⸣ザン [ba⸢ra⸣ʣaŋ] 名 わら算。文字の代わりに藁や縄で数字を表す方法。 パ⸢トゥ⸣マナテー マ⸢ナ⸣マン ⸢プール⸣ヌ グ⸢サークマイ⸣ヌ タ⸢カトゥ ニンズー⸣ヤ バ⸢ラ⸣ザンシ トゥ⸢ミティ ウイヌ⸣ウガン ⸣ムティ ⸢オー⸣ル [pḁ⸢tu⸣manateː ma⸢na⸣mam ⸢puːru⸣nu gu⸢saːkumai⸣nu tḁ⸢katu ninʣuː⸣ja ba⸢ra⸣ʣaŋʃi tu⸢miti ʔuinu⸣ʔugam ⸣muti ⸢ʔoː⸣ru] (鳩間島では、今も豊年祭には各家から徴収された五勺米の量と納めた人数を、わら算で記録し<とめ>て友利御嶽へ持っていかれる) 13720 0 0 13413 htmvoc_13720.wav パラシキルン パ⸢ラシキルン [pa⸢raʃi̥kiruŋ] 他動 手足を押さえつける。手足を引っ張って押さえつける。「張り付ける」の義。「縄を以て、四つの支を機物<はたもの>に張り付けて~」『今昔物語 一六ノ二六』の転訛したものか。 パ⸢ラシキルンティ スンドゥ⸣ パ⸢ラシキララヌ [pa⸢raʃi̥kirunti sundu⸣ pa⸢raʃi̥kiraranu] (押さえつけようとするが、押さえつけられない)。 パ⸢ラシキル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢raʃi̥kiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (押さえつけることは出来ない)。 パ⸢ラシキレー⸣ ミサムヌ [pa⸢raʃi̥kireː⸣ misamunu] (押さえつければ良いのに)。 パ⸢ラシキリ [pa⸢raʃi̥kiri] (押さえつけろ) 13721 0 0 13414 htmvoc_13721.wav パラスクン パ⸢ラスクン [pa⸢rasu̥kuŋ] 他動 引張って押さえつける。押さえつける。「張り付く」の転訛したものか。パ⸢ラシキルンとも言う。 ヤ⸢ラ⸣ビ パ⸢ラシキティ⸣ ヤツ ヤ⸢クンティ スンドゥ⸣ パ⸢ラシゥカラヌ [ja⸢ra⸣bi pa⸢raʃi̥kiti⸣ jaʦu ja⸢kunti sundu⸣ pa⸢rasï̥karanu] (子供を押さえつけてお灸をすえよう<焼こう>とするが、押さえつけられない)。 パ⸢ラスクンティ⸣ ウムーカー ⸢ティー⸣パン ⸢ウシケー⸣ティンノーン パ⸢ラスク⸣ クトー ナ⸢リ⸣スティムカーヤ [pa⸢rasu̥kunti⸣ ʔumuːkaː tiː⸣paŋ ⸢ʔuʃi̥keː⸣tinnoːm pa⸢rasu̥ku⸣ ku̥toː na⸢ri⸣sutimukaːja] (押さえつけようと思うなら、手足を押し付けてでも押さえつけることは出来るというものだよ)。 パ⸢ラシケー⸣ ミサムヌ [pa⸢raʃi̥keː⸣ misamunu] (押さえつければいいのに)。 フ⸢タール⸣シ ギッ⸢ティ⸣ パ⸢ラシキ⸣バ [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi git⸢ti⸣ pa⸢raʃi̥ki⸣ba] (二人でぎゅっと押さえつけなさいよ) 13719 0 1 13415 htmvoc_13719.wav パラスン パ⸢ラ⸣スン [pa⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_1}走らせる。走行させる。行かせる。 ⸣フニ パ⸢ラ⸣スンティ ス⸢コーリ ベーン⸣ドゥ カ⸢ジヌ スーワ⸣ヌ パ⸢ラサラ⸣ヌ [⸣ɸuni pa⸢ra⸣sunti su̥⸢koːri beːn⸣du ka⸢ʤinu suːwa⸣nu pa⸢rasara⸣nu] (舟を走行させようと準備しているが、風が強くて走らされない)。 ⸣フニ パ⸢ラ⸣シ ⸣ミサカー パ⸢ラ⸣スクトー ⸣ナルン [⸣ɸuni pa⸢ra⸣ʃi ⸣misakaː pa⸢ra⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (舟を走らせてよければ、走らせることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン パ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pa⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと走らせば良いのに)。 ⸣フニ パ⸢ラ⸣シ [⸣ɸuni pa⸢ra⸣ʃi] (舟を走らせ<走行させ>よ)。 13719 0 2 13416 htmvoc_13719.wav パラスン パ⸢ラ⸣スン [pa⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_2}血や汗を流す。 ⸢シー⸣ パ⸢ラ⸣スン [⸢ʃiː⸣ pa⸢ra⸣suŋ] (血を流す)。 13719 0 3 13417 htmvoc_13719.wav パラスン パ⸢ラ⸣スン [pa⸢ra⸣suŋ] 他動 {Mn_3}注ぐ。流す。 ミ⸢ジ⸣ パ⸢ラ⸣スン [mi⸢ʤi⸣ pa⸢ra⸣suŋ] (水を注ぐ<流す>) 13722 0 0 13418 htmvoc_13722.wav パラスン パ⸢ラ⸣スン [pa⸢ra⸣suŋ] 他動 晴らす。晴れるのを待つ。雨上がりを待つ。 ⸣アミ パ⸢ラ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ パ⸢ラサラン⸣バン [⸣ʔami pa⸢ra⸣sunti ⸢beːn⸣du pa⸢rasaram⸣baŋ] (雨を晴らそうと<雨上がりを>待っているが、晴らされない<雨が上がらない>よ)。 ⸣アメー パ⸢ラ⸣シティ ⸣パリバ [⸣ʔameː pa⸢ra⸣ʃi̥ti ⸣pariba] (雨を晴らして<雨があがって>から行きなさい)。 ⸣アミ パ⸢ラ⸣ス ⸣ピンマー ⸢サー⸣ヤンツァン ⸣ヌメーティ パ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣ʔami pa⸢ra⸣su ⸣pimmaː ⸢saː⸣janʦan ⸣numeːti pa⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (雨を晴らす時はお茶でも飲みながら晴らせば良いのに)。 ⸣クナー ⸢ベー⸣ティ ⸣アメー パ⸢ラ⸣シ [⸣kunaː ⸢beː⸣ti ⸣ʔameː pa⸢ra⸣ʃi] (ここにいて雨上がりを待て<雨を晴らせ>) 13723 0 0 13419 htmvoc_13723.wav パラチブニ パ⸢ラチ⸣ブニ [pa⸢raʧi⸣buni] 名 肋骨。特に魚の肋骨。人間の肋骨はヤ⸢カタ⸣ブニ[ja⸢kata⸣buni](人間の肋骨)、家畜の肋骨は、⸢ソーキ⸣ブニ[⸢soːki⸣buni]という。 イ⸢ズヌ ミーヤ⸣ パ⸢ラチ⸣ブネー ⸣トゥリティ ヤ⸢ラ⸣ビン ッ⸢ふァーシ⸣バ [ʔi⸢ʣunu miːja⸣ pa⸢raʧi⸣buneː ⸣turiti ja⸢ra⸣biŋ f⸢faːʃi⸣ba] (魚の身は肋骨を取り除いて子供に食べさせなさい)。魚のあばら骨。 イ⸢ズヌ⸣ パ⸢ラチ⸣ブネー ⸣トゥリティ ッ⸢ふァイ⸣バ [ʔi⸢ʣunu⸣ pa⸢raʧi⸣buneː ⸣turiti f⸢fai⸣ba] (魚のあばら骨は除去してから食べなさいよ) 13725 0 0 13420 htmvoc_13725.wav パラッカースン パ⸢ラッカースン [pa⸢rakkaːsuŋ] 自動 行事等がぶつかる。かち合う。鉢合わせになる。 ⸢ヨイ⸣ヌ パ⸢ラッカーシティル⸣ イ⸢サンケー⸣ パ⸢リユーサン⸣バン [⸢joi⸣nu pa⸢rakkaːʃitiru⸣ ʔi⸢saŋkeːja⸣ pa⸢rijuːsa⸣mbaŋ] (祝儀がかち合って、石垣へは行けないわい)。 ユ⸢ヌ⸣ ピンナー パ⸢ラッカーシティ ウーカラ⸣ヌ [ju⸢nu⸣ pinnaː pa⸢rakkaːʃi̥ti ʔuːkara⸣nu] (同じ日に行事がぶつかって身動き出来ない)。 ⸢ダイアン⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ヨイ⸣ヌ パ⸢ラッカースンダ⸣ パ⸢ラッカーサン⸣ ヨーニ ビ⸢チ⸣ヌ ⸢ピュール⸣ トゥリ [⸢daiʔan⸣nu ⸣pimmaː ⸢joi⸣nu pa⸢rakkaːsunda⸣ pa⸢rakkasaɲ⸣ joːni bi⸢ʧi⸣nu ⸢pjuːru⸣ turi] (大安の日は祝儀がぶつかるから、ぶつからないように別の日和を選定し<取り>なさい)。 パ⸢ラッカース⸣ トンマー パ⸢ララ⸣ヌ [pa⸢rakkaː⸣su ⸣tommaː pa⸢rara⸣nu] (鉢合わせする所には行かれない)。 パ⸢ラッカーシェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢rakkaːʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (鉢合わせになってはならない) 13724 0 0 13421 htmvoc_13724.wav パラッカウン パ⸢ラッカウン [pa⸢rakkauŋ] 自動 複数の行事が鉢合わせになる。ぶつかる。 ⸣アツァー ⸢ヨイ⸣ヌ パ⸢ラッカイ ブンダ⸣ パ⸢ラッカイラン⸣ カタチニ ナ⸢ラヌ [⸣ʔaʦaː ⸢joi⸣nu pa⸢rakkai bunda⸣ pa⸢rakkairaŋ⸣ kḁtaʧini na⸢ranu] (明日はお祝いがぶつかっているから、ぶつからないように出来ないか)。 ⸢ヨイ⸣ヤー パ⸢ラッカイティ ティー⸣ヤ タ⸢ラーサラヌ [⸢joi⸣jaː pa⸢rakkaiti tiː⸣ja ta⸢raːsaranu] (お祝いが鉢合わせになって、準備する手が足りない)。 パ⸢ラッカウ⸣ ピンマー ⸢ヌー⸣スワ ⸣メー [pa⸢rakkau⸣ pimmaː ⸢nuː⸣suwa ⸣meː] (鉢合わせるときは、どうしようか、もう)。 ユ⸢ヌ⸣ ピンナー パ⸢ラッカイヤー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ju⸢nu⸣ pinnaː pa⸢rakkaijaː⸣ na⸢ra⸣nu] (同じ日に鉢合わせになったら<ぶつかったら>いけない) 13726 0 0 13422 htmvoc_13726.wav パラッツァイルン パ⸢ラッツァイルン [pa⸢ratʦairuŋ] 他動 行く手を塞ぐ。通せんぼする。通路を塞ぐ。 ⸣ウナー シ⸢キ⸣ルカー プ⸢スヌ⸣ ア⸢ラキ⸣ミチ パ⸢ラッツァイルンダ⸣ パ⸢ラッツァイラン⸣ ヨーニ マ⸢ダカ⸣シ [⸣ʔunaː ʃi̥⸢ki⸣rukaː pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢raki⸣miʧi pa⸢ratʦairunda⸣ pa⸢ratʦairaɲ⸣ joːni ma⸢daka⸣ʃi] (そこに置くと他人の通路を塞ぐから、塞がないように\ruby{除}{ヨ}けなさい)。 ア⸢ラキ⸣ミチ パ⸢ラッツァイ ベー⸣ティバ パ⸢ラッツァイル ムノー⸣ マ⸢ダカ⸣シ [ʔa⸢raki⸣miʧi pa⸢ratʦai beː⸣tiba pa⸢ratʦairu munoː⸣ ma⸢daka⸣ʃi] (通路を塞いでいるというから、塞いでいる物はよけ<除け>なさい)。 パ⸢ラッツァイレー⸣ ミサムヌ [pa⸢ratʦaireː⸣ misamunu] (通路を塞げば良いのに)。 ⸣クマー パ⸢ラッツァイリ [⸣kumaː pa⸢ratʦairi] (ここは通路を\ruby{塞}{フサ}げよ) 13727 0 0 13423 htmvoc_13727.wav パラッツァウン パ⸢ラッツァウン [pa⸢ratʦauŋ] 他動 行く手を塞ぐ。通せんぼうる。通路を塞ぐ。 ⸣ティー パ⸢タッカリティ⸣ パ⸢ラッツァウンティ スンドゥ⸣ パ⸢ラッツァーララヌ [⸣tiː pḁ⸢takkariti⸣ pa⸢ratʦaunti sundu⸣ pa⸢ratʦaːraranu] (両手を広げて道を塞ごうとするが、塞がれない)。 パ⸢ラッツァイ⸣ ミサカー パ⸢ラッツァウ⸣ クトー ⸣ナルン [pa⸢ratʦai⸣ misakaː pa⸢ratʦau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (塞いでよければ塞ぐことは出来る)。 パ⸢ラッツァイヤー⸣ ミサムヌ [pa⸢ratʦaijaː⸣ misamunu] (塞げばいいのに)。 ⸢パー⸣ク パ⸢ラッツァイ⸣バ [⸢paː⸣ku pa⸢ratʦai⸣ba] (早く塞げよ) 13744 0 0 13424 htmvoc_13744.wav バラヌギ バ⸢ラ⸣ヌギ [ba⸢ra⸣nugi] 名 カツオの骨抜き作業。「バラ(\ruby{荊棘}{バ|ラ})抜き」の義。標準語からの借用語の転訛。煮上がったカツオのパ⸢ラチ⸣ブニ[pa⸢raʧi⸣buni](あばら骨)やその他の骨を抜き取る作業。薄いブリキ板を幅約1、5センチ、長さ約20センチに切って折り曲げ、ピンセットに仕上げ、それを手伝いの女性たちが片手に持って、丁寧にバラヌキの作業をおこなった。 バ⸢ラ⸣ヌゲー ⸢ピーヨー⸣ヌ ミ⸢ドゥムンケーヌ⸣ル ⸣ユー ⸢シーヨーッ⸣タ [ba⸢ra⸣nugeː ⸢piːjoː⸣nu mi⸢dumuŋkeːnu⸣ru ⸣juː ⸢ʃiːjoːt⸣ta] (バラ<荊棘>抜き作業は、よく日雇の女性たちがしておられた) 13745 0 0 13425 htmvoc_13745.wav バラバラ バ⸢ラバラ [ba⸢rabara] 副 ばらばら。一体であるべきものが離れ離れになるさま。散り散りになるさま。 ウ⸢トゥ⸣ザンケー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ ウ⸢キ⸣ナー ⸣パリ バ⸢ラバラ⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢tuʣaŋkeː⸣ja muː⸢ru⸣ ʔu⸢ki⸣naː ⸣pari ba⸢rabara⸣ nari⸢naː⸣nu] (親戚たちは皆沖縄へ行ってしまって散り散りになってしまった) 13746 0 0 13426 htmvoc_13746.wav パラパラ パ⸢ラパラ [pa⸢rapara] 副 大粒の雨が降ってトタン屋根や軒をたたきつけるさま。または音。 ウ⸢ブシジ⸣ヌ ア⸢ミ⸣ヌ パ⸢ラパラ⸣シ ⸣フイ ⸢クー⸣ター ン⸢ガマサ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シン シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢buʃiʤi⸣nu ʔa⸢mi⸣nu pa⸢rapara⸣ʃi ɸui⸢kuː⸣taː ŋ⸢gamasa⸣nu pa⸢na⸣ʃin si̥⸢karanu] (大粒の雨がぱらぱらと降ってきたので、うるさくて話も聞こえない) 13747 0 0 13427 htmvoc_13747.wav パラバン パ⸢ラ⸣バン [pa⸢ra⸣baŋ] 連 行っても。自動詞⸣パルン[⸣paruŋ](行く)の未然形に接続助詞⸣バ[⸣ba](~ば{EOS}~たら{EOS}仮定の順接条件)が付き、それに係助詞⸣ン[ŋ](も{EOS}追加)の下接したもの。普通は活用語の終止形で結ぶ。 ⸢ワー⸣ パ⸢ラ⸣バン ⸣ミサン [⸢waː⸣ pa⸢ra⸣bam ⸣misaŋ] (君は行ってもいい) 13728 0 0 13428 htmvoc_13728.wav バラビ バ⸢ラ⸣ビ [ba⸢ra⸣bi] 名 (植)ワラビ。 バ⸢ラ⸣ベー ⸢パイタ⸣ナール ⸢ゴー⸣ラー ⸣ムイ ⸢ブー [ba⸢ra⸣beː ⸢paita⸣naːru ⸢goː⸣raː ⸣mui ⸢buː] (ワラビは西表島に多く生えている) 13729 0 0 13429 htmvoc_13729.wav バラフタ バ⸢ラフ⸣タ [ba⸢raɸu̥⸣ta] 名 稲わら。バ⸢ラフ⸣タジナ[ba⸢raɸu̥⸣taʤina](藁縄)、バ⸢ラフ⸣タフチ[ba⸢raɸu̥⸣taɸu̥ʧi](稲わらで作った\ruby{SqBr}g{/SqBr}{草鞋}{ワラジ}{EOS}藁靴)、バ⸢ラフ⸣タポーキ[ba⸢raɸu̥⸣tapoːki](藁製の箒)がある。 バ⸢ラフ⸣タジナー イッ⸢ケナ⸣ シゥ⸢カイミチヌ⸣ アン [ba⸢raɸu̥⸣taʤinaː ʔik⸢kena⸣ sï̥⸢kaimiʧinu⸣ ʔaŋ] (藁縄は非常に用途が広い<使い道がある>)。 ニ⸢ブ⸣コー バ⸢ラフ⸣タシル フ⸢モーッ⸣タ [ni⸢bu⸣koː ba⸢raɸu̥⸣taʃiru ɸu⸢moːt⸣ta] (いなばきむしろ<稲掃き筵>は稲わらで編まれた) 13730 0 0 13430 htmvoc_13730.wav バラフタジナ バ⸢ラフ⸣タジナ [ba⸢raɸu̥⸣taʤina] 名 藁縄。稲わらで綯った綱で、農業にも漁業にも用途が広い。「藁綱」の義。昭和38年頃までは稲作が盛んに行われていたので、稲藁も豊富にあった。 バ⸢ラフ⸣タジナシル ⸣ガヤヤーヌ ⸢ヤーフキ⸣ジナン ⸢ソー⸣リ ⸢アウ⸣ダン ニ⸢ブ⸣クン ウ⸢リ⸣シル フ⸢モーッタ⸣ル [ba⸢raɸu̥⸣taʤinaʃiru ⸣gajajaːnu ⸢jaːɸuki⸣ʤinan ⸢soː⸣ri ⸢ʔau⸣dan ni⸢bu⸣kuŋ ʔu⸢ri⸣ʃiru ɸu⸢moːtta⸣ru] (藁綱で茅葺家の屋根葺き綱にもされ、\ruby{畚}{モッコ}も\ruby{稲掃筵}{イナ|バキ|ムシロ}もそれで編まれたものだ) 13731 0 0 13431 htmvoc_13731.wav バラフタッスン バ⸢ラフ⸣タッスン [ba⸢raɸu̥⸣tassuŋ] 名 わらづつみ(藁包み)。わらづと(藁苞)。約20本ほどの藁束の中に鶏卵を数個並べて  包み、鶏卵の横を藁で軽く結わえて藁包みが崩れないように編みあげ、持ち運びできるようにしたもの。 ⸢コーマ⸣ヌ バ⸢ラフ⸣タッスンマ イ⸢サンケーヌ⸣ シトゥ ⸢ヤッタ [⸢koːma⸣nu ba⸢raɸu̥⸣tassumma ʔi⸢saŋkeːnu⸣ ʃi̥tu ⸢jatta] (卵の藁包みは石垣への土産<つと{EOS}苞>であった) 13732 0 0 13432 htmvoc_13732.wav バラフタヌシン バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸣シン [ba⸢raɸu̥ta⸣nu ⸣ʃiŋ] 連 藁の芯。わらしべ。 バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸣シンシ ウ⸢チポーキン⸣ ス⸢クル⸣タン [ba⸢raɸu̥ta⸣nu ⸣ʃiŋʃi ʔu⸢ʧipoːkin⸣ su̥⸢kuru⸣taŋ] (藁の芯<わらしべ>で内箒<座敷箒>も作った) 13733 0 0 13433 htmvoc_13733.wav バラフタピー バ⸢ラフ⸣タピー [ba⸢raɸu̥⸣tapiː] 名 「稲藁火」の義。お盆の初日の精霊迎えに焚く稲藁の火。祖霊を各家に迎え入れるために藁束の先を丸めて縛り、その中におきび<熾>をいれてくすぶら<燻>せる。それを門の西側に置く。できるだけ煙が多く出るようにした。この煙を伝って先祖が下りてくると伝えられている。 ウ⸢ヤ⸣プソー バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸢ピー⸣バ ⸢モーシティル⸣ ン⸢カイヨー⸣ル [ʔu⸢ja⸣pu̥soː ba⸢raɸu̥ta⸣nu ⸢piː⸣ba ⸢moːʃi̥tiru⸣ ʔŋ⸢kaijoː⸣ru] (先祖は稲藁の火を焚いてお迎えするのだ)。今は線香で迎える 13734 0 0 13434 htmvoc_13734.wav バラフタフクビ バ⸢ラフ⸣タフクビ [ba⸢raɸu̥⸣taɸu̥kubi] 名 藁縄の帯。百姓や漁師は藁縄で帯をしながら働いた。 ⸢ターパタ⸣キ ⸢スー⸣ ピンマー バ⸢ラフ⸣タジナシル フ⸢ク⸣ベー ⸢シェー⸣ティル パ⸢タラクタル カーフク⸣ベー ⸢サンシェン [⸢taːpḁta⸣ki ⸢suː⸣ pimmaː ba⸢raɸu̥⸣taʤinaʃiru ɸu̥⸢ku⸣beː ⸢ʃeː⸣tiru pḁ⸢tarakutaru kaːɸu̥ku⸣beː ⸢saŋʃeŋ] (田畑を耕す<田畑をする>時は藁縄を帯びにして働いたものだ{EOS}皮帯はしなかった) 13735 0 0 13435 htmvoc_13735.wav バラフタフチ バ⸢ラフ⸣タフチ [ba⸢raɸu̥⸣taɸu̥ʧi] 名 藁製の草鞋。「\ruby{藁靴}{ワラ|クツ}」の転訛したもの。 バ⸢ラフ⸣タフチェー ⸢ヨーン⸣ダ ⸢フンシケーラ⸣ ナ⸢カウー⸣ル⸢バー⸣キ タ⸢ク⸣トゥリン ⸣パル ⸣ブソー ⸣フチェー フ⸢タックミ⸣ ムティ パ⸢リ⸣シタ [ba⸢raɸu̥⸣taɸu̥ʧeː ⸢joː⸣nda ⸢ɸuŋʃi̥keːra⸣ na⸢kaʔuː⸣ru ⸢baː⸣ki tḁ⸢ku⸣turim ⸣paru ⸣busoː ⸣ɸu̥ʧeː ɸu̥⸢takkumi⸣ muti pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (藁製の草鞋は弱いから、フンシキからナカウール辺りまで蛸漁<蛸獲り>に行く場合は、草鞋は二足<2組>持って行った) 13736 0 0 13436 htmvoc_13736.wav バラフタポーキ バ⸢ラフ⸣タポーキ [ba⸢raɸu̥⸣tapoːki] 名 わらぼうき(藁箒)。藁しべで作った室内用の箒。稲藁の芯を抜いて直径約1センチに束ねたものを扇形に編み上げて作る箒。編み上げる縄はア⸢ダナ⸣シユール[ʔa⸢dana⸣ʃijuːru](アダンの気根の繊維を\ruby{縒}{ヨ}って\ruby{綯}{ナ}った縄{EOS}「アダン\ruby{縒}{ヨ}り」の義)を使用する。 バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸣シンシル ⸢ザシキポー⸣ケー ス⸢ク⸣ローッタル [ba⸢raɸu̥ta⸣nu ⸣ʃiŋʃiru ⸢ʣaʃi̥kipoː⸣keː su̥⸢ku⸣roːttaru] (藁の芯で<ぞ>座敷箒は作られたものだ) 13748 0 0 13437 htmvoc_13748.wav パラン ⸣パラン [⸣paraŋ] 助数 家畜などのお産の回数を数える助数詞。「孕み」の転訛したものか。 オー⸣ヤ プ⸢ス⸣パランシ ⸢トゥッカラナー⸣ ッ⸢ふァ⸣ ナスン [⸢ʔoː⸣ja pu̥⸢su⸣paraŋʃi ⸢tukkaranaː⸣ f⸢fa⸣ nasuŋ] (豚は一回の妊娠<一孕み>で十匹子豚を産む) 13749 0 0 13438 htmvoc_13749.wav パランカーナラヌ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢ŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] 連 行かなければならない。「行くこと」の必要条件を表す。 ⸢クン⸣ドー ⸢ワー⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kun⸣doː ⸢waː⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (今度は君が行かなくてならない) 13750 0 0 13439 htmvoc_13750.wav パランタンティン パ⸢ラン⸣タンティン [pa⸢ran⸣tantiŋ] 連 行かなくても。 ⸢ワー⸣ パ⸢ラン⸣タンティン ⸣ミサン [⸢waː⸣ pa⸢ran⸣tantim misaŋ] (君は行かなくても良い) 13751 0 0 13440 htmvoc_13751.wav パランパー パ⸢ラン⸣パー [pa⸢ram⸣paː] 連 行くのを嫌がること。自動詞⸣パルン[⸣paʔruŋ](行く)の未然形に、感動詞⸢ン⸣パ[ʔmpa](嫌だ)が下接して形成された連語表現。⸢ン⸣パ[⸢ʔm⸣pa](嫌だ)は、いろいろな動作動詞の未然形に付く。 パ⸢ラン⸣パー ⸢スー⸣ プ⸢スバ⸣ ヌンティ シー⸢ティ⸣ パ⸢ラ⸣スンティ ⸢アーク⸣ワ [pa⸢ram⸣paː ⸢suː⸣ pu̥⸢suba⸣ nunti ʃiː⸢ti⸣ pa⸢ra⸣sunti ⸢ʔaːku⸣wa] (行きたがらない者<行くのを嫌がる人>を何故に強いて行かせようとするのか) 13752 0 0 13441 htmvoc_13752.wav バリ バ⸢リ [bari] 名 谷間。谷。 ヤ⸢マ⸣ヌ バ⸢リ⸣ナー ⸢キー⸣ヤ ⸣キシ ウ⸢タ⸣シ [ja⸢ma⸣nu ba⸢ri⸣naː ⸢kiː⸣ja ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ta⸣ʃi] (谷間に木材は伐って落としなさい) 13753 0 0 13442 htmvoc_13753.wav バリ バ⸢リ [ba⸢ri] 名 かけら。破片。「割れたもの」。動詞バ⸢ルン[bar⸢uŋ](割る)の連用形から転生した名詞。 カ⸢ミ⸣ヌ バ⸢リ [ka⸢mi⸣nu ba⸢ri] (甕の破片)。 ク⸢ビン⸣ヌ バ⸢リ [ku⸢bin⸣nu ba⸢ri] (瓶の破片)。 マ⸢カル⸣ヌ バ⸢リ [ma⸢karu⸣nu ba⸢ri] (お椀の破片)。 ⸢カーラ⸣ヌ バ⸢リ [⸢kaːra⸣nu ba⸢ri] (瓦の破片) 13754 0 0 13443 htmvoc_13754.wav バリアティ バ⸢リア⸣ティ [ba⸢riʔa⸣ti] 名 割り当て。 ⸢ヤーカージ⸣ヌ バ⸢リア⸣テー ⸢ギューサ⸣ナ ア⸢タルワ [⸢jaːkaːʤi⸣nu ba⸢riʔa⸣teː ⸢gjuːsa⸣naː ʔa⸢taruwa] (各家への割り当て額はいくらずつになるか<当るか>) 13755 0 0 13444 htmvoc_13755.wav バリアティルン バ⸢リアティ⸣ルン [ba⸢riʔati⸣ruŋ] 他動 割り当てる。配分する。割り振る。 ユ⸢ヌスク⸣ナー バ⸢リアティ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ アイヤー バ⸢リアティララ⸣ヌ [ju⸢nusu̥ku⸣naː ba⸢riʔati⸣runti ⸢sundu⸣ ʔaijaː ba⸢riʔatirara⸣nu] (同額ずつ割り当てようとするが、そうは割り当てられない)。 バ⸢リア⸣ティ ⸣ミサカー バ⸢リアティ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ba⸢riʔa⸣ti misakaː ba⸢riʔati⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (割り当ててよければ、割り当てることはできる)。 ⸢マータキナー⸣ バ⸢リアティ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maːtakinaː⸣ ba⸢riaʔti⸣reː ⸣misamunu] (等しく<同額に>割り当てれば良いのに)。 ムー⸢ル⸣ニ バ⸢リアティ⸣リ [muː⸢ru⸣ni ba⸢riʔati⸣ri] (全員に割り当てなさい) 13756 0 0 13445 htmvoc_13756.wav バリアトゥン バ⸢リ⸣アトゥン [ba⸢ri⸣ʔatuŋ] 他動 割り当てる。「わりあつ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ⸢マータキナー⸣ バ⸢リア⸣トゥンティ ⸢スンドゥ⸣ バ⸢リアタラ⸣ヌ [⸢maːtakinaː⸣ ba⸢riʔa⸣tunti ⸢sundu⸣ ba⸢riʔatara⸣nu] (同じように割り当てようとするが、割り当てられない)。 ク⸢ビ⸣ナー バ⸢リア⸣ティ ⸣ミサカー バ⸢リア⸣トゥ ⸣クトー ⸣ナルン [ku⸢bi⸣naː ba⸢riʔa⸣ti ⸣misakaː ba⸢ri⸣ʔatu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (これくらいずつ割り当ててよければ割り当てることは出来る)。 ⸢パー⸣ク バ⸢リア⸣テー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ba⸢riʔa⸣teː ⸣misamunu] (早く割り当てればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ バ⸢リア⸣ティ [jaː⸢dim⸣ ba⸢riʔa⸣ti] (必ず割り当てよ) 13757 0 0 13446 htmvoc_13757.wav パリアン パ⸢リアン [pa⸢riʔaŋ] 名 張り網漁法。また、その漁に用いる網。魚の通り道に網を張っておいて漁獲する漁法の網。フ⸢クル⸣アン[ɸu̥⸢kuru⸣ʔaŋ](袋網)、ス⸢クアン[su̥⸢kuʔaŋ](底網)、⸣キタアン[⸣ki̥taʔaŋ](桁網{EOS}袖網)、ヤ⸢シ⸣ミアン[ja⸢ʃi⸣miʔaŋ](八十目網)、ム⸢ジ⸣アン[mu⸢ʤi⸣ʔaŋ](目の細い網)などがある。 ヤ⸢シ⸣ミーアンバ パ⸢リアン⸣ シ⸢ティ⸣ イ⸢ズ⸣ ガ⸢ラ⸣スン [ja⸢ʃi⸣miːʔamba pa⸢riaŋ⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔi⸢ʣu⸣ ga⸢ra⸣ʃi] (八十目網を魚の通り道に張り網しておいて魚を引っ掛けて漁獲しなさい) 13758 0 0 13447 htmvoc_13758.wav バリイン バ⸢リイン [ba⸢riʔiŋ] 名 割り印。標準語の「割り印」から転訛したもの。 ヤ⸢クバ⸣ヌ ⸢クシキ⸣ボーナー バ⸢リインヌ⸣ シゥ⸢カリ ブー [ja⸢kuba⸣nu ⸢kuʃi̥ki⸣boːnaː ba⸢riʔinnu⸣ sï̥⸢kari buː] (役場の戸籍簿には割り印が押され<突かれ>ている) 13759 0 0 13448 htmvoc_13759.wav パリカビ パ⸢リカビ [pa⸢rikabi] 名 貼り紙。広告。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢リカビ⸣ナー ⸣ヌーティル カ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ワ ⸣ユミ⸢ミー [ku⸢nu⸣ pa⸢rikabi⸣naː ⸣nuːtiru kḁ⸢ka⸣ri ⸢beː⸣wa ⸣jumi⸢miː] (この貼り紙には何と書かれているか{EOS}読んでごらん) 13761 0 1 13449 htmvoc_13761.wav バリカミ バ⸢リカミ [ba⸢rikami] 名 {Mn_1}割れ甕。 バ⸢リカミ⸣ナー ミ⸢ジ⸣ イ⸢リティ ヌー⸣スワ [ba⸢rikami⸣naː mi⸢ʤi⸣ ʔi⸢riti nuː⸣suwa] (割れ甕に水を入れえてどうするのか)。 13761 0 2 13450 htmvoc_13761.wav バリカミ バ⸢リカミ [ba⸢rikami] 名 {Mn_2}底なしの大酒飲み。 ウ⸢レー⸣ バ⸢リカミ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ ヌ⸢マサ⸣バン タ⸢ラーヌ [ʔu⸢reː⸣ ba⸢rikami⸣ ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ nu⸢masa⸣ban ta⸢raːnu] (彼は底なしの大酒飲み<割れ甕>だから、いくら飲ませても足りない) 13762 0 0 13451 htmvoc_13762.wav パリキスン パ⸢リキスン [pa⸢rikisuŋ] 他動 張ってしまう。張り尽くす。すべて張り終わる。他動詞パ⸢ルン[pa⸢ruŋ](張る)の連用形に、接尾語化した⸣キスン[⸣ki̥suŋ](~切る{EOS}~尽くす{EOS}~終える)が付いた形。 ⸣キューズーナ パ⸢リキスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ パ⸢リキサラン⸣パジ [⸣kjuːʣuːna pa⸢rikisunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du pa⸢rikisaram⸣ paʤi] (今日中に張り尽くそうと思うが、張り尽くされないはずだ)。 キサー⸢ティ⸣ パ⸢リキシ ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ pa⸢rikiʃi naː⸣nu] (すでに張りつくしてしまった)。 ア⸢ツァバー⸣キナ パ⸢リキス⸣ クトゥ [ʔa⸢ʦabaː⸣kina pa⸢rikisu⸣ ku̥tu] (明日までに張り尽くすこと)。 パ⸢リキシェー⸣ ミサムヌ [pa⸢rikiʃeː⸣ misamunu] (張り尽くせばいいのに)。 ⸢⸢パー⸣ク パ⸢リキシ⸣バ [⸢paː⸣ku pa⸢rikiʃi⸣ba] (早く張りつくしなさいよ) 13760 0 0 13452 htmvoc_13760.wav バリクー バ⸢リクー [ba⸢rikuː] 名 「割り粉」の義。一晩米を水に浸けた後、十分水を切ってから⸢シッキ⸣ウシ[⸢ʃikki⸣ʔuʃi](搗き臼)にいれ、杵で搗いて粉にしたもの。ピ⸢キクー[pi̥⸢kikuː](石臼で挽いた麦粉)の対語。ピキクーに比して粒子が粗い。餅作りの際に⸢ソー⸣キ[⸢soː⸣ki](竹で編んだ浅い笊{EOS}⸢\ruby{笊笥}{ザル|ケ}<ソーケ>」の義)に散布しておいて、餅にまぶす<塗す>のに用いる。バ⸢リクーを作ることを、⸢クー⸣ バルン[⸢kuː⸣ baruŋ](粉を割る)という。 バ⸢リクーヌ ナーン⸣カー ム⸢チェー⸣ ス⸢クララ⸣ヌ [ba⸢rikuːnu naːŋ⸣kaː mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢kurara⸣nu] (割り粉がないと餅は作られない) 13763 0 0 13453 htmvoc_13763.wav バリザン バ⸢リ⸣ザン [ba⸢ri⸣ʣaŋ] 名 割り算。 ユ⸢タール⸣シェー ⸢ギューサ⸣ナ ア⸢タル⸣ユー バ⸢リ⸣ザン ⸢シー⸠ミー [ju⸢taːru⸣ʃeː ⸢gjuːsa⸣na ʔa⸢taru⸣juː ba⸢ri⸣ʣaŋ ⸢ʃiː⸠miː] (四人ではいくらずつになるか、割り算をしてごらん) 13765 0 0 13454 htmvoc_13765.wav パリスギルン パ⸢リスギ⸣ルン [pa⸢risugi⸣ruŋ] 自動 行き過ぎる。通り過ぎる。ある地点を通り過ぎる。 ⸢ヨーンナー⸣ パ⸢ラサン⸣カー パ⸢リスギ⸣ルン⸢ダー [⸢joːnnaː⸣ pa⸢rasaŋ⸣kaː pa⸢risugi⸣run⸢daː] (ゆっくり運転しないと<走らさないと>通り過ぎるよ) 13766 0 0 13455 htmvoc_13766.wav パリスグスン パ⸢リスグ⸣スン [pa⸢risugu⸣suŋ] 他動 行き過ごす。通り過ごす。ある地点を通り過ごす。「走り・過ごす」の転訛したもの。若年層は、糸満方言の影響を受けて、⸢ハイクヮー⸣スン[⸢haikwaː⸣suŋ](行き過ぎる)ともいう。 ウ⸢マ⸣ヌ ⸣トン パ⸢リスグ⸣スンケン ⸢キー⸣ シゥ⸢カン⸣シェンサー [ʔu⸢ma⸣nu ⸣tom pa⸢risugu⸣suŋkeŋ ⸢kiː⸣ si̥⸢kaŋ⸣ʃensaː] (そこ<その所>を通り過ぎるまで気づかなかったよ) 13767 0 0 13456 htmvoc_13767.wav パリタク パ⸢リタク [pa⸢ritaku] 名 日干し乾燥した蛸。大型の蛸の手を裂いて竹串で張り拡げ、太陽に干して乾燥させたもの。三、四日ほど日干しすると長期保存できる乾物に仕上がる。「張り蛸」の義。これを調理の前に数時間水に浸けてもどし、祝儀用には食紅で着色してア⸢ガタク[ʔa⸢gataku](赤蛸)に調理し、法事用には着色しないで調理した。 パ⸢リタコー⸣ ミ⸢ジ⸣ナー ム⸢ドゥ⸣シティ ス⸢ミクー⸣シ ス⸢ミティ⸣ シ⸢ミ⸣ムヌ ス⸢コーリ⸣バ [pa⸢ritakoː⸣ mi⸢ʤi⸣naː mu⸢du⸣ʃi̥ti su⸢mikuː⸣ʃi su⸢miti⸣ ʃi⸢mi⸣munu su̥⸢koːri⸣ba] (張り蛸は水に浸けてもどし、食紅<染め粉>で染めて煮しめものを準備しなさいよ) 13768 0 0 13457 htmvoc_13768.wav パリダケーナーヌ パ⸢リ⸣ダケー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢ri⸣dakeː ⸢naː⸣nu] 連 行けそうにない。行ける状態にない。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マリティ キュー⸣ヤ(ワ) ⸢バン⸣マー パ⸢リ⸣ダケー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢mariti kjuː⸣ja(wa) ⸢bam⸣maː pa⸢ri⸣dakeː ⸢naː⸣nu] (風邪をひいて<風邪・鼻付きに塗られて>今日は、私には行けそうにない) 13769 0 0 13458 htmvoc_13769.wav バリタムヌ バ⸢リタムヌ [ba⸢ritamunu] 名 生木を長さ約30センチに切り、斧で割り裂き、日干しにした燃料の薪。「割り薪」の義。 バ⸢リタムノー⸣ タ⸢ムヌ⸣ダナナー シ⸢ミティ⸣ カ⸢マチヌ ピー⸣ヌ ⸣イキシ ⸢カーラカシティ⸣ ッ⸢サーラ⸣ラー ⸣ヌイティ ⸢モーソーッ⸣タ [ba⸢ritamunoː⸣ ta⸢munu⸣dananaː ʃi⸢miti⸣ ka⸢maʧinu piː⸣nu ⸣ʔikiʃi ⸢kaːrakaʃi̥ti⸣ s⸢saːra⸣raː ⸣nuiti ⸢moːsoːt⸣ta] (割り薪は薪棚に積んで竈の火勢で乾かし<乾燥させ>て、積んである薪の下の方から抜き取って燃やされた) 13770 0 0 13459 htmvoc_13770.wav パリッサールン パ⸢リッサールン [pa⸢rissaːruŋ] 自動 胸が張り裂ける。張り詰まる。「張り塞がる」の義。{⸢ンーニ[⸢ʔnːni](胸)や⸣キム[⸣kimu](心)等に続いて、⸢ンーニヌ⸣ パ⸢リッサールン⸣ケン ム⸢ヌ⸣バ ウ⸢ムイ⸣ル ナ⸢キベー [⸢ʔnːninu⸣ pa⸢rissaːruŋ⸣kem mu⸢nu⸣ba ʔu⸢mui⸣ru na⸢kibeː](胸が張り裂けるほど悲しんで<思い悩んで>泣いている)}。 ⸢ンーネー⸣ パ⸢リッサーリティ⸣ ムネー イ⸢ザラヌ [⸢ʔnːneː⸣ pa⸢rissaːriti⸣ muneː ʔi⸢ʣaranu] (胸が張りつめて、ものが言えない) 13775 0 0 13460 htmvoc_13775.wav バリッツァースン バ⸢リッツァースン [ba⸢ritʦaːsuŋ] 他動 粉々にわる。散々に割る。「割り散らす」の義。普通は、⸢バッツァースン[⸢batʦaːsuŋ](粉々に割る)という。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ⸣ヌーンクイン ⸢ナン⸣ギ バ⸢リッツァースンドゥ キュー⸣ヤ<キュー⸣ワ> バ⸢リッツァーサンワーン⸣ノー [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ⸣nuːŋkuin ⸢naŋ⸣gi ba⸢ritʦaːsundu kjuː⸣ja ba⸢ritʦaːsaŋwaːn⸣noː] (怒ったら何でもかんでも投げてつけて粉々に割るが、今日は粉々に割らないではないか)。 バ⸢リッツァーシ⸣ ミサカー バ⸢リッツァース⸣クトー ⸣ナルン [ba⸢ritʦaːʃi⸣ misakaː ba⸢ritʦaːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (粉々に割ってよければ粉々に割ることはできる)。 バ⸢リッツァーシェー⸣ ミサムヌ [ba⸢ritʦaːʃeː⸣ misamunu] (粉々に割ればいいのに)。 ⸣カイブ ⸣ムノー バ⸢リッツァーシ [⸣kaibu ⸣munoː ba⸢ritʦaːʃi] (こんなものは粉々に割ってしまえ<割れ>) 13774 0 0 13461 htmvoc_13774.wav パリッツァースン パ⸢リッツァー⸣スン [pa⸢ritʦaː⸣suŋ] 自動 走りまくる。「走り散らす」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸢ウイックナーバ シール⸣ パ⸢リッツァー⸣シ ア⸢サブタル [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸢ʔuikkunaːba ʃiːru⸣ pa⸢ritʦaː⸣ʃi ʔa⸢sabutaru] (子供たちは追いかけっこをしながら遊んだものだ) 13776 0 0 13462 htmvoc_13776.wav パリドゥシラリル パ⸢リ⸣ドゥ シ⸢ラリル [pa⸢ri⸣du ʃi⸢rariru] 連 行かなければならない。「行きぞされる」の転訛したもの。係助詞ドゥ[du](ぞ)は、ぞんざいに発音すると、ル[ru](ぞ)ともいう。係助詞ドゥ[du]は種々の語に下接して強調の意味を添え、下にかかって連体形で結ぶ文節と呼応の関係をつくる。 ⸣ヨイナー ⸢バン⸣ヌン パ⸢リ⸣ドゥ(ル) シ⸢ラリル⸣ ナー⸢イヤ⸣ ブ⸢ララヌ [⸣joinaː ⸢ban⸣num pa⸢ri⸣du ʃi⸢rariru⸣ naː⸢ija⸣ bu⸢raranu] (お祝いには私も行かなければならない<行きぞされる>{EOS}黙ってはおられない<無為にはおれない{EOS}行ってこそ義理が果たせるというものだ>) 13777 0 0 13463 htmvoc_13777.wav バリナビ バ⸢リナビ [ba⸢rinabi] 名 割れ鍋。 バ⸢リナビン⸣ シゥ⸢カイミチェー⸣ アン [ba⸢rinabin⸣ sï⸢kaimiʧeː⸣ ʔaŋ] (割れ鍋も用途<使い道>はある) 13778 0 0 13464 htmvoc_13778.wav パリヌブリ パ⸢リヌブ⸣リ [pa⸢rinubu⸣ri] 連 駆け上って。走り上って。歌謡語。パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pa⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡<鳩間節>)の第一連の歌詞。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌ シタニ パリヌブリ ハイヤヨー ティーバ カイダキ ティトゥユル テンヨー マサティ ミグトゥ/(鳩間中岡に駆け上ってみると、蒲葵の下に駆け上ってみると、南の方は、美しい古見の山々が手に取るように実に見事な眺望である)『鳩間島古典民謡古謡集』 13779 0 0 13465 htmvoc_13779.wav バリパク バ⸢リパク [ba⸢ripaku] 名 割れた箱。ヤ⸢リ⸣パク[ja⸢ri⸣paku](破れた箱)ともいう。 バ⸢リパクヌ⸣ イ⸢ツァ⸣ヌ シゥ⸢カーリ ムノー⸣ トゥリクーバ [ba⸢ripakunu⸣ ʔi⸢ʦa⸣nu sï̥⸢kaːri munoː⸣ turikuːba] (割れた箱の板の使えるものは取ってきなさい) 13780 0 0 13466 htmvoc_13780.wav パリパルン ⸣パリ ⸣パルン [⸣pari ⸣paruŋ] 連 走って行く。 ッ⸢ふァヌ⸣ シ⸢ビ ウイ⸣ パリ パ⸢ルン⸣ドゥ シ⸢ビ ウイユーサヌ [f⸢fanu⸣ ʃi⸢bi ʔui⸣ pari pa⸢run⸣du ʃi⸢bi ʔuijuːsanu] (子供の後を追って走って行くが、後を追うことができない) 13781 0 0 13467 htmvoc_13781.wav パリフキルン パ⸢リフキ⸣ルン [pa⸢riɸuki⸣ruŋ] 自動 逃走する。逃げ切る。逃走して行方不明になる。「行きふけ<抜け>る」の義。 ⸢マー⸣ヌマーラー パ⸢リ⸣フキ ⸢パッ⸣タンサー ウ⸢トー⸣ シ⸢キン⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢maː⸣numaːraː pa⸢ri⸣ɸu̥ki ⸢pat⸣tansaː ʔu⸢toː⸣ ʃi̥⸢kim⸣ mi⸢rara⸣nu] (どこの辺りへ逃げ切っていったのか、噂<音>も聞いたことがない)。 パ⸢リフキ⸣ルンティ シ⸢タンティン⸣ パ⸢リフキラ⸣リ ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [pa⸢riɸu̥ki⸣runti ʃi̥⸢tantim⸣ pa⸢riɸu̥kira⸣ri ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (逃げ切ると言っても逃げ切られるものではない)。 パ⸢リフキ⸣ル ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー パ⸢リフキ⸣リ [pa⸢riɸuki⸣ru ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː pa⸢riɸuki⸣ri] (逃げ切ることが出来れば逃げ切れ)。 ⸣ナルカー パ⸢リフキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣narukaː pa⸢riɸu̥ki⸣reː ⸣misamunu] (可能<出来る>なら逃げ切ればいいのに) 13782 0 0 13468 htmvoc_13782.wav パリフチ パ⸢リ⸣フチ [pa⸢ri⸣ɸuʧi] 名 行き方。帰り方。帰った時刻。 イ⸢チル パッタ⸣ユー ウ⸢リヌ⸣ パ⸢リ⸣フチ ⸢ピッ⸣チン ッ⸢サン⸣サー [ʔi⸢ʧiru pat⸣tajuː ʔu⸢rinu⸣ pa⸢ri⸣ɸu̥ʧi ⸢pit⸣ʧiŋ s⸢san⸣saː] (いつ行ったのか、彼の行き<帰り>方は全く<一つも>知らないよ) 13783 0 0 13469 htmvoc_13783.wav パリマー パ⸢リ⸣マー [pa⸢ri⸣maː] 名 雨の晴れ間。 ア⸢ミ⸣ヌ パ⸢リ⸣マー ⸣ミレーティ ⸢キン⸣マー ン⸢ザ⸣シ ⸣プシバ [ʔa⸢mi⸣nu pa⸢ri⸣maː ⸣mireːti ⸢kim⸣maː ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣pu̥ʃiba] (雨の晴れ間を見て着物は出して干しなさいよ) 13784 0 0 13470 htmvoc_13784.wav パリマーキ パ⸢リマー⸣キ [pa⸢rimaː⸣ki] 名 行くことが出来ないこと。行き兼ねるさま。接尾辞⸢マー⸣キ[⸢maː⸣ki]は、他の動詞の連用形にに付いて不可能、困難の意味を表す。能力はあるが、条件が悪くて行けないさま。 カ⸢ジヌ スー⸣ワティ ア⸢ラ⸣キ パ⸢リマー⸣キ ⸢ベー⸣ダー [ka⸢ʤinu suː⸣wati ʔa⸢ra⸣ki pa⸢rimaː⸣ki ⸢beː⸣daː] (風が強いので歩いて行きかねて<行くことが出来ないで>いるよ) 13785 0 0 13471 htmvoc_13785.wav パリマービ パ⸢リマー⸣ビ [pa⸢rimaː⸣bi] 名 行くまね。行くふり。⸢マービ[⸢maːbi](真似)は「学、マナブ、ナラフ、マネブ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸢パー⸣ク ⸣パレー サ⸢ムティ⸣ パ⸢リマー⸣ビ カー⸢ニル スー [⸢paː⸣ku ⸣pareː sa⸢muti⸣ pa⸢rimaː⸣bi kaː⸢niru suː] (早く行きはしないで、行くまねだけをする) 13792 0 0 13472 htmvoc_13792.wav パリマールン パ⸢リマー⸣ルン [pa⸢rimaː⸣ruŋ] 自動 駆け回る。駆けずり回る。駆巡る。「走り回る」の義。 ウ⸢マー⸣カマー パ⸢リマー⸣リ ⸢ミシ⸣キ ⸣クーバ [ʔu⸢maː⸣kamaː pa⸢rimaː⸣ri ⸢miʃi̥⸣ki ⸣kuːba] (あっちこっち駆けずり回って探してきなさいよ)。 パ⸢リマー⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ パ⸢リマーララ⸣ヌ [pa⸢rimaː⸣runti ʔu⸢muːn⸣du pa⸢rimaːrara⸣nu] (走り回ろうと思うが走り回られない)。 パ⸢リマー⸣ル プ⸢スンドゥ⸣ シ⸢グトー⸣ ト⸢ミラ⸣リ [pa⸢rimaː⸣ru pu̥⸢sundu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ tu⸢mira⸣ri] (走り回る人にが<ぞ>仕事は探される<~人にしか仕事は探されない>)。 ウ⸢マー⸣ンカマーン パ⸢リマー⸣レー ⸣ミササムヌ [ʔu⸢maːŋ⸣kamaːm pa⸢rimaː⸣reː ⸣misamunu] (あっちこっち走り回ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ドゥー ⸢タンガ⸣シ パ⸢リマー⸣リ [⸢maː⸣bin ⸣duː ⸢taŋga⸣ʃi pa⸢rimaː⸣ri] (もっと自分一人で走り回れ) 13793 0 0 13473 htmvoc_13793.wav バリミー バ⸢リミー [ba⸢rimiː] 名 割れ目。⸢ミー⸣バリ[⸢miː⸣bari](ひび割れ)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ サバンナー バ⸢リミーヌ⸣ アン [ku⸢nu⸣ sabannaː ba⸢rimiːnu⸣ ʔaŋ] (この茶碗には割れ目<ひび>が入っている)。 カ⸢ミ⸣ヌ バ⸢リミーラル⸣ ミ⸢ジェー⸣ ムリ ⸢ブー [ka⸢mi⸣nu ba⸢rimiːraru⸣ mi⸢ʤeː⸣ muri ⸢buː] (甕の割れ目から水は漏れている) 13787 0 0 13474 htmvoc_13787.wav バリムヌ バ⸢リムヌ [ba⸢rimunu] 名 割れ物。割れたもの。割れやすいもの。 バ⸢リムノー⸣ シゥ⸢カーランバ⸣ ムティ ⸢ギー⸣ シ⸢ティリ [ba⸢rimunoː⸣ sï̥⸢kaːramba⸣ mutu ⸢giː⸣ ʃi̥⸢tiri] (割れ物は使えないから、持っていって捨ててきなさい<捨てれ>)。 バ⸢リムヌ⸣ ヤ⸢リバ⸣ ミス⸢コーミスコー⸣シ ⸢アシゥカイ⸣ヨー [ba⸢rimunu⸣ ja⸢riba⸣ misu̥⸢koːmisu̥koː⸣ʃi ⸢ʔasi̥kai⸣joː] (壊れやすいものだから、注意深く丁寧に扱いなさいよ) 13788 0 0 13475 htmvoc_13788.wav パリムヌ パ⸢リムヌ [pa⸢rimunu] 名 はれもの(腫物)。 ム⸢ムッ⸣タラナ パ⸢リムヌヌ⸣ ンジ ⸢ベー⸣ティ シ⸢ラシフチル⸣ パ⸢リ⸣シケー [mu⸢mut⸣tarana pa⸢rimununu⸣ ʔnʤi ⸢beː⸣ti ʃi⸢raʃiɸu̥ʧiru⸣ pa⸢ri⸣ ʃi̥keː] (腿に腫物が出ているので散らし薬を貼っておいてある) 13789 0 0 13476 htmvoc_13789.wav パリヤフ パ⸢リ⸣ヤフ [pa⸢ri⸣jaɸu] 名 後厄。49歳や61歳の本厄の晴れた後の厄年。「晴れ厄」の義。若年層はハ⸢リ⸣ヤク[ha⸢ri⸣jaku](後厄)ともいう。 ク⸢トゥシェー⸣ パ⸢リ⸣ヤフ ア⸢タリブーバ⸣ タ⸢ベー パン⸣ナ⸢ヨー [ku̥⸢tuʃeː⸣ pa⸢ri⸣jaɸu ʔa⸢taribuːba⸣ ta⸢beː pan⸣na⸢joː] (今年は後厄に当っているから旅には出るなよ) 13796 0 0 13477 htmvoc_13796.wav バリルン バ⸢リルン [ba⸢riruŋ] 自動 割れる。 マ⸢カ⸣ロー ウ⸢タ⸣スカー バ⸢リルンドゥ⸣ ク⸢レー⸣ ウ⸢タシ⸣タンティン バ⸢リラヌ [ma⸢ka⸣roː ʔu⸢ta⸣sukaː ba⸢rirundu⸣ ku⸢reː⸣ ʔu⸢taʃi⸣tantim ba⸢riranu] (お碗は落とすと割れるが、これは落としても割れない)。 ウ⸢タシ⸣ター バ⸢リナー⸣ヌ [ʔu⸢taʃi̥⸣taː ba⸢rinaː⸣nu] (<誤って>落としたので割れてしまった)。 ウ⸢タ⸣スカー バ⸢リル⸣ クトゥン ⸣アン [ʔu⸢ta⸣su̥kaː ba⸢riru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (落としてら割れることもある)。 バ⸢リレー⸣ ミサムヌ [ba⸢rireː⸣ misamunu] (割れればいいのに)。 バ⸢リリバ⸣ ミサムヌ [ba⸢ririba⸣ misamunu] (割れればいいのに)。 ⸣カイブ ⸣ムノー ⸢パー⸣ク バ⸢リリ [⸣kaibu ⸣munoː ⸢paː⸣ku ba⸢riri] (こんな物は早く割れろ) 13794 0 0 13478 htmvoc_13794.wav パリルン パ⸢リ⸣ルン [pa⸢ri⸣ruŋ] 自動 晴れる。雨が上がる<止む>。 プ⸢スマバー⸣キナ ⸣アメー パ⸢リ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ダ⸣ パ⸢リラン⸣バン⸢ナー [pu̥⸢sumabaː⸣kina ⸣ʔameː pa⸢ri⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢da⸣ pa⸢riram⸣ban⸢naː] (正午までには雨は止む<晴れる>と聞いたが、まだ晴れないんだねえ)。 マ⸢ダ⸣ パ⸢リ キサン⸣ドゥ パ⸢リ⸣ル ⸣クトー マ⸢チ⸣ガイ ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢da⸣ pa⸢ri kisan⸣du pa⸢ri⸣ru ⸣kutoː ma⸢ʧi⸣gai ⸢naː⸣nu] (まだすっかり晴れては<晴れきって>ないが、晴れることは間違いない)。 プ⸢スマバー⸣キナ ⸣パレー ⸣ミサムヌ⸢ナー [pu̥⸢sumabaː⸣kina ⸣pareː ⸣misamunu⸢naː] (正午までに晴れたら良いのになあ) 13795 0 0 13479 htmvoc_13795.wav パリルン パ⸢リルン [pa⸢riruŋ] 自動 腫れる。炎症で皮膚がふくれあがる。「~瞼腫而<マナブタハレテ>~。万、3856」の転訛したものか。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸢ウー⸣ムカー アガー⸢アガー⸣シ パ⸢リルンドゥ⸣ ク⸢レー⸣ マ⸢ダ⸣ パ⸢リランバン [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸢ʔuː⸣mukaː ʔagaː⸢ʔagaː⸣ʃi pa⸢rirundu⸣ ku⸢reː⸣ ma⸢da⸣ pa⸢rirambaŋ] (お出来が化膿すると赤く腫れるが、これはまだ腫れないよ)。 パ⸢リ ベー [pa⸢ri beː] (腫れている)。 パ⸢リル⸣ ア⸢シ⸣ボー バ⸢リソーッ⸣タ [pa⸢riru⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ba⸢risoːt⸣ta] (腫れるお出来<あせも>は切開された<割られた>) 13797 0 0 13480 htmvoc_13797.wav パリンギサン パ⸢リン⸣ギサン [pa⸢riŋ⸣gisaŋ] 連 行きそうだ。動詞⸣パルン[⸣paruŋ](行く)の連用形に様態の助動詞⸣ンギサン[⸢ŋ⸣gisaŋ](~ようだ{EOS}~そうだ)の終止形が下接した形。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) イ⸢ソー⸣ パ⸢リン⸣ギサン⸢ダー [⸢kjuː⸣ja(wa) ʔi⸢soː⸣ pa⸢riŋ⸣gisan⸢daː] (今日は漁に行きそうだ<出漁しそうだ>よ) 13799 0 0 13481 htmvoc_13799.wav パリンテーナ パ⸢リンテー⸣ナ [pa⸢rinteː⸣na] 連 行きながら。二つのことが同時に進行する際の、動作の並行を表す。動詞の連用形に接続助詞⸢⸢-ンテー⸣ナ[⸢-nteː⸣na](~ながら{EOS}~つつ)の下接した形。 ⸢ガッ⸣コー パ⸢リンテー⸣ナ ティ⸢ガ⸣ミ ン⸢ザ⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸢gak⸣koː pa⸢rinteː⸣na ti⸢ga⸣mi ʔn⸢ʣa⸣ʃi f⸢fiːri] (学校へ行きながら手紙を出してくれ) 13800 0 0 13482 htmvoc_13800.wav パリンマ パ⸢リン⸣マ [pa⸢riʔm⸣ma] 名 疾走する馬。⸢走り馬」の義。 パ⸢リン⸣マー ⸢ウイシキララヌ [pa⸢riʔm⸣maː ⸢ʔuiʃi̥kiraranu] (疾走する馬は追いつけない) 13801 0 1 13483 htmvoc_13801.wav パル ⸣パル [⸣paru] 名 {Mn_1}針。縫い針。「~波里曾多麻敝流(ハリゾタマヘル)~。万、4128」の転訛したもの。⸢キンヌイ⸣パル[⸢kinnui⸣paru]ともいう。 パ⸢ル⸣ヌミー ⸣イトゥ ヌ⸢キ(⸢トゥー⸣シ) [pa⸢ru⸣numiː ⸣ʔitu nu⸢ki(⸢tuː⸣ʃi)] (針穴に糸を貫き<通し>なさい)。 13801 0 2 13484 htmvoc_13801.wav パル ⸣パル [⸣paru] 名 {Mn_2}茅葺に用いる竹製の矛。竹の先端を鋭利に削り、先端部に直径約一センチの穴を開けてシ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](締め縄)が通せるように作った竹矛。茅葺の屋根を葺く際に屋内にいるパ⸢ルシキ⸣プス[pa⸢ruʃi̥ki⸣pu̥su](竹矛を刺す人)が竹矛を屋根の上へ突き出し、屋根の上の⸢ヤーフキ⸣プス[⸢jaːɸu̥ki⸣pu̥su](屋根葺き人)からシ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](締め縄)をパ⸢ル⸣ヌミー[pa⸢ru⸣numiː](針穴)に通してもらい、それを室内へ引き抜いてタ⸢ル⸣キ[ta⸢ru⸣ki](垂木)に掛けて再度パルを屋上へ突き出して屋根葺き人へ届けるのに用いる道具。 ⸣パル ス⸢ク⸣ ピンマー ⸣ユー ⸢アイ⸣ジェー ⸢シェー⸣ティ シゥ⸢カン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [⸣paru su̥⸢ku⸣ pimmaː ⸣juː ⸢ʔai⸣ʤeː ⸢ʃeː⸣ti si̥⸢kaŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (家葺き用の竹矛を突き出す時は、よく合図をしながら突き刺さないといけないよ) 13802 0 0 13485 htmvoc_13802.wav パル ⸣パル [⸣paru] 名 羅針盤。コンパス(kompas)。明治生まれの老年層は、カ⸢ラバル[ka⸢rabaru](羅針盤{EOS}「唐針」の義か)という(加治工伊佐氏談)。カツオ漁船のブ⸢リッ⸣ジ[bu⸢rid⸣ʤi](船長室{EOS}海軍航海用語のbridge<艦橋>から転訛したもの)に設置されていた。西表島が地平線の彼方に没する遠方の⸢タイワン⸣ズニ[⸢taiwan⸣ʣuni](台湾曽根)、ナ⸢カヌ⸣スニ[na⸢kanu⸣suni](中の曽根)辺りへ出漁する際は羅針盤が必要であった。戦後鳩間島の烏賊釣りサバニ船団が夜中に風向きが変わったことに気付かず、翌朝漁から帰港する際に島とは正反対の(尖閣列島)方面へ順風に帆を孕ませて帆走し去った海難事故がある。小型のカ⸢ラバル[ka⸢rabaru](コンパス)を所持していた加治工伊佐氏がそれに気付いて、櫂を振り揚げて逆走するサバニを制止したが意思が通じず、先頭のサバニに誘導されて二十数隻のサバニが尖閣列島方向へ帆走し去ったという。その前日、北風の中をサバニを牽引して出漁していたカツオ漁船も逆走するサバニを制止できず、結局はサバニを追走する印象を船団に与えてしまったという海難事故である。加治工伊佐氏は近くにいたサバニ1隻を説得し、ジグザグ帆走でその日の午後に石垣島の川平村に辿り付く事ができ、石垣市の警察署へ捜索願いを出すことができたという。全員救助されるのに4,5日を要したといわれている。 パ⸢ル⸣ヌ ⸢ナーンタ⸣カー ⸢ヤー カイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ン ⸢ブレー⸣ル [pa⸢ru⸣nu ⸢naːn⸣takaː ⸢jaː kai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣m ⸢bureː⸣ru] (羅針盤<コンパス>が無かったら家に帰ることは出来なかったであろうよ) 13803 0 0 13486 htmvoc_13803.wav パルシキプス パ⸢ルシキ⸣プス [pa⸢ruʃi̥ki⸣pu̥su] 名 茅葺用の竹製の矛を突き刺す人。「針突き人」の義。竹矛を突き刺す人は屋上の屋根葺きと声を掛け合いながら作業を進めた。勘の鈍い人とペヤーを組むと非常に危険で、屋根葺き作業もはかどらないと言われていた。 パ⸢ルシキ⸣プソー ⸢ヤーフキプス⸣トゥ ⸢アイ⸣ジ ⸢シェー⸣ティル ⸣ヤー フ⸢カソーッ⸣タ [pa⸢ruʃi̥ki⸣pu̥soː ⸢jaːɸu̥kipu̥su⸣tu ⸢ʔai⸣ʤi ⸢ʃeː⸣tiru ⸣jaː ɸu̥⸢kasoːt⸣ta] (茅葺用の竹矛を突き刺す人は屋根葺き人と合図をしながら茅葺屋根を葺かされた) 13790 0 0 13487 htmvoc_13790.wav パルシグトゥ パ⸢ルシグ⸣トゥ [pa⸢ruʃigu⸣tu] 名 針仕事。 ヤ⸢ラビッふァーマ⸣ヌ ⸢ブー⸣ ヤーナーテー パ⸢ルシグ⸣トー ⸣ユー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ja⸢rabiffaːma⸣nu ⸢buː⸣ jaːnaːteː pa⸢ruʃigu⸣toː ⸣juː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (幼児のいる家では針仕事はよくよく気をつけなさい) 13804 0 0 13488 htmvoc_13804.wav パルシケー パ⸢ル⸣シケー [pa⸢ru⸣ʃi̥keː] 名 入れ墨。刺青。首里方言のhazici(入れ墨{EOS}「針突き」)が転訛したもの。明治生まれの女性までは、結婚後に左右の手の甲および指の背に入れ墨をする習慣があったという。 ム⸢カ⸣シプソー ミ⸢ドゥ⸣モー バ⸢カーン⸣ケン ⸣ニービキ ⸢スー⸣カー ⸢ティーヌ⸣クシナー パ⸢ル⸣シケー ⸢シーソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː mi⸢du⸣moː ba⸢kaːŋ⸣ken ⸣niːbiki ⸢suː⸣kaː tiːnu⸣kuʃinaː pa⸢ru⸣ʃi̥keː ⸢ʃiːsoːt⸣taʦoː] (昔の人は、女性は若い時に、結婚したら手の甲<手の背>に入れ墨をされたそうだ) 13791 0 0 13489 htmvoc_13791.wav パルスーブ パ⸢ルスー⸣ブ [pa⸢rusuː⸣bu] 名 かけっこ(駆けっこ)。「走り勝負」の義。 ⸢ウンドー⸣カイナー ヤー⸢ディン⸣ パ⸢ルスー⸣ボー ア⸢リ⸣ブタ [⸢ʔundoː⸣kainaː jaː⸢dim⸣ pa⸢rusuː⸣boː ʔa⸢ri⸣buta] (運動会には必ず徒歩競争はありよった)。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸣ゾーナーティ パ⸢ルスー⸣ブ ⸢シール⸣ ア⸢サブタル [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸣ʣoːnaːtiru pa⸢rusuː⸣bu ⸢ʃiːru⸣ ʔa⸢sabutaru] (子供達は門の外で駆けっこをして<ぞ>遊んだものだ) 13805 0 1 13490 htmvoc_13805.wav パルスーブ パ⸢ルスー⸣ブ [pa⸢rusuː⸣bu] 名 {Mn_1}「畑勝負」のこと。「墾・勝負」の義か。琉球国時代に農作物の出来具合を審査した村行事。鳩間島では、終戦直後までは西村と東村対抗で畑作物の増産競争が行われていて、村役人<篤農青年団>が各家の畑を実地検証してまわり、作柄を評価して発表し、順位を競ったという。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢タキ⸣ヌ ス⸢クリムヌ⸣ヌ ⸢スー⸣ブン ⸢ソーッ⸣タンツォー<⸢ソーッ⸣タンティ⸢ダー> [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢taki⸣nu su̥⸢kurimunu⸣nu ⸢suː⸣bun ⸢soːt⸣tanʦoː<⸢soːt⸣tanti⸢daː>] (昔は畑の作物の競争もされたそうだ)。 13805 0 2 13491 htmvoc_13805.wav パルスーブ パ⸢ルスー⸣ブ [pa⸢rusuː⸣bu] 名 {Mn_2}結願祭に上演される奉納芸の一つ。沖縄本島方言で独演される狂言芸能の⸣ピラ[⸣pira](箆)に続いて上演される演劇(畑勝負<農産振興競争>)のこと。 パ⸢ルスー⸣ブティ ⸢スー キョンギン⸣ヌ ⸢アッ⸣タン [pa⸢rusuː⸣buti ⸢suː kjoŋgin⸣nu ⸢ʔat⸣taŋ] (畑勝負という狂言<演劇>があった) 13806 0 0 13492 htmvoc_13806.wav パルッシ パ⸢ル⸣ッシ [pa⸢ru⸣ʃʃi] 名 針刺し。標準語からの借用語の転訛したもの。 ⸣パロー パ⸢ル⸣ッシナ ⸣ッシ シ⸢キ⸣リバ [⸣paroː pa⸢ru⸣ʃʃina ⸣ʃʃi ʃi̥⸢ki⸣riba] (針は針刺しに刺しておきなさいよ) 13807 0 0 13493 htmvoc_13807.wav パルトゥアーシ パ⸢ル⸣トゥ ⸢アーシ [pa⸢ru⸣tu ⸢ʔaːʃi] 連 行くと同時に。⸢行くのと合わせて」の義。 ⸣バー ウ⸢キ⸣ナー パ⸢ル⸣トゥ ⸢アー⸣シ ⸣シザー ヤ⸢マ⸣トー ⸢オー⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸣baː ʔu⸢ki⸣naː pa⸢ru⸣tu ⸢ʔaː⸣ʃi ⸣ʃiʣaː ja⸢ma⸣to ⸢ʔoː⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (私が沖縄へ行くと同時に<行くのに合わせて>、兄は大和<日本本土>へ行ってしまわれた) 13808 0 0 13494 htmvoc_13808.wav パルヌシチ パ⸢ル⸣ヌ ⸣シチ [pa⸢ru⸣nu ⸣ʃi̥ʧi] 連 春の季節。「春の節」の転訛したもの。老年層は、ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸣シチ[ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸣ʃi̥ʧi](初夏の季節)という 13809 0 1 13495 htmvoc_13809.wav パルヌミー パ⸢ル⸣ヌミー [pa⸢ru⸣numiː] 名 {Mn_1}縫い針の穴。「針の目」の義。 ⸢ミー⸣ヌ ⸢ムイティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ パ⸢ル⸣ヌミー ⸣イトゥ ヌ⸢キサヌ [⸢miː⸣nu ⸢muiti⸣ mut⸢tu⸣ pa⸢ru⸣numiː ⸣ʔitu nu⸢kisanu] (老眼になって、ちっとも針の孔に糸を貫き通すことが出来ない)。 13809 0 2 13496 htmvoc_13809.wav パルヌミー パ⸢ル⸣ヌミー [pa⸢ru⸣numiː] 名 {Mn_2}屋根葺き用竹矛の穴のこと。この穴にシ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](締め縄)を通して垂木に掛け、引き締めて茅葺屋根を葺く。 パ⸢ル⸣ヌ ⸣ミーナー シ⸢ミ⸣ナー ヌ⸢キティ⸣ ピ⸢キシミティル ヤー⸣ヤ フ⸢コーッ⸣タ [pa⸢ru⸣nu ⸣miːnaː ʃi⸢mi⸣naː nu⸢kiti⸣ pi̥⸢kiʃimitiru jaː⸣ja ɸu̥⸢koːt⸣ta] (竹矛の穴に締め縄を貫き通して、引き締めて<ぞ>屋根は葺かれたものだ) 13810 0 0 13497 htmvoc_13810.wav パルパク パ⸢ル⸣パク [pa⸢ru⸣paku] 名 針箱。 ⸣パロー パ⸢ルパクン⸣ ナカナー イ⸢リシキ⸣リ [⸣paroː pa⸢rupakun⸣ nakanaː ʔi⸢riʃi̥ki⸣ri] (針は針箱の中に入れておきなさい) 13811 0 0 13498 htmvoc_13811.wav パルマスン パ⸢ルマ⸣スン [pa⸢ruma⸣suŋ] 他動 孕ませる。妊娠させる。自動詞パ⸢ル⸣ムン[pa⸢ru⸣muŋ](孕む)の未然形に、使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる{EOS}~させる)が下接して形成された使役の派生動詞(使役動詞)。 ビ⸢キピビザ⸣ カ⸢リティ  ミーピビ⸣ザ パ⸢ルマ⸣スンティ ⸣シケー [bi⸢kipibiʣa⸣ ka⸢riti miːpibi⸣ʣa pa⸢ruma⸣sunti ⸣ʃi̥keː] (雄山羊を借りて雌山羊を妊娠させようとしておいてある) 13812 0 0 13499 htmvoc_13812.wav パルミバタ パ⸢ルミ⸣バタ [pa⸢rumi⸣bata] 名 妊娠している腹。妊娠中の大きなお腹。 パ⸢ルミ⸣バター ヒ⸢ヤス⸣ナティル ア⸢ゾーッ⸣タ [pa⸢rumi⸣bataː çi⸢jasu⸣natiru ʔaʣoːtta] (妊婦のお腹は冷やすなと言われたものだ) 13813 0 0 13500 htmvoc_13813.wav パルミプス パ⸢ルミ⸣プス [pa⸢rumi⸣pu̥su] 名 妊婦。「孕み人」の義。 パ⸢ルミ⸣プソー ギュー⸢サン ッふン [pa⸢rumi⸣pu̥soː gjuː⸢saŋ⸣ f⸢fuŋ] (妊婦はいくらでも食べる) 13814 0 0 13501 htmvoc_13814.wav パルミミドゥム パ⸢ルミ⸣ ミ⸢ドゥ⸣ム [pa⸢rumi⸣ mi⸢du⸣mu] 連 妊娠した女。「孕み女」の義。 チ⸢カ⸣グロー パ⸢ルミ⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸢ナン⸣ゾー ミ⸢ララン⸣サー⸢ナー [ʧi̥⸢ka⸣guroː pa⸢rumi⸣ mi⸢du⸣moː ⸢nan⸣ʣoː mi⸢raran⸣saː⸢naː] (近頃は、妊娠した女はあまり見受けられ<見られ>ないよねえ) 13815 0 0 13502 htmvoc_13815.wav パルムン パ⸢ル⸣ムン [pa⸢ru⸣muŋ] 自動 はらむ<孕>。妊娠する。「胎、博羅無<はらむ>」『日本霊異記下』の転訛。 ⸣ニービキ ⸢スー⸣カー パ⸢ルムン⸣ドゥ ク⸢ヌ ッふァー⸣ マ⸢ダ⸣ パ⸢ルマ⸣ヌ [⸣niːbiki ⸢suː⸣kaː pa⸢rumun⸣du ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ma⸢da⸣ pa⸢ruma⸣nu] (結婚すると孕むが、この子はまだ孕まない)。 パ⸢ル⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢ru⸣mi ⸢naː⸣nu] (孕んでしまった)。 パ⸢ル⸣ム プ⸢スヌ イシゥ⸣カーンダ ⸢マー⸣ビン パ⸢ル⸣メー ⸣ミサムヌ [pa⸢ru⸣mu pu̥⸢sunu ʔisï̥⸣kaːnda ⸢maː⸣bim pa⸢ru⸣meː ⸣misamunu] (孕む人が少ないから、もっと孕めば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ パ⸢ル⸣ミ⸢ヨー [jaː⸢dim⸣ pa⸢ru⸣mi⸢joː] (きっと<必ず>孕みなさいよ) 13821 1 0 13503 htmvoc_13821.wav バルン バ⸢ルン [ba⸢ruŋ] 自動 {PoS_1}割れる。 ウ⸢タ⸣スカー バ⸢ルンダ⸣ バ⸢ラン⸣ヨーニ ミス⸢コーミスコー⸣シ ⸣ムティ ⸣パリバ [ʔu⸢ta⸣su̥kaː ba⸢runda⸣ ba⸢raɲ⸣joːni misu̥⸢koːmisukoː⸣ʃi ⸣muti ⸣pariba] (落としたら割れるから、割れないように細心の注意を払って持っていけよ)。 ウ⸢タシ⸣ター バ⸢リナー⸣ヌ [ʔu⸢taʃi̥⸣taː ba⸢rinaː⸣nu] (落としたら割れてしまった)。 ク⸢レー⸣ バ⸢リヤッ⸣サンダ ⸢カウナ [ku⸢reː⸣ ba⸢rijas⸣sanda ⸢kauna] (これは割れやすいから買うな)。 サ⸢バン⸣ヌ バ⸢ル⸣ ピンマー ク⸢マキ⸣ヌ トゥ⸢ブン [sa⸢ban⸣nu ba⸢ru⸣ pimmaː ku⸢maki⸣nu tu⸢buŋ] (茶碗が割れる時は細かい破片が飛ぶ)。 ナ⸢カー⸣ラ バ⸢レー⸣ ミ サムヌ [na⸢kaː⸣ra ba⸢reː⸣ misamunu] (内部から割れたら良いのに)。 ⸢パー⸣ク バ⸢リ⸣バ [⸢paː⸣ku ba⸢ri⸣ba] (早く割れろ)。 13821 2 0 13504 htmvoc_13821.wav バルン バ⸢ルン [ba⸢ruŋ] 他動 {PoS_2}割る。「石戸破<わる> 手力もがも~。万、419」。割る。 ク⸢レー⸣ バ⸢ルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー バ⸢ラヌ [ku⸢reː⸣ ba⸢runti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ba⸢ranu] (これは割ろうと思うが、今は割らない)。 バ⸢リ⸣ミサン [ba⸢ri⸣misaŋ] (割ってもいい)。 バ⸢ル⸣クトー ⸣ナルン [ba⸢ru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (割ることは出来る)。 ク⸢レー⸣ バ⸢レー⸣ ミサムヌ [ku⸢reː⸣ ba⸢reː⸣ misamunu] (これは割ればいいのに)。 ク⸢リン⸣ バ⸢リ⸣バ [ku⸢rim⸣ ba⸢ri⸣ba] (これも割れよ)。 13821 2 3 13505 htmvoc_13821.wav バルン バ⸢ルン [ba⸢ruŋ] 他動 {Mn_3}切開する。 ア⸢シ⸣ブンドーレー パ⸢リムノー⸣ ク⸢ビン⸣ヌ バ⸢リ⸣シル バ⸢ローッ⸣タ [ʔa⸢ʃi⸣bundoːreː pa⸢rimunoː⸣ ku⸢bin⸣nu ba⸢ri⸣ʃiru ba⸢roːt⸣ta] (お出来や腫れ物などはガラス瓶の破片で切開された) 13798 0 0 13506 htmvoc_13798.wav パルン ⸣パルン [paruŋ] 自動 晴れる。⸢雨が止む」については、普通は、ヤ⸢ムン[ja⸢muŋ](止む)という。 ユ⸢ネン⸣マー ⸣アメー ⸣パルンパジ [ju⸢nem⸣maː ⸣ʔameː ⸣parumpaʤi] (夜<夕方>には雨は止む<あがる>だろう)。 ⸣アメー パ⸢リン⸣ギサン [⸣ʔameː pa⸢riŋ⸣gisaŋ] (雨は上がりそうだ<晴れそうだ>)。「~雨雲晴而 月夜さやけし。万、2227」の義。「霽、ハレ」『類聚名義抄』の転訛。 ⸣アメー ⸣パルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ パ⸢ラン⸣バン [⸣ʔameː ⸣parunti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢da⸣ pa⸢ram⸣baŋ] (雨は晴れると思ったが、まだ晴れないよ)。 ア⸢ミ⸣ヌ パ⸢ル⸣ター ⸣キムン ⸣パリティ シ⸢グトゥン シーヤッ⸣サン [ʔa⸢mi⸣nu pa⸢ru⸣taː ⸣kimum ⸣pariti ʃi⸢gutuŋ ʃiːjas⸣saŋ] (雨が晴れたので心も晴れて仕事もしやすい)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣パル ⸣ピンマー イ⸢スガ⸣サン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣paru ⸣pimmaː ʔi⸢suga⸣saŋ] (雨が晴れる時は忙しい)。 プ⸢スマバー⸣キナ ⸣パレー ⸣ミサムヌ [pu̥⸢sumabaː⸣kina ⸣pareː ⸣misamunu] (正午までに晴れればいいのに) 13816 0 0 13507 htmvoc_13816.wav パルン ⸣パルン [⸣paruŋ] 名 魚の卵。特にカツオの卵。すじこ(筋子)。「孕み」の転訛か。⸢キンパルン[⸢kimparuŋ](黄み卵)とッ⸢ス⸣パルン[s⸢su⸣paruŋ](白み卵)がある。⸢キンパルン(黄み卵)が美味である。 カ⸢ツヌ⸣ パ⸢ルン⸣マー カ⸢ラ⸣ス シ⸢キティ カーソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦunu⸣ pa⸢rum⸣maː ka⸢ra⸣su ʃi̥⸢kiti kaːsoːt⸣ta] (カツオの卵<パルン>は塩漬けにして売られた) 13818 0 0 13508 htmvoc_13818.wav パルン パ⸢ルン [pa⸢ruŋ] 他動 張る。貼る。 ピ⸢キダマ⸣ パ⸢ルンティ ベーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー パ⸢ララヌ [pi̥⸢kidama⸣ pa⸢runti beːn⸣du ⸢bam⸣maː pa⸢raranu] (凧を張ろうとしているが、私には張られない)。 ア⸢カルヌ⸣ ヤレー パ⸢リティル⸣ ソンガチェー ン⸢カイラリル [ʔa⸢karunu⸣ jareː pa⸢ritiru⸣ soŋgaʧeː ʔŋ⸢kairariru] (障子の破れを張って(貼って)<ぞ>正月は迎えられる)。 ⸢タンガ⸣シ パ⸢ル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃi pa⸢ru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (一人で張ることはできない)。 ⸣ドゥーシ パ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi pa⸢reː⸣ misamunu] (自分で張ればいいのに)。 ッ⸢ス⸣カビシ パ⸢リ⸣バ [s⸢su⸣kabiʃi pa⸢ri⸣ba] (白紙で張りなさいよ) 13819 0 0 13509 htmvoc_13819.wav パルン パ⸢ルン [pa⸢ruŋ] 自動 膨れる。乳房が腫れる。乳液で乳房がはちきれそうになる。 ⸢シー⸣ヌ パ⸢リティ アーサン⸣カー ヤ⸢ミ⸣スバン [⸢ʃiː⸣nu pa⸢riti ʔaːsaŋ⸣kaː ja⸢mi⸣subaŋ] (乳房が張って、乳液を出さ<搾乳し>ないと痛むよ)。 バ⸢タ⸣ヌ パ⸢リ ブー [⸢ta⸣nu pa⸢ri buː] (腹が張っている) 13820 0 1 13510 htmvoc_13820.wav パルン ⸣パルン [⸣paruŋ] 自動 {Mn_1}行く。「走る」が転訛し、意味派生したもの。「~苦しくあれば 出波之利<イデハシリ>~。万、899」の義。 パ⸢トゥ⸣マナカムリ パ⸢リ⸣ヌブリ [pḁ⸢tu⸣manakamuri pa⸢ri⸣nuburi] (鳩間中岡走り上り)。 ⸣パリ ⸣ミサカー ⸣キュー ⸣パルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ(ワ) パ⸢ララン⸣ツォー [⸣pari ⸣misakaː ⸣kjuː ⸣parunti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢kjuː⸣ja(wa) pa⸢raran⸣ʦoː] (行って良ければ、今日行こうと思ったが、今日は行かれないそうだ)。 ⸢バン⸣ヌン パ⸢リ⸣ プサン [⸢ban⸣num pa⸢ri⸣pu̥saŋ] (私も行きたい)。 ⸣アツァー ⸣パルクトー ナ⸢リ⸣シバ ⸢ワンヌン⸣ パレー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaʦaː ⸣paruku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ⸢wannum⸣ pareː ⸣misamunu] (明日は行くことが出来るから、君も行けばいいのに)。 ⸢ワー⸣ ヤー⸢ディン⸣ パリバ⸢ヨー [⸢waː⸣ jaː⸢dim⸣ pariba⸢joː] (君は必ず行けよねえ)。 13820 0 2 13511 htmvoc_13820.wav パルン ⸣パルン [⸣paruŋ] 自動 {Mn_2}流れる。去る。 ⸢シー⸣ パルン [⸢ʃiː⸣ paruŋ] (血が出る<流れる>)。 ⸣アシ ⸣パルン [⸣ʔaʃi ⸣paruŋ] (汗が出る<流れる>)。 ムッ⸢トゥ⸣ アシ パ⸢ラ⸣ヌ [mut⸢tu⸣ ʔaʃi pa⸢ra⸣nu] (ちっとも汗が出ない)。 ⸣アシ ⸣パリティ ⸢キン⸣マー ダッ⸢カティ ゾーリ ベー [⸣ʔaʃi ⸣pariti ⸢kim⸣maː dak⸢kati ʣoːri beː] (汗が流れ出て着物はぐっしょり濡れている)。 ⸣アイニ ⸣アシ ⸣パルプ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸣ʔaʃi ⸣paru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに汗をかく<汗が流れる>人はいない)。 13820 0 3 13512 htmvoc_13820.wav パルン ⸣パルン [⸣paruŋ] 自動 {Mn_3}他の動詞の連用形に下接して「~していく(事態の進行)」を表す。 ⸢ナー⸣リパリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢naː⸣ripari ⸢naː⸣nu] (流れ去ってしまった)。 ヤ⸢ラ⸣ベー タッ⸢タン⸣ フ⸢ドゥビ⸣パルンダ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː tat⸢taŋ⸣ ɸu⸢dubi⸣parunda ⸢soːja naː⸣nu] (子供は次第に成長していくから、心配はない) 13822 0 0 13513 htmvoc_13822.wav バレン ⸣バレン [⸣bareŋ] 名 たわし(束子)。しゅろ(棕櫚)の毛などを束ねて造ったもので、器物をこすり洗うのに用いる。「\ruby{馬連}{バ|レン}」と「\ruby[g]{束子}{タワシ}」が「擦る」という意味特徴を共有することから、意味派生して再転訛したものであろう。石垣方言からの借用語か。 ⸣バレンサーリ ⸣ナビ ⸣ッシ ア⸢ライ⸣バ [⸣barensaːri ⸣nabi ⸣ʃʃi ʔa⸢rai⸣ba] (束子で鍋を擦って洗いなさいよ) 13823 0 0 13514 htmvoc_13823.wav パロービ パ⸢ロー⸣ビ [pa⸢roː⸣bi] 名 牛の腹帯。鞍をかける際に腹帯を締める。ハ⸢ロー⸣ビ[ha⸢roː⸣bi]ともいう。 ウ⸢シヌ⸣ヤマ シゥ⸢カス⸣ ピンマー パ⸢ロー⸣ビ シ⸢ミラン⸣カー ⸣ヤマー シゥ⸢カサラヌ [ʔu⸢ʃinu⸣jama sï̥⸢kasu⸣ pimmaː pa⸢roː⸣bi ʃi⸢miraŋ⸣kaː ⸣jamaː sï̥⸢kasaranu] (鋤<牛に牽かせて耕す仕掛け>を牽かせる時は牛の腹帯を締めさせないと鋤は牽かされない) 13824 0 0 13515 htmvoc_13824.wav パローマ パ⸢ロー⸣マ [pa⸢roː⸣ma] 名 (動)カニ(蟹)の一種。ツノメガニ。2~3センチの楕円形の甲殻を持ち、長さ約3センチの歩脚5対を有する。その第1対は強大なはさみ<鉗脚>となる。横向きに早く走る。疾走する姿は馬を連想させる。砂浜に穴を掘って棲息している。食べられない。これを捕獲してシャコ貝の殻に入れ、石で搗いて潰し、砂と混ぜて魚釣り用の撒き餌にした。 パ⸢ロー⸣マ ⸣カキキー ⸢シッキ⸣ティ カ⸢ブ⸣ ス⸢ク⸣リ ウ⸢リバ⸣ マキティ イ⸢ズ ホーシ⸣タ [pa⸢roː⸣ma ⸣kḁkikiː ⸢ʃik⸣kiti ka⸢bu⸣ su̥⸢ku⸣ri ʔu⸢riba⸣ makiti ʔi⸢ʣu hoːʃi̥⸣ta] (ツノメガニを掻き獲ってきて、潰して撒き餌を作って、それを撒いて魚を釣った) 12902 0 0 13516 htmvoc_12902.wav バン ⸣バン [baŋ] 代 私。 ⸢バン⸣ヌン ⸣パリ ⸣ミサンカヤー [⸢ban⸣num ⸣pari ⸣misaŋkajaː] (私<が>も行っていいのかなあ)。 ⸣バンラン パ⸢ヤー⸣ル [⸣banram pa⸢jaː⸣ru] (私よりも早い)。 ⸣バンシェー ウ⸢サミララ⸣ヌ [⸣baŋʃeː ʔu⸢samirara⸣nu] (私では収拾できない<食い止められない>)。 ⸢バン⸣ヌンツァン パ⸢ララン⸣ムヌ ⸢ワーナー⸣トー パ⸢ララ⸣ヌ [⸢ban⸣nunʦam pa⸢raram⸣munu ⸢waːnaː⸣toː pa⸢rara⸣nu] (私でさえも行かれないのだから、君などは行かれないよ)。我。老年層の言葉。⸣バヌ[⸣banu](私)の転訛したもの。若年層は、⸣バー[⸣baː](私)という。 ⸢バン⸣マー ⸣ヌンティ シゥ⸢カサンワ [⸢bam⸣maː ⸣nunti si̥⸢kasaŋwa] (私には何故聞かさないか)。 ⸢バン⸣ヌン シ⸢キ⸣プサン [⸢ban⸣nuŋ ʃi̥⸢ki⸣pusaŋ] (私も聞きたい)。 ⸣バンラ シ⸢キ⸣バ [⸣banra ʃi̥⸢ki⸣ba] (私から聞きなさいよ)。 ⸢バン⸣バ イ⸢ジ ベー [⸢bam⸣ba ʔi⸢ʤi beː] (私を叱っている)。 ⸢バン⸣トゥ ⸢マーズン⸣ パラ [⸢ban⸣tu ⸢maːʣum⸣ para] (私と一緒に行こう)。 ⸣バン ッ⸢ふィーリ [⸣ban f⸢fiːri] (私に呉れよ) 13829 1 0 13517 htmvoc_13829.wav バン ⸣バン [⸣baŋ] 名 {PoS_1}番。順番。 ナ⸢チェー カーヌ⸣ バン ⸣トゥレーティル ミ⸢ジェー⸣ フ⸢ムタル [na⸢ʧeː kaːnu⸣ ban ⸣tureːtiru mi⸢ʤeː⸣ ɸu⸢mutaru] (夏は井戸の水汲みの順番をとって水は汲んだものだ)。 13829 2 0 13518 htmvoc_13829.wav バン ⸣バン [⸣baŋ] 助数 {PoS_2}順序、等級を表す。 ク⸢トゥシヌ ウンドー⸣カイナー イ⸢チ⸣バン ⸣ナレータン [ku̥⸢tuʃinu ʔundoː⸣kainaː ʔi⸢ʧi⸣ban ⸣nareːtaŋ] (今年の運動会には一番になれた)。 ⸢ワー ナン⸣バン ⸢ヤッター [⸢waː nam⸣baɲ ⸢jattaː] (君は何番だったか) 13830 0 0 13519 htmvoc_13830.wav バン ⸣バン [⸣baŋ] 接助 ~ても<~ばも>。用言の未然形に接続して仮定の逆接条件を表し、後に述べることがそれに拘束されない意を表す。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホー⸣バン カ⸢ジヌ ソーバン⸣(カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カ⸣バン) シ⸢グトー シース [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoː⸣baŋ ka⸢ʤinu soːbaŋ(ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢ka⸣baŋ)ʃi⸢gutoː ʃiːsu] (雨が降っても<降ろうとも>、風が吹いても<そよごうとも>、仕事はする)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ ミサン ⸣アル カ⸢カ⸣ラー ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふァイ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːbam⸣ misaŋ ⸣ʔaru ka⸢ka⸣raː muː⸢ru⸣ f⸢fai] (いくら食っても良い{EOS}あるだけ全部食え)。 イコー⸢ラ⸣ ミ⸢ラ⸣バン ⸣ミサンドゥ ⸢サウレー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔikoː⸢ra⸣ mi⸢ra⸣bam ⸣misandu ⸢saureː⸣ na⸢ra⸣nu] (いくら見てもよいが触りはするな<ならぬ>)。 ⸢クー⸣バン ⸢クーン⸣バン ⸢ワー カッティ [⸢kuː⸣bam ⸢kuːm⸣bam ⸢waː katti] (来ても来なくても、君の勝手だ)。 ゴ⸢ジ⸣ナー ウ⸢カ⸣バン(ウ⸢ク⸣バン)⸣ミサン [go⸢ʤi⸣naː ʔu⸢ka⸣bam(ʔu⸢ku⸣bam)⸣misaŋ] (5時に起きても良い) 13831 0 1 13520 htmvoc_13831.wav バン ⸣バン [⸣baŋ] 終助 ~わい。{Mn_1}否定の助動詞⸣ヌ[⸣-nu](~ない)の連体形に下接して軽い詠嘆の意を表す。さらに、聞き手に確認や同意を求める終助詞、⸢ナー[⸢naː](ねえ)を下接させることができる。 ⸣アイヤー ア⸢ラン⸣バン [⸣ʔaijaː ʔa⸢ram⸣baŋ] (そうではないわい)。 ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミラランバン [mut⸢tu⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢mirarambaŋ] (ちっとも仕事をさせられないわい)。 ⸣キューン ⸣アメー ⸢ホーン⸣バン⸢ナー [⸣kjuːŋ ⸣ʔameː ⸢hoːm⸣ban⸢naː] (今日も雨は降らないわいねえ)。 ⸢ワー⸣ バー ⸣ムネー ⸢ピッ⸣チン シゥ⸢カンバン⸠ナー [⸢waː⸣ baːmuneː ⸢pit⸣ʧin sï̥⸢kamban⸠naː] (お前は私の忠告<言うこと>をちっとも聞かないんだね<聞かないわいねえ>)。 13831 0 2 13521 htmvoc_13831.wav バン ⸣バン [⸣baŋ] 終助 {Mn_2}ドゥ<ぞ>が係って結ぶ動詞の連体形に下接して軽い驚きや詠嘆を表す。 ⸢ヌー⸣ スーカヤーティ ⸣ウムーカ パ⸢タキバ⸣ル ⸢カイス⸣バン [⸢nuː⸣ suːkajaːti ⸣ʔumuːka pḁ⸢takiba⸣ru ⸢kaisu⸣baŋ] (何をするかと思へば、畑を<ぞ>耕す<ようだ>わい) 13825 0 0 13522 htmvoc_13825.wav パン ⸣パン [⸣paŋ] 名 足。脚。「はぎ<脛>」の義。「国巣、~夜都賀波岐<やつかはき=八束脛ノ意>という。『常陸風土記』」の転訛したもの。 ⸣パンシ キ⸢リマラバサ⸣リ ⸢ベー [⸣paŋʃi ki⸢rimarabasa⸣ri ⸢beː] (足で蹴り殴られている)。 キ⸢ザ⸣パン [ki⸢ʣa⸣paŋ] (裸足)。 ⸢ナーパン [⸢naːpaŋ] (長い足)。 ⸢ティーナー⸣リ ⸣パンナーリ [⸢tiːnaː⸣ri ⸣pannaːri] (手を出し、足を出しして喧嘩すること)。 ⸢マー⸣テー ⸢ナー⸣ヌ ⸢パン⸣ヌ ア⸢ラ⸣クン ⸣トンドゥ ⸣パル [⸢maː⸣teː ⸢naː⸣nu ⸢pan⸣nu ʔa⸢ra⸣kun ⸣tondu ⸣paru] (何処へという目的はない{EOS}足の向くままに<足の歩く所へぞ>行く)。 ⸢カイ⸣リティ ⸣パン ⸣ブリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kai⸣riti ⸣pam ⸣buri ⸢naː⸣nu] (転んで足を折ってしまった) 13826 1 0 13523 htmvoc_13826.wav パン ⸢パン [⸢paŋ] 接頭 {PoS_1}半。半分。 ⸢パンニチ [⸢panniʧi] (半日)。 ⸢パンシキ [⸢paŋʃi̥ki] (半月)。 ⸢パントゥシ [⸢pantuʃi] (半年)。 ⸢パンニチ⸣シ ⸣ティマー ⸢ギュー⸣サ ア⸢タルワ [⸢panniʧi⸣ʃi ⸣timaː ⸢gjuː⸣sa ʔa⸢taruwa] (半日で手間賃はいくらになるか<当たるか>)。 13826 2 0 13524 htmvoc_13826.wav パン ⸢パン [⸢paŋ] 接尾 {PoS_2}イ⸢チニンパン[ʔi⸢ʧinimpaŋ](一年半)。 ウ⸢リヌ⸣ パレーラ イ⸢チニンパン⸣ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢rinu⸣ pareːra ʔi⸢ʧinimpan⸣ na⸢ri⸣su] (彼が行ってから一年半になるよ)。 ⸢イッキンパン [⸢ʔikkimpaŋ] (一斤半) 13827 0 1 13525 htmvoc_13827.wav パン ⸢パン [⸢paŋ] 名 {Mn_1}いん(印)。印鑑。「判」の義。 ⸢カッティニ パンマー⸣ ス⸢クナ⸣ヨー [⸢kattini pammaː⸣ su̥⸢kuna⸣joː] (勝手に印を押す<突く>なよ)。 13827 0 2 13526 htmvoc_13827.wav パン ⸢パン [⸢paŋ] 名 {Mn_2}しるし(印し)。 ⸢ドゥーン⸣ヤーヌ ⸢ドン⸣グナー ムー⸢ル パン⸣ イ⸢リ⸣ シゥカ⸢ナー [⸢duːɲ⸣jaːnu ⸢doŋ⸣gunaː muː⸢ru paŋ⸣ ʔi⸢ri⸣ sï̥ka⸢naː] (自分の家の道具には全部\ruby{印}{シルシ}を入れておこうねえ)。 ウ⸢シヌ⸣ ミンナー ⸢ヤー⸣バン イ⸢リ⸣バ [ʔu⸢ʃinu⸣ minnaː ⸢jaː⸣baŋ ʔi⸢ri⸣ba] (牛の耳に\ruby{家判}{ヤー|バン}<家紋に相当する記号{EOS}耳を切り込んで作る形{EOS}記号>を入れなさいよ) 13832 0 0 13527 htmvoc_13832.wav パンウクジ ⸢パンウクジ [⸢paŋʔukuʤi] 名 「半御神籤」の義。ウ⸢ク⸣ジ バ⸢ルン[ʔu⸢ku⸣ʤi ba⸢ruŋ](米粒で占う<御神籤を割る>)際には米粒を二粒ずつ取り、対を作って並べるが、最後に一粒だけ残ったものをいう。 ⸢パンウクジヌ⸣ ウ⸢ガマ⸣リカー ⸢マー⸣ プ⸢スム⸣シ ⸣クジェー バ⸢リソーッ⸣タ [⸢paŋʔukuinu⸣ ʔu⸢gama⸣rikaː ⸢maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi ⸣kuʤeː ba⸢risoːt⸣ta] (半御神籤が出現したら<拝まれたら>、もう一度御神籤をひかれた<米粒で占いをされた{EOS}御神籤を割られた>) 13864 0 0 13528 htmvoc_13864.wav パンウスン ⸢パン⸣ ウ⸢スン [⸢pan⸣ ʔu⸢suŋ] 連 印をを押す。「判をつく<突く>」の義。 ⸢カッティニ パン⸣ ウ⸢スナ [⸢kattini pan⸣ ʔu̥⸢suna] (勝手に印を押すな) 13833 0 0 13529 htmvoc_13833.wav パンカウワン ⸢パンカウ⸣ワン [⸢paŋkau⸣waŋ] 形 藪などにハブが居そうで、足を踏み入れるのが薄気味悪いさま。「足・痒い」の義。 ⸣クマー ⸢パンカウ⸣ワン [⸣kumaː ⸢paŋkau⸣waŋ] (ここは足を踏み入れるのが薄気味悪い)。 ⸢パンカウワ⸣ヌ ⸣パン ⸢ナーララヌ [⸢paŋkauwa⸣nu ⸣pan ⸢naːraranu] (薄気味悪くて足を踏み込めない)。 ⸢パンカウ⸣ワ ⸣トン [⸢paŋkau⸣wa ⸣toŋ] (ハブが居そうで、足を踏み入れるのが薄気味悪い所) 13834 0 0 13530 htmvoc_13834.wav パンカキ ⸢パン⸣カキ [⸢paŋ⸣kaki] 名 足相撲。二人で向かい合って座り、互いに膝を立てて脛を交叉させ、相手の足を倒す競技。ウ⸢ディ⸣カキ[ʔu⸢di⸣kaki](腕相撲{EOS}腕かけ)の対義語。 ⸢パン⸣カキ ⸢スー⸣ ピンマー ⸢パン⸣ヌ ⸣プニナー ア⸢タリティ⸣ ヤ⸢ミ⸣シタ [⸢paŋ⸣kaki ⸢suː⸣ pimmaː ⸢pan⸣nu ⸣puninaː ʔa⸢tariti⸣ ja⸢mi⸣ʃi̥ta] (足相撲をする時は脛骨<足の骨>に当って痛かった) 13835 0 0 13531 htmvoc_13835.wav パンガマ ⸢パンガマ [⸢paŋgama] 名 はがま(羽釜)。周囲に羽のようなつば(鍔)のついた炊飯用の釜。⸢イッス⸣タキ[⸢ʔissu⸣taki](一升炊き)、ニ⸢ス⸣タキ[ni⸢su⸣taki](二升炊き)、⸢サンス⸣タキ[⸢sansu⸣taki](三升炊き)等があった。ウ⸢ブパン⸣ガマ[ʔu⸢bupaŋ⸣gama](大きな羽釜)、⸢パンガマー⸣マ[⸢paŋgamaː⸣ma](小さな羽釜)などもあった。 ⸢パンガマヌ⸣ パ⸢ニバ⸣ ナビウティフチシ カ⸢サミティ⸣ ウ⸢ティ⸣バ [⸢paŋgamanu⸣ pa⸢niba⸣ nabiʔutiɸu̥ʧiʃi ka⸢samiti⸣ ʔu⸢ti⸣ba] (羽釜の羽を鍋取り<鍋取り\ruby{靴}{クツ}>で\ruby{掴}{ツカン}で\ruby{竈}{カマド}から移しなさい) 13836 0 0 13532 htmvoc_13836.wav パンガマイシ ⸢パンガマイシ [⸢paŋgamaʔisi] 名 「羽釜石」の義。パ⸢トゥ⸣マレー[pḁ⸢tu⸣mareː](鳩離島)の離れ岩で、形が羽釜に似ていることから命名されたもの。海中にあって、海水の浸食により、二重にノッチが形成されており、外見上は蓋をした羽釜に似ている。岩の頂上部には、⸣ユナキー[⸣junakiː](オオハマボウ)が生えていて、いたるところにウミネコの巣があった。繁殖期になると、岩陰のあちらこちらに産卵されていた。 ⸢パンガマイシェー プール⸣ヌ ⸢パーレー⸣ヌ ⸣ピンヌ ⸢ミーシル⸣シ ⸣ナリ ⸢ブー⸠ダー [⸢paŋgamaʔiʃeː puːru⸣nu ⸢paːreː⸣nu ⸣piŋnu ⸢miːʃiru⸣ʃi ⸣nari ⸢buː⸠daː] (羽釜石は豊年祭の爬竜船競漕の時の目印になっているよ) 13837 0 0 13533 htmvoc_13837.wav バンギ ⸢バンギ [⸢baŋgi] 名 「板木」の義か。重い物を動かす際、⸢コロ[⸢koro](ころ{EOS}転・丸太)を滑らかに転がすために、ころ(転)の下に敷く板や材木。カツオ船は漁期が終わると翌年の漁期まで陸揚げして補修点検をした。漁船を砂浜に陸揚げする際、⸢バンギ[⸢baŋgi]を敷いて、その上にコ⸢ロ[ko⸢ro](ころ<転{EOS}丸太>)を置き、漁船をコロに載せてタ⸢グラ⸣ザン[ta⸢gura⸣ʣaŋ](⸣ビービー{SqBr}⸣biːbiː{/SqBr})(巻き上げ機)を十数名で回しながら引き揚げた。 ⸢バンギ⸣ シ⸢キティ⸣ ウ⸢ヌ ウイ⸣ナー コ⸢ロ マーサン⸣カー ⸣フネー ⸢アンギララヌ [⸢baŋgi⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔu⸢nu ʔui⸣naː ko⸢ro maːsaŋ⸣kaː ⸣ɸuneː ʔa⸢giraranu] (バンギを敷いて、その上にコロを回さないと漁船は陸揚げできない) 13838 0 0 13534 htmvoc_13838.wav パンキシ ⸢パンキシ [⸢paŋkiʃi] 名 ⸢半切れ」の義か。畑一枚の半分。畑の一枚をプ⸢ス⸣キシ[pu̥⸢su⸣ki̥ʃi](一切れ)という。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢パンキシェー⸣ サニユーヌ ピ⸢ルバ⸣ イ⸢ビ⸣ シケー [pḁ⸢taki⸣nu ⸢paŋkiʃeː⸣ sanijuːnu pi⸢ruba⸣ ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keː] (畑の半分は種子用の大蒜を植えておいてある) 13839 0 0 13535 htmvoc_13839.wav ハンキチ ⸢ハン⸣キチ [⸢haŋ⸣ki̥ʧi] 名 ハンカチ。標準語の⸢ハンカチ(handkerchiefの転訛)」が再転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ハン⸣キチティ ⸢スー⸣ ム⸢ノー ナーン⸣シェン ムー⸢ル⸣ サ⸢ジ⸣ル シゥ⸢カウタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢haŋ⸣ki̥ʧiti ⸢suː⸣ mu⸢noː naːŋ⸣ʃen muː⸢ru⸣ sa⸢ʤi⸣ru sï̥⸢kautaru] (昔はハンカチというものはなかった{EOS}みんな手拭を<ぞ>使ったものだ) 13841 0 0 13536 htmvoc_13841.wav パンキュー ⸢パン⸣キュー [⸢paŋ⸣kjuː] 名 半休。土曜日。オランダ語のドンタク(zondag<日曜日{EOS}休日>)と接頭語「半」の合成語、「ハンドン」が「半休」となることから転訛したもの。鳩間島に学校が設置された明治29年以降に定着した語であろう。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢パン⸣キュー ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スマ⸣ アトー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シン ⸣パラ [⸢kjuː⸣ja ⸢paŋ⸣kjuː ja⸢runda⸣ pu̥⸢suma⸣ ʔatoː pḁ⸢ka⸣ki ⸢kai⸣ʃim ⸣para] (今日は半休だから正午後からは畑を耕しに行こう) 13840 0 0 13537 htmvoc_13840.wav パンギリ ⸢パンギリ [⸢paŋgiri] 名 ブリキ製の茶筒。ブリキ缶の半切。ブリキ缶の半筒。「はんぎりおけ(盤切)」の転訛したものか。 ⸢パンギリ⸣ナー ⸣サー イ⸢リ⸣ シキバ [⸢paŋgiri⸣naː ⸣saː ʔi⸢ri⸣ ʃi̥kiba] (ブリキ製の茶筒にお茶っ葉を入れておきなさいよ) 13848 0 0 13538 htmvoc_13848.wav バンク ⸢バン⸣ク [⸢baŋ⸣ku] 名 縁台。涼み台。ポルトガル語からの借用語バンコ(banco<縁台>)が転訛したもの。 ナ⸢チェー⸣ アツァンダ ⸢キー⸣ヌ ッ⸢サーラ⸣ナー バン⸢コー⸣マ ス⸢ク⸣リティ ⸣ウナール ⸢サー⸣ユン ヌ⸢モーッタ⸣ル [na⸢ʧeː⸣ ʔaʦajunda ⸢kiː⸣nu s⸢saːra⸣naː baŋ⸢koː⸣ma su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔunaːru ⸢saː⸣jun nu⸢moːtta⸣ru] (夏は暑いから木の下で小さ縁台を作って、そこで<ぞ>お茶も飲まれたものだ) 13842 0 0 13539 htmvoc_13842.wav バングバリ ⸢バング⸣バリ [⸢baŋgu⸣bari] 名 番組。プログラム。「番組割り」の義。結願祭や豊年祭に出演する⸢バン⸣グ[⸢baŋ⸣gu](演目{EOS}番組の配置<割付>{EOS}プログラム)。結願祭は西村、東村共同の⸢バング⸣バリ(演目割り付け)を作成して友利御嶽で芸能を演舞奉納した。豊年祭では西村、東村対抗で、それぞれの⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](入れ子型芸能{EOS}「常楽会」の義か)の⸢バング⸣バリ(プログラム)を作成して競演した。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ゾーラキヌ バング⸣バレー キ⸢マレーン⸣カヤー [⸢puːru⸣nu ⸢ʣoːrakinu baŋgu⸣bareː ki⸢mareːŋ⸣kajaː] (豊年祭の入れ子型芸能<常楽会>のプログラムは決まったかねえ) 13843 0 0 13540 htmvoc_13843.wav パンクラスン ⸢パンクラ⸣スン [⸢paŋkura⸣suŋ] 他動 めくる(捲る)。めくらせる。皮などをめくる。裏返す。 ⸢ミー⸣ヌカー ⸢パンクラ⸣スンティ ⸢スンドゥ パンクラサラ⸣ヌ [⸢miː⸣nukaː ⸢paŋkura⸣sunti ⸢sundu paŋkurasara⸣nu] (\ruby{瞼}{マブタ}を裏返そう<ひっくり返そう>とするが、裏返されない<ひっくり返されない>)。 ⸢ミー⸣ヌカー ⸢パンクラ⸣シティ フ⸢チ⸣ル イ⸢リリ [⸢miː⸣nukaː ⸢paŋkura⸣ʃi̥ti ɸu̥⸢ʧi⸣ru ʔi⸢riri] (瞼を裏返して薬を入れれ)。 ⸢ミー⸣ヌカー ⸢パンクラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢miː⸣nukaː ⸢paŋkura⸣ʃeː ⸣misamunu] (瞼を裏返せばいいのに)。 ⸢パンクラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢paŋkura⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (瞼を裏返すことはできない)。 ⸢ミー⸣ヌカー ⸢パンク⸣ラシ [⸢miːnu⸣kaː ⸢paŋkura⸣ʃi] (瞼を裏返せ) 13844 0 0 13541 htmvoc_13844.wav パンクリマラ ⸢パンクリ⸣マラ [⸢paŋkuri⸣mara] 名 包皮の\ruby{捲}{メク}れ\ruby{剥}{ム}けた陰茎。 ビ⸢コーンッふァー⸣ パ⸢タチ⸣ シ⸢ギ⸣ルカー ⸢パンクリ⸣マラ ナ⸢リ⸣ス [bi⸢koːŋffaː⸣ pḁ⸢taʧi⸣ ʃi⸢gi⸣rukaː ⸢paŋkuri⸣mara na⸢ri⸣su] (男の子は二十歳過ぎると包皮の\ruby{捲}{メク}れた陰茎になるものだ) 13845 0 1 13542 htmvoc_13845.wav パンクリルン ⸢パンクリ⸣ルン [⸢paŋkuri⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}皮などがめくれる(捲れる)。⸢パン⸣クルン[⸢paŋ⸣kuruŋ](捲れる{EOS}ひっくり返る)ともいう。 ナー⸢イ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢パンクリ⸣ルンダ ⸢パンクリラン⸣ ヨーニ シ⸢ビシキ⸣ シ⸢キ⸣リ [naː⸢ji⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢paŋkuri⸣runda ⸢paŋkuriraɲ⸣ joːni ʃi⸢biʃi̥ki⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (放置して置くと捲れるから、捲れないようにくっつけておけ)。 ⸢パン⸣クリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢paŋ⸣kuri ⸢naː⸣nu] (捲れてしまった)。 ⸢パンクリ⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ [⸢paŋkuri⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (捲れるものは捨てなさい)。 ⸢パンクリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paŋkuri⸣reː ⸣misamunu] (捲れれば良いのに)。 ⸢パンクリ⸣リ [⸢paŋkuri⸣ri] (捲れろ)。 13845 0 2 13543 htmvoc_13845.wav パンクリルン ⸢パンクリ⸣ルン [⸢paŋkuri⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}反転する。ひっくり返る。断る。 ⸢ウン⸣ネヌ ユ⸢メー パンクリ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ ⸢ベー⸣ティ ⸢ヤットゥ⸣シ ウ⸢ティシゥカ⸣シ ⸣シケー [⸢ʔun⸣nenu ju⸢meː paŋkuri⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ⸢beː⸣ti ⸢jattu⸣ʃi ʔu⸢tisï̥ka⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (あの家の嫁は破談にしよう<縁談からひっくり返えろう{EOS}縁談を転覆させよう>としているので、やっとのことで落ち着かせてある) 13846 0 1 13544 htmvoc_13846.wav パンクルン ⸢パン⸣クルン [⸢paŋ⸣kuruŋ] 自動 {Mn_1}皮などがめくれる(捲れる)。反転する。ひっくり返る。 ⸣タニ ⸢パン⸣クルン [⸣tani ⸢paŋ⸣kuruŋ] (包皮が捲れる)。 マ⸢ダ パンクラ⸣ヌ [ma⸢da paŋkura⸣nu] (まだ包皮は捲れない)。 13846 0 2 13545 htmvoc_13846.wav パンクルン ⸢パン⸣クルン [⸢paŋ⸣kuruŋ] 自動 {Mn_2}婚約を破談にしてしまう。ひっくり返える。嫌がる。 ユ⸢メー パン⸣クリ ⸢ナーン⸣ツォー [ju⸢meː paŋ⸣kuri ⸢naːn⸣ʦoː] (嫁は破談にして<ひっくり返って>しまったそうだ)。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸢パン⸣クル ⸣クトー ⸢ナーン⸣シェン [mi⸢dumu⸣nu ⸢paŋ⸣kuru ⸣ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (女が破談にする<ひっくり返る>ことはなかった)。 ⸣アイブー ビ⸢キドゥモー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モーラ ⸢パン⸣クレー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaibuː bi⸢kidumoː⸣ mi⸢du⸣moːra ⸢paŋ⸣kureː ⸣misamunu] (あんな男には、女から破談にすれば<ひっくり返れば>いいのに)。 ⸢ウン⸣ネー ⸣パローラ ⸢パー⸣ク ⸢パン⸣クリバ [⸢ʔun⸣neː ⸣paroːra ⸢paː⸣ku ⸢paŋ⸣kuriba] (あの家に嫁ぐよりは、早く破談にしなさい<ひっくり返れ>よ) 13847 0 1 13546 htmvoc_13847.wav パンクン ⸢パン⸣クン [⸢paŋ⸣kuŋ] 他動 {Mn_1}皮などをめくる(捲る)。裏返す。反転させる。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ミーナ ミ⸢ツム⸣ヌ ⸢ペー⸣ルカー ⸢ミー⸣ヌカー ⸢パン⸣キティ ⸣シー ⸢アーシ⸣ イ⸢ローッ⸣タ [ja⸢ra⸣binu ⸣miːna mi⸢ʦumu⸣nu ⸢peː⸣rukaː ⸢miː⸣nukaː ⸢paŋ⸣kiti ⸣ʃiː ⸢ʔaːʃi⸣ ʔi⸢roːt⸣ta] (子供の目にごみ<塵>が入ると、瞼<目の皮>を裏返して母乳を\ruby{搾}{シボ}って入れられた)。 ⸢ミー⸣ヌカー ⸢パン⸣クンティ ⸢スンドゥ パンカラ⸣ヌ [⸢miː⸣nukaː ⸢paŋ⸣kunti ⸢sundu paŋkara⸣nu] (瞼を裏返そうとするが、裏返されない)。 ⸢ミー⸣ヌカー ⸢パン⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢miː⸣nukaː ⸢paŋ⸣keː ⸣misamunu] (瞼を裏返せばいいのに)。 ⸢ミー⸣ヌカー ⸢パン⸣キ [⸢miː⸣nukaː ⸢paŋ⸣ki] (瞼を裏返せ)。 13847 0 2 13547 htmvoc_13847.wav パンクン ⸢パン⸣クン [⸢paŋ⸣kuŋ] 他動 {Mn_2}はじく。強烈な臭気が鼻をはじく(弾く)。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ザヌ⸣ パ⸢ナ パン⸣キティ ン⸢カーラヌ [ku⸢nu⸣ ka⸢ʣanu⸣ pa⸢na paŋ⸣kiti ʔŋ⸢kaːranu] (この強烈が臭いが鼻を刺激して<弾いて>顔が向けられない)。 ウ⸢ヤ⸣ビシ ⸢パン⸣キバ [ʔu⸢ja⸣biʃi ⸢paŋ⸣kiba] (指で弾きなさいよ) 13849 0 0 13548 htmvoc_13849.wav バンゴー ⸢バン⸣ゴー [⸢baŋ⸣goː] 名 番号。 ⸢ワー バンゴー⸣ヤ ⸢ナン⸣バンヤ [⸢waː baŋgoː⸣ja ⸢nam⸣baŋja] (君の番号は何番か) 13850 0 0 13549 htmvoc_13850.wav バンゴーフダ ⸢バンゴー⸣フダ [⸢baŋgoː⸣ɸuda] 名 番号札。フ⸢ダ[ɸu⸢da](札)ともいう。 ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジク⸣カー ⸢バンゴー⸣フダ ス⸢ク⸣リティル ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ フ⸢ムタ⸣ダー [⸢peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤiku⸣kaː ⸢baŋgoː⸣ɸuda su̥⸢ku⸣ritiru ⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤeː⸣ ɸu⸢muta⸣daː] (旱魃が続くと番号札を作って<ぞ>井戸の水は汲んだものだ) 13851 0 0 13550 htmvoc_13851.wav バンコーマ バン⸢コー⸣マ [baŋ⸢koː⸣ma] 名 ちいさな縁台。ちいさな涼み台。家ごとに庭の木陰に小さな涼み台を設置していた。、老人や子供たちは、その上で雑談をしたり、昼寝をしたりした。 ナ⸢チヌ マープスマー⸣ バン⸢コー⸣マナール ビ⸢レー⸣ティ ピ⸢ラ⸣ケー ⸢ソーッ⸣タ [na⸢ʧinu maːpusumaː⸣ baŋ⸢koː⸣manaːru bi⸢reː⸣ti pi⸢ra⸣keː ⸢soːt⸣ta] (夏の真昼間には小さな縁台に座りながら涼を取られた<涼しまれた>) 13852 0 0 13551 htmvoc_13852.wav パンコールン ⸣パン ⸢コー⸣ルン [⸣paŋ ⸢koː⸣ruŋ] 連 足が強くなる。幼児の足が強くなって歩けるようになる。⸢足が堅くなる」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢スーリ⸣キシティ ⸢パン⸣ヌン ⸢コー⸣リ ⸣メー ア⸢ラキ⸣スバン [ja⸢ra⸣beː ⸢suːri⸣ki̥ʃiti ⸢pan⸣nuŋ ⸢koː⸣ri ⸣meː ʔa⸢raki⸣subaŋ] (子供はすっかり成長して、足も強くなって<こわくなって>、もう歩けるわい) 13854 0 0 13552 htmvoc_13854.wav バンジ ⸢バンジ [⸢banʤi] 名 まっさかり(真っ盛り)。最盛期。青年期。⸢バンジン[⸢banʤiŋ](最盛期)ともいう。 ⸢マイカリヌ バンジン [⸢maikarinu banʤiŋ] (稲刈りの真っ最中)。 ⸢クンガ⸣チェー イ⸢ガメーヌ バンジ ヤッタ [⸢kuŋga⸣ʧeː ʔi⸢gameːnu banʤi jatta] (九月は烏賊釣り漁の真っ最中であった)。 ⸢バンジンヌ⸣ バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ ノー⸢ンシェー⸣ル シ⸢グトゥン⸣ ナルン [⸢banʤinnu⸣ ba⸢kaː⸣mununu ⸣kanai ⸢bunda⸣ noː⸢ŋʃeː⸣ru ʃi⸢gutun⸣ naruŋ] (真っ盛りの若者が揃っているから如何なる仕事もできる)。 ⸢ヨイ⸣ヤー マ⸢ナマ⸣ル ⸢バンジン⸣ ヤ⸢リン⸣ギサバン [⸢joi⸣jaː ma⸢nama⸣ru ⸢banʤiɲ⸣ ja⸢riŋ⸣gisabaŋ] (お祝いは今が最高潮であるらしいよ)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ダイクニ⸣ヌ ⸢バンジン [ma⸢na⸣maː ⸢daikuni⸣nu ⸢banʤiŋ] (今は大根の最盛期) 13853 0 0 13553 htmvoc_13853.wav パンシ ⸢パンシ [⸢paŋʃi] 名 一時しのぎ。当面の危機をしのぐこと。しのぎ(凌ぎ)。「はずし(外し)」の義。 ⸣クビサーギ ⸣アルカー ⸢イットゥキ⸣ヌ ⸢パンシェー⸣ ナ⸢リ⸣ス [⸣kubisaːgi ⸣ʔarukaː ⸢ʔittuki⸣nu ⸢paŋʃeː⸣ na⸢ri⸣su] (これだけさえあれば一時しのぎはできる)。 ノー⸢シ シン⸣ ク⸢ヌ パンシサーギ コーサリ⸣カー ⸣アトー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [noː⸢ʃi ʃiŋ⸣ ku⸢nu paŋʃisaːgi koːsari⸣kaː ⸣ʔatoː ⸢soːja naː⸣nu] (何としてもこの一時凌ぎをさえ越されたら、後は心配ない) 13855 0 0 13554 htmvoc_13855.wav パンシカンシ ⸢パンシカン⸣シ [⸢paŋʃikaŋ⸣ʃi] 副 とぎれとぎれに。意識が一貫しないさま。おぼろげに。はっきりしないさま。意識が不明確で途切れ途切れに。⸢パンチカン⸣チ[⸢panʧikan⸣ʧi]ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ クトー シゥ⸢カイトー⸣ ウブイ ブ⸢ラーヌ パンシカンシ⸣ル ⸣ウブイ ⸢ブー [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː si̥⸢kaitoː⸣ ʔubui bu⸢raːnu paŋʃikaŋʃi⸣ru ⸣ʔubui ⸢buː] (そのことは明確には覚えていない、とぎれとぎれにぼんやりと覚えている) 13856 0 0 13555 htmvoc_13856.wav パンシキ ⸢パンシキ [⸢paŋʃi̥ki] 名 半月。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー パンシキ⸣ カ⸢カリ⸣ス [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː paŋʃi̥ki⸣ kḁ⸢kari⸣su] (この仕事は半月かかる) 13858 0 0 13556 htmvoc_13858.wav パンシキラリン ⸢パン⸣ シ⸢キラ⸣リン [⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢kira⸣riŋ] 連 印しを付けられる。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ター⸣ ユ⸢ミ⸣ティ ⸢パン⸣ シ⸢キラリ⸣ブー [ku⸢nu⸣ f⸢faː taː⸣ ju⸢mi⸣ti ⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢kirari⸣ buː] (この子は誰の嫁と決めら<印し付けさ>れている)。 13858 0 2 13557 htmvoc_13858.wav パンシキラリン ⸢パン⸣ シ⸢キラ⸣リン [⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢kira⸣riŋ] 連 {Mn_2}印をつかれる。決められる。 ウ⸢レー⸣ バ⸢リカミ⸣ティ ⸢パン⸣ シ⸢キラリ⸣ ブー [ʔu⸢reː⸣ ba⸢rikami⸣ti ⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢kirari⸣ buː] (彼は底なしの大酒飲み<割れ甕>と評価されている) 13857 0 0 13558 htmvoc_13857.wav パンシキルン ⸢パン⸣ シ⸢キ⸣ルン [⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] 連 印をつける。印を突く(捺印する)。 ⸢メーメーヌ ヤー⸣ヌ ⸢ドン⸣グナー ムー⸢ル パン⸣ シ⸢キ⸣ル ⸣クトゥティ キ⸢ミ⸣シケー [⸢meːmeːnu jaː⸣nu ⸢doŋ⸣gunaː muː⸢ru paŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ru ⸣ku̥tuti ki⸢mi⸣ʃi̥keː] (銘銘の家の道具には印を付けておくことと決めてある)。 ヤ⸢マ⸣フミ シ⸢ティ⸣ ヤ⸢マ⸣ヌ ⸣キーナ ⸢パン⸣ シキ シゥ⸢コー⸣レーツォー [ja⸢ma⸣ɸumi ʃi̥⸢ti⸣ ja⸢ma⸣nu ⸣kiːna ⸢paŋ⸣ ʃi̥ki sï̥⸢koː⸣reːʦoː] (山入りして山の木に印しを付けておかれてあるそうだ) 13860 0 0 13559 htmvoc_13860.wav パンシマリン ⸣パン シ⸢マ⸣リン [⸣paŋ ʃi⸢ma⸣riŋ] 連 足がきかなくなる。歩けなくなる。 ⸢ナーヤン⸣ シ⸢ター⸣ パン シ⸢マ⸣リティ ア⸢ラキユーサ⸣ヌ [⸢naːjaŋ⸣ ʃi̥⸢taː⸣ paŋ ʃi⸢ma⸣riti ʔa⸢rakijuːsa⸣nu] (長患いをしたので、足が利かなくなって<足が締まって>歩くことができ<歩け>ない) 13859 0 0 13560 htmvoc_13859.wav バンジュ ⸢バン⸣ジュ [⸢ban⸣ʤu] 名 琉球国時代の村の役所。「番所」の義。 ⸢バンジュー⸣ヤ イ⸢サナキナー⸣ル ⸢アッタ⸣ル パ⸢トゥ⸣マナーヤ ⸢ナーン⸣シェンツォー [⸢banʤuː⸣ja ʔi⸢sanakinaː⸣ru ⸢ʔatta⸣ru pḁ⸢tu⸣manaːja ⸢naːŋ⸣ʃenʦoː] (番所は石垣島に<ぞ>あったのである{EOS}鳩間島には無かったそうだ) 13861 0 0 13561 htmvoc_13861.wav パンジョー ⸢パン⸣ジョー [⸢pan⸣ʤoː] 名 繁昌。若年層は、⸢ハン⸣ジョー[⸢han⸣ʤoː]ともいう。 ウ⸢ヤ⸣キパンジョー マ⸢リパンジョー⸣ ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢オー⸣ル [ʔu⸢ja⸣kipanʤoː ma⸢ripanʤoː⸣ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ritiru ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoː⸣ru] (富貴繁盛、子孫繁盛あらしめ賜れと<ぞ>祈願される) 13862 0 1 13562 htmvoc_13862.wav バンジン ⸢バンジン [⸢banʤiŋ] 名 {Mn_1}真っ盛り。最盛期。⸢バンジ[⸢banʤi](真っ盛り)ともいう。 ⸢カツシンヌ バンジン⸣ナー ⸢マイカリヌ⸣ シ⸢チ⸣ヌ ⸢クー⸣タン [kḁ⸢ʦuʃinnu banʤin⸣naː ⸢maikarinu⸣ ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸢kuː⸣taŋ] (カツオ漁の最盛期に稲刈りの季節がやってきたものだ)。 ナ⸢チヌ バンジ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢ツァ⸣ヌ フ⸢シガラ⸣ヌ [na⸢ʧinu banʤi⸣ ja⸢runda⸣ ʔa⸢ʦa⸣nu ɸu̥⸢ʃigara⸣nu] (夏の最盛期だから暑くて堪らない)。 13862 0 2 13563 htmvoc_13862.wav バンジン ⸢バンジン [⸢banʤiŋ] 名 {Mn_2}青年。男女共に若さの最盛期。 ⸢ウン⸣ネナーン ⸢バンジンヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸢ブン [⸢ʔun⸣nenaːm ⸢banʤinnu⸣ mi⸢doːn⸣ffanu ⸢buŋ] (あの家にも適齢期<最盛期>の女の子がいる) 13863 0 0 13564 htmvoc_13863.wav パンスクン ⸢パン⸣ スクン [⸢pan⸣ su̥kuŋ] 連 しるし(印)を付ける。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ドン⸣グナー ⸢パン⸣ スクン [⸢duː⸣nu ⸢doŋ⸣gunaː ⸢pan⸣ su̥kuŋ] (自分の道具には印を付ける) 13865 0 0 13565 htmvoc_13865.wav パンスディ ⸢パン⸣スディ [⸢pan⸣sudi] 名 半そで。ナ⸢ガ⸣スディ[na⸢ga⸣sudi](長袖)の対義語。老年層は⸣スディッキラー[⸣sudikkiraː](袖なし{EOS}「袖切れ」の義)ともいう。 ナ⸢チェー パンスデイ⸣ル キ⸢スタ [na⸢ʧeː pansudiba⸣ru ki̥⸢suta] (夏は半袖を着た) 13866 0 0 13566 htmvoc_13866.wav バンスル ⸢バン⸣スル [⸢ban⸣suru] 名 (植)バンジロウ。蕃石榴。グアバ。フトモモ科の常緑の小高木。果実は直径3~6センチになり、完熟すると芳香を放つ。甘くて美味である。畑の畦や原野の中に自生しており、畑仕事の帰りに\ruby{捥}{モ}いで子供の土産にした。半熟の果実は多少渋い味があり、食べ過ぎると、シ⸢ビコー⸣ルン[ʃi⸢bikoː⸣ruŋ](便秘する{EOS}「尻強る」の義か)といわれている。葉は利尿効果があるとして、お茶代用に飲まれた。お盆には、仏壇に供えるム⸢ルムル[mu⸢rumuru](⸢諸々」の義か)の砂糖黍の束に挿す果実として必要であった。 ⸢バン⸣スロー ⸢ウー⸣ムカー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢バッ⸣サン ⸣アリ ン⸢マー⸣ン ⸢アッ⸣タン [⸢ban⸣suroː ⸢ʔuː⸣mukaː ʔik⸢kena⸣ ka⸢bas⸣saŋ ⸣ʔari ʔm⸢maː⸣ŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (バンジロウ<蕃石榴>は熟れると非常に香ばしくもあり、美味しくもあった)。イ⸢シバンスル[ʔi⸢ʃibansuru](発育不全の小さな果実で、硬くて渋く、不味いバンジロウ)は食べなかった 13867 0 0 13567 htmvoc_13867.wav バンスン ⸣バン ⸢スン [⸣ban ⸢suŋ] 連 番をする。見張りをする。警護する。 ミ⸢ナ⸣カナー ア⸢ガマミ⸣ プシシケーティ ⸣アッパー トゥ⸢ルヌ⸣ バン ⸢スンティ オー⸣ル [mi⸢na⸣kanaː ʔa⸢gamami⸣ pu̥ʃi ⸣ʃi̥keːti ⸣ʔappaː tu⸢runu⸣ ban ⸢sunti ʔoː⸣ru] (庭に小豆を干してあるので、おばあさんは鶏の番<鶏が食い荒らすのを見張る>をしておられる) 13868 0 0 13568 htmvoc_13868.wav パンソー ⸢パンソー [⸢pansoː] 名 両端に飾りの付いている笛。「横笛。\ruby{歌口}{ウタ|グチ}のほかに穴が七つあるのが普通。中国の管楽器の\ruby{簫}{ショウ}は管が十六あり、横笛はその半分の八つあるので半簫の意か」『沖縄語辞典』とある。「半簫の意か。竹の筒で穴が十二あり、長さ約二尺三寸。直径七、八分ほど」『石垣方言辞典』とある。昔、⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)に唐より伝来したという笛があった。竹筒は細かく割ってあって、穴と穴の間は糸で強く締めてあった。それを西村の笛として用いたという。飾りはついてなかったが、その笛を⸢パンソーといった(加治工伊佐氏談)という 13876 0 1 13569 htmvoc_13876.wav バンゾンガニ ⸢バンゾン⸣ガニ [⸢banʣoŋ⸣gani] 名 {Mn_1}さしがね。まがりがね(曲尺)。かねじゃく。直角に折れ曲がった形の物差し。「ばんしょうがね(番匠矩)」の義。⸢ヤーザイ⸣ク[⸢jaːʣai⸣ku](建築大工{EOS}「家大工」の義)が使用した差し金。 ⸢サイ⸣コー ⸢バンゾン⸣ガニシル ノー⸢ン⸣ パ⸢カリ⸣ル ⸣ムノー ス⸢ク⸣ロール [⸢sai⸣koː ⸢banʣoŋ⸣ganiʃiru noː⸢m⸣ pḁ⸢kari⸣ru ⸣munoː su̥⸢ku⸣roːru] (大工は曲りがね<番匠がね>で何でも計って、物は作られる)。 ⸢サイ⸣コー ⸢バンゾン⸣ガニシ パ⸢カ⸣レーティル シ⸢ミ⸣ナー ⸢パン⸣コーッタ [⸢sai⸣koː ⸢banʣoŋ⸣ganiʃi pḁ⸢ka⸣reːtiru ʃi⸢mi⸣naː ⸢paŋ⸣koːtta] (大工は差し金で測りながら墨縄で直線を引かれた<弾かれた>)。 ⸢バンゾンガニ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢サイクシグ⸣トー ⸣ナルン [⸢banʣoŋgani⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢saikuʃigu⸣toː ⸣naruŋ] (差し金があれば大工仕事は出来る)。 13876 0 2 13570 htmvoc_13876.wav バンゾンガニ ⸢バンゾン⸣ガニ [⸢banʣoŋ⸣gani] 名 {Mn_2}番匠矩のような角材。歌謡語。⸢バンゾンガニ⸣バ ヌ⸢キバ シー~[⸢banʣoŋgani⸣ba nu⸢kiba ʃiː~。](番匠矩の鋼材を貫材にして~)「アーパーレー歌」 13877 0 0 13571 htmvoc_13877.wav パンタ ⸢パン⸣タ [⸢pan⸣ta] 名 繁忙。多忙。「繁多」の義。 ⸢マイカリヌ パン⸣ター マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ティーン カ⸢リプサ⸣ル [⸢maikarinu pan⸣taː ma⸢ja⸣nu ⸣tiːŋ ka⸢ripusa⸣ru] (稲刈りの繁多さ<忙しさ>は猫の手も借りたいぐらいだ)。 ⸢ウンマー⸣ シゥ⸢カナイ⸣ヌ ⸢パン⸣タ ヤ⸢レー⸣ンダ ム⸢ヌカン⸣ガイ ナ⸢ラン⸣シェン [⸢ʔummaː⸣ sï̥⸢kani⸣nu ⸢pan⸣ta ja⸢reː⸣nda mu⸢nukaŋ⸣gai na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (あの頃は子育ての繁忙期<繁多>だったから、ものを考えることが出来なかった) 13878 0 0 13572 htmvoc_13878.wav パンタ ⸢パン⸣タ [⸢pan⸣ta] 名 先端。端っこ。ふち。断崖。パン⸢ター⸣マ[pan⸢taː⸣ma](先端)ともいう。 ⸢キー⸣ヌ ユ⸢ダヌ パン⸣タナー ⸣パトゥザヌ トゥ⸢マリベー [⸢kiː⸣nu ju⸢danu pan⸣tanaː ⸣pḁtuʣanu tu⸢maribeː] (木の枝の先端に鳩が止まっている)。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢サイ⸣ヤー マ⸢ナマ⸣ル サ⸢カリヌ パンタ⸣ダー [ku⸢nu⸣ ja⸢sai⸣jaː ma⸢nama⸣ru sḁ⸢karinu panta⸣daː] (この野菜は今が盛りの先端<最成長期>だよ)。 ⸢キーヌ パン⸣タ [⸢kiːnu pan⸣ta] (木の先端) 13879 0 0 13573 htmvoc_13879.wav パンタ ⸣パンタ [⸣panta] 名 南方。南の方。西表島の北岸一帯の水田地帯。昭和40年ごろまでは鳩間島の人が⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)で渡り、四、五日の泊りがけで水田耕作をしたところ。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸣イダフネーラ ⸣パンター バ⸢タリ ター⸣ヤーナ トゥ⸢マレー⸣ティル ⸢タースク⸣リ ⸢ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸣ʔidaɸuneːra ⸣pantaː ba⸢tari taː⸣jaːna tu⸢mareː⸣tiru ⸢taːsu̥ku⸣reː ⸢soːt⸣ta] (鳩間の人はサバニで南の西表島へ渡り、田圃小屋に泊まりながら水田耕作<田作り>をされた) 13880 0 0 13574 htmvoc_13880.wav バンター ⸢バン⸣ター [⸢ban⸣taː] 代 僕達。僕ら。私達。一人称、複数(聞き手を含まない)。⸢ベー[⸢beː](我々{EOS}私達{EOS}聞き手を含む)と対立する。ク⸢ヌ⸣  プ⸢ソー バン⸣ター ⸢シン⸣シー ヤ⸢ロー⸣ル。ワ⸢ター シン⸣シェー ⸢ター⸣ ヤ⸢ローッ⸣ター[ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː ban⸣taː ⸢ʃiŋ⸣ʃiː ja⸢roː⸣ru。wa⸢taː ʃiŋ⸣ʃeː ⸢taː⸣ ja⸢raːt⸣taː](この人は僕達の先生でいらっしゃる{EOS}君等の先生はどなたでした<誰であられた>か)。 ⸢ベー⸣ ムー⸢ル⸣ パ⸢トゥ⸣マプス ヤ⸢ルヌ バン⸣ター ⸢インヌムラプス⸣ダー [⸢beː⸣ muː⸢ru⸣ pḁ⸢tu⸣mapu̥su ja⸢runu ban⸣taː ⸢ʔinnumurapusu⸣daː] (我々は皆鳩間島出身<鳩間人>だが、僕らは西村出身<人>だよ) 13887 0 0 13575 htmvoc_13887.wav パンターマ パン⸢ター⸣マ [pan⸢taː⸣ma] 名 端っこ。突端。⸣-マ[⸣-ma]は美称の接尾辞。 ⸢キー⸣ヌ パン⸢ター⸣マ [⸢kiː⸣nu pan⸢taː⸣ma] (樹木の最先端)。⸢キーヌパン⸣タ[⸢kiːnupan⸣ta](梢)は名詞。 ⸢キー⸣ヌ パン⸢ター⸣マナ ⸣パトゥザヌ トゥ⸢マリバー [⸢kiː⸣nu pan⸢taː⸣mana ⸣pḁtuʣanu tu⸢maribeː] (木の最先端部<\ruby{梢}{コズエ}>に鳩がとまっている)。 ⸢サンガラ⸣ヌ パン⸢ター⸣マナ ⸣タティ ⸢ベー⸣ モー ⸢ター⸣ヤ [⸢saŋgara⸣nu pan⸢taː⸣mana ⸣tḁti ⸢beː⸣ moː ⸢tːa⸣jaː] (崖の先端<崖っぷち>に立っている者は誰か) 13882 0 0 13576 htmvoc_13882.wav ハンダイ ⸢ハン⸣ダイ [⸢han⸣dai] 名 飯台。ちゃぶだい(卓袱台)。四脚の脚の低い食事用の台。食卓。「飯台」の義。標準語からの借用語。飯台の中央には大皿におかずを盛り、炊いた芋なども竹笊に盛って置いて、各自欲しいものを取って食べた。ご飯とお汁だけは各自の前に配膳された。カ⸢ティ⸣ムヌ[kḁ⸢ti⸣munu](おかず{EOS}かてもの<揉て物>)は共通の大皿から取ってたべた。 ⸣キサー ⸢サンバン⸣ザーナ ⸢ハン⸣ダイ シ⸢キティ ヤーニン⸣ズ ⸢マーズン⸣シ ⸢イー⸣ヤ ン⸢コーッ⸣タ [⸣kisaː ⸢samban⸣ʣaːna ⸢han⸣dai ʃi̥⸢kiti jaːnin⸣ʣu ⸢maːʣuŋ⸣ʃi ⸢ʔiː⸣ja ʔŋ⸢koːt⸣ta] (以前は三番座で飯台を据えて家族一緒にご飯<飯>は召上がられた) 13883 0 0 13577 htmvoc_13883.wav ハンタグヮーテー ⸢ハンタグヮー⸣テー [⸢hantagwaː⸣teː] 名 屋号。通事実氏宅。指小辞(diminutive)の⸣グヮー[⸣gwaː](小{EOS}小さいもの)は沖縄方言であるから、⸢ハンタ⸣グヮー[⸢hanta⸣gwaː](「最先端{EOS}村の端っこ」の義か{EOS}転じて「分家」の意か)も糸満方言由来の言葉であろう 13885 0 0 13578 htmvoc_13885.wav パンダクン ⸣パン ダ⸢クン [⸣pan da⸢kuŋ] 連 ⸢足を抱く」の義。足を怪我して働くことが出来なくなること。 ⸢パン⸣バ ヤ⸢マ⸣シティル ナー⸢イ⸣ パン ダ⸢キティ ウー⸣キカーキン ナ⸢ラ⸣ヌティ ⸢アーアー⸣シ ⸢オー⸣ル [⸢pam⸣ba ja⸢ma⸣ʃi̥tiru naː⸢ji⸣ pan da⸢kiti ʔuː⸣kikaːkin na⸢ra⸣nuti ⸢ʔaːʔaː⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ru] (足を痛めて、ただ足を抱いて、身動きできないといって、ため息をついて嘆いておられる) 13886 0 0 13579 htmvoc_13886.wav パンタサン ⸢パンタ⸣サン [⸢panta⸣saŋ] 形 忙しい。多忙である。繁多である。「繁多さあり」の義。 ⸢マイカレー パンタ⸣サンダ ⸢ガッ⸣コーン ヤ⸢ス⸣ミ ナ⸢リ⸣シタ [⸢maikareː panta⸣sanda ⸢gak⸣koːɲ ja⸢su⸣mi na⸢riʃi̥ta] (稲刈りは忙しいから学校も休みになった)。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ⸢パンタ⸣サー ⸢ナーヌ⸣ヌ ア⸢ツァー⸣ラー ⸢パンタ⸣サ ⸣ナルンツォー [⸢kjuː⸣ja(wa)⸢panta⸣saː ⸢naːnu⸣nu ʔa⸢ʦaː⸣raː ⸢panata⸣sa ⸣narunʦoː] (今日は忙しくないが、明日からは忙しくなるそうだ)。 ⸣ドゥク ⸢パンタサ⸣ヌ ⸣イキン ⸣ヌビーン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duku ⸢pantasa⸣nu ⸣ʔikin ⸣nubiːn na⸢ra⸣nu] (あまりにも忙しくて一息つく暇も、腰を伸ばす暇もない)。 ⸢パンタ⸣サー(⸢パンタ⸣サル)⸣ピンマー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ティーン カ⸢リ⸣プサン [⸢panta⸣saː(⸢panta⸣saru) ⸣pimmaː ja⸢rabi⸣nu ⸣tiːŋ ka⸢ri⸣pu̥saŋ] (忙しい時は子供の手も借りたい)。 ⸣アイニ ⸢パンタ⸣サーレーラー ⸢イー⸣ ッふー ⸣マドゥーン ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢panta⸣saːreːraː ⸢ʔiː⸣ ffuː ⸣maduːn ⸢naː⸣nu] (あのように忙しいようではご飯を食べる暇<間時>もない) 13889 0 0 13580 htmvoc_13889.wav パンダマ ⸢パン⸣ダマ [⸢pan⸣dama] 名 (植)野菜の名。スイゼンジナ(水前寺菜)。キク科の多年草。葉の色は、表が緑色で裏は紫色。葉は食用となる。カツオの頭やイ⸢ノー⸣イズ[ʔi⸢noː⸣ʔiʣu](環礁内の魚)と一緒に煮ると美味である。 ⸢パン⸣ダマー パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナン⸣ゾー ス⸢ク⸣ロー⸢ラン⸣シェン [⸢pan⸣damaː pḁ⸢tu⸣manaː ⸢nan⸣ʣoː su̥⸢ku⸣roː⸢raŋ⸣ʃeŋ] (スイゼンジナは、鳩間島ではあまり栽培され<作られ>なかった) 13888 0 0 13581 htmvoc_13888.wav パンダヤ ⸢パン⸣ダヤ [⸢pan⸣daja] 名 足の力。脚力。「足の体力」の義。ア⸢シ⸣ダイ[ʔa⸢ʃi⸣dai](足の力{EOS}脚力)ともいう。 ⸢ナーヤンバ シーティル パンダヤ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ナリ ア⸢ラキユーサン⸣バン [⸢naːjamba ʃiːtiru pandaja⸣nu ⸢naːn⸣nari ʔa⸢rakijuːsam⸣baŋ] (長患い<長病み>をして足の力がなくなり、歩くことが出来ないわい) 13890 0 0 13582 htmvoc_13890.wav パンタラスン ⸢パンタラ⸣スン [⸢pantara⸣suŋ] 他動 太らせる。肥えさせる。自動詞⸢パン⸣タルン[⸢pan⸣taruŋ](太る{EOS}肥える)の未然形に、使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~す{EOS}~さす{EOS}~させる)が下接して形成された使役の派生動詞。 ⸣オー シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢パンタラ⸣スン [⸣ʔoː si̥⸢ka⸣nai ⸢pantara⸣suŋ] (豚を養って太らせる)。 ⸢パンタラサ⸣ヌ [⸢pantarasa⸣nu] (太らさない)。 ⸢パンタラシ⸣プサン [⸢pantaraʃi⸣pu̥saŋ] (太らせたい) 13891 0 0 13583 htmvoc_13891.wav パンタリッサールン ⸢パンタリッサー⸣ルン [⸢pantarissaː⸣ruŋ] 自動 肉付きが良くなる。ほどよく健康的に肥える。 ⸣ヤミティ ⸢ヨーガリ ブー⸣ティ シ⸢キ ソーバ シー ベータ⸣ヌ ⸢パンタリッサーリ⸣ ブーバン ⸢ボー⸣レー [⸣jamiti ⸢joːgari buː⸣ti ʃi̥⸢kiti soː ʃiː beːta⸣nu pantarissaːri⸣ buːbam ⸢boː⸣reː] (病んで痩せ衰えていると聞いて心配していたが、すっかり肉付きも良くなっているわい{EOS}良い子だ) 13892 0 0 13584 htmvoc_13892.wav パンタリプス ⸢パンタリ⸣プス [⸢pantari⸣pu̥su] 名 肥えた人。太った人。 ⸢パンタリ⸣プソー ⸢ドゥン⸣ナーンダ ⸢アッ⸣タニ ⸢ウーキユサ⸣ヌ [⸢pantari⸣pu̥soː ⸢dun⸣naːnda ⸢ʔat⸣tani ⸢ʔuːkijusa⸣nu] (肥えた人は動作が鈍いから、急には動けない) 13893 0 0 13585 htmvoc_13893.wav パンタルン ⸢パン⸣タルン [⸢pan⸣taruŋ] 自動 太る。肥える。 ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイティ パン⸣タルンティ ⸢スンドゥ⸣ イッ⸢カ<⸢ピッ⸣チン> パンタラン⸣サー [ʔm⸢maː⸣munu f⸢faiti pan⸣tarunti ⸢sundu⸣ ʔik⸢ka<⸢pit⸣ʧiŋ> pantaran⸣saː] (美味しいものを食べて太ろうとするが、一向に太らないさ)。 ⸢パン⸣タリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢pan⸣tari ⸢naː⸣nu] (太ってしまった)。 ッ⸢ふァイムヌヌ⸣ ユ⸢チ⸣クニ ナ⸢ルター⸣ル ⸢パン⸣タル プ⸢スヌ ゴー⸣ラー ナレー⸢ツォー [f⸢faimununu⸣ ju⸢ʧi⸣kuni na⸢rutaː⸣ru ⸢pan⸣taru pu̥⸢sunu goː⸣raː nareː⸢ʦoː] (食べ物が豊かになったから<ぞ>太る人が多くなったのだよ)。 マン⸢ベーマ パン⸣タレー ⸣ミサムヌ [mam⸢beːma pan⸣tareː ⸣misamunu] (もう少し太ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢パン⸣タリ [⸢maː⸣bim ⸢pan⸣tari] (もっと太れ) 13895 0 0 13586 htmvoc_13895.wav パンタレー ⸣パンタレー [⸣pantareː] 名 太った子供。太っちょ。デブちゃん。大人にはいわない。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー イーッふァイ⸣ダーティル ⸣アイニ ⸣パンタレー ⸣ナリ ⸢ブー [ku⸢nu⸣ f⸢faː ʔiːffai⸣daːtiru ⸣ʔaini ⸣pantareː ⸣nari ⸢buː] (この子は食べ過ぎるのであのように太っちょになっているのだ) 13896 0 0 13587 htmvoc_13896.wav バンチ ⸢バン⸣チ [⸢ban⸣ʧi] 名 番地。標準語からの借用語。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ドゥーン⸣ヤーヌ ⸢バン⸣チェー ⸣ウブイ ⸢ブン⸣カヤー [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢duːɲ⸣jaːnu ⸢ban⸣ʧeː ⸣ʔubui ⸢buŋ⸣kajaː] (鳩間島の自分の家の番地は覚えているかねえ)。 ⸢ワッ⸣テーヤ ⸢ナンバン⸣チヤ [⸢wat⸣teːja ⸢namban⸣ʧija] (君の家は何番地か) 13870 0 0 13588 htmvoc_13870.wav パンチカンチ ⸢パンチカン⸣チ [⸢panʧikan⸣ʧi] 副 生半可に。中途半端に。途切れ途切れにしか記憶してないさま。不完全でところどころしか記憶していないさま。おぼろげなさま。はっきりしないさま。一知半解なさま。 プ⸢スヌ⸣ ムネー シゥ⸢カイトゥ⸣ シ⸢ケー サムティ パンチカン⸣チ シ⸢キティ クン⸣ゾー ウ⸢クル⸣ナ [pu̥⸢sunu⸣ muneː sï̥⸢kaitu⸣ ʃi̥⸢keː samuti panʧikan⸣ʧi ʃi̥⸢kiti kun⸣ʣoː ʔu⸢kuru⸣na] (他人の話はしっかり聞きはしないで、ところどころ中途半端に聞いて怒るな)。 ム⸢カ⸣シ ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ゾーッ⸣タ ⸣クトー ⸢パンチカン⸣チ ⸣ウブイ ⸢ブン [mu⸢ka⸣ʃi ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣoːt⸣ta ⸣ku̥toː ⸢panʧikan⸣ʧi ʔubui ⸢buŋ] (昔親が言われたことはところどころ、おぼろげに覚えている)。 ⸢ソー⸣ シ⸢ティルン⸣ケン ⸣ビーティ ⸢パンチカンチ⸣ル ウ⸢ボー⸣リ ⸢ピッ⸣チン ア⸢テー ナーン⸠ツォー [⸢soː⸣ ʃi̥⸢tiruŋ⸣kem ⸣biːti ⸢panʧikanʧi⸣ru ʔu⸢boː⸣ri ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢teː naːn⸠ʦoː] (正気を失うまで酔っておぼろげにしか思い出されない<意識が途切れ途切れだ>{EOS}あとは何も意識がないんですよ)。 ⸣トームニン ウ⸢ランダ⸣ムニン ⸢パンチカン⸣チ シゥ⸢カリン [⸣toːmuniŋ ʔu⸢randa⸣munim ⸢panʧikan⸣ʧi sï̥⸢kariŋ] (中国語も英語<オランダ語>もところどころ中途半端に理解でき<聞くことができ>る) 13871 0 0 13589 htmvoc_13871.wav バンチフダ ⸢バンチ⸣フダ [⸢banʧi⸣ɸuda] 名 門札。「番地札」の義。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢バンチ⸣フダ ク⸢バラリ⸣ ブタル [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢banʧi⸣ɸudaː ku⸢barari⸣ butaru] (戦後は家毎に門札<番地札>は配られていたよ) 13897 0 1 13590 htmvoc_13897.wav パンチルン ⸢パンチルン [⸢panʧiruŋ] 自動 {Mn_1}ほどける(解ける)。はずれる。 フ⸢バリ⸣シケー ⸣シナー ⸢パンチルン⸣カヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢パンチランバン [ɸu⸢bari⸣ʃi̥keː ⸣ʃinaː ⸢panʧiruŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢panʧirambaŋ] (縛ってある綱は解けるかと思ったが、解けないわい)。 ⸢パンチ ナー⸣ヌ [⸢panʧi naː⸣nu] (解けてしまった)。 ⸢パンチル⸣ クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸢panʧiru⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (解けることはないはずだ)。 ⸢パンチレー⸣ ミサムヌ [⸢panʧireː⸣ misamunu] (解ければいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢パンチリ [⸢paː⸣ku ⸢panʧiri] (早く解けろ)。 13897 0 2 13591 htmvoc_13897.wav パンチルン ⸢パンチルン [⸢panʧiruŋ] 自動 {Mn_2}はずれる(外れる)。それる(逸れる)。 ⸣タミティ ア⸢タン⸣カー ⸢パンチルン<⸢パンチス> [⸣tamiti ʔa⸢taŋ⸣kaː ⸢panʧiruŋ<⸢panʧisu>] (真直ぐに狙って<\ruby{矯}{タ}めて>撃たない<当てない>と外れる) 13900 1 1 13592 htmvoc_13900.wav パンツァスン ⸢パンツァスン [⸢panʦasuŋ] 他動 {PoS_1}{Mn_1}ほどく(解く)。 フ⸢バリ⸣ シケー シ⸢ナ⸣バ ⸢パンツァスンティ スンドゥ パンツァサラヌ [ɸu⸢bari⸣ ʃi̥keː ʃi⸢na⸣ba ⸢panʦasunti sundu panʦasaranu] (\ruby{縛}{シバ}ってある綱を解こうと<外そうと>するが、解かれ<外され>ない)。 ⸢パンツァシヤッ⸣サ ⸣ムノーラ ⸢パンツァス⸣ クトゥ [⸢panʦaʃi jas⸣sa ⸣munoːra ⸢panʦasu⸣ ku̥tu] (解き易い<外しやすい>物から解く<外す>こと)。 ⸢パー⸣ク⸢パンツァシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢panʦaʃeː⸣ misamunu] (早く解けば<外せば>いいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢パンツァシ [⸣duːʃi ⸢panʦaʃi] (自分で解け<外せ>)。外す。 ⸣シナ ⸢パンツァスンティ スンドゥ パンツァサラヌ [⸣ʃina ⸢panʦasunti sundu panʦasaranu] (綱を解こうとするが解かれない)。 ⸢ティー⸣ヤ⸢パンツァサンドー⸣シ ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サミ [⸢tiː⸣ja ⸢panʦasandoː⸣ʃi git⸢ti⸣ kḁ⸢sami] (手は放さないで、ぎゅっと掴め)。 ⸢パンツァシ⸣ ミサカー ⸢パンツァシェー⸣ ミサムヌ [⸢panʦaʃi⸣ misakaː ⸢panʦaʃeː⸣ misamunu] (\ruby{解}{ホド}いてよければ解けば良いのに)。 ⸢パンツァス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢panʦasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (解くことは出来ない)。 ⸣ドゥーシ ⸢パンツァシ [⸣duːʃi ⸢panʦaʃi] (自分で解け)。{Mn_2}はずす(外す)。 ⸢ティー⸣ヤ ⸢パンツァスナ [⸢tiː⸣ja ⸢panʦasuna] (<握っている>手は外すな)。 13900 2 0 13593 htmvoc_13900.wav パンツァスン ⸢パンツァスン [⸢panʦasuŋ] 補動 {PoS_2}(補助動詞)。動詞の連用形に付いて⸢~しそびれる。~しはずす」の意を表す。 シ⸢グトゥブリ シーベー⸣ティ ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイパンツァシ(ッ⸢ふァイパザキ)ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutuburi ʃiːbeː⸣ti ʔm⸢maː⸣munu f⸢faipanʦaʃi naː⸣nu] (仕事に夢中になって<仕事惚れして>、美味しいものを食べ外して<食べ損ねて>しまった) 13874 0 0 13594 htmvoc_13874.wav パンッサーラシビリ ⸢パンッサーラシ⸣ビリ [⸢panssaːraʃi⸣biri] 名 足下げ座り。縁側や三番座などで足を垂らして座ること。農家の主婦たちは用事を済ませてすぐ立てるように座敷に上がることはしなかった。老人たちが座敷に上がって茶を飲んだ。 ⸢パンタ⸣サンダ ⸢パンッサーラシ⸣ビリ ⸢シェー⸣ティル ⸢サー⸣ユン ヌ⸢ム⸣タ⸢ダー [⸢panta⸣sanda ⸢panssaːraʃi⸣biri ⸢ʃeː⸣tiru ⸢saː⸣jun nu⸢mu⸣ta⸢daː] (忙しいので足下げ座りをしながらお茶も飲んだものだよ) 13875 0 0 13595 htmvoc_13875.wav パンッスル ⸢パンッス⸣ル [⸢panssu⸣ru] 名 あしふき(足拭き)。雑巾。明治生まれの老年層の使用語彙。若年層は⸢ゾー⸣キン[⸢ʣoː⸣kiŋ](雑巾)という。 ⸢パンッス⸣ルシ ⸢パン⸣マー ッ⸢スリティ ウンター ヌーリ⸣バ [⸢panssu⸣ruʃi ⸢pam⸣maː s⸢suriti ʔuntaː nuːri⸣ba] (足拭きで足を拭いて上<座敷>に上がりなさい) 13898 0 0 13596 htmvoc_13898.wav パンッスン ⸣パン ⸣ッスン [⸣pan ⸣ssuŋ] 連 足摺りをする。⸢キン⸣ダン ⸢スン[⸢kin⸣dan ⸢suŋ](地団太踏む)というのが普通。 ヤ⸢ラ⸣ベー ブ⸢ネーヌ⸣ シ⸢ビ ウーンティ ⸣パン ⸣ッシ<キン⸣ダン ⸢シー> ナ⸢キ ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː bu⸢neːnu⸣ ʃi⸢bi ʔuːnti⸣ paŋ ⸣ʃʃi<⸢kin⸣daŋ ⸢ʃiː> na⸢ki joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (子供は母親の後追いするとて足摺して<地団太踏んで>泣いて、手が付けられ<養生でき>ない) 13899 0 1 13597 htmvoc_13899.wav パンツン ⸢パンツン [⸢panʦuŋ] 自動 {Mn_1}ほどける(解ける)。外れる。 フ⸢バリ⸣ シケータンドゥ ⸢パンチ ナー⸣ヌ [ɸu⸢bari⸣ʃi̥keːtanndu ⸢panʧi naː⸣nu] (縛っておいたが解けてしまった)。 ⸢ナンクク⸣ル ⸢パンツン [⸢naŋkuku⸣ru ⸢panʦuŋ] (自然に<おのずと>解ける)。 ⸢パンツァヌ [⸢panʦanu] (解けない)。 ⸣クマーラ ⸢パンツ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kumaːra ⸢panʦu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (ここから解けることはない)。 ⸢パンチェー⸣ ミサムヌ [⸢panʧeː⸣ misamunu] (解ければ良いのに)。 ⸢パンチ⸣バ [⸢panʧi⸣ba] (解けろよ)。 13899 0 2 13598 htmvoc_13899.wav パンツン ⸢パンツン [⸢panʦuŋ] 自動 {Mn_2}はずれる(外)⸣タミティ ア⸢タン⸣カー ⸢パンツン[⸣tamiti ʔa⸢taŋ⸣kaː ⸢panʦuŋ](真直ぐ狙って当てないと外れる)「はづる(下二段活用)」の四段段活用化したもの。⸢Fazzure,uru,eta.ハヅレ,ルル,レタ(外れ,るる,れた)~Fitonami fazzururu(人並みに外るる)~」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか 13872 0 0 13599 htmvoc_13872.wav バンテー ⸢バン⸣テー [⸢ban⸣teː] 名 わが家。私の家(他人に対して言うときに用いる)。banta(私たち<聞き手を含まない>の)・[jaː](家)→ [banteː](我が家)と転訛したもの。家族の者同士が「わが家」というときは、⸢ベー⸣ヤー[⸢beː⸣jaː](我ら<聞き手を含む>の家、建物、家庭)という。⸣バーヤー[⸣baːjaː](私個人の家)は建物を指す。 ⸢バン⸣テーン ア⸢サビン⸣ クーバ⸢ヨー [⸢ban⸣teːŋ ʔa⸢sabiŋ⸣ kuːba⸢joː] (わが家にも遊びに来なさいね) 13904 0 0 13600 htmvoc_13904.wav バンドーガミ ⸢バンドーガミ [⸢bandoːgami] 名 水がめ。炊事用、飲料用の水を入れておく水瓶で、口が胴体ほど広い。普通の水甕を半分の高さで切った形をしている。「半胴甕」の義。⸢パンドー[⸢pandoː](半胴瓶)ともいう。 ⸢バンドーガミヌ⸣ フ⸢ター⸣ イツァシ ス⸢ク⸣リティル フ⸢チェー⸣ カ⸢バ⸣シ ス⸢ク⸣タ [⸢bandoːgaminu⸣ ɸu̥⸢taː⸣ ʔiʦaʃi su̥⸢ku⸣ritiru ɸu̥⸢ʧeː⸣ ka⸢ba⸣ʃi su̥⸢ku⸣ta] (半胴甕の蓋は板で作って口を覆い被せておいた) 13901 0 0 13601 htmvoc_13901.wav ハンドゥー ⸢ハン⸣ドゥー [⸢han⸣duː] 名 ⸢プーシン[⸢puːʃiŋ](帆船)の帆柱を立てたり、倒したりする際のヌ⸢チ⸣ジナ[nu⸢ʧi⸣ʤina](命綱)を張る棒。舳先に突き出してある 13902 0 0 13602 htmvoc_13902.wav パントゥキ ⸢パントゥキ [⸢pantuki] 名 はんとき(半時)。ごく短い時間。⸢イットゥ⸣キ[⸢ʔittu⸣ki](いっとき<一時>{EOS}ごく短い時間)と共に対語的に用いられる。 ⸢イットゥ⸣キ ⸢パントゥキヌ⸣ ピ⸢マーンツァン⸣ ス⸢クララヌー [⸢ʔittu⸣ki ⸢pantukinu⸣ pi⸢maːnʦan⸣ su̥⸢kuraranuː] (わずか一時、半時の時間<暇>さも作られないのか)。 ウ⸢マー⸣ヤ ⸢パントゥキ⸣シー ⸢ギーッティ⸣ キ⸢ラ⸣リン [ʔu⸢maː⸣ja ⸢pantuki⸣ʃiː ⸢giːtti⸣ ki⸢ra⸣riŋ] (そこへは半時で行って来られる) 13903 0 0 13603 htmvoc_13903.wav パントゥシ ⸢パントゥシ [⸢pantuʃi] 名 半年。 ⸣ヨイ ⸢シェーラ⸣ メー キサー⸢ティ パントゥシ⸣ ナ⸢リ⸣ ブー [⸣joi ⸢ʃeːraː⸣ meː kisaː⸢ti pantuʃi⸣ na⸢ri⸣ buː] (結婚祝いをしてから、もう既に半年は経って<なって>いる) 13906 0 0 13604 htmvoc_13906.wav パンニチ ⸢パンニチ [⸢panniʧi] 名 半日。 ⸢パンニチ⸣ パ⸢タラク⸣カー ⸣ティマー ⸢ギュー⸣サ ⸢イーラリ⸣ワ [⸢panniʧi⸣ pḁ⸢taraku⸣kaː ⸣timaː ⸢gjuː⸣sa ⸢ʔiːrari⸣wa] (半日働いたら手間賃はいくら貰えるか)。 ク⸢レー パンニチヌ⸣ シ⸢グトゥユン⸠ナー [ku⸢reː panniʧinu⸣ ʃi⸢gutujun⸠naː] (これは半日の仕事ですねえ) 13908 0 0 13605 htmvoc_13908.wav バンニン ⸢バン⸣ニン [⸢ban⸣niŋ] 名 番人。見張りをする人。 マ⸢チヤーヌ バンニン⸣マー ブ⸢ラーヌ [ʔma⸢ʧijaːnu bannim⸣maː bu⸢raːnu] (お店の番人はいない) 13907 0 0 13606 htmvoc_13907.wav パンニン ⸢パンニン [⸢panniŋ] 名 半年。⸢チューガッ⸣コー ⸣ンジティ ⸢パンニンマー⸣ カ⸢ツシン⸣ナ ⸢ヌールタ(中学校を出て半年はカツオ漁船に乗った) 13909 0 0 13607 htmvoc_13909.wav パンニンマイ ⸢パンニンマイ [⸢pannimmai] 名 半人前。一人前の半分の能力。 ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ルンダ パンニンマイヌ⸣ ティ⸢マ⸣ル ⸢イーラリ⸣タ [ja⸢ra⸣bi ja⸢runda pannimmainu⸣ ti⸢ma⸣ru ⸢ʔiːrari⸣ta] (子供だから半人前の手間賃がもらえた) 13910 0 0 13608 htmvoc_13910.wav パンヌアトゥ ⸢パン⸣ヌ ⸣アトゥ [⸢pan⸣nu ⸣ʔatu] 連 足跡。動物の足跡。人の足跡には、⸢パン⸣ヌペー[⸢pan⸣nupeː](人の足跡)という。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸢パン⸣ヌ ⸣アトゥ ⸣ミレーティル ⸣バナー ア⸢ギル [ka⸢mai⸣nu ⸢pan⸣nu ⸣ʔatu ⸣mireːtiru ⸣banaː ʔa⸢giru] (猪の足跡を見ながら罠は仕掛けるものだ) 13911 0 0 13609 htmvoc_13911.wav パンヌアドゥ ⸢パン⸣ヌ ⸣アドゥ [⸢pan⸣nu ⸣ʔadu] 連 かかと(踵)。 ⸢パン⸣ヌ ⸣アドゥシ ⸢フンシキ⸣バ [⸢pan⸣nu ⸣ʔaduʃi ⸢ɸunʃi̥ki⸣ba] (かかと<踵>で踏みつけなさいよ) 13912 0 0 13610 htmvoc_13912.wav パンヌウトゥ ⸢パン⸣ヌ ウ⸢トゥ [⸢pan⸣nu ʔu⸢tu] 連 足音。 ⸢パン⸣ヌ ウ⸢トゥヌ⸣ シゥ⸢カリヌ ター⸣カヤー [⸢pan⸣nu ʔu⸢tunu⸣ si̥⸢karinu taː⸣kajaː] (足音が聞こえるが、誰かねえ) 13913 0 0 13611 htmvoc_13913.wav パンヌウヤビ ⸢パン⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ビ [⸢pan⸣nu ʔu⸢ja⸣bi] 連 足の指。 ⸢パン⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣ビ イ⸢シ⸣ナ ⸢フッカーサ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ʔu⸢ja⸣bi ʔi⸢ʃi⸣na ⸢ɸukkaːsa⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (足の指が石に挟まれて痛くてたまらない<堪らない>) 13914 0 0 13612 htmvoc_13914.wav パンヌクシ ⸢パン⸣ヌ ク⸢シ [⸢pan⸣nu ku̥⸢ʃi] 連 足の甲。「足の背<腰>」の義。 ⸢パン⸣ヌ ク⸢シ⸣ナー ウ⸢ブ⸣ ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジ ⸢ベー [⸢pan⸣nu ku̥⸢ʃi⸣naː ʔu⸢bu⸣ ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤi ⸢beː] (足の甲に大きな腫れ物<お出来>ができている) 13915 0 0 13613 htmvoc_13915.wav パンヌグジ ⸢パン⸣ヌ グ⸢ジ [⸢pan⸣nu gu⸢ʤi] 連 足のまめ(肉刺)。 ⸢パン⸣ヌ グ⸢ジヌ ピッ⸣チティ ヤ⸢ミ⸣スバン [⸢pan⸣nu gu⸢ʤinu pit⸣ʧiti ja⸢mi⸣subaŋ] (足のまめ<肉刺>がつぶれて痛むよ) 13916 0 0 13614 htmvoc_13916.wav パンヌサラーマ ⸢パン⸣ヌ サ⸢ラー⸣マ [⸢pan⸣nu sa⸢raː⸣ma] 連 くるぶし(踝)。「はぎ(脛)の小皿」の義。 ⸣パン キ⸢ル⸣タクトー ⸢パン⸣ヌ サ⸢ラー⸣マ イ⸢シ⸣ナ ⸣キリティ ヤ⸢マ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸣paŋ ki⸢ru⸣taku̥toː ⸢pan⸣nu sa⸢raː⸣ma ʔi⸢ʃi⸣naː ⸣kiriti ja⸢ma⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (足を蹴りあげたところ、踝を石に蹴りつけて怪我<病ま>してしまった) 13917 0 0 13615 htmvoc_13917.wav パンヌシミ ⸢パン⸣ヌ ⸣シミ [⸢pan⸣nu ⸣ʃimi] 連 足の爪。 ⸢パン⸣ヌ ⸣シミ ⸢フッツァ⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸢pan⸣nu ⸣ʃimi ⸢ɸutʦa⸣ʃi f⸢fiːri] (足の爪を摘んで<切って>くれ) 13918 0 0 13616 htmvoc_13918.wav パンヌバタ ⸢パン⸣ヌ ⸣バタ [⸢pan⸣nu ⸣bata] 連 足裏。「足の腹」の義。 イ⸢ソー⸣ナーティ ⸣アバイズ ⸢フンキティ パン⸣ヌバタ ⸢ピッ⸣キティ ⸢パン⸣マー フ⸢クリ ベー [ʔi⸢soː⸣naːti ⸣ʔabaiʣu ⸢ɸuŋkiti pan⸣nubata ⸢pik⸣kiti ⸢pam⸣maː ɸu̥⸢kuri beː] (潮干狩りで、ヒメオニオコゼを踏んで足裏を傷つけ<ほがし>て、足は腫れてしまった) 13919 0 0 13617 htmvoc_13919.wav パンヌプニ ⸢パン⸣ヌ ⸣プニ [⸢pan⸣nu ⸣puni] 連 足の骨(むこうずねのほね<脛骨>、腓骨)。⸣シニ[⸣ʃini](\ruby{脛}{スネ})ともいう。 ⸢キーヌパン⸣ターラ ⸣ウティティ ⸢パン⸣ヌプニ(⸣シニ)⸣ブリシケー [⸢kiːnu pan⸣taːra ⸣ʔutiti ⸢pan⸣nu ⸣puni(ʃini)⸣buriʃi̥keː] (木の先端から落ちて足の骨<\ruby{脛}{スネ}>を折ってある) 13920 0 0 13618 htmvoc_13920.wav パンヌフビ ⸢パン⸣ヌ フ⸢ビ [⸢pan⸣nu ɸu⸢bi] 連 足首。 ⸢カイ⸣リティ ⸢パン⸣ヌ フ⸢ビ⸣ シ⸢ガーシティ⸣ ヤミ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢kai⸣riti ⸢pan⸣nu ɸu⸢bi⸣ ʃi⸢gaːʃi̥ti⸣ jami ʔa⸢rakara⸣nu] (転んで足首を\ruby{捻挫}{ネン|ザ}して、痛くて歩かれない) 13921 0 1 13619 htmvoc_13921.wav パンヌペー ⸢パン⸣ヌ ⸣ペー [⸢pan⸣nu ⸣peː] 連 {Mn_1}人の足跡。あしあと。 パ⸢マ⸣ナー ⸢パン⸣ヌ ⸣ペーヌ ⸣アル ⸢ギン⸣シェー ター⸢ンナーカ⸣ヌ ⸣キー ブ⸢レー⸣ル [pa⸢ma⸣naː ⸢pan⸣nu ⸣peːnu ⸣ʔaru ⸢giŋ⸣ʃeː taː⸢nnaːka⸣nu ⸣kiː bu⸢reː⸣ru] (砂浜に人の足跡が付いているからには誰かが来ていたのだろう)。 ⸢パン⸣ヌ ⸣ペー フ⸢ムン [⸢pan⸣nu ⸣peː ɸu⸢muŋ] (足跡を踏む{EOS}人の後を追う{EOS}他人の真似をする)。 13921 0 2 13620 htmvoc_13921.wav パンヌペー ⸢パン⸣ヌ ⸣ペー [⸢pan⸣nu ⸣peː] 連 {Mn_2}足の爪先。 ⸢パン⸣ヌ ⸣ペー ⸣キリティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ⸣peː ⸣kiriti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (足の爪先を蹴って痛くてたまらない) 13922 0 0 13621 htmvoc_13922.wav パンヌユール ⸢パン⸣ヌ ⸢ユー⸣ル [⸢pan⸣nu ⸢juː⸣ru] 連 足指の裏のひだ(襞)。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢ラパン⸣シ ア⸢ラ⸣ケーユンダ ヤ⸢ラビ⸣ンメーヤ ⸢パン⸣ヌ ⸢ユー⸣ロー ⸣ユー キ⸢シ⸣シタ [mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢rapaŋ⸣ʃi ʔa⸢ra⸣keːjunda ja⸢rabi⸣mmeːja ⸢pan⸣nu ⸢juː⸣roː ⸣juː ki̥⸢ʃi⸣ʃi̥ta] (昔は裸足で歩いたのだから、子供達は足指の裏の襞がよく切れたものだ) 13923 0 0 13622 htmvoc_13923.wav パンヌワザ ⸢パン⸣ヌ ⸣ワザ [⸢pan⸣nu ⸣waʣa] 連 足を使う仕事。「足の業」の義。⸢ティー⸣ヌ ⸣ワザ[⸢tiː⸣nu ⸣waʣa](手の技術{EOS}手業)の対義語。 ⸢カー⸣ラヤー フ⸢ク⸣ピンヌ ⸣ミツァ ク⸢ナシェー パン⸣ヌ ⸣ワザ ヤ⸢ルンダ⸣ ター⸢ン⸣ ナ⸢リ⸣シタ [⸢kaː⸣rajaː ɸu̥⸢ku⸣ pinnu ⸣miʦa ku⸢naʃeː pan⸣nu ⸣waʣa ja⸢runda⸣ taː⸢n⸣ na⸢ri⸣ʃi̥ta] (瓦屋根を葺く時の粘土を捏ねる仕事は足を使う仕事だから、誰にでも出来た) 13924 0 0 13623 htmvoc_13924.wav バンヌン ⸢バン⸣ヌン [⸢ban⸣nuŋ] 連 私も。撥音で終わる語に副助詞ン[ŋ](も)が下接すると連声現象が起きて、ヌン[nuŋ](~も)となる。 ⸢バン⸣ヌン パ⸢リ⸣プサン [⸢ban⸣num pa⸢ri⸣pu̥saŋ] (私も行きたい)。 ⸢ジン⸣ヌン ⸢モーカ⸣リン [⸢ʤin⸣num ⸢moːka⸣riŋ] (金も儲かれる)。 ⸢ワンヌン⸣ パリミサン [⸢wannum⸣ parimisaŋ] (君も行って良い) 13925 0 0 13624 htmvoc_13925.wav バンパジ ⸣バンパジ [⸣bampaʤi] 名 祈願解き。「番外し」の義。⸢バンプトゥ⸣キ[⸢bampu̥tu⸣ki](願解き)と同じ。御嶽で神々に対する一回の祈願を、プ⸢ス⸣バン[pu̥⸢su⸣baŋ](一番)という。 ⸣ヤマヤマナー ⸢ニン⸣ガイ ⸢オー⸣レール カ⸢ジカジ⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣ヌ ⸣バンパジバル ⸢プール⸣ナーティ ⸢ソー⸣ル [⸣jamajamanaː ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoː⸣reːru ka⸢ʤikaʤi⸣nu ⸢niŋgai⸣nu ⸣bampaʤiru ⸢puːru⸣naːti ⸢soː⸣ru] (御嶽御嶽で祈願された数々の祈願の願解きを<ぞ>豊年祭でなさるのだ) 13926 0 0 13625 htmvoc_13926.wav バンバラー ⸢バン⸣バラー [⸢bam⸣baraː] 名 家の中ががらんどうであること。家の中に家具類がなく、がらんとしているさま。 プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ ヤー ヤ⸢ルンダ バン⸣バラー ⸣ナリティ ノー⸢ン ナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːɲ⸣ jaː ja⸢runda bam⸣baraː ⸣nariti noː⸢n naː⸣nu] (人の住んでいない家だから、がらんどうになって<家具が>何もないわい) 13927 0 0 13626 htmvoc_13927.wav バンバン ⸢バンバン [⸢bambaŋ] 副 擬態語。ぼうぼう。火の燃えさかるさま。 ⸢マーキーバ バンバン⸣シ ⸢モーシェー⸣ティ ⸢マイヌ⸣イー バ⸢カシ⸣バ [⸢maːkiːba bambaŋ⸣ʃi ⸢moːʃeː⸣ti ⸢mainu⸣ʔiː ba⸢kaʃi⸣ba] (薪をぼうぼう燃やして米のご飯を炊きなさいよ) 13928 0 1 13627 htmvoc_13928.wav パンパン ⸢パンパン [⸢pampaŋ] 副 擬態語。{Mn_1}発熱したり、火照ったりするさま。 ム⸢カ⸣シェー ニ⸢チ⸣ヌ ⸢パンパン⸣シ ン⸢ジ⸣ルカー フ⸢チン⸣パー ⸢シッ⸣キ ⸣シル ヌ⸢マ⸣シティ ⸣バサン<バ⸢サ⸣ムトゥ> ⸢シッ⸣キティ ⸢マッ⸣ふァ シ⸢モーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ni⸢ʧi⸣nu ⸢pampaŋ⸣ʃi ʔn⸢ʤi⸣rukaː ɸu̥⸢ʧim⸣paː ⸢ʃik⸣ki ⸣ʃiru nu⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣basaŋ ⸢ʃik⸣kiti ⸢maf⸣fa ʃi⸢moːt⸣ta] (昔は発熱してパンパンと高熱が出ると\ruby{蓬}{ヨモギ}の葉を搗いて汁を搾って飲ませ、芭蕉の幹をも叩いて枕にさせられた)。 13928 0 2 13628 htmvoc_13928.wav パンパン ⸢パンパン [⸢pampaŋ] 副 {Mn_2}真夏の太陽が照りつけて暑くなるさま。 ⸣ティダー ⸢パンパン⸣シ ⸣ティリ ⸢ブンダ ヨーコイ⸣ ナ⸢ラ⸣バーラル パ⸢タ⸣ケー パ⸢ラ⸣リ [⸣tidaː pampaŋ⸣ʃi ⸣tiri ⸢bunda joːkoi⸣ na⸢ra⸣baːraru pḁ⸢ta⸣keː pa⸢ra⸣ri] (太陽がパンパンと照り付けているから、夕方<⸢夕影」の義{EOS}午後四時ごろ>頃になってから<ぞ>畑には行かれる) 13929 0 0 13629 htmvoc_13929.wav パンピサ ⸣パンピサ [⸣pampisa] 名 足首から足の先。足の甲から足の裏を含む。「足・平」の義。 ⸣パンピサシ ウ⸢ムイ⸣キシ ⸢フンピルン [⸣pampisaʃi ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ⸢ɸumpiruŋ] (足裏<足の平>で思い切り踏みつぶす) 13930 0 0 13630 htmvoc_13930.wav パンビン ⸢パン⸣ビン [⸢pam⸣biŋ] 名 祝儀用に大きく揚げた芯のない平たいてんぷら。「はんぺん(半片)」の転訛したものか。祝祭日などには、⸢パン⸣ビンを油で揚げて子供達に与えた。 ⸢パン⸣ビン ヤ⸢キティ⸣ ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢pam⸣biɲ ja⸢kiti⸣ ja⸢ra⸣biŋkeːŋ f⸢faːʃi⸣ba] (はんぺんを揚げて<焼いて>子供達に食べさせなさいよ) 13931 0 0 13631 htmvoc_13931.wav パンブン ⸢パン⸣ブン [⸢pam⸣buŋ] 名 半分。若年層は⸢ハン⸣ブン[⸢ham⸣buŋ](半分)という。標準語からの借用語が転訛したもの。普通は、ナ⸢カ⸣ラ[na⸢ka⸣ra](半ら)という。 ⸢キュー⸣ヤ シ⸢グトー パンブン⸣ドゥ ⸢ナッ⸣タ [⸢kjuː⸣ja ʃi⸢gutoː pambun⸣du ⸢nat⸣ta] (今日は、仕事は半分しか出来なかった<半分ぞできた>)。 ⸢パンブン⸣ナー ⸣バキ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢pambun⸣naː ⸣baki f⸢fai⸣ba] (半分ずつ分けて食べなさいよ)。 ⸢パンブンシグ⸣トゥ [⸢pambuŋʃigu⸣tu] (半端な仕事) 13932 0 0 13632 htmvoc_13932.wav パンブンシー ⸢パンブン⸣シー [⸢pambuŋ⸣ʃiː] 名 中途半端な仕事をすること。仕事を完全にやり遂げないこと。「半分し」の義。若年層は、⸢ハンブン⸣シー[⸢hambuŋ⸣ʃiː](中途半端にすること)という。 タ⸢ナマリ⸣タ シ⸢グトー⸣ トゥ⸢ズ⸣メー サ⸢ムティ パンブン⸣シー ⸢シーティ⸣ シ⸢ティ⸣ シケーバン [ta⸢namari⸣ta ʃi⸢gutoː⸣ tu⸢ʣu⸣meː sa⸢muti pambuŋ⸣ʃiː ⸢ʃiːti⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʃi̥keːbaŋ] (頼まれた仕事は成し遂げ<とじめ>ないで、中途半端にやって<半分やりして>放置してある) 13933 0 0 13633 htmvoc_13933.wav パンブンッサーク ⸢パンブンッサー⸣ク [⸢pambunssaː⸣ku] 名 半分仕事。 ⸣アイニ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢キュー⸣ヤ ⸢パンブンッサー⸣クンツァン<⸢パンブンシグ⸣トゥンツァン> ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢kjuː⸣ja ⸢pambunssaː⸣kunʦan<⸢pambuŋʃigu⸣tunʦan> na⸢ra⸣nu] (あんなに雨が降るようでは<降るなら>、今日は半分仕事さえもできない) 13934 0 0 13634 htmvoc_13934.wav パンブンナー ⸢パンブン⸣ナー [⸢pambun⸣naː] 連 半分ずつ。 ク⸢レー⸣ ワ⸢ター⸣ フ⸢タール⸣シ ⸢パンブン⸣ナー ⸣バキ ⸢イー⸣リ ⸣ミサン [ku⸢reː⸣ wa⸢taː⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸢pambun⸣naː ⸣baki ⸢ʔiː⸣ri ⸣misaŋ] (これは君たち二人で半分ずつ分けて貰っていい) 13935 0 0 13635 htmvoc_13935.wav パンブンバタ ⸢パンブン⸣バタ [⸢pambum⸣bata] 名 「半分腹」の義。食事についていう。五分通り(腹半分に食すること)腹に入れること。老年層は、ナ⸢カラ⸣バタ[na⸢kara⸣bata](腹五分)という。 イ⸢クサ⸣ユーナーヤ ッ⸢ふァイムノー パンブンバタ⸣ナール ッ⸢ふァーリタ [ʔi⸢knusa⸣juːnaːja f⸢faimunoː pambumbata⸣naːru f⸢faːrita] (戦争の時代には食べ物は腹半分ずつしか食べられなかった<腹半分ずつぞ食べられた>) 13936 0 0 13636 htmvoc_13936.wav パンブンミチ ⸢パンブン⸣ミチ [⸢pambum⸣miʧi] 名 道半ば。半分道。中途。 ⸢パンブン⸣ミチ ⸢バー⸣ケー ⸢キー⸣ブンドゥ ア⸢トゥ⸣ヌ パ⸢ンブンミチ⸣ル パ⸢リグリ⸣サー⸢ツォー [⸢pambum⸣miʧi ⸢baː⸣keː ⸢kiː⸣bundu ʔa⸢tu⸣nu ⸢pambummiʧi⸣ru pa⸢riguri⸣saː⸢ʦoː] (半分道までは来ているが、後の半分道が行きにくいんだよ)。 ⸢パンブン⸣ミチェーラ ⸢ヤー⸣ ム⸢ドゥ⸣リ(⸢カイ⸣リ) ⸢クー⸣タ [⸢pambum⸣miʧeːra ⸢jaː⸣ mu⸢du⸣ri(⸢kai⸣ri) ⸢kuː⸣ta] (半分道から<道の途中から>家に戻って<帰って>きた) 13937 0 0 13637 htmvoc_13937.wav パンマイ ⸢パンマイ [⸢pammai] 名 飯米。食糧米。丁寧な表現。普通は、パ⸢マイ[pa⸢mai](飯米)という。 ⸢トゥッカブンヌ パンマイ⸣ ス⸢コーリティ⸣ ア⸢ロー⸣ナ ⸢シン パイ⸣ター ⸢オーッ⸣タ [⸢tukkabunnu pammai⸣ su̥⸢koːriti⸣ ʔa⸢roː⸣na ⸢ʃim pai⸣taː ⸢ʔoːt⸣ta] (十日分の飯米を用意して田圃の初耕<荒耕し>をしに西表<南端>へ行かれた) 13905 0 0 13638 htmvoc_13905.wav パンムイルン ⸣パン ⸢ムイ⸣ルン [⸣pam ⸢mui⸣ruŋ] 連 幼児が立ち始める。幼児が歩き始める。「足が生える」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー タンカー サン⸣ケン キサー⸢ティ⸣ パン ⸢ムイ⸣ルンティ ⸢アーキ⸣バン [ku⸢nu⸣ f⸢faː taŋkaː saŋ⸣keŋ ki̥saː⸢ti⸣ pam ⸢mui⸣runti ⸢ʔaːki⸣baŋ] (この子は一歳の誕生祝いをしないうちに、すでに歩き始めようとしているわい) 13938 0 0 13639 htmvoc_13938.wav パンヤドゥ ⸢パン⸣ヤドゥ [⸢paŋ⸣jadu] 名 半間戸。半窓に設置された上げ下ろし式の半戸。半分の戸。「半屋戸」の義。一般の住宅には作らなかったが、鰹節工場の事務所には⸢パン⸣ヤドゥ[⸢paŋ⸣jadu](半)が設置されていた。 ⸢パン⸣ヤドゥ ア⸢キティ⸣ カ⸢ジ トゥー⸣シ [⸢p⸢aŋ⸣jadu ʔa⸢kiti⸣ ka⸢ʤi tuː⸣ʃi] (半戸を開けて風を入れよ<通せ>) 13939 0 0 13640 htmvoc_13939.wav パンヨールン ⸣パン ⸢ヨー⸣ルン [⸣paŋ ⸢joː⸣ruŋ] 連 足(脚)が弱くなる。「足弱る」の義。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ⸢シンダイ⸣ パン ⸢ヨー⸣ルンダ ア⸢ラキグリ⸣サン [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ⸢ʃindai⸣ paŋ ⸢joː⸣runda ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] (年を取ると次第に足が弱くなるから歩きずらい) 13940 0 0 13641 htmvoc_13940.wav ビー ⸣ビー [⸣biː] 接尾 職、任務、身分などを表す語の末尾に付く。 ティ⸢ジリ⸣ビー [ti⸢ʤiri⸣biː] (男性神職{EOS}手擦部の義か)。 ⸣ウガンカージナー サ⸢カサトゥ⸣ ティ⸢ジリビー⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸣ʔugaŋkaːʤinaː sḁ⸢kasatu⸣ ti⸢ʤiribiː⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (お願<御嶽>ごとに\ruby{司}{ツカサ}<\ruby{巫女}{ミ|コ}{EOS}女性神職者>と男性神職者<手摺り部>がおられる) 13941 0 0 13642 htmvoc_13941.wav ビー ⸣ビー [⸣biː] 名 酔うこと。酔い。 ⸢ビー⸣プス [⸢biː⸣pu̥su] (酔っ払い{EOS}「酔い人」の義)。 サ⸢キビー [sḁ⸢kibiː] (酒酔い)。 イ⸢ズビー [ʔi⸢ʣubiː] (魚の中毒)。 タ⸢バ⸣クビー [ta⸢ba⸣kubiː] (タバコ酔い)。 ⸣ビー サ⸢マ⸣シテーラ ⸢ヤー⸣ パリ [⸣biː sa⸢ma⸣ʃi̥teːra ⸢jaː⸣ pari] (酔いを醒ましてから家に帰りなさい) 13942 0 0 13643 htmvoc_13942.wav ビー ⸣ビー [⸣biː] 名 (植)いぐさ(藺草)。茎は畳表に使う。「~於保為具左<オホヰグサ>よそに見しよは~。万、3417」の「ヰ」が転訛したもの。畳表は沖縄本島や本土から輸入された。西表島で栽培された藺草は⸢サー⸣ラ[⸢saː⸣ra](藺草)といった。 ⸢パイタ⸣ナー ⸢ビー⸣ヤ イ⸢バンシェン サーラ⸣ル イ⸢ブタ [⸢paita⸣naː ⸢biː⸣ja ʔi⸢baŋʃeŋ saːra⸣ru ʔi⸢buta] (西表島には藺は植えなかった{EOS}サーラを<ぞ>植えた) 13943 0 1 13644 htmvoc_13943.wav ビー ⸣ビー [⸣biː] 名 {Mn_1}とい(\ruby{樋}{ヒ})。かけひ<懸樋>。筧。「水やりたる樋<ヒ>の上に~」『かげろふ日記』の転訛したもの。屋根を流れおちる雨水を受けて、ミ⸢ジン⸣グラ[mi⸢ʤiŋ⸣gura](水タンク)やミ⸢ジカミ[mi⸢ʤikami](水甕)に流す装置。直径約10センチの竹筒を半分に割り、節を刳り抜いて利用していた。 ⸢タイ⸣フーナ ⸢ビー⸣ヌ ヤ⸢ブ⸣リ ⸢ナーン⸣バ トゥ⸢リカイ⸣リ [⸢tai⸣ɸuːna ⸢biː⸣nu ja⸢bu⸣ri ⸢naːm⸣ba tu⸢rikai⸣ri] (台風で樋が壊れてしまったから取替えなさい)。 13943 0 2 13645 htmvoc_13943.wav ビー ⸣ビー [⸣biː] 名 {Mn_2}急須の口。注ぎ口 13944 0 1 13646 htmvoc_13944.wav ビー ⸣ビー [⸣biː] 名 {Mn_1}よごれ(汚れ)。しみ(染み)。「\ruby{汚穢}{オ|ワイ}、オエ」の義か。 ⸢キン⸣マー ⸢ティー⸣リ ⸢サン⸣カー ⸣ビー シ⸢キ⸣ルン⸢ダー [⸢kim⸣maː ⸢tiː⸣ri ⸢saŋ⸣kaː ⸣biː ʃi̥⸢ki⸣run⸢daː] (着物は手入れをしないと汚れ<染み>がつくよ)。 13944 0 2 13647 htmvoc_13944.wav ビー ⸣ビー [⸣biː] 名 {Mn_2}不浄。穢れ。 ⸣ビーン⸣サビーン シ⸢キ⸣シミ タ⸢ボーン⸣ナ [⸣biːn ⸣sabiːŋ ʃi̥⸢ki⸣ʃimi ta⸢boːn⸣na] (何事も無くあらしめくださいますように<汚れも錆びも付けさせ給うな>)。 13944 0 3 13648 htmvoc_13944.wav ビー ⸣ビー [⸣biː] 名 {Mn_3}\ruby{水垢}{ミズ|アカ}。みあか。みしぶ。 パ⸢ナ⸣イキナー ビー シキ⸢ベー⸣バ ア⸢ラシティティ⸣ パナ イ⸢キ⸣リ [pa⸢na⸣ʔikinaː ⸣biː ʃi̥ki⸢beː⸣ba ʔa⸢raʃi̥titi⸣ pana ʔi⸢ki⸣ri] (花活けに水垢が付いているから、洗ってから花を活けなさい) 13945 0 0 13649 htmvoc_13945.wav ビー ⸢ビー [⸢biː] 名 亥(い)。十二支の第十二番目。 ⸢ビーディプス [⸢biːdipusu] (亥年生まれの人)。 ⸢ビーディマリ [⸢biːdimari] (亥年生まれ)。 ク⸢トゥシェー ビードゥシ [ku̥⸢tuʃeː biːduʃi] (今年は亥年だ)。 ⸢ワンヌンー ビーディマリ ヤッタ⸣ミ⸢ツォー [⸢wannum biːdimari jatta⸣miː⸢ʦoː] (君も亥年生まれだったんだよねえ) 13946 0 0 13650 htmvoc_13946.wav ビー ⸢ビー [⸢biː] 感 ほら。それ。話し手と同等、目下の者に物を与えるときにいう。 ⸢ビー⸣ ク⸢リ ピーチ⸣ナー ⸣トゥリ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢biː⸣ ku⸢ri piːʧi⸣naː ⸣turi f⸢fai⸣ba] (ほら、これを一つずつ取って食べなさいよ) 13947 0 0 13651 htmvoc_13947.wav ピー ⸣ピー [⸣piː] 名 ひせ(干瀬)。満潮時には海中に没し、干潮時には海面上に現れて島と陸続きになる平坦なサンゴ礁原。「ひし(必志)」⸢大隈風土記逸文」の転訛したものか。⸣シンタヌピー[⸣ʃintanupiː](島の後ろの干瀬)、⸢アンタヌ⸣ピー[⸢ʔantanu⸣piː](島の東の干瀬)、⸢インタヌ⸣ピー[⸢ʔintanu⸣piː](島の西の干瀬)、タ⸢カ⸣ビー[ta⸢ka⸣biː](島の東南の高干瀬)、⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː](島の南西のクーシ干瀬)、⸢イー⸣シビー[⸢ʔiː⸣ʃibiː](西表島の北にひどくツノマタの養殖をした干瀬)などがある。島を取り巻く珊瑚礁のリーフ(環礁)を⸣ピー[⸣piː](干瀬)という。この⸣ピーは、鳩間島の前面(南側)の数箇所で切れて離れている。そこをフ⸢チ[ɸu̥⸢ʧi](津口)という。船はそこを通って島に出入りする。 ⸢スー⸣ヌ ピ⸢ス⸣ター タ⸢ク⸣ トゥリン タ⸢カ⸣ベー ⸢オーッ⸣タ [⸢suː⸣nu pi̥⸢su⸣taː tḁ⸢ku⸣ turin tḁ⸢ka⸣beː ⸢ʔoːt⸣ta] (潮が引いたので蛸漁<蛸を獲り>に島の南東の高干瀬へ行かれた) 13948 0 0 13652 htmvoc_13948.wav ピー ⸣ピー [⸣piː] 名 屁。おなら。 ⸢ピー⸣ プスン [⸢piː⸣ pu̥suŋ] (屁をひる<放る>)。「Feuo firu.(屁を放る)放屁する。卑語」『邦訳日葡辞書』。「屁、倍比流、下部出気也」『倭妙類聚鈔』。 ⸢ピー⸣ ッ⸢サー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢piː⸣ s⸢saː⸣nu na⸢ra⸣nu] (屁が臭くてたまらない)。 プ⸢スヌ⸣ マンタナー ⸢ピー⸣ プシェーー ナ⸢ラン⸠ダー [pu̥⸢sunu⸣ mantanaː ⸢piː⸣ pu̥ʃeː na⸢ran⸠daː] (人前で屁を放ってはならないぞ)。 ⸢ピーッサリ⸣ カ⸢ザ⸣ヌ ⸢スン [⸢piːssari⸣ ka⸢ʣa⸣nu ⸢suŋ] (ひどく臭いおならの臭いがする) 13949 0 0 13653 htmvoc_13949.wav ピー ⸣ピー [⸣piː] 名 日。 ⸢イー⸣ピー [⸢ʔiː⸣piː] (良い日{EOS}佳日)。 ⸢カイ⸣ピー [⸢kai⸣piː] (良い日{EOS}立派な日{EOS}佳日)。/アー⸢パーレー キューヌ ピー⸣バ ムー⸢トゥー⸣バ ⸢シー⸣ アー⸢パーレー クガニーピー⸣バ ニー⸢シー⸣キ ⸢シー/[ʔaː⸢paːreː kjuːnu piː⸣ba muː⸢tuː⸣baː ⸢ʃiː⸣ ʔaː⸢paːreː kuganiː piː⸣ba niː⸢ʃiː⸣ki ⸢ʃiː](アーパーレー<ああ素晴らしい>、今日の日を基にして、アーパーレー 黄金の日を基礎にして)『鳩間島古典民謡古謡集』。 ⸢キュー⸣ヌ⸢ピー⸣ヤ ⸣ヌチジュー ⸢バシキララヌ [⸢kjuː⸣nu ⸢piː⸣ja ⸣nuʧiʤuː ⸢baʃi̥kiraranu] (今日の日は生涯忘れられない) 13950 0 0 13654 htmvoc_13950.wav ピー ⸣ピー [⸣piː] 名 火。炎。灯火。「~伊射流火波<イザルヒハ>~。万、3648」の転訛したもの。 ⸣ピー ⸢タスクン [⸣piː ⸢tasu̥kuŋ] (火を焚きつける)。 ⸢ピー⸣ヌ ⸢ムイルン [⸢piː⸣nu ⸢muiruŋ] (火が燃える)。 ⸣ピー ⸢モースン [⸣piː ⸢moːsuŋ] (火を焚く<燃やす>)。 ム⸢カ⸣シェー シ⸢キダ⸣ケー タ⸢カ⸣ラ ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢マチ⸣ナー ⸢ピー⸣ダネー キ⸢サ⸣ソーランシェン [mu⸢ka⸣ʃeː ʃi̥⸢kida⸣keː tḁ⸢ka⸣ra ja⸢runda⸣ ka⸢maʧi⸣naː ⸢piː⸣daneː ki̥⸢sa⸣soːraŋʃeŋ] (昔はマッチは宝だから、竈に火種は切らされなかった)。 ⸣ピー ⸣クーン [⸣piː ⸣kuːŋ] (火種をもらう<乞う>)。 ⸢タンビー [⸢tambiː] (炭火)。 ⸢ヌー⸣ピー [⸢nuː⸣piː] (野火) 13951 0 0 13655 htmvoc_13951.wav ピー ⸣ピー [⸣piː] 名 火事。昔は火事が出ると、⸢ピードー ピードー[⸢piːdoː piːdoː](火事だ、火事だ)と叫んで村中に触れ回った。人々は手に手に桶を持って集まり、海から海水を汲んで手渡しで運び、消火した。 ⸢ピー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルン [⸢piː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (火事<火>が出る)。 パ⸢トゥ⸣マナテー ⸢ピー⸣ヤ ⸢ナン⸣ゾー ン⸢ジラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manateː ⸢piː⸣ja ⸢nan⸣ʣoː ʔn⸢ʤiraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島では火事はあまり起きなかった<出なかった>) 13952 0 1 13656 htmvoc_13952.wav ピー ⸢ピー [⸢piː] 名 {Mn_1}女性の陰部。女性の外部生殖器。⸢マン⸣ジュ[⸢man⸣ʤu](女性の外部生殖器{EOS}幼児語)ともいう。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー シ⸢ベー⸣ シンターニル ⸢ヌシ⸣トゥ ⸣マンターニ ⸢ヌシ⸣トゥカー ⸢ピーン ナカー⸣ ッスゴーダー ⸢スンティル⸣ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [mi⸢doːn⸣ffaː ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ʃi⸢beː⸣ ʃintaːniru ⸢nuʃi̥⸣tu ⸣mantaːni ⸢nuʃi̥⸣tukaː ⸢piːnnakaː⸣ ssugoːdaː ⸢suntiru⸣ na⸢raː⸣soːtta] (女の子は、幼少の頃はお尻は後ろの方へ拭くものだ{EOS}前方へ拭くと性器の中は糞便まみれになる、と教えられた)。 13952 0 2 13657 htmvoc_13952.wav ピー ⸢ピー [⸢piː] 名 {Mn_2}\ruby{艪臍}{ロ|ベソ}。 ⸢リュー⸣ クー ⸣ピンマー ⸢ピーヤ⸣ マラナー ⸢フッカー⸣シティル ⸢クー⸣タ [⸢rjuː⸣ kuː ⸣pimmaː ⸢piːja⸣ maranaː ⸢ɸukkaː⸣ʃi̥tiru ⸢kuː⸣ta] (艪を漕ぐ時は艪臍を\ruby{艪杭}{ロ|グイ}に\ruby{填}{ハメ}めて漕いだ) 13953 0 0 13658 htmvoc_13953.wav ピー ⸢ピー [⸢piː] 名 (植)ひえ(稗)。稗草。⸢ピーッサー[⸢piːssaː](稗草)ともいう。 ⸢トーサ⸣ トゥル ⸣ピンマー ⸢ピーヤ⸣ ヌイティ ム⸢ディマー⸣シティ グ⸢ルッカイ⸣シティ ⸣スラー ッ⸢サーラー⸣ ナシ ウ⸢ズムタ [⸢toːsa⸣ turu ⸣pimmaː ⸢piːja⸣ nuiti mu⸢dimaː⸣ʃi̥ti ⸣suraː s⸢saːra⸣ naʃi ʔu⸢ʣumuta] (田草を取る時は、稗は抜き取り、捻じってひっくり返し、草の穂先は下にして土中に埋めた) 13954 0 0 13659 htmvoc_13954.wav ピー ⸣ピー [⸣piː] 名 笛。竹製の横笛。「~末をば府曳<フエ>」『日本書紀 継體謡97』の転訛したもの。古老の使用語。笛を⸣ピーダキ[⸣piːdaki]ともいった。若年層は⸣ピラキ[⸣piraki](笛)という。 ウ⸢レー⸣ ピー フキ ⸢ゾージ⸣ユン⸢ナー [ʔu⸢reː⸣ piː ɸu̥ki ⸢ʣoːʤi⸣ jun⸢naː] (彼は笛を吹くのが上手だねえ) 13955 0 0 13660 htmvoc_13955.wav ピーアサビ ⸢ピーアサ⸣ビ [⸢piːʔasa⸣bi] 名 火遊び。⸢ピームタ⸣ビ[⸢piːmuta⸣bi](名)ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ピームタ⸣ビ シ⸢ミルナ [ja⸢ra⸣beː ⸢piːmuta⸣bi ʃi⸢miruna] (子供には火遊びをさせるな) 13957 0 0 13661 htmvoc_13957.wav ピーイキ ⸢ピー⸣イキ [⸢piː⸣ʔiki] 名 余熱。\ruby{熾火}{オキ|ビ}の勢い。火勢。「火息」の義か。 タ⸢ムヌ⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤ ⸢ケーシティ⸣ ウ⸢キルヌ ピー⸣イキシ ⸢ネーシ⸣バ [ta⸢munu⸣nu ⸢piː⸣ja ⸢keːʃiti⸣ ʔu⸢kirunu piː⸣ʔikiʃi ⸢neːʃi⸣ba] (薪の火は消して\ruby{熾}{オキ}の火勢<余熱>で焚きなさい) 13956 0 0 13662 htmvoc_13956.wav ピーイシ ⸢ピー⸣イシ [⸢piː⸣ʔiʃi] 名 火打石。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ピー⸣イシ ⸢シッ⸣キティル ⸢ピー⸣ヤ ン⸢ザ⸣ソーッタツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢piː⸣ʔiʃi ⸢ʃik⸣kitiru ⸢piː⸣ja ʔn⸢ʣa⸣soːttaʦoː] (昔は火打石を打って火を出されたそうだ) 13958 0 0 13663 htmvoc_13958.wav ピーウチ ⸢ピー⸣ウチ [⸢piː⸣ʔuʧi] 名 日中。日のある内。太陽のある内。 イ⸢ガメーフネー ピー⸣ウチナー イ⸢ガ ホー⸣ス ⸣トン ⸢バー⸣キ ⸢サンガリ オーッ⸣タ [ʔi⸢gameːɸuneː piː⸣ʔuʧinaː ʔi⸢ga hoː⸣su ⸣tom ⸢baː⸣ki ⸢saŋgari ʔoːt⸣ta] (烏賊釣り舟は日のある内に烏賊をを釣るところまで<本船に>引張られて行かれた) 13959 0 0 13664 htmvoc_13959.wav ピーカー ⸢ピー⸣カー [⸢piː⸣kaː] 名 (動)魚の名。和名、シモフリアイゴ(体長約25センチ)。ブチアイゴ(体長約30センチ)の総称。背びれに毒針を有する。魚肉は締まって美味である。刺身にしても美味であるが、蒸し煮にしても美味である。 ⸢ピーカー⸣ヌ ナ⸢マ⸣シン ン⸢マー⸣ン [⸢piːkaː⸣nu na⸢ma⸣ʃim ʔm⸢maː⸣ŋ] (ピーカーの刺身も美味しい) 13961 0 0 13665 htmvoc_13961.wav ピーカザ ⸢ピー⸣カザ [⸢piː⸣kaʣa] 名 屁の臭い。 ⸢ピーカザ⸣ヌ ッ⸢サー⸣ヌ ⸢タール⸣ ピー プ⸢ス⸣ター [⸢piːkaʣa⸣nu s⸢saː⸣nu ⸢taːru⸣ piː pu̥⸢su⸣taː] (おなら<屁>の臭いが臭い{EOS}誰がおなら<屁>を放ったのか) 13962 0 0 13666 htmvoc_13962.wav ピーカザ ⸢ピー⸣カザ [⸢piː⸣kaʣa] 名 ひなたくさい(日向臭い)\ruby{臭}{ニオイ}。衣類などが日光に\ruby{晒}{サラ}されて生ずる臭い。 ナ⸢チヌ⸣ ア⸢ガティダ⸣ナー ⸣プスイピーズ ⸣キン ⸣プシ ⸣シケータル ⸢ピーカザ⸣ヌ ⸢スー⸣サー [na⸢ʧinu⸣ ʔa⸢gatida⸣naː ⸣pu̥suipiːʣu ⸣kim ⸣pu̥ʃi ⸣ʃi̥keːtaru ⸢piːkaʣa⸣nu ⸢suː⸣saː] (夏の酷熱の太陽に一日中着物を干しておいたらば、日向臭い臭い<日に焼けた臭い>がするよ) 13964 0 0 13667 htmvoc_13964.wav ピーカジ ⸢ピー⸣カジ [⸢piː⸣kaʤi] 名 寒風。冷たい風。「冷え風」の義。 ⸢ピーカジ⸣ヌ ⸣フキ ⸢ピーヤ⸣ヌ ク⸢バリンギサ⸣ルバン [⸢piːkaʤi⸣nu ⸣ɸu̥ki ⸢piːja⸣nu ku⸢bariŋgisa⸣rubaŋ] (寒風が吹いて、寒くて凍えそうだわい)。 ⸢ピー⸣カジン フ⸢カ⸣リ ⸢アー⸣ケーティル パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マリ ベー⸠ダー [⸢piː⸣kaʤiŋ ɸu̥⸢ka⸣ri ⸢ʔaː⸣keːtiru pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢ma ribeː⸠daː] (寒風にずっと吹かれたいたので、風邪をひい<風邪が塗られ>ているのだよ) 13965 0 0 13668 htmvoc_13965.wav ピーカジ ⸣ピーカジ [⸣piːkaʤi] 名 雨の降らない台風。「火風」の義。雨の降らない台風が襲来すると、吹きつけられる潮水により、島の総ての草木の葉が赤く枯れるので、火事で焼けたように見えることから命名されたもの。 ⸣ピーカジヌ ⸣フクカー ⸣シマズーヌ ⸢キー⸣ヤ ア⸢ガミティ⸣ ナ⸢クラーン⸠ダー [⸣piːkaʤinu ⸣ɸu̥kukaː ⸣ʃimaʣuːnu ⸢kiː⸣ja ʔa⸢gamiti⸣ na⸢kuraːn⸠daː] (雨の降らない台風が吹くと島中の木は真っ赤になって怖いよ) 13966 0 0 13669 htmvoc_13966.wav ピーキ ⸢ピーキ [⸢piːki] 名 冷気。寒気。冷たい空気。 ⸢ダイカン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペー⸣ルカー ⸢ピーキヌ スー⸣ワ ⸣ナルン [⸢daikan⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣rukaː ⸢piːkinu suː⸣wa ⸣naruŋ] (大寒の季節に入ると寒気が強くなる) 13967 0 0 13670 htmvoc_13967.wav ピーキ ⸢ピーキ [⸢piːki] 名 ひいき(贔屓)。えこひいき(依怙贔屓)。⸢ヘイキ[⸢heiki](贔屓)ともいう。若年層は、⸢ヒーキ[⸢çiːki](贔屓)ともいう。 ⸢サッ⸣コー ⸢ピーキ ソー⸣ルン [⸢sak⸣koː ⸢piːki soː⸣ruŋ] (非常に贔屓される)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ピーキ シー⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː piːki ʃiː⸣naː na⸢ra⸣nu] (あの人はえこ\ruby{贔屓}{ヒイ|キ}するので困る<堪らない>) 13969 0 0 13671 htmvoc_13969.wav ビーグ ⸢ビー⸣グ [⸢biː⸣gu] 名 びんごおもて(備後表)。畳表。最良の畳表として輸入された。 ⸢ビーゴー⸣ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢カイヨーッ⸣タ [⸢biːgoː⸣ ʔu⸢ki⸣naːra ⸢kaijoːt⸣ta] (備後表は沖縄から買ってこられた)。鳩間島では普通、⸢サー⸣ラ[⸢saː⸣ra](いぐさ<藺草>)という 13970 0 0 13672 htmvoc_13970.wav ビーグ ⸢ビーグ [⸢biːgu] 名 (植)へご。ヘゴ科常緑シダ。茎は太く直立して3~5メートルの高木状に生育する。西表島の山林や水田の周囲の林に自生していた。鳩間島の人にとっては全く無用の植物であった。 ⸢ビーゴー⸣ ノー⸢ン⸣ シゥ⸢カイミチェー ナーン⸣シェン [⸢biːgoː⸣ noː⸢n⸣ sï̥⸢kaimiʧeː naːŋ⸣ʃeŋ] (ヘゴは何も用途<使い道>がなかった) 13963 0 0 13673 htmvoc_13963.wav ピーグトゥ ⸢ピー⸣グトゥ [⸢piː⸣gutu] 名 火事。火災。「なべて世にひごと<火事>恐れぬ人もなし」『文明本節用集』。 ⸢ヌシ⸣トゥロー ム⸢タ⸣リ ⸢ブン⸣ドゥ ⸣ムティパル ⸢ピーグトゥ⸣ヌ ウ⸢ク⸣レーラー ムー⸢ル パイル⸣ ナルティ ア⸢ザリ ブー [⸢nuʃi̥⸣turoː mu⸢ta⸣ri ⸢bun⸣du ⸣mutiparu ⸢piːgutu⸣nu ʔu⸢ku⸣reːraː ⸢muːru pairu⸣ naruti ʔa⸢ʣaribuː] (泥棒は持てる分しか持っていかない<~分ぞ持っていく>、火事が起こったら全部灰になると言われている) 13971 0 0 13674 htmvoc_13971.wav ピーグルマ ⸢ピーグル⸣マ [⸢piːguru⸣ma] 名 蒸気船。「火車」の義。/ヤ⸢マ⸣トゥ ⸢ピーグルマ⸣ヌ ウ⸢ランザーキ マーリ パッ⸣タンドー マー⸢リヤーヌ ヒー⸣カベーヌ ⸢シー⸣ザソッタンドー/[ja⸢ma⸣tu ⸢piːguruma⸣nu ʔu⸢ranʣaːki maːri pat⸣tandoː maː⸢rijaːnu çiː⸣kabeːnu ⸢ʃiː⸣ʣasottandoː](大和の蒸気船が宇奈利崎を回って行ったよ{EOS}巡回屋のヒーカベーが知らされたよ)「鳩間島わらべ歌」 13972 0 0 13675 htmvoc_13972.wav ビーゴー ⸢ビー⸣ゴー [⸢biː⸣goː] 名 痒みのある皮膚の腫れ。痒みのために皮膚を掻き腫らしたもの。「ゑぐし・かわ<皮>」の義か。「~酢味也。俗云恵久之(ゑぐし)」『和名抄』の転訛か。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ビー⸣ヨーティ ガ⸢ジフクラシ⸣タ ⸣クトー ⸢ビー⸣ゴー ナ⸢ル⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸢マー⸣ス ⸣ッシ ッ⸢ふァーシ⸣ シケー [du⸢ku⸣nu ⸢biː⸣joːti ga⸢ʤiɸu̥kuraʃi̥⸣ta ⸣ku̥toː ⸢biː⸣goː na⸢ru⸣ta ⸢beː⸣ti ⸢maː⸣su ⸣ʃʃi f⸢faːʃi⸣ ʃi̥keː] (あまりにも痒いので、掻きまくったところ、腫れ上がってビーゴーになったので、塩を摺りつけて、塗ったくって<摺って食わして>ある) 13973 0 0 13676 htmvoc_13973.wav ピーザ ⸢ピーザ [⸢piːʣa] 名 なぎさ(渚)。波打ちげわ。みぎわ。ピ⸢ザ[pi⸢ʣa](渚{EOS}へた{EOS}<老年層>)ともいう。へた(端)。⸢近江の海 邊多波<へたは>人知る~。万、3027」の転訛したものか。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ピーザ⸣ナール ⸣オンダー ⸢スー⸣ フカー ⸣パルカー ⸢ウッふィルン⸣ダー [ja⸢ra⸣beː ⸢piːʣa⸣naːru ⸣ʔondaː ⸢suː⸣ ɸu̥kaː ⸣parukaː ⸢ʔuffirun⸣daː] (子供は渚<水際>で泳ぐものだ{EOS}沖へ行くと溺れるぞ) 13974 0 0 13677 htmvoc_13974.wav ピーザイ ⸢ピー⸣ザイ [⸢piː⸣ʣai] 名 火気のことに心を取られて他のことが出来なくなること。火気のことにかまけること。⸣ザイ[⸣ʣai](~に心奪われる{EOS}~に夢中になる)の接尾語で、上接語の意味内容に心を奪われることを表す。プ⸢スザイ[pu̥⸢suʣai](接客に夢中になること)、ッふァザイ[f⸢faʣai](子供に気を取られること)など、多くの表現がある。 カ⸢マチフチヌ ピー⸣ザイ ⸢シー ベーン⸣ケンマー ウ⸢ヌ⸣ クトー スラー⸢ク バシキナーン⸣シェン [ka⸢maʧiɸu̥ʧinu piː⸣ʣai ⸢ʃiː beːŋ⸣kemmaː ʔu⸢nu⸣ ku̥toː suraː⸢ku baʃi̥kinaːŋ⸣ʃeŋ] (竈の火気に気を取られているうちに、あのことはすっかり忘れてしまっていた) 13968 0 0 13678 htmvoc_13968.wav ビーサビ ⸣ビーサビ [⸣biːsabi] 名 ちゃしぶ(茶渋)。水垢。茶碗に付く茶の煎じ汁のあか。 トゥ⸢クニヌ サー⸣ドーサバンヌ ⸣ビーサベー ⸣ユー ア⸢ラーン⸣カー ウ⸢ティラ⸣ヌ [tu̥⸢kuninu saː⸣doːsabannu ⸣biːsabeː ⸣juː ʔa⸢raːŋ⸣kaː ʔu⸢tira⸣nu] (仏壇の茶湯茶碗の茶渋は、よく洗わないと落ちない) 13976 0 0 13679 htmvoc_13976.wav ビーサビ ⸣ビーサビ [⸣biːsabi] 名 災い。凶事。⸣ビー[⸣biː](茶渋の\ruby{淦}{アカ}{EOS}汚れ)とサ⸢ビ[sa⸢bi](錆び、「鉄精、カネノサビ」『類聚名義抄』)の合成語。 ⸣ビーサビ シ⸢キ⸣シミ タ⸢ボーラン⸣ドーシ ⸣ドゥーパダ ⸣ガンゾー ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [⸣biːsabi ʃi̥⸢ki⸣ʃimi ta⸢boːran⸣doːʃi ⸣duːpada ⸣ganʣoː ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (凶事<茶渋の汚れ>付けさせ賜らないで、体<胴・肌>は健康あらしめください<賜れ>) 13975 0 0 13680 htmvoc_13975.wav ピーザフチ ⸢ピーザ⸣フチ [⸢piːʣa⸣ɸu̥ʧi] 名 なぎさ(渚)。波打ちぎわ。みぎわ。「へた(端)・口」の転訛か。「近江の海邊多<ヘタ>は人知る~。万、3027」の転訛したもの。ピ⸢ザ⸣フチ[pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧi](渚)ともいう。 ヨー⸢ヨー⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ア⸢シナカラ⸣ヌ ス⸢ブシダーチヌ⸣ ピ⸢ザ⸣フチナーティン ⸢ウッふィルン⸣ダー [joː⸢joː⸣ ja⸢ra⸣beː ʔa⸢ʃinakara⸣nu su⸢buʃidaːʧinu⸣ pi⸢ʣa⸣fu̥ʧinaːtiŋ ⸢ʔuffirun⸣daː] (よく注意しろよ{EOS}子供は足半分の水深、膝のぐらいの深さの渚でも溺れるんだぞ) 13977 0 0 13681 htmvoc_13977.wav ピーザラ ⸢ピー⸣ザラ [⸢piː⸣ʣara] 名 キセル(煙管)のタバコを詰めるところ。「火皿」の義。「Fizara.ヒザラ(火皿) 鉄砲の火皿」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 キ⸢シル⸣ヌ ⸢ピー⸣ザラナー キ⸢ザミタバクバ⸣ シミティ ⸢ピー⸣バ ⸣シキティ タ⸢バ⸣ク フ⸢コーッ⸣タ [ki̥⸢ʃiru⸣nu ⸢piː⸣ʣaranaː ki⸢ʣamitabakuba⸣ ʃimiti ⸢piː⸣ba ⸣ʃi̥kiti ta⸢ba⸣ku ɸu̥⸢koːt⸣ta] (煙管の火皿に刻み煙草を詰め、火をつけて煙草を吸われた) 13978 0 0 13682 htmvoc_13978.wav ピーザラシ ⸢ピーザラ⸣シ [⸢piːʣara⸣ʃi] 名 ひさらし(日晒し)。太陽光線に干して晒すこと。⸢スーザラ⸣シ[⸢suːʣara⸣ʃi](海水に晒すこと)の対義語。 ⸣ブーキンマー ミ⸢ジ⸣アライ ⸢シーティ ピーザ⸣ラシ ⸢シー⸣ シケー [⸣buːkimmaː mi⸢ʤi⸣ʔarai ⸢ʃiːti piːʣara⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (麻の着物は水洗いして日晒しにしてある) 13980 0 0 13683 htmvoc_13980.wav ピージー ⸢ピージー [⸢piːʤiː] 名 平生。普段。若年層は⸢ヒージー[⸢çiːʤiː]ともいう。 ⸢マイ⸣ ス⸢ク⸣ロー⸢ラン⸣ プ⸢ソー ピージーヌ イー⸣ヤ ⸢ウンバ⸣ル プ⸢ス⸣カタ ン⸢コーッ⸣タ [⸢mai⸣ su̥⸢ku⸣roː⸢ram⸣ pu̥⸢soː piːʤiːnu ʔiː⸣ja ⸢ʔumba⸣ru pu̥⸢su⸣kḁta ʔŋ⸢koːt⸣ta] (米を作られない人は、普段のご飯は芋だけ<芋一方>を召し上がった) 13985 0 0 13684 htmvoc_13985.wav ピーシゥカスン ⸢ピーシゥカ⸣スン [⸢piːsï̥ka⸣suŋ] 他動 焦がす。「焦げ付かす」の義。 ⸢ピー⸣ヌ ⸢スー⸣ワカー ⸣イー ⸢ピーシゥカ⸣スンダ ⸢ピーシゥカサン⸣ スコー ⸢ピー⸣ヤ ピ⸢キ⸣バ [⸢piː⸣nu ⸢suː⸣wakaː ⸣ʔiː ⸢piːsï̥ka⸣sunda ⸢piːsï̥kasan⸣ su̥koː ⸢piː⸣ja pi̥⸢ki⸣ba] (火が強いとご飯を焦がすから、焦がさないように火を引きなさいよ)。 ⸢ピーシゥカ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢piːsï̥ka⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (焦がしてしまった)。 ⸢ピーシゥカ⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢piːsï̥ka⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (焦がすことはない)。 ⸢ピーシゥカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢piːsï̥ka⸣ʃeː ⸣misamunu] (焦がせばいいのに)。 ン⸢メーマー ピーシゥカ⸣シ [ʔm⸢meːmaː piːsï̥ka⸣ʃi] (少しは焦がせ) 13986 0 0 13685 htmvoc_13986.wav ピーシゥクン ⸣ピー ⸣シゥクン [⸣piː ⸣su̥kuŋ] 連 放火する。「火・付く」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビン ⸣ピー ム⸢タバ⸣スカー ⸣ピー シゥクン⸢ダー [ja⸢ra⸣bim ⸣piː mu⸢taba⸣sukaː ⸣piː si̥kun⸢daː] (子供に火をいじらせる<\ruby{弄}{イジ}らせる>と放火する<火を付ける>ぞ) 13982 0 0 13686 htmvoc_13982.wav ピーシキイー ⸢ピーシキ⸣イー [⸢piːʃi̥ki⸣ʔiː] 名 おこげ(御焦げ)。こげめし。釜の底に焦げついた飯。若年層のことば。⸢ピシキ⸣イー[⸢piʃi̥ki⸣ʔiː](こげめし)、ナ⸢マ⸣シキ[na⸢ma⸣ʃi̥ki](おこげ{EOS}焦げ飯)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ミーコーヤー⸣ヤ ⸢ピーシキイーバ⸣ル ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢rabi⸣nu ⸢miːkoːjaː⸣ja ⸢piːʃi̥kiʔiːba⸣ru f⸢faːsoːt⸣ta] (昔は子供のおめざめには、昨夜の焦げ飯を食べさせられた) 13983 0 0 13687 htmvoc_13983.wav ピーシキカザ ⸢ピーシキ⸣カザ [⸢piːʃi̥ki⸣kaʣa] 名 焦げ付く臭い。ご飯や煮物が焦げ付く際に発する臭気。 ⸢ピーシキカザ⸣ヌ ⸢スンダ⸣ カ⸢マチヌ ピー⸣ヤ ピ⸢キ⸣バ [⸢piːʃi̥kikaʣa⸣nu ⸢sunda⸣ ka⸢maʧinu piː⸣ja pi̥⸢ki⸣ba] (焦げ付く臭いがするので、竈の火は引き出しなさいよ) 13984 0 0 13688 htmvoc_13984.wav ピーシキルン ⸢ピーシキ⸣ルン [⸢piːʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 焦げる。焦げ付く。⸢ピシキ⸣ルン[⸢piʃi̥ki⸣ruŋ](焦げる{EOS}焦げ付く)ともいう。 ⸣ドゥク ⸣ピー ⸢モース⸣カー ⸢イー⸣ヤ ⸢ピーシキ⸣ルンダ フ⸢キカバ⸣スカー ウ⸢キルカーニ⸣シ ン⸢ブシバ⸣ル ⸢ピーシキラ⸣ヌ [⸣duku ⸣piː ⸢moːsu⸣kaː ⸢ʔiː⸣ja ⸢piːʃki⸣runda ɸu̥⸢kikaba⸣su̥kaː ʔu⸢kirukaːni⸣ʃi ʔm⸢buʃiba⸣ru ⸢piːʃi̥kira⸣nu] (あんまり火を燃やすとご飯は焦げるから、噴きこぼれたら熾火だけで蒸したほうが焦げない)。 ⸢イー⸣ヤ ⸢ピー⸣シキ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ja ⸢piː⸣ʃi̥ki ⸢naː⸣nu] (ご飯は焦げてしまった)。 ク⸢ヌ⸣ ナビナー ⸢ピーシキ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ nabinaː ⸢piːʃi̥ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (この鍋では焦げることはない)。 ⸢ピーシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢piːʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (焦げればいいのに)。 ⸢ピーシキ⸣リ [⸢piːʃi̥ki⸣ri] (焦げろ) 13979 0 0 13689 htmvoc_13979.wav ピージミ ⸢ピー⸣ジミ [⸢piː⸣ʤimi] 名 火責め。火あぶりの刑。 ム⸢カ⸣シナー ウ⸢ランダプトゥキ⸣バ ウ⸢ガ⸣ミ ⸢オー⸣レーティ ⸢ピー⸣ジミ シ⸢ラロー⸣レー プ⸢スヌ オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃinaː ʔu⸢randaputuki⸣ba ʔu⸢ga⸣mi ⸢ʔoː⸣reːti ⸢piː⸣ʤimi ʃi⸢raroː⸣reː pu̥⸢sunu ʔoːt⸣tanʦoː] (昔、西洋の仏さま<キリスト教>を拝んでおられたので火責めの刑にされた人がおられるそうだ) 13987 0 0 13690 htmvoc_13987.wav ピージントー ⸢ピージントー [⸢piːʤintoː] 名 乳児の遊戯名。片方の肘を曲げ、その肘を片方の掌で打って調子をとりながら遊ばせる遊戯。⸢イージョーミー イージョーミー ピージントー ピージントー ミンミンミー ミンミンミー ガーバラガーバラ[⸢ʔiːʤoːmiː ʔiːʤoːmiː piːʤintoː piːʤintoː mimmimmiː mimmimmiː gaːbaragaːbara](魚の目、魚の目、肘の先、肘の先、お耳、お耳、こうぶり<冠>、こうぶり)と唱えながら親が乳児の両手を耳にあてがい、首振りをさせる遊び 13989 0 0 13691 htmvoc_13989.wav ピース ⸢ピー⸣ス [⸢piː⸣su] 名 (動)鳥の名。ヒヨドリ。⸢ピュー[⸢pjuː]と鳴くことからの命名であろう。⸣ウガンヤマ[⸣ʔugaɲjama](御嶽<お願>の密林)など雑木林に生息していた。子供達は⸣ホイダーヤマ[⸣hoidaːjama](小鳥を捕獲する仕掛け)を作って捕獲したものである。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸣ホイダーヤマ ア⸢ギティ⸣ ユー ⸢ピー⸣ス シゥ⸢カム⸣タン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸣hoidaːjama ʔa⸢giti⸣ juː ⸢piː⸣su sï̥⸢kamu⸣taŋ] (子供の頃は、小鳥捕獲の仕掛けを作って<上げて{EOS}据え付けて>、よくヒヨドリを捕獲したものである) 13990 0 1 13692 htmvoc_13990.wav ピーズ ⸢ピーズ [⸢piːʣu] 名 {Mn_1}(名)一日中。終日。常日頃。平生。 ⸢ピーゾー ヌー⸣ル ⸢シーブワ [⸢piːʣoː nuː⸣ru ⸢ʃiːbuwa] (常日頃は何をしているか)。 ⸣プスイ ⸢ピーズヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣シ ク⸢ビ⸣ル ⸢モーキラ⸣リ [⸣pu̥sui ⸢piːʣunu⸣ ʃi⸢gutu⸣ʃi ku⸢bi⸣ru ⸢moːkira⸣ri] (一日中の仕事でこれだけしか儲けられない)。 13990 0 2 13693 htmvoc_13990.wav ピーズ ⸢ピーズ [⸢piːʣu] 名 {Mn_2}(副)いつも。常に。 ⸢ピーズ⸣ パ⸢タラキトゥーシル ブンドゥ⸣ マイ ⸢ユーザラヌ [⸢piːʣu⸣ pḁ⸢tarakituːʃiru bundu⸣ mai ⸢juːʣaranu] (いつも働き通しているが、生活は前に進まない) 13988 0 0 13694 htmvoc_13988.wav ビースクライ ⸢ビースク⸣ライ [⸢biːsu̥ku⸣rai] 名 酔ったふりをすること。「酔い繕い」の義。 ⸢ビープス⸣トー ⸢ビースク⸣ライ ⸢シェー⸣ティ ア⸢ラン⸣カー カ⸢ラカーラヌ [⸢biːpu̥su⸣toː ⸢biːsu̥ku⸣rai ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢raŋ⸣kaː ka⸢rakaːranu] (酔っ払いとは酔ったふり<酔い繕い>をしないと対応できない<まともに扱えない>) 13991 0 0 13695 htmvoc_13991.wav ピースクン ⸢ピー⸣スクン [⸢piː⸣su̥kuŋ] 自動 焦げ付く。⸢ピス⸣クン[⸢pisu̥⸣kuŋ](焦げ付く)ともいう。 ⸣ドゥク タ⸢ム⸣ヌ イ⸢ビティ ピー⸣ヌ ⸢スー⸣ワカー ⸢イー⸣ヤ ⸢ピー⸣スクンダ ⸢ピーシゥカン⸣ヨーニ ⸢ピー⸣ヤ ピ⸢キ⸣バ [⸣duku ta⸢mu⸣nu ʔi⸢biti piː⸣nu ⸢suː⸣wakaː ⸢ʔiː⸣ja ⸢piː⸣su̥kunda ⸢piːsï̥kaɲ⸣joːni ⸢piː⸣ja pi̥⸢ki⸣ba] (あんまり薪をくべて火が強いと飯は焦げ付くから、焦げ付かないように、竈の火を引けよ)。 ⸢ピー⸣シキ ⸢ナー⸣ヌ [⸢piː⸣ʃi̥ki ⸢naː⸣nu] (焦げ付いてしまった)。 ⸢ピー⸣スク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢piː⸣su̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (焦げ付くことはない)。 ⸢ピー⸣シケーラ ッ⸢ふァーラヌ [⸢piː⸣ʃi̥keːra f⸢faːranu] (焦げ付いたら食べられない)。 ⸢ピー⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢piː⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (焦げ付けばいいのに)。 ⸢ピー⸣シキ [⸢piː⸣ʃi̥ki] (焦げ付け)。 ⸢イー⸣ヌ ⸢ピー⸣スクンケン ⸣ピー ⸢モースナ [⸢ʔiː⸣nu ⸢piː⸣su̥kuŋkem ⸣piː ⸢moːsuna] (ご飯が焦げるまで火を燃やすな)。 ウ⸢キル⸣シ ン⸢ブ⸣スカー ⸢ピシゥカ⸣ヌ [ʔu⸢kiru⸣ʃi ʔm⸢bu⸣sukaː ⸢pisï̥ka⸣nu] (熾火で\ruby{蒸}{ム}すと焦げない)。 ⸢ピー⸣シキ ⸢ナー⸣ヌ [⸢piː⸣ʃi̥ki ⸢naː⸣nu] (焦げてしまった)。 ⸢ピー⸣スク ⸣ピンマー バ⸢サン⸣パー カ⸢バ⸣シティ フ⸢ター フイヨーッ⸣タ [⸢piː⸣su̥ku ⸣pimmaː ba⸢sam⸣paː ka⸢ba⸣ʃi̥ti ɸu̥⸢taː ɸuijoːt⸣ta] (焦げる時は芭蕉の葉を被せて蓋をされた)。 ⸢ピー⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢piː⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (焦げつけばいいのに)。 ⸢ピー⸣シキバ [⸢piː⸣ʃi̥kiba] (焦げよ) 13992 0 0 13696 htmvoc_13992.wav ピースン ⸢ピースン [piːsuŋ] 自動 人間が交接する。性交する。 ⸣ニービキ ⸢スー⸣カー ⸢ピー スン⸣ツォー [⸣niːbiki ⸢suː⸣kaː ⸢piːsun⸣ʦoː] (結婚したら性交するそうだ)。小動物の交尾は⸣ズブン[⸣ʣubuŋ]といい、牛馬は⸣カナウン[⸣kanauŋ](交尾する)といって区別する 13993 0 0 13697 htmvoc_13993.wav ピーソー ⸢ピー⸣ソー [⸢piː⸣soː] 名 えと(干支)の、ひのえ、ひのと(丙、丁)に生まれた人の性格、気性。 ⸢ピーソー⸣トゥ ミ⸢ジソー⸣ ヤ⸢ルンダ ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ア⸢タラヌ [⸢piːsoː⸣tu mi⸢ʤisoː⸣ ja⸢runda ʔut⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ ʔa⸢taranu] (火の性格と水の性格だから、彼ら二人は<性格が>合わない) 13994 0 0 13698 htmvoc_13994.wav ビーソーラン ⸢ビーソー⸣ラン [⸢biːsoː⸣raŋ] 名 酔っ払い。「酔い精霊」の義。お盆の獅子舞は重い獅子頭を持って舞うので獅子頭が上下に振れる。酔っ払いは姿勢を安定できず、絶えず体を前後に揺らすことから獅子舞に譬えて表現したもの。 サ⸢キヌミ⸣ムノー キューユン ⸢ビーソー⸣ラン ⸣ナリ ⸢シー⸣シェー ⸢マーシル オール⸣バン [sḁ⸢kinumi⸣munoː ⸣kjuːjum ⸢biːsoː⸣ran ⸣nari ⸢ʃi⸣ʃeː ⸢maːʃiru ʔoːru⸣baŋ] (酒飲み人は今日もぐにゃぐにゃに酔っ払って獅子を舞わして<ぞ>おられるわい) 13995 0 0 13699 htmvoc_13995.wav ピーソンガチ ⸢ピー⸣ソンガチ [⸢piː⸣soŋgaʧi] 名 正月に祝いの料理がなく、ただ火を焚いて暖を取り、正月を迎えたという民話の中の正月のこと。 ッ⸢ふァイムヌン ナーン⸣ベーティ ナー⸢イ ピー⸣バ ヌ⸢クミ⸣ル ⸣ソンガチ ⸢ソーッ⸣タツォー [f⸢faimunun naːm⸣beːti naː⸢i piː⸣ba nu⸢kumi⸣ru ⸣soŋgaʧi ⸢soːt⸣taʦoː] (食べ物もないので、ただ火を焚いて暖をとって正月を迎えられ<され>たそうだ) 13996 0 0 13700 htmvoc_13996.wav ピータイ ⸢ピー⸣タイ [⸢piː⸣tai] 名 兵隊。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣ピンマー イ⸢ラムティ⸣ナー ⸢ピータイ⸣ヌ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸢オーッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣pimmaː ʔi⸢ramuti⸣naː ⸢piːtai⸣nu ja⸢masï̥⸣ka ⸢ʔoːt⸣taŋ] (戦時中<戦世の時>は西表に兵隊が沢山おられた) 13997 0 0 13701 htmvoc_13997.wav ピータスクン ⸣ピー ⸢タスクン [⸣piː ⸢tasu̥kuŋ] 連 火を焚きつける。 ⸣ピー ⸢タシキティ⸣ イー バ⸢カシ [⸣piː ⸢taʃi̥kiti⸣ ʔiː ba⸢kaʃi] (火を焚きつけて飯を炊きなさい) 13998 0 0 13702 htmvoc_13998.wav ピーダニ ⸢ピー⸣ダニ [⸢piː⸣dani] 名 火種。燃えさしやおき(熾)を竈の灰の中に埋めて火種にした。マッチのない時代には火種を絶やさぬことが主婦の務めであった。 ⸢ピー⸣ダニ キ⸢サ⸣シティル トゥ⸢ナロー⸣ラ ⸣ピー ⸣クーンティ ⸢アー⸣ク⸢ダー [⸢piː⸣dani ki̥⸢sa⸣ʃi̥tiru tu⸢naroː⸣ra ⸣piː ⸣kuːnti ⸢ʔaː⸣ku⸢daː] (火種を切らして、隣から火を貰おうと<乞おう>としているんだよ) 13999 0 1 13703 htmvoc_13999.wav ピーダマ ⸢ピー⸣ダマ [⸢piː⸣dama] 名 {Mn_1}霊魂。おにび(鬼火)。妖怪の火。火の玉。「火玉」の義。青白い火で、横に尾を引くように流れていくという。セジの高い人が可視能力を持つといわれている。ピーダマが現れると死人が出ると信じられている。 シ⸢チ⸣ヌ ⸢ユー⸣ロー パ⸢カヌ⸣ マイナー ⸣ユー ⸢ピーダマ⸣ヌ ミ⸢ラリ⸣タンツォー [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸢juː⸣roː pḁ⸢kanu⸣ mainaː ⸣juː ⸢piːdama⸣nu mi⸢rari⸣tanʦoː] (節祭りの夜には、墓の前によく鬼火がよく見られたそうだ)。 13999 0 2 13704 htmvoc_13999.wav ピーダマ ⸢ピー⸣ダマ [⸢piː⸣dama] 名 {Mn_2}卑称。相手を罵る言葉。 ⸢ピー⸣ダマ ⸢ウンザー [⸢piːda⸣ma ⸢ʔunʣaː] (魔物<火の玉>野郎)。 イ⸢キ⸣ロー ⸢ピー⸣ダマ [ʔi⸢ki⸣roː ⸢piː⸣dama] (生霊、火玉の野郎) 14000 0 0 13705 htmvoc_14000.wav ヒータマラサー ⸢ヒータマラ⸣サー [⸢çiːtamara⸣saː] 名 糸満漁師の漁法の一つ。⸣クサン[⸣kusaŋ]の項参照。 イ⸢ツォーン⸣プソー ク⸢サン⸣バ ⸢ヒータマラ⸣サーティ ア⸢ゾーッ⸣タツォー [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː ku̥⸢sam⸣ba ⸢çiːtamara⸣saːti ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (糸満漁師はクサン漁のことをヒータマラサーと言われたそうだ) 14001 0 0 13706 htmvoc_14001.wav ピーダムチ ⸢ピーダム⸣チ [⸢piːdamu⸣ʧi] 名 ⸢火保ち」の義。長く火種を保つこと。熾きが長時間保存される。 ⸣マチダムノー ⸢ピーダムチ⸣ヌ ⸣アン [⸣maʧidamunoː ⸢piːdamuʧi⸣nu ⸣ʔaŋ] (松の薪は火保ちが良い<火種が長持ちする>) 14002 0 0 13707 htmvoc_14002.wav ビータリルン ⸣ビー タ⸢リ⸣ルン [⸣biː ta⸢ri⸣ruŋ] 連 酔いつぶれる。泥酔する。 ⸣ビー タ⸢リラン⸣ドーシル サ⸢ケー⸣ ヌム ⸣ビー ⸢タリ⸣ルンケン ヌム プ⸢スヌ⸣ マナー ブ⸢ラー<⸢ブワー> [⸣biː ta⸢riran⸣doːʃiru sḁ⸢keː⸣ numu ⸣biː ta⸢ri⸣ruŋken ⸣numu pu̥sunu⸣ manaː bu⸢raː<⸢buwaː>] (酔いつぶれないように酒は飲むのであって、泥酔するまで飲む人が何処にいるものか) 14003 0 0 13708 htmvoc_14003.wav ビータルン ⸣ビータルン [⸣biːtaruŋ] 自動 泥酔する。酔いつぶれる。 ⸣ビータルンケン ヌ⸢ム⸣ナ⸢ツォー⸣ ビータ⸢ラン⸣ケンナー パ⸢ナシビ⸣キ ⸣クトー パ⸢ナ⸣シ シ⸢キ⸣リ [⸣biːtaruŋken nu⸢mu⸣na⸢ʦoː⸣ biːta⸢raŋ⸣kennaː pa⸢naʃibi⸣ki ⸣ku̥toː pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (酔いつぶれるまで飲むなよ{EOS}酔いつぶれないうちに話すべきことは話しておきなさい)。 マ⸢ナマー⸣ケー ⸣ビータル ⸣クトー ⸢ナーン⸣シェンドゥ ⸢キュー⸣ヤ(ワ)⸣ビータリ⸢ベー [ma⸢namaː⸣keː ⸣biːtaru ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃendu ⸢kjuː⸣ja(wa)⸣biːtari ⸢beː] (今までは酔いつぶれることはなかったが、今日は酔いつぶれている)。 ⸣ビータレー ⸣ミサムヌ [⸣biːtareː ⸣misamunu] (酔いつぶれればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ビータリバ [⸢paː⸣ku ⸣biːtariba] (早く酔いつぶれろよ) 14004 0 0 13709 htmvoc_14004.wav ピーチ ⸢ピー⸣チ [⸢piː⸣ʧi] 名 (数)一つ。 ⸢ピー⸣チ フ⸢ターチ ミーチ ユーチ⸣ イ⸢チ⸣チ ⸢ムーチ⸣ ナ⸢ナ⸣チ ⸢ヤーチ⸣ ク⸢クヌ⸣チ ⸢トゥー ティル⸣ ユ⸢モーッタ⸣ル [⸢piː⸣ʧi ɸu̥⸢taːʧi miːʧi juːʧi⸣ ʔi⸢ʧi⸣ʧi ⸢muːʧi⸣ na⸢na⸣ʧi ⸢jaːʧi⸣ ku̥⸢kunu⸣ʧi ⸢tuː tiru⸣ ju⸢moːtta⸣ru] (一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十と<とぞ>数えられたものだ) 14005 0 0 13710 htmvoc_14005.wav ピーチイラビ ⸢ピーチイラ⸣ビ [⸢piːʧiʔira⸣bi] 名 一つ一つ丁寧に選ぶこと。つぶより(粒選り)。 ⸢ウン⸣マー ⸢ピーチイラ⸣ビ ⸢シー⸣ イ⸢ラバン⸣カー ⸢カーサラヌ [⸢ʔum⸣maː ⸢piːʧiʔira⸣bi ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢rabaŋ⸣kaː ⸢kaːsaranu] (芋は粒選りして選ばないと売られない) 14006 0 0 13711 htmvoc_14006.wav ピーチカイ ⸢ピーチ⸣カイ [⸢piːʧi⸣kai] 名 一つ違い。「一つ替え」の義か。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ピーチカイ⸣ヌ シザ⸢ウシトゥ⸣ル ヤ⸢ル [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢piːʧikai⸣nu ʃiʣa⸢ʔuʃi̥tu⸣ru ja⸢ru] (彼等は一つ違いの兄弟<兄、弟{EOS}年子>である)。 ⸢ピーチ⸣カイシ ッ⸢ふァ⸣ ナシェーン [⸢piːʧi⸣kaiʃi f⸢fa⸣ naʃeːŋ] (一つおきに子供を産んだ) 14007 0 0 13712 htmvoc_14007.wav ピーチカイッふァ ⸢ピーチカイ⸣ッふァ [⸢piːʧikai⸣ffa] 名 年子。一つ違いの子。 ⸢ピーチカイ⸣ッふァ ヤ⸢レー⸣ティ ⸣シザー ⸢ウシトゥマ⸣キ シ⸢ティル ヨーガリベー [⸢piːʧikai⸣ffa ja⸢reː⸣tiru ⸣ʃiʣaː ⸢ʔuʃi̥tuma⸣ki ʃi̥⸢ti joːgari beː] (年子だから兄は弟負け<乳児が母親の妊娠により栄養不良となること>して痩せこけているのだ) 14008 0 0 13713 htmvoc_14008.wav ピーチカサビ ⸢ピーチカサ⸣ビ [⸢piːʧikasa⸣bi] 名 一つ重ね。一つ重にすること。「一つ重ね」の義。 カ⸢ベー⸣ トゥ⸢リヤッ⸣サ ⸣ヨーニ ⸢ピーチカサ⸣ベー ⸢シー⸣ クナー シ⸢ミ⸣ シ⸢キ⸣リバ [ka⸢beː⸣ tu⸢rijas⸣saː ⸣joːni ⸢piːʧikasa⸣beː ⸢ʃiː⸣ kunaː ʃi⸢mi⸣ ʃi̥⸢ki⸣riba] (紙は取り易いように一つ重ねにして、ここに積んで置きなさいよ) 14009 0 0 13714 htmvoc_14009.wav ピーッサ ⸢ピーッサ [⸢piːssa] 名 ひえ(稗)。⸢稗草」の義。「打つ田にも 稗<ヒエ>はあまたも~。万、2476」、「稗、比衣(ひえ)、草之似\kaeriten{㆑}穀者也」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢トー⸣サ ⸣トゥル ⸣ピンマー ⸢ピーッサー⸣ ピ⸢キティ ター⸣ン ⸣ナカー ッ⸢シナ⸣キ イ⸢ルタ [⸢toːsa⸣ turu ⸣pimmaː ⸢piːssaː⸣ pi̥⸢kiti taːn⸣ nakaː ʃ⸢ʃina⸣ki ʔi⸢ruta] (田草を取るときは、稗草を引き抜いて田の泥の中に差し込んで入れた) 14010 0 0 13715 htmvoc_14010.wav ピーッサーン ⸢ピーッサー⸣ン [⸢piːssaː⸣ŋ] 形 屁の匂いが臭い。「屁臭い」の義。 ⸢ウンヌ⸣イー カー⸢ニ⸣ ッ⸢ふァイ ベー⸣ティ ⸢ピー⸣ヤ ッ⸢サー⸣ンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢ビナラウター ピーッサー ナー⸣ヌ [⸢ʔunnu⸣ʔiː kaː⸢ni⸣ f⸢fai beː⸣ti ⸢piː⸣ja s⸢saː⸣nti ⸢sundu⸣ ka⸢binarautaː piːssaː naː⸣nu] (芋のご飯でけ食べているので屁が臭いというが、嗅ぎなれたので臭くないよ)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピーッサー⸣ティ ⸢ウイパラシ⸣タ [du⸢ku⸣nu ⸢piːssaː⸣ti ⸢ʔuiparaʃi̥⸣ta] (あまりにも屁が臭いので追っ払った)。 ⸢シンダイ ピーッサー⸣ ナリクー [⸢ʃindai piːssaː⸣ narikuː] (次第に屁が臭くなってくる)。 ⸢ピーッサー⸣ プ⸢ソー サーク⸣ナ [⸢piːssaː⸣ pu̥⸢soː saːku⸣na] (屁の臭い人はつれて来るな)。 ⸣アイニ ⸢ピーッサー⸣レーラー ター⸢ン⸣ キ⸢ライス [⸣ʔaini ⸢piːssaː⸣reːraː taː⸢ŋ⸣ ki⸢raisu] (あんなに屁が臭いのであれば誰でも嫌うよ) 13960 0 0 13716 htmvoc_13960.wav ピーッサリカザ ⸢ピーッサリ⸣カザ [⸢piːssari⸣kaʣa] 名 (植)へくそかずら(屁糞葛)。ヤイトバナ。くそかずら。「~延ひおほとれる屎葛~。万、3855」。寝違えして首が痛むとき、脱臼したりした時などには⸢ピーッサリ⸣カザ[⸢piːssari⸣kaʣa]を巻いておくと痛みがとれるといわれていた。 ⸢ピーッサリ⸣カザー イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢サー⸣ン [⸢piːssari⸣kaʣaː ʔik⸢kena⸣ s⸢saː⸣ŋ] (へくそがずらは非常に臭い)。 ⸢ティー⸣パン シ⸢ガース⸣ ピンマー ⸢ピーッサリ⸣カザ マ⸢キシキ⸣ルカー ⸢ノー⸣ルンティ ア⸢ザリブタ [⸢tiː⸣paŋ ʃi⸢gaːsu⸣ pimmaː ⸢piːssari⸣kaʣa ma⸢kiʃi̥ki⸣rukaː ⸢noː⸣runti ʔa⸢ʣaributa] (手足を捻挫する時は\ruby{屁糞葛}{ヘ|クソ|カズラ}を巻いておくと治るといわれていた) 14012 0 0 13717 htmvoc_14012.wav ビーッタビーッタ ⸢ビーッタビーッタ [⸢biːttabiːtta] 副 ゆさゆさ。担い棒や天秤棒(おうご<朸>)などが重量でたわむ<撓む>さま。しなうさま。 ⸢ビーッタビーッタ⸣シ ⸢アイ⸣コー マ⸢ガルンダ タン⸣グナー ウ⸢キバ⸣ イ⸢レー⸣ティル ミ⸢ジェー⸣ カ⸢タム⸣タ [⸢biːttabiːtta⸣ʃi ⸢ʔai⸣koː ma⸢garunda taŋ⸣gunaː ʔu⸢kiba⸣ ʔi⸢reː⸣tiru mi⸢ʤeː⸣ kḁ⸢tamu⸣ta] (ゆさゆさと天秤棒<おうご>が\ruby{撓}{タワ}むので、ススキの葉の浮きを水桶に入れてウ⸢キ{SqBr}ʔu⸢ki{/SqBr}(浮き草)にして水を運ん<担い>だ) 14013 0 0 13718 htmvoc_14013.wav ピートゥル ⸢ピー⸣トゥル [⸢piː⸣turu] 名 じゅうのう(十能)。ひかき(火掻)。おきかき。竈のおきび(熾火)を掻きだして運ぶ道具。幅約15センチ、長さ約10センチのブリキ板に約30センチの柄を付けた、熾火を運ぶ道具。「火取り」の義。「薫炉、比度利」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢ピー⸣トゥルナー ウ⸢キル⸣ イ⸢リティ⸣ ムティ ⸣キー ピ⸢バ⸣チナ ウ⸢ツァ⸣シ(ウ⸢ツォー⸣シ) [⸢piː⸣turunaː ʔu⸢kiru⸣ ʔi⸢riti⸣ muti ⸣kiː pi⸢ba⸣ʧina ʔu⸢ʦa⸣ʃi(ʔu⸢ʦoː⸣ʃi)] (火取り<十能>に熾火を入れて持ってきて、火鉢に移しなさい) 14014 0 0 13719 htmvoc_14014.wav ピーナーサキ ⸢ピーナーサキ [⸢piːnaːsaki] 名 (海底地名)。ヤ⸢ラ[ja⸢ra](屋良)の西南西にある、⸣フキクムル[⸣ɸu̥kikumuru]の東側に、南北に細く延びた浅瀬。ム⸢チイズ[mu⸢ʧiʔiʣu](ノコギリダイ)の釣り場。夜釣りの名所 14015 0 0 13720 htmvoc_14015.wav ビーナバ ⸢ビー⸣ナバ [⸢biː⸣naba] 名 (植)どくたけ(毒茸)。どくきのこ。 ⸣カブルキーナ ⸢ムイ⸣ル ⸣ナバー ⸢ビー⸣ナバティ ア⸢ザリ ブー [⸣kaburukiːna ⸢mui⸣ru ⸣nabaː ⸢biː⸣nabati ʔa⸢ʣari buː] (オオバイヌビワに生えるきのこ<茸>は毒茸といわれている) 14016 0 0 13721 htmvoc_14016.wav ビーナビ ⸣ビーナビ [⸣biːnabi] 名 注ぎ口の付いた鍋。注ぎ口のついたお汁鍋や油鍋。「樋鍋」の義。⸣ビー[⸣biː]は「水を流し送る装置」で、「樋」と同義。「Fi.ヒ(樋)Caqefi(懸樋)に同じ.水の流れ通る、高く懸けられた導管.」(『邦訳日葡辞書』)に、「鍋」が付いて形成された合成語。 ⸣ビーナビナー タ⸢ニ⸣ユー イ⸢リティ ティン⸣プラ ヤ⸢キ⸣バ [⸣biːnabinaː ta⸢ni⸣juː ʔi⸢riti tim⸣pura ja⸢ki⸣ba] (注ぎ口のある鍋に菜種油をいれてテンプラを揚げ<焼き>なさいよ) 14044 0 0 13722 htmvoc_14044.wav ピーナミ ⸢ピー⸣ナミ [⸢piː⸣nami] 名 干瀬に打ち寄せる大波。「~邊波<ヘナミ>立つとも~。万、274」の転訛したものか。 ⸢ウイバルヌ⸣ ヤ⸢ダン⸣ブレピーヌ ッ⸢スナン⸣ヌ ウ⸢ク⸣ルカー ⸢オシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣スツォー [⸢ʔuibarunu⸣ ja⸢dam⸣burepiːnu s⸢sunan⸣nu ʔu⸢ku⸣rukaː ⸢ʔoʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣suʦoː] (上原のヤダンブレ干瀬の白波が起こると天気は崩れる<破れる>そうだ) 14017 0 0 13723 htmvoc_14017.wav ビーニー ⸢ビーニー [⸢biːniː] 名 干支の亥の日。「ゐ(亥)の日」の転訛したもの。 ⸢ビーディマリ⸣ ヤ⸢リバ ウンキニンガイ⸣ヤー ⸢ビーニー⸣ナール ⸢ソー⸣ル ⸣パジ [⸢biːdimari⸣ ja⸢riba ʔuŋkiniŋgai⸣jaː ⸢biːniː⸣naːru ⸢soː⸣rupaʤi] (亥の日の生まれだから、健康祈願<運気の祈願>は干支の亥の日にされるはずだ) 14019 0 0 13724 htmvoc_14019.wav ピーヌール ⸢ピーヌール [⸢piːnuːru] 名 へのり(舳乗)。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)の舳先に乗る人。風の強い時は舳乗がミ⸢ナー[mi⸢naː](水縄{EOS}みづな{EOS}帆の上げ下ろしに用いる縄)を握り締めて身を舟べりより風上の方へ身を乗り出して船頭と協力し、舟の安定走行を手助けする人。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャー ⸢バイ⸣ヨー ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケーラ ⸢ピーヌールバ⸣ シ⸢メー⸣ティ ⸢パイ⸣ター ⸢サーローッタ [⸢ban⸣tanu ⸣ʔaʧaː ⸢bai⸣joː ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣keːra ⸢piːnuːruba⸣ ʃi⸢meː⸣ti ⸢pai⸣taː ⸢saːroːt⸣ta] (私の父<我が家の父>は私を子供の時からイダフニ<サバニ>の舳乗をさせて西表<南端>へ連れて行かれた) 14018 0 0 13725 htmvoc_14018.wav ピーヌイキブル ⸢ピー⸣ヌ イ⸢キブル [⸢piː⸣nu ʔi⸢kiburu] 連 火の勢い。火勢が強いこと。 ⸢ピー⸣ヌ イ⸢キブルヌ スーワ⸣ヌ カ⸢マチヌ⸣ スバー パ⸢ララ⸣ヌ [⸢piː⸣nu ʔi⸢kiburunu suːwa⸣nu ka⸢maʧinu⸣ subaː pa⸢rara⸣nu] (火の勢いが強くて竈の側には近づけない<行かれない>) 14020 0 0 13726 htmvoc_14020.wav ピーヌクー ⸢ピーヌ⸣クー [⸢piːnu⸣kuː] 名 (動)貝の名。和名。くろちょうがい(黒蝶貝)。真珠養殖の母貝となる。殻長約20センチの扇形に成長する。普通は殻長14~15センチの貝が多い。殻の内側の口縁部は緑褐色。内側は平滑で真珠のような光沢を有する。干瀬のサンゴ礁の間に棲息している。美味であるが多くは獲れない。 ⸢ピーヌクー⸣ヤ ⸢クー⸣ヌ ナ⸢カー⸣ ピ⸢カ⸣リティ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [⸢piːnukuː⸣ja ⸢kuː⸣nu na⸢kaː⸣ pi̥⸢ka⸣riti ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (\ruby{黒蝶貝}{クロ|チョウ|ガイ}は殻の内側が光って非常に美しい) 14021 0 0 13727 htmvoc_14021.wav ピーヌクシ ⸢ピーヌ⸣クシ [⸢piːnu⸣ku̥ʃi] 名 干瀬(環礁{EOS}島を取り囲むサンゴ礁)の北側の外海。 ⸢ピーヌ⸣ クシェーラ ヤ⸢マトゥピーグルマー⸣ヌ ウ⸢ランザ⸣ケー ⸢マーリパッ⸣タ [⸢piːnu⸣kuʃeːra ja⸢matupiːgurumaː⸣nu ʔu⸢ranʣa⸣keː ⸢maːripat⸣ta] (干瀬の北側外海を大和の蒸気船が宇奈利崎へ回航していったよ) 14022 0 0 13728 htmvoc_14022.wav ピーヌクムン ⸢ピーヌク⸣ムン [⸢piːnuku⸣muŋ] 他動 火に当たって体を温める。体をあたためる。「火・温む」の義。 ⸢ピーヌク⸣ムンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣クナーテー ⸢ピーヌクマラ⸣ヌ [⸢piːnuku⸣munti ʔu⸢muːn⸣du ⸣kunaːteː ⸢piːnukumara⸣nu] (火に当たって体を温めようと思うが、ここでは体を温められない)。 ⸢ピーヌク⸣ミ ⸣ミサカー ⸢ピーヌク⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [⸢piːnuku⸣mi ⸣misakaː ⸢piːnuku⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (火に当たって体を温めて良ければ体を温めることはできる)。 ⸢パー⸣ク ⸢ピーヌク⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢piːnuku⸣meː ⸣misamunu] (早く火に当たって体を温めれば良いのに)。 ⸢ピーヌク⸣ミ [⸢piːnuku⸣mi] (火に当たって体を温めよ) 14023 0 0 13729 htmvoc_14023.wav ピーヌシターマ ⸢ピーヌ⸣ シ⸢ター⸣マ [⸢piːnu⸣ ʃi̥⸢taː⸣ma] 連 ひなさき。陰核。女陰の小舌。「吉舌楊氏漢語抄云吉舌(比奈佐岐)」『和名抄』の転訛したものか 14024 0 0 13730 htmvoc_14024.wav ピーヌティー ⸢ピー⸣ヌ ⸣ティー [⸢piː⸣nu ⸣tiː] 連 燃え上がる炎。「火の手」の義。竈から外へはみ出す炎。粘土を\ruby{捏}{コ}ねて作った竈には鍋や釜が密着するので、薪を効率よく燃やすために排気孔を、竈の左右側面と後方の3箇所に作っておいた。芋を煮る際には、これらの排気孔から盛んに炎が出るほど薪をくべた。 ⸣ドゥク ⸢ピー⸣ヌ ⸢ティー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ク⸢ビ⸣ ヤ⸢クン⸣ユー ッ⸢サンバ⸣ ン⸢ベーマ⸣ タ⸢ム⸣ヌ ⸣トゥリティ ⸣ピー ピ⸢キ⸣バ [⸣duku ⸢piː⸣nu ⸢tiː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ku⸢bi⸣ ja⸢kuɲ⸣juː s⸢samba⸣ ʔm⸢beːma⸣ ta⸢mu⸣nu ⸣turiti ⸣piː pi̥⸢ki⸣ba] (あまりに炎<火の手>がでると壁を焼くかも知れないから、少し薪を取り除いて火勢を押さえ<引き>なさい) 14025 0 0 13731 htmvoc_14025.wav ピーヌパタラ ⸢ピー⸣ヌ パ⸢タラ [⸢piː⸣nu pḁ⸢tara] 連 火花。火の粉。パ⸢タラ[pḁ⸢tara](「はじける音」の擬音語)はプ⸢ツルパタラ[pu̥⸢ʦurupatara](パチパチ)のように用いられる擬音語である。 ⸢ピー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸢ピー⸣ヌ パ⸢タラヌ⸣ トゥ⸢ビ⸣ クーンダ カ⸢ジッソーマヌ ヤー⸣ヤ ミ⸢ジェー⸣ カ⸢キトゥー⸣シ ブ⸢タ⸠ダー [⸢piː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸢piː⸣nu pḁ⸢taranu⸣ tu⸢bi⸣kuːnda ka⸢ʤissoːmanu jaː⸣ja mi⸢ʤeː⸣ kḁ⸢kituː⸣ʃi bu⸢ta⸠daː] (火事が起きると火の粉が飛ぶから、風下の家は水を掛け通していたよ) 14026 0 0 13732 htmvoc_14026.wav ピーヌバン ⸢ピー⸣ヌ ⸣バン [⸢piː⸣nu ⸣baŋ] 連 火の用心の水。「火の番」の義。昭和40年台までは\ruby{竈}{カマド}を利用して炊飯していたから、竈の前に防火用の水を桶に入れて常備していた。外出する際、就寝前には防火用水を点検するのが主婦の心得であった。土竈の前面には、水の文字を彫り込むのが常であった。 カ⸢マチフチヌ ピー⸣ヌ ⸢バン⸣マー ⸢バシキルナ⸣ヨー [ka⸢maʧiɸu̥ʧinu piː⸣nu ⸢bam⸣maː ⸢baʃi̥kiruna⸣joː] (竈口の防火用水<火の番>は忘れるなよ) 14027 0 0 13733 htmvoc_14027.wav ビーバキ ⸢ビーバ⸣キ [⸢biːba⸣ki] 名 嘔吐。へど<反吐>を吐くこと。 ⸢ビーバ⸣キ ⸢スン⸣ケン サ⸢キバ⸣ ヌミ⸢ベー [⸢biːba⸣ki ⸢suŋ⸣ken sḁ⸢kiba⸣ numi⸢beː] (嘔吐するほど酒を飲んでいる) 14028 0 0 13734 htmvoc_14028.wav ビーバクン ⸢ビー⸣バクン [⸢biː⸣bakuŋ] 自動 嘔吐する。へどをはく。えずく(嘔吐く)。もどす。 ⸣フナイ ⸢スー⸣カー ⸢ビー⸣バクンダー フ⸢ナブ⸣ヌ カ⸢ザ⸣ カ⸢ビ⸣バ{EOS}ア⸢ス⸣カー ⸢ビーバカ⸣ヌ [⸣ɸunai ⸢suː⸣kaː ⸢biː⸣bakunda ɸu⸢nabu⸣nu ka⸢ʣa⸣ ka⸢bi⸣ba{EOS}ʔa⸢su⸣kaː ⸢biːbaka⸣nu] (船酔いすると嘔吐する<えずく>から、みかん<九年母>の匂いを嗅ぎなさい{EOS}そうしたら嘔吐<えずかない>しない)。 ⸢ビー⸣バキ ⸢ナー⸣ヌ [⸢biː⸣baki ⸢naː⸣nu] (嘔吐して<えずいて>しまった)。 ⸢ビー⸣バク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢biː⸣baku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (嘔吐する<えずく>ことはない)。 ⸢ビーバ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢biːba⸣keː ⸣misamunu] (嘔吐すれば<えずけば>いいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ビー⸣バキ [⸢paː⸣ku ⸢biː⸣baki] (早く嘔吐しなさい<えずけ>)。 ⸢ビー⸣バク ⸢ギン⸣シェー ⸢サーラマキ ユン⸣ナー [⸢biː⸣baku ⸢giŋ⸣ʃeː ⸢saːramaki jun⸣naː] (嘔吐する<えずく>からには、きっとつわり<悪阻>だな) 14029 0 0 13735 htmvoc_14029.wav ピーパサン ⸢ピー⸣パサン [⸢piː⸣pasaŋ] 名 火箸。鉄製の火箸。鉄線(八番線)を利用して簡単な火箸を作った。生竹やススキで作ることもあった。「Fibasami.ヒバサミ(火挟)火縄銃の引き金の所についていて、火縄をさしこむ金具」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 カ⸢マチェーラ ピー⸣パサンシ ウ⸢キル⸣ パ⸢サ⸣ミ ⸣トゥリ ⸣クーバ [ka⸢maʧeːra piː⸣pasaŋʃi ʔu⸢kiru⸣ pḁ⸢sa⸣mi ⸣turi ⸣kuːba] (竈から火箸で熾を挟んで取って来いよ) 14030 0 0 13736 htmvoc_14030.wav ピーバンムル ⸢ピーバン⸣ムル [⸢piːbam⸣muru] 名 \ruby{烽火台}{ホウ|カ|ダイ}。「火番岡<もり>」の義。⸢琉球国時代には船の入港や島の周囲を船が航行していることを知らせるために\ruby[g]{烽火}{ノロシ}をたいて次々と伝えていく方法がとられた。その火をたく高いところ」『石垣方言辞典』。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ピーバン⸣ムルナーティ ⸢ピー⸣バ ⸢モーシ⸣ キ⸢ボーシバ⸣ タテーティル フ⸢ニ⸣ヌ シ⸢ラシグトー ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢piːbam⸣murunaːti ⸢piː⸣ba ⸢moːʃi⸣ ki⸢boːʃiba⸣ tḁteːtiru ɸu⸢ni⸣nu ʃi⸢raʃigutoː soːt⸣taʦoː] (昔は烽火台で火を焚き、煙を立てて船の知らせごとをされたそうだ) 14031 0 0 13737 htmvoc_14031.wav ビービー ⸣ビービー [⸣biːbiː] 名 漁船を陸揚げする際に用いる巻上げ機(ウィンチ)。複数の滑車を利用して、ころ(転)に載せた漁船を陸上へ引き揚げる装置。古老はタ⸢グ⸣ラザン[ta⸢gu⸣raʣaŋ](巻き上げ機)という。 カ⸢ツシンマー⸣ ジ⸢キヌ⸣ シ⸢マウ⸣カー ⸣ビービーシ ⸣ウカー ア⸢ギソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʤi⸢kinu⸣ ʃi⸢mau⸣kaː ⸣biːbiːʃi ⸣ʔukaː ʔa⸢gisoːt⸣ta] (カツオ漁船は漁期が終わる<仕舞う>とビービーの巻上げ機でおか<陸上>へ引き揚げられた) 14033 0 0 13738 htmvoc_14033.wav ピーピーカーカーシ ⸢ピーピーカーカー⸣シ [⸢piːpiːkaːkaː⸣ʃi] 副 貧乏のひどいさま。AaAaBbBbC型の重言。強調表現。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ッ⸢ふァイムヌティン ナー⸣ムティ ⸢ピーピーカー⸣カー ⸢シール⸣ ク⸢ラシ ブタ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː f⸢faimunutin naː⸣muti ⸢piːpiːkaː⸣kaː ʃiːru⸣ ku⸢raʃi buta] (終戦後は食べるものとてなく、貧乏のどん底で暮らしていた) 14032 0 1 13739 htmvoc_14032.wav ビービーシ ⸢ビービー⸣シ [⸢biːbiː⸣ʃi] 副 {Mn_1}びゅうびゅう。風が強く吹くさま。擬音語。 ⸢ビービー⸣シ ニ⸢シカジヌ⸣ フキティ ⸢ピーヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢biːbiː⸣ʃi ni⸢ʃikaʤinu⸣ ɸu̥kiti ⸢piːja⸣nu na⸢ra⸣nu] (びゅうびゅうと北風が吹いて寒くてたまらない)。 14032 0 2 13740 htmvoc_14032.wav ビービーシ ⸢ビービー⸣シ [⸢biːbiː⸣ʃi] 副 {Mn_2}ごくごく。ごくんごくん、ぐいぐい。水や酒、乳などを勢いよく飲む音。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ニ⸢ビベーン⸣ドゥ ⸣ワー ⸢ビービー⸣シ ⸢シー⸣バ ユ⸢ビ⸣ ッ⸢ふァイス⸠ツォー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ni⸢bi beːn⸣du ⸣waː ⸢biːbiː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ba ju⸢bi⸣ f⸢faisu⸠ʦoː] (この子は寝ているんだが、なんとまあ<あなた>、ぐいぐいと強く乳を吸って飲む<食べる>んですよ) 14034 0 0 13741 htmvoc_14034.wav ピーフキダキ ⸢ピーフキダ⸣キ [⸢piːɸukida⸣ki] 名 火吹き竹。吹いて火をおこすのに用いる竹筒。 ⸢ピーフキダ⸣キシ ⸢ピー⸣バ ⸣フキティ ⸢モーシ⸣バ [⸢piːɸu̥kida⸣kiʃi ⸢piː⸣ba ⸣ɸu̥kiti ⸢moːʃi⸣ba] (火吹き竹で火を吹いて燃やしなさいよ) 14035 0 0 13742 htmvoc_14035.wav ビーフクル ⸢ビーフク⸣ル [⸢biːɸu̥ku⸣ru] 名 原因不明の痒みで皮膚を掻いているうちに赤く腫れたもの。「えぐい・ふくれ(腫れ)」の転訛か。「~酢味也、俗語云恵久之<ゑぐし>」『和名抄』。 ⸢ビー⸣ヨーティ ガ⸢ズ⸣ター ⸢ビーフク⸣ル ⸣ナリ ⸢ベー [⸢biː⸣joːti ga⸢ʣu⸣taː ⸢biːɸu̥ku⸣ru ⸣nari ⸢beː] (痒いので掻いたらば赤い\ruby{水膨}{ミズ|ブク}れになっているよ) 14040 0 0 13743 htmvoc_14040.wav ピープサー ⸣ピープサー [⸣piːpusaː] 名 屁こき(放き)。屁をよくひる<放る>者。「放屁、倍比流<ひる>」『和名抄』の転訛。⸢ピープシ⸣ムヌ[⸢piːpu̥ʃi⸣munu](屁放り奴)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ピープサー ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢マー⸣ パ⸢ラ⸣シ [ʔu⸢reː⸣ piːpusaː ja⸢ruda⸣ ka⸢maː⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (彼は屁放きだから、あっちへ行かせ<遣れ>) 14036 0 0 13744 htmvoc_14036.wav ピーフシ ⸢ピー⸣フシ [⸢piː⸣ɸu̥ʃi] 名 欠点。難癖。フ⸢シ[ɸu̥⸢ʃi](欠点)ともいう。「~かどかどしく癖をつけ」『源氏物語<若菜上>』の転訛したもの。⸢ピー[⸢piː]は「屁、倍比流、下部出気也」『和名抄』の義か。 プ⸢スヌ ピー⸣フシ カー⸢ニ⸣ トゥルンティ ⸢サンドー⸣シ パ⸢ナシアー⸣シェーティ ⸢シー⸣バ [pu̥⸢sunu piː⸣ɸu̥ʃi kaː⸢ni⸣ turunti ⸢sandoː⸣ʃi pa⸢naʃiʔaː⸣ʃeːti ⸢ʃiː⸣ba] (他人の欠点ばかりをあげつらおうと<取ろうと>しないで、話し合いながらしなさいよ) 14037 0 0 13745 htmvoc_14037.wav ピープシ ⸢ピー⸣プシ [⸢piː⸣pu̥ʃi] 名 日干し。日干し乾燥。⸣ティダナ ⸣プシティ[⸣tidana ⸣pu̥ʃiti](太陽に干して)ともいう。 イ⸢ガー ユシ⸣キシダルナー ナ⸢ラビティ フシゥカブカラ ピー⸣プシ ⸢シーティル カーソーッ⸣タ [ʔi⸢gaː juʃi̥⸣kiʃidarunaː na⸢rabiti ɸusï̥kabukara piː⸣pu̥ʃi ⸢ʃiːtiru kaːsoːt⸣ta] (烏賊はススキの\ruby{簾}{スダレ}に並べて二日ほど<ばかり>日干ししてから売られた) 14038 0 0 13746 htmvoc_14038.wav ピープシ ⸢ピー⸣プシ [⸢piː⸣pu̥ʃi] 名 放屁すること。ひどく屁をひること。動詞⸢ピー⸣プスン[⸢piː⸣pu̥suŋ](放屁する)の連用形からの転成名詞。「Fefiri、ヘヒリ(屁放り) ひどく屁をひる人」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ウンザー ピー⸣プシナー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː piː⸣pu̥ʃinaː na⸢ra⸣nu] (あいつはひどく屁をひるので困る<\ruby{堪}{タマ}らない>) 14041 0 0 13747 htmvoc_14041.wav ビープス ⸢ビー⸣プス [⸢biː⸣pu̥su] 名 酔っ払い。「酔い人」の義。 ⸢ビー⸣プソー プ⸢リムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ ビープス⸣ヌ ムネー カ⸢タ⸣ミンラ シ⸢キティ⸣ カ⸢タ⸣ミンラ ン⸢ザ⸣シバ [⸢biː⸣pu̥soː pu⸢rimunu⸣ ja⸢runda⸣ kḁ⸢ta⸣minra ʃi̥⸢kiti⸣ kḁ⸢ta⸣minra ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (酔っ払いは馬鹿<惚れ者>だから、酔っ払いの言葉は片方の耳から聞いて片方の耳から放出しなさいよ) 14042 0 0 13748 htmvoc_14042.wav ピープスイ ⸢ピー⸣プスイ [⸢piː⸣pusui] 名 一日。「日一日風やまず」『土佐日記』の義。 ⸢ウン⸣ネーナーヤ ⸢ピー⸣プスイヌ ⸢ブン⸣ゲー ア⸢リ⸣ル ⸣ブーバ ⸢バシキルナ⸣ダー [⸢ʔun⸣neːnaːja ⸢piː⸣pusuinu ⸢buŋ⸣geː ʔa⸢ri⸣ru ⸣buːba ⸢baʃi̥kiruna⸣daː] (あの家には一日の仕事の恩義があるから忘れるなよ) 14043 0 0 13749 htmvoc_14043.wav ピープスン ⸢ピー⸣ プスン [⸢piː⸣ pu̥suŋ] 連 屁をひる<放る>。 ッ⸢サリ⸣ピー ⸣プスン [s⸢sari⸣piː ⸣pusuŋ] (非常に臭い屁をひる)。 ⸣ウン ッ⸢ふータール サッ⸣コー ⸢ピー⸣ プス⸢ツォー [⸣ʔuŋ f⸢fuːtaːru sak⸣koː ⸢piː⸣ pu̥su⸢ʦoː] (芋を食べたので、よく屁を放るのだよ)。 プ⸢スヌ⸣ マンタナー ⸣ピー プ⸢ス⸣ナ⸢ダー [pu̥⸢sunu⸣ mantanaː ⸣piː pu̥⸢su⸣na⸢daː] (人前では屁を放るなよ) 14045 0 0 13750 htmvoc_14045.wav ピーブルン ⸢ピー⸣ブルン [⸢piː⸣buruŋ] 自動 珊瑚礁に大波が押し寄せて砕け散る。波頭が砕け散る。波頭が立つ。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤ⸢ビ⸣ルカー ヤ⸢ダン⸣ブレビーヤ ⸢ピーブルン⸣ドゥ ⸢マイ⸣ズネー ⸢ピーブラ⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥kinu⸣ ja⸢bi⸣rukaː ja⸢dam⸣burebiːja ⸢piːburun⸣du ⸢mai⸣ʣuneː ⸢piːbura⸣nu] (天気が崩れると上原のヤダンブレ干瀬は波頭が砕け散るが、前曽根には波頭は砕け散らない)。 ウ⸢ブ⸣ビーン ⸢ピー⸣ブリ ⸢ベー [ʔu⸢bu⸣biːm ⸢piː⸣buri ⸢beː] (ウブビー<フツァーマの東の干瀬>も波頭が砕け散っている)。 ⸢ピー⸣ブル ⸣トンラー ⸣フネー ⸢ペーラサラ⸣ヌ [⸢piː⸣buru ⸣tonraː ⸣ɸuneː ⸢peːrasara⸣nu] (波頭が砕け散る所からは、舟は漕ぎいれられない)。 ヤ⸢ダン⸣ブレピーヌ ⸢ピー⸣ブレーラー ⸣ウケー ン⸢ジララ⸣ヌ [ja⸢dam⸣burepiːnu ⸢piː⸣bureːraː ⸣ʔukeː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (上原のヤダンブレ干瀬が波頭を立てると漁船は沖に<漁に>出られない) 14039 0 0 13751 htmvoc_14039.wav ピーフンシキドゥル ⸢ピーフンシキ⸣ドゥル [⸢piːɸuŋʃi̥ki⸣duru] 名 鶏が火を踏んだ時、ばたついて鳴き騒ぐように、騒ぎ立てる人。「火踏み付け鶏」の義。 ⸢ピーフンシキドゥル⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢アーラン ブリ⸣バ [⸢piːɸuŋʃi̥kiduru⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢ʔaːram buri⸣ba] (鶏がばたついて騒ぎ立てるように<火踏み付け鶏のように>暴れるなよ<暴れずに居れよ>) 14046 0 0 13752 htmvoc_14046.wav ピーマ ⸢ピーマ [⸢piːma] 名 えら(鰓)。⸢ピューマ[⸢pjuːma](えら<鰓>)ともいう。 カ⸢ツヌ ピーマー⸣ パ⸢タ⸣ケー カ⸢タ⸣ミ ⸢ギー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣コイ ⸣ナシバ [kḁ⸢ʦunu piːmaː⸣ pḁ⸢ta⸣keː kḁ⸢ta⸣mi ⸢giː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣koi ⸣naʃiba] (カツオの鰓は畑に担いで行って、畑の肥やしにしなさいよ)。 イ⸢ズヌ ピーマー⸣ トゥリティ バ⸢ザイ⸣バ [ʔi⸢ʣunu piːmaː⸣ turiti ba⸢ʣai⸣ba] (魚の鰓を取って\ruby{捌}{サバ}きなさい) 14047 0 0 13753 htmvoc_14047.wav ピーマカー ⸢ピーマカー [⸢piːmakaː] 名 喘息持ち。 ウ⸢レー ピーマカー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ミララヌ [ʔu⸢reː piːmakaː⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢miraranu] (彼は喘息持ちだから、彼にはこの仕事はさせられない) 14048 0 0 13754 htmvoc_14048.wav ピーマキ ⸢ピーマキ [⸢piːmaki] 名 喘息。喘息患者(an asthmatic)。『医学沖縄語辞典』。 ⸢ピーマキヌ⸣ ウ⸢ク⸣ルカー ⸣イキン シ⸢ララン⸠ダー [⸢piːmakinu⸣ ʔu⸢ku⸣rukaː ⸣ʔikiŋ ʃi⸢raran⸠daː] (喘息の発作が起こると呼吸<息>も出来ないよ)。 ⸢ピーマキ⸣ カ⸢カリ⸣プソー ⸢ピーマキヌ⸣ ウ⸢ク⸣ルカー ⸣イケー ユ⸢ビティ⸣ イキ ⸢シーマーキ オー⸣ルンダ キ⸢ムイ⸣ツァーン [⸢piːmaki⸣ kḁ⸢kari⸣ pu̥soː ⸢piːmakinu⸣ ʔu⸢ku⸣rukaː ⸣ʔikeː ju⸢biti⸣ ʔiki ⸢ʃiːmaːki ʔoː⸣runda ki⸢mui⸣ʦaːŋ] (喘息患者は発作が起こると息を吸い込んで、息をし兼ねておられるので気の毒だ) 14051 0 0 13755 htmvoc_14051.wav ピーマキシープス ⸢ピーマキ シープス [⸢piːmaki ʃiːpusu] 名 喘息患者<喘息する人>。 ⸢ピーマキシープソー⸣ キ⸢ムイ⸣ツァーン [⸢piːmakiʃiːpu̥soː⸣ ki⸢mui⸣ʦaːŋ] (喘息患者は可哀相だ<気の毒だ>) 14050 0 0 13756 htmvoc_14050.wav ピーマキスン ⸢ピーマキ スン [⸢piːmaki suŋ] 連 喘息の発作が起きる<喘息する>。 ニ⸢シカジヌ⸣ フクカー ⸢ピーマキ スン⸠ダー [ni⸢ʃikaʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢piːmaki sun⸠daː] (北風が吹くと喘息の発作が起こるよ<喘息するよ>) 14049 0 0 13757 htmvoc_14049.wav ピーマキムチ ⸢ピーマキムチ [⸢piːmakimuʧi] 名 喘息持ち。持病の喘息がある人。 ⸢ピーマキムチンマー⸣ シ⸢グトー⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸢piːmakimuʧimmaː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ta⸢namara⸣nu] (喘息持ちには仕事は頼まれない) 14052 0 0 13758 htmvoc_14052.wav ピーマチカウ ⸢ピーマチカウ [⸢piːmaʧikau] 名 夜通し焚く線香。箸の太さで長さ約25センチの線香。「日待ち香」の義。⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通しの祈願)の時、夜中の祈願から明け方の祈願までの間、夜を徹して神職者や村役人たちが祈願したり、歌や太鼓で神様をもてなしたりする時に焚く線香。また、法事の際はユ⸢ナカソッ⸣コー[ju⸢nakasok⸣koː](夜中焼香)をするとき等に焚く線香をいう。お盆の時は三日間、仏壇に線香を絶やさないよう、この線香を焚いた。 ユ⸢ナカソッ⸣コー ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー ⸢ピーマチカウ⸣ シキ タ⸢トーッ⸣タン [ju⸢nakasok⸣koː ⸢soː⸣ru ⸣pimmaː ⸢piːmaʧikau⸣ ʃi̥ki tḁ⸢toːt⸣taŋ] (夜中焼香をされる時は日待ち線香を焚かれた) 14053 0 0 13759 htmvoc_14053.wav ピームイルン ⸣ピー ⸢ムイルン [⸣piː ⸢muiruŋ] 連 火が燃える。 サ⸢リタムヌ モース⸣カー イッ⸢ケン ピー⸣ヤ ム⸢イルン [sa⸢ritamunu moːsu⸣kaː ʔik⸢kem piː⸣ja ⸢muiruŋ] (枯れた薪を燃やすと、火は非常によく燃える)。 ⸢ピー⸣ヤ フ⸢チ⸣マリティ ⸢ムイラヌ [⸢piː⸣ja ɸu̥⸢ʧi⸣mariti ⸢muiranu] (火はくすぶっ<燻>て燃えない) 14054 0 0 13760 htmvoc_14054.wav ビームス ⸢ビー⸣ムス [⸢biː⸣musu] 名 い(藺)の筵。 パ⸢ダ⸣ムソー ⸢タイゲー⸣ヤ ⸣ビームス ⸢ヤッタ [pa⸢da⸣musoː ⸢taigeː⸣ja ⸣biːmusu ⸢jatta] (寝茣蓙<肌筵>はほとんど藺の筵だった) 14055 0 0 13761 htmvoc_14055.wav ピームタビ ⸢ピームタ⸣ビ [⸢piːmuta⸣bi] 名 火遊び。子供が炭焼きなどをして遊ぶこと。「火\ruby{弄}{モテアソ}び」の転訛。ム⸢タ⸣ビ[mu⸢ta⸣bi](\ruby{弄}{モテアソ}び{EOS}\ruby{賞翫}{ショウ|ガン})は「~若君は、乳母などもてあそび(持て遊び)聞こゆ」『源氏物語 東屋』の義。 ム⸢カ⸣シェー フ⸢ユ⸣ ナルカー パ⸢マ⸣ナーティ ⸢タンヤキ シー⸣ ア⸢サブタンドゥ⸣ ウ⸢リバ⸣ ウ⸢ブ⸣プソー ⸢ピームタ⸣ビティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ɸu⸢ju⸣ narukaː pa⸢ma⸣naːti ⸢taɲjaki ʃiː⸣ ʔa⸢sabutandu⸣ ʔu⸢riba⸣ ʔu⸢bu⸣pu̥soː ⸢piːmuta⸣biti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔は冬になると子供は浜で炭焼きをして遊んだが、それを大人は火遊びと言われた) 14056 0 0 13762 htmvoc_14056.wav ピームドゥル ⸢ピームドゥル [⸢piːmuduru] 名 日帰り。日戻り。「Fimodori.ヒモドリ(日戻り).その日の中に帰ること.この語は普通、海路を通る旅行に用いられる.それは、Caueru(かへる)という語は、また船(fune)の転覆することを意味するので、ゼンチョ(gentios 異教徒)はこの語を口にするのを恐れるからである」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢ピームドゥル⸣シ ⸢パイ⸣ター ⸢トーサ⸣ トゥリン ⸢オーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢piːmuduru⸣ʃi ⸢pai⸣taː ⸢toːsa⸣ turiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (鳩間の人は日帰り<日戻り>で南端<西表北岸の水田地帯>へ田草を取りに行かれた) 14057 0 0 13763 htmvoc_14057.wav ビームニ ⸢ビー⸣ムニ [⸢biː⸣muni] 名 酔っ払いの言葉。「酔い物言い」の義。 ⸢ビー⸣ムネー<⸢ビープス⸣ヌ ムネー> ⸢ミーヤ ナーン⸣バ ス⸢クナ⸣ヨー [⸢biː⸣muneː<⸢biːpusu⸣nu muneː> ⸢miːja naːm⸣ba su̥⸢kuna⸣joː] (酔っ払いの言葉は中身のない言葉だから、<何を言われてもまともに>聞くなよ) 14058 0 0 13764 htmvoc_14058.wav ビームヌ ⸢ビー⸣ムヌ [⸢biː⸣munu] 名 毒物。食中毒を起こすもの。 ⸢ミン⸣グルナーン ⸣ナバナーン ⸢ビー⸣ムノー ア⸢リ⸣ブーバ ア⸢ティンガーラン⸣ ムノー ッ⸢ふーナ⸣ヨー [⸢miŋ⸣gurunaːn ⸣nabanaːm ⸢biː⸣munoː ʔa⸢ri⸣buːba ʔa⸢tiŋgaːram⸣ munoː f⸢fuːna⸣joː] (きくらげ<木耳>にも、きのこ<茸>にも毒物はあるから、見当つかない<有毒か無毒かの見分けができない>ものは食べるなよ) 14059 0 0 13765 htmvoc_14059.wav ピーモースン ⸣ピー ⸢モースン [⸣piː ⸢moːsuŋ] 連 火を燃やす。 ⸢バンバン⸣シ ⸣ピー モースン [⸢bambaŋ⸣ʃi ⸣piː ⸢moːsuŋ] (勢いよく火を燃やす<焚く>)。 ⸢ピー⸣ヤ ⸢バンバン⸣シ ⸢モーシ [⸢piː⸣ja ⸢bambaŋ⸣ʃi ⸢moːʃi] (火はバンバンと勢いよく焚け<燃やせ>)。 ⸢モーサヌ [⸢moːsanu] (燃やさない) 14060 0 0 13766 htmvoc_14060.wav ピーヤ ⸢ピー⸣ヤ [⸢piː⸣ja] 名 寒さ。形容詞⸢ピー⸣ヤン[⸢piː⸣jaŋ](寒い)の語幹から転成した名詞。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤー ク⸢トゥケン⸣トゥ ⸢カウリ ブー⸣ イ⸢ズン⸣ ク⸢バ⸣リティ ウ⸢ケーリ キー⸣ス  [⸢kjuː⸣nu ⸢piː⸣jaː ku̥⸢tuken⸣tu ⸢kauri buː⸣ ʔi⸢ʣun⸣ ku⸢ba⸣riti ʔu⸢keːri kiː⸣su] (今日の寒さはいつも<別の時>と違っている{EOS}魚も凍えて浮いてくるほどだ) 14061 0 0 13767 htmvoc_14061.wav ヒーヤサ ⸢ヒーヤ⸣サ [⸢çiːja⸣sa] 感 掛け声。動作を起こす際に発する声。よいしょ。 バ⸢カー⸣ユンダ ⸣アシー ッ⸢ふァイティ⸣ プ⸢ス⸣イキ イ⸢ル⸣カー ⸢ヒーヤ⸣サティ ⸢シー⸣ シ⸢グトゥ シン⸣ パ⸢リ⸣ス [ba⸢kaː⸣junda ⸣ʔaʃiː f⸢faiti⸣ pu̥⸢su⸣ʔiki ʔi⸢ru⸣kaː ⸢çiːja⸣sati ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢gutu ʃim⸣ pa⸢ri⸣su] (若いから昼食を食べて一息入れると、よいしょといって、仕事をしに行くよ) 14062 0 0 13768 htmvoc_14062.wav ヒーヤヒーヤシ ⸢ヒーヤヒーヤ⸣シ [⸢çiːjaçiːja⸣ʃi] 副 喜び勇むさま。嬉しそうに声をあげるさま。 サ⸢ニンケーリ ヒーヤヒーヤ⸣シ ブ⸢ダッカレー⸣ティ ⸢パッ⸣タヤー [sa⸢niŋkeːri çiːjaçiːja⸣ʃi bu⸢dakkareː⸣ti ⸢pat⸣tajaː] (嬉しそうに声をあげて<喜び勇んで>飛び跳ねて行ったよ) 14065 0 0 13769 htmvoc_14065.wav ピーヤピーヤシ ピー⸢ヤピーヤ⸣シ [piː⸢japiːja⸣ʃi] 副 冷え冷えと。寒々と。いかにも寒そうに。 ⸢キュー⸣ヤ ピー⸢ヤピーヤ⸣シ ⸢ブーバ キン⸣マー カ⸢サビ⸣ キ⸢シ⸠ヨー [⸢kjuː⸣ja piː⸢japiːja⸣ʃi ⸢buːba kim⸣maː ka⸢sabi⸣ ki̥⸢ʃi⸠joː] (今日は寒そう<冷え冷えとしている>だから、着物は重ねて着なさいよ) 14063 0 0 13770 htmvoc_14063.wav ヒーヤホー ⸢ヒーヤ⸣ホー [⸢çiːja⸣hoː] 感 木材を縦挽きの鋸で挽くときの掛け声。鳩間島には製材所がなかったので家屋新築の際には木挽きを頼んで木材を挽いてもらった。台木に木材の片方をかけ、一人は材木の上に乗り、一人は地上に立って大鋸で木材を挽いた。 ⸢ヒーヤ⸣ホー ⸢ヒーヤ⸣ホーティ ヤ⸢グイバ⸣ イ⸢レー⸣ティル ⸢キー⸣ヤ バ⸢コーッ⸣タ [⸢çiːja⸣hoː ⸢çiːja⸣hoːti ja⸢guiba⸣ ʔi⸢reː⸣tiru ⸢kiː⸣ja ba⸢koːt⸣ta] (ヒーヤホー、ヒーヤホーと掛け声を掛けて<入れて>木材は挽かれた) 14064 0 0 13771 htmvoc_14064.wav ピーヤムイサン ⸢ピーヤ⸣ムイサン [⸢piː⸣jamuisaŋ] 形 寒がりである。形容詞⸢ピー⸣ヤン[⸢piː⸣jaŋ](寒い)の語幹⸢pi:⸣jaに接尾語-ムイサン[-muisaŋ](~がりである{EOS}~思いである)が付いて形成された合成語。 ⸢ウイ⸣プソー ⸢ピー⸣ヤムイサンダ ピ⸢バ⸣チナ ⸣ピー キ⸢ササラ⸣ヌ [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸢piː⸣jamuisanda pi⸢ba⸣ʧina ⸢piː⸣ja ki̥⸢sasara⸣nu] (老人は寒がりやだから、火鉢に火は切らされない) 14066 0 0 13772 htmvoc_14066.wav ヒーヤユイサ ⸢ヒーヤユイ⸣サ [⸢çiːjajui⸣sa] 感 掛け声。豊年祭の旗頭を持って踊る際の掛け声。旗頭を上下に振りながら、⸢ヒーヤユイ⸣サ ⸢ヒーヤユイ⸣サと掛け声をかけて勢いよく巻き踊りをした。 ⸢ヒーヤユイ⸣サ ⸢ヒーヤユイ⸣サ ⸢シェー⸣ティ ブ⸢ドゥルシンカー ガー⸣リ ⸢オー⸣ル [⸢çiːjajui⸣sa ⸢çiːjajui⸣sa ⸢ʃeː⸣ti bu⸢duruʃiŋkaː gaː⸣ri ⸢ʔoː⸣ru] (ヒーヤユイサ、ヒーヤユイサと掛け声を掛けながら、踊り人衆<臣下>は気勢を上げ、威勢をあげて自分たちの優勢を盛んにアピールして<自慢して>おられる) 14067 0 0 13773 htmvoc_14067.wav ピーヤン ⸢ピー⸣ヤン [⸢piː⸣jaŋ] 形 寒い。「冷え・さ・あり」の「さ」の[s]が口蓋化して[ʃ]となり、脱落した結果、「あり(有り)」が直接語幹の[piː]に下接して、[piːʃaːŋ] → [piːjaŋ] と音韻変化したもの。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ピー⸣ヤンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ⸢ピーヤナーン⸣ワー⸢ン⸣ノー [⸢kjuː⸣ja ⸢piː⸣janti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ⸢piːjanaːŋ⸣waː⸢n⸣noː] (今日は寒いと聞いたが、あまり寒くないではないか)。 ⸢ピーヤ⸣ヌ フ⸢シガラ⸣ヌ [⸢piːja⸣nu ɸu⸢ʃigara⸣nu] (寒くてたまらない)。 ⸢シンダイ ピー⸣ヤ ⸣ナリクン [⸢ʃindai piː⸣ja ⸣narikuŋ] (次第に寒くなってくる)。 ⸢ピー⸣ヤ ⸣ピンマー ⸣フカー ン⸢ジル⸣ナ [⸢piː⸣ja ⸣pimmaː ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤiru⸣na] (寒い時は外へ出るな)。 ⸣アイニ ⸢ピー⸣ヤーレーラー ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢piː⸣jaːreːraː noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (あんなに寒かったら何も出来ない) 14068 0 0 13774 htmvoc_14068.wav ピーユキ ⸢ピー⸣ユキ [⸢piː⸣juki] 名 日除け。日避け。日覆い。日光を避けるための覆い。ティ⸢ダ⸣ヌ カ⸢タ⸣カ[ti⸢da⸣nu kḁ⸢ta⸣ka](太陽の日除け<日陰>)ともいう。ススキで作ったシ⸢ダ⸣ル[ʃi⸢da⸣ru](簾)を立てて日除けにした。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢スーワ⸣ヌ シ⸢ダ⸣ル ⸣タティティ ⸢ピーユ⸣キ ⸢シー⸣バ [ti⸢da⸣nu ⸢suːwa⸣nu ʃi⸢da⸣ru ⸣tḁtiti ⸢piːju⸣ki ⸢ʃiː⸣ba] (太陽光線が強いので、スダレを立てて日除けにしなさい) 14069 0 0 13775 htmvoc_14069.wav ピーヨー ⸢ピー⸣ヨー [⸢piː⸣joː] 名 日雇い。日雇いの仕事。一日契約の仕事。「日傭」の転訛。 ⸢ピー⸣ヨー ⸢シェー⸣ティル ウ⸢ヌピーヌ⸣ ク⸢ラシガタバ シーブー [⸢piː⸣joː ⸢ʃeː⸣tiru ʔu⸢nupiːnu⸣ ku⸢raʃigataba ʃiːbuː] (日雇い<日傭>をして<ぞ>其の日暮らしをしている)。 ⸢ピー⸣ヨー ⸢シー プス⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸣クーバ [⸢piː⸣joː ⸢ʃiːpusu⸣ ta⸢na⸣mi ⸣kuːba] (日雇い労働者<日傭する人>を頼んできなさいよ) 14070 0 0 13776 htmvoc_14070.wav ビーヨーン ⸢ビー⸣ヨーン [⸢biː⸣joːŋ] 形 痒い。「、酢味也。俗語云恵久之<ゑぐし>」『和名抄』の転訛したものか。 ⸣ドゥー ⸢ビーヨー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duː ⸢biːjoː⸣nu na⸢ra⸣nu] (体が痒くて堪らない)。 ビ⸢ローサ⸣ヌ ⸣シル マ⸢マル⸣カー ⸢ビー⸣ヨーンドゥ ミ⸢ジ⸣シ ア⸢ラウ⸣カー ⸢ビーヨーナー⸣ヌ [bi⸢roːsa⸣nu ⸣ʃiru ma⸢maru⸣kaː ⸢biː⸣joːndu mi⸢ʤi⸣ʃi ʔa⸢rau⸣kaː ⸢biːjoːnaː⸣nu] (クワズイモの汁が体に付く<塗られる>と痒いが、水で洗うと痒くない)。 ⸢ビー⸣ヨー ⸣ナリクーン [⸢biː⸣joː ⸣narikuːŋ] (痒くなってくる)。 ⸢ビー⸣ヨー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢biː⸣joː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (痒いことはない)。 ⸢ビー⸣ヨー ⸣トン ⸣ガジバ [⸢biː⸣joː ⸣toŋ ⸣gaʤiba] (痒い所を掻けよ)。 イッ⸢ケン ビー⸣ヨータン [ʔik⸢kem biː⸣joːtaŋ] (非常に痒かった) 14071 0 0 13777 htmvoc_14071.wav ビーラー ⸢ビー⸣ラー [⸢biː⸣raː] 名 病弱な者。形容詞⸢ビー⸣ラーン[⸢biː⸣raːŋ](病弱である)の名詞形。 チ⸢カ⸣グロー ⸢ビー⸣ラー ⸣ナリティ シ⸢グトゥン シーユーサヌ [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢biː⸣raː ⸣nariti ʃi⸢gutuŋ ʃiːjuːsanu] (近頃は病弱になって仕事もできない<し得ない>)。 ⸣シキ タ⸢ラーン ッふァ⸣ ヤ⸢ルンダ ビー⸣ラー ⸣ナリティ マ⸢ナマー⸣キン ア⸢ラキユーサ⸣ヌ [⸣ʃi̥ki ta⸢raːŋ ffa⸣ ja⸢runda biː⸣raː ⸣nariti ma⸢namaː⸣kiŋ ʔa⸢rakijuːsa⸣nu] (月足らずで生まれた子だから、病弱になって、今だに<今までも>歩くことができない<歩き得ない>)。「混効験集」に「びる」(童の久敷足立さるを云{EOS}蛭子と書歟~)『おもろ語辞書』とある 14072 0 0 13778 htmvoc_14072.wav ビーラーン ⸢ビー⸣ラーン [⸢biː⸣raːŋ] 形 病弱である。体が弱い。 ⸣シキ タ⸢ラーン ッふァー ビー⸣ラーンティ ス⸢クタヌ⸣ ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ノー⸢ン ビー⸣ラー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥ki ta⸢raːŋ ffaː biː⸣raːnti su̥⸢kutanu⸣ ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ noː⸢m biː⸣raː ⸢naː⸣nu] (月足らずの子は病弱であると聞いたが、この子はちっとも病弱ではない)。 ⸣ドゥク ⸢ビーラー⸣ヌ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duku ⸢biːraː⸣nu noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (あまりにも病弱なので何も出来ない)。 ⸢シンダイ ビー⸣ラー ⸣ナリクン [⸢ʃindai biː⸣raː ⸣narikuŋ] (次第に病弱になってくる)。 ⸢ビー⸣ラー プ⸢ソー⸣ タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸢biː⸣raː pu̥⸢soː⸣ ta⸢namara⸣nu] (病弱な人は頼まれない)。 ⸣アイニ ⸢ビー⸣ラーレーラー マー⸢ン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢biː⸣raːreːraː maː⸢m⸣ pa⸢rara⸣nu] (あんなに病弱だったら何処へも行かれない) 14073 0 1 13779 htmvoc_14073.wav ピーラスン ⸢ピーラ⸣スン [⸢piːra⸣suŋ] 他動 {Mn_1}冷やす。 ア⸢チユー⸣ヤ ⸢ピーラ⸣シテーラ ヤ⸢ラビン⸣マー ヌ⸢マ⸣シバ [ʔa⸢ʧijuː⸣ja ⸢piːra⸣ʃi̥teːra ja⸢rabim⸣maː nu⸢ma⸣ʃiba] (熱いお湯は冷やしてから子供には飲ませなさいよ)。 ⸢サー⸣ヤ ⸢ピーラ⸣スンティ ⸣シケーンドゥ ⸢ピーラサン⸣タンティン ⸣ミサンツォー [⸢saː⸣ja ⸢piːra⸣sunti ⸣ʃi̥keːndu ⸢piːrasan⸣tantim ⸣misanʦoː] (お茶は冷やそうと置いてあるが、冷やさなくても良いそうだ)。 ⸢ピーラ⸣ス ⸣ピンマー ⸢オン⸣ギシ ⸢アウ⸣リ [⸢piːra⸣su ⸣pimmaː ⸢ʔoŋ⸣giʃi ⸢ʔau⸣ri] (冷やす時は扇で\ruby{煽}{アオ}れ)。 ク⸢レー ピーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ku⸢reː piːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (これは冷やせばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ピーラ⸣シ [⸢maː⸣bim ⸢piːra⸣ʃi] (もっと冷やせ)。 14073 0 2 13780 htmvoc_14073.wav ピーラスン ⸢ピーラ⸣スン [⸢piːra⸣suŋ] 他動 {Mn_2}冷静にする。落ち着かせる。 ⸣キモー ⸢ピーラ⸣シティ ⸣ウチソーダン ⸢シー⸣バ [⸣kimoː ⸢piːra⸣ʃi̥ti ⸣ʔuʧisoːdaŋ ⸢ʃiː⸣ba] (心を落ち着かせて相談しなさいよ)。 14073 0 3 13781 htmvoc_14073.wav ピーラスン ⸢ピーラ⸣スン [⸢piːra⸣suŋ] 他動 {Mn_3}しらけ(白け)させる。 ⸣ザー ⸢ピーラス⸣ナ ⸢サンシン⸣ ピ⸢キティ⸣ パ⸢ネーカ⸣シ [⸣ʣaː ⸢piːrasu⸣na ⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kiti⸣ pa⸢neːka⸣ʃi] (座を白けさせるな{EOS}三線を弾いて華やかせ<賑わせ>よ) 14074 0 0 13782 htmvoc_14074.wav ピーリイー ⸢ピーリ⸣イー [⸢piːri⸣ʔiː] 名 冷たくなった飯。冷や飯。 ⸢ピーリイー⸣ヌ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣バ ウ⸢リンツァン⸣ ッ⸢ふァイティ⸣ パリバ [⸢piːriʔiː⸣nu nu⸢ka⸣ri ⸢beː⸣ba ʔu⸢rinʦaŋ⸣ f⸢faiti⸣ pariba] (冷や飯が残っているから、それでも食べて行きなさいよ) 14075 0 0 13783 htmvoc_14075.wav ピーリッサールン ⸢ピーリ⸣ ッ⸢サー⸣ルン [⸢piːri⸣ s⸢saː⸣ruŋ] 連 冷え切る。すっかり冷えてしまう。「冷え・っししるん<切れる>」の転訛か。 ⸢スー⸣ヤ ⸢ピーリッサー⸣リ ⸢ナーン⸣バ ア⸢ツァ⸣シティ イ⸢リ⸣バ [⸢suː⸣ja ⸢piːrissaː⸣ri ⸢naːm⸣ba ʔa⸢ʦa⸣ʃi̥ti ʔi⸢ri⸣ba] (お汁はすっかり冷え切ってしまったから温めて入れなさいよ)。 ⸢ピーリッサーリ⸣ムノー ッ⸢ふァーンドー⸣シ ン⸢ブ⸣シティ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢piːrissaːri⸣munoː f⸢faːndoː⸣ʃi ʔm⸢bu⸣ʃi̥ti f⸢fai⸣ba] (冷え切ったものは食べないで、蒸してから食べなさいよ) 14076 0 0 13784 htmvoc_14076.wav ピーリドゥー ⸢ピーリ⸣ドゥー [⸢piːri⸣duː] 名 冷たい身体。冷え性の体。体温の低い人。「冷え胴」の転訛。 ⸢ワー ドゥー⸣ヤ ⸣ヌンティ ⸣アイニ ⸢ピーリ⸣ドゥー ⸣ナリ ⸢ブーワレー [⸢waː duː⸣ja ⸣nunti ⸣ʔaini ⸢piːri⸣duː ⸣nari ⸢buːwareː] (君の体はどうしてあんなに冷え性の体になっているのかね) 14077 0 0 13785 htmvoc_14077.wav ピーリボール ⸣ピーリボール [⸣piːriboːru] 副 冷え冷えとしたさま。寒々としたさま。\ruby{人気}{ヒト|ケ}がなく生活の温もりがない状態。竈の火の温もりがないさま。 ⸢ヤー⸣ヤ ナー⸢イ⸣ ピーリボール シ⸢ムーンドー⸣シ ⸢ユー⸣ヤンツァン フ⸢カ⸣シ ⸣ヤー ア⸢ツァ⸣シバ [⸢jaː⸣ja naː⸢ji⸣ piːriboːru ʃi⸢muːndoː⸣ʃi ⸢juː⸣janʦaŋ ɸu̥⸢ka⸣ʃi ⸣jaː ʔa⸢ʦa⸣ʃiba] (家は冷え冷えと放置しておかないで、お湯でも沸かして家を温めなさいよ)。 ⸢ウン⸣マー ア⸢チーアチー⸣シ ッ⸢ふァイバ⸣ル ン⸢マー⸣ル ⸣ピーリボール ⸢シェーラー ミー⸣ザ ナ⸢リ⸣ス [⸢ʔum⸣maː ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃiː f⸢faibaru⸣ ʔm⸢maː⸣ru ⸣piːriboːru ⸢ʃeːra miː⸣ʣa na⸢ri⸣su] (芋は煮立ての熱いうちに食べるのが美味しいのであって、冷え切ってしまってからでは不味くなる) 14078 0 0 13786 htmvoc_14078.wav ピーリミジ ⸢ピーリ⸣ミジ [⸢piːri⸣miʤi] 名 冷たい水。おひや(御冷)。「冷え水」の転訛。 ナ⸢チェー⸣ オンダー ⸢シーティ⸣ キー ⸢ピーリ⸣ミジ ⸣カビティル ⸢キン⸣マー ⸢カイ⸣ キ⸢スタル [na⸢ʧeː⸣ ʔondaː ⸢ʃiːti⸣ kiː ⸢piːri⸣miʤi ⸣kabitiru ⸢kim⸣maː ⸢kai⸣ ki̥⸢sutaru] (夏は海水浴をしてきて、冷や水を被ってから<ぞ>着物は換えて着た<着替えた>ものだ) 14079 0 0 13787 htmvoc_14079.wav ピール ⸢ピール [⸢piːru] 名 昼。昼間。白昼。日中。 ア⸢ガピール [ʔa⸢gapiːru] (白昼{EOS}真昼間{EOS}「明昼」の義)。プ⸢スマ[pu̥suma](正午)は、「正午」からの転訛で、[psi̥ruma] → [psi̥ma] → [pusuma] と音韻変化したものである。 ⸢ピールウチ⸣ナー シ⸢グトー⸣ トゥ⸢ズ⸣メーン [⸢piːruʔuʧi⸣naː ʃi⸢gutoː⸣ tu⸢ʣu⸣meːŋ] (日中<昼内>に仕事は完了し<閉じめ>た)。 ⸢ユール ピー⸣ルティン ッ⸢サナー⸣ アイニ パ⸢タラクナ [⸢juːru piː⸣rutin s⸢sanaː⸣ ʔaini pḁ⸢tarakuna] (夜、昼とも知らずに、そんなに働くなよ) 14080 0 0 13788 htmvoc_14080.wav ピール ⸢ピール [⸢piːru] 名 ひがら(日柄)。吉日。老年層は⸢ピュール[⸢pjuːru](日柄)という。「日和」の義から転じて、「事柄を行うのによい日」の意味となる。 ⸢ヨイ⸣グトー ⸢ピールヌ カイ⸣ヤル ピ⸢ニチバ⸣ ク⸢ラシ⸣ル ⸢スー⸠ダー [⸢joi⸣gutoː ⸢piːrunu kai⸣jaru pi⸢niʧiba⸣ ku⸢raʃi⸣ru ⸢suː⸠daː] (祝い事は吉日を選んでするものだよ)。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ⸢ピールヌ<⸢ピュールヌ> カイ⸣ヤン [⸢kjuː⸣ja(wa) ⸢piːrunu、<⸢pjuːrunu> kai⸣jaŋ] (今日はお日柄がよろしい<吉日だ{EOS}日柄が綺麗だ>)。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢カイピー⸣ルナ マ⸢ブ⸣ル ⸣クミ ⸢オースン [⸢kjuː⸣nu ⸢kaipiː⸣runa ma⸢bu⸣ru ⸣kumi ⸢ʔoːsuŋ] (今日の吉日にマブル<霊魂>を籠めて差し上げます)。 ⸢ピール⸣ ク⸢ラ⸣シン ⸢パッ⸣タ [⸢piːru⸣ ku⸢ra⸣ʃim ⸢pat⸣ta] (吉日<日柄>を選んでもらいに<繰らしに>行った) 14081 0 0 13789 htmvoc_14081.wav ピールカール ⸢ピールカー⸣ル [⸢piːrukaː⸣ru] 名 日柄。良い日柄。ABCDBC型の重言。⸢カー⸣ル[⸢kaː⸣ru]は「代わり」の義か。老年層は⸢ピュールカー⸣ル[⸢pjuːrukaː⸣ru](日柄{EOS}良い日柄)という。 ⸢ピールカールバ⸣ ユー シ⸢ラ⸣ベーティル ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢スー⸣ イ⸢チンイチン シー⸣ミサー ⸢ナー⸣ヌ [⸢piːrukaːruba⸣ juː ʃi⸢ra⸣beːtiru ⸢joi⸣jaː ⸢suː⸣ ʔi⸢ʧiŋʔiʧiŋ ʃiː⸣misaː ⸢naː⸣nu] (日柄をよく調べてお祝いはするものだ{EOS}いつでもお祝いをしてよいわけではない) 14082 0 0 13790 htmvoc_14082.wav ピールピナカ ⸢ピールピナカ [⸢piːrupinaka] 名 昼日中。ア⸢ガピール[ʔa⸢gapiːru](明るい昼間{EOS}「赤昼間」の義)ともいう。 ⸣ワンザー ⸢ピールピナカー⸣ラ サ⸢キバ⸣ ヌミ ⸣ヌーツァムンヤー ウ⸢レー [⸣wanʣaː ⸢piːrupinakaː⸣ra sḁ⸢kiba⸣ numi ⸣nuːʦa ⸣munuja ʔu⸢reː] (お前は、昼日中から酒を飲んで何たることだ、これは) 14083 0 1 13791 htmvoc_14083.wav ビールン ⸢ビー⸣ルン [⸢biː⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}酔う。酒に酔う。 ウ⸢ビ⸣ナー サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢ビールン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ(ワ)⸢ピッ⸣チン ⸢ビーラ⸣ヌ<⸢ビュー⸣ヌ> [ʔu⸢bi⸣naː sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢biːrun⸣du ⸢kjuː⸣ja(wa)⸢pit⸣ʧim ⸢biːra⸣nu<⸢bjuː⸣nu>] (あれだけ酒を飲むと酔うが、今日はちっとも酔わない、⸢ビュー⸣ヌは老年層が使う)。 サ⸢キ⸣ ヌ⸢ム⸣ター ⸣ビー ⸢ナー⸣ヌ [sḁ⸢ki⸣ nu⸢mu⸣taː ⸣biː ⸢naː⸣nu] (酒を飲んだので酔ってしまった)。 ⸣ビーティ ニ⸢ビ ベー [⸣biːti ni⸢bi beː] (酔って寝ている)。 ウ⸢ビッ⸣チン ⸣ヌミティ ⸢ビー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bit⸣ʧin ⸣numiti ⸢biː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これぽっち飲んで酔うことはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ビー⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢biː⸣jaː ⸣misamunu] (もっと酔えばいいのに)。 ⸣ヌミティ ⸢パー⸣ク ⸣ビーバ [⸣numiti ⸢paː⸣ku ⸣biːba] (飲んで早く酔いなさいよ)。 14083 0 2 13792 htmvoc_14083.wav ビールン ⸢ビー⸣ルン [⸢biː⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}中毒する。 ク⸢ヌ⸣ ミナー ⸢ビー⸣ルンダ ッ⸢ふーナ⸣ヨー [ku⸢nu⸣ minaː ⸢biː⸣runda f⸢fuːna⸣joː] (このニナ貝<蜷>は中毒するから食べるなよ) 14084 0 0 13793 htmvoc_14084.wav ピールン ⸢ピー⸣ルン [⸢piː⸣ruŋ] 自動 冷える。 ア⸢チイー⸣ヤ ⸢ピー⸣ルンケン ⸣マトゥンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢ピーラン⸣ケン ン⸢コー⸣リバ ⸣メー [ʔa⸢ʧiʔiː⸣ja ⸢piː⸣ruŋkem ⸣matunti ⸢beːn⸣du ⸢piːraŋ⸣keŋ ʔŋ⸢koː⸣riba ⸣meː] (熱いご飯は冷えるまで待とうとしているが、冷えないうちに召し上がって下さいよ、もう)。 キサー⸢ティ ピー⸣リ ⸢ベー [kisaː⸢ti piː⸣ri ⸢beː] (すでに冷えているよ)。 ⸢ピー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢piː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (冷えることはないよ)。 ⸢スー⸣ヤー ⸢ピー⸣レーラー ヌ⸢マラ⸣ヌ [⸢suː⸣ja ⸢piː⸣reːraː nu⸢mara⸣nu] (お汁は冷えたら飲まれない<飲めない>)。 ⸢パー⸣ク ⸢ピー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢piː⸣ri] (早く冷えよ) 14085 0 0 13794 htmvoc_14085.wav ピールン ⸢ピールン [⸢piːruŋ] 他動 引っ\ruby{提}{サ}げる。手に吊るして持つ。 ク⸢リバ ピールンティ スンドゥ⸣ カ⸢タ⸣ティーシェー ⸢ピーララヌ [ku⸢riba piːrunti sundu⸣ kḁ⸢ta⸣tiːʃeː ⸢piːraranu] (これを引っ提げようとするが、片手では引っ提げられない)。 ⸢ワー⸣ シトゥ ⸢シー ピー⸣ パリバ [⸢waː⸣ ʃi̥tu ⸢ʃiː piː⸣ pariba] (君のお土産<苞>にして引っ提げて行きなさいよ)。 ⸢ワー タンガ⸣カー⸢ニ ピール⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː taŋ⸣ga kaː⸢ni piːru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (君一人だけ引っ提げる<持っていく>ことは出来ない)。 ウ⸢リンツァン ピーヤー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢rinʦam piːjaː⸣ misamunu] (これだけでも引っ提げれば<持って行けば>いいのに)。 ⸢ピーリ⸣バ<⸢ピー⸣バ> [⸢piːri⸣ba<⸢piː⸣ba>] (引っ提げよ<引っ提げよ{EOS}持参せよ>) 14086 0 0 13795 htmvoc_14086.wav ビーロー ⸢ビー⸣ロー [⸢biː⸣roː] 名 病弱な人。⸢ビー⸣ラー[⸢biː⸣raː](病弱な人)の卑語。 ウ⸢レー ビー⸣ロー ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グトー シーユーサヌ [ʔu⸢reː biː⸣roː ja⸢runda⸣ ʃi⸢gutoː ʃiːjuːsanu] (それ<その人{EOS}彼>は病弱者だから仕事をすることが出来ない) 14087 0 0 13796 htmvoc_14087.wav ビーワン ⸢ビー⸣ワン [⸢biː⸣waŋ] 形 痒い。老年層の言葉。若年層は、⸢ビー⸣ヨーン[⸢biː⸣joːŋ](痒い)という。 ク⸢シナカヌ ビー⸣ワンダ ⸣ガジ ッ⸢ふィーリ [ku⸢ʃinakanu biː⸣wanda ⸣gaʤi f⸢fiːri] (背中が痒いから掻いてくれ)。 ⸣ウマー ⸢ビーワナー⸣ヌ [⸣ʔumaː ⸢biːwanaː⸣nu] (そこは痒くない)。 ⸢ビー⸣ワン ⸣トンマー ⸣マーヤ [⸢biː⸣wan ⸣tommaː maːja] (痒い所は何処か) 14088 0 0 13797 htmvoc_14088.wav ピーワン ⸢ピー⸣ワン [⸢piː⸣waŋ] 形 えぐい。えがらっぽい。灰汁が強くて喉を刺激する。「酢味也。俗語云恵久之<ゑぐし>」『和名抄』の転訛か。老年層は、⸢ピュー⸣ワン[⸢pjuː⸣waŋ]ともいう。カツオのハ⸢ラ⸣ゴー[ha⸢ra⸣goː](腹皮)の煮たものを一日放置して食するとえぐい感じがする。 キ⸢ノー⸣ヌ ハ⸢ラ⸣ゴー ッ⸢ふータ⸣ クトー フ⸢チ ピーワ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣シェン [ki⸢noː⸣nu ha⸢ra⸣goː f⸢fuːta⸣ ku̥toː ɸu̥⸢ʧi piːwa⸣nu na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (昨日の、カツオの腹皮を食べたところ、えがらっぽくて堪らなかった)。 ⸢シーリ⸣ムノー フ⸢チ ピー⸣ワン [⸢ʃiːri⸣munoː ɸu̥⸢ʧi piː⸣waŋ] (\ruby{饐}{ス}えたものは口がえぐい)。 ⸢ピーワ ナー⸣ヌ [⸢piːwa naː⸣nu] (えぐくない)。 ⸢ピー⸣ワ ⸣ムノー ッ⸢ふーナ [⸢piː⸣wa ⸣munoː f⸢fuːna] (えぐい物は食べるな)。 ⸢ピー⸣ワカー ッ⸢ふーナ [⸢piː⸣wakaː f⸢fuːna] (えぐかったら食べるな) 14089 0 0 13798 htmvoc_14089.wav ビーンサビーン ⸣ビーン ⸣サビーン [⸣biːn ⸣sabiːŋ] 連 災いも不幸も。「水垢も錆も」の転訛か。 ⸣ビーン ⸣サビーン シ⸢キ⸣シミ タ⸢ボーン⸣ナ [⸣biːn ⸣sabiːŋ ʃi̥⸢ki⸣ʃimi t⸢aboːn⸣na] (災いにも不幸にも遭わせ給うな<水垢も錆もつけさせ給いますな>) 14090 0 0 13799 htmvoc_14090.wav ピーンティジ ⸢ピーン⸣ティジ [⸢piːn⸣tiʤi] 名 (海底地名)。干瀬の頂上。島を取り巻く環礁の干瀬は外洋部へ切り立つ絶壁状に落ち込んで形成されている。その外洋部は⸢ピーヌ⸣ クシ[⸢piːnu⸣ ku̥ʃi](干瀬の腰<後ろ{EOS}後背部>)という。外洋部から干瀬の頂上部へかけて深い渓谷状の切り込みが走る。その珊瑚礁の渓谷をヤ⸢トゥ[ja⸢tu](珊瑚礁の裂け目)という。ヤ⸢トゥ[ja⸢tu]の上部はカ⸢ソーライシ[ka⸢soːraʔiʃi](テーブルサンゴ)で被われていることが多い。また、ヤ⸢トゥが大きなク⸢ム⸣ル[ku⸢mu⸣ru](池)を形成しているところもある。大潮の、夜の干潮時に村人たちはヤ⸢トゥ[ja⸢tu]に集まって、真っ赤なイットウダイの仲間、パ⸢シ⸣ナー[pḁ⸢ʃi⸣naː](パ⸢チ⸣ナー{SqBr}pḁ⸢ʧi⸣naː{/SqBr}ともいう{EOS}若年層)を釣った。干瀬の頂上部は幾分盛り上がっていて、いわば、環礁は珊瑚礁の防波堤で島を巻き廻らして保護しているようなものである。満ち潮になると、外洋から泡を浮かべた海水がひたひたと干瀬に押し寄せてくる。干瀬の頂上部へ打ち寄せては引く大波に乗って、魚たちが干瀬の海草を食べに上がってくるのが見える。干瀬の頂上を海水が越えると海の水は堰を切ったように礁池部の方へ流れていく。こうして満ち潮は海岸部の干瀬や遠浅の干潟を海面下に沈め隠してく 14091 0 0 13800 htmvoc_14091.wav ピーンピン ⸢ピーンピン [⸢piːmpiŋ] 名 ひび(日々)。毎日。⸢ピントゥルピン[⸢pinturupiŋ](日々{EOS}毎日)、⸢ヒービー[⸢çiːbiː](日々)ともいう。 ⸢ピーンピン⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スンティ ⸢アウ⸣リ ⸢シーベー [⸢piːmpim⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣sunti ⸢ʔau⸣ri ⸢ʃiːbeː] (毎日畑を耕すのに苦労<哀れ>している) 14092 0 0 13801 htmvoc_14092.wav ピカイ ピ⸢カイ [pi̥⸢kai] 名 控え。備忘のために書き留めておくこと。 ティ⸢ガミ⸣ヌ ピ⸢カイヤー⸣ ウ⸢ツァ⸣シ シ⸢キバ⸣ル マ⸢シ [ti⸢gami⸣nu pi̥⸢kaijaː⸣ ʔu⸢ʦa⸣ʃi ʃi̥⸢kiba⸣ru ma⸢ʃi] (手紙の控えは写しておいた方が良い) 14093 0 0 13802 htmvoc_14093.wav ピカイズー ピ⸢カイズー [pi̥⸢kaiʣuː] 名 控え所。楽屋。結願祭では奉納芸が行われる張り出し舞台の裏にあるウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](本殿)を出演者の準備場所<楽屋。控え所>とした。 ブ⸢ドゥル キョンギン⸣ヌ シ⸢タコー⸣ ピ⸢カイズー⸣ナーティ ⸢ソーッ⸣タ [bu⸢duru kjoŋgin⸣nu ʃi̥⸢takoː⸣ pi̥⸢kaiʣuː⸣naːtiru ⸢soːt⸣ta] (踊りや狂言<村芝居>の準備<支度>は控え所<楽屋>でなされた) 14094 0 1 13803 htmvoc_14094.wav ピカイルン ピ⸢カイルン [pi̥⸢kairuŋ] 他動 {Mn_1}やめる。遠慮する。「控える」の義。 タ⸢バ⸣クン サ⸢キン⸣ ピ⸢カイルンティ スンドゥ⸣ ピ⸢カイララヌ [ta⸢ba⸣kun sḁ⸢kim⸣ pi̥⸢kairunti sundu⸣ pi̥⸢kairaranu] (タバコも酒もやめよう<控えよう>とするがやめられない)。 タ⸢バ⸣コー ピ⸢カイ ッふィーリ [ta⸢ba⸣koː pi̥⸢kai ffiːri] (タバコは控えてくれ)。 ピ⸢カイル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢kairu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (やめる<控える>ことは出来ない)。 ン⸢メーマー⸣ ピ⸢カイレー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ pi̥⸢kaireː⸣ misamunu] (少しは控えれ<遠慮すれ>ばいいのに)。 ⸢キュー⸣ヤー ピ⸢カイリ [⸢kjuː⸣jaː pi̥⸢kairi] (今日はやめ<控え>ろ)。 14094 0 2 13804 htmvoc_14094.wav ピカイルン ピ⸢カイルン [pi̥⸢kairuŋ] 他動 {Mn_2}待機する。 ⸢ワー バン⸣ヌ ⸣クーンケンマー ⸣クナー ピ⸢カイ ベー⸣リ [⸢waː ban⸣nu ⸣kuːŋkemmaː ⸣kunaː pi̥⸢kai beː⸣ri] (君の番が来るまではここで待機しておれ)。 14094 0 3 13805 htmvoc_14094.wav ピカイルン ピ⸢カイルン [pi̥⸢kairuŋ] 他動 {Mn_3}後々のために記録する。 ⸢テー⸣ナイ ⸢シン オー⸣リ ッ⸢ふォー⸣レー プ⸢ソー⸣ ムー⸢ル⸣ ピ⸢カイ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢teː⸣nai ⸢ʃiŋ ʔoː⸣ri f⸢foː⸣reː pu̥⸢soː⸣ muː⸢ru⸣ pi̥⸢kai⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (手伝いに来て下さった人は全部記録して<控えて>おきなさい) 14095 0 1 13806 htmvoc_14095.wav ピカウン ピ⸢カウン [pi̥⸢kauŋ] 他動 {Mn_1}控える。やめる。待機する。後々のために記録する。「ひかふ(下二段活用)」の四段活用化したもの。 タ⸢バ⸣コー ピ⸢カウンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ピ⸢カーラヌ [ta⸢ba⸣koː pi̥⸢kaunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du mut⸢tu⸣ pi̥⸢kaːranu] (タバコは止めようと思うが、ちっとも止められない)。 ン⸢ベーマー⸣ ピ⸢カイ⸣ ミリ [ʔm⸢beːmaː⸣ pi̥⸢kai⸣ miri] (少しは控えてみよ)。 ピ⸢カウ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢kau⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (控えることは出来ない)。 ピ⸢カイヤー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kaijaː⸣ misamunu] (控えればいいのに)。 ピ⸢カイ⸣バ [pi̥⸢kai⸣ba] (控えよ)。 14095 0 2 13807 htmvoc_14095.wav ピカウン ピ⸢カウン [pi̥⸢kauŋ] 他動 {Mn_2}待機する。 ⸣クナー ピ⸢カイ ベー⸣リ [⸣kunaː pi̥⸢kai beː⸣ri] (ここに待機しておれ)。 14095 0 3 13808 htmvoc_14095.wav ピカウン ピ⸢カウン [pi̥⸢kauŋ] 他動 {Mn_3}後々のために記録する。 ⸢チョーミン⸣ナー ピ⸢カイ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢ʧoːmin⸣naː pi̥⸢kai⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (帳面に記録して<控えて>おけ) 14096 0 0 13809 htmvoc_14096.wav ピカサリン ピ⸢カサリン [pi̥⸢kasariŋ] 自動 愛情にひかされる。ほだされ(絆され)る。 ッ⸢ふァン⸣ ピ⸢カサリティル⸣ マー⸢ン⸣ パ⸢リユーサ⸣ヌ [f⸢fam⸣ pi̥⸢kasaritiru⸣ maː⸢m⸣ pa⸢rijuːsa⸣nu] (子供にひかされて何処へも行けないでいる)。 ッ⸢ふァン⸣ ピ⸢カサリン⸣カヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸣メー ピ⸢カサラヌ [f⸢fam⸣ pi̥⸢kasariŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ⸣meː pi̥⸢kasaranu] (子供に引かされるかと思ったが、もう、ひかされない)。 ピ⸢カサリヤッ⸣サン [pi̥⸢kasarijas⸣saŋ] (ひかされやすい)。 ピ⸢カサリル⸣ クトゥン ⸣アン [pi̥⸢kasariru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (ひかされる事もある)。 ピ⸢カサレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kasareː⸣ misamunu] (ひかされれば良いのに)。 ッ⸢ふァヌ⸣ キムナー ピ⸢カサリリ [f⸢fanu⸣ kimunaː pi̥⸢kasariri] (子を思う情にほだされろ) 14097 0 0 13810 htmvoc_14097.wav ピカスン ピ⸢カスン [pi̥⸢kasuŋ] 他動 引かせる。\ruby{牽}{ヒ}かせる。牛馬に\ruby{犂}{スキ}を引かせて耕す。 ウ⸢シン⸣ ヤマ ピ⸢カスンティ スンドゥ⸣ ピ⸢カサラヌ [ʔu⸢ʃiŋ⸣ jama pi̥⸢kasunti sundu⸣ pi̥⸢kasaranu] (牛に犂を牽かせて耕そうとするが、牽かされない)。 ウ⸢シン⸣ ピ⸢カシティ カイ⸣シバ [ʔu⸢ʃim⸣ pi̥⸢kaʃi̥ti kai⸣ʃiba] (牛に引かせて耕しなさいよ)。 ⸣ピラ ピ⸢カス⸣ ピンマー ⸣クラ カ⸢キ⸣リ [⸣pira pi̥⸢kasu⸣ pimmaː ⸣kura kḁ⸢ki⸣ri] (犂を牽かせる時は鞍を掛けなさい) 14099 0 0 13811 htmvoc_14099.wav ピカラスン ピ⸢カラ⸣スン [pi̥⸢kara⸣suŋ] 他動 光らせる。磨いて光らせる。輝かせる。 ⸢ミーカンガン⸣バ ⸢ウンヌ⸣パー ⸢ムーミ⸣ ッシティ ピ⸢カラ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ピ⸢カラサラ⸣ヌ [⸢miːkaŋgam⸣ba ⸢ʔunnu⸣paː ⸢muːmi⸣ ʃʃiti pi̥⸢kara⸣sunti ⸢beːn⸣du pi̥⸢karasara⸣nu] (水中眼鏡を芋の葉を揉んで擦って光らせようとしているが、光らされない)。 ピ⸢カラ⸣シ ⸣ミサカー ピ⸢カラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kara⸣ʃi ⸣misakaː pi̥⸢kara⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (光らせてよければ光らすことはできる)。 ピ⸢カラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pi̥⸢kara⸣ʃeː ⸣misamunu] (光らせばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢カラ⸣シバ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kara⸣ʃiba] (もっと光らせよ) 14098 0 0 13812 htmvoc_14098.wav ピカラピカラシ ピ⸢カラピカラ⸣シ [pi̥⸢karapikara⸣ʃi] 副 ぴかぴかと。光り輝くさま。擬態語。 ⸢デンキ⸣ヌ シ⸢カリ⸣タ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カ⸣バン ⸣ヤドー ア⸢キラリスンダ ヤー⸣ヌ ⸣ナカー ピ⸢カラピカラ⸣シ ガ⸢リティ⸣ イ⸢カムス⸣ク サ⸢ニ⸣ヤワ⸢ツォー [⸢deŋki⸣nu ʃi̥⸢kari⸣ta ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢ka⸣baɲ ⸣jadoː ʔa⸢kirarisunda jaː⸣nu ⸣nakaː pi̥⸢karapikara⸣ʃi ga⸢riti⸣ ʔi⸢kamusu̥⸣ku sa⸢ni⸣jawa⸢ʦoː] (電気が点いたので風が吹いても戸は開けられるから、家の中はぴかぴかと光り輝いて、なんと嬉しいことか<どんなにうれしい事か>よ) 14100 0 0 13813 htmvoc_14100.wav ピカリ ピ⸢カ⸣リ [pi̥⸢ka⸣ri] 名 光。老年層は、ガ⸢ル[ga⸢ru](明かり)ともいう。 プ⸢シ⸣ヌ ピ⸢カリ⸣ヌ(ガ⸢ルヌ⸣)ミ⸢ラ⸣リン [pu̥⸢ʃi⸣nu pi̥⸢kari⸣nu(ga⸢runu⸣)mi⸢ra⸣riŋ] (星の光が見える)。 ⸢ジンジンバーヤー⸣ヌ ピ⸢カリ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤワ⸢ナー [⸢ʤinʤimbaːjaː⸣nu pi̥⸢kari⸣nu ⸢kai⸣jawa⸢naː] (蛍の光が美しいよねえ) 14101 0 0 13814 htmvoc_14101.wav ピカルン ピ⸢カ⸣ルン [pi̥⸢ka⸣ruŋ] 自動 光る。 ⸢フンツァヌ⸣ ピ⸢カ⸣ルンケン ッ⸢スリ トゥーシル ブンドゥ⸣ ピ⸢カラン⸣バン [⸢ɸunʦanu⸣ pi̥⸢ka⸣ruŋken s⸢suri tuːʃiru bundu⸣ pi̥⸢karam⸣baŋ] (床板が光るまで拭き続けて<通して>いるが、光らないわい)。 ピ⸢カ⸣リ ⸢ベー⸣ン [pi̥⸢ka⸣ri ⸢beː⸣ŋ] (光っている)。 ピ⸢カ⸣ル ⸣ムノー ⸢マー⸣ビン ピ⸢カ⸣レー ⸣ミサムヌ [pi̥⸢ka⸣ru ⸣munoː ⸢maː⸣bim pi̥⸢ka⸣reː ⸣misamunu] (光るものはもっと光ればいいのに)。 ピ⸢カリ⸣リ [pi̥⸢kari⸣ri] (光れ)。 ⸣ミー ピ⸢カ⸣ルン [⸣miː pi̥⸢ka⸣ruŋ] (目を剥く<光らせる>{EOS}叱る{EOS}怒る) 14107 0 0 13815 htmvoc_14107.wav ビキ ビ⸢キ [bi⸢ki] 接頭 雄の意味を表す。動物や植物、物の名に上接する。 ビ⸢キウシ [bi⸢kiʔuʃi] (雄牛)。 ビキオー [bi⸢kiʔoː] (雄豚)。 ビ⸢キイン [bi⸢kiʔiŋ] (雄犬)。 ビ⸢キマヤ [bi⸢kimaja] (雄猫)。 ビ⸢キドゥル [bi⸢kiduru] (雄鶏)。 ビ⸢キムヌ [bi⸢kimunu] (雄{EOS}雄もの)。 ビ⸢キキー [bi⸢kikiː] (雄木)。 ビ⸢キケージ [bi⸢kikeːʤi] (マルバチシャノキ)。 ビ⸢キカーラ [bi⸢kikaːra] (雄瓦)。 ビ⸢キウシェー⸣ ズ⸢ブ⸣マイジブンマー ⸢ミー⸣ウシェー ミ⸢シララ⸣ヌ [bi⸢kiʔuʃeː⸣ ʣu⸢bu⸣maiʤibummaː ⸢miː⸣ʔuʃeː mi⸢ʃirara⸣nu] (雄牛は、発情期には牝牛を見せられない) 14108 0 0 13816 htmvoc_14108.wav ビキ ビ⸢キ [bi⸢ki] 助動 ~べき(当然{EOS}義務)の意味をあらわす。動詞の連用形や連体形につく。不変化助動詞。 ク⸢レー ワー シービキ [ku⸢reː waː ʃiːbiki] (これは君がすべきだ)。 マ⸢ナ⸣マーパ⸢ナ⸣ス ビ⸢ケー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː pa⸢na⸣su bi⸢keː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (今は話すべきではない)。 ⸣バー ⸢シービケー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣baː ⸢ʃiːbikeː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (これは私がすべきではない) 14102 0 0 13817 htmvoc_14102.wav ピキ ピ⸢キ [pi̥⸢ki] 名 さおばかり(棹秤{EOS}\ruby{竿秤}{サオ|バカリ})。一貫(3,75キログラム)以下のものを量るのにのに用いる竿秤。それ以上の重量は、⸢タイトー[⸢taitoː]という大きな秤で計量する。生きた豚などは⸢タイトー[⸢taitoː]で計量した。 イ⸢ゾー⸣ ナンギン カ⸢カ⸣ルユー ピ⸢キ⸣シ ⸣カキ パ⸢カ⸣リ⸢ミー [ʔi⸢ʣoː⸣ naŋgiŋ kḁ⸢ka⸣rujuː pi̥⸢ki⸣ʃi ⸣kḁki pḁ⸢ka⸣ri⸢miː] (魚は何斤かかるか、秤で量ってごらん) 14105 0 1 13818 htmvoc_14105.wav ピキ ピ⸢キ [pi̥⸢ki] 名 {Mn_1}血統。親族の系譜や系統を表す語。「引き」の義か。マ⸢ガ⸣ラピキ[ma⸢ga⸣rapi̥ki](父方の血を引く親族)と⸢インビ⸣キ[⸢ʔimbi⸣ki](縁のある親族{EOS}姻戚関係のある親族)がある。 ⸢プール⸣ナー ピ⸢ナイウガン⸣ヌ ピ⸢ケー⸣ ムー⸢ル⸣ ア⸢ツァ⸣マリティル ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーッ⸣タ [⸢puːru⸣naː pi⸢naiʔugan⸣nu pi̥⸢keː⸣ muː⸢ru⸣ ʔa⸢ʦa⸣maritiru ⸢niŋ⸣gai ʔoːt⸣ta] (豊年祭にはピナイ御嶽の縁故の人が皆集まって祈願された)。 ⸢ウン⸣ネートー マ⸢ガ⸣ラピキ ア⸢タリブンダ ソッコー⸣ムノー ⸢バシキルナ⸣ヨー [⸢ʔun⸣neːtoː ma⸢ga⸣rapiki ʔa⸢taribunda sokkoː⸣munoː ⸢baʃi̥kiruna⸣joː] (あの家とはマガラピキに当っているので法事の供物<焼香もの{EOS}⸢コー⸣パナ{SqBr}⸢koː⸣pana{/SqBr}>は忘れるなよ)。 14105 0 2 13819 htmvoc_14105.wav ピキ ピ⸢キ [pi̥⸢ki] 名 {Mn_2}縁故。つて。てづる。 ウ⸢ヌ プスヌ⸣ ピ⸢キ⸣シル ヤ⸢ク⸣バー ⸢ペーラリ⸣タ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ pi̥⸢ki⸣ʃiru ja⸢ku⸣baː ⸢peːrari⸣ta] (あの<その>人の縁故で役場に入れた) 14106 0 0 13820 htmvoc_14106.wav ピキ ピ⸢キ [pi̥⸢ki] 名 (動)魚の名。和名、ミスジリュウキュウスズメ。体長約10センチの熱帯魚。頭部と腹部、尾部に黒と白の縦縞模様がある。鳩間島では漁獲しなかった。ヒ⸢カー⸣グヮー[çi̥⸢kaː⸣gwaː](小心者の魚)ともいう 14109 0 0 13821 htmvoc_14109.wav ピキアウン ピ⸢キアウン [pi̥⸢kiauŋ] 自動 引き合う。双方が釣り合う。「Fiqiai,o-,o-ta.ひきあい、ワゥ、ワゥタ(引き合ひ、ふ、うた)~荷物が双方同じだけの重さがある.~」『邦訳日葡辞書』。若年層は、ヒ⸢キアウン[çi̥⸢kiauŋ](引き合う)ともいう。 ウ⸢ヌ ダイ⸣シ ピ⸢キアウン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ピ⸢キアーン⸣ティバーヤ [ʔu⸢nu dai⸣ʃi pi̥⸢kiʔauŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːta⸣nu pi̥⸢kiʔaːn⸣tibaːja] (その値段で引き合うかと思ったが、引き合わないそうだよ)。 ⸢ナンギ⸣トゥ ピ⸢キアイバル⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ラリンダ⸣ ピ⸢キアウ⸣ シ⸢グトゥ⸣ トゥミ ⸣クー [⸢naŋgi⸣tu pi̥⸢kiʔaibaru⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢rarinda⸣ pi̥⸢kiʔau⸣ ʃi⸢gutu⸣ tumi ⸣kuː] (難儀苦労と引き合えばこそ仕事はすることが出来るのだから、引き合う仕事を探してこい) 14110 0 0 13822 htmvoc_14110.wav ピキアギルン ピ⸢キアギルン [pi̥⸢kiʔagiruŋ] 他動 引き揚げる。目をかけて挙げ用いる。老年層は、ピ⸢キアイルン[pi̥⸢kiʔairuŋ](引きあげる)ともいう。 ⸢アン⸣カー(カ⸢ラグ⸣)ピ⸢キアギルンティ スンドゥ タンガ⸣シェー ピ⸢キアギララヌ [⸢ʔaŋ⸣kaː(ka⸢ragu⸣)pi̥⸢kiagirunti sundu taŋga⸣ʃeː pi̥⸢kiʔagiraranu] (錨<金具{EOS}錨>を引き揚げようとするが、一人では引き揚げられない)。 ⸣フネーラ ⸢ニー⸣ヤ ピ⸢キアギティ ナーラビ⸣ シキバ [⸣ɸuneːra ⸢niː⸣ja pi̥⸢kiʔagiti naːrabi⸣ ʃi̥kiba] (船から荷物を引き揚げて並べて置きなさい)。 ⸢バン⸣マー ピ⸢キアギル⸣ クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ピ⸢キアギレー⸣ ミサムヌテー ウ⸢モー⸣リン [⸢bam⸣maː pi̥⸢kiʔagiru⸣ ku̥toː na⸢ranu⸣nu pi̥⸢kiʔagireː⸣ misamunuteː ʔu⸢moː⸣riŋ] (私には、引き揚げることは出来ないが、引き揚げれば良いのにとは思える)。 ピ⸢キアギリ [pi̥⸢kiʔagiri] (引き揚げろ)。 シゥ⸢カイ⸣ ミリティ ⸢ダーッ⸣サンギサカー ピ⸢キアギルンティ⸣ ウムイ ⸢ベー [sï̥⸢kai⸣ miriti ⸢daːs⸣saŋgisakaː pi̥⸢kiʔagirunti⸣ ʔumui ⸢beː] (使ってみて、良いようだったら上へ引き揚げようと思っている) 14111 0 0 13823 htmvoc_14111.wav ピキアングン ピ⸢キアングン [pi̥⸢kiʔaŋguŋ] 他動 引き揚げる。 カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カン⸣ケン ⸣フネー ピ⸢キアンギティ⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢スンティ⸣ ウムイ ⸢ベーン⸣ドゥ ピ⸢キアンガラヌ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢kaŋ⸣keŋ ⸣ɸuneː pi̥⸢kiʔaŋgiti⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢sunti⸣ ʔumui ⸢beːn⸣du pi̥⸢kiaŋgaranu] (台風が来ない<風が吹かない>うちに舟を引き揚げて保護<格護>しようと思っているが、引き揚げられない)。 ピ⸢キアングンティ⸣ ウムーカー プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸢キーバ⸣ル ⸣フネー ピ⸢キアング⸣ クトー ⸣ナル [pi̥⸢kiaŋgunti⸣ ʔumuːkaː pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi ⸢kiːba⸣ru ⸣ɸuneː pi̥⸢kiaŋgu⸣ ku̥toː ⸣naru] (引き揚げようと思うなら人を頼んでくればこそ舟は引き揚げることができるのだ)。 ピ⸢キアンゲー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kiaŋgeː⸣ misamunu] (引き揚げればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キアンギ⸣バ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kiaŋgi⸣ba] (早く引き揚げなさいよ) 14112 0 0 13824 htmvoc_14112.wav ピキウキルン ピ⸢キウキ⸣ルン [pi̥⸢kiʔuki⸣ruŋ] 他動 引き受ける。ヒ⸢キウキ⸣ルン[çi̥⸢kiʔuki⸣ruŋ](引き受ける)ともいう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミンドー⸣ヤ ⸣バー ピ⸢キウキ⸣ルン [ʔu⸢ja⸣nu ⸢mindoː⸣ja ⸣baː pi̥⸢kiʔuki⸣ruŋ] (親の面倒は私が引き受ける)。 ピ⸢キウキララ⸣ン ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [pi̥⸢kiʔukirara⸣ŋ ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (引き受けられないことはない)。 ⸢タンガ⸣シ ピ⸢キ⸣ウキティ ッ⸢ス⸣フキ ⸢ベー [t⸢aŋga⸣ʃi pi̥⸢ki⸣ʔukiti s⸢su⸣ɸu̥ki ⸢beː] (一人で引き受けて苦労して<脱糞して>いる)。 ピ⸢キウキ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢kiʔuki⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (引き受けることは出来ない)。 ピ⸢キウキ⸣レー ⸣ミサムヌ [pi̥⸢kiʔuki⸣reː ⸣misamunu] (引き受ければいいのに)。 ピ⸢キウキ⸣リ [pi̥⸢kiʔuki⸣ri] (引き受けろ) 14114 0 0 13825 htmvoc_14114.wav ビキウシ ビ⸢キウシ [bi⸢kiuʃi] 名 雄牛。⸣グトゥイ[⸣guti](雄牛{EOS}体力のある大きな雄牛)ともいう。 ビ⸢キウシェー⸣ ズ⸢ブ⸣マイ ⸢スー⸣カー ⸢ミー⸣ウシ ミ⸢シララ⸣ヌ [bi⸢kiʔuʃeː⸣ ʣu⸢bu⸣mai ⸢suː⸣kaː ⸢miː⸣ʔuʃi mi⸢ʃirara⸣nu] (雄牛は発情期になると牝牛を見せられない{EOS}<暴れる>) 14113 0 0 13826 htmvoc_14113.wav ピキウシ ピ⸢キウシ [pi̥⸢kiʔuʃi] 名 \ruby{碾}{ヒ}き臼。もみすり(籾摺り)臼に限って言う。麦、豆、米などを粉に挽く石臼は、イ⸢ソーシ[ʔi⸢soːʃi](石臼)という。籾摺り臼は松や樫の大木の幹部を利用して造った。籾から籾殻を除去して玄米にするために用いる臼。上段(約70センチ)と下段(約40センチ)より構成される。下段は山形の台座で中央に軸棒があり、それを上段に貫き通す。上段の下部は台座の山形に重なるように\ruby{刳}{ク}られ、中央部には直径約10センチの穴が開けられて台座の軸棒を通す仕掛けになっている。上段の頭部は籾を入れるための椀型の穴が掘られ、軸棒を通す腕木が付けられて回転軸の揺れを防ぐようになっている。上段と下段の接合部は鑿で歯がたてられており、すり合せることによって籾殻が摺り落とされる仕組みになっている。上段の両外側には本体を刳って耳を作り、それに約2メートルの縄を通して両手に交叉させて持ち、碾き臼を中に置いて相対した二人が交互に縄を引いて臼を回転させ、籾摺りをする仕組みになっている。通常はニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku](藁で編んだ敷物{EOS}いなばきむしろ<稲掃筵>)の上に碾き臼を置いて籾摺りをした。多くの場合、碾き臼を挟んで女性が両側に対座し、縄を交互に引き合って籾摺りをした。人手の足りない時は、母親は息子や娘を対座させて一緒に縄を引かせ、その引く力をみて子供の成長を楽しんだりした。 ピ⸢キウシ⸣シ ⸢マイヤー⸣ ピ⸢キティ⸣ ウ⸢リバ⸣ ッサイティル ⸢イー⸣ヤ バ⸢カソーッ⸣タ [pi̥⸢kiʔuʃi⸣ʃi ⸢maijaː⸣ pi̥⸢kiti⸣ ʔu⸢riba⸣ ssaitiru ⸢ʔiː⸣ja ba⸢kasoːt⸣ta] (碾き臼で籾摺りをして<米を挽いて>、それを精げてご飯を炊かれた) 14115 0 0 13827 htmvoc_14115.wav ピキウラスン ピ⸢キウラ⸣スン [pi̥⸢kiʔura⸣suŋ] 他動 引き下ろす。 ヤ⸢マー⸣ラ ⸣キー ピ⸢キウラ⸣スンティ シ⸢タンドゥ⸣ ピ⸢キウラサラン⸣シェン [ja⸢maː⸣ra ⸣kiː pi̥⸢kiʔura⸣sunti ʃi̥⸢tandu⸣ pi̥⸢kiʔurasaraŋ⸣ʃeŋ] (山から材木を引き下ろそうとしたが、引き下ろされなかった)。 ⸢キー⸣ヤ ピ⸢キウラシ⸣ティ ⸢サンギ⸣クー [⸢kiː⸣ja pi̥⸢kiʔuraʃi̥⸣ti ⸢saŋgi⸣ kuː] (木は引き下ろして、引張ってこい)。 ピ⸢キウラ⸣ス ⸣ピンマー ⸢カーラヌ⸣ ナ⸢カー⸣ ピ⸢キウラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [pi̥⸢kiʔura⸣su ⸣pimmaː ⸢kaːranu⸣ na⸢kaː⸣ pi̥⸢kiʔura⸣ʃeː ⸣misamunu] (引き下ろす時は川の中へ引き下ろせばいいのに)。 ⸣キューズーナ ピ⸢キウラ⸣シ [⸣kjuːʣuːna pi̥⸢kiʔura⸣ʃi] (今日中に引き下ろせ) 14116 0 0 13828 htmvoc_14116.wav ビキガーラ ビ⸢キガー⸣ラ [bi⸢kigaː⸣ra] 名 おがわら(牡瓦)。老年層は⸢ウーガー⸣ラ[⸢ʔuːgaː⸣ra](牡瓦)という。「牡瓦、乎加波良(をかはら)」『和名抄』の義。⸢ミーガー⸣ラ[⸢miːgaː⸣ra](牝瓦)の対義語。牝瓦を並べて、その列間に土を盛って被せる瓦。 ⸢ミーガーラ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー ビ⸢キカーラ⸣ カ⸢バ⸣シティ フ⸢キ⸣バ [⸢miːgaːra⸣nu ⸢ʔui⸣naː bi⸢kikaːra⸣ ka⸢ba⸣ʃi̥ti ɸu̥⸢ki⸣ba] (牝瓦の上に牡瓦を被せて葺きなさい) 14117 0 0 13829 htmvoc_14117.wav ピキカイ ピ⸢キカイ [pi̥⸢kikai] 名 二の膳。「引き\ruby{換}{カ}え」の義か。仏前や神前に供えた供物の膳を下げて、二の膳を供えること。ア⸢サカイ[ʔa⸢sakai](朝粥)を供えた後のピ⸢キカイ[pi̥⸢kikai](二の膳)は、⸣サリ[⸣sari](巾約2センチ、厚さ約1センチ、長さ約10センチに切った白豆腐{EOS}「舎利」の義)を三切れずつ、小皿に入れたものを一対供える。 ピ⸢キカイヤー⸣ サリ ⸢ミーキシナー⸣ イ⸢リティ イッ⸣チー ス⸢コーッ⸣タ [pi̥⸢kikaijaː⸣ sari ⸢miːkiʃinaː⸣ ʔi⸢riti ʔit⸣ʧiː su̥⸢koːt⸣ta] (二の膳は、サリを三切れずつ小皿に入れたもの一対を供えられた) 14118 0 0 13830 htmvoc_14118.wav ピキカイスン ピ⸢キカイスン [pi̥⸢kikaisuŋ] 自動 引き返す。ピ⸢キッカイスン[pi̥⸢kikkaisuŋ](引き返す<強調表現>)ともいう。 カ⸢ジヌ スー⸣リ ⸢ナン⸣ヌ ⸣ンジ ⸢クー⸣ター ピ⸢キカイスンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ピ⸢キカイサランシェン [ka⸢ʤinu suː⸣ri ⸢nan⸣nu ⸣ʔnʤi ⸢kuː⸣taː pi̥⸢kikaisunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ pi̥⸢kikaisaraŋʃeŋ] (風が強くなって、大波が出てきたので引き返そうとしたが、引き返されなかった)。 ピ⸢キカイシ⸣ ミサカー ピ⸢キカイス⸣ クトー ナ⸢リ⸣シバ ⸢パー⸣ク ピ⸢キカイシ [pi̥⸢kikaiʃi⸣ misakaː pi̥⸢kikaisu⸣ ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ⸢paː⸣ku pi̥⸢kikaiʃi] (引き返してよければ引き返すことは出来るから、早く引き返せ)。 マ⸢ナ⸣マ ピ⸢キカイシェー⸣ ミサムヌ [ma⸢na⸣ma pi̥⸢kikaiʃeː⸣ misamunu] (今引き返せばいいのに) 14119 0 0 13831 htmvoc_14119.wav ピキカウ ピ⸢キカウ [pi̥⸢kikau] 名 供物下げの線香。「引き香」の義。法事などの際に、仏前に供えた供物を下げるために焚く線香。 ピ⸢キカウヤー⸣<ピ⸢キカウワー⸣> タティテーラ ⸢ティー⸣ヤ ウ⸢サーシティ ジン⸣ ピ⸢キ⸣バ [pi̥⸢kikaujaː⸣ tḁtiteːra ⸢tiː⸣ja ʔu⸢saːʃiti ʤim⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (供物下げの線香は立ててから合掌して、お膳を引き<下げ>なさい) 14120 0 0 13832 htmvoc_14120.wav ピキカタミルン ピ⸢キカタミ⸣ルン [pi̥⸢kikatami⸣ruŋ] 他動 引っ担ぐ。「担ぐ」に強意強調の接頭語ピ⸢キ[pi̥⸢ki](引き)が⸢カタミ⸣ルン[kḁ⸢tami⸣ruŋ](担ぐ)に上接して形成された合成語 14121 0 0 13833 htmvoc_14121.wav ピキカタムン ピ⸢キカタ⸣ムン [pi̥⸢kikatamuŋ] 他動 引っ担ぐ。 グ⸢チ⸣ホーニ ピ⸢キカタムンティ スンダル⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣スンダ ⸣アイニ ピ⸢キカタマン⸣ ブ⸢リ⸣バ [gu⸢ʧi⸣hoːni pi̥⸢kikatamunti sundaru⸣ duː ja⸢ma⸣sunda ⸣ʔaini pi̥⸢kikatamam⸣ bu⸢ri⸣ba] (無鉄砲に引っ担ごうとするから体を痛めるのだから、あんあに引っ担ぐなよ)。 ピ⸢キカタミティ パッ⸣タヤー [pi̥⸢kikatamiti pat⸣tajaː] (引っ担いでいったよ)。 ⸢バン⸣マー ピ⸢キカタム⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢bam⸣maː pi̥⸢kikatamu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (私には引っ担ぐことは出来ない)。 ピ⸢キカタメー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kikatameː⸣ misamunu] (引っ担げば良いのに)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ピ⸢キカタミ⸣バ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː pi̥⸢kikatami⸣ba] (あの程度は引っ担げよ) 14122 0 0 13834 htmvoc_14122.wav ビキキー ビ⸢キキー [bi⸢kikiː] 名 おぎ(男木{EOS}雄木)。雄の木。雄花だけを咲かせる木。⸢ミー⸣キー[⸢miː⸣kiː](雌木)の対義語。 ビ⸢キケージ [bi⸢kikeːʤi] (雄のマルバチシャノキ)。 ビ⸢キマンズイ [bi⸢kimanʣui] (雄のパパイヤ)。 ビ⸢キマンズイ⸣ナー ⸣ナロー ナ⸢ラ⸣ヌ [bi⸢kimanʣui⸣naː ⸣naroː na⸢ra⸣nu] (雄のパパイヤには実はつか<生ら>ない) 14123 0 0 13835 htmvoc_14123.wav ピキキスン ピ⸢キキスン [pi̥⸢kikisuŋ] 他動 引き切る。ひっ切る。「切る」の強調表現。 ク⸢ヌ⸣ シナー ピ⸢キキスンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キキサラヌ [ku⸢nu⸣ ʃinaː pi̥⸢kikisunti sundu⸣ pi̥⸢kikisaranu] (この綱は引き切ろうとするが、引き切られない)。 ピ⸢キキシ⸣ ミサカー ピ⸢キキス⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kikiʃi⸣ misakaː pi̥⸢kikisu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き切って良ければ引き切ることは出来る)。 ピ⸢キキシェー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kikiʃeː⸣ misamunu] (引き切れば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キキシ⸣バ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kikiʃi⸣ba] (早く引き切れよ) 14124 0 0 13836 htmvoc_14124.wav ピキクー ピ⸢キクー [pi̥⸢kikuː] 名 水に漬けた糯米を石臼で水挽きし、メリケン袋に入れて水分を切って造った餅用の澱粉。「挽き粉」の義。バ⸢リクー[ba⸢rikuː](割り粉)の対義語。バ⸢リクー[ba⸢rikuː](割り粉{EOS}水に浸けた粳米を水切りし、臼で細かく搗いて造った粉)は煮た餅を成形する際にまぶし(塗し)て粘着するのを防ぐのに用いる。 ピ⸢キクー⸣シル ム⸢チェー⸣ ス⸢クル⸣タ [pi̥⸢kikuː⸣ʃiru mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢kuru⸣ta] (挽き粉で餅は造った) 14125 0 1 13837 htmvoc_14125.wav ピキクマルン ピ⸢キクマルン [pi̥⸢kikumaruŋ] 自動 {Mn_1}引き籠る。ひっこもる。ピ⸢キックマルン[pi̥⸢kikkumaruŋ](引きこもる)ともいう。 ア⸢ガニチェー ピングラ⸣スカー ピ⸢キクマ⸣ルン⸠ダー ピ⸢キクマラサンドー⸣シ ⸣ドゥー ア⸢ツァ⸣シ トゥ⸢クットゥ⸣シ ニ⸢バシ [ʔa⸢ganiʧeː piŋgura⸣su̥kaː pi̥⸢kikuma⸣run⸠daː pi̥⸢kikumarasandoː⸣ʃi ⸣duː ʔa⸢ʦa⸣ʃi tu̥⸢kuttu⸣ʃi ni⸢baʃi] (風疹<三日ハシカ>は体を冷やすと熱が内に引きこもるから、引きこもらさないように体を温めて静かに寝かせなさい)。 ⸣ニチェー ピ⸢キクマリティ⸣ サ⸢マラ⸣ヌ [⸣niʧeː pi̥⸢kikumariti⸣ sa⸢mara⸣nu] (熱は引きこもって下がらない)。 ⸣ニチェー マ⸢ナ⸣マー ピ⸢キクマル⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ピ⸢キクマレー⸣ラー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [⸣niʧeː ma⸢na⸣maː pi̥⸢kikumaru⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu pi̥⸢kikumareː⸣raː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (熱は、今は引きこもることはないが、引きこもったら大変だよ)。 14125 0 2 13838 htmvoc_14125.wav ピキクマルン ピ⸢キクマルン [pi̥⸢kikumaruŋ] 自動 {Mn_2}閉じこもる。 ウ⸢レー ヤー⸣ナー ピ⸢キクマリティ⸣ ノー⸢ン⸣ サ⸢ヌ [ʔu⸢reː jaː⸣naː pi̥⸢kikumariti⸣ noː⸢n⸣ sa⸢nu] (彼は家に閉じこもって何もしない) 14126 0 0 13839 htmvoc_14126.wav ピキコースン ピ⸢キコースン [pi̥⸢kikoːsuŋ] 他動 引き抜く。地中のもの根こそぎにする。「引き\ruby{刮}{コソ}ぐ」の転訛したものか。ピ⸢キンコースン[pi̥⸢kiʔŋkoːsuŋ](引き抜く{EOS}引き刮げる{EOS}根こそぎにする)ともいう。パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサー ピ⸢キンコーシ⸣ トゥリ[pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssaː pi̥⸢kiʔŋkoːʃi⸣ turi](畑の雑草は根こそぎ<引き抜いて>取れ)ともいう 14127 0 1 13840 htmvoc_14127.wav ピキサールン ピ⸢キサールン [pi̥⸢kisaːruŋ] 他動 {Mn_1}注ぎ尽くす。接頭語のピ⸢キ[pi̥⸢ki](引き)と⸢サールン[⸢saːruŋ](液体を容器から注ぎ尽くす{EOS}流し尽くす)の合成語。 ⸢スッカー⸣ヌ ⸢サー⸣ヤ ピ⸢キサーリティ⸣ シ⸢キバ⸣ル ⸢サー⸣ヤ ン⸢マー [⸢sukkaː⸣nu ⸢saː⸣ja pi̥⸢kisaːriti⸣ ʃi̥⸢kiba⸣ru ⸢saː⸣ja ʔm⸢maː] (急須の茶は注ぎ尽くしておく方が茶は美味しい)。 ピ⸢キサール⸣ クトー ピ⸢キサールンドゥ⸣ ドゥク ピ⸢キサーラン⸣ ブ⸢レー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kisaːru⸣ ku̥toː pi̥⸢kisaːrundu⸣ duku pi̥⸢kisaːram⸣ bu⸢reː⸣ misamunu] (注ぎ尽くすことは注ぎ尽くすが、完全に注ぎ尽くさないでおれば<おけば>いいのに)。 ピ⸢キサーレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kisaːreː⸣ misamunu] (注ぎ尽くせばいいのに)。 ⸢サー⸣ヤ ピ⸢キサーリ⸣バ [⸢saː⸣ja pi̥⸢kisaːri⸣ba] (茶は注ぎ尽くしなさいよ)。 14127 0 2 13841 htmvoc_14127.wav ピキサールン ピ⸢キサールン [pi̥⸢kisaːruŋ] 他動 {Mn_2}下痢などでげっそり痩せ細る。 ⸢ベー⸣カー シ⸢ティル⸣ アイニ ピ⸢キサーラリ ベー [⸢beː⸣kaː ʃi̥⸢tiru⸣ ʔaini pi̥⸢kisaːrari beː] (下痢や嘔吐をして<ぞ>あんなにげっそり痩せ細っているのだ) 14128 0 0 13842 htmvoc_14128.wav ピキサイルン ピ⸢キサイ⸣ルン [pi̥⸢kisai⸣ruŋ] 他動 引き下げる。引っさげる。吊り下げる。「よべ縫ひし御衣どもひきさげて、みづからもよろしき衣着かへて~」『源氏物語<若紫>』の転訛したものか。 タカー⸢タカー⸣シ ピ⸢キサイルンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キサイララヌ [tḁkaː⸢takaː⸣ʃi pi̥⸢kisairunti sundu⸣ pi̥⸢kisairaranu] (高く<高々と>引き下げようとするが、引き下げられない)。 ⸣タコー ⸣カターラ ピ⸢キサイティル クー⸣タ [⸣tḁkoː ⸣kḁtaːra pi̥⸢kisaitiru kuː⸣ta] (<漁獲した>蛸は肩から引き下げて来た)。 ⸢グッふァヌ ピ⸢キサイル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢guffa⸣nu pi̥⸢kisairu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (重くて引き下げることは出来ない)。 ⸣カナー ピ⸢キサイレー⸣ ミサムヌ [⸣kanaː pi̥⸢kisaireː⸣ misamunu] (あそこに引き下げれば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ピ⸢キサイ⸣リ [⸣duːʃi pi̥⸢kisai⸣ri] (自分で引き下げよ<吊り下げよ>) 14129 0 0 13843 htmvoc_14129.wav ピキサウン ピ⸢キサウン [pi̥⸢kisauŋ] 他動 引き下げる。引っ提げる。「ひきさぐ<下二段活用>」の四段か活用化したもの。「よべ縫ひし御衣どもひきさげて~」『源氏物語<若紫>』の転訛したものか。 ク⸢レーンツァン⸣ ピ⸢キサイ⸣ ムティパリバ [ku⸢reːnʦam⸣ pi̥⸢kisai⸣ mutipariba] (これでも引っ提げて持って行きなさい)。 ピ⸢キサウンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キサイララヌ [pi̥⸢kisaunti sundu⸣ pi̥⸢kisairaranu] (引っ提げようとするが、引っ提げられない)。 ピ⸢キサウ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢kisau⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (引っ提げることは出来ない)。 ピ⸢キサイヤー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kisaijaː⸣ misamunu] (引っ提げればいいのに)。 ピ⸢キサイ⸣バ [pi̥⸢kisai⸣ba] (引っ提げなさいよ) 14130 0 0 13844 htmvoc_14130.wav ピキサクン ピ⸢キサクン [pi̥⸢kisakuŋ] 他動 引き裂く。 ⸢ヌーヌ⸣ ピ⸢キサキ⸣ ミサカー ピ⸢キサクンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ  ウ⸢ムイツァー⸣ヌ ピ⸢キサカラヌ [⸢nuːnu⸣ pi̥⸢kisaki⸣ misakaː pi̥⸢kisakunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢muiʦaː⸣nu pi̥⸢kisakaranu] (布を引き裂いて良ければ引き裂こうと思うが、惜しくて引き裂かれない)。 マ⸢ナ⸣マー ピ⸢キサク⸣ クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ⸣ナルカー ピ⸢キサケー⸣ ミサムヌ [ma⸢na⸣maː pi̥⸢kisaku⸣ ku̥toː na⸢ranu⸣nu ⸣narukaː pi̥⸢kisakeː⸣ misamunu] (今は引き裂くことは出来ないが、出来れば引き裂けばいいのに)。 ⸣クマーラ ピ⸢キサキ⸣バ [⸣kumaːra pi̥⸢kisaki⸣ba] (ここから引き裂きなさい) 14199 0 0 13845 htmvoc_14199.wav ピキザシ ピ⸢キザシ [pi̥⸢kiʣaʃi] 名 引出し(抽斗)。 ピ⸢キザシナー⸣ル ⸣ヌーンクイン イ⸢リ⸣ シケー [pi̥⸢kiʣaʃinaː⸣ru ⸣nuːŋkuiŋ ʔi⸢ri⸣ ʃi̥keː] (引き出しに<ぞ>何もかも入れてある)。 ⸣アボー キン⸣マー ⸢タンシ⸣ヌ ピ⸢キザシヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナ イ⸢リ⸣シケー [⸣ʔaboː ⸢kim⸣maː ⸢taŋʃi⸣nu pi̥⸢kiʣaʃinu⸣ na⸢ka⸣na ʔi⸢ri⸣ʃi̥keː] (お母さんの着物は箪笥の引き出しの中に入れてある) 14132 0 0 13846 htmvoc_14132.wav ピキザスン ピ⸢キザスン [pi̥⸢kiʣasuŋ] 他動 引き出す。ピ⸢キンザスン[pi̥⸢kiʔnʣasuŋ](引き出す)は丁寧な言い方。 ⸢ウシキクミ⸣ シケー ム⸢ヌ⸣バ ピ⸢キザスンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キザサラヌ [⸢ʔuʃi̥kikumi⸣ ʃi̥keː mu⸢nu⸣ba pi̥⸢kiʣasunti sundu⸣ pi̥⸢kiʣasaranu] (押し込んであるものを引き出そうとするが、引き出されない)。 カ⸢サビ⸣ シ⸢ミ⸣シケー ナ⸢カー⸣ラ ピ⸢キザシ⸣ ミサカー ピ⸢キザス⸣ クトー ナ⸢リ⸣シバ ピ⸢キザシ⸣バ [kḁ⸢sabi⸣ ʃi⸢mi⸣ʃi̥keː na⸢kaː⸣ra pi̥⸢kiʣaʃi⸣ misakaː pi̥⸢kiʣasu⸣ ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba pi̥⸢kiʣaʃi⸣ba] (重ねて積んである中から引き出して良ければ、引き出すことは出来るから、引き出せよ)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キザシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kiʣaʃeː⸣ misamunu] (もっと引き出せばいいのに) 14133 0 0 13847 htmvoc_14133.wav ピキザン ピ⸢キ⸣ザン [pi̥⸢ki⸣ʣaŋ] 名 引き算。標準語からの借用語。 ⸢ガッ⸣コー ン⸢ザバ⸣ル ピ⸢キ⸣ザン タ⸢シザン⸣マー ナ⸢ラウン⸣ドゥ ク⸢ヌ ッふァー⸣ キサー⸢ティ⸣ ッ⸢シル ブー [⸢gak⸣koː ʔn⸢ʣaba⸣ru pi̥⸢ki⸣ʣan ta⸢ʃiʣam⸣maː na⸢raun⸣du ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ kisaː⸢ti⸣ ʃ⸢ʃiru buː] (入学してはじめて<学校に出ればぞ>引き算足し算は習うのだが、この子は既に知っているよ) 14134 0 0 13848 htmvoc_14134.wav ピキサングン ピ⸢キサングン [pi̥⸢kisaŋguŋ] 他動 強く引張る。引きずる。引き連れる。 ⸢クンザバ⸣ ピ⸢キサングンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キサンガラヌ [⸢kunʣaba⸣ pi̥⸢kisaŋgunti sundu⸣ pi̥⸢kisaŋgaranu] (こいつを引張ろうとするが引張られない)。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸢ズン⸣サン ピ⸢キサンガリン⸣ダー [ja⸢naku̥tu suː⸣kaː ⸢ʣun⸣sam pi̥⸢kisaŋgarin⸣daː] (悪いことをすると巡査に引っ張られるぞ)。 ウ⸢シバ⸣ ピ⸢キサングンティ スンドゥ ピン⸣バ ⸢シー⸣ ピ⸢キサンガラヌ [ʔu⸢ʃiba⸣ pi̥⸢kisaŋgunti sundu⸣ pim⸣ba ⸢ʃiː⸣ pi̥⸢kisaŋgaranu] (牛を引っ張り出そうとするが、反抗して<言うことを聞かないで抵抗して>引っ張りだされない)。 ピ⸢キサンギ⸣ キー ⸣ミサカー ピ⸢キサング⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kisaŋgi⸣ kiː ⸣misakaː pi̥⸢kisaŋgu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引張ってよければ引張ることはできる)。 ピ⸢キサンゲー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kisaŋgeː⸣ misamunu] (引張ればいいのに)。 ピ⸢キサンギ [pi̥⸢kisaŋgi] (引張れ) 14135 0 0 13849 htmvoc_14135.wav ピキシーグ ピ⸢キシーグ [pi̥⸢kiʃiːgu] 名 カツオ節を引き削る小刀。「ヒキ・サイグ(引き・\ruby{鉏具}{サイ|グ})」の転訛したものか。鰹節の筋目に沿って、前方から手前の方へ引きながら削る小刀。小刀の刃先分が円く、左側へ湾曲している。鰹節の湾曲した腹部を削るのに用いた。 ピ⸢キシーグ⸣シ ⸣クマンター ピ⸢ケー⸣ティ キ⸢ジ⸣バ [pi̥⸢kiʃiːgu⸣ʃi ⸣kumantaː pi̥⸢keː⸣ti ki⸢ʤi⸣ba] (引き小刀でこちら側へ小刀を引きつけながら削りなさいよ) 14136 0 0 13850 htmvoc_14136.wav ピキシキカーシキ ピ⸢キシキカー⸣シキ [pi̥⸢kiʃi̥kikaː⸣ʃi̥ki] 副 強く引張るさま。突っ張るさま。引きつるさま。両手で掴んで引き延ばすように引張るさま。 ク⸢ヌ キン⸣マー ピ⸢キシキカー⸣シキ シ⸢ティ⸣ シ⸢バー⸣ヌ キ⸢サラヌ [ku⸢nu kim⸣maː pi̥⸢kiʃikikaː⸣ʃi̥ki ʃi̥⸢ti⸣ ʃi⸢baː⸣nu ki̥⸢saranu] (この着物はあっちこっち引きつって狭くて着られない)。 ピ⸢キシキカー⸣シキ ⸢シェー⸣ティ ⸣キン シ⸢バンナクン⸣ティル ⸢ベー [pi̥⸢kiʃi̥kikaː⸣ʃi̥ki ⸢ʃeː⸣ti ⸣kiŋ ʃi⸢bannakun⸣tiru ⸢beː] (両手で掴んで、引き延ばすようにして着物のしわ<皺>をのばそうと<つばなかそうと{EOS}茅花かそうと>している) 14137 0 0 13851 htmvoc_14137.wav ビキシキル ビ⸢キシキル [bi⸢kiʃi̥kiru] 名 (動)雄ナマコ(海鼠)。 ビ⸢キシキルン⸣ ッ⸢ふァーリン⸠ダー [bi⸢kiʃi̥kiruŋ⸣ f⸢faːrin⸠daː] (雄ナマコも食べられるよ) 14138 1 0 13852 htmvoc_14138.wav ピキシキルン ピ⸢キシキルン [pi̥⸢kiʃi̥kiruŋ] 自動 {PoS_1}引きつける。引きつる。痙攣する。 ⸢パン⸣ヌ シ⸢ジ⸣ヌ ピ⸢キシキルンティ ⸢ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーリティ ムーミ⸣ シケータ ピ⸢キシキランシェン [⸢pan⸣nu ʃi⸢ʤi⸣nu pi̥⸢kiʃi̥kirunti ⸢beː⸣ta ⸢beː⸣ti ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːriti muːmi⸣ ʃi̥keːta pi̥⸢kiʃi̥kiraŋʃe] (足の筋<腱>がひきつろう<痙攣しようと>としていたので、薬を塗って揉んでおいたら引きつらなかった)。 ⸢パン⸣ヌ シ⸢ルヌ⸣ ピ⸢キシキティ⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ʃi⸢runu⸣ pi̥⸢kiʃi̥kiti⸣ jami na⸢ra⸣nu] (足の腱<筋>が引きつって痛くてたまらない)。 ピ⸢キスク⸣ ピンマー フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーリ [pi̥⸢kisu̥ku⸣ pimmaː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːri] (引きつる時は薬を塗れ)。 プ⸢スム⸣シ ピ⸢キシケー⸣ラ フ⸢シ⸣ ナルンティ⸢ダー [pu̥⸢sumu⸣ʃi pi̥⸢kiʃi̥keː⸣raː ɸu̥⸢ʃi⸣ narunti⸢daː] (一度引きつけ<痙攣し>たら癖になるそうだよ)。 14138 2 0 13853 htmvoc_14138.wav ピキシキルン ピ⸢キシキルン [pi̥⸢kiʃi̥kiruŋ] 他動 {PoS_2}引張る。 ガ⸢マ⸣ジ ピ⸢キシキルンティ ベー⸣ティ イ⸢ズター⸣ ピ⸢キシキランシェン [ga⸢ma⸣ʤi pi̥⸢kiʃi̥kirunti beː⸣ti ʔi⸢ʣutaː⸣ pi̥⸢kiʃi̥kiraŋʃeŋ] (髪の毛を引張ろうとしているので、叱ったら引張らなかった)。 ブ⸢ネーヌ キン⸣ヌ ッ⸢ス⸣ ピ⸢キシキティ⸣ シ⸢ビ ウーンティ⸣ ナ⸢キ ベー [bu⸢neːnu kin⸣nu s⸢su⸣ pi̥⸢kiʃi̥kiti⸣ ʃi⸢bi ʔuːnti⸣ na⸢ki beː] (母親の着物の裾を引張って、後追いしようと地団駄踏んで泣いている)。 ク⸢レー⸣ ピ⸢キシキル⸣ クトー ⸢スーナ [ku⸢reː⸣ pi̥⸢kiʃi̥kiru⸣ ku̥toː ⸢suːna] (これは、ひきつけることはするな)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キシキリ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kiʃikiri] (もっと引きつけろ) 14139 0 0 13854 htmvoc_14139.wav ピキシティルン ピ⸢キシティルン [pi̥⸢kiʃi̥tiruŋ] 他動 引き抜く。引き抜いて捨てる。「引き捨つ」の義。 パ⸢タキ⸣ヌ ッ⸢サ⸣バ ピ⸢キシティルンティ ベーン⸣ドゥ ⸢タンガ⸣シェー ピ⸢キシティララヌ [pḁ⸢taki⸣nu s⸢sa⸣ba pi̥⸢kiʃi̥tirunti beːn⸣du ⸢taŋga⸣ʃeː pi̥⸢kiʃi̥tiraranu] (畑の草を引き抜いて捨てようとしているが、一人では引き抜かれない)。 ⸣ッサ ピ⸢キシティテーラ カイ⸣シバ [⸣ssa pi̥⸢kiʃi̥titeːra kai⸣ʃiba] (草を引き抜いて捨ててから耕しなさいよ)。 ピ⸢キシティル⸣ ピンマー ⸣ニーラ ピ⸢キシティリ [pi̥⸢kiʃi̥tiru⸣ pimmaː ⸣niːra pi̥⸢kiʃi̥tiri] (引き抜いて捨てる時は根っこから引き抜け)。 ピ⸢キシティレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kiʃi̥tireː⸣ misamunu] (引き抜いて捨てればいいのに) 14140 0 0 13855 htmvoc_14140.wav ピキシトゥン ピ⸢キシトゥン [pi̥⸢kiʃi̥tuŋ] 他動 引き抜く。引き抜いて捨てる。「引き捨つ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ピ⸢キシトゥンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ピ⸢キシタランシェン [pi̥⸢kiʃi̥tunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du pi̥⸢kiʃi̥taraŋʃeŋ] (引き抜こうと思ったが引き抜かれなかった)。 ピ⸢キシティ⸣ ミサカー ピ⸢キシトゥ⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kiʃiti⸣ misakaː pi̥⸢kiʃi̥tu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き抜いてよければ、引き抜くことはできる)。 ムー⸢ル⸣ ピ⸢キシテー⸣ ミサムヌ [muː⸢ru⸣ pi̥⸢kiʃi̥teː⸣ misamunu] (全部引き抜けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キシティ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kiʃi̥ti] (早く引き抜け) 14141 0 0 13856 htmvoc_14141.wav ビキジナ ビ⸢キジナ [bi⸢kiʤina] 名 男綱。⸢ウー⸣ジナ[⸢ʔuːʤi⸣na](男綱)ともいう。⸢ミー⸣ジナ[⸢miː⸣ʤina](女綱)の対義語。豊年祭の時に女綱の先端の大きな輪の中に男綱の先端の輪を差し入れ、棒を差し込み、二つの綱が外れないようにする綱。 パ⸢トゥマ⸣ヌ シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣シナー ⸢インヌムラー ミー⸣ジナ ⸢アンヌムラー⸣ ビ⸢キジナ⸣ティ ア⸢ザリブー [pḁ⸢tuma⸣nu ʃi⸢napi̥ki⸣nu ⸣ʃinaː ⸢ʔinnumuraː miː⸣jina ⸢ʔannumuraː⸣ bi⸢kiʤina⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (鳩間の綱引きの綱は、西村は牝綱、東村は男綱といわれている) 14142 0 0 13857 htmvoc_14142.wav ピキシミルン ピ⸢キシミルン [pi̥⸢kiʃimiruŋ] 他動 引き締める。 ⸢ヤーフキ⸣ジナ ピ⸢キシミル⸣ ピンマー ウ⸢ムイ⸣キシ ピ⸢キシミリ⸣バ [⸢jaːɸu̥ki⸣ʤina pi̥⸢kiʃimiru⸣ pimmaː ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi pi̥⸢kiʃimiri⸣ba] (屋根葺き綱を引き締める時は、思い切って引き締めよ)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キシミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ピ⸢キシミララヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kiʃimirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du pi̥⸢kiʃimiraranu] (もっと引き締めようと思うが、引き締められない)。 ピ⸢キシミ⸣ プサカー ⸢マー⸣ビン ピ⸢キシミレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kiʃimi⸣ pu̥sakaː ⸢maː⸣bim pi̥⸢kiʃimireː⸣ misamunu] (引き締めたければ、もっと引き締めればいいのに)。 フ⸢ク⸣ビ ピ⸢キシミルン [ɸu̥⸢ku⸣bi pi̥⸢kiʃimiruŋ] (帯を引き締める) 14143 0 0 13858 htmvoc_14143.wav ピキシムン ピ⸢キシムン [pi̥⸢kiʃimuŋ] 他動 引き締める。 フ⸢ク⸣ベー ピ⸢キシミティ⸣ イ⸢ジ⸣ンジ パ⸢タラキ⸣ヨー [ɸu̥⸢ku⸣beː pi̥⸢kiʃimiti⸣ ʔi⸢ʤi⸣ʔnʤi pḁ⸢taraki⸣joː] (帯を引き締めて、しっかり働けよ)。 ⸢キン⸣マー フ⸢ク⸣ビシ ピ⸢キシムンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キシマラヌ [⸢kim⸣maː ɸu̥⸢ku⸣biʃi pi̥⸢kiʃimunti sundu⸣ pi̥⸢kiʃimaranu] (着物は帯で引き締めようとするが、引き締められない)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キシメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kiʃimeː⸣ misamunu] (もっと引き締めればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キシミ⸣バ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kiʃimi⸣ba] (もっと引き締めよ) 14144 0 1 13859 htmvoc_14144.wav ピキスー ピ⸢キスー [pi̥⸢kisuː] 名 {Mn_1}、引き潮。ピ⸢シ⸣スー[pi̥⸢ʃi⸣suː](ひしお<干潮>{EOS}大潮の時の干潮)ともいう。 ピ⸢キスー⸣ ナ⸢リ⸣ル ⸣ブーバ イ⸢ソー シン⸣ パラ [pi̥⸢kisuː⸣ na⸢ri⸣ru ⸣buːba ʔi⸢soː ʃim⸣ para] (引き潮になっているから、潮干狩りに行こうよ)。 14144 0 2 13860 htmvoc_14144.wav ピキスー ピ⸢キスー [pi̥⸢kisuː] 名 {Mn_2}潮流。 ユ⸢ニヌ⸣ トンマー ピ⸢キスーヌ スー⸣ワン [ju⸢ninu⸣ tommaː pi̥⸢kisuːnu suː⸣waŋ] (ユニの所は引き潮<潮流>が強い<激しい>) 14145 0 0 13861 htmvoc_14145.wav ピキスールン ピ⸢キスールン [pi̥⸢kisuːruŋ] 自動 顔が細くなる。おもやつれる(面やつれる)。 ウ⸢ムティ⸣ヌ ピ⸢キスールン⸣ケン ヤ⸢ミ⸣ル ブ⸢レー⸣バン⸢ナー [ʔu⸢muti⸣nu pi̥⸢kisuːruŋ⸣keɲ ja⸢mi⸣ru bu⸢reː⸣ban⸢naː] (面やつれするほど病気して<病んで>いたのだなあ)。 ウ⸢ム⸣テー ピ⸢キスーリ ナーン⸣ティ ス⸢クタンドゥ⸣ ミルカー ⸢ナン⸣ゾー ピ⸢キスーランワーン⸣ノー [ʔu⸢mu⸣teː pi̥⸢kisuːri naːn⸣ti su̥⸢kutandu⸣ mirukaː ⸢nan⸣ʣoː pi̥⸢kisuːraŋwaːn⸣noː] (面や連れしたと聞いたが、見たところあまり面やつれしないではないか)。 ウ⸢ムティ⸣ヌ ピ⸢キスール⸣ ピンマー ⸢ヤンヌ⸣ル ⸣アルパジ [ʔu⸢muti⸣nu pi̥⸢kisuːru⸣ pimmaː ⸢jannu⸣ru ⸣ʔaru ⸣paʤi] (面や連れする時は病気があるはずだ) 14146 0 0 13862 htmvoc_14146.wav ピキスールン ピ⸢キスールン [pi̥⸢kisuːruŋ] 他動 ひきこく(扱く)。稲の穂などをこく。しごく。「引き・しごく<扱く>」の転訛したもの。「~袖尓古寸入津<コキレツ>~。万、1644」、「揃、ムシル・コク」『類聚名義抄』、「藁のはかまを取るを すぐる(選る)という」『志不可起』の義。 バ⸢ラフ⸣タ ピ⸢キスールンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キスーララヌ [ba⸢raɸu⸣ta pi̥⸢kisuːrunti sundu⸣ pi̥⸢kisuːraranu] (藁をひき扱こうとするがひき扱かれない)。 バ⸢ラフ⸣タ ピ⸢キスー⸣リティ ⸣シナ ⸣ナイバ [ba⸢raɸu⸣ta pi̥⸢kisuː⸣riti ⸣ʃina ⸣naiba] (藁をひき扱いて縄を綯いなさい)。 バ⸢ラフ⸣タ ピ⸢キスール⸣ ピンマー カ⸢シーカシー⸣ ピ⸢キスーレー⸣ ミサムヌ [ba⸢raɸu⸣ta pi̥⸢kisuːru⸣ pimmaː ka⸢ʃiːkaʃiː⸣ pi̥⸢kisuːreː⸣ misamunu] (藁をひき扱く時はしっかりひき扱けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キスー⸣リ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kisuːri] (早くひき扱け) 14147 1 0 13863 htmvoc_14147.wav ピキスクン ピ⸢キスクン [pi̥⸢kisu̥kuŋ] 他動 {PoS_1}ひきつける。引張る。「ひきつく<下二段活用>」の四段活用化したもの。 ガ⸢マ⸣ジ ピ⸢キスクンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キシゥカラヌ [ga⸢ma⸣ʤi pi̥⸢kisu̥kunti sundu⸣ pi̥⸢kisi̥karanu] (髪の毛を引張ろうとするが引張られない)。 ピ⸢キシキ⸣ ミリバ [pi̥⸢kiʃi̥ki⸣ miriba] (引張ってごらんよ)。 ピ⸢キスク⸣ プソー ヤ⸢ミ⸣スンダ ピ⸢キシケー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢kisu̥ku⸣ pu̥soː ja⸢mi⸣sunda pi̥⸢kiʃi̥keː⸣ na⸢ra⸣nu] (引張る時は痛むから引張ってはならない)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キシキ⸣バ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kiʃi̥ki⸣ba] (早く引張れよ)。 14147 2 0 13864 htmvoc_14147.wav ピキスクン ピ⸢キスクン [pi̥⸢kisu̥kuŋ] 自動 {PoS_2}痙攣する。 ⸢パン⸣ヌ シ⸢ルヌ⸣ ピ⸢キシキティ⸣ ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pan⸣nu ʃi⸢runu⸣ pi̥⸢kiʃi̥kiti⸣ jami na⸢ra⸣nu] (足の腱がひきつって<痙攣して>痛くてたまらない) 14148 0 0 13865 htmvoc_14148.wav ピキスングルン ピ⸢キスングルン [pi̥⸢kisuŋguruŋ] 他動 ひっぱたく(引っ叩く)。強くたたく。「ひき\ruby{扱}{シゴ}く」の義か。「撲、ウツ、ハラフ、コク」『類聚名義抄』の義。 ピ⸢キスングルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ シ⸢ナー⸣ンダ ピ⸢キスングララヌ [pi̥⸢kisuŋgurunti⸣ʔu⸢muːn⸣du ʃi⸢naː⸣nda pi̥⸢kisuŋguraranu] (引っ叩こうと思うが、幼いので引っ叩かれない)。 カ⸢ナ⸣サルナカー ピ⸢キスングリ⸣ ナ⸢ラー⸣シティル ム⸢カ⸣シプソー ナ⸢ラー⸣ソーッタ [ka⸢na⸣saru ⸣nakaː pi̥⸢kisuŋguri⸣ na⸢raː⸣ʃi̥tiru mu⸢ka⸣ʃipu̥soː na⸢raː⸣soːtta] (可愛いほど鞭打って<\ruby{扱}{シゴ}いて>教えなさいと昔の人は教えられた)。 ピ⸢キスングル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌヌ プ⸢スケン⸣ナー ピ⸢キスングレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kisuŋguru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nunu pu̥⸢suken⸣naː pi̥⸢kisuŋgureː⸣ misamunu] (引っ叩くことは出来ないが、一度ぐらいは引っ叩けばいいのに)。 ⸢ウンザー⸣ ピ⸢キスングリ [⸢ʔunʣaː⸣ pi̥⸢kisuŋguri] (こいつは引っぱたけ) 14150 0 0 13866 htmvoc_14150.wav ピキダシ ピ⸢キダシ [pi̥⸢kidaʃi] 名 引き出し(抽出し{EOS}抽斗)。標準語からの借用語が転訛したもの。 ⸢タンシ⸣ヌ ピ⸢キダシ [⸢taŋʃi⸣nu pi̥⸢kidaʃi] (箪笥の抽斗)。 ⸢タンシ⸣ヌ ピ⸢キダシェー⸣マナー ⸢カンユーナ⸣ ムノー イ⸢リティ⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢ソーッ⸣タ [⸢taŋʃi⸣nu pi̥⸢kidaʃeː⸣manaː ⸢kaɲjuːna⸣ munoː ʔi⸢riti⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢soːt⸣ta] (箪笥の小さな抽斗に肝要なものを入れて保管<格護>された) 14151 0 0 13867 htmvoc_14151.wav ピキタティルン ピ⸢キタティルン [pi̥⸢kitatiruŋ] 他動 引き立てる。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢タラキバ⸣ ミリティ ピ⸢キタティルンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ピ⸢キタティララン⸣サー [ʔu⸢rinu⸣ pḁ⸢tarakiba⸣ miriti pi̥⸢kitatirunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ pi̥⸢kitatiraran⸣saː] (彼の働きを見て引き立てようとしたが、引き立てられないさ)。 ドー⸢ディン⸣ ピ⸢キタティ⸣ ッ⸢ふォー⸣リ [doː⸢dim⸣ pi̥⸢kitati⸣ f⸢foː⸣ri] (どうぞ引き立ててください)。 ピ⸢キタティル⸣ クトー ナ⸢リ⸣シバ ピ⸢キタティレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kitatiru⸣ ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba pi̥⸢kitatireː⸣ misamunu] (引き立てることは出来るから、引き立てればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ピ⸢キタティリ [jaː⸢dim⸣ pi̥⸢kitatiri] (必ず引き立てろ) 14152 0 0 13868 htmvoc_14152.wav ピキタトゥン ピ⸢キタトゥン [pi̥⸢kitatuŋ] 他動 引き立てる。 パ⸢タラキバ⸣ ミリティ ピ⸢キタトゥンティ カン⸣ガイ ⸢ベー⸣ンドゥ ピ⸢キタタラン⸣ クトゥン ⸣アン [pḁ⸢tarakiba⸣ miriti pi̥⸢kitatunti kaŋ⸣gai ⸢beː⸣ndu pi̥⸢kitataraŋ⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (働きを見て引き立てようと考えているが引き立てられないこともある)。 ピ⸢キタティ⸣ ミサン [pi̥⸢kitati⸣ misaŋ] (引き立ててよい)。 ピ⸢キタトゥ⸣ クトー ナ⸢リ⸣シバ ⸢パイ⸣サ ピ⸢キタティ⸣バ [pi̥⸢kitatu⸣ ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ⸢pai⸣sa pi̥⸢kitati⸣ba] (引き立てることは出来るから早く引き立てよ)。 ク⸢リバ⸣ ピ⸢キタテー⸣ ミサムヌ [ku⸢riba⸣ pi̥⸢kitateː⸣ misamunu] (これを引き立てればいいのに) 14149 0 0 13869 htmvoc_14149.wav ピキダマ ピ⸢キダマ [pi̥⸢kidama] 名 たこ(凧)。普通の凧は台形に作る。竹を割って幅約1,5センチ、長さ約40センチの⸣ブーブブニ[⸣buːbubuni](頭部の竹を弓状に曲げて鳴き紙を張るもの)と長さ約28センチの⸢ズーブニ[⸢ʣuːbuni](尾骨)を竹ひごで格子状に編み、紙を張って作る。頭部の竹(⸣ブーブブニ)には左右に2本の糸をつけ、胸部と腹部にそれぞれ3本の糸をつけて⸣サク[⸣sḁku](尺{EOS}勾配をつけること)を当て、尾骨に2本の糸をつけて凧を安定させる⸢ズー[⸢ʣuː](尻尾)とし、⸣サクイトゥ[⸣sḁkuitu](尺糸{EOS}勾配をつけた糸)を⸢ユー⸣ル[⸢juː⸣ru](凧上げ紐)に繋いで凧上げをした。 トゥ⸢シヌ⸣ユーナー ビ⸢コーンッふァヌ ブー ヤー⸣ヤ ピ⸢キダマバ⸣ ス⸢ク⸣リ パ⸢リティ グヮンタン⸣ヌ ⸣ピンマー ピ⸢キダマ⸣ トゥ⸢バシティ⸣ ア⸢サブタ [tu̥⸢ʃinu⸣juːnaː bi⸢koːŋffanu buː jaː⸣ja pi̥⸢kidamaba⸣ su̥⸢ku⸣ri pa⸢riti gwantan⸣nu ⸣pimmaː pi̥⸢kidama⸣ tu⸢baʃi̥ti⸣ ʔa⸢sabuta] (大晦日の夜には、男の子のいる家は凧を作って張って、元旦の日には凧を揚げて<飛ばして>遊んだ) 14153 0 0 13870 htmvoc_14153.wav ピキタミルン ピ⸢キタミルン [pi̥⸢kitamiruŋ] 他動 布や縄等を真っ直ぐに引っ張る。たるまないように引っ張る。 シ⸢ナ⸣バ ピ⸢キタミルンティ スンドゥ キーヌ⸣ユダナ カ⸢カ⸣リティ ピ⸢キタミララヌ [ʃi⸢na⸣ba pi̥⸢kitamirunti sundu kiːnu⸣judana kḁ⸢ka⸣riti pi̥⸢kitamiraranu] (綱を引っ張ってまっすぐにしようとするが、木の枝にかかって真っ直ぐに引っ張れない) 14154 0 0 13871 htmvoc_14154.wav ピキックムン ピ⸢キックムン [pi̥⸢kikkumuŋ] 他動 引きこむ。引き入れる。 シ⸢キ⸣ヌ ミ⸢ジバ ドゥー⸣ヌ ⸣ター ピ⸢キックムンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キックマラヌ [ʃi̥⸢ki⸣nu mi⸢ʤiba duː⸣nu ⸣taː pi̥⸢kikkumunti sundu⸣ pi̥⸢kikkumaranu] (せき<堰>の水を自分の田に引き込もうとするが、引き込まれない)。 ピ⸢キッ⸣クミ ⸣ミサカー カ⸢リン ドゥー⸣ヌ ⸣グー ピ⸢キックム⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kik⸣kumi ⸣misakaː ka⸢rin duː⸣nu ⸣guː pi̥⸢kikkumu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き入れてよければ彼も自分の組に引き入れることは出来る)。 ピ⸢キッ⸣クメー ⸣ミサムヌ [pi̥⸢kik⸣kumeː ⸣misamunu] (引き込めば<引き入れれば>いいのに)。 ムー⸢ル ドゥー⸣ヌ ⸣トン ピ⸢キックミ⸣バ [muː⸢ru duː⸣nu ⸣tom pi̥⸢kikkumi⸣ba] (全部自分の所に引き込めよ<引き入れよ>) 14155 0 0 13872 htmvoc_14155.wav ピキッコースン ピ⸢キッコースン [pi̥⸢kikkoːsuŋ] 他動 植物などを根っこから引き抜く。大きな石などを地中より引き抜く。「引き起こす」の転訛したもの。 ⸢ユシキ⸣ヌ ⸣ニー ピ⸢キッコースンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キッコーサランバン [⸢juʃiki⸣nu ⸣niː pi̥⸢kikkoːsunti sundu⸣ pi̥⸢kikkoːsarambaŋ] (ススキの根っこを引き抜こう<引き起こそう>とするが、引き抜かれない)。 ク⸢レー⸣ ピ⸢キッコーシ⸣ ミサン [ku⸢reː⸣ pi̥⸢kikkoːʃi⸣ misaŋ] (これは引きぬいても良い)。 ピ⸢キッコース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢kikkoːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (引き抜いてはならない)。 ピ⸢キッコーシェー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kikkoːʃeː⸣ misamunu] (引き抜けばいいのに)。 ピ⸢キッコーシ⸣バ [pi̥⸢kikkoːʃi⸣ba] (引き抜けよ) 14157 0 0 13873 htmvoc_14157.wav ビキッツァーミドゥム ビ⸢キッツァーミドゥム [bi⸢kitʦaːmidumu] 名 お転婆娘。女性としてのつつしみがなく、男勝りの活発な女性。ビ⸢キッツァー[bi⸢kitʦaː](お転婆)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ビ⸢キッツァーミドゥム⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ビ⸢キドゥムン⸣ ウ⸢リンマー⸣ カ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ bi⸢kitʦaːmidumu⸣ ja⸢runda⸣ bi⸢kidumuŋ⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ka⸢naː⸣nu] (あれは男勝りのお転婆娘だから、男も彼女にはかなわ<敵わ>ない) 14158 0 0 13874 htmvoc_14158.wav ピキッツァイパラッツァイ ピ⸢キッツァイパラッ⸣ツァイ [pi̥⸢kitʦaiparat⸣ʦai] 副 衣服が小さくて体に合わず、引きつっているさま。つんつるてんのさま。「引きつり・張りつり」の転訛したものか。ABCDEFGCDE型の重言。 ⸢キン⸣バ ピ⸢キッツァイ パラッ⸣ツァイ ⸢シー⸣ キ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣キ ⸢ミッ⸣トー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kim⸣ba pi̥⸢kitʦaiparat⸣ʦai ⸢ʃiː⸣ ki̥⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki ⸢mit⸣toː ⸢naː⸣nu] (衣服<着物>をつんつるてんに引きつって着ているので見苦しい<みっともない>) 14166 0 0 13875 htmvoc_14166.wav ピキットースン ピ⸢キットースン [pi̥⸢kittoːsuŋ] 他動 引き倒す。引いて倒す。ぶっ倒す。ウ⸢シトースン[ʔu⸢ʃitoːsuŋ](前方へ押して倒す)の対義語。 ⸣イノーカジヌ ⸣フクカー ⸣ヤーン ピ⸢キットースン [⸣ʔinoːkaʤinu ⸣ɸu̥kukaː ⸣jaːm pi̥⸢kittoːsuŋ] (竜巻が吹くと家も引き倒す)。 ⸣シンターニ ピ⸢キットースンティ ベー⸣ティ イ⸢ザリティ⸣ ピ⸢キットーサンシェン [⸣ʃintaːni pi̥⸢kittoːsunti beː⸣ti ʔi⸢ʣariti⸣ pi̥⸢kittoːsaŋʃeŋ] (後方に引き倒そうとしていて、叱られて引き倒さなかった)。 ピ⸢キットーシ⸣ ミサカー ピ⸢キットース⸣ クトー ナ⸢リ⸣スンダ ピ⸢キットーシェー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kittoːʃi⸣ misakaː pi̥⸢kittoːsu⸣ ku̥toː na⸢ri⸣sunda pi̥⸢kittoːʃeː⸣ misamunu] (引き倒してよければ引き倒すことは出来るから、引き倒せばいいのに)。 ⸣クマンター ピ⸢キットーシ [⸣kumantaː pi̥⸢kittoːʃi] (こちら側へ引き倒せ) 14167 0 0 13876 htmvoc_14167.wav ピキットールン ピ⸢キットールン [pi̥⸢kittoːruŋ] 自動 ぶっ倒れる(打っ倒れる)。ピ⸢キッ-[pikit-](ぶっ-)は強意の接頭語。 ⸣ビータリティ ⸢ヨータベー⸣ティ ⸢アー⸣クンダ ⸢カイ⸣リ ピ⸢キットールン⸣ダーティ ア⸢ズンドゥ⸣ ピ⸢キットーラヌ⸣ティ ⸢ガー⸣パリ ⸢ベー [⸣biːtariti ⸢joːtabeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kunda ⸢kai⸣ri pi̥⸢kittoːrun⸣daːti ʔa⸢ʣundu⸣ pi̥⸢kittoːranu⸣ti ⸢gaː⸣pari ⸢beː] (泥酔してふらついているので、転んで\ruby{打}{ブ}っ倒れるぞと言うんだが、打っ倒れないと我を張っている)。 ピ⸢キットーリティ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [pi̥⸢kittoːriti⸣ duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (\ruby{打}{ブ}っ倒れて怪我をして<胴を病まして>ある)。 ピ⸢キットール⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ プ⸢スケン⸣ナー ピ⸢キットーレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kittoːru⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu pu̥⸢suken⸣naː pi̥⸢kittoːreː⸣ misamunu] (\ruby{打}{ブ}っ倒れることはないが、一度ぐらいずつは<\ruby{偶}{タマ}には>打っ倒れればいいのに)。 ピ⸢キットーリリ [pi̥⸢kittoːriri] (打っ倒れろ) 14168 0 0 13877 htmvoc_14168.wav ピキットールン ピ⸢キットールン [pi̥⸢kittoːruŋ] 他動 縄を強く手繰る。引き手繰る。 サ⸢バナー⸣ ピ⸢キットールンティ スンドゥ グッふァ⸣ヌ ピ⸢キットーララヌ [sa⸢banaː⸣ pi̥⸢kittoːrunti sundu guffa⸣nu pi̥⸢kittoːraranu] (鱶釣り縄を引き手繰ろうとするが、重くて引き手繰られない)。 ピ⸢キットーリ⸣ ミサカー ピ⸢キットー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kittoːri⸣ misakaː pi̥⸢kittoːru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き手繰ってよければ引き手繰ることは出来る)。 ピ⸢キットーレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kittoːreː⸣ misamunu] (引き手繰れば良いのに)。 ⸢ダンダン⸣シ ピ⸢キットーリ⸣バ [⸢dandaŋ⸣ʃi pi̥⸢kittoːri⸣ba] (さっさと引き手繰れよ) 14160 0 0 13878 htmvoc_14160.wav ピキトゥミルン ピ⸢キトゥミルン [pi̥⸢kitumiruŋ] 他動 引き留める。立ち去ろうとするのを無理に留める。相手の動作を抑え込む。 タ⸢ベー⸣ パルンティ ⸢スームーバ⸣ ピ⸢キトゥミルンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キトゥミララヌ [ta⸢beː⸣ parunti ⸢suːmuːba⸣ pi̥⸢kitumirunti sundu⸣ pi̥⸢kitumiraranu] (旅へ発とうとするのを引き留めようとすのだるが、引き留められない) 14161 0 0 13879 htmvoc_14161.wav ビキドゥム ビ⸢キドゥム [bi⸢kidumu] 名 男。男性。「わけ(別)、~諸国の別と謂へるは、即ち其の別王(わけのみこ)の苗裔なり」『日本書紀 景行四年』の訛語という説あり『八重山語彙』。「男 曾几喝」『中山伝信録』、「男 烏吉喀」『琉球入学見聞録』、「ゑくかにせ」『おもろさうし、1403』、「まゑけか 男の事 ゑけがとも云まの字を云ふ時は敬ふ言葉なり『混効験集』とある」『図説琉球語辞典』参照。 ビ⸢キドゥムキョーダイ [bi⸢kidumukjoːdai] (男兄弟)。 ミ⸢ドゥムキョー⸣ダイ [mi⸢dumukjoː⸣dai] (女兄弟)。 ビ⸢キドゥム⸣ウヤ [bi⸢kidumu⸣ʔuja] (男親)。 ミ⸢ドゥム⸣ウヤ [mi⸢dumu⸣ʔuja] (女親)。 ビ⸢キドゥムッふァ [bi⸢kidumuffa] (男の子)。ミ⸢ドゥム⸣ッふァ[mi⸢dumu⸣ffa](女の子)、ミ⸢ドーン⸣ッふァ[mi⸢doːŋ⸣ffa]ともいう。 ビ⸢キドゥム⸣ ア⸢タルムヌ⸣ アイブ ⸣ムヌンツァン ⸢シーユーサヌ [bi⸢kidumu⸣ ʔa⸢tarumunu⸣ ʔaibu ⸣mununʦaŋ ⸢ʃiːjuːsanu] (男のくせに<男たるものが>、そんなものさえも出来ないのかム) 14162 0 0 13880 htmvoc_14162.wav ビキドゥムダーッサン ビ⸢キドゥムダーッ⸣サン [bi⸢kidumudaːs⸣saŋ] 形 男らしい。いかにも男性的である。 フ⸢ドゥン マイ⸣ヤ シゥ⸢カラン スー⸣ワンダ イッ⸢ケナ⸣ ビ⸢キドゥムダーッ⸣サン [ɸu⸢dum mai⸣ja sï̥⸢karan suː⸣wanda ʔik⸢kena⸣ bi⸢kidumudaːs⸣saŋ] (体格も大きく、力も強いから非常に男らしい)。 ウ⸢ブクイ⸣バ ン⸢ザ⸣シ ナ⸢キ⸣ ビ⸢キドゥムダーッサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢bukui⸣ba ʔn⸢ʣa⸣ʃi na⸢ki⸣ bi⸢kidumudaːssaː naː⸣nu] (大声を出して泣いて、男らしくない) 14163 0 0 13881 htmvoc_14163.wav ビキドゥムマサル ビ⸢キドゥムマサル [bi⸢kidumumasaru] 名 男勝り。女傑。気性が男以上に勝気な女。ウ⸢ドゥクマサ⸣ル[ʔu⸢dukumasa⸣ru](男勝り)ともいう。 ビ⸢キドゥムマサルヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣ム ヤ⸢ルンダ⸣ ブ⸢トー グングルマーサリ⸣ル ⸢ブー [bi⸢kidumumasarunu⸣ mi⸢du⸣mu ja⸢runda⸣ bu⸢toː guŋgurumaːsari⸣ru ⸢buː] (男勝りの女だから、夫は妻の掌でぐるぐる回されて操縦されている) 14164 0 0 13882 htmvoc_14164.wav ビキドゥル ビ⸢キドゥル [bi⸢kiduru] 名 (動)おんどり(雄鳥{EOS}雄鶏)。⸢ミー⸣ドゥル[⸢miː⸣duru](めんどり<雌鳥>)の対義語。 ビ⸢キドゥルヌ カンガン⸣マー ⸢マイ⸣ヤン [bi⸢kidurunu kaŋgam⸣maː ⸢mai⸣jaŋ] (雄鶏のとさかは大きい) 14165 0 0 13883 htmvoc_14165.wav ピキトゥルン ピ⸢キ⸣トゥルン [pi̥⸢ki⸣turuŋ] 他動 引き取る。 ⸢カーサラン⸣ ム⸢ノー⸣ ピ⸢キ⸣トゥルンティ ア⸢ジティ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢ナッタ⸣ クトー ピ⸢キトゥララン⸣ティ ア⸢ジバン(ア⸢ズバン)ガッ⸣ティン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kaːsarammunoː⸣ pi̥⸢ki⸣turunti ʔa⸢ʤiti⸣ ma⸢na⸣ma ⸢nat⸣ta ⸣ku̥toː pi̥⸢kituraran⸣ti ʔa⸢ʤibaŋ(ʔa⸢ʣubaŋ) gat⸣tin na⸢ra⸣nu] (売れない物は引き取るといっていて、今になってから引き取られないと言っても納得<合点>できない)。 ピ⸢キトゥリ⸣ ミサカー ピ⸢キトゥル⸣ クトー ナ⸢リ⸣シバ ⸢パー⸣ク ピ⸢キトゥリ [pi̥⸢kituri⸣ misakaː pi̥⸢kituru⸣ ku̥toː na⸢ri⸣ʃiba ⸢paː⸣ku pi̥⸢kituri] (引き取ってよければ、引き取ることは出来るから早く引き取れ)。 ピ⸢キトゥレー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kitureː⸣ misamunu] (引き取ればよいのに) 14169 0 0 13884 htmvoc_14169.wav ピキナー ピ⸢キナー [pi̥⸢kinaː] 名 \ruby{曳縄}{ヒキ|ナワ}釣り。ひきなわ(引縄)漁。船から餌の付いた長い縄や疑似餌を付けた縄を引いて食い付いた魚を釣り上げる漁法。パ⸢ニビキ[pa⸢nibiki](曳縄釣り)ともいう。 カ⸢ツシンラ⸣ イ⸢サンケーヌ ギームドゥロー⸣ ピ⸢キナーバ シー⸣ カ⸢ツ ホー⸣ソータン [kḁ⸢ʦuʃinra⸣ ʔi⸢saŋkeːnu giːmuduroː⸣ pi̥⸢kinaːba ʃiː⸣ kḁ⸢ʦu hoː⸣soːttaŋ] (カツオ漁船からの石垣島への行き戻りには曳縄釣りをしてカツオを釣られたものだ) 14170 0 0 13885 htmvoc_14170.wav ピキヌーン ピ⸢キヌーン [pi̥⸢kinuːŋ] 他動 引き抜く。抜き出す。 ⸢ダイ⸣クニ ピ⸢キヌーンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キノーラン⸣バン [⸢dai⸣kuni pi̥⸢kinuːnti sundu⸣ pi̥⸢kinoːram⸣baŋ] (大根を引き抜こうとするが引き抜かれないよ)。 ピ⸢キヌイ⸣ ミサカー ピ⸢キヌー⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kinui⸣ misakaː pi̥⸢kinuː⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き抜いてよければ、引き抜くことは出来る)。 ム⸢タ⸣リスコー ピ⸢キヌイヤー⸣ ミサムヌ [mu⸢ta⸣risu̥koː pi̥⸢kinuijaː⸣ misamunu] (持てるだけ引き抜けば良いのに)。 ムー⸢ル⸣ ピ⸢キヌイ⸣バ [muː⸢ru⸣ pi̥⸢kinui⸣ba] (全部引き抜けよ) 14171 0 0 13886 htmvoc_14171.wav ピキヌバスン ピ⸢キヌバ⸣スン [pi̥⸢kinuba⸣suŋ] 他動 引き伸ばす。引き延ばす。 ⸣グム ピ⸢キヌバ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ピ⸢キヌバサラ⸣ヌ [⸣gumu pi̥⸢kinuba⸣sunti ⸢sundu⸣ pi̥⸢kinubasara⸣nu] (ゴムを引き伸ばそうとするが、引き伸ばされない)。 ピ⸢キヌバシ⸣ ミサカー ピ⸢キヌバス⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kinubaʃi⸣ misakaː pi̥⸢kinubasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き伸ばしてよければ、引き伸ばすことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キヌバシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kinubaʃeː⸣ misamunu] (もっと引き伸ばせば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ピ⸢キヌバシ [⸣duːʃi pi̥⸢kinubaʃi] (自分で引き伸ばせ) 14172 0 0 13887 htmvoc_14172.wav ピキヌフル ピ⸢キヌ⸣ フ⸢ル [pi̥⸢kinu⸣ ɸu⸢ru] 連 さおばかり(竿秤)のふんどう(分銅)。フ⸢ル[ɸu⸢ru]は「ふぐり<睾丸>」で、「陰嚢、俗云、布久利<ふぐり>」『和名抄』の転訛。 ピ⸢キヌ⸣ フ⸢ロー⸣ カ⸢ニ⸣シル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー⸠ダー [pi̥⸢kinu⸣ ɸu⸢roː⸣ ka⸢ni⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː⸠daː] (竿秤の分銅は鉄で作られているんだよ)。 ピ⸢キヌ⸣ フ⸢ル⸣ サイティ ⸢ギュー⸣サ カ⸢カ⸣ルユー パ⸢カ⸣リバ [pi̥⸢kinu⸣ ɸu⸢ru⸣ saiti ⸢gjuː⸣sa kḁ⸢ka⸣rujuː pḁ⸢ka⸣riba] (竿秤の分銅を下げて、重量がいくらになるか計れよ) 14103 0 0 13888 htmvoc_14103.wav ピキヌミー ピ⸢キヌ⸣ミー [pi̥⸢kinu⸣ miː] 連 竿秤<\ruby{棹秤}{サオ|バカリ}>の目盛り。斤目を表す目盛り。 ピ⸢キヌ⸣ ミー ミリ⸢ミー [pi̥⸢kinu⸣ miː miri⸢miː] (竿秤の目盛りを見てごらんよ)。 ピ⸢キヌ⸣ キター マッ⸢シング⸣ ナシティ ピ⸢キヌ⸣ ミー マ⸢チガーン⸣ヨーニ パ⸢カ⸣リバ [pi̥⸢kinu⸣ ki̥taː maʃ⸢ʃiŋgu⸣ naʃi̥ti pi̥⸢kinu⸣ miː ma⸢ʧigaːɲ⸣joːni pḁ⸢ka⸣riba] (竿秤の竿<桁>を水平<真直ぐに>にして、斤目を間違えないように計りなさいよ) 14174 0 0 13889 htmvoc_14174.wav ピキバ ピ⸢キ⸣バ [pi̥⸢ki⸣ba] 名 退場の時。引き退く時機。「引端」の義。「Fiqifa.ヒキハ(引き端) 陣を引き払う時期、あるいは好い機会」『邦訳日葡辞書』の転訛。琉球古典舞踊の「出羽」、「中踊」、「入羽」の「入羽」に対応する。/ユルヤヒルヤトゥ サカムレニ ウタヤ サミシン トゥンジタチ ※ミチヌ ヌジャヌジャ タティアシバ、(囃子)イヤイーヤー ムカシミルクヌ シルシサミエー ウテーモーテー スディワ スラニティ ウムシルムヌサミ ナマヌ ヒキバヤ ウタユ カワシバ/(夜や昼やの酒盛りに、歌や三線で飛び出して、道のちまた<巷>に踊り立って遊ぼう(※道之能座々立阿春ぶ<道に芸を立てて遊ぶ>)『竹富町史だより』39号20頁。<囃子>さてさて、昔弥勒様の御世の徴候であるよ、歌えや舞えやで、踊衣装の袖を連ねて誠に楽しいものだ。今の引端<入羽>は歌曲を変えよ)『鳩間島古典民謡古謡集』 14175 0 0 13890 htmvoc_14175.wav ピキバカスン ピ⸢キバカスン [pi̥⸢kibakasuŋ] 他動 引き分ける。強引に離す。引き離す。意地悪い語感を有する。ピ⸢キパナスン[pi̥⸢kipanasuŋ](引き離す)ともいう。 ブ⸢ネー⸣ナ ⸢フシゥ⸣カリティ ナ⸢キベー⸣ムバ ピ⸢キバカスンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キバカサラヌ [bu⸢neː⸣na ⸢ɸusï̥⸣kariti na⸢kibeː⸣muba pi̥⸢kibakasunti sundu⸣ pi̥⸢kibakasaranu] (母親にしがみついて泣いているのを、引き離そうとするが、引き離されない)。 ピ⸢キバカシ⸣ ミサカー ピ⸢キバカス⸣ クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ キ⸢ムイ⸣ツァー⸢ツォー [pi̥⸢kipanaʃi⸣ misakaː pi̥⸢kipanasu⸣ ku̥toː na⸢run⸣du ki⸢mui⸣ʦaː⸢ʦoː] (引き離して良ければ引き離すことは出来るが、ふびん<不憫>なんだよ)。 ⸢ウッ⸣ツァー フ⸢ターロー⸣ ピ⸢キバカセー⸣ ミサムヌ [⸢ʔu⸣ʦaː ɸu̥⸢taːroː⸣ pi̥⸢kibakaʃeː⸣ misamunu] (彼ら二人は引き離せば良いのに)。 ウ⸢ヤッ⸣ふァ ピ⸢キバカシ⸣バ [ʔu⸢jaf⸣fa pi̥⸢kibakaʃi⸣ba] (親子を引き離しなさいよ) 14176 0 0 13891 htmvoc_14176.wav ピキパガスン ピ⸢キパガ⸣スン [pi̥⸢kipaga⸣suŋ] 他動 引き剥がす。引っ剥がす。無理に剥す。⸢ピッパガ⸣スン[⸢pippaga⸣suŋ](引っ剥がす)ともいう。⸢ピッパガ⸣スン[⸢pippaga⸣suŋ]は、ぞんざいな表現。 ⸣ヤドゥナー パ⸢リ⸣シケー カ⸢ビ⸣ ピ⸢キパガ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ピ⸢キパガサラ⸣ヌ [⸣jaduna pa⸢ri⸣ʃi̥keː ka⸢bi⸣ pi̥⸢kipaga⸣sunti ⸢sundu⸣ pi̥⸢kipagasara⸣nu] (戸に貼りつけてある紙を引き剥がそうとするが、引き剥がされない) 14177 0 0 13892 htmvoc_14177.wav ビキパシナー ビ⸢キパシナー [bi⸢kipaʃinaː] 名 (動)魚の名。和名、スミツキエビス(体長15~20センチ)。体色は薄い朱色。鰓の部分から尾びれにかけて細く白い縞が数本走る。目が大きく、腹部から下にかけて白みがかった上品な魚。パシナーの雄 14178 0 0 13893 htmvoc_14178.wav ビキパナ ビ⸢キパナ [bi⸢kipana] 名 (植)おばな(雄花)。雄しべがあって雌しべがない花。⸢ミー⸣パナ[⸢miː⸣pana](雌花)の対義語。 ビ⸢キパナ⸣ナー ⸣ナロー ナ⸢ラ⸣ヌ [bi⸢kipana⸣naː ⸣naroː na⸢ra⸣nu] (雄花には実はならない) 14179 0 0 13894 htmvoc_14179.wav ピキパナスン ピ⸢キパナ⸣スン [pi̥⸢kipana⸣suŋ] 他動 引き離す。 シ⸢ビシゥカリ ベー⸣ムヌ ピ⸢キパナスンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キパナサラヌ [ʃi⸢bisï̥kari beː⸣munu pi̥⸢kipanasunti sundu⸣ pi̥⸢kipanasaranu] (くっついている物を引き離そうとするが、引き離されない)。 ピ⸢キパナシ⸣ミサカー ピキパナス⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kipanaʃi⸣ misakaː pi̥⸢kipanasu⸣ ku̥toː naruŋ] (引き離してよければ引き離すことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キパナシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kipanaʃeː⸣ misamunu] (もっと引き離せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キパナシ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kipanaʃi] (早く引き離せ) 14180 0 1 13895 htmvoc_14180.wav ピキフチル ピ⸢キフチル [pi̥⸢kiɸuʧiru] 名 塗り薬。「引き薬」の転訛。ピ⸢クン[pi̥⸢kuŋ]({Mn_1}引く{EOS} 14180 0 2 13896 htmvoc_14180.wav ピキフチル ピ⸢キフチル [pi̥⸢kiɸuʧiru] 名 {Mn_2}塗る)の意味がある。シ⸢キフチ⸣ル[ʃi̥⸢kiɸuʧi⸣ru](付け薬{EOS}塗り薬)、⸢ヌーリフチル[⸢nuːriɸuʧiru](塗り薬)ともいう。ヌ⸢ミフチ⸣ル[nu⸢miɸuʧi⸣ru](飲み薬)の対義語。 ピ⸢キフチルトゥ⸣ ヌ⸢ミフチ⸣ロー ⸣クティ ⸣ナシ シ⸢キ⸣リバ [pi̥⸢kiɸuʧirutu⸣ nu⸢miɸuʧi⸣roː ⸣ku̥ti ⸣naʃi ʃi̥⸢ki⸣riba] (塗り薬<引き薬>と飲み薬は別々<異>になしておきなさいよ) 14183 0 0 13897 htmvoc_14183.wav ピキマーサー ピ⸢キマー⸣サー [pi̥⸢kimaː⸣saː] 名 腰巻。ク⸢シマキ[ku⸢ʃimaki](腰巻)ともいう。 ブ⸢ドゥル ソー⸣ル ⸣ピンドゥ ピ⸢キマー⸣サー キ⸢ソーッ⸣タ⸢ナー [bu⸢duru soː⸣ru ⸣pindu pi̥⸢kimaː⸣saː ki̥⸢soːt⸣ta⸢naː] (踊をされる時に<ぞ>腰巻は着られたねえ)。フ⸢タイツァカカン[ɸu̥⸢taiʦakakaŋ]ともいう 14181 0 0 13898 htmvoc_14181.wav ピキマーシ ピ⸢キマーシ [pi̥⸢kimaːʃi] 名 引き合わせ。神慮による幸せとのめぐり合わせ。「引き回し」の義。 マ⸢ブローマ⸣ヌ ア⸢サビマーリ シー アー⸣クカー ピ⸢キマーシ⸣ カ⸢ルイマー⸣シ ⸢サーリオー⸣リ [ma⸢buroːma⸣nu ʔa⸢sabimaːri ʃiː ʔaː⸣kukaː pi̥⸢kimaːʃi⸣ ka⸢ruimaː⸣ʃi ⸢saːriʔoː⸣ri] (マブル<魂{EOS}游離魂>が遊び回っていたら、神様のお力で引き回し、背負いまわしてお連れ下さい) 14182 0 1 13899 htmvoc_14182.wav ピキマースン ピ⸢キマースン [pi̥⸢kimaːsuŋ] 他動 {Mn_1}引き回す。 ウ⸢マー⸣ カマー ピ⸢キマースンティ アー⸣クンケン ⸢ピンギラ⸣リ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢maː⸣ kamaː pi̥⸢kimaːsunti ʔaː⸣kuŋkem ⸢piŋgira⸣ri ⸢naː⸣nu] (あっちへこっちへと<挨拶に>引き回そうとしているうちに逃げられてしまった)。 ⸣ウシェー ⸢タンガ⸣シン ピ⸢キマーサリン [⸣ʔuʃeː ⸢taŋga⸣ʃim pi̥⸢kimaːsariŋ] (挽き臼は一人でも引き回される)。 ピ⸢キマーシ⸣ ミサカー ⸢タンガ⸣シン ピ⸢キマース⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kimaːʃi⸣ misakaː ⸢taŋga⸣ʃim pi̥⸢kimaːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き回して良ければ、一人でも引き回すことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キマーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kimaːʃeː⸣ misamunu] (もっと引き回せば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キマーシ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kimaːʃi] (早く引き回せ)。 14182 0 2 13900 htmvoc_14182.wav ピキマースン ピ⸢キマースン [pi̥⸢kimaːsuŋ] 他動 {Mn_2}引き合わせる。 ⸣ウヤパープジトゥ ⸢カンヌマイ⸣ヌ ピ⸢キマーシ⸣シ カフー タ⸢ボー⸣レール⸢ナー [⸣ʔujapaːpuʤitu ⸢kannumai⸣nu pi̥⸢kimaːʃi⸣ʃi kaɸuː ta⸢boː⸣reːru⸢naː] (ご先祖様と神様が引き合わされて<引き回されて>、幸運<果報>を賜ったのだろうねえ) 14184 0 0 13901 htmvoc_14184.wav ピキミジ ピ⸢キミジ [pi̥⸢kimiʤi] 名 流水。流れ水。 ⸢カーラヌ⸣ ピ⸢キミジヌ⸣ サ⸢リルン⸣ケン ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホー⸣ン ⸢ペーレー⸣ティン ⸢アッ⸣タンツォー [⸢kaːranu⸣ pi̥⸢kimiʤinu⸣ sa⸢riruŋ⸣keŋ ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoː⸣m ⸢peːreː⸣tiŋ ⸢ʔat⸣tanʦoː] (川の流水が枯れるほどの旱魃というのもあったそうだ) 14185 0 0 13902 htmvoc_14185.wav ビキミドゥム ビ⸢キミドゥム [bi⸢kimidumu] 名 男みたいな女。「おとこおんな(男女)」の義。ビ⸢キドー[bi⸢kidoː](男のような女)ともいう。女でありながら男の性徴を有する人。⸢ミー⸣ドー[⸢miː⸣doː](女のような男、男でありながら女のような性徴を有する人)の対義語。 ウ⸢レー⸣ ビ⸢キミドゥム⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ドゥー ム⸢ティ ユーサ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ bi⸢kimidumu⸣ ja⸢runda⸣ duː mu⸢tijuːsa⸣nu] (あれ<彼女>は男みたいな女だから結婚できない) 14186 0 0 13903 htmvoc_14186.wav ビキミナ ビ⸢キミナ [bi⸢kimina] 名 (動)高瀬貝(サラサバテイラ<更紗馬蹄螺>)。直径約6センチ、高さ約8センチの円錐形の雄貝。⸢ミー⸣ミナ[⸢miː⸣mina](広瀬貝{EOS}雌貝)と対で干瀬のサンゴ礁の間に棲息している。貝ボタンの原料として終戦後まで輸出されていたが、プラスチック製品の出現により、輸出されなくなった。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー ⸣ピーナ イ⸢ソーシン ギーティ⸣ ビ⸢キミナン ミー⸣ミナン プ⸢サイ キー⸣シタ [⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ⸣piːna ʔi⸢soː ʃiŋ giːti⸣ bi⸢kiminam miː⸣minam pu̥⸢sai kiː⸣ʃi̥ta] (潮が引くと干瀬へ潮干狩りに行って、高瀬貝も広瀬貝も拾ってきた) 14187 0 0 13904 htmvoc_14187.wav ピキムタイルン ピ⸢キムタイ⸣ルン [pi̥⸢kimutai⸣ruŋ] 他動 力強く持ち上げる。一気に引き上げる。持ち上げる。「引き持ち上げる」の義。 ル⸢クトゥダー⸣ラ ピ⸢キムタイルンティ スンドゥ⸣ ピ⸢キムタイララヌ [ru⸢kutudaː⸣ra pi̥⸢kimutairunti sundu⸣ pi̥⸢kimutairaranu] (六斗俵を持ち上げようとするが持ち上げられない)。 ピ⸢キムタイ⸣ ミサカー ピ⸢キムタイル⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kimutai⸣ misakaː pi̥⸢kimutairu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (強く持ち上げて良ければ、持ち上げることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キムタイレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kimutaireː⸣ misamunu] (もっと引き上げれば良いのに)。 ⸣クマンターラ ピ⸢キムタイリ [⸣kumantaːra pi̥⸢kimutairi] (ここの方から持ち上げろ) 14188 0 0 13905 htmvoc_14188.wav ピキムタウン ピ⸢キムタウン [pi̥⸢kimutauŋ] 他動 力強く上へ持ち上げる。引き上げる。一気に持ち上げる。「引き・もたぐ<擡ぐ>下二段活用」の四段活用化したもの。「かしら擡げて~」『竹取物語』の義。⸣ムティ・⸢アウン[⸣muti-⸢ʔauŋ](持ち・上ぐ)の融合同化した合成語。「Motague,uru,eta. モタゲ、グル、ゲタ(擡げ、ぐる、げた)持ち上げる.例、Axiuo motageru.(足を擡げる)」『邦訳日葡辞書』の転訛か。 ⸢タンガ⸣シ ⸢ター⸣ラ ピ⸢キムタウンティ スンドゥ グッふァ⸣ヌ ピ⸢キムターラヌ [⸢taŋga⸣ʃi ⸢taː⸣ra pi̥⸢kimutaunti sundu guf⸣fanu pi̥⸢kimutaːranu] (一人で俵を持ち上げようとするが、重くて持ち上げられない)。 ピ⸢キムタイヤン [pi̥⸢kimutaijaŋ] (強く持ち上げた)。 ピ⸢キムタイ⸣ ミサカー ピ⸢キムタウ⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kimutai⸣ misakaː pi̥⸢kimutau⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き持ち上げて良ければ、引き持ち上げることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キムタイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kimutaijaː⸣ misamunu] (もっと引き持ち上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キムタイ⸣バ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kimutai⸣ba] (早く強く引き持ち上げよ)。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ムヌ ピ⸢キムタイ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu ⸣munu pi̥⸢kimutai⸣ pari ⸢naː⸣nu] (あれだけの物を引っ担いで<引き持ち上げて>行ってしまった) 14189 0 0 13906 htmvoc_14189.wav ピキムチ ピ⸢キムチ [pi̥⸢kimuʧi] 名 挽き餅。\ruby{糯米}{モチ|ゴメ}を一晩水に浸けて水切りをし、石臼で水挽きした液体をメリケン袋に入れ、水を切って得た澱粉を成形して芭蕉(バサ)や月桃(サミ)の葉で包み、蒸して作った餅。 パ⸢トゥ⸣マプソー ピ⸢キムチル⸣ ス⸢ク⸣ローッタル シ⸢キ⸣ムチェー ス⸢ク⸣ロー ⸢ラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː pi̥⸢kimuʧiru⸣ su̥⸢ku⸣roːttaru ʃi̥⸢ki⸣muʧeː su̥⸢ku⸣roː ⸢raŋ⸣ʃeŋ] (鳩間の人は、挽き餅を<ぞ>造られたのであって、搗き餅は造られなかった) 14190 0 0 13907 htmvoc_14190.wav ビキムヌ ビ⸢キムヌ [bi⸢kimunu] 名 動物の雄。ぞんざいな表現では、ビ⸢キムー[bi⸢kimuː](雄の動物)。⸢ミー⸣ムヌ[⸢miː⸣munu](動物の雌)の対義語。 ビ⸢キオー [bi⸢kiʔoː] (雄豚)。 ビ⸢キウシ [⸢miː⸣ʔuʃi] (雄牛)。 ビ⸢キマヤ [bi⸢kimaja] (雄猫)。 ビ⸢キドゥル [bi⸢kiduru] (雄鶏)。 ビ⸢キムヌバ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシティ カーシ⸣バ [bi⸢kimunuba⸣ sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃiti kaːʃi⸣ba] (雄の動物<豚や牛>を肥育し<養い成長させ>て売れよ) 14191 0 0 13908 htmvoc_14191.wav ピキムヌ ピ⸢キムヌ [pi̥⸢kimunu] 名 ひきもの(挽き物)。 ⸢シームヌバンマー⸣ ピ⸢キムヌ⸣ナー ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァーシティル⸣ ス⸢ク⸣ルティ⸢ダー [⸢ʃiːmunubammaː⸣ pi̥⸢kimunu⸣naː ⸢nuː⸣ru f⸢faːʃitiru⸣ su̥⸢ku⸣ruti⸢daː] (吸い物椀は挽き物に漆を塗って<糊を食わして>作るのだそうだよ) 14192 0 0 13909 htmvoc_14192.wav ピキムヌヤー ピ⸢キムヌヤー [pi̥⸢kimunujaː] 名 挽き物屋。ギ⸢リギリ⸣ヤー[gi⸢rigiri⸣jaː](挽き物屋)ともいう。鳩間島にはなかった。石垣島には挽き物屋があり、祝儀用、不祝儀用の吸い物椀を注文して製作してもらっていた。 ピ⸢キムヌヤーヤ⸣ イ⸢サナキナー⸣ル ⸢アッタ⸣ル パ⸢トゥ⸣マナー⸢ナーン⸣シェン [pi̥⸢kimunujaːja⸣ ʔi⸢sanakinaː⸣ru ⸢ʔatta⸣ru pḁ⸢tu⸣manaː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (引き物屋は石垣島にぞあった{EOS}鳩間にはなかった) 14193 0 0 13910 htmvoc_14193.wav ピキヤドゥ ピ⸢キヤドゥ [pi̥⸢kijadu] 名 引き戸。遣り戸。敷居と鴨居の溝に戸を立てて左右に走らせて開閉する戸。⸢マーシヤドゥ[⸢maːʃijadu](開き戸{EOS}まいど<舞戸>)の対義語。 ピ⸢キヤドー⸣ シ⸢ギイツァヌ サンブ⸣イツァシル ⸢パイヨーッ⸣タ [pi̥⸢kijadoː⸣ ʃi⸢giʔiʦanu sambu⸣ʔiʦaʃiru paijoːt⸣ta] (引き戸は杉板の三分板で<ぞ>\ruby{接}{ハ}いで作られた) 14194 0 0 13911 htmvoc_14194.wav ピキヤルン ピ⸢キヤルン [pi̥⸢kijaruŋ] 他動 引き破る。ピ⸢キヤブルン[pi̥⸢kijaburuŋ]ともいう。 ⸢ワー アッ⸣タル カ⸢ビバ⸣ ピ⸢キヤルンティ スヌ⸣ ピ⸢キヤラン⸣ドーシ タ⸢ブイ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢waː ʔat⸣taru ka⸢biba⸣ pi̥⸢kijarunti sunu⸣ pi̥⸢kijaran⸣doːʃi ta⸢bui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (君は惜しくも<あたら、可惜>紙を引き破ろうとするが、引き破らないで貯えておきなさい)。 ピ⸢キヤリ⸣ ミサカー ピ⸢キヤル⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kijari⸣ misakaː pi̥⸢kijaru⸣ ku̥oː ⸣naruŋ] (引き破ってよければ、引き破ることは出来る)。 ッ⸢ふ⸣ カベー ピ⸢キヤレー⸣ ミサムヌ [f⸢fu⸣kabeː pi̥⸢kijareː⸣ misamunu] (古紙は引き破ればいいのに)。 ピ⸢キヤリ [pi̥⸢kijari] (引き破れ) 14195 0 0 13912 htmvoc_14195.wav ピキユーシルン ピ⸢キユーシルン [pi̥⸢kijuːʃiruŋ] 他動 引き寄せる。寄せ集める。 シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣シナー ピ⸢キユーシルンティ スンドゥ タンガ⸣シェー ピ⸢キユーシララヌ [ʃi⸢napiki⸣nu ⸣ʃinaː pi̥⸢kijuːʃirunti sundu taŋga⸣ʃeː pi̥⸢kijuːʃiraranu] (綱引きの綱を引き寄せようとするが、一人では引き寄せられない)。 マ⸢ナ⸣マ ピ⸢キユーシ⸣ ミサカー ピ⸢キユーシル⸣ クトー ⸣ナルン [ma⸢na⸣ma pi̥⸢kijuːʃi⸣misakaː pi̥⸢kijuːʃiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (今、引き寄せてよければ、引き寄せることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キユーシレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kijuːʃireː⸣ misamunu] (もっと引き寄せればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢キユーシリ [⸢paː⸣ku pi̥⸢kijuːʃiri] (早く引き寄せろ) 14196 0 0 13913 htmvoc_14196.wav ピキユースン ピ⸢キユースン [pi̥⸢kijuːsuŋ] 他動 引き寄せる。寄せ集める。 フ⸢タール⸣シ フ⸢ニ⸣バ ピ⸢キユースンティ スンドゥ⸣ カ⸢ジヌ スーワ⸣ヌ ピ⸢キユーサラヌ [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸣ɸuni pi̥⸢kijuːsunti sundu⸣ ka⸢ʤinu suːwa⸣nu pi̥⸢kijuːsaranu] (二人で船を引き寄せようとするが、風が強くて引き寄せられない)。 ピ⸢キユーシ⸣ ミサカー ピ⸢キユース⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢kijuːʃi⸣ misakaː pi̥⸢kijuːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き寄せてよければ、引き寄せることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢キユーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢kijuːʃeː⸣ misamunu] (もっと引き寄せればいいのに)。 ⸣クマンター ピ⸢キユーシ⸣バ [⸣kumantaː pi̥⸢kijuːʃi⸣ba] (こちら側へ引き寄せよ) 14197 0 0 13914 htmvoc_14197.wav ビキル ビ⸢キル [bi⸢kiru] 名 姉妹からいう兄弟。ブ⸢ナル[bu⸢naru](兄弟からいう姉妹)の対義語。オモロ原注に「女ノ男兄弟を云う也」(14巻998)とある。多くの場合、シ⸢ザビキ⸣ル[ʃi⸢ʣabiki⸣ru](年上の男兄弟)、⸢ウシトゥビキ⸣ル[⸢ʔuʃi̥tubiki⸣ru](年下の兄弟)がいる。 ビ⸢キルヌ⸣ ドゥーパダニンガイヤー ブ⸢ナルヌ⸣ ス⸢クブン ヤッタ [bi⸢kirunu⸣ duːpadaniŋgaijaː bu⸢narunu⸣ su̥⸢kubuɲ jatta] (兄弟の健康祈願の神願いは姉妹の務め<職分>であった) 14198 0 0 13915 htmvoc_14198.wav ビキレ ビ⸢キ⸣レ [bi⸢ki⸣re] 名 (動)とかげ(蜥蜴)の総称。きのぼりとかげ。鳩間島には体長約30センチに成長する巨大トカゲも生息している。口碑によると、これが海中に下りて、カ⸢タカシ[kḁ⸢takaʃi](みなみひめじ)になると伝えられている。 ウ⸢ブビキレー⸣ヤ ス⸢ナ⸣カー ⸣ウリティ カ⸢タカシ⸣ ナルティ ア⸢ザリ ブー [ʔu⸢bubikireː⸣ja su⸢na⸣kaː ⸣ʔuriti ka⸢taka⸣ʃi ⸣naruti ʔa⸢ʣari buː] (大型のトカゲが海に下りてミナミヒメジという魚になるといわれている) 14201 0 0 13916 htmvoc_14201.wav ピキンザスン ピ⸢キンザ⸣スン [pi̥⸢kiʔnʣa⸣suŋ] 他動 引き出す。引っ張り出す。ピ⸢キザスン[pi̥⸢kiʣasuŋ](引き出す)ともいう。 ヤ⸢ナ⸣ムヌ ピ⸢キンザスンティ⸣ ウムーカ ピ⸢キンザス⸣ クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ク⸢リ⸣シェー ピ⸢キンザサラヌ [ja⸢na⸣munu pi̥⸢kiʔnʣasunti⸣ ʔumuːka pi̥⸢kiʔnʣasu⸣ ku̥toː na⸢run⸣du ku⸢ri⸣ʃeː pi̥⸢kiʔnʣasaranu] (魔物を引っ張り出そうと思えば引っ張り出すことは出来るが、これでは引っ張り出されない)。 ピ⸢キンザシ ッふィーリ [pi̥⸢kiʔnʣaʃi ffiːri] (引っ張り出してくれ)。 ピ⸢キンザシェー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢kiʔnʣaʃeː⸣ misamunu] (引っ張り出せばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ピ⸢キンザシ [jaː⸢dim⸣ pi̥⸢kiʔnʣaʃi] (必ず引っ張り出せ) 14202 0 0 13917 htmvoc_14202.wav ビキンマ ビ⸢キンマ [bi⸢kiʔmma] 名 (動)おうま(牡馬)。⸢ミーン⸣マ[⸢miːʔm⸣ma](雌馬)の対義語。 ビ⸢キンマバ カイティ⸣ バ⸢シャ⸣ ピ⸢カシ [bi⸢kiʔmmaba kaiti⸣ ba⸢ʃa⸣ pi̥⸢kaʃi] (牡馬を買って馬車を牽かせ) 14203 0 0 13918 htmvoc_14203.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 他動 \ruby{籾摺}{モミ|スリ}をする。粉を挽く(碾く)。 ム⸢チマイ⸣ フ⸢クラシティ⸣ クー ピ⸢キティ プール⸣ムチ ス⸢ク⸣リバ [mu⸢ʧimai⸣ ɸu̥⸢kuraʃiti⸣ kuː pi̥⸢kiti puːru⸣muʧi su̥⸢ku⸣riba] (\ruby{糯米}{モチ|ゴメ}を水に浸けてふやかし、粉を挽いて豊年祭の餅を作りなさいよ)。 ⸢クー⸣ヤ ピ⸢カヌ [⸢kuː⸣ja pi̥⸢kanu] (粉は<を>挽かない)。 ⸣クー ピ⸢ク⸣ プソー フ⸢タール⸣シ ピ⸢キ⸣バ [⸣kuː pi̥⸢ku⸣ pu̥soː ɸu̥⸢taːru⸣ʃi pi̥⸢ki⸣ba] (粉を挽く時は二人で挽きなさい)。 ⸢バン⸣ヌン ⸣クー ピ⸢クンダ ワンヌン⸣ ピ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸢ban⸣nuŋ ⸣kuː pi̥⸢kunda wannum⸣ pi̥⸢keː⸣ misamunu] (私も粉を挽くから、君も挽けばいいのに)。 ⸢キュー⸣ヤ ヤー⸢ディン⸣ クー ピ⸢キ [⸢kjuː⸣ja jaː⸢diŋ⸣ kuː pi̥⸢ki] (今日は必ず粉を挽け) 14204 0 1 13919 htmvoc_14204.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_1}引く。草などを引き抜く。間引きする。 イ⸢ジヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣ティー ピ⸢キ ティー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー イ⸢ジ⸣ ピ⸢キ⸣ティ ナ⸢ラー⸣ソーッタル [ʔi⸢ʤinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣tiː pi̥⸢ki tiː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ʔi⸢ʤi⸣ pi̥⸢ki⸣ti na⸢raː⸣soːttaru] (「意地が出たら手を引け、手が出たら意地を引け」と教えられた)。 ⸣ッサ ピ⸢クンティ スンドゥ⸣ ピ⸢カラヌ [⸣ssa pi̥⸢kunti sundu⸣ pi̥⸢karanu] (草を引き抜こうとするが、引き抜かれない)。 ピ⸢キ⸣ ミサカー ピ⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢ki⸣ misakaː pi̥⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引き抜いてよければ、引き抜くことは出来る)。 ⸢フータイ⸣ ピ⸢キティ ギュー⸣サ カ⸢カル⸣ワ [⸢ɸuːtai⸣ pi̥⸢kiti gjuː⸣sa kḁ⸢karu⸣wa] (\ruby{風袋}{フウ|タイ}を引いて重さはどれほどになるか)。 ⸣ッサー ピ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣ssaː pi̥⸢keː⸣ misamunu] (草は引き抜けばいいのに)。 ⸣ッサー ムー⸢ル⸣ ピ⸢キ [⸣ssaː muː⸢ru⸣ pi̥⸢ki] (草は全部引き抜け<引け>)。 14204 0 2 13920 htmvoc_14204.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_2}水や血が流れる。 ⸢シーバ⸣ ピ⸢ケー⸣ティ ⸢アーク⸣ヌ ⸢ヌー⸣シタカヤー [⸢ʃiːba⸣ pi̥⸢keː⸣ti ⸢ʔaːku⸣nu ⸢nuː⸣ʃi̥takajaː] (血を流しているがどうしたのかなあ)。 ユ⸢ダル⸣ ピ⸢クン [ju⸢daru⸣ pi̥⸢kuŋ] (涎をひく<垂らす>)。 14204 0 3 13921 htmvoc_14204.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_3}引退する。退職する。卒業する。引き下がる。 ヤ⸢ク⸣バ ピ⸢ケーン⸣ツォー [ja⸢ku⸣ba pi̥⸢keːn⸣ʦoː] (役場を退職したそうだ)。 14204 0 4 13922 htmvoc_14204.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_4}蚊張を吊る。 ガ⸢ザン⸣ヌ ⸢ブンダ⸣ カ⸢ツァ⸣ ピ⸢キティ⸣ ニ⸢バシ [ga⸢ʣan⸣nu ⸢bunda⸣ kḁ⸢ʦa⸣ pi̥⸢kiti⸣ ni⸢baʃi] (蚊がいるので蚊張を吊って寝かせなさい)。 14204 0 5 13923 htmvoc_14204.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_5}血筋をひく。血統をひく。 ⸢ウン⸣ネートー ⸢シー⸣ ピ⸢キ ブー [⸢ʔun⸣neːtoː ⸢ʃiː⸣ pi̥⸢ki buː] (あの家とは血筋を引いている<同じ血統である>)。 14204 0 6 13924 htmvoc_14204.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 他動 {Mn_6}腫物が引く。 ア⸢シブ⸣ヌ パ⸢レー⸣ ピ⸢ケー⸣ン [ʔa⸢ʃibu⸣nu pa⸢reː⸣ pi̥⸢keː⸣ŋ] (おできの腫れは引いた) 14205 0 0 13925 htmvoc_14205.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 自動 引きつる。\ruby{痙攣}{ケイ|レン}する。筋などが引きつる。普通は、ガ⸢ラ⸣サマール ⸢スン[ga⸢ra⸣samaːru ⸢suŋ](痙攣する)という。 シ⸢ル⸣ ピ⸢クン [ʃi⸢ru⸣ pi̥⸢kuŋ] (筋が引きつる<痙攣する>)。 ニ⸢チ⸣ヌ ア⸢ガリティ⸣ シ⸢ル ピキ ベー [ni⸢ʧi⸣nu ʔa⸢gariti⸣ ʃi⸢ru⸣ pi̥⸢ki beː] (熱が脳に上がって引きつって<痙攣して>いる)。 シ⸢ロー⸣ ピ⸢カンティ⸣ ウ⸢ムー⸣ヌ シ⸢ル⸣ ピ⸢ク⸣ ピンマー ⸣ニチ サ⸢マ⸣シ [ʃi⸢roː⸣ pi̥⸢kanti⸣ ʔu⸢muː⸣nu ʃi⸢ru⸣ pi̥⸢ku⸣ pimmaː ⸣niʧi sa⸢ma⸣ʃi] (引きつらない<痙攣しない>と思うが、引きつる<痙攣する>時は熱を冷ましなさい)。 シ⸢ル⸣ ピ⸢ケー⸣ラー ⸢ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢ru⸣ pi̥⸢keː⸣raː ⸢joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (引きつったら<痙攣したら>養生<手当て>できない) 14206 0 0 13926 htmvoc_14206.wav ピクン ピ⸢クン [pi̥⸢kuŋ] 他動 弾く。弾奏する。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢クンティ スンドゥ バン⸣マー ピ⸢カラヌ [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kunti sundu bam⸣mamaː pi̥⸢karanu] (三線を弾こうとするが、私には弾かれない)。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢キ⸣ ミサカー ピ⸢ク⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤー ピ⸢ケー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢ki⸣ misakaː pi̥⸢ku⸣ ku̥toː na⸢run⸣du ⸢kjuː⸣ja pi̥⸢keː⸣ na⸢ra⸣nu] (三線を弾いてよければ弾くことは出来るが、今日は弾いてはならない)。 ⸢ワンヌン⸣ ピ⸢ケー⸣ ミサムン [⸢wannum⸣ pi̥⸢keː⸣ misamunu] (君も弾けばいいのに)。 ⸢キュー⸣ヤ ヤー⸢ディン⸣ ピ⸢キ [⸢kjuː⸣ja jaː⸢dim⸣ pi̥⸢ki] (今日は必ず弾け) 14207 0 0 13927 htmvoc_14207.wav ピグン ⸣ピグン [⸣piguŋ] 他動 削る。へぐ(\ruby{剥}{ヘ}ぐ{EOS}\ruby{折}{ヘ}ぐ)。薄く削り取る。「~御髪<ぐし>の少し削がれたる~」『源氏物語<明石>』。「Fegui, u, eida. ヘギ、グ、イダ(剥ぎ、ぐ、いだ)密着しているものを剥がす、~Itauo fegu(板を剥ぐ)~」『邦訳日葡辞書』の転訛。 カ⸢ツブシ⸣ ピグンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ク⸢ヌ シー⸣グシェー ピ⸢ガラ⸣ヌ [kḁ⸢ʦubuʃi⸣ pigunti ⸢beːn⸣du ku⸢nu ʃiː⸣guʃeː pi⸢gara⸣nu] (鰹節を削ろう<剥ごう>としているが、この小刀<⸢鉏具、サイグ」の義か>では削られない)。 ⸣バー ⸣ピギ ⸣ミサカー ⸣ピグ ⸣クトー ⸣ナルン [⸣baː ⸣pigi ⸣misakaː ⸣pigu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (私が削ってよければ、削ることはできる)。 ク⸢リ⸣シ ⸣ピゲー ⸣ミサムヌ [ku⸢ri⸣ʃi ⸣pigeː ⸣misamunu] (これで削ればいいのに)。 ク⸢ヌ シー⸣グシ ⸣ピギ [ku⸢nu ʃiː⸣guʃi ⸣pigi] (この小刀<⸢鉏具、サイグ」の義か>で削れ<剥げ>) 14208 0 0 13928 htmvoc_14208.wav ビケー ビ⸢ケー [bi⸢keː] 名 父親。父親の名称。ア⸢チャー[ʔa⸢ʧaː](お父さん{EOS!})、アー⸢ヤー[ʔaː⸢jaː](お父さん{EOS!})は名称、呼称にも用いる。ビ⸢ケーヌ⸣ウヤ[bi⸢keː⸣nuʔuja](父親)ともいう。 ビ⸢ケーヤ パイ⸣ター ⸢ター カイ⸣シン ⸢オーッ⸣タ [bi⸢keːja pai⸣taː ⸢taː kai⸣ʃiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (父親は西表島<南端>へ田圃を耕しに行かれた) 14210 0 0 13929 htmvoc_14210.wav ビケーカタ ビ⸢ケーカタ [bi⸢keːkata] 名 父方。⸢父親方」の義。bikirikata(ゑけりかた)→ [bikirjaːkata] → [bikeːkata] と転訛したものであろう。ブ⸢ネーカタ[bu⸢neːkata](母親方)の対義語。シ⸢ジ⸣カタ[si⸢ʤi⸣kata](血筋の方)、サ⸢ニ⸣カタ[sa⸢ni⸣kata](種方)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ビ⸢ケーカタマリバ シーブー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ bi⸢keːkatamariba ʃiːbuː] (この子は父方の遺伝子を多く受けて、父親似の生まれ方<父方生まれ>をしている) 14209 0 0 13930 htmvoc_14209.wav ビケーヌウヤ ビ⸢ケーヌ⸣ウヤ [bi⸢keːnu⸣ʔuja] 名 父親。親族名称。 ビ⸢ケーヌ⸣ウヤー ⸢パイ⸣サナー ⸢マーラシ ナー⸣ヌ [bi⸢keːnu⸣ʔujaː ⸢pai⸣sanaː ⸢maːraʃi naː⸣nu] (父親は早くに亡くなられてしまった) 14211 0 0 13931 htmvoc_14211.wav ピコーン ピ⸢コー⸣ン [pi̥⸢koː⸣ŋ] 形 低い。 ⸣タケー ピ⸢コー⸣ンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ピ⸢コー ナー⸣ヌ [⸣tḁkeː pi̥⸢koːn⸣ti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː pi̥⸢koː naː⸣nu] (身長<丈>は低いと聞いたが、あまり低くない)。 ⸣ドゥク ピ⸢コー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [⸣duku pi̥⸢koː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (あまりにも低くて使えない)。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ⸢シンダイ⸣ ピ⸢コー⸣ ナルン [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ⸢ʃindai⸣ pi̥⸢koː⸣ naruŋ] (年をとったら次第に低くなる)。 ピ⸢コー⸣ プ⸢ソー ピー⸣タイ ⸢トゥーラン⸣シェン [pi̥⸢koː⸣ pu̥⸢soː piː⸣tai ⸢tuːraŋ⸣ʃeŋ] (低い人は兵役検査<兵隊>に通らなかった)。 ⸢クイ⸣ヌ ピ⸢コー⸣カー ノー⸢ン⸣ シゥ⸢カラヌ [⸢kui⸣nu pi̥⸢koː⸣kaː noː⸢n⸣ si̥⸢karanu] (声が低かったら何も聞こえない) 14212 0 0 13932 htmvoc_14212.wav ビコーンッふァ ビ⸢コーンッふァ [bi⸢koːŋffa] 名 男の子。男児。ミ⸢ドーン⸣ッふァ[mi⸢doːŋ⸣ffa](女の子)の対義語。 ビ⸢コーンッふァヌ⸣ マ⸢レー⸣ン [bi⸢koːŋffanu⸣ ma⸢reː⸣ŋ] (男の子が生まれた) 14213 1 0 13933 htmvoc_14213.wav ピサ ⸣ピサ [⸣pi̥sa] 名 {PoS_1}足。足首から下の部分。⸢足の平」の義。irV → isVの音韻変化の法則による転訛。 ⸣パンピサ [⸣pampisa] (足平{EOS}⸢\ruby{脛}{ハギ}平」の義)。 ⸢ティー⸣ピサ [⸢tiː⸣pi̥sa] (\ruby{掌}{テノヒラ})。 ア⸢シフン⸣ ピ⸢サ⸣フン ⸢シー クン⸣ゾー ⸣ンジ ⸢バイ⸣ヨー イ⸢ゾーッ⸣タ [ʔa⸢ʃiɸum⸣ pi̥⸢sa⸣ɸuŋ ⸢ʃiː kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤi ⸢bai⸣joː ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (\ruby{地団駄}{ジ|ダン|ダ}踏んで<何度も激しく足を踏みしめて>、怒って私を叱られた)。 14213 2 0 13934 htmvoc_14213.wav ピサ ⸣ピサ [⸣pi̥sa] 助数 {PoS_2}そく(足)。下駄、\ruby{草履}{ゾウ|リ}、足袋などの\ruby{履物}{ハキ|モノ}を数える単位。プ⸢スッ⸣クミ[pu̥⸢suk⸣kumi](一組{EOS}一揃い)ともいう。 ア⸢シ⸣ツァ プ⸢ス⸣ピサ(プ⸢スッ⸣クミ)⸢カイ⸣クー [ʔa⸢ʃi⸣ʦa pu̥⸢su⸣pi̥sa(pu̥⸢suk⸣kumi)⸢kai⸣kuː] (下駄を一足買ってきなさい)。一足の片方を、カ⸢タ⸣パン[kḁ⸢ta⸣paŋ](片足)という。両足揃って、プ⸢ス⸣ピサ[pu̥⸢su⸣pisa](一足)<プ⸢スッ⸣クミ[pu̥⸢suk⸣kumi]>となる。 フ⸢タピサ [ɸu̥⸢tapisa] (2足)。 ⸢ミーピサ [⸢miːpisa] (3足)。 ⸢ユーピサ [⸢juːpisa] (四足)。 イ⸢チ⸣ピサ [ʔi⸢ʧi⸣pisa] (5足) 14214 0 1 13935 htmvoc_14214.wav ピサ ピ⸢サ [pi̥⸢sa] 名 {Mn_1}平たい面。薄くて平らなもの。魚の片身。はんみ(半身)。「ひら(平)」の義。CirV → CisVの音韻変化の法則によるもの。 ピ⸢サイズ [pi̥⸢saʔiʣu] (ひらめ{EOS}<平魚>)。 イ⸢ズヌ⸣ ピ⸢サ⸣ ウ⸢コー⸣シ [ʔi⸢ʣunu⸣ pi̥⸢sa⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi] (魚の片平<片身>を三枚に下ろせ<起こせ>)。 イ⸢ズヌ⸣ カ⸢タ⸣ピサ [ʔi⸢ʣunu⸣ kḁ⸢ta⸣pi̥sa] (魚の片平<片身>)。 14214 0 2 13936 htmvoc_14214.wav ピサ ピ⸢サ [pi̥⸢sa] 名 {Mn_2}屋根の斜面。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢マイ⸣ピサ [⸢jaː⸣nu ⸢mai⸣pisa] (屋根の前の斜面<前平>)。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢シー⸣ピサ [⸢jaː⸣nu ⸢ʃiː⸣pisa] (屋根の後ろの斜面<背平>)。 ⸢アンタヌ ピサ [⸢ʔantanu pisa] (東の斜面<屋根>)。 ⸢アールピサ [⸢ʔaːrupisa] (東屋根{EOS}東斜面)。 ⸢マイ⸣ピサ [⸢mai⸣pisa] (前平{EOS}前屋根)。 ⸢イールピサ [⸢ʔiːrupisa] (西平{EOS}西屋根) 14256 0 0 13937 htmvoc_14256.wav ピザ ⸣ピザ [⸣piʣa] 名 みぎわ(汀)。なぎさ(渚)。「Feta.ヘタ(\ruby{端}{ヘタ}・蔕)海やその他の物の縁・端」『邦訳日葡辞書』の転訛か。「へた(端・辺)」の義。「へた 海の端を云。和詞にもおなし」『おもろ語辞書(混効験集)』とある。 ⸣イダフネーラ ⸢クーラヌ⸣ ピザー ⸢マーリ⸣ フ⸢ノー⸣ラー バ⸢タリ⸣ パリバ [⸣ʔidaɸuneːra ⸢kuːranu⸣ piʣaː ⸢maːri⸣ ɸu⸢noː⸣raː ba⸢tari⸣ pariba] (板船<サバニ>から久浦のみぎわ<汀>を回って船浦へ渡って行きなさい) 14227 0 0 13938 htmvoc_14227.wav ビザーカスン ビ⸢ザーカスン [bi⸢ʣaːkasuŋ] 他動 押し潰す。潰す。ビ⸢ザークン[bi⸢ʣaːkuŋ](潰れる)の未然形に、-スン[-suŋ](~せる{EOS}~させる)が付いて形成された派生動詞で、使役の意味を持つ。 ⸢ウシキ⸣ ビ⸢ザーカスンティ スンドゥ⸣ ビ⸢ザーカサラヌ [⸢ʔuʃi̥ki⸣ bi⸢ʣaːkasunti sundu⸣ bi⸢ʣaːkasaranu] (押し潰そうとするが、押し潰されない)。 ム⸢チェー ウシキティ⸣ ビ⸢ザーカスンティ スンドゥ コー⸣リティ ビ⸢ザーカサラヌ [mu⸢ʧeː ʔuʃi̥kiti⸣ bi⸢ʣaːkasunti sundu koː⸣riti bi⸢ʣaːkasaranu] (餅は押して押しつぶそうとするが、硬くなって押しつぶされない)。 ビ⸢ザーカシ⸣ ミサカー ⸢バン⸣ヌン ビ⸢ザーカス⸣ クトー ⸣ナルン [bi⸢ʣaːkaʃi⸣ misakaː ⸢ban⸣num bi⸢ʣaːkasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (押し潰してよければ、私も押し潰すことはできる)。 ⸢ウシキ⸣ ビ⸢ザーカシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔuʃi̥ki⸣ bi⸢ʣaːkaʃeː⸣ misamunu] (押し潰せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ウシキ⸣ ビ⸢ザーカシ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢ʔuʃi̥ki⸣ bi⸢ʣaːkaʃi⸣ba] (早く押し潰せよ) 14233 0 0 13939 htmvoc_14233.wav ビザーカリン ビ⸢ザーカリン [bi⸢ʣaːkariŋ] 自動 つぶされる。押しつぶされる。ビ⸢ザークン[bi⸢ʣaːkuŋ](潰れる)の未然形に受け身の助動詞リン[riŋ](れる)が付いて形成された受身の派生動詞。 ⸢ウイプス⸣ヌ パ⸢ナシキ スーアタ⸣リ シ⸢ティ⸣ ビ⸢ザーカリ オー⸣ル [⸢ʔuipu̥su⸣nu pa⸢naʃi̥ki suːʔata⸣ri ʃi̥ti bi⸢ʣaːkari ʔoː⸣ru] (年寄が\ruby{酷}{ヒド}い風邪に罹って足腰が立たないほどにつぶされて<打ちのめされて>おられる)。 ビ⸢ザーカラヌ [bi⸢ʣaːkaranu] (つぶされない) 14228 0 0 13940 htmvoc_14228.wav ビザーカルン ビ⸢ザーカルン [bi⸢ʣaːkaruŋ] 自動 べたっと座り込む。へたばって座り込む。へたり込む。尻餅をつく。へたる。 ⸣スブットー シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ビ⸢ザーカルンダー⸣ シゥ⸢カウナ [⸣subuttoː ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ bi⸢ʣaːkarunda⸣ si̥⸢kauna] (怠け者は仕事をしないでへたばってべったりと座り込むから使うな) 14231 0 1 13941 htmvoc_14231.wav ビザークン ビ⸢ザークン [bi⸢ʣaːkuŋ] 自動 {Mn_1}潰れてぺしゃんこになる。押しつぶされて平らになる。潰れて座り込む。「拉、ヒサグ・ヒシグ」『色葉字類抄』の転訛したもの。 ⸢ウスク⸣カー ム⸢チェ⸣ ビ⸢サークンダ⸣ ビ⸢ザーカン⸣ヨーニ ⸣シキバ [⸢ʔusu̥ku⸣kaː mu⸢ʧeː⸣ bi⸢ʣaːkunda⸣ bi⸢ʣaːkaɲ⸣joːni ⸣ʃi̥⸢kiba] (押したら餅は潰れて平たくなる<ペシャンコになる>から、つぶされない<ペシャンコにならない>ように置きなさいよ)。 ビ⸢ザーキ ナー⸣ヌ [bi⸢ʣaːki naː⸣nu] (潰れてしまった)。 ビ⸢ザーク⸣ ム⸢チェー⸣ カ⸢ザルナ [bi⸢ʣaːku⸣ mu⸢ʧeː⸣ ka⸢ʣaruna] (潰れる餅は供えるな)。 14231 0 2 13942 htmvoc_14231.wav ビザークン ビ⸢ザークン [bi⸢ʣaːkuŋ] 自動 {Mn_2}病気で立てなくなる。 ⸣ヤミティ ビ⸢ザーカリ ベー [⸣jamiti bi⸢ʣaːkari beː] (病気で立てなくなっている<ぺしゃんこにされている>) 14235 0 0 13943 htmvoc_14235.wav ピサーピサーシ ピサー⸢ピサー⸣シ [pisaː⸢pisaː⸣ʃi] 副 低く低く。平身低頭して。頭を非常に低くして。 ピサー⸢ピサー⸣シ ⸣グリー ⸢スン [pisaː⸢pisaː⸣ʃi ⸣guriː ⸢suŋ] (頭を非常に低く下げてお辞儀をする)。 ピサー⸢ピサー⸣ グレー ⸢シール⸣ ク⸢トゥ⸣ワキ ⸢ソーッタ [pi̥saː⸢pisaː⸣ gureː ⸢ʃiːru⸣ ku̥⸢tu⸣waki ⸢soːt⸣ta] (平身低頭して<頭を低く下げてお辞儀をして>お詫び<事情を話して詫び、弁解された{EOS}\ruby{事訳}{コト|ワケ}>をされた) 14215 0 0 13944 htmvoc_14215.wav ピサーマスン ピ⸢サーマスン [pi̥⸢saːmasuŋ] 他動 低める。低くする。 ピ⸢サーマスンティ⸣ ア⸢ズンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ピ⸢サーマサンバン [pi̥⸢saːmasunti⸣ ʔa⸢ʣundu⸣ mut⸢tu⸣ pi̥⸢saːmasambaŋ] (低めるというが、ちっとも低めないよ)。 ピ⸢サーマシ⸣ ミサン [pi̥⸢saːmaʃi⸣ misaŋ] (低めても良い)。 ピ⸢サーマス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢saːmasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (低めることは出来ない)。 ン⸢ベーマ⸣ ピ⸢サーマシェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣ pi̥⸢saːmaʃeː⸣ misamunu] (少し低めればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢サーマシ [⸢maː⸣bim pi̥⸢saːmaʃi] (もっと低めろ) 14216 0 0 13945 htmvoc_14216.wav ピサームン ピ⸢サームン [pi̥⸢saːmuŋ] 自動 低くなる。平たくなる。 シ⸢ティ⸣ シ⸢キ⸣ルカー ⸢ナンク⸣ル ピ⸢サームン [ʃi̥⸢ti⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ⸢naŋku⸣ru pi⸢saːmuŋ] (ほったらかして<放置して>置くと自然に低くなる)。 ピ⸢サーミ ナー⸣ヌ [pi̥⸢saːmi naː⸣nu] (ひくくなってしまった)。 ピ⸢サーム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pi̥⸢saːmu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (低くなることはない) 14236 0 0 13946 htmvoc_14236.wav ビザーリプス ビ⸢ザーリプス [bi⸢ʣaːripu̥su] 名 いざり(膝行る)人。歩けない人。病気で足が\ruby{萎}{ナ}えて歩行できない人。 ビ⸢ザーリプス⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ドゥーシェー ⸢シーユーサヌ [bi⸢ʣaːripusu⸣ ja⸢runda⸣ duːʃeː ⸢ʃiːjuːsanu] (歩けない人だから、自分ではすることができない<し得ない>) 14237 0 0 13947 htmvoc_14237.wav ビザーリヤン ビ⸢ザーリヤン [bi⸢ʣaːrijaŋ] 名 歩けない病気。「ゐざり・やみ(躄・病)」の義か。 ビ⸢ザーリヤンバ⸣ カ⸢カ⸣リ ミ⸢チェー⸣ユン ン⸢ジララ⸣ヌ [bi⸢ʣaːrijamba⸣ kḁ⸢ka⸣ri mi⸢ʧeː⸣jun ʔn⸢ʤirara⸣nu] (歩けない病気に罹って道にも出られない) 14238 0 1 13948 htmvoc_14238.wav ビザールン ビ⸢ザールン [bi⸢ʣaːruŋ] 自動 {Mn_1}潰れる。 ⸢ウーカジヌ⸣ フ⸢ク⸣ター ⸢ヤー⸣ヤ ビ⸢ザーリ ナー⸣ヌ [⸢ʔuːkaʤinu⸣ ɸu̥⸢ku⸣taː ⸢jaː⸣ja bi⸢ʣaːri naː⸣nu] (台風が吹いたので、家は潰れてしまった)。 ビ⸢ザールンティ⸣ ウムイ ⸢ソーバ シーベータ⸣ヌ ビ⸢ザーランシェン [bi⸢aːrunti⸣ ʔumui ⸢soːba ʃiːbeːta⸣nu bi⸢ʣaːraŋʃeŋ] (潰れると思って心配していたが潰れなかった)。 ⸢カー⸣ラヤーヌ ビ⸢ザール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaː⸣rajaːnu bi⸢ʣaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (瓦葺家が潰れることはない)。 ⸣アイブ ⸢ヤー⸣ヤ ビ⸢ザーレー⸣ ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸢jaː⸣ja bi⸢ʣaːreː⸣ misamunu] (あんな家は潰れればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ビ⸢ザーリ⸣バ [⸢paː⸣ku bi⸢ʣaːri⸣ba] (早く潰れろ)。 14238 0 2 13949 htmvoc_14238.wav ビザールン ビ⸢ザールン [bi⸢ʣaːruŋ] 自動 {Mn_2}腰が砕ける。立てなくなる。病気で足腰が立たなくなる。 ク⸢シバ⸣ ヤ⸢マ⸣シティ ビ⸢ザーリ ベー [ku̥⸢ʃiba⸣ ja⸢ma⸣ʃi̥ti bi⸢ʣaːri beː] (腰を痛めて立てなくなっている) 14234 0 0 13950 htmvoc_14234.wav ピサーン ピ⸢サー⸣ン [pi̥⸢saː⸣ŋ] 形 物が低い。平たくて低い。ピ⸢コー⸣ン[pi̥⸢koː⸣ŋ](身長が低い)ともいう。 ⸢ヤー⸣ヌ ピ⸢サーン⸣ダ カ⸢ジェー⸣ ア⸢タラヌ [⸢jaː⸣nu pi̥⸢saː⸣nda ka⸢ʤeː⸣ ʔa⸢taranu] (家が低いから風<台風>は当たらない)。 ⸣タケー ピ⸢サー⸣ンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ピ⸢サーナー⸣ヌ [⸣tḁkeː pi̥⸢saː⸣nti ʔu⸢muːta⸣nu pi̥⸢saːnaː⸣nu] (高さは低いと思ったが低くはない)。 ⸢シンダイ⸣ ピ⸢サー⸣ ナリクン [⸢ʃindai⸣ pi̥⸢saː⸣ narikuŋ] (次第に低くなってくる)。 ウ⸢レー⸣ ピ⸢サー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ pi̥⸢saː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (彼は低いので使われない)。 ピ⸢サー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pi̥⸢saː⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (低いことはない)。 ピ⸢サー⸣カー シゥ⸢カーラヌ [pi̥⸢saː⸣kaː sï̥⸢kaːranu] (低かったら使えない) 14240 0 0 13951 htmvoc_14240.wav ピサイ ピ⸢サイ [pi̥⸢sai] 固 (地)石垣市字平得。字登野城と字大浜の間にある集落。 ピ⸢サイトゥ マイザ⸣トー ⸣ミチ ⸢ピーチ⸣ル ピ⸢ダ⸣ティ ⸢ブンドゥ⸣ ムネー ⸢カウリス [pi̥⸢saitu maiʣa⸣toː ⸣miʧi ⸢piːʧi⸣ru pi⸢da⸣ti ⸢bundu⸣ muneː ⸢kaurisu] (平得村と前里村は道一つしか隔てていないが<道一つを隔てているが>言葉は変わる) 14218 0 0 13952 htmvoc_14218.wav ピサイズ ピ⸢サイズ [pi̥⸢saʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、テンジクカレイ(体長約30センチ)。「ひらうお(平魚)」の転訛したもの。和名、トゲダルマ(体長約20センチ)。和名、モンダルマカレイ(体長約30センチ)。和名、アマミウシノシタ(体長約45センチ)。和名、ミナミウシノシタ(体長約23センチ)などの総称。カ⸢タピサ⸣イズ[kḁ⸢tapisa⸣ʔiʣu](かれい{EOS}⸢片平魚」の義)ともいう。若年層はヒ⸢ラ⸣メー[çi⸢ra⸣meː]ともいうが、標準語からの借用語。 ピ⸢サイゾー⸣ カ⸢タピサ⸣イズティン ア⸢ズヌ ナン⸣ゾー トゥ⸢ラン⸣シェン [pi̥⸢saiʣoː⸣ kḁ⸢tapisa⸣ʔiʣutiŋ ʔa⸢ʣunu nan⸣ʣoː tu⸢raŋ⸣ʃeŋ] (カレイは片平魚とも言うが、あまり漁獲しなかった<獲らなかった>) 14241 0 0 13953 htmvoc_14241.wav ピサイズ ピ⸢サイズ [pi̥⸢saʔiʣu] 名 魚名。ひらめ(平目)。「平・魚」の義。 ピ⸢サイゾー ナン⸣ゾー ン⸢マーン⸣テー ウ⸢モーン⸣シェン [pi̥⸢saʔiʣoː nan⸣ʣoː ʔm⸢maːn⸣teː ʔu⸢moːŋ⸣ʃeŋ] (平目は、あまり美味しいとは思わなかった) 14242 0 0 13954 htmvoc_14242.wav ピサイプス ピ⸢サイプス [pi̥⸢saipusu] 名 平得の人。 ピ⸢サイプソー ターパタ⸣キ ス⸢ク⸣リ ⸢ゾー⸣ジティ⸢ダー [pi̥⸢saipu̥soː taːpata⸣ki su̥⸢ku⸣ri ⸢ʣoː⸣ʤiti⸢daː] (平得の人は田畑を作るのが上手だそうだよ) 14219 0 0 13955 htmvoc_14219.wav ピサウコースン ピ⸢サ⸣ ウ⸢コー⸣スン [pi̥⸢sa⸣ ʔu⸢koː⸣suŋ] 連 魚を三枚に下ろす。「平を起こす」の義。 イ⸢ズヌ⸣ ピ⸢サ⸣ ウ⸢コー⸣スン [ʔi⸢ʣunu⸣ pi̥⸢sa⸣ ʔu⸢koː⸣suŋ] (魚を三枚に下ろす<魚の平を起こす>) 14243 0 0 13956 htmvoc_14243.wav ピザキ ピ⸢ザ⸣キ [pi⸢ʣa⸣ki] 名 (海底地名)。鳩間島の北西端の干瀬。島を取り巻く環礁が北西端で鋭く南へ曲がる。その曲がり角の部分の干瀬の名。⸢ミー⸣ミナ[⸢miː⸣mina](広セ貝)や、ビ⸢キミナ[bi⸢kimina](高セ貝)、⸣サザミナ[⸣saʣamina](サザエ貝)などが多く、干潮時には婦人たちがよく潮干狩りに行き、フ⸢クラ⸣ベー[ɸu̥⸢kura⸣beː](タスキモンガラ)や、イ⸢ラブ⸣チ[ʔi⸢rabu⸣ʧi](ブダイの仲間)、⸣タク[⸣tḁku](蛸)、⸣ミナ[⸣mina](サザエ貝)、ヤ⸢ダン⸣ブレ[ja⸢dam⸣bure](ソデガイの仲間)などを漁獲した 14244 0 0 13957 htmvoc_14244.wav ピサグジ ピ⸢サグジ [pi̥⸢saguʤi] 名 芋食い虫。体長約3センチ。頭が大きく、平たい虫。多くは砂地に棲息するという。 ピ⸢サグジ⸣ティ ⸢スー ウンヌムシ⸣ヌ ⸢ブン⸠ダー [pi̥⸢saguʤi⸣ti ⸢suː ʔunnumuʃi⸣nu ⸢bun⸠daː] (ピサグジという芋食い虫がいるよ) 14245 0 0 13958 htmvoc_14245.wav ピサシ ピ⸢サシ [pi̥⸢saʃi] 名 ひさし(庇)。軒先。母屋から外側に差し出した片流れの小屋根。 ム⸢カ⸣シェー ビ⸢コーンッふァヌ⸣ マ⸢リル⸣カー ピ⸢サシ⸣ナー ⸢ユン⸣ヌ カ⸢タバ⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸣ッシ ス⸢コーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː bi⸢koːnffanu⸣ ma⸢riru⸣kaː pi̥⸢saʃi⸣naː ⸢jun⸣nu kḁ⸢taba⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸣ʃʃi su̥⸢koːt⸣ta] (昔は男の子が生まれると弓の形を作って庇に挿して置かれた) 14229 0 0 13959 htmvoc_14229.wav ピサシイー ピ⸢サシ⸣イー [pi̥⸢saʃi⸣ʔiː] 名 米飯。こわいい(強飯)。単にピ⸢サ⸣シ[pi̥⸢sa⸣ʃi]ともいう。水分を吹き上がらせて<干させて>炊いたご飯。⸢コー⸣イー[⸢koː⸣ʔiː](こわいい<強飯>)ともいう。 ピ⸢サシイー⸣ヤ マ⸢ルケーティナー⸣ル バ⸢カソーッ⸣タ [pi̥⸢saʃiʔiː⸣ja ma⸢rukeːtinaː⸣ru ba⸢kasoːt⸣ta] (硬いご飯<強飯>はたまに<ぞ>炊かれた)。「干させ飯」の義。⸢コー⸣イー[⸢koː⸣ʔiː](強飯)とも言う。お粥の対義語。 ピ⸢サシ⸣イー バ⸢カシティ⸣ ティーシ ス⸢ブ⸣リ ム⸢リティ⸣ バ⸢サン⸣パーシ ッ⸢スム⸣タ [pi̥⸢saʃi⸣ʔiː ba⸢kaʃi̥ti⸣ tiːʃi su⸢bu⸣ri mu⸢riti⸣ ba⸢sam⸣paːʃi s⸢sumu⸣ta] (強飯を炊いて、手でしぼり、丸く握って芭蕉の葉で包んだ) 14230 0 0 13960 htmvoc_14230.wav ピサシズーシ ピ⸢サシズー⸣シ [pi̥⸢saʃiʣuː⸣ʃi] 名 五目飯。混ぜご飯。加薬飯。炊き込みご飯。「干<ひ>させ雑炊」の義。豚肉、蒲鉾、人参、にら、昆布などの炊き込みをした混ぜご飯。⸢コーズー⸣シ[⸢koːʣuː⸣ʃi](硬い雑炊)ともいう。お盆の精霊迎えの供物は、ン⸢カイズーシ[ʔŋ⸢kaiʣuːʃiː](迎えの雑炊)という。⸢コーズー⸣シー[⸢koːʣuː⸣ʃiː](強雑炊)ともいう。 ⸢ピンガン⸣トゥ ⸢ソーラン⸣ヌ ン⸢カイヌ⸣ ピンマー ヤー⸢ディン⸣ ピ⸢サシズー⸣シ ス⸢コー⸣ルン [⸢piŋgan⸣tu ⸢soːran⸣nu ʔŋ⸢kainu⸣ pimmaː jaː⸢dim⸣ pi̥⸢saʃiʣuː⸣ʃi su̥⸢koː⸣ruŋ] (彼岸とお盆の精霊迎えの時には必ず五目飯を供えられる) 14247 0 0 13961 htmvoc_14247.wav ピサシマ ピ⸢サシマ [pi̥⸢saʃima] 名 山のない平坦な島。竹富島や黒島、新城島、鳩間島などの島々。 ピ⸢サシマー⸣ ヤ⸢マ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ユンダ ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢スーカジ⸣ヌ ⸣フキ ⸢キーヌ⸣パーン ムー⸢ル⸣ サ⸢リス [pi̥⸢saʃimaː⸣ ja⸢ma⸣nu ⸢naːɲ⸣junda ⸢taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː ⸢suːkaʤi⸣nu ⸣ɸu̥ki ⸢kiːnu⸣paːm muː⸢ru⸣ sa⸢risu] (平坦な島は山がないから、台風の時は潮風が吹いて木の葉もみんな枯れる)。平たい島。低い島。 ピ⸢サシマ⸣ナー ⸢ター⸣ヤ ⸢ナー⸣ヌ [pi̥⸢saʃima⸣naː ⸢taː⸣ja ⸢naː⸣nu] (平たい島には水田はない) 14248 0 0 13962 htmvoc_14248.wav ピサジン ピ⸢サジン [pi̥⸢saʤiŋ] 名 平膳。低い膳。ヒ⸢ラジン[çi⸢raʤiŋ](平膳)ともいう。タ⸢カ⸣ジン[tḁ⸢ka⸣ʤiŋ](高膳)の対義語。普通はピ⸢サジン[pi̥⸢saʤiŋ](平膳)を使用した。 ピ⸢サジン⸣ナー ⸢ニンガイムヌ⸣ヌ ⸣グシパナ ス⸢コーリ⸣ ビ⸢シティ⸣ シ⸢キ オーシリ [pi⸢saʤin⸣naː ⸢niŋgaimunu⸣nu ⸣guʃipanaː su̥⸢koːri⸣ bi⸢ʃiti⸣ ʃi̥⸢kiʔoːʃiri] (平膳に祈願用の神酒と花米を用意して据え置き、神仏に供えて差し上げなさい) 14249 0 0 13963 htmvoc_14249.wav ピサスブル ピ⸢サスブル [pi̥⸢sasuburu] 名 平たい頭。後頭部が平らな頭。 マ⸢リティ⸣ フ⸢タケ⸣ナーラ カ⸢タン⸣トン カー⸢ニ⸣ ン⸢カーシ⸣ ニ⸢バス⸣カー ピ⸢サスブル⸣ ナルンティ⸢ダー [ma⸢riti⸣ ɸu̥⸢take⸣naːra kḁ⸢tan⸣toŋ kaː⸢ni⸣ ŋ⸢kaːʃi⸣ ni⸢basu⸣kaː pi̥⸢sasuburu⸣ narunti⸢daː] (誕生後すぐから片方にだけ向け<向かわせ>て寝かせると平たい頭になるそうだよ) 14250 0 1 13964 htmvoc_14250.wav ピサスン ピ⸢サ⸣スン [pi̥⸢sa⸣suŋ] 他動 {Mn_1}水を枯らす。水分を減らす。減す。干させる。干潮にする。 ⸢ター⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ ピ⸢サ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ピ⸢ササラ⸣ヌ [⸢taː⸣nu mi⸢ʤi⸣ pi̥⸢sa⸣sunti ⸢beːn⸣du pi̥⸢sasara⸣nu] (田の水を枯らせようとするが、枯らされない)。 ミ⸢ジ⸣ ピ⸢サ⸣シティル ⸢マイヤー⸣ カ⸢ル [mi⸢ʤi⸣ pi̥⸢sa⸣ʃi̥tiru ⸢maijaː⸣ ka⸢ru] (田の水を枯らしてぞ<落してぞ>稲は刈るものだ)。 ミ⸢ジ⸣ ピ⸢サ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢ʤi⸣ pi̥⸢sa⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (水を枯らすことは出来ない)。 ミ⸢ジェー⸣ ピ⸢サ⸣シェー ⸣ミサムヌ [mi⸢ʤeː⸣ pi̥⸢sa⸣ʃeː ⸣misamunu] (水は枯らせばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢サ⸣シ [⸢maː⸣bim pi̥⸢sa⸣ʃi] (もっと水を枯らせ)。 14250 0 2 13965 htmvoc_14250.wav ピサスン ピ⸢サ⸣スン [pi̥⸢sa⸣suŋ] 他動 {Mn_2}おこわ<お強>に炊き上げる。 ⸢イーナビ⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ ピ⸢サ⸣シティ ウ⸢ティ⸣バ [⸢ʔiːnabi⸣nu mi⸢ʤeː⸣ pi̥⸢sa⸣ʃi̥ti ʔu⸢ti⸣ba] (羽釜<飯鍋>の水は枯らして<干させて>から竈から移しなさい)。 ⸣スー ピ⸢サ⸣シティ フ⸢ノー⸣ラー バ⸢タリバ [⸣suː pi̥⸢sa⸣ʃi̥ti ɸu⸢noː⸣raː ba⸢tari⸣ba] (干潮になって<潮を干させて>船浦へ歩いて渡りなさい) 14251 0 0 13966 htmvoc_14251.wav ピサダー ピ⸢サダー [pi̥⸢sadaː] 固 (地)石垣市字新川の近くにある水田地帯。「平」の[hira]が、~irV → ~isVと変化する音韻法則によるもの。ヒラタバル(平田原)にある田圃。 ア⸢ラカーヌ インタナー⸣ル ピ⸢サダーヤ⸣ アルティ⸢ダー [ʔa⸢rakaːnu ʔintanaː⸣ru pi̥⸢sadaːja⸣ ʔaruti⸢daː] (新川集落の西側にピサダーはあるそうだよ) 14239 0 0 13967 htmvoc_14239.wav ビザッカルン ビ⸢ザッカルン [bi⸢ʣakkaruŋ] 自動 でんと座る。怠けて座り込む。へたりこむ。 ブ⸢ガ⸣ルカー ビ⸢チ⸣ヌ プ⸢ソー⸣ ビ⸢ザッカルンドゥ⸣ ク⸢レー⸣ ビ⸢ザッカランシェン [bu⸢ga⸣rukaː bi⸢ʧi⸣nu pu̥⸢soː⸣ bi⸢ʣakkarundu⸣ ku⸢reː⸣ bi⸢ʣakkaraŋʃeŋ] (疲れたら別の人は座り込むが、この人<これ>は座り込まなかった)。 ビ⸢ザッカリティ ウーカ⸣ヌ [bi⸢ʣakkariti ʔuːka⸣nu] (座り込んで動かない)。 ビ⸢ザッカル⸣ プ⸢ソー⸣ スブットゥ [bi⸢ʣakkaru⸣ pu̥⸢soː⸣ subuttu] (座り込む人は怠け者だ)。 ビ⸢サッカレー⸣ラー ⸢ウーカ⸣ヌ [bi⸢ʣakkareː⸣raː ⸢ʔuːka⸣nu] (座り込んだら動かない)。 ⸣ウナー ビ⸢ザッカリ⸣バ [⸣ʔunaː bi⸢ʣakkari⸣ba] (そこに座り込め) 14252 0 0 13968 htmvoc_14252.wav ピサヌン ピ⸢サヌン [pi̥⸢sanuŋ] 名 \ruby{平鑿}{ヒラ|ノミ}。約一寸巾の薄くて平たい鑿。柱のほぞ穴の横壁面を直線的に掘り貫く際に用いる工具。 ピ⸢サヌン⸣シル パ⸢ラー⸣ヌ ⸣アナー ヤ⸢ゴーマサン⸣ ヨーニ プ⸢ル⸣タ [pi̥⸢sanuŋ⸣ʃiru pa⸢raː⸣nu ⸣ʔanaː ja⸢goːmasaŋ⸣joːni pu⸢ru⸣ta] (平鑿で<ぞ>柱のほぞ穴は歪めないように掘った) 14253 0 0 13969 htmvoc_14253.wav ピサパナ ピ⸢サパナ [pi̥⸢sapana] 名 低い鼻。平たい鼻。「平鼻」の義。不美人を表す語。⸣ピタパナ[⸣pi̥tapana](低い鼻{EOS}「平鼻」の義)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ピ⸢サパナ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ア⸢バ⸣レーヤ ⸢ナー⸣ヌンドゥ ア⸢タラ⸣サン [ʔu⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣pi̥sapana ja⸢runda⸣ ʔa⸢ba⸣reːja ⸢naː⸣nundu ʔa⸢tara⸣saŋ] (あの女の子は低い鼻だから美人ではないが、可愛い) 14254 0 0 13970 htmvoc_14254.wav ピサビ ピ⸢サ⸣ビ [pi̥⸢sa⸣bi] 名 なべずみ(鍋墨)。鍋や釜の底につく黒い\ruby{煤煙}{バイ|エン}。「\ruby{瓮}{ヘ}・\ruby{錆}{サビ}」の転訛か。「さし名倍尓 湯沸かせ~。万、3824」の「倍<べ>」、「瓮、へ」『類聚名義抄』の「瓮」に「錆」「鉄精、和名加奈久曾一名加禰乃佐比」『本草和名』の「佐比」が付いた形。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ マ⸢リル⸣カー ナ⸢ビ⸣ヌ ピ⸢サビ⸣バ フ⸢タイ⸣ナー マ⸢ミティ ピャー⸣ク ス⸢コーッ⸣タ [ja⸢rabi⸣nu ma⸢riru⸣kaː na⸢bi⸣nu pi̥⸢sabi⸣ba ɸu⸢tai⸣naː ma⸢miti pjaː⸣ku su̥⸢koːt⸣ta] (子供が生まれると鍋墨を額に塗って、⸢ピャー⸣ク{SqBr}⸢pjaː⸣ku{/SqBr}<魔除けの呪符>を付けられた)。 ナ⸢ビ⸣ヌ ピ⸢サ⸣ビ ウ⸢タ⸣シ [na⸢bi⸣nu pi̥⸢sa⸣bi ʔu⸢ta⸣ʃi] (鍋の墨を落とせ) 14258 0 0 13971 htmvoc_14258.wav ピサフタイ ピ⸢サフタイ [pi̥⸢saɸutai] 名 おでこ(額)。額の広い人。 ウ⸢リヌ⸣ フ⸢タイヤー⸣ ピ⸢サフタイ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ マー⸢ン⸣ラーン ワ⸢カ⸣ルン [ʔu⸢rinu⸣ ɸu̥⸢taijaː⸣ pi̥⸢saɸutai⸣ ja⸢runda⸣ maː⸢n⸣raːŋ wa⸢ka⸣ruŋ] (彼の額はおでこだから、何処からもわかる) 14255 0 0 13972 htmvoc_14255.wav ピサフチ ピ⸢サフチ [pi̥⸢saɸuʧi] 名 唇の薄い人。「薄口、平口」の義。 ピ⸢サフチミドゥモー⸣ ム⸢ニユミ⸣ムヌティ ア⸢ザリ ブー [pi̥⸢saɸuʧimidumoː⸣ mu⸢nijumi⸣munuti ʔa⸢ʣari buː] (唇の薄い女はお喋り女だといわれている) 14257 0 0 13973 htmvoc_14257.wav ピザフチ ピ⸢ザ⸣フチ [pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧi] 名 みぎわ(汀)。なぎさ(渚)。⸢ピーザ⸣フチ[⸢piːʣa⸣ɸu̥ʧi]ともいう。「へた口」の義。「へた(端・辺)、<へ(端)>タ<手>の意。タは方向を示す。近江の海 邊多は人知る~。万、3027」の転訛したものか。 ヤ⸢ラ⸣ベー ピ⸢ザ⸣フチナール ⸣オンダー シ⸢ミル⸣ダー [ja⸢ra⸣beː pi⸢ʣa⸣ɸu̥ʧinaːru ⸣ʔondaː ʃi⸢miru⸣daː] (子供は渚口で海水浴させるんだぞ) 14259 0 0 13974 htmvoc_14259.wav ビザルン ビ⸢ザルン [bi⸢ʣaruŋ] 自動 押しつぶされて平にる。ぺしゃんこになる。足腰が立たなくなる。 ウ⸢ブニーバ タンガ⸣シ カ⸢タ⸣ムカー ク⸢シェー⸣ ビ⸢ザルン⸣ダー [ʔu⸢buniːba taŋga⸣ʃi kḁ⸢ta⸣mukaː ku̥⸢ʃeː⸣ bi⸢ʣarun⸣daː] (重い荷物を一人で担ぐと腰が押しつぶされてぺしゃんこになるよ) 14260 0 1 13975 htmvoc_14260.wav ピサン ⸣ピサン [⸣pi̥saŋ] 形 {Mn_1}厚さが薄い。 ア⸢チメー⸣ ピサンドゥ ブ⸢リラ⸣ヌ [ʔa⸢ʧimeː⸣ pi̥sandu bu⸢rira⸣nu] (厚みは薄いが折れない)。 ア⸢チメー⸣ ピサー⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʧimeː⸣ pi̥saː ⸢naː⸣nu] (厚みは薄くはない)。 ガ⸢マ⸣ジェー ⸣ピサー ⸣ナリケーン [ga⸢ma⸣ʤeː ⸣pi̥saː ⸣narikeːŋ] (髪の毛は薄くなってきた)。 ウ⸢レー⸣ ア⸢チミヌ⸣ ピ⸢サ⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔa⸢ʧiminu⸣ pi̥⸢sa⸣nu si̥⸢kaːranu] (これは厚みが薄くて使われない)。 ア⸢チミヌ⸣ ピサ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʧiminu⸣ pi̥saku̥toː ⸢naː⸣nu] (厚みが薄いことはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ピサレーラー ⸣シゥ⸢カーラヌ [⸢maː⸣bim ⸣pi̥sareːraː si̥⸢kaːranu] (もっと薄かったら使われない)。 14260 0 2 13976 htmvoc_14260.wav ピサン ⸣ピサン [⸣pi̥saŋ] 形 {Mn_2}液体の濃度が薄い。 ⸢サー⸣ヤ ⸣ピサンダ ヌ⸢ミヤッ⸣サン [⸢saː⸣ja ⸣pi̥sanda nu⸢mijas⸣saŋ] (お茶は薄いから飲みやすい)。カ⸢ター⸣ン[ka⸢taː⸣ŋ](濃い)の対義語 14261 0 0 13977 htmvoc_14261.wav ピサンカスン ピ⸢サンカスン [pi̥⸢saŋkasuŋ] 他動 押し詰める。詰める。押し固める。へこます。「ひしゃげる」、「押されて潰れる(圧される)」の転訛したものか。 ⸢イー⸣シェー カ⸢シガーフク⸣ルナー ⸢シッ⸣キ ピ⸢サンカシ⸣ フ⸢ナイ⸣リ [⸢ʔiː⸣ʃeː ka⸢ʃigaːɸu̥ku⸣runaː ⸢ʃik⸣ki pi̥⸢saŋkaʃi⸣ ɸu⸢nai⸣ri] (乾燥ツノマタは麻袋の中に搗いてへこまして入れなさい) 14262 0 0 13978 htmvoc_14262.wav ピサンゴー ⸣ピサンゴー [⸣pi̥saŋgoː] 名 菓子の種類。落雁。米や麦を煎って粉にし、黒砂糖を削って混ぜ、型に詰めて押し出して作った菓子。七十三の生年祝いや⸢トー⸣カキ[⸢toː⸣kaki](米寿の祝い)などの大きな祝儀の際につくられた。⸢クーゴー⸣シ[⸢kuːgoː⸣ʃi](粉菓子)ともいう。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイナー ⸣ピサンゴー ス⸢ク⸣ローッタン [⸢toːkaki⸣nu ⸣joinaː ⸣pi̥saŋgoː su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (米寿の祝いにはピサンゴー菓子<落雁>を造られた) 14267 0 0 13979 htmvoc_14267.wav ピサンター ⸣ピサンター [⸣pi̥santaː] 名 平たいもの。平べったいもの。擦り減ったもの。押しつぶされて平たくなったもの。 ⸢ワー⸣ ア⸢シ⸣ツァー ⸣ピサンター ⸣ナリティ フ⸢マラヌ⸣ シ⸢ティリ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʃi⸣ʦaː ⸣pi̥santaː ⸣nariti ɸu⸢maranu⸣ ʃi̥⸢tiri] (君の下駄は履き潰されて平べったくなって履かれない{EOS}捨てなさい) 14268 0 1 13980 htmvoc_14268.wav ピジ ピ⸢ジ [pi⸢ʤi] 名 {Mn_1}ひじ(肘<ひぢ>)。「肘、比地<ひぢ>」『華厳経音義私記』の転訛したもの。 ピ⸢ジ⸣ ヤ⸢マ⸣シティ ⸣ムヌ ム⸢タラ⸣ヌ [pi⸢ʤi⸣ ja⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣munu mu⸢tara⸣nu] (肘を痛めて物を持つことが出来ない<持たれない>)。 14268 0 2 13981 htmvoc_14268.wav ピジ ピ⸢ジ [pi⸢ʤi] 名 {Mn_2}欲張り。貪欲。 ウ⸢レー⸣ ピ⸢ジ⸣ ヤ⸢ルンダ ジン⸣マー カ⸢ラサヌ [ʔu⸢reː⸣ pi⸢ʤi⸣ ja⸢runda ʤim⸣maː ka⸢rasanu] (彼は貪欲だから、金は貸さない) 14270 0 0 13982 htmvoc_14270.wav ピシーピシー ピ⸢シーピシー [pi̥⸢ʃiːpiʃiː] 副 薄く。板などの厚みが薄いさま。 ⸢ティンゾー⸣イツァー ピ⸢シーピシー⸣シ バ⸢カ⸣シクー [⸢tinʣoː⸣ ʔiʦaː pi̥⸢ʃiːpiʃiː⸣ʃi ba⸢ka⸣ʃi ⸣kuː] (天井板を薄く製材させてきなさい)。 イ⸢ガナマシェー⸣ ピ⸢シーピシー⸣シ ウ⸢ラサバ⸣ル ン⸢マー [ʔi⸢ganamaʃeː⸣ pi̥⸢ʃiːpiʃiː⸣ʃi ʔu⸢rasaba⸣ru ʔm⸢maː] (\ruby{烏賊}{イ|カ}の刺身は薄く下ろした方が美味しい)。 ⸢ヌー⸣ロー ピ⸢シーピシー⸣シ ⸣タリバ [⸢nuː⸣roː pi̥⸢ʃiːpiʃiː⸣ʃi ⸣tariba] (糊は薄く炊きなさい)。 ピ⸢シーピシー⸣シ キ⸢ズン [pi̥⸢ʃiːpiʃiː⸣ʃi ki⸢ʣuŋ] (薄く削る) 14265 0 0 13983 htmvoc_14265.wav ピシェー ⸣ピシェー [⸣pi̥ʃeː] 名 女の子。少女の呼称。 ピ⸢シェー⸣ ダン⸢ティ⸣ キー ミ⸢リ [pi̥⸢ʃeː⸣ dan⸢ti⸣ kiː mi⸢ri] (娘さん、早く来てごらん) 14266 0 0 13984 htmvoc_14266.wav ピシェーマ ピ⸢シェー⸣マ [pi⸢ʃeː⸣ma] 名 女の子の愛称。お嬢ちゃん。⸣ピシェー[⸣pi̥ʃeː](女の子)に親愛の情を表す指小辞、-マ[-ma](~ちゃん)の付いた形。名称、呼称に用いる。 ⸢ウン⸣ネナー ピ⸢シェーマ⸣ヌ マ⸢レーン⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenaː pi̥⸢ʃeːma⸣nu ma⸢reːn⸣ʦoː] (あの家にお嬢ちゃんが生まれたそうだ) 14263 0 0 13985 htmvoc_14263.wav ヒジガラ ヒ⸢ジ⸣ガラ [çi⸢ʤi⸣gara] 名 鰹節の削り殻。「滅、オトス・ヘグ・ヘス」『類聚名義抄』、「へぎ・から(剥ぎ殻)」の転訛したもの。鰹節を出荷する際には、⸢バイカン⸣ヤー[⸢baikaɲ⸣jaː](燻製屋<焙乾屋>)から鰹節を取り出して削り、綺麗に製品化して出荷する。その削り殻。 カ⸢ツヌ⸣ ヒ⸢ジ⸣ガラー ⸢マイヌ ミース⸣トゥ カ⸢ケー⸣シティ ⸢サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シ [ka⸢ʦunu⸣ çi⸢ʤi⸣garaː ⸢mainu miːsu⸣tu ka⸢keː⸣ʃiti ⸢saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (カツオ節の削り殻<削り節>を米味噌と混ぜ和えて茶請けに出しなさい)。 ヒ⸢ジ⸣ガラ ⸣シジティ ⸣ダシ ⸣トゥリバ [çi⸢ʤi⸣gara ⸣ʃiʤiti ⸣daʃi ⸣turiba] (鰹節の削り殻を煎じて出汁を取りなさいよ) 14264 0 0 13986 htmvoc_14264.wav ピジガンク ピ⸢ジガンク [pi⸢ʤigaŋku] 名 欲張り。けちんぼ。\ruby{吝嗇}{リン|ショク}家。\ruby{頑迷固陋}{ガン|メイ|コ|ロウ}な人。 ⸣アブジェー ピ⸢ジガンク⸣ ヤ⸢ロー⸣ルンダ プ⸢スヌ⸣ ムニ ⸢ナー⸣トー ス⸢コーラ⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː pi⸢ʤigaŋku⸣ ja⸢roː⸣runda pu̥⸢sunu⸣ muni ⸢naː⸣toː su̥⸢koːra⸣nu] (お祖父さんは欲張りの頑迷固陋であられるから、人の話など聞かれない) 13981 0 0 13987 htmvoc_13981.wav ピシキ ⸢ピシ⸣キ [⸢piʃi̥⸣ki] 名 おこげ(お焦げ)。老年層のことば。⸢ピー⸣シキ[⸢piː⸣ʃi̥ki](おこげ)(若年層のことば)、ナ⸢マ⸣シキ[na⸢ma⸣ʃi̥ki](お焦げ)ともいう。 ⸢ピシ⸣キ シ⸢ムン⸣ヨーニ ⸢イー⸣ヤ バ⸢カシ⸣バ [⸢piʃi̥⸣ki ʃi⸢muɲ⸣joːni ⸢ʔiː⸣ja ba⸢kaʃi⸣ba] (焦げ付きさせないようにご飯は炊きなさい) 14269 0 0 13988 htmvoc_14269.wav ビシコーマ ビ⸢シコーマ [bi⸢ʃikoːma] 名 鶏に卵を産ませるために巣に据えておく卵。「据え卵。居せ卵」の義。産んだ卵を全部取らないで、一個だけ残しておくと、鶏は次々に卵を産むといわれている。 ビ⸢シコーマー⸣ ヌ⸢カ⸣シ ス⸢クバ⸣ル トゥ⸢ロー コー⸣マ ⸣ナスティ⸢ダー [bi⸢ʃikoːmaː⸣ nu⸢ka⸣ʃi su̥⸢kuba⸣ru tu⸢roː koː⸣ma ⸣nasuti⸢daː] (据え卵を残しておいたら<おけばぞ>鶏は卵を産むのだそうだよ) 14271 0 0 13989 htmvoc_14271.wav ピジシゥカウン ピ⸢ジ⸣ シゥ⸢カウン [pi⸢ʤi⸣ sï̥⸢kauŋ] 連 ほおづえ(頬杖)をつく。つらづえ(面杖)。肘を立てて手のひらで頬をささえる。「肘・支える」の義。鳩間島では子供が頬杖をつくことを非常に嫌う。親の死に目に会えないといわれている。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ピ⸢ジ⸣ シゥ⸢カウ⸣カー ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ニミー アーラン⸣ティ イ⸢ゾーッ⸣タ [ja⸢rabi⸣nu pi⸢ʤi⸣ sï̥⸢kau⸣kaː ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢nimiː ʔaːran⸣ti ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (子供が頬杖をつくと、親の死目に会えないといって叱られた) 14272 0 0 13990 htmvoc_14272.wav ピシシキルン ピ⸢シシキ⸣ルン [pi̥⸢ʃiʃi̥ki⸣ruŋ] 自動 干上がる。すっかり潮が引く。「ひ(干)し尽きる」の義。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ スカー ピ⸢シシキ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ ピ⸢シシキラン⸣バン [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ su̥kaː pi̥⸢ʃiʃi̥ki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢da⸣ pi̥⸢ʃiʃi̥kiram⸣baŋ] (もう少ししたら干上がると思うが、まだ干上がらないよ)。 ピ⸢シ⸣シキ⸢ナー⸣ヌ [pi̥⸢ʃi⸣ʃi̥ki ⸢naː⸣nu] (干上がってしまった)。 ピ⸢シシキ⸣ル ⸣ピンマー ムー⸢ル⸣ ア⸢ギ⸣ ナ⸢リ⸣ス [pi̥⸢ʃiʃi̥ki⸣ru ⸣pimmaː muː⸢ru⸣ ʔa⸢gi⸣ na⸢ri⸣su] (潮がすっかり引ききる時は全部陸地になるよ)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢シシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku pi̥⸢ʃiʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (早く干上がればいいのに)。 ピ⸢シシキ⸣リ [pi̥⸢ʃiʃi̥ki⸣ri] (干上がれ) 14273 0 0 13991 htmvoc_14273.wav ピシスー ピ⸢シ⸣スー [pi̥⸢ʃi⸣suː] 名 引き潮。干潮。「ひしお(干潮)」の義。「干り潮」の転訛したもの。 ピ⸢シ⸣スー ⸣ナルカー ミ⸢ナトー⸣ ア⸢ラ⸣キ バ⸢タラリン [pi̥⸢ʃi⸣suː ⸣narukaː mi⸢natoː⸣ ʔa⸢ra⸣ki ba⸢tarariŋ] (引き潮になったら湊は歩いて渡られる)。ミ⸢チ⸣スー[mi⸢ʧi⸣suː](満ち潮)の対義語。 ピ⸢シ⸣スーサーリ タ⸢ク⸣トゥリン パラ⸢ディー [pi̥⸢ʃi⸣suːsaːri tḁ⸢ku⸣turim para⸢diː] (引き潮で蛸漁<蛸獲り>にいこうよ) 14274 0 0 13992 htmvoc_14274.wav ピシスクン ピ⸢シ⸣スクン [pi̥⸢ʃi⸣su̥kuŋ] 自動 干上がる。「ひ(干)し尽く」の義。 プ⸢スマバー⸣キナ ピ⸢シ⸣スクン パジ⸢ダー⸣バ ⸣マティティ ピ⸢シシゥカン⸣カー バ⸢タリ⸣ ミサン [pu̥⸢suma baː⸣kina pi̥⸢ʃi⸣su̥kum ⸣paʤi⸢daː⸣ba ⸣matiti pi̥⸢ʃisï̥kaŋ⸣kaː ba⸢tari⸣misaŋ] (正午までには干上がるはずだから待って、干上がらなければ渡ってよい)。 ピ⸢シ⸣シキ ⸢ナー⸣ヌ [pi̥⸢ʃi⸣ʃi̥ki ⸢naː⸣nu] (干上がってしまった)。 マ⸢ナ⸣マー ピ⸢シ⸣スク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢na⸣maː pi̥⸢ʃi⸣su̥ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (今は、干上がることはない)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢シ⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku pi̥⸢ʃi⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (早く干上がればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢シ⸣シキ [⸢paː⸣ku pi̥⸢ʃi⸣ʃi̥ki] (早く干上がれ) 14275 0 0 13993 htmvoc_14275.wav ビシッティ ビシッ⸢ティ [biʃit⸢ti] 副 物がたわむさま。 タ⸢ケー⸣ ピーナ ア⸢ブ⸣ター ビシッ⸢ティ⸣ マ⸢ガリ ナー⸣ヌ [tḁ⸢keː⸣ piːna ʔa⸢bu⸣taː biʃit⸢ti⸣ ma⸢gari naː⸣nu] (竹は火に炙ったらばぐんにゃりと曲がってしまった) 14276 0 0 13994 htmvoc_14276.wav ピシパルン ⸣ピシ ⸣パルン [⸣pi̥ʃi ⸣paruŋ] 連 潮が引い<干い>ていく。干潮になる。水が\ruby{涸}{カ}れていく。 ⸢スー⸣ヤ マ⸢ナマー⸣ケー ⸣ピシ ⸣パルン [⸢suː⸣ja ma⸢namaː⸣keː ⸣pi̥ʃi ⸣paruŋ] (潮は今までは引いていく)。 ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ ピシ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤeː⸣ pi̥ʃi ⸢naː⸣nu] (井戸の水は\ruby{涸}{カ}れ<引い>てしまった) 14222 0 0 13995 htmvoc_14222.wav ピジル ピ⸢ジ⸣ル [pi⸢ʤi⸣ru] 名 つむじ(旋毛)。頭頂部のひゃくえ(百会)にある毛髪の渦巻き。つじげ(辻毛)。 ヤ⸢ラ⸣ビ⸢シェーン⸣ケン ⸢キーヌパン⸣タナ ⸢ヌーリティ⸣ ピ⸢ジ⸣ル カ⸢サミスーブ シー⸣ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣keŋ ⸢kiːnu pan⸣tanaː ⸢nuːriti⸣ pi⸢ʤi⸣ru ka⸢samisuːbu ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (子供の頃に木のてっぺんに登って旋毛掴み競争をして遊んだことがある) 14278 0 0 13996 htmvoc_14278.wav ピジル ピ⸢ジ⸣ル [pi⸢ʤi⸣ru] 名 傷跡。はげの一種。傷や御出来の跡がてかてかと光っているところ。「火照り」の義とする説『石垣方言辞典』。 ア⸢シブ⸣ヌ ⸣アトー ピ⸢ジ⸣ル ⸣ナリ ⸢ベー [ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔatoː pi⸢ʤi⸣ru ⸣nari ⸢beː] (御出来の跡が傷跡のはげになっている) 14279 0 0 13997 htmvoc_14279.wav ピジル ピ⸢ジ⸣ル [pi⸢ʤi⸣ru] 名 薪の燃えさし。薪の燃え残り。燃え尽きずに残ったもの。おきび(熾火)。薪が燃えて炭のようになったもの。 ピ⸢ジ⸣ロー ⸢ケーシ⸣シキ [pi⸢ʤi⸣roː ⸢keːʃi⸣ ʃi̥ki] (燃え残りは消しておけよ) 14280 0 0 13998 htmvoc_14280.wav ピジルカジル ピ⸢ジ⸣ルカジル [pi⸢ʤi⸣rukaʤiru] 副 あちこち剥げているさま。はげだらけ。 ⸢ワー⸣ ス⸢ブ⸣ロー ピ⸢ジ⸣ルカジル ⸣ナリティ ⸣ヌーヤレー [⸢waː⸣ su⸢bu⸣roː pi⸢ʤi⸣rukaʤiru ⸣nariti ⸣nuːjareː] (君の頭ははげだらけになって何事かね)。 ⸢アーパタ⸣キン マ⸢ミパタ⸣キン ⸣パトゥザン ッ⸢ふァーリティ⸣ ピ⸢ジ⸣ルカジル ⸣ナリ ⸢ベー [⸢ʔaːpata⸣kim ma⸢mipata⸣kim ⸣pḁtuʣaŋ f⸢faːriti⸣ pi⸢ʤi⸣rukaʤiru ⸣nari ⸢beː] (粟畑も豆畑も山鳩の食害に遭って所々苗が生えない<禿げ>状態になっている) 14281 0 1 13999 htmvoc_14281.wav ビシルン ビ⸢シルン [bi⸢ʃiruŋ] 他動 {Mn_1}据える。座らせる。「ゐ<居・坐>せる」の義。「~妻子どもは足の方に圍み居而~。万、892」の義。 ミ⸢ジカメー⸣ クナー ビ⸢シルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢マイヤ⸣ヌ ビ⸢シラランバン [mi⸢ʤikameː⸣ kunaː bi⸢ʃirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢maija⸣nu bi⸢ʃirarambaŋ] (水甕はここに据えようと思うが、大きくて据えられないわい)。 ⸣クナー ビ⸢シ⸣ ミサカー ビ⸢シル⸣ クトー ⸣ナルン [⸣kunaː bi⸢ʃi⸣misakaː bi⸢ʃiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (ここに据えてよければ、据えることはできる)。 ⸣カナー ビ⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸣kanaː bi⸢ʃeː⸣ misamunu] (あそこに据えればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ビ⸢シ⸣バ [⸢paː⸣ku bi⸢ʃi⸣ba] (早く据えよ)。 14281 0 2 14000 htmvoc_14281.wav ビシルン ビ⸢シルン [bi⸢ʃiruŋ] 他動 {Mn_2}鎮める。静める。落ち着かせる。 ⸣キモー ビ⸢シティ⸣ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キ⸣ヨー [⸣kimoː bi⸢ʃiti⸣ pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣joː] (心を落ち着けて話を聞きなさいよ) 14282 0 0 14001 htmvoc_14282.wav ピシルン ピ⸢シ⸣ルン [pi̥⸢ʃi⸣ruŋ] 自動 潮が引く。干潮になる。⸣ピスンとも言う。 プ⸢スマ⸣ ナルカー ⸢スー⸣ヤ ピ⸢シ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ダ⸣ ピ⸢シラン⸣バン [pu̥⸢suma⸣ narukaː ⸢suː⸣ja pi̥⸢ʃi⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢da⸣ pi̥⸢ʃiram⸣baŋ] (正午になると潮は引くと聞いたが、まだ引かないよ)。 ク⸢ビ⸣ナー ⸢スー⸣ヌ ピ⸢シ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢bi⸣naː ⸢suː⸣nu pi̥⸢ʃi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに潮が引くことはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ピシェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸣pi̥ʃeː ⸣misamunu] (もっと潮が引けばいいのに) 14283 0 0 14002 htmvoc_14283.wav ピジンダティ ピ⸢ジンダティ [pi⸢ʤindati] 名 頬杖。頬杖をつくこと。「肘立て」の義。ピ⸢ジシゥカイ[pi⸢ʤisi̥kai](頬杖)ともいう。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ピ⸢ジンダティ スー⸣カー ⸣アブジェー イッ⸢ケナ⸣ イ⸢ゾーッ⸣タン [ja⸢rabi⸣nu pi⸢ʤindati suː⸣kaː ⸣ʔabuʤeː ʔik⸢kena⸣ ʔi⸢ʣoːt⸣taŋ] (子供が頬杖をつくとお祖父さんは非常にお叱りになった) 14224 0 0 14003 htmvoc_14224.wav ピスザー ピ⸢ス⸣ザー [pi̥⸢su⸣ʣaː] 名 広い座敷。「広座」の義。 ⸢エン⸣ヌ ⸢キュー⸣ヤ ク⸢ヌ⸣ ウ⸢ブ⸣ザー ピ⸢ス⸣ザーナーティ ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ シ⸢ミ⸣ タ⸢ボー⸣リ [⸢jen⸣nu ⸢kjuː⸣ja ku⸢nu⸣ ʔu⸢bu⸣ʣaː pi̥⸢su⸣ʣaːnaːti ⸢toːkaki⸣nu ⸣joi ʃi⸢mi⸣ ta⸢boː⸣ri] (来年の今日はこの大きな座敷、広い座敷で米寿の祝い(88歳の生年祝い{EOS}斗掻の生年祝い)をさせてください) 14285 0 0 14004 htmvoc_14285.wav ビスッティ ビスッ⸢ティ [bisut⸢ti] 副 勢いが急に弱くなるさま。しゅんと。 ⸢ヨイ⸣ヌ ス⸢コール スンティ アーリ ベータン⸣ドゥ マ⸢クター⸣ ビスッ⸢ティ⸣ ナリ ムー⸢ル ヤー⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢joi⸣nu su̥⸢koːru sunti ʔaːri beːtan⸣du ma⸢kutaː⸣ bisut⸢ti⸣ nari muː⸢ru jaː⸣ pari ⸢naː⸣nu] (お祝いの準備をしようと騒いでいたが、負けたのでしゅんとなって、みんな家に帰って<行って>しまった) 14225 0 0 14005 htmvoc_14225.wav ピスミルン ピ⸢スミ⸣ルン [pi̥⸢sumi⸣ruŋ] 他動 広める。拡げる。 ⸢ヤー⸣バ ⸢スイザシティ⸣ ピ⸢スミ⸣ルンティ ウムイ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢ヤシキ⸣ヌ シ⸢バー⸣ティ ピ⸢スミララ⸣ヌ [⸢jaː⸣ba ⸢suiʣaʃi̥ti⸣ pi̥⸢sumi⸣runti ʔumui⸢beː⸣ndu ⸢jaʃi̥ki⸣nu ʃi⸢baː⸣ti pi̥⸢sumirara⸣nu] (家を増築して広めようと思っているが、屋敷が狭いので広められない)。 ⸣ピ⸢スミ⸣レー ⸣ミサムヌ [pi⸢sumi⸣reː ⸣misamunu] (拡めればいいのに)。 ⸣クマー ⸣マー ン⸢ベーマー⸣ ピ⸢スミ⸣リ [⸣kumaː ⸣maː ʔm⸢beːmaː⸣ pi̥⸢sumi⸣ri] (ここは、もう少し広めよ<拡げれ>)。 ピ⸢スミ⸣ プサカー ピ⸢スミ⸣ル ⸣クトー ナルン⸢ダー [pi̥⸢sumi⸣ pu̥sakaː pi̥⸢sumi⸣ru ⸣ku̥toː narun⸢daː] (広げたければ広げることは出来るよ) 14226 0 0 14006 htmvoc_14226.wav ピスムン ピ⸢ス⸣ムン [pi̥⸢su⸣muŋ] 他動 拡げる。広める。「拡む」の義。 ピ⸢ス⸣ムンティ ⸣ウムーカー ピ⸢スマリン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ピ⸢スミ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [pi̥⸢su⸣munti ⸣ʔumuːkaː pi̥⸢sumarin⸣du ma⸢na⸣maː pi̥⸢sumi⸣pu̥saː ⸢naː⸣nu] (広めようと思えば広められるが、今は広めたくない)。 ピ⸢ス⸣ム(ピ⸢スミ⸣ル)⸣ピンマー マイ⸢マイ⸣シ ピ⸢ス⸣メー(ピ⸢スミ⸣レー)⸣ミサムヌ [pi̥⸢su⸣mu(pi̥⸢sumi⸣ru)⸣pimmaː mai⸢mai⸣ʃi pi̥⸢su⸣meː(pi̥⸢sumi⸣reː)⸣misamunu] (広める時は大きく広めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ス⸣ミ<ピ⸢スミ⸣リ> [⸢paː⸣ku pi̥⸢su⸣mi] (早く広めろ) 14289 0 0 14007 htmvoc_14289.wav ビスン ビ⸢スン [bi⸢suŋ] 他動 据える。座らせる。甕などの容器を据え置く。 ⸣カメー ⸣クナー ビ⸢スン [⸣kameː ⸣kunaː bi⸢suŋ] (甕はここに据える<居せる>)。 シ⸢バー⸣ヌ ⸣クナー ビ⸢サラヌ [ʃi⸢baː⸣nu ⸣kunaː bi⸢saranu] (狭くて、ここには据えられない)。 ⸣マーナル ビ⸢シ ヤッ⸣サカヤー [⸣manaːru bi⸢ʃi jas⸣sakajaː] (何処にが<ぞ>据えやすいのかなあ)。 ⸣カナー ビ⸢ス⸣ カメー ⸣ヌーヤ [⸣kanaː bi⸢su⸣ kameː ⸣nuːja] (あそこに据える甕はどれか)。 ⸣ウナー ビ⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸣ʔunaː bi⸢ʃeː⸣ misamunu] (そこに据えればいいのに)。 ⸣クナー ビ⸢シ⸣バ [⸣kunaː bi⸢ʃi⸣ba] (ここに据え<座らせ>なさい) 14287 0 0 14008 htmvoc_14287.wav ピスン ⸣ピスン [⸣pi̥suŋ] 自動 ひる(干る)。かわく。水がなくなる。潮が引く。海や川の水が涸れて底が現れる。「之保非奈婆<シホヒナバ>またも吾来む~。万、3710」の転訛したもの。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスンケンティ ⸣マティ ⸢ベーン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ ピ⸢サン⸣バン [⸢suː⸣nu ⸣pi̥suŋkenti ⸣mati ⸢beːn⸣du ma⸢da⸣ pi̥⸢sam⸣baŋ] (潮が引くまでと待っているが、まだ引かないよ)。 ⸢スー⸣ヤ(ワ) ⸣ピシ ⸣パルン [⸢suː⸣ja(wa) ⸣pi̥ʃi ⸣paruŋ] (潮は引いてく)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ピス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢maː⸣bim ⸣pi̥su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (もっと<潮が>引くことはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ピシェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸣pi̥ʃeː ⸣misamunu] (もっと<潮が>引けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ピシ [⸢paː⸣ku ⸣pi̥ʃi] (早く引け) 14288 0 0 14009 htmvoc_14288.wav ピスン ⸣ピスン [⸣pi̥suŋ] 他動 押しつぶす。押しつける。明治38年生まれの古老の使用語。若年層では、ほぼ死語に近い。昭和生まれの若年層は、⸢ピッツァ⸣スン[⸢pitʦa⸣suŋ](押しつぶす)という。「Fexi,su,eita.ヘシ,ス,イタ(滅・圧し,す,いた)丈の高い物を低くするとか,~」『邦訳日葡辞書』からの転訛。 ピ⸢サ⸣ヌ [pi̥⸢sa⸣nu] (押しつぶさない)。 ウ⸢ヤ⸣ビシ ⸣ピシティ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ʔu⸢ja⸣biʃi ⸣pi̥ʃiti f⸢faːʃi⸣ba] (指で押しつぶして食べさせなさい)。 ⸣ドゥク ピ⸢ス⸣ナ [⸣duku pi̥⸢su⸣na] (あんまり押しつぶすな)。 ⸣ピス ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣pi̥su ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (押しつぶすものではない)。 ⸣ピシェー ⸣ミサムヌ [⸣pi̥ʃeː ⸣misamunu] (押しつぶせば良いのに)。 ウ⸢ヤ⸣ビシ ⸣ピシバ [ʔu⸢ja⸣biʃi ⸣pi̥ʃiba] (指で押しつぶせよ) 14290 0 0 14010 htmvoc_14290.wav ビスンカーリン ビ⸢スンカーリン [bi⸢suŋkaːriŋ] 自動 打ち据えられる。ビスンカーサリン[bi⸢suŋkaːsariŋ](うち据えられる)のぞんざいなな発音。立ち上がれないほどに打撃を受ける。他動詞ビ⸢スンカスン[bi⸢suŋkasuŋ](打ち据える)の未然形に受身の助動詞⸣-リン[⸣-riŋ](れる)が下接して派生した受身動詞。 パ⸢ナシキ⸣ナ スズー⸢コ⸣ ビ⸢スンカーリティ ウーキユーサ⸣ヌ [pa⸢naʃi̥ki⸣na suʣuː⸢ko⸣ bi⸢suŋkaːriti ʔuːkijuːsa⸣nu] (風邪でひどく打ち据えられて動けない)。 パ⸢ナシキ⸣ ナ⸢マジラ⸣スカー ⸢ワッ⸣サ ⸣ナリティ ビ⸢スンカーリン⸣ダー [pa⸢naʃi̥ki⸣ na⸢maʤira⸣su̥kaː ⸢was⸣sa ⸣nariti bi⸢suŋkaːrin⸣daː] (風邪をこじらせ<\ruby{拗}{コジ}らせ>ると悪化させて打ち据えられるぞ) 14291 0 0 14011 htmvoc_14291.wav ビスンカスン ビ⸢スンカスン [bi⸢suŋkasuŋ] 他動 打ち据える。立ち上がれないほどに打ち据える。 プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カンダ⸣ ビ⸢スンカスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ビ⸢スンカサラヌ [pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanda⸣ bi⸢suŋkasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du bi⸢suŋkasaranu] (他人の言うことを聞かないので打ち据えようと思うが、打ち据えられない)。 ビ⸢スンカシ⸣ ミサカー ビ⸢スンカス⸣ クトー ナルン⸢ダー [bi⸢suŋkaʃi⸣ misakaː bi⸢suŋkasu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (打ち据えて良ければ打ち据えることは出来るよ)。 ビ⸢スンカシェー⸣ ミサムヌ [bi⸢suŋkaʃeː⸣ misamunu] (打ち据えればいいのに)。 ビ⸢スンカシ⸣バ [bi⸢suŋkaʃi⸣ba] (打ち据えろよ) 14296 0 0 14012 htmvoc_14296.wav ピソーシバー ピ⸢ソー⸣ シ⸢バー⸣ [pi̥⸢soː⸣ ʃi⸢baː⸣] 連 広狭。広さ、狭さ。 マー⸢ン⸣ナーン ⸢ヤー⸣ヌ ピ⸢ソー⸣ シ⸢バー⸣ヤ ア⸢リ⸣ルブー [maː⸢n⸣naːɲ ⸢jaː⸣nu pi̥⸢soː⸣ ʃi⸢baː⸣ja ʔa⸢ri⸣ru ⸣buː] (何処にでも家の広い狭いはあるものだ<ありぞおる>) 14292 0 0 14013 htmvoc_14292.wav ピソーピソーシ ピ⸢ソーピソー⸣シ [pi⸢soːpisoː⸣ʃi] 副 ひろびろと。 ピ⸢ソーピソー⸣シ ⸢ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [pi̥⸢soːpisoː⸣ʃi ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (広々と家を造ってある)。 ⸢キン⸣マー ピ⸢ソーピソー⸣シ ⸣ヌイ [⸢kim⸣maː pi⸢soːpisoː⸣ʃi ⸣nui] (着物は広々と<ゆったりと>縫いなさい) 14293 0 0 14014 htmvoc_14293.wav ビソーミ ビ⸢ソーミ [bi⸢soːmi] 名 \ruby{水甕}{ミズ|ガメ}。「座し甕」(\ruby{据付}{スエ|ツケ}の甕)の義。陶製の水甕で、容量は普通は6斗入り、8斗入りの水甕が炊事場の外側に据付られて用いられた。ミ⸢ジタング[mi⸢ʤitaŋgu](1斗入りの水桶<\ruby{水担桶}{ミズ|タ|ゴ}>)を天秤棒で前後に担うが、その一対の水桶をプ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](\ruby{一担}{ヒト|カツギ}{EOS}\ruby{一荷}{イツ|カ})という。水甕には板の蓋をし、柄杓で汲み取って使った。 ミ⸢ジカメー ミーカタミ ユーカタミナー ペール⸣タン [mi⸢ʤikameː miːkatami juːkataminaː peːru⸣taŋ] (水甕は三担ぎ、四担ぎも入った) 14294 0 0 14015 htmvoc_14294.wav ピソーミルン ピ⸢ソーミ⸣ルン [pi⸢soːmi⸣ruŋ] 他動 広める。拡げる。拡大する。 ⸢ヤー⸣ヌ シ⸢バー⸣ンダ ピ⸢ソーミ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ピ⸢ソーミララ⸣ヌ [⸢jaː⸣nu ʃi⸢baː⸣nda pi̥⸢soːmi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du pi⸢soːmirara⸣nu] (家が狭いので広げようと思うが、拡げられない)。 ピ⸢ソー⸣ミ ⸣ミサン [pi⸢soː⸣mi ⸣misaŋ] (拡げても良い)。 ⸣クマー ピ⸢ソーミ⸣ル ⸣クトー ム⸢チ⸣カサン [⸣kumaː pi̥⸢soːmi⸣ru ⸣ku̥toː mu⸢ʧi⸣kasaŋ] (ここは拡げることは難しい)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢ソーミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢soːmi⸣reː ⸣misamunu] (もっと広めればいいのに)。 ⸢イッケンマー⸣ ピ⸢ソーミ⸣リ [⸢ʔikkemmaː⸣ pi⸢soːmi⸣ri] (一間は拡げなさい) 14295 0 0 14016 htmvoc_14295.wav ピソームン ピ⸢ソー⸣ムン [pi̥⸢soː⸣muŋ] 他動 広める。拡げる。拡大する。 ユ⸢ヌン⸣ トンナー ピ⸢ソー⸣ムンティ シ⸢タンティン マービン⸣マー ピ⸢ソーマラヌ [ju⸢nun⸣ tonnaː pi̥⸢soː⸣munti ʃi̥⸢tantim maːbim⸣maː pi̥⸢soːmara⸣nu] (同じ所で広げようとしても更には拡げられない)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢ソーミ⸣ プサンドゥ ピ⸢ソー⸣ム ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [⸢maː⸣bim pi̥⸢soːmi⸣ pu̥sandu pi̥⸢soː⸣mu ⸣ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (もっと拡げたいが、拡げることはできないそうだ)。 ピソーメー ⸣ミサムヌ [pi̥⸢soː⸣meː ⸣misamunu] (拡げればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢ソー⸣ミバ [⸢maː⸣bim pi⸢soː⸣miba] (もっと広めよ)。 ビ⸢ソーミ⸣リ [bi⸢soːmi⸣ri] (広めろ) 14297 0 1 14017 htmvoc_14297.wav ピソーン ピ⸢ソー⸣ン [pi̥⸢soː⸣ŋ] 形 {Mn_1}広い。面積が大きい。「~天地は比呂之等いへど 吾が為は~。万、892」の義。 イ⸢チバンザー⸣ヤ ピ⸢ソー⸣ンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ フ⸢ドゥブター⸣ ピ⸢ソーナー⸣ヌ [ʔi⸢ʧibanʣaː⸣ja pi̥⸢soː⸣nti ʔu⸢muːta⸣nu ɸu⸢dubutaː⸣ pi̥⸢soːnaː⸣nu] (一番座は広いと思ったが、成長したので広くない)。 ⸢シンダイ⸣ ピ⸢ソー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ pi̥⸢soː⸣ naruŋ] (次第に広くなる)。 ⸣ドゥク ピ⸢ソー⸣ヌ ⸢タンガ⸣シェー カ⸢ララヌ [⸣duku pi̥⸢soː⸣nu ⸢taŋga⸣ʃeː ka⸢raranu] (あまりに広くて一人では借りられない)。 ピ⸢ソー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pi̥⸢soː⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (広いことはない)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ ピ⸢ソー⸣カ⸢ナー [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ pi̥⸢soː⸣ka⸢naː] (もう少し広かったらなあ)。 14297 0 2 14018 htmvoc_14297.wav ピソーン ピ⸢ソー⸣ン [pi̥⸢soː⸣ŋ] 形 {Mn_2}語幹部を重複させて副詞を作る。 ⸢ヤー⸣ヤ ピ⸢ソーピソー⸣シ ス⸢ク⸣リ [⸢jaː⸣ja pi̥⸢soːpisoː⸣ʃi su̥⸢ku⸣ri] (家は広々と<ゆったりと>作れ) 14299 0 0 14019 htmvoc_14299.wav ピタ ⸣ピタ [⸣pi̥ta] 名 下手。不器用であること。未熟であること。「Feta.ヘタ(下手) 不器用な者、または、のろまな者」『邦訳日葡辞書』。⸢ティー⸣ フ⸢コー⸣ン[⸢tiː⸣ ɸu̥⸢koː⸣ŋ](手が鈍い)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ミリバン⸣ ピタ [ʔu⸢reː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢miribam⸣ pi̥ta] (彼は何をさせても下手だ) 14298 0 0 14020 htmvoc_14298.wav ピダ ⸣ピダ [⸣pida] 名 ひだ(襞)。「Fida.ヒダ(襞)ひだ目,あるいは折り目,波状になった所」『邦訳日葡辞書』の転訛。 カ⸢カンヌ⸣ ピダー ⸣ブリシキ [kḁ⸢kannu⸣ pidaː ⸣buri ⸣ʃi̥ki] (カカン<古典舞踊鳩間中岡衣装の下着用の袴>のひだ<襞>は<を>折っておきなさい)。 ⸣ピダ ⸢ノー⸣スン [⸣pida ⸢noː⸣suŋ] (襞を折って直す) 14300 0 0 14021 htmvoc_14300.wav ピター ⸣ピター [⸣pi̥taː] 固 (人名)女子の名前。 ⸣ピタンマー ⸢ヤー⸣ナ ⸢オー⸣ルン [⸣pi̥tammaː ⸢jaː⸣na ⸢ʔoː⸣ruŋ] (ピタ姉さんは家に居られる) 14301 0 0 14022 htmvoc_14301.wav ビダーカスン ビ⸢ダーカスン [bi⸢daːkasuŋ] 他動 押しつぶす。ひしゃぐ(拉ぐ)。ぺしゃんこにする。圧して平たくする。 ⸢ウシキ⸣ ビ⸢ダーカスンティ スンドゥ⸣ ビ⸢ダーカサラヌ [⸢ʔuʃi̥ki⸣ bi⸢daːkasunti sundu⸣ bi⸢daːkasaranu] (押して潰そうとするが、押しつぶされない)。 ビ⸢ダーカシ ナー⸣ヌ [bi⸢daːkaʃi naː⸣nu] (押しつぶしてしまった)。 ビ⸢ダーカス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [bi⸢daːkasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (押しつぶすことは出来ない)。 ビ⸢ダーカシェー⸣ ミサムヌ [bi⸢daːkaʃeː⸣ misamunu] (押しつぶせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ビ⸢ダーカシ [⸢paː⸣ku bi⸢daːkaʃi] (早く押しつぶせ)。 ム⸢チェー⸣ ドゥク ⸢ヤー⸣ラーカー ビ⸢ダークン⸠ダー [mu⸢ʧeː⸣ duku ⸢jaː⸣raːkaː bi⸢daːkun⸠daː] (餅はあまり柔らかいとひしゃげるよ) 14302 0 0 14023 htmvoc_14302.wav ビダーキビリ ビ⸢ダーキビリ [bi⸢daːkibiri] 名 べったり座る座り方。怠け者の座り方。尻をぺたんと床につけて座る座り方。 ウ⸢リヌ⸣ ビ⸢ダーキビリ シェーラ⸣ イッ⸢カ ウーカ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ bi⸢daːkibiri ʃeːra⸣ ʔik⸢ka ʔuːka⸣nu] (彼がべったり座り込むと決して<一向に>動かない)。 バ⸢カー⸣ムノー ビ⸢ダーキビリ サンドー⸣シ シ⸢ビシゥカイビリ シェー⸣ティル ⸢イー⸣ユン ッ⸢ふー [ba⸢kaː⸣munoː bi⸢daːkibiri sandoː⸣ʃi ʃi⸢bisï̥kaibiri ʃeː⸣tiru ⸢ʔiː⸣juŋ f⸢fuː] (若者はべったり座らず、\ruby{片膝}{カタ|ヒザ}を折り、片膝を地面につけ、踵で尻を支えて座る「尻支え座り」をして<ぞ>飯も食うものだ) 14303 0 1 14024 htmvoc_14303.wav ビダークン ビ⸢ダークン [bi⸢daːkuŋ] 自動 {Mn_1}へたる。尻をつけて座る。へたばって座り込む。へたり込んで立てなくなる。 ヤ⸢ム⸣ター ビ⸢ダーキティ⸣ ノー⸢ン シーユーサヌ [ja⸢mu⸣taː bi⸢daːkiti⸣ noː⸢ŋ ʃiːjuːsanu] (病気したのでへたり込んでしまって、何も出来ない)。 ア⸢ラカン⸣カー ビ⸢ダークンダ⸣ ビ⸢ダーカン⸣ヨーニ ⸣ドゥー ⸢ウーカ⸣シ [ʔa⸢rakaŋ⸣kaː bi⸢daːkunda⸣ bi⸢daːkaɲ⸣joːni duː ⸢ʔuːka⸣ʃi] (歩かないとへたり込むから、へたり込まないように体を動かせ)。 ア⸢ラ⸣キサーギ ⸢スー⸣カー ビ⸢ダーク⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ra⸣kisaːgi ⸢suː⸣kaː bi⸢daːku⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (歩きさえすれば、へたることはない)。 ビ⸢ダーケー⸣ ミサムヌ [bi⸢daːkeː⸣ misamunu] (へたればいいのに)。 ビ⸢ダーキ⸣バ [bi⸢daːki⸣ba] (へたれよ)。 14303 0 2 14025 htmvoc_14303.wav ビダークン ビ⸢ダークン [bi⸢daːkuŋ] 自動 {Mn_2}潰れる。ひしげる(\ruby{拉}{ヒシャ}げる)。 ウ⸢スク⸣カー ビ⸢ダークンダ ウスクナ [⸢ʔusu̥ku⸣kaː bi⸢daːkunda ʔusu̥kuna] (圧したら\ruby{潰}{ツブレ}る<ひしゃげる>から、圧すな) 14304 0 0 14026 htmvoc_14304.wav ビダーシキビリ ビ⸢ダーシキビリ [bi⸢daːʃi̥kibiri] 名 べたっと座ること。特に女性が床の上に、又は地面の上にべたっと尻をついて座ること。このように座ると次の動作が取りにくいので、働き者の農家の女性の忌み嫌う座り方である。農家の娘たちは、この座りかたを親からきつくとがめられた。 ビ⸢ダーシキビリ スー⸣ ッ⸢ふァー⸣ スブットゥ [bi⸢daːʃi̥kibiri suː⸣ f⸢faː⸣ subuttu] (べったりと座る子は怠け者である) 14305 0 0 14027 htmvoc_14305.wav ビターッティ ビターッ⸢ティ [bitaːt⸢ti] 副 ぺったり。べたっと。 ム⸢チェー⸣ ドゥク ⸢ヤー⸣ラーティ ビターッ⸢ティ⸣ ビ⸢ダーキ ナー⸣ヌ [mu⸢ʧeː⸣ duku ⸢jaː⸣raːti bitaːt⸢ti⸣ bi⸢daːki naː⸣nu] (餅はあまりにも柔らかすぎるので、ぺたっとひしゃげて<押しつぶれて>しまった) 14307 0 0 14028 htmvoc_14307.wav ピターマスン ピ⸢ターマスン [pi̥⸢taːmasuŋ] 他動 へこます。窪ます。ぺしゃんこにする。使役動詞。押しつぶす。⸢~を~させる」の意味を表す。 ⸣グムマール ピ⸢ターマスン [⸣gumumaːru pi̥⸢taːmasuŋ] (ゴム鞠をへこます)。 ピ⸢ターマサヌ [pi̥⸢taːmasanu] (へこまさない)。 ピ⸢ターマシナー⸣ヌ [pi̥⸢taːmaʃinaː⸣nu] (へこましてしまった)。 ピ⸢ターマス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi̥⸢taːmasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (へこますことは\ruby{罷}{マカリ}ならぬ)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢ターマシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi̥⸢taːmaʃeː⸣ misamunu] (もっとへこませばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ターマシ [⸢paː⸣ku pi̥⸢taːmaʃi] (早くへこませ) 14306 0 0 14029 htmvoc_14306.wav ピタームン ピ⸢タームン [pi̥⸢taːmuŋ] 自動 ぺしゃんこになる。へこむ(凹む)。くぼむ(窪む)。表面が落ち込んで平たくなる。押しつぶされて平たくなる。 バ⸢キ⸣チ ⸢シッ⸣クカー ピ⸢タームン⸣ダー [ba⸢ki⸣ʧi ⸢ʃik⸣kukaː pi̥⸢taːmun⸣daː] (バケツを叩くとへこむよ)。 ⸢シック⸣タンティン ピ⸢ターマヌ [⸢ʃikku⸣tantim pi̥⸢taːmanu] (叩いてもへこまない)。 ⸢シック⸣ター ピ⸢ターミ ナー⸣ヌ [⸢ʃikku⸣taː pi̥⸢taːmi naː⸣nu] (叩いたので凹んでしまった)。 ウ⸢ビッ⸣チンシ ピ⸢ターム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bit⸣ʧiŋʃi pi̥⸢taːmu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これっぽっちで凹むことはない)。 ピ⸢ターメー⸣ ミサムヌ [pi̥⸢taːmeː⸣ misamunu] (凹めばいいのに)。 ピ⸢ターミ [pi̥⸢taːmi] (へこめ)。 ⸣バター ピ⸢ターミティ ヨーガレー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸣bataː pi̥⸢taːmiti joːgareː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (お腹はへこんで、痩せ衰えているよ) 14308 0 0 14030 htmvoc_14308.wav ピターンティ ピ⸢ターンティ [pi̥⸢taːnti] 副 ぴたんと。ぴしゃんと。平手で打つ音の形容。 ピ⸢ターンティ⸣ ビ⸢ケーン⸣ シラ ウ⸢タ⸣リティ ナ⸢キ ベー [pi̥⸢taːnti⸣ bi⸢keːŋ⸣ ʃira ʔu⸢ta⸣riti na⸢ki beː] (ぴたんと男の親に顔を叩かれて泣いている) 14309 0 0 14031 htmvoc_14309.wav ピダキ ⸣ピダキ [⸣pidaki] 名 笛。古老は⸣ピー[⸣piː](笛)という。若年層は、⸣ピラキ[⸣piraki](笛)ともいう。「いにしへを吹き伝へたる笛竹に~。」『源氏物語 少女』の転訛したもの。*[pue] → *[pui] → [piː] の音韻変化をへたもの。伊江島方言では、ティー[tiː](笛)という。 ⸣ピダキ ⸣フクン [⸣pidaki ⸣ɸu̥kuŋ] (笛を吹く)。 ⸢ソーラン⸣ヌ ⸢シー⸣シ ⸢マーソー⸣ル ⸣ピンヌ ミ⸢チウター⸣ イ⸢リクヌ⸣ティーティル ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢soːran⸣nu ⸢ʃiː⸣ʃi ⸢maːsoː⸣ru ⸣pinnu mi⸢ʧiʔutaː⸣ ʔi⸢rikunu⸣tiːtiru ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (お盆の獅子舞をされるときの道歌をイ⸢リクヌ⸣ティー{SqBr}ʔi⸢rikunu⸣tiː{/SqBr}<入れ子の笛>といわれた)。イ⸢リクヌ⸣ティーは伊江島方言由来の言葉であろう 14310 0 0 14032 htmvoc_14310.wav ピダシゥカ ピ⸢ダシゥ⸣カ [pi⸢dasi̥⸣ka] 名 (動)しゃこ(蝦蛄)。しゃこえび。体はやや扁平で体長10~12センチ、カマキリ(サントゥルサー{SqBr}⸢san⸣turusaː{/SqBr})のような補脚を持つ。珊瑚礁の中に棲息し、捕捉しようとするとパチンパチンと音を立てて弾く。それで指を切られることがある。煮ると海老のように美味である。ピ⸢ダフ⸣カ[pi⸢daɸu̥⸣ka](しゃこ<蝦蛄>)(老年層)ともいう。 ピ⸢ダシゥ⸣カ シゥ⸢カ⸣ミ ⸣キーティ バ⸢カス⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [pi⸢dasi̥⸣ka si̥⸢ka⸣mi ⸣kiːti ba⸢kasu̥⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (しゃこえびを捕獲してきて炊くと非常に美味しい) 14311 0 0 14033 htmvoc_14311.wav ピダティ ピ⸢ダ⸣ティ [pi⸢da⸣ti] 名 隔て。境。区切り。仕切り。「~安の河 中に敝太弖々 向かひ立ち~。万、4125」の義。 ⸢イー⸣ネートゥ ⸢アー⸣ネーヌ ピ⸢ダ⸣テー ⸢グス⸣クシ シ⸢ラリ ブー [⸢ʔiː⸣neːtu ⸢ʔaː⸣neːnu pi⸢da⸣teː ⸢gusu̥⸣kuʃi ʃi⸢rari buː] (西隣の家と東隣の家の隔ては石垣で<仕切り>されている) 14312 0 0 14034 htmvoc_14312.wav ピダティルン ピ⸢ダティ⸣ルン [pi⸢dati⸣ruŋ] 他動 隔てる。仕切る。「~中に敝太弖<ヘダテテ>~。万、4125」(下二)のラ行四段活用化したもの。 ウ⸢ヤッふァ⸣ヌ ⸣ナカ ピ⸢ダティ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ピ⸢ダティララ⸣ヌ [ʔu⸢jaffa⸣nu ⸣naka pi⸢dati⸣runti ⸢sundu⸣ pi⸢datirara⸣nu] (親子の仲を隔てようとするが、隔てられない)。 ピ⸢ダ⸣ティ ⸣ミサカー ピ⸢ダティ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [pi⸢da⸣ti ⸣misakaː pi⸢dati⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (隔ててよければ隔てることはできる)。 ピ⸢ダティ⸣レー ⸣ミサムヌ [pi⸢dati⸣reː ⸣misamunu] (隔てれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ダティ⸣リ [⸢paː⸣ku pi⸢dati⸣ri] (早く隔てろ) 14313 0 0 14035 htmvoc_14313.wav ピダトゥン ピ⸢ダ⸣トゥン [pi⸢da⸣tuŋ] 他動 隔てる。境とする。区別する。「~安の河 中に敝太弖々 向ひ立ち~。万、4125」(下二)のタ行四段活用化したもの。ピ⸢ダティ⸣ルンとも言う。 フ⸢タールヌ⸣ ナカー ピ⸢ダ⸣トゥンティ ⸢スンドゥ⸣ ピ⸢ダタラ⸣ヌ [ɸu̥⸢taːrunu⸣ nakaː pi⸢da⸣tunti ⸢sundu⸣ pi⸢datara⸣nu] (二人の仲を\ruby{隔}{ヘダ}てようとするが、隔てられない)。 ⸢ミーウシ⸣トゥ ビ⸢キウシェー⸣ ピ⸢ダ⸣ティティ シゥ⸢カ⸣ナイバ [⸢miːʔuʃi⸣tu bi⸢kiʔuʃeː⸣ pi⸢da⸣titi sï̥⸢ka⸣naiba] (牝牛と雄牛は隔てて飼育しなさいよ)。 ピ⸢ダ⸣トゥ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [pi⸢da⸣tu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (隔てることは出来ない)。 ピ⸢ダ⸣テー ⸣ミサムヌ [pi⸢da⸣teː ⸣misamunu] (隔てればいいのに)。 シ⸢ザ⸣トゥ ⸢ウシ⸣トー ピ⸢ダ⸣ティバ [ʃi⸢ʣa⸣tu ⸢ʔuʃi̥⸣toː pi⸢da⸣tiba] (兄<年上>と弟<年下>は区別しなさいよ<隔てよ>) 14314 0 0 14036 htmvoc_14314.wav ピタパナ ピ⸢タパナ [pi̥⸢tapana] 名 低い鼻。鼻の低い女の子。卑語。ピ⸢サパナ[pi̥⸢sapana](低い鼻)ともいう。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナー⸣ ピ⸢タパナ⸣ ナリティ キ⸢ムイ⸣ツァーワ レー [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢naː⸣ pitapana ⸣nariti ki⸢mui⸣ʦaːwa ⸣reː] (あの子の鼻は低い鼻<平たい鼻>になって、なんと可哀相なことよ<それは>) 14315 0 0 14037 htmvoc_14315.wav ピダフカ ピ⸢ダフ⸣カ [pi⸢daɸu̥⸣ka] 名 動物。シャコ(蝦蛄)。しゃこえび。ピ⸢ダシゥ⸣カ[pi⸢dasi̥⸣ka](蝦蛄{EOS}しゃこえび)ともいう。 ピ⸢ダフ⸣カー イ⸢ビヌ⸣カタチニ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣ン [pi⸢daɸu̥⸣kaː ʔi⸢binu⸣ kḁtaʧini ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (\ruby{蝦蛄}{シャ|コ}はエビのように、非常に美味しい) 14316 0 0 14038 htmvoc_14316.wav ピダミ ピ⸢ダ⸣ミ [pi⸢da⸣mi] 名 隔て。境。境界。間隔。 ク⸢マ⸣ル パ⸢タキ⸣トゥ ミ⸢チ⸣ヌ ピ⸢ダ⸣ミ ⸣ナリ ⸢ブー [ku⸢ma⸣ru pḁ⸢taki⸣tu mi⸢ʧi⸣nu pi⸢da⸣mi ⸣nari ⸢buː] (ここが畑と道の隔て<境界>になったいる)。 ⸢イー⸣ネー ⸢アー⸣ネーヌ ⸢ヤシキ⸣ヌ ピ⸢ダ⸣メー シ⸢ラリ⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔiː⸣neː ⸢ʔaː⸣eːnu ⸢jaʃi̥ki⸣nu pi⸢da⸣meː ʃi⸢rari⸣ bu⸢raːnu] (西隣と東隣りの屋敷の隔て<境界>はされていない) 14318 0 0 14039 htmvoc_14318.wav ピダミルン ピ⸢ダミ⸣ルン [pi⸢dami⸣ruŋ] 他動 隔てる。区別する。 サ⸢ク⸣シェー ジ⸢ナン サン⸣ナンラン ピ⸢ダミ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ ドゥク ピ⸢ダミラン⸣ドーシ ス⸢ダティ⸣リバ [sa⸢ku⸣ʃeː ʤi⸢nan san⸣nanran⸣ pi⸢dami⸣runti su̥⸢kutanu⸣ duku pi⸢damiran⸣doːʃi su⸢dati⸣riba] (長男は次男、三男からも区別する<隔てる>と聞いたが、あまり区別しないで育てなさいよ)。 ム⸢カ⸣シェー ビ⸢コーンッふァー⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァトー ピ⸢ダ⸣ミティル シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ヨーッタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー ⸣アイニ ピ⸢ダミ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː bi⸢koːŋffaː⸣ mi⸢doːŋ⸣ffatoː pi⸢da⸣mitiru sï̥⸢ka⸣nai ⸢joːtta⸣nu ma⸢na⸣maː ⸣ʔaini pi⸢dami⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (昔は男の子と女の子は区別して養育したが、今はそのように区別することはない) 14317 0 0 14040 htmvoc_14317.wav ピダムン ピ⸢ダ⸣ムン [pi⸢da⸣muŋ] 他動 着物や布のひだ(襞)を両手で折って作り直す。「ひだめ(ひだをつける)」の転訛したものか。 ム⸢カ⸣シェー ⸢アイロン⸣マー ⸢ナーン⸣ ブ⸢レーン⸣ダ カ⸢カンヌ⸣ ピダー ⸣ティーシ ⸣ブリ ピ⸢ダ⸣ミティ ⸣イツァシ ⸢ウシキ⸣ ヌ⸢バ⸣ソーッタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔairom⸣maː ⸢naːm⸣ bu⸢reː⸣nda kḁ⸢kannu⸣ pidaː ⸣tiːʃi ⸣buri pi⸢da⸣miti ⸣ʔiʦaʃi ⸢ʔuʃi̥ki⸣ nu⸢ba⸣soːttaru] (昔はアイロンはなかったので、カカンの\ruby{襞}{ヒダ}は手で折って板で押して\ruby{皺}{シワ}を伸ばされた)。 カ⸢カンヌ⸣ ピ⸢ダ⸣バ ピ⸢ダ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ ピ⸢ダマラ⸣ヌ [kḁ⸢kannu⸣ pi⸢da⸣ba pi⸢da⸣munti ⸢sundu⸣ pi⸢damara⸣nu] (カカンの襞を両手で折って直そうとするが、直されない)。 ⸢ゾー⸣ブンニ ピ⸢ダ⸣ム ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʣoː⸣bunni pi⸢da⸣mu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (上手に襞を作り直す<伸ばす>ことはせきない)。 カ⸢シーカシー⸣ ピ⸢ダ⸣メー ⸣ミサムヌ [kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ pi⸢da⸣meː ⸣misamunu] (しっかりと襞を作り直すせば<伸ばせ>ばいいのに)。 ピ⸢ダ⸣ミバ [pi⸢da⸣miba] (襞を作り直しなさい) 14322 0 0 14041 htmvoc_14322.wav ピダヤー ピ⸢ダ⸣ヤー [pi⸢da⸣jaː] 名 ひだりぎっちょ(左器用{EOS}\ruby{左利}{ヒダリ|キキ})。 ウ⸢レー⸣ ピ⸢ダ⸣ヤー ヤ⸢ルンダ⸣ ピ⸢ダリ⸣ティーシル ノー⸢ン スー [ʔu⸢rːe⸣ pi⸢da⸣jaː ja⸢runda⸣ pi⸢dari⸣tiːʃiru noː⸢n suː] (彼は左ぎっちょ<左利>だから、左手で何でもする) 14319 0 0 14042 htmvoc_14319.wav ビダラーン ビ⸢ダラー⸣ン [bi⸢daraː⸣ŋ] 形 どろどろと柔らかいさま。餅や粘土等のどろどろと柔らかいさま。 ⸢ワー⸣ ム⸢チェー⸣ ビ⸢ダラー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸢waː⸣ mu⸢ʧeː⸣ bi⸢daraː⸣nu f⸢faːranu] (君の餅はどろどろと柔らかすぎて食べられない)。 ⸣ミルカー ビ⸢ダラー⸣ン ⸣ギサンドゥ カ⸢サム⸣カー ⸢ナン⸣ゾー ビ⸢ダラー ナー⸣ヌ [⸣mirukaː bi⸢daraː⸣ŋ ⸣gisandu ka⸢samu⸣kaː ⸢nan⸣ʣoː bi⸢daraː naː⸣nu] (見たらどろどろと柔らかそうだが、掴むとあまり柔らかくない)。 ビ⸢ダラー⸣ ナリティ シゥ⸢カーラヌ [bi⸢daraː⸣ nariti sï̥⸢kaːranu] (どろどろと柔らかくなって使えない)。 ビ⸢ダラー⸣ ムノー シ⸢ティリ [bi⸢daraː⸣ munoː ʃi̥⸢tiri] (どろどろと柔らかいものは捨てなさい) 14320 0 0 14043 htmvoc_14320.wav ビダラッス ビ⸢ダラッス [bi⸢darassu] 名 どろどろした大便。下痢状の便。 ク⸢ダシティ⸣ ビ⸢ダラッスバ⸣ マリ ⸣シケー [ku⸢daʃi̥ti⸣ bi⸢darassuba⸣ mari ⸣ʃi̥keː] (下痢してどろどろ便を排便してある) 14321 0 0 14044 htmvoc_14321.wav ビダラムチ ビ⸢ダラムチ [bi⸢daramuʧi] 名 どろどろした柔らかい餅。 ⸢ワー⸣ ム⸢チェー⸣ タリティ ビ⸢ダラムチ⸣ ナリ ⸢ベー [⸢waː⸣ mu⸢ʧeː⸣ tariti bi⸢daramuʧi⸣ nari ⸢beː] (君の餅は溶けてどろどろとした柔らかい餅になっている) 14324 0 0 14045 htmvoc_14324.wav ピダリ ピ⸢ダ⸣リ [pi⸢da⸣ri] 名 左。正常でないもの。⸢ニーリ[⸢niːri](右)の対義語。 ピ⸢ダリ⸣ティー [pi⸢dari⸣tiː] (左手)。 ピ⸢ダリ⸣パン [pi⸢dari⸣paŋ] (左足)。 ピ⸢ダリ⸣ジナ [pi⸢dari⸣ʤina] (\ruby{左綯}{ヒダリ|ナイ}の綱)。 ピ⸢ダリマー⸣ル [pi⸢darimaː⸣ru] (左回り{EOS}状況が悪化すること)。 ⸢ワー⸣ ン⸢ベーマ⸣ ピ⸢ダ⸣レー ⸢ユージ [⸢waː⸣ ʔm⸢beːma⸣ pi⸢da⸣reː juː⸢ʤi] (君は少し左の方へ寄れ) 14323 0 0 14046 htmvoc_14323.wav ピダリウチマーシ ピ⸢ダリウチマー⸣シ [pi⸢dariʔuʧimaː⸣ʃi] 名 左前。着物の左おくみ<衽>を下にし、右おくみを上にして着る着方。普通と逆の、間違った着方。 ヨー⸢ヨー⸣ ピ⸢ダリウチマー⸣シ ⸢シェー⸣ティ ⸣キン キ⸢スナ⸣ヨー [joː⸢joː⸣ pi⸢dariʔuʧimaː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ti ⸣kiŋ ki̥⸢suna⸣joː] (気をつけろよ、左前にして着物を着るなよ) 14325 0 0 14047 htmvoc_14325.wav ピダリカジマーリ ピ⸢ダリカジマー⸣リ [pi⸢darikaʤimaː⸣ri] 名 すねる(\ruby{拗}{ス}ねる)こと。ひねくれる(\ruby{捻}{ヒネ}くれる)こと。ねじけて我をはること。感情を損ねて我を張ること。 ⸣ヌンティルター ⸢キュー⸣ヤ ピ⸢ダリカジマー⸣リ ⸢シー ベー⸣ワ [⸣nuntirutaː ⸢kjuː⸣ja pi⸢darikaʤimaː⸣ri ⸢ʃiː beː⸣wa] (どうしてまた、今日はひねくれ<捻くれ>ているのかねえ) 14326 0 0 14048 htmvoc_14326.wav ピダリジナ ピ⸢ダリ⸣ジナ [pi⸢dari⸣ʤina] 名 左縄。左縒りの縄。「左綱」の義。左縄には悪霊を祓う力があると信じられている。神事を執り行う場所には左縄が張りめぐらされた。 パ⸢トゥ⸣マナテー ⸢ヨー⸣ ピ⸢ダリ⸣ジナー ヌ⸢キ⸣ムヌティ ア⸢ザリ ブー⸠ダー [pḁ⸢tu⸣manateː ⸢joː⸣ pi⸢dari⸣ʤinaː nu⸢ki⸣munuti ʔa⸢ʣari buː⸠daː] (鳩間島ではねえ、左縄は悪霊祓いといわれているよ) 14327 0 0 14049 htmvoc_14327.wav ピダリジン ピ⸢ダリ⸣ジン [pi⸢dari⸣ʤiŋ] 名 膳に配置するご飯とお汁の位置が逆であること。「\ruby{左膳}{ヒダリ|ゼン}」の義。死者、仏前に食事を供える際の配膳法といわれている。標準語の「左膳」は別儀で、ピ⸢ダリ⸣ジンは、「よこぜん(横膳)」の意に近い。 ⸢ワー ジンマー⸣ ピ⸢ダリ⸣ジン ナ⸢リ⸣ブバ ⸢イー⸣ヤ ピ⸢ダ⸣レー ⸣ナシ ⸢スー⸣ヤ ⸢ニーレー⸣ ナシバ [⸢waː ʤimmaː⸣ pi⸢dari⸣ʤin na⸢ri⸣buba ⸢ʔiː⸣ja pi⸢da⸣reː ⸣naʃi ⸢suː⸣ja ⸢niːreː⸣ naʃiba] (君の膳は左膳になっているから、ご飯は左、お汁は右へ移し<なし>なさい) 14328 0 0 14050 htmvoc_14328.wav ピダリプス ピ⸢ダリ⸣プス [pi⸢dari⸣pu̥su] 名 左利き。ひだりぎっちょ(左器用・左利)。「左人」の義。ピ⸢ダ⸣ヤー[pi⸢da⸣jaː](左利き)ともいう。 ピ⸢ダリ⸣プス ヤ⸢ルンドゥ ティーシグ⸣トー ⸢ゾー⸣ジ⸢ダー [pi⸢dari⸣pu̥su ja⸢rundu tiːʃigu⸣toː ⸢ʣoː⸣ʤi] (左利きの人だが、手仕事は上手だ) 14329 0 0 14051 htmvoc_14329.wav ピダリマーシ ピ⸢ダリマー⸣シ [pi⸢darimaː⸣ʃi] 名 左巻きにすることによって祓うこと。\ruby{除霊}{ジョ|レイ}の呪術。左周りにひねること。 ⸣シナ ヤ⸢ラバン⸣ ノー⸢ン ヤラバン⸣ ピ⸢ダリマー⸣シ ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣ルカー ヤ⸢ナ⸣ムノー シゥ⸢カン⸣ツォー [⸣ʃina ja⸢raban⸣ noː⸢ŋ jarabam⸣ pi⸢darimaː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ja⸢na⸣munoː ʃi̥⸢kiran⸣ʦoː] (綱でも何でもいいから、左に巻いて<\ruby{捻}{ヒネ}って>おくと邪霊は付かないそうだ) 14331 0 0 14052 htmvoc_14331.wav ピダルカダル ⸣ピダルカダル [⸣pidarukadaru] 名 すねる(拗ねる)こと。ひねくれる(捻くれる)こと。感情を損ねて我を張ること。感情を損ねて人に従わないこと。 ⸢ヌー⸣ヌ ⸣キモー フ⸢ガン⸣タユー ⸣ピダルカダル ⸣シー ⸣ムニーン イ⸢ザヌ [⸢nuː⸣nu ⸣kimoː ɸu⸢gan⸣tajuː ⸣pidarukadaru ⸣ʃiː ⸣muniːŋ ʔi⸢ʣanu] (何が気に食わない<不満{EOS}納得できない>のか、捻くれてものも言わない) 14330 0 0 14053 htmvoc_14330.wav ピダレーニーレー ピ⸢ダ⸣レーニーレー [pi⸢da⸣reːniːreː] 名 左右。ピ⸢ダ⸣リニーリ[pi⸢da⸣riniːri](左右)ともいう。 ピ⸢ダ⸣レーニーレー ⸢マーシ⸣ ミレーティル ⸣フカー ン⸢ジ⸣ル⸢ダー [pi⸢da⸣reːniːreː ⸢maːʃi⸣ mireːtiru ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤi⸣ru⸢daː] (左右を見回してから外へは出るのだぞ) 14332 0 0 14054 htmvoc_14332.wav ビチ ⸣ビチ [⸣biʧi] 名 別。別個。別のところ。 ク⸢リヌ⸣ フカナー ビ⸢チ⸣ヌ ⸣ムノー ナー⸢ヌ [ku⸢rinu⸣ ɸu̥kanaː bi⸢ʧi⸣nu ⸣munoː naː⸢nu] (これの他に別の物はないのか)。 ビ⸢チ⸣ヌ ム⸢ヌ⸣ル プサ⸢サー [bi⸢ʧi⸣nu mu⸢nu⸣ru pu̥sa⸢saː] (別の物が欲しい)。 ⸣ビチナー ⸢ナーン⸣カヤー [⸣biʧinaː ⸢naːŋ⸣kajaː] (別の所にはないのかねえ) 14333 0 0 14055 htmvoc_14333.wav ピチ ピ⸢チ [pi̥⸢ʧi] 名 十二支の第八番目、ひつじ(未)。 ピ⸢チディプス [pi̥⸢ʧidipusu] (未年生まれの人)。 ピ⸢チニー [pi̥⸢ʧiniː] (十二支のひつじ<未>の日)。 ピ⸢チディマリ [pi̥⸢ʧidimari] (未年の生まれ)。 ピ⸢チヌ パー [pi̥⸢ʧinu paː] (ひつじ<未>の方向{EOS}南西の方向)。 ピ⸢チディプソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢トゥナ⸣サン<⸢ワンダーッ⸣サン> [pi̥⸢ʧidipu̥soː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢tuna⸣saŋ<⸢wandaːs⸣saŋ>] (未年生まれの人は、非常に大人しい) 14334 0 0 14056 htmvoc_14334.wav ビチカンガイ ビ⸢チカン⸣ガイ [bi⸢ʧikaŋ⸣gai] 名 別の考え。違った考え。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢シー⸣ヨーシェー ⸣マイ ⸢ユーザランダ⸣ ビ⸢チガン⸣ガイ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢nama⸣nu ⸢ʃiː⸣joːʃeː ⸣mai ⸢juːʣarnada⸣ bi⸢ʧikaŋ⸣gai ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (今の仕方では前に進めない<寄れない>から、別の考えをしなければならない) 14335 0 0 14057 htmvoc_14335.wav ピチディマリ ピ⸢チディマリ [pi̥⸢ʧidimari] 名 十二支のひつじ(未)年生まれ。未年生まれの人。 ⸣アッパー ピ⸢チデマリ⸣ ヤ⸢ロー⸣ルンダ ⸣アブジェーラ フ⸢ターチェー⸣ ウ⸢ス⸣トゥ ヤ⸢ロー⸣ル ⸣パジ [⸣ʔappaː pi̥⸢ʧidimari⸣ ja⸢roː⸣runda ⸣ʔabuʤeːra ɸu̥⸢taːʧeː⸣ ʔu⸢su⸣tu ja⸢roː⸣ru ⸣paʤi] (お祖母さんは未年生まれであられるから、お祖父さんより二歳は年下<弟>であられるはずです) 14336 0 0 14058 htmvoc_14336.wav ピチニー ピ⸢チニー [pi̥⸢ʧiniː] 名 十二支のひつじ(未)の日。 ピ⸢チドゥシヌ⸣ ピ⸢チニー⸣ナ マ⸢レー⸣ル ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ<ル>⸣ ウ⸢トゥナッ⸣サン ⸣パジ [pi̥⸢ʧiduʃinu⸣ pi̥⸢ʧiniː⸣na ma⸢reː⸣ru f⸢fa⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢tunas⸣sam ⸣paʤi] (未年の未の日に生まれた子供だから<ぞ>、大人しいはずだ) 14337 0 0 14059 htmvoc_14337.wav ピチマー ピ⸢チマー [pi̥⸢ʧimaː] 名 玄孫。孫の孫。やしゃご。 ⸢バン⸣テナーヤ ピ⸢チマーン⸣ マ⸢レーン⸣ダー [⸢ban⸣tenaːja pi̥⸢ʧimaːm⸣ ma⸢reːn⸣daː] (私の家には玄孫も生まれたよ) 14338 0 1 14060 htmvoc_14338.wav ピチマクン ピ⸢チ マクン [pi̥⸢ʧi makuŋ] 連 {Mn_1}蛇がとぐろをまく。蛇のように、\ruby{敵愾心}{テキ|ガイ|シン}をもって反抗しようとすること。 パ⸢ブヌ⸣ ピ⸢チマキ ベー [pa⸢bunu⸣ pi̥⸢ʧi maki beː] (ハブ<毒蛇>がとぐろを巻いている)。 14338 0 2 14061 htmvoc_14338.wav ピチマクン ピ⸢チ マクン [pi̥⸢ʧi makuŋ] 連 {Mn_2}葉が丸く巻き込んで開かない。病的に葉が丸く巻き込むこと。 ⸢ナーンパー⸣ヤ ピ⸢チ マキ ベー⸣ヌ ⸣ヌーカヤー [⸢naːmpaː⸣ja pi̥⸢ʧi maki beː⸣nu ⸣nuːkajaː] (菜っ葉は丸く巻いているが何だろうか) 14339 0 0 14062 htmvoc_14339.wav ピチライ ピ⸢チライ [pi̥⸢ʧirai] 名 へつらい(諂い)。媚びること。おもねること。「互ひにあひ讒<しこ>ち諂<へつらひ>つつ~」『金光明最勝王経平安初期点』の転訛したもの。 ⸢ピンソー⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ティ ⸢シー⸣ ウ⸢ヤ⸣キプスンナーニ ⸣アイニ ピ⸢チライ⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [⸢pinsoː⸣munu ja⸢riba⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢ja⸣kipu̥sunnaːni ⸣ʔaini pi̥⸢ʧirai⸣ su⸢na⸣joː] (貧乏人だからといって、金持ちに対してあのように\ruby{諂}{ヘツライ}をするなよ) 14340 0 0 14063 htmvoc_14340.wav ビチル ビ⸢チ⸣ル [bi⸢ʧi⸣ru] 名 ハマユウ(浜木綿)やオオタニワタリなどの茎の芯。⸣ビッチ[⸣bitʧi](茎の芯)ともいう。浜木綿の茎の上皮の肉質部を剥ぎ取るとビニール状の内皮が現れる。それを丸めて抜き取り、膨らませて風船を作って遊んだ。その内皮が\ruby{剥}{ハ}げなくなったところにある芯。 シ⸢ダフカ⸣ヌ ビ⸢チ⸣ロー シゥ⸢カーラヌ [ʃi⸢daɸu̥ka⸣nu bi⸢ʧi⸣roː sï̥⸢kaːranu] (浜木綿の芯は使えない<用途がない>) 14341 0 0 14064 htmvoc_14341.wav ビチル ビ⸢チ⸣ル [bi⸢ʧi⸣ru] 名 びんずる(賓頭盧)の義か。屋敷の東側の庭に自然石を据え、⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](くろつぐ<黒桄椰子>)やシ⸢トゥッ⸣チ[ʃi̥⸢tut⸣ʧi](蘇鉄)、パ⸢ナ⸣ギ[pa⸢na⸣gi](花木<クロトン>)などを植栽し、桑の大木やフ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)の大木が生えていて、信仰の対象となっている所。シ⸢ジダカー⸣ン[ʃi⸢ʤidakaː⸣ŋ](セジ<神霊>が高い)として、普段は人の立ち入りを禁じている。⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)、⸢ヨー⸣カヤー[⸢joː⸣kajaː](西原家)、⸢クシケー[⸢kuʃi̥keː](小底家)の屋敷の東側にあるビチルは、⸢カンダカー⸣ン[⸢kandakaː⸣ŋ](神霊が高い)といって、子供達は恐れて近寄らなかった。 ⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸢アンタヌ⸣ ビ⸢チ⸣ルナー ム⸢カ⸣シェー ⸢カン⸣プスンケーヌ ⸢ウイヌ⸣ウガンラヌ ⸢カイ⸣ロー ⸣ウナーティ ⸢カンアサ⸣ビ ⸢ソーッ⸣タンティ⸢ダー [⸢joː⸣kajaːnu ⸢ʔantanu⸣ bi⸢ʧi⸣runaː mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kam⸣pu̥suŋkeːnu ⸢ʔuinu⸣ʔuganranu ⸢kai⸣roː ⸣ʔunaːti ⸢kaŋʔasa⸣bi ⸢soːt⸣tanti⸢daː] (西原家の東側のビチルには、昔は神職者<神人>の方々が友利お嶽からの帰りに、そこで神遊びをされたそうだよ) 14342 0 0 14065 htmvoc_14342.wav ピッカイスン ⸢ピッカイスン [⸢pikkaisuŋ] 他動 引っ返す。 マ⸢ナ⸣マン ⸢デー⸣カ ⸢ピッカイスンティ⸣ ウムーカ ⸢ピッカイサリンドゥ ピッカイス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢na⸣man ⸢deː⸣ka ⸢pikkaisunti⸣ ʔumuːka ⸢pikkaisarindu pikkaisu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今なら引っ返そうと思えば、引っ返されるが、引っ返すことは出来ない)。 ⸢ピッカイシ⸣ ミサン [⸢pikkaiʃi⸣misaŋ] (引返して良い)。 ⸢ピッカイシェー⸣ ミサムヌ [⸢pikkaiʃeː⸣ misamunu] (引っ返せば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ピッカイシ [⸢paː⸣ku ⸢pikkaiʃi] (早く引っ返せ) 14343 0 0 14066 htmvoc_14343.wav ヒッカカルン ⸢ヒッカカ⸣ルン [⸢çikkaka⸣ruŋ] 自動 引っ掛かる。釣り糸が海底の岩等に掛かる。 ⸢ナー⸣ヤ イ⸢シ⸣ナ ⸢ヒッカカリティ パンツァサラヌ [⸢naː⸣ja ʔi⸢ʃi⸣na ⸢çikkakariti panʦasaranu] (縄が岩に引っ掛かって外されない) 14344 0 1 14067 htmvoc_14344.wav ピッカカルン ⸢ピッカカルン [⸢pikkakaruŋ] 自動 {Mn_1}引っかかる。釣り糸が海底の岩に掛かる。若年層は、⸢ヒッカカ⸣ルン[⸢çikkaka⸣ruŋ](引っ掛かる)ともいう。 ⸢ナー⸣ヤ イ⸢シ⸣ナ ⸢ピッカカリティ パンチラヌ [⸢naː⸣ja ʔi⸢ʃi⸣na ⸢pikkakariti panʧiranu] (縄は岩に引っ掛かって外れない)。 ウ⸢ムリ⸣ シ⸢キ⸣ルカー イ⸢シ⸣ナ ⸢ピッカカルンダ ピッカカラン⸣ヨーニ ウ⸢ムリ パンツァシ⸣バ [ʔu⸢muri⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʔi⸢ʃi⸣na ⸢pikkakarunda pikkakaraŋ⸣joːni ʔu⸢muri panʦaʃi⸣ba] (錘をつけると岩に引っ掛かるから、引っ掛からないように錘を外せよ)。 ⸢ピッカカル⸣ クトゥン ⸣アン [⸢pikkakaru⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (引っ掛かることもある)。 ⸢ピッカカレー⸣ ミサムヌ [⸢pikkakareː⸣ misamunu] (引っ掛かればいいのに)。 ⸢ピッカカリ⸣バ [⸢pikkakari⸣ba] (引っ掛かれよ)。 14344 0 2 14068 htmvoc_14344.wav ピッカカルン ⸢ピッカカルン [⸢pikkakaruŋ] 自動 {Mn_2}気にかかる。すっきりと納得できない。 ウ⸢ヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ン⸢ニウチ⸣ナ ⸢ピッカカリティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ キ⸢ムフガ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥⸢tu⸣nu ʔn⸢niʔuʧi⸣na ⸢pikkakariti⸣ mut⸢tu⸣ ki⸢muɸuga⸣nu] (そのことが胸に引っ掛かって、ちっとも納得できない) 14345 0 0 14069 htmvoc_14345.wav ピッカキルン ⸢ピッカキルン [⸢pikkakiruŋ] 他動 引っ掛ける。壁や突き出ている物にかけて吊り下げる。 ⸢キー⸣ヌ ユ⸢ダ⸣ナー ⸢ピッカキルン [⸢kiː⸣nu ju⸢da⸣naː ⸢pikkakiruŋ] (木の枝に引っ掛ける)。 ⸢ピッカキラヌ [⸢pikkakiranu] (引っ掛けない)。 ⸢ピッカキヤッ⸣サン [⸢pikkakijas⸣saŋ] (引っ掛けやすい)。 ⸢ピッカキル⸣ クトゥ [⸢pikkakiru⸣ ku̥tu] (引っ掛けること)。 ⸢ピッカキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢pikkaki⸣reː ⸣misamunu] (引っ掛ければいいのに)。 ⸢ピッカキ⸣リ [⸢pikkaki⸣ri] (引っ掛けろ) 14346 0 0 14070 htmvoc_14346.wav ピッカリン ⸢ピッカ⸣リン [⸢pikka⸣riŋ] 自動 穴を開けることができる。他動詞⸢ピッ⸣クン[⸢pik⸣kuŋ](穴をあける)の未然形に、助動詞⸣リン[⸣riŋ](~れる<可能>)が下接して形成された可能の派生動詞(可能動詞)。多くの他動詞、自動詞にも見られる。 ⸢バン⸣ヌン ⸢ピッカ⸣リン [⸢ban⸣num ⸢pikka⸣riŋ] (私にも穴があけられる)。 ⸢バン⸣マー ⸢ピッカラ⸣ヌ [⸢bam⸣maː ⸢pikkara⸣nu] (私には穴を開けられない)。 ⸢ピッカリン⸣ギサン [⸢pikkariŋ⸣gisaŋ] (穴が開けられそうだ)。 ⸢ピッカ⸣リ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pikka⸣ri ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (穴が開けられることはない) 14347 0 0 14071 htmvoc_14347.wav ピッキ ⸢ピッ⸣キ [⸢pik⸣ki] 名 小さな孔。小穴。 ⸢タング⸣ヌ ⸢ピッ⸣キーラ ミ⸢ジヌ⸣ ムリ⸢ベー [⸢taŋgu⸣nu ⸢pik⸣kiːra mi⸢ʤinu⸣ muri⸢beː] (水担桶の小穴から水が漏れている)。 ヤ⸢ドゥ⸣ヌ ⸢ピッ⸣キ [ja⸢du⸣nu ⸢pik⸣ki] (板戸の小穴{EOS}小さな孔) 14348 0 0 14072 htmvoc_14348.wav ピッキカーキ ⸢ピッ⸣キカーキ [⸢pik⸣kikaːki] 名 あちこちに開いた穴。使い古してぼろぼろになったものの穴。 ⸢ワー キン⸣マー ⸢ピッ⸣キカーキ ⸢シーティ⸣ キ⸢サラヌ [⸢waː kim⸣maː ⸢pik⸣kikaːki ⸢ʃiːti⸣ ki̥⸢saranu] (君の着物はあちこち穴があいていて着られない)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ブー ヤー⸣ヌ ⸢ソージェー ピッ⸣キカーキ ⸢シーブー [ja⸢rabi⸣nu ⸢buː jaː⸣nu⸢soːʤeː pik⸣kikaːki ⸢ʃiː buː] (子供のいる家の障子はあちこち穴が開いている) 14349 0 0 14073 htmvoc_14349.wav ピッキキン ⸢ピッキ⸣キン [⸢pikki⸣kiŋ] 名 穴の開いた着物。着古して敗れた着物。つづれ。ぼろ(襤褸)。ヤ⸢リ⸣キン[ja⸢ri⸣kiŋ](敗れた着物)ともいう。 ⸢ピッキキン⸣バ キ⸢シテー⸣ プ⸢スヌ⸣ マイ ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢pikkikim⸣ba ki̥⸢ʃiteː⸣ pu̥⸢sunu⸣mai ʔn⸢ʤirara⸣nu] (つづれを着ては人の前に出られない) 14350 0 0 14074 htmvoc_14350.wav ピッキナビ ⸢ピッキ⸣ナビ [⸢pikki⸣nabi] 名 穴のあいた鍋。 ⸢ピッキ⸣ナベー ⸣クー ⸢サン⸣カー シゥ⸢カーラヌ [⸢pikki⸣nabeː ⸣kuː ⸢saŋ⸣kaː sï̥⸢kaːranu] (穴のあいた鍋は穴を塞ぐ補修<\ruby{錮}{コ}、ィカケ>をしないと使用できない<使われない>) 14351 0 0 14075 htmvoc_14351.wav ピッキバーキ ⸢ピッキバー⸣キ [⸢pikkibaː⸣ki] 名 穴のあいた\ruby{竹笊}{タケ|ザル}。 ⸢ピッキバー⸣キナー ⸣ムノー イ⸢リララヌ [⸢pikkibaː⸣kinaː ⸣munoː ʔi⸢riraranu] (穴のあいた竹笊には、物は入れられない) 14352 0 0 14076 htmvoc_14352.wav ピッキミー ⸢ピッキ⸣ミー [⸢pikki⸣miː] 名 小穴。壁や船底にできた小さな穴。 ⸢ヤー⸣ヌ ク⸢ビヌ ピッキ⸣ミーラ ニ⸢シカジヌ⸣ フ⸢キッ⸣クミ ⸣キー ⸢ピーヤ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢jaː⸣nu ku⸢binu pikki⸣miːra ni⸢ʃikaʤinu⸣ ɸu̥⸢kik⸣kumi ⸣kiː ⸢piːja⸣nu na⸢ra⸣nu] (家の壁の小穴から北風が吹き込んできて寒くて堪らない) 14353 0 0 14077 htmvoc_14353.wav ピッキムヌ ⸢ピッキ⸣ムヌ [⸢pikki⸣munu] 名 穴のあいた物。 ス⸢クピッキ⸣ムノー シゥ⸢カイユーゾー ナー⸣ヌ [su̥⸢kupikki⸣munoː sï̥⸢kaijuːʣoː naː⸣nu] (底の穴があいた物は使い道<用途>がない)。 ⸢ピッキ⸣ムノー シゥ⸢カーランバ⸣ シ⸢ティリ [⸢pikki⸣munoː sï̥⸢kaːramba⸣ ʃi̥⸢tiri] (穴のあいたものは使えないから捨てなさい) 14354 0 0 14078 htmvoc_14354.wav ピッキヤコン ⸢ピッキ⸣ヤコン [⸢pikki⸣jakoŋ] 名 穴のあいたやかん(薬缶)。「穴開き薬缶」の義。 ⸢ピッキヤコン⸣マー ⸣クー ⸢サン⸣カー シゥ⸢カーラヌ [⸢pikkijakom⸣maː ⸣kuː ⸢saŋ⸣kaː sï̥⸢kaːranu] (穴のあいた薬缶は修理<穴を塞ぐこと{EOS}金固>しないと使え<使われ>ない) 14355 0 0 14079 htmvoc_14355.wav ピッキルン ⸢ピッキ⸣ルン [⸢pikki⸣ruŋ] 自動 穴があく。 ウ⸢タ⸣スカー ス⸢ク ピッキ⸣ルンダ ⸢ピッキラン⸣ヨーニ ヤー⸢ラマ⸣シ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢ta⸣sukaː su̥⸢ku pikki⸣runda ⸢pikkiraɲ⸣joːni jaː⸢rama⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (落としたら底に穴があくから、穴があかないようにゆっくりと丁寧に置きなさい)。 ⸢ピッ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [⸢pik⸣ki ⸢naː⸣nu] (穴があいてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ス⸢クヌ ピッキ⸣ル ⸣ナベー シゥ⸢カウナ [⸢ʔoːpa⸣jaː su̥⸢kunu pikki⸣ru ⸣nabeː sï̥⸢kauna] (そんなに早く底に穴があく鍋は使うな)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ピッキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢pikki⸣reː ⸣misamunu] (もっと穴があけばいいのに)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢パー⸣ク ⸢ピッキ⸣リ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢paː⸣ku ⸢pikki⸣ri] (あんなものは早く穴があけろ) 14357 0 0 14080 htmvoc_14357.wav ピックマスン ⸢ピックマスン [⸢pikkumasuŋ] 他動 へこませる。へこます(凹ます)。物の表面を窪ませる。 ウ⸢ブ⸣イキ ユ⸢ビティ⸣ バタ ⸢ピックマスンティ スンドゥ ピックマサラヌ [ʔu⸢bu⸣ʔiki ju⸢biti⸣ bata pi⸢kkumasunti sundu pikkumasaranu] (深呼吸をしてお腹をへこまそうとするが、へこまされない)。 ⸢ピックマシ⸣ ミサカー ⸢ピックマス⸣ クトー ⸣ナルン [⸢pikkumaʃi⸣ misakaː ⸢pikkumasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (へこましてよければへこますことは出来る)。 ⸢ピックマシェー⸣ ミサムヌ [⸢pikkumaʃeː⸣ misamunu] (へこませばいのに)。 ⸢ピックマシ [⸢pikkumaʃi] (へこませ) 14356 0 0 14081 htmvoc_14356.wav ピックムン ⸢ピックムン [⸢pikkumuŋ] 自動 へこむ(凹む)。物の表面が窪む。 ⸣バタ ⸢ウスク⸣カー ⸢ピックムンドゥ⸣ バタ ⸢コーラ⸣スカー ⸢ピックマヌ [⸣bata ⸢ʔusu̥ku⸣kaː ⸢pikkumundu⸣ bata ⸢koːra⸣su̥kaː ⸢pikkumanu] (お腹を押すとへこむが、お腹を固くするとへこまない)。 ⸢ピックミ ナー⸣ヌ [⸢pikkumi naː⸣nu] (へこんでしまった)。 ⸢ピックム ムノー⸣ シ⸢ティリ [⸢pikkumu munoː⸣ ʃi̥⸢tiri] (へこむ物は捨てなさい)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ピックメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢pikkumeː⸣ misamunu] (もっとへこめばいいのに)。 ⸢ピックミ [⸢pikkumi] (へこめ) 14358 0 0 14082 htmvoc_14358.wav ヒックリカイスン ⸢ヒックリカイ⸣スン [⸢çikkurikai⸣suŋ] 他動 ひっくり返す。上下、表裏を逆にする。くつがえす(覆す)。標準語から転訛したもの。ウ⸢ラガイ⸣スン[ʔu⸢ragai⸣suŋ](裏返す)、⸢ウッカイ⸣スン[⸢ʔukkai⸣suŋ](裏返す)、グ⸢ルッカイ⸣スン[gu⸢rukkai⸣suŋ](ひっくり返す)ともいう。 イ⸢ガー⸣ プ⸢スマ⸣アトー ⸢ヒックリカイ⸣シティ シ⸢ダ⸣ルナ ⸣プシバ [ʔi⸢gaː⸣ pu̥⸢suma⸣ʔatoː ⸢çikkurikai⸣ʃi̥ti ʃi⸢da⸣runa ⸣pu̥ʃiba] (烏賊は正午後はひっくり返してすだれ<簾>の上に干しなさいよ) 14359 0 0 14083 htmvoc_14359.wav ピックン ⸢ピッ⸣クン [⸢pik⸣kuŋ] 自動 穴があく。 ⸣ドゥク ⸣ッスカー ⸢ピッ⸣クンダー ⸢ピッカン⸣ヨーニ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸣ッシバ [⸣duku ⸣ssukaː ⸢pik⸣kundaː ⸢pikkaɲ⸣joːni jaː⸢rama⸣ʃi ⸣ʃʃiba] (あまり強く\ruby{擦}{コス}ると穴があくので、穴があかないようにゆっくり丁寧に擦れよ)。 ⸢ピッ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [⸢pik⸣ki ⸢naː⸣nu] (穴があいてしまった)。 ⸢ピック⸣ クトー ⸢ナーン⸣テー ウ⸢ムー⸣ヌ ⸢ピッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢pik⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naːn⸣teː ʔu⸢muː⸣nu ⸢pik⸣keː ⸣misamunu] (穴があくことはないとは思うが、穴があけばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ピッ⸣キティ ニ⸢ガウ⸣タン [⸢paː⸣ku ⸢pik⸣kiti ni⸢gau⸣taŋ] (早く穴があけよと願った) 14360 0 0 14084 htmvoc_14360.wav ピックン ⸢ピッ⸣クン [⸢pik⸣kuŋ] 他動 穴を開ける。突きさす。 ク⸢リ⸣シ ⸣アナ ⸢ピッ⸣クンティ ⸢スンドゥ ピッカラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ʃi ⸣ʔana ⸢pik⸣kunti ⸢sundu pikkara⸣nu] (これで穴を開けよう<突き刺そう>とするが、<穴を>開けられない)。 ⸢ピッキ⸣ ミサカー ⸢ピッ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [⸢pik⸣ki ⸣misakaː ⸢pik⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (穴を開けて<突き刺して>よければ、穴を開ける<突き刺す>ことは出来る)。 ⸢ピッ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢pik⸣keː ⸣misamunu] (穴を開ければ<突き刺せば>いいのに)。 ク⸢リ⸣シ ⸢ピッ⸣キ [ku⸢ri⸣ʃi ⸢pik⸣ki] (これで突き刺せ) 14361 0 0 14085 htmvoc_14361.wav ピッケーマ ピッ⸢ケー⸣マ [pi⸢keː⸣ma] 名 非常に小さな穴。極小の穴。 ヤ⸢ドゥ⸣ヌ ピッ⸢ケー⸣マーラ ⸣フカンタ ⸣ミルンティ ⸢ベー [ja⸢du⸣nu pik⸢keː⸣maːra ⸣ɸu̥kanta ⸣mirunti ⸢beː] (戸の小さな穴から外を見ようとしている) 14156 0 0 14086 htmvoc_14156.wav ヒッコーシ ⸢ヒッコーシ [⸢çikkoːʃi] 名 引越し。転居すること。標準語からの借用語が再転訛したもの。 ムー⸢ル⸣ イ⸢サンケー ヒッコーシ(⸢ヒックシ)⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [muː⸢ru⸣ ʔi⸢saŋkeː çikkoːʃi(çikkuʃi)⸣ pari ⸢naː⸣nu] (皆石垣島へ引っ越して行ってしまった) 14362 0 0 14087 htmvoc_14362.wav ビッター ⸢ビッ⸣ター [⸢bit⸣taː] 名 座ること(幼児語)。お座り。 ⸣ウナー ⸢ビッ⸣ター ⸢シー⸣ ア⸢サビ⸠ヨー [⸣ʔunaː ⸢bit⸣taː ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabi⸠joː] (そこにお座りして遊びなさいよ) 14363 0 0 14088 htmvoc_14363.wav ピッタティルン ⸢ピッタティルン [⸢pittatiruŋ] 他動 嫌がるものを無理に連れて行く。「引き立てる」の転訛したもの。 ⸢ピッタティラン⸣カー ナー⸢イ⸣ ア⸢サブンダ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢ピッタティルンティ ベー⸣ダー [⸢pittatiraŋ⸣kaː naː⸢i⸣ ʔa⸢sabunda⸣ pḁ⸢tak⸣keː ⸢pittatirunti beː⸣daː] (引っ立てないとずっと遊ぶから、畑へ引っ立てようとしているのだよ)。 ⸢ピッタティ⸣ ミサカー ⸢ピッタティル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢pittati⸣ misakaː ⸢pittatiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引っ立ててよければ引っ立てることはできる)。 ⸢ピッタティレー⸣ ミサムヌ [⸢pittatireː⸣ misamunu] (引っ立てればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ピッタティリ [⸢paː⸣ku ⸢pittatiri] (早く引っ立てろ) 14364 0 0 14089 htmvoc_14364.wav ビッチ ⸣ビッチ [⸣bitʧi] 名 草木の芯。⸣バサ[⸣basa](芭蕉)やハマユウ(浜木綿)などの芯。新芽を出す前の筆の穂先のような芽。ビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](草木の新芽)ともいう。 シ⸢ダフカ⸣ヌ ⸣ビッチ [ʃi⸢daɸu̥ka⸣nu ⸣bitʧi] (ハマユウの茎の芯) 14365 0 0 14090 htmvoc_14365.wav ピッチルン ⸢ピッチ⸣ルン [⸢pitʧi⸣ruŋ] 自動 \ruby{潰}{ツブ}れる。ひしゃげる。 ⸢ピッチ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ピッチラン⸣バン [⸢pitʧi⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢pitʧiram⸣baŋ] (潰れるかと思ったが、潰れないわい)。 ⸢ピッチ ヤッ⸣サンティ ア⸢ザバン ナンク⸣ル ⸣ドゥーシ ⸢ピッチ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pitʧijas⸣santi ʔa⸢ʣaban naŋku⸣ru ⸣duːʃi ⸢pitʧi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (潰れやすいとはいっても、自然に<自ら>潰れることはない)。 ムー⸢ル ピッ⸣チェー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru pit⸣ʧeː ⸣misamunu] (全部潰れたらいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピッチ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢pitʧi⸣ri] (早く潰れろ) 14366 1 0 14091 htmvoc_14366.wav ピッチン ⸢ピッ⸣チン [⸢pit⸣ʧiŋ] 名 {PoS_1}一つ。⸢ピー⸣チ[⸢piː⸣ʧi](一つ)の強調表現。 ⸢ピッ⸣チンサーギ ヌ⸢カ⸣スカー ⸣ミサン  [⸢pit⸣ʧinsaːgi nu⸢ka⸣sukaː ⸣misaŋ] (一つさえ残せばあとはよろしい)。 14366 2 0 14092 htmvoc_14366.wav ピッチン ⸢ピッ⸣チン [⸢pit⸣ʧiŋ] 副 {PoS_2}一つも。何も。下に打消しを伴って、「全く~しない」、「何も~しない」の意味を表す。 ウ⸢レー バン⸣マー ア⸢ガピッチンマーンツァン⸣ ッ⸢ふィーランシェン [ʔu⸢reː bam⸣maː ʔa⸢gapiːʧimmaːnʦaŋ⸣ f⸢fiːraŋʃeŋ] (彼は私にはたったの一つも呉れなかった<何も呉れなかった>) 14367 0 0 14093 htmvoc_14367.wav ピッチン ⸢ピッ⸣チン [⸢pit⸣ʧiŋ] 副 いっぱい。たくさん。満ちているさま。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ⸢ヨイシー⸣プソー ⸢オーリ⸣ ブー [⸢jaː⸣nu ⸢pit⸣ʧiɲ ⸢joiʃiː⸣pu̥soː ⸢ʔoːri⸣ buː] (家のいっぱいお祝いの客がいらっしゃっている)。 バ⸢タ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ⸣ヌメーン [ba⸢ta⸣nu ⸢pit⸣ʧin numeːŋ] (腹の一杯飲んだ)。 カ⸢ミ⸣ヌ ⸢ピッ⸣チン ミ⸢ジ⸣ ミ⸢ツァ⸣シ [ka⸢mi⸣nu ⸢pitʧi⸣m mi⸢ʤi⸣ mi⸢ʦa⸣ʃi] (水瓶の一杯<満杯>水を汲んできて満たしなさい) 14368 0 0 14094 htmvoc_14368.wav ピッチン ⸢ピッ⸣チン [⸢pit⸣ʧiŋ] 副 陳述副詞。少しも。ちっとも。まったく。「一つも」からの転訛。強意表現。文末の打ち消しの助動詞と呼応して用言の意味を強調し、少しも~ない、ちっとも~ない、まったく~ない、の意味を表す。 ⸣バー ム⸢ニ⸣ヨー ⸢ピッ⸣チン シゥ⸢カヌ [⸣baː mu⸢ni⸣joː ⸢pit⸣ʧin si̥⸢kanu] (私の話<ことば>を全く聞かない)。 ⸢ジン⸣マー ⸢ピッ⸣チン ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʤim⸣maː ⸢pit⸣ʧin ⸢naː⸣nu] (お金は少しも<全く>ない)。 ⸢ジンブン⸣マー ⸢ピッ⸣チン ⸢ナー⸣ムティ ウ⸢ブ⸣ムニ イ⸢ジ アー⸣ク [⸢ʤimbum⸣maː ⸢pit⸣ʧin ⸢naː⸣muti ʔu⸢bu⸣muni ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (思慮分別<存分>はな何もいのに\ruby{大言壮語}{タイ|ゲン|ソウ|ゴ}して<大きなこと言って>いる) 14369 0 0 14095 htmvoc_14369.wav ピッツァスン ⸢ピッツァ⸣スン [⸢pitʦa⸣suŋ] 他動 \ruby{潰}{ツブ}す。押しつぶす。ひしゃぐ。 ⸢コー⸣マ ⸢ピッツァ⸣シティ ⸣スーナ イ⸢リ⸣バ [⸢koː⸣ma ⸢pitʦa⸣ʃi̥ti ⸣suːna ʔi⸢ri⸣ba] (卵を割って<潰して>お汁に入れなさいよ)。 ⸢ピッツァ⸣スンティ ⸢スンドゥ ピッツァサラ⸣ヌ [⸢pitʦa⸣sunti ⸢sundu pitʦasara⸣nu] (潰そうとするが、潰されない)。 ⸣クナー ⸢ピッツァ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaː ⸢pitʦa⸣su ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここで潰すことは出来ない)。 ク⸢ヌ⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸢ピッツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ku⸢nu⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢pitʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (このお出来は潰せ<切開すれ>ばいいのに)。 ク⸢レー ピッツァ⸣シ [ku⸢reː pitʦa⸣ʃi] (これは潰せ) 14370 0 0 14096 htmvoc_14370.wav ビッツティ ビッ⸢ツティ [bit⸢ʦuti] 副 そっくり。残すところなく。そのまま。全部。全く。肯定判断の陳述と呼応して、「そっくり~だ」の意を表す陳述副詞。 ⸢キョーダイ⸣サ フ⸢ターロー⸣ マー⸢ン カウラヌ⸣ ビッ⸢ツティ ニーブ [⸢kjoːdai⸣sa ɸu̥⸢taːroː⸣ maː⸢ŋ kauranu⸣ bit⸢ʦuti niːbuː] (兄弟二人はどこも変わらない、そっくり似ている) 14371 0 0 14097 htmvoc_14371.wav ピッツン ⸢ピッ⸣ツン [⸢pit⸣ʦuŋ] 自動 \ruby{潰}{ツブ}れる。 ク⸢レー ウスク⸣カー ⸢ピッツン⸣ドゥ ウ⸢レー ピッツァ⸣ヌ [ku⸢reː ʔusu̥ku⸣kaː ⸢pitʦun⸣du ʔu⸢reː pitʦa⸣nu] (これは圧すと潰れるが、それは潰れない)。 ⸢ピッチ ヤッ⸣サンンダ ⸢ピッ⸣ツ ⸣ムノーラ ⸣トゥリバ [⸢pitʧi jas⸣sanda ⸢pit⸣ʦu ⸣munoːra ⸣turiba] (潰れやすいから、潰れるものから取れよ)。 ムー⸢ル ピッ⸣チェー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru pit⸣ʧeː ⸣misamunu] (全部潰れればいいのに)。 ⸢ピッチ⸣リ [⸢pitʧi⸣ri] (潰れろ) 14372 0 0 14098 htmvoc_14372.wav ビッティンクイッティンナーヌ ビッ⸢ティン クイッティン ナー⸣ヌ [bit⸢tiŋ kuittin naː⸣nu] 連 うんともすんともない。 ウ⸢ヌス⸣ク ⸢トゥイスクンドゥ⸣ ビッ⸢ティンクイッティン ナー⸣ヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢tuisu̥kundu⸣ bit⸢tiŋkuittin naː⸣nu] (しきりに問い尋ねる<問い聞く>がうんともすんともない) 14373 0 0 14099 htmvoc_14373.wav ピッパルン ⸢ピッパルン [⸢pipparuŋ] 他動 引っ張る。縄や糸を強く張って伸ばす。「引き張る」の転訛したもの。若年層は、⸢ヒッパルン[⸢çipparuŋ](引っ張る)ともいう。 ⸢ティン⸣ナー ⸢ピッパルンティ スンドゥ⸣ カ⸢ジヌ スーヤ(wa)⸣ヌ ⸢ピッパララヌ [⸢tin⸣naː ⸢pipparunti sundu⸣ ka⸢ʤinu suːja(wa)⸣nu ⸢pippararanu] (帆の手縄を引っ張ろうとするが、風が強くて引っ張られない)。 ⸢ピッパリ⸣ ミサカー ⸢ピッパル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢pippari⸣misakaː ⸢pipparu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (引っ張ってよければ、引っ張ることは出来る)。 ⸢ピッパレー⸣ ミサムヌ [⸢pippareː⸣ misamunu] (引っ張れば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ピッパリ<ピ⸢キシキ> [⸢maː⸣bim ⸢pippari] (もっと引っ張れ) 14374 0 0 14100 htmvoc_14374.wav ビツルッティ ビ⸢ツルッティ [bi⸢ʦurutti] 副 ごっそり。物がすっかりなくなるさま。つるりと。 ガ⸢マ⸣ジェー ビ⸢ツルッティ⸣ パギパリ ⸢ナー⸣ヌ [ga⸢ma⸣ʤeː bi⸢ʦurutti⸣ pagipari ⸢naː⸣nu] (髪の毛はごっそりと抜け落ちて<禿げていって>しまった) 14375 0 0 14101 htmvoc_14375.wav ピトゥ ⸣ピトゥ [⸣pi̥tu] 名 (動)イルカ(海豚)。鳩間島の漁民はイルカを漁獲することはしなかった。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸣ピトー トゥロー⸢ラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸣pi̥toː turoː⸢raŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島の人はイルカは漁獲され<取られ>なかった) 14376 0 0 14102 htmvoc_14376.wav ピトゥヌカタ ピ⸢トゥ⸣ヌ カ⸢タ [pi̥⸢tu⸣nu kḁ⸢ta] 連 イルカの絵。 ⸢ヤー⸣ ピ⸢トゥ⸣ヌ カ⸢タ⸣ ミ⸢リ⸣バ バ⸢ガウヤー⸣ドゥ ⸢シーユール [⸢jaː⸣ pi̥⸢tu⸣nu kḁ⸢ta⸣ mi⸢ri⸣ba ba⸢gaujaː⸣du ⸢ʃiːjuːru] (ああ、イルカの絵を見ると奪い合いをしている)(アーパーレー歌) 14377 0 0 14103 htmvoc_14377.wav ビトゥラーン ビ⸢トゥラー⸣ン [bi⸢turaː⸣ŋ] 形 脂っこい。 ⸢オー⸣ヌ ア⸢バッ⸣タラー ビ⸢トゥラー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸢ʔoː⸣nu ʔa⸢bat⸣taraː bi⸢turaː⸣nu f⸢faːranu] (豚の脂身は脂っこくて食べられない)。 ア⸢バッ⸣タラー ビ⸢トゥラー⸣ンティ ス⸢クタヌ⸣ ア⸢バ⸣ナビナー シ⸢ズ⸣ター ビ⸢トゥラー ナー⸣ヌ [ʔa⸢bat⸣taraː bi⸢turaː⸣nti su̥⸢kutanu⸣ ʔa⸢ba⸣nabinaː ʃi⸢ʣu⸣taː bi⸢turaː naː⸣nu] (脂身は脂っこいと聞いたが、油鍋で空揚げし<煎じ>たら脂っこくないよ)。 ビ⸢トゥラー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [bi⸢turaː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (脂っこくなってしまった)。 ビ⸢トゥラー⸣ ムノー ッ⸢ふーナ [bi⸢turaː⸣ munoː f⸢fuːna] (脂っこいものは食べるな)。 ビ⸢トゥ⸣ラーカー ッ⸢ふァーン ブリ⸣バ [bi⸢tu⸣raːkaː f⸢faːm buri⸣ba] (脂っこかったら食べるなよ) 14379 0 0 14104 htmvoc_14379.wav ビナー ⸣ビナー [⸣binaː] 名 不潔。不潔な人。 ウ⸢レー サッ⸣コー ビナー⸢ダー [ʔu⸢reː sak⸣koː binaː⸢daː] (あれ<彼>は非常に不潔な人だよ) 14378 0 0 14105 htmvoc_14378.wav ピナー ⸣ピナー [⸣pinaː] 名 火縄。クロツグ(桄榔)の⸢フー⸣カラ[⸢ɸuː⸣kara](クロツグの鬚)で直径約2センチの縄を綯い、それを藁などで強く縛って約50センチの長さにして先端に火を点け、火種にして畑などに持参した。畑仕事の合い間に湯を沸かしたり、煙草を吸うのに用いた。 ⸣アブジェーターヤ パ⸢タ⸣ケー ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー ⸣ピナーナ ⸢ピー⸣ヤ ⸣シキティ ム⸢トーッタ⸣ル [⸣ʔabuʤeːtaːja pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ⸣pinaːna ⸢piː⸣ja ⸣ʃi̥kiti mu⸢toːtta⸣ru] (お祖父さん達は畑へ行かれる時は、火縄に火を点けて持って行かれたものだ) 14380 0 1 14106 htmvoc_14380.wav ビナーン ビ⸢ナー⸣ン [bi⸢naː⸣ŋ] 形 {Mn_1}不潔である。汚い。「惠比<ゑひ>」『古事記 中 應神謡50』の転訛したものか。 ウ⸢レー⸣ ビ⸢ナー⸣ンダ ビ⸢ナーナーン⸣ プ⸢スン イー⸣ヤ ス⸢コーラシ [ʔu⸢reː⸣ bi⸢naː⸣nda bi⸢naːnaːm⸣ pu̥⸢suŋ ʔiː⸣ja su̥⸢koːraʃi] (彼は不潔だ<汚い>から、不潔でない<汚くない>人にご飯を炊かせ<作らせ>なさい)。 ⸣ドゥク ビ⸢ナー⸣ヌ ウ⸢リンマー⸣ ス⸢クラサラヌ [⸣duku bi⸢naː⸣nu ʔu⸢rimmaː⸣ su̥⸢kurasara⸣nu] (あまりにも不潔なので<汚くて>、彼には作らされない)。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ⸢シンダイ⸣ ビ⸢ナー⸣ ナルン [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ⸢ʃindai⸣ bi⸢naː⸣ naruŋ] (年をとったら次第に不潔に<汚く>なる)。 ⸣クナー ビ⸢ナー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣kunaː bi⸢naː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (ここには不潔な<汚い>人はいない)。 14380 0 2 14107 htmvoc_14380.wav ビナーン ビ⸢ナー⸣ン [bi⸢naː⸣ŋ] 形 {Mn_2}病弱である。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンラ ⸢ドゥー⸣ヌ ビ⸢ナー⸣ティ<⸢ヨー⸣ティ> パ⸢タキシグ⸣トー ⸢サンシェン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kenra ⸢duː⸣nu bi⸢naː⸣ti<⸢joː⸣ti> pa⸢takiʃigu⸣toː ⸢saŋʃeŋ] (若い頃から病弱なので畑仕事はしなかった) 14381 0 0 14108 htmvoc_14381.wav ピナイウガン ピ⸢ナイ⸣ウガン [pi⸢nai⸣ʔugaŋ] 名 ピナイ御願(御嶽)。「鬚川嶽」とある。『琉球国由来記』記載の名称は、ヒナイ御嶽。所在地 字鳩間西村中。祭神 神名 フチコハラ。御イベ名 イリキヤニ。由来「由来不\kaeriten{二}相知\kaeriten{一}」(『琉球国由来記』沖縄文化財調査報告書70集)という。鳩間島の対岸の西表島ヒナイ集落は、地味が肥え、農作物が豊穣であった。ピナイ村から鳩間島に移住した人々は、この稔り豊かなピナイ集落の御嶽の香炉の灰を分けてもらい、鳩間島に⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽<お願>)を建立しようたしたが、ピナイ集落の人たちに拒否された。そこで、夜の闇にまぎれて二隻の⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ<板船>)を出し、ピ⸢ナイ⸣ウガン(ヒナイ御嶽)の香炉の灰を分け取って船を漕ぎ急いで島に帰った。島に到着するやいなや、海岸端に香炉を安置し、線香を立てて祈願した。これがピナイウガンの始まりだという口碑が残っている。二隻の舟の船頭を務めた人の血筋から、この御嶽<御願>のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)とティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](<手擦り部>{EOS}男性神職者)が世襲的に出るようになっているという。⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)の⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競漕)は、この御嶽\ruby{建立譚}{コン|リュウ|タン}に\ruby{淵源}{エン|ゲン}を発しているという。花城イガ氏(1970年当時、ピナイウガンの神司)、加治工伊佐氏(ピナイウガンのティジリビ{EOS}1989年1月23日、老齢による⸢インクニガイ{SqBr}⸢ʔiŋkunigai{/SqBr}<隠居願い>により正式に神職者を隠居した)の直話によるピ⸢ナイ⸣ウガン(鬚川御嶽)の由来は次の通りである。前記の⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ<板舟>)の船頭を務めた者が、⸢トゥー⸣ゼー[⸢tuː⸣ʤeː](通事家)とカ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の先祖であった。それで、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)は通事家の血を引く女性からマ⸢ロー⸣リ[ma⸢roː⸣ri](誕生され)、ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)はカ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の血を引く男性の中からマ⸢ロー⸣ル[ma⸢roː⸣ru](誕生される)という。花城イガ氏は通事家の出身であり、同じく通事家の出身であった⸣ユージェヌ ⸣アッパ[⸣juːʤenu ⸣ʔappa](松竹家のお祖母さん{EOS}松竹マカト氏)から司の神役を継承された。加治工伊佐氏は、加治工家の血を引く、寄合家のユ⸢レーヌ⸣ アブジェー[ju⸢reːnu⸣ ʔabuʤeː](寄合家のお祖父さん{EOS}寄合阿嘉伊佐氏)からティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](カンプス{EOS}男性神職者)の神役を継承している。ピ⸢ナイ⸣ウガンには巨木が生えていた。特に⸣ウボー[⸣ʔuboː](威部)の所には周囲約2メートルのヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](てりはぼく)の巨木が地面を這うように海岸へ伸びて生えていたが、1960年代の大型台風の直撃を受け、幹から折れて枯れた。樹齢約400年と推定されていた。現在のア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御願)のヤ⸢ラブより大きかったと思われる。また、⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競漕)の折り返し点を示すウ⸢キ[ʔu⸢ki](浮子)は、パ⸢トゥ⸣マレー[pḁ⸢tu⸣mareː](鳩離島)の⸢パンガマイシ[⸢paŋgamaʔiʃi](羽釜石)と、ピ⸢ナサキ[pi⸢nasaki](ピナイ崎)のマ⸢ニ⸣ツァイシ[ma⸢ni⸣ʦaʔiʃi](俎板石{EOS}グンカンイシ{SqBr}⸢guŋkaŋʔiʃi{/SqBr}<軍艦石>ともいう)を目印にするといわれている。1970年ごろ、神域の東側の大木のもとに香炉を無断で設置してあると言って、その扱いに困惑していると花城イガ氏と共に話されたが、結局は放置されたという 14382 0 0 14109 htmvoc_14382.wav ピナイサーラ ピ⸢ナイサーラ [pi⸢naisaːra] 名 滝の名。西表島北部の船浦湾の奥にある。⸢マーレー[⸢maːreː](地名)とニ⸢シダ[ni⸢ʃida](地名)の間を流れるピナイ川の川上にある、八重山一高い滝。⸢サーラ⸣ミジ[⸢saːra⸣miʤi](滝)ともいう。ピ⸢ナイ[pi⸢nai]の⸢ナイ[⸢nai]はアイヌ語の「川」の意という説がある『八重山語彙』。 ⸢ウーアミヌ⸣ アトー パ⸢トゥ⸣マラーン ピ⸢ナイサーラー⸣ ミ⸢ラ⸣リン [⸢ʔuːʔaminu⸣ ʔatoː pḁ⸢tu⸣maraːm pi⸢naisaːraː⸣ mi⸢ra⸣riŋ] (大雨の後は鳩間島からもピナイ滝は見える<見られる>) 14383 0 0 14110 htmvoc_14383.wav ピナイサキ ピ⸢ナイサキ [pi⸢naisaki] 名 地名。船浦湾を出て⸢ウイバル[⸢ʔuibaru](字上原)へ左折する角で、パ⸢トゥ⸣マレー[pḁ⸢tu⸣mareː](鳩離島)の対岸に当たる所。大きなピ⸢ナイサキヌガマ[pi⸢naisakinugama](ピナイ崎のガマ<洞窟>)がある。戦争中はそこも避難場所とされた。 ピ⸢ナイサキヌ⸣ ガ⸢マヌ⸣ ウ⸢ク⸣ナー ⸢グス⸣クン シ⸢マリティ ティン⸣ゾーナーヤ カ⸢ブレー⸣ヌ ヤ⸢マシゥ⸣カ ッ⸢サー⸣リ ブ⸢タン [pi⸢naisakinu⸣ ga⸢manu⸣ ʔu⸢ku⸣naː ⸢gusu̥⸣kuŋ ʃi⸢mariti tin⸣ʣoːraːja ka⸢bureː⸣nu ja⸢masï̥⸣ka s⸢saː⸣ri bu⸢taŋ] (ピナイ崎のガマ<洞窟>の奥には石垣が積まれており、天井からは蝙蝠がたくさんぶら下がっていた) 14384 0 0 14111 htmvoc_14384.wav ピナカン ピ⸢ナカン [pi⸢nakaŋ] 名 火の神。\ruby{竈}{カマド}の神様。竈の後ろに3個の石を\ruby{鼎形}{カナエ|カタ}に据えて、パ⸢ナ⸣イキ[pa⸢na⸣ʔiki](花生け)に花卉の枝を挿して活け、⸢コー⸣ロ[⸢koː⸣ro](香炉)を配して拝む。3個の石はそれぞれ、ヤ⸢マ⸣イシ[ja⸢ma⸣ʔiʃi](山石)、⸢ヌー⸣イシ[⸢nuː⸣ʔiʃi](野の石)、⸢カーラヌイシ[⸢kaːranu ʔiʃi](川の石)を採取して当てるという。ス⸢ク⸣マ[su̥⸢ku⸣ma](稲の初穂祭)で刈り取った初穂はピナカンに供えて竈の奥に一年間吊るしておいた。 ピ⸢ナカンヌ⸣マイ ⸢マイヌプー⸣ヌ パ⸢チ⸣ カ⸢ザリオーシ [pi⸢nakannu⸣mai ⸢mainupuː⸣nu pḁ⸢ʧi⸣ ka⸢ʣariʔoːʃi] (火の神の前に稲の初穂を供えて差し上げなさい) 14385 0 0 14112 htmvoc_14385.wav ピナカンガナシ ピ⸢ナカンガナシ [pi⸢nakaŋganaʃi] 名 火の神様。火の神の尊敬語。⸢ガナシ[⸢ganaʃi](~様)は接尾敬称辞。 ピ⸢ナカンガナシヌ⸣マイ ⸢ニン⸣ガイ ⸢オーシリ [pi⸢nakaŋganaʃinu⸣mai ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoːʃiri] (火の神様の御前に祈願<願い>して差し上げなさい) 14386 0 0 14113 htmvoc_14386.wav ピナカンクムル ピ⸢ナカンクムル [pi⸢nakamkumuru] 名 (海底地名)。{⸢ナーバレー[⸢naːbareː]を越えて、タ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)へ行く途中の、干瀬の中にあるク⸢ム⸣ル[ku⸢mu⸣ru](礁池{EOS}「籠り池」の義)} 14387 0 1 14114 htmvoc_14387.wav ピナッカイルン ピ⸢ナッカイ⸣ルン [pi⸢nakkai⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}そっくり返る。反り返る。 カ⸢サ⸣ナイ ⸢ベーン⸣ドゥ ナ⸢ク⸣カー シンター ピ⸢ナッカイ⸣リ ナ⸢キスー [kḁ⸢sa⸣nai ⸢beːn⸣du na⸢ku⸣kaː ⸣ʃintaː pi⸢nakkai⸣ri na⸢kisuː] (負ぶっているが、泣くとそっくり返って泣く)。 ピ⸢ナッカイ⸣ルンケン ナ⸢キスンダ⸣ ピ⸢ナッカイラサン⸣ヨーニ ⸣シンターラ シゥ⸢カイ⸣バ [pi⸢nakkai⸣ruŋken na⸢kisunda⸣ pi⸢nakkairasaɲ⸣joːni ⸣ʃintaːra sï̥⸢kai⸣ba] (そっくり返るまで泣くから、そっくり返らさないように後ろから支えなさい)。 ピ⸢ナッカイ⸣ル ⸣ピンマー プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [pi⸢nakkai⸣ru ⸣pimmaː pu̥⸢sunu⸣ muni sï̥⸢kanu] (そっくり返る時は人の言う事を聞かない)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢ナッカイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi⸢nakkai⸣reː ⸣misamunu] (もっとそっくり返ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ナッカイ⸣リ [⸢paː⸣ku pi⸢nakkai⸣ri] (早くそっくり返れ)。 14387 0 2 14115 htmvoc_14387.wav ピナッカイルン ピ⸢ナッカイ⸣ルン [pi⸢nakkai⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}後ろ向きに回転する。後転する。ひっくり返る。 ブン⸢ティ⸣ トゥ⸢ビティ⸣ シンター ピ⸢ナッカイ⸣リティ タ⸢ティ⸣スムヌ ピ⸢ルマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [bun⸢ti⸣ tu⸢biti⸣ ʃintaː pi⸢nakkai⸣riti tḁ⸢ti⸣su ⸣munu pi⸢rumasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (ぽんと飛んで後の方に後方回転するんだもの、珍しくて、不思議で堪らないよ) 14388 0 0 14116 htmvoc_14388.wav ピナルン ピ⸢ナルン [pi⸢naruŋ] 自動 減る。少なくなる。減少する。 ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ ドゥク フ⸢ム⸣カー ピ⸢ナルン⸠ダー [⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤeː⸣ duku ɸu⸢mu⸣kaː pi⸢narun⸠daː] (井戸の水は汲みすぎると<あまり汲むと>減るよ)。 ギュー⸢サ⸣ フ⸢マバン⸣ ピ⸢ナラヌ [gjuː⸢sa⸣ ɸu⸢mabam⸣ pi⸢naranu] (いくら汲んでも減らない)。 ピ⸢ナリ ナー⸣ヌ [pi⸢nari naː⸣nu] (減ってしまった)。 ピ⸢ナル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pi⸢naru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (減ることはない)。 ピ⸢ナレー⸣ ミサムヌ [pi⸢nareː⸣ misamunu] (減ればいいのに)。 ピ⸢ナリリ [pi⸢nariri] (減れ) 14389 0 1 14117 htmvoc_14389.wav ピニ ピ⸢ニ [pi⸢ni] 名 {Mn_1}ひげ(鬚)。 ⸢オーピニ [⸢ʔoːpini] (うわひげ<上髭>)。 ッ⸢サピニ [s⸢sapini] (したひげ<下鬚{EOS}\ruby{顎鬚}{アゴ|ヒゲ}>)。 ピ⸢ネー⸣マ [pi⸢neː⸣ma] (ちょび髭)。 ピ⸢ニ⸣ スルン [pi⸢ni⸣ suruŋ] (鬚を剃る)。 ピ⸢ニ モー⸣スン [pi⸢ni moː⸣suŋ] (鬚を生やす)。 14389 0 2 14118 htmvoc_14389.wav ピニ ピ⸢ニ [pi⸢ni] 名 {Mn_2}気根。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ピ⸢ニ⸣シ カ⸢シラ⸣ヌ ピ⸢ニ ソーッ⸣タン [ga⸢ʤimaru⸣nu pi⸢ni⸣ʃi ka⸢ʃira⸣nu pi⸢ni soːt⸣taŋ] (ガジマルの鬚<気根>で豊年祭の旗頭の鬚にされた)。 14389 0 3 14119 htmvoc_14389.wav ピニ ピ⸢ニ [pi⸢ni] 名 {Mn_3}のぎ(芒)。 イ⸢ナ⸣ピニ [ʔi⸢na⸣pini] (稲ののぎ<芒>) 14390 0 0 14120 htmvoc_14390.wav ピニー ⸣ピニー [⸣piniː] 名 十干の第三番目。ひのえ(丙)の日。 ⸣ピニーナ ⸣ヤー フ⸢ク⸣カー ⸢ピーグトゥ⸣ヌ ウ⸢ク⸣ルンティ⸢ダー [⸣piniːna ⸣jaː ɸu̥⸢ku⸣kaː ⸢piːgutu⸣nu ʔu⸢ku⸣runti⸢daː] (丙の日に家を葺くと火事が起こるそうだよ)。 ム⸢シヌ ニンガイ⸣ヤー ム⸢カ⸣シェーラ ⸣ピニーバ ア⸢ティル ニン⸣ガイ ⸢ヨー⸣ル [mu⸢ʃinu niŋgai⸣jaː mu⸢ka⸣ʃeːra ⸣piniːba ʔa⸢tiru niŋ⸣gai ⸢joː⸣ru] (虫駆除の祈願は昔から丙の日を選んで<当て>て祈願される) 14391 0 0 14121 htmvoc_14391.wav ピニチ ピ⸢ニチ [pi⸢niʧi] 名 日。ひにち(日にち)。 ⸢イー ピニチ [⸢ʔiː piniʧi] (よい日{EOS}吉日)。 ⸢カイピニ⸣チ [⸢kaipini⸣ʧi] (吉日{EOS}佳日)。 ヤ⸢ナピニチ [ja⸢napiniʧi] (凶日{EOS}縁起の良くない日{EOS}不吉な日)。 ⸢ヨイ⸣ヤー ピ⸢ニチバ⸣ クリティ ⸢カイピニ⸣チ イ⸢ラ⸣ビティ ⸢シー⸣ヨー [⸢joi⸣jaː pi⸢niʧiba⸣ kuriti ⸢kaipini⸣ʧi ʔi⸢ra⸣biti ⸢ʃiː⸣joː] (お祝いは、日にちを繰って佳日を選んでしなさいよ) 14393 0 0 14122 htmvoc_14393.wav ピニリカニリ ⸣ピニリカニリ [⸣pinirikaniri] 副 もじもじ。気が進まず態度を決めかねているさま。ぐずぐずして行動しないさま。 シ⸢トゥム⸣テーラ ナー⸢イ⸣ ピニリカニリ ⸢シー ベー⸣ティ ⸢ガッ⸣コー ウ⸢クリナー⸣ヌ [ʃi̥⸢tumu⸣teːra naː⸢ji⸣ pinirikaniri ⸢ʃiː beː⸣ti ⸢gak⸣koː ʔu⸢kurinaː⸣nu] (朝からただぐずぐず、もじもじしていて学校の時間に遅れてしまった)。 ⸣ピニリカニリ ⸢サンドー⸣シ ⸢パー⸣ク ⸢ペー⸣リ ⸣クーバ [⸣pinirikaniri ⸢sandoː⸣ʃi ⸢paː⸣ku ⸢peː⸣ri ⸣kuːba] (もじもじしないで早く入って来なさい) 14392 0 1 14123 htmvoc_14392.wav ピニルン ピ⸢ニ⸣ルン [pi⸢ni⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}ひねる(捻る)。指先でつまんでまわす。ねじ回す。よる(縒る)。 イ⸢トゥ⸣バ ピ⸢ニ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ピ⸢ニララ⸣ヌ [ʔi⸢tu⸣ba pi⸢ni⸣runti ⸢sundu⸣ mut⸢tu⸣ pi⸢nirara⸣nu] (糸を捻ろうとするが、ちっとも捻られない)。 ⸢ブー⸣ヤ ピ⸢ニ⸣レーティル ⸢ウー⸣モーッタ [⸢buː⸣ja pi⸢ni⸣reːtiru ⸢ʔuː⸣moːtta] (麻は捻りながら麻糸を紡がれた)。 ピ⸢ニ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [pi⸢ni⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (捻ることはできる)。 ン⸢ベーマー⸣ ピ⸢ニ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ pi⸢ni⸣reː ⸣misamunu] (少しは捻ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ニ⸣リ [⸢paː⸣ku pi⸢ni⸣ri] (早く捻れ)。 14392 0 2 14124 htmvoc_14392.wav ピニルン ピ⸢ニ⸣ルン [pi⸢ni⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}つねる(抓る)。 ⸢ウンザー⸣ ムニユマー フ⸢チ⸣ ピ⸢ニ⸣リ トゥ⸢ラ⸣シ [⸢ʔunʣaː⸣ munijumaː ɸu̥⸢ʧi⸣ pi⸢ni⸣ri tu⸢ra⸣ʃi] (あの野郎はお喋りだから、口をつねって<抓って>やれ) 14394 0 0 14125 htmvoc_14394.wav ピネーマ ピ⸢ネー⸣マ [pi⸢neː⸣ma] 名 ちょびひげ。鼻の下に小さく生やした\ruby{鬚}{ヒゲ}。 ピ⸢ネー⸣マ ⸢モー⸣シティ イ⸢バリ ベー [pi⸢neː⸣ma ⸢moː⸣ʃi̥ti ʔi⸢bari beː] (ちょび髭を生やして威張っている) 14395 0 0 14126 htmvoc_14395.wav ピバチ ピ⸢バ⸣チ [pi⸢ba⸣ʧi] 名 火鉢。ひびつ(火櫃)。ひおけ。大木の幹を刳り貫いて内側にブリキ板を張り、砂や灰を入れて作った丸型の火鉢や箱型の火鉢、陶器製の火鉢などがあった。 フ⸢ユ⸣ ナルカー ⸢ウイ⸣プスンケーヤ ピ⸢バ⸣チナ ⸢ピー⸣バ イ⸢リティル⸣ ヌ⸢ク⸣モーッタ [ɸu⸢ju⸣ narukaː ⸢ʔui⸣pu̥suŋkeːja pi⸢ba⸣ʧina ⸢piː⸣ba ʔi⸢ritiru⸣ nu⸢ku⸣moːtta] (冬になるとお年寄りの方達は火鉢に火を入れて暖をとられた<体を温められた>) 14396 0 0 14127 htmvoc_14396.wav ピバツン ピ⸢バ⸣ツン [pi⸢ba⸣ʦuŋ] 名 (植)ヒハツモドキ。コショウ科のつる性植物。ピ⸢バ⸣チ[pi⸢ba⸣ʧi]ともいう。中国語の「ひはつ(畢撥)」からきた語という『石垣方言辞典』。赤く完熟した実は乾燥させて煎り、\ruby{擂}{ス}って香辛料として用いられる。芳香を放ち、肉や魚の臭みを消して料理に独特の風味みを添えて美味にする。屋敷の石垣に自生していて、直径5~7ミリ、長さ3~4センチの紡錘型の実をつける。 ピ⸢バツン⸣バ イ⸢ラ⸣キ ⸣ッシティ ⸢スーン⸣シルナ カ⸢キ⸣ルカー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [pi⸢baʦum⸣ba ʔi⸢ra⸣ki ⸣ʃʃiti ⸢suːŋ⸣ʃiruna kḁ⸢ki⸣rukaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (ヒハツモドキを煎り、擂ってお汁に振り掛けると非常に美味しい) 14397 0 0 14128 htmvoc_14397.wav ピバナシゥカイ ピ⸢バナシゥカイ [pi⸢banasï̥kai] 名 少量ずつ、小出しに使うこと。ピ⸢バナ[pi⸢bana]の独立用法はない。複合語の構成要素として用いられるのみである。 ⸢ジン⸣マー ピ⸢バナシゥカイル シー⸣ ブ⸢タンドゥ⸣ シゥ⸢カイキシ ナーン⸣バンメー [⸢ʤim⸣maː pi⸢banasï̥kairu ʃiː⸣ bu⸢tandu⸣ sï̥⸢kaiki̥ʃi naːm⸣bam ⸣meː] (お金は少しずつ使うことにしていたが、使い切ってしまったよ) 14398 0 0 14129 htmvoc_14398.wav ピバナッサイ ピ⸢バナッサイ [pi⸢banassai] 名 米を少しずつ精白すること。 ⸢マイヤー⸣ ギュー⸢サン ナー⸣ンダ マ⸢ルケーティ⸣ナ ⸢マイヌ⸣イー バ⸢カス⸣ ピンドゥ ピ⸢バナッサイバ シー ブー [⸢maijaː⸣ gju⸢san naː⸣nda ma⸢rukeːti⸣na ⸢mainu⸣ʔiː ba⸢kasu⸣ pindu pi⸢banassaiba ʃiː buː] (米はいくらも残っていないから、\ruby{偶}{タマ}に米飯を炊く時に<ぞ>米を少しずつ搗く<少量精白をする>ようにしている) 14399 0 0 14130 htmvoc_14399.wav ピバナッふァイ ピ⸢バナッふァイ [pi⸢banaffai] 名 少量に小分けして食べること。 ⸢ミー⸣ザン ⸣ギサシ ⸢ウンヌイー⸣バ ナー⸢イ⸣ ピ⸢バナッふァイ シー ベー [⸢miː⸣ʣaŋ ⸣gisaʃi ⸢ʔunnuʔiː⸣ba naː⸢i⸣ pi⸢banaffai ʃiː beː] (不味そうに芋のご飯を少量ずつに小分けして食べているよ) 14400 0 0 14131 htmvoc_14400.wav ピビザ ピ⸢ビザ [pi⸢biʣa] 名 (動)山羊。 ⸢ガッ⸣コーラ ⸢カイ⸣ルカー ⸢ダンダン⸣シ ピ⸢ビザヌ⸣ ッサ カ⸢リ⸣クー [⸢gak⸣koːra ⸢kai⸣rukaː ⸢dandaŋ⸣ʃi pi⸢biʣanu⸣ ssa ka⸢ri⸣kuː] (学校から帰ったら、さっさと山羊の草を刈ってこい) 14402 0 0 14132 htmvoc_14402.wav ピビザヌコイ ピ⸢ビザヌ⸣ コイ [pi⸢biʣanu⸣ koi] 連 山羊小屋から出る肥料。山羊の糞尿は山羊小屋の中で飼料の草や木の葉、茅などと一緒に踏み固められて発酵している。それらを掻き出して畑へ運び、肥料として用いた。⸢アウ⸣ダ[⸢ʔau⸣da](もっこ<畚>)に入れて担いで運んだ。 ピ⸢ビザヌ⸣ コイ パ⸢タ⸣ケー イ⸢リリ [pi⸢biʣanu⸣ koi pḁ⸢ta⸣keː ʔi⸢riri] (山羊小屋の肥やし<堆肥>を畑へ入れなさい) 14401 0 0 14133 htmvoc_14401.wav ピビザヌシー ピ⸢ビザヌ⸣ シー [pi⸢biʣanu⸣ ʃiː] 連 山羊の乳。 ブ⸢ネーヌ シー⸣ヌ ⸢アイランベー⸣ティ ピ⸢ビザヌ シー⸣バ ヌ⸢マシ⸣ル ⸣ヌチ ⸢モーシ⸣タ [bu⸢neːnu ʃiː⸣nu ⸢ʔairambeː⸣ti pi⸢biʣanu ʃiː⸣ba nu⸢maʃi⸣ru ⸣nuʧi ⸢moːʃi̥⸣ta] (母親の乳が出ないので山羊の乳を飲ませて命を救った<命を萌やした>) 14403 0 0 14134 htmvoc_14403.wav ピビザヌスー ピ⸢ビザヌ⸣ スー [pi⸢biʣanu⸣ suː] 連 山羊のお汁。山羊汁。山羊の肉、皮、臓物等を入れて炊いたお汁。体力回復に優れた効能があるといわれている。 ピ⸢ビザヌ スー⸣ヤ ア⸢チーアチー⸣シ ッ⸢ふァーバル⸣ フ⸢チ⸣ル ⸣スクツォー ⸢ピーリ⸣ミジ ⸣ヌムカ ⸣バタ ヤ⸢ブ⸣ルンティ⸢ダー [pi⸢biʣanu suː⸣ja ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi f⸢faːbaru ⸣ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣su̥kuʦoː ⸢piːri⸣miʤi ⸣numukaː ⸣bata ja⸢bu⸣runti⸢daː] (山羊汁は熱く湯気を立てて食うのが薬になる<薬効づく>そうだ{EOS}冷水を飲むとお腹をこわすそうだよ) 14404 0 0 14135 htmvoc_14404.wav ピビザヌッサ ピ⸢ビザヌ⸣ッサ [pi⸢biʣanu⸣ ssa] 連 山羊の草。山羊の\ruby{餌}{エサ}となる草。山羊の草刈りは子供の仕事であった。山羊の好物は桑の木の葉やイモの葉であった。 ⸢ガッ⸣コーラ ⸢カイ⸣ルカー ピ⸢ビザヌ⸣ ッサ カ⸢リン パッ⸣タ [⸢gak⸣koːra ⸢kai⸣rukaː pi⸢biʣanu⸣ ssa ka⸢rim pat⸣ta] (学校から帰ると山羊の草を刈に行った) 14405 0 0 14136 htmvoc_14405.wav ピビザヌッふァ ピ⸢ビザヌ⸣ ッ⸢ふァ [pi⸢biʣanu⸣ f⸢fa] 連 山羊の子。小山羊。元気な子。山羊の子は生まれて間もなく歩くことが出来るので元気な子供のシンボルとされる。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ア⸢タラ⸣サー⸢ヨー⸣ ピ⸢ビザヌ⸣ ッ⸢ふァン⸣ カタチニ イッ⸢ケナ スーリ⸣ ブーバン [ku⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ ʔa⸢tara⸣saː⸢joː⸣ pi⸢biʣanu⸣ f⸢faŋ⸣ kḁtaʧini ʔik⸢kena ⸢suːri⸣ buːbaŋ] (この子の可愛いことよ{EOS}山羊の子のように非常に元気に発育しているわい) 14406 0 0 14137 htmvoc_14406.wav ピビザヌヤー ピ⸢ビザヌ⸣ヤー [pi⸢biʣanu⸣jaː] 名 山羊小屋。母屋の裏や屋敷の西側に山羊小屋を建てて山羊を3~4頭飼育した。一定の大きさに肥育した後、屠殺し、山羊汁にして食した。山羊汁は冷え症に効くされ、特に\ruby{蓬}{ヨモギ}の葉を入れて煮ると薬効があるといわれていた。畑の\ruby{芋蔓}{イモ|カズラ}や桑の葉が山羊好物の餌であった。山羊の草刈は子供の仕事であった。 ピ⸢ビザヌ⸣ ッサ カ⸢リ⸣ キー ピ⸢ビザヌ⸣ヤー イ⸢リリ [pi⸢biʣanu⸣ ssa ka⸢ri⸣kiː pi⸢biʣanu⸣jaː ʔi⸢riri] (山羊の草<飼料>を刈りてきて、山羊小屋に入れなさい) 14407 0 0 14138 htmvoc_14407.wav ピピル ピ⸢ピ⸣ル [pi⸢pi⸣ru] 名 ひびろ(紽)。かせ車で糸を繰って巻いたものの一つ 14408 0 0 14139 htmvoc_14408.wav ピピル ピ⸢ピル [pi̥⸢piru] 名 絹糸。蚕糸。「蛾、比比留(ひひる)」『霊異記下』、「蝱、比比流(ひひる)、壐内老蚕也」『和名抄』の転訛したもの。⸣イツピピル[⸣ʔiʦupipiru](絹糸で\ruby{綯}{ナ}った縄)ともいう。歌謡語。 ヤー イツピピルバ シミナー シー ヤーバ スクリ ⸣アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ ʔiʦupipiruba ʃi⸢mi⸣naː ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (やあ 絹糸を\ruby{綯}{ナ}って作った縄を屋根葺きの締め縄にして家を造ってあるという)(アーパーレー歌<ナガミク>) 14409 0 0 14140 htmvoc_14409.wav ピマ ピ⸢マ [pi⸢ma] 名 暇。いとま。時間。 ⸢パンタサ⸣ヌ ア⸢サブ⸣ ピ⸢マー ナー⸣トー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pantasa⸣nu ʔa⸢sabu⸣ pi⸢maː naː⸣toː ⸢naː⸣nu] (忙しくて遊ぶ暇などはない)。 ピ⸢マヌ⸣ トゥ⸢ラ⸣リカー マー⸢ズン⸣ パラ⸢ナー [pi⸢manu⸣ tu⸢ra⸣rikaː maː⸢ʣum⸣ para⸢naː] (暇<時間>が取れたら一緒に行こうねえ) 14412 0 0 14141 htmvoc_14412.wav ピマータースン ピ⸢マー ター⸣スン [pi⸢maː taː⸣suŋ] 連 \ruby{暇}{ヒマ}を費やす。無駄に時間を\ruby{潰}{ツブ}す。「暇を絶やす」の義。 ピ⸢マー ターシ⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ ヤ⸢リキン⸣バ ス⸢ク⸣ライ ⸣シケー [pi⸢maː taːʃi⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ja⸢rikim⸣ba su̥⸢ku⸣rai ⸣ʃi̥keː] (暇を費やしてやっとで破れ着物を繕ってある) 14415 0 0 14142 htmvoc_14415.wav ピマーッふン ピ⸢マー⸣ ッ⸢ふン [pi⸢maː⸣ f⸢fuŋ] 連 時間がかかる。「暇を食う」の義。 ⸢クンドゥ⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ウ⸢ムイヌ⸣ フカ ピ⸢マー⸣ ッ⸢ふンティル⸣ ウ⸢モー⸣リ [⸢kundu⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢mui⸣nu ⸣ɸu̥ka pi⸢maː⸣ f⸢funtiru⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (今度の仕事は予想以上に<思いのほか>時間がかかる<暇を食う>と思われる) 14410 0 0 14143 htmvoc_14410.wav ピマダーリ ピ⸢マダーリ [pi⸢madaːri] 名 時間がかかること。暇を食うこと。「暇絶え・る」の義か。ピ⸢マドーリ[pi⸢madoːri]ともいう。 ウ⸢レー⸣ ピ⸢マダーリシグトゥ⸣ ヤ⸢ルンダ ピッ⸣チン ⸢モーカラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ pi⸢madaːriʃigutu⸣ ja⸢runda pit⸣ʧim ⸢moːkara⸣nu] (それは時間のかかる<暇倒れする>仕事だから、ちっとも儲からない) 14411 0 0 14144 htmvoc_14411.wav ピマダーリシグトゥ ピ⸢マダーリシグトゥ [pi⸢madaːriʃigutu] 名 時間がかかる仕事。\ruby{手間隙}{テ|マ|ヒマ}のかかる仕事。ピ⸢マッふァイシグトゥ[pi⸢maffaiʃigutu](時間のかかる<時間喰い>仕事)ともいう。 ピ⸢マダーリシグトー モーカラ⸣ヌ [pi⸢madaːriʃigutoː moːkara⸣nu] (手間隙のかかる仕事は儲からない) 14413 0 0 14145 htmvoc_14413.wav ピマッふァイシグトゥ ピ⸢マッふァイシグトゥ [pi⸢maffaiʃigutu] 名 時間のかかるしごと。「暇食い仕事」の義。 ピ⸢マッふァイシグトゥ⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ティマー タ⸢カー⸣ン [pi⸢maffaiʃigutu⸣ ja⸢rundu⸣ timaː tḁ⸢kaː⸣ŋ] (時間のかかる仕事だが手間賃は高い) 14414 0 0 14146 htmvoc_14414.wav ピマピマ ピ⸢マピマ [pi⸢mapima] 副 時折。時には。用事の無い時。「ひまひま(暇暇)」の義。 ピ⸢マピマー マーリ⸣ キー ヤ⸢ラ⸣ビンケー ナ⸢ラー⸣シ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [pi⸢mapimaː maːri⸣ kiː ja⸢ra⸣biŋkeː na⸢raː⸣ʃi f⸢fiːri⸣joː] (時々は回ってきて子供達を教えてくれよ) 14416 0 1 14147 htmvoc_14416.wav ヒャー ⸣ヒャー [⸣çaː] 間助 {Mn_1}そら、大変だ。それ、大変だ。感動詞や指示詞、疑問詞等に下接して危機の接近を注意勧告し、自覚をうながすことば。独立用法はない。他の語に下接してさまざまな感動詞句をつくる。 ⸣トーヒャー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ ⸣メー [⸣toːçaː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra ⸣meː] (さあ大変だぞ<大変さ>、もう)。 ⸣ウリヒャー ⸣カマーラ ⸢ズンサ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン⸢ドー [⸣ʔuriçaː ⸣kamaːra ⸢ʣunsa⸣nu ⸢ʔoː⸣run⸢doː] (それ見ろ、大変だぞ{EOS}あそこから巡査が来られるぞ)。 ⸢ヌー⸣ヒャー [⸢nuːçaː] (何だって)。 14416 0 2 14148 htmvoc_14416.wav ヒャー ⸣ヒャー [⸣çaː] 間助 {Mn_2}卑語について相手を強く罵ることば。~野郎。~奴。 ワン⸢ザー⸣ヒャー ⸢スングリ⸣ トゥ⸢ラ⸣サ [wan⸢ʣaː⸣çaː ⸢suŋguri⸣ tu⸢ra⸣sa] (お前野郎は、引っぱたいてやろうか)。 ⸣ワンザーヒャー ヌーッ⸢シェー⸣ル ⸣ムンヤー [⸣wanʣaːça nuːʃ⸢ʃeː⸣ru ⸣muŋjaː] (お前野郎は何奴だ) 14417 0 0 14149 htmvoc_14417.wav ピャーク ⸢ピャー⸣ク [⸢pjaː⸣ku] 名 百。百歳。 ⸣ドゥーガンゾーシ ⸢オー⸣レーティ ⸢ピャー⸣ク ⸢バー⸣キ ナ⸢ガイキ ソー⸣リ [⸣duːganʣoːʃi ⸢ʔoː⸣reːti ⸢pjaː⸣ku ⸢baː⸣ki na⸢gajiki soː⸣ri] (お元気で<胴体頑丈で>いらっしゃって、百歳まで長生きなさってください) 14418 0 0 14150 htmvoc_14418.wav ピャーク ⸢ピャー⸣ク [⸢pjaː⸣ku] 名 びゃくごう(白毫)の転訛したものか。生まれたばかりの子供に産湯を浴びせた後、魔除けの\ruby{呪}{マジナイ}として額につける⸢ピング[⸢piŋgu](なべずみ<鍋墨>{EOS}⸢竈黒」の義か)。百歳までの長寿を祈願する意味があるという。仏の眉間にある白い毛に肖ったものという『石垣方言辞典』。 ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢ル⸣カー ア⸢ガッふァーマ⸣ヌ フ⸢タイ⸣ナー ピ⸢サ⸣ビシ ⸢ピャー⸣ク ス⸢コーッ⸣タ [f⸢fanu⸣ ma⸢ru⸣kaː ʔa⸢gaffaːma⸣nu ɸu̥⸢tai⸣naː pi̥⸢sa⸣biʃi ⸢pjaː⸣ku su̥⸢koːt⸣ta] (子供が生まれると新生児<赤子>の額に鍋墨でピャークを付けられた) 14419 0 1 14151 htmvoc_14419.wav ピャークイチ ⸢ピャー⸣クイチ [⸢pjaː⸣kuʔiʧi] 名 {Mn_1}(数)百一。 ⸣アッパー ク⸢トゥシェー ピャー⸣クイチ ナ⸢ロー⸣ルン [⸣ʔappaː ku̥⸢tuʃeː pjaː⸣kuʔiʧi na⸢roː⸣ruŋ] (お祖母さんは今年百一歳になられる)。 14419 0 2 14152 htmvoc_14419.wav ピャークイチ ⸢ピャー⸣クイチ [⸢pjaː⸣kuʔiʧi] 名 {Mn_2}百分の一。百のうちの一つしか真実がないこと。嘘つき。 ⸢ピャー⸣クイチヌ ア⸢ズ⸣ ムネー ⸢ヌー⸣シカヤ ナ⸢レー [⸢pjaː⸣kuʔiʧinu ʔa⸢ʣu⸣ muneː ⸢nuː⸣ʃikaja na⸢reː] (百一<嘘つき>の言うことは、どうかな<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{如何}{イカガ}だろうか{EOS}疑問だなあ>) 14421 0 1 14153 htmvoc_14421.wav ピャークニン ⸢ピャーク⸣ニン [⸢pjaːku⸣niŋ] 名 {Mn_1}(数)百人。 ⸢ピャーク⸣ニンブカラー プ⸢ソー⸣ ア⸢ツァマリ⸣ ブー [⸢pjaːku⸣nimbukaraː pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ʦamari⸣ buː] (百人ぐらい人が集まっている)。 14421 0 2 14154 htmvoc_14421.wav ピャークニン ⸢ピャーク⸣ニン [⸢pjaːku⸣niŋ] 名 {Mn_2}百年。 ウ⸢レー ピャーク⸣ニン カ⸢カリ⸣ル ス⸢クラ⸣レーティ⸢ダー [ʔu⸢reː pjaːku⸣niŋ kḁ⸢kari⸣ru su̥⸢kura⸣reːti⸢daː] (それは百年かかって作られたそうだよ) 14422 0 0 14155 htmvoc_14422.wav ピャーシング ⸢ピャーシング [⸢pjaːʃiŋgu] 名 爆竹。「火矢信号」の義か。「Fiya.ヒヤ(火矢・火箭)火のついた矢.また、爆竹」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。大晦日の夜から家々では子供たちが爆竹を鳴らして遊んだ。シ⸢チフル⸣マイ[ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣mai](節祭りの振舞<ご馳走・饗応>)をいただく際にも鳴らした。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ソンガチヌ シ⸢トゥム⸣テー ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢ピャーシングバ ナーラシェー⸣ティル ⸢ミードゥシェー⸣ ン⸢カイヨーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣soŋgaʧinu ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢pjaːʃiŋguba naːraʃeː⸣tiru ⸢miːduʃeː⸣ ʔŋ⸢kaijoːtta⸣ru] (昔は、正月の朝は家毎に爆竹を鳴らしながら新年を迎えられたものだ) 14423 0 0 14156 htmvoc_14423.wav ピャーッカニチ ⸢ピャーッカニ⸣チ [⸢pjaːkkani⸣ʧi] 名 百日忌。死後百日目の法要。 ⸢ピャーッカニチ⸣ヌ ⸢ソッコー⸣ヤ シ⸢マ⸣シェーチバ ツ⸢ゲー⸣ ユ⸢ノーレー⸣ヌ ⸢ソッコーヌ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢pjaːkkaniʧi⸣nu ⸢sokkoː⸣ja ʃi⸢ma⸣ʃeːʧiba ʦu⸢geː⸣ ju⸢noːreː⸣nu ⸢sokkoːnu⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (百日忌の法事は済まされたので、次は一周忌の法事がやってこられる) 14420 0 0 14157 htmvoc_14420.wav ピャーッキン ⸢ピャーッ⸣キン [⸢pjaːk⸣kiŋ] 名 数詞。百斤。 ⸣ソンガチオーヤ ⸢ピャーッキン⸣ドゥ カ⸢カル⸣タ [⸣soŋgaʧiʔoːja ⸢pjaːkkin⸣du kḁ⸢karu⸣ta] (正月用の豚は百斤が出た<百斤しか出なかった>) 14424 0 1 14158 htmvoc_14424.wav ピャーンガルン ⸢ピャーン⸣ガルン [⸢pjaːŋ⸣garuŋ] 自動 {Mn_1}飛び上がる。跳ね上がる。吊りあがる。 タ⸢マシ⸣ヌ ⸢ピャーン⸣ガルンケン ウ⸢バーサリ ミッ⸣タン [ta⸢maʃi⸣nu ⸢pjaːŋ⸣garuŋkeŋ ʔu⸢baːsari mit⸣taŋ] (魂が飛び上がる<魂消る>ほど驚かされた)。 ⸢キン⸣ヌ ⸢マイ⸣スバー ⸢ピャーン⸣ガリティ カ⸢タソー⸣ピキ ⸢シー⸣ ホー⸢ガーホーガー⸣シ ⸢アー⸣ク [⸢kin⸣nu ⸢mai⸣subaː ⸢pjaːŋ⸣gariti kḁ⸢tasoː⸣pi̥ki ⸢ʃiː⸣ hoː⸢gaːhoːgaː⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ku] (着物の前裾が跳ね上がり、片方の裾が下がる着方をして、間抜けな恰好をしてあるくよ)。 14424 0 2 14159 htmvoc_14424.wav ピャーンガルン ⸢ピャーン⸣ガルン [⸢pjaːŋ⸣garuŋ] 自動 {Mn_2}魂消る。非常に驚く。びっくり仰天する。 ギュー⸢サ⸣ ウ⸢バーシタンティン ピャーンガラ⸣ヌ [gjuː⸢sa⸣ ʔu⸢baːʃtantim pjaːŋgara⸣nu] (いくら驚かしても魂消ない)。 ⸢ピャーン⸣ガル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢pjaːŋ⸣garu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (魂消ることはない)。 14424 0 3 14160 htmvoc_14424.wav ピャーンガルン ⸢ピャーン⸣ガルン [⸢pjaːŋ⸣garuŋ] 自動 {Mn_3}\ruby{自惚}{ウヌ|ボレ}る。のぼせ上がる。舞い上がる。増長する。 ⸢ピャーン⸣ガレーラ プ⸢スヌ⸣ ムネー シゥ⸢カヌ [⸢pjaːŋ⸣gareːra pu̥⸢sunu⸣ muneː sï̥⸢kanu] (舞い上がったら<自惚れたら>、人の言うことを聞かない)。 ⸣ワンザーヒャー ⸢ピャーン⸣ガリバヒャー [⸣wanʣaːçaː ⸢pjaːŋ⸣garibaçaː] (お前って奴は自惚れやがれヒャー) 14425 0 0 14161 htmvoc_14425.wav ピャーンピャーン ⸢ピャーンピャーン [⸢pjaːmpjaːŋ] 副 擬態語。ぴょんぴょん。跳ね回るさま。 ⸢ピャーンピャーン⸣シ サ⸢ニンケーリ⸣ マ⸢ヤーリ パッ⸣タヤー [⸢pjaːmpjaːŋ⸣ʃi sa⸢niŋkeːri⸣ ma⸢jaːri pat⸣tajaː] (ぴょんぴょんと嬉しそうに飛びはねて<舞い上がって>行ったよ) 14426 0 0 14162 htmvoc_14426.wav ヒャクゴー ヒャ⸢ク⸣ゴー [ça⸢ku⸣goː] 名 (植)サツマイモの品種名。沖縄百号のこと。 ヒャ⸢クゴー⸣ヤ ⸢ネース⸣カー ⸢クー⸣フキティ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [çḁ⸢kugoː⸣ja ⸢neːsu⸣kaː ⸢kuː⸣ɸu̥kiti ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (サツマイモの沖縄百号は、煮ると粉を吹いて<粉吹き芋になって{EOS}水分が少なく、澱粉が粉状に出て>美味しかった) 14427 0 0 14163 htmvoc_14427.wav ヒヤサー ヒ⸢ヤ⸣サー [çi⸢ja⸣saː] 感 えいや。重い物を持ち上げるなど、力を入れる時の掛け声。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ ア⸢ツァ⸣マリティ ヒ⸢ヤ⸣サーッティ ⸢シー⸣ ル⸢クトゥダー⸣ラ カ⸢タ⸣ミ パ⸢リ⸣シタ [ba⸢kaː⸣muŋkeːja ʔa⸢ʦa⸣mariti çi⸢ja⸣saːtti ⸢ʃiː⸣ ru⸢kutudaː⸣ra kḁ⸢ta⸣mi pa⸢ri⸣ʃi̥ta] (若者たちは集まって、えいや、といって六斗入り俵を担いでいったものだ) 14428 0 0 14164 htmvoc_14428.wav ヒャックラサ ⸢ヒャッ⸣クラ⸢サ [⸢çak⸣kura⸢sa] 感 よいこらしょ。やっこらさ。動作を起こすときに発する掛け声。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸣タティビリ ⸢スンティン ヒャッ⸣クラ⸢サ⸣ティ ア⸢ジティル スー⸠ツォー [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ⸣tatibiri ⸢suntin çak⸣kura⸢sa⸣ti ʔa⸢ʤitiru suː⸠ʦoː] (年を取ったので立ち、座りするにもヒャックラサと掛け声を出して<言って>するんだよ{EOS}情けない) 14429 0 0 14165 htmvoc_14429.wav ヒャックヮン ⸢ヒャッ⸣クヮン [⸢çak⸣kwaŋ] 名 (数)百貫。明治以降の評価額では二円にあたるという『石垣方言辞典』。民謡に/イチニチニ グンジュ ヒャクニチニ グクヮン タミティ スンナユミ ムカシクトゥバ ムカシクトゥバ/とうたわれている 14430 0 0 14166 htmvoc_14430.wav ヒヤリクヨイサー ヒ⸢ヤリクヨイ⸣サー [çi⸢jarikujoi⸣saː] 感 掛け声。アンガマ踊りの掛け声。囃子詞。アンガマ踊りの最中、地方が歌う⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)に合わせて⸢アン⸣ガマター[⸢ʔaŋgama⸣taː](姉子達)がヒ⸢ヤリクヨイ⸣サー ⸢サーサー[çi⸢jarikujoi⸣saː ⸢saːsaː]と唱和する囃子詞。エイサー踊りの語源か 14431 0 0 14167 htmvoc_14431.wav ピャンティ ピャン⸢ティ [pjan⸢ti] 副 ぴょんと。飛び上がるさま。 ピ⸢ビザヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢リティ⸣ フ⸢タケ⸣ナーラ ピャン⸢ティ⸣ タトゥン⸢ダー [pi⸢biʣanu⸣ f⸢faː⸣ ma⸢riti⸣ ɸu̥⸢take⸣naːra pjan⸢ti⸣ tḁtun⸢daː] (山羊の子は生まれてすぐからピョンと立つよ) 14432 0 0 14168 htmvoc_14432.wav ヒュー ⸣ヒュー [⸣çuː] 名 (数)俵を数える単位。上接語の末尾が破裂音-p、-t、-k、破擦音-ʧで終わる場合は、⸣ッピュー[-pjuː]、鼻音の-m、-nで終わる場合は⸣ビュー[-bjuː]、その他の場合は、⸣ヒュー[⸣çuː]となる。 ⸢イッ⸣ピュー [⸢ʔip⸣pjuː] (1表)。 ⸣ニヒュー [⸣niçuː] (2表)。 ⸣サンビュー [⸣sambjuː] (3表)。 ⸢ヨンピュー [⸢jompjuː] (4表)。 グ⸢ヒュー [gu⸢çuː] (5表)。 ⸢ルッ⸣ピュー [⸢rup⸣pjuː] (6表)。 ナ⸢ナ⸣ヒュー [na⸢na⸣çuː] (7表)。 ハ⸢チ⸣ヒュー [hḁ⸢ʧi⸣çuː] (8表)。 ⸢キューヒュー [⸢kjuːçuː] (9表)。 ⸣ジッピュー [⸣ʤippjuː] (10表)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ル⸢クトゥダー⸣ラ ⸣ニヒュー カ⸢タ⸣ムン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ru⸢kutudaː⸣ra ⸣niçuː kḁ⸢ta⸣muŋ] (この子は6斗俵を2表担ぐことができる<担ぐ>) 14433 0 0 14169 htmvoc_14433.wav ピューカ ⸢ピュー⸣カ [⸢pjuː⸣ka] 名 凪。風がやんで波が穏やかなさま。無風状態の凪。⸢ウー⸣トゥリ[⸢ʔuː⸣turi]ともいう。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢ピュー⸣カ ヤ⸢ルンダ プーヤ⸣ ピ⸢カラヌ [⸢kjuː⸣ja ⸢pjuː⸣ka ja⸢runda puːja⸣ pi̥⸢karanu] (今日は凪だから帆は張れない<ひかれない>) 14434 0 0 14170 htmvoc_14434.wav ピューマ ⸢ピューマ [⸢pjuːma] 名 魚の\ruby{鰓}{エラ}。若年層は⸢ピーマ[⸢piːma](鰓)ともいう。 イ⸢ズヌ ピューマー⸣ トゥリティ ピ⸢サー⸣ ン⸢コー⸣シバ [ʔi⸢ʣunu pjuːma⸣ turiti pi̥⸢saː⸣ ʔŋ⸢koː⸣ʃiba] (魚の\ruby{鰓}{エラ}を取って三枚におろしなさい) 14435 0 0 14171 htmvoc_14435.wav ピュール ⸢ピュール [⸢pjuːru] 名 日柄。吉日。「日和」から転じたもの。事柄を行うのに適した日を選定して得られた吉日。老年層の言葉。 ⸢ヤースクリ⸣ヌ ⸢ピュールバ⸣ トゥリティル ⸢ティンダ⸣テー シ⸢ラリル [⸢jaːsu̥kuri⸣nu ⸢pjuːruba⸣ turitiru ⸢tinda⸣teː ʃi⸢rariru] (家屋新築<家作り>の吉日<日和>を選定してから<ぞ>工事の着工はされる)。 ⸣サンギンソーン ⸢ピュール⸣ ク⸢ラ⸣シ ⸣クー [⸣saŋginsoːm ⸢pjuːru⸣ ku⸢ra⸣ʃi ⸣kuː] (易者<三世相>に吉日を選定させて<繰らせて>こい) 14436 0 0 14172 htmvoc_14436.wav ピュールクルン ⸢ピュール⸣ クルン [⸢pjuːru⸣ kuruŋ] 連 日柄<吉日>を選定する<繰る>。 ⸢ヤースクリ⸣ヌ ⸢ピュール⸣ クルンティ ⸣ウムイ ⸢ベー [⸢jaːsu̥kuri⸣nu ⸢pjuːru⸣ kurunti ⸣ʔumui ⸢beː] (家屋新築<家作り>の日柄<吉日>を選定しようと<繰ろうと>思っている) 14437 0 0 14173 htmvoc_14437.wav ピュールトゥルン ⸢ピュール⸣ トゥルン [⸢pjuːru⸣ turuŋ] 連 日柄<吉日>を選定する<繰る>。 パ⸢カスク⸣リン パ⸢カヌ⸣ ヨイン ⸢ピューロー⸣ トゥリティル ⸢ソー⸣ル [pḁ⸢kasu̥ku⸣rim pḁ⸢ka⸣nu ⸣joim ⸢pjuːroː⸣ turitiru ⸢soː⸣ru] (墓造りも墓の新築祝いも日柄を選定して<取って>からなされる) 14438 0 0 14174 htmvoc_14438.wav ピュールピュールシ ⸢ピュールピュール⸣シ [⸢pjuːrupjuːru⸣ʃi] 副 そよそよと。風が心地よくそよぐさま。 ⸢ピュールピュール⸣シ カ⸢ジヌ スーン [⸢pjuːrupjuːru⸣ʃi ka⸢ʤinu suːŋ] (そよそよと風がそよぐ) 14439 0 0 14175 htmvoc_14439.wav ピューワン ⸢ピュー⸣ワン [⸢pjuː⸣waŋ] 形 えぐい(蘞)。えがらっぽい。あく(灰汁)が強く、喉をいらいらと刺激するような味がすることをいう。「酢味也。俗語云恵久之<ゑぐし>」『和名抄』の転訛した語か。 ク⸢レー ピューワ⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢reː pjuːwa⸣nu f⸢faːranu] (これはえぐいので食べられない)。 ⸣ッサリムノー フ⸢チ ピュー⸣ワンダ ッふ⸢ーナ⸣ヨー [⸣ssarimunoː ɸu̥⸢ʧi pjuː⸣wanda f⸢fuːna⸣joː] (腐れたものは口がえぐいから食べるなよ)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ピューワ ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢pjuːwa naː⸣nu] (あまりえぐくない)。 ク⸢リバ⸣ ッ⸢ふータ⸣ クトー ⸣ヌドゥン ⸢ピュー⸣ワ ⸣ナリティ フ⸢シガラン⸣シェン [ku⸢riba⸣ f⸢fuːta⸣ ku̥toː ⸣nudum ⸢pjuː⸣wa ⸣nariti ɸu̥⸢ʃigaraŋ⸣ʃeŋ] (これを食べたところ、喉もえぐくなって\ruby{堪}{タマ}らなかった)。 ⸢ピュー⸣ワ ⸣ムノー ッ⸢ふーナ [⸢pjuː⸣wa ⸣munoː f⸢fuːna] (えぐいものは食べるな)。 ⸢ピュー⸣ワカー ッ⸢ふーナ [⸢pjuː⸣wakaː f⸢fuːna] (えぐかったら食うな) 14441 0 0 14176 htmvoc_14441.wav ビョーキ ⸢ビョー⸣キ [⸢bjoː⸣ki] 名 病気。標準語からの借用語。普通は⸣ヤミ[⸣jami](\ruby{病}{ヤマイ}{EOS}病気)。⸢ヤン⸣マイ[⸢jam⸣mai](病{EOS}病気)という。パ⸢ナシキ[pa⸢naʃi̥ki](風邪)、パ⸢ヤー⸣ル[pa⸢jaː⸣ru](流行り病)ともいう。 ⸢ビョー⸣キ カ⸢カ⸣リティ ⸢ヤー⸣ナ ニ⸢ビ ベー [⸢bjoː⸣ki kḁ⸢ka⸣riti ⸢jaː⸣na ni⸢bi beː] (病気に罹って家で寝ている) 14442 0 0 14177 htmvoc_14442.wav ビョーザー ⸢ビョー⸣ザー [⸢bjoː⸣ʣaː] 名 病弱な者。「びゃうざ(病者)」『源氏物語 夕顔』の転訛したものか。 ウ⸢レー ビョー⸣ザー ヤ⸢ルンダ⸣ カイブ シ⸢グトー⸣ ウ⸢リンマー⸣ シ⸢ミララヌ [ʔu⸢reː bjoː⸣ʣaː ja⸢runda⸣ kaibu ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ʃi⸢miraranu] (彼は病弱な者だから、こんな仕事は、彼にはさせられない) 14443 0 0 14178 htmvoc_14443.wav ビョーザーン ⸢ビョー⸣ザーン [⸢bjoː⸣ʣaːŋ] 形 病弱である。病気がちである。「びょうざ(病者)・あり」が形容詞に転訛したもの。 ユ⸢メー ビョー⸣ザーンティ ス⸢クタヌ⸣ ミルカー ⸢ビョー⸣ザー ⸢ナーン⸣ワー⸢ヌー [ju⸢meː bjoː⸣ʣaːnti su̥⸢kutanu⸣ mirukaː ⸢bjoː⸣ʣaː ⸢naːŋ⸣wa⸢nuː] (嫁は病弱だと聞いたが、見ると病弱ではないではないか)。 ⸢ビョー⸣ザー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢bjoː⸣ʣaː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (病弱になってしまった)。 ⸢ビョー⸣ザー プ⸢ソー⸣ シゥ⸢カーラヌ [⸢bjoː⸣ʣaː pu̥⸢soː⸣ sï̥⸢kaːranu] (病弱な人は使えない)。 ⸢ビョー⸣ザーティル ヤ⸢トーン⸣シェン⸢ダー [⸢bjoː⸣ʣaːtiru ja⸢toːŋ⸣ʃen⸢daː] (病弱だったので雇わなかったのだよ) 14444 0 1 14179 htmvoc_14444.wav ピョーシ ⸢ピョー⸣シ [⸢pjoː⸣ʃi] 名 {Mn_1}はずみ。とたん(途端)。丁度その時。 ア⸢シ⸣ツァ フ⸢ミティ⸣ ミ⸢ナ⸣カー ン⸢ジ⸣ルンティ シ⸢ター⸣ ウ⸢ヌ ピョー⸣シナ ク⸢ルビティ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ʔa⸢ʃi⸣ʦa ɸu⸢miti⸣ mi⸢na⸣kaː ʔn⸢ʤi⸣runti ʃi̥⸢taː⸣ ʔu⸢nu pjoː⸣ʃina ku⸢rubiti⸣ duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (下駄を履いて庭へ出ようとしたはずみに<途端に>転んで体を痛めて<胴を病まして>ある)。 14444 0 2 14180 htmvoc_14444.wav ピョーシ ⸢ピョー⸣シ [⸢pjoː⸣ʃi] 名 {Mn_2}えんぎ。ひょうし。げん(験)。まん(間)。 ⸢ピョーシ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サティ イ⸢ゾー⸣ プ⸢スッ⸣カラン ホーサラ⸣ヌ [⸢pjoːʃi⸣nu ⸢was⸣sati ʔi⸢ʣoː⸣ pu̥⸢suk⸣karaŋ ⸢hoːsara⸣nu] (えんぎ<験>が悪くて魚は一匹も釣れない)。 14444 0 3 14181 htmvoc_14444.wav ピョーシ ⸢ピョー⸣シ [⸢pjoː⸣ʃi] 名 {Mn_3}手拍子。手拍子を打つ。 ⸢ピョー⸣シ ⸣トゥリ [⸢pjoː⸣ʃi ⸣turi] (手拍子を取れ) 14440 0 0 14182 htmvoc_14440.wav ヒョータン ⸢ヒョータン [⸢çjoːtaŋ] 名 (植)和名、ユウガオ。ウリ科植物。普通は、裏庭の家庭菜園で作る。木や竹で棚をかけ、それに這わせて実をつけさせた。果実が成熟すると\ruby{捥}{モ}いで乾燥させ、鋸で切って割り、⸢ペー⸣ラ[⸢peː⸣ra](\ruby{籾}{モミ}を\ruby{掬}{スク}ったり、水を掬ったりするのに用いる道具{EOS}\ruby{柄杓}{ヒ|シャク})を作った。 ⸢ヒョータン⸣シル ⸢ペー⸣ラー ス⸢ク⸣ル⸢ダー [⸢çoːtaŋ⸣ʃiru ⸢peː⸣raː su̥⸢ku⸣ru⸢daː] (\ruby{瓢箪}{ヒョウ|タン}でペーラ<\ruby{柄杓}{ヒ|シャク}>を作るのだよ)。 ⸢ペー⸣ラシ ミ⸢ジ⸣ ス⸢クイ⸣ ヌミバ [⸢peː⸣raʃi mi⸢ʤi⸣ su̥⸢kui⸣ numiba] (ペーラ<柄杓>で水を\ruby{掬}{スク}って飲みなさいよ) 14447 0 0 14183 htmvoc_14447.wav ピョーピョー ⸢ピョー⸣ピョー [⸢pjoː⸣pjoː] 名 子供の遊具。乾燥した、ヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](テリハボク)の実の果核に直径約1ミリの穴を開け、内部の肉質を除去して作った笛。ピョーピョーと吹き鳴らして遊んだ。 ⸢ピョー⸣ピョー ス⸢ク⸣リティ ⸢ナーラシ⸣ ア⸢サバ⸣ナー [⸢pjoː⸣pjoː su̥⸢ku⸣riti ⸢naːraʃi⸣ ʔa⸢saba⸣naː] (ピョーピョーを作って鳴らして遊ぼうねえ) 14445 0 0 14184 htmvoc_14445.wav ピョーマルゴッケー ⸢ピョー⸣マルゴッケー [⸢pjoː⸣marugokkeː] 名 かくれんぼう(隠れん坊)。明治生まれの古老の使用言語。大正、昭和生まれの人からは、カ⸢クレン⸣ボー[kḁ⸢kurem⸣boː](隠れん坊{EOS}標準語からの借用語)という。 ム⸢カ⸣シプソー カ⸢クレンボー⸣バ ⸢ピョー⸣マルゴッケーティ ア⸢ゾーッタ⸣ルシェー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː kḁ⸢kuremboː⸣ba ⸢pjoː⸣marugokkeːti ʔa⸢ʣoːtta⸣ruʃeː] (昔の人は、隠れん坊をピョーマルゴッケーと言われたものだよ) 14446 0 1 14185 htmvoc_14446.wav ピョーマルン ⸢ピョー⸣マルン [⸢pjoː⸣maruŋ] 自動 {Mn_1}すくまる(竦まる)。縮みこむ。縮まってひきこもる。恐れて身がすくんで小さくなる。「ひそまり(潜まり)」『土佐日記』の転訛したものか。 ⸣ドゥク イ⸢ズ⸣カー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ピョー⸣マルンダ ⸢ピョーマラサン⸣スコー ⸢カシカシマー⸣シェーティ シゥ⸢カイ⸣バ [⸣duku ʔi⸢ʣu⸣kaː ja⸢ra⸣beː ⸢pjoː⸣marunda ⸢pjoːmarasan⸣su̥koː ka⸢ʃi̥kaːʃimaː⸣ʃeːti sï̥⸢kai⸣ba] (あまり叱ると子供は縮みこもるから、縮みこもらないように、なだめ<\ruby{宥}{ナダ}め>\ruby{賺}{スカ}しながら使いなさいよ)。 ⸢ピョー⸣マリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢pjoː⸣mari ⸢naː⸣nu] (縮こもってしまった)。 イ⸢ズタンティン ピョー⸣マル ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ン⸢ベーマー ピョー⸣マレー ⸣ミサムヌ [ʔi⸢ʣutantim pjoː⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ʔm⸢beːmaː pjoː⸣mareː ⸣misamunu] (叱っても縮みこむことはないが、少しは縮こもればいいのに)。 ⸢ピョー⸣マリ [⸢pjoː⸣mari] (\ruby{竦}{スク}まれ)。 14446 0 2 14186 htmvoc_14446.wav ピョーマルン ⸢ピョー⸣マルン [⸢pjoː⸣maruŋ] 自動 {Mn_2}卵が縮みこもって孵化しなくなる。 ⸢コー⸣マー ⸢ピョー⸣マリ ⸢ブンダー⸣ シ⸢ディラ⸣ヌ [⸢koː⸣maː ⸢pjoː⸣mari ⸢bundaː⸣ ʃi⸢dira⸣nu] (卵は竦んで縮みこもっているから孵化しない) 14452 0 0 14187 htmvoc_14452.wav ビラ ⸣ビラ [⸣bira] 名 (植)にら(韮)。「薤、ミラ、ニラ、ヒル」『類聚名義抄』の義。家庭菜園に栽培して、必要に応じて採取し、お汁に入れて食した。冷蔵庫のなかった頃は調理の直前まで家庭菜園に野菜を保存していた。 ⸣ビラーンツァン ⸣スリキー ⸢スー⸣ヌ ⸢オンガキ サン⸣ノーレー [⸣biraːnʦan ⸣surikiː ⸢suː⸣nu ⸢ʔoŋgaki san⸣noːreː] (\ruby{韮}{ニラ}でも刈って<剃って>きてお汁の薬味にしないかね)。 ⸣ビラー ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナー イ⸢ビ⸣ ス⸢コーッ⸣タ [⸣biraː ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣naː ʔi⸢bi⸣ su̥⸢koːt⸣ta] (ニラは各家庭、屋敷内の菜園に植えておかれた) 14453 0 0 14188 htmvoc_14453.wav ピラ ⸣ピラ [⸣pira] 名 へら(箆{EOS}鐴)。「鐴、閉良<へら>、犂<からすき>耳也」『和名抄』の「へら」が転訛したもの。畑の除草用に用いるへら<箆>。幅約4センチ、厚さ約3ミリの鉄板の先端部を刃に作り、後部を丸めて取っ手<把手。木の股木を利用したv字型の柄>が取り付けられた農具。長時間使うと掌にグ⸢ジ[gu⸢ʤi](まめ<肉刺>)ができやすく、それが潰れると痛くて農具を掴むのに苦労した。 ⸣ピラシ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサ ⸢ソーリ⸣バ [⸣piraʃi pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssa ⸢soːri⸣ba] (箆で畑の草を根こそぎ<さくる、\ruby{刳}{サク}る{EOS}Sacuri、utta.サクリ,ル,ッタ『邦訳日葡辞書』>除草しなさいよ)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣マタシ ピ⸢ラ⸣ヌ ⸢ユイ⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸣ッサ ⸢ソーリ⸣バ [⸢kiː⸣nu ⸣mataʃi pi⸢ra⸣nu ⸢jui⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸣ssa ⸢soːri⸣ba] (木の股の部分で箆の柄を作って、除草し<さくり・\ruby{刳}{ク}り>なさい) 14454 0 0 14189 htmvoc_14454.wav ピラ ⸣ピラ [⸣pira] 名 鳩間島の結願祭に上演される狂言の名。/⸢クリヤ⸣ クヌムラ ムジクイ クーサー ハマ⸢サチドゥ⸣ ヤル~/(これは<罷り出たるは>この村の農作に詳しい浜崎である{EOS}~)のように、台詞がすべて沖縄方言で唱えられ、「浜崎」なる人名<長者>が出現する、珍しい狂言である。沖縄本島の「長者の大主」系統の狂言であろう。パ⸢ルスー⸣ブ[pa⸢rusuː⸣bu](農耕、農産コンクール<畑勝負>)狂言の一部で、村の最長老が舞台に出現し、植えつけた芋が見事に実ったことをことあげ<言挙げ>し、村の人々にも作付けさせようというストーリーの狂言である。方言の抑揚とジェスチャーが笑いの対象となる。尚泰王十八年(1865年)に30歳で首里から鳩間島へ遠流の刑に処せられたという比屋根安弼の指導によるものか。他に数種の琉球王国賛美の歌謡があり、比屋根と何らかの関係が推定される 14455 0 0 14190 htmvoc_14455.wav ヒラー ヒ⸢ラー [çiraː] 名 (動)魚の名。和名、ササムロ(体長約27センチ)。ヒ⸢ラーグルクン[çi⸢raːgurukuŋ]ともいう。和名、ハナカサゴ(体長約30センチ)、和名、ユメウメイロ(体長約30センチ)などの総称。これらは総て、ム⸢レー⸣ジ[mu⸢reː⸣ʤi](群れ魚)といった 14456 0 0 14191 htmvoc_14456.wav ピライ ⸣ピライ [⸣pirai] 名 交際。付き合い。「へりあい(謙合)」の転訛か。「謙、軽也敬也、ヘリクタル」『新撰字鏡』。「謙、ヘル」『類聚名義抄』の転訛したものか。 プ⸢スピライ [pu̥⸢supirai] (世間との交際{EOS}人付き合い)。 シ⸢トゥピライ [ʃi̥⸢tupirai] (嫁の姑との付き合い)。 ドゥ⸢シピライ [du⸢ʃipirai] (友達付き合い)。 プ⸢スピライヌ ナー⸣ヌティ ア⸢ザリ ブー [pu̥⸢supirainu naː⸣nuti ʔa⸢ʣari buː] (人付き合いがないと言われている)。 ム⸢カ⸣シェー シ⸢トゥピライティル アッタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー ユ⸢ミピライティル⸣ ア⸢ゾー⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ʃi̥⸢tupiraitiru ʔatta⸣nu ma⸢na⸣maː ju⸢mipiraitiru⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ru] (昔は⸢舅・姑付き合い<は大変だ>」と言われていたが、今は「嫁付き合い<が大変だ>」と言われる) 14457 0 0 14192 htmvoc_14457.wav ピラウン ⸣ピラウン [⸣pirauŋ] 自動 交際する。付き合う。 ドゥ⸢シトー⸣ ピラウンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ピ⸢ラーラ⸣ヌ [du⸢ʃitoː⸣ piraunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː pi⸢raːra⸣nu] (友人とは付き合おうと思うが、今は付き合えない)。 シ⸢キン⸣トゥン ピ⸢ライ⸣プサンドゥ ⸣ピラウ ドゥ⸢シン⸣ ブ⸢ラーヌ [ʃi̥⸢kin⸣tum pi⸢rai⸣pusandu ⸣pirau du⸢ʃim⸣ bu⸢raːnu] (世間とも付き合いたいが、付き合う友人もいない)。 シ⸢キン⸣トゥン ピ⸢ライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʃi̥⸢kin⸣tum pi⸢rai⸣jaː ⸣misamunu] (世間とも付き合えばいいのに)。 ドゥ⸢シトゥ⸣ ピライバ [du⸢ʃitu⸣ piraiba] (友人と付き合えよ)。 ピ⸢ライグリ⸣サン [pi⸢raiguri⸣saŋ] (付き合いにくい) 14458 0 0 14193 htmvoc_14458.wav ピラキ ⸣ピラキ [⸣piraki] 名 笛。若年層の言葉。老年層は、単に⸣ピー[⸣piː](笛)とも言い、⸣ピダキ[⸣pidaki](笛)ともいう。⸣ピダキ[⸣pidaki](竹笛)参照。 ⸣ピラキ ⸣フクン [⸣piraki ⸣ɸu̥kuŋ] (笛を吹く)。 ス⸢ク⸣マ ⸢ソー⸣ルンケンマー ⸣ピラキン フ⸢コーラン⸣シェン [su̥⸢ku⸣ma ⸢soː⸣ruŋkemmaː ⸣pirakiŋ ɸu̥⸢koːraŋ⸣ʃeŋ] (シキョマ<初穂祭り>をされるまでは笛も吹かれなかった) 14459 0 0 14194 htmvoc_14459.wav ピラキカジ ピ⸢ラキ⸣カジ [pi⸢raki⸣kaʤi] 名 涼しい風。涼風。 ア⸢キ⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペール⸣ター ピ⸢ラキカジン スイ イー⸣ パ⸢ダム⸣チ ユン⸢ナー [ʔa⸢ki⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peːru⸣taː pi⸢rakikaʤin sui ʔiː⸣ pa⸢damu⸣ʧi ⸣jun⸢naː] (秋の季節に入ったので涼風がそよいで、いい心地<肌触り>だね) 14460 0 0 14195 htmvoc_14460.wav ピラク ピ⸢ラ⸣ク [pi⸢ra⸣ku] 名 寒気。凍えるさむさ。極寒の寒さ。寒波。 ピ⸢ラ⸣ク ⸢スン [pi⸢ra⸣ku ⸢suŋ] (寒波が襲う<する>)。 ウ⸢ブピラク⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ス⸢ナカ⸣ヌ イ⸢ズン⸣ シ⸢ニシタ [ʔu⸢bupiraku⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː su⸢naka⸣nu ʔi⸢ʣuŋ⸣ ʃi⸢niʃi̥ta] (凍えるような寒さ<寒波>が寄せてくると海の魚も死んだ) 14461 0 0 14196 htmvoc_14461.wav ピラクイズ ピ⸢ラ⸣クイズ [pi⸢ra⸣kuʔiʣu] 名 寒波で凍えて浮いた魚。凍死した魚。 ウ⸢ブピラク⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー カ⸢タバル⸣ナー ピ⸢ラ⸣クイズヌ ⸢ユーリ クー⸣タン [ʔu⸢bupiraku⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ka⸢tabaru⸣naː pi⸢ra⸣kuʔiʣunu ⸢juːri kuː⸣taŋ] (大寒波が押し寄せると渚<潟原>では凍死した魚が流れて<寄って>きた) 14462 0 0 14197 htmvoc_14462.wav ピラクカジ ピ⸢ラ⸣クカジ [pi⸢ra⸣kukaʤi] 名 寒波。非常に寒い風。 ピ⸢ラ⸣クカジヌ フ⸢キッツァー⸣シ ⸢ブーヌ ヌー⸣シ ⸢オー⸣ルカヤー [⸢pira⸣ku⸣kaʤinu ɸu̥⸢kitʦaː⸣ʃi ⸢buːnu nuː⸣ʃi ⸢ʔoː⸣rukajaː] (寒波が吹きすさんで<荒んで>いるが、いかがお過ごしでしょうか<どのようにしていらっしゃいますか>) 14463 0 0 14198 htmvoc_14463.wav ヒラクギ ヒ⸢ラクギ [çi⸢rakugi] 名 「平釘」の義。⸢ティンマ[⸢timma](伝馬船)を造る際に、板と板を接ぎ合わせるのに用いる釘。巾約1センチ、厚さ約3ミリ、長さ約12センチの釘。この釘を打ち込む際には、マ⸢キワラ[ma⸢kiwara](杉の内皮の繊維を乾燥させたもの)を巻きつけて打ち込んだ。 ⸢ティンマ⸣ナ シゥ⸢カウ フンマー⸣ ヒ⸢ラクギ⸣ティル ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢timma⸣na si̥⸢kau ɸummaː⸣ çi⸢rakugi⸣tiru ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (伝馬船に使う釘は平釘と<ぞ>いわれた) 14464 0 0 14199 htmvoc_14464.wav ヒラクサー ヒ⸢ラ⸣クサー [çi⸢ra⸣ku̥saː] 名 (動)魚の名。和名、シロカジキ(体長約4メートル)。和名、メカジキ(体長約4メートル)の総称。イカ釣りの漁期に糸満から定期的に鳩間島に来る漁師で、イカの生餌でヒラクサーを釣り上げる人もいた。鳩間島の人の中にもヒラクサーを漁獲する人もいたが、釣り上げるための格闘の際に、釣り縄で手を擦り切られたりして、非常に苦労をしたという。また、ヒ⸢ラ⸣クサーの前頭部の長い角で⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)の船腹を突き割られた人もいて、その威力は人々に恐れられていた。魚肉は脂が乗っていて美味である。漁師は、ヒラクサーの肉を幅約3センチ、長さ約25センチ、厚さ約1、5センチに切って塩漬けにしたり、⸢ソー⸣ギリ[⸢soː⸣giri](塩を塗して日干し乾燥したもの)にして沖縄へ輸出した 14465 0 0 14200 htmvoc_14465.wav ピラクマキ ピ⸢ラ⸣クマキ [pi⸢ra⸣kumaki] 名 あかぎれ(皸)。「寒さ負け」の義。寒さに冒されて手足の皮膚が裂けたり、赤く腫れて痛む症状。 ピ⸢ラ⸣クサーリ ⸢ターシグトゥ⸣バ ⸢シー アー⸣ケーティル ピ⸢ラ⸣クマキバ ⸢シー ベー⸣ル [pi⸢ra⸣kusaːri ⸢taːʃigutu⸣ba ⸢ʃiː ʔaː⸣keːtiru pi⸢ra⸣kumakiba ⸢ʃiː beː⸣ru] (寒波の中で田仕事をしていたので、あかぎれ<皸>しているのだ) 14467 0 0 14201 htmvoc_14467.wav ピラケースン ピ⸢ラ⸣ケー ⸢スン [pi⸢ra⸣keː ⸢suŋ] 連 涼む。「涼しく・する」の転訛したもの。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ⸢キーヌッサー⸣ラナー ピ⸢ラ⸣ケー ⸢スンティ ベー [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ⸢kiːnussaː⸣ranaː pi⸢ra⸣keː ⸢sunti beː] (あまりにも暑いので木陰<木の下>で涼んでいる) 14468 0 0 14202 htmvoc_14468.wav ピラケーピラケーシ ピ⸢ラケーピラケー⸣シ [pi⸢rakeːpirakeː⸣ʃi] 副 涼しく。涼やかに。涼風に吹かれて涼むさま。 ⸢ウイ⸣プスンケーヤ ⸢キーヌッサー⸣ラナ ピ⸢ラケーピラケー⸣シ ビ⸢リ オー⸣ル [⸢ʔui⸣pu̥suŋkeːja ⸢kiːnussaː⸣rana pi⸢rakeːpirakeː⸣ʃi bi⸢ri ʔoː⸣ru] (老人たちは木陰<木下>で涼しそうに<涼やかに>座っておられる) 14466 0 0 14203 htmvoc_14466.wav ピラケーン ピ⸢ラ⸣ケーン [pi⸢ra⸣keːŋ] 形 涼しい。 ⸢ワッ⸣テーヤ ピ⸢ラ⸣ケーンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ピ⸢ラケー ナーン⸣ワー⸢ン⸣ノー [⸢wat⸣teːja pi⸢ra⸣keːnti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː pi⸢rakaː naːŋ⸣waː⸢n⸣noː] (君の家は涼しいと聞いたが、あまり涼しくないではないか)。 ⸢パイカジ⸣ヌ ⸢スー⸣カー ピ⸢ラ⸣ケー ⸣ナルン [⸢paikaʤi⸣nu ⸢suː⸣kaː pi⸢ra⸣keː ⸣naruŋ] (南風がそよぐと涼しくなる)。 ⸣ドゥク ピ⸢ラケー⸣ヌ ⸢ニーヌブルル⸣ シ⸢ラリバン [⸣duku pi⸢rakeː⸣nu ⸢niːnubururu⸣ ʃi⸢raribaŋ] (あまりにも涼しくて居眠りする<居眠りがされる>よ)。 ピ⸢ラ⸣ケー ⸣トンバ ⸣トゥメーティ ⸢アー⸣ク [pi⸢ra⸣keː ⸣tomba ⸣tumeːti ⸢ʔaː⸣ku] (涼しい所を探し回っている)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢ラ⸣ケーカー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi⸢ra⸣keːkaː ⸣misamunu] (もっと涼しければいいのに)。 ピ⸢ラケーピラケーヌ⸣ カ⸢ジヌ スーン [pi⸢rakeːpirakeːnu⸣ ka⸢ʤinu suːŋ] (非常に涼しい風が吹く<そよぐ>) 14469 0 0 14204 htmvoc_14469.wav ビラスン ビ⸢ラスン [bi⸢rasuŋ] 他動 座らせる。 ⸣ウナー ビ⸢ラスンティ⸣ ウ⸢ムー⸣ヌ ビ⸢ラシ⸣ ミサンカヤー [⸣ʔunaː bi⸢rasunti⸣ ʔu⸢muː⸣nu bi⸢raʃi⸣ misaŋkajaː] (そこに座らせたいと思うが、座らせて良いかなあ)。 ⸣クナーヤ ビ⸢ラサラヌヌ⸣ カナーヤ ビ⸢ラス⸣ クトー ⸣ナルン [⸣kunaːja bi⸢rasaranunu⸣ kanaːja bi⸢rasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (ここには座らされないが、あそこには座らせることは出来る)。 ビ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [bi⸢raʃeː⸣ misamunu] (座らせば良いのに)。 ⸣クナー ビ⸢ラシ [⸣kunaː bi⸢raʃi] (ここに座らせなさい) 14470 0 0 14205 htmvoc_14470.wav ピラブニ ⸣ピラブニ [⸣pirabuni] 名 肩甲骨。「へら骨」の義。 ⸢タンガ⸣シ ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ター⸣バ ⸢カイ⸣シ ⸣ムヤーバラーヌ ⸢ザイ⸣ギーン キ⸢ジェー⸣ユンダル ⸣ピラブニバ ヤ⸢マ⸣シェール [⸢taŋga⸣ʃi ʔu⸢bi⸣nu ⸢taː⸣ba ⸢kai⸣ʃi ⸣mujaːbaraːnu ⸢ʣai⸣giːŋ ki⸢ʤeː⸣jundaru ⸣pirabuniba ja⸢ma⸣ʃeːru] (一人であれだけの田圃を耕し、新築の母屋柱を削りだしたから肩甲骨を痛めたのだろうよ) 14471 0 0 14206 htmvoc_14471.wav ヒラヤー ヒ⸢ラヤー [çi⸢rajaː] 名 ひらや(平家)。一階建ての家。普通は、ピ⸢サヤー[pi̥⸢sajaː](ひらや<平家>)という。ヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き屋)は一般に寄棟造りの構造である。これを、⸢ユーピサヤー[⸢juːpisajaː](四つ平家{EOS}寄棟造り)という。フ⸢タピサヤー[ɸu̥⸢tapisajaː](二つ平家)は切妻型屋根の家である。 パ⸢トゥ⸣マナー ヒ⸢ラヤー タンガ⸣ル ⸣アル [pḁ⸢tu⸣manaː çi⸢rajaː taŋga⸣ru ⸣ʔaru] (鳩間には平家だけがある) 14472 0 0 14207 htmvoc_14472.wav ビリグジ ビ⸢リグジ [bi⸢riguʤi] 名 座りだこ(胼胝)。 シ⸢ビ⸣ナー ビ⸢リグジヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルンケン ビ⸢リトゥーシル⸣ シ⸢グトゥ ソーッ⸣タツォー [ʃi⸢bi⸣naː bi⸢riguʤinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋkem bi⸢rituːʃiru⸣ ʃi⸢gutu soːt⸣taʦoː] (尻に座りだこ<胼胝>が出来るまで座り通して<ぞ>仕事をされたそうだ) 14473 0 0 14208 htmvoc_14473.wav ビリグヮー ビ⸢リ⸣グヮー [bi⸢ri⸣gwaː] 名 極小のカツオ。一番小さなカツオ。ビ⸢リ[bi⸢ri](最後{EOS}最下級)に指小辞の⸣グヮー[gwaː](小さいもの)が下接して形成された語。糸満方言からの借用語か。 ビ⸢リ⸣グヮーシェー カ⸢ツブシ⸣ ス⸢クララン⸣シェン [bi⸢ri⸣gwaːʃeː kḁ⸢ʦubuʃi⸣ su̥⸢kuraraŋ⸣ʃeŋ] (極小のカツオ<ビリグヮー>では鰹節は作れなかった) 14475 0 0 14209 htmvoc_14475.wav ビリシゥカルン ビ⸢リシゥカルン [bi⸢risï̥karuŋ] 自動 居座る。居つづける。長居する。「座りつく」の義。 ビ⸢リシゥカリティ⸣ マ⸢ナマナー⸣ト ⸢ウー⸣ク ⸣スコー ア⸢ラ⸣ヌ [bi⸢risï̥kariti⸣ ma⸢namanaː⸣to ⸢ʔuː⸣ku ⸣su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (長居して<居つかれて>今など動くどころではない)。 サ⸢キ⸣ ヌムカー ビ⸢リシゥカルンダ⸣ ウ⸢リン⸣ ビ⸢リシゥカラン⸣ヨーニ サ⸢ケー⸣ カ⸢ザミ⸣リ [sḁ⸢ki⸣ numukaː bi⸢risï̥karunda⸣ ʔu⸢rim⸣ bi⸢risï̥karaɲ⸣joːni sḁ⸢keː⸣ ka⸢ʣami⸣ri] (酒を飲むと長居するから、長居されないように酒を隠せよ)。 ビ⸢リシゥカル⸣ プ⸢スンマー⸣ ヌ⸢マスナ [bi⸢risï̥karu⸣ pu̥⸢summaː⸣ nu⸢masu⸣na] (長居する人には飲ませるな)。 ビ⸢リシゥカレー⸣ ミサムヌ [bi⸢risï̥kareː⸣ misamunu] (長居すればいいのに) 14474 0 0 14210 htmvoc_14474.wav ビリシグトゥ ビ⸢リシグトゥ [bi⸢riʃigutu] 名 座業。座り仕事。 ⸣プスイピーズ ビ⸢リシグトゥバ⸣ カー⸢ニ シーブンダ⸣ パンラル ⸢ヨーリ⸣バン [⸣pu̥suipiːʣu bi⸢riʃigutuba⸣ kaː⸢ni ʃiːbunda⸣ panraru ⸢joːri⸣baŋ] (一日中座業だけをしているから、足から<ぞ>弱るわい) 14476 0 0 14211 htmvoc_14476.wav ビリスクドゥン ビ⸢リスクドゥン [bi⸢risu̥kuduŋ] 名 怠け者。役人のように座って働かない怠け者。「座り役人<筑登之>」の義。 ⸢クンザー⸣ ビ⸢リスクドゥン⸣ ナリティ ノー⸢ン⸣ シ⸢グトゥ スンティ⸣ サ⸢ヌ [⸢kunʣaː⸣ bi⸢risukudun⸣ nariti noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢gutu sunti⸣ sa⸢nu] (こいつは怠け者<座り筑登之>になって、ちっとも<何も>仕事をしようとしない) 14477 0 0 14212 htmvoc_14477.wav ビリダイ ビ⸢リダイ [bi⸢ridai] 名 椅子。腰掛。「座り台」の義。背もたれのある物はイ⸢ス[ʔi⸢su](椅子)といい、背もたれのない物は⸣ダイ[⸣dai](台)という。 ナ⸢カ⸣ザナー ビ⸢リダイ⸣ ビ⸢シティ ウン⸣ナー ビ⸢リティ⸣ イー ッ⸢ふァイ⸣バ [na⸢ka⸣ʣanaː bi⸢ridai⸣ bi⸢ʃiti ʔun⸣naː bi⸢riti⸣ ʔiː f⸢fai⸣ba] (土間に椅子を据えて、それに座ってご飯を食べなさいよ) 14478 0 0 14213 htmvoc_14478.wav ビリッサーク ビ⸢リッサーク [bi⸢rissaːku] 名 座業。座ってする仕事。「座り仕事」の義。ビ⸢リザーク[bi⸢riʣaːku](座業)ともいう。 ⸣ブー ⸢ウー⸣メー ビ⸢リッサーク⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ マ⸢ナマ⸣ヌ バ⸢カームヌ⸣ノー ⸢シーユーサヌ [⸣buː ⸢ʔuː⸣meː bi⸢rissaːku⸣ ja⸢runda⸣ ma⸢nama⸣nu ba⸢kaːmunu⸣noː ⸢ʃiːjuːsanu] (からむし<苧>績み<紡ぎ>は座業だから、今の若者がはできない<し得ない>) 14479 0 0 14214 htmvoc_14479.wav ピリピリ ピ⸢リ⸣ピリ [pi⸢ri⸣piri] 副 傷口が刺すように傷むさま。ひりひり。 キ⸢ジフチヌ ウー⸣ミティ ピ⸢リ⸣ピリ ⸣ヤムサー [ki⸢ʤiɸu̥ʧinu ʔuː⸣miti pi⸢ri⸣piri ⸣jamusaː] (傷口が膿んでひりひりと痛むよ) 14480 0 0 14215 htmvoc_14480.wav ビリブガリ ビ⸢リブガリ [bi⸢ribugari] 名 座り続けて疲れること。「座り<居>疲れ」の義。 ユ⸢ヌン⸣トンナ ナー⸢イ⸣ ビ⸢リティ⸣ ブー ⸢ウー⸣ムンダ ビ⸢リブガリ ⸢シース [ju⸢nun⸣tonna naː⸢i⸣ bi⸢riti⸣ buː ⸢ʔuː⸣munda bi⸢ribugari ʃiːsu] (同じ所にずうっと座り続けて麻を績むので座り疲れするよ) 14481 0 0 14216 htmvoc_14481.wav ビリブドゥル ビ⸢リブドゥル [bi⸢ribuduru] 名 座ったまま手を上げてこねり踊ること。「座り踊り」の義。 ドゥ⸢ク⸣ヌ<ア⸢マ⸣ヌ> サ⸢ニ⸣ヤティ ⸣アッパー ⸣タティ ⸢ソーラン⸣ヌンドゥ ビ⸢リブドゥルバ シー ソーッ⸣タ [du⸢ku⸣nu<ʔa⸢ma⸣nu> sa⸢ni⸣jati ⸣ʔappaː ⸣tati ⸢soːran⸣nundu bi⸢ribuduruba ʃiː soːt⸣ta] (あまりにも嬉しくて、お祖母さんは立つことが出来ないのに座ったまま手を上げてこねり踊りをしなさった) 14482 0 0 14217 htmvoc_14482.wav ピル ピ⸢ル [pi⸢ru] 名 (植)ヒル(蒜)。にんにく(大蒜)。葉や鱗茎を食用・薬用にする。鱗茎は甕に塩け、黒糖漬け、泡盛漬けにして茶請けや冬季の風邪薬に利用した。風邪が流行ると鱗茎を糸で貫き連ねて首に掛け、風邪予防に利用した。ピル(大蒜)はシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](注連縄)に結んで厄払いにも用いた。発熱すると、鱗茎を⸢ダイ⸣パー[⸢dai⸣paː](擂鉢)で擂って塩と混ぜ、頭から背中へかけて\ruby{掌}{テノヒラ}で揉み、すりおろし、腹部から足へと摩り下ろした後に着衣させ、体を温めて解熱させた。「~野蒜摘みに 比流<ヒル>摘みに~」『古事記 中・歌謡』、「醤酢<ひしほす>に 蒜都伎合而<ヒルツキカテテ>~。万葉、3829」の転訛したもの。 ピ⸢ロー⸣ カミナー ⸢マー⸣スシ シ⸢キティ サー⸣フキン ⸢シー⸣ パ⸢ナシキヌ⸣ パ⸢ヤー⸣ル ⸣ピンマー ⸣イトゥナー ヌ⸢キティ⸣ ヌビナー パ⸢カソーッ⸣タン [pi⸢roː⸣ kaminaː ⸢maː⸣suʃi ʃi̥⸢kiti saː⸣ɸu̥kiŋ ⸢ʃiː⸣ pa⸢naʃi̥kinu⸣ pa⸢jaː⸣ru ⸣pimmaː ⸣ʔitunaː nu⸢kiti⸣ nubinaː pḁkasoːt⸣taŋ] (大蒜は甕に入れて塩で漬けて茶請けにもし、風邪が流行る時は糸に貫いて首に穿かされたものだ) 14483 0 0 14218 htmvoc_14483.wav ピル ⸣ピル [⸣piru] 名 (動物)ひる(蛭)。⸢ター⸣ピル[⸢taː⸣piru](田の蛭)、ヤ⸢マ⸣ピル[ja⸢ma⸣piru](山蛭)がいる。蛭は水田や湿地、山地に棲息していて、脊椎動物や人体に吸い付き吸血する。「蛭 比留」『新撰字鏡』の転訛したもの。昔は\ruby{質}{タチ}の悪い大きな腫れ物をヒル(蛭)に吸わせて治療する療法を実施したという。特に顔面にできる腫れ物は、傷跡が残らないといわれ、ヒル(蛭)に吸血させる療法がしばしば行われたという。 ⸢パイタ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤ ⸣マーティ ⸢ナー⸣ン ピ⸢ル⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ⸢マイカリ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢サッ⸣コー ナ⸢クラー⸣タン [⸢paita⸣nu ⸢taː⸣jaː ⸣maːti ⸢naː⸣m pi⸢ru⸣nu ⸢goː⸣raːnda ⸢maikarinu⸣ pimmaː ⸢sak⸣koː na⸢kuraː⸣taŋ] (西表北岸の田圃は、いたるところに蛭が多いので、稲刈りの時は非常に怖かった) 14484 0 0 14219 htmvoc_14484.wav ピル ⸣ピル [⸣piru] 接尾 尋。両手を左右に広げた時の両手先の間の距離を表す単位。単語の末尾が母音終わりの場合は、⸣ヒル[⸣çiru](尋)といい、漢数字の語尾が撥音のNで終わる単語や、十尋などのように漢数字の単語の末尾が促音で終わる場合は、⸣ピル[⸣piru](尋)という。 プ⸢ス⸣ヒル [pu̥⸢suçi⸣ru] (一尋)。 フ⸢タヒル [ɸutaçiru] (二尋)。 ⸢ミーヒル [⸢miːçiru] (三尋)。 ⸣サンピル [⸣sampiru] (三尋)。 ⸣ジッピル [⸣ʤippiru] (十尋) 14485 0 0 14220 htmvoc_14485.wav ピル ⸣ピル [⸣piru] 名 へり(縁)。畳の縁。「縁、ホトリ・ヘリ・ハタ」『類聚名義抄』の「ヘリ」から転訛したもの。 タ⸢タミヌ⸣ ピル [tḁ⸢taminu⸣ piru] (畳の縁)。 タ⸢タミヌ⸣ ピロー ⸢フンシゥカンドー⸣シ ア⸢ラ⸣クティル ナ⸢ラー⸣ソーッタ [tḁ⸢taminu⸣ piroː ⸢ɸunsï̥kandoː⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kutiru na⸢raː⸣soːtta] (畳の縁は踏みつけないで歩くものだと<ぞ>教えられた) 14491 0 0 14221 htmvoc_14491.wav ピルガラスン ピ⸢ルガラスン [pi⸢rugarasuŋ] 他動 拡げる。広める。広がらせる。宣伝する。 ⸣カイ ⸣ブー パ⸢ナ⸣シェー ⸣シキンナー ピ⸢ルガラサン⸣ ヨーニ シ⸢タンティン⸣ ノー⸢シン⸣ ピ⸢ルガラスンティル⸣ ウ⸢モー⸣リ [⸣kai ⸣buː pa⸢na⸣ʃeː ⸣ʃi̥kinnaː pi⸢rugarasaɲ⸣ joːni ʃi̥⸢tantim⸣ noː⸢ʃim⸣ pi⸢rugarasuntiru⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (このような話は世間に広めないようにしても、どうせ拡げると<ぞ>思われる)。 ピ⸢ルガラシナー⸣ヌ [pi⸢rugaraʃinaː⸣nu] (拡げてしまった)。 ピ⸢ルガラス⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [pi⸢rugarasu⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (拡げることはするなよ)。 ピ⸢ルガラシェー⸣  ミサムヌ [pi⸢rugaraʃeː⸣ misamunu] (広めれば良いのに)。 ⸢ホーライマイ⸣ヤー ピ⸢ルガラシ [⸢hoːraimai⸣jaː pi⸢rugaraʃi] (蓬莱種の稲は広めなさい) 14492 0 0 14222 htmvoc_14492.wav ピルガルン ピ⸢ルガルン [pi⸢rugaruŋ] 自動 広がる。拡大する。 ⸣ッサー ⸢ニン⸣イリ ⸢ソーラン⸣カー ピ⸢ルガルンダ⸣ ピ⸢ルガラン⸣ スコー ク⸢メーキ ソーリ⸣バ [⸣ssaː ⸢niŋ⸣ʔiri ⸢soːraŋ⸣kaː pi⸢rugarunda⸣ pi⸢rugaran⸣ su̥koː ku⸢meːki soːri⸣ba] (草<雑草>は入念に除草しないと<さくらないと、刳る>広がるから、広がらないように細かく除草しなさい)。 パ⸢ナシケー⸣ ム⸢ラズー⸣ ピ⸢ルガリ ナー⸣ヌ [pa⸢naʃi̥keː⸣ mu⸢raʣuː⸣ pi⸢rugari naː⸣nu] (風邪は村中に拡がってしまった)。 パ⸢ナシ⸣ヌ ピ⸢ルガル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢naʃi⸣nu pi⸢rugaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (話が広がることはない)。 ピ⸢ルガレー⸣ ミサムヌ [pi⸢rugareː⸣ misamunu] (拡がれば良いのに)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢ルガリ [⸢maː⸣bim pi⸢rugari] (もっと拡がれ) 14494 0 0 14223 htmvoc_14494.wav ピルキ ピ⸢ルキ [pi⸢ruki] 名 真夏の太陽の熱気。「陽の息」の義か。 ピ⸢ルキヌ スーワ⸣ヌ ⸣ウナー ブ⸢ラランダ ユシ⸣キシダル ⸣タティティ ⸣カイ ス⸢ク⸣リバ [pi⸢rukinu suːwa⸣nu ⸣ʔunaː bu⸢raranda juʃi̥⸣kiʃidaru ⸣tatiti ⸣kai su̥⸢ku⸣riba] (真夏の太陽の熱気が強くて、そこにはおられない{EOS}ススキの簾を立てて日陰を作りなさいよ) 14493 0 0 14224 htmvoc_14493.wav ピルキー ピ⸢ルキー [pi⸢rukiː] 名 ひよめき(しんもん<顋門>{EOS}泉門)。 ア⸢ガッふァーマ⸣ヌ ピ⸢ルケー サウルナ⸣ヨー [ʔa⸢gaffaːma⸣nu pi⸢rukeː sauruna⸣joː] (赤子のひよめきは触るなよ)。 ピ⸢ルケーラ⸣ イキ ⸢シー アー⸣ク [pi⸢rukeːra⸣ ʔiki ⸢ʃiː ʔaː⸣ku] (ひよめき<泉門>から息をしている{EOS}頭から湯気が立つほど忙しく働いている様子をいう) 14495 0 0 14225 htmvoc_14495.wav ピルギルン ピ⸢ルギルン [pi⸢rugiruŋ] 他動 拡げる。拡大する。 ⸣クナー ピ⸢ルギルンティ⸣ シ⸢タンティン⸣ シ⸢バー⸣ヌ ピ⸢ルギララヌ [⸣kunaː pi⸢rugirunti⸣ ʃi̥⸢tantiŋ⸣ ʃi⸢baː⸣nu pi⸢rugiraranu] (ここで広げようとしても狭くて拡げられない)。 ピ⸢ルギティ⸣ プ⸢シ⸣ プサンドゥ ピ⸢ルギル⸣ クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [pi⸢rugiti⸣ pu̥⸢ʃi⸣ pu̥sandu pi⸢rugiru⸣ ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (広げて干したいが広げることは出来ないそうだ)。 ⸣クナーティ ピ⸢ルゲー⸣ ミサムヌ [⸣kunaːti pi⸢rugeː⸣ misamunu] (ここで広げればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ルギリ [⸢paː⸣ku pi⸢rugiri] (早く広げれ) 14486 0 0 14226 htmvoc_14486.wav ピルザキ ピ⸢ルザキ [pi⸢ruʣaki] 名 大蒜酒。泡盛に\ruby[g]{大蒜}{ニンニク}を漬けて薬用酒として飲用する酒のこと。 ピ⸢ルザケー カンボー⸣ヌ フ⸢チ⸣ルティ ⸢シー⸣ ン⸢メーマ⸣ナー ヌ⸢マ⸣ソーッタン [pi⸢ruʣakeː kamboː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiː⸣ ʔm⸢meːma⸣naː nu⸢ma⸣soːttaŋ] (大蒜酒は感冒の薬といって少しずつ飲まされた) 14487 0 0 14227 htmvoc_14487.wav ピルスクン ピ⸢ル⸣ ス⸢クン [pi⸢ru⸣ su̥⸢kuŋ] 連 大蒜を漬物にする。「蒜を漬ける」の義。 ⸣カミナー ピ⸢ル⸣ ス⸢クンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ピ⸢ル⸣ ス⸢ク⸣ カ⸢ミ⸣ヌ トゥ⸢ミララ⸣ヌ [⸣kaminaː pi⸢ru⸣ su̥⸢kunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du pi⸢ru⸣ su̥⸢ku⸣ ka⸢mi⸣nu tu⸢mirara⸣nu] (甕に蒜を漬けようと思うが、蒜を漬ける甕が探されない) 14496 0 0 14228 htmvoc_14496.wav ビルパニ ビ⸢ル⸣パニ [bi⸢ru⸣pani] 名 美しい羽。美しく飾られた羽。\ruby{綾取}{アヤ|ド}られた羽。ア⸢ヤ⸣パニ[ʔa⸢ja⸣pani](綾羽)の対語。/アヤパニバ マラショーリ ビルパニバ シダショーリ/(綾羽をかえして<孵して>、綾なす羽の雛を孵化して)「鷲ヌ鳥節」『八重山民謡誌』 14488 0 0 14229 htmvoc_14488.wav ピルフキカーフキ ピ⸢ルフキカー⸣フキ [pi⸢ruɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki] 副 糸などがほどけるさま。ほつれ解けるさま。 ⸢ワー ウー⸣メール ⸢ブー⸣ヤ ピ⸢ルフキカー⸣フキ ⸢シー ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː ʔuː⸣meːru ⸢buː⸣ja pi⸢ruɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki ⸢ʃiː juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (君が績んだ麻糸はほどけて使えない<養生ができない>) 14489 0 0 14230 htmvoc_14489.wav ピルフキルン ピ⸢ルフキ⸣ルン [pi⸢ruɸu̥ki⸣ruŋ] 自動 ほどける(解ける)。解けて抜け落ちる。 ⸣ブー ⸢ウー⸣ム ⸣ピンマー シゥ⸢カイトゥ⸣ ピ⸢ニラン⸣カー ピ⸢ルフキ⸣ルンダー ピ⸢ルフキラン⸣スコー ピ⸢ニ⸣リ [⸣buː ⸢ʔuː⸣mu ⸣pimmaː sï̥⸢kaitu⸣ pi⸢niraŋ⸣kaː pi⸢ruɸu̥ki⸣rundaː pi⸢ruɸu̥kiran⸣su̥koː pi⸢ni⸣ri] (麻糸を績むときはしっかり捻らないと解けるから、解けないように捻りなさい)。 ピ⸢ル⸣フキパリ ⸢ナー⸣ヌ [pi⸢ru⸣ɸu̥kipari ⸢naː⸣nu] (解けていってしまった)。 ピ⸢ルフキ⸣ル ⸣イトー シゥ⸢カーラヌ [pi⸢ruɸu̥ki⸣ru ⸣ʔitoː sï̥⸢kaːranu] (解ける糸は使えない) 14497 0 0 14231 htmvoc_14497.wav ピルフキルン ピ⸢ルフキルン [pi⸢ruɸukiruŋ] 自動 解きほぐれる。ほぐれる。ほつれる。指先からするりと抜け落ちる。ふけ落ちる。 ウ⸢ム⸣ジェー ティ⸢ル⸣ヌ ⸣ミーラン ピ⸢ルフキルンダ⸣ ピ⸢ルフキラン⸣ヨーニ フ⸢バリ⸣ シキ [ʔu⸢mu⸣ʤeː ti⸢ru⸣nu ⸣miːram pi⸢ruɸukirunda⸣ pi⸢ruɸukiraɲ⸣joːni ɸu⸢bari⸣ʃi̥ki] (イイダコは笊の網目からもふけ落ちるから、ふけ落ちないように縛っておけ)。 ア⸢ダナ⸣シシナー ピ⸢ルフキ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢dana⸣ʃiʃinaː pi⸢ruɸu̥ki⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (アダンの気根の繊維で綯った綱は、ほぐれることはない) 14490 0 0 14232 htmvoc_14490.wav ピルフクン ピ⸢ル⸣フクン [pi⸢ru⸣ɸu̥kuŋ] 自動 ほどける(解ける)。解けて抜け落ちる。ピ⸢ルフキ⸣ルン[pi⸢ruɸu̥ki⸣ruŋ](解ける)と同じ。 ⸣シナー フ⸢バリヨーヌ ナーン⸣カー ピ⸢ル⸣フクン⸢ダー [⸣ʃinaː ɸu⸢barijoːnu naːŋ⸣kaː pi⸢ru⸣ɸu̥kun⸢daː] (綱は縛り方がよくないと解けるよ)。 ⸣カイニ フ⸢バル⸣カー ピ⸢ルフカ⸣ヌ [⸣kaini ɸu⸢baru⸣kaː pi⸢ruɸu̥ka⸣nu] (このように縛ると解けない)。 フ⸢バリ⸣ シケーター トゥ⸢ム⸣ジナー ピ⸢ル⸣フキ パリ⸢ナー⸣ヌ [ɸu⸢bari⸣ ʃi̥keːtaː tu⸢mu⸣ʤinaː pi⸢ru⸣ɸu̥ki pari⸢naː⸣nu] (縛っておいた船の艫綱は解けていってしまった)。 ピ⸢ル⸣フク ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [pi⸢ru⸣ɸu̥ku ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (解けることはないはずだ)。 ピ⸢ル⸣フケー ⸣ミサムヌ [pi⸢ru⸣ɸu̥keː ⸣misamunu] (解ければいいのに) 14498 0 0 14233 htmvoc_14498.wav ピルフクン ピ⸢ルフクン [pi⸢ruɸukuŋ] 自動 解きほぐれる。ほぐれる。ほつれる<解れる>。指先からするりと抜け落ちる。ふけ落ちる。 ギッ⸢ティ⸣ フ⸢バリ⸣シケーンダ ピ⸢ルフクンテー⸣ ウ⸢モーン⸣シェンドゥ ピ⸢ルフキ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [git⸢ti⸣ ɸu⸢bari⸣ʃi̥keːnda pi⸢ruɸu̥kunteː⸣ ʔu⸢moːŋ⸣ʃendu pi⸢ruɸu̥ki⸣pari ⸢naː⸣nu] (ぎゅっと縛っておいたから、解きほぐれるとは思わなかったが、ほぐれてしまった) 14499 0 0 14234 htmvoc_14499.wav ピルマサン ピ⸢ルマ⸣サン [pi⸢ruma⸣saŋ] 形 珍しい。不思議だ。 ⸢テープレコー⸣ダーナ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢クイ⸣バ フ⸢クマ⸣シティ ウ⸢リバ⸣ シ⸢キティ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ピ⸢ルマ⸣サンティ ア⸢ゾーッ⸣タン [⸢teːpurekoː⸣daːna ⸢duː⸣nu ⸢kui⸣ba ɸu̥⸢kuma⸣ʃi̥ti ʔu⸢riba⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔik⸢kena⸣ pi⸢ruma⸣santi ʔa⸢ʣoːt⸣taŋ] (テープレコーダーに自分の声を録音させて<含ませて>、それを聞いて非常に珍しい<不思議だ>といわれた)。 ウ⸢リン⸣ マ⸢ナ⸣マー ピ⸢ルマサナー⸣ヌ [ʔu⸢rim⸣ ma⸢na⸣maː pi⸢rumasanaː⸣nu] (それも今では珍しく<不思議で>ない)。 ⸣ヌンティ ⸣アイ ⸣ナルユー ピ⸢ルマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣nunti ⸣ʔai ⸣narujuː pi⸢rumasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (どうしてそうなるのか、不思議で<珍しくて>ならない)。 ピ⸢ルマ⸣サル ⸣クトゥン ユ⸢ヌナカ⸣ナー ミ⸢チ⸣ル ⸢ブー [pi⸢ruma⸣saru ⸣ku̥tuɲ ju⸢nunaka⸣naː mi⸢ʧi⸣ru ⸢buː] (珍しい事も世の中には沢山ある<満ちてぞおる>) 14500 0 0 14235 htmvoc_14500.wav ピルマシムヌ ピ⸢ルマ⸣シムヌ [pi⸢ruma⸣ʃimunu] 名 不思議なこと。珍しいこと。疑わしいこと。「ひろましや 不思議と云う事」『混効験集』の義。 ピ⸢ルマ⸣シムヌ ⸣アイ ⸣ブー ⸣クトゥティン ⸣アンカヤー [pi⸢ruma⸣ʃimunu ⸣ʔai ⸣buː ⸣ku̥tutiŋ ⸣ʔaŋkajaː] (不思議なことだ<怪しい>{EOS}そんなこととてもあるものかねえ) 14501 0 0 14236 htmvoc_14501.wav ピルマルン ピ⸢ルマ⸣ルン [pi⸢ruma⸣ruŋ] 自動 拡がる。広まる。 ピ⸢ルマ⸣ルンダラーティ ⸢ソー シー ベー⸣タ ⸣クトー キサー⸢ティ⸣ ⸣シキンナー ピ⸢ルマ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [pi⸢ruma⸣rundaraːti ⸢soː ʃiː beː⸣ta ⸣ku̥toː ki̥saː⸢ti⸣ ʃi̥kinnaː pi⸢ruma⸣ri ⸢naː⸣nu] (広まるだろうかと心配していたのに、既に世間に広まってしまった)。 マ⸢ナマー⸣キ パ⸢ナシ⸣ヌ ピ⸢ルマラ⸣ン ⸢ギン⸣シェー ピ⸢ル⸣マル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [ma⸢namaː⸣ki pa⸢naʃi⸣nu pi⸢rumara⸣ŋ ⸢giŋ⸣ʃeː pi⸢ru⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (今まで噂話が拡がらないからには、拡がることはないはずだ)。 ⸢マー⸣ビン⸣ ピ⸢ルマ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi⸢ruma⸣reː ⸣misamunu] (もっと広まればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ピ⸢ルマ⸣リ [⸢paː⸣ku pi⸢ruma⸣ri] (早く拡がれ) 14502 0 0 14237 htmvoc_14502.wav ピルミルン ピ⸢ルミ⸣ルン [pi⸢rumi⸣ruŋ] 他動 広める。広げる。流行らせる。 ⸢ホーライマイ⸣バ ピ⸢ルミ⸣ルンティ ⸣サニマイ ⸣ムティ ⸢クー⸣タ [⸢hoːraimai⸣ba pi⸢rumi⸣runti ⸣sanimai ⸣muti ⸢kuː⸣ta] (蓬莱米を広めようと種子を持ってきた)。 ⸢タンガ⸣シェー ピ⸢ルミララ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃeː pi⸢rumirara⸣nu] (一人では広められない)。 ピ⸢ル⸣ミ ⸣ミサカー ⸢タンガ⸣シン ピ⸢ルミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [pi⸢ru⸣mi ⸣misakaː ⸢taŋga⸣ʃim pi⸢rumi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (広めてよければ一人ででも広めることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ピ⸢ルミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim pi⸢rumi⸣reː ⸣misamunu] (もっと広めればいいのに)。 ピ⸢ルミ⸣リ [pi⸢rumi⸣ri] (広めれ) 14503 0 1 14238 htmvoc_14503.wav ビルン ビ⸢ルン [bi⸢ruŋ] 自動 {Mn_1}座る。「~妻子どもは足の方にかくみ居而~。万、892」の義。 ⸢ワー⸣ クナー ビ⸢ル⸣カー ⸢バン⸣ヌン ビ⸢ルン [⸢waː⸣ kunaː bi⸢ru⸣kaː ⸢ban⸣num bi⸢ruŋ] (君がここに座ったら、私も座る)。 ⸣クナー ビ⸢リ⸣ プサカー ビ⸢リ⸣バ [⸣kunaː bi⸢ri⸣ pu̥sakaː bi⸢ri⸣ba] (ここに座りたければ座りなさいよ)。 ⸢ワー⸣ ビ⸢リティ⸣ ア⸢ザバン⸣ バー ビ⸢ラヌ [⸢waː⸣ bi⸢riti⸣ ʔa⸢ʣabam⸣ baː bi⸢ranu] (君が座れといっても、私は座らない)。 ビ⸢ル⸣ プ⸢ソー パー⸣ク ビ⸢レー⸣ ミサムヌ [bi⸢ru⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku bi⸢reː⸣ misamunu] (座る人は早く座ればいいのに)。 14503 0 2 14239 htmvoc_14503.wav ビルン ビ⸢ルン [bi⸢ruŋ] 自動 {Mn_2}落ち着く。静まる。止む。 ス⸢ブル⸣ヌ ⸢ヤン⸣マー ビ⸢レー⸣ン [su⸢buru⸣nu ⸢jam⸣maː bi⸢reː⸣ŋ] (頭痛<頭の痛みは取れた<止まった>) 14504 0 0 14240 htmvoc_14504.wav ヒローサ ヒ⸢ロー⸣サ [çi⸢roː⸣sa] 名 (動)魚の名。和名、メガネモチノウオ。成魚は体長約1メートルに成長する。ビニールが発明される以前には、この魚の\ruby{鱗}{ウロコ}を乾燥して剥がし、ビニール状になった部分を利用して、パ⸢ニビキ[pa⸢nibiki](引き縄釣り)やカツオ釣りの疑似餌を作った。 ⸣キサー ヒ⸢ローサ⸣ヌ イ⸢ラ⸣キ ⸣パギティル パ⸢ニビキ⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [⸣ki̥saː çi⸢roːsa⸣nu ʔi⸢ra⸣ki ⸣pagitiru pa⸢nibiki⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (以前は、メガネモチノウオの鱗を剥いで引き縄釣り漁の\ruby{疑似餌}{ギ|ジ|エ}を作られたものだ) 14505 0 0 14241 htmvoc_14505.wav ビローサ ビ⸢ロー⸣サ [bi⸢roː⸣sa] 名 (植)クワズイモ。サトイモ科の多年草。高さ約1メートル。葉は広い。子供は雨降りの際には\ruby{葉柄}{ヨウ|ヘイ}から切って傘の代用に利用した。樹液は有毒で、口に入ると喉までえがらっぽくなり、皮膚にふれると赤く腫れて痒くなる。 ビ⸢ローサ⸣ヌ ⸢ウン⸣マー ⸢ターウン⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢ブンドゥ⸣ ウ⸢レー⸣ ドゥク ヤ⸢ルンダ⸣ ッ⸢ふァーラヌ [bi⸢roːsa⸣nu ⸢ʔum⸣maː ⸢taːʔun⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢bundu⸣ ʔu⸢reː⸣ duku ja⸢runda⸣ f⸢faːranu] (クワズイモの芋は田芋に似ているが、それは有毒だから食べられない) 14506 0 0 14242 htmvoc_14506.wav ビローサンパー ビ⸢ローサン⸣パー [bi⸢roːsam⸣paː] 名 クワズイモの葉。 ⸢ビローサン⸣パーヤ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー カ⸢サ⸣ヌ ⸢カール シェー⸣ティル ⸣カビ ア⸢サブタ [bi⸢roːsam⸣paːja ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ka⸢sa⸣nu ⸢kaːru ʃeː⸣tiru ⸣kabi ʔa⸢sabuta] (クワズイモの葉は雨が降ると傘の代わりにしながら、被って<傘をさして>遊んだ) 14507 0 0 14243 htmvoc_14507.wav ビン ⸢ビン [⸢biŋ] 名 便。船便。運搬船が発着すること。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) イ⸢サナケーラヌ ビンヌ⸣ アンツォー [⸢kjuː⸣ja(wa) ʔi⸢sanakeːranu binnu⸣ ʔanʦoː] (今日は石垣からの船便があるそうだ)。 ⸢キュー⸣ヌ ⸢ビン⸣ラ イ⸢サナケー パッ⸣タ [⸢kjuː⸣nu ⸢bin⸣ra ʔi⸢sanakeː pat⸣ta] (今日の船便で石垣へ行った) 14508 0 0 14244 htmvoc_14508.wav ビン ⸢ビン [⸢biŋ] 名 弁。弁舌。 ⸢ビンヌ⸣ カ⸢ナイ⸣ル プ⸢スンマー⸣ イ⸢ジマカサリス [⸢binnu⸣ ka⸢nai⸣ru pu̥⸢summaː⸣ ʔi⸢ʤimakasarisu] (弁の達者な人には言い負かされる) 14512 0 0 14245 htmvoc_14512.wav ビン ⸣ビン [⸣biŋ] 名 瓶。複合語の後部形式となる際に、⸣クビン[⸣kubiŋ](瓶)の第一音節の「ク」が脱落して形成された形。限られた語に現れる。 ⸢ニンゴー⸣ビン [⸢niŋgoː⸣biŋ] (二合瓶)。 ⸢サンゴー⸣ビン [⸢saŋgoː⸣biŋ] (三合瓶)。 ⸢イッス⸣ビン [⸢ʔissu⸣biŋ] (一升瓶)。 ⸣アブジェー ⸢サンゴー⸣ビン ⸢ピーティ シー⸣ネー ⸢オーッ⸣タヤー [⸣ʔabuʤeː ⸢saŋgoː⸣bim ⸢piːti ʃiː⸣neː ⸢ʔoːt⸣tajaː] (お祖父さんは泡盛の三合瓶を引っ提げて北隣の家へいかれたよ) 14510 0 1 14246 htmvoc_14510.wav ピン ⸣ピン [⸣piŋ] 名 {Mn_1}日。 ウ⸢ヌ⸣ ピンヌ ウ⸢チ⸣ナー ナ⸢ラン⸣カヤー [ʔu⸢nu⸣ pinnu ʔu⸢ʧi⸣naː na⸢raŋ⸣kajaː] (その日のうちに出来ないかね)。 ユ⸢ヌ⸣ ピンナー マー⸢ズン⸣ パラ [ju⸢nu⸣ pinnaː maː⸢ʣum⸣ para] (同じ日に一緒に行こう)。 14510 0 2 14247 htmvoc_14510.wav ピン ⸣ピン [⸣piŋ] 名 {Mn_2}場合。とき。 イ⸢ソー⸣ パル ⸣ピンマー ⸣ガルユクン ムティパリ⸢ヨー [ʔi⸢soː⸣ paru ⸣pimmaː ⸣garujukum mutipari⸢joː] (潮干狩りにいくときは\ruby{鉤銛}{コウ|セン}<先端に\ruby{鉤}{カギ}のある\ruby{蛸捕}{タコ|ト}り用の\ruby{銛}{モリ}>を持って行けよ) 14511 0 0 14248 htmvoc_14511.wav ピン ⸣ピン [⸣piŋ] 名 抵抗。反抗。すねる(\ruby{拗}{ス}ねる)こと。\ruby{捻}{ヒネ}くれること。 ⸣ウヤン イ⸢ザリティ⸣ ナー⸢イ ピン⸣バ ⸢シー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣariti⸣ naː⸢ji pim⸣ba ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni sï̥⸢kanu] (親に叱られて、ずっと反抗して拗ねて人の言うことを聞かない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー イ⸢ズ⸣カー ⸣ピン ⸢スン⸠ダー [ja⸢ra⸣beː ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸣pin ⸢su⸠daː] (子供は叱ると反抗をする<拗ねる>よ) 14513 0 0 14249 htmvoc_14513.wav ピンガスン ⸢ピンガ⸣スン [⸢piŋga⸣suŋ] 他動 逃がす。 イ⸢ズ ホー⸣スカー ⸢ミン⸣バニ ギャン⸢ティ ウシゥカン⸣カー ⸢ピンガ⸣スン⸢ダー ピンガサン⸣スコーニ カ⸢サミ⸣バ [ʔi⸢ʣu hoː⸣sukaː ⸢mim⸣bani gjan⸢ti ʔusï̥kaŋ⸣kaː ⸢piŋga⸣sun⸢daː piŋgasan⸣su̥koːni ka⸢sami⸣ba] (魚を釣ったらエラブタ<鰓蓋>をぎゅっと押さえないと逃げられる<逃がす>よ{EOS}逃がさないように掴めよ)。 ⸢ピンガ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ピンガ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢piŋga⸣ʃi ⸣misakaː ⸢piŋga⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (逃がしてよければ逃がすことは出来る)。 グ⸢マー⸣ イ⸢ゾー ピンガ⸣シェー ⸣ミサムヌ [gu⸢maː⸣ ʔi⸢ʣoː piŋga⸣ʃeː ⸣misamunu] (小さな魚は逃がせばいいのに)。 ク⸢レー⸣ ヤー⸢ディン ピン⸣ガシ [ku⸢reː⸣ jaː⸢dim piŋga⸣ʃi] (これは必ず逃がせ) 14514 0 0 14250 htmvoc_14514.wav ピンカマイルン ⸣ピン カ⸢マイ⸣ルン [⸣piŋ ka⸢mai⸣ruŋ] 連 反抗する<反抗を構える>。腹を据えて反抗する。\ruby{拗}{スネ}る。\ruby{捻}{ヒネ}くれる。 ウ⸢リヌ⸣ ピン カ⸢マイ⸣ルカー ⸢ウーカサラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ piŋ ka⸢mai⸣rukaː ⸢ʔuːkasara⸣nu] (彼が覚悟して反抗すると動かされない) 14515 0 0 14251 htmvoc_14515.wav ピンガン ⸢ピン⸣ガン [⸢piŋ⸣gaŋ] 名 彼岸(春分の日{EOS}秋分の日)。彼岸の⸢ソーニチ[⸢soːniʧi](当日<⸢正日」の義か>)を挟んで前後一週間を⸢ピン⸣ガンシチ[⸢piŋ⸣gaŋʃiʧi](彼岸の節)という。一週間以内であれば都合のよい日に彼岸祭りをしてもよいといわれている。 ⸢ピンガン⸣ヌ ⸣シチ ⸢ペー⸣レーン [⸢piŋgan⸣nu ⸣ʃi̥ʧi ⸢peː⸣reːŋ] (彼岸の節に入った)。彼岸には⸢ピン⸣ガンズーシー[⸢piŋ⸣ganʣuːʃiː](「彼岸雑炊」の義{EOS}豚肉や魚肉、大根、人参を\ruby{采}{サイ}の目状に切り、\ruby{韮}{ニラ}を刻んで入れ、醤油で味付けして炊いた五目飯{EOS}こわいい<強飯>)が必需である。ッ⸢ス⸣ムチ[s⸢su⸣muʧi](白餅)一重箱、ナ⸢マ⸣シ[na⸢ma⸣ʃi](刺身)一皿、イ⸢ラキ⸣ムヌ[ʔi⸢raki⸣munu](油炒め{EOS}「\ruby{煎物}{イリ|モノ}」の義)一皿、⸢ユーチング[⸢juːʧiŋgu](四つ組のご馳走)、⸣グシパナ[⸣guʃipana](酒と花米)、ウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](紙銭{EOS}「打ち紙」の義{EOS}後生の通貨といわれている)を供えて\ruby{祀}{マツ}った。紙銭は祖霊達に金銭上の困難がかからぬよう、それを焼いて送ると信じられている。カ⸢ビヤキムヌ[ka⸢bijakimunu](紙銭を焼く道具{EOS}通常、\ruby{金盥}{カナ|ダライ}の上に、バ⸢サ⸣ヌ ⸣ウディ{SqBr}ba⸢sa⸣nu ⸣ʔudi{/SqBr}<芭蕉の\ruby{葉柄}{ヨウ|ヘイ}>を約一尺の長さに切り、ススキの生木で井の字型に刺して作ったもの)の上で紙銭を焼いた後グシ[⸣guʃi](酒)を一杯注ぎ、アルコールが青白く燃え、紙銭が完全に燃えたところで⸢サー⸣ドー[⸢saː⸣doː](茶湯)を二杯注ぎ、火を消してパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)を\ruby{三掴}{ミ|ツカ}み入れて終わる。それが済むと供えたご馳走や餅などを箸で裏返す。これをウ⸢ク⸣シ[ʔu⸢ku⸣ʃi](起こし)という。それによって供物は祖霊達に食されたことになるといわれている、一種の儀式である。その後にピ⸢キカウ[pi̥⸢kikau](供物を引き下げる線香)を点けて⸣ウサンダイ[⸣ʔusandai](供え物)を下げ、家族一同が\ruby{揃}{ソロ}って会食した 14516 0 0 14252 htmvoc_14516.wav ピンガンズーシー ⸢ピン⸣ガンズーシー [⸢piŋ⸣ganʣuːʃiː] 名 五目御飯。「彼岸雑炊」の義。豚肉や魚肉を采の目に切り、\ruby{韮}{ニラ}を刻んで混ぜ、大根や人参も采の目に切って入れ、醤油で味付けして炊いた五目飯(こわいい<強飯>)。 ⸢ピン⸣ガンズーシェー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン [⸢piŋ⸣ganʣuːʃeː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (彼岸雑炊<彼岸祭りの五目飯>は非常に美味しかった) 14517 0 0 14253 htmvoc_14517.wav ピンギウシ ⸢ピンギ⸣ウシ [⸢piŋgi⸣ʔuʃi] 名 逃げた牛。飼い主の所から逃げた牛。老年層は、ン⸢ギ⸣ウシ[ʔŋ⸢gi⸣ʔusi](逃げ牛)という。 ⸢ピンギ⸣ウシェー プ⸢スン⸣トンニン ン⸢カイ⸣ クンダー ナ⸢クラー⸣ン [⸢piŋgi⸣ʔuʃeː pu̥⸢sun⸣tonniŋ ʔŋ⸢kai⸣kundaː na⸢kuraː⸣ŋ] (逃げた牛は人の所へも向かって来るので怖い) 14518 0 0 14254 htmvoc_14518.wav ピンギッふァ ⸢ピンギ⸣ッふァ [⸢piŋgi⸣ffa] 名 迷子。「逃げた子」の義。 ⸢ピンギ⸣ッふァー マ⸢ダ⸣ トゥ⸢ミララ⸣ヌ [⸢pingi⸣ffaː ma⸢da⸣ tu⸢mirara⸣nu] (迷子<逃げた子>は、まだ見つから<尋められ>ない) 14519 0 0 14255 htmvoc_14519.wav ピンギマール ⸢ピン⸣ギマール [⸢piŋ⸣gimaːru] 名 逃げ回ること。逃亡。⸢逃げ回り」の義。 ⸢ウンザー⸣ シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ マナール ⸢ピン⸣ギマール ⸢シー アー⸣クユー [⸢ʔunʣaː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ manaːru ⸢piŋ⸣gimaːru ⸢ʃiː ʔaː⸣kujuː] (あの怠け者<あいつ>は、仕事はしないで何処を逃げ回っているのやら) 14520 0 0 14256 htmvoc_14520.wav ピンギマールン ⸢ピンギマー⸣ルン [⸢piŋgimaː⸣ruŋ] 自動 逃げ回る。逃亡する。 ⸣タンコー ⸢ピンギ⸣ムノー ⸢ピンギマー⸣ルンティ シ⸢タンティン⸣ アトー ⸢ズン⸣サン カ⸢サマリシタ [⸣taŋkoː ⸢piŋgi⸣munoː ⸢piŋgimaː⸣runti ʃi̥⸢tantiŋ⸣ ʔatoː ⸢ʣun⸣saŋ kḁ⸢samariʃi̥ta] (炭坑逃亡者は逃げ回るとしても、後は巡査に捕まれた)。 ⸢ピンギマー⸣リ ⸣ミサカー ⸢ピンギマー⸣ル ⸣クトゥン ナ⸢リ⸣シタンドゥ ⸢ピンギマーラン⸣ドーシ ウ⸢ティ⸣シキ パ⸢タラキ ベー⸣タ [⸢piŋgimaː⸣ri ⸣misakaː ⸢piŋgimaː⸣ru ⸣ku̥tun na⸢ri⸣ʃi̥tandu ⸢piŋgimaːran⸣doːʃi ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki pḁ⸢taraki beː⸣ta] (逃げ回ってよければ逃げ回ることも出来たが、逃げ回らないで落ち着いて働いていた)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ピンギマー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢piŋgimaː⸣reː ⸣misamunu] (もっと逃げ回ればいいのに)。 ⸢ピンギマー⸣リバ [⸢piŋgimaː⸣riba] (逃げ回れよ) 14521 0 0 14257 htmvoc_14521.wav ピンギムヌ ⸢ピンギ⸣ムヌ [⸢piŋgi⸣munu] 名 逃亡者。脱走者。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣ピン ⸢パイタ⸣ヌ ヒ⸢ナン⸣ヤーナー ⸣タンコー ⸢ピンギムヌ⸣ヌ ⸣ユー ⸢イー⸣ クイン ⸢マーリクー⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣pim ⸢paita⸣nu çi⸢naɲ⸣jaːnaː ⸣taŋkoː ⸢piŋgimunu⸣nu ⸣juː ⸢ʔiː⸣ kuim ⸢maːri kuː⸣taŋ] (太平洋戦争の時、西表<南端>の避難小屋に炭坑逃亡者がよく飯を貰い<飯乞い>に逃げ回って来た) 14522 0 0 14258 htmvoc_14522.wav ビンキョー ⸢ビンキョー [⸢biŋkjoː] 名 勉強。 ⸢バン⸣ター ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー シ⸢キユー⸣ランプバ シケーティル ⸢ユール⸣ナー ⸢ビンキョー⸣ シ⸢タ⸣ダー [⸢ban⸣taː ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ʃi̥⸢kijuː⸣rampuba ⸣ʃi̥keːtiru ⸢juːru⸣naː ⸢biŋkjoː⸣ ʃi̥⸢ta⸣daː] (私達<聞き手を含まない>が子供の頃は石油ランプを灯して、夜には勉強したよ) 14523 0 0 14259 htmvoc_14523.wav ピンギルン ⸢ピンギ⸣ルン [⸢piŋgi⸣ruŋ] 自動 逃げる。「へ逃げる」の音韻変化したものか。 ピ⸢ビザー⸣ フ⸢バリ⸣ シ⸢キラン⸣カー ⸢ピンギ⸣ルン⸢ダー [pi⸢biʣaː⸣ ɸu⸢bari⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː ⸢piŋgi⸣run⸢daː] (山羊は縛っておかないと逃げるよ)。 フ⸢バラン⸣タンティン ⸢ピンギラ⸣ヌ [ɸu⸢baran⸣tantim ⸢piŋgira⸣nu] (縛らなくても逃げない)。 ⸢ピン⸣ギ パリ⸢ナー⸣ヌ [⸢piŋ⸣gi pari⸢naː⸣nu] (逃げていってしまった)。 ⸣クマーラ ⸢ピンギ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸢ピンギ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣kumaːra ⸢piŋgi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ranu⸣nu ⸣narukaː ⸢piŋgi⸣reː ⸣misamunu] (此処から逃げることはできないが、できたら逃げればいいのに)。 ⸣クマーラ ⸢パー⸣ク ⸢ピンギ⸣リ [⸣kumaːra ⸢paː⸣ku ⸢piŋgi⸣ri] (此処から早く逃げろ<逃げれ>) 14524 0 0 14260 htmvoc_14524.wav ピング ⸢ピング [⸢piŋgu] 名 なべずみ(鍋墨)。鍋・釜の底に付く\ruby{煤煙}{バイ|エン}。「へぐろ<竃黒>」の転訛したものか。「へんご」『混効験集』。汚れ。ピ⸢サ⸣ビ[pi̥⸢sa⸣bi](鍋墨{EOS}へぐろ{EOS}⸢\ruby{竃錆}{ヘ|サビ}」の転訛か)ともいう。 ウ⸢ム⸣ティナー ⸢ピングヌ⸣ マ⸢マリベー [ʔu⸢mu⸣tinaː ⸢piŋgunu⸣ ma⸢mari beː] (顔に鍋墨が付いて<塗られて>いる) 14525 0 0 14261 htmvoc_14525.wav ビングサー ⸢ビング⸣サー [⸢biŋgu⸣saː] 名 能弁家。標準語の「弁護士」から転訛。 ウ⸢レー ビング⸣サー ヤ⸢ルンダ⸣ ター⸢ン⸣ ウ⸢リン⸣スコー フ⸢チェー⸣ カ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː biŋgu⸣saː ja⸢runda⸣ taː⸢ŋ⸣ ʔu⸢rin⸣su̥koː ɸu̥⸢ʧeː⸣ ka⸢naː⸣nu] (彼は能弁家だから、誰も彼には弁舌<口>は敵わない) 14528 0 0 14262 htmvoc_14528.wav ビングタタミ ⸢ビングタタミ [⸢biŋgutatami] 名 い(藺)で編んだ上質の畳表を使用した畳。「びんごたたみ(備後畳)」の転訛。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ビングタタミ⸣ シ⸢キ ソー⸣レール ⸢ヤー⸣ヤー ⸢ギューキブルティル アッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢biŋgutatami⸣ ʃi̥⸢kisoː⸣reːru ⸢jaː⸣ja ⸢gjuːkiburutiru ʔat⸣ta] (昔は備後畳を敷くことの出来る家は何軒としかなかった) 14529 0 0 14263 htmvoc_14529.wav ビングムス ⸢ビングムス [⸢biŋgumusu] 名 い(藺)で編んだむしろ(筵)。肌触りのいい、上品な筵。 ⸢ビングムス⸣ シ⸢キティ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ニ⸢バシ [⸢biŋgumusu⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ f⸢fa⸣ ni⸢baʃi] (備後\ruby{筵}{ムシロ}を敷いて子供を寝かせ) 14530 0 0 14264 htmvoc_14530.wav ピングラーピングラーシ ピング⸢ラーピングラー⸣シ [piŋgu⸢raːpiŋguraː⸣ʃi] 副 肌寒く。肌に少し寒く感じられるさま。 ⸣ミーニシヌ フ⸢ク⸣ター ピング⸢ラーピングラー⸣シティ ス⸢ナ⸣カーン ッ⸢スマラ⸣ヌ [⸣miːniʃinu ɸu̥⸢ku⸣taː piŋgu⸢raːpiŋguraː⸣ʃi̥ti su⸢na⸣kaːn s⸢sumara⸣nu] (ミーニシ<秋ごろに吹く北風>が吹いたので薄ら肌寒くて海中に潜られない) 14526 0 0 14265 htmvoc_14526.wav ビングリマースン ⸢ビングリマー⸣スン [⸢biŋgurimaː⸣suŋ] 他動 \ruby{抉}{エグ}る。「抉り回す」の義。⸣クルン[⸣kuruŋ](抉る)ともいう。 ⸣ッサリ ⸢ベーン⸣ トンマー ⸢ビングリマー⸣シ ⸣トゥリ シ⸢ティリ [⸣ssari ⸢beːn⸣ tommaː ⸢biŋgurimaː⸣ʃi ⸣turi ʃi̥⸢tiri] (腐っているところは抉り取って捨てよ)。 ⸢ビングリマー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ プニナー シゥ⸢カッティティ ビングリマーサラ⸣ヌ [⸢biŋgurimaː⸣sunti ⸢sundu⸣ puninaː sï̥⸢kattiti biŋgurimaːsara⸣nu] (\ruby{抉}{エグ}ろうとするが、骨に触れて抉られない)。 ⸣クマー ⸢ビングリマー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaː ⸢biŋgurimaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ここは抉ることはできない)。 ⸢ビングリマー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢biŋgurimaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (抉ればいいのに)。 ⸣クマー ⸢ビングリマー⸣シ [⸣kumaː ⸢biŋgurimaː⸣ʃi] (ここは抉れ) 14531 0 1 14266 htmvoc_14531.wav ピングル ⸢ピン⸣グル [⸢piŋ⸣guru] 名 {Mn_1}冷え込み。冷気。 ⸢ピングル⸣ヌ ⸢スー⸣リ ⸣ケーチバ パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カラシムン⸣ヨー ピ⸢ルバ⸣ ヌビナ パ⸢カシ [⸢piŋguru⸣nu ⸢suː⸣ri ⸣keːʧiba pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢karaʃimuɲ⸣joː pi⸢ruba⸣ nubina pḁ⸢kaʃi] (冷え込みが強くなってきたから、風邪に\ruby{罹}{カカ}らせないように\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}を糸に貫き通して首に\ruby{穿}{ハ}かせ)。 14531 0 2 14267 htmvoc_14531.wav ピングル ⸢ピン⸣グル [⸢piŋ⸣guru] 名 {Mn_2}病気になる冷気、破傷風菌。 キ⸢ジェーラ ピングル⸣ヌ ⸢ペー⸣ルカー ハ⸢チョーフー⸣ ナルンティ⸢ダー [ki⸢ʤeːra piŋguru⸣nu ⸢peː⸣rukaː hḁ⸢ʧoːɸuː⸣ narunti⸢daː] (傷口から冷え込み<破傷風菌>が体内に入ると破傷風の病気になるそうだよ) 14532 0 0 14268 htmvoc_14532.wav ピングルン ⸢ピン⸣グルン [⸢piŋ⸣guruŋ] 自動 冷える。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ⸣キン キ⸢サン⸣カー ⸢ピン⸣グルンダ ⸢ピングラン⸣スコーシ カ⸢サビ⸣ キ⸢シ [⸢kjuː⸣ja(wa) ⸣kiŋ ki̥⸢saŋ⸣kaː ⸢piŋ⸣gurunda ⸢piŋguran⸣su̥koːʃi ka⸢sabi⸣ ki̥⸢ʃi] (今日は着物を着ないと冷え込むから、重ねて着<重ね着し>なさい)。 ⸣アミン ⸢ゾッふァーリティ ピン⸣グリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔamin ⸢ʣoffaːriti piŋ⸣guri ⸢naː⸣nu] (雨に濡れて体が冷えてしまった)。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣アミシェー ⸢ピン⸣グル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ʔamiʃeː ⸢piŋ⸣guru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これっぽっちの雨で冷え込むことはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ピン⸣グレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢piŋ⸣gureː ⸣misamunu] (もっと冷えこめばいいのに)。 ⸢ピン⸣グリバ [⸢piŋ⸣guriba] (冷えこめ) 14533 0 0 14269 htmvoc_14533.wav ピングローン ⸢ピン⸣グローン [⸢piŋ⸣guroːŋ] 形 寒い。肌寒い。冷たい。⸢ピー⸣ヤンとも言う。 ニ⸢シカジェー ピン⸣グローン [ni⸢ʃikaʤeː piŋ⸣guroːŋ] (北風は冷たい)。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ⸢ピングロー⸣ヌ ⸣フカンター ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja(wa) ⸢piŋguroː⸣nu ⸣ɸu̥kantaː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (今日は肌寒くて外へは出られない)。 ⸢ピングロー ナーン⸣タンティン ⸣フカンター ン⸢ジル⸣ナ [⸢piŋguroː naːn⸣tantiŋ ⸣ɸu̥kantaː ʔn⸢ʤiru⸣na] (肌寒くなくても外へは出るな)。 ⸢シンダイ ピン⸣グロー ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai piŋ⸣guroː ⸣narikeːŋ] (次第に肌寒くなってきた)。 ⸢ピン⸣グロー ⸣ピンマー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣フカー ン⸢ザス⸣ナ [⸢piŋ⸣guroː ⸣pimmaː ja⸢ra⸣beː ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʣasu⸣na] (寒い日には子供は外へ出すな) 14527 0 0 14270 htmvoc_14527.wav ピングン ⸢ピン⸣グン [⸢piŋ⸣guŋ] 自動 逃げる。 ウ⸢シェー⸣ バ⸢ツァマン⸣カー ⸢ピン⸣グン⸢ダー [ʔu⸢ʃeː⸣ ba⸢ʦamaŋ⸣kaː ⸢piŋ⸣gun⸢daː] (牛は鼻綱を木に繋がないと逃げるよ)。 パ⸢ナブー⸣ シ⸢ナイ⸣ シケーンダ ⸢ピンガ⸣ヌ [pa⸢nabuː⸣ ʃi⸢nai⸣ ʃi̥keːnda ⸢piŋga⸣nu] (鼻綱を繋いであるから逃げない)。 ⸢ピン⸣ギ パリ⸢ナー⸣ヌ [⸢piŋ⸣gi pari⸢naː⸣nu] (逃げていってしまった)。 ⸢ピン⸣グ ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ [⸢piŋ⸣gu ⸣wakeː ⸢naː⸣nu] (逃げるわけがない)。 ⸣クマーラ ⸢ピン⸣ゲー ⸣ミサムヌ [⸣kumaːra ⸢piŋ⸣geː ⸣misamunu] (ここから逃げればいいのに)。 ⸢ピン⸣ギ [⸢piŋ⸣gi] (逃げよ) 14534 0 0 14271 htmvoc_14534.wav ビンサー ⸢ビンサー [⸢binsaː] 名 能弁家。弁達者。よく喋る者。「弁する者」の義。 ウ⸢レー ビンサー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ギイン シ⸢ミルワー⸣ マ⸢シ [ʔu⸢reː binsaː⸣ ja⸢runda⸣ gijiŋ ʃi⸢miruwaː⸣ ma⸢ʃi] (彼は能弁家だから議員にさせる<~しめる>のが良い)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ビンサー⸣ ナリティ ウ⸢ヤン⸣ナーニン フ⸢チウタイル スーバン [ja⸢rabi⸣nu ⸢binsaː⸣ nariti ʔu⸢jan⸣naːniŋ ɸu̥⸢ʧiʔutairu suːbaŋ] (子供のくせに弁達者になって親にも反抗<口答え>をするよ) 14541 0 0 14272 htmvoc_14541.wav ピンザスン ⸢ピンザ⸣スン [⸢pinʣa⸣suŋ] 他動 露出させる。内部のものを外に出す。突き出す。 フ⸢ク⸣ローラ ⸢ピンザ⸣スンティ ⸢スンドゥ ピンザサラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ku⸣roːra ⸢pinʣa⸣sunti ⸢sundu pinʣasara⸣nu] (袋から外に突き出そうとするが、突き出されない)。 ス⸢ブ⸣ル ⸢ピンザ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ピンザ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [su⸢bu⸣ru ⸢pinʣa⸣ʃi ⸣misakaː ⸢pinʣa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (頭を外へ突き出してよければ突き出すことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ピンザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢pinʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと突き出せばいいのに)。 ⸢ピンザ⸣シバ [⸢pinʣa⸣ʃiba] (突き出せよ) 14535 0 0 14273 htmvoc_14535.wav ピンジトゥンジ ⸢ピン⸣ジ ⸣トゥンジ [⸢pin⸣ʤi ⸣tunʤi] 連 突き出たり、飛び出たりすること。でこぼこ(凸凹)なこと。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢グス⸣コー ⸢ピン⸣ジ ⸣トゥンジヌ ⸣アルンダ ⸢クーリンギサ⸣ル [⸢ʔun⸣nenu ⸢gusu̥⸣koː ⸢pin⸣ʤi ⸣tunʤinu ⸣ʔarunda ⸢kuːriŋgisa⸣ru] (あの家の石垣は凸凹があるので崩れそうだ) 14542 0 0 14274 htmvoc_14542.wav ピンジルン ⸢ピンジ⸣ルン [⸢pinʤi⸣ruŋ] 自動 露出する。飛び出る。内部のものが外に出る。突き出る。 ⸢シーッふァイパー⸣ヌ カ⸢カウ⸣カー ⸢ミーパーヌ ピン⸣ジ ⸣クン [⸢ʃiːffaipaː⸣nu kḁ⸢kau⸣kaː ⸢miːpaːnu pin⸣ʤi ⸣kuŋ] (乳歯が欠けると新しい歯が出てくる)。 ⸢ウスク⸣カー ⸢ミーヌ ピンジ⸣ルンダ ⸢ピンジラン⸣ヨーニ ヤー⸢ラマ⸣シ ⸢マーシ [⸢ʔusu̥ku⸣kaː ⸢miːnu pinʤi⸣runda ⸢pinʤiraɲ⸣joːni jaː⸢rama⸣ʃi ⸢maːʃi] (押したら中身が飛び出るから、飛び出ないように柔らかく回せ)。 ⸣クマーラ ⸢ピンジ⸣ル ⸢バイ⸣ヤー ⸣ブリ ⸣トゥリバ [⸣kumaːra ⸢pinʤi⸣ru ⸢bai⸣jaː ⸣buri ⸣turiba] (ここから突き出る芽は折り取れ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ピンジ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢pinʤi⸣reː ⸣misamunu] (もっと突き出れば良いのに) 14450 0 0 14275 htmvoc_14450.wav ピンズン ⸢ピン⸣ズン [⸢pin⸣ʣuŋ] 自動 突き出る。露出する。芽が出る。 マ⸢ミ⸣ヌ ⸣サニ ⸣マキティ ⸢トゥッカ⸣ タトゥカー ⸢バイ⸣ヤー ⸢ピン⸣ズン [ma⸢mi⸣nu ⸣sani ⸣makiti ⸢tukka⸣ tḁtukaː ⸢bai⸣jaː ⸢pin⸣ʣuŋ] (豆の種を蒔いて十日経つと芽が出る)。 マ⸢ダ ピンザ⸣ヌ [ma⸢da pinʣa⸣nu] (まだ発芽しない)。 ⸢ピン⸣ジ ⸣ケーン [⸢pin⸣ʤikeːŋ] (芽が出てきた)。 ⸢バイ⸣ヌ ⸢ピン⸣ズ ⸣ピン [⸢bai⸣nu ⸢pin⸣ʣu ⸣piŋ] (芽が出る時)。 ⸢パー⸣ク ⸢ピン⸣ジェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢pin⸣ʤeː ⸣misamunu] (早く芽がデレが<突き出れば>良いのに)。 タ⸢キ⸣ヌ タ⸢カー⸣ティ ⸢パン⸣ヌ サ⸢ケー⸣ ウゾーラ ⸢ピン⸣ジ ⸢ベー [tḁ⸢ki⸣nu tḁ⸢kaː⸣ti ⸢pan⸣nu sḁ⸢keː⸣ ʔuʣoːra ⸢pin⸣ʤi ⸢beː] (身長が高いので、足首が布団から突き出ている)。 イ⸢ツァ⸣ヌ ⸣ピサン ⸣トンマー ⸢フンマー ピン⸣ズン [ʔi⸢ʦa⸣nu ⸣pi̥san ⸣tommaː ⸢ɸummaː pin⸣ʣuŋ] (板の薄いところは、釘は飛び出る)。 ア⸢ツァン⸣ トンマー ⸢フンマー ピンザ⸣ヌ [ʔa⸢ʦan⸣ tommaː ⸢ɸummaː pinʣa⸣nu] (厚い所は、釘は突き出ない)。 ⸢フンマー ピン⸣ジ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ɸummaː pin⸣ʤi ⸢naː⸣nu] (釘は突き出てしまった)。 ⸢フンヌ ピン⸣ズ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ɸunnu pin⸣ʣu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (釘が突き出ることはない)。 ン⸢ベーマー ピン⸣ジェー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː pin⸣ʤeː ⸣misamunu] (少しは突き出ればいいのに)。 ⸢ピン⸣ジ [⸢pin⸣ʤi] (突き出よ) 14536 0 0 14276 htmvoc_14536.wav ピンソー ⸢ピン⸣ソー [⸢pin⸣soː] 名 貧乏。 ⸢ウン⸣ネーヤ ム⸢カ⸣シェー ⸢ピン⸣ソー ⸢ヤッタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ウ⸢ヤ⸣キヤー ナリ ⸢ベー [⸢ʔun⸣neːja mu⸢ka⸣ʃeː ⸢pin⸣soː ⸢jattanu⸣ ma⸢na⸣maː ʔu⸢ja⸣kijaː ⸣nari ⸢beː] (あの家は昔は貧乏だったが、今は金持ちになっている)。 ⸢ピンソー⸣ヌ ⸢カン⸣バ ⸣カミ ⸣マイ ⸢ユーザラヌ [⸢pinsoː⸣nu ⸢kam⸣ba ⸣kami ⸣mai ⸢juːʣaranu] (貧乏の神を頭に頂いて<貧乏の神に取り付かれて>前に進めない) 14537 0 0 14277 htmvoc_14537.wav ピンソータタクン ⸢ピン⸣ソー タ⸢タ⸣クン [⸢pin⸣soː tḁ⸢ta⸣kuŋ] 連 貧乏を極める。\ruby{極貧}{ゴク|ヒン}に\ruby{喘}{アエ}ぐ。 シ⸢グトー ナー⸣ムティ ッ⸢ふァヌ ゴー⸣ラーサーリ シ⸢ナー⸣ユンダ ⸢ピン⸣ソー タ⸢タキ⸣ル ⸢ブー [ʃi⸢gutoː naː⸣muti f⸢fanu goː⸣raːsaːri ʃi⸢naː⸣junda ⸢pin⸣soː tḁ⸢taki⸣ru ⸢buː] (仕事はなくて、子供は多いし、幼いので貧乏のどん底にある<貧乏を極めている>) 14538 0 0 14278 htmvoc_14538.wav ピンソーミン ⸢ピンソー⸣ミン [⸢pinsoː⸣miŋ] 名 貧相な耳。耳たぶの小さな耳。「貧乏耳」の義。ウ⸢ヤ⸣キミン[ʔu⸢ja⸣kimiŋ](\ruby{福耳}{フク|ミミ}{EOS}福相の耳)の対義語。 ⸢ピンソーミン⸣ドゥ ヤ⸢ルバン⸠ナー アイ ⸢ヤー⸣ティル ⸢ピン⸣ソー ⸢シー ブー⸣ユー ウ⸢レー [⸢pinsoːmin⸣du ja⸢ruban⸠naː ⸣ʔai ⸢jaː⸣tiru ⸢pin⸣soː ⸢ʃiː buː⸣juː ʔu⸢reː] (貧相な耳だねえ、それで貧乏をしているのかなあ、彼は) 14539 0 0 14279 htmvoc_14539.wav ピンソームヌ ⸢ピンソー⸣ムヌ [⸢pinsoː⸣munu] 名 貧乏人。 ⸢ピンソームヌ⸣ヌ ッ⸢ふァヌル マイフナーヤ⸣ マ⸢リル [⸢pinsoːmunu⸣nu f⸢fanuru maiɸunaːja⸣ ma⸢riru] (貧乏人の子供が成功する<立身出世する人は生まれる>) 14540 0 0 14280 htmvoc_14540.wav ピンソーヤー ⸢ピンソー⸣ヤー [⸢pinsoː⸣jaː] 名 貧乏な家。貧しい家。ひんか(貧家)。「貧相家」の義。 ⸢ピンソーヤー⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ム⸢ヌアタラ⸣サ ⸢スン [⸢pinsoːjaː⸣nu f⸢fa⸣ ja⸢runda⸣ ʔik⸢kena⸣ mu⸢nuʔatara⸣sa ⸢suŋ] (貧しい家の子供だから非常に物を大事にする<物可惜しさする{EOS}物惜しみする>) 14544 0 1 14281 htmvoc_14544.wav ビンタ ⸢ビン⸣タ [⸢bin⸣ta] 名 {Mn_1}びん(鬢)。頭の左右の髪。左右の頬に伸びた髪。 ⸢ウンザー ビン⸣タ ヌ⸢バ⸣シティ ウ⸢ブナクラー⸣ン [⸢ʔunʣaː bin⸣ta nu⸢ba⸣ʃi̥ti ʔu⸢bunakuraː⸣ŋ] (あの野郎は\ruby{鬢}{ビン}を伸ばして薄気味悪い)。 14544 0 2 14282 htmvoc_14544.wav ビンタ ⸢ビン⸣タ [⸢bin⸣ta] 名 {Mn_2}ほほ(頬)。ほっぺた。標準語からの借用語。 ⸣アイティ ⸢ビン⸣タ ウ⸢タ⸣リティ ナ⸢キ ベー [⸣ʔaiti ⸢bin⸣ta ʔu⸢ta⸣riti na⸢ki beː] (喧嘩して、びんたを張られて<横っ面をたたかれて>泣いている)。 ⸢ビン⸣タ ッ⸢ふァースン [⸢bin⸣ta f⸢faːsuŋ] (ビンタを食らわす)。普通は、⸣シラ ⸣ウトゥン[⸣ʃira ⸣ʔutuŋ](顔<面>を打つ<張り飛ばす>)という 14545 0 0 14283 htmvoc_14545.wav ビンダライ ⸢ビン⸣ダライ [⸢bin⸣darai] 名 洗面器。「Bindarai.ビンダライ(鬢盥)男の髪を整える時に、櫛を濡らすのに使う小うさな器」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ビン⸣ダライナー ミ⸢ジェー⸣ イ⸢リティ⸣ ウ⸢ム⸣ティ ⸣シミバ [⸢bin⸣darainaː mi⸢ʤeː⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimiba] (洗面器に水を入れて顔<面>を洗い<\ruby{澄}{ス}み、清み>なさい) 2645 0 0 14284 htmvoc_2645.wav ビンダローマキー ビンダ⸢ロー⸣マキー [binda⸢roː⸣makiː] 名 (植)ハスノハギリ。常緑高木。材質は軽くて柔らかく弱い。海岸に自生していたが今は少ない。この木の下にいる⸣マコヤ[⸣makoja](ヤシガニ)は有毒であると言われている。実は卵形(3~4センチ)で先端に穴のある総包に包まれていて、子供たちがそれを吹き鳴らして遊んだことから命名されたもの。 ビンダ⸢ロー⸣マキーヌ ッ⸢サンタ⸣ナ ⸢ブー⸣ マコヤーヤ ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アンダー ッ⸢ふァーラヌ [⸢bindaroː⸣makiːnu s⸢santa⸣na ⸢buː⸣ makojaːja du⸢ku⸣nu ⸣ʔanda f⸢faːrunu] (ハスノハギリの下にいるヤシガニは毒があるから食べられない<茹でても赤くならない蟹は有毒といわれている>)。「ビードロ(vidro)」(玩具)の転訛したものか。種子の中身を除去して鳴り物を作った。葉は鼠除けとして、シ⸢ラ[ʃi⸢ra](いなむら<稲叢>)に差し込んだり、穀類の俵の側においたりした。 ビンダ⸢ロー⸣マキーナ ⸢ブー⸣ マコヤーヤ ⸢ビー⸣ルンティ ア⸢ザリ ブー [binda⸢roː⸣makiːna ⸢buː⸣ makojaːja ⸢biː⸣runti ʔa⸢ʣari buː] (ハスノハギリにいるヤシガニは食中毒を起こすといわれている) 14547 0 0 14285 htmvoc_14547.wav ピンティカンティ ⸢ピンティカン⸣ティ [⸢pintikan⸣ti] 副 あっちこっち突き出るさま。でこぼこしているさま。ごつごつしているさま。ABCDBC型の重言。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ブ⸢シ⸣ヌ ⸢ピンティカン⸣ティ ⸢シー⸣ ブシブッター ⸣ナリティ キ⸢ジングリサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu kiː⸣ja bu⸢ʃi⸣nu ⸢pintikan⸣ti ⸢ʃiː⸣ buʃibuttaː ⸣nariti ki⸢ʤiŋgurisa⸣nu na⸢ra⸣nu] (この木は節がごつごつして、節だらけになって削りにくくて\ruby{堪}{タマ}らない) 14550 0 0 14286 htmvoc_14550.wav ビントー ⸢ビントー [⸢bintoː] 名 弁当。 ⸢ピントゥルピン ビントーヤ⸣ ム⸢ティ⸣ル シ⸢グトー⸣ ンジ ⸢ブー [⸢pinturupim bintoːja⸣ mu⸢ti⸣ru ʃi⸢gutoː⸣ ʔnʤi ⸢buː] (毎日弁当を持って仕事へは出ている)。 ム⸢ティビン⸣トー ⸢シール テー⸣ナイ ⸢シー ッふィーッタル [mu⸢tibin⸣toː ⸢ʃiːru teː⸣nai ⸢ʃiː ffiːttaru] (弁当持参で手伝ってあげた) 14549 0 0 14287 htmvoc_14549.wav ピントー ⸢ピントー [⸢pintoː] 名 返答。返事。 プ⸢スヌ⸣ ヤ⸢ラブ⸣カー ⸢ピントー シー⸣バ [pu̥⸢sunu⸣ ja⸢rabu⸣kaː ⸢pintoː ʃiː⸣ba] (人が呼んだら返答しなさいよ)。 ア⸢バトゥナ⸣ ユー ⸢カンガイ⸣ヤーティル ⸢ピントーヤ スー⸠ダー [ʔa⸢batuna⸣ juː ⸢kaŋgai⸣jaːtiru ⸢pintoːja suː⸠daː] (急ぐ<慌てる>な、よく考えてから<ぞ>返事はするものだ)。 ⸢ピントーヌ ナーン⸣カー ⸣ミサンティヌ ⸣クトゥ ⸣ミー [⸢pintoːnu naːŋ⸣kaː ⸣misantinu ⸣ku̥tumiː] (返事が無いことは、よろしいとのことだね) 14551 0 0 14288 htmvoc_14551.wav ビントーバク ⸢ビントーバク [⸢bintoːbaku] 名 弁当箱。標準語からの借用語。アルミやステンレス製の近代的な弁当箱が導入される以前は、フ⸢タディル[ɸu̥⸢tadiru](竹製の\ruby{蓋付笊}{フタ|ツキ|ザル})に芋のお握り弁当を入れて畑仕事に出たものである。 ⸢ビントーバコー⸣ チ⸢カ⸣グル ⸣シェーラル ンジケール⸢ナー [⸢bintoːbakoː⸣ ʧi̥⸢ka⸣guru ⸣ʃeːraru ʔnʤikeːru⸢naː] (弁当箱は近頃になってから出てきたんだよねえ) 14548 0 0 14289 htmvoc_14548.wav ピントゥルピン ⸢ピントゥルピン [⸢pinturupiŋ] 名 毎日毎日。 ⸢ピントゥルピン ウンヌイー⸣バ フ⸢タディル⸣ナ ムティティ パ⸢タ⸣ケー ⸢パッ⸣タ [⸢pinturupiŋ ʔunnuiː⸣ba ɸu̥⸢tadiru⸣na mutiti pḁ⸢ta⸣keː ⸢pat⸣ta] (毎日毎日、芋の握り飯を蓋付き弁当駕籠に持って畑に行った)。 ⸢ピントゥルピン⸣ ユ⸢ヌシグトゥ⸣バ シ⸢ミラリティ⸣ ア⸢キリ ナー⸣ヌ [⸢pinturupin⸣ ju⸢nuʃigutu⸣ba ʃi⸢mirariti⸣ ʔa⸢kiri naː⸣nu] (毎日同じ仕事をさせられて飽きてしまった) 14553 0 0 14290 htmvoc_14553.wav ヒンビン ⸢ヒン⸣ビン [⸢çim⸣biŋ] 名 返却。借りた物を返すこと。「へんべん(返弁)」の転訛。 カ⸢ラシタ サイクドン⸣グン ⸢ヒン⸣ビン ⸢サンユンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ ノー⸢ン⸣ カ⸢ラシ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢raʃi̥ta saikudoŋ⸣guŋ ⸢çim⸣bin ⸢saɲjunda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ noː⸢ŋ⸣ ka⸢raʃi⸣pusaː ⸢naː⸣nu] (貸した大工道具も返却しないから、彼には何も貸したくない) 14555 0 1 14291 htmvoc_14555.wav ビンビン ⸣ビンビン [⸣bimbiŋ] 副 {Mn_1}びゅうびゅう。 ⸢ビンビン⸣シ カ⸢ジヌ⸣ フクン [⸢bimbiŋ⸣ʃi ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kuŋ] (びゅうびゅうと風が吹く)。 14555 0 2 14292 htmvoc_14555.wav ビンビン ⸣ビンビン [⸣bimbiŋ] 副 {Mn_2}びゅんびゅんと。すいすいと。船などが高速で走るさま。 ⸣フネー ⸢ビンビン⸣シ トゥ⸢バシパッタ [⸣ɸuneː ⸢bimbiŋ⸣ʃi tu⸢baʃipat⸣ta] (船はびゅんびゅんと飛ばしていった) 14554 1 0 14293 htmvoc_14554.wav ピンピン ⸢ピンピン [⸢pimpiŋ] 名 {PoS_1}毎日。日々。 ⸢ピンピンヌ⸣ シ⸢グトー バシキルナ [⸢pimpinnu⸣ ʃi⸢gutoː baʃi̥kiruna] (日々の仕事は忘れるな)。 ⸢ピンピンマー⸣ ッ⸢ふァーラヌ⸣ マ⸢ルケーティナー⸣ル ッ⸢ふァーリル [⸢pimpimmaː⸣ f⸢faːranu⸣ ma⸢rukeːtinaːru f⸢faːriru] (毎日は食べられない{EOS}\ruby{稀}{マレ}にしか食べられない<稀にぞ食べられる>)。 14554 2 0 14294 htmvoc_14554.wav ピンピン ⸢ピンピン [⸢pimpiŋ] 副 {PoS_2}ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ピンピン⸣ フ⸢ドゥビス[ja⸢ra⸣beː ⸢pimpiŋ⸣ ɸu⸢dubisu](子供は毎日成長するものだ) 14556 0 0 14295 htmvoc_14556.wav ピンプン ⸢ピン⸣プン [⸢pim⸣puŋ] 名 家の前にある石積みの塀。目隠し。庭前塀。石垣方言からの借用語。中国福建省では、同様な塀を「ピンプン<屏風>」という『沖縄の民間信仰』。普通は、ナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu̥⸣ku](中石垣)という。長さ約4メートル、高さ約2メートル、巾約50センチに積まれた石垣。石垣のナ⸢カフク⸣ル[na⸢kaɸuku⸣ru](中央部、「中袋」の義)には小石を詰め、組石の間隙を埋めて石垣を固めるようにしてある。ナカグスクの内側にはパ⸢ナ⸣ギ[pa⸢na⸣gi](\ruby{花卉}{カ|キ}{EOS}クロトン、トゥ⸢ラヌズー{SqBr}tu⸢ranuʣuː{/SqBr}<とらのお>)類を植栽し、シ⸢キダ⸣チズングニチ[ʃi̥⸢kida⸣ʧiʣuŋguniʧi](朔日、十五日)の朝には床の間の神前や仏間の仏前に花木を活け、⸢サー⸣ド[⸢saː⸣do](\ruby{茶湯}{チャ|トウ})を供えた。ウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](母屋)と⸢ペーラ⸣フチ[⸢peːra⸣ɸuʧi](門{EOS}「入り口」の義)の中間にある石垣で、母屋の軒からの距離は棺を運ぶ龕が入る長さに設定されているという。門より内側に向かって右側は上手、左側は下手となる。祝儀の際の客人は上手より家に入り、不祝儀や法事の際の客人は下手より出入りしたが、現在はその不文律も忘れられている。親しい人は、普通は下手より出入りした 14557 0 0 14296 htmvoc_14557.wav ブ ⸣ブ [⸣bu] 名 (数)分。ある物を十等分したものの一つを表す単位。十分の一。一寸の十分の一。 ミ⸢ジェー⸣ カ⸢ミ⸣ヌ ハ⸢チ⸣ブブカラドゥ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー [mi⸢ʤeː⸣ ka⸢mi⸣nu ha⸢ʧi⸣bubukaradu nu⸢ka⸣ri ⸢beː] (水は水瓶の八分ばかりが残っている)。 シ⸢タディ⸣トゥ ⸢パイルトゥ⸣ グ⸢ブグブナー⸣ イ⸢リティ アー⸣シバ [ʃi̥⸢tadi⸣tu ⸢pairutu⸣ gu⸢bugubunaː⸣ ʔi⸢riti ʔaː⸣ʃiba] (醤油<下地>と酢と五分五分に入れて合わせ酢にしなさい<合わせなさい>よ) 14570 0 0 14297 htmvoc_14570.wav フー ⸣フー [⸣ɸuː] 名 運。幸運。果報。めぐり合わせ。「Fu、フ(符) 運、あるいは、めぐり合わせ.Funo yoi varui fito,(符の良い、または、悪い人)幸運な人、または、不運な人」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ッ⸢ふァイフー [f⸢faiɸuː] (食べることの幸運)。 トゥ⸢ジフー [tu⸢ʤiɸuː] (妻に恵まれる運)。 ッ⸢ふァフー [f⸢faɸuː] (子宝の運)。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ク⸣サナー ヌ⸢チ⸣バ ⸢ムイラ⸣リ ⸢ワー⸣ イッ⸢ケナ フー⸣バ シ⸢キ⸣ル マ⸢リ⸣ケール [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ku⸣sanaː nu⸢ʧi⸣ba ⸢muira⸣ri ⸢waː⸣ ʔik⸢kena ɸuː⸣ba ʃi̥⸢ki⸣ru ma⸢ri⸣keːru] (この戦争で生きて帰れて<命が萌えられて>、君は非常に幸運に恵まれて<符が付いて>生まれてきているよ)。 ⸣ガバーフー ⸣スクン [⸣gabaːɸuː ⸣su̥kuŋ] (大きな幸運が付く) 14571 0 0 14298 htmvoc_14571.wav フー ⸢フー [⸢ɸuː] 名 封。密封すること。 ⸢ミー⸣スカメー フ⸢ター⸣ シ⸢ティ⸣ フ⸢チェー⸣ ア⸢バ⸣ガビシ ッ⸢ス⸣ミティ ⸢フー シー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢miː⸣sukameː ɸu̥⸢taː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʔa⸢ba⸣gabiʃi s⸢su⸣miti ⸢ɸuː ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (味噌甕は蓋をして、口部<口>は油紙で包んで密封して<封をして>おきなさい) 14572 0 0 14299 htmvoc_14572.wav ブー ⸣ブー [⸣buː] 名 お(苧)。\ruby{苧麻}{チョ|マ}。からむし。「\ruby{麻苧}{アサ|オ}、乎<を>、一云阿佐<あさ>」『和名抄』の義。八重山上布の原料となる。 ⸣ブーキン [⸣buːkiŋ] (麻布で仕立てた着物)。 ⸣ブー ⸢ウー⸣ムン [⸣bu ⸢ʔuː⸣muŋ] (麻糸を\ruby{績}{ウ}む)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢タッ⸣テヌ ⸢ウイ⸣プスン ⸣ブー ⸢ウー⸣ミティ ⸣スクイナー タ⸢ブイヨーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢tat⸣tenu ⸢ʔui⸣pu̥sum ⸣buː ⸢ʔuː⸣miti ⸣su̥kuinaː ta⸢buijoːt⸣taŋ] (昔は何処の家の年寄りも\ruby{苧}{オ}を\ruby{績}{ウ}んでスクイ<をけ、\ruby{麻笥}{オ|ケ}{EOS}(\ruby{麻}{ソ}{EOS}ァサの古名)>に貯えておられたものだ) 14573 0 0 14300 htmvoc_14573.wav ブー ⸢ブー [⸢buː] 名 ひも(紐)。緒。下駄や草履などの緒や鼻緒。 ア⸢シツァ⸣ヌ ⸢ブーヌ⸣ キシ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢ʃiʦa⸣nu ⸢buːnu⸣ ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (下駄の緒が切れてしまった)。 ア⸢シツァ⸣ヌ パ⸢ナブー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢ʃiʦa⸣nu pa⸢nabuː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (下駄の鼻緒をつけろ)。 ⸢パウルヌ ブー [⸢paurunu buː] (羽織の紐)。 ⸢ブー⸣ シ⸢ナウン [⸢buː⸣ ʃi⸢nauŋ] (紐を結ぶ<繋ぐ>)。鳩間方言では、しっぽ(尾)に対して⸢ブー[⸢buː]とは言わない。⸢ズー[⸢ʣuː](尾)という 14574 0 0 14301 htmvoc_14574.wav ブー ⸣ブー [⸣buː] 名 人夫。ぶやく<夫役>を課せられた人。労働の役務を課せられた人。 グ⸢ニンブーヌ⸣ ッ⸢サークバ タン⸣ガシ ⸢シー⸣ シケー [gu⸢nimbuːnu⸣ s⸢saːkuba taŋga⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (五人前の夫役を一人でしてある) 14575 0 0 14302 htmvoc_14575.wav プー ⸣プー [⸣puː] 名 穂。「秋の田の穂のへ<穂上>に霧らふ~。万、88」の転訛。 ⸢マイヌ⸣ プー [⸢mainu⸣ puː] (稲の穂)。 ⸢アー⸣ヌ ⸣プー [⸢ʔaː⸣nu ⸣puː] (粟の穂)。 ⸢ムン⸣ヌ ⸣プー [⸢mun⸣nu ⸣puː] (麦の穂)。 ⸢マイヌ プー⸣ヤ ン⸢ジ⸣キシェーン [⸢mainu puː⸣ja ʔn⸢ʤi⸣ki̥ʃeːŋ] (稲穂は出揃った<出尽くした>) 14576 0 0 14303 htmvoc_14576.wav プー ⸢プー [⸢puː] 名 帆。「海人小船 帆かもはれる~。万、1182」、「帆、保<ほ>」『和名抄』の転訛。帆には、⸣イダフニヌ ⸢プー[⸣ʔidaɸuninu ⸢puː](板舟<サバニ>の帆)。この帆の形を⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː]<⸢帆桟帆」の義か>という」と、⸢ティンマヌ プー[⸢timmanu puː](伝馬船の帆)、この形をフ⸢クル⸣プー[ɸu̥⸢kuru⸣puː](⸢袋帆」の義か{EOS}和船の帆)という、の二種類があった。 ⸢プー⸣ ピ⸢キティ⸣ フニ パ⸢ラ⸣シ [⸢puː⸣ pi̥⸢kiti⸣ ɸuni pa⸢ra⸣ʃi] (帆を上げて<引いて>舟を走らせよ) 14577 0 0 14304 htmvoc_14577.wav プー ⸢プー [⸢puː] 名 皮膚病の一種。皮膚の一部に粟粒状の\ruby{発疹}{ホッ|シン}ができて痒くなり、痛くなる病気。原因不明の皮膚病とされ、老婆たちがタバコの煙を吹きかけて呪文を唱える治療を施していた。 ヌ⸢ビ⸣カジナー ⸢プーヌ⸣ ンジ ⸢ベー⸣ティ ⸣アッパー タ⸢バク⸣ヌ キ⸢ボーシバ⸣ フ⸢キ⸣カキティ フ⸢チカザル⸣ シ⸢ティ トゥンザ⸣ク ⸢ソーッ⸣タ [nu⸢bi⸣kaʤinaː ⸢puːnu⸣ ʔnʤi ⸢beː⸣ti ⸣ʔappaː ta⸢baku⸣nu ki⸢boːʃiba⸣ ɸu̥⸢ki⸣kḁkiti ɸu̥⸢ʧikaʣaru⸣ ʃi̥⸢ti tunʣa⸣ku ⸢soːt⸣ta] (首筋<うなじ>にプー<発疹>が出ているので、お婆さんがタバコの煙を吹きかけて呪文を唱えて治療<⸢頓着」の義{EOS}転じて⸢看病」をすること>をされた) 14578 0 0 14305 htmvoc_14578.wav ブーイトゥ ⸣ブーイトゥ [⸣buːʔitu] 名 麻糸。苧麻(カラムシ)の繊維を績んで造った糸。 ム⸢カ⸣シェー ⸢キンヌイイトゥ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ユンダ ⸣ブーイトゥシル ⸢キン⸣ユン ヌイ⸢ヨーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kinnuiʔitu⸣nu ⸢naːɲ⸣junda ⸣buːʔituʃiru ⸢kiɲ⸣jun nui⸢joːt⸣ta] (昔は縫い糸もなかったので、麻糸で着物も縫われたものだ) 14579 0 0 14306 htmvoc_14579.wav ブーウームン ⸣ブー ⸢ウー⸣ムン [⸣buː ⸢ʔuː⸣muŋ] 連 麻糸を紡ぐ<績む>。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥ ⸢ジュー⸣ネンブカラ ⸢バー⸣ケー ⸢ブー⸣バ ⸢ウーミ⸣ル ⸢ヌーヌン⸣ ウ⸢リティ⸣ キン ⸢サーソーッタ⸣ル [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatu ⸢ʤuː⸣nembukara ⸢baː⸣keː ⸢buː⸣ba ⸢ʔuːmi⸣ru ⸢nuːnuŋ⸣ ʔu⸢riti⸣ kin ⸢saːsoːtta⸣ru] (戦後10年ぐらいまでは麻を績んで布を織り、着物を仕立てられたものだ) 14580 0 1 14307 htmvoc_14580.wav ブーガー ⸢ブー⸣ガー [⸢buː⸣gaː] 名 {Mn_1}化膿した腫れ物の中心部が膨れあがること。腫れ物の根。 ⸢ワー⸣ ア⸢シ⸣ボー ⸢ブー⸣ガー ⸣ナリ ⸢ベー [⸢waː⸣ ʔa⸢ʃi⸣boː ⸢buː⸣gaː ⸣nari ⸢beː] (君のお出来<腫れ物>は化膿して膨れ上がっている)。 14580 0 2 14308 htmvoc_14580.wav ブーガー ⸢ブー⸣ガー [⸢buː⸣gaː] 名 {Mn_2}脱肛。直腸の肛門部が外部へ出たもの。 ⸣ドゥク ン⸢グム⸣カー ⸢ブーガー⸣ヌ ⸢トゥンジルン⸣ダー [⸣duku ʔŋ⸢gumu⸣kaː ⸢buːgaː⸣nu ⸢tunʤirun⸣daː] (あんまり力むと直腸の肛門部が飛び出る<脱肛する>よ) 14581 0 0 14309 htmvoc_14581.wav プーカー ⸢プー⸣カー [⸢puː⸣kaː] 名 風船。 シ⸢ダフカ⸣ヌ ⸢オーカー⸣ パギティ ウ⸢リヌ⸣ ウ⸢チガー⸣シ ⸢プー⸣カー ス⸢クル⸣タン [ʃi⸢daɸu̥ka⸣nu ⸢ʔoːkaː⸣ pagiti ʔu⸢rinu⸣ ʔu⸢ʧigaː⸣ʃi ⸢puː⸣kaː su̥⸢kuru⸣taŋ] (浜木綿の外皮を剥いで、それの内皮<その薄い内皮>で風船を作ったものだ) 14588 0 0 14310 htmvoc_14588.wav フーガーリ ⸢フーガーリ [⸢ɸuːgaːri] 名 風変わり。性格や行動が一風変わっていること。 チ⸢カ⸣グロー ⸢フーガーリヌ⸣ ブ⸢ドゥルヌ⸣ パ⸢ヤー⸣リティ ウ⸢ムッ⸣サー ⸢ナーン⸣バン [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢ɸuːgaːrinu⸣ bu⸢durunu⸣ pa⸢jaː⸣riti ʔu⸢mus⸣saː ⸢naːm⸣baŋ] (近頃は風変わりな踊が流行って面白くないわい) 14589 0 0 14311 htmvoc_14589.wav ブーカシ ⸢ブー⸣カシ [⸢buː⸣kaʃi] 名 麻糸。あさがせ(麻綛)。布の縦糸にする麻糸。麻糸を一定の長さの枠に一定回数巻いて、それを枠から取り外して束ねたもの。 ⸣カシェー ⸢ブー⸣カシシル パ⸢トゥ⸣ムノー ⸣タティシケーヌ ヌ⸢ケー⸣ ヌーシ ウ⸢ルワ⸣メー [⸣kaʃeː ⸢buː⸣kaʃiʃiru pḁ⸢tu⸣munoː ⸣tḁtiʃi̥keːnu nu⸢keː⸣ nuːʃi ʔu⸢ruwa⸣meː] (\ruby{綛糸}{アカセ|イト}は\ruby{麻綛}{アサ|ガセ}で\ruby{機}{ハタ}をたてておいてあるが、ぬきいと<\ruby{緯}{ヨコ}糸>は何で織ろうかねえ、もう) 14582 0 0 14312 htmvoc_14582.wav フーガフーガ ⸢フーガフーガ [⸢ɸuːgaɸuːga] 副 さめざめと泣くさま。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムイザ⸣シティ ⸢フーガフーガ⸣シ ナ⸢キベー [ʔu⸢ja⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢muiʣa⸣ʃi̥ti ⸢ɸuːgaɸuːga⸣ʃi na⸢ki beː] (親のことを思い出してさめざめと泣いている) 14590 0 0 14313 htmvoc_14590.wav フーガフーガシ ⸢フーガフー⸣ガシ [⸢ɸuːgaɸuːga⸣ʃi] 副 さめざめと。声を出して静かに泣く様子。声を押し殺して悲しそうに泣く様子。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ウ⸢ヤ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣ル ウ⸢モーリ⸣タユー ⸢フーガフーガ⸣シ ナ⸢キ ベー [⸢kjuː⸣ja(wa)ʔu⸢ja⸣nu ku̥⸢tu⸣ru ʔu⸢moːri⸣tajuː ⸢ɸuːgaɸuːga⸣ʃi na⸢ki beː] (今日は、親のことが思い出されたのかさめざめと泣いている) 14584 0 0 14314 htmvoc_14584.wav フーカラ ⸢フー⸣カラ [⸢ɸuː⸣kara] 名 ⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](クロツグ<桄榔>)の幹頂につく黒く光沢のある繊維。風雨に\ruby{晒}{サラ}されても強い繊維で、屋根葺きの締め縄や船のアンカー綱、牛の鼻綱に利用される。また座敷箒の素材としても利用される。 ⸢フー⸣カラシ ⸣ナウ ⸣シナー ⸣ッサリランダ ナ⸢ガムティ スン [⸢ɸuː⸣karaʃi ⸣nau ⸣ʃinaː ⸣ssariranda na⸢gamuti suŋ] (クロツグの繊維で綯った綱は腐れないから長持ちする) 14585 0 0 14315 htmvoc_14585.wav フーカラジナ ⸢フー⸣カラジナ [⸢ɸuː⸣karaʤina] 名 しゅろ綱(棕櫚綱)。クロツグの繊維で綯った綱。「クロツグ綱」の義。風雨に強く、⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)のアンカーロープや茅葺屋根の甍を締めるカ⸢キ⸣ナー[kḁ⸢ki⸣naː](掛け縄)にも、これを使った。 ⸣イダフニヌ ⸢アン⸣カージナーン ウ⸢シヌ⸣ パ⸢ナジナーン フー⸣カラジナシル ⸢ソーッタ⸣ル [⸣ʔidaɸuninu ⸢ʔaŋ⸣kaːʤinaːŋ ʔu⸢ʃinu⸣ pa⸢naʤinaːŋ ɸuː⸣karaʤinaʃiru ⸢soːtta⸣ru] (板舟<サバニ>のアンカー綱も牛の鼻綱もクロツグ綱でされた<使用された>ものだ) 14586 0 0 14316 htmvoc_14586.wav フーカラポーキ ⸢フー⸣カラポーキ [⸢ɸuː⸣karapoːki] 名 クロツグの繊維で作った座敷用の箒。座敷箒。 ⸢フー⸣カラポーキシ イ⸢チバン⸣ザー ⸢ポー⸣キバ [⸢ɸuː⸣karapoːkiʃi ʔi⸢ʧiban⸣ʣaː ⸢poː⸣kiba] (クロツグの箒で一番座を掃きなさいよ) 14587 0 0 14317 htmvoc_14587.wav フーカラムシ ⸢フー⸣カラムシ [⸢ɸuː⸣karamuʃi] 名 (動)黒い毛虫。⸢フー⸣カラ[⸢ɸuː⸣kara](クロツグの繊維)のような毛で覆われた、体長約5センチの毛虫。 ⸢フー⸣カラムシェー ナ⸢チンマーラナー⸣ル ⸣ユー ⸣シディティ ⸣ンジ ⸢クー⸣タ⸢ナー [⸢ɸuː⸣karamuʃeː na⸢ʧimmaːranaː⸣ru ⸣juː ⸣ʃiditi ⸣ʔnʤi ⸢kuː⸣ta⸢naː] (黒い毛虫は夏頃に<ぞ>よく孵化して出てきたよねえ) 14591 0 0 14318 htmvoc_14591.wav プーキ ⸢プーキ [⸢puːki] 名 風土病。マラリア。「Fuˇqi.フゥキ(風気)ひどく熱の出る、ある伝染性の病気」『邦訳日葡辞書』の義。 ⸢プーキ⸣ カ⸢タミ⸣プス [⸢puːki⸣ kḁ⸢tami⸣pu̥su] (マラリア患者{EOS}「風気担ぎ人」の義)。 ⸢パイタ⸣ナー ⸢プーキヌ⸣ アルンダ(⸣アンダ) パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢タースク⸣リン ⸢パイ⸣ター ⸢ギーティ プーキ⸣ カ⸢カ⸣ル プ⸢スン⸣ ブ⸢タン [⸢paita⸣naː ⸢puːkinu⸣ ʔarunda(⸣ʔanda) pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢taːsu̥ku⸣rim ⸢pai⸣taː ⸢giːti puːki⸣ kḁ⸢ka⸣ru pu̥⸢sum⸣ bu⸢taŋ] (西表島<南端>には風気<マラリア>があるから、鳩間の人は水田耕作に行って風気に罹る人もいた) 14592 0 0 14319 htmvoc_14592.wav プーキジマ ⸢プーキジマ [⸢puːkiʤima] 名 マラリア地帯。「マラリア島」の義。戦前は西表島、石垣島の伊原間、平久保などがマラリア有病地とされていた。 イ⸢クサ⸣ユーナー ⸢グンヌ メイレイ⸣シ ⸢プーキジマー⸣ ヒ⸢ナン⸣ シ⸢ミラリティ プーキ⸣ カ⸢カ⸣リティ シ⸢ネー⸣ プ⸢スン⸣ タカー⸢ニン ブン [ʔi⸢kusa⸣juːnaː ⸢gunnu meirei⸣ʃi ⸢puːkiʤimaː⸣ çi⸢naŋ⸣ ʃi⸢mirariti puːki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ʃi⸢neː⸣ pu̥⸢sun⸣ takaː⸢nim buŋ] (戦争中、軍命令でマラリア有病地<西表島や裏石垣>に避難させられて、マラリアに罹って死んだ人も沢山いる) 14593 0 0 14320 htmvoc_14593.wav フーキシムヌ ⸢フーキシ⸣ムヌ [⸢ɸuːkiʃi⸣munu] 名 不運な者。幸運から見放された者。「符<幸運。果報>切れ者」の義。 ⸢フーキシ⸣ムヌ ⸣ナルカー ノー⸢ン サバン⸣ ア⸢タラヌ [⸢ɸuːki̥ʃi⸣munu ⸣narukaː noː⸢n sabaŋ⸣ ʔa⸢taranu] (運が切れたら何事をしても成功しない<当らない>) 14594 0 0 14321 htmvoc_14594.wav プーギタ ⸢プーギタ [⸢puːgita] 名 帆桁。フ⸢クル⸣プー[ɸu̥⸢kuru⸣puː](袋帆)の最上段と最下段にある桁。強い木材を利用した。これには、ウ⸢チ⸣マー[ʔu⸢ʧi⸣maː]という縄が張られており、帆が帆柱より離れるのを防ぐ機能を果たしていた 14595 0 0 14322 htmvoc_14595.wav ブーキン ⸣ブーキン [⸣buːkiŋ] 名 からむし(苧)の繊維で織った着物。涼しい着物で上等、高貴な衣服とされた。 ク⸢リル⸣ アボー ウ⸢リッふォー⸣レール ブーキン⸢ダー [ku⸢riru⸣ ʔaboː ʔu⸢riffoː⸣reːru buːkin⸢daː] (これがお母さんが<ぞ>織って下さった麻の着物だよ) 14596 0 0 14323 htmvoc_14596.wav フーク ⸢フー⸣ク [⸢ɸuː⸣ku] 名 奉公。他人に尽くす。 バ⸢カーン⸣ケンマー ウ⸢ヤカタ⸣ヌ ⸣ヤーナー グ⸢ニンマー フー⸣ク ⸢シーティル⸣ ケー⸢ダー [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː ʔu⸢jakata⸣nu ⸣jaːnaː gu⸢nimmaː ɸuː⸣ku ⸢ʃiːtiru⸣ keː⸢daː] (若かった頃には親方の家に五年間は奉公してから帰ってきたのだよ)。 ⸢ワー⸣ メー プ⸢スヌ フー⸣ク カー⸢ニ シーティ ドゥー⸣ヌ ⸣クトー イ⸢チル スーワ [⸢waː⸣ meː pu̥⸢sunu ɸuː⸣ku kaː⸢ni ʃiːti duː⸣nu ⸣ku̥toː ʔi⸢ʧiru suːwa] (君は、もう、他人に尽くしてばかりいて<奉公だけして>、自分のことは何時<ぞ>するのか) 14597 0 0 14324 htmvoc_14597.wav ブーグル ⸢ブー⸣グル [⸢buː⸣guru] 名 麻の皮をはいだ茎。「おがら(苧殻)」の義。 ⸢ブー⸣ガラー ⸣プスカー ⸢ピータシキ⸣ムヌ ナルン⸢ダー⸣ シ⸢トゥナ⸣ヨー [⸢buː⸣garaː ⸣pu̥sukaː ⸢piːtaʃi̥ki⸣munu narun⸢daː⸣ ʃi̥⸢tuna⸣joː] (苧殻は干したら\ruby{焚付}{タキ|ツケ}になるよ、捨てるなよ) 14598 0 0 14325 htmvoc_14598.wav ブーサー ⸢ブー⸣サー [⸢buː⸣saː] 名 じゃんけん(石拳)の一種。「両拳」の転訛とする説、[muʃi]+[jaː](接尾辞)→ [muʃaː] → [buʃaː] → [buːsaː] 説『石垣方言辞典』がある。 ⸢ブー⸣サー シ⸢ティ⸣ マ⸢キル⸣ プ⸢ソーラ⸣ ンジ ⸣パリバ [⸢buː⸣saː ʃi̥⸢ti⸣ ma⸢kiru⸣ pu̥⸢soːra⸣ ʔnʤi ⸣pariba] (じゃんけん<石拳>をして、負ける人から出て行きなさいよ) 14599 0 0 14326 htmvoc_14599.wav プーザンプー ⸢プーザンプー [⸢puːʣampuː] 名 片帆。横風を帆にはらませて舟の推進力に転換させる構造の帆。「帆桟帆」の義か。形は⸣イダフニ[ʔidaɸuni](板舟{EOS}<サバニ>)の帆の形と同形。沖縄本島の本部より導入された帆で、それまでのフ⸢クル⸣プー[ɸu̥⸢kuru⸣puː](袋帆{EOS}真帆{EOS}和船の帆)より進んだ機能のある帆という。本部の漁師が鳩間島に来てカツオ漁、イカ釣り漁をしたとき、カ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)に宿をとっていたので、その技術を加治工家の者が学び取ったという。当初鳩間島の人はプーザンプーを見て、⸣アイブ ⸣ムヌシ ⸢ティーアザナー⸣ヌ ⸣フニ ム⸢タ⸣リンカヤー[⸣ʔaibu ⸣munuʃi ⸢tiːʔaʣanaː⸣nu ⸣ɸuni mu⸢ta⸣riŋkajaː](あんな物で、手が絡み合って操船できる<舟がもてる>だろうか)と言っていたが、操船してみるとプーザンプーが便利で機能的であることに気付き、次第に一般に普及していったという(加治工伊佐直話)。ナ⸢ナタン⸣ブー[na⸢natam⸣buː](⸢七反帆」の義か)、ハ⸢チタン⸣ブー[hḁ⸢ʧitam⸣buː](「八反帆」の義か)が⸢プーシン[⸢puːsiŋ](帆船)のプーザンプー(帆桟帆)の型であったという。この帆の利点は、⸢オーラーマーレー[⸢ʔoːraːmaːreː](風上方向へ旋回すること)が可能であったことという。プーザンプーの形は長い台形をなし、約一反幅で竹竿の桟<帆桁>が7,8本付いている。それぞれの桟<帆桁>には、取り外し式のウ⸢チ⸣マー[ʔu⸢ʧi⸣maː](桟の両端に結ばれた縄)が帆柱を抱くように張られ、帆柱と帆桟<帆桁>が離れないように工夫されろとともに、帆桁の右端には⸢ティン⸣ナー[⸢tin⸣naː](「手縄」の義か)が結わえられており、それが船頭の所に集められる。船頭は風の強弱に合わせて⸢ティン⸣ナー(手縄)を引いたり、緩めたりして操船した。最下段の桟<帆桁>の四分の一程の上手に、⸢アー⸣パ[⸢ʔaː⸣pa](桟をしっかり柱に結わえつける縄)が付いている。帆は最上段の桟<帆桁>の中央部にミ⸢ナー[mi⸢naː](「水縄」の義)が結わえられ、ミ⸢ナー[mi⸢naː](水縄)を柱の先端の⸢ナン⸣バー[⸢nam⸣baː](滑車)に通して帆を引き上げた。⸣イダフニの帆柱の先端部にある、ミ⸢ナーを通す穴は、カ⸢ナミー[ka⸢namiː]という。帆の大きさには、⸢ヤイルプー[⸢jairupuː](八尋帆)、⸢ヤイルパン[⸢jairupaŋ](八尋半)、ク⸢ヌ⸣イル[ku⸢nu⸣iru](九尋)、⸣ジッピル[⸣ʤippiru](十尋)など、各種の大きさの帆があったという 14600 0 1 14327 htmvoc_14600.wav フージ ⸢フージ [⸢ɸuːʤi] 名 {Mn_1}作法に適った容姿。格好。「Fujei.フゼイ(風情) 格好、あるいは、様子.Icarino fujeiuo arauasu(怒りの風情をあらはす)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ウイプス⸣ヌ ⸢フージェー ナー⸣ヌ ⸣アイブ ⸢キン⸣バ キ⸢シティ⸣ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ゾーン⸣ナ [⸢ʔuipusu⸣nu ⸢ɸuːʤeː naː⸣nu ⸣ʔaibu ⸢kim⸣ba ki̥⸢ʃiti⸣ mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʣoːn⸣na] (年寄りのくせに格好が悪い<風情がない>よ、あんな着物を着て外出しなさるな<道へ出られるな>よ)。 14600 0 2 14328 htmvoc_14600.wav フージ ⸢フージ [⸢ɸuːʤi] 名 {Mn_2}形式名詞。~様子。ウ⸢ヌ[ʔu⸢nu](その)等の連体詞や助動詞⸣ギサン[⸣gisaŋ](ようだ)の語幹に付いて⸢~のようだ」(様態)の意味を表す。 ア⸢ツァブカ⸣ラー イ⸢サンケー⸣ パ⸢リン⸣ギサ ⸢フージー [ʔa⸢ʦabuka⸣raː ʔi⸢saŋkeː⸣ pa⸢riŋ⸣gisa ⸢ɸuːʤiː] (明日あたり石垣島へ行きそうな様子だ)。 ウ⸢ヌ フージ⸣ヌ プ⸢ス ヤッタ [ʔu⸢nu ɸuːʤi⸣nu pu̥⸢su jatta] (そのような身なり<程度>の人だった) 14601 0 0 14329 htmvoc_14601.wav ブーシジ ⸢ブー⸣シジ [⸢buː⸣ʃiʤi] 名 カラムシ(苧)の繊維。 マ⸢ブ⸣ル ク⸢モー⸣ル ⸣ピンマー ⸢ブー⸣シジシ ⸢ブー⸣ダマ ス⸢ク⸣リティ ⸢ニン⸣ガイ シ⸢ティ⸣ ウ⸢リバ⸣ ヌビナー パ⸢カソーッ⸣タ [ma⸢bu⸣ru ku⸢moː⸣ru ⸣pimmaː ⸢buː⸣ʃiʤiʃi ⸢buː⸣dama su̥⸢ku⸣riti ⸢niŋ⸣gai ʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢riba⸣ nubinaː pḁ⸢kasoːt⸣ta] (魂籠めをされる時は苧の繊維で結び目<苧玉>を作り、祈願をしてそれを首にはかせられた) 14602 0 0 14330 htmvoc_14602.wav ブージナ ⸢ブー⸣ジナ [⸢buː⸣ʤina] 名 麻の繊維を細かく裂き、細い糸に\ruby{撚}{ヨ}って、それに結び玉を3、5、7個結んで作った麻糸。「苧綱」の義。これで魂籠めをして、その人の首に\ruby{穿}{ハ}かせる。魂籠めの祈願をする際には、マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠めの儀礼)の供物の一つである水を入れた茶碗の上で苧綱を3度まわし、⸣ヌーディマリ[⸣nuːdimari](何年生まれ)の⸢ターター[⸢taːtaː](誰々)と実名を唱えて、マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢カイ⸣トゥキナー マ⸢ブロー⸣マ ク⸢ミ⸣シミ タ⸢ブ⸣ローリ[ma⸢nama⸣nu ⸢kai⸣tu̥kinaː ma⸢buroː⸣ma ku⸢mi⸣ʃimi ta⸢bu⸣roːri](唯今の佳き時に魂を籠めさせてください)と唱え、手早くブージナを締めて魂を逃がさぬよう、\ruby{魂籠}{タマ|ゴメ}をする人の衣服の袖の中に入れ、袖の両端を縛っておく。それを家の中に持ち帰って魂籠めをした人の首に穿かせる。一ヶ月ほど首に穿いていると、マ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru](魂)は体内にもどるといわれている。以後は箪笥の中の本人の衣類の中に入れて保管する。首に苧綱を\ruby{穿}{ハ}くことを、マ⸢ブ⸣ル パ⸢クン[ma⸢bu⸣ru pḁ⸢kuŋ]という。旅にいる家族のために、マ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru]を籠めて、その人の衣類を送ってやることもある 14603 0 0 14331 htmvoc_14603.wav プーシン ⸢プーシン [⸢puːʃiŋ] 名 帆船。ナ⸢ナタン⸣ブー[na⸢natam⸣buː](七反帆)、ハ⸢チタン⸣ブー[hḁ⸢ʧitam⸣buː](八反帆)の二本マストの帆船に、⸣ハッチョールー[⸣hatʧoːruː](八挺の櫓)、⸣ロクチョールー[⸣rokuʧoːruː](六挺艪)を装備して航海、操船したという。帆船のカツオ漁船は明治末期に沖縄の本部から導入されたという。当初は散水器もなく、竹を割って造った⸢スー⸣パニ[⸢suː⸣pani](潮撥ね器具)で潮を撥ねてカツオを釣ったという(加治工伊佐氏談)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢プーシンラル⸣ カ⸢ツ ホー⸣シン ⸢オーッ⸣タティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢puːʃinraru⸣ kḁ⸢ʦu hoː⸣ʃiŋ ⸢ʔoːt⸣tati⸢daː] (昔は帆船でカツオを釣りに行かれたそうだよ) 14604 0 0 14332 htmvoc_14604.wav フースクン ⸣フー ⸣スクン [⸣ɸuː ⸣su̥kuŋ] 連 幸運に恵まれる。「符(幸運{EOS}果報)が付く」の義。 ⸣カイブ ⸢イットーッふァー⸣バ ユ⸢ミ サーリ⸣ キー ⸢ワー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ガバーフーバ シ⸢キ⸣ブーバン ⸢ボー⸣レー [⸣kaibu ⸢ʔittoːffaː⸣ba ju⸢mi saːri⸣ kiː ⸢waː⸣ ʔik⸢kena⸣ gabaːɸuːba ʃi̥⸢ki⸣ buːbam ⸢boː⸣reː] (こんなに立派な子を嫁に連れてきて、君は最高の果報が付いているよ、よくやった<お利口さん>) 14605 0 0 14333 htmvoc_14605.wav ブーソー ⸢ブー⸣ソー [⸢buː⸣soː] 名 ぶっしょう(仏餉)の転訛したもの。法事の際に供物の他に、茶碗に盛り飯をして供えるもの。無縁仏への分<お布施>として供えるという。⸢ブー⸣ソー[⸢buː⸣soː]の⸣ウサンダイ[⸣ʔusandai](お下がり)は必ず女性が食すること、男性は食しないことに決まっているという。 ⸢ブーソー⸣ヌ ⸣ウサンダイヤー ヤー⸢ディン⸣ ミ⸢ドゥム⸣ル ッ⸢ふー⸣ティ キ⸢マリ ブー⸣ツォー [⸢buːsoː⸣nu ⸣ʔusandaijaː jaː⸢dim⸣ mi⸢dumu⸣ru f⸢fuː⸣ti ki⸢mari buː⸣ʦoː] (仏餉のお下がりは必ず女が食べるものと決まっているそうだ) 9463 0 0 14334 htmvoc_9463.wav フータイ ⸢フー⸣タイ [⸢ɸuː⸣tai] 名 風袋。包装分。品物の上包み 14606 0 0 14335 htmvoc_14606.wav フータイ ⸢フータイ [⸢ɸuːtai] 名 ふうたい(風袋)の重量。品物を計量する際、品物の容器<箱、缶>や包装、袋などの重さ。 ク⸢ヌ⸣ イ⸢ゾー フータイ⸣ ピ⸢ク⸣カー ⸣ナンギン カ⸢カル⸣ワ [ku⸢nu⸣ ʔi⸢ʣoː ɸuːtai⸣ pi̥⸢ku⸣kaː ⸣naŋgiŋ kḁ⸢karu⸣wa] (この魚は風袋の重さを差し引くと何斤になるか<かかるか>) 14607 0 0 14336 htmvoc_14607.wav フータイ ⸢フー⸣タイ [⸢ɸuː⸣tai] 名 はり(梁)。うつばり。柱上に渡して小屋組を受ける横木。多くの場合、湾曲したフ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)などの大木が利用された。 マ⸢ガリキーバ フー⸣タイ シゥ⸢カウムル サイク⸣ヌ ウ⸢ディ⸣ヌ ミ⸢シドゥク⸣ル⸢ゲ⸣ラ [ma⸢garikiːba ɸuː⸣tai sï̥⸢kaumuru saiku⸣nu ʔu⸢di⸣nu mi⸢ʃiduku⸣ru⸢ge⸣ra] (曲がった材木を梁に使うのが大工の腕の見せ所さ) 14608 0 0 14337 htmvoc_14608.wav ブーダマ ⸢ブー⸣ダマ [⸢buː⸣dama] 名 呪具の一つ。約1メートルの⸣ブー[⸣buː](苧麻の繊維)を撚って中央部に結び玉を3、5、7個作り、マ⸢ブ⸣ル ウ⸢タ⸣シ[ma⸢bu⸣ru ʔu⸢ta⸣ʃi](転んだり、ひどくびっくりして魂を落としたり)した時に、マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠め)の祈願をして、それでマ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru](魂、生霊)を籠め、結ぶのに用いる呪具。 ⸢ブー⸣バ ⸢ウー⸣ミ ⸢ブー⸣ダマー ス⸢ク⸣リティ⸣ ウ⸢リ⸣シ マ⸢ブ⸣ル ⸣クミティ ⸣ヌビナー パ⸢カソーッ⸣タ [⸢buː⸣ba ⸢ʔuː⸣mi ⸢buː⸣damaː su̥⸢ku⸣riti ʔu⸢ri⸣ʃi ma⸢bu⸣ru ⸣kumiti ⸣nubinaː pḁ⸢kasoːt⸣ta] (苧を績んでブーダマを作り、それで魂籠めをして、首におし穿かされた) 14609 0 0 14338 htmvoc_14609.wav フータラーンムヌ ⸣フー タ⸢ラーンムヌ [⸣ɸuː ta⸢raːmmunu] 連 運の悪い人。不幸な人。運が尽きて死ぬ人。「符足りぬ者」の義。 ⸣フー タ⸢ラーンムヌ⸣ ヤ⸢レー⸣ティル ⸢タシキララン⸣ ブ⸢レー⸣ル [⸣ɸuː ta⸢raːmmunu⸣ ja⸢reː⸣tiru ⸢taʃi̥kiraram⸣ bu⸢reː⸣ru] (運の悪い人<符足りぬ人>だったので助けられなかったのだろうよ) 14618 0 0 14339 htmvoc_14618.wav ブーチ ⸢ブー⸣チ [⸢buː⸣ʧi] 名 むち(鞭)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カン⸣ ッ⸢ふァー ブー⸣チシ シ⸢ビ⸣ シ⸢トゥ⸣ナイバ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni sï̥⸢kaŋ⸣ f⸢faː buː⸣ʧiʃi ʃi⸢bi⸣ ʃi̥⸢tu⸣naiba] (親のいうことを聞かない子は鞭で尻を打ちすえ<叩き>なさいよ) 14619 0 0 14340 htmvoc_14619.wav フートゥク ⸢フー⸣トゥク [⸢ɸuː⸣tu̥ku] 名 幸運。生来の幸運と仁徳。「符・徳」の義。 ⸣クビ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢シー オーシェー⸣バ ⸣アトー ⸣メー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢フー⸣トゥクナール カ⸢カ⸣ル [⸣kubi ⸢tunʣa⸣ku ⸢ʃiː ʔoːʃeː⸣ba ⸣ʔatoː ⸣meː ⸢duː⸣nu ⸢ɸuː⸣tu̥kunaːru kḁ⸢ka⸣ru] (これだけ看病<頓着>して差し上げたから、助かるかどうかは<後は>もう、自分<本人>の幸運にかかっている) 14610 0 0 14341 htmvoc_14610.wav ブーナー ⸢ブー⸣ナー [⸢buː⸣naː] 名 (動)魚の名。和名、フグ(河豚{EOS}体長約30センチ)の総称。和名、ハコフグ(⸢マッ⸣ふァイズ{SqBr}⸢maf⸣faʔiʣu{/SqBr}<枕魚{EOS}体長約30センチ>)にもいう。攻撃を受けると腹を膨らます。鳩間島では食用に供しない。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢ブー⸣ナーンドーレー ッ⸢ふームヌテー⸣  ウムイ ⸢オーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢buː⸣naːndoːreː f⸢fuːmunuteː⸣ ʔumui ⸢ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島の人は、ふぐ<河豚>などは食べるものとは思われなかった)。網にかかっても捨てる。大型の河豚は、⸢マッ⸣ふァイズ[⸢maf⸣faʔiʣu](こんごうふぐ{EOS}<枕魚>の義)ともいう。 ⸢ブーナー⸣ヤ ッ⸢ふァーラヌティ⸣ ア⸢ゾー⸣リ ウ⸢レー⸣ シ⸢ティソーッ⸣タ [⸢buːnaː⸣ja f⸢faːranuti⸣ ʔa⸢ʣoː⸣ri ʔu⸢reː⸣ ʃi̥⸢tisoːt⸣ta] (河豚は食べられないといわれて、それは捨てられ<捨てなさっ>た) 14620 0 0 14342 htmvoc_14620.wav ブーナー ⸣ブーナー [⸣buːnaː] 名 麻縄。カラムシ<苧>の繊維を\ruby{撚}{ヨ}って作った釣り糸<縄>。 ム⸢カ⸣シェー イ⸢ズホーシ⸣ナーン ⸣ブーナーバル シゥ⸢カイヨーッ⸣タル [mu⸢ka⸣ʃeː ʔi⸢ʣuhoːʃi⸣naːm ⸣buːnaːbaru sï̥⸢kaijoːtta⸣ru] (昔は魚釣り糸も麻縄を使われたものだ) 14622 0 0 14343 htmvoc_14622.wav ブーヌ ⸢ブー⸣ヌ [⸢buː⸣nu] 名 斧。木を切ったり割ったりするのに用いる道具。「斧、乎能<をの>」『和名抄』の義。ヤ⸢マブー⸣ヌ[ja⸢mabuː⸣nu](山斧{EOS}山仕事用の斧)、⸢キーバリブー⸣ヌ[⸢kiːbaribuː⸣nu](薪割り用の斧)等がある。山斧は薪割り斧よりも小型で楔形の刃は鋭利であるのに比して、薪割り斧は少し大型で、楔形の刃も鈍角で厚い。 ⸢ユッキ [⸢jukki] (小型の斧)。イ⸢シユッキ[ʔi⸢ʃijukki](石工の用いる石斧)などがある。 ⸢ブー⸣ヌシ ⸢マーキ⸣ バ⸢リティ⸣ ティダナ ⸣プシバ [⸢buːnu⸣ʃi ⸢maːki⸣ ba⸢riti⸣ tidana ⸣puʃi̥ba] (斧で薪を割って太陽に干しなさいよ)。 ヤ⸢マー ペー⸣リティ ⸢ブー⸣ヌシ ⸢ヤーザイ⸣ギ キ⸢ジ⸣ ウ⸢ラ⸣ソーッタ [ja⸢maː peː⸣riti ⸢buː⸣nuʃi ⸢jaːʣai⸣gi ki⸢ʤi⸣ ʔu⸢ra⸣soːtta] (山へ入って建築用材木を削って下ろされた) 14624 0 0 14344 htmvoc_14624.wav ブーヌーヌ ⸣ブーヌーヌ [⸣buːnuːnu] 名 麻布。カラムシ(苧)の繊維で織った布。「苧布」の義。 ⸣アッパター ⸢クンジェー⸣ ブーヌーヌシル ⸢サーソーッ⸣タ [⸣ʔappataː ⸢kunʤeː⸣ buːnuːnuʃiru ⸢saːsoːt⸣ta] (お祖母さん方の\ruby{紺地}{コン|ジ}の着物は麻布で仕立てられた) 14623 0 0 14345 htmvoc_14623.wav プーヌソージ ⸢プーヌ ソー⸣ジ [⸢puːnu soː⸣ʤi] 連 稲穂の祈願。「稲穂の精進」の義。旧暦3月の壬、丙、庚の何れかの日を選んで祈願された⸢ユーニンガイ[⸢juːniŋgai](豊作祈願)で、ム⸢シヌ ニン⸣ガイ[mu⸢ʃinu niŋ⸣gai](虫を祓う⸢虫の祈願」)、ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[s⸢sabaː⸣nu ⸢niŋ⸣gai](稲の下葉が枯れないように祈願する祭事)と共に ⸢プーヌ ソー⸣ジ[⸢puːnu soː⸣ʤi](稲穂が完全に出揃うよう精進潔斎して祈願する祭事{EOS}パ⸢マウリソー⸣ジ{SqBr}pa⸢maʔurisoː⸣ʤi{/SqBr}<部落総出で浜下りをして祈願する祭事>をして祈願した)をして稲穂に害虫が付かぬよう、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)、ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)たちが⸢ウイヌ⸣ウガン(友利御嶽)、ニ⸢シ⸣ドーウガン(西堂御願)、ア⸢ラ⸣カーウガン(新川御願)、ピ⸢ナイ⸣ウガン(鬚川御願)、⸢マイドゥマ⸣ルウガン(前泊御願)、ミ⸢ルクン⸣ヤー(弥勒を奉納してある家{EOS}大城家)を回って祈願をした。パ⸢マウリソー⸣ジ[pa⸢maʔurisoː⸣ʤi](浜下り精進の祭事)の日、神職者達が祈願している間にム⸢ラヤクサ[mu⸢rajakusa](村役人)達がサバニで西表島へ行き、各地の田圃にススキの⸣サン[⸣saŋ](ススキの茎を十字に結んだ呪具)を差して帰った。 ⸢サン⸣マー⸢ヨー ターパタキ⸣ヌ ⸣カドーラ ⸢ミーパン ペー⸣リティ ⸣フケー ⸣ッスティ ア⸢ザリ ブー [⸢sam⸣maː⸢joː taːpataki⸣nu ⸣kadoːra ⸢miːpam peː⸣riti ⸣ɸu̥keː ⸣ssuti ʔa⸢ʣari buː] (サン<呪具>はねえ、田や畑の角から三歩中へ入って、ススキの茎<呪具のサン>を差すことといわれている)。 バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸢サン⸣マー ム⸢スビティ⸣ ス⸢ブル⸣ヌ パ⸢タ⸣ナー シ⸢キ⸣ルカー ウ⸢レー⸣ ヌ⸢キ⸣ムヌ ⸣ナルン [ba⸢raɸuta⸣nu ⸢sam⸣maː mu⸢subiti⸣ su⸢buru⸣nu pḁ⸢ta⸣naː ʃi̥⸢ki⸣rukaː ʔu⸢reː⸣ nu⸢ki⸣munu ⸣naruŋ] (藁のサンは、十字に結んで頭の側に置くと、それは魔除けとなる) 14625 0 0 14346 htmvoc_14625.wav フーヌマリ ⸢フー⸣ヌ マ⸢リ [⸢ɸuː⸣nu ma⸢ri] 連 幸運な生まれ。生まれつき幸運な人。「ふ(符)の生まれ」の義。 イッ⸢ケナ ソーユミバ⸣ ア⸢タリ ワー フン⸣トー ⸢フー⸣ヌ マ⸢リ⸣ ヤ⸢ルバン [ʔik⸢kena soːjumiba⸣ ʔa⸢tari waː ɸun⸣toː ⸢ɸuː⸣nu ma⸢ri⸣ ja⸢rubaŋ] (非常に立派な嫁に当って、君は誠に幸運な生まれつきだよ)。カ⸢フー⸣ヌ ⸣ムヌ[ka⸢ɸuː⸣nu ⸣munu](果報な者)ともいう 14626 0 0 14347 htmvoc_14626.wav フーヌムヌ ⸢フー⸣ヌ ⸣ムヌ [⸢ɸuː⸣nu ⸣munu] 連 運次第。「\ruby{符}{フ}の物」の義。 ⸣ウミシグトー ス⸢クリムヌ⸣トー ⸢カウリ フー⸣ヌ ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢チン⸣ トゥ⸢ラ⸣リンテー カ⸢ギラヌ [⸣ʔumiʃigutoː su̥⸢kurimunu⸣toː ⸢kauri ɸuː⸣nu ⸣munu ja⸢runda⸣ ʔit⸢ʧin⸣ tu⸢ra⸣rinteː ka⸢giranu] (漁師の仕事<海仕事>は農作物とは違って運次第の獲物だから、いつも漁獲できるとは限らない) 14627 0 0 14348 htmvoc_14627.wav フーバアリ ⸢フー⸣バ ⸣アリ [⸢ɸuː⸣ba ⸣ʔari] 連 運よく。幸い。「果報があって」の義。老年層が使う。⸢フー⸣バリ[⸢ɸuː⸣bari](運よく{EOS}<副>)ともいう。 ⸢フー⸣バ ⸣アリ ⸣パリ ブ⸢レー⸣ル ヤッ⸢トゥ⸣シ マ⸢ニアー⸣シェータンツォー [⸢ɸuː⸣ba ⸣ʔari ⸣pari bu⸢reː⸣ru jat⸢tu⸣ʃi ma⸢niʔaː⸣ʃeːtanʦoː] (運よく出発して<行って>いたのだよ、やっとのことで間に合ったそうだ) 14629 0 0 14349 htmvoc_14629.wav ブーパタキ ⸢ブーパタ⸣キ [⸢buːpata⸣ki] 名 麻畑。 ユ⸢ナ⸣デヌ カ⸢ク⸣ナール ⸢ベー⸣ヌ ⸢ブーパタ⸣ケー ⸢アッ⸣タ⸢ナー [ju⸢na⸣denu kḁ⸢ku⸣naːru ⸢beː⸣nu ⸢buːpata⸣keː ⸢ʔat⸣ta⸢naː] (与那田家の屋敷に我が家の麻畑はあったねえ) 14628 0 0 14350 htmvoc_14628.wav フーバリ ⸢フー⸣バリ [⸢ɸuː⸣bari] 副 運よく。幸いに。幸運にも。若年層が使う。 ⸢フー⸣バリ ⸣キノー ⸣パリ ブ⸢レー⸣ナー [⸢ɸuː⸣bari ⸣kinoː ⸣pari bu⸢reː⸣naː] (運よく昨日出発し<行って>ていたなあ{EOS}<今日だったら間に合わなかった>の含意) 14630 0 0 14351 htmvoc_14630.wav フービ ⸢フービ [⸢ɸuːbi] 名 褒美。賞。 ウ⸢レー⸣ パ⸢リ⸣ダーユンダ ⸢ウンドー⸣カイナー ⸢チャー⸣ イ⸢チ⸣バン ⸣ナリティ ⸢フービ イー⸣リ クン⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ pa⸢ri⸣daːjunda ⸢ʔundoː⸣kainaː ⸢ʧaː⸣ ʔi⸢ʧi⸣ban ⸣nariti ⸢ɸuːbi ʔiː⸣ri kun⸢daː] (彼は良く走るから、運動会にはいつも一番になって褒美を貰ってくるよ) 14611 0 0 14352 htmvoc_14611.wav ブービキ ⸢ブー⸣ビキ [⸢buː⸣biki] 名 月賦。月々に割り当てて支払いすること。一度に払わずに何回かに分けて支払いすること。「賦引き」の転訛したものか。 ク⸢レー ブービ⸣キシ ⸢カイ クー⸣タ [ku⸢reː buːbi⸣kiʃi ⸢kai kuː⸣ta] (これは月賦で買ってきた) 14631 0 0 14353 htmvoc_14631.wav ブーブ ⸢ブー⸣ブ [⸢buː⸣bu] 名 \ruby{瀉血}{シャ|ケツ}。民間療法の一種。頭痛持ちの人、のぼせ症の人、腰痛やカ⸢ヤ[ka⸢ja](肩こり{EOS}肩の痛み)の人などに施されていた治療。剃刀の刃を炎で焼いて消毒し、それで瀉血を施すところ<背中など>の皮膚を軽く⸢パン⸣キ[⸢paŋ⸣ki](弾いて{EOS}傷つけて)、そこに竹筒やコップに度数の高い泡盛を入れて点火したものを据える。アルコールが燃え尽きると筒の中は真空になり、静脈から悪い血液を吸いだすという療法。 ヤ⸢ブヌル ブー⸣ボー<⸢ブー⸣ブー> トゥ⸢ローッ⸣タ [ja⸢bunuru buː⸣boː<⸢buː⸣buː> tu⸢roːt⸣ta] (民間療法の藪医者が瀉血<ブーブ>を取られた)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ブー⸣ブ ⸣トゥル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ⸢buː⸣bu ⸣turu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今は瀉血する<瀉血を取る>人はいない) 14632 0 1 14354 htmvoc_14632.wav ブーブー ⸣ブーブー [⸣buːbuː] 名 {Mn_1}凧の頭骨(竹)をしなら(撓)せて糸を張り、それに薄い油紙や和紙などを張って風力で振動音を出させる仕掛け。凧の泣き紙。 カ⸢ジヌ スー⸣カー ⸣ブーブーン ⸣ユー ⸢ナールン [ka⸢ʤinu suː⸣kaː ⸣buːbuːɲ ⸣juː ⸢naːruŋ] (風が吹く<そよぐ>と凧の泣き紙もよく鳴る)。 14632 0 2 14355 htmvoc_14632.wav ブーブー ⸣ブーブー [⸣buːbuː] 名 {Mn_2}草笛。フクギの若葉の裏側を少し折って剥がし、薄いビニール状の膜を出して口に当て、鳴らして遊ぶもの。 フ⸢クンヌパー⸣シ ⸣ブーブー ス⸢ク⸣リ ⸢ナーラシ⸣バ [ɸu̥⸢kunnupaː⸣ʃi ⸣buːbuː su̥⸢ku⸣ri ⸢naːraʃi⸣ba] (福木の葉でブーブー<草笛>を作って鳴らしなさいよ)。 ガ⸢ジマル⸣ヌ ⸢パー⸣シ ⸣ブーブ ⸢ナーラシ⸣バ [ga⸢ʤimaru⸣nu ⸢paː⸣ʃi ⸣buːbu ⸢naːraʃi⸣ba] (ガジマル<榕樹>の葉で草笛を吹いて鳴らしなさいよ) 14633 0 0 14356 htmvoc_14633.wav ブーブー ⸣ブーブー [⸣buːbuː] 名 (幼児語)凧。 ⸣ブーブー トゥ⸢バシン⸣ パラ⸢ナー [⸣buːbuː tu⸢baʃim⸣ para⸢naː] (ブーブー<凧>を揚げに<飛ばせに>行こうねえ) 14635 0 1 14357 htmvoc_14635.wav プープーシ ⸢プープー⸣シ [⸢puːpuː⸣ʃi] 副 {Mn_1}息を吹きかける動作の形容。 ⸢ピーフキダ⸣ケーラ ⸢プープー⸣シ イ⸢キ⸣バ ⸣フケーティ ⸣ピー ⸢モーシ⸣バ [⸢piːɸukida⸣keːra ⸢puːpuː⸣ʃi ʔi⸢ki⸣ba ⸣ɸu̥keːti ⸣piː ⸢moːʃi⸣ba] (火吹き竹から息を吹き込みながら火を熾し<燃やし>なさいよ)。 14635 0 2 14358 htmvoc_14635.wav プープーシ ⸢プープー⸣シ [⸢puːpuː⸣ʃi] 副 {Mn_2}放屁するさま。 ⸢プープー⸣シ ⸣ピー プ⸢スン⸣ドゥ ッ⸢サー ナー⸣ヌ [⸢puː⸣puːʃi ⸣piː pu̥⸢sun⸣du s⸢saː naː⸣nu] (プープーと放屁するが、臭くはない) 14634 0 0 14359 htmvoc_14634.wav ブーブブニ ⸣ブーブブニ [⸣buːbubuni] 名 凧の鳴き紙を貼る竹の頭骨。 ピ⸢キダマヌ⸣ ブーブブネー ク⸢シェーニ⸣ル マ⸢ギル⸣ダー [pi̥⸢kidamanu⸣ buːbubuneː ku̥⸢ʃeːni⸣ru ma⸢giru⸣daː] (凧の頭骨は背面の方に曲げるのだよ) 14636 0 0 14360 htmvoc_14636.wav プーマイ ⸣プーマイ [⸣puːmai] 名 稲藁のついたままの稲。「穂米」の義。刈り取ったままの稲。在来種の稲は⸣プーマイ[⸣puːmai]のままでシ⸢ラ[ʃi⸢ra](いなむら<稲叢>)に積み、トゥ⸢マー[tu⸢maː](苫)を掛けて屋根状に葺き、風雨を防いで保存した。 ⸣プーマイ プ⸢スマラ⸣キシ ⸢ヌー⸣マイ ⸢ユンス⸣ ン⸢ジ⸣ルンティ ア⸢ザリ ブー [⸢puː⸣mai pu̥⸢sumara⸣kiʃi ⸢nuː⸣mai ⸢junsu⸣ ʔn⸢ʤi⸣runti ʔa⸢ʣari buː] (穂米一丸き<30束>で玄米が四升搗ける<出る>といわれている) 14613 0 0 14361 htmvoc_14613.wav プーマキ ⸢プーマキ [⸢puːmaki] 名 夏の厳しい暑さ。酷暑。酷熱。蒸し暑さ。無風状態でほてるような暑さ。「ほめく<熱く>」の転訛。「Fomeqi,u,eita.ホメキ、ク、イタ(燥き、く、いた)非常な暑さである。または、非常に熱い.Miga fomequ.(身が燥く)からだが熱い、または、熱がある」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ナ⸢チヌ プーマケー シンダイ スーワ⸣ル ⸣ナリ クー⸢サー [na⸢ʧinu puːmakeː ʃindai suːwa⸣ru ⸣nari kuː⸢saː] (夏の酷暑<ほめき>は次第に強くなってくるようだねえ) 14614 0 0 14362 htmvoc_14614.wav プーマクン ⸢プーマクン [⸢puːmakuŋ] 自動 蒸し暑くなって、ほてる。熱気をおびる。「Miga fomeku(身が燥く)からだが熱い。熱がある」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 プ⸢スマー⸣ラ カ⸢ジヌ⸣ トゥ⸢リティ ソーン⸣カー ⸢プーマクン⸣ダー ⸢プーマカン⸣ケンナ シ⸢グトー⸣ ウ⸢チナ⸣シ シ⸢キ⸣リ [pu̥⸢sumaː⸣ra ka⸢ʤinu⸣ tu⸢riti soːŋ⸣kaː ⸢puːmakun⸣daː ⸢puːmakaŋ⸣keŋ ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢ʧina⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (正午から風が凪いで、そよがないと蒸し暑くなってほてるので、ほてらないうちに仕事は済ませておきなさい)。 ⸢プーマキティ⸣ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢puːmakiti⸣ ʃi⸢gutuː⸣ na⸢ra⸣nu] (蒸し暑くなって、ほてって仕事が出来ない)。 ⸢プーマク⸣ プソー ス⸢ブ⸣ローラ ミ⸢ジ⸣ カ⸢ビ⸣バ [⸢puːmaku⸣ pu̥soː su⸢bu⸣roːra mi⸢ʤi⸣ kabiba] (蒸し暑くなってほてってきたら、頭から水を被りなさい)。 ⸣アイニ ⸢プーマケー⸣ラー ⸢デー⸣ジ [⸣ʔaini ⸢puːmakeː⸣raː ⸢deː⸣ʤi] (あんなに蒸し暑くなって体がほてったら大変だよ) 14615 0 0 14363 htmvoc_14615.wav ブーマル ⸢ブー⸣マル [⸢buː⸣maru] 名 苧の繊維を丸く束ねたもので、神前に供えるもの。一本の苧の茎から採取されるほどの本数を束ねて四本の指に巻き取って丸めたもの。土祭りの際の供物の一つ。 シ⸢チマチ⸣ルナーヤ ⸢ブー⸣マルン シ⸢キルン⸣ツォー [ʃi̥⸢ʧimaʧi⸣runaːja ⸢buː⸣maruŋ ʃi̥⸢kirun⸣ʦoː] (土祭りには苧の繊維を束ねたものも供えるそうだよ) 14637 0 0 14364 htmvoc_14637.wav プーミ ⸢プーミ [⸢puːmi] 名 風味。 マイヌミー⸣ソー カ⸢バッ⸣サン ⸣アリ イッ⸢ケナ プーミーン⸣ アン [⸢mainumiː⸣soː ka⸢bas⸣saŋ ⸣ʔari ʔik⸢kena puːmiːŋ⸣ ʔaŋ] (米味噌は香ばしくもあり、非常に美味しい風味もある) 14638 0 0 14365 htmvoc_14638.wav プームティシゥカラ ⸢プームティシゥカ⸣ラ [⸢puːmutisï̥ka⸣ra] 名 風圧。風力。帆にかかる風の力。 ⸢シー⸣キサシ ⸣パラー カ⸢トンカ⸣シティ ⸢プームティシゥカ⸣ラー ⸢ヨーミ⸣リ [⸢ʃiː⸣ki̥saʃi ⸣paraː kḁ⸢toŋka⸣ʃi̥ti ⸢puːmutisï̥ka⸣ra ⸢joːmi⸣ri] (シーキサ楔で帆柱を後方に傾けて風圧を弱めなさい) 14616 0 0 14366 htmvoc_14616.wav ブームトゥ ⸢ブー⸣ムトゥ [⸢buː⸣mutu] 名 カラムシ(苧)の茎。 ⸢ブー⸣ムトゥ ⸣スリ ⸣バター ⸣トゥリティ ⸢ウンダ⸣ タ⸢キシーグ⸣シ ⸢カー⸣バ ⸣ピギティ ウ⸢リバ⸣ プシティル ⸢ブー⸣バ ⸣サキ ⸢ウー⸣モーッタル [⸢buː⸣mutu ⸣suri ⸣bataː ⸣turiti ⸢ʔunda⸣ tḁ⸢kiʃiːgu⸣ʃi ⸢kaː⸣ba ⸣pi̥giti ʔu⸢riba⸣ pu̥ʃitiru ⸢buː⸣ba ⸣sḁki ⸢ʔuː⸣moːttaru] (\ruby{苧}{カラムシ}の茎を刈り取り、芯を取り去って、それから竹製の小刀で表皮を剥ぎ取り、それを干して<ぞ>苧を裂いて麻糸に\ruby{績}{ウ}まれたものだ) 14639 0 0 14367 htmvoc_14639.wav プール ⸢プー⸣ル [⸢puː⸣ru] 名 豊年祭。稲の収穫祭。「穂利」と記されるが、「穂祈り」の義とする説『八重山語彙』がある。毎年旧暦六月中旬の壬の日から(i)⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](「夜通し」の義{EOS}夜をこめて祈願する前夜祭)が始まり、(ii) ⸣トーピン[⸣toːpiŋ](「当日」の義{EOS}ナ⸢カヌ⸣ピン{SqBr}na⸢kanu⸣piŋ{/SqBr}<中の日>ともいう)、(iii) シ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)と三日間に亘って執り行われる。鳩間島では旧暦五月の壬の日に執り行われるス⸢ク⸣マ[su̥⸢ku⸣ma](稲の初穂祭)から⸢プール⸣ヌ ⸣シチ[⸢puːru⸣nu ⸣ʃi̥ʧi](豊年祭の期間)に入っているといわれている。昔の人々は⸢豊年祭をするために生きているんだ」と言われたという。島で最も盛大な祭りである。対岸の西表島からも、この祭りを見学するために傭船して来たものである。稲や粟の収穫後、神に対する感謝と来年の豊作を祈願する祭りで、旧暦6月のミ⸢ジニー[mi⸢ʤiniː](壬)に⸢ピュール⸣トゥリ[⸢pjuːru⸣turi](日取り{EOS}「日和取り」の義)して行われた。昔は、ム⸢トゥサカ⸣サ[mu⸢tusaka⸣sa](友利御嶽の司)を中心にして各御嶽の司やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)が集まって祭りの日取りをし、それを⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](「総代」の義{EOS}部落会長に相当する人)に伝え、それをブ⸢ラクゾーカイ[bu⸢rakuʣoːkai](部落常会)にかけて決定した。サ⸢キピュール[sḁ⸢kipjuːru](上旬の日和{EOS}「先日和」の義)と⸣アトゥピュール[⸣ʔatupjuːru](下旬の日和{EOS}「後日和」の義)を司の方々が用意して部落の役員に提案し、稲穂の⸢ウーミ⸣グワイ[⸢ʔuːmi⸣guwai](完熟度{EOS}⸢熟れ具合」の義)を勘案して部落常会で日程を決定したのである。豊年祭の日程が決まると、部落レベルや家庭レベルにおいても、それへ向けての諸準備がなされた。司の⸣アッパー[⸣ʔappaː](お祖母さん)たちは各自の⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽{EOS}「お願」の義)へ参拝し、⸢プー⸣ルの日程を報告して御嶽の掃除を始めた。各家庭では、⸢プー⸣ルスコール[⸢puː⸣rusu̥koːru](豊年祭の準備)として、ム⸢チマイ[mu⸢ʧimai](糯米)を精白し始めた。庭の木陰でニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku](ニクブク{EOS}藁を編んで作った敷物{EOS}稲藁でカーペットのように編んだ敷物{EOS}稲掃き蓆)を敷いて、イ⸢ニ⸣ピキ[ʔi⸢ni⸣pi̥ki](米擂り{EOS}\ruby{籾摺}{モミ|スリ})をしたり、シ⸢キ⸣ウシ[ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi](搗き臼)を並べて、二人一組、三人一組になって\ruby{糯米}{モチ|ゴメ}を\ruby{搗}{ツ}いて\ruby{精白}{セイ|ハク}した。これが⸢プールシゥカイ⸣バー[⸢puːrusï̥kai⸣baː](豊年祭用の糯米)となる。⸢プール⸣ムチ[⸢puːru⸣muʧi](豊年祭の餅)に使う米のことである。豊年祭の一週間前になると、餅を包むのに用いるバ⸢サン⸣パー[ba⸢sam⸣paː](芭蕉の葉)やサ⸢ミヌパー[sa⸢minupaː](月桃の葉)を切りに、⸢ウイバル[⸢ʔuibaru](西表島の上原)やウ⸢ボー⸣ダ[ʔu⸢boː⸣da](西表島の住吉地区)、ニ⸢シ⸣ミジ[ni⸢ʃi⸣miʤi](西表島の住吉地区の北側)、⸢カーダ[⸢kaːda](西表島、ウ⸢ボー⸣ダの東部)あたりへ出かけた。部落では⸢スー⸣ダイ(総代{EOS}部落会長{EOS}シ⸢マム⸣チ ⸢ユームチ{SqBr}ʃi⸢mamu⸣ʧi ⸢juːmuʧi{/SqBr}<島持ち・世持ち>の義)を中心に、ヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](総代の下に西村、東村に各二名選出された村役人)、⸢ザーアタ⸣ル[⸢ʣaːʔata⸣ru](座敷係{EOS}西村、東村各二名選出)、⸢ジンバイ[⸢ʤimbai](配膳係{EOS}西村、東村各二名選出)らが神行事の諸準備を担当した。ヤ⸢ク⸣サ達は⸢プー⸣ルの四、五日前から漁に出て魚や蛸を捕り、蒲鉾やガ⸢シ⸣イズ[ga⸢ʃiʔiʣu](\ruby{燻製}{クン|セイ}にした魚{EOS}⸣クバン{SqBr}⸣kubaŋ{/SqBr}<\ruby{神饌}{シン|セン}>)にしたり、パ⸢リタク[pa⸢ritaku](干し\ruby{蛸}{タコ}{EOS}「張り蛸」の義)にして準備した。ナ⸢マ⸣シ[na⸢ma⸣ʃi](刺身{EOS}「\ruby{膾}{ナマス}」の義)にする魚は⸢ユードゥー⸣シの昼に漁獲した魚を用いた。⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](奉納舞踊)の稽古は⸢プー⸣ルの二週間前辺りから始められた。西村は、⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃikeː](大城家)、⸢ヨーカ⸣ヤー[⸢joː⸣kajaː](西原家)、ア⸢ザテー[ʔa⸢ʣateː](東里家)、パ⸢ナシケー[pa⸢naʃi̥keː](花城家)、⸢クシケー[⸢kuʃi̥keː](小底家)などで棒踊や⸢ゾーラキ(奉納舞踊)の練習がなされた。銅鑼を打ち、笛を吹き鳴らして、西村・東村が競争して練習した。練習風景を盗み見ようとしては、見張りの青年たちに追い返されたりした。西村の棒踊、特にル⸢クサク⸣ボー[ru⸢kusaku⸣boː](六尺棒)、サ⸢ク⸣ボー[sḁ⸢ku⸣bou](尺棒{EOS}木刀踊)などは、先輩方が厳しく技を指導された。東村のナ⸢ギナタ[na⸢ginata](長刀棒踊)は力強く、勇壮な棒踊だったので、見劣りせぬよう、ガ⸢マ⸣ク[ga⸢ma⸣ku](腰)の入れ方、腕の使い方<ため方>、力の入れ方を注意して指導した。昭和40年頃までは、昼は田畑の仕事と鰹漁業に従事し、夜は遅くまで銅鑼や笛の音を鳴らして奉納舞踊、棒踊の稽古をして、村は最高に活気付いていた。⸢ゾーラキや棒踊が⸢バング⸣バリ[⸢baŋgu⸣bari](プログラム{EOS}「番配り」の義)通りに仕上がっているかどうかを確認するため、⸣トーピン[⸣toːpiŋ](祭り当日)の二、三日前に、ス⸢クミ[su̥⸢kumi](リハーサル{EOS}「仕込み」の義)をして部分的な手直しを行い、満を持して祭り当日を迎えた。その間、西村、東村双方とも偵察を送って相手方の技を研究しあっていたことは勿論である。グ⸢サーク⸣マイ[gu⸢saːku⸣mai](五勺米)は⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi]の前日、ヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa]二人、⸢ザーアタ⸣ル[⸢ʣaːata⸣ru]二人らによって各戸から一人当たり白米五勺ずつ徴収された。これは、⸣フダニン[⸣ɸudaniŋ](十五歳以上の男女{EOS}人頭税時代の「納税者」の義)の頭数に割り当てられたが、中には、フダニンに達しない子供の分まで、進んで納入する人もいた。昔は、⸣グシパナ[⸣guʃipana](神酒と花米)の神酒や、⸢コー⸣パナ[⸢koː⸣pana](線香と花米)の⸢カウ[⸢kau](線香{EOS}「香」の義)も徴収された。徴収されたグ⸢サーク⸣マイは友利御嶽のサ⸢カサ(司)の家の一番座に集められ、ヤ⸢ク⸣サ達によって、イ⸢チ⸣ヤマ[ʔi⸢ʧi⸣jama](五箇所の御嶽{EOS}友利御嶽、ピナイ御嶽、西堂御嶽、新川御嶽、前泊御嶽)に等分に配分された。その間、司は一番座で正座している。作業が完了した後、友利御嶽の五勺米を入れた⸢フイ⸣バ[⸢ɸui⸣ba](真茅を編んで作った穀物入れ)にだけは、バ⸢ラ⸣ザン[ba⸢ra⸣ʣaŋ](\ruby{藁算}{ワラ|ザン}、五勺米の数量を示したもの)と明細書が置かれ、他の御嶽の分は袋に入れられる。五勺米が神前に並べられると、酒と肴の膳が出され、ヤクサによって五勺米の明細が読み上げられる。司によるお礼の言葉が述べられて後、ヤクサからは豊年祭が滞りなく行われるよう、お願いの言葉が交わされる。その後に各御嶽の司の家へ同様な形式で五勺米が届けられる。かくて諸準備が順調に進行し、村ヤクサの家では、⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜を徹して行われる祈願)に用いる円形のッ⸢ス⸣ムチ[s⸢su⸣muʧi](白餅)が作られ、⸢ユードゥー⸣シを迎えた。⸢ユードゥー⸣シは、友利御嶽でサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)とティ⸢ジリ⸣ビーが各家から集められたパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)を神前に供え、村役人の⸢ポー⸣ツァー[⸢poː⸣ʦaː](料理人{EOS}「包丁人」の義)によって作られた⸣ウサイ[⸣ʔusai](魚介料理{EOS}「お菜」の義)やバ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa](脇司{EOS}司を補助する司)によって盛り付けられた⸢クームチ[⸢kuːmuʧi](供物類)をバ⸢キトゥリ⸣ブン[ba⸢kituri⸣buŋ](通い盆{EOS}供物一式を盛って持ち運ぶ長方形の盆)に入れて供え、ユ⸢ネン⸣ヌパイ[ju⸢nen⸣nupai](夕方の拝<祈願>)、ユ⸢ナカ⸣ヌパイ[ju⸢naka⸣nupai](夜中の拝<祈願>)、シ⸢トゥムティ⸣ヌパイ[ʃi̥⸢tumuti⸣nupai](朝<つとめて>の拝<祈願>)の順で、三回の祈願を夜を徹して執り行った。ユ⸢ネン⸣ヌパイ、ユ⸢ナカ⸣ヌパイ、シ⸢トゥムティ⸣ヌパイの間には、⸢ユードゥー⸣シに参加した村の有志たちと司やティ⸢ジリ⸣ビーらが三線、笛、太鼓を鳴らして歌舞をし、神を歓待するが、⸢ユードゥー⸣シが終わった早朝、司を先頭にティ⸢ジリ⸣ビーたちがミ⸢ルク⸣ウタ[mi⸢ruku⸣ʔuta](弥勒歌)を歌って友利御嶽をおりて村へ帰る。ミ⸢ルクン⸣ヤー[mi⸢rukuɲ⸣jaː](弥勒を安置、保管している家)の所まで来て神職者達は解散して各家庭に帰り、⸣トーピン[⸣toːpiŋ](祭り当日)の神行事へと移っていく。⸣トーピンの午前十時ごろ、司やティ⸢ジリ⸣ビー バキサカサたちがグ⸢サーク⸣マイ(五勺米)、パナングミ(花米)を各ピ⸢キ[pi̥⸢ki](血族集団)の御嶽へ持参して祈願する。その際、各家から司の家へ献上されたカ⸢サン⸣パームチ[kḁ⸢sam⸣paːmuʧi](芭蕉の葉で包んだ餅を5枚~7枚を一束にしたもの{EOS}⸢プール⸣ムチ{SqBr}⸢puːru⸣muʧi{/SqBr}ともいう)の中から数枚の餅を持参して供える。丁度この時間帯には友利御嶽で、⸢ヤーバンニガイ[⸢jaːbannigai](「八番祈願」の義か)が祈願される。各御嶽では、サ⸢カサやティ⸢ジリ⸣ビー、ピ⸢キの参拝者たちが各御嶽の⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta](豊年祭の歌)を\ruby{謡}{ウタ}う。その後、時間を見計らって友利御嶽へ行く。全員が揃うと友利御嶽の拝殿に向かって合掌し、⸢カン⸣シバ[⸢kaŋ⸣ʃiba](マーニの葉{EOS}「神芝」の義か)を頭に結び、ミ⸢チウタ[mi⸢ʧiʔuta](道歌)を歌いながら友利御嶽を下りて⸣サンシキ[⸣saŋʃi̥ki](桟敷)へと向かう。⸣サンシキでは、⸢スー⸣ダイ(総代)やムラヤクサ(村役人)達が司やティ⸢ジリ⸣ビーら神職者一行を迎えて⸣サンシキヌウタ[⸣saŋʃi̥kinu](桟敷の歌)を歌って所定の座につく。これを合図に、西村と東村のカ⸢シ⸣ラ[kḁ⸢ʃi⸣ra](旗頭)が⸢アイ⸣ザムトゥ[⸢ʔai⸣ʣamutu](旗頭が合流する地点)で合流し、桟敷へ入場する。東村のカ⸢シ⸣ラ(旗頭)を先頭にし、⸢ボーウティシン⸣カ[⸢boːʔutiʃiŋ⸣ka](棒踊人衆<臣下>)、⸢ゾーラキシンカ[⸢ʣoːrakiʃiŋka](奉納舞踊をする人衆<臣下>)を従えて進む。出演者はカ⸢シ⸣ラがトゥ⸢ニムトゥ[tu⸢nimutu](根屋{EOS}友利家と東里家)を出る時からメーキャップをし、コスチュームに身を包み、隊列を組んで笛、太鼓、銅鑼を打ち鳴らし、気勢を上げてアイザムトゥで合流し、⸣サンシキ[⸣saŋʃi̥ki]へと進んでいく。続いて西村のカ⸢シ⸣ラも同様に入場する。カシラは⸣サンシキ(桟敷)の正面の定位置に二本のポールを立てて、それに結わえておく。⸢ゾーラキや棒踊は東村、西村対抗で競演されるが、東村と西村の交代の際にはカ⸢シ⸣ラを一旦サンシキの入り口まで退場させて再入場させる。競演が終わると、最後に⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](\ruby{爬竜船}{ハ|リュウ|セン}\ruby{競漕}{キョウ|ソウ})が行われる。ゾーラキの最終演目が終わると同時に、笛が一段と高く吹き鳴らされると、銅鑼が強打され、カシラ持ちが旗頭を持ち上げ、棒踊の曲に合わせながら、東回りでサンシキの浜に移動させる。浜には二本のポールが立てられており、カシラをそれに結わえて立てておく。ポールの前には、東と西の⸢パーレー⸣フニ[⸢paːreː⸣ɸuni](爬竜船)が装飾を施されて並べてある。司たちが所定の座に着かれると、二隻のパーレーフニは漕ぎ手によって手で下げ持つようにして勢いよく海に浮かべられ、漕ぎ手たちが乗る。一旦舟を揃えてから⸢ユーアギジラマ[⸢juːʔagiʤirama](世揚げジラバ{EOS}世乞いジラバ<神歌>)を歌い、ゆっくりと舟を漕ぎまわして出発点に揃え、出発の銅鑼の合図でスタートを切る。折り返し点のブイは約200メートル沖に白旗を立ててある。この方角も、桟敷からパ⸢トゥ⸣マレー[pḁ⸢tu⸣mareː](鳩離島)の⸢パンガマイシ[⸢paŋgamaiʃi](\ruby{羽釜石}{ハ|ガマ|イシ})と、ピ⸢ナイサキ[pi⸢naisaki](ピナイ崎)のマ⸢ニ⸣ツァイシ[ma⸢ni⸣ʦaʔiʃi](\ruby{俎板石}{マナ|イタ|イシ})に合わせるように定められている。このブイの白旗を回る際に、トゥ⸢ム⸣ヤク[tu⸢mu⸣jaku](船頭{EOS}「艫櫂」の義)が櫂で白旗を倒すことになっている。こうしてゴールインすると、イ⸢チバン⸣ヤク[ʔi⸢ʧibaɲ⸣jaku](一番漕ぎ手)が舟から飛び降りて司の前に\ruby{跪}{ヒザマズキ}き、神酒を頂く。その間、浜では老若男女が入り乱れて銅鑼や太鼓を乱打し、⸢ガー⸣リ[⸢gaː⸣ri](応援合戦{EOS}「自慢合戦」の義か)をする。これが済むと、⸢ユーアギジラマ[⸢juːʔagiʤirama]と⸢パイミジラ⸣マ[⸢paimiʤira⸣ma](早めジラバ)を漕ぎ手と応援団が一緒に歌い、旗頭を先頭にして桟敷へ戻り、東西のトゥニムトゥ(根元屋)へと分かれていく。桟敷では⸣サンシキヌ ⸣ウタ[⸣saŋʃikinu ⸣ʔuta](桟敷の歌)を歌い、それから⸢アイ⸣ザムトゥ[⸢ʔai⸣ʣamutu](合流点{EOS}「あひざ<会い座元>」の義か)へ戻って「別れの歌」、⸢アイ⸣ザムトゥウタ[⸢ʔai⸣ʣamutuʔuta](アイザムトゥ歌)を歌って東西のトゥ⸢ニムトゥ(根元屋{EOS}旗頭を保管している家)へ帰る。トゥ⸢ニムトゥ(根元屋)ではトゥ⸢ニムトゥヌ⸣ウタ[tu⸢nimutunu⸣ ʔuta](根元屋の歌)と⸢サンバー⸣レー[⸢sambaː⸣reː]が歌われて儀式を終える。一方、漕ぎ手達は⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船)の船元家に集まり、フ⸢ナム⸣トゥ[ɸu⸢namu⸣tu](船元の歌)を歌ってトーピンの儀式の総てを終了する。⸢プー⸣ルの三日目は、シ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)である。綱引きの当日、午前中に、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)、ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)、バ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa](脇司)らは⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽)に行き、祈願をして帰りに友利御嶽の司の家で歌や三線で神遊びをして待機する。一方、青年達は午前中より綱の準備や旗頭の準備をする。各戸から徴収した\ruby{稲藁}{イナ|ワラ}を使って\ruby{藁縄}{ワラ|ナワ}を\ruby{綯}{ナ}い、それを数本縒り合わせて太い綱をつくる。シ⸢ナヌ⸣ミン[ʃi⸢nanu⸣miŋ](綱の耳)は稲藁を巻き込んで直径約30センチの太さにつくり、そこから約20メートルほどは直径約20センチの太い綱に作る。太い綱からは枝綱を多く出して、綱を引きやすいように工夫した。旗頭の伝統的なものと異なり、綱引きの日のカシラはデザインも形も毎年新しく工夫された。鰹漁船の工場からはカツオをかたどったカシラも出された。午後3時頃になると、⸣サンシキにおいては司やティ⸢ジリ⸣ビーらが所定の座につき、村の有志たちも所定の座にすわる。と同時に銅鑼の早打ちが始まり、それを合図に⸢ヒーヤユイ⸣サ[⸢çiːjajui⸣sa]の掛け声があがり、東村、西村入り乱れて乱舞する。巻き踊のように、ひとしきり乱舞があり、銅鑼の合図で旗頭が東西に分かれた後、コスチュームに身を固め、前列に木刀(剣)を持った婦人(2名)、二列に⸢ザイ[⸢ʣai](\ruby{麾}{キ}{EOS}\ruby{幣帛}{ヘイ|ハク}{EOS}ザイ)もった婦人(2名)、三列にタイ⸢コー⸣マ[tai⸢koː⸣ma](小太鼓)を持った婦人(2名)、その後に数人の合唱隊よるイ⸢ジックナー[ʔi⸢ʤikkunaː](口合戦{EOS}「言い競い」の義)が始まる。一種の「土地誉め」競争で、東村、西村の合唱隊は向かい合って、村の自慢を単調な曲にのせて謡い\ruby{囃}{ハヤ}す。小太鼓の音に合わせて謡い、曲に合わせて体を前後にゆすりながら両手を下ろしたり、戻したりする動作を繰り返す。前列の女性は両手で剣を小さく振りながら東西より5、6歩前進してきて剣と剣を切り結び、くるっと回って原隊へ戻る動作を繰り返す。こうして⸢イジックナーが終わると、次に⸢ガーリ⸣ウタ[⸢gaːri⸣ʔuta](囃し歌{EOS}「自慢歌」の義か)が歌われ、シ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)に移る。綱引きは一回と二回は簡単に引いて本番に移る。本番は、先ず、シ⸢ナヌ⸣ミン[ʃi⸢nanu⸣miŋ](綱の耳{EOS}雄綱と雌綱を合わせるところ)を寄せることから始まる。西村からは戸板に乗った女性が鎌を持って身構え、男達に担がれてゆっくりと進み出る。東村からは、長刀を持った男性が身構え、同じく戸板に乗って銅鑼の音に合わせてながらゆっくりと進み出る。東西の綱が合体した所まで進むと、双方とも身構えを解き、東村から五穀の入った籠が手渡され、西村からは、それを受けて神酒を手渡す。この儀式が済むと西村の女性は鎌と鎌の刃を打ち鳴らして再び身構える。東村の男性も長刀を斜め下に身構え、双方とも急いで退場する。そして本番の綱引きが行われる。本番の綱引きには司もティ⸢ジリ⸣ビーも参加する。東村は人口も多く、強力ではあるが、大綱は一旦は東へ引かせても、最後は西村の方へ引き寄せ、世果報を予祝するのが慣例である。これは⸢パー⸣レー(爬竜船競漕)でも同様で、⸢ユーアギジラマの歌詞の中に構造的に西村が勝つ仕組みが隠されている 14640 0 0 14368 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 豊年祭の歌。豊年祭に歌われる神歌。各御嶽の神々を称え、祈願する神歌。 14640 0 0 14369 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_1-1}ウ⸢ブトゥム⸣ル(友利御嶽<御願>)の歌。{Sg_1}/ヘイヤー ウブトムル ホー マブルシュー ヘイヤー ウブスクヌ ホー ウヤガミ/(へいやー<囃子{EOS}以下略>大友利御嶽の ホー<囃子{EOS}以下略> 守護神様、へいやー みずがき<瑞垣>の ホー 親神様)。{Sg_2}/ヘイヤー ウユミサ ホー アラバン ヘイヤー ナユミサ ホー アラバン/(へいやー 恐れ多く ほー ありましても、へいやー かしこしく<畏しく> ホー おわし<在し>ても)。{Sg_3}/ヘイヤー ウスバユティ ホー ウガマ ヘイヤー チカクユティ ホー ウガマ/(へいやー お側に寄って ホー 拝みましょう へいやー お側近くに寄って ホー 拝みましょう)。 14640 0 0 14370 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_1-2}ピ⸢ナイ⸣ウガン(鬚川御嶽<御願>){Sg_1}/ヘイヤー ピナイパナヌ ホー マブルシュー ヘイヤー カンパナヌ ホー ウヤガミ/(へいやー<囃子> ピナイ崎<端>の ホー<囃子> 守護神様、へいやー<囃子> 神崎<神端>の祖先神さま)。{Sg_2}/ヘイヤー ニガウカラ ホー シズカ ヘイヤー ティジルカラ ホー ムドゥラ/(へいやー<囃子>祈願してから退出しましょう、へいやー<囃子>合掌して<手摺りして>から戻りましょう)。{Sg_3}/ヘイヤー ヤンヌ ユーヤー ホー ナヒンダラ ヘイヤー ンカイル ユーヤー ホー ユクンダラ/(へいやー<囃子> 来年の世は ホー<囃子> いやさか<弥栄>だ{EOS}へいやー<囃子> 迎える世は尚更の豊作だ)。 14640 0 0 14371 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_1-3}ア⸢ラ⸣カーウガン(新川御嶽<御願>){Sg_1}/ヘイヤー アラカーヌ ホー マブルシュー ヘイヤー カミイラカヌ ホー ウヤガミ/(ヘイヤー 新川御嶽の ホー 守護神様、ヘイヤー 神森甍の ホー 祖神様){Sg_2}/ヘイヤー ニガウカラ ホー シズカ ヘイヤー ティジルカラ ホー ムドゥラ/(ヘイヤー 祈願してから ホー 退出しましょう{EOS}ヘイヤー 合掌してから ホー戻りましょう){Sg_3}/ヘイヤー ヤンヌユーヤー ホー ナヒンダラ ヘイヤー ンカイル ユーヤー ホー ユクンダラー/(ヘイヤー 来年の世は ホー 尚更の稔りだ、ヘイヤー 迎える世は一層の豊作だ)。 14640 0 0 14372 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_1-4}⸢マイドゥマ⸣ルウガン(前泊御願){Sg_1}/ヘイヤー マイドゥマルヌ ホー マブルシュー ヘイヤー ユニザキヌ ホー ウヤガミ/(ヘイヤー 前泊の ホー 守護神様 ヘイヤー 浜崎<⸢倉廩、与奈久良(よなくら)」『和名抄』の「与奈」の転訛したものか>の ホー 祖神様){Sg_2}/ヘイヤー ニガウカラ ホー シズカ ヘイヤー ティジルカラ ホー ムドゥラ/(ヘイヤー 祈願してから ホー 退こう ヘイヤー 手摺り<祈願>してから 戻ろう){Sg_3}/ヘイヤー ヤンヌユーヤ ホー ナヒンダラ ヘイヤー ンカイルユヤー ユクンダラ/(ヘイヤー来年の世は、ホー 更に豊作だ ヘイヤー 迎える世は ホー 尚一層の豊作だ) 14640 0 0 14373 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_2}みちうた(道歌)、{Sg_1}/ヘイヤー パトゥマユーヌ ホー ナウラバ ヘイヤー トゥムルユーヌ ホー ミキラバ/(ヘイヤー 鳩間世が ホー 稔ると ヘイヤー 友利御嶽の世が豊作になる<実る>と)、{Sg_2}/ヘイヤー タルトゥユードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ジリトゥユードゥ ホー ナトゥラス/(ヘイヤー 誰をぞ 称えよう<トヨマス(鳴響ます)>か、誰をば ホー 称え轟かせ<名取らせ>ようか)、{Sg_3}/ヘイヤー マブルシュードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ウヤガミドゥ ホー ナトゥラス/(ヘイヤー 守護神をば ホー 称える<鳴響ます> ヘイヤー 祖神を ホー 称え轟かす<名取らせる>)、{Sg_4}/ヘイヤー マブルシューヌ ホー アトゥンヤー ヘイヤー ウヤガミヌ ホー アトゥンヤー/(ヘイヤー 守護神の ホー 後には ヘイヤー 祖神の ホー 後には)、{Sg_5}/ヘイヤー サカサキャードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ティジリキャードゥ ホー ナトゥラス/(ヘイヤー 司の方々を ホー 称える<鳴響ます> ヘイヤー 手摺り部<男性神職者>の方々を ホー 轟かす<名取らせる>)、{Sg_6}/ヘイヤー サカサキャーヌ ホー アトゥンヤー ヘイヤー ティジリキャーヌ ホー アトゥンヤー/(ヘイヤー 司方の ホー 後には、ヘイヤー 手摺り部方の ホー 後には)、{Sg_7}/ヘイヤー ユムチキャードゥ ホー ティユマス ヘイヤー シマムチキャードゥ ホー ナトゥラス/(ヘイヤー 世持ちたちを ホー 称える<鳴響ます> ヘイヤー 島持ちたちを ホー 称え轟かす<名取らす>)、{Sg_8}/ヘイヤー  ユムチキャーヌ ホー アトゥンヤー ヘイヤー シマムチキャーヌ ホー アトゥンヤー/(ヘイヤー 世持ちたちの ホー 後には、ヘイヤー 島持ち立ちの ホー後には)、{Sg_9}/ヘイヤー バガケーラドゥ ホー ティユマス ヘイヤー ユスケーラドゥ ホー ナトゥラス/(ヘイヤー 我々皆を ホー 称える<鳴響ます> ヘイヤー 他の皆を ホー 轟かす<名取らす>) 14640 0 0 14374 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_3}⸣サンシキヌ ⸣ウタ[⸣saŋsikinu ⸣ʔuta](桟敷の歌){Sg_1}/ヘイヤー サンシキヌ ホー マブルシュー ヘイヤー ユライズーヌ ホー ウヤガミ/(ヘイヤー 桟敷の ホー 守護神様 ヘイヤー 集い所<寄り合い所>の ホー おやがみ<祖神>)、{Sg_2}/ヘイヤー ウユミサ ヨー ホー アラバン ヘイヤー ナユミサ ヨー ホー アラバン/(ヘイヤー 畏れ多く ヨーホー あられても ヘイヤー かしこく<畏し(恐れ多く)> おわし<御座し>ても)、{Sg_3}/ヘイヤー ウスバユティ ホー ウガマディ ヘイヤー チカクユティ ホー ウガマディ/(へいやーお側に寄って ホー 拝もうよ ヘイヤー 近くに寄って ホー 拝もうよ) 14640 0 0 14375 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_4-1}ミ⸢ルク⸣ウタ[mi⸢ruku⸣ʔuta](弥勒歌){Sg_1}/ダイククヌ ミルク バカ パトゥマニ イモリ<チ> クトゥシカラ バガパトゥマ ユンガフデームヌ サーンサーン グーヤー サーサー<囃子。以下省略>/(大国の弥勒神様が我が鳩間島においでになり、今年から鳩間島は世果報<豊年満作>であるよ)、{Sg_2}/ミルクユーヤ イモチ アシババン アシビ ブドゥラバン ブドゥリ ウユルシデムヌ/(弥勒世は招来されて 人々は遊びに遊べ 踊りに踊れ お許しだから)、{Sg_3}/ミルクユーヌ シルシ トゥカグシヌ ユアミ カキブサイミソリ シマヌ アルジ/(弥勒世の兆候は十日越しに降る雨だ 降らせて<掛けて>下さい 島の主様)、{Sg_4}/ウスカジン クガニ ミルクユヌ シルシ ウクダカサムヌヤ イスジワルビ/(臼のごと<数>の黄金の米は弥勒世の印である これだけのものは 急げよ子供らよ)、{Sg_5}/ケラヌダイ タツシ ウジガミヌ ジンク ウヤヌダイ タツシ ハチヌウミングヮ/(島人皆の世代を立てるのは氏神の甚句である 親の世代をを立てるのは初の産みの子である)、{Sg_6}/ヒャクハタチ ナティン クトゥシラン ムヌヤ トゥシヤ ユタンティン ワラビサダミ/(百二十歳になっても こと<道理>を知らぬ者は 年はとっても童と同じだ)、{Sg_7}/イマワラビ ヤティン クトゥ シユルムヌヤ スユイグヮン タティティ ウトゥナサダ<ラ>ミ/(未成年<今童>であっても道理をわきまえている者は、首里奉公の願を立てて、大人であるよ)、{Sg_8}/スイメデイ スシヤ アトゥヌタミ デムヌ ハタルチュル ナカドゥ カフヤ チチュル/(首里王府へ奉公するのは後々のためである{EOS}働いている者に嘉報は付くものだ)、{Sg_9}/パトゥマカーヌ ミジヤ イチマディン カワラヌ ウリタユティ パトゥマ ユンガフデムヌ/(鳩間井戸の水は、いつまでも変わらない{EOS}これを頼りに鳩間島は世嘉報であるよ)。 14640 0 0 14376 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_4-2}弥勒節の締め。⸢ヤーラーヨー節/ヤーラヨーヨー ヤーラヨーヨー(囃子、以下、曲調急転する)/、{Sg_1}/キユヌピーバ ムトゥバシー ヤーラヨーヨー ヤーラヨーヨー(囃子、以下省略)/(今日の日を本にして)、{Sg_2}/クガニピーバ ニシキシ/(黄金の日を基礎にして)、{Sg_3}/ニガイオーラ バガケーラ/(祈願しましょうよ、我等皆)、{Sg_4}/ティジリオーラ ユスケーラ/(手摺りしましょうよ、皆様皆)、{Sg_5}/ニガウニシ タボーリ/(祈願する如くに賜りませ)、{Sg_6}/ティジルニシ アラショーリ/(手摺りした如くに実現してください)、{Sg_7}/エンヌ ユーヤ ナヒンダラ/(来年の世は弥栄の豊作だ)、{Sg_8}/ンカイルユーヤ ユクンダラ/(迎える世は尚更豊作の年だ) 14640 0 0 14377 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_5}カ⸢ムラー⸣マ[ka⸢muraː⸣ma](「神漏美<かむろみ>」の転訛か){Sg_1}/パトゥマユーヌ ナウラバ トゥムルユーヌ ミキラバ カムラマーヌ アマイヤミルクユーバ タボラリ/(鳩間世が稔ると、友利御嶽の世が豊作になると カムラーマ<神漏美>の喜び<歓えほこり>は 弥勒神の御世を賜ることです)、{Sg_2}/タルトゥユードゥ ティユマス ジリトゥユードゥ ナトゥラス カムラマーヌ アマイヤ ウヤキユーバ タボーラリ/(誰をぞ鳴響ます 何れ<いずれ>をぞ称えよう<名取らす>、カムラーマ<神漏美>の喜び<歓え>は裕福な世を賜ることです)、{Sg_3}/マブルシュードゥ ティユマス ウヤガミドゥ ナトゥラス カムラーマヌ アマイヤー ミルクユーバ タボーラリ/(守り主<氏神様>をぞ鳴響ます、祖神<氏神様>をぞ称える<名取らす>、カムラーマ<神漏美>の喜び<歓え>は弥勒世を賜ることです)、{Sg_4}/カムラーマヌ アマイヤ ヌー フサティル アマイル カムラーマヌ アマイヤ アカカラジ フサティルアマイル カムラーマヌ アマイヤ ウヤキユーバ タボーラリ/(カムラーマ<神漏美>の喜びは、何が欲しくて歓えるのか、カムラーマの喜びは人々<百姓>が欲しくて歓えるのです、カムラーマの喜びは裕福な世を賜ることです) 14640 0 0 14378 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_6}⸢ユークイジラ⸣マ[⸢juːkuiʣira⸣ma](世乞いジラバ){Sg_1}/パトゥマユーヌ ヨーホー トゥムルユーヌ ナウラバ ヨーホー スイナウレ/(鳩間世が ヨーホー 友利世が稔ると ヨーホー スイナウレ<囃子>)、{Sg_2}/タルトゥユドゥ ヨーホー ジリトゥユドゥ ティユマス ヨーホー スイナウレ/(誰をば ヨーホー いずれをば 鳴響ます<称える> ヨーホー スイナウレ)、{Sg_3}/マブルシュードゥ ヨーホー ウヤガミドゥ ナトゥラス ヨーホー スイナウレ/(守護神<守り主>を 祖神<氏神>を称える<名取らす> ヨーホー スイナウレ)、以下曲調が早まる。/パトゥマユーヌ ナウラバ ヨー サーユイユイ/(鳩間世が稔ると、サーユイユイ)<囃子>、この歌が終わると同時に爬竜船はスタートする。 14640 0 0 14379 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_7}⸢ユーアギジラマ[⸢juːʔagiʣirama](世揚げジラバ){Sg_1}/インスクヌ ヨーホー マブルシュ マイバマヌ ヨーホー ウヤガミ/(海底<ニライカナイ>の ヨーホー 守護神様<守る主> 前浜の ヨーホー 祖神<氏神>様)、{Sg_2}/バガパトゥマニ ヨーホー アガリョーリ クリ トゥムルニ ヨーホー ウツリョーリ/(我が鳩間島に ヨーホー 上がりませ<\ruby{坐}{マ}せ>、これ友利御嶽に ヨーホー 移りませ<\ruby{坐}{マ}せ>) 14640 0 0 14380 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_8}⸢パイ⸣ミジラマ[⸢pai⸣miʣirama](言挙げ<栄えみ>ジラバ){Sg_1}/パトゥマユーヌ ナウラバ ヨー サーユイユイ トゥムルユーヌ ミギラバ ヨー ハイヨーシューラヨー/(鳩間世が稔ると ヨー サーユイユイ<囃子、以下略> 友利世が実ると ヨー ハイヨーシューラヨー<囃子、以下略>)、{Sg_2}/タルトゥユドゥ ティユマス ヨー ジリトゥユドゥ ナトゥラス ヨー/(誰をば鳴響ます ヨー どなた<いづれ>をば称えよう<名取らす>)、{Sg_3}/マブルシュードゥ ティユマス ヨー ウヤガミドゥ ナトゥラス ヨー/(守護神をば鳴響ます ヨー 祖神をぞ称える<名取らす> ヨー)、{Sg_4}/マブルシューヌ アトゥンヤ ヨー ウヤガミヌ アトゥンヤ ヨー/(守護神の後には ヨー 祖神の後には ヨー)、{Sg_5}/サカサキャードゥ ティユマス ヨー ティジリキャードゥ ナトゥラス ヨー/(司の方々を鳴響ます ヨー手摺り部方の方々を称える<名取らす> ヨー)、{Sg_6}/サカサキャーヌ アトゥンヤ ヨー ティジリキャーヌ アトゥンヤ ヨー/(司の方々の後には、ヨー 手摺り部方の後には ヨー)、{Sg_7}/ユムチキャードゥ ティユマス ヨー シマムチャードゥ ナトゥラス ヨー/(村長<世持ち>方をぞ鳴響ます ヨー 島持ち<村役人>達を称える<名取らす> ヨー)、{Sg_8}/ユムチキャーヌ アトゥンヤ ヨー シマムチャーヌ アトゥンヤ ヨー/(村長<世持ち>方の後には ヨー 島持ち<村役人>達の後には ヨー)、{Sg_9}/バガケーラドゥ ティユマス ヨー ユスケーラドゥ ナトゥラス ヨー/(私たち全員を鳴響ます ヨー 他の皆を称える<名取らす> ヨー) 14640 0 0 14381 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_9}⸣サンシキヌ ⸣ウタ[⸣saŋʃikinu ⸣ʔuta](桟敷の歌){Sg_1}/ヘイヤー サンシキヌ ホー マブルシュー ヘイヤー ユライズーヌ ホー ウヤガミ/(ヘイヤー<囃子> サンシキヌ ホー<囃子> 守護神様 ヘイヤー 集い場<寄り合い所>の ホー 氏神様<祖神>)、{Sg_2}/ヘイヤー ニガウカラ ホー シズカ ヘイヤー ティジルカラ ホー ムドゥラ/(ヘイヤー 祈願してから退きましょう ヘイヤー 手摺り祈願してから ホー 戻りましょう)、{Sg_3}/ヘイヤー エンヌユーヤ ホー ナヒンダラ ヘイヤー ンカイルユーヤ ホー ユクンダラ/(ヘイヤー 来年の世は、願わくばいやさか<弥栄>の年だ ヘイヤー 迎える世は ホー 尚更の豊作の年たれ) 14640 0 0 14382 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_10}⸢アイ⸣ザムトゥ[⸢ʔai⸣ʣamutu](「会い座元」の義か)の歌{Sg_1}/ヘイヤー アイザムトゥヌ ホー マブルシュ ヘイヤー ンカイズーヌ ホー ウヤガミ/(ヘイヤー 迎神所<会い座元>の ホー 守護神様 ヘイヤー 迎神所の祖神<氏神>様)、{Sg_2}/ヘイヤー ウガディカラ ホー シズカ ヘイヤー ティジルカラ ホー シズカ/(ヘイヤー 拝んでから退きましょう ヘイヤー 手摺り拝んでから ホー 退きましょう)、{Sg_3}/ヘイヤー ヤイヌ クナチ ホー ルクンガチ ヘイヤー チカクユティ ホー ンカイオーラ/(ヘイヤー 来年の<来る夏の> ホー 六月に ヘイヤー お側近く寄って ホー お迎えいたしましょう) 14640 0 0 14383 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_11}トゥ⸢ニムトゥ[tu⸢nimutu](村の宗家{EOS}集落創建者の家){Sg_1}/ヘイヤー クヌトゥンチヌ ホー マブルシュ ヘイヤー トゥニムトゥヌ ホー ウヤガミ/(ヘイヤー この殿内の ホー 守護神様 ヘイヤー \ruby{宗家}{ソウ|ケ}の ホー氏神様)、{Sg_2}/ヘイヤー ウユミサ ホー アラバン ヘイヤー ナユミサ ホー アラバン/(ヘイヤー \ruby{畏}{オソレ}多く ホー あっても ヘイヤー 畏れ多く ホー あっても)、{Sg_3}/ヘイヤー ウスバユティ ホー ウガマディ ヘイヤー チカクユティ ホー ウガマディ/(ヘイヤー お側に寄って ホー 拝みましょうよ ヘイヤー近くに寄って ホー 拝みましょうよ) 14640 0 0 14384 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_12}⸣サンバーレー[⸣sambaːreː](⸢サン<魔除け呪符>・祓え」の義か{EOS}意味不明){Sg_1}/パトゥマユーヌ ヨー サンバーレー トゥムルユーヌ ミギラバ ナトゥラス サンバーレー ティユマス サンバーレー/(鳩間世が ヨー サンバーレー 友利世が稔ると 名取らす サンバーレー 鳴響ます サンバーレー)、{Sg_2}/タルトゥユードゥ ヨー サンバーレー ジリトゥユードゥ ナトゥラス ナトゥラ スサンバーレー ティユマス サンバーレー/(誰をば ヨー サンバーレー いづれをば 名取らす 名取らす サンバーレー 鳴響ます サンバーレー)、{Sg_3}/マブルシュードゥ ヨー サンバーレー ウヤガミドゥ ナトゥラス ナトゥラス サンバーレー ティユマス サンバーレー/(守護神を ヨー サンバーレー 氏神をば 名取らす 名取らす サンバーレー 鳴響ます サンバーレー)、{Sg_4}/マブルシューヌ ヨー サンバーレー ウヤガミヌ アトゥンヤ アトゥンヤ サンバーレー ティユマス サンバーレー/(守護神の ヨー サンバーレー 氏神の後には 後には サンバーレー 鳴響ます サンバーレー)、{Sg_5}/サカサキャードゥ ヨー サンバーレー ティジリキャードゥ ヨー サンバーレー ナトゥラス サンバーレー ティユマス サンバーレー/(司方を ヨー サンバーレー 手摺り部方を ヨー サンバーレー 名取らす サンバーレー 鳴響ます サンバーレー)、{Sg_6}/サカサキャーヌ ヨー サンバーレー ティジリキャーヌ アトゥンヤー アトゥンヤ サンバーレー ティユマス サンバーレー/(司方の ヨー サンバーレー 手摺り部方の 後には 後には サンバーレー 鳴響ます サンバーレー)、{Sg_7}/ユムチキャードゥ ヨー サンバーレー シマムチャーヌ アトゥンヤ アトゥンヤ サンバーレー ティユマス サンバーレー/(世持ち<村役人>方を ヨー サンバーレー 島持ち<村役人>達の後には 後には サンバーレー 鳴響ます サンバーレー)、{Sg_8}/バガケーラドゥ ヨー サンバーレー ユスケーラドゥ ナトゥラス ナトゥラス サンバーレー ティユマス サンバーレー/(私たち皆を ヨー サンバーレー 他の皆を 名取らす 名取らす サンバーレー 鳴響ます サンバーレー) 14640 0 0 14385 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_13}フ⸢ナム⸣トゥ[ɸu⸢namu⸣tu](船元)の歌{Sg_1}/ヘイヤー クヌ トゥンチヌ ホー マブルシュー ヘイヤー フナムトゥヌ ホー ウヤガミ/(ヘイヤー この殿内の ホー 守護神様 ヘイヤー 船元の ホー 祖神様<祖神>)、{Sg_2}/ヘイヤー ウヤミサ ホー アラバン ヘイヤー ナユミサ ホー アラバン/(ヘイヤー 畏れ多く ホー あっても ヘイヤー 畏れ多く あっても)、{Sg_3}/ヘイヤー ウスバユティ ホー ウガマ ヘイヤー チカクユティ ホーウガマ/(ヘイヤー お側に寄って ホー 拝みましょう ヘイヤー 近くに寄って ホー 拝みましょう) 14640 0 0 14386 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_14}イ⸢ジックナー[ʔi⸢ʣikkunaː](口合戦{EOS}「言い競べ」の義){Sg_1}西村/アーレサー アーレサー シナヌミンバ ユーシクーバ シンカサー シンカサー/(東よ東、綱の耳を寄せてきたら、押し合おうよ、張り合おうよ)、{Sg_2}東村/イーレサー イーレサー シナヌミンバ ユーシクーバ シンカサー シンカサー/(西よ西、綱の耳を寄せてきたら、押し合おうよ、張り合おうよ)、{Sg_3}西村/アーレントゥ イーレントゥ ガータスヌ アーレンヤ マキ イーレンヤ カチ シックリサーサ/(東村と西村が村自慢をしたが、東村は負けて西村は勝ち、シックリサーサ)、{Sg_4}東村/イーレントゥ アーレントゥ ガータスヌ イーレンヤ マキ アーレンヤ カチ シックリサーサ/(西村と東村と村自慢をしたが、西村は負け、東村は勝ち、シックリサーサ)、{Sg_5}/バンター シマナー ウブシラティン クーシラティン アンダラ シックリサーサ/(私達の村には、大きな稲叢とても、小さな稲叢とてもあるよ、シックリサーサ)、{Sg_6}/バンター シマナー ウリカーティン シルカーティン アンダラ シックリサーサ/(私達の村には、下り井戸とても、釣瓶井戸とてもあるよ、シックリサーサ) 14640 0 0 14387 htmvoc_14640.wav プールウタ ⸢プール⸣ウタ [⸢puːru⸣ʔuta] 名 {Exp_15}⸢ガーリ⸣ウタ[⸢gaːri⸣ʔuta](加勢、自慢の歌){Sg_1}西村、/アールプール アールプール シナヌミンバ ユーシクーバ シナンギ スー サーサー ユーシクーバ シナンギ スー/(東村の豊年祭 東村の豊年祭 綱の耳を 寄せて来ると 綱繋ぎをする サーサー 寄せて来ると 綱繋ぎをする)、{Sg_2}東村、/イールプール イールプール シナヌミンバ ユーシクーバ シナンギ スー サーサー ユーシクーバ シナンギ スー/(西村の豊年祭 西村の豊年祭 綱の耳を 寄せて来ると 綱繋ぎをする サーサー 寄せて来ると 綱繋ぎをする) 14641 0 0 14388 htmvoc_14641.wav プールシゥカイバー ⸢プールシゥカイ⸣バー [⸢puːruskai⸣baː] 名 豊年祭に使用する米。「豊年祭使い分」の義。ム⸢チマイ[mu⸢ʦimai](糯米)は、⸢プール⸣ムチ[⸢puːru⸣muʦi](豊年祭の糯{EOS}バ⸢サン⸣パームチ{SqBr}ba⸢sam⸣paːmuʧi{/SqBr}<芭蕉の葉で包んだ餅>、サ⸢ミンパームチ{SqBr}sa⸢mimpaːmuʧi{/SqBr}<月桃の葉餅>)を作るため、サ⸢ク⸣マイ[sḁ⸢ku⸣mai](粳米)は日常生活用として、豊年祭の一週間前から準備された。庭の木陰で、ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](挽き臼{EOS}籾摺り臼)やシ⸢キ⸣ウシ[ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi](搗き臼)を並べて、女たちが精米した。 ⸢プールシゥカイバー⸣ヤ ム⸢チマイ⸣ ル⸢ク⸣スブカラ ッ⸢サウバ⸣ル ⸣ナル [⸢puːruskaibaː⸣ja mu⸢ʦimai⸣ ru⸢ku⸣subukara s⸢sauba⸣ru ⸣naru] (豊年祭に使用する米は、\ruby{糯米}{モチ|ゴメ}を六升ほど精米しないといけない<精米すればぞなる>) 14642 0 0 14389 htmvoc_14642.wav プールムチ ⸢プール⸣ムチ [⸢puːrumu⸣ʦi] 名 豊年祭の餅。バ⸢サン⸣パームチ[ba⸢sam⸣paːmuʧi](芭蕉の葉餅)ともいう。芭蕉の葉で包み、5枚、7枚13枚と束ねて蒸し上げて作った餅で、餅皮を剥ぐに便利である。普通は糯米を一晩水に浸け、石臼で挽いたのをミ⸢リキンブク⸣ル[mi⸢rikimbuku⸣ru](メリケン袋{EOS}小麦粉の袋)に入れて水を切り、⸣シトゥ[⸣ʃi̥tu](澱粉)をとり、それを直径約3センチ、長さ約8センチの円柱状に丸め、芭蕉の葉に包んで蒸すと餅が出来る。大量に作って、食べ残したものは⸢ミー⸣ス[⸢miː⸣su](餅味噌)に作って茶請け<茶の子>として食した。月桃の葉で包んで作る餅は、サ⸢ミンパームチ[sa⸢mimpaːmuʦi](月桃の葉餅)といい、香ばしくて食欲をそそる。 シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣アトー ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸢ヤーカ ー⸣ジ ⸢ヒーヤユイ⸣サ ⸢シー ガー⸣レーティ ⸢プール⸣ムチ ⸢イー⸣リ ⸢クー⸣タ [ʃi⸢napiki⸣nu ⸣ʔatoː ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸢jaːkaː⸣ʣi ⸢çiːjajui⸣sa ⸢ʃiː gaː⸣reːti ⸢puːru⸣muʧi ⸢ʔiː⸣ri ⸢kuː⸣ta] (綱引きの後、子供たちは家ごとにヒーヤユイサと掛け声をかけて景気付けをしながら豊年祭の餅を貰ってきた) 14643 0 1 14390 htmvoc_14643.wav フーン ⸢フーン [⸢ɸuːŋ] 他動 {Mn_1}閉める。閉じる。目を閉じる意には用いない。⸣ミー ッ⸢サウン[⸣miː s⸢sauŋ](目を閉じる)という。 ⸣ヤドゥ ⸢フーンティ スンドゥ⸣ カ⸢ムイ⸣ナー カ⸢カ⸣リティ ⸢ホーララヌ [⸣jadu ⸢ɸuːnti sundu⸣ ka⸢mui⸣naː kḁ⸢ka⸣riti ⸢hoːraranu] (戸を閉めようとするが、鴨居に引っ掛かって閉められない)。 カ⸢ミ⸣ヌ フ⸢ター フイティ⸣ シケーンドゥ ⸢フイカタヌ ヨー⸣カー ⸣イケー ム⸢リ⸣ス [ka⸢mi⸣nu ɸu̥⸢taː ɸuiti⸣ ʃi̥keːndu ⸢ɸuikatanu joː⸣kaː ⸣ʔikeː mu⸢ri⸣su] (\ruby{甕}{カメ}の\ruby{蓋}{フタ}を閉めておいてあるが、閉め方が弱いと息がもれる)。 ⸣ヤドー ギャン⸢ティ フイヤー⸣ ミサムヌ [⸣jadoː gjan⸢ti ɸuijaː⸣ misamunu] (戸はびっしりと閉めれば良いのに)。 ク⸢ビン⸣ヌ フ⸢ター⸣ ドゥーシ ⸢フイ⸣バ [ku⸢bin⸣nu ɸu̥⸢taː⸣ duːʃi ⸢ɸui⸣ba] (\ruby{瓶}{ビン}の蓋は自分で閉めなさい)。 14643 0 2 14391 htmvoc_14643.wav フーン ⸢フーン [⸢ɸuːŋ] 他動 {Mn_2}蓋をする。覆う。 フ⸢タ フーン [ɸu̥⸢ta ɸuːŋ] (蓋をする{EOS}蓋を閉める)。 フ⸢タ ホーヌ [ɸu̥⸢ta hoːnu] (蓋をしない{EOS}蓋を閉めない) 14644 0 1 14392 htmvoc_14644.wav フーン ⸣フーン [⸣ɸuːŋ] 自動 {Mn_1}降る。「風まじり雨布流欲乃<アメフルヨノ>~。万、892」の転訛。 ⸣アツァー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーンティ ⸣ラジヨラ ス⸢クタヌ⸣ ノー⸢シン ホーン⸣パジ [⸣ʔaʦaː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːnti ⸣raʤijora su̥⸢kutanu⸣ noː⸢ʃiŋ hoːm⸣paʤi] (明日は雨が降るとラジオで<から>聞いたが、どうせ降らないだろう<はずだ>)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイティ パ⸢タ⸣ケー パ⸢ララ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuiti pḁ⸢ta⸣keː pa⸢rara⸣nu] (雨が降って畑へ行かれない)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フー ⸣ピンマー ウ⸢ロイ⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルンダ ⸢マー⸣ビン ⸢フイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuː ⸣pimmaː ʔu⸢roi⸣nu ʔu⸢ri⸣runda ⸢maː⸣biŋ ⸢ɸui⸣jaː ⸣misamunu] (雨が降る時は畑に潤いが下りるから、もっと降ればいいのに)。 ⸣フーカー ⸢パー⸣ク ⸣フイ [⸣ɸuːkaː⸢paː⸣ku ⸣ɸui] (降るなら早く降れ) 14645 0 0 14393 htmvoc_14645.wav フーン ⸣フーン [⸣ɸuːŋ] 自動 付く。生じる。 サ⸢ビ⸣ フーン [sa⸢bi⸣ ɸuːŋ] (\ruby{錆}{サビ}がつく<錆くう>)。 ⸣パナ ⸣フーン [⸣pana ⸣ɸuːŋ] (\ruby{黴}{カビ}がつく<黴が生える>)。 ⸢コージ⸣ フーン [⸢koːʤi⸣ ɸuːŋ] (麹黴がつく<生じる>)。 ⸢ヌー⸣ル ⸣フーン [⸢nuː⸣ru ⸣ɸuːŋ] (\ruby{苔}{コケ}が生える)。 ⸣ガバー ⸣フーン [⸣gabaː ⸣ɸuːŋ] (\ruby{垢}{アカ}が付く) 14646 0 1 14394 htmvoc_14646.wav フーン ⸣フーン [⸣ɸuːŋ] 他動 {Mn_1}噛む。喰らう。[kuraɸi・wori] → [kurawiuŋ] → [ffauŋ] → [ffuːŋ] → [ɸuːŋ] と音韻変化したもの。 ク⸢ヌ イン⸣マー ⸢ズー フンク⸣カー プ⸢ス⸣ フーン [ku⸢nu ʔim⸣maː ⸢ʣuː ɸuŋku⸣kaː pu̥⸢su⸣ ɸuːŋ] (この犬は尾を踏むと人を噛む)。 ⸢ミンダリインヌ⸣ル プ⸢ソー⸣ フー [⸢mindariʔinnu⸣ru pu̥⸢soː⸣ ɸuː] (耳の垂れた\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大人}{オトナ}しい犬が人を噛むのだ)。 タ⸢キ⸣ル ⸢イン⸣マー プ⸢ソー ホー⸣ヌ [tḁ⸢ki⸣ru ⸢ʔim⸣maː pu̥⸢soː hoː⸣nu] (吠える<哮る{EOS}「哮、タケル」『類聚名義抄』>犬は人を噛まない)。 14646 0 2 14395 htmvoc_14646.wav フーン ⸣フーン [⸣ɸuːŋ] 他動 {Mn_2}巣くう。「巣、スクフ」『類聚名義抄』。 ア⸢マ⸣ダラナー ⸢カー⸣ラヤーヌ トゥ⸢ラーマ⸣ヌ ⸢シー⸣バ ⸣フイ ⸢ベー [ʔa⸢ma⸣daranaː ⸢kaː⸣rajaːnu tu⸢raːma⸣nu ⸢ʃiː⸣ba ⸣ɸui ⸢beː] (軒<雨垂れ>にスズメ<瓦屋の小鳥>が巣くっている) 14558 0 0 14396 htmvoc_14558.wav ブイ ⸢ブイ [⸢bui] 名 甥。姪。「甥、兄弟之子為\kaeriten{㆑}甥、乎比<をひ>」『和名抄』の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ビ⸢コーンッふァトゥ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣バー ⸢ブイ⸣ダー [ku⸢nu⸣ bi⸢koːŋffatu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣baː ⸢bui⸣daː] (この男の子と女の子は私の甥姪だよ)。 ブ⸢イッふァ [⸢buiffa] (甥姪だ{EOS}「甥子、姪子」の義) 14559 0 0 14397 htmvoc_14559.wav フイキシヤムン ⸢フイ⸣キシ ⸣ヤムン [⸢ɸui⸣ki̥ʃi ⸣jamuŋ] 連 うずく(疼き痛む)。噛み切るように痛む。 ⸢ピーリ⸣ミジ ⸣ヌムカー ⸢パー⸣ヤ ⸢フイ⸣キシ ヤムン⸢ダー [⸢piːri⸣miʤi ⸣numukaː ⸢paː⸣ja ⸢ɸui⸣ki̥ʃi jamun⸢daː] (冷や水を飲むと歯は\ruby{疼}{ウズ}き痛むよ)。 ギ⸢シギシ⸣シ バ⸢タ⸣ヌ ⸢ふイ⸣キシ ⸣ヤムン [gi⸢ʃigiʃi⸣ʃi ba⸢ta⸣nu ⸢ɸui⸣ki̥ʃi ⸣jamuŋ] (ギューギューとお腹が疼き痛む) 14560 0 0 14398 htmvoc_14560.wav フイキスン ⸢フイ⸣キスン [⸢ɸui⸣ki̥suŋ] 他動 食い切る。噛み切る。食い千切る。 ⸣パーシ ⸢フイ⸣キスンティ ⸢スンドゥ コー⸣ヌ ⸢フイキサラ⸣ヌ [⸣paːʃi ⸢ɸui⸣ki̥sunti ⸢sundu koː⸣nu ⸢ɸuiki̥sara⸣nu] (歯で噛み切ろうとするが、硬くて噛み切られない)。 ⸣パーシ ⸢フイ⸣キシ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣paːʃi ⸢ɸui⸣kiʃi f⸢fai⸣ba] (歯で噛み切って食べなさい)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣パーシ ⸢フイ⸣キス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢duː⸣nu ⸣paːʃi ⸢ɸui⸣ki̥su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (自分の歯で噛み切ることは出来ない)。 ⸢フイ⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸢ɸui⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (噛み切ればいいのに)。 ク⸢マン⸣ トンラ ⸢フイ⸣キシ [ku⸢man⸣ tonra ⸢ɸui⸣ki̥ʃi] (ここの所から噛み切れ) 14561 0 0 14399 htmvoc_14561.wav フイキスン ⸢フイキスン [⸢ɸuiki̥suŋ] 他動 戸を締め切る。完全に戸締りをする。 ⸣ヤドゥ ⸢フイキスン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ダ フイキサンバン [⸣jadu ⸢ɸuiki̥suŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢da ɸuki̥sambaŋ] (戸を閉め切るかと思ったが、まだ締め切らないよ)。 ⸢フイキシ⸣ ミサカー ユネン⸢バー⸣キナ ⸢フイキス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ɸuiki̥ʃi⸣ misakaː junem⸢baː⸣kina ⸢ɸuiki̥su⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (締め切ってよければ、夕方までには締め切ることはできる)。 ⸢フイキシェー⸣ ミサムヌ [⸢ɸuki̥ʃeː⸣ misamunu] (締め切ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢フイキシ [⸢paː⸣ku ⸢ɸuiki̥ʃi] (早く戸を締め切れ) 14562 0 0 14400 htmvoc_14562.wav フイッツァムン ⸢フイッ⸣ツァムン [⸢ɸuit⸣ʦamuŋ] 他動 咬む。噛み付く。噛み砕く。「食い噛む」の義。「Cami,u,oda.カミ,ム,ゥダ(噛む、む、うだ)噛み砕く、または、噛み付く.Xixi fitouo camu.(獅子が人を食う)」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。⸣フーンとも言う。 ⸢イン⸣マー プ⸢ス フイッ⸣ツァムン⸢ダー [⸢ʔim⸣maː pu̥⸢su ɸuit⸣ʦamun⸢daː] (犬は人を咬むよ)。 ⸢フイッ⸣ツァミティ ⸢パンツァサヌ [⸢ɸuit⸣ʦamiti] (噛みついて離さない)。 ク⸢ヌ イン⸣マー プ⸢スヨー フイッツマ⸣ヌ [ku⸢nu ʔim⸣maː pu̥⸢sujoː ɸuitʦama⸣nu] (この犬は人を咬まない)。 ⸢フイッ⸣ツァム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ɸuit⸣ʦamu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (咬みつくことはない)。 ⸢フイッ⸣ツァメーラ ⸢パンツァサヌ [⸢ɸuit⸣ʦameːra ⸢panʦasanu] (噛み付いたら離さない)。 ⸣パーシ ⸢フイッ⸣ツァミ [⸣paːʃi ⸢ɸuit⸣ʦami] (歯で噛みつけ) 14563 0 0 14401 htmvoc_14563.wav ブイッふァ ⸢ブイッふァ [⸢buiffa] 名 甥っこ。姪っこ。⸢ブイ[⸢bui](甥、姪)と同じ。 ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーン ベー⸣ティ ⸢ブイッふァヌル⸣ ミリ ッ⸢ふィー ブー [f⸢faː⸣ bu⸢raːm beː⸣ti ⸢buiffanuru⸣ miri f⸢fiː buː] (子供がいないので、甥っ子が<面倒を>看てくれている) 14564 0 0 14402 htmvoc_14564.wav フイナ ⸢フイナ [⸢ɸuina] 名 (動)くいな(水鶏)。「水雞、此をば倶田比那(くひな)といふ」『日本書紀皇極一年』の転訛したものか 14565 0 0 14403 htmvoc_14565.wav フイバ ⸢フイ⸣バ [⸢ɸui⸣ba] 名 茅で編み上げた壷型、バケツ型の穀物入れ。約1.5メートルほどの⸢マーガヤ[⸢maːgaja](真茅)を根元から刈り取り、2~3日干して柔らかくし、直径約1センチほどの束にして、⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](藤蔓もどき)の皮や⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](くろつぐ<桄榔>)の皮で巻き締めながら大きな壷や広口バケツのように編み上げたもの。穀物を入れて保管するのに用いた。蓋付きのものや、広口のものなど、種々の形のものがある。 ⸣ガヤー ⸣スリ ⸣キー ⸢フイ⸣バ ⸣フミバ [⸣gajaː ⸣suri ⸣kiː ⸢ɸui⸣ba ⸣ɸumiba] (茅を刈ってきて、フイバを編みなさい) 14566 0 0 14404 htmvoc_14566.wav フイバーマ フイ⸢バー⸣マ [ɸui⸢baː⸣ma] 名 小型の穀物入れ(フイバ)。 フイ⸢バー⸣マナ サ⸢ニ⸣ムヌ イ⸢リ⸣シケー [ɸui⸢baː⸣mana sa⸢ni⸣munu ʔi⸢ri⸣ʃi̥keː] (小型の穀物入れに種子を入れてある) 14567 0 0 14405 htmvoc_14567.wav フイヤキ ⸢フイヤキ [⸢ɸuijaki] 名 マラリア。震えの発作があってから高熱を発する病気。「フルエヤキ」の転訛。戦争中、軍命で鳩間島の住民が西表島に避難した際に多くの人がマラリアに罹患し、終戦直後に多くの死亡者をだした。戦後の医師がいない鳩間島では、薬品の⸣キナイ[⸣kinai](キニーネ)もなかったから、悪寒を伴う震えの発作が起きると布団を掛けて押さえつけた。マラリアはその発作の後に高熱を発したので、芭蕉の幹を約30センチの長さに切って中央部を木槌で叩き、柔らかくして氷枕の代用にし、濡らしたタオルを絞って、それを額に当てながら熱を冷ました。 イ⸢クサ⸣ユーナ パ⸢イタ⸣ヌ ヒ⸢ナン⸣ヤーナー マ⸢ラリ⸣ヤ カ⸢カ⸣リティ ⸢マーラソー⸣レー プ⸢スン⸣ タカー⸢ニン オー⸣ルン [ʔi⸢kusa⸣juːnaː ⸢paita⸣nu çi⸢naɲ⸣jaːnaː ma⸢rari⸣ja kḁ⸢ka⸣riti ⸢maːrasoː⸣reː pu̥⸢sun⸣ tḁkaː⸢niŋ ʔoː⸣ruŋ] (戦争中に西表島の避難小屋でマラリアに罹患して、亡くなられた人も沢山おられる) 14568 0 0 14406 htmvoc_14568.wav フイユーナー ⸢フイユーナー [⸢ɸuijuːnaː] 連 噛み付き合い。牙を出して噛み付き合う。歌謡語。 ⸢ヤー イン⸣ヌ カ⸢タ⸣ ミ⸢リ⸣バ ⸢フイ⸣ユーナードゥ ⸢シーユール [⸢jaː ʔin⸣nu kḁ⸢ta⸣ mi⸢ri⸣ba ⸢ɸui⸣juːnaːdu ⸢ʃiːjuːru] (ああ、犬の絵を見ると噛み付き合いをしている)(アーパーレー歌) 14569 0 0 14407 htmvoc_14569.wav フイルン ⸢フイルン [⸢ɸuiruŋ] 自動 震える。 ⸢フイヤキ⸣ カ⸢カ⸣ルカー ⸢フイルンドゥ⸣ キナイ ⸣ヌムカー ⸢フイランシェン [⸢ɸuijaki⸣ kḁ⸢ka⸣rukaː ⸢ɸuirundu⸣ kinai ⸣numukaː ⸢ɸuiraŋʃeŋ] (マラリアに罹ると震えたが、薬のキニーネーを飲むと震えなかった)。 ⸢ドゥー⸣ヤ ガ⸢タガタ⸣シ ⸢フイティ⸣ ニチ ン⸢ズ⸣タン [⸢duː⸣ja ga⸢tagata⸣ʃi ⸢ɸuiti⸣ niʧi ʔn⸢ʣu⸣taŋ] (体はぶるぶる震えて熱が出た)。 ⸢フイル⸣ クトー ニ⸢チ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ル シ⸢ルシ ヤッタ [⸢ɸuiru⸣ ku̥toː ni⸢ʧi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ru ʃi⸢ruʃi jatta] (震えることは熱が出る兆候<印し>だった)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸuijaː⸣ misamunu] (もっと震えばいいのに)。 ⸢フイリ [⸢ɸuiri] (震えろ) 14647 0 1 14408 htmvoc_14647.wav フカ ⸣フカ [⸣ɸu̥ka] 名 {Mn_1}他。 ウ⸢リラ⸣ フ⸢カ⸣ヌ ⸣クトー ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔu⸢rira⸣ ɸu̥⸢ka⸣nu ⸣ku̥toː ʔu⸢moːra⸣nu] (それより他のことは考えられない<思われない>)。 14647 0 2 14409 htmvoc_14647.wav フカ ⸣フカ [⸣ɸu̥ka] 名 {Mn_2}外。 ⸢クーズメー⸣ ナリティ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣フカー ン⸢ジ⸣ルンティ ッ⸢サヌ [⸢kuːʣumeː⸣ nariti ⸢jaː⸣nu ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤi⸣runti s⸢sanu] (岩にへばりつく貝のように家の中に籠って、家の外へ出ようとしない<出ることを知らない>) 14583 0 0 14410 htmvoc_14583.wav フカーフカー フ⸢カーフカー [ɸu̥⸢kaːɸu̥kaː] 副 深々と。深く。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー バン⸣ター ⸢ヨー⸣ムンニン ⸢チャー⸣ フ⸢カーフカー⸣シ ⸣グリー ⸢シーソー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː ban⸣taː ⸢joː⸣munnin ⸢ʧaː⸣ ɸu̥⸢kaːɸu̥kaː⸣ʃi ⸣guriː ⸢ʃiːsoː⸣ru] (あの人は、私等のような者にも、常に深々とお辞儀をされる) 14648 0 0 14411 htmvoc_14648.wav フカーン フ⸢カー⸣ン [ɸu̥⸢kaː⸣ŋ] 形 深い。表面から下方への垂直の距離が大きい。「~底深伎 阿胡根の浦の~。万、12」の転訛。ア⸢サー⸣ン[ʔa⸢saː⸣ŋ](浅い)の対義語。 ⸢ウイヌカーヤ⸣ フ⸢カーン⸣ドゥ ⸢インヌカーヤ ナン⸣ゾー フ⸢カー ナー⸣ヌ [⸢ʔuinukaːja⸣ ɸu̥⸢kaːn⸣du ⸢ʔinnukaːja nan⸣ʣoː ɸu̥⸢kaː naː⸣nu] (上の村井戸<富村井戸>は深いが、西の村井戸はそれほど深くない)。 ⸣ドゥク フ⸢カー⸣ヌ ウ⸢リララ⸣ヌ [⸣duku ɸu̥⸢kaː⸣nu ʔu⸢rirara⸣nu] (あまりにも深くて下りられない)。 ⸢シンダイ⸣ フ⸢カー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ɸu̥⸢kaː⸣ naruŋ] (次第に深くなる)。 フ⸢カーン⸣ トンマー ッ⸢スマラ⸣ヌ [ɸu̥⸢kaːn⸣ tommaː s⸢sumara⸣nu] (深い所は\ruby{潜}{モグ}れない)。フ⸢カー⸣ル ⸣トン[ɸu̥⸢ka⸣ːru ⸣toŋ](深い所)ともいう。 ⸣アイニ フ⸢カー⸣カー ッ⸢スマラ⸣ヌ [⸣ʔaini ɸu̥⸢kaː⸣kaː s⸢sumara⸣nu] (あんなに深かったら潜れない)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢カー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kaː⸣reː ⸣misamunu] (もっと深ければいいのに)。 14648 0 2 14412 htmvoc_14648.wav フカーン フ⸢カー⸣ン [ɸu̥⸢kaː⸣ŋ] 形 {Mn_2}ものの程度が大きい。 ウ⸢レー⸣ ユク フ⸢カー⸣ン [ʔu⸢reː⸣ juku ɸu̥⸢kaː⸣ŋ] (彼は欲が深い) 14651 0 0 14413 htmvoc_14651.wav フカアラキ フ⸢カアラ⸣キ [ɸu̥⸢kaʔara⸣ki] 名 外歩き。外出。「ほかありき」『源氏物語(澪標)』の転訛か。普通は病み上がりで外出する際に用いる。フ⸢カマー⸣ル[ɸu̥⸢kamaː⸣ru](外回り{EOS}外歩き)、⸢ヤーマー⸣ル[⸢jaːmaː⸣ru](外出{EOS}家回り)というのは、仕事を怠けて外出し、遊ぶ意味がともなう。 ニ⸢チ⸣ヌ ピ⸢クター⸣ フ⸢カアラ⸣キン ナルン⸢ダー [ni⸢ʧi⸣nu pi̥⸢kutaː⸣ ɸu̥⸢kaʔara⸣kin narun⸢daː] (熱が引いたので外出<外歩き>も出来るよ) 14649 0 0 14414 htmvoc_14649.wav フカイ ⸣フカイ [⸣ɸu̥kai] 名 (地)桴海。裏石垣の冨野東部海岸に位置し、浦底湾に臨む。 ム⸢カ⸣シェー ⸣フカイナーン ム⸢ラー アッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ɸu̥kainaːm mu⸢raː ʔat⸣tanʦoː] (昔は桴海にも村があったそうだ) 14652 0 0 14415 htmvoc_14652.wav フカイバナ フ⸢カイ⸣バナ [ɸu̥⸢kai⸣bana] 名 醗酵するとき。最高に醗酵し始めた頃。勢いよく醗酵し始めた頃。歌謡語。古典民謡「鳩間中岡」でうたわれている。動詞⸣フカウン[⸣ɸu̥kauŋ](醗酵する)の連用形で、接尾語⸣バナ[⸣bana](端{EOS}最初{EOS}動作の始め)が下接して形成された合成名詞 14650 0 1 14416 htmvoc_14650.wav フカイルン フ⸢カイ⸣ルン [ɸu̥⸢kai⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}\ruby{火照}{ホ|テ}る。体温が著しく上昇する。 プ⸢スマティダヌ⸣ アツァカー ⸢ドゥー⸣ヤ フ⸢カイルン⸣ドゥ ⸢ピーリ⸣ミジ ヌ⸢マ⸣スカー フ⸢カイラ⸣ヌ [pu̥⸢sumatidanu⸣ ʔaʦakaː ⸢duː⸣ja ɸu̥⸢kairun⸣du ⸢piːri⸣miʤi nu⸢ma⸣sukaː ɸu̥⸢kaira⸣nu] (真昼の太陽が暑いと火照るが、冷や水を飲ませると火照らない)。 ⸢ドゥー⸣ヤ ⸣フカイティ ニ⸢バラヌ [⸢duː⸣ja ⸣ɸu̥kaiti ni⸢baranu] (体が火照って眠れない)。 フ⸢カイ⸣ル ⸣ピンマー ⸢ピーリ⸣ミジ ヌ⸢マ⸣シティ ⸢オン⸣ギシ ⸢アウ⸣リ [ɸu̥⸢kai⸣ru ⸣pimmaː ⸢piːri⸣miʤi nu⸢ma⸣ʃi̥ti ⸢ʔoŋ⸣giʃi ⸢ʔau⸣ri] (体が火照る時は冷や水を飲ませて扇で\ruby{煽}{アオ}れ)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢カイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kai⸣jaː ⸣misamunu] (もっと火照ればいいのに)。 フ⸢カイ⸣リ [ɸu̥⸢kai⸣ri] (火照れ)。 14650 0 2 14417 htmvoc_14650.wav フカイルン フ⸢カイ⸣ルン [ɸu̥⸢kai⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}\ruby{醗酵}{ハッ|コウ}する。 シ⸢タ⸣デー ⸣フカイティ イッ⸢ケナ バイヤー⸣ン [ʃi̥⸢ta⸣deː ⸣ɸu̥kaiti ʔik⸢kena baijaː⸣ŋ] (醤油<下地>は醗酵してよく醸造され<沸い>た)。 14650 0 3 14418 htmvoc_14650.wav フカイルン フ⸢カイ⸣ルン [ɸu̥⸢kai⸣ruŋ] 自動 {Mn_3}湯が吹き上がる。吹きこぼれる。 ⸢ユー⸣ヤ ⸣フカイティ ク⸢バ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢juː⸣ja ⸣ɸu̥kaiti ku⸢ba⸣ri ⸢naː⸣nu] (お湯は吹き上がってこぼれ<零れ>てしまった) 14653 0 0 14419 htmvoc_14653.wav フカウン ⸣フカウン [⸣ɸu̥kauŋ] 自動 火照る。体温が著しく上昇する。火照って意識障害を起こす。 ⸣ドゥク ⸣アツァカー ⸢ドゥー⸣ヤ ⸣フカウンティ ⸢スンドゥ⸣ バー ⸢ナン⸣ゾー フ⸢カーン⸣シェン [⸣duku ⸣ʔaʦakaː ⸢duː⸣ja ⸣ɸu̥kaunti ⸢sundu⸣ baː ⸢nan⸣ʣoː ɸu̥⸢kaːŋ⸣ʃeŋ] (あんまり暑いと体が火照るというが、私はあまり火照らなかった)。 ⸢ドゥー⸣ヤ ⸣フカイティ ニ⸢バラヌ [⸢duː⸣ja ⸣ɸu̥kaiti ni⸢baranu] (体が火照って眠れない)。 ⸢ドゥー⸣ヤ ⸣フカウ ⸣クトゥン ⸣アン [⸢duː⸣ja ⸣ɸu̥kau ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (体は火照ることもある)。 フ⸢カイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢kai⸣jaː ⸣misamunu] (火照ればいいのに)。 ⸣フカイバ [⸣ɸu̥kaiba] (火照れよ) 14654 0 0 14420 htmvoc_14654.wav フカウン ⸣フカウン [⸣ɸu̥kauŋ] 自動 醗酵する。 ム⸢ルン⸣マー フ⸢カイ⸣ジブン ⸣ナルカー ブ⸢クブ⸣クシ フ⸢カウン⸣ドゥ ク⸢レー⸣ マ⸢ダ⸣ フ⸢カーン⸣バン [mu⸢rum⸣maː ɸu̥⸢kai⸣ʤibun ⸣narukaː bu⸢kubuku⸣ʃi ɸu̥⸢kaun⸣du ku⸢reː⸣ ma⸢da⸣ ɸu̥⸢kaːm⸣baŋ] (もろみ<諸味{EOS}\ruby{醪}{モロミ}>は醗酵する時分にはぶくぶくと醗酵するが、これは、まだ醗酵しないよ) 14656 0 0 14421 htmvoc_14656.wav フカカザミ フ⸢カカザ⸣ミ [ɸu̥⸢kakaʣa⸣mi] 名 深く仕舞うこと。深く隠すこと。大事に仕舞いこむこと。隠し過ぎること。カ⸢ザミフカ⸣スン[ka⸢ʣamiɸu̥ka⸣suŋ](隠しすぎる)ともいう。 フ⸢カカザミ シーティル ミシキマー⸣キ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [ɸu̥⸢kakaʣami ʃiːtiru miʃi̥kimaː⸣ki ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (深く仕舞いこみ過ぎて、探し兼ねて<見つけ負けして>いる) 14657 0 0 14422 htmvoc_14657.wav フカキジ フ⸢カキジ [ɸu̥⸢kakiʤi] 名 重傷。深手。深い傷。「深傷」の転訛。ア⸢サキジ[ʔa⸢sakiʤi](浅い傷)の対義語。 フ⸢カキジ⸣ ヤ⸢レー⸣ティル イ⸢サン⸣ヤー ⸢サーリ パッ⸣タ [ɸu̥⸢kakiʤi⸣ ja⸢reː⸣tiru ʔi⸢saɲ⸣jaː ⸢saːri pat⸣ta] (重傷<深傷>であったので病院<医者の家>へ連れていった) 14658 0 0 14423 htmvoc_14658.wav フカザイサン フ⸢カ⸣ザイサン [ɸu̥⸢ka⸣ʣaisaŋ] 名 自宅以外に所有する先祖伝来の田畑などの土地財産。 ⸢ウン⸣ネーヤ フ⸢カ⸣ザイサンヌ ⸢ゴー⸣ラール ⸢ヤー⸣キナイ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [⸢ʔun⸣neːja ɸu̥⸢ka⸣ʣaisannu ⸢goː⸣raːru ⸢jaː⸣kinai ja⸢runda⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (あの家は先祖伝来の田畑の多い家庭だから羨ましい) 14655 0 0 14424 htmvoc_14655.wav フカサバン ⸣フカサバン [⸣ɸu̥kasabaŋ] 名 深茶碗。筒型の茶碗。ア⸢ササバン[ʔa⸢sasabaŋ](浅い茶碗{EOS}普通の茶碗{EOS}来客用の茶碗)の対義語。深茶碗は老人が愛用した。床の間や仏壇用の茶碗には深茶碗を用いた。 ⸢ウイ⸣プスンケーヤ ⸣フカサバンナール ⸢サー⸣ヤ ⸢サイティ⸣ ヌ⸢モーッタ⸣ル [⸢ʔui⸣pu̥suŋkeːja ⸣ɸu̥kasabannaːru ⸢saː⸣ja ⸢saiti⸣ nu⸢moːtta⸣ru] (老人達は深茶碗にお茶を注いで飲まれたものだ)。 トゥ⸢クニトゥ ザートゥク⸣ヌ ⸢サー⸣ドーサバンマー ⸣フカサバンル シゥ⸢カイヨー⸣ル [tu̥⸢kunitu ʣaːtuku⸣nu ⸢saː⸣doːsabammaː ⸣ɸu̥kasabanru si̥⸢kaijoː⸣ru] (仏壇と床の間の茶湯用の茶碗は底の深い湯のみ茶碗を使われる) 14663 0 0 14425 htmvoc_14663.wav フカシグトゥ ⸣フカシグトゥ [⸣ɸu̥kaʃigutu] 名 家庭以外の場所でする仕事。「外仕事」の義。山仕事、畑仕事、海仕事<漁業>など。 ⸢オシキヌ カイ⸣ヤンダ ムー⸢ル⸣ フカシグトゥ ⸢シン⸣ パ⸢リ⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoʃi̥kinu kai⸣janda muː⸢ru⸣ ɸu̥kaʃigutu ⸢ʃim⸣ pa⸢ri⸣ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (天気がいいので<綺麗だから>、皆外の仕事に行ってしまった) 14664 0 0 14426 htmvoc_14664.wav フカズミ フ⸢カズミ [ɸu̥⸢kaʣumi] 名 こぞめ(濃染)。濃く染めること。「紅の 深染之衣 下に着て~。万、1313」の義。 ⸣アブジェー ⸢クンジヌ⸣ フ⸢カズミ ソー⸣レール ⸢キン⸣バ キ⸢シ オーッ⸣タ [⸣ʔabuʤeː ⸢kunʣuminu⸣ ɸu̥⸢kaʣumi soː⸣reːru ⸢kim⸣ba ki̥⸢ʃi ʔoːt⸣ta] (お祖父さんは紺染めの深染めされた着物を着ておられた) 14660 0 1 14427 htmvoc_14660.wav フカスン フ⸢カスン [ɸu̥⸢kasuŋ] 他動 {Mn_1}大小便を漏らす。\ruby{粗相}{ソ|ソウ}する。 ⸣ドゥク シ⸢バ⸣ル ⸣ニズカー フ⸢カスンダ⸣ フ⸢カサン⸣ヨーニ シ⸢バ⸣ル シ⸢ミリ⸣バ [⸣duku ʃi⸢ba⸣ru ⸣niʣukaː ɸu̥⸢kasunda⸣ ɸu̥⸢kasaŋ⸣joːni ʃi⸢ba⸣ru ʃi⸢miri⸣ba] (あんまり小便を我慢すると漏らすから、漏らさないように小便をさせなさいよ)。 シ⸢バ⸣ル フ⸢カシティ⸣ナ⸢キ ベー [ʃi⸢ba⸣ru ɸu̥⸢kaʃi̥ti⸣ na⸢ki beː] (小便を漏らして泣いている)。 ン⸢グム⸣カー シ⸢バ⸣ル フ⸢カ⸣ス ⸣クトゥン ⸣アン [ʔŋ⸢gumu⸣kaː ʃi⸢ba⸣ru ɸu̥⸢kasu⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (力むと小便を漏らすこともある)。 ニ⸢ザン⸣ドーシ フ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [ni⸢ʣan⸣doːʃi ɸu̥⸢kaʃeː⸣ misamunu] (我慢しないで漏らせばいいのに)。 フ⸢カシ⸣バ [ɸu̥⸢kaʃi⸣ba] (漏らしなさい)。 14660 0 2 14428 htmvoc_14660.wav フカスン フ⸢カスン [ɸu̥⸢kasuŋ] 他動 {Mn_2}ずらし落とす。「\ruby{放下}{ホ|カ}す」の義か。 ⸢ヤーティ⸣スカー サ⸢ラマ⸣タ フ⸢カスンティ アーク⸣タ [⸢jaːti⸣si̥kaː sa⸢rama⸣ta ɸu̥⸢kasunti ʔaːku⸣ta] (もうじきパンツ<猿股>を落とすところだった)。 14660 0 3 14429 htmvoc_14660.wav フカスン フ⸢カスン [ɸu̥⸢kasuŋ] 他動 {Mn_3}\ruby{潜}{クグ}らせる。 ユ⸢クンツァ⸣メーラ フ⸢カシ⸣ パ⸢ラシ⸣タ [ju⸢kunʦa⸣meːra ɸu̥⸢kaʃi⸣ pa⸢raʃi̥⸣ta] (床下から潜らせて逃がし<行かせ>た)。 14660 0 4 14430 htmvoc_14660.wav フカスン フ⸢カスン [ɸu̥⸢kasuŋ] 他動 {Mn_4}ほどけさせる。ほどく。 ガ⸢マ⸣ジ フ⸢カスン [ga⸢ma⸣ʤi ɸu̥⸢kasuŋ] (結い髪をほどく)。 14660 0 5 14431 htmvoc_14660.wav フカスン フ⸢カスン [ɸu̥⸢kasuŋ] 他動 {Mn_5}\ruby{篩}{フル}う。\ruby{篩}{フルイ}でふるう。 ⸣シノーシ ⸣クー フ⸢カシ⸣バ [⸣ʃinoːʃi ⸣kuː ɸu̥⸢kaʃi⸣ba] (篩いで粉を篩いなさいよ)。 14660 0 6 14432 htmvoc_14660.wav フカスン フ⸢カスン [ɸu̥⸢kasuŋ] 他動 {Mn_6}妻が姦通する。夫を裏切る。 ブ⸢トゥ⸣ フ⸢カスン [bu⸢tu⸣ ɸu̥⸢kasuŋ] (妻が姦通する{EOS}夫を裏切る) 14661 0 0 14433 htmvoc_14661.wav フカスン フ⸢カ⸣スン [ɸu̥⸢ka⸣suŋ] 他動 沸かす。お湯を沸かす。「煖、阿太々牟、又、和可須<わかす>」『新撰字鏡』。「さし鍋に 湯和可世子等~。万、3824」の義。 ⸣ユー フ⸢カ⸣スンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ フ⸢カサラン⸣バン [⸣juː ɸu̥⸢ka⸣sunti ⸢beːn⸣du mut⸢tu⸣ ɸu̥⸢kasaram⸣baŋ] (お湯を沸かそうとしているが、ちっとも沸かされないよ)。 ⸣クナーティ ⸣ユー フ⸢カ⸣シ ⸣ミサカー フ⸢カ⸣スクトー ⸣ナルン [⸣kunaːti ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi ⸣misakaː ɸu̥⸢ka⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (ここでお湯を沸かしてよければ、沸かすことはできる)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢カ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢ka⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと湯を沸かせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ユー フ⸢カ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi] (早くお湯を沸かせ) 14662 0 1 14434 htmvoc_14662.wav フガスン フ⸢ガスン [ɸu⸢gasuŋ] 他動 {Mn_1}穴をあける。底抜けにする。「Fogaxi,u,aita.ホガシ、ス、イタ(ほがし、す、いた)\ruby{穿孔}{セン|コウ}する、すなわち、孔をあける」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ピッカスンとも言う。 ナ⸢ビ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ フ⸢ガシ ナー⸣ヌ [na⸢bi⸣nu ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢gaʃi naː⸣nu] (鍋の底<尻>をほがして<孔をあけて>しまった)。 ⸣ドゥク ナ⸢ビ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ ッスカー シ⸢ビ⸣ フ⸢ガスンダ⸣ フ⸢ガサン⸣ スコーニ ア⸢ライ⸣バ [⸣duku na⸢bi⸣nu ʃi⸢bi⸣ ssukaː ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢gasunda⸣ ɸu⸢gasan⸣ su̥koːni ʔa⸢rai⸣ba] (あんまり鍋の底を擦ると、底<尻>に穴があくから、穴をあけないように洗いなさいよ)。 ナ⸢ビ⸣ヌ シ⸢ビ⸣ フ⸢ガシティ⸣ シゥ⸢カーラヌ [na⸢bi⸣nu ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢gaʃi̥ti⸣ sï̥⸢kaːranu] (鍋の底に穴をあけて使えない)。 ス⸢ク⸣ フ⸢ガシェー⸣ ミサムヌ [su̥⸢ku⸣ ɸu⸢gaʃeː⸣ misamunu] (底に穴を明ければいいのに)。 ナ⸢ビ⸣ヌ ス⸢ク⸣ フ⸢ガシ [na⸢bi⸣nu su̥⸢ku⸣ ɸu⸢gaʃi] (鍋の底に穴をあけよ<ほがせ>)。 14662 0 2 14435 htmvoc_14662.wav フガスン フ⸢ガスン [ɸu⸢gasuŋ] 他動 {Mn_2}欠損させる。横領する。 ク⸢ミアイ⸣ヌ ⸣ジン フ⸢ガシナー⸣ヌ [ku⸢miʔai⸣nu ⸣ʤiŋ ɸu⸢gaʃinaː⸣nu] (組合の金を横領して<穴を開けて>しまった) 14665 0 0 14436 htmvoc_14665.wav フカダー フ⸢カ⸣ダー [ɸu̥⸢ka⸣daː] 名 深田。泥の深い田圃。ガ⸢タダー[ga⸢tadaː](浅田{EOS}泥の深くない田{EOS}「潟田」の義か)の対義語。深田には泥の中に垂木を敷き、それを踏みながら耕作したという。 ウ⸢ヌ ター⸣ヤ ム⸢ムッ⸣タラ ⸢バー⸣キ ⸢ペー⸣ル ス⸢ク⸣ヌ フ⸢カ⸣ダー ⸢ヤッタ [ʔu⸢nu taː⸣ja mu⸢mut⸣tara ⸢baː⸣ki ⸢peː⸣ru su̥⸢ku⸣nu ɸu̥⸢ka⸣daː ⸢jatta] (その田圃は\ruby{股}{モモ}まで入るほどの深田であった) 14666 0 0 14437 htmvoc_14666.wav フカダチ フ⸢カダ⸣チ [ɸu̥⸢kada⸣ʧi] 名 下痢。便所がよいをすること。「ほかたち(外立)」の義という説『石垣方言辞典』あり。老年層の言葉。若年層では使用しない。 ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァイル⸣ ア⸢タルタ⸣ユー ユ⸢ビン⸣サートゥ フ⸢カダ⸣チ ⸢シートゥーシ⸣ ナ⸢ラン⸣シェン [⸢nuː⸣ba f⸢fairu⸣ ʔa⸢taruta⸣juː ju⸢bin⸣saːtu ɸu̥⸢kada⸣ʧi ⸢ʃiːtuːʃi⸣ na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (何を食べて当ったのか、昨夜は夜通し下痢で便所通いをして堪らなかった) 14667 0 0 14438 htmvoc_14667.wav フカテー フ⸢カ⸣テー [ɸu̥⸢ka⸣teː] 名 腕を後方外側へ捻ること。「外手」の義か。このやり方で物品を受け渡しするのは霊界、魔界の作法といわれ、非常に忌み嫌われていた。 フ⸢カ⸣テーニ ム⸢ヌ⸣バ トゥ⸢ラ⸣ス ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ka⸣teːni mu⸢nu⸣ba tu⸢ra⸣su ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (腕を後方外側へ捻るようにして物を受け渡しするものではない) 14668 0 0 14439 htmvoc_14668.wav フカトゥー フ⸢カ⸣トゥー [ɸu̥⸢ka⸣tuː] 名 深海。大海。大洋。リーフの外側の深海。 フ⸢カ⸣トゥー ン⸢ジ⸣ル イ⸢ガン⸣ カ⸢ツン ホー⸣ソーッタ [ɸu̥⸢ka⸣tuː ʔn⸢ʤi⸣ru ʔi⸢gaŋ⸣ kḁ⸢ʦuŋ hoː⸣soːtta] (リーフの外の大洋<深海>に出て<ぞ>烏賊もカツオも釣られた) 14669 0 0 14440 htmvoc_14669.wav フカドゥミ フ⸢カ⸣ドゥミ [ɸu̥⸢ka⸣dumi] 名 \ruby{妾}{メカケ}。正妻以外に養っている愛人。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アボー ブ⸢トゥヌ⸣ フカドゥミン<フ⸢カ⸣ドゥミナ> キ⸢ム⸣バ ヤ⸢カリトゥーシル オー⸣ル [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔaboː bu⸢tunu⸣ ɸu̥kadumiŋ<ɸu⸢ka⸣dumina> ki⸢mu⸣ba ja⸢karituːʃiru ʔoː⸣ru] (あの家のお母さんは、夫の妾に悩まされ通して<肝を焼かれ通して><ぞ>おられる) 14670 0 0 14441 htmvoc_14670.wav フカナライ ⸣フカナライ [⸣ɸu̥kanarai] 名 外での慣わし。世間での習慣。⸢ヤー⸣ナライ[⸢jaː⸣narai](家庭での習慣)の対義語。⸢ヤーナライ⸣ル ⸣フカナライ[⸢jaːnarai⸣ru ⸣ɸu̥kanarai](家庭での習慣<仕付け>が世間に出ると、そのまま現れるものだ<外での習慣となる>)<諺> 14671 0 0 14442 htmvoc_14671.wav フカバカパマ フ⸢カバ⸣カパマ [ɸu̥⸢kaba⸣kapama] 名 (地)「ほかはか(\ruby{外計}{ホカ|ハカ})・ぱま(浜)」の義か。フ⸢ナ⸣バルパマ(船原浜)の北側、シ⸢マナカヌ⸣パマ[ʃi⸢manakanu⸣pama](島仲の浜)の中間にある小さな浜。東村の人々が潮干狩りに行く際に利用した 14672 0 0 14443 htmvoc_14672.wav フカバラー フ⸢カ⸣バラー [ɸu̥⸢ka⸣baraː] 名 縁の外側にある柱。えんばしら(縁柱)。「外柱」の義。普通は、ハ⸢ギバラー[ha⸢gibaraː](\ruby{軒柱}{ノキ|バシラ}、\ruby{裾柱}{スソ|バシラ})という。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ フ⸢カ⸣バラー ムー⸢ル キャーンギバル⸣ シゥ⸢カイ⸣ ス⸢コー⸣レーバン [ku⸢nu jaː⸣nu ɸu̥⸢ka⸣baraː muː⸢ru kjaːŋgibaru⸣ sï̥⸢kai⸣ su̥⸢koː⸣reːbaŋ] (この家の縁柱は全部イヌマキ<犬槇>を使ってあられるわい) 14673 0 0 14444 htmvoc_14673.wav フカビリ フ⸢カ⸣ビリ [ɸu̥⸢ka⸣biri] 名 便所に行くこと。大便をすること。「ほかゐり(外座り)」の義とする説『石垣方言辞典』。戦前までは豚舎に便所があり、人糞を与えていた。 ウ⸢レー⸣ フ⸢カ⸣ビリ ⸢シー⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ka⸣biri ⸢ʃiː⸣naː na⸢ra⸣nu] (彼はよく便所に行くので<彼が外座りするのには>困る) 14674 0 0 14445 htmvoc_14674.wav フカマー ⸣フカマー [⸣ɸu̥kamaː] 名 外孫。分家した息子の子供や嫁入りした娘らの子供。ウ⸢チマー[ʔu⸢ʧimaː](長男<跡取り>の子供{EOS}内孫)の対義語。 ⸢ウン⸣ネーヤ ウ⸢チマーン⸣ フカマーン イッ⸢ケナ⸣ サ⸢カリ ブー [⸢ʔun⸣neːja ʔu⸢ʧimaːŋ⸣ ɸu̥kamaːŋ ʔik⸢kena⸣ sḁ⸢karibuː] (あの家は内孫も外孫も非常に繁盛して<栄えて>いる) 14675 0 0 14446 htmvoc_14675.wav フカマール フ⸢カマー⸣ル [ɸu̥⸢kamaː⸣ru] 名 外歩き。外出。外出して遊びまわること。仕事に身を入れない\ruby{怠惰}{タイ|ダ}な人にいう。「外回り」の義。 フ⸢カマー⸣ル カー⸢ニ サンドー⸣シ カ⸢シーカシ⸣ パ⸢タラキ⸣バ [ɸu̥⸢kamaː⸣ru kaː⸢ni sandoː⸣ʃi ka⸢ʃiːkaʃi⸣ pḁ⸢taraki⸣ba] (外回り<外出して遊ぶこと>だけしないで、しっかり働きなさいよ) 14676 0 0 14447 htmvoc_14676.wav フカマイフナー フ⸢カマイ⸣フナー [ɸu̥⸢kamai⸣ɸunaː] 名 家の外でよく働く者。職場でよく働く律儀者。 ビ⸢キドゥモー⸣ フ⸢カマイ⸣フナー ミ⸢ドゥ⸣モー フ⸢カマイ⸣フナーラン ⸢ヤーマイフナー⸣ル マ⸢シ [bi⸢kidumoː⸣ ɸu̥⸢kamai⸣ɸunaː mi⸢du⸣moː ɸu̥⸢kamai⸣ɸunaːraɲ ⸢jaːmaiɸunaː⸣ru ma⸢ʃi] (男は職場でよく働く律儀者が良くて、女は職場でよく働く律儀者よりも家庭内でよく働く者の方がよい) 14677 0 0 14448 htmvoc_14677.wav フカミルン フ⸢カミ⸣ルン [ɸu̥⸢kami⸣ruŋ] 他動 深める。深くする。「深め(下二)」のラ行四段活用化したもの。 ⸢マー⸣ビン サ⸢ライティ⸣ フ⸢カミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ フ⸢カミララ⸣ヌ [⸢maː⸣bin sa⸢raiti⸣ ɸu̥⸢kami⸣runti ⸢sundu⸣ ɸu̥⸢kamirara⸣nu] (もっと\ruby{浚}{サラ}って深めようとするが、深められない)。 フ⸢カミ⸣ル ⸣トンマー フ⸢カミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢kami⸣ru ⸣tommaː ɸu̥⸢kami⸣reː ⸣misamunu] (深める所は深めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣プリ フ⸢カミ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸣puri ɸu̥⸢kami⸣ri] (早く掘って深めろ) 14678 0 0 14449 htmvoc_14678.wav フカムスク フ⸢カムス⸣ク [ɸu̥⸢kamusu̥⸣ku] 名 (海底地名)。鳩間島の東、フ⸢カバ⸣カパマ[ɸu̥⸢kaba⸣kapama](外計浜)に続く干瀬の⸢ズンズンの南側の礁池部。 フ⸢カムス⸣クナーティン フ⸢クル⸣アン ウ⸢ラ⸣ソーッタン [ɸu̥⸢kamusu̥⸣kunaːtiŋ ɸu̥⸢kuru⸣ʔaŋ ʔu⸢ra⸣soːttaŋ] (フカムスクの礁池部にも袋網を下ろされ<仕掛けられ>た) 14679 0 0 14450 htmvoc_14679.wav フカムン フ⸢カ⸣ムン [ɸu̥⸢ka⸣muŋ] 他動 深める。深くする。深化させる。「~奥を深目手<フカメテ(下二)>~。万、2781」の四段活用化したもの。 ⸢ビンキョーン シーティ カンガイ⸣ユン フ⸢カ⸣ムンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢カンガイ⸣ヤー フ⸢カマラン⸣サー [⸢biŋkjoːŋ ʃiːti kaŋgai⸣juŋ ɸu̥⸢ka⸣munti ⸢beːn⸣du ⸢kaŋgai⸣jaː ɸu̥⸢kamaran⸣saː] (勉強もして考えをも深めようとしているが、考えは深まらないさ)。 ⸢カンガイ⸣ヤー フ⸢カミ⸣ プサンドゥ ⸣ドゥーシ フ⸢カ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルンカヤー [⸢kaŋgai⸣jaː ɸu̥⸢kami⸣pu̥sandu ⸣duːʃi ɸu̥⸢ka⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋkajaː] (考えは深めたいが、自分自身で深めることは出来るかねえ)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢カ⸣メーミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢ka⸣meː ⸣misamunu] (もっと深めれば良いのに)。 フ⸢カ⸣ミバ [ɸu̥⸢ka⸣miba] (深めなさいよ) 14681 0 0 14451 htmvoc_14681.wav フカヤー ⸣フカヤー [⸣ɸu̥kajaː] 名 墓。「外家」の義。歌謡語。⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)に歌われている言葉。日常会話では用いない。⸢ウシトゥ⸣ヌ ⸣クイ[⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸣kui](弟の歌<声>)に、⸢~ヌクタル サーミジヤ クバスユカ フカヤーヌ ソーローヌ タミドゥナル~(残った茶湯<茶水>を\ruby{零}{コボ}すから、お墓<外家>の祖霊<精霊>たちのためになる)と歌われている 14680 0 0 14452 htmvoc_14680.wav フカヤドゥ ⸣フカヤドゥ [⸣ɸu̥kajadu] 名 雨戸。家の戸。「外屋戸」の義。「夕さらば 屋戸開けまけて 吾待たむ~。万、744」の義。 ⸣アツァユンダ ⸣フカヤドー ムー⸢ル⸣ ア⸢キパタッキティ⸣ カ⸢ジ⸣ イ⸢リリ [⸣ʔaʦajunda ⸣ɸu̥kajadoː muː⸢ru⸣ ʔa⸢kipatakkiti⸣ ka⸢ʤi⸣ ʔi⸢riri] (暑いから外戸を全部開け放って風を入れなさい<入れれ>) 14682 0 0 14453 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 おおよその程度を表す。ぐらい。ほど。ばかり。 14682 0 0 14454 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_1}数量名詞につく。 ⸣プスイブカラー ⸣バー ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィーラン⸣ノーレー [⸣pu̥suibukaraː ⸣baː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːran⸣noːreː] (一日ぐらいは私の手伝いをしてくれないかね)。 14682 0 0 14455 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_2}さらに格助詞ヌ[nu](の)がつく。 サ⸢キヤマ⸣ヌ ⸢インタ ⸣ ニリブカラヌ ⸣トンナー ス⸢ニ⸣ヌ ⸣アンツォー [sḁ⸢kijama⸣nu ⸢ʔinta⸣ niribukaranu ⸣tonnaː su⸢ni⸣nu ⸣ʔanʦoː] (西表島の崎山崎の西、二里ほどのところに曽根があるそうだ)。 14682 0 0 14456 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_3}さらに副助詞連語⸢ナール[⸢naːru](ずつ<ぞ>)がつく。 グ⸢タンブカラナール⸣ バ⸢キ⸣ダマー ⸢イーラ⸣リツォー [gu⸢tambukaranaːru⸣ ba⸢ki⸣damaː ⸢ʔiːra⸣riʦoː] (五反ぐらいずつ<ぞ>財産は貰えるそうだ)。 14682 0 0 14457 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_4}さらに係助詞ル[ru](ぞ)がつく。 ク⸢ヌ カーヤ⸣ シン⸢トゥ ミール ブカラル⸣ タトゥ [ku⸢nu kaːja⸣ ʃin⸢tu miːrubukararu⸣ tḁtu] (この井戸は、たったの三尋ぐらい<ぞ>深い<深くたつ>)。 14682 0 0 14458 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_5}さらに並立の助詞トゥ[tu](と)がつく。 ⸢マイヌ⸣ クビブカラトゥ ⸢ムン⸣ヌ ⸣クビブカラバ マ⸢ザー⸣シティ バ⸢カシ⸣バ [⸢mainu⸣ kubibukaratu ⸢mun⸣nu ⸣kubibukaraba ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ba⸢kaʃi⸣ba] (米のこれぐらいと、麦のこれぐらいを混ぜて炊きなさいよ) 14682 0 0 14459 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_6}さらに副助詞⸢バー⸣キ[⸢baː⸣ki](まで{EOS}限界点を表す)がつく。 ⸣ウビブカラ ⸢バーキ⸣ル ス⸢クラ⸣リン ⸢スー [⸣ʔubibukara ⸢baːki⸣ru su̥⸢kura⸣rin ⸢suː] (これぐらいまでが作られもする)。 14682 0 0 14460 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_7}さらに係助詞⸣ツァン[⸣ʦaŋ](だに{EOS}すら{EOS}さえ)が付いて、最小限のことをあげて、他の重要なことを類推させる。 ユ⸢クジン⸣マー ⸣クビブカランツァン ⸣バキ ッ⸢ふィーラヌ [ju⸢kuʤim⸣maː ⸣kubibukaranʦam ⸣baki f⸢fiːranu] (欲張りめが、これぐらいさえも分けてくれない)。 14682 0 0 14461 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_8}さらに格助詞連語⸣-シン[⸣-ʃiŋ](<~で{EOS}手段、方法、道具、材料を表す>に取り立て強調の係助詞⸣-ン{SqBr}⸣-ŋ{/SqBr}<~も>がついた助詞連語)が付いて強調表現をつくる。 ⸣クビブカラシン ⸢パスクラ⸣サリン [⸣kubibukaraʃim ⸢pasu̥kurasa⸣riŋ] (これぐらいでも爆発させられる)。 14682 0 0 14462 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_9}さらに副助詞⸣サーギ[⸣saːgi](さえ)がついて程度の限界点を表す。 ⸣ウビブカラ ⸣サーギ ⸣マティ ッ⸢ふィール⸣カー ⸣ミサン [⸣ʔubibukara ⸣saːgi ⸣mati f⸢fiːru⸣kaː ⸣misaŋ] (これぐらいさえ待ってくれたらいいよ)。 14682 0 0 14463 htmvoc_14682.wav ブカラ ⸣-ブカラ [⸣-bukara] 副助 {Exp_10}さらに副助詞⸣サーギ[⸣saːgi](さえ)と係助詞⸣ツァン[⸣ʦaŋ](だに{EOS}すら)の助詞連語がついて強調表現となる。 ⸢マー ミッカブカラ サーギンツァン⸣ マ⸢タラヌ [⸢maː mikkabukara saːginʦam⸣ ma⸢taranu] (あと三日ぐらいさえも待てない<待たれない>のか) 14683 0 0 14464 htmvoc_14683.wav ブガラサン ブ⸢ガラ⸣サン [bu⸢gara⸣saŋ] 形 疲れている。きつい。つらい。 ブ⸢ガラ⸣サン ア⸢リ⸣ブンドゥ ブ⸢ガラサナーン⸣ティ ア⸢ジ アー⸣ク [bu⸢gara⸣saŋ ʔa⸢ri⸣bundu bu⸢garasanaːn⸣ti ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (きつい<疲れている>が、きつくない<疲れていない>といっている)。 ブ⸢ガラサ⸣ヌ ⸣タティ ブ⸢ララヌ [bu⸢garasa⸣nu ⸣tati bu⸢raranu] (きつくて<疲れて>、立っておられない)。 マ⸢ナ⸣マーラル ブ⸢ガラ⸣サ ⸣ナリ ⸣クー [ma⸢na⸣maːraru bu⸢gara⸣sa ⸣nari ⸣kuː] (今からがきつくなって<疲れて>くる)。 シ⸢グトー⸣ ブ⸢ガラ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ bu⸢gara⸣sa ku̥toː ⸢naː⸣nu] (仕事は、きついことはない)。 ブ⸢ガラ⸣サカー ⸢ユー⸣クイバ [bu⸢gara⸣sakaː ⸢juː⸣kuiba] (きつかった<疲れていた>ら休みなさい) 14684 0 0 14465 htmvoc_14684.wav ブガリ ブ⸢ガ⸣リ [bu⸢ga⸣ri] 名 疲れ、疲労。「緒<玉の緒。命>枯れ」の義説あり『石垣方言辞典』。 サ⸢キ⸣ ヌミティ ブ⸢ガ⸣リ ⸢ノー⸣シバ [sḁ⸢ki⸣ numiti bu⸢ga⸣ri ⸢noː⸣ʃiba] (酒を飲んで疲れを忘れ<直し>なさい) 14685 0 0 14466 htmvoc_14685.wav ブガリノーシ ブ⸢ガリノー⸣シ [bu⸢garinoː⸣ʃi] 名 疲れ直し。骨休め。田植えや畑仕事の後の慰労会。豊年祭や結願祭の出演者の慰労会。 ⸢マイイビヌ⸣ ブ⸢ガリノー⸣シ ⸢スンティ⸣ ウ⸢トゥザマリ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ サ⸢キ⸣ ヌミ ⸢オー⸣ル [⸢maiʔibinu⸣ bu⸢garinoː⸣ʃi ⸢sunti⸣ ʔu⸢tuʣamari⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti sḁ⸢ki⸣ numi ⸢ʔoː⸣ru] (田植えの骨休めをしようと親戚が集まって酒を飲んでおられる)。ヤ⸢マ⸣バコー[ja⸢ma⸣bakoː](家造りのための山入り共同作業{EOS}木材の伐り出し作業)や、⸢ユイマール[⸢juimaːru](結による共同作業)の終了した日の晩などに行われた 14686 0 0 14467 htmvoc_14686.wav ブガリルン ブ⸢ガリ⸣ルン [bu⸢gari⸣ruŋ] 自動 疲れる。疲れ果てる。疲労困憊する。ブ⸢ガ⸣ルンとも言う。 ⸢タンガ⸣シ ⸢スー⸣カー ブ⸢ガリルン⸣ドゥ フ⸢タール⸣シ ⸢スンダ⸣ ブ⸢ガリラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃi ⸢suː⸣kaː bu⸢garirun⸣du ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸢sunda⸣ bu⸢garira⸣nu] (一人ですると疲れるが、二人でするから疲れない)。 ウ⸢ブシグトゥバ シーティル⸣ ブ⸢ガ⸣リ ⸢ベー [ʔu⸢buʃigutuba ʃiːtiru⸣ bu⸢ga⸣ri ⸢beː] (大きな仕事をして疲れている)。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ シ⸢グトゥ⸣シ ブ⸢ガリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ブ⸢ガリ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ʃi⸢gutu⸣ʃi bu⸢gari⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu bu⸢gari⸣reː ⸣misamunu] (この程度の仕事で疲れることはないが、疲れればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ブ⸢ガリ⸣リバ [⸢paː⸣ku bu⸢gari⸣riba] (早く疲れろよ) 14687 0 0 14468 htmvoc_14687.wav ブガリワザ ブ⸢ガリ⸣ワザ [bu⸢gari⸣waʣa] 名 疲れる仕事。 ヤ⸢マシグ⸣トー ⸢フン⸣トー ブ⸢ガリ⸣ワザ ⸢ダー [ja⸢maʃigu⸣toː ⸢ɸun⸣toː bu⸢gari⸣waʣa ⸢daː] (山仕事は本当に疲れる仕事だよ) 14688 0 0 14469 htmvoc_14688.wav ブガルン ブ⸢ガ⸣ルン [bu⸢ga⸣ruŋ] 自動 疲れる。疲れ果てる。疲労困憊する。 ウ⸢ビ⸣ヌ シ⸢グトゥ タンガ⸣シ ⸢スー⸣カー ブ⸢ガ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ バー ⸢ピッ⸣チン ブ⸢ガラ⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu ʃi⸢gutu taŋga⸣ʃi ⸢suː⸣kaː bu⸢ga⸣runti ⸢sundu⸣ baː ⸢pit⸣ʧim bu⸢gara⸣nu] (あれだけの仕事を一人でしたら疲れるというが、私はちっとも疲れない)。 ⸣メー ブ⸢ガ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣meː bu⸢ga⸣ri ⸢naː⸣nu] (もう疲れてしまった)。 ウ⸢ビッ⸣チンシ ブ⸢ガ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [ʔu⸢bit⸣ʧiŋʃi bu⸢ga⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (これぽっちで疲れることはないはずだ)。 ⸢パー⸣ク ブ⸢ガ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku bu⸢ga⸣reː ⸣misamunu] (早く疲れればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ブ⸢ガ⸣リバ [⸢paː⸣ku bu⸢ga⸣riba] (早く疲れろよ) 14689 0 0 14470 htmvoc_14689.wav フカンガイ フ⸢カン⸣ガイ [ɸu̥⸢kaŋ⸣gai] 名 十五夜に作る\ruby{粥}{カユ}状の餅。食紅で\ruby{縞模様}{シマ|モ|ヨウ}になるように作った粥状の餅。老年層の言葉。若年層はフ⸢カン⸣ギ[ɸu̥⸢kaŋ⸣gi]ともいう。伝説によると、名月を拝んでいた妻が、月の面に映る夫と他の女性との不倫の姿に\ruby{激昂}{ゲキ|コウ}して現場へ行き、夫の男性性器を両手で力任せに\ruby{捻}{ヒネ}り回したという。これで夫の不倫を治すことができたので、妻は総てを照らし出す鏡のような十五夜の月に感謝の気持ちをこめて餅を供え、過ちを忘れないためにフカンガイを作って食するという(花城イガ氏伝承)。 フ⸢カンガイ⸣ヤー ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣カルイティ ア⸢ザリ ブー [ɸu̥⸢kaŋgai⸣jaː mi⸢dumu⸣nu ⸣karuiti ʔa⸢ʣari buː] (フカンガイは女の嘉例といわれている) 14690 0 0 14471 htmvoc_14690.wav フカンギ フ⸢カン⸣ギ [ɸu̥⸢kaŋ⸣gi] 名 餅の名。老年層はフ⸢カン⸣ガイ[ɸu̥⸢kaŋ⸣gai]という。⸢ズング⸣ヤー[⸢ʣuŋgu⸣jaː](十五夜)の月見の祭りに供える、タ⸢リフカン⸣ギ[ta⸢riɸu̥kaŋ⸣gi](どろどろに柔らかい餅)をいう。 フ⸢カン⸣ゲー タ⸢リ⸣ルンケン ⸢ネーシティ⸣ マ⸢カ⸣ルナー イ⸢リティル⸣ マ⸢ツォーッタ⸣ル [ɸu̥⸢kaŋ⸣geː ta⸢ri⸣ruŋken ⸢neːʃi̥ti⸣ ma⸢ka⸣runaː ʔi⸢ritiru⸣ ma⸢ʦoːtta⸣ru] (フカンギは、どろどろに柔らかくなるまで煮て、お碗に入れてお供えしたものだ) 14691 0 0 14472 htmvoc_14691.wav フカンタ ⸣フカンタ [⸣ɸu̥kanta] 名 外部。外の方。外側。ウ⸢チンタ[ʔu⸢ʧinta](内側)の対義語。 ⸣フカンタナー ⸣タティ シ⸢キ⸣リバ [⸣ɸu̥kantanaː ⸣tḁti ʃi̥⸢ki⸣riba] (外側に立てておきなさいよ)。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣フカンタナ ⸣タティ ⸢ベー [⸢jaː⸣nu ⸣ɸu̥kantana ⸣tati ⸢beː] (家の外に立っている) 14692 0 1 14473 htmvoc_14692.wav フキ ⸣フキ [⸣ɸu̥ki] 名 {Mn_1}「茎」の義。ススキの茎を結んで作った⸣サン[⸣saŋ](魔除けの\ruby{呪符}{ジュ|フ}の一種)のこと。稲や麦、豆等の種を\ruby{播}{マ}いた後、田畑の角から三歩内側に\ruby{挿}{サ}しておいた。 パ⸢タ⸣キナー ⸣タニ<⸣サニ> ⸣マキティ ⸣アトー ヤー⸢ディン⸣ フケー ッ⸢シ⸣ル ス⸢コーッ⸣タ [pḁ⸢ta⸣kinaː ⸣tani<⸣sani> ⸣makiti ⸣ʔatoː jaː⸢diŋ⸣ ɸu̥keː ʃ⸢ʃi⸣ru su̥⸢koːt⸣ta] (畑に種を播いた後、必ずサン<茎>を挿しておかれた)。 14692 0 2 14474 htmvoc_14692.wav フキ ⸣フキ [⸣ɸu̥ki] 名 {Mn_2}草木の芽。茎。 ⸢キー⸣ヌ フ⸢キ⸣ヌ ⸢バイン⸣ジ ⸣クン [⸢kiː⸣nu ɸu̥⸢ki⸣nu ⸢bai⸣ʔnʤi ⸣kuŋ] (木の新芽が芽吹いてくる) 14693 0 0 14475 htmvoc_14693.wav フキ ⸣フキ [⸣ɸu̥ki] 名 ふいご(鞴)。「Fuqi. fuigo.フキ.または、フイゴ(吹き、または、鞴)、鍛冶屋や金銀細工師などの使う\ruby{鞴}{フイゴ}」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢ザケーヌ⸣ ウ⸢ヤプス⸣ヌ ⸢ナードー⸣ナーティ フ⸢キ⸣バ シゥ⸢カイル カンザ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢ʣakeːnu⸣ ʔu⸢japu̥su⸣nu ⸢naːdoː⸣naːti ɸu̥⸢ki⸣ba si̥⸢kairu kanʣa⸣jaː ⸢soːt⸣taʦoː] (昔は加治工家の先祖が長堂で\ruby{鞴}{フイゴ}を使って鍛冶屋をされたそうだ) 14694 0 0 14476 htmvoc_14694.wav フキアールン フ⸢キアー⸣ルン [ɸu̥⸢kiʔaː⸣ruŋ] 自動 吹き\ruby{零}{コボ}れる。吹き上がってこぼれる。\ruby{沸騰}{フッ|トウ}してこぼれる。「吹き上がる」の義。 ⸢ピー⸣ヌ ⸢スー⸣ワカー ⸢カイヤー⸣ フ⸢キアー⸣ルンダ フ⸢キアーラサン⸣ヨーニ ⸢ピー⸣ヤ ピ⸢キ⸣バ [⸢piː⸣nu ⸢suː⸣wakaː ⸢kaijaː⸣ ɸu̥⸢kiʔaː⸣runda ɸu̥⸢kiʔaːrasaɲ⸣joːni ⸢piː⸣ja pi̥⸢ki⸣ba] (火力が強いと粥は吹き\ruby{零}{コボレ}るから、吹き零れないように火を引きなさいよ)。 フ⸢キアー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢kiʔaː⸣ri ⸢naː⸣nu] (吹き零れてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー フ⸢キアー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ɸu̥⸢kiʔaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く吹き零れることはない)。 フ⸢キアー⸣レー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢kiʔaː⸣reː ⸣misamunu] (吹き零れたらいいのに)。 フ⸢キアーリ⸣リ [ɸu̥⸢kiʔaːri⸣ri] (吹き零れろ) 14695 0 0 14477 htmvoc_14695.wav フキガイ フ⸢キガイ [ɸu̥⸢kigai] 名 \ruby{葺}{フ}き\ruby{替}{カ}え。\ruby{茅葺}{カヤ|ブキ}屋根や\ruby{瓦葺}{カワラ|ブキ}屋根を葺き替えること。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヤ フ⸢キガイ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu jaː⸣ja ɸu̥⸢kigai saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (この家は葺き替えしないといけない)。 ⸢カー⸣ラヤーヌ フ⸢キガイ [⸢kaː⸣rajaːnu ɸu̥⸢kigai] (瓦葺屋根の葺き替え) 14696 0 0 14478 htmvoc_14696.wav フキガイシ フ⸢キガイ⸣シ [ɸu̥⸢kigai⸣ʃi] 名 吹き返し。台風の吹き返し。台風の目が通過した後に、反対の方向から吹く強い風。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸢ミー⸣ヌ ⸣ンジパルカー フ⸢キカイシ⸣ヌ ⸣クーンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢taiɸuː⸣nu ⸢miː⸣nu ⸣ʔnʤiparukaː ɸu̥⸢kikaiʃi⸣nu ⸣kuːnda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (台風の目が過ぎ去ると吹き返しが来るから気をつけなさい) 14697 0 0 14479 htmvoc_14697.wav フキガラ フ⸢キ⸣ガラ [ɸu̥⸢ki⸣gara] 名 吸殻。煙草の吸殻。 タ⸢バク⸣ヌ フ⸢キガラ⸣バ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸣フク プ⸢スン⸣ ブ⸢タン⸣ダー [ta⸢baku⸣nu ɸu̥⸢kigara⸣ba ʔa⸢ʦa⸣miti ⸣ɸu̥ku pu̥⸢sum⸣ bu⸢tan⸣daː] (煙草の吸殻を集めて吸う人もいたよ) 14698 0 0 14480 htmvoc_14698.wav フキクムル ⸣フキクムル [⸣ɸu̥kikumuru] 名 (海底地名)。鳩間島の西北部にある深い礁内湖。干瀬の上で海草を食べていた魚が引き潮に伴って、⸣フキクムル[⸣ɸu̥kikumuru]へと下がってくるから、シ⸢ナカキ⸣ヤー[ʃi⸢nakaki⸣jaː](追い込み漁)の際には袋網をそこに仕掛けて、よく漁獲した 14699 0 0 14481 htmvoc_14699.wav フキザールン フ⸢キザー⸣ルン [ɸu̥⸢kiʣaː⸣ruŋ] 自動 吹き荒れる。吹きまくる。 カ⸢ジヌ⸣ ニ⸢シェー アンガル⸣カー フ⸢キザー⸣ルンダ カ⸢ジヌ⸣ フ⸢キザーラン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パリ [ka⸢ʤinu⸣ ni⸢ʃeː ʔaŋgaru⸣kaː ɸu̥⸢kiʣaː⸣runda ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢kiʣaːraŋ⸣keɲ ⸢jaː⸣ pari] (風が北へ上がると、吹き荒れるから、風が吹き荒れないうちに家に帰りなさい)。 キサー⸢ティ⸣ フ⸢キザー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ ɸu̥⸢kiʣaː⸣ri ⸢naː⸣nu] (既に吹き荒れてしまった)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢キザー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kiʣaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これ以上吹き荒れることはない)。 フ⸢キザー⸣レーラー ⸢デー⸣ジ [ɸu̥⸢kiʣaː⸣reːra ⸢deː⸣ʤi] (吹き荒れたら大変だ)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢キザー⸣リ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kiʣaː⸣ri] (もっと吹き荒れろ) 14700 0 0 14482 htmvoc_14700.wav フキジー フ⸢キ⸣ジー [ɸu̥⸢ki⸣ʤiː] 名 肥えた土地。肥沃な土地。パ⸢ギ⸣ジー[pa⸢gi⸣ʤiː](痩せた土地)の対義語。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー フ⸢キ⸣ジー ヤ⸢ルンダ⸣ ス⸢クリ⸣ムノー イッ⸢ケナ ノー⸣ルン [ku⸢nu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ɸu̥⸢ki⸣ʤiː ja⸢runda⸣ su̥⸢kuri⸣munoː ʔik⸢kena noː⸣ruŋ] (この畑は肥えた土地だから作物は非常によく稔る) 14701 0 0 14483 htmvoc_14701.wav フキジナ フ⸢キジナ [ɸu̥⸢kiʤina] 名 \ruby{茅葺}{カヤ|ブキ}屋根を\ruby{葺}{フ}く際に使用する、太めに\ruby{綯}{ナ}った\ruby{藁縄}{ワラ|ナワ}。「\ruby{葺綱}{フキ|ツナ}」の義。⸢ヤーフキ⸣ジナ[⸢jaːɸu̥ki⸣ʤina](屋根葺き綱)ともいう。 フ⸢キジナー⸣ パルナー ヌ⸢キティ⸣ タ⸢ル⸣キーナ ⸣カキ ⸢マーシティ ウイ⸣ ン⸢ザ⸣スカー ティ⸢ブ⸣クナ ⸣カキティ シ⸢ミ⸣シキティル ⸢ヤー⸣ヤ フ⸢クタル [ɸu̥⸢kiʤinaː⸣ parunaː nu⸢kiti⸣ ta⸢ru⸣kina ⸣kaki ⸢maːʃi̥ti ʔui⸣ ʔn⸢ʣa⸣su̥kaː ti⸢bu⸣kuna ⸣kḁkiti ʃi⸢mi⸣ʃi̥kitiru ⸢jaː⸣ja ɸu̥⸢kutaru] (屋根葺き綱は竹の針に通し、垂木にかけ回して上へ出すと、茅を押さえる竹の手矛にかけ、締め付けて屋根は葺いた) 14702 0 0 14484 htmvoc_14702.wav フキッスン ⸣フキ ⸣ッスン [⸣ɸu̥ki ⸣ssuŋ] 連 ススキの⸣フキ[⸣ɸu̥ki](茎を結んで作ったサン)を挿す。畑に挿したり、⸣シチ[⸣ʃi̥ʧi](節祭り)には家の四隅の軒に桑の枝を添えて挿した。 シ⸢チ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ユーカドゥヌ⸣ ヌ⸢キ⸣ナー ⸣フキ ッ⸢ス⸣タン [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣pimmaː ⸢jaː⸣nu ⸢juːkadunu⸣ nu⸢ki⸣naː ⸣ɸu̥ki s⸢su⸣taŋ] (節祭りの日には家の四隅の軒にフキを挿した) 14703 0 0 14485 htmvoc_14703.wav フキッツァースン フ⸢キッツァー⸣スン [ɸu̥⸢kitʦaː⸣suŋ] 自動 風が強く吹く。吹きまくる。 カ⸢ジヌ マール⸣カー ニ⸢シカジヌ⸣ フ⸢キッツァー⸣スンダ フ⸢キッツァーサン⸣ケン ⸣フネー ン⸢ザ⸣シバ [ka⸢ʤinu maːru⸣kaː ni⸢ʃikaʤinu⸣ ɸu̥⸢kitʦaː⸣sunda ɸu̥⸢kitʦaːsaŋ⸣keŋ ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (風が回ると北風が吹きまくるから、吹きまくらないうちに船を出しなさい)。 キサー⸢ティ⸣ フ⸢キッツァー⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ ɸu̥⸢kitʦa⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (もう既に吹きまくってしまった)。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) フ⸢キッツァー⸣ス ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [⸢kjuː⸣ja(wa) ɸu̥⸢kitʦaː⸣su ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (今日は吹きまくることはないはずだ)。 フ⸢キッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢kitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (吹きまくればいいのに)。 ⸢アンカジェー⸣ フ⸢キッツァー⸣シ [⸢ʔaŋkaʤeː⸣ ɸu̥⸢kitʦaː⸣ʃi] (東風は吹きまくれ) 14704 0 0 14486 htmvoc_14704.wav フキナクン フ⸢キナ⸣クン [ɸu̥⸢kina⸣kuŋ] 自動 吹き込む。雨風が吹き込む。 ⸣ヤドゥ ⸢ホーン⸣カー ア⸢ミ⸣ヌ フ⸢キナ⸣クン ⸢ダー [⸣jadu ⸢hoːŋ⸣kaː ʔa⸢mi⸣nu ɸu̥⸢kina⸣kun⸢daː] (戸を締めないと雨が吹き込むぞ)。 ⸣ヤドゥ ⸢フー⸣カー フ⸢キナカ⸣ヌ [⸣jadu ⸢ɸuː⸣kaː ɸu̥⸢kinaka⸣nu] (戸を締めたら吹き込まない)。 カ⸢ジヌ スー⸣ヤ(ワ)ティ ⸣アメー フ⸢キナ⸣キ ⸢キー⸣ス [ka⸢ʤinu suː⸣ja(wa)ti ⸣ʔameː ɸu̥⸢kina⸣ki ⸢kiː⸣suː] (風が強いので雨は吹き込んくるよ)。 ⸣ヤドー ⸢フイ⸣ シケーンダ フ⸢キナ⸣ク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣jadoː ⸢ɸui⸣ ʃi̥keːnda ɸu̥⸢kina⸣ku ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (戸は締めてあるから吹き込むことはない)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢キナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kina⸣keː ⸣misamunu] (もっと吹き込めばいいのに)。 フ⸢キナ⸣キ [ɸu̥⸢kina⸣ki] (吹き込め) 14705 0 0 14487 htmvoc_14705.wav フキユー フ⸢キ⸣ユー [ɸu̥⸢ki⸣juː] 名 沸騰した湯。沸き湯。沸かした湯。熱湯。 フ⸢キユー⸣バ ク⸢バ⸣シティル ユ⸢ダ⸣リ ⸢ベー [ɸu̥⸢kijuː⸣ba ku⸢ba⸣ʃi̥tiru ju⸢da⸣ri ⸢beː] (熱湯<沸き湯>を\ruby{零}{コボ}して<ぞ>\ruby{茹}{ユダ}れて\ruby{SqBr}g{/SqBr}{火傷}{ヤケド}しているのだ) 14706 0 0 14488 htmvoc_14706.wav フキユーン ⸣フキ ⸢ユーン [⸣ɸu̥ki ⸢juːŋ] 連 フキを結う。ススキの茎を丸く十字に結って\ruby{魔除}{マ|ヨケ}の⸣サン[⸣saŋ]を作ること。 ⸣タニ ⸣マケー ⸣トンマー ⸣フキ ⸢ユイティ⸣ ッシ シ⸢キ⸣リバ [⸣tani ⸣makeː ⸣tommaː ⸣ɸu̥ki ⸢juiti⸣ ʃʃi ʃi̥⸢ki⸣riba] (種を播いたところにはススキの茎でサンを作って<フキを結って>挿しておきなさいよ) 14707 0 0 14489 htmvoc_14707.wav フキルン フ⸢キ⸣ルン [ɸu̥⸢ki⸣ruŋ] 自動 土が肥える。 シ⸢キゴイ⸣ イ⸢リル⸣カー ⸢ジー⸣ヤ フ⸢キルン⸣ドゥ ウ⸢ビッ⸣チンシェー ⸢ジー⸣ヤ フ⸢キラ⸣ヌ [ʃi̥⸢kigoi⸣ ʔi⸢riru⸣kaː ⸢ʤiː⸣ja ɸu̥⸢kirun⸣du ʔu⸢bit⸣ʧiŋʃeː ɸu̥⸢kira⸣nu] (堆肥を入れると土は肥えるが、これぽちでは肥えない)。 ⸢ジー⸣ヌ フ⸢キシギ⸣ルカー ⸢マイヤー ムイ⸣フクン ⸢スン⸣ダー [⸢ʤiː⸣nu ɸu̥⸢kiʃigi⸣rukaː ⸢maijaː mui⸣ɸu̥kun ⸢sun⸣daː] (土が肥え過ぎると稲は生育し過ぎて実を結ばない<稔らない>よ)。 ⸢ターパタ⸣ケー ⸢カイ⸣シ シ⸢キゴイ⸣ イ⸢リル⸣ アー⸢シ ジー⸣ヤ フ⸢キ⸣ル タ⸢ミ⸣シ [⸢taːpata⸣keː ⸢kai⸣ʃi ʃi̥⸢kigoi⸣ ʔi⸢riru⸣ ʔaː⸢ʃi ʤiː⸣ja ɸu̥⸢ki⸣ru ta⸢mi⸣ʃi] (田畑は耕して堆肥を入れるごとに土は肥える訳<ためし{EOS}というわけ>だ) 14708 0 1 14490 htmvoc_14708.wav フキルン フ⸢キルン [ɸu̥⸢kiruŋ] 自動 {Mn_1}漏れる。 シ⸢バル⸣ヌ フ⸢キルン⸣ケン ニ⸢ブン [ʃi⸢baru⸣nu ɸu̥⸢kiruŋ⸣ken ni⸢buŋ] (小便が漏れるまで寝る)。 ン⸢グムタンティン⸣ シ⸢バ⸣ロー フ⸢キラヌ [ʔŋ⸢gutantiŋ⸣ ʃi⸢ba⸣roː ɸu̥⸢kiranu] (力んでも小便は漏れない)。 14708 0 2 14491 htmvoc_14708.wav フキルン フ⸢キルン [ɸu̥⸢kiruŋ] 自動 {Mn_2}\ruby{潜}{クグ}り抜ける。すり抜ける。ずれ落ちる。 ⸣ティーラ フ⸢キ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [⸣tiːra ɸu̥⸢ki⸣ pari⸢naː⸣nu] (手からずれ落ちて<潜り抜けて>しまった)。 ク⸢ヌ⸣ アンラ フ⸢キル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ʔanra ɸu̥⸢kiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (この網を<から>潜り抜けることはない)。 ⸢パー⸣ク フ⸢キレー(フ⸢ケー)⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢kireː(ɸu̥⸢keː)⸣ misamunu] (早く潜り抜ければいいのに)。 ⸣クマーラ フ⸢キリ<フ⸢キ> [⸣kumaːra ɸu̥⸢kiri<ɸu⸢ki>] (ここから潜り抜けれ<ろ>) 14709 0 0 14492 htmvoc_14709.wav フギルン フ⸢ギルン [ɸu⸢giruŋ] 自動 大穴が開く。穴があいて底が抜ける。ほげる。「Fogue,uru,eta. ホゲ、グル、ゲタ(ほげ、ぐる、げた)孔があく.~」『邦訳日葡辞書』。⸢ピッキ⸣ルン[⸢pikki⸣ruŋ](小さな穴があく{EOS}浅い穴があく)、⸢トゥッ⸣クン[⸢tuk⸣kuŋ](\ruby{陥没}{カン|ボツ}する)は類義語。 ⸣アイニ ⸢スー⸣カー シ⸢ビ⸣ フ⸢ギルンダ⸣ シ⸢ビ⸣ フ⸢ギラン シー⸣ヨー ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢suː⸣kaː ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢girunda⸣ ʃi⸢bi⸣ ɸu⸢giraŋ ʃiː⸣joː ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (そんなにやったら穴があいて底が抜けるから、底が抜けない仕方をしないといけない)。 ナ⸢ビ⸣ヌ シ⸢ベー⸣ フ⸢ギナー⸣ヌ [na⸢bi⸣nu ʃi⸢beː⸣ ɸu⸢ginaː⸣nu] (鍋の底は穴がしてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー シ⸢ビヌ⸣ フ⸢ギル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ʃi⸢binu⸣ ɸu⸢giru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く底に穴があくことはない)。 ス⸢ク⸣ フ⸢ギレー⸣ミサムヌ [su̥⸢ku⸣ ɸu̥⸢gireː⸣ misamunu] (底が抜ければいいのに)。 ス⸢ク⸣ フ⸢ギリ [ɸu⸢giri] (底に穴があけよ) 14710 0 0 14493 htmvoc_14710.wav フキン ⸣フキン [⸣ɸu̥kiŋ] 名 布巾。『日葡辞書』の転訛か。老年層は、ッ⸢スル[s⸢suru](\ruby{布巾}{フ|キン}{EOS}手拭き)、⸢ティーッス⸣ル[⸢tiːssu⸣ru](手拭き)という。綿布を使うことが多かった。 マ⸢カ⸣ロー ミ⸢ジ⸣シ ア⸢ラシティティ⸣ フキンシ ッ⸢スリ⸣バ [ma⸢ka⸣roː mi⸢ʤi⸣ʃi ʔa⸢raʃititi⸣ ɸu̥kiŋʃi s⸢suri⸣ba] (お椀は水で洗って布巾で拭きなさいよ) 14711 0 0 14494 htmvoc_14711.wav フキングチ フ⸢キング⸣チ [ɸu̥⸢kiŋgu⸣ʧi] 名 煙管の吸い口。 キ⸢シル⸣ヌ ⸢ピーザラ⸣トゥ フ⸢キングチ⸣ヌ ⸣アイナー ⸣ラウティ ⸢スー⸣ タ⸢キヌ⸣ フ⸢ダ⸣ヌ ⸣アン [ki⸢ʃiru⸣nu ⸢piːʣara⸣tu ɸu̥⸢kiŋguʧi⸣nu ⸣ʔainaː ⸣rauti ⸢suː⸣ tḁ⸢kinu⸣ ɸu⸢da⸣nu ⸣ʔaŋ] (煙管の火皿と吸い口の間にラウという竹の管があるよ) 14712 0 0 14495 htmvoc_14712.wav フキンジムヌ フ⸢キンジ⸣ムヌ [ɸu̥⸢kiʔnʤi⸣munu] 名 ふきでもの(吹き出物)。あせも(汗疹)。はれもの。夏の暑い時期に出る皮膚の赤い発疹。 ナ⸢チ⸣ ナルカー ⸢プーマクンダ⸣ フ⸢キンジ⸣ムヌン ン⸢ジ⸣シタ [na⸢ʧi⸣ narukaː ⸢puːmakunda⸣ ɸu̥⸢kiʔnʤi⸣munuŋ ʔn⸢ʤi⸣ʃi̥ta] (夏になると暑くなる<ほめく>から吹き出物も出たものだ) 14713 0 0 14496 htmvoc_14713.wav フキンヌフキ フ⸢キン⸣ヌフキ [ɸu⸢kin⸣nuɸu̥ki] 名 (植)オオタニワタリ(大谷渡り)。 パ⸢トゥ⸣マプソー フ⸢キン⸣ヌフケー ン⸢コーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ɸu̥⸢kin⸣nuɸu̥keː ʔŋ⸢koːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間の人はオオタニワタリは召し上がらなかった) 14714 0 0 14497 htmvoc_14714.wav フク ⸣フク [⸣ɸu̥ku] 名 肺。肺臓。「肺、フクフクシ・キモ」『類聚名義抄』の転訛。 プ⸢スヌ⸣ フク [pu̥⸢sunu⸣ ɸu̥ku] (人間の肺臓)。 ウ⸢シヌ⸣ フク [ʔu⸢ʃinu⸣ ɸu̥ku] (牛の肺)。 ⸢オー⸣ヌ ⸣フク [⸢ʔoː⸣nu ⸣ɸu̥ku] (豚の肺)。 ウ⸢シヌ⸣ フクン ⸢オー⸣ヌ ⸣フクン ン⸢マー⸣ン [ʔu⸢ʃinu⸣ ɸu̥kuŋ ⸢ʔoː⸣nu ⸣ɸu̥kum ʔm⸢maː⸣ŋ] (牛の肺臓も豚の肺臓も美味しい)。 キ⸢ム⸣フク [ki⸢mu⸣ɸu̥ku] (心{EOS}精神{EOS}「肝・肺」の義) 14715 0 0 14498 htmvoc_14715.wav フク ⸣フク [⸣ɸu̥ku] 名 ほこ(矛)。狩りで猪を仕留める\ruby{矛}{ホコ}。⸢矛は鎌倉以前、槍は南北朝以後に実用された」『岩波古語辞典』という。「~白鷺の桙<ホコ>啄ひ持ちて~。万、3831」の転訛したもの。烏賊漁で釣れた鮫を仕留める矛。 イ⸢ガメー オー⸣ル ⸣ピンマー ⸣フクン ム⸢ティ⸣ル ⸢オーッ⸣タ [ʔi⸢gameː ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ⸣ɸu̥kum mu⸢ti⸣ru ⸢ʔoːt⸣ta] (烏賊漁に出られるときは、矛も持って<ぞ>行かれたものだ) 14716 0 0 14499 htmvoc_14716.wav フク ⸣フク [⸣ɸu̥ku] 名 福。幸福。福の神。 フ⸢ク⸣ヌ ⸢カン⸣マー ⸢ヤー⸣ウチェー ン⸢カイオーシェー⸣ン [ɸu̥⸢ku⸣nu ⸢kam⸣maː ⸢jaː⸣ʔuʧeː ʔŋ⸢kai ʔoːʃeː⸣ŋ] (福の神は家の中にお迎えして差し上げました) 14721 0 0 14500 htmvoc_14721.wav ブクー ブ⸢クー [bu⸢kuː] 名 不器用な者。ぶきっちょ。 ノー⸢ンヌ⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミラバン⸣ メー ブ⸢クー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢ザリトゥーシル ブー [noː⸢nnu⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢mirabam⸣ meː bu⸢kuː⸣ ja⸢runda⸣ ʔi⸢ʣarituːʃiru buː] (どんな<何の>仕事をさせても不器用な者だから、もう叱られ通しである<いる>)。 ⸣アイブ ブ⸢クー⸣ティン ⸢ブン⸠ツォー⸣カー [⸣ʔaibu bu⸢kuː⸣tim ⸢bun⸠ʦoː⸣kaː] (あんな不器用者<ぶきっちょ>とてもいるものだよ、呆れたものだ) 14717 0 0 14501 htmvoc_14717.wav フクイ フ⸢クイ [ɸu̥⸢kui] 名 ほこり(埃)。砂塵。目に見えないような\ruby{塵埃}{ジン|アイ}。粉末のように飛び散るごみ。 ⸢ポー⸣キシ ⸣ザー ⸢ポーク⸣ター フ⸢クイヌ⸣ タティティ ⸣ミー ア⸢キララヌ⸣ イキン シ⸢ララヌ(サ⸢ラヌ) [⸢poː⸣ki̥ʃi ⸣ʣaː ⸢poːku⸣taː ɸu̥⸢kuinu⸣ tḁtiti ⸣miː ʔa⸢kiraranu⸣ ʔikin ʃi⸢raranu(sa⸢ranu)] (箒で座敷を掃いたら埃が立って目もあけられない{EOS}息も出来<され>ない)。 フ⸢クイ⸣ カブンダ ミ⸢ジ⸣ ウティティ ⸢ポー⸣キバ [ɸu̥⸢kui⸣ kabunda mi⸢ʤi⸣ ʔutiti ⸢poː⸣kiba] (埃を被るから水を打って<水をかけて>掃きなさいよ) 14718 0 0 14502 htmvoc_14718.wav フクイカザ フ⸢クイカザ [ɸu̥⸢kuikaʣa] 名 湿ったかび臭い匂い。 ⸣ヤドゥ フ⸢ジックミ⸣ シケーター ⸢ヤーン⸣ナカー フ⸢クイカザヌ スー⸣サー [⸣jadu ɸu⸢ʤikkumi⸣ ʃi̥keːtaː ⸢jaːn⸣nakaː ɸu̥⸢kuikaʣanu suː⸣saː] (戸を閉め切っておいたので、家の中は湿った\ruby{黴}{カビ}臭い匂いがするよ) 14719 0 0 14503 htmvoc_14719.wav フクイキー フ⸢クイキー [ɸu̥⸢kuikiː] 名 ふくげ(ふく毛)。顔に生える柔らかく細い毛。「Fucugue.フクゲ(ふく毛) 幼児や、その他\ruby{鬚}{ヒゲ}のはえていない顔にある柔らかな毛(うぶ毛)」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣シラナーン フ⸢クイキーヤ ムイ⸣ルン [mi⸢dumu⸣nu ⸣ʃiranaːn ɸu̥⸢kuikiːja mui⸣ruŋ] (女の顔にもふく毛は生える) 14720 0 0 14504 htmvoc_14720.wav フクイキー フ⸢クイキー [ɸu̥⸢kuikiː] 名 (植)ウラジロエノキ。フ⸢クイ[ɸu̥⸢kui]ともいう。西表島の山中に自生する。材質は軽く柔らかい。下駄や\ruby{建具}{タテ|グ}の用材として重宝された。 フ⸢クイキーヤ⸣ カ⸢ロー⸣ンダ ア⸢シ⸣ツァー ウ⸢リ⸣シル ス⸢ク⸣ローッタル [ɸu̥⸢kuikiːja⸣ ka⸢roː⸣nda ʔa⸢ʃi⸣ʦaː ʔu⸢ri⸣ʃiru su̥⸢ku⸣roːttaru] (ウラジロエノキは軽いから、下駄はそれで<ぞ>作られたものだ) 14722 0 0 14505 htmvoc_14722.wav フクカーラキ フ⸢クカーラキ [ɸu̥⸢kukaːraki] 名 半乾燥。半乾き。十分に乾かない状態。 ⸢キン⸣マー フ⸢クカーラキル シー ベー⸣バ ⸢ゾー⸣ブンニ ⸣ティダナ ⸣プシバ [⸢kim⸣maː ɸu̥⸢kukaːrakiru ʃiː beː⸣ba ⸢ʣoː⸣bunni ⸣tidana ⸣pu̥ʃiba] (着物は半乾きしているから、十分に太陽に干しなさい) 14723 0 0 14506 htmvoc_14723.wav フクキー フ⸢クキー [ɸu̥⸢kukiː] 名 木質が荒くて柔らかく、折れ易い木。フ⸢コー⸣ キー[ɸu̥⸢koː⸣ kiː](脆い樹木)ともいう。サ⸢バー⸣ン[sa⸢baː⸣ŋ](脆く、裂けやすい)の類義語。 ⸣グジキー ⸣ウシキー ビンダ⸢ロー⸣マキーヤ フ⸢クキー⸣ ヤ⸢ルンダ ヤー⸣ザイ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣guʤikiː ⸣ʔuʃi̥kiː binda⸢roː⸣makiːja ɸu̥⸢kukiː⸣ ja⸢runda ⸢jaː⸣ʣai na⸢ra⸣nu] (デイゴ、アコウ、ハスノハギリは脆い木だから建築材にはならない) 14724 0 0 14507 htmvoc_14724.wav フクサ フ⸢ク⸣サ [ɸu̥⸢ku⸣sa] 名 神前に供える二番吸い物。⸢ニーバンシー⸣ムヌ[⸢niːbaŋʃiː⸣munu](二番吸い物)の項参照 14725 0 0 14508 htmvoc_14725.wav フクジ フ⸢ク⸣ジ [ɸu̥⸢ku⸣ʤi] 名 稲藁、麦藁、粟、ススキ、砂糖黍などの枯れ葉や枯れ屑。草木の枯れ葉や枯れ\ruby{屑}{クズ}など。「\ruby{古屑}{フル|クズ}」の転訛したものか。 フ⸢ク⸣ジ ア⸢ツァ⸣ミティ パ⸢タ⸣キナー イ⸢リル⸣カー ⸣コイ ⸣ナルン [ɸu̥⸢ku⸣ʤi ʔa⸢ʦa⸣miti pḁ⸢ta⸣kinaː ʔi⸢riru⸣kaː ⸣koi ⸣naruŋ] (稲藁や草木の枯れ葉などを集めて畑に入れると肥やしになる) 14726 0 0 14509 htmvoc_14726.wav フクジシティ フ⸢ク⸣ジシティ [ɸu̥⸢ku⸣ʤiʃi̥ti] 名 塵捨て場。チ⸢リシティ[ʧi⸢riʃi̥ti](塵捨て)ともいう。昔は、屋敷の一角に石を一、二段に積んで囲い、約一坪の塵捨て場を作っていた。落ち葉や塵屑をそこへ入れて燃やし、肥料を作って畑に入れた。 ミ⸢ナカ⸣ヌ フ⸢ク⸣ジェー フ⸢ク⸣ジシティナー シ⸢ティリ⸣バ [mi⸢naka⸣nu ɸu̥⸢ku⸣ʤeː ɸu̥⸢ku⸣ʤiʃi̥tinaː ʃi̥⸢tiri⸣ba] (庭の塵は塵捨て場に捨てなさい) 14727 0 0 14510 htmvoc_14727.wav フクジピー フ⸢ク⸣ジピー [ɸu̥⸢ku⸣ʤipiː] 名 塵芥を燃やした火。塵芥を燃やして作った灰を畑に入れて肥料にした。 フ⸢ク⸣ジピーヌ フ⸢チ⸣マリティ ⸢キーボー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ku⸣ʤipiːnu ɸu̥⸢ʧi⸣mariti ⸢kiːboː⸣nu na⸢ra⸣nu] (\ruby{塵芥}{ジン|カイ}を燃やした火がくすぶっ<燻>て、煙たくてたまらない) 14728 0 0 14511 htmvoc_14728.wav フクジン フ⸢ク⸣ジン [ɸu̥⸢ku⸣ʤiŋ] 名 裕福な人。富貴な人。「Fucujin.フクジン(福人) すなわち,Tomeru fito,(富める人)金持ち、あるいは、栄えている人」『邦訳日葡辞書』の義。 ウ⸢ヤ⸣キフクジンヌ ⸢オー⸣ルン [ʔu⸢ja⸣kiɸu̥kuʤinnu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (富貴な人がいらっしゃる) 14729 0 0 14512 htmvoc_14729.wav フクダー フ⸢ク⸣ダー [ɸu̥⸢ku⸣daː] 名 ぼろ(襤褸)。着古して破れた着物。つづれごろも。 ク⸢ヌ キン⸣マー フ⸢ク⸣ダー ⸣ナリティ キ⸢サラヌ [ku⸢nu kim⸣maː ɸu̥⸢ku⸣daː ⸣nariti ki̥⸢saranu] (この着物は襤褸になっているから着られない)。 ヤ⸢リフク⸣ダー [ja⸢riɸu̥ku⸣daː] (着古してぼろぼろに破れた着物<襤褸衣>) 14730 0 0 14513 htmvoc_14730.wav フクナ フ⸢クナ [ɸu̥⸢kuna] 名 (植)草の名。ハルノノゲシ。食用になる。耕作放棄した畑などによく自生した。カツオの頭と一緒に煮るとカツオの出汁とハルノノゲシの苦味が調和して美味であった。 ナ⸢チェー⸣ ヤ⸢サイ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ユンダ カ⸢ツンスブ⸣ルナー フ⸢クナ⸣ イ⸢リティ⸣ バ⸢カシバ⸣ ダシン シ⸢キティ⸣ ン⸢マー⸣タン [na⸢ʧeː⸣ ja⸢sai⸣nu ⸢naːɲ⸣junda kḁ⸢ʦunsubu⸣runaː ɸu̥⸢kuna⸣ ʔi⸢riti⸣ ba⸢kaʃiba⸣ daʃiŋ ʃi̥⸢kiti⸣ ʔm⸢maː⸣taŋ] (夏は野菜がないから、カツオの頭にハルノノゲシを入れて炊くと、出汁も効いて美味しかった) 14731 0 0 14514 htmvoc_14731.wav フクヌマキ フ⸢ク⸣ヌマキ [ɸu̥⸢ku⸣numaki] 名 牧場の名。伊武田地区にあった牧場。伊武田の⸣フクパマ[⸣ɸu̥kupama](福浜)からク⸢バシ⸣ター[ku⸢baʃi̥⸣taː]へ行く途中の松林の中にあった牧場。 ⸣インダヌ フ⸢ク⸣ヌマケーラ サ⸢キンダヌマキ⸣ バ⸢カ⸣ソーッタツォー [⸣ʔindanu ɸu̥⸢ku⸣numakeːra sḁkindanumaki⸣ ba⸢ka⸣soːttaʦoː] (伊武田のフクヌマキ<福の牧>から崎田の牧に分割され<分けられ>たそうだ) 14732 0 0 14515 htmvoc_14732.wav フクビ フ⸢ク⸣ビ [ɸu̥⸢ku⸣bi] 名 帯。「帯 乞角必」「玉帯 亦石乞角必」「金帯 孔加尼乞角必」『琉球館訳語』。「ほしのかたの みききうひ~」『おもろさうし。10-513』。「帯 文筆」『中山伝信録』。「帯 烏比」『琉球入学見聞録』。「我が背なを~於妣は解かなな~。万、4422」。「キッキビ」(帯)大宜味村喜如嘉。鳩間方言には、カ⸢クフクビ[kḁ⸢kuɸu̥kubi](ティジリビ<男性神職者>の正装用の帯{EOS}神前に出る際に締める)、⸢カーフク⸣ビ[⸢kaːɸu̥ku⸣bi](皮帯)、ッ⸢ふァカサナイフク⸣ビ[f⸢fakasanaiɸu̥ku⸣bi](おぶいひも<負い紐>)、⸣シナフクビ[⸣ʃinaɸu̥kubi](綱帯{EOS}藁縄の帯{EOS}農作業や漁業の際に用いる帯)などがある。 ⸣アッパター フ⸢ク⸣ベー ⸢ソーラン⸣ドーシ ⸣ウシンチール ⸢ソーッタ⸣ル [⸣ʔappataː ɸu̥⸢ku⸣beː ⸢soːran⸣doːʃi ⸣ʔuʃinʧiːru ⸢soːtta⸣ru] (お婆さんたちは、帯をしないでウシンチー<押しぬき>をされたものだ) 14733 0 1 14516 htmvoc_14733.wav ブクブクー ⸣ブクブクー [⸣bukubukuː] 副 {Mn_1}ぶくぶく泡が出るさま。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ウ⸢シェー⸣ フ⸢チェー⸣ラ ブ⸢クブクー⸣シ ⸢アー⸣ツベー ⸣フキ ⸢ベー [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ʔu⸢ʃeː⸣ ɸu̥⸢ʧeː⸣ra bu⸢kubuku⸣ʃi ⸢ʔaː⸣ʦubeː ⸣ɸu̥ki ⸢beː] (あまりにも暑いので、牛は口からぶくぶくと泡を吹いている)。 14733 0 2 14517 htmvoc_14733.wav ブクブクー ⸣ブクブクー [⸣bukubukuː] 副 {Mn_2}体などが腫れるさま。 ⸢パンヌ⸣ドゥ ブ⸢クブク⸣シ フ⸢クリ ベー [⸢pannu⸣du bu⸢kubuku⸣ʃi ɸu⸢kuri beː] (足がぶくぶくと腫れあがっている) 14734 0 0 14518 htmvoc_14734.wav フクマスン フ⸢クマ⸣スン [ɸu̥⸢kuma⸣suŋ] 他動 含ませる。 フ⸢チ⸣ナー ア⸢ミ⸣ フ⸢クマ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ フ⸢チ⸣ ッ⸢サイティ⸣ フ⸢クマサン⸣バン [ɸu̥⸢ʧi⸣naː ʔa⸢mi⸣ ɸu̥⸢kuma⸣sunti ⸢sundu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saiti⸣ ɸu̥⸢kumasam⸣baŋ] (口に飴を含ませようとするが、口を閉めて含ませないよ)。 フ⸢チ⸣ナー フ⸢クマ⸣シ ⸣ミサカー フ⸢クマ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ɸu̥⸢ʧi⸣naː ɸu̥⸢kuma⸣ʃi ⸣misakaː ɸu̥⸢kuma⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (口に含ませてよければ、含ませることは出来る)。 フ⸢クマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢kuma⸣ʃeː ⸣misamunu] (含ませばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ フ⸢クマ⸣シ [jaː⸢diŋ⸣ ɸu̥⸢kuma⸣ʃi] (必ず含ませなさい) 14735 0 0 14519 htmvoc_14735.wav フクマミ ⸣フクマミ [⸣ɸu̥kumami] 名 動物の心臓。 ⸢オー⸣ヌ ⸣フクマミン キ⸢ム⸣トゥ マ⸢ザー⸣シ イ⸢ラキ⸣ムヌ ⸢シー⸣バ [⸢ʔoː⸣nu ⸣ɸu̥kumamiŋ ki⸢mu⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi ʔi⸢raki⸣munu ⸢ʃiː⸣ba] (豚の心臓も肝臓と混ぜて\ruby{炒}{イタ}め物<\ruby{煎}{イリ}物>にしなさいよ) 14736 0 0 14520 htmvoc_14736.wav フクマレー フ⸢ク⸣マレー [ɸu̥⸢ku⸣mareː] 名 屋号。友利津久利氏宅。古老は、フ⸢ク⸣チ[ɸu̥⸢ku⸣ʧi](福地)ともいう。 フ⸢ク⸣マレーヌ ⸣アンマー ⸢ウイヌウガン⸣ヌ サ⸢カサ⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ [ɸu̥⸢ku⸣mareːnu ⸣ʔammaː ⸢ʔuinuʔugan⸣nu sḁ⸢kasa⸣ ja⸢roːt⸣ta] (友利家のお母さん<友利米氏>は友利御嶽<上の御願>の司であられた) 14737 0 1 14521 htmvoc_14737.wav フクムン フ⸢ク⸣ムン [ɸu̥⸢ku⸣muŋ] 他動 {Mn_1}口に含む。内包する。 フ⸢チ⸣ナー フ⸢ク⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ ン⸢ガー⸣ヌ フ⸢クマラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣naː ɸu̥⸢ku⸣munti ⸢sundu⸣ ʔŋ⸢gaː⸣nu ɸu̥⸢kumara⸣nu] (口内に含もうとするが、苦くて含まれない)。 フ⸢ク⸣ミ ⸣ミサカー ナー⸢イ⸣ フ⸢ク⸣ム ⸣クトゥン ⸣ナルン [ɸu̥⸢ku⸣mi ⸣misakaː naː⸢ji⸣ ɸu̥⸢ku⸣mu ⸣ku̥tun ⸣naruŋ] (口に含んでよければ、じっと含むことも出来る)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢ク⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢ku⸣meː ⸣misamunu] (もっと含めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢ク⸣ミ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢ku⸣mi] (早く含め)。 14737 0 2 14522 htmvoc_14737.wav フクムン フ⸢ク⸣ムン [ɸu̥⸢ku⸣muŋ] 他動 {Mn_2}味などがしみ込む。 ⸢ダイ⸣クネー イッ⸢ケナ⸣ ダシ フ⸢クミ⸣ ブー [⸢dai⸣kuneː ʔik⸢kena⸣ daʃi ɸu̥⸢kumi⸣ buː] (大根は非常にたくさん出し汁を含んでいる) 14738 0 0 14523 htmvoc_14738.wav フクラ フ⸢ク⸣ラ [ɸu̥⸢ku⸣ra] 名 (植)海草の名。ボタンアオサ。ヒトエグサに似るが、質が粗く食用にはならない。台風の後に砂浜に押し上げられたものを集めて畑に入れ、肥料にした。星砂はこの草の根元に多い。この草を掻き分けて星砂を採集し、竹富島に売り出した。 フ⸢ク⸣ラー ッ⸢ふァーラユンダ⸣ パ⸢タ⸣ケー イ⸢ルタル [ɸu̥⸢ku⸣raː f⸢faːrajunda⸣ pḁ⸢ta⸣keː ʔi⸢rutaru] (フクラは食べられないから畑に入れたものだ) 14739 0 0 14524 htmvoc_14739.wav フクラサ フ⸢クラ⸣サ [ɸu̥⸢kura⸣sa] 名 めでたさ。喜ばしさ。嬉しさ。ありがたさ。「誇らしさ」の義。「ほこらしや 和詞にも云源氏明石の巻にあさりするあまともほこらしけなり」『混効験集 坤・言語』とある。沖縄本島方言からの借用語の転訛。 ⸢キュー⸣ヌ ウ⸢ムッ⸣サ ⸣フクラサー<サ⸢ニ⸣ヤー> ⸣メー ⸣ヌーティ ア⸢ジッサリル⸣ユー ッ⸢サン⸣スコー フ⸢コーラ⸣サーン [⸢kjuː⸣nu ʔu⸢mus⸣sa ⸣ɸu̥kurasaː ⸣meː ⸣nuːtiru ʔa⸢ʤissariru⸣juː s⸢san⸣su̥koː ɸu̥⸢koːra⸣saːŋ] (今日の嬉しさ喜ばしさは、もう何と申し上げてよいか分からないほど有難い) 14740 0 0 14525 htmvoc_14740.wav フクラシクー フ⸢クラシクー [ɸu̥⸢kuraʃikuː] 名 膨らし粉。ソーダ(曹達)。重曹。⸢アンツォー[⸢ʔanʦoː](重曹)ともいう。 ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢ク⸣ ピンマー フ⸢クラシクー⸣ イ⸢リティ⸣ ヤ⸢キバル⸣ ン⸢マー⸣タ [⸢tim⸣pura ja⸢ku⸣ pimmaː ɸu̥⸢kuraʃikuː⸣ ʔi⸢riti⸣ ja⸢kibaru⸣ ʔm⸢maː⸣ta] (テンプラを揚げる<焼く>時は、膨らし粉を入れて焼いた方が美味かった) 14743 0 1 14526 htmvoc_14743.wav フクラスン フ⸢クラスン [ɸu̥⸢kurasuŋ] 他動 {Mn_1}ふやかす。水に浸けて柔らかくする。 ⸢トー⸣フマメー ミ⸢ジ⸣ナ シ⸢キティ⸣ フ⸢クラスンティ スンドゥ⸣ フ⸢クラサランバン [⸢toː⸣ɸumameː mi⸢ʤi⸣na ʃi̥⸢kiti⸣ ɸu̥⸢kurasunti sundu⸣ ɸu̥⸢kurasarambaŋ] (大豆は水に浸けてふやかそう<膨らませよう>とするが、ふやかされない)。 ミ⸢ジ⸣ナー フ⸢クラシティル トーフ⸣マミ ピ⸢コーッ⸣タ [mi⸢ʤi⸣naː ɸu̥⸢kuraʃi̥tiru toː⸣ɸumami pi̥⸢koːt⸣ta] (水に浸けてふやかして<ぞ>大豆<豆腐豆>を挽かれた)。 14743 0 2 14527 htmvoc_14743.wav フクラスン フ⸢クラスン [ɸu̥⸢kurasuŋ] 他動 {Mn_2}⸢膨らませる。 マー⸣ビン フ⸢クラス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kurasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (もっと膨らませることは出来ない)。 フ⸢クラシェー⸣ ミサムヌ [ɸu̥⸢kuraʃeː⸣ misamunu] (膨らませばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢クラシ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kuraʃi] (もっと膨らませなさい) 14744 0 1 14528 htmvoc_14744.wav フクラベー フ⸢クラ⸣ベー [ɸu̥⸢kura⸣beː] 名 (動){Mn_1}魚の名。和名、タスキモンガラの仲間。カワハギ科の硬骨魚。珊瑚礁内に住む体長15~20センチで皮が厚い。潮干狩りの際に、浅瀬の珊瑚礁内にいるのを女性が\ruby{銛}{モリ}で突いて漁獲した。お汁にすると美味である。和名、クラカケモンガラともいう。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アボー イ⸢ソー オー⸣ルカー ヤー⸢ディン⸣ タ⸢ク⸣トゥ フ⸢クラ⸣ベー シ⸢キ⸣ トゥ⸢ゴーッ⸣タン [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaboː ʔi⸢soː ʔoː⸣rukaː jaː⸢din⸣ tḁ⸢ku⸣tu ɸu̥⸢kura⸣beː ʃi̥⸢ki⸣ tu⸢goːt⸣taŋ] (私の家のお母さんは潮干狩りに行かれると、必ず蛸とカワハギを漁獲して<突いて>持ち帰えられた) 14744 0 2 14529 htmvoc_14744.wav フクラベー フ⸢クラ⸣ベー [ɸu̥⸢kura⸣beː] 名 {Mn_2}皮が厚いので、比喩的に\ruby{着脹}{キ|ブク}れした者をいう。 フ⸢クラベー⸣ヌ ⸣カタチニ キ⸢シフクリ シーベー [ɸu̥⸢kurabeː⸣nu ⸣kḁtaʧini ki̥⸢ʃiɸukuri ʃiːbeː] (カワハギのように着脹れしている) 14745 0 0 14530 htmvoc_14745.wav フクラマスン フ⸢クラマスン [ɸu̥⸢kuramasuŋ] 他動 \ruby{膨}{フクラ}ます。膨らませる。老年層は、フ⸢クラスン[ɸu̥⸢kurasuŋ](膨らす)という。 ⸣バタ フ⸢クラマスンティ スンドゥ⸣ フ⸢クラマサラヌ [⸣bata ɸu̥⸢kuramasunti sundu⸣ ɸu̥⸢kuramasaranu] (腹を膨らませようとするが、膨らまされない)。 フ⸢クラマシ⸣ ミサカー フ⸢クラマス⸣ クトー ⸣ナルン [ɸu̥⸢kuramaʃi⸣ misakaː ɸu̥⸢kuramasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (膨らませてよければ、膨らませることはできる)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢クラマシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kuramaʃeː⸣ misamunu] (もっと膨らませればいいのに)。 フ⸢クラマシ⸣バ [ɸu̥⸢kuramaʃi⸣ba] (膨らませなさいよ) 14746 0 0 14531 htmvoc_14746.wav フクラムン フ⸢クラムン [ɸu̥⸢kuramuŋ] 自動 膨らむ。老年層は、フ⸢クルン[ɸu̥⸢kuruŋ](\ruby{膨}{フク}れる)という。 ⸢プーカー⸣ヤー ⸣イキ フ⸢キッ⸣クムカー フ⸢クラムンドゥ⸣ ク⸢レー ピッ⸣チン フ⸢クラマン⸣サー [⸢puːkaː⸣ja ⸣ʔiki ɸu̥⸢kik⸣kumukaː ɸu̥⸢kuramundu⸣ ku⸢reː pit⸣ʧiŋ ɸu̥⸢kuraman⸣saː] (風船は息を吹き込むと膨らむが、これはちっとも膨らまないよ)。 ⸢シンダイ⸣ フ⸢クラミ⸣ クン [⸢ʃindai⸣ ɸu̥⸢kurami⸣ kuŋ] (次第に膨らんでくる)。 フ⸢クラム⸣ クトゥン ⸣アン [ɸu̥⸢kuramu⸣ ku̥tuŋ⸣ ʔaŋ] (膨らむこともある)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢クラメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kurameː⸣ misamunu] (もっと膨らめばいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢クラミ⸣バ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢kurami⸣ba] (早く膨らめよ) 14741 0 0 14532 htmvoc_14741.wav フクリ フ⸢ク⸣リ [ɸu̥⸢ku⸣ri] 名 人名。男子の名前。一般に「福利」と表記されている。呼びかけるときは、フ⸢クレー[ɸu̥⸢kureː](福利よ)となる。取立ての係助詞ヤ[ja](は)が下接する際、語末の母音[i]と融合同化して、フ⸢ク⸣レー[ɸu̥⸢ku⸣reː](福利は)となる。親愛の情を表したり、小さいものを表す指小辞(diminutive)の-マ[-ma]が付くときも、フ⸢クレー⸣マ[ɸu̥⸢kureː⸣ma](福利ちゃん)のようになる。 フ⸢ク⸣レー ⸢マー⸣ル ⸢パッ⸣ター [ɸu̥⸢ku⸣reː ⸢maː⸣ru ⸢pat⸣taː] (福利は何処へ<ぞ>行ったのか) 14742 0 0 14533 htmvoc_14742.wav フクリ フ⸢クリ [ɸu̥⸢kuri] 接尾 動詞の連用形に下接して、「十分に\ruby{堪能}{タン|ノウ}して贅沢になる、飽きるほど~する、むやみやたらにする、~三昧(ざんまい)」などの意を表す。 ッ⸢ふァイフクリ⸣ シ⸢ティ⸣ ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふァイ⸣ プサンティ ウ⸢モーラ⸣ヌ [f⸢faiɸu̥kuri⸣ ʃi̥⸢ti⸣ noː⸢ŋ⸣ f⸢fai⸣pu̥santi ʔu⸢moːra⸣nu] (食べ飽きて、何も食べたいと思われない)。 キ⸢シフクリ シーブンダ⸣ イ⸢カス⸣ク タ⸢カー⸣キン ミ⸢シル⸣バン<ミ⸢ラス⸣バン> ⸣プサンテー ウ⸢モーン⸣シェン [ki̥⸢ʃiɸu̥kuri ʃiːbunda⸣ ʔi⸢kasu̥⸣ku tḁ⸢kaː⸣kim mi⸢ʃiru⸣bam ⸣pu̥santeː ʔu⸢moːŋ⸣ʃeŋ] (飽きるほど贅沢に着ているから、どんなに高価な着物を見せても欲しいとは思わなかった) 14747 0 0 14534 htmvoc_14747.wav フクリルン フ⸢クリルン [ɸu̥⸢kuriruŋ] 自動 ふくれる(\ruby{膨}{フク}れる)。はれる(腫れる)。炎症などで皮膚が脹れる。怒って顔が膨れる。フ⸢クルンとも言う。 ⸢アンツォー⸣ イ⸢リル⸣カー ⸢マー⸣ビン フ⸢クリルンドゥ⸣ イ⸢リラン⸣カー フ⸢クリラヌ [⸢ʔanʦoː⸣ ʔi⸢riru⸣kaː ⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kurirundu⸣ ʔi⸢riraŋ⸣kaː ɸu̥⸢kuriranu] (\ruby{膨}{フク}らし粉<炭酸ソーダ>を入れるともっと膨れるが、入れないと膨れない)。 ⸣シラー フ⸢クティ⸣ ムネー イ⸢ザヌ [⸣ʃiraː ɸu̥⸢kuriti⸣ muneː ʔi⸢ʣanu] (怒って顔を膨らませて<顔を膨らして>ものも言わない)。 ク⸢リヌ⸣ フ⸢クリル⸣ クトゥン ア⸢リ⸣ ブーバン⸢ナー [ku⸢rinu⸣ ɸu̥⸢kuriru⸣ ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣ buːban⸢naː] (これがが膨れることもあるのだねえ)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢クレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kureː⸣ misamunu] (もっと膨れたらいいのに)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢クリ⸣バ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kuri⸣ba] (もっと膨れよ) 14748 0 0 14535 htmvoc_14748.wav フクル フ⸢ク⸣ル [ɸu̥⸢ku⸣ru] 名 袋。「胃、クソフクロ。\ruby{膀胱}{ボウ|コウ}、ユハリフクロ」『色葉字類抄』の転訛したもの。 ⸢カシガーフク⸣ル [ka⸢ʃigaːɸu̥ku⸣ru] (南京袋{EOS}籾を入れる袋)。 カジフクル [ka⸢ʤiɸukuru] (帆が風に\ruby{孕}{ハラ}むこと)。 ッ⸢ふァフクル [f⸢faɸukuru] (\ruby{羊膜}{ヨウ|マク})。 バ⸢タフク⸣ル [ba⸢taɸu̥ku⸣ru] (お腹、腹部) シ⸢バ⸣ルフクル [ʃi⸢ba⸣ruɸu̥kuru] (膀胱))。 ⸢シーフク⸣ル [⸢ʃiːɸu̥ku⸣ru] (乳房<乳袋>) カ⸢ビフクル [ka⸢biɸu̥kuru] (紙袋))。⸣ジョーブクル[⸣ʤoːbukuru](封筒)などがある。 ク⸢レー⸣ フ⸢ク⸣ルナー イ⸢リティ⸣ ムティ ⸣パリ [⸢kureː⸣ ɸu̥⸢ku⸣runaː ʔi⸢riti⸣ muti ⸣pari] (これは袋に入れて持って行け) 14749 0 0 14536 htmvoc_14749.wav フクルアン フ⸢クル⸣アン [ɸu̥⸢kuru⸣ʔaŋ] 名 袋網。網の目は約1センチ四方。網の幅、約12メートル、網の高さ、約12メートルのほぼ正方形の網。網の上部にはウ⸢キ[ʔu⸢ki](直径約7センチ、板製の半円形の浮き)を付け、網の脚部には宝貝を付けて重しにした。これに⸣タカアン[⸣tḁkaʔaŋ](高網{EOS}深い所に用いる網)、⸣キタアン[⸣ki̥taʔaŋ](袖網{EOS}<桁網>の義{EOS}比較的浅い所に用いる網)を連結して魚が逃げるのを防ぐ。 フ⸢クル⸣アンナー ⸣タカアントゥ ⸣キタアンバ シ⸢ナイティ⸣ アン ウ⸢ラ⸣ソーッタ [ɸu̥⸢kuru⸣ʔannaː ⸣tḁkaʔantu ⸣ki̥taʔamba ʃi⸢naiti⸣ ʔaŋ ʔu⸢ra⸣soːtta] (袋網に高網と\ruby{桁網}{ケタ|アミ}を\ruby{繋}{ツナ}いで魚網を設置<降ろ>された) 14755 0 0 14537 htmvoc_14755.wav フクルカザ フ⸢クルカザ [ɸu̥⸢kurukaʣa] 名 いい匂い。香ばしい匂い。\ruby{芳香}{ホウ|コウ}。バンジロウ(\ruby{SqBr}g{/SqBr}{蕃石榴}{バンザクロ})やバナナの熟れた匂いなど。 ⸢バンスル⸣ヌ フ⸢クルカザヌ⸣ シ⸢ター⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザー ⸢ギー⸣ ミルンケン ⸢バンスル⸣ヌ ナ⸢ル⸣ヌ ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー⸣タ [⸢bansuru⸣nu ɸu̥⸢kurukaʣanu⸣ ʃi̥⸢taː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣaː ⸢giː⸣ miruŋkeŋ ⸢bansunu⸣nu na⸢ru⸣nu ⸢ʔuː⸣mi ⸢beː⸣ta] (蕃石榴の香ばしい匂いがしたので、畑の畦に行ってみると蕃石榴の実が熟れていた) 14750 0 0 14538 htmvoc_14750.wav フクルクジュー フ⸢クルク⸣ジュー [ɸu̥⸢kuruku⸣ʤuː] 名 福禄寿。尊い掛け軸の一種。床の間の掛け軸として重宝された。 フ⸢クルクジュー⸣ヌ カ⸢キジ⸣コー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ルイ⸣ヌ ⸣アンティ ⸢シー ザー⸣トゥクナー カ⸢ザラリ トゥーシル⸣ ブ⸢タ⸣ダー [ɸu̥⸢kurukuʤuː⸣nu kḁ⸢kiʤi⸣koː ʔik⸢kena⸣ ka⸢rui⸣nu ⸣ʔanti ⸢ʃiː ʣaː⸣tukunaː ka⸢ʣarari tuːʃiru⸣ bu⸢ta⸣daː] (福禄寿の掛け軸は非常に縁起が良い<嘉例がある>として、床の間にずっと飾られて<飾られ通して>いたんだよ) 14756 0 0 14539 htmvoc_14756.wav フクルスディ フ⸢クル⸣スディ [ɸu̥⸢kuru⸣sudi] 名 たもと(袂)。\ruby{袖}{ソデ}の下が袋のようになったもの。「袋袖」の義。⸢ティップースディ[⸢tippuːsudi](鉄砲袖{EOS}\ruby{筒袖}{ツツ|ソデ})の対語。 バ⸢カー⸣ムンヌ ⸢キン⸣マー フ⸢クル⸣スディ ⸣ヌイ キ⸢サシ⸣バ [ba⸢kaː⸣munnu ⸢kim⸣maː ɸu̥⸢kuru⸣sudi ⸣nui ki̥⸢saʃi⸣ba] (若者の着物は華やかな袂<袋袖>に縫って着せなさい) 14751 0 0 14540 htmvoc_14751.wav フクルプー フ⸢クル⸣プー [ɸu̥⸢kuru⸣puː] 名 和船の帆。⸣マーランブニ[⸣maːrambuni](馬艦船)や和船の「袋帆」の義。⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː](帆桟帆)以前の帆の形態。トゥ⸢バシ⸣プー[tu⸢baʃi⸣puː](飛ばし帆{EOS}帆の中間に帆桁のない帆)ともいう。帆の最上段と最下段の⸢プーギタ[⸢puːgita](帆桟{EOS}帆桁)にはウ⸢チ⸣マー[ʔu⸢ʧi⸣maː](帆柱から帆桁を遠く離さないように、帆桁の両端に結わえる取り外し式の縄)のある帆。この帆では、⸢オーラーマー⸣レー[⸢ʔoːraːmaː⸣reː](船を風上の方へ旋回させること)が出来ない。風の力で⸢ドング⸣ヤビ ⸢シース[⸢doŋgu⸣jabi ⸢ʃiːsu](帆走航海の用具を壊す<道具破れする>)という。最上段の⸢プーギタ[⸢puːgita](帆桁)の中央にミ⸢ナー[mi⸢naː](水縄)を結わえ、帆柱の先端の⸢ナン⸣バー[⸢nam⸣baː](滑車)に通して帆を上げ下げする。帆の左手中央部に⸢ジヨー[⸢ʤijoː](⸢ティン⸣ナー{SqBr}⸢tin⸣naː{/SqBr}<手縄>の一種で、帆がばたつくのを防ぐ縄)が二本\ruby{舳先}{ヘ|サキ}の方に張られている。二本の⸢ジヨーの中間に⸢ハイ⸣ジョー[⸢hai⸣ʤoː](「張り竿」の義か)という竹竿が艫側に張られている。下段の⸢プーギタ[⸢puːgita](帆桟{EOS}帆桁)にはウ⸢チ⸣マー[ʔu⸢ʧi⸣maː]が張られ、⸣カタ[⸣kḁta](帆桁の左側{EOS}オーラー{SqBr}ʔoːraː{/SqBr}<風上>に相当する部分)にはジ⸢ヨー[ʤi⸢joː](ティンナー<手縄>の一種)という縄が張られる。下段の帆桁の右側<風下>をッ⸢ス[s⸢su](⸢裾」の義か)といい、そこの縄をッ⸢ス[s⸢su](裾縄)という。⸢ティン⸣ナー[⸢tin⸣naː](手縄)の一種である。これを引いたり緩めたりして操船した。舳先には、帆柱を立てたり、倒したりするときのヌ⸢チ⸣ジナ[nu⸢ʧi⸣ʤina](命綱)を張る、⸢ハン⸣ドゥー[⸢han⸣duː](命綱を張る棒)を突き出しておく。袋帆。まほ(真帆)。⸢プーザン[⸢puːʣaŋ](帆桟)が上と下に二つある構造の帆。帆を正面に向け、追い風を受けて走る構造の帆。帆柱が帆の中心にくるように作られている。 フ⸢クルプー⸣ヤ マ⸢ナ⸣マー シゥ⸢カイヨーラ⸣ヌ [ɸu̥⸢kurupuː⸣ja ma⸢na⸣maː sï̥⸢kaijoːra⸣nu] (袋帆は今は使われない) 14752 0 0 14541 htmvoc_14752.wav フクルン フ⸢クルン [ɸu̥⸢kuruŋ] 自動 \ruby{膨}{フクレ}る。\ruby{腫}{ハレ}る。「ふくる<下二段活用>」の四段活用化したもの。「○、布久流(ふくる)、肉墳起也」『和名抄』の転訛。 ⸣バタ フ⸢クルン [⸣bata ɸu̥⸢kurŋ] (お腹が膨れる)。 ウ⸢ヌス⸣ク ッ⸢ふータンティン⸣ バター フ⸢クラヌ [ʔu⸢nusu̥⸣ku f⸢fuːtantim⸣ bataː ɸu̥⸢kuranu] (あれほど食ってもお腹は\ruby{膨}{フクレ}ない)。 ⸣バター フ⸢クリティ ウーカラ⸣ヌ [⸣bataː ɸu̥⸢kuriti ʔuːkara⸣nu] (お腹が膨れて動けない)。 バ⸢タ⸣ヌ フ⸢クル⸣ ピンマー ⸢ヤン⸣マイ ウ⸢ク⸣ルン [ba⸢ta⸣nu ɸu̥⸢kuru⸣ pimmaː ⸢jam⸣mai ʔu⸢ku⸣ruŋ] (お腹が膨れる時は病気が起きる)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢クレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢kureː⸣ misamunu] (もっと膨れたらいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢クリ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢kuri] (早く膨れろ) 14754 0 1 14542 htmvoc_14754.wav フクローフクローシ フ⸢クローフクロー⸣シ [ɸu̥⸢kuroːɸukuroː⸣ʃi] 副 {Mn_1}柔らかく香ばしく匂うさま。匂いが薫るさま。 カ⸢バッ⸣サ カ⸢ザヌ⸣ フ⸢クローフクロー⸣シ カ⸢バリン [ka⸢bas⸣sa ka⸢ʣanu⸣ ɸu̥⸢kuroːɸukuroː⸣ʃi ka⸢bariŋ] (香ばしい匂いがふんわりと香ばしく薫っている<嗅がれる>) 14754 0 2 14543 htmvoc_14754.wav フクローフクローシ フ⸢クローフクロー⸣シ [ɸu̥⸢kuroːɸukuroː⸣ʃi] 副 {Mn_2}ふんわりと柔らかいで状態。 ピ⸢サシイー⸣ヤ フ⸢クローフクロー⸣シ バ⸢カシバル⸣ ン⸢マー [pi̥⸢saʃiʔiː⸣ja ɸu̥⸢kuroːɸukuroː⸣ʃi ba⸢kaʃibaru⸣ ʔm⸢maː] (米のご飯はふんわりと柔らかく炊いた方が美味しい) 14753 0 0 14544 htmvoc_14753.wav フクローン フ⸢クロー⸣ン [ɸu̥⸢kuroː⸣ŋ] 形 柔らかい。ふくよか<膨よか>である。食物や衣類などのふっくらとした柔らかさについていう。 ム⸢チマイヌ カシ⸣ケー フ⸢クロー⸣ンドゥ サ⸢クマイ⸣ヌ ⸢カシ⸣ケー フ⸢クロー ナー⸣ヌ [mu⸢ʧimainu kaʃi̥⸣keː ɸu̥⸢kuroː⸣ndu sḁ⸢kumai⸣nu ⸢kaʃi̥⸣keː ɸu̥⸢kuroː naː⸣nu] (甑で蒸し煮した糯米のおこわ<御強>は柔らかいが、粳米のおこわ<御強>は柔らかくない)。 ム⸢チマイ⸣ マ⸢ザー⸣スカー フ⸢クロー⸣ ナルン [mu⸢ʧimai⸣ ma⸢ʣaː⸣sukaː ɸu̥⸢kuroː⸣ naruŋ] (糯米を混ぜると柔らかくなる)。 フ⸢クロー⸣ル ⸢カシ⸣ケー ン⸢マー ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢kuroː⸣ru ⸢kaʃi̥⸣keː ʔm⸢maːnaː⸣nu] (柔らかいおこわは美味しくない) 14758 0 0 14545 htmvoc_14758.wav フクン フ⸢クン [ɸu̥⸢kuŋ] 名 (植)ふくぎ(福木)。フ⸢クンキー[ɸu̥⸢kuŋkiː](福木)ともいう。オトギリソウ科の高木。葉は対生で、厚く革質。葉の長さは8~12センチの長楕円形で子供の遊具にもなる。対生の葉を片方を折り捨てて草履にしたり、葉の裏面に折り目を入れて剥ぐとビニール状の膜ができるのを吹き鳴らして遊んだりした。また、第一級の防潮・防風林、屋敷林として昔から植栽されている。材質は淡黄色で\ruby{堅緻}{ケン|チ}である。島では一級建築用材として多く利用され、樹皮は黄色染料として利用される。実は直径4~5センチ大の柿のように黄熟し、\ruby{蝙蝠}{コウ|モリ}の好物となる。 フ⸢クンキーヤ ヤシキ⸣ヌ ⸢マール⸣ナーン イ⸢ビティ タイフー⸣ヌ カ⸢タ⸣カ ⸢ソーッ⸣タ [ɸu̥⸢kuŋkiːja jaʃi̥ki⸣nu ⸢maːru⸣naːŋ ʔi⸢biti taiɸuː⸣nu kḁ⸢ta⸣ka ⸢soːt⸣ta] (福木は屋敷の回りにも植えて防風林<台風の陰、防御>にされた) 14759 0 0 14546 htmvoc_14759.wav フクン フ⸢クン [ɸu⸢kuŋ] 自動 くぐり(潜り)抜ける。くぐる。抜ける。逃げる。「潜、ククル」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ク⸢ヌ⸣ アナーラ フ⸢クンティ スンドゥ⸣ フ⸢カランバン [ku⸢nu⸣ ʔanaːra ɸu̥⸢kunti sundu⸣ ɸu̥⸢karambaŋ] (この穴からくぐり抜けようとするが、潜られない)。 ⸣クマーラ フ⸢キ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣kumaːra ɸu̥⸢ki⸣ pari ⸢naː⸣nu] (ここから潜り抜けていってしまった)。 ⸣バー フ⸢ク⸣ クトー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ⸢ワーヤ⸣ フ⸢キ⸣バ [⸣baː ɸu̥⸢ku⸣ ku̥toː na⸢ranu⸣nu ⸢waːja⸣ ɸu̥⸢ki⸣ba] (私は潜り抜けることは出来ないが、君は潜れよ)。 ⸣クマーラ フ⸢ケー⸣ ミサムヌバ [⸣kumaːra ɸu̥⸢keː⸣ misamunuba] (此処から潜ればよいものを) 14760 0 1 14547 htmvoc_14760.wav フクン フ⸢クン [ɸu̥⸢kuŋ] 自動 {Mn_1}漏れる。 シ⸢バル⸣ヌ フ⸢クン⸣ケン ニ⸢ズ⸣ナ [ʃi⸢baru⸣nu ɸu̥⸢kuŋ⸣ken ni⸢ʣu⸣na] (小便が漏れるまで我慢するな)。 ン⸢グムタンティン⸣ シ⸢バ⸣ロー フ⸢カヌ [ʔŋ⸢gumutantiŋ⸣ ʃi⸢ba⸣roː ɸu̥⸢kanu] (力んでも小便は漏れない)。 キサー⸢ティ⸣ フ⸢キ ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ ɸu̥⸢ki naː⸣nu] (すでに漏れてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー シ⸢バル⸣ヌ フ⸢ク⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ʃi⸢baru⸣nu ɸu̥⸢ku⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く小便が漏れることはない)。 シ⸢バ⸣ロー フ⸢ケー⸣ ミサムヌ [ʃi⸢ba⸣roː ɸu̥⸢keː⸣ misamunu] (小便は漏れたらいいのに)。 フ⸢キ⸣バ [ɸu̥⸢ki⸣ba] (漏れろよ)。 14760 0 2 14548 htmvoc_14760.wav フクン フ⸢クン [ɸu̥⸢kuŋ] 自動 {Mn_2}ずり下がる。ずり落ちる。 サ⸢ラマ⸣ター フ⸢キ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [sa⸢rama⸣taː ɸu̥⸢ki⸣ pari ⸢naː⸣nu] (猿股<パンツ>は、ずり落ちてしまった)。 14760 0 3 14549 htmvoc_14760.wav フクン フ⸢クン [ɸu̥⸢kuŋ] 自動 {Mn_3}\ruby{解}{ト}ける。ほぐれる。 ガ⸢マ⸣ジェー ⸢ユーバン⸣ フ⸢キス [ga⸢ma⸣ʤeː ⸢juːbaŋ⸣ ɸu̥⸢kisu] (髪は結っても解ける) 14761 0 0 14550 htmvoc_14761.wav フクン フ⸢クン [ɸu̥⸢kuŋ] 他動 葺く。茅や瓦で屋根を葺く。 ⸢カー⸣ラヤー フ⸢クンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢カーラ⸣ヌ タ⸢ラーンダ⸣ フ⸢カラヌ [⸢kaː⸣rajaː ɸu̥⸢kunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢kaːra⸣nu ta⸢raːnda⸣ ɸu̥⸢karanu] (瓦屋根を葺こうと思うが、瓦が足りないので葺かれない)。 フ⸢キ⸣ プサカー ⸢カー⸣ラ カ⸢リティ⸣ フ⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [ɸu̥⸢ki⸣ pu̥sakaː ⸢kaː⸣ra ka⸢riti⸣ ɸu̥⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (葺きたければ瓦を借りて葺くことはできる)。 ⸣キューズーナ フ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸣kjuːʣuːna ɸu̥⸢keː⸣ misamunu] (今日中に葺けばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ キュー ⸣ズーナ フ⸢キ [jaː⸢diŋ⸣ kjuːʣuːna ɸu̥⸢ki] (必ず今日中に葺け) 14762 0 1 14551 htmvoc_14762.wav フクン ⸣フクン [⸣ɸu̥kuŋ] 自動 {Mn_1}湯が沸く。沸騰する。 ⸣ピー ⸢モース⸣カー ⸢ユー⸣ヤ(ワ) フ⸢クン⸣ドゥ ⸢モーサン⸣カー フ⸢カ⸣ヌ [⸣piː ⸢moːsu⸣kaː ⸢juː⸣ja(wa)ɸu̥⸢kun⸣du ⸢moːsaŋ⸣kaː ɸu̥⸢ka⸣nu] (火を燃やしたらお湯は沸くが、燃やさければ沸かない)。 キ⸢サーティ ユー⸣ヤ(ワ) フ⸢キ⸣ ブー [ki̥⸢saːti juː⸣ja(wa) ɸu̥⸢ki⸣ buː] (すでに湯は沸いている)。 ⸢ユー⸣ヌ ⸣フク ⸣ピンマー ウ⸢トゥヌ ナールン [⸢juː⸣nu ⸣ɸu̥ku ⸣pimmaː ʔu⸢tunu naːruŋ] (湯が沸く時は音がなる)。 ⸢パー⸣ク ⸣フケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ɸu̥keː ⸣misamunu] (早く沸けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣フキ [⸢paː⸣ku ⸣ɸu̥ki] (早く沸け)。 14762 0 2 14552 htmvoc_14762.wav フクン ⸣フクン [⸣ɸu̥kuŋ] 自動 {Mn_2}繁茂する。繁る。 ⸣クマー ⸢ウンヌカザ⸣ヌ ウ⸢スマ⸣サ ⸣スコー ⸣フクン [⸣kumaː ⸢ʔunnukaʣa⸣nu ʔu⸢suma⸣sa ⸣su̥koː ⸣ɸu̥kuŋ] (ここはイモカズラ<芋蔓>が恐ろしいほどすごく繁茂する) 14763 0 1 14553 htmvoc_14763.wav フクン ⸣フクン [⸣ɸu̥kuŋ] 自動 {Mn_1}風が吹く。「伊可保風 布久日布加奴日ありといへど~。万、3422」の義。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) カ⸢ジヌ⸣ フクンティ ス⸢クタヌ⸣ フ⸢カン⸣バン⸢ナー [⸢kjuː⸣ja(wa) ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kunti su̥⸢kutanu⸣ ɸu̥⸢kam⸣ban⸢naː] (今日は風が吹くと聞いたが吹かないんだねえ)。 ⸢カーチーバイ⸣ヌ フ⸢キ アー⸣ルン [⸢kaːʧiːbai⸣nu ɸu̥⸢ki ʔaː⸣ruŋ] (夏至の南風が吹き荒れる)。 カ⸢ジヌ⸣ フク ⸣ピンマー ⸢プー⸣ ピ⸢キ⸣ パ⸢ラ⸣シ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ku ⸣pimmaː ⸢puː⸣ pi̥⸢ki⸣ pa⸢ra⸣ʃi] (風が吹く日には帆を揚げて<引いて>走らせよ)。 カ⸢ジェー マー⸣ビン ⸣フケー ⸣ミサムヌ [ka⸢ʤeː maː⸣biŋ ⸣ɸu̥keː ⸣misamunu] (風はもっと吹けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸣フキ [⸢maː⸣biŋ ⸣ɸu̥ki] (もっと吹け)。 14763 0 2 14554 htmvoc_14763.wav フクン ⸣フクン [⸣ɸu̥kuŋ] 自動 {Mn_2}暴風が吹く。 カ⸢ジヌ⸣ フクン [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kuŋ] (台風が吹く) 14763 0 3 14555 htmvoc_14763.wav フクン ⸣フクン [⸣ɸu̥kuŋ] 自動 {Mn_3}息を吹き返す。蘇生する。 ブ⸢チ⸣クン ⸢シー ベータ⸣ヌ イ⸢キ⸣ フケーン [bu⸢ʧi⸣kuŋ ⸢ʃiː beːta⸣nu ʔi⸢ki⸣ ɸu̥keːŋ] (人事不省に陥っていたが、息を吹き返した)。 14763 0 4 14556 htmvoc_14763.wav フクン ⸣フクン [⸣ɸu̥kuŋ] 自動 {Mn_4}あえぐ(喘ぐ)。荒い息づかいをする。 ウ⸢マーバー⸣キ ⸢ヌール⸣カー ⸣イキ ⸣フクン [ʔu⸢maːbaː⸣ki ⸢nuːru⸣kaː ⸣ʔiki ⸣ɸu̥kuŋ] (そこまで登ると息苦しくなる{EOS}喘ぐ<息を吹く>) 14764 0 0 14557 htmvoc_14764.wav フグン フ⸢グン [ɸu⸢guŋ] 自動 満ち足りる。満足する。納得する。「祠、春祭也、保加不(ほかふ)」『新撰字鏡』の転訛したものか。 キ⸢ム⸣ヌ フ⸢グン⸣ケン パ⸢ナ⸣シ シ⸢ミタンドゥ⸣ マ⸢ダ⸣ キモー フ⸢ガン⸣ティバン [ki⸢mu⸣nu ɸu⸢guŋ⸣kem pa⸢na⸣ʃi ʃi⸢mitandu⸣ ma⸢da⸣ kimoː ɸu⸢gan⸣tibaŋ] (満足するまで話をさせたが、まだ満足<納得>しないそうだよ)。 ⸣キモー フ⸢ゲーン⸣カヤー [⸣kimoː ɸu⸢geːŋ⸣kajaː] (満足<納得>したかなあ)。 ⸣キム フ⸢グ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kimu ɸu⸢gu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (満足<納得>することはない)。 ⸣ウビシ ⸣キム フ⸢ゲー⸣ ミサムヌ [⸣ʔubiʃi ⸣kimu ɸu⸢geː⸣ misamunu] (これだけで満足すればいいのに)。 ⸣ウビシ ⸣キモー フ⸢ギ⸣バ [⸣ʔubiʃi ⸣kimoː ɸu⸢gi⸣ba] (これで満足<納得>しろよ) 14765 0 0 14558 htmvoc_14765.wav フクンドー フ⸢クン⸣ドー [ɸu̥⸢kun⸣doː] 名 地名。友利御嶽の北側の窪地一帯。普通は「福堂」と記される。「福木の窪地」の義か。 フ⸢クン⸣ドーナーン ⸢バン⸣テヌ パ⸢タ⸣ケー ⸢アッ⸣タン [ɸu̥⸢kun⸣doːnaːm ⸢ban⸣tenu pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔat⸣taŋ] (福堂にも私の家の畑はあった) 14766 0 0 14559 htmvoc_14766.wav フクンヤマ フ⸢クンヤマ [ɸu̥⸢kuɲjama] 名 福木の林。福木の\ruby{叢林}{ソウ|リン}。 ナ⸢ダラヌ⸣ ヤマー フ⸢クンヤマ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウマーラル ⸢ヤーザイ⸣ギ ⸣キシ ウ⸢ラ⸣ソーッタ [na⸢daranu⸣ jamaː ɸu̥⸢kuɲjama⸣ ja⸢runda⸣ ʔumaːraru ⸢jaːʣai⸣gi ⸣ki̥ʃi ʔu⸢ra⸣soːtta] (ナダラの山は福木の叢林だから、そこから建築用材<家の材木>を伐って下ろされた) 14767 0 0 14560 htmvoc_14767.wav フコー フ⸢コー [ɸu̥⸢koː] 名 不孝。親不孝。沖縄本島方言からの借用語。⸢コー[⸢koː](孝行)の対義語。⸣ウヤフコー[⸣ʔujaɸukoː](親不孝)の形で多く用いられる。 ⸣ウヤフコーヌ ッ⸢ふァティ⸣ ア⸢ザラン⸣ヨーニ シカイ⸢トゥ コー シー オーシリ [⸣ʔujaɸu̥koːnu f⸢fati⸣ ʔa⸢ʣaraɲ⸣joːni ʃi̥kai⸢tu koː ʃiː ʔoːʃiri] (親不孝の子供といわれないように、しっかり孝行を尽くしなさい<孝行をして差し上げなさい>) 14768 0 0 14561 htmvoc_14768.wav フゴー フ⸢ゴー [ɸu⸢goː] 名 不合格。「不合格」の略語で、石垣方言からの借用語。 ⸢ウイヌ ガッコー⸣ヌ ⸣シキン ウ⸢クタン⸣ドゥ ク⸢トゥシェー⸣ フ⸢ゴー ヤッタ⸣ツォー [⸢ʔuinu gakkoː⸣nu ⸣ʃi̥kiŋ ʔu⸢kutan⸣du ku̥⸢tuʃeː⸣ ɸu⸢goː jatta⸣ʦoː] (上級学校の試験を受けたが今年は不合格だったそうだ) 14769 1 0 14562 htmvoc_14769.wav フコーラサ フ⸢コーラサ [ɸu̥⸢koːrasa] 名 {PoS_1}お礼。ありがたさ(有難さ)。 ⸢ヨイ⸣ヌ フ⸢コーラサ シン パッ⸣タ [⸢joi⸣nu ɸu̥⸢koːrasa ʃim pat⸣ta] (お祝いのお礼をしに行った)。 14769 2 0 14563 htmvoc_14769.wav フコーラサ フ⸢コーラサ [ɸu̥⸢koːrasa] 感 {PoS_2}ありがとう(有難う)。同等以下の相手に対して用いる。 ムー⸢ル⸣シ ⸢テー⸣ナイ ⸢シーッふィー⸣ フ⸢コーラサ [muː⸢ru⸣ʃi ⸢teː⸣nai ⸢ʃiː⸣ f⸢fiː⸣ ɸu̥⸢koːrasa] (皆で手伝ってくれて、有難う)。「ほこらしや 和詞にも云 源氏明石の巻にあさりするあまともほこらしけなり」『混効験集』とある 14770 0 0 14564 htmvoc_14770.wav フコーラサーン フ⸢コーラサー⸣ン [ɸu̥⸢koːrasaː⸣ŋ] 形 ありがたい(有難い)。 ⸢ワー⸣ キー ッ⸢ふィール⸣ ウビシ イッ⸢ケナ⸣ フ⸢コーラサー⸣ン [⸢waː⸣ kiː f⸢fiːru⸣ ʔubiʃi ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢koːrasaː⸣ŋ] (君が来てくれるだけで非常に有難い)。 ⸢ワー クー⸣タンティン ⸢ピッ⸣チン フ⸢コーラサー ナー⸣ヌ [⸢waː kuː⸣tantim ⸢pit⸣ʧiŋ ɸu̥⸢koːrasaː naː⸣nu] (君が来ても、ちっとも有難くない)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ フ⸢コーラサー⸣ティ ⸢バン⸣ヌン ナー⸢イヤー⸣ ブ⸢ラランシェン [du⸢ku⸣nu ɸu̥⸢koːrasaː⸣ti ⸢ban⸣nun naː⸢jijaː⸣ bu⸢raraŋʃeŋ] (あまりにも有難くて、私もじっとしては居れなかった)。 ⸣カイニ フ⸢コーラサー⸣ル ⸣クトー ⸣メー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kaini ɸu̥⸢koːrasaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣meː ⸢naː⸣nu] (こんなに有難いことは、もう他にない) 14771 0 0 14565 htmvoc_14771.wav フコーラサスン フ⸢コーラサ スン [ɸu̥⸢koːrasa suŋ] 連 感謝する。有難く思う。「有難さする」の義。 ⸢ワール⸣ ク⸢チラキ ふィーッタ⸣ティ シ⸢キティ⸣ アブジェー ⸣シンニン フ⸢コーラサ スンティ オー⸣レーツォー [⸢waːru⸣ ku̥⸢ʧiraki fiːtta⸣ti ʃi̥⸢kiti⸣ ʔabuʤeː ⸣ʃinniŋ ɸu̥⸢koːrasa sunti ʔoː⸣reːʦoː] (君が口添えをして打開してくれたと聞いて、お祖父さんはわざわざ感謝するためにいらっしゃったそうだ) 14772 0 1 14566 htmvoc_14772.wav フコーン フ⸢コー⸣ン [ɸu̥⸢koː⸣ŋ] 形 {Mn_1}もろい(脆い)。 ⸣グジキーヤ フ⸢コー⸣ンダ ブ⸢リヤッ⸣サン [⸣guʤikiːja ɸu̥⸢koː⸣nda bu⸢rijas⸣saŋ] (デイゴの木は脆いから折れやすい)。 ⸢ナン⸣ゾー フ⸢コー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ɸu̥⸢koː naː⸣nu] (あまり脆くない)。 サ⸢ルター マー⸣ビン フ⸢コー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [sa⸢rutaː maː⸣biŋ ɸu̥⸢koː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (枯れたので、もっと\ruby{脆}{モロ}くなってしまった)。 フ⸢コー キー⸣ヤ シゥ⸢カウナ [ɸu̥⸢koː kiː⸣ja sï̥⸢kauna] (脆い木は使うな)。 ⸣アイニ フ⸢コー⸣レーラー シゥ⸢カーラヌ [⸣ʔaini ɸu̥⸢koː⸣reːraː sï̥⸢kaːranu] (あんなに脆ければ使えない)。 14772 0 2 14567 htmvoc_14772.wav フコーン フ⸢コー⸣ン [ɸu̥⸢koː⸣ŋ] 形 {Mn_2}手が\ruby{鈍}{ノロ}い。手が遅い。 ウ⸢レー⸣ ティー フ⸢コー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː tiː⸣ ɸu̥⸢koː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (彼は手が\ruby{鈍}{ノロ}くて使えない) 14773 0 1 14568 htmvoc_14773.wav ブザ ⸣ブザ [⸣buʣa] 名 {Mn_1}百姓。農民。ユ⸢カラ⸣プス[ju⸢kara⸣pu̥su](士族)の対義語。 ⸣ブザマリ [⸣buʣamari] (百姓出身{EOS}⸢百姓生まれ」の義)。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ユー⸣ナー ⸣ブザ ユ⸢カラ⸣プステー ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢nama⸣nu ⸢juː⸣naː ⸣buʣa ju⸢kara⸣pu̥suteː ⸢naː⸣nu] (今の世には百姓、士族の区別は<百姓、士族なんて>ない)。「~まちよ ふさの よりあふしま~。」の「ふさ」の義『おもろさうし 巻13-960』。 14773 0 2 14569 htmvoc_14773.wav ブザ ⸣ブザ [⸣buʣa] 名 {Mn_2}⸢ター⸣ブサ[⸢taː⸣busa](農民の耕作を監督した村の下級役人{EOS}農民の中から納税義務を免除される年代の者が選ばれた{EOS}⸢田夫作」と表記だれた)のこと。農耕の監督者で働かないことから、転じて「怠け者」を意味する。 ⸢ウンザー⸣ ブザ ⸣ナリティ ⸢ピッ⸣チン パ⸢タラカヌ [⸢ʔunʣaː⸣ buʣa ⸣nariti ⸢pit⸣ʧim pḁ⸢tarakanu] (あいつはブザ<怠け者>になってちっとも働かない) 14774 0 0 14570 htmvoc_14774.wav ブサー ブ⸢サー [bu⸢saː] 名 人体部位名。⸢ヨー⸣ラ[⸢joː⸣ra](腰)、\ruby{臀部}{デン|ブ}から\ruby{大腿部}{ダイ|タイ|ブ}まで。ブ⸢サーブニ[bu⸢saːbuni](寛骨から大腿骨まで)の辺り。 ブ⸢サーヌ⸣ ヤ⸢ミ⸣ル ア⸢ラカラン⸣バン [bu⸢saːnu⸣ ja⸢mi⸣ru ʔa⸢rakaram⸣baŋ] (大腿部が痛くて歩けないんだよ) 14775 0 0 14571 htmvoc_14775.wav ブサーブニ ブ⸢サーブニ [bu⸢saːbuni] 名 人体の骨格の名。大腿骨。 ブ⸢サーブニヌ⸣ ヤ⸢ム⸣ヌ ⸢ヌー⸣ヌ ⸢ヤン⸣マイカヤー [bu⸢saːbuninu⸣ ja⸢mu⸣nu ⸢nuː⸣nu ⸢jam⸣maikaja] (大腿骨が痛むが何の病気かねえ) 14776 0 0 14572 htmvoc_14776.wav ブサーラ ブ⸢サー⸣ラ [bu⸢saː⸣ra] 名 大きなもの。巨漢。巨体。 ⸣カマーラ ブ⸢サーラ⸣ヌ ⸣クーン [⸣kamaːra bu⸢saːra⸣nu ⸣kuːŋ] (向こう<あそこ>から巨漢がやってくる)。 ブ⸢サー⸣ラ ⸢ホー⸣シェーン [bu⸢saː⸣ra ⸢hoː⸣ʃeːŋ] (大きなの<大きな魚>を釣った) 14777 0 0 14573 htmvoc_14777.wav ブサーライズ ブ⸢サー⸣ライズ [bu⸢saː⸣raʔiʣu] 名 大魚。大きな魚。巨大魚。 イ⸢ガメー⸣ラ ブ⸢サー⸣ラスビ ⸢ホー⸣ソーレーン [ʔi⸢gameː⸣ra bu⸢saː⸣rasubi ⸢hoː⸣soːreːŋ] (烏賊釣り漁で<から>巨大マグロ<⸣スビ{SqBr}⸣subi{/SqBr}マグロ>を釣ってこられた) 14778 0 0 14574 htmvoc_14778.wav ブサーラキー ブ⸢サー⸣ラキー [bu⸢saː⸣rakiː] 名 大木。大きな木。巨木。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢クンヌ⸣ ブ⸢サー⸣ラキーバ ⸢ユーチェー⸣ニ ⸣バキティ ⸣パラー ス⸢ク⸣リバ [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢kunnu⸣ bu⸢saː⸣rakiːba ⸢juːʧeː⸣ni ⸣bakiti ⸣paraː su̥⸢ku⸣riba] (この福木の巨木を四つに切り分けて<縦に切り裂いて>柱に作りなさい) 14779 0 0 14575 htmvoc_14779.wav ブサーラプス ブ⸢サー⸣ラプス [bu⸢saː⸣rapu̥su] 名 巨漢。巨人。体格の大きな人。 ⸢カン⸣ネナー ブ⸢サー⸣ラプスヌ ⸢オー⸣ルン [⸢kan⸣nenaː bu⸢saː⸣rapu̥sunu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (あの家には巨漢がいらっしゃる) 14780 0 0 14576 htmvoc_14780.wav プサールムヌ ⸣プサール ⸣ムヌ [⸣pusaːru ⸣munu] 連 欲しいもの。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣プサール ⸣ムノー ⸣ドゥーシ ⸣トゥリ [⸢duː⸣nu ⸣pu̥saːru ⸣munoː ⸣duːʃi ⸣turi] (自分の欲しい物は自分で取れ) 14781 0 0 14577 htmvoc_14781.wav プサイムヌ プ⸢サイムヌ [pu̥⸢saimunu] 名 拾い物。拾得物。「家づとに 貝を比里布等 沖邊より~。万、3709」の義。 プ⸢サイムノー⸣ ウ⸢タシ⸣ヌシン ⸢カイ⸣シ [pu̥⸢sui munoː⸣ ʔu⸢taʃi⸣nuʃiŋ ⸢kai⸣ʃi] (拾い物は落とし主に返しなさい) 14782 0 0 14578 htmvoc_14782.wav プサウン プ⸢サウン [pu̥⸢sauŋ] 他動 拾う。「~君し踏みてば 玉と比呂波牟。万、3400」の転訛したもの。鳩間方言にはCirV → CissV(C=子音、V=母音a・i・u)と変化する音韻法則が認められるから、「比呂波牟」は「プサウン」に対応する。 カ⸢ツシンヌ⸣ ス⸢ラウラシ⸣ヌ ム⸢チェー⸣マ プ⸢サイ⸣ クーバ [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ su⸢rauraʃi⸣nu mu⸢ʧeː⸣ma pu̥⸢sai⸣ kuːba] (カツオ漁船の進水式に播く御餅を拾ってきなさい)。 ⸢バンヌ⸣ン ム⸢チ⸣ プ⸢サウン [⸢ban⸣num mu⸢ʧi⸣ pu̥⸢sauŋ] (私も餅を拾う)。 ⸣バー プ⸢サーヌ [⸣baː pu̥⸢saːnu] (私は拾わない)。 プ⸢サウ⸣ プ⸢スヌ ゴー⸣ラーンダ ⸢バン⸣マー プ⸢サーランシェン [pu̥⸢sau⸣ pu̥⸢sunu goː⸣raːnda ⸢bam⸣maː pu̥⸢saːraŋʃeŋ] (拾う人が多かったので、私には拾えなかった)。 ⸢ワンヌン⸣ プ⸢サイヤー⸣ ミサムヌ [⸢wannum⸣ pu̥⸢saijaː⸣ misamunu] (君も拾えばいいのに)。 ⸢ワー⸣ ヤー⸢ディン⸣ プ⸢サイ⸣バ [⸢waː⸣ jaː⸢dim⸣ pu̥⸢sai] (君は必ず拾え) 14783 0 0 14579 htmvoc_14783.wav ブザカーテー ブ⸢ザカー⸣テー [bu⸢ʣakaː⸣teː] 名 屋号。吉川安夫氏宅。鳩間村一斑にあった。長男の吉川一雄氏の代になって、⸣アブターテー[⸣ʔabutaːteː](吉川喜屋氏宅)の東隣から鳩間村二班の屋敷に移られた。吉川安夫氏は戦前の鳩間島東村のカツオ漁業を経営された。次男の吉川安一氏は、「芭蕉布」、その他の歌謡の作詞家として有名である。県立高等学校長や県立図書館長を務め、名桜大学教授として活躍した。三男の吉川英治氏は県立八重山高等学校長を務めた。 ブ⸢ザカー⸣テーラー ⸢キョー⸣ダイ フ⸢タールヌ コートーガッコー⸣ヌ ⸢コー⸣チョーシンシー マ⸢ラソー⸣レーン [bu⸢ʣakaː⸣teːraː ⸢kjoː⸣dai ɸu̥⸢taːrunu koːtoːgakkoː⸣nu ⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiː ma⸢rasoː⸣reːŋ] (吉川安夫氏宅からは二人の、高等学校の校長先生<吉川安一氏、吉川英治氏>を誕生させられた) 14784 0 0 14580 htmvoc_14784.wav フサキ フ⸢サ⸣キ [ɸu̥⸢sa⸣ki] 名 (地)西表島北部の上原の地名。鳩間島の水田がある。 プ⸢サ⸣キャーヌ ⸢ター⸣ヤ フ⸢サ⸣キナー ⸢アッ⸣タン [pu̥⸢sa⸣kjaːnu ⸢taː⸣ja ɸu̥⸢sa⸣kinaː ⸢ʔat⸣taŋ] (冨里家の田圃はフサキという所にあった) 14785 0 0 14581 htmvoc_14785.wav フサキヌー フ⸢サキ⸣ヌー [ɸu̥⸢saki⸣nuː] 名 (地)西表島北部のフ⸢サ⸣キ[ɸu̥⸢sa⸣ki](上原の地名)の原野。「豊作野」の義か。 フ⸢サ⸣キヌーヌ ⸢タータバ⸣ロー ⸢マイヤー⸣ イッ⸢ケナ ノール⸣タン [ɸu̥⸢sa⸣kinuːnu ⸢taːtaba⸣roː ⸢maijaː⸣ ʔik⸢kena noːru⸣taŋ] (フサキ野の水田地帯は、稲が非常によく稔った) 14786 0 0 14582 htmvoc_14786.wav フサク フ⸢サク [ɸu̥⸢saku] 名 不作。凶作。作物の出来が悪いこと。標準語からの借用語。満作(豊作)の対義語。普通はヤ⸢ブ⸣ルン[ja⸢bu⸣ruŋ](破れる{EOS}不作、凶作になる)、⸢ノー⸣ルン[⸢noː⸣ruŋ](稔る{EOS}満作になる)のようにいう。 ⸢ペーレイヌ⸣ シ⸢ジクター⸣ ク⸢トゥシヌ マイヤー⸣ フ⸢サク⸣ ナリ ⸢ナーン⸣バン [⸢peːreinu⸣ ʃi⸢ʤikutaː⸣ ku̥⸢tuʃinu maijaː⸣ ɸu̥⸢saku⸣ nari ⸢naːm⸣baŋ] (旱魃<日照り>が続いたので、今年の稲は不作になってしまったわい) 14787 0 0 14583 htmvoc_14787.wav ブザサ ブ⸢ザ⸣サ [bu⸢ʣa⸣sa] 名 おじ(伯父、叔父)の名称。呼称(呼びかけ)には、ブザ⸢マー[buʣa⸢maː](伯<叔>父様{EOS!})という。 ⸢バー⸣ル ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ブ⸢ザ⸣サ⸢ユー⸣ ドー⸢ディン ミーッ⸣シ タ⸢ボー⸣ラナー⸢ラ [⸢baː⸣ru ku⸢nu⸣ f⸢fanu⸣ bu⸢ʣa⸣sa⸢juː⸣ doː⸢dim miːʃ⸣ʃi ta⸢boː⸣ra naː⸢ra] (私がこの子の叔父でございます{EOS}どうぞお見知りおきくださいませ<~お見知りおき賜りたく存じます>)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スル⸣ バー ブ⸢ザ⸣サ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢suru⸣ baː bu⸢ʣa⸣sa] (この人が私の伯父<叔父>です) 14788 0 0 14584 htmvoc_14788.wav ブザサウヤ ブ⸢ザ⸣サウヤ [bu⸢ʣa⸣saʔuja] 名 おじ親。\ruby{伯叔父}{ハク|シュク|フ}を自分の父親と思い、敬った表現。 ビ⸢ケーヌ パイ⸣サ ⸢マーラシタール⸣ ブ⸢ザ⸣サウヤバ タ⸢ユリ⸣ル フ⸢ドゥビ⸣ ケー⸢ダー [bi⸢keːnu pai⸣sa ⸢maːraʃi̥taːru⸣ bu⸢ʣa⸣saʔujaba ta⸢juri⸣ru ɸu⸢dubi⸣ keː⸢daː] (父親が早くに亡くなったので伯叔父を父親と思い頼って成長してきたのだよ) 14789 0 0 14585 htmvoc_14789.wav プサスン ⸣プサ ⸢スン [⸣pu̥sa ⸢suŋ] 連 欲しがる。欲しく思う。「欲しさする」の義。 プ⸢スヌ⸣ ムヌ ⸣プサ ⸢スー⸣ ム⸢ノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ munu ⸣pu̥sa ⸢suː⸣ mu⸢noː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (他人のものを欲しがるものではない) 14790 0 0 14586 htmvoc_14790.wav プサッキャー プ⸢サッ⸣キャー [pu̥⸢sak⸣kjaː] 名 屋号。富里善一氏宅。プ⸢サ⸣キャー[pu̥⸢sa⸣kjaː]ともいう。明治の中期頃に上原村から鳩間島に移住された。 プ⸢サッ⸣キャーヌ ウ⸢ヤ⸣プスンケー⸣ヤ ⸢ウイバロー⸣ラル ⸢オー⸣レーツォー [pu̥⸢sak⸣kjaːnu ʔu⸢ja⸣pu̥suŋkeːja ⸢ʔuibaroː⸣raru ⸢ʔoː⸣reːʦoː] (富里家の先祖の方々は上原村から<ぞ>こられたそうだ) 14792 0 1 14587 htmvoc_14792.wav ブザマ ⸣ブザマ [⸣buʣama] 名 {Mn_1}親族名称。伯父、叔父。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ バー ⸣ブザマ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ baː ⸣buʣama] (この人は私の伯父<叔父>です)。 14792 0 2 14588 htmvoc_14792.wav ブザマ ⸣ブザマ [⸣buʣama] 名 {Mn_2}親族呼称。伯父さん!叔父さん!と呼ぶ際に用いる呼称。 ブザ⸢マー マー⸣ティル ⸢オール⸣ワ [buʣa⸢maː maː⸣tiru ⸢ʔoːru⸣wa] (伯<叔>父さん{EOS!}何処へいらっしゃるのですか) 14793 0 0 14589 htmvoc_14793.wav プサン ⸣プサン [⸣pu̥saŋ] 形 欲しい。入手したい。 ⸢フントー⸣ヤ ⸢ジン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ プサンドゥ ⸣プサー ⸢ナーン⸣ティ ア⸢ジ アー⸣ク [⸢ɸuntoː⸣ja ⸢ʤim⸣maː ʔik⸢kena⸣ pu̥sandu ⸣pu̥saː ⸢naːn⸣ti ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (本当は、お金は非常に欲しいが、欲しくないといっている)。 ア⸢マ⸣ヌ ⸣プサティル ⸢カイヤー⸣ル [ʔa⸢ma⸣nu ⸣pu̥satiru ⸢kaijaː⸣ru] (あまりにも欲しくて買ったのだ)。 ⸢シンダイ⸣ プサ ⸣ナリ ⸣クン [⸢ʃindai⸣ pu̥sa ⸣nari ⸣kuŋ] (次第に欲しくなってくる)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣プサー ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸢duː⸣nu ⸣pu̥saː ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (自分の欲しい物はない)。 ⸣アイニ ⸣プサレーラー ナー⸢イヤ⸣ ブ⸢ララヌ [⸣ʔaini ⸣pu̥sareːraː naː⸢ija⸣ bu⸢raranu] (あんなに欲しければ、じっとしておれない)。 ⸣プサカー ⸣ドゥーシ ⸣トゥリバ [⸣pu̥sakaː ⸣duːʃi ⸣turiba] (欲しかったら自分で取れよ) 14794 0 0 14590 htmvoc_14794.wav プサン ⸣プサン [⸣pu̥saŋ] 助動 形容詞型助動詞。~たい。動詞や助動詞の連用形に付いて願望を表す。 ⸢バン⸣ヌン ⸢パー⸣ク ⸢ジー⸣ カ⸢キ⸣プサン [⸢ban⸣num ⸢paː⸣ku ⸢ʤiː⸣ kḁ⸢ki⸣pusaŋ] (私も早く文字を書きたい)。 ⸣バー ⸢ピッ⸣チン カ⸢キプサナー⸣ヌ [⸣baː ⸢pit⸣ʧiŋ kḁ⸢kipusanaː⸣nu] (私はちっとも書きたくない)。 ア⸢マ⸣ヌ ッ⸢ふァイプサ⸣ティル ⸢カイヤー⸣ル [ʔa⸢ma⸣nu f⸢faipusa⸣tiru ⸢kaijaː⸣ru] (あまりにも食べたくて買ったのだ)。 ッ⸢ふァイプサ⸣ ムノー ⸢カイ⸣ ミサン [f⸢faipu̥sa⸣ munoː ⸢kai⸣ misaŋ] (食べたい物は買ってもいい)。 ⸣アイニ ッ⸢ふァイ⸣プサレーラー ニ⸢ジユーサ⸣ヌ [⸣ʔaini f⸢fai⸣pu̥sareːraː ni⸢ʤijuːsa⸣nu] (あんなに食べたければ我慢でき<念じおおせ(果せ)>ない)。 フ⸢ミラリ⸣プサン [ɸu⸢mirari⸣pusaŋ] (誉められたい) 14795 0 1 14591 htmvoc_14795.wav フシ フ⸢シ [ɸu̥⸢ʃi] 名 {Mn_1}くせ(癖)。偏った習慣。 ウ⸢ディ⸣シゥカイ ⸢シー⸣ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ ス⸢ク⸣ ウ⸢リヌ⸣ フ⸢シェー ノーラン⸣バン⸢ナー [ʔu⸢di⸣sï̥kai ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃi su̥⸢ku⸣ ʔu⸢rinu⸣ ɸu̥⸢ʃeː noːram⸣ban⸢naː] (頬杖をついて人の話を聞く彼の癖は直らないのだねえ)。 14795 0 2 14592 htmvoc_14795.wav フシ フ⸢シ [ɸu̥⸢ʃi] 名 {Mn_2}欠点。非難すべきこと。 プ⸢スヌ⸣ フ⸢シ⸣ トゥルンティカー⸢ニ⸣ ス⸢ナ [pu̥⸢sunu⸣ ɸu̥⸢ʃi⸣ turuntikaː⸢ni⸣ su⸢na] (他人の欠点を暴いて非難しよう<欠点を取ろう>とだけするな) 14798 0 1 14593 htmvoc_14798.wav ブシ ⸣ブシ [⸣buʃi] 名 {Mn_1}節。「\ruby{筠}{イン}、節也、竹乃\ruby{不志}{フ|シ}」『新撰字鏡』の転訛したもの。 タ⸢キヌ⸣ ブシ [ta⸢kinu⸣ buʃi] (竹の節)。 ⸢シンザ⸣ヌ ブシ [⸢ʃinʣa⸣nu ⸣buʃi] (サトウキビ<サトウキビ<\ruby{甘蔗}{カン|シャ}>の節)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ブシ [⸢kiː⸣nu ⸣buʃi] (木の瘤<木の節>)。 14798 0 2 14594 htmvoc_14798.wav ブシ ⸣ブシ [⸣buʃi] 名 {Mn_2}指や\ruby{膝}{ヒザ}の関節。 ⸢ティー⸣ヌ ブ⸢シ⸣ヌ ヤム⸢サー [⸢tiː⸣nu bu⸢ʃi⸣nu jamu⸢saː] (指の関節が痛むよ)。 ス⸢ブシバ⸣ バ⸢リティル⸣ タ⸢ティマー⸣キ ⸢ベー [su⸢buʃiba⸣ ba⸢ritiru⸣ tḁ⸢timaː⸣ki ⸢beː] (\ruby{膝}{ヒザ}小僧<膝関節>を打ち痛めて立ちかねている) 14799 0 0 14595 htmvoc_14799.wav ブシ ⸣ブシ [⸣buʃi] 名 (数)寸。人差し指の(食指)の第一関節から第二関節までの長さ。約一寸。 プ⸢ス⸣ブシ [pu̥⸢su⸣buʃi] (一寸<一節>)。 フ⸢タブシ [ɸu̥⸢tabuʃi] (二寸<二節>)。 ⸢ミーブシ [⸢miːbuʃi] (三寸<三節>)。 ⸢ユーブシ [⸢juːbuʃi] (四寸<四節>)。 イ⸢チ⸣ブシ [ʔi⸢ʧi⸣buʃi] (五寸<五節>)。/クルマヤ ミブシヌ クサビシドゥ シンリヌ ミチン カユール ピトゥヤ ミブシヌ シタシドゥ グフドゥヤ ファイシティ デンサー/(車は三寸の楔で千里の道も行くものだ{EOS}人は舌先三寸<三寸の舌先>で己の五体を食い殺すことがある)(デンサ節)『八重山民謡誌』 14800 0 0 14596 htmvoc_14800.wav ブシ ⸣ブシ [⸣buʃi] 名 古典民謡の曲節。音曲。メロディー。 パ⸢トゥ⸣マブシ [pḁ⸢tu⸣mabuʃi] (鳩間節{EOS}パ⸢トゥ⸣マナカムリ)。 バ⸢シヌ⸣トゥルブシ [ba⸢ʃinu⸣turubuʃi] (鷲の鳥節)。 ク⸢モーマブシ [ku⸢moːmabuʃi] (小浜節)。 ブ⸢シブリ⸣ヌ タ⸢ノー⸣ル ⸢ナーン⸣ユンダ ウ⸢ムッサ ナー⸣ヌ [bu⸢ʃiburi⸣nu ta⸢noː⸣ru ⸢naːŋ⸣junda ʔu⸢mussa naː⸣nu] (節回し<節折り>が要領得ない<器用でない>から面白くない) 14801 0 0 14597 htmvoc_14801.wav ブシ ブ⸢シ [bu⸢ʃi] 名 \ruby{剛}{ゴウ}(豪)の者。力強い者。「武士」の義。 ⸣アブジェー ム⸢カ⸣シェー ⸢ティー⸣ユン シゥ⸢カイ ヨー⸣リ ブ⸢シ⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ [⸣ʔabuʤeː mu⸢ka⸣ʃeː ⸢tiː⸣jun sï̥⸢kaijoː⸣ri bu⸢ʃi⸣ ja⸢roːt⸣ta] (お祖父さんは、昔は空手の使い手であり<空手も使われ>、剛の者<武士>であられた) 14796 0 0 14598 htmvoc_14796.wav プシ ⸣プシ [⸣pu̥ʃi] 名 星。複合語の下位成分となる際は連濁現象を起こして、⸣ブシ[⸣buʃi](星)となる。 ア⸢カシキン⸣ブシ [ʔa⸢kaʃi̥kim⸣buʃi] (明けの明星<暁星>)。 ム⸢リカブシ [mu⸢rikabuʃi] (すばる星{EOS}\ruby{六連星}{ム|ツラ|ボシ}{EOS}<群れ星>)。 ⸢ユー⸣ボンブシ [⸢juː⸣bombuʃi] (宵の明星<夕飯星>)。宵の明星を、⸢ダイ⸣ケヌ ⸢アー⸣ヤプシ[⸢dai⸣kenu ⸢ʔaː⸣japuʃi](大工家のお父さん星)ともいう。この星が出るまで働いたことからの命名という。 ⸢ニーヌ⸣パーブシ [⸢niːnu⸣paːbuʃi] (北斗七星{EOS}<子の方星>)。 ⸣ニカー イッ⸢ケナ⸣ プ⸢シ⸣ヌ ミ⸢ラ⸣リン ⸣パジ [⸣nikaː ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢ʃi⸣nu mi⸢ra⸣rim ⸣paʤi] (今夜は星が非常によく見えるはずだ)。 プ⸢シ⸣バ ア⸢ティル⸣ ム⸢ヌスクル⸣ヌ ⸣タネー マ⸢コーッ⸣タ [pu̥⸢ʃi⸣ba ʔa⸢tiru⸣ mu⸢nusu̥kuru⸣nu ⸣taneː ʔu⸢ra⸣soːtta] (星を目印にして作物の種を播かれた) 14797 0 0 14599 htmvoc_14797.wav プシ ⸣プシ [⸣pu̥ʃi] 名 鰹節。 ⸣プシ キ⸢ズン [⸣pu̥ʃi ki⸢ʣuŋ] (鰹節を削って製品化する<鰹節を削る>)。複合語の構成要素となる際は連濁現象を起こす。 カ⸢ツブシ⸣ナー ⸢ウー⸣ブシ ⸢ミー⸣ブシ カ⸢ミ⸣ブシティ ア⸢リ⸣ブー [kḁ⸢ʦubuʃi⸣naː ⸢ʔuː⸣buʃi ⸢miː⸣buʃi ka⸢mi⸣buʃiti ʔa⸢ri⸣buː] (鰹節には、雄節、雌節、亀節というのがある) 14802 0 0 14600 htmvoc_14802.wav プシイガ プ⸢シ⸣イガ [pu̥⸢ʃi⸣ʔiga] 名 干し烏賊。するめ(鯣)。若年層は、プ⸢シ⸣イカ[pu̥⸢ʃi⸣ʔika]ともいう。鳩間島では明治の初期から糸満漁師による烏賊漁が行われていた。旧暦8月にカツオ漁が終わると、スルメイカ漁が始まった。早朝に陸揚げされたスルメイカを浜で切り開き、内臓を塩辛にして貯蔵する。烏賊は、浜に作ってあるイ⸢ガヤマ[ʔi⸢gajama](浜に立てた数本の垂木に藁縄を数段に張って、烏賊を干すのに用いたもの)に漁獲して帰った早朝に干して半乾燥にした。二日目からはススキで作ったシ⸢ダ⸣ル[ʃi⸢da⸣ru](\ruby{簾}{スダレ})を庭に広げて、その上に半乾燥の烏賊を並べて干した。三日間日干し乾燥して完成品にした。 プ⸢シ⸣イガー ⸢イッキン ギューサ⸣ナーシ ⸢カーサリワ [pu̥⸢ʃi⸣ʔigaː ⸢ʔikkiŋ gjuːsa⸣naːʃi ⸢kaːsariwa] (干し烏賊は一斤いくらぐらいで売れるか) 14803 0 0 14601 htmvoc_14803.wav プシイズ プ⸢シ⸣イズ [pu̥⸢ʃi⸣ʔiʣu] 名 干し魚。日干し乾燥した魚。大漁の時は、魚を切り開いて内臓を除去し、塩を\ruby{塗}{マブ}して日干し乾燥し、長期に保存した。 プ⸢シ⸣イゾー イ⸢ズ⸣ バ⸢ザウ⸣カー ⸢マー⸣ス ッ⸢ふァーシティ⸣ ティダナー ⸣プシティル ス⸢ク⸣ローッタ [pu̥⸢ʃi⸣ʔiʣoː ʔi⸢ʣu⸣ ba⸢ʣau⸣kaː ⸢maː⸣su f⸢faːʃi̥ti⸣ tidanaː ⸣pu̥ʃitiru su̥⸢ku⸣roːtta] (干し魚は、魚を\ruby{捌}{サバ}いたら塩を\ruby{塗}{マブ}し、日干して<ぞ>作られた) 14807 0 0 14602 htmvoc_14807.wav フシゥカ ⸢フシゥカ [⸢ɸusi̥ka] 名 (数)二日。ににち。 ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢リティ フシゥカ⸣アトゥナー タ⸢ベー パッ⸣タ [f⸢fanu⸣ ma⸢riti ɸusi̥ka⸣ ʔatunaː ta⸢beː pat⸣ta] (子供が生まれて二日後に旅へ出発した) 14808 0 0 14603 htmvoc_14808.wav フシゥカルン ⸢フシゥ⸣カルン [⸢ɸusi̥⸣karuŋ] 自動 すがる(縋る)。しがみつく。くっつく。風邪に罹る(風邪の神が\ruby{縋}{スガリ}つく)。 パ⸢ナシキ フシゥ⸣カルン [pa⸢naʃi̥ki ɸusi̥⸣karuŋ] (風邪をひく<風邪の神がしがみつく>)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウヤナー ⸢フシゥ⸣カリティ プ⸢スンマー⸣ ダ⸢カラヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔujanaː ⸢ɸusi̥⸣kariti pu̥⸢summaː⸣ da⸢karanu] (この子は親にしがみついて他人には抱かれない)。 ピ⸢ル⸣ ヌ⸢キティ⸣ パ⸢ク⸣カー パ⸢ナシケー フシゥカラ⸣ヌ [pi⸢ru⸣ nu⸢kiti⸣ pḁ⸢ku⸣kaː pa⸢naʃi̥keː ɸusi̥kara⸣nu] (\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}を糸に貫いて首に掛ける<穿く>と風邪には\ruby{罹}{カカ}らない<風邪が\ruby{縋}{スガリ}つかない>)。 パ⸢ナシキ フシゥ⸣カル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢naʃi̥ki ɸusi̥⸣karu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (風邪に罹る<風邪が縋りつく>ことはない)。 ⸢フシゥ⸣カレー ⸣ミサムヌ [⸢ɸusi̥⸣kareː ⸣misamunu] (縋りつけばいいのに)。 ⸢クン⸣ナーン ⸢フシゥ⸣カリバ [⸢kun⸣naːŋ ⸢ɸusi̥⸣kariba] (これにも縋りつけ) 14804 0 0 14604 htmvoc_14804.wav プシウン プ⸢シ⸣ウン [pu̥⸢ʃi⸣ʔuŋ] 名 干し芋。芋を薄く切って日干しにしたもの。非常要食品として常備していた。米に混ぜて炊くと米の澱粉と芋の澱粉が溶け合って美味であった。 プ⸢シウン⸣バ ⸢マイ⸣ナー マ⸢ザー⸣シティ バ⸢カス⸣カー ン⸢マー⸣タン⸢ダー [pu̥⸢ʃiʔum⸣ba ⸢mai⸣naː ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ba⸢kasu̥⸣kaː ʔm⸢maː⸣tan⸢daː] (干し芋を米に混ぜて炊くと美味しかったよ) 14810 0 0 14605 htmvoc_14810.wav フシガラヌ フ⸢シガラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʃigara⸣nu] 連 押さえられない。食い止められない。我慢できない。耐えられない。「防がれない」の義。 ⸢ヤーサ⸣ヌ フ⸢シガラ⸣ヌ [⸢jaːsa⸣nu ɸu̥⸢ʃigara⸣nu] (お腹がすいて<ひだるくて{EOS}ひもじくて>我慢できない) 14805 0 0 14606 htmvoc_14805.wav フシキ ⸢フシキ [⸢ɸuʃi̥ki] 名 しらくも(白癬)。子供の頭部にできる灰白色の粉末状のりんせつ(鱗屑)に覆われた皮膚病。トゥ⸢ルフシキ[tu⸢ruɸuʃi̥ki](しらくも{EOS}白癬)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ス⸢ブ⸣ルナー ⸣ユー ⸢フシキヌ⸣ ン⸢ズタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー ⸢ピッ⸣チン ミ⸢ララ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢rabi⸣nu su⸢bu⸣runaː ⸣juː ⸢ɸuʃi̥kinu⸣ ʔn⸢ʣuta⸣nu ma⸢na⸣maː ⸢pit⸣ʧim mi⸢rara⸣nu] (昔は子供の頭によくしらくも<白癬>が出たが、今は全く見かけない<一つも見られない>) 14806 0 0 14607 htmvoc_14806.wav フシキ ⸢フシキ [⸢ɸuʃi̥ki] 名 ふけ(\ruby{雲脂}{フ|ケ})。 ガ⸢マ⸣ジナー ⸢フシキヌ⸣ シキティ ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ga⸢ma⸣ʤinaː ⸢ɸuʃi̥kinu⸣ ʃi̥kiti ⸢miːnussa⸣nu na⸢ra⸣nu] (髪の毛にふけ(雲脂)が付いて見苦しくて堪らない) 14811 0 0 14608 htmvoc_14811.wav フシキ ⸢フシキ [⸢ɸuʃi̥ki] 名 けば(毛羽)。芭蕉や\ruby{苧}{オ}など\ruby{績}{ウ}む際にできる残り\ruby{屑}{クズ}。いとくず(糸屑)。綿ぼこリ。抜け毛。 ⸢ブー⸣ヌ ⸢フシキン⸣ ガ⸢マジ⸣ヌ ⸢フシキン⸣ ア⸢ザケーアザケー⸣シ ⸢ポー⸣キ シ⸢ティリ [⸢buː⸣nu ⸢ɸuʃi̥kiŋ⸣ ga⸢maʤi⸣nu ⸢ɸuʃi̥kiŋ⸣ ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃi ⸢poː⸣ki ʃi̥⸢tiri] (からむし<苧>の残り屑も毛髪の抜け毛も清潔に掃き取り<掃き捨て>なさい)。 ⸢フシキ⸣ カベーティ ⸢アーク⸣ナ [⸢ɸuʃi̥ki⸣ kabeːti ⸢ʔaːku⸣na] (糸屑や綿ぼこリを体につけているな<被ってあるくな>) 14809 0 0 14609 htmvoc_14809.wav フシグン フ⸢シ⸣グン [ɸu̥⸢ʃi⸣gu] 他動 防ぐ。さえぎる。守る。他の侵害をくい止める。「防、布世久(ふせく)」『華厳音義私記』の転訛したもの。 ⸢タイ⸣フー フ⸢シ⸣グンティ ⸣ヤドゥ フ⸢バリティ⸣ シゥ⸢カイ⸣ イ⸢リ ベーン⸣ドゥ ⸣ウビシェー フ⸢シガラン⸣バン [⸢tai⸣ɸuː ɸu̥⸢ʃi⸣gunti ⸣jadu ɸu⸢bariti⸣ si̥⸢kai⸣ ʔi⸢ri beː⸣ndu ⸣ʔubiʃeː ɸu̥⸢ʃigaram⸣baŋ] (台風を防ごうと戸を\ruby{縛}{シバ}り、支柱を入れているが、それだけでは防がれないよ)。 ピ⸢ル⸣シェー パ⸢ナシキ⸣ フ⸢シギヤッ⸣サン [pi⸢ru⸣ʃeː pa⸢naʃi̥ki⸣ ɸu̥⸢ʃigijas⸣saŋ] (\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}では風邪を防ぎやすい)。 ク⸢リ⸣シェー フ⸢シ⸣グ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ʃeː ɸu̥⸢ʃi⸣gu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これでは防ぐことは出来ない)。 ク⸢リ⸣シ フ⸢シ⸣ゲー ⸣ミサムヌ [ku⸢ri⸣ʃi ɸu̥⸢ʃi⸣geː ⸣misamunu] (これで防げば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ク⸢リ⸣シ フ⸢シ⸣ギ [jaː⸢diŋ⸣ ku⸢ri⸣ʃi ɸu̥⸢ʃi⸣gi] (必ずこれで防げ) 14812 0 0 14610 htmvoc_14812.wav フシケーマ フシ⸢ケー⸣マ [ɸuʃi̥⸢keː⸣ma] 名 小さなけば(毛羽)。小さな糸屑。綿ぼこり。 フシ⸢ケーマ⸣ヌ ⸢ポッツァーリ ベー [ɸuʃi̥⸢keːma⸣nu ⸢potʦaːri beː] (小さな糸くずが散らかっている) 14813 0 0 14611 htmvoc_14813.wav プシスクライ ⸣プシスクライ [⸣pu̥ʃisukurai] 名 穀物を貯蔵するために日干し乾燥すること。「干しつくろい(繕い)」の義。 ⸢マイヤー アーシティ⸣ ニ⸢ブ⸣クナ ⸣プシスクライ ⸢シーティル⸣ モ⸢ミグラー⸣ イ⸢ルタル [⸢maijaː ʔaːʃiti⸣ ni⸢bu⸣kuana ⸣pu̥ʃisukurai ⸢ʃiːtiru⸣ mo⸢miguraː⸣ ʔi⸢rutaru] (米は脱穀して、いなばきむしろ<稲掃き筵>に干して<ぞ>から米倉に入れたものだ) 14814 0 0 14612 htmvoc_14814.wav ブシスクリ ⸣ブシスクリ [⸣buʃisu̥kuri] 名 ごつごつ節くれだっていること。まめ(肉刺)だらけになること。「節作り」の義。 パ⸢タキシグ⸣トゥ カー⸢ニ シー ブンダ⸣ ⸢ティー⸣ヤ ⸣ブシスクリ シ⸢ティ⸣ プ⸢スンマー⸣ ミ⸢シララ⸣ヌ [pḁ⸢takiʃigu⸣tu kaː⸢ni ʃiː bunda tiː⸣ja ⸣buʃisu̥kuri ʃi̥⸢ti⸣ pu̥⸢summaː⸣ mi⸢ʃirara⸣nu] (畑仕事だけしているから、手はごつごつと節くれだって<節作りして>いるので他人には見せられない) 14815 0 0 14613 htmvoc_14815.wav プシタク プ⸢シ⸣タク [pu̥⸢ʃi⸣taku] 名 干し蛸。日干し乾燥した蛸。パ⸢リタク[pa⸢ritaku](張り蛸)ともいう。蛸の頭から足まで切り開き、竹串で張って塩を塗し、3~4日、炎天下で日干し乾燥したもの。調理する際は、水でもどして使った。 プ⸢シ⸣タコー ミ⸢ジ⸣ナー フ⸢クラシティル⸣ ウ⸢サイ⸣ヤー ス⸢コーローッ⸣タ [pu̥⸢ʃi⸣tḁkoː mi⸢ʤi⸣naː ɸu̥⸢kuraʃi̥tiru⸣ ʔu⸢sai⸣jaː su̥⸢koːroːt⸣ta] (干し蛸は水に戻して<ぞ>料理は作られたものだ) 14816 0 1 14614 htmvoc_14816.wav フジックミルン フ⸢ジックミルン [ɸu⸢ʤikkumiruŋ] 他動 {Mn_1}閉じ込める。押し込める。 パ⸢クヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナー フ⸢ジックミ⸣ ミサカー フ⸢ジックミル⸣ クトー ⸣ナルン [pḁ⸢kun naka⸣naː ɸu⸢ʤikkumi⸣ misakaː ɸu⸢ʤikkumiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (箱の中に押し込めてよければ、押し込めることはできる)。 ギュー⸢ムシン⸣ オ⸢シイレ⸣ン ナ⸢カ⸣ナー フ⸢ジックミルンドゥ ピン⸣ギ パ⸢リ⸣ス [gjuː⸢muʃiŋ⸣ ʔo⸢ʃiʔire⸣n na⸢ka⸣naː ɸu⸢ʤikkumirundu piŋ⸣gi pa⸢ri⸣su] (何度も押入れの中に閉じ込めるのだが、逃げていく)。 フ⸢ジックミラヌ [ɸu⸢ʤikkumiranu] (閉じ込めない)。 フ⸢ジックミレー⸣ ミサムヌ [ɸu⸢ʤikkumireː⸣ misamunu] (閉じ込めればいいのに)。 フ⸢ジックミリ [ɸu⸢ʤikkumiri] (閉じ込めろ)。 14816 0 2 14615 htmvoc_14816.wav フジックミルン フ⸢ジックミルン [ɸu⸢ʤikkumiruŋ] 他動 {Mn_2}閉め切る。 ⸣ヤドゥ フ⸢ジックミル⸣カー イ⸢キザー⸣サンダ フ⸢ジックミラン⸣ ブ⸢リ⸣バ [⸣jadu ɸu⸢ʤikkumiru⸣kaː ʔi⸢kiʣaː⸣sanda ɸu⸢ʤikkumiram⸣ bu⸢ri⸣ba] (戸を閉め切ると息苦しいから、締め切るな<締め切らないで居れ>よ)。 ⸣ヤドゥ フ⸢ジックミルン [⸣jadu ɸu⸢ʤikkumiruŋ] (戸を閉め切る) 14817 0 1 14616 htmvoc_14817.wav フジックムン フ⸢ジックムン [ɸu⸢ʤikkumuŋ] 他動 {Mn_1}閉じ込む。押し込む。「閉じこむ<下二段活用>」の四段活用化したもの。 パ⸢クン ナカ⸣ナー フ⸢ジックムン [pḁ⸢kun naka⸣naː ɸu⸢ʤikkumuŋ] (箱の中に閉じ込める)。 14817 0 2 14617 htmvoc_14817.wav フジックムン フ⸢ジックムン [ɸu⸢ʤikkumuŋ] 他動 {Mn_2}戸を閉め切る。 ⸣ヤドゥ フ⸢ジックムンティ スンドゥ⸣ シ⸢キー⸣ナ カ⸢カ⸣リティ フ⸢ジックマラヌ [⸣jadu ɸu⸢ʤikkumunti sundu⸣ ʃi̥⸢kiː⸣na kḁ⸢ka⸣riti ɸu⸢ʤikkumaranu] (戸を閉め切ろうとするが、敷居に引っ掛かって閉め切られない)。 ⸣ヤドゥ フ⸢ジックミティ⸣ ク⸢マ⸣リ ⸢ベー [⸣jadu ɸu⸢ʤikkumiti⸣ ku⸢ma⸣ri ⸢beː] (戸を閉め切って籠っている)。 フ⸢タール⸣シ ヤ⸢ドゥ⸣バ ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ フ⸢ジックム モー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ja⸢du⸣ba ⸢kis⸣su ⸢ʃiː⸣ ɸu⸢ʤikkumu moː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (二人で戸を競争して閉め切るものではない<締め切ってはいけない>)。 ⸣ヤドゥ フ⸢ジックメー⸣ ⸣ミサムヌ [⸣jadu ɸu⸢ʤikkumeː⸣ misamunu] (戸を閉め切ればいいのに)。 ウ⸢チ⸣アミ ⸢スンダ⸣ ヤドー フ⸢ジックミ [ʔu⸢ʧi⸣ʔami ⸢sunda⸣ jadoː ɸu⸢ʤikkumi] (雨が室内に吹き込むから戸を締め切りなさい) 14818 0 0 14618 htmvoc_14818.wav フジックルン フ⸢ジッ⸣クルン [ɸu⸢ʤik⸣kuruŋ] 他動 ほじくる(\ruby{穿}{ホジク}る)。ほじる。 ⸣ミン フ⸢ジッ⸣クリ シ⸢キ⸣ヨー [⸣miŋ ɸu⸢ʤik⸣kuri ʃi̥⸢ki⸣ba] (耳を穿ってよく聞けよ)。 プ⸢スヌ⸣ ヤ⸢ナフシバ⸣ フ⸢ジッ⸣クルンティ ⸢アー⸣キ ⸢ドゥー⸣ヌ フ⸢シン⸣ フ⸢ジックラ⸣リ ⸢ベーン⸣ティ [pu̥⸢sunu⸣ ja⸢naɸuʃiba⸣ ɸu⸢ʤik⸣kurunti ⸢ʔaː⸣ki ⸢duː⸣nu ɸu̥⸢ʃiŋ⸣ ɸu⸢ʤikkura⸣ri ⸢beːn⸣ti] (他人の\ruby{悪癖}{アク|ヘキ}を\ruby{穿}{ホジク}ろうとしていて、自分の癖も穿られているよ)。 フ⸢ジッ⸣クリ ⸣ミサン [ɸu⸢ʤik⸣kuri ⸣misaŋ] (穿ってよい)。 フ⸢ジッ⸣クル ⸣バス [ɸu⸢ʤik⸣kuru ⸣basu] (穿る時)。 フ⸢ジッ⸣クレー ⸣ミサムヌ [ɸu⸢ʤik⸣kureː ⸣misamunu] (穿れば良いのに)。 フ⸢ジッ⸣クリバ [ɸu⸢ʤik⸣kuriba] (穿れよ) 14819 0 0 14619 htmvoc_14819.wav ブシトゥイ ⸢ブシ⸣トゥイ [⸢buʃi̥⸣tui] 名 おととい(一昨日)。おとつい。「Vototoi.ヲトトイ(一昨日)」『邦訳日葡辞書』からの転訛。 ⸣アッパー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイ ⸢スンティ ブシ⸣トゥイラ ⸣クナー ⸣キー ⸢ベー⸣ダー [⸣ʔappaː ⸢toːkaki⸣nu ⸣joi ⸢sunti buʃi̥⸣tuira ⸣kunaː ⸣kiː ⸢beː⸣daː] (お祖母さんの\ruby{斗掻}{ト|カキ}の祝い<米寿>をしようと一昨日からここに来ているんですよ)。 ⸣キノー ⸢ブシトゥイ⸣ヌ ⸣クトー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣kinoː ⸢buʃitui⸣nu ⸣ku̥toː ʔa⸢ra⸣nu] (昨日一昨日のことではない) 14820 0 0 14620 htmvoc_14820.wav フシトゥルン フ⸢シ⸣ トゥルン [ɸu̥⸢ʃi⸣ turuŋ] 連 非難する。欠点を見つけて責め立てる。「癖を取る」の義。 プ⸢スヌ⸣ フ⸢シ⸣ トゥルンティ ⸢スー⸣カー フ⸢シカーニル⸣ ミ⸢ラ⸣リユンダ プ⸢スヌ⸣ マ⸢シェーン⸣ トンバ ト⸢ミ⸣ル ク⸢トゥ⸣ル ⸢カンユー [pu̥⸢sunu⸣ ɸu̥⸢ʃi⸣ turunti ⸢suː⸣kaː ɸu̥⸢ʃikaːniru⸣ mi⸢ra⸣rijunda pu̥⸢sunu⸣ ma⸢ʃeː⸣ru ⸣tomba tu⸢mi⸣ru ku̥⸢tu⸣ru ⸢kaɲjuː] (他人の欠点を見つけて非難しようとすると、欠点だけが目に付くから、他人の長所を探すことが大事<肝要>だ) 14822 0 0 14621 htmvoc_14822.wav フジナクン フ⸢ジナクン [ɸu⸢ʤinakuŋ] 他動 放りこむ。押し込む。ぶち込む。\ruby{竈}{カマド}などに薪をぶち込んで燃やすことにもいう。 フ⸢チ⸣ナー ⸢ペーラン⸣スコー ム⸢ヌ⸣バ フ⸢ジナキティ⸣ ッ⸢ふァイ ベー [ɸu̥⸢ʧi⸣naː ⸢peːran⸣su̥koː mu⸢nu⸣ba ɸu⸢ʤinakiti⸣ f⸢fai beː] (口に入りきらないほどご飯を押し込んで食べている)。 ⸣ヌーンクイン イ⸢キ⸣フキ フ⸢チ⸣ナー フ⸢ジナカンドー⸣シ ⸢ヨーンナー⸣ ッ⸢ふァ⸣イバ [⸣nuːŋkuiŋ ʔi⸢ki⸣ɸu̥ki ɸu̥⸢ʧi⸣na ɸu⸢ʤinakandoː⸣ʃi ⸢joːnnaː⸣ f⸢fai⸣ba] (何もかも息せき切って口に放り込ますに、ゆっくり食べなさい)。 フ⸢チ⸣ナー フ⸢ジナクン [ɸu̥⸢ʧi⸣naː ɸu⸢ʤinakuŋ] (口に押し込む)。 ⸣アイニ フ⸢ジナク⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [⸣ʔaini ɸu⸢ʤinaku⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (あのように口に押し込むことはするなよ)。 カ⸢ツネーシカマ⸣ナー ⸢マー⸣ビン タ⸢ム⸣ヌ フ⸢ジナケー⸣ ミサムヌ [ka⸢ʦuneːʃikama⸣naː ⸢maː⸣bin ta⸢mu⸣nu ɸu⸢ʤinakeː⸣ misamunu] (カツオを煮る釜にもっと薪を押し込めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢ジナキ⸣バ [⸢paː⸣ku ɸu⸢ʤinaki⸣ba] (早く放り込めよ) 14821 0 0 14622 htmvoc_14821.wav フシヌクン フ⸢シ⸣ ヌ⸢クン [ɸu̥⸢ʃi⸣ nu⸢kuŋ] 連 非難する。欠点を見つけて責め立てる。欠点をあげつらう。「癖を抜く」の義。 ウ⸢リ⸣ナー プ⸢スヌ⸣ フ⸢シ⸣ ヌ⸢クンティ スー⸣ フ⸢シヌル⸣ アル [ʔu⸢ri⸣naː pu̥⸢sunu⸣ ɸu̥⸢ʃi⸣ nu⸢kunti suː⸣ ɸu̥⸢ʃinuru⸣ ʔaru] (彼には他人の欠点をあげつらう<~欠点を見つけて非難する>癖がある) 14823 0 0 14623 htmvoc_14823.wav プシヌシル プ⸢シ⸣ヌ ⸣シル [pu⸢ʃi⸣nu ⸣ʃiru] 連 赤潮。赤潮が発生すると災いが起きるといわれていた。「星の汁」の義。普通は⸣ユドゥン[⸣juduŋ](赤潮)という。 ス⸢ナカ⸣ナー プ⸢シ⸣ヌ シ⸢ル⸣ヌ ウ⸢リ⸣ルカー ヤ⸢ナクトゥヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルンティ ア⸢ザリブタン [su⸢naka⸣naː pu̥⸢ʃi⸣nu ʃi⸢ru⸣nu ʔu⸢ri⸣rukaː ja⸢nakutunu⸣ ʔn⸢ʤi⸣runti ʔa⸢ʣaributaŋ] (海に赤潮が発生する<星の汁が下りる>と悪いことが起きるといわれていた) 14824 0 0 14624 htmvoc_14824.wav ブシヌヤー ブ⸢シヌ⸣ヤー [bu⸢ʃinu⸣jaː] 名 (地)「武士の家」の義。タ⸢チ⸣バルパマ[tḁ⸢ʧi⸣barupama](立原の浜)の北側の岸壁上から陸地部にかけて石積みで囲って造られていた防塁。何時、誰が、何のために作ったかに関する確かな研究資料はない。ただ、1962年にジョージ・H・カー(ハワイ大学)が鳩間島に来島し、遺跡調査を実施して作成した測量図が沖縄公文書館に保存されている。伝説によると、武士が住んでいたという。その近くの⸣ウブシケー[⸣ʔubuʃi̥keː](大城家)の畑の畦に、サ⸢クラ⸣カー[sḁ⸢kura⸣kaː](「塩辛い井戸」の義)という洞穴の井戸があった。 ブ⸢シンヤー⸣ヌ ⸢グス⸣コー ⸣グガン シ⸢ムンティル クーサ⸣レー⸢ダー [bu⸢ʃiŋjaː⸣nu ⸢gusu̥⸣koː ⸣gugaŋ ʃi⸢muntiru kuːsa⸣reː⸢daː] (武士の家の石垣はコンクリートの護岸を作る<積む>からといって崩されたのだよ) 14825 0 0 14625 htmvoc_14825.wav プシヌユーベー プ⸢シ⸣ヌ ⸢ユー⸣ベー [pu̥⸢ʃi⸣nu ⸢juː⸣beː] 連 流れ星。「星のよばい(星の婚)」の義とする説『八重山語彙』。 プ⸢シ⸣ヌ ⸢ユー⸣ベー ⸣ミルカー ⸢チン⸣チ ⸣パキティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [pu̥⸢ʃi⸣nu ⸢juː⸣beː ⸣mirukaː ⸢ʧin⸣ʧi ⸣pḁkiti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (流れ星を見たら不浄だといって、唾を吐きなさいと、昔の人はいわれた) 14826 0 0 14626 htmvoc_14826.wav プシヌユダル プ⸢シ⸣ヌ ユ⸢ダル [pu̥⸢ʃi⸣nu ju⸢daru] 連 赤潮。「星の\ruby{涎}{ヨダレ}」の義。プ⸢シ⸣ヌ ⸣シル[pu̥⸢ʃi⸣nu ⸣ʃiru](赤潮{EOS}「星の汁」の義)ともいう。 ユ⸢ドゥン⸣バ プ⸢シ⸣ヌ ユ⸢ダル⸣ティ ア⸢ゾー⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン [ju⸢dum⸣ba pu̥⸢ʃi⸣nu ju⸢daru⸣ti ʔa⸢ʣoː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (ユドゥン<赤潮>を星の涎という人もおられた) 14827 0 0 14627 htmvoc_14827.wav プシビリ プ⸢シ⸣ビリ [pu̥⸢ʃi⸣biri] 名 目減り。干し減り。乾燥による体積や重量の減少。 ⸢イー⸣シェー ⸣ティダナ ⸣プスカー プ⸢シ⸣ビリ ⸢シーティ パンブン⸣マーンツァン トゥ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ʃeː ⸣tidana ⸣pu̥sukaː pu̥⸢ʃi⸣biri ⸢ʃiːti pambum⸣maːnʦan tu⸢rara⸣nu] (ツノマタは太陽にほして乾燥すると目減り<干し減り>して半分すらも取れない) 14828 0 0 14628 htmvoc_14828.wav ブシブッター ⸣ブシブッター [⸣buʃibuttaː] 名 大きな節の木や竹類。節くれ立った樹木。竹や樹木が節だらけになっているもの。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ⸣ブシブッター ⸣ナリティ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢nu kiː⸣ja ⸣buʃibuttaː ⸣nariti si̥⸢kaːranu] (この木は節くれ立って<節だらけになって>、使い物にならない<使えない>) 14829 0 0 14629 htmvoc_14829.wav フシマ フ⸢シ⸣マ [ɸu̥⸢ʃi⸣ma] 名 (地)黒島。古老の言葉。七十歳代以下の若年層は、ク⸢ル⸣シマ[ku⸢ru⸣ʃima](黒島)という。 フ⸢シ⸣マプス [ɸu̥⸢ʃi⸣mapu̥su] (黒島の人)。 パ⸢トゥ⸣マー フ⸢シ⸣マーラヌ バ⸢カ⸣リティ ア⸢ザリ ブー [pḁ⸢tu⸣maː ɸu̥⸢ʃi⸣maːranu ba⸢ka⸣riti ʔa⸢ʣari buː] (鳩間島は黒島からの分村<分かれ>と言われている) 14830 0 0 14630 htmvoc_14830.wav フシマガラサー フ⸢シ⸣マガラサー [ɸu̥⸢ʃi⸣magarasaː] 名 黒島の人に対するあだ名。黒島の人が利口すぎるので、ずるがしこい烏に見たてた呼び方『石垣方言辞典』。「黒島烏」の義。 イ⸢サナキプソー⸣ フ⸢シ⸣マガラサーティ ⸣ユー ア⸢ゾーッ⸣タン [ʔi⸢sanakipusoː⸣ ɸu̥⸢ʃi⸣magarasaːti ⸣juː ʔa⸢ʣoːt⸣taŋ] (石垣の人は「黒島烏」とよく言われた) 14831 0 0 14631 htmvoc_14831.wav フシマチ フ⸢シマチ [ɸu̥⸢ʃimaʧi] 名 不始末。標準語からの借用語の転訛。 ⸣クヌヨーナ フ⸢シマチバ シーンザ⸣シ ウ⸢トゥザマリーン ミーワクバ⸣ カキ ⸢ヌー⸣ スー ⸢カン⸣ガイヤ [⸣kunujoːna ɸu̥⸢ʃimaʧiba ʃiːʔnʣa⸣ʃi ʔu⸢tuʣamariːm miːwakuba⸣ kḁki ⸢nuː⸣ suː ⸢kaŋ⸣gaija] (このような不始末をしでかして、親戚一同に迷惑をかけて、如何するつもり<考え>か) 14832 0 0 14632 htmvoc_14832.wav フシマヤー フ⸢シ⸣マヤー [ɸu̥⸢ʃi⸣majaː] 名 仲本家の屋敷名。先祖は黒島からの移住と伝えられている。1748年(乾隆13)の「憲章姓家譜C」によると、鳩間島の脇筆者黒島仁屋発の「請筑登之座敷」文書に、⸢与人、目差役の時に村人を下知して耕作させ、三ヶ月飯料貯蓄させ、芋や綿花耕作させ、村付近に井戸させる功績があった」と述べている。 ナ⸢カン⸣テーヤ ム⸢カ⸣シェー フ⸢シ⸣マヤーティ ア⸢ゾーッ⸣タツォー [na⸢kan⸣teːja mu⸢ka⸣ʃeː ɸu̥⸢ʃi⸣majaːti ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (仲本家は昔は黒島屋といわれたそうだ) 14833 0 0 14633 htmvoc_14833.wav フジマレー フ⸢ジマレー [ɸu⸢ʤimareː] 名 石を積み上げて造った「古墓」のこと。往古の風葬の跡と思われる所で、身元の不明の人骨が葬られてある。イ⸢ラ⸣カマイ[ʔi⸢ra⸣kamai](「甍前」の義か{EOS}ウ⸢ブ⸣マイ{SqBr}ʔu⸢bu⸣mai{/SqBr}<大前>と⸢ナードー{SqBr}⸢naːdoː{/SqBr}<長堂>の中間にある)のガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](がじまる{EOS}榕樹)やヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](てりはぼく)などの雑木、ア⸢ダン⸣ブラ[ʔa⸢dam⸣bura](阿檀{EOS}タコノキ)の繁った所である。 イ⸢ラ⸣カマイナー フ⸢ジマレーヌ アッタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マン ⸣アンユー ッ⸢サン⸣サー [ʔi⸢ra⸣kamainaː ɸu⸢ʤimareːnu ʔatta⸣nu ma⸢na⸣maŋ ⸣ʔaɲjuː s⸢san⸣saː] (イラカマイにフジマレーがあったが、今もあるのか分からない<知らない>よ) 14834 0 0 14634 htmvoc_14834.wav フジマレーパカ フ⸢ジマレーパカ [ɸu⸢ʤimareːpaka] 名 石を丸く積み上げ、カ⸢ソーライシ[ka⸢soːraiʃi](テーブルサンゴ)を被せて作った古い墓。 ウ⸢ブ⸣マイナー<イ⸢ラ⸣カマイナー> ユ⸢ナ⸣デヌ フ⸢ジマレーパカヌ⸣ アン [ʔu⸢bu⸣mainaː<ʔi⸢ra⸣kamainaː> ju⸢na⸣denu ɸu⸢ʤimareːpakanu⸣ ʔaŋ] (大前に與那田家の、石を積み上げて作った古墓がある) 14835 0 0 14635 htmvoc_14835.wav プシムヌ プ⸢シ⸣ムヌ [pu̥⸢ʃi⸣munu] 名 干し物。洗濯物。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー プ⸢シ⸣ムノー ⸣トゥリ イ⸢リリ⸠ヨー [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː pu̥⸢ʃi⸣munoː ⸣turi ʔi⸢riri⸠joː] (雨が降ったら洗濯物<干し物>は取り込み<取り入れ>なさいね) 14836 0 0 14636 htmvoc_14836.wav フジリカジリ フ⸢ジ⸣リカジリ [ɸu⸢ʤi⸣rikaʤiri] 副 ほじくり(穿り)回すさま。あさり(漁り)ちらかすさま。根掘り葉掘り尋ねるさま。ABCDBC型の重言。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ナカ フ⸢ジ⸣リカジリ ⸢シー ミスクン⸣ドゥ ⸢ミシキララ⸣ヌ [⸢jaː⸣nu ⸣naka ɸu⸢ʤi⸣rikaʤiri ⸢ʃiː misu̥kun⸣du ⸢miʃi̥kirara⸣nu] (家の中をあちらこちら\ruby{穿}{ホジク}り回して探すけれど探されない)。 プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シ フ⸢ジ⸣リカジリ ス⸢クナ [pu̥⸢sunu⸣ pa⸢na⸣ʃi ɸu⸢ʤi⸣rikaʤiri su̥⸢kuna] (他人の話を根掘り葉掘り聞くな) 14837 0 1 14637 htmvoc_14837.wav フジルン フ⸢ジ⸣ルン [ɸu⸢ʤi⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}くじる(抉る)。ほじくる。えぐる。えぐって取り出す。あさる(漁る)。「Cujiri,ru,itta.クジリ、ル、ッタ(抉り、る、った) 指、または、木片などで孔をあける、あるいは、貫き通す.~」『邦訳日葡辞書』。 ⸢ミン⸣ヌ ⸣ッス フ⸢ジルン⸣ドゥ ク⸢リ⸣シェー フ⸢ジララ⸣ヌ [⸢min⸣nu ⸣ssu ɸu⸢ʤirun⸣du ku⸢ri⸣ʃeː ɸu⸢ʤirara⸣nu] (耳垢<耳の糞>をほじくる<穿る>が、これではほじくれない)。 タ⸢ク⸣ヌ ⸣アナ ⸣ガルユクンシ フ⸢ジ⸣リティ ⸢ミートゥ⸣タク ス⸢クタン [tḁ⸢ku⸣nu ⸣ʔana ⸣garujukuŋʃi ɸu⸢ʤi⸣riti ⸢miːtu⸣tḁku su̥⸢kutaŋ] (蛸の穴を\ruby{鉤銛}{カギ|モリ}でほじくって夫婦蛸を突いた)。 ク⸢リ⸣シェー フ⸢ジ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ʃeː ɸu⸢ʤi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これでは\ruby{穿}{ホジク}ることは出来ない)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢ジ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢ʤi⸣reː ⸣misamunu] (もっと穿ればいいのに)。 ク⸢リ⸣シ フ⸢ジ⸣リ [ku⸢ri⸣ʃi ɸu⸢ʤi⸣ri] (これで穿れ)。 14837 0 2 14638 htmvoc_14837.wav フジルン フ⸢ジ⸣ルン [ɸu⸢ʤi⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}他人の心をかき乱して感情を害する。 プ⸢スヌ⸣ バタ フ⸢ジ⸣ルン [pu̥⸢sunu⸣ bata ɸu⸢ʤi⸣ruŋ] (他人の心をかき回して感情を逆なでする)。 14837 0 3 14639 htmvoc_14837.wav フジルン フ⸢ジ⸣ルン [ɸu⸢ʤi⸣ruŋ] 他動 {Mn_3}探しまわる。\ruby{漁}{アサ}る。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸣ヤー フ⸢ジ⸣ルン [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸣jaː ɸu⸢ʤi⸣ruŋ] (彼は、よく家の中を漁る<探し回る>)。 ⸢ヤーフジ⸣ル ⸢スン [⸢jaːɸuʤi⸣ru ⸢suŋ] (家の中をほじくり、探し回る<家漁りする>) 14838 0 0 14640 htmvoc_14838.wav フジルン フ⸢ジ⸣ルン [ɸu⸢ʤi⸣ruŋ] 自動 崩れる。後退する。しくじる。単独の用法はなく、多くは、シ⸢ビ[ʃi⸢bi](後、後方)と共に用いられる。 ⸣アイニ ⸢スー⸣カー シ⸢グトー⸣ シ⸢ベール⸣ フ⸢ジ⸣ル [⸣ʔaini ⸢suː⸣kaː ʃi⸢gutoː⸣ ʃi⸢beːru⸣ ɸu⸢ji⸣ru] (あんなやり方では<あんなにすると>仕事は後退する<尻へとくずれる>)。シ⸢ベー⸣ フ⸢ジ⸣ルンティル ウ⸢モー⸣リ[ʃi⸢beː⸣ ɸu⸢ʤi⸣runtiru ʔu⸢moː⸣ri](失敗する)と思われる 14839 0 0 14641 htmvoc_14839.wav フジルン フ⸢ジ⸣ルン [ɸu⸢ʤi⸣ruŋ] 自動 ぐずる。だだをこねる。ぐずぐずする。ぐずって泣く。 ヤ⸢ラ⸣ベー ニ⸢ブンティンマー⸣ ヤー⸢ディン⸣ フ⸢ジ⸣ルンダ ⸢シーッふァー⸣シ ニ⸢バシ [ja⸢ra⸣beː ni⸢buntimmaː⸣ jaː⸢diŋ⸣ ɸu⸢ʤi⸣runda ⸢ʃiː ffaː⸣ʃi ni⸢baʃi] (子供は寝るときには必ずぐずるから、お乳を飲ませて寝かせなさい)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ナー⸢イ⸣ フ⸢ジ⸣リ ⸢ベータ⸣ヌ ニ⸢ビナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː naː⸢ji⸣ ɸu⸢ʤi⸣ri ⸢beːta⸣nu ni⸢binaː⸣nu] (子供はずっとぐずっていたが、寝てしまった)。 フ⸢ジラン⸣ドーシ ニ⸢ビ ッふィール⸣カ⸢ツォー [ɸu⸢ʤiran⸣doːʃi ni⸢bi ffiːru⸣ka⸢ʦoː] (ぐずらないで寝てくれたら良いのになあ)。 バ⸢タ⸣ ミツカー フ⸢ジ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢ta⸣ miʦukaː ɸu⸢ʤi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (満腹したらぐずることはない) 14840 0 1 14642 htmvoc_14840.wav プス プ⸢ス [pu̥⸢su] 名 {Mn_1}人。人間。一人前の人間。「~わくらばに比等々波<ヒトトハ>あるを~。万、892」の転訛したもの。 ⸣ウナー プ⸢スヌ ブン [⸣ʔunaː pu̥⸢sunu buŋ] (そこに人がいる)。 プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (人はいない)。 14840 0 2 14643 htmvoc_14840.wav プス プ⸢ス [pu̥⸢su] 名 {Mn_2}他人。 ク⸢レー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムヌ [ku⸢reː⸣ pu̥⸢sunu⸣ munu] (これは他人のものだ)。 プ⸢スン⸣ ッ⸢ふィーリ [pu̥⸢suŋ⸣ f⸢fiːri] (他人に上げ<呉れ>なさい)。 プ⸢ソーラ⸣ ムヌ ⸢イール⸣ナ [pu̥⸢soːra⸣ munu ⸢ʔiːru⸣na] (他人からものを貰うな) 14841 0 0 14644 htmvoc_14841.wav プスイ ⸣プスイ [⸣pu̥sui] 名 ひとひ(一日)。「太白神、和名比止比米久利<ひとひめぐり>」『和名抄』の転訛したもの。 シ⸢グトー⸣ プスイ ⸢フシゥカー⸣ ヤ⸢スマン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ pu̥sui ⸢ɸusi̥kaː⸣ ja⸢sumaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (仕事は一日二日休まないといけない) 14842 0 0 14645 htmvoc_14842.wav プスイウチマーシ ⸣プスイ ウ⸢チマー⸣シ [⸣pu̥sui ʔu⸢ʧimaː⸣ʃi] 連 毎日。一日ごとに。天候が毎日のように変わること。二月末頃から四月頃までの天候の変わりやすいことの比喩。昔の人は、⸣アツァティヌ ピ⸢ニチェー ナー⸣ヌ[⸣ʔaʦatinu pi⸢niʧeː naː⸣nu](明日という日はない)といって、今日の内に仕事を済ませよ、といわれた。<諺> 14843 0 0 14646 htmvoc_14843.wav プスイピーズ ⸣プスイピーズ [⸣pusuipiːʣu] 名 一日中。⸣プスイピーズ ナ⸢ク⸣ ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーヌ⸣ プスイピーズ ⸣フー ⸣アミン ⸢ナー⸣ヌ[⸣pusuipiːʣu na⸢ku⸣ f⸢faː⸣ bu⸢raːnu⸣ pusuipiːʣu ⸣ɸuː ⸣ʔamin ⸢naː⸣nu](一日中泣く子はいない{EOS}一日中降る雨もない)といって、「待てば海路の日和」を教えた 14844 0 0 14647 htmvoc_14844.wav プスイラ プ⸢スイ⸣ラ [pu̥⸢sui⸣ra] 名 一枚。イラ[ʔira](平{EOS}「枚・片」)は、紙、葉、皿など、薄くて平らなものを数える数詞。 ッ⸢ス⸣カビ プ⸢スイラ⸣ フ⸢タイ⸣ラ ⸣トゥリ ヤ⸢ラシ⸠ミー [s⸢su⸣kabi pu̥⸢suira⸣ ɸu̥⸢tai⸣ra ⸣turi ja⸢raʃi⸠miː] (白紙を一二枚取ってよこしなさいよ) 14845 0 0 14648 htmvoc_14845.wav プスウバイスン プ⸢スウバイ スン [pu̥⸢suʔubai suŋ] 連 人怖じする。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ プ⸢スウバイ シー⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pu̥⸢suʔubai ʃiː⸣naː na⸢ra⸣nu] (この子は人怖じするので困る) 14846 0 0 14649 htmvoc_14846.wav プスウバウン プ⸢ス⸣ ウ⸢バウン [pu̥⸢su⸣ ʔu⸢bauŋ] 連 人を恐れる。人を怖がる。\ruby{人怖}{ヒト|オ}じする。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケン⸣ プ⸢ス⸣ ウ⸢バウン [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kem⸣ pu̥⸢su⸣ ʔu⸢bauŋ] (この子は非常に人を怖がる<人怖じする>) 14847 0 0 14650 htmvoc_14847.wav プスカブ プ⸢ス⸣カブ [pu̥⸢su⸣kabu] 名 数詞。一回出漁。カツオ漁船が一回出漁すること。 カ⸢ツシンマー⸣ プスイ プ⸢スカブナー⸣ル イ⸢チンマー⸣ ウケー ン⸢ゾーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ pu̥sui pu̥⸢sukabunaː⸣ru ʔi⸢ʧimmaː⸣ ʔukeː ʔn⸢ʣoːt⸣ta] (カツオ漁船は、一日に一回出漁ずつ<ぞ>、普通<いつも>は沖へ出られたものだ) 14848 0 0 14651 htmvoc_14848.wav フスク フ⸢スク [ɸu̥⸢suku] 名 不足。不満。 ⸢ヌーヌ⸣ル フ⸢スク シーブーワ [⸢nuːnu⸣ru ɸu̥⸢suku ʃiːbuːwa] (何が不足しているのか)。 ⸢ジンヌ⸣ル フ⸢スク シーブー [⸢ʤinnu⸣ru ɸu̥⸢suku ʃiːbuː] (お金が不足している)。 ッ⸢ふァイフスク [f⸢faiɸusu̥ku] (食べ不足)。 ミ⸢リフス⸣ク [mi⸢riɸusu̥⸣ku] (見物不足{EOS}見たりない{EOS}物足りない) 14849 0 1 14652 htmvoc_14849.wav プスクイ プ⸢ス⸣クイ [pu̥⸢su⸣kui] 名 {Mn_1}一声。一曲。 ム⸢カ⸣シウタ プ⸢スクイ⸣ フ⸢タ⸣クイ イ⸢ジ⸣ シゥ⸢カソー⸣リ⸢ミー [mu⸢ka⸣ʃiʔuta pu̥⸢sukui⸣ ɸu̥⸢ta⸣kui ʔi⸢ʤi⸣ sï̥⸢kasoː⸣ri⸢miː] (昔歌を一、二曲歌って聞かせてくださいな)。 14849 0 2 14653 htmvoc_14849.wav プスクイ プ⸢ス⸣クイ [pu̥⸢su⸣kui] 名 {Mn_2}ひとこと(一言)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー プ⸢ス⸣クイシ シ⸢キ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣jaː pu̥⸢su⸣kuiʃi ʃi̥⸢ki] (親の言うこと<言葉>は一言で聞け)。シ⸢ザ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ウ⸢ヤ⸣ヌクイ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ⸢カン⸣ヌクイ[ʃi⸢ʣa⸣nu ⸢kui⸣jaː ʔu⸢ja⸣nu ⸣kui ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣jaː ⸢kan⸣nu ⸣kui](兄のいうこと<言葉>は親のいうこと<言葉>であり、親のいうこと<言葉>は神の言葉である)諺 14852 0 0 14654 htmvoc_14852.wav プスククル プ⸢スクク⸣ル [pu̥⸢sukuku⸣ru] 名 一心にすること。心をあわせること。心を一致させること。 ⸢ヤーニン⸣ズー ウ⸢トゥザマリ⸣ プ⸢スクク⸣ル ⸣ナシェーティ パ⸢タラキ [⸢jaːnin⸣ʣu ʔu⸢tuʣamari⸣ pu̥⸢sukuku⸣ru ⸣naʃeːti pḁ⸢taraki] (家族、親戚一同が一心になって働きなさい)。/マクトゥ キキシミ パトゥマムラ ウイム ワカキム ピトゥククル シジク パンジョー ナウマワル/(誠を心に聞き染めて鳩間村は老いも若きも一心になって、続く繁盛はいよいよ勝っていく)(囃子)/イヤイーヤー カミヌククルニ タムキアルラバ ミグリミグリヌ ナシグヮウミグヮン ンマリンマリティ アトゥユンサキユン ネランムヌサミ アタルウヤフジ ラクユミシェユサ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(弥々<イヨイヨ>、神の御心に手向けの心があれば、廻り廻って子孫も誕生して後も先もないものだ{EOS}当たる先祖は安楽をなさるものだ{EOS}今の囃子に口説きを歌おう)パ⸢トゥ⸣マクドゥキン[pa⸢tu⸣makudukiŋ](鳩間口説)。『鳩間島古典民謡古謡集』 14850 0 0 14655 htmvoc_14850.wav プスクトゥ プ⸢ス⸣クトゥ [pu̥⸢su⸣ku̥tu] 名 ひとこと(一事)。一件。 プ⸢ス⸣クトー ⸣キューズーナ ⸢ユー⸣ゾー シ⸢マサリ⸣スンドゥ ⸢マー⸣ プ⸢ス⸣クトー ピ⸢マー⸣ カ⸢カリ⸣ス ⸣パジ [pu̥⸢su⸣ku̥toː ⸣kjuːʣuːna ⸢juː⸣ʣoː ʃi⸢masari⸣sundu ⸢maː⸣ pu̥⸢su⸣ku̥toː pi⸢maː⸣ kḁ⸢kari⸣su ⸣paʤi] (一件は今日中に用事は済まされるが、もう一件は時間がかかる<隙が入る{EOS}暇取る{EOS}てまどる>だろう<はずだ>) 14851 0 1 14656 htmvoc_14851.wav プスグトゥ プ⸢スグトゥ [pu̥⸢sugutu] 名 {Mn_1}ひとごと(人事)。よそごと(他所事)。他人事。 プ⸢スグトゥティ⸣ ウムイ ⸢ベーン⸣ケン ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢sugututi⸣ ʔumui ⸢beːŋ⸣ken ⸢duː⸣nu ⸣ʔui nari⸢naː⸣nu] (人事かと思っていたところ、自分の身の上のことになってしまった)。 プ⸢スグトゥ⸣テー ウ⸢ムー⸣ナ⸢ヨー ドゥー⸣ヌ ⸣クトゥティ ウ⸢ムイ⸣ヤーティ ⸢シー⸠ヨー [pu̥⸢sugutu⸣teː ʔu⸢muː⸣na⸢joː duː⸣nu ⸣ku̥tuti ʔu⸢mui⸣jaːti ⸢ʃiː⸠joː] (他人事と思うなよ、自分のことと思ってしなさいよ)。 14851 0 2 14657 htmvoc_14851.wav プスグトゥ プ⸢スグトゥ [pu̥⸢sugutu] 名 {Mn_2}他人のために働くこと。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ プ⸢スグトー シェー⸣ン [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢sugutoː ʃeː⸣ŋ] (彼は非常によく他人のことをしてある) 14853 0 0 14658 htmvoc_14853.wav プスクトゥバ プ⸢スクトゥ⸣バ [pu̥⸢sukutu⸣ba] 名 一語。一言。一言葉。 ⸢ワー⸣ラー フ⸢コーラサヌ⸣ プ⸢スクトゥバ⸣ル ⸣プサタ ビ⸢チ⸣ヌ ⸣ムノー ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː⸣raː ɸu̥⸢koːrasanu⸣ pu̥⸢sukutuba⸣ru ⸣pu̥sata bi⸢ʧi⸣nu ⸣munoː ⸣pu̥saː ⸢naː⸣nu] (君からは有難うの一語が欲しかった{EOS}別のものは欲しくない) 14854 0 1 14659 htmvoc_14854.wav プスクラシムヌ プ⸢スクラシムヌ [pu̥⸢sukuraʃimunu] 名 {Mn_1}人をよく叩く者。 ウ⸢レー⸣ メー ⸢サッ⸣コー プ⸢スクラシムヌ⸣ ナリティ イ⸢メーマヌ⸣ クトゥシン プ⸢ス⸣ ク⸢ラシ⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ meː ⸢sak⸣koː pu̥⸢sukurasimunu⸣ nariti ʔi⸢meːmanu⸣ ku̥tuʃim pu̥⸢su⸣ ku⸢raʃi⸣naː na⸢ra⸣nu] (あやつ<彼奴>は非常に人をぶつ<打つ>者になってしまって、ちょっとのことでも人を殴るのでたまらない<堪らない>)。 14854 0 2 14660 htmvoc_14854.wav プスクラシムヌ プ⸢スクラシムヌ [pu̥⸢sukuraʃimunu] 名 {Mn_2}人殺し。 ⸢ヤイマ⸣ナー プ⸢スクラシムヌヌ ブンティ⸣ シ⸢ター⸣ シ⸢キミラ⸣ヌ [⸢jaima⸣naː pu̥⸢sukuraʃimununu bun⸣ti ʃi̥⸢taː⸣ ʃi̥⸢kimira⸣nu] (八重山で殺人者がいるということは聞いたことがない) 14855 0 0 14661 htmvoc_14855.wav フスクリルン ⸢フスクリ⸣ルン [⸢ɸusu̥kuri⸣ruŋ] 自動 ささくれる。毛羽立つ。そそける。⸢フスクルンとも言う。 ⸢ティーパン⸣ヌ フスクリ⸣ルンケン パ⸢タキシグ⸣トゥ シ⸢ラリミッ⸣タン [⸢tiːpan⸣nu ⸢ɸusukuri⸣ruŋkem pḁ⸢takiʃigu⸣tu ʃi⸢rari mit⸣taŋ] (手足がささくれるほど畑仕事をさせられてみた)。 ⸢ティー⸣リ ⸢スー⸣カー ⸢フスクリラ⸣ヌ [⸢tiː⸣riː ⸢suː⸣kaː ⸢ɸusu̥kurira⸣nu] (手入れをしたらささくれない)。 ⸢ティー⸣ヌ サ⸢キヌ フスクリティ⸣ シゥ⸢カッティララヌ [⸢tiː⸣nu sḁ⸢kinu ɸusukuriti⸣ si̥⸢kattiraranu] (手先がささくれて、触られない)。 ⸢ティー⸣ヌ ⸢フスクリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢tiː⸣nu ⸢ɸusukuriru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (手がささくれることはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フスクリレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸusu̥kurireː⸣ misamunu] (もっとささくれればいいのに) 14857 0 0 14662 htmvoc_14857.wav フスクル ⸢フスクル [⸢ɸusu̥kuru] 名 懐。歌謡語。「Futocoro.フトコロ(懐)ふところ.~」『邦訳日葡辞書』の転訛。日常会話では⸢フンスクル[⸢ɸunsu̥kuru](懐)というのが普通。/ウーギヌ カジニ アウガリティ ユルヤ ハハグヌ フスクルニ トゥインハテン ンスガウチ/(扇の風に扇がれて、夜は母御の懐に、十重も二十重も御衣の内)『無蔵念仏歌』。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢フンスクル⸣ナー イ⸢リ⸣ ス⸢ダティラ⸣レール ッ⸢ふァ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ɸunsu̥kuru⸣naː ʔi⸢ri⸣ su⸢datira⸣reːru f⸢fa] (親の懐に入れて育てられた子) 14858 0 0 14663 htmvoc_14858.wav フスクルディー ⸢フスクルディー [⸢ɸusu̥kurudiː] 名 手を懐に入れること。若者が懐に手をいれることはだらしないといわれていた。「ふところで(懐手)」の義。「Futocorode.フトコロデ(懐手)」『邦訳日葡辞書』の転訛。老人がよく懐手をした。⸢フンスクルディー[⸢ɸunsu̥kurudiː](懐手)ともいう。 バ⸢カー⸣ムヌ ⸢フスクルディーバ シェー⸣ティ ⸢フージェー ナー⸣ヌ ヤ⸢ミリ [ba⸢kaː⸣munu ⸢ɸusu̥kurudiːba ʃeː⸣ti ⸢ɸuːʤeː naː⸣nu ja⸢miri] (若者が懐手をして若者らしくない<風情がない>{EOS}止めれ<やめろ>) 14856 0 0 14664 htmvoc_14856.wav フスクルン ⸢フスクルン [⸢ɸusukuruŋ] 自動 ささくれる。毛羽立つ。⸢フスクリ⸣ルン[⸢ɸusu̥kuri⸣ruŋ](ささくれる)と同じ。 ヤ⸢ナアシゥカイ スー⸣カー ⸢ティー⸣ヤ ⸢フスクルン [ja⸢naʔasi̥kai suː⸣kaː ⸢tiː⸣ja ⸢ɸusu̥⸣kuruŋ] (酷使すると手はささくれる)。 バ⸢カーン⸣ケンマー ⸢ティー⸣ヤ ⸢フスクランシェンドゥ⸣ トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢フスクリ ナー⸣ヌ [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː ⸢tiː⸣ja ⸢ɸusu̥kuraŋ⸣ʃendu ⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ⸢ɸusu̥kuri naː⸣nu] (若い時は、手はささくれなかったが、年をとったのでささくれてしまった)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フスクレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸusu̥⸣kureː ⸣misamunu] (もっとささくれればいいのに) 14859 0 1 14665 htmvoc_14859.wav フスクン ⸢フス⸣クン [⸢ɸusu̥⸣kuŋ] 名 {Mn_1}打ち身による皮下出血の青黒い痣。 ⸢カイ⸣リティ ⸣パラーナ フ⸢タイバ⸣ バ⸢リティ フス⸣クン ⸢シー⸣ シケー [⸢kai⸣riti ⸣paraːna ɸu̥⸢taiba⸣ ba⸢riti ɸusu̥⸣kuŋ ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (転倒して柱に額を打ちつけて打ち身による皮下出血の青黒い痣を作ってある<痣をしておいてある>)。 14859 0 2 14666 htmvoc_14859.wav フスクン ⸢フス⸣クン [⸢ɸusu̥⸣kuŋ] 名 {Mn_2}顔面が青黒くなる。黒ずむ。 ブ⸢チ⸣クン シ⸢ティ⸣ シラー ⸢フス⸣クン ⸢シーベー [bu⸢ʧi⸣kuŋ ʃi̥⸢ti⸣ ʃiraː ⸢ɸusu̥⸣kuŋ ⸢ʃiːbeː] (気絶して顔は青黒くなっている)。 フ⸢チヌ⸣シバー ⸢フス⸣クン ⸢シーベー [ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʃibaː ⸢ɸusu̥⸣kuŋ ⸢ʃiːbeː] (寒さで唇が黒ずんでいる) 14860 0 0 14667 htmvoc_14860.wav プスケーラ プ⸢スケー⸣ラ [pu̥⸢sukeː⸣ra] 名 (数)一度。一回。「一返り」の義。回数や繰り返しの意味に重点がある。プ⸢スッケー⸣ラ[p⸢sukkeː⸣ra](1回)ともいう。「Fitocayeri.ヒトカエリ(一返り)回数の数え方」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 フ⸢タケーラ [ɸu̥⸢takeːra] (2回)。 ⸢ミーケーラ [⸢miːkeːra] (3回)。 ⸢ユーケーラ [⸢juːkeːra] (4回)。 イ⸢チケー⸣ラ [ʔi⸢ʧikeː⸣ra] (5回)。 ⸢ムーケーラ [⸢muːkeːra] (6回)。 ナ⸢ナケー⸣ラ [na⸢nakeː⸣ra] (7回)。 ⸢ヤーケーラ [⸢jaːkeːra] (8回)。 ク⸢ヌケー⸣ラ [ku⸢nukeː⸣ra] (9回)。 ⸢トゥーケーラ [⸢tuːkeːra] (10回)。 ウ⸢ブ⸣マイミチェーラ ナ⸢ナケー⸣ラ カ⸢タ⸣ミ カ⸢ヨーシル⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸢コイ⸣ヤー イ⸢ルタル [ʔu⸢bu⸣maimiʧeːra na⸢nakeː⸣ra kḁ⸢ta⸣mi ka⸢joːʃiru⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸢koi⸣jaː ʔi⸢rutaru] (大前農道を<から>7回も通って<ぞ>畑の肥やしは運び入れたものだ) 14861 0 0 14668 htmvoc_14861.wav プスケン プ⸢ス⸣ケン [pu̥⸢su⸣keŋ] 名 (数)一回。一度。度数の意味に重点がある。通常は、プ⸢スケー⸣ラ[pu̥⸢sukeː⸣ra](一回{EOS}<一往復>の転訛したもの)系統の語を用いることが多い。プ⸢スケン[pu̥⸢su⸣keŋ](一回)系の語は、フ⸢タ⸣ケン[ɸu̥⸢takeŋ](二回)までは用いられるが、それ以上は用いられない。 プ⸢スケン フタ⸣ケン ⸢バー⸣ケー ⸢ヌンガーラサリ⸣ヌ ウ⸢ヌ ウイヤー ヌンガーラサラ⸣ヌ [pu̥⸢sukeŋ ɸu̥ta⸣kem ⸢baː⸣keː ⸢nuŋgaːrasari⸣nu ʔu⸢nu ʔuijaː nuŋgaːrasara⸣nu] (一度二度までは許される<見逃される>が、それ以上は許され<見逃され>ない) 14862 0 0 14669 htmvoc_14862.wav プスケンナー プ⸢ス⸣ケンナー [pu̥⸢su⸣kennaː] 副 一度に。一時に。 プ⸢ス⸣ケンナー ⸢コッふァシ⸣ クーカー ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [pu̥⸢su⸣kennaː ⸢koffaʃi⸣ kuːkaː ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (<多数の人が>一度になだれ込んできたら対応できない<養生つけられない>) 14863 0 1 14670 htmvoc_14863.wav プスケンナー プ⸢スケン⸣ナー [pu̥⸢suken⸣naː] 副 {Mn_1}一回ずつ。一度ぐらいは。 プ⸢スケン⸣ナー ⸢シー⸣ミサン [pu̥⸢suken⸣naː ⸢ʃiː⸣misaŋ] (一回ずつはしてもよい)。 14863 0 2 14671 htmvoc_14863.wav プスケンナー プ⸢スケン⸣ナー [pu̥⸢suken⸣naː] 副 {Mn_2}たまには。時には。⸢一度ぐらいは」の義。 プ⸢スケンナー⸣ヤ タ⸢ビン シーミラバ⸣ル シ⸢キン⸣ヌ ⸣クトゥン ワ⸢カ⸣ル [pu̥⸢sukennaː⸣ja ta⸢biŋ ʃiːmiraba⸣ru ʃi̥⸢kin⸣nu ⸣ku̥tuŋ wa⸢ka⸣ru] (たまには<一度ぐらいは>旅もしてみないと世間のことは分からない<旅もしてみればこそ世間のことも分かるものだ>) 14963 0 0 14672 htmvoc_14963.wav プスサー プ⸢ス⸣サー [pu̥⸢su⸣saː] 名 (数)一杯茶。一杯だけのお茶。プスサバン[pu̥⸢su⸣sabaŋ](一茶碗の茶)ともいう。 プ⸢スサー⸣ヤ ⸣ヌムムノー ア⸢ラン⸣ティ ア⸢ザリブー [pu̥⸢susaː⸣ja ⸣numumunoː ʔa⸢ran⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (一杯茶は飲むものではないと言われている{EOS}お茶は必ず二杯は飲むものという) 14864 0 0 14673 htmvoc_14864.wav プスザー プ⸢ス⸣ザー [pu̥⸢su⸣ʣaː] 名 一室。一部屋。一座。「ひとざ(一座)」の義。 ⸢カン⸣プスンケーヤ タ⸢ナ⸣ドゥルアヨー ⸣ナラウンティ プ⸢ス⸣ザーナ ア⸢ツァ⸣マリ ア⸢サボーッ⸣タ [⸢kam⸣pusuŋkeːja ta⸢na⸣duruʔajoː ⸣naraunti pu̥⸢su⸣ʣaːna ʔa⸢ʦa⸣mari ʔa⸢saboːt⸣ta] (神職者<神人>達は種取りアヨーを習うために一座に集まって遊ばれた<神遊びをされた>) 14865 0 0 14674 htmvoc_14865.wav プスザイ プ⸢スザイ [pu̥⸢suʣai] 名 客人の接待に熱中すること。客人接待にかまけ(\ruby{感}{カマ}け)る。客人のことに心を奪われて他のことが出来なくなること。接尾語⸢-ザイ[-ʣai](一つの事に心を取られて、他のことがおろそかになる{EOS}~に拘泥する)は、他の名詞(仕事、や人間等)に下接して「その仕事やその人にかまける<心奪われて他のことがおろそかになる>」の意味を有する名詞を作る。 マ⸢チヤーヤ⸣ プ⸢スザイル⸣ ナル ⸢ヤー⸣ヌ ⸣クトー ⸢シーユーサヌ [ma⸢ʧijaːja⸣ pu̥⸢suʣairu⸣ naru ⸢jaː⸣nu ⸣ku̥toː ⸢ʃiːjuːsanu] (店ではお客接待にかまけてしまう{EOS}通常の家事<家庭の仕事>は出来ない)。 ッ⸢ふァザイ [f⸢faʣai] (子供の世話に手が焼けること)。 シ⸢グトゥザイ [ʃi⸢gutuʣai] (仕事にかまけること{EOS}仕事に夢中になること) 14866 0 0 14675 htmvoc_14866.wav プスサキ プ⸢スサキ [pu̥⸢susaki] 名 ひとさき(人先)。他人より先。 プ⸢スサキ⸣ パ⸢ラン⸣カー ビ⸢ルン⸣ トンマー トゥ⸢ララ⸣ヌ [pu̥⸢susaki⸣ pa⸢raŋ⸣kaː bi⸢run⸣tommaː tu⸢rara⸣nu] (人先に行かないと座る所は取られない)。 ⸢モーキ⸣ジク サ⸢バン⸣ ガ⸢ク⸣ムン サ⸢バン⸣ プ⸢スサキ⸣ ナ⸢サ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ トゥッ⸢トゥイ⸣ティル ⸢ニン⸣ガイ⸢ヨー⸣ル [⸢moːki⸣ʤiku sa⸢baŋ⸣ ga⸢ku⸣mun sa⸢bam⸣ pu̥⸢susaki⸣ na⸢sa⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri tut⸢tui⸣tiru ⸢niŋ⸣gai⸢joː⸣ru] (儲け仕事をするにしても学問をするにしても、人先になさしめて賜れ神様<あな尊{EOS!}>とぞ祈願される) 14976 0 0 14676 htmvoc_14976.wav プスサニヤン プ⸢スサニ⸣ヤン [pu̥⸢susani⸣jaŋ] 形 ひとなつこい(人懐こい)。ひとなつっこい。他人となれ親しみやすく愛嬌があるさま。 ウ⸢レー⸣ プ⸢スサニ⸣ヤンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ナン⸣ゾー プ⸢スサニヤーナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢susani⸣janti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢na⸣maː ⸢nan⸣ʣoː pu̥⸢susanijaːnaː⸣nu] (彼は人\ruby{懐}{ナツ}こいと思ったが、今はあまり人懐こくない)。 プ⸢スサニ⸣ヤ ⸢スン [pu̥⸢susani⸣ja ⸢suŋ] (人懐こくする{EOS}人懐こがる) 14964 0 0 14677 htmvoc_14964.wav プスサバン プ⸢ス⸣サバン [pu̥⸢su⸣sabaŋ] 名 (数)一茶碗。湯呑み一杯。 ⸣サー プ⸢ス⸣サバンツァン ⸣ヌミティ ⸣パリバ [⸣saː pu̥⸢su⸣sabanʦan ⸣numiti ⸣pariba] (お茶一杯<一茶碗>だけでも飲んで行きなさいよ) 14873 0 0 14678 htmvoc_14873.wav プスサマル プ⸢スサマ⸣ル [pu̥⸢susama⸣ru] 名 一束。一締め。「ひとしばり(一縛り)」の義。 バ⸢ラフ⸣タ プ⸢スサマ⸣ル<プ⸢スマラ⸣キ> ⸣ムティクー [ba⸢raɸu̥⸣ta pu̥⸢susama⸣ru ⸣mutikuː] (稲藁を一締め<30束>持って来い) 14977 0 0 14679 htmvoc_14977.wav プスシゥカ プ⸢ス⸣シゥカ [pu̥⸢su⸣sï̥ka] 名 (数)稲藁は片手で一掴みする分量。二掴みの分量で、プ⸢スタブ⸣ル[pu̥⸢sutabu⸣ru](一束)と言った。ひとつか(一\ruby{束}{ツカ})。片手で握られる稲の量。「一掴み」の転訛したものか。 フ⸢タシゥカ⸣シ プ⸢スタブ⸣ル ⸢ユイヨーッ⸣タ [ɸu̥⸢tasï̥ka⸣ʃi pu̥⸢sutabu⸣ru ⸢juijoːt⸣ta] (2つかで1\ruby{束}{タバ}を結われた) 14978 0 0 14680 htmvoc_14978.wav プスシゥカイ プ⸢スシゥカイ [pu̥⸢susï̥kai] 名 人使い。人の使い方。 プ⸢スシゥカイヌ サッ⸣コー ア⸢ラー⸣ユンダ ⸢ウン⸣ネナー シ⸢グトゥ スー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [pu̥⸢susï̥kainu sak⸣koː ʔa⸢raː⸣junda ⸢ʔun⸣nenaː ʃi⸢gutu suː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (人使いがあまりにも\ruby{酷}{ヒド}い<荒い>から、あの家で仕事をする人はいない) 14979 0 0 14681 htmvoc_14979.wav プスシゥカン プ⸢ス⸣シゥカン [pu̥⸢su⸣sï̥kaŋ] 名 一掴み。一つまみ。 ⸢ワー スー⸣ヤ ア⸢マー⸣ンダ ⸢マー⸣ス プ⸢ス⸣シゥカン シゥ⸢カ⸣ミ イ⸢リリ [⸢waː suː⸣ja ʔa⸢maː⸣nda ⸢maː⸣su pu̥⸢su⸣si̥kan si̥⸢ka⸣mi ʔi⸢riri] (君のお汁は味が薄いから塩を一つまみ\ruby{摘}{ツマ}んで入れなさい)。 ⸢マイヤー イッス⸣サーシ パ⸢カ⸣リティ プ⸢スシゥカン⸣マー ⸢シーブ⸣ イ⸢リッふォーッ⸣タン [⸢maijaː ʔissu⸣saːʃi pḁ⸢ka⸣riti pu̥⸢susï̥kam⸣maː ⸢ʃiːbu⸣ ʔi⸢riffoːt⸣taŋ] (米は一升枡で量って、一握り分はおまけ<添え分>として入れてくださった) 14980 0 0 14682 htmvoc_14980.wav プスシキンゴーシ プ⸢スシキンゴー⸣シ [pu̥⸢suʃikiŋgoː⸣ʃi] 名 一月おき。一月ぶり。「一月越し」の義。 プ⸢スシキンゴー⸣シシ ⸢ジン⸣マー ウ⸢クラリ⸣ クーン [pu̥⸢suʃi̥kiŋgoː⸣ʃiʃi ⸢ʤim⸣maː ʔu⸢kurari⸣ kuːŋ] (一月おきにお金は送られてくる) 14869 0 0 14683 htmvoc_14869.wav プスシグトゥ プ⸢スシグ⸣トゥ [pu̥⸢suʃigu⸣tu] 名 一作業。「一仕事」の義。 ア⸢サカイ⸣ナー プ⸢スシグ⸣トー シ⸢マ⸣シティル ⸢クー⸣タ [ʔa⸢sakai⸣naː pu̥⸢suʃigu⸣toː ʃi⸢ma⸣ʃi̥tiru ⸢kuː⸣ta] (朝の涼しいうちに<朝陰のうちに>一作業を済ませてきたよ) 14870 0 1 14684 htmvoc_14870.wav プスシジ プ⸢ス⸣シジ [pu̥⸢su⸣ʃiʤi] 名 (数){Mn_1}一筋。一本。糸などの細いものを数える単位。 ⸣イーナ ガ⸢マジ⸣ヌ ⸢キー⸣ プ⸢ス⸣シジ ⸢ペー⸣リ ⸢ベー [⸣ʔiːna ga⸢maʤi⸣nu ⸢kiː⸣ pu̥⸢su⸣ʃiʤi ⸢peː⸣ri ⸢beː] (ご飯に髪の毛が一本<一筋>入っている)。 14870 0 2 14685 htmvoc_14870.wav プスシジ プ⸢ス⸣シジ [pu̥⸢su⸣ʃiʤi] 名 {Mn_2}一粒。 ⸢マイヤー⸣ プ⸢ス⸣シジンツァン シ⸢テー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maijaː⸣ pu̥⸢su⸣ʃiʤinʦaŋ ʃi̥⸢teː⸣ na⸢ra⸣nu] (米は一粒たりとも捨ててはならない) 14871 0 0 14686 htmvoc_14871.wav プスシタダル プ⸢スシタ⸣ダル [pu̥⸢suʃi̥ta⸣daru] 名 (数)ひとしずく。一滴。「ひとしただり<一滴り>」の義。「その矛の末より滴り落つる塩~。」『古事記、神代』。 プ⸢スシタダル⸣ヌ ミ⸢ジ⸣シル ⸣ヌチェー ⸢ムイ⸣ヤーツォー [pu̥⸢suʃi̥tadaru⸣nu mi⸢ʤi⸣ʃiru ⸣nuʧeː ⸢mui⸣jaːʦoː] (一滴の水で命が\ruby{蘇}{ヨミガエ}った<命が生えた{EOS}生き返った>そうだ) 14872 0 0 14687 htmvoc_14872.wav プスシナ プ⸢ス⸣シナ [pu̥⸢su⸣ʃina] 名 (数)一品。「ひとしな<一品>」の義。 ウ⸢サイ⸣バ プ⸢スシナ⸣ナー ヌ⸢カー⸣シェーティ ⸣ヨイ ⸢シー オーサー [ʔu⸢sai⸣ba pu̥⸢suʃina⸣naː nu⸢kaː⸣ʃeːti ⸣joi ⸢ʃiː ʔoːsaː] (料理<お菜>を一品ずつ出し合ってお祝いをして差し上げよう) 14965 0 0 14688 htmvoc_14965.wav プスシプス プ⸢スシ⸣プス [pu̥⸢suʃi⸣pu̥su] 名 同年生。同じ年齢の人。 ウ⸢リトゥ バン⸣トー プ⸢スシ⸣プス [ʔu⸢ritu ban⸣toː pu̥⸢suʃi⸣pu̥su] (彼と私は同年生だ) 14982 0 0 14689 htmvoc_14982.wav プスシル プ⸢スシル [pu̥⸢suʃiru] 名 妻子や親兄弟に愛情を持つこと。人に親しみを持つこと。対人関係に愛着をもつこと。「人・\ruby{領}{シル}(他人を支配しようとすること)」の義か。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ プ⸢スシルヌ⸣ アン [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢suʃirunu⸣ ʔaŋ] (彼は妻子や親兄弟に非常な愛情がある)。 ッ⸢ふァシルヌ ナーン⸣ プ⸢ス [f⸢faʃirunu naːm⸣ pu̥⸢su] (子供に愛情のない人)。 ⸣シロー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʃiroː ⸢naː⸣nu] (愛情がない) 14983 0 0 14690 htmvoc_14983.wav プスシル プ⸢ス⸣シル [pu̥⸢su⸣ʃiru] 名 (数)一釣瓶。井戸水を釣瓶で1回汲み上げる単位。 フ⸢タシル [ɸu̥⸢taʃiru] (二釣瓶、釣瓶の2回)。 ⸢ミーシル [⸢miːʃiru] (三釣瓶、釣瓶の3回)。 ⸢ユーシル [⸢juːʃiru] (四釣瓶、釣瓶の4回)。 イ⸢チ⸣シル [ʔi⸢ʧi⸣ʃiru] (五釣瓶、釣瓶の5回)。 ⸢ムーシル [⸢muːʃiru] (六釣瓶、釣瓶の6回)。 ナ⸢ナ⸣シル [na⸢na⸣ʃiru] (七釣瓶、釣瓶の7回)。 ⸢ヤーシル [⸢jaːʃiru] (八釣瓶、釣瓶の8回)。 ク⸢ヌ⸣シル [ku⸢nu⸣ʃiru] (九釣瓶、釣瓶の9回)。 ⸢トゥーシル [⸢tuːʃiru] (十釣瓶、釣瓶の10回)。 ⸢タン⸣グ カ⸢タティー⸣ヤ ⸢ギューシル⸣シ ミ⸢ツァサリ⸣ワ [⸢taŋ⸣gu kḁ⸢tatiː⸣ja ⸢gjuːʃiru⸣ʃi mi⸢ʦasari⸣wa] (水担桶の片方<一個>は釣瓶の何回<幾釣瓶>で満たされるか) 14874 1 0 14691 htmvoc_14874.wav プスソーン プ⸢スソーン [pu̥⸢susoːŋ] 名 人並み。 タ⸢キ⸣フドゥン プ⸢スソーン⸣ フ⸢ドゥビ⸣ケーチバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [tḁ⸢ki⸣ɸudum pu̥⸢susoːŋ⸣ ɸu⸢dubi⸣keːʧiba ⸢soːja naː⸣nu] (身長も人並みに成長してきたので心配はない)。{PoS_1}人並み。世間並み。世間一般の人と同じ程度。 マ⸢ナマバー⸣ケー プ⸢スソーンヌ⸣ シ⸢グトー バン⸣ヌン ナ⸢リ⸣ス [ma⸢namabaː⸣keː pu̥⸢susoːnnu⸣ ʃi⸢gutoː ban⸣nun na⸢ri⸣su] (今までは人並みの仕事は私にもできる)。{PoS_2}一般の人と同様の程度に。人並みに。 シ⸢グトー⸣ プ⸢スソーン シーバル⸣ ティマー ⸢イーラリ⸣ル [ʃi⸢gutoː⸣ pu̥⸢susoːŋ ʃiːbaru⸣ timaː ⸢ʔiːrari⸣ru] (仕事は人並みにして始めて手間賃は貰えるというものだ) 14875 0 0 14692 htmvoc_14875.wav プスタキ プ⸢スタキ [pu̥⸢sutaki] 名 人並み。「ひとたけ(人丈)」の義。 プ⸢スタケー ナーン⸣ ムヌヌ ウ⸢ブムニ⸣バ イ⸢ジアー⸣ク [pu̥⸢sutakeː naːm⸣ mununu ʔu⸢bumuni⸣ba ʔi⸢ʤiʔaː⸣ku] (一人前でない<人並みでない{EOS}人丈も無い>者が\ruby{大法螺}{オオ|ホ|ラ}大言>を吐いている) 14876 0 0 14693 htmvoc_14876.wav プスダニ プ⸢スダニ [pu̥⸢sudani] 名 人のたね(種子)。親子の血筋。「ひとたね<人種>」の義。 プ⸢スダネー⸣ カ⸢クサラ⸣ヌ [pu̥⸢sudaneː⸣ kḁ⸢kusara⸣nu] (人たね<種>は隠されない<誰の子かすぐわかる><諺>) 14877 0 0 14694 htmvoc_14877.wav プスタニン プ⸢スタニン [pu̥⸢sutaniŋ] 名 他人。赤の他人。「他人」の強調表現。「ひとたにん(人他人)」の義。 ⸢ベー⸣ヤ プ⸢スタニンマー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ウ⸢ヤ⸣プソー ⸢ピー⸣チ⸢ダー [⸢beː⸣ja pu̥⸢sutanimmaː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ʔu⸢ja⸣pu̥soː ⸢piː⸣ʧi⸢daː] (我々は他人ではない{EOS}先祖は一つだよ) 14878 0 0 14695 htmvoc_14878.wav プスタバ プ⸢ス⸣タバ [pu̥⸢su⸣taba] 名 (数)一束。老年層は、プ⸢スタバ⸣ル[pu̥⸢sutaba⸣ru](一束)という。 バ⸢ラフ⸣タタバ プ⸢ス⸣タバ ⸣ムティクー [ba⸢raɸu⸣tataba pu̥⸢su⸣taba ⸣mutikuː] (藁束を一束持ってこい)。 ⸢ソー⸣ミン プ⸢ス⸣タバ ⸢カイ⸣クーバ [⸢soː⸣mim pu̥⸢su⸣taba ⸢kai⸣kuːba] (素麺を一束買ってこいよ) 14879 0 0 14696 htmvoc_14879.wav プスタバル プ⸢スタバ⸣ル [pu̥⸢sutaba⸣ru] 名 (数)一束。稲藁や麦藁の一束。プ⸢スタブ⸣ル[pu̥⸢sutabu⸣ru](一束)ともいう。 バ⸢ラフ⸣タ プ⸢スタバ⸣ルシ ⸣シナ ⸣ナイバ [ba⸢raɸu̥⸣ta pu̥⸢sutaba⸣ruʃi ⸣ʃina ⸣naiba] (稲藁一束で縄を\ruby{綯}{ナ}いなさいよ) 14880 0 0 14697 htmvoc_14880.wav プスタブル プ⸢スタブ⸣ル [pu̥⸢sutabu⸣ru] 名 一束。老年層のことば。若年層は、プ⸢スタバ⸣ル[pu̥⸢sutaba⸣ru](一束)ともいう。 ⸢マイタブロー⸣ フ⸢タシゥカ⸣シ プ⸢スタブ⸣ル ⸢ユイヨーッ⸣タ [⸢maitaburoː⸣ ɸu̥⸢tasi̥ka⸣ʃi pu̥⸢sutabu⸣ru ⸢juijoːt⸣ta] (稲束は二束<つか>で一束<把・束、タバリ>に束ねられ<結われ>た) 14881 0 0 14698 htmvoc_14881.wav プスダマシムヌ プ⸢スダマシムヌ [pu̥⸢sudamaʃimunu] 名 嘘つき。人をだます<騙す>者。 ウ⸢レー サッコー⸣ヌ プ⸢スダマシムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ムネー ス⸢クナ⸣ヨー [ʔu⸢reː sakkoː⸣nu pu̥⸢sudamaʃimunu⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ muneː su̥⸢kuna⸣joː] (彼は大変な嘘つき<人を騙す者>だから、彼の言うことは聞くなよ) 14882 0 0 14699 htmvoc_14882.wav プスダミ プ⸢スダミ [pu̥⸢sudami] 名 人のため。他人のためになること。 プ⸢スタシ⸣ケー ノー⸢ン⸣ プ⸢スダミテー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢マーリ⸣キー ⸢ドゥー⸣ヌ タ⸢ミル⸣ ナル [pu̥⸢sutaʃi̥⸣keː noː⸢m⸣ pu̥⸢sudamiteː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢maːri⸣kiː ⸢duː⸣nu ta⸢miru⸣ naru] (人助けは何も他人の為だけではない{EOS}回りまわって自分のためになるのだ) 14883 0 0 14700 htmvoc_14883.wav プスタルガキ プ⸢スタルガキ [pu̥⸢sutarugaki] 名 他人を頼みにしてよりかかること。他人を当てにすること。 プ⸢スタルガキ サンドー⸣シ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣クトー ⸣ドゥーシ ⸢シー⸣バ [pu̥⸢sutarugaki sandoː⸣ʃi ⸢duː⸣nu ⸣ku̥toː ⸣duːʃi ⸢ʃiː⸣ba] (他人を当てにしないで、自分のことは自分でしなさいよ) 14884 0 0 14701 htmvoc_14884.wav プスッカラ プ⸢スッ⸣カラ [pu̥⸢suk⸣kara] 名 (数)一匹。魚類、牛、馬、豚、犬、猪、鶏、鳩、蛇、昆虫、虫等を数える単位。 フ⸢タッカラ [ɸu̥⸢takkrara] (二匹)。 ⸢ミッカラ [⸢mikkara] (三匹)。 ⸢ユッカラ [⸢jukkara] (四匹)。 イ⸢チッ⸣カラ [ʔi⸢ʧik⸣kara] (五匹)。 ⸢ムッカラ [⸢mukkara] (六匹)。 ナ⸢ナッ⸣カラ [na⸢nak⸣kara] (七匹)。 ⸢ヤッカラ [⸢jakkara] (八匹)。 ク⸢ヌッ⸣カラ [ku⸢nuk⸣kara] (九匹)。 ⸢トゥッカラ [⸢tukkara] (十匹)。 ウ⸢シーン⸣ オーン プ⸢スッカラ⸣ナー シゥ⸢カナイ⸣ ブー [ʔu⸢ʃiːŋ⸣ ʔoːm pu̥⸢sukkara⸣naː sï̥⸢kanai⸣ buː] (牛も豚も一匹ずつ飼っている) 14885 0 0 14702 htmvoc_14885.wav プスック プ⸢スッ⸣ク [pu̥⸢suk⸣ku] 名 一個。\ruby{甕}{カメ}、\ruby{瓶}{ビン}、お\ruby{椀}{ワン}、\ruby{杯}{サカズキ}、果物など、貝類、石や岩など丸いもの、球状のもの、などを数える単位。 フ⸢タック [ɸu̥⸢takku] (2個) ⸢ミック [⸢mikku] (3個) ⸢ユック [⸢jukku] (4個))。 イ⸢チッ⸣ク [ʔi⸢ʧik⸣ku] (5個)。 ⸢ムック [⸢mukku] (6個) ナ⸢ナッ⸣ク [na⸢nak⸣ku] (7個))。 ⸢ヤック [⸢jakku] (8個)。 ク⸢ヌッ⸣ク [ku⸢nuk⸣ku] (9個)。 ⸢トゥック [⸢tukku] (10個)。 ⸢コー⸣マ ⸢トゥック カイ⸣キー ユ⸢ディコー⸣マ バ⸢カシ⸣バ [⸢koː⸣ma ⸢tukku kai⸣kiː ju⸢dikoː⸣ma ba⸢kaʃi⸣ba] (卵を10個買ってきて茹で卵<\ruby{煮抜}{ニ|ヌキ}き卵>に炊きなさいよ) 14887 0 0 14703 htmvoc_14887.wav プスックビ プ⸢スッ⸣クビ [pu̥⸢suk⸣kubi] 名 (数)着物一着。着物を数える単位。クビ[kubi]は着物の首に当たる部分をいう。 プ⸢スッ⸣クビ フ⸢タックビ ミックビ⸣ティル ⸣キンパダー<⸢キン⸣マー> ユ⸢モーッ⸣タ [pu̥⸢suk⸣kubi ɸu̥⸢takkubi mikkubi⸣tiru ⸣kimpadaː<⸢kim⸣maː> ju⸢moːt⸣ta] (一着、二着、三着というように着物は数えられた) 14886 0 0 14704 htmvoc_14886.wav プスックミ プ⸢スッ⸣クミ [pu̥⸢suk⸣kumi] 名 (数)組。一組。一揃い。一足。組み合わせて一揃えとなるものを数える単位。 フ⸢タックミ [ɸu̥⸢takkumi] (二組)。 ⸢ミックミ [⸢mikkumi] (三組)。 ⸢ユークミ [⸢juːkumi] (四組)。 イ⸢チッ⸣クミ [ʔi⸢ʧik⸣kumi] (五組)。 ⸢ムークミ [⸢muːkumi] (六組)。 ナ⸢ナッ⸣クミ [na⸢nak⸣kumi] (七組)。 ⸢ヤークミ [⸢jaːkumi] (八組)。 ク⸢ヌッ⸣クミ [ku⸢nuk⸣kumi] (九組)。 ⸢トゥックミ [⸢tukkumi] (十組)。 ⸣ソンガチアチツァー<⸣ソンガチアシツァー> ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ブン ⸢ヤークミ カイ⸣ ケーン [⸣soŋgaʧiʔaʧiʦaː<⸣⸣soŋgaʧiʔaʃiʦaː> ⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣buɲ ⸢jaːkumi kai⸣keːŋ] (正月用の下駄は家族の分、八組<八足>買ってきた) 14888 0 0 14705 htmvoc_14888.wav プスッシウイビ プ⸢スッシウイ⸣ビ [pu̥⸢suʃʃiʔui⸣bi] 名 人差し指。 プ⸢スッシウイ⸣ビ ⸣ヤドゥナ ⸢フッカーサ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢suʃʃiʔui⸣bi ⸣jaduna ⸢ɸukkaːsa⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (人差し指を戸に挟まれた痛くて堪らない)。 ヤ⸢ラ⸣ベー プ⸢スッシウイビ⸣バ ⸢フッ⸣ツァミティ ム⸢ヌ⸣プサ ⸢シーベー [ja⸢ra⸣beː pu̥⸢suʃʃiʔuibi⸣ba ⸢ɸut⸣ʦamiti mu⸢nu⸣pu̥sa ⸢ʃiːbeː] (子供は人差し指をしゃぶって、物欲しそうにしている) 14981 0 0 14706 htmvoc_14981.wav プスッスン プ⸢ス⸣ッスン [pu̥⸢su⸣ssuŋ] 名 一包み。 ⸢コー⸣マー バ⸢ラフ⸣タッスンシ プ⸢ス⸣ッスン ッ⸢ス⸣ミティ ⸣シトゥ ム⸢タ⸣シバ [⸢koː⸣maː ba⸢raɸu̥⸣tassuŋʃi pu̥⸢su⸣ssun s⸢su⸣miti ⸣ʃi̥tu mu⸢ta⸣ʃiba] (卵は藁苞包みで一包み包んで、お土産<苞>に持たせなさい) 14889 0 0 14707 htmvoc_14889.wav プスッツァー プ⸢スッ⸣ツァー [pu̥⸢sut⸣ʦaː] 名 数詞。一升。 プ⸢ス⸣サー [pu̥⸢su⸣saː] (一升の転訛)。 ⸢マイヤー⸣ プ⸢スッ⸣ツァー フ⸢タッツァー⸣ティ ⸢シー イッス⸣サーシ パ⸢カ⸣リ ⸢カーシタル [⸢maijaː⸣ pu̥⸢sut⸣ʦaː ɸu̥⸢tatʦaː⸣ti ⸢ʃiː ʔissu⸣saːʃi pḁ⸢ka⸣ri ⸢kaːʃi̥taru] (米は一升、二升といって、一升枡で計って売ったものだ) 14890 0 0 14708 htmvoc_14890.wav プスッふァイジマ プ⸢スッふァイジマ [pu̥⸢suffaiʤima] 名 食人種の島。野蛮人の島。「人食い島」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢タイ⸣パンナー プ⸢スッふァイジマ⸣ティン ⸢アッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢tai⸣pannaː pu̥⸢suffaiʤima⸣tiŋ ⸢ʔat⸣tanʦoː] (昔は台湾に人食い島というのがあったそうだ) 14891 0 0 14709 htmvoc_14891.wav プスッふァイプス プ⸢スッふァイプス [pu̥⸢suffaipusu] 名 食人種。首狩り族。「人食い人」の義。友人を陥れる人。 ム⸢カ⸣シェー プ⸢スッふァイプスヌ⸣ ブ⸢タン⸣ティ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ブ⸢ラーン⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː pu̥⸢suffaipusunu⸣ bu⸢tan⸣ti su̥⸢kutanu⸣ ma⸢na⸣maː bu⸢raːn⸣ʦoː] (昔は食人種がいたと聞いたが、今はいないそうだ) 14892 0 0 14710 htmvoc_14892.wav プスッふァイムニ プ⸢スッふァイムニ [pu̥⸢suffaimuni] 名 悪口雑言。人を口汚く罵ること。人の悪口。中傷する言葉。「人食い言葉」の義。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ヌムカー プ⸢スッふァイムニバル⸣ ユムンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː pu̥⸢suffaimunibaru⸣ jumunda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (彼は酒を飲むと人を口汚く\ruby{罵}{ノノシ}るから、気をつけなさい<気をつけれ>) 14893 0 0 14711 htmvoc_14893.wav プスッふァイムヌ プ⸢スッふァイムヌ [pu̥⸢suffaimunu] 名 人を陥れる者。「人食い者」の義。 プ⸢スッふァイムノー⸣ ドゥ⸢シン⸣ ッ⸢ふァイル スー [pu̥⸢suffaimunoː⸣ du⸢ʃiŋ⸣ f⸢fairu suː] (人を陥れる者は友人も陥れる) 14894 0 0 14712 htmvoc_14894.wav プスッふン プ⸢ス ッふン [pu̥⸢su ffuŋ] 連 人を陥れる。他人をやっつける。「人を食う」の義。 ウ⸢レー⸣ ナー⸢イ ベー⸣ティ プ⸢ス ッふン⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ naː⸢ji beː⸣ti pu̥⸢su ffun⸠daː] (彼はそうやって黙っていて人を陥れるぞ)。 ⸢ミンダリムン⸣ドゥ プ⸢ソー ッふ⸣ティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [⸢mindarimun⸣du pu̥⸢soː ffu⸣ti ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (大人しい人<耳の垂れた者>が人を陥れる<人を食う>といわれているよ) 14985 0 0 14713 htmvoc_14985.wav プスティー プ⸢ス⸣ティー [pu̥⸢su⸣tiː] 名 一年。ひととし。プ⸢ス⸣トゥシとも言う。 ⸣ヨイ ⸢シェーラ⸣ プ⸢ス⸣ティー ⸣ナルンティ ⸢アー⸣ク ⸢ダー⸣メ [⸣joi ⸢ʃeːra⸣ pu̥⸢su⸣tiː ⸣narunti ⸢ʔaː⸣ku ⸢daː⸣meː] (お祝いをしてから早くも一年になろうとしているよ) 14986 0 0 14714 htmvoc_14986.wav プスティー プ⸢ス⸣ティー [pu̥⸢su⸣tiː] 名 布の縦糸八本。プ⸢ス⸣パー[pu̥⸢su⸣paː](布の縦糸二本)の四つ。⸢ユーパー[⸢juːpaː](布の縦糸八本)をいう。 ⸢ヌーヌヌ⸣ カシ ⸢ユーパー⸣シル プ⸢ス⸣ティーティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸢nuːnunu⸣ kḁʃi ⸢juːpaː⸣ʃiru pu̥⸢su⸣tiːti ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (布の縦糸四パーで、プスティー<縦糸8本>と言われたものだ) 14988 0 0 14715 htmvoc_14988.wav プスティー プ⸢スティー [pu̥⸢sutiː] 名 ひとで(人手)。他人の手。他人の所有物。 プ⸢スティー⸣ バ⸢タソーラ ヤッ⸣サタンティン ⸣ドゥーマーラン ⸢カースモー⸣ マ⸢シ [pu̥⸢sutiː⸣ ba⸢tasoːra jas⸣satantin ⸣duːmaːraŋ ⸢kaːsumoː⸣ ma⸢ʃi] (人手に渡すよりは、値段が安くても身内に売るほうがましだ) 14895 0 0 14716 htmvoc_14895.wav プストゥール プ⸢ストゥー⸣ル [pu̥⸢sutuː⸣ru] 名 一通り。あらまし。一往。ひとわたり。 プ⸢ストゥー⸣ロー シ⸢ラ⸣ビ ⸣シケーンダ マ⸢チガイ⸣ヤー ⸢ナーン⸣パジ [pu̥⸢sutuː⸣roː ʃi⸢ra⸣bi ⸣ʃikeːnda ma⸢ʧigai⸣jaː ⸢naːm⸣paʤi] (一通りは調べてあるので間違いはないはずだ) 14896 0 0 14717 htmvoc_14896.wav プストゥキ プ⸢ス⸣トゥキ [pu̥⸢su⸣tuki] 名 ひととき。いちじ(一時)。 マ⸢ナマ⸣ヌ プ⸢ストゥキ⸣ル ア⸢ワ⸣レー ⸢スー⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ユ⸢ドゥマ⸣ナー フ⸢ドゥビス [ma⸢nama⸣nu pu̥⸢sutuki⸣ru ʔa⸢wa⸣reː ⸢suː⸣ ja⸢ra⸣beː ju⸢duma⸣naː ɸu⸢dubisu] (今のひと時だけが難儀もするのだ{EOS}子供は間もなく<時を\ruby{淀}{ヨド}まずに>成長するものだ) 14989 0 1 14718 htmvoc_14989.wav プストゥシ プ⸢ス⸣トゥシ [pu̥⸢su⸣tu̥ʃi] 名 {Mn_1}一年。「ひととせ(一年)」の義。 プ⸢ス⸣トゥシ フ⸢タトゥシェー⸣ ノー⸢シ⸣シン ク⸢ラサリン [pu̥⸢su⸣tuʃi ɸu̥⸢tatuʃeː⸣ noː⸢ʃi⸣ʃiŋ ku⸢rasariŋ] (一年、二年は何とかしてでも暮らせる)。 プ⸢ス⸣トゥシナー ム⸢ラキザロー ギューチ⸣ ア⸢ロール⸣ワ [pu̥⸢su⸣tu̥ʃinaː mu⸢rakiʣaroː gjuːʧi⸣ ʔa⸢roːru⸣wa] (一年に村行事<村の祭祀>はいくつあります<ございます>か)。 プ⸢ス⸣トゥシナ キ⸢ザロー ギューチ⸣ ア⸢ル⸣ワ [pu̥⸢su⸣tu̥ʃina ki⸢ʣaroː gjuːʧi⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (一年に祭祀行事はいくつあるか)。 14989 0 2 14719 htmvoc_14989.wav プストゥシ プ⸢ス⸣トゥシ [pu̥⸢su⸣tu̥ʃi] 名 {Mn_2}ある年。先年。 プ⸢ス⸣トゥシェータ カ⸢ツブシヌ ダイ⸣ ムティティ イッ⸢ケナ モーキラリ⸣タン [pu̥⸢su⸣tuʃeːta kḁ⸢ʦubuʃinu dai⸣ mutiti ʔik⸢kena moːkirari⸣taŋ] (ある年にはまた、カツオ節が高値をもって非常に儲かった)。 プ⸢ス⸣トゥシェー ⸢ウーカジヌ⸣ フキ プ⸢ス⸣トゥシェー ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジクタル⸣ ガ⸢シ シェー⸣タツォー [pu̥⸢su⸣tuʃeː ⸢ʔuːkaʤinu⸣ ɸu̥ki pu̥⸢su⸣tu̥ʃeː ⸢peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤikutaru⸣ ga⸢ʃeː ʃeː⸣taʦoː] (ある年は暴風が吹き、ある年は\ruby{旱魃}{カン|バツ}が続いたので\ruby{飢饉}{キ|キン}が起きた<した>のだそうだ) 14958 0 0 14720 htmvoc_14958.wav プストン プ⸢ス⸣トン [pu̥⸢su⸣toŋ] 名 ひとところ(一所)。同じところ。一箇所。プ⸢スン⸣トン[pu̥⸢sun⸣toŋ](一所)ともいう。 ワ⸢ター⸣ ムー⸢ル⸣ プ⸢ス⸣トンナー ビ⸢リ⸣バ [wa⸢taː⸣ muː⸢ru⸣ pu̥⸢su⸣tonnaː bi⸢ri⸣ba] (君達は皆一所<一箇所>に座れよ)。 ナー⸢イ⸣ プ⸢ス⸣トンナ カー⸢ニ ベーラン⸣ドーシ ウ⸢マーン⸣ カマーン ⸢ウー⸣キ ⸢マーリ⸣バ [naː⸢ji⸣ pu̥⸢su⸣tonnaː kaː⸢ni beːran⸣doːʃi ʔu⸢maːŋ⸣ kamaːm ⸢maːri ʔuː⸣kiba] (ただ一カ所にだけいないで、あちらこちらにも動いて回りなさいよ) 14900 0 0 14721 htmvoc_14900.wav プスナミ プ⸢スナミ [pu̥⸢sunami] 名 人並み。 ビ⸢キドゥモー⸣ ヤー ス⸢クラバ⸣ル プ⸢スナミテー⸣ ア⸢ザリル [bi⸢kidumoː⸣ jaː su̥⸢kuraba⸣ru pu̥⸢sunamiteː⸣ ʔa⸢ʣariru] (男は家を建てて始めて<家を造らばこそ>一人前<人並み>とは言われるものだ) 14901 0 0 14722 htmvoc_14901.wav プスナライ プ⸢スナライ [pu̥⸢sunarai] 名 人馴れ。 ヤ⸢ラ⸣ベー プ⸢スナライバ シー⸣ プ⸢スン⸣ ダ⸢カリン [ja⸢ra⸣beː pu̥⸢sunaraiba ʃiː⸣ pu̥⸢sun⸣ da⸢kariŋ] (子供は人馴れして、他人にも抱かれる)。 ク⸢ヌ イン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ プ⸢スナライ シーブー [ku⸢nu ʔim⸣maː ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢sunarai ʃiːbuː] (この犬は非常に人馴れしている)。人馴れすること。人に馴れること。 ク⸢ヌ イン⸣マー イッ⸢ケナ⸣ プ⸢スナライ シーブ [ku⸢nu ʔim⸣maː ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢sunarai ʃiːbuː] (この犬は非常に人馴れしている) 14902 0 0 14723 htmvoc_14902.wav プスナンカ プ⸢スナン⸣カ [pu̥⸢sunaŋ⸣ka] 名 ひとなぬか(一七日)。初七日の法事。パ⸢チナンカ[pḁ⸢ʧinaŋka](初七日の法事)ともいう。 パ⸢チナンカトゥ⸣ シンズコー マイ⸢マイ⸣シ ⸢ソーッ⸣タン [pḁ⸢ʧinaŋkatu⸣ ʃinʣukoː mai⸢mai⸣ʃi ⸢soːt⸣taŋ] (初七日の法事と四十九日の法事は大きくなさったものだ) 14903 0 0 14724 htmvoc_14903.wav プスニー プ⸢ス⸣ニー [pu̥⸢su⸣niː] 名 (数)一荷。一度に担いで運べる荷の量。 ⸣イダフニヌ プ⸢ス⸣ニー タ⸢ム⸣ヌ ⸣キシ ⸢カーシタ [⸣ʔidaɸuninu pu̥⸢su⸣niː ta⸢mu⸣nu ⸣ki̥ʃi ⸢kaːʃi̥ta] (サバニ一艘分の薪を切って売った) 14991 0 0 14725 htmvoc_14991.wav プスニビ プ⸢ス⸣ニビ [pu̥⸢su⸣nibi] 名 一眠り。一睡。 イ⸢ソージブン⸣ ナルンケン プ⸢ス⸣ニビ ⸢シー⸣バ [ʔi⸢soːʤibun⸣ naruŋkem pu̥⸢su⸣nibi ⸢ʃiː⸣ba] (潮が引いて潮干狩り時分<潮時>になるまで一眠りしなさいよ)。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスンケン プ⸢ス⸣ニベー ⸢シーティル⸣ ウ⸢キラリ⸣ル [⸢suː⸣nu ⸣pi̥suŋkem pu̥⸢su⸣nibeː ⸢ʃiːtiru⸣ ʔu⸢kirari⸣ru] (潮が引くまで一眠りしてから起きよう<一眠りしてからぞ起きられる>) 14905 0 0 14726 htmvoc_14905.wav プスニンギン プ⸢スニンギン [pu̥⸢suniŋgiŋ] 名 人。人間。 プ⸢スニンギンティ⸣ マ⸢リ ベー⸣ティ ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タル⸣ヌ ク⸢トゥ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣ティ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢suniŋ⸣ginti ma⸢ri beː⸣ti ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ku̥⸢tu⸣nu na⸢ran⸣ti ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (人間として生まれていて、この程度のことができないということはない) 14987 0 0 14727 htmvoc_14987.wav プスニンギン プ⸢スニン⸣ギン [pu̥⸢suniŋ⸣giŋ] 名 人。人間。「人人間」の義。 プ⸢スニン⸣ギン ⸣タル ム⸢ヌ⸣ヌ ドゥ⸢クドゥク⸣ アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ シ⸢ラリワ⸠ナー [pu̥⸢suniŋ⸣gin ⸣taru mu⸢nu⸣nu du⸢kuduku⸣ ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʃi⸢rariwa⸠naː] (人間たるものが、よくもよくもあんなことが出来るものだねえ{EOS}<出来はしないはずだが>) 14906 0 0 14728 htmvoc_14906.wav プスヌカタチ プ⸢スヌ⸣ カ⸢タチ [pu̥⸢sunu⸣ kḁ⸢taʧi] 連 人の形。人の恰好。 プ⸢スヌ⸣ カ⸢タチ⸣ カー⸢ニル シー ベー⸣ル ノー⸢ン⸣ ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ kḁ⸢taʧi⸣ kaː⸢niru ʃiː beː⸣ru noː⸢ɲ⸣ jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (人間の恰好だけ<が>している、何の役にもたたない) 14907 0 0 14729 htmvoc_14907.wav プスヌキ プ⸢ス⸣ヌキ [pu̥⸢su⸣nuki] 名 貫いて作った物を数える単位。「ひとぬき<一貫き>」の義。 ⸢シー⸣シダマ プ⸢ス⸣ヌキ ス⸢ク⸣リティ ⸣ヌビナー パ⸢カシ⸣バ [⸢ʃiː⸣ʃidama pu̥⸢su⸣nuki su̥⸢ku⸣riti ⸣nubinaː pḁ⸢kaʃi⸣ba] (数珠玉<⸢つしだま」の義か>を一貫き作って首にはかせなさいよ) 14908 0 0 14730 htmvoc_14908.wav プスヌシトゥル プ⸢スヌシトゥル [pu̥⸢sunuʃi̥turu] 名 人さらい(\ruby{人攫}{ヒト|サライ})。「人盗人」の義。 ⸢ユー⸣ル ⸣ナルカー プ⸢スヌシトゥルヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルンティバ ヤ⸢ラ⸣ベー ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジル⸣ナ⸢ヨー [⸢juː⸣ru ⸣narukaː pu̥⸢sunuʃi̥turunu⸣ ʔn⸢ʤi⸣runtiba ja⸢ra⸣beː mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤiru⸣na⸢joː] (夜になると人さらいが出るというから、子供は道に出るなよ) 14909 0 0 14731 htmvoc_14909.wav プスヌシマ プ⸢スヌ⸣ シマ [pu̥⸢sunu⸣ ʃima] 連 異郷。「人の島」の義。プ⸢スン⸣シマ[pu̥⸢suŋ⸣ʃima](異郷)ともいう。 プ⸢スン⸣シマ ⸣パルカー ウ⸢ヌ⸣ シ⸢マ⸣ヌ ⸣ナライ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢suŋ⸣ʃima ⸣parukaː ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢ma⸣nu ⸣narai ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (異郷<よその村>へ行ったら、その島<村>の習いをしなければならない) 14910 0 0 14732 htmvoc_14910.wav プスヌタマシ プ⸢スヌ⸣ タ⸢マ⸣シ [pu̥⸢sunu⸣ ta⸢ma⸣ʃi] 連 人魂。人の魂。マ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru]ともいう。タ⸢マ⸣シ[ta⸢ma⸣ʃi](魂)には、イ⸢キ⸣ダマ[ʔi⸢ki⸣dama](いきすだま<\ruby{生霊}{セイ|レイ}>)と⸢ユー⸣リー[⸢juː⸣riː](\ruby{幽霊}{ユウ|レイ}{EOS}死霊)がいる。人の生霊が肉体から抜け出すと肉体は浮遊してさ迷い歩くといわれている。そこで、マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](霊魂籠め)の儀式が行われた 14911 0 0 14733 htmvoc_14911.wav プスヌバチ プ⸢スヌ⸣ バチ [pu̥⸢sunu⸣ baʧi] 連 他人に対する悪事の報い。たたり。 プ⸢スヌ⸣ バチェー サ⸢ラ⸣ヌ パ⸢タ マーラヌ [pu̥⸢sunu⸣ baʧeː sa⸢ra⸣nu pḁ⸢ta maːranu] (他人の罰はすぐにやってくる<皿の縁を回らない>) 14913 0 0 14734 htmvoc_14913.wav プスパー プ⸢ス⸣パー [pu̥⸢su⸣paː] 名 (数)歯一本。 ⸣パー プ⸢ス⸣パー カ⸢カイ シティナー⸣ヌ [⸣paː pu̥⸢su⸣paː kḁ⸢kai ʃi̥tinaː⸣nu] (歯を一本欠いてしまった) 14914 0 0 14735 htmvoc_14914.wav プスパー プ⸢ス⸣パー [pu̥⸢su⸣paː] 名 (数)ひとは(一葉)。葉一枚。 フ⸢クンヌ パー⸣ プ⸢ス⸣パー カ⸢カイ⸣ クーバ [ɸu̥⸢kunnupaː⸣ pu̥⸢su⸣paː kḁ⸢kai⸣ kuːba] (福木の葉を一枚<一葉>\ruby{捥}{モイ}できなさいよ)。 ク⸢バヌパー⸣ プ⸢ス⸣パーシ シ⸢ル ピー⸣チ ス⸢クラ⸣リン [ku⸢banupaː⸣ pu̥⸢su⸣paːʃi ʃi⸢ru piː⸣ʧi su̥⸢kura⸣riŋ] (\ruby{蒲葵}{ク|バ}の葉一枚で蒲葵の葉の\ruby{釣瓶}{ツル|ベ}が一つ作れる) 14915 0 0 14736 htmvoc_14915.wav プスパー プ⸢ス⸣パー [pu̥⸢su⸣paː] 名 布の縦糸二本。 ⸢ユーパー⸣シ プ⸢ス⸣ティー ⸣ナル ⸣シジ [⸢juːpaː⸣ʃi pu̥⸢su⸣tiː ⸣naruʃiʤi] (<織糸>4パーで1ティー<8本>になるわけだ) 14916 0 0 14737 htmvoc_14916.wav プスバーキ プ⸢スバー⸣キ [pu̥⸢subaː⸣ki] 名 (数)ざる一杯。ひとざる(一笊)。 ⸣ユベー イ⸢ガメーラ⸣ プ⸢スバー⸣キ イ⸢ガバ ホー⸣シケーン [⸣jubeː ʔi⸢gameːra⸣ ʔi⸢gaba⸣ pu̥⸢subaː⸣ki ⸢hoː⸣ʃikeːŋ] (昨夜は烏賊釣り漁から一笊の一杯イカを釣ってきた) 14899 0 0 14738 htmvoc_14899.wav プスバカヤン プ⸢スバカ⸣ヤン [pu̥⸢subaka⸣jaŋ] 形 恥ずかしい。世間に対して恥ずかしい。世間体が悪い。「人恥ずかしい」の義。 ⸣アイニ ⸢アイカーフン⸣カー ⸢スー⸣カー プ⸢スバカヤ⸣ヌ ⸣シキンラー ⸣シラー ⸣ムティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢ʔaikaːɸuŋ⸣kaː ⸢suː⸣kaː pu̥⸢subakaja⸣nu ⸣ʃi̥kinraː ⸣ʃiraː ⸣muti ʔa⸢rakara⸣nu] (あんなに喧嘩口論をしていると恥ずかしくて世間から顔を持って歩かれない)。 プ⸢スバカ⸣ヤン ア⸢リ⸣ブンドゥ プ⸢スバカヤー ナー⸣ヌティ ⸢バーキ⸣ル ア⸢ザリル [pu̥⸢subaka⸣jaŋ ʔa⸢ri⸣bundu pu̥⸢subakajaː naː⸣nuti ⸢baːki⸣ru ʔa⸢ʣariru] (恥ずかしくもあるが、恥ずかしくないとしか言えない<恥ずかしくないとまでが言われる>)。 ウ⸢リ⸣ ス⸢ク⸣カー ター⸢ン⸣ プ⸢スバカヤー⸣ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢ri⸣ su̥⸢ku⸣kaː taː⸢m⸣ pu̥⸢subakajaː⸣ na⸢ri⸣su] (それを聞くと誰でも恥ずかしくなるよ)。 ノー⸢ン⸣ プ⸢スバカ⸣ヤー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [noː⸢m⸣ pu̥⸢subaka⸣jaː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (何も恥ずかしいことはない)。 プ⸢スバカヤナー⸣ナ ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣ヌ シ⸢ラリラー<シ⸢ラリワー> [pu̥⸢subakajanaː⸣na ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʃi⸢rariraː<ʃi⸢rariwaː>] (恥ずかしくもなく、よくもあんなことが出来るものだ)。 プ⸢スバカヤ⸣ヌ ク⸢レー⸣ キ⸢シ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [pu̥⸢subakaja⸣nu ku⸢reː⸣ ki̥⸢ʃi⸣ pa⸢rara⸣nu] (恥ずかしくて、これは着て行かれない)。 プ⸢スバカ⸣ヤンテー ウ⸢モー⸣ヌ [pu̥⸢subaka⸣janteː ʔu⸢moː⸣nu] (恥ずかしいとは思わない)。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ プ⸢スバカヤ⸣ヌ マー⸢ン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢subakaja⸣nu maː⸢m⸣ pa⸢rara⸣nu] (あんなことをして、気恥ずかしくて何処へも行かれない)。 プ⸢スバカ⸣ヤン ⸢ナー⸣ン ブ⸢リン⸣ギサバン [pu̥⸢subaka⸣jan ⸢naː⸣m bu⸢riŋ⸣gisabaŋ] (気恥ずかしくもないようだ<気恥ずかしくもなくているようだ>) 14918 0 0 14739 htmvoc_14918.wav プスパカリムシ プ⸢スパカリ⸣ムシ [pu̥⸢supakari⸣muʃi] 名 (動)虫の名。シャクトリムシ(尺取虫)。「人測り虫」の義。尺取虫が人の身長を測ったら、測られた人は死ぬといわれて子供達はそれを恐れた。ガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](ガジマル{EOS}榕樹)やイ⸢ツァン⸣パイキー[ʔi⸢ʦam⸣paikiː](まさき<柾>)によくつく虫である。 イ⸢ツァン⸣パイキーナー ⸣ユー プ⸢スパカリムシ⸣ヌ シ⸢ドゥ⸣タン [ʔi⸢ʦam⸣paikiːnaː ⸣juː pu̥⸢supakarimuʃi⸣nu ʃi⸢du⸣taŋ] (まさき<柾>によく尺取虫が発生<\ruby{孵化}{フ|カ}>した) 14971 0 0 14740 htmvoc_14971.wav プスパジ プ⸢スパジ [pu̥⸢supaʤi] 名 世間に対して恥じること。面目を失うこと。「人恥」の義。 ウ⸢リ⸣ナー プ⸢スパジ⸣ティ ⸢スームノー⸢ ナー⸣ヌ [ʔu⸢ri⸣naː pu̥⸢supaʤi⸣ti ⸢suːmunoː⸢ naː⸣nu] (彼には世間に対して恥じる気持ちがない)。 プ⸢スパジ⸣ カ⸢キ⸣ルン [pu̥⸢supaʤi⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ] (人様に恥をかける) 14922 0 0 14741 htmvoc_14922.wav プスバタ プ⸢ス⸣バタ [pu̥⸢su⸣bata] 名 動物の一回の妊娠。⸢一腹」の義。 ⸣アヒャーオーヤ プ⸢ス⸣バタシ ⸢トゥッカラナー⸣ ッ⸢ふァ⸣ ナスン [⸣ʔaçaːʔoːja pu̥⸢su⸣bataʃi ⸢tukkaranaː⸣ f⸢fa⸣ nasuŋ] (繁殖用母豚は一回の妊娠<一腹>で十匹ずつ子豚を生む) 14919 0 0 14742 htmvoc_14919.wav プスパダ プ⸢スパダ [pu̥⸢supada] 名 一人前の年頃。青年期。プ⸢ス[pu̥⸢su](人{EOS}一人前の人)と、⸣パダ[⸣pada](時期)の合成語。 プ⸢スパダ⸣ シ⸢キ⸣ルン [pu̥⸢supada⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ] (青年期になる)。 プ⸢スパダー ナーン⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ウ⸢ブムニ⸣バ イ⸢ジ アー⸣ク [pu̥⸢supadaː naːm⸣ mu⸢nu⸣nu ʔu⸢bumuni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (\ruby{嘴}{クチバシ}の黄色い者<一人前でない者>が大きなことを抜かして<しゃべって>いる) 14920 0 0 14743 htmvoc_14920.wav プスパダ プ⸢ス⸣パダ [pu̥⸢su⸣pada] 名 一頃。一時期。 ウ⸢レー⸣ プ⸢ス⸣パダー ⸢サンシン⸣ナ ⸢ニン⸣バ イ⸢リブタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢su⸣padaː ⸢saŋʃin⸣na ⸢nim⸣ba ʔi⸢ributanu⸣ ma⸢na⸣maː ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naː⸣nu] (あれ<彼>は、一時期は三味線に夢中だった<念を入れていた>が、今は何の関心<音沙汰>もない) 14923 0 0 14744 htmvoc_14923.wav プスパナ プ⸢ス⸣パナ [pu̥⸢su⸣pana] 名 ひところ(一頃)。ある時期。一時期。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ア⸢サビパナー⸣ プ⸢スパナ⸣ドゥ ヤ⸢リバ⸣ ウ⸢ムイ⸣キシ ア⸢サバシ⸣バ [mi⸢doːŋ⸣ffanu ʔa⸢sabipanaː⸣ pu̥⸢supana⸣du ja⸢riba⸣ ʔu⸢mui⸣ki̥ʃi ʔa⸢sabaʃi⸣ba] (女の子の遊ぶ年頃はほんの一時期だから、思いっきり遊ばせなさいよ)。 プ⸢ス⸣パナー ブ⸢ドゥル⸣ナ ⸢ニン⸣イリ ⸢シーブタン [pu̥⸢su⸣panaː bu⸢duru⸣na ⸢niŋ⸣ʔiri ⸢ʃiːbutaŋ] (一時期は踊りに夢中になって<念入りにして>いた)。 ク⸢ヌ⸣ マ⸢チヤーヤ⸣ プ⸢ス⸣パナー サ⸢カリ⸣ ブ⸢タンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー サ⸢ボーリ ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ma⸢ʧijaːja⸣ pu̥⸢su⸣pana sḁ⸢kari⸣ bu⸢tandu⸣ ma⸢na⸣maː sa⸢boːri naː⸣nu] (この店は一時期栄えていたが今は寂びれてしまった) 14917 0 0 14745 htmvoc_14917.wav プスバラーシムヌ プ⸢スバラーシムヌ [pu̥⸢subaraːʃimunu] 名 滑稽な者。「人笑わせ者」の義。⸢テーファー⸣ムヌ[⸢teːɸaː⸣munu](滑稽な者{EOS}粗忽者{EOS}冗談をいう者)ともいう。 プ⸢スバラーシムヌヌ シー⸣ヨー ⸣ミルカー バ⸢ライル⸣ サ⸢リル [pu̥⸢subaraːʃimununu ʃiː⸣joː ⸣mirukaː ba⸢rairu⸣ sa⸢riru] (滑稽な者のしぐさを見ると笑わすにはおれない<笑いぞされる>) 14926 0 0 14746 htmvoc_14926.wav プスバライムヌ プ⸢スバライムヌ [pu̥⸢subaraimunu] 名 人を笑う者。揚げ足を取る者。皮肉屋。 ウ⸢レー⸣ プ⸢スバライムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢チル⸣ フ⸢シ⸣ ヌ⸢ク⸣ティ カ⸢マイ⸣ル ⸣ブー [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢subaraimunu⸣ ja⸢runda⸣ ʔi⸢ʧiru⸣ ɸu̥⸢ʃi⸣ nu⸢ku⸣ti ka⸢mai⸣ru ⸣buː] (彼は皮肉屋<人を笑う者>だから、いつ他人の欠点を取り上げよう<難癖を突こう>かと待ち構えている) 14924 0 0 14747 htmvoc_14924.wav プスビー プ⸢スビー [pu̥⸢subiː] 名 人疲れ。人との対応や付き合いなどで疲れること。「人酔い」の義。 プ⸢スビーバ シー⸣ ス⸢ブル⸣ヌ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢subiːba ʃiː⸣ su⸢buru⸣nu ⸣jami na⸢ra⸣nu] (人疲れ<人酔い>して頭が痛くて堪らない) 14993 0 0 14748 htmvoc_14993.wav プスピサ プ⸢ス⸣ピサ [pu̥⸢su⸣pi̥sa] 名 一足。履き物の左右一揃え。一組。⸣ピサ[⸣pisa](~足)は、一組のものを数える単位。 ア⸢ダン⸣パーサバ プ⸢ス⸣ピサ ⸣フミ ッ⸢ふォーッ⸣タン [ʔa⸢dam⸣paːsaba pu̥⸢su⸣pisa ⸣ɸumi f⸢foːt⸣taŋ] (アダン葉草履を一足<一組>編んでくださった)。 フ⸢タピサ [ɸu̥⸢tapisa] (二足)。 ⸢ミーピサ [⸢miːpi̥sa] (三足) 14962 0 0 14749 htmvoc_14962.wav プスピライ プ⸢スピライ [pu̥⸢supirai] 名 交際。付き合い。「人付き合い」の義。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キン⸣ ヌ⸢マ⸣ンダ プ⸢スピライヤ ワッ⸣サン [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢kin⸣ nu⸢ma⸣nda pu̥⸢supiraija was⸣saŋ] (彼は酒も飲まないから付き合いは悪い)。 ウ⸢トゥザマリティン オーリ⸣ル ⸣ブー プ⸢スピライ シーサン⸣カー ⸢ヌー⸣スワ ⸣メー [ʔu⸢tuʣamaritiŋ ʔoːri⸣ru ⸣buː pu̥⸢supirai ʃiːsaŋ⸣kaː ⸢nuː⸣suwa ⸣meː] (親戚とてもおられるのであって、人付き合いが出来なければどうするのだ)。 ⸢クン⸣ネーヤ イッ⸢ケナ⸣ プ⸢スピライヌ スー⸣ワル ⸣ヤー ⸢ヤッタ [⸢kun⸣neːja ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢supirainu suː⸣waru ⸣jaː ⸢jatta] (この家は非常に人付き合いの多い<強い>家だった)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ プ⸢スピライヌ ゾー⸣ジ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pu̥⸢supirainu ʣoː⸣ʤi] (この子は人付き合いが上手だ)。 プ⸢スピライ シーユーサヌ [pu̥⸢supirai ʃiːjuːsanu] (人付き合いできない) 14928 0 0 14750 htmvoc_14928.wav プスフキ プ⸢ス⸣フキ [pu̥⸢su⸣ɸu̥ki] 名 (数)一息。一気。「一吹き」の義。 ⸢ロースク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤ プ⸢ス⸣フキシ ⸢ケーシ⸣バ [⸢roːsu̥ku⸣nu ⸢piː⸣ja pu̥⸢su⸣ɸu̥kiʃi ⸢keːʃi⸣ba] (ローソクの火は一息<一吹き>で消しなさいよ) 14929 0 0 14751 htmvoc_14929.wav プスフキ プ⸢ス⸣フキ [pu̥⸢su⸣ɸu̥ki] 名 (数)若芽一本。一茎。 ⸢ユシキ⸣ヌ ⸣フキ プ⸢ス⸣フキ ⸣ブリ ⸣クーバ [⸢juʃi̥ki⸣nu ⸣ɸu̥ki pu̥⸢su⸣ɸu̥ki ⸣buri ⸣kuːba] (ススキの茎を一茎<茎一本>折って来なさいよ) 14995 0 0 14752 htmvoc_14995.wav プスフキルン プ⸢スフキ⸣ルン [pu̥⸢suɸuki⸣ruŋ] 自動 ずり落ちる。抜け落ちる。網の目から抜け落ちる。 ⸢アン⸣ヌ ⸢ミー⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤカー イ⸢ゾー⸣ プ⸢スフキ⸣ルン⸢ダー [⸢ʔan⸣nu ⸢miː⸣nu ⸢mai⸣jakaː ʔi⸢ʣoː⸣ pu̥⸢suɸuki⸣run⸢daː] (網の目が大きいと魚はくぐり抜けていくよ)。 プ⸢スフキラ⸣ヌティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ プ⸢スフキ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢suɸukira⸣nuti ʔu⸢muːtan⸣du pu̥⸢suɸuki⸣ pari ⸢naː⸣nu] (抜け落ちないと思ったが、抜け落ちていってしまった)。 ク⸢ヌ⸣ ミーラ プ⸢スフキル⸣ クトー ⸢ナーン⸣パジ ⸢ダー⸣ヌ プ⸢スフキレー⸣ ミサムヌティン ウ⸢モー⸣リン⸢ダー [ku⸢nu⸣ miːra pu̥⸢suɸukiru⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi ⸢daː⸣nu pu̥⸢suɸukireː⸣ misamunutiŋ ʔu⸢moː⸣rin⸢daː] (この網目から抜け落ちることは無いだろうが、抜け落ちれば良いのにとも思われるよ)。 プ⸢スフキ⸣リ [pu̥⸢suɸuki⸣ri] (抜け落ちれ) 14930 0 0 14753 htmvoc_14930.wav プスフクン プ⸢ス⸣フクン [pu̥⸢su⸣ɸu̥kuŋ] 名 (数)一含み。口中に一度含むこと。「一含み」の義。 ン⸢ガフチ⸣ロー プ⸢ス⸣フクンシ ヌ⸢ミバ⸣ル ヌ⸢ミヤッ⸣サ [ʔŋ⸢gaɸu̥ʧi⸣roː pu̥⸢su⸣ɸu̥kuŋʃi nu⸢miba⸣ru nu⸢mijas⸣sa] (苦い薬は一気<一含み>に飲んだ方が飲みやすい) 14931 0 0 14754 htmvoc_14931.wav プスフシ プ⸢ス⸣フシ [pu̥⸢su⸣ɸu̥ʃi] 名 一癖。 ター⸢ン⸣ナーン プ⸢ス⸣フシ ⸣フタフシェー ア⸢リ⸣ル ⸣ブー [taː⸢n⸣naːm pu̥⸢su⸣ɸu̥ʃi ⸣ɸu̥taɸu̥ʃeː ʔa⸢ri⸣ru ⸣buː] (誰にも一癖二癖はあるものだ) 14932 0 1 14755 htmvoc_14932.wav プスブシ プ⸢ス⸣ブシ [pu̥⸢su⸣buʃi] 名 {Mn_1}(数)ひとふし(一節)。 ⸢パイフケー⸣ タ⸢キヌ⸣ ブシ プ⸢ス⸣ブシ ⸣クミティル ス⸢ク⸣ル [⸢paiɸu̥keː⸣ tḁ⸢kinu⸣ buʃi pu̥⸢su⸣buʃi ⸣kumitiru su̥⸢ku⸣ru] (煙草の吸殻を入れる灰吹きは竹の節を一節\ruby{籠}{コ}めて作るのだ)。竹や砂糖黍などの一節。 プ⸢ス⸣ブシ [pu̥⸢su⸣buʃi] (一寸{EOS}一節)。 フ⸢タブシ [ɸu̥⸢tabuʃi] (二寸{EOS}二節)。 ⸢ミーブシ [⸢miːbuʃi] (三寸{EOS}三節)。 ⸢ユーブシ [⸢juːbuʃi] (四寸{EOS}四節)。 ⸢シン⸣ザ プ⸢ス⸣ブシ ⸣ブリ カ⸢マ⸣シ [⸢ʃin⸣ʣa pu̥⸢su⸣buʃi ⸣buri ka⸢ma⸣ʃi] (砂糖黍を一節折って食べさせなさい)。 14932 0 2 14756 htmvoc_14932.wav プスブシ プ⸢ス⸣ブシ [pu̥⸢su⸣buʃi] 名 {Mn_2}一寸。普通は中指の関節一節の長さをいう。 ウ⸢ヌ ナイ⸣ヤー プ⸢ス⸣ブシブカラー シ⸢ミ⸣リ [ʔu⸢nu nai⸣ijaː pu̥⸢su⸣buʃibukaraː ʃi⸢mi⸣ri] (その長さは一寸<一節>ほど短くせよ<詰めれ>)。一寸。人差し指の第一関節から第二関節までの長さ。 14932 0 3 14757 htmvoc_14932.wav プスブシ プ⸢ス⸣ブシ [pu̥⸢su⸣buʃi] 名 {Mn_3}音曲の一曲。 パ⸢トゥ⸣マナカムリ プ⸢ス⸣ブシェー ピ⸢キティ⸣ ザー プ⸢ミカシ⸣バ [pḁ⸢tu⸣manakamuri pu̥⸢su⸣buʃeː pi̥⸢kiti⸣ ʣaː pu⸢mikaʃi⸣ba] (鳩間中岡<鳩間節>の一曲を三線で弾いて一座を賑わせよ{EOS}<⸢ほめく」Fomeqi、u、eita{EOS}\ruby{燥}{カワ}き、く、いた{EOS}~身が燥く{EOS}からだが熱い>『邦訳日葡辞書』) 14912 0 0 14758 htmvoc_14912.wav プスフチ プ⸢ス⸣フチ [pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧi] 名 ひと口。一口。 フ⸢チ⸣ロー プ⸢ス⸣フチシ ゴン⸢ティ⸣ ヌミバ [ɸu̥⸢ʧi⸣roː pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧiʃi gon⸢ti⸣ numiba] (薬は一口でごくっと飲みなさいよ)。 プ⸢ス⸣フチェー ク⸢リン⸣ ッ⸢ふァイ⸣ ミリ⸢ミー [pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧeː ku⸢riŋ⸣ f⸢fai⸣ miri⸢miː] (一口はこれも食べてごらんよ<食べてみてみよ>) 14972 0 0 14759 htmvoc_14972.wav プスブリ プ⸢ス⸣ブリ [pu̥⸢su⸣buri] 名 一群れ。 カ⸢ジヌ⸣ フクカー ⸢ナン⸣マー プ⸢ス⸣ブリ フ⸢タブリ⸣ティ ⸢シー⸣ ブ⸢レー⸣ ス⸢クリ⸣ル ⸢ユーシ⸣ クー⸢ダー [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢nam⸣maː pu̥⸢su⸣buri ɸu̥⸢taburi⸣ti ⸢ʃiː⸣ bu⸢reː⸣ su̥⸢kuri⸣ru ⸢juːʃi⸣ kuː⸢daː] (台風が吹くと波は一群れ二群れと群れを作って寄せてくるのだよ) 14934 0 0 14760 htmvoc_14934.wav プスマ プ⸢スマ [pu̥⸢suma] 名 昼間。お昼。正午ごろから二時ごろ。「Firuma.ヒルマ(昼間) すなわち、Firuno aida(昼の間)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ア⸢ツァ⸣ヌ プ⸢スマー ヌー⸣スワ [ʔa⸢ʦa⸣nu pu̥⸢sumaː nuː⸣suwa] (明日のお昼は何をするか)。 プ⸢スマティダー ビー⸣ルンダ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢sumatidaː biː⸣rundaː ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (真昼の太陽の熱気には、ふらつくほどに酔うから、仕事は出来ない) 14998 0 0 14761 htmvoc_14998.wav プスマ プ⸢スマ [pu̥⸢suma] 名 ふすま(襖)。からかみ。「Fusumaxoji.フスマシヤゥウジ(襖障子) 戸の一種で、その表も裏も全部紙で張ったもの」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ブー ヤー⸣ヤ プ⸢スマヌ⸣ ヤ⸢ブ⸣リン ⸢ノーシマーキ⸣ル ⸢ブー [ja⸢rabi⸣nu ⸢buː jaː⸣ja pu̥⸢sumanu⸣ ja⸢bu⸣rin ⸢noːʃimaːki⸣ru ⸢buː] (子供のいる家は、襖の破れも直しかねて<ぞ>いる)。 プ⸢スマヌ⸣ サン ⸣ブリ ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢sumanu⸣ sam ⸣buri ⸢naː⸣nu] (襖の桟を折ってしまった)。障子の場合は、⸢ソージヌ(ア⸢カルヌ)⸣ プニ[⸢soːʤinu(ʔa⸢karunu)⸣ puni](障子の骨)という 14997 0 0 14762 htmvoc_14997.wav プスマー プ⸢スマー [pu̥⸢sumaː] 名 正午。昼間。日中。 プ⸢スマー⸣ ナ⸢ラン⸣ケンナ ⸢ギーッティ⸣ クー⸢ディー [pu̥⸢sumaː⸣ na⸢raŋ⸣kennaː ⸢giːtti⸣ kuː⸢diː] (正午にならないうちに行ってこようよ)。 プ⸢スマーウチェー ヤー⸣ナーティル シ⸢グトー スー [pu̥⸢sumaːʔuʧeː⸣ ⸢jaː⸣naːtiru ʃi⸢gutoː suː] (昼間内<正午から二時頃まで>は家で仕事をする) 14999 0 0 14763 htmvoc_14999.wav プスマーラシヤー プ⸢スマーラシヤー [pu̥⸢sumaːraʃijaː] 名 死人の出た家。葬式を出す家。「人の亡くなられた家」の義。 プ⸢スマーラシヤーヤ⸣ パ⸢ルミ⸣プソー パ⸢ラ⸣ソーランシェン [pu̥⸢sumaːraʃijaːja⸣ pa⸢rumi⸣pu̥soː pa⸢ra⸣soːraŋʃeŋ] (人の亡くなられた家には、妊娠した人は行かされなかった) 14937 0 1 14764 htmvoc_14937.wav プスマール プ⸢スマー⸣ル [pu̥⸢sumaː⸣ru] 名 {Mn_1}一周。「一回り」の義。 ⸢ターマー⸣ル プ⸢スマー⸣ル ⸢シー⸣ クーバ [⸢taːmaː⸣ru pu̥⸢sumaː⸣ru ⸢ʃiː⸣ kuːba] (水田の見回りを一回りして来なさい)。 14937 0 2 14765 htmvoc_14937.wav プスマール プ⸢スマー⸣ル [pu̥⸢sumaː⸣ru] 名 {Mn_2}干支で生まれ年が一巡してくる間(12年間)。 ⸢ワーットゥ バン⸣トー ⸣トゥシェー プ⸢スマー⸣ル チ⸢ガウン⸠ダー [⸢waːttu ban⸣toː ⸣tuʃeː pu̥⸢sumaː⸣ru ʧi⸢gaun⸠daː] (君と私は、年齢は一回り違うよ)。一回り。一巡。 ク⸢レー⸣ バーラン プ⸢スマー⸣ロー ⸢ウシ⸣トゥ [ku⸢reː⸣ baːram pu̥⸢sumaː⸣roː ⸢ʔuʃi̥⸣tu] (この人は<これは>私より一回り年下<弟>だ)。 プ⸢スマー⸣レー ⸢ターマー⸣ルン ⸢シーティ クータ⸣ル [pu̥⸢sumaː⸣reː ⸢taːmaː⸣ruŋ ⸢ʃiːti kuːta⸣ru] (一回りは、水田の見回りもしてきたよ) 14936 0 0 14766 htmvoc_14936.wav プスマアトゥ プ⸢スマ⸣アトゥ [pu̥⸢suma⸣ʔatu] 名 午後三時以降。「正午後」の義。 プ⸢スマアトゥ⸣ヌ シ⸢グトゥヌ ダン⸣ドゥレー ⸢シェーン⸣カヤー [pu̥⸢sumaʔatu⸣nu ʃi⸢gutunu dan⸣dureː ⸢ʃeːŋ⸣kajaː] (正午後の仕事の準備、手順<段取り>はつけてあるのかな) 15001 0 0 14767 htmvoc_15001.wav プスマイ プ⸢スマイ [pu̥⸢sumai] 名 人前。公衆の面前。 ⸣カイブ シ⸢タ⸣フシェー プ⸢スマイヤー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [⸣kaibu ʃi̥⸢ta⸣ɸu̥ʃeː pu̥⸢sumaijaː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (こんな服装では人様の前には出られない)。 ウ⸢ヌ⸣ ス⸢ク⸣ヌ シゥ⸢カラ⸣シェー プ⸢スマイ⸣ナー タ⸢タラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ su̥⸢ku⸣nu si̥⸢kara⸣ʃeː pu̥⸢sumai⸣naː tḁ⸢tara⸣nu] (その程度の力では人前には立たれ<立て>ない) 14938 0 0 14768 htmvoc_14938.wav プスマウチ プ⸢スマウチ [pu̥⸢sumaʔuʧi] 名 正午ごろから二時ごろまで。「昼間内」の義。 プ⸢スマウチェー ユー⸣クイティ プ⸢スマ⸣アトーラ シ⸢グトゥ シー⸣バ [pu̥⸢sumaʔuʧeː juː⸣kuiti pu̥⸢suma⸣ʔatoːra ʃi⸢gutu ʃiː⸣ba] (昼間内は休んで<憩うて>昼間後から仕事をしなさい) 15002 0 0 14769 htmvoc_15002.wav プスマカル プ⸢スマカ⸣ル [pu̥⸢sumaka⸣ru] 名 (数)一椀。飯椀、汁椀などの一椀。 ⸢ウン⸣ネー ⸣パルカー ⸢マイヌ⸣イー プ⸢スマカ⸣ル ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [⸢ʔun⸣neː ⸣parukaː ⸢mainu⸣ʔiː pu̥⸢sumaka⸣ru f⸢faːsoːt⸣taŋ] (あの家に行くとお米のご飯をお椀の一杯<一椀>食べさせてくださった<食わされなさった>) 14940 0 0 14770 htmvoc_14940.wav プスマキ プ⸢ス⸣マキ [pu̥⸢su⸣maki] 名 (数)豚小屋の一区画。各家庭では屋敷の北西の隅に、二区画に仕切られた豚小屋が設置されていた。豚舎は、幅約15センチ、高さ約20センチ、長さ約40センチの砂岩や石灰岩を積み上げて造られていた。 ⸢オー⸣ヌ マ⸢ケー ヤーカー⸣ジ フ⸢タマキナー⸣ ア⸢リ⸣ブタル [⸢ʔoː⸣nu ma⸢keː jaːkaː⸣ʤi ɸu̥⸢tamakinaː⸣ ʔa⸢ri⸣butaru] (豚舎は家毎に二区画ずつ設置されていた<ありおった>) 14946 0 0 14771 htmvoc_14946.wav プスマサーン プ⸢ス マサー⸣ン [pu̥⸢su masaː⸣ŋ] 連 正直者である。「人・正し」の転訛。「当、マサシ」『類聚名義抄』の義。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ プ⸢ス マサー⸣ンダ ウ⸢リン⸣ タ⸢ナ⸣ムカー ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢su masaː⸣nda ʔu⸢rin⸣ ta⸢na⸣mukaː ⸢soːja naː⸣nu] (彼は非常に正直者であるから、彼に頼めば心配はない) 14941 0 0 14772 htmvoc_14941.wav プスマサル プ⸢スマサル [pu̥⸢sumasaru] 名 人に勝っていること。他人よりも優れていること。「人勝り」の義。 ⸢クン⸣ネナー プ⸢スマサルヌ マイフナーヌ⸣ マ⸢リ⸣ケーン [⸢kun⸣nenaː pu̥⸢sumasarunu maiɸunaːnu⸣ ma⸢ri⸣keːŋ] (この家に他人に優れた立派な男が誕生してきたよ) 15003 0 0 14773 htmvoc_15003.wav プスマシ プ⸢ス⸣マシ [pu̥⸢su⸣maʃi] 名 水田一枚。水田の一区切り。⸣マシ[⸣maʃi](枡)は方形に区切った水田のこと。 ウ⸢ブ⸣マシ [ʔu⸢bu⸣maʃi] (大きな田圃一枚)。 マ⸢シェー⸣マ [ma⸢ʃeː⸣ma] (小さな水田)。 プ⸢ス⸣マシェー ⸢トー⸣サ ⸣トゥレーン [pu̥⸢su⸣maʃeː ⸢toː⸣sa ⸣tureːŋ] (水田一枚は田草を取り終えた) 14942 0 0 14774 htmvoc_14942.wav プスマジブン プ⸢スマジブン [pu̥⸢sumaʤibuŋ] 名 昼食時分。正午から午後一時、二時ごろ。⸣アシジブン[⸣ʔaʃiʤibuŋ](昼食時分)ともいう。 プ⸢スマジブンマー⸣ パ⸢タ⸣ケーラ ⸢キー⸣シバ ⸢ウン⸣ マ⸢ニヤー⸣シ ⸣クーバ [pu̥⸢sumaʤibummaː⸣ pḁ⸢ta⸣keːra ⸢kiː⸣ʃiba ⸢ʔum⸣ ma⸢nijaː⸣ʃi ⸣kuːba] (昼食時分には畑から来るから、その時に間に合わせて来いよ) 14944 0 0 14775 htmvoc_14944.wav プスマチガイ プ⸢スマチガイ [pu̥⸢sumaʧigai] 名 人違い。「人・間違い」の義。 ウ⸢レー⸣プ⸢スマチガイバ⸣ シ⸢ラリティ⸣ スズー⸢コ⸣ イ⸢ザレーン⸣ティ ⸢ダー⸣  [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢sumaʧigaiba⸣ ʃi⸢rariti⸣ suʣuː⸢ko⸣ ʔi⸢ʣareːn⸣ti ⸢daː] (彼は人違いされて,したたかに叱られたそうだよ) 14943 0 0 14776 htmvoc_14943.wav プスマティ プ⸢スマティ [pu̥⸢sumati] 名 人待ち。人を待つこと。 プ⸢スマティヌ⸣ プ⸢リムヌ⸣ティル ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリ ブー⸣ティムカーヤ [pu̥⸢sumatinu⸣ pu⸢rimunu⸣tiru mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣari buː⸣timukaːja] (「人待ちすることは馬鹿のすることだ」と昔から言われていることだよ) 14945 0 0 14777 htmvoc_14945.wav プスマドゥ プ⸢ス⸣マドゥ [pu̥⸢su⸣madu] 名 ひととき。一時。ひまの時。「ひと・間遠」の義か。 プ⸢ス⸣マドー ニ⸢ビティ ユー⸣クイバ [pu̥⸢su⸣madoː ni⸢biti juː⸣kuiba] (一時は寝て休み<憩い>なさいよ)。 プ⸢ス⸣マドーンツァンン シ⸢グトー⸣ サ⸢バル⸣ ティマー ⸢イーラ⸣リ [pu̥⸢su⸣madoːnʦaŋ ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢baru⸣ timaː ⸢ʔiːra⸣ri] (一時でも仕事をしてはじめて手間賃は貰えるというものだ) 14939 0 0 14778 htmvoc_14939.wav プスマニビ プ⸢スマニビ [pu̥⸢sumanibi] 名 昼寝。「昼間寝」の義。夏の盛りの真昼間は、暑くて畑仕事が出来ないから老人たちは、⸢ヨーコイ[⸢joːkoi](「夕影」の義か{EOS}午後の3時頃)になるまで、風通しのよい木の下や家の縁側などで、よく昼寝をした。 ⸣ドゥク プ⸢スマニビ スー⸣カー ⸢クンキブラーリ スン⸣ダー [⸣duku pu̥⸢sumanibi suː⸣kaː ⸢kuŋkiburaːri sun⸣daː] (あまり昼寝すると、根気が失せてふらつくよ) 14947 0 0 14779 htmvoc_14947.wav プスマムヌ プ⸢スマムヌ [pu̥⸢sumamunu] 名 昼飯。「昼間もの」の義。プ⸢スマ⸣イー[pu̥⸢suma⸣ʔiː](昼食)ともいう。普通は、⸣アシ[⸣ʔaʃi](昼食{EOS}「あさいひ(朝飯)」の転訛したものか。これによれば、昔は昼近くに朝食を取っていて、一日二食であったことを意味する)という。 プ⸢スマムノー⸣ ッ⸢ふァイティル⸣ パ⸢ラリ⸣ル [pu̥⸢sumamunoː⸣ f⸢faitiru⸣ pa⸢rari⸣ru] (昼食をとってからでないと行かれない{EOS}<昼食を取ってぞ行かれる>) 14948 0 0 14780 htmvoc_14948.wav プスマユークイ プ⸢スマユークイ [pu̥⸢sumajuːkui] 名 昼休み。「昼間憩い」の転訛。 プ⸢スマユークイヌ⸣ アトー ユネン⸢バー⸣ケー ⸢ギーバリバル⸣ ナル [pu̥⸢sumajuːkuinu⸣ ʔatoː junem⸢baː⸣keː ⸢giːbaribaru⸣ naru] (昼休みの後は夕方までは頑張らないといけない<気張ればぞなる>) 14949 0 0 14781 htmvoc_14949.wav プスマラキ プ⸢スマラ⸣キ [pu̥⸢sumara⸣ki] 名 ひとまろぎ(一丸ぎ)。稲束30束を一まとめにしたもの。 ⸢マイ⸣ プ⸢スマラ⸣キ [⸢mai⸣ pu̥⸢sumara⸣ki] (稲束一まろぎ<30束>)。 ⸢マイ⸣ プ⸢スマラ⸣キシ ⸢ミーヤ ナン⸣ス ン⸢ジル⸣ワ [⸢mai⸣ pu̥⸢sumara⸣kiʃi ⸢miːja nan⸣su ʔn⸢ʤiru⸣wa] (稲一丸ぎ<30束>で実は何升でる<取れる>か) 14950 0 1 14782 htmvoc_14950.wav プスミー プ⸢ス⸣ミー [pu̥⸢su⸣miː] 名 {Mn_1}一目(一睡)。 ⸢ミー コー⸣リティ プ⸢ス⸣ミーンツァン ニ⸢バランシェン [⸢miː koː⸣riti pu̥⸢su⸣miːnʦan ni⸢baraŋʃeŋ] (目が冴えて<強張って>一睡すらもできなかった<一目さえも眠られなかった>)。 14950 0 2 14783 htmvoc_14950.wav プスミー プ⸢ス⸣ミー [pu̥⸢su⸣miː] 名 {Mn_2}\ruby{一瞥}{イチ|ベツ}すること。一目見ること。 プ⸢ス⸣ミー ⸣ミルカー ⸣アトー ミ⸢ラン⸣タンティン ッ⸢シェー⸣ン [pu̥⸢su⸣miː ⸣mirukaː ⸣ʔatoː mi⸢ran⸣tantiŋ ʃ⸢ʃeː⸣ŋ] (一目見ると、後は見なくても分かる<知っている>)。 シン⸢トゥ⸣ プ⸢スミー⸣ル ミ⸢ラリ⸣タ [ʃin⸢tu⸣ pu̥⸢sumiː⸣ru mi⸢rari⸣ta] (たった一目しか見えなかった<一瞥しかできなかった>)。 プ⸢ス⸣ミーンツァン ⸣ミリティル ⸢ヤー⸣ パ⸢ラリ⸣ル [pu̥⸢su⸣miːnʦam ⸣miritiru ⸢jaː⸣ pa⸢rari⸣ru] (一目<一瞥>だけでも見て<ぞ>家には帰れるものだ) 14951 0 0 14784 htmvoc_14951.wav プスミーッスン プ⸢ス ミーッ⸣スン [pu̥⸢su miːs⸣suŋ] 連 人見知りをする。見馴れない人を嫌う。 プ⸢ス ミーッス⸣ター プ⸢スンマー⸣ ダ⸢カランバン [pu̥⸢su miːssu⸣taː pu̥⸢summaː⸣ da⸢karambaŋ] (人見知りをしたので、他人には抱かれないわい) 14952 0 0 14785 htmvoc_14952.wav プスミチ プ⸢ス⸣ミチ [pu̥⸢su⸣miʧi] 名 一つの道。一本道。 タ⸢チ⸣バロー ⸣パル ⸣ミチェー プ⸢スミチ⸣ル ⸣アル [tḁ⸢iʧi⸣baroː ⸣paru ⸣miʧeː pu̥⸢sumiʧi⸣ru ⸣ʔaru] (立原の浜へ行く道は一つの道しかない<一本道がある>) 14925 0 0 14786 htmvoc_14925.wav プスムイサン プ⸢スムイ⸣サン [pu̥⸢sumui⸣saŋ] 形 人恋しい。人なつっこい。人と話がしたい気持ちである。-ムイサン[muisaŋ](~なつっこい)は接尾語。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ プ⸢スムイ⸣サンダ ター⸢ントゥン⸣ シ⸢グ⸣ ウ⸢チアー⸣ルン [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢sumui⸣sanda taː⸢ntuŋ⸣ ʃi⸢gu⸣ ʔu⸢ʧiʔaː⸣ruŋ] (彼は非常に人なつっこい人だから、誰とでもすぐ仲良くなる<調和する>)。 プ⸢スムイサナー⸣ヌ [pu̥⸢sumuisa naː⸣nu] (人なつっこくない)。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ プ⸢スムイ⸣サンダ ター⸢ントゥン⸣ シ⸢グ⸣ ドゥ⸢シ⸣ ナルン [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ pu̥⸢sumui⸣sanda taː⸢ntuŋ⸣ ʃi⸢gu⸣ du⸢ʃi⸣ naruŋ] (彼は非常に人懐こいから、誰とでもすぐと友達になる) 14956 0 0 14787 htmvoc_14956.wav プスムシ プ⸢ス⸣ムシ [pu̥⸢su⸣muʃi] 名 (数)一度。 プ⸢スムシ⸣ フ⸢タムシ⸣ヌ マ⸢チガイ⸣ヤー ター⸢ン⸣ナーン ア⸢リ⸣ル ⸣ブー [pu̥⸢sumuʃi⸣ ɸu̥⸢tamuʃi⸣nu ma⸢ʧigai⸣jaː taː⸢n⸣naːŋ ʔa⸢ri⸣ru ⸣buː] (一度や二度の間違いは誰にもある<有りぞ居る>) 14954 0 0 14788 htmvoc_14954.wav プスムスビ プ⸢スムス⸣ビ [pu̥⸢sumusu⸣bi] 名 紐などの結び方の一種。一重結び。 ⸣クボー プ⸢スムス⸣ビ ⸢シール⸣ カ⸢ザル [⸣kuboː pu̥⸢sumusu⸣bi ⸢ʃiːru⸣ ka⸢ʣaru] (昆布は一重結びして供えるものだ) 14955 0 0 14789 htmvoc_14955.wav プスムトゥ プ⸢ス⸣ムトゥ [pu̥⸢su⸣mutu] 名 草や樹木の一本。「ひともと(一本)」のこと。「比登母等能なでしこ植ゑし~。万、4070」の義。 ⸢キームトゥ⸣ヌ プ⸢ス⸣ムトゥ ⸣ムイ ⸢ベー⸣ン [⸢kiːmutu⸣nu pu̥⸢su⸣mutu ⸣mui ⸢beː⸣ŋ] (樹木が一本生えている)。 ⸢ダイ⸣クニ プ⸢スム⸣トゥ ピ⸢キ⸣クー [⸢dai⸣kuni pu̥⸢sumu⸣tu pi̥⸢ki⸣kuː] (大根を一本引き抜いてこい) 14957 0 0 14790 htmvoc_14957.wav プスムドゥシ プ⸢スムドゥ⸣シ [pu̥⸢sumudu⸣ʃi] 名 一回転。一回りして戻ってくる回数の単位。「Fitomodori.ヒトモドリ(一戻り) 戻ってくる回数の数え方」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ⸢パーレー⸣フネー ⸢ユーアギジラマバ⸣ イ⸢ジェー⸣ティ ⸢ヨーンナー⸣ クイ プ⸢スムドゥ⸣シェー ⸢マーシ⸣ キーティル ⸣クイ ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸢paːreː⸣ɸuneː ⸢juːʔagiʤiramaba⸣ ʔi⸢ʤeː⸣ti ⸢joːnnaː⸣ kui pu̥⸢sumudu⸣ʃeː ⸢maːʃi⸣ kiːtiru ⸣kui ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (爬竜船はユーアギジラバを歌いながら一回転<一戻し>してきてから<ぞ>漕ぎ出された) 14959 0 0 14791 htmvoc_14959.wav プスムトゥマチ プ⸢スムトゥ⸣マチ [pu̥⸢sumutu⸣maʧi] 名 一本松。 ⸣インダヌ ウ⸢シヌウガン⸣ヌ ⸣トンナー プ⸢スムトゥマチ⸣ヌ ⸣ムイ⸢ベー⸣タン [⸣ʔindanu ʔu⸢ʃinuʔugan⸣nu ⸣tonnaː pu̥⸢sumutumaʧi⸣nu ⸣mui ⸢beː⸣taŋ] (伊武田の牛の御嶽<お願>の所に一本松が生えていた) 14960 0 0 14792 htmvoc_14960.wav プスムラシ プ⸢スムラ⸣シ [pu̥⸢sumura⸣ʃi] 名 ひとかたまり(一塊)。 ッ⸢ふ⸣サタ プ⸢スムラ⸣シ バ⸢リティ サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シバ [f⸢fu⸣sata pu̥⸢sumura⸣ʃi ba⸢riti saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (黒糖を一塊を割って茶請けとして出しなさいよ)。 ⸢ジームラ⸣シェー プ⸢スムラシ⸣ナー バ⸢リティル カイス⸣タ [⸢ʤiːmura⸣ʃeː pu̥⸢sumuraʃi⸣naː ba⸢ritiru kaisu⸣ta] (土塊はひとかたまり<一塊>ずつ鍬で割って<ぞ>耕したものだ) 15005 0 0 14793 htmvoc_15005.wav プスユー プ⸢ス⸣ユー [pu̥⸢su⸣juː] 名 (数)一晩。「一夜」の義。 ⸢ユードゥー⸣シェー ⸢ユーングマ⸣ル ⸢ソー⸣レーティ プ⸢ス⸣ユー ⸢トゥー⸣シティ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ヨー⸣ル ク⸢トゥバ⸣ル ア⸢ズ⸣ダー [⸢juːduː⸣ʃeː ⸢juːŋguma⸣ru ⸢soː⸣reːti pu̥⸢su⸣juː ⸢tuː⸣ʃi̥ti ⸢niŋ⸣gai ⸢joː⸣ru ku̥⸢tuba⸣ru ʔa⸢ʣu⸣daː] (夜通しの祈願とは、夜籠りをなさりながら一晩<一夜>通して祈願されることをいうのだよ)。 ウ⸢キナー⸣タベー プ⸢ス⸣ユー ク⸢ミ⸣ル ⸢パッタ⸣ル [ʔu⸢kinaː⸣tabeː pu̥⸢su⸣juː ku⸢mi⸣ru ⸢patta⸣ru] (沖縄への船旅は一夜\ruby{籠}{コ}めて行ったものだ) 15006 0 0 14794 htmvoc_15006.wav プスユークイ プ⸢スユー⸣クイ [pu̥⸢sujuː⸣kui] 名 一休み。「一憩い」の義。 ⸣クナーティ プ⸢スユー⸣クイ ⸢シーティ⸣ パラ⸢ナー [⸣kunaːti pu̥⸢sujuː⸣kui ⸢ʃiːti⸣ para⸢naː] (ここで一休みしてから行こうねえ) 14961 0 0 14795 htmvoc_14961.wav プスユダ プ⸢ス⸣ユダ [pu̥⸢su⸣juda] 名 一枝。 ⸢キャーンギキーヌ⸣ ユ⸢ダ⸣ プ⸢ス⸣ユダ ⸣ブリ ⸣キー トゥ⸢クニヌ⸣ パ⸢ナ⸣イキナー イ⸢キ⸣リ [⸢kjaːŋgikiːnu⸣ ju⸢da⸣ pu̥⸢su⸣juda ⸣buri ⸣kiː tu̥⸢kuninu⸣ pa⸢na⸣ikinaː ʔi⸢ki⸣ri] (槇の木の枝を一枝折ってきて仏壇の花生けに活けなさい<活けれよ>) 15007 0 0 14796 htmvoc_15007.wav プスユヌサートゥ プ⸢スユ⸣ヌ ⸣サートゥ [pu̥⸢suju⸣nu ⸣saːtu] 連 一晩中。夜通し。徹夜で。 ⸣ユベー プ⸢スユ⸣ヌ ⸣サートゥ ッ⸢ふァヌ トウンザ⸣ク ⸢スンティ⸣ プ⸢ス⸣ミーン ニ⸢ビ ミラン⸣シェン [⸣jubeː pu̥⸢suju⸣nu ⸣saːtu f⸢fanu tunʣa⸣ku ⸢sunti⸣ pu̥⸢su⸣miːn ni⸢bi miraŋ⸣ʃeŋ] (昨夜は子供の発熱の看病<頓着>をするとて一睡もできなかった) 14974 0 0 14797 htmvoc_14974.wav プスル プ⸢ス⸣ル [pu̥⸢su⸣ru] 名 (数)一人。いちにん。 シン⸢トゥ⸣ プ⸢ス⸣ル ⸢タンガ⸣ル ⸢ブー [ʃin⸢tu⸣ pu̥⸢su⸣ru ⸢taŋga⸣ru ⸢buː] (たった一人しかいない<一人だけぞ居る>)。 フ⸢タール [ɸu̥⸢taːru] (二人)。 ミ⸢ツァール [mi⸢ʦaːru] (三人)。 ユ⸢タール [ju⸢taːru] (四人)。 ⸣ウナー ギュ⸢タール ブーワ [⸣ʔunaː gju⸢taːru buːwa] (其処に何人いるか)。 プ⸢ス⸣ プ⸢ス⸣ルンツァン ブ⸢ラーヌ [pu̥⸢su⸣ pu̥⸢su⸣runʦam bu⸢raːnu] (人っ子ひとりすら<も>いない)。「~吾が思ふ君はただ一人<ヒトリ>のみ。万、2382」の転訛したもの。 プ⸢スルプスル⸣ヌ ⸢カンガイ⸣ヤー ⸢カウリ ブー [pu̥⸢surupusuru⸣nu ⸢kaŋgai⸣jaː ⸢kauri buː] (一人一人の考えは違っている) 15009 0 0 14798 htmvoc_15009.wav プスルダチ プ⸢スル⸣ダチ [pu̥⸢suru⸣daʧi] 名 自立すること。独立すること。一人前になること。⸢一人立ち」の義。⸢タンガ⸣ダチ[⸢taŋga⸣daʧi](独身者{EOS}独身男、独身女)とは意味が異なる。 ジ⸢ナンマー⸣ イ⸢サナキ⸣ナーティ ⸢サイク⸣バ ⸢シー⸣ プ⸢スル⸣ダチ ⸢シーベー⸣ツォー [ʤi⸢nammaː⸣ ʔi⸢sanaki⸣naːti ⸢saiku⸣ba ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢suru⸣daʧi ⸢ʃiːbeː⸣ʦoː] (次男は石垣島で大工仕事をして一人立ち<独立>しているそうだ) 15010 0 0 14799 htmvoc_15010.wav プスルタラーシタラーシ ⸣プスル タ⸢ラーシタラーシ [⸣pu̥suru ta⸢raːʃitaraːʃi] 連 互いに足らざるところを補いあって。互いに協力しあって。「一人足らわし足らわし」の転訛。 ⸢キョーダイ⸣サー ⸣プスル タ⸢ラーシタラーシ シェー⸣ティル タティパル⸢ダー [⸢kjoːdai⸣saː ⸣pu̥suru ta⸢raːʃitaraːʃi ʃeː⸣tiru tḁtiparu⸢daː] (兄弟は互いに足らざるところを補い合いしながら生活していく<立って行く>のだぞ) 15011 0 0 14800 htmvoc_15011.wav プスルタルガキ ⸣プスル タ⸢ルガキ [⸣pu̥suru ta⸢rugaki] 連 互いに相手を当てにして義務を果たさないこと。お互いに相手を頼りにすること。 ⸢ウッ⸣ツァー ナー⸢イ⸣ プスル タ⸢ルガキバ シー ピッ⸣チン シ⸢グトー サンバン [⸢ʔut⸣ʦaː naː⸢i⸣ pu̥suru ta⸢rugakiba ʃiː pit⸣ʧiŋ ʃi⸢gutoː sambaŋ] (彼等はお互いにただ相手を当てにして、ちっとも仕事をしないよ) 15014 0 0 14801 htmvoc_15014.wav プスルッふァ プ⸢スル⸣ッふァ [pu̥⸢suru⸣ffa] 名 一人っ子。ひとりご。⸢タンガ⸣ッふァ[⸢taŋga⸣ffa](一人っ子)ともいう。 プ⸢スル⸣ッふァ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ティーピサ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー ⸢ヌーシラレー⸣ティル ス⸢ダティラ⸣レーツォー [pu̥⸢suru⸣ffa ja⸢runda⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢tiːpisa⸣nu ⸢ʔui⸣naː ⸢nuːʃirareː⸣tiru su⸢datira⸣reːʦoː] (一人っ子であるから親の掌の上に載せられて育てられたそうだ) 15012 0 0 14802 htmvoc_15012.wav プスルトゥンクイトゥンクイ ⸣プスル ⸢トゥンクイトゥンクイ [⸣pu̥suru ⸢tuŋkuituŋkui] 連 一人おきに。 ミ⸢ドゥ⸣ム ⸣ビキドゥム ⸣プスル ⸢トゥンクイトゥンクイ シー⸣ ビ⸢リ ベー [mi⸢du⸣mu ⸣bikidumu ⸣pu̥suru ⸢tuŋkuituŋkui ʃiː⸣ bi⸢ribeː] (男女が一人おきに<一人跳び越え飛び越えで>座っている) 14975 0 0 14803 htmvoc_14975.wav プスルナー プ⸢スル⸣ナー [pu⸢suru⸣naː] 連 一人ずつ。 ⸢タンガ⸣シ ミ⸢ツァールナー サーリ パッ⸣タヤー [⸢taŋga⸣ʃi mi⸢ʦaːrunaː saːri pat⸣tajaː] (一人で三人ずつ連れ去って行ったよ)。ナー[naː](ずつ)は副助詞。分量を表す語に付いて、一定量を均等に割り当てる意味を表す 15015 0 0 14804 htmvoc_15015.wav プスルビフナー プ⸢スルビフ⸣ナー [pu̥⸢surubiɸu⸣naː] 名 一人息子。古老の使用語彙。プ⸢スルビコーン⸣ッふァ[pu̥⸢surubikoːŋ⸣ffa](一人息子)ともいう。 ⸢ウン⸣ネナー プ⸢スルビフナー⸣ヌ ブ⸢タンドゥ⸣ イ⸢クサ⸣ユーナー ⸢ピー⸣タイ トゥ⸢ラ⸣リ ⸢ナーン⸣シェン [⸢ʔun⸣nenaː pu̥⸢surubiɸunaː⸣nu bu⸢tandu⸣ ʔi⸢kusa⸣juːnaː ⸢piː⸣tai tu⸢ra⸣ri ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (あの家には一人息子がいたが、戦争で徴兵されて<兵隊に取られて>しまった) 15016 0 0 14805 htmvoc_15016.wav プスルミドゥナー プ⸢スルミドゥ⸣ナー [pu̥⸢surumidu⸣naː] 名 一人娘。古老の使用語彙。若年層はプ⸢スルミドーン⸣ッふァ[pu̥⸢surumidoːŋ⸣ffa](一人娘)という。 プ⸢スルミドゥ⸣ナー ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢リムク⸣ トゥ⸢ローッ⸣タツォー [pu̥⸢surumidu⸣naː ja⸢runda⸣ ʔi⸢rimuku⸣ tu⸢roːt⸣taʦoː] (一人娘だから入り婿を迎えられた<取られた>そうだ) 15017 0 0 14806 htmvoc_15017.wav プスルムヌ プ⸢スル⸣ムヌ [pu̥⸢suru⸣munu] 名 一人者。独身者。⸢タンガ⸣ムヌ[⸢taŋga⸣munu](一人者{EOS}独身者)ともいう。 カ⸢カ⸣ルン ⸣サールン ⸢ナー⸣ン プ⸢スル⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢ka⸣run ⸣saːrun ⸢naː⸣m pu̥⸢suru⸣munu ⸣nari ⸢naː⸣nu] (係累<係り繋がり{EOS}両親妻子>のない一人者になってしまった) 15018 0 0 14807 htmvoc_15018.wav フズン ⸣フズン [⸣ɸuʣuŋ] 他動 くじる(抉る)。えぐる。他人の心をほじくり(\ruby{穿}{ホジク}り)回して感情を害する。 プ⸢スヌ⸣ バタ ⸣フズン [pu̥⸢sunu⸣ bata ⸣ɸuʣuŋ] (他人の心を\ruby{抉}{クジ}って感情を害する<腹をほじくる>)。 プ⸢スヌ⸣ バター フ⸢ザン⸣ドーシ パ⸢ナ⸣シバ [pu̥⸢sunu⸣ bataː ɸu⸢ʣan⸣doːʃi pa⸢na⸣ʃiba] (他人の感情を害しない<腹を\ruby{抉}{クジ}らないで>で話しなさいよ)。 ⸣バタ ⸣フジ ⸢ベー [⸣bata ⸣ɸuʤi ⸢beː] (他人の感情を害している)。 ⸣バタ ⸣フズ クトゥカー⸢ニ シー ベー [⸣bata ⸣ɸuʣu ku̥tukaː⸢ni ʃiː beː] (他人の感情を害する<心を\ruby{抉}{クジ}る>ことだけしている)。 ⸣バタ ⸣フジェー ⸣ミサムヌ [⸣bata ⸣ɸuʤeː ⸣misamunu] (他人の感情を害すればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸣バタ ⸣フジ [⸢maː⸣bim ⸣bata ⸣ɸuʤi] (もっと他人の感情を害せよ) 15019 0 1 14808 htmvoc_15019.wav プスン ⸣プスン [⸣pu̥suŋ] 他動 {Mn_1}ひる(放る)。「Feuo firu.(屁を放る)放屁する.卑語」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣ピー ⸣プスンティ ⸢スンドゥ⸣ バ⸢カヤ⸣ヌ プ⸢サラ⸣ヌ [⸣piː ⸣pu̥sunti ⸢sundu⸣ ba⸢kaja⸣nu pu̥⸢sara⸣nu] (屁を放ようとするが、恥ずかしくて放られない)。 ⸣ピー ⸣プシ ⸣ミサカー ⸣プスクトー ⸣ナルン [⸣piː ⸣pu̥ʃi ⸣misakaː ⸣pu̥su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (屁を放ってよければ、放ることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸣プシェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸣pu̥ʃeː ⸣misamunu] (もっと放ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣プシバ [⸢paː⸣ku ⸣pu̥ʃiba] (早く放れよ)。 15019 0 2 14809 htmvoc_15019.wav プスン ⸣プスン [⸣pu̥suŋ] 他動 {Mn_2}ひる(嚏る)。くしゃみをする。「Fana fiqu,firu coto.(鼻ひく、または、ひること)くしゃみ」『邦訳日葡辞書』の義。 パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カ⸣ルカー パ⸢ナ⸣ プスン [pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢ka⸣rukaː pa⸢na⸣ pu̥suŋ] (風邪を引くと鼻を放る) 15020 0 0 14810 htmvoc_15020.wav プスン ⸣プスン [⸣pu̥suŋ] 他動 干す。乾かす。乾燥する。 ⸢キン⸣バ ⸣ティダナー ⸣プスンティ ⸢スンドゥ⸣ クマー ⸣カイ ⸣ナリティ プ⸢サラ⸣ヌ [⸢kim⸣ba ⸣tidanaː ⸣pu̥sunti ⸢sundu⸣ kumaː ⸣kai ⸣nariti pu̥⸢sara⸣nu] (着物を太陽に干そうとするが、此処は日陰になって干せない)。 ⸣クナー ⸣プシ ⸣ミサン [⸣kunaː ⸣pu̥ʃi ⸣misaŋ] (此処に干してよい)。 ⸣プス ⸣ムノー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [⸣pu̥su⸣ munoː noː⸢n naː⸣nu] (干す物は何もない)。 ⸢パー⸣ク ⸣プシェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣pu̥ʃeː ⸣misamunu] (早く干せばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ クナー ⸣プシ [jaː⸢dim⸣ kunaː ⸣pu̥ʃi] (必ず此処に干せ) 15021 0 0 14811 htmvoc_15021.wav プスンガーリ プ⸢スンガーリ [pu̥⸢suŋgaːri] 名 変人、奇人になること。人格が変わること。「人・変わり」の義。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢ジバ⸣ シ⸢ナシティ⸣ プ⸢スンガーリ シー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ tu⸢ʤiba⸣ ʃi⸢naʃi̥ti⸣ pu̥⸢suŋgaːri ʃiː naː⸣nu] (彼は妻に死なれて<死なせて>人格が変わって<人変わり>してしまった)。 ウ⸢レー⸣ プ⸢スンガーリムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ ヌー⸣シル ク⸢トゥ⸣バ ⸢スー⸣ユー ワ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢suŋgaːrimunu⸣ ja⸢runda nuː⸣ʃiru ku̥⸢tu⸣ba ⸢suː⸣juː wa⸢kara⸣nu] (彼は変人<変わり者>だから、どんな事をするか分からない) 14969 0 0 14812 htmvoc_14969.wav プスントン プ⸢スン⸣トン [pu̥⸢sun⸣toŋ] 名 一箇所。一所。 ワ⸢ター⸣ プ⸢スン⸣トンナー ⸢マーズン⸣シ ⸢ベー⸣リバ [wa⸢taː⸣ pu̥⸢sun⸣tonnaː ⸢maːʣuŋ⸣ʃi ⸢beː⸣riba] (君たちは一箇所で一緒に居れよ) 15022 0 0 14813 htmvoc_15022.wav プスンヤー プ⸢スン⸣ヤー [pu̥⸢suɲ⸣jaː] 名 よその家。他家。「他人の家」の義。 プ⸢スン⸣ヤヌ ム⸢ヌ⸣トゥ ⸢ドゥーン⸣ヤヌ ム⸢ヌ⸣トー ⸣ビチ ⸣ナシ シ⸢キ⸣リ [pu̥⸢suɲ⸣jaːnu mu⸢nu⸣tu ⸢duːɲ⸣jaːnu mu⸢nu⸣toː ⸣biti ⸣naʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (よその家の物と自分の家の物は区別して<別にして>おけ<おけれ>) 15023 0 0 14814 htmvoc_15023.wav プゾー ⸣プゾー [⸣puʣoː] 名 煙草入れ。刻み煙草をいれる袋。「ほうぞう(宝蔵)」と表記されている『琉歌全集』。女性は\ruby{宝珠}{ホウ|シュ}のような形に\ruby{縫製}{ホウ|セイ}した袋状の煙草入れを持っていたという。細かく刻んだキ⸢ザミタバク[ki⸢ʣamitabaku](刻み煙草)を入れて持ち歩いた。男は、\ruby{木地師}{キ|ジ|シ}が\ruby{轆轤}{ロク|ロ}を用いて木材を筒状に\ruby{刳}{ク}って、蓋付きの煙草入れに作ったものに\ruby[g]{煙管}{キセル}を結わえ、腰に差して持ち歩いた。それにはシ⸢キダ⸣キ[ʃi̥⸢kida⸣ki](マッチ)が内臓され、野良仕事や漁に出ても雨や海水に濡れないように工夫されていた。漁師はこれを⸢ナーブ⸣ク[⸢naːbu⸣ku](縄箱)に入れて持参した。 ⸣アブジェー パ⸢タ⸣ケー ⸢オール⸣バン プ⸢ゾー⸣ヤ ⸢バスコーラン⸣シェン [⸣ʔabuʤeː pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔoːru⸣bam pu⸢ʣoː⸣ja ⸢basu̥koːraŋ⸣ʃeŋ] (お祖父さんは畑へ行かれても煙草入れ<宝蔵>を忘れなさらなかった) フタ 15024 0 0 14815 htmvoc_15024.wav フタ フ⸢タ [ɸu̥⸢ta] 名 ふた(蓋)。板製の鍋蓋や茅製の鍋蓋がある。 ナ⸢ビ⸣ヌ ⸣フタ [na⸢bi⸣nu ⸣ɸu̥ta] (鍋の蓋)。 カ⸢ミ⸣ヌ ⸣フタ [ka⸢mi⸣nu ⸣ɸu̥ta] (甕の蓋)。パ⸢クヌ⸣ フ⸢タ[pḁ⸢kunu⸣ ɸu̥⸢ta](箱の蓋)等がある。ナ⸢カ⸣フタ[na⸢ka⸣ɸu̥ta](中蓋)は芭蕉の葉を使うことが多かった。 ナ⸢ビ⸣ヌ フ⸢タ⸣ カ⸢バ⸣シ [na⸢bi⸣nu ɸu̥⸢ta⸣ ka⸢ba⸣ʃi] (鍋の蓋をし<被せ>なさい)。 ン⸢ブシ⸣ムノー ナ⸢カ⸣フタ ⸢シーバル⸣ ン⸢ブシヤッ⸣サタ [ʔm⸢buʃi⸣munoː na⸢ka⸣ɸu̥ta ⸢ʃiːbaru⸣ ʔm⸢buʃijas⸣sata] (蒸し物は中蓋したほうが<すればぞ>蒸しやすかった) 15025 0 0 14816 htmvoc_15025.wav フタ フ⸢タ [ɸu̥⸢ta] 接頭 ⸢二つ」を意味する接頭語。⸢ケーラ[keːra](回数)には往復の意味が内包される。 フ⸢タケーラ ゲー⸣タン [ɸu̥⸢takeːra geː⸣taŋ] (二度行ったことがある)。フ⸢タムシ⸣ パルン[ɸu̥⸢tamuʃi⸣ paruŋ](二回行く)の⸢ムシ[⸢muʃi](回)は単に出現回数<頻度数>を表す。 フ⸢タナンカ [ɸu̥⸢tanaŋka] (二七日忌) 15026 0 0 14817 htmvoc_15026.wav フタ フ⸢タ [ɸu̥⸢ta] 接頭 そのまま。いちず。ひたすら。専らにすること。「ひた<直>」の転訛したもの。「~ひた土に 足踏み貫き~。万、3295」の転訛したものか。 フ⸢タ⸣キシ ⸢スン [ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃi ⸢suŋ] (普段着にする<ひた着にする>)。 フ⸢タ⸣キシキン [ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃikiŋ] (普段着{EOS}<ずっと着るきもの{EOS}ひた着にする着物>)。 フ⸢タ⸣ニビ ⸢シー⸣ ウ⸢キラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ta⸣nibi ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢kira⸣nu] (そのまま寝たっきりで起きないよ) 15027 0 1 14818 htmvoc_15027.wav フダ ⸣フダ [⸣ɸuda] 名 {Mn_1}機織りの横糸をつむ<紡錘>の管に巻いて抜き取り、シャトル<\ruby{梭}{ヒ}>の内部に装着するもの。 ⸣ペーナ ⸣フダー イ⸢リティル ヌーノー⸣ ウ⸢ル [⸣peːnaː ⸣ɸudaː ʔi⸢ritiru nuːnoː⸣ ʔu⸢ru] (ひ<梭、\ruby{杼}{ヒ}>にフダを入れて布は織るものだ)。 15027 0 2 14819 htmvoc_15027.wav フダ ⸣フダ [⸣ɸuda] 名 {Mn_2}糸繰車のつむ<\ruby{紡錘}{ボウ|スイ}>にさして糸を巻きつける小さいフ⸢ドー⸣シ[ɸu⸢doː⸣ʃi](管)。「~久太(くだ)、管子、同上」『和名抄』の意。 ⸣フダナ ⸣イトゥ マ⸢キ⸣バ [⸣ɸudana ⸣ʔitu ma⸢ki⸣ba] (管に糸を巻きなさいよ) 15028 0 0 14820 htmvoc_15028.wav フダ ⸣フダ [⸣ɸuda] 名 (動)巻貝の一種か。直径1~2ミリのへび貝に似た管状の貝が珊瑚礁などにくっ付いていて、その管の口辺部が鋭い刃をなしている。それを踏みつけると足の裏に円形の切り傷が付いていたむ。それを防ぐためにも潮干狩りに行く際は\ruby[g]{草鞋}{ワラジ}を履く必要があった。「~久太(くだ)、管子、同上」『和名抄』の転訛したもの。 イ⸢ソー⸣ パル ⸣ピンマー ⸣フチ フ⸢マン⸣カー ⸣フダナー ⸣パン ⸢ピッカ⸣リン⸢ダー [ʔi⸢soː⸣ paru ⸣pimmaː⸣ ɸu̥ʧi ɸu⸢maŋ⸣kaː ⸣ɸudanaː ⸣pam ⸢pikka⸣rin⸢daː] (潮干狩りに行く時は草鞋を履かないとフダに足を刺されるよ) 15029 0 0 14821 htmvoc_15029.wav フダ フ⸢ダ [ɸu⸢da] 名 札。 ⸢キー⸣フダ [⸢kiː⸣ɸuda] (木の札)。 タ⸢キフダ [tḁ⸢kiɸuda] (竹製の札)。 ⸢ナーフダ [⸢naːɸuda] (名札)。 ク⸢ヌ キー⸣ヌ フ⸢ダ⸣ナー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ナー⸣ カキ シ⸢キ⸣リ [ku⸢nu kiː⸣nu ɸu⸢da⸣naː ⸢duː⸣nu ⸢naː⸣ kḁki ʃi̥⸢ki⸣ri] (この木の札に自分の名前を書いておきなさい)。 ⸢ナーフダ⸣ ス⸢ク⸣リバ [⸢naːɸuda⸣ su̥⸢ku⸣riba] (名札を作りなさいよ) 15030 0 0 14822 htmvoc_15030.wav フターチ フ⸢ターチ [ɸu̥⸢taːʧi] 名 (数)二つ。二歳。 フ⸢ターチ ミーチェー カーン⸣カー タ⸢ラーサラヌ [ɸu̥⸢taːʧimiːʧeː kaːŋ⸣kaː ta⸢raːsaranu] (二つ三つは買わないと足りない<足らされない>)。 ヤ⸢ラ⸣ベー フ⸢ターチ⸣ ナルカー ⸢ゾー⸣ブンニ ム⸢ヌパナ⸣シ ⸣ナルン [ja⸢ra⸣beː ɸu̥⸢taːʧi⸣ narukaː ⸢ʣoː⸣bunni mu⸢nupana⸣ʃi ⸣naruŋ] (子供は二歳になると十分に<上手に>話し合いができる) 15034 0 0 14823 htmvoc_15034.wav フターチェー フ⸢ターチェー [ɸu̥⸢taːʧeː] 名 双子。 ク⸢ヌ キョーダイ⸣ヤー フ⸢ターチェー⸣ ヤ⸢レー⸣ティル ⸣アイニ ⸢ニーヤー⸠ダー [ku⸢nu kjoːdai⸣jaː ɸu̥⸢taːʧeː⸣ ja⸢reː⸣tiru ⸣ʔaini ⸢niːjaː⸠daː] (この兄弟は双子だから、あんなによく似ているんだよ) 15035 0 0 14824 htmvoc_15035.wav フターチェーッふァ フ⸢ターチェーッふァ [ɸu̥⸢taːʧeːffa] 名 双子。若年層は⸢ター⸣チュー[⸢taː⸣ʧuː](双子)ともいうが、沖縄方言からの借用語であろう。 フ⸢ターチェーッふァヌ⸣ マ⸢レーン⸣ツォー [ɸu̥⸢taːʧeːffanu⸣ ma⸢reːn⸣ʦoː] (双子が生まれたそうだ) 15031 0 0 14825 htmvoc_15031.wav フターチズニ フ⸢ターチズニ [ɸu̥⸢taːʧiʣuni] 名 (海底地名)。 フ⸢ターチズネー⸣ タ⸢カビー⸣ヌ ⸢インタヌ⸣ ス⸢ニ⸣ヌ ⸢イーリキ⸣ナ ⸣アル グ⸢マーグマーヌ⸣ スニ [ɸu̥⸢taːʧiʣuneː tḁ⸢kabiː⸣nu ⸢ʔintanu⸣ su⸢ni⸣nu ⸢ʔiːriki⸣na ⸣ʔaru gu⸢maːgumaːnu⸣ suni] (二つ曽根は、高干瀬の西の曽根の西側にある小さな曽根だ) 15032 0 0 14826 htmvoc_15032.wav フターチフニ フ⸢ターチフニ [ɸu̥⸢taːʧiɸuni] 名 舟(イダフニ)を二艘並べて帆柱で前方のウ⸢シカキ[ʔu⸢ʃikaki](帆柱を立てる梁)と後方の⸣トゥム[⸣tumu](艫)の部分を結わえて固定し、双胴船のようにしたもの。糸満の漁師は、漁期になると沖縄からサバニ(板で接いで造った舟)をフ⸢ターチフニ[ɸu̥⸢taːʧiɸuni]にして鳩間島に渡り、漁期が終了すると舟を鳩間島の人に売って帰ったという。 イ⸢ツマン⸣プソー フ⸢ターチフニ シェー⸣ティル ⸢ヤイマー⸣ バ⸢タローッ⸣タティ⸢ダー [ʔi⸢ʦumam⸣pu̥soː ɸu̥⸢taːʧiɸuni ʃeː⸣tiru ⸢jaimaː⸣ ba⸢taroːt⸣tati⸢daː] (糸満の人はフターチフニをして八重山へ渡られたそうだよ) 15033 0 0 14827 htmvoc_15033.wav フターチマキ フ⸢ターチマキ [ɸu̥⸢taːʧimaki] 名 つむじ(旋毛)の二重巻き。ピ⸢ジ⸣ル[pi⸢ʤi⸣ru](\ruby{SqBr}g{/SqBr}{旋毛}{ツムジ})が二つあるもの。 フ⸢ターチマキヌ⸣ アル ッ⸢ふァー⸣ ヤ⸢マン⸣グ ヤ⸢ルンドゥ マイフナーン⸣ マ⸢ルン⸣ティ ア⸢ザリ ブー [ɸu⸢taːʧimakinu⸣ ʔaru f⸢faː⸣ ja⸢maŋ⸣gu ja⸢rundu maiɸunaːm⸣ ma⸢run⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (頭髪に二重巻き\ruby{SqBr}g{/SqBr}{旋毛}{ツムジ}のある子は腕白坊主だ<怒りっぽい>が、成長して立身出世するとも言われている) 15036 0 0 14828 htmvoc_15036.wav フタール フ⸢タール [ɸu̥⸢taːru] 名 (数)二人。 ⸣カマーラ フ⸢タールプスヌ⸣ クーン [⸣kamaːra ɸu̥⸢taːrupusunu⸣ kuːŋ] (向こうから二人の人が来る)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ フ⸢タール⸣シ ⸢スー⸣カー ⸣プスイシ ⸣ナルン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ⸣pu̥suiʃi ⸣naruŋ] (この仕事は、二人でしたら一日で出来る)。 フ⸢タールヌ⸣ ナカー ⸢カイ⸣ヤン [ɸu̥⸢taːrunu⸣ nakaː ⸢kai⸣jaŋ] (二人の仲はきれい<仲良し>) 15037 0 0 14829 htmvoc_15037.wav フタールヌウヤ フ⸢タールヌ⸣ ウヤ [ɸu̥⸢taːrunu⸣ ʔuja] 連 二人の親。両親。 フ⸢タールヌ⸣ ウヤー ⸢ガン⸣ゾー ア⸢ロー⸣ルン [ɸu̥⸢taːrunu⸣ ʔujaː ⸢gan⸣ʣoː ʔa⸢roː⸣ruŋ] (両親は達者<頑丈>であられる) 15038 0 0 14830 htmvoc_15038.wav フタールミツァール フ⸢タールミツァール [ɸu̥⸢taːrumiʦaːru] 名 (数)二、三人。 ⸢ウン⸣ネナー ビ⸢コーンッふァー⸣ フ⸢タールミツァール⸣ ブ⸢リブタ⸠ナー [⸢ʔun⸣nenaː bi⸢koːŋffaː⸣ ɸu̥⸢taːrumiʦaːru⸣ bu⸢ributa⸠naː] (あの家には男の子は二、三人いた<二、三人居りおった>ねえ) 15039 0 0 14831 htmvoc_15039.wav フタイ フ⸢タイ [ɸu̥⸢tai] 名 ひたい(額)。「~ヒタヒ、カシラノカハラ」『類聚名義抄』の転訛したもの。タ⸢カ⸣フタイ[tḁ⸢ka⸣ɸu̥tai](おでこ{EOS}「高額」の義)、⸢ガッ⸣パイ[⸢gap⸣pai](おでこ{EOS}高く出た額の卑語)ともいう。 フ⸢タイヌ⸣ パギティ パ⸢ギ⸣フタイ ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢tainu⸣ pagiti pa⸢gi⸣ɸu̥tai ⸣nari ⸢naː⸣nu] (額が禿げ上がって禿げ額になってしまった)。 ウ⸢ブ⸣フタイプソー ⸢ブンダーッ⸣サン [ʔu⸢bu⸣ɸu̥taipusoː ⸢bundaːs⸣saŋ] (大きな額の人は重々しい感じがする) 15040 0 0 14832 htmvoc_15040.wav フタイツァカカン フ⸢タイツァカカン [ɸu̥⸢taiʦakakaŋ] 名 古典舞踊で着用する女性用下着のコスチューム(衣装)。ふたぬの(二布)で縫製された腰巻の一種。 パ⸢トゥ⸣マナカムレー フ⸢タイツァカカンヌ ウイラ⸣ タ⸢ナシバ⸣ キ⸢シティル⸣ ブ⸢ドゥル ソーッ⸣タ⸢ナー [pḁ⸢tu⸣manakamureː ɸu̥⸢taiʦakakannu ʔuira⸣ ta⸢naʃiba⸣ ki̥⸢ʃitiru⸣ bu⸢duru soːt⸣ta⸢naː] (鳩間中岡節の踊はカカンの上からタナシ<田無{EOS}一重の打ち掛け>を着て踊をされたのだったよねえ)。ピ⸢キマー⸣サー[pi̥⸢kimaː⸣saː]ともいう 15041 0 0 14833 htmvoc_15041.wav フタイビ フ⸢タ⸣イビ [ɸu̥⸢ta⸣ʔibi] 名 じかまき(直播)。種子を直接田畑に播いてそのまま生育させる農法。「直接植え」の義。マ⸢タイビ[ma⸢taʔibi](植え替え{EOS}「また植え」の義)は、一度植えたものが枯れたり、発芽しなかったりした際に植え替えすること。播種して苗に育てて他の田畑に植え代えることを、⸣ヤトゥーン[⸣jatuːŋ](移植する)という。 ⸢ムン⸣トゥ ⸣マミンドーレー パ⸢タ⸣キナ ⸣マキティ フ⸢タ⸣イビ ⸢ソーッ⸣タ⸢ナー [⸢mun⸣tu ⸣mamindoːreː pḁ⸢ta⸣kina ⸣makiti ɸu̥⸢ta⸣ʔibi ⸢soːt⸣ta⸢naː] (麦と豆などは、畑に播いて<直播して>植えられたねえ)。 カ⸢ブッチトゥ⸣ シ⸢ブロー⸣ フ⸢タ⸣イビ ⸢サンドー⸣シ ⸢ナイ⸣バ ヤトゥイ⸢ヨーッ⸣タ [ka⸢butʧitu⸣ ʃi⸢buroː⸣ ɸu̥⸢ta⸣ibi ⸢sandoː⸣ʃi ⸢nai⸣ba jatui⸢joːt⸣ta] (南瓜と冬瓜は直播しないで、苗を移植された) 15042 0 0 14834 htmvoc_15042.wav フタイヤーマ フ⸢タイヤー⸣マ [ɸu̥⸢taijaː⸣ma] 名 小さな額。貧相な額。 ⸢ヨーガルター⸣ フ⸢タイヤー⸣マ ⸣ナリ ⸢アーク⸣バン [⸢joːgarutaː⸣ ɸu̥⸢taijaː⸣ma ⸣nari ⸢ʔaːku⸣baŋ] (痩せたので貧相な額になっているわい) 15043 0 0 14835 htmvoc_15043.wav フダイリ フ⸢ダイリ [ɸu⸢dairi] 名 投票。札入れ。 ⸢ワー⸣ フ⸢ダイレー⸣ シ⸢マシェン [⸢waː⸣ ɸu⸢daireː⸣ ʃi⸢maʃeŋ] (君は、投票は済ませたか) 15044 0 0 14836 htmvoc_15044.wav フダイルン フ⸢ダ⸣ イ⸢ルン [ɸu⸢da⸣ ʔi⸢ruŋ] 連 投票する。「札を入れる」の義。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ク⸢ミヤイチョー⸣ヤ ⸢ター⸣ナ フ⸢ダ⸣ イ⸢ルワー [⸢kundu⸣nu ku⸢mijaiʧoː⸣ja ⸢taː⸣na ɸu⸢da⸣ ʔi⸢ruwaː] (今度の組合長<選挙で>は誰に投票する<誰に札を入れる>か) 15045 0 0 14837 htmvoc_15045.wav フタウシキ フ⸢タウシ⸣キ [ɸu̥⸢taʔuʃi̥⸣ki] 名 強引に押し付けること。無理に押し付けること。 ム⸢カシ⸣ヌ ミ⸢ドゥ⸣モー ⸣ウヤン フ⸢タウシ⸣キ シ⸢ラリティル⸣ ユ⸢ミ⸣ ナリ ⸢パッ⸣タ [mu⸢kaʃi⸣nu mi⸢du⸣moː ⸣ʔujaŋ ɸu̥⸢taʔuʃi̥⸣ki ʃi⸢raritiru⸣ ju⸢mi⸣ nari ⸢pat⸣ta] (昔の女性は親に強引に押し付けられて嫁いで<嫁になって>いったものだ) 15046 0 0 14838 htmvoc_15046.wav フタウヤ フ⸢タウヤ [ɸu̥⸢taʔuja] 名 両親。「ふたおや(二親)」の義。 ⸢アーヤ⸣トゥ ⸣アボー フ⸢タウヤ⸣ カナイ⸢ヨー⸣リ マー⸢タキ⸣ パ⸢タラコー⸣ルンダ キ⸢ナイヤー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ユ⸢チ⸣ク [⸢ʔaːja⸣tu ⸣ʔaboː ɸu̥⸢taʔuja⸣ kanai⸢joː⸣ri maː⸢taki⸣ pḁ⸢tarakoː⸣runda ki⸢naijaː⸣ ʔik⸢kena⸣ ju⸢ʧi⸣ku] (お父さんとお母さんの両親が健在で<適って>同等に働かれるから、家庭は非常に裕福である) 15047 0 0 14839 htmvoc_15047.wav フタカサビ フ⸢タカサビ [ɸu̥⸢takasabi] 名 二重。二つ重ねること。ふたかさね。 フ⸢ヨー ピー⸣ヤンダ ⸢キン⸣マー フ⸢タカサビ シー⸣ キ⸢サン⸣カー ク⸢バリ⸣ス [ɸu⸢joː piː⸣janda ⸢kim⸣maː ɸu̥⸢takasabi ʃiː⸣ ki̥⸢saŋ⸣kaː ku⸢bari⸣su] (冬は寒いから、着物はふたかさねにして着ないと凍える) 15048 0 0 14840 htmvoc_15048.wav フタキシキン フ⸢タ⸣キシキン [ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃikiŋ] 名 普段着。常時着る着物。平常服。\ruby{常住着}{ジョウ|ジュウ|ギ}。着たっきりの着物。「一着だけを着続ける着物」の義。接頭語⸣フタ[⸣ɸu̥ta](いちず{EOS}専ら~{EOS}そのまま~{EOS}継続して~{EOS}日常的に続けて~)は「ひた(直)」の転訛した接頭語で、動詞の連用形に上接したもの。 ク⸢レー ワー⸣ フ⸢タ⸣キシキン ⸣ナシバ [ku⸢reː waː⸣ ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃikin ⸣naʃiba] (これは君の着たきりの普段着にしなさいよ)。 フ⸢タ⸣キシキンシェー ⸣ヨイ ⸢シンマー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ɸu̥⸢ta⸣kiʃikiŋʃeː ⸣joi ⸢ʃimmaː⸣ pa⸢rara⸣nu] (普段着では祝儀の座敷に<お祝いをしに>は行けない) 15049 0 0 14841 htmvoc_15049.wav フタキナ フ⸢タ⸣キナ [ɸu̥⸢taki⸣na] 副 直ちに。直ぐに。ただちに(直ちに)。すぐさま。さっそく。若年層は、フ⸢タケ⸣ナ[ɸu̥⸢take⸣na](すぐさま)ともいう。 ⸢イー⸣ ッふァイティ フ⸢タキ⸣ナ ニ⸢ブ ムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ ffaiti ɸu̥⸢taki⸣na ni⸢bu munoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (ご飯を食べてすぐさま寝るものではない) 15051 0 0 14842 htmvoc_15051.wav フタキム フ⸢タキム [ɸu̥⸢takimu] 名 ふたごころ(二心)。裏切りの心。若年層はフ⸢タグクル[ɸu̥⸢tagukuru](二心)ともいう。 ⸢ワーラ⸣ フカナー フ⸢タキム⸣ ムトゥ ⸣バー(ヤ) ア⸢ラン⸠ダー [⸢waːra⸣ ɸu̥kanaː ɸu̥⸢takimu⸣ mutu ⸣baː(ja) ʔa⸢ran⸠daː] (君より他に愛する人をつくるような、二心を持つ私ではないよ) 15052 0 0 14843 htmvoc_15052.wav フタグクル フ⸢タグクル [ɸu̥⸢tagukuru] 名 二心。 フ⸢タグクルヌ⸣ アル プ⸢ソー シンヨー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ɸu̥⸢tagukurunu⸣ ʔaru pu̥⸢soː ʃiɲjoː⸣ na⸢ra⸣nu] (二心のある人は信用できない) 15050 0 0 14844 htmvoc_15050.wav フタケナ フ⸢タケ⸣ナ [ɸu̥⸢take⸣na] 副 直ちに。直ぐに。すぐさま。さっそく。 ⸢ガッ⸣コーラ ⸢カイ⸣リ ⸣クーカー フ⸢タケ⸣ナ パ⸢タ⸣ケー クー⸢ヨー [⸢gak⸣koːra ⸢kai⸣ri ⸣kuːkaː ɸu̥⸢take⸣na pḁ⸢ta⸣keː kuː⸢joː] (学校から帰ってきたら、すぐ畑に来なさいね<来いよ>) 15053 0 0 14845 htmvoc_15053.wav フタサバン フ⸢タサバン [ɸu̥⸢tasabaŋ] 名 蓋付きの茶碗。 ⸢ウイ⸣プソー フ⸣タサバン⸣ナー ⸢サー⸣ヤ ⸢サイティ ピーラサン⸣ドーシ ⸢ヨーンナール⸣ ヌ⸢モーッ⸣タ [⸢ʔui⸣pu̥soː ɸu̥⸣tasaban⸣naː ⸢saː⸣ja ⸢saiti piːrasan⸣doːʃi ⸢joːnnaːru⸣ nu⸢moːt⸣ta] (老人は蓋付きの茶碗にお茶を注いで、冷まさないでゆっくりと飲まれた) 15055 0 1 14846 htmvoc_15055.wav フタシゥカイ フ⸢タ⸣シゥカイ [ɸu̥⸢ta⸣sï̥kai] 名 {Mn_1}常用すること。持続的に使用すること。 カ⸢ミ⸣ヌ ミ⸢ジェー⸣ フ⸢タシゥカイ⸣ユー ⸢シー⸣バ [ka⸢mi⸣nu mi⸢ʤeː⸣ ɸu̥⸢tasï̥kai⸣juː ⸢ʃiː⸣ba] (水瓶の水は日常使用する水にしなさいよ)。 15055 0 2 14847 htmvoc_15055.wav フタシゥカイ フ⸢タ⸣シゥカイ [ɸu̥⸢ta⸣sï̥kai] 名 {Mn_2}使用人として使うこと。下男、下女として奉公させること。 キ⸢ナイヌ クー⸣ワティ ナー⸢イ⸣ プ⸢スン⸣ヤーナ フ⸢タ⸣シゥカイ シ⸢ラリベー [ki⸢nainu kuː⸣wati naː⸢ji⸣ pu̥⸢suɲ⸣jaːna ɸu̥⸢ta⸣sï̥kai ʃi⸢rari beː] (家庭が貧しいので、ずっと余所の家で使用人として使われている) 15054 0 0 14848 htmvoc_15054.wav フタシジ フ⸢タシジ [ɸu̥⸢taʃiʤi] 名 二粒。 ⸣マメー シン⸢トゥ⸣ フ⸢タシジル⸣ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー [⸣mameː ʃin⸢tu⸣ ɸu̥⸢taʃiʤiru⸣ nu⸢ka⸣ri ⸢beː] (豆はたった二粒しか残ってない<二粒がぞ残っている>) 15056 0 0 14849 htmvoc_15056.wav ブダッカルン ブ⸢ダッカルン [bu⸢dakkaruŋ] 自動 飛び上がる。飛び跳ねる。 サ⸢ニ⸣ヤンダ ブ⸢ダッカルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢パン⸣ヌ ⸣ヤミティ ブ⸢ダッカララヌ [sa⸢ni⸣janda bu⸢dakkarunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢pan⸣nu ⸣jamiti bu⸢dakkararanu] (嬉しいから飛び上がろうと思うが、足が痛くて飛び上がられない)。 ブ⸢ダッカリ⸣ ミサカー ブ⸢ダッカル⸣ クトー ⸣ナ⸢リ⸣スバ ⸢マー⸣ビン ブ⸢ダッカレー⸣ ミサムヌ [bu⸢dakkari⸣ misakaː bu⸢dakkaru⸣ ku̥toː na⸢ri⸣suba ⸢maː⸣bim bu⸢dakkareː⸣ misamunu] (飛び上がってよければ飛び上がることはできるから、もっと飛び上がればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ブ⸢ダッカリ [⸢paː⸣ku bu⸢dakkari] (早く飛び上がれ) 15057 0 0 14850 htmvoc_15057.wav フタッチン フ⸢タッチン [ɸu̥⸢tatʧiŋ] 名 (数)二つ。二個。二粒。粒状のものを数えるのに用いる語。「二粒」の義か。 プ⸢ス⸣ケンシ フ⸢タッチンナー⸣ フ⸢チ⸣ル ヌ⸢ミ⸣シタ [pu̥⸢su⸣keŋʃi ɸu̥⸢tatʧinnaː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru nu⸢mi⸣ʃi̥ta] (一度に二粒ずつ薬を飲んだ) 15058 0 1 14851 htmvoc_15058.wav フダッツメー フ⸢ダッツメー [ɸu⸢datʦumeː] 名 {Mn_1}(動)ヤモリ(守宮)。 ヤ⸢マトゥ⸣プソー フ⸢ダッツメーヌ⸣ キー ナ⸢キバン⸣ ウ⸢バイソーッ⸣タ [ja⸢matu⸣pu̥soː ɸu⸢datʦumeːnu⸣ kiː na⸢kibaŋ⸣ ʔu⸢baisoːt⸣ta] (本土の人<大和人>はヤモリが出てきて鳴いても怖がりなさった)。 15058 0 2 14852 htmvoc_15058.wav フダッツメー フ⸢ダッツメー [ɸu⸢datʦumeː] 名 {Mn_2}家の外に出ない人。\ruby{引籠}{ヒキ|コ}もりの人。 ウ⸢レー⸣ フ⸢ダッツメー⸣ ナリティ ⸢ヤー⸣ラ ⸣フカー ン⸢ジラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu⸢datʦumeː⸣ nariti ⸢jaː⸣ra ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤira⸣nu] (彼は引籠もり<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{守宮}{ヤモリ}>になって、家の外に出ない) 15059 0 1 14853 htmvoc_15059.wav フタティー フ⸢タティー [ɸu̥⸢tatiː] 名 {Mn_1}両手。両腕。カ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手)の対義語。 フ⸢タティー⸣シ ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サミベー [ɸu̥⸢tatiː⸣ʃi git⸢ti⸣ kḁ⸢sami beː] (両手でぎゅっと掴んでいる)。 15059 0 2 14854 htmvoc_15059.wav フタティー フ⸢タティー [ɸu̥⸢tatiː] 名 {Mn_2}両方の水桶。 プ⸢スカタ⸣ミ [pu̥⸢sukata⸣mi] (いっか<一荷>)。 ⸢タン⸣グ フ⸢タティー⸣シル プ⸢スカタ⸣ミティ ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢taŋ⸣gu ɸu̥⸢tatiː⸣ʃiru pu̥⸢sukata⸣miti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (水桶両手<2つ>で一荷<一担ぎ{EOS}一人の肩に担える分量>といわれた) 15060 0 0 14855 htmvoc_15060.wav フタディル フ⸢タディル [ɸu̥⸢tadiru] 名 弁当を入れる\ruby{蓋付}{フタ|ツキ}の\ruby{笊}{ザル}。蓋付きの\ruby{籠}{カゴ}。⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](トウヅルモドキ)の皮で編みあげた蓋付きの笊。畑や海へ行く際に持参した。また、日帰りで⸢パイ⸣ター[⸢pai⸣taː](南端、西表島北部の水田地帯)へ田仕事で行く際もそれを持参した。「蓋笊」の義。⸢ウンヌ⸣イー[⸢ʔunnu⸣ʔiː](芋を煮て\ruby{捏}{コ}ねてボール状に握ったお握り)や、カ⸢ティ⸣ムヌ[kḁ⸢ti⸣munu](御数{EOS}菜{EOS}副食物)などを入れておくのに用いた。冷蔵庫のなかった時代には、この蓋付きの笊に食物を入れて風通しのよい木陰の枝に吊るしておくと、食品は長持ちできたし、蝿などの昆虫が付くこともなく、衛生的に食品を保存し、運搬することができた。 フ⸢タディル⸣ナー ⸢ウンヌ⸣イー イ⸢リティ⸣ パ⸢タ⸣ケー ムティ ⸢パッ⸣タ [ɸu̥⸢tadiru⸣naː ⸢ʔunnu⸣ʔiː ʔi⸢riti⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸣muti⸢pat⸣ta] (蓋付きの笊に芋のお握りを入れて畑へ持っていった) 15061 0 0 14856 htmvoc_15061.wav フタトゥシ フ⸢タトゥシ [ɸu̥⸢tatuʃi] 名 二年。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ フ⸢タトゥシ⸣ カ⸢カリ⸣ル トゥ⸢ズミラ⸣リ⸢ナー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ɸu̥⸢tatuʃi⸣ kḁ⸢kari⸣ru tu⸢ʣumira⸣ri⸢naː] (この仕事は二年かかって完成することが出来るねえ) 15062 0 0 14857 htmvoc_15062.wav フタナイラ フ⸢タナイラ [ɸu̥⸢tanaira] 副 二人で代わる代わる。 トゥ⸢ジブトゥ⸣ フ⸢タナイラ⸣シ ッ⸢ふァ⸣ イ⸢ズムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [tu⸢ʤibutu⸣ ɸu̥⸢tanaira⸣ʃi f⸢fa⸣ ʔi⸢ʣumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (夫婦二人で代わる代わるに子供を叱るものではない) 15063 0 1 14858 htmvoc_15063.wav フタナカ フ⸢タナカ [ɸu̥⸢tanaka] 名 {Mn_1}二つのものの間。あいなか(相中)。 ⸣アボートゥ ⸢アーヤー⸣ヌ フ⸢タナカ⸣ナー ギュ⸢タールヌ⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ニ⸢バサリラ [⸣ʔaboːtu ⸢ʔaːjaː⸣nu ɸu̥⸢tanaka⸣naː gju⸢taːrunu⸣ f⸢fanu⸣ ni⸢basarira] (お母さんとお父さんの間に、一体何人の子供が寝せつけられるものかねえ)。 マ⸢ユヌ⸣ フ⸢タナカー⸣ シ⸢カマサンドー⸣シ サ⸢ニーサニー⸣シ パ⸢ナ⸣シバ [ma⸢junu⸣ ɸu̥⸢tanakaː⸣ ʃi̥⸢kamasandoː⸣ʃi sa⸢niːsaniː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃiba] (\ruby{眉間}{ミ|ケン}をしかめ<\ruby{顰}{シカ}め>ないで\ruby{嬉}{ウレ}しそうに話しなさいよ)。 15063 0 2 14859 htmvoc_15063.wav フタナカ フ⸢タナカ [ɸu̥⸢tanaka] 名 {Mn_2}母屋と炊事小屋の間。 フ⸢タナカ⸣ナー ミ⸢ジカミ⸣ ビ⸢シ⸣ シケー [ɸu̥⸢tanaka⸣naː mi⸢ʤikami⸣ bi⸢ʃi⸣ ʃi̥keː] (母屋と炊事小屋の間に水甕を据えつけて<座らせて>ある) 15064 0 0 14860 htmvoc_15064.wav フタナンカ フ⸢タナンカ [ɸu̥⸢tanaŋka] 名 二七日忌。人の死後14日目に執り行われる法事。 フ⸢タナンカトゥ ユーナンカ ムーナンカーヤ⸣ ドゥーマーラシ ⸢シーティ⸣ ヌ⸢カ⸣ロー ウ⸢トゥザマリーン⸣ シゥ⸢カシティ ソーッ⸣タツォー [ɸu̥⸢tanaŋkatu juːnaŋka muːnaŋkaːja⸣ duːmaːraʃi ⸢ʃiːti⸣ nu⸢ka⸣roː ʔu⸢tuʣamarin⸣ sï̥⸢kaʃiti soːt⸣taʦoː] (二七日忌と四七日忌、六七日忌は身内でやって、残りは親戚も案内してされたそうだ) 15065 0 0 14861 htmvoc_15065.wav フタニバシ フ⸢タニバ⸣シ [ɸu̥⸢taniba⸣ʃi] 名 直接醗酵。こうじ(麹)をしたてる際に、原料の米や大豆などを蒸して筵などに広げ、そのまま醗酵させること。「そのまま寝かせ」の義。マ⸢タニバシ[ma⸢tanibaʃi](「又度寝かせ」の義{EOS}盛り上げてある程度醗酵させた後、更に原料を加えて広げて醗酵させること)の対義語。 ⸢コージェー⸣ バ⸢ラフ⸣タシ ウ⸢スイ⸣ カ⸢バ⸣シティ フ⸢タニバ⸣シ ⸢シー⸣ シケー [⸢koːʤeː⸣ ba⸢raɸu̥⸣taʃi ʔu⸢sui⸣ ka⸢ba⸣ʃi̥ti ɸu̥⸢taniba⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (麹は稲藁で覆い被せて、直接醗酵させて<そのまま寝かせて>おいてある) 15066 0 0 14862 htmvoc_15066.wav フタニビ フ⸢タニビ [ɸu̥⸢tanibi] 名 二度寝。一度目覚めた後に、もう一度寝ること。 ⸣ユベー ⸢ビー⸣プスン ウ⸢コーサ⸣リティ フ⸢タニビ シーティル⸣ ア⸢サ⸣ニビ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸣jubeː ⸢biː⸣pu̥suŋ ʔu⸢koːsa⸣riti ɸu̥⸢tanibi ʃiːtiru⸣ ʔa⸢sa⸣nibi ⸢ʃiː naː⸣nu] (昨夜は酔っぱらいに起こされて、二度寝したので<してぞ>朝寝坊してしまった) 15067 0 0 14863 htmvoc_15067.wav フタニビ フ⸢タ⸣ニビ [ɸu̥⸢ta⸣nibi] 名 寝続けること。寝たきり~。 シ⸢トゥム⸣ティ イ⸢ガメーラ カイ⸣リ ⸣キーティ ニ⸢ブタター⸣ナ フ⸢タニ⸣ビ ⸢シーティ⸣ ウ⸢キラ⸣ヌ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ʔi⸢gameːra kai⸣ri ⸣kiːti ni⸢butataː⸣na ɸu̥⸢ta⸣nibi ⸢ʃiːti⸣ ʔu⸢kira⸣nu] (朝、イカ釣り漁から帰ってきて寝たまま寝たきりで起きない) 15068 0 0 14864 htmvoc_15068.wav フダニン ⸣フダニン [⸣ɸudaniŋ] 名 納税義務者(満十五歳から五十歳の人)。琉球国時代に満十五歳になると一人前として納税の義務を負わされ、田地の配分を受ける権利を有した人。村の祭祀行事にも一人前の人間として参加した。「札人」の義か。⸢Fuda.フダ(札) 禁制のこととか人々の名前とかなどを書きつける小さな板」『邦訳日葡辞書』や書状などによって役所から通知された人。 ⸢ニントーゼイ⸣ヌ ジ⸢ダイヤー ズン⸣グ ⸣ナルカー ⸣フダニン ⸣ナリ ウ⸢ブプス⸣トゥ ⸢マータキ グイ⸣フゾーノー カ⸢タミ⸣ソーッタツォー [⸢nintoːʤei⸣nu ʤi⸢daijaː ʣuŋ⸣gu ⸣narukaː ⸣ɸudanin ⸣nari ʔu⸢bupusu⸣tu ⸢maːtaki gui⸣ɸuʣoːnoː kḁ⸢tami⸣sottaʦoː] (人頭税の時代には、十五歳になると札人<納税義務者>となって、大人と同じく税金<御庸布・上納>を負担された<担がれた>そうだ) 15069 0 0 14865 htmvoc_15069.wav フタヌナーンジンパク フ⸢タヌ ナー⸣ン ⸢ジン⸣パク [ɸu̥⸢tanu naː⸣n ⸢ʤim⸣paku] 連 豚便所。「蓋のない銭箱」の義。諺。戦前までは主婦は豚便所で養豚していた。肥育した豚を売って金を儲けたので、豚便所を比喩的に「蓋のない銭箱」と表現した。 フ⸢タヌ ナー⸣ン ⸢ジン⸣パコーラル ミ⸢ドゥム⸣ヌ ワ⸢タクサー⸣ヤ ⸢モーキ⸣ルティ ⸣ムカーヤ [ɸu̥⸢tanu naː⸣n ⸢ʤim⸣pakoːraru mi⸢dumu⸣nu wa⸢takusaː⸣ja ⸢moːki⸣ruti ⸣mukaːja] (蓋のない銭箱<養豚をして>から<ぞ>女はへそくりがね<臍繰り金>を儲けるというものだよ) 15070 0 0 14866 htmvoc_15070.wav フタバーキ フ⸢タバーキ [ɸu̥⸢tabaːki] 名 (数)竹製\ruby{笊}{ザル}の二杯分の量。「二笊」の義。 イ⸢ガー⸣ フ⸢タバーキ ホー⸣ソーレーン [ʔi⸢gaː⸣ ɸu̥⸢tabaːki hoː⸣soːreːŋ] (烏賊を笊の二杯分釣ってこられた) 15071 0 0 14867 htmvoc_15071.wav フタバキ フ⸢タバキ [ɸu̥⸢tabaki] 名 二分すること。両分すること。「二分け」の義。 ⸢ターパタ⸣ケー ⸢ベー⸣ フ⸢タール⸣シ ⸢マータキナー⸣ フ⸢タバキ シー⸣ ス⸢ク⸣ラナー [⸢taːpata⸣keː ⸢beː⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸢maːtakinaː⸣ ɸu̥⸢tabaki ʃiː⸣ su̥⸢ku⸣ra⸢naː] (田畑はわれわれ二人で等分に二分して耕作しよう<作ろう>ねえ) 15072 0 0 14868 htmvoc_15072.wav フタバリ フ⸢タバリ [ɸu̥⸢tabari] 名 二つ割り。真っ二つに割ること。 ク⸢レー⸣ フ⸢タバリ ミーバリ⸣ ナ⸢サバ⸣ル ッ⸢ふァイヤッ⸣サー [ku⸢reː⸣ ɸu̥⸢tabari miːbari⸣ na⸢saba⸣ru f⸢faijas⸣saː] (これは二つ割、三つ割りにした方が食べやすい) 15073 0 0 14869 htmvoc_15073.wav フタパリ フ⸢タ⸣パリ [ɸu̥⸢ta⸣pari] 名 行ったきり。行ったきり戻らないこと。 ウ⸢レー パッ⸣タ ⸢ター⸣ナ フ⸢タ⸣パリ ⸢シー⸣ ム⸢ドゥラ⸣ヌ [ʔu⸢reː pat⸣ta ⸢taː⸣na ɸu̥⸢ta⸣pari ⸢ʃiː⸣ mu⸢dura⸣nu] (彼は行ったきり<行ったまま>戻らない) 15074 0 0 14870 htmvoc_15074.wav フタパン フ⸢タパン [ɸu̥⸢tapaŋ] 名 両足。両脚。カ⸢タ⸣パン[kḁ⸢ta⸣paŋ](片足)の対義語。 ⸢ワー⸣ フ⸢タパン⸣ カナイ ⸢ブームヌ⸣ ア⸢ラカラン⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waː⸣ ɸu̥⸢tapaŋ⸣ kanai ⸢buːmunu⸣ ʔa⸢rakaraŋ⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (君は両足が揃って健康だのに、歩けないことはない) 15075 0 0 14871 htmvoc_15075.wav フタピサヤー フ⸢タピサヤー [ɸu̥⸢tapi̥sajaː] 名 切妻屋根。棟を境に両方に流れを持つ屋根、切破風の屋根。「二平屋」の義。「Catafira.カタヒラ(片平)家の屋根の流れの片側」『邦訳日葡辞書』の両面のこと。 ⸢パイタ⸣ヌ⸢ターヤー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ フ⸢タピサヤー ヤッタ [⸢paita⸣nu ⸢taːjaː⸣ja muː⸢ru⸣ ɸu̥ta⸢tapisajaː ⸢jatta] (\ruby{南端}{ハイ|バタ}の田圃小屋は皆二平屋<切妻屋根>だった) 15076 0 0 14872 htmvoc_15076.wav フタヒル フ⸢タヒル [ɸu̥⸢taçiru] 名 二尋。フ⸢タイル[ɸu̥⸢tairu](二尋)ともいう。 ⸢インヌカーヌ⸣ シ⸢ルヌ⸣ シナー フ⸢タヒル⸣シェー タ⸢ラーヌ [⸢ʔinnukaːnu⸣ ʃi⸢runu⸣ ʃinaː ɸu̥⸢taçiru⸣ʃeː ta⸢raːnu] (西村井戸の釣瓶の綱は二尋では足りない) 15077 0 1 14873 htmvoc_15077.wav フタマタ フ⸢タマタ [ɸu̥⸢tamata] 名 {Mn_1}二股。もとが一つで、末が二つに分かれたもの。 ク⸢ヌ キー⸣ヌ ユ⸢ダー⸣ フ⸢タマター⸣ ナリ ⸢ブー [ku⸢nu kiː⸣nu ju⸢daː⸣ ɸu̥⸢tamataː⸣ nari ⸢buː] (この木の枝は二股になっている)。 15077 0 2 14874 htmvoc_15077.wav フタマタ フ⸢タマタ [ɸu̥⸢tamata] 名 {Mn_2}二股の鍬。 フ⸢タマタカナパイヤー⸣ イ⸢シジーパタキナー⸣ル シゥ⸢カウ [ɸu̥⸢tamatakanapaijaː⸣ ʔi⸢ʃiʤiːpatakinaː⸣ru sï̥⸢kau] (二股の鍬は石ころの多い畑<石地畑>で<ぞ>使う) 15078 0 1 14875 htmvoc_15078.wav フタマタカキルン フ⸢タマタ⸣ カ⸢キ⸣ルン [ɸu̥⸢tamata⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ] 連 {Mn_1}ふたまた(二股)をかける。同時に二つの物事を達成しようとする。 フ⸢タマタ⸣ カ⸢キ⸣ル ア⸢キ⸣ナイン ⸢スーユンダ⸣<⸢スンダ⸣> イッ⸢ケナ モーキ⸣ルンツォー [ɸu̥⸢tamata⸣ kḁ⸢ki⸣ru ʔa⸢ki⸣nain ⸢suːjunda⸣<⸢sunda⸣> ʔik⸢kena moːki⸣runʦoː] (二股に掛ける商売もするから非常に儲けるそうだ)。 15078 0 2 14876 htmvoc_15078.wav フタマタカキルン フ⸢タマタ⸣ カ⸢キ⸣ルン [ɸu̥⸢tamata⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ] 連 {Mn_2}あちらに付き、こちらに付きして\ruby{去就}{キョ|シュウ}が定まらないこと。態度をはっきり示さないこと。 ユ⸢ミ⸣ クイン ⸢ゲータン⸣ドゥ フ⸢タマタ⸣ カ⸢キラ⸣リ ブ⸢リン⸣ギサリ ⸢ダーッ⸣サル ⸢ピントーヤ ナーン⸣シェンツォー [ju⸢mi⸣ kuiŋ ⸢geːtan⸣du ɸu̥⸢tamata⸣ kḁ⸢kira⸣ri bu⸢riŋ⸣gisari ⸢daːs⸣saru ⸢pintoːja naːŋ⸣ʃenʦoː] (嫁を貰いに行ったが、二股を掛けられているらしく、よい返事はなかったそうだ) 15079 0 0 14877 htmvoc_15079.wav フタマタミチ フ⸢タマタミチ [ɸu̥tamatamiʧi] 名 二本に分かれた道。分かれ道。二股道。三叉路。 フ⸢タマタミチェーラ ニーレー マール⸣カー ニ⸢シ⸣ドー ⸣ンジ ピ⸢ダ⸣レー ⸢マール⸣カー ヤ⸢ラヌ⸣ パマール ン⸢ジ⸣ル [ɸu̥⸢tamatamiʧeːra niːreː maːru⸣kaː ni⸢ʃi⸣doː ⸣ʔnʤi pi⸢da⸣reː ⸢maːru⸣kaː ja⸢ranu⸣ pamaːru ʔn⸢ʤi⸣ru] (二股道から右へ回ると西堂へ出、左へ回ると屋良の浜へ<ぞ>出る) 15080 0 0 14878 htmvoc_15080.wav フダマリ フ⸢ダマリ [ɸu⸢damari] 名 \ruby{神託}{シン|タク}を告げること。\ruby{託宣}{タク|セン}。\ruby{神懸}{カミ|ガカリ}して神託を告げること。 フ⸢ダマレー⸣ ター⸢ンターンマー⸣ サ⸢ヌ⸣ サーダカマリヌ プ⸢スヌル スー [ɸu⸢damareː⸣ taː⸢ntaːmmaː⸣ sa⸢nu⸣ saːdakamarinu pu̥⸢sunuru suː] (神懸り<神懸りして神託を述べること>は誰も彼もはしない{EOS}セジ高生まれの人がするのだ) 15081 0 0 14879 htmvoc_15081.wav フダマルン フ⸢ダマルン [ɸu⸢damaruŋ] 自動 神懸りして神の託宣をのべる。神仏の霊が人に\ruby{憑依}{ヒョウ|イ}して神仏の意を告げる。⸣サーダカマリ[⸣saːdakamari](セジ高生まれ)の女性に神仏の霊が乗り移って失神状態となり、その後に神仏の意思を語り出すことをいう。 ⸣サーダカマリヌ プ⸢スヌ⸣ フ⸢ダマリティル ウン⸣ネヌ キ⸢ナイヌ⸣ シジ タ⸢ダ⸣ソーッタツォー [⸣saːdakamarinu pu̥⸢sunu⸣ ɸu⸢damaritiru ʔun⸣nenu ki⸢nainu⸣ ʃiʤi ta⸢da⸣soːttaʦoː] (セジ高生まれの人が\ruby{憑依}{ヒョウ|イ}して<ぞ>、その家の血統を正されたそうだ)。 フ⸢ダマリナー⸣ヌ [ɸu⸢damarinaː⸣nu] (神懸り<憑依>してしまった)。 ビ⸢キドゥモー⸣ フ⸢ダマラヌ [bi⸢kidumoː⸣ ɸu⸢damaranu] (男は憑依しない)。 ⸣クナー フ⸢ダマル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーン⸣パジ [⸣kunaː ɸu⸢damaru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːm⸣paʤi] (ここには憑依する人はいないはずだ)。 ⸢ワンヌン⸣ フ⸢ダマレー⸣ ミサムヌ [⸢wannuŋ⸣ ɸu⸢damareː⸣ misamunu] (君も憑依すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢ダマリ⸣バ [⸢paː⸣ku ɸu⸢damari⸣ba] (早く憑依しなさいよ) 15082 0 0 14880 htmvoc_15082.wav フタミー フ⸢タミー [ɸu̥⸢tamiː] 名 両眼。二つの目。カ⸢タ⸣ミー[kḁ⸢ta⸣miː](片目)の対義語。 ⸢ヌー⸣ル マ⸢シ⸣ユー フ⸢タミー⸣ プ⸢ラッキティ⸣ ユー ⸣ミリ [⸢nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣juː ɸu̥⸢tamiː⸣ pu⸢rakkiti⸣ juː ⸣miri] (何が良いか、両眼を開いてよく見よ<見れ>) 15083 0 0 14881 htmvoc_15083.wav フタムシ フ⸢タムシ [ɸu̥⸢tamuʃi] 名 二度。二回(数詞)。 ⸢ター⸣ヤ フ⸢タムシ(マ⸢トーナ{SqBr}ma⸢toːna{/SqBr}<二度耕>)⸢ミームシナー カイ⸣セーティル ⸢マイ⸣ イ⸢ボーッ⸣タ [⸢taː⸣ja ɸu̥⸢tamuʃi(ma⸢toːna<二度耕>)⸢miːmuʃinaː kai⸣ʃeːtiru ⸢maijaː⸣ ʔi⸢boːt⸣ta] (田圃は二度打ち、三度と打ち<耕し>して稲を植えられた) 15084 0 0 14882 htmvoc_15084.wav フタムティ フ⸢タムティ [ɸu̥⸢tamuti] 名 再婚。「二持ち」の義。 フ⸢タムティ スー⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢リブンドゥ⸣ ⸣ドゥームティ ⸢サン⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢リブー [ɸu̥⸢tamuti suː⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢ri bundu⸣ duːmuti ⸢sam⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢ri buː] (再婚する人もいる<居りおる>が、結婚をしない人もいる<居りおる>) 15085 0 0 14883 htmvoc_15085.wav フタムニ フ⸢タ⸣ムニ [ɸu̥⸢ta⸣muni] 名 口癖。常日頃から言っている言葉。「平生から言い続けている言葉」の義。 ⸣アボー ⸢ワー ソー⸣ カー⸢ニル⸣ フ⸢タ⸣ムニ ア⸢ゾー⸣リ タ⸢ナ⸣モーッタ⸢ダー [⸣ʔaboː ⸢waː soː⸣ kaː⸢niru⸣ ɸu̥⸢ta⸣muni ʔa⸢ʣoː⸣ri ta⸢na⸣moːtta⸢daː] (お母さんは君の心配だけを口癖のようにいつも話されて頼まれたのだよ) 15086 0 0 14884 htmvoc_15086.wav フダユリ ⸣フダユリ [⸣ɸudajuri] 名 納税免除。\ruby{賦役免除}{フ|エキ|メン|ジョ}。琉球国時代、五十歳以上になって納税・賦役等の義務を免除されたこと。「札許し」の義。 ム⸢カ⸣シェー トゥ⸢シ⸣ヌ ⸢グン⸣ズ ⸣ナルカー ムー⸢ル⸣ フダユリー ナ⸢リ⸣ソーッタツォー [mu⸢ka⸣ʃeː tu̥⸢ʃi⸣nu ⸢gun⸣ʣu ⸣narukaː muː⸢ru⸣ ɸudajuriː na⸢ri⸣soːttaʦoː] (昔は年齢が五十になったらみんな納税・賦役免除になられたそうだ) 15087 0 0 14885 htmvoc_15087.wav フダル フ⸢ダ⸣ル [ɸu⸢da⸣ru] 名 ひしゃく(柄杓)。水甕より水を汲み取るのに用いる道具。「ほだり(秀罇)。本陀理」『古事記 下雄略 歌謡104』の転訛したものか。 タ⸢キフダル [tḁ⸢kiɸudaru] (竹筒製の柄杓)。 カ⸢ニフダル [ka⸢niɸudaru] (ブリキ缶で作った柄杓)。⸢ペー⸣ラフダル[⸢peː⸣raɸudaru](完熟した夕顔の実を切り割り、中子を除去して作った柄杓)などがある。ビロウの葉で作った柄杓はウ⸢ム⸣ル[ʔu⸢mu⸣ru]といった。 フ⸢ダ⸣ルシ ミ⸢ジカメー⸣ラ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ミティ⸣ ヌミバ [ɸu⸢da⸣ruʃi mi⸢ʤikameː⸣ra mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢miti⸣ numiba] (柄杓で水甕から水を汲んで飲みなさいよ) 15088 0 0 14886 htmvoc_15088.wav フダローマ フ⸢ダロー⸣マ [ɸu⸢daroː⸣ma] 名 小さな\ruby{柄杓}{ヒ|シャク}。\ruby{酒甕}{サケ|カメ}から酒を汲み取るのに用いる小さな柄杓。 フ⸢ダロー⸣マシ サ⸢キカメーラ⸣ サ⸢キ⸣ フ⸢ミ⸣バ [ɸu⸢daroː⸣maʃi sḁ⸢kikameːra⸣ sḁ⸢ki⸣ ɸu⸢mi⸣ba] (小さな柄杓で酒甕から酒を汲みなさいよ) 15089 0 0 14887 htmvoc_15089.wav ブタン ブ⸢タン [bu⸢taŋ] 名 (植)\ruby{花卉}{カ|キ}の名。観賞用植物。鳩間島には栽培されていないが、石垣方言などからの借用語であろう。 イ⸢サナキヌ プール⸣ナーヤ ブ⸢タンカシラ⸣ティ ⸢シー⸣ イッ⸢ケナ カイ⸣ヤー カ⸢シラ⸣バ シ⸢ダーシ⸣ ン⸢ザ⸣ソーッタン [ʔi⸢sanakinu puːru⸣naːja bu⸢taŋkaʃira⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔik⸢kena kai⸣jaː ka⸢ʃira⸣ba ʃi⸢daːʃi⸣ ʔn⸢ʣa⸣soːttaŋ] (石垣の豊年祭には牡丹旗頭といって非常に美しい旗頭を飾りつけて<仕出して>出されたものだ) 15090 0 0 14888 htmvoc_15090.wav フチ ⸣フチ [⸣ɸu̥ʧi] 名 櫛。頭髪をすく道具。「~眞櫛用<マクシモチ>~。万、1233」の転訛したもの。タ⸢キフチ[tḁ⸢kiɸuʧi](竹製の櫛)、⸢キー⸣フチ[⸢kiː⸣ɸu̥ʧi](木製の櫛)、カ⸢ミヌ⸣クーフチ[ka⸢minu⸣kuːɸu̥ʧi](\ruby{鼈甲製}{ベッ|コウ|セイ}の櫛)などがあった。 ⸣フチシ ガ⸢マ⸣ジ ⸣キズン [⸣ɸu̥ʧiʃi ga⸢ma⸣ʤi ⸣kiʣuŋ] (櫛で髪をすく<\ruby{梳}{ケズ}る>) 15091 0 1 14889 htmvoc_15091.wav フチ フ⸢チ [ɸu̥⸢ʧi] 名 {Mn_1}口。「久知(口)」『古事記中、神武謡13』。「口 姑之」『琉球館訳語』の転訛したもの。 ウ⸢リヌ⸣ フ⸢チェーラ⸣ ム⸢ドゥ⸣ル ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ɸu̥⸢ʧeːra⸣ mu⸢du⸣ru ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (彼の口から戻る物はない<何でも食べる>)。 15091 0 2 14890 htmvoc_15091.wav フチ フ⸢チ [ɸu̥⸢ʧi] 名 {Mn_2}言葉。 プ⸢スヌ⸣ ヤ⸢ナ⸣フチ ス⸢ナ [pu̥⸢sunu⸣ ja⸢na⸣ɸu̥ʧi su⸢na] (他人の悪口をするな)。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チ⸣ フ⸢コー⸣ン [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ɸu̥⸢koː⸣ŋ] (彼は口下手である<口が鈍い>)。 ⸢カンヌ⸣マイ フ⸢チカザル スン [⸢kannu⸣mai ɸu̥⸢ʧikaʣaru suŋ] (神様の前に願い事を口に出して唱える)。 15091 0 3 14891 htmvoc_15091.wav フチ フ⸢チ [ɸu̥⸢ʧi] 名 {Mn_3}\ruby{端緒}{タン|ショ}。糸口。はじまり。 ⸢ミー⸣ヌ ⸢ムイティル⸣ イ⸢トゥ⸣ヌ フ⸢チ⸣ トゥ⸢ミユーサン⸣バン [⸢miː⸣nu ⸢muitiru⸣ ʔi⸢tu⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ tu⸢mijuːsam⸣baŋ] (目が老眼になって<目が燃えて>糸の端が探されない)。 ⸢ワー⸣ラ パ⸢ナシ⸣ヌ フ⸢チェー⸣ ン⸢ザ⸣シバ [⸢waː⸣ra pa⸢naʃi⸣nu ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (君から話しを切り出し<話の口を出し>なさい)。 15091 0 4 14892 htmvoc_15091.wav フチ フ⸢チ [ɸu̥⸢ʧi] 名 {Mn_4}~時。~方法。~仕方。 ニ⸢ビベー⸣ティ ウ⸢リヌ キー⸣フチェー ⸢ピッ⸣チン ッ⸢サンシェン [ni⸢bibeː⸣ti ʔu⸢rinu kiː⸣ɸu̥ʧeː ⸢pit⸣ʧin s⸢saŋʃeŋ] (眠っていて彼の帰って来た時<いつどうやって帰って来たか、その方法>をちっとも知らなかった)。 15091 0 5 14893 htmvoc_15091.wav フチ フ⸢チ [ɸu̥⸢ʧi] 名 {Mn_5}回数。口に物を入れる回数を表す。 フ⸢チ⸣ロー プ⸢ス⸣フチシ ⸢ゴーンティ⸣ ヌミバ [ɸu̥⸢ʧi⸣roː pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧiʃi ⸢goːnti⸣ numiba] (薬は一口でごくんと飲みなさいよ) 15092 0 0 14894 htmvoc_15092.wav フチ フ⸢チ [ɸu̥⸢ʧi] 名 津口。港の入り口。島の回りを取り巻く珊瑚礁の切れ目。船は珊瑚礁の切れ目より港へ出入りした。鳩間島の東南の方には、タ⸢カビ⸣ヌ フ⸢チ[tḁ⸢kabi⸣nu ɸu̥⸢ʧi](タカビ<高干瀬>の津口)があり、西南西の方には⸢ウーグ⸣チ[⸢ʔuːgu⸣ʧi](大津口)がある。定期航路の運搬船はこの津口を通って出入港した。 イ⸢サナケーラ⸣ヌ ⸣フネー タ⸢カビ⸣ヌ フ⸢チェー⸣ラ ⸢ペー⸣リ ⸣キー イ⸢ラムテーヌ⸣ フネー ⸢ウーグ⸣チェーラル ⸣ンジ ⸢パッ⸣タ [ʔi⸢sanakeːranu⸣ ɸuneː tḁ⸢kabi⸣nu ɸu̥⸢ʧeː⸣ra ⸢peː⸣ri ⸣kiː ʔi⸢ramuteːnu⸣ ɸuneː ⸢ʔuːgu⸣ʧeːraru ⸣ʔnʤi ⸢pat⸣ta] (石垣からの運搬船は東南方の高干瀬の津口から鳩間島へ入ってき、西表への運搬船は西南西の大津口から出て行った) 15093 0 0 14895 htmvoc_15093.wav フチ ⸣フチ [⸣ɸu̥ʧi] 名 わらじ(\ruby{SqBr}g{/SqBr}{草鞋}{ワラジ})。「~刈りばねに足踏ましなむ久都波氣<クツハケ>吾が背。万、3399」の「沓<久都>」が [kuʦu] → [ɸu̥ʦu] → [ɸu̥ʧi] のように転訛したもの。普通は、バ⸢ラフ⸣タフチ[ba⸢raɸu̥⸣taɸu̥ʧi](稲藁で編んだ草鞋)を履いて潮干狩りに行った。稲藁製の草鞋は弱いから一回で履き捨てにしたが、ア⸢ダナ⸣シフチ[ʔa⸢dana⸣ʃiɸu̥ʧi](あだん<阿檀{EOS}タコノキ>の気根の繊維で編んだ草鞋)は強いので二、三回使用す  ることが出来た。鳩間島の北西の⸣ピー[⸣piː](干瀬)の⸢フンシキ[⸢ɸuŋʃi̥ki]には、タ⸢カウー⸣ル[tḁ⸢kaʔuː⸣ru](枝珊瑚)が密生していて蛸がよく獲れたので、そこへ行くには⸣フチ[⸣ɸu̥ʧi]を二本要した。 ⸣フチ フ⸢マン⸣カー イ⸢ソー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ɸu̥ʧi ɸu⸢maŋ⸣kaː ʔi⸢soː⸣ pa⸢rara⸣nu] (草鞋を履かないと潮干狩りには行けない) 15094 0 0 14896 htmvoc_15094.wav フチ ⸣フチ [⸣ɸu̥ʧi] 名 (植)薬草の名。ヨモギ(蓬)。 フ⸢チン⸣パー [ɸu̥⸢ʧim⸣paː] (ヨモギの葉{EOS}汁を\ruby{搾}{シボ}って飲むと風邪の薬効がある{EOS}乾燥して綿のように作り、⸣ヤツフチ{SqBr}⸣jaʦuɸu̥ʧi{/SqBr}<もぐさ>にした)。フ⸢チン⸣パーズーシー[ɸu̥⸢ʧim⸣paːʣuːʃiː](ヨモギの葉を入れて炊いた雑炊)などがある。 ⸣フチェー フ⸢チ⸣ル ヤ⸢ルンドゥ⸣ パ⸢タ⸣キナー ウ⸢リヌ ムイ⸣ルカー イッ⸢カ⸣ キ⸢ササラ⸣ヌ [⸣ɸu̥ʧeː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ja⸢rundu⸣ pḁ⸢ta⸣kinaː ʔu⸢rinu mui⸣rukaː ʔik⸢ka⸣ ki̥⸢sasara⸣nu] (ヨモギは薬だが、畑にそれが生えると<雑草となり>なかなか根絶やしされない) 15095 0 0 14897 htmvoc_15095.wav フチアースン フ⸢チ アー⸣スン [ɸu̥⸢ʧi ʔaː⸣suŋ] 連 くちうら<口裏>を合わせる。両者が話を一致させる。 ⸣ウチソーダンバ ⸢シェー⸣テイ フ⸢チェー アー⸣シ ⸣ムネー イ⸢ジ⸣ヨー [⸣ʔuʧisoːdamba ⸢ʃeː⸣ti ɸu̥⸢ʧeː ʔaː⸣ʃi ⸣muneː ʔi⸢ʤi⸣joː] (よく相談をして、くちうらを合わせて話しなさい<ものは言いなさい>よ) 15096 0 0 14898 htmvoc_15096.wav フチアーラスン フ⸢チ アーラ⸣スン [ɸu̥⸢ʧiʔaːra⸣suŋ] 連 足りない物を少しずつ分けて皆に配分して食べさせる。 ン⸢メーマ⸣ナー ヤ⸢ラバン⸣ ミ⸢サ⸣ル ⸣バキティ ムー⸢ルン⸣ フ⸢チアーラ⸣シバ [ʔm⸢meːma⸣naː ja⸢rabam⸣ mi⸢sa⸣ru ⸣bakiti muː⸢ruŋ⸣ ɸu̥⸢ʧi ʔaːra⸣ʃiba] (少しずつでもいいさ、分けて皆に配分して食べさせなさいよ) 15097 0 1 14899 htmvoc_15097.wav フチアキルン フ⸢チ⸣ ア⸢キルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kiruŋ] 連 {Mn_1}口を開ける。何かをし始める。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸣マーラ フ⸢チ⸣ ア⸢キルワ [ku⸢nu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸣maːra ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kiruwa] (この畑は何処から開墾する<耕しはじめる>か)。 15097 0 2 14900 htmvoc_15097.wav フチアキルン フ⸢チ⸣ ア⸢キルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kiruŋ] 連 {Mn_2}イダフニの通行のため、魚垣の一部を開けて通した後に元通りに石垣を積みなおすこと。 ⸣スーピサールナー ⸢パイ⸣ター ⸢オー⸣ル ⸣ピンマー ⸣インダヌ カ⸢キヌ⸣ フ⸢チ⸣ ア⸢ケー⸣ティル トゥ⸢マダヌ ニー⸣ウレー ⸢オーッ⸣タ [⸣suːpi̥saːrunaː ⸢pai⸣taː ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ⸣ʔindanu kḁ⸢kinu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢keː⸣tiru tu⸢madanu niː⸣ʔureː ⸢ʔoːt⸣ta] (干潮時に南端<西表島>へ行かれる時は、伊武田の魚垣の口を開けてトゥマダの浜辺へ行かれた) 15098 0 0 14901 htmvoc_15098.wav フチアクン フ⸢チ⸣ ア⸢クン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kuŋ] 連 口を開ける。 マ⸢ミ⸣グロー ニ⸢シェーキ⸣ラ フ⸢チ⸣ ア⸢クンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヌー⸣シカヤー [ma⸢mi⸣guroː ni⸢ʃeːki⸣ra ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢nuː⸣ʃikajaː] (豆を収穫した後の畑は北側から耕そう<口を開けよう>と思うが如何だろうか)。 ⸣ウサンダイヤー ⸢ワー⸣ フ⸢チ⸣ ア⸢カバル⸣ ケー⸢ラー⸣ タ⸢ボーラリ⸣ル [⸣ʔusandaijaː ⸢waː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kabaru⸣ keː⸢raː⸣ ta⸢boːrari⸣ru] (お供えした料理<供物>は、君が手をつけて始めて<君が口を開けたらばこそ>皆も頂ける<賜れる>のだ) 15099 0 1 14902 htmvoc_15099.wav フチアタル フ⸢チアタル [ɸu̥⸢ʧiʔataru] 名 {Mn_1}口当たり。くちざわり(口触り)。 ク⸢ヌ⸣ サ⸢ケー⸣ フ⸢チアタルヌ スーワ⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ sḁ⸢keː⸣ ɸu̥⸢ʧiatarunu suːwa⸣nu nu⸢mara⸣nu] (この酒は口当たりが強くて飲めない)。 15099 0 2 14903 htmvoc_15099.wav フチアタル フ⸢チアタル [ɸu̥⸢ʧiʔataru] 名 {Mn_2}悪口や\ruby{呪詛}{ジュ|ソ}に満ちた言葉に当って災いを受けること。 ⸣ドゥク プ⸢スン ニッ⸣ふァー サ⸢リティル⸣ フ⸢チアタル⸣ シ⸢タムヌ⸣ユー ヤミ ⸢ベー⸣ティバーヤ [⸣duku pu̥⸢sun nif⸣faː sa⸢ritiru⸣ ɸu̥⸢ʧiʔataru⸣ ʃi̥⸢tamunu⸣juː ⸣jami ⸢beː⸣tibaːja] (あまりにも他人に憎まれて口当たりしたものか、病気して<病んで>いるそうな) 15100 0 0 14904 htmvoc_15100.wav フチイカラーン フ⸢チイカラー⸣ン [ɸu̥⸢ʧiʔikaraː⸣ŋ] 形 口の中が不快である。食中毒気味で口中が正常でない。 ⸢ヌー⸣ヌ ア⸢タルタ⸣ユー フ⸢チイカラー⸣ヌ ⸢ビーバキンギサ⸣ル [⸢nuː⸣nu ʔa⸢taruta⸣juː ɸu̥⸢ʧiʔikaraː⸣nu ⸢biːbakiŋgisa⸣ru] (何が当ったのか、口中が不快で嘔吐しそうだ)。 ク⸢レー⸣ ッ⸢ふー⸣カー フ⸢チイカラー⸣ンダ シ⸢ティリ [ku⸢reː⸣ f⸢fuː⸣kaː ɸu̥⸢ʧiʔikaraː⸣nda ʃi̥⸢tiri] (これは食べると口中が不快になるから捨てなさい)。 フ⸢チイカラー ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧiʔikaraː naː⸣nu] (口中は不快ではない)。 フ⸢チイカラー⸣ ムノー シ⸢ティリ [ɸu̥⸢ʧiʔikaraː⸣ munoː ʃi̥⸢tiri] (口中が不快になるものは捨てなさい) 15101 0 0 14905 htmvoc_15101.wav フチイリ フ⸢チイリ [ɸu̥⸢ʧiʔiri] 名 申し込み。取引の申し込み。「口入れ」の義。 プ⸢スシダキ⸣ フ⸢チイリ シー⸣ シ⸢キラン⸣カー プ⸢スン⸣ トゥ⸢ラ⸣リン⸢ダー [pu̥⸢suʃidaki⸣ ɸu̥⸢ʧiʔiri ʃiː⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː pu̥⸢sun⸣ tu⸢ra⸣rin⸢daː] (他人より先<人先>に申し込みしておかないと人様に取られるぞ) 15102 0 0 14906 htmvoc_15102.wav フチウキルン フ⸢チ⸣ ウ⸢キ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔu⸢ki⸣ruŋ] 連 申し込みを受ける。申し込みを承諾する。 プ⸢スヌ⸣ フ⸢チ⸣ ウ⸢キ⸣ルン ウ⸢キラ⸣ヌン ⸢ワー カン⸣ガイナール カ⸢カ⸣ル [pu̥⸢sunu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔu⸢ki⸣ruŋ ʔu⸢kira⸣nuŋ ⸢waː kaŋ⸣gainaːru kḁ⸢ka⸣ru] (人様からの申し込みを受けるのも、受けないのも君の考えにかかっている) 15103 0 0 14907 htmvoc_15103.wav フチウクン フ⸢チ⸣ ウクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔukuŋ] 連 申し込みを受ける。 プ⸢スヌ⸣ フ⸢チ⸣ ウキティ アトーラー ⸢ンー⸣バテー ア⸢ザラン⸠ダー [pu̥⸢sunu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔukiti ʔatoːraː ⸢ʔmː⸣bateː ʔa⸢ʣaran⸠daː] (人様からの申し込みを受けて<承諾して>後からは、嫌だとは言えないよ) 15104 0 0 14908 htmvoc_15104.wav フチウスーン フ⸢チ⸣ ウ⸢スーン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔu⸢suːŋ] 連 沈黙する。口を締める。口を慎む。「口を\ruby{覆}{オオ}う」の義。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸣アイニ ア⸢バッ⸣ツァー ナ⸢ラン⸣ドーシ フ⸢チ⸣ ウ⸢スイヤー⸣ティ ⸢アー⸣キ [mi⸢doːn⸣ffaː ⸣ʔaini ʔa⸢bat⸣ʦaː na⸢ran⸣doːʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔu⸢suijaː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki] (女の子は、あのようにお喋りにならないで、口を慎んで<押さえ>いなさい) 15105 0 0 14909 htmvoc_15105.wav フチウタイ フ⸢チウタイ [ɸu̥⸢ʧiʔutai] 名 口答え。反抗。「Cuchigotaye.クチゴタエ(口答)自分に命ぜられた事に対して言い訳をするような返答」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢ヤン⸣ナーニ フ⸢チウタイ スー⸣ ッ⸢ふァー マーパカラッサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢jan⸣naːni ɸu̥⸢ʧiʔutai suː⸣ f⸢faː maːpakarassaː naː⸣nu] (親に対して反抗<口答え>する子は真っ当な<子として正道な、まっとうな>子でない) 15199 0 0 14910 htmvoc_15199.wav フチェーウイナリ フ⸢チェー ウイ⸣ナリ [ɸu̥⸢ʧeː ʔui⸣nari] 連 反抗して。叱って指導するのに対して逆に口答えして反抗する。「口は上になって」の義。 ウ⸢ナー サンシェン⸣ティ ⸢シー⸣ フ⸢チェー ウイ⸣ナリ ⸢ベー⸠ツォーカー [ʔu⸢naː saŋʃen⸣ti ⸢ʃiː⸣ ɸu̥⸢ʧeː ʔui⸣nari ⸢beː⸠ʦoː⸣kaː] (自分はしなかったといって、逆に反抗して<口は上になって>いるんだよってば<珍しいものだ>) 15200 0 0 14911 htmvoc_15200.wav フチェーラシダキマリ フ⸢チェーラ⸣ シ⸢ダキ⸣ マ⸢リ [ɸu̥⸢ʧeːra⸣ ʃi⸢daki⸣ ma⸢ri] 連 口から先に生まれて。\ruby{能弁}{ノウ|ベン}な者を形容して言う表現。 フ⸢チェーラ⸣ シ⸢ダキ⸣ マ⸢リル⸣ アイニ ム⸢ニ⸣バ ユム [ɸu̥⸢ʧeːra⸣ ʃi⸢daki⸣ ma⸢riru⸣ ʔaini mu⸢ni⸣ba jumu] (口から先に生まれたので、あのようによく喋るのだ) 15106 0 0 14912 htmvoc_15106.wav フチガール フ⸢チガール [ɸu̥⸢ʧigaːru] 名 自慢。大\ruby{法螺}{ホ|ラ}を吹くこと。威張ること。自分で自分を\ruby{褒}{ホ}める。自分に関係の深いことを褒めそやし、他人に誇ること。言葉で⸢ガー⸣ルン[⸢gaː⸣ruŋ](自慢する{EOS}応援する{EOS}威勢よく掛け声を上げて乱舞する)こと。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ フミ フ⸢チガール スン⸠ダー [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸢duː⸣nu f⸢fa⸣ ɸumi ɸu̥⸢ʧigaːru sun⸠daː] (彼は非常に自分の子を誉めて自慢するよ)。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チガール シーナー⸣ル ナ⸢ラン⸠ツォー [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧigaːru ʃiːnaː⸣ru na⸢ran⸠ʦoː] (あいつはあまりにも自慢するので堪らないのだよ) 15107 0 0 14913 htmvoc_15107.wav フチガイシ フ⸢チガイシ [ɸu̥ʧigaiʃi] 名 他人の\ruby{呪詛}{ジュ|ソ}を返す\ruby{呪}{マジナ}い。「口返し」の義。フ⸢チンガイシ[ɸu̥⸢ʧiŋgaiʃi](口返し)ともいう。 プ⸢スン ニッふァムン⸣ シ⸢ラランヨー⸣シ ⸢チャー⸣ フ⸢チンガイシェー シー アー⸣キ [pu̥⸢sun niffamun⸣ ʃi⸢raraɲjoː⸣ʃi ⸢ʧaː⸣ ɸu̥⸢ʧiŋgaiʃeː ʃiː ʔaː⸣ki] (他人に呪詛されない<憎まれ者にされない>ように、いつも呪詛返し<口返し>をしてい<あるき>なさい) 15108 0 0 14914 htmvoc_15108.wav フチカカー フ⸢チカカー [ɸu̥⸢ʧikakaː] 名 三つ口。\ruby{兎唇}{ト|シン}。\ruby{口唇裂}{コウ|シン|レツ}。「口欠け者」の義。 フ⸢チカキプス [ɸu̥⸢ʧikakipusu] (口唇裂の人)。 パ⸢ルミプス⸣ヌ フ⸢チカキマカル⸣ シゥ⸢カウ⸣カー ⸣ムナイ シ⸢ティ⸣ フ⸢チカキッふァヌ⸣ マ⸢リル⸣ティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [pa⸢rumipu̥su⸣nu ɸu̥⸢ʧikakimakaru⸣ si̥⸢kau⸣kaː ⸣munai ʃi̥⸢ti⸣ ɸu̥⸢ʧikakiffanu⸣ ma⸢riru⸣ti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (妊婦が\ruby{縁}{フチ}の欠けた碗を使うと、それに\ruby{感応}{カン|ノウ}して口唇裂の子が生まれると昔の人はいわれたものだ) 15109 0 0 14915 htmvoc_15109.wav フチカキムヌ フ⸢チカキムヌ [ɸu̥⸢ʧikakimunu] 名 縁の欠けたもの。縁の欠けた碗や什器類。「縁欠け物」の義。 ア⸢ティブチニ⸣ マ⸢カ⸣ルドング ⸢アシゥカウ⸣カー フ⸢チカキムヌ⸣ ナスン⸢ダー [ʔa⸢tibuʧini⸣ ma⸢ka⸣rudoŋgu ⸢ʔasi̥kau⸣kaː ɸu̥⸢ʧikakimunu⸣ nasun⸢daː] (むこうみずに<無鉄砲に{EOS}手荒に>お碗類を扱うと縁の欠けたものにするよ) 15110 0 0 14916 htmvoc_15110.wav フチカザ フ⸢チカザ [ɸu̥⸢ʧikaʣa] 名 \ruby{口臭}{コウ|シュウ}。「口の臭い」の義。 フ⸢チカザヌ⸣ ッ⸢サー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ɸu̥⸢ʧikaʣanu⸣ s⸢saː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (口臭がひどく<臭く>て向き合われない) 15111 0 0 14917 htmvoc_15111.wav フチガザ フ⸢チガザ [ɸu̥⸢ʧigaʣa] 名 口角炎。 ム⸢カ⸣シェー ッ⸢ふァイムヌヌ⸣ カ⸢ナーン⸣シェンダル フ⸢チガザ⸣ ン⸢ジプス⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーリ ブ⸢レー⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː f⸢faimununu⸣ ka⸢naːŋ⸣ʃendaru ɸu̥⸢ʧigaʣa⸣ ʔn⸢ʤipusu⸣nu ⸢goː⸣raːri bu⸢reː⸣ru] (昔は食べ物が十分でなかった<適わなかった>から<ぞ>口角炎の人が多かったのだろう) 15113 0 0 14918 htmvoc_15113.wav フチカサマサン フ⸢チカサマ⸣サン [ɸu̥⸢ʧikasama⸣saŋ] 形 口がうるさい<煩い>。くちやかましい<口喧しい>。フ⸢チ ンガマ⸣サン[ɸu̥⸢ʧi ʔŋgama⸣saŋ](口煩い)ともいう。 ⸣アブジェー ⸢ミー⸣ミー ⸣クジクジ ⸢シー⸣ フ⸢チカサマ⸣サン⸢ダー [⸣ʔabuʤeː ⸢miː⸣miː ⸣kuʤikuʤi ⸢ʃiː⸣ ɸu̥⸢ʧikasama⸣san⸢daː] (お祖父さんは些細な事までほじくって<穿って>口\ruby{煩}{ウルサ}いよ) 15112 0 0 14919 htmvoc_15112.wav フチカザル フ⸢チカザル [ɸu̥⸢ʧikaʣaru] 名 まじない(呪い)ごとを\ruby{唱}{トナエ}ること。儀礼を伴わずに口で祈願の呪文を唱えること。心配事や危機に直面したとき、神仏に安全祈願の呪文を唱える習慣がある。 ニ⸢シェー パヤー⸣ヌ バ⸢タリヌ⸣ バソー ⸢カンヌ⸣マイトゥ ⸣ウヤパープジヌ ⸣マイニ ⸢チャー⸣ フ⸢チカザロー シートゥーシル アーク⸣タ [ni⸢ʃeː pajaː⸣nu ba⸢tarinu⸣ basoː ⸢kannu⸣maitu ⸣ʔujapaːpuʤinu ⸣maini ⸢ʧaː⸣ ɸu̥⸢ʧikaʣaroː ʃiːtuːʃiru ʔaːku⸣ta] (鳩間島と西表島の間の海峡を北へ南へと海を渡る時は、神様とご先祖様に対し、いつも安全祈願の呪文を唱え通していたものだ) 15114 0 0 14920 htmvoc_15114.wav フチカジ フ⸢チカジ [ɸu̥⸢ʧikaʤi] 名 くちかず(口数)。ことばかず。話す回数。 ⸢ワー⸣ フ⸢チカジヌ ゴーラー⸣ヌ ン⸢メーマー⸣ ピ⸢カイリ [⸢waː⸣ ɸu̥⸢ʧikaʤinu goːraː⸣nu ʔm⸢meːmaː⸣ pi̥⸢kairi] (君はことばかずが多いから、少しは控えなさい)。 フ⸢チカジヌ イシゥ⸣カー プ⸢ス [ɸu̥⸢ʧikaʤinu ʔisi̥⸣kaː pu̥⸢su] (口数の少ない人) 15115 0 0 14921 htmvoc_15115.wav フチカターン フ⸢チ⸣ カ⸢ター⸣ン [ɸu̥⸢ʧi⸣ kḁ⸢taː⸣ŋ] 連 口が堅い。約束をまもる。秘密を口外しない。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チ⸣ カ⸢ター⸣ンダ プ⸢スンナー⸣ニ パ⸢ナ⸣ス ⸣クトー ⸢サン⸣パジ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ kḁ⸢taː⸣nda pu̥⸢sunnaː⸣ni pa⸢na⸣su ⸣ku̥toː ⸢sam⸣paʤi] (彼は口が堅いから他人に話すことはないはずだ) 15116 0 0 14922 htmvoc_15116.wav フチカタミルン フ⸢チ⸣ カ⸢タミルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ kḁ⸢tamiruŋ] 連 口止めする。秘密にする。口外しないようにする。「口を固める」の義。フ⸢チ⸣ カ⸢タムン[ɸu̥⸢ʧi⸣ kḁ⸢tamuŋ](口止めする)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー プ⸢スンマー⸣ シゥ⸢カサランバ ヤーニン⸣ズーシ フ⸢チ⸣ カ⸢タミ⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː pu̥⸢summaː⸣ si̥⸢kasaramba jaːnin⸣ʣuːʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ kḁ⸢tami⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (この話は他人には聞かされないから、家族で固く口止めして<口を固めて>おけ) 15117 0 0 14923 htmvoc_15117.wav フチカナイムヌ フ⸢チカナイ⸣ムヌ [ɸu̥⸢ʧikanai⸣munu] 名 能弁者。おしゃべり。「口適い者」の義。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢チカナイ⸣ムヌ ⸣ナリティ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カヌ [ja⸢rabi⸣nu ɸu̥⸢ʧikanai⸣munu ⸣nariti ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kanu] (子供がお喋りになって、親のいうことを聞かない) 15119 0 1 14924 htmvoc_15119.wav フチカナウン フ⸢チ⸣ カナウン [ɸu̥⸢ʧi⸣ kanauŋ] 連 {Mn_1}口答えをする。反抗する。「\ruby{口適}{クチ|カナ}う」の義。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢ヤン⸣ナーニン フ⸢チ⸣ カ⸢ナイ⸣ス [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔu⸢jan⸣naːniŋ ɸu̥⸢ʧi⸣ ka⸢nai⸣su] (この子は親にも口答えをする)。 15119 0 2 14925 htmvoc_15119.wav フチカナウン フ⸢チ⸣ カナウン [ɸu̥⸢ʧi⸣ kanauŋ] 連 {Mn_2}弁が立つ。能弁である。 フ⸢チヌ⸣ カナウンダ ⸢アウ⸣バン イッ⸢カ⸣ マ⸢キラヌ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ kanaunda ⸢ʔau⸣baŋ ʔik⸢ka⸣ ma⸢kiranu] (弁が立つ<口適う>から、喧嘩しても決して負けない) 15120 0 0 14926 htmvoc_15120.wav フチカローン フ⸢チカロー⸣ン [ɸu̥⸢ʧikaroː⸣ŋ] 形 口が軽い。軽率である。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チカロー⸣ンダ ウ⸢リンナー⸣ネー ミス⸢コーマヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧikaroː⸣nda ʔu⸢rinnaː⸣neː misu̥⸢koːmanu⸣ pa⸢na⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (彼は口が軽いから、彼にはないしょごと<みそかごと{EOS}密事>は話されない)。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チカロー ナー⸣ヌンドゥ ⸢カンザヌ⸣ フ⸢チカロー⸣ティル ウ⸢リン オーサ⸣レール [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧikaroː naː⸣nundu ⸢kanʣanu⸣ ɸu̥⸢ʧikaroː⸣tiru ʔu⸢riŋ ʔoːsa⸣reːru] (彼は口は軽くないが、あの野郎が口が軽いので、彼に責任を負わされたのだよ)。 フ⸢チカロー⸣ プ⸢スンマー⸣ パ⸢ナサラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧikaroː⸣ pu̥⸢summaː⸣ pa⸢nasara⸣nu] (口の軽い人には話されない) 15118 0 0 14927 htmvoc_15118.wav フチカンスル フ⸢チカンスル [ɸu̥⸢ʧikansuru] 名 厳しい口調。厳しく尋問すること。「口剃刀」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ フ⸢チカンスル⸣ ナリティ プ⸢ス⸣ イ⸢ゾー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ɸu̥⸢ʧikansuru⸣ nariti pu̥⸢su⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ru] (その人は厳しい口調で他人を叱られる) 15121 0 0 14928 htmvoc_15121.wav フチギライ フ⸢チギライ [ɸu̥⸢ʧigirai] 名 ものたち(物断ち)をすること。病気や健康のために特定の飲食物を断って取らないこと。「\ruby{口嫌}{クチ|キライ}」の義。 イッ⸢ケナ⸣ フ⸢チキライ サン⸣カー マ⸢ナマ⸣ン ⸢トゥー⸣ルシェー ⸢ヤンマイ⸣ヤー ⸢ノーサラ⸣ヌ [ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢ʧikirai saŋ⸣kaː ma⸢nama⸣nu ⸢tuː⸣ruʃeː ⸢jammai⸣jaː ⸢noːsara⸣nu] (よくよく物断ち<口嫌>をしないと、今のままでは病気は治されない) 15122 0 0 14929 htmvoc_15122.wav フチグシ フ⸢チグシ [ɸu̥⸢ʧiguʃi] 名 口癖。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢ブ⸣ムニ イ⸢ズ⸣ フ⸢チグシヌル⸣ シン⸢トゥ ピーチ⸣ヌ フ⸢シ [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢bu⸣muni ʔi⸢ʣu⸣ ɸu̥⸢ʧiguʃinuru⸣ ʃin⸢tu piːʧi⸣nu ɸu̥⸢ʃi] (彼は大言壮語する<法螺を吹く>口癖がたった一つの欠点である) 15123 0 0 14930 htmvoc_15123.wav フチグッふァン フ⸢チグッ⸣ふァン [ɸu̥⸢ʧiguf⸣faŋ] 形 口が重い。軽々しくものを言わない。言葉がなめらかに出ない。「Cuchiuomoi.クチヲモイ(口重い) 話がのろくて、口べたな(人)、または、口数の少ない(人)」『邦訳日葡辞書』。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チグッ⸣ふァンダ ⸢ナン⸣ゾー ⸣ムネー イ⸢ザヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧiguf⸣fanda ⸢nan⸣ʣoː ⸣muneː ʔi⸢ʣanu] (彼は口が重いから、あまりものは言わない)。 ⸣アイニ フ⸢チグッ⸣ふァ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ɸu̥⸢ʧiguf⸣fa pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに口の重い人はいない)。 ミ⸢ドゥ⸣モー ビ⸢キドゥム⸣ シ⸢キル⸣カー フ⸢チグッふァ ナー⸣ヌ [mi⸢du⸣moː bi⸢kidumu⸣ ʃi̥⸢kiru⸣kaː ɸu̥⸢ʧiguffa naː⸣nu] (女は男に較べると口重くない) 15124 0 0 14931 htmvoc_15124.wav フチクバーン フ⸢チクバー⸣ン [ɸu̥⸢ʧikubaː⸣ŋ] 形 どもり(吃り)がちである。口下手である。上手に話せない。フ⸢チ[ɸu̥⸢ʧi](口)に「Couai.コワイ(強い)固くてこわばった(もの).また、比喩.骨の折れる(もの)、あるいは、苦痛の種になる(もの)、恐怖を感じさせる(もの)」『邦訳日葡辞書』が付いて形成された合成語であろう。 ヤ⸢ラ⸣ビシェーンケンマー フ⸢チクバー ナーン⸣シェンドゥ マ⸢ナ⸣マー フ⸢チクバー⸣ンダル ⸣アイニ ⸣ムニ イ⸢ジマーキ シェー⸣ティ アー⸣ク [ja⸢ra⸣biʃeːŋkemmaː ɸu̥⸢ʧikubaː naːŋ⸣ʃendu ma⸢na⸣maː ɸu̥⸢ʧikubaː⸣ndaru ⸣ʔaini ⸣muni ʔi⸢ʤimaːki ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (子供の頃は吃りがちではなかったが、今は吃りがちだから、あんなに言葉をしゃべりかねている)。 ⸢シンダイ⸣ フ⸢チクバー⸣ ナリキー ⸣アイニ フ⸢チクバー⸣ プ⸢ソー⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ ɸu̥⸢ʧikubaː⸣ narikiː ⸣ʔaini ɸu̥⸢ʧikubaː⸣ pu̥⸢soː⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (次第に吃りがちになってきて、あんなに吃りがちな人を見たことがない)。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チクバー⸣ヌ パ⸢ナシユーサ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧikubaː⸣nu pa⸢naʃijuːsa⸣nu] (彼は吃りがち<口下手>なので、とても話せない) 15125 0 0 14932 htmvoc_15125.wav フチクバリムニ フ⸢チクバリ⸣ムニ [ɸu̥⸢ikubari⸣muni] 名 どもり(吃り)のことば。\ruby{吃音}{キツ|オン}による物言い。ン⸢ガニ[ʔŋ⸢gani](どもり)ともいう。たどたどしい物言い。 ⸣アイブ フ⸢チクバリ⸣ムネー イ⸢ザンドー⸣シ カ⸢シーカシー⸣ イ⸢ジ⸣バ [⸣ʔaibu ɸu̥⸢ʧikubari⸣muneː ʔi⸢ʣandoː⸣ʃi ka⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʔi⸢ʤi⸣ba] (あんなたどたどしい物言いはしないで、しっかりと喋りなさいよ) 15127 0 0 14933 htmvoc_15127.wav フチクバルン フ⸢チ⸣ ク⸢バル⸣ン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ku⸢ba⸣ruŋ] 連 どもる(吃る)。「口強張る」の義。 フ⸢チ⸣ ク⸢バリ⸣ル ⸣ムニン イ⸢ザラヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ ku⸢bari⸣ru ⸣muniŋ ʔi⸢ʣaruanu] (口が吃って<口強張って>ものが言われない)。ン⸢ガニ スン[ʔŋ⸢gani suŋ](どもり<吃音>をする)ともいう 15126 0 0 14934 htmvoc_15126.wav フチクバレー フ⸢チクバ⸣レー [ɸu̥⸢ʧikuba⸣reː] 名 どもり(吃り)。吃音者。「口強ばり者」の義。フ⸢チクバリ⸣ムヌ[ɸu̥⸢ʧikubari⸣munu](どもり)ともいう。ン⸢ガナー[ʔŋ⸢ganaː](どもり<吃り>)ともいう。 フ⸢チクバ⸣レー ヤ⸢ルムヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ マイナー ⸣ムニ イ⸢ザスナ [ɸu̥⸢ʧikuba⸣reː ja⸢rumunu⸣ pu̥⸢sunu⸣ mainaː ⸣muni ʔi⸢ʣasuna] (どもり<吃り>だのに、人前でしゃべらせる<ものを言わさせる>な) 15128 0 0 14935 htmvoc_15128.wav ブチクン ブ⸢チ⸣クン [bu⸢ʧi⸣kuŋ] 名 気絶。一時的に\ruby{人事不省}{ジン|ジ|フ|セイ}(意識不明)に陥ること。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ キノー ⸢キーヌ パン⸣ターラ ⸣ウティティ ブ⸢チ⸣クン ⸢シー ベー⸣タ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ kinoː ⸢kiːnu pan⸣taːra ⸣ʔutiti bu⸢ʧi⸣kuŋ ⸢ʃiː beː⸣ta] (この子は昨日、木のてっぺんから落ちて気絶していた) 15130 0 0 14936 htmvoc_15130.wav フチコールン フ⸢チ コー⸣ルン [ɸu̥⸢ʧi koː⸣ruŋ] 連 頑なに言い張る。「口」に「Couari,ru,atta.コワリ、ル、ッタ(強り、る、った)物が固くなる、または、強直する」『邦訳日葡辞書』が下接して形成された連語であろう。⸢ギーンゴー⸣ルン[⸢giːŋgoː⸣ruŋ](強情に言い張る)ともいう。 ウ⸢ナー⸣ イッ⸢カ⸣ サ⸢ヌ⸣ティ フ⸢チ コー⸣リ ⸢ベー [ʔu⸢naː⸣ ʔik⸢ka⸣ sa⸢nu⸣ti ɸu̥⸢ʧi koː⸣ri ⸢beː] (自分は決してやらないと頑なに言い張っている) 15129 0 0 14937 htmvoc_15129.wav フチコイルン フ⸢チ コイ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧi koi⸣ruŋ] 連 口が肥える。口がおご(奢)る。美味いものを沢山食べて、食物に対する好みが贅沢になる。 ン⸢マー⸣ムヌ カー⸢ニ⸣ ッ⸢ふァイナラウ⸣カー フ⸢チ コイ⸣ルン⸢ダー [ʔm⸢maː⸣munu kaː⸢ni⸣ f⸢fainarau⸣kaː ɸu̥⸢ʧikoi⸣run⸢daː] (美味しいものだけ食べる癖がつくと口が肥えるよ)。 ブ⸢トー⸣ フ⸢チ⸣ コイ ⸢ブンダ⸣ ウ⸢リ⸣ シゥ⸢カ⸣ナウンティ ア⸢ウ⸣リ ⸢シー ベー [bu⸢toː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ koi ⸢bunda⸣ ʔu⸢ri⸣ sï̥⸢ka⸣naunti ⸢ʔau⸣ri ⸢ʃiːbeː] (夫は口が肥えているから、彼を養うのに難儀苦労をしている) 15131 0 0 14938 htmvoc_15131.wav フチザイ フ⸢チザイ [ɸu̥⸢ʧiʣai] 名 食べることばかりを考えていること。食べることしかできないこと。生活すること<食べること>にかまけて、他のことを考える余裕がないこと。接尾語-ザイ[-ʣai](~かまける<\ruby{感}{カマ}ける>{EOS}~拘泥する)が名詞や動詞の連用形に下接して、その名詞の指し示す意味内容や動詞の指し示す動作・作用に感ける意味を表す。 ⸢ドゥー⸣ヌ フ⸢チザイル⸣ ナル ⸣ジン タ⸢ミラリ⸣ スク ⸢ナー⸣トー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢duː⸣nu ɸu̥⸢ʧiʣairu⸣ naru ⸣ʤin ta⸢mirari⸣ su̥ku ⸢naː⸣toː ʔa⸢ra⸣nu] (自分が食べるのに精一杯であって、とてもお金を貯めることはできない<貯められるほどなどではない>)。ッ⸢ふァイザイル⸣ ナル[f⸢faiʣairu⸣ naru](食べることしか出来ない<食べることに感けて他のことを考える余裕がない>)ともいう  15132 0 0 14939 htmvoc_15132.wav フチサキ フ⸢チサキ [ɸu̥⸢ʧisaki] 名 言葉の上だけのこと。うわべばかりの言いぐさ。言うだけで誠意がないこと。「口先」の義。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チサキヌ⸣ パ⸢ナシ⸣ル ヤ⸢ル⸣ キ⸢ム⸣ウチェー ⸢ヌー⸣シユー ワ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧisakinu⸣ pa⸢naʃi⸣ru ja⸢ru⸣ ki⸢mu⸣ʔuʧeː ⸢nuː⸣ʃiru ja⸢ru⸣juː wa⸢kara⸣nu] (それは言葉の上<口先>の話であって、内心<肝内>はどうだか分からないよ) 15133 0 0 14940 htmvoc_15133.wav フチザシ フ⸢チザシ [ɸu̥⸢ʧiʣaʃi] 名 さしでぐち。ようかい(容喙)。「口出し」の義。 プ⸢スン⸣ヤヌ ⸣クトゥナー フ⸢チザシ ソーン⸣ナ [pu̥⸢suɲ⸣janu ⸣ku̥tunaː ɸu̥⸢ʧiʣaʃi soːn⸣na] (よその家<他人の家>のことにさしでぐち<容喙>なさるな) 15134 0 0 14941 htmvoc_15134.wav フチサラーン フ⸢チサラー⸣ン [ɸu̥⸢ʧisaraː⸣ŋ] 形 喋りが\ruby{流暢}{リュウ|チョウ}である。能弁である。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ヤ⸢ラビ⸣ヌカー フ⸢チサラー⸣ ムニ イ⸢ズン⸠ツォー [ʔu⸢bitʧin⸣nu ja⸢rabi⸣nukaː ɸu̥⸢ʧisaraː⸣ muni ʔi⸢ʣun⸠ʦoː] (こんな小さな子供が、なんと流暢に喋る<ものを言う>んだよ)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー フ⸢チサラー⸣ン [mi⸢doːŋ⸣ffaː ɸu̥⸢ʧisaraː⸣ŋ] (女の子は喋りが流暢である)。 ビ⸢コーンッふァー⸣ フ⸢チサラー ナー⸣ヌ [bi⸢koːŋffaː⸣ ɸu̥⸢ʧisaraː naː⸣nu] (男の子は喋りが流暢でない)。 イ⸢チンマー⸣ フ⸢チサラー⸣ ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンドゥ キュー⸣ヤ(ワ)⸣ムニ イ⸢ザンバン [ʔi⸢ʧimmaː⸣ ɸu̥⸢ʧisaraː⸣ f⸢fa⸣ ja⸢rundu kjuː⸣ja(wa)⸣muni ʔi⸢ʣambaŋ] (いつもは喋りの流暢な子だが、今日はものを言わないわい) 15135 0 0 14942 htmvoc_15135.wav フチザライ フ⸢チザライ [ɸu̥⸢ʧiʣarai] 名 \ruby{津口}{ツ|グチ}を\ruby{浚渫}{シュン|セツ}すること。「口浚え」の義。 フ⸢チザライ サン⸣カー ⸣フネー ⸣ンジペーラシ<ン⸢ザ⸣シペーラシ> ナ⸢ラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧiʣarai saŋ⸣kaː ⸣ɸuneː ⸣ʔnʤipeːraʃi<ʔn⸢ʣa⸣ʃipeːraʃi> na⸢ra⸣nu] (津口を浚渫しないと船は出入りさせることができない) 15136 0 0 14943 htmvoc_15136.wav フチサンシン フ⸢チサンシン [ɸu̥⸢ʧisaŋʃiŋ] 名 口三線。くちじゃみせん(口三味線)。⸢デン⸣トゥンデン⸢トゥンと口で三線の音や曲をまねること。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢キプスヌ オーラン⸣カー フ⸢チサンシン⸣ シ⸢ティ⸣ ブ⸢ドゥル⸣ ナ⸢ラー⸣シバ [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kipu̥sunu ʔoːraŋ⸣kaː ɸu̥⸢ʧisaŋʃiŋ⸣ ʃi̥⸢ti⸣ bu⸢duru⸣ na⸢raː⸣ʃiba] (三線を弾く人がおられなければ、口三味線をして踊を教えなさいよ) 15137 0 0 14944 htmvoc_15137.wav フチシドゥームトゥン フ⸢チ⸣シ ⸣ドゥー ⸣ムトゥン [ɸu⸢ʧi⸣ʃi ⸣duː ⸣mutuŋ] 連 口先で世間を渡る。「口で体を持つ<生命を維持する>」の義。 グ⸢タイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ンドゥ フ⸢チヌ⸣ カナイ ⸢ブンダ⸣ フ⸢チ⸣シ ⸣ドゥー ⸣ムティ ⸢アー⸣クンティ [gu⸢tai⸣jaː ⸢naː⸣ndu ɸu̥⸢ʧinu⸣ kanai ⸢bunda⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ʃi ⸣duː ⸣muti ⸢ʔaː⸣kunti] (体力はないが、弁が立つ<口が適っている>ので口先で世間を渡っているさよ<見てごらん>) 15138 0 0 14945 htmvoc_15138.wav フチシビルン フ⸢チ⸣ シ⸢ビルン [ʧu̥⸢ʧi⸣ ʃi⸢biruŋ] 連 くちづけ(口付け)する。接吻する。「口を吸う」の義。フ⸢チ シッピルン[ɸu̥⸢ʧi ʃippiruŋ](くちづけをする)ともいう。シ⸢ビルン[ʃi⸢biruŋ](強く吸う{EOS}嘗める)は甘いものをしゃぶって食べたり、乳児の\ruby{洟垂}{ハナ|タレ}を母親が口で吸い取ることにもいう。 アガッ⸢ふァー⸣マー ⸣ドゥーシ パ⸢ナドゥル⸣ ン⸢ザシユーサン⸣ ユンダ ブ⸢ネール⸣ フ⸢チ⸣シ シ⸢ビリ⸣<ユ⸢ビ⸣> トゥ⸢ローッ⸣タ [ʔagaf⸢faː⸣maː ⸣duːʃi pa⸢naduru⸣ ʔn⸢ʣaʃijuːsaɲ⸣ junda bu⸢neːru⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ʃi ʃi⸢biri⸣ tu⸢roːt⸣ta] (赤子は自分で洟垂れを出せないから、母親が口でしゃぶって吸い取られた) 15139 0 0 14946 htmvoc_15139.wav フチジル フ⸢チジル [ɸu̥⸢ʧiʤiru] 名 なまつば(生唾)。おいしいものや\ruby{酸}{ス}いものを見た時などに、自然に口中に分泌される唾液。「口汁」の義。 ン⸢マー⸣ ムヌ ⸣ミルカー フ⸢チジルヌル⸣ ンジクー [ʔm⸢maː⸣munu ⸣mirukaː ɸu̥⸢ʧiʤirunuru⸣ ʔnʤikuː] (美味しいものを見ると生唾が<ぞ>出てくる)。 フ⸢チジル⸣ ン⸢ジ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (\ruby{涎}{ヨダレ}<なまつば>がでる) 15140 0 1 14947 htmvoc_15140.wav フチジルキシルン フ⸢チジル⸣ キ⸢シ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ki̥⸢ʃi⸣ruŋ] 連 {Mn_1}口中に唾液が盛んに出てくる。フ⸢チジル⸣ キスン[ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ki̥suŋ](口中に唾液が盛んに出る)ともいう。キ⸢シ⸣ルン[ki̥⸢ʃi⸣ruŋ](酢が十分に醗酵する)は、\ruby{甕}{カメ}の中で⸢パイル[⸢pairu](酢)の\ruby{種}{タネ}が十分に熟成することにも言い、唾液が多量に分泌することにも言う。 カ⸢ツナマシ⸣ ミ⸢ル⸣ター フ⸢チジル⸣ キシ ナ⸢ラ⸣ヌ [kḁ⸢ʦunamaʃi⸣ mi⸢ru⸣taː ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ki̥ʃi na⸢ra⸣nu] (カツオの刺身を見たらば涎がでてたまらない)。 15140 0 2 14948 htmvoc_15140.wav フチジルキシルン フ⸢チジル⸣ キ⸢シ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ki̥⸢ʃi⸣ruŋ] 連 {Mn_2}すいぜん(垂涎)する。ひどく食べたがる。 ア⸢ガヤー⸣ フ⸢チジルヌ⸣ キ⸢シル⸣バン [ʔa⸢gajaː⸣ ɸu̥⸢ʧiʤirunu⸣ ki̥⸢ʃiru⸣baŋ] (ああ{EOS!} もう 涎がたれる<出るわい>よ{EOS!}<食べたくて堪らない>) 15141 0 0 14949 htmvoc_15141.wav フチスールン フ⸢チ スー⸣ルン [ɸu̥⸢ʧi suːru⸣ŋ] 連 言語能力が成長する。言うことがませてくる。語彙が増えて表現力が向上する。「口が成長する」の義。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー フ⸢チ⸣ サ⸢ラランケー⸣リ イッ⸢ケナ⸣ フ⸢チ スーリ⸣ブーバン [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ɸu̥⸢ʧi⸣ sa⸢raraŋkeː⸣ri ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢ʧisuːri⸣ buːbaŋ] (この子は喋りが流暢<さらさらと滑らか>で、非常に言語能力が成長しているわい)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢チェー スー⸣リティ フ⸢チウタイ シース [ja⸢rabi⸣nu ɸu̥⸢ʧeː suː⸣riti ɸu̥⸢ʧiʔutai ʃiːsu] (子供のくせに言うことがませて<言語能力が成長して>、口答えするよ) 15142 0 0 14950 htmvoc_15142.wav フチズーワン フ⸢チズー⸣ワン [ɸu̥⸢ʧiʣuː⸣waŋ] 形 物言いが厳しい。「口強し」の義。 ⸢ウン⸣ネヌ シ⸢トゥウヤー⸣ イッ⸢ケナ⸣ フ⸢チ ズー⸣ワンティ ウ⸢トゥ⸣ンジ ⸢オー⸣ルツォー [⸢ʔun⸣nenu ʃi̥⸢tuʔujaː⸣ ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢ʧiʣuː⸣wanti ʔu⸢tu⸣ʔnʤi ⸢ʔoː⸣ruʦoː] (あの家の舅は大変物言いが厳しいと評判になっておられる<音に出ておられる>そうだ) 15145 0 0 14951 htmvoc_15145.wav フチスクライ フ⸢チスク⸣ライ [ɸu̥⸢ʧisu̥ku⸣rai] 名 何か食べているように口を動かすこと。口をもぐもぐさせる。「口」・⸢Tçucuroi,roˆ,oˆta.ツクロイ、ゥ、ゥタ(繕)整える~」『邦訳日葡辞書』の転訛か。 ⸢ヌー⸣ル ッ⸢ふァイプサ⸣ユー フ⸢チスク⸣ライ ⸢シー ベー [⸢nuː⸣ru f⸢faipusa⸣juː ɸu̥⸢ʧisu̥ku⸣rai ⸢ʃiːbeː] (何を食べたいのか、口をもぐもぐ動かしている) 15143 0 0 14952 htmvoc_15143.wav フチスブー フ⸢チスブー [ɸu̥⸢ʧisubuː] 名 (動)魚の名。和名、アカマツカサの仲間(体長約20センチ)、目玉が大きく体色は薄い朱色。\ruby{鰓}{エラ}の下から腹部にかけてやや白みがかっている。和名、ウロコマツカサ、体長約25センチ。ウロコマツカサはフ⸢チスブー[ɸu̥⸢ʧisubuː]に似る。体表に細い黒色の縞が頭部からストライプ状に5、6本並ぶが、これにもフチスブーという 15144 0 0 14953 htmvoc_15144.wav フチスボーン フ⸢チスボー⸣ン [ɸu̥⸢ʧisuboː⸣ŋ] 形 しぶい(渋い)。「口渋・有り」の転訛したもの。未熟なバ⸢サン⸣ナル[ba⸢san⸣naru](バナナ)の味等を表す。舌の上や口中にカサカサ感、ザラザラ感を残す味覚。 ナ⸢マバン⸣スロー フ⸢チスボー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [na⸢maban⸣suroː ɸu̥⸢ʧisuboː⸣nu f⸢faːranu] (未熟のバンザクロ<グワバ>は渋くて食べられない)。 ⸢ナン⸣ゾー フ⸢チスボー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ɸu̥⸢ʧisuboː naː⸣nu] (あまり渋くない)。 フ⸢チスボー⸣ ムノー ナ⸢マ⸣ムヌ [ɸu̥⸢ʧisuboː⸣ munoː na⸢ma⸣munu] (渋いものは未熟なものだ)。 フ⸢チスボー⸣カー ッ⸢ふーナ [ɸu̥⸢ʧisuboː⸣kaː f⸢fuːna] (渋かったら食べるな) 15147 0 0 14954 htmvoc_15147.wav フチタタックン フ⸢チ⸣ タ⸢タッ⸣クン [ɸu̥⸢ʧi⸣ tḁ⸢tak⸣kuŋ] 連 自慢する。ほら(法螺)を吹く。「Cuchitataqi.クチタタキ(口叩き)ぺちゃくちゃとよくしゃべる者.Cuchiuo tataqu(口を叩く)よくしゃべる」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァヌドゥ⸣ ブ⸢ドゥロー ゾー⸣ジティ ⸢シー⸣ ウ⸢ブ⸣フチェー タ⸢タ⸣キ ⸢オーッタン⸣ドゥ マ⸢キ ナーン⸣ワー⸢ン⸣ノー [⸢duː⸣nu f⸢fanudu⸣ bu⸢duroː ʣoː⸣ʤiti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧeː tḁ⸢ta⸣ki ⸢ʔoːttan⸣du ma⸢ki naːŋ⸣waː⸢n⸣noː] (自分の子が踊りは上手だといって、大法螺をふいて<大口をたたいて>おられたが、負けてしまったではないか) 15146 0 0 14955 htmvoc_15146.wav フチダリ フ⸢チダリ [ɸu̥⸢ʧidari] 名 \ruby{喋}{シャベ}り過ぎて口を開くのが\ruby{億劫}{オッ|クウ}になること。口がだるくなること。喋るのが疲れること。「口・だれる」の義。 ⸣プスイピーズ ⸢ンーナパナシバ シーベー⸣ティ フ⸢チダリ<フ⸢チブガリ> シー ナー⸣ヌ [⸣pu̥suipiːʣu ⸢ʔnːnapanaʃiba ʃiːbeː⸣ti ɸu̥⸢ʧidari<ɸu⸢ʧibugari> ʃiː naː⸣nu] (一日中無駄話をして口が疲れてしまった) 15149 0 0 14956 htmvoc_15149.wav フチックナー フ⸢チックナー [ɸu̥⸢ʧikkunaː] 名 他人が食べるのを見て、自分も食べたそうに口をもぐもぐ動かすこと。舌なめずり。「口較べ」の義か。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ムヌ ッ⸢ふァイ⸣ プサカー フ⸢チックナー スン [ja⸢ra⸣beː ⸣munu f⸢fai⸣ pu̥sakaː ɸu̥⸢ʧikkunaː suŋ] (子供は食べ物が食べたければ他人の口を見て自分の口をもぐもぐ動かす) 15153 0 0 14957 htmvoc_15153.wav フチッサールン フ⸢チ⸣ ッ⸢サールン [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saːruŋ] 連 口を閉じる。物を言わなくなる。口を\ruby{塞}{フサ}ぐ。 フ⸢チ⸣ ッ⸢サーリティ⸣ ウ⸢シダマリ ベー [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saːriti⸣ ʔu⸢ʃidamari beː] (口を閉じて押し黙っている) 15150 0 0 14958 htmvoc_15150.wav フチッサーン フ⸢チ⸣ ッ⸢サー⸣ン [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saː⸣ŋ] 連 口臭がある。「口が臭い」の義。 ⸢ワー⸣ フ⸢チ⸣ ッ⸢サー⸣ンダ フ⸢チ⸣ ア⸢ライ [⸢waː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saː⸣nda ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢rai] (君は口臭がある<口が臭い>ので、口を洗いなさい) 15151 0 0 14959 htmvoc_15151.wav フチッサウン フ⸢チ⸣ ッ⸢サウン [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢sauŋ] 連 口を閉じる。口を締める。「口・塞ぐ」が、[kuʧi・ɸusagi] → [ɸu̥ʧi・ssagi] → [ɸu̥ʧi・ssai] のように音韻変化(逆行同化)して転訛したもの。 プ⸢スヌ⸣ マンタナーテー シゥ⸢カイトゥ⸣ フ⸢チェー⸣ ッ⸢サイティ アー⸣キ [pu̥⸢sunu⸣ mantanaːteː si̥⸢kaitu⸣ ɸu̥⸢ʧeː⸣ s⸢saiti ʔaː⸣ki] (人の前ではしっかりと口を締め<閉じ>ていなさい<あるけ>) 15152 0 0 14960 htmvoc_15152.wav フチッサリカザ フ⸢チッサリ⸣カザ [ɸu̥⸢ʧissari⸣kaʣa] 名 口臭。「口腐れ臭い」の義。 フ⸢チッサリカザ⸣ヌ タ⸢カー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [ɸu̥⸢ʧissarikaʣa⸣nu tḁ⸢kaː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (口臭<口腐れ臭い>がひどくて<高くて>対面して話できない<向かわれない>) 15154 0 0 14961 htmvoc_15154.wav フチトゥルン フ⸢チ⸣ トゥルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ turuŋ] 連 口真似をする。親の口真似をする。受け売りをする。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ヤ⸢ラビ⸣ヌカー ウ⸢ヤ⸣ヌ フ⸢チバ⸣ トゥリ ⸢ゾー⸣ブンニ ウ⸢ブ⸣ブシ イ⸢ズン⸠ツォー [ʔu⸢bitʧin⸣nu ja⸢rabi⸣nukaː ʔu⸢ja⸣nu ɸu̥⸢ʧiba⸣ turi ⸢ʣoː⸣bunni ʔu⸢bu⸣buʃi ʔi⸢ʣun⸠ʦoː] (こんなに小さな子供だのに、親の口真似をして立派<十分>に古典民謡<大節>を謡うんですよ<珍しいことだ>)。伝聞の終助詞の⸣ツォー[⸣ʦoː](~そうだ)の場合は、アクセントは三段階まで下がるが、詠嘆、感嘆の終助詞⸣ツォー[⸣ʦoː](~だよ)のアクセントは二段階(中段)まで下がる 15156 0 0 14962 htmvoc_15156.wav フチナイ フ⸢チナイ [ɸu̥⸢ʧinai] 名 (動)魚の名。和名、ハナフエフキ(体長約25センチ)。和名、イソフエフキ(体長約25センチ)。鳩間島の前の浜で、延縄をしてよく釣り上げた。高級魚の一つ。 フ⸢チナイヤー⸣ マンタヌ パ⸢マー⸣ラ ⸢パイ⸣ナー ⸢シェー⸣ティ ⸣ユー ⸢ホーシ⸣タン [ɸu̥⸢ʧinaijaː⸣ mantanu pa⸢maː⸣ra ⸢pai⸣naː ⸢ʃeː⸣ti ⸣juː ⸢hoːʃi̥⸣taŋ] (フチナイは島の前の浜から延縄をして、よく釣ったものだ) 15155 0 0 14963 htmvoc_15155.wav フチナシイズ フ⸢チナシイズ [ɸu̥⸢ʧinaʃiʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、コチ(体長約70センチ)。イソフエフキ(体長約25センチ)。高級魚の一つ。白身の肉が美味である。鳩間島の前の浜で、延縄で釣れた。島の周囲でよく釣れる。焼き魚、から揚げ、煮付け、刺身等にして食された 15157 0 1 14964 htmvoc_15157.wav フチニーバン フ⸢チ ニー⸣バン [ɸu̥⸢ʧi niːbaŋ] 連 {Mn_1}\ruby{喋}{シャベ}るのが遅い。話すのが遅い。⸢Cuchi vosoi.クチヲソイ(口遅い)話すのがおそい」『邦訳日葡辞書』の転訛。フ⸢チ⸣ ク⸢バー⸣ン[ɸu̥⸢ʧi⸣ ku⸢baː⸣ŋ](\ruby{吃}{ドモ}ってなかなか喋れない{EOS}話すのがおそい)、フ⸢チ フコー⸣ン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ɸukoː⸣ŋ] ともいう。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チ ニー⸣バンダー ⸢ワーラ⸣ パ⸢ナ⸣シ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧiniː⸣banda ⸢waːra⸣ pa⸢na⸣ʃi] (彼は喋るのが遅いから、君から話しなさい)。 15157 0 2 14965 htmvoc_15157.wav フチニーバン フ⸢チ ニー⸣バン [ɸu̥⸢ʧi niːbaŋ] 連 {Mn_2}幼児の話し始めるのが遅い。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ フ⸢チ ニー⸣バティ ⸢ソーバ シー ベー⸠ツォー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ɸu̥⸢ʧi niː⸣bati ⸢soːba ʃiː beː⸠ʦoː] (この子は喋るのが遅いので心配しているんですよ) 15158 0 0 14966 htmvoc_15158.wav フチニチ フ⸢チニチ [ɸu̥⸢ʧiniʧi] 名 口の中に熱が出ること。「口熱」の義。 フ⸢チニチヌ⸣ ンジティ フ⸢チェー⸣ タ⸢ダリベー⸣ヌ ⸢ホー⸣ヤー ⸣カヤー [ɸu̥⸢ʧiniʧinu⸣ ʔnʤiti ɸu̥⸢ʧeː⸣ ta⸢dari beː⸣nu ⸢hoː⸣jaːkajaː] (口熱が出て口はただれているが、胎毒<丹毒>かなあ) 15159 0 0 14967 htmvoc_15159.wav フチヌアクママ フ⸢チヌ⸣ ア⸢クママ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʔa⸢kumama] 連 口のあくまま。言いたい放題に言うこと。 フ⸢チヌ⸣ ア⸢クママ⸣ ノー⸢ンティン⸣ ア⸢ズン⸠ダー ⸢クンザー [ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʔa⸢kumama⸣ noː⸢ntiŋ⸣ ʔa⸢ʣun⸠daː ⸢kunʣaː] (言いたい放題<口のあくまま>何とでも言うよ、こいつは) 15160 0 0 14968 htmvoc_15160.wav フチヌイスクン フ⸢チ⸣ ヌイ ⸣スクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ nui ⸣su̥kuŋ] 連 黙らせる。喋らないようにする。「口を縫っておく」の義。 ⸢ウンザー⸣ ムニユマー ヤ⸢ルンダ⸣ フ⸢チ⸣ ヌイトゥ⸢ラ⸣シ [⸢ʔunʣaː⸣ munijumaː ja⸢runda⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ nui tu⸢ra⸣ʃi] (あいつはお喋りだから、喋らないように口を縫ってやれ>) 15161 0 1 14969 htmvoc_15161.wav フチヌシトゥン フ⸢チ ヌシ⸣トゥン [ɸu̥⸢ʧi nuʃi̥⸣tuŋ] 連 {Mn_1}口をぬぐう(拭う)。口を軽く拭き取る。口の回りの汚れを拭う。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢チェー⸣ ア⸢バゴー⸣ダー ⸢シー ベー⸣バ フ⸢チ ヌシ⸣ティ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ja⸢rabi⸣nu ɸu̥⸢ʧeː⸣ ʔa⸢bagoː⸣daː ⸢ʃiː beː⸣ba ɸu̥⸢ʧi nuʃi̥⸣ti f⸢fiːri⸣ba] (子供の口の回りは油だらけ<油まみれ>になっているので、\ruby{拭}{ヌグ}ってやりなさい)。 15161 0 2 14970 htmvoc_15161.wav フチヌシトゥン フ⸢チ ヌシ⸣トゥン [ɸu̥⸢ʧi nuʃi̥⸣tuŋ] 連 {Mn_2}そしらぬ顔をする。 ⸢ドゥー⸣ヌ ア⸢ズタ⸣ クトー イ⸢カシタテー ナー⸣ナー フ⸢チェー ヌシ⸣ティティ ッ⸢サンコーラー⸣シ ⸢ベー [⸢duː⸣nu ʔa⸢ʣuta⸣ ku̥toː ʔi⸢kaʃi̥tateː naː⸣naː ɸu̥⸢ʧeː nuʃi̥⸣titi s⸢saŋkoːra⸣ʃi ⸢beː] (自分の言ったことは忘れて<\ruby{如何}{ド|ウ}したということもなく、責任をとらず>、口を\ruby{拭}{ヌグ}って知らないふりをしている) 15162 0 0 14971 htmvoc_15162.wav フチヌシバ フ⸢チヌ⸣シバ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ʃiba] 連 唇の総称。 ⸢オーシバ [⸢ʔoːʃiba] (上唇) ⸢オーシバ⸣ナー ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジケーン [⸢ʔoːʃiba⸣naː ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤikeːŋ] (上唇におでき<御出来>が出てきた))。 ッ⸢サシバ [s⸢saʃiba] (下唇)。 ッ⸢サシバ フッ⸣ツァムン [s⸢saʃiba ɸut⸣ʦamuŋ] (下唇を噛みしめる)。 ⸢トー⸣リティ フ⸢チヌ⸣シバ バ⸢リ⸣ フ⸢クラシ⸣ シケー [⸢toː⸣riti ɸu̥⸢ʧinu⸣ʃiba ba⸢ri⸣ ɸu̥⸢kuraʃi⸣ ʃi̥keː] (倒れて唇を強打して\ruby{腫}{ハレ}させてある) 15163 0 0 14972 htmvoc_15163.wav フチヌパー フ⸢チ⸣ヌ ⸣パー [ɸu̥⸢ʧi⸣nu ⸣paː] 連 櫛の歯。 フ⸢チ⸣ヌ ⸣パー カ⸢カイナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣nu ⸣paː kḁ⸢kainaː⸣nu] (櫛の歯が欠けてしまった) 15165 0 0 14973 htmvoc_15165.wav フチヌパジェーナーヌ フ⸢チヌ⸣ パジェー ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ paʤeː ⸢naː⸣nu] 連 食い意地がはって恥ずかしいとも思わない。口の恥が無い。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チヌ⸣ パジェー ⸢ナー⸣ユンダ ッ⸢ふァイムヌヌ⸣ アルン ⸣トンマー マー⸢ンバー⸣キン パ⸢リ⸣ス [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧinu⸣ paʤeː ⸢naː⸣junda f⸢faimununu⸣ ʔarun ⸣tommaː maː⸢mbaː⸣kim pa⸢ri⸣su] (彼は食い意地がはって恥がないから、食べ物のある所へはどこまでも行くよ) 15166 0 0 14974 htmvoc_15166.wav フチヌパタ フ⸢チヌ⸣ パ⸢タ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ pḁ⸢ta] 連 口の周辺。 フ⸢チヌ⸣ パ⸢タヌ パイヤンツァン ウイユーサヌ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ pḁ⸢tanu paijanʦaŋ ʔuijuːsanu] (口の回りの蝿さえも追えない{EOS}衰弱しきって自分のことすら何もできない)。 ヤ⸢ナ⸣ムネー フ⸢チヌパタ マーラヌ [ja⸢na⸣muneː ɸu̥⸢ʧinupata maːranu] (他人に対する悪口は、言った人の口の周囲を回らないうちに自分の方ヘと向かってくる<口の端を回らぬ>) 15167 0 0 14975 htmvoc_15167.wav フチヌピライ フ⸢チヌ⸣ ピライ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ pirai] 連 表面だけの付き合い(言葉の付き合い)。「口の付き合い」。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ストー⸣ フ⸢チヌ⸣ ピ⸢ライ⸣ル ⸣ナル キ⸢ム⸣ヌ ピ⸢ライ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sutoː⸣ ɸu̥⸢ʧinu⸣ pi⸢rai⸣ru ⸣naru ki⸢mu⸣nu pi⸢rai⸣jaː na⸢ra⸣nu] (その人とは表面だけ<言葉だけ>の付き合いしかできない<言葉だけの付き合いが出来る>、心からの付き合いは出来ない) 15168 0 0 14976 htmvoc_15168.wav フチヌマイ フ⸢チヌ⸣ マイ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ mai] 連 くちすぎ(口過ぎ)。食費を得るだけのこと。\ruby{糊口}{コ|コウ}。生計。「口の前<生計分。食べる分>」の義。 フ⸢チヌ⸣マイ ⸢バーキ⸣ル ⸣ナル ⸢ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザシユーサ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧinu⸣mai ⸢baːki⸣ru ⸣naru ⸢ʔuinu gak⸣koːja ʔn⸢ʣaʃijuːsa⸣nu] (食べて生活することしかできない<口の前までが出来る>{EOS}上の学校へは出せない)。 フ⸢チヌ マイ⸣ヤンツァン ⸢シーユーサヌ [ɸu̥⸢ʧinu mai⸣janʦaŋ ⸢ʃiːjuːsanu] (食費<口の前{EOS}口過ぎ>すら稼げない) 15169 0 0 14977 htmvoc_15169.wav フチヌヤムンケン フ⸢チヌ⸣ ヤムンケン [ɸu̥⸢ʧinu⸣ jamuŋkeŋ] 連 くちすっぱく(口酸っぱく)言い聞かせる。「口が痛くなるまで」の義。 フ⸢チヌ⸣ ヤムンケン ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カスンドゥ⸣ シゥ⸢カンバン [ɸu̥⸢ʧinu⸣ jamuŋkeŋ ʔa⸢ʤi⸣ sï̥⸢kasundu⸣ sï̥⸢kambaŋ] (口酸っぱく<口が痛くなるまで>言って聞かせるが聞きいれない<聞かない>わい) 15170 0 0 14978 htmvoc_15170.wav フチノーシムヌ フ⸢チノーシ⸣ムヌ [ɸu̥⸢ʧinoːʃi⸣munu] 名 口直し。苦い薬や\ruby{不味}{マ|ズ}いものを飲食した後、その味を消すために食する甘い物や美味な物。「口直し物」の義。 フ⸢チノーシ⸣ムノー ⸢ノーンガサ⸣ ナー⸢ヌー [ɸu̥⸢ʧinoːʃi⸣munoː ⸢noːŋgasa⸣ naː⸢nuː] (口直し物は何かないか) 15171 0 0 14979 htmvoc_15171.wav フチノールン フ⸢チ ノー⸣ルン [ɸu̥⸢ʧi noː⸣ruŋ] 連 口の傷や味覚障害が治る。「口が治る」の義。 フ⸢チヌ ノール⸣ター ム⸢ヌ⸣ヌ ア⸢ジン⸣ ワ⸢カ⸣ルン⸢ダー [ɸu̥⸢ʧinu noːru⸣taː mu⸢nu⸣nu ʔa⸢ʤiŋ⸣ wa⸢ka⸣run⸢daː] (口の病が治ったので、ものの味がわかるよ) 15164 0 0 14980 htmvoc_15164.wav フチパク フ⸢チ⸣パク [ɸu̥⸢ʧi⸣pḁku] 名 櫛箱。女性用の櫛やびんつけ油、鏡などを収納した木箱。 パ⸢トゥ⸣マナーテー フ⸢チ⸣パコー ミ⸢ドゥムンケー⸣ヌ ⸢ドン⸣グ ⸢ヤッタ [pḁ⸢tu⸣manaːteː ɸu̥⸢ʧi⸣pḁkoː mi⸢dumuŋkeː⸣nu ⸢doŋ⸣gu ⸢jatta] (鳩間島では櫛箱は女性達の持ち物<道具>であった) 15172 0 0 14981 htmvoc_15172.wav フチバシ フ⸢チバシ [ɸu̥ʧibaʃi] 名 くちばし(嘴)。 ⸣ゴッカーロー フ⸢チバシ⸣シ ⸣アミツァ パ⸢サ⸣ミティ イ⸢シ⸣ナ ⸢シッ⸣キ バ⸢リティル⸣ ッ⸢ふー⸣ダー [⸣gokkaroː ɸu̥⸢ʧibaʃi⸣ʃi ⸣ʔamiʦa pḁ⸢sa⸣miti ʔi⸢ʃi⸣na ⸢ʃik⸣ki ba⸢ritiru⸣ f⸢fuː⸣daː] (アカショービンは嘴でヤドカリをくわえて石に叩き割って食べるのだよ) 15173 0 0 14982 htmvoc_15173.wav フチパジ フ⸢チパジ [ɸu̥⸢ʧipaʤi] 名 軽々しくものを言うこと。慎みがなくものを言うことで恥をかくこと。「口恥」の義。 フ⸢チパジェー ナー⸣ン ⸣マーティ ⸢ナー⸣ナ キ⸢ナイヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ ム⸢ニ⸣ユメーティ ⸢アー⸣ク [ɸu̥⸢ʧipaʤeː naː⸣m maːti ⸢naː⸣na ki⸢nainu⸣ pa⸢naʃi⸣ba mu⸢ni⸣jumeːti ⸢ʔaː⸣ku] (軽々しくしゃべって恥ずかしくもなく<口恥もなく>、所かまわず家庭内の秘密話を喋っている<喋ってあるく>) 15174 0 1 14983 htmvoc_15174.wav フチパタッカルン フ⸢チ⸣ パ⸢タッカルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ pḁ⸢takkaruŋ] 連 {Mn_1}口を開ける。 ⸢ヤー⸣ナー フ⸢チ⸣ パ⸢タッカリ⸣ ムヌ ッ⸢ふンティ⸣ マティ ⸢ブー⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢リル ブー [⸢jaː⸣naː ɸu̥⸢ʧi⸣ pḁ⸢takkari⸣ munu f⸢funti⸣ mati ⸢buː⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢riru buː] (家では口を開けてものを食べようと待ち受けている人もいる)。 15174 0 2 14984 htmvoc_15174.wav フチパタッカルン フ⸢チ⸣ パ⸢タッカルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ pḁ⸢takkaruŋ] 連 {Mn_2}唖然とする。ぼうぜん(呆然)となる。あっけ(呆気)にとられて、あいた口がふさがらないさま。 パ⸢ナイキ⸣ガリ ⸢オーッ⸣タ プ⸢スヌ⸣ シキンナ カ⸢カラン⸣ター フ⸢チェー⸣ パ⸢タッカリティ⸣ ムネー イ⸢ゾーラ⸣ヌ [pa⸢naiki⸣gari ⸢ʔoːt⸣ta pu̥⸢sunu⸣ ʃi̥kinnaː kḁ⸢karan⸣taː ɸu̥⸢ʧeː⸣ pḁ⸢takkariti⸣ muneː ʔi⸢ʣoːra⸣nu] (威張っておられた人が、試験に受から<かから>なかったので、口を開けて\ruby{呆然}{ボウ|ゼン}としておられる) 2260 0 0 14985 htmvoc_2260.wav フチパブ ⸣フチパブ [⸣ɸu̥ʧipabu] 名 (動)和名、オオイカリナマコ。浅い珊瑚礁の砂地に棲息している。直径約2~3センチの円筒状の体形で、体長約は約2メートル。海砂の上に長く伸びたり、折りたたんだように這っているのでウミヘビと間違えることがある。グロテスクな感じを与える。 ⸣フチパボー ⸣ミルカー ナ⸢クラーン⸣ドゥ ウ⸢レー⸣ ノー⸢ン サヌ [⸣ɸu̥ʧipaboː ⸣mirukaː na⸢kuraːn⸣du ʔu⸢reː⸣ noː⸢n sanu] (オオイカリナマコは見ると恐ろしいが、それは危険ではない<何もしない>よ) 15175 0 0 14986 htmvoc_15175.wav フチパヤーン フ⸢チパヤー⸣ン [ɸu̥⸢ʧipajaː⸣ŋ] 形 口が早い。早口である。 フ⸢チパヤー⸣ンダ ⸢ワー⸣ ムネー ムッ⸢トゥ⸣ シゥ⸢カラヌ [ɸu̥⸢ʧipajaː⸣nda ⸢waː⸣ muneː mut⸢tu⸣ sï̥⸢karanu] (口が早いから、君の話は一向に聞き取れない)。 ⸢ナン⸣ゾー フ⸢チパヤー ナー⸣ヌンドゥ フ⸢チパヤー⸣ヌ シゥ⸢カラヌ⸣ティ ア⸢ジアー⸣ク [⸢nan⸣ʣoː ɸu̥⸢ʧipajaː naː⸣nundu ɸu̥⸢ʧipajaː⸣nu sï̥⸢karanu⸣ti ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (それほど口は早くないが、口が早くて聞き取れないと言っている)。 ⸢シンダイ⸣ フ⸢チパヤー⸣ ナリケーン [⸢ʃindai⸣ ɸu̥⸢ʧipajaː⸣ narikeːŋ] (次第に口が早くなってきた)。 フ⸢チパヤー⸣ プ⸢スヌ⸣ ムネー シ⸢キングリ⸣サン [ɸu̥⸢ʧipajaː⸣ pu̥⸢sunu⸣ muneː ʃi̥⸢kiŋguri⸣saŋ] (早口<口が早い>の人の話<物言い>は聞きづらい) 15176 0 0 14987 htmvoc_15176.wav フチビー フ⸢チビー [ɸu̥⸢ʧibiː] 名 いぼ(疣)。皮膚上に突起した角質の小さな塊。「贅、布須倍(ふすべ)」『和名抄』の義。ミ⸢ジフチビー[mi⸢ʤiɸuʧibiː](柔らかい疣)、イ⸢シフチビー[ʔi⸢ʃiɸu̥ʧibiː](固い疣)がある。 ウ⸢ム⸣ティナ ⸣アル フ⸢チビー⸣ヤ ⸣トゥリ シ⸢ティララン⸣カヤー [ʔu⸢mu⸣tina ⸣ʔaru ɸu̥⸢ʧibiː⸣ja ⸣turi ʃi̥⸢tiraraŋ⸣kajaː] (顔にある\ruby{疣}{イボ}は取って捨てられないかなあ) 15177 0 0 14988 htmvoc_15177.wav フチピーワン フ⸢チピー⸣ワン [ɸu̥⸢ʧipiː⸣waŋ] 形 えがらっぽい。口内がひりひりして、\ruby{痺}{シビ}れるような感じがする。食中毒を起こす前兆として、口内がひりひりしてくる感じを表す。ビ⸢ロー⸣サ[bi⸢roː⸣sa](くわずいも)の汁液が唇にかかると、ひりひりしてくる感じを表す。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チピー⸣ワンダ ッ⸢ふァーラヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧipiː⸣wanda f⸢faːranu] (これはえがらっぽいから食べられない)。 フ⸢チピーワ⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [ɸu̥⸢ʧipiːwa⸣nu f⸢faːranu] (えがらっぽくて食べられない)。 フ⸢チピー⸣ワ ⸣ムノー ッ⸢ふーナ [ɸu̥⸢ʧipiː⸣wa ⸣munoː f⸢fuːna] (えがらっぽいものは食べるな) 15178 0 0 14989 htmvoc_15178.wav フチビタ フ⸢チビタ [ɸu̥ʧibita] 名 くちべた(口下手)。くちぶちょうほう(口不調法)。口のきき方が下手であること。首里方言から転訛した語。老年層はフ⸢チブックー[ɸu̥⸢ʧibukkuː](口下手)という。 ウ⸢レー⸣ フ⸢チビタ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スヌ⸣ マイナ ン⸢ジ⸣ルカー パ⸢ナ⸣シ ⸢シーユーサヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu̥⸢ʧibita⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢sunu⸣maina ʔn⸢ʤi⸣rukaː pa⸢na⸣ʃi ⸢ʃiːjuːsanu] (彼は口下手だから、人の前に出ると話をすることが出来ない) 15180 0 0 14990 htmvoc_15180.wav フチフーン フ⸢チ フーン [ɸu̥⸢ʧi ɸuːŋ] 連 口を閉じる。口をつぐむ(噤む)。口を塞ぐ。 ク⸢ヌ⸣ クトー フ⸢チェー フイティ⸣ ムネー イ⸢ズナ⸣ヨー [ku⸢nu⸣ ku̥toː ɸu̥⸢ʧeː ɸuiti⸣ muneː ʔi⸢ʣuna⸣joː] (このことは、口を噤んでものを言うなよ) 15179 0 0 14991 htmvoc_15179.wav フチフイ フ⸢チフイ [ɸu̥⸢ʧiɸui] 名 寒さで口が震えること。「口振るえ」の義。 ク⸢ヌ ッふァー⸣ ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ピー⸣ヤティ フ⸢チフイ シー ベー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ du⸢ku⸣nu ⸢piː⸣jati ɸu̥⸢ʧiɸui ʃiːbeː] (この子は、あまりにも寒いのでガクガク口振るえしている) 15181 0 0 14992 htmvoc_15181.wav フチブク フ⸢チブク [ɸu̥⸢ʧibuku] 名 口下手。口不調法。 フ⸢チブク⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ ア⸢キナイ⸣ヤー シ⸢ミララヌ [ɸu̥⸢ʧibuku⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ʔa⸢kinai⸣jaː ʃi⸢miraranu] (口下手だから、彼には商売はさせられない) 15182 0 0 14993 htmvoc_15182.wav フチフコーン フ⸢チフコー⸣ン [ɸu̥⸢ʧiɸu̥koː⸣ŋ] 形 口下手である。口が遅い。喋りが遅い。 ビ⸢キドゥモー⸣ フ⸢チフコー⸣ンダー ア⸢キナイ⸣ヤー ミ⸢ドゥムン⸣スコー ⸢シーユーサヌ [bi⸢kidumoː⸣ ɸu̥⸢ʧiɸu̥koː⸣ndaː ʔa⸢kinai⸣jaː mi⸢dumun⸣su̥koː ⸢ʃiːjuːsanu] (男は口下手だから、商売は女のように<女程に>出来ない) 15183 0 0 14994 htmvoc_15183.wav フチブシ フ⸢チブシ [ɸu̥⸢ʧibuʃi] 名 口達者。能弁家。口先だけで勇ましいことを言う者。虚勢を張る者。「口武士」の転訛したもの。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ムティ フ⸢チブシ⸣ ナリティ フ⸢チウタイ シース [ja⸢rabi⸣nu ⸣jakoː tḁ⸢ta⸣muti ɸu̥⸢ʧibuʃi⸣ nariti ɸu̥⸢ʧiʔutai ʃiːsu] (子供が、何の役にも立たないくせに口達者になって<口先だけ勇ましいことを言って>反抗<口答え>をするよ) 15184 0 0 14995 htmvoc_15184.wav フチフラックン フ⸢チ⸣ フ⸢ラックン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ɸu⸢rakkuŋ] 連 ものを言う。話をする。「口を開く」の義。 ナー⸢イ⸣ ウ⸢シダマリ ベータン⸣ドゥ ヤッ⸢トゥ⸣シ フ⸢チ⸣ フ⸢ラッキ フントー⸣ヌ ⸣クトゥ パ⸢ナ⸣シェーンツォー [naː⸢ji⸣ ʔu⸢ʃidamari beːtan⸣du jat⸢tu⸣ʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ ɸu⸢rakki ɸuntoː⸣nu ⸣ku̥tu pa⸢na⸣ʃeːnʦoː] (じいっと押し黙っていたが、やっとで口を割って<口を開いて>本当のことを話したそうだ)。 ン⸢メーマ⸣ナー フ⸢チ⸣ フ⸢ラキティ⸣ ムヌーン イ⸢ジ⸣バ [ʔm⸢meːma⸣naː ɸu̥⸢ʧi⸣ ɸu⸢rakkiti⸣ munuːŋ ʔi⸢ʤi⸣ba] (少しは口も開いて話もし<ものを言い>なさいよ) 15185 0 0 14996 htmvoc_15185.wav フチマイヤン フ⸢チ マイ⸣ヤン [ɸu̥⸢ʧi mai⸣jaŋ] 連 口が大きい。 サ⸢バヌ⸣ フ⸢チェー マイ⸣ヤンダ フ⸢チヌ マイ⸣ヤー プ⸢ソー⸣ サ⸢バフチ⸣ティル ア⸢ズ [sa⸢banu⸣ ɸu̥⸢ʧeː mai⸣janda ɸu̥⸢ʧinu mai⸣jaː pu̥⸢soː⸣ sa⸢baɸu̥ʧi⸣tiru ʔa⸢ʣu] (鮫の口は大きいから、口の大きい人を鮫口という)。ウ⸢ブ⸣フチ[ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧi](大きな口)ともいう 15186 0 0 14997 htmvoc_15186.wav フチマチル フ⸢チマチル [ɸu̥⸢ʧimaʧiru] 名 (海底地名)。⸣フキクムル[⸣ɸu̥kikumuru]の北西部にある干瀬が外洋部から湾入した所。フチマチル漁をするところ。外洋から干瀬の頂上部に海草を食べに上がった魚は引き潮で外洋や⸣フキクムル[⸣ɸu̥kikumuru]の方へと下がっていく。その魚道に網を仕掛けて⸢クー⸣レー[⸢kuː⸣reː](チョウチョウコショウダイ{EOS}クロコショウダイ)やシ⸢ツ[ʃi̥⸢ʦu](クロメジナ)などを漁獲する。 フ⸢チマチル⸣ ウ⸢ラ⸣シン パラ⸢ディー [ɸu̥⸢ʧimaʧiru⸣ ʔu⸢ra⸣ʃim para⸢diː] (フチマチルに網を降ろして漁をしに行こうよ) 15187 0 0 14998 htmvoc_15187.wav フチマチルウラシ フ⸢チマチル⸣ ウ⸢ラ⸣シ [ɸu̥⸢ʧimaʧiru⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi] 連 ⸣タカアン[⸣tḁkaʔaŋ](高網)や⸣キタアン[⸣ki̥taʔaŋ](桁網)、ヤ⸢シ⸣ミーアン[ja⸢ʃi⸣miːʔaŋ](広目<八十目>網)を使って、主として島の北西の干瀬のフチマチルで行われた漁法。満ち潮に乗って⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外{EOS}外洋)から海藻を食いに、干瀬の上に上ってくる魚を巻き取る漁法 15189 0 0 14999 htmvoc_15189.wav フチマリカザ フ⸢チマリ⸣カザ [ɸu̥⸢ʧimari⸣kaʣa] 名 きな臭さ。薪がくすぶる時の煙の臭い。「燻り臭い」の義。 フ⸢チマリカザ⸣ヌ ⸢スーギン⸣シェー カ⸢マチヌ ピー⸣ヤ ⸢ムイ⸣ ブ⸢ラーン⸣ナー [ɸu̥⸢ʧimarikaʣa⸣nu ⸢suːgiŋ⸣ʃeː ka⸢maʧinu piː⸣ja ⸢mui⸣ bu⸢raːn⸣naː] (きな臭い<薪や草が燻っている>臭いがするからには、竈の火は燃えていないのだねえ) 15188 0 0 15000 htmvoc_15188.wav フチマルン フ⸢チ⸣マルン [ɸu̥⸢ʧi⸣maruŋ] 自動 くすぶる(燻る)。けむる(煙る)。もうもうと煙る。「Fusube,uru,eta.フスベ,ブル,ベタ(燻べ、ぶる、べた) いぶす.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 キ⸢ボーシ⸣ フ⸢チ⸣マルン [ki⸢boːʃi⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣maruŋ] (煙が\ruby{燻}{クスブ}る)。 ⸢ゾーリタムノー⸣ フ⸢チ⸣マリティ ⸢ムイラヌンドゥ⸣ ⸢カーラク⸣カー フ⸢チマラ⸣ヌ [⸢ʣoːritamunoː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣mariti ⸢muiranundu kaːraku⸣kaː ɸu̥⸢ʧimara⸣nu] (\ruby{濡}{ヌ}れた薪は燻って燃えないが、乾いたら燻らない)。 フ⸢チ⸣マル タ⸢ム⸣ノー ⸢モースナ [ɸu̥⸢ʧi⸣maru ta⸢mu⸣noː ⸢moːsuna] (燻る薪は燃やすな)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢チ⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢ʧi⸣mareː ⸣misamunu] (もっと燻ればいいのに)。 フ⸢チ⸣マリ [ɸu̥⸢ʧi⸣mari] (燻れ) 15190 0 0 15001 htmvoc_15190.wav フチミーザン フ⸢チミー⸣ザン [ɸu̥⸢ʧimiː⸣ʣaŋ] 形 ものの味が不味い。ものの味が不味く感じられる。「口不味い」の義。多くは重い病気に罹った際に使用されることが多い。 ン⸢マー⸣ ムヌ ン⸢カサバン⸣ フ⸢チミー⸣ザンティル ア⸢ゾー⸣ル [ʔm⸢maː⸣ munu ʔŋ⸢kasabaŋ⸣ ɸu̥⸢ʧimiː⸣ʣantiru ʔa⸢ʣoː⸣ru] (美味しいものを召し上がらせても不味いといわれる)。 ナ⸢ガヤン⸣ シ⸢タール⸣ ヌーンクイン フ⸢チミー⸣ザ ⸣ナリティ ⸣ムヌン ッ⸢ふァーラヌ [na⸢gajaŋ⸣ ʃi̥⸢taːru⸣ nuːŋkuiŋ ɸu̥⸢ʧimiː⸣ʣa ⸣nariti ⸣munuŋ f⸢faːranu] (長患いしたので、何もかもものの味が不味くなってご飯が食べられない)。 フ⸢チミー⸣ザル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧimiː⸣ʣaru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (ものの味が不味いことはない) 15191 0 0 15002 htmvoc_15191.wav フチムサリンダー フ⸢チ⸣ ム⸢サリン⸣ダー [ɸu̥⸢ʧi⸣ mu⸢sarin⸣daː] 連 口をむしられる(\ruby{毟}{ムシ}られる)ぞ。口をちぎら(千切ら)れるぞ。 ヨー⸢ヨー⸣ プ⸢スヌ⸣ ヤ⸢ナ⸣グチ ⸢シー アー⸣クンケン フ⸢チ⸣ ム⸢サリン⸣ダー [joː⸢joː⸣ pu̥⸢sunu⸣ ja⸢na⸣guʧi ⸢ʃiː ʔaː⸣kuŋkeŋ ɸu̥⸢ʧi⸣ mu⸢sarin⸣daː] (よく注意しろよ{EOS}他人の悪口を言っていると口を毟り取られるぞ) 15192 0 0 15003 htmvoc_15192.wav フチムチ フ⸢チ⸣ムチ [ɸu̥⸢ʧi⸣muʧi] 名 よもぎもち(蓬餅)。旧暦三月三日の節句の日に作って食べる。 ム⸢カ⸣シェー ⸢サングヮチ⸣ サンニチナー カ⸢ルイ⸣ムヌティ ⸢シー⸣ フ⸢チ⸣ムチ ス⸢ク⸣ローッタン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢saŋgwa⸣ʧi ⸣sanniʧinaː ka⸢rui⸣munuti ⸢ʃiː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣muʧi su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (昔は三月三日には\ruby{縁起物}{エン|ギ|モノ}として蓬餅を造られた) 15193 0 0 15004 htmvoc_15193.wav フチヤーラーン フ⸢チ ヤー⸣ラーン [ɸu̥⸢ʧi jaː⸣raːŋ] 連 ものごし(物腰)柔らかい。ことばつきが優しい。「口が柔らかい」の義。 ⸣アッパー イッ⸢ケナ⸣ フ⸢チ ヤー⸣ラー ⸣ムニ イ⸢ゾーッ⸣タ [⸣ʔappaː ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢ʧi jaː⸣raː ⸣muni ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (お祖母さんは非常に物腰柔らかく話された) 15194 0 0 15005 htmvoc_15194.wav フチャギ フ⸢チャ⸣ギ [ɸu̥⸢ʧa⸣gi] 名 十五夜の餅。「吹き上げ餅」の義。円柱形の餅の周りに煮た小豆を\ruby{塗}{マブ}した餅。これを皿に盛り、庭に台を置いてススキを活けた瓶一対と酒を入れた⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](燗瓶)一対とともに十五夜の月に供えた。家族一同が揃って健康祈願をした後、ご馳走を頂いた。子供達も深夜まで月見の遊びが許された。 ⸢ズングヤー⸣ヌ フ⸢チャ⸣ギン マ⸢チティ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸢ʣuŋgujaː⸣nu ɸu̥⸢ʧa⸣gim ma⸢ʧiti⸣ f⸢fai⸣ba] (十五夜のフチャギ餅もお月様に供えて<祭って>から食べなさい) 15195 0 0 15006 htmvoc_15195.wav フチヤクスク フ⸢チヤクスク [ɸu̥⸢ʧijakusuku] 名 口約束。口だけで嫁取の約束をしたり、物品売買、その他の約束をすること。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ユ⸢ミ⸣ ッ⸢ふィールン⸣ティ フ⸢チヤクスク シー⸣ シケー [mi⸢doːn⸣ffaː ju⸢mi⸣ f⸢fiːrun⸣ti ɸu̥⸢ʧijakusu̥ku ʃiː⸣ ʃi̥keː] (娘<女の子>を嫁にやると口約束をしてある) 15197 0 0 15007 htmvoc_15197.wav フチヤニヤン フ⸢チヤニ⸣ヤン [ɸu̥⸢ʧijani⸣jaŋ] 形 口汚い。言葉遣いが汚い。若年層は、フ⸢チヤン⸣ヤン[ɸu̥⸢ʧijaɲ⸣jaŋ](口汚い)ともいう。 ⸢ウンザー⸣ イッ⸢ケナ⸣ フ⸢チヤニ⸣ヤンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー フ⸢チヤニヤー ナーン⸣ワー⸢ヌー [⸢ʔunʣaː⸣ ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢ʧijani⸣janti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ɸu̥⸢ʧijanijaː naːŋ⸣waː⸢nuː] (あいつは非常に口汚いと聞いたが、あまり口汚くないではないか)。 フ⸢チヤニヤ⸣ヌ ウ⸢リヌ⸣ ムネー シ⸢キ⸣ ブ⸢ララヌ [ɸu̥⸢ʧijanija⸣nu ʔu⸢rinu⸣ muneː ʃi̥⸢ki⸣ bu⸢raranu] (口汚くて、彼の話<物言い>は聞いておられない)。 フ⸢チヤニ⸣ヤー プ⸢ストゥ⸣ トゥ⸢レー⸣スカー ⸣ドゥー ⸢バー⸣キン フ⸢チヤニ⸣ヤー ナ⸢リ⸣ス [ɸu̥⸢ʧijani⸣jaː pu̥⸢sutu⸣ tu⸢reː⸣sukaː ⸣duː ⸢baː⸣kiŋ ɸu̥⸢ʧijani⸣jaː na⸢ri⸣su] (口汚い人と付き合うと自分までも口汚くなるよ) 15196 0 0 15008 htmvoc_15196.wav フチヤビルン フ⸢チ⸣ ヤ⸢ビ⸣ルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ja⸢bi⸣ruŋ] 連 「口が破れる」の義。大病した後に味覚障害をおこすこと。味覚がおかしくなる。フ⸢チ⸣ ヤブン[ɸu̥⸢ʧi⸣ jabuŋ](口が破れる{EOS}口がおかしくなる)ともいう。 ウ⸢ブヤンヌ⸣ アトゥナー ⸣ユー フ⸢チ⸣ ヤ⸢ビ⸣ルンティ ス⸢クタンドゥ フン⸣トー フ⸢チ⸣ ヤビティ ム⸢ヌ⸣ヌ ア⸢ジン⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢bujannu⸣ ʔatunaː ⸣juː ɸu̥⸢ʧi⸣ ja⸢bi⸣runti su̥⸢kutandu ɸun⸣toː ɸu̥⸢ʧi⸣ jabiti mu⸢nu⸣nu ʔa⸢ʤiŋ⸣ wa⸢kara⸣nu] (大病の後には味覚障害をおこす<口が破れる>と聞いたが、本当に味覚障害をおこして<口が破れて>ものの味がわからない) 15198 0 0 15009 htmvoc_15198.wav プチュルパタラシ プ⸢チュルパタラ⸣シ [pu̥⸢ʧurupatara⸣ʃi] 副 ぱちぱちと。竹や枯れススキの束がぱちぱちと音を立てて燃え盛るさま。 ⸢タイ⸣バ ⸣シキ プ⸢チュルパタラ⸣シ ⸢モーシェー⸣ティ イ⸢ソー シン オーッ⸣タ [⸢tai⸣ba ⸣ʃi̥ki pu̥⸢ʧurupatara⸣ʃi ⸢moːʃeː⸣ti ʔi⸢soː ʃiŋ ʔoːt⸣ta] (松明を灯して<つけて>ぱちぱちと燃やしながら潮干狩りに行かれた) 15201 0 0 15010 htmvoc_15201.wav フチル フ⸢チ⸣ル [ɸu̥⸢ʧi⸣ru] 名 薬。「薬、\ruby{療}{レ}病則謂ニ之薬一、久須利(くすり)」『和名抄』の「ス」、「リ」の[u]と[i]母音が音位転換して転訛したもの。老年層はフ⸢シ⸣ル[ɸu̥⸢ʃi⸣ru](薬)ともいう。ヌ⸢ミフチ⸣ル[nu⸢miɸuʧi⸣ru](飲み薬)、⸢クーフチ⸣ル[⸢kuːɸuʧi⸣ru](粉薬)、⸢シンジフチ⸣ル[⸢ʃinʤiɸuʧi⸣ru](煎じ薬)、シ⸢ジフチ⸣ル[ʃi⸢ʤiɸuʧi⸣ru](煎じ薬)、サ⸢ギフチ⸣ル[sa⸢giɸuʧi⸣ru](下げ薬<血圧降下剤>{EOS}下剤)、シ⸢キフチ⸣ル[ʃi̥⸢kiɸuʧi⸣ru](塗り薬)、パ⸢リフチル[pa⸢riɸu̥ʧiiru](張り薬)等がある。 イ⸢サ⸣ヌ フ⸢チ⸣ルテー ⸢ナーン⸣ユンダ フ⸢チン⸣パートゥ ン⸢ガナ⸣バ ⸣シジ ⸣ヌメーティル フ⸢チ⸣ル ⸢ソーッ⸣タ [ʔi⸢sa⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ruteː ⸢naːŋ⸣junda ɸu̥⸢ʧim⸣paːtu ʔŋ⸢gana⸣ba ⸣ʃiʤi ⸣numeːtiru ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢soːt⸣ta] (医者の薬とてないわけだから、よもぎ<蓬>の葉とニガナ<苦菜>を煎じて飲みながら、それを薬とされたものである) 15202 0 1 15011 htmvoc_15202.wav フチルスクン フ⸢チ⸣ル ⸣スクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣su̥kuŋ] 連 {Mn_1}薬が\ruby{効}{キ}く。\ruby{薬効}{ヤッ|コウ}がある。フ⸢シ⸣ル ⸣スクン[ɸu⸢ʃi⸣ru ⸣su̥kuŋ](薬が効く)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢チ⸣ロー バ⸢タ⸣ヤンナー イッ⸢ケナ⸣ フ⸢チ⸣ル ⸣スクン [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣roː ba⸢ta⸣jannaː ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣su̥kuŋ] (この薬は腹痛に非常に効く)。 15202 0 2 15012 htmvoc_15202.wav フチルスクン フ⸢チ⸣ル ⸣スクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣su̥kuŋ] 連 {Mn_2}効果てきめん(覿面)である。 ⸢ワー⸣ ム⸢ニ⸣ル ク⸢ヌ ッふァ⸣ナー イッ⸢ケナ⸣ フ⸢チ⸣ル ⸣スク⸢ツォー [⸢waː⸣ mu⸢ni⸣ru ku⸢nu ffa⸣naː ʔik⸢kena⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru su̥ku⸢ʦoː] (貴方の教え<言葉>がこの子の教育には非常に効果がある<薬が効く>んですってば) 15203 0 0 15013 htmvoc_15203.wav フチルスン フ⸢チ⸣ル ⸢スン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢suŋ] 連 薬にする。薬として使用する。 シ⸢ル⸣イカー サ⸢ギフチ⸣ル ヤ⸢リバ⸣ ウ⸢リバ⸣ シジ ⸣ヌミティ フ⸢チ⸣ル ⸢スンティ ベー [ʃi⸢ru⸣ʔikaː sa⸢giɸu̥ʧi⸣ru ja⸢riba⸣ ʔu⸢riba⸣ ʃiʤi ⸣numiti ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢sunti beː] (アオリイカ<シロイカ>は下げ薬<血圧を下げるのに効く薬>だから、それを煎じて飲んで、薬にしようとしている) 15204 0 0 15014 htmvoc_15204.wav フチルヌムヌ フ⸢チル⸣ヌ ⸣ムヌ [ɸu̥⸢ʧiru⸣nu ⸣munu] 連 \ruby{滋養}{ジ|ヨウ}食品。薬になる食品。「薬のもの」の義。 トゥ⸢ロー⸣ パ⸢ルミプス⸣ヌ フ⸢チル⸣ヌ ⸣ムヌティティル ア⸢ザリ ブー [tu⸢roː⸣ pa⸢rumipu̥su⸣nu ɸu̥⸢ʧiru⸣nu ⸣munutiru ʔa⸢ʣaribuː] (鶏肉は妊婦にとって滋養薬食品といわれている) 15205 0 0 15015 htmvoc_15205.wav フチルヤー フ⸢チ⸣ルヤー [ɸu̥⸢ʧi⸣rujaː] 名 薬屋。薬店。フ⸢シ⸣ルヤー[ɸu̥⸢ʃi⸣rujaː](薬屋)ともいう。 イ⸢サナキヌ⸣ フ⸢チ⸣ルヤーラ ニ⸢チサマシ⸣トゥ バ⸢タフチ⸣ル ⸢カイ⸣ クー [ʔi⸢sanakinu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣rujaːra ni⸢ʧisamaʃi⸣tu ba⸢taɸuʧi⸣ru ⸢kai⸣ kuː] (石垣島の薬店から解熱剤<熱冷まし>と腹薬を買ってきなさい) 15206 0 0 15016 htmvoc_15206.wav フチンガイシ フ⸢チンガイシ [ɸu̥⸢ʧiŋgaiʃi] 名 「口返し」の義。フ⸢チガイシ[ɸu̥⸢ʧigaiʃi](口返し)ともいう。他人から受けた\ruby{呪詛}{ジュ|ソ}を\ruby{祓}{ハラ}うための\ruby{呪術}{ジュ|ジュツ}。 ヤ⸢ナ⸣ムニ シ⸢ラリ⸣カー ヤー⸢ディン⸣ フ⸢チンガイシ シー⸠ヨー [ja⸢na⸣muni ʃi⸢rari⸣kaː jaː⸢diŋ⸣ ɸu̥⸢ʧiŋgaiʃi ʃiː⸠joː] (悪口<呪詛>をされたら必ず呪詛祓い<口返し>をしなさいよ) 15207 0 0 15017 htmvoc_15207.wav フチンサーラヌ フ⸢チン サーラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧin saːra⸣nu] 連 食べ物が少ないさま。食べ物が少なくて、ほとんど食べられない。食べ物がほんの少ししか口に入らないさま。「口に\ruby{触}{サワ}らない」の転訛したものか。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣ムヌバ バ⸢キ⸣ルカー<⸣バクカー> フ⸢チン サーラ⸣ヌ [ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣munuba ba⸢ki⸣rukaː<⸣bakukaː> ɸu̥⸢ʧin saːra⸣nu] (これっぽっちのものを分けたら、量が少なくていくらも食べられない<口に触らない程度だ>) 15211 0 0 15018 htmvoc_15211.wav フチンザシ フ⸢チンザ⸣シ [ɸu̥⸢ʧiʔnʣa⸣ʃi] 名 物事の切っ掛けをつくる。最初に手掛けること。手がかりとなることをすること。 シ⸢グトー⸣ ム⸢チ⸣キサタンティン フ⸢チンザ⸣シサーギ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィール⸣カー ⸣アトー ⸣ドゥーシン ⸣ナルン [ʃi⸢gutoː⸣ mu⸢ʧi⸣ki̥satantiŋ ɸu̥⸢tiʔnʣa⸣ʃisaːgi ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːru⸣kaː ⸣ʔatoː ⸣duːʃin ⸣naruŋ] (仕事は難しくても切っ掛け<口出し>さえ作ってくれたら、後は自分でも出来る) 15208 0 0 15019 htmvoc_15208.wav フチンザスン フ⸢チ⸣ ン⸢ザ⸣スン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔn⸢ʣa⸣suŋ] 連 口火を切る。最初に言ったり、したりしてきっかけをつくる。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸣バーラ フ⸢チ⸣ ン⸢ザサ⸣バ<ン⸢ザシ⸣バ> ワ⸢ターン⸣ カシー ⸢シー⸣ヨー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸣baːra ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔn⸢ʣasa⸣ba<ʔn⸢ʣaʃi⸣ba> wa⸢taːŋ⸣ kḁʃiː ⸢ʃiː⸣joː] (その話は私から口火を切る<口出しする>から、君達も応援<加勢>しなさいよ) 15210 0 0 15020 htmvoc_15210.wav フチンザスン フ⸢チンザ⸣スン [ɸu̥⸢ʧiʔnʣa⸣suŋ] 他動 口を出す。差し出口をいう。ようかい(容喙)する。 ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ムティ プ⸢スヌ⸣ クトゥナー フ⸢チンザ⸣スンティ ⸢アー⸣ク [⸣jakoː tḁ⸢ta⸣muti pu̥⸢sunu⸣ ku̥tunaː ɸu̥⸢ʧiʔnʣa⸣sunti ⸢ʔaː⸣ku] (何の役にも立たないくせに他人のことに口出し<容喙>しようとしている) 15209 0 0 15021 htmvoc_15209.wav フチンダタール フ⸢チンダタール [ɸu̥⸢ʧindataːru] 名 世間の取り沙汰。世間の噂。くちのは(口の端)にのぼること。口うるさく噂されること。「口立たり」の義か。 イ⸢フナクトゥバ シー⸣ シ⸢キン⸣ヌ フ⸢チンダタール⸣ シ⸢ラリベー [ʔi⸢ɸunakutuba ʃiː⸣ ʃi̥⸢kin⸣nu ɸu̥⸢ʧindataːru⸣ ʃi⸢rari beː] (妙なことをして、世間の噂になっている)。 ⸢ミートゥンダバカリ⸣バ ⸢シー⸣ シキンナー フ⸢チンダタール⸣ シ⸢ラリ⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [⸢miːtundabakari⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʃi̥kinnaː ɸu̥⸢ʧindataːru⸣ ʃi⸢rari⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (離婚<夫婦分かれ>をして世間の噂になって、まことに残念なことだよ) 15212 0 0 15022 htmvoc_15212.wav フチンッふァーリン フ⸢チン⸣ ッ⸢ふァーリン [ɸu̥⸢ʧiŋ⸣ f⸢faːriŋ] 連 口に食われる。悪口を言うとその通りになって、災いが己にふりかかる。ヤ⸢ナ⸣ムニ イ⸢ズ⸣カー フ⸢チン⸣ ッ⸢ふァーリン⸣ティ ⸢スンダ⸣ ヤ⸢ナ⸣ムニ イ⸢ズナ[ja⸢na⸣muni ʔi⸢ʣu⸣kaː ɸu̥⸢ʧiŋ⸣ f⸢faːrin⸣ti ⸢sunda⸣ ja⸢na⸣muni ʔi⸢ʣuna](悪口を言うと口に食われるというから、悪口は言うな)<諺> 15213 0 0 15023 htmvoc_15213.wav フチンドゥオーリ フ⸢チンドゥ オーリ [ɸu̥⸢ʧindu ʔoːri] 連 口に追われる。子供を食べさせるのに精一杯である。生活に困窮している。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ヤーニン⸣ズ シゥ⸢カ⸣ナウンティ フ⸢チンドゥ オーリ アー⸣ク ⸣キンパダ ア⸢ラ⸣ス ⸢ジン⸣カニ ⸢ナー⸣トー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu ⸢jaːnin⸣ʣu sï̥⸢ka⸣naunti ɸu̥⸢ʧindu ʔoːri ʔaː⸣ku ⸣kimpada ʔa⸢ra⸣su ⸢ʤiŋ⸣kani ⸢naː⸣to ⸢naː⸣nu] (あれだけの家族を養うために、毎日の生活に困窮している<食べさせるのに追われている>、着物を買うお金などはない) 15214 0 0 15024 htmvoc_15214.wav フツァーマ フ⸢ツァー⸣マ [ɸu̥⸢ʦaː⸣ma] 名 海底地名。津口の名。「小津口」の義。西表島の⸣インダ[⸣ʔunda](伊武田)と⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)の北にある干瀬の中央部にある小さな津口。⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)、⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)、トゥ⸢マダ[tu⸢mada](苫田)、⸢ケー⸣ダ[⸢keː⸣da]、⸢ユシ⸣キダー[⸢juʃi̥⸣kidaː](ヨシキ田)、サ⸢キンダ[sḁ⸢kinda](崎田)で通耕する鳩間島の舟は、このフ⸢ツァー⸣マを通っていく。フ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma]より西の干瀬は、⸢イーリジマ[⸢ʔiːriʤima]といい、そのすぐ東側の干瀬にはウ⸢ブ⸣ビー[ʔu⸢bu⸣biː](大干瀬)があり、その東側に⸢ダイ⸣クビー[⸢dai⸣kubiː]があって、この一帯が鳩間島の角又養殖場で、約2万坪の広さがある 15215 0 0 15025 htmvoc_15215.wav ブッカー ⸣ブッカー [⸣bukkaː] 名 不器用。不器用な者。 ウ⸢レー⸣ ティーブッカー ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン シーサヌ [ʔu⸢reː⸣ tiːbukkaː ja⸢runda⸣ noː⸢ŋ ʃiːjuːsanu] (あれ<彼>は手が不器用だから、何も出来ない<作れない>) 15216 0 1 15026 htmvoc_15216.wav フッカースン ⸢フッカー⸣スン [⸢ɸukkaː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}間に入れて差し挟む。挟みこむ。 ⸣クマ カ⸢サム⸣カー ⸣ティー ⸢フッカー⸣スンダ ⸢フッカーサン⸣ トンバ カ⸢サミ [⸣kuma kḁ⸢samu⸣kaː ⸣tiː ⸢ɸukkaː⸣sunda ⸢ɸukkaːsan⸣ tomba kḁ⸢sami] (ここを掴むと手を挟む<手が挟まれる>から、挟まない所をつかめ)。 ⸣パンシ ⸢フッカー⸣シティ ⸣ムティバ [⸣paŋʃi ⸢ɸukkaː⸣ʃi̥ti ⸣mutiba] (足で差し挟んで持ちなさい)。 ⸣パンシ ⸢フッカー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣paŋʃi ⸢ɸukkaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (足で差し挟むことはできない)。 ⸢フッカー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ɸukkaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (挟めばいいのに)。 ⸣パンシ ⸢フッカー⸣シ [⸣paŋʃi ⸢ɸukkaː⸣ʃi] (足でさし挟め)。 15216 0 2 15027 htmvoc_15216.wav フッカースン ⸢フッカー⸣スン [⸢ɸukkaː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}歯を食い縛る。噛みあわせる。 ⸢ピー⸣ヤタンティン ナー⸢イ⸣ パー ⸢フッカー⸣シティ ⸣ニジ ⸢ベー⸣リ [⸢piː⸣jatantin naː⸢ji⸣ paː ⸢ɸukkaː⸣ʃi̥ti ⸣niʤi ⸢beː⸣ri] (寒くても、じっと歯を食い縛って堪えて<念じて>いる) 15217 0 0 15028 htmvoc_15217.wav フッカイスン ⸢フッカイスン [⸢ɸukkaisuŋ] 自動 \ruby{治癒}{チ|ユ}した熱病が再発する。熱病が繰り返す。若年層は、⸢フッケースン[⸢ɸukkeːsuŋ](熱病が再発する)ともいう。 ⸣ドゥー ⸢ピーラ⸣スカー ⸢プーケー フッカイスンダ フッカイサン⸣スコー ヌ⸢クーヌクー⸣シ ⸣キン キ⸢シ⸣ヨー [⸣duː ⸢piːra⸣su̥kaː ⸢puːkeː ɸukkaisunda ɸukkaisan⸣su̥koː nu⸢kuːnukuː⸣ʃi ⸣kiŋ ki̥⸢ʃi⸣joː] (体を冷すとマラリアの熱が再発するから、再発しないようにぬくぬくと<温温と>着物を着なさいよ)。 ⸢フッカイシナー⸣ヌ [⸢ɸukkaiʃinaː⸣nu] (再発した)。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌメーチバ ⸢フッカイス⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numeːʧiba ⸢ɸukkaisu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (薬を飲んだから再発することはない)。 ⸣ニチェー ⸢フッカイシェー⸣ ミサムヌ [⸣niʧeː ⸢ɸukkaiʃeː⸣ misamunu] (熱は再発すればいいのに) 15218 0 0 15029 htmvoc_15218.wav ブックミルン ⸢ブックミルン [⸢bukkumiruŋ] 他動 ぶち込める。うち混ぜる。\ruby{一纏}{ヒト|マト}めにする。 ⸢ピー⸣チナ ⸢ブックミルンティ スンドゥ ブックミララヌ [⸢piː⸣ʧina ⸢bukkumirunti sundu bukkumiraranu] (一つにぶち込めようとするが、ぶち込められない)。 ⸢ブックミ⸣ ミサ ⸣ムノー ⸢ブックミル⸣ クトゥ [⸢bukkumi⸣ misa ⸣munoː ⸢bukkumiru⸣ ku̥tu] (ぶち込めてよい物はぶち込めることだ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ブックミレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢bukkumireː⸣ misamunu] (早くぶち込めればいいのに)。 ⸢ピー⸣チナ ⸢ブックミリ [⸢piː⸣ʧina ⸢bukkumiri] (一つにぶち込めろ<一纏めにしろ>) 15219 0 0 15030 htmvoc_15219.wav ブックムン ⸢ブックムン [⸢bukkumuŋ] 他動 ぶち込む。うち混ぜる。一纏めにする。合算する。 シ⸢ナムヌヌ ダイヤー⸣ ヌーンクイン ⸢ブックムンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ブックム⸣ クトー ナ⸢ラン⸣ティ シ⸢バ ブックマンドー⸣シ ⸣ビチビチニ ⸣パライバ [ʃi⸢namununu daijaː⸣ nuːŋkuim ⸢bukkumunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢bukkumu⸣ ku̥toː na⸢ran⸣ti ʃi⸢ba bukkumandoː⸣ʃi ⸣biʧibiʧini ⸣paraiba] (品物の代金は何もかもぶち込もうと思うが、ぶち込むことはできないというので、\ruby{纏}{マト}めないで別々に支払いなさいよ)。 ⸢ブックミティ⸣ パライバ [⸢bukkumiti⸣ paraiba] (ぶち込んで<合算して>支払いなさいよ)。 ムー⸢ル ブックメー⸣ ミサムヌ [muː⸢ru bukkumeː⸣ misamunu] (全部ぶち込めばいいのに)。 ⸢ブックミ⸣バ [⸢bukkumi⸣ba] (ぶち込めよ) 15220 0 0 15031 htmvoc_15220.wav プックン ⸢プッ⸣クン [⸢puk⸣kuŋ] 自動 穴が開く。⸢ピッ⸣クン[⸢pik⸣kuŋ](自動詞、穴が開く{EOS}他動、穴をあける{EOS}ほがす)ともいう。 ⸣ガンガンタングヌ ス⸢ク プッ⸣キティ シゥ⸢カーラヌ [⸣gaŋgantaŋgunu su̥⸢ku puk⸣kiti si̥⸢kaːranu] (ブリキ缶製のたごおけ<水担桶>の底に穴が開いて使えない)。 イ⸢シ⸣シ ⸢シッ⸣クカ ⸣アナ ⸢プッ⸣クン [ʔi⸢ʃi⸣ʃi ⸢ʃik⸣kuka ⸣ʔana ⸢puk⸣kuŋ] (石で打ったら穴が開く)。 ⸢プッ⸣ク ⸢タン⸣グシェー ミ⸢ジ⸣ カ⸢タマラ⸣ヌ [⸢puk⸣ku ⸢taŋ⸣guʃeː mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢tamara⸣nu] (穴の開いたおけ<水担桶>では水を汲むことはできない) 15221 0 0 15032 htmvoc_15221.wav フッサールン ⸢フッサー⸣ルン [⸢ɸussaː⸣ruŋ] 自動 ぶら下がる。しがみつく。「食い下がる」からの転訛。 ブ⸢ネー⸣ナ ⸢フッサー⸣リティ プ⸢スン⸣ ダ⸢カラヌ [bu⸢neː⸣na ⸢ɸussaː⸣riti pu̥⸢sun⸣ da⸢karanu] (母親にぶら下がって他人には抱かれない)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢キーヌ⸣ユダナ ⸢フッサー⸣ルンティ ⸢ベー⸣バ ⸣ウナー ⸢フッサーラス⸣ナ [ja⸢rabi⸣nu ⸢kiːnu⸣judana ⸢ɸussaː⸣runti ⸢beː⸣ba ⸣ʔunaː ⸢ɸussaːrasu⸣na] (子供が木の枝にぶら下がろうとしているから、そこにぶら下がらせるな)。 ⸢フッサー⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ɸussaː⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (ぶら下がる人はいない)。 ⸢フッサー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢ɸussaː⸣reː ⸣misamunu] (ぶら下がればいいのに)。 ⸢ワー⸣ ヤー⸢ディン フッサー⸣リ [⸢waː⸣ jaː⸢diŋ ɸussaː⸣ri] (君は必ずぶら下がれ) 15222 0 0 15033 htmvoc_15222.wav ブッター ⸣ブッター [⸣buttaː] 名 太いもの。太っちょ。厚ぼったいもの。肥えたもの太ったものを卑しめた語。 ク⸢マークマーヌ⸣ ム⸢ヌ⸣ル シゥ⸢カイヤッ⸣サル ⸣ブッターヤ シゥ⸢カイグリ⸣サン⸢ダー [ku⸢maːkumaːnu⸣ mu⸢nu⸣ru si̥⸢kaijas⸣saru ⸣buttaːja si̥⸢kaiguri⸣saŋ] (細かいものが使いやすい{EOS}太っちょは使いづらいよ) 15223 0 0 15034 htmvoc_15223.wav ブッター ⸣-ブッター [⸣-buttaː] 接尾 ~だらけ。~まみれ。~でいっぱい(多すぎるさまに対して用いる)。汚れたものを表す語に下接して、⸢~まみれ、~だらけ」を表す。沖縄方言からの借用語か。普通は⸢-ゴー⸣ダー[⸢-goː⸣daː](~まみれ、~だらけ)を用いる。 ドゥ⸢ルブッター⸣ ナリティ ⸢グッふァ⸣ヌ カ⸢タマラ⸣ヌ [du⸢rubuttaː⸣ nariti ⸢guffa⸣nu ka⸢tamara⸣nu] (泥まみれになって重くて担がれない) 15224 0 0 15035 htmvoc_15224.wav フッチッふン ⸢フッ⸣チ ッ⸢ふン [⸢ɸut⸣ʧi f⸢fuŋ] 連 食いちぎる。噛み千切って食う。 ⸢ネーシタクヌ⸣ ティー ⸢フッ⸣チ ッ⸢ふァイティ⸣ アサ⸢ビン⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢neːʃitakunu⸣ tiː ⸢ɸut⸣ʧi f⸢faiti⸣ ʔa⸢sabim⸣pari ⸢naː⸣nu] (煮蛸の手を食いちぎって食べて遊びに行ってしまった) 15228 0 0 15036 htmvoc_15228.wav ブッツ ⸢ブッツ [⸢butʦu] 名 へそ(臍)。ほぞ。「臍、和名保曾(ほそ)。俗云倍曾(へそ)」『和名抄』。⸢ティンブッツ[⸢timbutʦu](でべそ{EOS}大きなお臍)、ブッ⸢ツォー⸣マ[but⸢ʦoː⸣ma](小さなへそ<臍>)などという。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ブッツ ピングラス⸣カー パ⸢ナシキ⸣ カ⸢カラ⸣スンダー カシー⸢カシー⸣ キン キ⸢サシ⸣ヨー [ja⸢ra⸣beː ⸢butʦu piŋgura⸣su̥kaː pa⸢naʃi̥ki⸣ kḁ⸢kara⸣sundaː ka⸢ʃiːkaʃiː⸣ kiŋ ki̥⸢saʃi⸣joː] (子供は、お臍を冷やすと風邪をひかせるから、きちんと着物を着せなさいよ) 15231 0 0 15037 htmvoc_15231.wav フッツァスン ⸢フッツァ⸣スン [⸢ɸutʦa⸣suŋ] 他動 髪の毛や紙などを\ruby{鋏}{ハサミ}でチョキチョキと小刻みに切る。鋏で切り刻む。\ruby{抓}{ツ}む。 ⸣パサンシ ガ⸢マ⸣ジ ⸢フッツァ⸣スンティ ⸢スンドゥ フッツァサラ⸣ヌ [⸣pḁsaŋʃi ga⸢ma⸣ʤi ⸢ɸutʦa⸣sunti ⸢sundu ɸutʦasara⸣nu] (鋏で髪を切ろうとするが、切られない)。 ガ⸢マ⸣ジ ⸢フッツァ⸣シ ッ⸢ふィーリ [ga⸢ma⸣ʤi ⸢ɸutʦa⸣ʃi f⸢fiːri] (髪の毛を鋏で切ってくれ)。 ガ⸢マ⸣ジ ⸢フッツァ⸣ス プ⸢ソー パー⸣ク ⸢フッツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ga⸢ma⸣ʤi ⸢ɸutʦa⸣su pu̥⸢soː paː⸣ku ⸢ɸutʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (髪の毛を鋏で切る人は早く切ればいいのに)。 ⸢フッツァ⸣シバ [⸢ɸutʦa⸣ʃiba] (鋏で切れよ)。 ガ⸢マ⸣ジ ⸢フッツァ⸣スン [ga⸢ma⸣ʤi ⸢ɸutʦa⸣suŋ] (髪の毛を鋏で切る)。 ⸢フッツァサ⸣ヌ [⸢ɸutʦasa⸣nu] (鋏で髪を切らない)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ガ⸢マ⸣ジ ⸣パサンシ ⸢フッツァ⸣シ ⸣ミサカー ⸢フッツァ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ja⸢rabi⸣nu ga⸢ma⸣ʤi ⸣pasaŋʃi ⸢ɸutʦa⸣ʃi ⸣misakaː ⸢ɸutʦa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (子供の頭髪を鋏で切って<刈って>良ければ切ることはできる)。 ⸢フッツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢ɸutʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (髪を切り散らせば<刈れば>良いのに)。 ガ⸢マ⸣ジ ⸢フッツァ⸣シ [ga⸢ma⸣ʤi ⸢ɸutʦa⸣ʃi] (髪を鋏で切り散らせ<刈れ>) 15226 0 0 15038 htmvoc_15226.wav フッツァミルン ⸢フッツァミ⸣ルン [⸢ɸutʦami⸣ruŋ] 他動 食いしばる。食いしめる。指をくわえ<\ruby{銜}{クワ}え>る。「食い詰める」からの転訛。 ヤ⸢ラ⸣ベー ン⸢マー⸣ムヌ ⸣ミルカー ウ⸢ヤ⸣ビ ⸢フッツァミ⸣ルンダ ⸢フッツァミラン⸣ケン ⸣バキ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ja⸢ra⸣beː ʔm⸢maː⸣munu ⸣mirukaː ʔu⸢ja⸣bi ⸢ɸutʦami⸣runda ⸢ɸutʦamiraŋ⸣kem ⸣baki f⸢faːʃi⸣ba] (子供は美味しいものを見ると指を銜えるから、指を銜えないうちに分け与えなさい)。 ⸣ティー ⸢フッ⸣ツァミティ ⸣プサンギサシ ⸣ミリ ⸢ベー [⸣tiː ⸢ɸut⸣ʦamiti ⸣pusaŋgisaʃi ⸣miri ⸢beː] (指を銜えて欲しそうに見ている)。 ⸣ティー ⸢フッ⸣ツァム フ⸢シヌル⸣ アル [⸣tiː ⸢ɸut⸣ʦamu ɸu̥⸢ʃinuru⸣ ʔaru] (指を銜える癖がある)。 ⸣ティー ⸢フッツァミ⸣リ [⸣tiː ⸢ɸutʦami⸣ri] (指を銜えよ) 15227 0 0 15039 htmvoc_15227.wav フッツァムン ⸢フッ⸣ツァムン [⸢ɸut⸣ʦamuŋ] 他動 指をくわえ(銜え)る。食いしめる。噛む。「食い詰む<下二段>」からの転訛。⸢フッツァミ⸣ルン[⸢ɸutʦami⸣ruŋ]と同じ。 ウ⸢ヤ⸣ビ ⸢フッ⸣ツァムンティ ⸢スー⸣ フ⸢シヌル⸣ アル [ʔu⸢ja⸣bi ⸢ɸut⸣ʦamunti ⸢suː⸣ ɸu̥⸢ʃinuru⸣ ʔaru] (指を銜えるという癖がある)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ティー ⸢フッツァマ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ tiː ⸢ɸutʦama⸣nu] (この子は指を銜えない)。 ⸣ティー ⸢フッ⸣ツァミティ ⸣ミリ ⸢ベー [⸣tiː ⸢ɸut⸣ʦamiti ⸣miri ⸢beː] (指を銜えて見ている)。 ⸣ティー ⸢フッ⸣ツァム フ⸢シ [⸣tiː ⸢ɸut⸣ʦamu ɸu̥⸢ʃi] (手を銜える癖)。 ⸣ティー ⸢フッ⸣ツァメー ⸣ミサムヌ [⸣tiː ⸢ɸut⸣ʦameː ⸣misamunu] (指を銜えればいいのに)。 ⸣ティー ⸢フッ⸣ツァミバ [⸣tiː ⸢ɸut⸣ʦamiba] (指を銜えよ) 15233 0 0 15040 htmvoc_15233.wav フッツォーリカッツォーリ ⸢フッツォーリカッツォーリ [⸢ɸutʦoːrikatʦoːri] 副 ぶるぶると震えるさま。ABCDEFBCDE型の重言。⸢震える」の強調表現。 ⸣ドゥク ⸢ピー⸣ヤティ ⸢フッツォーリカッツォーリ シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸣duku ⸢piː⸣jati ⸢ɸutʦoːrikatʦoːri ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (あまりにも寒くてぶるぶる震えている) 15234 0 0 15041 htmvoc_15234.wav フッツォールン ⸢フッツォールン [⸢ɸutʦoːruŋ] 自動 震える。身震いする。 ガ⸢タガタ⸣シ ⸢フッツォールン⸣ケン ⸣アミナ ⸢ゾッふァーリ ベー [ga⸢tagata⸣ʃi ⸢ɸutʦoruŋ⸣keŋ ⸣ʔaminaː ⸢ʣoffaːri beː] (ぶるぶる<がたがたと>震えるほど雨に濡らされている)。 ⸢ピー⸣ヤタンティン ⸢フッツォーラヌ [⸢piː⸣jatantiŋ ⸢ɸutʦoːranu] (寒くても震えない)。 ⸢ピー⸣ヤティ ⸢フッツォーリティ⸣ タティ ⸢ベー [⸢piː⸣jati ⸢ɸutʦoːriti⸣ tḁti ⸢beː] (寒いので、震えて立っている)。 イ⸢コーラ ピー⸣ヤタンティン ⸢フッツォール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢koːra piː⸣jatantiŋ ⸢ɸutʦoːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (いくら寒くても震えることはない)。 ⸢ピー⸣ヤカー ⸢フッツォーレー⸣ ミサムヌ [⸢piː⸣jakaː ⸢ɸutʦoːreː⸣ misamunu] (寒かったら震えればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フッツォーリ⸣バ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸutʦoːri⸣ba] (もっと震えよ) 15229 0 0 15042 htmvoc_15229.wav ブッツキシプス ⸢ブッツキシ⸣プス [⸢butʦu⸣ ki̥⸢ʃi⸣pu̥su] 連 お臍の緒を切る人。産婆のいない島では、カ⸢ティ[kḁ⸢ti]、⸢カッティ[⸢katti]といわれる取上げ婆<助産婦の経験者>が煮沸した竹ナイフや炎で焼いて消毒した剃刀を使ってお臍の緒を切ったという 15230 0 0 15043 htmvoc_15230.wav ブッツヌブー ⸢ブッツヌ ブー [⸢butʦunu buː] 連 お臍の緒。 ⸢ブッツヌ ブーヤ ミーシキミー バー⸣キナー ウ⸢ティ⸣ルンカヤー [⸢buttunu buːjaː miːʃi̥kimiː baː⸣kinaː ʔu⸢ti⸣ruŋkajaː] (お臍の緒は誕生後三月目までには取れる<落ちる>かねえ) 15235 0 0 15044 htmvoc_15235.wav フッツン ⸢フッ⸣ツン [⸢ɸut⸣ʦuŋ] 他動 噛み切る。食い千切る。 タ⸢ク⸣ヌ ⸣ティー ⸢フッ⸣ツンティ ⸢スンドゥ⸣ シ⸢ビネー⸣ヌ ⸢フッツァラ⸣ヌ [tḁ⸢ku⸣nu ⸣tiː ⸢ɸut⸣ʦunti ⸢sundu⸣ ʃi⸢bineː⸣nu ⸢ɸutʦara⸣nu] (蛸の手を噛み切ろうとするが、ゴムのように\ruby{固柔}{カタ|ヤワ}らかくて噛み切れない)。 ⸢フッチ⸣ カミバ [⸢ɸut⸣ʧi ⸣kamiba] (食い千切って食べなさい)。 ⸢フッ⸣ツ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸢フッ⸣チェー ⸣ミサムヌ [⸢ɸut⸣ʦu ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ⸢ɸut⸣ʧeː ⸣misamunu] (噛み切ることができたら噛み切ればいいのに)。 ヤー⸢ディン フッ⸣チバ [jaː⸢diŋ ⸢ɸut⸣ʧiba] (必ず噛み切れよ) 15236 0 0 15045 htmvoc_15236.wav ブットゥル ⸢ブッ⸣トゥル [⸢but⸣turu] 名 炒め物。サツマイモやキャッサバの澱粉を熱湯で固めて、さらに油で炒めたもの。弾力のあるジェリー状の炒め物。 ⸢ウンヌ⸣クジブットゥルー [⸢ʔunnu⸣kuʤibutturuː] (芋葛粉の油炒め)。⸢ソー⸣ミンブットゥルー[⸢soː⸣mimbutturuː](素麺の油炒め)などがある。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ユー ⸢ウンヌ⸣クジブットゥルー ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣juː ⸢ʔunnu⸣kuʤibutturuː su̥⸢ku⸣ri f⸢faːsoːt⸣taŋ] (昔はよく芋葛粉<芋澱粉>の油炒めを作って下さったものだ) 15232 0 0 15046 htmvoc_15232.wav プツルパタラ ⸣プツルパタラ [⸣pu̥ʦurupatara] 副 擬音語。ぱちぱちと。火がぱちぱちと勢いよくもえるさま。いさりび(漁火)の竹松明やススキ松明がぱちぱちと燃えるさま。 ⸣プツルパタラシ ⸢タイ⸣バ ⸢モーシェー⸣ティル ⸣タク ⸣トゥリン ⸢オーッ⸣タ [pu̥ʦurupataraʃi ⸢tai⸣ba ⸢moːʃeː⸣tiru ⸣tḁku ⸣turiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (ぱちぱちと松明を燃やして\ruby{蛸捕}{タコ|ト}りに行かれた) 15266 0 0 15047 htmvoc_15266.wav フディ フ⸢ディ [ɸu⸢di] 名 筆。毛筆。 タ⸢キフディ [tḁ⸢kiɸudi] (竹筆{EOS}大工さんが建築工事で用いる竹を削って作った筆)。 フ⸢ディ⸣シ ⸢ジー⸣ カクン [ɸu⸢di⸣ʃi ⸢ʤiː⸣ kḁkuŋ] (筆で字を書く)。/フディトゥリゾージン ナリトーリ シンカキゾージン ナリトーリ/(文筆・\ruby{算勘}{サン|カン}の達人になって下さい{EOS}偉いお役人<墨書き上手>に出世してください)(アガロウザ節)『八重山民謡誌』が鳩間島で伝承されている 15267 0 0 15048 htmvoc_15267.wav フディキ フ⸢ディキ [ɸu⸢diki] 名 凶作。「不出来」の転。標準語からの借用語。 ク⸢トゥシヌ マイヤー⸣ フ⸢ディキヌ⸠ナー [ku̥⸢tuʃinu maijaː⸣ ɸu⸢dikinu⸠naː] (今年は米は凶作<不出来>だなあ) 15268 0 0 15049 htmvoc_15268.wav フディタティ フ⸢ディ⸣タティ [ɸu⸢di⸣tati] 名 筆立て。筆筒。筆入れ。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ディ⸣タテー ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャール ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふォーッ⸣タ [ku⸢nu⸣ ɸu⸢di⸣tateː ⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaːru su̥⸢ku⸣ri f⸢foːt⸣ta] (この筆立ては私の家のお父さんが作って下さった) 15269 0 0 15050 htmvoc_15269.wav フディヌシゥカ フ⸢ディヌ⸣ シゥカ [ɸu⸢dinu⸣ sï̥ka] 連 筆の軸。「筆のつか(柄)」の義。 フ⸢ディヌ⸣ シゥカー マッ⸢シグ⸣ タティティ カ⸢キバ⸣ル ⸢ジーヤ ゾー⸣ジ ⸣ナル [ɸu⸢dinu⸣ sï̥kaː maʃ⸢ʃigu⸣ tḁtiti kḁ⸢kiba⸣ru ⸢ʤiːja ʣoː⸣ʤi ⸣naru] (筆の軸をまっすぐに立てて書いたらば<書けばぞ>こそ字は上達する<上手になる>ものだ) 15292 0 0 15051 htmvoc_15292.wav フドーシ フ⸢ドー⸣シ [ɸu⸢doː⸣ʃi] 名 いねこき(\ruby{稲扱}{イネ|コキ})。「\ruby{管}{クダ}<久太>『和名抄』・串<ツラヌク・クシ>『類聚名義抄』」の転訛したもの。直径4~5ミリ、長さ約10センチの竹管二本をわらしべ(藁稭)で貫き通して\ruby{蝶番}{チョウ|ツガイ}状に連結したもの。在来種の稲は、フドーシを右手に持って稲穂を挟み、\ruby{籾}{モミ}を\ruby{扱}{コキ}き落として脱穀した。それを搗き臼に入れて杵で搗き、\ruby{芒}{ノゲ}を落として\ruby{籾}{モミ}にした。籾は更にピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](\ruby{挽}{ヒキ}臼)に入れ、\ruby{摺}{ス}って玄米にした。玄米は必要に応じて搗き臼で搗いて精白し、⸢パンガマ[⸢paŋgama](羽釜)で炊いて食した。 フ⸢ドー⸣シシ ⸢マイヌ⸣ プー ⸢スー⸣リバ [ɸu⸢doː⸣ʃiʃi ⸢mainu⸣ puː ⸢suː⸣riba] (いねこき<竹管>で稲穂を扱き落とし<脱穀し>なさいよ) 15239 0 1 15052 htmvoc_15239.wav フドゥ フ⸢ドゥ [ɸu⸢du] 名 {Mn_1}体格。背丈。身長。 ビ⸢コーンッふァー⸣ フ⸢ドゥヌ マイ⸣ヤンダ ウ⸢リンマー⸣ シゥ⸢カラシグトゥ⸣ シ⸢ミリ⸣バ [bi⸢koːŋffaː⸣ ɸu⸢dunu mai⸣janda ʔu⸢rimmaː⸣ sï̥⸢karaʃigutu⸣ ʃi⸢miri⸣ba] (男の子は体格が大きいから力仕事は彼にさせなさいよ)。 タ⸢キ⸣フドゥン タ⸢カー⸣ン [tḁ⸢ki⸣ɸudun tḁ⸢kaː⸣ŋ] (身長も高い)。 15239 0 2 15053 htmvoc_15239.wav フドゥ フ⸢ドゥ [ɸu⸢du] 名 {Mn_2}身の程。分際。体力実力。身長体力。 タ⸢キ⸣フドー ⸢ナー⸣ムティ ウ⸢ブ⸣ムニ イ⸢ジ アー⸣ク [tḁ⸢ki⸣ɸudoː ⸢naː⸣muti ʔu⸢bu⸣muni ʔi⸢ʤiʔaː⸣ku] (体力実力もないくせに大言壮語して<身の程を知らず大法螺を吹いて>いる) 15240 0 1 15054 htmvoc_15240.wav フドゥ ⸣フドゥ [⸣ɸudu] 副助 {Mn_1}歌謡語で、名詞や代名詞などを受けて⸢程度」を表す。沖縄本島方言からの借用語か。/クリフドゥ ウヤニ ウムワリティ トゥシヤ トゥハタチ ナユリドゥン ウヤヌウグヌヤ マダシラン/(これほど親に思われて、年は二十歳になっても親のご恩はまだ知らない{EOS}『無蔵念仏節』)。{Mn_1}の⸣フドゥ[⸣ɸudu](ほど)は、日常会話では、⸣ブカラ[⸣bukara](~ぐらい)を多用する。 ⸢ワー⸣ブカラ シ⸢グトー シーユーサヌ [⸢waː⸣bukaraː ʃi⸢gutoː ʃiːjuːsanu] (君ぐらい仕事をすることができない<し得ない>)。 15240 0 2 15055 htmvoc_15240.wav フドゥ ⸣フドゥ [⸣ɸudu] 副助 {Mn_2}~するほど(文語的)。日常会話では、アー⸢シ[ʔaː⸢ʃi](~ほど<~につれて、~にあわせて>)を多用する。ムティとも言う。用言の連体形に下接して「~するほど。~ほど」のように、程度を表す。 イ⸢ズ⸣カー イ⸢ズフドゥ シンギンドゥ⸣ ナル [ʔi⸢ʣu⸣kaː ʔi⸢ʣuɸudu ʃiŋgindu⸣ naru] (叱れば叱るほど余計に悪くなる)。 パ⸢ヤー⸣カー パ⸢ヤー⸣フドゥ ⸢モーキヤッ⸣サン [pa⸢jaː⸣kaː pa⸢jaː⸣ɸudu ⸢moːkijas⸣saŋ] (早ければ早いほど儲けやすい) 15241 0 0 15056 htmvoc_15241.wav ブトゥ ブ⸢トゥ [bu⸢tu] 名 をふと(夫)、(ヲヒト<男人>の転)。「夫、ヲフト」『伊呂波字類抄』(鎌倉初期、10巻本)。 ブ⸢トゥ⸣ ムトゥン [bu⸢tu⸣ mutuŋ] (女性が結婚する<夫を持つ>)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢パイ⸣サ ブ⸢トゥ⸣ ム⸢タ⸣シ パ⸢ラ⸣シ [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢pai⸣sa bu⸢tu⸣ mu⸢ta⸣ʃi pa⸢ra⸣ʃi] (女の子は早く嫁入り<結婚>させよ) 15242 0 0 15057 htmvoc_15242.wav プトゥキ プ⸢トゥ⸣キ [pu̥⸢tu⸣ki] 名 仏。石垣島の桃林寺の山門に、⸣ニヨープトゥキ[⸣nijoːpu̥tuki](仁王仏)が安置されている。友利御嶽のウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](本殿{EOS}<母屋>の義)にもプ⸢トゥ⸣キ[pu̥⸢tu⸣ki](仏像)が安置されている。 ティ⸢ラヌ⸣ プ⸢トゥ⸣キ ウ⸢ガマ⸣シ [ti⸢ranu⸣ pu̥⸢tu⸣ki ʔu⸢gama⸣ʃi] (寺の仏様を拝ませなさい) 15243 0 0 15058 htmvoc_15243.wav プドゥキ プ⸢ドゥ⸣キ [pu⸢du⸣ki] 名 機織の道具。おさ(筬)。たていと(縦糸)を一定の密度に整えるため、竹または金属の薄い小片を櫛の歯のように連ね、長方形のわく(框)に入れたもの。 プ⸢ドゥ⸣キナ ⸣イトゥ ヌ⸢キ トゥー⸣シティ パ⸢トゥ⸣ムヌ タ⸢ティ⸣ルンティ ⸢ベー [pu⸢du⸣kina ⸣ʔitu nu⸢ki tuː⸣ʃi̥ti pḁ⸢tu⸣munu tḁ⸢ti⸣runti ⸢beː] (おさ<筬>に縦糸を貫き通して織機を仕立てようとしている) 15244 0 0 15059 htmvoc_15244.wav プトゥキブニ プ⸢トゥキ⸣ブニ [pu̥⸢tuki⸣buni] 名 のど仏の骨。「ほとけぼね(仏骨)」の義。 ア⸢ライクサイ⸣ シ⸢ティ⸣ クチカミナ ウ⸢サミ⸣ル ⸣バソー プ⸢トゥ⸣キブネー イッ⸢チン⸣ アトーラル イ⸢リル⸣ツォー [ʔa⸢raikusai⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ku̥ʧikamina ʔu⸢sami⸣ru ⸣basoː pu̥⸢tuki⸣buneː ʔit⸢iŋ⸣ ʔatoːraru ʔi⸢riru⸣ʦoː] (洗骨葬<洗い清め>をして骨壷に納めるときは仏骨を一番後から入れるのだそうだ) 15246 0 0 15060 htmvoc_15246.wav プトゥキルン プ⸢トゥキ⸣ルン [pu̥⸢tuki⸣ruŋ] 他動 ゆるめ、解き放つ。ほどく(解く)。ほどける(解ける)。 フ⸢バリ⸣ シケー ⸢ナー⸣ヤ ⸢ナンク⸣ル<⸢ナンクク⸣ル> プ⸢トゥキ⸣ルン [ɸu⸢bari⸣ ʃi̥keː ⸢naː⸣ja ⸢naŋku⸣ru<⸢naŋkuku⸣ru> pu̥⸢tuki⸣ruŋ] (縛ってある縄は自然に\ruby{解}{ホド}ける)。 プ⸢トゥキ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ プ⸢トゥキラン⸣バン [pu̥⸢tuki⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢da⸣ pu̥⸢tukiram⸣baŋ] (自然に解けるかなあと思ったが、まだ解けないよ)。プ⸢ドゥキ⸣ルン[pu⸢duki⸣ruŋ](ほどける)ともいう。 ア⸢ザーリナー⸣バ ⸢タンガ⸣シ プ⸢トゥキ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ンドゥ プ⸢トゥキララ⸣ヌ [ʔa⸢ʣaːrinaː⸣ba ⸢taŋga⸣ʃi pu̥⸢tuki⸣runti ⸢beː⸣ndu pu̥⸢tukirara⸣nu] (\ruby{縺}{モツ}れた縄を一人で\ruby{解}{ホド}けようとしているが、\ruby{解}{ホド}けられない)。 サ⸢バナーバ タンガ⸣シ プ⸢トゥキ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ プ⸢トゥキラン⸣シェン [sa⸢banaːba taŋga⸣ʃi pu̥⸢tuki⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du pu̥⸢tukiraŋ⸣ʃeŋ] (鱶釣り縄を一人で解けようと思ったが、解けなかった)。 プ⸢トゥキ ヤッ⸣サカー ⸣ドゥーシン プ⸢トゥキ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [pu̥⸢tukijas⸣sakaː ⸣duːʃim pu̥⸢tuki⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (解けやすければ自分でも解くことはできる)。 プ⸢トゥキ⸣ パ⸢ジ⸣メーラー ⸢ナンク⸣ル<⸢ナンクク⸣ル> プ⸢ドゥキ⸣ル ⸣クトゥン ⸣ナルン [pu̥⸢tuki⸣ pa⸢ʤi⸣meːraː ⸢naŋ⸣kuru<⸢naŋkuku⸣ru> pu̥⸢tuki⸣ru ⸣ku̥tun ⸣naruŋ] (解け始めたら自然に解けることも出来る)。 ⸢パー⸣ク プ⸢トゥキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku pu̥⸢tuki⸣reː ⸣misamunu] (早く解ければいいのに)。 ⸢ワー⸣シ ク⸢リ⸣ プ⸢ドゥキ⸣リ [⸢waː⸣ʃi ku⸢ri⸣ pu̥⸢tuki⸣ri] (君でこれを解けなさい) 15247 0 0 15061 htmvoc_15247.wav ブドゥク ブ⸢ドゥ⸣ク [bu⸢du⸣ku] 名 (動)貝の名。和名ロウソクイモ。殻は厚くて高い。ら塔は平たく、円錐形状をなす。沿岸の海底砂地に棲息する。子供は、煮て身を取った後の殻の上半分割って親指と中指で\ruby{捻}{ヒネ}って回転させ、独楽の代用にして遊んだ。 ブ⸢ドゥ⸣クシ ⸣クマ ス⸢ク⸣リティ ⸢マーシ⸣ ア⸢サブタ [bu⸢du⸣kuʃi ⸣kuma su̥⸢ku⸣riti ⸢maːʃi⸣ ʔa⸢sabuta] (ブドゥク貝で独楽を作って回して遊んだ)。イモガイ科の仲間のマガキガイ。サラサミナシ『原色沖縄海中動物生態図鑑』。 ム⸢カ⸣シェー ブ⸢ドゥク⸣ヌ グ⸢ル⸣シ ⸣コマ ス⸢ク⸣リティ ⸢マーシ⸣ ア⸢サブタン [mu⸢ka⸣ʃeː bu⸢duku⸣nu gu⸢ru⸣ʃi ⸣koma su̥⸢ku⸣riti ⸢maːʃi⸣ ʔa⸢sabutaŋ] (昔はブドゥク貝の殻で独楽を作って回して遊んだものだ) 15248 0 0 15062 htmvoc_15248.wav プトゥクン プ⸢トゥ⸣クン [pu̥⸢tu⸣kuŋ] 他動 ほどく(解く)。とく。解き放つ。プ⸢ドゥ⸣クン[pu⸢du⸣kuŋ](解く)ともいう。「ほどく(解く)下二段活用」の四段活用化したもの。 ギッ⸢ティ⸣ フ⸢バリ⸣ シケーンダ プ⸢トゥ⸣クンティ シ⸢タンティン⸣ プ⸢トゥカラ⸣ヌ [git⸢ti⸣ ɸu⸢bari⸣ ʃi̥keːnda pu̥⸢tu⸣kunti ʃi̥⸢tantim⸣ pu̥⸢tukara⸣nu] (ぎゅっと強く縛ってあるので、解こうとしても解かれない)。 プ⸢トゥ⸣キ ⸣ミサカー プ⸢トゥ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [pu̥⸢tu⸣ki ⸣misakaː pu̥⸢tu⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (解いてよければ解くことはできる)。 ⸢パー⸣ク プ⸢トゥ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku pu̥⸢tu⸣keː ⸣misamunu] (早く解けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン プ⸢トゥ⸣キバ [⸢maː⸣bim pu̥⸢tu⸣kiba] (もっと解けよ) 15249 0 0 15063 htmvoc_15249.wav プトゥケーマ プ⸢トゥケー⸣マ [pu̥⸢tukeː⸣ma] 名 小さな仏さま。友利御嶽の本殿に祀られている仏像。 ⸢ウイヌ⸣ウガンナー プ⸢トゥケーマ⸣ヌ マ⸢ツァリ オー⸣ルン [⸢ʔuinu⸣ʔugannaː pu̥⸢tukeːma⸣nu ma⸢ʦari ʔoː⸣ruŋ] (友利御嶽に小さな仏が祀られている<祀られておられる>) 15250 0 0 15064 htmvoc_15250.wav フトゥッチウン フ⸢トゥッチ⸣ウン [ɸu̥⸢tutʧi⸣ʔuŋ] 名 虫が入って朽ち腐っているサツマイモ。「朽ち腐れ芋」の義。 フ⸢トゥッチウン⸣マー ッ⸢ふァーランバ オー⸣ヌ ⸣イー ⸢シー⸣バ [ɸu̥⸢tutʧiʔum⸣maː f⸢faːramba ʔoː⸣nu ⸣ʔiː ⸢ʃiː⸣ba] (虫が入って朽ち腐ったイモは食べられないから豚の餌にしなさい) 15253 0 0 15065 htmvoc_15253.wav フトゥッチカーチ フ⸢トゥッ⸣チカーチ [ɸu̥⸢tut⸣ʧikaːʧi] 副 朽ち腐るさま。フ⸢トゥッ⸣チカタッチ[ɸu̥⸢t⸣ʧikḁtatʧi](朽ち腐れるさま)ともいう。ABCDEFD型の重言。 フ⸢トゥッ⸣チカーチ ⸢シー ブー キー⸣ヤ タ⸢ム⸣ヌ シ⸢ララヌ [ɸu̥⸢tut⸣ʧikaːʧi ⸢ʃiː buː kiː⸣ja ta⸢mu⸣nu ʃi⸢raranu] (朽ち腐っている木は薪炭には出来<され>ない)。 ク⸢ヌ ウン⸣マー フ⸢トゥッ⸣チカーチ シ⸢ティ⸣ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢nu ʔum⸣maː ɸu̥⸢tut⸣ʧikaːʧi ʃi̥⸢ti⸣ f⸢faːranu] (この芋は虫に喰われ、朽ち腐れていて食べられない) 15251 0 0 15066 htmvoc_15251.wav フトゥッチキー フ⸢トゥッチ⸣キー [ɸu̥⸢tutʧi⸣kiː] 名 朽木。木の髄が朽ち腐れているもの。 フ⸢トゥッチキー⸣ヤ シゥ⸢カーラヌ [ɸu̥⸢tutʧikiː⸣ja si̥⸢kaːranu] (朽木は使えない)。 フ⸢トゥッチ⸣キーナー ッ⸢サール⸣ヌ ⸣シドゥン [ɸu̥⸢tutʧi⸣kiːnaː s⸢saːru⸣nu ⸣ʃiduŋ] (朽木には白蟻がわく<発生する>) 15252 0 0 15067 htmvoc_15252.wav フトゥッチパー フ⸢トゥッチ⸣パー [ɸu̥⸢tutʧi⸣paː] 名 虫歯。「朽ちた歯」の義。 ウ⸢クバーヌ⸣ フ⸢トゥッチ⸣パー ⸣ナリティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢kubaːnu⸣ ɸu̥⸢tutʧi⸣paː ⸣nariti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (奥歯が虫歯<朽ち歯>になって、痛くて堪らない) 15272 0 0 15068 htmvoc_15272.wav フトゥッチパー フ⸢トゥッチ⸣パー [ɸu̥⸢tutʧi⸣paː] 名 虫歯。「朽ち歯」の義。 フ⸢トゥッチパー⸣ヌ ヤミ⸢ベー⸣ティ イ⸢サン⸣ヤーナ ⸢ギー⸣ ⸣パー ⸢ノー⸣シタ [ɸu̥⸢tutʧipaː⸣nu jami⸢beː⸣ti ʔi⸢saŋ⸣jaːna ⸢giː⸣ paː ⸢noː⸣ʃi̥ta] (虫歯が痛むので病院<医者の家>に行って抜歯してもらった<抜かした>) 15254 0 0 15069 htmvoc_15254.wav フトゥッチルン フ⸢トゥッチ⸣ルン [ɸu̥⸢tutʧi⸣ru] 自動 朽ちる。転じて「虫歯になる」の意にもなる。 ⸣ドゥク ⸣サタ ッ⸢ふー⸣カー ⸣パー フ⸢トゥッチ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ フ⸢チ⸣ ア⸢ラウ⸣カー フ⸢トゥッチラン⸣ツォー [⸣duku ⸣sḁta f⸢fuː⸣kaː ⸣paː ɸu̥⸢tutʧi⸣runti ⸢sundu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢rau⸣kaː ɸu̥⸢tutʧiran⸣ʦoː] (あまり砂糖を食べると虫歯になる<歯が朽ちる>というが、歯磨きする<口を洗う>と虫歯にならない<朽ちない>そうだ)。 フ⸢トゥッチ ヤッ⸣サン [ɸu̥⸢tutʧi jas⸣saŋ] (虫歯になりやすい<朽ちやすい>)。 ⸣マイバーヤ フ⸢トゥッチ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣maibaːja ɸu̥⸢tutʧi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (前歯は虫歯になる<朽ちる>ことはない)。 ムー⸢ル⸣ フ⸢トゥッチ⸣レー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru⸣ ɸu̥⸢tutʧi⸣reː ⸣misamunu] (全部虫歯になれば<朽ちれば>いいのに)。 ムー⸢ル⸣ フ⸢トゥッチ⸣リ [muː⸢ru⸣ ɸu̥⸢tutʧi⸣ri] (全部虫歯になれ<朽ちれ>) 15237 0 0 15070 htmvoc_15237.wav フトゥッツァスン フ⸢トゥッツァ⸣スン [ɸu̥⸢tutʦa⸣suŋ] 他動 沸騰させる。沸かせる。煮立たせる。 ⸣スー フ⸢トゥッツァ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ フ⸢トゥッツァサラ⸣ヌ [⸣suː ɸu̥⸢tutʦa⸣sunti ⸢sundu⸣ ɸu̥⸢tutʦasara⸣nu] (お汁を沸騰させようとするが沸騰させられない)。 フ⸢トゥッツァ⸣シ ⸣ミサカー フ⸢トゥッツァ⸣ス クトー ⸣ナルン [ɸu̥⸢tutʦa⸣ʃi ⸣misakaː ɸu̥⸢tutʦa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (沸騰させてよければ沸騰させることはできる)。 ⸢パー⸣ク フ⸢トゥッツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢tutʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く沸騰させればいいのに)。 フ⸢トゥッツァ⸣シ [ɸu̥⸢tutʦa⸣ʃi] (沸騰させよ) 15255 0 0 15071 htmvoc_15255.wav フトゥッツン フ⸢トゥッ⸣ツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ] 自動 朽ちる。「くつ(朽つ) 上二段活用」の四段活用化したもの。 タ⸢タメー⸣ アミナー ⸢ゾーラス⸣カー フ⸢トゥッ⸣ツンダ フ⸢トゥッツァサン⸣スコーニ カ⸢キン⸣グ ⸢シー [tḁ⸢tameː⸣ ʔaminaː ⸢ʣoːrasu⸣kaː ɸu̥⸢tut⸣ʦunda ɸu̥⸢tutʦasan⸣su̥koːni kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː] (畳は雨に濡らすと朽ちるから、朽ちさせないように保管<格護>しなさい)。 フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ナー⸣ヌ [ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢naː⸣nu] (朽ち果ててしまった)。 ⸢カーラカシ⸣ シ⸢キ⸣ルカー フ⸢トゥッ⸣ツ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaːrakaʃi⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ɸu̥⸢tut⸣ʦu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (乾かしておくと朽ちることはない)。 ⸢パー⸣ク フ⸢トゥッ⸣チェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢tut⸣ʧeː ⸣misamunu] (早く朽ち果てればいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢トゥッ⸣チ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢tut⸣ʧi] (早く朽ちよ)。植物が朽ち果てる。芋などに虫が入って腐れる。 ク⸢ヌ ウン⸣マー フ⸢トゥッ⸣チティ ッ⸢ふァーラヌ [ku⸢nu ʔum⸣maː ɸu̥⸢tut⸣ʧiti f⸢faːranu] (この芋は腐れていて食べられない)。 ⸢ウン⸣マー ⸣プリ トゥ⸢ラン⸣カー フ⸢トゥッ⸣ツンティ ⸢スンドゥ⸣ ヒャ⸢クゴー⸣ヤー フ⸢トウッツァ⸣ンシェン [⸢ʔum⸣maː ⸣puri tu⸢raŋ⸣kaː ɸu̥⸢tut⸣ʦunti ⸢sundu⸣ ça⸢kugoː⸣jaː ɸu̥⸢tutʦaŋ⸣ʃeŋ] (芋は掘りとらないと腐れるというが、百号品種の芋は腐れなかった)。 フ⸢トゥッ⸣ツ ⸣トンマー キ⸢マリ ブー [ɸu̥⸢tut⸣ʦu ⸣tommaː ki⸢mari buː] (腐れる所はきまっている)。 フ⸢トゥッ⸣チェー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢tut⸣ʧeː ⸣misamunu] (腐れればいいのに)。 フ⸢トゥッ⸣チ [ɸu̥⸢tut⸣ʧi] (腐れろ) 15256 0 1 15072 htmvoc_15256.wav フトゥッツン フ⸢トゥッ⸣ツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ] 自動 {Mn_1}沸騰する。ぐつぐつ煮えたぎる。 タ⸢ム⸣ヌ ⸢モース⸣カー イチジ⸢カン⸣シェー ⸢イー⸣ナベー フ⸢トゥッ⸣ツン パジ⸢ダー⸣ヌ マ⸢ダ⸣ フ⸢トゥッツァン⸣サー [ta⸢mu⸣nu ⸢moːsu⸣kaː ʔiʧiʤi⸢kaŋ⸣ʃeː ⸢ʔiː⸣nabeː ɸu̥⸢tut⸣ʦum paʤi⸢daː⸣nu ma⸢da⸣ ɸu̥⸢tutʦan⸣saː] (薪を燃やすと一時間では飯鍋は沸騰するはずだが、まだ沸騰しないよ)。 キサー⸢ティ⸣ フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ベー [ki̥saː⸢ti⸣ ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢beː] (すでに沸騰しているよ)。 ⸢オーパ⸣ヤー フ⸢トゥッ⸣ツ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ɸu̥⸢tut⸣ʦu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く沸騰することはない)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢トゥッ⸣チェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢tut⸣ʧeː ⸣misamunu] (もっと沸騰すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢トゥッ⸣チ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢tut⸣ʧi] (早く沸騰しろ)。 ⸢スー⸣ヤ フ⸢トゥッ⸣ツカー ⸢ミー⸣ス ⸣タリ イ⸢リリ⸣バ [⸢suː⸣ja ɸu̥⸢tut⸣ʦukaː ⸢miː⸣su ⸣tari ʔi⸢riri⸣ba] (お汁は沸騰したら味噌を{EOS}⸣溶かして入れなさいよ)。 15256 0 2 15073 htmvoc_15256.wav フトゥッツン フ⸢トゥッ⸣ツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ] 自動 {Mn_2}ぶつぶつ不平をいう。ぶつぶつ小言を言う。 プ⸢スン⸣ イ⸢ザリティ⸣ フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ベー [pu̥⸢suŋ⸣ ʔi⸢ʣariti⸣ ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢beː] (他人に叱られてぶつぶつ不平を言っている)。 ⸣ヌンティル ⸣アイニ フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ベー⸣ワ [⸣nuntiru ⸣ʔaini ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢beː⸣wa] (君はどうしてそんなにぶつぶつ不平をいっているのか) 15257 0 0 15074 htmvoc_15257.wav フドゥバスン フ⸢ドゥバスン [ɸu⸢dubasuŋ] 他動 成長させる。養育する。「ほど(程<身分、分際>)」『源氏物語<桐壺>』・Fodofodoni xitagatte(程々に随って)すなわち、bũnzaini xitagatte(分際に随って)『邦訳日葡辞書』と「おふ(生ふ)・せる<成長させる>『古事記(下)』」の合成語か。 ヤ⸢ラ⸣ビ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー フ⸢ドゥバサラヌ [ja⸢ra⸣bi sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ɸu⸢dubasaranu] (子供を養育しよう<養って成長させよう>と思うが、私には養育できない)。 フ⸢ドゥバシ⸣ ッ⸢ふィーリ [ɸu⸢dubaʃi⸣ f⸢fiːri] (養育してくれ)。 ⸢タンガ⸣シ フ⸢ドゥバス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ʃi ɸu⸢dubasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (一人で養育することは出来ない)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァバ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシェー⸣ ミサムヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faba⸣ sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃeː⸣ misamunu] (この子を養育すればいいのに)。 シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシ [sï̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃi] (養育しなさい<養って成長させなさい>) 15258 0 0 15075 htmvoc_15258.wav フドゥビルン フ⸢ドゥビルン [ɸu⸢dubiruŋ] 自動 成長する。フ⸢ドゥブンとも言う。 ⸣イーサーギ ッ⸢ふァース⸣カー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ナンク⸣ル フ⸢ドゥビルン [⸣ʔiːsaːgi f⸢faːsu⸣kaː ja⸢ra⸣beː ⸢naŋku⸣ru ɸu⸢dubiruŋ] (飯さえ食べさせれば子供は自然に成長する)。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ フ⸢ドゥビラヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːsabaŋ⸣ ɸu⸢dubiranu] (いくら食わせても成長しない)。 フ⸢ドゥビ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [ɸu⸢dubi⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (成長しやすい<成長し早い>)。 フ⸢ドゥビル⸣ ピンマー ⸢アッ⸣タニル フ⸢ドゥブ [ɸu⸢dubiru⸣ pimmaː ⸢ʔat⸣taniru ɸu⸢dubu] (成長する時は急に<ぞ>成長する)。 フ⸢ドゥビレー⸣ ミサムヌ [ɸu⸢dubireː⸣ misamunu] (成長すればいいのに)。 フ⸢ドゥビリ [ɸu⸢dubiri] (成長せよ) 15259 0 0 15076 htmvoc_15259.wav ブトゥフガシムヌ ブ⸢トゥフガシムヌ [butu⸢ɸugaʃimunu] 名 夫を裏切る女。姦通する女。 ブ⸢トゥフガシムヌ⸣ティ シ⸢タ⸣タカ イ⸢ザリ ベー⸣タ [bu⸢tuɸugaʃimunu⸣ti ʃi̥⸢ta⸣taka ʔi⸢ʣari beː⸣ta] (夫を裏切る<姦通する>女といって厳しく叱られていた) 15260 0 0 15077 htmvoc_15260.wav ブトゥフガスン ブ⸢トゥ⸣ フ⸢ガスン [bu⸢tu⸣ ɸu̥⸢gasuŋ] 連 (夫の目を盗んで)姦通する。「夫の目を盗む<ほがす。穴をあける>」の義。転じて⸢裏切る」の意味。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢トゥ⸣ フ⸢ガスンテー⸣ イッ⸢カ⸣ ウ⸢モーラン⸣シェン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢tu⸣ ɸu⸢gasunteː⸣ ʔik⸢ka⸣ ʔu⸢moːraŋ⸣ʃeŋ] (あの人が姦通するとは決して思われなかった) 15261 0 1 15078 htmvoc_15261.wav フトゥフトゥ フ⸢トゥフトゥ [ɸu̥⸢tuɸutu] 副 {Mn_1}どきどき。激しく動悸するさま。 ウ⸢ダラ⸣キティ ⸢ンーネー⸣ フ⸢トゥフトゥ⸣シティ ⸢ヌー⸣シル ⸢パッタ⸣ユー ウ⸢ムインザサラ⸣ヌ [ʔu⸢dara⸣kiti ⸢ʔnːneː⸣ ɸu̥⸢tuɸutu⸣ʃi̥ti ⸢nuː⸣ʃiru ⸢pat⸣tajuː ʔu⸢muiʔnʣasara⸣nu] (驚いて胸はどきどきして、どうやって行ったのか思い出されない)。 15261 0 2 15079 htmvoc_15261.wav フトゥフトゥ フ⸢トゥフトゥ [ɸu̥⸢tuɸutu] 副 {Mn_2}ふつふつ(沸沸)。思いが激しく湧き出るさま。 ウ⸢リバ⸣ シ⸢キティ⸣ バター フ⸢トゥフトゥ⸣シ ⸢ムイティ⸣ マーラル ⸢クン⸣ゾー ⸣ンジ ⸢クー⸣ワ⸢ツォー [ʔu⸢riba⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ bataː⸣ ɸu̥⸢tuɸutu⸣ʃi ⸢muititi⸣ maːraru ⸢kun⸣ʣoː ʔnʤi ⸢kuː⸣wa⸢ʦoː] (それを聞いてはらわた<腸>がふつふつと煮えたぎって<燃えて>、何処から怒りが出てくるかってんだよ<怒りが収まらない>) 15262 0 0 15080 htmvoc_15262.wav フドゥブン フ⸢ドゥブン [ɸu⸢dubuŋ] 自動 人間が成長する。身長が伸びる。背が伸びる。「ほど(程)・おふ(生)」の合成語か。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢クインガーリ⸣ ジブンナーテー イッ⸢ケナ⸣ フ⸢ドゥブンドゥ ニン⸣ズー シ⸢ギ⸣ルカー ⸢ナン⸣ゾー フ⸢ドゥバヌ [ja⸢ra⸣beː ⸢kuiŋgaːri⸣ʤibunnaːteː ʔik⸢kena⸣ ɸu⸢dubundu nin⸣ʣuː ʃi⸢gi⸣rukaː ⸢nan⸣ʣoː ɸu⸢dubanu] (子供は変声期には非常に成長する<背が伸びる>が、二十歳を過ぎると、あまり成長しない)。 ⸢ナンク⸣ル フ⸢ドゥビ⸣ クーン [⸢naŋku⸣ru ɸu⸢dubi⸣ kuːŋ] (自然に<自ずから>成長してくる)。 フ⸢ドゥブ⸣ プ⸢ソー ニンニ サンズン⸣マー フ⸢ドゥブン [ɸu⸢dubu⸣ pu̥⸢soː ninni sanʣum⸣maː ɸu⸢dubuŋ] (成長する人は一年に三寸は成長する)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢ドゥベー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢dubeː⸣ misamunu] (もっと成長すれ<背が伸びれ>ばいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢ドゥビ [⸢paː⸣ku ɸu⸢dubi] (早く成長せよ) 15263 0 0 15081 htmvoc_15263.wav フドゥマイヤン フ⸢ドゥ マイ⸣ヤン [ɸu⸢du mai⸣jaŋ] 連 体が大きい。巨体である。 フ⸢ドー マイ⸣ヤンドゥ ナン⸣ゾー ⸢ウーキユーサ⸣ヌ [ɸu⸢doː mai⸣jandu ⸢nan⸣ʣoː ⸢ʔuːkijuːsa⸣nu] (体は大きいが、あまり動ききれない) 15275 0 0 15082 htmvoc_15275.wav フトゥマスン フ⸢トゥマスン [ɸu̥⸢tumasuŋ] 他動 \ruby{蒸}{ム}らして温める。\ruby{麹}{コウジ}などを温める。「浸水、ホトバカス」『運歩色葉集』の転訛したものか。 ⸢コージェー⸣ ムス カ⸢バ⸣シティ フ⸢トゥマスンティ⸣ シケーンドゥ フ⸢トゥマサラヌ [⸢koːʤeː⸣ musu ka⸢ba⸣ʃi̥ti ɸu̥⸢tumasunti⸣ ʃi̥keːndu ɸu̥⸢tumasaranu] (麹は筵を被せて蒸らそうとしているが蒸らされない)。 フ⸢トゥマシティ⸣ パナ ⸢ホー⸣シ [ɸu̥⸢tumaʃi̥ti⸣ pana ⸢hoː⸣ʃi] (蒸らして黴を生やせなさい)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢トゥマス⸣ クトゥ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢tumasu⸣ ku̥tu] (もっと\ruby{蒸}{ム}らすこと)。 フ⸢トゥマシェー⸣ ミサムヌ [ɸu̥⸢tumaʃeː⸣ misamunu] (蒸らせばいいのに)。 フ⸢トゥマシ [ɸu̥⸢tumaʃi] (蒸らせ) 15276 0 0 15083 htmvoc_15276.wav フトゥミカザ フ⸢トゥミカザ [ɸu̥⸢tumikaʣa] 名 \ruby{黴臭}{カビ|クサ}いにおい(臭い)。蒸れて腐敗しつつある臭気。長期間放置した部屋や寝具類の湿った黴臭さ。夏場になると押入れの寝具類はフトゥミカザを放つようになる。 フ⸢トゥミカザヌ スンダ⸣ ウズンドーレー シゥカイ⸢トゥ⸣ ティダナー ⸣プシティ ⸢カーラカサン⸣カー シゥ⸢カーラヌ [ɸu̥⸢tumikaʣanu sunda⸣ ʔuʣundoːreː sï̥kai⸢tu⸣ tidanaː ⸣pu̥ʃiti ⸢kaːrakasaŋ⸣kaː sï̥⸢kaːranu] (湿った黴臭い臭いがするから布団などはしっかりと太陽に干して乾かさないと使用できない)。 ヤ⸢ドゥ⸣フジ ⸢スー⸣カー フ⸢トゥミカザヌ スン [ja⸢du⸣ɸuʤi ⸢suː⸣kaː ɸu̥⸢tumikaʣanu suŋ] (戸締りして、締め切っておくと黴臭いにおいがする) 15277 0 0 15084 htmvoc_15277.wav ブトゥムティプス ブ⸢トゥムティ⸣プス [bu⸢tumuti⸣pu̥su] 名 夫のある人。「夫持ち」の義。 ウ⸢ヌス⸣ク ⸢ンー⸣バティ ⸢シー ベー⸣タ ⸣ムーバ ウ⸢ティシゥカ⸣シ ヤッ⸢トゥ⸣シ ブ⸢トゥムティ⸣プス ⸣ナシ ス⸢コー⸣レーンティ [ʔu⸢nusu̥⸣ku ⸢ʔmː⸣bati ⸢ʃiː beː⸣ta ⸣muːba ʔu⸢tisï̥ka⸣ʃi jat⸢tu⸣ʃi bu⸢tumuti⸣pu̥su ⸣naʃi su̥⸢koː⸣reːnti] (あれほど嫌がっていたのを説得して<落ち着かせて>やっとで夫持ちにしておかれてあるさ<ほらごらんよ>) 15264 0 0 15085 htmvoc_15264.wav フトゥムン フ⸢トゥムン [ɸu̥⸢tumuŋ] 自動 多少熱気ががこもり、湿気を帯びる。\ruby{蒸}{ム}れる。 ア⸢ミ⸣ヌ シ⸢ジクター⸣ ウゾー フ⸢トゥミティ カ⸢バラ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ʃi⸢ʤikutaː⸣ ʔuʣoː ɸu̥⸢tumiti⸣ ka⸢bara⸣nu] (雨が続いたので布団は多少熱気がこもり湿気を帯びて被れない)。 ⸣キンカー ⸢ウスクミ⸣ シ⸢キ⸣ルカー フ⸢トゥムンダ⸣ フ⸢トゥマサン⸣ ヨーニ ⸣ティダナ ⸣プシ [⸣kiŋkaː ⸢ʔusu̥kumi⸣ ʃi̥⸢ki⸣rukaː ɸu̥⸢tumunda⸣ ɸu̥⸢tumasaŋ⸣ joːni ⸣tidana ⸣pu̥ʃi] (衣類を押し込んで置くと湿気を帯びるから、湿らさないように日干ししなさい)。 カ⸢ジ⸣ナ ス⸢ガス⸣カー フ⸢トゥム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʤi⸣na su⸢gasu⸣kaː ɸu̥⸢tumu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (風にあてたら<そよがせたら>、湿気を帯びることはない)。 フ⸢トゥメー⸣ラー キ⸢サラヌ [ɸu̥⸢tumeː⸣raː ki̥⸢saranu] (湿気を帯びたら着られない)。\ruby{蒸}{ム}れる。蒸し暑くなる。\ruby{麹}{コウジ}が\ruby{醗酵}{ハッ|コウ}して温かくなる。 ナ⸢チェー マープスマ⸣ ナルカー フ⸢トゥミティ ヤーン⸣ ナカナー ブ⸢ララヌ [na⸢ʧeː maːpusuma⸣ narukaː ⸣ɸu̥⸢tumiti jaːn⸣ nakanaː bu⸢raranu] (夏は、真昼間になると蒸れて家の中にはおれない)。 カ⸢ジヌ ソーン⸣カー ⸢ヤーン⸣ ナカー フ⸢トゥムンダ⸣ フ⸢トゥマン⸣ トン ⸣パリバ [ka⸢ʤinu soːŋ⸣kaː ⸢jaːn⸣ nakaː ɸu̥⸢tumunda⸣ ɸu̥⸢tuman⸣ tom ⸣pariba] (風がそよがないと家の中は蒸れるから、蒸れない所へ行きなさい)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢トゥム⸣ クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢tumu⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (これ以上蒸れることはないはずだ)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢トゥメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu̥⸢tumeː⸣ misamunu] (もっと蒸れたらいいのに)。 フ⸢トゥミ [ɸu̥⸢tumi] (蒸れよ) 15280 0 0 15086 htmvoc_15280.wav ブドゥル ブ⸢ドゥル [bu⸢duru] 名 踊。舞踊。「~立乎杼利<たちヲドリ>~。万、9904」、「躝、踰也、越也、~古由<こゆ>、又乎止留<をどる>」『新撰字鏡』の転訛したもの。⸢飛び上がる、跳ね上がる」の転訛したもの。鳩間島には、ウ⸢ブブドゥ⸣ル[ʔu⸢bubudu⸣ru](伝統的古典舞踊)。 ⸢ニーサイブドゥ⸣ル [⸢niːsaibudu⸣ru] (二才踊{EOS}若衆踊)。 ⸢ゾーブドゥ⸣ル [⸢ʣoːbudu⸣ru] (雑踊)。 ヤ⸢マトゥブドゥ⸣ル [ja⸢matubudu⸣ru] (大和踊)。⸢モー⸣ヤー[⸢moː⸣jaː](カチャーシ{EOS}沖縄本島から伝わる芸能の一種{EOS}手踊り{EOS}「匏<ひさこ>浪の上に転<ま>いつつ沈まず」『日本書紀 仁徳十一年』<旋回運動>より転訛か)などが伝承されている。 ⸢プールブドゥル⸣ヌ ス⸢クミヌ バング⸣バレー イ⸢チル ソール⸣ワ [⸢puːrubuduru⸣nu su̥⸢kuminu baŋgu⸣bareː ʔi⸢ʧiru soːru⸣wa] (豊年祭踊のリハーサル<仕込み>のプログラム作り<番配り>は何時なさいますか) 15265 0 0 15087 htmvoc_15265.wav プトゥル プ⸢トゥ⸣ル [pu̥⸢tu⸣ru] 名 いなびかり(稲光)。稲妻。「Inabicari.イナビカリ(稲光)稲妻」『邦訳日葡辞書』とあるが、鳩間方言のプ⸢トゥ⸣ル[pu̥⸢tu⸣ru]は、「電 波得那(フディヌ)」『琉球館訳語』の転訛したもの。「ほてり(火照り)」に\ruby{遡源}{ソ|ゲン}される語であろう。 プ⸢トゥル⸣ヌ ピ⸢カ⸣ルンダ ア⸢ミ⸣ヌ フ⸢イン⸣ギサバン [pu̥⸢turu⸣nu pi̥⸢ka⸣runda ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisabaŋ] (稲光が光るから、どうやら雨がふりそうだ)。 プ⸢トゥル⸣ヌ ⸢スー⸣カー ⸢カンナー⸣ルン ⸢ナーリ⸣ アミーン ⸣フーン [pu̥⸢turu⸣nu ⸢suː⸣kaː ⸢kannaː⸣run ⸢naːri⸣ ʔamiːŋ ⸣ɸuːŋ] (稲光がすると雷も鳴り、雨も降る) 15287 0 0 15088 htmvoc_15287.wav ブドゥルキョンギン ブ⸢ドゥルキョンギン [bu⸢durukjoŋgiŋ] 名 踊や村芝居。⸢踊狂言」の義。キ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)で⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利お嶽<お願>)に奉納される村芝居や踊。 キ⸢チゴンヌ⸣ ブ⸢ドゥルキョンギンマー⸣ ク⸢トゥシェー ギューバング⸣ ス⸢クモー⸣レーワ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ bu⸢durukjoŋgimmaː⸣ ku̥⸢tuʃeː gjuːbaŋgu⸣ su̥⸢kumoː⸣rewa] (結願祭の踊狂言は、今年は何番<幾番組>仕込まれましたか) 15281 0 0 15089 htmvoc_15281.wav ブドゥルキン ブ⸢ドゥルキン [bu⸢durukiŋ] 名 踊り衣装。「踊り衣」の転訛したもの。 パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ブ⸢ドゥルキンマー⸣ カ⸢ザケートゥ⸣ ユ⸢レー⸣ナー ⸣アル ス⸢ディナー⸣ル キ⸢ソーッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manakamurinu bu⸢durukimmaː⸣ ka⸢ʣakeːtu⸣ ju⸢reː⸣na ⸣ʔaru su⸢dinaː⸣ru ki̥⸢soːt⸣ta] (古典舞踊鳩間中岡<鳩間節>の衣装には加治工家と寄合家にあるスディナを着用された<着られた>) 15282 0 0 15090 htmvoc_15282.wav ブドゥルシーパナ ブ⸢ドゥル シーパナ [bu⸢duru ʃiːpana] 連 踊をする年頃。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー マ⸢ナマ⸣ル ブ⸢ドゥル シーパナ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢ジン⸣ジ シ⸢ミリ [mi⸢doːn⸣ffaː ma⸢nama⸣ru bu⸢duru ʃiːpana⸣ ja⸢runda⸣ ʔi⸢ʤin⸣ʤi ʃi⸢miri] (女の子は今が踊をする年頃だから、しっかり<意地を出して、応援して>踊をさせなさい) 15284 0 0 15091 htmvoc_15284.wav ブドゥルシープス ブ⸢ドゥルシープス [bu⸢duruʃiːpusu] 名 踊り手。⸢踊をする人」の義。 ⸢インヌムラ⸣ナー ブ⸢ドゥルシープスヌ⸣ タ⸢ラーンベー⸣ティ ⸢アンヌムラー⸣ラ タ⸢ナ⸣ミ ⸢クー⸣タ [⸢ʔinnumura⸣naː bu⸢duruʃiːpu̥sunu⸣ ta⸢raːmbeː⸣ti ⸢ʔannumuraː⸣ra ta⸢na⸣mi ⸢kuː⸣ta] (西村には踊手が足りないので東村から頼んできた) 15283 0 0 15092 htmvoc_15283.wav ブドゥルシタフ ブ⸢ドゥルシタフ [bu⸢duruʃi̥taɸu] 名 踊の衣装。踊の衣服をととのえること。コスチューム(costume)。「踊支度」の義。 ⸢プールゾーラキ⸣ヌ ブ⸢ドゥルシタフ スンティ オー⸣ル [⸢puːruʣoːraki⸣nu bu⸢duruʃi̥taɸu sunti ʔoː⸣ru] (豊年祭の入子踊の踊衣装の準備をしておられる) 15285 0 0 15093 htmvoc_15285.wav ブドゥルシンカ ブ⸢ドゥルシンカ [bu⸢duruʃiŋka] 名 踊りの一団。踊りの団員。踊り人数。⸢踊り臣下」の転訛したもの。西村と東村に別れて競演する入子型の舞踊集団の団員。 ブ⸢ドゥルシンカー⸣ ス⸢ルイ⸣ヤン [bu⸢duruʃiŋkaː⸣ su⸢rui⸣jaŋ] (踊り人数は揃った) 15288 0 0 15094 htmvoc_15288.wav ブドゥルスン ブ⸢ドゥル スン [bu⸢duru suŋ] 連 踊をする。踊る。ブ⸢ドゥルン[bu⸢duruŋ]とは言わない。 ブ⸢ドゥル スンティ ベー⸣ンドゥ ⸣ジー ⸢シープスヌドゥ オーラン⸠ツォー [bu⸢duru sunti beː⸣ndu ⸣ʤiː ⸢ʃiːpu̥sunudu ʔoːran⸠ʦoː] (踊をしようとしているが、地謡をする人がおられないんですよ) 15286 0 0 15095 htmvoc_15286.wav ブドゥルゾージ ブ⸢ドゥルゾージ [bu⸢duruʣoːʤi] 名 踊上手。 ⸣アンマーター シ⸢リンケー⸣ヤ イッ⸢ケナ⸣ ブ⸢ドゥルゾージ⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ⸢ダー⸣ オバートゥ ⸢ダイ⸣ケーヌ ⸣オバー フ⸢タールヌ⸣ タ⸢カ⸣ナブシェー ⸢バシキララヌ [⸣ʔammaːtaː ʃi⸢riŋkeː⸣ja ʔik⸢kena⸣ bu⸢duruʣoːʤi⸣ ja⸢roːt⸣ta⸢daː⸣ ʔobaːtu ⸢dai⸣kenu ⸣ʔobaː ɸu̥⸢taːrunu⸣ tḁ⸢ka⸣nabuʃeː ⸢baʃi̥kiraranu] (お母さん達の同年輩方は非常に踊が上手であられた{EOS}千代叔母と大工家の良叔母二人打ち組で踊る高那節の踊は忘れられないよ) 15289 0 0 15096 htmvoc_15289.wav プトゥルパタラシ プ⸢トゥルパタラ⸣シ [pu̥⸢turupatara⸣ʃi] 副 擬態語。ぴかぴかと。松明が燃えて光るさま。イカ釣りランプ<集魚灯>の光るさま。 イ⸢ガピキジブンマー ユール⸣ ナルカー⸣ シンタヌ ⸢トゥー⸣ナー イ⸢ガメー⸣ランプヌ プ⸢トゥルパタラ⸣シ ガ⸢ル ムヌ⸣ ミ⸢ラリ⸣タン [ʔi⸢gapikiʤibummaː juː⸣ru ⸣narukaː ⸣ʃintanu ⸢tuː⸣naː ʔi⸢gameː⸣rampunu pu̥⸢turupatara⸣ʃi ga⸢ru munu⸣ mi⸢rari⸣taŋ] (イカ釣り漁の時分には、夜になると島の後の沖にイカ釣りランプがぴかぴかと光るのが見えた) 15290 0 0 15097 htmvoc_15290.wav ブドゥルヤー ブ⸢ドゥルヤー [bu⸢durujaː] 名 豊年祭の⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](入子踊<⸢常楽舞踊」の義か>)の稽古に指定された家。 ⸢プールゾーラキ⸣ヌ ブ⸢ドゥルヤーヤ⸣ ク⸢トゥシェー タッ⸣テーヤ [⸢puːruʣoːraki⸣nu bu⸢durujaːja⸣ ku̥⸢tuʃeː tat⸣teːja] (豊年祭の入子踊<常楽舞踊>の稽古をする家は、今年はどこの家か) 15291 0 0 15098 htmvoc_15291.wav フドゥン ⸣フドゥン [⸣ɸuduŋ] 名 (植)樹木の名。ホウトウ。フトモモ(蒲桃)。フトモモの実。ビワの実に似た形と色をした香りの高い実がなり、食用となる。西表島の山中に自生している。 フ⸢ドウン⸣マー ル⸢クンガチ⸣ヌ ⸢カーチー⸣ヌ ⸢マーラー⸣ラル ⸣ンジ ⸢クー⸣タ⸢ナー [ɸu⸢dum⸣maː ru⸢kuŋgaʧi⸣nu ⸢kaːʧiː⸣nu ⸢maːraː⸣raru ⸣ʔnʤi ⸢kuː⸣ta⸢naː] (フトモモの実は六月の夏至の頃からが出始めたなあ) 15273 0 1 15099 htmvoc_15273.wav フトッツン フ⸢トッ⸣ツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ] 自動 {Mn_1}\ruby{沸騰}{フッ|トウ}する。沸く。煮立つ。 ⸢イットゥ⸣キシ フ⸢トゥッツン⸣ドゥ ク⸢レー⸣ マ⸢ダ⸣ フ⸢トゥッツァン⸣バン [⸢ʔittu⸣kiʃi ɸu̥⸢tutʦun⸣du ku⸢reː⸣ ma⸢da⸣ ɸu̥⸢tutʦam⸣baŋ] (短時間で沸くが、これはまだ沸かないよ)。 ⸢ユー⸣ヤ フ⸢トゥッ⸣チティ ア⸢バイベー [⸢juː⸣ja ɸu̥⸢tut⸣ʧiti ʔa⸢bai beː] (湯は沸騰して吹きこぼれている)。 フ⸢トゥッ⸣ツ ⸣ピンマー フ⸢ター⸣ ム⸢タイ⸣ルン [ɸu̥⸢tut⸣ʦu ⸣pimmaː ɸu̥⸢taː⸣ mu⸢tai⸣ruŋ] (沸騰する時は蓋を持ち上げる)。 ⸢パー⸣ク フ⸢トゥッ⸣チェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢tut⸣ʧeː ⸣misamunu] (早く沸騰すればいいのに)。 フ⸢トゥッ⸣チ [ɸu̥⸢tut⸣ʧi] (沸騰しろ{EOS}沸け)。 15273 0 2 15100 htmvoc_15273.wav フトッツン フ⸢トッ⸣ツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ] 自動 {Mn_2}ぶつぶつ不平をいう。 ⸣ウヤン イ⸢ザリティ⸣ フ⸢トゥッ⸣チ ⸢ベー⸣タ [⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣariti⸣ ɸu̥⸢tut⸣ʧi ⸢beː⸣ta] (親に叱られてぶつぶつ不平をいっていた) 15293 0 0 15101 htmvoc_15293.wav ブナージマヌー ブ⸢ナージマヌー [bu⸢naːʤimanuː] 名 (地)トゥ⸢マダタバル[tu⸢madatabaru]の南側、ティ⸢ドゥ⸣ク[ti⸢du⸣ku]山の北側斜面に、幅約50メートル、長さ約100メートルの茅の密生した原野がある。これをブ⸢ナージマヌーという。明治末期から大正期にかけて、⸣シザバナリ(下離)の炭坑用の坑木を伐採したり、炭焼き用の材木を伐採したためにできた原野といわれている。昔は竹富島の山で、⸢ソー⸣ノー[⸢soː⸣noː](樟脳の木)を植林した原野という(加治工伊佐氏談) フナ 15294 0 1 15102 htmvoc_15294.wav フナアシ フ⸢ナ⸣アシ [ɸu⸢na⸣ʔaʃi̥] 名 {Mn_1}船の速度。⸢船脚」の義。 フ⸢ナアシ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣ン [ɸu⸢naʔaʃi⸣nu pa⸢jaː⸣ŋ] (船脚が早い)。 15294 0 2 15103 htmvoc_15294.wav フナアシ フ⸢ナ⸣アシ [ɸu⸢na⸣ʔaʃi̥] 名 {Mn_2}喫水。船体の、水中に没した部分。⸣アシ[⸣ʔaʃi](喫水)ともいう。 ⸣アシ ビ⸢ルン [⸣ʔaʃi bi⸢ruŋ] (喫水が沈む<座る>)。 ⸣ニー シ⸢ム⸣カー フ⸢ナ⸣アシェー ビ⸢リス [⸣niː ʃi⸢mu⸣kaː ɸu⸢na⸣ʔaʃeː bi⸢risu] (貨物を積むと喫水線が深くなる<船脚が座る>) 14617 0 0 15104 htmvoc_14617.wav フナイ ⸣フナイ [⸣ɸunai] 名 船酔い。「船ゑひ<酔い>」『土佐日記』の転訛。 パ⸢ジミティ⸣ カ⸢ツシン ヌールタ⸣ピンマー フ⸢ナイ⸣バ ⸢シーティル ウーキ ユーサン⸣シェンツォー [pa⸢ʤimiti⸣ kḁ⸢ʦuʃin nuːruta⸣ pimmaː ɸu⸢nai⸣ba ⸢ʃiːtiru ʔuːki juːsaŋ⸣ʃenʦoː] (初めてカツオ漁船に乗った時は船酔いをして動けなかった<動き得なかった>そうだ)。 ⸢ジー⸣フナイ [⸢ʤiː⸣ɸunai] (下船して、陸に上がってからもなお続く船酔い)。 パ⸢トゥ⸣マーラ イ⸢サナキバーキ⸣ヌ ⸣アイナ ⸣フナイ ⸢スー⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢リル ブー [pḁ⸢tu⸣maːra ʔi⸢sanakibaːki⸣nu ⸣ʔainaː ⸣ɸunai ⸢suː⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢riru buː] (鳩間島から石垣島までの間に船酔いする人も居りぞ居る) 15296 0 0 15105 htmvoc_15296.wav フナイルン フ⸢ナイ⸣ルン [ɸu⸢nai⸣ruŋ] 他動 袋や他の容器などにものを詰め込む。詰める。 カ⸢シガーフク⸣ルナ モ⸢ミ⸣ フ⸢ナイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ ピー⸣チナー フ⸢ナイララ⸣ヌ [kḁ⸢ʃigaːɸu̥ku⸣runa mo⸢mi⸣ ɸu⸢nai⸣runti ⸢sundu piː⸣ʧinaː ɸu⸢nairara⸣nu] (南京袋に籾を詰め込もうとするが、袋一つには詰められない)。 ル⸢クトゥダー⸣ラナ ⸣フナイ ⸣ミサカー フ⸢ナイ⸣ルクトー ⸣ナルン [ru⸢kutudaː⸣rana ⸣ɸunai ⸣misakaː ɸu⸢nai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (六斗俵の南京袋に詰め込んでよければ詰め込むことはできる)。 ⸢ピー⸣チナ フ⸢ナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢piː⸣ʧina ɸu⸢nai⸣jaː ⸣misamunu] (一つに詰め込めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢ナイ⸣リ [⸢paː⸣ku ɸu⸢nai⸣ri] (早く詰め込めろ) 15297 0 0 15106 htmvoc_15297.wav フナウキ フ⸢ナ⸣ウキ [ɸu⸢na⸣ʔuki] 名 地名。船浮。西表島西部の船浮湾の湾口西部にある集落。船浮湾は天然の良港で、戦前は軍港であった。戦後は台風時の避難港に指定されていた。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ゾーケー⸣ フ⸢ナウ⸣キナール カ⸢クル⸣タ [⸢taiɸuː⸣nu ⸣pimmaː ⸢ʣoːkeː⸣ ɸu⸢naʔu⸣kinaːru kḁ⸢kuru⸣ta] (台風の時は大型蒸気船は船浮港に隠れた<避難した>) 15298 0 0 15107 htmvoc_15298.wav フナウン ⸣フナウン [⸣ɸunauŋ] 他動 詰め込む。容器に物を詰め込む。 ⸢ウン⸣マー ⸣ティルナ ⸣フナウンティ アシ⸢タヌ⸣ マ⸢ダ⸣ フ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔum⸣maː ⸣tiruna ⸣ɸunaunti ʔaʃi̥⸢tanu⸣ ma⸢da⸣ ɸu⸢naː⸣nu] (サツマイモは\ruby{笊}{ザル}に詰め込むと言ったが、まだ詰め込まないよ)。 ⸣ティルナ ⸣フナイティ カ⸢タ⸣ミ [⸣tiruna ⸣ɸunaiti kḁ⸢ta⸣mi] (笊に詰め込んで担げ)。 ⸣ティルナー ⸣フナウ ⸣クトー ナ⸢ラン⸣バ カ⸢シガーフク⸣ルナ フ⸢ナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣tirunaː ⸣ɸunau ⸣ku̥toː na⸢ram⸣ba kḁ⸢ʃigaːɸu̥ku⸣runa ɸu⸢nai⸣jaː ⸣misamunu] (笊には、詰め込むことは出来ないから、南京袋に詰め込めばいいのに)。 ヤー⸢ディン クン⸣ナ ⸣フナイ [jaː⸢diŋ kun⸣naː ⸣ɸunai] (必ずこれに詰め込め) 15299 0 0 15108 htmvoc_15299.wav フナカク フ⸢ナ⸣カク [ɸu⸢na⸣kaku] 名 船乗り。水夫。乗組員。「水手、加古(かこ)」『和名抄』の転訛。「~朝凪に可故等登能倍<カコトトノヘ>~。万4331」の「加古」(水手)が⸢フナ」(船)に下接して合成された合成名詞。 カ⸢ツシンヌ⸣ フ⸢ナ⸣カク ア⸢ツァ⸣ミティ イ⸢ソー オーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ɸu⸢na⸣kḁku ʔa⸢ʦa⸣miti ʔi⸢soː ʔoːt⸣ta] (カツオ漁船の乗組員を集めて出漁された<漁に行かれた>) 15300 0 0 15109 htmvoc_15300.wav フナカクヌメー フ⸢ナカク⸣ヌメー [ɸu⸢nakaku⸣numeː] 名 水夫達、乗組員達。敬意を含まない一般名称。フ⸢ナカクン⸣メー[ɸu⸢nakakum⸣meː]ともいう。 フ⸢ナカク⸣ヌメーヤ ムー⸢ル⸣ ス⸢ルイ⸣ヤンカヤー [ɸu⸢nakaku⸣numeːja muː⸢ru⸣ su⸢rui⸣jaŋkajaː] (乗組員達は全員揃ったかね) 15301 0 0 15110 htmvoc_15301.wav フナカクンケー フ⸢ナ⸣カクンケー [ɸu⸢na⸣kakuŋkeː] 名 水夫の方々。乗組員の方々。敬称。 フ⸢ナ⸣カクンケーヤ ムー⸢ル⸣ スルイ ⸢ヨー⸣レーンカヤー [ɸu⸢na⸣kakuŋkeːja muː⸢ru⸣ surui ⸢joː⸣reːŋkajaː] (乗組員の方々は全員そろわれたかね) 15302 0 0 15111 htmvoc_15302.wav フナク フ⸢ナ⸣ク [ɸu⸢na⸣ku] 名 水夫。船乗り。歌謡語。「船子(ふなこ)。~満ちのとどみに三船子呼<みふなこを>~。万、1780」の転訛したもの 15303 0 0 15112 htmvoc_15303.wav フナクヤー フ⸢ナ⸣クヤー [ɸu⸢na⸣kujaː] 名 (地)。石垣島東北の、伊原間の手前に位置する。石垣島で最も陸地の幅が狭い所である。東海岸から西海岸までの距離が約260メートルという。往時、サバニを担いでこの地を越えたことから命名されたとの口碑がある。 ⸢アンタヌ⸣ パ⸢マー⸣ラ ⸢インタヌ⸣ パ⸢マバー⸣キ フ⸢ニ⸣バ カ⸢タ⸣ミ ⸢クイヤー⸣ティル フ⸢ナ⸣クヤーティ シ⸢キラ⸣レーツォー [⸢ʔantanu⸣ pa⸢maː⸣ra ⸢ʔintanu⸣ pa⸢mabaː⸣ki ɸu⸢ni⸣ba kḁ⸢ta⸣mi ⸢kuijaː⸣tiru ɸu⸢na⸣kujaːti ʃi̥⸢kira⸣reːʦoː] (東の浜から西の浜まで舟を担いで越えたのでフナクヤーと名前が付けられたそうだ) 15304 0 0 15113 htmvoc_15304.wav フナザイク フ⸢ナザイ⸣ク [ɸu⸢naʣai⸣ku] 名 船大工。「船細工」の義。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マナーテー フ⸢ナザイ⸣コー プ⸢ス⸣ルンツァン ⸢オーラン⸣シェンドゥ チ⸢カ⸣グロー トゥ⸢ムシェヌ⸣ サ⸢ダミツォザール⸣ フ⸢ナザイ⸣ク ⸢シーオー⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣manaːteː ɸu⸢naʣai⸣koː pu̥⸢su⸣runʦaŋ ⸢ʔoːraŋ⸣ʃendu ʧi̥⸢ka⸣guroː tu⸢muʃenu⸣ sa⸢damiʦoːʣaːru⸣ ɸu⸢naʣai⸣ku ⸢ʃiːʔoː⸣ru] (昔は鳩間島には船細工は一人もおられなかったが、近頃は宮良貞光氏が船大工をしておられる) 15305 0 0 15114 htmvoc_15305.wav フナシキバ フ⸢ナシキ⸣バ [ɸu⸢naʃi̥ki⸣ba] 名 船着場。はとば(波止場)。桟橋の埠頭。ウ⸢キズー[ʔu⸢kiʣuː](船を浮ける所{EOS}波止場)ともいう。 フ⸢ナシキ⸣バナ ⸣フネー ⸣シキティ ⸢ニー⸣ヤ シ⸢ミ⸣バ [ɸu⸢naʃi̥ki⸣bana ⸣ɸuneː ⸣ʃi̥kiti ⸢niː⸣ja ʃi⸢mi⸣ba] (船着場に船をつけて荷物を積みなさいよ) 15307 0 0 15115 htmvoc_15307.wav ブナシティアライ ブ⸢ナシティアライ [bu⸢naʃi̥tiʔarai] 名 すすぎあらい(濯ぎ洗い)。 ⸣サフンシ ア⸢ライティ⸣ アトー ブ⸢ナシティアライ⸣ シ⸢ティル⸣ プス⸢ダー [⸣sḁɸuŋʃi ʔa⸢raiti⸣ ʔatoː bu⸢naʃi̥tiʔarai⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ pu̥su⸢daː] (石鹸で洗って後は濯ぎ洗いをしてから干すんだよ) 15306 0 0 15116 htmvoc_15306.wav ブナシトゥン ブ⸢ナシトゥン [bu⸢naʃi̥tuŋ] 他動 すすぐ(濯ぐ)。ゆすぐ(濯ぐ)。一度洗剤で洗ったものを、別の新しい水の中で揺り動かして洗い流す。 ⸢キン⸣マー ブ⸢ナシトゥンティ スンドゥ⸣ ミ⸢ジヌ ナーン⸠ベー⸣ティ ブ⸢ナシタラヌ [⸢kim⸣maː bu⸢naʃi̥tunti sundu⸣ mi⸢ʤinu naːm⸠beːti bu⸢naʃi̥taranu] (着物は\ruby{濯}{スス}ごうとするが、水がないので濯がれない)。 ⸢キン⸣マー ブ⸢ナシティティ⸣ プシ [⸢kim⸣maː bu⸢naʃi̥titi⸣ pu̥ʃi] (着物は濯いで干せ)。 ブ⸢ナシトゥ ムノー クン⸣ナー ブ⸢ナシテー⸣ ミサムヌ [bu⸢naʃi̥tu munoː kun⸣naː bu⸢naʃi̥teː⸣ misamunu] (ゆすぐ物はこれの中で濯げばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ブ⸢ナシティ [jaː⸢dim⸣ bu⸢naʃiti] (必ず濯げ) 15308 0 0 15117 htmvoc_15308.wav ブナジマリ ブ⸢ナジマリ [bu⸢naʤimari] 名 女として生まれていること。「をなり生まれ」の義。ビ⸢キジマリ[bi⸢kiʤimari](男として生まれていること{EOS}<ゑけり生まれ>の義)の対義語。⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai](屋敷の祈願)の⸢ニンガイ⸣フチ[⸢niŋgai⸣ɸu̥ʧi](祈願文)などで用いられる。⸣ヌーディマリヌ ビ⸢キジマリヌ(ブ⸢ナジマリヌ)フンダメー⸣ル ⸢ヤー⸣ウチ キ⸢ナイウチ⸣ ヤ⸢ナ⸣カジ ア⸢マリ⸣カジ ⸢ペーラ⸣シミ タ⸢ボーラン⸣ヨー ⸣ニガイ ⸢オーシ⸣ ッ⸢サラバ~[⸣nuːdimarinu bi⸢kiʤimarinu(bu⸢naʤimarinu)ɸundameː⸣ru ⸢jaː⸣ʔuʧi ki⸢naiʔuʧi⸣ ja⸢na⸣kaʤi ʔa⸢mari⸣kaʤi ⸢peːra⸣ʃimi ta⸢boːraɲ⸣joː ⸣nigai ⸢ʔoːʃi⸣ s⸢saraba~](何年生まれの男の誰某、<女の誰某>が踏み固めた屋敷内、家屋内に悪い風<悪霊>、余り風<余計な風、悪霊>を入れさせ給わぬように祈願し申し上げ奉りますから~)のように用いられる 15309 0 0 15118 htmvoc_15309.wav フナシンカ フ⸢ナシン⸣カ [ɸu⸢naʃiŋ⸣ka] 名 船員。乗組員。船人衆。「船臣下」の義。フ⸢ナ⸣カクとも言う。 フ⸢ナシンカ⸣ヌ ス⸢ルイバ⸣ル イ⸢ソーヤ⸣ ン⸢ジラリ⸣ル [ɸu⸢naʃiŋka⸣nu su⸢ruiba⸣ru ʔi⸢soːja⸣ ʔn⸢ʤirari⸣ru] (船員が揃えば<ぞ>漁には出られる<船員が揃ってはじめて出漁できる>) 15310 0 0 15119 htmvoc_15310.wav フナタビ フ⸢ナ⸣タビ [ɸu⸢na⸣tabi] 名 船旅。 フ⸢ナ⸣タベー ⸢オーシキバ ミーパカライ⸣ル パ⸢ラリ⸣バ ⸢カンヌ⸣マイン ウ⸢ヤプス⸣ヌマイン ⸣ユー ⸢ティー ウサー⸣シェーティル パル⸢ダー [ɸu⸢na⸣tabeː ⸢ʔoːʃikiba miːpakarai⸣ru pa⸢rari⸣ba ⸢kannu⸣maiŋ ʔu⸢japu̥su⸣nu maiɲ ⸣juː ⸢tiː ʔusaː⸣ʃeːtiru paru⸢daː] (船旅は天気を見計らって<ぞ>行かれるものだから、神様の前にもご先祖様の前にもよく手を合わせて拝んで<ぞ>行くのだぞ) 15311 0 0 15120 htmvoc_15311.wav フナダマ フ⸢ナ⸣ダマ [ɸu⸢na⸣dama] 名 ふなだま(船霊)。女の髪の毛、五穀などを神体として祀った船の守護霊。船の守護神。船室の中央に神棚を作って御神体を安置し、酒をコップに入れて出漁前に安全航海と大漁を祈願した。漁船に女性を乗せると縁起が悪いといわれていた。出漁のため、船員が早朝に家を出て船に向かう途中、女性に出会うと縁起が悪いといわれていた。 カ⸢ツシンマー ヤー⸣グヮーナ フ⸢ナダマ⸣バ マ⸢チティ⸣ ウ⸢ガ⸣ミ ⸢オーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː jaː⸣gwaːna ɸu⸢nadama⸣ba ma⸢ʧiti⸣ ʔu⸢ga⸣mi ⸢ʔoːt⸣ta] (カツオ漁船はブリッジ<船橋{EOS}船室{EOS}小屋>に船霊さまを祀って拝んでおられた) 15312 0 0 15121 htmvoc_15312.wav フナチン フ⸢ナ⸣チン [ɸu⸢na⸣ʧiŋ] 名 船賃。運賃。⸢ウンチン[⸢ʔunʧiŋ](運賃)、⸢ウンパン⸣チン[⸢ʔumpan⸣ʧiŋ](運搬賃)ともいう。 イ⸢サンケーバーキ⸣ヌ フ⸢ナチン⸣マー ⸣クビシ タ⸢ラウン⸣カヤー [ʔi⸢saŋkeːbaːki⸣nu ɸu⸢naʧim⸣maː ⸣kubiʃi ta⸢rauŋ⸣kajaː] (石垣島までの船賃はこれだけで足りるかね) 15313 0 0 15122 htmvoc_15313.wav フナヌール フ⸢ナヌー⸣ル [ɸu⸢nanuː⸣ru] 名 船乗り。船員。 ビ⸢ケーヤ⸣ バ⸢カーン⸣ケンラ フ⸢ナヌール⸣バ ⸢シール⸣ ッ⸢ふァー ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣ソーレール [bi⸢keːja⸣ ba⸢kaːŋ⸣kenra ɸu⸢nanuːru⸣ba ⸢ʃiːru⸣ f⸢faː ʔuinu gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣soːreːru] (父親は若い頃から船乗りをして子供を上級学校へ出されたものだ) 15314 0 0 15123 htmvoc_15314.wav フナヌシ フ⸢ナ⸣ヌシ [ɸu⸢na⸣nuʃi] 名 船主。 カ⸢ツシンヌ⸣ フ⸢ナ⸣ヌシェー ⸢ソー⸣ランマカナイヤー ⸢ギューサ⸣ナー ン⸢ザ⸣ソールカヤー [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ɸu⸢na⸣nuʃeː ⸢soː⸣rammakanaijaː ⸢gjuːsa⸣naː ʔn⸢ʣa⸣soːrukajaː] (カツオ漁船の船主は、お盆の経費はいくらずつ支給される<出される>のかね) 15337 0 0 15124 htmvoc_15337.wav フナバル フ⸢ナ⸣バル [ɸu⸢na⸣baru] 名 (地)鳩間島の東北海岸に位置する一定地域。そこは、鳩間島を創建した人々を乗せた船が最初に接岸した地点という伝承がある。海岸一帯にヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](てりはぼく<照葉木>)の林に囲まれた拝所、フ⸢ナ⸣バルウガン[ɸu⸢na⸣baruʔugaŋ](船原御願)があった 15316 0 0 15125 htmvoc_15316.wav フナバルウガン フ⸢ナ⸣バルウガン [Fu⸢na⸣baruʔugaŋ] 名 船原御願。島の東北海岸にある御願。『琉球国由来記』には無い。伝承によると、鳩間村創建の際、黒島や古見村から分村されてきた人たちが最初に上陸した所がフ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](船原浜)で、ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞い歌)に、フ⸢ナ⸣バマ[ɸu⸢na⸣bama]とあるが、これはフ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](船原浜)のことであるという。/バガパトゥマ クダリヨーリヨー フナバマニ フナシキヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ/(雨乞い歌―33連)『鳩間島古典民謡古謡集』。そこから友利御嶽へ上り、村の根拠地をつくったという。その道跡が⸢カン⸣ヌミチ[⸢kan⸣numiʧi](神の道)であるという(鳩間真吉氏伝承)。フナバル浜に下る道の側に、ク⸢バ[ku⸢ba](蒲葵)や⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](くろつぐ<桄榔子>)の密生する中に拝所がある。⸢コー⸣ロ[⸢koː⸣ro](香炉)があるだけで、サ⸢カサ(司)もティ⸢ジリ⸣ビー(手摺り部<男性神職者>)も今はいない。1960年頃までは、鳩間真吉氏がティジリビーを勤めておられた 15315 0 0 15126 htmvoc_15315.wav フナバルパマ フ⸢ナ⸣バルパマ [ɸu⸢na⸣barupama] 名 (地)船原浜。鳩間島の東北の海岸にある海岸地名。小さな浜がある。東村の人は、そこから潮干狩りに出た。往古、黒島や古見村から分村させられた人たちが最初に上陸した浜と伝えられている。分村させられた人たちの家具や生活用品を積載した船は喫水の深い船であったと思われる。その船が陸地に最も近くまで接岸可能な所は、ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](澪の上)で、そこはフ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](船原浜)に接している。 フ⸢ナ⸣バロー ⸢ヨー⸣ イッ⸢ケナ カンダカーン⸣ トンティ⸢ダー [ɸu⸢na⸣baroː ⸢joː⸣ ʔik⸢kena kandakaːn⸣ tonti⸢daː] (船原はねえ、非常に神高い<霊験あらたかな>所だそうだよ) 15317 0 0 15127 htmvoc_15317.wav フナビン フ⸢ナ⸣ビン [ɸu⸢na⸣biŋ] 名 船便。 カ⸢ジヌ⸣ フキティ ウ⸢キ⸣ナーラヌ フ⸢ナビン⸣ヌ ⸢ペーラン⸣ター シ⸢ナムノー⸣ キシ ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kiti ʔu⸢ki⸣naːranu ɸu⸢nabin⸣nu ⸢peːran⸣taː ʃi⸢namunoː⸣ ki̥ʃi ⸢naː⸣nu] (台風が吹いて沖縄からの船便が入らなかったので品切れして<品物は切れて>しまった) 15318 0 0 15128 htmvoc_15318.wav フナブ フ⸢ナ⸣ブ [ɸu⸢na⸣bu] 名 (植)ミカン(蜜柑)。くねんぼ(九年母)。シークヮー⸣サー[⸢ʃiːkwaː⸣saː](ヒラミレモン)ともいうが、沖縄本島方言の借用語であろう。「Cunebu.クネブ(久年父)甘い蜜柑の一種」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。西表島北部一帯の水田の回りには九年母の木が自生しており、夏季にはその実を取って刺身に入れて食した。鳩間島には九年母は少なかった。 フ⸢ナ⸣ブ ⸣ブリ ⸣キー ナ⸢マ⸣シナ カ⸢キ⸣ルカー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ɸu⸢na⸣bu ⸣buri ⸣kiː na⸢ma⸣ʃina kḁ⸢ki⸣rukaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (九年母を\ruby{捥}{モ}いで<折って>きて、汁を\ruby{搾}{シボ}って刺身にかけると非常に美味しい) 15319 0 0 15129 htmvoc_15319.wav フナブキー フ⸢ナ⸣ブキー [ɸu⸢na⸣bukiː] 名 (植)木の名。蜜柑の木。⸢九年母の木」の義。 ⸣シンタヌ ⸢ヤシ⸣キナー フ⸢ナ⸣ブキーヌ シン⸢トゥ⸣ プ⸢スム⸣トゥ カー⸢ニ⸣ ムイ ⸢ベー⸣タン [⸣ʃintanu ⸢jaʃi̥⸣kinaː ɸu⸢na⸣bukiːnu ʃin⸢tu⸣ pu̥⸢sumu⸣tu kaː⸢ni⸣ mui ⸢beː⸣taŋ] (後ろの屋敷には九年母の木がたった一本だけ生えていた) 15320 0 0 15130 htmvoc_15320.wav フナブパイル フ⸢ナ⸣ブパイル [ɸu⸢na⸣bupairu] 名 蜜柑酢。蜜柑で作った酢。ヤ⸢マフナ⸣ブ[ja⸢maɸuna⸣bu](山九年母{EOS}ヒラミレモン{EOS}シークヮーサー)の汁で作った酢。 イ⸢ズナマシン⸣ イ⸢ガナマシン⸣ フ⸢ナ⸣ブパイル カ⸢キラン⸣カー ン⸢マーナー⸣ヌ [ʔi⸢ʣunamaʃiŋ⸣ ʔi⸢ganamaʃiŋ⸣ ɸu⸢na⸣bupairu kḁ⸢kiraŋ⸣kaː ʔm⸢maːnaː⸣nu] (魚刺身もイカ刺身も蜜柑酢をかけないと美味しくない) 15321 0 0 15131 htmvoc_15321.wav フナムトゥ フ⸢ナ⸣ムトゥ [ɸu⸢na⸣mutu] 名 船主の家。「船元」の義。豊年祭の⸢パーレー⸣フニ[⸢paːreː⸣ɸuni](爬竜船{EOS}イダフニ)を提供する家。鳩間島では、⸢パーレー⸣フニ[⸢paːreː⸣ɸuni](爬竜船)を特別に造らなかった。各家は⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船・サバニ)を所有しているので、毎年西村、東村別々に舟を漕ぎ試して、船足の速いものを選んでパーレーフニを決定していた。⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta](豊年祭の歌)の項参照 15336 0 0 15132 htmvoc_15336.wav フナヤー フ⸢ナ⸣ヤー [ɸu⸢na⸣jaː] 名 昔、離島の船乗りが宿泊するために石垣島の浜辺に作ったという小屋。「船屋」。 ム⸢カ⸣シェー イ⸢サナキヌ⸣ パ⸢マナー⸣ル フ⸢ナヤー⸣バ ス⸢ク⸣リティ ⸣ウナール フ⸢ナカク⸣ヌメーヤ トゥ⸢マローッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔi⸢sanakinu⸣ pa⸢manaː⸣ru ɸu⸢najaː⸣ba su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔunaːru ɸu⸢nakaku⸣numeːja tu⸢maroːt⸣taʦoː] (昔は石垣島の浜に小屋を<船屋>作って、そこに離島からの船員達は宿泊されたのだそうだ) 15340 0 0 15133 htmvoc_15340.wav ブナル ブ⸢ナル [bu⸢naru] 名 姉妹。ビ⸢キル[bi⸢kiru](兄弟)に対して姉妹を指していう。「妹子有麼 'or(n)ari'ari(妹あるか)」「語音翻訳」『海東諸国紀』、「姊 洗之烏乃(シジャウナイ)」、「妹 屋多烏乃(ウットゥウナイ)」『中山伝信録』とある『図説琉球語辞典』参照。 ス⸢クマ⸣ヌ ⸣ピンマー ピ⸢ナカンヌ ニンガイ⸣ヤー ブ⸢ナルヌル ソーッ⸣タ [su̥⸢kuma⸣nu ⸣pimmaː pi⸢nakannu niŋgai⸣jaː bu⸢narunuru soːt⸣ta] (稲の初穂祭りの時は、火の神への祈願はブナル<姉妹>が執り行われた<なさった>)。 シ⸢ザブナ⸣ル [ʃi⸢ʣabuna⸣ru] (姉)。 ⸢ウシトゥブナ⸣ル [⸢ʔuʃi̥tubuna⸣ru] (妹) 15341 0 0 15134 htmvoc_15341.wav ブナルビキル ブ⸢ナルビキル [bu⸢narubikiru] 名 兄弟姉妹。 ブ⸢ナルビキルヌ⸣ カナイ ⸢オー⸣ルンダ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [bu⸢narubikirunu⸣ kanai ⸢ʔoː⸣runda ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (兄弟姉妹が揃っておられるから非常に羨ましい) 15342 0 0 15135 htmvoc_15342.wav ブナルンガイ ブ⸢ナルンガイ [bu⸢naruŋgai] 名 婿の姉か妹が嫁方へ嫁ぐこと。「姉妹替え」の義。 ブ⸢ナルンガイヤー サンモー⸣ マ⸢シ⸣ツォー [bu⸢narungaijaː sammoː⸣ ma⸢ʃi⸣ʦoː] (姉か妹が嫁方へ嫁ぐのはしないほうがいいそうだ) 15343 0 0 15136 htmvoc_15343.wav ブナルンガン ブ⸢ナルンガン [bu⸢naruŋgaŋ] 名 おなり神。姉妹神。姉妹には兄弟を守護する霊威があるという信仰がある。 ブ⸢ナルンガンマー カンダカー⸣ンティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー ブ⸢ナルンナー⸣ニ イッ⸢カ ティー⸣ カケー ナ⸢ラン⸣ダー [bu⸢naruŋgammaː kandakaː⸣nti ʔa⸢ʣari buː⸣daː bu⸢narunnaː⸣neː ʔik⸢ka tiː⸣ kḁkeː na⸢ran⸣daː] (姉妹神は霊威が高いといわれているぞ{EOS}決して姉妹に手を振り上げてはならないぞ) 15339 0 0 15137 htmvoc_15339.wav ブナレー ブ⸢ナ⸣レー [bu⸢na⸣reː] 名 人名。平民女子の名。 ブ⸢ナ⸣レンマー [bu⸢na⸣remmaː] (ブナレ姉さん)。 ⸢ワッ⸣テヌ ブ⸢ナ⸣レンマー ⸣ミサー ア⸢ロールン [⸢wat⸣tenu bu⸢na⸣remmaː ⸣misaː ʔa⸢roːruŋ] (お宅のブナレー姉さんはお元気で<お元気であられま>すか) 15322 0 0 15138 htmvoc_15322.wav フニ ⸣フニ [⸣ɸuni] 名 船。船の総称。 ⸣イダフニ [⸣ʔidaɸuni] (サバニ{EOS}板を接いで造った舟)。 ⸣マチフニ [⸣maʧiɸuni] (松の木の刳り舟)。明治の初期までは松の大木で刳り舟を造って西表島への通耕に利用したが、\ruby{刳}{クリ}舟は時化で遭難することが多かったという。明治初期頃から夏期のイカ釣漁に従事するため、糸満の漁師がサバニを二艘組み合わせて双胴船に仕立て、直接鳩間島にやって来、漁期が終わるとサバニを鳩間の人に売って帰ったという。糸満漁師が帰郷する際は、漁獲して製造したプ⸢シ⸣イカ[pu̥⸢ʃi⸣ʔika](干しイカ{EOS}するめいか)とイ⸢ガカラス[ʔi⸢gakarasu](イカの塩辛)を那覇・石垣・台湾間の定期航路を利用して沖縄へ持ち帰ったという。こうして鳩間島には⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)が増えていったといわれている(加治工伊佐氏談)。 ⸢ティンマ [⸢timma] (伝馬船{EOS}地舟{EOS}五反帆船)。⸣マーラン[⸣maːraŋ](馬艦船)、⸢ヤンバル⸣シン[⸢jambaru⸣ʃiŋ](山原船)、⸢ダン⸣ベー[⸢dam⸣beː](団平舟{EOS}石炭運搬船)など。 ン⸢ジ⸣フニ [ʔn⸢ʤi⸣ɸuni] (出船)。 イ⸢リフニ [ʔi⸢riɸuni] (入船) 15323 0 0 15139 htmvoc_15323.wav プニ ⸣プニ [⸣puni] 名 骨。 プ⸢スヌ⸣ プニ [pu̥⸢sunu⸣ puni] (人骨{EOS}人の骨)。 イ⸢ズヌ⸣プニ [ʔi⸢ʣunu⸣ puni] (魚の骨)。 ウ⸢シヌ⸣ プニ [ʔu⸢ʃinu⸣ puni] (牛の骨)。 ク⸢シブニ [ku̥⸢ʃibuni] (脊椎<腰骨>)。 ヤ⸢カタ⸣ブニ [ja⸢kata⸣buni] (肋骨)。 ク⸢シブニ [ku̥⸢ʃibuni] (脊椎{EOS}腰骨)。 ブ⸢サーブニ [bu⸢saːbuni] (大腿骨)。 サ⸢リプニ [sa⸢ripuni] (晒された骨{EOS}白骨)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ プ⸢ニ⸣ヌ ア⸢ラー⸣ンダ ⸢マー⸣ビン フ⸢ドゥブン⸣パジ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pu⸢ni⸣nu ʔa⸢raː⸣nda ⸢maː⸣biŋ ɸu⸢dubum⸣paʤi] (この子は骨が太いからもっと成長するはずだ) 15324 0 0 15140 htmvoc_15324.wav プニアラーン ⸣プニ ア⸢ラー⸣ン [⸣puni ʔa⸢raː⸣ŋ] 連 骨が太い。 ⸣ウミシグトゥ<ス⸢ナカシグ⸣トゥ> パ⸢タキシグ⸣トゥ ⸢シープソー⸣ プニ ア⸢ラー⸣ン [⸣ʔumiʃigutu pḁ⸢takiʃigu⸣tu ⸢ʃiːpu̥soː⸣ puni ʔa⸢raː⸣ŋ] (漁師や百姓<海仕事、畑仕事をする人>は骨が太い) 15325 0 0 15141 htmvoc_15325.wav プニザラランケーリ ⸣プニ ザ⸢ラランケー⸣リ [⸣puni ʣa⸢raraŋkeː⸣ri] 連 死者の骨が揃っているさま。埋葬した人の骨が崩れずに整っているさま。洗骨のために埋葬した人骨を掘り起こした際に用いた言葉。ザ⸢ラランケーリ⸣ルとも言う。 ⸣アッパー ⸣プネー ザ⸢ラランケーリ⸣ル ⸢オール⸣バン [⸣ʔappaː ⸣puneː ʣa⸢raraŋkeːri⸣ru ⸢ʔoːru⸣baŋ] (お祖母さんのお骨は綺麗に揃っておられますわい) 15326 0 0 15142 htmvoc_15326.wav プニスクリヨー プ⸢ニスクリ⸣ヨー [pu⸢nisu̥kuri⸣joː] 名 骨格。骨組み。「骨作りよう」の義。⸢ドゥースクリ⸣ヨー[⸢duːsu̥kuri⸣joː](体格{EOS}体作りよう)というのが普通。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ プ⸢ニスクリ⸣ヨーラ ビ⸢ケーヌウヤ⸣トゥ マー⸢ン カウラヌ⸣ ビッ⸢ツティ ニール ブー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ pu⸢nisu̥kuri⸣joːra bi⸢keːnuʔuja⸣tu maː⸢ŋ kauranu⸣ bit⸢ʦuti niːru buː] (この子は骨格から父親とどこも変わらない{EOS}そっくり似ている) 15327 0 0 15143 htmvoc_15327.wav プニトゥカー プ⸢ニ⸣トゥ ⸣カー [pu⸢ni⸣tu ⸣kaː] 連 骨と皮。肉が\ruby{削}{ソ}げ落ちて骨と皮だけに痩せさらばえた姿。痩せこけた姿。 ⸣ヤミティ プ⸢ニ⸣トゥ ⸣カー ⸣ナルンケン ⸢ヨーガリ ベー [⸣jamiti pu⸢ni⸣tu ⸣kaː ⸣naruŋkeɲ ⸢joːgari beː] (病気して骨と皮になるまで痩せさらばえている) 15328 0 0 15144 htmvoc_15328.wav フニヌアカ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカ [ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka] 連 あか(淦)。ふなゆ(船湯)。舟底に溜まった水。フ⸢ニ⸣ヌ ⸣ユー[ɸu⸢ni⸣nu juː](船の湯)ともいう。「Aca.yu.アカ、またはユ(\ruby{淦}{アカ}、叉は、ゆ)揚水器で汲み出す船の水」、「Aca,Acano mizzu.アカ、または、アカノミヅ(閼伽、または、閼伽の水) 朝早く仏(Fotoqes)に供える水」『邦訳日葡辞書』の義。鳩間島では病弱な子供には船の淦を汲んで額に塗ると病気が良くなるという信仰が行われていた。昭和30年代までは、運搬船が入港する際に船長に依頼して淦を汲んでもらい、子供の額に塗ってもらう習慣があった。 カ⸢ツシンヌ⸣ アカ ⸣トゥルン [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔaka ⸣turuŋ] (カツオ漁船の淦を汲み上げる<淦を取る>) 15329 0 0 15145 htmvoc_15329.wav フニヌユー フ⸢ニ⸣ヌ ⸣ユー [ɸu⸢ni⸣nu ⸣juː] 連 舟のあか(淦)。⸢船の湯」の義。 ⸢ユー⸣トゥルシ フ⸢ニ⸣ヌ ⸣ユー<⸣アカ> ⸣トゥリ [⸢juː⸣turuʃi ɸu⸢ni⸣nu ⸣juː<⸣ʔaka> ⸣turi] (淦取りで船の淦<船湯>をとりなさい) 15333 0 0 15146 htmvoc_15333.wav フニパウン ⸣フニ ⸢パウン [⸣ɸuni ⸢pauŋ] 連 造船する。⸢舟を\ruby{接}{ハ}ぐ」の義。⸢舟」に「Fagui, u, aida. ハギ、ぐ、イダ(矧・接ぎ、ぐ、いだ) ~Itauo fagu(板を接ぐ)戸・扉などを作る時に板を接着する」『邦訳日葡辞書』が転訛したもの。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アチャー ⸣ドゥーシ ⸢ティンマ パイヨーッ⸣タン [⸢ban⸣tenu ⸣ʔaʧaː ⸣duːʃi ⸢timma paijoːt⸣taŋ] (私の家のお父さんは自分で伝馬船を造られた<\ruby{接}{ハ}がれた>ことがある) 15330 0 0 15147 htmvoc_15330.wav フニマースン ⸣フニ ⸢マースン [⸣ɸuni ⸢maːsuŋ] 連 回船する。手配して運搬船を寄港させる。「船回す」の義。 イ⸢サンケーヌ ニー⸣ヌ ⸣アルカー ⸣フネー ⸢マースン⸣ツォー [ʔi⸢saŋkeːnu niː⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣ɸuneː ⸢maːsun⸣ʦoː] (石垣島への貨物<荷>があれば運搬船は寄港させるそうだ) 15331 0 0 15148 htmvoc_15331.wav フニマチ フ⸢ニ⸣マチ [ɸu⸢ni⸣maʧi] 名 船待ち。運搬船の入港を待つこと。 イ⸢ラムテー⸣ラヌ ⸢ウンパンシン⸣バ フ⸢ニ⸣マチ ⸢スンティ ベーン⸣ドゥ ⸢キーン⸣ギサー ⸢ナーン⸣バン [ʔi⸢ramuteː⸣ranu ⸢ʔumpaŋʃim⸣ba ɸu⸢ni⸣maʧi ⸢sunti beːn⸣du ⸢kiːŋ⸣gisaː ⸢naːm⸣baŋ] (西表からの運搬船を船待ちしようとしているが、来そうもないわい)。 15331 0 2 15149 htmvoc_15331.wav フニマチ フ⸢ニ⸣マチ [ɸu⸢ni⸣maʧi] 名 {Mn_2}旅に出た夫の帰り舟を待つこと。 ウ⸢リヌ ナーヤ⸣ ビ⸢ケーヌ⸣ ウ⸢キ⸣ナーラヌ ⸢カイリ⸣バ フ⸢ニ⸣マチ ⸢シー ベーン⸣ケン マ⸢レー⸣ティル ⸣マツァーティ ⸢ナー⸣ シ⸢キラ⸣レーツォー [ʔu⸢rinu naːja⸣ bi⸢keːnu⸣ ʔu⸢ki⸣naːranu ⸢kairi⸣ba ɸu⸢ni⸣maʧi ⸢ʃiː beːŋ⸣kem ma⸢reː⸣tiru ⸣maʦaːti ⸢naː⸣ ʃi̥⸢kira⸣reːʦoː] (それ<彼>の名は、父親が沖縄から帰るのを船待ちしている時に生まれたので、マツァーと命名されたのだそうだ) 15332 0 0 15150 htmvoc_15332.wav フニムトゥン ⸣フニ ⸣ムトゥン [⸣ɸuni ⸣mutuŋ] 連 舟を操船する。サバニに帆を掛けて帆走させる。 ヤ⸢ラビ⸣ヌカー ⸢タン⸣ガシ ⸢パイ⸣ター ⸢バー⸣キ ⸣フニ ムトゥン⸢ツォー⸣カー [ja⸢rabi⸣nukaː ⸢taŋga⸣ʃi ⸢pai⸣taː ⸢baː⸣ki ⸣ɸuni mutun⸢ʦoː⸣kaː] (子供だのに一人で西表島<南端>までイダフニに帆をかけてを帆走させることが出来るんだってば、驚いたよ)。 ン⸢ジ⸣フニヨイ [ʔn⸢ʤi⸣ɸunijoi] (出港<出船>の嘉例吉を祈願する祝い)。 イ⸢リ⸣フニヨイ [ʔi⸢ri⸣ɸunijoi] (入港<入船>の嘉例吉を神に感謝する慶びの祝い) 15334 0 0 15151 htmvoc_15334.wav プニヤーラーン ⸣プニ ⸢ヤー⸣ラーン [⸣puni ⸢jaː⸣raːŋ] 連 骨が柔らかい。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー プ⸢ニ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ラーンダ ⸢サッ⸣コー ブ⸢ドゥルゾージ [mi⸢doːŋ⸣ffaː pu⸢ni⸣nu ⸢jaː⸣raːda ⸢sak⸣koː bu⸢duruʣoːʤi] (女の子は骨が柔らかいから大変踊り上手だ)。 ⸣プニ ⸢ヤー⸣ラー イ⸢ゾー⸣ プニシケーナ ⸢カン⸣ザリ ッ⸢ふァイ [⸣puni ⸢jaː⸣raː ʔi⸢ʣoː⸣ puniʃi̥keːna ⸢kan⸣ʣari f⸢fai] (骨の柔らかい魚は骨ごと噛み砕いて食べなさい) 15335 0 0 15152 htmvoc_15335.wav フニンジョー フ⸢ニンジョー [ɸu⸢ninʤoː] 名 不人情。標準語からの借用語。 ⸣アイニ フ⸢ニンジョーヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーン⸣パジ [⸣ʔaini ɸu⸢ninʤoːnu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːm⸣paʤi] (あんなに不人情な人は他にいないはずだ)。キ⸢ム⸣ ピ⸢サー⸣ン[ki⸢mu⸣ pi̥⸢saː⸣ŋ](不人情<肝が薄い{EOS}思う心が薄い>)ともいう 15344 0 0 15153 htmvoc_15344.wav ブネー ブ⸢ネー [bu⸢neː] 名 母親、女親の親族名称。呼称には用いない。ブ⸢ネーヌ⸣ ウヤー[bu⸢neːnu⸣ ʔuja](母親)ともいう。 ⸢ウッ⸣ツァー ブ⸢ネーヤ⸣ クティ ビ⸢ケーヤ ピーチ⸣ヌ ⸢キョー⸣ダイ [⸢ʔut⸣ʦaː bu⸢neːja⸣ ku̥ti bi⸢keːja piːʧi⸣nu ⸢kjoː⸣dai] (彼らは、母親は別腹、父親は一つの兄弟だ) 15345 0 0 15154 htmvoc_15345.wav ブネーカタ ブ⸢ネーカタ [bu⸢neːkata] 名 母方。「母親方」の義。Bunarikata(をなり方)→ [bunarjaːkata] → [buɲaːkata] → [buneːkata] と転訛したものであろう。 ブ⸢ネーカタヌ⸣ ウ⸢トゥ⸣ザ [bu⸢neːkatanu⸣ ʔu⸢tu⸣ʣa] (母方の親戚)。 ブ⸢ネーカタ⸣ナー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ナイプス⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [bu⸢neːkata⸣naː ʔik⸢kena⸣ ka⸢naipusu⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (母方に非常に優れた、有力な人がおられる) 15347 0 0 15155 htmvoc_15347.wav ブネーズー ブ⸢ネーズー [bu⸢neːʣuː] 名 凧の尻尾の長いもの。「母親尾」の義。 ブ⸢ネーズーヌ イシゥ⸣カーカー ピ⸢キダマー⸣ フ⸢ルマーリティ⸣ トゥ⸢バヌ [bu⸢neːʣuːnu ⸢ʔisï̥⸣kaːkaː pi̥⸢kidamaː⸣ ɸu⸢rumaːriti⸣ tu⸢banu] (母親尾が短いと凧はくるくる回って飛ばない) 15346 0 0 15156 htmvoc_15346.wav ブネーヌウヤ ブ⸢ネーヌ⸣ウヤ [bu⸢neːnu⸣ʔuja] 名 母親。「母なる親」の義。 ブ⸢ネーヌ⸣ウヤー バ⸢カーン⸣ケンマー イッ⸢ケナ⸣ ア⸢バ⸣レータンツォー [bu⸢neːnu⸣ʔujaː ba⸢kaːŋ⸣kemmaː ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ba⸣reːtanʦoː] (母親は、若い時は非常に美しかったそうだ) 15348 0 0 15157 htmvoc_15348.wav ブネービケー ブ⸢ネー⸣ ビ⸢ケー [bu⸢neː⸣ bi⸢keː] 連 母親と父親。両親。 イ⸢クサ⸣ユーナー ブ⸢ネー⸣ ビ⸢ケー⸣ マ⸢ラリ⸣ヤナ カ⸢カ⸣リ ⸢マーラソー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢kusa⸣juːnaː bu⸢neː⸣ bi⸢keː⸣ ma⸢rari⸣jana kḁ⸢ka⸣ri ⸢maːrasoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (戦争中<戦世>に母親と父親はマラリアに罹って亡くなられてしまった) 15349 0 0 15158 htmvoc_15349.wav フノーラ フ⸢ノー⸣ラ [ɸu⸢noː⸣ra] 名 (地名)船浦湾の西側に位置する船浦集落。往古、西表島北部にあった古村鬚川村はマラリアのために廃村となり、住民は鳩間島に移った。戦後はマラリア撲滅に伴い、鳩間島から船浦への移住が増え、またその他の地域からの移住者も増えて現在のように栄えた。西表観光の船着場としての機能も果たしている。1611年の慶長検地によると古見間切に所属する「ひけ川村」『論集沖縄の集落研究』は、ピ⸢ナイムラ[pi⸢naimura](鬚川村)のことで、船浦にあった古村のことであろう。鳩間島のピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川御嶽)はピナイムラの御嶽の香炉の灰を分けて建立されたという口碑が伝わっている。⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離)、ナ⸢ダラ[na⸢dara](なだら田原)、ナ⸢カ⸣シ[na⸢ka⸣ʃi](中石田原)、ニ⸢シダ[ni⸢ʃida](西田田原)の対岸にフ⸢ノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦田原)は位置する。 バ⸢ンテ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤ フ⸢ノーラ⸣ヌ ナ⸢カ⸣ダナーン アン⸢ダー [⸢ban⸣tenu ⸢taː⸣ja ɸu⸢noːra⸣nu na⸢ka⸣danaːŋ ʔan⸢daː] (私の家の田圃は船浦の仲田にもあるよ) 15350 0 0 15159 htmvoc_15350.wav フノール フ⸢ノー⸣ル [ɸu⸢noː⸣ru] 名 田舟。深い田圃で稲束や苗を運んで作業をする際に用いる小さな舟型の農具。木の幹を\ruby{刳}{ク}り貫いて船形に作ったもの。⸢トー⸣ニ[⸢toː⸣ni](田舟)ともいう。 フ⸢カ⸣ダーナ シ⸢グトゥ ソー⸣ル ⸣ピンマー フ⸢ノール⸣バ シゥ⸢カイヤー⸣ティル ⸢ソーッ⸣タ [ɸu̥⸢ka⸣daːna ʃi⸢gutu soː⸣ru ⸣pimmaː ɸu⸢noːru⸣ba sï̥⸢kaijaː⸣tiru ⸢soːt⸣ta] (深い田で仕事をされる時はフノールを使ってなされた) 15351 0 0 15160 htmvoc_15351.wav ブバー ブ⸢バー [bu⸢baː] 名 ⸢叔母」の親族呼称。「伯母」の親族呼称はウボ⸢マー[ʔubo⸢maː](大叔母さん{EOS!})、ボ⸢マー[bo⸢maː](伯母さん{EOS!})などという。 ブ⸢バー キュー⸣ヤ(ワ) ⸢マー⸣ティル ⸢オール⸣ワ [bu⸢baː kjuː⸣ja(wa) ⸢maː⸣tiru ⸢ʔoːru⸣wa] (叔母さん{EOS!}今日は何処へいらっしゃるのですか) 15352 0 0 15161 htmvoc_15352.wav ブバーマ ブ⸢バー⸣マ [bu⸢baː⸣ma] 名 伯叔母の親族名称。 ブ⸢バー⸣マー ギュ⸢タール オール⸣ワ [bu⸢baː⸣maː gj⸢taːru ʔoːru⸣wa] (伯叔母は何人いらっしゃいますか)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スル⸣ バー ブ⸢マー⸣マ⸢ユー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢suru⸣ baː bu⸢baː⸣ma⸢juː] (この人が私の叔母です<~叔母でございます>) 15353 0 0 15162 htmvoc_15353.wav ブバマンガン ブ⸢バマン⸣ガン [bu⸢bamaŋ⸣gaŋ] 名 セジ(霊力)高い伯<叔>母。伯<叔>母や姉妹は兄弟、甥を守護する霊力があると信じられ、兄弟、甥から神として尊敬されている。 ブ⸢バマンガン⸣ヌ カ⸢ルイ⸣シキ タ⸢ボーリ⸣バ ⸢ソー サンドー⸣シ ⸢ギーバリ⸣バ⸢ヨー [bu⸢bamaŋgan⸣nu ka⸢rui⸣ʃi̥ki ta⸢boːri⸣ba ⸢soː sandoː⸣ʃi ⸢giːbari⸣ba⸢joː] (セジ<霊力>高い伯<叔>母の神様が守護<嘉例付け>して下さるから心配しないで頑張り<気張り>なさいね) 15354 0 0 15163 htmvoc_15354.wav フバラリン フ⸢バラリン [ɸu⸢barariŋ] 自動 縛られる。縛ることが出来る。フ⸢バルン[ɸu⸢baruŋ](他動)の未然形に受身・可能の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](~れる)が下接して生成された受身・可能動詞。 ⸣パン フ⸢バラリン [⸣paŋ ɸu⸢barariŋ] (足を縛られる)。 ク⸢ヌ⸣ シナー ⸢バン⸣ヌン フ⸢バラリンドゥ⸣ カ⸢ヌ⸣ シナー ⸢バン⸣マー フ⸢バララヌ [ku⸢nu⸣ ʃinaː ⸢ban⸣nun ɸu⸢bararindu⸣ ka⸢nu⸣ ʃinaː ⸢bam⸣maː ɸu⸢bararanu] (この綱は私にも縛られる<可能>が、あの綱は私には縛られない)。 キ⸢サーティ⸣ フ⸢バラリ ナー⸣ヌ [ki̥⸢saːti⸣ ɸu⸢barari naː⸣nu] (既に縛られ<受身>てしまった)。 ⸢ワン⸣ フ⸢バラリル⸣ ムノー⸢ ナー⸣ヌ [⸢waŋ⸣ ɸu⸢barariru munoː⸢ naː⸣nu] (君に縛られるものはない<受身>)。 ⸢パー⸣ク フ⸢バラレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ɸu⸢barareː⸣ misamunu] (早く縛られればいいのに<受身>) 15355 0 0 15164 htmvoc_15355.wav フバリフチ フ⸢バリフチ [ɸu⸢bariɸuʧi] 名 結び目。縛り目。結わい目。「縛り口」の義。 ⸣シナー キ⸢サン⸣ドーシ フ⸢バリフチェー⸣ラ プ⸢トゥ⸣キバ(⸢パンツァシ⸣バ) [⸣ʃinaː ki̥⸢san⸣doːʃi ɸu⸢bariɸu̥ʧeː⸣ra pu̥⸢tu⸣kiba(⸢panʦaʃi⸣ba)] (綱は切らないで、結び目<縛り口>から解きなさいよ) 15356 0 0 15165 htmvoc_15356.wav フバルン フ⸢バルン [ɸu⸢baruŋ] 他動 縛る。くくる。くくりしめる。「頚を結(ゆ)ふをば\ruby{縊}{クビル}といふ」『新撰字鏡』、「Cubiri,ru,itta.クビリ、ル、ッタ(縊り、る、った)結びつける、または、しばる、~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 バ⸢ラフ⸣タジナシ フ⸢バルンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ フ⸢バランドー⸣シ ⸣シケー [ba⸢raɸu̥⸣taʤinaʃi ɸu⸢barunti⸣ ʃi⸢tandu⸣ ɸu⸢barandoː⸣ʃi ʃi̥keː] (藁縄で縛ろうとしたが縛らないで置いてある)。 フ⸢バリ⸣ ミサカー フ⸢バル⸣ クトー ⸣ナルン [ɸu⸢bari⸣misakaː ɸu⸢baru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (縛ってよければ縛ることはできる)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢バレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢bareː⸣ misamunu] (もっと縛ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢バリ [⸢paː⸣ku ɸu⸢bari] (早く縛れ) 15357 0 1 15166 htmvoc_15357.wav フビ フ⸢ビ [ɸu⸢bi] 名 {Mn_1}首。後頭部の下の部分。うなじ。「頸、久鼻(くび)」『華厳経音義私記』の転訛したもの。 ヤ⸢ビマイ⸣ヤー フ⸢ビル⸣ スル [ja⸢bimai⸣jaː ɸu⸢biru⸣ suru] (稔らない稲が稲穂の首を反らせる<諺>)。 ⸢ノーリマイ⸣ヤー フ⸢ビ⸣ ブルン [⸢noːrimai⸣jaː ɸu⸢bi⸣ buruŋ] (稔った稲は稲穂の首を折る<首を垂れる>)。 15357 0 2 15167 htmvoc_15357.wav フビ フ⸢ビ [ɸu⸢bi] 名 {Mn_2}襟。「衣襟、己呂毛乃久比(ころものくび)」『新撰字鏡』。 ⸢キン⸣ヌ フ⸢ビヌ⸣ ユ⸢グリル⸣カー ⸢ミーヌッ⸣サン [⸢kin⸣nu ɸu⸢binu⸣ ju⸢guriru⸣kaː ⸢miːnus⸣saŋ] (着物の襟が汚れると見苦しい)。 15357 0 3 15168 htmvoc_15357.wav フビ フ⸢ビ [ɸu⸢bi] 名 {Mn_3}(数)着物を数える単位。この場合、フ[ɸu]は原音のク[ku]に回帰する。 ⸢キン⸣マー プ⸢スッ⸣クビ ⸢カイ⸣バ [⸢kim⸣maː pu̥⸢suk⸣kubi ⸢kai⸣ba] (着物は一着<一枚>買いなさいよ)。 フ⸢タックビ [ɸu̥⸢takkubi] (二着)。 ⸢ミックビ [⸢mikkubi] (三着)。 ⸢ユックビ [⸢jukkubi] (四着)。 イ⸢チッ⸣クビ [ʔi⸢ʧik⸣kubi] (五着)。 ⸢ムックビ [⸢mukkubi] (六着)。 ナ⸢ナッ⸣クビ [na⸢nak⸣kubi] (七着)。 ⸢ヤックビ [⸢jakkubi] (八着)。 ク⸢ヌッ⸣クビ [ku⸢nuk⸣kubi] (九着)。 ⸢トゥックビ [⸢tukkubi] (十着) 15358 0 0 15169 htmvoc_15358.wav フビシジ フ⸢ビシジ [ɸu⸢biʃiʤi] 名 首すじ。うなじ。襟首。襟足。ヌ⸢ビ⸣シジ[nu⸢bi⸣ʃiʤi](首すじ)ともいう。 フ⸢ビシジヌ コー⸣リティ ⸣ヌビ ⸢マース⸣カー ヤ⸢ミ⸣ス [ɸu⸢biʃiʤinu koː⸣riti ⸣nubi ⸢maːsu⸣kaː ja⸢mi⸣su] (首すじが凝って、首を回すと痛むよ) 15359 0 0 15170 htmvoc_15359.wav フビスルン フ⸢ビ⸣ スルン [ɸu⸢bi⸣ suruŋ] 連 首を反らす。ふんぞり返る。稔らない稲が穂先を反らす。転じて、人格者でない者が\ruby{傲慢}{ゴウ|マン}な態度をとるの意。 バ⸢カー⸣ ムヌヌ フ⸢ベー⸣ スリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [ba⸢kaː⸣ mununu ɸu⸢beː⸣ suriti pu̥⸢sunu⸣ muni sï̥⸢kanu⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (若者だのに、傲慢になって<首を反らして>他人の忠告<ことば>を聞き入れない{EOS}残念なことだ) 15360 0 0 15171 htmvoc_15360.wav フビダリ フ⸢ビダリ [ɸu⸢bidari] 名 首を垂れること。自信喪失して落ち込むこと。意気消沈すること。 ク⸢トゥシン⸣ シケンナー ⸣ウティティ ナー⸢イ⸣ フ⸢ビダリ シーベー [ku̥⸢tuʃiŋ⸣ ʃi̥kennaː ⸣ʔutiti naː⸢ji⸣ ɸu⸢bidari ʃiːbeː] (今年も試験に落ちて、ただ意気消沈して<首を垂れて>いる) 15361 0 1 15172 htmvoc_15361.wav フビタルン フ⸢ビ⸣ タルン [ɸu⸢bi⸣ taruŋ] 連 {Mn_1}首を垂れる。気力を失う。自信を喪失する。 ウ⸢ビ⸣ナー ウ⸢ドゥ⸣クカー ター⸢ン⸣ フ⸢ビ⸣ タルン [ʔu⸢bi⸣naː ʔu⸢du⸣kukaː taː⸢ŋ⸣ ɸu⸢bi⸣ taruŋ] (あれだけ大損<欠損>したらだれでも首を垂れる)。 15361 0 2 15173 htmvoc_15361.wav フビタルン フ⸢ビ⸣ タルン [ɸu⸢bi⸣ taruŋ] 連 {Mn_2}稲穂の実が稔って穂先を垂らす。 ⸢ノーリマイ⸣ル フ⸢ベー⸣ タル [⸢noːrimai⸣ru ɸu⸢beː⸣ taru] (よく稔った稲が稲穂を垂らす<諺>) 15362 0 1 15174 htmvoc_15362.wav フビブルン フ⸢ビ⸣ ブルン [ɸu⸢bi⸣ buruŋ] 連 {Mn_1}首を折る。頭を下げる。了承する。 フ⸢ビ⸣ ブルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸣キモー フ⸢ガンドゥ ブー⸣ユー ムッ⸢トゥ⸣ フ⸢ビ⸣ ブ⸢ラン⸣バン [ɸu⸢bi⸣ buruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ⸣kimoː ɸu⸢gandu buː⸣juː mut⸢tu⸣ ɸu⸢bi⸣ bu⸢ram⸣baŋ] (首を折る<了承する>かと思ったが、納得しない<満足しない>のか、首を折らないわい)。 15362 0 2 15175 htmvoc_15362.wav フビブルン フ⸢ビ⸣ ブルン [ɸu⸢bi⸣ buruŋ] 連 {Mn_2}転じて「詫びる」の意。「首を折る」の義。転じて、人格者は謙遜した態度で行動するの意味。 プ⸢スヌ ウイ⸣ナー ⸣タトゥ プ⸢ソー チャー⸣ フ⸢ビ⸣ ブレーティル ⸣クトー ⸢スー⸠ダー [pu̥⸢sunu ʔui⸣naː ⸣tḁtu pu̥⸢soː ʧaː⸣ ɸu⸢bi⸣ bureːtiru ⸣ku̥toː ⸢suː⸠daː] (人の上に立つ人は、常に頭を下げて事を成すのだぞ) 15363 0 0 15176 htmvoc_15363.wav フビリカビリ ⸣フビリカビリ [⸣ɸubirikabiri] 副 みすぼらしいさま。貧弱な身なり。ABCDBC型の重言。 ⸣アイニ ⸣フビリカビリ ⸢シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ナ⸢ヨー [⸣ʔaini ⸣ɸubirikabiri ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣na⸢joː] (あのようなみすぼらしい身なりをしているなよ) 15364 0 0 15177 htmvoc_15364.wav フビリマリ フ⸢ビリマリ [ɸu⸢birimari] 名 貧相な生まれつき。貧相な相貌。貧弱な容貌。 マ⸢リトーラ⸣ フ⸢ビリマリ シー ブンダ⸣ イ⸢カ⸣スク シ⸢ダーサバン ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢ritoːra⸣ ɸu⸢birimari ʃiː bunda⸣ ʔi⸢kasu̥⸣ku ʃi⸢daːsaban daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (生まれつき貧相な容貌をしているから、いくら装っても<し出だしても>ぱっとしない<それらしく良くならない>) 15365 0 0 15178 htmvoc_15365.wav フビルン フ⸢ビルン [ɸu⸢biruŋ] 自動 みすぼらしくなる。 ⸢ヤー⸣ヌ フ⸢ビルン⸣ケン ⸢ティー⸣リン サ⸢ムティ⸣ シ⸢ティ⸣ シケーバン [⸢jaː⸣nu ɸu⸢biruŋ⸣ken ⸢tiː⸣rin sa⸢muti⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʃi̥keːbaŋ] (家がみすぼらしくなるまで手入れもしないで放置してあるわい)。 ⸢ティー⸣リサーギ ⸢スー⸣カー フ⸢ビラヌ [⸢tiː⸣risaːgi ⸢suː⸣kaː ɸu⸢biranu] (手入れさえすれば、みすぼらしくならない)。 ⸢ティー⸣リ ⸢サンユンダ⸣ フ⸢ビリ ナー⸣ヌ [⸢tiː⸣ri ⸢saɲjunda⸣ ɸu⸢biri naː⸣nu] (手入れしないから、みすぼらしくなってしまった) 15366 0 0 15179 htmvoc_15366.wav フミカスン フ⸢ミカスン [ɸu⸢mikasuŋ] 他動 賑わす。盛んにする。ほてらす。老年層は、⸢プーミカスン[⸢puːmikasuŋ](ほてらす{EOS}賑わわす)、プ⸢ミカスン[pu⸢mikasuŋ]ともいう。「Fomeqi,u,eita.ホメキ、ク、イタ(燥き、く、いた)非常な暑さである、または、非常に暑い」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢キティ⸣ ヤー フ⸢ミカスン [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢kiti⸣ jaː ɸu⸢mikasuŋ] (三線を弾いて家の中を賑わす)。 ⸣ヤー フ⸢ミカサン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣jaː ɸu⸢mikasaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (家の中を賑わさないといけない)。 ⸢サンシン⸣ ピ⸢キ⸣ ヤー フ⸢ミカス⸣ プ⸢ス サーリ⸣キー フ⸢ミカシェー⸣ ミサムヌ [⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢ki⸣ jaː ɸu⸢mikasu⸣ pu̥⸢su saːri⸣ kiː ɸu⸢mikaʃeː⸣ misamunu] (三線を弾いて家の中を賑わす人を連れてきて賑わせばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢ミカシ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢mikaʃi] (もっと賑わせ) 15367 0 0 15180 htmvoc_15367.wav フミダイ フ⸢ミダイ [ɸu⸢midai] 名 踏み台。高い所にあるものを取る際の足場となる台。標準語からの借用語。 タ⸢キ⸣ヌ ピ⸢コー⸣ンダ フ⸢ミダイ⸣ナ ⸢ヌーラン⸣カー ⸢ティー⸣ヤ トゥ⸢ドゥカ⸣ヌ [tḁ⸢ki⸣nu pi̥⸢koː⸣nda ɸu⸢midai⸣na ⸢nuːraŋ⸣kaː ⸢tiː⸣ja tu⸢duka⸣nu] (背丈が低いから踏み台に上らないと手が届かない) 15368 0 1 15181 htmvoc_15368.wav フミフチ フ⸢ミ⸣フチ [ɸu⸢mi⸣ɸu̥ʧi] 名 {Mn_1}編み方。編む方法。フ⸢ミ⸣ミチ[ɸu⸢mi⸣miʧi](編み方)ともいう。 ⸢アン⸣スコー ⸢ヌー⸣シル フ⸢ム⸣タユー フ⸢ミ⸣フチ ⸢バシキ ナー⸣ヌ [⸢ʔan⸣su̥koː ⸢nuː⸣ʃiru ɸu⸢mu⸣tajuː ɸu⸢mi⸣ɸu̥ʧi ⸢baʃi̥ki naː⸣nu] (網袋<アンスク{EOS}細いアダナシの縄で、約20センチ方形の手提げ\ruby{鞄}{カバン}状に編み上げた野外用野物入れ{EOS}弁当入れ>はどのように編んだのか、その編み方を忘れてしまったよ)。 15368 0 2 15182 htmvoc_15368.wav フミフチ フ⸢ミ⸣フチ [ɸu⸢mi⸣ɸu̥ʧi] 名 {Mn_2}編み口。編み始め。組み口。フ⸢ミ⸣-[ɸu⸢mi⸣-]は、「Cumi,u,unda.クミ、む、ンダ(組み、む、んだ)組紐・金銀のモールなどを作る者のやり方で編む~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 フ⸢ミ⸣フチ ン⸢ザ⸣シ ⸢サンバ⸣ ナ⸢ラー⸣シ ッ⸢ふィーリ [ɸu⸢mi⸣ɸuʧi ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸢samba⸣ na⸢raː⸣ʃi f⸢fiːri] (編み口を出しきれないから教えてくれ) 15372 0 0 15183 htmvoc_15372.wav フミマラバスン フ⸢ミマラバ⸣スン [ɸu⸢mimaraba⸣suŋ] 他動 褒めちぎる。褒めまくる。大いに褒める。「褒め・まろばす」の合成語か。マ⸢ラバスン[ma⸢rabasuŋ](転ばす)は、「馬展、マロバス」『類聚名義抄』の義。動詞の連用形に付いて複合動詞を作り、その動作を強調する一種の接尾語的機能を有する語。 プ⸢ス⸣ フ⸢ミマラバ⸣スン [pu̥⸢su⸣ ɸu⸢mimaraba⸣suŋ] (他人を褒めちぎる)。 ⸣ドゥク フ⸢ミマラバス⸣ナ⸢ヨー [⸣duku ɸu⸢mimarabasu⸣na⸢joː] (あまり褒めちぎるなよ)。 フ⸢ミマラバ⸣シティ [ɸu⸢mimaraba⸣ʃi̥ti] (褒めちぎって)。 ⸢ワー⸣ スコー フ⸢ミマラバ⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢waː⸣ su̥koː ɸu⸢mimaraba⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (君くらい褒めちぎる人はいない)。 フ⸢ミマラバ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ɸu⸢mimaraba⸣ʃeː ⸣misamunu] (褒めちぎればいいのに)。 フ⸢ミマラバシ [ɸu⸢mimaraba⸣ʃi] (褒めちぎれ) 15369 0 0 15184 htmvoc_15369.wav フミムヌ フ⸢ミ⸣ムヌ [ɸu⸢mi⸣munu] 名 編み物。 バ⸢ラフ⸣タジナトゥ バ⸢ラフタ⸣ヌ フ⸢ミ⸣ムヌティ ア⸢ズ⸣カー ニ⸢ブク⸣ル アル⸢ナー [ba⸢raɸu̥⸣taʤinatu ba⸢raɸu̥ta⸣nu ɸu⸢mi⸣munuti ʔa⸢ʣu⸣kaː ni⸢bukunu⸣ru ʔaru⸢naː] (\ruby{藁縄}{ワラ|ナワ}と藁の編みものといえば、いなばきむしろ<稲掃筵>があるねえ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ フ⸢ミ⸣ムヌ ⸢シー ゾー⸣ジ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ɸu⸢mi⸣munu ⸢ʃiː ʣoː⸣ʤi] (この子は編みものが上手だ) 15370 0 0 15185 htmvoc_15370.wav フミムヌ フ⸢ミムヌ [ɸu⸢mimunu] 名 \ruby{履物}{ハキ|モノ}。ア⸢シ⸣ツァ[ʔa⸢ʃi⸣ʦa](下駄)、サ⸢バ[sa⸢ba](\ruby{SqBr}g{/SqBr}{草履}{ゾウリ})、⸣フチ[⸣ɸu̥ʧi](藁草履{EOS}ク⸢ツ<沓>の転訛したもの)などがある。「Fumimono.フミモノ(\ruby{踏物}{フミ|モノ}) 踏みつけられる物.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 フ⸢ミムノー⸣ ノー⸢ンヤラバン⸣ フ⸢マン⸣カー イ⸢ソー シン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ɸu⸢mimunoː⸣ noː⸢ɲjarabaŋ⸣ ɸu⸢maŋ⸣kaː ʔi⸢soː ʃim⸣ pa⸢rara⸣nu] (履物は何でもよいから履かないと潮干狩り<漁をし>には行かれない) 15371 0 0 15186 htmvoc_15371.wav フミルン フ⸢ミ⸣ルン [ɸu⸢mi⸣ruŋ] 他動 誉(褒)める。讃える。「まけばしら寶米弖豆久礼留~。万、4342」の義。 ムー⸢ル ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァバ⸣ フ⸢ミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ バー フ⸢ミラヌ [muː⸢ru duː⸣nu f⸢fa⸣ ɸu⸢mi⸣runti ⸢sundu⸣ baː ɸu⸢mira⸣nu] (皆は自分の子供を褒めるというが、私は褒めない)。 ッ⸢ふァー⸣ フミティ ナ⸢ラー⸣シ [f⸢faː⸣ ɸumiti na⸢raː⸣ʃi] (子供は褒めて教えなさい)。 フ⸢ミ⸣ル ⸣ピンマー ⸣フミティ イ⸢ズ⸣ ピンマー イ⸢ジ⸣バ [ɸu⸢mi⸣ru ⸣pimmaː ⸣ɸumiti ʔi⸢ʣu⸣ pimmaː ʔi⸢ʤi⸣ba] (褒める時は褒めて、叱る時は叱りなさいよ)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢ミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢mi⸣reː ⸣misamunu] (もっと褒めればいいのに)。 ⸣バー イ⸢ズバ ワー⸣ フ⸢ミ⸣リ [⸣baː ʔi⸢ʣuba waː⸣ ɸu⸢mi⸣ri] (私が\ruby{叱}{シカ}るから君は\ruby{褒}{ホメ}なさい) 15373 0 0 15187 htmvoc_15373.wav フムン ⸣フムン [⸣ɸumuŋ] 他動 誉<褒>める。讃える。「褒め<下二段>」の四段活用化したもの。「眞木柱 寶米弖<ホメテ>造れる殿の如~。万、4342」の転訛したもの。 プ⸢スケンナー⸣ヤ フ⸢ミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ クヌ ⸢ブン⸣シェー フ⸢ミララ⸣ヌ [pu̥⸢sukennaː⸣ja ɸu⸢mi⸣runti ⸢sundu⸣ kunu ⸢buŋ⸣ʃeː ɸu⸢mirara⸣nu] (一度ぐらいは褒めようとするのだが、この分<仕事の程度>では褒められない)。 ⸣フミティ パ⸢タラカシ⸣バ [⸣ɸumiti pḁ⸢tarakaʃi⸣ba] (褒めて働かせなさいよ)。 ⸢バン⸣ヨー ⸣フム プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢baŋ⸣joː ⸣ɸumu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (私を褒める人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣フメー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣ɸumeː ⸣misamunu] (もっと褒めればいいのに)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ヤー⸢ディン⸣ フミ⸢ヨー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ja⸢diŋ⸣ ɸumi⸢joː] (この子は、必ず褒めなさいよ) 15374 0 0 15188 htmvoc_15374.wav フムン フ⸢ムン [ɸu⸢muŋ] 他動 \ruby{汲}{ク}む。水を汲む。「~立ちよそひたる山清水 酌尓雖行<クミニイカメド>~。万、158」、「Cumi,u,unda.クミ、ム、ンダ(汲み、む、んだ)手桶で水を汲む」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢カー⸣ラ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ムンティ スンドゥ⸣ ク⸢バシルヌ⸣ ヤリティ フ⸢マラヌ [⸢kaː⸣ra mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢munti sundu⸣ ku⸢baʃirunu⸣ jariti ɸu⸢maranu] (井戸から水を汲もうとするが、クバ<蒲葵>の葉で作った釣瓶が破れて汲まれない)。 フ⸢ミ ンザ⸣スン [ɸu⸢mi ʔnʣa⸣suŋ] (汲みだす)。 ⸣ガンガンシルシェー フ⸢ミヤッ⸣サン⸢ダー [⸣gaŋgaŋʃiruʃeː ɸu⸢mijas⸣san⸢daː] (ブリキ板で作った釣瓶では汲み易いよ)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢カー⸣ラ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ム⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ⸢kaː⸣ra mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢mu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今は井戸から水を汲む人はいない)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢meː⸣ misamunu] (もっと汲めばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ フ⸢ミ [jaː⸢diŋ⸣ ɸu⸢mi] (必ず汲め) 15375 0 1 15189 htmvoc_15375.wav フムン フ⸢ムン [ɸu⸢muŋ] 他動 {Mn_1}\ruby{履}{ハ}く。 ア⸢シ⸣ツァ フ⸢ムン [ʔa⸢ʃi⸣ʦa ɸu⸢muŋ] (下駄を履く)。 サ⸢バー⸣ フ⸢マンドー⸣シ ア⸢ラ⸣クン [sa⸢baː⸣ ɸu⸢mandoː⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kuŋ] (\ruby{草履}{ゾウ|リ}を履かないで歩く)。 ⸣フチェー フ⸢ミティル⸣ イ⸢ソー⸣ パル [⸣ɸu̥ʧeː ɸu⸢mitiru⸣ ʔi⸢soː⸣ paru] (草鞋<⸢\ruby{沓}{クツ}」の転訛>を履いて<ぞ>潮干狩りには行く)。 ⸣フチ フ⸢ム⸣ プ⸢ソー ブン⸣カヤー [⸣ɸu̥ʧi ɸu⸢mu⸣ pu̥⸢soː buŋ⸣kajaː] (草鞋<沓>を履く人はいるかなあ)。 ⸣フチ フ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸣ɸu̥ʧi ɸu⸢meː⸣ misamunu] (草鞋<沓>を履けばいいのに)。 ⸣フチ フ⸢ミ⸣バ [⸣ɸu̥ʧi ɸu⸢mi⸣ba] (草鞋<沓>を履けよ)。 15375 0 2 15190 htmvoc_15375.wav フムン フ⸢ムン [ɸu⸢muŋ] 他動 {Mn_2}道理に適う。正しい人の道を踏む。 サ⸢クシ⸣ヌ ⸣ヤー シ⸢ギバル⸣ ミ⸢チェー⸣ フ⸢ム [sḁ⸢kuʃi⸣nu ⸣jaː ʃi⸢gibaru⸣ mi⸢ʧeː⸣ ɸu⸢mu] (長男が家を継いでこそ<継げばぞ>道理に適う)。 ア⸢ス⸣カー ミ⸢チェー⸣ フ⸢ムン [ʔa⸢su⸣kaː mi⸢ʧeː⸣ ɸu⸢muŋ] (そうしたら人の道に適う) 15376 0 0 15191 htmvoc_15376.wav フムン ⸣フムン [⸣ɸumuŋ] 他動 編む。「組む」の義。⸢物を互いちがいに交差させて作る」から転訛したもの。「Cumi,u,unda.クミ、む、ンダ(組み、む、んだ)組紐・金銀モールなどを作るやり方で編む」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣フチ ⸣フムンティ ⸢スンドゥ バン⸣マー ムッ⸢トゥ⸣ フ⸢マラ⸣ヌ [⸣ɸu̥ʧi ⸣ɸumunti ⸢sundu bam⸣maː mut⸢tu⸣ ɸu⸢mara⸣nu] (草鞋を編もうとするが、私にはちっとも編まれない)。 ニ⸢ブ⸣ク ⸣フミティ ⸢マイ⸣ プスンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ニ⸢ブ⸣ク ⸣フム プ⸢スヌドゥ⸣ ブ⸢ラーンバン [ni⸢bu⸣ku ⸣ɸumiti ⸢mai⸣ pu̥sunti ʔu⸢muːn⸣du ni⸢bu⸣ku ⸣ɸumu pu̥⸢sunudu⸣ bu⸢raːmbaŋ] (いなばきむしろ<稲掃き筵{EOS}ニクブク>を編んで\ruby{籾}{モミ}を干そうと思うが、いなばきむしろを編む人<編める人>がいないのだよ)。 ア⸢ダン⸣パームス ⸣フメー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢dam⸣paːmusu ⸣ɸumeː ⸣misamunu] (アダンバ\ruby{筵}{ムシロ}を編めばいいのに)。 ⸢ユシ⸣キシ イ⸢ガプシシダ⸣ル<シ⸢ダ⸣ル> ⸣フミバ [⸢juʃi̥⸣kiʃi ʔi⸢gapuʃiʃida⸣ru<ʃi⸢da⸣ru> ⸣ɸumiba] (ススキでスルメイカを干す\ruby{簾}{スダレ}を編めよ)。 フ⸢ミ⸣プサン [ɸu⸢mi⸣pusaŋ] (編みたい)。 ⸢タング⸣ フミティ ⸢タン⸣ フナウン [⸢taŋgu⸣ ɸumiti ⸢taŋ⸣ ɸunauŋ] (炭俵を編んで炭を詰め込む) 15377 0 0 15192 htmvoc_15377.wav フヤ フ⸢ヤ [ɸu⸢ja] 名 ほや(火屋)。カ⸢サ⸣ランプ[ka⸢sa⸣rampu](笠ランプ)の火を覆うガラス製の筒。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ユネン ⸣ナルカー ⸣ランプヌ フ⸢ヤヌ⸣ ピ⸢サ⸣ビ ッ⸢スル⸣ ム⸢ノー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ シ⸢グトゥ ヤッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣junen ⸣narukaː ⸣rampunu ɸu⸢janu⸣ pi̥⸢sa⸣bi s⸢suru⸣ mu⸢noː⸣ ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢gutu jatta] (昔は夕方になるとランプの火屋の煤<⸢火・錆」、⸢~一名加禰乃佐比」『本草和名』の義か>を拭いて磨くのが子供の仕事であった) 15378 0 0 15193 htmvoc_15378.wav フヤー ⸣フヤー [⸣ɸujaː] 名 猫が繁殖期に発情して吠え立てる<鳴き騒ぐ>こと。牛馬は、タ⸢キ⸣ルン[tḁ⸢ki⸣ruŋ](たける<哮る>)という。 マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣フヤー シ⸢ティ⸣ ン⸢ガマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢ja⸣nu ⸣ɸujaː ʃi̥⸢ti⸣ ʔŋ⸢gamasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (猫が発情してなき\ruby{喚}{ワメ}いて、うるさくてたまらない)。 ウ⸢ル⸣ズン ⸣ナルカー ⸣マヤー ズ⸢ブ⸣マイ シ⸢ティ⸣ フヤー ⸢スン⸠ダー [ʔu⸢ru⸣ʣun ⸣narukaː ⸣majaː ʣu⸢bu⸣mai ʃi̥⸢ti⸣ ɸujaː ⸢sun⸠daː] (春の季節になったら猫は発情してなき喚くよ) 9182 0 0 15194 htmvoc_9182.wav フヤースン フヤー⸢スン [ɸujaː⸢suŋ] 自動 猫が吠える 15379 0 0 15195 htmvoc_15379.wav フユ フ⸢ユ [ɸu⸢ju] 名 冬。「Fuyu.フユ(冬)冬.Fuyuni naru.冬になる」『邦訳日葡辞書』。 フ⸢ユヌ⸣シチ ⸢ペー⸣ルカー ⸢トゥンジーヌ オール⸣ヌ ⸢トゥンジズーシェー⸣ パ⸢トゥ⸣マナーヤ バ⸢カソーラン⸣シェン [ɸu⸢junu⸣ ʃi̥ʧi ⸢peː⸣rukaː ⸢tunʤiːnu ʔoːru⸣nu ⸢tunʤiʣuːʃeː⸣ pḁ⸢tu⸣manaːja ba⸢kasoːraŋ⸣ʃeŋ] (冬の季節に入ると冬至が来られるが、冬至雑炊は鳩間島では炊かれなかった) 15380 0 0 15196 htmvoc_15380.wav フユー ⸣フユー [⸣ɸujuː] 名 無精者。怠け者。怠惰な者。「Fuyôフヨゥ(不用)怠惰。無精.Huyôuo camayuru.(不用を構ゆる)怠け心を抱く」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ウンザー⸣ フ⸢ユー⸣バ シゥ⸢カン⸣カビティ ムッ⸢トゥ⸣ パ⸢タラカヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ɸu⸢juː⸣ba sï̥⸢kaŋ⸣kabiti mut⸢tu⸣ pḁ⸢tarakanu] (あの野郎は怠惰をきめこんで<不用をうち被って>一向に働かない)。 ⸣フユー ⸢サンドー⸣シ パ⸢タラキ [⸣ɸujuː ⸢sandoː⸣ʃi pḁ⸢taraki] (怠けないで<無精しないで>働け) 15382 0 0 15197 htmvoc_15382.wav フユーシゥカンカブン ⸣フユー シゥ⸢カン⸣カブン [⸣ɸujuː sï̥⸢kaŋ⸣kabuŋ] 連 怠惰を決め込む。怠ける。 ⸣フヨー シゥ⸢カン⸣カビティ イコー⸢ラ⸣ イ⸢ズバン ウーカ⸣ヌ [⸣ɸujoː sï̥⸢kaŋ⸣kabiti ʔikoː⸢ra⸣ ʔi⸢ʣabaŋ ʔuːka⸣nu] (怠惰を決め込んで、いくら叱っても動かない) 15383 0 0 15198 htmvoc_15383.wav フユーナムヌ フ⸢ユー⸣ナ ⸣ムヌ [ɸu⸢juː⸣na ⸣munu] 連 怠け者。無精者。フ⸢ユ⸣ニンとも言う。 フ⸢ユー⸣ナ ⸣ムノー ウ⸢キ⸣ナー ⸢サーリ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ɸu⸢juː⸣na ⸣munoː ʔu⸢ki⸣naː ⸢saːri⸣ pa⸢rara⸣nu] (怠け者は沖縄へは連れて行かれない)。 ⸣アイニ フ⸢ユー⸣ナ ⸣ムノー ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ɸu⸢juː⸣na ⸣munoː bu⸢raːnu] (あんな怠け者は他にいない) 15381 0 0 15199 htmvoc_15381.wav フユキン フ⸢ユ⸣キン [ɸu⸢juɸkiŋ] 名 冬着。⸢アーシ⸣キン[⸢ʔaːʃi⸣kiŋ](袷{EOS}袷着)ともいう。 フ⸢ユキン⸣マー ⸣ムミンシル ⸢サーソーッ⸣タ [ɸu⸢jukim⸣maː ⸣mumiŋʃiru ⸢saːsoːt⸣ta] (冬着は綿布で仕立てられた) 15384 0 0 15200 htmvoc_15384.wav フユニン フ⸢ユ⸣ニン [ɸu⸢ju⸣niŋ] 名 怠け者。無精者。⸣スブットゥ[⸣subuttu](無精者{EOS}怠け者)、ウ⸢シクラサー[ʔu⸢ʃikurasaː](酷い怠け者)、ウ⸢シクラシムヌ[ʔu⸢ʃikuraʃimunu](\ruby{酷}{ヒド}い怠け者)ともいう。 ウ⸢レー⸣ フ⸢ユ⸣ニン ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スンマー⸣ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu⸢ju⸣niɲ ja⸢runda⸣ pu̥⸢summaː⸣ sï̥⸢kaːranu] (彼は怠け者だから他人には使われない) 15385 0 0 15201 htmvoc_15385.wav フユムヌ フ⸢ユ⸣ムヌ [ɸu⸢ju⸣munu] 名 冬物。ナ⸢チムヌ[na⸢ʧimunu](夏物)の対義語。フ⸢ユ⸣キン[ɸu⸢ju⸣kiŋ](冬着)ともいう。 パ⸢ダピー⸣ヤ ⸣ナリ ⸣ケーチバ フ⸢ユ⸣ムヌ ン⸢ザ⸣シ キ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢dapiː⸣ja ⸣nari ⸣keːʧiba ɸu⸢ju⸣munu ʔn⸢ʣa⸣ʃi ki̥⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (肌寒くなってきたので冬物を出して着ないといけない) 15386 0 0 15202 htmvoc_15386.wav フヨーゾー フ⸢ヨー⸣ゾー [ɸu⸢joː⸣ʣoː] 名 \ruby{不養生}{フ|ヨウ|ジョウ}。\ruby{不摂生}{フ|セッ|セイ}。健康管理をしないこと。標準語からの借用語。 ⸣チニヒージーラヌ フ⸢ヨーゾーヌ⸣ル ⸢ヤン⸣バ ス⸢ク⸣ル ⸢ヨー⸣ゾーサーギ ⸢スー⸣カー ⸢ヤン⸣マー シ⸢キラ⸣ヌ [⸣ʧiniçiːʤiːranu ɸu⸢joːʣoːnu⸣ru ⸢jam⸣ba su̥⸢ku⸣ru ⸢joː⸣ʣoːsaːgi ⸢suː⸣kaː ⸢jam⸣maː ʃi̥⸢kira⸣nu] (常日頃<常平生>からの不養生が病気<病>を作るのだ{EOS}養生さえすれば病気は付かない) 15387 0 0 15203 htmvoc_15387.wav フヨーン フ⸢ヨー⸣ン [ɸu⸢joː⸣ŋ] 形 \ruby{怠惰}{タイ|ダ}である。\ruby{無精}{ブ|ショウ}である。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢サッ⸣コー フ⸢ヨー⸣ンドゥ カ⸢リトゥ⸣ シ⸢キル⸣カー フ⸢ヨー ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ⸢sak⸣koː ɸu⸢joː⸣ndu ka⸢ri⸣ ʃi̥⸢kiru⸣kaː ɸu⸢joː naː⸣nu] (この子は非常に怠惰であるが、彼に較べると怠惰ではない)。 カ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ フ⸢ヨー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ka⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ɸu⸢joː⸣nu sï̥⸢kaːranu] (あの人は怠惰であるから使われない)。 ク⸢ヌ⸣グロー フ⸢ヨー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢nu⸣guroː ɸu⸢joː⸣nari ⸢naː⸣nu] (最近は怠惰になってしまった)。 フ⸢ヨー⸣ プ⸢ソー⸣ シゥ⸢カウナ [ɸu⸢joː⸣ pu̥⸢soː⸣ sï̥⸢kauna] (怠惰な人は使うな) 15388 0 1 15204 htmvoc_15388.wav ブラ ⸣ブラ [⸣bura] 名 (動){Mn_1}ホラガイ(法螺貝)。殻長40センチに達するのもある。水深5~10メートルの珊瑚礁やエダサンゴの中に棲息する。昔はこの貝を利用して\ruby{湯沸}{ユ|ワカシ}にした。法螺貝の上部に穴をあけ、木製の柄を付け、殻口にも板で作った蓋をし、\ruby{竈}{カマド}の上に\ruby{自在鉤}{ジ|ザイ|カギ}を作って\ruby{吊}{ツ}るし、湯を沸かした。 ム⸢カ⸣シェー ⸢パイタ⸣ナーテー ⸣ブラナール ⸢ユー⸣ヤ<⸢ユー⸣ワ> フ⸢カ⸣シティ ヌ⸢モーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢paita⸣naːteː ⸣buranaːru ⸢juː⸣ja<⸢juː⸣wa> ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti nu⸢moːtta⸣ru] (昔は、通耕の際、西表島<南端>では法螺貝で<ぞ>お湯を沸かして飲まれたものだよ)。 15388 0 2 15205 htmvoc_15388.wav ブラ ⸣ブラ [⸣bura] 名 {Mn_2}汽笛。 イ⸢サンケーラヌ ウンパンシン⸣マー ⸣ブラ フ⸢カ⸣シェーティ ⸢ペー⸣リ ⸢クー⸣タ [ʔi⸢saŋkeːranu ʔumpaŋʃim⸣maː ⸣bura ɸu̥⸢ka⸣ʃeːti ⸢peː⸣ri ⸢kuː⸣ta] (石垣島からの運搬船は汽笛を鳴らしながら<吹かして>入港して<入って>きた)。 ⸣ブラ ⸣フクン [⸣bura ⸣ɸu̥kuŋ] (法螺貝を吹き鳴らす) 15389 0 0 15206 htmvoc_15389.wav フラー フ⸢ラー [ɸu⸢raː] 名 ふれもの(狂れ者)の義。気違い。馬鹿者。プ⸢リムヌとも言う。 ⸢フラー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ プ⸢スン⸣ ダ⸢マサリティ⸣<⸢カシゥカーサ⸣リティ> ウカ ⸣カビ ⸢アー⸣クンティ [ɸu⸢raː⸣ ja⸢runda⸣ pu̥⸢sun⸣ da⸢masariti⸣<⸢kasïkaːsa⸣riti> ʔuka ⸣kabi ⸢ʔaː⸣kunti] (馬鹿だから、他人に騙されて負債を被っているよ) 8960 0 0 15207 htmvoc_8960.wav ブラー ⸢ブラー [buraː] 連 居るものか。「woram-ja」の転訛か。老年層の言葉。若年層は、⸢ブーワ[⸢buːwa](居るものか) 15394 0 0 15208 htmvoc_15394.wav ブラーマ ブ⸢ラー⸣マ [bu⸢raː⸣ma] 名 (動)タケノコガイ科の細長い巻貝。「小さな法螺貝」の義か。⸣ブラ[⸣bura](法螺貝)に、⸣-マ[⸣-ma](小さなもの、可愛いもの、を表す接尾指小辞)の付いた形。 ブ⸢ラーマ⸣バ ⸣ナーシ フ⸢バリテイ ナン⸣ゲー ⸢トーリトー⸣リ ⸢シェー⸣ティ ウ⸢ム⸣ジ ⸢ホー⸣ソーッタン [bu⸢raːma⸣ba ⸣naːʃi ɸu⸢bariti naŋ⸣geː ⸢toːritoː⸣ri ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔumu⸣ʤi ⸢hoː⸣soːttaŋ] (タケノコガイを縄で縛って、投げては手繰り手繰りしながらイイダコを釣られた) 15390 0 0 15209 htmvoc_15390.wav ブライズ ブ⸢ライズ [bu⸢raʔiʣu] 名 (動)ボラ(鯔)。単に、ブ⸢ラ[bu⸢ra](鯔)ともいう。西表島の河口あたりに群れをなして集まることが多かった。 ブ⸢ラ⸣ ガ⸢ラ⸣シン パラ⸢ディー [bu⸢ra⸣ ga⸢ra⸣ʃim para⸢diː] (ボラを網で捕獲しに行こうよ) 15391 0 0 15210 htmvoc_15391.wav ブライトゥリ ⸣ブライトゥリ [⸣buraituri] 名 尻はしょり(尻端折り)。着物のつま(褄)を折りかかげて帯びに挟むこと。明治生まれの老年層の使用語で上品な語感を有する。「折り上げ取り」の義『石垣方言辞典』という。若年層はシ⸢ビ⸣カライ[ʃi⸢bi⸣karai](しりからげ<尻からげ>)という。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイ⸣バ ⸢ワー キン⸣ヌ ッ⸢ソー⸣ ブライトゥリ ⸢シェー⸣ティ ⸣パリバ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸui⸣ba ⸢waː kin⸣nu s⸢soː⸣ buraituri ⸢ʃeː⸣ti ⸣pariba] (雨が降るから君の着物の裾を尻端折りしながら行きなさいよ) 15392 0 0 15211 htmvoc_15392.wav プラグ プ⸢ラ⸣グ [pu⸢ra⸣gu] 名 農具。洋式鋤。牛に引かせる\ruby{鋤}{スキ}。英語のPlough(Plow)から転訛したものか。戦前の鳩間島では台湾から輸入されたものが使われていた。 プ⸢ラグ⸣バ ウ⸢シン⸣ ピ⸢カシティ⸣ パ⸢タ⸣キ シゥ⸢カソー⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン [pu⸢ragu⸣ba ʔu⸢ʃim⸣ pi̥⸢kaʃiti⸣ pḁ⸢ta⸣ki sï̥⸢kasoː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (プラグ<洋式\ruby{犂}{スキ}>を牛に牽かせて畑を鋤かされる人もおられた)。⸣プロー[⸣puroː]とも 15393 0 0 15212 htmvoc_15393.wav ブラクゾーカイ ブ⸢ラクゾーカイ [bu⸢rakuʣoːkai] 名 部落常会。標準語からの借用語。昔は、ム⸢ラズルイ[mu⸢raʣurui](村揃い)といったが、部落会という制度ができてから、旧暦正月の後に初常会が持たれ、一年の村行事の日程がきめられたという。 ⸣ソンガチヌ パ⸢チゾーカイ⸣ナール ⸢ニンズーヌ ギョージ⸣ヌ ⸢ピューロー⸣ キ⸢モーッ⸣タツォー [⸣soŋgaʧinu pḁ⸢ʧiʣoːkai⸣naːru ⸢ninʣuːnu gjoːʤi⸣nu ⸢pjuːroː⸣ ki⸢moːt⸣taʦoː] (正月の後の初常会で年中の部落行事の日程<日和>は決められたそうだ) 15395 0 0 15213 htmvoc_15395.wav ブラシキムヌ ブ⸢ラシキ⸣ムヌ [bu⸢raʃi̥ki⸣munu] 名 ぼんやり者。気力がなく、精神作用が落ち込んで健全な活動ができない者。 ブ⸢ラシキ⸣ムヌ ⸣ナリティ ウ⸢レー⸣ プ⸢スアティ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [bu⸢raʃiki⸣munu ⸣nariti ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢suʔati⸣ na⸢ra⸣nu] (ぼんやり者になって、彼は人頼みできない<一人前の人として当てにならない>) 15396 0 0 15214 htmvoc_15396.wav フラックン フ⸢ラックン [ɸu⸢rakkuŋ] 自動・他動 開く。プ⸢ラックン[pu⸢rakkuŋ](開く)と同じ。 ウ⸢キ⸣ルカー ⸢ナンクク⸣ル ⸣ミー フ⸢ラックン [ʔu⸢ki⸣rukaː ⸢naŋkuku⸣ru ⸣miː ɸu⸢rakkuŋ] (起きたらおのずと目が開く)。 フ⸢ラッカヌ [ɸu⸢rakkanu] (開かない) 15397 1 0 15215 htmvoc_15397.wav プラックン プ⸢ラックン [pu⸢rakkuŋ] 自動 {PoS_1}開く。人の目、鼻、耳の穴、肝(心)などの塞がっていたのが⸢開く」の意味で用いる。 パ⸢ナヌ⸣ プ⸢ラックン [pa⸢nanu⸣ pu⸢rakkuŋ] (詰まっていた鼻が開く)。若年層は、フ⸢ラックン[ɸu⸢rakkuŋ](開く)ともいう。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌムカー ッ⸢サーリ ベー ミー⸣ユン プ⸢ラックンティ⸣ ス⸢クタンドゥ⸣ マ⸢ダ⸣ プ⸢ラッカンバン [ɸu⸢ʧi⸣ru ⸣numukaː s⸢saːri beː miː⸣jum pu⸢rakkunti⸣ su̥⸢kutandu⸣ ma⸢da⸣ pu⸢rakkambaŋ] (薬を飲むと閉じて<塞いで>いる目も開くと聞いたが、まだ開かないよ)。 ⸢ミー⸣ヤ プ⸢ラッキティ キー⸣シキ ⸣ミリ ⸢ベー [⸢miː⸣ja pu⸢rakkiti kiː⸣ʃi̥ki ⸣miri ⸢beː] (目を開いてじっと見つめている)。 ⸢ミー⸣ヌ プ⸢ラック⸣ クトー ⸣アンカヤー [⸢miː⸣nu pu⸢rakku⸣ ku̥toː ⸣ʔaŋkajaː] (目が開くことはあるかねえ)。 ⸢パーク⸣ プ⸢ラッケー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku pu⸢rakkeː⸣ misamunu] (早く開けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン プ⸢ラッキ [⸢maː⸣bim pu⸢rakki] (もっと開け)。 15397 2 0 15216 htmvoc_15397.wav プラックン プ⸢ラックン [pu⸢rakkuŋ] 他動 {PoS_2}開く。 ウ⸢リヌ⸣ キム プ⸢ラックンティ スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ キム プ⸢ラッカサラヌ [ʔu⸢rinu⸣ kimu pu⸢rakkunti sundu⸣ mut⸢tu⸣ kimu pu⸢rakkasaranu] (彼の心を開こうとするが、ちっとも心を開かされない)。 ウ⸢リヌ⸣ キム プ⸢ラッキティ⸣ プ⸢ストゥン⸣ ムニ イ⸢ザシ⸣ プサン [ʔu⸢rinu⸣ kimu pu⸢rakkiti⸣ pu̥⸢sutum⸣ muni ʔi⸢ʣaʃi⸣ pu̥saŋ] (彼の心を開かせて<開いて>、他人とも話をさせたい<言葉を言わせたい>) 15398 0 0 15217 htmvoc_15398.wav ブラッサーク ⸣ブラッサーク [⸣burassaːku] 名 大声でする咳。しわがれごえ(嗄れ声)でする咳。「法螺貝咳」の義。 ピ⸢ラク⸣ヌ ⸢スー⸣カー ⸣ウマー カマーラ ⸣ブラッサークヌ シゥ⸢カリン [pi⸢raku⸣nu ⸢suː⸣kaː ⸣ʔumaːkamaːra ⸣burassaːkunu sï̥⸢kariŋ] (寒波がくると、あちこちからしわがれ声の咳が聞こえてくる) 15399 0 0 15218 htmvoc_15399.wav フラビルン フ⸢ラビルン [ɸu⸢rabiruŋ] 他動 較べる。比較する。「Curabe,uru,eta.クラベ、ブル、ベタ、(比べ、ぶる、べた)物と物とを比較する、または、対照する.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣ブーキントゥ ⸣バサキントゥ ⸢ヌー⸣ル マ⸢シ⸣ユー フ⸢ラビルンティ スンドゥ⸣ フ⸢ラビララヌ [⸣buːkintu ⸣basakintu ⸢nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣juː ɸu⸢rabirunti sundu⸣ ɸu⸢rabiraranu] (麻糸の着物と芭蕉糸の着物はどれがよいか比べようとするが、比べられない)。 フ⸢ラビ⸣ ミリバ [ɸu⸢rabi⸣ miriba] (比べてみなさい)。 ク⸢リトゥ⸣ フ⸢ラビル⸣ ム⸢ノー⸣ ノー⸢ン ナー⸣ヌ [ku⸢ritu⸣ ɸu⸢rabiru⸣ mu⸢noː⸣ noː⸢n naː⸣nu] (これと比べる物は何もない)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢ラビレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢rabireː⸣ misamunu] (もっと比べればいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢ラビリ [⸢paː⸣ku ɸu⸢rabiri] (早く比べろ) 15400 0 0 15219 htmvoc_15400.wav フラフカー ⸣フラフカー [⸣ɸuraɸu̥kaː] 名 法螺吹き。大言をする人。でたらめをいう人。多少卑称のニュアンスを伴う。フ⸢ラフキ⸣ムヌ[ɸu⸢raɸu̥ki⸣munu](法螺吹き者)ともいう。 ウ⸢レー⸣ フラフカー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ムネー ス⸢クナ [ʔu⸢reː⸣ ɸuraɸu̥kaː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ muneː su̥⸢kuna] (彼は法螺吹きだから、彼の話は聞くな) 15401 0 0 15220 htmvoc_15401.wav フラフキムヌ フ⸢ラフキ⸣ムヌ [ɸu⸢raɸu̥ki⸣munu] 名 法螺吹き。大言をいう人。でたらめをいう人。 フ⸢ラフキムヌ⸣ヌ ア⸢ズ⸣ ムネー ⸢ミーヤ ナー⸣ヌ [ɸu⸢raɸu̥kimunu⸣nu ʔa⸢ʣu⸣ muneː ⸢miːja naː⸣nu] (法螺吹きのいうことは真実味<中身>はない) 15402 0 0 15221 htmvoc_15402.wav フラフクン ⸣フラ ⸣フクン [⸣ɸura ⸣ɸu̥kuŋ] 連 法螺を吹く。大言をいう。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢サッ⸣コー ⸣フラ ⸣フクン [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢sak⸣koː ⸣ɸura ⸣ɸu̥kuŋ] (彼は酒を飲むと非常に法螺を吹く) 15403 0 0 15222 htmvoc_15403.wav フラフラースン フ⸢ラフラー スン [ɸu⸢raɸuraː suŋ] 連 ふらふらする。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢ヤーサ⸣トゥ ブ⸢ガリ⸣トゥサーリ フ⸢ラフラー シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸢クータ⸣ル [du⸢ku⸣nu ⸢jaːsa⸣tu bu⸢gari⸣tusaːri ɸu⸢raɸuraː ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuːta⸣ru] (あまりのひだるさと疲れとでふらふらしながら歩いてきたよ) 15404 0 0 15223 htmvoc_15404.wav フラブン フ⸢ラブン [ɸu⸢rabuŋ] 他動 比べる。比較する。「くらぶ(下二)」の転訛したもの。若年層はク⸢ラブン[ku⸢rabuŋ](比べる)ともいう。 フ⸢タール⸣ フ⸢ラブンティ⸣ ウムーカ フ⸢ラバリンドゥ⸣ フ⸢ラブ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ɸu̥⸢taːru⸣ ɸu⸢rabunti⸣ ʔumuːkaː ɸu⸢rabarindu⸣ ɸu⸢rabu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (二人を比べようと思えば比べられるが、比べることは出来ない)。 フ⸢ラビ⸣ プサカー フ⸢ラビ⸣バ [ɸu⸢rabi⸣ pu̥sakaː ɸu⸢rabi⸣ba] (比べたかったら比べなさいよ)。 フ⸢ラベー⸣ ミサムヌ [ɸu⸢rabeː⸣ misamunu] (比べればいいのに) 15405 0 0 15224 htmvoc_15405.wav ブラヤッコン ⸣ブラヤッコン [⸣burajakkoŋ] 名 ほらがい(法螺貝)で造った湯沸し。「法螺貝薬缶」の義。戦前までは、西表島の北岸で水田耕作に従事する際に使用していた。田圃小屋を作って、五六日泊りがけの通耕であったから、簡単な炊飯器具類を用意していた。 ⸣ブラヤッコンシ フ⸢カ⸣ス ⸢サー⸣ヤ ン⸢マー⸣タンティ⸢ダー [⸣burajakkoŋʃi ɸu̥⸢ka⸣su ⸢saː⸣ja ʔm⸢maː⸣tanti⸢daː] (法螺貝の湯沸しでたてる<沸かす>茶は、美味しかったそうだよ) 15406 0 0 15225 htmvoc_15406.wav ブリ ブ⸢リ [bu⸢ri] 名 群れ。群がっているもの。 カ⸢ツヌ⸣ ブ⸢リヌ⸣ ミ⸢ラ⸣リン [kḁ⸢ʦunu⸣ bu⸢rinu⸣ mi⸢ra⸣riŋ] (カツオの群れが見える<見られる>)。 プ⸢スヌ⸣ ブ⸢リヌ ユーシ⸣ クーン [pu̥⸢sunu⸣ bu⸢rinu juːʃi⸣ kuːŋ] (人の群れが寄せてくる) 15407 0 0 15226 htmvoc_15407.wav ブリ ⸢-ブリ [⸢-buri] 接尾 ~に夢中になること。~惚れすること。 シ⸢グトゥブリバ シー⸣ ⸣アシスコールン ⸢バシキ ベー [ʃi⸢gutuburiba ʃiː⸣ ʔaʃisu̥koːrum ⸢baʃi̥ki beː] (仕事に夢中になって<仕事惚れして>昼食の準備も忘れている)。 ア⸢サビブリ [ʔa⸢sabiburi] (遊びに夢中になること) 15408 0 0 15227 htmvoc_15408.wav ブリー ⸣ブリー [⸣buriː] 名 無礼。失礼。 ⸢ヨイ⸣ シン ⸢キーユーサ⸣ムティ シ⸢カイトゥ⸣ ブリー ⸣ナリ ⸢ブー⸣ユー [⸢joi⸣ ʃiŋ ⸢kiːjuːsa⸣muti sï̥⸢kaitu⸣ buriː ⸣nari ⸢buː⸣juː] (お祝いにあがれず<お祝いしに来ることができず>大変失礼しております) 15411 0 0 15228 htmvoc_15411.wav プリープリシ プ⸢リープリ⸣シ [pu⸢riːpuri⸣ʃi] 副 あたかも気がふれたように。気違いのように。馬鹿みたいに。「Foreforeto.ホレホレト(\ruby{耄}{ホ}れ\ruby{耄}{ホ}れと)副詞.恋愛とかその他の愛情とかのために夢中になり、気違いのようになるさま」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 プ⸢リープリ⸣シ ⸣ムニ イ⸢ジ ベー⸣ンドゥ ウ⸢レー⸣ ナー⸢イ⸣ プ⸢リスクライバル シー ベー⸣ダー [pu⸢riːpuri⸣ʃi ⸣muni ʔi⸢ʤi beː⸣ndu ʔu⸢reː⸣ naː⸢ji⸣ pu⸢risu̥kuraibaru ʃiː beː⸣daː] (あたかも気がふれたように話しているが、彼はただ気違いのふりをしている<狂れ繕いしている>だけだ) 15409 0 0 15229 htmvoc_15409.wav プリアサビ プ⸢リアサビ [pu⸢riʔasabi] 名 ばか遊び。つまらない遊び。「狂れ遊び」の義。 プ⸢リアサビ サンドー⸣シ パ⸢タラキ⸣バ [pu⸢riʔasabi sandoː⸣ʃi pḁ⸢taraki⸣ba] (ばか遊びしないで働けよ) 15415 0 0 15230 htmvoc_15415.wav プリウン プ⸢リ⸣ウン [pu⸢ri⸣ʔuŋ] 名 「掘り芋」の義。カ⸢ノーシ[ka⸢noːʃi](かなぐし<金串>)で芋の根を探って掘り出したサツマイモ。⸢カイシ⸣ウン[⸢kaiʃi⸣ʔuŋ](鍬で耕して収穫するサツマイモ)の対義語。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢ノーシ⸣シ ⸢ウン⸣ヌ ⸢ニー⸣バ サ⸢ドゥレー⸣ティ ⸣ウン プ⸢ローッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢noːʃi⸣ʃi ⸢ʔun⸣nu ⸢niː⸣ba sa⸢dureː⸣ti ⸣ʔum pu⸢roːt⸣taŋ] (昔は金串で芋の根を探りながらイモを掘られた) 15410 0 0 15231 htmvoc_15410.wav ブリクーン ブ⸢リ⸣ クーン [bu⸢ri⸣ kuːŋ] 連 群れて来る。 ウ⸢ブナン⸣ヌ ブ⸢リ⸣ クーン⸢ドー⸣ フネー ⸢オーラー⸣ ン⸢カーシ [ʔu⸢bunan⸣nu bu⸢ri⸣ kuːn⸢doː⸣ ɸuneː ⸢ʔoːraː⸣ ʔŋ⸢kaːʃi] (大波が群れて寄せてくるぞ{EOS}船は風上へ向けろ) 15412 0 0 15232 htmvoc_15412.wav プリサキ プ⸢リサキ [pu⸢risaki] 名 狂い咲き。季節外れに植物の花が咲くこと。 グ⸢ジ⸣ヌ パ⸢ナ⸣ヌ プ⸢リサキ シー ベー⸣ヌ ⸣ヌンティカヤー [gu⸢ʤi⸣nu pa⸢na⸣nu pu⸢risaki ʃiː beː⸣nu ⸣nuntikajaː] (デイゴの花が季節外れに狂い咲きしているが、何故だろうかねえ) 15413 0 0 15233 htmvoc_15413.wav プリシゥカラ プ⸢リシゥカラ [pu⸢risï̥kara] 名 ばかぢから(馬鹿力)。くそぢから。「ほれぢから(耄れ力)」の義。 プ⸢ソー⸣ヨー ⸢トーティ スー⸣カー プ⸢リシゥカラヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルン⸢ダー⸣ バー ッ⸢ふァ⸣ フ⸢タール⸣ ユ⸢クサンダキバ⸣ シ⸢ティ⸣ ス⸢ブ⸣ルナーヤ ⸢サントゥダー⸣ラ ⸣カミティ ⸢ボークー⸣ゴー ⸢ピン⸣ギ ⸢クー⸣タン⸢ダー [pu̥⸢soː⸣joː ⸢toːti suː⸣kaː pu⸢risï̥karanu⸣ ʔn⸢ʤi⸣run⸢daː⸣ baː f⸢faba⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ ju⸢kusandakiba⸣ ʃi̥⸢ti⸣ su⸢bu⸣runaːja ⸢santudaː⸣ra ⸣kamiti ⸢boːkuː⸣goː ⸢piŋ⸣gi ⸢kuː⸣tan⸢daː] (人はねえ、いざとなれば馬鹿力が出るよ{EOS}私は子供を二人を横ざまに抱きにかかえ、頭には三斗俵を載せて防空壕に逃げ延びてきたことがあるんだよ) 15416 0 0 15234 htmvoc_15416.wav ブリズー ブ⸢リズー [bu⸢riʣuː] 名 居所。住所。 タ⸢ベー⸣ パルカー ヤー⸢ディン ドゥー⸣ヌ ブ⸢リゾー⸣ マーティ シゥ⸢カシ⸣ダー [ta⸢beː⸣ parukaː jaː⸢din duː⸣nu bu⸢riʣoː⸣ maːti sï̥⸢kaʃi⸣daː] (旅へ行ったら必ず自分の住所は何処だと知らせなさいよ) 15414 0 0 15235 htmvoc_15414.wav プリスクライ プ⸢リスクライ [pu⸢risu̥kurai] 名 気違い(狂人)のふり。狂人つくろい。「ほれつくろい(耄れ繕い)」の義。-ス⸢ク⸣ライ[-su̥⸢ku⸣rai](~のふりをする{EOS}~繕い{EOS}~きどり)は動詞の連用形から転成した名詞や普通の名詞に下接して「~のように取り繕う」の意味を表す接尾語。「Tçucuroi,roˆ,oˆta.ツクロイ、ゥ、ゥタ(繕・刷・口刷ひ、うた)整える、または、飾る・Miuo tçukuroˆ.(身をつくろふ)立派に身を装う」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ナー⸢イ⸣ プ⸢リスクライバ シー⸣ プ⸢スヌ ミー⸣バ ダ⸢マシ ベー [naː⸢ji⸣ pu⸢risu̥kuraiba ʃiː⸣ pu̥⸢sunu miː⸣ba da⸢maʃi beː] (ずっと気違いのふりをして人の目を騙している) 15420 0 0 15236 htmvoc_15420.wav ブリスクルン ブ⸢リ⸣ ス⸢ク⸣ルン [bu⸢ri⸣ su̥⸢ku⸣ruŋ] 連 群れを作る。 カ⸢ツォー⸣ ブ⸢リ⸣ ス⸢ク⸣レーティル ⸢アー⸣ク [kḁ⸢ʦoː⸣ bu⸢ri⸣ su̥⸢ku⸣reːtiru ⸢ʔaː⸣ku] (カツオは群れを作りながら<ぞ>いるのだ) 15417 0 0 15237 htmvoc_15417.wav プリタクマ プ⸢リタクマ [pu⸢ritakuma] 名 気違いの悪知恵。\ruby{耄}{ホ}れ者<阿呆>だが自分の得になることには悪智恵が働くこと。タ⸢ク⸣マ[tḁ⸢ku⸣ma]は、タ⸢ク⸣ムン[tḁ⸢ku⸣muŋ](工夫をめぐらす{EOS}企む)の連用形タ⸢ク⸣ミ[tḁ⸢ku⸣mi]に、接尾語⸣アー[⸣ʔaː](~する人{EOS}~すること)が下接して形成されたもの。 ウ⸢レー⸣ カ⸢タチトー⸣ ア⸢タラン⸣ プ⸢リタクマー ベー⸣ラン カ⸢チ⸣ル ⸣ブー [ʔu⸢reː⸣ kḁ⸢taʧitoː⸣ ʔa⸢taram⸣ pu⸢ritakumaː beː⸣raŋ kḁ⸢ʧi⸣ru ⸣buː] (彼は外見とは似合わず<当らず>、気違いの悪知恵は我々よりも優れて<勝って>いる) 15418 0 0 15238 htmvoc_15418.wav ブリッカースン ブ⸢リッカー⸣スン [bu⸢rikkaː⸣suŋ] 他動 折る。折り畳む。折り合わせる。 カ⸢ビ⸣ ブ⸢リッカー⸣スン [ka⸢bi⸣ bu⸢rikkaː⸣suŋ] (紙を折り畳む)。 ブ⸢リッカーサ⸣ヌ [bu⸢rikkaːsa⸣nu] (折り畳まない)。 ブ⸢リッカー⸣シ ⸣ミサン [bu⸢rikkaː⸣ʃi ⸣misaŋ] (折り畳んでも良い)。 ブ⸢リッカー⸣ス ⸣クトゥ [bu⸢rikkaː⸣su ⸣ku̥tu] (折り重ねること)。 ブ⸢リッカー⸣シェー ⸣ミサムヌ [bu⸢rikkaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (折り畳めば良いのに)。 ブ⸢リッカー⸣シバ [bu⸢rikkaː⸣ʃiba] (折り畳めよ) 15438 0 0 15239 htmvoc_15438.wav ブリッカームン ブ⸢リッカー⸣ムン [bu⸢rikkaː⸣muŋ] 他動 折り曲げる。折って縮める。折り畳む。ブ⸢ルッカー⸣ムン[bu⸢rukkaː⸣muŋ](折り畳む)ともいう。 カ⸢ビ⸣ ブ⸢リッカー⸣ムンティ ⸢スンドゥ コー⸣ンダ ブ⸢リッカーマン⸣ドーシ イ⸢リリ⸣バ [ka⸢bi⸣ bu⸢rikkaː⸣munti ⸢sundu koː⸣nda bu⸢rikkaːman⸣doːʃi ʔi⸢riri⸣ba] (紙を折り畳もうとするが、固いので、折り畳まないで入れなさい)。 ブ⸢リッカー⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [bu⸢rikkaː⸣mi ⸢naː⸣nu] (折り畳んでしまった)。 ブ⸢リッカー⸣ム ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [bu⸢rikkaː⸣mu ⸣munoː ⸣nuːja] (折り畳むものは何か)。 ブ⸢リッカー⸣メー ⸣ミサムヌ [bu⸢rikkaː⸣meː ⸣misamunu] (折り畳めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ブ⸢リッカー⸣ミバ [⸢paː⸣ku bu⸢rikkaː⸣miba] (早く折り畳めよ) 15419 0 0 15240 htmvoc_15419.wav ブリッカイスン ブ⸢リッカイスン [bu⸢rikkaisuŋ] 自動 ぶり返す。病気などがぶり返す。再発する。 ⸢ピン⸣グルカー ⸣ニチェー ブ⸢リッカイスンダ⸣ ブ⸢リッカイサン⸣ヨー ⸢キン⸣マー ア⸢チーアチー⸣シ キ⸢シ⸣バ [⸢piŋ⸣gurukaː ⸣niʧeː bu⸢rikkaisunda⸣ bu⸢rikkaisaɲ⸣joː ⸢kim⸣maː ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi ki̥⸢ʃi⸣ba] (冷え込むと熱が再発する<ぶりかえす>から、再発しないように着物は温かく重ね着しなさいよ)。 ⸢ヤン⸣ヌ ブ⸢リッカイ⸣シティル ニ⸢ビベー⸣バン [⸢jan⸣nu bu⸢rikkai⸣ʃi̥tiru ni⸢bibeː⸣baŋ] (病気が再発して<ぞ>寝ているわい)。 ブ⸢リッカイ⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [bu⸢rikkai⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (再発することはない)。 ブ⸢リッカイ⸣シェー ⸣ミサムヌ [bu⸢rikkai⸣ʃeː ⸣misamunu] (ぶりかえせば<再発すれば>いいのに)。 ブ⸢リッカイ⸣シ [bu⸢rikkai⸣ʃi] (ぶり返せ) 15423 0 0 15241 htmvoc_15423.wav プリッサイ プ⸢リッサイ [pu⸢rissai] 名 わかしらが(若白髪)。「ほれしらが(\ruby{耄}{ホ}れ白髪)。狂い白髪」の義で、白髪の生える年齢でない若い人に生える白髪のこと。「Vacaxiraga.ワカシラガ(若白髪)まだそのような時期でないのに生える白髪」『邦訳日葡辞書』のこと。 バ⸢カー⸣ムヌヌ プ⸢リッサイバ⸣ ムイティ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー ミッ⸣トーン ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢kaː⸣mununu pu⸢rissaiba⸣ muiti ⸣nuːja ʔu⸢reː mit⸣toːn ⸢naː⸣nu] (若者だのに若白髪<耄れ白髪>が生えて何だねそれは、みっともない<外聞がわるい>) 15421 0 0 15242 htmvoc_15421.wav ブリティ ブ⸢リティ [ブ⸢リテイ] 連 ~て居って。「居りて」の義。動詞の連用形について「~していて」の意を表す。話者の動作と話者と同等、又は目下者の動作について用いる。「~旅を苦しみ戀ひ乎礼婆<ヲレバ>~。万、3674」の転訛したものか。目上に対しては、⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](いらっしゃる{EOS}「おはす」の転訛したもの)を用いる。 イ⸢チン⸣ ヤ⸢タンティン⸣ ナルンティ ア⸢ジブリティ トーティ スー⸣カー ⸢シーサン⸣ティ ア⸢ズワーン⸣ノー [ʔi⸢ʧiŋ⸣ ja⸢tantin⸣ narunti ʔa⸢ʤiburiti toːti suː⸣kaː ⸢ʃiːsanti⸣ ʔa⸢ʣuwaːn⸣noː] (いつでも<いつであっても>出来ると言っていながら、いざとなると<いざというと>、出来ないと言うではないか) 15424 0 0 15243 htmvoc_15424.wav ブリパダラ ブ⸢リパダラ [bu⸢ripadara] 名 (動)魚の名。ナナメトラギス(体長約20センチ)。「群れパダラ(トウゴロイワシの群れ)」の義 15425 0 0 15244 htmvoc_15425.wav プリパンタリ プ⸢リパンタリ [pu⸢ripantari] 名 異常に太ること。馬鹿太りすること。プ⸢リ[pu⸢ri](狂れる)の連用形で、⸢異常さ」や「\ruby{常軌}{ジョウ|キ}を\ruby{逸}{イッ}すること」を表す接頭語。 ⸢ヌー⸣バ ッ⸢ふァイティル⸣ ウ⸢リ タン⸣ガ ⸣アイニ プ⸢リパンタリ シーベー⸣ユー ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢nuː⸣ba f⸢faitiru⸣ ʔu⸢ritaŋ⸣ga ⸣ʔaini pu⸢ripantari ʃiːbeː⸣juː ⸢miːnussa⸣nu na⸢ra⸣nu] (何を食べて彼一人だけあのように馬鹿太りしているのか、見苦しくて堪らない) 15426 0 0 15245 htmvoc_15426.wav ブリブシ ブ⸢リブシ [bu⸢ribuʃi] 名 すばる(昴)星。むつらぼし(六連星)。ム⸢リカブシ[mu⸢rikabuʃi](群れ星)ともいう。 ⸣クナーティ ブ⸢リブシヌ⸣ ミ⸢ラ⸣リン [⸣kunaːti bu⸢ribuʃinu⸣ mi⸢ra⸣riŋ] (此処では昴星がみえる) 15439 0 0 15246 htmvoc_15439.wav ブリフチ ブ⸢リ⸣フチ [bu⸢ri⸣ɸuʧi] 名 折り取った先端。 タ⸢キヌ⸣ ブ⸢リ⸣フチナ ⸢ピッカ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [tḁ⸢kinu⸣ bu⸢ri⸣ɸu̥ʧina ⸢pikka⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (竹を折り取った先端に突かれ<刺され>て、痛くて堪らない) 15440 0 0 15247 htmvoc_15440.wav フリマースン フ⸢リマースン [ɸu⸢rimaːsuŋ] 他動 振り回す。 ⸢ガッケー⸣ フ⸢リマーシェー⸣ティ ⸣ガヤー ⸣スリ ⸢ベー [⸢gak⸣keː ɸu⸢rimaːʃeː⸣ti ⸣gajaː ⸣suri ⸢beː] (鎌を振り回わしながら茅を刈っている)。 ⸣ウディ フ⸢リマースンティ スンドゥ カイナ⸣ヌ ⸣ヤミティ フ⸢リマーサラヌ [⸣ʔudi ɸu⸢rimasunti sundu kaina⸣nu ⸣jamiti ɸu⸢rimaːsaranu] (腕を振り回そうとするが、肩が痛くて振り回されない)。 ⸣ウディ フ⸢リマース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔudi ɸu⸢rimaːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (腕を振り回すことは出来ない)。 フ⸢リマーシェー⸣ ミサムヌ [ɸu⸢rimaːʃeː⸣ misamunu] (振り回せばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ フ⸢リマーシ [jaː⸢diŋ⸣ ɸu⸢rimaːʃi] (必ず振り回せ) 15427 0 0 15248 htmvoc_15427.wav プリマービ プ⸢リマービ [pu⸢rimaːbi] 名 気の狂った真似。狂人の真似。「ほれまね(耄れ真似)」の義。 ウ⸢レー⸣ プ⸢リマービバル シーベー⸣ル ⸢ソープレー シー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢reː⸣ pu⸢rimaːbibaru ʃiːbeː⸣ru ⸢soːpureː ʃiː⸣ bu⸢raːnu] (彼は気ちがいの真似をしているのであって、本当に狂って<本当の狂いはして>いない) 15428 0 0 15249 htmvoc_15428.wav ブリミー ブ⸢リ⸣ミー [bu⸢ri⸣miː] 名 二重まぶた。⸣カーミー[⸣kaːmiː](一重まぶた)の対義語。 ウ⸢キナー⸣プソー ブ⸢リミー⸣ル ⸢ゴー⸣ラー ヤ⸢マトゥ⸣プソー ⸣カーミール ⸢ゴー⸣ラー [ʔu⸢kinaː⸣pu̥soː bu⸢rimiː⸣ru ⸢goː⸣raː ja⸢matu⸣pu̥soː ⸣kaːmiːru ⸢goː⸣raː] (沖縄人は二重まぶたが多い{EOS}本土<大和>の人は一重\ruby{瞼}{マブタ}が多い)。「折れ目」の義。⸣カーミー[⸣kaːmiː](一重瞼)の対義語。 ウ⸢キナー⸣プソー ミ⸢ドゥ⸣モー ブ⸢リミー⸣ル ア⸢バ⸣レーティ ア⸢ザリ ブー⸠ダー [ʔu⸢kinaː⸣pu̥soː mi⸢du⸣moː bu⸢rimiː⸣ru ʔa⸢ba⸣reːti ʔa⸢ʣari buː⸠daː] (沖縄の人は、女は二重瞼が美しいといわれているよ) 15429 0 0 15250 htmvoc_15429.wav プリムニ プ⸢リムニ [pu⸢rimuni] 名 ばかげた言葉。意味のない言葉。たわごと。「ふれものいい(\ruby{耄}{フ}れ物言い)」の義。 ⸣アイブ プ⸢リムネー⸣ ス⸢クナ⸣ヨー [⸣ʔaibu pu⸢rimuneː⸣ su̥⸢kuna⸣joː] (あんなばかげた言葉<話>は聞くなよ)。 サ⸢キヌミプス⸣ヌ ⸣ムネー プ⸢リムニル⸣ ヤ⸢ル ソームネー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [sḁ⸢kinumipu̥su⸣nu ⸣muneː pu⸢rimuniru⸣ ja⸢ru soːmuneː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (酒飲みの言うこと<言葉>はたわごとであって真の言葉<本心を述べた、中身のある言葉>ではない) 15430 0 0 15251 htmvoc_15430.wav プリムヌ プ⸢リムヌ [pu⸢rimunu] 名 あほう。馬鹿。気違い。狂人。「ほれもの(耄れ者)」の義。「Foremono.ホレモノ(耄れ者)Foreta fito(耄れた人)におなじ.分別のなくなった人、あるいは、老いぼれたひと.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター プ⸢リムヌ⸣ ナリティ ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː pu⸢rimunu⸣ nariti ⸣jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (年を取ったので馬鹿になって役に立たない) 15431 0 0 15252 htmvoc_15431.wav プリムヌ プ⸢リ⸣ムヌ [pu⸢ri⸣munu] 名 ほりもの(彫物)。彫刻。 ⸢インヌムラヌ⸣ ミ⸢ルクヌ⸣ プ⸢リ⸣ムノー ⸣マナーティル ス⸢ク⸣ローッタカヤー [⸢ʔinnumuranu⸣ mi⸢rukunu⸣ pu⸢ri⸣munoː ⸣manaːtiru su̥⸢ku⸣roːttakajaː] (西村の弥勒の彫刻はどこで作られたのかなあ) 15433 0 0 15253 htmvoc_15433.wav ブリルン ブ⸢リ⸣ルン [bu⸢ri⸣ruŋ] 自動 折れる。 ク⸢ヌ⸣ ユ⸢ダ⸣ナ ッ⸢サー⸣ルカー ブ⸢リ⸣ルン [ku⸢nu⸣ ju⸢da⸣na s⸢saː⸣rukaː bu⸢ri⸣ruŋ] (この枝にぶら下がると折れる)。 カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カ⸣バン ブ⸢リラ⸣ヌ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢ka⸣bam bu⸢rira⸣nu] (風が吹いても折れない)。 ク⸢ヌ⸣ ユ⸢ダー⸣ ブリミサン [ku⸢nu⸣ ju⸢daː⸣ burimisaŋ] (この枝は折ってもよい)。 カ⸢ジヌ⸣ フ⸢カ⸣バン ブ⸢リ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥⸢ka⸣bam bu⸢ri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (風が吹いても折れることはない)。 ⸢パー⸣ク ブ⸢リ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku bu⸢ri⸣reː ⸣misamunu] (早く折れればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ブ⸢リ⸣リ [⸢paː⸣ku bu⸢ri⸣ri] (早く折れろ) 15432 0 1 15254 htmvoc_15432.wav プリルン プ⸢リルン [pu⸢riruŋ] 自動 {Mn_1}気違いになる。狂う。ぼける(惚ける)。馬鹿になる。「耄、ホレタリ」『伊呂波字類抄』。「已に衰へ邁<す>ぎ耄<ほ>れ虚<うつ>け」『金光明最勝王経音義』。 シ⸢グトゥ サン⸣カー プ⸢ソー⸣ プ⸢リルンダ⸣ プ⸢リラン⸣ヨーニ シ⸢グトゥ シー⸣バ [ʃi⸢gutu saŋ⸣kaː pu̥⸢soː⸣ pu⸢rirunda⸣ pu⸢riraɲ⸣joːni ʃi⸢gutu ʃiː⸣ba] (仕事をしないと人は\ruby{惚}{ホ}ける<狂う>から、惚け<狂わ>ないように仕事をしなさい)。 プ⸢リティ⸣ ノー⸢ン シーサヌ [pu⸢riti⸣ noː⸢ŋ ʃiːsanu] (惚け<狂っ>て何も出来ない)。 ウ⸢ヌ⸣ クトゥシ プ⸢リル⸣ プ⸢スン ブン [ʔu⸢nu⸣ ku̥tuʃi pu⸢riru⸣ pu̥⸢sum buŋ] (そのことで惚ける<狂う>人もいる)。 プ⸢リル⸣カー カ⸢シーカシー⸣ プ⸢リレー⸣ ミサムヌ [pu⸢riru⸣kaː ka⸢ʃiːkaʃiː⸣ pu⸢rireː⸣ misamunu] (惚けるならすっかり惚ければいいのに<うすら惚けしてこまる>)。 プ⸢リリ [pu⸢riri] (惚けれ)。 15432 0 2 15255 htmvoc_15432.wav プリルン プ⸢リルン [pu⸢riruŋ] 自動 {Mn_2}惚れる。異性に心を奪われ、恋い慕う。「Fore,ruru,eta.(耄れ、るる、れた)分別がなくなる、または、年取ってぼける、~Fitoni foruru.(人に耄るる)ある人に熱狂的な愛情、感情を抱く.」『邦訳日葡辞書』。 ミ⸢ドゥ⸣ムナー プ⸢リティ ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [mi⸢du⸣muna pu⸢riti joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (女にぞっこん惚れてどうにも手がつけられ<養生でき>ない) 15434 0 0 15256 htmvoc_15434.wav プリワザ プ⸢リワザ [pu⸢riwaʣa] 名 正気とは思われないふるまい。ばかげた行動。気が狂ったような行動。狂態。 ウ⸢ブプス⸣ヌ ア⸢ティナシヌ⸣ ヤ⸢ラビ⸣トゥ ⸢マータキ⸣ ナリティ プ⸢リワザバ シー⸣ イ⸢ナムヌ⸣ダラ [ʔu⸢bupu̥su⸣nu ʔa⸢tinaʃinu⸣ ja⸢rabi⸣tu ⸢maːtaki⸣ nariti pu⸢riwaʣaba ʃiː⸣ ʔi⸢namunu⸣dara] (大人のくせに分別のない子供と一緒になって、正気とは思われない振る舞いをして誠に残念なことだよ) 15442 0 0 15257 htmvoc_15442.wav ブリンマ ブ⸢リンマ [bu⸢riʔmma] 名 群れをなす馬。「群れ馬」の義。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸣パリパル ⸣ムヌ ⸣ミルカー ブ⸢リンマヌ⸣ パル ⸣カタチニル ⸢ブー [ba⸢kaː⸣mununu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸣pariparu ⸣munu ⸣mirukaː bu⸢riʔmmanu⸣ paru ⸣kḁtaʧiniru ⸢buː] (若者らが集まって走って行くのをみると、群れ馬が走っていくようにいる) 15443 0 1 15258 htmvoc_15443.wav フル フ⸢ル [ɸu⸢ru] 名 {Mn_1}いんのう(陰嚢)。睾丸。「陰嚢、俗云、布久利(ふぐり)」『和名抄』。「Fuguri.フグリ(陰嚢)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 シ⸢マ⸣バ ⸣トゥリ ⸢ベーン⸣ケン タ⸢ニ⸣ヌ フ⸢ル⸣ キ⸢ラ⸣リティ ナ⸢キ ベー⸣タ [ʃi⸢ma⸣ba ⸣turi ⸢beːŋ⸣keŋ ta⸢ni⸣nu ɸu⸢ru⸣ ki⸢ra⸣riti na⸢ki beː⸣ta] (相撲をとっているうちに性器の陰嚢を蹴られて泣いていた)。 15443 0 2 15259 htmvoc_15443.wav フル フ⸢ル [ɸu⸢ru] 名 {Mn_2}\ruby{秤}{ハカリ}のおもり(錘)。ふんどう(分銅)。 ピ⸢キヌ⸣ フ⸢ル [pi̥⸢kinu⸣ ɸu⸢ru] (\ruby{竿秤}{サオ|バカリ}の\ruby{錘}{オモリ})。 15443 0 3 15260 htmvoc_15443.wav フル フ⸢ル [ɸu⸢ru] 名 {Mn_3}時計の振り子。 トゥ⸢キ⸣ヌ フ⸢ロー⸣ トゥ⸢マリ ベー [tu̥⸢ki⸣nu ɸu⸢roː⸣ tu⸢mari beː] (時計の振り子は止まっている) 15444 0 0 15261 htmvoc_15444.wav フルザ フ⸢ル⸣ザ [ɸu⸢ru⸣ʣa] 名 くじら(鯨)。 フ⸢ルザ⸣ヌ ⸢トーリバ⸣ル ⸣タコー ⸣スク [ɸu⸢ruʣa⸣nu ⸢toːriba⸣ru ⸣tḁkoː ⸣su̥ku] (鯨が大きな尾びれで波を叩いて通ったら<ぞ>蛸は干瀬に付くものだ<諺>)。昔は、鳩間島の前の渡<海峡>を東から西へ2頭ずつ揃って遊泳していった。昔はカツオ漁船からもよく見たが、最近はあまり見ない。フ⸢ル⸣ザー ⸢ズーバ アウ⸣レーティ ⸢アー⸣ク。⸣バスプソータ ⸢スー⸣バ ⸣フケーティル ⸣パル。ッ⸢ス⸣ム ⸣バソー ⸢コー⸣グ マ⸢ガリティル⸣ ッ⸢ス⸣ム[ɸu⸢ru⸣ʣaː ⸢ʣuːba ʔau⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku。⸣basupu̥soːta ⸢suː⸣ba ⸣ɸu̥keːtiru ⸣paru。s⸢su⸣mu ⸣basoː ⸢koː⸣gu ma⸢garitiru⸣ s⸢su⸣mu](鯨は尾びれを\ruby{煽}{アオ}りながら遊泳している{EOS}時には潮を吹いて行く{EOS}\ruby{潜}{モグ}る時は背中が曲がって潜る) 15445 0 0 15262 htmvoc_15445.wav フルシキ フ⸢ル⸣シキ [ɸu⸢ru⸣ʃi̥ki] 名 風呂敷。石垣方言からの借用語か。老年層はウ⸢スッ⸣ふァイ[ʔu⸢suf⸣fai](風呂敷)、ウ⸢スッ⸣ふァイッスン[ʔu⸢suf⸣faissuŋ](風呂敷包み)のようにいう。 フ⸢ル⸣シキナー ッ⸢ス⸣ミティ ⸣ムティ ⸣パリバ [ɸu⸢ru⸣ʃi̥kinaː s⸢su⸣miti ⸣muti ⸣pariba] (風呂敷に包んで持って行きなさいよ) 15446 0 0 15263 htmvoc_15446.wav フルシケー フ⸢ル⸣シケー [ɸu⸢ru⸣ʃi̥keː] 名 風呂敷。若年層は、フ⸢ル⸣シキ[ɸu⸢ru⸣ʃi̥ki](風呂敷)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ヌーンクイン フ⸢ル⸣シケーナール ッ⸢ス⸣ミティ ム⸢トーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣nuːŋkuiŋ ɸu⸢ru⸣ʃi̥keːnaːru s⸢su⸣miti mu⸢toːt⸣ta] (昔は何もかも風呂敷に包んで持っていかれた) 15447 0 0 15264 htmvoc_15447.wav フルシケーッスン フ⸢ル⸣シケーッスン [ɸu⸢ru⸣ʃi̥keːssuŋ] 名 風呂敷包み。 ⸣クナー ⸣アル ウ⸢ブ⸣ フ⸢ル⸣シケーッスンマ ⸢ター⸣ムヌヤ [⸣kunaː ⸣ʔaru ʔu⸢bu⸣ ɸu⸢ru⸣ʃi̥keːssumma ⸢taː⸣ munuja] (ここにある大きな風呂敷包みは誰の物か) 15435 0 0 15265 htmvoc_15435.wav フルシティカーシティ フ⸢ルシティカー⸣シティ [ɸu⸢ruʃi̥tikaː⸣ʃi̥ti] 副 パタパタと振るって。布や衣類をパタパタ振るって塵を落として。ABCDEFCD型の重言。 ⸣マーカマーティ ⸢ナー⸣ン ⸢キンバ⸣ フ⸢ルシティ カー⸣シティ ⸢シェー⸣ティ フ⸢クイ⸣ トゥ⸢バスナ [⸣maːkamaːti ⸢naː⸣ŋ ⸢kim⸣ba ɸu⸢ruʃi̥tikaː⸣ʃi̥ti ⸢ʃeː⸣ti ɸu̥⸢kui⸣ tu⸢basuna] (所かまわず<どこそことなく>着物をパタパタ振るいながら塵を飛ばすなよ) 15422 0 0 15266 htmvoc_15422.wav フルシティルン フ⸢ルシティルン [ɸu⸢ruʃi̥tiruŋ] 他動 振り捨てる。水分や\ruby{塵埃}{ジン|アイ}を振り払う。払いのける。洗濯物等を振って水分を切る。 ⸣ティーナ ⸢フシゥ⸣カリ ⸢ベー⸣ムヌ フ⸢ルシティルンティ スンドゥ⸣ フ⸢ルシティララヌ [⸣tiːna ⸢ɸusï̥⸣kari ⸢beː⸣munu ɸu⸢ruʃi̥tirunti sundu⸣ ɸu⸢ruʃi̥tiraranu] (手にくっついているものを振り捨てようとするが、振り捨てられない)。 フ⸢ルシティティ⸣ パリ ⸢ナー⸣ヌ [ɸu⸢ruʃi̥titi⸣ pari ⸢naː⸣nu] (振り捨てて行ってしまった)。 ⸢ティー⸣ヌ ⸣ヤムンダ フ⸢ルシティル⸣ クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tiː⸣nu ⸣jamunda ɸu⸢ruʃi̥tiru⸣ ku̥tun na⸢ra⸣nu] (手が痛むので、振り捨てることも出来ない)。 フ⸢ルシティレー⸣ ミサムヌ [ɸu⸢ruʃi̥tireː⸣ misamunu] (振り捨てればいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢ルシティリ⸣バ [⸢paː⸣ku ɸu⸢ruʃi̥tiri⸣ba] (早く振り捨てなさいよ) 15436 0 0 15267 htmvoc_15436.wav フルシトゥン フ⸢ルシトゥン [ɸu⸢ruʃi̥tuŋ] 他動 振り捨てる。塵などを振り払う。振るう。衣服などに付着した塵を振るって落とす。「すつ(捨つ)下二段」の四段活用化したものが「振り」に下接して形成された形。 ⸢ワー⸣ ティーナ ⸢フシゥ⸣カリ ⸢ベー⸣ ムヌ フ⸢ルシトゥンティ ベー⸣ヌ フ⸢ルシタンドー⸣シ ⸣ガジ ウ⸢タ⸣シバ [⸢waː⸣ tiːna ⸢ɸusï̥⸣kari ⸢beː⸣ munu ɸu⸢ruʃi̥tunti beː⸣nu ɸu⸢ruʃi̥tandoː⸣ʃi ⸣gaʤi ʔu⸢ta⸣ʃiba] (君は、手にくっついているものを振り捨てようとしているが、振り捨てないで掻き落としなさいよ)。 ⸢キン⸣マー フ⸢ルシティティ⸣ キ⸢シ⸣ヨー [⸢kim⸣maː ɸu⸢ruʃi̥titi⸣ ki̥⸢ʃi⸣joː] (着物は振るって<振り捨てて>から着なさいよ)。 ⸣クナー フ⸢ルシトゥ キン⸣マー ⸢マー⸣ビン フ⸢ルシテー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː ɸu⸢ruʃi̥tu kim⸣maː ⸢maː⸣biŋ ɸu⸢ruʃi̥teː⸣ misamunu] (此処で振るう<振り捨てる>着物は、もっと振るえば<振り捨てれば>いいのに)。 ⸢キン⸣マー キ⸢ス⸣マイナー ヤー⸢ディン⸣ フ⸢ルシトゥン [⸢kim⸣maː ki̥⸢su⸣mainaː jaː⸢diŋ⸣ ɸu⸢ruʃi̥tuŋ] (着物は、着る前には必ず振りはらう<振り払って埃を落とす>)。 フ⸢ルシタンドー⸣シ キ⸢シ⸣バ [ɸu⸢ruʃi̥tandoː⸣ʃi ki̥⸢ʃi⸣ba] (振り払らわないで着なさいよ)。 ⸣カイニ フ⸢ルシティ⸣バ [⸣kaini ɸu⸢ruʃi̥ti⸣ba] (このように振るえよ<振り捨てよ>) 15437 0 0 15268 htmvoc_15437.wav ブルッカーミルン ブ⸢ルッカーミ⸣ルン [bu⸢rukkaːmi⸣ruŋ] 他動 折り曲げる。折り畳む。 ⸣ムス ブ⸢ルッカーミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ブ⸢ルッカーミララ⸣ヌ [⸣musu bu⸢rukkaːmi⸣runti ⸢sundu⸣ bu⸢rukkaːmirara⸣nu] (\ruby{筵}{ムシロ}を折り畳もうとするが、折り畳まれない)。 グ⸢マーグマー⸣シ ブ⸢ルッカー⸣ミ ⸣ミサカー ブ⸢ルッカーミル⸣ クトー ⸣ナルン [gu⸢maːgumaː⸣ʃi bu⸢rukkaː⸣mi ⸣misakaː bu⸢rukkaːmi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (小さく折り畳んでよければ、折り畳むことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ブ⸢ルッカーミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim bu⸢rukkaːmi⸣reː ⸣misamunu] (もっと折り畳めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ブ⸢ルッカーミ⸣リ [⸢paː⸣ku bu⸢rukkaːmi⸣ri] (早く折り畳め) 15449 0 0 15269 htmvoc_15449.wav ブルッカームン ブ⸢ルッカー⸣ムン [bu⸢rukkaː⸣muŋ] 他動 折り畳む。 ⸢コー⸣カビ ブ⸢ルッカー⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ ブ⸢ルッカーマラ⸣ヌ [⸢koː⸣kabi bu⸢rukkaː⸣munti ⸢sundu⸣ bu⸢rukkaːmara⸣nu] (厚紙を折り畳もうとするが、折り畳まれない)。 ブ⸢ルッカー⸣ミ ⸣ミサカー ブ⸢ルッカー⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [bu⸢rukkaː⸣mi ⸣misakaː bu⸢rukkaː⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (折り畳んで良ければ折り畳むことはできる)。 ブ⸢ルッカー⸣メー ⸣ミサムヌ [bu⸢rukkaː⸣meː ⸣misamunu] (折り畳めば良いのに)。 ⸣クマーラ ブ⸢ルッカー⸣ミバ [⸣kumaːra bu⸢rukkaː⸣miba] (ここから折りたためよ) 15450 0 0 15270 htmvoc_15450.wav フルドーング フ⸢ルドーン⸣グ [ɸu⸢rudoːŋ⸣gu] 名 古道具。 フ⸢ルドーン⸣グティ ⸢シー⸣ シ⸢ティ⸣ガラ ス⸢ナ⸣ヨー [ɸu⸢rudoːŋ⸣guti ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ti⸣gara su⸢na⸣joː] (古道具だといって粗末に扱うなよ) 15451 0 0 15271 htmvoc_15451.wav フルヌミー フ⸢ル⸣ヌ ⸣ミー [ɸu⸢ru⸣nu ⸣miː] 連 便所の糞便を落とす穴。脱糞して便を落とす穴。「便所の穴」の義。 ッ⸢ス⸣ マル ⸣ピンマー フ⸢ル⸣ヌ ⸣ミーラル ⸣ッソー ウ⸢タシ⸣タ [s⸢su⸣ maru ⸣pimmaː ɸu⸢ru⸣nu ⸣miːraru ⸣ssoː ʔu⸢taʃi̥⸣ta] (脱糞する<糞をまる{EOS}糞を放る>際は、便所の穴から便は落とした) 15452 0 1 15272 htmvoc_15452.wav フルバスン フ⸢ルバスン [ɸu⸢rubasuŋ] 他動 {Mn_1}滅ぼす。滅亡させる。なきものにする。「~繰り畳ね焼き保呂煩散牟<ホロボサム>~。万、3724」の転訛。 ア⸢カハチ⸣ フ⸢ルバスンティ トゥイミャー⸣ヤ イ⸢ク⸣サ ⸢ユーシ クータン⸣ドゥ フ⸢ルブサランシェン⸣ツォー [ʔa⸢kahaʧi⸣ ɸu⸢rubasunti tuimjaː⸣ja ʔi⸢ku⸣sa ⸢juːʃi kuːtan⸣du ɸu⸢rubusaraŋʃen⸣ʦoː] (アカハチを滅ぼそうと豊見親は戦を押し寄せてきたが滅ぼされなかったそうだ)。 フ⸢ルバシ ナー⸣ヌ [ɸu⸢rubaʃi naː⸣nu] (滅ぼしてしまった)。 フ⸢ルバス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ɸu⸢ruba⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (滅ぼすことは出来ない)。 フ⸢ルバシェー⸣ ミサムヌ [ɸu⸢rubaʃeː⸣ misamunu] (滅ぼせばいいのに)。 フ⸢ルバシ⸣バ [ɸu⸢rubaʃi⸣ba] (滅ばせよ)。 15452 0 2 15273 htmvoc_15452.wav フルバスン フ⸢ルバスン [ɸu⸢rubasuŋ] 他動 {Mn_2}損害を与える。倒産させる。 ⸢カーシェー⸣ル シ⸢ナムヌヌ ダイヤー⸣ ノー⸢ン⸣ トゥ⸢ララン⸣ ナリ ミ⸢シーミシ⸣ ウ⸢リンマー⸣ フ⸢ルバサリ ナー⸣ヌ [⸢kaːʃeː⸣ru ʃi⸢namununu daijaː⸣ noː⸢n⸣ tu⸢raran⸣ nari mi⸢ʃiːmiʃi⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ ɸu⸢rubasari naː⸣nu] (売った品物の代金は何も取れなくなって、みすみす彼には倒産させられ<滅ぼされ>てしまった) 15453 0 0 15274 htmvoc_15453.wav フルブン フ⸢ルブン [ɸu⸢rubuŋ] 自動 滅ぶ。 ムー⸢ル⸣ サ⸢ガラ⸣シ ⸢カース⸣カー マ⸢チヤーヤ⸣ フ⸢ルブン⸣ティ ⸢スンドゥ ウン⸣ネーヌ マ⸢チヤーヤ⸣ フ⸢ルバンシェン [muː⸢ru⸣ sa⸢gara⸣ʃi ⸢kaːsu⸣kaː ma⸢ʧijaːja⸣ ɸu⸢rubun⸣ti ⸢sundu ʔun⸣neːnu ma⸢ʧijaːja⸣ ɸu⸢rubaŋʃeŋ] (全部掛売りで売ると店はつぶれる<滅ぶ>というが、あの家の店はつぶれ<滅ば>なかった)。 サ⸢ガラ⸣シ ⸢カーシター⸣ フ⸢ルビ ナー⸣ヌ [sa⸢gara⸣ʃi ⸢kaːʃitaː⸣ ɸu⸢rubi naː⸣nu] (掛売りで売ったので、つぶれて<滅んで>しまった)。 サ⸢ガラ⸣シ ⸢カーシタンティン⸣ フ⸢ルブ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [sa⸢gara⸣ʃi ⸢kaːʃitantiŋ⸣ ɸu⸢rubu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (掛売りで売ってもつぶれる<滅ぶ>ことはない)。 フ⸢ルベー⸣ ミサムヌ [ɸu⸢rubeː⸣ misamunu] (つぶれれば<滅べば>いいのに)。 ⸣アイブ マ⸢チヤーヤ パー⸣ク フ⸢ルビリ [⸣ʔaibu ma⸢ʧijaːja paː⸣ku ɸu⸢rubiri] (あんな店は早くつぶれろ<滅びよ>) 15454 0 0 15275 htmvoc_15454.wav フルマイ フ⸢ルマイ [ɸu⸢rumai] 名 ご馳走。正月や行事の際のご馳走。接待。もてなし。「翔、フルマフ」『類聚名義抄』、「Furumai,o,ˇ,oˇta.フルマイ、ゥ、ゥタ(振る舞ひ、ふ、うた)宴会を催す、あるいは、ご馳走する~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 トゥ⸢シトゥリフル⸣マイ [tu̥⸢ʃituriɸuru⸣mai] (「年取り振る舞い<ご馳走>」の義{EOS}元旦の<年取り>のご馳走)。普通は⸣ソンガチフルマイ[⸣soŋgaʧiɸurumai](正月振る舞い)といった。トゥ⸢シヌ⸣ユー[tu̥⸢ʃinu⸣juː](大晦日)には、トゥ⸢シクシ⸣スバ[tu̥⸢ʃikuʃi⸣suba]を作った。トゥ⸢シトゥリフル⸣マイには、家族全員に⸢ユーチングー[⸢juːʧiŋguː](四ツ組料理{EOS}一汁三菜<飯、汁、香の物、\ruby{膾}{ナマス}>)が配膳されるのが基本で、⸢ウー⸣ザラ[⸢ʔuː⸣ʣara](大皿)に揚げ物<テンプラ類>が盛られ、お重(蒲鉾、冬瓜、南瓜、蛸、魚、昆布などの煮染料理)等がテーブルの中央に出されるのが一般であった。 ⸣ソンガチ フ⸢ルマイヤー⸣ シ⸢ディ⸣ミジシ ウ⸢ム⸣ティ ⸣シミティ ⸢ヤーニン⸣ズ ⸣スルイティル ン⸢コーッタ⸣ル [⸣soŋgaʧi ɸu⸢rumaijaː⸣ ʃi⸢di⸣miʤiʃi ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimiti ⸢jaːnin⸣ʣu ⸣suruitiru ʔŋ⸢koːtta⸣ru] (正月元旦のご馳走は、若水<孵で水>で顔<面>を洗って、家族揃って<ぞ>召し上がられたものだ)。 シ⸢チフル⸣マイティン ア⸢リ⸣ブタルシェー [ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣maitiŋ ʔa⸢ri⸣butaruʃeː] (節祭りのご馳走<節振る舞い>とてもありおったよ) 15455 0 0 15276 htmvoc_15455.wav フルマイール フ⸢ルマイー⸣ル [ɸu⸢rumaʔiː⸣ru] 名 ⸢車錐」の義。錐の柄の下に錘を付け、横棒を貫き通し、柄の先端から糸を横棒の両端に結び、糸を巻き付けて横棒を下へ押すことにより回転させる仕掛けの錐。 フ⸢ルマイー⸣ルシ ⸢ピッ⸣クカー ⸣ティーン ブ⸢ガラ⸣ヌ [ku⸢rumaʔiː⸣ruʃi ⸢pik⸣kukaː ⸣tiːm bu⸢gara⸣nu] (車錐で孔を開けると手も疲れない) 15456 0 0 15277 htmvoc_15456.wav フルマスン フ⸢ルマ⸣スン [ɸuruma⸣suŋ] 他動 古くなす。寝かす。熟成させる。 ⸢ミー⸣スン シ⸢タ⸣ディン フ⸢ルマ⸣スンティ ⸣シケーンドゥ フ⸢ルマサラン⸣バン [⸢miː⸣suŋ ʃi̥⸢ta⸣diŋ ɸu⸢ruma⸣sunti ⸣ʃi̥keːndu ɸu⸢rumasaram⸣baŋ] (味噌も醤油も熟成させよう<寝かそう>としてあるが、熟成させられ<寝かされ>ないよ)。 ⸢ミー⸣ソー フ⸢ルマシ⸣テーラ ッ⸢ふァイバル⸣ ン⸢マー⸣ル [⸢miː⸣soː ɸu⸢ruma⸣ʃi̥teːra f⸢faibaru⸣ ʔm⸢maː⸣ru] (味噌は十分熟成させ<寝かし>てから食べた方が美味しいよ)。 フ⸢ルマ⸣ス ⸢ミー⸣ソー ⸢ナー⸣ヌ [ɸu⸢ruma⸣su ⸢miː⸣soː ⸢naː⸣nu] (熟成させる<寝かせる>味噌はないよ)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢ルマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢ruma⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと熟成させれば<寝かせれば>いいのに)。 ン⸢メーマー⸣ フ⸢ルマ⸣シ [ʔm⸢meːma⸣ ɸu⸢ruma⸣ʃi] (少し成熟させ<寝かせ>なさい) 15457 0 0 15278 htmvoc_15457.wav フルムン フ⸢ル⸣ムン [ɸu⸢ru⸣muŋ] 自動 古くなる。古む。 ク⸢ヌ キン⸣マー フ⸢ル⸣ミティ キ⸢サラヌ [ku⸢nu kim⸣maː ɸu⸢ru⸣miti ki⸢saranu] (この着物は古くなって着られない)。 ⸢ドン⸣ゴー ⸢ティー⸣リ ⸢サン⸣カー フ⸢ル⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ ク⸢レー ティー⸣リ ⸢サンヌンドゥ ピッ⸣チン フ⸢ルマン⸣バン [⸢doŋ⸣goː ⸢tiː⸣ri ⸢saŋ⸣kaː ɸu⸢ru⸣munti ⸢sundu⸣ ku⸢reː tiː⸣ri ⸢sannundu pit⸣ʧiŋ ɸu⸢rumam⸣baŋ] (道具は手入れしないと古くなるというが、これは手入れしないがちっとも古くならないよ)。 イ⸢チニン⸣シ フ⸢ル⸣ム ⸣ムノー ⸢カウナ [ʔi⸢ʧiniŋ⸣ʃi ɸu⸢ru⸣mu ⸣munoː ⸢kauna] (一年で古くなるものは買うな)。 ⸢パー⸣ク フ⸢ル⸣メー ⸣ミサムヌ ア⸢ス⸣カー ⸢ミームヌ カーリスヌ [⸢paː⸣ku ɸu⸢ru⸣meː ⸣misamunu ʔa⸢su⸣kaː ⸢miːmunu kaːrisunu] (早く古くなればいいのに、そしたら新しいものが買えるのだが) 15458 0 0 15279 htmvoc_15458.wav フルヤー ⸣フルヤー [⸣ɸurujaː] 名 便所。豚便所。⸣オンケー[⸣ʔoŋkeː](便所)ともいう。かつては、便所は豚小屋と一つになっていて、人糞を豚に与えていた。戦後、保健所から公衆衛生上の問題点が指摘されて廃止された。三千年前の古代中国にも同様な様式の便所が使われていたことを示す陶器が発掘されたという。1996年の中国雲南省の民俗言語調査の際に、同様の便所様式が少数民族(ハニ族)の中で使用されているのを確認した。 ⸣フルヤーヌ ⸢カン⸣マー ⸢カンダカー⸣ ア⸢ロー⸣ルンツォー [⸣ɸurujaːnu ⸢kam⸣maː ⸢kandakaː⸣ ʔa⸢roː⸣runʦoː] (便所の神様は霊験あらたかで<神高く>あられるそうだ)。⸣オンケー[⸣ʔoŋkeː](便所)の項参照 15459 0 0 15280 htmvoc_15459.wav フルヤー フ⸢ル⸣ヤー [ɸu⸢ru⸣jaː] 名 古い家(若年層)。老年層は、ッ⸢ふ⸣ヤー[f⸢fukagijaː](古い家)という。「古屋」の義。 フ⸢ルヤー⸣ヤ ⸢クー⸣シティ ア⸢ラヤー⸣ ス⸢ク⸣リ [ɸu⸢rujaː⸣ja ⸢kuː⸣ʃi̥ti ʔa⸢rajaː⸣ su̥⸢ku⸣ri] (古い家を崩して新しい家を造れ) 15460 0 0 15281 htmvoc_15460.wav フルン フ⸢ルン [ɸu⸢ruŋ] 他動 振る。「~帰れとか比礼布良斯家武<ヒレフラシケム>~。万、874」の転訛したもの。 ⸣ティー フ⸢ルンティ スンドゥ⸣ フ⸢ララヌ [⸣tiː ɸu⸢runti sundu⸣ ɸu⸢raranu] (手を振ろうとするが振られない)。 ⸣ティー フ⸢リ⸣ ミサン [⸣tiː ɸu⸢ri⸣ misaŋ] (手を振ってもよい)。 ⸣クナーテー ⸣ティー フ⸢ル⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kunaːteː ⸣tiː ɸu⸢ru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (此処では手を振ることはできない)。 ⸢マー⸣ビン フ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ɸu⸢reː⸣ misamunu] (もっと振ればいいのに)。 ⸣テイー フ⸢リ⸣バ [⸣tiː ɸu⸢ri⸣ba] (手を振れよ) 15461 0 0 15282 htmvoc_15461.wav ブルン ⸣ブルン [⸣buruŋ] 他動・自動 折る。捥ぐ。「梅の花 乎利弖<ヲリテ>かざせる~。万、832」の転訛したもの。 ⸢キー⸣ヌ ユ⸢ダ⸣ ブルンティ ⸢スンドゥ⸣ ブ⸢ララ⸣ヌ [⸢kiː⸣nu ju⸢da⸣ burunti ⸢sundu⸣ bu⸢rara⸣nu] (木の枝を折ろうとするが折られない)。 サ⸢リユダ⸣ ブリティ ⸢モーシ⸣バ [sa⸢rijuda⸣ buriti ⸢moːʃi⸣ba] (枯れ枝を折って燃やしなさい)。 ユ⸢ダ⸣ ブル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ju⸢da⸣ buru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (枝を折る人はいない)。 ムー⸢ル⸣ ブレー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru⸣ bureː ⸣misamunu] (全部折ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ブリ [⸢paː⸣ku ⸣buri] (早く折れ)。 ⸢バン⸣スル ⸣ブリン パラデ⸢ィー [⸢ban⸣suru ⸣burim para⸢diː] (グワバ<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{蕃石榴}{バンザクロ}>を\ruby{捥}{モギ}ぎに行こうよ) 15462 0 0 15283 htmvoc_15462.wav ブルン ブ⸢ルン [bu⸢ruŋ] 自動 群れる。波が折り畳むように重なってくる。「~白浪の 夜敝乎流我<ヤへヲルガ>上に~。万、4360」の義。 ⸣ピーナ ナ⸢ミ⸣ヌ ⸣ブリ ⸣クン [⸣piːna na⸢minu⸣ buri ⸣kuŋ] (リーフ<干瀬>に波が折りたたむよう群れて崩れて寄せてくる) 15463 0 1 15284 htmvoc_15463.wav プルン プ⸢ルン [pu⸢ruŋ] 自動 {Mn_1}気違いになる。馬鹿になる。狂れる。ぼける(惚ける)。 15463 0 2 15285 htmvoc_15463.wav プルン プ⸢ルン [pu⸢ruŋ] 自動 {Mn_2}ほれる(惚れる)。異性に心を奪われるほどに恋慕する。「ほる<惚る>、下二段活用」の四段活用化したもの。プ⸢リルン[pu⸢riruŋ](気違いになる{EOS}惚れる)に同じ。 パ⸢タラカン⸣カー プ⸢ソー⸣ プ⸢ルン⸠ダー プ⸢ラン⸣ケン ⸢パー⸣ク シ⸢グトゥ⸣ トゥ⸢ミ⸣リ [pḁ⸢tarakaŋ⸣kaː pu̥⸢soː⸣ pu⸢run⸠daː pu⸢raŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ʃi⸢gutu⸣ tu⸢mi⸣ri] (働かないと人は馬鹿になる<狂う>{EOS}馬鹿にならないうちに仕事を探せ<尋めよ>)。 ⸣メー プ⸢リ ナー⸣ヌ [⸣meː pu⸢ri naː⸣nu] (もう、馬鹿になって<惚れて>しまった)。 ⸢ワー⸣ナー プ⸢ル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢waː⸣naː pu⸢ru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (君に惚れる人はいない)。 プ⸢ル⸣カー カ⸢シーカシー⸣ プ⸢レー⸣ ミサムヌ ナ⸢マンダプリバ シー [pu⸢ru⸣kaː kḁ⸢ʃiːkaʃiː⸣ pu⸢reː⸣ misamunu na⸢mandapuriba ʃiː] (惚れるなら、すっかり<完全に>惚れたらいいものを、中途半端な惚れかたをして)。 プ⸢リ⸣バ [pu⸢ri⸣ba] (惚れろよ) 15464 0 1 15286 htmvoc_15464.wav プルン ⸣プルン [⸣puruŋ] 他動 {Mn_1}掘る。穴をあける。「~栄えし君が穿之<ホリシ>井の~。万、1128」の転訛したもの。 ⸣クナー ⸣アナ ⸣プルン [⸣kunaː ⸣ʔana ⸣puruŋ] (此処に穴を掘る)。 ⸣バー ⸣アナー プ⸢ラ⸣ヌ [⸣baː ⸣ʔanaː pu⸢ra⸣nu] (私は穴を掘らない)。 ⸣アナ ⸣プリティ ⸣パラー タ⸢ティ⸣ルン [⸣ʔana ⸣puriti ⸣paraː tḁ⸢ti⸣ruŋ] (穴を掘って柱を立てる)。 ⸣アナ ⸣プル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔana ⸣puru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (穴を掘る人はいない)。 ⸣アナ ⸣プレー ⸣ミサムヌ [⸣ʔana ⸣pureː ⸣misamunu] (穴を掘ればいいのに)。 ⸢ワー⸣ ドゥーシ ⸣アナ ⸣プリバ [⸢waː⸣ duːʃi ⸣ʔana ⸣puriba] (君は自分で穴を掘れよ)。 15464 0 2 15287 htmvoc_15464.wav プルン ⸣プルン [⸣puruŋ] 他動 {Mn_2}彫る。 ⸢イン⸣ プルン [⸢ʔim⸣ puruŋ] (印を彫る)。 プ⸢ラ⸣スン [pu⸢ra⸣suŋ] (彫らせる)。 ⸣プリ ッ⸢ふィーリ [⸣puri f⸢fiːri] (彫ってくれ)。 ⸢カー⸣ プルン [⸢kaː⸣ puruŋ] (井戸を掘る) 15465 0 0 15288 htmvoc_15465.wav プロー ⸣プロー [⸣puroː] 名 西洋式の鋤。英語のPlowが転訛したもの。鳩間島では台湾製の洋式鋤を輸入して使用する人もいたが、多くは古い型の鋤、⸣ピラ[⸣pira](犂{EOS}牛に引かせて土を切り開き、土塊を反転させて耕す耕具)を使用していた。「鋤・鉏、須支<スキ>」『新撰字鏡』。 ウ⸢ヤ⸣キプスヌドゥ ⸢タイ⸣パンラ ⸣プロー ⸢カイヨー⸣リ ウ⸢シン⸣ ピ⸢カシェー⸣ティ ⸢ターパタ⸣キ ⸢カイ⸣ソーッタ [ʔu⸢ja⸣kipu̥sunudu ⸢tai⸣panra ⸣puroː ⸢kaijoː⸣ri ⸢taːpata⸣ki ⸢kai⸣soːtta] (金持ちの人が台湾から洋式鋤のプローを買われて牛に引かせながら田畑を耕された) 15466 0 0 15289 htmvoc_15466.wav フン ⸢フン [⸢ɸuŋ] 名 国。村。石垣島から上、沖縄、大和の国を指す。「天皇の敷きます久尓能~。万、4123」の転訛したもの。kuni(国)→ [ɸuŋ]。 ⸢ウイヌ フンラヌ⸣ プ⸢スヌ オー⸣レーツォー [⸢ʔuinu ɸunranu⸣ pu̥⸢sunu ʔoː⸣reː⸣ʦoː] (石垣島からの人<役人>が来られたそうだ)。 ⸢ウイヌ フンヌ⸣ プ⸢ス [⸢ʔuinu ɸunnu⸣ pu̥⸢su] (上の国<石垣島>の人<役人>) 15467 0 0 15290 htmvoc_15467.wav フン ⸢フン [⸢ɸuŋ] 名 釘。釘の総称。「群玉の枢に久枳作之<クギサシ~>。万、4390」、「釘、クギ」『類聚名義抄』の転訛したもの。カ⸢ニフン[ka⸢niɸuŋ](鉄釘)、タ⸢キフン[tḁ⸢kiɸuŋ](竹釘)、⸢キー⸣フン[⸢kiː⸣ɸuŋ](木釘)、ピ⸢サフン[pi̥⸢saɸuŋ](平釘)等がある。 ⸢フン ウーン [⸢ɸuŋ ʔuːŋ] (釘を打つ)。⸢フン⸣ ウトゥン[⸢ɸuŋ⸣ ʔutuŋ](釘を打つ)ともいう。 ⸣イダフニナーヤ タ⸢キフンドゥ⸣ シゥ⸢カウ⸣ カ⸢ニフンマー⸣ シゥ⸢カーヌ [⸣ʔidaɸuninaːja tḁ⸢kiɸundu⸣ sï̥⸢kau⸣ ka⸢niɸummaː⸣ sï̥⸢kaːnu] (サバニ<板船>には竹釘を使うのであって、鉄釘は使わない) 15468 0 0 15291 htmvoc_15468.wav フン ⸣フン [⸣ɸuŋ] 助数 本。細長いものを数える単位。上接語(漢語)の末尾音が [t, k, p] で終わる場合は、異形態-プン [-puŋ]、末尾音が [m, n, ŋ] で終わる場合は、異形態-ブン[-buŋ]、和語の⸢ヨ」(四)が撥音便化したものは、異形態-プン[-puŋ]、それ以外の母音終わりの場合は、異形態-フン[ɸuŋ]となる。これを形態素と定めて見出し語とした。 ⸢イッ⸣プン [⸢ʔip⸣puŋ] (一本) ⸣ニフン [⸣niɸuŋ] (二本) ⸣サンブン [⸣sambuŋ] (三本) ⸢ヨンプン [⸢jompuŋ] (四本) グ⸢フン [gu⸢ɸuŋ] (五本) ⸢ルッ⸣プン [⸢rup⸣puŋ] (六本))。 ナ⸢ナ⸣フン [na⸢na⸣ɸuŋ] (七本) ⸢ハッ⸣プン [⸢hap⸣puŋ] (八本) ⸢キューフン [⸢kjuːɸuŋ] (九本) ⸣ジップン [⸣ʤippuŋ] (十本)) 15469 0 0 15292 htmvoc_15469.wav フン ⸢フン- [⸢ɸun-] 接頭 接頭辞。動詞の語頭について強意を表す。 ⸢フンバカウン [⸢ɸumbakauŋ] (奪い取る{EOS}ぶん取る)。 ⸢フンサマルン [⸢ɸunsamaruŋ] (ふん縛る)。 ⸢フントールン [⸢ɸuntoːruŋ] (打っ倒れる)。 ⸢フンスン⸣グルン [⸢ɸunsuŋ⸣gurun] (ぶん殴る)。 ⸢フンサマルンティ⸣ シ⸢タンドゥ ピンガ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ɸunsamarunti⸣ ʃi̥⸢tandu piŋga⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (ふん縛ろうとしたが、逃がしてしまった) 15470 0 1 15293 htmvoc_15470.wav ブン ⸢ブン [⸢buŋ] 自動 {Mn_1}居る。生物や動くものが存在する。自分の動作については謙遜、卑下の意味が加わり、他人の動作、状態については目下の者として待遇する、または蔑視する意味が加わる。⸢ベー⸣ン[⸢beː⸣ŋ](継続して居る)は、⸢ブン[buŋ](居る)の連用形に⸣アン[⸣ʔaŋ](有り)が下接して形成されたもの。ブ⸢リブー[bu⸢ribuː](居り居る)は連用形に「居る」が付いた形。目上に対しては、⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](いらっしゃる{EOS}「おわす<御座す>」の義)を用いる。「~候ふと吾が乎流等伎尓<ワガ ヲルトキニ>~。万、4398」の義。 ⸣ウナー プ⸢スヌ ブンティ⸣ ス⸢クタンドゥ⸣ キー ⸣ミルカー ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーンワーン⸣ノー [⸣ʔunaː pu̥⸢sunu bunti⸣ su̥⸢kutandu⸣ kiː ⸣mirukaː taː⸢m⸣ bu⸢raːŋwan⸣noː] (そこに人が居ると聞いたが、来てみると誰も居ないではないか)。 ⸢マー⸣ビン ブ⸢リ⸣ プサンドゥ ⸣クナー ⸢ブー⸣ クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [⸢maː⸣bim bu⸢ri⸣ pu̥sandu ⸣kunaː ⸢buː⸣ ku̥toː na⸢ran⸣ʦoː] (もっと居りたいが、ここに居ることは出来ないそうだ)。 ター⸢ン ヤラバン ブー⸣カー キー ⸢ミー [taː⸢ɲ jarabam buː⸣kaː kiː⸢miː] (誰か<誰であっても>居たら来てごらん)。 ⸢タン⸣ガーンツァン ⸣クナー ブ⸢レー(ブ⸢リ⸣バ)⸣ ミサムヌ [⸢taŋ⸣gaːnʦaŋ ⸣kunaː bu⸢reː(bu⸢ri⸣ba)⸣ misamunu] (一人だけでもここに居ればいいのに)。 ヤー⸢ディン タン⸣ガー ブ⸢リ⸣バ [jaː⸢din taŋ⸣gaː bu⸢ri⸣ba] (必ず一人は居れよ)。 15470 0 2 15294 htmvoc_15470.wav ブン ⸢ブン [⸢buŋ] 自動 {Mn_2}動詞の連用形に付いて、動作を続ける意、⸢~ている」の意味を表す。「~旅を苦しみ故非乎礼婆<コヒヲレバ>~。万、3674」の義。 ⸢ワー⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥ ⸣ウムイ ⸢ブン [⸢waː⸣ f⸢fanu⸣ ku̥tu ⸣ʔumui ⸢buŋ] (君は子供のことを思っているか) 15471 0 1 15295 htmvoc_15471.wav ブン ⸣ブン [⸣buŋ] 名 分。{Mn_1}一部。量。 イ⸢チニンブンヌ マイ⸣ タ⸢ブイリ [ʔi⸢ʧinimbunnu mai⸣ ta⸢buiri] (一年分の米を貯えろ)。 15471 0 2 15296 htmvoc_15471.wav ブン ⸣ブン [⸣buŋ] 名 {Mn_2}割り当て。分け前。 ⸢ワー⸣ トゥ⸢リブン⸣マー ⸣ビチ ⸣ナシティ ヌ⸢カ⸣ロー ⸢マータキナー⸣ バ⸢キ⸣リ [⸢waː⸣ tu⸢ribum⸣maː ⸣biʧi ⸣naʃi̥ti nu⸢ka⸣roː ⸢maːtakinaː⸣ ba⸢ki⸣ri] (君の取り分は別に取っておいて、残りは等分に<同じように>分けなさい)。 15471 0 3 15297 htmvoc_15471.wav ブン ⸣ブン [⸣buŋ] 名 {Mn_3}身の程。身分。地位。 ⸢ブン⸣ヌ ア⸢ロー⸣ル プ⸢ス [⸢bun⸣nu ʔa⸢roː⸣ru pu̥⸢su] (身分の高い人{EOS}重々しい人)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ブン⸣マー ッ⸢シェー⸣ティル ⸣ムネー イ⸢ズ⸣ダー [⸢duː⸣nu ⸢bum⸣maː ʃ⸢ʃeː⸣tiru ⸣muneː ʔi⸢ʣu⸣daː] (自分の身分をわきまえて<ぞ>ものは言うのだぞ) 15472 0 0 15298 htmvoc_15472.wav ブン ⸣ブン [⸣buŋ] 名 恩。恩義。⸢ブン⸣ギ[⸢buŋ⸣gi](恩義)ともいう。 プ⸢スヌ⸣ ブン ⸣カブン [pu̥⸢sunu⸣ buŋ ⸣kabuŋ] (人の恩を被る)。 プ⸢スヌ⸣ ブン カ⸢ビ⸣ル ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナリ ⸣ケー⸢ダー [pu̥⸢sunu⸣ buŋ ka⸢bi⸣ru ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣nari keː⸢daː] (他人の恩を受けて<被って{EOS}頂いて>大人になってきたのだよ) 15473 0 0 15299 htmvoc_15473.wav ブン ⸣-ブン [⸣-buŋ] 接尾 盆。単独に用いられることはなく、名詞に下接して、マ⸢ルブン[ma⸢rubuŋ](丸盆)、タ⸢バク⸣ブン[ta⸢baku⸣buŋ](煙草盆)、バ⸢キトゥリ⸣ブン[ba⸢kituri⸣buŋ](神前に供物を供えるための特別な膳{EOS}通い盆)、⸢ドーング⸣ブン[⸢doːŋgu⸣buŋ](仏前供物を供える特別な膳{EOS}⸢霊供盆」の義か)のように単語を形成する。 タ⸢バク⸣ブンナー ⸢ピー⸣イリン ⸢パイフキン⸣ キ⸢シ⸣ルン イ⸢リ⸣ ス⸢コー⸣レーン [ta⸢baku⸣bunnaː ⸢piː⸣ʔiriːm ⸢paiɸu̥kiŋ⸣ ki̥⸢ʃi⸣ruŋ ʔi⸢ri⸣ su̥⸢koː⸣reːŋ] (煙草盆に火入れも灰吹きも煙管も入れて置いてある) 15474 0 0 15300 htmvoc_15474.wav ブン ⸣ブン [⸣buŋ] 名 威厳。身分にそなわる品位。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケン ブン⸣ヌ ア⸢ロー⸣ルン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kem bun⸣nu ʔa⸢roː⸣ruŋ] (その人は非常に威厳<品位>が有られる) 15477 0 0 15301 htmvoc_15477.wav フンカキルン ⸢フンカキルン [⸢ɸuŋkakiruŋ] 他動 ぶっかける(ぶっ掛ける)。荒々しく水をかける。「フンー」は強意の接頭語。⸢フンカクン[⸢ɸuŋkakuŋ](ぶっ掛ける)ともいう。 ミ⸢ジ フンカキルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢フンカキララヌ [mi⸢ʤi ɸuŋkakirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢ɸuŋkakiraranu] (水をぶっ掛けようと思うが、ぶっ掛けられない)。 ⸢フンカキル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ɸuŋkakiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (ぶっ掛けることはできない)。 ⸢フンカキレー⸣ ミサムヌ [⸢ɸuŋkakireː⸣ misamunu] (ぶっ掛ければいいのに)。 ⸢フンカキリ [⸢ɸuŋkakiri] (ぶっ掛けろ) 15476 0 0 15302 htmvoc_15476.wav ブンカドゥ ⸢ブン⸣カドゥ [⸢buŋ⸣kadu] 名 義理。その人に相応しい人間としての体面。「ぶんかど(分・廉)」の義。 ⸢ブン⸣カドゥ ⸢バシケーラ⸣ プ⸢リムヌティ⸣ ア⸢ザリン⸣ダー [⸢buŋ⸣kadu ⸢baʃikeːra⸣ pu⸢rimunuti⸣ ʔa⸢ʣarin⸣daː] (恩義や義理、清廉潔白の<体面>を忘れたら馬鹿といわれるよ) 15478 0 0 15303 htmvoc_15478.wav ブンギ ⸢ブン⸣ギ [⸢buŋ⸣gi] 名 恩義。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ ブン⸣ギ カ⸢ビ⸣ル ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナレーンダ ヤー⸢ディン ブン⸣ゲー ⸢カイ⸣シ⸢ダー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢sunu buŋ⸣gi ka⸢bi⸣ru ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣nareːnda jaː⸢dim buŋ⸣geː ⸢kai⸣ʃi⸢daː] (この方の恩義を受けて<被って>大人になったのだから、恩義は必ず返しなさいよ) 15479 0 0 15304 htmvoc_15479.wav ブンギカイシ ⸢ブン⸣ギ ⸢カイ⸣シ [⸢buŋ⸣gi ⸢kai⸣ʃi] 連 ご恩返し。「恩義返し」の義。⸢ブンガイ⸣シ[⸢buŋgai⸣ʃi](恩返し)ともいう。 ⸢ブン⸣ギ ⸢カイ⸣シ ⸢バシケー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢buŋ⸣gi ⸢kai⸣ʃi ⸢baʃi̥keː⸣ na⸢ra⸣nu] (ご恩返しを忘れてはならない) 15475 0 0 15305 htmvoc_15475.wav ブンギガイシ ⸢ブンギガイ⸣シ [⸢buŋgigai⸣ʃi] 名 恩返し。若年層は⸢ウンガイ⸣シ[⸢ʔuŋgai⸣ʃi](恩返し)ともいう。⸢ブン⸣ギ ⸢スン[⸢buŋ⸣gi ⸢suŋ](恩を返す)ともいう。 ヤー⸢ディン ブンギガイ⸣シ ⸢シー⸣ ッ⸢サルンティ⸣ ウムイ ⸢ベー⸠ダー [jaː⸢dim buŋgigai⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ s⸢sarunti⸣ ʔumui ⸢beː⸠daː] (きっと<必ず>恩返しをして差し上げ<ご恩返し申し上げ>ようと思っていますよ) 15481 0 0 15306 htmvoc_15481.wav フンキスン ⸢フンキスン [⸢ɸuŋki̥suŋ] 他動 ぶっ切る。横切る。横断する。近道をとって横切って行く。正規の道を通らずに横切って行く。「踏み切る」の転訛したもの。 ⸣ミチェーラ パ⸢ラ⸣ムティ パ⸢タ⸣ケーラ ⸢フンキスンティ⸣ シ⸢ター⸣ イ⸢ザリティ フンキサンドー⸣シ ⸢パッ⸣タヤー [⸣miʧeːra pa⸢ra⸣muti pḁ⸢ta⸣keːra ⸢ɸuŋkisunti⸣ ʃi̥⸢taː⸣ ʔi⸢ʣariti ɸuŋkisandoː⸣ʃi ⸢pat⸣tajaː] (道から行かないで畑を横切って行こうとしたので叱られて横切らないで行ったよ)。 ⸢フンキシ⸣ パリミサカー ⸣クマーラ ⸢フンキス⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ɸuŋkiʃi⸣ misakaː ⸣kumaːra ⸢ɸuŋki̥su⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (横切って行ってよければ、ここから横切ることは出来る)。 ⸢フンキス⸣ ピンマー ⸣クマーラ ⸢フンキシェー⸣ ミサムヌ [⸢ɸuŋki̥su⸣ pimmaː ⸣kumaːra ⸢ɸuŋkiʃeː⸣ misamunu] (横切る時は此処から横切ればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ クマーラ ⸢フンキシ [jaː⸢diŋ⸣ kumaːra ⸢ɸuŋki̥ʃi] (必ず此処から横切れ) 15480 0 0 15307 htmvoc_15480.wav フンキル ⸢フン⸣キル [⸢ɸuŋ⸣kiru] 助数 畑の一区切り(一区画)。 プ⸢スフン⸣キル [pu̥⸢suɸuŋ⸣kiru] (一区画)。 フ⸢タフンキル [ɸu̥⸢taɸuŋkiru] (二区切り)。 ⸢ミーフンキル [⸢miːɸuŋkiru] (三区切り)。 ⸢ユーフンキル [⸢juːɸuŋkiru] (四区切り)。 イ⸢チフン⸣キル [ʔi⸢ʧiɸuŋ⸣kiru] (五区切り)。 ⸢ムーフンキル [⸢muːɸuŋkiru] (六区切り)。 ナ⸢ナフン⸣キル [na⸢naɸuŋ⸣kiru] (七区切り)。 ⸢ヤーフンキル [⸢jaːɸuŋkiru] (八区切り)。 ク⸢ヌフン⸣キル [ku⸢nuɸuŋ⸣kiru] (九区切り)。 ⸢トゥーフンキル [⸢tuːɸuŋkiru] (十区切り)。 ⸣プスイシ フ⸢タフンキル カイ⸣シ ⸢シェー⸣ン [⸣pu̥suiʃi ɸu̥⸢taɸuŋkiru kai⸣ʃi ʃ⸢ʃeː⸣ŋ] (一日で畑を二区切り耕せる<耕しきれる>) 15483 0 0 15308 htmvoc_15483.wav フンクムン ⸢フンクムン [⸢ɸuŋkumuŋ] 自動 勢いよく足を踏み込む。勢いよく踏みつける。足を踏み込んで釘などに深く刺される。 カ⸢ラパン⸣シ ⸣パレーティ ⸢アー⸣キ ⸢フンバ フンクミティ⸣ パン ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [ka⸢rapaŋ⸣ʃi ⸣pareːti ⸢ʔaː⸣ki ⸢ɸumba ɸuŋkumiti⸣ paŋ ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (裸足で走っていて釘を踏みつけて、足を痛めて<病まして>ある)。 フ⸢ミムヌ⸣ フ⸢ム⸣カー ⸢フン⸣ナーン ⸢フンクマス [ɸu⸢mimunu⸣ ɸu⸢mu⸣kaː ⸢ɸun⸣naːŋ ⸢ɸuŋkumanu] (履物を履くと釘にも刺され<踏み込ま>ない)。 カ⸢ラパン⸣シェー ⸢フン フンクムン⸠ダー [ka⸢rapaŋ⸣ʃeː ⸢ɸuŋ ɸuŋkumun⸠daː] (裸足では足を釘に刺される<踏み込む>ぞ)。 ⸢フン フンクメー⸣ラ ⸢デー⸣ジ⸢ダー [⸢ɸuŋ ɸuŋkumeː⸣ra deː⸣ʤi⸢daː] (釘に刺されたら<釘を踏み込んだら>大変だぞ)。 ⸢フン フンクム⸣ ピンマー ピ⸢ルザキ⸣シ ⸣ドゥー ⸢トゥイットー⸣シティ キ⸢ジフチン⸣ ピ⸢ルザキトゥ マー⸣スシル ッ⸢ス⸣モーッタ [⸢ɸuŋ ɸuŋkumu⸣ pimmaː pi⸢ruʣaki⸣ʃi ⸣duː ⸢tuittoː⸣ʃi̥ti ki⸢ʤiɸu̥ʧim⸣ pi⸢ruʣakitu maː⸣suʃiru s⸢su⸣moːtta] (釘に刺される<釘を踏み込んだ>時は大蒜酒で体を拭きおろし、傷口も大蒜酒と塩とで包んでおかれたものだ) 15482 0 0 15309 htmvoc_15482.wav フンクン ⸢フンクン [⸢ɸuŋkuŋ] 他動 踏む。踏みつける。 ッ⸢ふァー⸣カー イ⸢シ フンクン⸣ユー ッ⸢サンバ⸣ イ⸢シ フンカン⸣スコー ガ⸢ルバ⸣ シケーティ ⸣パリバ [f⸢faː⸣kaː ʔi⸢ʃi ɸuŋkuɲ⸣juː s⸢samba⸣ ʔi⸢ʃi ɸuŋkan⸣sukoː ga⸢ruba⸣ ʃi̥keːti ⸣pariba] (暗かったら石を踏みつける<踏む>かも知れないから、踏みつけない<踏まない>ように明りを点けて行けよ)。 イ⸢シ フンキ⸣ プサカー ⸢フンキ⸣バ [ʔi⸢ʃi ɸuŋki⸣ pu̥sakaː ⸢ɸuŋki⸣ba] (石を踏みつけ<踏み>たければ踏みつけなさい<踏め>よ)。 ⸢フンク⸣ プソー ムー⸢ル フンケー⸣ ミサムヌ [⸢ɸuŋku⸣ pu̥soː muː⸢ru ɸuŋkeː⸣ misamunu] (踏みつける<踏む>時は全部踏みつけれ<踏め>ばいいのに) 15486 0 0 15310 htmvoc_15486.wav フンケーリトゥンケーリ ⸢フンケーリ トゥンケーリ [⸢ɸuŋkeːri tuŋkeːri] 連 ⸢踏み返り・飛び返り」の義。離別の際、別れを惜しんで、二歩進んで振り返り、三歩進んで振り返ってみるさま。非常に名残を惜しんで立ち去る様子。 グ⸢ソー⸣ヌ ⸣シトゥン タ⸢カーニ⸣ ス⸢コーリ⸣ シケーバ ⸢フンケーリ トゥンケーリ ソーラン⸣ ドーシ ⸢マン⸣カ ⸢ヤー カイ⸣ローリティ ⸢エン⸣ヌ ⸢ソー⸣ランナー マ⸢タ⸣ ン⸢カイラリ⸣ コーヨー シ⸢ラロー⸣リ⸢ヨー [gu⸢soː⸣nu ⸣ʃi̥tun tḁ⸢kaːni⸣ su̥⸢koːri⸣ ʃi̥keːba ⸢ɸuŋkeːri tuŋkeːri soːran⸣ doːʃi ⸢maŋ⸣ka ⸢jaː kai⸣roːriti ⸢jen⸣nu ⸢soː⸣rannaː ma⸢ta⸣ ʔŋ⸢kairari⸣ koːjoː ʃi⸢raroː⸣ri⸢joː] (後生への土産<苞>もたくさん用意してありますから、振り返り振り返りして名残惜しむことをなさらないで、真っ直ぐに家へお帰りになって、来年のお盆には、また迎えられなされて孝養をお受け<され>なされませよ) 15489 0 0 15311 htmvoc_15489.wav フンザスン ⸢フンザスン [⸢ɸunʣasuŋ] 他動 強く汲みだす。怒って水を汲みだす。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカー ⸢フンザスンティ スンドゥ タンガ⸣シェー ⸢フンザサラヌ [ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔakaː ⸢ɸunʣasunti sundu taŋga⸣ʃeː ⸢ɸunʣasaranu] (船の\ruby{淦}{アカ}を汲み出そうとするが、一人では汲み出せない)。 ⸢フンザシ⸣ シ⸢ティリ [⸢ɸunʣaʃi⸣ ʃi̥⸢tiri] (汲み出して捨てろ)。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸣アカー ⸢フンザス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔakaː ⸢ɸunʣasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (船の淦を汲み出す人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フンザシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸunʣaʃeː⸣ misamunu] (もっと汲み出せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢フンザシ [⸢paː⸣ku ⸢ɸunʣaʃi] (早く汲み出せ) 15490 0 0 15312 htmvoc_15490.wav フンサマルン ⸢フンサマルン [⸢ɸunsamaruŋ] 他動 ふん縛る。強く荒々しく縛る。接頭語⸢フン[⸢ɸuŋ](強く、荒々しく)が付いた形。 バ⸢ラフ⸣タタブロー バー ⸣ドゥーシ ⸢フンサマルンティ⸣ シケーバ ⸢ワーヤ フンサマラン⸣タンティン ⸣ミサン [ba⸢raɸu̥⸣tataburoː ⸣baːduːʃi ⸢ɸunsamarunti⸣ ʃi̥keːba ⸢waːja ɸunsamaran⸣tantim ⸣misaŋ] (藁束は私が自分でふん縛ろうと置いてあるから、君はふん縛らなくてもよい)。 ⸢フンサマリ⸣ ミサカー ⸢フンサマル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ɸunsamari⸣ misakaː ⸢ɸunsamaru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (ふん縛ってよければ、ふん縛ることはできる)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢フンサマレー⸣ ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢ɸumsamareː⸣ misamunu] (あんなものはふん縛ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢フンサマリ [⸢paː⸣ku⸢ɸunsamari] (早くふん縛れ)。 ⸢ヌシ⸣トゥル ⸢フンサマリティ サンギ⸣ クー [⸢nuʃi̥⸣turu ⸢ɸunsamariti saŋgi⸣ kuː] (泥棒をふん縛って引き連れて来い)。 ⸢フンサマルンティ ベー⸣ンドゥ ⸢バン⸣マー ⸢フンサマララヌ [⸢ɸunsamarunti beː⸣ndu ⸢bam⸣maː ⸢ɸunsamararanu] (ふん縛ろうとしているが、私には、ふん縛れない)。 ⸢パー⸣ク ⸢フンサマレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢ɸunsamareː⸣ misamunu] (早くふん縛ればいいのに)。 ムー⸢ル フンサマリ [muː⸢ru ɸunsamari] (みんなふん縛れ) 15491 0 0 15313 htmvoc_15491.wav フンザルン ⸢フンザルン [⸢ɸunʣaruŋ] 他動 踏み\ruby{潰}{ツブ}す。踏みつける。⸢フンツァルン[⸢ɸunʦaruŋ](踏み潰す)ともいう。 ⸣ウナー ⸣スクカー プ⸢スヌ フンザルンダ フンザラン⸣ トンナー ⸣シキバ [⸣ʔunaː ⸣su̥kukaː pu̥⸢sunu ɸunʣarunda ɸunʣaran⸣ tonnaː ⸣ʃi̥kiba] (そこに置くと他人が踏み潰すから、踏み潰さない所に置けよ)。 ⸢フンザラナ⸣ カー⸢ニ⸣シ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸢ɸunʣarana⸣ kaː⸢ni⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (あたかも<人を>踏みつけんばかりにして威張っている)。 ⸢フンザリ⸣ ミサカー ⸢フンザル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ɸunʣari⸣ misakaː ⸢ɸunʣaru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (踏み潰して良ければ踏み潰すことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フンザレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸunʣareː⸣ misamunu] (もっと踏み潰せば良いのに)。 ⸢フンザリ⸣バ [⸢ɸunʣari⸣ba] (踏み潰せよ) 15485 0 0 15314 htmvoc_15485.wav フンシ ⸢フン⸣シ [⸢ɸuŋ⸣ʃi] 名 風水。「風水」の漢語音の転訛したもの。山川、水流などの地勢や水勢を占い検討して屋敷や墓地を定める中国伝来の風水思想。 ク⸢ヌ ヤシ⸣ケー イッ⸢ケナ フンシ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤ ⸢ベー⸣ティ マ⸢リサカリヌ⸣ アンツォー [ku⸢nu jaʃi̥⸣keː ʔik⸢kena ɸuŋʃi⸣nu ⸢kai⸣ja ⸢beː⸣ti ma⸢risakarinu⸣ ʔanʦoː] (この屋敷は非常に風水が良い<美しい>ので子孫繁盛があるそうだよ)。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢フン⸣シ シ⸢ラビ⸣ルン [⸢jaː⸣nu ⸢ɸuŋ⸣ʃi ʃi⸢rabi⸣ruŋ] (家の風水を調べる)。 ⸢バン⸣テーヤ イッ⸢ケナ フンシ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤンツォー [⸢ban⸣teːja ʔik⸢kena ɸuŋʃi⸣nu ⸢kai⸣janʦoː] (私の家は非常に風水が良い<きれいだ>そうだ) 15493 0 0 15315 htmvoc_15493.wav フンシキ ⸢フンシキ [⸢ɸuŋʃi̥ki] 名 (海底地名)。⸢インタヌ ズンズン[⸢ʔintanu ʣunʣuŋ](西のズンズン)からナ⸢カウー⸣ル[na⸢kaʔuː⸣ru](中間の枝珊瑚地帯)まで。そこには小さな礁内湖があり、その周辺にス⸢ブル⸣イシ[su⸢buru⸣ʔiʃi](キクメサンゴ)やタ⸢カウー⸣ル[tḁ⸢kaʔuː⸣ru](枝サンゴ)が密生していて、⸣タク[⸣tḁku](蛸)貝類が漁獲できる 15487 0 0 15316 htmvoc_15487.wav フンシキルン ⸢フンシキルン [⸢ɸuŋʃi̥kiruŋ] 他動 踏みつける。踏んづける。足で強く踏む。⸢フンスクンとも言う。 ⸢ビー⸣ルカー ⸢ヨータビティ⸣ プ⸢スヌ⸣ パン ⸢フンシキルン⸣ダー [⸢biː⸣rukaː ⸢joːtabiti⸣ pu̥⸢sunu⸣ paŋ ɸuŋʃikirun⸣daː] (酔うとふらついて他人の足を踏みつけるぞ)。 ⸣バーヤ プ⸢スヌ⸣ パン ⸢フンシキラヌ [⸣baːja pu̥⸢sunu⸣ paŋ ⸢ɸuŋʃikiranu] (私は他人の足を踏みつけない)。 キサー⸢ティ フンシキ ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti ɸuŋʃi̥ki naː⸣nu] (既に踏みつけてしまった)。 ⸣パン ⸢フンシキル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣paŋ ⸢ɸuŋʃi̥kiru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (足を踏みつける人はいない)。 ⸢フンシキレー⸣ ミサムヌ [⸢ɸuŋʃi̥kireː⸣ misamunu] (踏みつければいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢フンシキリ [⸢paː⸣ku ⸢ɸuŋʃi̥kiri] (早く踏みつけろ<れ>) 15494 0 0 15317 htmvoc_15494.wav フンジル ⸢フン⸣ジル [⸢ɸun⸣ʤiru] 名 ふんじろ(焚字炉)。書き古した紙を集めて焼き捨てるために路傍の石垣に設けた石製の炉『石垣方言辞典』。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢フン⸣ジロー ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェンドゥ イ⸢サナキナー⸣ヤ ⸢アッ⸣タン⸢ダー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ɸun⸣ʤiroː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃendu ʔi⸢sanakinaː⸣ja ⸢ʔat⸣tan⸢daː] (鳩間島には焚字炉は見たことはなかった<見てみなかった>が、石垣島にはあったよ) 15495 0 0 15318 htmvoc_15495.wav フンシン ⸢フン⸣シン [⸢ɸuŋ⸣ʃiŋ] 名 本船。カツオ漁船。 カ⸢ツシンヌ フンシン⸣マー ⸣ザコー ⸣トゥリ イ⸢キ⸣マナ イ⸢リティ⸣ ウケー ン⸢ズ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃinnu ɸuŋʃim⸣maː ⸣ʣakoː ⸣turiti ʔi⸢ki⸣mana ʔi⸢riti⸣ ʔukeː ʔn⸢ʣu⸣ta] (カツオ船の本船はいきえ<生餌>の雑魚を取って生け間に入れて沖へ出た) 15496 0 0 15319 htmvoc_15496.wav フンスクル ⸢フンスクル [⸢ɸunsu̥kuru] 名 ふところ(懐)。歌謡語では⸢フスクル[⸢ɸusu̥kuru](懐)という。 ⸢フンスクル⸣ナー ⸢ジン⸣バ イ⸢リティ⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸢オー⸣ルンケンドゥ ヌ⸢スマ⸣レータティバン⸢ナー [⸢ɸunsu̥kuru⸣naː ⸢ʤim⸣ba ʔi⸢riti⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔoː⸣ruŋkendu nu⸢suma⸣reːtatiban⸢naː] (懐にお金を入れて歩いておられたときに盗まれたそうだ<盗まれたってわい>ねえ) 15497 0 0 15320 htmvoc_15497.wav フンスクルディー ⸢フンスクルディー [⸢ɸunsu̥kurudiː] 名 懐手。手を懐に入れること。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸢フンスクルディーバ スー⸣カ ⸢ミーヌッ⸣サン [ba⸢kaː⸣mununu ⸢ɸunsu̥kurudiːba suː⸣ka ⸢miːnus⸣saŋ] (若者が懐手をすると見苦しい) 15488 0 0 15321 htmvoc_15488.wav フンスクン ⸢フンスクン [⸢ɸunsu̥kuŋ] 他動 踏みつける。強く踏みつける。「Fumitçuke,ru.eta.フミツケ、クル、ケタ(踏み付け、くる、けた)足で踏みつける」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 パ⸢ヤーパヤー⸣シ ア⸢ラ⸣クカー プ⸢スヌ⸣ パン ⸢フンスクン⸠ダー [pa⸢jaːpajaː⸣ʃi ʔa⸢ra⸣kukaː pu̥⸢sunu⸣ paŋ ⸢ɸunsu̥Kun⸠daː] (急いで<早々と、足早に>歩くと他人の足を踏みつけるぞ)。 ⸣バー イッ⸢カ フンシゥカヌ [⸣baː ʔik⸢ka ɸunsï̥kanu] (私は決して<一向に>踏みつけない)。 プ⸢スヌ⸣ パン ⸢フンシキ ベー [pu̥⸢sunu⸣ paŋ ⸢ɸuŋʃi̥ki beː] (他人の足を踏みつけている)。 プ⸢スヌ⸣ パン ⸢フンスク⸣ プソー イ⸢ザリ⸣ゲラ [pu̥⸢sunu⸣ paŋ ⸢ɸunsu̥ku⸣ pu̥soː ʔi⸢ʣari⸣gera] (他人の足を踏みつける時は叱られるさ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フンシケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸuŋʃi̥keː⸣ misamunu] (もっと踏みつければいいのに)。 ⸢フンシキ [⸢ɸuŋʃi̥ki] (踏みつけろ) 15498 0 0 15322 htmvoc_15498.wav ブンダーッサン ⸢ブンダーッ⸣サン [⸢bundaːs⸣saŋ] 形 重々しい。いかめしい(厳しい)。ふくぶくしい(福福しい)。「分らしさ有り」の義。⸢ブンラーッ⸣サン[⸢bunraːs⸣saŋ](福福しい)ともいう。 ⸢パンタル⸣ター イッ⸢ケナ ブンダーッ⸣サンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ⸢ブンダーッサ ナー⸣ヌ [⸢pantaru⸣taː ʔik⸢kena bundaːs⸣santi su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ⸢bundaːssa naː⸣nu] (太ったので大変福福しくいかめしいと聞いたが、あまり福福しくない)。 ⸢ブンダーッ⸣サ ⸣ナリケーン [⸢bundaːs⸣sa ⸣narikeːŋ] (福福しくいかめしくなってきた)。 ⸢ブンダーッ⸣サ プ⸢ソー⸣ラ イ⸢ラ⸣ビバ [⸢bundaːs⸣sa pu̥⸢soː⸣ra ʔi⸢ra⸣biba] (福福しい人から選びなさいよ) 15499 0 0 15323 htmvoc_15499.wav ブンダーブンダー ブン⸢ダーブンダー [bun⸢daːbundaː] 副 福福しく。重々しく。 ⸣アブジェー ガ⸢クムン⸣ヌン ア⸢ロー⸣リ ⸢パン⸣タリティ ブン⸢ダーブンダー⸣シル ⸣ムニン イ⸢ゾー⸣ル [⸣ʔabuʤeː ga⸢kumun⸣nuŋ ʔa⸢roː⸣ri ⸢pan⸣tariti bun⸢daːbundaː⸣ʃiru ⸣munin ʔi⸢ʣoː⸣ru] (お祖父さんは学問もあられ、太っておられて重々しく話され<ものも言われ>る) 15500 0 0 15324 htmvoc_15500.wav フンダイ ⸢フンダイ [⸢ɸundai] 名 わがまま(我儘)。身勝手。勝手放題。駄駄を\ruby{捏}{コ}ねること。「Fŏdai.ハゥダイ(放題)しつけが悪くて物事をするのに下品なこと、または、礼儀正しくないこと、Fŏdai xigocuna mono.(放題至極な者)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。「ほんたい」『混効験集』。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢フンダイ⸣ シ⸢ミルナ⸣ヨー [ja⸢ra⸣beː ⸢ɸundai⸣ ʃi⸢miruna⸣joː] (子供は我儘にさせるなよ) 15503 0 0 15325 htmvoc_15503.wav フンダイムニ ⸢フンダイムニ [⸢ɸundaimuni] 名 \ruby{駄駄}{ダ|ダ}を\ruby{捏}{コ}ねる物言い。甘えてすねる(拗ねる)こと。ねだること。甘えん坊の物言い。 マ⸢タ フンダイムニバ⸣ イ⸢ジ ベー⸣バン⸢ナー [ma⸢ta ɸundaimuniba⸣ ʔi⸢ʤi beː⸣ban⸢naː] (また駄駄を捏ねておねだりする物言いをしているんだねえ) 15502 0 0 15326 htmvoc_15502.wav ブンダカーン ⸢ブンダカー⸣ン [⸢bundakaː⸣ŋ] 形 位、身分が高い。重々しい。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ ブンダカー⸣ンティ ス⸢クタヌ⸣ ミルカー ⸢ヨーガリティ ナン⸣ゾー ⸢ブンダカー ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena bundakaː⸣nti su̥⸢kutanu⸣ mirukaː ⸢joːgariti nan⸣ʣoː ⸢bundakaː naː⸣nu] (その人は非常に重々しいと聞いたが、見てみると\ruby{痩}{ヤ}せてあんまり重々しくない)。 ⸢ブンダカー⸣ ナルン [⸢bundakaː⸣ naruŋ] (重々しくなる)。 ⸢ブンダカー⸣ プ⸢ストー⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢シーグリ⸣サン [⸢bundakaː⸣ pu̥⸢sutoː⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢ʃiːguri⸣saŋ] (身分の高い、重々しい人とは話しずらい)。 ⸣アイニ ⸢ブンダカー⸣レーラー ⸢バン⸣ター ⸢フージェー⸣ パ⸢ナ⸣シン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢bundakaː⸣reːraː ⸢ban⸣taː ⸢ɸuːʤeː⸣ pa⸢na⸣ʃin na⸢ru⸣nu] (あんなに身分が高くて重々しかったら、私らごときは話も出来ない) 15505 0 0 15327 htmvoc_15505.wav フンタトゥン ⸢フンタトゥン [⸢ɸuntatuŋ] 自動 足を地面に踏みしめて立つ。踏ん張って立つ。地面を蹴って立ち上がる。さっと立ち上がる。「Fumitate,tçuru,eta.フミタテ、ツル、テタ(踏みたて、つる、てた)足を踏んばって身を支える」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ タ⸢ナマ⸣リカー シ⸢グ フンタティ⸣ パ⸢ルン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ ⸢フンタタヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ta⸢nama⸣rikaː ʃi⸢gu ɸuntati⸣ pa⸢run⸣du ⸢kjuː⸣ja ⸢ɸuntatanu] (この子は頼まれるとさっと立ち上がって行くが、今日はさっと立ち上がらない)。 ギ⸢チ⸣ サ⸢ランドー⸣シ ⸢フンタトゥ⸣ ッ⸢ふァヌル マイフナー⸣ ヤ⸢ル [gi⸢ʧi⸣ sa⸢randoː⸣ʃi ⸢ɸuntatu⸣ f⸢fanuru maiɸunaː⸣ ja⸢ru] (げじ<下知{EOS}指図>されなくてもさっと立ち上がる子が働き者<利口者>だ)。 イ⸢チンマー⸣ シ⸢グ フンタトゥン [ʔi⸢ʧimmaː⸣ ʃi⸢gu ɸuntatuŋ] (いつもはすぐさっと立ち上がる)。 タ⸢ナ⸣モールンダ ⸢フンタテー⸣ ミサムヌ [ta⸢na⸣moːrunda ⸢ɸutateː⸣ misamunu] (お頼みになるんだから、すぐさっと立ち上がればいいのに)。 ヤ⸢ラボー⸣ルカー ⸢フンタティ⸣バ [ja⸢raboː⸣rukaː ⸢ɸuntati⸣ba] (お呼びになったら、さっと立ち上がれよ) 15506 0 0 15328 htmvoc_15506.wav フンダミルン ⸢フンダミルン [⸢ɸundamiruŋ] 他動 つっぱる。足で強く踏みしめる。「踏み固める」の転訛したもの。 ⸣パンシ ⸣ジー ⸢フンダミルンティ スンドゥ フンダミララヌ [⸣paŋʃi ⸣ʤiː ⸢ɸundamirunti sundu ɸundamiraranu] (足で地面を踏みしめようとするが、踏みしめられない)。 ⸢フンダミティ⸣ タティ ⸢ベー [⸢ɸundamiti⸣ tati ⸢beː] (大地を踏みしめ<踏み固め>て立っている)。 ⸣クマー ⸢フンダミル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaː ⸢ɸundamiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (此処は踏みしめる<踏み固める>ことはできない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フンダミレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸundamireː⸣ misamunu] (もっと踏みしめ<踏み固め>ればいいのに)。 ⸢フンダミリ [⸢ɸundamiri] (踏みしめろ) 15501 0 0 15329 htmvoc_15501.wav フンダヤー ⸢フンダヤー [⸢ɸundajaː] 名 \ruby{我儘}{ワガ|ママ}もの。我儘な子供。\ruby{気儘}{キ|ママ}勝手な子。勝手放題な子。泣き虫。だだっこ(駄駄っ児)。甘えん坊。 ⸢ウンザー フンダヤー⸣ ナリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ イッ⸢カ⸣ シゥ⸢カヌ [⸢ʔunʣaː ɸundajaː⸣ nariti pu̥⸢sunu⸣ muni ʔik⸢ka⸣ sï̥⸢kanu] (こいつは我儘勝手な子になってしまって人の注意<言うこと>を一向に聞かない) 15512 0 0 15330 htmvoc_15512.wav フンチョーシ ⸢フンチョー⸣シ [⸢ɸunʧoː⸣ʃi] 名 本調子。正調。三線の調弦法の一つ。三線楽譜の工工四に従った正規の奏法。 パ⸢トゥ⸣マナカムリバ ⸢フンチョー⸣シシ ピ⸢キ⸠ミー [pḁ⸢tu⸣manakamuriba ⸢ɸunʧoː⸣ʃiʃi pi̥⸢ki⸠miː] (鳩間節<鳩間中岡>を本調子で弾いてごらんよ) 15507 0 0 15331 htmvoc_15507.wav フンツァ ⸢フン⸣ツァ [⸢ɸun⸣ʦa] 名 床。板敷き。縁側。「踏み板」の義。「Fumiita.フミイタ(踏板)\ruby{厩}{ウマヤ}の板敷きであって、その上に馬が居る所」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 イ⸢ツァフン⸣ツァ [ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦa] (板敷き{EOS}板の間)。 タ⸢キフンツァ [tḁ⸢kiɸunʦa] (竹床{EOS}根太の上に竹を編んでフロアリングしたもの)。 ⸢トゥーシェー⸣ フ⸢クンイツァ⸣シル ⸢フン⸣ツァ パ⸢ローッタ⸣ル [⸢tuːʃeː⸣ ɸu̥⸢kuŋʔiʦa⸣ʃiru ⸢ɸun⸣ʦaː pa⸢roːtta⸣ru] (縁側は福木の板で床を張られたものだ) 15508 0 0 15332 htmvoc_15508.wav フンツァースン ⸢フンツァースン [⸢ɸunʦaːsuŋ] 他動 踏み散らす。散々に踏みつける。作物を踏み\ruby{潰}{ツブ}す。「Fumichiraxi,su,aita.フミチラシ、ス、イタ(踏み散らし、す、いた)足で踏んで散らばらせる」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー パ⸢タ⸣キ ⸢フンツァースンダ フンツァーサン⸣ヨーニ ⸣アザナー ア⸢サバシ [ja⸢ra⸣beː pḁ⸢ta⸣ki ⸢ɸunʦaːsunda ɸunʦaːsaɲ⸣ joːni ⸣ʔaʣanaː ʔa⸢sabaʃi] (子供は畑を踏み散らすから、踏み散らさないように畦で遊ばせなさい)。 キサー⸢ティ フンツァーシ ナー⸣ヌ [kisaː⸢ti ɸunʦaːʃi naː⸣nu] (もう既に踏み散らしてしまった)。 ⸢フンツァース⸣ トンマー ⸢マー⸣ビン ⸢フンツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸢ɸunʦaːsu⸣ tommaː ⸢maː⸣biŋ ⸢ɸunʦaːʃeː⸣ misamunu] (踏み散らす所はもっと踏み散らせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢フンツァーシ [⸢paː⸣ku ⸢ɸunʦaːʃi] (早く踏み散らせ) 15509 0 0 15333 htmvoc_15509.wav フンツァケンツァ ⸢フンツァケン⸣ツァ [⸢ɸunʦaken⸣ʦa] 名 ひどい扱い。踏んだり蹴ったり。ABCDBC型の重言。 ム⸢カ⸣シェー ユ⸢ミバ フンツァケン⸣ツァ ⸢ソー⸣ル シ⸢トゥウヤン オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ju⸢miba ɸunʦaken⸣ʦa ⸢soː⸣ru ʃi̥⸢tuʔujaŋ ʔoːt⸣tanʦoː] (昔は嫁を\ruby{酷}{ヒド}く扱われる<踏んだり蹴ったりの扱いをされる>姑もおられたそうだ) 15510 0 0 15334 htmvoc_15510.wav フンツァヌミー ⸢フンツァヌ⸣ミー [⸢ɸunʦanu⸣miː] 名 床下。「踏み板の穴」の義。若年層は、⸢フンツァ⸣メー[⸢ɸunʦa⸣meː](床下)とも言う。 ム⸢カ⸣シェー ⸢フンツァヌ⸣ミーナール カ⸢ブッチン⸣ シ⸢ブルン⸣ タ⸢ブイヨーッタ⸣ヌ⸢ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ɸunʦanu⸣miːnaːru ka⸢butʧiŋ⸣ ʃi⸢burun⸣ ta⸢buijoːtta⸣nu⸢naː] (昔は床下の穴蔵でカボチャ(南瓜)もトウガン(冬瓜)も\ruby{貯蔵}{チョ|ゾウ}されたのだがなあ) 15511 0 0 15335 htmvoc_15511.wav フンツァメー ⸢フンツァ⸣メー [⸢ɸunʦa⸣meː] 名 床下。若年層のことば。「床下の穴」の義。普通は、ユ⸢クンツァ⸣メー[ju⸢kunʦa⸣meː](床下{EOS}床下の穴)という。 ⸢フンツァ⸣メーナ トゥ⸢ルヌ コー⸣マ ⸣ナシシケー [⸢ɸunʦa⸣meːna tu⸢runu koː⸣ma ⸣naʃi ⸣ʃi̥keː] (床下に鶏が卵を産んである)。 ⸢フンツァ⸣メー ⸢ペー⸣ルン [⸢ɸunʦa⸣meː ⸢peː⸣ruŋ] (床下に入る) 15504 0 0 15336 htmvoc_15504.wav ブンッサーラ ⸣ブン ッ⸢サーラ [⸣bun s⸢saːra] 連 目下の人。身分が下の者。部下。⸣ブン ⸢ウイ[⸣buŋ ⸢ʔui](目上の人{EOS}身分が上の人{EOS}上司)の対義語表現。 ⸣ブン ⸢ウイヌ⸣ プ⸢スン⸣ケーラー シゥ⸢カイトゥ⸣ ム⸢ヌ⸣ナライ ⸢シー⸣ ダー [⸣buŋ ⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢suŋ⸣keːraː sï̥⸢kaitu⸣ mu⸢nu⸣narai ⸢ʃiː⸣daː] (目上の<身分が上の{EOS}上司>方々からは、しっかり教えていただき<もの習いをし>なさいよ) 15514 0 0 15337 htmvoc_15514.wav フンティー ⸢フン⸣ティー [⸢ɸun⸣tiː] 名 ほんて(本手)。本式。基本。伝統踊や棒術の正式の型。 パ⸢トゥ⸣マナカムリヌ ブ⸢ドロー ベー⸣ヌ ⸣アンマトゥ パ⸢ナシケヌ⸣ イガンマートゥ フ⸢タールヌ⸣ バ⸢カーン⸣ ケンナー ⸢ソーッ⸣タ ⸢ティー⸣ル ⸢フン⸣ティーティ ス⸢クタン⸣ダー [pḁ⸢tu⸣manakamurinu bu⸢duroː beː⸣nu ⸣ʔammatu pa⸢naʃi̥kenu⸣ ʔigammaːtu ɸu̥⸢taːrunu⸣ ba⸢kaːŋ⸣kennaː ⸢soːt⸣ta ⸢tiː⸣ru ⸢ɸun⸣tiːti su̥⸢kutan⸣daː] (鳩間\ruby{中岡}{ナカ|モリ}本節の踊りの型は、我が家のお母さんと花城家のイガお母さんの二人が若い頃に踊られた<なさった>手型が伝統的な正式の型<本手>だと聞いたことがあるよ) 15515 0 0 15338 htmvoc_15515.wav フントー ⸢フン⸣トー [⸢ɸun⸣toː] 名 本当。真。真実。老年層は、⸢ソーフン⸣トー[⸢soːɸun⸣toː](真実{EOS}正本当)という。 ⸢ワー フントー⸣ヌ ⸣ウヤー ⸢ター⸣ヤ [⸢waː ɸuntoː⸣nu ⸣ʔujaː ⸢taː⸣ja] (君の本当の親は誰か)。 ⸢フントー⸣ヌ ⸣クトゥ ア⸢ジバル⸣ マ⸢シ⸠ダー [⸢ɸuntoː⸣nu ⸣ku̥tu ʔa⸢ʤibaru⸣ ma⸢ʃi⸠daː] (本当のことを言った方がいいよ)。 ⸢フン⸣トー ⸢シーシェーン [⸢ɸun⸣toː ⸢ʃiːʃeːŋ] (本当に出来るか) 15516 0 0 15339 htmvoc_15516.wav フントースン ⸢フントースン [⸢ɸuntoːsuŋ] 他動 踏みしめる。踏み固める。踏み付ける。「踏み倒す」の義。「フン-」は意味を強める接頭語。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ア⸢ツァ⸣マリティ パ⸢タ⸣キ ⸢フントーシ ベー [ja⸢rabi⸣nu ʔa⸢ʦa⸣mariti pḁ⸢ta⸣ki ⸢ɸuntoːʃi beː] (子供が集まって畑を踏み固めている)。 パ⸢タ⸣キ ⸢フントーサンドー⸣シ ⸣アザーラ ア⸢ラ⸣キ [pḁ⸢ta⸣kai ⸢ɸuntoːsandoː⸣ʃi ⸣ʔaʣaːra ʔa⸢ra⸣ki] (畑を踏み固めないで畦から歩け)。 パ⸢タキ⸣ヌ ス⸢クリ⸣ムヌ ⸢フントース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [pḁ⸢taki⸣nu su̥⸢kuri⸣munu ⸢ɸuntoːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (畑の作物を踏みつける人はいない)。 イ⸢シジ⸣ ビ⸢スン⸣ トンマー ⸢マー⸣ビン ⸢シッ⸣キ ⸢フントーシェー⸣ ミサムヌ [ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢sun⸣ tommaː ⸢maː⸣biŋ ⸢ʃik⸣ki⸢ɸuntoːʃeː⸣ misamunu] (礎石を据える所はもっと突き固め、踏み固めればいいのに)。 ⸢フントーシ⸣バ [⸢ɸuntoːʃi⸣ba] (踏み固め、突き固めよ) 15517 0 0 15340 htmvoc_15517.wav フントールン ⸢フントールン [⸢ɸuntoːruŋ] 他動 ぶったくる(打っ手繰る)。ふんだくる。強くたぐりよせる。「フン-」は意味を強める接頭語。 サ⸢バナーバ フントー⸣ルンティ ⸢スンドゥ バン⸣マー ⸢フントーララヌ [sa⸢banaːba ɸuntoː⸣runti ⸢sundu ⸢bam⸣maː ⸢ɸuntoːraranu] (鱶の\ruby{延縄}{ハエ|ナワ}をぶった\ruby{繰}{ク}ろうとするが、私にはぶった繰られない)。 サ⸢バナー フントーリ⸣ ミリバ [sa⸢banaːba ɸuntoːri⸣ miriba] (鱶の延縄をぶった繰ってみなさい)。 ⸢グッふァ⸣ヌ ⸢フントール⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢guffa⸣nu ⸢ɸuntoːru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (重くてぶった繰るくとは出来ない)。 ⸢フントーレー⸣ ミサムヌ [⸢ɸuntoːreː⸣ misamunu] (ぶった繰ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢フントーリ [⸢paː⸣ku ⸢ɸuntoːri] (早くぶった繰れ) 15513 0 0 15341 htmvoc_15513.wav フンドゥ ⸢フン⸣ドゥ [⸢ɸun⸣du] 名 ちきりじめ(滕締め)。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ{EOS}「板舟」)の板の接合部を引き締めるためにうめ(填め)込むもの。幅約3、5センチ、長さ約6センチ、厚さ約1、5センチのイヌマキ(犬槙)で作った\ruby{滕締}{チキリ|ジメ}。両端が広く、中がくびれて狭い。このフンドゥと竹釘だけで舟板の接合部分は強化され、分離しにくいようになっている。 ⸣イダフネー イ⸢ツァ⸣ヌ ⸢アーシ⸣ミーナ ⸢フン⸣ドゥ イ⸢リティ⸣ タ⸢キフン⸣ ウ⸢トーッ⸣タ [⸣ʔidaɸuneː ʔi⸢ʦa⸣nu ⸢ʔaːʃi⸣miːna ⸢ɸun⸣du ʔi⸢riti⸣ tḁ⸢kiɸuŋ⸣ ʔu⸢toːt⸣ta] (板船<サバニ>は、板の合わせ目<接ぎ目>に滕締めを入れて、\ruby{竹釘}{タケ|クギ}を打たれた) 15518 0 0 15342 htmvoc_15518.wav フンドゥミ ⸢フンドゥミ [⸢ɸundumi] 名 釘付け。釘締め。「くぎどめ(釘止)」の義。 パ⸢クヌ⸣ フ⸢ター⸣ ヤ⸢シーヤシー⸣ ア⸢キララン⸣ ヨーニ ⸢フンドゥミ⸣ シ⸢ラリ ベー [pḁ⸢kunu⸣ ɸu̥⸢taː⸣ ja⸢ʃiːjaʃiː⸣ ʔa⸢kiraraɲ⸣ joːni ⸢ɸundumi⸣ ʃi⸢rari beː] (箱の蓋は簡単に開けられないように釘付けにされている) 15519 0 0 15343 htmvoc_15519.wav フンナーマ フン⸢ナー⸣マ [ɸun⸢naː⸣ma] 名 小さな釘。「小釘」の義。⸢⸢-ナー⸣マ[⸢-naː⸣ma]は指小辞の形態素-マ[-ma](小さいもの{EOS}小)の異形態。語尾が[n]で終わる語に続く時は[⸢-naː⸣ma]、語尾が二重母音構造の、前舌狭母音[i]で終わる語に続く時は⸢-ヤー⸣マ[⸢-jaː⸣ma](ミー⸢ヤー⸣マ{SqBr}miː⸢jaː⸣ma{/SqBr}<小さな目>)、ガイ⸢ヤー⸣マ[gai⸢jaː⸣ma](小匙)となり、語尾が二重母音構造の、後舌狭母音[u]で終わる語に続く時は⸢ワー⸣マ[⸢waː⸣ma](バウ⸢ワー⸣マ{SqBr}bau⸢waː⸣ma{/SqBr}<小さな棒>、サウ⸢ワー⸣マ{SqBr}sauwaːma{/SqBr}<小さな竿>)となる。語尾がCV構造の[i]で終わる時は、フ⸢ネー⸣マ[ɸu⸢neː⸣ma](小舟)、語尾がCV構造の[u]で終わる時は、パ⸢コー⸣マ[pḁ⸢koː⸣ma](小箱)、語尾がCV構造の[a]で終わる時は、シ⸢マー⸣マ[ʃi⸢maː⸣ma](小島)と形態変化を起こす。 フン⸢ナー⸣マシ ⸣ウティバ [ɸun⸢naː⸣maʃi ⸣ʔutiba] (小さい釘で打てよ) 15520 1 0 15344 htmvoc_15520.wav フンナクン ⸢フンナクン [⸢ɸunnakuŋ] 他動 {PoS_1}船を沈める。沈没させる。水中にぶち込む。 ユ⸢ニヌ インタヌ トゥー⸣ナー ⸣ユー ⸣フニ ⸢フンナクン⸠ダー [ju⸢ninu ʔintanu tuː⸣naː ⸣juː ⸣ɸuni ⸢ɸunnakun⸠daː] (ユニ<鳩離島の西にある枝珊瑚の砂利で出来た島>の西側の深海では、よくサバニを沈没させるよ)。 ⸢フンナカン⸣ヨーニ ウ⸢キ⸣ヤー ⸣サイバ [⸢ɸunnakaɲ⸣ joːni ʔu⸢ki⸣jaː ⸣saiba] (沈没しないように舷側に孟宗竹のフロートを吊るし<下げ>なさいよ)。 ウ⸢キ⸣ヤー ⸢サイ⸣ルカー ⸢フンナカヌ [ʔu⸢ki⸣jaː ⸢sai⸣rukaː ⸢ɸunnakanu] (孟宗竹のフロートを吊るしたら沈没しない)。 ⸣イダフニ ⸢フンナク⸣ ピンヌン ⸢アッ⸣タン [⸣ʔidaɸuni ⸢ɸunnaku⸣ pinnuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (板船<サバニ>を沈没させる時もあった)。 ⸣フニ ⸢フンナケー⸣ ミサムヌ [⸣ɸuni ⸢ɸunnakeː⸣ misamunu] (舟を沈没させればいいのに)。 ⸣フニ ⸢フンナキ⸣バ [⸣ɸuni ⸢ɸunnaki⸣ba] (舟を沈没させなさい)。 15520 2 0 15345 htmvoc_15520.wav フンナクン ⸢フンナクン [⸢ɸunnakuŋ] 自動 {PoS_2}舟が沈む。沈没する。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸢フンナクン [ɸu⸢ni⸣nu ⸢ɸu⸢nnakuŋ] (舟が沈没する)。 ⸣フネー ⸢フンナカヌ [⸣ɸuneː ⸢ɸunnakanu] (舟は沈没しない)。 ⸣フネー ⸢フンナキ ナー⸣ヌ [⸣ɸuneː ⸢ɸunnaki naː⸣nu] (船は沈没していまった)。 ⸣マチフニル ⸢フンナク⸣ イダフネー ⸢フンナカヌ [⸣maʧihuniru ⸢ɸunnaku⸣ ʔidaɸuneː ⸢ɸunnakanu] (松の刳り舟が<ぞ>沈没する、板舟<イダフニ>は沈没しない)。 ⸢フンナケー⸣ ミサムヌ [⸢ɸunnakeː⸣ misamunu] (沈没すればいいのに)。 ⸢フンナキ⸣バヒャー [⸢ɸunnaki⸣baçaː] (<忠告を聞かずに舟を出したりして>沈没しろよ、くそったれめ) 15521 0 0 15346 htmvoc_15521.wav ブンナブンナ ⸢ブン⸣ナブンナ [⸢bun⸣nabunna] 名 めいめい(銘銘)。各自。それぞれ。「居りな居りな」の義か。 ⸢ナー ブン⸣ナブンナ ⸢ドゥー⸣ヌ パ⸢タキ⸣ヌ ⸢ティーリバ⸣ル ⸢シー ブー [⸢naː bun⸣nabunna ⸢duː⸣nu pḁ⸢taki⸣nu ⸢tiːriba⸣ru ⸢ʃiː buː] (もう各自<銘銘{EOS}居る者それぞれ>自分の畑の手入れをしている) 15522 0 0 15347 htmvoc_15522.wav フンニン ⸢フン⸣ニン [⸢ɸun⸣niŋ] 名 本人。 ⸢フンニン⸣ヌ ⸣ミサンティ ア⸢ズ⸣カー ミ⸢サ⸣ルミー ビ⸢チ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ヌーティクイティ ア⸢ズ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ɸunnin⸣nu ⸣misanti ʔa⸢ʣu⸣kaː mi⸢sa⸣rumiː bi⸢ʧi⸣nu pu̥⸢sunu⸣ nuːkuiti ʔa⸢ʣu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (本人が良いというのなら、それで良いではないか{EOS}他人<別の人>がつべこべ<どうのこうの>と言うことはいけない) 15523 0 0 15348 htmvoc_15523.wav フンバカウン ⸢フンバカウン [⸢ɸumbakauŋ] 他動 強引に奪い取る。強奪する。ぶん取る。ふんだくる。⸢フン-[⸢ɸum-]は強意の接頭語。 ヤ⸢ラ⸣ビン サ⸢キナー⸣トー ヌ⸢マ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢フンバカイ⸣ シ⸢ティリ [ja⸢ra⸣bin sḁ⸢kinaː⸣toː nu⸢ma⸣ʃeː na⸢ra⸣nu ⸢ɸumbakai⸣ ʃi̥⸢tiri] (子供に酒などを飲ませてはならない{EOS}ぶん取って捨てなさい)。 ⸣ザイサン  ⸢フンバカウンティ スンドゥ バン⸣マー ⸢フンバカーラヌ [⸣ʣaisaŋ ⸢ɸumbakaunti sundu bam⸣maː ⸢ɸumbakaːranu] (財産をぶん取ろうとするが、私にはぶん取られない)。 ⸢フンバカイヤー⸣ ミサムヌバ ⸢フンバカウ⸣ クトウン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ɸumbakaijaː⸣ misamunuba ⸢ɸumbakau⸣ ku̥tun na⸢ra⸣nu] (ぶん取ればいいものを、ぶん取ることもできない)。 シ⸢グ フンバカイ⸣バ [ʃi⸢gu ɸumbakai⸣ba] (直ちに<すぐ>ぶん取れよ) 15524 0 0 15349 htmvoc_15524.wav ブンパジリムヌ ⸣ブンパジリムヌ [⸣bumpaʤirimunu] 名 恩知らず。「恩義の義理から外れた者」の義。 ヨー⸢ヨー⸣ ブンパジリムヌティ ア⸢ザラン⸣ヨーニル ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク⸢ダー [joː⸢joː⸣ bumpaʤirimunuti ʔa⸢ʣaraɲ⸣joːniru ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku⸢daː] (よくよく気を付けて、恩知らずと言われないようにして生きていくんだ<あるくんだ>よ) 15525 0 0 15350 htmvoc_15525.wav フンパルン ⸢フンパルン [⸢ɸumparuŋ] 自動 踏ん張る。両足に力をこめて踏みこたえる。 ⸣マター パ⸢タッカリ⸣ シゥ⸢カラ⸣ ⸣ンジ ⸢フンパルンティ スンドゥ フンパララヌ [⸣mataː pḁ⸢takkari⸣ sï̥⸢kara⸣ ʔnʤi ⸢ɸumparunti sundu ɸumpararanu] (股を開き、力を出して踏ん張ろうとするが、踏ん張られない)。 ⸢フンパリ ベー⸣リ [⸢ɸumpari beː⸣ri] (踏ん張って居れ)。 ⸢フンパル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ɸumparu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (踏ん張る人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フンパレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸumpareː⸣ misamunu] (もっと踏ん張ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢フンパリ [⸢paː⸣ku ⸢ɸumpari] (早く踏ん張れ) 15526 0 0 15351 htmvoc_15526.wav フンパンツァスン ⸢フンパンツァスン [⸢ɸumpanʦasuŋ] 他動 踏み外す。 ⸢キーヌ⸣ ユダ ⸢フンパンツァシ⸣ ウティ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kiːnu⸣ juda ⸢ɸumpanʦaʃi⸣ ʔuti ⸢naː⸣nu] (木の枝を踏み外して落ちてしまった)。 ア⸢バティティ⸣ ア⸢ラ⸣クカ ⸢キー⸣パシ ⸢フンパンツァスンダ フンパンツァサン⸣ヨーニ ⸢ヨーンナー⸣ ア⸢ラ⸣キバ [ʔa⸢batiti⸣ ʔa⸢ra⸣kukaː ⸢kiː⸣pḁʃi ⸢ɸumpanʦasunda ɸumpanʦasaɲ⸣joːni ⸢joːnnaː⸣ ʔa⸢ra⸣kiba] (急いで歩くと木の橋<丸木橋>を踏み外すから、踏み外さないようにゆっくり歩けよ)。 ⸢フンパンツァス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌヌ フンパンツァシェー⸣ ミサムヌ [⸢ɸumpanʦasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnunu ɸumpanʦaʃeː⸣ misamunu] (踏み外す人はいないが、踏み外せばいいのに)。 パ⸢ナン⸣ギ ⸢シー ベー⸣ティ ⸣パン ⸢フンパンツァシ⸣バ⸢ヨー [pa⸢naŋ⸣gi ⸢ʃiː beː⸣ti ⸣paŋ ⸢ɸumpanʦaʃi⸣ba⸢joː] (悪戯をしていて、いまに足を踏み外すぞ<足を踏み外せよねえ>) 15527 0 0 15352 htmvoc_15527.wav フンピグン ⸢フンピグン [⸢ɸumpiguŋ] 他動 ひきへぐ(引き\ruby{剥}{ハ}ぐ)。ひっぺぐ(引っ剥ぐ)。包丁などで薄く\ruby{削}{ケズ}り取る。 ガ⸢シ⸣タク ⸢フンピグンティ スンドゥ フンピガラヌ [ga⸢ʃi⸣tḁku ⸢ɸumpigunti sundu ɸumpigaranu] (\ruby{燻製}{クン|セイ}の\ruby{蛸}{タコ}を引き剥ごうとするが、引っ剥がされない)。 ピ⸢シーピシー⸣シ ⸢フンピギ⸣ ミサカー ⸢フンピグ⸣ クトー ⸣ナルン [pi̥⸢ʃiːpiʃiː⸣ʃi ⸢ɸumpigi⸣ misakaː ⸢ɸumpigu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (薄く引っ\ruby{剥}{パ}がしてよければ、引っ剥がすことはできる)。 ⸢フンピゲー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ɸumpigeː⸣ na⸢ra⸣nu] (引っ剥がしてはならない)。 ⸢フンピギ⸣バ [⸢ɸumpigi⸣ba] (引っ剥がせ<引っ剥げよ>) 15528 0 0 15353 htmvoc_15528.wav フンビダーカスン ⸢フンビダーカスン [⸢ɸumbidaːkasuŋ] 他動 踏み潰す。ぺしゃんこにする。「踏んで平らにする」の義。⸢フン[⸢ɸuŋ-](強く<踏み>~)は強意の接頭語。 ⸣ガンガンパク ⸢フンビダーカスンティ スンドゥ フンビダーアカサラヌ [⸣gaŋgampaku ɸumbidaːkasunti sundu ɸumbidaːkasaranu] (ブリキ箱を踏み潰そうとするが、踏み潰されない)。 ⸢フンビダーカシ ナー⸣ヌ [⸢ɸumbidaːkaʃi naː⸣nu] (ぺしゃんこにしてしまった)。 ⸢フンビダーカス⸣ ムノー ムー⸢ル フンビダーカシェー⸣ ミサムヌ [⸢ɸumbidaːkasu⸣ munoː muː⸢ru ɸumbidaːkaʃeː⸣ misamunu] (踏み潰すものは全部踏み潰せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢フンビダーカシ [⸢paː⸣ku ⸢ɸumbidaːkaʃi] (早く踏み潰せ) 15529 0 0 15354 htmvoc_15529.wav フンビチ ⸢フンビ⸣チ [⸢ɸumbi⸣ʧi] 名 分別。標準語からの借用語。普通は⸢ジン⸣ブン[⸢ʤim⸣buŋ](存分{EOS}考え{EOS}存念{EOS}思慮分別{EOS}「Zonnen.ゾンネン(存念)思うこと」『邦訳日葡辞書』)という。 ク⸢ヌ⸣ トゥシ ⸣ナルカー プ⸢ソー フンビチ⸣ヌ ア⸢リバ⸣ル ナル⸢ダー [ku⸢nu⸣ tu̥ʃi ⸣narukaː pu̥⸢soː ɸumbiʧi⸣nu ʔa⸢riba⸣ru naru⸢daː] (この年になると、人は分別があって然るべきだぞ<分別があればぞなるのだ>) 15530 0 0 15355 htmvoc_15530.wav ブンピトゥ ⸢ブンピトゥ [⸢bumpitu] 名 大きなイルカ(海豚)。⸣アヤ[⸣ʔaja](紋{EOS}筋{EOS}縞模様)のあるイルカは舟に寄ってきて離れないことがある。 パ⸢ナシケーヌ アー⸣ニヤートゥ マー⸢ズン⸣ イ⸢ガメー ゲータ⸣ヌ ウ⸢ヌ⸣ ピン ピ⸢トゥ⸣ヌ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢マール⸣ナ ブ⸢リブタンドゥ⸣ ウ⸢ヌ⸣ ナ⸢カヌ⸣ プ⸢スッ⸣カラー イ⸢ガメー⸣ランプバ ⸣シキシケール トゥ⸢ム⸣ヌ ⸣トン ン⸢カイ クー⸣ター ウ⸢ダラ⸣キティ ⸢ピーヌールン⸣トン ブ⸢ダッカリ⸣ キー ⸣ガタガタシ ⸢フッツォーリティ ウン⸣ヌ ⸢カン⸣マー ス⸢バー オー⸣リ タ⸢ボー⸣リティ フ⸢チカザル ソーッター⸣ル ⸢ブンピトー⸣ ス⸢バー パッ⸣タ⸢ダー アー⸣ニヤー ウ⸢ダラ⸣キティ ⸢アン⸣カー ⸢アイシミティ ダイ⸣ケーヌ ⸢アーヤー⸣トゥ ⸢メー⸣ケヌ ⸢アー⸣ヤー フ⸢ニ⸣ヌ ⸣スバー ⸢ギール⸣ イ⸢ガー ホーシ⸣タ⸢ダー [pa⸢naʃi̥keːnu ʔaː⸣nijaːtu maː⸢ʣuŋ⸣ ʔi⸢gameː geːta⸣nu ʔu⸢nu⸣ pim pi̥⸢tu⸣nu ɸu⸢ni⸣nu ⸢maːru⸣naː bu⸢ributandu⸣ ʔu⸢nu⸣ na⸢kanu⸣ pu̥⸢suk⸣karaː ʔi⸢gameː⸣rampuba ⸣ʃi̥kiʃi̥keːru tu⸢mu⸣nu ⸣toŋ ŋ⸢kai kuː⸣taː ʔu⸢dara⸣kiti ⸢piːnuːrun⸣tom bu⸢dakkari⸣ kiː ⸣gatagataʃi ⸢ɸutʦoːriti ʔun⸣nu ⸢kam⸣ma su⸢baː ʔoː⸣ri ta⸢boː⸣riti ɸu̥⸢ʧikaʣaru soːtta⸣ru ⸢bumpitoː⸣ su⸢baː pat⸣ta⸢daː ʔaː⸣nijaː ʔu⸢dara⸣kiti ⸢ʔaŋ⸣kaː ⸢ʔaiʃimiti dai⸣keːnu ⸢ʔaːja⸣tu ⸢meː⸣keːnu ⸢ʔaː⸣ja ɸu⸢ni⸣nu ⸣subaː ⸢giːru⸣ ʔi⸢gaː hoːʃi⸣ta⸢daː] (花城家のアーニヤーさんと一緒にイカ釣り漁に行ったが、その時にイルカが舟の周りに群れていたが、その中の一頭がイカ釣りランプを灯してある\ruby{艫}{トモ}の方へ向かってきたので、驚いて\ruby{舳先}{ヘ|サキ}の方へ飛び込んできて、ガタガタ震えて「海の神様は余所<側>へ行って下さい」と呪文を唱えたので、イルカは余所へ行ったよ{EOS}アーニヤーさんは驚いて錨を揚げさせ、大工家のお父さんと大城家のお父さんの舟の側へ行ってイカを釣ったのだよ<加治工伊佐氏談>) 15531 0 0 15356 htmvoc_15531.wav フンピルン ⸢フンピルン [⸢ɸumpiruŋ] 他動 踏み\ruby{潰}{ツブ}す。 シ⸢ダミ⸣バ ⸣パンシ ⸢フンピルンティ スンドゥ バン⸣マー ⸢フンピララヌ [ʃi⸢dami⸣ba ⸣paŋʃi ⸢ɸumpirunti sundu bam⸣maː ⸢ɸumpiraranu] (\ruby{SqBr}g{/SqBr}{蝸牛}{カタツムリ}を足で踏み潰そうとするが、私には踏み潰されない)。 ⸢フンピリ⸣ ミサカー ⸢フンピル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ɸumpiri⸣ misakaː ⸢ɸumpiru⸣ ku̥toː naruŋ] (踏み潰してよければ踏み潰すことはできる)。 ウ⸢レー フンピレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢reː ɸumpireː⸣ misamunu] (それは踏み潰せばいいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢フンピリ⸣バ [⸣duːʃi ⸢ɸumpiri⸣ba] (自分で踏み潰せよ) 15532 0 0 15357 htmvoc_15532.wav フンプー ⸢フン⸣プー [⸢ɸum⸣puː] 名 ほんぽ(本帆)。舟の中央の帆柱に張る大きな帆。 ⸢プーシンヌ マンナカヌ⸣ パラーナ ピ⸢ク⸣ ウ⸢ブプーバ⸣ル ⸢フン⸣プーティ ア⸢ズ⸠ダー [⸢puːʃinnu mannakanu⸣ paraːna pi̥⸢ku⸣ ʔu⸢bupuːba⸣ru ɸum⸣puːti ʔa⸢ʣu⸠daː] (帆船の真中の帆柱に張る<引く>大きな帆を本帆と言うのだよ) 15533 0 0 15358 htmvoc_15533.wav フンブン ⸢フン⸣ブン [⸢ɸum⸣buŋ] 名 本職。本務。職分(ス⸢クブン{SqBr}su̥⸢kubuŋ{/SqBr})。その人の守るべき本来の分限。標準語からの借用語。 ブ⸢ザ⸣ヌ ⸢フンブン⸣マー ⸢タースク⸣ルティル ナ⸢ラー⸣ソーッタ [bu⸢ʣa⸣nu ⸢ɸumbum⸣maː ⸢taːsu̥ku⸣rutiru na⸢raː⸣soːtta] (百姓の本分は稲作<田作り>だと教えられた) 15534 0 0 15359 htmvoc_15534.wav フンマギルン ⸢フンマギルン [⸢ɸummagiruŋ] 他動 ひん曲げる。力強く曲げる。「踏み曲げる」の転訛したもの。 ⸢フンマギルンティ スンドゥ フンマギララヌ [⸢ɸummagirunti sundu ɸummagiraranu] (ひん曲げようとするが、ひん曲げられない) 15535 0 0 15360 htmvoc_15535.wav フンマラクン ⸢フンマラクン [⸢ɸummarakuŋ] 他動 強くまろぐ(丸ぐ{EOS}円ぐ)。稲束30束をひとまとめにして強く縛る。丸くひっくくる。⸢フン-[⸢ɸuŋ-]は強意の接頭語。マ⸢ラクン[ma⸢rakuŋ]は、「Marome,uru.マロメ、ムル(丸め、むる)」『邦訳日葡辞書』、「是れを丸げて~」『宇治拾遺物語二』の転訛したもの。 バ⸢ラフ⸣タタバル ⸢フンマラクンティ スンドゥ フンマラカラヌ [ba⸢raɸu̥⸣ta ⸣tabaru ⸢ɸummarakunti sundu ɸummarakaranu] (藁束を強く丸ごうとするが、強く丸がれない)。 ク⸢ビ⸣ナー ⸢フンマラキ⸣ ミサカー ⸢フンマラク⸣ クトー ⸣ナルン [ku⸢bi⸣naː ⸢ɸummaraki⸣ misakaː ⸢ɸummaraku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (これぐらいずつ丸くひっくくって<丸げて>よければ、丸くひっくくる<丸げる>ことはできる)。 ⸢マイーマイー⸣シ ⸢フンマラケー⸣ ミサムヌ [⸢maiːmaiː⸣ʃi ⸢ɸummarakeː⸣ misamunu] (大きくひっくくれば<丸げば>いいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢フンマラキ [⸢maː⸣biŋ ⸢ɸummaraki] (もっ大きくとひっくくれ<丸げ>) 15537 0 0 15361 htmvoc_15537.wav ブンムチ ⸣ブンムチ [⸣bummuʧi] 名 身分の高い人。重々しいひと。「分持ち」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ブンムチル ヤ⸢ローリン⸣サ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ bummuʧiru ja⸢roːrin⸣sa] (あの人は大変身分の高い方であられる<~でいらっしゃる>ようだ) 15536 0 0 15362 htmvoc_15536.wav ブンラーッサン ⸢ブンラーッ⸣サン [⸢bunraːs⸣saŋ] 形 重々しい。福福しい。沖縄首里方言の転訛したもの。⸢ブンダーッ⸣サン[⸢bundaːs⸣saŋ](重々しい{EOS}福福しい)に同じ。 ⸢ブンラーッ⸣サンギサヌ ム⸢ニイジ⸣ヨー [⸢bunraːs⸣saŋgisanu mu⸢niʔiʤi⸣joː] (見るからに重々しい物の言いぶり) 15539 0 1 15363 htmvoc_15539.wav ヘ〜 ヘ⸢〜 [ɕːẽ] 感 {Mn_1}ええ?なんだって?相手の話に対して婉曲に疑問ないし反感の意を表す。 ヘ⸢~⸣ アン⸢デー⸣カ マー⸢ズンマー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [hẽ⸢ː⸣ ʔan⸢deː⸣ka maː⸢ʣummaː⸣ pa⸢rara⸣nu] (ええ?、それならば一緒には行けないのか)。 15539 0 2 15364 htmvoc_15539.wav ヘ〜 ヘ⸢〜 [ɕːẽ] 感 {Mn_2}更に、あからさまに反感の意を表す際は、ハ~[hãː](何ですって?)と鼻音化する。 ハ⸢~⸣ ヌーティー⸢ー [hã⸢ː⸣ nuːti⸢ː] (ええ?、何だとう?) 15538 0 0 15365 htmvoc_15538.wav ヘー ヘ⸢ー [çe⸢ː] 感 へえ。ほう。相手が言ったことに対して感嘆した時に、肯定的に認めて発することば。 ヘ⸢ー ワッ⸣テーヤ ⸣アイル ⸣ナリ ⸢ブー [çe⸢ː wat⸣teːja ⸣ʔairu ⸣nari ⸢buː] (へえ、君の家はそのような関係になっている<そのような事情にある>のか) 15543 0 0 15366 htmvoc_15543.wav ヘー ⸣ヘー [⸣çeː] 格助 ~へ。鳩間方言の方向を表す格助詞は、上接語の末尾母音の種類によって、以下のように変化する。 15543 0 0 15367 htmvoc_15543.wav ヘー ⸣ヘー [⸣çeː] 格助 {Exp_1}-i+へ → Ce\ipa{ː}(C=子音)。 ⸣マチェー ⸢カイムヌ シン⸣ パル [⸣maʧeː ⸢kaimunu ʃim⸣ paru] (町へ買い物をしに行く)。 パ⸢タ⸣ケー ⸣ウン ⸢カイ⸣シン ⸢パッ⸣タ [pḁ⸢ta⸣keː ⸣ʔuŋ ⸢kai⸣ʃim ⸢pat⸣ta] (畑へ芋ほりに<芋耕しに>行った)。 ⸣フネー ア⸢ゲー ヌーシ アンギリ [⸣ɸuneː ʔa⸢geː nuːʃi ʔaŋgiri] (舟は陸へ\ruby{陸揚}{リク|アゲ}しなさい)。 イ⸢ラムテー⸣ イ⸢ズカーシン パッ⸣タ [ʔi⸢ramuteː⸣ ʔi⸢ʣu kaːʃim pat⸣ta] (西表へ魚を売りに行った)。 15543 0 0 15368 htmvoc_15543.wav ヘー ⸣ヘー [⸣çeː] 格助 {Exp_2}-a+へ → Caː(C=子音)。 グ⸢ラマン⸣マー ⸢インター(⸢イーラー)⸣ トゥ⸢ビ パッ⸣タ [gu⸢ramam⸣maː ⸢ʔintaː(⸢ʔiːraː)⸣ tu⸢bi pat⸣ta] (グラマン飛行機は西の方へ飛び去った)。 ⸢ヤーン⸣ ナカー ⸢ペー⸣リ [⸢jaːn⸣ nakaː ⸢peː⸣ri] (家の中へ入れ)。 ⸣キノー ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッ⸣タ [⸣kinoː ʔu⸢ki⸣naː ⸢pat⸣ta] (昨日、沖縄へ行った)。 ン⸢ガマサ⸣ヌ カ⸢マー⸣ パリ [ʔŋ⸢gamasa⸣nu ka⸢maː⸣ pari] (うるさい、あっちへ行け)。 15543 0 0 15369 htmvoc_15543.wav ヘー ⸣ヘー [⸣çeː] 格助 {Exp_3}-u+へ→Coː(C=子音)。 ⸣アツァー ヤ⸢マ⸣トー ⸣パルンティ ス⸢コーリ ベー [⸣ʔaʦaː ja⸢ma⸣toː ⸣parunti su̥⸢koːri beː] (明日本土<大和>へ行こうと準備している)。 パ⸢ナシキヌ カン⸣マー ブ⸢ラコー ペーラス⸣ナ [pa⸢naʃi̥kinu kam⸣maː bu⸢rakoː peːrasu⸣na] (風邪の神は部落へ入れるな)。 ⸣フネー キ⸢サ⸣ ミ⸢ナトー ペー⸣レーン [⸣ɸuneː ki̥⸢sa⸣ mi⸢natoː peː⸣reːŋ] (船は既に港へ入った)。 ⸢カイヌ⸣ ス⸢コー⸣ イ⸢リリ [⸢kainu⸣ su̥⸢koː⸣ ʔi⸢riri] (長持ちの底へ入れなさい) 15544 0 0 15370 htmvoc_15544.wav ベー ⸢ベー [⸢beː] 代 自称。複数。<聞き手を含む>私たち、われら。⸢ベーター[⸢beːtaː](私たち)ともいう。 ⸢ベー⸣ ムー⸢ル ヤイマプス⸣ ヤ⸢ルヌ⸣ ワ⸢ター⸣ イ⸢サナキプス バン⸣ター パ⸢トゥ⸣マプス⸢ダー [⸢beː⸣ muː⸢ru jaimapusu⸣ ja⸢runu⸣ wa⸢taː⸣ ʔi⸢sanakipu̥su ban⸣taː pḁ⸢tu⸣mapu̥su⸢daː] (我々はみんな八重山人だが、君らは石垣の人、僕らは鳩間人だ) 15545 0 1 15371 htmvoc_15545.wav ペー ⸣ペー [⸣peː] 名 {Mn_1}つまさき(爪先)。 ⸣アイニ ア⸢ラ⸣クカー ⸣ペー キルン⸢ダー [⸣ʔaini ʔa⸢ra⸣kukaː ⸣peː kirun⸢daː] (あのように歩くと足の爪先を蹴る<\ruby{蹴躓}{ケ|ツマズ}く>ぞ)。 15545 0 2 15372 htmvoc_15545.wav ペー ⸣ペー [⸣peː] 名 {Mn_2}足跡。あしあと。 パ⸢マー⸣ラ ⸣パレーカー ⸢パン⸣ヌ ⸣ペー タ⸢ドゥ⸣レーティ ⸢ミシキラ⸣リン [pa⸢maː⸣ra ⸣pareːka ⸢pan⸣nu ⸣peː ta⸢du⸣reːti ⸢miʃi̥kira⸣riŋ] (浜から行ったのであれば足跡を辿って探せ<探され>る) 15546 0 0 15373 htmvoc_15546.wav ペー ⸣ペー [⸣peː] 名 へ(綜)。そうこう(綜絖)。布を織る際に、よこいと(緯糸)を通すひ(杼)道を作るために、たていと(経糸)を上下させる道具 15547 0 0 15374 htmvoc_15547.wav ベーカー ⸢ベー⸣カー [⸢beː⸣kaː] 名 下痢と\ruby{嘔吐}{オウ|ト}を繰り返す病気。\ruby{霍乱}{カク|ラン}。赤痢の一種か?⸢ヌー⸣バ ッ⸢ふァイティ⸣ ア⸢タルタ⸣ユー ユ⸢ナカー⸣ラ ⸢ベー⸣カー ⸢シー ベー[⸢nuː⸣ba f⸢faiti⸣ ʔa⸢taruta⸣juː ju⸢nakaː⸣ra ⸢beː⸣kaː ⸢ʃiː beː](何を食べて当ったのか、夜中から下痢と嘔吐をいている) 15548 0 0 15375 htmvoc_15548.wav ヘーガサ ⸢ヘーガ⸣サ [⸢çeːga⸣sa] 名 頭の皮膚病。頭にお出来ができて、じめじめと湿り、悪臭を放つ皮膚病。「はえかさ(這え瘡)。瘡、加佐<かさ>『和名抄』」の義か。⸢ペーガ⸣サ[⸢peːga⸣sa](頭の皮膚病)ともいう。 ス⸢ブ⸣ロー ⸢ヘーガ⸣サー ⸣ナリティ ッ⸢サー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [su⸢bu⸣roː ⸢çeːga⸣saː ⸣nariti s⸢saː⸣nu na⸢ra⸣nu] (頭はヘーガサーの皮膚病に\ruby{罹}{カカ}って臭くて\ruby{堪}{タマ}らない) 15549 0 0 15376 htmvoc_15549.wav ベーカベー ⸢ベー⸣カベー [⸢beː⸣kabeː] 名 (動)山鳩の一種。アオバト(青鳩)。子供が拗ねて泣きだすと親たちは、⸢ウリウリ ベー⸣カベーヌ ナ⸢クン⸣ドー[⸢ʔuriʔuri beː⸣kabeːnu na⸢kun⸣doː](ほらほらベーカベー<青鳩>が鳴くよ)といって、婉曲に子供をたしなめ<窘め>たり、一時的に子供の注意を引くようにしたものである 15550 0 0 15377 htmvoc_15550.wav ペーキルン ⸣ペー ⸣キルン [⸣peː ⸣kiruŋ] 連 つまづく(躓く)。けつまずく(蹴躓く)。⸢爪先を蹴る」の義。 ⸢パン⸣バ ⸢サンゲー⸣ティ ⸢アー⸣キ ⸣ペー ⸣キリティ ドッ⸢ふァティ シンナ⸣キ ⸢トー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢pam⸣ba ⸢saŋgeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki ⸣peː ⸣kiriti dof⸢fati ʃinna⸣ki ⸢toː⸣ri ⸢naː⸣nu] (足を引きずって歩いていて、蹴躓いてバタンとつんのめって倒れてしまった)。 ⸣アイニ ア⸢ラ⸣クカー ⸣ペー ⸣キルンダ ⸣ペー キ⸢ラン⸣ヨーニ ア⸢ラ⸣キ [⸣ʔaini ʔa⸢ra⸣kukaː ⸣peː ⸣kirunda ⸣peː ki⸢raŋ⸣joːni ʔa⸢ra⸣ki] (あのように歩くと\ruby{蹴躓}{ケ|ツマズ}くから、蹴躓かないように歩け)。 ⸣ペー ⸣キル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣peː ⸣kiru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (蹴躓く<爪先を蹴る>ことはない) 15551 0 0 15378 htmvoc_15551.wav ペーキン ⸢ペー⸣キン [⸢peː⸣kiŋ] 名 琉球国時代、頭<カシラ>職に与えられた位階名と同じ『石垣方言辞典』。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ペーキン⸣マー ⸢オーラン⸣ ブ⸢レー⸣ル [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢peːkim⸣maː ⸢ʔoːram⸣ bu⸢reː⸣ru] (鳩間島には親雲上は居られなかったのだろうよ) 15552 0 0 15379 htmvoc_15552.wav ヘーシ ⸢ヘー⸣シ [⸢çeː⸣ʃi] 名 囃子。民謡や民俗芸能などの各種芸能で、あいのて(間の手)を入れたり、手拍子を打ったり、\ruby{情緒}{ジョウ|チョ}を出すために添える歌詞や文句。笛、太鼓、三線などの楽器が用いられる。⸢ヘー⸣シは沖縄方言からの借用語。伝統的鳩間方言では、⸢パー⸣シ[⸢paː⸣ʃi](囃子{EOS}傍らで鼓を打ったり、手拍子を打ったり、声を出したりして歌舞を活気付けること)という。「~七重花咲く 八重花咲くと白賞尼<マヲシハヤサネ>。万、3885」、「Fayaxi,u,aita.ハヤシ、ス、イタ(囃し、す、いた)楽器を鳴らし、声を上げて歌う」、「Fayaximono.ハヤシモノ(囃し物・拍子物)一緒に動き回る大勢の人々の、合唱を伴った踊.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ヘー⸣シ イ⸢リリ [⸢çeː⸣ʃi ʔi⸢riri] (囃しを入れなさい) 15553 0 0 15380 htmvoc_15553.wav ベーシティ ベーシ⸢ティ [beːʃi̥⸢ti] 副 ぎくっと。ぎょっと。不意に驚くさま。 ⸢ウンザヌ アッ⸣タニ ⸣ンジ ⸣キーティル ベーシ⸢ティ⸣ ウ⸢バーサリ ベー⸣タ [⸢ʔunʣanu ʔat⸣tani ⸣ʔnʤi ⸣kiːtiru beːʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢baːsari beː⸣ta] (あいつが急に出てきたので、ぎょっと驚かされていたよ)。 ベーシ⸢ティ⸣ ウ⸢ダラ⸣クン [beːʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢dara⸣kuŋ] (ぎくっと驚く) 15554 0 1 15381 htmvoc_15554.wav ベースン ⸢ベー⸣スン [⸢beː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}酔わせる。 ウ⸢リン⸣ サ⸢キ⸣ ヌ⸢マ⸣シティ ⸢ベー⸣スンティ ⸢スンドゥ ベーサラン⸣バン [ʔu⸢rin⸣ sḁ⸢ki⸣ nu⸢ma⸣ʃi̥ti ⸢beː⸣sunti ⸢sundu beːsaram⸣baŋ] (彼に酒を飲ませて酔わせようとするが、酔わされないわい)。 ヤ⸢ラ⸣ビン サ⸢キ⸣ ヌ⸢マ⸣シ ⸢ベース⸣ナ [ja⸢ra⸣bin sḁ⸢ki⸣ nu⸢ma⸣ʃi ⸢beːsu⸣na] (子供に酒を飲ませて酔わせるな)。 ⸢ベー⸣シ ⸣ミサカー ⸢ベー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢beː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢beː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (酔わせてよければ、酔わせることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ベー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢beː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと酔わせればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ベー⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢beː⸣ʃi] (早く酔わせろ)。 15554 0 2 15382 htmvoc_15554.wav ベースン ⸢ベー⸣スン [⸢beː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}中毒させる。麻痺させる。痺れさせる。 イ⸢ズベーシ⸣ ッサ ⸢シッ⸣キティ ク⸢ム⸣ルナ イ⸢リティ⸣ イ⸢ズ ベー⸣シバ [ʔi⸢ʣubeːʃi⸣ ssa ⸢ʃik⸣kiti ku⸢mu⸣runa ʔi⸢riti⸣ ʔi⸢ʣu beː⸣ʃiba] (キツネノゴマ<魚酔わせ草{EOS}魚を\ruby{麻痺}{マ|ヒ}させる草>を砕いて、魚の巣、隠れ場<籠り>に入れて魚を麻痺させ<酔わせ>なさいよ) 15555 0 0 15383 htmvoc_15555.wav ベーター ⸢ベーター [⸢beːtaː] 代 自称。複数。<聞き手を含む>私たち。われら。 ⸢ベーター⸣ ムー⸢ル⸣ パ⸢トゥ⸣マプス⸢ダー [⸢beːtaː⸣ muː⸢ru⸣ pḁ⸢tu⸣mapu̥su⸢daː] (私たちはみな鳩間人だ) 15556 0 0 15384 htmvoc_15556.wav ベーッサベーッサ ⸢ベーッサベーッサ [⸢beːssabeːssa] 副 擬態語。牛馬、山羊などが力強くかいば<飼葉>を食べるさま。ぱくぱく。転じて人が美味しそうに食事をするさま。 ⸢ベーッサベーッサ⸣シ バ⸢カー⸣ムヌヌ キ⸢モーッ⸣サ ⸣イー ッ⸢ふー ムヌ⸣ ミルカー ウ⸢ムッサ⸣ルバン [⸢beːssabeːssa⸣ʃi ba⸢kaː⸣mununu ki⸢moːs⸣sa ⸣ʔiː f⸢fuː munu⸣ mirukaː ʔu⸢mussa⸣rubaŋ] (ベーッサベーッサと若者が気持ちよく飯を食うのを見ると嬉しい<面白い>わい) 14451 0 0 15385 htmvoc_14451.wav ベーッサラベーッサラ ⸢ベーッサラベーッサラ [⸢beːssarabeːssara] 副 ぺちゃくちゃ。賑やかに喋るさま。 ⸢ベーッサラベーッサラ⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー⸣ムヌ ス⸢ク⸣カー ウ⸢ムッサ⸣ルバン [⸢beːssarabeːssara⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢beː⸣munu su̥⸢ku⸣kaː ʔu⸢mussa⸣rubaŋ] (ぺちゃくちゃ喋っているのを聞くと、なるほど楽しい<楽しくある>わい) 15557 0 0 15386 htmvoc_15557.wav ベーッタベーッタ ⸢ベーッタベーッタ [⸢beːttabeːtta] 副 擬態語。ゆたゆた。ゆさゆさ。重い物が揺れ\ruby{撓}{タワ}むさま。⸢ビーッタビーッタ[⸢biːttabiːtta]ともいう。 タ⸢キアイク⸣シ ミ⸢ジタングバ ベーッタベーッタ⸣シ カ⸢タ⸣ミ ⸣クーンケンドゥ ⸢パンブン⸣マー ク⸢バ⸣シ ⸢ナーン⸣シェン [tḁ⸢kiʔaiku⸣ʃi mi⸢ʤitaŋguba beːttabeːtta⸣ʃi kḁ⸢ta⸣mi ⸣kuːŋkendu ⸢pambum⸣maː ku⸢ba⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (竹のおうご<朸{EOS}\ruby{天秤}{テン|ビン}棒>で水桶<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{水担桶}{タゴオケ}>をゆさゆさと\ruby{撓}{タワ}ませて担いでくるうちに、半分は\ruby{零}{コボ}してしまった) 15558 0 0 15387 htmvoc_15558.wav ベーフ ⸢ベー⸣フ [⸢beː⸣ɸu] 名 びょうぶ(屏風)。「Biŏbu.ビャゥブ(屏風)Cajeuo fuxegu.(風を屏ぐ)それ自体で立つ一種の大きな飾り板のようなもので、日本人が家の飾りとして、または、風を防ぐためなどに用いるもの.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣シラヤーナー ⸢ベー⸣フ ⸣タティ ス⸢コー⸣レーン [⸣ʃirajaːnaː ⸢beː⸣ɸu ⸣tḁti su̥⸢koː⸣reːŋ] (うぶや<産室>に屏風を立てて置かれている) 15559 0 0 15388 htmvoc_15559.wav ペーブク ⸢ペーブク [⸢peːbuku] 名 (地)平久保。石垣島最北端の集落。 ⸢ペーブク⸣ナー ム⸢カ⸣シェーラ マ⸢キヌ アッ⸣タンティ⸢ダー [⸢peːbuku⸣naː mu⸢ka⸣ʃeːra ma⸢kinu ʔat⸣tanti⸢daː] (平久保には昔から牧場があったそうだよ) 15560 0 1 15389 htmvoc_15560.wav ペーブクウシ ⸢ペーブクウシ [⸢peːbukuʔuʃi] 名 {Mn_1}平久保牛。平久保の牛は人をじろじろ見て、ものを言わない。 ⸢ペーブクウシ⸣ ナリティ ⸣ムネー イ⸢ザムティ⸣ ナー⸢イ⸣ プ⸢スバ キシ⸣キ ⸣ミリ ⸢ベー [⸢peːbukuʔʃi⸣ nariti ⸣muneː ʔi⸢ʣamuti⸣ naː⸢i⸣ pu̥⸢suba kiʃi̥⸣ki ⸣miri ⸢beː] (平久保牛のようになって、ものは言わずに、ただじっと人を見つめ<凝視し>ている)。 15560 0 2 15390 htmvoc_15560.wav ペーブクウシ ⸢ペーブクウシ [⸢peːbukuʔuʃi] 名 {Mn_2}ものを言わずに押し黙っている人を卑しめていう。 ⸢ペーブクウシェー⸣ マ⸢タ⸣ ウ⸢シダマリ ベー⸣バン [⸢peːbukuʔuʃeː⸣ ma⸢ta⸣ ʔu⸢ʃidamari beː⸣baŋ] (平久保牛野郎は、また押し黙っているよ) 15561 0 0 15391 htmvoc_15561.wav ベーベー ⸢ベー⸣ベー [⸢beː⸣beː] 名 小山羊。幼児語。沖縄方言からの借用語。 ディー⸢ディー ベー⸣ベー ⸣ミリ クー⸢ディー [diː⸢diː beː⸣beː ⸣miri kuː⸢diː] (さあさあ、小山羊を見てこようよ) 15562 0 0 15392 htmvoc_15562.wav ペーラ ⸢ペー⸣ラ [⸢peː⸣ra] 名 完熟したひょうたん(瓢箪)を縦に真っ二つに切り割って作った\ruby{柄杓}{ヒ|シャク}。穀類を\ruby{掬}{スク}ったり、飲み水を\ruby{汲}{ク}むのに用いた。 ⸢ラッコッ⸣キシ ⸢アーシェー⸣ル ⸢マイヤー ペー⸣ラシ ス⸢クイティ⸣ カ⸢ジ⸣ナ フ⸢ク⸣ジ トゥ⸢バシ⸣バ [⸢rakkok⸣kiʃi ⸢ʔaːʃeː⸣ru ⸢maijaː peː⸣raʃi su̥⸢kuiti⸣ ka⸢ʤi⸣naː ɸu̥⸢ku⸣ʤi tu⸢baʃi⸣ba] (脱穀機で脱穀した\ruby{籾}{モミ}はペーラで\ruby{掬}{スク}って、風で\ruby{塵芥}{チリ|アクタ}を飛ばせよ) 15563 0 0 15393 htmvoc_15563.wav ペーラフチ ⸢ペーラ⸣フチ [⸢peːra⸣ɸu̥ʧi] 名 門。家の入り口。「はいりぐり(\ruby{這入}{ハ|イリ}口)」の義。「Fairu,u,itta.ハイリ、ル、ッタ(這入り、る、った)」『邦訳日葡辞書』に「Cuchi.クチ(口)」『邦訳日葡辞書』が下接して形成された語。門の両側の石積みは、大きな石を削って整形したものを使用した。また、葬列が門前を通過する際は、ペーラフチに竹竿をX字に交差させて立て、死者の霊の侵入を防ぐ習慣が昭和30年ごろまであった。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ペーラ⸣フチェー ムー⸢ル⸣ パ⸢ヤー⸣ケーニル ン⸢カイ ブー [pḁ⸢tuma⸣nu ⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢peːra⸣ɸu̥ʧeː muː⸢ru⸣ pa⸢jaː⸣keːniru ʔŋ⸢kai buː] (鳩間島の屋敷の門は皆南の方に向いている) 15564 0 0 15394 htmvoc_15564.wav ペーリフチ ⸢ペーリ⸣フチ [⸢peːri⸣ɸu̥ʧi] 名 這入り方。入り方。這入る方法。 ⸣ウマーラ ⸢ヌー⸣シ ⸢ペー⸣ルユー ⸢ペーリ⸣フチ ッ⸢サンバン [⸣ʔumaːra ⸢nuː⸣ʃi ⸢peː⸣rujuː ⸢peːri⸣ɸu̥ʧi s⸢sambaŋ] (そこからどうやって這入るのか、這入り方は知らないさ) 15565 0 0 15395 htmvoc_15565.wav ペーリマイ ⸢ペーリ⸣マイ [⸢peːri⸣mai] 名 収入。這入る分(金額)。「這入り前」の義。 ク⸢ヌ⸣ シケー ⸢ペーリ⸣マイラン ン⸢ジマイ⸣ル ⸢ゴー⸣ラール [ku⸢nu⸣ ʃi̥keː ⸢peːri⸣mairan ʔn⸢ʤimai⸣ru ⸢goː⸣raːru] (今月は収入<這入り前>よりも出費<出で前>が多い) 15566 0 0 15396 htmvoc_15566.wav ベールヒャー ⸢ベー⸣ルヒャー [⸢beː⸣ruçaː] 感 いやだ(卑語)。強く拒絶する意思を表す。同等以下の者に対して嫌悪の意味を籠めていう。 ⸢ベー⸣ルヒャー ⸣ワンザヌ ムニ⸢ナー⸣ト シゥ⸢カヌ [⸢beː⸣ruçaː ⸣wanʣanu muni⸢naː⸣to sï̥⸢kanu] (いやだ{EOS!}貴様の言うことなど聞かない) 15567 0 0 15397 htmvoc_15567.wav ペールン ⸢ペー⸣ルン [⸢peː⸣ruŋ] 自動 這入る。入る。「Fairi,u,itta.ハイリ、ル、ッタ(這入り、る、った)入る」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ヤーン⸣ ナカー ⸢ペー⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ シ⸢バー⸣ヌ ⸢ペーララ⸣ヌ [⸢jaːn⸣nakaː ⸢peː⸣runti ⸢sundu⸣ ʃi⸢baː⸣nu ⸢peːrara⸣nu] (家の中へ入ろうとするが、狭くて入られない)。 ⸢ペー⸣リ ⸣ミサカー ⸢ペー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢peː⸣ri ⸣misakaː ⸢peː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (入ってよければ入ることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ナ⸢カー ペー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin na⸢kaː peː⸣reː ⸣misamunu] (もっと中へ入ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ペー⸣リバ [⸢paː⸣ku ⸢peː⸣riba] (早く入れよ) 15568 0 0 15398 htmvoc_15568.wav ペーレー ⸢ペーレー [⸢peːreː] 名 かんばつ(旱魃)。ひでり(日照り)。「Fideri,canbat.ヒデリ.またはカンバツ(日照り.または、旱魃)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。夏の日照りが続くと島の人々は、三つある村井戸で順番に並んで水汲みをした。⸢インヌカー[⸢ʔinnukaː](西村の井戸)、⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東村井戸)には、村の娘たちが集まって、井戸水が\ruby{湧出}{ユウ|シュツ}するまでの時間を語り合いながら、夜を徹して水汲みをした。 ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジクター⸣ ス⸢クリ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ サ⸢リ ナー⸣ヌ [⸢peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤikutaː⸣ su̥⸢kuri⸣munoː muː⸢ru⸣ sa⸢ri naː⸣nu] (旱魃が続いたので作物は全部枯れてしまった)。 ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジク⸣カー ム⸢ヌスク⸣ロー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤiku⸣kaː mu⸢nusu̥ku⸣roː na⸢ra⸣nu] (旱魃が続いたら耕作<作物の栽培{EOS}植え付け>はできない) 15569 0 0 15399 htmvoc_15569.wav ペーレースン ⸢ペーレー スン [⸢peːreː suŋ] 連 旱魃がする。旱魃になる。 フ⸢タシキ スン⸣ケン ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホー⸣ンダ ク⸢トゥシェー ペーレー スン⸣パジ [ɸu̥⸢taʃiki suŋ⸣keŋ ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoː⸣nda ku̥⸢tuʃeː peːreː sum⸣paʤi] (ふたつき<二月>経つまで雨が降らないから、今年は旱魃になるはずだ) 15540 0 0 15400 htmvoc_15540.wav ヘイキ ⸢ヘイキ [⸢heiki] 名 ひいき(贔屓)。老年層は⸢ピーキ[⸢piːki](贔屓)という 15541 0 0 15401 htmvoc_15541.wav ヘイヤー ⸣ヘイヤー [⸣heijaː] 感 田圃を耕す時の男の掛け声。⸢エイヤー[⸢jeijaː](掛け声)という人もいる。 ⸣ユージェヌ ⸣イーヤーター ⸢バー⸣ケー ⸢ター カイ⸣ソール ⸣ピンマー ⸣ヘイヤー ⸣ヘイヤーティ カ⸢キン⸣グイ ⸢シェー⸣ティル ⸢カイ⸣ソーッタ⸢ダー [⸣juːʤenu ⸣ʔiːjaːtaː ⸢baː⸣keː ⸢taː kai⸣soːru ⸣pimmaː ⸣heijaː ⸣heijaːti kḁ⸢kiŋ⸣gui ⸢ʃeː⸣tiru ⸢kai⸣soːtta⸢daː] (松竹家のお父さん達までは、田圃を耕される時は、ヘイヤー、ヘイヤーと掛け声をかけて耕されたよ)。豊年祭の古謡で、古謡の歌いだしに用いられる囃子言葉。/ヘイヤー ウブトゥムル ホー マブルシュー ヘイヤー ウブスクヌ ウヤンガミ/(へいやー 大友利御嶽の ホー 守り神<主> へいやー 大奥<大底>の 親神様)(大友利御嶽の祖神様)「豊年祭の歌」。『鳩間島古典民謡古謡集』 15570 0 0 15402 htmvoc_15570.wav ペンガー ⸣ペンガー [⸣peŋgaː] 名 女子の名。固有名詞。 ム⸢カ⸣シェー ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸢ナーバ⸣ ペンガーティ ス⸢コー⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː mi⸢doːŋ⸣ffanu ⸢naːba⸣ peŋgaːti su̥⸢koː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣tan⸢daː] (昔は女の子の名をペンガーと名付ける人もおられたよ) 15571 0 0 15403 htmvoc_15571.wav ペンガンガザミ ⸣ペンガンガザミ [⸣peŋgaŋgasami] 名 (動)蟹の一種。西表島の船浦港対岸の⸢マーレーガーラ[⸢maːreːgaːra](マーレー川)、ニ⸢シダガーラ[ni⸢ʃidagaːra](ニシダ川)、ナ⸢ダラガーラ[na⸢daragaːra](ナダラ川)、ピ⸢ナイガーラ[pi⸢naigaːra](ピナイ<鬚川>川)の川口のア⸢カ⸣ズミキー[ʔa⸢ka⸣ʣumikiː](マングローブ)林で捕獲されていた。 パ⸢トゥ⸣マナーヤ ⸣ペンガンガサメー ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaːja ⸣peŋgaŋgasameː bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島にはペンガンガサミは棲息していなかった) 15572 0 0 15404 htmvoc_15572.wav ペンシキビリ ⸢ペンシキビリ [⸢peŋʃi̥kibiri] 名 ひざまずき(跪き)。正座。\ruby{両膝}{リョウ|ヒザ}と爪先を地につけて身を支え、\ruby{踵}{カカト}の上に\ruby{臀部}{デン|ブ}を乗せて座り、深い敬意を表す座り方。「Fagui.(脛)『邦訳日葡辞書』付け座り」の義か。 ⸢ペンシキビレー⸣ シ⸢ティル カンヌマイ⸣ヌ ⸣グシェー カ⸢ミ⸣ル⸢ダー [⸢peŋʃi̥kibireː⸣ ʃi̥⸢tiru kannumai⸣nu ⸣guʃeː ka⸢mi⸣ru⸢daː] (ひざまずき<跪き>をして<ぞ>神様にお供えした神酒はおし\ruby{戴}{イタダ}くものだぞ) 15573 0 0 15405 htmvoc_15573.wav ペンスクムン ⸢ペンスクムン [⸢pensu̥kumuŋ] 自動 しびれる(痺)。体の一部が感覚をうしなう。 ⸢ペンシキビリ スー⸣カー ⸢パン⸣マー ⸢ペンスクムンダ ペンスクマン⸣ヨーニ トゥ⸢キドゥ⸣ケー ⸣パン ヌ⸢バ⸣シバ  [⸢peŋʃi̥kibiri suː⸣kaː ⸢pam⸣maː ⸢pensu̥kumunda pensu̥kumaɲ⸣joːni tu̥⸢kidu⸣keː ⸣pan nu⸢ba⸣ʃiba] (跪きをすると足が\ruby{痺}{シビ}れるので、痺れないように時々は足を延ばしなさいよ)。 ⸢パン⸣マー ⸢ペンスクミティ⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢pam⸣maː ⸢pensu̥kumiti⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (足は痺れて歩かれない)。 ウ⸢ビッ⸣チンシ ⸢ペンスクム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bit⸣ʧiŋʃi ⸢pensu̥kumu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (たったこれだけで痺れることはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ペンスクメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢pensu̥kumeː⸣ misamunu] (もっと痺ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ペンスクミ [⸢paː⸣ku ⸢pensu̥kumi] (早く痺れろ) 15574 0 0 15406 htmvoc_15574.wav ペンツァイ ⸢ペンツァイ [⸢penʦai] 名 爪先で立って歩くこと。爪先立ち歩き。 ⸢ワー⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢ペンツァイ シー シェー⸢ン [⸢waː⸣ ma⸢na⸣ma ⸢penʦai ʃiː ʃeː⸢ŋ] (君は今爪先立ちして歩くことが出来る<爪先立ち歩きし得る>か) 15575 0 0 15407 htmvoc_15575.wav ペンツァウン ⸢ペンツァウン [⸢penʦauŋ] 自動 爪先で立って歩く。爪立てて歩く。 ウ⸢トゥ⸣ タ⸢トゥン⸣ヨーニ<タ⸢タン⸣ヨーニ> ⸢ペンツァウンティ スンドゥ ペンツァイララヌ<⸢ペンツァーラヌ> [ʔu⸢tu⸣ tḁ⸢tuɲ⸣joːni ⸢penʦaunti sundu penʦairaranu<⸢penʦaːranu>] (音を立てないように爪先立って歩こうとするが、爪先立って歩かれない)。 ヤー⸢ラマ⸣シ ⸢ペンツァイ⸣ パリ [jaː⸢rama⸣ʃi ⸢penʦai⸣ pari] (ゆっくりと、そっと爪先立って歩いて行け)。 ⸢ペンツァウ⸣ クトゥ ⸣ナルカー ⸢パー⸣ク ⸢ペンツァイヤー⸣ ミサムヌ [⸢penʦau⸣ ku̥tu ⸣narukaː ⸢paː⸣ku ⸢penʦaijaː⸣ misamunu] (爪先立って歩くことが出来れば、早く爪先立って歩けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ペンツァイ⸣バ [⸢maː⸣bim ⸢penʦai⸣ba] (もっと爪先立って歩けよ) 15577 0 0 15408 htmvoc_15577.wav ホー ⸢ホー [⸢hoː] 名 方。方向。かた。 ⸢インヌ ホー [⸢ʔinnu hoː] (西の方)。 ⸢アンヌ ホー [⸢ʔannu hoː] (東の方)。 ニ⸢シヌ ホー [ni⸢ʃinu hoː] (北の方)。 ⸢パイ⸣ヌ ⸣ホー [⸢pai⸣nu ⸣hoː] (南の方)。 ⸢ウイヌ ホーヌ⸣ プ⸢スヌル オー⸣レーツォー [⸢ʔuinu hoːnu⸣ pu̥⸢sunuru ʔoː⸣reːʦoː] (上の方<石垣島より北の沖縄や本土>の人が来られたそうだ) 15578 0 0 15409 htmvoc_15578.wav ボー ⸣ボー [⸣boː] 名 棒術。棒踊。老年層は⸣バウ[⸣bau](棒)という。「bŏ.バゥ(棒)~Bŏuo tçucŏ.(棒を使ふ).Bŏnote(棒の手)棒を使いこなす方法、あるいは、棒術」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。鳩間島では豊年祭に演舞される、サ⸢ク⸣ボー[sḁ⸢ku⸣boː](剣の舞い)、ル⸢クサク⸣ボー[ru⸢kusaku⸣boː](六尺棒)、ナ⸢ギナタ[na⸢ginata](長刀)、⸣カサボー[⸣kasaboː](笠棒)などの古典棒踊<棒術>に対していう。日常生活で用いる棒は、⸣バウ[⸣bau]、⸢アイ⸣ク[⸢ʔai⸣ku](担い棒{EOS}おうこ<朸>)という。 サ⸢クボー⸣ヤ ⸢インヌムラヌ ボー⸣ル ウ⸢ムッ⸣サヌ ル⸢クサクボー⸣ヤ ⸢アンヌムラヌ ボー⸣ル ウ⸢ムッ⸣サタ [sḁ⸢kuboː⸣ja ⸢ʔinnumuranu boː⸣ru ʔu⸢mus⸣sanu ru⸢kusakuboː⸣ja ⸢ʔannumuranu boː⸣ru ʔu⸢mus⸣sata] (サクボーは西村の棒踊<棒術>が面白かったが、六尺棒は東村の棒踊<棒術>が面白かった)。 ⸣ボー ⸣ウトゥン [⸣boː ⸣ʔutuŋ] (棒踊<棒術>を演舞する<棒を打つ>) 15579 0 0 15410 htmvoc_15579.wav ホーイホーイ ⸢ホーイホーイ [⸢hoːihoːi] 感 ほういほうい。火事の時に唱えることば。火災通知のための掛け声の機能と我が家への\ruby{類焼}{ルイ|ショウ}を防ぐ\ruby{呪}{マジナ}いの機能を有することば。 ム⸢カ⸣シェー ム⸢ラ⸣ナー ⸢ピー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸢ホーイホーイ⸣ティ ウ⸢ヤー⸣レーティル ⸢ピー⸣ヤ ⸢ケーソーッ⸣タティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː mu⸢ra⸣naː ⸢piː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸢hoːihoːi⸣ti ʔu⸢jaː⸣reːtiru ⸢piː⸣ja ⸢keːsoːt⸣tati⸢daː] (昔は村に火事がでるとホーイホーイと大声を出して火事を消されたそうだよ) 15580 0 0 15411 htmvoc_15580.wav ボーウトゥン ⸣ボー ⸣ウトゥン [⸣boː ⸣ʔutuŋ] 連 棒術を演舞する。 ⸢プール⸣ナー ⸢バン⸣ヌン ⸣ボー ⸣ウトゥン [⸢puːru⸣naː ⸢ban⸣num ⸣boː ⸣ʔutuŋ] (豊年祭には私も棒術を演舞する<棒を打つ>) 15581 0 0 15412 htmvoc_15581.wav ボーウン ⸣ボーウン [⸣boːʔuŋ] 名 (植)ヤマノイモ科のイモ。ダイジョ(大薯)。細長く紫色に赤味を帯びた美しい色と美味しい味が特徴『石垣方言辞典』。「Yamano imo.ヤマノイモ(山の芋・\ruby{薯蕷}{ショ|ヨ})山林に生ずる芋」『邦訳日葡辞書』。鳩間島には産しない。西表島の⸢フノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦)や、⸢ウイバル[⸢ʔuibaru](上原)で作っていた。 ⸣ボーウンマー パ⸢トゥ⸣マナー ス⸢ク⸣ロー⸢ラン⸣シェン [⸣boːʔummaː pḁ⸢tu⸣manaː su̥⸢ku⸣roː⸢raŋ⸣ʃeŋ] (ダイジョ<大薯>は、鳩間島では作られなかった) 15584 0 0 15413 htmvoc_15584.wav ホーガーサン ⸢ホーガー⸣サン [⸢hoːgaː⸣saŋ] 形 不恰好である。ぶざま(無様)である。間抜けの様である。 ⸣ウヌヨーナ シ⸢タ⸣フシェー ⸢ホーガー⸣サンダ プ⸢スヌ⸣ マイ ン⸢ジララ⸣ヌ カ⸢シーカシー ホーガーサナー⸣ン シ⸢タフ⸣バ ⸢シー⸠ツォー [⸣ʔunujoːna ʃi̥⸢ta⸣ɸuʃeː ⸢hoːgaː⸣sanda pu̥⸢sunu⸣mai ʔn⸢ʤirara⸣nu kḁ⸢ʃiːkaʃiː hoːgaːsaːnaː⸣ŋ ʃi̥⸢taɸu⸣ba ⸢ʃiː⸠ʦoː] (そのような服装では不恰好であるから他人様の前には出られない{EOS}しっかりと、不恰好でない服装をしなさいよ)。 ウ⸢リ⸣ キ⸢ス⸣カー ユ⸢クン ホーガー⸣サー ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢ri⸣ ki̥⸢su⸣kaː ju⸢kuŋ hoːgaː⸣saː na⸢ri⸣su] (それを着ると、余計に不恰好になる)。 ウ⸢レー ホーガーサ⸣ヌ キ⸢サラヌ [ʔu⸢reː hoːgaːsa⸣nu ki̥⸢saranu] (それは不恰好だから着られない)。 ⸢ホーガー⸣サール ⸢キン⸣マー キ⸢スナ [⸢hoːgaː⸣saːru ⸢kim⸣maː ki̥⸢suna] (不恰好な着物は着るな)。 ⸣アイニ ⸢ホーガー⸣サーレーラー ウ⸢レー⸣ キ⸢サラヌ [⸣ʔaini ⸢hoːgaː⸣saːreːraː ʔu⸢reː⸣ ki̥⸢saranu] (あんなに不恰好であるなら<不格好であるからには>、それは着られない) 15582 0 1 15414 htmvoc_15582.wav ホーガーホーガー ホー⸢ガーホーガー [hoː⸢gaːhoːgaː] 副 {Mn_1}不恰好な様子。間の抜けた様子。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヌ⸣ キン キ⸢ス⸣カー ホー⸢ガーホーガー⸣シル ミ⸢ラリ⸣バン [⸢waː⸣ ʔu⸢nu⸣ kiŋ ki̥⸢su⸣kaː ho⸢gaːhoːgaː⸣ʃiru mi⸢rari⸣baŋ] (君がこの着物を着ると間抜けにみえるよ)。 15582 0 2 15415 htmvoc_15582.wav ホーガーホーガー ホー⸢ガーホーガー [hoː⸢gaːhoːgaː] 副 {Mn_2}\ruby{耄碌}{モウ|ロク}した様子。\ruby{惚}{ホ}けた様子。 ⸣トゥシ トゥ⸢ローッ⸣ター ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムニン ス⸢ク⸣カー ホー⸢ガーホーガー⸣シル ⸢オールン⸣ドゥター ⸣ドゥーパダー イッ⸢ケン ガン⸣ゾー ア⸢ロー⸣ルン [⸣tu̥ʃi tu⸢roːt⸣taː ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣munin su̥⸢ku⸣kaː hoː⸢gaːhoːgaː⸣ʃiru ⸢ʔoːrun⸣dutaː ⸣duːpadaː ʔik⸢keŋ gan⸣ʣoː ʔa⸢roː⸣ruŋ] (年を取られたので、おっしゃる言葉も、聞くと\ruby{惚}{ボ}けた様子でいらっしゃるが、また一方で、体は非常に健康<頑丈>でいらっしゃる) 15583 0 0 15416 htmvoc_15583.wav ホーガーホーガーヌプス ホー⸢ガーホーガーヌ⸣ プ⸢ス [hoː⸢gaːhoːgaːnu⸣ pu̥⸢su] 連 耄碌したような人。智恵遅れの人。 ⸣カマーラ ホー⸢ガーホーガーヌ⸣ プ⸢スヌ オール⸣ヌ ⸢ヤー⸣ パ⸢リマー⸣キル ⸢オー⸣ルユー ッ⸢サンバ ヤーバー⸣キ シゥ⸢カシ⸣ パリバ [⸣kamaːra hoː⸢gaːhoːgaːnu⸣ pu̥⸢sunu ʔoːru⸣nu ⸢jaː⸣ pa⸢rimaːki⸣ru ⸢ʔoːru⸣juː s⸢samba jaːbaː⸣ki sï̥⸢kaʃi⸣ pariba] (向こうから耄碌したような人が来られるが、家へ帰りかねて<帰れなくて>おられるかも知れないから、お家まで案内<お連れ>して行きなさい) 15585 0 0 15417 htmvoc_15585.wav ポーキ ⸢ポー⸣キ [⸢poː⸣ki] 名 ほうき(箒)。 タ⸢キポーキ [tḁ⸢kipoːki] (竹箒{EOS}庭箒)。 バ⸢ラフ⸣タポーキ [ba⸢raɸu̥⸣tapoːki] (稲藁の藁しべ箒{EOS}室内箒)。 ⸢フー⸣カラポーキ [⸢ɸuː⸣karapoːki] (棕櫚箒{EOS}室内箒)。シ⸢トゥッチ⸣ヌパーポーキ[ʃi̥⸢tutʧi⸣nupaːpoːki](蘇鉄の葉箒{EOS}台所用の箒)は、ナ⸢カ⸣ザポーキ[na⸢ka⸣ʣapoːki](台所箒)ともいう。⸢ユシ⸣キポーキ[⸢juʃi̥⸣kipoːki](完熟したススキの尾花で作った箒{EOS}台所用の箒)などがある。 タ⸢キポーキ⸣シ シ⸢トゥム⸣ティカージ ミ⸢ナ⸣カ ⸢ポーク⸣タン [tḁ⸢kipoːki⸣ʃi ʃi̥⸢tumu⸣tikaːʤi mi⸢na⸣ka ⸢poːku⸣taŋ] (竹箒で毎朝<つとめての数>庭を掃いたものだ) 15586 0 0 15418 htmvoc_15586.wav ポーキダキ ⸢ポー⸣キダキ [⸢poː⸣kidaki] 名 ⸢箒竹」の義。箒を作る竹。西表島北岸一帯の水田地帯に自生している。これを伐ってきて4、5本束ねて箒を作った。 ト⸢マダヌ ター⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー タ⸢キヤマヌ⸣ アリティ ⸣ウマーラル ⸢ポー⸣キダケー ⸣キシ ⸢クー⸣タ [tu⸢madanu taː⸣nu ⸢ʔui⸣naː tḁ⸢kijamanu⸣ ʔariti ⸣ʔumaːraru ⸢poː⸣kidakeː ⸣ki̥ʃi ⸢kuː⸣ta] (トゥマダの田圃の上に竹林があって、そこから<ぞ>箒竹を伐って来た) 15587 0 0 15419 htmvoc_15587.wav ポーキヌミー ⸢ポーキ⸣ヌ ⸣ミー [⸢poːki⸣nu ⸣miː] 連 \ruby{箒目}{ホウキ|メ}。⸢ポー⸣キミー[⸢poː⸣kimiː]ともいう。箒で地面を掃いた跡に残る模様。来客のある場合は特に⸢箒目」を残すよう親から躾けられたものである。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸣ウキティ ミ⸢ナ⸣カー ムー⸢ル ポーキ⸣ヌ ⸣ミー イ⸢リシキバ⸣ル フ⸢ク⸣ヌ ⸢カン⸣マー ⸢ペー⸣ロールティ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸣ʔukiti mi⸢na⸣kaː muː⸢ru poːki⸣nu ⸣miː ʔi⸢riʃi̥kiba⸣ru ɸu̥⸢ku⸣nu ⸢kam⸣maː ⸢peː⸣roːruti na⸢raː⸣soːtta] (朝早く起きて庭全体に箒の目を入れておいたらばこそ福の神は家に入られるのだ教えられた) 15588 0 0 15420 htmvoc_15588.wav ポーキブシ ⸢ポー⸣キブシ [⸢poː⸣kibuʃi] 名 ほうきぼし(箒星)。 ⸢ポー⸣キブシヌ ン⸢ジ⸣ルカー イ⸢クサ⸣ヌ ウ⸢ク⸣ルンティル ム⸢カ⸣シパナシェー アル⸢ダー [⸢poː⸣kibuʃinu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ʔi⸢kusa⸣nu ʔu⸢ku⸣runtiru mu⸢ka⸣ʃipanaʃeː ʔaru⸢daː] (箒星が出ると戦が起ると<ぞ>昔の教訓話にはいわれている<昔話はある>) 15589 0 0 15421 htmvoc_15589.wav ボーキラー ⸣ボーキラー [⸣boːkiraː] 名 乱暴者。強情者。向こう見ずの暴れ者。⸢ボーキリ⸣ムヌ[⸢boːkiri⸣munu](乱暴者)と同じ。⸢ボーキリ[⸢boːkiri](乱暴)に接尾語⸣アー[⸣ʔaː](~する人)が下接して形成された語。 ⸢ウンザー⸣ ボーキラー ⸣ナリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ ⸢ナー⸣ト イッ⸢カ⸣ シゥ⸢カヌ [⸢ʔunʣaː⸣ boːkiraː ⸣nariti pu̥⸢sunu⸣ muni ⸢naː⸣to ʔik⸢ka⸣ sï̥⸢kanu] (あの野郎は乱暴者になってしまって、他人の注意<言葉{EOS}物言い>なんど一向に聞かない) 15590 0 0 15422 htmvoc_15590.wav ボーキリムヌ ⸢ボーキリ⸣ムヌ [⸢boːkiri⸣munu] 名 乱暴者。強情者。向こう見ずの暴れ者。⸣ボーキラー[⸣boːkiraː](乱暴者)ともいう。 ⸣アイブ ⸢ボーキリ⸣ムヌテー ク⸢ヌ⸣ トゥシ ⸣ナルンケン ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ⸢boːkiri⸣munuteː ku⸢nu⸣ tu̥ʃi ⸣naruŋkem ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (あんな乱暴者とは、この年<年齢>になるまで見たことがない<見てみない>) 15591 0 0 15423 htmvoc_15591.wav ボーキルン ⸢ボー⸣キルン [⸢boː⸣kiruŋ] 自動 乱暴を働く。暴れる。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢ボー⸣キルンダー ヌ⸢マス⸣ナ⸢ヨー [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢boː⸣kirunda nu⸢masu⸣na⸢joː] (彼は酒を飲むと乱暴を働く<暴れる>ので飲ませるなよ)。 ⸢ボーキラン⸣カー ヌ⸢マサ⸣バン ⸣ミサンドゥ ウ⸢リヌ ボー⸣キレーラー ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララン⸠ダー [⸢boːkiraŋ⸣kaː nu⸢masa⸣bam ⸣misandu ʔu⸢rinu boː⸣kireːraː ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kiraran⸠daː] (乱暴を働か<暴れ>なければ飲ませてもよいが、彼が乱暴を働く<暴れる>と手のつけようがないぞ)。 ⸣ワンザーヒャー ドゥー⸢カッティ⸣シ ⸢ボー⸣キリ ⸢ベー⸣ヌ ⸣アトゥシマチ ⸣ドゥーシ シキ⸢シェー⸣カー ⸢ボー⸣キリバヒャー [⸣wanʣaːçaː ⸣duːkattiʃi ⸢boː⸣kiri ⸢beː⸣nu ⸣ʔatuʃimaʧi ⸣duːʃi ʃi̥ki⸢ʃeː⸣kaː ⸢boː⸣kiribaːçaː] (お前奴は自分勝手に暴れているが、後始末を自分でつけることが出来るなら勝手に暴れろヒャー<暴れやがれ>) 15593 0 0 15424 htmvoc_15593.wav ボークン ⸢ボークン [⸢boːkuŋ] 他動 \ruby{濯}{スス}ぎ洗う。すすぐ(濯ぐ)。「濯・滌、ススグ」『類聚名義抄』の義。 ⸣キン ア⸢ライティ ボークンティ⸣ シ⸢タンドゥ⸣ ミ⸢ジヌ⸣ タ⸢ラーンタ ボーカランシェン [⸣kiŋ ʔa⸢raiti boːkunti⸣ ʃi̥⸢tandu⸣ mi⸢ʤinu⸣ ta⸢raːnta boːkaraŋʃeŋ] (洗濯して\ruby{濯}{ユス}ごうとしたが、水が足りなかったので濯がれなかった)。 ⸢ボーキティ⸣ プシバ [⸢boːkiti⸣ pu̥ʃiba] (濯いで干しなさいよ)。 ⸢ボーク⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢boːku⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (濯ぐことは出来ない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ボーケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢boːkeː⸣ misamunu] (もっと濯げばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ボーキ [⸢paː⸣ku ⸢boːki] (早く濯げ) 15592 0 0 15425 htmvoc_15592.wav ポークン ⸢ポー⸣クン [⸢poː⸣kuŋ] 他動 掃く。朝昼は屋内、屋外共に掃くことはできるが、夜は原則として箒は使わなかった。必要上掃く時は、形式的に内側へ3回掃いてから外側へ掃き出した。 ミ⸢ナ⸣カ ⸢ポー⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ク⸢リ⸣シェー ⸢ポーカラ⸣ヌ [mi⸢na⸣ka ⸢poː⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du ku⸢ri⸣ʃeː ⸢poːkara⸣nu] (庭を掃こうと思うが、これでは掃かれない)。 ⸢ポー⸣キ ⸣ミサカー ⸣ドゥーシ ⸢ポー⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [⸢poː⸣ki ⸣misakaː ⸣duːʃi ⸢poː⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (掃いてよければ、自分で掃くことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ポー⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢poː⸣keː ⸣misamunu] (もっと掃けばいいのに)。 カ⸢シーカシー ポー⸣キバ [ka⸢ʃiːkaʃiː poː⸣kiba] (きちんと<しっかり>掃けよ) 15594 0 0 15426 htmvoc_15594.wav ボーシ ⸢ボーシ [⸢boːʃi] 名 帽子。標準語からの借用語。 ナ⸢チェー ボーシ⸣ カ⸢バン⸣カー ミ⸢チェー⸣ラ ア⸢ラカラ⸣ヌ [na⸢ʧeː boːʃi⸣ ka⸢baŋ⸣kaː mi⸢ʧeː⸣ra ʔa⸢rakara⸣nu] (夏は帽子を被らないと道から歩けない) 15595 0 0 15427 htmvoc_15595.wav ボージ ⸢ボー⸣ジ [⸢boː⸣ʤi] 名 僧侶。寺の住職。坊主。鳩間島には僧侶はいなかった。 ティ⸢ラヌ ボー⸣ジ タ⸢ナ⸣ミティ ⸣ウキョー ア⸢ギシミタ [ti⸢ranu boː⸣ʤi ta⸢na⸣miti ⸣ʔukjoː ʔa⸢giʃimita] (寺の坊主を頼んでお経を上げさ<読経さ>せた)。 ティ⸢ラヌ ボー⸣ジ [ti⸢ranu boː⸣ʤi] (寺の坊主)。 ティ⸢ラヌ ボージ⸣ヌ キ⸢トーフダー ペーラフチ⸣トゥ カ⸢マチフチ⸣ナー パ⸢リシキ⸣リ [ti⸢ranu boːʤi⸣nu ki̥⸢toːɸudaː peːraɸu̥ʧi⸣tu ka⸢maʧiɸu̥ʧi⸣naː pa⸢riʃi̥ki⸣ri] (寺の坊主の祈祷札を戸口<入り口>と台所<\ruby{竈}{カマド}>入口に張っておけ) 15596 0 0 15428 htmvoc_15596.wav ボージマー ⸣ボージマー [⸣boːʤimaː] 名 太い縦縞模様。「ぼうじま(棒縞)」の義。 ア⸢ガボージマー⸣ バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸢キン⸣ヌ ⸣アヤティル ア⸢ザリ ブー [ʔa⸢gaboːʤimaː⸣ ba⸢kaː⸣mununu ⸢kin⸣nu ⸣ʔajatiru ʔa⸢ʣari buː] (赤い太めの縦縞模様<柄>は若者の着物のがら<柄>といわれている) 15597 0 0 15429 htmvoc_15597.wav ボージャームン ⸢ボージャー⸣ムン [⸢boːʤaː⸣muŋ] 名 大麦の一種。殻のついたままの大麦。⸢ンーナ⸣ムン[⸢ʔnːna⸣muŋ](殻麦{EOS}殻のついたままの大麦)ともいう。明治生まれの老年層の使用語彙。若年層では死語。 ⸢ボージャームン⸣マー ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [⸢boːʤaːmum⸣maː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (ボージャー麦は見たことが無かった) 15598 0 0 15430 htmvoc_15598.wav ボースー ⸢ボースー [⸢boːsuː] 名 ぼうしゅ(芒種)。二十四節気の一つ。陰暦五月のせつ(節)。太陽暦の6月6日頃に当たるという。この頃になると梅雨の季節に入り、長雨ガ続くので、それまでに稲刈りを終えるように努めた。 ⸢ボースーヌ⸣ シ⸢チ⸣ヌ ⸢ペーラン⸣ケン ⸢マイヤー⸣ カ⸢リ⸣ヨー [⸢boːsuːnu⸣ ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸢peːraŋ⸣kem ⸢maijaː⸣ ka⸢ri⸣joː] (\ruby{芒種}{ボウ|シュ}の節気に入らないうちに稲は刈りなさいよ) 15599 0 0 15431 htmvoc_15599.wav ボースーアミ ⸢ボースーアミ [⸢boːsuːʔami] 名 ぼうしゅ(芒種)の頃に降る雨。⸢ボースーヤブリ[⸢boːsuːjaburi](芒種の頃の荒天)に伴う大雨。1期作米の収穫時期に⸢ボースーアミが降って、籾を干すことが出来ず被害が起きることもあった。 ⸢ボースーアミヌ ホーン⸣ケン ⸢マイヤー⸣ カ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢boːsuːʔaminu hoːŋ⸣kem ⸢maijaː⸣ ka⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (芒種雨が降らないうちに稲<米>は刈りおさめないといけない) 15600 0 0 15432 htmvoc_15600.wav ボースーヤブリ ⸢ボースーヤブリ [⸢boːsuːjaburi] 名 ぼうしゅ(芒種)の時期に天候が荒れること。「芒種破れ」の義。 ⸢ボースーヤブリ スー⸣カー ⸢マイヤー⸣ カ⸢ララヌ [⸢boːsuːjaburinu suː⸣kaː ⸢maijaː⸣ ka⸢raranu] (芒種荒れがきたら稲刈りはできない<米は刈られない>) 15606 0 1 15433 htmvoc_15606.wav ホースン ⸢ホー⸣スン [⸢hoː⸣suŋ] 他動 {Mn_1}釣る。 ム⸢チイズ ホー⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢ムンダニ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ベーティ ⸢ホーサラ⸣ヌ [mu⸢ʧiʔiʣu hoː⸣sunti ⸢beːn⸣du ⸢mundani⸣nu ⸢naːm⸣beːti ⸢hoːsara⸣nu] (ノコギリダイを釣ろうとしているが、餌がないので釣られない)。 ⸣クナーティ ⸢ホー⸣シ ⸣ミサカー ⸢マーズン ホー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸣kunaːti ⸢hoː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢maːʣuŋ hoː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (此処で釣ってよければ、一緒に釣ることはできる)。 ⸣カーナーティ ⸢ホー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣kanaːti ⸢hoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (あそこで釣ればいいのに)。 ⸢ワー⸣ アミツァバ ⸢ムン⸣ダニ シ⸢ティ ホー⸣シバ [⸢waː⸣ ʔamiʦaba ⸢mun⸣dani ʃi̥⸢ti hoː⸣ʃiba] (君はヤドカリを餌にして釣れよ)。 15606 0 2 15434 htmvoc_15606.wav ホースン ⸢ホー⸣スン [⸢hoː⸣suŋ] 他動 {Mn_2}\ruby{挟}{ハサ}む。食わせる。間に入れて固定する。「Cuuaxe,suru,eta.クワセ、スル、セタ(食わせ、する、せた)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ッ⸢サビ ホー⸣スンティ ⸢スンドゥ ホーサラ⸣ヌ [s⸢sabi hoː⸣sunti ⸢sundu hoːsara⸣nu] (\ruby{楔}{クサビ}を入れて固定しよう<噛ませよう>とするが、楔を打ち込めない<噛まされない>)。 バ⸢キンッサー⸣ラナ ⸢ホー⸣シティ ⸣ムティバ [ba⸢kinssaː⸣rana ⸢hoː⸣ʃi̥ti ⸣mutiba] (腋下に挟ん<噛まし>で持てよ) 15607 0 0 15435 htmvoc_15607.wav ホースン ⸢ホー⸣スン [⸢hoː⸣suŋ] 他動 降らせる。⸣フーン[⸣ɸuːŋ](降る)の使役形。 ア⸢マン⸣グイ シ⸢ティ⸣ アミ ⸢ホー⸣スンティ ⸢ソーッタン⸣ドゥ ⸢ホーサラン⸣シェンツォー [ʔa⸢maŋ⸣gui ʃi̥⸢ti⸣ ʔami ⸢hoː⸣sunti ⸢soːttan⸣du ⸢hoːsaraŋ⸣ʃenʦoː] (雨乞いをして雨を降らそうとされたが、降らされなかったそうだ)。 ⸣アミ ⸢ホー⸣シミサカー ⸢ホー⸣スクトゥン ⸣ナルン [⸣ʔami ⸢hoː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢hoː⸣su ⸣ku̥tun ⸣naruŋ] (雨を降らしてよければ、降らすことも出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ホー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢hoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと降らせばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣アミ ⸢ホー⸣シ [⸢paː⸣ku ⸣ʔami ⸢hoː⸣ʃi] (早く雨を降らせよ) 15601 0 0 15436 htmvoc_15601.wav ボースン ⸣ボー ⸢スン [⸣boː ⸢suŋ] 連 乱暴を働く。他人を騙し、悪事を働く。 ⸢ウンザー⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ プ⸢ス⸣ ボー ⸢スン⸣ダー [⸢ʔunʣaː⸣ ja⸢rabi⸣nu pu̥⸢su⸣ boː ⸢sun⸣daː] (あの野郎は子供のくせに他人を\ruby{騙}{ダマ}して悪事を働くぞ)。 ⸢クン⸣ドー ウ⸢リンマー⸣ ス⸢ズーコ⸣ ボー シ⸢ラリミッ⸣タン [⸢kun⸣doː ʔu⸢rimmaː⸣ su⸢ʣuːko⸣ boː ʃi⸢rarimit⸣taŋ] (今度は、彼には大変に乱暴<悪事を>を働かれた) 15608 0 0 15437 htmvoc_15608.wav ボーダ ⸢ボー⸣ダ [⸢boː⸣da] 名 (動)ブダイの仲間。キツネブダイ。体長約60センチに成長する。鳩間島では30~40センチの成魚が多く漁獲された。刺身にしたり、煮つけにしたりすると美味である。シークヮーサー(ヒラミレモン)の汁と味噌に肝を刻んで和え、それにブダイの刺身をつけて食すると特に美味である。 ⸢ボーダー⸣ヌ ナ⸢マシ⸣バ ウ⸢ヌ⸣ キム キ⸢ザミティ ミース⸣トゥ ⸢シークヮーサー⸣ヌ ⸣シーナ カ⸢ケー⸣シティ ッ⸢ふー⸣カー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢boːdaː⸣nu na⸢maʃi⸣ba ʔu⸢nu⸣ kimu ki⸢ʣamiti miːsu⸣tu ⸢ʃiːkwaːsaː⸣nu ⸣ʃiːna kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti f⸢fuː⸣kaː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (キツネブダイの刺身を、その肝を刻んで味噌とヒラミレモンの酢に混ぜあわせて食べると非常に美味しい) 15609 0 0 15438 htmvoc_15609.wav ボーダヤー ⸢ボー⸣ダヤー [⸢boː⸣dajaː] 名 (海底地名)。⸢ボー⸣ダ[⸢boː⸣da](キツネブダイ)の巣<家>の義。{ピザキ[pi⸢ʣa⸣ki](島の北西部の干瀬)の東側の⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外洋部<干瀬の腰>)}。キツネブダイがよく釣れる所といわれている 15602 0 0 15439 htmvoc_15602.wav ポーツァー ⸢ポー⸣ツァー [⸢poː⸣ʦaː] 名 包丁人。結願祭の供物の料理人。「料ニ理魚鳥一者、謂ニ之包丁一」『和名抄』の転訛したもの。鳩間島の結願祭には、祭前夜の⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通しの祈願)から、⸣トーピン[⸣toːpiŋ](当日)の祈願に供える供物を、⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)の本殿<ウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](母屋)>の側に仮の⸢ポー⸣ツァーヤー[⸢poː⸣ʦaːjaː](炊事小屋<包丁屋>)を建てて供物を準備した。餅類はバ⸢キサカ⸣サ等が準備し、ム⸢ラヤクサ[mu⸢rajakusa](村役人)達が漁獲した魚や蛸を村役人と調理担当の⸢ポー⸣ツァー[⸢poː⸣ʦaː](包丁人)が調理した。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー カ⸢ザケーヌ⸣ マツォーザール ⸢ポー⸣ツァー ⸢ソーッ⸣タ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ka⸢ʣakeːnu⸣ maʦoːʣaːru ⸢poː⸣ʦaː ⸢soːt⸣ta] (戦後は加治工実氏が友利御嶽の包丁人をされた) 15603 0 0 15440 htmvoc_15603.wav ポーツァーカタナ ⸢ポー⸣ツァーカタナ [⸢poː⸣ʦaːkatana] 名 料理用の包丁。特に神事の供物を料理する包丁人の用いる包丁をいう。 ⸢ポーツァー⸣ヌ シゥ⸢カイヨー⸣ル カ⸢タナ⸣バ ⸢ポー⸣ツァーカタナティ ア⸢ゾー⸣ル [⸢poːʦaː⸣nu sï̥⸢kaijoː⸣ru kḁ⸢tana⸣ba ⸢poː⸣ʦaːkatanati ʔa⸢ʣoː⸣ru] (包丁人の使われる包丁<刀>を包丁刀とおっしゃる<言われる>) 15604 0 0 15441 htmvoc_15604.wav ポーツァースン ⸢ポー⸣ツァー ⸢スン [⸢poː⸣ʦaː ⸢suŋ] 連 包丁人として神事の供物を調理する。 ⸢ポーツァー⸣ヤ ⸢ターンターンマー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣グトゥ ッ⸢シェー⸣ プ⸢スヌル⸣ ナル⸢ダー [⸢poːʦaː⸣ja taː⸢ntamma⸣ na⸢ra⸣nu ⸢niŋgai⸣gutu ʃ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢sunuru⸣ naru⸢daː] (包丁人は誰にも彼にも出来るものではない{EOS}祈願ごとを知っている人にしかできない<知っている人にが出来る>のだ) 15610 0 0 15442 htmvoc_15610.wav ホートバレー ⸢ホート⸣バレー [⸢hoːto⸣bareː] 固 鳩離島。若年層の言葉。老年層は、パ⸢トゥ⸣マレー[pḁ⸢tu⸣mareː](鳩離島)という。 ⸢ホート⸣バレーナ ⸣パトゥザヌ ⸢コー⸣マ ⸣トゥリン ⸢ゲー⸣タン [⸢hoːto⸣bareːna ⸣pḁtuʣanu ⸢koː⸣ma ⸣turiŋ ⸢geː⸣taŋ] (鳩離島に鳩の卵を取りに行ったこ<行ったことがある>) 15611 0 1 15443 htmvoc_15611.wav ホーヌ ⸢ホー⸣ヌ [⸢hoː⸣nu] 自動 {Mn_1}降らない(⸣フーン{SqBr}ɸuːŋ{/SqBr}<降る>の未然形)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣ケン ⸢パー⸣ク ⸢ヤー⸣パリ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ⸢jaː⸣pari] (雨が降らないうちに早く家に帰れ)。 15611 0 2 15444 htmvoc_15611.wav ホーヌ ⸢ホー⸣ヌ [⸢hoː⸣nu] 自動 {Mn_2}付かない、生じない(⸣フーン{SqBr}⸣ɸuːŋ{/SqBr}<喰う{EOS}\ruby{錆}{サビ}や\ruby{黴}{カビ}が生ずる{EOS}\ruby{垢}{アカ}がつく>の未然形)。 ⸣パナー ⸢ホー⸣ヌ [⸣panaː ⸢hoː⸣nu] (黴は生えない<付かない>)。 サ⸢ベー ホー⸣ヌ [sa⸢beː hoː⸣nu] (錆はつかない)。 ⸣ガバー ⸢ホー⸣ヌ [⸣gabaː ⸢hoː⸣nu] (垢はつかない)。 15611 0 3 15445 htmvoc_15611.wav ホーヌ ⸢ホー⸣ヌ [⸢hoː⸣nu] 自動 {Mn_3}噛まない(⸣フーン{SqBr}⸣ɸuːŋ{/SqBr}<噛む>の未然形)。 ⸣アメー ⸢ホー⸣ヌ [⸣ʔameː ⸢hoː⸣nu] (雨は降らない) 15612 0 0 15446 htmvoc_15612.wav ボーボー ⸢ボー⸣ボー [⸢boː⸣boː] 名 幼児語。男の赤ちゃん。 ⸢ウン⸣ネナー ⸢ボーボー⸣ヌ マ⸢レーン⸣ツォー [⸢ʔun⸣nenaː ⸢boːboː⸣nu ma⸢reːn⸣ʦoː] (あの家に男の赤ちゃんが生まれたそうだ) 15613 0 0 15447 htmvoc_15613.wav ボーボー ⸣ボーボー [⸣boːboː] 固 人名。⸣ボッパー[⸣boppaː]ともいう。 ⸣ナラシケーナール ⸣ボーボーティ ⸢スー⸣ プ⸢ソー オーッタ⸣ル [⸣naraʃi̥keːnaːru ⸣boːboːti ⸢suː⸣ pu̥⸢soː ʔoːtta⸣ru] (成底家に<ぞ>ボーボーという人はおられたのだ) 15614 0 0 15448 htmvoc_15614.wav ポーポー ⸢ポー⸣ポー [⸢poː⸣poː] 名 料理名。小麦粉を水に\ruby{溶}{ト}いてフライパンで薄く延ばして焼き上げ、中に油味噌を\ruby{炒}{イタメ}たものをいれ、細長く巻いたもの。ッ⸢スポー⸣ポー[s⸢supoː⸣poː](味噌入りの白いポーポー)とッ⸢ふポー⸣ポー[f⸢fupoː⸣poː](黒砂糖を削って小麦粉に混ぜ、溶いて焼き上げたポーポー)があった。 ⸢ポー⸣ポーンツァン ヤ⸢キティ サー⸣フキ ン⸢ザサン⸣ノーレー [⸢poː⸣poːnʦaɲ ja⸢kiti saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣasan⸣noːreː] (ポーポーでも焼いて茶請けに出しなさいよ<出さないかよ>) 15615 0 1 15449 htmvoc_15615.wav ボーボーシ ⸢ボーボー⸣シ [⸢boːboː⸣ʃi] 副 擬態語。{Mn_1}火の燃えるさま。 ウ⸢ブカマ⸣チナー ⸢ユシ⸣キタムヌ ⸢ボーボー⸣シ ⸢モーシェー⸣ティル ⸢シンメー⸣ナビナー ⸢ウン⸣マー ⸢ネーシタ [ʔu⸢bukama⸣ʧinaː ⸢juʃi̥⸣kitamunu ⸢boːboː⸣ʃi ⸢moːʃeː⸣tiru ⸢ʃimmeː⸣nabinaː ⸢ʔum⸣maː ⸢neːʃi̥ta] (大きな\ruby{竈}{カマド}にススキの薪をぼうぼうと燃やして、四枚鍋で芋を煮た<炊いた>)。 15615 0 2 15450 htmvoc_15615.wav ボーボーシ ⸢ボーボー⸣シ [⸢boːboː⸣ʃi] 副 {Mn_2}強風の吹くさま。 ⸢ボーボー⸣シ カ⸢ジヌ⸣ フクンダ ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢boːboː⸣ʃi ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kunda ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (ぼうぼうと強風が吹くので舟は出されない) 15616 0 1 15451 htmvoc_15616.wav ポーポーシ ⸢ポーポー⸣シ [⸢poːpoː⸣ʃi] 副 {Mn_1}ぷんぷんと。\ruby{馥郁}{フク|イク}たる香りが一面に漂うさま。 ⸢ポーポー⸣シ ン⸢マー⸣ンギサヌ ⸢ティンプラ⸣ヌ カ⸢ザヌ スン [⸢poːpoː⸣ʃi ʔm⸢maː⸣ŋgisanu ⸢timpura⸣nu ka⸢ʣanu suŋ] (ぷんぷんと<馥郁と>美味しそうなテンプラの匂いがする)。 15616 0 2 15452 htmvoc_15616.wav ポーポーシ ⸢ポーポー⸣シ [⸢poːpoː⸣ʃi] 副 {Mn_2}ぷんぷんと悪臭がたちこめるさま。 ⸢ポーポー⸣シ ⸢ピーッサリカザ⸣ヌ ⸢スンドゥ タール⸣ プ⸢ス⸣タユー ッ⸢サヌ [⸢poːpoː⸣ʃi ⸢piːssarikaʣa⸣nu ⸢sundu taːru⸣ pu̥⸢su⸣tajuː s⸢sanu] (ぷんぷんと腐れ屁の臭いがするが、誰が放屁したのか知らない) 15617 0 0 15453 htmvoc_15617.wav ポーポーシ ⸢ポーポー⸣シ [⸢poːpoː⸣ʃi] 副 ぽかぽかと。微熱が出るさま。発熱して体が熱くなるさま。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸢ドゥー⸣ヤ ⸢ポーポー⸣シ ⸢ベーン⸣ドゥ ⸢ガー⸣バ ⸣タティ シ⸢グトゥ シェー⸣ティ ⸢アーク⸣バン [ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸢duː⸣ja ⸢poːpoː⸣ʃi ⸢beːn⸣du ⸢gaː⸣ba ⸣tḁti ʃi⸢gutu ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣baŋ] (熱が出て体はぽかぽかと熱くなっているのに、意地を張って<我を立てて>仕事をしているわい) 15618 0 0 15454 htmvoc_15618.wav ポーポーパースン ⸢ポー⸣ポー ⸢パー⸣スン [⸢poː⸣poː ⸢paː⸣suŋ] 連 ポーポーを焼く<\ruby{這}{ハ}わす>。メリケン粉や芋の澱粉を水で溶き、薄くのばして焼く。 ⸢ポー⸣ポー ⸢パー⸣シティ ⸢サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シバ [⸢poː⸣poː ⸢paː⸣ʃi̥ti ⸢saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (ポーポーを薄く焼いて茶請けに出しなさいよ) 15620 0 0 15455 htmvoc_15620.wav ホーマ ⸢ホー⸣マ [⸢hoː⸣ma] 固 (地)大浜集落。若年層は、⸢オー⸣ハマ[⸢ʔoː⸣hama](大浜)ともいう。 ⸢ホー⸣マプス [⸢hoː⸣mapu̥su] (大浜の人)。⸢オー⸣ハマプス[⸢ʔoː⸣hamapu̥su](大浜のひと)ともいう。 ⸢ホー⸣マムニ [⸢hoː⸣mamuni] (大浜言葉)。⸢オー⸣ハマムニ[⸢ʔoː⸣hamamuni](大浜言葉)ともいう。 ⸢ホー⸣マー ピ⸢サイトゥ メーラヌ アイナ⸣カナール ⸣アル [⸢hoː⸣maː pi̥⸢saitu meːranu ʔaina⸣kanaːru ⸣ʔaru] (大浜集落は平得集落と宮良集落の中間にある) 15619 0 0 15456 htmvoc_15619.wav ホーマアカハチ ⸢ホー⸣マアカハチ [⸢hoː⸣maʔakahaʧi] 固 人名。歴史上の英雄的人物である「大浜アカハチ」の義。普通は、ウ⸢ヤ⸣キアカハチ[ʔu⸢ja⸣kiʔakahaʧi](16世紀初頭に首里王府に謀反した八重山の豪族)という。 ⸢ホー⸣マアカハチェー パ⸢ティルマ⸣ナール マ⸢ルタ⸣ティ ア⸢ザリ ブー [⸢hoː⸣maʔakahaʧeː pḁ⸢tiruma⸣naːru ma⸢rutati⸣ ʔa⸢ʣari buː] (大浜アカハチは波照間島に生まれたといわれている) 15621 0 0 15457 htmvoc_15621.wav ホーマプス ⸢ホー⸣マプス [⸢hoː⸣mapu̥su] 名 大浜の人。⸢オー⸣ハマプス[⸢ʔoː⸣hamapu̥su](大浜の人)ともいう。 ⸢ホー⸣マプソー ⸢ターパタキ⸣ル ス⸢ク⸣ロール ⸣ウミシグトー ⸢ソーラ⸣ヌ [⸢hoː⸣mapu̥soː ⸢taːpḁtaki⸣ru su̥⸢ku⸣roːru ⸣ʔumiʃigutoː ⸢sora⸣nu] (大浜の人は農業<田畑を作られる>をなさる、漁業<海の仕事>はなさらない) 15622 0 0 15458 htmvoc_15622.wav ホーヤー ⸢ホー⸣ヤー [⸢hoː⸣jaː] 名 たんどく(丹毒)。菌によって起こる皮膚病。高熱がでて、患部が真っ赤に腫れあがる。怖い病気とされていた『石垣方言辞典』。「胎毒(eczema)乳児が、妊娠中に感染した毒により、生後体に発疹ができること。体質的なものだが、昔は梅毒が原因と思われていた。丹毒にも使われている」『医学沖縄語辞典』。 ⸢ホー⸣ヤー カ⸢カ⸣ルカー ⸣ヌチェー ⸢タシゥカラン⸣ティ ア⸢ザリブタ [⸢hoː⸣jaː kḁ⸢ka⸣rukaː ⸣nuʧeː ⸢tasï̥karan⸣ti ʔa⸢ʣaributa] (ホーヤーに\ruby{罹}{カカ}ったら命は助からないといわれていた) 15623 0 0 15459 htmvoc_15623.wav ホーラ ⸢ホーラ [⸢hoːra] 名 ふり。若年層は、⸢コーラ[⸢koːra](ふり)ともいう。 ⸣ッサン ⸢ホーラ スン [⸣ssaŋ ⸢hoːra suŋ] (知らないふりをする)。 ミ⸢ラ⸣ン ⸢ホーラ スン [mi⸢ra⸣ŋ ⸢hoːra suŋ] (見ぬふりをする)。 ⸣ウナーテー ⸢ワー⸣ ッサン ⸢コーラ⸣シ ⸢ベー⸣リバ [⸣ʔunaːteː ⸢waː⸣ ssaŋ ⸢koːra⸣ʃi ⸢beː⸣riba] (そこでは、君は知らん振りをしていなさいよ)。 ミ⸢ラ⸣ン ⸢コーラ⸣ シティ ミリ⸢ベー [mi⸢ra⸣ŋ ⸢koːra⸣ ʃi̥ti miri⸢beː] (見ない振りをして見ている) 15624 0 0 15460 htmvoc_15624.wav ホーライマイ ⸢ホーライ⸣マイ [⸢hoːrai⸣mai] 名 (植)蓬莱米。戦前に台湾より導入された稲の品種。粘り気があって美味しく、多収量で、脱穀しやすい品種に改良されていた。 ⸢ホーライマイ⸣ヌ ン⸢ズ⸣ター ⸢ザイレー⸣マイ ス⸢ク⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [⸢hoːraimai⸣nu ʔn⸢ʣu⸣taː ⸢ʣaireː⸣mai su̥⸢ku⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (蓬莱米が出回ったので在来品種の米を作付けする人はいなかった) 15625 0 0 15461 htmvoc_15625.wav ホーラザー ⸢ホー⸣ラザー [⸢hoː⸣raʣaː] 名 八重山の最高神女職。サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}神女{EOS}石垣方言の、チゥ⸢カ⸣サ{SqBr}ʦï̥⸢ka⸣sa{/SqBr})の最高職。⸢ホー⸣ラザーマイ[⸢hoː⸣raʣaːmai](大阿母)のこと 15626 0 0 15462 htmvoc_15626.wav ホーラザーマイ ⸢ホーラ⸣ザーマイ [⸢hoːra⸣ʣaːmai] 名 八重山の最高神女職。「大阿母」と記されている。「おほあるじまえ(大主前)」の意か。各種の神女、チゥカサの総監督、指導にあたり、女性でただ一人俸禄をもらっていた『石垣方言辞典』という。 ⸢ホーラ⸣ザーマイヤー ウ⸢ム⸣トゥダキヌ ⸢カン⸣バ ウ⸢ガ⸣ミ ⸢オー⸣ルティ⸢ダー [⸢hoːra⸣ʣaːmaijaː ʔu⸢mu⸣tudakinu ⸢kam⸣ba ʔu⸢ga⸣mi ⸢ʔoː⸣ruti⸢daː] (ホーラザーマイは於茂登岳の神を信仰しておられるそうだよ) 15627 0 0 15463 htmvoc_15627.wav ホーラリン ⸢ホーラ⸣リン [⸢hoːra⸣riŋ] 自動 噛まれる。「Curai,ŏ,ŏta.クライ、ゥ、ゥタ(飡ひ、ふ、うた)食う.下賤の者とか獣とかについていう.また、かみつく.Inuni teuo curauaruru(犬に手を飡はるる)」『邦訳日葡辞書』。⸣フーン[⸣ɸuːŋ](喰らう{EOS}噛みつつく)の未然形⸢ホー[⸢hoː]に受身の助動詞⸢ラ⸣リン[⸢ra⸣riŋ](られる)が付いて転訛した受身動詞。 ⸣イン ⸢ター⸣スカー ⸢ホーラ⸣リン⸢ダー [⸣ʔin ⸢taː⸣su̥kaː ⸢hoːra⸣rin⸢daː] (犬をからかう<に\ruby{戯}{ジャ}れる>と噛まれるぞ)。 ⸣イン ⸢ホーララン⸣ヨーニ ⸢シー⸣バ [⸣ʔiŋ ⸢hoːraraɲ⸣joːni ⸢ʃiː⸣ba] (犬に噛まれないようにしなさいよ)。 ⸣イン ⸢ホーラ⸣リティ ナ⸢キ ベー [⸣ʔiŋ ⸢hoːra⸣riti na⸢ki beː] (犬に噛まれて泣いている)。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ティ パ⸢ブン ホーラ⸣リ ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢ホーラ⸣レーラ ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸣ʔunaː ⸢beː⸣ti pa⸢buŋ hoːra⸣ri ⸣ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢hoːra⸣reːra ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (そこにいて蛇に噛まれることはないが、噛まれたら大変さ)。 ⸣ワンザーヒャー パ⸢ブン ホーラ⸣リバ [⸣wanʣaːçaː pa⸢buŋ hoːra⸣riba] (お前奴は蛇に噛まれろ) 15628 0 0 15464 htmvoc_15628.wav ホーリン ⸢ホー⸣リン [⸢hoː⸣riŋ] 自動 受身動詞。噛まれる。⸢ホーラ⸣リン[⸢hoːra⸣riŋ](噛まれる)と同じ。 ⸣ウマーラ ア⸢ラ⸣クカー パ⸢ブン ホー⸣リン⸢ダー [⸣ʔumaːra ʔa⸢ra⸣kukaː pa⸢buŋ hoː⸣rin⸢daː] (そこを歩くと蛇に噛まれるぞ)。 アー⸢イ ホーラ⸣ヌ [ʔaː⸢ji hoːram⸣ paʤi] (いや、噛まれない)。 パ⸢ブン ホー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [pa⸢buŋ hoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (蛇に噛まれてしまった)。 パ⸢ブン ホー⸣リ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [pa⸢buŋ hoː⸣ri pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (蛇に噛まれる人はいない)。 ⸢ホー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢hoː⸣reː ⸣misamunu] (噛まれたらいいのに)。 ワンザー⸢ナー⸣トー パ⸢ブン ホー⸣リバヒャー [wanʣaː⸢naː⸣toː pa⸢buŋ hoː⸣ribaçaː] (お前野郎などは蛇に噛まれっちまえヒャー) 15629 0 0 15465 htmvoc_15629.wav ホーリン ⸢ホーリン [⸢hoːriŋ] 自動 戸締りできる。他動詞⸢フーン[⸢ɸuːŋ](閉める{EOS}戸を閉める)の未然形に可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](~れる)が下接して形成された可能動詞。 ⸣ヤドー ヤ⸢ラビン⸣ヌン ⸢ホーリン [⸣jadoː ja⸢rabin⸣nuŋ ⸢hoːriŋ] (戸は子供にも閉められる)。 ⸢バン⸣マー ⸢ホーララヌ [⸢bam⸣maː ⸢hoːraranu] (私には閉められない)。 ヤ⸢ラ⸣ビン ⸢ホラリル⸣ ヤドー ア⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣biŋ ⸢hoːrariru⸣ jadoː ʔa⸢ra⸣nu] (子供に閉められる戸ではない) 15630 0 0 15466 htmvoc_15630.wav ホール ⸢ホー⸣ル [⸢hoː⸣ru] 名 思慮。分別。常識。 ⸣アイブー ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー ⸢ホー⸣ロー ⸢ナー⸣ン ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [⸣ʔaibuː ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː hoː⸣roː ⸢naː⸣n ⸣nuːja ʔu⸢reː] (あんなことをして、思慮分別がない{EOS}何だね、それは) 15635 0 0 15467 htmvoc_15635.wav ホールーホールー ホー⸢ルーホールー [hoː⸢ruːhoːruː] 副 間抜けなさま。思慮分別のないさま。薄ら\ruby{惚}{ボケ}したようなさま。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ チ⸢カ⸣グロー ン⸢ベーマ カウリティ⸣ ホー⸢ルーホールー⸣シル ⸢オー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʧi̥⸢ka⸣guroː ʔm⸢beːmaː kauriti⸣ hoː⸢ruːhoːruː⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru] (その人は、最近ちょっと変で、薄ら惚けしておられる) 15631 0 0 15468 htmvoc_15631.wav ホールキシムニ ⸢ホー⸣ルキシムニ [⸢hoː⸣ruki̥ʃimuni] 名 愚かな物言い。馬鹿げた話。辻褄の合わない話。 ⸢ホー⸣ル ⸣キシムニバ イ⸢ジアー⸣ク [⸢hoː⸣ru ⸣ki̥ʃimuniba ʔi⸢ʤiʔaː⸣ku] (非常識でばかげた<訳の分からない{EOS}辻褄の合わない>話をしている<言っている>) 15632 0 0 15469 htmvoc_15632.wav ホールキシムヌ ⸢ホー⸣ル キ⸢シ⸣ムヌ [⸢hoː⸣ru ki̥⸢ʃi⸣munu] 連 思慮分別のない者。\ruby{耄碌}{モウ|ロク}した者。常識のない者。間抜け。 ⸢ホー⸣ル キ⸢シムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ナ [⸢hoː⸣ru ki̥⸢ʃimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaːku⸣na] (思慮分別のない者のように振舞う<行動してあるく>な) 15633 0 0 15470 htmvoc_15633.wav ホールキシルン ⸢ホー⸣ル キ⸢シ⸣ルン [⸢hoː⸣ru ki̥⸢ʃi⸣ruŋ] 連 思慮分別がなくなる。耄碌する。間が抜ける。「思慮が切れる」の義。 ⸢ワー タン⸣ガー ア⸢ラ⸣ヌ ター⸢ン⸣ トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ⸢ホー⸣ル キ⸢シ⸣ルンダー ⸢ソー サンブリ⸣バ [⸢waː taŋ⸣gaː ʔa⸢ra⸣nu taː⸢n⸣ tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ⸢hoː⸣ru ki̥⸢ʃi⸣rundaː ⸢soː samburi⸣ba] (君だけではない、誰でも年を取ったら耄碌するから心配するなよ) 15634 0 0 15471 htmvoc_15634.wav ホールキスン ⸢ホー⸣ル ⸣キスン [⸢hoː⸣ru ⸣ki̥suŋ] 連 思慮分別がなくなる。\ruby{耄碌}{モウ|ロク}する。間が抜ける。「思慮が切れる」の義。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ⸢ホー⸣ル ⸣キスンダル ⸣トゥシェー トゥ⸢リ⸣プサ ⸢ナーン⸠ツォー [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ⸢hoː⸣ru ⸣ki̥sundaru ⸣tu̥ʃeː tu⸢ri⸣pu̥sa ⸢naːn⸠ʦoː] (年を取ったら耄碌するから、年は取りたくないんですよ) 15636 0 1 15472 htmvoc_15636.wav ボールボール ⸣ボールボール [⸣boːruboːru] 副 {Mn_1}ぐつぐつ煮えたぎる<\ruby{滾}{タギ}る>さま。 ⸢カイヤー⸣ ボールボールシ フ⸢トゥッチ⸣ルカー ⸣ナベー ウ⸢ティ⸣ ミサン [⸢kaijaː⸣ boːruboːruʃi ɸu̥⸢tutʧi⸣rukaː ⸣nabeː ʔu⸢ti⸣misaŋ] (お粥はぐつぐつ煮えたぎると、鍋を\ruby{竈}{カマド}から移しても良い)。 15636 0 2 15473 htmvoc_15636.wav ボールボール ⸣ボールボール [⸣boːruboːru] 副 {Mn_2}擬態語。ぶつぶつ不平を言うさま。 ⸣ボールボールシ フ⸢トゥッ⸣チェーティ ⸢スー⸣ シ⸢グトー ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸣boːruboːruʃi ɸu̥⸢tut⸣ʧeːti ⸢suː⸣ ʃi⸢gutoː daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (ぶつぶつ不平を言いながらする仕事は良くない<立派なものでない{EOS}まともなものでない{EOS}信頼のおけるものではない>) 15637 0 0 15474 htmvoc_15637.wav ポールン ⸢ポールン [⸢poːruŋ] 他動 撒く。散らかす。ほうる「放る」からの転訛。 ア⸢ガマミ ポーリティ⸣ トゥ⸢ルン⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ʔa⸢gamami poːriti⸣ tu⸢ruŋ⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (小豆を撒いて鶏に食わせなさいよ)。 ⸢バン⸣ヌン ⸢ポールンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ポーララヌ [⸢ban⸣num ⸢poːrunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢poːraranu] (私も撒こうと思うが、撒かれない)。 ⸢ポール⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢poːru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (撒く人はいない)。 ムー⸢ル ポーレー⸣ ミサムヌ [muː⸢ru poːreː⸣ misamunu] (全部撒けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ポーリ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢poːri⸣ba] (早く撒けよ) 15638 1 0 15475 htmvoc_15638.wav ボーレー ⸢ボー⸣レー [⸢boː⸣reː] 名 {PoS_1}良い子。お利口さん。利口者。子供を\ruby{褒}{ホメ}る時にいう。 ⸢ワー ウイヌ ガッ⸣コーン ⸢ペー⸣リ ⸢ボーレー⸣ユン [⸢waː ʔuinu gak⸣koːm ⸢peː⸣ri ⸢boːreː⸣juŋ] (君は上級学校にも入学して利口者だ)。 15638 2 0 15476 htmvoc_15638.wav ボーレー ⸢ボー⸣レー [⸢boː⸣reː] 感 {PoS_2}ボー⸢レー ボーレー⸣ ア⸢ターチマ⸣ ク⸢マー⸣ キー⸢ミリ[boː⸢reː boːreː⸣ ʔa⸢taːʧima⸣ ku⸢maː⸣ kiː⸢miri](お利口ちゃん、お利口ちゃん、ちょっとここへ来てごらん) 15639 0 0 15477 htmvoc_15639.wav ホーローナーヌ ⸢ホー⸣ロー ⸢ナー⸣ヌ [⸢hoː⸣roː ⸢naː⸣nu] 連 思慮分別がない。間抜けだ。\ruby{耄碌}{モウ|ロク}した奴。うすのろ(薄鈍)奴。[hoːru](思慮・分別)+ [ja](は)→ [hoːroː] と変化したもの。 ⸢ホー⸣ロー ⸢マーシ⸣ノ [⸢hoː⸣roː ⸢maːʃi⸣no] (間抜け野郎<猿>めが) 15640 0 1 15478 htmvoc_15640.wav ボーンケールン ⸢ボーンケー⸣ルン [⸢boːŋkeː⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}匂いが漂う。匂いがぷんぷん立ち上る。悪臭がぷんぷん漂う。 サ⸢キカザヌ ボーンケー⸣リティ ン⸢カーラヌ [sḁ⸢kikaʣanu boːŋkeː⸣riti ʔŋ⸢kaːranu] (酒の臭いがぷんぷん漂って向かい合われ<対面出来>ない)。 サ⸢キ⸣ ヌミティヌ ⸢ナーツァー⸣ サ⸢キカザヌ ボーンケー⸣ルンダ ⸢ボーンケーラン⸣ ヨーニ ⸢イッ⸣パイ ミ⸢ジ⸣ ヌミバ [sḁ⸢ki⸣ numitinu ⸢naːʦaː⸣ sḁ⸢kikaʣanu boːŋkeː⸣runda ⸢boːŋkeːraɲ⸣joːni ⸢ʔip⸣pai mi⸢ʤi⸣ numiba] (酒を飲んだ翌日は酒の臭いがぷんぷん漂うから、酒臭みが匂わないように沢山<一杯>水を飲めよ)。 ⸣ッサリカザヌ ⸢ボーンケー⸣ル ⸣トンナー ⸢ベール⸣ナ [⸣ssarikaʣanu ⸢boːŋkeː⸣ru ⸣tonnaː ⸢beːru⸣na] (腐臭の漂う所には居るな)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ボーンケー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢boːŋkeː⸣reː ⸣misamunu] (もっと悪臭が漂えばいいのに)。 15640 0 2 15479 htmvoc_15640.wav ボーンケールン ⸢ボーンケー⸣ルン [⸢boːŋkeː⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}蝿などがたかる。 ⸣ッサリムヌナー ⸢アウバイヌ ボーンケー⸣リティ キ⸢ムフクレー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ssarimununaː ⸢ʔaubainu boːŋkeː⸣riti ki⸢muɸu̥kureː⸣nu na⸢ra⸣nu] (腐れたものに青蝿がたかって汚くて堪らない) 15641 0 0 15480 htmvoc_15641.wav ボーンボーンシ ⸢ボーンボーン⸣シ [⸢boːmboːŋ⸣ʃi] 副 擬声語。ぶうぶう不平不満をいうさま。ぶつぶつ文句をいうさま。⸢ボールボール⸣シ[⸢boːruboːru⸣ʃi](ぶつぶつと盛んに不平不満<文句>をいう)より多少弱い表現。 ⸢ボーンボーン⸣シ ム⸢ニ⸣バ ⸣ユメーティ ⸢アー⸣ク [⸢boːmboːŋ⸣ʃi mu⸢ni⸣ba ⸣jumeːti ⸢ʔaː⸣ku] (ぶうぶう不平不満を言っている) 15642 0 0 15481 htmvoc_15642.wav ホイダー ⸣ホイダー [⸣hoidaː] 名 (動)スズメ目ヒタキ科の鳥の名。和名、シロハラ。ツグミほどの大きさ。翼と\ruby{尾羽}{オ|バネ}は黒褐色。冬期に渡ってきた。子供たちは林の中に⸣ヤマ[⸣jama](捕獲用の装置)を\ruby{拵}{コサエ}ておいて捕獲していた。 ⸣ホイダー ⸣ヤマ ⸣カキティ ⸣ユー トゥ⸢ル⸣タン [⸣hoidaː ⸣jama ⸣kḁkiti ⸣juː tu⸢ru⸣taŋ] (シロハラは捕獲用の仕掛けを作って、よく捕獲したものだ) 15643 0 0 15482 htmvoc_15643.wav ホイナクン ⸢ホイナ⸣クン [⸢hoina⸣kuŋ] 他動 かっこむ。食物を掻き込む。急いで、大口で食う。 ⸣イー ⸢ホイナ⸣クン [⸣ʔiː ⸢hoina⸣kuŋ] (ご飯を掻っ込む)。 ⸣アイニ ⸢ホイナカン⸣ ブリバ [⸣ʔaini ⸢hoinakam⸣ buriba] (あのように掻っ込むな<掻っ込まないでおれ>よ)。 ⸢ホイナク⸣ナ [⸢hoinaku⸣na] (掻っ込むな)。 ⸢イー⸣ヤ ⸢ホイナ⸣キミサカー ⸢ホイナ⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [⸢ʔiː⸣ja ⸢hoina⸣ki ⸣misakaː ⸢hoina⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (ご飯は掻っ込んでよければ掻っ込むことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ホイナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢hoina⸣keː ⸣misamunu] (もっと掻っ込めばいいのに)。 ⸣ナルカギリ ⸢ホイナ⸣キバ [⸣narukagiri ⸢hoina⸣kiba] (出来る限り沢山掻っ込めよ)。 ⸢イー⸣バ ⸢ホイナ⸣クンティ ⸢アー⸣キ ン⸢ツァウター⸣ ウ⸢ダラ⸣キティ ⸢ホイナカン⸣ドーシ ⸢ヨーンナ⸣ ッ⸢ふァイティ パッ⸣タヤー [⸢ʔiː⸣ba ⸢hoina⸣kunti ⸢ʔaː⸣ki ʔn⸢ʦautaː ʔu⸢dara⸣kiti ⸢hoinakan⸣doːʃi ⸢joːnna⸣ f⸢faiti pat⸣tajaː] (ご飯をかっこもうとして、むせ<\ruby{咽}{ムセ}>ったので、かっ込まないでゆっくり食べて行ったよ)。 キサー⸢ティ ホイナ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [kisaː⸢ti hoina⸣ki ⸢naː⸣nu] (すでにかっ込んでしまった)。 ⸢ホイナ⸣ク ⸣クトー ⸢スーナ⸣ヨー [⸢hoina⸣ku ⸣ku̥toː ⸢suːna⸣joː] (かっ込むことはするなよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ホイナ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢hoina⸣keː ⸣misamunu] (もっとかっ込めばいいのに)。 ムー⸢ル ホイナ⸣キバ [muː⸢ru hoina⸣kiba] (全部かっ込めよ) 15644 0 0 15483 htmvoc_15644.wav ホイル ⸢ホイル [⸢hoiru] 名 焼玉エンジンのシリンダーの前面にある車輪。これを回してエンジンを起動させた。英語のホイール(Wheel<車輪>)が語源。焼玉式発動機船がカツオ漁船として導入された時に、ホイールが転訛して借用されたもの。同時期に借用された外来語に、⸢バー⸣ナー[⸢baː⸣naː](英語のburner<霧状石油燃料の燃焼装置>)、ク⸢ラッ⸣チ[ku⸢rat⸣ʧi](英語のclutch<連軸器>)、⸢ノーズル[⸢noːʣuru](英語のnozzle<ディーゼル機関で燃料を噴出する細孔>)、⸢ピス⸣トン[⸢pisu̥⸣toŋ](英語のpiston<シリンダーの中にあって往復運動できる栓状の部材>)、⸢シャフ⸣ト[⸢ʃaɸu̥⸣to](英語のshaft<動力伝達を目的とする棒状の回転軸>)、⸣ペラ[⸣pera](英語のpropeller<船舶の推進器>)などがある。 ⸢ホイル マーシティ⸣ キカイ ウ⸢ク⸣スン [⸢hoiru maːʃi̥ti⸣ ki̥kai ʔu⸢ku⸣suŋ] (ホイルを回してエンジンを起動する<起こす>) 15645 0 0 15484 htmvoc_15645.wav ホッカー ⸢ホッ⸣カー [⸢hok⸣kaː] 名 \ruby{手品}{テ|ジナ}。\ruby{奇術}{キ|ジュツ}。曲芸。「放下」、鎌倉時代末・南北朝の頃に現れた異端の芸能者。手に小切子<こきりこ>などを持って街頭で滑稽な歌舞、曲芸を演じた『岩波古語辞典』。「放家、ハウカ、シナダマトルモノ、術者」『運歩色葉集』、「Fŏca.ハゥカ(放家) 道化手品師.Fŏcauo suru.(放家をする)道化手品師の職をする、あるいは、巧みに人の目を欺いて手品師のわざをする」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢リヌ スームヌ⸣ ミルカー ⸢フン⸣トー ⸢ホーッカー⸣ ユン [ʔu⸢rinu suːmunu⸣ mirukaː ⸢ɸun⸣toː ⸢hokkaː⸣juŋ] (彼がするのを見ると本当に手品だよ) 15646 0 0 15485 htmvoc_15646.wav ホッカーシープス ⸢ホッ⸣カー ⸢シープス [⸢hok⸣kaː ⸢ʃiːpusu] 連 奇術師。「奇術をする人」の義。 イ⸢サナキナー⸣ヤ ミ⸢ジラ⸣サル ⸢ホッカー⸣バ ⸢シー⸣ ミ⸢ラ⸣ス プ⸢スン⸣ ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢クー⸣タンツォー [ʔi⸢sanakinaː⸣ja mi⸢ʤira⸣saru ⸢hokkaː⸣ba ⸢ʃiː⸣ mi⸢ra⸣su pu̥⸢suŋ⸣ ʔu⸢ki⸣naːra ⸢kuː⸣tanʦoː] (石垣島には、珍しい奇術をして見せる人も沖縄から来たそうだよ) 15647 0 0 15486 htmvoc_15647.wav ポッチカッチ ⸢ポッチカッ⸣チ [⸢potʧikat⸣ʧi] 副 まばらな状態。散らばるさま。散らかすさま。ABCDBC型の重言。ポッツァーシとも言う。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ム⸢タビ⸣ムノー ⸢ポッチカッ⸣チ ⸢シー⸣ シゥ⸢カン⸣ドーシ プ⸢スン⸣トンナー マ⸢トゥミ⸣ シ⸢キ⸣リバ [ja⸢rabi⸣nu mu⸢tabi⸣munoː ⸢potʧikat⸣ʧi ⸢ʃiː⸣ sï̥⸢kan⸣doːʃi pu̥⸢sun⸣tonnaː ma⸢tumi⸣ ʃi̥kiba] (子供の玩具は散らかして置かないで、一箇所に纏めておけよ) 15648 0 0 15487 htmvoc_15648.wav ポッチポッチ ⸢ポッチポッチ [⸢potʧipotʧi] 副 点々と。まばらに。ちりじりに。とびとびに。ABCABC型の重言。 ⸢ムン⸣マー ギャン⸢ティ⸣ イ⸢ベーサムティ ポッチポッ⸣チル イ⸢ビ⸣シケーンダ ⸢ナン⸣ゾー トゥ⸢ララ⸣ヌ [⸢mum⸣maː gjan⸢ti⸣ ʔi⸢beːsamuti potʧipot⸣ʧiru ʔi⸢bi⸣ʃi̥keːnda ⸢nan⸣ʣoː tu⸢rara⸣nu] (麦はびっしり植えないで、まばらに<ぞ>植えてあるのであまり収穫できない<あまり取られない>) 15649 0 0 15488 htmvoc_15649.wav ポッチルン ⸢ポッチルン [⸢potʧiruŋ] 自動 散らばる。散乱する。散り散りになる。粒状のものが散らばる。 イ⸢ツァフン⸣ツァナー マ⸢ミフク⸣ル ウ⸢タ⸣シ ク⸢バ⸣スカー ⸢ポッチルンダ ポッチラン⸣ヨーニ ウ⸢ラ⸣シ [ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦanaː ma⸢miɸu̥ku⸣ru ʔu⸢ta⸣ʃi ku⸢ba⸣su̥kaː ⸢potʧirunda potʧiraɲ⸣joːni ʔu⸢ra⸣ʃi] (板の間に豆袋を落として零すと豆が散乱するから、散乱しないように降ろしなさい)。 ⸢ポッチ ナー⸣ヌ [⸢potʧi naː⸣nu] (散乱してしまった)。 ⸢ポッチル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢potʧiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (散乱することはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ポッチレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢potʧireː⸣ misamunu] (もっと散乱すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ポッチリ [⸢paː⸣ku ⸢potʧiri] (早く散らばれ) 15651 0 0 15489 htmvoc_15651.wav ポッツァースン ⸢ポッツァースン [⸢potʦaːsuŋ] 他動 撒き散らかす。散らかす。放り散らかす。 ⸢マイシジ ポッツァーサンドー⸣シ ⸣ッサイバ [⸢maiʃiʤi potʦaːsandoː⸣ʃi ⸣ssaiba] (米粒を散らかさないで搗け<精げなさい>よ)。 ⸣シケー ⸢サンドー⸣シ ⸣ッサウカー ⸢マイシジ ポッツァースン⸣ダー [⸣ʃi̥keː sandoː⸣ʃi ⸣ssaukaː ⸢maiʃiʤi potʦaːsun⸣daː] (\ruby{揺輪}{ユリ|ワ}を搗き臼の縁に\ruby{嵌}{ハ}めないで精げると米粒が飛び散る<散らす>よ)。 ⸢ポッツァーシ⸣ ミサン [⸢potʦaːʃi⸣ misaŋ] (散らかしてもいい)。 ⸣アイニ ⸢ポッツァース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢potʦaːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんあに散らかす人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ポッツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢potʦaːʃeː⸣ misamunu] (もっと散らかせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ポッツァーシ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢potʦaːʃi⸣ba] (早く散らかせよ) 15652 0 0 15490 htmvoc_15652.wav ポッツァールン ⸢ポッツァールン [⸢potʦaːruŋ] 自動 散らかる。散らばる。散り散りになる。 ミ⸢リ⸣ムヌ ⸣ミルンティ ア⸢ツァ⸣マリ ⸣ケータ プ⸢スン⸣ ブ⸢ドゥルヌ⸣ シ⸢マウター ナーブンブン ポッツァーリ⸣ パリ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢ri⸣munu ⸣mirunti ʔa⸢ʦa⸣mari ⸣keːta pu̥⸢sum bu⸢durunu⸣ ʃi⸢mautaː naːbumbum potʦaː⸣ri pari⸢naː⸣nu] (見世物<見もの{EOS}催し物>を見ようと集まってきた人も舞踊が終わったので各自散らばって行ってしまった)。 ウ⸢トゥ⸣ タ⸢テ⸣ィルカー イ⸢ゾー⸣ ウ⸢ダラ⸣キティ ⸢ポッツァールンダ ポッツァーラン⸣ヨーニ ム⸢ヌ⸣ウトゥ タ⸢ティル⸣ナ [ʔu⸢tu⸣ tḁ⸢ti⸣rukaː ʔi⸢ʣoː⸣ ʔu⸢dara⸣kiti ⸢potʦaːrunda potʦaːraɲ⸣joːni ʔu⸢tu⸣ tḁ⸢tiru⸣na] (音を立てると魚は驚いて散らばるから、散らばらないように音を立てるな)。 ⸣クナーヤ ⸢ポッツァーリ⸣ ミサンドゥ ⸣カーナーヤ ⸢ポッツァーララヌ [⸣kunaːja ⸢potʦaːri⸣ misandu ⸣kanaːja ⸢potʦaːraranu] (此処では散らばってよいが、あそこでは散らばられない)。 ⸢ポッツァール⸣ ピンマー ⸢トゥーサバー⸣キン ⸢ポッツァーレー⸣ ミサムヌ [⸢potʦaːru⸣ pimmaː ⸢tuːsabaː⸣kim ⸢potʦaːreː⸣ misamunu] (散らばる時は遠くまでも散らばればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ポッツァーリ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢potʦaːri⸣ba] (早く散らばれよ) 15650 0 0 15491 htmvoc_15650.wav ポッツン ⸢ポッツン [⸢potʦuŋ] 自動 散らばる。散乱する。散る。散り散りになる。粒状のものが散らばる。⸢ポッチルン[⸢potʧiruŋ]と同じ。 タ⸢カーン⸣ トンラ ウ⸢タ⸣スカー ムー⸢ル ポッツンドゥ⸣ ウ⸢タサン⸣カー ⸢ポッツァーラヌ [tḁ⸢kaːn⸣ tonra ʔu⸢ta⸣sukaː muː⸢ru potʦundu⸣ ʔu⸢tasaŋ⸣kaː ⸢potʦaːranu] (高い所から落とすと全部散乱するが、落とさなければ散乱しない)。 ⸢ポッチ⸣ パルン [⸢potʧi⸣ paruŋ] (散乱していく)。 ウ⸢ビ⸣ナー ⸢ポッツ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣naː ⸢potʦu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (あれほどに散乱することはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ポッチェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢potʧeː⸣ misamunu] (もっと散乱すればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ポッチ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢potʧi⸣ba] (早く散らばれ) 15653 0 0 15492 htmvoc_15653.wav ホッパルン ⸢ホッ⸣パルン [⸢hop⸣paruŋ] 他動 \ruby{頬張}{ホオ|バ}る。丸かじりする。「Foˆbare.ホゥバレ(頬腫れ)顔を腫れ上がらせる病気.上(Cami)ではFoˆfare(頬はれ)という」『邦訳日葡辞書』の転訛し、意味派生したものか。 ⸢シン⸣ザ ⸢ホッ⸣パルンティ ⸢スンドゥ パー⸣ヌ ⸣ヤミティ ⸢ホッパララ⸣ヌ [⸢ʃin⸣ʣa ⸢hop⸣parunti ⸢sundu paː⸣nu ⸣jamiti ⸢hopparara⸣nu] (砂糖黍を頬張ろうとするが、歯が痛くて頬張れない)。 ⸢ホッ⸣パリ ⸣ミサカー ⸢ホッ⸣パル ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢ホッ⸣パリティ ア⸢ゾーラン⸣ ユンダー ⸢ホッパラ⸣ヌ [⸢hop⸣pari ⸣misakaː ⸢hop⸣paru ⸣ku̥toː na⸢run⸣du ⸢hop⸣pariti ʔa⸢ʣoːraɲ⸣ junda ⸢hoppara⸣nu] (頬張ってよければ頬張ることはできるが、頬張れといわれないから頬張らないのだ)。 ⸢ホッ⸣パレー ⸣ミサムヌ [⸢hop⸣pareː ⸣misamunu] (頬張ればいいのに) 15654 0 0 15493 htmvoc_15654.wav ボッふァスン ⸢ボッふァスン [⸢boffasuŋ] 他動 束ねてあるものをばらす。ばらばらにする。ほぐす。 ⸢ソー⸣ミンタブロー ⸢ボッふァシティ⸣ ユ⸢ディ⸣リバ [⸢soː⸣mintaburoː ⸢boffaʃi̥ti⸣ ju⸢di⸣riba] (素麺束はばらばらにほぐして茹でなさいよ)。 ⸢ボッふァスン⸣ティ ⸢スンドゥ ボッふァサラヌ [⸢boffasun⸣ti ⸢sundu boffasaranu] (ばらばらにほぐそうとするが、ほぐされない)。 ⸢ボッふァス⸣ ピンマー ⸢ヨーンナ ボッふァシェー⸣ ミサムヌ [⸢boffasu⸣ pimmaː ⸢joːnnaː boffaʃeː⸣ misamunu] (ほぐすときは、ゆっくりほぐせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ボッふァシ [⸢paː⸣ku ⸢boffaʃi] (早くほぐせ) 15655 0 0 15494 htmvoc_15655.wav ボッふァティ ボッ⸢ふァティ [bof⸢fati] 副 ざぶんと。ものが水田や砂浜などへ柔らかい音を立てて落ち込んだり、めり込んだりするさま。 カ⸢タパン⸣マー ⸢ター⸣ヌ ナ⸢カー⸣ ボッ⸢ふァティ ⸢ペー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢tapam⸣maː ⸢taː⸣nu na⸢kaː⸣ bof⸢fati peː⸣ri ⸢naː⸣nu] (片足は田圃の中にざぶんとはまり込んで<入って>しまった)。 ウ⸢ラッチ⸣ヌ パ⸢マー⸣ ア⸢ラ⸣クカー ボッ⸢ふァティ トゥッキ⸣ シタ [ʔu⸢ratʧi⸣nu pa⸢maː⸣ ʔa⸢ra⸣kukaː bof⸢fati tukki⸣ ʃi̥ta] (浦内湾のなぎさ<渚>は歩くと、ざぶんと<すぽっと>足が砂浜の中にめり込んだ<陥没した>ものだ) 15656 0 0 15495 htmvoc_15656.wav ボフティ ボフ⸢ティ [boɸu̥⸢ti] 副 すぽっと。するりと。\ruby{締}{シメ}てあるものが抜けたり、ほどけたりするさま。 ク⸢ビン⸣ヌ ⸢ザウ⸣バ ボフ⸢ティ⸣ ピ⸢キヌイ ナー⸣ヌ [ku⸢bin⸣nu ⸢ʣau⸣ba boɸu̥⸢ti⸣ pi̥⸢kinui naː⸣nu] (\ruby{瓶}{ビン}の\ruby{栓}{セン}をすぽっと引き抜いてしまった)。 ダ⸢キ ベータン⸣ドゥ ボフ⸢ティ⸣ フ⸢キ⸣パリ ⸢ナー⸣ヌ [da⸢ki beːtan⸣du boɸu̥⸢ti⸣ ɸu̥⸢ki⸣pari ⸢naː⸣nu] (抱いていたが、するりと抜け落ちてしまった) 15657 0 0 15496 htmvoc_15657.wav ボマー ⸣ボマー [⸣bomaː] 名 伯母の親族呼称。父母の次姉、三姉に当たる伯母を呼ぶ際に用いた。父母の長姉に当たる伯母には⸢ウボーマー[⸢ʔuboːmaː](大母)と呼んだ。 ボ⸢マー⸣ ブ⸢ドゥル⸣ ナ⸢ラー⸣ソーリ [bo⸢maː⸣ bu⸢duru⸣ na⸢raː⸣soːri] (伯母さん、踊を教えて下さい) 15658 0 0 15497 htmvoc_15658.wav ボンタン ⸢ボンタン [⸢bontaŋ] 名 (植)果樹の名。ザボンの一品種。ブンタン(文旦)。戦前は、果皮を砂糖漬けにしたものを老人の咳薬として\ruby{珍重}{チン|チョウ}していた。多くの場合、台湾帰りの土産品として鳩間島に持ち込まれていた。 ⸢ボンタンヌ カー⸣ヤ ⸣サタナー シ⸢キラリティ⸣ ッ⸢サーク⸣ヌ フ⸢チ⸣ルティ ⸢シー⸣ ン⸢キ オーッ⸣タ [⸢bontannu kaː⸣ja ⸣satanaː ʃi̥⸢kirariti⸣ s⸢saːku⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiː⸣ ʔŋ⸢ki ʔoːt⸣ta] (ボンタンの皮は砂糖に漬けられていて、咳薬として召し上がっておられた) 15659 0 0 15498 htmvoc_15659.wav ボンティ ボン⸢ティ [bon⸢ti] 副 ぷくっと。体の打撲を受けた部分が\ruby{腫}{ハレ}出るさま。 ⸢カイ⸣リティ スズー⸢コ⸣ フ⸢タイバ⸣ バ⸢リティル⸣ ボン⸢ティ⸣ フ⸢クラシ⸣ シケーバン [⸢kai⸣riti suʣuː⸢ko⸣ ɸu̥⸢taiba⸣ ba⸢ritiru⸣ bon⸢ti⸣ ɸu̥⸢kuraʃi⸣ ʃi̥keːbaŋ] (転んで、したたかに額を打って、ぷくっと\ruby{膨}{フク}らませてあるわい)。 15659 0 2 15499 htmvoc_15659.wav ボンティ ボン⸢ティ [bon⸢ti] 副 {Mn_2}ウ⸢ジ⸣ロー ボン⸢ティ⸣ ブリティ ⸢モーシ⸣バ[ʔu⸢ʤi⸣roː bon⸢ti⸣ buriti ⸢moːʃi⸣ba](枯れた小枝はぽきっと折って燃やしなさいよ) 15660 0 0 15500 htmvoc_15660.wav ホンマ ⸢ホン⸣マ [⸢hom⸣ma] 名 長姉。最年長の姉。親族名称、親族呼称にも用いる。ウ⸢フ⸣・アンマ[ʔu⸢ɸu⸣・ʔamma](大姉)の融合変化した形。古老は、⸣ウボーマ[⸣ʔuboːma](長姉{EOS}大姉)ともいう。⸣ナカンマ[⸣nakamma](中姉)、アン⸢マー⸣マ[ʔam⸢maː⸣ma](小姉)のように、年齢によって区別する。 ⸢ホン⸣マー ⸢マー⸣ル ⸢オーッ⸣ター [⸢hom⸣maː ⸢maː⸣ru ⸢ʔoːt⸣taː] (長姉はどこへ行かれたか) 15661 0 0 15501 htmvoc_15661.wav ホンマキ ⸢ホンマ⸣キ [⸢homma⸣ki] 名 カツオの餌撒き(本撒き)。カツオ漁船がトゥ⸢ルマキ[tu⸢rumaki](カツオドリの群れ<鳥巻き>)を発見して追跡し、船を魚群に付ける際に「本撒き」が腕を振るう。餌の投げ入れの良し悪しによって魚群が船体に群れ寄るか、否かが決まるからである。熟練した「カツオの餌撒き」が船頭やイ⸢チバン⸣ジョー[ʔi⸢ʧiban⸣ʤoː](一番竿{EOS}一番釣り手)らの指示に従って餌を撒き入れた。カ⸢ツドゥル[kḁ⸢ʦuduru](カツオ鳥<ウミネコ>)の飛び方、潮の流れを見定めつつカツオの喰いつきを判定するタイミングを捉えなければならない。餌の撒き方の上手、下手はその日の漁獲を左右した。釣り始めは散水器の放水と同時であった。カツオの喰いつきが弱くなると「本撒き」は、イ⸢キ⸣マ[ʔi⸢ki⸣ma](生け間)からタ⸢ブ[ta⸢bu](たも網<攩網>)で⸣ザコー[⸣ʣakoː](餌<雑魚>)を掬い、撒き入れてカツオの喰いつきを誘った。 ⸢ホンマキ⸣ヌ ⸢ゾー⸣ジ ア⸢ラン⸣カー カ⸢ツォー⸣ フニナー シ⸢キララ⸣ヌ [⸢hommaki⸣nu ⸢ʣoː⸣ʤi ʔa⸢raŋ⸣kaː kḁ⸢ʦoː⸣ ɸuninaː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (本撒きが上手でないとカツオは漁船に寄せ付けられない) 15662 0 0 15502 htmvoc_15662.wav マ ⸣-マ [⸣-ma] 接尾 指小辞。「小。小さいもの、可愛いらしいもの」等を表す。 ⸢ヤー⸣マ [⸢jaː⸣ma] (小屋)。 フ⸢ネー⸣マ [ɸu⸢neː⸣ma] (小舟)。 ッ⸢ふァー⸣マ [f⸢faː⸣ma] (小児)。 コー⸢ネー⸣マ [koː⸢neː⸣ma] (坊ちゃん)。 ピ⸢シェー⸣マ [pi̥⸢ʃeː⸣ma] (お嬢ちゃん)。 ヤラ⸢ベー⸣マ [jara⸢beː⸣ma] (お子さん{EOS}こわらわ<小童>)。 トゥ⸢ラー⸣マ [tu⸢raː⸣ma] (小鳥)。 アー⸢ヤー⸣マ [ʔaː⸢jaː⸣ma] (小さな体格のお父さん{EOS}ニックネーム)。 オー⸢ヤー⸣マ [ʔoː⸢jaː⸣ma] (子豚)。 キー⸢ヤー⸣マ [kiː⸢jaː⸣ma] (小さな木)。 ティー⸢ヤー⸣マ [tiː⸢jaː⸣ma] (小さな手)。 シー⸢ヤー⸣マ [ʃiː⸢jaː⸣ma] (小さなお乳)。 ズー⸢ヤー⸣マ [ʣuː⸢jaː⸣ma] (小さなしっぽ{EOS}尾っぽ)。 ティー⸢ヤー⸣マ [tiː⸢jaː⸣ma] (小さな手)。 ミー⸢ヤー⸣マ [miː⸢jaː⸣ma] (小さな目)。 ミン⸢ナー⸣マ [min⸢naː⸣ma] (小さな耳)。 トゥ⸢ルンヤー⸣マ ス⸢ク⸣リティ トゥ⸢ル⸣ シゥ⸢カ⸣ナイバ [tu⸢ruŋjaː⸣ma su̥⸢ku⸣riti tu⸢ru⸣ sï̥⸢ka⸣naiba] (鶏小屋を作って鶏を飼育し<養い>なさいよ) 15663 0 0 15503 htmvoc_15663.wav マー ⸢マー [⸢maː] 代 どこ(何処)。不定の場所を表す。石垣方言、⸢ジゥマ[⸢ʣïma](どこ{EOS}いずこ{EOS}「いずま」の意)『石垣方言辞典』の転訛したもの。⸢ジゥマ[ʣïma]は、「梅の花散らくは伊豆久<イヅク>~。万、823」の⸢イヅ」に「磯の麻由<マユ>~。万、3619」の「間(所、空間)」が下接し、融合転訛して形成されたもの。「Izzucu.イヅク(何処)どこ、または、どの場所」『邦訳日葡辞書』と同じ。 ⸢マー パッ⸣ター [⸢maː pat⸣taː] (どこへ行ったか)。 ⸢マー⸣ル マ⸢シ⸣ヤー [⸢maː⸣ru ma⸢ʃi⸣jaː] (何処が良いか)。 ⸣マーナ ア⸢ル⸣ワー [⸣maːna ʔa⸢ru⸣wa] (何処にあるか)。 ウ⸢レー マーン⸣ナーン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː maːn⸣naːn ⸢naː⸣nu] (それは何処にもない)。 ⸢ワー⸣ マーラ ⸢クー⸣タ [⸢waː⸣ maːra ⸢kuː⸣ta] (君は何処からきたのか)。 ⸢マー⸣ヌ ヤ⸢ム⸣ワー [⸢maː⸣nu ja⸢mu⸣waː] (何処が痛む<病む>のか) 15664 0 0 15504 htmvoc_15664.wav マー ⸣マー [⸣maː] 名 親族名詞の孫(本人の孫)。普通は、⸣マーッふァ[⸣maːffa](孫{EOS}「孫子」の義)という。 パ⸢チマー [pḁ⸢ʧimaː] (初孫)。 マ⸢タマー [ma⸢tamaː] (曾孫)。⸢ブイマー[⸢buimaː](兄弟姉妹の孫)、マ⸢タマー[ma⸢tamaː](ひまご<曾孫>)、ピ⸢チマー[pi̥⸢ʧimaː](やしゃご<玄孫>)などがいる。 ⸢ワー マー⸣ヤ ギュ⸢タール⸣ ナシェーワ [⸢waː maː⸣ja gju⸢taːru⸣ naʃeːwa] (君は孫を何人生んであるか) 15665 0 1 15505 htmvoc_15665.wav マー ⸢マー [⸢maː] 名 {Mn_1}魔。妖怪。単独では用いず、熟語として用いられる。 ⸢マー⸣スクン [⸢maː⸣su̥kuŋ] (性格がひどくなる{EOS}悪さが\ruby{酷}{ヒド}くなる、「魔が付く」の義)。 ⸢マーシキ⸣ムヌ [⸢maːʃi̥ki⸣munu] (素行不良な者{EOS}ヤクザ者{EOS}「魔付き者」の義)。 ⸢クンザー⸣ ク⸢ヌ⸣グロー ⸢マーバ⸣ シキティル ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カヌ [⸢kunʣaː⸣ ku⸢nu⸣guroː ⸢maːba⸣ ʃi̥kitiru ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni sï̥⸢kanu] (こいつは、近頃は性格が酷く悪くなって、親の話<言うこと>を聞かない)。 15665 0 2 15506 htmvoc_15665.wav マー ⸢マー [⸢maː] 名 {Mn_2}副詞。ひどく(酷く)。異常に(⸢魔が付いて」の義)。 ウ⸢ヌプス⸣ ミルカー ⸢マー⸣シキ ナ⸢キスヌ⸣ ヌンティカヤー [ʔu⸢nu pu̥su⸣ mirukaː ⸢maː⸣ʃi̥ki na⸢kisunu⸣ nuntikajaː] (あの人を見ると酷く泣くのだが、なぜだろうか) 15666 0 0 15507 htmvoc_15666.wav マー ⸢マー [⸢maː] 副 更に。そのうえ。もう。今一つ。 ⸢マー ピー⸣チ ⸣トゥリバ [⸢maː piː⸣ʧi ⸣turiba] (もう一つ取れよ)。 ⸢マー ミー⸣ティ ⸢スー⸣カー ⸣アブジェー ⸢トーカキ⸣ヌ ヨイ⸢ダー [⸢maː miː⸣ti ⸢suː⸣kaː ⸣ʔabuʤeː ⸢toːkaki⸣nu joi⸢daː] (もう三年経ったらお祖父さんの米寿<斗掻>のお祝いだよ) 15667 0 0 15508 htmvoc_15667.wav マー ⸢マー- [⸢maː-] 接頭 まことの。真実の。本当の。下に付く語を強調表現する。 ⸢マープスマ [⸢maːpusuma] (真昼間)。 ⸢マータンカー [⸢maːtaŋkaː] (真向かい)。 ⸢マーニンギン [⸢maːniŋgiŋ] (真人間)。 ⸢マーパダカ [⸢maːpadaka] (真っ裸)。 ⸢マーパカラサ ナー⸣ヌ [⸢maːpakarasa naː⸣nu] (全く無能である{EOS}真に不器用である{EOS}人格的に全く信頼できない)。 ⸢マープスマー⸣ ア⸢ツァ⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maːpusumaː⸣ ʔa⸢ʦa⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (真昼間は暑くて仕事は出来ない)。 ⸢マーダーッ⸣サーン [⸢maːdaːs⸣saːŋ] (すっかり元気である)。 ⸢マーパカラサー ナー⸣ヌ [⸢maːpakarasaː naː⸣nu] (不元気<健康状態が信頼できない状態>である) 15668 0 0 15509 htmvoc_15668.wav マーイーシ ⸢マーイーシ [⸢maːʔiːʃi] 名 (植)海草の名。ツノマタ。普通は⸢イー⸣シ[⸢ʔiː⸣ʃi]という。 ⸢パイタ⸣ヌ ⸢イーリジマ⸣ フ⸢ツァー⸣マ ウ⸢ブ⸣ビーナーヤ パ⸢トゥ⸣マプスヌ ⸢イーシ⸣バ イ⸢ビ⸣ ス⸢コー⸣レー⸢ダー [⸢paita⸣nu ⸢ʔiːriʤima⸣ ɸu̥⸢ʦaː⸣ma ʔu⸢bu⸣biːnaːja pḁ⸢tu⸣mapu̥sunu ⸢ʔiːʃi⸣ba ʔi⸢bi⸣ su̥⸢koː⸣reː⸢daː] (南端<西表島>のイーリジマ、フツァーマ、ウブビーの干瀬には鳩間の人がツノマタを養殖しておいてあるのだよ) 15669 0 0 15510 htmvoc_15669.wav マーイミ ⸢マーイミ [⸢maːʔimi] 名 正夢。夢に見たことが現実に起こる夢。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸣イメー ⸢マーイミ⸣ ナリ ウ⸢ブジンヌ ペー⸣リケーン [ju⸢bi⸣nu ⸣ʔimeː ⸢maːʔimi⸣ nari ʔu⸢buʤinnu peː⸣rikeːŋ] (昨夜の夢が正夢になって、大金が入ってきた) 15671 0 0 15511 htmvoc_15671.wav マーウール ⸢マーウール [⸢maːʔuːru] 名 (植)マクワウリ。しろうり。きゅうりに似た瓜で、食用となる。「真瓜(まうり)」『石垣方言辞典』の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー ⸢マーウールバ⸣ル ス⸢ク⸣リ ⸢オーッ⸣タ⸢ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢maːʔuːruba⸣ru su̥⸢ku⸣ri ⸢ʔoːt⸣ta⸢naː] (昔はマクワウリを栽培して<作って>おられなねえ) 15670 0 0 15512 htmvoc_15670.wav マーウイ ⸢マーウイ [⸢maːʔui] 名 真上。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢マーウイ⸣ ナ⸢ラン⸣ケンナー ⸢カイシ⸣キシティ ⸢ヤー⸣ パラ⸢ナー [ti⸢da⸣nu ⸢maːʔui⸣ na⸢raŋ⸣kennaː ⸢kaiʃi⸣ki̥ʃiti ⸢jaː⸣ para⸢naː] (太陽が真上にならないうちに耕しきって、家に帰ろうな) 15672 0 0 15513 htmvoc_15672.wav マーウムティ ⸢マーウムティ [⸢maːʔumuti] 名 まおもて(真面)。真正面。真向かい。 ⸣アイブー ク⸢トゥ⸣バ ⸢シェー⸣ユンダ ⸢マーウムテーラ⸣ ク⸢マー⸣ ン⸢カイ キーユーサ⸣ヌ [⸣ʔaibuː ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃeː⸣junda ⸢maːʔumuteːra⸣ ku⸢maː⸣ ʔŋ⸢kai kiːjuːsa⸣nu] (あんな事をしたのだから、真正面からここへ顔を向けて来ることができない) 15673 0 0 15514 htmvoc_15673.wav マーガ ⸢マー⸣ガ [⸢maː⸣ga] 名 農具の一種。田植えの前に田の土を\ruby{均}{ナラ}して、水田に水が均等に溜まるようにする農具。巾約15センチ、長さ約約160センチの、木材を切り割って板状にしたものに柄をつけてハンドルにし、牛に引かせて田の土を均した。 ⸢マー⸣ガー ウ⸢シン サンガシテイ ター⸣ヌ ⸣ミツァー ナ⸢ダラカシティル マイヤー⸣ イ⸢ボーッタ⸣ル [⸢maː⸣gaː ʔu⸢ʃin saŋgaʃi̥ti taː⸣nu ⸣miʦaː na⸢darakaʃi̥tiru maijaː⸣ ʔi⸢boːtta⸣ru] (マーガを牛に牽かせて田の土を均して<ぞ>米は植えられたものだ) 15674 0 0 15515 htmvoc_15674.wav マーガツ ⸢マーガ⸣ツ [⸢maːga⸣ʦu] 名 (動)魚の名。和名、スマ(体長約80センチ)。和名、ハガツオ(体長約60センチ)。漁船が沖から帰港する際、または石垣島へ回航する際に、パ⸢ニビキ[pa⸢nibiki](引き縄釣り{EOS}ハ⸢ニビキ{SqBr}ha⸢nibiki{/SqBr}ともいう)をして釣り上げることがあった 15675 0 0 15516 htmvoc_15675.wav マーカマー ⸣マーカマー [⸣maːkamaː] 代 どこそこ。至る所。随所。あちらこちら。⸣マー[⸣maː](何処)と⸣カマー[⸣kamaː](あそこ)を重ねた語。具体的に指示されない場所。 ⸣マーカマーティ ⸢ナー⸣ン フ⸢ク⸣ジ パ⸢ニポー⸣リ ⸣シケー [⸣maːkamaːti ⸢naː⸣ŋ ɸu̥⸢ku⸣ʤi pa⸢nipoː⸣ri ⸣ʃi̥keː] (どこそことなく、至る所にに塵を撒き散らしてある) 15677 0 0 15517 htmvoc_15677.wav マーガヤ ⸢マーガヤ [⸢maːgaja] 名 (植)、茅。チガヤ。「真茅」の義。「萓、和名、加夜<かや>」『和名抄』の転訛したもの。ナ⸢ビン⸣フタ[na⸢biŋ⸣ɸu̥ta](鍋蓋)や⸢フイ⸣バ[⸢ɸui⸣ba](茅で編み上げた穀物入れ)などを編むのに用いる長い茅。茅の叢中より、約150センチに成長した茅を選んで根っこから刈り取り、二、三日陰干しにして柔らかくなった頃に直径約1センチの太さに束ねて、⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni]の皮や⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi]の皮で巻き締めながら編み上げて作る。 ⸢マーガヤーバ⸣ スリキー ⸢フイ⸣バ ⸣フミバ [⸢maːgajaːba⸣ surikiː ⸢ɸui⸣ba ⸣ɸumiba] (真茅を刈ってきてフイバを編み上げなさいよ) 15679 0 0 15518 htmvoc_15679.wav マーキ ⸢マー⸣キ [⸢maː⸣ki] 副助 まで。動作・作用の到達するところ、範囲、極端な程度を表す。上接語の末尾が鼻音や狭母音[i]で終わる場合は、やや⸢マー⸣キ[⸢maː⸣ki]となる傾向が認められる。それ以外は⸢バー⸣キ[⸢baː⸣ki](まで)となるといえるが、[b]と[m]は自由変異となる場合も認められる。 マ⸢ナマー⸣キ ⸣マーナール ⸢アーク⸣ター [ma⸢namaː⸣ki ⸣manaːru ⸢ʔaːku⸣taː] (今まで何処にいたのか) 15680 0 0 15519 htmvoc_15680.wav マーキ ⸢マー⸣キ [⸢maː⸣ki] 接尾 ~かね(兼ね)る。~することができない。~することがむずかしい。他動詞の連用形に付いて不可能、困難を表す。 トゥ⸢リマー⸣キ ⸢ベーン⸣ケンマー ⸢ナーン⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [tu⸢rimaː⸣ki ⸢beːm⸣kemmaː ⸢naːn⸣nari ⸢naː⸣nu] (取りかねているうちに、無くなってしまった)。 ⸢ジー⸣ カ⸢キマー⸣キ ⸢ベー [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kimaː⸣ki ⸢beː] (字を書きかねている)。 ティ⸢ガ⸣ミ ユ⸢ミマー⸣キ ⸢ベー [ti⸢ga⸣mi ju⸢mimaː⸣ki ⸢beː] (手紙を読みかねている)。 パ⸢リマー⸣キ ⸢ベー [pa⸢rimaː⸣ki ⸢beː] (行きかねている<行くことが出来ないでいる>)。 ア⸢ジマー⸣キ ⸢ベー⸠ツォー [ʔa⸢ʤimaː⸣ki ⸢beː⸠ʦoː] (言いかねているんですよ) 15678 0 0 15520 htmvoc_15678.wav マーキー ⸢マーキー [⸢maːkiː] 名 薪。わりき。燃料にする木。雑木を長さ約30センチに切り、斧で割って乾燥させたたきぎ。まき(薪)以外の燃料には、⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](枯れたススキ)、ウ⸢ジ⸣ル[ʔu⸢ʤi⸣ru](枯れた小枝)がある。サツマイモをふかす<蒸す>際にはフ⸢ク⸣ジ[ɸu̥⸢ku⸣ʤi](木の枯れ葉やススキ、ソテツの枯れ葉など)なども利用された。終戦後1954年頃まで、鳩間島や西表島から薪を束ねて石垣島へ輸出する商売もあったが、石油の時代になって消滅した。 ⸢マーキーヤ パイター⸣ラ タ⸢ムヌ⸣バ ⸣キシ ⸣キー ヌ⸢キ⸣ルシ ⸣バキ ウ⸢リバ ブー⸣ヌシ バ⸢リティ⸣ タ⸢ム⸣ヌダナナー シ⸢ミ⸣ サ⸢ラシティル⸣ シゥ⸢カイヨーッタ⸣ル [⸢maːkiːja paitaː⸣ra ta⸢munu⸣ba ⸣ki̥ʃi ⸣kiː nu⸢ki⸣ruʃi ⸣baki ʔu⸢riba buː⸣nuʃi ba⸢riti⸣ ta⸢mu⸣nudananaː ʃi⸢mi⸣ sa⸢raʃi̥tiru⸣ sï̥⸢kaijoːtta⸣ru] (薪は南端<西表>から雑木を切ってきて、鋸で切り、それを斧で割って竈の上の薪棚に積み、乾燥さ<枯ら>せてから使われたものだ) 15681 0 0 15521 htmvoc_15681.wav マーキム ⸢マーキム [⸢maːkimu] 名 本心。本気。真心。愛情。「真」に「Qimo.キモ(肝・胆)肝臓、脾臓など」『邦訳日葡辞書』が付いて形成されたものが転訛し、意味派生した形。 ウ⸢レー マーキモー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː maːkimoː naː⸣nu] (彼は本気で<真心が>ない)。 ⸢マーキム ナーン⸣ ムヌン ナ⸢ラーサ⸣バン ウ⸢ブイラ⸣ヌ [⸢maːkimu naːm⸣ munun na⸢raːsa⸣baŋ ʔu⸢buira⸣nu] (本気でない者に教えても覚えないよ) 15682 0 0 15522 htmvoc_15682.wav マーギラ ⸢マーギラ [⸢maːgira] 名 (動)シャコ貝の名。ヒレジャコ。シャゴウ。水深4~5メートルの海底の砂の上や枝珊瑚の中に棲息している。殻の長さ20~25センチ。身はしまって美味しい。最近は個体数が激減している。イ⸢シギラ[ʔi⸢ʃigira](ヒメジャコ)は珊瑚礁の岩の中に穴を開けて棲息しており、潮干狩りの際、女性たちがよく漁獲する。殻の長さは約10センチ。サ⸢ク⸣ラギラ[sḁ⸢ku⸣ragira](シラナミ)は細長い殻をもち、円筒状に近い形をしている。岩礁の表面に付着している。 ⸢マーギラン⸣ サ⸢ク⸣ラギラン イ⸢シギラン⸣ サ⸢ギフチ⸣ルティ ア⸢ザリ ブー [⸢maːgiran⸣ sḁ⸢ku⸣ragiraŋ ʔi⸢ʃigiran⸣ sa⸢giɸu̥ʧi⸣ruti ʔa⸢ʣari buː] (ヒレジャコもシラナミもヒメジャコも下げ薬<のぼせに効く薬>と言われている) 15684 0 0 15523 htmvoc_15684.wav マーサ ⸢マー⸣サ [⸢maː⸣sa] 名 人名。成人男子には⸢マー⸣サザー[⸢maː⸣saʣaː](眞佐兄、「眞勢兄」とも書く)、成人女性には⸢マー⸣サンマー[⸢maː⸣sammaː](マーサ姉さん)という。 ビ⸢キドゥム⸣ナーン ミ⸢ドゥ⸣ムナーン ⸢マー⸣サティ ⸢スー ナーヤ⸣ ア⸢リ⸣ブタ [bi⸢kidumu⸣naːm mi⸢du⸣munaːm ⸢maː⸣sati ⸢suː naːja⸣ ʔa⸢ri⸣ buta] (男にも女にも、マーサという名前はあった<有り居った>) 15685 0 0 15524 htmvoc_15685.wav マーザ ⸢マー⸣ザ [⸢maː⸣ʣa] 名 侵入禁止の印しに木や竹をX形に結んで立てたもの。 タ⸢キ⸣ ヤ⸢ラザイティ マー⸣ザ タ⸢ティラ⸣レーン ⸣トンマー ⸢ペー⸣レー ナ⸢ラ⸣ヌ [tḁ⸢ki⸣ ja⸢raʣaiti maː⸣ʣa tḁ⸢tira⸣reːn ⸣tommaː ⸢peː⸣reː na⸢ra⸣nu] (竹をX形に交差させて縛って立ててある所には入ってはならない) 15686 0 0 15525 htmvoc_15686.wav マーサナイ ⸢マーサナイ [⸢maːsanai] 名 六尺ふんどし(褌)。「眞褌」の義。 マ⸢ナ⸣マー ⸢マーサナイ⸣ キ⸢ソー⸣ル プ⸢ソー オーラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢maːsanai⸣ ki̥⸢soː⸣ru pu̥⸢soː ʔoːra⸣nu] (今は六尺褌を着られる人は居られない) 15687 0 0 15526 htmvoc_15687.wav マーザピー ⸢マー⸣ザピー [⸢maː⸣ʣapiː] 名 おにび(鬼火)。きつねび。霊魂の火。火の玉。墓地などで闇夜に燃えて空中に浮遊する青白い火。 シ⸢チ⸣ヌ ユ⸢ネン⸣マー ⸣ユー ⸢マー⸣ザピー ⸣ミリン ⸢パッ⸣タン [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ju⸢nem⸣maː ⸣juː ⸢maː⸣ʣapiː ⸣mirim ⸢pat⸣taŋ] (節祭りの夜は、よくマーザピー<霊魂の火>を見に行ったものだ) 15688 0 0 15527 htmvoc_15688.wav マーサマリ ⸢マーサマリ [⸢maːsamari] 名 眞結び。本結び。こま結び。結んだ紐が並行の形になるような結び方。「Mamusubi.マムスビ(真結び)二重結び」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢マーサマリ シー⸣ シケーンダ ムッ⸢トゥ<イッ⸢カ> パンツァサラヌ [⸢maːsamari ʃiː⸣ ʃi̥keːnda mut⸢tu panʦasaranu] (眞結びにしてあるから、一向に外され<解かれ>ない) 15690 0 0 15528 htmvoc_15690.wav マーシ ⸢マーシ [⸢maːʃi] 接尾 ~置きに。時間を表す語に付いて、それだけずつの間隔を置く意を表す。「~回し」の義。 ⸢トゥッカマー⸣シ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーン [⸢tukkamaː⸣ʃi ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːŋ] (十日置きに雨が降る)。 ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァー⸣ フ⸢ターチマーシ⸣シ マ⸢リブー [⸢ʔun⸣nenu f⸢faː⸣ ɸu̥⸢taːʧimaːʃi⸣ʃi ma⸢ri buː] (この家の子は二歳おきに生まれている) 15689 0 0 15529 htmvoc_15689.wav マージー ⸢マージー [⸢maːʤiː] 名 くろつち(黒土)。\ruby{腐植土}{フ|ショク|ド}。「真地」の義か。鳩間島では、カ⸢ニク⸣ジー[ka⸢niku⸣ʤiː](砂土壌{EOS}堆積土壌)、ア⸢ガミツァ[ʔa⸢gamiʦa](赤土の粘土)、イ⸢ノンジー[ʔi⸢nonʤiː](砂地)があり、それらに対立する土地。農耕に最適の土壌。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢マージー⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウン ス⸢クラ⸣バン ⸣アー ス⸢クラ⸣バン イッ⸢ケン ミールン [ku⸢nu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢maːʤiː⸣ ja⸢runda⸣ ʔum su̥⸢kura⸣baŋ ⸣ʔaː su̥⸢kura⸣baŋ ʔik⸢kem miːruŋ] (この畑は真地だから芋を作っても粟を作っても非常に良く稔る) 15691 0 0 15530 htmvoc_15691.wav マーシーシ ⸢マーシーシ [⸢maːʃiːʃi] 名 肉。赤肉。「真・肉」の義。接頭語⸢マー[⸢maː](真)に、「肉、之之<しし>肌膚之肉也」『和名抄』が下接して形成された合成語。 ⸢オー⸣ヌ ア⸢バッ⸣タラ ア⸢ラン⸣ドーシ ⸢マーシーシ ⸢カイ⸣ クーバ [⸢ʔoː⸣nu ʔa⸢bat⸣tara ʔa⸢ran⸣doːʃi ⸢⸢maːʃiːʃi kai⸣ kuːba] (豚の脂身ではなく、赤肉を買ってきなさい) 15692 0 1 15531 htmvoc_15692.wav マーシキムヌ ⸢マーシキ⸣ムヌ [⸢maːʃi̥ki⸣munu] 名 {Mn_1}魔に取り付かれたように、異常な行動をとる者。異常に取り乱した者。素行不良の者。ヤクザ者。「魔付き者」の義。 ⸢ウンザー⸣ ク⸢ヌ⸣グロー ⸢マーシキムヌ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸣ナリティ ン⸢メーマヌ⸣ クトゥシン プ⸢ストゥ アイ⸣ス [⸢ʔunʣaː⸣ ku⸢nu⸣guroː ⸢maːʃi̥kimunu⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸣nariti ʔm⸢meːmanu⸣ ku̥tuʃim pu̥⸢sutu ʔai⸣su] (あ奴は近頃は魔に取り付かれた者<ヤクザ者>になって、\ruby{些細}{サ|サイ}なことでも他人と喧嘩をする)。 15692 0 2 15532 htmvoc_15692.wav マーシキムヌ ⸢マーシキ⸣ムヌ [⸢maːʃi̥ki⸣munu] 名 {Mn_2}親に反抗する子。きかんぼう。素行不良。反抗する者(卑称)。 ⸢マーシキ⸣ムノー ⸢ピン⸣バ シ⸢ティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [⸢maːʃi̥ki⸣munoː ⸢pim⸣ba ʃi̥⸢ti⸣ mut⸢tu⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (素行不良者めが、親に反抗して、ちっとも言うことを聞かない) 15693 0 0 15533 htmvoc_15693.wav マーシヌキル ⸢マーシヌキル [⸢maːʃinukiru] 名 「回し\ruby{鋸}{ノコ}」の義。桶の底や⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ{EOS}板船)の底板を接合するために、幅の狭い鋸を入れて挽きながら接合部を密着させ、水漏れを防ぐために用いる鋸。 ⸢タング⸣ヌ ス⸢クイツァー マーシヌキル⸣シ ピ⸢キティ アー⸣シバ [⸢taŋgu⸣nu su̥⸢kuʔiʦaː maːʃinukiru⸣ʃi pi̥⸢kiti ʔaː⸣ʃiba] (担桶の底板は回し鋸で挽いて密着させ<合わせ>なさいよ) 15694 0 0 15534 htmvoc_15694.wav マーシフニ ⸢マーシ⸣フニ [⸢maːʃi⸣ɸuni] 名 風上に向かってジグザグ航行すること。マ⸢ギフニ[ma⸢giɸuni](曲げ舟)ともいう。北風が吹いて鳩間島へ直線的に帰帆できないとき、向かい風の約45度斜めに一定距離帆走し、次に反対方向へ約45度斜めに一定距離帆走しながら目的地へ接近する航法。⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː](片帆{EOS}「帆桟帆」の義か)は横風をはらませ、その力を推進力に変換するため、帆を船の右方に寄せてある。船頭は風力に合わせながら帆の右端につけたティンナー(手縄)を操り、楽に操船することが出来る。 ニ⸢シカジヌ スー⸣カー ⸢マーシ⸣フニ ⸢シェー⸣ティル パ⸢トゥ⸣マー ⸢オーッ⸣タ [ni⸢ʃikaʤinu suː⸣kaː ⸢maːʃi⸣ɸuni ⸢ʃeː⸣tiru pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔoːt⸣ta] (北風が吹くとジグザグ帆走<回し舟>しながら鳩間島へ行かれた) 15695 0 0 15535 htmvoc_15695.wav マーシミルン ⸢マーシ⸣ ミルン [⸢maːʃi⸣ miruŋ] 連 \ruby{覗}{ノゾ}き見る。\ruby{伺}{ウカガ}い見る。垣間見る。「回し見る」の義。 ウ⸢キ⸣ナー ⸣パルカー ⸢バン⸣テヌ ヤ⸢ラ⸣ビンケン ⸣トンユン ⸣ヌビ ⸢ナーリ マーシ⸣ ミリ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [ʔu⸢ki⸣naː ⸣parukaː ⸢ban⸣tenu ja⸢ra⸣biŋken ⸣toɲjun ⸣nubi ⸢naːri maːʃi⸣ miri f⸢fiːri⸣joː] (沖縄へ行くなら私の家の子供たちの所にも首をのばして様子を覗き見てきてくれよ) 15696 0 0 15536 htmvoc_15696.wav マーシムヌ ⸢マーシムヌ [⸢maːʃimunu] 名 回し者。\ruby{間者}{カン|ジャ}。 ウ⸢レー マー⸣ヌ ⸢マーシムヌ⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ッ⸢サンバ キー⸣シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢reː maː⸣nu ⸢maːʃimunu⸣ ja⸢ru⸣juː s⸢samba kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (彼は何処の回し者か分からない<知らない>から、気を付けなさい) 15697 0 0 15537 htmvoc_15697.wav マーシムヌ ⸢マーシムヌ [⸢maːʃimunu] 名 回転させる玩具。「回し物」の義。あだん葉で作った風車やブ⸢ドゥ⸣ク[bu⸢du⸣ku](マガキガイ)で作った\ruby{独楽}{コ|マ}を回して遊んだ。 ブ⸢ドゥク⸣ヌ フ⸢チ⸣ バ⸢リティ⸣ クマ ス⸢ク⸣リティル ⸢マーシムヌ シー⸣ ア⸢サブタル [bu⸢duku⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ ba⸢riti⸣ kuma su̥⸢ku⸣ritiru ⸢maːʃimunu ʃiː⸣ ʔa⸢sabutaru] (マガキガイの口の上部を割って\ruby{独楽}{コ|マ}に作り、回転遊具<回し物>にして遊んだものだ) 15698 0 0 15538 htmvoc_15698.wav マーシヤドゥ ⸢マーシヤドゥ [⸢maːʃijadu] 名 西洋風の開き戸。戸の片面の桟に\ruby{蝶番}{チョー|ツガイ}を付け、それを戸口の柱に固定し、もう片方の桟に取っ手を付けて開閉する様式の戸。「回し屋戸」の義。とびら(扉)。ドア(door)。ピ⸢キヤドゥ[pi̥⸢kijadu](引き戸)の対義語。 ⸢マーシヤドー⸣ ピ⸢キヤドー⸣ラン ア⸢キフイ シーヤッ⸣サン [⸢maːʃijadoː⸣ pi̥⸢kijadoː⸣raŋ ʔa⸢kiɸui ʃiːjas⸣saŋ] (回し戸は引き戸よりも開閉<開け閉め>しやすい)。 ⸢マーシヤドー⸣ グ⸢チ⸣ホーニ ア⸢キフイ⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [⸢maːʃijadoː⸣ gu⸢ʧi⸣hoːni ʔa⸢kiɸui⸣ su⸢na⸣joː] (回し戸<ドア>は無鉄砲に開閉するなよ) 15699 0 0 15539 htmvoc_15699.wav マーシラ ⸢マーシラ [⸢maːʃira] 名 真正面の顔。対面すること。真顔。「マー(真)・シラ(面)」の転訛。 ⸣アイブー ク⸢トゥ⸣バ ⸢シーテー ワー⸣ネー ⸢マーシラ⸣ ン⸢カイ ユーサン⸣ヨー [⸣ʔaibuː ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiːteː waː⸣neː ⸢maːira⸣ ʔŋ⸢kaijuːsaɲ⸣joː] (あんなことをしては、君に対して真正面からまともに対面できない<真顔で向き合うことができない>よ) 15700 0 0 15540 htmvoc_15700.wav マーシンザ ⸢マーシンザ [⸢maːʃinʣa] 名 (植)甘蔗。サトウキビの品種名。黒糖製造用のサトウキビ。タイケイ種。茎が太く、節と節の間隔が比較的に長く、糖度の高い樹液を多く含んでいた。法事の供え物や生食にも供された。他に⸢コー⸣シシンザ[⸢koː⸣ʃiʃinʣa](菓子サトウキビ)や、在来種のア⸢ガシンザ[ʔa⸢gaʃinʣa](幹や茎の皮が紫色のサトウキビ)があった 15701 0 0 15541 htmvoc_15701.wav マース ⸢マー⸣ス [⸢maː⸣su] 名 塩。「真塩」の義。塩には\ruby{穢}{ケガレ}を\ruby{祓}{ハラ}い清め、長寿延命を司る霊力があると信じられている。シゥ⸢カラマース[si̥⸢karamaːsu](盛り塩<力塩>{EOS}嘉例の塩)、カ⸢ニマース[ka⸢nimaːsu](黄金塩)は元旦や祝儀、祈願の際に床の間に供え、飾って健康を祈願し、礼拝する人にひとつまみずつ授けて嘉例を祈願する。また、葬儀に参列した人は自宅に入る際は塩で不浄を祓い落す。道で悪霊に襲われると戸口で塩を\ruby{撒}{マ}いて悪霊祓えをする。 ⸢マー⸣ソー シゥ⸢カラマース⸣ カ⸢ニマース⸣ティ ⸢シー⸣ ヤ⸢ナムヌ⸣ヌ ヌ⸢キ⸣ムヌティ ア⸢ザリ ブー [⸢maː⸣soː si̥⸢karamaːsu⸣ ka⸢nimaːsu⸣ti ⸢ʃiː⸣ ja⸢namunu⸣nu nu⸢ki⸣munuti ʔa⸢ʣaribuː] (塩は力塩、黄金塩といって、悪霊落とし<魔除けの\ruby{護符}{ゴ|フ}>といわれている) 15703 0 0 15542 htmvoc_15703.wav マースカギン ⸢マー⸣スカギン [⸢maː⸣sukagiŋ] 名 塩加減。塩の付け具合。しおあんばい(塩塩梅)。 ⸢マー⸣スカギンヌ ⸢ナーン⸣カー ⸢スーシキ⸣ムノー タ⸢ボーラヌ [⸢maː⸣su ⸣kaginnu ⸢naːŋ⸣kaː ⸢suːʃi̥ki⸣munoː ta⸢boːranu] (塩加減が良くないと塩漬けは保存できない) 15704 0 0 15543 htmvoc_15704.wav マースカミ ⸢マー⸣スカミ [⸢maː⸣sukami] 名 塩壷。塩を入れておく壷。「塩甕」の義。 ⸢マー⸣スカメー<⸢マー⸣ススボー> ギッ⸢ティ⸣ フ⸢タ⸣ シ⸢マン⸣カー ミ⸢ジ⸣ ナルン [⸢maː⸣sukameː<⸢maː⸣susuboː> git⸢ti⸣ ɸu̥⸢ta⸣ ʃi⸢maŋ⸣kaː mi⸢ʤi⸣ naruŋ] (塩壷はぎゅっと蓋を閉めないと水になる) 15705 0 0 15544 htmvoc_15705.wav マースクン ⸢マー⸣スクン [⸢maː⸣su̥kuŋ] 自動 魔が取り付いたように悪くなる。状態が余計にひどくる。 ア⸢ミ⸣ヌ ヤ⸢ムン⸣ケンティ ⸢イットゥ⸣キ マ⸢トゥ⸣タ ⸣クトー ⸢マーシキ⸣ル ⸢フー⸣バン [ʔa⸢mi⸣nu ja⸢muŋ⸣kenti ⸢ʔittu⸣ki ma⸢tu⸣ta ⸣ku̥toː ⸢maːʃi̥ki⸣ru ⸢ɸuː⸣baŋ] (雨が止むまでと、一時待ったところ、余計に\ruby{酷}{ヒド}く降るよ)。 ク⸢ヌ⸣ アメー ⸢マー⸣スクンティル ウ⸢モーリ⸣バ ⸢マーシゥカン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パラ⸢ディー [ku⸢nu⸣ ʔameː ⸢maː⸣sukuntiru ʔu⸢moːri⸣ba ⸢maːsï̥kaŋ⸣keɲ ⸢jaː⸣ para⸢diː] (この雨降りは余計に酷くなると思われるから、ひどくならないうちに家に帰ろうよ)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ユーナキ⸣ヌ ⸢マー⸣スク ⸣ピンマー ム⸢ヌシラ⸣シティル ア⸢ザリブー [ja⸢rabi⸣nu ⸢juːnaki⸣nu ⸢maː⸣su̥ku ⸣pimmaː mu⸢nuʃira⸣ʃitiru ʔa⸢ʣari buː] (子供の夜泣きが酷くなる時は、何かの前兆<もの知らせ>だといわれている)。 ⸢フンダイヌ マー⸣シケーラー トゥ⸢ミララヌ [⸢ɸundainu maː⸣ʃi̥keːraː tu⸢miraranu] (やりたい放題の我儘が酷くなったら止められない) 15706 0 0 15545 htmvoc_15706.wav マースシキ ⸢マー⸣スシキ [⸢maː⸣suʃi̥ki] 名 塩漬け。⸢スー⸣シキ[⸢suː⸣ʃi̥ki](塩漬け)ともいう。 ナ⸢マ⸣イゾー ⸢マー⸣スシキ ⸢スー⸣カー タ⸢ボーリン [na⸢ma⸣ʔiʣoː ⸢maː⸣suʃi̥ki ⸢suː⸣kaː ta⸢boːriŋ] (生魚は塩漬けにする長期保存でき<貯えられ>る) 15707 0 0 15546 htmvoc_15707.wav マースダーラ ⸢マー⸣スダーラ [⸢maː⸣sudaːra] 名 塩俵。カ⸢マ⸣ジー[ka⸢ma⸣ʤiː](稲藁を二重に編んで造った、塩をいれる袋)に塩を入れた塩俵。 ⸢マース⸣ダーラー ⸣アミナー ⸢ゾッふァスナ⸣ヨー [⸢maː⸣sudaːraː ⸣ʔaminaː ⸢ʣoffasuna⸣joː] (塩俵は雨に濡らすなよ) 15708 0 0 15547 htmvoc_15708.wav マースタクン ⸢マー⸣ス タ⸢クン [⸢maː⸣su tḁ⸢kuŋ] 連 塩を焼く。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ダ⸢ルマッ⸣カンシ ⸢マー⸣スナビ ス⸢ク⸣リティ ⸢マー⸣ス タ⸢クタン⸣ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː da⸢rumak⸣kaŋʃi ⸢maː⸣sunabi su̥⸢ku⸣riti ⸢maː⸣su tḁ⸢kutan⸣daː] (戦後は、ドラムカンで塩焼き釜を作って、塩を焼い<炊い>たこともあったよ) 15711 0 1 15548 htmvoc_15711.wav マースッふァースン ⸢マー⸣ス ッ⸢ふァースン [⸢maː⸣su f⸢faːsuŋ] 連 {Mn_1}塩をまぶ<塗>す。魚や蛸、\ruby{鱶}{フカ}をさばい<捌い>て濃く塩を\ruby{塗}{マブ}し、一晩樽に詰めた後、十分に天日乾燥させて⸢ソー⸣ギリ[⸢soː⸣giri](魚肉の乾物)製品に仕上げる。 イ⸢ゾー⸣ バ⸢ザイ マー⸣ス ッ⸢ふァーシティ ソー⸣ギリ ス⸢ク⸣リバ [ʔi⸢ʣoː⸣ ba⸢ʣai maː⸣su f⸢faːʃi̥ti soː⸣giri su̥⸢ku⸣riba] (魚は\ruby{捌}{サバ}いて塩をまぶし、ソーギリ<魚肉の乾物>に作りなさいよ)。 15711 0 2 15549 htmvoc_15711.wav マースッふァースン ⸢マー⸣ス ッ⸢ふァースン [⸢maː⸣su f⸢faːsuŋ] 連 {Mn_2}塩で\ruby{祓}{ハラ}い清める。不吉なことを言ったり、不都合なことを言う者に対して、\ruby{諌}{イサ}めて言う表現。 ⸢ウンザー⸣ フ⸢チ⸣ナー ⸢マー⸣ス ッ⸢ふァーシ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢ʔunʣaː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣naː ⸢maː⸣su f⸢faːʃi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (こいつは、口を塩で祓い清め<口に塩を食わせ>ておけ) 15709 0 0 15550 htmvoc_15709.wav マースディ ⸢マースディ [⸢maːsudi] 名 広袖。四角の形になった袖。⸢ティップスデ[⸢tippusudi](筒袖)やフ⸢クル⸣スディ[ɸu̥⸢kuru⸣sudi](袂袖{EOS}<袋袖>の義)に対していう『石垣方言辞典』という。 ク⸢ヌ キン⸣マー フ⸢クル⸣スデー ⸢ノー⸣シティ ⸢マースディ⸣ ナシバ [ku⸢nu kim⸣maː ɸu̥⸢kuru⸣sudeː ⸢noː⸣ʃi̥ti ⸢maːsudi⸣ naʃiba] (この着物は、袋袖を直して広袖<四角の袖>に直しなさいよ) 15710 0 0 15551 htmvoc_15710.wav マースニー ⸢マース⸣ニー [⸢maːsu⸣niː] 名 塩煮。塩味だけで煮ること。 ⸢マース⸣ニー ⸢シー⸣ シケー イ⸢ゾー⸣ ン⸢マー⸣ンダ ⸣ムティ ⸢ギー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビンケン ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢maːsu⸣niː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː ʔi⸢ʣoː⸣ ʔm⸢maː⸣nda ⸣muti ⸢giː⸣ ja⸢ra⸣biŋkeŋ f⸢faːʃi⸣ba] (塩煮にしてある魚は美味しいから、持って行って子供達にも食べさせなさいよ) 15702 0 0 15552 htmvoc_15702.wav マースパンクン ⸢マー⸣ス ⸢パン⸣クン [⸢maː⸣su ⸢paŋ⸣kuŋ] 連 塩を撒く。悪霊<邪気>を祓うために、または不浄を祓い清めるために塩を撒いた。 ヤ⸢ナ⸣ムノー ⸢マー⸣ス ⸢パン⸣キ パ⸢ラ⸣シ [ja⸢na⸣munoː ⸢maː⸣su ⸢paŋ⸣ki pa⸢ra⸣ʃi] (悪霊<邪気>は塩を撒いて追い払え)。 ヤ⸢ナムヌ⸣ヌ ⸢ペー⸣リ ⸣クーカー ⸢マー⸣ス ⸢パン⸣キ パ⸢ラ⸣シ [ja⸢namunu⸣nu ⸢peː⸣ri ⸣kuːkaː ⸢maː⸣su ⸢paŋ⸣ki pa⸢ra⸣ʃi] (悪霊<邪悪なもの>が入ってきたら塩を撒いて祓い清めよ<塩を弾いて追いやれ>) 15713 0 0 15553 htmvoc_15713.wav マースヤー ⸢マー⸣スヤー [⸢maː⸣sujaː] 名 塩焼き小屋。「塩屋」の義。 ⸢マー⸣スヤー ス⸢ク⸣リティ ⸢マー⸣ス タ⸢キ ベー [⸢maː⸣sujaː su̥⸢ku⸣riti ⸢maː⸣su tḁ⸢ki beː] (塩焼き小屋を作って塩を炊いている) 15715 0 1 15554 htmvoc_15715.wav マースン ⸢マースン [⸢maːsuŋ] 他動 {Mn_1}回す。回転させる。 ⸣ウディ ⸣グルグルシ ⸢マースンティ スンドゥ⸣ ヤミティ ⸢マーサラヌ [⸣ʔudi ⸣guruguruʃi ⸢maːsunti sundu⸣ jamiti ⸢maːsaranu] (腕をぐるぐる回そうとするが、痛くて回されない)。 ⸢マーシ⸣ ミサカー ⸢マース⸣ クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ シ⸢バー⸣ンダー ⸢マーシェー⸣ ナ⸢ラン⸣ツォー [⸢maːʃi⸣ misakaː ⸢maːsu⸣ ku̥toː na⸢run⸣du ʃi⸢baː⸣ndaː ⸢maːʃeː⸣ na⸢ran⸣ʦoː] (回してよければ回すことは出来るが、狭いので回してはならないそうだ)。 ⸢パー⸣ク ⸢マーシ [⸢paː⸣ku ⸢maːʃi] (早く回せ)。 15715 0 2 15555 htmvoc_15715.wav マースン ⸢マースン [⸢maːsuŋ] 他動 {Mn_2}エンジンをかける。 ⸣キカイ ⸢マーシ [⸣ki̥kai ⸢maːʃi] (機械をかけろ)。 15715 0 3 15556 htmvoc_15715.wav マースン ⸢マースン [⸢maːsuŋ] 他動 {Mn_3}船を回送する。 ⸢ティンマー⸣ ニー シ⸢ミン⸣ フ⸢ノー⸣ラー ⸢マーシ パッ⸣タ [⸢timmaː⸣ niː ʃi⸢miŋ⸣ ɸu⸢noː⸣raː ⸢maːʃi pat⸣ta] (伝馬船は荷を積みに船浦へ回送していった) 15714 1 0 15557 htmvoc_15714.wav マーズン ⸢マーズン [⸢maːʣuŋ] 副 {PoS_1}一緒に。共に。 ⸢バン⸣トゥ ⸢マーズン⸣ シ⸢グトゥ サン⸣カヤー [⸢ban⸣tu ⸢maːʣuŋ⸣ ʃi⸢gutu saŋ⸣kajaː] (私と一緒に仕事をしないかなあ)。 ⸢マーズン⸣ パラ⸢ディー [⸢maːʣum⸣ para⸢diː] (一緒に行こうよ)。 ⸢ディ⸣ー ⸢バン⸣トゥ ⸢マーズン⸣ パラ [⸢di⸣ː ⸢ban⸣tu ⸢maːʣum⸣ para] (さあ、私と一緒に行こう)。 15714 2 1 15558 htmvoc_15714.wav マーズン ⸢マーズン [⸢maːʣuŋ] 名 {PoS_2}{Mn_1}同時。同時期。 ⸢ウッ⸣ツァー ムー⸢ル ワットゥ マーズンヌ シー⸣トゥンケー ⸢ヤッタ⸣ミー [⸢ʔut⸣ʦaː muː⸢ru wattu maːʣunnu ʃiː⸣tuŋkeː ⸢jatta⸣miː] (彼らは全員君と同時期の生徒達だったでしょう?)。 15714 2 2 15559 htmvoc_15714.wav マーズン ⸢マーズン [⸢maːʣuŋ] 名 {Mn_2}同級。同年。 ⸢ウッ⸣ツァー ムー⸢ル マーズンヌ⸣ プ⸢スン⸣ケー⸢ダー [⸢ʔut⸣ʦaː muː⸢ru maːʣunnu⸣ pu̥⸢suŋ⸣keː⸢daː] (彼らは皆同年<同級>の人たちだよ) 15717 0 0 15560 htmvoc_15717.wav マーズンシ ⸢マーズン⸣シ [⸢maːʣuŋ⸣ʃi] 副 一緒に。一緒になって。 シ⸢グトー タンガ⸣シ ⸢ソーラー マーズン⸣シ ⸢サーバル⸣ パカー ⸣トゥル [ʃi⸢gutoː taŋga⸣ʃi ⸢soːraː maːʣuŋ⸣ʃi ⸢saːbaru⸣ pḁkaː ⸣turu] (仕事は一人でするよりも一緒にやったほうが\ruby{捗}{ハカド}る{EOS}「はか<捗>をとる」) 15718 0 0 15561 htmvoc_15718.wav マーダーッサーナーヌ ⸢マーダーッサー ナー⸣ヌ [⸢maːdaːssaː naː⸣nu] 連 気分が正常でない。気分が勝れない。不元気である。 ⸢マーダーッサー ナー⸣ムティ ⸢ガー⸣タティ シ⸢グトゥバ シー アー⸣ク [⸢maːdaːssaː naː⸣muti ⸢gaː⸣tati ʃi⸢gutuba ʃiː ʔaː⸣ku] (気分が正常で無いのに我慢して<我を立てて>仕事をしている) 15719 0 1 15562 htmvoc_15719.wav マーダーッサン ⸢マーダーッ⸣サン [⸢maːdaːs⸣saŋ] 形 {Mn_1}まとも(真面)である。人格的にきちんとしている。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー マーダーッ⸣サンティ ウ⸢モーラン⸣バ ⸢マーダーッ⸣サー プ⸢スバ⸣ イ⸢ラ⸣ビ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː maːdaːs⸣santi ʔu⸢moːram⸣ba ⸢maːdaːs⸣saː pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ra⸣bi] (その人はまとも<真面>であるとは思えないから、真面である人を選べ)。 アイ⸢ブー⸣ プ⸢ソー マーダーッサー ナー⸣ヌ [ʔai⸢buː⸣ pu̥⸢soː maːdaːssaː naː⸣nu] (ああいう人はまとも<真面>でない)。 15719 0 2 15563 htmvoc_15719.wav マーダーッサン ⸢マーダーッ⸣サン [⸢maːdaːs⸣saŋ] 形 {Mn_2}気分が正常である。元気である。 ⸢マーダーッサー ナー⸣ムティ ⸢ガー⸣バ ⸣タティ シ⸢グトゥ シェー⸣ティ ⸢アーク⸣ナ [⸢maːdaːssaː naː⸣muti ⸢gaː⸣ba ⸣tati ʃi⸢gutu ʃeː⸣ti ʔaːku⸣na] (気分がすぐれないのに、我慢をして<我をたてて>仕事をしているな) 15720 0 0 15564 htmvoc_15720.wav マータキ ⸢マータキ [⸢maːtaki] 名 同等。同程度。対等の高さ。同じ高さ。「ま・たけ(真丈)」の義。ユ⸢ヌ⸣タキ[ju⸢nu⸣tḁki](同じ高さ)ともいう。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣タケー ウ⸢ヤ⸣トゥ ⸢マータキ⸣ ナ⸢リ⸣ ブーバン [ja⸢rabi⸣nu ⸣takeː ʔu⸢ja⸣tu ⸢maːtaki⸣ na⸢ri⸣ buːbaŋ] (子供の身長は親と同じ高さ<同等>になっているわい)。 ヤ⸢ラビ⸣トゥ ⸢マータキル⸣ ア⸢ル⸣バン [ja⸢rabi⸣tu ⸢maːtakiru⸣ ʔa⸢ru⸣baŋ] (子供と同じ程度でしかない<同じレベルがある>わい)。 ムー⸢ル マータキナー⸣ バ⸢キ⸣リ [muː⸢ru maːtakinaː⸣ ba⸢ki⸣ri] (全部同等<均等>に分けなさい)。 グ⸢フンヌ ウイ⸣ベー ⸢マータケー ナー⸣ヌ [gu⸢ɸunnu ʔui⸣beː ⸢maːtakeː naː⸣nu] (五本の指は同じ高さではない{EOS}長短それぞれの特徴があって、それぞれが大切である{EOS}<兄弟の大切さを\ruby{諭}{サト}す\ruby{箴言}{シン|ゲン}>) 15721 0 0 15565 htmvoc_15721.wav マータク ⸢マータク [⸢maːtaku] 名 (植)和名、ダイサンチク(泰山竹)。竿や天秤棒に利用された。 ⸢マータク⸣シル フ⸢ニ⸣ヌ ⸣サウン ⸢アイ⸣クン ス⸢ク⸣ローッタミー [⸢maːtaku⸣ʃiru ɸu⸢ni⸣nu ⸣sauŋ ⸢ʔai⸣kun su̥⸢ku⸣roːttamiː] (泰山竹で舟の竿も天秤棒も作られたのでしょうね) 15722 0 0 15566 htmvoc_15722.wav マータマシ ⸢マータマシ [⸢maːtamaʃi] 名 思慮分別。精神。根性。「真魂」の義。 ⸢マータマシヌ ナー⸣ン ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ ヌー⸣シル ⸣クトゥバ ⸢スー⸣ユー ッ⸢サン⸠ダー [⸢maːtamaʃiːnu naː⸣ŋ f⸢fa⸣ ja⸢runda nuː⸣ʃiru ⸣ku̥tuba ⸢suː⸣juː s⸢san⸠daː] (思慮分別のない子供だから、どんな事をするか分からないのだよ) 15724 0 0 15567 htmvoc_15724.wav マータンガ ⸢マー タン⸣ガ [⸢maː taŋ⸣ga] 連 もう一人。 バ⸢コーシン⸣カー ⸢マー タン⸣ガー タ⸢ナマン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ba⸢koːʃiŋ⸣kaː ⸢maː taŋ⸣gaː ta⸢namaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (新築用材伐り出しの共同作業人員は、もう一人頼まないといけない) 15723 0 0 15568 htmvoc_15723.wav マータンカー ⸢マータンカー [⸢maːtaŋkaː] 名 真向かい。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸣パンタヌ ⸢マータンカ⸣ナール パ⸢トゥ⸣マレー(⸢ホートゥ⸣バレー)ヤ ⸣アル [pḁ⸢tuma⸣nu ⸣pantanu ⸢maːtaŋka⸣naːru pḁ⸢tu⸣mareː(⸢hoːtu⸣bareː)ja ⸣ʔaru] (鳩間島の南の真向かいに鳩離島はある) 15725 0 0 15569 htmvoc_15725.wav マーチ ⸢マー⸣チ [⸢maː⸣ʧi] 固 (人名)女性の名。 ⸢マー⸣チェンマ [⸢maː⸣ʧemma] (マーチ姉さん)。 プ⸢サ⸣キャーヌ ⸢マー⸣チェンマー イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナール ⸢マーラソー⸣レー⸢ナー [pu̥⸢sa⸣kjaːnu ⸢maː⸣ʧemmaː ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaːru ⸢maːrasoː⸣reː⸢naː] (冨里家のマーチ姉さんは戦後に亡くなられたのだったねえ) 15727 0 0 15570 htmvoc_15727.wav マーッサール ⸢マーッサー⸣ル [⸢maːssaː⸣ru] 名 間を取るもの。間を\ruby{塞}{フサ}ぐ物。部屋を塞ぐもの。部屋のさまたげ。障害物。 ク⸢ヌ ダイ⸣ヤー ⸢マーッサー⸣ル ヤ⸢ルンダ⸣<ナリ⸢ブンダ⸣> マ⸢ダカ⸣シバ [ku⸢nu dai⸣jaː ⸢maːssaː⸣ru ja⸢runda⸣ ma⸢daka⸣ʃiba] (このテーブル<食台>は部屋を塞ぐ障害物だから除けなさい) 15729 0 0 15571 htmvoc_15729.wav マーッふァ ⸣マーッふァ [⸣maːffa] 名 孫。男女共に⸣マーッふァ[⸣maːffa]という。 ウ⸢チマー [ʔu⸢ʧimaː] (内孫{EOS}跡取りの子{EOS}息子の生んだ子)。 フ⸢カ⸣マー [ɸu̥⸢ka⸣maː] (外孫{EOS}嫁いだ娘の子)。 ク⸢レー⸣ バー マーッふァ⸢ユー [ku⸢reː⸣ baː maː⸢ffa⸢juː] (これは私の孫です)。 マーッ⸢ふァー⸣ ギュ⸢タール⸣ ナシェーワ [maːf⸢faː⸣ gju⸢taːru⸣ naʃeːwa] (孫は何人産んであるか) 15735 0 0 15572 htmvoc_15735.wav マーッふァイムヌ ⸢マーッふァイ⸣ムヌ [⸢maːffai⸣munu] 連 場所をとるもの。広い面積を占有するもの。「間食いもの」の義。 ⸢ヤー⸣ヤ シ⸢バー⸣ユンダ ⸢マーッふァイ⸣ムノー イ⸢リルナ [⸢jaː⸣ja ʃi⸢baː⸣junda ⸢maːffai⸣munoː ʔi⸢riruna] (家は狭いから場所をとる家具<もの>は入れるな) 15728 0 1 15573 htmvoc_15728.wav マーツン ⸢マー⸣ツン [⸢maː⸣ʦuŋ] 他動 {Mn_1}期待する。請い願う。待ち望む。 シ⸢マ⸣ナーテー ッ⸢ふァンケー⸣ヌ ⸢イー サウバ⸣ ス⸢クンテイ マー⸣チ ⸢ベー⸣ダー [ʃi⸢ma⸣naːteː f⸢faŋkeː⸣nu ⸢ʔiː sauba⸣ su̥⸢kunti maː⸣ʧi ⸢beː⸣daː] (島では子供達のいい知らせ<さう{EOS}\ruby{左右}{サ|ウ}>を聞こうと祈って待ち望んでいるんだよ)。 ⸢イー サウヤー<サウワー> マーツン⸣ドゥ ヤ⸢ナ サウ マー⸣ツ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢ʔiː saujaː maːʦun⸣du ja⸢na sau maː⸣ʦu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (良い知らせは待ち望むが、悪い便りを待ち望む人はいない)。 ⸣ドゥク ッ⸢ふァンケー⸣ヌ ⸢ソー マーツァン⸣ドーシ ガ⸢シ⸣タク ヤ⸢ラバン⸣ シトゥ ウ⸢クリ⸣バ [⸣duku f⸢faŋkeː⸣nu ⸢soː maːʦan⸣doːʃi ga⸢ʃi⸣taku ja⸢rabaŋ ⸣ʃi̥tu ʔu⸢kuri⸣ba] (あんまり子供達からの知らせを待ち望まないで、燻製の蛸でも土産に送りなさいよ)。 ⸢イー サウ マー⸣チェー ⸣ミサムヌ [⸢ʔiː sau maː⸣ʧeː ⸣misamunu] (良い便りを期待すればいいのに)。 ⸢イー サウバ マーチ⸣リ [⸢ʔiː sauba maːʧi⸣ri] (良い便りを期待しなさい)。 ⸣アミ ⸢マー⸣ツン [⸣ʔami ⸢maː⸣ʦuŋ] (降雨を待ち望む)。 15728 0 2 15574 htmvoc_15728.wav マーツン ⸢マー⸣ツン [⸢maː⸣ʦuŋ] 他動 {Mn_2}待ち望んで間に合わせる。 ⸢ウンパンシン⸣バ ⸢マー⸣チ ⸢クー⸣タ [⸢ʔumpaŋʃim⸣ba ⸢maː⸣ʧi ⸢kuː⸣ta] (運搬船の入港を待ち望んで入港に間に合わせて来た) 15730 0 0 15575 htmvoc_15730.wav マーティジ ⸢マーティジ [⸢maːtiʤi] 名 てっぺん。頂上。頂。「マ(真)・ティジ(頂)」の義。 ティ⸢ドゥ⸣クヤマヌ ⸢マーティジ⸣ナーヤ ティ⸢ドゥ⸣クダキヌル ⸣ムイ ⸢ブー⸠ダー [ti⸢du⸣kudakinu ⸢maːtiʤi⸣naːja ti⸢du⸣kudakinuru ⸣mui ⸢buː⸠daː] (ティドゥク岳の頂上にはティドゥク竹が<ぞ>生えているのだよ)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢マーティ⸣ジ ⸣ナルンケン パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シ ⸢ベー [ti⸢da⸣nu ⸢maːtiʤi⸣ naruŋkem pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi ⸢beː] (太陽が真上になるまで畑を耕している)。真上。若年層は⸢マーチジ[⸢maːʧiʤi](真上{EOS}頂上)ともいう。 シ⸢キ⸣ヌ ⸢マーティジ ヌール⸣カー ⸢スー⸣ヤ ピ⸢シキシ⸣ルン [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢maːtiʤi nuːru⸣kaː ⸢suː⸣ja pi̥⸢ʃiki̥ʃi⸣ruŋ] (月が真上に昇ると潮は干潮になる<引ききる>) 15732 0 0 15576 htmvoc_15732.wav マーティダ ⸢マーティダ [⸢maːtida] 名 灼熱の太陽。炎熱の陽光。ア⸢ガティダ[ʔa⸢gatida](灼熱の太陽{EOS}真っ赤な太陽)ともいう。 ⸢マーティダ⸣ナ プ⸢サ⸣レーティ ⸢イー⸣シ ⸢カイ⸣スンティ ⸢ベー [⸢maːtida⸣naː pu̥⸢sa⸣reːti ⸢ʔiː⸣ʃi ⸢kai⸣sunti ⸢beː] (灼熱の太陽に焼かれながら<乾されて>ツノマタを裏返して乾している) 15731 0 0 15577 htmvoc_15731.wav マーティナーン ⸣マーティ ⸢ナー⸣ン [⸣maːti ⸢naː⸣ŋ] 連 ところ構わず。あたり一面に。「何処とて無く」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ヤーン⸣ナカー ⸣マーティ ⸢ナー⸣ン ム⸢タビムヌ⸣バ パ⸢ニポー⸣リ ⸣シケー [ja⸢ra⸣beː ⸢jaːn⸣nakaː ⸣maːti ⸢naː⸣m mu⸢tabi⸣munu pa⸢nipoː⸣ri ʃi̥keː] (子供は家の中をあたり一面に玩具を散らかしてある) 15733 0 0 15578 htmvoc_15733.wav マードゥー ⸢マードゥー [⸢maːduː] 名 完全な体。健康体。「マー(真)・ドゥー(胴)」の義。⸢マー[⸢maː](真{EOS}本物)が名詞、⸣ドゥー[⸣duː](身体{EOS}胴)に付いて形成された複合名詞。 ミ⸢ドゥ⸣モー ッ⸢ふァ⸣ ナスカー プ⸢ス⸣シキ ⸣ウチェー ⸢マードゥヤ⸣ ア⸢ラン⸣ ユンダ ⸢ピーリ⸣ミジェー シゥ⸢カースナ⸣ヨー [mi⸢du⸣moː f⸢fa⸣ nasu̥kaː pu̥⸢su⸣ʃi̥ki ⸣ʔuʧeː ⸢maːduːja⸣ ʔa⸢raɲ⸣ junda ⸢piːri⸣miʤeː sï̥⸢kaːsuna⸣joː] (女は子供を産むと一月内は完全な体ではないから、冷たい水を使わせるなよ) 15734 0 0 15579 htmvoc_15734.wav マートゥルン ⸣マー ⸣トゥルン [⸣maː ⸣turuŋ] 連 広い面積を必要とする。場所をとる。「間を取る」の義。 ピ⸢バ⸣チェー ⸣マー トゥ⸢リ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ カ⸢タジキ⸣リ [pi⸢ba⸣ʧeː ⸣maː tu⸢ri⸣munu ja⸢runda⸣ kḁ⸢taʤiki⸣ri] (火鉢は部屋の場所を余計に取るから片付けなさい) 15736 0 0 15580 htmvoc_15736.wav マーナサ ⸢マーナ⸣サ [⸢maːna⸣sa] 固 女性の名。 ⸢マーナ⸣サンマー [⸢maːna⸣samma] (マーナサお母さん{EOS}マーナサ姉さん)。 ⸢マーナ⸣サンマー ⸢ダイ⸣ケーナーン ウ⸢チ⸣ネーナーン ⸢オーッ⸣タン⸢ナー [⸢maːna⸣sammaː ⸢dai⸣keːnaːŋ ʔu⸢ʧi⸣neːnaːŋ ⸢ʔoːt⸣tan⸢naː] (マーナサお母さんは大工家にも仲伊部家にもいらっしゃったねえ) 15737 0 0 15581 htmvoc_15737.wav マーナダカ ⸢マーナダカ [⸢maːnadaka] 名 まったく同じ高さ。ナ⸢ダ⸣カ(同じ高さ)は「ヌ[nu](の)・タキ[taki](丈)」の融合変化したものか。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢ドゥベー⸣ ユ⸢ドゥマ⸣ヌ キサー⸢ティ⸣ ウ⸢ヤ⸣トゥ ⸢マーナダカ⸣<ユ⸢ヌナダ⸣カ> ナ⸢リ⸣ブバン [ja⸢rabi⸣nu ɸu⸢dubeː⸣ ju⸢duma⸣nu kisaː⸢ti⸣ ʔu⸢ja⸣tu ⸢maːnadaka⸣ na⸢ri⸣bubaŋ] (子供の成長は時間がかからない<淀まない>{EOS}既に親と同じ高さに成長しているわい) 15738 0 0 15582 htmvoc_15738.wav マーナチ ⸢マーナチ [⸢maːnaʧi] 名 真夏。ン⸢ガナ⸣チ[ʔŋ⸢gana⸣ʧi](\ruby{酷暑}{コク|ショ}の夏{EOS}「苦夏」の義)ともいう。 ⸢マーナチヌ⸣ ン⸢ガ⸣ティダナー プ⸢サ⸣レーティ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣ス ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢maːnaʧinu⸣ ʔŋ⸢ga⸣tidanaː pu̥⸢sa⸣reːti pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣su ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (真夏の酷熱の太陽に焼かれ<干され>て畑を耕すものではない) 15739 0 0 15583 htmvoc_15739.wav マーニ ⸢マー⸣ニ [⸢maː⸣ni] 名 (植)クロツグ(桄榔)。ヤシ科の常緑低木。高さは2~3メートルに達する。長大な葉が幹頂につき、茎には黒色の強力な⸢フー⸣カラ[⸢ɸuː⸣kara](網状の繊維)が絡み付く。これが⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](くろつぐの繊維の綱)の原料となる。マーニは⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽)やパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山)に密生している。葉柄の表皮は硬いが柔軟性があり、加工しやすいので、⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](トウズルモドキ)と共に⸢フイ⸣バ[⸢ɸui⸣ba](穀物入れ)を編む際に陰干しにした茅を引き締めるのに使用する。 ⸢マーニ⸣ヌ ⸣カーシン ⸢フイ⸣バ フ⸢モーッ⸣タン [⸢maːni⸣nu ⸣kaːʃiŋ ⸢ɸui⸣ba ɸu⸢moːt⸣taŋ] (マーニの皮でもフイバ<茅をマーニやクージで編んだ穀物入れ>を編まれた) 15740 0 0 15584 htmvoc_15740.wav マーニヌウディ ⸢マーニ⸣ヌ ⸣ウディ [⸢maːni⸣nu ⸣ʔudi] 連 クロツグ(桄榔)の\ruby{葉柄}{ヨウ|ヘイ}。「クロツグの腕・枝」の義。直径2~3センチ、長さ1~1.5メートル。表皮は\ruby{蝋状}{ロウ|ジョウ}の光沢を有し、硬いが薄く削ると柔軟生がある。髄の部は柔らかく、白い発泡スチロール状の材質で\ruby{脆}{モロ}い。この表皮でフイバを編む。 ヤ⸢ラ⸣ベー キ⸢チゴン⸣ナー ⸢マーニ⸣ヌ ⸣ウディシ ⸢ケンバ⸣ ス⸢ク⸣リ ア⸢サブタン [ja⸢ra⸣beː ki̥⸢ʧigon⸣naː ⸢maːni⸣nu ⸣ʔudiʃi ⸢kemba⸣ su̥⸢ku⸣ri ʔa⸢sabutaŋ] (子供は結願祭の日に、マーニの葉柄で剣を作って遊んだものだ) 15741 0 1 15585 htmvoc_15741.wav マーニンギン ⸢マーニンギン [⸢maːniŋgiŋ] 名 {Mn_1}真人間。まともな人。 ウ⸢リヌ⸣ シ⸢ナタカコー⸣ ミルカー ⸢マーニンギンテー⸣ ウ⸢モーラン⸣バン⸢ナー [ʔu⸢rinu⸣ ʃi⸢natakakoː⸣ mirukaː ⸢maːniŋginteː⸣ ʔu⸢moːram⸣ban⸢naː] (彼の姿や\ruby{仕種}{シ|グサ}<姿格好>を見ると真人間とは思われないねえ)。 15741 0 2 15586 htmvoc_15741.wav マーニンギン ⸢マーニンギン [⸢maːniŋgiŋ] 名 {Mn_2}幽霊でなく本当の人間。 ⸢ワー マーニンギンマー⸣ ア⸢ラン⸣バ イ⸢キプスン⸣ナーニ ⸢ガイヤー サンドー⸣シ タ⸢ナミグトゥ⸣ヌ ⸣アルカー ⸣ウヌムティヌ ム⸢ヌシラ⸣シ ⸢シー⸣ティ フ⸢チカザルバ⸣ シ⸢タル⸣ ブ⸢ラーン⸣ ナ⸢ル⸣タ [⸢waː maːniŋgimmaː⸣ ʔa⸢ram⸣ba ʔi⸢kipu̥sun⸣naːni ⸢gaijaː sandoː⸣ʃi ta⸢namigutu⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣ʔunumutinu mu⸢nuʃira⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ti ɸu̥⸢ʧikaʣaruba⸣ ʃi̥⸢taru⸣ bu⸢raːn⸣ na⸢ru⸣ta] (君は本当の人間でないから、生きている人に危害を加えない<しない>で、頼みごとが有るなら、その旨の「もの知らせ」をしなさい、と口で唱えたので消えていなくなった) 15742 0 0 15587 htmvoc_15742.wav マーヌムヌ ⸢マーヌ⸣ムヌ [⸢maːnu⸣munu] 名 間食。おやつ。「間の物」の義。 ⸣ドゥク ⸢マーヌ⸣ムヌ ッ⸢ふァーンドー⸣シ トゥ⸢キヌムヌ⸣バ ッ⸢ふァイ⸠ツォー [⸣duku ⸢maːnu⸣munu f⸢faːndoː⸣ʃi tu̥⸢kinumunu⸣ba f⸢fai⸠ʦoː] (あまり間食をしない<間のものを食べない>で、時<朝食、昼食、夕食>のものを食べなさいってば) 15744 0 0 15588 htmvoc_15744.wav マーパカラーサン ⸢マーパカラー⸣サン [⸢maːpakaraː⸣saŋ] 形 しっかりしている。信用できる。まっとう(真っ当)である。 ⸢マーパカラー⸣サル プ⸢スンドゥ⸣ タ⸢ナマリ⸣ル ⸢マーパカラーサナーン⸣ ムヌネー タ⸢ナマラ⸣ヌ [⸢maːpakaraː⸣saru pu̥⸢sundu⸣ ta⸢namari⸣ru ⸢maːpakaraːsa naːm⸣ mununeː ta⸢namara⸣nu] (しっかりした人にこそ頼まれるのであって、真っ当でない人には頼まれない)。 ウ⸢レー マーパカラー⸣サンテー ウ⸢モーラ⸣ヌ [ʔu⸢reː maːpakaraː⸣santeː ʔu⸢moːra⸣nu] (彼が信用できる真っ当な人とは思われない) 15743 0 0 15589 htmvoc_15743.wav マーパカラサーナーヌ ⸢マーパカラサー ナー⸣ヌ [⸢maːpakarasaː naː⸣nu] 連 まっとう(真っ当)でない。しっかりしていない。きちんとしていない。信用できない愚かである。利口者でない。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢スン⸣ ドゥ⸢トー⸣ ウ⸢レー マーパカラサー ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢sun⸣ du⸢toː⸣ ʔu⸢reː maːpakarasaː naː⸣nu] (あんな事をするようでは、彼は真っ当な者ではない) 8422 0 0 15590 htmvoc_8422.wav マーパカラサン ⸢マーパカラ⸣サン [⸢maːpakara⸣saŋ] 形 真っ当である。しっかりしている。信頼できる 15745 0 0 15591 htmvoc_15745.wav マーバサ ⸢マーバサ [⸢maːbasa] 名 (植)芭蕉。実の生る芭蕉。「真・芭蕉」の義。 ⸢マーバサヌ⸣ ナロー ⸢タイワン⸣バサーラン ン⸢マー⸣ル [⸢maːbasanu⸣ naroː ⸢taiwam⸣basaːram ʔm⸢maː⸣ru] (真芭蕉<実の生る芭蕉>の実は台湾芭蕉の実よりも美味しい) 15746 0 0 15592 htmvoc_15746.wav マーパダカ ⸢マーパダカ [⸢maːpadaka] 名 真っ裸。マ⸢ルパダカ[ma⸢rupadaka](丸裸)ともいう。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢マーパダカ⸣ ナリティ ⸣オンダー ⸢シーベー [ja⸢ra⸣beː ⸢maːpadaka⸣ nariti ⸣ʔondaː ⸢ʃiːbeː] (子供は真っ裸になって海水浴をしている) 15747 0 0 15593 htmvoc_15747.wav マーパブ ⸢マーパブ [⸢maːpabu] 名 毒蛇。「蛇、倍美<へみ>、一云久知奈波、日本紀私記云、乎呂知、毒虫也」『和名抄』の転訛したものか。「マー(真)・パブ(蛇、<波布>)」の義。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢マーパボー⸣ ブ⸢ラーヌヌ パイタ⸣ナーテー ⸢マーパブン⸣ パン ⸢ホー⸣リ プ⸢スン⸣ ブ⸢タン⸠ダー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢maːpaboː⸣ bu⸢raːnunu paita⸣nateː ⸢maːpabum⸣ paŋ ⸢hoː⸣ri pu̥⸢sum⸣ bu⸢tan⸠daː] (鳩間島には毒蛇はいないが、南端<西表島>では毒蛇に足を咬まれる人もいたよ) 15748 0 0 15594 htmvoc_15748.wav マービ ⸢マービ [⸢maːbi] 名 まね(真似)。模倣。「俲・傚、ナラフ・マナブ」『類聚名義抄』、「Manebi,u,oˆda.マネビ、ブ、ゥダ(まねび、ぶ、うだ)まねをする、似せる」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 プ⸢スヌ⸣ ナ⸢キマービ スン [pu̥⸢sunu⸣ na⸢kimaːbi suŋ] (人の泣き真似をする)。 ム⸢ニイジマー⸣ベー ⸢ゾージ⸣ ユン [mu⸢niʔiʤimaː⸣beː ⸢ʣoːʤi⸣ juŋ] (他人の口真似<話し方の真似>は上手だよ)。 プ⸢スヌ マービ⸣ カー⸢ニ サンドー⸣シ ⸣ドゥーシ ⸢カン⸣ガイバ [pu̥⸢sunu maːbi⸣ kaː⸢ni sandoː⸣ʃi ⸣duːʃi ⸢kaŋ⸣gaiba] (他人の真似ばかりしないで、自分で考えなさいよ)。 ⸢ウイプスマー⸣ビ [⸢ʔuipusumaː⸣bi] (老人の真似{EOS}<形態模写>) 15749 0 0 15595 htmvoc_15749.wav マービスン ⸢マービ スン [⸢maːbi suŋ] 連 真似をする。 プ⸢スヌ マービ スン [pu̥⸢sunu maːbi suŋ] (人の真似をする) 15750 0 0 15596 htmvoc_15750.wav マービン ⸢マー⸣ビン [⸢maː⸣biŋ] 副 もっと。さらに。 ⸢マー⸣ビン ⸣カキバ [⸢maː⸣biŋ ⸣kḁkiba] (もっと書けよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヨーンナー⸣ パ⸢ナ⸣シバ [⸢maː⸣biŋ ⸢joːnnaː⸣ pa⸢na⸣ʃiba] (もっとゆっくり話せよ)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢マー ユージ [⸢maː⸣biŋ ka⸢maː juːʤi] (もっとあそこへ寄れ)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ウイヌ⸣ タ⸢ナ⸣ナ ⸣シキバ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuinu⸣ ta⸢na⸣na ⸣ʃi̥kiba] (もっと上の棚に置きなさいよ) 15751 0 0 15597 htmvoc_15751.wav マーブー ⸢マーブー [⸢maːbuː] 名 (植)からむし(苧麻)。「真麻」の義。普通は⸣ブー[⸣buː](からむし<苧麻>)という。この繊維から⸣ブーキン[⸣buːkiŋ](麻衣)を作った。御用布もこの繊維で織り上げて納めた。 ⸢ブー⸣バ ム⸢カ⸣シプソー ⸢マーブー⸣ティン ア⸢ゾーッ⸣タン [⸢buː⸣ba mu⸢ka⸣ʃipusoː ⸢maːbuː⸣tiŋ ʔa⸢ʣoːt⸣taŋ] (麻<苧麻>のことを昔の人は真麻ともいわれた) 15756 0 0 15598 htmvoc_15756.wav マープスマ ⸢マープスマ [⸢maːpu̥suma] 名 真昼間。昼のさかり。昼の最中。 ⸢マープスマ⸣ ナルカー ⸢ヤー⸣ キー ⸣アシ ッ⸢ふァイティ ユー⸣クイバ [⸢maːpusuma⸣ narukaː ⸢jaː⸣ kiː ⸣ʔaʃi f⸢faiti juː⸣kuiba] (真昼間になったら家に帰って来て、昼食を食べて休みなさいよ) 15757 0 0 15599 htmvoc_15757.wav マーフユ ⸢マーフユ [⸢maːɸuju] 名 真冬。冬の最中。 ⸢マーフユ⸣ ナルカー マ⸢ナ⸣マーラン ⸢マービン⸣ドゥ ⸢ピー⸣ヤ ⸣ナル [⸢maːɸuju⸣ narukaː ma⸢na⸣maːram ⸢maːbin⸣du ⸢piː⸣ja ⸣naru] (真冬になったら、今よりも更に<ぞ>寒くなる) 15758 0 0 15600 htmvoc_15758.wav マーホールキシムヌ ⸢マーホール⸣ キ⸢シ⸣ムヌ [⸢maːhoːru⸣ ki̥⸢ʃi⸣munu] 連 まったく思慮分別のない者。まったく気のきかない者。とんちきやろう(頓痴気やろう)。まぬけ。とんま。 ⸣アイブ ⸢マーホールキシムヌ⸣ヌ ⸢ブン⸣ツォカー [⸣ʔaibu ⸢maːhoːruki̥ʃimunu⸣nu ⸢bun⸣ʦokaː] (あんな頓痴気野郎がいるかってんだ) 15759 0 0 15601 htmvoc_15759.wav マーマチ ⸢マーマチ [⸢maːmaʧi] 名 (動)魚名。おおひめ(はまだいの仲間)。 ⸢マーマチェー ダイ⸣ ムトゥンダ ウ⸢リ ホーサ⸣リカー ⸢モーカ⸣リン [⸢maːmaʧeː dai⸣ mutunda ʔu⸢ri hoːsa⸣rikaː moːka⸣riŋ] (マーマチは高級魚で値段が高いから、それが釣れたら儲かる) 15754 0 0 15602 htmvoc_15754.wav マーミーシキ ⸢マー ミーシキ [⸢maː miːsi̥ki] 連 \ruby{再来月}{サ|ライ|ゲツ}。もう三ヶ月。三ヵ月後。 ⸢マー ミーシキ⸣ タトゥカー ⸢マイヤー⸣ カ⸢ラリン [⸢maː miːʃi̥ki⸣ tḁtukaː ⸢maijaː⸣ ka⸢rariŋ] (もう三月経つと稲は刈られる<刈ることが出来る>) 15752 0 0 15603 htmvoc_15752.wav マーミーティ ⸢マー ミー⸣ティ [⸢maː miː⸣ti] 連 \ruby{再来年}{サ|ライ|ネン}。明後年。「もう三年」の義。 ⸢マー ミー⸣ティ ナ⸢ラバ⸣ル ⸢ヤー⸣ヤ ス⸢クラ⸣リ⸢ [maː miː⸣ti na⸢raba⸣ru ⸢jaː⸣ja su̥⸢kura⸣ri] (もう三年経たないと家は造られない<~経ったらばぞ家は造られる>) 15753 0 0 15604 htmvoc_15753.wav マーミジ ⸢マーミジ [⸢maːmiʤi] 名 真水。淡水。天水。 ⸢インヌカーヌ⸣ ミ⸢ジェー マーミジ⸣ ヤ⸢ルヌ ウイヌカーヌ⸣ ミ⸢ジン⸣ スコー ン⸢マー ナー⸣ヌ [⸢ʔinnukaːnu⸣ mi⸢ʤeː maːmiʤi⸣ ja⸢runu ʔuinukaːnu⸣ mi⸢ʤin⸣ su̥koː ʔm⸢maː naː⸣nu] (西村井戸の水は真水だが、上の井戸<富村井戸>の水ほど美味しくない)。 シンタ⸢カートゥ アンヌカー ウイヌカーヌ⸣ ミ⸢ジェー マーミジ⸣ ヤ⸢ルヌ ウイヌカーヌ⸣ ミ⸢ジル⸣ イッ⸢チン⸣ ン⸢マー [ʃinta⸢kaːtu ʔannukaː ʔuinukaːnu⸣ mi⸢ʤeː maːmiʤi⸣ ja⸢runu ʔuinukaːnu⸣ mi⸢ʤiru⸣ ʔit⸢ʧim⸣ ʔm⸢maː] (西の村井戸<後ろの井戸>と東の村井戸<下り井戸>、上の井戸<島中の富村井戸>の水は真水であるが、富村井戸の水が一番美味しい) 15761 0 0 15605 htmvoc_15761.wav マームスビ ⸢マームスビ [⸢maːmusubi] 名 本結び。二重結び。解けない結びかた。「Mamusubi.マムスビ(真結び)二重結び.Mamusubini suru(真結びにする)二重むすびにする」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢マームスビ スー⸣カー ⸢パンツァサランバ⸣ プ⸢トゥキヤッ⸣サ ⸣ヨーニ ナー⸢イ⸣ サンムスビ ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣リバ [⸢maːmusubi suː⸣kaː ⸢panʦasaramba⸣ pu̥⸢tukijas⸣sa ⸣joːni naː⸢ji⸣ sammusubi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣riba] (本結びにすると解けないから、解きやすいように簡単にサンを結ぶような結び方<とんぼ結び>にしておきなさい) 15762 0 0 15606 htmvoc_15762.wav マームティ ⸢マームティ [⸢maːmuti] 名 着物の表。真正面。「まおもて(真表)」の義。 ⸢キン⸣マー ⸢カイ⸣サマー ⸣ナシ キ⸢サンドー⸣シ ⸢マームティ⸣ ナシ キ⸢シ⸠ヨー [⸢kim⸣maː ⸢kai⸣samaː ⸣naʃi ki̥⸢sandoː⸣ʃi ⸢maːmuti⸣ naʃi ki̥⸢ʃi⸠joː] (着物は裏返しに着ないで、正面<真表>にして着なさいよ) 15763 0 0 15607 htmvoc_15763.wav マームニ ⸢マームニ [⸢maːmuni] 名 本心から出た言葉。本当の気持ち。真のことば。 マ⸢ナマ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー ⸢マームネー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ワー⸣ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムイ⸣ル ⸣アイヤー ア⸢ゾー⸣ル [ma⸢nama⸣nu pa⸢na⸣ʃeː ⸢maːmuneː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢waː⸣ ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢mui⸣ru ⸣ʔaijaː ʔa⸢ʣoː⸣ru] (今の話は本心から出た言葉ではない{EOS}君のことを思って<ぞ>あんなにおっしゃるのだ) 15764 0 0 15608 htmvoc_15764.wav マームヌ ⸢マームヌ [⸢maːmunu] 名 毒蛇。ほんもの。⸢真物」の義。 パ⸢トゥ⸣マナーヤ ム⸢カ⸣シェーラ ⸢マームノー⸣ ブ⸢ラーンダ ヨーンヌ⸣ ミーナーン マー⸢ン⸣ パ⸢ラ⸣リン [pḁ⸢tu⸣manaːja mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢maːmunoː⸣ bu⸢raːnda joːnnu⸣ miːnaːm maː⸢m⸣ pa⸢ra⸣riŋ] (鳩間島には昔から真物<毒蛇>はいないから、闇夜の中でも何処へでも行ける) 15766 0 0 15609 htmvoc_15766.wav マーユーティ ⸢マー ユー⸣ティ [⸢maː juː⸣ti] 連 もう四年。再来年の次の年。 ⸢マー ユー⸣ティ ⸢スー⸣カー ⸣アボー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢クー⸣バン⸢ナー [⸢maː juː⸣ti ⸢suː⸣kaː ⸣ʔaboː ⸢toːkaki⸣nu ⸢joi⸣nu ⸢kuː⸣ban⸢naː] (もう四年経つと<もう四年したら>お母さんの米寿の祝いがやってくるんだよね) 15765 0 0 15610 htmvoc_15765.wav マーユイ ⸢マーユイ [⸢maːjui] 名 女性の伝統的な日常の髪の結い方。きちんとした髪の結い方。洗髪をして乾かした後、きちんと髪を結った。結願祭などにはイ⸢ローラ[ʔi⸢roːra](かもじ{EOS}入れ髪)を足し添え、ウ⸢ブガマ⸣ジ[ʔu⸢bugama⸣ʤi](大髪結い)に結って伝統的古典民俗舞踊を上演した。 ガ⸢マ⸣ジェー ⸢マーユイ サン⸣カー ボフ⸢ティ⸣ フ⸢キス [ga⸢ma⸣ʤeː ⸢maːjui saŋ⸣kaː boɸu̥⸢ti⸣ ɸu̥⸢kisu] (髪はきちんと結いあげないと、ぽろりと解けてしまうよ) 15767 0 0 15611 htmvoc_15767.wav マーユナカ ⸢マーユナカ [⸢maːjunaka] 名 真夜中。 ⸢マーユナカ⸣ナー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ニチ ⸣ンジティ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢スンティ ユー⸣キ シ⸢ミラリタンドゥ⸣ シ⸢トゥム⸣テー ⸣ニチン サ⸢ガ⸣リ パ⸢シットゥ シーベー [⸢maːjunaka⸣naː ja⸢rabi⸣nu ⸣niʧi ⸣ʔnʤiti ⸢tunʣa⸣ku ⸢sunti juː⸣ki ʃi⸢miraritandu⸣ ʃi̥⸢tumu⸣teː ⸣niʧin sa⸢ga⸣ri pḁ⸢ʃittu ʃiːbeː] (真夜中に子供の熱が出て、看病しようとして徹夜させられたが、今朝は熱も下がって気分爽快<元気{EOS}さっぱりした気分>になっている) 15768 0 0 15612 htmvoc_15768.wav マーラ ⸣マーラ [⸣maːra] 名 場所を表す。辺り。付近。周辺。周囲。 ウ⸢キナー⸣ヌ ⸣マーラー ⸢ヌー⸣シ ⸢ブーワ [ʔu⸢kinaː⸣nu ⸣maːraː ⸢nuː⸣ʃi ⸢buːwa] (沖縄辺りは状況はどうか<~どんなにしているか>)。 ウ⸢マ⸣ヌ ⸣マーラナール ⸢バン⸣テーヤ ⸢アッタ⸣ル [ʔu⸢ma⸣nu ⸣maːranaːru ⸢ban⸣teːja ⸢ʔatta⸣ru] (その辺りに<ぞ>私の家はあったのだ)。 ク⸢マ⸣ヌ ⸣マーラー ⸢ミシ⸣キ ⸢ミッタン [ku⸢ma⸣nu ⸣maːraː ⸢miʃi̥⸣ki ⸢mittaŋ] (この辺りは探してみたか)。 カ⸢マ⸣ヌ ⸣マーラー ⸢ヌー⸣シ ⸣カヤー [ka⸢ma⸣nu ⸣maːraː ⸢nuː⸣ʃi ⸣kajaː] (あそこの辺りはどうだろうかね)。 15768 0 2 15613 htmvoc_15768.wav マーラ ⸣マーラ [⸣maːra] 名 {Mn_2}およその時を表す。~の頃。 ⸢ウンヌマーラー ヌー⸣シ ⸢ブーター [⸢ʔunnumaːraː nuː⸣ʃi ⸢buːtaː] (その頃はどうだったか) 15769 0 0 15614 htmvoc_15769.wav マーラ ⸣マーラ [⸣maːra] 連 何処から。[maː-kara] → [maːhara] → [maːra] と転訛したもの。 ⸢ワー キュー⸣ヤ(ワ) ⸣マーラ ⸢クー⸣タ [⸢waː kjuː⸣ja(wa) ⸣maːra ⸢kuː⸣ta] (君は、今日は何処から来たのか) 15770 0 0 15615 htmvoc_15770.wav マーラ マー⸢ラ [maː⸢ra] 連体 ずっと。はるかに。空間的な隔たりが大きいさま。カー⸢マ[kaː⸢ma](ずうっと{EOS}はるか)は⸢空間的、時間的な隔たりの大きいさま」に用いられるが、マー⸢ラ[maː⸢ra]は空間的表現に用いられる。 マー⸢ラ⸣ カ⸢マー⸣ パリ [maː⸢ra⸣ ka⸢maː⸣ pari] (ずうっと<遙か>向こうへ行け)。 マー⸢ラ⸣ カマーラ ⸣クー プ⸢ソー ター⸣ヤ [maː⸢ra⸣ kamaːra ⸣kuː pu̥⸢soː taː⸣ja] (はるか向こうから来る人は誰か) 15771 0 0 15616 htmvoc_15771.wav マーラシフチ ⸢マーラシフチ [⸢maːraʃiɸu̥ʧi] 名 臨終。「死に目、死に際」の敬語。普通は、シ⸢ニミー[ʃi⸢nimiː](死に目)という。 シ⸢ママー⸣ル ⸢シー アー⸣ケーティル ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢マーラシフチン⸣ ッ⸢サナー⸣ ブ⸢レー⸣ル [ʃi⸢mamaː⸣ru ⸢ʃiː ʔaː⸣keːtiru ʔu⸢ja⸣nu ⸢maːraʃiɸu̥ʧin⸣ s⸢sanaː⸣ bu⸢reː⸣ru] (出稼ぎ<旅回り、島回りをして稼ぐこと>をしていたので、親の臨終も知らずにいたのだろうよ) 15772 0 0 15617 htmvoc_15772.wav マーラスン ⸢マーラスン [⸢maːrasuŋ] 自動 亡くなる。亡くなられる。「死ぬ」ことを婉曲に言う敬語。「~高庭の駅家於て身故也<ミ・マカリキ>。万、886<題詞>」の「罷り(死去する)」が → [makari] → [mahari] → [maːri] と変化した動詞の未然形に助動詞⸣スン[suŋ](する)が付いて形成されたものか。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー プ⸢ソー マーラスンダ マーラサン⸣ケンナール ン⸢マー⸣ムヌン ン⸢カサリル [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː pu̥⸢soː maːrasunda maːrasaŋ⸣kennaːru ʔm⸢maː⸣muŋ ʔŋ⸢kasariru] (年を取ると人は亡くなるから、亡くならないうちにしか<ぞ>美味しいものも召し上がらされない<~ぞ召し上がらされる>)。 ⸣アブジェー ⸢マーラシナーヌ⸣ヌ アッパー マ⸢ナ⸣マトー ⸢マーラス⸣ クトー ⸢ナーン⸣ パジ [⸣ʔabuʤeː ⸢maːraʃi naːnu⸣nu ⸣ʔappaː ma⸢na⸣matoː ⸢maːrasu⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (お祖父さんは亡くなったが、お祖母さんは今どき亡くなることは無いはずだ)。 マ⸢ナ⸣マ ⸢マーラシェー⸣ラ ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [ma⸢na⸣ma ⸢maːraʃeː⸣ra ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (今亡くなったら大変さ)。 ⸢マーラシ⸣バ [⸢maːraʃi⸣ba] (亡くなれよ) 15773 0 0 15618 htmvoc_15773.wav マーラン ⸣マーラン [⸣maːraŋ] 名 馬艦船<マーラン>。近世琉球の大型船の一つ。船身が約14.2メートルで、進貢船や楷船の半分以下。中国のジャンク船タイプの帆船。⸣マーランシン[⸣maːramʃiŋ]、⸣マーランブニ[⸣maːrambuni]ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣マーランシンラル ウ⸢キ⸣ナーヌ ⸢グイ⸣フゾーノーヤ ウサモーッタ⸢トゥ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣maːraŋʃinraru ʔu⸢ki⸣naːnu ⸢gui⸣ɸuʣoːnoːja ʔu⸢sa⸣moːtta⸢tu⸣ʦoː] (昔は馬艦船から<ぞ>沖縄<首里王府>への御庸布、上納米は納められたそうな) 15774 0 0 15619 htmvoc_15774.wav マーランブニ ⸣マーランブニ [⸣maːrambuni] 名 馬艦船。琉球王国の官船の一種。中国のジャンクタイプの船。⸢船体を黒、赤で彩色し、舳先には両側に目玉を描いた帆船。蒸気船が導入される以前は、沖縄、八重山間に就航していた官船で、⸢ヤンバル⸣シン[⸢jambaru⸣ʃiŋ](山原船)ともいう」『石垣方言辞典』。⸣マーラン[⸣maːraŋ]の項参照 15775 0 0 15620 htmvoc_15775.wav マーリザ ⸢マーリ⸣ザ [⸢maːri⸣ʣa] 名 茅葺屋根の\ruby{甍}{イラカ}を固定するティ⸢ブ⸣ク[ti⸢bu⸣ku](竹串{EOS}「手矛」の義)。甍を固定するために、屋根の最上部(棟)の前面と背面に木の矛(串)を数本ずつ斜めに差し込んで、それに⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](\ruby{棕櫚}{シュ|ロ}で\ruby{綯}{ナ}った綱)のカ⸢キ⸣ナー[kḁ⸢ki⸣naː](掛け縄)を掛けて引き締めるのに用いるティ⸢ブ⸣ク[ti⸢bu⸣ku](手矛)のこと。直径約2、5センチ、長さ約3メートル程の若木を使用した。 カ⸢キナー⸣ヤ ⸢マーリ⸣ザナー ⸣カキティル ピ⸢キシモーッ⸣タ [kḁ⸢kinaː⸣ja ⸢maːri⸣ʣanaː ⸣kḁkitiru pi̥⸢kiʃimoːt⸣ta] (掛け縄はマーリザに掛けて<ぞ>引き締められた)。 ⸢ナンツァヨーチ⸣バ ⸢マーリ⸣ザ ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティ ⸣スー [⸢nanʦajoːʧi⸣ba ⸢maːri⸣ʣa ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔanti ⸣suː] (銀の串を\ruby{甍}{イラカ}止めにして家を造ってあるという)(アーパーレー歌) 15776 0 0 15621 htmvoc_15776.wav マーリマーリ ⸢マーリマー⸣リ [⸢maːrimaː⸣ri] 連 回り回って。次々に移り回って。巡りめぐって。 ヤ⸢ナ⸣ムニ イ⸢ズ⸣カー ⸢マーリマー⸣リ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ウイニル カ⸢カ⸣ル⸢ダー [ja⸢na⸣muni ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸢maːrimaː⸣ri ⸢duː⸣nu ⸣ʔuiniru kḁ⸢ka⸣ru⸢daː] (他人の悪口を言うと巡り巡って自分の身の上に降りかかるのだよ) 15777 0 0 15622 htmvoc_15777.wav マール ⸢マー⸣ル [⸢maː⸣ru] 名 まり(毬)。 ⸣グムマール [⸣gumumaːru] (ゴム毬)。 シ⸢トゥッ⸣チマール [ʃi̥⸢tut⸣ʧimaːru] (蘇鉄の綿状の花で作った毬)。 ⸣グムマールヌ ン⸢ジ⸣ル ⸢マイ⸣ヤー シ⸢トゥッ⸣チマールバ ウ⸢ティ⸣ル ミ⸢ドーン⸣ッふァー ア⸢サブタル [⸣gumumaːrunu ʔn⸢ʤi⸣ru ⸢mai⸣jaː ʃi̥⸢tut⸣ʧimaːruba ʔu⸢ti⸣ru mi⸢doːn⸣ffaː ʔa⸢sabutaru] (ゴム毬が出る前は蘇鉄毬をついて<ぞ>女の子は遊んだものだ) 15778 0 1 15623 htmvoc_15778.wav マール ⸢マール [⸢maːru] 名 (名){Mn_1}周囲。まわり。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢マールヌ⸣ カキソージ ⸢バスクナ⸣ヨー [⸢jaː⸣nu ⸢maːrunu⸣ kḁkisoːʤi ⸢basu̥kuna⸣joː] (家の周囲の掃除を忘れるなよ)。 15778 0 2 15624 htmvoc_15778.wav マール ⸢マール [⸢maːru] 名 {Mn_2}見回り。 ⸢ターマー⸣ル [⸢taːmaː⸣ru] (田圃の見回り{EOS}田の手入れ)。 パ⸢タキマー⸣ル [pḁ⸢takimaː⸣ru] (畑の見回り{EOS}畑の手入れ)。 ⸢ヤーマー⸣ル [⸢jaːmaː⸣ru] (家回り{EOS}家々を遊びまわること)。 ヤ⸢ママー⸣ル [ja⸢mamaː⸣ru] (山の見回り{EOS}家屋建築用材を求めて山回りをすること)。 15778 0 3 15625 htmvoc_15778.wav マール ⸢マール [⸢maːru] 名 {Mn_3}あたり。近所。付近。近辺。 ク⸢マ⸣ヌ ⸢マール⸣ナー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ン プ⸢スヌ⸠ナー [ku⸢ma⸣nu ⸢maːru⸣naː ⸣miri mi⸢ra⸣m pu̥⸢sunu⸠naː] (この辺りでは見たことのないひとだねえ) 15779 0 1 15626 htmvoc_15779.wav マール ⸢マール [⸢maːru] 接尾 {Mn_1}~回り。ある地点やコースをまわって行くことを表す。 ⸢アーラーマール シー⸣ パルン [⸢ʔaːraːmaːru ʃiː⸣ paruŋ] (東まわりをして行く)。 ⸢オーラーマール シーバル ⸣フネー ⸢ナン⸣バ ⸢クイラリル⸣ ッ⸢ソーマーマール シェー⸣ラー ⸣フネー ⸢フンナキス [⸢ʔoːraːmaːru ʃiːbaru⸣ ɸuneː ⸢nam⸣ba ⸢kuirariru⸣ s⸢soːmaːmaːru ʃeːraː⸣ ɸuneː ⸢ɸunnakisu] (風上の方向へ旋回させたらばこそ船は大波を乗り越えられるのであって、風下の方向へ旋回したらば船は沈没する)。 15779 0 2 15627 htmvoc_15779.wav マール ⸢マール [⸢maːru] 接尾 {Mn_2}~おき。 ⸢イシゥカマール⸣ヌ ⸢ユー⸣アミ タ⸢ボーラ⸣リ [⸢ʔisï̥kamaːru⸣nu ⸢juː⸣ʔami ta⸢boːra⸣ri] (五日おきの夜雨をたまわって) 15780 1 0 15628 htmvoc_15780.wav マールマール ⸢マールマー⸣ル [⸢maːrumaː⸣ru] 名 {PoS_1}季節季節。時々。「回り回り」の義。 ⸢マールマールヌ⸣ キ⸢ザルン ニンガイ⸣グトゥン ウ⸢チナ⸣シ ウミ⸢ナーク ソー⸣レーン [⸢maːrumaːrunu⸣ ki⸢ʣarun niŋgai⸣gutuŋ ʔu⸢ʧina⸣ʃi ʔumi⸢naːku soː⸣reːŋ] (季節ごとの家庭祭祀も村の祈願<神事>ごとも無事に済まされてほっと<思い煩うことを無く>された)。 15780 2 0 15629 htmvoc_15780.wav マールマール ⸢マールマー⸣ル [⸢maːrumaː⸣ru] 副 {PoS_2}たまには(偶に)。時として。時には。時おり。 ⸢マールマー⸣ロー ⸢バン⸣テヌ ⸣マーラーン ⸢オー⸣リバ [⸢maːrumaː⸣roː ⸢ban⸣tenu ⸣maːraːŋ ⸢ʔoː⸣riba] (たまには私の家の辺りにもおいでくださいよ) 15781 0 0 15630 htmvoc_15781.wav マールマールーシ ⸢マールマールー⸣シ [⸢maːrumaːruː⸣ʃi] 副 代り番こで。代わる代わるで。輪番で。普通は⸢カールカール⸣シ[⸢kaːrukaːru⸣ʃi](代り番こで)という。 ク⸢ヌ ダッコッ⸣ケー ドゥー ⸢タンガ⸣シ シゥ⸢カーンドー⸣シ ⸢マールマー⸣ルーシ シゥ⸢カイヤー⸣ティ ⸢マイヤー アーシ⸣バ [ku⸢nu dakkok⸣keː ⸣duː ⸢taŋga⸣ʃi sï̥⸢kaːndoː⸣ʃi ⸢maːrumaːru⸣ʃi sï̥⸢kaija⸣ːti ⸢maijaː ʔaːʃi⸣ba] (この脱穀機は自分一人だけで使わなずに、代り番こで使いながら稲は脱穀しなさいよ) 15782 0 1 15631 htmvoc_15782.wav マールン ⸢マールン [⸢maːruŋ] 自動 {Mn_1}回る。めぐる。回転する。 ク⸢ヌ⸣ クマー ⸣ユー ⸢マールンティ⸣ ス⸢クタンドゥ マーランバン [ku⸢nu⸣ kumaː ⸣juː ⸢maːrunti⸣ su̥⸢kutandu maːrambaŋ] (この\ruby{独楽}{コ|マ}は良く回ると聞いたが、回らないよ)。 ⸢マーリ ベーン⸣ティ [⸢maːri beːn⸣ti] (回っているさ、ほら)。 ⸢マール⸣<⸢マーリダー⸣> クマーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリ [⸢maː⸣ru<⸢maːridaː⸣> ⸣kumaːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turi] (回る独楽から選んで取れ)。 ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢マーレー⸣ ミサムヌ [⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢maːreː⸣ misamunu] (家ごとに<家のかず>回ればいいのに)。 ム⸢ラズー⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸢マーリ [mu⸢raʣuː⸣ ta⸢na⸣mi ⸢maːri] (村中に頼んで回れ)。 15782 0 2 15632 htmvoc_15782.wav マールン ⸢マールン [⸢maːruŋ] 自動 {Mn_2}エンジンが起動する。 ア⸢バ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー キ⸢カイ⸣ヤー ⸢マーラヌ [ʔa⸢ba⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ki̥⸢kai⸣jaː ⸢maːranu] (油<石油>が無いと機械はエンジン始動しない<機械は回らない>) 15783 0 0 15633 htmvoc_15783.wav マールン ⸢マー⸣ルン [⸢maː⸣ruŋ] 接尾 ~ぐむ。~を含む。 ナ⸢ダマー⸣ルン [na⸢damaː⸣ruŋ] (涙ぐむ)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナシ⸣バ シ⸢キティ⸣ アッパー ナ⸢ダマー⸣リ ⸢オーッ⸣タ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢naʃi⸣ba ʃi̥⸢kiti⸣ ʔappaː na⸢damaː⸣ri ⸢ʔoːt⸣ta] (その話を聞いて、お祖母さんは涙ぐんでおられた) 15784 0 0 15634 htmvoc_15784.wav マーレー ⸢マーレー [⸢maːreː] 名 (地)船浦湾の南東最奥部にマーレー川があり、その河口部一帯をいう。寄合家の水田があった。 ⸢マーレー⸣ナーヤ ユ⸢レーヌ サン⸣ドーザータール ヒ⸢ナン シー オーッ⸣タ [⸢maːreː⸣naːja ju⸢reːnu ⸢san⸣doːʣaːtaːru çi⸢naŋ ʃiː ʔoːt⸣ta] (マーレーには戦時中寄合三戸さん一家が避難しておられた) 15785 0 0 15635 htmvoc_15785.wav マーレーガーラー ⸢マーレーガーラー [⸢maːreːgaːraː] 名 船浦湾南東奥部にある⸢マーレー[⸢maːreː]にある川の名。⸢マーレータバル[⸢maːreːtabaru](マーレーの水田地帯)の水源となっている 15786 0 0 15636 htmvoc_15786.wav マーレーコーレー ⸢マーレー⸣コーレー [⸢maːreː⸣koːreː] 副 曲がりくねって。 ⸢マーレー⸣コーレー ⸢シー ブー⸣ ミ⸢チ⸣ヌ ⸣アン [⸢maːreː⸣koːreː ⸢ʃiː buː⸣ mi⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaŋ] (曲がりくねっている道がある)。 15786 0 2 15637 htmvoc_15786.wav マーレーコーレー ⸢マーレー⸣コーレー [⸢maːreː⸣koːreː] 副 {Mn_2}あちら回り、こちら回りして。あちらこちら回って。 ⸢マレー⸣コーレー ⸢シェー⸣ティル ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣トゥミ ⸢クータ [⸢maːreː⸣koːreː ⸢ʃeː⸣tiru jat⸢tu⸣ʃi ⸣tumi ⸢kuː⸣ta] (あちらこちら回ってやっとで探してきた) 15676 0 0 15638 htmvoc_15676.wav マーンカマーン ⸣マーンカマーン [⸣maːŋkamaːŋ] 連 どこもかしこも。至るところ皆。 ⸣マーンカマーン ムー⸢ル プール⸣ムチ ス⸢ク⸣ルンティ ⸢オー⸣ル [⸣maːŋkamaːm muː⸢ru ⸢puːru⸣muʧi su̥⸢ku⸣runti ⸢ʔoː⸣ru] (何処もかしこも皆豊年祭の餅を作ろうとしておられる) 15787 0 0 15639 htmvoc_15787.wav マーンナーカ マー⸢ン ナー⸣カ [maː⸢n naː⸣ka] 連 何処か。ある所。 マー⸢ン ナー⸣カナー ⸢ナーン⸣カヤー{EOS}⸢ワー⸣ トゥミ ッ⸢ふィーラン⸣ノーレー [maː⸢n naː⸣kanaː ⸢naːŋ⸣kajaː{EOS}⸢waː⸣ tumi f⸢fiːran⸣noːreː] (何処かにないのかね{EOS}君は探してくれないか) 15755 0 0 15640 htmvoc_15755.wav マーンベーマ ⸣マー ン⸢ベーマ [⸣maː ʔm⸢beːma] 連 もう少し。もうちょっと。マ行音に同化されて、⸣マー ン⸢メーマ[⸣maː ʔm⸢meːma](もう少し)ともいう。 ⸣マー ン⸢ベーマ アンター ユージ [⸣maː ʔm⸢beːma ʔantaː juːʤi] (もう少し東の方に寄れ) 15788 0 0 15641 htmvoc_15788.wav マーンメーマ ⸣マー ン⸢メーマ [⸣maː ʔm⸢meːma] 連・副 もう少し。⸣マー ン⸢ベーマ[⸣maː ʔm⸢beːma](もう少し)ともいう。⸢マー[⸢maː]は、「ma.マ(ま・真)すなわち、Mata(また)さらにその上に.Mafitotçu.(ま一つ)さらに一つ」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣マー ン⸢メーマ⸣ ヌミ ⸣ミサンカヤー [⸣maː ʔm⸢meːma⸣ numi ⸣misaŋkajaː] (もう少し飲んでいいかねえ) 15789 0 0 15642 htmvoc_15789.wav マーンメーマスカー ⸣マー ン⸢メーマ⸣ スカー [⸣maː ʔm⸢meːma⸣ su̥kaː] 連・副 すんでのところ(既の所)で。もう少ししたら。ほとんど~のところ。⸣マー ン⸢ベーマ⸣ スカー[⸣maː ʔm⸢beːma⸣ su̥kaː](もう少しのところで{EOS}すんでのところで)、⸣マー ン⸢ベー⸣スカー[⸣maː ʔm⸢beː⸣su̥kaː](すんでのところ<既の所>で)ともいう。「もう少ししたら」の義。 ⸣マー ン⸢メーマ⸣スカー ⸢キーヌ パン⸣ターラ ウ⸢ティ⸣ルンティ ⸢アーク⸣タ⸢ドー⸣ティバーヤ [⸣maː ʔm⸢meːma⸣su̥kaː ⸢kiːnupan⸣taːra ʔu⸢ti⸣runti ⸢ʔaːku⸣taː⸢doː⸣tibaːja] (すんで<既>のところで木のてっぺんから落ちるところだったんだってばよ) 15790 0 1 15643 htmvoc_15790.wav マイ ⸣マイ [⸣mai] 名 {Mn_1}空間的な前。前方。物の正面。「~取り上げ麻敝尓於吉<マヘニオキ>~。万、4129」の義。 ⸢マイ⸣バ ミ⸢リ⸣ル ア⸢ラ⸣ク ク⸢シェー⸣ ミ⸢ル⸣ナ [⸢mai⸣ba ⸣miri ʔa⸢ra⸣ku ku̥⸢ʃeː⸣ mi⸢ru⸣na] (前を見て歩け、後ろは見るな)。 ⸣ッシェーナリ ⸣マイナリ ⸢シェー⸣ティ ⸢パッ⸣タヤー [⸣ʃʃeːnari ⸣mainari ⸢ʃeː⸣ti ⸢pat⸣tajaː] (後ろになり、前になりしながら行ったよ)。対語はク⸢シ[ku̥⸢ʃi](腰{EOS}背)、⸣ッシェー[⸣ʃʃeː](しりへ<後方>{EOS}「~殿の志利敝乃<シリヘノ>~{EOS}万、4326」の転訛したもの)。 15790 0 2 15644 htmvoc_15790.wav マイ ⸣マイ [⸣mai] 名 {Mn_2}時間的な前を表す。 パ⸢トゥ⸣マナテー イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣マイナー マ⸢ラリ⸣ヤナ カ⸢カ⸣リ シ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーン⸣タヌ イ⸢クサユー⸣ヌ シ⸢グ⸣ アトゥナール マ⸢ラリ⸣ヤシ ヤ⸢マシゥ⸣カ シ⸢ネー⸣ダー [pḁ⸢tu⸣manateː ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣mainaː ma⸢rari⸣jana kḁ⸢ka⸣ri ʃi⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːn⸣tanu ʔi⸢kusajuː⸣nu ʃi⸢gu⸣ ʔatunaːru ma⸢rari⸣jaʃi ja⸢maʃi̥⸣ka ʃi⸢neː⸣daː] (鳩間島では、戦争の前にはマラリアに\ruby{罹}{カカ}って死ぬ人はいなかったが、敗戦の直後に<ぞ>マラリアでたくさん死んだのだよ) 15791 0 1 15645 htmvoc_15791.wav マイ ⸢マイ [⸢mai] 名 {Mn_1}米。米穀。呉音系統の語。「米、姑米」『琉球館訳語』とある。ム⸢チマイ[mu⸢ʧimai](\ruby{糯米}{モチ|ゴメ})、サ⸢ク⸣マイ[sḁ⸢ku⸣mai](粳米)がある。 ⸢マイヌ⸣イー [⸢mainu⸣ʔiː] (米のご飯)。 グ⸢サーク⸣マイ [gu⸢saːku⸣mai] (五勺米)。村の神事に要するパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)は五勺米として各戸より徴収した米よりつくり、「姑米」の系統の語として残っている。 15791 0 2 15646 htmvoc_15791.wav マイ ⸢マイ [⸢mai] 名 {Mn_2}稲。 ⸢マイ⸣ イ⸢ビルン [⸢mai⸣ ʔi⸢biruŋ] (稲を植える)。 ⸢マイ⸣ カ⸢ルン [⸢mai⸣ ka⸢ruŋ] (稲を刈る)。鳩間島の人が栽培していた稲には、ム⸢チマイ[mu⸢ʧimai](糯米)。サ⸢ク⸣マイ[sḁ⸢ku⸣mai](粳米)があり、⸢ホーライ⸣マイ[⸢hoːrai⸣mai](蓬莱米{EOS}台湾から導入された\ruby{芒}{ノゲ}のない米)は新種の稲。⸢ザイレー⸣マイ[⸢ʣaireː⸣mai](在来品種の\ruby{芒}{ノゲ}の長い米)は古い稲の品種。戦後まで「台中65号」が栽培されていた。その他に、猪の害を防ぐため、⸢ザイレー⸣マイ[⸢ʣaireː⸣mai](在来種)のピ⸢ジ⸣ルマイ[pi⸢ʤi⸣rumai](赤褐色の芒、赤褐色の籾、芒長4~5センチ)やダ⸢ネー⸣ママイ[da⸢neː⸣mamai](褐色の芒、灰褐色の籾、赤色の玄米、芒長4~5センチ)などが1962年ごろまで山中の水田で作付けされていた 15792 0 0 15647 htmvoc_15792.wav マイ ⸣マイ [⸣mai] 接尾 (数)。枚。紙や皿など薄く平たいものを十一枚以上数える際に用いる単位。標準語からの借用語。老年層の人は、十枚までは⸣-イラ[⸣-ira](~枚{EOS}「平、此れをば田比羅(ヒラ)という」『紀、齋明五年』の転訛したものか)を用いるのが普通である。 カ⸢ビ ジューニン⸣マイ ⸣ブカラ ⸣トゥリ ッ⸢ふィーリ [ka⸢bi ʤuːnim⸣mai ⸣bukara ⸣turi f⸢fiːri] (紙を十二枚ほど取ってくれ) 15793 0 0 15648 htmvoc_15793.wav マイ ⸣-マイ [⸣-mai] 接尾 敬意を表す。様。「前」の転訛したもの。 ⸢カンヌ⸣マイ [⸢kannu⸣mai] (神様)。 ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ [ʔu⸢japusu⸣numai] (仏様{EOS}ご先祖様)。 ⸣ウシュン ガ⸢ナ⸣シェーマイ [⸣ʔuʃuŋ ga⸢na⸣ʃeːmai] (国王様{EOS}<御主のカナシ前>の転訛したもの)。 ⸢カンヌ⸣マイン ⸢ニン⸣ガイ ッ⸢サリリ [⸢kannu⸣main ⸢niŋ⸣gai s⸢sariri] (神様の御前にお祈り申し上げなさい<願い知られれ>) 15795 0 0 15649 htmvoc_15795.wav マイアーシ ⸢マイアーシ [⸢maiʔaːʃi] 名 稲の脱穀。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー フ⸢ドー⸣シシ ⸢サイ⸣ヤーティル ⸢マイアーシ ソーッタ⸣ヌ ⸢ホーライマイ⸣ヤー ⸢ダッコッ⸣キシル ⸢マイアーシ ソーッ⸣タ [⸢ʣaireːmai⸣jaː ɸu⸢doː⸣ʃiʃi ⸢sai⸣jaːtiru ⸢maiʔaːʃi soːtta⸣nu ⸢hoːraimai⸣jaː ⸢dakkok⸣kiʃiru ⸢maiʔaːʃi soːt⸣ta] (在来種の稲は、\ruby{竹管}{タケ|クダ}のいねこき<稲扱>でしごい<扱>て\ruby{稲扱}{イネ|コキ}されたが、蓬莱米は脱穀機で稲を脱穀された) 15796 0 0 15650 htmvoc_15796.wav マイアースン ⸢マイ アースン [⸢mai ʔaːsuŋ] 連 稲を脱穀する。 ⸢マイ アースンティ ベー⸣ンドゥ ⸢ダッコッキ⸣ヌ ヤ⸢ブ⸣リティ ⸢アーサラヌ [⸢mai ʔaːsunti beː⸣ndu ⸢dakkokki⸣nu ja⸢bu⸣riti ⸢ʔaːsaranu] (稲を脱穀しようとしているが、脱穀機が壊れて脱穀できない)。 ⸣キサー フ⸢ドー⸣シシル ⸢アーシ オーッタ⸣ル [⸣ki̥saː ɸu⸢doː⸣ʃiʃiru ⸢ʔaːʃi ʔoːtta⸣ru] (以前<昔>は、竹管のいねこき<稲扱>で脱穀しておられた)。 マ⸢ナ⸣マー フ⸢ドー⸣シシ ⸢マイ アース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ɸu⸢doː⸣ʃiʃi ⸢mai ʔaːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (今は竹管の稲扱きで脱穀する人はいない)。 ⸢パー⸣ク ⸢マイ アーシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢mai ʔaːʃeː⸣ misamunu] (早く稲を脱穀すればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢マイ アーシ [⸢maː⸣bim ⸢mai ʔaːʃi] (もっと稲を脱穀せよ) 15797 0 0 15651 htmvoc_15797.wav マイイビ ⸢マイイビ [⸢maiʔibi] 名 田植え。「稲植え」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ダイカン⸣ヌ ⸣シチナー ピ⸢ラ⸣クサーリ ク⸢バ⸣レーティ ⸢マイイビ ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢daikan⸣nu ⸣ʃi̥ʧinaː pi⸢ra⸣kusaːri ku⸢ba⸣reːti ⸢maiʔibi soːt⸣ta] (昔は大寒の時節に、寒気で凍えながら田植え<稲植え>をされた) 15798 0 0 15652 htmvoc_15798.wav マイウチ ⸢マイ⸣ウチ [⸢mai⸣ʔuʧi] 名 鍛冶屋の大きな金槌を打つ人。「前打ち」の義。 ⸢マイ⸣ウチェー カ⸢ラヌ ヨー⸣ プ⸢スンマー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢mai⸣ʔuʧeː ka⸢ranu joː⸣ pu̥⸢summaː⸣ na⸢ra⸣nu] (前打ち<鍛冶屋の大金槌を打つ人>は体力の弱い人には出来ない) 15799 0 0 15653 htmvoc_15799.wav マイガキ ⸢マイガ⸣キ [⸢maiga⸣ki] 名 前掛け。前垂れ。着物の汚れを防ぐため、体の前面の胸部から膝までに掛けて着用する布。エプロンの一種。浜辺でカツオの頭を切り、⸢シーゾー⸣ヤー[⸢ʃiːʣoː⸣jaː](鰹節製造工場)でカツオを三枚下ろしにして、さらにヨ⸢ツ⸣ワリ[jo⸢ʦu⸣wari](四つ割り)にし、煮釜に入れ、煮あがったカツオからバ⸢ラ⸣ヌキ[ba⸢ra⸣nuki](小骨抜き)をし、シ⸢ル⸣ク ッ⸢ふァーシ[ʃi⸢ru⸣ku f⸢faːʃi](魚肉を練ったもので鰹節の形を補正する)などの作業をするが、⸢マイガ⸣キ[⸢maiga⸣ki]はその際に着用した。 カ⸢ツ⸣ バ⸢ザウ⸣ ピンマー ⸢シージル スンダー マイガ⸣ケー ⸢シーティル ソーッ⸣タ [kḁ⸢ʦu⸣ ba⸢ʣau⸣ pimmaː ⸢ʃiːʤiru sunda maiga⸣keː ⸢ʃiːtiru soːt⸣ta] (カツオを\ruby{捌}{サバ}く際には血まみれになるから、前掛けをしてされた) 15800 0 0 15654 htmvoc_15800.wav マイカトゥン ⸢マイ⸣ カトゥン [⸢mai⸣ kḁtuŋ] 連 ⸢ザイレー⸣マイ[⸢ʣaireː⸣mai](在来品種の米)をシ⸢ラ[ʃi⸢ra](稲叢)から必要な分だけ稲束を下ろし、フ⸢ドー⸣シ[ɸu⸢doː⸣ʃi](稲扱き用の竹管)で稲扱きをして脱穀し、それをカ⸢ティ⸣ウシ[kḁ⸢ti⸣ʔuʃi](搗き臼{EOS}\ruby{芒}{ノギ}を除去するための専用の搗き臼)で搗いて芒を除去し、さらに\ruby{碾}{ヒ}き臼で\ruby{挽}{ヒ}いて籾殻を落とした後、精米用の搗き臼に入れて杵で搗いて精米する<精げる>までの全過程をまとめていう。 ⸢キュー⸣ヤ ⸢マイ⸣ カティティ ⸢ザイレー⸣ヌ ⸢カイ⸣ タ⸢キ⸣ ッ⸢ふァーサ⸣ナー [⸢kjuː⸣ja ⸢mai⸣ kḁtiti ⸢ʣaireː⸣nu ⸢kai⸣ tḁ⸢ki⸣ f⸢faːsa⸣naː] (今日は稲を搗き精げて在来米のお\ruby{粥}{カユ}を炊いてあげようね) 15801 0 0 15655 htmvoc_15801.wav マイカニティ ⸢マイカニ⸣ティ [⸢maikani⸣ti] 副 予て。前もって。あらかじめ。事前に。「前予て」の義。カ⸢ニティ[ka⸢niti](予て)は「かからむと 可祢弖<カネテ>知りせば~。万、3959」の転訛したもの。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢ピュール⸣ トゥ⸢ラ⸣リカー ヤー⸢ディン マイカニ⸣ティ シゥ⸢カシ⸣ダー [⸢joi⸣nu ⸢pjuːru⸣ tu⸢ra⸣rikaː jaː⸢dim maikani⸣ti sï̥⸢kaʃi⸣daː] (お祝いの日和<日取り>が取れたら必ず前もって知らせなさいよ) 15802 0 0 15656 htmvoc_15802.wav マイカリ ⸢マイカリ [⸢maikari] 名 稲刈り。「米刈り」の義。鳩間島ではス⸢ク⸣マ[su̥⸢ku⸣ma](稲の初穂祭り{EOS}旧暦5月の壬に執り行われた)を過ぎると稲刈りの準備に入り、早い田圃では刈り入れが始まった。西表島北岸一帯にある⸢タータバ⸣ル[⸢taːtaba⸣ru](田袋)の各自の⸢ター⸣ヤー[⸢taː⸣jaː](田子屋)に、一週間、または10日の日程で宿泊して稲刈り作業を行った。⸢スー⸣マン[⸢suː⸣maŋ](小満、太陽暦5月20日)の頃から稲刈りが始まり、⸢ボースー[⸢boːsuː](\ruby{芒種}{ボウ|シュ}、太陽暦6月5日頃)の節に吹く⸢カーチー⸣バイ[⸢kaːʧiː⸣bai](南風{EOS}夏至の頃に吹く南風)に吹かれて稲刈りをした。刈り取った稲は、プ⸢ス⸣シゥカ[pu̥⸢su⸣si̥ka](一\ruby{掴}{ツカ}み{EOS}ヒトツカ<一束>)ずつ、X字状に捻じったス⸢リ⸣バイ[su⸢ri⸣bai](刈り株)の上に置いて天日に干し、刈り終えたらそれを束ねてタ⸢ブ⸣ル[ta⸢bu⸣ru](束{EOS}二掴みで一\ruby{束}{タバル}にしたもの)にし、それらを30束纏めてプ⸢スマラ⸣キ[pu̥⸢sumara⸣ki](一丸ぎ)にした。それらを田の畦の集荷場に積み重ね、フ⸢ナ⸣ジン[ɸu⸢na⸣ʤiŋ](⸢船積み」の義{EOS}高さ約4尺、長さ約6尺に積み、上にトゥ⸢マー{SqBr}tu⸢maː{/SqBr}<苫>を掛けて雨露を防ぐ)して置く。2、3日おいて脱穀機にかけて脱穀し、籾をカ⸢シガーフク⸣ル[ka⸢ʃigaːɸu̥ku⸣ru](南京袋{EOS}朝鮮袋)に詰めて鳩間島へ運んだ。天気をみて籾を天日乾燥し、モ⸢ミパク[mo⸢mipaku](籾箱)に入れて保管した。 ⸢マイカリヌ パンタ⸣サー トゥ⸢リパン⸣タティ ⸢シー⸣ イッ⸢ケナ パンタ⸣サタン [⸢maikarinu panta⸣saː tu⸢ripan⸣tati ⸢ʃiː⸣ ʔik⸢kena panta⸣sataŋ] (稲刈り時の忙しさは収穫の繁忙<繁多さ>といって、非常に忙しかった) 15803 0 0 15657 htmvoc_15803.wav マイガリ ⸢マイ⸣ガリ [⸢mai⸣gari] 名 まえがり(前借り)。ぜんしゃく(前借)。 カ⸢ツシンマー⸣ ク⸢ミ⸣アイラ ⸢マイガリ⸣バ ⸢シーティル⸣ シ⸢キ⸣ユーン ⸢カイティ⸣ ウケー ン⸢ズ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ku⸢mi⸣ʔaira ⸢maigari⸣ba ⸢ʃiːtiru⸣ ʃi̥⸢ki⸣juːŋ ⸢kaiti⸣ ʔukeː ʔn⸢ʣu⸣ta] (カツオ漁船は組合から前借をして<ぞ>石油も買って出漁した<沖へ出た>ものだ)。 バ⸢カヤ⸣ヌ ⸢ギッキュー マイ⸣ガリ シ⸢ララヌ [ba⸢kaja⸣nu ⸢gikkjuː mai⸣gari ʃi⸢raranu] (恥ずかしくて、月給を前借出来ない) 15804 0 0 15658 htmvoc_15804.wav マイカルン ⸢マイ⸣ カ⸢ルン [⸢mai⸣ ka⸢ruŋ] 連 稲<米>を刈る。 ス⸢クマ⸣ヌ ⸢ナーツァー⸣ラ ⸢マイ⸣ カ⸢ルンティ⸣ ス⸢コーリ ベー [su̥⸢kuma⸣nu ⸢naːʦaː⸣ra ⸢mai⸣ ka⸢runti⸣ su̥⸢koːri beː] (スクマの翌日から稲刈りしようと<稲を刈ろうと>準備している) 15805 0 0 15659 htmvoc_15805.wav マイグスク ⸢マイグス⸣ク [⸢maigusu̥⸣ku] 名 屋敷の前面の石垣。前石垣。門と住宅の間にある目隠しの石垣には、ナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu̥⸣ku](目隠し)という。 ⸢カジヌ⸣ カ⸢タ⸣カティ ⸢シール マイグス⸣コー タ⸢カータカー⸣シ シ⸢マリ ブー⸣ツォー [ka⸢ʤinu⸣ kḁ⸢ta⸣kati ⸢ʃiːru maigusu̥⸣koː tḁ⸢kaːtakaː⸣ʃi ʃi⸢mari buː⸣ʦoː] (台風のカ⸢タ⸣カ{SqBr}kḁ⸢ta⸣ka{/SqBr}<風除け{EOS}片陰{EOS}⸢Catacague.カタカゲ{EOS}隠れた方の側、または、場所『邦訳日葡辞書』の義」として屋敷の前石垣は積まれているそうだよ) 15806 0 0 15660 htmvoc_15806.wav マイクメー ⸣マイクメー [⸣maikumeː] 名 小浜家<小浜正秀氏宅>。⸣マイクマヤー[⸣maikumajaː](「前小浜家」の義)ともいう。 ⸣マイクメーヌ ⸢アー⸣ヤ [⸣maikumeːnu ⸢ʔaː⸣ja] (小浜家のお父さん)。[maikumajaː] → [maikumeː] のように音韻変化したもの 15807 0 0 15661 htmvoc_15807.wav マイクメーヌセイショーザーテー ⸣マイクメーヌ ⸢セイショーザーテー [⸣maikumeːnu ⸢ʃeiʃoːʣaːteː] 連 屋号。小浜正昌氏宅。 ⸣マイクメーヌ ⸢セイショーザー⸣ タ⸢ケ⸣トミチョーヌ ⸢シューニュー⸣ヤク ⸢バー⸣キ ⸢ソーッ⸣タン [⸣maikumeːnu ⸢ʃeiʃoːʣaː⸣ ta⸢ke⸣tomiʧoːnu ⸢ʃuːɲuː⸣jaku ⸢baː⸣ki ⸢soːt⸣taŋ] (小浜家の正昌兄さんは竹富町の収入役までなされた) 15808 0 0 15662 htmvoc_15808.wav マイサーシ ⸢マイサー⸣シ [⸢maisaː⸣ʃi] 名 いなこき(稲扱き)。脱穀。シ⸢ラ[ʃi⸢ra](いなむら<稲叢>)より稲束を下ろし、フ⸢ドー⸣シ[ɸu⸢doː⸣ʃi](稲扱き管)で稲扱きをすること。ニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku](\ruby{稲掃}{イナ|バ}き\ruby{筵}{ムシロ})に稲束を下ろし、シ⸢ビシゥカイビリ[ʃi⸢bisi̥kaibiri](片膝を立てて座ること{EOS}「尻支え座り」の義)をして、稲束を片膝を立てた足の指で押さえ、左手で稲藁を2,3本ずつ掴み、右手のフ⸢ドー⸣シ[ɸu⸢doː⸣ʃi](稲扱き管)に稲穂を挟んで穂先へ\ruby{扱}{コ}きおろす。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ダッコッ⸣ケー ⸢ナーン⸣ ブ⸢レー⸣ンダ ⸢ザイレーマイ⸣ヤー フ⸢ドー⸣シシル ⸢マイサー⸣シ ⸢ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢dakkok⸣keː ⸢naːm⸣ bu⸢reː⸣nda ⸢ʣaireːmai⸣jaː ɸu⸢doː⸣ʃiʃiru ⸢maisaː⸣ʃeː ⸢soːt⸣ta] (昔は脱穀機はなかったから、在来種の米は稲扱きで脱穀された) 15809 0 0 15663 htmvoc_15809.wav マイサウフドーシ ⸢マイ⸣ サウ フ⸢ドー⸣シ [⸢mai⸣ sau ɸu⸢doː⸣ʃi] 連 稲を\ruby{扱}{コ}く竹管。「米・さくる(渫)・管串」の転訛したもの。直径約8ミリ、長さ約9センチの竹管2本に藁しべを貫き\ruby{挿}{サ}し、\ruby{蝶番}{チョウ|ツガイ}にして作った一組の稲扱き用の器具。 ⸢マイ⸣ サウ フ⸢ドー⸣シェー ⸢ダッコッキ⸣ヌ ン⸢ズ⸣ター シゥ⸢カウ⸣ プ⸢ソー オーラン⸣シェン [⸢mai⸣ sau ɸu⸢doː⸣ʃeː ⸢dakkokki⸣nu ʔn⸢ʣu⸣taː sï̥⸢kau⸣ pu̥⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (稲を扱く竹管は脱穀機が出回ったので使う人はおられなかった) 15810 0 0 15664 htmvoc_15810.wav マイサウン ⸢マイ⸣ サウン [⸢mai⸣ sauŋ] 連 在来種の稲をこく(扱く)。稲を扱く。稲をしごく。竹管で稲穂から籾を扱き取る。 ⸢ザイレーマイバ⸣ル ⸢アースムー ⸢マイ⸣ サウンティー ア⸢ズ [⸢ʣaireːmaiba⸣ru ⸢ʔaːsumuː ⸢mai⸣ sauntiː ʔa⸢ʣu] (在来種の稲を脱穀することをサウン<竹管で\ruby{扱}{シゴ}く{EOS}さくる>というのだ)。 ⸢ホーライマイ⸣ヤー ⸢マイ ⸢サー⸣ヌ{EOS}⸢アースン⸣ティル ア⸢ズ [⸢hoːraimai⸣jaː ⸢mai ⸢saː⸣nu{EOS}⸢ʔaːsun⸣tiru ʔa⸢ʣu] (蓬莱米は竹管で扱かない{EOS}⸢脱穀する」<実を落とす>というのだ)。 ⸢マイ⸣ サイ ⸢ベー [⸢mai⸣ sai⸢beː] (稲扱きをし<扱い>ている)。 ⸢マイ⸣ サウ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢mai⸣ sau pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (稲を扱く人はいない)。 ⸢パー⸣ク ⸢マイ サイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢mai sai⸣jaː ⸣misamunu] (早く稲を扱けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢マイ⸣ サイバ [⸢maː⸣bim ⸢mai⸣ saiba] (もっと稲を扱けよ) 15811 0 0 15665 htmvoc_15811.wav マイザトゥ ⸢マイザ⸣トゥ [⸢maiʣa⸣tu] 名 (地)前里集落。 ピ⸢サイトゥ マイザ⸣トー ⸣ミチ ⸢ピー⸣チ ピ⸢ダ⸣ティティ ⸣ムネー ⸢カウルン⸣ツォー [pi̥⸢saitu maiʣa⸣toː ⸣miʧi ⸢piː⸣ʧi pi⸢da⸣titi ⸣muneː ⸢kaurun⸣ʦoː] (平得村と前里村は道一つ隔てて言葉が変わるそうだ)。 イ⸢サナキヌ⸣ トゥヌスクヌ ⸢アンタナー⸣ル ⸢マイザ⸣トゥムラー ⸣アル [ʔi⸢sanakinu⸣ tunusu̥kunu ⸢ʔantanaː⸣ru ⸢maiʣa⸣tumuraː ⸣ʔaru] (石垣島の登野城の東側に<ぞ>前里村はある) 15812 0 0 15666 htmvoc_15812.wav マイシゥカイ ⸢マイ⸣シゥカイ [⸢mai⸣sï̥kai] 名 こまづかい(小間使い)。走り使い。「前使い」の義。煙草盆の火を取ったり、急須にお湯を注いだり、隣へのお使いに行くなど、祖父母や両親の身の回りの雑用に使われる子供(多くの場合は少女だった)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢ヤーチェーラ ゾー⸣ブンニ ⸢マイ⸣シゥカイ ナ⸢リ⸣スバン [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢jaːʧeːra ʣoː⸣bunni ⸢mai⸣sï̥kai na⸢ri⸣subaŋ] (女の子は、八歳からは十分に老人の小間使いができるわい) 15813 0 0 15667 htmvoc_15813.wav マイシキ マイ⸢シキ [mai⸢ʃiki] 名 まいつき(毎月)。まいげつ(毎月)。標準語からの転訛。普通は、⸣シキシキ[⸣ʃi̥kiʃi̥ki](月々)という。月ごと。月々。 マイ⸢シキヌ⸣ ティ⸢マ⸣チンラ ウ⸢ヤム⸣トー ⸢ジン⸣バ ウ⸢クリ ブー⸣ツォー [mai⸢ʃikinu⸣ ti⸢ma⸣ʧinra ʔu⸢jamu⸣toː ⸢ʤim⸣ba ʔu⸢kuri buː⸣ʦoː] (毎月の給料<手間賃>から親元へお金を送っているそうだ) 15814 0 0 15668 htmvoc_15814.wav マイシキ ⸢マイ⸣シキ [⸢mai⸣ʃi̥ki] 名 \ruby{米搗}{コメ|ツ}き。\ruby{稲搗}{イネ|ツキ}。搗き臼に玄米を入れて杵で搗いて精げること。老年層は普通は、イ⸢ニ⸣ッサイ[ʔi⸢ni⸣ssai](稲精げ)、⸢マイ⸣ッサイ[⸢mai⸣ssai](米精げ)という。1960年ごろからは祭祀用の米を運搬船で石垣島へ送り、精米所で精米してもらうようになった。精米賃は米で支払っていた。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ユーズピーズ⸣ヌ ⸢マイ⸣シケー ミ⸢ナカ⸣ナー シ⸢キ⸣ウシ フ⸢ターチナー⸣ ビ⸢シティ⸣ プ⸢ス⸣クミ フ⸢ターンナー⸣シル ッサイ⸢ヨーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢juːʣupiːʣu⸣nu ⸢mai⸣ʃi̥keː mi⸢naka⸣naː ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi ɸu̥⸢taːʧinaː⸣ bi⸢ʃiti⸣ pu̥⸢su⸣kumi ɸu̥⸢taːrunaː⸣ʃiru ssai⸢joːt⸣ta] (昔は、祭祀行事用の米搗きは、庭に搗き臼を二台ずつ据えて、一組二人ずつで米搗き<精げ>をされた) 15815 0 0 15669 htmvoc_15815.wav マイシジ ⸢マイシジ [⸢maiʃiʤi] 名 米粒。玄米。 ⸢マイ⸣ ッサウ ⸣ピンマー ⸣ウシェーラ ⸢マイシジヌ ポーリ⸣ウ⸢ティラン⸣ ヨーニ ⸣シケー ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢mai⸣ ssau ⸣pimmaː ⸣ʔuʃeːra ⸢maiʃʤinu poːri⸣ ʔu⸢tiraɲ⸣ joːni ⸣ʃi̥keː f⸢faːʃi⸣ba] (米を搗く<精げる>時は、臼から米粒が飛び散らないように臼の口縁に揺輪を付けなさいよ) 15816 0 0 15670 htmvoc_15816.wav マイジマ ⸢マイジマ [⸢maiʤima] 名 米作のできる島。米の取れる島。 イ⸢ラムテー マイジマ [ʔi⸢ramuteː maiʤima] (西表島は米の取れる島だ)。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢マイジマ⸣ ア⸢ラ⸣ヌンドゥ ⸢パイ⸣ター カ⸢ユイヤー⸣ティル ⸢マイヤー⸣ ス⸢ク⸣ローッタル [pḁ⸢tu⸣maː ⸢maiʤima⸣ ʔa⸢ra⸣nundu ⸢pai⸣taː ka⸢juijaː⸣tiru ⸢maijaː⸣ su̥⸢ku⸣roːttaru] (鳩間島は米作のできる島ではないが、南端<西表島>へ通いながら稲は作られたものだ) 15817 0 0 15671 htmvoc_15817.wav マイジラ ⸢マイジラ [⸢maiʤira] 名 いなむら(稲叢)。刈り取った稲<在来種の稲>を積み重ねたもの。単にシ⸢ラ[ʃi⸢ra](稲叢)ともいう。 ミ⸢ナ⸣カナー ⸢マイジラヌ⸣ シ⸢マリ ベー⸣ン [mi⸢na⸣kanaː ⸢maiʤiranu⸣ ʃi⸢mari beː⸣ŋ] (庭に稲叢が積まれている) 15818 0 1 15672 htmvoc_15818.wav マイジラ ⸢マイ⸣ジラ [⸢mai⸣ʤira] 名 {Mn_1}前面。正面。「まえづら(前面)」の転訛。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ヤー⸣ヌ ⸢マイ⸣ジラー イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [⸢ʔun⸣nenu ⸢jaː⸣nu ⸢mai⸣ʤiraː ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (あの家の正面<前面>は非常に美しい)。 15818 0 2 15673 htmvoc_15818.wav マイジラ ⸢マイ⸣ジラ [⸢mai⸣ʤira] 名 {Mn_2}⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟{EOS}サバニ)の\ruby{舳先}{ヘ|サキ}の鋭三角形の前面。「前面」の転訛したもの。みよし(舳)。 ⸢パーレー⸣フネー ⸢マイ⸣ジラナー ナ⸢ミキシ⸣ムヌン パ⸢リ⸣ シ⸢ダーシソーッ⸣タ [⸢paːreː⸣ɸuneː ⸢mai⸣ʤiranaː na⸢mikiʃi⸣munum pa⸢ri⸣ ʃi⸢daːʃisoːt⸣ta] (爬竜船は正面に波きりを貼り付け、装飾を施して飾り立てられた)。イダフニの項参照 15819 0 0 15674 htmvoc_15819.wav マイシラシ ⸢マイシラ⸣シ [⸢maiʃira⸣ʃi] 名 前兆。予兆。「前知らせ」の義。⸢マイジラ⸣シ[⸢maiʤira⸣ʃi](前兆{EOS}前知らせ)、単に、シ⸢ラシ[ʃi⸢raʃi]ともいう。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アッパー ⸢マーラソーッ⸣タ ⸣ピンマー ⸢マイシラシ⸣ヌ ⸢アッ⸣タンツォー [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢maːrasoːt⸣ta ⸣pimmaː ⸢maiʃiraʃi⸣nu ⸢ʔat⸣tanʦoː] (その家のお祖母さんが亡くなられた時は、その前兆<前知らせ>があったそうだ) 15820 0 0 15675 htmvoc_15820.wav マイジン ⸢マイ⸣ジン [⸢mai⸣ʤiŋ] 名 前金。代金を前もって払うこと。「前銭」の転訛。 シ⸢ナムヌヌ⸣ タ⸢ラーンダ マイ⸣ジン ⸣パライ ス⸢クバ⸣ル トゥ⸢ラリン⸣ギサバン [ʃi⸢namununu⸣ ta⸢raːnda mai⸣ʤim ⸣parai su̥⸢kuba⸣ru tu⸢rariŋ⸣gisabaŋ] (品物が足りないので前金を払っておいた方が品物は確保でき<取られ>そうだわい) 15821 0 0 15676 htmvoc_15821.wav マイスールン ⸢マイ スー⸣ルン [⸢mai suː⸣ruŋ] 連 稲を扱く。稲扱き管<\ruby{扱}{コ}き\ruby{箸}{ハシ}の一種>で稲穂の実を扱き落とす。 ⸢ザイレー⸣マイ ⸢スー⸣ル ⸣ピンマー カ⸢タ⸣ティーナ フ⸢ドー⸣シ ⸣ムティティ ⸢マイヌ⸣ プー ⸢フッカー⸣シ カ⸢タ⸣パンシェー ⸢マイタバ フンキ マー⸣ カ⸢タ⸣ティーシェー バ⸢ラフタ⸣ヌシン カ⸢サミティル⸣ ピ⸢キスーローッ⸣タ [⸢ʣaireː⸣mai ⸢suː⸣ru ⸣pimmaː kḁ⸢ta⸣tiːna ɸu⸢doː⸣ʃi ⸣mutiti ⸢mainu⸣puː ⸢ɸukkaː⸣ʃi kḁ⸢ta⸣paŋʃeː ⸢maitabaru ɸuŋki maː⸣ kḁ⸢ta⸣tiːʃeː ba⸢raɸu̥ta⸣nuʃiŋ kḁ⸢samitiru⸣ pi̥⸢kisuːroːt⸣ta] (在来種の稲を扱く時は、片手には竹管を持って稲穂を挟み、片足では稲束を踏み押さえ、もう一方の手では藁の芯を\ruby{掴}{ツカ}んで引きしごいだ<扱いだ>) 15822 0 0 15677 htmvoc_15822.wav マイスクブ ⸢マイスク⸣ブ [⸢maisu̥ku⸣bu] 名 \ruby{籾殻}{モミ|ガラ}。\ruby{籾摺}{モミ|スリ}の際に出る籾殻やその他の\ruby{塵}{チリ}や\ruby{埃}{ホコリ}。ス⸢ク⸣ブ[su̥⸢ku⸣bu]は、「Sucumo.スクモ(すくも)すなわち、Nuca.(糠)米や小麦などの殻」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢マイスクブ⸣バ ⸣カビティ ⸢パスコー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maisu̥kubu⸣ba ⸣kabiti ⸢pasu̥koː⸣nu na⸢ra⸣nu] (籾殻の\ruby{塵埃}{ジン|アイ}を被って、はしかしくて<皮膚がちくちくしてむずがゆくて<痛痒くて>堪らない)。⸢パシゥコー⸣ン[⸢pasi̥koː⸣ŋ]は、⸢Faxicai.ハシカイ<はしかい>素肌に着た粗い着物などのように、ざらざらしてがさつくこと『邦訳日葡辞書』」からの転訛か 15823 0 0 15678 htmvoc_15823.wav マイスコール ⸢マイスコー⸣ル [⸢maisu̥koː⸣ru] 名 前準備。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸢マイスコー⸣ル ⸢スンティル パンタ⸣サ ⸢シー ベー [⸢joi⸣nu ⸢maisu̥koː⸣ru ⸢sunti panta⸣sa ⸢ʃiːbeː] (お祝いの前準備をしようとして忙殺され<繁多さし>ている)。 ⸢プー⸣ル ⸣ソーランヌ ⸢マイスコー⸣ロー ⸢トゥッカ マイ⸣ラー イ⸢ニ⸣ピキ ⸢マイ⸣ッサイ ⸢スンティ⸣ ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ イッ⸢ケナ パンタ⸣サタン [⸢puː⸣ru ⸣soːrannu ⸢maisu̥koː⸣roː ⸢tukka mai⸣raː ʔi⸢ni⸣piki ⸢mai⸣ssai ⸢sunti⸣ mi⸢dumuŋkeː⸣ja ʔik⸢kena panta⸣sataŋ] (豊年祭やお盆の前準備は十日前から籾摺り、米搗き<米精げ>をしようとして、女たちは非常に忙しかった) 15824 0 0 15679 htmvoc_15824.wav マイズニ ⸢マイ⸣ズニ [⸢mai⸣ʣuni] 名 固有名詞。前曽根。鳩間島の南約1000メートルの海中に発達した珊瑚礁。⸢アーラマイズニ[⸢ʔaːramaiʣuni](東前曽根)とナ⸢カヌ⸣スニ[na⸢kanu⸣suni](中の曽根)、⸢イーリマイズニ[⸢ʔiːrimaiʣuni](西前曽根)の三つの曽根からなる。⸣スニ[⸣suni](曽根)とは、干潮時に海上に姿を現さない珊瑚礁の浅瀬のことである 15825 0 0 15680 htmvoc_15825.wav マイスバ ⸢マイ⸣スバ [⸢mai⸣suba] 名 まえすそ(前裾)。着物のまえみごろ(前身頃)の裾。 ⸢ワー キン⸣マー ⸢マイスバ⸣ヌ ピ⸢キアンガリティ フージェー ナー⸣ヌ [⸢waː kim⸣maː ⸢maisuba⸣nu pi̥⸢kiʔaŋgariti ɸuːʤeː naː⸣nu] (君の着物は前裾が吊りあがっていて不恰好だ<風情がない>よ) 15826 0 0 15681 htmvoc_15826.wav マイター ⸣マイター [⸣maitaː] 名 前方。前の方。⸢空間的な前方」を表し、「時間的な前方」の意味はない。「まえかた(前方)」の転訛したもの。老年層は⸣マインター[⸣maintaː](前方)、⸣マンター[⸣mantaː](前方)ともいう。 ⸢マー⸣ビン ⸣マイターナー ⸣タティ ⸢ベー⸣リ [⸢maː⸣bim ⸣maitanaː ⸣tati ⸢beː⸣ri] (もっと前方に立っていなさいよ)。 マー⸢ラ⸣ マインター ⸣パリ [maː⸢ra⸣ maintaː ⸣pari] (ずっと前方へ行け) 15827 0 0 15682 htmvoc_15827.wav マイダーラ ⸢マイダーラ [⸢maidaːra] 名 米俵。南京袋に籾を入れた袋。⸢ユントゥダーラ[⸢juntudaːra](四斗俵)、ル⸢クトゥダー⸣ラ[ru⸢kutudaː⸣ra](六斗俵)がある。 ⸢マイヤー パイタ⸣ナーティ ⸢アーシティ⸣ ル⸢クトゥダー⸣ラナー ⸣シミティ ⸣イダフネーラ パ⸢トゥ⸣マー カ⸢ヨーシタ [⸢maijaː paita⸣naːti ⸢ʔaːʃiti⸣ ru⸢kutudaː⸣ranaː ⸣ʃimiti ⸣ʔidaɸuneːra pḁ⸢tu⸣maː ka⸢joːʃi̥ta] (稲は南端<西表島>で脱穀して六斗俵に詰めて、板船<サバニ>で鳩間島へ運んだ<通わした>) 15828 0 0 15683 htmvoc_15828.wav マイダニ ⸢マイダニ [⸢maidani] 名 たねもみ(種籾)。「米種」の義。⸣サニムミ[⸣sanimumi](種籾)、⸣サニマイ[⸣sanimai](種米)、タ⸢ニ⸣ムミ[ta⸢ni⸣mumi](種籾)ともいう。 ⸢マイダネー⸣ タ⸢ブイ⸣ シ⸢キバ⸣ル タ⸢ニ⸣ドゥロー<タ⸢チ⸣ドゥロー> ⸣ナル [⸢maidaneː⸣ ta⸢bui⸣ ʃi̥⸢kiba⸣ru ta⸢ni⸣duroː ⸣naru] (種籾は貯えておかないと種取り祭りはできない<貯えておけばこそ種取り祭りはできる>) 15829 0 0 15684 htmvoc_15829.wav マイタブル ⸢マイタブル [⸢maitaburu] 名 稲束。 ⸢マイタブル⸣ フ⸢ナ⸣ジン ⸢シー⸣シケー [⸢maitaburu⸣ ɸu⸢na⸣ʤiŋ ⸢ʃiː⸣ʃi̥keː] (稲束を船積みするように積み上げて<脱穀の準備をして>ある) 15830 0 0 15685 htmvoc_15830.wav マイタブレー ⸢マイタブ⸣レー [⸢maitabu⸣reː] 名 固有名詞。吉川家の屋号。老年層は、⸢マイトゥブ⸣レー[⸢maitubu⸣reː](吉川亨氏家の屋号)というのが普通である。「前友利」の転訛か 15831 0 0 15686 htmvoc_15831.wav マイダリ ⸢マイ⸣ダリ [⸢mai⸣dari] 名 前掛け。前垂れ。 ⸢シーゾー⸣ヤーナーテー ムー⸢ル マイ⸣ダレー ⸢シェー⸣ティル カ⸢ツォー⸣ バ⸢ザイヨーッ⸣タ [⸢ʃiːʣoː⸣jaːnaːteː muː⸢ru mai⸣dareː ⸢ʃeː⸣tiru ka⸢ʦoː⸣ ba⸢ʣaijoːt⸣ta] (製造小屋では、皆前垂れをして<カツオの中骨を取ったり、四つ割りにしたりして>\ruby{捌}{サバ}いておられた) 15832 0 1 15687 htmvoc_15832.wav マイダン マイ⸢ダン [mai⸢daŋ] 副 {Mn_1}非常に。まことに。ほんとうに。「毎度(いつも)」の転訛したもの。 マイ⸢ダン⸣ フ⸢コーラサ⸠ユー [mai⸢daŋ⸣ ɸu̥⸢koːrasa⸠juː] (まことに有難うございます)。 15832 0 2 15688 htmvoc_15832.wav マイダン マイ⸢ダン [mai⸢daŋ] 副 {Mn_2}正常なさま。いつもの元気な状態。 ⸢キュー⸣ヤ マイ⸢ダン ナー⸣ムティ シ⸢グトゥバ シー アーキ⸣ル ⸣ニチ ン⸢ザ⸣シェー⸢ツォー [⸢kjuː⸣ja mai⸢dan naː⸣muti ʃi⸢gutuba ʃiː ʔaːki⸣ru ⸣niʧi ʔn⸢ʣa⸣ʃeː⸢ʦoː] (今日はいつもの正常な状態でないのに仕事をしていて熱を出したのだよ) 15833 0 0 15689 htmvoc_15833.wav マイツ ⸢マイ⸣ツ [⸢mai⸣ʦu] 名 (固)人名。 カ⸢ザケヌ⸣ アッパー ⸢ナーヤ マイ⸣ツティル ア⸢ゾーッ⸣タミー [ka⸢ʣakenu⸣ ʔappaː ⸢naːja mai⸣ʦutiru ʔa⸢ʣoːt⸣tamiː] (加治工家のお祖母さんの名前はマイツと言われたんでしょう?) 15836 0 0 15690 htmvoc_15836.wav マイツォンマー ⸢マイ⸣ツォンマー [⸢mai⸣ʦommaː] 固 人名。マイツ姉さん。マイツお母さん。 ⸢マイ⸣ツォンマー ⸢ヤー⸣ナ ⸢オールン [⸢mai⸣ʦommaː ⸢jaː⸣na ⸢ʔoːruŋ] (マイツ姉さんは家におられますか) 15834 0 0 15691 htmvoc_15834.wav マイッサーリ マ⸢イッサー⸣リ [⸢maissaː⸣ri] 名 前ふさがり。前に立ちはだかること。 ⸢マイッサー⸣リ ⸢シー ベー⸣ ムノー ⸢パー⸣ク マ⸢ダキ⸣リ [⸢maissaː⸣ri ⸢ʃiː beː⸣ munoː ⸢paː⸣ku ma⸢daki⸣ri] (前ふさがりしているものを早くどけ<退け>なさい) 15835 0 0 15692 htmvoc_15835.wav マイッサイ ⸢マイ⸣ッサイ [⸢mai⸣ssai] 名 米搗き。いねつき(稲舂)。「米・精げ(精、シラグ)『類聚名義抄』」の転訛したもの。シ⸢キ⸣ウシ[ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi](搗き臼)に玄米を入れ、イ⸢ナシ⸣キ[ʔi⸢naʃi̥⸣ki](杵{EOS}「稲搗」の義)で搗き精げること。普通は女性一人で搗くが、祭祀、祝儀用の米搗きの場合は搗き臼を2台据え、四名で搗くこともあった。庭のガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](榕樹)の下にニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku](\ruby{稲掃筵}{イナ|バキ|ムシロ})を敷き、その上に搗き臼を2台据付け、1,5升~2升の玄米を臼に入れ、ウ⸢シ⸣ヌ ⸣シケー[ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣ʃi̥keː](臼の揺輪)を臼の口縁部に\ruby{嵌}{ハ}め、⸢アイダ⸣チ[⸢ʔaida⸣ʧi](大槌の杵)で、二人一組にして米搗き<精米>をした。 ⸢ショーワ ヨンジューネン マーラバー⸣ケー パ⸢トゥ⸣マ ⸣プソー ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァイユー⸣ヤ ⸣ドゥーシル ⸢マイ⸣ッサイ ⸢シー ヨーッタ⸣ル [⸢ʃoːwa jonʤuːnem maːrabaː⸣keː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢duː⸣nu f⸢faijuː⸣ja ⸣duːʃiru ⸢mai⸣ssai ⸢ʃiː joːtta⸣ru] (昭和四十年辺りまでは、鳩間の人は自分の食べる分は自分で米搗きをしておられたものだよ) 15837 0 0 15693 htmvoc_15837.wav マイツバーオン ⸢マイ⸣ツバーオン [⸢mai⸣ʦubaːʔoŋ] 固 石垣市字新川にある御嶽の名。「真乙姥嶽」と記す。{⸢マイ⸣ツバー[⸢mai⸣ʦubaː](⸢ナー⸣タフージ{SqBr}⸢naː⸣taɸuːʤi{/SqBr}<長田大主>の妹)を祀った⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](お願{EOS}御嶽)}。旧石垣市の豊年祭が行われるところ。 ⸢マイ⸣ツバーオンナール イ⸢サナキヌ プー⸣ロー ⸢ソー⸣ル⸢ダー [⸢mai⸣ʦubaːʔonnaːru ʔi⸢sanakinu puː⸣roː ⸢soː⸣ru⸢daː] (マイツバー御嶽で<ぞ>旧石垣市の豊年祭はなさるのだよ) 15838 0 0 15694 htmvoc_15838.wav マイディマ ⸢マイ⸣ディマ [⸢mai⸣dima] 名 前払い。仕事をする前に貰う手間賃。「まえでま(前手間)」の義。 ⸢マイ⸣ディマ パ⸢ラーン⸣カー ヤ⸢トーララン⸣ツォー [⸢mai⸣dima pa⸢raːŋ⸣kaː ja⸢toːraran⸣ʦoː] (前払い<前手間賃>でないと雇われないそうだ) 15839 0 0 15695 htmvoc_15839.wav マイトゥシ マイ⸢トゥシ [mai⸢tuʃi] 名 毎年。マイ⸢ニン[mai⸢niŋ](毎年)ともいう。 ヤ⸢ラビンケー⸣ヤ マイ⸢トゥシ プー⸣ル ⸢シンテーナ⸣ ウヤ ⸣ミリン パ⸢トゥ⸣マー クン⸢ダー [ja⸢rabiŋkeː⸣ja mai⸢tuʃi puː⸣ru ⸢ʃinteːna⸣ ʔuja ⸣mirim pḁ⸢tu⸣maː kun⸢daː] (子供達は毎年豊年祭をしがてら親を見に鳩間島へ来るよ) 15840 0 0 15696 htmvoc_15840.wav マイトゥジェー ⸣マイトゥジェー [⸣maituʤeː] 固 屋号。通事力氏宅。竹富町議会議長を務めた通事隆一氏(船浦在住)は通事家の長男である。「前通事家」の義。 ⸣マイトゥジェーヤ ⸣サンシキヌ ス⸢バ⸣ヌ ⸢アンタナー⸣ル ⸣アル [⸣maituʤeːja ⸣saŋʃikinu su⸢ba⸣nu ⸢ʔantanaː⸣ru ⸣ʔaru] (通事家は桟敷の側の東側に<ぞ>ある) 15842 0 0 15697 htmvoc_15842.wav マイトゥバスン ⸢マイ⸣ トゥ⸢バスン [⸢mai⸣ tu⸢basuŋ] 連 \ruby{箕}{ミ}でひる(\ruby{簸}{ヒ}る)。籾を飛ばす。籾摺りしたものを\ruby{箕}{ミ}に入れて\ruby{煽}{アオ}ったり、風に吹かせたりして\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}を飛ばして除去すること。蓬莱米などの脱穀した籾を風に煽らせて枯れ葉や\ruby{塵芥}{ジン|カイ}を除去した。 ム⸢メー⸣ ピ⸢キティ⸣ アトーラ ⸢マイ⸣ トゥ⸢バシティ⸣ ユ⸢ラシティル⸣ ア⸢ラム⸣トゥ プ⸢サウタ⸠ダー [⸢mu⸢meː⸣ pi̥⸢kiti⸣ ʔatoː ⸢mai⸣ tu⸢baʃi̥ti⸣ ju⸢raʃi̥tiru⸣ ʔa⸢ramu⸣tu pu̥⸢sauta⸠daː] (籾は\ruby{籾摺}{モミ|ス}りして後に\ruby{箕}{ミ}で\ruby{煽}{アオ}ったり<箕で\ruby{簸}{ヒ}たり>、風に吹かせたりして籾殻を除去し、\ruby{篩}{フルイ}にかけて籾殻付きのあらぬか<粗糠>を除いた<拾った>ものだ) 15841 0 0 15698 htmvoc_15841.wav マイトゥブレー ⸢マイトゥブ⸣レー [⸢maitubu⸣reː] 固 屋号。吉川家(吉川享氏の家)。「前友利家」の転訛したものか。 ユ⸢ナ⸣デーヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァル ⸢マイトブ⸣レーヌ ユ⸢ミ⸣ ナ⸢ロー⸣レーミー [ju⸢na⸣deːnu mi⸢doːn⸣ffaru ⸢maitubu⸣reːnu ju⸢mi⸣ na⸢roː⸣reːmiː] (与那田家の女の子が吉川家の嫁になられたんですね) 15852 0 1 15699 htmvoc_15852.wav マイナスン ⸣マイ ⸣ナスン [⸣mai ⸣nasuŋ] 連 {Mn_1}目前にする。 ⸢プー⸣ロー ⸣マイ ⸣ナシティ ⸢プールゾーラキ⸣ヌ ス⸢コール スンティ パンタ⸣サ ⸢シー ベー [⸢puː⸣roː ⸣mai ⸣naʃi̥ti ⸢puːruʣoːraki⸣nu su̥⸢koːru sunti panta⸣sa ⸢ʃiː beː] (豊年祭を目前にして、豊年祭のゾーラキ踊の準備をしようと忙しく<繁多さ>している)。 15852 0 2 15700 htmvoc_15852.wav マイナスン ⸣マイ ⸣ナスン [⸣mai ⸣nasuŋ] 連 {Mn_2}先にする。 ウ⸢レー⸣ラン ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥバ⸣ マイ ⸣ナスンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヌー⸣シカヤー [ʔu⸢reː⸣raŋ ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutuba⸣ mai ⸣nasunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢nuː⸣ʃikajaː] (それよりもこの仕事を先にしようと思うが、如何でしょうか<どうだろうか>)。 15852 0 3 15701 htmvoc_15852.wav マイナスン ⸣マイ ⸣ナスン [⸣mai ⸣nasuŋ] 連 {Mn_3}前に置く。揃えて。常用する。 ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァマー⸣バ ⸣マイ ⸣ナシティ ノー⸢ンヌ ソーン ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu f⸢famaː⸣ba ⸣mai ⸣naʃi̥ti noː⸢nnu soːn naː⸣nu] (そんな沢山の子や孫を前に揃えて何の心配もない)。 ⸢ピーズ⸣ グシェー ⸣マイ ナ⸢シ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢piːʣu⸣ guʃeː ⸣mai na⸢ʃi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (毎日お酒を前にして<常用して>おられる) 15843 0 1 15702 htmvoc_15843.wav マイナルン ⸣マイ ⸣ナルン [⸣mai ⸣naruŋ] 連 {Mn_1}前になる。先頭になる。 ⸢ワー⸣ マイナリ ア⸢ラ⸣キバ [⸢waː⸣ mainari ʔa⸢ra⸣kiba] (君は先頭にたって歩けよ)。 ヤー⸢ディン⸣ ウ⸢リヌ⸣ マイ ナ⸢リ⸣ プサンドゥ ⸣マイ ナ⸢ララ⸣ヌ [jaː⸢dim⸣ ʔu⸢rinu⸣ mai na⸢ri⸣ pu̥sandu ⸣mai na⸢rara⸣nu] (必ず<何としても>それの前になりたいが、前になれない)。 ⸣マイ ⸣ナルンティ ⸣ウムーカー ⸣マイ ⸣ナレー ⸣ミサムヌ [⸣mai ⸣narunti ⸣ʔumuːkaː ⸣mai ⸣nareː ⸣misamunu] (前になろうと思うならば前になればいいのに)。 ⸣マイ ⸣ナル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣mai ⸣naru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (前になる人はいない)。 ヤー⸢ディン⸣ バー ⸣マイ ⸣ナリ [jaː⸢dim⸣ baː ⸣mai ⸣nari] (必ず私の前になれ)。 15843 0 2 15703 htmvoc_15843.wav マイナルン ⸣マイ ⸣ナルン [⸣mai ⸣naruŋ] 連 {Mn_2}他人より先んじる。競争に勝つ。 プ⸢スヌ⸣ マイナルンティ ⸣ウムーカ ⸣ヌチカギリ ⸢ビンキョー サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ mai ⸣narunti ⸣ʔumuːka ⸣nuʧikagiri ⸢biŋkjoː saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (競争に打ち勝とうと思うなら一生懸命勉強しなければならない) 15844 0 0 15704 htmvoc_15844.wav マイナン ⸢マイ⸣ナン [⸢mai⸣naŋ] 名 前通り。屋敷の前通りの家並み。前の道沿い。前側。「前並」の転訛したもの。 ⸢バン⸣テヌ ⸢マイ⸣ナンナー ウ⸢ブガジマル⸣ヌ イ⸢ビラリ ブン⸣ダー [⸢ban⸣tenu ⸢mai⸣nannaː ʔu⸢bugaʤimaru⸣nu ʔi⸢birari bun⸣daː] (私の家の前通りには大きなガジマルが植えられているよ) 15854 0 0 15705 htmvoc_15854.wav マイニー ⸢マイ⸣ニー [⸢mai⸣niː] 名 船の前方の積み荷が重く不安定なこと。「前荷」の義。⸢マイ⸣ニー[mainiː](前荷)は船が沈没する原因という。トゥ⸢ム⸣ニー[tu⸢mu⸣niː](艫の荷が重く不安定なこと{EOS}操船不能になる原因となるという)の対義語。 ⸣フネー ⸢マイ⸣ニー シ⸢キ ブンダ ニー⸣ヤ ⸣トゥモー バ⸢キ⸣リ [⸣ɸuneː ⸢mai⸣niː ʃi̥⸢kibunda niː⸣ja ⸣tumoː ba⸢ki⸣ri] (船は前方に積み荷が偏って重いから、艫の方へ分けなさい) 15855 0 0 15706 htmvoc_15855.wav マイニン マイ⸢ニン [mai⸢niŋ] 名 毎年。標準語の「毎年」から転訛したもの。老年層は、マイ⸢トゥシ[mai⸢tuʃi](毎年)とも、トゥシ⸢カージ[tu̥ʃi⸢kaːʤi](年ごとに)ともいう。 ⸢タイフー⸣ヤ マ⸢イニン ミーチ ユーチェー⸣ フ⸢キ⸣ス [⸢taiɸuː⸣ja mai⸢nim miːʧi juːʧeː⸣ ɸu̥⸢ki⸣su] (台風は毎年三個、四個は吹く) 15845 0 0 15707 htmvoc_15845.wav マイヌイー ⸢マイヌ⸣イー [⸢mainu⸣ʔiː] 名 米飯。「米の飯」の義。⸢ウンヌ⸣イー[⸢ʔunnu⸣ʔiː](芋のご飯)の対義語。 ⸢ピーズンマー ウンヌ⸣イー ⸢マイヌイー⸣ヤ マ⸢ルケーティナー⸣ル ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [⸢piːʣummaː ʔunnu⸣ʔiː ⸢mainuʔiː⸣ja ma⸢rukeːtinaː⸣ru f⸢faːsoːt⸣ta] (毎日は芋のご飯、偶に米のご飯を食べさせられた) 15846 0 0 15708 htmvoc_15846.wav マイヌシジ ⸢マイヌ⸣シジ [⸢mainu⸣ʃiʤi] 名 米粒。 ⸢マイヌ⸣シジ プ⸢ス⸣シジンツァン ウ⸢タ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢mainu⸣ʃiʤi pu̥⸢su⸣ʃiʤinʦaŋ ʔu⸢ta⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (米粒を一粒たりとも落としてはならない) 15847 0 0 15709 htmvoc_15847.wav マイヌトゥシ ⸢マイ⸣ヌ ⸣トゥシ [⸢mai⸣nu ⸣tu̥ʃi] 連 前年。「前の年」の義。過去の基準となる一定の時の前の一年。⸢パッ⸣タトゥシ[⸢pat⸣ta ⸣tu̥ʃi](去った年{EOS}行った年)ともいう。 ⸢ウンヌ マイ⸣ヌ ⸣トゥシナール ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢レー⸣バン [⸢ʔunnu mai⸣nu ⸣tu̥ʃinaːru ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ma⸢reː⸣baŋ] (その時の前年にこの子は生まれたのだよ) 15848 0 0 15710 htmvoc_15848.wav マイヌナイ ⸢マイヌ⸣ ナイ [⸢mainu⸣ nai] 連 稲の苗。日当たりの良い水田には、パ⸢ヤ⸣ナイ[pa⸢ja⸣nai](早苗{EOS}早稲の苗)が、山田には⸣アトゥナイ[⸣ʔatunai](おくて<晩稲の苗>)が作付けされていた。 ⸢ナーッス⸣ヌ ⸢マイヌ ナイ⸣ヤー イッ⸢ケナ ムイ⸣ヤン [⸢naːssu⸣nu ⸢mainu nai⸣jaː ʔik⸢kena mui⸣jaŋ] (苗代の稲の苗は非常に良く成長した<生えた>) 15849 0 0 15711 htmvoc_15849.wav マイヌプー ⸢マイヌ⸣プー [⸢mainu⸣puː] 名 稲穂。⸢米の穂」の義。 ⸢マイヌプー⸣ヤ ン⸢ジ⸣キシェーン [⸢mainupuː⸣ja ʔn⸢ʤi⸣ki̥ʃeːŋ] (稲穂は出揃った) 15856 0 0 15712 htmvoc_15856.wav マイヌプー ⸢マイヌ⸣ プー [⸢mainu⸣ puː] 連 稲穂。「米の穂」の転化したもの。 ⸢マイヌプー⸣ヌ ⸢ソー⸣ジ [⸢mainupuː⸣nu ⸢soː⸣ʤi] (稲穂の精進{EOS}稲穂が順調に稔るように祈る祭祀<精進潔斎して祈ること>)。 ⸢マイヌプー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [⸢mainupuː⸣nu ⸢niŋ⸣gai] (稲穂の祈願{EOS}村の祭祀)。⸢プーヌソー⸣ジ[⸢puːnu soː⸣ʤi](稲穂の精進<祈願>)ともいう。稲の穂に害虫がつかぬよう、旧暦3月に祭祀が執り行われた。 ⸢マイヌプー⸣ヤ ン⸢ジスー⸣リティ ⸣イルン シ⸢キ⸣ブバ ス⸢ク⸣マ ウ⸢チナ⸣スカー カ⸢ラリン⸣ヨー [⸢mainu puː⸣ja ʔn⸢ʤisuː⸣riti ⸣ʔiruŋ ʃi̥⸢ki⸣buba su̥⸢ku⸣ma ʔu⸢ʧina⸣su̥kaː ka⸢rariŋ⸣joː] (稲穂は出揃って色もついているから、スクマを済ませたら収穫できる<刈り取られる>よ) 15857 0 0 15713 htmvoc_15857.wav マイヌミース マ⸢イヌミー⸣ス [⸢mainumiː⸣su] 名 米味噌。米だけで作った味噌。「米の味噌」の義。塩分は控えめで、泡盛の味が染み込んでいて、何ともいえない風味があった。三時の⸢サーサー⸣フキ[⸢saːsaː⸣ɸu̥ki](茶請け)として食された。また、黒糖やザ⸢ラ⸣ミ[ʣa⸢ra⸣mi](粗目糖)を混ぜると美味であった。祖父母の側に\ruby{纏}{マツ}わりついて、着物の裾を引っ張って⸢マイヌミー⸣スをおねだりする孫の小さな\ruby{掌}{テノヒラ}に一\ruby{摘}{ツマ}み載せていただいて、美味しそうに食べる光景がよく見られた。 ⸢サンジ⸣ヌ ⸢サー⸣フケー ⸢マイヌミー⸣スナ ⸣サタ カ⸢ケー⸣シティ ン⸢ザ⸣シバ [⸢sanʤi⸣nu ⸢saː⸣ɸu̥keː ⸢mainumiː⸣suna ⸣sata kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (三時の茶請けは米味噌に砂糖を掻き混ぜて出しなさい) 15850 0 0 15714 htmvoc_15850.wav マイネー ⸢マイ⸣ネー [⸢mai⸣neː] 名 自分の家より前<南>の方にある親戚の家。前隣。「前の家」が*[maɸeno・jaː] → [maweno・jaː] → [majeno・jaː] → [mainu・jaː] → [mainu・iaː] → [maineː] のように音韻変化したもの。⸢シー⸣ネー[⸢ʃiː⸣neː](後ろの家{EOS}後ろ隣)の対義語。 ⸢マイ⸣ネーラ ヌ⸢キ⸣ル カ⸢リ⸣ キー タ⸢ム⸣ヌ ⸣バキ [⸢mai⸣neːra nu⸢ki⸣ru ka⸢ri⸣ kiː ta⸢mu⸣nu ⸣baki] (前隣から鋸を借りてきて木を薪用の長さに切れ) 15851 0 0 15715 htmvoc_15851.wav マイバー ⸣マイバー [⸣maibaː] 名 前歯。門歯。切歯。 ⸢ギーバー [⸢giːbaː] (犬歯{EOS}糸切り歯) ⸣ウシパー [⸣ʔuʃi̥paː] (臼歯{EOS}奥歯) ウ⸢クバー [ʔu⸢kubaː] (奥歯{EOS}臼歯))。フ⸢トゥッチ⸣パー[ɸu̥⸢tutʧi⸣paː](虫歯)等が歯の部分的語彙体系を構成している。 ⸢カイ⸣リティ ⸣マイバー ⸣ブリ ⸣シケー [⸢kai⸣riti ⸣maibaː ⸣buri ⸣ʃi̥keː] (転んで前歯を折ってある) 15794 0 0 15716 htmvoc_15794.wav マイバライ ⸢マイ⸣バライ [⸢mai⸣barai] 名 前払い。前もって代金を支払うこと。 ⸢ウンチンマー マイ⸣バライ ⸢ヤッタル [⸢ʔunʧimmaː mai⸣barai ⸢jattaru] (運賃は前払いであったよ)。 ⸢マイ⸣バライ ⸢スー⸣カー ⸢ワー⸣ ムノー ⸣トゥリ ⸣シキティル ⸢カース⸣ パジ [⸢mai⸣barai ⸢suː⸣kaː ⸢waː⸣ munoː ⸣turi ⸣ʃi̥kitiru ⸢kaːsu⸣ paʤi] (前払いをすれば君の分は取っておいて、残りを売るはずだ) 15859 0 0 15717 htmvoc_15859.wav マイパン ⸣マイパン [⸣maipaŋ] 名 獣や虫類の前足。前脚。「Mayeaxi.マエアシ(前足) 動物の前足.Atoaxi.(後足)」『邦訳日葡辞書』の義。⸣パン[⸣paŋ](足{EOS}脛)は「~夜都賀波岐(やつかはぎ=八束脛ノ意といふ)」『常陸風土記』の転訛したもの。⸣アトゥパン[⸣ʔatupaŋ](後足{EOS}後脚)の対義語。 ウ⸢ヌ イン⸣マー ⸣マイパン ⸣ブリティ ア⸢ラキマー⸣キ ⸢シー ベー [ʔu⸢nu ʔim⸣maː ⸣maipam ⸣buriti ʔa⸢rakimaː⸣ki ⸢ʃiːbeː] (その犬は前脚を折って歩きかねている) 15860 0 0 15718 htmvoc_15860.wav マイピキウシ ⸢マイピキウシ [⸢maipi̥kiʔuʃi] 名 もみすりうす(籾摺り臼)。「米碾き臼」の義。ピ⸢キ[pi̥⸢ki]は、「Fiqi,u,ijta.ヒキ、ク、イタ(引・曳・挽・弾・碾き、く、いた)引っ張る.Cha,comugui nadouo fiqu.(茶、小麦などを碾く)茶(Cha)や小麦などを臼で碾く.」『邦訳日葡辞書』の転訛。単に、ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](碾き臼)ともいう。 ⸢マイピキウシ⸣シ ⸢マイ⸣ ピ⸢キティル マイヤー⸣ ッサイ ⸢ヨーッ⸣タ [⸢maipi̥kiʔuʃi⸣ʃi ⸢mai⸣ pi̥⸢kitiru maijaː⸣ ssai ⸢joːt⸣ta] (籾摺り臼で籾を碾いて<ぞ>米は精げ<精米>なされた) 15861 0 0 15719 htmvoc_15861.wav マイピサ ⸢マイ⸣ピサ [⸢mai⸣pi̥sa] 名 屋根の前面の斜面。前流れ。「前平」の転訛したもの。⸢シー⸣ピサ[⸢ʃiː⸣pi̥sa](屋根の後ろの斜面{EOS}後ろ流れ)の対義語。⸢アーラピサ[⸢ʔaːrapisa](屋根の東側の斜面)は⸢イーリピサ[⸢ʔiːripisa](屋根の西側の斜面)の対義語。 ⸢マイピサ⸣ヌ ⸢カー⸣ラー ⸢タイ⸣フーナ トゥ⸢バサリ ナー⸣ヌ [⸢maipisa⸣nu ⸢kaː⸣raː ⸢tai⸣ɸuːna tu⸢basari naː⸣nu] (屋根の前流れ<前平>の瓦は台風に飛ばされてしまった)。 ⸢タイ⸣フーナー ⸢アー⸣ネーヌ フ⸢クンヌ トー⸣リ ⸣キー ウ⸢ブヤー⸣ヌ ⸢アーラピサー クー⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢tai⸣ɸuːna ⸢ʔaː⸣neːnu ɸu̥⸢kunnu toː⸣ri ⸣kiː ʔu⸢bujaː⸣nu ⸢ʔaːrapi̥saː kuː⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (台風で東隣の家の福木が倒れてきて、母屋の屋根の東斜面<東流れ>を壊してしまった) 15862 0 0 15720 htmvoc_15862.wav マイピュール ⸢マイピュー⸣ル [⸢maipjuː⸣ru] 名 祭祀や行事を執り行う日和で\ruby{干支}{エ|ト}の前期に当たる日。「前日和」の義。前期の干支で不都合が生じる際には、⸣アトゥピュール[⸣ʔatupjuːru](後期の干支に当たる日和)で実施された。「Fiyori.ヒヨリ(日和) Tenqi(天気)に同じ.天気のめぐりあわせ.Fiyorigayoi,varui(日和が好い、または、悪い)航海などをするのに好い天気である、または、悪い天気である」『邦訳日葡辞書』。 ク⸢トゥシヌ プー⸣ロー ⸢ユーリシキヌ⸣ アルンダ ⸢マイピュー⸣ルナー ⸢ソー⸣ルツォー [ku̥⸢tuʃinu puː⸣roː ⸢juːriʃi̥kinu⸣ ʔarunda ⸢maipjuː⸣runaː ⸢soː⸣ruʦoː] (今年の豊年祭は、\ruby{閏月}{ウルウ|ヅキ}があるので、前日和でなさるそうだ) 15863 0 1 15721 htmvoc_15863.wav マイフナー ⸢マイフナー [⸢maiɸunaː] 名 {Mn_1}利口者。しっかり者。お利口さん。 ⸢ボー⸣レード⸢ー マイフナー⸣ド⸢ー [⸢boː⸣reːdo⸢ː maiɸunaː⸣do⸢ː] (良い子だよ{EOS!}利口者だよ)。 ⸢アーラシマイ⸣フナー ミ⸢ドーン⸣ッふァ [⸢ʔaːraʃimai⸣ɸunaː mi⸢doːŋ⸣ffa] (倹約上手で貯蓄上手は女の子)。 ⸢モーキマイ⸣フナー [⸢moːkimai⸣ɸunaː] (儲け上手)。 15863 0 2 15722 htmvoc_15863.wav マイフナー ⸢マイフナー [⸢maiɸunaː] 名 {Mn_2}働き者。成功した者。「まゑけか 男の事 ゑけがとも云 まの字を云時は敬ふ言葉なり」『混効験集 坤人・倫』、「男 会几臈」『中山伝信録』の「真の男」の義が転訛したもの。 ウ⸢ブ⸣プス ⸣ナルカー ヤー⸢ディン マイフナー⸣ マ⸢リリ⸣ヨー ⸣コーネー [ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸣narukaː jaː⸢dim maiɸunaː⸣ ma⸢riri⸣joː ⸣koːneː] (大人になったら、きっと<必ず>立派な人<成功した人>になりなさいよ、坊や) 15864 0 0 15723 htmvoc_15864.wav マイボー ⸢マイ⸣ボー [⸢mai⸣boː] 名 二人で荷を棒に吊るして担う際、棒の先の方を\ruby{担}{カツ}ぐ人。「前棒」の義。 ⸢ワー マイ⸣ボー カ⸢タ⸣ムカー ⸣バー ⸣アトゥボー カ⸢タ⸣ムン [⸢waː mai⸣boː kḁ⸢ta⸣mukaː ⸣baː ⸣ʔatuboː kḁ⸢ta⸣muŋ] (君が先頭<前棒>を担いだら私は後方<後棒>を担ぐよ) 15865 0 0 15724 htmvoc_15865.wav マイボール ⸢マイボー⸣ル [⸢maiboː⸣ru] 名 菓子の名。メリケン粉に卵、砂糖を混ぜて焼いた、直径約6センチの平たい菓子。ポルトガル語のボーロ(bolo)の借用語が転訛したものという『石垣方言辞典』。石垣島で焼かれたマイボールを仕入れて、鳩間島でも販売していた。 ヤ⸢ラ⸣ビシェーンケンマー ウ⸢ヌス⸣ク ン⸢マー⸣タヌ ⸢マイボー⸣ルン ク⸢ヌ⸣グロー ミ⸢ララン⸣ ナリ ⸢ナーン⸣バン⸢ナー [ja⸢ra⸣biʃeːŋkemma ʔu⸢nusu̥⸣ku ʔm⸢maːta⸣nu ⸢maiboː⸣ruŋ ku⸢nu⸣guroː mi⸢raran⸣ nari ⸢naːm⸣ban⸢naː] (子供の頃にはあんなに美味しかったマイボールも此の頃は見られなくなってしまったねえ) 15866 0 0 15725 htmvoc_15866.wav マイマイ ⸣マイマイ [⸣maimai] 名 以前。ずっと以前。前方。「前前」の義。 ウ⸢レー⸣ マイマイラヌ ヤ⸢クスク⸣ ヤ⸢ルンダ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ maimairanu ja⸢kusu̥ku⸣ ja⸢runda saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (それは以前からの約束だから、しないといけない) 15867 0 0 15726 htmvoc_15867.wav マイマイシ マイ⸢マイ⸣シ [mai⸢mai⸣ʃi] 副 大きく。大きめに。 ⸢ヤー⸣ユン ノー⸢ン⸣ マイ⸢マイ⸣シ ス⸢クラバル⸣ シゥ⸢カイミチェー⸣ アル [⸢jaː⸣jun noː⸢m⸣ mai⸢mai⸣ʃi su̥⸢kuraba⸣ru sï̥⸢kaimiʧeː⸣ ʔaru] (家でも何でも大きく造った方が用途は広い<使い道がある>) 15868 0 0 15727 htmvoc_15868.wav マイマイヌ マイ⸢マイヌ [mai⸢mainu] 連体 大きな。 マイ⸢マイヌ カー⸣ラヤーバ ス⸢ク⸣レーンツォー [mai⸢mainu kaː⸣rajaːba su̥⸢ku⸣reːnʦoː] (大きな瓦葺きの家を造ったそうだ) 15869 0 0 15728 htmvoc_15869.wav マイマジミ ⸢マイマジミ [⸢maimaʤimi] 名 刈り取った稲を一時的に積み上げたもの。「稲真積み」の義。⸢マイマジン[⸢maimaʤiŋ]ともいう。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイティ ⸢ゾッふァシェー⸣ ナ⸢ラン⸣バ ⸢マイマジミ⸣ナー トゥ⸢マー⸣ カキ シ⸢キ⸣リ [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuiti ⸢ʣoffaʃeː⸣ na⸢ram⸣ba ⸢maimaʤimi⸣naː tu⸢maː⸣ kḁki ʃi̥⸢ki⸣ri] (雨が降って濡らしてはいけないので、稲を積み上げたもの<稲真積み>には茅で編んだ苫をかけておきなさい) 15870 0 0 15729 htmvoc_15870.wav マイマチブラーリ ⸢マイマチブラー⸣リ [⸢maimaʧiburaː⸣ri] 名 体の前面に\ruby{纏}{マツ}わり付くこと。体の前方から絡みつくこと。「前まつわり(纏わり)」の義。 ブ⸢ネーヤ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸣パルンティ ⸢シー ベー⸣ンドゥ ッ⸢ふァヌ マイマチブラー⸣リ ⸢シー⸣ ナ⸢クンダル ウーキ ユーサン⸣バン [bu⸢neːja⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸣parunti ⸢ʃiː beː⸣ndu f⸢fanu maimaʧiburaː⸣ri ⸢ʃiː⸣ na⸢kundaru ʔuːkijuːsam⸣baŋ] (母親は畑へ行こうとしているが、子供が前に纏わり付いて泣くので、それで動くことが出来ないよ) 15871 0 0 15730 htmvoc_15871.wav マイマラキ ⸢マイマラキ [⸢maimaraki] 名 ⸢まいまろぎ(稲丸ぎ)」の義。稲束を30束集めてひとまるぎ<一丸ぎ>にしたもの。稲束30束を\ruby{纏}{マトメ}た単位。 ⸢マイマラキ⸣ フ⸢タマラキ⸣ カ⸢タ⸣ミ ⸣クーバ [⸢maimaraki⸣ ɸu̥⸢tamaraki⸣ kḁ⸢ta⸣mi ⸣kuːba] (稲丸ぎを二丸ぎ担いできなさいよ) 15872 0 0 15731 htmvoc_15872.wav マイムッティ ⸣マイムッティ [⸣maimutti] 副 前もって。あらかじめ。かねて。事前に。老年層は、⸢マイカニ⸣ティ[⸢maikani⸣ti](事前に{EOS}前もって{EOS}かねて)という。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸣マイムッティ ウ⸢ヤンナー⸣ネー ⸢ワー⸣ラン ⸣アジ ッ⸢サリ⸣ シキバ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸣maimutti ʔu⸢jannaː⸣neː ⸢waː⸣raŋ ⸣ʔaʤi s⸢sari⸣ ʃi̥kiba] (そのことは前もって親には君からも申し上げて置きなさいよ) 15873 0 0 15732 htmvoc_15873.wav マイムティ ⸣マイムティ [⸣maimuti] 副 前もって。あらかじめ。事前に。かねて(予て)。⸣マイムッティ[⸣maimutti](前もって)ともいう。 ⸣マイムティ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カサン⸣カー ⸢アッ⸣タネー ス⸢コーララン⸣ダー [⸣maimuti pa⸢na⸣ʃi sï̥⸢kasaŋ⸣kaː ⸢ʔat⸣taneː su̥⸢koːraran⸣daː] (前もって話して聞かせないと急には準備できないよ) 15874 0 0 15733 htmvoc_15874.wav マイヤク ⸢マイ⸣ヤク [⸢mai⸣jaku] 名 前の漕ぎ手。サバニの前方の漕ぎ手。 ⸢パーレー⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤコー シゥ⸢カラヌ⸣ アル プ⸢スンドゥ⸣ ナル [⸢paːreː⸣nu ⸢mai⸣jakoː sï̥⸢karanu⸣ ʔaru pu̥⸢sundu⸣ naru] (爬竜船の前方の一番漕ぎ手<\ruby{前櫂}{ゼン|トウ}>は力のある人しかできない<力のある人にができる>) 15875 0 0 15734 htmvoc_15875.wav マイヤフ ⸢マイ⸣ヤフ [⸢mai⸣jaɸu] 名 厄年の前の年。「前厄」の義。⸣アトゥヤフ[⸣ʔatujaɸu](後厄{EOS}ハ⸢リ⸣ヤフ{SqBr}ha⸢ri⸣jaɸu{/SqBr}<晴れ厄>ともいう)の対義語。 ク⸢トゥシェー マイ⸣ヤフティ ⸢シー⸣ ユ⸢ヌ⸣シリンケーヌ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸣ヨイ シ⸢タ⸣ツォー [ku̥⸢tuʃeː mai⸣jaɸuti ⸢ʃiː⸣ ju⸢nu⸣ʃiriŋkeːnu ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸣joi ʃi̥⸢ta⸣ʦoː] (今年は前厄の年だといって同輩達<同じ年生まれの人たち>が集まってお祝いをしたそうだ) 15876 0 0 15735 htmvoc_15876.wav マイヤマ ⸣マイヤマ [⸣maijama] 名 まえやま(前山)。前の方にある山。村里に近い山。ウ⸢クヤマ[ʔu⸢kujama](奥山)の対義語。 ティ⸢ドゥ⸣クヤマヌ ⸣マイヤマラーン ム⸢カ⸣シェー ⸢キャーンギキーヤ⸣ ン⸢ザサリ⸣タン [ti⸢du⸣kujamanu ⸣maijamaraːŋ mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kjaːŋgikiːja⸣ ʔn⸢ʣasari⸣taŋ] (ティドゥク山の前山からも昔は槇の木は伐り出せた) 15877 0 0 15736 htmvoc_15877.wav マイヤン ⸢マイ⸣ヤン [⸢mai⸣jaŋ] 形 大きい。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヤ ⸢マイ⸣ヤンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ⸢マイヤナー⸣ヌ [ku⸢nu jaː⸣ja ⸢mai⸣janti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː ⸢maijanaː⸣nu] (この家は大きいと思ったが、あまり大きくない)。 パ⸢ナ⸣シェー ⸢シンダイ マイ⸣ヤ ⸣ナルン [pa⸢na⸣ʃeː ⸢ʃindai mai⸣ja ⸣naruŋ] (話は次第に大きくなる)。 ⸢マイ⸣ヤ ⸣フニナ ⸢ヌールン [⸢mai⸣ja ⸣ɸunina ⸢nuːruŋ] (大きな船に乗る<船員になる>)。 フ⸢ドゥヌ マイ⸣ヤカー シゥ⸢カラー⸣ アン [ɸu⸢dunu mai⸣jakaː si̥⸢karaː⸣ ʔaŋ] (体格が大きかったら力はある) 15878 0 0 15737 htmvoc_15878.wav マイユーシ ⸢マイユー⸣シ [⸢maijuː⸣ʃi] 名 繰り上げ。「前寄せ」の義。 ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢マイユー⸣シ ⸢シー⸣ シ⸢マ⸣シテーラ タ⸢ベー⸣ パリバ [⸢joi⸣jaː ⸢maijuː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢ma⸣ʃi̥teːra ta⸢beː⸣ pariba] (お祝いは繰り上げて済ませてから旅へは行きなさいよ) 15879 0 0 15738 htmvoc_15879.wav マイユッカ ⸢マイユッ⸣カ [⸢maijuk⸣ka] 名 前床板。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟)の前方の床板。ウ⸢シカキ[ʔu⸢ʃikaki](帆柱を立てる梁)の後ろにある床板。⸢ピーヌール[⸢piːnuːru](舳乗り)が座って舟を漕ぐ床板。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟)の項参照 15880 0 0 15739 htmvoc_15880.wav マイユッカーマ ⸢マイユッカー⸣マ [⸢maijukkaː⸣ma] 名 ⸢マイユッ⸣カ[⸢maijuk⸣ka](前床板)の前、ウ⸢シカキ[ʔu⸢ʃikaki](帆柱を立てる梁)の前方の舳先に近い所にある床板。鋭三角形の小さい床板。⸣イダフニの項参照 15881 0 0 15740 htmvoc_15881.wav マイユラスン ⸢マイ⸣ ユ⸢ラスン [⸢mai⸣ ju⸢rasuŋ] 連 米を\ruby{篩}{フルイ}にかける。籾摺りした後、ユ⸢ラシ[ju⸢raʃi](竹製の篩)で揺すって玄米の中のア⸢ラム⸣トゥ[ʔa⸢ramu⸣tu](あらもと<\ruby{粡}{アラモト}{EOS}糏>)を除去する。 ⸢マイヤー⸣ ユ⸢ラシティ⸣ ア⸢ラム⸣トゥ プ⸢サイ⸣バ [⸢maijaː⸣ ju⸢raʃi̥ti⸣ ʔa⸢ramu⸣tu pu̥⸢sai⸣ba] (米を篩で篩ってアラムトゥ<粡>を拾いなさいよ) 15883 0 0 15741 htmvoc_15883.wav マイヨーゾー ⸢マイヨー⸣ゾー [⸢maijoː⸣ʣoː] 名 前養生。病気予防のために事前に養生すること。健康維持の手当てをすること。 ⸣ドゥーパダヌ ⸢キンコーヤ⸣ サ⸢キトゥ⸣ タ⸢バク⸣バ ヤ⸢ミル マイヨーゾー⸣ル ⸢ダイイチ [⸣duːpadanu ⸢kiŋkoːja⸣ sḁ⸢kitu⸣ ta⸢baku⸣ba ja⸢miru maijoːʣoː⸣ru ⸢daiʔiʧi] (体の健康は酒と煙草を止める前養生が第一だ) 15882 0 1 15742 htmvoc_15882.wav マイヨイ ⸢マイ⸣ヨイ [⸢mai⸣joi] 名 前祝い。{Mn_1}祝いの準備をした後に、軽く飲み食いすること。 ⸢ヨイ⸣ヌ ス⸢コーロー⸣ナレーチバ ⸢ヤーニン⸣ズー カー⸢ニ⸣シ ⸢マイ⸣ヨイ ⸢サー⸣ディー [⸢joi⸣nu su̥⸢koːroː⸣ nareːʧiba ⸢jaːnin⸣ʣuː ⸢kaːni⸣ʃi ⸢mai⸣joi ⸢saː⸣diː] (祝いの準備が出来たので家族だけで前祝いをしようよ)。 15882 0 2 15743 htmvoc_15882.wav マイヨイ ⸢マイ⸣ヨイ [⸢mai⸣joi] 名 {Mn_2}物事の成就、完成を予祝すること。 ウ⸢キナータビ⸣ヌ ⸢マイ⸣ヨイ ⸢ソー⸣ラ⸢ディー [ʔu⸢kinaːtabi⸣nu ⸢mai⸣joi ⸢soː⸣ra⸢diː] (沖縄への旅の安全を予祝して前祝いをしましょうよ) 15884 0 0 15744 htmvoc_15884.wav マイリ ⸢マイ⸣リ [⸢mai⸣ri] 名 参詣。御参り。石垣島の観音堂を拝みに行くこと。 カ⸢ツシンマー⸣ ア⸢ガル⸣カー ⸢カンナン⸣ドーマイリ ⸢ソーッ⸣タン [kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ ʔa⸢garu⸣kaː ⸢kannan⸣doːmairi ⸢soːt⸣taŋ] (カツオ漁船は漁期が上がると観音堂参りをされた) 15885 0 0 15745 htmvoc_15885.wav マインタ ⸣マインタ [⸣mainta] 名 前方。前の方。普通は、⸣マンタ[⸣manta](前方{EOS}前の方)という。⸣シンタ[⸣ʃinta](後方{EOS}後の方)の対義語。 ⸣マインタヌ ⸣ヤーナール トゥ⸢マリ ベー [⸣maintanu ⸣jaːnaːru tu⸢mari beː] (前の家に<ぞ>泊まっている)。 ⸢マー⸣ビン ⸣マインター ⸣パリバ [⸢maː⸣bim ⸣maintaː ⸣pariba] (もっと前方へ行けよ)。 ⸣ウヌヨーヌ シ⸢タ⸣フシェー プ⸢スヌ⸣ マインター ン⸢ジララ⸣ヌ [⸣ʔunujoːnu ʃi̥⸢ta⸣ɸuʃeː pu̥⸢sunu⸣maintaː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (そのような服装<よそおい{EOS}\ruby{SqBr}g{/SqBr}{身形}{ミナリ}>では人様の前に出られない) 8583 0 0 15746 htmvoc_8583.wav マカグ マ⸢カグ [ma⸢kagu] 名 重箱に詰めた御握り。地炉の神に産婦と新生児の健康を祈願するための供物 15886 0 0 15747 htmvoc_15886.wav マカスン マ⸢カスン [ma⸢kasuŋ] 他動 負かす。相手を負けさせる。 ウ⸢レー⸣ イ⸢バリムヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢リスー⸣ブ ⸢シー⸣ マ⸢カスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢カサラン⸣サー [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢barimunu⸣ ja⸢runda⸣ pa⸢risuː⸣bu ⸢ʃiː⸣ ma⸢kasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ma⸢kasaran⸣saː] (彼は高慢ちき<威張り者>だから走り競走をして負かそうと思うが負かされない)。 マ⸢カシ⸣ プサンドゥ ウ⸢リ⸣ マ⸢カス⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢kaʃi⸣ pu̥sandu ʔu⸢ri⸣ ma⸢kasu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (負かしたいが、彼を負かす人はいない)。 ⸢パー⸣ク マ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ma⸢kaʃeː⸣ misamunu] (早く負かせばいいのに)。 ⸢ワー⸣シ ヤー⸢ディン⸣ カ⸢リバ⸣ マ⸢カシ [⸢waː⸣ʃi jaː⸢dim⸣ ka⸢riba⸣ ma⸢kaʃi] (君で必ず彼を負かせよ) 15887 0 0 15748 htmvoc_15887.wav マカスン マ⸢カスン [ma⸢kasuŋ] 他動 任す。任せる。委ねる。相手のするままにさせる。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー ワン⸣ マ⸢カスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ワー タンガン⸣マー マ⸢カサラヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː wam⸣ ma⸢kasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢waː taŋgam⸣maː ma⸢kasaranu] (この仕事は君に任せようと思うが、君一人には任されない)。 ⸢ワー タン⸣ガン マ⸢カシ⸣ ミサカー マ⸢カス⸣ クトー ⸣ナルン [⸢waː taŋ⸣gam ma⸢kaʃi⸣ misakaː ma⸢kasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (君一人に任せてよければ、任すことは出来る)。 ウ⸢リン⸣ マ⸢カシェー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢rim⸣ ma⸢kaʃeː⸣ misamunu] (彼に任せればいいのに)。 ムー⸢ル⸣ ウ⸢リン⸣ マ⸢カシ [muː⸢ru⸣ ʔu⸢rim⸣ ma⸢kaʃi] (全部彼に任せろ) 15888 0 0 15749 htmvoc_15888.wav マカタ マ⸢カ⸣タ [ma⸢ka⸣ta] 固 人名。女性の名。マ⸢カ⸣テー[ma⸢ka⸣teː](女性の名)ともいう。 トゥ⸢ムレー⸣ナール マ⸢カ⸣タティ ⸢スー⸣ プ⸢ソー オーッ⸣タツォー [tu⸢mureː⸣naːru ma⸢ka⸣tati ⸢suː⸣ pu̥⸢soː ʔoːt⸣taʦoː] (友利家にマカタという人はおられたそうだ) 15889 0 0 15750 htmvoc_15889.wav マガタマ ⸣マガタマ [⸣magatama] 名 祭祀用の玉。まがたま(曲玉)。 サ⸢カサー⸣ マガタマ ⸣ムティ ⸢オー⸣ルンツォー [sḁ⸢kasaː⸣ magatama ⸣muti ⸢ʔoː⸣runʦoː] (司<巫女>は曲玉を持っておられるそうだ) 15890 0 0 15751 htmvoc_15890.wav マカトー マ⸢カ⸣トー [ma⸢ka⸣toː] 固 人名。女性の名。 パ⸢ナシケー⸣ナーン ⸣ナラシケーナーン トゥ⸢ムシェー⸣ナーン ⸢ウイザテー⸣ナーン マ⸢カ⸣トーティ ⸢スー⸣ プ⸢ソー オーッ⸣タンツォー [pa⸢naʃi̥keː⸣naːn ⸣naraʃi̥keːnaːn tu⸢muʃeː⸣naːm ma⸢ka⸣toːti ⸢suː⸣ pu̥⸢soː ʔoːt⸣taŋʦoː] (花城家にも成底家にも宮良家にも上里家にもマカトーという人はおられたそうだ) 15891 0 0 15752 htmvoc_15891.wav マカナイ マ⸢カ⸣ナイ [ma⸢ka⸣nai] 名 炊事。食事を作ること。給仕すること。「\ruby{賄}{マカナイ}」の転訛。 ⸣ドゥーマカナイ ⸢シー ブー [⸣duːmakanai ⸢ʃiː buː] (自炊をしている)。 ⸢タール⸣ マ⸢カ⸣ナイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふィールワ [⸢taː⸣ru ma⸢ka⸣nai ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːruwa] (誰が炊事<賄い>をしてくれるか)。 ⸣アッパー ヤ⸢クニン⸣ヌ マ⸢カナイ⸣プス ⸢シー オー⸣レーティル ⸢グン⸣ボー ナ⸢ソー⸣レーツォー [⸣ʔappaː ja⸢kunin⸣nu ma⸢kanai⸣pu̥su ⸢ʃiː ʔoː⸣reːtiru ⸢gum⸣boː na⸢soː⸣reːʦoː] (お祖母さんは役人の賄い婦をしておられたので、役人の落胤<役人と平民の混血児{EOS}混紡>を生みなさったそうだ) 15892 0 0 15753 htmvoc_15892.wav マカナイプス マ⸢カナイ⸣プス [ma⸢kanai⸣pu̥su] 名 賄い人。下宿人。 ⸢ウン⸣ネナー マ⸢カナイプス⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸢ʔun⸣nenaː ma⸢kanaipu̥su⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (あの家に下宿人<賄い人>がいらっしゃる) 15893 0 0 15754 htmvoc_15893.wav マカナイミドゥム マ⸢カナイミドゥ⸣ム [ma⸢kanaimidu⸣mu] 名 賄い女。琉球国時代に八重山の離島で役人の衣食住の世話をした女性。その役人との間に生まれた子を⸢グン⸣ボー[⸢gum⸣boː](混血児)という。 パ⸢トゥ⸣マナーン ヤ⸢クニン⸣ヌ マ⸢カナイミドゥ⸣ム ⸢ソー⸣レー プ⸢ソー オー⸣ルン [pḁ⸢tu⸣manaːŋ ja⸢kunin⸣nu ma⸢kanaimidu⸣mu ⸢soː⸣reː pu̥⸢soː ʔoː⸣ruŋ] (鳩間島にも役人の賄い女をされた人はおられる) 15894 0 0 15755 htmvoc_15894.wav マカナウン マ⸢カ⸣ナウン [ma⸢ka⸣nauŋ] 他動 衣食住の世話をする。下宿人の給仕をする。「賄う」の義。琉球国時代には、離島では役人の給仕から身辺の世話、よとぎ(夜伽)まで、選ばれた未婚の女性が世話をした。 ⸢ヤースクリ⸣ヌ バ⸢コーシン⸣カ マ⸢カ⸣ナウン [⸢jaːsu̥kuri⸣nu ba⸢koːʃiŋ⸣ka ma⸢ka⸣nauŋ] (家屋建築の共同作業人衆の大量炊事を賄う<食事を世話する>)。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ク⸣ニン マ⸢カ⸣ナウンティ ⸢シー⸣ マ⸢カ⸣ナウ ミ⸢ドゥ⸣ム シ⸢マカー⸣ジ イ⸢ラ⸣ボーッタンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ku⸣nim ma⸢ka⸣naunti ⸢ʃiː⸣ ma⸢ka⸣nau mi⸢du⸣mu ʃi⸢makaː⸣ʤi ʔi⸢ra⸣boːttanʦoː] (昔は役人を賄おうとして、賄う未婚の女性を島ごとに選ばれたそうだ)。 マ⸢カナイ⸣ グ⸢リ⸣サル プ⸢ソー⸣ マ⸢カナーン⸣タンティン ⸣ミサン [ma⸢kanai⸣ gu⸢ri⸣saru pu̥⸢soː⸣ ma⸢kanaːn⸣tantim ⸣misaŋ] (賄いにくい人は賄わなくてもよい)。 マ⸢カナイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ma⸢kanai⸣jaː ⸣misamunu] (賄えばいいのに)。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ワー⸣ マ⸢カ⸣ナイ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː waː⸣ ma⸢ka⸣nai] (この人は君が賄いなさい) 15895 0 0 15756 htmvoc_15895.wav マカブ マ⸢カブ [ma⸢kabu] 名 (動)魚名。ベラ科のくさべら、体長約30センチや、同じくベラ科の、しろくさべら、体長約60センチも含めて云う。刺身や蒲鉾にして食すると美味である。 マ⸢カボー⸣ ナ⸢マ⸣シ ⸣キシティ フ⸢ナブ⸣トゥ ⸢ミー⸣スナ カ⸢ケー⸣スカー ン⸢マー⸣タン [ma⸢kaboː⸣ na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥ʃiti ɸu⸢nabu⸣tu ⸢miː⸣suna a⸢keː⸣sukaː ʔm⸢maː⸣taŋ] (マカブは刺身に切って、九年母の汁と味噌を和えた垂れにつけて食すると美味であった) 15896 0 0 15757 htmvoc_15896.wav マガヤー マ⸢ガ⸣ヤー [ma⸢ga⸣jaː] 名 曲がったもの。 ウ⸢レー⸣ マ⸢ガ⸣ヤー ⸣ナリティ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢reː⸣ ma⸢ga⸣jaː ⸣nariti si̥⸢kaːranu] (それは曲がったものになっていて使えない) 15897 0 0 15758 htmvoc_15897.wav マガラ マ⸢ガ⸣ラ [ma⸢ga⸣ra] 名 父系の血筋。血縁。「真・から(柄、族)」の義か。「~問ひさくる親族兄弟<ウカラハラカラ>無き国に~。万、460」の転訛したものか。マ⸢ガ⸣ラピキ[ma⸢ga⸣rapi̥ki](父系の血縁関係)は、⸢インビ⸣キ[⸢ʔimbi⸣ki](母系の血縁関係{EOS}姻戚関係)の対義語。 ⸢ウン⸣ネートー マ⸢ガ⸣ラピキル ⸣ナリ ⸢ブンダ ソッコー⸣ムノー ⸢コーパナ⸣トゥ サ⸢キ⸣ ッ⸢スムチ⸣ヌ ジ⸢ブ⸣ク ス⸢コーリル⸣ ナルカヤー [⸢ʔun⸣neːtoː ma⸢ga⸣rapikiru ⸣nari ⸢bunda sokkoː⸣munoː ⸢koːpana⸣tu sḁ⸢ki⸣ s⸢sumuʧi⸣nu ʤi⸢bu⸣ku su̥⸢koːriru⸣ narukajaː] (あの家とはマガラピキ<父系の近しい血縁関係>になっているから、法事の供物は線香と花米、酒、白餅の重箱を用意しなければならないのかねえ) 15898 0 0 15759 htmvoc_15898.wav マガラピキ マ⸢ガ⸣ラピキ [ma⸢ga⸣rapi̥ki] 名 父系の血縁関係を有する親族集団。⸢インビ⸣キ[⸢ʔimbi⸣ki](母系の血縁関係を有する親族集団{EOS}姻戚関係)の対義語。この血縁関係にある者は、法事の際、⸢ナン⸣カ[⸢naŋ⸣ka](初七日忌から四十九日忌の法事)や⸢ソッ⸣コー[⸢sok⸣koː](焼香{EOS}法事{EOS}一周忌から三十三年忌まで)の際に、⸣グシパナ[⸣guʃipana](酒と三合花米)やウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](紙銭<打ち紙>3枚)、⸢カウ[⸢kau](線香1束)をそなえる習慣が1960年代頃まであった。 ⸢ワッ⸣テートゥ ⸢バン⸣テーヤ マ⸢ガ⸣ラピキ ⸢ダー [⸢wat⸣teːtu ⸢ban⸣teːja ma⸢ga⸣rapiki ⸢daː] (君の家と私の家はマガラピキ<父系の血縁関係>の関係だよ) 15899 0 0 15760 htmvoc_15899.wav マガリカドゥ マ⸢ガリカドゥ [ma⸢garikadu] 名 曲がり角。道の曲がっている所。進む方向の変わり目。 ミ⸢チ⸣ヌ マ⸢ガリカドゥ⸣ナー プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー [mi⸢ʧi⸣nu ma⸢garikadu⸣naː pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː] (道の曲がり角に人が集まっている) 15905 0 0 15761 htmvoc_15905.wav マガリクガリ マ⸢ガリ⸣クガリ [ma⸢gari⸣kugari] 副 曲がりくねって。ABCDBC型の重言。 ウ⸢ヌ⸣ ミチェー マ⸢ガリ⸣クガリ シ⸢ティ⸣ ア⸢ラキグリサ⸣ン [ʔu⸢nu⸣ miʧeː ma⸢gari⸣kugari ʃi̥⸢ti⸣ ʔa⸢rakiguri⸣saŋ] (その道は曲がりくねっていて歩きにくい<難い>) 15900 1 1 15762 htmvoc_15900.wav マカル マ⸢カ⸣ル [ma⸢ka⸣ru] 名 {PoS_1}{Mn_1}ご飯やお汁用の茶碗。「椀、杯也、万利(まり)」『新撰字鏡』。「おまかり 茶碗の類をいふ 和詞にもまかり」『混効験集』、「碗 麻加立」『琉球館訳語』、「飯碗 麦介衣」『中山伝信録』、「鋺、おまへにしろがねのまがりなど~」『宇津保物語』の転訛したもの。 ⸢イーマカ⸣ル [⸢ʔiːmaka⸣ru] (ご飯茶碗) ⸢スーマカ⸣ル [⸢suːmaka⸣ru] (お汁茶碗))。 マ⸢カ⸣ルドング [ma⸢ka⸣rudoŋgu] (食器類の総称)。他に⸢シームヌバン[⸢ʃiːmunubaŋ](吸い物碗)がある。 マ⸢カ⸣ルサバン [ma⸢ka⸣rusabaŋ] (お碗や湯のみ茶碗類)。 マ⸢カ⸣ルナー ⸢イー⸣バ ム⸢リティ⸣ シ⸢キリ [ma⸢ka⸣runaː ⸢ʔiː⸣ba mu⸢riti⸣ ʃi̥⸢kiri] (お碗に飯を盛って供えなさい) 15900 2 0 15763 htmvoc_15900.wav マカル マ⸢カ⸣ル [ma⸢ka⸣ru] 接尾 {PoS_2}杯。お碗に入れたものを数える単位。 プ⸢スマカ⸣ル [pu̥⸢sumaka⸣ru] (飯碗の一杯)。 フ⸢タマカル [ɸu̥⸢tamakaru] (飯飯の二杯)。 ⸢ミーマカル [⸢miːmakaru] (飯碗の三杯)。 ⸢ユーマカル [⸢juːmakaru] (飯碗の四杯)。 イ⸢チマカ⸣ル [ʔi⸢ʧimaka⸣ru] (飯の五杯) 15901 0 0 15764 htmvoc_15901.wav マカルサバン ⸣マカルサバン [⸣makarusabaŋ] 名 碗や皿の総称。食器類。 ⸣マカルサバン ス⸢ローサバ⸣ル ⸢スータイ⸣ヤー ム⸢タ⸣リ [⸣makarusaban su⸢roːsaba⸣ru ⸢suːtai⸣jaː mu⸢ta⸣ri] (食器類<碗や皿>を揃えないと所帯は持てない<揃えればぞ所帯はもたれる>) 15902 0 0 15765 htmvoc_15902.wav マカルザラ ⸣マカルザラ [⸣makaruʣara] 名 茶碗や皿などの総称。食器類。 ⸢イー⸣ ッふーカー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣マカルザラー ⸣ドゥーシ ア⸢ライ [⸢ʔiː⸣ ffuːkaː ⸢duː⸣nu ⸣makaruʣaraː ⸣duːʃi ʔa⸢rai] (ご飯を食べたら自分の食器類は自分で洗いなさい) 15903 0 0 15766 htmvoc_15903.wav マカルドング ⸣マカルドング [⸣makarudoŋgu] 名 食器類。食器の総称。 ⸢ヤーバカ⸣リ ⸢スンティ⸣ ス⸢クタヌ⸣ マカルドンゴー ス⸢ロー⸣シェーンカヤー [⸢jaːbaka⸣ri ⸢sunti⸣ su̥⸢kutanu⸣ makarudoŋgoː su⸢roː⸣ʃeːŋkajaː] (分家すると聞いたが、食器類は揃えたかね) 15904 0 1 15767 htmvoc_15904.wav マガルン マ⸢ガルン [ma⸢garuŋ] 自動 {Mn_1}曲がる。 カ⸢ヌ シン⸣ダー マ⸢ギル⸣カー マ⸢ガルンドゥ⸣ ク⸢レー⸣ マ⸢ガラン⸣サー [ka⸢nu ʃin⸣daː ma⸢giru⸣kaː ma⸢garundu⸣ ku⸢reː⸣ ma⸢garan⸣saː] (あの針金は曲げたら曲がるが、此れは曲がらないよ)。 ⸢ウイ⸣プス ナ⸢ル⸣ター ク⸢シェー⸣ マ⸢ガリ ナー⸣ヌ [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ku̥⸢ʃeː⸣ ma⸢gari naː⸣nu] (年をとったので腰が曲がってしまった)。 マ⸢ガル キー⸣ヤ ブ⸢リラ⸣ヌ [ma⸢garu kiː⸣ja bu⸢rira⸣nu] (曲がる木は折れない)。 ク⸢ヌ⸣ カドーラ マ⸢ガレー⸣ ミサムヌ [ku⸢nu⸣ kadoːra ma⸢gareː⸣ misamunu] (この角から曲がればいいのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢ガリ [⸢paː⸣ku ma⸢gari] (早く曲がれ)。 15904 0 2 15768 htmvoc_15904.wav マガルン マ⸢ガルン [ma⸢garuŋ] 自動 {Mn_2}縮こまる。萎縮する。 イ⸢ザリティ⸣ マ⸢ガリ ベー [ʔi⸢ʣariti⸣ ma⸢gari beː] (叱られて縮みこまっている) 15906 0 0 15769 htmvoc_15906.wav マガレークガレー マ⸢ガレー⸣クガレー [ma⸢gareː⸣kugareː] 副 曲がりくねって。ABCDBC型の重言。 マ⸢ガレー⸣クガレー ⸢シー ブー⸣ ミチェー ア⸢ラキグリ⸣サンダ ⸢マーリミチ シー⸣バ [ma⸢gareː⸣ kugareː ⸢ʃiː buː⸣ miʧeː ʔa⸢rakiguri⸣sanda ⸢maːrimiʧi ʃiː⸣pari] (曲がりくねっている道は歩き\ruby{難}{ニク}いから、回り道をして行きなさい) 15907 0 1 15770 htmvoc_15907.wav マキ マ⸢キ [ma⸢ki] 名 {Mn_1}牧場。昔は西表島の⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)地区とサ⸢キンダ[sḁ⸢kinda](崎田)地区に鳩間島のウ⸢シマキ[ʔu⸢ʃimaki](牛の放牧場)があった。伊武田にはフ⸢ク⸣ヌマキ[ɸu̥⸢ku⸣numaki](福浜の牧場)があり、ウ⸢シヌ⸣ウガン[ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ](牛の御嶽)もあって、毎年旧暦9月のウ⸢シニー[ʔu⸢ʃiniː](干支の丑の日)にウ⸢シニン⸣ガイ[ʔu⸢ʃiniŋ⸣gai](牛の繁盛祈願)が行われ、⸢牛の繁昌祈願<祝い>の歌」が歌われた。次に、伝承されている、ウ⸢シヌヨイヌ⸣ ウタ[ʔu⸢ʃinujoi⸣nu ⸣ʔuta](牛の繁昌祈願<祝い>の歌の歌詞(伝承者、加治工伊佐))を示す。/{Sg_1}キューヌ ピーヌ ウユワイムトゥ スイナウレ(今日の日の祝いの元、スイナウレ<囃子>)、{Sg_2}フクヌマキ ウユワイムトゥ スイナウレ(福浜の牧場の祝いの元スイナウレ)、{Sg_3}ムヤシバードゥ パンゾー スームトゥ スイナウレ(発情<ズブマイ>したらばこそ繁昌の元になるスイナウレ)、{Sg_4}パンジョー シーヌ ウミサク ムムドゥ スイナウレ(繁昌させるお神酒 百度 スイナウレ)/。 15907 0 2 15771 htmvoc_15907.wav マキ マ⸢キ [ma⸢ki] 名 {Mn_2}豚舎。豚便所。「豚の牧」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ヤーカー⸣ジナー ⸢オー⸣ヌ ⸣マケー ア⸢リ⸣ブタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢jaːkaː⸣ʤinaː ⸢ʔoː⸣nu ⸣makeː ʔa⸢ri⸣buta] (昔は家毎に豚舎<豚便所>はあった<有り居った>) 15908 0 0 15772 htmvoc_15908.wav マキ マ⸢キ [ma⸢ki] 名 つむじ(旋毛)。人の頭頂にある、毛髪の渦巻き。ピ⸢ジ⸣ル[pi⸢ʤi⸣ru](つむじ{EOS}旋毛)ともいう。 マ⸢キヌ⸣ フ⸢ターチ⸣ アル ッ⸢ふァー⸣ ヤ⸢マン⸣グティ ア⸢ザリブー⸠ダー [ma⸢kinu⸣ ɸu̥⸢taːʧi⸣ ʔaru f⸢faː⸣ ja⸢maŋ⸣guti ʔa⸢ʣari buː⸠daː] (\ruby{SqBr}g{/SqBr}{旋毛}{ツムジ}が二つある子は腕白者だといわれているよ) 15909 0 1 15773 htmvoc_15909.wav マキ マ⸢キ [ma⸢ki] 名 {Mn_1}負け。 ⸢スーブ⸣グトー マ⸢キヌ⸣ シ⸢ジク⸣カー ヤ⸢ミリ [⸢suːbu⸣gutoː ma⸢kinu⸣ ʃi⸢ʤiku⸣kaː ja⸢miri] (勝負事は負けが続いたら止めよ)。 ⸣カチマケー ⸢カンガウ⸣ナ [⸣kḁʧimakeː ⸢kaŋgau⸣na] (勝ち負けは考えるな)。 15909 0 2 15774 htmvoc_15909.wav マキ マ⸢キ [ma⸢ki] 名 {Mn_2}かぶれ(気触れ)。かぶれによる発疹や炎症。 パ⸢ジマキ⸣ シ⸢ティ⸣ フ⸢クリ ベー [pa⸢ʤimaki⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ɸu̥⸢kuri beː] (はぜのき<黄櫨>にかぶれて腫れている) 15910 0 0 15775 htmvoc_15910.wav マギー ⸣マギー [⸣magiː] 名 大きいもの一般をさす。特別に大きいものには、ブ⸢サー⸣ラ[bu⸢saː⸣ra](大きい動物や植物)ということが多い。 ノー⸢ン⸣ マ⸢ギー⸣ル シゥ⸢カイヤッ⸣サル グ⸢マーヤ⸣ シゥ⸢カイ⸣ グ⸢リ⸣サンティ ア⸢ザリ ブー [noː⸢m⸣ ma⸢giː⸣ru sï̥⸢kaijas⸣saru gu⸢maː⸣ja sï̥⸢kaiguri⸣santi ʔa⸢ʣari buː] (何でも大きいのが使いやすいのだ{EOS}小さいのは使いにくいといわれている)。 ⸣マギーラ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリ [⸣magiːra ʔi⸢ra⸣bi ⸣turi] (大きいのから選んで取れ) 15911 0 0 15776 htmvoc_15911.wav マギーマギーシ マ⸢ギーマギー⸣シ [ma⸢giːmagiː⸣ʃi] 副 大きく。大々的に。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーユンダ ⸢ヤー⸣ヤ マ⸢ギーマギー⸣シ ス⸢ク⸣リバ [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸢goː⸣raːjunda ⸢jaː⸣ja ma⸢giːmagiː⸣ʃi su̥⸢ku⸣riba] (家族が多いから、家は大きく作りなさいよ) 15912 0 0 15777 htmvoc_15912.wav マキイクサ マ⸢キイクサ [ma⸢kiʔikusa] 名 負け戦。敗戦。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣タケー ワ⸢カラ⸣ムティ ア⸢ミリカ⸣トゥ イ⸢クサ⸣バ ウ⸢ク⸣シティル マ⸢キイクサ シェー⸣ダー [⸢duː⸣nu ⸣tḁkeː wa⸢kara⸣muti ʔa⸢miri⸣katu ʔi⸢kusa⸣ba ʔu⸢ku⸣ʃi̥tiru ma⸢kiʔikusa ʃeː⸣daː] (自分の実力<身の丈>を知らずにアメリカと戦争を起こして負け戦をしたのだ) 15913 0 0 15778 htmvoc_15913.wav マキカビ マ⸢キカビ [ma⸢kikabi] 名 ⸢巻き紙」の義。ム⸢ルムル[mu⸢rumuru](大焼香に供える砂糖黍を束ねたもの)を巻いて飾る幅約3センチ、長さ約30センチの紅白の紙。 ⸢ソーラン⸣ヌ ム⸢ルムルヌ シン⸣ザナー マ⸢キカビ⸣ パ⸢リティ キーヌ⸣ナル ⸣ッシバ [⸢soːran⸣nu mu⸢rumurunu ʃin⸣ʣanaː ma⸢kikabi⸣ pa⸢riti kiːnu⸣ naru ⸣ʃʃiba] (お盆のムルムルの砂糖黍の束に巻き紙を貼って木の実を挿しなさい) 15914 0 0 15779 htmvoc_15914.wav マキザーラスン マ⸢キザーラ⸣スン [ma⸢kiʣaːra⸣suŋ] 他動 撒き散らす。ばらばらに振り撒く。 タ⸢タミヌ ウイ⸣ナー イ⸢ノンバ⸣ マ⸢キザーラ⸣シ ⸣シケーバン [tḁ⸢taminu ʔui⸣naː ʔi⸢nomba⸣ ma⸢kiʣaːra⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (畳の上に砂を撒き散らかしてあるわい)。 ⸢ヤーン⸣ ナカナー イ⸢ノン⸣ マ⸢キザーラサン⸣ドーシ ミ⸢ナ⸣カナー マ⸢キザーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢jaːn⸣ nakanaː ʔi⸢nom⸣ ma⸢kiʣaːrasan⸣doːʃi mi⸢naka⸣naː ma⸢kiʣaːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (室内で砂を撒き散らさないで、庭で撒き散らせばいいのに)。 マ⸢キザーラ⸣ス ⸣ムノー ⸢パー⸣ク マ⸢キザーラ⸣シ [ma⸢kiʣaːra⸣su ⸣munoː ⸢paː⸣ku ma⸢kiʣaːra⸣ʃi] (撒き散らすものは早く撒き散らせ) 15915 0 0 15780 htmvoc_15915.wav マキシンカ マ⸢キシンカ [ma⸢kiʃiŋka] 名 牧場を共同で経営している仲間。マ⸢キニンズー[ma⸢kininʣuː](牧人数)ともいう。 ⸣インダヌ フ⸢ク⸣ヌマキヌ マ⸢キシンカー インヌムラ⸣ナー ⸣ウブシケートゥ ⸢ダイ⸣ケートゥ カ⸢ザケートゥ⸣ パ⸢ナシケー⸣ ユージェーヌ プ⸢スンケー⸣ヌル ⸢オー⸣レー⸢ナー [⸣ʔindanu ɸu̥⸢ku⸣numakinu ma⸢kiʃiŋkaː ʔinnumura⸣naː ⸣ʔubuʃi̥keːtu ⸢dai⸣keːtu ka⸢ʣakeːtu⸣ pa⸢naʃi̥keː⸣ juːʤeːnu pu̥⸢suŋkeː⸣ru ⸢ʔoː⸣reː⸢naː] (伊武田地区のフクヌマキ<福浜の牧場>の仲間は、西村では大城家と大工家と加治工家と花城家、松竹家の人々がおられたんだねえ) 15916 0 0 15781 htmvoc_15916.wav マキダ マ⸢キダ [ma⸢kida] 名 ちまき(千巻)。織った布を巻き取る木製の円い棒。「巻き板の約まった形」という『石垣方言辞典』。 マ⸢キダ⸣ナー ⸢ヌーノー ヌーン⸣ブカラ マ⸢カレー⸣ワ [ma⸢kida⸣naː ⸢nuːnoː nuːm⸣bukara ma⸢kareː⸣wa] (\ruby{千巻}{チ|マキ}には、布はどれほ<どれくらい>ど巻かれているか) 15918 0 0 15782 htmvoc_15918.wav マキタバク マ⸢キタバク [ma⸢kitabaku] 名 巻きタバコ(煙草)。キ⸢ザミタバク[ki⸢ʣamitabaku](刻み煙草)の対義語。 ム⸢カ⸣シェー マ⸢キタバク⸣ フ⸢コー⸣ル プ⸢ソー オーラン⸣シェン キ⸢ザミタバクバ⸣ キ⸢シ⸣ルシル フ⸢コーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ma⸢kitabaku⸣ ɸu̥⸢koː⸣ru pu̥⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ ki⸢ʣamitabakuba⸣ ki̥⸢ʃi⸣ruʃiru ɸu̥⸢koːtta⸣ru] (昔は巻き煙草を吸う<ふかす>人はおられなかった{EOS}刻み煙草を煙管で吸われた) 15920 0 0 15783 htmvoc_15920.wav マキックムン マ⸢キックムン [ma⸢kikkumuŋ] 他動 巻き込む。仲間に入れる。 プ⸢スバー⸣キ マ⸢キックミティ ミーワク⸣ シ⸢ミ⸣ シケー [pu̥⸢subaː⸣ki ma⸢kikkumiti miːwaku⸣ ʃi⸢mi⸣ ʃi̥keː] (他人まで巻き込んで迷惑をかけてある)。 ムー⸢ル⸣ マ⸢キックムンティ スンドゥ⸣ マ⸢キックマラヌ [muː⸢ru⸣ ma⸢kikkumunti sundu⸣ ma⸢kikkumaranu] (全員巻き込もうとするが、巻き込まれない)。 マ⸢キックム⸣ ピンマー ムー⸢ル⸣ マ⸢キックメー⸣ ミサムヌ [ma⸢kikkumu⸣ pimmaː muː⸢ru⸣ ma⸢kikkumeː⸣ misamunu] (巻き込む時は全員巻き込めばいいのに)。 マ⸢キックミ [ma⸢kikkumi] (巻き込め) 15919 0 0 15784 htmvoc_15919.wav マキッツァースン マ⸢キッツァー⸣スン [ma⸢kitʦaː⸣suŋ] 他動 撒き散らす。ばらまく。ばら蒔きにする。マ⸢キッツァーラ⸣スン[ma⸢kitʦaːra⸣suŋ](撒き散らす{EOS}ばらまく{EOS}ばら蒔きにする)ともいう。 ⸢ワー ムン⸣ヌ ⸣タニ マ⸢キッツァー⸣スンティ ⸢ベー⸣ヌ ⸣アイニ マ⸢キッツァーサン⸣ドーシ シ⸢ジ⸣バ ス⸢ク⸣リティ ⸣マキバ [⸢waː mun⸣nu ⸣tani ma⸢kitʦaː⸣sunti ⸢beː⸣nu ⸣ʔaini ma⸢kitʦaːsan⸣doːʃi ʃi⸢ʤi⸣ba su̥⸢ku⸣riti ⸣makiba] (君は麦の種を撒き散らそう<ばら蒔きにしよう>としているが、あんなに撒き散らさないで筋をを作って播きなさいよ)。 マ⸢キッツァー⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢kitʦa⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (撒き散らしてしまった)。 マ⸢キッツァー⸣ス ⸢ムン⸣マー ⸢ノーラ⸣ヌ [ma⸢kitʦaː⸣su ⸢mum⸣maː ⸢noːra⸣nu] (ばら蒔きにする麦は稔らない)。 マ⸢キッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ma⸢kitʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (撒き散らせばいいのに)。 ムー⸢ル⸣ マ⸢キッツァー⸣シ [muː⸢ru⸣ ma⸢kitʦaː⸣ʃi] (全部撒き散らせ) 15917 0 0 15785 htmvoc_15917.wav マキヌヨイ マ⸢キヌ⸣ ヨイ [ma⸢kinu⸣ joi] 連 牛牧の祝い。牧場の祝い。毎年旧暦の9月の干支のウ⸢シニー[ʔu⸢ʃiniː](丑の日)にフ⸢ク⸣ヌマキ[ɸu̥⸢ku⸣numaki](西表島伊武田地区の福の牧)のウ⸢シヌ⸣ウガン[ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ](牛の御嶽)で行われた。子牛の耳を切って⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](各家の目印)を付け、牛の繁昌祈願が行われた。その際、二人一組で対座して⸢ペンシキビリ[⸢peŋʃikibiri](正座{EOS}跪いて座ること)し、ミ⸢キバタ⸣シ[mi⸢kibata⸣ʃi](神酒を入れる容器)を持ち上げ、歌の調子に合わせて右上、左上へと交互に持ち上げた。歌い終わって次の組みに手渡す際は、次の詞章を交わした。A(ミキバタシを手渡す側):マ⸢ムレー⸣ マ⸢ムレー⸣ ッサリー ⸢キュー⸣ヌピー ク⸢ガニピー⸣ナ タ⸢ボーラリ⸣タル ⸢ウーミサ⸣クドゥ ⸢マーム⸣レー⸢ユー⸣ ッサリー シ⸢ギシューヤ タッ⸣テヌ ⸢ウンナーマ⸣ドゥ シ⸢ギシューユー⸣ ッサリー イ⸢メーヌ カー⸣ジ(マムレーマムレー<神の加護だ、神の加護だ>、申し上げます{EOS}今日の佳日、黄金の日に賜ったお神酒が神の御守護の印と申します{EOS}次の主は、どこそこの家のお方が次主でございます{EOS}サリー{EOS}さあお参りなさいませ)。B(受け取る側):⸢ウー⸣タリ(畏まりました)といって受け取る。 ミ⸢キバタ⸣シはヤ⸢ラブ [ja⸢rabu] (てりはぼく)の幹を刳り貫いて中腹がへこんだ形に作られ、とって<把手>も付いていた(加治工伊佐氏談) 15921 0 0 15786 htmvoc_15921.wav マキブドゥル マ⸢キブドゥル [ma⸢kibuduru] 名 巻き踊り。円陣を巻いて踊る踊り。豊年祭の⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船)やシ⸢ナ⸣ピキ[ʃi⸢na⸣pi̥ki](綱引き)の際に踊られる。 ⸢プール⸣ヌ シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣ピンマー マ⸢キブドゥルン シーソーッ⸣タ⸢ナー [⸢puːru⸣nu ʃi⸢napiki⸣nu ⸣pimmaː ma⸢kibuduruŋ ʃiː soːt⸣ta⸢naː] (豊年祭の綱引きの時には巻き踊もなさったよねえ) 15922 0 0 15787 htmvoc_15922.wav マギフニ マ⸢ギ⸣フニ [ma⸢gi⸣ɸuni] 名 帆船のジグザグ航法(帆走方)。「曲げ船」の転訛したもの。⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː](片帆)の⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)を風上の方へ約45度斜めに一定距離走行して後、反転して反対方向の斜め風上へ走行することを繰り返しながら風上の目的地へ辿りつく航法。 ニ⸢シカジヌ⸣ フク ⸣ピン ⸢パイター⸣ラ パ⸢トゥ⸣マー ⸣パル ⸣ピンマー マ⸢ギ⸣フニ ⸢シェー⸣ティル ⸢オーッ⸣タ [ni⸢ʃikaʤinu⸣ ɸu̥ku ⸣pim ⸢paitaː⸣ra pḁ⸢tu⸣maː ⸣paru ⸣pimmaː ma⸢gi⸣ɸuni ⸢ʃeː⸣tiru ⸢ʔoːt⸣ta] (北風が吹く日には、南端<西表島>から鳩間へ行く時には、曲げ船<ジグザグ帆走>をしながら行かれたものだ) 15923 0 0 15788 htmvoc_15923.wav マギプニ マ⸢ギプニ [ma⸢gipuni] 名 たこ(凧)の頭部の幅広の竹骨。此れを強い糸で曲げたわめて張り、油紙を貼り付けて鳴らした。「曲げ骨」の義。ブーブーと鳴るので、普通は⸣ブーブーブニ[⸣buːbuːbuni](ブーブー唸り骨)という。 マ⸢ギプニヌ ヨー⸣カー ⸣ブーボー ⸢ナーラヌ [ma⸢gipuninu joː⸣kaː ⸣buːboː ⸢naːranu] (凧の曲げ骨が弱いとブーブは鳴らないよ) 15924 0 0 15789 htmvoc_15924.wav マキポールン マ⸢キポー⸣ルン [ma⸢kipoː⸣ruŋ] 他動 撒き散らす。あたり一面にばら撒いて散らす。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢タビ⸣ムヌ マ⸢キポールン⸣ドゥ ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ユー ナ⸢ラーサ⸣リ ⸢ブンダ⸣ マ⸢キポーラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː mu⸢tabi⸣munu ma⸢kipoːrun⸣du ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ juː na⸢raːsa⸣ri ⸢bunda⸣ ma⸢kipoːra⸣nu] (子供は玩具を撒き散らすが、この子はよく躾けられているので撒き散らかさない)。 マ⸢キポー⸣リ ⸣ミサン [ma⸢kipoː⸣ri ⸣misaŋ] (撒き散らしてもよい)。 マ⸢キポー⸣ル ⸣クトー ス⸢ナ⸣ヨー [ma⸢kipoː⸣ru ⸣ku̥toː su⸢na⸣joː] (撒き散らすことはするなよ)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢キポー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢kipoː⸣reː ⸣misamunu] (もっと撒き散らせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢キポー⸣リ [⸢paː⸣ku ma⸢kipoː⸣ri] (早く撒き散らせ) 15925 0 0 15790 htmvoc_15925.wav マギムヌ マ⸢ギ⸣ムヌ [ma⸢gi⸣munu] 名 まげもの。杉やひのき<檜>などの薄い板を円形に曲げ、合わせ目を桜の皮などで綴じて作った容器。標準語から転訛したもの。 マ⸢ギ⸣ムノー イ⸢サナケーラル ペー⸣リ ⸢クー⸣タ [ma⸢gi⸣munoː ʔi⸢sanakeːraru peː⸣ri ⸢kuː⸣ta] (曲げものは石垣島から入ってきた) 15926 0 0 15791 htmvoc_15926.wav マギリ マ⸢ギ⸣リ [ma⸢gi⸣ri] 名 間切り。琉球国時代の行政区画。八重山全体が石垣間切り、大浜間切り、宮良間切りの三間切りに区画されていた。間切りの長が⸣カサ[⸣kḁsa](カ⸢シ⸣ラ{SqBr}kḁ⸢ʃi⸣ra{/SqBr}<頭>の転訛)である。鳩間島は宮良間切りに所属していた。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢メーラマギリナー⸣ル ⸢ペー⸣リ ブ⸢タ⸠ダー [pḁ⸢tu⸣maː ⸢meːramagirinaː⸣ru ⸢peː⸣ri bu⸢ta⸠daː] (鳩間島は宮良間切りに入っていたんだよ) 15927 0 0 15792 htmvoc_15927.wav マキルン マ⸢キルン [ma⸢kiruŋ] 自動 負ける。「負け<下二段>」のラ行四段活用化したもの。「~もころ男に負而者不有跡<マケテハアラジト>~。万、1809」の転訛。 ク⸢ヌ スー⸣ボー イッ⸢カ⸣ マ⸢キラヌ⸣ マ⸢キルンテー⸣ ウ⸢モーラ⸣ヌ [ku⸢nu suː⸣boː ʔik⸢ka⸣ ma⸢kiranu⸣ ma⸢kirunteː⸣ ʔu⸢moːra⸣nu] (この勝負は決して負けない{EOS}負けるとは思われない)。 ⸣メー キサー⸢ティ⸣ マ⸢キ ナー⸣ヌ [⸣meː ki̥saː⸢ti⸣ ma⸢kinaː⸣nu] (もう既に負けてしまった)。 マ⸢キル⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ プ⸢スムシナー⸣ヤ マ⸢キレー⸣ ミサムヌ [ma⸢kiru⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu pu̥⸢sumuʃinaː⸣ja ma⸢kireː⸣ misamunu] (負けることはないが、一度ぐらいは負ければいいのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢キリ [⸢paː⸣ku ma⸢kiri] (早く負けろ) 15928 0 0 15793 htmvoc_15928.wav マギルン マ⸢ギルン [ma⸢giruŋ] 他動 曲げる。「橈、木曲折也、弱也、加久、又、万久(まく)」『新撰字鏡』の転訛か。「Mague,uru,eta.マゲ、グル、ゲタ(曲げ、ぐる、げた)ゆがめ曲げる、または、たわめる」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ティー⸣ヌ ⸢ウイ⸣ビ マ⸢ギルンティ スンドゥ⸣ マ⸢ギララヌ [⸢tiː⸣nu ⸢ʔui⸣bi ma⸢girunti sundu⸣ ma⸢giraranu] (手の指を曲げようとするが、曲げられない)。 マ⸢ギ⸣ミサカー マ⸢ギル⸣ クトー ⸣ナルン [ma⸢gi⸣misakaː ma⸢giru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (曲げてよければ曲げることはできる)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ギレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢gireː⸣ misamunu] (もっと曲げればいいのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢ギリ [⸢paː⸣ku ma⸢giri] (早く曲げろ) 15929 0 0 15794 htmvoc_15929.wav マキワラ マ⸢キワラ [ma⸢kiwara] 名 杉の皮の繊維を十分に乾燥させて、カツオ船や⸢ティンマ[⸢timma](伝馬船)の接ぎ板の接合部に強く差し込み、水漏れを防ぐのに用いるもの。また、平釘を打つ際に、平釘の頭部に巻きつけて打ち込み、鉄錆による船板の直接の傷みを防ぐのに用いた。 マ⸢キワラバ⸣ ヒ⸢ラクギ⸣シ ⸢アーシ⸣ミーナ ⸣ッシ イ⸢リティ⸣ ム⸢チ ヌール⸣カー ⸣フネー ム⸢リラン⸣シェン [ma⸢kiwaraba⸣ çi⸢rakugi⸣ʃi ⸢ʔaːʃi⸣miːna ⸣ʃʃi ʔi⸢riti⸣ mu⸢ʧi nuːru⸣kaː ⸣ɸuneː mu⸢riraŋ⸣ʃeŋ] (マキワラを平釘で板の接合部分に差し込んで接着剤を塗ると船は漏れなかった) 15930 0 0 15795 htmvoc_15930.wav マク ⸣マク [⸣maku] 名 幕。結願祭の奉納芸の舞台に地謡と舞台の間に張る幕。「幕、万玖(まく)」『和名抄』の転訛。「Maku.マク(幕) 船の中、陣営、演劇(能)などで使う長い幕.Macuuo faru.(幕を張る)」『邦訳日葡辞書』の転訛。 キ⸢チゴンヌ⸣ ブ⸢ドゥロー バンク⸣ヌ ⸣シンタナー ⸣マク パ⸢リティ⸣ ジーシンカー ⸣ウナーティル ⸢サンシンマー⸣ ピ⸢コーッ⸣タ [ki̥⸢ʧigonnu⸣ bu⸢duroː baŋku⸣nu ⸣ʃintanaː ⸣maku pa⸢riti⸣ ʤiːʃiŋkaː ⸣ʔunaːtiru ⸢saŋʃimmaː⸣ pi̥⸢koːt⸣ta] (結願祭の踊りは、バンク<舞台>の後方に幕を引き張って、地謡仲間<臣下>はそこで三線を弾かれた) 15931 0 0 15796 htmvoc_15931.wav マクウチ マ⸢ク⸣ウチ [ma⸢ku⸣ʔuʧi] 名 楽屋裏。「幕内」の義。 ブ⸢ドゥルヌ ドン⸣グ ⸢バシキル⸣カー マ⸢ク⸣ウチェーラ ン⸢ザ⸣シバ [bu⸢durunu doŋ⸣gu ⸢baʃi̥kiru⸣kaː ma⸢ku⸣ʔuʧeːra ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (踊りの小道具を忘れたら幕内から出しなさいよ) 15932 0 0 15797 htmvoc_15932.wav マグクル マ⸢グクル [ma⸢gukuru] 名 真心。真実の心。「Magocoro.マゴコロ(真心) すなわち、Makotono cocoro.(真の心)素直で誠実な心.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 マ⸢グクルヌ⸣サーギ ⸣アルカー ⸣アトゥアトー ヤー⸢ディン⸣ バ⸢カ⸣ロールン(ミ⸢トゥ⸣モールン) [ma⸢gukurunu⸣saːgi ⸣ʔarukaː ⸣ʔatuatoː jaː⸢diŋ⸣ ba⸢ka⸣roːruŋ(mi⸢tu⸣moːruŋ)] (真心がさえあれば、後々きっとお分かりになられる<認められる>よ) 15683 0 0 15798 htmvoc_15683.wav マクトゥ マ⸢クトゥ [ma⸢kutu] 名 真実。本当のこと。正直者。「~眞間の手兒名を麻許登賀聞<マコトカモ>~。万、3384」。「太々志支己止、又、万己止<マコト>也」『新撰字鏡』の転訛したもの。 マ⸢クトゥヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サリリ [ma⸢kutunu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ʔa⸢ʤi⸣ s⸢sariri] (真実のことを申し上げなさい)。 マ⸢クトゥヌ⸣ プ⸢ス [ma⸢kutunu⸣ pu̥⸢su] (正直者)。/マクトゥ キキシミ パトゥマムラ ウイムワカキム ピトゥククル シジク パンジョヌ ナウマサル/(まこと<真実>を聞き積み上げる鳩間村は、老いも若きも一心同体で、続く子孫繁盛が尚一層勝っている)(鳩間口説)『鳩間島古典民謡古謡集』 15934 0 0 15799 htmvoc_15934.wav マクブ マ⸢クブ [ma⸢kubu] 名 (動)魚の名。和名、クサベラ(体長約30センチ)。和名、シロクラベラ(体長約50センチ)の総称。魚肉は白色の淡白な味であるが、刺身にして、その肝を味噌で溶かし、⸢シークヮー⸣サーで和えて食すると美味である。蒲鉾の材料としても重宝された。 マ⸢クボー⸣ ナ⸢マ⸣シ ⸣キシティ ウ⸢ヌ⸣ キ⸢ム⸣バ ⸢ミー⸣スナ カ⸢ケー⸣シティ フ⸢ナブ⸣ヌ ⸣シル ⸣カキティ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢マー⸣ン [ma⸢kuboː⸣ na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥ʃiti ʔu⸢nu⸣ ki⸢mu⸣ba ⸢miː⸣suna kḁ⸢keː⸣ʃiti ɸu⸢nabu⸣nu ⸣ʃiru ⸣kḁkiti f⸢fuː⸣ka ʔm⸢maː⸣ŋ] (マクブは刺身に切って、その肝を味噌に混ぜ合わせて、ミカン<九年母>の汁をかけて食べると美味しい) 15935 0 0 15800 htmvoc_15935.wav マクン マ⸢クン [ma⸢kuŋ] 自動 負ける。「負け<下二段>」のカ行四段活用化したもの。「~もころ男に負而者不有跡<マケテハアラジト>~。万、1809」の転訛。マ⸢キルンとも言う。 ⸢クン⸣ドー イッ⸢カ⸣ マ⸢カヌ [⸢kun⸣doː ʔik⸢ka⸣ ma⸢kanu] (今度は決して負けない)。 マ⸢クンティ⸣ ウムーカー ⸢スー⸣ボー サ⸢ヌ [ma⸢kunti⸣ ʔumuːkaː ⸢suː⸣boː sa⸢nu] (負けると思うなら勝負はしない)。 ⸢クン⸣ドゥン マ⸢キ ナー⸣ヌ [⸢kun⸣dum ma⸢ki naː⸣nu] (今度も負けてしまった)。 ⸣バー マ⸢ク⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣baː ma⸢ku⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (私が負けることは無い)。 プ⸢スケン⸣ナー マ⸢ケー⸣ ミサムヌ [pu̥⸢suken⸣naː ma⸢keː⸣ misamunu] (たまには<一度ぐらいは>負ければいいのに)。 ⸢ワー⸣ マ⸢キ⸣バ [⸢waː⸣ ma⸢ki⸣ba] (君は負けよ) 15936 0 0 15801 htmvoc_15936.wav マクン マ⸢クン [ma⸢kuŋ] 他動 巻く。長いものをくるくる丸める。「玉ならば手にも將巻乎(まかむを)~。万、729」の転訛。「Maqi,u,aita.マキ、ク、イタ(巻き、く、いた)ぐるぐる巻く、または、包みくるむ.」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ⸢クン⸣ナー ⸣イトゥ マ⸢クンティ スンドゥ⸣ マ⸢カラヌ [⸢kun⸣naː ⸣ʔitu ma⸢kunti sundu⸣ ma⸢karanu] (此れに糸を巻こうとするが、巻かれない)。 ⸢クン⸣ナー マ⸢キ⸣ ミサカー マ⸢ク⸣ クトー ⸣ナルン [⸢kun⸣naː ma⸢ki⸣ misakaː ma⸢ku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (これに巻いてよければ巻くことはできる)。 ⸢パー⸣ク マ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ma⸢keː⸣ misamunu] (早く巻けばいいのに)。 パ⸢ヤーパヤー⸣シ マ⸢キ [pa⸢jaːpajaː⸣ʃi ma⸢ki] (早く<早々と>巻け) 15937 0 1 15802 htmvoc_15937.wav マクン ⸣マクン [⸣makuŋ] 他動 {Mn_1}種を蒔く。播種する。「Maqi,u,aita.マキ、く、イタ(蒔き、く、いた)種子をまく」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣マミ ⸣マクン [⸣mami ⸣makuŋ] (豆を蒔く)。 ⸢キュー⸣ヤ マ⸢カ⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja ma⸢ka⸣nu] (今日は蒔かない)。 マ⸢キ⸣ プサン [ma⸢ki⸣ pu̥saŋ] (蒔きたい)。 ⸣マミ ⸣マク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣mami ⸣maku pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (豆を蒔く人はいない)。 ア⸢ガマミ⸣ マケー ⸣ミサムヌ [ʔa⸢gamami⸣ makeː ⸣misamunu] (小豆を蒔けばいいのに)。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣ケン ⸢パー⸣ク ⸣タニ ⸣マキ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːŋ⸣kem ⸢paː⸣ku ⸣tani ⸣maki] (雨が降らないうちに早く種子を蒔け)。 15937 0 2 15803 htmvoc_15937.wav マクン ⸣マクン [⸣makuŋ] 他動 {Mn_2}撒く。散水する。 フ⸢クイヌ⸣ タトゥンダ ミ⸢ナ⸣カナー ミ⸢ジ⸣ マキ [ɸu̥⸢kuinu⸣ tḁtunda mi⸢na⸣kanaː mi⸢ʤi⸣ maki] (埃がたつから庭に水を撒け) 15938 0 0 15804 htmvoc_15938.wav マグン マ⸢グン [ma⸢guŋ] 他動 曲げる。湾曲させる。「橈、木曲折也、弱也、加久、又、万久(まぐ)」『新撰字鏡』の転訛したもの。「まぐ<下二段>」のガ行四段活用化したもの。 ⸢ウイ⸣ビ<ウ⸢ヤ⸣ビ> マ⸢グン [⸢ʔui⸣bi<ʔu⸢ja⸣bi> ma⸢guŋ] (指を曲げる)。 ⸢ティー⸣ヤ マ⸢ギ⸣ティ ア⸢ゾール⸣ヌ マ⸢ギ⸣ プサー ⸢ナー(ン)⸣ユンダ イッ⸢カ⸣ マ⸢ガヌ [⸢tiː⸣ja ma⸢gi⸣ti ʔa⸢ʣoːru⸣nu ma⸢gi⸣pu̥saː ⸢naː<ŋ>⸣junda ʔik⸢ka⸣ ma⸢ganu] (指を曲げろと言われるが、曲げたくないので、一向に曲げない)。 マ⸢グ⸣ プ⸢ソー⸣ マ⸢ゲー⸣ ミサムヌ [ma⸢gu⸣pu̥⸢soː⸣ ma⸢geː⸣ misamunu] (曲げる人は曲げればいいのに)。 ク⸢ヌ シン⸣ダー マ⸢ギ⸣バ [ku⸢nu ʃin⸣daː ma⸢gi⸣ba] (この針金は曲げよ) 15939 0 0 15805 htmvoc_15939.wav マコヤ ⸣マコヤ [⸣makoja] 名 (動)ヤシガニ。 カ⸢ツシンヌ⸣ ジ⸢ブンマー⸣ カ⸢ツヌ ピーマーバ⸣ ア⸢ダンブラ⸣ヌ ⸣ニーナ フ⸢バリ⸣ シキティ ウ⸢リ⸣シル ⸣マコヤー トゥ⸢ルタ⸣ル [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʤi⸢bummaː⸣ kḁ⸢ʦunu piːmaːba⸣ ʔa⸢dambura⸣nu ⸣niːna ɸu⸢bari⸣ ʃi̥kiti ʔu⸢riʃi⸣ru ⸣makojaː tu⸢ruta⸣ru] (カツオ漁船の時期には、カツオのえら<鰓>をアダンの根っこに\ruby{括}{クク}っておいて、それでヤシガニを獲ったものだ)。 ⸣マコヤー ⸢ネーシティ⸣ ア⸢ガマン⸣カー ⸢ビー⸣ルン [⸣makojaː ⸢neːʃi̥ti⸣ ʔa⸢gamaŋ⸣kaː ⸢biː⸣ruŋ] (ヤシガニは煮て赤くならないと食中毒を起こす<酔う>) 15940 0 1 15806 htmvoc_15940.wav マサーカサーナーヌ ⸣マサーカサー ⸢ナー⸣ヌ [⸣masaːkasaː ⸢naː⸣nu] 連 {Mn_1}不元気である。体調不良である。 ⸣マサーカサー ⸢ナー⸣ムティ ナー⸢イ⸣ ナ⸢マ⸣ジリ シ⸢グトゥ シー アー⸣キティル ⸢ヤン⸣バ ⸢フッカイシミ⸣ シケーバン [⸣masaːkasaː ⸢naː⸣muti naː⸢ji⸣ na⸢ma⸣ʤiri ʃi⸢gutu ʃiː ʔaː⸣kitiru ⸢jam⸣ba ⸢ɸukkaiʃimi⸣ ʃi̥keːbaŋ] (不元気<体調不良>だのに、養生しないで生半可に、のらりくらりと仕事をして病気を再発<吹き返し>させてしまっているよ)。 15940 0 2 15807 htmvoc_15940.wav マサーカサーナーヌ ⸣マサーカサー ⸢ナー⸣ヌ [⸣masaːkasaː ⸢naː⸣nu] 連 {Mn_2}差障りのある、意味不明瞭な話。すっきりしない話。 ⸣マサーカサ ⸢ーナーン⸣ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ アーク⸣ヌ プ⸢スン⸣ シゥ⸢カリ⸣カー ⸢デー⸣ジ⸢ダー [⸣masaːkasaː ⸢naːm⸣ mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaːku⸣nu pu̥⸢sun⸣ sï̥⸢kari⸣kaː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (差障りのある、問題含みの意味不明瞭な話をしているが、他人に聞かれたら大変だぞ) 15941 0 0 15808 htmvoc_15941.wav マザーシイー マ⸢ザーシ⸣イー [ma⸢ʣaːʃi⸣ʔiː] 名 米と芋を混ぜて炊いたご飯。「混ぜご飯」の義。日常は⸢ウンヌダー⸣キ[⸢ʔunnudaː⸣ki](芋だけを煮て潰し捏ねたご飯)を食したが、時々は⸢マイヌ⸣イー[⸢mainu⸣ʔiː](米飯)を食した。冬期から若夏の稲刈りまでは米の蓄えが少なくなり、マ⸢ザーシ⸣イー[ma⸢ʣaaːʃi⸣ʔiː](米と芋の混ぜご飯)がご馳走になった。 ⸢クーフキウン⸣マー ⸢マイヌシジ⸣トゥ トゥ⸢ヤーサ⸣リティ ン⸢マー⸣タン [⸢kuːɸu̥kiʔum⸣maː ⸢mainuʃiʤi⸣tu tu⸢jaːsa⸣riti ʔm⸢maː⸣taŋ] (粉ふき芋<澱粉の多い芋>は米の粒に溶け合って美味しかった)。 ⸢ミーマイヌ ペー⸣ルンケンマー マ⸢ザーシイー⸣ル ン⸢マー⸣ムヌ ⸢ヤッタル [⸢miːmainu peː⸣ruŋkemmaː ma⸢ʣaːʃiʔiː⸣ru ʔm⸢maː⸣munu ⸢jattaru] (新米が入るまでは混ぜご飯がご馳走<美味しいもの>だったよ) 15942 0 0 15809 htmvoc_15942.wav マザーシカザーシ マ⸢ザー⸣シカザーシ [ma⸢ʣaː⸣ʃikaʣaːʃi] 副 まぜこぜに。ごちゃまぜに。ごたまぜに。ABCDEBCD型の重言。 ⸣ヌーラ ⸣クイラ マ⸢ザー⸣シカザーシ ッ⸢ふァイティル⸣ バタ ヤ⸢ブ⸣リ ⸣シケー [⸣nuːra ⸣kuira ma⸢ʣaː⸣ʃikaʣaːʃi f⸢faitiru⸣ bata ja⸢bu⸣ri ⸣ʃi̥keː] (何やらかにやら、いろいろとごちゃ混ぜに食べて<ぞ>お腹を壊してあるのだ)。 マ⸢ザー⸣シカザーシ ⸣ムニ ⸣ユムカー ワ⸢カラン⸣バ ⸢ピーチピーチ⸣ナー ⸣バキティ パ⸢ナ⸣シバ [ma⸢ʣaː⸣ʃikaʣaːʃi ⸣muni ⸣jumukaː wa⸢karam⸣ba ⸢piːʧipiːʧi⸣naː ⸣bakiti pa⸢na⸣ʃiba] (いろいろな事をごちゃ混ぜにして文句を言うと、分からないから、一つ一つずつに分けて話しなさいよ) 15943 0 0 15810 htmvoc_15943.wav マザースン マ⸢ザー⸣スン [ma⸢ʣaː⸣suŋ] 他動 混ぜる。混ぜ合わせる。 サ⸢ク⸣マイナー ム⸢チマイ⸣ マ⸢ザー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ザーサン⸣バル ン⸢マー⸣カヤー [sḁ⸢ku⸣mainaː mu⸢ʧimai⸣ ma⸢ʣaː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢ʣaːsam⸣baru ʔm⸢maː⸣kajaː] (粳米に糯米を混ぜようと思うが、混ぜない方が美味しいのかねえ)。 マ⸢ザー⸣シ ⸣ミサカー マ⸢ザー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ma⸢ʣaː⸣ʃi ⸣misakaː ma⸢ʣaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (混ぜてよければ、混ぜることはできる)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ザー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢ʣaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと混ぜればいいのに)。 ⸣ドゥーシ マ⸢ザー⸣シ [⸣duːʃi ma⸢ʣaː⸣ʃi] (自分で混ぜろ) 15944 0 0 15811 htmvoc_15944.wav マサーマサ マ⸢サーマサ [ma⸢saːmasa] 副 正しく。本当に。 ⸣キノー ⸢ブシ⸣トゥイ ⸢バー⸣ケー ⸣ミサナリ ⸢アーク⸣タ⸣ムヌ マ⸢サーマサ⸣ シ⸢ニ ナーン⸣ティバン⸢ナー [⸣kinoː ⸢buʃi̥⸣tui ⸢baː⸣keː ⸣misanari ⸢ʔaːku⸣ta ⸣munu ma⸢saːmasa⸣ ʃi⸢ni naːn⸣tiban⸢naː] (昨日、おとといまでは元気でいたのに、本当に死んでしまったんだってねえ) 15945 0 0 15812 htmvoc_15945.wav マザーリカザーリ ⸣マザーリカザーリ [⸣maʣaːrikaʣaːri] 副 入り混じって。ごた混ぜになって。ABCDEBCD型の重言。 ミ⸢ドゥ⸣ムビキドゥム ⸣マザーリカザーリ ⸢シェー⸣ティ ブ⸢ドゥル シーベー [mi⸢du⸣mu ⸣bikidumu ⸣maʣaːrikaʣaːri ⸢ʃeː⸣ti bu⸢duru ʃiːbeː] (女も男も入り混じって踊をしている) 15946 0 0 15813 htmvoc_15946.wav マザールン マ⸢ザー⸣ルン [ma⸢ʣaː⸣ruŋ] 自動 混じる。混ざる。交わる。交際する。 ⸣アバー ミ⸢ジ⸣ナー マ⸢ザーラ⸣ヌ [⸣ʔabaː mi⸢ʤi⸣naː ma⸢ʣaːra⸣nu] (脂は水に混じらない)。 ユ⸢ヌ⸣シリンケートゥ マ⸢ザー⸣リ ア⸢サブンティ スンドゥ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ キ⸢ツァー⸣ローレーティ マ⸢ザーララン⸣シェン [ju⸢nu⸣ʃiriŋkeːtu ma⸢ʣaː⸣ri ʔa⸢sabunti sundu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ki̥⸢ʦaː⸣roːreːti ma⸢ʣaːraraŋ⸣ʃeŋ] (同級生たちと混じって遊ぼうとするが、親が厳しくあられたので混じられなかった)。 ムー⸢ルトゥン⸣ マ⸢ザー⸣リ ⸣ミサカー マ⸢ザー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [muː⸢rutum⸣ ma⸢ʣaː⸣ri ⸣misakaː ma⸢ʣaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (皆とも交わってよければ、交わることはできる)。 マ⸢ザー⸣レー ⸣ミサムヌ [ma⸢ʣaː⸣reː misamunu] (交わればいいのに)。 ドゥ⸢シトゥン⸣ マ⸢ザー⸣リバ [du⸢ʃitum⸣ ma⸢ʣaː⸣riba] (友人とも交われよ) 15947 0 0 15814 htmvoc_15947.wav マサーン マ⸢サー⸣ン [ma⸢saː⸣ŋ] 形 占いや巫女のお告げがよく当たる。予兆、予言などがそのまま実現する。「まさし(正し)」の義。「大船の津守の占にのらむとは益爲尓<マサシニ>知而~。万、109」の転訛したものか。 ウ⸢ヌ⸣ ユ⸢タヌ⸣ ウ⸢ク⸣ス ⸢キーヤ⸣ マ⸢サーン⸣ティ ス⸢クタヌ クンドゥ⸣ヌ ユ⸢ター⸣ マ⸢サー ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ju⸢tanu⸣ ʔu⸢ku⸣su ⸢kiːja⸣ ma⸢saːn⸣ti su̥⸢kutanu kundu⸣nu ju⸢taː⸣ ma⸢saː naː⸣nu] (あのユタ<巫女>の占うけ<卦>は正しいと聞いたが、今度のユタは正しくない)。 ユ⸢タヌ⸣ ムネー ⸢シンダイ⸣ マ⸢サー⸣ ナリ ⸣ケーン [ju⸢tanu⸣ muneː ⸢ʃindai⸣ ma⸢saː⸣ nari ⸣keːŋ] (ユタの話は次第に正しくなってきた)。 ⸣アイニ マ⸢サー⸣ル ユ⸢ター⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ma⸢saː⸣ru ju⸢taː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに正しい<よく当たる>ユタはいない) 15949 0 0 15815 htmvoc_15949.wav マサル マ⸢サル [ma⸢saru] 連体 良い。優る。優れた。それ以上の。「優る」の連体詞用法。「~麻佐礼留<マサレル>寶~。万、803」の転訛したもの。 ウ⸢リ⸣ マ⸢サルヌ⸣ ユ⸢ル⸣クベー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ri⸣ ma⸢sarunu⸣ ju⸢ru⸣kubeː ⸢naː⸣nu] (それ以上の<それに優る>喜びはない)。 マ⸢サル ハン⸣ジョー ウ⸢キ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [ma⸢saru han⸣ʤoː ʔu⸢ki⸣simi ta⸢boː⸣ri] (優る繁盛を受けさせてください) 15948 0 0 15816 htmvoc_15948.wav マサルン マ⸢サルン [ma⸢saruŋ] 自動 勝る。優れる。「~麻佐礼留多可良<まされる寶>~。万、803」の義。 プ⸢ソー⸣ラ マサ⸢ルンティ⸣ ウ⸢モーン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー [pu̥⸢soː⸣ra ma⸢sarunti⸣ʔumoːŋ⸣kaː na⸢ra⸣n⸠daː] (他人よりも勝ると思わなければ出来ない)。 ⸢ワール⸣ マ⸢サリブー [⸢waːru⸣ ma⸢sari buː] (君が勝っている)。 ク⸢リ⸣ マ⸢サルヌ⸣ ユ⸢ル⸣クビテー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢ri⸣ ma⸢sarunu⸣ ju⸢ru⸣kubiteː ⸢naː⸣nu] (此れに勝る喜びはない) 15950 1 0 15817 htmvoc_15950.wav マシ ⸣マシ [⸣maʃi] 名 {PoS_1}田圃の一区画。水田の一枚。「升、麻須(ます)、十合器也」『和名抄』の転訛したものか。 ウ⸢ブ⸣マシ [ʔu⸢bu⸣maʃi] (大きな水田{EOS}「大升」の義か)。 マ⸢シェー⸣マ [ma⸢ʃeː⸣ma] (小さな水田{EOS}「小升」の義か)。⸢ター⸣マシ[⸢taː⸣maʃi](水田の一枚{EOS}水田)ともいう。 ⸢ターマシ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー ⸢ヤー⸣ヤ ウ⸢ヤ⸣キヤー [⸢taːmaʃi⸣nu ⸢goː⸣raː ⸢jaː⸣ja ʔu⸢ja⸣kijaː] (水田の多い家は金持ちの家だ)。 15950 2 0 15818 htmvoc_15950.wav マシ ⸣マシ [⸣maʃi] 助数 {PoS_2}水田を数える単位。 ⸣ター プ⸢スマ⸣シ [⸣taː pu̥⸢suma⸣ʃi] (水田一枚)。 フ⸢タマシ [ɸu̥⸢tamaʃi] (水田二枚)。 ⸢ミーマシ [⸢miːmaʃi] (水田三枚)。 ⸢ユーマシ [⸢juːmaʃi] (水田四枚)。 イ⸢チ⸣マシ [ʔi⸢ʧi⸣maʃi] (水田五枚)。 ⸢ムーマシ [⸢muːmaʃi] (水田六枚)。 ナ⸢ナ⸣マシ [na⸢na⸣maʃi] (水田七枚)。 ⸢ヤーマシ [⸢jaːmaʃi] (水田八枚)。 ク⸢ヌ⸣マシ [ku⸢nu⸣maʃi] (水田九枚)。 ⸢トゥーマシ [⸢tuːmaʃi] (水田十枚) 15951 0 0 15819 htmvoc_15951.wav マシ マ⸢シ [ma⸢ʃi] 形動 他より勝っている<良い>。増しである。「Maxi,su,aita.マシ、ス、イタ(増し、す、いた)越えしのぐ、また、まさる、~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。/インダ フクパマ シザバナリ フノーラカラヌ マシヌジー(伊武田、福浜、下離は船浦よりも良い土地<増しの地>だ)/(鳩間中岡)『鳩間島古典民謡古謡集』。 ⸢キン⸣マー ⸢ヌー⸣ル マ⸢シ⸣カヤー [⸢kim⸣maː ⸢nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣kajaː] (着物は何が良いかねえ)。 ⸢ワー⸣ マ⸢シェー⸣ ムノーラ イ⸢ラ⸣ビバ [⸢waː⸣ ma⸢ʃeː⸣ munoːra ʔi⸢ra⸣biba] (君が良いものから選びなさいよ)。 ⸢ワー⸣ マ⸢シェー⸣ル ⸣ムノーラ イ⸢ラ⸣ビバ [⸢waː⸣ ma⸢ʃeː⸣ru ⸣munoːra ʔi⸢ra⸣biba] (君がより良い物から選びなさい)。 ⸣バー ク⸢リル⸣ マ⸢シヤッタ [⸣baː ku⸢riru⸣ ma⸢ʃijatta] (私はこれが良かっ<増しだった>た) 15952 0 0 15820 htmvoc_15952.wav マジ ⸣マジ [⸣maʤi] 副 まず(先ず)。最初に。真先に。第一に。「~春立たば 末豆和我夜度尓<マヅわがやどに>~。万、4490」の転訛したもの。 プ⸢スン⸣ シ⸢ミル⸣ マイナー ⸣マジ ⸣ドゥーシ ⸢シー⸣ ミ⸢シリバ⸣ル プ⸢スン スー [pu̥⸢suŋ⸣ ʃi⸢miru⸣ mainaː ⸣maʤi ⸣duːʃi ⸢ʃiː⸣ mi⸢ʃiriba⸣ru pu̥⸢sun suː] (他人にさせる前に、先ず自分でして見せればこそ<ぞ>他人もするものだ)。 ⸣マジ ⸣バー シ⸢ダキ⸣ ウタ イ⸢ザバ⸣ ワ⸢ターン⸣ イ⸢ジ⸣ヨー [⸣maʤi ⸣baː ʃi⸢daki⸣ ʔuta ʔi⸢ʣaba⸣ wa⸢taːŋ⸣ ʔi⸢ʤi⸣joː] (先ず私が先に歌を歌うから、君たちも歌いなさいよ) 15953 0 0 15821 htmvoc_15953.wav マジェー ⸣マジェー [⸣maʤeː] 副 先ずは。はじめに。とにかく。⸣マジ[⸣maʤi](最初に{EOS}真っ先に)に取立ての係助詞⸣ヤ[⸣ja](は)が下接して、[maji] + [ja] → [maʤe] と変化したもの。 ⸣マジェー ⸢ヌー⸣シ サ⸢バル⸣ マ⸢シ⸣ユー パ⸢ナ⸣シ ⸣ミリバ [⸣maʤeː ⸢nuː⸣ʃi sa⸢baru⸣ ma⸢ʃi⸣juː pa⸢na⸣ʃi ⸣miriba] (先ずは如何すればよいか、話してみなさいよ) 15954 0 0 15822 htmvoc_15954.wav マシカク マ⸢シカク [ma⸢ʃikaku] 名 真四角。正方形。⸢マッカク[⸢makkaku](真四角)ともいう。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢コー⸣ マ⸢シカクヌ⸣ナー [⸢wat⸣tenu ⸢jaː⸣nu kḁ⸢koː⸣ ma⸢ʃikakunu⸣naː] (君の家の屋敷は真四角だねえ) 15956 0 0 15823 htmvoc_15956.wav マシビ マ⸢シ⸣ビ [ma⸢ʃi⸣bi] 名 船の真後ろから吹く風。「ましり<真尻>吹く風」の義。「まとも(真艫)から吹く風」のこと。 マ⸢シ⸣ビカジェー ⸢カイ⸣テー ⸣フニ ム⸢ティグリ⸣サン⸢ダー [ma⸢ʃi⸣bikaʤeː ⸢kai⸣teː ⸣ɸuni mu⸢tiguri⸣san⸢daː] (船の真後ろから吹く風では、かえって船は操船しにくい<持ちにくい>よ) 15957 0 0 15824 htmvoc_15957.wav マジマジ ⸣マジマジ [⸣maʤimaʤi] 副 先ずは。とにかく。何はともあれ。「先ず先ず」の義。 ⸣マジマジ ノー⸢ン ヤラバン⸣ タ⸢ミ⸣シ ミリ⸢ツォー⸣ イッ⸢ケナ⸣ キ⸢シ⸣ルン⸢ダー [⸣maʤimaʤi noː⸢ɲ jarabam⸣ ta⸢mi⸣ʃi miri⸢ʦoː⸣ ʔik⸢kena⸣ ki̥⸢ʃi⸣run⸢daː] (先ずは<とにかく>試してごらんってば、非常によく切れるんだよ) 15958 0 0 15825 htmvoc_15958.wav マジミ マ⸢ジ⸣ミ [ma⸢ʤi⸣mi] 名 いなむら(稲叢)。高く積み重ねてあるもの。マ⸢ジン[ma⸢ʤiŋ](真積み)ともいう。マ⸢ジ⸣ムン[ma⸢ʤi⸣muŋ](高く積み上げる)の連用形から転成した名詞。 ⸢マイヤー⸣ カ⸢リティ⸣ イ⸢ニマジ⸣ミ ⸢シー⸣ シケー [⸢maijaː⸣ ka⸢riti⸣ ʔi⸢nimaʤi⸣mi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (稲は刈り取って稲積してある)。 タ⸢ム⸣ヌタバルヌ プ⸢スマジ⸣メー プ⸢ス⸣ヤマティル ア⸢ゾーッ⸣タ [ta⸢mu⸣nutabarunu pu̥⸢sumaʤi⸣meː pu̥⸢su⸣jamatiru ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (薪束を積み上げたもの、高さ三尺に長さ一間の一つの塊をプ⸢ス⸣ヤマ{SqBr}pu̥⸢su⸣jama{/SqBr}<一山>といわれた) 15959 0 0 15826 htmvoc_15959.wav マジミルン マ⸢ジミ⸣ルン [ma⸢ʣimi⸣ruŋ] 他動 物をうず高く積み上げる。積み重ねる。マ⸢ジ⸣ムン[ma⸢ʤi⸣muŋ](積み重ねる)ともいう。 マ⸢ジミ⸣ルンティ ⸣ウムーカー マ⸢ジマ⸣リン [ma⸢ʤimi⸣runti ⸣ʔumuːkaː ma⸢ʤima⸣riŋ] (うず高く積み上げようと思えば高く積み上げられる)。 マ⸢ジ⸣ミ ⸣ミサカー マ⸢ジ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ma⸢ʤi⸣mi ⸣misakaː ma⸢ʤi⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (積み上げて良ければ積み上げることはできる)。 ⸣ウナー マ⸢ジミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʔunaː ma⸢ʤimi⸣reː ⸣misamunu] (そこに積み上げれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢ジミ⸣リ [⸢paː⸣ku ma⸢ʤimi⸣ri] (早く積み上げろ) 15960 0 1 15827 htmvoc_15960.wav マジムヌ マ⸢ジムヌ [ma⸢ʤimunu] 名 {Mn_1}化け物。魔物。幽霊。妖怪。「まじもの(蠱物)」の義。「蠱、万自物(まじもの)」『新撰字鏡』の転訛したもの。ヤ⸢ナ⸣ムヌ[ja⸢na⸣munu](悪魔{EOS}魔物)ともいう。 ク⸢マン⸣マーラー ⸢ユー⸣ロー ム⸢カ⸣シェーラ ⸣ユー マ⸢ジムヌヌ⸣ タトゥンティ ⸢スンダ⸣ ヌ⸢キムヌ⸣ヌ ⸣サン ⸣ムティティ パリ⸢ヨー [ku⸢mam⸣maːraː ⸢juː⸣roː mu⸢ka⸣ʃeːra ⸣juː ma⸢ʤimununu⸣ tḁtunti ⸢sunda⸣ nu⸢kimunu⸣nu ⸣sam ⸣mutiti pari⸢joː] (ここの辺りは、夜は昔からよく化け物が立つというから、魔除けの護符であるサン<一種の藁の標{EOS}藁しべを丸く輪を残して結んだもの>を持って行きなさいね)。 15960 0 2 15828 htmvoc_15960.wav マジムヌ マ⸢ジムヌ [ma⸢ʤimunu] 名 {Mn_2}相手を軽く罵倒する際にいう。「馬鹿者」程度の義。 マ⸢ジムノー⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢バーシ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ma⸢ʤimunoː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢baːʃi⸣ nuːja ʔu⸢reː] (馬鹿たれ<マジモノ>は、人を驚かせて何だね、それは) 15961 0 0 15829 htmvoc_15961.wav マジムヌヌタク マ⸢ジムヌヌ⸣ タク [ma⸢ʤimununu⸣ tḁku] 連 (動)ヒトデ。「化け物の蛸」の義。海中で五本の手を広げて珊瑚礁や砂地に這っているのが異形の蛸を思わせることから命名されたもの。 ス⸢ナカ⸣ナー マ⸢ジムヌ⸣ヌ タクン ブ⸢タン [su⸢naka⸣naː ma⸢ʤimununu⸣ tḁkuːm bu⸢taŋ] (海の中にはヒトデもいたよ) 15962 0 0 15830 htmvoc_15962.wav マジムン マ⸢ジ⸣ムン [ma⸢ʤi⸣muŋ] 他動 山のように積む。積み重ねる。積み込む。「Maʦume,uru,eta.マツメ、ムル、めた(集め、むる、めた)散らばったもの、あるいは、雑然としたものを集める」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢マイダーラー⸣ フニナー マ⸢ジ⸣ムンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ムー⸢ロー⸣ マ⸢ジマラヌ [⸢maidaːraː⸣ ɸuninaː ma⸢ʤi⸣munti ⸢beː⸣ndu muː⸢roː⸣ ma⸢ʤimara⸣nu] (米俵をサバニに積み込もうとするが、全部は積み込めない)。 ⸣イダフニナー マ⸢ジ⸣ミ ⸣ミサカー ムー⸢ル⸣ マ⸢ジ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [⸣ʔidaɸuninaː ma⸢ʤi⸣mi ⸣misakaː muː⸢ru⸣ ma⸢ʤi⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (板舟<サバニ>に積み込んでよければ、全部積み込むことはできる)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ジ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢ʤi⸣meː ⸣misamunu] (もっと積み重ねればいいのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢ジ⸣ミバ [⸢paː⸣ku ma⸢ʤi⸣miba] (早く積み重ねよ)。/パトゥマパイバタ カユフニヌ カギリカギラン クルリクル イニヤマシンジ クギバタシ(鳩間島、南端<西表島>を通う舟がひっきりなしに漕いで往き来する、稲を山積み<真積み>にして漕ぎ渡している)/(鳩間口説き)『鳩間島古典民謡古謡集』 15963 0 0 15831 htmvoc_15963.wav マタ ⸣マタ [⸣mata] 名 また(股)。「椏、樹岐為椏、木乃万太(きのまた)」『新撰字鏡』。「胯、万太(また)、両股の間也」『和名抄』。 ⸢パン⸣ヌ ⸣マタ [⸢pan⸣nu ⸣mata] (股{EOS}両足の付け根{EOS}「足の股」の義)。 ⸢キー⸣ヌマタ [⸢kiː⸣nu ⸣mata] (木の股)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣マターラ ⸣サキパリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kiː⸣nu ⸣mataːra ⸣sḁkipari ⸢naː⸣nu] (木の股から裂けていってしまった)。 ⸣マタ パ⸢タッカルナ [⸣mata pḁ⸢takkaruna] (股を開くな) 15964 1 0 15832 htmvoc_15964.wav マタ マ⸢タ [ma⸢ta] 接 {PoS_1}また。さらに。その上に。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ パ⸢タラクン⸣ マ⸢タ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトゥン ⸣ウムーン [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ pḁ⸢tarakum⸣ ma⸢ta⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔumuːŋ] (彼は良く働く{EOS}また親の孝行もする<思う>)。 15964 2 0 15833 htmvoc_15964.wav マタ マ⸢タ [ma⸢ta] 副 {PoS_2}再び。「~いやしき吾が身 麻多越知奴倍之<マタをちぬべし>。万、848」の義。 ⸣アメー ヤ⸢ミ ブタンドゥ⸣ マ⸢タ フイ⸣シバン [⸣ʔameː ja⸢mi butandu⸣ ma⸢ta ɸui⸣ʃibaŋ] (雨は止んでいたが、また降るよ)。 ミリ⸢ミー⸣ マ⸢タ⸣ ク⸢ルブン⸣ダー ウ⸢レー [miri⸢miː⸣ ma⸢ta⸣ ku⸢rubun⸣daː ʔu⸢reː] (見てごらんよ、また転ぶよ、彼は) 15965 0 0 15834 htmvoc_15965.wav マダ マ⸢ダ [ma⸢da] 副 まだ。「イマダ(未)」の転化したもの。「Imada.イマダ(未だ)副詞.まだ~ない。書き言葉で末尾に常に否定形を伴う」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣アボー パ⸢タ⸣ケーラ マ⸢ダ オーラ⸣ヌ [⸣ʔaboː pḁ⸢ta⸣keːra ma⸢da ʔoːra⸣nu] (お母さんは畑からまだ帰ってこられない<いらっしゃらない>)。 ⸢イー⸣ヤ マ⸢ダ⸣ ッ⸢ふァーヌ [⸢ʔiː⸣ja ma⸢da⸣ f⸢faːnu] (ご飯はまだ食べていない) 15966 0 0 15835 htmvoc_15966.wav マダーサリン マ⸢ダーサリン [ma⸢daːsariŋ] 自動 惑わされる。化かされる。マ⸢ダースン[ma⸢daːsuŋ](惑わす)の未然形に受身の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が付いて形成された受身動詞。 ⸢ユー⸣ロー ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジ⸣ルカー マ⸢ジムン⸣ マ⸢ダーサリン⸠ダー [⸢juː⸣roː mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ma⸢ʤimum⸣ ma⸢daːsarin⸠daː] (夜道に出ると\ruby{蠱物}{マジ|モノ}に化かされるぞ)。 マ⸢ダーサラヌ [ma⸢daːsaranu] (化かされない)。 マ⸢ダーサリ ナー⸣ヌ [ma⸢daːsari naː⸣nu] (化かされてしまった)。 マ⸢ダーサリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢daːsariru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (化かされることはない)。 マ⸢ダーサレー⸣ ミサムヌ [ma⸢daːsareː⸣ misamunu] (化かされればいいのに)。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ティ マ⸢ダーサリ⸣バ [ʔunaː ⸢beː⸣ti ma⸢daːsari⸣ba] (そこにいて化かされろ) 15967 0 1 15836 htmvoc_15967.wav マダーシムヌ マ⸢ダーシムヌ [ma⸢daːʃimunu] 名 {Mn_1}化け物。まじもの(蠱物)。 マ⸢ダーシムヌン⸣ マ⸢ダーサリ⸣ ム⸢ター⸣リティ ⸣ヤー トゥ⸢ミマー⸣キ ⸢ベー⸣タツォー [ma⸢daːʃimunum⸣ ma⸢daːsari⸣ mu⸢taː⸣riti ⸣jaː tu⸢mimaː⸣ki ⸢beː⸣taʦoː] (化け物に惑わされ<化かされ>引きずりまわされて、家を探しかねていたそうだ)。 15967 0 2 15837 htmvoc_15967.wav マダーシムヌ マ⸢ダーシムヌ [ma⸢daːʃimunu] 名 {Mn_2}⸢人を惑わす者」の義。人を誘惑する者。悪友。 マ⸢ダーシムヌ⸣トゥ トゥ⸢レー⸣シ ⸢アー⸣ケーティ プ⸢リムヌ⸣ ナリ ⸢ベーン⸣ティ [ma⸢daːʃimunu⸣tu tu⸢reː⸣ʃi ⸢ʔaː⸣keːti pu⸢rimunu⸣ nari ⸢beːn⸣ti] (人を誘惑する悪友と連れ立って遊び歩いていて、すっかり馬鹿<ふれもの{EOS}狂れ者>になっているよ) 15968 0 0 15838 htmvoc_15968.wav マダースン マ⸢ダースン [ma⸢daːsuŋ] 他動 惑わす。\ruby{妖怪}{ヨウ|カイ}などが人を惑わす。ばかす(化かす)。 マ⸢ジムノー⸣ プ⸢ス⸣ マ⸢ダースン⸣ティバ マ⸢ダーサラン⸣ ヨーニ ⸣サン ⸣ムティ ⸢アー⸣キ [ma⸢ʤimunoː⸣ pu̥⸢su⸣ ma⸢daːsun⸣tiba ma⸢daːsaraɲ⸣ joːni ⸣sam ⸣muti ⸢ʔaː⸣ki] (妖怪<\ruby{蠱物}{マジ|モノ}>は人を惑わす<化かす>というから、惑わされないようにサン<呪符{EOS}魔除け>を持ってあるきなさい)。 マ⸢ジムヌル⸣ マ⸢ダーシブーバ⸣ サン ⸣ムティ ⸢アー⸣クカー マ⸢ダース⸣ クトー ⸢ナーン⸣ パジ [ma⸢ʤimunuru⸣ ma⸢daːʃibuːba⸣ sam ⸣muti ⸢ʔaku⸣kaː ma⸢daːsu⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (蠱物が惑わしているはずだから、サンを持っていたら惑わすことはないはずだ)。 マ⸢ダーシェー⸣ ミサムヌ [ma⸢daːʃeː⸣ misamunu] (惑わせばいいのに)。 マ⸢ダーシ [ma⸢daːʃi] (惑わせ) 15969 0 0 15839 htmvoc_15969.wav マタイチフ マ⸢タイチフ [ma⸢taʔiʧiɸu] 名 またいとこ(又従兄弟・又従姉妹)。 イ⸢チフ⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ザーンマ マ⸢タイチフ⸣ティル ア⸢ズ⸣ミー [ʔi⸢ʧiɸu⸣nu f⸢fa⸣ʣaːmma ma⸢taʔiʧiɸu⸣tiru ʔa⸢ʣu⸣miː] (従兄弟姉妹の子供同士を、またいとこ<又従兄弟姉妹>というんでしょうね) 15970 0 0 15840 htmvoc_15970.wav マタイビ マ⸢タイビ [ma⸢taʔibi] 名 定植。植え替え。植物を苗床から本田や畑に移し植えること。フ⸢タ⸣イビ[ɸu̥⸢ta⸣ʔibi](じかまき<直播>{EOS}⸢直接植え」)の対義語。 ⸢マイヤー ナーッ⸣スナー ⸣サニ ウ⸢ラ⸣シティ ⸣ナイ ス⸢ク⸣リティル ⸣ターナ マ⸢タイビ ソー⸣ル [⸢maijaː naːs⸣sunaː ⸣sani ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ⸣nai su̥⸢ku⸣ritiru ⸣taːna ma⸢taʔibi soː⸣ru] (稲は苗代に種をおろして苗に作ってから本田に定植<又植え>されるのだ)。⸣ヤトゥーン[⸣jatuːŋ]は、カ⸢ブッチ(南瓜)などを定植する義 15971 0 0 15841 htmvoc_15971.wav マタイラビ マ⸢タイラビ [ma⸢taʔirabi] 名 再検討。二度選び。「又選び」の義。 イ⸢ラ⸣ビ ⸣シケー ⸣ムヌバ マ⸢タイラビ⸣ シ⸢ミラリティ⸣ バ⸢タ⸣ッサリ ⸢ベー [ʔi⸢ra⸣bi ⸣ʃi̥keː ⸣munuba ma⸢taʔirabi⸣ ʃi⸢mirariti⸣ ba⸢tas⸣sari ⸢beː] (選んである物を再検討<又選び>させられて立腹して<腹腐れ>している) 15972 0 0 15842 htmvoc_15972.wav マタウトゥザ マ⸢タウトゥザ [ma⸢taʔutuʣa] 名 親類の親類。直接の親類ではなく、姻戚の親類など。「又弟者」の義。 ⸢ウン⸣ネートー マ⸢タウトゥザル⸣ ナリ ⸢ブー⸣ ア⸢チーアチーヌ⸣ ウ⸢トゥ⸣ザー ア⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːtoː ma⸢taʔutuʣaru⸣ nari ⸢buː⸣ ʔa⸢ʧiːʔaʧiːnu⸣ ʔu⸢tu⸣ʣaː ʔa⸢ra⸣nu] (あの家とは親類の親類になっている{EOS}近しい<篤い>親戚ではない) 15973 0 0 15843 htmvoc_15973.wav マタオーシ マ⸢タオーシ [ma⸢taʔoːʃi] 名 貰い物(\ruby{到来物}{トウ|ライ|モノ})を、さらに余所へ贈る<差し上げる>こと。「又贈り」の義。⸢オーシ[⸢ʔoːʃi]は、「みおやすら 進上の事也 おやすら共云」『混効験集 乾・言語』の転訛したもの。 マ⸢タオーシ⸣ ヤ⸢ルヌ⸣ ン⸢マー⸣バ ⸣アッパーン ⸢オーシ⸣バ [ma⸢taʔoːʃi⸣ ja⸢runu⸣ ʔm⸢maː⸣ba ⸣ʔappaːŋ ⸢ʔoːʃi⸣ba] (余所からの到来物だが、美味しいのでお祖母さんに差し上げなさい) 15974 0 0 15844 htmvoc_15974.wav マタカーシ マ⸢タカーシ [ma⸢takaːʃi] 名 転売。又売り。「又買わせ」の義。 ウ⸢レー⸣ パ⸢トゥ⸣マーラ ナ⸢ツァー⸣ラ ⸢カイティ⸣ ウ⸢キ⸣ナー ムティ ⸢ギー⸣ マ⸢タカーシ シール モー⸣ケーツォー [ʔu⸢reː⸣ pḁ⸢tu⸣maːra na⸢ʦaː⸣ra ⸢kaiti⸣ ʔu⸢ki⸣naː ⸣muti ⸢giː⸣ ma⸢takaːʃi ʃiːru moː⸣keːʦoː] (彼は鳩間島から海人草を買って沖縄へ持って行って転売して<ぞ>儲けたそうだ) 15975 0 0 15845 htmvoc_15975.wav マタカイシ マ⸢タカイシ [ma⸢takaiʃi] 名 再度耕すこと。二度耕し。「又返し」の義。畑を粗く耕して後、植え付けに適するように細かく耕すこと。 ア⸢ラシ⸣ ア⸢キ⸣シケーン ⸣トンマー マ⸢タカイシ サン⸣カー イ⸢バラヌ [ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢ki⸣ʃi̥keːn ⸣tommaː ma⸢takaiʃi saŋ⸣kaː ʔi⸢baranu] (開墾して粗耕してあるところは二度耕ししないと植えつけられない) 15976 0 0 15846 htmvoc_15976.wav マタカサビ マ⸢タカサビ [ma⸢takasabi] 名 又重ね。二重に重ねること。 ⸢ドングペン⸣ゴー マ⸢タカサビ サンドー⸣シ ⸢ナーラビ⸣ シゥ⸢カバ⸣ル シゥ⸢カイヤッ⸣サル [⸢doŋgupeŋ⸣goː ma⸢takasabi sandoː⸣ʃi ⸢naːrabi⸣ sï̥⸢kaba⸣ru sï̥⸢kaijas⸣saru] (道具類は二重重ね<又重ね>しないで並べて置く方が<置いたらば・ぞ>使いやすいものだ) 15977 0 0 15847 htmvoc_15977.wav マタカザミ マ⸢タカザミ [ma⸢takaʣami] 名 洗骨。改葬。「二度隠し」の義。ア⸢ライクサイ[ʔa⸢raikusai](洗骨{EOS}「洗い拵え」の義{EOS}「誘、古之良布<こしらふ>」『華厳経音義私記』の転訛したものか)ともいう。火葬が普及する以前は、埋葬して三年以後に骨を洗って甕に入れ、フインチバカ(掘抜き墓)に納めた。故加治工津久里(1921<大正10>年2月22日死去)、故加治工マイツ(1932<昭和7>年12月5日死去)の場合、骨は、安国寺の指導に基き、ア⸢ライクサイ[ʔa⸢raikusai](洗骨)の済んだ骨を荼毘に付して、その灰を甕に入れ、平成16年9月吉日に首里石嶺霊園の加治工家の墓に納められた。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢ライクサイ⸣ シ⸢ティ⸣ マ⸢タカザミ ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢raikusai⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ma⸢takaʣami soːt⸣ta] (昔は洗骨をして改葬をされた) 15978 0 1 15848 htmvoc_15978.wav マダカスン マ⸢ダカ⸣スン [ma⸢daka⸣suŋ] 他動 {Mn_1}\ruby{退}{ノ}かす。人や物を\ruby{他所}{ヨ|ソ}に移す。\ruby{塞}{フサ}がっている物を\ruby{除}{ヨ}ける。\ruby{退}{ノ}かせる。取り除く。 15978 0 2 15849 htmvoc_15978.wav マダカスン マ⸢ダカ⸣スン [ma⸢daka⸣suŋ] 他動 {Mn_2}自動詞、マ⸢ダ⸣クン[ma⸢da⸣kuŋ](\ruby{退}{ノ}く{EOS}いる場所から立ち去る)。{Ref_Mn_1}は、{Ref_Mn_2}の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる)が付いて形成された使役動詞。 ウ⸢ブ⸣イシ マ⸢ダカ⸣スンティ ⸢スンドゥ グッふァ⸣ヌ マ⸢ダカサラ⸣ヌ [ʔu⸢bu⸣ʔiʃi ma⸢daka⸣sunti ⸢sundu guffa⸣nu ma⸢dakasara⸣nu] (大石を\ruby{退}{ノ}かせようとするが重くて退かされない)。 ク⸢レー⸣ マ⸢ダカ⸣シ ⸣ミサカー マ⸢ダカ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ku⸢reː⸣ ma⸢daka⸣ʃi ⸣misakaː ma⸢daka⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (此れは、退けてよければ退けることはできる)。 ⸢パー⸣ク マ⸢ダカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ma⸢daka⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く退かせばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ダカ⸣シバ [⸢maː⸣bim ma⸢daka⸣ʃiba] (もっと退かせろよ) 15979 0 0 15850 htmvoc_15979.wav マタカラシ マ⸢タカラシ [ma⸢takaraʃi] 名 又貸し。借りた物を持ち主に無断で他人に貸すこと。 ⸢ワール⸣ カ⸢ラシタル⸣ ヌンティ ⸢バー⸣ネー ク⸢トゥ⸣ワレー サ⸢ムティ カッティニ⸣ プ⸢スン⸣ マ⸢タカラシ⸣ シ⸢ター [⸢waːru⸣ ka⸢raʃi̥taru⸣ nunti ⸢baː⸣neː ku̥⸢tu⸣wareː sa⸢muti kattini⸣ pu̥⸢sum⸣ ma⸢takaraʃi⸣ ʃi̥⸢taː] (君が<ぞ>貸したのであって、何故に私には断りもしないで、勝手に他人に又貸ししたのか) 15980 0 0 15851 htmvoc_15980.wav マタカンガイ マ⸢タカンガイ [ma⸢takaŋgai] 名 再考。考え直すこと。思いなおすこと。「又考え」の義。⸢カンガイナウ⸣シ[⸢kaŋgainau⸣ʃi]ともいう。ユ⸢クカンガイ[ju⸢kukaŋgai](別の考え)は類義語。 ⸣アイヤー ナ⸢ラン⸣バ ⸢マー⸣ プ⸢スム⸣シ マ⸢タカンガイ シー⸣ ッ⸢ふィーリ [⸣ʔaijaː na⸢ram⸣ba ⸢maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi ma⸢takaŋgai ʃiː⸣ f⸢fiːri] (そうは出来ないから、もう一度、考え直<再考>してくれ) 16010 0 0 15852 htmvoc_16010.wav マタギー マ⸢タ⸣ギー [ma⸢ta⸣giː] 名 股木。股になった木。 マ⸢タ⸣ギー ⸣キシキー ⸣パラー ⸣タティティ トゥ⸢ルン⸣ヤー ス⸢ク⸣ラ⸢ディー [ma⸢ta⸣giː ⸣ki̥ʃikiː ⸣paraː ⸣tḁtiti tu⸢ruɲ⸣jaː su̥⸢ku⸣ra⸢diː] (股木を伐ってきて、柱に立てて、鶏小屋を造ろうよ) 15981 1 0 15853 htmvoc_15981.wav マダキルン マ⸢ダキ⸣ルン [ma⸢daki⸣ruŋ] 自動 {PoS_1}のく(退く)。避けて離れる。立ち去る。 ⸣ウマーラ マ⸢ダキ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ マ⸢ダキララ⸣ヌ [⸣ʔumaːra ma⸢daki⸣runti ⸢sundu⸣ ma⸢dakirara⸣nu] (そこから退こうとするが、退けられない)。 マ⸢ダキ グリ⸣サン [ma⸢daki guri⸣saŋ] (退けずらい)。 マ⸢ダキ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢da⸣kiru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (退けることは出来ない)。 ⸣ドゥーシ マ⸢ダキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ma⸢daki⸣reː ⸣misamunu] (自分で<自ら>退ければいいのに)。 マ⸢ダキ⸣リバ [ma⸢daki⸣riba] (退けなさいよ)。 15981 2 0 15854 htmvoc_15981.wav マダキルン マ⸢ダキ⸣ルン [ma⸢daki⸣ruŋ] 他動 {PoS_2}\ruby{退}{ノ}ける。のける。\ruby{除}{ヨ}ける。物を他の場所へ移す。 ⸣ミチ ッ⸢サーリ ベー⸣ ム⸢ヌ⸣バ マ⸢ダキ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ダキラン⸣タンティン ⸣ミサンツォー [⸣miʧi s⸢saːri beː⸣ mu⸢nu⸣ba ma⸢daki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢dakiran⸣tantim ⸣misanʦoː] (道を塞いでいるものを\ruby{退}{ノ}けようと思うが、退けなくてもよいそうだ)。 ク⸢レー⸣ マ⸢ダキヤッ⸣サン [ku⸢reː⸣ ma⸢dakijas⸣saŋ] (此れは退けやすい)。 ク⸢リ⸣ マ⸢ダキ⸣ル ⸣ピンマー マー⸢ラ⸣ カ⸢マー⸣ マ⸢ダキ⸣リ [ku⸢ri⸣ ma⸢daki⸣ru ⸣pimmaː maː⸢ra⸣ ka⸢maː⸣ ma⸢daki⸣ri] (これを退けるときは、ずっと向こうまで退けろ)。 ク⸢レー パー⸣ク マ⸢ダキ⸣レー ⸣ミサムヌ [ku⸢reː paː⸣ku ma⸢daki⸣reː ⸣misamunu] (此れは早く退ければいいのに) 15982 1 0 15855 htmvoc_15982.wav マダクン マ⸢ダ⸣クン [ma⸢da⸣kuŋ] 自動 {PoS_1}退く。遠のく。退く。よける(避ける)。立ち去る。 プ⸢スヌ⸣ クーカー マ⸢ダ⸣クンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダカン⸣シェン [pu̥⸢sunu⸣ kuːkaː ma⸢da⸣kunti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢dakam⸣ʃeŋ] (人が来たらよけるかと思ったがよけなかったよ)。 ン⸢メーマ⸣ マ⸢ダ⸣キ ッ⸢ふィーリ [ʔm⸢meːma⸣ ma⸢da⸣ki f⸢fiːri] (少し\ruby{退}{ノ}いてくれ)。 マ⸢ダ⸣ク ⸣プソー カ⸢シーカシ⸣ マ⸢ダ⸣ケー ⸣ミサムヌ [ma⸢da⸣ku ⸣pu̥soː ka⸢ʃiːkaʃi⸣ ma⸢da⸣keː ⸣misamunu] (退く時はしっかり退ければいいのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢ダ⸣キバ [⸢paː⸣ku ma⸢da⸣kiba] (早く退けよ)。 15982 2 0 15856 htmvoc_15982.wav マダクン マ⸢ダ⸣クン [ma⸢da⸣kuŋ] 他動 {PoS_2}退ける。除ける。退かせる。 ウ⸢リ⸣ マ⸢ダ⸣キ ッ⸢ふィーリ⸢ [ʔu⸢ri⸣ ma⸢da⸣ki f⸢fiːri] (それを\ruby{除}{ノ}けてくれ)。 ウ⸢リ⸣ マ⸢ダ⸣クンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢バン⸣マー マ⸢ダカサラ⸣ヌ [ʔu⸢ri⸣ ma⸢da⸣kunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢bam⸣maː ma⸢dakasara⸣nu] (それを退けようと思うが、私には退けられない)。 ⸣クマーラ マ⸢ダ⸣ク ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [⸣kumaːra ma⸢da⸣ku ⸣munoː ⸣nuːja] (此処から除ける<退かせる>物はどれか)。 ク⸢レー⸣ カ⸢マー⸣ マ⸢ダ⸣キ [ku⸢reː⸣ ka⸢maː⸣ ma⸢da⸣ki] (これはあちらへ除けなさい) 15983 0 0 15857 htmvoc_15983.wav マタゴイ マ⸢タゴイ [ma⸢tagoi] 名 追肥。おいごえ。 マ⸢タゴイ⸣ イ⸢リ⸣シケーンダ カ⸢ブッチン⸣ シ⸢ブルン⸣ イッ⸢ケナ ミーレー⸣ン [ma⸢tagoi⸣ ʔi⸢ri⸣ʃi̥keːnda ka⸢butʧiŋ⸣ ʃi⸢buruŋ⸣ ʔik⸢kena miːreː⸣ŋ] (追肥を入れてあるから、南瓜も冬瓜も非常によく稔った) 15984 0 0 15858 htmvoc_15984.wav マタザーク マ⸢タザーク [ma⸢taʣaːku] 名 やり直し。しなおし。「又仕事」の義。 ウ⸢リン⸣ シ⸢グトゥ⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸣シケータ ⸣クトー マ⸢タザーク⸣ シ⸢ミラリ⸣ ナ⸢ラン⸣バン ⸣メー [ʔu⸢riŋ⸣ ʃi⸢gutu⸣ ta⸢na⸣mi ⸣ʃi̥keːta ⸣ku̥toː ma⸢taʣaːku⸣ ʃi⸢mirari⸣ na⸢ram⸣bam ⸣meː] (彼に仕事を頼んでおいたところ、やり直しさせられてたまらない<堪らない>よ<全くやりきれないよ>) 15985 0 0 15859 htmvoc_15985.wav マタサーリ マ⸢タサーリ [ma⸢tasaːri] 名 男の再婚。「又連れ」の義。女の場合は、マ⸢タドゥー[ma⸢taduː](又胴<所帯>)という。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢ジヌ マーラシター⸣ ッ⸢ふァー⸣ シゥ⸢カナイ ユーサン⸣ベーティ マ⸢タサーリ シール⸣ ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ フ⸢ドゥバシェー⸣ツォー [ʔu⸢reː⸣ tu⸢ʤinu maːraʃi̥taː⸣ f⸢faː⸣ sï̥⸢kanai juːsam⸣beːti ma⸢tasaːri ʃiːru⸣ ʔu⸢bi⸣nu f⸢faː⸣ ɸu⸢dubaʃeː⸣ʦoː] (彼は妻が亡くなって、子供を養育することが出来なくなったので、再婚して、あれだけの子供たちを養育し、成長させたのだそうだ) 15986 0 0 15860 htmvoc_15986.wav マタサカー ⸣マタサカー [⸣matasakaː] 名 二股。二股に分かれているもの。あちらについたり、こちらについたりして態度が一定しない者。「股の裂けた者」の義。 ク⸢マー⸣ ナリ カ⸢マー⸣ ナリ ⸢シェー⸣ティ ⸣マタサカー ⸣ナリ ⸢アー⸣ク ⸣ムノー ⸢ダーッサー ナー⸣ヌ [ku⸢maː⸣ nari ka⸢maː⸣ nari ⸢ʃeː⸣ti ⸣matasakaː nari ⸢ʔaː⸣ku⸣munoː ⸢daːssaː naː⸣nu] (こっち付き、あっち付きして股裂きになっている者は信頼できない<良くない>)。 ユ⸢ク⸣ヌ ⸣マタサカー [ju⸢ku⸣nu ⸣matasakaː] (\ruby{虻蜂}{アブ|ハチ}取らず{EOS}欲張って両方を狙って一物も得られないこと) 15987 0 0 15861 htmvoc_15987.wav マタサカー ⸣マタサカー [⸣matasakaː] 名 (動)魚の名。和名、コバンアジ(体長約40センチ{EOS}白銀色の体色をもつ) 15988 0 0 15862 htmvoc_15988.wav マタサキ マ⸢タサキ [ma⸢tasaki] 名 返り咲き。二度咲き。くるいざき。「又咲き」の義。 グ⸢ジ⸣ヌ パ⸢ナ⸣ヌ マ⸢タサキ シー ベー⸣ヌ ⸣ヌンティ ⸣カヤー [gu⸢ʤi⸣nu pa⸢na⸣nu ma⸢tasaki ʃiː beː⸣nu ⸣nunti ⸣kajaː] (デイゴの花が返り咲きしているが、何故だろうか) 15989 0 1 15863 htmvoc_15989.wav マタシキ マ⸢タシキ [ma⸢taʃi̥ki] 名 {Mn_1}又聞き。聞いた人からさらに聞き知ること。 プ⸢スヌ⸣ マ⸢タシキ⸣ ヤ⸢ルムヌバ⸣ ウ⸢ナール⸣ ッ⸢シェー⸣ン ⸢ホーラ⸣シ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ アー⸣ク [pu̥⸢sunu⸣ ma⸢taʃi̥ki⸣ ja⸢rumunuba⸣ ʔu⸢naːru⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ŋ ⸢hoːra⸣ʃi mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi ʔaː⸣ku] (人の又聞きだのに、己が知っているかの如く<知っているふりをして>、ものを言っている<言ってあるく>)。 15989 0 2 15864 htmvoc_15989.wav マタシキ マ⸢タシキ [ma⸢taʃi̥ki] 名 {Mn_2}聞き返す。反問する。 プ⸢スヌ⸣ ムネー シゥカイ⸢トゥ ミン⸣バ トゥ⸢ルッ⸣サイティ シ⸢キ⸣ マ⸢タシケー⸣ ス⸢ナ [pu̥⸢sunu⸣ muneː sï̥kai⸢tu mim⸣ba tu⸢rus⸣saiti ʃi̥⸢ki⸣ ma⸢taʃi̥keː⸣ su⸢na] (人の話は、しっかりと耳を澄ませて<注意して、聞き耳をたてて>聞け、又聞き<反問>するな) 15990 0 0 15865 htmvoc_15990.wav マタシキ マ⸢タシキ [ma⸢taʃi̥ki] 名 二度漬け。塩辛などを漬物や塩分を足して再度塩漬けにすること。 ク⸢ンドゥ⸣ヌ イ⸢ガガラソー マース⸣ヌ ⸢ヨー⸣ンダ イ⸢ガ⸣ キシ イ⸢リティ マー⸣スン ⸢シーブン⸣ イ⸢リティ⸣ マ⸢タシキ シー⸣バ [⸢kundu⸣nu ʔi⸢gagarasoː maːsu⸣nu ⸢joː⸣nda ʔi⸢ga⸣ ki̥ʃi ʔi⸢riti maː⸣suŋ ⸢ʃiːbuŋ⸣ ʔi⸢riti⸣ ma⸢taʃi̥ki ʃiː⸣ba] (今度の烏賊の塩辛は塩分が少ない<弱い>ので、烏賊を切って入れて、塩も余分に添えて二度漬けにしなさいよ) 15991 0 0 15866 htmvoc_15991.wav マタスクリ マ⸢タスクリ [ma⸢tasu̥kuri] 名 作り直し。作り替えること。改作。改造。「又作り」の義。ス⸢クリノー⸣シ[su̥⸢kurinoː⸣ʃi](作り直し{EOS}作り替え)ともいう。 ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸢サンシン⸣ ス⸢ク⸣レーンドゥ ⸣キモー フ⸢ガン⸣ティ ⸢シー⸣ マ⸢タスクリ スー⸣ツォー [jat⸢tu⸣ʃi ⸢saŋʃin⸣ su̥⸢ku⸣reːndu ⸣kimoː ɸu⸢gan⸣ti ⸢ʃiː⸣ ma⸢tasu̥kuri suː⸣ʦoː] (やっとで三線を作ってあるのに、<作品が>納得できない<満足できない{EOS}「肝祝がぬ」の義>といって作りなおす<又作り>するそうだ) 15993 0 0 15867 htmvoc_15993.wav マタソーリ マ⸢タソーリ [ma⸢tasoːri] 名 二度目の除草。ア⸢ラソー⸣リ[ʔa⸢rasoː⸣ri](一回目の除草{EOS}「あらさくり<粗刳>」の転訛か)の対義語。\ruby{箆}{ヘラ}でさくる<\ruby{刳}{サク}る>ように細かく再度除草すること。 ク⸢ヌ⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸢ガンボー⸣シェー マ⸢タソーリ サバル⸣ ナル [ku⸢nu⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸢gamboː⸣ʃeː ma⸢tasoːri⸣ sa⸢baru⸣ naru] (この畑の雑草のガンボーシは二度目の除草をいないといけない<~すればぞなる>) 15994 0 0 15868 htmvoc_15994.wav マタトゥ マ⸢タトゥ [ma⸢tatu] 副 またと。再び。二度と。文末の打ち消し表現と呼応して陳述副詞的働きを示す。 ⸣アイブ ⸣クトゥ ⸢ナー⸣ト マ⸢タトゥ シェー⸣ ナ⸢ラン⸠ダー [⸣ʔaibu ⸣ku̥tu ⸢naː⸣toː ma⸢tatu ʃeː⸣ na⸢ran⸠daː] (あんなことなどを、再び<二度と>してはならないぞ)。 ウ⸢リンマー⸣ ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ マ⸢タトー⸣ シ⸢ミララヌ [ʔu⸢rimmaː⸣ ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ma⸢tatoː⸣ ʃi⸢miraranu] (彼には、この仕事は二度とはさせられない)。 マ⸢タトー⸣ サ⸢ヌ [ma⸢tatoː⸣ sa⸢nu] (二度とはしない) 15995 0 0 15869 htmvoc_15995.wav マタドゥー マ⸢タドゥー [ma⸢taduː] 名 女性の再婚。「又身<胴>を持つ」の義。⸣ドゥー ⸣ムトゥン[⸣duː ⸣mutuŋ](所帯<身>を持つ<立てる>)ことを再び行うこと。 マ⸢タドゥー⸣ ムティティ ウ⸢ヌ⸣ ナカナー ⸣ナシェール ッ⸢ふァル⸣ アトー ⸣ミリ ⸢ブー [ma⸢taduː⸣ mutiti ʔu⸢nu⸣ nakanaː ⸣naʃeːru f⸢faru⸣ ʔatoː ⸣miri ⸢buː] (再婚して<又身を持って>、その仲で産んだ子が跡継ぎをしている<老後を見ている>) 15996 0 0 15870 htmvoc_15996.wav マタナシ マ⸢タナシ [ma⸢tanaʃi] 名 初産でない、二度目のお産。経産婦。「又生し<産し>」の義。パ⸢チナシ[pḁ⸢ʧinaʃi](初産)の対義語。 ⸢クン⸣ドー マ⸢タナシル⸣ ヤ⸢リン シー サン⸣バーン カ⸢ナイ⸣ル ⸢オーリ⸣バ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢kun⸣doː ma⸢tanaʃiru⸣ ja⸢riŋ ʃiː sam⸣baːŋ ka⸢nai⸣ru ⸢ʔoːri⸣ba ⸢soːja naː⸣nu] (今度は二度目のお産だし、産婆も経験豊富の人<適った人>だから心配はない) 15997 0 0 15871 htmvoc_15997.wav マタニバシ マ⸢タニバシ [ma⸢tanibaʃi] 名 二度醗酵させること。\ruby{麹}{コウジ}を作る際に、蒸した米、麦、豆等に麹菌を植え、ある程度醗酵させた後、筵などに広げて更に醗酵させること。「又寝かせ」の義。フ⸢タニバ⸣シ[ɸu̥⸢taniba⸣ʃi](最初から筵に広げて醗酵させること<直接醗酵>)の対義語。 ⸢コージェー⸣ マ⸢タニバシ⸣ サ⸢バル⸣ パナー ⸣フー [⸢koːʤeː⸣ ma⸢tanibaʃi⸣ sa⸢baru⸣ panaː ⸣ɸuː] (麹は二度醗酵<又寝かせ>させた方が麹黴がよく生える) 15998 0 0 15872 htmvoc_15998.wav マタニビ マ⸢タニビ [ma⸢tanibi] 名 またね(又寝)。一度目を覚まして再び寝ること。またぶし(又臥し)。「フ⸢タ⸣ニビ」(熟睡すること{EOS}寝たっきり目を覚まさないこと)の対義語。 ⸢トゥンナキン⸣ナー マ⸢タニビ シー⸣ ニ⸢ビフカシ⸣ シ⸢ティル⸣ ア⸢サ⸣ニビ ⸢シー ナーン⸣バン [⸢tunnakin⸣naː ma⸢tanibi ʃiː⸣ ni⸢biɸu̥kaʃi⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ʔa⸢sa⸣nibi ⸢ʃiː naːm⸣baŋ] (明け方<鶏鳴の時刻>に又寝して、寝過ごしてしまい<寝耽かしてぞ>、朝寝坊してしまったわい) 15999 0 0 15873 htmvoc_15999.wav マタヌール マ⸢タヌー⸣ル [ma⸢tanuː⸣ru] 名 馬乗り。「股乗り」の義。 ドゥ⸢シトゥ⸣ シ⸢マ⸣バ ⸣トゥリ ⸢ベーン⸣ケン ⸢ナンギラー⸣リティ バ⸢タ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナー マ⸢タヌー⸣ル シ⸢ラリティル⸣ ク⸢シバ⸣ ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーバン [du⸢ʃitu⸣ ʃi⸢ma⸣ba ⸣turi ⸢beːŋ⸣ken ⸢naŋgiraː⸣riti ba⸢ta⸣nu ⸢ʔui⸣naː ma⸢tanuː⸣ru ʃi⸢raritiru⸣ ku̥⸢ʃiba⸣ ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (友人と相撲をとっているときに投げ飛ばされ、腹の上に馬乗りにされて<ぞ>腰を痛めてあるんだわい) 16000 0 0 15874 htmvoc_16000.wav マタヌール マ⸢タヌール [ma⸢tanuːru] 名 塗り直し。「又塗り」の義。 カ⸢ツシンヌ ペン⸣キ マ⸢タヌール スー⸣カー ⸣フネー ム⸢リラン⸣ツォー [kḁ⸢ʦuʃinnu peŋ⸣ki ma⸢tanuːru suː⸣kaː ⸣ɸuneː mu⸢riran⸣ʦoː] (カツオ漁船のペンキ<塗料>を塗り直ししたら船は漏れないそうだ) 16001 0 0 15875 htmvoc_16001.wav マタバイ マ⸢タ⸣バイ [ma⸢ta⸣bai] 名 股ずれ。股の内側の皮膚がすれて、すりむけること。「バイ」は「ハギ(はげ)」のgが脱落した形『石垣方言辞典』の説がある。 ⸢パン⸣タリ ⸢ブンダ トゥーミチ⸣ ア⸢ラ⸣クカー マ⸢タ⸣バイ ⸢シース [⸢pan⸣tari ⸢bunda tuːmiʧi⸣ ʔa⸢ra⸣kukaː ma⸢ta⸣bai ⸢ʃiːsu] (肥えているから、遠道を歩くと股ずれする) 16002 0 0 15876 htmvoc_16002.wav マタバイ マ⸢タバイ [ma⸢tabai] 名 ひこばえ(蘖)。稲のひこばえ(またばえ)。ひつじいね(穭稲)。「穭、ヒツチ」『類聚名義抄』。刈り取った草木の根や株から出た芽。「またばえ(又芽)」の義。「荑、比古波江(ひこばえ)」『新撰字鏡』の義。ひこばえ(蘖)を放置しておくと穂が出て収穫できるが、翌年の収穫に影響を及ぼすので、田の地力を養うため、マ⸢タバイを田の泥の中に踏み入れて肥料にした。 ⸢マイヌ⸣ マ⸢タバイヌ ノー⸣レーティ ウ⸢リバ⸣ カ⸢リティル⸣ ア⸢ロー⸣ナー シ⸢ラリル [⸢mainu⸣ ma⸢tabainu noː⸣reːti ʔu⸢riba⸣ ka⸢ritiru⸣ ʔa⸢roː⸣naː ʃi⸢rariru] (稲のひこばえ<蘖>が稔っているので、それを刈ってから<ぞ>田圃の初耕しは出来る<される>) 16003 0 0 15877 htmvoc_16003.wav マタピサシ マ⸢タピサシ [ma⸢tapisaʃi] 名 ご飯を炊く際に、初めは多めに水を入れ、ある程度煮えたとき、余分の水を捨てて適量にし、更に煮ること。「又\ruby{蒸}{ム}らし」の義。 ム⸢チマイヌ コー⸣イー バ⸢カス⸣ ピンマー マ⸢タピサシ サン⸣カー ⸢ゾー⸣ブンニ バ⸢カサラン⸣ツォー [mu⸢ʧimainu koː⸣ʔiː ba⸢kasu⸣ pimmaː ma⸢tapisaʃi saŋ⸣kaː ⸢ʣoː⸣bunni ba⸢kasaran⸣ʦoː] (糯米のおこわ<強飯、コハイヒ、飯字亦作餅{EOS}『色葉字類抄』>を炊く時は「又蒸らし」しないと上手に炊けないそうだ) 16004 0 0 15878 htmvoc_16004.wav マタブシ マ⸢タ⸣ブシ [ma⸢ta⸣buʃi] 名 またぐら(股座)。両ももの間。股間。「股節」の義。 マ⸢タブシ⸣ヌ ⸣パギティ マ⸢タ⸣バイ ⸣ナリティル ア⸢ラキマー⸣キ ⸢アー⸣ク [ma⸢tabuʃi⸣nu ⸣pagiti ma⸢ta⸣bai ⸣naritiru ʔa⸢rakimaː⸣ki ⸢ʔaː⸣ku] (またぐら<股座>がはげて、股ずれになって、歩きかねているよ) 16005 0 0 15879 htmvoc_16005.wav マタブシコーヤク マ⸢タブシコー⸣ヤク [ma⸢tabuʃikoː⸣jaku] 名 ふたまたこうやく(二股膏薬)。うちまたこうやく(内股膏薬)の転訛したもの。内股に貼った膏薬のように、あっち付き、こっち付きして、定見、節操のない者。 ウ⸢レー⸣ マ⸢タブシコー⸣ヤク ⸣ナリティ ⸢マー⸣ヌ カ⸢タル⸣ スクユー ッ⸢サヌ [ʔu⸢reː⸣ ma⸢tabuʃi koː⸣jaku ⸣nariti ⸢maː⸣nu kḁ⸢taru⸣ su̥kujuː s⸢sanu] (彼は内股膏薬になっていて、どこの方に付くか分からない) 16007 0 0 15880 htmvoc_16007.wav マタブトゥ マ⸢タブトゥ [ma⸢tabutu] 名 二度目の夫。のちぞいの夫。ごふ(後夫)。「又夫」の義。 サ⸢キブトー⸣ イ⸢ク⸣サナー ⸢マーラシタール⸣ シザー マ⸢タブトゥ⸣ トゥミ ⸢ヤー⸣ラ ン⸢ゾーッ⸣タツォー [sḁ⸢kibutoː⸣ ʔi⸢ku⸣sanaː ⸢maːraʃi̥taːru⸣ ʃiʣaː ma⸢tabutu⸣ tumi ⸢jaː⸣ra ʔn⸢ʣoːt⸣taʦoː] (先夫は戦で亡くなったので、姉はのちぞいの夫に嫁いで<後夫を求めて>実家から出られたそうだ) 16006 0 0 15881 htmvoc_16006.wav マタフトゥッツァシ マ⸢タフトゥッツァシ [ma⸢taɸututʦaʃi] 名 煮返し。になおし。「又沸騰」の義。夏期は煮物が\ruby{饐}{ス}えやすいので、一度炊いたお汁や煮物などを煮返して<再度沸騰させて>食した。 ⸢スーン⸣シロー ⸢ナーン⸣パー イ⸢リティ⸣ マ⸢タフトゥッツァシ シー⸣バ [⸢suːŋ⸣ʃiroː ⸢naːm⸣paː ʔi⸢riti⸣ ma⸢taɸututʦaʃi ʃiː⸣ba] (お汁は、菜っ葉を入れて煮返し<再沸騰させ>なさい) 16008 0 0 15882 htmvoc_16008.wav マタマー マ⸢タマー [ma⸢tamaː] 名 ひまご。孫の子。曾孫。「またまご(又孫)」の義。曾孫の子は、ピ⸢チマー[pi̥⸢ʧimaː](やしゃご<玄孫>)という。 マ⸢タマーヤ⸣ ギュ⸢タール⸣ ナシェーワ [ma⸢tamaːja⸣ gju⸢taːru⸣ naʃeːwa] (曾孫はいくたり<幾人>産んだか) 16009 0 0 15883 htmvoc_16009.wav マタムティ マ⸢タムティ [ma⸢tamuti] 名 女性が再婚すること。「又持ち」の義。 パ⸢ジミテー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ マ⸢タムティ⸣ ヤ⸢レー⸣ティ ⸢ヨイ⸣ヤー マ⸢ギーマギー⸣シェー ⸢ソーラン⸣シェン [pa⸢ʤimiteː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ma⸢tamuti⸣ ja⸢reː⸣ti ⸢joi⸣jaː ma⸢giːmagiː⸣ʃeː ⸢soːraŋ⸣ʃeŋ] (初婚では<初めてでは>なく再婚であるから、お祝いは大きくはされなかった) 16011 0 0 15884 htmvoc_16011.wav マタムニ マ⸢タムニ [ma⸢tamuni] 名 同じ言葉を再度言うこと。同じ言葉を繰り返すこと。「又物言い」の義。 ⸢ミン⸣マー トゥ⸢ルッ⸣サイ ⸣ユー シ⸢キ⸣ バン マ⸢タムニ⸣ イ⸢ザシムナ [⸢mim⸣maː tu⸢rus⸣sai ⸣juː ʃi̥⸢ki⸣ bam ma⸢tamuni⸣ ʔi⸢ʣaʃimuna] (耳をそばだて<欹て>てよく聞け{EOS}私に同じ事を繰り返させるな<又物言いを言わさせるな>) 16012 0 0 15885 htmvoc_16012.wav マタリン マ⸢タ⸣リン [ma⸢ta⸣riŋ] 自動 待つことができる。⸣マトゥン[⸣matuŋ](待つ)の未然形に可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が下接して形成された可能動詞。 ⸣クナーテー マ⸢タリ⸣ル(マ⸢タ⸣リ) ⸣クトー マ⸢タリン⸣ドゥ ピ⸢マーヌ ナー⸣ヌ [⸣kunaːteː ma⸢tari⸣ru(ma⸢ta⸣ri) ⸣ku̥toː ma⸢tarin⸣du pi⸢maːnu naː⸣nu] (ここでは待たれる<待てる>ことは待たれるが、暇がない)。 ⸣クナー マ⸢タラ⸣ヌ [⸣kunaː ma⸢tara⸣nu] (ここでは待たれない<待てない>) 16013 0 0 15886 htmvoc_16013.wav マタンブシ マ⸢タンブシ [ma⸢taʔmbuʃi] 名 蒸し返し。一度蒸したものを再度蒸すこと。「又蒸し」の義。 ム⸢チェー コーリ⸣ブーバ マ⸢タンブシ シー⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [mu⸢ʧeː koːri⸣buːba ma⸢taʔmbuʃi ʃiː⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (餅は固くなっているから蒸し返して食べさせなさいよ)。 カ⸢マブコー⸣ ッサリ パ⸢ヤー⸣ンダー マ⸢タンブシ シー⸣ヨー [ka⸢mabukoː⸣ ssari pa⸢jaː⸣ndaː ma⸢taʔmbuʃi ʃiː⸣joː] (蒲鉾は腐れ易いから蒸し返ししなさいよ) 16014 0 0 15887 htmvoc_16014.wav マチ ⸣マチ [⸣maʧi] 名 市場。魚介類、肉類、野菜類、食料品類を売るところ。石垣島にあった。石垣方言からの借用語。 イ⸢サナキヌ⸣ マチェーラル キ⸢ザルキザルヌ⸣ シ⸢ナムノー カイヨーッ⸣タ [ʔi⸢sanakinu⸣ maʧeːraru ki⸢ʣarukiʣarunu⸣ ʃi⸢namunoː kaijoːt⸣ta] (石垣の市場から祭祀行事の品物は買っておられた) 16015 0 0 15888 htmvoc_16015.wav マチ ⸣マチ [⸣maʧi] 名 (植)木の名。松。マツ科の常緑樹。長寿、不変の象徴として古来尊ばれている。「~木足る木<こだるき>を 麻都<マツ>と汝が云はば~。万、3433」。⸣マチキー[⸣maʧikiː](松の木)、⸣マチフニ[⸣maʧiɸuni](松の刳り舟)、⸣マチヤマ[⸣maʧijama](松林)、⸣マチアバ[⸣maʧiʔaba](まつやに<松脂>)などがある。西表島の⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)のウ⸢シヌ⸣ウガン[ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ](牛の御嶽)の周辺には松の大木が生えている。 ⸣マチフネー ⸣マチキー プ⸢ス⸣ムトゥ ⸢トー⸣シ キ⸢ジ⸣ プリティル ス⸢ク⸣ローッタ [⸣maʧiɸuneː ⸣maʧikiː pu̥⸢su⸣mutu ⸢toː⸣ʃi ki⸢ʤi⸣ puritiru su̥⸢ku⸣roːtta] (松の刳り舟は松の木を一本伐り倒して削り、刳り貫いて<掘って>造られた) 16016 0 0 15889 htmvoc_16016.wav マチアバ ⸣マチアバ [⸣maʧiʔaba] 名 まつやに(松脂)。「松油」の義。琉球松には松根油が豊富に含まれている。枯れた松の根には褐色になるほどの松根油を含んだ木質部があり、ア⸢カ⸣シ[ʔa⸢ka⸣ʃi](灯{EOS}ともしび)に利用された。 マ⸢チ⸣ヌ ⸣ニーナー ⸣マチアバヌ ⸣アンダ ウ⸢リバ⸣ キ⸢ジティ⸣ ア⸢カ⸣シ ス⸢ク⸣ローッタ [ma⸢ʧi⸣nu ⸣niːna ⸣maʧiʔabanu ⸣ʔanda ʔu⸢riba⸣ ki⸢ʤiti⸣ ʔa⸢ka⸣ʃeː su̥⸢ku⸣roːtta] (松の根元に松脂があるから、それを削って、ア⸢カ⸣シ{SqBr}ʔa⸢ka⸣ʃi{/SqBr}<割り箸状に割った灯火用の松の根{EOS}炊き付け>に作られた) 16017 1 0 15890 htmvoc_16017.wav マチガイ マ⸢チ⸣ガイ [ma⸢ʧi⸣gai] 名 {PoS_1}間違い。誤り。 ⸢ワー サンミン⸣ヌ マ⸢チガイ⸣ヤー ⸢ナーン⸣シェン [⸢waː sammin⸣nu ma⸢ʧigai⸣jaː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (君は、計算の間違はなかった)。 マ⸢チガイ⸣ヌ ⸣アルカー ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カソー⸣リ [ma⸢ʧigai⸣nu ⸣ʔarukaː ʔa⸢ʤi⸣ si̥⸢kasoː⸣ri] (間違があったら、言って教えて<聞かせて>ください)。 ⸢タール⸣ カイブー マ⸢チ⸣ガイ シ⸢ター [⸢taːru⸣ kaibuː ma⸢ʧi⸣gai ʃi̥⸢taː] (誰がこんな間違いをしたのか)。 ター⸢ン⸣ ナーン マ⸢チガイ⸣ヤ ア⸢リ⸣ス [taː⸢n⸣naːm ma⸢ʧigai⸣jaː ʔa⸢ri⸣su] (誰にも間違いはある)。 16017 2 0 15891 htmvoc_16017.wav マチガイ マ⸢チ⸣ガイ [ma⸢ʧi⸣gai] 感 {PoS_2}ごめんなさい。謝罪するときにいう。 ⸢バー⸣ル マ⸢チ⸣ガイ⸢ユー [⸢baː⸣ru ma⸢ʧi⸣gai⸢juː] (ごめんなさい<私が間違いです>) 16018 0 0 15892 htmvoc_16018.wav マチガイルン マ⸢チガイ⸣ルン [ma⸢ʧigai⸣ruŋ] 他動 間違える。たがえる(違える)。取り違える。 ター⸢ン⸣ マ⸢チガイ⸣ル ⸣クトー マ⸢チガイルン⸣ドゥ ク⸢レー⸣ マ⸢チガイ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣ヌ マ⸢チガイラン⸣ドーシ シカイ⸢トゥ⸣ カ⸢キウツァ⸣シ [taː⸢m⸣ ma⸢ʧigai⸣ru ⸣ku̥toː ma⸢ʧigairun⸣du ku⸢reː⸣ ma⸢ʧigai⸣jaː na⸢ra⸣nu ma⸢ʧigairan⸣doːʃi ʃi̥kai⸢tu⸣ kḁ⸢kiʔuʦa⸣ʃi] (誰でも間違えることは間違えるが、此れは間違えてはならない{EOS}間違えないでしっかりと書き写しなさい)。 ン⸢メーマー⸣ マ⸢チガイ⸣レー (マ⸢チガイ⸣ヤー)⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ ma⸢ʧigai⸣reː(ma⸢ʧigai⸣jaː) ⸣misamunu] (少しは間違えればいいのに)。 ⸢ワンヌン⸣ マ⸢チガイ⸣リ [⸢wannum⸣ ma⸢ʧigai⸣ri] (君も間違えろ) 16019 0 0 15893 htmvoc_16019.wav マチガウン マ⸢チ⸣ガウン [ma⸢ʧi⸣gauŋ] 自動・他動 間違う。くい違う。誤る。「まちがふ<下二段>」の四段活用化したもの。 ⸢ワー カンガイ⸣ヤー マ⸢チガイ⸣ ブー [⸢waː kaŋgai⸣jaː ma⸢ʧigai⸣ buː] (君の考えは間違っている)。 ⸣バー マ⸢チ⸣ガウ ⸣パジェー ⸢ナー⸣ヌ [⸣baː ma⸢ʧi⸣gau ⸣paʤeː ⸢naː⸣nu] (私が間違うはずはない)。 ⸢バン⸣ヌン マ⸢チ⸣ガウ ⸣クトー マ⸢チ⸣ガウン ア⸢スヌ ワーン⸣ カタチネー マ⸢チガー⸣ヌ [⸢ban⸣num ma⸢ʧigau⸣ ku̥toː ma⸢ʧi⸣gauŋ ʔa⸢sunu waːŋ⸣ kḁtaʧineː ma⸢ʧigaː⸣nu] (私も間違うことは間違う{EOS}しかし、君のようには間違わない)。 マ⸢チガイ ヤッ⸣サカー マ⸢チガイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ma⸢ʧigai jas⸣sakaː ma⸢ʧigai⸣jaː ⸣misamunu] (間違い易ければ間違えばいいのに)。 ⸢ワンヌン⸣ マ⸢チ⸣ガイバ [⸢wannum⸣ ma⸢ʧi⸣gaiba] (君も間違えよ) 16020 0 0 15894 htmvoc_16020.wav マチカンティ マ⸢チカン⸣ティ [ma⸢ʧikan⸣ti] 名 待ち遠しいこと。待ちかねること。待ち兼ね。「待ち兼ねて」の義。老年層は、マ⸢ティカン⸣ティ[ma⸢tikan⸣ti](待ち兼ね)という。 イ⸢サンケーラヌ⸣ フネー イ⸢チル⸣ クーカヤーティ マ⸢チカン⸣ティ ⸢シー ベー⸣ンドゥ マ⸢ダ クーン⸣サー [ʔi⸢saŋkeːra⸣nu ⸣ɸuneː ʔi⸢ʧiru⸣ kuːkajaːti ma⸢ʧikan⸣ti ⸢ʃiː beː⸣ndu ma⸢da kuːn⸣saː] (石垣からの船は何時来るかなあと、待ちかねているが、まだ来ないよ) 16024 0 0 15895 htmvoc_16024.wav マチカンテイスン マ⸢チカン⸣テイ ⸢スン [ma⸢ʧikan⸣ti ⸢suŋ] 連 待ちわびる。待ち遠しく思う。待ち兼ねる。「待ち兼ねてする」の義。 ナー⸢イ⸣ ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ オー⸣ル ⸣ムヌバ マ⸢チカン⸣ティ ⸢スン [naː⸢ji⸣ ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu ʔoː⸣ru ⸣munuba ma⸢ʧikan⸣ti ⸢suŋ] (ただ、じっとその人がいらっしゃる<来られる>のを待ちわびる<待ち兼ねてする>) 16021 0 0 15896 htmvoc_16021.wav マチキー ⸣マチキー [⸣maʧikiː] 名 松。松の木。松の木材。 ⸣マチキーヤ ッ⸢サール⸣ヌ ⸢ペーリ ヤッ⸣サン [⸣maʧikiːja s⸢saːru⸣nu ⸢peːri jas⸣saŋ] (松の材木は白蟻が入りやすい) 16022 0 0 15897 htmvoc_16022.wav マチクガリルン マ⸢チクガリ⸣ルン [ma⸢ʧikugari⸣ruŋ] 他動 待ち焦がれる。沖縄方言からの借用語か。 サ⸢ク⸣シェー イ⸢チル ピー⸣タイラ ⸢カイ⸣リ ⸣クーユーティ ⸣アボー マ⸢チクガ⸣リティル ⸢オーッタン⸣ドゥ ⸢マーラシ ナー⸣ヌ [sa⸢ku⸣ʃeː ʔi⸢ʧiru piː⸣taira ⸢kai⸣ri ⸣kuːjuːti ⸣ʔaboː ma⸢ʧikuga⸣ritiru ⸢ʔoːttan⸣du ⸢maːrasoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (何時になったら兵隊から帰ってくるかと待ち焦がれておられたが、亡くなってしまった)。 ⸢ヤー⸣ヌ プ⸢ソー⸣ タ⸢ビヌ⸣ プ⸢ス⸣バ マ⸢チクガリ⸣ルンダ トゥ⸢ジッふァ⸣ マ⸢チクガラシムン⸣ドーシ ⸢パイ⸣サ ⸢カイ⸣リ ⸣クー [⸢jaː⸣nu pu̥⸢soː⸣ ta⸢binu⸣ pu̥⸢su⸣ba ma⸢ʧikugari⸣runda tu⸢ʤiffa⸣ ma⸢ʧikugaraʃimun⸣doːʃi ⸢pai⸣sa ⸢kai⸣ri ⸣kuː] (家の人は、旅にいる人を待ち焦がれるから、妻子を待ち焦がらせないで、早く帰って来いよ)。 マ⸢チクガリ⸣ル プ⸢スヌ⸣ キ⸢ム⸣ウチ [ma⸢ʧikugari⸣ru pu̥⸢sunu⸣ ki⸢mu⸣ʔuʧi] (待ち焦がれる人の心<肝内>)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢チクガリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢ʧikugari⸣reː ⸣misamunu] (もっと待ち焦がれればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢チクガリ⸣リバ [⸢maː⸣bim ma⸢ʧikugari⸣riba] (もっと待ち焦がれろよ) 16023 0 0 15898 htmvoc_16023.wav マチクガルン マ⸢チクガ⸣ルン [ma⸢ikuga⸣ruŋ] 他動 待ち焦がれる。沖縄方言からの借用語か。 ユ⸢ナカバー⸣キ マ⸢チクガ⸣レーティ ⸢ワーヨー⸣ ン⸢カイヨーッ⸣タ⸢ダー [ju⸢nakabaː⸣ki ma⸢ʧikuga⸣reːti ⸢waːjoː⸣ ʔŋ⸢kaijoːt⸣ta⸢daː] (夜中まで待ち焦がれながら君を迎えられたのだよ)。 ⸣ドゥク マ⸢チクガラン⸣ドーシ ⸢ヨーンナー⸣ ン⸢カイヨー⸣リバ [⸣duku ma⸢ʧikugaran⸣doːʃi ⸢joːnnaː⸣ ʔŋ⸢kaijoː⸣riba] (あまり待ち焦がれないで、ゆっくりお迎えなさいよ)。 ッ⸢ふァヌ カイリ⸣バ マ⸢チクガ⸣ルンテー ア⸢ラン⸣ドゥ ⸢ナーイ⸣ マティ ⸢ベー [f⸢fanu kairi⸣ba ma⸢ʧikuga⸣runteː ʔa⸢ran⸣du ⸢naːji⸣ mati ⸢beː] (子供の帰りを待ち焦がれるという訳ではないが、ただじっと待っている)。 ⸣アイブ ム⸢ヌ⸣バ マ⸢チクガ⸣ル プ⸢スヌ ブン⸣カヤー [⸣ʔaibu mu⸢nu⸣ba ma⸢ʧikuga⸣ru pu̥⸢sunu buŋ⸣kajaː] (あんな者を待ち焦がれる人がいるかね)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢チクガ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢ʧikuga⸣reː ⸣misamunu] (もっと待ち焦がればいいのに)。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ティ マ⸢チクガ⸣リバ [⸣ʔunaː ⸢beː⸣ti ma⸢ʧikuga⸣riba] (そこにいて待ち焦がれろよ) 16025 0 0 15899 htmvoc_16025.wav マチグシ マ⸢チグシ [ma⸢ʧiguʃi] 名 供物の神酒。「祀り御酒」の義。神前や仏前に供えた神酒。 マ⸢チグシェー⸣ ピ⸢キティ⸣ グシ カ⸢ミ⸣リバ [ma⸢ʧiguʃeː⸣ pi̥⸢kiti⸣ guʃi ka⸢mi⸣riba] (供物の神酒は祭壇から引き下げて頂きなさいよ) 16026 0 0 15900 htmvoc_16026.wav マチダイ マ⸢チダイ [ma⸢ʧidai] 名 末代。末の代。石垣方言からの借用語。老年層は、ア⸢トゥ⸣ヌ ⸢ユー[ʔa⸢tu⸣nu ⸢juː](後の世)ともいう。 ⸢ベー⸣ヌ ⸣ウヤパーブジェー ⸢イークトゥ バ ソー⸣レーティル マ⸢チダイバー⸣キ ⸢ナーヤ⸣ ヌ⸢カ⸣リ ⸢オー⸣ルティ⸢ダー [⸢beː⸣nu ⸣ʔujapaːbuʤeː ⸢ʔiːkutuba soː⸣reːtiru ma⸢ʧidaibaː⸣ki ⸢naːja⸣ nu⸢ka⸣ri ⸢ʔoː⸣ruti⸢daː] (我が家のご先祖は良い事をなされたので<ぞ>、末代まで名前が残っているそうだよ) 16027 0 0 15901 htmvoc_16027.wav マチナバ ⸣マチナバ [⸣maʧinaba] 名 (植)キノコ(茸)の一種。マツタケ(松茸)。⸣ナバ[⸣naba](キノコ<茸>)を食することは、鳩間島ではあまりなかった。桑の木やガジマル(榕樹)に自生する⸢ミン⸣グル[⸢miŋ⸣guru](キクラゲ<木耳>)を食した。 ⸣マチナバー ッ⸢ふァーリン⸣テー ッ⸢サンシェン [⸣maʧinabaː f⸢faːrin⸣teː s⸢saŋʃeŋ] (\ruby{松茸}{マツ|タケ}<松の木に生えるキノコ>は食べられるとは知らなかった) 16028 0 0 15902 htmvoc_16028.wav マチニー マ⸢チ⸣ニー [ma⸢ʧi⸣niː] 名 まつげ(睫毛、睫)。若年層はマ⸢チ⸣ギ[ma⸢ʧi⸣gi](睫)ともいう。「睫、万豆介(まつげ)、目瞼毛也」『和名抄』。「Matçugue.マツゲ(睫) まつげ」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 マ⸢チニー⸣ヌ ⸢ナー⸣<ナ⸢ガー⸣> ミ⸢ドーン⸣ッふァー ア⸢バ⸣レーン [ma⸢ʧiniː⸣nu ⸢naː⸣ mi⸢doːŋ⸣ffaː ʔa⸢ba⸣reːŋ] (\ruby{SqBr}g{/SqBr}{睫毛}{マツゲ}の長い女の子は美しい<あはれさ・あり・む>)。 キ⸢ラマー⸣ ミ⸢ラリ⸣ヌ マ⸢チ⸣ゲー ミ⸢ララ⸣ヌ [ki⸢ramaː⸣ mi⸢rari⸣nu ma⸢ʧi⸣geː mi⸢rara⸣nu] (灯台下暗らし{EOS}沖縄本島の諺<慶良間は見えるが睫毛は見えない>の翻案) 16029 0 0 15903 htmvoc_16029.wav マチヌアバ マ⸢チ⸣ヌ ⸣アバ [ma⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaba] 連 まつやに(松脂)。「松の脂」の義。⸣マチアバ[⸣maʧiʔaba]ともいう。「松脂 万豆夜邇」『和名抄』の義。 ⸣マチキーヤ マ⸢チ⸣ヌ ⸣アバ フ⸢ク⸣ミ ⸢ブンダ⸣ タ⸢ム⸣ヌ サ⸢バン⸣ イッ⸢ケナ ムイルン [⸣maʧikiːja ma⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaba ɸu̥⸢ku⸣mi ⸢bunda⸣ ta⸢mu⸣nu sa⸢baŋ⸣ ʔik⸢kena muiruŋ] (松の木は松脂<松の脂>を含んでいるから、薪にしても非常によく燃える) 16031 0 0 15904 htmvoc_16031.wav マチヌナル マ⸢チ⸣ヌ ⸣ナル [ma⸢ʧi⸣nu ⸣naru] 連 松の実。松かさ。松ぽっくり。 ⸣マチヤマーラ マ⸢チ⸣ヌ ⸣ナル プ⸢サイ⸣ クーバ [⸣maʧijamaːra ma⸢ʧi⸣nu ⸣naru pu̥⸢sai⸣ kuːba] (松林から松かさを拾ってきなさいよ) 16030 0 0 15905 htmvoc_16030.wav マチヌニー マ⸢チ⸣ヌ ⸣ニー [ma⸢ʧi⸣nu ⸣niː] 連 松の根。 マ⸢チ⸣ヌ ⸣ニーナーン マ⸢チ⸣ヌ ⸣アバ フ⸢クマ⸣リ ⸢ブン⸣ダー [ma⸢ʧi⸣nu ⸣niːnaːm ma⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaba ɸu̥⸢kuma⸣ri ⸢bun⸣daː] (松の根にも松脂が含まれているよ) 16032 0 0 15906 htmvoc_16032.wav マチヌパーアーシ マ⸢チ⸣ヌパー ⸢アー⸣シ [ma⸢ʧi⸣nupaː ⸢ʔaː⸣ʃi] 連 子供の遊戯の名。松葉の喧嘩。松の葉を互いに根元の方を掛け合わせて引張り合い、切れた方を負けとする遊び。「松の葉合わせ」の義。子供は正月の門松を廃棄する際に、松葉を合わせて引き合いながら、その強さを競って遊んだ。森林愛護運動が起ってからは門松を飾ることが廃止され、その遊びも見られなくなった。 マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢ラビ⸣ヌ マ⸢チ⸣ヌパー ⸢アー⸣シン ミ⸢ララン⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ja⸢rabi⸣nu ma⸢ʧi⸣nupaː ⸢ʔaː⸣ʃim mi⸢raran⸣ nari ⸢naː⸣nu] (今は子供の松葉喧嘩<松の葉合わせ>の遊びも見られなくなった) 16033 0 0 15907 htmvoc_16033.wav マチバーリカサバーリ マ⸢チバーリ⸣ カ⸢サバーリ [ma⸢ʧibaːri⸣ kḁ⸢sabaːri] 連 まつわり、\ruby{絡}{カラ}まりつくこと。「まつわり<\ruby{纏}{マツ}わり>からまり<絡まり>」の転訛したもの。 シ⸢ナッふァ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ マ⸢チバーリ⸣ カ⸢サバーリ⸣ シ⸢ラリティ⸣ タティン ⸣ビリン ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢naffa⸣nu ⸢goː⸣raːnda ma⸢ʧibaːri⸣ ka⸢sabaːri⸣ ʃi⸢rariti⸣ tatimbirin na⸢ra⸣nu] (幼い子供が多いから、まつわり絡まりつかれて、身動き<立ちも座りも>できない) 16034 0 0 15908 htmvoc_16034.wav マチバールン マ⸢チバールン [ma⸢ʧibaːruŋ] 自動 まつわり(\ruby{纏}{マツ}わり)つく。子供が母親にまとい(\ruby{纏}{マトイ})つく。 ヤ⸢ラ⸣ベー ブ⸢ネー⸣ナー マ⸢チバーリティ⸣ パ⸢ナーサラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː bu⸢neː⸣naː ma⸢ʧibaːriti⸣ pa⸢naːsara⸣nu] (子供が母親に\ruby{纏}{マツ}わり付いて離されない)。 ウ⸢ヌ⸣ ジ⸢ブンマー⸣ ブ⸢ネー⸣ナー マ⸢チバールンダ⸣ マ⸢チバーラン⸣ヨーニ ナ⸢ラー⸣シ [ʔu⸢nu⸣ ʤi⸢bummaː⸣ bu⸢neː⸣naː ma⸢ʧibaːrunda⸣ ma⸢ʧibaːraɲ⸣joːni na⸢raː⸣ʃiba] (その年頃<時分>は母親に纏わり付くから、纏わり付かないように躾け<教え>なさい)。 ブ⸢ネー⸣ナー マ⸢チバール⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ブ⸢ラーヌ [bu⸢neː⸣naː ma⸢ʧibaːru⸣ ja⸢ra⸣beː bu⸢raːnu] (母親に纏わり付く子供はいない)。 ン⸢メーマー⸣ マ⸢チバーレー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmaː⸣ ma⸢ʧibaːreː⸣ misamunu] (少しは母親に纏わり付けばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢チバーリ⸣バ [⸢maː⸣bim ma⸢ʧibaːri⸣ba] (もっと纏わり付けよ) 16035 0 0 15909 htmvoc_16035.wav マチフニ ⸣マチフニ [⸣maʧiɸuni] 名 松の木で作った\ruby{刳}{ク}り舟。直径50~60センチ、長さ約5メートルの⸣マチキー[⸣maʧikiː](松材{EOS}松の幹{EOS}「松木」の義)を刳り貫いて作った舟。明治18年頃の鳩間島には丸木舟が13隻あったという「鳩間島巡検統計誌」(田代安定)。この丸木舟に乗って西表島へ通い、人頭税を納めるために水田耕作をした。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸣マチフネーラ ⸢パイ⸣ター ⸢ギーカユイ シール ター⸣ヤ ス⸢ク⸣ローッタツォー [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸣maʧiɸuneːra ⸢pai⸣taː ⸢giːkajui ʃiːru taː⸣ja su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (鳩間の人は松の刳り舟で<から>西表島<南端>へ行き通いして水田耕作された<田んぼを作られた>そうだ) 16036 0 1 15910 htmvoc_16036.wav マチブルン マ⸢チブルン [ma⸢ʧiburuŋ] 自動 {Mn_1}仕事に熱中する。夢中になる。耽る。没頭する。「まつわる(纏わる)」の転訛したもの。「~藤波の思纏<オモヒマツハリ>若草の~。万、3248」、「縈、マツハレリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 シ⸢グトゥ⸣ナー マ⸢チブリ ベーン⸣ケン ⸢ユー⸣ボン ⸣スコール ⸢バシキ ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutu⸣naː ma⸢ʧiburi beːŋ⸣keɲ ⸢juː⸣bon ⸣su̥koːru ⸢baʃi̥ki naː⸣nu] (仕事に夢中になっているうちに夕飯の準備を忘れていまった)。 バ⸢カーン⸣ ケンマー シ⸢グトゥ⸣ナー マ⸢チブルンダ⸣ ドゥク マ⸢チブランドー⸣シ シ⸢グトー シー⸠ヨー [ba⸢kaːŋ⸣ kemmaː ʃi⸢gutu⸣naː ma⸢ʧiburunda⸣ duku ma⸢ʧiburandoː⸣ʃi ʃi⸢gutoː ʃiː⸠joː] (若い時は仕事に夢中になるから、あまり夢中にならないで仕事をしなさいよ)。 シ⸢グトゥ⸣ナー マ⸢チブル⸣ クトー ⸢ナーン⸣セン [ʃi⸢gutu⸣naː ma⸢ʧiburu⸣ ku̥toː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (仕事に夢中になることはなかった)。 ⸢マー⸣ビン シ⸢グトゥ⸣ナー マ⸢チブレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʃi⸢gutu⸣naː ma⸢ʧibureː⸣ misamunu] (もっと仕事に夢中になればいいのに)。 マ⸢チブリ⸣バ [ma⸢ʧiburi⸣ba] (夢中になれよ)。 16036 0 2 15911 htmvoc_16036.wav マチブルン マ⸢チブルン [ma⸢ʧiburuŋ] 自動 {Mn_2}女性に\ruby{惚}{ホ}れて\ruby{現}{ウツツ}を\ruby{抜}{ヌ}かす。芸事に現を抜かす。 ミ⸢ドゥ⸣ムナー マ⸢チブリティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢グトー サンバン [mi⸢du⸣munaː ma⸢ʧiburiti⸣ mut⸢tu⸣ ʃi⸢gutoː sambaŋ] (女に夢中になって遊び惚けて、ちっとも仕事をしないわい)。 シ⸢グトゥマチブリ スン [ʃi⸢gutumaʧiburi suŋ] (仕事に夢中になる<仕事惚けする>) 16037 0 0 15912 htmvoc_16037.wav マチヤー マ⸢チヤー [ma⸢ʧijaː] 名 店。商家。商店。町屋。「店家、マチヤ、坐売舎也」『色葉字類抄』、「Machiya.マチヤ(町屋) 町の家」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 イ⸢サンケーヌ⸣ マ⸢チヤー⸣ラ シ⸢ナムヌ カイ⸣ クー [ʔi⸢saŋkeːnu⸣ ma⸢ʧijaː⸣ra ʃi⸢namunu kai⸣ kuː] (石垣島の商家から品物を買ってこい) 16038 0 0 15913 htmvoc_16038.wav マチャーヘー ⸣マチャーヘー [⸣maʧaːheː] 固 人名。「真津氏」の義。大城真津氏の愛称。⸣マチャーヒー[⸣maʧaːçiː]ともいう。 ⸢~ヘー [⸢~heː] (琉球古語では「比屋」と表記される{EOS}昔の按司の家来の役名で、鳩間方言のそれは糸満方言から借用したもの{EOS}⸢~氏{EOS}~さん」の義)。「~ヒー」[çiː](~さん{EOS}ぞんざいな表現)ともいう。ヒャー[çaː]→ヘー[heː] → ヒー[çiː]と音韻変化したもの。鳩間方言では敬愛の接尾語として用いられ、人名に下接して敬愛の情を表す。 ⸣マチャーヘー [⸣maʧaːheː] (真津さん) ⸢サン⸣ダーヘー [⸢san⸣daːheː] (三郎さん))。⸣カナーヒー[⸣kanaːçiː](加那さん)などという 16039 0 0 15914 htmvoc_16039.wav マチャーヘースニ ⸣マチャーヘースニ [⸣maʧaːheːsuni] 名 (海底地名)。マチャーヘー曽根。大城真津氏がカツオ漁船のザ⸢コー⸣バ[ʣa⸢koː⸣ba](餌獲り場{EOS}「雑魚獲り場」)とした曽根。フ⸢ターチズニ[ɸu̥⸢taːʧiʣuni](二つ曽根)の内側で、ヤ⸢マ⸣タジル[ja⸢ma⸣taʤiru]の南側にある 16040 0 0 15915 htmvoc_16040.wav マチヤマ ⸣マチヤマ [⸣maʧijama] 名 松林。松の森。「松山」の義。 ⸣インダヌ ⸢シーヌウチヌ⸣ マチヤマー イッ⸢ケンカイ⸣ヤタン [⸣ʔindanu ⸢ʃiːnuʔuʧinu⸣ maʧijamaː ʔik⸢keŋ kai⸣jataŋ] (西表島の、伊武田地区の垣の内の松林は非常に美しかった) 16041 0 0 15916 htmvoc_16041.wav マチリ マ⸢チリ [ma⸢ʧiri] 名 祭り。 シ⸢チマチ⸣リ [ʃi̥⸢ʧimaʧi⸣ri] (節祭り{EOS}単に⸣シチ{SqBr}⸣ʃi̥ʧi{/SqBr}<節>ともいう)。⸢タンカーマチリ[⸢taŋkaːmaʧiri](遠方から、供物を祈願する方向へ向かって供え、線香を立てて祈願すること{EOS}⸢タンカーマチ{SqBr}⸢taŋkaːmaʧi{/SqBr}ともいう)、ウ⸢シマチリ[ʔu⸢ʃimaʧiri](牛祭り)などの語がある。節祭りは旧暦8,9,10月の戊戌(つちのえいぬ)、己亥(つちのとゐ)に当る日に執り行われた 16042 0 0 15917 htmvoc_16042.wav マチンパー マ⸢チン⸣パー [ma⸢ʧim⸣paː] 名 松葉。「松の葉」の転訛したもの。鳩間島には琉球松は自生していない。西表島には見事な琉球松が繁茂していたが、多くは戦時中に伐採された。伐採されて枯れた松の幹や根からは松根油を含んだ、ア⸢カ⸣シ[ʔa⸢ka⸣ʃi](あかし<灯>)がとれた。終戦直後は、これを鉛筆大に割って、二三本ずつ燃やしてランプの代用にしていた。 マ⸢チン⸣パーバ タ⸢ム⸣ヌ ⸢シー モース⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [ma⸢ʧim⸣paːba ta⸢mu⸣nu ⸢ʃiː moːsu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (松葉を薪にして燃やす<燃料にする>人はいなかった) 16043 0 0 15918 htmvoc_16043.wav マツォー ⸣マツォー [⸣maʦoː] 固 (人)男性の名。名称、呼称にいう。⸣マツァー[⸣maʦaː](眞津)ともいう。明治時代の男子の名前には「松」、「眞津」、「多呂」、「多良」と戸籍に記される人名が多い。明治以後は戸籍上の大和風の名前と日常家庭で呼ばれる旧来の童名があった。カ⸢ザケヌ⸣ マツォーザー[ka⸢ʣakenu⸣ maʦoʣaː](加治工の眞津兄さん)は、戸籍上の名は「加治工実」である 16044 0 0 15919 htmvoc_16044.wav マッカーラ マッ⸢カーラ [mak⸢kaːra] 名 真っ赤。 ⸢ウイプス⸣ヌ マッ⸢カーラヌ キン⸣バ キ⸢シティ⸣ バ⸢カヤー ナーン⸣カヤー [⸢ʔuipusu⸣nu mak⸢kaːranu kim⸣ba ki̥⸢ʃiti⸣ ba⸢kajaː naːŋ⸣kajaː] (年寄りが真っ赤な着物を着て恥ずかしくないのかねえ)。 マッ⸢カーラヌ⸣ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サクン [mak⸢kaːranu⸣ pa⸢na⸣nu ⸣sḁkuŋ] (真っ赤な花が咲く) 16045 0 0 15920 htmvoc_16045.wav マッカク ⸢マッカク [⸢makkaku] 名 真四角。正方形。 ⸢マッカクヌ⸣ カ⸢ビ⸣ ブリバ [⸢makkakunu⸣ ka⸢bi⸣ buriba] (正方形の紙を折りなさい)。 ⸢マッカクヌ⸣ フ⸢ル⸣シケーナ ッ⸢ス⸣ミバ [⸢makkakunu⸣ ɸu⸢ru⸣ʃi̥keːna s⸢su⸣miba] (真四角の風呂敷に包みなさいよ)。 ⸢マッカクヌ⸣ ピ⸢キダマー カッコー ダーッサーナー⸣ヌ [⸢makkakunu⸣ pi⸢kidamaː kakkoː daːssaːnaː⸣nu] (真四角の凧は、格好は良くない) 16046 0 0 15921 htmvoc_16046.wav マックルー マッ⸢クルー [mak⸢kuruː] 名 真っ黒。 ⸣ティダナー プ⸢サ⸣レーティ シ⸢グトゥ シーアー⸣キ マッ⸢クルー⸣ ナリ⸢ベー [⸣tidanaː pu̥⸢sa⸣reːti ʃi⸢gutu ʃiːʔaː⸣ki mak⸢kuruː⸣ nari⸢beː] (太陽に干されて仕事をしていて真っ黒になっている) 16047 0 0 15922 htmvoc_16047.wav マッコー ⸣マッコー [⸣makkoː] 名 (植)木の名。盆栽用植物。ハリツルマサキ。 ⸣マッコーヤ パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナン⸣ゾー ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣シェン [⸣makkoːja pḁ⸢tu⸣manaː ⸢nan⸣ʣoː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (マッコーは鳩間島では、あまり見たことはなかった) 16048 0 0 15923 htmvoc_16048.wav マッサ ⸢マッサ [⸢massa] 名 (動)魚の名。和名、テングハギの仲間。体長は80センチに達するというが、鳩間島ではあまり漁獲されない 16049 0 0 15924 htmvoc_16049.wav マッシル マッ⸢シル [maʃ⸢ʃiru] 名・形動 真っ白。純白である。標準語からの借用語が転訛したもの。 ⸣ッサイ ⸣ムイティ ス⸢ブ⸣ロー マッ⸢シル ヤッタ [⸣ssai ⸣muiti su⸢bu⸣roː maʃ⸢ʃiru jatta] (白髪が生えて、頭は真っ白だった)。 マッ⸢シルヌ⸣ カ⸢ビ<ッ⸢ス⸣カビ> [maʃ⸢ʃirunu⸣ ka⸢bi] (真っ白な紙)。 マッ⸢シル⸣シ ⸢ヌーリ<ッ⸢ソーッソー⸣シ⸢ヌーリ> [maʃ⸢ʃiru⸣ʃi ⸢nuːri] (真っ白に塗れ) 15992 0 1 15925 htmvoc_15992.wav マッシング マッ⸢シング [maʃ⸢ʃiŋgu] 副 {Mn_1}真っ直ぐに。 ⸢シン⸣マー マッ⸢シング⸣ ピ⸢キ⸣バ [⸢ʃim⸣maː maʃ⸢ʃiŋgu⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (線は真直ぐに引きなさいよ)。 マッ⸢シング⸣シ ⸢ブー⸣ タ⸢キ⸣ イ⸢ラ⸣ビバ [maʃ⸢ʃiŋgu⸣ʃi ⸢buː⸣ tḁ⸢ki⸣ ʔi⸢ra⸣biba] (真っ直ぐになっている竹を選べよ)。 ⸣ビーティ マッ⸢シング⸣ ア⸢ラキ ユーサ⸣ヌ [⸣biːti maʃ⸢ʃiŋgu⸣ ʔa⸢raki juːsa⸣nu] (酔って真っ直ぐに歩けない)。マッ⸢シグ[maʃ⸢ʃigu](真っ直ぐ)ともいう。 15992 0 2 15926 htmvoc_15992.wav マッシング マッ⸢シング [maʃ⸢ʃiŋgu] 副 {Mn_2}(名)真っ直ぐ。正直。 マッ⸢シングヌ⸣ タ⸢キ [maʃ⸢ʃiŋgunu⸣ tak⸢i] (真っ直ぐな竹)。 ウ⸢レー⸣ マッ⸢シングヌ⸣ プ⸢ス [ʔu⸢reː⸣ maʃ⸢ʃiŋgunu⸣ pu̥⸢su] (彼は正直な人だ<真っ直ぐな人だ>) 16050 0 0 15927 htmvoc_16050.wav マッシング マッ⸢シング [maʃ⸢ʃiŋgu] 名・形動 真っ直ぐ。少しも曲がっていないこと。老年層の使用語。 マッ⸢シングヌ⸣ ミ⸢チ⸣ヌ ⸣アン [maʃ⸢ʃiŋgunu⸣ mi⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaŋ] (真っ直ぐな<の>道がある)。 マッ⸢シング⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸣パリ [maʃ⸢ʃiŋgu⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸣pari] (真っ直ぐ歩いて行け)。 マッ⸢シング ヤッタ [maʃ⸢ʃiŋgu jatta] (真っ直ぐだった) 16051 0 0 15928 htmvoc_16051.wav マッスグ マッ⸢スグ [mas⸢sugu] 名・形動 真っ直ぐ。少しも曲がっていないこと。標準語からの借用語か。若年層の使用語。 マッ⸢スグ⸣ タティバ [mas⸢sugu⸣ tḁtiba] (真っ直ぐ立ちなさいよ)。 マッ⸢スグヌ⸣ プ⸢ス [mas⸢sugunu⸣ pu̥⸢su] (正直な<真っ直ぐな>人) 16052 0 0 15929 htmvoc_16052.wav マッタキ マッ⸢タキ [mat⸢taki] 副 全く。完全に。そっくり。「Mattacu.マッタク(全く).副詞.確かに疑いも無く,または,すべて,完全に」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ク⸢レー⸣ マ⸢ッタキ⸣ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [ku⸢reː⸣ mat⸢taki⸣ ju⸢nu⸣munu] (これは全く同じものだ)。 ッ⸢ふァー⸣ ウ⸢ヤ⸣トゥ マッ⸢タキ<ビッ⸢ツティ> ニーブ [f⸢faː⸣ ʔu⸢ja⸣tu mat⸢taki niːbu] (子供は親にそっくり似ている)。 ウ⸢ヌ シーヨー⸣ヤ マッ⸢タキ⸣ プ⸢リムヌ⸠ツォー [ʔu⸢nu ʃiːjoː⸣ja mat⸢taki⸣ pu⸢rimunu⸠ʦoː] (そいつのやり方<しざま{EOS}為様>は全く狂人<\ruby{耄}{ホ}れ者>なんだよ) 16053 0 0 15930 htmvoc_16053.wav マットーバ マッ⸢トーバ [mat⸢toːba] 名 真っ直ぐ。真っ正直。 ウ⸢レー⸣ マッ⸢トーバヌ⸣ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ユ⸢クシ⸣ムネー ア⸢ザヌ [ʔu⸢reː⸣ mat⸢toːbanu⸣ pu̥⸢su⸣ ja⸢runda⸣ ju⸢kuʃi⸣muneː ʔa⸢ʣanu] (彼は真っ正直な<の>人だがら、嘘は言わない)。 カ⸢ク⸣シ ⸣ユクシ ⸢サンドー⸣シ マッ⸢トーバ⸣ アジ ッ⸢サリリ [kḁ⸢ku⸣ʃi ⸣jukuʃi ⸢sandoː⸣ʃi mat⸢toːba⸣ ʔaʤi s⸢sariri] (嘘偽り<隠したり、嘘ついたり>しないで、真っ正直<真っ直ぐ>に申し上げなさい)。 マッ⸢トーバ⸣ ア⸢ラ⸣キバ [mat⸢toːba⸣ ʔa⸢ra⸣kiba] (真っ直ぐ歩けよ) 16054 0 0 15931 htmvoc_16054.wav マットーン ⸢マットー⸣ン [⸢mattoː⸣ŋ] 形 正直である。真っ直ぐである。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー マットー⸣ンティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー ⸢マットー ナーン⸣ティバン ⸢ナー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː mattoː⸣nti su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː ⸢mattoː naːn⸣tiban ⸢naː] (その人は真っ正直だと聞いたが、それほど真っ正直ではないそうだねえ)。 イッ⸢ケナ マットーヌ⸣ プ⸢ス [ʔik⸢kena mattoːnu⸣ pu̥⸢su] (非常に正直な人) 16055 0 0 15932 htmvoc_16055.wav マッふァ ⸢マッ⸣ふァ [⸢maf⸣fa] 名 枕。「枕、万久良(まくら)」『和名抄』。「Macura.マクラ(枕)枕.Macurauo catamuquru.(枕を傾くる)寝るために枕を\ruby{整}{トトノ}える」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢キーマッ⸣ふァ [⸢kiːmaf⸣fa] (木枕)。 パ⸢クマッふァ [pḁ⸢kumaffa] (箱枕)。 ⸢ヌーヌマッふァ [⸢nuːnumaffa] (布枕)。 イ⸢シマッふァ [ʔi⸢ʃimaffa] (陶磁器製の枕{EOS}ひんやりとした感触があり、夏季に愛用された)。⸢ティーマッ⸣ふァ[⸢tiːmaf⸣fa](手枕{EOS}母親が子供を寝かせつける際に手枕にした)などがあった。 ⸢マッ⸣ふァ ⸢サン⸣カー ニ⸢バラヌ [⸢maf⸣fa ⸢saŋ⸣kaː ni⸢baranu] (枕をしないと眠れない) 16056 0 0 15933 htmvoc_16056.wav マッふァイズ ⸢マッ⸣ふァイズ [⸢maf⸣faʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ハコフグ(体長約30センチ)。和名、コンゴウフグ(体長約40センチ)の総称。形態が枕に似ることから命名された。⸢ブー⸣ナー[⸢buː⸣naː](ふぐ<河豚>)ともいう。⸢マッ⸣ふァイズ[⸢maf⸣faʔiʣu]も⸢ブー⸣ナー[⸢buː⸣naː]も全く食しない。網にかかっても捨てた 16057 0 0 15934 htmvoc_16057.wav マツラ マ⸢ツ⸣ラ [ma⸢ʦu⸣ra] 名 船の⸢カー⸣ラ[⸢kaː⸣ra](竜骨)に据え付けるL字型、V字型の肋骨。多くはV字型、L字型の股木を利用していた。これに板を接ぎ合わせて伝馬船の船体を造っていた。 ⸢キー⸣ヌ ⸣マタ シゥ⸢カイティ⸣ フ⸢ニ⸣ヌ マ⸢ツ⸣ラ ⸢ソーッ⸣タ [⸢kiː⸣nu mata sï̥⸢kaiti⸣ ɸu⸢ni⸣nu ma⸢ʦu⸣ra ⸢soːt⸣ta] (木の股<股木>を使って伝馬船の竜骨に据え付けるマツラ(肋骨)にされた) 16058 0 0 15935 htmvoc_16058.wav マツン マ⸢ツン [ma⸢ʦuŋ] 他動 まつる。神仏に供物を供える。「祭る、祀る」の義。「~神のみ坂に奴佐麻都理<ヌサマツリ>~。万4402」、「Matçuri,u,utta.マツリ、ル、ッタ(祭り、る、った)神(Camis)に対して祭礼や儀式を行い、いけにえを捧げ、祈願をする.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ム⸢チン⸣ グシン ⸢コー⸣パナーン シ⸢キ⸣ マ⸢チティ ニン⸣ガイ ッ⸢サリリ [mu⸢ʧiŋ⸣ guʃiŋ ⸢koː⸣panaŋ ʃi̥⸢ki⸣ ma⸢ʧiti niŋ⸣gai s⸢sariri] (餅も神酒も線香、花米も供え祭ってお祈<祈願>を申し上げなさい)。 ⸣グシ マ⸢ツンティ スンドゥ⸣ マ⸢ツァン⸣タンティ ⸣ミサンティ ア⸢ゾール⸣バン [⸣guʃi ma⸢ʦunti sundu⸣ ma⸢ʦan⸣tantim ⸣misanti ʔa⸢ʣoːru⸣baŋ] (神酒を供えよう<祭る>とするが、祭らくてもよいとおっしゃるよ)。 マ⸢チ⸣ ミサカー マ⸢ツ⸣ クトー ⸣ナルン [ma⸢ʧi⸣ misakaː ma⸢ʦu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (祭って<供えて>よければ、祭る<供える>ことは出来る)。 ムー⸢ル⸣ マ⸢チェー⸣ ミサムヌ [muː⸢ru⸣ ma⸢ʧeː⸣ misamunu] (全部お供えすればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣グシパナ マ⸢チ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸣guʃipana ma⸢ʧi⸣ba] (早く神酒や花米を供えなさいよ) 16060 0 0 15936 htmvoc_16060.wav マティカンティ マ⸢ティカン⸣ティ [ma⸢tikan⸣ti] 名 待ち遠しいさま。待ちかねること。待ちあぐむこと。その状態になることを待ちわびること。 ⸢ワー⸣ イ⸢チル⸣ クーカヤーティ マ⸢ティカン⸣ティ ⸢シーベー⸠ダー [⸢waː⸣ ʔi⸢ʧiru⸣ kuːkajaːti ma⸢tikan⸣ti ⸢ʃiːbeː⸠daː] (君はいつ来るのかと待ちかねているよ<待ち遠しく思っているよ>) 16059 0 0 15937 htmvoc_16059.wav マティングリサン マ⸢ティングリ⸣サン [ma⸢tiŋguri⸣saŋ] 形 待ちづらい。待ち兼ねる。待ちきれなくなる。「待ち苦しい<待ち難い>」の義で、厳しい状況表現が中心的意味。「Machicane.uru,eta.マチカネ、ヌル、ネタ(待ち兼ね、ぬる、ねた)待ちきれないほどになる」『邦訳日葡辞書』の語形に対応するマ⸢ティカン⸣ティ[ma⸢tikan⸣ti](待ち兼ねて{EOS}待ち遠しい)は、「期待して待つ」ことが中心意味。 ⸣クナーテー マ⸢ティングリ⸣サンダ ⸣カナーティ マ⸢タディー [⸣kunaːteː ma⸢tiŋguri⸣sanda ⸣kanaːti mata⸢diː] (此処では待ちづらいから、あそこで待とうよ)。 ⸢ナン⸣ゾー マ⸢ティングリ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ma⸢tiŋguri⸣saː ⸢naː⸣nu] (それほど待ちづらくない)。 ⸢シンダイ⸣ マ⸢ティングリ⸣サー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ ma⸢tiŋguri⸣saː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (次第に待ちづらくなってしまった)。 マ⸢ティングリ⸣サル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢tiŋguri⸣saru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (待ちづらいことはない) 16075 0 0 15938 htmvoc_16075.wav マトー マ⸢トー [ma⸢toː] 名 (動)魚の名。和名、イスズミ(体長約55センチ、薄い銀色の体色)。鳩間島では大型の成魚は、あまり漁獲されなかった 9544 0 0 15939 htmvoc_9544.wav マトーナ マ⸢トーナ [ma⸢toːna] 名 又こなし(またこなし<又熟し>)。二度耕し 16076 0 0 15940 htmvoc_16076.wav マトーナー マ⸢トーナー [ma⸢toːnaː] 名 又ごな(熟)し。田圃を二度目に耕すこと。マ⸢タ[ma⸢ta](又)に「Conaxi,su,aita.コナシ、ス、イタ(こなし、す、いた)、Tçuchiuo conasu(土をこなす)粘土を捏ねる」『邦訳日葡辞書』が融合して形成され、更に転訛したもの。ア⸢ロー⸣ナ[ʔa⸢roː⸣na](水田の初耕し<初起こし{EOS}粗こなし>)の後、マ⸢トーナ[ma⸢toːna](又起こし{EOS}又こなし)、⸢サン⸣トゥ[⸢san⸣tu](三度耕し<三度こなし>)をして田植えをするのが普通であった。⸢マイフナー[⸢maiɸunaː](働き者<立派な男>)は、⸢ユントゥ[⸢juntu](四度こなし)までするので、その人は村の誉れと言われたという。 イ⸢ガメーヌ⸣ ウ⸢ワール⸣カー ア⸢ロー⸣ナ マ⸢トーナ サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢gameːnu⸣ ʔu⸢waːru⸣kaː ʔa⸢roː⸣na ma⸢toːna saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (烏賊釣り漁が終わると、田圃の初耕し<初こなし>、二度耕<又こなし>しをしないといけない) 16061 0 0 15941 htmvoc_16061.wav マトゥ マ⸢トゥ [ma⸢tu] 名 的。目標。「的、万斗(まと)、射的也」『和名抄』。「Mato.マト(的)射垜(あずち)に立てる標的」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ユン⸣ヌ マ⸢トゥ⸣ イ⸢ヤ⸣シ イ⸢リ⸣バ [⸢jun⸣nu ma⸢tu⸣ ʔi⸢ja⸣ʃi ʔi⸢ri⸣ba] (弓の的を矢で射なさいよ) 16062 0 1 15942 htmvoc_16062.wav マドゥ ⸣マドゥ [⸣madu] 名 {Mn_1}暇。あいた時間。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) マ⸢ドー ナーン⸣バ マー⸢ズン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢kjuː⸣ja(wa)ma⸢doː naːm⸣ba maː⸢ʣum⸣ pa⸢rara⸣nu] (今日は暇がないから、一緒に行けない)。 16062 0 2 15943 htmvoc_16062.wav マドゥ ⸣マドゥ [⸣madu] 名 {Mn_2}時間的な間隔。 ⸢チャーチジ⸣キ ⸢サンドー⸣シ ⸣マドー ア⸢ケー⸣ティ シ⸢グトー シー⸣バ [⸢ʧaːʧiʤi⸣ki ⸢sandoː⸣ʃi ⸣madoː ʔa⸢keː⸣ti ʃi⸢gutoː ʃiː⸣ba] (ぶっ続けにしないで、間を置きながら<開けて>仕事はしなさい)。 イ⸢チヌ⸣ マドゥナール ⸢パッ⸣タユー ブ⸢ラーン⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʧinu⸣ madunaːru ⸢pat⸣tajuː bu⸢raːn⸣nari ⸢naː⸣nu] (いつの間に行ったのか、いなくなってしまた) 16063 0 0 15944 htmvoc_16063.wav マドゥキドゥ マ⸢ドゥ⸣キドゥ [ma⸢du⸣kidu] 名 すきま(隙間)。空き間。ABCB型の重言。「間遠・気遠」の義。「~鳴き行く鶴の麻登保久<マトホク>~。万、3522」、「~近からむと思ひつるを、されどけどほしかりけり」『源氏物語 帚木』の「間遠・気遠」が転訛したものか。空間的、時間的に離れたものを表す。 マ⸢ドゥーン ナー⸣ヌ [ma⸢duːn naː⸣nu] (暇がない{EOS}時間がない)。 キ⸢ドゥ ヌクン [ki⸢du nukuŋ] (訪ねることが減る{EOS}よそよそしくなる)。 マ⸢ドゥ⸣キドゥ ⸢ナーン⸣スコー ギャン⸢ティ⸣ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー [ma⸢du⸣kidu ⸢naːn⸣ su̥koː gjan⸢ti⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː] (隙間無く<立錐の余地がなく>人がぎっしり集まっている)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ネートゥ⸣ マ⸢ドゥ⸣キドゥ ヌ⸢カヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ bu⸢neːtu⸣ ma⸢du⸣kidu nu⸢kanu] (この子は母親にくっ付いて一寸も側を離れない{EOS}一寸の間隔もおかない) 16065 0 0 15945 htmvoc_16065.wav マドゥスクル マ⸢ドゥスク⸣ル [ma⸢dusu̥ku⸣ru] 名 \ruby{間作}{カン|サク}。麦や粟の畝や株の間に植えてつくる大豆など。 ア⸢ガマミーン トー⸣フマミーン ⸣ユー マ⸢ドゥスク⸣ル ⸢ソーッ⸣タン [ʔa⸢gamamiːn toː⸣ɸumaniːɲ ⸣juː ma⸢dusu̥ku⸣ru ⸢soːt⸣taŋ] (小豆も大豆もよく間作されたものだ) 16064 0 0 15946 htmvoc_16064.wav マドゥヌクン マ⸢ドゥ ヌクン [ma⸢du nukuŋ] 連 まどお(\ruby{間遠}{マ|ドオ})になる。往き来が遠のいていく。関係が薄れていく。キ⸢ドゥ ヌクン[ki⸢du nukuŋ](\ruby{気遠}{ケ|ドオシ}になる{EOS}気遠退く)ともいう。 チ⸢カ⸣グロー ⸢ウン⸣ネートー マ⸢ドゥヌキル ブー⸣ティバン ⸢ナー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢ʔun⸣neːtoː ma⸢dunukiru buː⸣tiban ⸢naː] (最近はあの家との往き来が間遠に<疎遠に>なっているそうだねえ<~間遠に遠退いているってねえ>) 16066 0 0 15947 htmvoc_16066.wav マドゥヌムヌ マ⸢ドゥ⸣ヌ ⸣ムヌ [ma⸢du⸣nu ⸣munu] 連 おやつ。間食。食事と食事の間に食べるもの。「間の物」の義。「~鳴き行く鶴の麻登保久<マトホク>思ほゆ。万、3522」の形容詞語幹の名詞化したものが意味派生したもの。 ⸢ウイ⸣プソー ⸣ドゥク ⸢イー⸣ヤ ン⸢コーラ⸣ヌヌ マ⸢ドゥ⸣ヌ ⸣ムノー ⸣プサ ⸢ソー⸣ルン [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸣duku ⸢ʔiː⸣ja ʔŋ⸢koːra⸣nunu ma⸢du⸣nu ⸣munoː ⸣pu̥sa ⸢soː⸣ruŋ] (老人は、あまり食事を召し上がらないが、お八つは欲しがられる<欲しくなさる>) 16067 0 0 15948 htmvoc_16067.wav マドゥヌムヌ マ⸢ドゥヌ⸣ムヌ [ma⸢dunu⸣munu] 名 魔物。悪霊。「魔道のもの」の義か。無縁仏で成仏できずにさ迷って、道行く人に供物をねだったり、頼みごとをして危害を加えると信じられている。キ⸢ドゥヌ⸣ムヌ[ki⸢dunu⸣munu](「外道のもの」の義か)と対語で用いられる。乳幼児を連れて夜間外出する必要がある場合、マ⸢ドゥヌ⸣ムヌ(魔道のもの)に乳幼児をさらわれぬよう、眉間に鍋墨を付けたり、祖母が舌で眉間を\ruby{舐}{ナ}めてやったりした。 マ⸢ドゥヌ⸣ムヌン ム⸢タラン⸣ヨーニ ピ⸢サ⸣ビ フ⸢タイ⸣ナー マ⸢ミ⸣バ [ma⸢dunu⸣munum mu⸢taraŋ⸣joːni pi̥⸢sa⸣bi ɸu̥⸢tai⸣naː ma⸢mi⸣ba] (魔物に惑わされないように鍋墨を額に塗りなさい) 16068 0 0 15949 htmvoc_16068.wav マドゥパカラウン マ⸢ドゥ⸣ パ⸢カ⸣ラウン [ma⸢du⸣ pḁ⸢ka⸣rauŋ] 連 合間をぬう。合間を見計らう。物事の途切れる間の短時間を活用する。 シ⸢グトゥヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣ パ⸢カライ⸣ヤーティ クーバ⸢ヨー [ʃi⸢gutunu⸣ ma⸢du⸣ pḁ⸢karai⸣jaːti kuːba⸢joː] (仕事の合間を見計らって来なさいね) 16069 0 0 15950 htmvoc_16069.wav マドゥマドゥ マ⸢ドゥ⸣マドゥ [ma⸢du⸣madu] 名 ひまひま(暇暇)。時々。 マ⸢ドゥ⸣マドー ⸣キー ⸢テー⸣ナイ ⸢シー⸣バ [ma⸢du⸣madoː ⸣kiː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiːba] (暇暇には来て手伝いなさいよ)。 シ⸢グトゥヌ⸣ マ⸢ドゥ⸣マドー ア⸢サビン⸣ クーバ [ʃi⸢gutunu⸣ ma⸢du⸣madoː ʔa⸢sabiŋ⸣ kuːba] (仕事のあいま<合間>には遊びに来いよ) 16070 0 0 15951 htmvoc_16070.wav マトゥマルン マ⸢トゥマルン [ma⸢tumaruŋ] 自動 まとま(\ruby{纏}{マトマ})る。ひとかたまりになる。整った状態になる。 ⸣キューズーナ ⸢カンガイ⸣ヤー マ⸢トゥマルン⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢トゥマラン⸣サー [⸣kjuːʣuːna ⸢kaŋgai⸣jaː ma⸢tumaruŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢tumaran⸣saː] (今日中に考えが纏まるかと思ったが、纏まらないさ)。 ドゥ⸢シザーン⸣ マ⸢トゥマリ⸣ ミサカー マ⸢トゥマル⸣ クトー ⸣ナルン [du⸢ʃiʣaːm⸣ ma⸢tumari⸣ misakaː ma⸢tumaru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (友人同士纏まってよければ、纏まることはできる)。 マー⸢ズン⸣ マ⸢トゥマレー⸣ ミサムヌ [maː⸢ʣum⸣ ma⸢tumareː⸣ misamunu] (一緒に纏まればいいのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢トゥマリ⸣バ [⸢paː⸣ku ma⸢tumari⸣ba] (早く纏まれよ)。 ⸣アイル ム⸢ヌグ⸣トー マ⸢トゥマル [⸣ʔairu mu⸢nugu⸣toː ma⸢tumaru] (そのようにしか<ぞ>物事は纏まらない<物事は纏まる>ものだ)。 16070 0 2 15952 htmvoc_16070.wav マトゥマルン マ⸢トゥマルン [ma⸢tumaruŋ] 自動 {Mn_2}全うする。 ク⸢ヌ⸣ ユ⸢ミンデー⸣カー ⸢クン⸣ネーナー マ⸢トゥマルン [ku⸢nu⸣ ju⸢mindeː⸣kaː ⸢kun⸣neːnaː ma⸢tumaruŋ] (この嫁ならこの家に嫁の勤めを成し遂げる<全うする>) 16071 0 0 15953 htmvoc_16071.wav マトゥミルン マ⸢トゥミルン [ma⸢tumiruŋ] 他動 まとめ(纏め)る。ひとかたまりにする。整った状態にする。 ムー⸢ルヌ カンガイ⸣バ マ⸢トゥミルンティ サンドー⸣シ マ⸢トゥミランドー⸣シ ⸢タンガタンガ⸣ヌ ⸢カンガイ⸣バ パ⸢ナシミ⸣リ [muː⸢runu kaŋ⸣gai ma⸢tumirunti sandoː⸣ʃi ma⸢tumirandoː⸣ʃi ⸢taŋgataŋga⸣nu ⸢kaŋgai⸣ba pa⸢naʃimi⸣ri] (皆の考えを纏めようとしないで、纏めないで、一人一人の考えを話させなさい)。 パ⸢ナ⸣シ マ⸢トゥミ⸣ ミサカー マ⸢トゥミル⸣ クトー ⸣ナルン [pa⸢na⸣ʃi ma⸢tumi⸣ misakaː ma⸢tumiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (話を纏めてよければ纏めることは出来る)。 マ⸢トゥミレー⸣ ミサムヌ [ma⸢tumireː⸣ misamunu] (纏めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク マ⸢トゥミリ [⸢paː⸣ku ma⸢tumiri] (早く纏めろ) 16072 0 0 15954 htmvoc_16072.wav マトゥムン マ⸢トゥムン [ma⸢tumuŋ] 他動 まとめ(纏め)る。ひとかたまりにする。整った状態にする。総括する。 ⸢ニー⸣ヤ ⸢ピー⸣チナ マ⸢トゥムンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢トゥマランバン [⸢niː⸣ja ⸢piː⸣ʧina ma⸢tumunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ma⸢tumarambaŋ] (荷物は一つに纏めようと思うが、纏められない)。 マ⸢トゥミ⸣ ミサカー プ⸢ス⸣トンナー マ⸢トゥム⸣ クトー ⸣ナルン [ma⸢tumi⸣ misakaː pu̥⸢su⸣tonnaː ma⸢tumu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (纏めてよければ、一箇所に纏めることは出来る)。 ⸢ニー⸣ヤ マ⸢トゥメー⸣ ミサムヌ [⸢niː⸣ja ma⸢tumeː⸣ misamunu] (荷物は纏めればいいのに)。 ⸢ニー⸣ヤ ⸢パー⸣ク マ⸢トゥミ⸣バ [⸢niː⸣ja ⸢paː⸣ku ma⸢tumi⸣ba] (荷物は早く纏めよ) 16073 0 0 15955 htmvoc_16073.wav マトゥン ⸣マトゥン [⸣matuŋ] 他動 待つ。「之保麻都等<シホマツト>~。万、3594」の「麻都」の転訛したもの。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ティ⸣プサンドゥ ⸢キュー⸣ヤ(ワ)マ⸢タ⸣ヌ [⸢maː⸣bim ma⸢ti⸣pu̥sandu ⸢kjuː⸣ja(wa)ma⸢ta⸣nu] (もっと待ちたいが、今日は待たない)。 ⸣マトゥンティ ⸣ウムーカー ⸣マトゥ ⸣クトー ⸣ナルン [⸣matunti ⸣ʔumuːkaː ⸣matu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (待とうと思えば待つことは出来る)。 ン⸢ベーマ⸣ マテー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣ mateː ⸣misamunu] (ちょっと待てば良いのに)。 ヤー⸢デイン⸣ クナー ⸣マティ [jaː⸢dim⸣ kunaː ⸣mati] (必ずここで待て) 16074 0 0 15956 htmvoc_16074.wav マドゥンキドゥーンナーヌ マ⸢ドゥン⸣ キドゥーン ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢duŋ⸣ kiduːn ⸢naː⸣nu] 連 暇も余裕もない。隔たりがない。物理的心理的距離がない。ぎっしりと詰まっている。「間遠も気遠もない」の義。 ナ⸢チヌ マイカリジブンマー⸣ ス⸢クリ⸣プソー ⸢パンタサ⸣ヌ マ⸢ドゥン⸣ キドゥン ⸢ナー⸣ヌ [na⸢ʧinu maikariʤibummaː⸣ su̥⸢kuri⸣pu̥soː ⸢pantasa⸣nu ma⸢duŋ⸣kidun ⸢naː⸣nu] (夏の稲刈り時分は百姓<作人>は多忙<繁多>なので、いっときの暇も心の余裕もない) 16077 0 0 15957 htmvoc_16077.wav マナー ⸣マナー [⸣manaː] 連 どこ(何処)に。代名詞⸣マー[⸣maː](どこ<何処>)に、格助詞⸣ナー[⸣naː](に)が付いた形成された形。 ⸢ワッ⸣テーヤ ⸣マナー ア⸢ル⸣ワ [⸢wat⸣teːja ⸣manaː ʔa⸢ru⸣wa] (君の家は何処にあるか) 16078 0 1 15958 htmvoc_16078.wav マナマ マ⸢ナ⸣マ [ma⸢na⸣ma] 名 {Mn_1}今。現在。接頭語⸢マ[⸢ma](真実)が名詞⸣ナマ[⸣nama]に付いて形成された形。 マ⸢ナ⸣マン ⸣アイブ シ⸢グトー⸣ ソー⸢ルン [ma⸢na⸣maŋ ⸣ʔaibu ʃi⸢gutoː⸣ soː⸢ruŋ] (今もあんな仕事はされますか)。 16078 0 2 15959 htmvoc_16078.wav マナマ マ⸢ナ⸣マ [ma⸢na⸣ma] 名 {Mn_2}すぐ。やがて。直ちに。 マ⸢ナ⸣マ ⸢キー⸣シバ ン⸢メーマ⸣ マティバ [ma⸢na⸣ma ⸢kiː⸣ʃiba ʔm⸢meːma⸣ matiba] (今すぐ来るから、少し待ちなさいよ) 16079 0 1 15960 htmvoc_16079.wav マナマーキ マ⸢ナマー⸣キ [ma⸢namaː⸣ki] 連・副 {Mn_1}今まで。先刻まで。若年層では、マ⸢ナバー⸣キ[ma⸢nabaː⸣ki](今まで)ともいう。 マ⸢ナマー⸣キ ⸣ウナー ⸢ベータ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ ⸢マー パッ⸣タカヤー [ma⸢namaː⸣ki ⸣ʔunaː ⸢beːta⸣nu bu⸢raːn⸣ nari⸢naː⸣nu ⸢maː pat⸣takajaː] (今先まで此処に居たが、居なくなってしまった{EOS}何処へ行ったかなあ)。 16079 0 2 15961 htmvoc_16079.wav マナマーキ マ⸢ナマー⸣キ [ma⸢namaː⸣ki] 連・副 {Mn_2}陳述副詞的用法。未だに。まだ。打ち消しの語を伴って「未だに~ない」のように用いられる。 ⸢パー⸣ク ⸣クーティ ア⸢ズタヌ⸣ マ⸢ナマー⸣キ ⸢クー⸣ヌ [⸢paː⸣ku ⸣kuːti ʔa⸢ʣutanu⸣ ma⸢namaː⸣ki ⸢kuː⸣nu] (早く来いと言ったのに、まだ<未だに>来ない) 16080 0 0 15962 htmvoc_16080.wav マナマカキティン マ⸢ナ⸣マ カ⸢キ⸣ティン [ma⸢na⸣ma kḁ⸢ki⸣tiŋ] 連 今もって。いまだに。「今にかけても」の義。 イ⸢クサユー⸣ヌ ク⸢チ⸣サー マ⸢ナ⸣マ カ⸢キ⸣ティン<シ⸢キ⸣ティン> ⸢バシキララヌ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ku̥⸢ʧi⸣saː ma⸢na⸣ma kḁ⸢ki⸣tim<ʃi⸢ki⸣tim> ⸢baʃi̥kiraranu] (戦争の時代<戦世>の苦しさは今もって忘れられない) 16081 0 0 15963 htmvoc_16081.wav マナマグル マ⸢ナ⸣マグル [ma⸢na⸣maguru] 名 いまごろ(今頃)。 ⸣アブジェー マ⸢ナ⸣マグロー ニ⸢ビル オー⸣ル ⸣パジ [⸣ʔabuʤeː ma⸢na⸣maguroː ni⸢biru ʔoː⸣ru ⸣paʤi] (おじいさんは、今頃は寝て<ぞ>おられるだろう<はずだ>)。 マ⸢ナ⸣マグローラ ア⸢ザバン ニーバ⸣ル ⸣アル [ma⸢na⸣maguroːra ʔa⸢ʣaban niːba⸣ru ⸣ʔaru] (今頃から言っても遅い<遅くぞある>) 16083 0 0 15964 htmvoc_16083.wav マナマシキティン マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン [ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tiŋ] 連 いまだに。いまなお。今もって。 イ⸢クサユー⸣ヌ ク⸢チ⸣サー マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ⸢バシキララヌ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ku̥⸢ʧi⸣saː ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tim ⸢baʃi̥kiraranu] (戦時中の苦しさは、今もって忘れられない) 16082 0 0 15965 htmvoc_16082.wav マナマジブン マ⸢ナ⸣マジブン [ma⸢na⸣maʤibuŋ] 名 今時分。今の時期。今頃。 マ⸢ナ⸣マジブンマー イ⸢ゾー ヌー⸣ル ⸢ホーサリ⸣ワ [ma⸢na⸣maʤibummaː ʔi⸢ʣoː nuː⸣ru ⸢hoːsari⸣wa] (今の時期は、魚は何が釣られるか)。 マ⸢ナ⸣マジブンマー ⸢スー⸣ヤ ピ⸢シ⸣ブー ⸣パジ [ma⸢na⸣maʤibummaː ⸢suː⸣ja pi̥⸢ʃi⸣buː ⸣paʤi] (今時分は潮も引いているだろう)。 イッ⸢チンマー⸣ マ⸢ナ⸣マジブンマー ⸢キー⸣スンドゥ ⸢キュー⸣ヤ(ワ)マ⸢ダ クー⸣ヌ [ʔit⸢ʧimmaː⸣ ma⸢na⸣maʤibummaː ⸢kiː⸣sundu ⸢kjuː⸣ja(wa) ma⸢da kuː⸣nu] (いつもは、今頃は来るのだが、今日はまだ来ない) 16084 0 0 15966 htmvoc_16084.wav マナマタ マ⸢ナマタ [ma⸢namata] 名 先刻。さきほど。今しがた。ついさっき(先)。「いま先」の義。マ⸢ナマッタ[ma⸢namatta](先刻{EOS}強調表現)ともいう。 マ⸢ナマタル ヤー パッタ⸣ル シ⸢ビウイ シー⸣ パリバ [ma⸢namataru jaː patta⸣ru ʃi⸢biʔui ʃiː⸣ pariba] (ついさっき<ぞ>家にかえったんだ{EOS}後追い<しりおい>して行きなさいよ) 16085 0 0 15967 htmvoc_16085.wav マナマトー マ⸢ナ⸣マトー [ma⸢na⸣matoː] 副 今には決して~ない。今すぐには決して~ない。今には~。「今とは」の義。下に打ち消しの語を伴って用いられる陳述副詞的用法。 フ⸢ヨー⸣ムヌ ウ⸢リノー⸣ マ⸢ナ⸣マトー ⸢クー⸣ヌ [ɸu⸢joː⸣munu ʔu⸢rinoː⸣ ma⸢na⸣matoː ⸢kuː⸣nu] (怠け者だもの、彼<が>は、今には<今すぐには>来ないよ)。 マ⸢ナ⸣マトー ⸢キーユーサ⸣ヌ [ma⸢na⸣matoː ⸢kiːjuːsa⸣nu] (今すぐはとても来ることが出来ない) 16086 0 0 15968 htmvoc_16086.wav マナマドーレーラ マ⸢ナ⸣マ ⸣ドーレーラ [ma⸢na⸣ma ⸣doːreːra] 連 今頃になってから。いまさら<今更>に。この期に及んで。 マ⸢ナ⸣マ ⸣ドーレーラ ⸣ワキ サ⸢バン ニーバ⸣ル [ma⸢na⸣ma ⸣doːreːra ⸣waki sa⸢ban niːba⸣ru] (この期に及んで<今頃になって>謝っても<断りしても{EOS}弁解しても>遅い) 16087 0 0 15969 htmvoc_16087.wav マナマナートー マ⸢ナ⸣マ ⸢ナー⸣トー [ma⸢na⸣ma ⸢naː⸣toː] 連 今なんぞ~ない。今には~ない。今更~ものか、~ない。 ⸣カイ ⸢ブームヌ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸢ナー⸣ト イッ⸢カ⸣ パ⸢リユーサ⸣ヌ [⸣kai ⸢buːmunu⸣ ma⸢na⸣ma ⸢naː⸣to ʔik⸢ka⸣ pa⸢rijuːsa⸣nu] (こんなだから、今なんぞ<今には>決して行くことができない)。 マ⸢ナ⸣マ ⸢ナー⸣トー パルン⸢トゥレー [ma⸢na⸣ma ⸢naː⸣toː parun⸢tureː] (今なんぞ行くものか、彼がは決して行かない) 16088 0 1 15970 htmvoc_16088.wav マナマナリ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリ [ma⸢na⸣ma ⸣nari] 連 {Mn_1}今になって。今までに。 ⸢ナン⸣ギ ⸣アウリバ ⸢シェー⸣ティル ッ⸢ふァバ⸣ フ⸢ドゥバシ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリ ケー⸢ダー [⸢naŋ⸣gi ⸣ʔauriba ⸢ʃeː⸣tiru f⸢faba⸣ ɸu⸢dubaʃi⸣ ma⸢na⸣ma ⸣nari keː⸢daː] (難儀苦労<哀れ>をしながら子供を成長させて今日になってきたんだよ)。 16088 0 2 15971 htmvoc_16088.wav マナマナリ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリ [ma⸢na⸣ma ⸣nari] 連 {Mn_2}いまさら(今更)。 ウ⸢ヌ⸣ ピンマー ア⸢ザムティ⸣ マ⸢ナ⸣マ ⸣ナリ ア⸢ズバン⸣ ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pimmaː ʔa⸢ʣamuti⸣ ma⸢na⸣ma ⸣nari ʔa⸢ʣuban⸣ noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (その時は言わないで、今更<今になって>言っても、何にもならない) 16089 0 0 15972 htmvoc_16089.wav マナマヌアイ マ⸢ナマ⸣ヌ ⸣アイ [ma⸢nama⸣nu ⸣ʔai] 連 この間。この間ずっと。今までの間。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸣アイ ⸢ヌー⸣シ ⸢シー⸣ キ⸢ナイ⸣ ムティ ⸢クー⸣ター [ma⸢nama⸣nu ⸣ʔai ⸢nuː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ki⸢nai⸣ muti ⸢kuː⸣taː] (この間どうやって家庭を切り回して<維持して>きたのか) 16090 0 0 15973 htmvoc_16090.wav マナマヌパンシ マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢パンシ [ma⸢nama⸣nu ⸢paŋʃi] 連 当面。さしあたり。当座しのぎ(凌ぎ)。「今の外し」の義。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢パンシェー⸣ クビシン ナ⸢リ⸣スヌ ウ⸢ビ⸣ヌ ⸣ウカー ⸢タンガ⸣シェー パ⸢ライユーサ⸣ヌ [ma⸢nama⸣nu ⸢paŋʃeː⸣ kubiʃin na⸢ri⸣sunu ʔu⸢bi⸣nu ⸣ʔukaː ⸢taŋga⸣ʃeː pa⸢raijuːsa⸣nu] (差し当たっては此れだけでも対応できるが、あれだけの借金は一人では返済できない<払いきれない>) 16091 0 0 15974 htmvoc_16091.wav マナマバーキ マ⸢ナマバー⸣キ [ma⸢namabaː⸣ki] 連 今まで。マ⸢ナマー⸣キ[ma⸢namaː⸣ki](今まで{EOS}{SqBr}ma⸢namamaː⸣ki{/SqBr}の略)というのが普通。上接語の末尾音がマ行音、鼻音の場合、[b]が[m]に変わる自由変異の傾向が強い。 マ⸢ナマバー⸣キ ⸣マナー ア⸢サビマール シー アーク⸣ター [ma⸢namabaː⸣ki ⸣manaː ʔa⸢sabimaːru ʃiː ʔaːku⸣taː] (今まで何処で遊び回りをしていたのか)。 マ⸢ナマー⸣キ マ⸢ダ クー⸢ヌ [ma⸢namaː⸣ki ma⸢da kuː⸢nu] (今までまだ来ないのか) 16092 0 0 15975 htmvoc_16092.wav マナマパダ マ⸢ナ⸣マパダ [ma⸢na⸣mapada] 名 今の年代(の子供)。今の年頃(の子供)。今時(の子供)。当世(の子供)。 ヤ⸢ラ⸣ベー マ⸢ナ⸣マパダル ノー⸢ン⸣ シ⸢ミルバン スー⸣ルンダ ク⸢ヌ スーリ⸣パダナー シカイ⸢トゥ⸣ ナ⸢ラー⸣シバ [ja⸢ra⸣beː ma⸢na⸣mapadaru noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢miruban suː⸣runda ku⸢nu suːri⸣padanaː ʃi̥kai⸢tu⸣ na⸢raː⸣ʃiba] (子供は、今の年頃が何をさせても成長するから、この成長期にしっかりと教えなさい)。 マ⸢ナ⸣マパダヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ブ⸢ドゥルン ゾー⸣ジ [ma⸢na⸣mapadanu mi⸢doːŋ⸣ffaː bu⸢durun ʣoː⸣ʤi] (今の年頃の女の子は踊も上手だ) 16093 0 1 15976 htmvoc_16093.wav マナマブカラ マ⸢ナ⸣マブカラ [ma⸢na⸣mabukara] 連 {Mn_1}今ぐらい。今の程度。この程度。マ⸢ナ⸣マ[ma⸢na⸣ma](今)に副助詞⸣ブカラ[⸣bukara](物事を示して、それとほぼ等しい分量や程度を表す)が付いた形。 マ⸢ナ⸣マ ⸣ブカラヌ シゥ⸢カラヌ⸣ アルカー ノー⸢ン⸣ ナ⸢リ⸣スヌ ⸢ナー [ma⸢na⸣ma ⸣bukaranu sï̥⸢karanu⸣ ʔarukaː noː⸢n⸣ na⸢ri⸣sunu ⸢naː] (今ぐらいの力があれば何でも出来るのだがなあ)。 16093 0 2 15977 htmvoc_16093.wav マナマブカラ マ⸢ナ⸣マブカラ [ma⸢na⸣mabukara] 連 {Mn_2}今ぐらい<時間的な程度>。今頃。 マ⸢ナ⸣マブカラー<マ⸢ナ⸣グロー> ニ⸢ビ ブー⸣ パジ [ma⸢na⸣mabukaraː ni⸢bi buː⸣ paʤi] (今頃は寝ているはずだ) 16094 0 0 15978 htmvoc_16094.wav マナマプス マ⸢ナ⸣マプス [ma⸢na⸣mapu̥su] 名 今人。現代の人。ム⸢カ⸣シプス[mu⸢ka⸣ʃipu̥su](昔の人{EOS}昔人)の対義語。 マ⸢ナ⸣マプソー ⸣シマムニン ッ⸢サヌ ヌー⸣スワメー [ma⸢na⸣mapu̥soː ⸣ʃimamunin s⸢sanu nuː⸣suwameː] (今の人は島の言葉も分らない{EOS}如何しようか) 16095 0 0 15979 htmvoc_16095.wav マナマムティ マ⸢ナ⸣マムティ [ma⸢na⸣mamuti] 副 今もって。いまだに。今でも。文末に打ち消しの表現を伴って、「今もって~ない」のように陳述副詞的に用いられる。 ウ⸢ヌ⸣ クトー マ⸢ナ⸣マムティ バ⸢シキララヌ [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ma⸢na⸣mamuti ⸢baʃi̥kiraranu] (そのことは今もって忘れられない) 16096 0 0 15980 htmvoc_16096.wav マナマユー マ⸢ナ⸣マユー [ma⸢na⸣majuː] 名 今の世。現代。ム⸢カ⸣シユー[mu⸢ka⸣ʃijuː](昔の世{EOS}前代)の対義語。 マ⸢ナ⸣マー マ⸢ナ⸣マユーヌ ナ⸢ライ⸣ヌ ⸣アンダ ⸣ウヌトゥール ⸢シー⸣バ [ma⸢na⸣maː ma⸢na⸣majuːnu na⸢rai⸣nu ⸣ʔanda ⸣ʔunutuːru ⸢ʃiː⸣ba] (今は、現代の慣習<風習>があるから、その通りにしなさいよ) 16097 0 0 15981 htmvoc_16097.wav マナマンチン マ⸢ナマンチン [ma⸢namanʧiŋ] 副 直ちに。いますぐに。じきに。あっという間に。「唯今の内に」の転訛したもの。 ピ⸢ルザキバ⸣ ドゥーナ ッ⸢シットー⸣シ ⸢ヌーリ⸣ シケーバ パ⸢ナシケー⸣ マナ⸢マンチン ノーリ⸣ス [pi⸢ruʣakiba⸣ duːna ʃ⸢ʃittoː⸣ʃi ⸢nuːri⸣ ʃi̥keːba pa⸢naʃi̥keː⸣ mana⸢manʧin noːri⸣su] (にんにくざけ<大蒜酒>を体にすり込んで塗ってあるから風邪はじきに治るよ) 16098 0 0 15982 htmvoc_16098.wav マニアースン マ⸢ニアー⸣スン [ma⸢niʔaː⸣suŋ] 他動 間に合わせる。時刻に遅れないようにする。 ン⸢ジフニ⸣ヌ ジ⸢カン⸣ マ⸢ニアー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ マ⸢ニアーサラ⸣ヌ [ʔn⸢ʤiɸuni⸣nu ʤi⸢kam⸣ ma⸢niʔaː⸣sunti ⸢sundu⸣ ma⸢niʔaːsara⸣nu] (出船の時間に間に合わせようとするが、間に合わされない)。 マ⸢ニアー⸣シ ⸣ミサカー マ⸢ニアー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ma⸢niʔaː⸣ʃi ⸣misakaː ma⸢niʔaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (間に合わせてよければ間に合わせることはできる)。 マ⸢ニアー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ma⸢niʔaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (間に合わせれば良いのに)。 ヤー⸢ディン⸣ マ⸢ニアー⸣シ [jaː⸢dim⸣ ma⸢niʔaː⸣ʃi] (必ず間に合わせなさい) 16101 0 0 15983 htmvoc_16101.wav マニアウン マ⸢ニ⸣アウン [ma⸢ni⸣auŋ] 自動 間に合う。予定された時刻や日程に遅れない。 フ⸢ニ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ル ジ⸢カンバー⸣キナー マ⸢ニ⸣アウンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ニアーン⸣シェン [ɸu⸢ni⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ru ʤi⸢kambaː⸣kinaː ma⸢ni⸣aunti ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢niaːŋ⸣ʃeŋ] (船の出港する時間までに間に合うと思ったが、間に合わなかった)。 マ⸢ニ⸣アウ プ⸢ソー⸣ ムー⸢ル⸣ クー⸢ヨー [ma⸢ni⸣au pu̥⸢soː⸣ muː⸢ru⸣ kuː⸢joː] (間に合う人は皆来いよ)。 マ⸢ニ⸣アイティ キ⸢ラ⸣レーティル ⸣ウナー ⸢ベー⸣ル [ma⸢ni⸣aiti ki⸢ra⸣reːtiru ⸣ʔunaː ⸢beː⸣ru] (間に合って来れたから<ぞ>其処にいるのだよ)。 ムー⸢ル⸣ マ⸢ニアイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [muː⸢ru⸣ ma⸢niai⸣jaː ⸣misamunu] (皆間に合えばいいのに)。 ヤー⸢ディン マ⸢ニ⸣アイ⸢ヨー [jaː⸢dim⸣ ma⸢ni⸣ai⸢joː] (きっと<必ず>間に合えよ) 16099 0 0 15984 htmvoc_16099.wav マニツァ マ⸢ニ⸣ツァ [ma⸢ni⸣ʦa] 名 俎板。魚を料理するのに用いる板。「俎、末奈以太(まないた)」『和名抄』の転訛したもの。普通は厚さ約3センチ、巾約15センチ、長さ約30センチの板を用いた。時には、その板に脚を付けたものも使った。脚付きの俎板は、庭先で魚を捌いたり、蒲鉾を作る際に魚を三枚おろしにするのに用いた。 マ⸢ニ⸣ツァー ⸣ユー ア⸢ライティ⸣ シゥ⸢カイ⸣ヨー シゥ⸢カウ⸣カー マ⸢タ⸣ ア⸢ライティ⸣ ティダナー ⸣プシバ [ma⸢ni⸣ʦaː ⸣juː ʔa⸢raiti⸣ sï̥⸢kai⸣joː sï̥⸢kau⸣kaː ma⸢ta⸣ ʔa⸢raiti⸣ tidanaː pu̥ʃiba] (俎板はよく洗って使えよ{EOS}使ったら、また洗って太陽に干しなさい<干せ>よ)。 イ⸢ゾー⸣ マ⸢ニ⸣ツァナ ⸢ヌーシティ⸣ バ⸢ザイ⸣バ [ʔi⸢ʣoː⸣ ma⸢ni⸣ʦana ⸢nuːʃiti⸣ ba⸢ʣai⸣ba] (魚は俎板に載せて\ruby{捌}{サバ}きなさいよ) 16100 0 0 15985 htmvoc_16100.wav マニツァイシ マ⸢ニ⸣ツァイシ [ma⸢ni⸣ʦaʔiʃi] 名 俎板石。ピ⸢ナイサキ[pi⸢naisaki](ピナイ崎)の海中にある岩。俎板のように見えることから命名された。⸢グンカンイシ[⸢guŋkaniʃi](軍艦石)ともいう。軍艦の形をした岩。古老たちはこれを、マ⸢ニ⸣ツァイシ[ma⸢ni⸣ʦaʔiʃi](俎板石)という。鳩離島の⸢パンガマイシ[⸢paŋgamaiʃi](羽釜形の石)と対を成して、神話的空間世界をなすと考えられる。 ム⸢カ⸣シプソー ムー⸢ル⸣ マ⸢ニ⸣ツァイシティル ア⸢ゾーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː muː⸢ru⸣ ma⸢ni⸣ʦaʔiʃitiru ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (昔の人は皆俎板石といわれたものだ)。⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船)の際の⸢ブイ[⸢bui](英語からの借用語{EOS}Buoy<浮標>)設置の目印となる。 ⸢ブイヤー パンガマイシトゥ⸣ マ⸢ニ⸣ツァイシナー ア⸢ティリ⸣バ [⸢buijaː paŋgamaʔiʃitu⸣ ma⸢ni⸣ʦaʔiʃinaː ʔa⸢tiri⸣ba] (浮標は羽釜石と俎板石に当てなさい<目印にしなさい>) 16103 0 0 15986 htmvoc_16103.wav マニッカ マ⸢ニッ⸣カ [ma⸢nik⸣ka] 名 怠け者。ずるい奴。 ⸢ウンザー⸣ マ⸢ニッ⸣カ ヤ⸢ルンダ ウンザヌ⸣ ムニ⸢ナー⸣トー シ⸢ケー⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [⸢ʔunʣaː⸣ ma⸢nik⸣ka ja⸢runda ʔunʣanu⸣ muni⸢naː⸣to ʃi̥⸢keː⸣ na⸢ran⸣daː] (あいつ<彼奴>はずるい奴だから、あいつの話<言葉{EOS}言うこと>を聞いてはいけないよ) 16104 0 0 15987 htmvoc_16104.wav マニッカマーシノ マ⸢ニッ⸣カ ⸢マーシ⸣ノ [ma⸢nik⸣ka ⸢maːʃi⸣no] 連 怠け者めが。他人を\ruby{罵}{ノノシ}る言葉。\ruby{罵詈}{バ|リ}表現。⸢マーシ⸣ノ[⸢maːʃi⸣no]は、「Maxi.マシ(猿) Maxira(猿)と言う方がまさる.猿」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 マ⸢ニッ⸣カ ⸢マーシ⸣ノ ⸢ウンザナー⸣トー ⸢ヤーン⸣ ナカー ⸢ペーラ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢nik⸣ka ⸢maːʃi⸣no ⸢ʔunʣanaː⸣to ⸢jaːn⸣ nakaː ⸢peː⸣raʃeː na⸢ra⸣nu] (怠け者<怠け猿>めが、あいつ<彼奴>などを家の中に入れてはならない) 16102 0 0 15988 htmvoc_16102.wav マニヤースン マ⸢ニヤー⸣スン [ma⸢nijaː⸣suŋ] 他動 間に合わせる。予定された時刻や日程に合うようにする。 シ⸢グトー⸣ ア⸢ツァバー⸣キナー マ⸢ニヤー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ニヤーサラ⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ ʔa⸢ʦabaː⸣kina ma⸢nijaː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢nijaːsara⸣nu] (仕事は明日までに間に合わせようと思うが、間に合わされない)。 マ⸢ニヤーシ⸣ プササーギ ⸣アルカー マ⸢ニヤー⸣スクトー ナ⸢リ⸣ス [ma⸢nijaːʃi⸣ pu̥sasaːgi ⸣ʔarukaː ma⸢nijaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ri⸣su] (間に合わせたければ<間に合わせたささえあれば>間に合わせることは出来るさ)。 ノー⸢ンナー⸣カシ マ⸢ニヤー⸣シェー ⸣ミサムヌ [noː⸢nnaː⸣kaʃi ma⸢nijaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (何とかして<何かで>間に合わせればいいのに)。 ⸢ワーンツァン⸣ マ⸢ニヤー⸣シバ [⸢waːnʦam⸣ ma⸢nijaː⸣ʃiba] (君だけでも間に合わせろよ) 16107 0 0 15989 htmvoc_16107.wav マビキ マ⸢ビ⸣キ [ma⸢bi⸣ki] 名 間引き。「Mabiqi,u,ijita.マビキ、ク、イタ(間引き、く、いた)何か種子を蒔いた物が非常に密生しているのを、他の所へ移し植えるために引き抜く。Yasaiuo mabiqu(野菜を間引く)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 マ⸢ビ⸣キ ⸢スン [ma⸢bi⸣ki ⸢suŋ] (間引きする)。 ⸢ダイ⸣クネー カ⸢ター⸣ マクカー ⸢ミーランダ⸣ ン⸢ベーマ⸣ マ⸢ビ⸣キ ⸢シー⸣バ [⸢dai⸣kuneː kḁ⸢taː⸣ makukaː ⸢miːranda⸣ ʔm⸢beːma⸣ ma⸢bi⸣ki ⸢ʃiː⸣ba] (大根は密に蒔くと大きく稔らないので、少し間引きしなさいよ)。ピ⸢キアカスン[pi̥⸢kiʔakasuŋ](引き抜いて間隔をあける)ともいう 16109 0 0 15990 htmvoc_16109.wav マフカー ⸢マフカー [⸢maɸu̥kaː] 名 真っ盛り。最中。「Mappucura.マップクラ(真脹ら)何かが円い物のまん中、または、中心.また何かが栄える時期、あるいは、その力と勢いのある時期」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢マフカ⸣ナー パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スンティ ⸢アー⸣ク プ⸢リムヌヌ ⸢ブン⸠ツォー [ti⸢da⸣nu ⸢maɸu̥ka⸣naː pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣sunti ⸢ʔaː⸣ku pu⸢rimununu ⸢bun⸠ʦoː] (太陽の真っ盛り<真昼間>に畑を耕そうととする馬鹿<惚れ者>がいるかよ) 16110 0 0 15991 htmvoc_16110.wav マフタネー ⸣マフタネー [⸣maɸu̥taneː] 名 石垣島の四個字の山手の平民集落。 イ⸢サナキヌ⸣ マフタネーナー ウ⸢トゥザ⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [ʔi⸢sanakinu⸣ maɸu̥taneːnaː ʔu⸢tuʣa⸣nu ʔoː⸣ruŋ] (石垣島のマフタネー集落には親戚がおられる) 16111 0 0 15992 htmvoc_16111.wav マブル マ⸢ブ⸣ル [ma⸢bu⸣ru] 名 魂。霊魂。「守り」の義。「~浪かしこみ風守<かぜマモリ>~。万、1390」の転訛か。人間の体内に宿っている魂のこと。極度に驚いたり、事故に遭遇したりすると、そこでマ⸢ブ⸣ル[ma⸢bu⸣ru]が人体から遊離してさ迷うという。魂の抜けた体は、気だるくなり、病弱になると信じられている。子供が樹上から落ちたり、転倒して怪我をすると、マブルが落ちるので、その現場から小石や砂を掴んで懐に入れ、マブルを逃がさぬようにした。 マ⸢ブル⸣ヌ ウ⸢ティ⸣ルカー プ⸢ソー ヨーリ⸣ス [ma⸢buru⸣nu ʔu⸢ti⸣rukaː pu̥⸢soː joːri⸣su] (マブルが落ちると人は弱くなるよ) 16112 0 0 15993 htmvoc_16112.wav マブルウティルン マ⸢ブ⸣ル ウ⸢ティ⸣ルン [ma⸢bu⸣ru ʔu⸢ti⸣ruŋ] 連 魂が落ちる。魂が抜け落ちる。「守り<守護霊・魂>が落ちる」の義。魂が肉体より抜け落ちる。遊離魂となる。何かにひどく驚かされると魂が肉体より遊離していくと信じられている。そして、魂の抜け殻となった肉体は生気を失い、病弱になると信じられている。 キ⸢ム⸣ヌ ダフ⸢ティ スン⸣ケン ウ⸢ダラク⸣ター マ⸢ブ⸣ル ⸣ウティパリ ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mu⸣nu daɸu̥⸢ti suŋ⸣keŋ ʔu⸢daraku⸣taː ma⸢bu⸣ru ⸣ʔutipari ⸢naː⸣nu] (心臓が止まるほど<肝がダフッとするほど>驚いたので、魂が落ちていってしまった) 16113 0 0 15994 htmvoc_16113.wav マブルカルイ マ⸢ブ⸣ルカルイ [ma⸢bu⸣rukarui] 名 「魂籠め」の義。⸣カルイ[⸣karui]は「Carui,u,uta.カルイ、ゥ、ゥタ(かるひ、ふ、うた)物を背負う.下(X)の語」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。マ⸢ブ⸣ルクミ[ma⸢bu⸣rukumi](魂籠め)と同じ。人体から遊離して浮遊している魂を追まわし、囲いまわして連れ戻し、元の体に魂籠めをする儀式。 ヤ⸢ミプス⸣ヌ マ⸢ブ⸣ル ⸣カルイ ⸢オーシェー⸣バ パ⸢シットゥ⸣ ナ⸢リ⸣ス ⸣パジ [ja⸢mipusu⸣nu ma⸢bu⸣ru ⸣karui ⸢ʔoːʃeː⸣ba pḁ⸢ʃittu⸣ na⸢ri⸣su ⸣paʤi] (病人の魂籠めをして差し上げたので、すぐ元気になるはずです) 16114 0 0 15995 htmvoc_16114.wav マブルカルイヌニンガイフチ マ⸢ブ⸣ルカルイヌ ⸢ニンガイ⸣フチ [ma⸢bu⸣rukaruinu ⸢niŋgai⸣ɸu̥ʧi] 連 \ruby{魂籠}{タマ|ゴメ}めの祝詞。「マブル籠め願い口」の義。マ⸢ブ⸣ル(魂)が人体より抜け落ちた場合、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}神女{EOS}女性神職者)か、祖母に依頼して魂籠めの儀式を執り行ってもらうが、その際に次のような\ruby[g]{祝詞}{ノリト}を唱える。{Sg_1}⸣ヌーディマリヌ マ⸢ブ⸣ル ⸣プサティ ドー⸢ディン キュー⸣ヌ ⸢カイピール⸣バ ム⸢トゥ⸣バ ⸣シー ウ⸢ガミトゥー⸣シ ア⸢ギル⸣ ウ⸢ガミ⸣ヌ ニ⸢ガイ⸣ヤー ドー⸢ディンマー⸣ ピ⸢ナカンガナシヌ⸣ マイシー シ⸢キウキ⸣ トゥ⸢リウ⸣キ タ⸢ブ⸣ローレーティ ウ⸢ス⸣バユシ ウ⸢ガマ⸣リ タ⸢ブ⸣ローリ[⸣nuːdimarinu ma⸢bu⸣ru ⸣pu̥sati doː⸢diŋ kjuː⸣nu ⸢kaipiːru⸣ba mu⸢tu⸣ba ⸣ʃiː ʔu⸢gamituː⸣ʃi ʔa⸢giru⸣ ʔu⸢gami⸣nu ni⸢gai⸣jaː doː⸢dimmaː⸣ pi⸢nakaŋganaʃinu⸣ maiʃiː ʃi̥⸢kiʔuki⸣ tu⸢ri⸣ʔuki ta⸢bu⸣roːreːti ʔu⸢su⸣bajuʃi ʔu⸢gama⸣ri ta⸢bu⸣roːri](何年生まれの人が、マブル<魂>が欲しいので、どうぞ今日の\ruby{佳日}{カ|ジツ}をもとにして、黄金の佳日をもとにして拝み通しあげる拝みの願いを、どうぞ火の神様の御前<御自身>がお聞き受け、お取り受け下さってお側にお寄せになって、拝まれてください){Sg_2}(ドー⸢ディン⸣ティ ⸢シー)⸢ゴー⸣サナガラ ⸢ヨーミ⸣サナガラ ウ⸢ス⸣バユリ ウ⸢ガミ トゥー⸣シ ア⸢ギル⸣ ニ⸢ガイ⸣ヤー ドー⸢ディンマー⸣ ピ⸢ナカンガナシヌ⸣ マイ トゥ⸢クヌ⸣マイ ッ⸢サリ⸣ シ⸢キウ⸣キ トゥ⸢リウ⸣キ タ⸢ボー⸣ローレーティ ウ⸢ス⸣バユシ ウ⸢ガマ⸣リ タ⸢ブ⸣ローリ ドー⸢ディン⸣ ドー⸢ディン⸣ティ ⸢シー⸣ ウ⸢ス⸣バユリ ウ⸢ガミトゥー⸣シ ア⸢ギル⸣ ニ⸢ガイ⸣ヤー ⸢ジューニホン⸣ヌ コー ⸢トゥー⸣シ ⸣アギ ⸣ヌーディマリヌ ⸢トゥーヌ ティー⸣ピサ ウ⸢サーシ⸣ ス⸢ブシピサ⸣ ウ⸢シトーシ⸣ ウ⸢ガミトゥー⸣シ ア⸢ギル⸣ ニ⸢ガイ⸣ヤー ドー⸢ディンマー カンヌ⸣マイ ⸢ミートゥクルヌ カンヌ⸣マイ ドー⸢ディン⸣ シ⸢キウキ⸣ トゥ⸢ル⸣ウキ タ⸢ブ⸣ローレーティ ウ⸢ス⸣バユシ ウ⸢ガマ⸣リ タ⸢ブ⸣ローリ ⸢キュー⸣ワ ⸣カイブー ⸣ヌーディマリヌ ア⸢サビブリバ シー⸣ ア⸢ラ⸣クンケン キ⸢ムウダラ⸣キ ン⸢ニウダラキ シーベー⸣ティ ⸢ティーダル⸣サ ⸣ピサダルサ ⸢ティー⸣パン ⸣ダルサ ⸢ティーダラダラー⸣シ ⸢ブーユンダ⸣ ノー⸢シン⸣ マ⸢ブル⸣ヌ ⸣ドゥーナー シゥ⸢カ⸣ン ⸣ウティ ⸢ベー⸣ティル ア⸢サビブリ シー ベー⸣ティル ⸣カイ ⸢ブーダー⸣バ ドー⸢ディンマー⸣ アイ ヤ⸢ル⸣スクン ⸢デー⸣カー ナ⸢カミ⸣チェーラ ⸢アンタ⸣ナー ⸣ヌーディマリヌ マ⸢ブローマ⸣ヌ ア⸢サビブリバ ⸢シー⸣ ア⸢ラ⸣クスクン ⸢デー⸣カー ドー⸢ディンマー カンヌ⸣マイシ ⸢ウイマーシ⸣ カ⸢ルイマー⸣シ ⸢サーロー⸣リ ⸣ヌーヤーヌ ⸣ヌーディマリヌ ⸢フンダメー⸣ル ⸢ヤー⸣ウチ キ⸢ナイウチ トゥー⸣リ ウ⸢フムン⸣ヌ ウ⸢チェー⸣ニ ン⸢カイシミ⸣ タ⸢ボー⸣リ ン⸢カイシミ⸣ タ⸢ボー⸣レーティ マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢カイ⸣トゥキナー ドー⸢ディン⸣ マ⸢ブル⸣ヌ ミ⸢ジ⸣ プサティ ⸢オー⸣ル スクン ⸢デー⸣カー ミ⸢ジヌ⸣ パ⸢チーン⸣ シ⸢ル⸣ミジ ア⸢マ⸣ミジ チャン⸢トゥ⸣ イ⸢リー⸣ ウ⸢ツァナ⸣クーン ⸣グシパナーン チャン⸢トゥ⸣ イ⸢リー⸣ マ⸢ミ⸣ヌ ⸣スーン バ⸢カシ⸣ シケーバ マ⸢ナ⸣マ ヤ⸢ラビ サーロー⸣リ ⸢ブー⸣ヌ ⸣タマ ナ⸢ナチ⸣ヌ ⸣タマ イ⸢チチ⸣ヌ ⸣タマ ⸢ミーチヌ⸣ タマナー ク⸢ミ⸣シミ タ⸢ブ⸣ローリ マ⸢ブロー⸣マ マ⸢ブロー⸣マ ⸢イー⸣ユン マ⸢ミ⸣ヌスーン バ⸢カシ⸣シケーバ ダン⸢ティ⸣ キー ッ⸢ふァイ⸣ ッ⸢ふァイ[doː⸢din⸣ti ⸢ʃiː goː⸣sanagara ⸢joːmi⸣sanagara ʔu⸢su⸣bajuri ʔu⸢gamituː⸣ʃi ʔa⸢giru⸣ ni⸢gai⸣jaː doː⸢dimmaː⸣ pi⸢nakaŋganaʃinu⸣mai tu̥⸢kunu⸣mai s⸢sari⸣ ʃi̥⸢kiʔu⸣ki tu⸢riʔu⸣ki ta⸢boː⸣reːti ʔu⸢su⸣bajuʃi ʔu⸢gama⸣ri ta⸢bu⸣roːri doː⸢din⸣ doː⸢din⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢su⸣bajuri ʔu⸢gamituː⸣ʃi ʔa⸢giru⸣ ni⸢gai⸣jaː ⸢ʤuːnihon⸣nu ⸣koː ⸢tuː⸣ʃi ⸣ʔagi ⸣nuːdimarinu ⸢tuːnu tiː⸣pi̥sa ʔu⸢saːʃi⸣ su⸢buʃipisa⸣ ʔu⸢ʃitoːʃi⸣ ʔu⸢gamituː⸣ʃi ʔa⸢giru⸣ ni⸢gai⸣jaː doː⸢dimmaː kannu⸣mai ⸢miːtukurunu kannu⸣mai doː⸢diŋ⸣ ʃi̥⸢kiʔuki⸣ tu⸢ru⸣ʔuki ta⸢bu⸣roːreːti ʔu⸢su⸣bajuʃi ʔu⸢gama⸣ri ta⸢bu⸣roːri ⸢kjuː⸣wa kai⸢buː⸣ nuːdimarinu ʔa⸢sabiburiba ʃiː⸣ ʔa⸢ra⸣kuŋkeŋ ki⸢muʔudara⸣ki n⸢niʔudaraki ʃiːbeː⸣ti ⸢tiːdaru⸣sa pi̥⸢sadarusa tiː⸣pan ⸣darusa ⸢tiːdaradaraː⸣ʃi ⸢buːjunda⸣ noː⸢ʃim⸣ ma⸢buru⸣nu ⸣duːna sï̥⸢ka⸣n ʔuti⸢beː⸣tiru ʔa⸢sabiburi ʃiːbeː⸣tiru ⸣kai ⸢buːdaː⸣ba doː⸢dimmaː⸣ ʔai ja⸢ru⸣su̥kun ⸢deː⸣kaː na⸢kami⸣ʧeːra ⸢ʔanta⸣naː ⸣nuːdimarinu ma⸢buroːma⸣nu ʔa⸢sabiburiba ʃiː⸣ ʔa⸢ra⸣kusu̥kun ⸢deː⸣kaː doː⸢dimmaː kannu⸣maiʃi ⸢ʔuimaːʃi⸣ ka⸢ruimaː⸣ʃi ⸢saːroː⸣ri ⸣nuːjaːnu ⸣nuːdimarinu ⸢ɸundameː⸣ru ⸢jaː⸣ʔuʧi ki⸢naiʔuʧi tuː⸣ri ʔu⸢ɸumun⸣nu ʔu⸢ʧeː⸣ni ŋ⸢kaiʃimi⸣ ta⸢bu⸣roːreːti ma⸢nama⸣nu ⸢kai⸣tukina doː⸢dim⸣ ma⸢buru⸣nu mi⸢ʤi⸣ pu̥sati ⸢ʔoː⸣ru su̥kun ⸢deː⸣kaː mi⸢ʤinu⸣ pḁ⸢ʧiːn⸣ ʃi⸢ru⸣miʤi ʔa⸢ma⸣miʤi ʧan⸢tu⸣ ʔi⸢riː⸣ ʔu⸢ʦana⸣kuːŋ ⸣guʃipanaːn ʧan⸢tu⸣ ʔi⸢riː⸣ ma⸢mi⸣nu ⸣suːm ba⸢kaʃi⸣ʃi̥keːba ma⸢na⸣ma ja⸢rabi saːroː⸣ri ⸢buː⸣nu ⸣tama na⸢naʧi⸣nu tama ʔi⸢ʧiʧi⸣nu ⸣tama ⸢miːʧinu⸣ tamanaː ku⸢mi⸣ʃimi ta⸢bu⸣roːri ma⸢buroː⸣ma ma⸢buroː⸣ma ⸢ʔiː⸣jum ma⸢mi⸣nu ⸣suːm ba⸢kaʃi⸣ ʃi̥keːba dan⸢ti⸣ kiː f⸢fai⸣ f⸢fai](どうぞ、願わくば、と言って、恐れ多いことですが、お側近くに寄って拝み通して祈願し申し上げる願い事は、どうぞ火の神様、床の間の神様へ申し上げますから、お聞き届け取り受け賜って、お側へ寄せて祈願されて下さい{EOS}願わくば、どうぞと言ってお側に寄って拝み通し上げる願いは、十二本の香を灯し通して祈願し、何年生まれの者が、十の掌を合わせ、足膝を押し倒して拝み通し上げる祈願は、どうぞ神様、三箇所の神様、どうぞお聞き届け、取り受け下さって、お側へ寄せさせ、拝まれ<祈願され>て下さい{EOS}今日は、このように、何年生まれの者が遊び\ruby{惚}{ホ}けているうちに、肝驚き胸驚きをしているので、手がだるく、足がだるく、手も足もだるく、手がだらだらしているので、きっとマブル<魂>が肉体に付かずに抜け落ちているので、魂が遊び惚けているので、このようにしているでしょうから、どうぞ、そうであるならば、中道から東の方に、何年生まれのマブローマ<幼い魂>が遊び惚けているようでしたらば、どうぞ神様で魂を追い回し、囲い回し<負ぶい回して>てお連れ下さって、何家の、何年生まれが踏み固めた<建立した>家内、家庭内、通り大門の内側に向かわしめてください{EOS}向かわしめてくださって、今の佳き時に、どうぞ魂<マブル>が水を欲しがっておられるのなら、水のお初も白水<神酒>、雨水<真水>もちゃんと入れ、\ruby{供物}{ク|モツ}もお酒も米のお初もちゃんと入れ、豆のお汁も炊いてありますから、今すぐ呼んで連れてきてくださって、麻糸の玉の、七つの玉、五つの玉、三つの玉に籠めさせてください{EOS}マブローマ<幼い魂>よ、マブローマよ、ご飯も豆も炊いてあるから、早くきてお食べ、すぐ来てお食べ)と唱える。⸢マブル籠め」は、夕食の頃に執り行われるのが普通であったから、その時分に来客があると大変に喜ばれた。その客が男性の場合は最高に良いとされた。来客に連れられてマブローマが門より家の中へ入ってくると信じられているからである。マブル<魂>は水と大豆のお汁が大好物であるといわれている 16115 0 0 15996 htmvoc_16115.wav マブルクミ マ⸢ブ⸣ルクミ [ma⸢bu⸣rukumi] 名 魂籠め。マ⸢ブ⸣ルカルイ[ma⸢bu⸣rukarui]ともいう。戸外で転倒したり、悪霊に遭遇して極度に驚いたり、何かの事故を起こして驚愕すると、魂が肉体より抜け落ちて浮遊していくので、病弱になると信じられている。その浮遊している魂を呼び戻し、体内に籠めるための祈願を執り行う儀式。樹木から落ちたり、道で転倒して怪我をすると、事故現場の小石や土砂を掴みとって懐中に入れるだけでも取り\ruby{敢}{ア}えず魂を拾うことが出来ると信じられている。そして後日、改めて正式に魂籠めの祈願を執り行った。魂が抜け落ちると、体がダラダラして気だるくなり、何事に対しても意欲が湧かなくなっていき、寝込むようになるという。顔色も青白くなり、影が薄くなっていくので、そんな時は浮遊している魂を呼び寄せ、⸢ブー⸣ジナ[⸢buː⸣ʤina](麻糸で7、5、3の結び玉を作ったもの)で縛って逃がさないようにし、衣類の袖に結び付け、そのブージナを首に穿かせることによって体内に魂を戻すことが出来ると信じられている。肉体から遊離したマ⸢ブ⸣ル(魂)は、よく水を欲しがるという。それ故、魂籠めの祈願では、必ず水と豆腐(または大豆の)お汁を供物として供える。お膳の最前列に、⸣サバン[⸣sabaŋ](茶碗)に水を入れて置き、次に⸣パナ[⸣pana](お皿に白米を入れたもの)を⸢イッチー[⸢ʔitʧiː](一対)、塩を皿に盛ったもの、それに⸣グシ[⸣guʃi](神酒)を供えて祈願する。マブルを呼び寄せてくると、水を入れた茶碗の上に三回⸢ブー⸣ジナ(麻糸)を回して待機する。祈願の祝詞が終わると、⸣ヌーディマリ[⸣nuːdimari](何年生まれ)の\ruby{誰某}{ダレ|ソレ}と名前を唱えて、マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢カイ⸣トゥキナー マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣シミ タ⸢ブ⸣ローリ(今の佳き時に魂を籠めさせてください)と唱え、ブージナで縛って魂籠めをする。そして供物の⸣パナ(白米)から3回米を摘んで紙に入れ、塩も一摘み取って入れ、マブルと一緒に包んで着物の袖に入れ、袖の両端をしっかりと結んでおく。祈願する人が指を水に付けて水をとり、三回魂籠めをする本人の額に塗ってやって儀式は終了する。 ナ⸢ガヤン スー⸣ バスン マ⸢ブ⸣ル ⸣クミ ⸢オーシル⸣カー パ⸢シットゥ⸣ ナルンティ⸢ダー [na⸢gajan suː⸣ basum ma⸢bu⸣ru ⸣kumi ⸢ʔoːʃiru⸣kaː pḁ⸢ʃittu⸣ narunti⸢daː] (長病みする時も魂籠めをして差し上げると元気になるそうだ) 16116 0 0 15997 htmvoc_16116.wav ママ マ⸢マ [ma⸢ma] 接頭 まま(継)。血のつながらない親子、兄弟の間柄。 マ⸢マウヤ [ma⸢maʔuja] (継親)。 マ⸢マッふァ [ma⸢maffa] (継子)。 マ⸢マキョーダイ [ma⸢makjoːdai] (継兄弟)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ マ⸢マウヤ⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ア⸢タラ⸣サー ⸢ソー⸣ルン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ma⸢maʔuja⸣ ja⸢rundu⸣ ʔik⸢kena⸣ f⸢fa⸣ ʔa⸢tara⸣saː ⸢soː⸣ruŋ] (あの人は継親だが非常に子供を可愛がられる<子供をあたらしさ「\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}しさ」される>) 16117 1 1 15998 htmvoc_16117.wav ママ マ⸢マ [ma⸢ma] 名 {PoS_1}{Mn_1}まま。もとと同じ状態であること。⸢マーマ[⸢maːma](まま)ともいう。 ⸣シマー ム⸢カシ⸣ヌ マ⸢マ⸣(⸢マーマ⸣) マー⸢ンカウラヌ [⸣ʃimaː mu⸢kaʃi⸣nu ma⸢ma⸣(⸢maːma⸣) maː⸢ŋ kauranu] (島は昔のまま<まんま>、何処も変わらない)。 ウ⸢ヌ⸣ ママ(⸢マーマ⸣) ナ⸢マシケー⸣ナ ッ⸢ふァーリン [ʔu⸢nu⸣ mama(⸢maːma⸣) na⸢maʃi̥keː⸣na f⸢faːriŋ] (そのまま、生のままで食べられる)。 16117 1 2 15999 htmvoc_16117.wav ママ マ⸢マ [ma⸢ma] 名 {Mn_2}その通りにすること。動詞の連体形に付いて、上接語の意味内容の儘になること。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ウムー マ⸢マネー⸣ プ⸢ソー ウーカサラ⸣ヌ [⸢duː⸣nu ⸣ʔumuː ma⸢maneː⸣ pu̥⸢soː ʔuːkasara⸣nu] (自分の思うままには人は動かされない)。 フ⸢チヌ⸣ ア⸢クママ⸣ ノー⸢ンティン⸣ ム⸢ニ⸣ ユムン [ɸu̥⸢⸢ʧinu⸣ ʔa⸢kumama⸣ noː⸢ntim⸣ mu⸢ni⸣ jumuŋ] (口の開くまま、なんとでもものを言う)。 16117 2 0 16000 htmvoc_16117.wav ママ マ⸢マ [ma⸢ma] 接助 {PoS_2}(接続助詞的)物事が次の事態に進展せず、そのままの状態であることを表す。 ビ⸢ルタママ ウーカ⸣ヌ [bi⸢rutamama ʔuːka⸣nu] (座ったまま動かない)。 16117 3 0 16001 htmvoc_16117.wav ママ マ⸢マ [ma⸢ma] 接尾 {PoS_3}(接尾語的)~ごと。~と一緒に。名詞について、そのものごとの意味を表す。 パ⸢クママ⸣ ムティクーバ [pḁ⸢kumama⸣ mutikuːba] (箱ごと持って来いよ) 16118 0 0 16002 htmvoc_16118.wav ママウヤ マ⸢マウヤ [ma⸢maʔuja] 名 ままおや(継親)。 マ⸢マウヤ⸣ ヤ⸢ルンドゥ ソーウヤー⸣ラン ア⸢タラ⸣サー ⸢ソー⸣ルン [ma⸢maʔuja⸣ ja⸢rundu soːʔujaː⸣raŋ ʔa⸢tara⸣saː ⸢soː⸣ruŋ] (継親だが産みの親<本当の親>よりも可愛がって<可惜しさして>下さる) 16119 0 0 16003 htmvoc_16119.wav ママキョーダイ マ⸢マキョーダイ [ma⸢makjoːdai] 名 まま(継)兄弟姉妹。 ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ソーキョーダイヤー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ マ⸢マキョーダイドゥ⸣ ヤ⸢ル [⸢ʔut⸣ʦaː ⸢soːkjoːdaijaː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ma⸢makjoːdaidu⸣ ja⸢ru] (彼らは本当の兄弟姉妹ではない、まま兄弟姉妹で<ぞ>あるのだ) 16120 0 0 16004 htmvoc_16120.wav ママッふァ マ⸢マッふァ [ma⸢maffa] 名 ままこ(継子)。ナ⸢サンッ⸣ふァ[na⸢saŋf⸣fa](産さぬ子)ともいう。「Mamaco.ママコ(継子)継子」『邦訳日葡辞書』の転訛。 マ⸢マッふァ⸣ ヤ⸢ルンドゥ ソーッふァヌ⸣ カタチニル シゥ⸢カ⸣ナイ ッ⸢ふォーッ⸣タ [ma⸢maffa⸣ ja⸢rundu soːffanu⸣ kḁtaʧiniru sï̥⸢ka⸣nai f⸢foːt⸣ta] (継子ではあるが、本当の子のように<ぞ>養育して下さった) 16121 0 0 16005 htmvoc_16121.wav ママルン マ⸢マルン [ma⸢maruŋ] 自動 塗られる。くっつかれる。接着される。液体などが体に塗布される(受身形で用いられる)。他動詞、マ⸢ミルン[ma⸢miruŋ](塗る{EOS}くっつける)、マ⸢ムン[ma⸢muŋ](塗る{EOS}くっつける)が受身動詞に派生変化したもの。 ク⸢ビ⸣ナー ウ⸢サッ⸣カルカー ⸢ペン⸣キ マ⸢マルンダ⸣ マ⸢マラン⸣ヨーニ ア⸢ラ⸣キバ [ku⸢bi⸣naː ʔu⸢sak⸣karukaː ⸢peŋ⸣ki ma⸢marunda⸣ ma⸢maraɲ⸣joːni ʔa⸢ra⸣kiba] (壁にもたれるとペンキがくっつく<塗られる>から、くっつかない<塗られない>ように歩けよ)。 キサー⸢ティ⸣ マ⸢マリ ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ ma⸢mari naː⸣nu] (既にくっついて<塗られて>しまった)。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マル⸣ ピンマー ピ⸢ルザキ⸣ ヌ⸢マ⸣シバ [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢maru⸣ pimmaː pi⸢ruʣaki⸣ nu⸢ma⸣ʃiba] (風邪を引く<風邪がくっつく{EOS}風邪に塗られる>時は大蒜酒を飲ませなさい)。 ウ⸢リ⸣ナーン パ⸢ナシケー⸣ マ⸢マレー⸣ ミサムヌ [ʔu⸢ri⸣naːm pa⸢naʃi̥keː⸣ ma⸢mareː⸣ misamunu] (彼にも風邪はくっつけ<塗られれ>ばいいのに)。 パ⸢ナシキ⸣ マ⸢マリ⸣バ [pa⸢naʃi̥ki⸣ ma⸢mari⸣ba] (風邪がくっつけよ<風邪に塗られろよ>)。 ⸣シラナー ⸢ピング⸣ マ⸢マリ ベー [⸣ʃiranaː ⸢piŋgu⸣ ma⸢mari beː] (顔に鍋墨がくっついて<塗られて>いる) 16122 0 0 16006 htmvoc_16122.wav マミ ⸣マミ [⸣mami] 名 (植)豆。豆類の総称。「道の邊のうまらの末<うれ>に這ほ麻米<マメ>乃~。万、4352」。「大豆、一名菽、万米<まめ>」『和名抄』の転訛。「Mame.マメ(豆)日本の豆、または、大豆.」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ア⸢ガマミ [ʔa⸢gamami] (小豆)。 ク⸢マミ [ku⸢mami] (やえなり{EOS}リョクトウ<緑豆>)。⸢トー⸣フマミ[⸢toː⸣ɸumami](大豆、<豆腐豆>の義)等が作付けされていた。 マ⸢ミ⸣ヌ ⸣アトー ス⸢クリ⸣ムノー イッ⸢ケナ ミールン⸣ティ ア⸢ザリ ブー [ma⸢mi⸣nu ⸣ʔatoː su̥⸢kuri⸣munoː ʔik⸢kena miːrun⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (豆を栽培した後の作物は非常によく稔るといわれている) 16123 0 0 16007 htmvoc_16123.wav マミ マ⸢ミ [ma⸢mi] 名 牛や豚の腎臓。形が豆に似ていることからの命名という『石垣方言辞典』。首里方言では、maami(腎臓)、hukumaami(心臓)という『沖縄語辞典』。 ⸢オー⸣ヌ マ⸢ミン⸣ ナ⸢カミー⸣ヌ ⸣スーナ イ⸢ロー⸣ルン [⸢ʔoː⸣nu ma⸢min⸣ na⸢kamiː⸣nu ⸣suːna ʔi⸢roː⸣ruŋ] (豚の腎臓も豚の臓物のお汁に入れなさる) 16124 0 1 16008 htmvoc_16124.wav マミグル マ⸢ミ⸣グル [ma⸢mi⸣guru] 名 {Mn_1}まめがら(豆殻)。⸣マミ[⸣mami](豆)に、グ⸢ル[gu⸢ru](殻{EOS}屑{EOS}水などの飲み残し)が付いて形成された合成語。⸣グル[⸣guru](殻)は、「吾がやどの穂蓼古幹<フルカラ>~。万、2759」、「柄、賀良(から)、器物茎柯也」『和名抄』の転訛したものか。⸢ムン⸣グルクバガサ[⸢muŋ⸣gurukubagasa]は⸢麦藁で作った笠」の義。 マ⸢ミ⸣グル ア⸢ツァ⸣ミ ⸢モーシ⸣バ [ma⸢mi⸣guru ʔa⸢ʦa⸣mi ⸢moːʃi⸣ba] (豆殻や茎を集めて燃やせよ)。 16124 0 2 16009 htmvoc_16124.wav マミグル マ⸢ミ⸣グル [ma⸢mi⸣guru] 名 {Mn_2}豆を収穫した後の畑。 マ⸢ミ⸣グル ⸢カイ⸣シン パラ⸢ディー [ma⸢mi⸣guru ⸢kai⸣ʃim para⸢diː] (豆を収穫した後の畑を耕しに行こうよ) 16125 0 0 16010 htmvoc_16125.wav マミッツァースン マ⸢ミッツァースン [ma⸢mitʦaːsuŋ] 他動 塗りたくる。塗りまくる。めちゃくちゃに塗る。「塗り散らす」の義。「まみれ(塗れ)」 の他動詞化したものか。⸢ヌッツァースンとも言う。 ⸣シラナー オ⸢シ⸣ロイ マ⸢ミッツァースンティ スンドゥ⸣ マ⸢ミッツァーサラヌ [⸣ʃiranaː ʔo⸢ʃi⸣roi ma⸢mitʦaːsunti sundu⸣ ma⸢mitʦaːsaranu] (顔<面>に\ruby{SqBr}g{/SqBr}{白粉}{オシロイ}を塗りたくろうとするが、塗りたくられない)。 マ⸢ミッツァーシ⸣ ミサカー マ⸢ミッツァース⸣ クトー ⸣ナルン [ma⸢mitʦaːʃi⸣ misakaː ma⸢mitʦaːsu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (塗りたくってよければ、塗りたくることはできる)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ミッツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢mitʦaːʃeː⸣ misamunu] (もっと塗りたくればいいのに)。 ⸣シラナー マ⸢ミッツァーシ⸣バ [⸣ʃiranaː ma⸢mitʦaːʃi⸣ba] (顔に塗りたくれよ) 16126 0 0 16011 htmvoc_16126.wav マミドーマ マ⸢ミドー⸣マ [ma⸢midoː⸣ma] 名 竹富島の伝統的民謡と民俗舞踊の名称。農耕に従事する村人の生活の実態と収穫の喜びを写実的に、コミカルに、しかもアップテンポに描写することに成功した作品。「マ・ミド˜ー[ma・mido˜ː](真の乙女)」の義か。 タ⸢キドゥン⸣ヌ ム⸢ラブドゥル⸣ナー イッ⸢チン⸣ ウ⸢ムッ⸣サモー マ⸢ミドー⸣マ ⸢ナー [tḁ⸢kidun⸣nu mu⸢rabudu⸣runaː ʔit⸢ʧiŋ⸣ ʔu⸢mus⸣samoː ma⸢midoː⸣ma ⸢naː] (竹富島の村踊で一番面白いのはマミドーマだねえ) 16127 0 1 16012 htmvoc_16127.wav マミナー マ⸢ミ⸣ナー [ma⸢mi⸣naː] 名 {Mn_1}(植)モヤシ(萌やし)。 マ⸢ミナー⸣ヌ ⸢チャン⸣プロー ン⸢マーン⸠ダー [ma⸢minaː⸣nu ⸢ʧam⸣puroː ʔm⸢maːn⸠daː] (萌やしの炒め物は美味しいよ)。 16127 0 2 16013 htmvoc_16127.wav マミナー マ⸢ミ⸣ナー [ma⸢mi⸣naː] 名 {Mn_2}痩せた人。 ⸢ヨーガリティ⸣ マ⸢ミ⸣ナー ナリ⸢ベー [⸢joːgariti⸣ ma⸢mi⸣naː nari⸢beː] (痩せて萌やしになっている) 16128 0 0 16014 htmvoc_16128.wav マミナーチャンプルー マ⸢ミナーチャン⸣プルー [ma⸢minaːʧam⸣puruː] 名 萌やしの炒め物(チャンプルー)。老年層は、イ⸢ラキ⸣ムヌ[ʔi⸢raki⸣munu](炒りもの)という。 マ⸢ミナーチャン⸣プルー ッ⸢ふァイ⸣プサワ⸢ナー [ma⸢minaːʧam⸣puruː f⸢fai⸣pu̥sawa⸢naː] (もやしの炒め物を食べたいなあ) 16130 0 0 16015 htmvoc_16130.wav マミヌアン マ⸢ミ⸣ヌアン [ma⸢mi⸣nuʔaŋ] 名 あずきあん(小豆餡)。「豆の餡」の義。ゆでた小豆に砂糖を混ぜ、さらに煮て練ったもの。餅の中に包み入れて\ruby{餡餅}{アン|モチ}にした。 マ⸢ミ⸣ヌアンヌ バ⸢タム⸣チェー ⸢ミース⸣ヌアンヌ バ⸢タム⸣チェーラン ン⸢マー⸣タン [ma⸢mi⸣nuʔannu ba⸢tamu⸣ʧeː ⸢miːsu⸣nuʔannu ba⸢tamu⸣ʧeːram ʔm⸢maː⸣taŋ] (小豆餡の餡餅は味噌餡の餡餅よりも美味しかった) 16129 0 1 16016 htmvoc_16129.wav マミヌカー マ⸢ミ⸣ヌカー [ma⸢mi⸣nukaː] 連・名 {Mn_1}豆の皮。 マ⸢ミ⸣ヌ ⸢カー⸣ヤ ⸢コー⸣ユンダ ミ⸢ジ⸣ナー フ⸢クラシティ⸣ ピ⸢キ⸣バ [ma⸢mi⸣nu ⸢kaː⸣ja ⸢koː⸣junda mi⸢ʤi⸣naː ɸu̥⸢kuraʃi̥ti⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (豆の皮は固いから水にふやかしてから\ruby{碾}{ヒ}きなさい)。 16129 0 2 16017 htmvoc_16129.wav マミヌカー マ⸢ミ⸣ヌカー [ma⸢mi⸣nukaː] 連・名 {Mn_2}一張羅。一枚しかない着物。 ク⸢ヌ⸣ マ⸢ミ⸣ヌ ⸣カー ⸢ナー⸣ト ユ⸢グシェー⸣ラ ナ⸢ラン⸣ダー [ku⸢nu⸣ ma⸢mi⸣nu ⸣kaː ⸢naː⸣to ju⸢guʃeː⸣ra na⸢ran⸣daː] (この一張羅などを汚したらいけないぞ) 16131 0 0 16018 htmvoc_16131.wav マミヌクー マ⸢ミ⸣ヌクー [ma⸢mi⸣nukuː] 名 きなこ(黄な粉)。「豆の粉」の義。大豆を煎って\ruby{碾}{ヒ}いて粉にしたもの。 マ⸢ミ⸣ヌクー ピ⸢キ⸣バ [ma⸢mi⸣nukuː pi̥⸢ki⸣ba] (黄な粉を碾きなさいよ) 16108 0 0 16019 htmvoc_16108.wav マミヌニンガイ マ⸢ミ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [ma⸢mi⸣nu ⸢niŋ⸣gai] 連 豆の祈願。⸢ニンガチニン⸣ガイ[⸢niŋgaʦiniŋ⸣gai](名)の際に、⸢ヤーバン[⸢jaːbaŋ](「八番」の義か{EOS}八回祈願すること)の一つとして祈願されたもの。ア⸢ガマミ[ʔa⸢gamami](アズキ<小豆>)やク⸢マミ[ku⸢mami](ヤエナリ<緑豆>)、⸢トー⸣フマミ[⸢toː⸣ɸumami](大豆<豆腐豆>)等が稔るよう祈願する祭祀。戦後まで祈願されていたが、村行事が多いとのことで1960年ごろに廃止された。 マ⸢ナ⸣マー マ⸢ミ⸣ヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー ⸢ソーラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ma⸢mi⸣nu ⸢niŋgai⸣jaː ⸢soːra⸣nu] (今は豆の祈願はなさらない) 16132 0 0 16020 htmvoc_16132.wav マミマキ マ⸢ミ⸣マキ [ma⸢mi⸣maki] 名 豆まき。豆の種を蒔くこと。 ⸣アボーヤ マ⸢ミ⸣マキ ⸢シン⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢オーッ⸣タ [⸣ʔaboːja ma⸢mi⸣maki ⸢ʃim⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔoːt⸣ta] (お母さんは豆蒔きをしに畑へ行かれた) 16133 0 0 16021 htmvoc_16133.wav マミルン マ⸢ミルン [ma⸢miruŋ] 他動 液体や軟膏、塗料などを塗りつける。塗る。「Mamexi,su.マメシ、ス(まめし、す)」『邦訳日葡辞書』がラ行四段活用に転訛したものか。マ⸢ムンとも言う。 プ⸢スヌ⸣ シラナー ⸣シン マ⸢ミルンティ ベーン⸣ケン ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣キンナー マ⸢ミラリ ナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʃiranaː ⸣ʃim ma⸢mirunti beːŋ⸣ken ⸢duː⸣nu ⸣kinnaː ma⸢mari naː⸣nu] (他人の顔<面>に墨を塗ろうとしているうちに、自分の着物に塗られてしまった)。 ⸣シン マ⸢ミ⸣ ミサカー マ⸢ミル⸣ クトー ⸣ナルン [⸣ʃim ma⸢mi⸣ misakaː ma⸢miru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (墨を塗ってよければ、塗ることはできる)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢mireː⸣ misamunu] (もっと塗ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク フ⸢チ⸣ル マ⸢ミリ [⸢paː⸣ku ɸu̥⸢ʧi⸣ru ma⸢miri] (早く薬を塗れ) 16134 0 0 16022 htmvoc_16134.wav マムリガミ マ⸢ムリ⸣ガミ [ma⸢muri⸣gami] 名 守り神。守護神。標準語からの借用語。神歌では、⸣ウヤンガミ[⸣ʔujaŋgami](親神様)、マ⸢ブ⸣ルシュー[ma⸢bu⸣ruʃuː](守り主<神>)、カミガ⸢ナ⸣シ[kamiga⸢na⸣ʃi](神様)のように歌われている。/ウブシクヌ マブルシュー アミブシャヌ、 ウブトゥムルヌ カミガナシ アミブシャヌ、ウマンチュヌ ニガイヤ アミブシャヌ、アカカラジヌ ニガイヤ アミブシャヌ、タンディトートゥ マブルシュー アミブシャヌ、ガラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ。(大城の守り主<神>、雨が欲しゅうございます{EOS}大友利御嶽の神様、雨が欲しゅうございます{EOS}民衆<御万人>の願いは雨が欲しゅうございます、百姓の願いは雨が欲しゅうございます、どうぞ守り神様雨が欲しゅうございます、なにとぞ神様、雨が欲しゅうございます)(雨乞い歌)/『鳩間島古典民謡古謡集』 16135 0 0 16023 htmvoc_16135.wav マムリヌカン マ⸢ムリ⸣ヌ ⸣カン [ma⸢muri⸣nu ⸣kaŋ] 連 守護神。「守りの神」の義。⸢コン⸣ジン[⸢kon⸣ʤiŋ](女性個人用の守り神{EOS}根神)のこと。その家の娘は床の間に⸢コン⸣ジンをたてて拝んでいた。嫁いでいく時には香炉を下げて嫁ぎ先の家の\ruby{床}{トコ}の間に移した。 ⸢ザー⸣トゥクナー ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ マ⸢ムリ⸣ヌ ⸢カン⸣ヌ ⸢オー⸣ルン [⸢ʣaː⸣tu̥kunaː mi⸢doːŋ⸣ffanu ma⸢muri⸣nu ⸢kan⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (床の間には女の子の守り神がいらっしゃる<\ruby{御座}{オ|ワ}します>) 16136 0 0 16024 htmvoc_16136.wav マムルン マ⸢ム⸣ルン [ma⸢mu⸣ruŋ] 他動 守る。守護する。「~筑紫の国は安多麻毛流<仇マモル>~。万、4331」の義。 ⸢ワットゥヌ⸣ ヤ⸢クスコー⸣ ヤー⸢ディン⸣ マ⸢ム⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ムラン⸣ クトゥン ⸣アン [⸢wattunu⸣ ja⸢kusu̥koː⸣ jaː⸢dim⸣ ma⸢mu⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢muraŋ⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (君との約束は必ず守ると思うが、守らないこともある)。 ウ⸢レー⸣ マ⸢ムリ ヤッ⸣サン [ʔu⸢reː⸣ ma⸢muri jas⸣saŋ] (それは守りやすい)。 ヤ⸢クスコー⸣ ヤー⸢ディン⸣ マ⸢ム⸣ル ⸣クトゥ [ja⸢kusu̥koː⸣ jaː⸢dim⸣ ma⸢mu⸣ru ⸣ku̥tu] (約束は必ず守ることだ)。 マ⸢ム⸣レー ⸣ミサムヌ [ma⸢mu⸣reː ⸣misamunu] (守ればよいのに)。 ウ⸢レー ワー⸣ マ⸢ム⸣リ [ʔu⸢reː waː⸣ ma⸢mu⸣ri] (それは君が守れ) 16137 0 0 16025 htmvoc_16137.wav マムン マ⸢ムン [ma⸢muŋ] 他動 液体や軟膏、塗料を\ruby{塗}{ヌ}りつける。塗る。「Mamexi,su.マメシ、ス(まめし、す)粟の粉や豆の粉などに餅を入れてするように、粉をつける.また、泥だらけにする、泥まみれにする。.上(Cami)では、Mabuxi,su(塗し、す)と言う」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 フ⸢チ⸣ル マ⸢ムンティ スンドゥ⸣ ヤムンダ マ⸢マラヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ma⸢munti sundu⸣ jamunda ma⸢maranu] (薬を塗ろうとするが、痛むので塗られない)。 キ⸢ジ⸣ナー フ⸢チ⸣ル マ⸢ミ⸣ シ⸢キバ⸣ル ⸢ノーリ⸣ パ⸢ヤー⸠ダー [ki⸢ʤi⸣naː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ma⸢mi⸣ ʃi̥⸢kiba⸣ru ⸢noːri⸣ pa⸢jaː⸠daː] (傷には薬を塗っておいた方が治り早いよ)。 ⸣カイブ フ⸢チ⸣ル マ⸢ム⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣kaibu ɸu̥⸢ʧi⸣ru ma⸢mu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (こんな薬を塗る人はいない)。 フ⸢チ⸣ルンツァン マ⸢メー⸣ ミサムヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣runʦam ma⸢meː⸣ misamunu] (薬でも塗ればいいのに)。 フ⸢チ⸣ル マ⸢ミ⸣バ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ma⸢mi⸣ba] (薬を塗れよ) 16138 0 0 16026 htmvoc_16138.wav マヤ ⸣マヤ [⸣maja] 名 (動)猫。鼠の害を防ぐために飼われていた。 ⸣マヤー ⸢ミートゥシ⸣ シゥ⸢カナウ⸣バン ⸣ヌシ ⸢バシキルン イン⸣マー ⸢ミッカ⸣ シゥ⸢カ⸣ヌカー ⸣ヌシ ⸢バシキラヌ [⸣majaː ⸢miːtuʃi⸣ sï̥⸢kanau⸣ban ⸣nuʃi ⸢baʃikiruŋ ʔim⸣maː ⸢mikka⸣ sï̥⸢ka⸣naukaː ⸣nuʃi ⸢baʃi̥kiranu] (猫は三年飼育しても飼い主を忘れる{EOS}犬は三日飼育したら飼い主を忘れない)。 ⸢イン⸣トゥ ⸣マヤ [⸢ʔin⸣tu ⸣maja] (犬と猫{EOS}仲の悪い者同士{EOS}⸢犬猿の仲」の義)。 マ⸢ヤ⸣ヌ ウ⸢ム⸣ティ ⸣シムン ⸣カタチニ [ma⸢ja⸣nu ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimuŋ ⸣kḁtaʧini] (猫が顔<面>を洗うように{EOS}簡単に洗面することを\ruby{諌}{イサ}める意) 16139 0 0 16027 htmvoc_16139.wav マヤーサリン マ⸢ヤーサ⸣リン [ma⸢jaːsa⸣riŋ] 自動 妖怪などに化かされる。迷わされる。マ⸢ヤー⸣スン[ma⸢jaː⸣suŋ](化かす{EOS}惑わす{EOS}たぶらかす)の未然形に受身の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる、られる)が付いて形成された受身動詞。 ユ⸢ナカー⸣ラ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジ⸣ルカー マ⸢ジムン⸣ マ⸢ヤーサ⸣リンダ マ⸢ヤーサラン⸣ スコーニ ⸣サン ⸣ムティ ⸢アー⸣キ [ju⸢nakaː⸣ra mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ma⸢ʤimum⸣ ma⸢jaːsa⸣rinda ma⸢jaːsaran⸣ su̥koːni ⸣sam ⸣muti ⸢ʔaː⸣ki] (夜中から道に出ると、まじもの<蠱物>に化かされるから、化かされないようにサンを持って行け<歩け>)。 ⸣アイブ ミ⸢ドゥ⸣ムン マ⸢ヤーサ⸣リティ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [⸣ʔaibu mi⸢du⸣mum ma⸢jaːsa⸣riti ⸣nuːja ʔu⸢reː] (あんな女に惑わされて、何だねそれは)。 ビ⸢キドゥモー⸣ マ⸢ヤーサリ⸣ル ⸣クトゥーン ⸣アン [bi⸢kidumoː⸣ ma⸢jaːsari⸣ru ⸣ku̥tuːŋ ⸣ʔaŋ] (男は惑わされることもある)。 ⸢ワンヌン⸣ マ⸢ヤーサ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢wannum⸣ ma⸢jaːsa⸣reː ⸣misamunu] (君も惑わさればいいのに)。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ティ マ⸢ヤーサ⸣リバ [⸣ʔunaː ⸢beː⸣ti ma⸢jaːsa⸣riba] (そこにいて惑わされろ) 16140 0 0 16028 htmvoc_16140.wav マヤーブー ⸣マヤーブー [⸣majaːbuː] 名 (植)メドハギ(蓍萩)。メドギ(蓍木)。「猫の尾」の義。野原に自生しており、日常は雑草として利用されることのない植物であるが、⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)には仏前へ食事を供える際の箸に作ったり、朝、昼、晩の食事を供えて線香を立てる直前に、ミ⸢ジヌ⸣クー[mi⸢ʤinu⸣kuː](<水の粉>の義か{EOS}無縁仏へのお布施として用意される供物で、砂糖黍の茎や茄子を小さく賽の目に刻んだものに米、小豆、昆布を刻んだもの等を加え、7回水洗いしたもの)を戸外へ弾き飛ばすのに用いるもの。長さ約30センチの箒状に結わえたもの。 ⸣マヤーブーシ ミ⸢ジヌ⸣クー ⸢パン⸣キバ [⸣majaːbuːʃi mi⸢ʤinu⸣kuː ⸢paŋ⸣kiba] (マヤーブー<メドハギ>でミジヌクー<水の粉>を家の外へ弾き飛ばしなさいよ) 16141 0 0 16029 htmvoc_16141.wav マヤーリンジルン マ⸢ヤーリ⸣ ン⸢ジ⸣ルン [ma⸢jaːri⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] 連 ものに\ruby{憑}{ツ}かれたように飛び出る。躍り出る。浮かれて出る。 ⸢サンシンヌ⸣ ウ⸢トゥヌ⸣ シゥ⸢カリター⸣ マ⸢ヤーリ⸣ ンジティ ブ⸢ドゥル シー ベー [⸢saŋʃinnu⸣ ʔu⸢tunu⸣ sï̥⸢karitaː⸣ ma⸢jaːri⸣ ʔnʤiti bu⸢duru ʃiːbeː] (三線の音が聞こえたので憑かれたように飛び出て踊っている) 16142 0 0 16030 htmvoc_16142.wav マヤールン マ⸢ヤールン [ma⸢jaːruŋ] 自動 憑かれたように舞い上がる。何かに浮かされて起き上がる。調子にのって浮かれ出る。「舞い上がる」の転訛したもの。 ニ⸢チ⸣ヌ ア⸢ガル⸣カー トゥ⸢ビウキティ⸣ マ⸢ヤールン⸣ティ ⸢スンダー⸣ マ⸢ヤーラン⸣ スコーニ ス⸢ブ⸣ル ヒ⸢ヤ⸣シ [ni⸢ʧi⸣nu ʔa⸢garu⸣kaː tu⸢biʔukiti⸣ ma⸢jaːrun⸣ti ⸢sundaː⸣ ma⸢jaːran⸣ su̥koːni su⸢bu⸣ru çi⸢ja⸣ʃi] (熱が上がると熱に浮かされて起き上がるというから、起き上がらないように頭を冷やせ)。 ⸢サンシンヌ⸣ ウ⸢トゥ⸣ ス⸢ク⸣カー シ⸢グ⸣ マ⸢ヤーリ⸣ ン⸢ジ⸣ス [⸢saŋʃinnu⸣ ʔu⸢tu⸣ su̥⸢ku⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ma⸢jaːri⸣ ʔn⸢ʤi⸣su] (三線の音を聞くと、すぐ浮かれ出て舞う)。 ウ⸢レー⸣ マ⸢ヤー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ma⸢jaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (彼は調子にのって浮かれ出ることはない)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ヤー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢jaː⸣reː ⸣misamunu] (もっと浮かれ出ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ヤーリリ [⸢maː⸣bim ma⸢jaːriri] (もっと浮かれ出ろ) 16143 0 0 16031 htmvoc_16143.wav マヤスクグル ⸣マヤスクグル [⸣majasu̥kuguru] 名 (動)リュウキュウコノハズク『石垣方言辞典』。⸣ミンスクグル[⸣minsu̥kuguru](みみずく<木菟>)ともいうが、分類学的には不明。 ⸣マヤスクグロー マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣カタチニル ナ⸢ク⸣ティバン ⸢ナー [⸣majasu̥kuguroː ma⸢ja⸣nu ⸣kḁtaʧiniru na⸢ku⸣tiban ⸢naː] (リュウキュウコノハズクは猫のように鳴くそうだね) 16144 0 0 16032 htmvoc_16144.wav マヤヌカタ マ⸢ヤ⸣ヌ カ⸢タ [ma⸢ja⸣nu kḁ⸢ta] 連 猫の絵。歌謡語。 ⸢ヤー⸣ ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナカー マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣カタ ⸣アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ ku⸢nu jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣nakaː ma⸢ja⸣nu ⸣kḁta ⸣ʔanti ⸣suː] (ああ、この家の中に猫の絵があるという)(アーパーレー歌) 16145 0 0 16033 htmvoc_16145.wav マヤヌッスウズムンカタチニ マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ッス ウ⸢ズムン⸣ カタチニ [ma⸢ja⸣nu ⸣ssu ʔu⸢ʣumuŋ⸣ kḁtaʧini] 連 仕事を粗雑にすること。いいかげんに仕事をすること。「猫が糞を埋めるように」の義。 ⸢ワー⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイシヨー⸣ヤ マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ッス ウ⸢ズムン⸣ カタチニル ⸢ブーワーン⸣ノー キ⸢ム⸣バ ⸣イリ カ⸢シーカシ カイ⸣シバ [⸢waː⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kaiʃijoː⸣ja ma⸢ja⸣nu ⸣ssu ʔu⸢ʣumuŋ⸣ kḁtaʧiniru ⸢buːwaːn⸣noː ki⸢mu⸣ba ⸣ʔiri kḁ⸢ʃiːkaʃi kai⸣ʃiba] (君の畑<を耕す>耕し方は、猫が糞を埋めるよう<いいかげん>ではないか{EOS}もっと心をこめてしっかり耕せ) 16146 0 0 16034 htmvoc_16146.wav マヤヌフタイ マ⸢ヤ⸣ヌ フ⸢タイ [ma⸢ja⸣nu ɸu̥⸢tai] 連 猫の額。面積の小さいことの比喩表現。 マ⸢ヤ⸣ヌ フ⸢タイヌ⸣ ブカラヌ ⸢ヤシキ⸣バ ⸢カイティル⸣ ウナー ⸢ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [ma⸢ja⸣nu ɸu̥⸢tainu⸣ bukaranu ⸢jaʃi̥ki⸣ba ⸢kaitiru⸣ ʔunaː ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (猫の額ほどの屋敷を買って、そこに家を造って<置いて>ある) 16148 0 0 16035 htmvoc_16148.wav マユ マ⸢ユ [ma⸢ju] 名 眉。まゆげ。「眉<マヨ>の如~。万、998」、「Maju.マユ(眉)眉.Mayuuo fisomuru(眉を\ruby{顰}{ヒソ}むる)悲しみや驚きのために、しかめ面をする、あるいは、いやな顔をする」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 マ⸢ユ⸣ナーン ッ⸢サイ⸣ヌ ⸣ムイ ⸢ベー⸣ン [ma⸢ju⸣naːn s⸢sai⸣nu ⸣mui ⸢beː⸣ŋ] (眉にも白髪が生えている)。 ヤ⸢マ⸣マユ [ja⸢ma⸣maju] (濃い眉毛{EOS}繁茂した眉毛)。 マ⸢ユ⸣ ピ⸢クン [ma⸢ju⸣ pi̥⸢kuŋ] (眉を美しく描く{EOS}美しい女性の眉に描く) 16149 0 0 16036 htmvoc_16149.wav マユ ⸣マユ [⸣maju] 名 繭。蚕の繭。「繭、和名万由(まゆ)蚕衣也」『和名抄』、「Mayu.マユ(繭)蚕のまゆ」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。老年層は⸣マンムシヌ ⸢コー⸣マ[⸣mammuʃinu ⸢koː⸣ma](蚕の卵{EOS}「殻、和名与\kaeriten{㆑}貝<かひ>同、虫之皮甲也」『和名抄』)と言った。若年層は、⸢カイコ⸣ヌ ⸣マユ[⸢kaiko⸣nu maju](蚕の繭)という。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤー パ⸢トゥ⸣マナーン ⸢カイ⸣コ シゥ⸢カ⸣ナイティ ⸢イッ⸣パイ ⸣マユ トゥ⸢ローッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸢mai⸣jaː pḁ⸢tu⸣manaːŋ ⸢kai⸣koː sï̥⸢ka⸣naiti ⸢ʔip⸣pai ⸣maju tu⸢roːt⸣taŋ] (戦前は鳩間島にも蚕を養って、たくさん繭を生産された<取られた>) 16150 0 0 16037 htmvoc_16150.wav マユーン ⸣マユーン [⸣majuːŋ] 自動 迷う。「紕、漢語抄云、万与布(まよふ)、一云与流(よる)」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢バン⸣ヌン ウ⸢リ⸣ サ⸢バル⸣ ナルユー ⸣マユー ⸣クトゥン ⸢アッタン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー マ⸢ヨーン⸣ドーシ ⸢シー ブー [⸢ban⸣nuŋ ʔu⸢ri⸣ sa⸢baru⸣ narujuː ⸣majuː ⸣ku̥tuŋ ⸢ʔattan⸣du ma⸢na⸣maː ma⸢joːn⸣doːʃi ⸢ʃiː bu] (私もそれをした方が良いのか、迷うこともあったが、今は迷わずにやっている)。 マ⸢ナ⸣マン マユーン⸢ダー [ma⸢na⸣mam majuːn⸢daː] (今も迷うよ)。 マ⸢ナ⸣マン マ⸢ユイ⸣ ブー [ma⸢na⸣mam ma⸢jui⸣ buː] (今も迷っている)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ユイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢jui⸣jaː ⸣misamunu] (もっと迷えばいいのに)。 ⸣マユイバ [⸣majuiba] (迷えよ) 16147 0 0 16038 htmvoc_16147.wav マユイルン マ⸢ユイ⸣ルン [ma⸢jui⸣ruŋ] 自動 迷う。右往左往する。さまよう。「紕、漢語抄云、万与布(まよふ)、」『和名抄』、「Mayoi,oˆ,oˆta.マヨイ、ゥ、ゥタ(迷ひ、ふ、うた)誤る Mayoi ariqu(迷い歩く)道を知らないで迷い歩く」『邦訳日葡辞書』のラ行四段に転訛したもの。 ⸣アイニ ア⸢ザリ⸣カー ター⸢ン⸣ マ⸢ユイ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣バー イッ⸢カ⸣ マ⸢ユイラン⸣シェン [⸣ʔaini ʔa⸢ʣari⸣kaː taː⸢m⸣ ma⸢jui⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸣baː ʔik⸢ka⸣ ma⸢juiraŋ⸣ʃeŋ] (そう言われたら誰でも迷うと思うが、私は決して迷わなかった)。 ⸢ヌー⸣ スーバル マ⸢シ⸣ユー ⸣マユイ ⸢ナー⸣ヌ [⸢nuː⸣ suːbaru ma⸢ʃi⸣juː ⸣majui ⸢naː⸣nu] (何をすればよいか、迷ってしまった)。 マ⸢ユー⸣ クトー ター⸢ン⸣ナーン ア⸢リ⸣ ブー [ma⸢juː⸣ ku̥toː taː⸢n⸣naːŋ⸣ ʔa⸢ri⸣ buː] (迷うことは誰にもある<有り居る>)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ユイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢jui⸣reː ⸣misamunu] (もっと迷えばいいのに)。 ⸢ワンヌン⸣ マ⸢ユイ⸣リ [⸢wannum⸣ ma⸢jui⸣ri] (君も迷えろ) 16151 0 0 16039 htmvoc_16151.wav マユヌフタナカ マ⸢ユヌ⸣ フ⸢タナカ [ma⸢junu⸣ ɸu̥⸢tanaka] 連 眉と眉の間。みけん(眉間)。 マ⸢ユヌ⸣ フ⸢タナカー⸣ シ⸢カミティ⸣ ムニ イ⸢ゾール⸣ヌ ア⸢ムサ⸣ル ア⸢ロー⸣ルカヤー [ma⸢junu⸣ ɸu̥⸢tanakaː⸣ ʃi̥⸢kamiti⸣ muni ʔi⸢ʣoːru⸣nu ʔa⸢musa⸣ru ʔa⸢roː⸣rukajaː] (眉間をしかめ<顰め>て話しておられるが、ご気分が悪くあられるのだろうか) 16152 0 1 16040 htmvoc_16152.wav マラ ⸣マラ [⸣mara] 名 {Mn_1}陰茎。「魔羅」の義。 ウ⸢シヌ⸣ マラ [ʔu⸢ʃinu⸣ mara] (牛の陰茎)。 16152 0 2 16041 htmvoc_16152.wav マラ ⸣マラ [⸣mara] 名 {Mn_2}籾摺り臼の下の台にある回転軸となる棒。杭。石臼の下の台にある突起物。建築用材木のほぞ(\ruby{枘}{ホゾ})。ろぐい(艪杭)。 ピ⸢キウシヌ⸣ ッ⸢サダイヌ⸣ マラー ⸢オーダイ⸣ナー ⸢ホー⸣シティル ⸢マイヤー⸣ ピ⸢ク [pi̥⸢kiʔuʃinu⸣ s⸢sadainu⸣ maraː ⸢ʔoːdai⸣naː ⸢hoː⸣ʃitiru ⸢maijaː⸣ pi̥⸢ku] (籾摺り臼<碾き臼>の下の台の回転軸<魔羅>を上台に\ruby{嵌}{ハ}め合わせて<ぞ>\ruby{籾摺}{モミ|ス}りはする<米は\ruby{碾}{ヒ}く>ものだ) 16153 1 0 16042 htmvoc_16153.wav マラキ マ⸢ラキ [ma⸢raki] 名 {PoS_1}⸢マイマラキ[⸢maimaraki](稲のまろげ<丸げ>{EOS}一巻き<30束>)。 バ⸢ラフ⸣タマラキ [ba⸢raɸu̥⸣tamaraki] (稲藁の丸げ)。 16153 2 0 16043 htmvoc_16153.wav マラキ マ⸢ラキ [ma⸢raki] 助数 {PoS_2}30タ⸢バ⸣ル[ta⸢ba⸣ru](束)を一まとめにまろげた<丸げた>単位。 ⸢マイ⸣ プ⸢スマラ⸣キ [⸢mai⸣ pu̥⸢sumara⸣ki] (稲<米>一丸げ)。 フ⸢タマラキ [ɸu̥⸢tamaraki] (二丸げ)。 ⸢ミーマラキ [⸢miːmaraki] (三丸げ)。 ⸢ユーマラキ [⸢juːmaraki] (四丸げ)。 イ⸢チマラ⸣キ [ʔi⸢ʧimara⸣ki] (五丸げ)。 ⸢ムーマラキ [⸢muːmaraki] (六丸げ)。 ナ⸢ナマラ⸣キ [na⸢namara⸣ki] (七丸げ)。 ⸢ヤーマラキ [⸢jaːmaraki] (八丸げ)。 ク⸢ヌマラ⸣キ [ku⸢numara⸣ki] (九丸げ)。 ⸢トゥーマラキ [⸢tuːmaraki] (十丸げ)。 ⸢イッタン⸣ヌ ⸣ターラ ⸢マイヤー ギューマラキ⸣ トゥ⸢ラリ⸣ワ [⸢ʔittan⸣nu ⸣taːra ⸢maijaː gjuːmaraki⸣ tu⸢rari⸣wa] (一反の田圃から稲は幾丸げ収穫できる<取れる>か) 16154 0 0 16044 htmvoc_16154.wav マラキカラキ マ⸢ラキカラ⸣キ [ma⸢rakikara⸣ki] 副 稲、稲藁などは30束を一丸げに、茅などは直径約30センチほどの大きさに束ね丸げることの強調表現。ABCDBC型の重言。カラキ[karaki]は「Carague,uru,eta.カラゲ、グル、ゲタ(\ruby{紮}{カラ}げ、ぐる、げた)荷物などを結ぶ、または、しばりつける」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ⸢マイヤー⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣ケンティ ⸢シー⸣ マ⸢ラキカラ⸣キ ⸢シー⸣ シケー [⸢maijaː⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːŋ⸣kenti ⸢ʃiː⸣ ma⸢rakikara⸣ki ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (稲<米>は、雨が降らないうちにといって、30束ずつ一丸げにしておいてある) 16155 0 0 16045 htmvoc_16155.wav マラクン マ⸢ラクン [ma⸢rakuŋ] 他動 稲、稲藁などは30束を一丸げ<一巻き>にする。茅などは直径約30センチほどの大きさに束ね丸げる。 ⸢マイ⸣ マ⸢ラクンティ スンドゥ⸣ バ⸢ラフタ⸣ヌ タ⸢ラーンダ⸣ マ⸢ラカラヌ [⸢mai⸣ ma⸢rakunti sundu⸣ ba⸢raɸu̥ta⸣nu ta⸢raːnda⸣ ma⸢rakaranu] (稲束を<30束一巻きに>丸げようとするが、稲藁が足りないので丸げられない)。 マ⸢ラキ⸣ ミサカー ⸣バー ⸢タンガ⸣シン マ⸢ラク⸣ クトー ⸣ナルン [ma⸢raki⸣ misakaː ⸣baː ⸢taŋga⸣ʃim ma⸢raku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (丸げてよければ、私一人ででも丸ぐことはできる)。 ⸢パー⸣ク マ⸢ラケー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ma⸢rakeː⸣ misamunu] (早く丸げばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ マ⸢ラキ [jaː⸢dim⸣ ma⸢raki] (必ず丸げ) 16156 0 1 16046 htmvoc_16156.wav マラスン マ⸢ラスン [ma⸢rasuŋ] 他動 {Mn_1}産ませる。誕生させる。「~吾が中の産礼出有<ウマレイデタル>~。万、904」の「ウマレ<生まれ>」に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](せる{EOS}させる)が付いて転訛したものか。 ッ⸢ふァ⸣ マ⸢ラスン [f⸢fa⸣ ma⸢rasuŋ] (子供を産ませる)。 ⸢イッ⸣パイ ウ⸢シヌッふァ⸣ マ⸢ラシティ⸣ フ⸢ドゥバスンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ラサランシェン [⸢ʔip⸣pai ʔu⸢ʃinu⸣ f⸢fa⸣ ma⸢raʃiti⸣ ɸu⸢dubasunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢rasaraŋʃeŋ] (たくさん子牛を産ませて育てようと思ったが、産ませられなかった)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ラス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢maː⸣bim ma⸢rasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (もっと<子牛を>産ませることはできない)。 ⸢マー⸣ビン マ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ma⸢raʃeː⸣ misamunu] (もっと産ませればいいのに)。 ⸢マー⸣ プ⸢スッ⸣カラ マ⸢ラシ⸣バ [⸢maː⸣ pu̥⸢suk⸣kara ma⸢raʃi⸣ba] (もう一匹産ませよ)。 16156 0 2 16047 htmvoc_16156.wav マラスン マ⸢ラスン [ma⸢rasuŋ] 他動 {Mn_2}酒や醤油を醸造す<産まらせ>る。豆腐を製造す<産まらせ>る。 サ⸢キ⸣ マ⸢ラスン [sḁ⸢ki⸣ ma⸢rasuŋ] (酒を醸造す<産まらせ>る)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ヤーカー⸣ジナ サ⸢キ⸣ マ⸢ラシティ⸣ シゥ⸢カイヨーッタン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー サ⸢キ⸣ マ⸢ラソー⸣ル プ⸢ソー オーラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢jaːkaː⸣ʤinaː sḁ⸢ki⸣ ma⸢raʃi̥ti⸣ sï̥⸢kaijoːttan⸣du ma⸢na⸣maː sḁ⸢ki⸣ ma⸢rasoː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːra⸣nu] (昔は家毎に酒を醸造されて使っておられたが、今は酒を醸造される人はおられない)。 ⸣ドゥーシ ⸢トー⸣フ マ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ⸢toː⸣ɸu ma⸢raʃeː⸣ misamunu] (自分で豆腐を製造すればいいのに)。 ⸢トー⸣フ マ⸢ラシ [⸢toː⸣ɸu ma⸢raʃi] (豆腐を製造せよ) 16157 0 0 16048 htmvoc_16157.wav マラタリムヌ マ⸢ラタリ⸣ムヌ [ma⸢ratari⸣munu] 名 褌をしめないで男根を露出させ<垂らし>た者。思慮分別のない子供。ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](男性神職者)が台風の後片付けのために⸣ウボー[⸣ʔuboː](威部)へ立ち入る際は、褌の前を垂らして無分別者であることを\ruby{装}{ヨソオ}う必要があったという。 ウ⸢グビ⸣ヌ ム⸢ヌ⸣ヌ マ⸢ラタリ⸣ムヌ ⸣ナリティ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [ʔu⸢gubi⸣nu mu⸢nu⸣nu ma⸢ratari⸣munu ⸣nariti ⸣nuːja ʔu⸢reː] (あれほどの図体をした者が「魔羅垂れ者」になって、一体全体何事だね、これは)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ マ⸢ラタリムヌ⸣ヌ ⸢シェー⸣ル ⸣ワザ [ja⸢rabi⸣nu ma⸢ratarimunu⸣nu ⸢ʃeː⸣ru ⸣waʣa] (子供の、思慮分別のない者のなせる<しでかした>仕業) 16158 0 0 16049 htmvoc_16158.wav マラタルン ⸣マラ ⸣タルン [⸣mara ⸣taruŋ] 連 魔羅を垂れる。男が下着を着ないで男根を露出させる。 マ⸢ラ⸣ヌ ⸣タルンケン サ⸢キバ⸣ ウ⸢チッ⸣クライ ⸢アー⸣クカー ⸣タケー シ⸢ムラリ ブー [ma⸢ra⸣nu ⸣taruŋken sa⸢kiba⸣ ʔu⸢ʧik⸣kurai ⸢ʔaː⸣kukaː ⸣takeː ʃi⸢murari buː] (男根を露出させるほど酒を打ち喰らっているようだったら、その人物の程度<身の程>は知れて<見積もられて>いる) 16159 0 0 16050 htmvoc_16159.wav マラヌサウ マ⸢ラ⸣ヌ ⸣サウ [ma⸢ra⸣nu ⸣sau] 連 陰茎。「魔羅(男根)の竿」の義。 バ⸢カー⸣タン ⸣ケンマー マ⸢ラ⸣ヌ ⸢サウ⸣ヌン ⸣ユー タ⸢トゥ⸣タンドゥ マ⸢ナ⸣マー グ⸢リー⸣ル ⸢スー [ba⸢kaː⸣taŋ ⸣kemmaː ma⸢ra⸣nu ⸢sau⸣nuɲ ⸣juː tḁ⸢tutan⸣du ma⸢na⸣maː gu⸢riː⸣ru ⸢suː] (若かりし時は魔羅の竿もよく立ったものだが、今はお辞儀をする) 16160 1 0 16051 htmvoc_16160.wav マラバスン マ⸢ラバスン [ma⸢rabasuŋ] 他動 {PoS_1}殴る。打ちのめす。「馬展、マロバス」(身を転倒させる{EOS}倒し伏す)『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣ムニ シゥ⸢カン⸣カー マ⸢ラバスンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ マ⸢ラバサランシェン [⸣muni sï̥⸢kaŋ⸣kaː ma⸢rabasunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ma⸢rabasaraŋʃeŋ] (言う事を聞かなかったら殴ろうと思ったが、殴られなかった)。 ⸣ワキン シゥ⸢カムティ⸣ マ⸢ラバシ ナー⸣ヌ [⸣wakin sï̥⸢kamuti⸣ ma⸢rabaʃi naː⸣nu] (言い訳も聞かずに殴ってしまった)。 マ⸢ラバ⸣ス ⸣ブソー ⸢ティー⸣ヤ ⸢ヨーミ⸣リ [ma⸢raba⸣su ⸣bu̥soː ⸢tiː⸣ja ⸢joːmi⸣ri] (殴る時は手は弱めよ)。 ⸢ウンザー⸣ マ⸢ラバシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ma⸢rabaʃeː⸣ misamunu] (あいつは殴ればいいのに)。 マ⸢ラバシ [ma⸢rabaʃi] (殴れ)。 16160 2 0 16052 htmvoc_16160.wav マラバスン マ⸢ラバスン [ma⸢rabasuŋ] 補動 {PoS_2}動詞の連用形に付いて、上接語の意味を強める。 イ⸢ジマラバスン [ʔi⸢ʤimarabasuŋ] (叱りとばす)。 カ⸢キマラバ⸣スン [kḁ⸢kimaraba⸣suŋ] (書き散らす{EOS}書きなぐる) 16161 0 0 16053 htmvoc_16161.wav マラビッツァーン マ⸢ラビッ⸣ツァーン [ma⸢rabit⸣ʦaːŋ] 形 すべっこい(滑っこい)。「転び易い」の義。「馬展、マロバス」『類聚名義抄』、「展 車専(コイマロビ)~。万、2274」の転訛したものか。 ク⸢ヌ フン⸣ツァー マ⸢ラビッ⸣ツァーン [ku⸢nu ɸun⸣ʦaː ma⸢rabit⸣ʦaːŋ] (この床はすべっこい)。 ⸢ナン⸣ゾー マ⸢ラビッツァー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ma⸢rabitʦaː naː⸣nu] (そんなに<あまり>すべっこくない)。 ⸢ゾーラス⸣カー マ⸢ラビッ⸣ツァー ナルン⸢ダー [⸢ʣoːrasu̥⸣kaː ma⸢rabit⸣ʦaː narun⸢daː] (濡らしたらすべっこくなるよ)。 マ⸢ラビッツァー⸣ヌ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ma⸢rabitʦaː⸣nu ʔa⸢rakara⸣nu] (すべっこくて歩かれない<歩けない>)。 マ⸢ラビッ⸣ツァー ⸣トンラー ア⸢ラク⸣ナ [ma⸢rabit⸣ʦaː ⸣tonraː ʔa⸢raku⸣na] (すべっこい所からは歩くな) 16162 0 0 16054 htmvoc_16162.wav マラブン マ⸢ラブン [ma⸢rabuŋ] 自動 転ぶ。まろぶ。転がる。\ruby{転倒}{テン|トウ}する。「展轉<コイマロビ> 恋はしぬとも~。万、2274」、「Marobi,u,oˆda.マロビ、ブ、ゥダ(転び、ぶ、うだ)地上に倒れる.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ア⸢ガミツァー⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー マ⸢ラビッ⸣ツァーンダ マ⸢ラバンドー⸣シ ヨー⸢ンナー⸣ ア⸢ラ⸣キ [ʔa⸢gamiʦaː⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ma⸢rabit⸣ʦaːnda ma⸢rabandoː⸣ʃi joː⸢nnaː⸣ ʔa⸢ra⸣ki] (赤粘土は、雨が降るとすべっこいから、転ばないでゆっくり歩け)。 ノー⸢ンヤラバン⸣ カ⸢サマン⸣カー マ⸢ラブン⸣ダー [noː⸢ɲjarabaŋ⸣ kḁ⸢samaŋ⸣kaː ma⸢rabun⸣daː] (何かでも\ruby{掴}{ツカ}まないと転倒するぞ)。 ⸣クナー マ⸢ラブ⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣kunaː ma⸢rabu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (ここで転ぶ人はいない)。 ⸣クナー マ⸢ラベー⸣ ミサムヌ [⸣kunaː ma⸢rabeː⸣ misamunu] (ここで転べばいいのに)。 ⸢ワンヌン⸣ クナー マ⸢ラビ⸣バ [⸢wnanuŋ⸣ kunaː ma⸢rabi⸣ba] (君も此処で転べよ) 16163 0 0 16055 htmvoc_16163.wav マラベークルベー マ⸢ラベー⸣クルベー [ma⸢rabeː⸣kurubeː] 副 転転と転がるさま。まろび(転び)ころび。幼児が母親に駄々をこねて転がりながら泣き喚くさま。普通は、ク⸢ルベー⸣マラベー[ku⸢rubeː⸣marabeː](ころび<転び>まろび)と言う。 ク⸢ルベー⸣マラベー ⸢シー⸣ ナ⸢キ ヨー⸣ゾー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢rubeː⸣marabeː ⸢ʃiː⸣ na⸢ki joː⸣ʣoː na⸢ra⸣nu] (転転と転んで<転びまろびして>泣いて、どうにも手がつけられ<養生でき>ない) 16164 0 0 16056 htmvoc_16164.wav マラリヤ マ⸢ラリ⸣ヤ [mararija] 名 マラリア。ハマダラカの媒介するマラリア原虫の血球内寄生による感染症。鳩間島では、老年層は⸢フイヤキ[⸢ɸuijaki](三日熱、二日熱マラリア{EOS}高熱と震えを伴う病気)という。戦争中に西表島へ強制避難させられた鳩間島の人々がマラリアに\ruby{罹患}{リ|カン}し、戦中戦後に多くの死亡者を出した。特効薬の⸣キナイ[⸣kinai](キニーネ)やア⸢テブ⸣リン(Atebrin)は戦後になって八重山民政府から配給されるようになった。 ⸣キナイ ⸣ヌミティル マ⸢ラリ⸣ヤ ⸢ノー⸣シタ [⸣kinai ⸣numitiru ma⸢rari⸣ja ⸢noː⸣ʃi̥ta] (キニーネを飲んでマラリアを治した) 16165 0 1 16057 htmvoc_16165.wav マリ マ⸢リ [ma⸢ri] 名 {Mn_1}生まれ。出身。 ⸢ワー⸣ マ⸢レー⸣ マーヤー [⸢waː⸣ ma⸢reː⸣ maːjaː] (君の出身地<生まれ>はどこか) 16165 0 2 16058 htmvoc_16165.wav マリ マ⸢リ [ma⸢ri] 名 {Mn_2}一族一統特有の形質。性質。性分。 プ⸢ソー⸣ マ⸢リ⸣シ バ⸢カサ⸣リン [pu̥⸢soː⸣ ma⸢ri⸣ʃi ba⸢kasa⸣riŋ] (人は生まれつきの形質や性分で、どの家の子か区別できる)。 ⸢ワー⸣ カ⸢ザケヌ⸣ マ⸢リバ シーブーバン [⸢waː⸣ ka⸢ʣakenu⸣ ma⸢riba ʃiːbuːbaŋ] (君は加治工家の形質と性格をそなえた生まれをしているわい<生まれは隠せないものだ>)。 16165 0 3 16059 htmvoc_16165.wav マリ マ⸢リ [ma⸢ri] 名 {Mn_3}生まれつき。 ウ⸢レー⸣ サ⸢ニマリ シーブンダ⸣ ケー⸢ラ⸣ ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ ッ⸢ふォー⸣ルン [ʔu⸢reː⸣ sa⸢nijamari ʃiːbunda⸣ keː⸢ra⸣ ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiː⸣ f⸢foː⸣ruŋ] (彼は生まれつき人に喜ばれる明るい性格をしているので、皆が可愛がって<大事にして>くださる)。 ⸢ニッふァマリ [⸢niffamari] (生まれつき人に憎まれる性格{EOS}暗い性格)。 16165 0 4 16060 htmvoc_16165.wav マリ マ⸢リ [ma⸢ri] 名 {Mn_4}運命。 バ⸢カ⸣シニ ⸢シー ナーヌ⸣ヌ ウ⸢ヌマリル⸣ ヤ⸢レー⸣ル [ba⸢ka⸣ʃini ⸢ʃiː naːnu⸣nu ʔu⸢numariru⸣ ja⸢reː⸣ru] (若死にしてしまったが、その運命であったのだろう) 16166 0 0 16061 htmvoc_16166.wav マリ ⸣マリ [⸣mari] 形動 まれ(稀)。めったにないさま。標準語からの借用語か。 ⸣カイブ マ⸢チガイ⸣ヤー マ⸢リ⸣ナ ⸣クトゥ{EOS}⸢ミッ⸣タニ ⸢ナーン⸣シェン [⸣kaibu ma⸢ʧigai⸣jaː ma⸢ri⸣na ⸣ku̥tu{EOS}⸢mit⸣tani ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (こんな間違いは稀なことだ{EOS}めったになかった)。 ⸣マリニル<タ⸢マーニル> ⸢ヤー⸣ヌ ⸣フカーン ン⸢ジ⸣ル [⸣mariniru ⸢jaː⸣nu ⸣ɸu̥kaːn ʔn⸢ʤi⸣ru] (稀にしか<ぞ>家の外には<出る>出ない) 16178 0 0 16062 htmvoc_16178.wav マリカーリ マ⸢リカーリ [ma⸢rikaːri] 名 生まれ変わり。生まれ変わりの人。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ビ⸢ケーヌ⸣ マ⸢リカーリ⸣ティ ⸢シール⸣ マ⸢レー⸣ル ⸢ナー⸣ ア⸢タラ⸣サ ⸢シーリ⸣ヨー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ bi⸢keːnu⸣ ma⸢rikaːri⸣ti ⸢ʃiːru⸣ ma⸢reː⸣ru ⸢naː⸣ ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiːri⸣joː] (この子は父親の生まれ変わりとして誕生したのだねえ、大事に可愛がれよ) 16179 0 1 16063 htmvoc_16179.wav マリカールン マ⸢リカールン [ma⸢rikaːruŋ] 自動 {Mn_1}生まれ変わる。人が更正する。 ウ⸢ガン⸣ツメーツバ ⸢クン⸣ドー ヤー⸢ディン⸣ マ⸢リカールンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢リカーラン⸣カー ⸢ヌー⸣スワ ⸣メー [ʔu⸢gan⸣ʦumeːʦuba ⸢kun⸣do jaː⸢dim⸣ ma⸢rikaːrunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ma⸢rikaːraŋ⸣kaː ⸢nuː⸣suwa ⸣meː] (\ruby{懲}{コ}りたから、今度はきっと<必ず>生まれ変わると思うが、生まれ変わらなかったら、如何しようか、もう)。 マ⸢リカーリ ベー [ma⸢rikaːri beː] (生まれ変わっている)。 ク⸢ヌ ブン⸣シェー マ⸢リカール⸣ クトー ⸢ナーン⸣ パジ⸢ダー⸣ヌ マ⸢リカーレー⸣ ミサムヌ [ku⸢nu buŋ⸣ʃeː ma⸢rikaːru⸣ ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi⸢daː⸣nu ma⸢rikaːreː⸣ misamunu] (このぶんでは生まれ変わることはないだろうが、生まれ変わればいいのに)。 マ⸢リカーリ [ma⸢rikaːri] (生まれ変われ)。 16179 0 2 16064 htmvoc_16179.wav マリカールン マ⸢リカールン [ma⸢rikaːruŋ] 自動 {Mn_2}死んだ者が再度生命を得て生まれてくる。 マ⸢リカーリ⸣ クー⸢ヨー [ma⸢rikaːri⸣ kuː⸢joː] (生まれ変わってきなさいよ{EOS}死んだ子供に対する別れのことば) 16180 0 0 16065 htmvoc_16180.wav マリカタチ マ⸢リカタチ [ma⸢rikataʧi] 名 姿形。容姿。体格。「生まれ形」の義。 マ⸢リカタチェー⸣ ビ⸢ケーヌ⸣ ウヤニ<ウヤン> ビッ⸢ツティ ニーブー [ma⸢rikataʧeː⸣ bi⸢keː⸣nu ⸣ʔujani<ʔujam> bit⸢ʦuti niːbuː] (姿形は父親にそっくり似ている) 16167 0 0 16066 htmvoc_16167.wav マリサニ マ⸢リサニ [ma⸢risani] 名 血統。一統。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ シ⸢ラカタ⸣チェーラ ⸢カン⸣ネヌ マ⸢リサニ⸣ティ ア⸢ティンガーリ ベーン⸣ティ⸢ゲ⸣ラ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʃi⸢rakata⸣ʧeːra ⸢kan⸣nenu ma⸢risani⸣ti ʔa⸢tiŋgaːri beːn⸣ti⸢ge⸣ra] (この子は顔貌から、あの家の血統<子種>を受け継いでいることが推定できているさ<いるではないか>) 16168 0 0 16067 htmvoc_16168.wav マリシキ マ⸢リシキ [ma⸢riʃi̥ki] 名 生まれ月。生まれた月。せいげつ(生月)。 ⸢ワー⸣ マ⸢リシケー ナンガ⸣チヤー [⸢waː⸣ ma⸢riʃi̥keː naŋga⸣ʧija] (君の生まれ月は何月か) 16169 0 0 16068 htmvoc_16169.wav マリシジ マ⸢リシジ [ma⸢riʃiʤi] 名 血筋。血統。「生まれ筋」の義。 ユ⸢タン⸣ ヤー ⸢ギー⸣ マ⸢リシジ⸣ サ⸢バカ⸣シ [ju⸢taɲ⸣ jaː ⸢giː⸣ ma⸢riʃiʤi⸣ sa⸢baka⸣ʃi] (ユタ<いちこ{EOS}口寄せをする巫女>の家に行って不明な血筋<血統>を解明してもらいなさい) 16170 0 0 16069 htmvoc_16170.wav マリジマ マ⸢リジマ [ma⸢riʤima] 名 郷里。故郷。「生まれ島」の義。 ⸢ドゥー⸣ヌ マ⸢リジマヌ⸣ クトー イッ⸢カ バシキラヌ [⸢duː⸣nu ma⸢riʤimanu⸣ ku̥toː ʔik⸢ka baʃi̥kiranu] (自分の生まれ故郷のことは決して忘れない)。 マ⸢リジマヌ⸣ プ⸢スンケー⸣ヌ ⸢オー⸣レーン [mari⸢ʤimanu⸣ pu̥⸢suŋkeː⸣nu ⸢ʔoː⸣reːŋ] (故郷の人々が来られた) 16171 0 1 16070 htmvoc_16171.wav マリソー マ⸢リソー [ma⸢risoː] 名 {Mn_1}天性。生まれつきの性質。「うまれじょう(生まれ性)」の義。 ウ⸢レー⸣ ウ⸢ヌ⸣ マ⸢リソー⸣ ヤ⸢ルンダ ニー⸣バンティ ⸢シー⸣ ドゥク イ⸢ズナ⸣ヨー [ʔu⸢reː⸣ ʔu⸢nu⸣ ma⸢risoː⸣ ja⸢runda niː⸣banti ⸢ʃiː⸣ duku ʔi⸢ʣuna⸣joː] (彼は、それが生まれつきの性質<その生まれ性>だから、動作が鈍いといって、あまり叱るなよ)。 16171 0 2 16071 htmvoc_16171.wav マリソー マ⸢リソー [ma⸢risoː] 名 {Mn_2}もって生まれた運命。宿命。 バ⸢カ⸣ジニ ⸢シェー⸣ムン ウ⸢ヌ プスヌ⸣ マ⸢リ⸣ソー ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢カター ナー⸣ヌ [ba⸢ka⸣ʤini ⸢ʃeː⸣muŋ ʔu⸢nu pu̥sunu⸣ ma⸢ri⸣soː ja⸢runda⸣ ʃi̥⸢kataː naː⸣nu] (\ruby{夭逝}{ヨウ|セイ}<若死>したのも、その人の生得的な運命だから仕方ないよ) 16172 0 0 16072 htmvoc_16172.wav マリッコー ⸣マリッコー [⸣marikkoː] 名 背の低い人。\ruby{矮小}{ワイ|ショウ}な体。ちび。石垣方言からの借用語か。 ウ⸢レー⸣ トゥ⸢シ⸣グル ナ⸢リ⸣ブンドゥ ⸣マリッコー ⸣ナリティ ムッ⸢トゥ⸣ フ⸢ドゥバンバン [ʔu⸢reː⸣ tu̥⸢ʃi⸣guru na⸢ri⸣bundu ⸣marikkoː ⸣nariti mut⸢tu⸣ ɸu⸢dubambaŋ] (彼は年頃になっているが、矮小な体になって、ちっとも成長しないわい) 16173 0 0 16073 htmvoc_16173.wav マリッツァースン マ⸢リッツァー⸣スン [ma⸢ritʦaː⸣suŋ] 他動 大便を排泄し散らかす。まり<放り>散らす。「送糞、此をば倶蘇摩屡<くそまる>と言ふ」『日本書紀 神代下』。「~倉立てむ 屎遠麻礼<クソトホクマレ>~。万、3832」の転訛したものか。 ⸣タンザンドゥ ⸣ウマーカマーナ ⸣ッス カ⸢キザ⸣シ マ⸢リッツァー⸣シ ⸣シケーワ [⸣tanʣandu ⸣ʔumaːkamaːna ⸣ssu kḁ⸢kiʣa⸣ʃi ma⸢ritʦaː⸣ʃi ʃi̥keːwa] (どやつ<何奴>があちらこちらに\ruby{脱糞}{ダッ|プン}し、\ruby{糞}{クソ}を\ruby{放}{マ}り散らかしてあるのか)。 ⸢イン⸣マー ⸣ウマーカマーナ ⸣ッス マ⸢リッツァー⸣スンダ マ⸢リッツァーサン⸣ ヨーニ ナ⸢ラー⸣シ [⸢ʔim⸣maː ⸣ʔumaːkamaːna ⸣ssu ma⸢ritʦaː⸣sunda ma⸢ritʦaːsaɲ⸣ joːni na⸢raː⸣ʃi] (犬はあちこちに糞を放り散らすから、まり散らさないように躾けろ)。 ⸣ッス マ⸢リッツァー⸣ス ⸣ピンマー シ⸢トゥ⸣ナイバ [⸣ssu ma⸢ritʦaː⸣su ⸣pimmaː ʃi̥⸢tu⸣naiba] (糞を放り散らす時は引っ叩けよ)。 マ⸢リッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [ma⸢ritʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (\ruby{放}{マ}り散らせばいいのに)。 マ⸢リッツァー⸣シバ [ma⸢ritʦaː⸣ʃiba] (放り散らせよ) 16174 0 0 16074 htmvoc_16174.wav マリッツァーン マ⸢リッ⸣ツァーン [ma⸢rit⸣ʦaːŋ] 自動 排便したい。まり(放り)たい。「送糞、此をば倶蘇摩屡(くそまる)といふ」『日本書紀 神代下』の連用形マ⸢リ[ma⸢ri](まり<放り>)に、「~たさ・あり」が融合変化して形成された形容詞型の接尾語⸣ッツァーン[⸣tʦaːŋ](~たい)が付いて形成された動詞。生理現象を表す特定の動詞につく。 シ⸢バ⸣ル ⸢シッ⸣ツァーン [ʃi⸢ba⸣ru ⸢ʃit⸣ʦaːŋ] (小便をしたい)。 ⸣ッス マ⸢リッ⸣ツァーン [⸣ssu ma⸢rit⸣ʦaːŋ] (大便をしたい<糞を放りたい>)。 マ⸢ナ⸣マー マ⸢リッツァー ナーン⸣タンティン マ⸢リッ⸣ツァー ⸣プソー ⸣マリ ⸣ミサン [ma⸢na⸣maː ma⸢ritʦaː naːn⸣tantim ma⸢rit⸣ʦaː ⸣pu̥soː ⸣mari ⸣misaŋ] (今は大便を\ruby{放}{マ}りたくなくても、大便を放りたい時は大便を\ruby{放}{マ}ってもよい)。 ⸣ッス マ⸢リプサ⸣ヌ ニ⸢ジララ⸣ヌ [⸣ssu ma⸢ripusa⸣nu ni⸢ʤirara⸣nu] (大便を\ruby{放}{マ}りたくて、我慢でき<念じられ>ない) 16176 1 0 16075 htmvoc_16176.wav マリトーラ マ⸢リトーラ [ma⸢ritoːra] 名 {PoS_1}生まれつき。生来。マ⸢リットーラ[ma⸢rittoːra](生まれつき{EOS}強調表現)ともいう。 ウ⸢レー⸣ マ⸢リットーラヌ⸣ ナ⸢キブサー [ʔu⸢reː⸣ ma⸢rittoːranu⸣ na⸢kibusaː] (彼は生まれつきの泣き虫だ)。 16176 2 0 16076 htmvoc_16176.wav マリトーラ マ⸢リトーラ [ma⸢ritoːra] 副 {PoS_2}副詞的用法。 ウ⸢レー⸣ マ⸢リットーラ⸣ ムノー ミ⸢リユーサ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ma⸢rittoːra⸣ munoː mi⸢rijuːsa⸣nu] (彼は生まれつきものを見ることが出来ない) 16175 0 0 16077 htmvoc_16175.wav マリドゥシ マ⸢リドゥシ [ma⸢riduʃi] 名 生まれ年。干支の上での自分の生まれた年。 ⸢ドゥー⸣ヌ マ⸢リドゥシェー⸣ ウブイ⸢ブン [⸢duː⸣nu ma⸢riduʃeː⸣ ʔubui ⸢buŋ] (自分の生まれ年は覚えている)。 マ⸢リドゥシヌ⸣ ヨイ [ma⸢riduʃinu⸣ joi] (⸢ソーニヨイ{SqBr}⸢soːnijoi{/SqBr}<生年祝い>ともいう{EOS}自分の生まれた干支の年の祝い{EOS}還暦<60歳>、73歳、85歳、97歳の生年祝い) 16181 0 0 16078 htmvoc_16181.wav マリパー マ⸢リパー [ma⸢ripaː] 名 生まれた年の干支の方向。子(ね)年生まれの人は子<北>の方向、寅(とら)年生まれの人は、寅<東北>の方向。 ⸢ウンキニン⸣ガイ ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー マ⸢リパー⸣ニン ン⸢カイ ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タン [⸢ʔuŋkiniŋgai soː⸣ru ⸣pimmaː ma⸢ripaː⸣niŋ ʔŋ⸢kai niŋ⸣gai ⸢soːt⸣taŋ] (健康<運気>祈願をされる時は、その人の生まれた干支の方向にも向かって祈願をされたものだ) 16177 0 0 16079 htmvoc_16177.wav マリパキ ⸣マリパキ [⸣maripaki] 名 下痢と嘔吐。「まり(放り)・吐き」の義。吐いたり、下痢したりする病気。 ⸣ヌーナール ア⸢タルタ⸣ユー ⸣ユベーラ ⸣マリパキヌ シ⸢ジキ ブー [⸣nuːnaːru ʔa⸢taruta⸣juː ⸣jubeːra ⸣maripakinu ʃi⸢ʤiki buː] (どの食物に当った<食中毒した>のか、昨夜から下痢と嘔吐<放り・吐き>が続いている) 16182 0 0 16080 htmvoc_16182.wav マリパンジョー マ⸢リパンジョー [ma⸢ripanʤoː] 名 子孫繁昌。子宝繁昌。「生まれ繁昌」の義。 ウ⸢ヤ⸣キパンジョーラン マ⸢リパンジョール⸣ タ⸢カ⸣ラ [ʔu⸢ja⸣kipanʤoːram ma⸢ripanʤoːru⸣ tḁ⸢ka⸣ra] (金持ち財産持ちの繁昌よりも子孫繁昌こそ<ぞ>宝である) 16183 0 0 16081 htmvoc_16183.wav マリビー マ⸢リビー [ma⸢ribiː] 名 生まれた年の干支に当る日。「生まれ日」の義。 ⸢キュー⸣ヤ トゥ⸢ラニー⸣ ヤ⸢リ ワー⸣ マ⸢リビー⸣ ヤ⸢ルンダ ソー⸣シキヤー ⸢パン⸣ナ⸢ヨー [⸢kjuː⸣ja tu⸢raniː⸣ ja⸢ri waː⸣ ma⸢ribiː⸣ ja⸢runda soː⸣ʃi̥kijaː ⸢pan⸣na⸢joː] (今日は寅の日で、君の生まれ日だから葬儀のある家には行くなよ)。 マ⸢リビーヤ ウンキヌ ヨーン⸣ツォー [ma⸢ribiːja ʔuŋkinu joːn⸣ʦoː] (生まれ日は運気が弱いそうだ) 16184 0 0 16082 htmvoc_16184.wav マリピキ マ⸢リピキ [ma⸢ripiki] 名 血縁。血族。血統。「生まれ・引き」の義。 マ⸢リピキヌ ゴー⸣ラー ⸢ヤー⸣ヤ キ⸢ザルキザヌ⸣ ピ⸢ライ⸣ヤー ⸢スー⸣ワン ⸢ダー [ma⸢ripikinu goː⸣raː ⸢jaː⸣ja ki⸢ʣarukiʣarunu⸣ pi⸢rai⸣ja ⸢suː⸣wan ⸢daː] (親類縁者<血縁>の多い家は、祭り行事の付き合いは厳しい<強い>よ) 16185 0 0 16083 htmvoc_16185.wav マリフチ マ⸢リフチ [ma⸢riɸu̥ʧi] 名 生まれ\ruby{際}{キワ}。生まれる時。「生まれ口」の義。 ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢リフチン⸣ ッ⸢サン⸣ スコー サ⸢キバ⸣ ウ⸢チッ⸣クライティ イ⸢ザリ アー⸣クンティ [f⸢fanu⸣ ma⸢riɸu̥ʧin⸣ s⸢san⸣su̥koː sḁ⸢kiba⸣ ʔu⸢ʧik⸣kuraiti ʔi⸢ʣari ʔaː⸣kunti] (子供が生まれる時も知らずに酒をうち喰らって、叱られている<あるく>よ) 16186 0 0 16084 htmvoc_16186.wav マリポールン マ⸢リポー⸣ルン [ma⸢ripoː⸣ruŋ] 他動 大小便を排泄し散らかす。まり(放り)ちらかす。 ⸢イン⸣マー ⸣ウマー ⸣カマー⸣ナ ⸣ッス マ⸢リポールン⸣ドゥ ナ⸢ラー⸣スカー マ⸢リポーラ⸣ヌ [⸢ʔim⸣maː ⸣ʔumaː ⸣kamaːna ⸣ssu ma⸢ripoːrun⸣du na⸢raː⸣sukaː ma⸢ripoːra⸣nu] (犬はあちらこちらに糞を\ruby{放}{マ}り散らかすが、\ruby{躾}{シツケ}たら<教えたら>放り散らかさない)。 マ⸢リポー⸣リ ⸣シケー [ma⸢ripoː⸣ri ⸣ʃi̥keː] (放り散らかしてある)。 マ⸢リポー⸣ル ⸣クトゥン ⸣アン [ma⸢ripoː⸣ru ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (放り散らかすこともある)。 マ⸢リポー⸣レー ⸣ミサムヌ [ma⸢ripoː⸣reː ⸣misamunu] (放り散らかせばいいのに)。 マ⸢リポー⸣リバ [ma⸢ripoː⸣riba] (放り散らかせよ) 16187 0 1 16085 htmvoc_16187.wav マリヤブリムヌ マ⸢リヤブリ⸣ムヌ [ma⸢rijaburi⸣munu] 名 {Mn_1}\ruby{片端}{カタ|ワ}者。体の不自由な人。「生まれ破れ者」の義。マ⸢リヤビムヌ[ma⸢rijabimunu]ともいう。 マ⸢リヤブリムヌ⸣ヌ マ⸢リ⸣ ケーティル キ⸢ムイツァー⸣ヌ ナ⸢ラン⸠ツォー [ma⸢rijaburimunu⸣nu ma⸢ri⸣ keːtiru ki⸢muiʦaː⸣nu na⸢ran⸠ʦoː] (体の不自由な人が生まれてきたので、可哀相で堪らないのだよ)。 16187 0 2 16086 htmvoc_16187.wav マリヤブリムヌ マ⸢リヤブリ⸣ムヌ [ma⸢rijaburi⸣munu] 名 {Mn_2}根性の悪い者。 ⸣アイブ マ⸢リヤブリムヌ⸣テー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ma⸢rijaburimunu⸣teː ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (あんな根性悪な奴は見たことがない) 16188 0 0 16087 htmvoc_16188.wav マリルン マ⸢リルン [ma⸢riruŋ] 自動 生まれる。出生する。誕生する。「~吾が中の産礼出有<ウマレイデタル>~。万904」の転訛したもの。マ⸢ルンとも言う。 ッ⸢ふァー トゥーシキ⸣ タトゥカー マ⸢リルンドゥ⸣ シキ タ⸢ラーン⸣カー マ⸢リラヌ [f⸢faː tuːʃi̥ki⸣ tḁtukaː ma⸢rirundu⸣ ʃi̥ki ta⸢raːŋ⸣kaː ma⸢riranu] (子供は十ヶ月経つと生まれるが、月が足りないと生まれない)。 マ⸢リ⸣ ケール ッ⸢ふァー⸣ ア⸢タラ⸣サ ⸢シー [ma⸢ri⸣ keːru f⸢faː⸣ ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiː] (生まれてきた子は可愛がれよ)。 マ⸢リル⸣ ッ⸢ふァー⸣ ムー⸢ル⸣ タ⸢カ⸣ラ [ma⸢riru⸣ f⸢faː⸣ muː⸢ru⸣ tḁ⸢ka⸣ra] (生まれる子は皆宝だ)。 ⸢パー⸣ク マ⸢リレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ma⸢rireː⸣ misamunu] (早く生まれればいいのに)。 マ⸢リリ [ma⸢riri] (生まれろ) 16189 0 0 16088 htmvoc_16189.wav マリンガーリ マ⸢リンガーリ [ma⸢riŋgaːri] 名 生まれ変わり。更生。性格や生活態度が一変して良くなること。 ⸣アイヌ ヤ⸢ビ⸣ムヌ ⸢ヤッタヌ⸣ マ⸢リンガーリ シーブーバン [⸣ʔainu ja⸢bi⸣munu ⸢jattanu⸣ ma⸢riŋgaːri ʃiːbuːbaŋ] (あんな不良少年<破れ者>だったのに、すっかり更生して<生まれ変わって>しているわい) 16190 0 0 16089 htmvoc_16190.wav マル マ⸢ル [ma⸢ru] 名 丸。丸い形。円。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ビ⸣ナー マ⸢ル⸣ マ⸢キ⸣ シ⸢キ⸣リ [ku⸢nu⸣ ka⸢bi⸣naː ma⸢ru⸣ ma⸢ki⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (この紙に丸をまいて<書いて>おきなさい)。 マ⸢ル⸣ マ⸢クン [ma⸢ru⸣ ma⸢kuŋ] (円を描く)。 ア⸢タル⸣カー マ⸢ル⸣ マ⸢クン [ʔa⸢taru⸣kaː ma⸢ru⸣ ma⸢kuŋ] (当たったら円をまく) 16191 0 0 16090 htmvoc_16191.wav マル マ⸢ル [ma⸢ru] 接頭 まる。すっかり。全く。 マ⸢ルパダカ⸣ ナリ ⸢ベー [ma⸢rupadaka⸣ nari ⸢beː] (真っ裸になっている)。 マ⸢ルスン シーナー⸣ヌ [ma⸢rusuŋ ʃiːnaː⸣nu] (まる損してしまった{EOS}全部損すること)。 ス⸢ブ⸣ロー マ⸢ルパギ シーナー⸣ヌ [su⸢bu⸣roː ma⸢rupagi ʃiːnaː⸣nu] (頭はまる禿げになってしまった{EOS}すっかり禿げてしまった)。 マ⸢ルモーキー スン [ma⸢rumoːkiː suŋ] (まる儲けする) 16193 0 0 16091 htmvoc_16193.wav マルーマルーシ マ⸢ルーマルー⸣シ [ma⸢ruːmaruː⸣ʃi] 副 丸々と。まん丸で。 ⸢ズングヤー⸣ヌ ⸣シケー マ⸢ルーマルー⸣シティ<マ⸢ローマロー⸣シティ> イッ⸢ケナ カイ⸣ヤン [⸢ʣuŋgujaː⸣nu ⸣ʃi̥keː ma⸢ruːmaruː⸣ʃi̥ti ʔik⸢kena kai⸣jaŋ] (十五夜の月は丸々として<まん丸で>非常に美しい<きれいだ>) 16192 0 0 16092 htmvoc_16192.wav マルアライ マ⸢ルアライ [ma⸢ruʔarai] 名 丸洗い。全体を洗うこと。シゥ⸢カン⸣アライ[si̥⸢kaŋ⸣ʔarai](部分洗い{EOS}「掴み洗い」の義)の対義語。 シゥ⸢カン⸣アライ ⸢サンドー⸣シ マ⸢ルアライ⸣ サ⸢バル⸣ ク⸢ヌ⸣ ユ⸢グレー⸣ ウ⸢タ⸣サリ [si̥⸢kaŋ⸣ʔarai ⸢sandoː⸣ʃi ma⸢ruʔarai⸣ sa⸢baru⸣ ku⸢nu⸣ ju⸢gureː⸣ ʔu⸢tasa⸣ri] (部分洗い<つかみ洗い>でなく、丸洗いしないとこの汚れは落とされない<丸洗いすればぞ汚れは落とされる>) 16194 0 0 16093 htmvoc_16194.wav マルカナ マ⸢ルカナ [ma⸢rukana] 名 まるかんな(丸鉋)。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)の船底や⸢ウー⸣キ[⸢ʔuː⸣ki](桶)、ミ⸢ジタン⸣グ[mi⸢ʤitaŋ⸣gu](水桶{EOS}担桶)の内側などの曲面を削る際に用いる鉋。 マ⸢ルカナ⸣シル ⸢ウーキ⸣ヌ ク⸢リ⸣タ キ⸢ズタル [ma⸢rukana⸣ʃiru ⸢ʔuːki⸣nu ku⸢ri⸣ta ki⸢ʣutaru] (丸鉋で桶の枠板<クリタ>を削ったものだ) 16195 0 0 16094 htmvoc_16195.wav マルキー マ⸢ルキー [ma⸢rukiː] 名 丸木。一本木。 マ⸢チ⸣ヌ マ⸢ルキーバ⸣ キシ ウ⸢ラ⸣シティ ⸣マチフニ ス⸢ク⸣ローッタ [ma⸢ʧi⸣nu ma⸢rukiːba⸣ ki̥ʃi ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti ⸣maʧiɸuni su̥⸢ku⸣roːtta] (松の丸木を伐り下ろして、松の刳り舟を造られた) 16196 0 0 16095 htmvoc_16196.wav マルケーティ マ⸢ルケーティ [ma⸢rukeːti] 副 たまに(偶に)。稀に。たまさか。 マ⸢ルケーティ⸣ナー ⸢バン⸣テーン ア⸢サビン⸣ クーバ⸢ヨー [ma⸢rukeːti⸣naː ⸢ban⸣teːŋ ʔa⸢sabiŋ⸣ kuːba⸢joː] (偶には私の家にも遊びに来なさいよねえ)。 マ⸢ルケーティナール⸣ クームヌ ン⸢ベーマ⸣ ア⸢サビティ⸣ パリバー [ma⸢rukeːtinaːru⸣ kuːmunu ʔm⸢beːma⸣ ʔa⸢sabiti⸣ pariba] (偶にしか来ない<稀にぞ来る>のだから、少しは遊んでいきなさいよ) 16208 0 0 16096 htmvoc_16208.wav マルケーティ マ⸢ルケーティ [ma⸢rukeːti] 名 (連体)まれ(稀)。めったにないこと。たま(偶)。たまさか。 ⸣カイブー ⸢ヨイ⸣ヤー イ⸢チンイチン⸣ アルムノー ア⸢ラ⸣ヌ マ⸢ルケーティヌ⸣ ヨイ ヤ⸢ルンダ⸣ マ⸢ギーマギー⸣シ ⸢ソー⸣ラ⸢ディー [⸣kaibuː ⸢joi⸣jaː ʔi⸢ʧiŋʔiʧiŋ⸣ ʔaru ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu ma⸢rukeːtinu⸣ joi ja⸢runda⸣ ma⸢giːmagiː⸣ʃi ⸢soː⸣ra⸢diː] (こんなお祝いはいつもいつもある物ではない{EOS}偶のお祝いだから大きくしましょう<なさいましょう>よ) 16209 0 0 16097 htmvoc_16209.wav マルケーティナー マ⸢ルケーティ⸣ナー [ma⸢rukeːti⸣naː] 副 稀には。たまには(偶には)。マ⸢ルケーティ[ma⸢rukeːti](偶)に、格助詞⸣ナ[⸣na](に)のとりたて強調の係助詞⸣ヤー[⸣jaː](は)が付いて形成された形。 ⸢ヤー⸣ナー カー⸢ニ⸣ ク⸢マ⸣リ ⸢オーラン⸣ドーシ マ⸢ルケーティ⸣ナー ⸢バン⸣テーン ⸢オー⸣リ ッ⸢ふォー⸣リバ [⸢jaː⸣na kaː⸢ni⸣ ku⸢ma⸣ri ⸢ʔoːran⸣doːʃi ma⸢rukeːti⸣naː ⸢ban⸣teːŋ ⸢ʔoː⸣ri f⸢foː⸣riba] (家にだけ籠っていらっしゃらないで、偶には私の家にもいらっしゃってくださいよ) 16197 0 0 16098 htmvoc_16197.wav マルザー マ⸢ルザー [ma⸢ruʣaː] 名 車座。円形をつくって座ること。えんざ(円座)。 ⸢カン⸣プスンケーヤ イ⸢チバン⸣ザーナ マ⸢ルザー⸣ マ⸢キ⸣ ビ⸢リティ⸣ タ⸢ナ⸣ドゥルアヨー イ⸢ゾーッ⸣タ [⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ʔi⸢ʧiban⸣ʣaːna ma⸢ruʣaː⸣ ma⸢ki⸣ bi⸢riti⸣ ta⸢na⸣duruʔajoː ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (神職者<神人>達は一番座に円形に座って種取り⸣アヨー{SqBr}⸣ʔajoː{/SqBr}<稲の種取り神歌>を歌われた) 16198 0 0 16099 htmvoc_16198.wav マルスニ マ⸢ルスニ [ma⸢rusuni] 名 (海底地名)。タ⸢カビー⸣ヌ フ⸢チ[tḁ⸢kabiː⸣nu ɸu̥⸢ʧi](高干瀬の津口)の西にある⸢イシケーズニ[⸢ʔiʃi̥keːʣuni](イシケー曽根)と⸢アーラマイズニ[⸢ʔaːramaiʣuni](東前曽根)の間にある丸い曽根 16199 0 0 16100 htmvoc_16199.wav マルスン マ⸢ルスン [ma⸢rusuŋ] 名 まるぞん(丸損)。すっかり損すること。 カ⸢ジフキ⸣ナー ⸣フネー ⸢フンナキティ ニー⸣ヤ ムー⸢ル ナーラサ⸣リ マ⸢ルスン シー ナー⸣ヌ [ka⸢ʤiu̥ki⸣naː ⸣ɸuneː ⸢ɸunnakiti niː⸣ja muː⸢ru naːrasa⸣ri ma⸢rusuŋ ʃiː naː⸣nu] (嵐<風吹き>で舟を沈没させて、荷物は全部流されてしまい、丸損してしまった) 16200 0 0 16101 htmvoc_16200.wav マルタ マ⸢ルタ [ma⸢ruta] 名 まるた(丸太)。丸材。標準語からの借用語か。 ⸢マーレーヌ⸣ ヤマーラ フ⸢クンキーヌ⸣ マ⸢ルタバ⸣ キシ ウ⸢ラシ⸣ル ⸢ヤーザイ⸣ギ ン⸢ザ⸣ソーッタ [⸢maːreːnu⸣ jamaːra ɸu̥⸢kunkiːnu⸣ ma⸢rutaba⸣ ki̥ʃi ʔu⸢raʃi⸣ru ⸢jaːʣai⸣gi ʔn⸢ʣa⸣soːtta] (西表島のマーレーの山やナダラの山から福木の丸太を伐り下ろして<ぞ>家屋建築用材としての材木を伐りだされた) 16201 0 0 16102 htmvoc_16201.wav マルヌミ マ⸢ルヌミ [ma⸢runumi] 名 丸呑み。噛み砕かずに、そのまま飲み込むこと。老年層は、マ⸢ルヌン[ma⸢runuŋ](丸呑み)というのが普通。 ヤ⸢ラ⸣ベー マ⸢ルヌミ スンダ⸣ ガ⸢ラ⸣スダマ ⸢ナー⸣トー ⸢ティー⸣ヌ トゥ⸢ドゥ⸣クン ⸣トンナー ス⸢ク⸣ナ⸢ヨー [ja⸢ra⸣beː ma⸢runumi sunda⸣ ga⸢ra⸣sudama ⸢naː⸣to ⸢tiː⸣nu tu⸢du⸣ku ⸣tonnaː su̥⸢ku⸣na⸢joː] (幼児は丸呑みするから、ガラス玉などを手の届く所に置くなよ) 16202 0 0 16103 htmvoc_16202.wav マルヌン マ⸢ルヌン [ma⸢runuŋ] 名 丸呑み。噛み砕かずに、そのまま飲み込むこと(古老の言葉)。 ッ⸢ふァイムヌ⸣ ユー ⸢カンザラ⸣ムティ マ⸢ルヌン シー ベー [f⸢faimunu⸣ juː ⸢kanʣara⸣muti ma⸢runuŋ ʃiːbeː] (食べ物をよく噛み砕かないで丸呑みしている) 16203 0 0 16104 htmvoc_16203.wav マルヌン マ⸢ルヌン [ma⸢runuŋ] 名 まるのみ(丸鑿)。まるい穴をうがつのに用いる、刃のまるい\ruby{鑿}{ノミ}。 ⸣アブジェー ⸢サイクドン⸣グナー ピ⸢サヌン⸣ マ⸢ルヌン⸣ ゴ⸢ブヌン サンブ⸣ヌンティン ⸢アッ⸣タン [⸣ʔabuʤeː ⸢saikudoŋ⸣gunaː pi̥⸢sanum⸣ ma⸢runuŋ⸣ go⸢bunun sambu⸣nuntiŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (お祖父さんの大工道具には\ruby{平鑿}{ヒラ|ノミ}、丸鑿、五分鑿、三部鑿なども<とても>あった) 16204 0 0 16105 htmvoc_16204.wav マルバイ マ⸢ルバイ [ma⸢rubai] 名 全裸。まる出し。陰部を露出すること。下着を全く着ていないこと。すっぽんぽん。沖縄本島方言からの借用語か。老年層は、マ⸢ルパダカ[ma⸢rupadaka](丸裸)という。 ヤ⸢ラビ⸣バ ヤ⸢ナナラーシ シー⸣ ナー⸢イ⸣ マ⸢ルバイ⸣ シ⸢ミ⸣ シケー [ja⸢rabi⸣ba ja⸢nanaraːʃi ʃiː⸣ naː⸢i⸣ ma⸢rubai⸣ ʃi⸢mi⸣ ʃi̥keː] (子供に悪い習慣づけして、下着を着せないでまる出しさせてあるよ) 16205 0 0 16106 htmvoc_16205.wav マルパダカ マ⸢ルパダカ [ma⸢rupadaka] 名 まるはだか(丸裸)。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ラ⸣ベー ムー⸢ル⸣ マ⸢ルパダカ⸣ ナリティル ⸣オンダー ⸢シー⸣ ブ⸢タル [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ra⸣beː muː⸢ru⸣ ma⸢rupadaka⸣ naritiru ⸣ʔondaː ⸢ʃiː⸣ bu⸢taru] (昔は、子供は皆丸裸で泳いで<海水浴をして>いたものだ) 16206 0 0 16107 htmvoc_16206.wav マルブン マ⸢ルブン [ma⸢rubuŋ] 名 丸盆。直径約30センチの大木の幹を厚さ約4センチに切り、中を刳って御盆にに作ったもの。普通は、⸢サー⸣ブン[⸢saː⸣buŋ](茶盆)に用いられた。仏壇にパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)を供える際にはマ⸢ルブン[ma⸢rubuŋ](丸盆)を用いた。 ⸢サーブン⸣マー マ⸢ルブンバル⸣ シゥ⸢カイヨーッタ⸣ル [⸢saːbum⸣maː ma⸢rubumbaru⸣ si̥⸢kaijoːtta⸣ru] (茶盆には丸盆をば<ぞ>使われたものだ) 16210 0 0 16108 htmvoc_16210.wav マルマブンサン マ⸢ル⸣マブンサン [ma⸢ru⸣mabunsaŋ] 固 西表島租内湾の海中に浮かぶ周囲約200メートルの小島。「丸い盆のような島」の義。⸢マルマブンサン節」に歌われている小島。/ヨーホー マルマブンサン ユナユナミリバ カジヌニユシチ イチュルシルサヤ(ヨーホー<掛け声>、マルマ盆山と称する小島を毎夕暮時に眺めて見ると、風の風位と方向をよく知っていると見えて、坐っている白鷺の群れはじつに利口なものじゃ)/『八重山民謡誌』 16211 0 0 16109 htmvoc_16211.wav マルモーキ マ⸢ルモーキ [ma⸢rumoːki] 名 丸儲け。 イ⸢タンダムヌ⸣バ ⸢カーシティ⸣ マ⸢ルモーキ シーベー [ʔi⸢tandamunu⸣ba ⸢kaːʃi̥ti⸣ ma⸢rumoːki ʃiːbeː] (ただ同然のものを売って丸儲けしている) 16207 0 1 16110 htmvoc_16207.wav マルン マ⸢ルン [ma⸢ruŋ] 自動 {Mn_1}生まれる。出生する。誕生する。 ⸢ヤーティ⸣ スカー ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢ルンティ⸣ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ダ⸣ マ⸢ランバン⸠ナー [⸢jaːti⸣ su̥kaː f⸢fanu⸣ ma⸢runti⸣ su̥⸢kutanu⸣ ma⸢da⸣ ma⸢ramban⸠naː] (もうじき<やがて>子供が生まれると聞いたが、まだ生まれないんだねえ)。 ⸣シキ タ⸢ラームティ⸣ マ⸢リナー⸣ヌ [ʃi̥ki ta⸢raːmuti⸣ ma⸢rinaː⸣nu] (十ヶ月に満たずに生まれてしまった)。 ⸣シキ タ⸢ラーン⸣ マ⸢ル⸣ ッ⸢ふァン⸣ トゥ⸢ラ⸣リン⸢ダー [⸣ʃi̥ki ta⸢raːm⸣ ma⸢ru⸣ f⸢fan⸣ tu⸢ra⸣rin⸢daː] (十ヶ月に満たずに生まれる子も育てられる<手に抱き取ることができる>よ)。 ⸢パー⸣ク マ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ma⸢reː⸣ misamunu] (早く生まれたらいいのに)。 マ⸢リ⸣バ [ma⸢ri⸣ba] (生まれろ)。 16207 0 2 16111 htmvoc_16207.wav マルン マ⸢ルン [ma⸢ruŋ] 自動 {Mn_2}人が立派に育つ。人が~になる。神女<司。神職者>が誕生する。 サ⸢カサヌ⸣ マ⸢レー⸣カー ⸢サウワ ナー⸣ヌ [sḁ⸢kasanu⸣ ma⸢reː⸣kaː ⸢sauwaː naː⸣nu] (神女<司>が生まれたのなら心配はない)。 ⸢マイフナー⸣ マ⸢リ⸣ヨー [⸢maiɸunaː⸣ ma⸢riri⸣joː] (立派な人<お利口さん>に成長しなさいよ) 16212 0 0 16112 htmvoc_16212.wav マルン ⸣マルン [⸣maruŋ] 他動 排便する。脱糞する。「まる(\ruby{放}{マ}る)」の義。「送糞、此をば倶蘇摩屡(くそまる)と云ふ」『日本書紀 神代下』の転訛したもの。 ⸣ッス ⸣マルンティ ビ⸢リ ベー [⸣ssu ⸣marunti bi⸢ri beː] (排便しよう<糞を\ruby{放}{マ}ろう>と座っている)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ッス マ⸢ラン⸣カー シ⸢ビ コー⸣ルン [ja⸢ra⸣beː ⸣ssu ma⸢raŋ⸣kaː ʃi⸢bi koː⸣ruŋ] (子供は排便しない<糞を\ruby{放}{マ}らない>と便秘する<尻強張る>)。 ⸣ッス ⸣マリ ⸣シケー [⸣ssu ⸣mari ⸣ʃi̥keː] (糞を\ruby{放}{マ}ってある)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ッス ⸣マル ピンマー ヤー⸢ラマー⸣シ シ⸢ビシ⸣ケー ⸢カイリ⸣ヨー [ja⸢rabi⸣nu ⸣ssu ⸣maru ⸣pimmaː jaː⸢ramaː⸣ʃi ʃi⸢biʃi̥⸣keː ⸢kairi⸣joː] (子供が排便する<糞\ruby{放}{マ}る>時は、優しく<柔らかに>おむつを取り替えなさいよ)。 ⸢パー⸣ク ⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣mareː ⸣misamunu] (早く排便すれば<糞\ruby{放}{マ}れば>いいのに)。 ⸣ッス ⸣マリバ [⸣ssu ⸣mariba] (排便せ<糞\ruby{放}{マ}れ>よ) 16213 0 0 16113 htmvoc_16213.wav マレーラシデーラ マ⸢レーラ⸣ シデーラ [ma⸢reːra⸣ ʃideːra] 連 生まれてこのかた。生まれて初めて。「生まれてから、孵化してから」の義。次に続く否定表現と呼応して打消しを強調する、一種の陳述副詞的用法。 ⸣アイブ パ⸢ナ⸣シェー マ⸢レーラ⸣ シデーラ シ⸢キミラ⸣ヌ [⸣ʔaibu pa⸢na⸣ʃeː ma⸢reːra⸣ ʃideːra ʃi̥⸢kimira⸣nu] (そのような話は生まれてこの方聞いたことがない) 16214 0 0 16114 htmvoc_16214.wav マローン マ⸢ロー⸣ン [ma⸢roː⸣ŋ] 形 丸い。まん丸である。「丸、マロカス」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ⸢ズングヤー ⸣ヌ ⸣シケー マ⸢ロー⸣ン [⸢ʣuŋgujaː⸣nu ⸣ʃi̥keː ma⸢roː⸣ŋ] (十五夜の月は丸い)。 ⸢ナン⸣ゾー マ⸢ローナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ma⸢roːnaː⸣nu] (あまり丸くない)。 ⸢シンダイ⸣ マ⸢ロー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ma⸢roː⸣ naruŋ] (次第に丸くなる)。 ⸣アイニ マ⸢ロー⸣ シケー ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ma⸢roː⸣ ʃi̥keː ⸣miri mi⸢ra⸣nu] (あんなに丸い月は見たことが無い) 16215 0 0 16115 htmvoc_16215.wav マン ⸣マン [⸣maŋ] 名 数の名。万。 ⸣マンニン シ⸢ジクン [⸣manniŋ ʃi⸢ʤikuŋ] (万年続く)。 ⸣マンニンヌ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マルン [⸣manninnu pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣maruŋ] (万人の人が集まる)。 ⸣マンダイ シ⸢ジクン [⸣mandai ʃi⸢ʤikuŋ] (万代続く)。 ⸣イチマン [⸣ʔiʧimaŋ] (一万)。 ⸣ニマン [⸣nimaŋ] (二万)。 ⸣サンマン [⸣sammaŋ] (三万)。 ⸢ヨンマン [⸢jommaŋ] (四万)。 ⸣ゴマン [⸣gomaŋ] (五万)。 ⸣ロクマン [⸣rokumaŋ] (六万)。 ⸣ナナマン [⸣nanamaŋ] (七万)。 ⸣ハチマン [⸣haʧimaŋ] (八万)。 ⸢キューマン [⸢kjuːmaŋ] (九万)。 ⸣ジューマン [⸣ʤuːmaŋ] (十万)。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ)カ⸢ツシンヌ⸣ イチマンギヌ ⸣ヨイ [⸢kjuː⸣ja(wa)kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔiʧimaŋginu ⸣joi] (今日カツオ漁船の一万斤漁獲の祝いだ) 16216 1 0 16116 htmvoc_16216.wav マンイチ ⸢マンイチ [⸢maŋʔiʧi] 名 {PoS_1}万の中に一つ。万が一。ほとんどないが、きわめて稀にあること。 マ⸢チガイ⸣ヤー ⸢ナーン⸣ パジ ⸢ダー⸣ヌ ⸢マンイチヌ⸣ ピンマー ク⸢ヌ⸣ ジン シゥ⸢カイ⸣バ [ma⸢ʧigai⸣jaː ⸢naːm⸣ paʤi ⸢daː⸣nu ⸢maŋʔiʧinu⸣ pimmaː ku⸢nu⸣ ʤin sï̥⸢kai⸣ba] (間違いは無いはずだが、万一の場合はこのお金を使いなさいよ)。 16216 2 0 16117 htmvoc_16216.wav マンイチ ⸢マンイチ [⸢maŋʔiʧi] 副 {PoS_2}まんがいち。もしも。ひょっとして。標準語「万一」からの借用語。 ⸢マンイチ⸣ シ⸢ナムヌヌ⸣ トゥ⸢ドゥカン⸣カー ⸢ヌー⸣ スワ [⸢maŋʔiʧi⸣ ʃi⸢namununu⸣ tu⸢dukaŋ⸣kaː ⸢nuː⸣suwaː] (もしも品物が届かないと、<その時は>どうするのか) 16217 0 0 16118 htmvoc_16217.wav マンカ ⸢マン⸣カ [⸢maŋ⸣ka] 副 真っ直ぐ。直接に。 ミ⸢チマン⸣カ ⸢アーラー⸣ ア⸢ラ⸣キ ⸣パルカー シ⸢カットゥン⸣<シ⸢キアタル⸣> トンドゥ ⸢ウン⸣ネー [mi⸢ʧimaŋ⸣ka ⸢ʔaːraː⸣ ʔa⸢ra⸣ki ⸣parukaː sï̥⸢kattun⸣<ʃi⸢kiataru⸣> tondu ⸢ʔun⸣neː] (道を真っ直ぐに東の方へ歩いて行くとぶつかる所があの家だ)。 ウ⸢ヤン⸣ナーネー ⸣ドゥーシ ⸢マン⸣カ パ⸢ナ⸣シ [ʔu⸢jan⸣naːneː ⸣duːʃi ⸢maŋ⸣ka pa⸢na⸣ʃi] (親には自分で直接に話なさい) 16218 0 0 16119 htmvoc_16218.wav マンカーマ マン⸢カーマ [maŋ⸢kaːma] 副 真正面から。正直に。率直に。⸢マン⸣カ[⸢maŋ⸣ka](真っ直ぐ{EOS}直接)の強調表現。ウ⸢レー⸣ カ⸢ク⸣シ ⸣ユクシ ⸢スー⸣ プ⸢ソー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ マン⸢カーマル⸣ ア⸢ズ[ʔu⸢reː⸣ kḁ⸢ku⸣ʃi ⸣jukuʃi ⸢suː⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔa⸢ra⸣nu maŋ⸢kaːmaru⸣ ʔa⸢ʣu](彼は隠しごとや嘘<讒、与己須(よこす)『新撰字鏡』>をする人ではない。正直に<ぞ>言う)。 カ⸢ク⸣シユクシ ⸢サンドー⸣シ マン⸢カーマ⸣ アジ ッ⸢サリ⸣バ [kḁ⸢ku⸣ʃijukuʃi ⸢sandoː⸣ʃi maŋ⸢kaːma⸣ ʔaʤi s⸢sari⸣ba] (嘘偽りをしないで真っ正直に申し上げなさいよ) 16221 0 0 16120 htmvoc_16221.wav マンカーマンカー マン⸢カーマンカー [maŋ⸢kaːmaŋkaː] 副 真っ直ぐに。まっとうに。真っ正直に。ABCDABCD型の重言。 ジ⸢ジョーヤ⸣ ッ⸢サムティ⸣ マン⸢カーマンカー⸣ ア⸢ズンティ アー⸣キ イ⸢ザリ ベー⸣タ [ʤi⸢ʤoːja⸣ s⸢samuti⸣ maŋ⸢kaːmaŋkaː⸣ ʔa⸢ʣunti ʔaː⸣ki ʔi⸢ʣari beː⸣ta] (事情は知らないで真っ正直に意見を言おうとしていて、叱られていたよ) 16224 0 0 16121 htmvoc_16224.wav マンガイチ ⸢マンガイチ [⸢maŋgaʔiʧi] 副 万一。もしも(若しも)。 ⸢マンガイチ⸣ティ ⸢スー⸣ クトゥン ア⸢リ⸣ブンダ ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢タンガ⸣シェー パ⸢ラサラ⸣ヌ [⸢maŋgaʔiʧi⸣ti ⸢suː⸣ ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣bunda ja⸢ra⸣bi ⸢taŋga⸣ʃeː pa⸢rasara⸣nu] (若しもという事もあることだから、子供一人だけでは遣れ<行かされ>ない) 16219 0 0 16122 htmvoc_16219.wav マンガナ ⸢マン⸣ガナ [⸢maŋ⸣gana] 名 おろしがね(下ろし金)。「おろし鉋」の義。⸢ダイ⸣クニ[⸢dai⸣kuni](大根)や⸢マン⸣イズイ[⸢man⸣ʣui](パパイアの実)をすりおろす器具。薄いブリキ板に斜孔をあけ、その先端部を研いでおき、中央部を刳りぬいた板に張りつけて大根や人参を細かくおろすのに用いる料理器具。巾約10センチ、長さ約23センチ程度のものが多く用いられた。「眞鉇<マカナ>持ち~。万、1385」の転訛したものか。「鏟、平\kaeriten{㆑}木鉄也、加奈(かな)」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ⸢マンズイ⸣ヌ ⸣ナル ⸢マン⸣ガナシ シ⸢キ⸣ ウ⸢ラ⸣シティ タ⸢ク⸣トゥ ⸣アバナー イ⸢ラ⸣キバ [⸢manʣui⸣nu ⸣naru ⸢maŋ⸣ganaʃi ʃi̥⸢ki⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi̥ti tḁ⸢ku⸣tu ⸣ʔabanaː ʔi⸢ra⸣kiba] (パパイアの実を下ろし金でつき下ろして、蛸と脂で炒め<煎り>なさいよ) 16222 0 0 16123 htmvoc_16222.wav マンカミチ ⸢マンカ⸣ミチ [⸢maŋka⸣miʧi] 名 目的地への真っ直ぐな道。直線道路。直行する道。 ⸢ウン⸣ネー ⸢バー⸣ケー ⸢マンカ⸣ミチ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ サ⸢バキ ヤッ⸣サン [⸢ʔun⸣neː ⸢baː⸣keː ⸢maŋka⸣miʧi ja⸢runda⸣ ʔik⸢kena⸣ sa⸢baki jas⸣saŋ] (あの家までは直線道路だから非常に探しやすい)。ミ⸢チマン⸣カ[mi⸢ʧimaŋ⸣ka]ともいう 16223 0 0 16124 htmvoc_16223.wav マンカムヌ ⸢マンカ⸣ムヌ [⸢maŋka⸣munu] 名 正直者。馬鹿正直な者。愚直な者。 ウ⸢レー マンカ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リンマー⸣ シゥ⸢カサラヌ [ʔu⸢reː maŋka⸣munu ja⸢runda⸣ ʔu⸢rimmaː⸣ sï̥⸢kasaranu] (彼は馬鹿正直者であるから、彼には話され<聞かされ>ない) 16225 0 0 16125 htmvoc_16225.wav マンククル ⸣マンククル [⸣maŋkukuru] 名 美しい心。優しい心。⸢絹、繭のような心」の義。「マン」は、⸢マン[⸢maŋ](繭{EOS}絹)の意。 ⸣イツククル ⸣マンククル ム⸢トーリ⸣ル プ⸢ス⸣ ヤ⸢ローッ⸣タ [⸣ʔiʦuku̥kuru ⸣maŋku̥kuru mu⸢toːri⸣ru pu̥⸢su⸣ ja⸢roːt⸣ta] (絹のような美しい心を持っておられる方<人>でいらっしゃった) 16226 0 0 16126 htmvoc_16226.wav マングル ⸢マングル [⸢maŋguru] 名 あたり。付近。近辺。頃。~の時代。沖縄本島糸満方言からの借用語。\ruby{烏賊}{イ|カ}釣り漁のため、糸満から鳩間島に季節労働者として移住する人がいたが、その人たちからの影響であろう。老年層は、⸢マーラ[⸢maːra](~のあたり)という。 ウ⸢ヌ マングル⸣ヌ プ⸢スンケー⸣ヤ ムー⸢ル⸣ ッ⸢ソー⸣レン [ʔu⸢nu maŋguru⸣nu pu̥⸢suŋkeː⸣ja muː⸢ru⸣ s⸢soː⸣reŋ] (あの頃の方々<人達>はみんな知っておられる) 16227 0 0 16127 htmvoc_16227.wav マンケーザーテー ⸢マン⸣ケーザーテー [⸢maŋ⸣keːʣaːteː] 名 屋号。仲本満慶氏宅。「満慶兄の家」の義。 シ⸢マフ⸣ケーヌ ⸢アー⸣ネー ク⸢メーヌ マイ⸣ネール ⸢マン⸣ケーザーテー⸢ダー [ʃi⸢maɸu̥⸣keːnu ⸢ʔaː⸣neː ku⸢meːnu mai⸣neːru ⸢maŋ⸣keːʣaːteː⸢daː] (島袋家の東隣、小浜家の前隣の家が仲本満家氏の家だよ) 16228 0 0 16128 htmvoc_16228.wav マンサク ⸢マンサク [⸢mansaku] 名 満作。豊年。 ク⸢トゥシン マンサクヌ ユーバ⸣ タ⸢ボーラ⸣レーン [ku̥⸢tuʃim mansakunu juːba⸣ ta⸢boːra⸣reːŋ] (今年も豊年満作の年<稔りの世>を賜った) 16229 0 0 16129 htmvoc_16229.wav マンサン ⸢マンサン [⸢mansaŋ] 名 生誕一ヶ月目の日。「満産」の義。産婦が産褥で過ごす日が満了したことを意味し、新生児と産婦の健康を祝う。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ)⸢マンサンヌ⸣ ヨイ ア⸢タリ ブーバ オー⸣リ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢kjuː⸣ja(wa)⸢mansannu⸣ joi ʔa⸢tari buːba ʔoː⸣ri f⸢foː⸣ri] (今日は満産の祝い当っていますので、いらっしゃってください) 16230 0 0 16130 htmvoc_16230.wav マンジュ ⸢マン⸣ジュ [⸢man⸣ʤu] 名 女陰の幼児語。マン⸢ジョー⸣マ[man⸢ʤoː⸣ma]ともいう。ズッ⸢カー⸣マ[ʣuk⸢kaː⸣ma](男児の性器{EOS}幼児語)の対義語。 ⸢アリアリー⸣ マン⸢ジョーマ⸣ヌ ミ⸢ラ⸣リン⸢ダー パー⸣ク サ⸢ラマ⸣タ キ⸢シ [⸢ʔuriʔuriː⸣ man⸢ʤoːma⸣nu mi⸢ra⸣rin⸢daː paː⸣ku sa⸢rama⸣ta ki̥⸢ʃi] (ほれほれ、マンジョーマが他人に見られるよ{EOS}早くパンツを\ruby{佩}{ハ}き<着用し>なさい) 16231 0 0 16131 htmvoc_16231.wav マンシン ⸢マンシン [⸢maŋʃiŋ] 名 船に満載すること。「満船」の義。 ⸢タイロー シー ダイバン⸣バ ⸢マンシン シー⸣ ケーンティ⸢ダー [⸢tairoː ʃiː daibam⸣ba ⸢maŋʃiŋ ʃiː⸣ keːnti⸢daː] (大漁して、カツオの大判を満載して来ているそうだよ) 16233 0 0 16132 htmvoc_16233.wav マンズイ ⸢マン⸣ズイ [⸢man⸣ʣui] 名 (植)パパイアの木。まんじゅか(万寿果)。幹は柔軟で約3~4メートルに育つ。葉はヤツデに似て40~50センチの大きさになる。葉柄は中空で60~70センチになり、子供たちはこれで水鉄砲を作って遊んだ。果実は楕円形で約20センチに成長する。内部に小豆大の種子が20~30個ほど認められる。未熟果は濃緑色であるが、完熟すると赤黄色になり、芳香を放つ。未熟菓の皮を剥くと白い乳液状の汁が出る。この未熟菓を⸢マン⸣ガナ[⸢maŋ⸣gana](下ろし金)で下ろして、魚肉や豚肉と煮たり、炒ったりして食した。また、シ⸢チ⸣ビシチビー[ʃi̥⸢ʧi⸣biʃiʧibi](節日{EOS}祭日)のイ⸢ラキ⸣ムヌ[ʔi⸢raki⸣munu](炒り物{EOS}炒め物料理)にも必須の食材であった。各家には2~3本のパパイアが植えられていた。幼児語の⸢マン⸣ジュー[⸢man⸣ʤuː](女性の性器)は⸢マン⸣ズイ(パパイア)からの派生語という『八重山語彙』。パパイアの幹の根に近い方の髄部は食用になる。灰汁抜きをして魚や豚肉と煮しめると美味である。 ⸢マン⸣ズイ ⸢トー⸣シティ ⸣ムトゥ キ⸢ジティ⸣ シ⸢ミ⸣ムヌ バ⸢カシ [⸢man⸣ʣui ⸢toː⸣ʃi̥ti ⸣mutu ki⸢ʤiti⸣ ʃi⸢mi⸣munu ba⸢kaʃi] (万寿果<パパイヤ>の木を切り倒して根元を削って煮しめ物に炊きなさい) 16232 0 0 16133 htmvoc_16232.wav マンズク ⸢マンズク [⸢manʣuku] 名 満足。満ち足りること。標準語からの借用語の転訛したもの。普通は、キ⸢ム⸣ フグン[ki⸢mu⸣ ɸuguŋ](満足する{EOS}<\ruby{肝}{キモ}\ruby{祝}{ホ}ぐ>)という。 ⸣ウビ ッ⸢ふー⸣カー ノー⸢シン マンズク スン⸣ヨー [⸣ʔubi f⸢fuː⸣kaː noː⸢ʃim manʣuku suɲ⸣joː] (これだけ食べたら、きっと満足するだろうよ) 16234 0 0 16134 htmvoc_16234.wav マンタ ⸣マンタ [⸣manta] 名 前方。前の方。⸣シンタ[⸣ʃinta](後ろ{EOS}後方)の対義語。丁寧に言う場合は、⸣マインタ[⸣mainta](前方)となる。 ⸣マンタナー ビ⸢ロー⸣リバ [⸣mantanaː bi⸢roː⸣riba] (前方にお座り下さい<おはれ>よ)。 ⸢マー⸣ビン ⸣マンター ⸢オー⸣リ⸢ツォー [⸢maː⸣bim ⸣mantaː ⸢ʔoː⸣ri⸢ʦoː] (もっと前へいらっしゃいよ)。 ⸣マンタヌ プ⸢ソー ヌー⸣ シー ⸢ベー⸣ワ [⸣mantanu pu̥⸢soː nuː⸣ ʃiː ⸢beː⸣wa] (前の人は何をしているか)。 ⸣マンターラ ⸢サーリ⸣ パリ [⸣mantaːra ⸢saːri⸣ pari] (前方から連れて行け) 16235 0 0 16135 htmvoc_16235.wav マンダイ ⸣マンダイ [⸣mandai] 名 万代。 ⸣シンダイ ⸣マンダイヌ ユ⸢ガフユー⸣ ニガイ ッ⸢サリル⸣ユー [⸣ʃindai ⸣mandainu ju⸢gaɸujuː⸣ nigai s⸢sariru⸣juː] (千代、万代続く豊年満作の御世をお祈り申しあげます) 16236 0 0 16136 htmvoc_16236.wav マンタヌヨーカミー ⸣マンタヌ ⸢ヨーカ⸣ミー [⸣mantanu ⸢joːka⸣miː] 連 前方の排水用の穴。「前の湯淦目<孔>」の転訛したもの。ふなゆを排水する穴。パ⸢ラータティ⸣ミー[pa⸢raːtati⸣miː](帆柱を立てる穴)の直前にある。船底に溜まった水を、⸣アカ[⸣ʔaka](ふなゆ{EOS}\ruby{淦}{アカ})という。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni]の項参照 16237 0 0 16137 htmvoc_16237.wav マンタヤー ⸣マンタヤー [⸣mantajaː] 名 前隣。「前の家」の義。⸢マイ⸣ネー[⸢mai⸣neː](前の家{EOS}前隣)ともいう。 ⸣マンタヤーナ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢オー⸣ルン [⸣mantajaːna pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢ʔoː⸣ruŋ] (前の家に人が集まっておられる) 16238 0 0 16138 htmvoc_16238.wav マンダル ⸢マン⸣ダル [⸢man⸣daru] 固 人名。平民女子の名前。 ⸢マン⸣ダラーンマ [⸢man⸣daraːmmaː] (マンダルお姉さん)。 ⸢マン⸣ダラーンマー ミサー⸢ロールン [⸢man⸣daraːmmaː misaː⸢roːruŋ] (マンダルお姉さんはお元気ですか)。⸢マン⸣ダル・アンマ[⸢man⸣daru・amma]の連母音が、[ua] → [ŏː] → [aː] の音韻変化を起こしたもの 16239 0 0 16139 htmvoc_16239.wav マンツァー ⸢マン⸣ツァー [⸢man⸣ʦaː] 名 混合物。混ぜこぜ。ごた混ぜ。若年層は、⸢マン⸣チャー[manʧaː](ごた混ぜ)という。 ッ⸢ス⸣イル ッ⸢ふ⸣イル ⸢マン⸣ツァー ⸣ナリティ ⸢カイヤー ナー⸣ヌ [s⸢su⸣ʔiru f⸢fu⸣ʔiru ⸢man⸣ʦaː ⸣nariti ⸢kaijaː naː⸣nu] (白色と黒色が混ぜこぜになって、美しくない) 16240 0 0 16140 htmvoc_16240.wav マンツァークンツァー ⸢マンツァークン⸣ツァー [⸢manʦaːkun⸣ʦaː] 名 混ぜこぜ。ごた混ぜ。雑然とごた混ぜになっているさま。混乱したさま。ABCDEBCD型の重言。若年層は⸢マンチャークン⸣チャー[⸢manʧaːkun⸣ʧaː](ごた混ぜ)ともいう。 ⸣ヌーンクイン ⸢マンツァークン⸣ツァー ⸣ナリティ ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸣nuːŋkuim ⸢manʦaːkun⸣ʦaː ⸣nariti ⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (何もかもごた混ぜになって、役に立たない<養生できない{EOS}対応できない>) 16241 0 0 16141 htmvoc_16241.wav マンツァースン ⸢マンツァー⸣スン [⸢manʦaː⸣suŋ] 他動 混ぜこぜにする。雑多なものを無原則に掻き混ぜる。沖縄本島方言からの借用語か。マ⸢ザー⸣スン[ma⸢ʣaː⸣suŋ](混ぜる)よりも「意図的で強引」の悪い語感を持ち、語構成上からも「混ぜ散らかす」の悪いニュアンスを伴う。 ⸣ヌーンクイン ⸢マンツァー⸣スンティ ⸢ベー⸣バ ⸢マンツァーサン⸣ドーシ マ⸢ザー⸣ス ⸣ムヌ キ⸢ミリ [⸣nuːŋkuim ⸢manʦaː⸣sunti ⸢beː⸣ba ⸢manʦaːsan⸣doːʃi ma⸢ʣaː⸣su ⸣munu ki⸢miri] (何もかも掻き混ぜようとしているから、掻き混ぜないで、混ぜるものを決めなさい)。 ⸢マンツァー⸣シ ⸣ミサカー マ⸢ンツァー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢manʦaː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢manʦaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (掻き混ぜてよければ、掻き混ぜることは出来る)。 ⸢マンツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢manʦaː⸣ʃeː misamunu] (掻き混ぜればいいのに)。 ⸢マンツァー⸣シ [⸢manʦaː⸣ʃi] (掻き混ぜろ) 16242 0 1 16142 htmvoc_16242.wav マンツァールン ⸢マンツァー⸣ルン [⸢manʦːruŋ] 自動 {Mn_1}混ざる。「~新草麻自利~。万、3452」の転訛したものか。マ⸢ザー⸣ルン[ma⸢ʣaː⸣ruŋ](混じる)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ イロー ミ⸢ジ⸣ナ トゥ⸢カ⸣スカー フ⸢カ⸣ヌ イ⸢ル⸣トゥ ⸢マンツァー⸣ルン [ku⸢nu⸣ ʔiroː mi⸢ʤi⸣na tu̥⸢ka⸣su̥kaː ɸu̥⸢ka⸣nu ʔi⸢ru⸣tu ⸢manʦaː⸣ruŋ] (この色は水に溶かすと他の色と混ざる<まぜこぜになる>)。 16242 0 2 16143 htmvoc_16242.wav マンツァールン ⸢マンツァー⸣ルン [⸢manʦːruŋ] 自動 {Mn_2}交際する。進んで交じり合う。 ウ⸢レー⸣ プ⸢ストゥ マンツァー⸣ルンティン サ⸢ヌ [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢sutu man⸣ʦaː⸣runtin sa⸢nu] (彼は自ら進んで人と交際しよう<交わろう>ともしない) 16243 0 0 16144 htmvoc_16243.wav マントン ⸢マン⸣ トン [⸢man⸣ toŋ] 連 どこ。「何処の所」の義。⸢マーン⸣ トン[⸢maːn⸣ toŋ]ともいう。⸢マー⸣ヌ ⸣トン[⸢maː⸣nu ⸣toŋ](何処<いづれ>の所)の縮まった形。多くの場合、若年層が急いだり、ぞんざいに発音する際に現れる。 ウ⸢レー マン⸣トンナー ア⸢ル⸣ワ [ʔu⸢reː man⸣tonnaː ʔa⸢ru⸣wa] (それは何処にあるか) 16244 0 0 16145 htmvoc_16244.wav マンナカ ⸢マンナカ [⸢mannaka] 名 真ん中。中央。 ウ⸢ブヤー⸣ヌ ⸢マンナカ⸣ナー ⸣アル パ⸢ラー⸣ル ナ⸢カ⸣バラー [ʔu⸢bujaː⸣nu ⸢mannaka⸣naː ⸣ʔaru pa⸢raː⸣ru na⸢ka⸣baraː] (母屋の真ん中にある柱が大黒柱<中柱>だ) 16245 0 0 16146 htmvoc_16245.wav マンニン ⸣マンニン [⸣manniŋ] 名 万人。 ⸣シンニン ⸣マンニンヌ ナ⸢カー⸣ラ イ⸢ラバ⸣レール プ⸢ス [⸣ʃinnim ⸣manninnu na⸢kaː⸣ra ʔi⸢raba⸣reːru pu̥⸢su] (千人万人の中から選ばれた人) 16246 0 0 16147 htmvoc_16246.wav マンニン ⸣マンニン [⸣manniŋ] 名 万年。 ⸣シンニン ⸣マンニンヌ ⸣マイラ ウ⸢キ⸣ナーナー プ⸢ソー⸣ ブ⸢リブタ⸣ティ ⸢スー スーク⸣ヌ ⸣ンジェーンツォー [⸣ʃinnim ⸣manninnu ⸣maira ʔu⸢ki⸣naːnaː pu̥⸢soː⸣ bu⸢ributa⸣ti ⸢suː suːku⸣nu ⸣ʔnʤeːnʦoː] (千年万年の前から沖縄島には人がいた<居り居った>という証拠が出たそうだ) 16247 0 0 16148 htmvoc_16247.wav マンブリ ⸢マンブリ [⸢mamburi] 名 すっかり惚れこむこと。くびったけ(首っ丈)であること。異性に夢中であること。「万惚れ」の義という『石垣方言辞典』。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣ムナー ⸣マンブレー ⸢シー ユー⸣ロー ⸢ヤー⸣ナー カ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣munaː ⸣mambureː ⸢ʃiː juː⸣roː ⸢jaː⸣naː kḁ⸢kara⸣nu] (あの女に首っ丈で、夜は実家にいない) 16248 0 0 16149 htmvoc_16248.wav マンマ ⸢マンマ [⸢mamma] 名 そのまま(儘)。もとと同じ状態であること。成り行きに任せること。連体修飾語を受けて、形式名詞的に用いられる。 ⸣シマー ム⸢カシ⸣トゥ ⸢カウラヌ⸣ ウ⸢ヌ マン⸣マ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー [⸣ʃimaː mu⸢kaʃi⸣tu ⸢kauranu⸣ ʔu⸢nu mam⸣ma nu⸢ka⸣ri ⸢beː] (島は昔と変わらない{EOS}そのまんま残っている)。 ウ⸢ヌ マン⸣マ シ⸢ティシキ⸣リ [ʔu⸢nu mam⸣ma ʃi̥⸢tiʃi̥ki⸣ri] (そのまんま放っておけ) 16249 0 0 16150 htmvoc_16249.wav マンマ ⸢マン⸣マ [⸢mam⸣ma] 名 まんま。ご飯(幼児語)。 ゾー⸢ゾー マン⸣マ ッ⸢ふァイ [ʣoː⸢ʣoː mam⸣ma f⸢fai] (さあさあ、ご飯をお食べ) 16250 0 0 16151 htmvoc_16250.wav マンマルー ⸢マンマルー [⸢mammaruː] 名 真ん丸。正円。 ⸢ズングヤー⸣ヌ ⸣シケー ⸢マンマル⸣シ ⸢アーリ オー⸣ルン [⸢ʣuŋgujaː⸣nu ⸣ʃi̥keː ⸢mammaruː⸣ʃi ⸢ʔaːri ʔoː⸣ruŋ] (十五夜のお月様は真ん丸になって昇っ<上がっ>てこられる) 16251 0 0 16152 htmvoc_16251.wav マンムシ ⸣マンムシ [⸣mammuʃi] 名 (動)蚕。「繭虫」の転訛か。⸣マン[⸣maŋ](繭)は、「筑波嶺の尓比具波麻欲能<ニヒグハマヨノ>~。万、3350」の「麻欲」の転訛したもの。若年層は⸢カイ⸣ク[⸢kai⸣ku](蚕)、「蚕、カイコ」『類聚名義抄』という。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢カイク⸣バ ⸣マンムシティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢kaiku⸣ba ⸣mammuʃiti ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (昔の人は蚕を、マンムシと言われたものだ) 16252 0 0 16153 htmvoc_16252.wav マンムシヌコーマ ⸣マンムシヌ ⸢コー⸣マ [⸣mammuʃinu ⸢koː⸣ma] 連 繭。「蚕の卵」の義(老年層)。⸢コー⸣マ[⸢koː⸣ma](卵)は、「鶯の生卵乃<カヒゴノ>中に~。万、1755」、「卵、加比古<かひご>」『和名抄』、「卵、鳥殻、カヒゴ」『類聚名義抄』の「加比」が、[kaɸigo] → [kawigo] → [koː・ma]<美称の接尾語>と転訛したもの。 ⸣マンムシヌ ⸢コー⸣マーラル ⸣イツキンマー ス⸢ク⸣ローッタ [⸣mammuʃinu ⸢koː⸣maːraru ⸣ʔiʦukimmaː su̥⸢ku⸣roːtta] (繭<蚕の卵>から<ぞ>絹糸の着物は作られた)。普通は、⸢カイコ⸣ヌ ⸢コー⸣マ[⸢kaiko⸣nu ⸢koː⸣ma]という 16253 0 0 16154 htmvoc_16253.wav マンリキ ⸢マンリ⸣キ [⸢manri⸣ki] 名 万力。ねじの作用で重い物を上げ下ろししたり、締め付けたりして固定するのに用いる工具。標準語からの借用語。家の柱を交換する際やカツオ漁船を持ち上げたりする際に使用していた。 ク⸢レー マンリ⸣キシ ア⸢ラン⸣カー ム⸢タイララ⸣ヌ [ku⸢reː manri⸣kiʃi ʔa⸢raŋ⸣kaː mu⸢tairara⸣nu] (これは万力でないと持ち上げられないよ) 16254 0 1 16155 htmvoc_16254.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 名 {Mn_1}目。 ⸣ミー ピ⸢カ⸣ルン [⸣miː pi̥⸢ka⸣ruŋ] ({EOS}目を光らせる<叱る>{EOS}{EOS}癲癇の発作を起こす)。 ⸢ミー⸣ヌ ⸢ガン⸣バレー ⸢シー⸣ ミサン ⸢ティー⸣ヌ ⸢ガン⸣バレー ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miː⸣nu ⸢gam⸣bareː ⸢ʃiː⸣ misan ⸢tiː⸣nu ⸢gam⸣bareː ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (目で見るだけの悪戯はしてもよいが、実際に手で悪戯することは決してやってはならない)。 16254 0 2 16156 htmvoc_16254.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 名 {Mn_2}穴。 パ⸢ル⸣ヌ ⸣ミー ヌ⸢キ [pa⸢ru⸣nu ⸣miː nu⸢ki] (針の穴に糸を通せ<抜け>)。 16254 0 3 16157 htmvoc_16254.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 名 {Mn_3}間。 プ⸢スヌ⸣ ミーラ フ⸢キ パッ⸣タ [pu̥⸢sunu⸣ miːra ɸu̥⸢ki pat⸣ta] (群集<人>の間をふけて<逃げて>いった)。 16254 0 4 16158 htmvoc_16254.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 名 {Mn_4}~の中。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ミーナ ク⸢マ⸣リティ ⸣フカー ン⸢ジラ⸣ヌ [⸢jaː⸣nu ⸣miːna ku⸢ma⸣riti ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤira⸣nu] (家の中に引きこもって外へ出ない)。 ヤ⸢マン⸣ ミーナ ク⸢マ⸣リ ⸢ベー [ja⸢mam⸣ miːna ku⸢ma⸣ri ⸢beː] (山の中に隠れて<籠もって>いる)。 ユ⸢クンツァ⸣ミーナール シ⸢ブルン⸣ カ⸢ブッチン⸣ バ⸢ラフ⸣タシ ⸣シケー シ⸢キ⸣ ビ⸢シティ⸣ タ⸢ブイ⸣ ス⸢コーッ⸣タ [ju⸢kunʦa⸣miːnaːru ʃi⸢buruŋ⸣ ka⸢butʧim⸣ ba⸢raɸu̥⸣taʃi ⸣ʃi̥keː ʃi̥⸢ki⸣ bi⸢ʃiti⸣ ta⸢bui⸣ s⸢koːt⸣ta] (床下の中に<ぞ>冬瓜も南瓜も\ruby{稲藁}{イナ|ワラ}でゆりわ<\ruby{揺輪}{ユリ|ワ}>を作って敷いてその上に載せ<据え>て保存しておかれた) 16255 0 1 16159 htmvoc_16255.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 名 {Mn_1}権利。かた(形)。抵当。割り当て。 ウ⸢カ⸣ヌ ⸣ミーティ ⸢シール ウン⸣ネナー イ⸢タン⸣ダシ シゥ⸢カーリ ベー [ʔu⸢ka⸣nu miːti ⸢ʃiːru ʔunne⸣naː ʔi⸢tan⸣daʃi sï̥⸢kaːri beː] (借金の形<抵当>として、あの家で只<無報酬>で使役されている)。 16255 0 2 16160 htmvoc_16255.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 名 {Mn_2}分け前。取り分。 ⸣バー トゥ⸢リミー⸣ヤ ⸢ギュー⸣サ ア⸢ル⸣ワ [⸣baː tu⸢rimiː⸣ja ⸢gjuː⸣sa ʔa⸢ru⸣wa] (私の取り分はいくらあるか) 16256 0 0 16161 htmvoc_16256.wav ミー ⸢ミー [⸢miː] 名 運命。めい(命)。天命。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ウ⸢ヌ ミードゥ⸣ ヤ⸢ロー⸣レール [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢nu miːdu⸣ ja⸢roː⸣reːru] (その人は、その運命であられたのだろうよ)。⸢チョーミー[⸢ʧoːmiː](長命)の⸢ミー[⸢miː](命)と同じ 16257 0 0 16162 htmvoc_16257.wav ミー ⸢ミー [⸢miː] 名 み(巳)。十二支の第六番目。 ⸢ミーディプス [⸢miːdipu̥su] (巳年生まれの人)。 ⸢ミーディマリ [⸢miːdimari] (巳年生まれ)。 ⸢ヤーニン⸣ズナ ⸢ミーディプスヌ⸣ スルーカー イッ⸢ケナ⸣ カ⸢ルイ⸣ヌ アンティ⸢ダー [⸢jaːnin⸣ʣunaː ⸢miːdipu̥sunu⸣ suruːkaː ʔik⸢kena⸣ ka⸢rui⸣nu ʔanti⸢daː] (家族に巳年生まれの人が揃うと非常に嘉例<果報{EOS}善事>があるそうだよ) 16258 0 1 16163 htmvoc_16258.wav ミー ⸢ミー [⸢miː] 名 {Mn_1}肉。汁の中身。実。「身」の転訛したもの。 ⸢スー⸣ヤ イ⸢ズヌ ミー⸣ イ⸢リ⸣バ [⸢suː⸣ja ʔi⸢ʣunu miː⸣ ʔi⸢ri⸣ba] (お汁は、魚の肉を入れなさい)。 ⸣バー マ⸢カ⸣ルナ ⸢マー⸣ビン ⸢オー⸣ヌ ⸢ミーン⸣ イ⸢リリ⸣バ⸢ツォー [⸣baː ma⸢ka⸣runa ⸢maː⸣biŋ ⸢ʔoː⸣nu ⸢miːŋ⸣ ʔi⸢riri⸣ba⸢ʦoː] (私のお碗にもっと豚肉を入れろってば)。 16258 0 2 16164 htmvoc_16258.wav ミー ⸢ミー [⸢miː] 名 {Mn_2}真実。内容。まこと。中身。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢ミーヤ ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢miːja naː⸣nu] (その話は真実味<内容>はない) 16259 0 0 16165 htmvoc_16259.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 名 いっぱい。満杯。老年層の使用語彙。若年層は、⸢ピッ⸣チン[⸢pit⸣ʧiŋ](一杯{EOS}満杯)という。 ン⸢マー⸣ムヌ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ミー ッ⸢ふァーシティ⸣ パ⸢ラ⸣ソーッタ [ʔm⸢maː⸣munu ba⸢ta⸣miː f⸢faːʃi̥ti⸣ pa⸢ra⸣soːtta] (美味しいものを腹一杯食べさせて帰さ<行かせら>れた) 16260 0 0 16166 htmvoc_16260.wav ミー ⸢ミー [⸢miː] 名 (数)三。三つ。⸢ティー[⸢tiː](一つ)、⸢ター[⸢taː](二つ)、⸢ミー[⸢miː](三つ)、⸢ユー[⸢juː](四つ)、⸢イ⸣チ[⸢ʔi⸣ʧi](五つ)、⸢ムー[⸢muː](六つ)、⸣ナナ[⸣nana](七つ)、⸢ヤー[⸢jaː](八つ)、⸣ククヌ[⸣ku̥kunu](九つ)、⸢トゥー[⸢tuː](十)と数える。 ⸢ミームトゥ [⸢miːmutu] (三本)。 ⸢ミーマカル [⸢miːmakaru] (三碗)。 ⸢ミーカ [⸢miːka] (三日)。 ⸢ミーティ [⸢miːti] (三年)。 ⸣パシ ⸢ミームトゥ⸣ ス⸢ルイ⸣リ [⸣pḁʃi ⸢miːmutu⸣ su⸢rui⸣ri] (箸を三組揃えなさい<揃えれ>) 16261 0 0 16167 htmvoc_16261.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 名 \ruby{竿秤}{サオ|バカリ}の目盛り。もんめ(匁)。 ⸢イッキンマー ピャー⸣ク ル⸢クジュー⸣ミーティ ナ⸢ラー⸣ソーッタ [⸢ʔikkimmaː pjaː⸣ku ru⸢kuʤː⸣miːti na⸢raː⸣soːtta] (一斤は百六十匁と教えられた)。 ⸢マー⸣ プ⸢ス⸣ミー ⸢スイリ [⸢maː⸣ pu̥⸢su⸣miː ⸢suiri] (もう一目盛り分余計に入れ<添え>なさい) 16262 0 0 16168 htmvoc_16262.wav ミー ⸢ミー [⸢miː] 名 三。 ⸢ヒー [⸢çiː] (一) ⸢フー [⸢ɸuː] (二) ⸢ミー [⸢miː] (三) ⸢ユー [⸢juː] (四) ⸢イ⸣チ [⸢ʔi⸣ʧi] (五) ⸢ム⸣ー [⸢mu⸣ː] (六) ⸣ナナ [⸣nana] (七) ⸢ヤー [⸢jaː] (八) ⸣ククヌ [⸣ku̥kunu] (九) ⸢トゥー [⸢tuː] (十)) 16263 0 0 16169 htmvoc_16263.wav ミー ⸢ミー [⸢miː] 接頭 動植物や、瓦の⸢\ruby{牝}{メス}」を意味する。ビ⸢キ[bi⸢ki](雄)の対義語。 ⸢ミー⸣ウシ [⸢miː⸣ʔuʃi] (牝牛)。 ⸢ミーン⸣マ [⸢miːʔm⸣ma] (雌馬)。 ⸢ミー⸣オー [⸢miː⸣ʔoː] (牝豚)。 ⸢ミー⸣マヤ [⸢miː⸣maja] (雌猫)。 ⸢ミー⸣ドゥル [⸢miː⸣duru] (雌鳥)。 ⸢ミーガー⸣ラ [⸢miːgaː⸣ra] (雌瓦{EOS}屋根に二枚ずつ敷き並べる瓦{EOS}その継ぎ目に雄瓦で被せて屋根を葺く) 16264 0 0 16170 htmvoc_16264.wav ミー ⸣ミー [⸣miː] 接尾 ~め(目)。その順番を表す。 イ⸢チバンミー⸣ヌ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ラビ [ʔi⸢ʧibammiː⸣nu pu̥⸢su⸣ ja⸢rabi] (一番目の人を呼べ)。 マ⸢リティ トゥッカミー⸣ナ ⸢ナー⸣ ス⸢ク⸣タン [ma⸢riti tukkamiː⸣na ⸢naː⸣ su̥⸢ku⸣taŋ] (生まれて十日目に名前をつけた)。 ⸢ワー バン⸣マー ⸢ナンバン⸣ミーヤー [⸢waː bam⸣maː ⸢nambam⸣miːjaː] (君の順番は何番目か) 16265 0 0 16171 htmvoc_16265.wav ミー ⸢ミー [⸢miː] 接頭 新しい。初めての。「ニヒ(新)、若草の新手枕乎<ニヒタマクラを>~。万、2542」の転訛したもの。 ⸢ミームヌ [⸢miːmunu] (新しいもの{EOS}新品)。 ⸢ミーマイ⸣ ッサイティ バ⸢カシ⸣バ [⸢miːmai⸣ ssaiti ba⸢kaʃi⸣ba] (新米を精げて<搗いて>炊きなさいよ)。 ⸢ミーユミ サー⸣リケーン [⸢miːjumi saːri⸣ keːŋ] (新しい嫁<新嫁>を迎えた<連れてきた>) 16266 0 0 16172 htmvoc_16266.wav ミー ⸢-ミー [⸢-miː] 終助 ~みよ。~ごらん。「~見よ」の転訛か。動詞の連用形に下接して、軽い命令の意を表す。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ トゥ⸢クットゥ⸣シ パ⸢ナ⸣シ⸢ミー [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ tu̥⸢kuttu⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi⸢miː] (もう少し落ち着いて話してごらん)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢マー ユージ⸣ キー⸢ミー⸣ ア⸢ス⸣カー ミ⸢ラ⸣リンヨー [⸢maː⸣biŋ ku⸢maː juːʤi⸣ kiː⸢miː⸣ ʔa⸢su⸣kaː mi⸢ra⸣riɲjoː] (もう少しここへ近寄ってきてごらん、そうしたら見られるよ) 16267 0 1 16173 htmvoc_16267.wav ミー ⸣ミー [⸣-miː] 終助 ~だね。間違いなく~だね。確かな情報をもとに、聞き手に同意を求めて尋ねる。念押し。{Mn_1}体言に付く。話し手Aの断定の陳述に対し、聞き手BがAに対し、確認、同意を求める(念押し)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢フン⸣トーミー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢ɸun⸣toːmiː] (その話は本当だね)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ユ⸢ク⸣シミー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ju⸢ku⸣ʃimiː] (その話は嘘だろう<嘘だね>)。さらに終助詞⸢-ツォー[⸢-ʦoː](~ね、間違いないね<念押し、再確認>)が付く。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢フン⸣トーミー⸢ツォー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢ɸun⸣toːmiː⸢ʦoː] (その話は間違いなく本当だよねえ<念押し、再確認>)。 16267 0 2 16174 htmvoc_16267.wav ミー ⸣ミー [⸣-miː] 終助 {Mn_2}用言の終止形に付く。話し手Aの断定陳述内容に対し、聞き手BがAの陳述内容に同意することをAに確認し、同意することを求める。通時的には用言の終止形語尾の⸣-ン[⸣-ŋ]に、強意の間投助詞の「い」⸢~木乃関守伊<紀の関守い>とどめてむかも。万、545」が付いて融合変化し、転訛したものか。 ⸢ワンヌン バン⸣トゥ ⸢マーズン⸣ パルンミー [⸢wannum ban⸣tu ⸢maːʣum⸣ parummiː] (君も私と一緒に行くよねえ)。 ウ⸢レー カイ⸣ヤンミー [ʔu⸢reː kai⸣jammiː] (それは美しいだろう?<間違いなく美しいだろう?>)。 ティ⸢ガ⸣メー カ⸢ク⸣タンミー [ti⸢ga⸣meː kḁ⸢ku⸣tammiː] (手紙は書いたでしょうね?<間違いなく書いたね>) 16268 0 0 16175 htmvoc_16268.wav ミーアクン ⸣ミー ア⸢クン [⸣miː ʔa⸢kuŋ] 連 穴をあける。 ク⸢ヌ⸣ イツァナー ⸢イー⸣ルシ グ⸢マーグマーヌ⸣ ミー ア⸢キ⸣ ッ⸢ふィーリ [ku⸢nu⸣ ʔiʦanaː ⸢ʔiː⸣ruʃi gu⸢maːgumaːnu⸣ miː ʔa⸢ki⸣ f⸢fiːri] (この板に錐で小さな穴をあけてくれ) 16269 0 1 16176 htmvoc_16269.wav ミーアティ ⸢ミー⸣アティ [⸢miː⸣ʔati] 名 {Mn_1}目当て。目標。目印。 ⸢ユー⸣ル パ⸢ラ⸣ス ⸣フネー ⸢ニーヌ⸣パープシトゥ ⸢トーダイ⸣ル ⸢ミー⸣ヤティ [⸢juː⸣ru pa⸢ra⸣su ⸣ɸuneː ⸢niːnu⸣paːpu̥ʃitu ⸢toːdai⸣ru ⸢miː⸣jati] (夜航海する<走らせる>船は北斗七星<子の方の星>と灯台が目印である)。 16269 0 2 16177 htmvoc_16269.wav ミーアティ ⸢ミー⸣アティ [⸢miː⸣ʔati] 名 {Mn_2}頼り。 トゥ⸢シ⸣ トルカー ッ⸢ふァル ミー⸣アティ [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː f⸢faru miː⸣jati] (年を取ったら子供が頼り<目当て>だ) 16270 0 0 16178 htmvoc_16270.wav ミーウイ ⸢ミー⸣ウイ [⸢miː⸣ʔui] 名 目上。年齢や地位が自分より上の人。 ⸢ミーウイ⸣ヤー ⸢チャー⸣ ア⸢ガ⸣メーティ ⸢アー⸣キ [⸢miːʔui⸣jaː ⸢ʧaː⸣ ʔa⸢ga⸣meːti ⸢ʔaː⸣ki] (目上の人に対しては、常に敬意をもって<崇めて>接しなさい) 16271 0 0 16179 htmvoc_16271.wav ミーウキカーウキスン ⸢ミーウキカー⸣ウキ ⸢スン [⸢miːʔukikaː⸣ʔuki ⸢suŋ] 連 落ち着かず目をきょろきょろさせる。 ⸢ミーウキカー⸣ウキ ⸢シー ヌー⸣バ トゥ⸢ミ⸣ルンティ ⸢ベー⸣ワ [⸢miːʔukikaː⸣ʔuki ⸢ʃiː nuː⸣ba tu⸢mi⸣runti ⸢beː⸣wa] (目をきょろきょろさせて、何を探そうとしているのか) 16272 0 0 16180 htmvoc_16272.wav ミーウクン ⸣ミー ウ⸢クン [⸣miː ʔu⸢kuŋ] 連 平常心を失う。落ち着かず目がきょろきょろする。慌てふためく。⸢目が浮く」の義。 ッ⸢ふァヌ⸣ ニ⸢チ⸣バ ン⸢ザ⸣シティ ブ⸢チ⸣クン シ⸢ター⸣ ウ⸢ダラ⸣キ ⸢ミー⸣ヤ ウ⸢キティ⸣ イ⸢サン⸣ヤー パリ⸢パッ⸣タ [f⸢fanu⸣ ni⸢ʧi⸣ba ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti bu⸢ʧi⸣kuŋ ʃi̥⸢taː⸣ ʔu⸢dara⸣ki ⸢miː⸣ja ʔu⸢kiti⸣ ʔi⸢saɲ⸣jaː pari⸢pat⸣ta] (子供が発熱して人事不省に陥った<気絶した>ので、驚いて平常心を失い、慌てふためいて病院<医者の家>へ走っていった) 16273 0 0 16181 htmvoc_16273.wav ミーウシ ⸢ミー⸣ウシ [⸢miː⸣ʔuʃi] 名 牝牛。ビ⸢キウシ[bi⸢kiʔuʃi](雄牛)の対義語。 ⸣インダヌ マ⸢キ⸣ナー ⸢ミー⸣ウシェー ⸢ギュッカラ ブーワ [⸣ʔindanu ma⸢ki⸣naː ⸢miː⸣ʔuʃeː ⸢gjukkara buːwa] (伊武田の牧<牧場>には牝牛が何頭<幾匹>いるか) 16274 0 0 16182 htmvoc_16274.wav ミーウスーン ⸣ミー ウ⸢スーン [⸣miː ʔu⸢suːŋ] 連 ごまかす。だます。「目を覆う」の義。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミー⸣バ ウ⸢スイ⸣ ミ⸢ドゥム⸣トゥ ア⸢サビマール シー アー⸣ク [ʔu⸢ja⸣nu ⸢miː⸣ba ʔu⸢sui⸣ mi⸢dumu⸣tu ʔa⸢sabimaːru ʃiː ʔaː⸣ku] (親の目をごまかして、女と遊びまわっている) 16278 0 0 16183 htmvoc_16278.wav ミーウタスン ⸢ミーウタ⸣スン [⸢miːʔuta⸣suŋ] 他動 見落とす。ミ⸢リパンツァ⸣スンとも言う。 ア⸢バトゥ⸣カー ⸢ミーウタ⸣スンダー ⸢ミーウタサン⸣ヨーニ ヨー⸢ンナー⸣ ユミバ⸢ヨー [ʔa⸢batu⸣kaː ⸢miːʔuta⸣sunda ⸢miːʔutasaɲ⸣joːni joː⸢nnaː⸣ jumiba⸢joː] (急ぐと見落とすので、見落とさないようにゆっくり読めよ)。 ア⸢バトゥター ミーウタ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [ʔa⸢batutaː miːʔuta⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (急いだので見落としてしまった)。 ⸢ミーウタ⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢miːʔuta⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (見落とす人はいない)。 ⸢ピー⸣チブカラー ⸢ミーウタ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢piː⸣ʧibukaraː ⸢miːʔuta⸣ʃeː ⸣misamunu] (一つぐらいは見落とせばいいのに)。 ⸢ミーウタ⸣シ [⸢miːʔuta⸣ʃi] (見落とせ) 16276 0 0 16184 htmvoc_16276.wav ミーウチ ⸢ミー⸣ウチ [⸢miː⸣ʔuʧi] 名 身内。縁者。親類。標準語からの借用語。 ⸢ミーウチ⸣ヌ プ⸢スン⸣ケーラ シ⸢ダキ ソッ⸣コー ⸢ソー⸣リバ [⸢miːʔuʧi⸣nu pu̥⸢suŋ⸣keːra ʃi⸢daki sok⸣koː ⸢soː⸣riba] (身内の方々から、先に焼香をなさってください<し・おはれ>) 16277 0 0 16185 htmvoc_16277.wav ミーウティ ⸢ミー⸣ウティ [⸢miː⸣ʔuti] 名 死去すること。落命すること。「命落ち」の義。多くの場合、目上の人が死去する際に用いる。 ス⸢ナカ⸣ナーティ ⸢ミー⸣ウティ ⸢ソー⸣レー プ⸢スヌ ジーヌゲー スー⸣ワンティ⸢ダー [su⸢naka⸣naːti ⸢miː⸣ʔuti ⸢soː⸣reː pu̥⸢sunu ʤiːnugeː suː⸣wanti⸢daː] (海で死去<落命>された人の霊魂を成仏させる祈願は難しいそうだ) 16279 0 0 16186 htmvoc_16279.wav ミーウブイ ⸢ミー⸣ウブイ [⸢miː⸣ʔubui] 名 見覚え。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー バン⸣ヌン ⸢ミーウブイ⸣ヤー ⸣アン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː ban⸣num ⸢miːʔubi⸣jaː ⸣ʔaŋ] (その人は、私にも見覚えがある) 16280 0 0 16187 htmvoc_16280.wav ミーオー ⸢ミー⸣オー [⸢miː⸣ʔoː] 名 雌豚。 ⸢ミー⸣オー シゥ⸢カ⸣ナイティ サ⸢カラシ⸣バ [⸢miː⸣ʔoː si̥⸢ka⸣naiti sḁ⸢karaʃi⸣ba] (雌豚を飼育して繁殖させなさいよ) 16281 0 0 16188 htmvoc_16281.wav ミーカ ⸢ミーカ [⸢miːka] 名 三日。 ⸢プール⸣ヌ ⸢ミーカ⸣ ソンガチヌ ⸢ミーカー ヨイ⸣ル ⸢ソーッタ⸣ル [⸢puːru⸣nu ⸢miːkaː⸣ soŋgaʧinu ⸢miːkaː joi⸣ru ⸢soːtta⸣ru] (豊年祭の三日、正月の三日はお祝いを<ぞ>なさったものだ)。 ⸣プスイ ⸢ミーカ⸣シェー ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣pu̥sui ⸢miːka⸣ʃeː ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (一日や三日では、この仕事は出来ない) 16282 0 0 16189 htmvoc_16282.wav ミーガーガー ⸢ミーガー⸣ガー [⸢miːgaː⸣gaː] 名 穴が多数あいていること。隙間だらけになること。障子や板戸、桶の底、船底などに穴が多数あいていること。 ⸢ウーキ⸣ヌ ス⸢コー ミーガー⸣ガー ⸣ナリティ ミ⸢ジェー ザー⸣カ ム⸢リ⸣ス [⸢ʔuːki⸣nu su̥⸢koː miːgaː⸣gaː ⸣nariti mi⸢ʤeː ʣaː⸣ka mu⸢ri⸣su] (桶の底は穴が多数あいていて、水はジャージャー漏れる) 16275 0 0 16190 htmvoc_16275.wav ミーカースン ⸢ミーカー⸣スン [⸢miːkaː⸣suŋ] 他動 面会する。お目にかかる。「目交わす」の転訛か。 ウ⸢ヌプストゥ ミーカー⸣スンティ ⸢クータン⸣ドゥ ⸢ミーカーサラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sutu miːkaː⸣sunti ⸢kuːtan⸣du ⸢miːkaːsara⸣nu] (その人に面会しに来たが面会できない)。 ⸣バー ⸢ミーカー⸣シ ミサカー ⸢ミーカー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸣baː ⸢miːkaː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢miːkaː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (私が面会してよければ面会することは出来る)。 ⸣シンニン ⸣ケーンダ ⸢ミーカー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣ʃinniŋ ⸣keːnda ⸢miːkaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (せっかく<わざわざ>来たのだから面会すればいいのに)。 ヤー⸢ディン ミーカー⸣シ [jaː⸢dim miːkaː⸣ʃi] (必ず面会しなさい) 16283 0 0 16191 htmvoc_16283.wav ミーガーラ ⸢ミーガー⸣ラ [⸢miːgaː⸣ra] 名 めがわら(雌瓦)。平瓦。粘土を一定の形<ゆるく湾曲した台形>に成形し、焼成した屋根葺き用の瓦。ビ⸢キガーラ[bi⸢kigaːra](牡瓦)の対義語。屋根のユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり)に粘土を捏ねて乗せ、それにめがわら(雌瓦)を二枚ずつ重ねて並べ、その継ぎ目に粘土を乗せて接着し、更にその上にビ⸢キガーラ[bi⸢kigaːra](牡瓦)を被せ、瓦を連結して屋根を葺きあげていく。最終的には瓦の継ぎ目に漆喰を塗って固定させ、屋根葺きを完成させる。 ⸣ミツァー ク⸢ナシティ⸣ ユ⸢チル⸣ナ ⸢ヌーシテイ ウン⸣ナー ⸢ミーガー⸣ラ ⸢ニンマイ⸣ナー カ⸢サビ⸣ ナ⸢ラビティ⸣ ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ギフチ⸣ナー ⸣ミツァ ム⸢リティ ウーガー⸣ラ カ⸢バ⸣シェーティ ⸢カー⸣ラヤーヤ フ⸢コーッ⸣タ [⸣miʦaː ku⸢naʃi̥ti⸣ ju⸢ʧiru⸣na ⸢nuːʃi̥ti ʔun⸣naː ⸢miːgaː⸣ra ⸢nimmai⸣naː kḁ⸢sabi⸣ na⸢rabiti⸣ ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢giɸuʧi⸣naː ⸣miʦa mu⸢riti ʔuːgaː⸣ra ka⸢ba⸣ʃi̥ti ⸢kaː⸣rajaːja ɸu̥⸢koːt⸣ta] (粘土を捏ねて屋根のえつりに乗せ、それに雌瓦を二枚ずつ重ね並べて、その継ぎ目に粘土を盛って牡瓦を被せながら瓦葺きの家は屋根を葺かれたものだ) 16284 0 0 16192 htmvoc_16284.wav ミーカキムヌ ⸢ミーカキ⸣ムヌ [⸢miːkaki⸣munu] 名 まぶた(瞼)に傷のある人。⸣ミーカカー[⸣miːkakaː](瞼に傷のある人)ともいう。 ヨー⸢ヨー⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸣ミーナ キ⸢ジバ⸣ シキ ⸢ミーカキ⸣ムヌ ⸣ナシェー シ⸢マン⸣ダー [joː⸢joː⸣ mi⸢doːn⸣ffanu ⸣miːna ki⸢ʤiba⸣ ʃi̥ki ⸢miːkaki⸣munu ⸣naʃeː ʃi⸢man⸣daː] (よく気をつけろよ、女の子の目に傷をつけて瞼に傷のある者になしてはならないぞ) 16285 0 0 16193 htmvoc_16285.wav ミーカギン ⸢ミー⸣カギン [⸢miː⸣kagiŋ] 名 目分量。計量器具を用いないで目分量で測ること。目測すること。「目加減」の義。 パ⸢カラン⸣タンティン ⸣ミサバ ⸢パー⸣ク ⸢ミー⸣カギンシ シゥ⸢カ⸣ミ イ⸢リ⸣バ [pḁ⸢karan⸣tantim ⸣misaba ⸢paː⸣ku ⸢miː⸣kagiŋʃi sï̥⸢ka⸣mi ʔi⸢ri⸣ba] (量らなくてもいいから、早く目分量で掴んで入れなさいよ) 16286 0 0 16194 htmvoc_16286.wav ミーカサマサーン ⸢ミーカサマ⸣サーン [⸢miːkasama⸣saːŋ] 形 目が異常である。目がかさついて見づらい。目が見づらくて不愉快である。 ⸢ミーカサマサ⸣ヌ シゥカイ⸢トゥ⸣ ムヌン ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢miːkasamasa⸣nu sï̥kai⸢tu⸣ munum mi⸢rara⸣nu] (目が異常にかさついて、ものもしかとは見えない)。 ニ⸢チ⸣ヌ ⸣アル ⸣ピンマー ⸢ミーカサマ⸣サン⸢ダー [ni⸢ʧi⸣nu ⸣ʔaru ⸣pimmaː ⸢miːkasama⸣san⸢daː] (熱がある時は目がかさついて見づらいよ)。 ⸢ミーカサマサ⸣ヌ ナ⸢ラン⸣バ イ⸢サン⸣ヤー ⸢ギー⸣ ミ⸢ラリ⸣ル [⸢miːkasamasa⸣nu na⸢ram⸣ba ʔi⸢saɲ⸣jaː ⸢giː⸣ mi⸢rari⸣ru] (目がかさついて見づらいから、病院<医者の家>へ行ってみようと思う) 16287 0 0 16195 htmvoc_16287.wav ミーカシキ ⸢ミーカシキ [⸢miːkaʃi̥ki] 名 三日月。ミ⸢カジキ[mi⸢kaʤiki](三日月)ともいう。 ⸢ミーカシキヌ アーリ オー⸣レーン [⸢miːkaʃi̥kinu ʔaːri ʔoː⸣reːŋ] (三日月が上がってこられた)。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ マ⸢ヨー ミーカシキヌ⸣ マ⸢ユ⸣ ピ⸢キ ブンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢バ⸣レーン [ʔu⸢nu⸣ mi⸢doːŋ⸣ffanu ma⸢joː miːkaʃi̥kinu⸣ ma⸢ju⸣ pi̥⸢ki bunda⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ba⸣reːŋ] (あの女の子の眉は、三日月の形だ<三日月の眉を引いている>から非常に美しい{EOS}<女性の美しさはア⸢バ⸣レーン{SqBr}ʔa⸢ba⸣reːŋ{/SqBr}といい、⸢カイ⸣ヤン{SqBr}⸢kai⸣jaŋ{/SqBr}<美しい{EOS}きれい>とは言わない) 16290 0 0 16196 htmvoc_16290.wav ミーカンガン ⸢ミーカン⸣ガン [⸢miːkaŋ⸣gaŋ] 名 水中眼鏡。漁師が海に潜って漁をする際に装着する手製の水中眼鏡。ッ⸢スイキー[s⸢suikiː](モンパノキ)でゴーグルの型を彫り、ガラスを丸く割って縁取りをし、ゴーグル型に嵌めてつくる。 パ⸢トゥ⸣マナテー カ⸢ザケヌ⸣ ウスマイル ⸢ミーカン⸣ガン ス⸢ク⸣レー ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ローッ⸣タ [pḁ⸢tu⸣manateː ka⸢ʣakenu⸣ ʔsumairu ⸢miːkaŋ⸣gan su̥⸢ku⸣reː ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢roːt⸣ta] (鳩間島では加治工のウスマイ<伊佐氏>が水中眼鏡作りは上手であられた) 16291 0 0 16197 htmvoc_16291.wav ミーガンキョー ⸢ミーガン⸣キョー [⸢miːgaŋ⸣kjoː] 名 眼鏡。「目眼鏡」の義。 ⸢ミー⸣ヤ ⸢ムイティ⸣ ムノー ミ⸢ララン⸣タンティン ⸣アッパー ⸢ミーガン⸣キョー カ⸢カーン⸣ドーシ パ⸢ル⸣ヌ ⸣ミー ヌキソーッ⸣タ [⸢miː⸣ja ⸢muiti⸣ munoː mi⸢raran⸣tantiŋ ⸣ʔappaː ⸢miːgaŋ⸣kjoː kḁ⸢kan⸣doːʃi pa⸢ru⸣nu ⸣miː nu⸢kisoːt⸣ta] (老眼になって<目がもえて>ものがよく見えなくても、お祖母さんは眼鏡をかけないで、針の穴に糸を抜き通されたものだ) 16292 0 0 16198 htmvoc_16292.wav ミーキー ⸢ミー⸣キー [⸢miː⸣kiː] 名 めぎ(雌木)。雌株。実のなる樹木。「megui.メギ(雌木)雌の樹木;Vogui(雄木)」『邦訳日葡辞書』。 ⸢ゴーナ⸣キナーン ⸢マン⸣ズイナーン ⸣バサナーン ⸢ケージ⸣ナーン ⸢ミー⸣キー ビ⸢キキーヤ⸣ ア⸢リ⸣ブー [⸢goːna⸣kiːnaːm ⸢man⸣ʣuinaːm ⸣basanaːŋ ⸢keːʤi⸣naːm ⸢miː⸣kiː bi⸢kikiːja⸣ ʔa⸢ri⸣buː] (桑の木にも、パパイアの木にも、芭蕉にも、マルバチシャノキにも雌木と雄木はあるものだ) 16293 0 0 16199 htmvoc_16293.wav ミーキスン ⸢ミー⸣キスン [⸢miː⸣ki̥suŋ] 他動 見切る。見捨てる。見限る。 ⸢ウンザヨー ミー⸣キスンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クトゥ ⸣ウムーカー ⸢ミーキサラ⸣ヌ [⸢ʔunʣajoː miː⸣ki̥sunti ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢ja⸣nu ⸣ku̥tu ⸣ʔumuːkaː ⸢miːki̥sara⸣nu] (あいつを見切ろうと思うが、親のことを思うと見切ら<見捨てら>れない)。 ウ⸢リヨー ミー⸣キシ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢rijoː miːki⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (彼を見切ってしまった)。 ⸢バン⸣マー ⸢ミー⸣キス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢bam⸣maː ⸢miː⸣ki̥su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (私には見切る<見捨てる>ことは出来ない)。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸢ミー⸣キシェー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸢miː⸣ki̥ʃeː ⸣misamunu] (あんな者は見切れば<見捨てれば>いいのに)。 ⸢ミー⸣キシバ [⸢miː⸣ki̥ʃiba] (見切れ<見捨てろ>よ) 16294 0 0 16200 htmvoc_16294.wav ミーグチグヮー ミーグチグヮー [⸢miːguʧi⸣gwaː] 名 (海底地名)。小さな新津口。⸢イーリマイズニ[⸢ʔiːrimaiʣuni](西前曽根)の西側にある干瀬の小さな津口。⸢ウー⸣グチ[⸢ʔuː⸣guʧi](大津口)の後に使われたので、「小新津口」と命名された。「~グヮー[~gwaː](「小」の指小辞{EOS}diminutive)」は沖縄方言であるから、糸満漁師がイカ釣り漁のためにサバニを二隻組み、双胴船仕立てにして鳩間島へ帆走してきて漁労に従事した頃に伝播した方言であろう 16295 0 0 16201 htmvoc_16295.wav ミーグッふァン ⸢ミーグッ⸣ふァン [⸢miːguf⸣faŋ] 形 非常に眠たい。瞼が重い。 ⸢ミーグッふァ⸣ヌ ニ⸢ジララ⸣ヌ [⸢miːguffa⸣nu ni⸢ʤirara⸣nu] (眠たくて我慢できない)。 ⸢ミーグッふァナー⸣ヌヌ ⸢ミーグッ⸣ふァンティ ア⸢ジ アー⸣ク [⸢miːguffanaː⸣nunu ⸢miːguf⸣fanti ʔa⸢ʤiʔaː⸣ku] (眠たくないのに眠たいといっている)。 ⸢ミーグッ⸣ふァ プ⸢ソー⸣ ニ⸢ビ⸣バ [⸢miːguf⸣fa pu̥⸢soː⸣ ni⸢bi⸣ba] (眠たい人は寝なさい) 16296 0 0 16202 htmvoc_16296.wav ミーグトゥ ⸢ミーグ⸣トゥ [⸢miːgu⸣tu] 名 みもの(見物)。珍しい見世物。素敵な見物。「みごと(見事{EOS}興行)」の義。 ⸢ミーグトゥ⸣ヌ ⸣アンティ ⸢シール⸣ ウ⸢リ⸣ ミリン ⸢パッ⸣タ [⸢miːgutu⸣nu ⸣ʔanti ⸢ʃiːru⸣ ʔu⸢ri⸣ mirim ⸢pat⸣ta] (珍しい見世物があるといって、それを見に行ったよ) 16297 0 0 16203 htmvoc_16297.wav ミーグトゥシキグトゥ ⸢ミーグ⸣トゥ シ⸢キグトゥ [⸢miː⸣gutu ʃi̥⸢kigutu] 連 優れた見物催し物。優れたエンターティメント。⸢見ごと、聞きごと」の転訛。 ⸢クンドゥ⸣ヌ シ⸢バヤーヌ⸣ ブ⸢ドゥル キョンギンマー ミーグ⸣トゥ シ⸢キグトゥティ⸣バン⸢ナー [⸢kundu⸣nu ʃi⸢bajaːnu⸣ bu⸢duru kjoŋgimmaː miːgu⸣tu ʃi̥⸢kigututi⸣ban⸢naː] (今度の芝居の踊り、狂言は見ごたえのある催し物だそうだだね) 16298 0 0 16204 htmvoc_16298.wav ミークラガン ⸢ミークラ⸣ガン [⸢miːkura⸣gaŋ] 名 めまい(\ruby{眩暈}{ゲン|ウン})。「目くらみ」の義か。「Mecurumecu.メクルメク(目くるめく)文章語。Meno mŏ coto(目のまふこと)頭がくらくらする病気、または、目がくらむ病気.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ⸢ミークラ⸣ガン ⸢シース[du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ⸢miːkura⸣gaŋ ⸢ʃiːsu](あまりにも暑いので、めまい(眩暈)がする<頭がくらくらする。頭が回って目がくらむ>) 16299 0 0 16205 htmvoc_16299.wav ミークラガンスン ⸢ミークラ⸣ガン ⸢スン [⸢miːkura⸣gan ⸢suŋ] 連 めまい(眩暈)がする。立ち暗みする。 ⸣ヤミティ ⸢クンキヌ ナーン⸣ ピンマー ⸢ミークラ⸣ガン ⸢スン [⸣jamiti ⸢kuŋkinu naːm⸣ pimmaː ⸢miːkura⸣gan ⸢suŋ] (病気して根気がない時は\ruby{SqBr}g{/SqBr}{眩暈}{メマイ}がする) 16300 0 0 16206 htmvoc_16300.wav ミーグルグル ⸢ミーグル⸣グル [⸢miːguru⸣guru] 副 目をくるくるさせるさま。きょろきょろするさま。きょろきょろ見回すさま。落ち着かないさま。 ⸢ワー⸣ ヌンティ ⸣アイニ ⸢ミーグル⸣グル ⸢シー ベー⸣ワ [⸢waː⸣ nunti ⸣ʔaini ⸢miːguru⸣guru ⸢ʃiː beː⸣wa] (君は何故あんなにきょろきょろ<目をくるくる>させているのか) 16301 0 0 16207 htmvoc_16301.wav ミーケーラ ⸢ミーケーラ [⸢miːkeːra] 名 (数)三回。三度。「三・かへり<返り>、ただひとかへり舞ひて入りぬるは~。源氏<若菜下>の『かへり』が付いて形成された語」の転訛したものか。 プ⸢スケー⸣ラ フ⸢タケーラー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ミーケーラー ギー⸣ ウ⸢ガミトーシ⸣ル ⸢カイヤー⸣ダー [pu̥⸢sukeː⸣ra ɸu̥⸢takeːraː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢miːkeːraː giː⸣ ʔu⸢gamitoːʃi⸣ru ⸢kaijaː⸣daː] (一度や二度ではない、三度も行って拝み倒して<ぞ>買ったのだぞ) 16302 0 0 16208 htmvoc_16302.wav ミーケン ⸢ミーケン [⸢miːkeŋ] 名 (数)三回。回数、度数の頻度を表す。四回以上にはあまり使わない。 プ⸢ス⸣ケン フ⸢タケンマー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ミーケンナー⸣ ユ⸢ヌ⸣ マ⸢チガイ⸣バ ⸢シー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [pu̥⸢su⸣keŋ ɸu̥⸢takemmaː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢miːkennaː⸣ ju⸢nu⸣ ma⸢ʧigai⸣ba ⸢ʃiː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (一度や二度ではない、三度も同じ間違いをして、何だねこれは) 16303 0 0 16209 htmvoc_16303.wav ミーコーガー ⸢ミーコー⸣ガー [⸢miːkoː⸣gaː] 名 病気で痩せこけ眼球がへこんださま。 ⸢ミーコー⸣ガー ⸣ナルンケン ⸢ヨーガリベー [⸢miː⸣koːgaː ⸣naruŋkeŋ ⸢joːgari beː] (眼球がへこむほどに痩せている) 16304 0 0 16210 htmvoc_16304.wav ミーコーヤー ⸢ミーコー⸣ヤー [⸢miːkoː⸣jaː] 名 おめざ。「お目覚め」の義。子供が朝起きたときに与える菓子類やご飯。「目強飯」の義か。主として昨晩の米飯の残りを与えた。親達は朝ご飯の前に、お茶と⸢サー⸣フキ[⸢saː⸣ɸu̥ki](茶請け)に、⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)や⸢アンダミー⸣ス[⸢ʔandamiː⸣su](米味噌に豚の脂肉を混ぜて炒めた味噌)を食して、早朝に畑へ出た。 コー⸢ネー⸣ ア⸢バティ⸣ ウキティ ⸢ミーコー⸣ヤー ッ⸢ふァイ [koː⸢neː⸣ ʔa⸢bati⸣ ʔukiti ⸢miːkoː⸣jaː f⸢fai] (坊や、早く起きてお目ざを食べなさい) 16305 0 0 16211 htmvoc_16305.wav ミーコールン ⸢ミー コー⸣ルン [⸢miː koː⸣ruŋ] 連 目が冴えて眠れない。「目・強はり」の義。⸢コー⸣ルン[⸢koː⸣ruŋ]は、「Couari,ru,atta.コワリ、ル、ッタ(強り、る、った)物が固くなる、または強直する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸣ユネンラ カ⸢タサーバ⸣ ヌミティ ⸢ミー コー⸣リ ユ⸢ビ⸣ヌサートゥ プ⸢ス⸣ミーンツァ ンニ⸢バランシェン [⸣junenra kḁ⸢tasaːba⸣ numiti ⸢miː koː⸣ri ju⸢bi⸣nusaːtu pu̥⸢su⸣miːnʦan ni⸢baraŋʃeŋ] (夕方から濃い茶を飲んで、目が冴えて、昨夜は一晩中一睡もできなかった<眠れなかった>) 16307 0 0 16212 htmvoc_16307.wav ミーサールン ⸢ミー サー⸣ルン [⸢miː saː⸣ruŋ] 連 早死にする。短命になる。 ⸣アイニ サ⸢キバ⸣ ヌメーティル ⸢オーパ⸣ヤー ⸢ミー サー⸣レール [⸣ʔaini sḁ⸢kiba⸣ numeːtiru ⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢miː saː⸣reːru] (あんなにたくさん酒を飲んだので、こんなに早く死んだ<早死にした←身に障った>のだよ) 16308 0 0 16213 htmvoc_16308.wav ミーサカバッサ ⸢ミー⸣サ ⸣カバッサ [⸢miː⸣sa ⸣kabassa] 連 新しいものが香ばしくてよい。「新しさ・香ばしさ」の転訛したもの。 ⸢ミー⸣サ ⸣カバッサティ ⸢シー⸣ アボー ⸢サーソー⸣レール ア⸢ラキンバ⸣ キ⸢シティ⸣ サ⸢ニヤ シー ベーン⸣ティ [⸢miː⸣sa ⸣kabassati ⸢ʃiː⸣ ʔaboː ⸢saːsoː⸣reːru ʔa⸢rakimba⸣ ki̥⸢ʃiti⸣ sa⸢nija ʃiː beːn⸣ti] (新しいものは香ばしくて立派だといって、お母さんが新調された着物を着て喜んでいるさ{EOS}ほら、見てごらん) 16306 0 0 16214 htmvoc_16306.wav ミーザマーザ ⸢ミー⸣ザマーザ [⸢miː⸣ʣamaːʣa] 名 味の旨いことや不味いこと。「旨さ・不味さ<不味さ・旨さ>」の義。 ⸢ヤーサ⸣バター ⸢ミー⸣ザマーザー ッ⸢サヌ⸣ ッ⸢ふァーリサーギ スー⸣カー ノー⸢ン⸣ ン⸢マー⸣ル ⸣アル [⸢jaːsa⸣bataː ⸢miː⸣ʣamaːʣaː s⸢sanu⸣ f⸢faːrisaːgi suː⸣kaː noː⸢m⸣ ʔm⸢maː⸣ru ⸣ʔaru] (空腹は、ものの味の旨さ不味さは分からない{EOS}食べられさえすれば何でも美味しい) 16309 0 0 16215 htmvoc_16309.wav ミーサマスン ⸢ミーサマ⸣スン [⸢miːsama⸣suŋ] 他動 目覚ます。起こす。目を覚ます。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ ⸢ミーサマ⸣スンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ ミーサマサン⸣バン [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa ⸢miːsama⸣suŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da miːsamasam⸣baŋ] (朝早く目を覚ますかと思ったが、まだ目を覚まさないよ)。 キサー⸢ティ ミーサマ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti miːsama⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (既に目を覚ましてしまった)。 ⸢ミーサマ⸣ス ⸣バス [⸢miːsama⸣su ⸣basu] (目を覚ますとき)。 ⸢ミーサマ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢miːsama⸣ʃeː ⸣misamunu] (目を覚ませば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ミーサマ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢miːsama⸣ʃi] (早く目を覚ませよ) 16310 0 1 16216 htmvoc_16310.wav ミーサミルン ⸢ミーサミ⸣ルン [⸢miːsami⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}目覚める。 ⸢パイ⸣サ ニ⸢ブ⸣カー ⸢パイ⸣サ ⸢ミーサミ⸣ルン [⸢pai⸣sa ni⸢bu⸣kaː ⸢pai⸣sa ⸢miːsami⸣ruŋ] (早く寝たら早くめざめる)。 ウ⸢コーサ⸣バン ⸢ミーサミラ⸣ヌ [ʔu⸢koːsa⸣bam ⸢miːsamira⸣nu] (起こしても目覚めない)。 ユ⸢ナカー⸣ラ ⸢ミー⸣サミティ ニ⸢バランシェン [ju⸢nakaː⸣ra ⸢miː⸣samiti ni⸢baraŋʃeŋ] (夜中から目が覚めて眠れなかった)。 16310 0 2 16217 htmvoc_16310.wav ミーサミルン ⸢ミーサミ⸣ルン [⸢miːsami⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}心の迷いが去る。悪事に気付く。 ⸣スッパイ ⸢スー⸣カー ⸢ミーサミ⸣ルンパジ [⸣suppai ⸢suː⸣kaː ⸢miːsami⸣rumpaʤi] (失敗したら悪いことに気付くはずだ) 16311 0 0 16218 htmvoc_16311.wav ミーザムニ ⸢ミー⸣ザムニ [⸢miː⸣ʣamuni] 名 不愉快なことば、批評。面白くない物言い。ン⸢ガ⸣ムニ[ʔŋ⸢ga⸣muni](苦言{EOS}厳しい批判{EOS}悪口)の類義語。ア⸢マムニ[ʔa⸢mamuni](甘言)の対義語。 プ⸢スヌ ミー⸣ザムネー ⸢ドゥー⸣ヌ タ⸢ミティ カンガイ⸣リ [pu̥⸢sunu miː⸣ʣamuneː ⸢duː⸣nu ta⸢miti kangai⸣ri] (他人の苦言<不愉快な言葉>は自分のためと考えよ) 16312 0 0 16219 htmvoc_16312.wav ミーザムヌ ⸢ミー⸣ザムヌ [⸢miː⸣ʣamunu] 名 不味いもの。食べ物の味が不味いもの。 ⸣カイブ ⸢ミー⸣ザムノー ⸣ヌドー ウ⸢ラサラ⸣ヌ [⸣kaibu ⸢miː⸣ʣamunoː ⸣nudoː ʔu⸢rasana⸣nu] (こんなに不味いものは、食べられない<喉へ下ろされない>) 16313 0 0 16220 htmvoc_16313.wav ミーサン ⸢ミー⸣サン [⸢miː⸣saŋ] 形 新しい。石垣方言からの借用語か。老年層が多く使用する。 ク⸢ヌ キン⸣マー マ⸢ダ ミー⸣サンダー シ⸢ティララヌ [ku⸢nu kim⸣maː ma⸢da miː⸣sanda ʃi̥⸢tiraranu] (この着物は、まだ新しいから捨てられない)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ミーサー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢miːsaː naː⸣nu] (あまり新しくない)。 シゥ⸢カウ シンダイ ミー⸣サ ⸣ナリクーン [sï̥⸢kau ʃindai miː⸣sa ⸣narikuːŋ] (使い込むにつれて<使う次第に>新しくなる)。 ⸢ミー⸣サ(⸢ミー⸣サル) ⸢キン⸣マー ウ⸢ムイツァー⸣ヌ ッ⸢ふィーララヌ [⸢miː⸣sa(⸢miː⸣saru)⸢kim⸣maː ʔu⸢muiʦaː⸣nu f⸢fiːraranu] (新しい着物は惜しくて他人に与えられない) 16314 0 0 16221 htmvoc_16314.wav ミーザン ⸢ミー⸣ザン [⸢miː⸣ʣaŋ] 形 味などが不味い。美味しくない。 ⸢ウンヌダー⸣ケー ミー⸣ザンティ ア⸢ゾール⸣ヌ ⸢ウンヌ⸣クジ マ⸢ザー⸣スカー ⸢ミーザナー⸣ヌ [⸢ʔunnudaː⸣keː ⸢miː⸣ʣanti ʔa⸢ʣoːru⸣nu ⸢ʔunnu⸣kuʤi ma⸢ʣaː⸣sukaː ⸢miːʣanaː⸣nu] (芋を捏ねたご飯は不味いといわれるが、芋澱粉を混ぜると不味くないよ)。 ⸢ミーザ⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸢miːʣa⸣nu f⸢faːranu] (不味くて食えない)。 ⸣ドゥク ⸢ネース⸣カー ⸢ミー⸣ザ ⸣ナルン [⸣duku ⸢neːsu⸣kaː ⸢miː⸣ʣa ⸣naruŋ] (あまり煮ると不味くなる)。 ⸢ミー⸣ザ ⸣ムノー ッ⸢ふァーン ブリ⸣バ [⸢miː⸣ʣa ⸣munoː f⸢faːm buri⸣ba] (不味いものは食べるな<食べずにおれ>よ)。 ⸢ミー⸣ザカー ッ⸢ふーナ [⸢miː⸣ʣakaː f⸢fuːna] (不味かったら食べるな) 16326 0 0 16222 htmvoc_16326.wav ミーシゥカイ ⸢ミー⸣シゥカイ [⸢miː⸣sï̥kai] 名 めくばせ(目眴)。目つき。めの動かし方や目つきで相手に「否の意味」を知らせること。「目使い」の転訛。 ⸣ムネー イ⸢ザンドー⸣シ ⸢ミー⸣シゥカイシ ⸢ウイパラシ⸣タヤー [⸣muneː ʔi⸢ʣandoː⸣ʃi ⸢miː⸣sï̥kaiʃi ⸢ʔuiparaʃi̥⸣tajaː] (言葉<もの言い>は話さないで<ものは言わないで>、目くばせして追い返したよ) 16328 0 0 16223 htmvoc_16328.wav ミーシゥカイスン ⸢ミー⸣シゥカイ ⸢スン [⸢miː⸣sï̥kai ⸢suŋ] 連 めくばせ(目眴)をする。目を怒らせて知らせる。悪い目付きをする。 ⸢ミー⸣シゥカイ ⸢シー⸣ シゥ⸢カスンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢キ ッふィーランバン [⸢miː⸣sï̥kai ⸢ʃiː⸣ sï̥⸢kasundu⸣ mut⸢tu⸣ ʃi̥⸢ki ffiːrambaŋ] (目くばせをして知らせてやるんだが、ちっとも聞き入れてくれない<聞かない>わい) 16327 0 0 16224 htmvoc_16327.wav ミーシゥカイヨー ⸢ミーシゥカイ⸣ヨー [⸢miːsï̥kai⸣joː] 名 悪い目付き。特に厳しい目つき。「目使いよう」の転訛。 ウ⸢リヌ ミーシゥカイヨー⸣ヤ ナ⸢クラー⸣ヌ ⸣スバー ⸢ユーザラヌ [ʔu⸢rinu miːsï̥kaijoː⸣ja na⸢kuraː⸣nu ⸣subaː ⸢juːʣaranu] (彼の目つきは怖くて、側へ近寄れない) 16329 0 0 16225 htmvoc_16329.wav ミーシゥカムン ⸢ミーシゥカ⸣ムン [⸢miːsi̥ka⸣muŋ] 他動 目をしかめる(顰める)。「Xicame,uru,eta,シカメ,ムル,メタ(顰め,むる,めた)」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ウ⸢ムッサナーン⸣カー ⸢ミーシゥカ⸣ムン [ʔu⸢mussanaːŋ⸣kaː ⸢miːsi̥ka⸣muŋ] (面白くなかったら目を顰める)。 ウ⸢ク⸣ルカー ⸢ミーシゥカ⸣ミ プ⸢ス⸣ ミルン [ʔu⸢ku⸣rukaː ⸢miːsi̥ka⸣mi pu̥⸢su⸣ miruŋ] (怒ったら目を顰めて人を見る)。 ⸢ワー ミーシゥカ⸣ム フ⸢シヌ⸣ アルンダ ⸢ミーシゥカマン⸣ドーシ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キ [⸢waː miːsi̥ka⸣mu ɸu̥⸢ʃinu⸣ ʔarunda ⸢miːsi̥kaman⸣doːʃi pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢ki] (君は目を顰める癖があるから、目を顰めないで話を聞け) 16330 0 0 16226 htmvoc_16330.wav ミーシキックナー ⸢ミーシキッ⸣クナー [⸢miːʃi̥kik⸣kunaː] 名 にらめっこ(\ruby{睨}{ニラ}めっこ)。子供が睨みあって先に目を閉じたり、笑った者が負けとする遊び。「見詰め・比べ」の義。 ⸢ミーシキックナー⸣ヤ シ⸢ダキ⸣ ミー ⸢フー⸣ プ⸢スル⸣ マ⸢キ⸠ダー [⸢miːʃi̥kikkunaː⸣ja ʃi⸢daki⸣ miː ⸢ɸuː⸣ pu̥⸢suru⸣ ma⸢ki⸠daː] (睨めっこは、先に目を閉じる人が負けだよ) 16315 0 0 16227 htmvoc_16315.wav ミーシキパナシキ ⸢ミー⸣シキパナシキ [⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥ki] 名 かぜ(風邪)。「目付き・鼻付き」の義。風邪の神が目や鼻に取り付いて人間を病気にすると信じられている。 フ⸢ユヌ⸣シチ ⸢ペー⸣ルカー ⸢ミー⸣シキパナシキヌ パ⸢ヤー⸣ルンダ ピ⸢ルバ⸣ ヌ⸢キティ⸣ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ヌビナ パ⸢カソーッ⸣タ [ɸu⸢junu⸣ ʃi̥ʧi ⸢peː⸣rukaː ⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥kinu pa⸢jaː⸣runda pi⸢ruba⸣ nu⸢kiti⸣ ja⸢rabi⸣nu ⸣nubina pḁ⸢kasoːt⸣ta] (冬の季節に入ると風邪<目付き鼻付き>が流行るので\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}を針糸で貫いて子供の首に\ruby{穿}{ハ}かされた) 16316 0 0 16228 htmvoc_16316.wav ミーシキパナシキヌニンガイ ⸢ミー⸣シキパナシキヌ ⸢ニン⸣ガイ [⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥kinu ⸢niŋ⸣gai] 連 風邪を防ぐ祈願。流行病予防の祈願。「目付き鼻付きの祈願」の義。風邪の神が人間の目や鼻に取り付いて風邪が流行ると信じられている。シ⸢マッサ⸣ル[ʃi⸢massa⸣ru](島くさらしの祭)は、この風邪の神を島から追い払い、再侵入を防ぐために村の入り口にシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](左綯いの注連縄)を張り巡らして執り行われる祭りである。 ⸢ミー⸣シキパナシキヌ ⸢ニンガイ⸣ヤー シ⸢マッサ⸣ルナー ⸢ソーッ⸣タ [⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥kinu ⸢niŋgai⸣jaː ʃi⸢massa⸣runaː ⸢soːt⸣ta] (風邪予防の祈願<目付き鼻付きの祈願>はシマッサルの祭りで執り行われた) 16331 0 0 16229 htmvoc_16331.wav ミーシキラリン ⸢ミーシキラ⸣リン [⸢miːʃi̥kira⸣riŋ] 連 狙われる。にらまれる(睨まれる)。「目つけられる」の転訛。⸢ミーシキ⸣ルン[⸢miːʃi̥ki⸣ruŋ](見つめる{EOS}睨む)の未然形に受け身・可能の助動詞リン[riŋ](れる)が付いて形成された受身動詞。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー プ⸢スン ミーシキラ⸣リン⸢ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː pu̥⸢sum miːʃi̥kira⸣rin⸢daː] (悪い事をすると人に睨まれる<目つけられる>よ) 16332 0 0 16230 htmvoc_16332.wav ミーシキル ⸢ミーシキ⸣ル [⸢miːʃi̥ki⸣ru] 名 (動)雌ナマコ(海鼠)。 ⸢ミーシキル⸣ヌ ⸢コー⸣マー ン⸢マーン⸣ツォー [⸢miːʃi̥kiru⸣nu ⸢koː⸣maː ʔm⸢maːn⸣ʦoː] (雌ナマコの卵は美味しいそうだ) 16333 0 0 16231 htmvoc_16333.wav ミーシキルン ⸢ミーシキ⸣ルン [⸢miːʃi̥ki⸣ruŋ] 他動 見詰める。凝視する。にらむ(睨む)。 ウ⸢レー⸣ プ⸢スバ⸣ ナー⸢イ ミーシキ⸣ルンダ ⸢ミーシキララン⸣ヨーニ カ⸢ク⸣リバ [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢suba⸣ naː⸢i miːʃi̥ki⸣runda ⸢miːʃi̥kiraraɲ⸣joːni kḁ⸢ku⸣riba] (彼は人をじっと見詰める<睨む>から、見詰められないように隠れろよ)。 プ⸢ス ミーシキ⸣ル フ⸢シヌ⸣ アルツォー [pu̥⸢su miːʃi̥ki⸣ru ɸu̥⸢ʃinu⸣ ʔaruʦoː] (他人を見詰める癖があるそうだ)。 ⸢ミー⸣シキ ⸢ナー⸣ヌ [⸢miː⸣ʃi̥ki ⸢naː⸣nu] (見詰めてしまった)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ミーシキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢miːʃi̥ki⸣reː ⸣misamunu] (もっと見詰めればいいのに)。 ギーッ⸢ティ ミーシキ⸣リ [giːt⸢ti miːʃi̥ki⸣ri] (きっと見詰めろ<睨め>) 16317 0 0 16232 htmvoc_16317.wav ミーシチカザ ⸢ミーシチ⸣カザ [⸢miːʃi̥ʧi⸣kaʣa] 名 (植)ヒメノアズキ。「雌節蔓<雌せつカズラ>」の義。ビ⸢キシチカザ[bi⸢kiʃi̥ʧikaʣa](カニクサ<雄節かずら>)の対義語。シ⸢チ⸣カザ[ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa]の項目参照 16339 0 0 16233 htmvoc_16339.wav ミーシティルン ⸢ミーシティ⸣ルン [⸢miːʃi̥ti⸣ruŋ] 他動 見捨てる。 パ⸢タラキユーサンバ⸣ティ ⸢シー ミーシティ⸣ルンティ ア⸢ズヌ ワー ミーシティラン⸣ドーシ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オーシリ [pḁ⸢tarakijuːsamba⸣ti ⸢ʃiː miːʃi̥ti⸣runti ʔa⸢ʣunu waː miːʃi̥tiran⸣doːʃi sï̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːʃiri] (働けないかといって見捨てるというが、君は見捨てないで養って差し上げなさい)。 ⸢ミー⸣シティ ⸣ミサカー ⸢ミーシティ⸣ルクトー ⸣ナルン [⸢miː⸣ʃi̥ti ⸣misakaː ⸢miːʃi̥ti⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (見捨ててよければ、見捨てることはできる)。 ア⸣イブー ⸣ムノー ⸢ミーシティ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʔaibuː ⸣munoː ⸢miːʃi̥ti⸣reː ⸣misamunu] (あんなものは見捨てればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ミーシティ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢miːʃi̥ti⸣ri] (早く見捨てろ) 16340 0 0 16234 htmvoc_16340.wav ミーシトゥン ⸢ミー⸣シトゥン [⸢miː⸣ʃi̥tuŋ] 他動 見捨てる。顧みない。「見・捨つ<下二段。~命も須底弖<ステテ>~。万、4211>」の四段活用化したもの。 ⸢ミー⸣シトゥンティ ⸣クトー ス⸢ナ ミーシタン⸣ドーシ ⸢ミン⸣ドー ⸣ミリバ [⸢miː⸣ʃi̥tunti ⸣ku̥toː su⸢na miːʃi̥tan⸣doːʃi ⸢min⸣doː ⸣miriba] (見捨てるということはするな{EOS}見捨てないで面倒を見なさいよ)。 キサー⸢ティ ミー⸣シティ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti miː⸣ʃi̥ti ⸢naː⸣nu] (既に見捨ててしまった)。 ⸢ミー⸣シトゥ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miː⸣ʃi̥tu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (見捨てることは出来ない)。 ⸢ミー⸣シテー ⸣ミサムヌ [⸢miː⸣ʃi̥teː ⸣misamunu] (見捨てればいいのに)。 ⸢ミー⸣シティ [⸢miː⸣ʃi̥ti] (見捨てろ) 16318 0 0 16235 htmvoc_16318.wav ミージナ ⸢ミー⸣ジナ [⸢miː⸣ʤina] 名 女綱。豊年祭の綱引きに用いる女綱(西村の綱)。ビ⸢キジナ[bi⸢kiʤina](雄綱{EOS}東村の綱)の対義語。綱引きには女綱の頭部の大きな輪の中に雄綱の頭部の輪を入れて、かんぬき(閂)の棒を差し込んでから綱引きをした。それまでの儀式が、シ⸢ナヌ⸣ミン[ʃi⸢nanu⸣miŋ]である。 ⸢ミージナ⸣ヌ ⸢ウイ⸣ナ ビ⸢キジナバ ヌーシティル⸣ カ⸢ヌチボーヤ⸣ ヌ⸢コーッ⸣タ⸢ナー [⸢miːʤina⸣nu ⸢ʔui⸣na bi⸢kiʤinaba nuːʃitiru⸣ ka⸢nuʧiboːja⸣ nu⸢koːt⸣ta⸢naː] (雌綱の上に雄綱を乗せて<ぞ>閂棒は貫き通されたんだよね) 16319 0 0 16236 htmvoc_16319.wav ミーシリパナシリ ⸢ミー⸣シリ パ⸢ナシリ [⸢miː⸣ʃiri pa⸢naʃiri] 連 目も鼻も涙にぬれて。悲嘆に暮れて泣くさま。「目擦り鼻擦りして」の義。⸢ミー⸣ッシパ⸢ナ⸣ッシ[⸢miː⸣ʃʃi pa⸢na⸣ʃʃi](目擦り鼻擦り)ともいう。 ⸢ミー⸣シリ パ⸢ナシリ シー⸣ ナ⸢キベー [⸢miː⸣ʃiri pa⸢naʃiri ʃiː⸣ na⸢ki beː] (悲嘆に暮れて<目擦り鼻擦りして、涙に濡れて>泣いている) 16341 0 0 16237 htmvoc_16341.wav ミージル ⸢ミー⸣ジル [⸢miː⸣ʤiru] 名 めづる(牝弦)。三線の弦の一番細いもの。 ⸢ワー サンシンマー ミー⸣ジロー ⸢マー⸣ビン シ⸢ミ⸣リ [⸢waː saŋʃimmaː miː⸣ʤiroː ⸢maː⸣biŋ ʃi⸢mi⸣ri] (君の三線は、牝弦をもっと強く締めなさい) 16342 0 0 16238 htmvoc_16342.wav ミース ⸢ミー⸣ス [⸢miː⸣su] 名 味噌。調味料の一つ。⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米の味噌)、⸢ムン⸣ヌ⸢ミー⸣ス[⸢mun⸣nu ⸢miː⸣su](麦の味噌)、⸢アー⸣ヌ ⸢ミー⸣ス[⸢ʔaː⸣nu ⸢miː⸣su](粟の味噌)、⸢ウン⸣ヌ ⸢ミー⸣ス[⸢ʔun⸣nu ⸢miː⸣su](芋の味噌)などがあった。サ⸢ク⸣マイ[sḁ⸢ku⸣mai](粳米)を一晩水に浸け、ふやかした後に水をきって、⸢クシ⸣キ[⸢kuʃi̥⸣ki](蒸し器、\ruby{蒸篭}{セイ|ロウ}{EOS}⸢甑、古之岐<こしき>、炊飯器也」『和名抄』)で蒸して煮る。それをニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku](\ruby{稲掃}{イナ|バ}き\ruby{筵}{ムシロ})や筵に4~5日ねかして\ruby{醗酵}{ハッ|コウ}させ、\ruby{黄麹}{キ|コウジ}を作る。大豆をよく煮て半つぶし状に搗き、麹と塩を混ぜて\ruby{蹂}{モ}み合わせて\ruby{甕}{カメ}につめ、酒を少量振りかけて蓋をする。その上にウ⸢スイフタ[ʔu⸢suiɸu̥ta](\ruby{被}{カブ}せ蓋)、⸢\ruby{覆}{オオ}い蓋」の義でビ⸢ローサン⸣パー[bi⸢roːsam⸣paː]<クワズイモの葉>などで覆うものを藁などで\ruby{縛}{シバ}っておき、約3週間ほどねかせておくと美味しい味噌が仕上がるという。 ⸢ミー⸣ス イ⸢ラン⸣カー ⸢スー⸣ヤ ン⸢マーナー⸣ヌ [⸢miː⸣su ʔi⸢raŋ⸣kaː ⸢suː⸣ja ʔm⸢maːnaː⸣nu] (味噌を入れないとお汁は美味しくない) 16343 0 0 16239 htmvoc_16343.wav ミースー ⸢ミースー [⸢miːsuː] 名 寿命。天命。運命。「\ruby{命終}{ミョウ|ジュウ}」の転訛したものか。 ⸢ミースーヌ⸣ クーンケンマー ⸢ノーン⸣シタンティン イ⸢キバ⸣ル<⸣ヌチ⸢ムイバ⸣ル> ⸣ナル [⸢miːsuːnu⸣ kuːŋkemmaː ⸢noːŋ⸣ʃi̥tantiŋ ʔi⸢kiba⸣ru<⸣nuʧi⸢muiba⸣ru> ⸣naru] (寿命が尽きる<来る>までは、何としても生きなければならない<生きればこそなる>) 16345 0 0 16240 htmvoc_16345.wav ミースーラスン ミー ⸢スーラ⸣スン [⸢miː suːra⸣suŋ] 連 目を覚ます。眠気を覚ます。 ⸢パー⸣ク ウ⸢ム⸣ティ ⸣シミティ ⸢ミー スーラ⸣シ⸣クーバ<⸣ミー ⸢スー⸣ラシ⸣クーバ> [⸢paː⸣ku ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimiti ⸢miː suːra⸣ʃi ⸣kuːba<⸣miː ⸢suː⸣raʃi⸣kuːba>] (早く顔を洗って目を覚まして<眠気を覚まして>来いよ)。 ⸢ミー スーラ⸣スン<⸣ミー ⸢スーラ⸣スン> [⸢miː suːra⸣suŋ<⸣miː ⸢suːra⸣suŋ>] (目を覚ます)。 ⸢ミー スーラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ<⸣ミー ⸢スーラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ> [⸢miː suːra⸣ʃi ⸢naː⸣nu<⸣miː ⸢suːra⸣ʃi ⸢naː⸣nu>] (目を覚ましてしまった<眠気を覚ませてしまった>) 16346 0 0 16241 htmvoc_16346.wav ミースーリルン ⸢ミースーリ⸣ルン [miː⸢suːri⸣ruŋ] 連 目が覚める。⸢ミー スーリ⸣ルン[⸢miː suːri⸣ruŋ]と同じ。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サ カ⸢タサー⸣ ヌムカー ⸢ミースーリ⸣ルン⸢ダー [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣sa kḁ⸢tasaː⸣ numukaː ⸢miːsuːri⸣run⸢daː] (朝早く濃茶を飲むと目が覚めるよ) 16347 0 0 16242 htmvoc_16347.wav ミースールン ⸢ミースー⸣ルン [⸢miːsuː⸣ruŋ] 自動 目が覚める。⸣ミー ⸢スー⸣ルンとも言う。 ウ⸢ム⸣ティ ⸣シムカー ⸢ミースー⸣ルン [ʔu⸢mu⸣ti ⸣ʃimukaː ⸢miːsuː⸣ruŋ] (顔を洗うと目が覚める)。 マ⸢ダ ミースーラ⸣ヌ [ma⸢da miːsuːra⸣nu] (まだ目が覚めない)。 ⸢ミースーリ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢miːsuːri⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (目覚めが早い)。 ⸢ミースー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːsuː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (目が覚めることはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ミースー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢miːsuː⸣reː ⸣misamunu] (早く目が覚めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ミースー⸣リ [⸢paː⸣ku ⸢miːsuː⸣ri] (早く目覚めよ) 16344 0 0 16243 htmvoc_16344.wav ミーズーワン ⸢ミーズー⸣ワン [⸢miːʣuː⸣waŋ] 形 目が強い。視力が強い。「遠くのものをよく見分けることができる」、⸢遠くにいるカツオ鳥の群れをよく見つけることが出来る」の意味に漁師達が使用していた。 ウ⸢レー ミーズー⸣ワンダ ⸣ユー トゥ⸢ルマキ ミス⸣クン [ʔu⸢reː miːʣuː⸣wanda ⸣juː tu⸢rumaki misu̥⸣kuŋ] (彼は視力が強いから、よくカツオ鳥の群れ<鳥巻き>を発見する)。 ⸢ミーズー⸣ワー ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːʣuː⸣waː ⸢naː⸣nu] (視力が強くない)。⸢クース ッふー⸣カー ⸢ミーズー⸣ワ ⸣ナルン[⸢kuːsu ffuː⸣kaː ⸢miːʣuː⸣wa ⸣naruŋ](トウガラシを食べると目が強くなる)という。 ウ⸢リヌ⸣ スク ⸢ミーズー⸣ワ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢rinu⸣ su̥ku ⸢miːʣuː⸣wa pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼ほど目の強い<視力の強い>人はいない) 16348 0 0 16244 htmvoc_16348.wav ミースカミ ⸢ミー⸣スカミ [⸢miː⸣sukami] 名 味噌がめ。口の小さいのが特徴。高さ約30センチの子型の瓶。子供が手を入れると瓶の口に挟まれるといって親に\ruby{戒}{イマシ}められた。 ⸢ミー⸣スカメーラ ⸢マイヌミー⸣ス ス⸢クイ⸣キー ⸢サー⸣フキ ⸢サン⸣ノーレー [⸢miː⸣sukmeːra ⸢mainumiː⸣su su̥⸢kui⸣kiː ⸢saː⸣ɸu̥ki ⸢san⸣noːreː] (味噌瓶から米味噌を掬ってきて茶請けにしなさいよ<茶請けにしないかね>) 16349 0 0 16245 htmvoc_16349.wav ミースカミヌバン ⸢ミー⸣スカミヌ ⸣バン [⸢miː⸣sukaminu ⸣baŋ] 連 行かず後家。「味噌瓶の番人」の義。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢マイフナー⸣ マ⸢ラン⸣カー ⸢ミー⸣スカミヌバン ナルン⸢ダー [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢maifunaː⸣ ma⸢raŋ⸣kaː ⸢miː⸣sukaminuban narun⸢daː] (女の子は賢く成長しないと行かず後家<味噌瓶の番人>になるぞ)。父母が娘に対して教え諭すことば 16338 0 0 16246 htmvoc_16338.wav ミースクン ⸢ミー⸣スクン [⸢miː⸣su̥kuŋ] 他動 見詰める。凝視する。注視する。\ruby{睨}{ニラ}む。「みつむ<下二段>」の四段活用化したもの。 イ⸢ズ⸣ プ⸢スヨー ミースクン⸣ドゥ イ⸢ザン⸣カー ⸢ミーシゥカ⸣ヌ [ʔi⸢ʣu⸣ pu̥⸢sujoː miːsu̥kun⸣du ʔi⸢ʣaŋ⸣kaː ⸢miːsï̥ka⸣nu] (叱る人を睨む<見詰める>が、叱らなければ睨ま<見詰め>ない)。 ⸢ミー⸣シキ ッ⸢ふィールン [⸢miː⸣ʃi̥ki f⸢fiːruŋ] (注視してくれる)。 ⸢ミー⸣スク ⸣プソー ウ⸢ダラカ⸣スンケン ⸢ミー⸣シケー ⸣ミサムヌ [⸢miː⸣su̥ku ⸣pu̥soː ʔu⸢daraka⸣suŋkem ⸢miː⸣ʃi̥keː ⸣misamunu] (睨む時は、相手を驚かすほど睨めばいいのに)。 ⸢ミー⸣シキ [⸢miː⸣ʃi̥ki] (睨め) 16350 0 0 16247 htmvoc_16350.wav ミースシキ ⸢ミー⸣スシキ [⸢miː⸣suʃi̥ki] 名 味噌造り。味噌製造。「味噌搗き」の義。味噌造りは、米麹に塩とヌ⸢キ[nu⸢ki](補助材料)として煮た大豆を混ぜ、臼に入れて搗いた後、瓶に入れて密封し、十分に醗酵させて造った。その製造過程の「搗き混ぜる」ことから「味噌搗き」という 16351 0 0 16248 htmvoc_16351.wav ミースジル ⸢ミース⸣ジル [⸢miːsu⸣ʤiru] 名 味噌汁。⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)等で調味したお汁。精進料理のように、あっさりした料理を象徴する。魚や肉などが無い時につくるお汁のこと。カ⸢ティ⸣ムヌ[kḁ⸢ti⸣munu](副食物{EOS}魚類や肉類など、かてて食べる食品)が無い時に作る。 ノー⸢ン ナーヌ⸣ヌ ⸢ミース⸣ジローンツァン バ⸢カシ⸣ ッ⸢ふァイバル⸣ ナル [noː⸢n naːnu⸣nu ⸢miːsu⸣ʤiroːnʦam ba⸢kaʃi⸣ f⸢faibaru⸣ naru] (何も無いが、味噌汁でも炊いて食べないといけない) 16352 0 0 16249 htmvoc_16352.wav ミースビ ⸢ミー⸣スビ [⸢miː⸣subi] 名 (動)魚の名。和名、メバチ(体長約2メートル)。鳩間島では、イカ釣り漁の時期に、イカの生餌で釣り上げていた 16353 0 0 16250 htmvoc_16353.wav ミーソー ⸢ミー⸣ソー [⸢miː⸣soː] 名 記憶力。もの覚え。見たものを忘れないで持続する力。⸢目の性(根性)」の義。⸢ミー⸣ヌ ⸢ソー[⸢miː⸣nu ⸢soː](記憶力<目の性>)ともいう。 イッ⸢ケナ ミーヌソー⸣ヤ ア⸢リ⸣ブーバン [ʔik⸢kena miːnusoː⸣ja ʔa⸢ri⸣buːbaŋ] (非常に記憶力はあるわい)。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ミーヌソー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ⸢miːnusoː⸣nu ⸢naːn⸣nari ⸢naː⸣nu] (年を取ったので記憶力がなくなってしまった) 16335 0 0 16251 htmvoc_16335.wav ミーソーガキ ⸢ミーソーガキ [⸢miːsoːgaki] 名 藁縄などを三本縒り合わせ(掛け合わせ)て作る太い縄。船のアンカーロープを作ったり、綱引きの綱を作る際に綱を縒り合わせた。片方には三本の縄を結わえるハンドルを固定した木枠に装着し、反対側には三本の縄を一本にまとめてハンドルに結わえ、それに三つ又を当てて可動式の木枠に装着し、それぞれ右回りに回転させて\ruby{縒}{ヨ}り合わせること。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸢アン⸣カージナー ⸢フー⸣カラジナバ ⸢ミーソーガキ⸣ シ⸢ティル⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [ɸu⸢ni⸣nu ⸢ʔaŋ⸣kaːʤinaː ⸢ɸuː⸣karaʤinaba ⸢miːsoːgaki⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (船のアンカーロープは、くろつぐ<桄榔>の繊維で綯った綱を三本縒り合わせて作られた)。 ⸣ゾーナーティ ⸢フー⸣カラジナバ ⸢ミーソーガキ⸣ シ⸢ティル⸣ フ⸢ニ⸣ヌ ⸢アン⸣カージナン ⸢ロッ⸣プン ス⸢ク⸣ルタ⸢ダー [⸣ʣoːnaːti ⸢ɸuː⸣karaʤinaba ⸢miːsoːgaki⸣ ʃi̥⸢tiru⸣ ɸu⸢ni⸣nu ⸢ʔaŋ⸣kaːʤinan ⸢rop⸣pun su̥⸢kuru⸣ta⸢daː] (庭で棕櫚縄を三本縒り合わせをして船のアンカー綱もロープも作ったのだよ) 16334 0 0 16252 htmvoc_16334.wav ミーソアブジテー ⸢ミー⸣ソアブジテー [⸢miː⸣soʔabuʤiteː] 名 屋号。小浜清二郎氏宅。⸢ウイカナケー[⸢ʔuikanakeː](浦崎家)の東隣にあった 16355 0 0 16253 htmvoc_16355.wav ミータティルン ⸢ミータティ⸣ルン [⸢miːtati⸣ruŋ] 他動 見立てる。見て選び定める。良いものを選定する。 ク⸢ヌ キン⸣マー ⸣ドゥ―シ ⸢ミー⸣タティ ⸢カイヤー⸣ムヌ [ku⸢nu kim⸣maː ⸣duːʃi ⸢miː⸣tati ⸢kaijaː⸣ munu] (この着物は自分で見立てて買ったものだ)。 ⸣ドゥーシ ⸢ミータティ⸣ルンティ ⸢スンドゥ バン⸣マー ⸢ミータティララ⸣ヌ [⸣duːʃi ⸢miːtati⸣runti ⸢sundu bam⸣maː ⸢miːtatirara⸣nu] (自分で見立てようとするが、私には見立てられない)。 ⸣ドゥ―シ ⸢ミータティ⸣ル ⸣クトゥ [⸣duːʃi ⸢miːtati⸣ru ⸣ku̥tu] (自分で見立てることだ)。 ⸣ドゥ―シ ⸢ミータティ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸢miːtati⸣reː ⸣misamunu] (自分で見立てればいいのに)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣キン ⸢パー⸣ク ⸢ミータティ⸣リ [⸢duː⸣nu ⸣kim ⸢paː⸣ku ⸢miːtati⸣ri] (自分の着物を早く見立てろ) 16356 0 0 16254 htmvoc_16356.wav ミータブル ⸢ミータブル [⸢miːtaburu] 名 三束。 バ⸢ラフ⸣タシラーラ バ⸢ラフ⸣タ ⸢ミータブル⸣ ヌイクーバ [ba⸢raɸu̥⸣taʃiraːra ba⸢raɸu̥⸣ta ⸢miːtaburu⸣ nuikuːba] (藁のシラ<\ruby{稲叢}{イナ|ムラ}>から藁を三束引き抜いて来いよ) 16357 0 0 16255 htmvoc_16357.wav ミーダラスン ⸢ミーダラ⸣スン [⸢miːdara⸣suŋ] 他動 目を疲れさせる。眠たくさせる。「め・だらす(目・疲らす<倦{EOS}ダル、ウム{EOS}『文明本節用集』>)」の転訛したものか。 ⸢ミーコー⸣リ ニ⸢バランベー⸣ティ ⸢ミーダラ⸣スンティ ⸢ホン⸣ ユミ ⸢ベー⸣ンドゥ ムッ⸢トゥ ミーダラサラ⸣ヌ [⸢miːkoː⸣ri ni⸢barambeː⸣ti ⸢miːdara⸣sunti ⸢hoɲ⸣ jumi ⸢beː⸣ndu mut⸢tu miːdarasara⸣nu] (目が冴えて眠られないので、目を疲れ<眠たく>させようと本を読んでいるが、ちっとも目を疲れさせ<眠たくさせ>られない)。 ⸢ミーダラ⸣シティ ニ⸢ビ⸣バ [⸢miːdara⸣ʃi̥ti ni⸢bi⸣ba] (目を疲れさせて寝なさいよ)。 ⸢ヌー⸣ サバル ⸢ミーダラ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルカヤー [⸢nuː⸣ sabaru ⸢miːdara⸣su ⸣ku̥toː ⸣narukajaː] (どうすれば<ぞ>目を疲れさせることが出来るのかねえ)。 ⸢パー⸣ク ⸢ミーダラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢miːdara⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く目を疲れ<眠たく>させればいいのに)。 サ⸢キ⸣ ヌミティ ⸢ミーダラ⸣シ [sḁ⸢ki⸣ numiti ⸢miːdara⸣ʃi] (酒を飲んで目を疲れ<眠たく>させなさい) 16359 0 0 16256 htmvoc_16359.wav ミーダリルン ⸣ミー ダ⸢リ⸣ルン [⸣miː da⸢ri⸣ruŋ] 連 目が疲れて眠くなる。眠気をもよおす。睡魔におそわれる。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ミー⸣ヤ ⸣ダリティ ⸣メー ⸣キモー ⸢ターリ ベー [ja⸢ra⸣beː ⸢miː⸣ja ⸣dariti ⸣kimoː ⸢taːri beː] (子供は目が疲れて眠くなり、もうすっかり心は熟睡している) 16358 0 0 16257 htmvoc_16358.wav ミーダルパナダルシ ⸢ミーダルパナ⸣ダルシ [⸢miːdarupana⸣daruʃi] 副 目から涙を流し、鼻からは鼻水を流して泣くさま。激しく泣くさま。 ⸢ミーダルパナ⸣ダルシ ナ⸢ケー⸣ティ パ⸢ナ⸣ソーッタ [⸢miːdarupana⸣daruʃi na⸢keː⸣ti pa⸢na⸣soːtta] (目から涙を流し、鼻から鼻水を流して泣きながら話された) 16360 0 0 16258 htmvoc_16360.wav ミータング ⸢ミータング [⸢miːtaŋgu] 名 水桶三個。三たご(担桶)。水桶三個分の水。水桶一個は、カ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手)といい、二個でプ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](一担ぎ)という。 ⸢ミータンゴー⸣ プ⸢スカタミ⸣トゥ カ⸢タ⸣ティー ⸣ナルシジ [⸢miːtaŋgoː⸣ pu̥⸢sukatami⸣tu kḁ⸢ta⸣tiː ⸣naruʃiʤi] (水桶三個は一担ぎと片手になるわけだ) 16361 0 1 16259 htmvoc_16361.wav ミーダング ⸢ミーダング [⸢miːdaŋgu] 名 鱶釣り用の三種の釣り縄の義で、次の三種がある。{Mn_1}ク⸢ビラー⸣ナー[ku⸢biraː⸣naː](イカ釣り漁で、イカを餌にしてカ⸢ジ⸣キ{SqBr}ka⸢ʤi⸣ki{/SqBr}やヒ⸢ラ⸣クサー{SqBr}çi⸢ra⸣kusaː{/SqBr}、サ⸢バ{SqBr}sa⸢ba{/SqBr}等を釣るのに用いる縄)。 16361 0 2 16260 htmvoc_16361.wav ミーダング ⸢ミーダング [⸢miːdaŋgu] 名 {Mn_2}ク⸢グサイ⸣ナー[ku⸢gusai⸣naː](小型の魚を狙って釣るのに用いる縄)、ナ⸢カダン⸣グ[na⸢kadaŋ⸣gu](中道具)ともいう。 16361 0 3 16261 htmvoc_16361.wav ミーダング ⸢ミーダング [⸢miːdaŋgu] 名 {Mn_3}⸢サバナー[sa⸢banaː](鱶釣り専用の縄{EOS}釣り針も大きい)。鱶は⸣ドゥームンダニ[⸣duːmundani](同種の魚の肉で同種の魚の餌にすること)でも釣れる。従って、一度釣れている小型の鱶を他の大型の鱶が喰いついて、同じ釣り針で二匹の鱶が釣れることがあるという(加治工伊佐氏談) 16366 0 0 16262 htmvoc_16366.wav ミーチ ⸢ミーチ [⸢miːʧi] 名 (数)三つ。三個。三歳。 ⸢ミーチナー⸣ トゥリバ [⸢miːʧinaː⸣ turiba] (三つ<三個>ずつ取りなさい)。 ⸣トゥシェー ⸢ミーチ⸣ ナルン [⸣tu̥ʃeː ⸢miːʧi⸣ naruŋ] (年は三歳になる)。助数詞を伴う場合、⸢ミームトゥ[⸢miːmutu](三本)、⸢ミーカ[⸢miːka](三日)、⸢ミーティ[⸢miːti](三年)、⸢ミームシ[⸢miːmuʃi](三度{EOS}三回)、ミ⸢ツァール[mi⸢ʦaːru](三人)などのようになる 16336 0 0 16263 htmvoc_16336.wav ミーチヌピーチ ⸢ミーチヌ ピー⸣チ [⸢miːʧinu piː⸣ʧi] 連 三分の一。三つに分けたうちの一つ。⸢三つの一つ」の義。 ム⸢チェー ミーチヌ ピーチ⸣ナー ⸣バキティ ッ⸢ふァイ⸣バ [mu⸢ʧeː miːʧinu piːʧi⸣naː ⸣bakiti f⸢fai⸣ba] (餅は三分の一ずつ分けて食べなさい) 16288 0 1 16264 htmvoc_16288.wav ミーッサーラ ⸢ミーッサー⸣ラ [⸢miːssaː⸣ra] 名 {Mn_1}目下。年齢や地位が自分より下の者。 ⸣ヌンティ ⸢ミーッサーラ⸣ヌ<トゥ⸢シッサーラ⸣ス> プ⸢ス⸣ニ フ⸢カーフカー⸣ グリー ⸢ソー⸣ルカヤー [⸣nunti ⸢miːssaːra⸣nu pu̥⸢su⸣ni ɸu̥⸢kaːɸu̥kaː⸣ guriː ⸢soː⸣rukajaː] (どうして年下の人に深々とお辞儀をされるのかねえ)。 16288 0 2 16265 htmvoc_16288.wav ミーッサーラ ⸢ミーッサー⸣ラ [⸢miːssaː⸣ra] 名 {Mn_2}未成年。目より下の身長。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ミーッサー⸣ラ ⸣アルンケンドゥ ⸢ティー⸣カキ ナ⸢ラーサ⸣リ⸢ダー [ja⸢ra⸣beː ⸢miːssaː⸣ra ⸣ʔaruŋkendu ⸢tiː⸣kaki na⸢raːsa⸣ri⸢daː] (子供は、背丈が自分の目より下にある間しか手をかけて教え、躾けることは出来ないよ) 16363 0 1 16266 htmvoc_16363.wav ミーッサーリムヌ ⸢ミーッサーリ⸣ムヌ [⸢miːssaːri⸣munu] 名 {Mn_1}目の塞がった人。目の見えない人。 ⸢ミーッサーリ⸣ムヌ ⸣ナリティ ノー⸢ン シーユーサヌ [⸢miːssaːri⸣munu ⸣nariti noː⸢ŋ ʃiːjuːasanu] (目の見えない人になって、何も出来ない)。 16363 0 2 16267 htmvoc_16363.wav ミーッサーリムヌ ⸢ミーッサーリ⸣ムヌ [⸢miːssaːri⸣munu] 名 {Mn_2}穴の塞がったもの。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢ノー⸣ヤ ⸢ミーッサーリ⸣ムヌ ⸣ナリティ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢noː⸣ja ⸢miːssaːri⸣munu ⸣nariti sï̥⸢kaːranu] (このふるい<\ruby{篩}{フルイ}{EOS}\ruby{水嚢}{スイ|ノウ}>は目が詰まって<目詰まり物になって>使えない) 16337 0 0 16268 htmvoc_16337.wav ミーッサールン ⸣ミー ッ⸢サールン [⸣miː s⸢saːruŋ] 連 目をつぶ(瞑)る。目をつむる。「目閉じる」の義。 ⸣ミー ッ⸢サールンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸣ミー ッ⸢サーリ マー⸣キ ⸢ベーン⸣ケンマー ミ⸢ツム⸣ヌ  ⸣ミーナ ⸢ペー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣miː s⸢saːrunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ⸣miː s⸢saːri maː⸣ki ⸢beːm⸣kemmaː mi⸢ʦumu⸣nu ⸣miːna ⸢peː⸣ri ⸢naː⸣nu] (目を\ruby{瞑}{ツブ}ろうと思ったが、目を瞑りかねているうちに、ごみ<塵>が目に入ってしまった)。 ⸣ミー ッ⸢サーリ⸣ミー [⸣miː s⸢saːri⸣miː] (目を瞑ってごらん)。目をつぶる(\ruby{瞑}{ツブ}る)。目を閉じる。 イ⸢ノンヌ⸣ トゥ⸢ビ⸣ クーカー ⸣ミー ッ⸢サールン [ʔi⸢nonnu⸣ tu⸢bi⸣ kuːkaː ⸣miː s⸢saːruŋ] (砂が飛んでくると目を瞑る)。 ナ⸢ガラク⸣ シゥ⸢カウ⸣カー ⸢ナンク⸣ル ⸣ミー ッ⸢サールン [na⸢garaku⸣ sï̥⸢kau⸣kaː ⸢naŋku⸣ru ⸣miː s⸢saːruŋ] (長らく酷使する<あまり使う>と自ずと目が\ruby{塞}{フサ}がる) 16365 0 0 16269 htmvoc_16365.wav ミーッサヌ ⸢ミーッサ⸣ヌ [⸢miːssa⸣nu] 連 見知らぬ。思い出せない。⸢ミーッ⸣スン[⸢miːs⸣suŋ](見知る)の未然形。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン ⸣ミリティ ウ⸢ヌッキリ⸣ ミリ ミ⸢ラン⸣ダー ⸢ター⸣ティ ムッ⸢トゥ ミーッサラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kem ⸣miriti ʔu⸢nukkiri⸣ miri mi⸢ran⸣daː ⸢taː⸣ti mut⸢tu miːssara⸣nu] (子供の頃に見て、それっきり見たことがないので、どこの誰だか、ちっとも思い出せない<見知らない>) 16320 0 0 16270 htmvoc_16320.wav ミーッスン ⸢ミーッ⸣スン [⸢miːs⸣suŋ] 他動 見知る。見覚える。人見知りをする。「見知る」の転訛。 マ⸢リティ ミーシキ⸣ ナルカー ッ⸢ふァー⸣ ウヤ ⸢ミーッ⸣スンティ ス⸢ヌ⸣ ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢ダ ミーッサン⸣バン [ma⸢riti miːʃi̥ki⸣ narukaː f⸢faː⸣ ʔuja ⸢miː⸣ssunti su⸢nu⸣ ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ma⸢da missam⸣baŋ] (生まれて三月になると、乳児は親を見覚える<見知る>というが、この子はまだ見覚えない<見知らない>)。 ⸢ミーッシ パヤー⸣ン [⸢miːʃʃi pajaː⸣ŋ] (見覚えるのが<見知り>早い)。 プ⸢ス ミーッ⸣ス ッ⸢ふァー⸣ ス⸢ブ⸣ロー カ⸢チ⸣ムヌティ⸢ダー [pu̥⸢su miːs⸣su f⸢faː⸣ su⸢bu⸣roː kḁ⸢ʧi⸣munuti⸢daː] (人見知りをする子は頭が優れているそうだよ)。 ⸢ミーッ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢miʃ⸣ʃeː ⸣misamunu] (人見知りをすればいいのに)。 ウ⸢トゥ⸣ザ⸢ダー ミーッ⸣シ ⸢ヨー [ʔu⸢tu⸣ʣa⸢daː miːʃ⸣ʃi⸢joː] (親戚だよ{EOS}見覚えなさいよ<見知れよ>)。 ⸢ミーッサラン⸣ スコー フ⸢ドゥビ ベー [⸢miːssaran⸣ sukoː ɸu⸢dubi beː] (見違えるほど成長している) 16321 0 0 16271 htmvoc_16321.wav ミーッスン ⸢ミーッ⸣スン [⸢miːs⸣suŋ] 連 目をこする(\ruby{擦}{コス}る)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ミーナ ミ⸢ツム⸣ヌ ⸢ペー⸣ルカー ⸢ビー⸣ワティ ⸣ミー⸣ッスンダ ⸣ミーッ⸢サス⸣ナ⸢ヨー [ja⸢ra⸣beː ⸣miːna mi⸢ʦumu⸣nu ⸢peː⸣rukaː ⸢biː⸣wati ⸣miː⸣ssunda ⸣miːs⸢sasu⸣na⸢joː] (子供は目にごみ<塵>が入ると、痒いので目を\ruby{擦}{コス}るから、目を擦らせるなよ) 16362 0 1 16272 htmvoc_16362.wav ミーッスン ⸢ミー⸣ッスン [⸢miː⸣ssuŋ] 他動 {Mn_1}見知る。見覚える。顔を記憶する。 ⸢ミーッサラン⸣スコー フ⸢ドゥビティ タール⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ア⸢ティンガーラヌ [⸢miːssaran⸣su̥koː ɸu⸢dubiti taːru⸣ ja⸢ru⸣juː ʔa⸢tiŋgaːranu] (見覚えが無いほどに成長して、誰であるのか見当がつかない)。 ⸣アイニ ⸢アッ⸣タニ フ⸢ドゥブ⸣カー ⸢ミーッ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢ʔat⸣tani ɸu⸢dubu⸣kaː ⸢miːs⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (あんなに急に成長すると見知る<顔を記憶する{EOS}思い出す>ことはできないよ)。 ⸢ベー⸣ ウ⸢トゥ⸣ザ ヤ⸢ルンダ ミー⸣ッシ ⸢ダー [⸢beː⸣ ʔu⸢tu⸣ʣa ja⸢runda miː⸣ʃʃi⸢daː] (我々は親戚だから見覚えなさいよ)。 16362 0 2 16273 htmvoc_16362.wav ミーッスン ⸢ミー⸣ッスン [⸢miː⸣ssuŋ] 他動 {Mn_2}人見知りをする。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ミーシケーラ⸣ ウヤ ⸢ミーッ⸣スンダ ⸢ミー⸣ッシェーラー プ⸢スン⸣ ダ⸢カラヌ [ja⸢ra⸣beː ⸢miːʃi̥keːra⸣ ʔuja ⸢miː⸣ssunda ⸢miː⸣ʃʃeːraː pu̥⸢sun⸣ da⸢karanu] (子供は三ヶ月から親を見知るから、人見知りをしたら他人に抱かれない)。 キサー⸢ティ ミーッシ⸣ ブー [ki̥saː⸢ti miːʃʃi⸣ buː] (既に人見知りをしている) 16367 0 0 16274 htmvoc_16367.wav ミーティ ⸢ミーティ [⸢miːti] 名 (数)三年。再来年。 ⸣エン ⸢ミーティ スー⸣カー ⸢ガッ⸣コー ン⸢ジ⸣ルン⸢ダー [⸣ʔjem ⸢miːti suː⸣kaː ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʤi⸣run⸢daː] (来年、再来年になったら<したら>学校に入学するよ)。 ⸣アッパー ⸢マーラシティ ミーティ⸣ ナ⸢リ⸣スバン⸢ナー [⸣ʔappaː ⸢maːraʃi̥ti miːti⸣ na⸢ri⸣suban⸢naː] (お祖母さんが亡くなって三年になるんだ<わい>ねえ)。(数)三年。 ⸢マー ミー⸣ティ ⸢スー⸣カー ⸢ガッ⸣コー ン⸢ジ⸣ルン [⸢maː miː⸣ti ⸢suː⸣ka ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (再来年には<もう三年したら>学校に入学する)。 ⸢ウンラー⸣ メー ⸢ミーティ⸣ ナ⸢リ⸣スバン [⸢ʔunraː⸣ meː ⸢miːti⸣ na⸢ri⸣subaŋ] (あれ<その時>から、もう三年にもなるわい) 16368 0 0 16275 htmvoc_16368.wav ミーティナティ ⸢ミーティナ⸣ティ [⸢miːtina⸣ti] 名 一昨年。おととし。⸣クズ[⸣kuʣu](こぞ)の前年。⸢ナ⸣ティ[⸢na⸣ti]は過去の年数や日時を表す接辞。「~成りて」の転訛したものか。 ウ⸢レー ミーティナ⸣ティ シ⸢チギョー シェー⸣ン [ʔu⸢reː miːtina⸣ti ʃi̥⸢ʧigjoː ʃeː⸣ŋ] (彼<それ>は一昨年卒業した)。 ⸢ユーティナ⸣ティ [⸢juːtina⸣ti] (四年前)。 ⸢ユーカナ⸣ティ [⸢juːkana⸣ti] (四日前)。 ⸢ミーカナ⸣ティ [⸢miːkana⸣ti] (三日前)。 ⸢ミーティナティ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣バ ウ⸢ムイザ⸣スン [⸢miːtinati⸣nu ku̥⸢tu⸣ba ʔu⸢muiʣa⸣suŋ] (三年前のことを思い出す)。 ⸢ミーティナ⸣テーラ ⸢ヤースクリ⸣ヌ ス⸢コール シー⸣ ヤ⸢マ⸣フミン ⸢シー⸣ シケーン⸢ダー [⸢miːtina⸣teːra ⸢jaːsu̥kuri⸣nu su̥⸢koːru ʃiː⸣ ja⸢ma⸣ɸumiŋ ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːn⸢daː] (一昨年前から家造りの準備をして、建材伐採のための作業場所を確認するために山に入る<山踏み>ことも済ませてあるよ) 16369 0 0 16276 htmvoc_16369.wav ミーディプス ⸢ミー⸣ディプス [⸢miː⸣dipu̥su] 名 み(巳)年生まれの人。「巳年人」の転訛。 プ⸢スキブ⸣ルナー ⸢ミー⸣ディプスヌ ミ⸢ツァール⸣ スルーカー カ⸢フー⸣ヌ アンティ⸢ダー [pu̥⸢sukibu⸣runaː ⸢miː⸣dipu̥sunu mi⸢ʦaːru⸣ suruːkaː kḁ⸢ɸuː⸣nu ʔanti⸢daː] (一軒の家に巳年生まれの人が三人揃うと果報があるそうだよ)。 ⸢ミー⸣ディプソー イッ⸢ケナ ネーランケー⸣ン [⸢miː⸣dipu̥soː ʔik⸢kena neːraŋkeː⸣ŋ] (巳年生まれの人は非常に粘り強い) 16370 0 0 16277 htmvoc_16370.wav ミーディマリ ⸢ミーディマリ [⸢miːdimari] 名 巳年生まれ。巳年生まれの人。 ウ⸢レー ミーディマリ⸣ バーヤ トゥ⸢ラディマリ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ バーラ ⸢ミーチェー ウシ⸣トゥ [ʔu⸢reː miːdimari⸣ baːja tu⸢radimari⸣ ja⸢runda⸣ baːra ⸢miːʧeː ʔuʃi̥⸣tu] (彼<それ>は巳年生まれ、私は寅年生まれだから、私より三歳は年下<弟>だ) 16384 0 0 16278 htmvoc_16384.wav ミードー ⸢ミー⸣ドー [⸢miː⸣doː] 名 おとこおんな(男女)。男でありながら女のような性徴を有する人。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢ブー⸣ ビ⸢キドゥムバル ミー⸣ドーティ ア⸢ゾーッ⸣タ⸢ナー [mi⸢dumu⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢buː⸣ bi⸢kidumubaru miː⸣doːti ʔa⸢ʣoːt⸣ta⸢naː] (女のような男をミードーといわれたねえ) 16371 0 0 16279 htmvoc_16371.wav ミードゥーサン ⸢ミードゥー⸣サン [⸢miːduː⸣saŋ] 形 久しく会わない<会いたい気持ち>。久しぶりである。なかなか会わない。首里方言からの借用語であろう。「目遠い」の義。 ⸣ヌンティ ⸣アイニ ⸢ミードゥー⸣サワ [⸣nunti ⸣ʔaini ⸢miːduː⸣sawa] (どうしてそんなに久しく会わないのか)。 チ⸢カ⸣グロー ⸢ミードゥー⸣サヌヌ ⸢ヌー⸣シ ⸢アー⸣クカヤー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢miːduː⸣sanunu ⸢nuː⸣ʃi ⸢ʔaː⸣kukajaː] (近頃は久しく会わないが、どうしているのかねえ)。 ⸣ドゥク ⸢ミードゥー⸣サーティ ⸣ミリン ⸢クータ⸣ル [⸣duku ⸢miːduː⸣saːti ⸣miriŋ ⸢kuːta⸣ru] (あまりにも久しく会わないので、見<会い>に来たよ) 16372 0 0 16280 htmvoc_16372.wav ミートゥースン ⸢ミートゥー⸣スン [⸢miːtuː⸣suŋ] 他動 見通す。遠くまで見渡す。見晴らす。見抜く。 ⸢カン⸣マー ⸢ニンギン⸣ヌ バ⸢タ⸣ウチ ⸢ミートゥーシ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸢kam⸣maː ⸢niŋgin⸣nu ba⸢ta⸣ʔuʧi ⸢miːtuːʃi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (神様は人間の心の内を見抜いておられる)。 プ⸢スヌ⸣ バ⸢タ⸣ウチ ⸢ミートゥー⸣スンティ ア⸢ゾール⸣ヌ ⸣アイヤー ⸢ミートゥーサラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ba⸢ta⸣ʔuʧi ⸢miːtuː⸣sunti ʔa⸢ʣoːru⸣nu ⸣ʔaijaː ⸢miːtuːsara⸣nu] (人の心の内を見通すといわれるが、そうは見通されない)。 ⸣クマーラー ⸢ミートゥーシ ヤッ⸣サンティ ス⸢ヌ バン⸣マー ⸢ミートゥー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kumaːraː ⸢miːtuːʃi jas⸣santi su⸢nu bam⸣maː ⸢miːtuː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (此処からは見通しやすいというが、私には見通すことはできない)。 ⸣クマーラ ⸢ミートゥー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣kumaːra ⸢miːtuː⸣ʃeː ⸣misamunu] (ここから見通せばいいのに)。 ⸣クマーラ ⸢ミートゥー⸣シバ [⸣kumaːra ⸢miːtuː⸣ʃiba] (ここから見通しなさいよ) 16373 0 0 16281 htmvoc_16373.wav ミートゥール ⸢ミートゥール [⸢miːtuːru] 名 三通り。三つの方法。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー ミートゥールヌ シーヨー⸣ヌ ア⸢リ⸣ブーバ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢シーヤッ⸣サ ⸢トゥー⸣ル ⸢シー⸣ ミサン [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː miːtuːrunu ʃiːjoː⸣nu ʔa⸢ri⸣buːba ⸢duː⸣nu ⸢ʃiːjas⸣sa ⸢tuː⸣ru ⸢ʃiː⸣ misaŋ] (この仕事は三通りの仕方があるから、自分のし易い方法でして良い) 16374 0 0 16282 htmvoc_16374.wav ミートゥイシ ⸢ミートゥ⸣イシ [⸢miːtu⸣ʔiʃi] 名 (地)夫婦石のある所の地名。老年層は、⸢ミュートゥ⸣イシ[⸢mjuːtu⸣ʔiʃi](夫婦石)という。タ⸢チ⸣バル[tḁ⸢ʧi⸣baru](立原)の浜に下りる道の左手にある。 ⸢ミュートゥイシ⸣ヌ ニ⸢シアーラキ⸣ナー ⸣ウブシケーヌ サ⸢クラカー⸣ヌ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アン [⸢mjuːtuʔiʃi⸣nu ni⸢ʃiʔaːraki⸣naː ⸣ʔubuʃi̥keːnu sḁ⸢kurakaː⸣nu pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaŋ] (夫婦石の北東側に、大城家のサ⸢クラカ<地名>の畑がある) 16376 0 0 16283 htmvoc_16376.wav ミートゥクル ⸢ミートゥクル [⸢miːtukuru] 名 三箇所。三方。 ⸢ミートゥクルヌ⸣ カミ ガ⸢ナ⸣シ [⸢miːtukurunu⸣ kami ga⸢na⸣ʃi] (三箇所の神様) 16377 0 0 16284 htmvoc_16377.wav ミードゥクル ⸢ミードゥク⸣ル [⸢miːduku⸣ru] 名 見どころ。取り得。長所。ミ⸢ドゥク⸣ル[mi⸢duku⸣ru](見所)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ミードゥクル⸣ヌ ⸣アンダー マー⸢ズン⸣シ ナ⸢ラー⸣シ ミラ⸢ディー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː miːdukuru⸣nu ⸣ʔandaː maː⸢ʣuŋ⸣ʃi na⸢raː⸣ʃi mira⸢diː] (あの子は見所があるから一緒に教えてみようよ) 16375 0 0 16285 htmvoc_16375.wav ミートゥシ ⸢ミートゥシ [⸢miːtuʃi] 名 新年。正月。「にひとし(新・年)」の転訛したものか。 ⸢ミートゥシ⸣ ン⸢カイヨー⸣リ フ⸢コーラサ⸣ユー ク⸢トゥシン ヤーニン⸣ズ ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ ア⸢ラ⸣シミ ⸢タボー⸣レーティ ッ⸢ふァマー⸣ヌ ⸢パン⸣ジョーン ム⸢ヌスクル⸣ヌ ⸢ノーリ⸣ユーン ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボー⸣リティル ⸢カンヌ⸣マイン ⸣ニガイ ッ⸢サリル⸣ユー [⸢miːtuʃi⸣ ʔŋ⸢kaijoː⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸣juː ku̥⸢tuʃiɲ jaːnin⸣ʣu ⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣reːti f⸢famaː⸣nu ⸢pan⸣ʤoːm mu⸢nusu̥kuru⸣nu ⸢noːri⸣juːŋ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boː⸣ritiru ⸢kannu⸣main ⸣nigai s⸢sariru⸣juː] (新年を迎えられ、おめでとう<有難う>ございます{EOS}今年も家族一同健康あらしめ賜って、子孫繁昌も作物の豊作もあらしめ賜りますようにと、神様にお祈り申し上げます) 16378 0 0 16286 htmvoc_16378.wav ミートゥダク ⸢ミートゥ⸣ダク [⸢miːtu⸣daku] 名 夫婦蛸。蛸のつがい(番い)。老年層は、⸢ミュートゥ⸣ダク[⸢mjuːtu⸣daku](夫婦蛸)という。一般的に大型の蛸で、一箇所に二匹、ビ⸢キタク[bi⸢kitaku](雄蛸)と⸢ミー⸣タク[⸢miː⸣taku](雌蛸)が\ruby{番}{ツガイ}になって棲息していることからいう。 ユ⸢ヌ⸣ ヤナナー ⸢ミュートゥダク⸣ヌ ⸢ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ フ⸢タッカラ⸣ シ⸢キ クー⸣タ [ju⸢nu⸣ jananaː ⸢mjuːtudaku⸣nu ⸢beː⸣ta ⸢beː⸣ti ɸu̥⸢takkara⸣ ʃi̥⸢ki kuː⸣ta] (同じ穴に夫婦蛸がいたので、二匹とも突いて<漁獲して>きたよ) 16379 0 0 16287 htmvoc_16379.wav ミートゥドゥキルン ⸢ミートゥドゥキ⸣ルン [⸢miːtuduki⸣ruŋ] 他動 見とどける。目配りする。 ⸣マーッふァヌ ⸢ガッ⸣コー ン⸢ジ⸣ルムバ ⸢ミートゥドゥキ⸣ルンティ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ ⸢ミートゥドゥキラン⸣ケン ⸢オー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣maːffanu ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʤi⸣rumuba ⸢miːtuduki⸣runti ʔa⸢ʣoːt⸣tanu ⸢miːtudukiraŋ⸣keŋ ⸢ʔoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (孫が学校に入学するのを見届けると言われたが、見とどけないうちに亡くなられて<行かれて>しまった)。 ⸣ナルカー ⸢ミートゥドゥキ⸣ プサンドゥ ⸢ミートゥドゥキ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣パジ [⸣narukaː ⸢miːtuduki⸣pu̥sandu ⸢miːtuduki⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ram⸣paʤi] (できた<可能な>ら見とどけたいが、見届けることは出来ないだろう<はず>)。 ⸢ミートゥドゥキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢miːtuduki⸣reː ⸣misamunu] (見届ければいいのに)。 ヤー⸢ディン ミートゥドゥキ⸣リ [jaː⸢dim miːtuduki⸣ri] (きっと<かならず>見届けよ) 16380 0 0 16288 htmvoc_16380.wav ミートゥドゥクン ⸢ミートゥドゥ⸣クン [⸢miːtudu⸣kuŋ] 連 目が届く。注意・監督ができる。気配りできる。目配りできる。配慮することが出来る。 マー⸢ンバー⸣キン ⸢ミートゥドゥ⸣クンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ウ⸢マーバー⸣ケー ⸢ミートゥドゥカン⸣シェン [ma⸢mbaː⸣kim ⸢miːtudu⸣kunti ʔu⸢muːtan⸣du ʔu⸢maːbaː⸣keː ⸢miːtudukaŋ⸣ʃeŋ] (どこまでも注意・監督できる<目が届く>と思ったが、そこまでは目が届か<注意・監督でき>なかった)。 ⸣クマー ⸢ミートゥドゥキ ヤッ⸣サン ⸣トン [⸣kumaː ⸢miːtuduki jas⸣san ⸣toŋ] (此処は目配りしやすい所だ)。 ⸢ミートゥドゥ⸣ク ⸣トン [⸢miːtudu⸣ku ⸣toŋ] (目が届く<監督できる>所) 16381 0 0 16289 htmvoc_16381.wav ミードゥル ⸢ミー⸣ドゥル [⸢miː⸣duru] 名 めんどり(雌鶏)。 ⸢ミードゥル⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ワ⸢ザワイヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルンティ ア⸢ザリ ブー [⸢miːduru⸣nu na⸢ku⸣kaː wa⸢ʣawainu⸣ ʔn⸢ʤi⸣runti ʔa⸢ʣari buː] (雌鶏が鳴くと災いが起こるといわれている) 16383 0 0 16290 htmvoc_16383.wav ミートゥンダ ⸢ミートゥン⸣ダ [⸢miːtun⸣da] 名 めおと(夫婦)。「メヲット(妻夫)」の転訛したもの。 ⸢ミートゥン⸣ダ ⸣アイティ バ⸢カ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːtun⸣da ⸣ʔaiti ba⸢ka⸣ri ⸢naː⸣nu] (夫婦喧嘩して別れてしまった)。 ⸢ミートゥンダ⸣ ナカー イッ⸢ケン カイ⸣ヤン [⸢miːtunda⸣ nakaː ʔik⸢keŋ kai⸣jaŋ] (夫婦仲は非常にいい<美しい>) 16382 0 0 16291 htmvoc_16382.wav ミートゥンター ⸢ミートゥン⸣ター [⸢miːtun⸣taː] 名 出目。飛び出ている目。「目の突き出たもの」の義。⸢ミートゥンティ⸣ムヌ[⸢miːtunti⸣munu](目の飛び出た者)ともいう。 ⸢ヨーガリティ ミートゥン⸣ター ⸣ナリ ⸢ベー⸣ヌヌ ⸣ヌーカヤー [⸢joːgariti miːtun⸣taː ⸣nari ⸢beː⸣nunu ⸣nuːkajaː] (痩せて出目になっているが、どうしたのか<何だろうか>ねえ) 16422 0 0 16292 htmvoc_16422.wav ミーナウスン ⸢ミーナウ⸣スン [⸢miːnau⸣suŋ] 他動 見直す。改める。改善する。若年層は、⸢ミーノー⸣スン[⸢miːnoː⸣suŋ](見直す)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢グトー ナン⸣ゾー ⸢ダーッサー ナー⸣ンダー ⸢ミーナウ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ミーナウサラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː nan⸣ʣoː ⸢daːssaː naː⸣nda ⸢miːnau⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢miːnausara⸣nu] (その仕事はあまり良くないので、見直そうと思うが、見直されない)。 ⸢ミーナウ⸣シ ⸣ミサカー ⸢ミーナウ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢miːnau⸣ʃi ⸣misakaː ⸢miːnau⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (見直してよければ、見直すことはできる)。 ⸢ミーナウ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢miːnau⸣ʃeː ⸣misamunu] (見直せばいいのに)。 ヤー⸢ディン ミーナウ⸣シ [jaː⸢dim miːnau⸣ʃi] (必ず見直せ) 16385 0 1 16293 htmvoc_16385.wav ミーナスン ⸢ミー⸣ ナスン [⸢miː⸣ nasuŋ] 連 {Mn_1}脱穀した籾を磨り臼で玄米にする。 ピ⸢キウシ⸣シ グ⸢トゥブカラ⸣ ム⸢チマイ⸣ ピ⸢キティ ミー⸣ ナ⸢サン⸣ノーレー [pi̥⸢kiʔuʃi⸣ʃi gu⸢tubukara⸣ mu⸢ʧimai⸣ pi̥⸢kiti miː⸣ na⸢san⸣noːreː] (\ruby{碾臼}{ヒキ|ウス}<\ruby{磨}{スリ}り臼>で五斗ばかり\ruby{糯米}{モチ|ゴメ}を\ruby{磨}{ス}って<\ruby{挽}{ヒ}いて>玄米にして<実にして>くれないか)。 16385 0 2 16294 htmvoc_16385.wav ミーナスン ⸢ミー⸣ ナスン [⸢miː⸣ nasuŋ] 連 {Mn_2}結実させる。目的を実現させる。良い結果を生むようにする。成功させる。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ヤー⸢ディン ミー⸣ ナシ⸢ヨー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː jaː⸢dim miː⸣ naʃi⸢joː] (その話は必ず成功<結実>させなさいよね)。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ ミー⸣ナシ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu miː⸣ naʃi] (この仕事を成功させなさい) 16386 0 0 16295 htmvoc_16386.wav ミーナダ ⸢ミー⸣ナダ [⸢miː⸣nada] 名 涙。「~奈美太乎能其比<ナミダヲノゴヒ>~。万、4398」の転訛したもの。 ⸢ミー⸣ナダ ッ⸢スリ [⸢miː⸣nada s⸢suri] (涙を\ruby{拭}{ヌグ}え) 16387 0 0 16296 htmvoc_16387.wav ミーナディパダナディ ⸢ミー⸣ナディ パ⸢ダ⸣ナディ [⸢miː⸣nadi pa⸢da⸣nadi] 連 体や肌を心をこめてさする。慈しむ。可愛がる。大事に扱う。「身撫で、肌撫で」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ミー⸣ナディ パ⸢ダ⸣ナディ ⸢シェー⸣ティル ス⸢ダティ⸣ル⸢ダー [ja⸢ra⸣beː ⸢miː⸣nadi pa⸢da⸣nadi ⸢ʃeː⸣tiru su⸢dati⸣ru⸢daː] (子供は体をさすり、肌をさするようにして慈しんで育てるものだよ) 16388 0 0 16297 htmvoc_16388.wav ミーナマラスン ⸢ミー⸣ ナ⸢マラ⸣スン [⸢miː⸣ na⸢mara⸣suŋ] 連 恥をかかせる。体面を傷つける。外見で親兄弟の面子をつぶす。「身鈍らす」の義か。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ナタカッコー⸣シェー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミー⸣ ナ⸢マラ⸣スンダ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジル⸣ナ [ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢natakakkoː⸣ʃeː ʔu⸢ja⸣nu ⸢miː⸣ na⸢mara⸣sunda mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤiru⸣na] (その姿形<みなり{EOS}身形>では親の体面を傷つける<恥をかかせる>から、外出するな<道へはでるな>) 16389 0 1 16298 htmvoc_16389.wav ミーナライ ⸢ミー⸣ナライ [⸢miː⸣narai] 名 {Mn_1}見習い。見て学ぶ<習う>こと。 ⸣ヌーンクイン シ⸢グトー ゾージ⸣ヌ プ⸢ソー⸣ラ ⸢ミー⸣ナライ ⸢シェー⸣ティル ウ⸢ブイ⸣ル [⸣nuːŋkuiŋ ʃi⸢gutoː ʣoːʤi⸣nu pu̥⸢soː⸣ra ⸢miː⸣narai ⸢ʃeː⸣tiru ʔu⸢bui⸣ru] (何でもかんでも、仕事は上手な人から見習いしながら覚えるものだ)。 16389 0 2 16299 htmvoc_16389.wav ミーナライ ⸢ミー⸣ナライ [⸢miː⸣narai] 名 {Mn_2}見慣れていること。 ウ⸢レー ミー⸣ナライ ⸢シーブンダ ナン⸣ゾー ミ⸢ジラ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː miː⸣narai ⸢ʃiːbunda nan⸣ʣoː mi⸢ʤira⸣saː ⸢naː⸣nu] (それは見慣れているから、あまり珍しくない) 16390 0 0 16300 htmvoc_16390.wav ミーナライシキナライ ⸢ミー⸣ナライ シ⸢キナライ [⸢miː⸣narai ʃi̥⸢kinarai] 連 見様見まね。見真似聞き真似して覚えること。見聞を広めること。「見習い・聞き習い」の義。 ⸣シザンケートゥ ア⸢サビ ブンダ ミー⸣ナライ シ⸢キナライ シー⸣ ムノー ⸣ユー ッ⸢シル ブー [⸣ʃiʣaŋkeːtu ʔa⸢sabi bunda miː⸣narai ʃi̥⸢kinarai ʃiː⸣ munoː ⸣juː ʃ⸢ʃiru buː] (年長者たちと遊んでいるから、見聞を広めて<見習い・聞き習いして>、ものごとをよく知っている)。 ⸢ミー⸣ナライ シ⸢キナライ シェー⸣ティル ノー⸢ン ゾー⸣ジェー ⸣ナル [⸢miː⸣narai ʃi̥⸢kinarai ʃeː⸣tiru noː⸢n ʣoː⸣ʤeː] (見真似聞き真似して覚えてぞ<見習い聞き習いして>何事も上手になるものだ) 16391 0 0 16301 htmvoc_16391.wav ミーナラウン ⸢ミー⸣ナラウン [⸢miː⸣narauŋ] 他動 見習う。見て真似をする。見て学ぶ。学ぶ。真似る。 ウ⸢リバ ミー⸣ナラウンティ ⸢スンドゥ⸣ ム⸢チカサ⸣ヌ ⸢ミーナラーラ⸣ヌ [ʔu⸢riba miː⸣naraunti ⸢sundu⸣ mu⸢ʧikasa⸣nu ⸢miːnaraːra⸣nu] (彼を真似よう<見習おう>とするが、難しくて真似られない)。 ウ⸢リバ ミー⸣ナライ ⸢シー⸣ミサカー ⸢ミー⸣ナラウ ⸣クトー ⸣ナルン [ʔu⸢riba miː⸣narai ⸢ʃiː⸣misakaː ⸢miː⸣narau ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (彼を真似て<見習って>、やってよければ、真似る<見習う>ことはできる)。 ⸢ミーナライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢miːnarai⸣jaː ⸣misamunu] (真似れば<見習えば>いいのに)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スバ ミー⸣ナライバ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢suba miː⸣naraiba] (彼<その人>を見習えよ) 16392 0 1 16302 htmvoc_16392.wav ミーナルン ⸢ミー⸣ ナルン [⸢miː⸣ naruŋ] 連 {Mn_1}実を結ぶ。「実がなる」の義。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢ナ⸣ボー ⸢ミー⸣ ナルン [ku⸢nu⸣ ɸu⸢na⸣boː ⸢miː⸣ naruŋ] (この蜜柑<九年母>は実がなる)。 16392 0 2 16303 htmvoc_16392.wav ミーナルン ⸢ミー⸣ ナルン [⸢miː⸣ naruŋ] 連 {Mn_2}実現する。成功する。 ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ムル ドゥール スー⸣カー ⸢ワー⸣ シ⸢グトー ミー⸣ ナルンティ ウ⸢モー⸣リン [ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢muru duːru suː⸣kaː ⸢waː⸣ ʃi⸢gutoː miː⸣ narunti ʔu⸢moː⸣riŋ] (その計画<見積もり>通りにすれば、君の仕事は成功する<実現する{EOS}実になる>と思われる) 16393 0 0 16304 htmvoc_16393.wav ミーナンカ ⸢ミーナンカ [⸢miːnaŋka] 名 三七日忌。死後三週間目に執り行われる法事。 ⸣アツァー ⸢イー⸣ネヌ ⸣アッパー ⸢ミーナンカ⸣ ア⸢タリ ブーバ ソッコー⸣ムヌ ⸢オーシリ⸣バ⸢ヨー [⸣ʔaʦaː ⸢ʔiː⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢miːnaŋka⸣ ʔa⸢tari buːba sokkoː⸣munu ⸢ʔoːʃiri⸣ba⸢joː] (明日は西隣のお祖母さんの三七日忌に当っているので香典<⸢コー⸣パナ{SqBr}⸢koː⸣pana{/SqBr}焼香もの{EOS}米三合、沖縄板線香三枚、酒三合>を差し上げなさいね) 16394 0 0 16305 htmvoc_16394.wav ミーニ ⸢ミーニ [⸢miːni] 名 十二支の巳(み)の日。 ⸢ワー⸣ マ⸢リビーヤ ミーニー ヤッタ⸣ミー [⸢waː⸣ ma⸢ribiːja miːniː jatta⸣miː] (君の生まれ日は巳の日だったよねえ?) 16395 0 0 16306 htmvoc_16395.wav ミーニシ ⸣ミーニシ [⸣miːniʃi] 名 晩秋に吹きはじめる北風。「新北風」の義。「にひ(新)」は、「新治<ニヒバリノ>~。万2855」の転訛した、ミー[miː](新しい)に、ニ⸢シカジ[ni⸢ʃikaʤi](北風)の「ニシ」が付いて形成された合成語。老年層は⸣ッサンス[⸣ssansu](白北風)ともいう。 ⸣ミーニシヌ ⸢スー⸣カー ⸢オシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ス [⸣miːniʃinu ⸢suː⸣kaː ⸢ʔoʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣su] (ミーニシ<晩秋の北風>が吹くと天気は崩れる<破れる>) 16396 0 0 16307 htmvoc_16396.wav ミーニチ ⸢ミーニチ [⸢miːniʦi] 名 命日。その人が死亡した日に当たる毎月または毎年の日で、線香をあげたり茶湯をして\ruby{回向}{エ|コウ}をした。忌日。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミーニチェー バスクンドー⸣シ ⸢カウ⸣ シキティ ⸢サー⸣ドー ア⸢ギ オーシブー [ʔu⸢ja⸣nu ⸢miːniʧeː ⸢basu̥kundoː⸣ʃi ⸢kau⸣ ʃi̥kiti ⸢saː⸣doː ʔa⸢giʔoːʃi buː] (親の命日を忘れないで、線香を点けて茶湯を供え上げ通している) 16397 0 0 16308 htmvoc_16397.wav ミーヌカー ⸢ミーヌ⸣カー [⸢miːnu⸣kaː] 名 まぶた(瞼)。「目の皮」の義。 ⸢ミーヌカー⸣ヌ フ⸢クルン⸣ケン ナ⸢キ ベー [⸢miːnukaː⸣nu ɸu̥⸢kuruŋ⸣ken na⸢ki beː] (瞼が腫れるほど泣いている) 16398 0 0 16309 htmvoc_16398.wav ミーヌシビ ⸢ミーヌ⸣シビ [⸢miːnu⸣ʃibi] 名 めじり(目尻)。 ⸢ミーヌ⸣シビナー ⸢イン⸣ヌヤーヌ ⸣ンジティ ヤ⸢ミ⸣ス [⸢miːnu⸣ʃibinaː ⸢ʔin⸣nujaːnu ⸣ʔnʤiti ja⸢mi⸣su] (目尻に、ものもらい<麦粒腫>が出て痛むよ) 16399 0 0 16310 htmvoc_16399.wav ミーヌシル ⸢ミー⸣ヌ ⸣シル [⸢miː⸣nu ⸣ʃiru] 連 涙。「目の汁」の義。 ⸢ミー⸣ヌ シ⸢ル⸣ヌ ⸢カーラキテー ナー⸣ヌ ナ⸢キトゥーシル ブー [⸢miː⸣nu ʃi⸢ru⸣nu ⸢kaːrakiteː naː⸣nu na⸢kituːʃiru buː] (涙<目の汁>の乾くということは<~こととて>ない{EOS}泣き通して<ぞ>いる) 16400 0 1 16311 htmvoc_16400.wav ミーヌシン ⸢ミーヌ⸣シン [⸢miːnu⸣ʃiŋ] 名 {Mn_1}めがしら(目頭)。「目の芯」の転訛か。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ミーヌ⸣シンナー ミ⸢ツム⸣ヌ ⸢ペー⸣ル ⸣ピンマー ム⸢カ⸣シェー ブ⸢ネーヌ シー⸣バ ⸢アーシ⸣ イ⸢リティル⸣ トゥ⸢ローッタ⸣ル [ja⸢rabi⸣nu ⸢miːnu⸣ ʃinnaː mi⸢ʦumu⸣nu ⸢peː⸣ru ⸣pimmaː mu⸢ka⸣ʃeː bu⸢neːnu ʃiː⸣ba ⸢ʔaːʃi⸣ ʔi⸢ritiru⸣ tu⸢roːtta⸣ru] (子供の目頭に\ruby{塵}{ゴミ}が入るときは、昔は母親がお乳を搾って目に入れて<塵を流して>取り除かれた)。 16400 0 2 16312 htmvoc_16400.wav ミーヌシン ⸢ミーヌ⸣シン [⸢miːnu⸣ʃiŋ] 名 {Mn_2}視力。 ⸢ミーヌシン⸣ヌ ⸢ヨー⸣リティ パ⸢ル⸣ヌ ⸣ミー ヌ⸢キユーサヌ [⸢miːnuʃin⸣nu ⸢joː⸣riti pa⸢ru⸣nu ⸣miː nu⸢kijuːsanu] (視力<目の芯>が弱くなって、針の穴に糸を通すことができない) 16401 0 0 16313 htmvoc_16401.wav ミーヌスバシプスバミルン ⸢ミーヌ⸣スバシ プ⸢スバ⸣ ミルン [⸢miːnu⸣subaʃi pu̥⸢suba⸣ miruŋ] 連 軽蔑した目つきで人を見る。正視しないで人を見る。横目で人を見る。「目の側<横目>で人を見る」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ミーヌ⸣スバシル ⸢バンタ⸣ヨー ミ⸢ロー⸣ル [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː miːnu⸣subaʃiru ⸢banta⸣joː mi⸢roː⸣ru] (あの方は軽蔑した目つき<目の横>で私等を見られる) 16407 0 0 16314 htmvoc_16407.wav ミーヌソー ⸢ミーヌ⸣ ソー [miːnu⸣ soː] 連 目で記憶すること。目の記憶力。「目の性」の義。 ⸢ミーヌ⸣ソー ⸣アン [⸢miːnu⸣ soː ⸣ʔaŋ] (記憶力がある<目の性がある>)。 ⸢ミーヌ ソー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ユンダ ⸢ター ヤッタ⸣ユー ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ムイ ンザサラ⸣ヌ [⸢miːnu soː⸣nu naːɲ⸣junda ⸢taː jatta⸣juː mut⸢tu⸣ ʔu⸢mui ʔnʣasara⸣nu] (目の記憶力がないから、誰だったのか、ちっとも思い出されない) 16402 0 0 16315 htmvoc_16402.wav ミーヌタマ ⸢ミーヌ⸣ タマ [⸢miːnu⸣ tama] 連 目の玉。眼球。 ⸢ミーヌ⸣ タマナー キ⸢ジヌ⸣ アンツォー [⸢miːnu⸣ tamanaː ki⸢ʤinu⸣ ʔanʦoː] (眼球に傷があるそうだ) 16403 0 0 16316 htmvoc_16403.wav ミーヌッサン ⸢ミーヌッ⸣サン [⸢miːnus⸣saŋ] 形 見苦しい。見るにたえられない。「\ruby{醜}{ミニク}し<見憎し>。痛醜<アナミニク>賢しらをすと~。万、344」の転訛か。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ タ⸢バ⸣ク ⸣フクカー ⸢ミーヌッ⸣サンティ ア⸢ゾーッタン⸣ド マ⸢ナ⸣マー ⸢ミーヌッサー ナー⸣ヌ [mi⸢dumu⸣nu ta⸢ba⸣ku ⸣ɸu̥kukaː ⸢miːnus⸣santi ʔa⸢ʣoːttan⸣du ma⸢na⸣maː ⸢miːnussaː naː⸣nu] (女が煙草をふかすと見苦しいと言われたものだが、今は見苦しくない)。 ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ⸣ミリ ブ⸢ララヌ [⸢miːnussa⸣nu ⸣miri bu⸢raranu] (見苦しくて、見ておれない)。 ⸢ミーヌッ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːnus⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (見苦しいことはない)。 ⸢シンダイ ミーヌッ⸣サ ⸣ナリ ⸢キー⸣ス [⸢ʃindai miːnus⸣sa ⸣nari ⸢kiː⸣su] (次第に見苦しくなってくるよ) 16411 0 1 16317 htmvoc_16411.wav ミーヌッス ⸢ミーヌ⸣ッス [⸢miːnu⸣ssu] 名 {Mn_1}目やに。めくそ(目糞)。「眵、<~米久曾> 目汁凝也」『和名抄』の転訛したもの。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ミーヌ⸣ ッス ッ⸢スリ⸣ トゥリ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ja⸢rabi⸣nu ⸢miːnu⸣ssu s⸢suri⸣ turi f⸢fiːri⸣ba] (子供の目やに<目糞>を\ruby{拭}{ヌグ}って取ってくれよ)。 ⸢シーッふァイッふァ⸣ヌ ⸢ミーヌ⸣ッソー ⸢シー⸣バ ⸢アーシティ⸣ フ⸢クラシティル⸣ ッ⸢スリ⸣ トゥ⸢ローッタ⸣ル [⸢ʃiːffaiffa⸣nu ⸢miːnu⸣ssoː ⸢ʃiː⸣ba ⸢ʔaːʃiti⸣ ɸu̥⸢kuraʃi̥tiru⸣ s⸢suri⸣ tu⸢roːtta⸣ru] (乳児の目やに<目糞>は、乳を\ruby{搾}{シボ}って目糞を柔らかくしてから拭い取られたものだ)。 16411 0 2 16318 htmvoc_16411.wav ミーヌッス ⸢ミーヌ⸣ッス [⸢miːnu⸣ssu] 名 {Mn_2}わずかばかりのもの。少量のもの(強調表現)。 ン⸢マー⸣ ムノー ⸢ミーヌ⸣ッスンツァン ヌ⸢カラ⸣ヌ [ʔm⸢maː⸣ munoː ⸢miːnu⸣ssunʦan nu⸢kara⸣nu] (美味しいものは少しも<目糞ほども>残らない) 16405 0 0 16319 htmvoc_16405.wav ミーヌッスタマ ⸢ミー⸣ヌ ッ⸢ス⸣タマ [⸢miː⸣nu s⸢su⸣tama] 連 白い目玉。しろまなこ(白眼)。⸢目の白玉」の義。 ⸢ミー⸣ヌ ッ⸢ス⸣タマー ユ⸢ヌンゴー⸣リ ⸢ベー [⸢miː⸣nu s⸢su⸣tamaː ju⸢nuŋgoː⸣ri ⸢beː] (眼球<目の白玉>が濁っている) 16412 0 0 16320 htmvoc_16412.wav ミーヌッふァ ⸢ミーヌ⸣ッふァ [⸢miːnu⸣ffa] 名 ひとみ(瞳)。まなこ(眼)。黒目。瞳孔。「目の子」の義。「眼、万奈古<まなこ>、目子也」『和名抄』の転訛したもの。 ⸣パルシ ⸢ミーヌ⸣ッふァ ⸢ピッ⸣ケーラ ⸢デー⸣ジ⸢ダー [⸣paruʃi ⸢miːnu⸣ffa ⸢pik⸣keːraː ⸢deː⸣ʤi⸢daː] (針で瞳を刺すと大変だよ)。 ⸢ミーヌ⸣ッふァー プ⸢ス⸣ バ⸢ラーシル ブー [⸢miːnu⸣ffaː pu̥⸢su⸣ ba⸢raːʃiru buː] (瞳はにっこりしている<瞳は人を笑わせている>{EOS}愛嬌がよい) 16406 0 0 16321 htmvoc_16406.wav ミーヌッふタマ ⸢ミー⸣ヌ ッ⸢ふ⸣タマ [⸢miː⸣nu f⸢fu⸣tama] 連 瞳孔。ひとみ(瞳)。目の中の黒い部分。⸢目の黒玉」の義。 ⸢ソー⸣マー ⸢ミー⸣ヌ ッ⸢ふ⸣タマー ⸢ナー⸣ヌ [⸢soː⸣maː ⸢miː⸣nu f⸢fu⸣tamaː ⸢naː⸣nu] (やぶにらみ<藪睨み{EOS}斜視>の人には瞳がない) 16408 0 0 16322 htmvoc_16408.wav ミーヌドゥク ⸢ミー⸣ヌ ⸣ドゥク [⸢miː⸣nu ⸣duku] 連 目の毒。見ると悪影響を及ぼすもの。 ウ⸢レー ミー⸣ヌ ⸣ドゥク ヤ⸢リバ⸣ ヤ⸢ラビン⸣マー ミ⸢シル⸣ナ [ʔu⸢reː miː⸣nu ⸣duku ja⸢riba⸣ ja⸢rabim⸣maː mi⸢ʃiru⸣na] (それは目の毒だから子供には見せるな) 16409 0 0 16323 htmvoc_16409.wav ミーヌナダカ ⸢ミー⸣ヌ ナ⸢ダ⸣カ [⸢miː⸣nu na⸢da⸣ka] 連 目の高さほど。目の丈ほど。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ フ⸢ドゥベー⸣ トゥ⸢キユドゥマ⸣ヌ キサー⸢ティ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミー⸣ヌ ナ⸢ダ⸣カ フ⸢ドゥビ ブー [ja⸢rabi⸣nu ɸu⸢dubeː⸣ tu̥⸢kijuduma⸣nu ki̥saː⸢ti⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸢miː⸣nu na⸢da⸣ka ɸu⸢dubi buː] (子供の成長は早い<時淀まない>{EOS}すでに親の目の高さほどに成長して<程生ひて>いる)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ミー⸣ヌ ナ⸢ダ⸣カ ⸣ナルカー イ⸢ジル⸣ ナ⸢ラー⸣ス ⸢ティー⸣カケー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː ⸢miː⸣nu na⸢da⸣ka ⸣narukaː ʔi⸢ʤiru⸣ na⸢raː⸣su ⸢tiː⸣kḁkeː na⸢ra⸣nu] (子供は親の目の高さになると、叱って教えるのであって手に掛けるものではない) 16410 0 0 16324 htmvoc_16410.wav ミーヌパタ ⸢ミー⸣ヌ ⸣パタ [⸢miː⸣nu ⸣pḁta] 連 目の側。目のふち。まぶち(目縁)。「目の端」の義。 ⸢ミー⸣ヌ パ⸢タ⸣ナー<⸣スバナー> ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジ ⸢ベー [⸢miː⸣nu pḁ⸢ta⸣naː<⸣subanaː> ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤi ⸢beː] (目の縁におできができて<出て>いる) 16413 0 0 16325 htmvoc_16413.wav ミーヌフカ ⸢ミー⸣ヌ ⸣フカ [⸢miː⸣nu ⸣ɸu̥ka] 連 目の外。視野の外。眼中にないこと。 ⸣グリー ⸢スーバン⸣ ッ⸢サンコーラシ⸣ル ⸢オー⸣ル ⸢バン⸣タ⸢ナー⸣トー ⸢ミー⸣ヌ ⸣フカティル ⸣ウムイ ⸢ヨー⸣ルパジ [⸣guriː ⸢suːban⸣ s⸢saŋkoːraʃi⸣ru ⸢ʔoː⸣ru ⸢ban⸣taː⸢naː⸣toː ⸢miːnu⸣ɸu̥katiru ⸣ʔumui ⸢joː⸣rupaʤi] (お辞儀をして挨拶しても知らないふりをされる{EOS}私など視野の外<眼中にない>と思っておられるはずだ) 16415 0 0 16326 htmvoc_16415.wav ミーヌフタナカ ⸢ミー⸣ヌ フ⸢タナカ [⸢miː⸣nu ɸu̥⸢tanaka] 連 眉間。目と目の間。マ⸢ユヌ⸣ フ⸢タナカ[ma⸢junu⸣ ɸu̥⸢tanaka](眉間)ともいう。 ⸢ミー⸣ヌ フ⸢タナカヌ⸣ シ⸢ビシゥカリ ブー⸣ プ⸢ソー⸣ ⸣ムヌ ミルンティ⸢ダー [⸢miː⸣nu ɸu̥⸢tanakaːnu⸣ ʃi⸢bisï̥kari buː⸣ pu̥⸢soː⸣ munu mirunti⸢daː] (眉間がくっついている人は幽霊<魔物>を見ることができるそうだよ) 16416 0 0 16327 htmvoc_16416.wav ミーヌフチ ⸢ミー⸣ヌ フ⸢チ [⸢miː⸣nu ɸu̥⸢ʧi] 連 \ruby{目頭}{メ|ガシラ}。「目の口」の義。⸢ミーヌ⸣フチ[⸢miːnu⸣ɸu̥ʧi](目頭)ともいう。 ⸢ミーヌ⸣フチナー ミ⸢ツム⸣ヌ ⸢ペー⸣リティ ヤ⸢ミ⸣ス [⸢miːnu⸣ɸu̥ʧinaː mi⸢ʦumu⸣nu ⸢peː⸣riti ja⸢mi⸣su] (目頭に塵が入って<目が>痛むよ) 16414 0 0 16328 htmvoc_16414.wav ミーヌフチル ⸢ミー⸣ヌ フ⸢チ⸣ル [⸢miː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru] 連 目薬。「目の薬」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ミー⸣ヌ フ⸢チ⸣ロー ⸢ナーン⸣ベーティ ブ⸢ネーヌ シー⸣バ ⸢アーシ⸣ イ⸢リミッ⸣タリ ⸣カニンカザバ ⸣キシティ ウ⸢ヌ⸣ シ⸢ル⸣バ フ⸢チ⸣ルティ ⸢シー⸣ イ⸢リ オーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢miː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣roː ⸢naːm⸣beːti bu⸢neːnu ʃiː⸣ba ⸢ʔaːʃi⸣ ʔi⸢rimit⸣tari ⸣kaniŋkaʣaba ⸣ki̥ʃiti ʔu⸢nu⸣ ʃi⸢ru⸣ba ɸu̥⸢ʧi⸣ruti ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢ri ʔoːtta⸣ru] (昔は目薬は無いので、母親の乳を搾って入れてみたり、野葡萄の蔓<カズラ>を切って、その汁を薬といって目に入れておられたものだ) 16417 0 1 16329 htmvoc_16417.wav ミーヌマイ ⸢ミーヌ⸣マイ [⸢miːnu⸣mai] 名 {Mn_1}眼前。目前。間近。⸢ミー⸣ヌ ⸣マイ[⸢miː⸣nu ⸣mai](目の前)ともいう。 ⸢マイカレー ミーヌ⸣マイ ⸣ナリ ⸢キー⸣ ブーバン [⸢maikareː ⸢miːnu⸣mai ⸣nari ⸢kiː⸣ buːbaŋ] (稲刈りは、目前になって来ているわい)。 ッ⸢ふァー ミーヌ⸣マイナール シゥ⸢カ⸣リ [f⸢faː miːnu⸣mainaːru sï̥⸢ka⸣ri] (子供は目の前<間近>にぞ置かれる<間近に置かないと困る>)。 16417 0 2 16330 htmvoc_16417.wav ミーヌマイ ⸢ミーヌ⸣マイ [⸢miːnu⸣mai] 名 {Mn_2}目の前。自分の目の前。自分の利益。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ミー⸣ヌ マイ⸢カーニ⸣ ス⸢ルバン パン⸣ク [⸢duː⸣nu ⸢miː⸣nu mai⸢kaːni⸣ su⸢rubam paŋku] (自分の利益<目の前>だけに算盤をはじく) 16418 0 0 16331 htmvoc_16418.wav ミーヌマイヌパンシ ⸢ミーヌマイ⸣ヌ ⸢パンシ [⸢miːnumai⸣nu ⸢paŋʃi] 連 当座しのぎ<\ruby{凌}{シノキ}ぎ>。差し当たり目の前<当座>を切り抜けること。「目の前の外し」の転訛。 ⸣クビシェー ⸢ミーヌマイ⸣ヌ ⸢パンシンツァン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kubiʃeː ⸢miːnumai⸣nu ⸢paŋʃinʦan⸣ na⸢ra⸣nu] (これだけでは当座凌ぎ<目前の問題外し>にさえもならない) 16419 0 0 16332 htmvoc_16419.wav ミーヌマチ ⸢ミーヌ⸣マチ [⸢miːnu⸣maʧi] 名 まつげ(睫)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢ミーヌマチ⸣ヌ ナー⸢ナー⸣シ ⸣ムイティ イッ⸢ケン⸣ ア⸢タラ⸣サン [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢miːnumaʧi⸣nu naː⸢naː⸣ʃi ⸣muiti ʔik⸢keŋ⸣ ʔa⸢tara⸣saŋ] (女の子は睫も長く生えて、非常に可愛い) 16420 0 0 16333 htmvoc_16420.wav ミーヌマユ ⸢ミーヌ⸣マユ [⸢miːnu⸣maju] 名 眉。 ⸢ミーヌ⸣マユ ⸣スリティ ⸣マヤ ウ⸢バーシ⸣ シケー [⸢miːnu⸣maju ⸣suriti ⸣maja ʔu⸢baːʃi⸣ ʃi̥keː] (眉を剃って猫を驚かせてある) 16421 0 0 16334 htmvoc_16421.wav ミーヌンガーラスン ⸢ミーヌンガーラ⸣スン [⸢miːnuŋgaːra⸣suŋ] 他動 見逃す。大目に見る。見落とす。 ⸣バーヤ ⸢ミーヌンガーラ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ フ⸢カ⸣ヌ プ⸢ソー ミーヌンガーラサン⸣ツォー [⸣baːja ⸢miːnuŋgaːra⸣sunti ⸢sundu⸣ ɸu̥⸢ka⸣nu pu̥⸢soː miːnuŋgaːrasan⸣ʦoː] (私は、見逃そうとするのだが、他の人は見逃さないそうだ)。 ⸢ミーヌンガーラ⸣シ ッ⸢ふィーリ [⸢miːnuŋgaːra⸣ʃi f⸢fiːri] (見逃してくれ)。 ク⸢レー ミーヌンガーラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː miːnuŋgaːra⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これは見逃すことはできない)。 ⸢ミーヌンガーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢miːnuŋgaːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (見逃せばいいのに)。 ⸢ミーヌンガーラ⸣シ [⸢miːnuŋgaːra⸣ʃi] (見逃せ) 16426 0 0 16335 htmvoc_16426.wav ミーパイ ⸢ミーパイ [⸢miːpai] 名 感謝。ありがたく思うこと。「御拝」の転訛したもの。フ⸢コーラサ[ɸu̥⸢koːrasa](ありがたいこと{EOS}感謝)より敬意が高い。 フ⸢コーラサ ミーパイ⸣ユー [ɸu̥⸢korasa miːpai⸣juː] (有難うございます{EOS}最高敬語)。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸣ドゥーパダキンコー マ⸢ブリ⸣シキ タ⸢ブ⸣ローリ シゥカイ⸢トゥ ミーパイ⸣ユー [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸣duːpadakiŋkoː ma⸢buri⸣ʃi̥ki ta⸢bu⸣roːri sï̥kai⸢tu miːpai⸣juː] (家族の健康をお守り下さって誠に有難うございます) 16427 0 1 16336 htmvoc_16427.wav ミーパカ ⸢ミーパカ [⸢miːpaka] 名 {Mn_1}⸢ミープス[⸢miːpusu](死んで間もない人)を葬った墓にいう。 ⸣カナー ⸢ミーパカヌ⸣ アン [⸣kanaː ⸢miːpakanu⸣ ʔaŋ] (あそこに死んで間もない人を葬った墓がある)。 16427 0 2 16337 htmvoc_16427.wav ミーパカ ⸢ミーパカ [⸢miːpaka] 名 {Mn_2}新しい墓。 ⸢ミーパカ⸣ ス⸢ク⸣ローリティ パ⸢カヌ⸣ ヨイ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢miːpaka⸣ su̥⸢ku⸣roːriti pḁ⸢kanu⸣joi ⸢soːt⸣taʦoː] (新しい墓を造られて、墓のお祝いをされたそうだ) 16428 0 0 16338 htmvoc_16428.wav ミーハガー ⸣ミーハガー [⸣miːhagaː] 名 (動)魚の名。和名、イロブダイ(雌)。体色は全体的に薄茶色の一色で統一されている。雄の⸢アーガ⸣チャー[⸢ʔaːga⸣ʧaː](イロブダイ)は上体部分がグリーンを基調とする中に、頭部から尾びれにかけて\ruby{縞模様}{シマ|モ|ヨウ}に並ぶオレンジ色の半月紋が華やかで、\ruby{下顎}{シタ|アゴ}から\ruby{胸鰭}{ムナ|ビレ}にかけて流れるスカイブルーのストライプが一層の鮮やかさを増すのと対照的である。 ⸣ミーハガーヤ ⸢ミー⸣イズティ⸢ダー [⸣miːhagaːja ⸢miː⸣ʔiʣuti⸢daː] (ミーハガーは雌魚だそうだよ) 16429 0 0 16339 htmvoc_16429.wav ミーパガー ⸣ミーパガー [⸣miːpagaː] 名 ただれめ(\ruby{爛}{タダレ}目)の人(蔑称)。\ruby{眼瞼湿疹}{ガン|ケン|シッ|シン}の人(蔑称)。まぶたの赤く爛れた者。⸢ミーパギ⸣プス[⸢miːpagi⸣pu̥su](爛れ目の人)ともいう。 ⸣ドゥク ス⸢クッチナーティ⸣ル ⸣ミーパガー ⸣ナリ ⸢ベー⸣ル [⸣duku su̥⸢kutʧinaː⸣tiru ⸣miːpagaː ⸣nari ⸢beː⸣ru] (あまりにも不潔だから、ただれめ<爛れ目>になっているのだよ)。 ⸣ミーパガーヌ ⸣サジ シゥ⸢カウ⸣カー ⸣ミー パグン⸢ダー [⸣miːpagaːnu ⸣saʤi sï̥⸢kau⸣kaː ⸣miː pagun⸢daː] (爛れ目の人の手拭を使うと目が爛れるよ) 16430 0 0 16340 htmvoc_16430.wav ミーバカスン ⸢ミーバカ⸣スン [⸢miːbaka⸣suŋ] 他動 見分ける。\ruby{鑑別}{カン|ベツ}する。見て区別する。「見分かす」の義。 ⸢タッ⸣テヌ ッ⸢ふァ⸣ティ シ⸢ラカタ⸣チェーラ ⸢ミーバカ⸣スンティ ⸢スンドゥ ミーバカサラ⸣ヌ [⸢tat⸣tenu f⸢fa⸣ti ʃi⸢rakata⸣ʧeːra ⸢miːbaka⸣sunti ⸢sundu miːbakasara⸣nu] (何処の家の子供だと、顔貌から見分けようとするが、見分けられない)。 ⸢ミーバカ⸣シ ⸢シェー⸣カー ⸢ミーバカ⸣シバ [⸢miːbaka⸣ʃi ⸢ʃeː⸣kaː ⸢miːbaka⸣ʃiba] (見分けることができる<見分け得る>なら、見分けろよ)。 ⸢ミーバカ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miːbaka⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (見分けることは出来ない)。 ⸢ミーバカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢miːbaka⸣ʃeː ⸣misamunu] (見分ければいいのに) 16431 0 0 16341 htmvoc_16431.wav ミーパカラウン ⸢ミーパカ⸣ラウン [⸢miːpaka⸣rauŋ] 他動 見計らう。適当な時期を考える。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢オー⸣ル ⸣ピンバ ⸢ミーパカ⸣ライ ア⸢ナ⸣ミ ⸢ギーティ⸣ タ⸢ナ⸣ミバ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʔoː⸣ru ⸣pimba ⸢miːpaka⸣rai ʔa⸢na⸣mi ⸢giːti⸣ ta⸢na⸣miba] (親が<家に>いらっしゃる時を見計らって訪ねていって、頼みなさいよ)。 ⸢ミーパカ⸣ラウンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ ミーパカラーラ⸣ヌ [⸢miːpaka⸣raunti ⸢sundu⸣ mut⸢tu miːpakaraːra⸣nu] (見計らおうとするが、ちっとも見計らわれない)。 ⸢ミーパカ⸣ラウ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miːpaka⸣rau ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (見計らうことはできない)。 ⸢ミーパカライ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢miːpakarai⸣jaː ⸣misamunu] (見計らえばいいのに)。 ⸢ミーパカ⸣ライバ [⸢miːpaka⸣raiba] (見計らえよ) 16432 0 0 16342 htmvoc_16432.wav ミーパギプス ⸢ミーパギ⸣プス [⸢miːpagi⸣pu̥su] 名 ただれ目の人。眼病の人。 ビ⸢ナー⸣ プ⸢スナー⸣ル ⸢ミーパギ⸣プソー ⸢ゴー⸣ラー [bi⸢naː⸣ pu̥⸢sunaː⸣ru ⸢miːpagi⸣pu̥soː ⸢goː⸣raː] (不潔な人にただれめ<\ruby{爛}{タダ}れ眼>の人は多い) 16434 0 0 16343 htmvoc_16434.wav ミーパギルン ⸣ミー パ⸢ギ⸣ルン [⸣miː pa⸢gi⸣ruŋ] 連 目がただれる。「目が禿げる」の義。 ⸢ミー⸣ヌ ⸣ヤン カ⸢カ⸣ルカー ⸣ミー パ⸢ギ⸣ルン [⸢miː⸣nujaŋ kḁ⸢ka⸣rukaː ⸣miː pa⸢gi⸣ruŋ] (眼病<目の病>にかかると目が\ruby{爛}{タダ}れる)。 ⸣ミレー ナ⸢ラン⸣ ムヌ ⸣ミルカー ⸣ミー パ⸢ギ⸣ルンティ⸢ダー [⸣mireː na⸢ram⸣ munu ⸣mirukaː ⸣miː pa⸢gi⸣runti⸢daː] (見てはならないものを見ると、目が爛れるそうだよ) 16433 0 0 16344 htmvoc_16433.wav ミーパシゥカーン ⸢ミーパシゥ⸣カーン [⸢miːpasï̥⸣kaːŋ] 形 まぶしい<眩しい>。まばゆい(眩い)。 ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ ⸢ミーパシゥカー⸣ヌ ⸣ムヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ti⸢da⸣nu ⸢suː⸣wanda ⸢miːpasï̥kaː⸣nu ⸣munu mi⸢rara⸣nu] (太陽光線が強いので、\ruby{眩}{マブ}しくてものがよく見えない<見られない>)。 イッ⸢ケナ ミーパシゥ⸣カーンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ⸢ミーパシゥカー ナー⸣ヌ [ʔik⸢kena miːpasï̥⸣kaːnti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ⸢miːpasï̥kaː naː⸣nu] (非常に眩しいと聞いたが、あまり眩しくない)。 ⸢シンダイ ミーパシゥ⸣カー ⸣ナルン [⸢ʃindai miːpasï̥⸣kaː ⸣naruŋ] (次第に眩しくなる)。 ⸢ミーパシゥ⸣カー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːpasï̥⸣kaː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (眩しいことはない) 16435 0 0 16345 htmvoc_16435.wav ミーパシゥクン ⸢ミーパシゥ⸣クン [⸢miːpasï̥⸣kuŋ] 自動 まばたき(瞬き)する。しばたたく(\ruby{瞬}{マバタ}く)。 ⸢ミーパシ⸣キ ⸢スン [⸢miːpaʃi̥⸣ki ⸢suŋ] (\ruby{瞬}{マタタ}きする)。 ⸣アイニ ⸢ミーパシゥ⸣クン ⸢ギン⸣シェー ⸢ミーヌ⸣ル ⸣ヤムパジ [⸣ʔaini ⸢miːpasï̥⸣kuŋ ⸢giŋ⸣ʃeː ⸢miːnu⸣ru ⸣jamupaʤi] (あんなに瞬きするからには、目が痛いのだろう<痛いはずだ>)。 ⸢ミーパシゥカン⸣ドーシ ⸣ミリバ [⸢miːpasï̥kan⸣doːʃi ⸣miriba] (瞬きしないで見ろ<見れ>よ) 16436 0 0 16346 htmvoc_16436.wav ミーパシナー ⸢ミーパシ⸣ナー [⸢miːpaʃi⸣naː] 名 (動)魚の名。和名、トガリエビス(体長30~35センチ)。鮮やかな朱色の体色に白の細く短いい縦縞が体全体に広がっている。朱の背びれや尾びれが高貴で目出度い感じを与える魚である。夜の⸢スー⸣チズー[⸢suː⸣ʧiʣuː](大潮<潮干時>の義)に島の後ろの干瀬のヤ⸢トゥ[ja⸢tu](干瀬の深い割れ目{EOS}「\ruby{谷}{ヤト}」『日本国語大辞典13』の転訛か)で釣った 16437 0 0 16347 htmvoc_16437.wav ミーパダ ⸢ミーパダ [⸢miːpada] 名 新嫁。嫁して間もない頃の嫁。「新肌」の義。⸢ミーパダユミ[⸢miːpadajumi](新嫁)ともいう。⸣パダ[⸣pada](肌{EOS}としごろ{EOS}年齢)は、⸣ドゥーパダ[⸣duːpada](体{EOS}胴体)、ヤ⸢ラビ⸣パダ[ja⸢rabi⸣pada](子供の頃)のように用いられる。 ⸢ミーパダ⸣ ヤ⸢ルムヌ⸣ ア⸢サ⸣ニビ ス⸢ンティ⸣ イ⸢ズナ⸣ティバーヤ [⸢miːpada⸣ ja⸢rumunu⸣ ʔa⸢sa⸣nibi ⸢sunti⸣ ʔi⸢ʣuna⸣tibaːja] (新嫁だもの、<嫁が>朝寝坊するからといって叱るなってば) 16438 0 0 16348 htmvoc_16438.wav ミーパタックン ⸣ミー パ⸢タックン [⸣miː pḁ⸢takkuŋ] 連 目を押し開く。\ruby{睡}{ネム}っている目を開く。\ruby{瞑}{ツブ}っている目を開く。 ⸣ミー パ⸢タックン [⸣miː pḁ⸢takkuŋ] (目を押し開ける)。 ⸣ミー パ⸢タッキティ ミー⸣ヌ フ⸢チ⸣ル イ⸢リ ッふィーリ⸣バ [⸣miː pḁ⸢takkiti miː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru ʔi⸢ri ffiːri⸣ba] (目を押し開けて目薬を入れてやりなさいよ) 16325 0 0 16349 htmvoc_16325.wav ミーバッサピカリスン ⸢ミー⸣バ ッ⸢サピカリ スン [⸢miː⸣ba s⸢sapikari suŋ] 連 じろっと怒った目付きをする。「目を下光りさせる」の義。下から上目遣いに睨むさまをいう。 ⸢ミー⸣バ ッ⸢サピカリ シー⸣ プ⸢スバ⸣ ミリ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [⸢miː⸣ba s⸢sapikari ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ miri ⸣nuːja ʔu⸢reː] (じろっと上目遣いに他人を見て、何たるさまだね、これは) 16439 0 0 16350 htmvoc_16439.wav ミーバッパイ ⸢ミーバッ⸣パイ [⸢miːbap⸣pai] 名 見違い。見誤り。⸢ミー[⸢miː](見る)の連用形に⸢バッ⸣パイ[⸢bap⸣pai](誤り{EOS}間違い{EOS}取り違え)がついて形成された複合語。 ミ⸢ドゥム⸣トゥ ビ⸢キドゥムバ ミーバッ⸣パイ ⸢シー ナーン⸣シェン [mi⸢dumu⸣tu bi⸢kidumuba miːbap⸣pai ⸢ʃiː naːŋ⸣ʃeŋ] (女と男を見違えてしまった) 16440 0 0 16351 htmvoc_16440.wav ミーパナ ⸢ミー⸣パナ [⸢miː⸣pana] 名 顔。顔立ち。目鼻立ち。「目鼻」の義。 ⸢ミーパナ⸣ヌ ス⸢クリヨー⸣ヤ ビッ⸢ツティ⸣ ビ⸢ケー ニーブ [⸢miːpana⸣nu su̥⸢kurijoː⸣ja bit⸢ʦuti⸣ bi⸢keː niːbu] (顔貌の作りようは、そっくり父親に似ている)。 ⸢ミー⸣パナ ア⸢バ⸣レーン [⸢miː⸣pana ʔa⸢ba⸣reːŋ] (顔貌が美しい)。 ク⸢ルビティ ミー⸣パナ ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーバン [ku⸢rubiti miː⸣pana ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːbaŋ] (転んで顔を傷つけて<病まして>あるよ) 16441 0 0 16352 htmvoc_16441.wav ミーバリ ⸢ミー⸣バリ [⸢miː⸣bari] 名 ひびわれ(\ruby{罅割}{ヒビ|ワレ})。\ruby{亀裂}{キ|レツ}。材木や\ruby{甕}{カメ}などにひび(\ruby{罅}{ヒビ})が入ってできる割れ目。 ミ⸢ジカミバ⸣ ク⸢ルバシ⸣ クーンケン イ⸢シ⸣ナー ア⸢タリティ ミー⸣バリ ⸢シーナー⸣ヌ [mi⸢ʤikamiba⸣ ku⸢rubaʃi⸣ kuːŋkeŋ ʔi⸢ʃi⸣naː ʔa⸢tariti miː⸣bari ⸢ʃiːnaː⸣nu] (\ruby{水甕}{ミズ|ガメ}を転ばしてくるうちに石に当ってひび割れしてしまった) 16442 0 0 16353 htmvoc_16442.wav ミーパルン ⸢ミー⸣パルン [⸢miː⸣paruŋ] 自動 ひび(罅)が入る。亀裂が生じる。⸢ミー[⸢miː](裂け目)に、⸣パルン[⸣paruŋ](走る)が付いて形成された合成語。 マ⸢カ⸣ルドンゴー ⸢ウッツァー⸣スカー ⸢ミー⸣パルンダ カ⸢ビ⸣シ ッ⸢ス⸣ムカー ⸢ミーパラ⸣ヌ [ma⸢ka⸣rudoŋgoː ⸢ʔutʦaː⸣sukaː ⸢miː⸣parunda ka⸢bi⸣ʃi s⸢su⸣mukaː ⸢miːpara⸣nu] (お碗類<お碗道具>はぶつかる<打ち合わせる>と\ruby{罅}{ヒビ}が入るので、紙で包むと罅が入らない)。 ⸢ミー⸣ パ⸢ラ⸣シ ⸣シケー [⸢miː⸣ pa⸢ra⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (罅を入れてある)。 マ⸢カ⸣ロー ⸢ミー⸣パリ ⸢ベー [ma⸢ka⸣roː ⸢miː⸣pari ⸢beː] (お椀は罅がはいっている)。 ⸢ミー⸣パル ⸣ムノー ⸢カウナ [⸢miː⸣paru ⸣munoː ⸢kauna] (罅の入るものは買うな) 16443 0 0 16354 htmvoc_16443.wav ミーパンクン ⸣ミー ⸢パン⸣クン [⸣miː ⸢paŋ⸣kuŋ] 連 まぶた(瞼)を裏返す。「目を弾く」の義。ミ⸢ジ⸣ナー[mi⸢ʤi⸣naː](スベリヒユ)の茎で上下の瞼を弾いて裏返す子供の遊びがあった。 ⸣ミー ⸢パン⸣キ ⸣イキ ⸣フキティ ミ⸢ツ⸣ム ⸣トゥリバ [⸣miː ⸢paŋ⸣ki ⸣ʔiki ⸣ɸu̥kiti mi⸢ʦu⸣mu ⸣turiba] (瞼を裏返し<弾き>、息を吹きかけて、目の中のごみを取り除けよ) 16444 0 0 16355 htmvoc_16444.wav ミーピカリムヌ ⸢ミーピカリ⸣ムヌ [⸢miːpikari⸣munu] 名 よく\ruby{癲癇症状}{テン|カン|ショウ|ジョウ}を\ruby{発症}{ハッ|ショウ}する人。よく\ruby{発作}{ホッ|サ}をを起こす人。よく気絶する人。 ウ⸢レー ミーピカリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ドゥク ウ⸢バースナ⸣ヨー [ʔu⸢reː miːpikari⸣munu ja⸢runda⸣ duku ʔu⸢baːsuna⸣joː] (彼<それ>はよく発作を起こす人だから、あまり驚かすなよ) 16445 0 1 16356 htmvoc_16445.wav ミーピカルン ⸣ミー ピ⸢カ⸣ルン [⸣miː pi̥⸢ka⸣ruŋ] 連 {Mn_1}目が光る。怒る。叱る。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ⸣アブジェー ⸣ミー ピ⸢カ⸣ロールン⸢ダー [ja⸢naku̥tu suː⸣kaː ⸣ʔabuʤeː ⸣miː pi̥⸢ka⸣roːrun⸢daː] (悪い事をすると、お祖父さんが目を光らされる<怒られる>よ)。 16445 0 2 16357 htmvoc_16445.wav ミーピカルン ⸣ミー ピ⸢カ⸣ルン [⸣miː pi̥⸢ka⸣ruŋ] 連 {Mn_2}\ruby{癲癇}{テン|カン}症状を発症する。 ブ⸢チ⸣クン ⸢スー⸣カー ⸢ミー⸣ ピ⸢カ⸣ルン [bu⸢ʧi⸣kun ⸢suː⸣kaː ⸢miː⸣ pi̥⸢ka⸣ruŋ] (気絶すると目が光る<癲癇症状を発症する>)。 ウ⸢シダマ⸣ カ⸢カ⸣リティ ⸢ミー⸣ ピ⸢カ⸣リ ⸢ベー [ʔu⸢ʃidama⸣ kḁ⸢ka⸣riti ⸢miː⸣ pi̥⸢ka⸣ri ⸢beː] (癲癇にかかって<癲癇症状を発して>目を光らせている) 16446 0 0 16358 htmvoc_16446.wav ミービキドゥム ⸢ミービキ⸣ドゥム [⸢miːbiki⸣dumu] 名 言動が女のような男。「女男(おんなおとこ)」の義。 ウ⸢レー ミービキ⸣ドゥム ヤ⸢ルンダ⸣ ブ⸢ドゥロー⸣ イッ⸢ケナ ゾー⸣ジ [ʔu⸢reː miːbiki⸣dumu ja⸢runda⸣ bu⸢duroː⸣ ʔik⸢kena ʣoː⸣ʤi] (彼は女のような男だから、踊は非常に上手だ) 16447 0 0 16359 htmvoc_16447.wav ミーピッキジン ⸢ミーピッキ⸣ジン [⸢miːpikki⸣ʤiŋ] 名 穴のあいたお金。⸢穴あき銭」の義。⸣ミーフガージン[⸣miːɸugaːʤiŋ](穴あき銭)ともいう。 ム⸢カ⸣シェーラ ⸢ミーピッキジン⸣マー ア⸢リ⸣ブタ [mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢miːpikkiʤim⸣maː ʔa⸢ri⸣buta] (昔から穴あき銭はあった<有り居った>) 16448 0 0 16360 htmvoc_16448.wav ミーピッキルン ⸣ミー ⸢ピッキ⸣ルン [⸣miː ⸢pikki⸣ruŋ] 連 小穴があく。 ナ⸢ビ⸣ヌ ス⸢ク⸣ ドゥク カ⸢ラ⸣イシシ ⸣トゥーカー ⸣ミー ⸢ピッキ⸣ルン⸢ダー [na⸢bi⸣nu su̥⸢ku⸣ duku ka⸢ra⸣ʔiʃiʃi ⸣tuːkaː ⸣miː ⸢pikki⸣run⸢daː] (鍋の底を軽石であまり\ruby{擦}{コス}ると穴があくよ) 16449 1 0 16361 htmvoc_16449.wav ミーピックン ⸣ミー ⸢ピッ⸣クン [⸣miː ⸢pik⸣kuŋ] 連 {PoS_1}(他動)小穴をあける。 ⸢クン⸣ナー ⸣ミー ⸢ピッ⸣クンティ ⸢スンドゥ ピッカラン⸣サー [⸢kun⸣naː ⸣miː ⸢pik⸣kunti ⸢sundu pikkaran⸣saː] (これに小さな穴を開けようとするが、穴が開けられないよ)。 ⸢ヤー⸣ヌ ク⸢ビ⸣ナー ⸢イー⸣ルシ ⸣ミー ⸢ピッ⸣キバ [⸢jaː⸣nu ku⸢bi⸣naː ⸢ʔiː⸣ruʃi ⸣miː ⸢pik⸣ki] (家の壁に\ruby{錐}{キリ}で小さな穴を開けなさい)。 ⸣ミー ⸢ピッ⸣キティ ⸣イトゥ ヌ⸢キ⸣バ [⸣miː ⸢pik⸣kiti ⸣ʔitu nu⸢ki⸣ba] (穴をあけて糸を通しなさい<貫け>よ)。 16449 2 0 16362 htmvoc_16449.wav ミーピックン ⸣ミー ⸢ピッ⸣クン [⸣miː ⸢pik⸣kuŋ] 連 {PoS_2}(自動)小穴があく。 ナ⸢ビ⸣ヌ ス⸢ク⸣ ミー ⸢ピッ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [na⸢bi⸣nu su̥⸢ku⸣ miː ⸢pik⸣ki ⸢naː⸣nu] (鍋の底に小穴があいてしまった) 16450 0 0 16363 htmvoc_16450.wav ミーフガー ⸣ミーフガー [⸣miːɸugaː] 名 穴のあいた物。穴のあいた古着。 ク⸢ヌ キン⸣マー ⸣ミーフガー ⸣ナリティ キ⸢サラヌ [ku⸢nu kim⸣maː ⸣miːɸugaː ⸣nariti ki̥⸢saranu] (この着物は穴のあいた古着になって着られない) 16451 0 0 16364 htmvoc_16451.wav ミーフカスン ⸢ミーフカ⸣スン [⸢miːɸu̥ka⸣suŋ] 他動 見落とす。見失う。 ウ⸢ヌ シー⸣ヨーシェー ⸢ミーフカ⸣スンダ ⸢ミーフカサン⸣ヨーシ ⸢キー⸣シキ トゥ⸢ミ⸣リ [ʔu⸢nu ʃiː⸣joːʃeː ⸢miːɸu̥ka⸣sunda ⸢miːɸu̥kasaɲ⸣joːʃi ⸢kiː⸣ʃi̥ki tu⸢mi⸣ri] (この仕方では見落とすから、見落とさないように気をつけて探せ<とめ、尋め>よ)。 ⸢ミーフカ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːɸu̥ka⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (見落としてしまった)。 ⸢ミーフカ⸣ス ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [⸢miːɸu̥ka⸣su ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣paʤi] (見落とすことはないはずだ)。 ⸢ミーフカ⸣シェーラ ⸢デー⸣ジ [⸢miːɸu̥ka⸣ʃeːra ⸢deː⸣ʤi] (見落としたら大変だ)。 ン⸢メーマー ミーフカ⸣シバ [ʔm⸢meːmaː miːɸu̥ka⸣ʃiba] (少しは見落としなさいよ) 16452 0 0 16365 htmvoc_16452.wav ミーフガスン ⸣ミー フ⸢ガスン [⸣miː ɸu⸢gasuŋ] 連 会計上に穴をあける。会計上に欠損を生じさせる。使途不明金を出す。 ク⸢ミアイ⸣ヌ ⸢ジン⸣バ ⸢アシゥ⸣カリ ⸢ベータン⸣ドゥ ⸢カッティニ⸣ シゥ⸢カイティ⸣ ミー フ⸢ガシ⸣ シケツォー [ku⸢miai⸣nu ⸢ʤim⸣ba ⸢ʔasï̥⸣kari ⸢beːtan⸣du ⸢kattini⸣ sï̥⸢kaiti⸣ miː ɸu⸢gaʃi⸣ ʃi̥keːʦoː] (組合のお金を預かっていたが、勝手に使って会計上に穴をあけてあるそうだ)。 ⸣アイニ シゥ⸢カウ⸣カー ⸣ミー フ⸢ガスン [⸣ʔaini sï̥⸢kau⸣kaː ⸣miː ɸu⸢gasuŋ] (あのように使うと会計上に穴をあける) 16453 0 0 16366 htmvoc_16453.wav ミーフギカーフギ ⸢ミーフギカー⸣フギ [⸢miːɸugikaː⸣ɸugi] 名 穴がたくさんあいているさま。 ク⸢レー ミーフギカー⸣フギ シ⸢ティ ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢reː miːɸugikaː⸣ɸugi ʃi̥⸢ti juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (これはたくさん穴があいていて、使えない<養生・手当てができない>) 16454 0 0 16367 htmvoc_16454.wav ミーフギルン ⸣ミー フ⸢ギルン [⸣miː ɸu⸢giruŋ] 連 穴があく。 ⸣アイニ ⸢ジン⸣バ シゥ⸢カウ⸣カー ⸣ミー フ⸢ギルン [⸣ʔaini ⸢ʤim⸣ba sï̥⸢kau⸣kaː ⸣miː ɸu⸢giruŋ] (あんなにお金を使うと会計に穴があくよ) 16455 0 0 16368 htmvoc_16455.wav ミーブシ ⸢ミーブシ [⸢miːbuʃi] 名 (数)三寸。「\ruby{三節}{ミ|フシ}」の義。一節は人差し指の第一関節と第二関節の間の長さ。 プ⸢ソー ミーブシヌ⸣ シタシル グ⸢フ⸣ドー ッ⸢ふァイシティル [pu̥⸢soː miːbuʃinu⸣ ʃi̥taʃiru gu⸢ɸu⸣doː f⸢fai ʃi̥tiru] (人間は舌先三寸<三寸の舌先>で五体を食い殺す<食い捨てる>ものだ{EOS}<よくよく心して話せ{EOS}\ruby{迂闊}{ウ|カツ}に話すな>) 16456 0 0 16369 htmvoc_16456.wav ミーブシ ⸢ミー⸣ブシ [⸢miː⸣buʃi] 名 鰹節の名。雌節。カツオの腹部の身で製造した鰹節。ハ⸢ラ⸣ブシ[ha⸢ra⸣buʃi](腹節)ともいう。 ⸢ミー⸣ブシェー ⸢ウー⸣ブシェーラン ⸢ダイヤー ヤッ⸣サル アル⸢ナー [⸢miː⸣buʃeː ⸢ʔuː⸣buʃeːran ⸢daijaː jassa⸣ru ʔaru⸢naː] (雌節は雄節よりも値段は安いねえ<安くぞあるねえ>) 16457 0 0 16370 htmvoc_16457.wav ミープス ⸢ミープス [⸢miːpu̥su] 名 新しい遺体。埋葬したばかりの遺体。埋葬して間もない遺体。 ⸢ミープスヌ⸣ カ⸢ザミラ⸣リ ⸢オー⸣ル パ⸢カー サンニンキ⸣ヌ ⸢アイ⸣ヤー ア⸢キララヌ [⸢miːpusunu⸣ ka⸢ʣamira⸣ri ⸢ʔoː⸣ru pḁ⸢kaː sanniŋki⸣nu ⸢ʔai⸣jaː ʔa⸢kiraranu] (新しい遺体を葬った墓は、三年忌の間は開けられない) 16458 0 0 16371 htmvoc_16458.wav ミーフチ ⸢ミー⸣フチ [⸢miː⸣ɸuʧi] 名 顔。顔つき。容貌。\ruby{顔貌}{カオ|カタチ}。「目口」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミー⸣フチ ⸢バシキ ナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢ja⸣nu ⸢miː⸣ɸuʧi ⸢baʃi̥ki naː⸣nu] (子供は親の顔を忘れてしまった)。 ⸢ミー⸣フチェー ビ⸢ケーニ⸣ル ⸢ニーブー [⸢miː⸣ɸu̥ʧeː bi⸢keːni⸣ ru ⸢niːbuː] (顔貌は父親に<ぞ>似ている)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミー⸣フチェー イッ⸢カ バシキララヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢miː⸣ɸu̥ʧeː ʔik⸢ka baʃi̥kiraranu] (親の面差しは決して忘れられない) 16459 0 0 16372 htmvoc_16459.wav ミープトゥラーン ⸢ミープトゥ⸣ラーン [⸢miːputu⸣raːŋ] 形 まばゆい(眩い)。まぶしい(\ruby{眩}{マブシ}い)。プ⸢トゥ⸣ラーン[pu̥⸢tu⸣raːŋ](\ruby{眩}{マブシ}い)は、プ⸢トゥ⸣ル[pu̥⸢tu⸣ru](稲妻)の形容詞化したもの。「対象物が光り輝き過ぎて眩しい」の意味。 ⸢ミープトゥラー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢miːpu̥turaː⸣nu mi⸢rara⸣nu] (\ruby{眩}{マブシ}くて見られない)。 ⸢マープスマー⸣ ティ⸢ダ⸣ヌ ⸢ミープトゥ⸣ラーンダ ⸢ミー⸣ヤ プ⸢ラッカラヌ [⸢maːpu̥sumaː⸣ ti⸢da⸣nu ⸢miːpu̥tu⸣raːnda ⸢miː⸣ja pu⸢rakkaranu] (真昼間は太陽が眩しいので目が開けられない)。 ナ⸢ラウ⸣ター ⸢デン⸣トーン ⸢ナン⸣ゾー ⸢ミープトゥラー ナー⸣ヌ [na⸢rau⸣taː ⸢den⸣toːn ⸢nan⸣ʣoː ⸢miːputuraː naː⸣nu] (慣れたので電灯もあまり眩しくない)。 ⸢ミープトゥ⸣ラー ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːpu⸣turaː ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (眩しいことはない)。 ⸢ミープトゥ⸣ラータン [⸢miːputu⸣raːtaŋ] (眩しかった) 16460 0 0 16373 htmvoc_16460.wav ミープトゥレーシキル ⸢ミープトゥ⸣レーシキル [⸢miːpu̥tu⸣reːʃikiru] 名 白に黒の斑点がある\ruby[g]{海鼠}{ナマコ}。⸢目・\ruby{眩}{マブシ}いなまこ」の義。白い肌に黒の斑点があり、見る人に対し、眩しく目をパチパチさせる感があることから命名されたという。 ッ⸢ス⸣パダナー ⸢テンテン⸣シ ッ⸢ふアヤ⸣ヌ ⸣アル シ⸢キルバ ミープトゥ⸣レーシキルティ ア⸢ズ⸠ダー [s⸢su⸣padanaː ⸢tenteŋ⸣ʃi f⸢fuʔaja⸣nu ⸣ʔaru ʃi̥⸢kiruba miːpu̥tu⸣reːʃi̥kiruti ʔa⸢ʣu⸠daː] (白肌に点々と黒い斑点<模様>のあるナマコをミープトゥレーシキル<目・眩しき海鼠>というのだよ) 16461 0 0 16374 htmvoc_16461.wav ミーブラーリ ⸢ミーブラー⸣リ [⸢miːburaː⸣ri] 名 見惚れること。 ア⸢マ⸣ヌ ブ⸢ドルヌ⸣ ウ⸢ムッ⸣サティ ナー⸢イ ミーブラー⸣リ ⸢シー ベー⸣ダー [ʔa⸢ma⸣nu bu⸢durunu⸣ ʔu⸢mus⸣sati naː⸢ji miːburaː⸣ri ⸢ʃiː beː⸣daː] (余りにも踊りが面白いので、ただじっと見惚れているのだよ) 16462 0 1 16375 htmvoc_16462.wav ミーフラッカスン ⸢ミーフラッカ⸣スン [⸢miːɸurakka⸣suŋ] 他動 {Mn_1}目を開けさせる。孔を空ける。 16462 0 2 16376 htmvoc_16462.wav ミーフラッカスン ⸢ミーフラッカ⸣スン [⸢miːɸurakka⸣suŋ] 他動 {Mn_2}成功させる。 ⸢ミーフラッカ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ ミーフラッカサラ⸣ヌ [⸢miːɸurak⸣kasunti ⸢sundu⸣ mut⸢tu miːɸurakkasara⸣nu] (目を開けさせようとするが、一向に目を開けさせられない)。 16462 0 2 16377 htmvoc_16462.wav ミーフラッカスン ⸢ミーフラッカ⸣スン [⸢miːɸurakka⸣suŋ] 他動 {Mn_2}教育を受けさせる。教養を養成させる。 ビ⸢コーンッふァー ミーフラッカ⸣スンティ ⸢ウイヌ ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣シ ⸣シケー [bi⸢koːŋffaː miːɸurakka⸣sunti ⸢ʔuinu gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (男の子は教育を受けさせ成功させようと上級学校に出してある) 16463 0 0 16378 htmvoc_16463.wav ミーフラックン ⸣ミー フ⸢ラックン [⸣miː ɸu⸢rakkuŋ] 連 目を開ける。若年層の言葉。 ⸣ミー フ⸢ラックンティ スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ フ⸢ラッカラヌ [⸣miː ɸu⸢rakkunti sundu⸣ mut⸢tu⸣ ɸu⸢rakkaranu] (目を開けようとするが、ちっとも開けられない) 16464 0 0 16379 htmvoc_16464.wav ミープラックン ⸣ミー プ⸢ラックン [⸣miː purakkuŋ] 連 目を開く。老年層の言葉。 ⸣ミー プ⸢ラッキティ⸣ ユー ⸣ミリバ [⸣miː pu⸢rakkiti⸣ juː ⸣miriba] (目を開いてよく見なさいよ)。 ⸣ミー プ⸢ラックンティ スンドゥ⸣ カ⸢ジヌ スーワ⸣ティ ⸣ミー プ⸢ラッカラヌ [⸣miː pu⸢rakkunti sundu⸣ ka⸢ʤinu suː⸣wati ⸣miː pu⸢rakkaranu] (目を開こうとするが、風が強くて目が開けられない) 16465 0 0 16380 htmvoc_16465.wav ミーブリシキブリ ⸢ミー⸣ブリ シ⸢キブリ [⸢miː⸣buri ʃi̥⸢kiburi] 連 見とれて聞き惚れること。「みほれ(見惚れ)、聞き惚れ」の転訛。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナシ⸣ヌ ウ⸢ムッ⸣サティ ナー⸢イ ミー⸣ブリ シ⸢キブリ シー ベーン⸣ケンマー シ⸢グトゥ⸣ ウ⸢チバシ⸣キ ⸢シー ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢sunu⸣ pa⸢naʃi⸣nu ʔu⸢mus⸣sati naː⸢i miː⸣buri ʃi̥⸢kiburi ʃiː beːŋ⸣kemmaː ʃi⸢gutu⸣ ʔu⸢ʧibaʃi̥⸣ki ⸢ʃiː naː⸣nu] (あの人の話が面白くて、ただじっと見とれ、聞き惚れているうちに、すっかり仕事を忘れてしまったよ) 16466 0 0 16381 htmvoc_16466.wav ミーブリスン ⸢ミー⸣ブリ ⸢スン [⸢miː⸣buri ⸢suŋ] 連 見とれる。見惚れる。うっとりと見惚れる。「見惚れ・する」の義。 ウ⸢リヌ⸣ ブ⸢ドゥル スー⸣カー ウ⸢ムッ⸣サユンダ ⸢フン⸣トー ⸢ミー⸣ブリ ⸢スン⸣ダー [ʔu⸢rinu⸣ bu⸢duru suː⸣kaː ʔu⸢mus⸣sajunda ⸢ɸun⸣toː ⸢miː⸣buri ⸢sun⸣daː] (あれ<彼>が踊をすると面白いから、本当に見惚れるよ) 16467 0 0 16382 htmvoc_16467.wav ミーホースン ⸢ミーホー⸣スン [⸢miːhoː⸣suŋ] 他動 不足分を埋め合わせる。\ruby{補填}{ホ|テン}する。「穴を\ruby{塞}{フサ}ぐ。穴を埋め合わせる」の義。 ⸢ジン⸣ヌ タ⸢ラーン ブン⸣マー ⸣ドゥーシ カ⸢リ⸣キーンノーン ⸢ミーホー⸣スンティ ⸢スンドゥ ミーホーサラ⸣ヌ [⸢ʤin⸣nu ta⸢raːm bum⸣maː ⸣duːʃi ka⸢ri⸣kiːnnoːm ⸢miːhoː⸣sunti ⸢sundu miːhoːsara⸣nu] (お金の不足分は自分で借りてきてでも埋め合わせようとするが、埋め合わせられない)。 ⸣ドゥーシ ⸢ミーホー⸣シ ⸣ミサカー ⸢ミーホー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸣duːʃi ⸢miːhoː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢miːhoː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (自分で埋め合わせてよければ、埋め合わせることは出来る)。 ⸢パー⸣ク ⸢ミーホー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢miːhoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く埋め合わせばいいのに)。 ⸣ドゥーシ ⸢ミーホー⸣シ [⸣duːʃi ⸢miːhoː⸣ʃi] (自分で埋め合わせよ) 16468 0 0 16383 htmvoc_16468.wav ミーマースン ⸢ミーマー⸣スン [⸢miːmaː⸣suŋ] 他動 あたりを見回す。周囲を見回す。あたりをぐるりと見る。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢マール ミーマースン⸣ドゥ ター⸢ン⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢duː⸣nu ⸢maːru miːmaːsun⸣du taː⸢m⸣ bu⸢raːnu] (自分の回りを見回すが誰もいない)。 ⸢ミーマーシ⸣ プサンドゥ ⸢ミーマサラ⸣ヌ [⸢miːmaːʃi⸣ pu̥sandu ⸢miːmaːsara⸣nu] (見回したいが見回されない)。 ⸣ドゥーシ ⸢ミーマー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duːʃi ⸢miːmaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (自分で見回すことはできない)。 ⸢ミーマー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢miːmaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (見回せばいいのに)。 ヤー⸢ディン ミーマー⸣シ [jaː⸢dim miːmaː⸣ʃi] (必ず見回せよ) 9547 0 0 16384 htmvoc_9547.wav ミーマール ⸢ミーマール [⸢miːmaːru] 名 田圃の見回り 16469 0 0 16385 htmvoc_16469.wav ミーマール ⸢ミーマー⸣ル [⸢miːmaː⸣ru] 名 見回り。巡視。 ⸢アー⸣ヤー ⸢ター⸣ヌ ⸢ミーマー⸣ル ⸢シン パイ⸣ター ⸢オーッ⸣タ [⸢ʔaː⸣jaː ⸢taː⸣nu ⸢miːmaː⸣ru ⸢ʃim pai⸣taː ⸢ʔoːt⸣ta] (お父さんは、水田の見回りをしに南端<西表島北部>へ行かれた) 16471 0 0 16386 htmvoc_16471.wav ミーマール ⸢ミーマール [⸢miːmaːru] 名 身の回りの世話。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ミーマールンツァン シーユーサンムヌ⸣ヌ プ⸢スヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ナ⸢ルン [⸢duː⸣nu ⸢miːmaːrunʦaŋ ʃiːjuːsam munu⸣nu pu̥⸢sunu⸣ ku̥⸢tu⸣nu na⸢ruŋ] (自分の身の回りの世話すらできない<成しえない>者に他人の世話<こと>ができるものか) 16470 0 0 16387 htmvoc_16470.wav ミーマールン ⸢ミーマー⸣ルン [⸢miːmaː⸣ruŋ] 自動・他動 見回る。巡視する。 ⸢ター⸣ヤ ⸢ミーマーラン⸣カー カ⸢マイ⸣ヌ ⸢ペー⸣ルンダ プ⸢スインゴー⸣シシ ⸢ミーマー⸣リ⸢ヨー [⸢taː⸣ja ⸢miːmaːraŋ⸣kaː ka⸢mai⸣nu ⸢peː⸣runda pu̥⸢suiŋgoː⸣ʃiʃi ⸢miːmaː⸣ri ⸢ʃiː⸣joː] (田圃は見回らないと猪が入るから、一日置きに見回れよ)。 ⸣ドゥーシ ⸢ミーマー⸣リ ⸣ミサカー ⸢ミーマー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣duːʃi ⸢miːmaː⸣ri ⸣misakaː ⸢miːmaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (自分で見回って良ければ、見回ることはできる)。 ⸢ミーマー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢miːmaː⸣reː ⸣misamunu] (見回れば良いのに)。 ⸢ミーマー⸣リバ [⸢miːmaː⸣riba] (見舞われよ) 16472 0 0 16388 htmvoc_16472.wav ミーマイ ⸢ミーマイ [⸢miːmai] 名 新米。新しく収穫された米。ッ⸢ふ⸣マイ[f⸢fu⸣mai](古米)の対義語。 ⸢ミーマイ⸣ ッサイティ バ⸢カシ⸣ シケーヌ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ンダ ヤー⸢ディン⸣ ッ⸢ふァイティ⸣ パリバ [⸢miːmai⸣ ssaiti ba⸢kaʃi⸣ ʃi̥keːnu ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣nda jaː⸢diŋ⸣ f⸢faiti⸣ pariba] (新米を精げて炊いてあるが、非常に美味しいので、是非食べて行きなさいよ) 16473 0 0 16389 htmvoc_16473.wav ミーマイ ⸢ミー⸣マイ [⸢miː⸣mai] 名 お見舞い。病人や被災者を訪ねて慰めたり、金品を贈ること。 ⸢イー⸣ネヌ ⸣アッパー ⸣ヤミ ⸢オー⸣ルティバ ⸢ミー⸣マイ ⸢シン⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣nenu ⸣ʔappaː ⸣jami ⸢ʔoːru⸣tiba ⸢miː⸣mai ⸢ʃim⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (西隣のお祖母さんが病気で\ruby{臥}{フ}せっておられるそうだから、お見舞いしに行かなければならない) 16474 0 0 16390 htmvoc_16474.wav ミーマイムヌ ⸢ミーマイ⸣ムヌ [⸢miːmai⸣munu] 名 見舞い品。 ヤ⸢ミプス⸣ヌ ⸢ミーマイ⸣ムノー ⸢ヌー⸣ル マ⸢シ⸣カヤー [ja⸢mipu̥su⸣nu ⸢miːmai⸣munoː ⸢nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣kajaː] (病人の見舞い品は何が良い<増し>でしょうか) 16423 0 0 16391 htmvoc_16423.wav ミーマジ ⸢ミーマ⸣ジ [⸢miːma⸣ʤi] 名 (動)ミミズ(蚯蚓)。 ⸢ミーマ⸣ジバ ⸢ムン⸣ダニ シ⸢ティ⸣ ユー イ⸢ズ ホーシ⸣タン [⸢miːmaʤi⸣ba ⸢mun⸣dani ʃi̥⸢ti⸣ juː ʔi⸢ʣu hoːʃi̥⸣taŋ] (ミミズを餌にして、よく魚を釣ったよ)。 ⸢ミーマジ⸣ヌ ⸢ブー⸣ パ⸢タキ⸣ヌ ⸢ジー⸣ヤ フ⸢キ⸣ジー ヤ⸢ルンダ ウン⸣マー ⸢ミールン⸣ダー [⸢miːmaʤi⸣nu ⸢buː⸣ pḁ⸢taki⸣nu ⸢ʤiː⸣ja ɸu̥⸢ki⸣ʤiː ja⸢runda ʔum⸣maː ⸢miːrun⸣daː] (ミミズのいる畑の土地は肥えた土地だから、芋は実るよ) 16424 0 0 16392 htmvoc_16424.wav ミーマジキー ⸢ミーマ⸣ジキー [⸢miːma⸣ʤikiː] 名 (植)木の名。シロミミズ。重くて燃えにくい樹木という。 ⸢ミーマ⸣ジキーヤ ⸢ナン⸣ゾー ⸢ムイランダ⸣ タ⸢ム⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miːma⸣ʤikiːja ⸢nan⸣ʣoː ⸢muiranda⸣ ta⸢mu⸣nu na⸢ra⸣nu] (シロミミズの木はあまり燃えないので、薪にはできない) 16476 0 0 16393 htmvoc_16476.wav ミーマチガイ ⸢ミーマチ⸣ガイ [⸢miːmaʧi⸣gai] 名 見間違い。見誤り。 ウ⸢レー⸣ バー ⸢ミーマチガイ⸣ル ヤ⸢レー⸣バン [ʔu⸢reː⸣ baː ⸢miːmaʧigai⸣ru ja⸢reː⸣baŋ] (それは私の見間違いであったわい) 16477 0 0 16394 htmvoc_16477.wav ミーマチガイルン ⸢ミーマチガイ⸣ルン [⸢miːmaʧigai⸣ruŋ] 他動 見間違える。見誤る。 ⸣アイニ ⸢ニーヤー⸣カー ター⸢ン ミーマチガイ⸣ルンティル ウ⸢モー⸣リ [⸣ʔaini ⸢niːjaː⸣kaː taː⸢m miːmaʧigai⸣runtiru ʔu⸢moː⸣ri] (あんなに似ていたら、誰だって見違える<見誤る>と思われる)。 イコー⸢ラ ニーブタンティン ミーマチガイラ⸣ヌ [ʔikoː⸢ra niːbutantim miːmaʧigaira⸣nu] (いくら似ていても見間違えない)。 ⸢ミーマチ⸣ガイ ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːmaʧi⸣gai ⸢naː⸣nu] (見間違えてしまった)。 ⸢ミーマチガイ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːmaʧigai⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (見間違えることはない)。 ⸢ミーマチガイ⸣レー<⸢ミーマチガイ⸣ヤ> ⸣ミサムヌ [⸢miːmaʧigai⸣reː<⸢miːmaʧigai⸣ja> ⸣misamunu] (見間違えればいいのに)。 ⸢ミーマチガイ⸣リ [⸢miːmaʧigai⸣ri] (見間違えろ) 16478 0 0 16395 htmvoc_16478.wav ミーマチガウン ⸢ミーマチ⸣ガウン [⸢miːmaʧi⸣gauŋ] 他動 見間違う。見間違える。見誤る。 ウ⸢ヌ ターチュー⸣ヤ ⸣ユー ⸢ミーマチ⸣ガウンダ ⸢ミーマチガーン⸣ヨーニ ⸢パン⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢nu taːʧuː⸣ja ⸣juː ⸢miːmaʧi⸣gaunda ⸢miːmaʧigaːɲ⸣joːni ⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (この双子はよく見間違えるから、見間違えないように印しを付けなさい)。 ⸢ミーマチ⸣ガイ ⸢ナー⸣ヌ [⸢miːmaʧi⸣gai ⸢naː⸣nu] (見間違ってしまった)。 ⸣バー ⸢ミーマチ⸣ガウ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣baː ⸢miːmaʧi⸣gau ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (私は、見間違えることはない)。 プ⸢スケン⸣ナー ⸢ミーマチガイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [pu̥⸢suken⸣naː ⸢miːmaʧigai⸣jaː ⸣misamunu] (一度ぐらいは見間違えればいいのに)。 ⸢ミーマチ⸣ガイバ [⸢miːmaʧi⸣gaiba] (見間違えろ) 16479 0 0 16396 htmvoc_16479.wav ミーマヤ ⸢ミー⸣マヤ [⸢miː⸣maja] 名 雌猫。 ⸢ミーマヤ⸣トゥ ビ⸢キマヤヌ⸣ ズ⸢ブ⸣マイ シ⸢ティ⸣ フヤー ⸢スンダ⸣ ン⸢ガマサ⸣ヌ ニ⸢バラヌ [⸢miːmaja⸣tu bi⸢kimajanu⸣ ʣu⸢bu⸣mai ʃi̥⸢ti⸣ ɸujaː ⸢sunda⸣ ʔŋ⸢gamasa⸣nu ni⸢baranu] (雌猫と雄猫が発情して吠えるから\ruby{煩}{ウルサ}くて眠れない) 16480 0 0 16397 htmvoc_16480.wav ミーマユ ⸢ミー⸣マユ [⸢miː⸣maju] 名 顔貌。顔かたち。「目眉」の転訛。 ミ⸢ドーンッふァ⸣ヌ ⸢ミー⸣マユ ア⸢バレーアバレー⸣シ マ⸢リベー [mi⸢doːffa⸣nu ⸢miː⸣maju ʔa⸢bareːʔabareː⸣ʃi ma⸢ribeː] (女の子が顔貌が麗しく<美しく、可愛らしく>生まれている) 16481 0 1 16398 htmvoc_16481.wav ミーミカーミ ⸢ミー⸣ミカーミ [⸢miː⸣mikaːmi] 副 {Mn_1}隅々まで。小さいところまで隈なく。⸢ミー⸣ミ[⸢miː⸣mi](穴という穴すべて)のABACBA型の重言。 ⸢ミー⸣ミカーミ フ⸢ジ⸣リ ⸢ミシ⸣キティ ヤッ⸢トゥ⸣シ トゥミケール ⸣ムヌ [⸢miː⸣mikaːmi ɸu⸢ʤi⸣ri ⸢miʃi̥⸣kiti jat⸢tu⸣ʃi ⸣tumikeːru ⸣munu] (あちらこちら隈なくほじくり<穿り>探して、やっとで捜し求めてきたもの)。 16481 0 2 16399 htmvoc_16481.wav ミーミカーミ ⸢ミー⸣ミカーミ [⸢miː⸣mikaːmi] 副 {Mn_2}根堀り葉堀り。微細に。 ⸢ミー⸣ミカーミ ⸢トゥイスクン [⸢miː⸣mikaːmi ⸢tuisu̥kuŋ] (根堀り葉堀りこまごまと問い尋ねる<聞く>) 16425 0 0 16400 htmvoc_16425.wav ミーミナ ⸢ミー⸣ミナ [⸢miː⸣mina] 名 (動)牝貝。ニシキウズ科。和名、ギンタカハマ。広セ貝。貝類の牝貝一般にもいう。ビ⸢キミナ[bi⸢kimina](雄貝)の対義語。「\ruby{女蜷}{メ|ニナ}」の義。「河貝子、美奈<みな>」『和名抄』の転訛したもの。雄貝に比して形状も小さく、多少ずんぐりしている。ビ⸢キミナ[bi⸢kimina](雄貝{EOS}高セ貝<サラサバテイラ>)に比して美しくない。殻の外唇と内唇が「雄貝」に比して低い。牝貝はノッペラボーな顔に似、「雄貝」は彫りの深い顔に似る。 ⸢ミー⸣ミナー ⸢ナン⸣ゾー タ⸢カー カーサラヌ [⸢miː⸣minaː ⸢nan⸣ʣoː tḁ⸢kaː kaːsaranu] (牝貝はあまり高くは売れない<買わされない>)。 ⸢ミー⸣ミナーラン ビ⸢キミナル⸣ タ⸢カ⸣ー ⸢カーサリタ [⸢miː⸣minaram bi⸢kiminaru⸣ tḁ⸢ka⸣ː ⸢kaːsarita] (広瀬貝よりも高瀬貝の方が高く売れた) 16483 0 0 16401 htmvoc_16483.wav ミーミュートゥ ⸢ミーミュー⸣トゥ [⸢miːmjuː⸣tu] 名 新しい夫婦。「新夫婦」の義。⸢ミー ミートゥン⸣ダ[⸢miː miːtun⸣da](新しい夫婦)ともいう。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ミーミュー⸣トー ⸢ゴー⸣ラー ウ⸢ヤ⸣トゥ プ⸢ス⸣キナイナー ⸢ベーリ⸣プサー ⸢サンバン [ma⸢nama⸣nu ⸢miːmjuː⸣toː ⸢goː⸣raː ʔu⸢ja⸣tu pu̥⸢su⸣kinainaː ⸢beːri⸣pu̥saː ⸢sambaŋ] (今の新しい夫婦は、多くは親と一緒の所帯に居たがらないわい) 16484 0 0 16402 htmvoc_16484.wav ミーミュートゥ ⸢ミーミュートゥ [⸢miːmjuːtu] 名 三夫婦(祖父母、父母、子供夫婦)。一家に三代揃った夫婦。目出度い家庭のシンボルとして村人の\ruby{憧憬}{ドウ|ケイ}<ショウケイ>の的となる。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ミーミュートゥ⸣ スルイ⸢ヨー⸣リ ウ⸢ラーミ⸣サワ⸢ナー [⸢ʔun⸣neːja ⸢miːmjuːtu⸣ surui⸢joː⸣ri ʔu⸢raːmi⸣sawa⸢naː] (あの家は三代の夫婦が揃われて、羨ましいですね) 16485 0 0 16403 htmvoc_16485.wav ミームイルン ⸣ミー ⸢ムイルン [⸣miː ⸢muiruŋ] 連 老眼になる。目が遠くなる。五十歳代になると目がじらじらしてきて近くの物が見づらくなる現象。 ⸣ミー ⸢ムイティ⸣ パ⸢ル⸣ヌ ⸣ミー ヌ⸢カラヌ [⸣miː ⸢muiti⸣ pa⸢ru⸣nu ⸣miː nu⸢karanu] (老眼になって、針の穴が通せ<貫かれ>ない)。 ⸢ワーヤ ピッ⸣チン ⸣ミー ⸢ムイランバン⸠ナー [⸢waːja pit⸣ʧim ⸣miː ⸢muiramban⸠naː] (君はちっとも目が老眼にならないわいなあ) 16486 0 0 16404 htmvoc_16486.wav ミームク ⸢ミームク [⸢miːmuku] 名 花婿。新しい婿。「新婿」の義。 ⸢ミームクバ⸣ アイニ ヤ⸢ナシゥカイ シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miːmukuba⸣ ʔaini ja⸢naʔasï̥kai ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (花婿<新婿>をあのように酷使<酷い扱い>をしてはならない) 16487 0 0 16405 htmvoc_16487.wav ミームシ ⸢ミームシ [⸢miːmuʃi] 名 (数)三回。三度。 ム⸢カ⸣シェー ⸣プスイ ⸢ミームシ(⸢ミーキ)⸢ウンヌイー⸣バ ッ⸢ふァイヤー⸣ティル ッ⸢ふァー⸣ フ⸢ドゥバシタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣pu̥sui ⸢miːmuʃi(⸣pusui ⸢miːki)⸢ʔunnuʔiː⸣ba f⸢faijaː⸣tiru f⸢faː⸣ ɸu⸢dubaʃi̥ta] (昔は、一日に三度<一日三食>、芋のご飯を食べながら子供を育て<成長させ>た)。 ⸢ミームシル⸣ ナル ⸢マービン⸣マー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢miːmuʃiru⸣ naru ⸢maːbim⸣maː na⸢ra⸣nu] (三度しかできない<三度ぞ出来る{EOS}なる>、それ以上はできない) 16488 0 0 16406 htmvoc_16488.wav ミームス ⸢ミームス [⸢miːmusu] 名 新しい筵。新品の筵。 ⸢ミームス カイ⸣ クーバ [⸢miːmusu kai⸣ kuːba] (新しい筵を買ってきなさいよ) 16489 0 0 16407 htmvoc_16489.wav ミームタイ ⸢ミー⸣ムタイ [⸢miː⸣mutai] 名 見向き。 ⸣バー ヤ⸢ラブタヌ⸣ ウ⸢レー ミームタイ⸣ヤーンツァン サ⸢ヌ [⸣baː ja⸢rabutanu⸣ ʔu⸢reː miːmutai⸣jaːnʦan sa⸢nu] (私は呼んだが、彼は見向きすらもしない) 16491 0 0 16408 htmvoc_16491.wav ミームタイヤーンツァンサヌ ⸢ミームタイ⸣ヤーンツァン サ⸢ヌ [⸢miːmutai⸣jaːnʦan sa⸢nu] 連 歯牙にもかけない。「見向きすらもしない」の義。 ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー イ⸢バリティ バンタ⸣ヨー ⸢ミームタイ⸣ヤーンツァン サ⸢ヌ [ʔu⸢nu⸣ mi⸢du⸣moː ʔi⸢bariti banta⸣joː ⸢miːmutai⸣jaːnʦan sa⸢nu] (あの女は威張って僕らを歯牙にもかけない<見向きすらしない>) 16490 0 0 16409 htmvoc_16490.wav ミームタイルン ⸢ミームタイ⸣ルン [⸢miː mutai⸣ruŋ] 自動 目をもたげる。目を上に向ける(反抗の意思表示)。見向く。ム⸢タイ⸣ルン[mu⸢tai⸣ruŋ]は「かしら\ruby{擡}{モタ}げて、『竹取物語』」の転訛したもの。 ウ⸢スンフカンドー⸣シ ⸢ミームタイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ス⸢ブ⸣ル ⸢グッふァ⸣ヌ ⸢ミーム⸣タイ シ⸢ララヌ [ʔu⸢suŋɸu̥kandoː⸣ʃi ⸢miːmutai⸣runti ⸢sundu⸣ su⸢bu⸣ru ⸢guffa⸣nu ⸢miːmu⸣tai ʃi⸢raranu] (うつむか<俯か>ないで、目をもたげようとするが、頭が重くて目をもたげることができない) 16493 0 0 16410 htmvoc_16493.wav ミームタインサヌ ⸢ミー⸣ムタイン サ⸢ヌ [⸢miː⸣mutain sa⸢nu] 連 相手にしない。目もくれない。無視する。問題にもしない。歯牙にもかけない。 イ⸢ナカムヌ⸣ティ ⸢シー バンタ⸣ヨー ⸢ミー⸣ムタイン サ⸢ヌ [ʔi⸢nakamunu⸣ti ⸢ʃiː banta⸣joː ⸢miː⸣mutain sa⸢nu] (田舎者といって私等を相手にもしない) 16492 0 0 16411 htmvoc_16492.wav ミームタウン ⸢ミー⸣ ムタウン [⸢miː⸣ mutauŋ] 連 目をもたげる。目を上に向ける。下から見上げて睨む(疑問・反抗に意思表示)。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イ⸢ジ⸣ シゥ⸢カス⸣カー ⸢ミー⸣ ムタイ ⸣ミルンダ キ⸢ビッ⸣サ イ⸢ズナ⸣ヨー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔi⸢ʤi⸣ sï̥⸢kasu⸣kaː ⸢miː⸣ mutai ⸣mirunda ki⸢bis⸣sa ʔi⸢ʣuna⸣joː] (あの子は叱って教える<聞かす>と反抗して目を見上げて睨むから、厳しく叱るなよ) 16494 0 0 16412 htmvoc_16494.wav ミームドゥシ ⸢ミームドゥシ [⸢miːmuduʃi] 名 (数)三往復。三回。「みもどし(三戻し)」の転訛したもの。 ⸢ウン⸣ネーラ ⸢ミームドゥシ⸣ ム⸢ドゥサ⸣リティン ア⸢キラム⸣ナー ⸢ベー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ウ⸢ヤ⸣ヌ ユ⸢ラ⸣シ ⸢イー⸣リ ⸣クイケール ユ⸢ミッふァー タイ⸣シチニ ⸢シー⸣ダー [⸢ʔun⸣neːra ⸢miːmuduʃi⸣ mu⸢dusa⸣ritiŋ ʔa⸢kiramu⸣naː ⸢beː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ʔu⸢ja⸣nu ju⸢ra⸣ʃi ⸢ʔiː⸣ri ⸣kuikeːru ju⸢miffaː tai⸣ʃi̥ʧini ⸢ʃiː⸣daː] (あの家から三回<三戻し>戻されても諦めずにいるので、やっとで親の許可<許し>を貰って、頂いてきた<乞うてきた>嫁子を大切にしなさいよ) 16495 0 0 16413 htmvoc_16495.wav ミームヌ ⸢ミームヌ [⸢miːmunu] 名 新品。新しいもの。「にひもの(新物)」の義。 ⸣アイブ ッ⸢ふ⸣ムノー シ⸢ティティ ミームヌ⸣ シゥ⸢カイヨー⸣リバ [⸣ʔaibu f⸢fu⸣munoː ʃi̥⸢titi miːmunu⸣ sï̥⸢kaijoː⸣riba] (あんな古物は捨てて、新品をお使いなされよ<使いおはせ>)。 ッ⸢ふ⸣ムノー ムー⸢ル ミームヌトゥ⸣ トゥ⸢リカイ⸣リバ⸢ヨー [f⸢fu⸣munoː muː⸢ru miːmunutu⸣ tu⸢rikai⸣riba⸢joː] (古いものは全部新品と取替えなさいよねえ) 16496 0 0 16414 htmvoc_16496.wav ミームヌ ⸢ミー⸣ムヌ [⸢miː⸣munu] 名 雌。「雌もの」の転訛したもの。ビ⸢キムヌ[bi⸢kimunu](雄<雄もの>)の対義語。⸢ミー⸣ドゥル[⸢miː⸣duru](雌鳥)、⸢ミー⸣ウシ[⸢miː⸣ʔuʃi](牝牛)、⸢ミー⸣オー[⸢miː⸣ʔoː](雌豚)などをいう。 ⸢マン⸣ズイナーン ⸣バサナーン ⸢ケージ⸣ナーン ⸢ミー⸣ムヌ ビ⸢キムヌティ⸣ アン⸢ダー [⸢man⸣ʣuinaːm ⸣basanaːŋ ⸢keːʤi⸣naːm ⸢miː⸣munu bi⸢kimunuti⸣ ʔan⸢daː] (パパイヤにも芭蕉にもマルバチシャノキにも雌<もの>と雄<もの>の区別があるよ) 16497 0 0 16415 htmvoc_16497.wav ミームヌ ⸢ミー⸣ムヌ [⸢miː⸣munu] 名 見物。みせもの(見世物)。芝居。 イ⸢サナキ⸣ナー イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サル ⸢ミームヌ⸣ヌ ⸣ケーンティバ ウ⸢リ⸣ ミリン ⸢オーラ⸢ヌー [ʔi⸢sanaki⸣naː ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣saru ⸢miːmunu⸣nu ⸣keːntiba ʔu⸢ri⸣ miriŋ ʔoːra⸢nuː] (石垣に非常に面白い見世物が来ているそうだから、それを見に行かれませんか) 16500 0 0 16416 htmvoc_16500.wav ミーヤー ⸢ミーヤー [⸢miːjaː] 名 新しい家。新築家屋。にいや(新屋)。ア⸢ラヤー[ʔa⸢rajaː](新築家屋)ともいう。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸢ミーヤーン⸣ ス⸢ク⸣リ マ⸢イフナー ユン [ba⸢kaː⸣mununu ⸢miːjaːn⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢maiɸunaː juŋ] (若者が<若者だのに>、新築家屋も造って立派な男だ)。 ⸢ミーヤー⸣ ス⸢ク⸣ロールカー ⸣アーパーレーウタン イ⸢ゾーッ⸣タン [⸢miːjaː⸣ su̥⸢ku⸣roːrukaː ⸣ʔaːpaːreːʔutaŋ ʔi⸢ʣoːt⸣taŋ] (新築家屋を造られるとアーパーレー歌<新室寿ぎ歌>も歌われた) 16506 0 1 16417 htmvoc_16506.wav ミーヤーマ ミー⸢ヤー⸣マ [mi⸢jaː⸣ma] 名 {Mn_1}小さな目。 ⸢パンタル⸣ター ミー⸢ヤー⸣マ ⸣ナリティ イ⸢カムス⸣ク バ⸢カ⸣ヤワ⸢ツォー [⸢pantaru⸣taː miː⸢jaː⸣ma ⸣nariti ʔi⸢kamusu̥⸣ku ba⸢ka⸣jawa⸢ʦoː] (太ったので、小さな目になってしまって、なんと可笑しなことか)。 16506 0 2 16418 htmvoc_16506.wav ミーヤーマ ミー⸢ヤー⸣マ [mi⸢jaː⸣ma] 名 {Mn_2}小さな穴。 ⸢フンツァ⸣ヌ ミー⸢ヤー⸣マーラ フ⸢キ⸣ ウティ⸢ナー⸣ヌ [⸢ɸunʦa⸣nu miː⸢jaː⸣maːra ɸu̥⸢ki⸣ ʔuti⸢naː⸣nu] (床の小さな穴からふけ落ちてしまった) 16501 0 0 16419 htmvoc_16501.wav ミーヤクティティーヤクティ ⸢ミー⸣ヤクティ ⸢ティー⸣ヤ ⸣クティ [⸢miː⸣ja ⸣ku̥ti ⸢tiː⸣ja ku̥ti] 連 注意散漫で動作がばらばらである。統制のとれない行動をすること。⸢目は別、手は別」の義。 ⸢ワー⸣ ッ⸢サーコー ミー⸣ヤ ⸣クティ ⸢テー⸣ヤ ⸣クティ ⸣ナリティ ⸣マイ ⸢ユーザヌ ヌー⸣バ ⸢カン⸣ガイ シ⸢グトゥ シー ベー⸣ワ [⸢waː⸣ s⸢saːkoː miː⸣ja ⸣ku̥ti ⸢tiː⸣ja ⸣ku̥ti ⸣nariti ⸣mai ⸢juːʣanu nuː⸣ba ⸢kaŋ⸣gai ʃi⸢gutu ʃiː beː⸣wa] (君の作業は注意散漫で動作がばらばらであるから、前進<進捗>しないのだ{EOS}何を考えて仕事をしているのか) 16503 0 0 16420 htmvoc_16503.wav ミーヤゴーミフチヤゴーミ ⸢ミーヤゴー⸣ミ フ⸢チヤゴーミ [⸢miːjagoː⸣mi ɸu̥⸢ʧijagoːmi] 連 今にも泣き出さんばかりに顔をしわ(\ruby{皺}{シワ})くちゃにして。目や口を歪めて不平をいうさま。「目ゆがめ・口ゆがめ」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ミーヤゴー⸣ミ フ⸢チヤゴーミ シー⸣ ナ⸢クンティ ベ⸣ー [ja⸢ra⸣beː ⸢miːjagoː⸣mi ɸu̥⸢ʧijagoːmi ʃiː⸣ na⸢kunti be⸣ː] (子供は目や口を歪めて、今にも泣き出しそうにしている) 16502 0 0 16421 htmvoc_16502.wav ミーヤッサン ⸢ミーヤッ⸣サン [⸢miːjas⸣saŋ] 形 見やすい。ミ⸢リヤッ⸣サン[mi⸢rijas⸣saŋ](見やすい)ともいう。 ⸢ガン⸣キョー ⸣カクカー ⸢ミーヤッ⸣サン [⸢gaŋ⸣kjoː ⸣kḁkukaː ⸢miːjas⸣saŋ] (眼鏡をかけたら見やすい)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ミーヤッサー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢miːjassaː naː⸣nu] (あまり見やすくない)。 ⸢シンダイ ミーヤッ⸣サー ⸣ナルン [⸢ʃindai miːjas⸣saː ⸣naruŋ] (次第に見やすくなる)。 ⸢ミーヤッ⸣サ ⸣ムヌ イ⸢ラ⸣ビバ [⸢miːjas⸣sa ⸣munu ʔi⸢ra⸣biba] (見やすい物を選びなさい) 16505 0 0 16422 htmvoc_16505.wav ミーヤパーナルン ⸢ミー⸣ヤ ⸢パー⸣ナルン [⸢miː⸣ja ⸢paː⸣naruŋ] 連 驚いて目を大きく見開き茫然自失する。(あっけにとられて我を忘れてしまう)。驚きあきれて戸惑う。驚きうろたえる。 ウ⸢ダラ⸣キティ ⸢ミー⸣ヤ ⸢パー⸣ナリ ダ⸢ラシ⸣キ ビ⸢リベー [ʔu⸢dara⸣kiti ⸢miː⸣ja ⸢paː⸣ nari da⸢raʃi̥⸣ki bi⸢ribeː] (驚いて目を大きく見開いて茫然自失してべったりと坐っている)。 ⸢ミー⸣ヤ ⸢パー⸣ナリティ ッ⸢ふァ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルンティ ⸣パリ ⸢アー⸣ク [⸢miː⸣ja ⸢paː⸣nariti f⸢fa⸣ tu⸢mi⸣runti ⸣pari ⸢ʔaː⸣ku] (驚きうろたえて、子供を捜して走りまわっている<あるく>) 16504 0 1 16423 htmvoc_16504.wav ミーヤマスン ⸣ミー ヤ⸢マ⸣スン [⸣miː ja⸢ma⸣suŋ] 連 {Mn_1}体面を汚す。みっともないことをする。外聞の悪いことをする。「目を病ます」の転訛したもの。見るに耐えないことをする人に対していう。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ミー ヤ⸢マ⸣シ ⸣アイブ ガ⸢バーフイ⸣キン キ⸢スナ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣miː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʔaibuː ga⸢baːɸui⸣kiŋ ki̥⸢suna] (親の体面を汚して、あんな汚れた着物を着るな)。 16504 0 2 16424 htmvoc_16504.wav ミーヤマスン ⸣ミー ヤ⸢マ⸣スン [⸣miː ja⸢ma⸣suŋ] 連 {Mn_2}得られないなものを、欲しくなる気持ちを起こさせる。欲しがらせる。気持ちを損ねる。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ミー ヤ⸢マ⸣シ ン⸢マー⸣ムヌバ ⸢タン⸣ガ カー⸢ニン ッふァーサン⸣ ブ⸢レー⸣ミサムヌ [ja⸢rabi⸣nu ⸣miː ja⸢ma⸣ʃi ʔm⸢maː⸣munuba ⸢taŋ⸣ga kaː⸢niŋ⸣ f⸢faːsam⸣ bu⸢reː⸣ misamunu] (子供の気持ちを損ねて、美味しいものを一人だけに食べさせなければいいのに) 16507 0 0 16425 htmvoc_16507.wav ミーユミ ⸢ミーユミ [⸢miːjumi] 名 新しい嫁。新嫁。 サ⸢クシ⸣ヌ ⸢ミーユミバ サーリ⸣ キー ⸣ヨイ ⸢スンティ オー⸣ル [sḁ⸢kuʃi⸣nu ⸢miːjumiba saːri⸣ kiː ⸣joi ⸢sunti ʔoː⸣ru] (長男が新嫁を迎えて<連れてきて>お祝いをしようとしておられる) 16508 0 0 16426 htmvoc_16508.wav ミーヨー ⸢ミー⸣ヨー [⸢miː⸣joː] 名 めくばせ(目配せ{EOS}\ruby{眴}{メクバ}せ)。目つきで合図すること。 プ⸢スヌ⸣ マイナーテー ⸣ムネー イ⸢ザランダ ミー⸣ヨーシ ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カシ [pu̥⸢sunu⸣ mainaːteː ⸣muneː ʔi⸢ʣaranda miː⸣joːʃi ʔa⸢ʤi⸣ sï̥⸢kaʃi] (人前では、言葉では言えないから、目配せで知らせ<言って聞かせ>なさい) 16509 0 0 16427 htmvoc_16509.wav ミーヨーフチヨー ⸢ミーヨー⸣ フ⸢チ⸣ヨー [⸢miːjoː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣joː] 連 目や口の様子で合図すること。目配せや口ぶり。「目様・口様」の転訛したもの。 ⸣アッパー ⸢ミーヨー⸣ フ⸢チ⸣ヨーシ ウ⸢ヌス⸣ク ア⸢ゾールン⸣ドゥ ⸢ウンザー ピッ⸣チン ⸢カントゥリヨーサ⸣ン ⸢ベー⸣ティル ⸣アブジェー ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ローレー⸢ダー [⸣ʔappaː ⸢miːjoː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣joːʃi ʔu⸢nusu̥⸣ku ʔa⸢ʣoːrun⸣du ⸢ʔunʣaː pitʧi⸣ŋ ⸢kanturijuːsa⸣m ⸢beː⸣tiru ⸣ʔabuʤeː ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣roːreː⸢daː] (お祖母さんがあれほど目配せや口ぶりで言われるのだが、此奴がちっとも感得できないので、祖父さんは立腹されたのだ) 16510 0 0 16428 htmvoc_16510.wav ミーヨールン ⸢ミー ヨー⸣ルン [⸢miː joː⸣ruŋ] 連 視力が弱くなる。「目が弱る」の義。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ミー ヨー⸣リ グ⸢マー ⸣ムノー ⸣ムヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ⸢miː joː⸣ri gu⸢maː⸣ munoː⸣ munu mi⸢rara⸣nu] (年を取ったので視力が弱って、小さい物は、ものを見ることが出来ない<ものが見えない>) 16512 0 0 16429 htmvoc_16512.wav ミールン ⸢ミールン [⸢miːruŋ] 自動 \ruby{稔}{ミノ}る。豊作となる。根菜などが稔る。熟する。「実入る」の義か。 ヒャ⸢クゴー⸣ヤ イッ⸢ケナ ミールン⸣ティ ス⸢クタヌ⸣ クマー ⸢ナン⸣ゾー ⸢ミーランバン [çḁ⸢kugoː⸣ja ʔik⸢kena miːrun⸣ti su̥⸢kutanu⸣ kumaː ⸢nan⸣ʣoː ⸢miːrambaŋ] (百号種の芋は非常によく稔ると聞いたが、ここはあまり稔らないわい)。 ⸢ミーリ⸣ パ⸢ヤー⸣ン [⸢miːri⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (実り<熟し>早い)。 ⸢ミール⸣ クトー ⸢ミールンドゥ⸣ ン⸢マーナー⸣ヌ [⸢miːru⸣ ku̥toː ⸢miːrundu⸣ ʔm⸢maːnaː⸣nu] (稔ることは稔るが、美味しくない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ミーレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢miːreː⸣ misamunu] (もっと稔ればいいのだが)。 ⸢ウン⸣マー ⸢ミーレー⸣ン [⸢ʔum⸣maː ⸢miːreː⸣ŋ] (芋は稔った)。 ⸢ミーリ [⸢miːri] (稔れ) 16511 0 0 16430 htmvoc_16511.wav ミーワク ⸢ミーワク [⸢miːwaku] 名 迷惑。他人から厄介な目にあわされて困ること。 シゥ⸢カイットーヌ ナーン⸣ ムヌバ ⸢イー⸣リティ ⸢ミーワク シーベー [sï̥⸢kaittoːnu naːm⸣ munuba ⸢ʔiː⸣riti ⸢miːwaku ʃiːbeː] (使い道のない<利用価値のない>物を貰って迷惑している)。 ク⸢ヌタベー⸣ バー ッ⸢ふァヌ⸣ タ⸢ミ⸣ナー ⸢ワーバー⸣キ ⸢ミーワク⸣ カ⸢キ⸣シミ ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸣クナイ ッ⸢ふィーリ⸣ヨー [ku⸢nutabeː⸣ baː f⸢fanu⸣ ta⸢mi⸣naː ⸢waːbaː⸣ki ⸢miːwaku⸣ kḁ⸢ki⸣ʃimi ⸢naːnu⸣nu ⸣kunai f⸢fiːri⸣joː] (この度は、私の子供のために君にまで迷惑をかけてしまったが、堪えてくれよね)。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ウ⸢トゥザマリン⸣ シ⸢マ⸣ヌ プ⸢スンケー⸣ンナーニン ⸢ミーワク⸣ カ⸢キ⸣ルン⸢ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː ʔu⸢tuʣamariŋ⸣ ʃi⸢ma⸣nu pu̥⸢suŋkeː⸣nnaːnim ⸢miːwaku⸣ kḁ⸢ki⸣run⸢daː] (悪いことをすると親戚にも島の人々にも迷惑をかけるよ) 16513 0 0 16431 htmvoc_16513.wav ミーングリサン ⸢ミーングリ⸣サン [⸢miːŋguri⸣saŋ] 形 見苦しい。若年層の言葉。老年層は⸢ミーヌッ⸣サン[⸢miːnus⸣saŋ](見苦しい)というのが普通。 ⸣アイブ ⸣キン キ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣クカー ⸢ミーングリ⸣サンダ ⸢ミーングリ⸣サ ⸢ナーン⸣ カタチニ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣キバ [⸣ʔaibu ⸣kiŋ ki̥⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kukaː ⸢miːŋguri⸣sanda ⸢miːŋguri⸣sa ⸢naːŋ⸣ kḁtaʧini ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣kiba] (あんな着物を着ている<あるく>と見苦しいから、見苦しくないようにしていなさいよ)。 ⸢シンダイ ミーングリ⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai miːŋguri⸣sa ⸣naruŋ] (次第に見苦しくなる)。 ⸢ミーングリ⸣サ ⸣クトー ス⸢ナ⸣ヨー [⸢miːŋguri⸣sa ⸣ku̥toː su⸢na⸣joː] (見苦しいことはするなよ) 16514 0 0 16432 htmvoc_16514.wav ミーンマ ⸢ミーン⸣マ [⸢miːʔm⸣ma] 名 (動)\ruby{牝馬}{メ|ウマ}。ビ⸢キンマ[bi⸢kiʔmma](雄馬)の対義語。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ミーン⸣マン ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢miːʔm⸣mam bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島には牝馬もいなかった) 16289 0 0 16433 htmvoc_16289.wav ミカーミカーシ ミ⸢カーミカー⸣シ [mi⸢kaːmikaː⸣ʃi] 副 こっそりと\ruby{見透}{ミ|スカシ}て。天網恢恢疎にして漏らさず、密かに見透して。 ミシゥ⸢カーマ⸣シ [misï̥⸢kaːma⸣ʃi] (こっそり見透かして{EOS}ひそかに見透して)。 ⸢ティンヌ カン⸣マー ミシゥ⸢カーマシ⸣ル ⸢オー⸣ルンダー ヤ⸢ナクトー⸣ シ⸢ララン⸣ダー [⸢tinnu kam⸣maː misï̥⸢kaːmaʃi⸣ru ⸢ʔoː⸣runda ja⸢nakutoː⸣ ʃi⸢raran⸣daː] (天の神様は天網恢恢疎にして漏らさず、密かに見透しておられるから悪事は出来ないよ) 16515 0 0 16434 htmvoc_16515.wav ミガクン ミ⸢ガクン [mi⸢gauŋ] 他動 磨く。石垣方言からの借用語か。普通は、⸣トゥイ ピ⸢カラ⸣スン[⸣tui pi̥⸢kara⸣suŋ](研ぎ光らせる)という。 ⸢ピーシキ⸣ナビ ミ⸢ガクンティ スンドゥ⸣ カ⸢ラ⸣イシシ ア⸢ラン⸣カー ミ⸢ガカラヌ [⸢piːʃi̥ki⸣nabi mi⸢gakunti sundu⸣ ka⸢ra⸣ʔiʃiʃi ʔa⸢raŋ⸣kaː mi⸢gakaranu] (焦げ付いた鍋を磨こうとするが、軽石でないと磨かれない)。 ク⸢リ⸣シ ミ⸢ガキ⸣ ミサカー ムー⸢ル⸣ ミ⸢ガク⸣ クトー ⸣ナルン [ku⸢ri⸣ʃi mi⸢gaki⸣ misakaː muː⸢ru⸣ mi⸢gaku⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (これで磨いてよければ、全部磨くことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ミ⸢ガケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim mi⸢gakeː⸣ misamunu] (もっと磨けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ミ⸢ガキ [⸢paː⸣ku mi⸢gaki] (早く磨け) 16516 0 0 16435 htmvoc_16516.wav ミキ ミ⸢キ [mi⸢ki] 名 みき(神酒)。濁酒。どぶろく。昔は豊年祭のとき、17,18歳の未婚の女性で、しかも虫歯のない健康な女性に塩で歯を磨かせ、一晩水に浸けた米を噛ませて、それを、米を石臼で挽いたものに混ぜて醗酵させ、神酒を醸造したという。昭和に入ってからは、石臼で挽いた物だけを甕にいれ、醗酵させて醸造した。甘酸っぱい味で、アルコール分は弱い。豊年祭の⸢プール⸣ミキ[⸢puːru⸣miki](豊年祭の神酒)は4斗樽に入れて人々に振舞っていた。結願祭には1~2斗ほど醸造して神事用に用いられた。 ⸢ベー⸣ヌ ⸣アッパター ⸢バー⸣ケー ミ⸢キ⸣ カ⸢モーッ⸣タンティ ⸢ダー [⸢beː⸣nu ⸣ʔappataː ⸢baː⸣keː mi⸢ki⸣ ka⸢moːt⸣tanti ⸢daː] (我が家のお祖母さん達までは、神酒を噛<醸>まれたそうだよ) 16517 0 0 16436 htmvoc_16517.wav ミキ ⸣ミキ [⸣miki] 名 (動)三毛猫。石垣方言からの借用語か。普通は、⸢アイ⸣ツァマヤー[⸢ʔai⸣ʦamajaː](毛の色が混じっている猫)という。 アッ⸢タラ⸣サール ⸣ミキヌ ナ⸢キベー⸣ヌンドゥ ⸢タッ⸣テヌ ⸣マヤーユー ⸢ワー⸣ ッ⸢シェーン [ʔat⸢tara⸣saːru ⸣mikinu na⸢kibeː⸣nundu ⸢tat⸣tenu ⸣majaːjuː ⸢waː⸣ ʃ⸢ʃeːŋ] (可愛い三毛猫が泣いているが、何処の家の猫か、君は分かる<知っている>か) 16518 0 0 16437 htmvoc_16518.wav ミキバタシ ミ⸢キバタ⸣シ [mi⸢kibata⸣ʃi] 名 神事に用いる酒器。インダ牧場の、ウ⸢シヌ⸣ヨイ[ʔu⸢ʃinu⸣joi](牛の祝い{EOS}牛の繁昌と健康祈願祭)の際に神酒を飲むのに用いた酒器。ヤラブ(てりはぼく)の木で作った、ハンドル(\ruby{把手}{ハ|シュ}{EOS}取手)付きの酒器。旧暦九月に行われたウ⸢シヌ⸣ヨイには、牛の耳に⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](家判)をつけた。耳を切って各家の印しとした。その祭りの儀式に下記の歌が歌われた。二人の男が⸢ペンシキビリ[⸢peŋʃikibiri](\ruby{跪}{ヒザマズ}き<正座>)をしてミ⸢キバタ⸣シ[mi⸢kibata⸣ʃi](酒器)を持ち、歌に合わせて右上、左上へと交互に持ち上げて歌った。歌い終わって酒器を次の人へ手渡す際に、次の言葉(祝詞)を交わした。(渡す側{EOS}二人):マ⸢ムレー⸣ マ⸢ムレー⸣ ッサリー ⸢キュー⸣ヌ ク⸢ガニピー⸣ナ タ⸢ボーラリ⸣タル ⸣ウーミサクドゥ ⸢マームレーユー⸣ ッサリー。シ⸢ギシューヤ タッ⸣テヌ ウ⸢ナンナー⸣マドゥ シ⸢ギシューユー⸣ ッサリー イ⸢メーヌ カー⸣ジ。<順風満帆。(受け取る側{EOS}二人)>:⸢ウー⸣タリ。といって受け取る。ウ⸢シヌヨイ⸣ヌ ⸣ウタ(牛の祝いの歌(加治工伊佐氏伝承)は旧暦9月のウ⸢シニー[ʔu⸢ʃiniː]<丑の日>)に歌われた。1、キューヌ ピーヌ ウユワイムトゥ スイナウレ(今日の日のお祝いの本、それ稔れ)。2、フクヌマキ ウユワイムトゥ スイナウレ(福の牧のお祝いの本は、それ\ruby{稔}{ミノ}れ)。3、ムヤシバードゥ パンゾスムトゥ スイナウレ(牛が発情すればこそ繁昌のもとだ、それ稔れ)。4、パンゾーシヌ ウミサク ヌムドゥ スイナウレ(繁昌させるところのお神酒を飲むことが、それ稔れ) 16519 0 0 16438 htmvoc_16519.wav ミグトゥ ミ⸢グトゥ [mi⸢gutu] 名 見事。見るべきこと。きわだって優れている。見もの。沖縄方言からの借用語。おそらく文政四年(1821)年、首里当蔵町に生まれた比屋根安粥<ひやねあんひつ>が安政六(1859)年に鳩間島に遠島を仰せつけられた際に、絵入の「舞踊勤王流」の伝本を持参したというから、その頃に鳩間島に伝えられたものと考えられる。狂言「ピラ」は、全編首里方言で語られる。/クリヤ クヌムラ ムジクイ クーシェー ハマサチドゥ ヤル サティ ワッター ヘークンディ ウムレー ムラカシラヌチャー ヘークデンナ サティ ワッター チクテール カンダファー ドゥードゥ ミグトゥ ヤッサ カタバルヌ ガニヌ アナ カチアギテーン ネーシ ドゥードゥ ミグトゥ ヤッサ ンダマジ ティーチェー フッティ ンダ~/(これは<罷り出でたるは>、この村一番の農業に詳しい浜崎である{EOS}さて、我等早く<出かけよう>と思っていたら、村頭の方々も早々にお出ましである{EOS}さて我等が植えつけてある芋は大変見事であるよ{EOS}潟原の蟹が穴を掻き揚げてあるように、誠の見事である{EOS}さて、先ずは一つ掘ってみよう~)。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢リヨー⸣ヤ ミ⸢グトゥユン [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢rijoː⸣ja mi⸢gutujuŋ] (彼の走りようは実に見事だよ) 16520 0 0 16439 htmvoc_16520.wav ミクミ ミ⸢ク⸣ミ [mi⸢ku⸣mi] 名 見込み。予想。可能性。 ⸣シキン ウ⸢キ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ヌー⸣シカヤー ミ⸢ク⸣メー ⸣アンカヤー [⸣ʃi̥kiŋ ʔu⸢ki⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ⸢nuː⸣ʃikajaː mi⸢ku⸣meː ⸣ʔaŋkajaː] (試験を受けようと思うが、どうだろうか{EOS}見込みはあるだろうか)。 ミ⸢クミ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー イ⸢ソー⸣ パ⸢ラン⸣モー マ⸢シ [mi⸢kumi⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ʔi⸢soː⸣ pa⸢ram⸣moː ma⸢ʃi] (見込みが無ければ漁には行かない方がよい<増しだ>) 16521 0 0 16440 htmvoc_16521.wav ミグルン ミ⸢グルン [mi⸢guruŋ] 自動 めぐる。\ruby{回}{マワ}る。ぐるぐる回る。歌謡語。沖縄方言からの借用語か。普通は、⸢マールン[⸢maːruŋ](\ruby{回}{メグ}る{EOS}めぐる)という。/イヤイーヤー カミヌ ククルニ タムキ アルラバ ミグリミグリヌ ナシグヮ ウミグヮン ンマリンマリティ アトゥユン サキユン テーラン ムヌサミ アタル ウヤフジ ラクユ ミセユサ ナマヌ パヤシニ クドゥキ ユミユミ/(イヤイーヤー<囃子>、神の御心に\ruby{手向}{タ|ムケ}があれば、それが\ruby{廻}{メグ}り廻って子<生し子>や大切な子供も繁昌して<生まれに生まれて>\ruby{未来永劫}{ミ|ライ|エイ|ゴウ}<後にも先にも>絶えることは無いものだ{EOS}当る親や先祖様も楽をなさるよ{EOS}今の囃子に口説きを詠め詠め) 16522 0 0 16441 htmvoc_16522.wav ミザーバタ ミ⸢ザーバタ [mi⸢ʣaːbata] 名 横っ腹。脇腹。ヤ⸢カタ⸣バタ[ja⸢kata⸣bata](横っ腹{EOS}「片側・腹」の義か)ともいう。 ミ⸢ザーバタンドゥ⸣ カ⸢ミラ⸣リ ヤム⸢サー [mi⸢ʣaːbatandu⸣ ka⸢mira⸣ri jamu⸢saː] (横っ腹が突き刺するように痛むよ) 16523 0 0 16442 htmvoc_16523.wav ミサールヨーニ ⸣ミサール ⸣ヨーニ [⸣misaːru ⸣joːni] 連 宜しく。「宜しいように」の義。 ウ⸢レー ワー⸣シ ⸣ミサール ⸣ヨーニ ⸢カン⸣ガイ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ʔu⸢reː waː⸣ʃi ⸣misaːru ⸣joːni ⸢kaŋ⸣gai f⸢fiːri⸣ba] (それは、君の方で良いように考えてくれよ) 16524 0 0 16443 htmvoc_16524.wav ミサク ミ⸢サク [mi⸢saku] 名 神に供える特別なミ⸢キ[mi⸢ki](神酒{EOS}どぶろく)。豊年祭や結願祭等に供えられた。普通の神事用の供物のミ⸢キ[mi⸢ki](神酒)は醸造酒の\ruby[g]{泡盛酒}{アワモリ}である。 ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンヌ ウ⸢ブニン⸣ガイナール ミ⸢サク⸣ シ⸢キル ニン⸣ガイ ⸢ソーッタ⸣ル [⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu ʔu⸢buniŋ⸣gainaːru mi⸢saku⸣ ʃi̥⸢kiru niŋ⸣gai ⸢soːtta⸣ru] (豊年祭や結願祭の大きな祈願には、ミサクを供えて祈願をされたものだ) 16525 0 0 16444 htmvoc_16525.wav ミザシ ミ⸢ザ⸣シ [mi⸢ʣa⸣ʃi] 名 琉球国時代の役職名。\ruby{与人}{ユン|チュ}(村長)の下役で、与人を補佐する、または小村の村長を勤める役人。「目差」と表記される。 ⸢ベー⸣ヌ ウ⸢ブイー⸣パイナー ム⸢カ⸣シ ミ⸢ザ⸣シ ⸣スクドゥン ⸢ソー⸣レール ウ⸢ヤプス⸣ヌ ⸢ナーン アッ⸣タン [⸢beː⸣nu ʔu⸢buʔiː⸣painaː mu⸢ka⸣ʃi mi⸢ʣa⸣ʃi ⸣su̥kudun ⸢soː⸣reːru ʔu⸢japusu⸣nu ⸢naːŋ ʔat⸣taŋ] (我が家の大きな位牌には昔、目差、筑登之<チクドゥン>を勤められた先祖の名前もあったよ) 16526 0 0 16445 htmvoc_16526.wav ミザシシュー ミ⸢ザ⸣シシュー [mi⸢ʣa⸣ʃiʃuː] 名 目差様。ミ⸢ザ⸣シ[mi⸢ʣaʃi]に敬称の接尾辞、⸣シュー[⸣ʃuː](主{EOS}様)が付いた形 16527 0 0 16446 htmvoc_16527.wav ミサナスン ⸣ミサ ⸣ナスン [⸣misa ⸣nasuŋ] 連 病気を治す。他動詞的に用いる。「良く・成す」の義。 ⸢ヤン⸣マイ ⸢パイ⸣サ ⸣ミサ ⸣ナスンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ミサ ナ⸢ラン⸣バン [⸢jam⸣mai ⸢pai⸣sa ⸣misa ⸣nasunti ⸢beːn⸣du mut⸢tu⸣ misa na⸢ram⸣baŋ] (病気を早く治そうとしているが、ちっとも治らない<良くならない>よ)。 ⸣ミサ ⸣ナス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣misa ⸣nasu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (病気を治すことは出来ない)。 ⸣ミサ ⸣ナシ ⸢ヤッ⸣サン [⸣misa ⸣naʃi ⸢jas⸣saŋ] (病気を治しやすい)。 ⸢パー⸣ク ⸣ミサ ⸣ナシェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣misa ⸣naʃeː ⸣misamunu] (早く病気を治せば良いのに)。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌミティ ⸣ミサ ⸣ナシバ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numiti ⸣misa ⸣naʃiba] (薬を飲んで治せよ) 16528 0 0 16447 htmvoc_16528.wav ミサナルン ⸣ミサナルン [⸣misanaruŋ] 自動 病気が治る。「良くなる」の義。自動詞的に用いられる。 イ⸢チンマー⸣ ク⸢ヌ⸣ フ⸢チ⸣ル ⸣ヌムカー ミサナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢クン⸣ドー ミサナ⸢ラン⸣バン [ʔi⸢ʧimmaː⸣ ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numukaː misana⸢run⸣du ⸢kun⸣doː misana⸢ram⸣baŋ] (いつもは、この薬を飲むと治るが、今度は治らない<良くならない>よ)。 ⸢シンダイ⸣ ミサナリ ⸣クーン [⸢ʃindai⸣ misanari ⸣kuːŋ] (次第に良くなってくる)。 ⸣ミサナル ⸣クトゥン ⸣アン [⸣misanaru ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (良くなる<治る>こともある)。 ⸢パー⸣ク ⸣ミサナレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣misanareː ⸣misamunu] (早く良くなれば良いのに)。 ⸢ダンダン⸣シ ⸣ミサナリバ [⸢dandaŋ⸣ʃi ⸣misariba] (さっさと病気なんか良くなれよ) 16529 0 0 16448 htmvoc_16529.wav ミサビナサ ⸣ミサビナサ [⸣misabinasa] 名 良否。良さ悪さ。可否。老年層の言葉。若年層は⸣ミサワッサー[⸣misawassaː](良し悪し)ともいう。 プ⸢スヌ⸣ ミサビナサー シ⸢キンヌ⸣ル ッ⸢ソー⸣ル ⸢ドゥー⸣ヤ ッ⸢サヌ [pu̥⸢sunu⸣ misabinasaː ʃi̥⸢kinu⸣ru s⸢soː⸣ru ⸢duː⸣ja s⸢sanu] (人の良し悪しは世間の人がご存知である{EOS}本人<自分>は知らないものだ)。 ⸢ドング⸣ヌ ⸣ミサビナサー シゥ⸢カイミリ⸣ル ワ⸢カ⸣ル [⸢doŋgu⸣nu ⸣misabinasaː sï̥⸢kaimiri⸣ru wa⸢ka⸣ru] (道具の良し悪しは使ってみてはじめて<ぞ>分かるものだ) 16530 0 0 16449 htmvoc_16530.wav ミサレーティアークン ⸣ミサレーティ ⸢アー⸣クン [⸣misareːti ⸢ʔaː⸣kuŋ] 連 元気でいる。元気に暮らしている。 ムー⸢ル⸣ ミサレーティ ⸢アー⸣クン⸢ダー [muː⸢ru⸣ misareːti ⸢ʔaː⸣kun⸢daː] (みんな元気でいる<あるく>よ) 16531 0 1 16450 htmvoc_16531.wav ミサン ⸣ミサン [⸣misaŋ] 形 {Mn_1}よろしい。好ましい。良い。 ウ⸢レー⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ミサン⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena⸣ misan⸢daː] (彼は、人柄は非常によい<立派だ>よ)。 ⸢オシケー⸣ ミサー⸢ナー⸣ンドゥ ⸣キューズーナ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoʃi̥keː⸣ misaː⸢naː⸣ndu ⸣kjuːʣuːna pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (天気は良くないが、今日中に行かないといけない)。 ⸢シンダイ⸣ ミサナリ ⸣クーン [⸢ʃindai⸣ misanari ⸣kuːŋ] (次第に良くなってくる)。 ⸢オシキヌ⸣ ミサール ⸣ピンマー イ⸢ガメー⸣ ン⸢ジラ⸣リン [⸢ʔoʃi̥kinu⸣ misaːru ⸣pimmaː ʔi⸢gameː⸣ ʔn⸢ʤira⸣riŋ] (天気のいい時は烏賊釣り漁に出られる)。 16531 0 2 16451 htmvoc_16531.wav ミサン ⸣ミサン [⸣misaŋ] 形 {Mn_2}適当である。よい。 ⸢ジン⸣マー ⸣クビシ ⸣ミサン ⸣アトー マ⸢リパンジョール⸣ プサル [⸢ʤim⸣maː ⸣kubiʃi ⸣misaŋ ⸣ʔatoː ma⸢ripanʤoːru⸣ pu̥saru] (お金はこれぐらいでよい{EOS}後は子孫繁昌がほしい)。 16531 0 3 16452 htmvoc_16531.wav ミサン ⸣ミサン [⸣misaŋ] 形 {Mn_3}補助形容詞。動詞の連用形に付いて、⸢~してよい」の意味を表す。 ⸢ジー⸣ カキミサン [⸢ʤiː⸣ kḁkimisaŋ] (字を書いてよい) 16532 0 0 16453 htmvoc_16532.wav ミシ ⸢ミ⸣シ [⸢mi⸣ʃi] 接尾 ~置き。時間や数量を表す語に付いて、その分の間隔をあける意を表す。 ⸢ピーチミ⸣シシ ッ⸢ふァ⸣ ナシ ⸣シケー [⸢piːʧimi⸣ʃiʃi f⸢fa⸣ naʃi ⸣ʃi̥keː] (一年おきに子供を\ruby{生}{ウ}んである) 16533 0 0 16454 htmvoc_16533.wav ミジ ミ⸢ジ [mi⸢ʤi] 名 水。 ⸢マーミジ [⸢maːmiʤi] (真水)。 ア⸢マミジ [ʔa⸢mamiʤi] (真水{EOS}天水{EOS}「甘水」の義)。 バ⸢キミジ [ba⸢kimiʤi] (湧水)。 ア⸢マ⸣ミジ [ʔa⸢ma⸣miʤi] (雨水{EOS}天水)。 ⸢スー⸣ミジ [⸢suː⸣miʤi] (塩分のある井戸水)。 シンタ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジェーラン ウイヌカーヌ⸣ ミ⸢ジル⸣ ン⸢マー [ʃinta⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤeːraŋ ʔuinukaːnu⸣ mi⸢ʤiru⸣ ʔm⸢maː] (西村の後ろの井戸水よりも島中井戸<上の井戸>の水が美味しい) 16539 0 0 16455 htmvoc_16539.wav ミシーミシ ミシー⸢ミシ [miʃiː⸢miʃi] 副 みすみす(見す見す)。むざむざと。それと知りつつも。 ⸢ワー⸣ ウ⸢ヌ⸣ クトー ッ⸢シナガラ⸣ ミシー⸢ミシ⸣ ダ⸢マサリ⸣ シ⸢ター [⸢waː⸣ ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ʃ⸢ʃinagara⸣ miʃiː⸢miʃi⸣ da⸢masari⸣ ʃi̥⸢taː] (君は、その事を知りながら、みすみす騙されてしまったのか) 16540 0 0 16456 htmvoc_16540.wav ミジーミジーシ ミ⸢ジーミジー⸣シ [mi⸢ʤiːmiʤiː⸣ʃi] 副 瑞々しい。水っぽくて若々しいさま。水気が多く味が薄いさま。 ⸢ナーンパー⸣ヤ ミジー⸢ミジー⸣シティ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マーン⸣ギサン [⸢naːmpaː⸣ja miʤiː⸢miʤiː⸣ʃi̥ti ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣ŋgisaŋ] (菜っ葉は瑞々しくて美味しそうだ) 16534 0 1 16457 htmvoc_16534.wav ミジアバ ミ⸢ジ⸣アバ [mi⸢ʤi⸣ʔaba] 名 {Mn_1}髪油や、びんつけあぶらの無い時に、水を髪油代用にしてつけ、頭髪を整えた水。「水油」の義。祝祭日以外の日常生活では、半農半漁の鳩間島の主婦達は日常は髪油を付けなかったが、年頃の娘達は夜になると頭髪を洗い髪油をつけて遊んでいた。巫女<神職者>は、神前に出る際に洗髪して身を清め、衣装を整えてから御嶽へ行った。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ミ⸢ジ⸣アバンノーン ⸣シキティ ガ⸢マ⸣ジ ⸣ナデーティ ⸢アー⸣キバ⸢ツォー [ba⸢kaː⸣mununu mi⸢ʤi⸣ʔabannoːŋ ⸣ʃi̥kiti ga⸢ma⸣ʤi ⸣nadeːti ⸢ʔaː⸣kiba⸢ʦoː] (若者だから、水脂でもつけて、髪をなで整えていなさいよ)。 16534 0 2 16458 htmvoc_16534.wav ミジアバ ミ⸢ジ⸣アバ [mi⸢ʤi⸣ʔaba] 名 {Mn_2}びんつけ油。水油。 ミ⸢ジ⸣アバ ⸣シキティ ⸣フチシ ガ⸢マ⸣ジ キ⸢ジ⸣バ [mi⸢ʤi⸣ʔaba ⸣ʃi̥kiti ⸣ɸu̥ʧiʃi ga⸢ma⸣ʤi ⸣kiʤiba] (水油を付けて櫛で髪を\ruby{梳}{クシケズ}りなさいよ) 16535 0 0 16459 htmvoc_16535.wav ミジアミ ミ⸢ジアミ [mi⸢ʤiʔami] 名 水浴び。 ⸣オンダー ⸢スー⸣カー ミ⸢ジアミ シーティル キン⸣マー ⸢カイキス⸣ダー [⸣ʔondaː ⸢suː⸣kaː mi⸢ʤiʔami ʃiːtiru kim⸣maː ⸢kaiki̥su⸣daː] (海水浴をしたら、水浴びをして<ぞ>、着物は着替える<替え着る>んだよ) 16536 0 0 16460 htmvoc_16536.wav ミジアライ ミ⸢ジ⸣アライ [mi⸢ʤi⸣ʔarai] 名 水洗い。 ⸢キン⸣マー ⸣サフン ⸣シキティ ミ⸢ジ⸣アライ シ⸢ティ マー⸣ プ⸢スム⸣シ ミ⸢ジ⸣シ ⸢ボーキティ⸣ ス⸢ブ⸣リティ プシバ⸢ヨー [⸢kim⸣maː ⸣saɸuŋ ⸣ʃi̥kiti mi⸢ʤi⸣ʔarai ʃi̥⸢ti maː⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃi mi⸢ʤi⸣ʃi ⸢boːkiti⸣ su⸢bu⸣riti pu̥ʃiba⸢joː] (着物は石鹸を付けて水洗いして、もう一度水で濯いで干しなさいよ) 16541 0 0 16461 htmvoc_16541.wav ミジイリ ミ⸢ジイリ [mi⸢ʤiʔiri] 名 水入れ。水を入れる容器。 ミ⸢ジイリ⸣ナー ミ⸢ジェー⸣ イ⸢リティ⸣ シ⸢キリ⸣バ [mi⸢ʤiʔiri⸣naː mi⸢ʤeː⸣ ʔi⸢riti⸣ ʃi̥⸢kiri⸣ba] (水入れに水を入れて供えなさい) 16542 0 0 16462 htmvoc_16542.wav ミジイル ミ⸢ジ⸣イル [mi⸢ʤi⸣ʔiru] 名 水色。青色。老年層は、ミ⸢ズ⸣ル[mi⸢ʣu⸣ru](水色)ともいう。 ⸣シラー ⸣イロー ⸣ッサイティ ミ⸢ジ⸣イル ⸣ナルンケン ウ⸢バイ ベー [⸣ʃiraː ⸣ʔiroː ⸣ssaiti mi⸢ʤi⸣ʔiru ⸣naruŋkeŋ ʔu⸢bai beː] (顔は色を失って<白んで>、水色<青色>になるほど心配している) 16537 0 0 16463 htmvoc_16537.wav ミジウーキ ミ⸢ジウー⸣キ [mi⸢ʤiʔuː⸣ki] 名 水桶。水を運ぶ桶。 ミ⸢ジタン⸣グ [mi⸢ʤitaŋ⸣gu] (水\ruby{担桶}{タ|ゴ}) 16545 0 0 16464 htmvoc_16545.wav ミシゥカーマシ ミシゥ⸢カーマ⸣シ [misï̥⸢kaːma⸣ʃi] 副 密かに\ruby{見透}{ミ|スカ}されるように。こっそりと見通されるように。「みそか<密か>」の転訛したものか。総てをお見通しである。忍びやかにするさま。ひそかに。 ⸢ティンヌ カン⸣マー ⸣ミーナー ミ⸢ラ⸣ロー⸢ラン⸣ヌンドゥ ⸢ニンギン⸣ヌ ⸢スー⸣クトー ムー⸢ル⸣ ミシゥ⸢カーマ⸣シル ⸢オー⸣ル⸢ダー [⸢tinnu kam⸣maː ⸣miːnaː mi⸢ra⸣roː⸢ran⸣nundu ⸢niŋgin⸣nu ⸢suː⸣ ku̥toː muː⸢ru⸣ misï̥⸢kaːma⸣ʃiru ⸢ʔoː⸣ru⸢daː] (天の神様は目には見え給わぬが、\ruby{天網恢恢疎}{テン|モウ|カイ|カイ|ソ}にして漏らさず、人間のすることは、すべて密かに、お見通しでいらっしゃるよ) 16548 0 0 16465 htmvoc_16548.wav ミシゥカムニ ⸢ミシゥカムニ [⸢misï̥kamunu] 名 内緒話。ひそひそ話。「みそかものいひ<密か物言ひ>」の転訛したものか。 ⸢ヌー⸣バ ⸣マタ ⸢ミシゥカムニ ソー⸣ルユー ⸣バン シゥ⸢カラン ヨー⸣シ グマー⸢グマー⸣シ ⸣ムニ イ⸢ゾー⸣ル⸢ツォー [⸢nuː⸣ba ⸣mata ⸢misï̥kamuni soː⸣rujuː ⸣ban sï̥⸢karaɲ joː⸣ʃi gumaː⸢gumaː⸣ʃi ⸣muni ʔi⸢ʣoː⸣ru⸢ʦoː] (何をまた内緒話をなさるのか、私に聞かれないように小声で<小さな小さな声で>話し<物言い>をなさるんですよ<言われるってば>) 16538 0 0 16466 htmvoc_16538.wav ミジウン ミ⸢ジ⸣ウン [mi⸢ʤi⸣ʔuŋ] 名 水芋。水分が多くて食べられない芋。煮ると水っぽくなって食用に適しないので豚の飼料にした。雨の多い時期に、突然変種の水芋ができた。 ク⸢レー⸣ ミ⸢ジ⸣ウン ⸣ナリティ ッ⸢ふァーランダ オー⸣ヌイー ⸢バーキ⸣ル ⸣ナル [ku⸢reː⸣ mi⸢ʤi⸣ʔun ⸣nariti f⸢faːranda ʔoː⸣nuʔiː ⸢baːki⸣ru ⸣naru] (これは水芋になって食べられないから、豚の飼料にしかならない<豚の飯までぞなる>) 16543 0 0 16467 htmvoc_16543.wav ミジオーシ ミ⸢ジオーシ [mi⸢ʤiʔoːʃi] 名 死者へ水を供える行事。「水差し上げ」の義。葬式後初の癸亥(ミズノトヰ)の日に、ミ⸢ジタング[mi⸢ʤitaŋgu](水担桶)のカ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片方)に水を入れて青竹の棒を通して二人で担いで墓へ運び、墓前に置かれた小さな水甕に入れて溢れさせた。 ミ⸢ジオーシン シーオーシェー⸣チバ ⸣グソーナーティン ミ⸢ジヌ ソーヤ ソーラ⸣ヌ [mi⸢ʤiʔoːʃiŋ ʃiːʔoːʃeː⸣ʧiba ⸣gusoːnatim mi⸢ʤinu soːja soːra⸣nu] (水供えの行事も済ませたから、後生においても水の心配はありません) 16544 0 0 16468 htmvoc_16544.wav ミジカーキ ミ⸢ジカーキ [mi⸢ʤikaːki] 名 喉が渇くこと。「水渇き」の転訛。夏の暑い時に野良仕事をすると、発汗作用によって極端に喉が渇き、水分を欲しがること。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァサーリ ミ⸢ジカーキ⸣ シ⸢ティ⸣ プ⸢ス⸣イキシ フ⸢タスッカーヌ⸣ ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢ミ⸣シタ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦasaːri mi⸢ʤikaːki⸣ ʃi̥⸢ti⸣ pu̥⸢su⸣ʔikiʃi ɸu̥⸢tasukkaːnu⸣ mi⸢ʤi⸣ nu⸢mi⸣ʃi̥ta] (あまりの暑さで、ひどく喉が渇いて、一気に<一息で>2\ruby{急須}{キュウ|ス}分の水をのんだよ)。 ミ⸢ジカーキ サン⸣ヨーニ ⸢イッス⸣クビンナー ミ⸢ジ⸣ イ⸢リティ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸣ムティパリバ [mi⸢ʤikaːki saɲ⸣joːni ⸢ʔissu⸣kubinnaː mi⸢ʤi⸣ ʔi⸢riti⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸣mutipariba] (水に飢え渇くことがないように、一升瓶に水を入れて、畑へ持って行きなさいよ) 16546 0 0 16469 htmvoc_16546.wav ミシガイ ミ⸢シ⸣ガイ [mi⸢ʃi⸣gai] 名 しゃもじ(杓文字)。飯をよそう道具。老年層は、普通は⸢イー⸣ガイ[⸢ʔiː⸣gai](杓文字)という。 ミ⸢シ⸣ガイシ ⸣イー ス⸢クイ⸣ イ⸢リ⸣バ [mi⸢ʃi⸣gaiʃi ⸣ʔiː su̥⸢kui⸣ ʔi⸢ri⸣ba] (\ruby{杓文字}{シャ|モ|ジ}でご飯をよそって<\ruby{掬}{スク}って>入れなさいよ) 16547 0 0 16470 htmvoc_16547.wav ミジカミ ミ⸢ジカミ [mi⸢ʤikami] 名 \ruby{水瓶}{ミズ|ガメ}。飲料水を溜めておく瓶。普通は、直径約12センチの、口の小さい水甕に水を入れ、フ⸢ダ⸣ル[ɸu⸢da⸣ru](\ruby{柄杓}{ヒ|シャク})で水を汲み出して使用した。柄杓は通常、\ruby{水甕}{ミズ|ガメ}の口に掛けておいた。広口の水瓶は、⸢バンドーガミ[⸢bandoːgami]といった。直径約20センチの広口の水瓶で、板を円形に切って蓋をした。 ⸢インヌカーラ⸣ ミ⸢ジフミ⸣ カ⸢タ⸣ミキーティ ミ⸢ジカミ⸣ ミ⸢ツァ⸣ス ⸣ムノー ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ シ⸢グトゥ ヤッタ [⸢ʔinnukaːra⸣ mi⸢ʤiɸumi⸣ kḁ⸢ta⸣mikiːti mi⸢ʤikami⸣ mi⸢ʦa⸣su ⸣munoː mi⸢doːŋ⸣ffanu ʃi⸢gutu jatta] (西村の村井戸から水を汲んで担いできて、水瓶を満たすのは女の子の仕事であった) 16549 0 0 16471 htmvoc_16549.wav ミジカラーン ミ⸢ジカラー⸣ン [mi⸢ʤikaraː⸣ŋ] 形 水が少ない。水が乏しい。水量が少ない。旱魃気味である。 ク⸢トゥシェー⸣ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホー⸣ンダ ミ⸢ジカラー⸣ヌ ⸢マイ⸣ イ⸢ビララヌ [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoː⸣nda mi⸢ʤikaraː⸣nu ⸢mai⸣ ʔi⸢biraranu] (今年は雨が降らないから、水が少なくて稲が植えつけられない)。 ミ⸢ジカラー⸣ンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢カン⸣ヌ ⸣マシェー ⸢ナン⸣ゾー ミ⸢ジカラー ナー⸣ヌ [mi⸢ʤikaraː⸣nti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢kan⸣nu ⸣maʃeː ⸢nan⸣ʣoː mi⸢ʤikaraː naː⸣nu] (水が乏しいと思ったが、水源に近い上の田<上の枡>は、それほど水が乏しくない)。 ミ⸢ジカラー⸣ル ⸢ター⸣ヤ ス⸢クララ⸣ヌ [mi⸢ʤikaraː⸣ru ⸢taː⸣ja su̥⸢kurara⸣nu] (水の乏しい田んぼは耕作できない<稲作ができない>) 16550 0 0 16472 htmvoc_16550.wav ミジカン ミ⸢ジカン [mi⸢ʤikaŋ] 名 「水乾」の義。建築用材を白蟻などの害虫から防ぐために、数ヶ月間川や沼に浸けておくこと。鳩間島では、多くの場合海水に沈めておいたり、海の砂の中に埋めて⸢スー⸣カン[⸢suː⸣kaŋ](潮乾)して樹液を抜き、約一年後に掘り出して、⸢キー⸣ヤー[⸢kiː⸣jaː](木材乾燥用の小屋)に入れて乾燥した。 パ⸢トゥ⸣マプソー ミ⸢ジカン⸣ラン ⸢スー⸣カン ⸢ソー⸣ル プ⸢スヌル ゴー⸣ラータ [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː mi⸢ʤikan⸣raŋ ⸢suː⸣kan ⸢soː⸣ru pu̥⸢sunuru goː⸣raːta] (鳩間の人は「水乾」よりも「潮乾」をされる人が多かった) 16551 0 0 16473 htmvoc_16551.wav ミジカンガン ミ⸢ジカン⸣ガン [mi⸢ʤikaŋ⸣gaŋ] 名 水鏡。鏡が無い時には、鏡の代用として⸢ビン⸣ダライ[⸢bin⸣darai](洗面器)や⸣タライ[⸣tarai](盥)などに水を入れて顔を写し、みだしなみ<身嗜み>を整えた。 ⸢カンガン⸣マー ⸢ナーン⸣バ ミ⸢ジカン⸣ガン ⸣ミレーティ ガ⸢マ⸣ジ ⸢ユイ⸣バ [⸢kaŋgam⸣maː ⸢naːm⸣ba mi⸢ʤikaŋ⸣gam ⸣mireːti ga⸢ma⸣ʤi ⸢jui⸣ba] (鏡は無いから、水鏡を見ながら髪を結いなさい) 16552 0 0 16474 htmvoc_16552.wav ミジグジ ミ⸢ジグジ [mi⸢ʤiguʤi] 名 手足にできる、豆のような\ruby{水腫}{スイ|シュ}。まめ(\ruby{肉刺}{マ|メ})。グ⸢ジ[gu⸢ʤi](肉刺)の一種。 ア⸢ラシ⸣ ア⸢クンティ⸣ プスイピーズ カ⸢ナパイ⸣ シゥ⸢カウタール⸣ フ⸢タティーヌ⸣ ミ⸢ジグジェー ピッチ⸣ティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢kunti⸣ pu̥suipiːʣu ka⸢napai⸣ sï̥⸢kautaːru⸣ ɸu̥⸢tatiːnu⸣ mi⸢ʤiguʤeː pit⸣ʧiti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (仕明け地を開墾しようとして、一日中\ruby{鍬}{クワ}を使ったので、両手の豆のような水腫<肉刺>がつぶれて痛くて\ruby{堪}{タマ}らない) 16553 0 0 16475 htmvoc_16553.wav ミジクブサー ミ⸢ジクブ⸣サー [mi⸢ʤikubu⸣saː] 名 素焼きの鉢。\ruby{尿瓶}{シ|ビン}の一種。直径約30センチ、深さ約15センチほどの女性用小水入れ。昔は年寄りの女性は、夜間における小用の際、土間に置いてあるミ⸢ジクブ⸣サー[mi⸢ʤikubu⸣saː]に用を足して、翌早朝にトイレに流して洗っておいた。戦後になって若い女性は使用しなくなり、病人がそれを使用するようになった。 ヨー⸢ヨー⸣ ミ⸢ジクブ⸣サーナ ⸢ナー⸣ト ⸣キンカー マ⸢チ⸣ガイ イ⸢ルナ⸣ダー [joː⸢joː⸣ mi⸢ʤikubu⸣saːna ⸢naː⸣to ⸣kiŋkaː ma⸢ʧi⸣gai ʔi⸢runa⸣daː] (気をつけろよ、ミジクブサーなんかに着物類を間違えて入れるなよ) 16554 0 0 16476 htmvoc_16554.wav ミジクムル ミ⸢ジクム⸣ル [mi⸢ʤikumu⸣ru] 名 自然に大きく水のたまっている所。大きな池や沼。「水こもり」の義。庭の\ruby{水溜}{ミズ|タマリ}には言わない。一定の広さを持った沼や池。 シ⸢キ⸣ヌ ⸣カンナー ウ⸢ブミジクムルヌ⸣ アン [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸣kannaː ʔu⸢bumiʤikumurunu⸣ ʔaŋ] (\ruby{堰}{セキ}の上の方に自然の大きな池<水こもり>がある) 16628 0 0 16477 htmvoc_16628.wav ミシケー ⸢ミシ⸣ケー [⸢miʃi̥⸣keː] 固 人名。⸢ミシ⸣ケーザー[⸢miʃi̥⸣keːʣaː](ミシケー{EOS}ザーは<兄>の訛で敬語)ともいう。 ム⸢カ⸣シ トゥ⸢ムシェー⸣ナー ⸢ミシ⸣ケーザーティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃi tu⸢muʃeː⸣naː ⸢miʃi̥⸣keːʣaːti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣taŋ] (昔、宮良家<友寄家の義か>にミシケザーという人がおられた) 16599 0 0 16478 htmvoc_16599.wav ミジゴイ ミ⸢ジ⸣ゴイ [mi⸢ʤi⸣goi] 名 みずごえ(水肥)。糞尿の肥。カ⸢ジゴイ[ka⸢ʤigoi](堆肥)の対義語。人糞と豚舎から出る\ruby{糞尿}{フン|ニョウ}を混ぜて水肥とし、⸣コイタング[⸣koitaŋgu](こえたご<\ruby{肥担桶}{コエ|タ|ゴ}>)で担いで畑へ運んだ。 ミ⸢ジゴイ⸣バ ⸣コイタングシ カ⸢タ⸣ミティ ⸢ダイ⸣クニナーン ⸢ナーン⸣パーナーン ⸣カケーティ ⸢ミーラシ⸣ サ⸢カラシタベー⸣ティ ⸣ユー ム⸢シ⸣ シ⸢ディ⸣シタ [mi⸢ʤigoi⸣ba ⸣koitaŋguʃi kḁ⸢ta⸣meːti ⸢dai⸣kuninaːn ⸢naːm⸣paːnaːŋ ⸣kḁkeːti ⸢miːraʃi⸣ sḁ⸢karaʃi̥tabeː⸣ti ⸣juː mu⸢ʃi⸣ ʃi⸢di⸣ʃi̥ta] (水肥を肥担桶で担いで大根にも菜っ葉にもかけて、大根を太らせ、菜っ葉を繁らせたから、よく回虫が寄生したものだ) 16556 0 1 16479 htmvoc_16556.wav ミジサールン ミ⸢ジ サールン [mi⸢ʤi saːruŋ] 連 {Mn_1}洪水などが引く。 ア⸢ミ⸣ヌ ヤ⸢ム⸣カー ⸢ター⸣ヌ ミ⸢ジェー サールンドゥ キュー⸣ヤ マ⸢ダ サーランバン [ʔa⸢mi⸣nu ja⸢mu⸣kaː ⸢taː⸣nu mi⸢ʤeː saːrundu kjuː⸣ja ma⸢da saːrambaŋ] (雨が止むと田の水も引くが、今日はまだ水が引かない)。 16556 0 2 16480 htmvoc_16556.wav ミジサールン ミ⸢ジ サールン [mi⸢ʤi saːruŋ] 連 {Mn_2}急須の湯や酒を湯飲みや杯に注ぎきる。 サ⸢ケー⸣ ムー⸢ル サーリ⸣バ [sḁ⸢keː⸣ muː⸢ru saːri⸣ba] (酒は全部注ぎなさいよ) 16600 0 0 16481 htmvoc_16600.wav ミジサカシキ ミ⸢ジサカシキ [mi⸢ʤisakaʃi̥ki] 名 水さかづき(水杯)。死者との別れのさかづき。 ミ⸢ジサカシ⸣ケー ⸢ノー⸣カン シ⸢マ⸣シティ ⸣アトゥナール ⸢ソー⸣ル [mi⸢ʤisakaʃi̥⸣keː ⸢noː⸣kaŋ ʃi⸢ma⸣ʃi̥ti ⸣ʔatunaːru ⸢soː⸣ru] (水杯は納棺を済ませて後に<ぞ>なさる) 16557 0 0 16482 htmvoc_16557.wav ミジサバ ミ⸢ジサバ [mi⸢ʤisaba] 名 (動)魚の名。「水鮫」の義。和名、ジンベーザメ(体長約12メートル)。 ミ⸢ジサバー⸣ プ⸢ス⸣ ウ⸢ソーヌ [mi⸢ʤisabaː⸣ pu̥⸢su⸣ ʔu⸢soːnu] (ジンベーザメは人を襲わない) 16601 0 0 16483 htmvoc_16601.wav ミジサバ ミ⸢ジ⸣サバ [mi⸢ʤi⸣saba] 名 (動物)\ruby{鱶}{フカ}の一種。じんべーざめ。体長12メートルに達するものもいる。肉が柔らかく鱶の仲間で最大。イカ釣り漁でこれが寄ってくると怖いので逃げた。舟の側にぴたりと寄り添って舟との大きさを比べるので、帆柱などを\ruby{繋}{ツナ}いで流し、早々にその場から逃げ出した 16602 0 0 16484 htmvoc_16602.wav ミジソー ミ⸢ジソー [mi⸢ʤisoː] 名 生まれた年の干支がミズノエ(壬)、ミズノト(葵)である人の気性。 ウ⸢レー⸣ ミ⸢ジソーヌ⸣ プ⸢ス [ʔu⸢reː⸣ mi⸢ʤisoːnu⸣ pu̥⸢su] (彼は壬、癸の気性の人だ) 16558 0 1 16485 htmvoc_16558.wav ミジター ミ⸢ジター [mi⸢ʤitaː] 名 {Mn_1}水田。みずた。単に、⸣ター[⸣taː](田)というのが普通。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣カー ミ⸢ジターン⸣ サ⸢リター⸣ ナ⸢リ⸣ス [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːŋ⸣kaː mi⸢ʤitaːn⸣ sa⸢ritaː⸣ na⸢ri⸣su] (雨が降らないと水田も乾いた田になる) 16558 0 2 16486 htmvoc_16558.wav ミジター ミ⸢ジター [mi⸢ʤitaː] 名 {Mn_2}大雨で畑が冠水した状態。 ⸢ウーアミヌ⸣ フイティ パ⸢タ⸣ケー ムー⸢ル⸣ ミ⸢ジ⸣ター ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔuːaminu⸣ ɸuiti pḁ⸢ta⸣keː muː⸢ru⸣ mi⸢ʤi⸣taː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (大雨が降って畑は全部水田になって<冠水して>しまった) 16603 0 0 16487 htmvoc_16603.wav ミジター ミ⸢ジ⸣ター [mi⸢ʤi⸣taː] 名 ⸢水田」の義。みずた。大雨で畑が\ruby{水浸}{ミズ|ビタシ}になっていること。サ⸢リター[sa⸢ritaː](\ruby{乾上}{ヒ|アガ}った田{EOS}\ruby{旱魃}{カン|バツ}で水田が乾上ったさま)の対義語。 ⸢ウーアミヌ⸣ フイティ パ⸢タ⸣ケー ムー⸢ル⸣ ミ⸢ジ⸣ター ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔuːʔaminu⸣ ɸuiti pḁ⸢ta⸣keː muː⸢ru⸣ mi⸢ʤi⸣taː nari⸢naː⸣nu] (大雨が降って畑は全部\ruby{冠水}{カン|スイ}してしまった) 16559 0 0 16488 htmvoc_16559.wav ミジタンク ミ⸢ジタン⸣ク [mi⸢ʤitaŋ⸣ku] 名 \ruby{貯水槽}{チョ|スイ|ソウ}。直径約1メートル、高さ約2メートルのコンクリート製の貯水槽。瓦屋根に降った天水を\ruby{樋}{トイ}で受けてミ⸢ジタン⸣クに集め貯水した。 ミ⸢ジタンクヌ⸣ ミ⸢ジ⸣シ バ⸢カス サー⸣ヤ ン⸢マー⸣タン [mi⸢ʤitaŋkunu⸣ mi⸢ʤi⸣ʃi ba⸢kasu saː⸣ja ʔm⸢maː⸣taŋ] (貯水槽の天水で点てる<沸かす>お茶は美味しかった) 16560 0 0 16489 htmvoc_16560.wav ミジタング ミ⸢ジタン⸣グ [mi⸢ʤitaŋ⸣gu] 名 たごおけ(\ruby{担桶}{タ|ゴ})。「水担桶」の義。にない桶。水を桶に入れて天秤棒で担ぐ桶。水担桶一個を、カ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手)といい、水担桶を天秤棒で両端に一対かけて、一人で肩に担ぐ場合、プ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](いっか<一荷>)という。 ⸢カーラ⸣ ミ⸢ジタン⸣グナ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ミティ⸣ フ⸢タカタミ⸣ カ⸢タ⸣ミキー ミ⸢ジカミ⸣ ミ⸢ツァ⸣シ [⸢kaːra⸣ mi⸢ʤitaŋ⸣guna mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢miti⸣ ɸu̥⸢takatami⸣ kḁ⸢ta⸣mikiː mi⸢ʤikami⸣ mi⸢ʦa⸣ʃi] (井戸から水担桶に水を汲み入れて、二荷<二担ぎ>担いできて水瓶を満たせ) 16561 0 1 16490 htmvoc_16561.wav ミジッサリ ミ⸢ジッサリ [mi⸢ʤissari] 名 {Mn_1}水虫。「水腐れ」の義。ミ⸢ツァ⸣ウティ[mi⸢ʦa⸣ʔuti](泥負け)とは異なる。 ⸣パンピサヌ ウ⸢ヤビ⸣ヌ ⸣マター ミ⸢ジッサリ⸣ シ⸢ティ⸣ ヤ⸢ミ⸣スバ フ⸢チ⸣ル シ⸢キ⸣リ [⸣pampi̥sanu ʔu⸢jabi⸣nu ⸣mataː mi⸢ʤissari⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ja⸢mi⸣suba ɸu̥⸢ʧi⸣ru ʃi̥⸢ki⸣ri] (足の指の間<指の叉>が水虫になって<水腐れして>痛むから、薬をつけよ<れ>)。 16561 0 2 16491 htmvoc_16561.wav ミジッサリ ミ⸢ジッサリ [mi⸢ʤissari] 名 {Mn_2}水が多すぎて作物が腐ること。「水腐れ」の義。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢スー⸣ワティ ⸢ウン⸣マー ミ⸢ジ⸣ッサリ ⸢シー ナー⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢suː⸣wati ⸢ʔum⸣maː mi⸢ʤi⸣ssari ⸢ʃiː naː⸣nu] (雨が多くて<強くて>、芋は水腐れしてしまった) 16575 0 0 16492 htmvoc_16575.wav ミジティップ ミ⸢ジティップ [mi⸢ʤitippu] 名 水鉄砲。昭和40年頃まで、男の子供達は、竹筒やパパイアの葉柄で水鉄砲を作って遊んだ。 ム⸢カ⸣シェー ビ⸢コーンッふァー⸣ タ⸢キトゥ マンズイ⸣ヌ ⸢ユイ⸣シル ミ⸢ジティッ⸣プー ス⸢ク⸣リ ア⸢サブタル [mu⸢ka⸣ʃeː bi⸢koːŋffaː⸣ tḁ⸢kitu manʣui⸣nu ⸢jui⸣ʃiru mi⸢ʤitip⸣puː su̥⸢kuri⸣ru ʔa⸢sabutaru] (昔は、男の子は竹とパパイアの葉柄で水鉄砲を作って遊んだものだ) 16562 0 0 16493 htmvoc_16562.wav ミジナー ミ⸢ジ⸣ナー [mi⸢ʤi⸣naː] 名 (植)湿地に生える雑草の名。和名、スベリヒユ。「水菜」の義。 ナ⸢チェー ナーンパー⸣ヌ ⸢カール⸣ ミ⸢ジナー⸣バ ⸣シルズーシナ イ⸢リティ⸣ バ⸢カシタン⸣ダー [na⸢ʧeː naːmpaː⸣nu ⸢kaːru⸣ mi⸢ʤinaː⸣ba ⸣ʃiruʣuːʃina ʔi⸢riti⸣ ba⸢kaʃi̥tan⸣daː] (夏は菜っ葉の代わりに水菜をオジヤに入れた炊いたものだよ) 16563 0 0 16494 htmvoc_16563.wav ミシナーク ミシ⸢ナーク [miʃi⸢naːku] 副 みすみす(見す見す)~される。むざむざ~される。あってはならないことが、情けないことに、すっかり~される。 ウ⸢リヌ⸣ ホショー ⸣ナリティ ミシ⸢ナーク ドゥー⸣ヌ ⸣ザイサン ムー⸢ル⸣ ウ⸢ソーリ ナー⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ hoʃoː ⸣nariti miʃi⸢naːku duː⸣nu ⸣ʣaisam muː⸢ru⸣ ʔu⸢soːri naː⸣nu] (彼<それ>の保証人になって、みすみす自分の財産を総て差し押さえられてしまった) 16564 0 0 16495 htmvoc_16564.wav ミシナータクトゥ ミシ⸢ナータ⸣クトゥ [miʃi⸢naːta⸣kutu] 副 みすみす(見す見す)~される。むざむざ~される。あってはならないことが、それと知りつつも、すっかり~されてしまう。誠に残念だがすっかり~されてしまう。 ミシ⸢ナータ⸣クトゥ ウ⸢リンマー カシカーサ⸣リ ウ⸢ドゥ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [miʃi⸢naːta⸣ku̥tu ʔu⸢rimmaː kaʃi̥kaːsa⸣ri ʔu⸢du⸣ki ⸢naː⸣nu] (むざむざと彼には騙されて損をしてしまった) 16565 0 1 16496 htmvoc_16565.wav ミジナルン ミ⸢ジ⸣ ナルン [mi⸢ʤi⸣ naruŋ] 連 {Mn_1}⸢水になる」の義。 サ⸢ケー⸣ ク⸢ビン⸣ヌ フ⸢タ⸣ ア⸢キ⸣スクカー ミ⸢ジ⸣ ナルン⸢ダー [sḁ⸢keː⸣ ku⸢bin⸣nu ɸu̥⸢ta⸣ ʔa⸢ki⸣su̥kukaː mi⸢ʤi⸣ narun⸢daː] (酒は瓶の蓋を開けておくと水になるよ)。 16565 0 2 16497 htmvoc_16565.wav ミジナルン ミ⸢ジ⸣ ナルン [mi⸢ʤi⸣ naruŋ] 連 {Mn_2}水泡に帰する。 マ⸢ナマバー⸣キ ⸢シー⸣ケール シ⸢グトー⸣ ウ⸢リ⸣シ ミ⸢ジ⸣ ナリ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢namabaː⸣ki ⸢ʃiː⸣keːru ʃi⸢gutoː⸣ ʔu⸢ri⸣ʃi mi⸢ʤi⸣ nari⸢naː⸣nu] (今までやってきた仕事は、これで水泡に帰して<水になって>しまった) 16566 0 0 16498 htmvoc_16566.wav ミジニー ミ⸢ジニー [mi⸢ʤiniː] 名 干支の壬(みずのえ)、癸(みずのと)に当る日。 ⸢プー⸣ルン キ⸢チゴンヌン ニンガイ⸣ヤー ミ⸢ジニーバ⸣ ア⸢ティル ピューロー⸣ トゥ⸢ローッ⸣タ [⸢puː⸣ruŋ ki̥⸢ʧigonnun niŋgai⸣jaː mi⸢ʤiniːba⸣ ʔa⸢tiru pjuːroː⸣ tu⸢roːt⸣ta] (豊年祭も結願祭も、祈願祭は壬癸の日に当てて日取りをされた) 16567 0 0 16499 htmvoc_16567.wav ミジニー ミ⸢ジ⸣ニー [mi⸢ʤi⸣niː] 名 ⸢水煮」の義。味噌や塩、醤油などの調味料を入れないで調理すること。 イ⸢ラブ⸣チン ⸢オン⸣デーン ⸢ミースマー⸣ソー イ⸢ランドー⸣シ ナー⸢イ⸣ ミ⸢ジ⸣ニー ⸢シー⸣ シキバ [ʔi⸢rabu⸣ʧiŋ ⸢ʔon⸣deːm ⸢miːsumaː⸣soː ʔi⸢randoː⸣ʃi naː⸢i⸣ mi⸢ʤi⸣niː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥kiba] (イラブチ<ぶだい>もオンデー<はなあいご>も、味噌や塩を入れないで、ただ水炊き<水煮>しておきなさいよ) 16568 0 0 16500 htmvoc_16568.wav ミジヌール ミ⸢ジヌール [mi⸢ʤinuːru] 名 「みずのり(水糊)」の義。薄く作った洗濯用のり。カ⸢タヌー⸣ル[kḁ⸢tanuː⸣ru](濃い糊)の対義語。 ⸢キン⸣ヌ ⸢ヌー⸣ロー ミ⸢ジヌール⸣シル ッ⸢ふァース⸣ダー カ⸢タヌー⸣ル ⸢スー⸣カー パ⸢ダ⸣ ッシティ キ⸢サラヌ [⸢kin⸣nu ⸢nuː⸣roː mi⸢ʤinuːru⸣ʃiru f⸢faːsu⸣daː kḁ⸢tanuː⸣ru ⸢suː⸣kaː pa⸢da⸣ ʃʃiti ki̥⸢saranu] (着物の糊つけは、薄い水糊でのり付けするものだよ{EOS}濃いのり付けをすると、肌をちくちく刺し、擦るので着られない) 16569 0 0 16501 htmvoc_16569.wav ミジヌカン ミ⸢ジヌ⸣カン [mi⸢ʤinu⸣kaŋ] 名 水の神様。水神。鳩間島のア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽)は水の神様を祀ってあるといわれている。ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞いの神歌)のアラカワウガン(新川御嶽<お願>)に、/ウフイラカ カミガナシ アミブシャヌ カミイラカ タケバル アミブシャヌ ミジムトゥヌ マブルシュ アミブシャヌ ウブガーラヌ シキフチ アミブシャヌ ウムルミジタラショーリ アミブシャヌ フダルミジバ タボラリヨー アミブシャヌ/とある 16570 0 0 16502 htmvoc_16570.wav ミジヌクー ミ⸢ジヌ⸣クー [mi⸢ʤinu⸣kuː] 名 水のこ。「水の粉」の転訛したものか。お盆の供物の一つ。砂糖黍の茎、茄子を賽の目に小さく刻んで、米と小豆、昆布の刻んだものを加えて、7回水洗いをしたもの。皿に入れ、⸣マヤーブー[⸣majaːbuː](和名、メドハギ<蓍萩>)の枝を添えて仏壇に供える。一日三食を仏壇に供える際に、マヤーブーでミジヌクーを家の外へ三度掻きはねる。無縁仏達へのお布施といわれている。それをしないと、先祖に供えた供物に無縁仏が手を突っ込んだり、悪事を働くと信じられている。 トゥ⸢クニ⸣ナー ⸢ミーキヌ⸣ イー ス⸢ク⸣ ピン ミ⸢ジヌ⸣クー ⸢パン⸣キティ ア⸢ゾーッ⸣タ [tu̥⸢kuni⸣naː ⸢miːkinu⸣ ʔiː su̥⸢ku⸣ pim mi⸢ʤinu⸣kuː ⸢paŋ⸣kiti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (仏壇に三食のご飯を供えるとき、ミジヌクーを外へ\ruby{掻}{カキ}き\ruby{撥}{ハ}ねよ、といわれた) 16571 0 0 16503 htmvoc_16571.wav ミジヌッふァ ミ⸢ジヌ⸣ッふァ [mi⸢ʤinu⸣ffa] 名 ぼうふら(孑孑)。「水の子」の義。 ⸣カミナーン ミ⸢ジヌッふァ⸣ヌ ⸣シディ ⸢ベー⸣ティティル ⸢ガザン⸣マ ⸢ゴー⸣ラー⸢ツォー [⸣kaminaːm mi⸢ʤinuffa⸣nu ⸣ʃidi ⸢beː⸣tiru ga⸢ʣam⸣maː ⸢goː⸣raː⸢ʦoː] (\ruby{水甕}{ミズ|カメ}にもボウフラが\ruby{湧}{ワ}いて<\ruby{孵化}{フ|カ}して>いるので、蚊が多いのだよ)。 ミ⸢ジクムル⸣ナー ミ⸢ジヌッふァ⸣ヌ ⸢イッ⸣パイ ⸣シディ ⸢ベー [mi⸢ʣikumuru⸣naː mi⸢ʣinuffa⸣nu ⸢ʔip⸣pai ⸣sidi ⸢beː] (水溜りにボウフラがたくさん発生して<孵化して>いる) 16572 0 0 16504 htmvoc_16572.wav ミジバタ ミ⸢ジ⸣バタ [mi⸢ʤi⸣bata] 名 「水腹」の義。水分で一杯になった腹。 ミ⸢ジカーニ⸣ ヌムンダ ミ⸢ジ⸣バタ ⸣ナリティ ⸣ムノー ッ⸢ふァーラヌ [mi⸢ʤikaːni⸣ numunda mi⸢ʤi⸣bata ⸣nariti ⸣munoː f⸢faːranu] (水だけ飲むから、水で満腹して物が食べられない) 16573 0 0 16505 htmvoc_16573.wav ミジパナダル ミ⸢ジパナダル [mi⸢ʤipanadaru] 名 \ruby{水洟}{ミズ|ハナ}。風邪をひくと鼻から流れ出る水のような薄い鼻汁。 ミ⸢ジパナダルヌ⸣ ンズ ⸢ギン⸣シェー パ⸢ナシキ⸣ ヤ⸢ル⸣パジ [mi⸢ʤipanadarunu⸣ ʔnʣu ⸢giŋ⸣ʃeː pa⸢naʃi̥ki⸣ ja⸢ru⸣paʤi] (\ruby{水洟}{ミズ|バナ}が出るからにはきっと風邪だろう) 16576 0 0 16506 htmvoc_16576.wav ミジパナドゥル ミ⸢ジパナドゥル [mi⸢ʤipanaduru] 名 みずばな(水洟)。 パ⸢ナシケー⸣ カ⸢カ⸣リ ミ⸢ジパナドゥルヌ⸣ ンジティ フ⸢シガラ⸣ヌ [pa⸢naʃi̥keː⸣ kḁ⸢ka⸣ri mi⸢ʤipanadurunu⸣ ʔnʤiti ɸu̥⸢ʃigara⸣nu] (風邪をひいて<風邪にかかって>、水洟が出て堪らない) 16574 0 0 16507 htmvoc_16574.wav ミジパンタリ ミ⸢ジパン⸣タリ [mi⸢ʤipan⸣tari] 名 みずぶとり(水太り)。肉のしまらない、でっぷりとした脂肪質の肥満体。⸢コーパン⸣タリ[⸢koːpan⸣tari](筋肉質の引き締まった太りかた)の対義語。 ウ⸢レー⸣ ミ⸢ジパンタリカーニル シーブ ピッ⸣チン タ⸢ヤー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ mi⸢ʤipantarikaːniru ʃiːbu pit⸣ʧin ta⸢jaː naː⸣nu] (彼<それ>は水太りだけしているのであって、ちっとも<一つも>体力がない) 16578 0 0 16508 htmvoc_16578.wav ミジフクル ミ⸢ジフク⸣ル [mi⸢ʤiɸu̥ku⸣ru] 名 みずぶくれ(水脹れ)。皮膚の下に水分がたまって脹れること。\ruby{漿液}{ショウ|エキ}を含んで\ruby{膨}{フク}らむこと。 ⸣プスイピーズ カ⸢ナパイ⸣ シゥ⸢カイ⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイス⸣ター ⸣ティーナ グ⸢ジヌ⸣ ンジ ミ⸢ジフク⸣ル ⸢シーベー [⸣pu̥suipiːʣu ka⸢napai⸣ sï̥⸢kai⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kaisu⸣taː ⸣tiːna gu⸢ʤinu⸣ ʔnʤi mi⸢ʤiɸuku⸣ru ⸢ʃiːbeː] (一日中鍬を使って畑を耕したので、手に\ruby{肉刺}{マ|メ}が出来て水ぶくれしている) 16577 0 0 16509 htmvoc_16577.wav ミジフチル ミ⸢ジフチ⸣ル [mi⸢ʤiɸuʧi⸣ru] 名 水薬。老年層は、ミ⸢ジフシ⸣ル[mi⸢ʤiɸuʃi⸣ru](水薬)という。⸢クーフチ⸣ル[⸢kuːɸuʧi⸣ru]、⸢クーフシ⸣ル[⸢kuːɸu̥ʃi⸣ru](粉薬)の対義語。 シ⸢トゥム⸣ティカージ ミ⸢ジフチ⸣ル ⸣ヌメーティル ヤッ⸢トゥ⸣シ ッ⸢サー⸣コー ⸢ノーシタ⸣ル [ʃi̥⸢tumu⸣tikaːʤi mi⸢ʤiɸuʧi⸣ru ⸣numeːtiru jat⸢tu⸣ʃi s⸢saː⸣koː ⸢noːʃi̥ta⸣ru] (毎朝<つとめて毎に>水薬を飲んで、やっとのことで咳を直した) 16579 0 0 16510 htmvoc_16579.wav ミジフニ ミ⸢ジ⸣フニ [mi⸢ʤi⸣ɸuni] 名 浸水した船。「みずぶね(水船)」の義。船を浸水させて航行不能の状態にすること。 ヤ⸢ビオシ⸣キナー ⸣イダフネーラ ⸢パイ⸣ター バ⸢タルンティ アー⸣キ ⸣フネー ⸢フンナキティ⸣ ミ⸢ジ⸣フニ ⸣ナシ ⸢ナーン⸣シェン [ja⸢biʔoʃi̥⸣kinaː ⸣ʔidaɸuneːra ⸢pai⸣taː ba⸢tarunti ʔaː⸣ki ⸣ɸuneː ⸢ɸunnakiti⸣ mi⸢ʤi⸣ɸuni ⸣naʃi ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (悪天気に板船<サバニ>で西表<南端>へ渡ろうとして、船を沈没させて航行不能の水船にしてしまった) 16580 0 0 16511 htmvoc_16580.wav ミジフミ ミ⸢ジフミ [mi⸢ʤiɸumi] 名 水汲み。 ⸢ガッ⸣コー ⸢カイ⸣ルカー ミ⸢ジフメー⸣<ミ⸢ジカタ⸣メー> ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ シ⸢グトゥ ヤッタ [⸢gak⸣koː ⸢kai⸣rukaː mi⸢ʤiɸumeː⸣ mi⸢doːn⸣ffanu ʃi⸢gutu jatta] (学校から帰ると水汲みは女の子の仕事であった) 16581 0 0 16512 htmvoc_16581.wav ミジマキ ミ⸢ジマキ [mi⸢ʤimaki] 名 ⸢水負け」の義。長時間水田で作業をしたり、湿地帯で作業をすると足の指の間が赤く腫れたり、あかぎれ(皸)のように足の指の間が切れて痛むこと。この症状をいった。水虫の一種か。 ⸢パン⸣マー ミ⸢ジマケー シー⸣ ヤ⸢ミ⸣ス [⸢pam⸣maː mi⸢ʤimakeː ʃiː ja⸢mi⸣su] (足は水負けして痛むよ) 16582 0 0 16513 htmvoc_16582.wav ミジマキ ミ⸢ジ⸣マキ [mi⸢ʤi⸣maki] 名 水撒き。水打ち。庭や道などに水をまくこと。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホーン⸣ユンダ ⸢キンアライ⸣ミジシ ミ⸢ナカ⸣ヌ ミ⸢ジ⸣マキ ⸢シー⸣バ [ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoːɲ⸣junda ⸢kiŋʔarai⸣miʤiʃi mi⸢naka⸣nu mi⸢ʤi⸣maki ⸢ʃiː⸣ba] (雨が降らないので、洗濯水で庭の水撒き<打ち水>をしなさいよ) 16585 0 0 16514 htmvoc_16585.wav ミジミチ ミ⸢ジミチ [mi⸢ʤimiʧi] 名 水脈。水の流れるところ。 ⸣クマーラ カ⸢マーバー⸣キ ミ⸢ジミチヌ トゥー⸣リ ⸢ブン⸣ツォー [⸣kumaːra ka⸢maːbaː⸣ki mi⸢ʤimiʧinu tuː⸣ri ⸢bun⸣ʦoː] (ここからあそこまで水脈が通っているそうだ) 16583 0 0 16515 htmvoc_16583.wav ミジムトゥ ミ⸢ジムトゥ [mi⸢ʤimutu] 名 水源。水源の神。 ア⸢ラ⸣カーウガンマー パ⸢トゥマ⸣ヌ ミ⸢ジムトゥ⸣ ヤ⸢ロー⸣ルミー [ʔa⸢ra⸣kaːʔugammaː pḁ⸢tuma⸣nu mi⸢ʤimutu⸣ ja⸢roː⸣rumiː] (新川御嶽<お願>は鳩間島の水源の神であられますね) 16584 0 0 16516 htmvoc_16584.wav ミジムン ミ⸢ジムン [mi⸢ʤimuŋ] 名 水分が多くて美味しい桃。「水桃」の義。イ⸢シムン[ʔi⸢ʃimuŋ](在来種の固い実を付ける桃)の対義語。 ⸢タイ⸣パンラ ⸣クー ミ⸢ジムンマー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣タン⸢ダー [⸢tai⸣panra ⸣kuː mi⸢ʤimummaː⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣tan⸢daː] (台湾からくる水桃は非常に美味しかったよ) 16587 0 0 16517 htmvoc_16587.wav ミジラサピルマサ ミ⸢ジラ⸣サ ⸣ピルマサ [mi⸢ʤira⸣sa ⸣pirumasa] 連 珍しいさまの詠嘆的表現。珍しいことよ。ABCDEFGD型の重言。形容詞、ピ⸢ルマ⸣サン[pi⸢ruma⸣saŋ](不思議である{EOS}怪しい{EOS}奇妙である)の語幹部が、ミ⸢ジラ⸣サン[mi⸢ʤira⸣saŋ](珍しい)の語幹部について形成された重言で、強調の意味が含まれる。 ミ⸢ジラ⸣サ ⸣ピルマサ マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ユーヤ⸣ シケー⸢バー⸣キン プ⸢スヌ⸣ パ⸢ラ⸣リンティバーヤ [mi⸢ʤira⸣sa ⸣pirumasa ma⸢nama⸣nu ⸢juːja⸣ ʃi̥keː⸢baː⸣kim pu̥⸢sunu⸣ pa⸢ra⸣rintibaːja] (誠に不思議なことだ、今の世は月へまでも人間が行かれるってよ) 16586 0 1 16518 htmvoc_16586.wav ミジラサン ミ⸢ジラ⸣サン [mi⸢ʤira⸣saŋ] 形 {Mn_1}珍しい。異様である。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸣ミリ ミ⸢ラン⸣ユンダ ミ⸢ジラ⸣サンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナン⸣ゾー ミ⸢ジラサ ナーン⸣シェン [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸣miri mi⸢raɲ⸣junda mi⸢ʤira⸣saŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢nan⸣ʣoː mi⸢ʤirasa naːŋ⸣ʃeŋ] (あんなものは見たことがないので珍しいかなあと思ったが、あまり珍しくなかった)。 ミ⸢ジラサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢ʤirasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (珍しくて堪らない)。 マ⸢ナ⸣マー ミ⸢ジラ⸣サ ⸣クトー ⸢ナーン⸣タンティン ⸣アトーケー ヤー⸢デイン⸣ ミ⸢ジラ⸣サ ⸣ナルン ⸣パジ [ma⸢na⸣maː mi⸢ʤira⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naːn⸣tantiŋ ⸣ʔatoːkeː jaː⸢dim⸣ mi⸢ʤira⸣sa ⸣narum ⸣paʤi] (今は、珍しいことは無くても、後になってきっと珍しくなるはずだ)。 16586 0 2 16519 htmvoc_16586.wav ミジラサン ミ⸢ジラ⸣サン [mi⸢ʤira⸣saŋ] 形 {Mn_2}不思議である。 ミ⸢ジラ⸣サ ⸢ワーバー⸣キン キ⸢ラリ⸣ シェーバン⸢ナー [mi⸢ʤira⸣sa ⸢waːbaː⸣kiŋ ki⸢rari⸣ʃeːban⸢naː] (不思議だ、君までも来れたんだねえ)。 ミ⸢ジラ⸣サワレー [mi⸢ʤira⸣sawareː] (何と珍しいことか{EOS}珍しいことよ) 16588 0 0 16520 htmvoc_16588.wav ミジラシ ミ⸢ジラ⸣シ [mi⸢ʤira⸣ʃi] 連体 珍しい。変わった。 ミ⸢ジラ⸣シ ム⸢ヌ⸣バ ス⸢ク⸣リティ ヤ⸢ラ⸣ビンケーバ ア⸢ツァ⸣ミ ⸣ミシ ウ⸢ムッ⸣サ シ⸢ミ ベー [mi⸢ʤira⸣ʃi ⸣munuba su̥⸢ku⸣riti ja⸢ra⸣biŋkeːba ʔa⸢ʦa⸣mi ⸣miʃi ʔu⸢mus⸣sa ʃi⸢mi beː] (珍しいものを作って子供達に見せ、面白がらせて<面白くさせて>いる) 16589 0 0 16521 htmvoc_16589.wav ミジラシスコーナ ミ⸢ジラ⸣シスコーナ [mi⸢ʤira⸣ʃisu̥koːna] 連体 異様な。珍奇な。⸢珍しいような」の義。 ク⸢ヌ⸣ トゥシ ⸣ナルンケン ⸣ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ ミ⸢ジラ⸣シスコーナ ム⸢ヌ⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [ku⸢nu⸣ tu̥ʃi ⸣naruŋkem ⸣miri mi⸢ra⸣nu mi⸢ʤira⸣ʃisu̥koːna mu⸢nu⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (この年になるまで見たことのない異様な物を作ってある) 16590 0 0 16522 htmvoc_16590.wav ミジラシスコーニ ミ⸢ジラ⸣シスコーニ [mi⸢ʤira⸣ʃisu̥koːni] 副 珍しいほど立派に。珍しく。異様に。変なふうに。 ウ⸢リヌ⸣ ティーシ ミ⸢ジラ⸣シスコーニ ス⸢コーリ⸣ シケール ⸣ムヌ ミリ⸢ミー [ʔu⸢rinu⸣ tiːʃi mi⸢ʤira⸣ʃisu̥koːnu su̥⸢koːri⸣ ʃi̥keːru ⸣munu miri⸢miː] (彼の手で珍しいほど立派に作ってあるものを見てごらん<見てみろ>よ) 16605 0 0 16523 htmvoc_16605.wav ミシルン ミ⸢シ⸣ルン [mi⸢ʃi⸣ruŋ] 他動 見せる。老年層の言葉。若年層は、ミ⸢ラ⸣スン[mi⸢ra⸣suŋ](見せる)という。 カ⸢ク⸣シシケール ム⸢ヌ⸣バ プ⸢スン⸣ ミ⸢シ⸣ルンティ ⸢アー⸣キ イ⸢ザリティ⸣ ミ⸢シララン⸣シェン [kḁ⸢ku⸣ʃi ⸣ʃi̥keːru mu⸢nu⸣ba pu̥⸢sum⸣ mi⸢ʃi⸣runti ⸢ʔaː⸣ki ʔi⸢ʣariti⸣ mi⸢ʃiraraŋ⸣ʃeŋ] (隠してある物を他人に見せようとしていて叱られて、見せられなかった)。 ⸣ミシミサカー ミ⸢シ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣miʃimisakaː mi⸢ʃi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (見せてよければ見せることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ミ⸢シ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim mi⸢ʃi⸣reː ⸣misamunu] (もっと見せれば良いのに)。 ⸢バン⸣ヌン ミ⸢シ⸣リ [⸢ban⸣num mi⸢ʃi⸣ri] (私にも見せよ)。 ⸢バン⸣マー ミ⸢シ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ ミ⸢シラ⸣ヌ [⸢bam⸣maː mi⸢ʃi⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du mu⸢ttu⸣ mi⸢ʃiram⸣baŋ] (私には見せるかと思ったが、ちっとも見せないよ)。 ウ⸢リンマー⸣ ミ⸢シ ヤッ⸣サヌンドゥ ⸢バー⸣ネー ミ⸢シ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ティバーヤ [ʔu⸢rimmaː⸣ mi⸢ʃijas⸣sanundu ⸢baː⸣neː mi⸢ʃi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ran⸣tibaːja] (彼には見せやすいが、私には見せることは出来ないそうだ)。 ⸣ウヤニン ミ⸢シ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣ʔujanim mi⸢ʃi⸣reː ⸣misamunu] (親にも見せればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ムー⸢ル⸣ ミ⸢シ⸣リ [⸢paː⸣ku muː⸢ru⸣ mi⸢ʃi⸣ri] (早く全部見せろ) 16592 0 0 16524 htmvoc_16592.wav ミジンガーリ ミ⸢ジンガーリ [mi⸢ʤiŋgaːri] 名 みずあたり(水当り)。「水変わり」の義。旅行などで、土地が変わることによって起きる下痢や腹痛。 ユ⸢スジマー⸣ キー ナ⸢マ⸣ミジ ヌ⸢ムター⸣ル ミ⸢ジンガーリバ シー⸣ バ⸢タ⸣ヤビ ⸢シー ナー⸣ヌ [ju⸢suʤimaː⸣ kiː na⸢ma⸣miʤi nu⸢mutaː⸣ru mi⸢ʤiŋgaːriba ʃiː⸣ ba⸢ta⸣jabi ⸢ʃiː naː⸣nu] (よそ島に来て、生水を飲んだところ、水当りをして下痢して<腹をこわして>しまった) 16593 0 0 16525 htmvoc_16593.wav ミジンガサ ミ⸢ジンガ⸣サ [mi⸢ʤiŋga⸣sa] 名 すいほう(水泡)。みずぼうそう(水疱瘡)。ハシカ<\ruby{麻疹}{マ|シン}>の\ruby{発疹}{ホッ|シン}。顔から始まって全身に水疱が広がる子供の皮膚病。 ミ⸢ジンガ⸣サー ヤ⸢ラ⸣ビジブンマー ヤー⸢ディン⸣ カ⸢カリ⸣スンダ  プ⸢スム⸣シ カ⸢カ⸣ルカー ⸣アトーケー ⸣メー カ⸢カラ⸣ヌ [mi⸢ʤiŋga⸣saː ja⸢ra⸣biʤibummaː jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢kari⸣sunda pu̥⸢sumu⸣ʃi kḁ⸢ka⸣rukaː ⸣ʔatoːkeː ⸣meː kḁ⸢kara⸣nu] (水疱瘡は子供の頃には必ず罹るから、一度\ruby{罹}{カカ}ると後になっては、もう罹らない) 16594 0 0 16526 htmvoc_16594.wav ミジンガニ ミ⸢ジン⸣ガニ [mi⸢ʤiŋ⸣gani] 名 鉛。「水金」の義。老年層のことば。若年層は、ナ⸢マ⸣リ[na⸢ma⸣ri](鉛)という。 マ⸢ナマ⸣ヌ ウ⸢ツァン⸣ヌ ウ⸢ムレー⸣ ミ⸢ジン⸣ガニシル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ma⸢nama⸣nu ʔu⸢ʦan⸣nu ʔu⸢mureː⸣ mi⸢ʤiŋ⸣ganiʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (今の\ruby{投網}{ト|アミ}の\ruby{錘}{オモリ}は鉛で作られている) 16596 0 0 16527 htmvoc_16596.wav ミジングラ ミ⸢ジン⸣グラ [mi⸢ʤiŋ⸣gura] 名 水タンク。貯水池。ミ⸢ジ⸣グラ[mi⸢ʤi⸣gura](水タンク)ともいう。若年層は、ミ⸢ジタン⸣ク[mi⸢ʤitaŋ⸣ku](水タンク)という。 ム⸢カ⸣シプソー ミ⸢ジタンク⸣バ ミ⸢ジン⸣グラティル ア⸢ゾーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː mi⸢ʤitaŋkuba⸣ mi⸢ʤiŋ⸣guratiru ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (昔の人は水タンクをミジングラ<水蔵>といわれたものだ) 16595 0 0 16528 htmvoc_16595.wav ミジンゴイ ミ⸢ジン⸣ゴイ [mi⸢ʤiŋ⸣goi] 名 みずごえ(水肥)。液肥。老年層は、ミ⸢ジ⸣ゴイ[mi⸢ʤi⸣goi](水肥)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣コイタングナー ミ⸢ジン⸣ゴイ イ⸢リティル⸣ パ⸢タ⸣ケー カ⸢ヨーシタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣koitaŋgunaː mi⸢ʤiŋ⸣goi ʔi⸢ritiru⸣ pḁ⸢ta⸣keː ka⸢joːʃi̥taru] (昔は水肥を肥担桶に入れて畑へ運んだものだよ) 16597 0 0 16529 htmvoc_16597.wav ミジンダナ ミ⸢ジン⸣ダナ [mi⸢ʤin⸣dana] 名 水棚。マ⸢カ⸣ルダナ[ma⸢ka⸣rudana](お碗棚)ともいう。台所の脇にある皿や碗類を置いて水分を切るに用いる棚。「Mizzutana.faxiri.ミヅタナ、または、ハシリ(水棚.または、走り)台所で、陶器その他の物をのせて洗う板」『邦訳日葡辞書』。 マ⸢カ⸣ルドング ア⸢ライティ⸣ ミ⸢ジン⸣ダナナー ウ⸢スバシティ⸣ ミ⸢ジ⸣ キシバ [ma⸢ka⸣rudoŋgu ʔa⸢raiti⸣ mi⸢ʤin⸣dananaː ʔu⸢subaʃiti⸣ mi⸢ʤi⸣ ki̥ʃiba] (お碗類を洗って水棚に伏せて置いて水を切りなさい)。 マ⸢カ⸣ルドンゴー ア⸢ラシティティ⸣ ミ⸢ジン⸣ダナナ ウ⸢スンフカシ⸣ シ⸢キ⸣リバ [ma⸢ka⸣rudoŋgoː ʔa⸢raʃi̥titi⸣ mi⸢ʤin⸣dananaː ʔu⸢suŋɸu̥kaʃi⸣ ʃi̥⸢ki⸣riba] (お碗類は洗ってから水棚に伏せておきなさいよ) 16598 0 0 16530 htmvoc_16598.wav ミジンダラ ミ⸢ジン⸣ダラ [mi⸢ʤin⸣dara] 名 下水だめ。すいこみ。炊事場の下水を流して溜めておく穴。水溜り。 マ⸢カ⸣ルドング ア⸢ライヤー⸣ ミ⸢ジェー⸣ ミ⸢ジン⸣ダラー ⸢ナーラ⸣シ タ⸢ムタ [ma⸢ka⸣rudoŋgu ʔa⸢raijaː⸣ mi⸢ʤeː⸣ mi⸢ʤin⸣daraː ⸢naːra⸣ʃi ta⸢muta] (お碗類を洗った水は下水溜め<すいこみ>へ流して溜めた) 16607 0 1 16531 htmvoc_16607.wav ミズ ミ⸢ズ [mi⸢ʣu] 名 {Mn_1}溝。下水溝。 ⸣ミゾー バ⸢リティ⸣ タ⸢マリミジェー⸣ ナ⸢ガシバ⸣ル ヤ⸢シキ⸣ヌ ⸢フン⸣シェー ⸢カイ⸣ヤーツォー [⸣miʣoː ba⸢riti⸣ ta⸢marimiʤeː⸣ na⸢gaʃiba⸣ru ⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢ɸuŋ⸣ʃeː ⸢kai⸣jaːʦoː] (溝を割って溜まった水を流すのが家の風水は良い<綺麗>のだそうだ)。 16607 0 2 16532 htmvoc_16607.wav ミズ ミ⸢ズ [mi⸢ʣu] 名 {Mn_2}\ruby{澪}{ミオ}。水路。鳩間島の東南のパ⸢マザ⸣キ[pa⸢maʣa⸣ki](浜崎浜)とタ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)の間にある深い澪。水路。ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](澪の上)ともいう 16608 0 0 16533 htmvoc_16608.wav ミスクン ⸢ミス⸣クン [⸢misu̥⸣kuŋ] 他動 捜す。発見する。「見つく<下二>」の転訛したもの。 ⸣マナール シ⸢トゥタ⸣ユー ⸢ミス⸣クンティ ⸢ベーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ ミシゥカラ⸣ヌ [⸣manaːru ʃi̥⸢tuta⸣juː ⸢misu̥⸣kunti ⸢beːn⸣du mut⸢tu miskara⸣nu] (何処で無くしたのか、捜そうとするが、一向に捜せない)。 ⸢ミシ⸣キ ⸣ミサカー ⸢ミス⸣ク ⸣クトー ⸣ナルン [⸢miʃi̥⸣ki ⸣misakaː ⸢mis⸣ku ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (捜してよければ捜すことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ミシ⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢miʃi̥⸣keː ⸣misamunu] (もっと捜せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ミシ⸣キバ [⸢paː⸣ku ⸢miʃi̥⸣kiba] (早く捜せよ) 16609 0 0 16534 htmvoc_16609.wav ミスコーマシ ミス⸢コーマ⸣シ [misu̥⸢koːma⸣ʃi] 副 こっそりと。小声密かに。ミシゥ⸢カーマ⸣シとも言う。 ウ⸢ブ⸣クイシェー パ⸢ナサン⸣ドーシ ミス⸢コーマ⸣シ パ⸢ナ⸣シバ [ʔu⸢bu⸣kuiʃeː pa⸢nasan⸣doːʃi misu̥⸢koːma⸣ʃi pa⸢na⸣ʃiba] (大声では話さないで、小声で\ruby{密}{ヒソカ}に話しなさいよ) 16610 0 0 16535 htmvoc_16610.wav ミスコーミスコーシ ミス⸢コーミスコー⸣シ [misu̥⸢koːmisukoː⸣ʃi] 副 用心深く。慎重に。丁寧に。 バ⸢リムヌ⸣ ヤ⸢リバ⸣ ミス⸢コーミスコー⸣シ ⸢アシゥカーン⸣カー バ⸢リスンダ⸣ ナ⸢ラン⸣ダー [ba⸢rimunu⸣ ja⸢riba⸣ misu̥⸢koːmisu̥koː⸣ʃi ⸢ʔasï̥kaːŋ⸣kaː ba⸢risunda⸣ na⸢ran⸣daː] (割れもの<割れやすい物>だから慎重に扱わないと割れるから、いけないよ) 16611 0 0 16536 htmvoc_16611.wav ミズサライ ⸣ミズサライ [⸣miʣusarai] 名 溝さらえ。 ⸣ミズナー ⸢キーヌパー⸣ヌ タ⸢マリティ⸣ ミ⸢ジヌ ナーリラン⸣バ ⸣ミズサライ ⸢シー⸣ヨー [⸣miʣunaː ⸢kiːnupaː⸣nu ta⸢mariti⸣ mi⸢ʤinu naːriram⸣ba ⸣miʣusarai ⸢ʃiː⸣joː] (溝の中に木の葉が溜まって水が流れないから、溝浚えをしなさいよ) 16612 0 0 16537 htmvoc_16612.wav ミズヌカン ミ⸢ズヌ⸣カン [mi⸢ʣunu⸣kaŋ] 名 海底地名。「\ruby{澪}{ミオ}の上」の義。⸢ナーバレー[⸢naːbareː](⸢長い窪地<割れ地>」の義)の干瀬の内側(礁内湖の側)からヤ⸢マ⸣タジル[ja⸢ma⸣taʤiru](浅瀬)へかけて延びる、幅約100メートル、長さ約500メートル、水深約30メートルの澪 16613 0 0 16538 htmvoc_16613.wav ミズノ ミ⸢ズ⸣ノ [mi⸢ʣu⸣no] 名 (動)魚の名。イワシの一種。和名、ミズン(体長約15センチ)。小イワシ。老年層はミ⸢ズ⸣ヌ[mi⸢ʣu⸣nu](小イワシ)ともいう。和名、ヤマトミズンは、ヤ⸢マトゥミズ⸣ヌ[ja⸢matumiʣu⸣nu]という。パ⸢ダ⸣ラ[pa⸢da⸣ra](トウゴロイワシ)と供に8月頃に島の海岸に寄ってくる。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢ダ⸣ラン ミ⸢ズ⸣ノン ス⸢クイ⸣キー ナ⸢マ⸣シ ⸣キシティ フ⸢ナブ⸣ヌ ⸣シー ⸣カキティ ン⸢コーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː pa⸢da⸣ram mi⸢ʣu⸣non su̥⸢kui⸣kiː na⸢ma⸣ʃi ⸣ki̥ʃiti ɸu⸢nabu⸣nu ⸣ʃiː ⸣kḁkiti ʔŋ⸢koːt⸣ta] (昔はトウゴロイワシもミズノも\ruby{掬}{スク}ってきて刺身に切って、九年母<シークヮーサ>の汁をかけて召し上がられた) 16614 0 0 16539 htmvoc_16614.wav ミズヤ ミ⸢ズ⸣ヤ [mi⸢ʣu⸣ja] 名 水屋。茶器や食器類を入れる\ruby[g]{箪笥}{タンス}様の家具。標準語からの借用語。戦後輸入され、使用されるようになった。台所のある三番座に置かれてあった。大小さまざまあるが、普通は奥行き約45センチ、幅約80センチ、高さ約120センチ程度のものがよく利用されていた。 ミ⸢ズヤ⸣ン ナ⸢カ⸣ナー ッ⸢ふ⸣サタ イ⸢リ⸣ シケーバ ン⸢ザ⸣シ⸢ミー [mi⸢ʣuja⸣n na⸢ka⸣naː f⸢fu⸣sata ʔi⸢ri⸣ʃi̥keːba ʔn⸢ʣa⸣ʃi⸢miː] (水屋の中に黒砂糖を入れてあるから出してごらんよ) 16615 0 0 16540 htmvoc_16615.wav ミズル ミ⸢ズ⸣ル [mi⸢ʣu⸣ru] 名 水色。青色。 ミ⸢ズ⸣ルキン [mi⸢ʣu⸣rukiŋ] (水色の着物)。 ク⸢ヌ⸣ ミ⸢ズル⸣ヌ ⸢タンムヌ⸣シ ナ⸢チ⸣キン ⸢サース⸣カー イッ⸢ケナ カイ⸣ヤンパジ [ku⸢nu⸣ mi⸢ʣuru⸣nu ⸢tammunu⸣ʃi na⸢ʧi⸣kin ⸢saːsu⸣kaː ʔik⸢kena kai⸣jampaʤi] (この水色の反物で夏着を作る<仕立てる>と非常にきれいだろう) 16616 0 0 16541 htmvoc_16616.wav ミスン ⸣ミスン [⸣misuŋ] 他動 見せる。老年層の言葉。「見す(下二段活用)。~令視倍吉君之<ミスベキキミノ>~。万、166」の転訛したものか。若年層は使わない。ミサスンとも言う。 ウ⸢ナー⸣ ムノー プ⸢スン⸣ ミスンテー サ⸢ヌ⸣ イッ⸢カ⸣ ミ⸢ス⸣ヌ [ʔu⸢naː⸣ munoː pu̥⸢sum⸣ misunteː sa⸢nu⸣ ʔik⸢ka⸣ mi⸢su⸣nu] (自分の物は人に見せようとはしない{EOS}決して見せない)。 ミ⸢シ⸣プサー ア⸢リ⸣ブーンドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸣ミス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢ʃi⸣pu̥saː ʔa⸢ri⸣buːndu ma⸢na⸣maː ⸣misu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (見せたくはあるが、今は見せることは出来ない)。 ⸣ミシェー ⸣ミサムヌバ [⸣miʃeː ⸣misamunuba] (見せればよいものを)。 ⸢パー⸣ク ⸣ミシバ [⸢paː⸣ku ⸣miʃiba] (早く見せろよ) 16617 0 0 16542 htmvoc_16617.wav ミダカーマ ミ⸢ダカー⸣マ [mi⸢dakaː⸣ma] 名 めだか。若年層のことば。標準語からの借用語。 ミ⸢ダカー⸣マー ⸢パイタ⸣ナール ⸢ブー⸣ パ⸢トゥ⸣マナーヤ ブ⸢ラーヌ [mi⸢dakaː⸣maː ⸢paita⸣naːru ⸢buː⸣ pḁ⸢tu⸣manaːja bu⸢raːnu] (メダカは西表島にが<ぞ>いる{EOS}鳩間島にはいない) 16618 0 0 16543 htmvoc_16618.wav ミダスン ミ⸢ダ⸣スン [mi⸢da⸣suŋ] 他動 乱す。混乱させる。心を迷わせる。かき回す。標準語からの借用語。 イ⸢フナムニバ⸣<イ⸢ファナムニバ⸣> シゥ⸢カス⸣カー ク⸢ク⸣ル ミ⸢ダ⸣スン⸢ダー [ʔi⸢ɸunamuniba⸣<ʔi⸢ɸanamuniba⸣> sï̥kasu⸣kaː ku̥⸢ku⸣ru mi⸢da⸣sun⸢daː] (変なこと<妙な噂話>を聞かせると心を惑わせるよ)。 ク⸢ク⸣ル ミ⸢ダサン⸣ドーシ ウ⸢ティ⸣シキティ シ⸢キ⸣ヨー [ku̥⸢ku⸣ru mi⸢dasan⸣doːʃi ʔu⸢ti⸣ʃi̥kiti ʃi̥⸢ki⸣joː] (心を乱さないで、落ち着いて聞きなさいよ)。 ク⸢ク⸣ル ミ⸢ダ⸣スクトー ⸢ナーン⸣ティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ミ⸢ダ⸣シ ⸢ナーン⸣バン [ku̥⸢ku⸣ru mi⸢da⸣su ⸣ku̥toː ⸢naːn⸣ti ʔu⸢muːta⸣nu mi⸢da⸣ʃi ⸢naːm⸣baŋ] (心を乱すことはないと思ったが、乱してしまったよ)。 ク⸢ク⸣ル ミ⸢ダ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢ku⸣ru mi⸢da⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (心を乱してはならない)。 ⸢マー⸣ビン ミ⸢ダ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim mi⸢da⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと乱せばいいのに)。 ミ⸢ダ⸣シバ [mi⸢da⸣ʃiba] (乱せよ) 16619 0 0 16544 htmvoc_16619.wav ミタナブニマラソーリ ミ⸢タナブニ⸣ マ⸢ラソー⸣リ [mi⸢tanabuni⸣ ma⸢rasoː⸣ri] 連 三棚船を新造され(加治工伊佐氏伝承)。この語は現在ではほとんど死語である。ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː]であった同氏が船浦の⸣スラバ[⸣suraba](造船所)の話をした際に、「昔の人はこう話された」述べた。「和船型の接ぎ舟か」『沖縄古語大辞典』とある 16620 0 0 16545 htmvoc_16620.wav ミダルン ミ⸢ダ⸣ルン [mi⸢da⸣ruŋ] 自動 乱れる。ばらばらになる。標準語からの借用語か。 ⸢カントゥク⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カン⸣カー レ⸢ツォー⸣ ミ⸢ダルン⸣ドゥ ⸣ムニ シゥ⸢ク⸣カー ミ⸢ダラ⸣ヌ [⸢kantuku⸣nu ⸣muni si̥⸢kaŋ⸣kaː re⸢ʦoː⸣ mi⸢darun⸣du ⸣muni su̥⸢ku⸣kaː mi⸢dara⸣nu] (監督の話し<言葉{EOS}号令>を聞かないと列は乱れるが、話<号令>を聞いたら乱れない)。 ミ⸢ダ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢da⸣ri ⸢naː⸣nu] (乱れてしまった)。 ミ⸢ダ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢da⸣ru ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (乱れることはない)。 プ⸢スム⸣シ ミ⸢ダ⸣レーラー ⸢ノーサラ⸣ヌ [pu̥⸢sumu⸣ʃi mi⸢da⸣reːraː ⸢noːsara⸣nu] (一度乱れたら直されない)。 ⸢カッティニ⸣ ミ⸢ダリ⸣リ [⸢kattini⸣ mi⸢dari⸣ri] (勝ってに乱れろ) 16621 0 1 16546 htmvoc_16621.wav ミチ ⸣ミチ [⸣miʧi] 名 {Mn_1}道。道路。 ウ⸢ブ⸣ミチ [ʔu⸢bu⸣miʧi] (大道路{EOS}大きな道)。 ミ⸢チェー⸣マ [mi⸢ʧeː⸣ma] (小道{EOS}小路)。 ウ⸢ブ⸣マイミチ [ʔu⸢bu⸣maimiʧi] (大前農道)。 ⸢ナードーミチ [⸢naːdoːmiʧi] (長堂道)。 ヤ⸢ラヌ⸣ミチ [ja⸢ranu⸣ miʧi] (屋良の道)。 タ⸢チ⸣バルミチ [ta⸢ʧi⸣barumiʧi] (立原道)。 ニ⸢シ⸣ドーミチ [ni⸢ʃi⸣doːmiʧi] (西堂道)。 ⸣カンドーミチ [⸣kandoːmiʧi] (かんどう道)。 シ⸢マナカミチ [ʃi⸢manakamiʧi] (島中道)。 フ⸢クン⸣ドーミチ [ɸu̥⸢kun⸣doːmiʧi] (福堂道)。 フ⸢カバ⸣カミチ [ɸu̥⸢kaba⸣kamiʧi] (外ばか道)。 フ⸢ナ⸣バルミチ [ɸu⸢na⸣barumiʧi] (船原道)。ウ⸢ブドゥマ⸣ルミチ[ʔu⸢buduma⸣rumiʧi](大泊道)等がある。 ミ⸢チ⸣ヌ ⸣ッサ ⸣パライバ [mi⸢ʧi⸣nu ⸣ssa ⸣paraiba] (道の草を刈りはらいなさいよ)。 16621 0 2 16547 htmvoc_16621.wav ミチ ⸣ミチ [⸣miʧi] 名 {Mn_2}人の踏み行うべき道。倫理道徳。 ヨー⸢ヨー⸣ ノー⸢ンシェー⸣ル ⸣バスン プ⸢スヌ⸣ ミ⸢チ⸣ フ⸢ミ⸣ パ⸢ラバ⸣ル ナル⸢ダー [joː⸢joː⸣ noː⸢ŋʃeː⸣ru ⸣basum pu̥⸢sunu⸣ mi⸢ʧi⸣ ɸu⸢mi⸣ pa⸢raba⸣ru naru⸢daː] (よくよく注意しなさいよ{EOS}如何なる時にも人間の正しい道を踏み行って行かなければならない<踏み行わばぞなる>) 16622 0 0 16548 htmvoc_16622.wav ミチアウ ミ⸢チアウ [mi⸢ʧiʔau] 名 みちづれ(道連れ)。道中仲間。連れ立って行く人。ミ⸢チジリ[mi⸢ʧiʤiri](道連れ)ともいう。 ユネン⸢バー⸣キ パ⸢タキシグ⸣トゥ ⸢スー⸣ ピンマー ミ⸢チアウヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ナ⸢クラー⸣ル [junem⸢baː⸣ki pḁ⸢takiʃigu⸣tu ⸢suː⸣ pimmaː mi⸢ʧiʔaunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː na⸢kuraː⸣ru] (日暮れまで畑仕事をする時は、道連れがいないと怖い) 16623 0 0 16549 htmvoc_16623.wav ミチアキナイ ミ⸢チアキ⸣ナイ [mi⸢ʧiʔaki⸣nai] 名 つじあきない(辻商い)。道端で店を出して商売すること。つじうり。 ム⸢カ⸣シェーイ⸢サナキ⸣ナー イ⸢ズン⸣ ヤサイン ミ⸢チアキ⸣ナイ ⸢ソー⸣ル プ⸢スン オーッタン⸣ドゥ⸢ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔi⸢sanaki⸣naː ʔi⸢ʣuɲ⸣ jasaim mi⸢ʧiʔaki⸣nai ⸢soː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːttan⸣du⸢naː] (昔は、石垣島では魚も野菜も辻商いをされる人もおられたのだがなあ) 16624 0 0 16550 htmvoc_16624.wav ミチウクリ ミ⸢チウクリ [mi⸢ʧiʔukuri] 名 葬送。葬式の行列に直接参加せず、四辻などで待って葬送の行列を送ること。「道送り」の義。 パ⸢カーバー⸣ケー ウ⸢クリユーサンバ⸣ ミ⸢チウクリ シー オーサー [pḁ⸢kaːbaː⸣keː ʔu⸢kurijuːsamba⸣ mi⸢ʧiʔukuri ʃiː ʔoːsaː] (お墓まではお送り出来ないから、四辻で待ってお送りしましょう) 16625 0 1 16551 htmvoc_16625.wav ミチウタ ミ⸢チウタ [mi⸢ʧiʔuta] 名 道行の歌。{Mn_1}豊年祭の道歌。豊年祭の⸣トーピン[⸣toːpiŋ](当日)、午後一時頃になると各⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽{EOS}お願)にいたピ⸢キ[pi̥⸢ki](血族)の者が、⸢マイドゥマ⸣ルウガン[⸢maiduma⸣ruʔugaŋ](前泊お願)のヒキの者はピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川お願)へ行き、そこのヒキと合流して⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽<お願>)へ行く。各お願を出発する際は、鼓の音に合わせて各お願の歌を歌う。ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川お願)のヒキの者は直接友利お願へ向かう。友利お願の前で待ち合わせ、揃って友利お願の中へ入るが、その際、友利お願のピキの者と向かい合って「ウブトゥムル」(大友利御嶽)の歌をうたう。この歌を歌い終えてから一同は⸢パイ⸣ディン[⸢pai⸣diŋ](拝殿)に進み、司やティジリビなどの神職者の後に\ruby{蹲踞}{ソン|キョ}し、拝殿に向かって\ruby{合掌礼拝}{ガッ|ショウ|レイ|ハイ}する。その後⸢マー⸣ニ(クロツグ)の若葉を80本ほど神前に捧げて祈願し、これを⸢カン⸣シバ[⸢kaŋ⸣ʃiba](神芝)とし、2、3本を繋いで集まった人々の頭に結わえさせる。その後に、次のミ⸢チウタ[mi⸢ʧiʔuta](道歌)を歌いながら⸣サンシキ[⸣saŋʃiki](桟敷)へと下りてくる。1連/ヘイヤー パトゥマユーヌ ホー ナウラバ ヘイヤー トゥムルユーヌ ミキラバ/(ヘイヤー<囃子>鳩間村<世>がホー<囃子> 豊作になる<稔る>と ヘイヤー 友利御嶽神様の統べる村が実ると)、2連/ヘイヤー タルトゥユドゥ ティユマス ヘイヤー ジリトゥユドゥ ナトゥラス/(ヘイヤー<囃子>誰と供にぞ鳴響ます ヘイヤー どなた<何れの者>と供にぞ ホー 轟かす<名を轟かそう>か)。3連/ヘイヤー マブルシュードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ウヤガミドゥ ホー ナトゥラス/、4連/ヘイヤー マブルシューヌ ホー アトゥンヤー ヘイヤー ウヤガミヌ ホー アトゥンヤ ー/、5連/ヘイヤー サカサキャードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ティジリキャードゥ ホー ナトゥラス/、6連/ヘイヤー サカサキャーヌ ホー アトゥンニャーヘイヤー ティジリキャーヌ ホー アトゥンニャー/、7連/ヘイヤー ユムチキャードゥ ホー ティユマス ヘイヤー シマムチャードゥ ホー ナトゥラス/、8連/ヘイヤー ユムチキャーヌ ホー アトゥンヤー ヘイヤー シマムチャーヌ ホー アトゥンヤー/、9連/ヘイヤー バガケーラドゥ ホー ティユマス ヘイヤー ユスケーラドゥ ホー ナトゥラス/『鳩間誌』p.43。 16625 0 2 16552 htmvoc_16625.wav ミチウタ ミ⸢チウタ [mi⸢ʧiʔuta] 名 {Mn_2}お盆の道歌。⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)の獅子舞いのとき、アンガマ隊が移動する際には、次の道歌が歌われる。/シーシェーマーヌ オールンドー(獅子舞が来られるよ)、アンガマターヌ オールンドー(アンガマター<姉子踊り隊{EOS}入子踊り隊>が来られるよ)。パダラヤ ナマシ(トウゴロー鰯は刺身にして)。ナマシヤ パイル(刺身には酢を)。パイルヤ フナブ(酢は九年母)。オンガキーヤ シーソヌパー(刺身の妻は紫蘇の葉を)。ソーランヤーヌ アッパーター(精霊会の祖母たちよ)。ミーザンマーザン オーショーリ(不味くても美味しくても召し上がれ)/。そしてイ⸢リクヌ⸣ティー[ʔi⸢rikunu⸣tiː](入子踊りの笛)が吹奏される 16626 0 0 16553 htmvoc_16626.wav ミチェーマ ミ⸢チェー⸣マ [mi⸢ʧeː⸣ma] 名 小路。路地。-マ[-ma]は美称、愛称の接尾辞(指小辞)。 グ⸢マミチェー⸣マ [gu⸢mamiʧeː⸣ma] (「小さな小路」の義{EOS}人一人が通ることのできるような小道{EOS}畑の畦道)。 ウ⸢ブ⸣マイミチェーラ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザダーチ ヤ⸢ラヌ⸣ パマ⸢バー⸣キ ミ⸢チェーマ⸣ヌ ⸢トゥー⸣リ ブ⸢タン [ʔu⸢bu⸣maimiʧeːra pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣadaːʧi ja⸢ranu⸣ pama⸢baː⸣ki mi⸢ʧeːma⸣nu ⸢tuː⸣ri bu⸢taŋ] (大前の道から畑の畦道沿いに屋良の浜まで小路が通っていた)。 ⸢ワッ⸣テトゥ ⸢バン⸣テヌ ⸢アイナ⸣カナー ミ⸢チェーマ⸣ヌ ⸢アッ⸣タン [⸢wat⸣tetu ⸢ban⸣tenu ⸢ʔaina⸣kanaː mi⸢ʧeːma⸣nu ⸢ʔat⸣taŋ] (私の家と貴方の家の間に小路があった) 16627 0 0 16554 htmvoc_16627.wav ミチクサイ ミ⸢チクサイ [mi⸢ʧikusai] 名 道路修理。みちぶしん(道普請)。「みちこさえ(道拵え)」の義。お盆の送り日の翌日に井戸浚えと共に村中総出で行った。 ム⸢カ⸣シェー ム⸢ラズーヌ⸣ プ⸢ス⸣シル ミ⸢チクサイン カーサライン ソーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː mu⸢raʣuːnu⸣ pu̥⸢suʃi⸣ru mi⸢ʧikusaiŋ kaːsarain soːtta⸣ru] (昔は村中の人で道普請も井戸浚えもされたものだ) 16629 0 1 16555 htmvoc_16629.wav ミチシキ ミ⸢チ⸣シキ [mi⸢ʧi⸣ʃi̥ki] 名 {Mn_1}満月。「満ち月」の転訛。 ⸢キュー⸣ヌ ⸣シケー ミ⸢チ⸣シキ ナリ⸢オーリ⸣ ブーバン [⸢kjuː⸣nu ⸣ʃi̥keː mi⸢ʧi⸣ʃi̥ki ⸣nari⸢ʔoːri⸣ buːbaŋ] (今宵<今日>の月は満月になっておられるわい)。 16629 0 2 16556 htmvoc_16629.wav ミチシキ ミ⸢チ⸣シキ [mi⸢ʧi⸣ʃi̥ki] 名 {Mn_2}月日が満ちること。妊娠等の月数が満ちること。 ⸣シケー タ⸢ライ⸣ ミ⸢チ⸣シキ ナ⸢リ⸣ブーバ ナスパジ⸢ダー [⸣ʃi̥keː ta⸢rai⸣ mi⸢ʧi⸣ʃi̥ki na⸢ri⸣buːba nasupaʤi⸢daː] (月数は足りて、産み月に満ち足りているから産むはずよ) 16630 0 1 16557 htmvoc_16630.wav ミチスー ミ⸢チ⸣スー [mi⸢ʦi⸣suː] 名 {Mn_1}上げ潮。差し潮。満ち潮。 ミ⸢チ⸣スー ナリ⸢キー⸣ブンダ ⸢ヨイ⸣ヤー パ⸢ジミ⸣ ミサン [mi⸢ʧi⸣suː nari⸢kiː⸣bunda ⸢joi⸣ja pa⸢ʤimi⸣ misaŋ] (上げ潮になってきているからお祝いは始めても良い)。 16630 0 2 16558 htmvoc_16630.wav ミチスー ミ⸢チ⸣スー [mi⸢ʦi⸣suː] 名 {Mn_2}満潮。 ミ⸢チ⸣スーナール ⸣フネー ミ⸢ナトー⸣ラ ン⸢ザサ⸣リ [mi⸢ʧi⸣suːnaːru ⸣ɸuneː mi⸢natoː⸣ra ʔn⸢ʣasa⸣ri] (満潮時に<ぞ>船は港から出されるのだ) 16631 0 0 16559 htmvoc_16631.wav ミチタライ ミ⸢チ⸣タライ [mi⸢ʧi⸣tarai] 名 満足。満ち足りること。 ⸣ヌーンクイ ミ⸢チ⸣タライ ⸢ブーユンダ ノーン⸣ プサ ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸣nuːŋkuim mi⸢ʧi⸣tarai ⸢buːjunda noːm⸣ pu̥saː ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (何もかも満ち足りているから、何も欲しいものはない) 16632 0 0 16560 htmvoc_16632.wav ミチッサーリムヌ ミ⸢チッサーリ⸣ムヌ [mi⸢ʧissaːri⸣munu] 名 障害物。⸢道\ruby{塞}{フサ}がりもの」の転訛。「道」に「擁、布左具(ふさぐ)」『華厳経音義私記』が下接して形成だれた語。 ミ⸢チッサーリ⸣ムノー マ⸢ダキ⸣リバ [mi⸢ʧissaːri⸣munoː ma⸢daki⸣riba] (障害物<道塞がりもの>は取り除けよ) 16633 0 0 16561 htmvoc_16633.wav ミチドゥミ ミ⸢チドゥミ [mi⸢ʧidumi] 名 道止め。通行禁止。伝染病が発生した時などに、一時的に通行止めをされることがあった。 ウ⸢マー⸣ヤ ミ⸢チドゥミ⸣ シ⸢ラリ ブーユンダ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [ʔu⸢maː⸣ja mi⸢ʧidumi⸣ ʃi⸢rari buːjunda⸣ pa⸢rara⸣nu] (そこへは、通行禁止になっているから行くことができない<行かれない>) 16634 0 0 16562 htmvoc_16634.wav ミチナカ ミ⸢チナカ [mi⸢ʧinaka] 名 みちなか(道中)。途中。 ⸣ドク シ⸢ナー⸣ ベーティ キ⸢ムイ⸣ツァー ミ⸢チナカーバー⸣キ ⸢サーリギーティ⸣ ヤー ⸢ペー⸣ル ⸣ムヌ ミ⸢リトゥドゥ⸣キティル ⸢クータ⸣ル [⸣duku ʃi⸢naː⸣ beːti ki⸢mui⸣ʦaː mi⸢ʧinakaːbaː⸣ki ⸢saːrigiːti⸣ jaː ⸢peː⸣ru ⸣munu mi⸢ritudu⸣kitiru ⸢kuːta⸣ru] (あまりにも幼くて可哀相で、途中まで連れて行って、家に入るのを見届けて<ぞ>来たものだよ) 16635 0 1 16563 htmvoc_16635.wav ミチナカーラ ミ⸢チナカー⸣ラ [mi⸢ʧinakaː⸣ra] 名 {Mn_1}行程の途中から。日程、旅程の途中から。 ブ⸢ガ⸣リティ ア⸢ラキユーサン⸣ベーティ ミ⸢チナカー⸣ラ ム⸢ドゥ⸣リ ⸣ケーツォー [bu⸢ga⸣riti ʔa⸢rakijuːsam⸣beːti mi⸢ʧinakaː⸣ra mu⸢du⸣ri ⸣keːʦoː] (疲れて歩けないので途中から戻って来たそうだ)。 16635 0 2 16564 htmvoc_16635.wav ミチナカーラ ミ⸢チナカー⸣ラ [mi⸢ʧinakaː⸣ra] 名 {Mn_2}発達段階の中途。青年期。子供から大人になる途中。 プ⸢ソー⸣ ミ⸢チナカー⸣ラ ヤ⸢ブリ⸣ルカー ⸢ノーサラン⸣ティ ム⸢カ⸣シプソー ⸢アゾーッ⸣タ [pu̥⸢soː⸣ mi⸢ʧinakaː⸣ra ja⸢buri⸣rukaː ⸢noːsaran⸣ti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (人は、成人する途中<青年期>に身を持ち崩すと、直されないと昔の人はおっしゃった) 16636 0 0 16565 htmvoc_16636.wav ミチヌアジマー ミ⸢チ⸣ヌ ア⸢ジ⸣マー [mi⸢ʧi⸣nu ʔa⸢ʤi⸣maː] 連 十字路。四つ角。よつつじ(四辻)。道が十字形に交わっている所。ミ⸢チ⸣ヌ ⸢ユーカドゥ[mi⸢ʧi⸣nu ⸢juːkadu](道の四つ角)ともいう。 ⸢ソー⸣シケー ミ⸢チ⸣ヌ ア⸢ジ⸣マーナーティ ⸢ティー⸣ッサイ ウ⸢クリ オーラ⸣ス ⸣クトゥン ⸢アッ⸣タン [⸢soː⸣ʃi̥keː mi⸢ʧi⸣nu ʔa⸢ʤi⸣maːnaːti ⸢tiː⸣ssai ʔu⸢kuri ʔoːra⸣su ⸣ku̥tuŋ ⸢ʔat⸣taŋ] (葬式は、道の四つ角で手を合わせてお送りすることもあった) 16637 0 0 16566 htmvoc_16637.wav ミチヌスバ ミ⸢チ⸣ヌ ⸣スバ [mi⸢ʧi⸣nu ⸣suba] 連 道端。路傍。「道の側」の義。 プ⸢スヌ トゥー⸣ロール ⸣バソー ミ⸢チ⸣ヌ ⸣スバー ⸣ナリ ア⸢サビ⸣バ⸢ヨー [pu̥⸢sunu tuː⸣roːru ⸣basoː mi⸢ʧi⸣nu ⸣subaː ⸣nari ʔa⸢sabi⸣ba⸢joː] (人が通られる時は道の側になって遊びなさいね) 16642 0 0 16567 htmvoc_16642.wav ミチヌプス ミ⸢チヌ⸣プス [mi⸢ʧinu⸣pu̥su] 名 通行人。道を通る人。「道の人」の義。 イ⸢サナケー⸣ パルカー ミ⸢チヌプス⸣ヌ シ⸢ギサ⸣ヌ ア⸢ラカラン⸣シェン [ʔi⸢sanakeː⸣ parukaː mi⸢ʧinupusu⸣nu ʃi⸢gisa⸣nu ʔa⸢rakaraŋ⸣ʃeŋ] (石垣島へ行くと通行人が多くて歩けなかった) 16638 0 0 16568 htmvoc_16638.wav ミチブー ミ⸢チブー [mi⸢ʧibuː] 名 みちぶ(道夫)。道普請の際の夫役。道路作業に従事する人夫。 ミ⸢チブー⸣ティ ⸢シー ヤーカー⸣ジェーラ ⸢タンガ⸣ナー ヤ⸢ラバリ パッタ⸣ヤー [mi⸢ʧibuː⸣ti ⸢ʃiː jaːkaː⸣ʤeːra ⸢taŋga⸣naː ja⸢rabari pat⸣tajaː] (道路作業の人夫として各家<家数>から一人ずつ呼び出されていったさ) 16639 0 0 16569 htmvoc_16639.wav ミチブー ミ⸢チ⸣ブー [mi⸢ʧi⸣buː] 連 沢山ある。いっぱいある。「満ちている」の義。 ⸢ジン⸣マー ミ⸢チ⸣ブー [⸢ʤim⸣maː mi⸢ʧi⸣buː] (お金は沢山ある<満ちている>) 16640 0 0 16570 htmvoc_16640.wav ミチフムン ミ⸢チ フムン [mi⸢ʧi ɸumuŋ] 連 正しい生き方をする。人としての正しい道を踏み行う。「道踏む」の義。神事や仏事が正しく実施され、継承されていること。 サ⸢クシ⸣ヌ ⸣ヤー シ⸢ギバル⸣ ミ⸢チェー⸣ フ⸢ム⸣ サ⸢クシ ウス⸣クミ ⸢スー⸣カー ミ⸢チェー⸣ フ⸢マン⸠ダー [sḁ⸢kuʃi⸣nu ⸣jaː ʃi⸢gibaru⸣ mi⸢ʧeː⸣ ɸu⸢mu⸣ sḁ⸢kuʃi ʔusu⸣kumi ⸢suː⸣kaː mi⸢ʧeː⸣ ɸu⸢man⸠daː] (長男が家を継げばこそ王道<正しい跡継ぎの道>を踏むのだ{EOS}長男を押し込め<次男三男が家を継ぐこと>ることをすると、家の跡継ぎの正しい道は踏めないぞ) 16643 0 0 16571 htmvoc_16643.wav ミチマール ミ⸢チマール [mi⸢ʧimaːru] 名 道草をくうこと。遊びまわること。「道回り」の義。 ⸢イーシキラレー⸣ル シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ミ⸢チマールバ⸣カー⸢ニ シェー⸣ティ ⸢アーキ⸣バン⸢ナー [⸢ʔiːʃi̥kirareː⸣ru ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ mi⸢ʧimaːruba⸣kaː⸢ni ʃeː⸣ti ⸢ʔaːki⸣ban⸢naː] (言いつけられた仕事はしないで、ただ道草を食って遊びまわってばかりいるんだねえ<後が怖いぞ、叱られるぞ>) 16644 0 0 16572 htmvoc_16644.wav ミチマユイ ミ⸢チマユイ [mi⸢ʧimajui] 名 みちまどい(道惑い)。道に迷うこと。 マ⸢ブローマ⸣ヌ ミ⸢チマユイ シー アー⸣クカー ⸢カンヌ⸣マイシ カ⸢ルイマー⸣シ ⸢サーリオー⸣リ マ⸢ブ⸣ル ク⸢ミ⸣シミ タ⸢ボー⸣リ [ma⸢buroːma⸣nu mi⸢ʧimajui ʃiː ʔaː⸣kukaː ⸢kannu⸣maiʃi ka⸢ruimaː⸣ʃi ⸢saːriʔoː⸣ri ma⸢bu⸣ru ku⸢mi⸣ʃimi ta⸢boː⸣ri] (マブローマ<生霊・霊魂>が道に迷ってうろついていたら、神様の御手で囲いまわして連れ戻して下さって、生霊を体内に籠め<マブル籠め、霊籠め>させてくださいませ) 16645 0 0 16573 htmvoc_16645.wav ミチミチ ミ⸢チミチ [mi⸢ʧimiʧi] 副 道すがら。歩きながら。~の途上。 ム⸢カ⸣シプソー ユネン⸢バー⸣キ パ⸢タラキティ⸣ パ⸢タ⸣ケーラヌ ⸢カイ⸣ル ミ⸢チミチ⸣ トゥ⸢バラー⸣マ イ⸢ゾーリ⸣バ ⸣ウマーカマーラー ⸢カイ⸣シ イ⸢ゾーッ⸣タンティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː junem⸢baː⸣ki pḁ⸢tarakiti⸣ pḁ⸢ta⸣keːranu ⸢kai⸣ru mi⸢ʧimiʧi⸣ tu⸢baraː⸣ma ʔi⸢ʣoːri⸣ba ⸣ʔumaːkamaːraː ⸢kai⸣ʃi ʔi⸢ʣoːt⸣tanti⸢daː] (昔の人は、夕方まで働いて、畑からの帰り道の道すがらトゥバラーマ歌を歌われると、ここかしこからは、トゥバラーマの返しの歌を歌われたそうだよ) 16648 0 0 16574 htmvoc_16648.wav ミチユドゥン ミ⸢チユドゥン [mi⸢ʧijuduŋ] 名 道草を食うこと。「道よどみ」の義。 ミ⸢チトゥナル ナーパナシ サンドー⸣シ ミ⸢チユドゥン サンドー⸣シ ⸢ダンダン⸣シ パ⸢タ⸣ケー ⸣パリ [mi⸢ʧitunaru naːpanaʃi sandoː⸣ʃi mi⸢ʧijudun sandoː⸣ʃi ⸢dandaŋ⸣ʃi pḁ⸢ta⸣keː pari] (道隣同士で長話しをしないで、道草をしないで、さっさと畑へ行きなさい) 16646 0 0 16575 htmvoc_16646.wav ミチルン ミ⸢チ⸣ルン [mi⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 満ちる。 ⸢スー⸣ヌ ミ⸢チ⸣ルンケン ⸣マティバ [⸢suː⸣nu mi⸢ʧi⸣ruŋkem ⸣matiba] (潮が満ちるまで待てよ)。 ⸢スー⸣ヌ ミ⸢チラン⸣カー ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢suː⸣nu mi⸢ʧiraŋ⸣kaː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (潮が満ちないと船は出されない)。 ⸢スー⸣ヤ ⸣ミチケーン [⸢suː⸣ja ⸣miʧikeːŋ] (潮は満ちてきた)。 バ⸢タ⸣ヌ ミ⸢チ⸣ルンケン ッ⸢ふァイ⸣バ [ba⸢ta⸣nu mi⸢ʧi⸣ruŋkeŋ f⸢fai⸣ba] (お腹が満ちるまで食べなさいよ)。 バ⸢タ⸣ヌ ミ⸢チ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢ta⸣nu mi⸢ʧi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (満腹する<お腹が満ちる>ことはない)。 ン⸢メーマンツァン⸣ ミ⸢チ⸣レー<⸣ミチェー> ⸣ミサムヌ [ʔm⸢meːmanʦam⸣ mi⸢ʧi⸣reː<⸣miʧeː> ⸣misamunu] (少しでも満ちたらいいのに)。 ⸣ウビシ バター ミ⸢チ⸣リ [⸣ʔubiʃi ⸣bataː mi⸢ʧi⸣ri] (これで満腹せよ<お腹は満ちれよ>) 16641 0 0 16576 htmvoc_16641.wav ミチンパタ ミ⸢チン⸣パタ [mi⸢ʧim⸣pata] 名 みちばた(道端)。路傍。「道の端」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー ミ⸢チン⸣パタナー ア⸢サベーティル⸣ フ⸢ドゥブ⸣ティムカーヤ [ja⸢ra⸣beː mi⸢ʧim⸣pḁtanaː ʔa⸢sabeː⸣tiru ɸu⸢dubu⸣timukaːja] (子供は道端で遊びながら成長するものだよ)。 ミ⸢チン⸣パタヤーヤ ン⸢ガマ⸣サン [mi⸢ʧim⸣pḁtajaːja ʔŋ⸢gama⸣saŋ] (道端の家はうるさい) 16658 0 0 16577 htmvoc_16658.wav ミツァ ⸣ミツァ [⸣miʦa] 名 粘土。泥土。水分の多い泥。 ア⸢ガミツァ [ʔa⸢gamiʦa] (赤粘土{EOS}赤土)。「爾多(ニタ)の水~。」『出雲風土記』の転訛したものか。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢ガミツァ⸣シル ガ⸢マ⸣ジェー ア⸢ライヨーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢gamiʦa⸣ʃiru ga⸢ma⸣ʤeː ʔa⸢raijoːtta⸣ru] (昔は、赤粘土で髪は洗っておられたものだ)。 ⸣ミツァー ク⸢ナシ⸣ ユ⸢チル⸣ナ ⸢ヌーシ⸣ シ⸢キティル カー⸣ラヤーヤ フ⸢コーッタ⸣ル [⸣miʦaː ku⸢naʃi⸣ ju⸢ʧiru⸣na ⸢nuːʃi⸣ ʃi̥⸢kitiru kaː⸣rajaːja ɸu̥⸢koːtta⸣ru] (粘土を捏ねて、屋根の上のえつりに載せておいて<ぞ>\ruby{瓦葺}{カワラ|ブキ}の屋根は\ruby{葺}{フ}かれたものだ)。 ⸣ミツァカマチ [⸣miʦakamaʧi] (粘土で造った\ruby{竈}{カマド}) 16659 0 0 16578 htmvoc_16659.wav ミツァール ミ⸢ツァール [mi⸢ʦaːru] 名 三人。「み・たり(三人)」の転訛したもの。 プ⸢スヌ⸣ カジ ⸣ユム ⸣ピンマー プ⸢ス⸣ル フ⸢タール⸣ ミ⸢ツァール⸣ ユ⸢タール⸣ティル ユム⸢ダー [pu̥⸢sunu⸣ kaʤi ⸣jumu ⸣pimmaː pu̥⸢su⸣ru ɸu̥⸢taːru⸣ mi⸢ʦaːru⸣ ju⸢taːru⸣tiru jumu⸢daː] (人の数を数えるときは、一人、二人、三人、四人と数えるのだよ) 16660 0 0 16579 htmvoc_16660.wav ミツァール ⸣ミツァール [⸣miʦaːru] 名 上げ潮。潮が満ちてくるとき。「満ち上がり」の転訛したもの。 ⸣スーミツァールサーリ カ⸢ジン スー⸣リ ⸣アミン ニ⸢シクベーラ⸣ ッ⸢ふァガマーリ⸣ タ⸢タッ⸣キ ⸣フイ ⸢キー⸣シタ [⸣suːmiʦaːrusaːri ka⸢ʤin suː⸣ri ⸣ʔamin ni⸢ʃikubeːra⸣ f⸢fagamaːri⸣ tḁ⸢tak⸣ki ⸣ɸui ⸢kiː⸣ʃi̥ta] (上げ潮と共に風も強まり、雨も天の北壁から真っ暗になって、叩きつけて降ってきた) 16661 0 0 16580 htmvoc_16661.wav ミツァウティ ミ⸢ツァ⸣ウティ [mi⸢ʦa⸣ʔuti] 名 泥かぶれ(\ruby{気触}{カ|ブ}れ)。泥やぬかるみ(泥濘)の中で長時間歩く際、足の指と指の間がかぶれて\ruby{爛}{タダ}れること。泥負け。 ドゥ⸢ルヌ⸣ ミーラ ナ⸢ガラク⸣ ア⸢ラ⸣クカー ⸢パン⸣ヌ ⸣マター ミ⸢ツァ⸣ウティ ⸢スン⸣ダー [du⸢runu⸣ miːra na⸢garaku⸣ ʔa⸢ra⸣kukaː ⸢pan⸣nu ⸣mataː mi⸢ʦa⸣ʔuti ⸢sun⸣daː] (泥の中を長時間歩くと足の指の股が泥かぶれする<\ruby{爛}{タダ}れる>ぞ) 16662 0 0 16581 htmvoc_16662.wav ミツァカマチ ⸣ミツァカマチ [⸣miʦakamaʦi] 名 粘土で造った\ruby{竈}{ヘッツイ}。\ruby{土竈}{ツチ|カマド}。「Camado.カマド(\ruby{竈}{カマド})鉄鍋とか大釜とかをかけるかまど」『邦訳日葡辞書』の義。 ⸣ミツァカマチェー ⸢シンマイ⸣ナベー ウ⸢ブカマ⸣チナ ⸢イー⸣ナビ ⸢スー⸣ナベー ナ⸢カカマ⸣チナ ヤ⸢コン⸣マー カ⸢マチェー⸣マナ シ⸢キ⸣ ビシティ⸣ バ⸢カソーッ⸣タ [⸣miʦakamaʧeː ⸢ʃimmai⸣nabeː ʔu⸢bukama⸣ʧina ⸢ʔiː⸣nabi ⸢suː⸣nabeː na⸢kakama⸣ʧina ja⸢kom⸣maː ka⸢maʧeː⸣mana ʃi̥⸢ki⸣ bi⸢ʃiti⸣ ba⸢kasoːt⸣ta] (\ruby{土竈}{ツチ|カマド}は、四枚鍋の大鍋は大きい\ruby{竈}{カマド}に、飯鍋<\ruby{羽釜}{ハ|ガマ}>や汁鍋は中の竈に、湯沸し<薬缶>は小さな竈に据え置いて炊かれた) 16663 0 0 16582 htmvoc_16663.wav ミツァクビ ミ⸢ツァ⸣クビ [mi⸢ʦa⸣kubi] 名 \ruby{泥壁}{ドロ|カベ}。\ruby{土壁}{ツチ|カベ}。竈の後ろの壁を粘土で塗り上げて防火用にしたもの。 ⸢トーラ⸣ヌ カ⸢マチヌ⸣ ク⸢ベー⸣ ミツァシ ⸢ヌーリティ⸣ ミ⸢ツァ⸣クビ ス⸢ク⸣リティル ⸢ピー⸣ヤ ⸢モーソーッ⸣タ [⸢toːra⸣nu ka⸢maʧinu⸣ ku⸢beː⸣ miʦaʃi ⸢nuːriti⸣ mi⸢ʦa⸣kubi su̥⸢ku⸣ritiru ⸢piː⸣ja ⸢moːsoːt⸣ta] (炊事小屋の土竈の壁は、粘土で塗って土壁を作ってから<ぞ>火は燃やされた) 16664 0 0 16583 htmvoc_16664.wav ミツァスン ミ⸢ツァ⸣スン [mi⸢ʦa⸣suŋ] 他動 満たす。 ⸢カー⸣ラ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ミティ ⸣カミ ミ⸢ツァ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ミ⸢ツァサラ⸣ヌ [⸢kaː⸣ra mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣miti ⸣kami mi⸢ʦa⸣sunti ⸢sundu⸣ mi⸢ʦasara⸣nu] (井戸から水を担いできて水甕を満たそうとするが、満たされない)。 ア⸢ツァバー⸣キナ ミ⸢ツァ⸣シ ⸣ミサカー ミ⸢ツァ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ʔa⸢ʦabaː⸣kina mi⸢ʦa⸣ʃi ⸣misakaː mi⸢ʦa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (明日までに満たしてよければ、満たすことはできる)。 ⸢パー⸣ク ミ⸢ツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku mi⸢ʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く満たせばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ミ⸢ツァ⸣シ [jaː⸢dim⸣ mi⸢ʦa⸣ʃi] (必ず満たせ) 16665 0 0 16584 htmvoc_16665.wav ミツァパジン ⸣ミツァパジン [⸣miʦapaʤiŋ] 名 (動)蜂の一種。ツチバチ(土蜂)。泥を固めて巣を作る。⸣ッふパジン[⸣ffupaʤiŋ](黒蜂)ともいう。刺されると毒性が強く、激しく痛む。 ⸣ミツァパジンマー ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ ッ⸢サ⸣リカー シ⸢ヌ⸣ プ⸢スン ブン⸣ティ⸢ダー [⸣miʦapaʤimmaː du⸢ku⸣nu ⸢suː⸣wanda s⸢sa⸣rikaː ʃi⸢nu⸣ pu̥⸢sum bun⸣ti⸢daː] (土蜂は毒が強いから、刺されたら死ぬ人もいるそうだよ) 16666 0 0 16585 htmvoc_16666.wav ミツァムラシ ミ⸢ツァムラ⸣シ [mi⸢ʦamura⸣ʃi] 名 つちくれ(土塊)。 ア⸢ラシ⸣ ア⸢キ⸣ シケール パ⸢タキ⸣ヌ ミ⸢ツァムラ⸣シェー ク⸢マークマー⸣シ ク⸢ナシェー⸣ティ ⸢カイ⸣シバ [ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢ki⸣ ʃi̥keːru pḁ⸢taki⸣nu mi⸢ʦamura⸣ʃeː ku⸢maːkumaː⸣ʃi ku⸢naʃeː⸣ti ⸢kai⸣ʃiba] (開墾してある畑の土塊は細かに砕いて耕しなさいよ) 16650 0 0 16586 htmvoc_16650.wav ミッカ ⸢ミッカ [⸢mikka] 名 三日。 ⸣プスイ ⸢ミッカヌ⸣ ピ⸢ニチェー⸣ ノー⸢シン⸣ イ⸢トゥ⸣マ トゥ⸢ラ⸣リンヨー [⸣pu̥sui ⸢mikkanu⸣ pi⸢niʧeː⸣ noː⸢ʃiŋ⸣ ʔi⸢tu⸣ma tu⸢ra⸣riŋjoː] (一日、三日の日数は何とかして\ruby{暇}{イトマ}<休日>は取れるよ) 16651 0 0 16587 htmvoc_16651.wav ミッカジキ ⸢ミッカジキ [⸢mikkaʤiki] 名 三日月。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢ミッカジキヌ アールン⸣ケン パ⸢タキシグ⸣トゥ ⸢ソーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢mikkaʤikinu ʔaːruŋ⸣kem pḁ⸢takiʃigu⸣tu ⸢soːt⸣tanʦoː] (昔の人は三日月が上るまで畑仕事をされたそうだ) 16652 0 0 16588 htmvoc_16652.wav ミッカラ ⸢ミッカラ [⸢mikkara] 名 (数)三頭。三匹。「ミ・カシラ[mi-kasira](三頭)」の[k]と[s]の音位転倒(メタテーゼ)によるものか。 ウ⸢シヌ ミッカラトゥ オー⸣ヌ ⸢ミッカラ⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢ベー⸣ンダ ⸢ピッ⸣チン ピ⸢マー ナー⸣ヌ [ʔu⸢ʃinu mikkaratu ʔoː⸣nu ⸢mikkara⸣ sï̥⸢ka⸣nai ⸢beː⸣nda ⸢pit⸣ʧim pi⸢maː naː⸣nu] (牛三頭と豚三頭を飼っているから全く<一つも>暇がない) 16653 0 0 16589 htmvoc_16653.wav ミック ⸢ミック [⸢mikku] 名 (数)三個。ック [kku](個)は、瓶や球形の物を数える際に用いる助数詞。 イ⸢バ⸣チ ⸢ミック [ʔi⸢ba⸣ʧi ⸢mikku] (飯初<円錐形に握ったおにぎり>三個)。 ⸣クビン ⸢ミック [⸣kubim ⸢mikku] (瓶三個<本>)。 ⸢コー⸣マ ⸢ミック [⸢koː⸣ma ⸢mikku] (卵三個)。 ⸢カン⸣ビン ⸢ミック [⸢kam⸣bim ⸢mikku] (かんびん<燗壜>三個<本>)。 イ⸢シ ミックナー⸣ ナ⸢ラビ⸣ シ⸢ミ⸣バ [ʔi⸢ʃi mikkunaː⸣ na⸢rabi⸣ ʃi⸢mi⸣ba] (石を三個ずつ並べて積み上げなさいよ) 16654 0 0 16590 htmvoc_16654.wav ミックヮー ⸢ミッ⸣クヮー [⸢mik⸣kwaː] 名 目の不自由な人。「めくら(盲)。メクラ・メシヒ『類聚名義抄』」の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー メ⸢チルアルコール⸣バ ⸣ヌミティール ⸢ミックヮー ナリ⸢ベー⸣ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː me⸢ʧiruʔarukoːru⸣ba ⸣numitiːru ⸢mik⸣kwaː nari⸢beː⸣daː] (彼は終戦後にメチルアルコールを飲んで盲人になっているのだよ) 16655 0 0 16591 htmvoc_16655.wav ミッタニ ⸢ミッ⸣タニ [⸢mit⸣tani] 副 めったに。むやみに。下に打ち消しの語を伴って、陳述副詞の機能「ほとんど~ない」の意味を表す。 ⸣アイブー ⸢クヮッ⸣チーテー ⸢ミッ⸣タニ  ッ⸢ふァイ⸣ ミ⸢ラン⸣シェン [⸣ʔaibuː ⸢kwat⸣ʧiːteː ⸢mit⸣tani f⸢fai⸣ mi⸢ran⸣ʃeŋ] (あのようなご馳走は滅多に食べたことはなかった<食べてみなかった>) 16656 0 0 16592 htmvoc_16656.wav ミッタマカッタマ ⸢ミッ⸣タマカッタマ [⸢mit⸣tamakattama] 副 目を\ruby{怒}{イカ}らせて激しく怒るさま。ABCDEBCD型の重言。強調表現。 ⸣ドゥーカッティニ ⸣ザイサンバ ⸢カーシ アー⸣クンティ ⸢シー⸣ シザン ⸢ミッ⸣タマカッタマ イ⸢ザリ ベー⸣タ [⸣duːkattini ⸣ʣaisamba ⸢kaːʃiʔaː⸣kunti ⸢ʃiː⸣ ʃiʣam ⸢mit⸣tamakattama ʔi⸢ʣari beː⸣ta] (自分勝手に財産を売っているといって、兄に激しく怒られていた) 16657 0 0 16593 htmvoc_16657.wav ミッチン ⸢ミッチン [mitʧiŋ] 名 (数)三個。三つ。三粒。 コー⸢シェー⸣マー ⸢ミッチンナー パイ⸣ トゥ⸢ラ⸣シバ [koː⸢ʃeː⸣maː ⸢mitʧinnaː pai⸣ tu⸢ra⸣ʃiba] (小さなお菓子を三個ずつ配ってやりなさいよ)。 シン⸢トゥ ミッチンドゥ⸣ ヌ⸢カ⸣レーバン [ʃin⸢tu mitʧindu⸣ nu⸢ka⸣reːban] (たった三個しか残っていない<三個が残っている>わい) 16667 0 0 16594 htmvoc_16667.wav ミッティ ミッ⸢ティ [mit⸢ti] 副 十分。たくさん。いっぱい。かなり。 ⸢ジン⸣ヌン ッ⸢ふァイムヌン⸣ ミッ⸢ティ⸣ ア⸢リ⸣ル ⸣ブーバ ⸢ソーヤ ナー⸣ヌ [⸢ʤin⸣nuŋ f⸢faimunum⸣ mit⸢ti⸣ ʔa⸢ri⸣ru ⸣buːba ⸢soːja naː⸣nu] (お金も、食べ物も十分にあるから、心配はない) 16668 0 0 16595 htmvoc_16668.wav ミットーアン ⸢ミッ⸣トー ⸣アン [⸢mit⸣toː ⸣ʔaŋ] 連 見た目にもよい。見た目にも体裁がよい。 バ⸢カー⸣ムヌン ⸢デー⸣カー ウ⸢リ⸣ キ⸢サバン ミッ⸣トー ⸣アン [ba⸢kaː⸣munun ⸢deː⸣kaː ʔu⸢ri⸣ ki̥⸢sabam mit⸣toː ⸣ʔaŋ] (若者ならば、それを着ても体裁がよい<見た目にもよい>) 16669 0 0 16596 htmvoc_16669.wav ミットーナーヌ ⸢ミッ⸣トー ⸢ナー⸣ヌ [⸢mit⸣toː ⸢naː⸣nu] 連 みっともない。\ruby{体裁}{テイ|サイ}が悪い。世間体が悪い。「Mitomonai.ミトモナイ(見ともない)、見るのが嫌なこと、あるいは、見るに堪えないこと」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。⸢ミッ⸣トー ⸣アン[⸢mit⸣toː ⸣ʔaŋ](見た目によい{EOS}体裁がよい)の対義語。 バ⸢カー⸣ムヌン ⸢デー⸣カー ⸢ミッ⸣トー アリ⸢ゲ⸣ラ ⸢ウイプス⸣ヌ ア⸢ガラパタラ⸣シ ⸢ミッ⸣トー ⸢ナー⸣ヌ [ba⸢kaː⸣munun ⸢deː⸣kaː ⸢mit⸣toː ʔari⸢ge⸣ra ⸢ʔuipusu⸣nu ʔa⸢garapatara⸣ʃi ⸢mit⸣toː ⸢naː⸣nu] (若者ならばみっともあるさ<体裁もいいさ>{EOS}年寄りが真っ赤な、派手な着物を着て、みっともないよ) 16670 0 0 16597 htmvoc_16670.wav ミッふァーン ⸢ミッ⸣ふァーン [⸢mif⸣faːŋ] 形 \ruby{憎}{ニク}い。憎らしい。老年層の言葉。若年層は、⸢ニッ⸣ふァーン[⸢nif⸣faːŋ](憎い)という。「吾こそは憎毛有目<ニククモ・アラメ>~。万、1990」、「Nicui.ニクイ(憎い)憎らしいこと、あるいは、嫌らしい(こと)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢レー⸣ ユ⸢コー⸣ンダ ⸢ミッ⸣ふァーンドゥター ⸢タシ⸣キ ッ⸢ふィールンダ ミッ⸣ふァー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ju⸢koː⸣nda ⸢mif⸣faːndutaː ⸢taʃi̥⸣ki f⸢fiːrunda mif⸣faː ⸢naː⸣nu] (彼は欲張りだから憎らしいが、また、助けてくれるから憎くはない)。 ⸢ミッふァー⸣ヌ ミ⸢リ⸣プサー ⸢ナー⸣ヌ [⸢miffaː⸣nu mi⸢ri⸣pu̥saː ⸢naː⸣nu] (憎くて見たくもない)。 ウ⸢リバー⸣キ ⸢ミッ⸣ふァー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ribaː⸣ki ⸢mif⸣faː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (彼まで憎くなってしまった)。 ⸢ミッ⸣ふァー プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢mif⸣faː pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (憎い人はいない)。 ⸣アイニ ⸢ミッ⸣ふァーレーラー ノー⸢ン⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢mif⸣faːreːraː noː⸢n⸣ na⸢ra⸣nu] (そんなに憎かったら何もできない) 16671 0 0 16598 htmvoc_16671.wav ミツム ミ⸢ツ⸣ム [mi⸢ʦu⸣mu] 名 目に入ったごみ。目に入った異物。 ミ⸢ツム⸣ヌ ⸢ミーン⸣ナカー ⸢ペー⸣リティ ナ⸢キ ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ ブ⸢ネーヌ オー⸣リ シー⸣バ ⸢アーシ⸣ イ⸢リティル⸣ トゥリ ッ⸢ふォーッ⸣タ [mi⸢ʦumu⸣nu ⸢miːn⸣nakaː ⸢peː⸣riti na⸢ki beː⸣ta ⸢beː⸣ti bu⸢neːnu ʔoː⸣ri ⸢ʃiː⸣ba ⸢ʔaːʃi⸣ ʔi⸢ritiru⸣ turi f⸢foːt⸣ta] (異物<ゴミ>が目の中に入って泣いていたので、母親が来られて母乳を\ruby{搾}{シボ}り、目に入れてゴミを取り除いてくださった)。 ⸣ミーナ ミ⸢ツム⸣ヌ ⸢ペー⸣リティ ヤ⸢ミ⸣シバ ⸣ミー パ⸢タッキティ⸣ イキ フ⸢キ⸣カキティ ⸣トゥリ ッ⸢ふォー⸣リ [⸣miːna mi⸢ʦumu⸣nu ⸢peː⸣riti ja⸢mi⸣ʃiba ⸣miː pḁ⸢takkiti⸣ ʔiki ɸu̥⸢ki⸣kakiti ⸣turi f⸢foː⸣ri] (目にごみが入って痛いので、目を開いて息を吹きかけて取ってください)。乳幼児の目糞<目やに>は母親が母乳を垂らして塵を流し、除去していた 16672 0 0 16599 htmvoc_16672.wav ミツン ⸣ミツン [⸣miʦuŋ] 自動 満つ。「~潮美弖婆<ミテバ>妻呼び交わす~。万、3993」の転訛したもの。 ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツン [⸢suː⸣nu ⸣miʦuŋ] (潮が満つ)。 ウ⸢ビッ⸣チン ッ⸢ふァイテー⸣ バター ミ⸢ツァ⸣ヌ [ʔu⸢bit⸣ʧiŋ f⸢faiteː⸣ bataː mi⸢ʦa⸣nu] (これっぽち食べては、腹は満たない)。 ⸣バター ミチ⸢ナー⸣ヌ [⸣bataː miʧi⸢naː⸣nu] (お腹は満ちてしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢スー⸣ヌ ⸣ミツ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢suː⸣nu ⸣miʦu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (こんなに早く潮が満つことはない)。 ⸢パー⸣ク ⸣ミチェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣miʧeː ⸣misamunu] (早く満てばいいのに)。 ⸣ウビシ ⸣バタ ⸣ミチバ ⸣メー [⸣ʔubiʃi ⸣bata ⸣miʧiba ⸣meː] (これだけ満腹しろよ<腹満てよ>もう) 16673 0 0 16600 htmvoc_16673.wav ミツンケン ⸣ミツンケン [⸣miʦuŋkeŋ] 副 山ほど。たくさん。たくさん。「満つほど」の義。 ⸣ヌーンクイン ⸣ミツンケン ⸣アン{EOS}⸣プサ ⸣モーラ ⸣ムティ ⸣パリ [⸣nuːŋkuim ⸣miʦuŋkeŋ ⸣ʔam{EOS}⸣pu̥sa ⸣moːra ⸣mutipari] (何もかもたくさんある{EOS}欲しい物から持って行きなさい) 16674 0 0 16601 htmvoc_16674.wav ミトゥミルン ミ⸢トゥミ⸣ルン [mi⸢tumi⸣run] 他動 認める。目にとめる。 ⸣シキン ⸢トゥー⸣ルカー ミ⸢トゥミ⸣ルンティ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ マ⸢ナ⸣マー ミ⸢トゥミラン⸣ツォー [⸣ʃi̥kin ⸢tuː⸣rukaː mi⸢tumi⸣runti ʔa⸢ʣoːtta⸣nu ma⸢na⸣maː mi⸢tumiran⸣ʦoː] (試験に受かったら認めると言われたが、今は認めないそうだ)。 ⸢タン⸣ガー ミ⸢トゥ⸣ミ ⸣ミサン [⸢taŋ⸣gaː mi⸢tu⸣mi⸣misaŋ] (一人は認めてもよい)。 ⸢ワーヨ⸣ ミ⸢トゥミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waːjoː⸣ mi⸢tumi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (君を認めることは出来ない)。 ⸢パー⸣ク ミ⸢トゥミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku mi⸢tumi⸣reː ⸣misamunu] (早く認めれば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ミ⸢トゥミ⸣リ [⸢paː⸣ku mi⸢tumi⸣ri] (早く認めろ<認めれ>) 16676 0 0 16602 htmvoc_16676.wav ミドゥム ミ⸢ドゥ⸣ム [mi⸢du⸣mu] 名 女。女の子。女性。「~妻子等波<メコドモハ>乞う乞う泣くらむ~。万897」の「め(妻)」に接尾語、-ドゥム[-dumu](ども<等>)が付いて転訛したもの。 ミ⸢ドゥ⸣ム ⸣ビキドゥムテー ⸢ナー⸣ヌ マ⸢リル⸣ ッ⸢ふァー⸣ ムー⸢ル⸣ タ⸢カ⸣ラ [mi⸢du⸣mu ⸣bikidumuteː ⸢naː⸣nu ma⸢riru⸣ f⸢faː⸣ muː⸢ru⸣ tḁ⸢ka⸣ra] (女、男と区別することはない{EOS}生まれてくる子はみんな宝だ)。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ マ⸢レー⸣ン [mi⸢dumu⸣nu ma⸢reː⸣ŋ] (女が生まれた)。 ミ⸢ドゥ⸣モー ブ⸢ラーヌ [mi⸢du⸣moː bu⸢raːnu] (女はいない)。 ミ⸢ドゥ⸣ムン シ⸢ミリ [mi⸢du⸣muŋ ʃi⸢miri] (女にさせなさい)。 ミ⸢ドゥム⸣トゥ ア⸢サブン [mi⸢dumu⸣tu ʔa⸢sabuŋ] (女と遊ぶ)。 ミ⸢ドゥ⸣モーラ シ⸢ダキ⸣ シ⸢ミリ [mi⸢du⸣moːra ʃi⸢daki⸣ ʃi⸢miri] (女から先にさせなさい) 16677 0 0 16603 htmvoc_16677.wav ミドゥムウヤ ミ⸢ドゥム⸣ウヤ [mi⸢dumu⸣ʔuja] 名 母親。「女親」の義。「桂、女加豆良<めかづら>」『和名抄』の「女<め>」に接尾語、-ドゥム[-dumu](ども<伴>、複数)が付き、さらに名詞、⸣ウヤ[⸣ʔuja](親)が付いて形成された複合名詞。 ミ⸢ドゥム⸣ウヤー マ⸢ナマー⸣キン ⸢オー⸣ルン⸢ダー [mi⸢dumu⸣ʔujaː ma⸢naːma⸣kiŋ ⸢ʔoː⸣run⸢daː] (母親<女の親>は今までも<元気で>いらっしゃるよ) 16678 0 0 16604 htmvoc_16678.wav ミドゥムダチ ミ⸢ドゥム⸣ダチ [mi⸢dumu⸣daʧi] 名 女所帯。「女<め>ども立ち」の義。 ミ⸢ドゥム⸣ダチ ヤ⸢ルンダ⸣ ユ⸢チ⸣クネー ッ⸢ふァイ ユーサヌ [mi⸢dumu⸣daʧi ja⸢runda⸣ ju⸢ʧi⸣kuneː f⸢fai juːsanu] (女所帯だから、裕福には生活<食べていくことは>できない) 16675 0 0 16605 htmvoc_16675.wav ミトゥムン ミ⸢トゥ⸣ムン [mi⸢tu⸣muŋ] 他動 認める。「認め<下二段活用>」の四段活用化したもの。 プ⸢スヌ⸣ イ⸢コーラ⸣ ミ⸢トゥ⸣ムンティ ア⸢ザバン⸣ バー イ⸢ッカ⸣ ミ⸢トゥマ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʔi⸢koːra⸣ mi⸢tu⸣munti ʔa⸢ʣaban⸣ baː ʔik⸢ka⸣ mi⸢tuma⸣nu] (他人がいくら認めるといっても、私は決して認めない)。 ク⸢レー⸣ ミ⸢トゥ⸣ミ ⸣ミサン [ku⸢reː⸣ mi⸢tu⸣mi ⸣misaŋ] (これは認めてもよい)。 ⸣カイブー ⸣ムヌ ミ⸢トゥ⸣ム ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kaibuː ⸣munu mi⸢tu⸣mu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (こんなものを認めることは出来ない)。 ⸢ピー⸣チェー ミ⸢トゥ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢piː⸣ʧeː mi⸢tu⸣meː ⸣misamunu] (一つは認めればよいのに)。 ヤー⸢ディン ピー⸣チェー ミ⸢トゥ⸣ミ [jaː⸢dim piː⸣ʧeː mi⸢tu⸣mi] (必ず一つは認めよ) 16679 0 0 16606 htmvoc_16679.wav ミドゥリ ミ⸢ドゥ⸣リ [mi⸢du⸣ri] 名 芽。⸣バイ[⸣bai](芽{EOS}新芽)、ビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](新芽{EOS}茎)ともいう。 カ⸢ジフキヌ⸣ アトゥ ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター ⸢キー⸣ヌ ミ⸢ドゥ⸣リーン ⸣ンジケーン [ka⸢ʤiɸu̥kinu⸣ ʔatu ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ⸢kiː⸣nu mi⸢du⸣riːŋ ⸣ʔnʤikeːŋ] (台風の後に雨が降ったので木の芽が出てきた) 16680 0 1 16607 htmvoc_16680.wav ミナ ⸣ミナ [⸣mina] 名 (動){Mn_1}巻貝の総称。ユ⸢ナーミナ[ju⸢naːmina](マルソデガイ)、⸣サザミナ[⸣saʣamina](さざえ)、ビ⸢キミナ[bi⸢kimina](タカセ貝)、⸢ミー⸣ミナ[⸢miː⸣mina](ヒロセ貝)など。 ユ⸢ナーミナー⸣ ヤ⸢ラヌ インタヌ⸣ ピ⸢ザ⸣ヌ イ⸢ノンヌ⸣ ミーナ ⸢イッ⸣パイ ブ⸢タン⸣ダー [ju⸢naːminaː⸣ ja⸢ranu ʔintanu⸣ pi⸢ʣa⸣nu ʔi⸢nonnu⸣ miːna ⸢ʔip⸣pai bu⸢tan⸣daː] (ユナーミナ<マツソデガイ>は屋良の西の浅瀬の砂中に沢山いたよ)。 16680 0 2 16608 htmvoc_16680.wav ミナ ⸣ミナ [⸣mina] 名 {Mn_2}和名、サラサバテイ。サザエ(栄螺)貝など。「河貝子、美奈<みな>」『類聚名義抄』の転訛したもの。⸣サザミナ[⸣saʣamina](サザエ<栄螺>)ともいう。⸢ター⸣ミナ[⸢taː⸣mina](たにし<田螺>)は水田に棲息する巻き貝。 ム⸢カ⸣シェー ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー ⸣シンタヌ ⸢ピーヌ⸣クシナ イ⸢ソー シンテーナ⸣ ミナー プ⸢サイ クータ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ⸣ʃintanu ⸢piːnu⸣kuʃinaː ʔi⸢soː ʃinteːna⸣ mina pu̥⸢sai kuːta⸣ru] (昔は、潮が引くと島の後ろの干瀬で潮干狩りをしながらサザエ貝を拾って来たものだ) 16681 0 0 16609 htmvoc_16681.wav ミナー ミ⸢ナー [mi⸢naː] 名 帆を引き上げる縄。イダフニ(サバニ)の帆桁の中央に結びつけ、帆柱の先端の穴カナミー[ka⸢namiː]に通して帆を上下するのに用いる縄。「みなわ(水縄)」の転訛したもの。みづな。 ミ⸢ナー⸣ パ⸢ラー⸣ヌ カ⸢ナミー⸣ナ ヌ⸢キ トゥー⸣シティ ⸢プーザン⸣ナ フ⸢バリティ プー⸣ ピ⸢キ⸣バ [mi⸢naː⸣ pa⸢raː⸣nu ka⸢namiː⸣na nu⸢ki tuː⸣ʃi̥ti ⸢puːʣan⸣na ɸu⸢bariti puː⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (水縄を帆柱の先端の穴に抜き通して帆の桟に\ruby{括}{クク}り付けて帆を張り<引き上げ>なさいよ) 16682 0 0 16610 htmvoc_16682.wav ミナカ ミ⸢ナ⸣カ [mi⸢na⸣ka] 名 庭。母屋の前の広場、空間。穀物を干したり、仕事をする所。稲の脱穀や米搗きをしたり、イ⸢ガ[ʔi⸢ga](烏賊)をシ⸢ダ⸣ル[ʃi⸢da⸣ru](ススキを編んで作った簾)の上に並べて日干し乾燥するのに用いた空間。⸢イー⸣シ[⸢ʔiː⸣ʃi](つのまた{EOS}海草)なども庭で干して乾燥させた。⸢アンタヌ⸣ ミ⸢ナ⸣カ[⸢ʔantanu⸣ mi⸢na⸣ka](東の庭)、⸣マンタヌ ミ⸢ナ⸣カ[⸣mantanu mi⸢na⸣ka](前の庭)というが、後ろや西側には言わない。家の後方は、普通は菜園に利用され、西側には⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)や畜舎、鶏舎、北西の隅には豚舎と便所が建てられたので、庭としての空間がとれなかったからであろう。 ⸢キーヌパー⸣ヌ ⸣ウティティ ミ⸢ナ⸣カ シ⸢ラー⸣シ ⸣シケーバ ミ⸢ナ⸣カ ⸢ポー⸣キ [⸢kiːnupaː⸣nu ⸣ʔutiti mi⸢na⸣ka ʃi⸢raː⸣ʃi ⸣ʃi̥keːba mi⸢na⸣ka ⸢poː⸣ki] (木の葉が落ちて庭を散らして<木の葉が散乱している>いるから、庭を掃きなさい) 16683 0 0 16611 htmvoc_16683.wav ミナカポーキ ミ⸢ナカポー⸣キ [mi⸢nakapoː⸣ki] 名 庭箒。庭を掃く箒。⸢ポー⸣キダキ[⸢poː⸣kidaki](\ruby{箒竹}{タケ|ホウキ}、庭箒を作る竹)を四、五本束ねて作った箒。タ⸢キポーキ[tḁ⸢kipoːki](竹箒)ともいう。 ⸢ポー⸣キダキシル タ⸢キポーケー⸣ ス⸢ク⸣ル [⸢poː⸣kidakiʃiru tḁ⸢kipoːkeː⸣ su̥⸢ku⸣ru] (箒竹で<ぞ>庭箒<\ruby{竹箒}{タケ|ボウキ}>は作る) 16685 0 0 16612 htmvoc_16685.wav ミナトーマ ミ⸢ナトー⸣マ [mi⸢natoː⸣ma] 名 小さな川の川口。小さな湊。小湊。 ⸢アーラパカヌ⸣ ミ⸢ナトー⸣マ ⸢クイティル ケー⸣ダー ⸣パル [⸢ʔaːrapḁkanu⸣ mi⸢natoː⸣ma ⸢kuitiru keː⸣daː ⸣paru] (「東はか」は地名{EOS}⸣パカ{SqBr}⸣pḁka{/SqBr}<稲を植えた水田地帯の一定部分の区域>の義{EOS}東ハカ<水田区域>の小さな湊を越えてからケーダには行くのだ) 16684 0 0 16613 htmvoc_16684.wav ミナトゥ ミ⸢ナトゥ [mi⸢natu] 名 港。「湊、三奈止<みなと>」『和名抄』の転訛したもの。西表島の川口を、⸢ユシ⸣キダ ⸣ミナトゥ[⸢juʃi̥⸣kida ⸣minatu](ヨシキラ湊{EOS}ヨシキラ川の川口)、⸢ケーダ ミナ⸣トゥ[⸢keːda mina⸣tu](ケーダ湊{EOS}ケーダ川の川口)、⸢クーラ ミナトゥ[⸢kuːra minatu](クーラ湊{EOS}クーラ川の川口)、⸢マーレー ミナトゥ[⸢maːreː minatu](マーレー湊{EOS}マーレー川の川口)などのようにをいう。 ⸢ケーダ ミナ⸣トゥナ ⸣フネー ⸣シキティル ⸢マイヤー⸣ シ⸢ムタル [⸢keːda mina⸣tuna ⸣ɸuneː ⸣ʃi̥kitiru ⸢maijaː⸣ ʃi⸢mutaru] (ケーダ湊に舟<サバニ>を横付けして稲を積みこんだものだ) 16686 0 0 16614 htmvoc_16686.wav ミナムトゥ ミ⸢ナムトゥ [mi⸢namutu] 名 源。先祖。 ユ⸢ミ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルカー ミ⸢ナムトゥ⸣ タ⸢ダ⸣シティ ム⸢カ⸣シプソー ⸢チャー⸣ アイル ア⸢ゾーッタ⸣ル [ju⸢mi⸣ tu⸢mi⸣rukaː mi⸢namutu⸣ ta⸢da⸣ʃiti mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢ʧaː⸣ ʔairu ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (嫁を\ruby{娶}{メト}る<捜す>なら、その源<先祖>を確認せよと、昔の人は常にそのようにいわれたものだ) 16687 0 0 16615 htmvoc_16687.wav ミニ ミ⸢ニ [mi⸢ni] 名 棟木。\ruby{棟桁}{ムネ|ケタ}。歌謡語。ム⸢ニアギ[mu⸢niʔagi](\ruby{上棟}{ムネ|アゲ})の際に用いる桁材。ク⸢ガニカニバ⸣ ミニバシー~[ku⸢ganikaniba⸣ mi⸢niba ʃiː~](黄金の鋼材を棟木にして~)「アーパーレー歌」 16688 0 0 16616 htmvoc_16688.wav ミヌ ⸣ミヌ [⸣minu] 名 みの(蓑)。\ruby{蓑笠}{ミノ|カサ}。「~わが門に蓑笠着ずて来<ケ>る人や誰。万、3125」、「蓑、説文云蓑<蘓和反 美乃>雨衣也」『和名抄』の転訛したもの。しゅろ(棕櫚)の繊維で\ruby{綯}{ナ}った細い縄で\ruby{蒲葵}{ク|バ}(ビロウ)の葉を編みあげて作った一種の雨具。頭には\ruby{蒲葵笠}{ク|バ|ガサ}を被り、肩から掛ける蓑と腰周りに着る蓑で雨を防ぐ百姓の雨具。軽くて通気性がよく、夏の炎天下でも\ruby{酷熱}{コク|ネツ}を防ぐので、農作業に適していた。 ム⸢カ⸣シェー ク⸢バヌパーバ⸣ サキティ ミ⸢ヌ⸣バ ⸣フミ ウ⸢リバ⸣ キ⸢シェー⸣ティル ナ⸢チフユ ターシグ⸣トー ⸢ソーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃeː ku⸢banupaːba⸣ sḁkiti mi⸢nu⸣ba ⸣ɸumi ʔu⸢riba⸣ ki̥⸢ʃeː⸣tiru na⸢ʧiɸuju taːʃigu⸣toː ⸢soːtta⸣ru] (昔は\ruby{蒲葵}{ク|バ}(ビロウ)の葉を裂いて\ruby{蓑}{ミノ}を編み、それを着て<ぞ>夏冬通して田圃仕事をされたものだ) 16689 0 0 16617 htmvoc_16689.wav ミヌカサ ミ⸢ヌ⸣カサ [mi⸢nu⸣kasa] 名 蓑。みのかさ(蓑笠)の義。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギサバ ミ⸢ヌ⸣カサー ⸣ムティティ パ⸢タ⸣ケー パリ⸢ヨー [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisaba mi⸢nu⸣kasaː ⸣mutiti pḁ⸢ta⸣keː pari⸢joː] (雨が降りそうだから蓑笠を持って畑に行きなさいよ) 16690 0 0 16618 htmvoc_16690.wav ミブキ ミ⸢ブ⸣キ [mi⸢bu⸣ki] 名 おかげ(御陰)。加護。恩恵。「おみぼけ(御みぼけ)、賜り物。お陰」『混効験集(乾・言語)』の義。歌謡語。/キミヌ ミブキン タレアマリ カミンフトゥキン ウハチアギ スヌヌアマリヤ イタダケリ (囃子)イヤイーヤー ニングジョーノー ユリユトゥ ウサミティ カミンフトゥキン ウハチン アギユル アマリヌクリヤ ウザキウミキン シクリマラショリ ミチヌシマタニ ティサジメーウキ ウドゥイキョーギン ウムシルムヌサミ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(国王の恩恵が余るほど国民の上に下され、神にも仏にも収穫のお初を供え、その余りは頂いた{EOS}<囃子>\ruby{弥弥}{イヨ|イヨ}年貢上納を楽に納めて神にも仏にもお初を供えます{EOS}その余り残りはお酒、お神酒に醸造し、道の四辻に手拭を頭に巻き締めて踊り狂言をし、楽しいものだ{EOS}今の囃子に口説きを歌おう)「鳩間口説」『鳩間島古典民謡古謡集』 16691 0 0 16619 htmvoc_16691.wav ミマギ ミ⸢マ⸣ギ [mi⸢ma⸣gi] 名 妻を娶ること。古謡語。現在は日常語としては使用されない。「婚、トツク・ツルブ・メマク・マク」『類聚名義抄』に尊敬の接頭辞ミ[mi]が上接したもの。 ミ⸢マ⸣ギ ⸣サバ トゥ⸢ナルカラ⸣ ミ⸢マ⸣ギョーリ [mi⸢ma⸣gi ⸣saba tu⸢narukara⸣ mi⸢ma⸣gjoːri] (妻を娶るなら隣から娶りなされよ) 16692 0 0 16620 htmvoc_16692.wav ミミジャー ミ⸢ミ⸣ジャー [mi⸢mi⸣ʤaː] 名 (動)魚名。和名、ひめふえだい(体長約40センチ)。鳩間島ではあまり釣れない。 ミ⸢ミジャー⸣ヤ ⸢ナン⸣ゾー ⸢ホーサラン⸣シェン [mi⸢miʤaː⸣ja ⸢nan⸣ʣoː ⸢hoːsaran⸣ʃen] (ヒメフエダイは、あまり釣れなかった) 16694 1 0 16621 htmvoc_16694.wav ミャーウ ⸢ミャーウ [⸢mjaːu] 感 {PoS_1}猫の鳴き声。にゃおう。 マ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミャーウミャーウ⸣シ ナ⸢キ ベー [ma⸢ja⸣nu ⸢mjaːumjaːu⸣ʃi na⸢ki beː] (猫がにゃおうにゃおうと鳴いている)。 16694 2 0 16622 htmvoc_16694.wav ミャーウ ⸢ミャーウ [⸢mjaːu] 名 {PoS_2}猫。幼児語。 ⸣ウリウリ ⸣ミャーウヌ クン⸢ドー [⸣ʔuriʔuri ⸣mjaːunu kun⸢doː] (それそれ、猫がやってくるぞ) 16693 0 0 16623 htmvoc_16693.wav ミャーンガルン ⸢ミャーンガルン [⸢mjaːŋgarun] 自動 飛び上がる。思い上がる。⸢舞い上がる」の転訛か。 ター⸢ン⸣ フ⸢ミラ⸣リカー ⸢ミャーン⸣ガルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ミャーンガラン⸣ドーシ パ⸢タラキ⸣バ [taː⸢n⸣ ɸu⸢mira⸣rikaː ⸢mjaːŋ⸣garunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢mjaːŋgaran⸣doːʃi pḁ⸢taraki⸣ba] (誰でも褒められると舞い上がるが、舞い上がらないで働けよ)。 ⸢ミャーン⸣ガリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [⸢mjaːŋ⸣gariti pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (思い上がって、他人のことば<注意>を聞かない) 16695 0 0 16624 htmvoc_16695.wav ミヤギ ミ⸢ヤ⸣ギ [mi⸢ja⸣gi] 名 土産。若年層の言葉。標準語からの転訛。老年層は、⸣シトゥ[⸣ʃi̥tu](つと<苞>)という。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ ミ⸢ヤ⸣ゲー(⸣シトー)⸢ヌーバ⸣ル ⸣ムティケーワ [ʔu⸢ki⸣naːranu mi⸢ja⸣geː(⸣ʃi̥tu)⸢nuːba⸣ru ⸣mutikeːwa] (沖縄からの土産(つと)は何を持ってきたのか) 16696 0 0 16625 htmvoc_16696.wav ミヤラビ ミ⸢ヤ⸣ラビ [mi⸢ja⸣rabi] 名 農村の未婚の娘。十六、七歳の乙女。歌謡語。「めわらべ(女童)」の転訛したもの。普通は、⸢メーラ⸣ビ[⸢meːra⸣bi](乙女)という。 ⸣ウタナー シ⸢キ⸣ヌ ⸢カイ⸣サー ウ⸢ブシキ⸣ヌ ⸣ユー ミ⸢ヤ⸣ラビ ⸢カイ⸣サー ⸢トゥー⸣ナナツティル アル⸢ダー [⸣ʔutanaː ʃi̥⸢ki⸣nu ⸢kai⸣saː ʔu⸢buʃi̥ki⸣nu ⸣juː mi⸢ja⸣rabi ⸢kai⸣saː ⸢tuː⸣nanaʦutiru ʔaru⸢daː] (歌に、「月が美しいのは満月の夜、乙女の美しいのは17歳ごろだ」と<ぞ>あるのだよ) 16697 0 0 16626 htmvoc_16697.wav ミュートゥ ⸢ミュー⸣トゥ [⸢mjuː⸣tu] 名 めおと。夫婦。歌謡語。老年層のことば。若年層は、⸢ミー⸣トゥ[⸢miː⸣tu](夫婦)、トゥ⸢ジミートゥ[tu⸢ʣimiːtu](夫婦)、⸢ミートゥン⸣ダ[⸢miːtun⸣da](夫婦{EOS}<めおとら>)ともいう。 ⸢ミュートゥ カイ⸣ヤー ユ⸢ミヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ラティ ム⸢カ⸣シムネー アル⸢ダー [⸢mjuːtu kai⸣jaː ju⸢minu⸣ f⸢faː⸣rati mu⸢ka⸣ʃimuneː ʔaru⸢daː] (夫婦中が良い<美しい>のは、嫁子次第だと昔言葉にはあるよ) 16698 0 1 16627 htmvoc_16698.wav ミュートゥイシ ⸢ミュートゥ⸣イシ [⸢mjuːtu⸣ʔiʃi] 名 {Mn_1}地名。タチバルの浜に降り立つ直前の地名。 16698 0 2 16628 htmvoc_16698.wav ミュートゥイシ ⸢ミュートゥ⸣イシ [⸢mjuːtu⸣ʔiʃi] 名 {Mn_2}夫婦石。タチバルの浜に降り立つ直前の原野に大小の岩が二個たっている、その岩。若年層では、⸢ミートゥ⸣イシ[⸢miːtu⸣ʔiʃi]、⸢ニートゥ⸣イシ[⸢niːtu⸣ʔiʃi]という人もいる。 タ⸢チバル⸣ヌ ⸣パマー ⸢ミュートゥイシ⸣ヌ ⸣スバーラル ⸣ウリパルミー [tḁ⸢ʧibaru⸣nu ⸣pamaː ⸢mjuːtuʔiʃi⸣nu ⸣subaːraru ⸣ʔuriparumiː] (タチバル<立原>の浜へは夫婦石の側から下りて行くんでしょう?) 16699 0 0 16629 htmvoc_16699.wav ミュートゥダク ⸢ミュートゥ⸣ダク [⸢mjuːtu⸣daku] 名 (動)つがい(番)の蛸。雌雄の蛸。「夫婦蛸」の義。一つの穴に雌雄の大きな蛸が棲息していることがある。島の後ろの干瀬でよく獲れた。若年層は、⸢ミートゥ⸣ダク[⸢miːtu⸣daku](\ruby{番}{ツガイ}の蛸{EOS}夫婦蛸)ともいう。 ⸢スー⸣ヌ ピ⸢ス⸣ター ⸣シンタヌ ⸢フンシキ⸣ナー イ⸢ソーシン ゲー⸣タクトー ⸢ミュートゥダク⸣バ トゥリケーン⸢ツォー [⸢suː⸣nu pi̥⸢su⸣taː ⸣ʃintanu ⸢ɸuŋʃi̥ki⸣naː ʔi⸢soːʃiŋ geː⸣taku̥toː ⸢mjuːtudaku⸣ba turikeːn⸢ʦoː] (潮が引いたので、島の後ろの干瀬のフンシキに潮干狩りに行ったところ、夫婦蛸<番の蛸>を獲ってきたのだよ) 16700 0 0 16630 htmvoc_16700.wav ミューナーキャームイ ⸢ミュー⸣ナーキャームイ [⸢mjuː⸣naːkjaːmui] 連 見なければならない。歌謡語。⸣アーパーレー[⸣ʔaːpaːreː](新室寿歌<ナガミク>)で、/ウリユー ミューナーキャームイ/(それを見なければならない)と歌われている。⸣ムイ[⸣mui]は「念を押す」助詞か 16701 0 0 16631 htmvoc_16701.wav ミューマイ ⸢ミュー⸣マイ [⸢mjuː⸣mai] 名 国王様。「みおまえ(み御前)」の義。「ミ」は尊敬の接頭辞。「御前」は「神仏や国王」を敬っていうことから転じて、間接的に「神仏や国王」をさす二重敬語。 ⸢ミュー⸣マイラヌ ⸢ウイ⸣シェー マ⸢ダカラ⸣ヌ [⸢mjuː⸣mairanu ⸢ʔui⸣ʃeː ma⸢dakara⸣nu] (国王様からの仰せごと<命令>は避けられない<逆らえない>) 16702 0 0 16632 htmvoc_16702.wav ミョーガ ⸢ミョー⸣ガ [⸢mjoː⸣ga] 名 \ruby{冥加}{ミョウ|ガ}。名誉。栄誉。 ⸢マイフナー マリ⸣ ウヤン ⸢ミョー⸣ガ ⸣ナシ ⸢ボー⸣レー⸢ドー [⸢maiɸunaː mari⸣ ʔujam ⸢mjoː⸣ga ⸣naʃi ⸢boː⸣reː⸢doː] (立派に立身成功して、親も冥加にして立派な子だよ)。 ッ⸢ふァヌ リッ⸣シン ⸢スー⸣カー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミョー⸣ガ ⸣ナルン [f⸢fanu riʃ⸣ʃin ⸢suː⸣kaː ʔu⸢ja⸣nu ⸢mjoː⸣ga ⸣narun] (子供が成功し、出世すると親の冥加になる) 16703 0 0 16633 htmvoc_16703.wav ミョージ ⸢ミョー⸣ジ [⸢mjoː⸣ʤi] 名 名字。姓。家の名。 ⸢ワー ミョー⸣ジェーッテ ⸣ヌーティル ア⸢ズワ [⸢waː mjoː⸣ʤeːtte ⸣nuːtiru ʔa⸢ʣuwa] (君の名字は、で、何と<ぞ>いうのか) 16705 0 0 16634 htmvoc_16705.wav ミョーダイ ⸢ミョー⸣ダイ [⸢mjoː⸣dai] 名 名代。代理。標準語からの借用語。普通は、⸢ダイカール[⸢daikaːru](代理{EOS}「代替わり」の転訛したもの)という。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ウーカラン⸣ベーティ ⸢バー⸣ル ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミョー⸣ダイティ ⸢シー ウン⸣ネー ⸢ヨイシー⸣ムヌ ⸣ムティ ⸢ギー オーシティ クー⸣タ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢ʔuːkaram⸣beːti ⸢baː⸣ru ʔu⸢ja⸣nu ⸢mjoː⸣daiti ⸢ʃiː ʔun⸣neː ⸢joiʃiː⸣munu ⸣muti ⸢giː ʔoːʃiti kuː⸣ta] (親が動けないので、私が親の名代として、その家へ祝いの品を持参して差し上げてきた)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ダイカーロー⸣ サ⸢クシ⸣ル ⸢シービキ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢daikaːroː⸣ sḁ⸢kuʃi⸣ru ⸢ʃiːbiki] (親の名代は嫡子がすべきだ) 16704 0 0 16635 htmvoc_16704.wav ミヨシ ミ⸢ヨ⸣シ [mi⸢jo⸣ʃi] 名 みよし(舳)。舟の舳先の波を切るところ。 ミ⸢ヨシ⸣ナー ⸢リュー⸣ヌ カ⸢タン⸣ トゥ⸢ルヌ⸣ カ⸢タン⸣ カキティ カ⸢ザローッ⸣タン [mi⸢joʃi⸣naː ⸢rjuː⸣nu kḁ⸢tan⸣ tu⸢runu⸣ kḁ⸢taŋ⸣ kḁkiti ka⸢ʣaroːt⸣taŋ] (みよしには竜の絵も鳥の絵も描いて飾られた) 16706 0 1 16636 htmvoc_16706.wav ミラリン ミ⸢ラ⸣リン [mi⸢ra⸣riŋ] 連 {Mn_1}見ることができる。見える。⸣ミルン[⸣miruŋ](見る)の未然形に助動詞⸣リン[riŋ](れる)が下接して形成された可能動詞。 ⸢トゥー⸣ヤタンティン ⸢バン⸣ヌン ミ⸢ラ⸣リン [⸢tuː⸣jatantim ⸢ban⸣num mi⸢ra⸣riŋ] (遠くても私にも見える)。 ⸢バン⸣マー ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢bam⸣maː mi⸢rara⸣nu] (私には見えない)。 ミ⸢ラ⸣リ ⸣クトー ミ⸢ラ⸣リン [mi⸢ra⸣ri ⸣kutoː mi⸢ra⸣riŋ] (見えることは見える)。 ⸢バン⸣ヌン ミ⸢ラ⸣リカ⸢ナー [⸢ban⸣num mi⸢ra⸣rika⸢naː] (私にも見られたら<見ることができたら>なあ)。 16706 0 2 16637 htmvoc_16706.wav ミラリン ミ⸢ラ⸣リン [mi⸢ra⸣riŋ] 連 {Mn_2}他人に見られる。⸣ミルン[⸣miruŋ]の未然形に助動詞⸣リン[riŋ](れる<受身>)が下接して形成された受身動詞。 パ⸢ダ⸣カ ⸣ナルカープ⸢スン⸣ ミ⸢ラ⸣リン⸢ダー [pa⸢da⸣ka ⸣narukaː pu̥⸢sum⸣ mi⸢ra⸣rin⸢daː] (裸になったら他人に見られるぞ) 16707 0 0 16638 htmvoc_16707.wav ミリキング ミ⸢リキン⸣グ [mi⸢rikiŋ⸣gu] 名 メリケン粉。輸入品の小麦粉。昔は、⸣ムン[⸣muŋ](麦)をイ⸢ソーシ[ʔi⸢soːʃi](石臼)で\ruby{碾}{ヒ}いて自家用の小麦粉を作った。麦を\ruby{煎}{イ}って石臼で\ruby{碾}{ヒ}いて作った粉は、ユ⸢ナ⸣ク[ju⸢na⸣ku](麦焦がし)という。ユ⸢ナ⸣クに黒糖を削って混ぜると美味であり、「おやつ」として食した。茶碗に入れてもらったユナクをガ⸢ジマル⸣ヌ ⸢パー[ga⸢ʣimaru⸣nu ⸢paː](ガジマルの葉)で\ruby{掬}{スク}って食べることは子供の喜びの一つであった。 ミ⸢リキン⸣グ ⸣タリティ ⸢ティン⸣プラ ヤ⸢キ⸣バ [mi⸢rikiŋ⸣gu ⸣tariti ⸢tim⸣pura ja⸢ki⸣ba] (メリケン粉を水に\ruby{溶}{ト}いてテンプラを揚げ<焼き>なさいよ) 16708 0 0 16639 htmvoc_16708.wav ミリパンツァスン ミ⸢リパンツァ⸣スン [mi⸢ripanʦa⸣suŋ] 他動 みそこなう(見損なう)。見損じる。見落とす。見逃す。「見外す」の義。 ⸢パー⸣ク ミ⸢ラン⸣カー ミ⸢リパンツァ⸣スン⸢ダー⸣ヌ ⸢クン⸣ドー イッ⸢カ⸣ ミ⸢リパンツァサ⸣ヌ [⸢paː⸣ku mi⸢raŋ⸣kaː mi⸢ripanʦa⸣sun⸢daː⸣nu ⸢kun⸣doː ʔik⸢ka⸣ mi⸢ripanʦasa⸣nu] (早く見ないと見損なうだろうが、今度は決して見損なわない)。 シ⸢バヤー⸣ ミ⸢リパンツァ⸣ス ⸣クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢クン⸣ドー ミ⸢リパンツァ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [ʃi⸢bajaː⸣ mi⸢tipanʦa⸣su ⸣kutoː ⸢naːnu⸣nu ⸢kun⸣doː mi⸢ripanʦa⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (芝居を見逃すことはないが、今度は見逃してしまった)。 ミ⸢リパンツァ⸣シェー ⸣ミサムヌ [mi⸢ripanʦa⸣ʃeː ⸣misamunu] (見逃せばいいのに)。 ミ⸢リパンツァ⸣シ [mi⸢ripanʦa⸣ʃi] (見逃せよ{EOS}見落とせ) 16709 0 0 16640 htmvoc_16709.wav ミリムヌ ミ⸢リ⸣ムヌ [mi⸢ri⸣munu] 名 見物。見物するもの。芝居。 パ⸢トゥ⸣マナー ミ⸢リ⸣ムヌテー ⸢ナー⸣ヌンドゥ ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンヌ ブ⸢ドゥル ケングバ⸣ ミリンティ イ⸢ラムテー⸣ラン ミ⸢リプス⸣ヌ オーッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaː mi⸢ri⸣munuteː ⸢naː⸣nundu ⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu bu⸢duru keŋguba⸣ mirinti ʔi⸢ramuteː⸣ram mi⸢ripu̥su⸣nu ʔoːt⸣taŋ] (鳩間島には\ruby{見物}{ミ|モノ}はないが、豊年祭・結願祭の踊り狂言を見に西表島からも見物人が来られた) 16710 0 0 16641 htmvoc_16710.wav ミルカーミリティ ⸣ミルカー ⸣ミリティ [⸣mirukaː ⸣miriti] 連 これ見よがしに。見るなら見ろと言わんばかりに。 ⸣ミルカー ⸣ミリティ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ヤー ッ⸢ふァ⸣マー ピ⸢キサーリ パン⸣ナ⸢ヨー [⸣mirukaː ⸣miriti ⸢ʃiː⸣ f⸢fanu⸣ bu⸢raːɲ⸣jaː f⸢fa⸣maː pi̥⸢kisaːri pan⸣na⸢joː] (これ見よがしに、子供のいない家に子や孫を引き連れて行くなよ) 16711 0 0 16642 htmvoc_16711.wav ミルク ミルク [mi⸢ruku] 名 弥勒神。弥勒菩薩。鳩間島では弥勒菩薩が神として信仰されている。豊年祭と結願祭に奉納される弥勒踊りは、豊年を予祝する踊である。弥勒踊りは、弥勒のお面をかぶった弥勒神が布袋の姿で大きな杖を持ち、世果報を掬い上げるように、\ruby{軍配}{グン|バイ}\ruby[g]{団扇}{ウチワ}をゆっくりと扇ぎながら舞う。神酒を盛った⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](\ruby{瓶}{ビン})をささげ持ちながら踊り従う娘(二人)、稲粟等の五穀を盛った\ruby{籠}{カゴ}を左右にささげ持ちつつ踊り従う娘(二人)と、三角小旗を持って踊り従う娘(八人)の供を引き連れてしずしずと舞われる。ミルクに扮する男性は、⸣ウブシケー[⸣ʔubusi̥keː](大城家)の血を引く人に限られている。ミルクのお面は、ミ⸢ルクン⸣ヤー[mi⸢rukuɲ⸣jaː](「弥勒の家」の義{EOS}⸢メー⸣ケー{SqBr}⸢meː⸣keː{/SqBr}<大城家>)に代々保管されてきた。 ミ⸢ルクブドゥロー インヌムラヌ⸣ ブ⸢ドゥル⸣、 カ⸢ムラー⸣マー ⸢アンヌムラヌ⸣ ブ⸢ドゥル⸣ティル ア⸢ザリ ブー [mi⸢rukubuduroː ʔinnumuranu⸣ bu⸢duru⸣ ka⸢muraː⸣maː ⸢ʔannumuranu⸣ bu⸢duru⸣tiru ʔa⸢ʣari buː] (弥勒踊は西村の踊、カムラーマは東村の踊と<ぞ>いわれている) 16713 0 0 16643 htmvoc_16713.wav ミルクヌオンギ ミ⸢ルクヌ オン⸣ギ [mi⸢rukunu ʔoŋ⸣gi] 連 ⸢弥勒の扇」の義。豊年祭や結願祭の⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](奉納舞踊{EOS}「常楽」の義か{EOS}弥勒菩薩が稲粟の穂を籠に入れて捧げ持つ美しい乙女等を従えて踊る奉納舞踊)の際に、弥勒菩薩が持って扇ぎながら舞う、軍配扇の形をした扇。 ⸢インヌムラヌ⸣ ミ⸢ルコー⸣ ミ⸢ルクヌオンギ⸣バ ⸣ムティティ ブ⸢ドゥル ソー⸣ル [⸢ʔinnumuranu⸣ mi⸢rukoː⸣ mi⸢rukunu ʔoŋgi⸣ba ⸣mutiti bu⸢duru soː⸣ru] (西村の弥勒菩薩は弥勒の軍配扇を持って踊られる) 16712 0 0 16644 htmvoc_16712.wav ミルクヌミン ミ⸢ルクヌ⸣ ミン [mi⸢rukunu⸣ miŋ] 連 弥勒菩薩のような大きな耳たぶの耳。福相の大きな耳。 ⸢ワー ミン⸣マー ミ⸢ルクヌ⸣ ミン ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ヤ⸣キプス ⸣ナルン [⸢waː mim⸣maː mi⸢rukunu⸣ miɲ ja⸢runda⸣ ʔu⸢ja⸣kipu̥su ⸣naruŋ] (君の耳は弥勒菩薩の耳のように大きな耳<福相の耳>だから金持ちになるよ) 16714 0 0 16645 htmvoc_16714.wav ミルクユー ミ⸢ルクユー [mi⸢rukujuː] 名 豊年満作の世。豊穣で平和な御世。「弥勒菩薩の世」の義。庶民の理想郷とされ、人々は常にそれを\ruby{希求}{キ|キュウ}していた。/ミリクユーヤ イモチ アシババン アシビ ブドゥラバン ブドゥリ ウユルシデムヌ ウユルシデムヌ/(豊年満作の年<弥勒の御世>が迎えられ<来られ>て、遊んでもまた遊び、踊ってもまた踊れ、国王様のお許しだから)(みりくうた<弥勒歌>第2連)。/バガ パトゥマユーヌ ナウラバ トゥムルユーヌ ミキラバ カムラマーヌ アマイヤ ミリクユーバ タボラリ/(わが鳩間島が豊年満作になったら、友利御嶽の御世が豊年満作になったら、カムラーマ<かむろみ「神漏美・かみむすひのかみ」の転訛か>歓びは弥勒世を賜ることである)(カムラーマ歌)『鳩間島古典民謡古謡集』 16715 0 0 16646 htmvoc_16715.wav ミルクンヤー ミ⸢ルクン⸣ヤー [mi⸢rukuɲ⸣jaː] 固 「弥勒の家」の義。転じて「弥勒を祀ってある家」の屋号。昭和30年頃までは、⸢メー⸣ケー[⸢meː⸣keː](大城家の分家<宮古家>でミルク神の面を保管し、祀っていた家)といわれていた。 ミ⸢ルコー⸣ ミ⸢ルクン⸣ヤーナー マ⸢チ⸣シキティ ⸢プー⸣ル キ⸢チゴン⸣ナール ン⸢ザ⸣ソール [mi⸢rukoː⸣ mi⸢rukuɲ⸣jaːnaː ma⸢ʧi⸣ʃi̥kiti ⸢puː⸣ru ki̥⸢ʧigon⸣naːru ʔn⸢ʣa⸣soːru] (弥勒神は弥勒の家に祀っておいて、豊年祭と結願際に<ぞ>出される) 16716 0 0 16647 htmvoc_16716.wav ミルトゥスクトークティ ミ⸢ル⸣トゥ ス⸢クトー⸣ クティ [mi⸢ru⸣tu su̥⸢kutoː⸣ ku̥ti] 連 かげひなた(陰日向)のあること。人の見ている時と見ていない時で言行を違えること。「実際に見ている時と、見ないで話を聞く時は別人」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ミ⸢ル⸣トゥ ス⸢クトー⸣ クティ⸢ダー⸣ ユー ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ mi⸢ru⸣tu su̥⸢kutoː⸣ ku̥ti⸢daː⸣ juː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (この人は陰日向のある人だよ、よく気をつけなさいよ) 16717 0 0 16648 htmvoc_16717.wav ミルミーン ⸣ミル ⸣ミーン [⸣miru ⸣miːŋ] 連 これ見よがしに。これ見よとばかりに。目に物をみせる。思い知らせる。「見る目に」の義。⸣ミルミン[⸣mirumiŋ]ともいう。/フノーラピトゥヌ ミルミンヨー ウイバルピトゥヌ シクミンヨー ウンシクリ ミギラシヨー アワシクリ ナウラシヨー/(船浦人の見る目に<これ見よがしに>、上原人の聞く耳に<これ聞けよがしに>、芋を作って稔らせよ、粟を作って稔らせよ)(鳩間中岡<中森>)。 シ⸢ティティ パッ⸣タ プ⸢スヌ⸣ ミルミーン ⸢マイフナー マリ⸣ ミ⸢シ⸣リ⸢ヨー [ʃi̥⸢titi pat⸣ta pu̥⸢sunu⸣ mirumiːm ⸢maiɸunaː mari⸣ mi⸢ʃi⸣ri⸢joː] (捨てて去った人の目に物を見せて、立派に立身出世して見せなさいよ) 16718 0 1 16649 htmvoc_16718.wav ミルン ⸣ミルン [⸣miruŋ] 他動 {Mn_1}見る。目をとめる。「~野守は不見哉<ミズヤ>~。万、20」、眺める「~外にも見之加<ミシカ>吾妹子が~。万、474」、見物する「~青馬を今日美流比等波<ミルヒトハ>~。万、4494」。 グ⸢ジ⸣ヌ パ⸢ナ⸣バ ⸣ミルンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸣クマーラー ミ⸢ララ⸣ヌ [gu⸢ʤi⸣nu pa⸢na⸣ba ⸣mirunti ⸢beː⸣ndu ⸣kumaːraː mi⸢rara⸣nu] (デイゴの花を見ようとしているが、ここからは見えない<見られない>)。 ⸣ミリ ⸣ミサカー ⸣ミル ⸣クトー ⸣ナルン [⸣miri ⸣misakaː ⸣miru ⸣kutoː ⸣naruŋ] (見て良ければ見ることは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ミレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸣mireː ⸣misamunu] (もっと見れば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ミリバ [⸢paː⸣ku ⸣miriba] (早く見ろよ)。 16718 0 2 16650 htmvoc_16718.wav ミルン ⸣ミルン [⸣miruŋ] 他動 {Mn_2}世話をする。「世話をする。「桂に見るべきこと侍るを」『源氏物語<松風>』」の転訛したものか。 ⸣ウヤー ⸢タール⸣ ミリ ⸢ベー⸣ワ [⸣ʔujaː ⸢taːru⸣ miri ⸢beː⸣wa] (親は誰が世話をして<見て>いるか)。 16718 0 3 16651 htmvoc_16718.wav ミルン ⸣ミルン [⸣miruŋ] 他動 {Mn_3}補助動詞。動詞の連用形に下接して、「~てみる」(試み)の意味を表す。 ク⸢レー⸣ ドゥーシ ⸣カキミルン [ku⸢reː⸣ duːʃi ⸣kḁkimiruŋ] (これは自分で書いてみる) 16719 0 1 16652 htmvoc_16719.wav ミン ⸣ミン [⸣miŋ] 名 {Mn_1}耳。じだ(耳朶)。 ⸢ミン⸣ヌ ⸣ヤムン [⸢min⸣nu ⸣jamuŋ] (耳が痛い<病む>)。 ⸣バー ⸣ミンナーン シゥ⸢カリ ブー [⸣baː ⸣minnaːn sï̥kari buː] (私の耳にも聞こえている<情報を得ている>)。 ヤ⸢ナ⸣ムネー ⸢ミン⸣ヌ フ⸢ター フイティ⸣ ス⸢クナ [ja⸢na⸣muneː ⸢min⸣nu ɸu̥⸢taː ɸuiti⸣ su̥⸢kuna] (悪口は耳の栓をして<耳の蓋を閉めて>聞くな)。 16719 0 2 16653 htmvoc_16719.wav ミン ⸣ミン [⸣miŋ] 名 {Mn_2}耳状のもの。 カ⸢ツァヌ⸣ ミン [kḁ⸢ʦanu⸣ miŋ] (蚊帳のつり手)。 カ⸢ミ⸣ヌ ⸣ミン [ka⸢mi⸣nu ⸣miŋ] (甕の耳) 16720 0 0 16654 htmvoc_16720.wav ミンカー ⸢ミン⸣カー [⸢miŋ⸣kaː] 名 耳の聞こえない人。聾人。つんぼ。「聾、美々之比(みみしひ)」『和名抄』の義。老年層は、⸢ミントーリ⸣ムヌ[⸢mintoːri⸣munu](つんぼ<耳倒れ者>)ともいう。 ⸢ミン⸣カー ⸣ナリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ シ⸢キユーサヌ [⸢miŋ⸣kaː ⸣nariti pu̥⸢sunu⸣ muni ʃi̥⸢kijuːsanu] (\ruby{聾}{ツンボ}になって人の話を聞くことができない) 16721 0 0 16655 htmvoc_16721.wav ミンガクムン ⸢ミンガク⸣ムン [⸢miŋgaku⸣muŋ] 名 耳学問。聞き覚え、習い覚えた知識。ミ⸢ミガク⸣ムン[mi⸢migaku⸣muŋ](耳学問)ともいう。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢ミンガク⸣ムンシル ⸣ウタン ⸣ウブイ ⸢ニン⸣ガイニンガイヌ ニ⸢ガイ⸣フチ フ⸢チカザルン⸣ ウ⸢キ⸣トゥローッタツォー [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢miŋgaku⸣muŋʃiru ⸣ʔutan ⸣ʔubui ⸢niŋ⸣gainiŋgainu ni⸢gai⸣ɸuʧi ɸu̥⸢ʧikaʣaruŋ⸣ ʔu⸢ki⸣turoːttaʦoː] (昔の人は耳学問で歌も覚え、各種祈願の祝詞や願い口も覚えられたそうだ) 16722 0 0 16656 htmvoc_16722.wav ミンカバッサン ⸢ミンカバッ⸣サン [⸢miŋkabas⸣saŋ] 形 耳の正常な者のこと。頭脳の\ruby{明晰}{メイ|セキ}な人。みみざとい(耳聡い)。⸢ミンッサリ⸣ムヌ[⸢minssari⸣munu](みみだれ<耳垂れ・耳漏>のある人{EOS}転じて「役に立たない無能力な者」の義)の対義語。優れた人の耳の匂いは香ばしいといわれていた。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ ミンカバッ⸣サンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ⸢ミンカバッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena miŋkabas⸣santi su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ⸢miŋkabas⸣saː ⸢naː⸣nu] (その子は非常に賢い<耳聡い>と聞いたが、あまり賢くない) 16723 0 0 16657 htmvoc_16723.wav ミンキシオー ⸢ミンキシ⸣オー [⸢miŋkiʃi⸣ʔoː] 名 耳が切り裂かれた子豚。「耳切れ豚」の義。転じて、「おどおどして落ち着かない者」の意。暴れる子豚は耳に穴をあけて綱を通してつないでおいたが、それを振り切って逃げるのもいた。以後その子豚は人を恐れて落ち着かないので、人間もおどおどして落ち着きのない者を、そのようにいう。 ⸢ミンキシオー⸣ヌ ⸣カタチニ プ⸢スバ⸣ ミルカー ナー⸢イ⸣ ウ⸢バイ⸣カバイ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸢miŋkiʃiʔoː⸣nu ⸣kḁtaʧini pu̥⸢suba⸣ mirukaː naː⸢i⸣ ʔu⸢bai⸣kabai ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (耳切れ豚のように、人を見ると、ただびくびくおどおどしてばかりいるよ) 16724 0 0 16658 htmvoc_16724.wav ミングイ ⸢ミン⸣グイ [⸢miŋ⸣gui] 名 海の中の海水の濁り。海水に濁りが生じると台風が襲来するといわれている。 ス⸢ナ⸣カー ⸢ミングイ⸣ヌ ⸣ンジティ イ⸢ゾー⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ カ⸢ジ⸣ヌ ⸣フク サー⸢レー [su⸢na⸣kaː ⸢miŋgui⸣nu ⸣ʔnʤiti ʔi⸢ʣoː⸣ mi⸢rara⸣nu ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥ku saː⸢reː] (海中は濁りが生じて魚は見えない{EOS}台風が吹くぞこれは) 16725 0 0 16659 htmvoc_16725.wav ミンクジラー ⸢ミンクジ⸣ラー [⸢miŋkuʤi⸣raː] 名 耳の聞こえない人。つんぼ(聾)の卑称。 ⸢ミンクジ⸣ラー ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢ムシ⸣ ヤ⸢ラブバン⸣ シゥ⸢カヌ [⸢miŋkuʤi⸣raː ja⸢runda⸣ gjuː⸢muʃi⸣ ja⸢rabuban⸣ si̥⸢kanu] (つんぼ<聾>だから、何度呼んでも聞かない) 16726 0 0 16660 htmvoc_16726.wav ミンクジリムヌ ⸢ミンクジリ⸣ムヌ [⸢miŋkuʤiri⸣munu] 名 耳の聞こえない人。聾人。つんぼ(聾)。「耳崩れ者」の転訛したものか。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ミンクジリ⸣ムヌ ⸣ナリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ シ⸢キサヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ⸢miŋkuʤiri⸣munu ⸣nariti pu̥⸢sunu⸣muni si̥⸢kisanu] (年をとったので、つんぼになってしまって、人の言うことを聞き取れない) 16727 0 0 16661 htmvoc_16727.wav ミングラスン ⸢ミングラスン [⸢miŋgurasuŋ] 他動 ぐるぐる回す。「めぐらす(巡らす)」の転訛したもの。 ⸢ティー⸣バ カ⸢サミティ ミングラスンティ スンドゥ ミングラサラヌ [⸢tiː⸣ba ka⸢samiti miŋgurasunti sundu miŋgurasaranu] (手を掴んでぐるぐる回そうとするが、回されない) 16728 0 0 16662 htmvoc_16728.wav ミングラスン ⸢ミングラスン [⸢miŋgurasuŋ] 他動 やっつける。ぶん殴る。 ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢ミングラシ ベー⸣ヌ ⸣アイニ ⸢ミングラス⸣ クトー ⸢シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢rabi⸣ba ⸢miŋguraʃi beː⸣nu ⸣ʔaini ⸢miŋgurasu⸣ ku̥toː ⸢ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (子供をぶん殴っているが、あのようにぶん殴ることをしてはならない)。 ⸢ウンザー ミングラシェー⸣ ミサムヌ [⸢ʔunʣaː miŋguraʃeː⸣ misamunu] (あの野郎はぶん殴れば良いのに)。 ⸢クンザー ミングラシ [⸢kunʣaː miŋguraʃi] (この野郎はぶん殴れ) 16729 0 0 16663 htmvoc_16729.wav ミングル ⸢ミン⸣グル [⸢miŋ⸣guru] 名 きくらげ(木耳)。「耳の殻」の義。⸢ゴーナ⸣キ[⸢goːna⸣ki](桑の木)やガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](ガジマル{EOS}榕樹)に群生するのが食用に供された。 ⸢ミン⸣グロー イ⸢ズトゥ⸣ カ⸢ケー⸣シティ ⸣アバナー イ⸢ラ⸣クカー ン⸢マー⸣タン [⸢miŋ⸣guroː ʔi⸢ʣutu⸣ kḁ⸢keː⸣ʃi̥ti ⸣ʔabanaː ʔi⸢ra⸣kukaː ʔm⸢maː⸣taŋ] (きくらげ<木耳>は魚と油で炒めるとおいしかった) 16733 0 1 16664 htmvoc_16733.wav ミングルン ⸢ミングルン [⸢miŋguruŋ] 自動 {Mn_1}回る。巡る。⸢マールンとも言う。 カ⸢ジヌ⸣ フクカー カ⸢ジマーヤー⸣ヤー ⸢ミングルンドゥ⸣ フ⸢カン⸣カー ⸢ミングラヌ [ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ka⸢ʤimajaː⸣jaː ⸢miŋgurundu⸣ ɸu̥⸢kaŋ⸣kaː ⸢miŋguranu] (風が吹くと風車は回るが、吹かないと回らない)。 16733 0 2 16665 htmvoc_16733.wav ミングルン ⸢ミングルン [⸢miŋguruŋ] 自動 {Mn_2}頭がぐるぐる回るような症状が現れる。 ス⸢ブ⸣ロー ⸢ミングリティ⸣ タティ ⸢ベーララ⸣ヌ [su⸢bu⸣roː ⸢miŋguriti⸣ tḁti ⸢beːrara⸣nu] (頭がぐるぐる回って、ずっと立っておられない)。 ス⸢ブル⸣ヌ ⸢ミングル⸣ ピンマー タ⸢トゥ⸣ナ [su⸢buru⸣nu ⸢miŋguru⸣ pimmaː tḁ⸢tu⸣na] (頭がぐるぐる回る時は立つな)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ミングレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢miŋgureː⸣ misamunu] (もと回れば良いのに)。 ⸢ミングリ [⸢miŋguri] (回れ) 16730 0 0 16666 htmvoc_16730.wav ミンサー ⸣ミンサー [⸣minsaː] 名 木綿糸を藍などの染料で染めて、幅約10センチ、長さ約120センチに織り上げた帯。かつては若い女性が好きな男のために織って贈ったという。⸢ミンサーフク⸣ビ[⸢minsaːɸuku⸣bi](ミンサー織りの帯)ともいう。 マ⸢ナ⸣マー ⸣ミンサー ウ⸢ル⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢ラーヌ [ma⸢na⸣maː ⸣minsaː ʔu⸢ru⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢raːnu] (今はミンサー帯を織る人もいない) 16731 0 0 16667 htmvoc_16731.wav ミンザイ ⸢ミン⸣ザイ [⸢min⸣ʣai] 名 みみだれ(耳垂れ{EOS}耳漏)。耳の穴から\ruby{膿}{ウミ}の出る症状。「Mimidare.ミミダレ(耳垂れ).耳から\ruby{膿汁}{ノウ|ジュウ}などが流れ出ること」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ミンザイ⸣ヌ ⸣ンジティ ッ⸢サー⸣ンダ イ⸢サン⸣ヤー ⸢サーリ ギー⸣ ミ⸢シ⸣リ [⸢minʣai⸣nu ⸣ʔnʣiti s⸢saː⸣nda ʔi⸢saŋ⸣jaː ⸢saːri giː⸣ mi⸢si⸣ri] (耳垂れが出て臭いから病院<医者の家>へ連れて行って診せなさい) 16732 0 0 16668 htmvoc_16732.wav ミンサラウン ⸣ミン サ⸢ラウン [⸣min sa⸢rauŋ] 連 耳の穴を\ruby{浚}{サラ}う。耳をすませて聞く。注意して聞く。 ⸢ミン⸣バ サ⸢ライティ シンシー⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー シ⸢キ [⸢mim⸣ba sa⸢raiti ʃiŋʃiː⸣nu pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥⸢ki] (耳の穴を浚えて<よく注意して>先生の話は聞け) 16734 0 0 16669 htmvoc_16734.wav ミンスクグル ⸣ミンスクグル [⸣minsu̥kuguru] 名 (動)リュウキュウコノハズク(木の葉木菟)。フクロウの一種。石垣方言からの借用語か。普通は単に、⸣スクグル[⸣su̥kuguru](フクロウ)、または⸣マヤースクグル[⸣majaːsukuguru](みみずく<木菟>{EOS}フクロウ)という。⸢ミャー⸣ウと鳴くので、その名があるという。 ⸣ウガンヤマヌ ッ⸢ふァガマリ ブー⸣ トンナー ⸣ミンスクグルヌ(⸣マヤースクグル) トゥ⸢マリ⸣ ブ⸢タン⸣ダー [⸣ʔugaŋjamanu f⸢fagamari buː⸣ tonnaː ⸣minsu̥kugurunu(⸣majaːsukururunu)tu⸢mari⸣ bu⸢tan⸣daː] (御嶽の森の暗がりの中で木の葉木菟<フクロウ>がとまっていたよ) 16738 0 0 16670 htmvoc_16738.wav ミンスブ ⸣ミンスブ [⸣minsubu] 名  耳が三つ付いた小さな油壷。耳のある小さな味噌壷。「耳壷」の転訛。ア⸢バ⸣スブ[ʔa⸢ba⸣subu](油壷)も耳のある壷で、豚脂(ラード)や食油を入れて保管し、利用したりした。⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](クロツグの黒い繊維で綯った綱)で網状に編んで壷を巻き、壷を保護しつつ運搬に便利なようにしてあった。壷が⸢ウッツァー⸣スン[⸢ʔutʦaː⸣suŋ](打ち合わすので)、破損することを防ぐためであった。 ⸣ミンスブナー ⸢マイヌミー⸣ス イ⸢リ⸣シケーバ ⸢サンジ⸣ヌ ⸢サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シバ [⸣minsubunaː ⸢mainumiː⸣su ʔi⸢ri⸣ʃi̥keːba ⸢sanʤi⸣ni ⸢saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (味噌壷に米の味噌を入れてあるから三時の茶請けに出しなさいよ) 16745 0 0 16671 htmvoc_16745.wav ミンター ⸢ミン⸣ター [⸢min⸣taː] 名 こめかみ。 ム⸢カ⸣シェー ガ⸢マジ⸣ヌ ⸣ヤムカー ⸢ミン⸣ターナ ⸢メンター⸣ムティ ア⸢ズ コーヤク⸣バ マ⸢ミ⸣<⸢ヌーリ> ッ⸢ふォーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ga⸢maʤi⸣nu ⸣jamukaː ⸢min⸣taːna ⸢mentaː⸣muti ʔa⸢ʣu koːjaku⸣ba ma⸢mi⸣<⸢nuːri> f⸢foːt⸣taŋ] (昔は頭が痛いと、こめかみにメンタームという膏薬を塗ってくださった) 16739 0 0 16672 htmvoc_16739.wav ミンダナー ⸢ミン⸣ダナー [⸢min⸣danaː] 名 (動)魚の名。和名、メジロザメ(体長約7メートル) 16740 0 1 16673 htmvoc_16740.wav ミンタマ ⸢ミン⸣タマ [⸢min⸣tama] 名 {Mn_1}めんたま。眼球。⸢目玉」の義。 ⸢ミン⸣タマー ピ⸢カ⸣リ ⸢クン⸣ゾー ⸣ンジティ イ⸢ゾーッ⸣タ [⸢min⸣tamaː pi̥⸢ka⸣ri ⸢kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤiti ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (目玉をひん剥いて、目を怒らせ、腹をたてて<根性を出して>叱られた)。 16740 0 2 16674 htmvoc_16740.wav ミンタマ ⸢ミン⸣タマ [⸢min⸣tama] 名 {Mn_2}眼球の大きな人。卑称。 ⸢ウンザー ミン⸣タマ ヤ⸢ルンダ ミーシキラ⸣リカー ナ⸢クラーン⸣ダー [⸢ʔunʣaː min⸣tama ja⸢runda miːʃi̥kira⸣rikaː na⸢kuraːn⸣daː] (あいつは目玉の大きな奴だから、睨みつけられるとこわいよ) 16741 0 0 16675 htmvoc_16741.wav ミンダリムヌ ⸢ミンダリ⸣ムヌ [⸢miŋdari⸣munu] 名 元気のない者。大人しい人。従順なひと。覇気のない者。だらしない者。「耳垂れ者」の義。 ⸢ミンダリムン⸣ドゥ プ⸢ソー⸣ ッ⸢ふ⸣ティ ア⸢ザリ ブー [⸢mindarimun⸣du pu̥⸢soː⸣ f⸢fu⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (大人しい、従順な者が時には主人に\ruby{楯突}{タテ|ツ}く<人を食う>といわれている)。 ⸢ミンダリ⸣ムノー ウ⸢リンツァン シーユーサヌ [⸢mindari⸣munoː ʔu⸢rinʦaŋ ʃiːjuːsanu] (やる気のない、だらし無い者はこれすらも出来ない) 16737 0 0 16676 htmvoc_16737.wav ミンッサウン ⸣ミン ッ⸢サウン [⸣min s⸢sauŋ] 連 耳をふ\ruby{塞}{フサ}ぐ。 ン⸢ガマ⸣サカー ⸣ミン ッ⸢サウン [ʔŋ⸢gama⸣sakaː ⸣min s⸢sauŋ] (やがまし<喧しい>かったら耳を塞ぐ)。 ⸣ミン ッ⸢サイティ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニシゥ⸢カヌ [⸣min s⸢saiti⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (耳を塞いで他人の話を聞かない) 16735 0 0 16677 htmvoc_16735.wav ミンッサリムヌ ⸢ミンッサリ⸣ムヌ [⸢minssari⸣munu] 名 みみだれ(耳垂れ)のある者。「耳腐れ者」の義。転じて、無能な者の意。人を\ruby{罵}{ノノシ}るときに用いる。 ⸢ウンザー ミンッサリ⸣ムヌ ヤ⸢ルンダ⸣ ノー⸢ン⸣ ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː minssari⸣munu ja⸢runda⸣ noː⸢ŋ⸣ jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (あいつは無能な者だから、何の役にも立たない) 16736 0 0 16678 htmvoc_16736.wav ミンッサリルン ⸣ミン ⸣ッサリルン [⸣min ⸣ssariruŋ] 連 耳の中に膿ができる。中耳炎が悪化して化膿する。「耳腐れる」の義。 ⸣ミン ⸣ッサリドゥ ⸢ブー⸣ユー ウ⸢リヌ ミン⸣マー ッ⸢サー⸣ヌ ン⸢カーラヌ [⸣min ⸣ssaridu ⸢buː⸣juː ʔu⸢rinu mim⸣maː s⸢saː⸣nu ʔŋ⸢kaːranu] (耳が腐れているのか、彼の耳は臭くて顔が向けられない) 16746 0 0 16679 htmvoc_16746.wav ミンドー ⸢ミン⸣ドー [⸢min⸣doː] 名 面倒。手数のかかること。物事をするのがわずらわしいこと。標準語からの借用語。 ウ⸢ヌ⸣ クトゥシ ⸢ワーバー⸣キン ⸢ミン⸣ドー ⸣カキ フ⸢コーラサ [ʔu⸢nu⸣ ku̥tuʃi ⸢waːbaː⸣kim ⸢min⸣doː ⸣kḁki ɸu̥⸢koːrasa] (そのことで君にまで面倒をかけてしまい、申し訳ありません<ありがとう>) 16747 0 0 16680 htmvoc_16747.wav ミントーラー ⸢ミントー⸣ラー [⸢mintoː⸣raː] 名 耳が聞こえない人の卑称。つんぼ(聾)。「耳倒れ者」の義。 ウ⸢レー ミントー⸣ラー ⸣ナリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ シ⸢キユーサンバン [ʔu⸢reː mintoː⸣raː ⸣nariti pu̥⸢sunu⸣ muni ʃi̥⸢kijuːsambaŋ] (彼はつんぼ<聾>になってしまって、人のいうこと<話>を聞き取れないわい) 16748 0 0 16681 htmvoc_16748.wav ミントーリムヌ ⸢ミントーリ⸣ムヌ [⸢mintoːri⸣munu] 名 耳の聞こえない人。つんぼ(聾)。「耳倒れ者」の義。 ⸢ミントーリ⸣ムヌ ナ⸢ル⸣ター プ⸢スヌ⸣ ムニ シ⸢キユーサンダ ホー⸣ル キ⸢シ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ベー [⸢mintoːri⸣munu na⸢ru⸣taː pu̥⸢sunu⸣ muni ʃi̥⸢kijuːsanda hoː⸣ru ki̥⸢ʃi⸣munu ⸣nari ⸢beː] (耳の聞こえない人になったので、人の話を聞くことが出来ないから、思慮分別のない者<間抜け者{EOS}ぼんやり者>のようになっている) 16749 0 0 16682 htmvoc_16749.wav ミントーリルン ⸣ミン ⸢トーリ⸣ルン [⸣min ⸢toːri⸣ruŋ] 連 耳が聞こえなくなる。つんぼ(聾)になる。⸣ミン ⸢トー⸣ルン[⸣min ⸢toː⸣ruŋ](耳が遠くなる)ともいう。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸣ミン ⸢トーリ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ワー ミン⸣マー ⸢トーリラン⸣バン⸢ナー [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː ⸣min ⸢toːri⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢waː mim⸣maː ⸢toːriram⸣ban⸢naː] (年をとったので耳が聞こえなくなる<聾になる>かと思ったが、君の耳は聞こえなくならない<聾にならない>のだねえ) 16742 0 0 16683 htmvoc_16742.wav ミントゥーワン ⸢ミントゥー⸣ワン [⸢mintuː⸣waŋ] 形 耳が遠い。難聴である。若年層は⸢ミントゥー⸣ヤン[⸢mintuː⸣jaŋ]ともいう。 ⸢ミントゥー⸣ワンダ ウ⸢ブ⸣クイシ ア⸢ザン⸣カー シ⸢キトゥリユーサ⸣ヌ [⸢mintuː⸣wanda ʔu⸢bu⸣kuiʃi ʔa⸢ʣaŋ⸣kaː ʃi̥⸢kiturijuːsa⸣nu] (耳が遠いから大声で言わないと聞き取れない)。 ⸢ウイ⸣プソー ⸢ミントゥー⸣ワ ナ⸢リ⸣スンドゥ ⸢ワー ミントゥー⸣ワ ⸢ナーン⸣バン⸢ナー [⸢ʔui⸣pu̥soː ⸢mintuː⸣wa na⸢ri⸣sundu ⸢waː mintuː⸣wa ⸢naːm⸣ban⸢naː] (老人は耳が遠くなるが、君は耳が遠くないんだねえ)。 ⸢ミントゥー⸣ワ プ⸢ソー⸣ ギュー⸢ムシン トゥイスクン [⸢mintuː⸣wa pu̥⸢soː⸣ gjuː⸢muʃin tuisu̥kuŋ] (耳の遠い人は何度も問いただして聞く) 16743 0 0 16684 htmvoc_16743.wav ミントゥルッサイルン ⸣ミン トゥ⸢ルッサイ⸣ルン [⸣min tu⸢russai⸣ruŋ] 連 耳をそばだて<\ruby{欹}{ソバダテ}>る。聞き耳を立てる。⸣ミン トゥ⸢ルッ⸣サウン[⸣min tu⸢rus⸣sauŋ](耳をそばだてる)ともいう。 トゥ⸢ルッサイ⸣ルン [tu⸢russai⸣ruŋ] (緊張する{EOS}ひきしまる{EOS}用心する)。 ⸣ミン トゥ⸢ルッサイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ン⸢ガマサ⸣ヌ パ⸢ナ⸣シ シゥ⸢カラヌ [⸣min tu⸢russai⸣runti ⸢sundu⸣ ʔŋ⸢gamasa⸣nu pa⸢na⸣ʃi si̥⸢karanu] (耳をそばだてようとするが、うるさくて聞き取れない<聞かれない>)。 ⸢シンシー⸣ヌ パ⸢ナ⸣シェー ⸢ミン⸣バ トゥ⸢ルッ⸣サイ シ⸢キ⸣バ [⸢ʃiŋʃiː⸣nu pa⸢na⸣ʃeː ⸢mim⸣ba tu⸢rus⸣sai ʃi̥⸢ki⸣ba] (先生の話は耳を欹てて聞けよ) 16744 0 0 16685 htmvoc_16744.wav ミントゥルッサウン ⸣ミン トゥ⸢ルッ⸣サウン [⸣min tu⸢rus⸣sauŋ] 連 耳をそ\ruby{欹}{ソバダテ}てる。聞き耳を立てる。注意して聞く。 ⸢ミン⸣バ トゥ⸢ルッ⸣サイ ス⸢クン [⸢mim⸣ba tu⸢rus⸣sai su̥⸢kuŋ] (耳をそばだてて聞く)。 ⸣ミン トゥ⸢ルッサーン⸣カー シ⸢キパンツァシス [⸣min tu⸢russaːŋ⸣kaː ʃi̥⸢kianʦaʃisu] (耳をそばだてないと聞き逃してしまう) 16754 0 0 16686 htmvoc_16754.wav ミンナースクン ⸢ミン⸣ナー ス⸢クン [⸢min⸣naː su̥⸢kuŋ] 連 小耳に\ruby{挟}{ハサ}む。ちらっと聞く。「耳に聞く」の義。 ウ⸢ヌ⸣ クトー ⸢バン⸣ヌン ⸢ミン⸣ナー シ⸢キ⸣ ブ⸢レー スン [ʔu⸢nu⸣ ku̥toː ⸢ban⸣num ⸢min⸣naː ʃi̥⸢kibureː suŋ] (そのことは私も小耳に挟んでおりはする) 16750 0 0 16687 htmvoc_16750.wav ミンナーマ ミン⸢ナー⸣マ [min⸢naː⸣ma] 名 小さな耳。小耳。 ⸣ミンスブヌ ミン⸢ナー⸣マナー ⸣シナー ⸣カキティ ⸢ピールン [⸣minsubunu min⸢naː⸣manaː ⸣ʃinaː ⸣kḁkiti ⸢piːruŋ] (耳壷の小耳に綱をかけ、引っさげて持ち運ぶ) 16751 0 0 16688 htmvoc_16751.wav ミンナミンナ ⸢ミン⸣ナミンナ [⸢min⸣naminna] 副 注意して見ながら。気にかけながら。注意して見ながら同時並行して別の作業をする。 ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢トゥーシ⸣ナ ニ⸢バシ⸣ シケーバ ⸢ミン⸣ナミンナ ⸢シェー⸣ティ パ⸢トゥ⸣ムヌ ウ⸢リ⸣ヨー [ja⸢rabi⸣ba ⸢tuːʃi⸣na ni⸢baʃi⸣ ʃi̥keːba ⸢min⸣naminna ⸢ʃeː⸣ti pḁ⸢tu⸣munu ʔu⸢ri⸣joː] (子供を縁側に寝かしてあるので、注意して見ながら機物<布>を織りなさいね) 16752 0 0 16689 htmvoc_16752.wav ミンヌカー ⸢ミン⸣ヌカー [⸢min⸣nukaː] 名 じかく(耳殻)。じかい(耳介)。「耳の皮」の義。豚の耳殻は、⸢ミン⸣ガー[⸢miŋ⸣gaː](⸢耳皮」の義)という。 ⸢ミン⸣ガーナ ア⸢シボーマ⸣ヌ ⸣ンジ ⸢ベー [⸢miŋ⸣gaːna ʔa⸢ʃiboːma⸣nu ⸣ʔnʣi ⸢beː] (耳殻に小さなお出来が出ている) 16753 0 0 16690 htmvoc_16753.wav ミンヌシタダル ⸢ミン⸣ヌ シ⸢タ⸣ダル [⸢min⸣nu ʃi̥⸢ta⸣daru] 連 みみたぶ(耳朶)。じだ。耳の下部の垂れ下がった肉。「耳の下垂れ」の転訛したもの。 ⸢ミン⸣ヌ シ⸢タ⸣ダローラ ⸢シーバ アーシ⸣ ン⸢ザ⸣シ ⸣トゥリティ シ⸢ラ⸣ビバ [⸢min⸣nu ʃi̥⸢ta⸣daroːra ⸢ʃiːba ʔaːʃi⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi turiti ʃi⸢ra⸣biba] (みみたぶから血をへし<圧し>出して取って検査しなさいよ) 16756 0 0 16691 htmvoc_16756.wav ミンヌッス ⸢ミン⸣ヌッス [⸢min⸣nussu] 名 みみあか(耳垢)。「耳糞、みみあか」『和名抄』の転訛したもの。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ミン⸣ヌッス ⸣トゥリ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ja⸢rabi⸣nu ⸢min⸣nussu ⸣turi f⸢fiːri⸣ba] (子供の耳垢を取ってあげなさい<取ってくれなさい>よ) 16755 0 0 16692 htmvoc_16755.wav ミンヌッふァ ⸢ミン⸣ヌッふァ [⸢min⸣nuffa] 名 \ruby{鼓膜}{コ|マク}。「耳の子」の義。 フ⸢カトゥー⸣ ッ⸢ス⸣ミティ ⸢ミン⸣ヌッふァ キ⸢サシ⸣ル ⸢ミン⸣カー ⸣ナリ ⸢アー⸣クダ⸢レー [ɸu̥⸢katuː⸣ s⸢su⸣miti ⸢min⸣nuffa ki̥⸢saʃi⸣ru ⸢miŋ⸣kaː ⸣nari ⸢ʔaː⸣kuda⸢reː] (深海を潜って、耳の鼓膜を切らして<ぞ>つんぼ<聾>になっているんだよ、あれは) 16757 0 0 16693 htmvoc_16757.wav ミンヌフカナシスクン ⸢ミン⸣ヌフカ ⸣ナシ ス⸢クン [⸢min⸣nuɸu̥ka ⸣naʃi su̥⸢kuŋ] 連 よそ事に聞きなす。心ここに在らずに聞く。うわのそら(上の空)で聞く。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢トゥシ⸣キン ⸢ミン⸣ヌフカ ナ⸢シ⸣ル ス⸢クンダ⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢キ⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ja⸣nu ⸢tuʃi̥⸣kim ⸢min⸣nuɸu̥ka na⸢ʃi⸣ru su̥⸢kunda⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ bu⸢raːnu] (親の忠告も上の空で聞く<よそ事に聞きなす>から、本当は何も聞いてはいないよ) 16758 0 0 16694 htmvoc_16758.wav ミンバニ ⸢ミン⸣バニ [⸢mim⸣bani] 名 えらふた(鰓蓋)。魚のえら(鰓)を保護する骨質の薄い板。呼吸運動に合わせて開閉する。「耳羽」の義。 カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル バ⸢リティ ミン⸣バニ ⸣キシティ ⸣スー バ⸢カシ⸣バ [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ru ba⸢riti mim⸣bani ⸣ki̥ʃiti ⸣suː ba⸢kaʃi⸣ba] (カツオの頭を割って、\ruby{鰓蓋}{エラ|ブタ}を切り落としてお汁を炊きなさい) 16759 0 0 16695 htmvoc_16759.wav ミンパヤーン ⸢ミンパヤー⸣ン [⸢mimpajaː⸣ŋ] 形 \ruby{耳聡}{ミミ|サト}い。耳が早い。早耳である。 ⸢ミンパヤー⸣ ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ッ⸢サーク⸣ヌ ⸣クイシン ウ⸢ダラ⸣キ ウ⸢キ⸣ス [⸢mimpajaː⸣ f⸢fa⸣ ja⸢runda⸣ s⸢saːku⸣nu ⸣kuiʃiŋ ʔu⸢dara⸣ki ʔu⸢ki⸣su] (耳聡い子だから、咳の声でも驚いて目を覚ます<起きる>)。 ⸢ミンパヤー⸣ンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ⸢ミンパヤー ナー⸣ヌ [⸢mimpajaː⸣nti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ⸢mimpajaː naː⸣nu] (耳聡いとは聞いたが、あまり耳聡くない)。 ⸣ドゥク ⸢ミンパヤー⸣ヌ ウ⸢リヌ⸣ ニ⸢ビ ベー⸣ スバナー パ⸢ナ⸣シン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣duku ⸢mimpajaː⸣nu ʔu⸢rinu⸣ ni⸢bi beː⸣ subanaː pa⸢na⸣ʃin na⸢ra⸣nu] (あまりにも耳聡くて、彼が寝ている側では話も出来ない) 16760 0 0 16696 htmvoc_16760.wav ミンパル ⸢ミン⸣パル [⸢mim⸣paru] 名 しんし(伸子)。布を織る際に、布の両端に差し止めて張り、縮まないようにする弓形の道具。洗い張りをする際にも用いる。 タ⸢カバ⸣タナーン ジ⸢バ⸣タナーン ⸢ヌーヌ⸣ ウ⸢ル⸣ ピンマー ミ⸢ンパ⸣ル ⸣ッシティル ウ⸢ルタル [tḁ⸢kaba⸣tanaːn ʤi⸢ba⸣tanaːn ⸢nuːnu⸣ ʔu⸢ru⸣ pimmaː ⸢mim⸣paru ⸣ʃʃitiru ʔu⸢rutaru] (高機でも地機でも布を織る時は伸子を差して<ぞ>織った) 16761 0 0 16697 htmvoc_16761.wav ミンバン ⸢ミン⸣バン [⸢mim⸣baŋ] 名 耳判。牧場の牛の耳に切り込みを入れて所属する家を示した印。⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](家判{EOS}所属する家の印)ともいう。 ⸣インダヌ マ⸢キ⸣ナーテー ウ⸢シヌ⸣ヨイナー ウ⸢シヌ ニン⸣ガイ シ⸢ティ⸣ アトゥ ウ⸢シヌッふァヌ⸣ ミンナー ⸢ミン⸣バン ス⸢コーッ⸣タツォー [⸣ʔindanu ma⸢ki⸣naːteː ʔu⸢ʃinu⸣joinaː ʔu⸢ʃinu niŋ⸣gai ʃi̥⸢ti⸣ ʔatu ʔu⸢ʃinuffa⸣nu ⸣minnaː ⸢mim⸣ban su̥⸢koːt⸣taʦoː] (伊武田の牧場では牛の祝い<祈願>で牛の健康・繁盛の祈願をして後、子牛の耳に耳判(家判)を付けられたそうだ) 16762 0 0 16698 htmvoc_16762.wav ミンユグスン ⸣ミン ユ⸢グスン [⸣miŋ ju⸢gusuŋ] 連 耳を汚す。不快にさせるような話を相手の耳にいれる。 ⸣ウヌヨーヌ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ⸣ シ⸢キン⸣ヌ プ⸢スヌ ミン⸣バ ユ⸢グシ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [⸣ʔunujoːnu mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi⸣ ʃi⸢kin⸣nu pu̥⸢sunu mim⸣ba ju⸢guʃi⸣ nuːja ʔu⸢reː] (あのようなものをしゃべって、世間の人の耳を汚して何事だね、これは) 16763 0 0 16699 htmvoc_16763.wav ム ⸣ム [⸣mu] 形式名 ~もの。~の。 ⸣クナー ⸣アルム ⸣トゥリバ [⸣kunaː ⸣ʔarumu ⸣turiba] (ここにあるものを取りなさいよ)。 ⸣クナー ⸣アルモー シゥ⸢カーラヌ [⸣kunaː ⸣ʔarumoː sï̥⸢kaːranu] (ここにあるものは使えない)。 ⸢ワー⸣ムン ⸢カーシ [⸢waː⸣ muŋ ⸢kaːʃi] (君のも売りなさい)。 ⸢ワーム⸣バ トゥリ⸢ナー⸣ヌ [⸢waːmu⸣ba turi⸢naː⸣nu] (君のを取ってしまった)。 ⸢ワー⸣モーラ ⸢バーム⸣ル マ⸢シ [⸢waː⸣moːra ⸢baːmu⸣ru ma⸢ʃi] (君のものより僕のものが良い)。 ⸣カイブムンツァン ⸢シーサヌ [⸣kaibumunʦaŋ ⸢ʃiːsanu] (こんなのさえも出来ない) 16777 0 0 16700 htmvoc_16777.wav ムー ⸢ムー [⸢muː] 名 喪。忌。親族に死者が出たときに、一定の期間、行動を慎むこと。ッ⸢ふ⸣ムー[f⸢fu⸣muː](黒喪)ともいう。 ⸢ムー⸣ カ⸢カ⸣ルン [⸢muː⸣ kḁ⸢ka⸣ruŋ] (喪に服する<かかる>)。 ⸢ムー⸣ カ⸢カリ⸣プソー ⸢ヨイシー⸣ヤー パ⸢ラ⸣ヌ [⸢muː⸣ kḁ⸢kari⸣pu̥soː ⸢joiʃiː⸣jaː pa⸢ra⸣nu] (服喪中の人は祝儀の家には行かない) 16778 0 0 16701 htmvoc_16778.wav ムー ⸢ムー [⸢muː] 名 (数)六。六つ。⸢ティー[⸢tiː](一つ)、⸢ター[⸢taː](二つ)、⸢ミー[⸢miː](三つ)、⸢ユー[⸢juː](四つ)、⸢イ⸣チ[⸢ʔi⸣ʦi](五つ)、⸢ムー[⸢muː](六つ)、⸢ナ⸣ナ[⸢na⸣na](七つ)、⸢ヤー[⸢jaː](八つ)、ク⸢ク⸣ヌ[ku̥⸢ku⸣nu](九つ)、⸢トゥー[⸢tuː](十)のように数える 16779 0 0 16702 htmvoc_16779.wav ムーウチ ⸢ムー⸣ウチ [⸢muː⸣ʔuʦi] 名 喪中。服喪中。親族の者が死んで四十九日忌が済むまで行動を慎む期間。 ⸢ムーウチェー ヨイシー⸣ヤー ⸢パン⸣ナ⸢ヨー [⸢muːʔuʧeː joiʃiː⸣jaː ⸢pan⸣na⸢joː] (服喪中は、祝儀の家には行くなよ) 16780 0 0 16703 htmvoc_16780.wav ムーカビムヌ ⸢ムーカビ⸣ムヌ [⸢muːkabi⸣munu] 名 服喪中の者。 ⸢ムーカビ⸣ムノー プ⸢スン⸣ヤー ⸢パン⸣ナティ ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ゾーッ⸣タ [⸢muːkabi⸣munoː pu̥⸢suŋ⸣jaː ⸢pan⸣nati mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (服喪中の者は余所の家に行くなと昔の人は言われた) 16781 0 0 16704 htmvoc_16781.wav ムーガムーガ ⸢ムーガムーガ [⸢muːgamuːga] 副 もぐもぐ。歯のない老人が口中のものを噛みきれなくて、いつまでも口を動かすさま。 ⸣アッパー ⸢パー⸣モー ⸣ナリティ ⸢ムーガムーガ⸣シ フ⸢チェー ウーカシ⸣ パ⸢シ⸣シシ カミティル ⸣ムノー ン⸢コー⸣ル [⸣ʔappaː ⸢paː⸣moː ⸣nariti ⸢muːgamuːga⸣ʃi pa⸢ʃi⸣ʃiʃi ⸣kamitiru ⸣munoː ʔŋ⸢koː⸣ru] (お祖母さんは歯抜けになって、もぐもぐと口を動かして歯茎で噛んで、ものを召し上がる) 16782 0 0 16705 htmvoc_16782.wav ムージ ⸢ムー⸣ジ [⸢muː⸣ʤi] 名 (植)サトイモ(里芋)の総称。ッ⸢サムー⸣ジ[s⸢samuː⸣ʤi](ハスイモ{EOS}「白里芋」の義)、ア⸢ガムージ[ʔa⸢gamuːʤi](トウノイモ(「赤里芋」の義)、⸢ター⸣ウン[⸢taː⸣ʔuŋ<田芋>])などがある。 ⸢ムー⸣ジェー ⸢パイタ⸣ナール ス⸢ク⸣ローッタヌ ⸢パーヌ⸣ カ⸢タチェー⸣ ビ⸢ロー⸣サ ⸢ニーブタ [⸢muː⸣ʤeː ⸢paita⸣naːru su̥⸢ku⸣roːttanu ⸢paːnu⸣ kḁ⸢taʧeː⸣ bi⸢roː⸣sa ⸢niːbuta] (サトイモは西表島で作られたが、葉の形はクワズイモに似ていた) 16783 0 0 16706 htmvoc_16783.wav ムージヌニー ⸢ムージ⸣ヌ ⸣ニー [⸢muːʣi⸣nu ⸣niː] 連 サトイモ(里芋)。サトイモの根茎(実)。「里芋の根」の義。⸢ター⸣ウン[⸢taː⸣ʔuŋ](田芋)ともいう。澱粉が多く、魚肉や蛸などと煮付けにして食すると美味である。祝儀の料理に欠かせない食材である 16784 0 0 16707 htmvoc_16784.wav ムーチ ⸢ムーチ [⸢muːʧi] 名 (数)六つ。六歳。六個。 ⸢ワー ギューチ⸣ヤー [⸢waː gjuːʧi⸣jaː] (君は何歳<いくつ>か)。 ⸣バー ⸢ムーチ⸣ ナルン [⸣baː ⸢muːʧi⸣ naruŋ] (私は六歳になる)。 ⸢ムーチ⸣ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢muːʧi⸣ na⸢ka⸣ri ⸢naː⸣nu] (六つ残ってしまった<残ってない>)。 ⸢ムーチヌ⸣ シ⸢ナ [⸢muːʧinu⸣ ʃi⸢na] (六つの品{EOS}六品) 16785 0 0 16708 htmvoc_16785.wav ムーティナティ ⸢ムーティナ⸣ティ [⸢muːtina⸣ti] 名 六年前。 ⸣アブジェー ⸢ムーティナティ⸣ヌ パ⸢チング⸣チナール ⸢トーカキ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢ソーッ⸣タ⸢ナー [⸣ʔabuʤeː ⸢muːtinati⸣nu pḁ⸢ʧiŋgu⸣ʧinaːru ⸢toːkaki⸣nu ⸢joi⸣jaː ⸢soːt⸣ta⸢naː] (お祖父さんは六年前の八月に<ぞ>とかき<斗掻{EOS}米寿>のお祝いはなさったねえ) 16786 0 0 16709 htmvoc_16786.wav ムーナンカ ⸢ムーナンカ [⸢muːnaŋka] 名 六七日忌。死後六回目の法事。 ⸢ムーナンカ⸣ シ⸢マ⸣スカー ⸣メー ⸣シンズクヌル ⸢オー⸣ル [⸢muːnaŋka⸣ ʃi⸢ma⸣sukaː ⸣meː ⸣ʃinʣukunuru ⸢ʔoː⸣ru] (六七日忌を済ませたら、もう四十九日忌<7回目の法事>が来られる) 16787 0 0 16710 htmvoc_16787.wav ムームン ⸢ムームン [⸢muːmuŋ] 他動 \ruby{揉}{モ}む。両手で挟んで、物を\ruby{掴}{ツカ}み上げるように指で押したり\ruby{擦}{コス}ったりする。「~辛塩に ここと毛美<もみ>~。万、3880」の転訛したもの。 カ⸢タ⸣ヌ ⸢コー⸣リ ⸢ベー⸣ティ ⸢ムームンティ スンドゥ⸣ イッ⸢カ ムーマサヌ [kḁ⸢ta⸣nu ⸢koː⸣ri ⸢beː⸣ti ⸢muːmunti sundu⸣ ʔik⸢ka muːmasanu] (肩が凝っているので、揉もうとするのだが一向に揉ませない)。 ⸢ムーミ⸣ ッ⸢ふィーリ⸣ティ タ⸢ナムタン⸣ドゥ ⸢ムーム⸣ プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーンシェン [⸢muːmi⸣ f⸢fiːri⸣ti ta⸢namutan⸣du ⸢muːmu⸣ pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (揉んでくれと頼んだが、揉む人がいなかった)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムーメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢muːmeː⸣ misamunu] (もっと揉めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ムーミ [⸢paː⸣ku ⸢muːmi] (早く揉め) 16788 0 0 16711 htmvoc_16788.wav ムール ムー⸢ル [muː⸢ru] 名 全部。全体。みんな。総て。 ムー⸢ル イー⸣リ ⸣ミサン [muː⸢ru ʔiː⸣ri ⸣misaŋ] (全部貰って良い)。 ムー⸢ル⸣ クーバ [muː⸢ru⸣ kuːba] (皆来なさいよ)。 ウ⸢レー⸣ ムー⸢ルヌ⸣ ムヌ [ʔu⸢reː⸣ muː⸢runu⸣ munu] (それ<これ>は皆の物だ)。 ムー⸢ル⸣シ ⸢スー⸣カー ⸣プスイシ ⸣ナルン [muː⸢ru⸣ʃi ⸢suː⸣kaː ⸣pu̥suiʃi ⸣naruŋ] (皆でやれば一日でできる)。 ムー⸢ロー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [muː⸢roː⸣ na⸢ra⸣nu] (全部はできない)。 ムー⸢ルン⸣ シゥ⸢カスン [muː⸢run⸣ si̥⸢kasuŋ] (皆に教える<聞かせる>) 16789 0 0 16712 htmvoc_16789.wav ムールバーキ ムー⸢ルバー⸣キ [muː⸢rubaː⸣ki] 副 総て。みな。ことごとく。「全部まで」の義。 ウ⸢レー⸣ ムー⸢ルバー⸣キ ッ⸢ふァイ⸣ ミサン [ku⸢reː⸣ muː⸢rubaː⸣ki f⸢fai⸣ misaŋ] (これは総て食べてもいい) 16790 0 0 16713 htmvoc_16790.wav ムーン ⸢ムーン [⸢muːŋ] 自動 燃える。「燃え、下二段」の四段活用化したもの。「~心は母延農<モエヌ>~。万、897」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ タ⸢ム⸣ノー イッ⸢ケン ムーン [ku⸢nu⸣ ta⸢mu⸣noː ʔik⸢kem muːŋ] (この薪は非常によく燃える)。 ク⸢レー ナン⸣ゾー ⸢モーヌ [ku⸢reː nan⸣ʣoː ⸢moːnu] (これはあまり燃えない)。 ムー⸢ル ムイ ナー⸣ヌ [muː⸢ru muinaː⸣nu] (全部燃えてしまった)。 タ⸢ムヌ⸣ヌ ⸢ムー⸣ ピンマー キ⸢ボーシェー⸣ フ⸢チマラ⸣ヌ [ta⸢munu⸣nu ⸢muː⸣ pimmaː ki⸢boːʃeː⸣ ɸu̥⸢ʧimara⸣nu] (薪が燃える時は煙はくすぶら<燻ら>ない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢muijaː⸣ misamunu] (もっと燃えばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ムイ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢mui⸣ba] (早く燃えよ) 16791 0 0 16714 htmvoc_16791.wav ムーン ⸣ムーン [⸣muːŋ] 自動 生える。草木が芽をふく。「萌ゆ、下二段」の四段活用化したもの。「萌、キザス・モユ」『類聚名義抄』の転訛したもの。⸢ムイ⸣ルン[⸢mui⸣ruŋ](生える)ともいう。 パ⸢タ⸣キナ ッ⸢サ⸣ヌ ⸣ムーン [pḁ⸢ta⸣kina s⸢sa⸣nu ⸣muːŋ] (畑に草が生える)。 ⸣クマナー ⸣ッサー ⸢モー⸣ヌ [⸣kumanaː ⸣ssaː ⸢moː⸣nu] (ここには、草は生えない)。 ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイパヤー⸣ン ⸣トンマー ⸢ジー⸣ヤ フ⸢キ⸣ブ ⸣シジ [s⸢sa⸣nu ⸢muipajaː⸣n ⸣tommaː ⸢ʤiː⸣ja ɸu̥⸢ki⸣bu ⸣ʃiʤi] (草の生えやすい所は土地が肥えているわけだ)。 ⸣ウン イ⸢ビマーキ ベーン⸣ケンマー ⸣ッサー ムイ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔuŋ ʔi⸢bimaːki beːŋ⸣kemmaː ⸣ssaː mui⸢naː⸣nu] (芋を植えかねているうちに草が生えてしまった)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢mui⸣jaː ⸣misamunu] (もっと生えればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ムイバ [⸢paː⸣ku ⸣muiba] (早く生えよ)。 ピ⸢ニ⸣ ムーン [pi⸢ni⸣ muːŋ] (\ruby{鬚}{ヒゲ}が生える) 16764 0 0 16715 htmvoc_16764.wav ムイ ⸢ムイ [⸢mui] 接尾 人名に付く美称の接尾辞。「思い」の転訛したもの。大正期ごろまで、ヲナリ・ムイ、ニシ・ムイなどのように女性の名について愛称、美称の意味を添えて命名する風習があった。 ム⸢カ⸣シ ⸢バン⸣テーナ ニ⸢シムイ⸣ティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃi ⸢ban⸣teːna ni⸢ʃimui⸣ti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣taŋ] (昔私の家にニシムイという人がおられた) 16765 0 0 16716 htmvoc_16765.wav ムイウン ⸢ムイ⸣ウン [⸢mui⸣ʔuŋ] 名 ひこばえ(蘖)の芋。芋を収穫した後の芋畑に、掘り残した\ruby{芋屑}{イモ|クズ}から\ruby{蔓}{カズラ}が繁茂して稔った芋。「萌え芋」の転訛したものか。「萌え、キザス・モユ」『類聚名義抄』。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥ ⸢パイター⸣ラ ⸢カイ⸣リキーティ ッ⸢ふァイムヌヌ ナーン⸣ベーティ ⸢ムイ⸣ウン ⸣プリ ン⸢コー⸣ル プ⸢スン オーッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatu ⸢paitaː⸣ra ⸢kai⸣rikiːti f⸢faimununu naːm⸣beːti ⸢mui⸣ʔum ⸣puri ʔŋ⸢koː⸣ru pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (戦争の後、避難地の西表島から帰ってきて、食糧が無いので、ひこばえの芋を掘って食される人もおられたよ) 16766 0 0 16717 htmvoc_16766.wav ムイカ ⸢ムイカ [⸢muika] 名 むいか(六日)。日数を数える際に用いる。⸣プスイ[⸣pu̥sui](一日)、⸢フシゥカ[⸢ɸusi̥ka](二日)、⸢ミーカ[⸢miːka](三日)、⸢ユッカ[⸢jukka](四日)、⸢イシゥ⸣カ[⸢ʔisi̥⸣ka](五日)、⸢ムイカ[⸢muika](六日)、ナ⸢ヌ⸣カ[na⸢nu⸣ka](七日)、⸢ヤウカ[⸢jauka](八日)、ク⸢クヌ⸣カ[ku̥⸢kunu⸣ka](九日)、⸢トゥッカ[⸢tukka](十日)のように数える。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー タンガ⸣シェー ⸢ムイカ⸣ カ⸢カリ⸣ス⸢ナー [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː taŋga⸣ʃeː ⸢muika⸣ kḁ⸢kari⸣su⸢naː] (この仕事は一人では六日かかるねえ) 16767 0 0 16718 htmvoc_16767.wav ムイカバスン ⸢ムイカバ⸣スン [⸢muikaba⸣suŋ] 他動 繁茂する。\ruby{覆}{オオ}い被さるように繁茂する。生い茂る。「萌え\ruby{被}{カブ}す」の義。 ⸢ティー⸣リ ⸢サン⸣カー ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣スンティ ス⸢クタヌ⸣ ッサー ⸢ムイカバサン⸣バン [⸢tiː⸣ri ⸢saŋ⸣kaː ⸣ssaː ⸢muikaba⸣sunti su̥⸢kutanu⸣ ssaː ⸢muikabasam⸣baŋ] (手入れをしないと雑草が生い茂る<生え被せる>と聞いたが、雑草は生い茂らないよ)。 ⸢クンデー⸣ル ⸣ガヤー ス⸢ルタ⸣ヌ キ⸢サーティ ムイカバ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kundeː⸣ru ⸣gajaː su⸢ruta⸣nu ki̥⸢saːti muikaba⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (この間が<ぞ>茅を苅ったのに、すでに生い茂ってしまったよ)。 ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣ス ⸣トンマー ⸢ニン⸣イリ ッ⸢サ⸣ヌ ⸣ニー ⸣トゥリ [s⸢sa⸣nu ⸢muikaba⸣su ⸣tommaː ⸢niŋ⸣ʔiri s⸢sa⸣nu ⸣niː ⸣turi] (草が生い茂るところは念を入れて草の根を取れ)。 ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣シェーラー ⸢ティー⸣ シ⸢キララ⸣ヌ [s⸢sa⸣nu ⸢muikaba⸣ʃeːraː ⸢tiː⸣ ʃi̥⸢kirara⸣nu] (草が繁茂してからは手がつけられない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ムイカバ⸣シ [⸢paː⸣ku ⸢muikaba⸣si] (早く生い茂れ<萌え被せろ>) 16768 0 0 16719 htmvoc_16768.wav ムイカブン ⸢ムイ⸣カブン [⸢mui⸣kabuŋ] 自動 生い茂る。覆いかぶすように生える。「萌え被さる」の義。 ピ⸢ニヌ ムイ⸣カブンケン ス⸢ラン⸣ドーシ ⸢ベー [pi⸢ninu mui⸣kabuŋken su⸢ran⸣doːʃi ⸢beː] (鬚が顔を被いかぶすほど生えるまで剃らないでいる)。 ミ⸢ナ⸣カー ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイ⸣カビ ⸢ナー⸣ヌ [mi⸢na⸣kaː s⸢sa⸣nu ⸢mui⸣kabi ⸢naː⸣nu] (庭は草が生い茂ってしまった)。 ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバン⸣ケン ⸢ソーリ⸣バ [s⸢sa⸣nu ⸢muikabaŋ⸣ken ⸢soːri⸣ba] (草が生い茂らないうちに除草しなさいよ)。 ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイ⸣カブ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [s⸢sa⸣nu ⸢mui⸣kabu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (草が繁茂することはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムイ⸣カベー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢mui⸣kabeː ⸣misamunu] (もっと生い茂ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ムイ⸣カビ [⸢paː⸣ku ⸢mui⸣kabi] (早く生い茂れ) 16769 0 0 16720 htmvoc_16769.wav ムイサン ⸢ムイ⸣サン [⸢mui⸣saŋ] 接尾 ~したがる。~したがりである。~\ruby{懐}{ナツカ}しがる。~懐っこい。~思いである。「~思いさあり」の融合変化したもの。感覚形容詞の語幹、名詞や感動詞について複合形容詞をつくる。 ッ⸢ふァムイ⸣サン [f⸢famui⸣saŋ] (形)(子煩悩である{EOS}非常に子供を可愛がる{EOS}子供思いである)。 ウ⸢トゥザムイ⸣サン [ʔu⸢tuʣamui⸣saŋ] (形)(親戚思いである)。 シザ⸢ムイ⸣サン [ʃiʣa⸢mui⸣saŋ] (形)(兄思いである)。 イ⸢ミムイ⸣サン [ʔi⸢mimui⸣saŋ] (形)(夢見がちである{EOS}よく夢をみる)。 ⸢キョーダイムイ⸣サン [⸢kjoːdaimui⸣saŋ] (形)(兄弟思いである)。 ⸣アツァムイサン [⸣ʔaʦamuisaŋ] (形)(暑がりである)。 ⸢ピー⸣ヤムイサン [⸢piː⸣jamuisaŋ] (形)(寒がりである)。 ⸣アガヨームイサン [⸣ʔagajoːmuisaŋ] (形)(痛がりやである{EOS}痛がる)。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ッ⸢ふァムイ⸣サン [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ f⸢famui⸣saŋ] (彼は非常に子煩悩<子供を可愛がる>である)。 ⸢ピッ⸣チン ッ⸢ふァムイサー ナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ f⸢famuisaː naː⸣nu] (ちっとも子供に愛情が無い)。 ⸢シンダイ⸣ ッ⸢ふァムイ⸣サ ⸣ナルン [⸢ʃindai⸣ f⸢famui⸣sa ⸣naruŋ] (次第に子\ruby{煩悩}{ボン|ノウ}になる)。 ⸣アイニ ッ⸢ふァムイ⸣サ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini f⸢famui⸣sa pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに子煩悩な人はいない) 16770 0 0 16721 htmvoc_16770.wav ムイフクン ⸢ムイ⸣フクン [⸢mui⸣ɸu̥kuŋ] 名 稲が成長しすぎて葉に暗色の斑点を現し、実を付けないで枯れる病気。いもちびょう(稲熱病)の一種。 ⸢マイヤー ムイ⸣フクン シ⸢ティ⸣ ヤ⸢ブ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢maijaː mui⸣ɸu̥kuŋ ʃi̥⸢ti⸣ ja⸢bu⸣ri ⸢naː⸣nu] (稲は成長し過ぎて結実しなくなり<いもち病にかかって>、しくじって<やぶれて>しまった) 16771 0 0 16722 htmvoc_16771.wav ムイフチ ⸢ムイ⸣フチ [⸢mui⸣ɸu̥ʧi] 名 生え\ruby{際}{ギワ}。 ガ⸢マジ⸣ヌ ⸢ムイ⸣フチェー ッ⸢サイ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー [ga⸢maʤi⸣nu ⸢mui⸣ɸu̥ʧeː s⸢sai⸣nu ⸢goː⸣raː] (髪の生え際は白髪が多い) 16772 0 0 16723 htmvoc_16772.wav ムイフチ ⸢ムイフチ [⸢muiɸu̥ʧi] 名 燃え出し。燃え始め。「燃え口」の義。 ニ⸢ビ ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸢ピー⸣ヌ ⸢ムイフチェー ピッ⸣チン ッ⸢サン⸠ツォー [ni⸢bi beː⸣ta ⸢beː⸣ti ⸢piː⸣nu ⸢muiɸuʧeː pit⸣ʧin s⸢san⸠ʦoː] (寝ていたので火の燃え出し<燃え始め>はちっとも<一つも>知らないんだよ) 16773 0 0 16724 htmvoc_16773.wav ムイルン ⸢ムイルン [⸢muiruŋ] 自動 燃える。「~心は母延農<モエヌ>~万、897」の転訛したものか。 サ⸢リタムノー ムイルンドゥ⸣ ナ⸢マタム⸣ノー ⸢ムイラヌ [sa⸢ritamunoː muirundu⸣ na⸢matamu⸣noː ⸢muiranu] (枯れた薪は燃えるが、生の薪は燃えない)。 ⸢ムイ⸣ パ⸢ジミルン [⸢mui⸣ pa⸢ʤimiruŋ] (燃え始める)。 ク⸢リヌ ムイル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢rinu muiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これが燃えることはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムイレー(⸢ムイヤー)⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢muireː(⸢muijaː)⸣ misamunu] (もっと燃えればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ムイリ [⸢paː⸣ku ⸢muiri] (早く燃えろ)。 ク⸢レー⸣ イッ⸢ケン ムイン⸣ギサン [ku⸢reː⸣ ʔik⸢kem muiŋ⸣gisaŋ] (これは非常に燃えそうだ) 16774 0 0 16725 htmvoc_16774.wav ムイルン ⸢ムイルン [⸢muiruŋ] 自動 \ruby{籾磨}{モミ|ス}り臼がよく\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}を落とす(玄米にする)。 ピ⸢キウシェー⸣ イッ⸢ケン ムイルンドゥ⸣ パー タ⸢タン⸣カー ⸢ムイラヌ [pi̥⸢kiʔuʃeː⸣ ʔik⸢kem muirundu⸣ paː tḁ⸢taŋ⸣kaː ⸢muiranu] (\ruby{籾磨}{モミ|スリ}臼はよく\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}を落とすが、臼の歯を立てないと籾殻を擦り落とせない)。 ⸢ムイル⸣ ウシシ ⸢マイ⸣ ピ⸢キ⸣バ [⸢muiru⸣ ʔuʃiʃi ⸢mai⸣ pi̥⸢ki⸣ba] (よく籾殻を摩り落とす臼で籾を\ruby{挽}{ヒ}いて玄米にしなさいよ) 16775 0 0 16726 htmvoc_16775.wav ムイルン ⸢ムイルン [⸢muiruŋ] 自動 老眼になる。目がじらじらして焦点が定まらなくなる。 ⸢グン⸣ジュー シ⸢ギ⸣ルカー ⸢ミー⸣ヤ ⸢ムイルンティ⸣ ス⸢クタヌ⸣ マ⸢ダ ムイランバン [⸢gun⸣ʤuː ʃi⸢gi⸣rukaː ⸢miː⸣ja ⸢muirunti⸣ su̥⸢kutanu⸣ ma⸢da muirambaŋ] (五十歳を過ぎると目が老眼になると聞いたが、まだ老眼にならないよ)。 ⸢ミー⸣ヤ ⸢ムイブー⸣ティ ア⸢ズンドゥ オーパ⸣ヤー ⸢ムイル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢miː⸣ja ⸢muibuː⸣ti ʔa⸢ʣundu ʔoːpa⸣jaː ⸢muiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (目は老眼になっているというが、そんなに早く老眼になることはない) 16776 0 0 16727 htmvoc_16776.wav ムイルン ⸢ムイ⸣ルン [⸢mui⸣ruŋ] 自動 生える。⸣ムーン[⸣muːŋ](生える{EOS}萌える)ともいう。「萌、キザス・モユ」『類聚名義抄』。「春雨に毛延之<モエシ>柳か~。万、3903」の転訛したもの。 ウ⸢ロイ⸣ヌ ⸢スー⸣カー ⸣マメー ⸢ムイ⸣ルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ ムイラン⸣バン [ʔu⸢roi⸣nu ⸢suː⸣kaː ⸣mameː ⸢mui⸣runti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da muiram⸣baŋ] (雨が降って潤い<湿り気>がすると豆は生える<萌える>と思ったが、まだ生えないわい)。 ⸢ムイ⸣ パ⸢ジミ⸣ルン [⸢mui⸣ pa⸢ʣimi⸣ruŋ] (生え始める)。 ⸣カイブ ⸣トンナー ⸢ムイ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kaibu ⸣tonnaː ⸢mui⸣ru kutoː ⸢naː⸣nu] (こんな所に生えることはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ムイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢mui⸣reː ⸣misamunu] (早く生えればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムイ⸣リ [⸢maː⸣bim ⸢mui⸣ri] (もっと生えよ) 16793 0 0 16728 htmvoc_16793.wav ムエー ム⸢エー [mu⸢jeː] 名 \ruby{頼母子講}{タノ|モ|シ|コウ}。\ruby{無尽講}{ム|ジン|コウ}。「Moyai.モヤイ(舫ひ)船と船とをつなぎ合わせること」『邦訳日葡辞書』の転訛、意味派生したもの。一定の人数(12、3名)の組で一定の掛け金を出して\ruby{纏}{マト}まった金額をつくり、一定の期日に\ruby{抽籤}{チュウ|セン}または入札によって所定の金額を落札させ、組員に金を\ruby{融通}{ユウ|ズウ}する組織。 カ⸢キ⸣ムエー [kḁ⸢ki⸣mujeː] (まだ掛け金を受け取らない頼母子)。 ウ⸢クリムエー [ʔu⸢kurimujeː] (既に掛け金を受け取って債務を負った頼母子)。 ⸢アッ⸣タニ ウ⸢ブジンマー⸣ ス⸢コーラランダ⸣ ム⸢エーバ⸣ トゥリティル ⸢ガッコー⸣ヌ ン⸢ザシ⸣マイ ン⸢ザシタ⸣ル [⸢ʔat⸣tani ʔu⸢buʤimmaː⸣ su̥⸢koːraranda⸣ mu⸢jeːba⸣ turitiru ⸢gakkoː⸣nu ʔn⸢ʣaʃi⸣mai ʔn⸢ʣaʃi̥ta⸣ru] (急に大金は準備できないから、頼母子を取って<ぞ>学校への納入金<入学金{EOS}出し前>を出したものだ) 16794 0 0 16729 htmvoc_16794.wav ムカーヤ ⸣-ムカーヤ [⸣-mukaːja] 終助 当然の意味をを表す。文末について、断定的な陳述を表す。~だよ。~というのだよ。「~と思えば」の\ruby{融合}{ユウ|ゴウ}変化した形。 パ⸢ナスカー ター⸢ン⸣ シ⸢キスティ⸣ムカーヤ [pa⸢na⸣su̥kaː taː⸢ŋ⸣ ʃi̥⸢kisuti⸣mukaːja] (話したら誰でも聞くというものだよ)。 ミ⸢ラ⸣スカー ター⸢ン カイスティ⸣ムカーヤ [mi⸢ra⸣su̥kaː taː⸢ŋ kaisuti⸣mukaːja] (見せたら誰だって買うものだよ) 16795 0 0 16730 htmvoc_16795.wav ムカシ ム⸢カ⸣シ [mu⸢ka⸣ʃi] 名 昔。過去のある時点。ウ⸢ブムカ⸣シ[ʔu⸢bumuka⸣ʃi](大昔{EOS}遠い過去)、⸢ウームカシ[⸢ʔuːmukaʃi]」ともいう。ナ⸢カムカ⸣シ[na⸢kamuka⸣ʃi](曽祖父母の時代のころ)などと使い分けられている。 ム⸢カ⸣シェーラ パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢パイ⸣ター ⸢ギームドゥル シェー⸣ティル ⸢マイヤー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [mu⸢ka⸣ʃeːra pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ⸢pai⸣taː ⸢giːmuduru ʃeː⸣tiru ⸢maijaː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (昔から鳩間の人は南端<西表島>へ往き来しながら稲は作られた)。 ム⸢カシ⸣ヌ ⸣クトー ッ⸢サヌ [mu⸢kaʃi⸣nu ⸣ku̥toː s⸢sanu] (昔のことは知らない) 16796 0 0 16731 htmvoc_16796.wav ムカシウタ ム⸢カ⸣シウタ [mu⸢ka⸣ʃiʔuta] 名 古謡。昔の歌。 タ⸢ナ⸣ドゥルアヨー ⸢ユン⸣タ ジ⸢ラ⸣バ ア⸢マン⸣グイ ⸢プール⸣ウタンドーレーヌ ム⸢カ⸣シウター イ⸢ジ⸣ ッ⸢ソー⸣レーン [ta⸢na⸣duruʔajoː ⸢jun⸣ta ʤi⸢ra⸣ba ʔa⸢maŋ⸣gui ⸢puːru⸣ʔutandoːreːnu mu⸢ka⸣ʃiʔutaː ʔi⸢ʤi⸣ s⸢soː⸣reːŋ] (種取りアヨー、ユンタ、ジラバ、アマングイ、豊年祭の歌などの昔歌<古謡>は歌うことがお出来になる) 16797 0 0 16732 htmvoc_16797.wav ムカシクトゥ ム⸢カ⸣シクトゥ [mu⸢ka⸣ʃi̥kutu] 名 昔の出来事。昔の事件。 ム⸢カ⸣シクトゥバ マ⸢ナ⸣マドーレーラ フ⸢ジッ⸣クリ ン⸢ザ⸣シティ ⸢ヌー⸣スワ [mu⸢ka⸣ʃiku̥tuba ma⸢na⸣madoːreːra ɸu⸢ʤik⸣kuri ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸢nuː⸣suwa] (昔の出来事を今頃から\ruby{穿}{ホジク}り出してどうするのか) 16798 0 0 16733 htmvoc_16798.wav ムカシクトゥバ ム⸢カ⸣シクトゥバ [mu⸢ka⸣ʃi̥kutuba] 名 ことわざ(諺)。「昔言葉」の義。昔から\ruby{教訓}{キョウ|クン}や\ruby{風刺}{フウ|シ}として言い伝えられたことば等。ム⸢カ⸣シムニ[mu⸢ka⸣ʃimuni](諺{EOS}「昔もの言い」の義)ともいう。 ム⸢カ⸣シクトゥバー ス⸢ムカラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃi̥kutubaː su⸢mukara⸣nu] (昔から伝わる諺<昔言葉>には背かれない<諺には嘘偽りはない{EOS}諺にいわれていることは真理である>)。 イ⸢シマシェー コーリヌ⸣ プ⸢スマシェー コーラヌ⸣ティル ム⸢カ⸣シクトゥバー ⸣アル [ʔi⸢ʃimaʃeː koːrinu⸣ pu̥⸢sumaʃeː koːranu⸣tiru mu⸢ka⸣ʃipanaʃeː ⸣ʔaru] (いしませ<石籬{EOS}石垣>は超えられるが、人垣<人籬{EOS}人格>は超えられない<人格は尊い>と昔の諺<昔言葉>にいわれている) 16799 0 0 16734 htmvoc_16799.wav ムカシナライ ム⸢カ⸣シナライ [mu⸢ka⸣ʃinarai] 名 旧慣。旧習。古い仕来り。「昔慣わし」の義。 ム⸢カ⸣シナライティ ⸢シー⸣ シ⸢ティ⸣ガラ ⸢サンドー⸣シ ム⸢カ⸣シナライヌ ナ⸢カヌ ソートンマー⸣ ナライ⸢ツォー [mu⸢ka⸣ʃinaraiti ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ti⸣gara ⸢sandoː⸣ʃi mu⸢ka⸣ʃinarainu ⸢soːtommaː⸣ narai⸢ʦoː] (\ruby{旧}{フル}い習慣と言って\ruby{貶}{ケナ}して\ruby{粗略}{ソ|リャク}にしないで、旧習の中の良い点は学び<習い>なさいってば) 16800 0 0 16735 htmvoc_16800.wav ムカシパナシ ム⸢カ⸣シパナシ [mu⸢ka⸣ʃipanaʃi] 名 昔話。言い伝え。民話。 ム⸢カ⸣シパナシナー ⸢カー⸣ラヤーヌ トゥ⸢ラー⸣マー ⸢コーコーヌムヌ⸣ティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [mu⸢ka⸣ʃipanaʃinaː ⸢kaː⸣rajaːnu tu⸢raː⸣maː ⸢koːkoːnumunu⸣ti ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (昔話にすずめ<雀{EOS}⸢瓦屋の小鳥」の義>は親孝行な者だと言われているよ)。 ⸣アッパー ム⸢カ⸣シパナシ ヤ⸢マシゥ⸣カ ッ⸢ソー⸣レーン [⸣ʔappaː mu⸢ka⸣ʃipanaʃi ja⸢massi̥⸣ka s⸢soː⸣reːŋ] (お祖母さんは昔話をかなり沢山知っておられる) 16801 0 0 16736 htmvoc_16801.wav ムカシプス ム⸢カ⸣シプス [mu⸢ka⸣ʃipu̥su] 名 昔の世の人(先人)。昔気質の人。年老いた頑固な人。 ム⸢カ⸣シプスヌ ⸣ムネー ⸣キムナー シ⸢キシミリ⸣ヨー [mu⸢ka⸣ʃipu̥sunu ⸣muneː ⸣kimunaː ʃi̥⸢kiʃimiri⸣joː] (昔の世の人<先人>の言われた言葉は肝に銘じて<聞き染めて>おきなさいよ)。 ⸣アブジェー ム⸢カ⸣シプス ヤ⸢ロー⸣ルンダ ⸢ガン⸣ク ⸣ナリティ プ⸢スヌ⸣ ムニ ス⸢コーラ⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː mu⸢ka⸣ʃipu̥su ja⸢roː⸣runda ⸢gaŋ⸣ku ⸣nariti pu̥⸢sunu⸣ muni su̥⸢koːra⸣nu] (お祖父さんは\ruby{昔}{ムカシ}\ruby{SqBr}g{/SqBr}{気質}{カタギ}の人だから頑固になって人の言うことをお聞きにならない) 16802 0 0 16737 htmvoc_16802.wav ムカシムニ ム⸢カ⸣シムニ [mu⸢ka⸣simuni] 名 諺。金言。「昔の言葉」の義。ム⸢カ⸣シクトゥバ[mu⸢ka⸣ʃiku̥tuba](昔言葉{EOS}諺)ともいう。 ム⸢カ⸣シムニナー シ⸢キシティル⸣ ムヌテー ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃimuninaː ʃi̥⸢kiʃi̥tiru⸣ munuteː ⸢naː⸣nu] (昔の言葉<諺>に聞き捨てにされるようなものはない) 16803 0 0 16738 htmvoc_16803.wav ムカシムヌ ム⸢カ⸣シムヌ [mu⸢ka⸣ʃimunu] 名 古いもの。古物。昔から伝わるもの。「昔の物」の義。 ム⸢カ⸣シムノー ⸣ヌーンクイン シゥ⸢カイグリ⸣サタンティン ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ シゥ⸢カイ⸣ヨー [mu⸢ka⸣ʃimunoː ⸣nuːŋkuin si̥⸢kaiguri⸣satantiŋ ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiː⸣ si̥⸢kai⸣joː] (古物は何もかも使いにくくても、大事に<あたらし・\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}しく>使いなさいよ) 16804 0 0 16739 htmvoc_16804.wav ムカシユー ム⸢カ⸣シユー [mu⸢ka⸣ʃijuː] 名 昔の世。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢カンダカー⸣ シマ ヤ⸢レー⸣ティ ム⸢カ⸣シユーナー ⸢ナン⸣ヌ ⸢ユーシ⸣ケータンドゥ ⸢カン⸣ヌ ⸣ティーシ ムタイ⸢オー⸣レーティ ノー⸢ン ナーン⸣シェンツォー [pḁ⸢tu⸣maː ⸢kandakaː⸣ ʃima ja⸢reː⸣ti mu⸢ka⸣ʃijuːna ⸢nan⸣nu ⸢juːʃi⸣keːtandu ⸢kan⸣nu ⸣tiːʃi mutai⸢ʔoː⸣reːti noː⸢n naːŋ⸣ʃenʦoː] (鳩間島は神霊の高い島だから、昔の世に津波が押し寄せてきたけれど、神様が手で持ち上げられたので、何もなかったそうだ) 16805 0 0 16740 htmvoc_16805.wav ムキジ ム⸢キジ [mu⸢kiʤi] 名 \ruby{無傷}{ム|キズ}。\ruby{損傷}{ソン|ショウ}のないこと。 カ⸢ツブシェー⸣ ム⸢キジヌ⸣ ム⸢ヌ⸣ル タ⸢カ⸣ー ⸢カーサリ [kḁ⸢ʦubuʃeː⸣ mu⸢kiʣinu⸣ mu⸢nu⸣ru tḁ⸢ka⸣ː ⸢kaːsari] (カツオ節は無傷のものが高値で<高く>売れる) 16806 0 0 16741 htmvoc_16806.wav ムギワラ ム⸢ギ⸣ワラ [mu⸢gi⸣wara] 名 \ruby{麦藁}{ムギ|ワラ}。標準語からの借用語。鳩間島方言では、⸢ムング⸣ル[⸢muŋ⸣guru](麦藁{EOS}\ruby{麦殻}{ムギ|ガラ})というのが普通である。ム⸢ギワラボー⸣シ[mu⸢giwaraboː⸣ʃi](麦藁帽子)等が導入されるようになって使用された語であろう。しかし、島ではク⸢バガサ[ku⸢bagasa](クバ<蒲葵>の葉笠)が、農業、漁業の面で実用的であり、便利で多用された。 ⸢ムン⸣グルバラフタバル ヤ⸢マトゥ⸣ムニシェー ム⸢ギ⸣ワラティ ア⸢ゾー⸣ル⸢ナー [⸢muŋ⸣gurubaraɸu̥tabaru ja⸢matu⸣muniʃeː mu⸢gi⸣warati ʔa⸢ʣoː⸣ru⸢naː] (麦殻の\ruby{藁}{ワラ}をば日本語<大和言葉>では麦藁と言われるんだねえ) 16807 0 0 16742 htmvoc_16807.wav ムク ⸣ムク [⸣muku] 名 婿。娘の夫。「爾雅云、女子之夫、為\kaeriten{㆑}婿。和名無古(むこ)」『和名抄』の転訛したもの。「Muko.ムコ(婿).Mukouo toru(婿をとる)」『邦訳日葡辞書』。 イ⸢チバン⸣ムク [ʔi⸢ʧibam⸣muku] (長女の婿{EOS}⸢一番婿」の義)。⸣ムクッふァ[⸣mukuffa](婿{EOS}「婿子」の義)ともいう。 ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ラン ム⸢クヌ⸣ル ア⸢タラ⸣サル [⸢duː⸣nu f⸢fa⸣ram mu⸢kunu⸣ru ʔa⸢tara⸣saru] (自分の子よりも婿が可愛い) 16808 0 0 16743 htmvoc_16808.wav ムクイ ム⸢クイ [mu⸢kui] 名 \ruby{報}{ムク}い。悪業の仕返し。返報。「報、酬、校、ムクユ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ウ⸢ヤ⸣バ ッ⸢ソンツァー スー⸣カー ム⸢クイ⸣ カブン⸢ダー [ʔu⸢ja⸣ba s⸢sonʦaː suː⸣kaː mu⸢kui⸣ kabun⸢daː] (親を\ruby{粗相}{ソ|ソウ}に扱うと報いを受ける<被る>ぞ)。 ⸢ヌー⸣ヌ ム⸢クイバ⸣ カ⸢ビ⸣ル ⸣カイニ ク⸢ロー スー⸣カヤー [⸢nuː⸣nu mu⸢kuiba⸣ ka⸢bi⸣ru ⸣kaini ku⸢roː suː⸣kajaː] (何の報いを受けて<\ruby{被}{コウム}って>このような苦労をするのかねえ) 16809 0 0 16744 htmvoc_16809.wav ムクイカビムヌ ム⸢クイカビ⸣ムヌ [mu⸢kuikabi⸣munu] 名 \ruby{罰当}{バチ|アタ}り。悪行の\ruby{報}{ムク}いをかぶった者。 バ⸢カーン⸣ケン ウ⸢ヤ⸣バ ッ⸢ソーンツァー シェー⸣ティル マ⸢ナ⸣マー ウ⸢ヤ⸣ヌ ム⸢クイカビ⸣ムヌ ナリ⸢ベーン⸣ティ [ba⸢kaːŋ⸣keŋ ʔu⸢ja⸣ba s⸢soːnʦaː ʃeː⸣tiru ma⸢na⸣maː ʔu⸢ja⸣nu mu⸢kuikabi⸣munu nari⸢beːn⸣ti] (若い時に親を粗相に扱ったので、今は親の罰が当たって<悪行の報いかぶり者になって>いるさ) 16810 0 0 16745 htmvoc_16810.wav ムクイリ ⸣ムクイリ [⸣mukuʔiri] 名 婿となって嫁の家に入籍すること。イ⸢リムク[ʔi⸢rimuku](入り婿{EOS}婿養子)ともいう。 ⸢クン⸣ネナー ビ⸢コーンッふァヌ⸣ ブ⸢ラーンタ ベー⸣ティ ⸣アブジェー ⸢シー⸣ネーラ ⸣ムクイリ ⸢ソー⸣レーツォー [⸢kun⸣nenaː bi⸢koːnffanu⸣ bu⸢raːnta beː⸣ti ⸣ʔabuʤeː ⸢ʃiː⸣neːra ⸣mukuʔiri ⸢soː⸣reːʦoː] (この家に男の子がいなかったので、お祖父さんが後ろ隣の家から婿入りしてこられたそうだ) 16811 0 0 16746 htmvoc_16811.wav ムクキョーダイ ⸣ムクキョーダイ [⸣mukukjoːdai] 名 婿兄弟。義兄弟。姉妹の夫。 ⸣ムクキョーダイサ ⸢ザーン⸣ナリ ム⸢チ⸣リティ イッ⸢ケナ⸣ パ⸢タラクン [⸣mukukjoːdaisa ⸢ʣaːn⸣nari mu⸢ʧ⸣iriti ʔik⸢kena⸣ pḁ⸢tarakuŋ] (婿兄弟同士が仲睦まじく、親しくして非常によく働く) 16812 0 0 16747 htmvoc_16812.wav ムクシザ ⸣ムクシザ [⸣mukuʃiʣa] 名 年上の婿。兄婿。「婿兄者」の義。 ⸢ワール⸣ ムクシザ ヤ⸢ロー⸣ルンダ ⸣ウヤダイリ ⸢ソー⸣リバ [⸢waːru⸣ mukuʃiʣa ja⸢roː⸣runda ⸣ʔujadairi ⸢soː⸣riba] (貴方が年上の婿であられるから、親の代理をなさいましよ) 16813 0 0 16748 htmvoc_16813.wav ムクッふァ ⸣ムクッふァ [⸣mukuffa] 名 婿。「婿子」の義。婿を\ruby{慈}{イツク}しんでいう語。 ⸢バン⸣テナン ⸣ムクッふァティン タ⸢ボーラ⸣リ イッ⸢ケナ⸣ サ⸢ニ⸣ヤン [⸢ban⸣tenaːm ⸣mukuffatin ta⸢boːra⸣ri ʔik⸢kena⸣ sa⸢ni⸣jaŋ] (我が家にも婿子が賜って、非常に嬉しいよ) 16814 0 0 16749 htmvoc_16814.wav ムクブザ ⸣ムクブザ [⸣mukubuʣa] 名 婿殿。新郎。⸣ムク[⸣muku](婿)に接尾語⸣ブザ[⸣buʣa](百姓男子の尊称)が下接して形成された語。⸣ブサ[⸣buʣa]は、多くの場合、自身は働かず、命令や指図をする人に対していう。ム⸢ク⸣ブザ[mu⸢ku⸣buʣa]という時は、婿を大事に扱うことを意味する。⸣ムクシゥカナイ[⸣mukusi̥kanai](婿接待{EOS}<婿養い>)ともいわれる。 ン⸢マー⸣ムヌ バ⸢カシティ⸣ ムクブザ シゥ⸢カ⸣ナイバ [ʔm⸢maː⸣munu ba⸢kaʃi̥ti⸣ mukubuʣa si̥⸢ka⸣naiba] (美味しい物を炊いて婿殿を接待しなさいよ) 16815 0 0 16750 htmvoc_16815.wav ムクミ ム⸢ク⸣ミ [mu⸢ku⸣mi] 名 木目。 ⸢シン⸣ダンキーヌ ⸣イツァー ム⸢クミ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤンダ ウ⸢リ⸣シ ⸢タン⸣シ ス⸢ク⸣ローッタン [⸢sin⸣daŋkiːnu ⸣ʔiʦaː mu⸢kumi⸣nu ⸢kai⸣janda ʔu⸢ri⸣ʃi ⸢taŋ⸣ʃi su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (\ruby{栴檀}{セン|ダン}の板は木目が美しいから、それで箪笥を作られた) 16816 0 0 16751 htmvoc_16816.wav ムクヨーシ ⸣ムクヨーシ [⸣mukujoːʃi] 名 婿養子。娘の婿となった人で、娘の家の跡継ぎとなる人。 ビ⸢コーンッふァヌ⸣ ブ⸢ラーン ベー⸣ティ ⸣ムクヨーシ トゥ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ツォー [bi⸢koːnffanu⸣ bu⸢raːm beː⸣ti ⸣mukujoːʃi tu⸢raŋ⸣kaː na⸢ran⸣ʦoː] (男の子がいないので、婿養子を取らないといけないそうだ) 16817 0 0 16752 htmvoc_16817.wav ムゲーラスン ム⸢ゲーラスン [mu⸢geːrasuŋ] 他動 \ruby{沸騰}{フッ|トウ}させる。煮えたぎらせる。 ⸢ユー⸣ヤ(ワ) フ⸢トゥッツァ⸣シ ム⸢ゲーラスンティ スンドゥ ピー⸣ヌ ⸢モーンダ⸣ ム⸢ゲーラサラヌ [⸢juː⸣ja(wa)ɸu̥⸢tutʦa⸣ʃi mu⸢geːrasunti sundu piː⸣nu ⸢moːnda⸣ mu⸢geːrasaranu] (湯は沸騰させ、煮えたぎらせようとするが、火が燃えないので沸騰されない)。 ム⸢ゲーラシ⸣ シケー [mu⸢geːraʃi⸣ ʃi̥keː] (煮えたぎらせてある)。 ⸢ユー⸣バ ム⸢ゲーラス⸣ クトー ス⸢ナ⸣ヨー [⸢juː⸣ba mu⸢geːrasu⸣ ku̥toː su⸢na⸣joː] (湯を煮えたぎらせることはするなよ)。 ム⸢ゲーラシェー⸣ ミサムヌ [mu⸢geːraʃeː⸣ misamunu] (沸騰させれば良いのに)。 ム⸢ゲーラシ [mu⸢geːraʃi] (沸騰させよ) 16818 0 0 16753 htmvoc_16818.wav ムゲールン ム⸢ゲールン [mu⸢geːruŋ] 自動 沸騰する。煮えたぎる(\ruby{滾}{タギ}る)。怒り狂う。 ⸢ユー⸣ヤ(ワ) ム⸢ゲールン [⸢juː⸣ja(wa)mu⸢geːruŋ] (湯が煮えたぎる)。 ⸣バター ム⸢ゲールン [⸣bataː mu⸢geːruŋ] (怒りで\ruby{腸}{ハラワタ}が煮えたぎる)。 ⸣バター ム⸢ゲーリ ブンドゥ⸣ ム⸢ゲーランコーラ⸣シ バ⸢ライベー [⸣bataː mu⸢geːri bundu⸣ mu⸢geːraŋkoːra⸣ʃi ba⸢rai beː] (腸は煮えたぎっているが、煮えたぎらないふりをして笑っている)。 ⸣バタ ム⸢ゲール⸣ クトゥン ⸣アン [⸣bata mu⸢geːru⸣ ku̥tuŋ ʔaŋ] (腸が煮えたぎることもある) 16821 0 0 16754 htmvoc_16821.wav ムサ ム⸢サ [mu⸢sa] 名 荒波。三角波。台風が接近すると\ruby{波頭}{ナミ|ガシラ}が立ち、白波がたつようになる。波がぶつかり合って白波を生ずる波の峰。 ム⸢サヌ⸣ ウ⸢クリ⸣ブーバ ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ⸣ウケー ン⸢ジララ⸣ヌ [mu⸢sanu⸣ ʔu⸢kuri⸣buːba ⸢kjuː⸣ja(wa) ⸣ʔukeː ʔn⸢ʤirara⸣nu] (荒波<ムサ>が起きているから今日は沖には出られない)。 ム⸢サズー⸣ワン [mu⸢saʣuː⸣waŋ] (ムサ<荒波>が立っている<三角波が強い>) 16822 0 0 16755 htmvoc_16822.wav ムサットゥ ムサッ⸢トゥ [musat⸢tu] 副 ちっとも。少しも。全く。全然。さっぱり。一向に。文末の打ち消し表現と呼応して「少しも<ちっとも、一向に>~ない」のように、陳述副詞的に用いられる。老年層が多用する。ムシ⸢トゥ[muʃi⸢tu](ちっとも{EOS}すこしも{EOS}さっぱり{EOS}いっこうに)に同じ。 ムサッ⸢トゥ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カヌ [musat⸢tu⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kanu] (ちっとも他人の言うことを聞かない)。 ムサッ⸢トゥ⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ [musat⸢tu⸣ wa⸢kara⸣nu] (全く<さっぱり>分らない) 16823 0 0 16756 htmvoc_16823.wav ムサラカサラ ム⸢サラカサ⸣ラ [mu⸢sarakasa⸣ra] 名 雑事。うぞうむぞう(有象無象)のこと。種々雑多な価値の低いもの。老年層は、ヌ⸢サラカサ⸣ラ[nu⸢sarakasa⸣ra](雑事{EOS}有象無象のこと)ともいう。 ⸢ヤー⸣ナ ⸢ベー⸣ティ ム⸢サラカサラ⸣ヌ(ヌ⸢サラカサラ⸣ヌ) シ⸢グトゥバ⸣ シ⸢ミラリティ ⸢ドゥー⸣ヌ シ⸢グトー⸣ ノー⸢ン⸣ シ⸢ララヌ [⸢jaː⸣na ⸢beː⸣ti mu⸢sarakasara⸣nu (nu⸢sarakasara⸣nu)ʃi⸢gutu⸣ba ʃi⸢mirariti duː⸣nu ʃi⸢gutoː⸣ noː⸢ŋ⸣ ʃi⸢raranu] (家にいるので、つまらぬ雑事をさせられ<負わされ>て、自分の仕事は何も出来ない) 16824 0 1 16757 htmvoc_16824.wav ムシ ム⸢シ [mu⸢ʃi] 名 (動){Mn_1}虫。「虫、和名無之<むし>、鱗介惣名也」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢キー⸣ヌ ユ⸢ダ⸣ナー ム⸢シヌ⸣ シディティ キ⸢ムフクレー⸣ヌ ⸢キー⸣ヌ ッ⸢サーラー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢kiː⸣nu ju⸢da⸣naː mu⸢ʃinu⸣ ʃiditi ki⸢muɸu̥kureː⸣nu ⸢kiː⸣nu s⸢saːraː⸣ pa⸢rara⸣nu] (木の枝に虫が発生<孵化>して、気持ち悪くて木の下には行けない)。 16824 0 2 16758 htmvoc_16824.wav ムシ ム⸢シ [mu⸢ʃi] 名 {Mn_2}回虫。寄生虫。 ナ⸢ツァー⸣ラ ⸣シジ ヌ⸢マ⸣シティル バ⸢タ⸣ヌ ム⸢シェー⸣ ク⸢ダシタ [na⸢ʦaː⸣ra ⸣ʃiʣi nu⸢ma⸣ʃi̥tiru ba⸢ta⸣nu mu⸢ʃeː⸣ ku⸢daʃi̥ta] (海人草<マクリ>を煎じて飲ませながら腹の虫<回虫>を\ruby{下}{クダ}させた<駆除した>)。 16824 0 3 16759 htmvoc_16824.wav ムシ ム⸢シ [mu⸢ʃi] 名 {Mn_3}ある事に熱中する人。 ウ⸢レー⸣ ブ⸢ドゥルヌ⸣ ム⸢シ⸣ ヤ⸢ルンダ サンシンヌ⸣ ウ⸢トゥ⸣ ス⸢ク⸣カー シ⸢グ⸣ タ⸢ティ⸣ス [ʔu⸢reː⸣ bu⸢durunu⸣ mu⸢ʃi⸣ ja⸢runda saŋʃinnu⸣ ʔu⸢tu⸣ su̥⸢ku⸣kaː ʃi⸢gu⸣ tḁ⸢ti⸣su] (彼は踊りの虫だから、三線の音が聞こえたら、すぐ立つ<立って舞う>)。 16824 0 4 16760 htmvoc_16824.wav ムシ ム⸢シ [mu⸢ʃi] 名 {Mn_4}強情者。 ウ⸢レー⸣ ム⸢シ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢コーラ⸣ イ⸢ザバン⸣ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː⸣ mu⸢ʃi⸣ ja⸢runda⸣ ʔi⸢koːra⸣ ʔi⸢ʣaban⸣ si̥⸢kanu] (彼は強情だから、いくら叱っても聞かない) 16825 0 0 16761 htmvoc_16825.wav ムシ ム⸢シ [mu⸢ʃi] 副 もし。もしも。仮に。ある事態を仮定して述べる。老年層は、ム⸢シンガ[mu⸢ʃiŋga](もしも{EOS}仮に)、ム⸢シカ[mu⸢ʃika](もしか)、ム⸢シンドゥ[mu⸢ʃindu](もしも{EOS}仮に)ともいう。接続助詞⸣カー[⸣kaː](~たら、~なら)と呼応して用いられ、仮定条件を表す条件文をつくる。 ⸢ワーンドゥ⸣ ム⸢シ⸣ パルカー ⸣バー パ⸢ラ⸣ヌ [⸢waːndu⸣ mu⸢ʃi⸣ parukaː ⸣baː pa⸢ra⸣nu] (君がもし行くなら私は行かない)。 ⸢ムシカ⸣ マ⸢チ⸣ガイ ⸢ナー⸣ト ⸢スー⸣カー ⸢ワー デー⸣ジ ⸢ダー⸣メー [⸢muʃi̥ka⸣ ma⸢ʧi⸣gai ⸢naː⸣to ⸢suː⸣kaː ⸢waː deː⸣ʤi ⸢daː⸣ meː] (もしも間違いなどしたら、君は大変だぞ、もう) 16826 0 0 16762 htmvoc_16826.wav ムシ ⸢ム⸣シ [⸢mu⸣ʃi] 助数 回。一回り。度。回数を表す。 プ⸢スム⸣シ [pu̥⸢sumu⸣ʃi] (一回{EOS}一度)。 フ⸢タムシ [ɸu̥⸢tamuʃi] (二回{EOS}二度)。 ⸢ミームシ [⸢miːmuʃi] (三回) ⸢ユームシ [⸢juːmuʃi] (四回) イ⸢チム⸣シ [ʔi⸢ʧimu⸣ʃi] (五回) ⸢ギュームシ [⸢gjuːmuʃi] (何回{EOS}何度))。 ク⸢トゥシェー ワー ギュームシ⸣ イ⸢サンケー ゲー⸣ター [ku̥⸢tuʃeː waː gjuːmuʃi⸣ ʔi⸢saŋkeː geː⸣taː] (今年は、君は何回石垣へ行ったか) 16827 0 0 16763 htmvoc_16827.wav ムジアン ム⸢ジ⸣アン [mu⸢ʤi⸣ʔaŋ] 名 漁網の種類の一つ。目の細かい網。カツオ漁船の餌獲り用の網。約1、5ミリ四方の目の細かい網。 ム⸢ジ⸣アンシル カ⸢ツシンヌ⸣ バ⸢カザ⸣コーン ⸢シー⸣ラン ヤ⸢ナザ⸣コーン トゥ⸢ローッ⸣タ [mu⸢ʤi⸣ʔaŋʃiru kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ba⸢kaʣa⸣koːŋ ⸢ʃiː⸣raŋ ja⸢naʣa⸣koːn tu⸢roːt⸣ta] (ムジアン<目の細かい網>で、カツオ漁船の撒餌のバカ雑魚もシーラ雑魚も穴雑魚も漁獲された) 16828 0 0 16764 htmvoc_16828.wav ムシカ ⸢ムシカ [⸢muʃi̥ka] 副 もしか。もしも。ひょっとすると。そうなる可能性を予想しながら物事を推測する意味を示す。接続助詞⸣カー[⸣kaː](~なら)と呼応して用いられ、仮定条件や前提条件を表す。「もしも~ならば」の意。 ユ⸢ダン シー ベー⸣ティ ⸢ムシカ⸣ カ⸢ジヌ⸣ フクカー ⸢ヌー⸣スー ⸢カン⸣ガイヤー [ju⸢daŋ ʃiː beː⸣ti mu⸢ʃi̥ka⸣ ka⸢ʤinu⸣ ɸu̥kukaː ⸢nuː⸣suː ⸢kaŋ⸣gaijaː] (油断していて、もしか台風でも吹くとどうするつもり<考え>か) 16829 0 0 16765 htmvoc_16829.wav ムジクイ ム⸢ジ⸣クイ [mu⸢ʣi⸣kui] 名 農作。農耕。耕作。「物作り」の義。歌謡語。日常の方言では、ム⸢ヌスク⸣ル[mu⸢nusu̥ku⸣ru](耕作{EOS}農耕{EOS}⸢物作り」の義)という。「Monotcucuri.モノツクリ(物作り)田畑を上手に耕作する農民」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。/イニヤ シサクヌ ユカディサミ シグヮチ ググヮチヌ ナレヌレヤ ヘイヤヘイヤトゥ カリウサミ(囃子)イヤイヤー ユタカナルユヌ シルシサミエー アミヤトゥカグシ カジヤシジカニ シクリ ムジクイ マンサクソーリバ イヒンカタトゥキ ユダンヤ ナランサ キットゥキバリヨ ニセタ ウムシルムヌサミ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(稲は、荒打ち、二度うちの田仕事<農作業{EOS}試作>が良かったから、旧暦の4月5月になれば、実りの稲をヘイヤー、ヘイヤーと掛け声勇ましく刈り収める{EOS}<囃子>いよいよ<弥弥>豊かなる御世の兆候であることよ{EOS}降雨は十日越しに、風は静かにそよぎ、農耕作物は豊年満作をするので一時も片時も油断はできないものだ{EOS}きっと気張れよ若者たちよ、楽しいものだ、今の囃子に口説きを歌おう<読もう>)(鳩間口説)『鳩間島古典民謡古謡集』 16830 0 0 16766 htmvoc_16830.wav ムシククチ ム⸢シククチ [mu⸢ʃikukuʧi] 名 むしけ(虫気)。回虫が腸に寄生して栄養不良状態になっているさま。「虫心地」の義。 ク⸢ヌッふァー ヨーガリティ アウガン⸣ ナリ ⸢ベー⸣ヌ ム⸢シククチル⸣ ヤ⸢ル⸣ユー ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラン⸣サー [ku⸢nu⸣ f⸢faː joːgariti ʔaugan⸣ nari ⸢beː⸣nu mu⸢ʃikukuʧiru⸣ ja⸢ru⸣juː ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ran⸣saː] (この子は痩せて顔色も青白くなっているが、寄生虫がいるのか心配で堪らないよ) 16831 0 0 16767 htmvoc_16831.wav ムシクダシ ム⸢シクダシ [mu⸢ʃikudaʃi] 名 虫下し。駆虫剤。ナ⸢ツァー⸣ラ[na⸢ʦaː⸣ra](海人草{EOS}<マクリ>の別称)は回虫駆除剤として、昭和40年頃まで、煎じて子供に飲ませていた。鳩間島沿岸では、ナ⸢ツァー⸣ラがよく採取されたので、石垣島への輸出品とされた。 ナ⸢ツァー⸣ラー ム⸢シクダシ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ シジティ ヤ⸢ラ⸣ビンケーン ⸣ユー ヌ⸢マ⸣ソーッタン [na⸢ʦaː⸣raː mu⸢ʃikudaʃi⸣ ja⸢runda⸣ʃiʤiti ja⸢ra⸣biŋkeːŋ ⸣juː nu⸢ma⸣soːttaŋ] (海人草は虫下しだから、煎じて子供たちによく飲まされたものだ) 16832 0 0 16768 htmvoc_16832.wav ムシトゥ ムシ⸢トゥ [muʃi̥⸢tu] 副 ちっとも(些とも)。少しも。全く。皆目。さっぱり。老年層の人が多く用いる。文末に打ち消しの語を伴い、陳述副詞「ちっとも<決して>~ない」の意味に用いられる。ムッ⸢トゥ[mut⸢tu](全く{EOS}決して{EOS}一向に)ともいう。 ⸢バン⸣マー ムシ⸢トゥ⸣ ア⸢ティンガーラヌ [⸢bam⸣maː muʃi̥⸢tu⸣ ʔa⸢tiŋgaːranu] (私にはさっぱり<全く>見当が付か<分から>ない)。 ⸣ヌーシタ ム⸢ヌ⸣ユー ク⸢ヌ⸣グロー ⸢バン⸣テーン ムシ⸢トゥ クー⸣ヌ [⸣nuːʃi̥ta mu⸢nu⸣juː ku⸢nu⸣guroː ⸢ban⸣teːm muʃi̥⸢tu kuː⸣nu] (どうしたものか、この頃は私の家にも全く来ないよ) 16833 0 0 16769 htmvoc_16833.wav ムシヌニンガイ ム⸢シヌ ニン⸣ガイ [mu⸢ʃinu niŋ⸣gai] 連 害虫駆除の祈願。「虫の願い」の義。⸣カタ[⸣kata](いなご<蝗虫>)が異常発生して稲の葉を食荒らさぬよう、またウ⸢ヤ⸣ザ[ʔu⸢ja⸣ʣa](鼠)が異常繁殖して田畑の作物を荒らさぬよう、祈願する行事。旧暦三月の壬に執り行われる⸢ユーニガイ[⸢juːnigai](豊年・健康祈願<世願い>)の祭祀に祈願された (i) ⸢ユーニンガイ(世願い)、(ii) ム⸢シヌ ニン⸣ガイ(害虫駆除<虫祓い>の祈願)、(iii) ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ(稲の下葉の祈願)、(iv) ⸢プーヌ ソー⸣ジ(稲の出穂祈願)、(v) パ⸢マウリソー⸣ジ(浜下り精進する祈願)の一つ。 ム⸢シヌ ニンガイ⸣ヤー ⸢ユーニンガイナー⸣ル ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ ⸢ソーッ⸣タ [mu⸢ʃinu niŋgai⸣jaː ⸢juːniŋgainaː⸣ru ⸢ʔuinu⸣ ʔugannaːti ⸢soːt⸣ta] (害虫>駆除の祈願は上の御願<友利御嶽>で執り行われた<なされた>) 16834 0 0 16770 htmvoc_16834.wav ムシバタ ム⸢シバタ [mu⸢ʃibata] 名 むしばら(虫腹)。回虫等が寄生している腹。 ウ⸢レー⸣ ム⸢シバタ⸣ ヤ⸢レー⸣ティル ⸣アイニ ⸢ヨーガリン シー⸣ バ⸢タ⸣ヤンヌン ウ⸢ク⸣ルパジ [ʔu⸢reː⸣ mu⸢ʃibata⸣ ja⸢reː⸣tiru ⸣ʔaini ⸢joːgariŋ ʃiː⸣ ba⸢ta⸣jannuŋ ʔu⸢ku⸣rupaʤi] (彼は虫腹<回虫保有者>だから<ぞ>あんなに痩せもし、腹の病も起こるはずだ) 16835 0 0 16771 htmvoc_16835.wav ムシブシ ム⸢シブシ [mu⸢ʃibuʃi] 名 虫干し。 ⸢オーシキヌ カイ⸣ヤンダ ⸣キンカー ン⸢ザ⸣シ ム⸢シブシ サン⸣ノーレー [⸢ʔoːʃikinu kai⸣janda ⸣kiŋkaː ʔn⸢ʣa⸣ʃi mu⸢ʃibuʃi san⸣noreː] (天気が良いから、着物類は出して虫干しをしなさい<しないかね>) 16836 0 0 16772 htmvoc_16836.wav ムシフチル ム⸢シフチ⸣ル [mu⸢ʃiɸu̥ʧi⸣ru] 名 虫薬。回虫駆除剤。ム⸢シングシ⸣ル[mu⸢ʃiŋguʃi⸣ru](虫薬)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ム⸢シル⸣ ヤ⸢リン⸣ギサバ ム⸢シフチ⸣ル ヌ⸢マ⸣シ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ mu⸢ʃiru⸣ ja⸢riŋ⸣gisaba mu⸢ʃiɸu̥ʧi⸣ru nu⸢ma⸣ʃi] (この子は回虫がいるらしい<回虫らしい>から、虫薬を飲ませなさい) 16837 0 0 16773 htmvoc_16837.wav ムジョー ム⸢ジョー [mu⸢ʤoː] 名 無情。沖縄本島方言からの借用語。普通は、⸣キモー(⸣シロー) ⸢ナー⸣ヌ[⸣kimoː(⸣ʃiroː) ⸢naː⸣nu](愛情<肝・それに注ぐべき愛情>{EOS}汁{EOS}だし汁<愛情>がない)という。 ⸣アイブ ム⸢ジョーヌ⸣ ウヤン ナ⸢サ⸣リティ キ⸢ムイ⸣ツァーダラ⸢ナー [⸣ʔaibu mu⸢ʤoːnu⸣ ʔujan na⸢sa⸣riti ki⸢mui⸣ʦaːdara⸢naː] (あんな無情<薄情>な親に産み落とされて真に気の毒だなあ) 16838 0 0 16774 htmvoc_16838.wav ムシルン ム⸢シルン [mu⸢ʃiruŋ] 自動 千切れる。切れる。ム⸢スン[mu⸢suŋ](千切る{EOS}\ruby{毟}{ムシ}る)(他動)、キ⸢シ⸣ル[ki⸢ʃi⸣ru](切れる)ともいう。 ⸣ドゥク ピ⸢キスク⸣カー ム⸢シルン⸣ダー [⸣duku pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː mu⸢ʃirun⸣daː] (あまり引っ張ると千切れるよ)。 ピ⸢キスクバン⸣ ム⸢シラヌ [pi̥⸢kisu̥kubam⸣ mu⸢ʃiranu] (引っ張っても千切れない)。 ク⸢レー⸣ ム⸢シ(リ)⸣ パ⸢ヤー⸣ン [ku⸢reː⸣ mu⸢ʃi(ri)⸣ pa⸢jaː⸣ŋ] (これは千切れやすい)。 ⸣クマーラ ム⸢シル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kumaːra mu⸢ʃiru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (ここから千切れることはない) 16839 0 0 16775 htmvoc_16839.wav ムジンクジンッサヌ ム⸢ジン⸣クジン ッ⸢サヌ [mu⸢ʤiŋ⸣kuʤin s⸢sanu] 連 何が何だか分からない。訳がわからない。学歴がなく、道理が分からない。「文字も故事も知らない」の転訛したもの。 ⸣ヌンティル ⸣アイ ⸢ナッ⸣タユー ム⸢ジン⸣クジン ムッ⸢トゥ⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ [⸣nuntiru ⸣ʔai ⸢nat⸣tajuː mu⸢ʤiŋ⸣kuʤim mut⸢tu⸣ wa⸢kara⸣nu] (何故そうなったのか、何が何だかちっとも訳が分からない) 16840 0 0 16776 htmvoc_16840.wav ムシンドゥ ム⸢シンドゥ [mu⸢ʃindu] 副 もしも。仮に。接続助詞「⸣カー[kaː](~なら)、⸢デー⸣カー[⸢deː⸣kaː](~ならば)」と呼応して、事実に反する仮定や前提条件述べて条件文をつくる。 ム⸢シンドゥ⸣ バー ⸢カール ワー⸣ パリ ッ⸢ふィールンデー⸣カー ⸣ティマー ギュー⸢サン⸣ プサスコー ッ⸢ふィールン [mu⸢ʃindu⸣ baː ⸢kaːru waː⸣ pari f⸢fiːru⸣kaː ⸣timaː gjuː⸢sam⸣ pu̥sasu̥koː f⸢fiːruŋ] (もしも私の代わりに君が行ってくれるなら、手間賃はいくらでも欲しいだけあげる) 16841 0 0 16777 htmvoc_16841.wav ムス ⸣ムス [⸣musu] 名 むしろ(筵)。筵の総称。「玉桙の~伊奈武侶(イナムシロ)~。万、2643」の転訛したもの。筵には、パ⸢ダ⸣ムス[pa⸢da⸣musu](ござ<茣蓙>{EOS}寝間に敷いて寝る上質の筵{EOS}「肌筵」の義)、⸣ビームス[⸣biːmusu](藺筵{EOS}藺草の茎で織った上質の筵)。⸢サーラ⸣ムス[⸢saːra⸣musu](三角藺草で織った簡単な筵)、ア⸢ダン⸣パームス[ʔa⸢dam⸣paːmusu](阿壇<タコノキ>の葉で編んだ筵)、タ⸢ラ⸣マムス[ta⸢ra⸣mamusu](宮古多良間島産の筵{EOS}長さが九尺もあった)などがある。 ⸣ムソー シ⸢キティル⸣ ッ⸢ふァー⸣ ニ⸢バス⸠ダー [⸣musoː ʃi̥⸢kitiru⸣ f⸢faː⸣ ni⸢basu⸠daː] (筵を敷いてから<ぞ>子供は寝かすものだよ) 16842 0 0 16778 htmvoc_16842.wav ムス ⸣ムス [⸣musu] 名 (数)六十。歌謡語。日常会話では、ル⸢ク⸣ズー[ru⸢ku⸣ʣuː](六十)という。/ヘイヤー クンヌウラヌ ウチカラ ヘイヤー ミドゥガ ムユス クイトゥリ ヘイヤー ビフガ ヤース クイトゥリ/(へいや<囃子>古見の浦の中から、女を六十人乞い寄せ、ヘイヤー男を八十人乞い取って~)(鳩間本ジラマ)。 ムユスは、ム⸢ス⸣ユ [mu⸢su⸣ju] (六十を)の音位転倒(メタテーゼ)。『鳩間島古典民謡古謡集』 16843 0 0 16779 htmvoc_16843.wav ムスシキニ ム⸢スシキ⸣ニ [mu⸢suʃi̥ki⸣ni] 名 敷物。筵や畳類。寝具類。 シ⸢キ⸣ニ [ʃi̥⸢ki⸣ni] (寝床{EOS}「敷寝」の義)。 ム⸢スシキ⸣ニンツァン ⸢ナーン⸣ ヤーナール トゥ⸢マルタ [mu⸢suʃi̥ki⸣ninʦan ⸢naːɲ⸣ jaːnaːru tu⸢maruta] (寝具類さえない家に泊まった) 16844 0 0 16780 htmvoc_16844.wav ムスビクブ ム⸢スビクブ [mu⸢subikubu] 名 結び昆布。昆布を小さく結んだもの。多くは、イ⸢ツァムス⸣ビ[ʔi⸢ʦamusu⸣bi](板結び{EOS}水に浸けて洗い、ふやかした昆布を幅約3センチ、長さ約10センチに切り、中央部を昆布で引き締めて煮たもの{EOS}不祝儀の煮しめもの料理に多く出される)と⸢マームスビ[⸢maːmusubi](真結び{EOS}祝儀の煮しめもの料理に多く出される)として調理される。 ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢オー⸣ヌ サ⸢ンマイニク⸣トゥ ム⸢スビクブヌ⸣ シ⸢ミムヌ⸣ル イッ⸢チン⸣ ン⸢マー⸣タ [ʔu⸢sai⸣jaː ⸢ʔoː⸣nu ⸢sammainiku⸣tu mu⸢subikubunu⸣ ʃi⸢mimunu⸣ru ʔit⸢ʧim⸣ ʔm⸢maː⸣ta] (ご馳走は、豚の三枚肉と結び昆布の煮しめものが一番美味しかった) 16845 0 0 16781 htmvoc_16845.wav ムスブン ム⸢スブン [mu⸢subuŋ] 他動 結ぶ。結わえる。「白玉のいほつ集いを手に牟須妣<ムスビ>~。万、4105」の転訛したもの。 ミ⸢ドゥ⸣モー フ⸢ク⸣ベー ⸣マンタナ ム⸢スブンドゥ⸣ ビ⸢キドゥモー⸣ ⸣マンタナー ム⸢スバヌ [mi⸢du⸣moː ɸu̥⸢ku⸣beː ⸣mantanaː mu⸢subundu⸣ bi⸢kidumoː⸣ mantanaː mu⸢subanu] (女は帯を前に結ぶが、男は前に結ばない)。 サ⸢バナー⸣ ム⸢スビ⸣ ミサカー ム⸢スブ⸣ クトー ⸣ナルン [sa⸢banaː⸣ mu⸢subi⸣ misakaː mu⸢subu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (鱶釣り用の縄は結び足してよければ、結ぶことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢スベー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim mu⸢subeː⸣ misamunu] (もっと結べばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ム⸢スビ⸣バ [⸢paː⸣ku mu⸢subi⸣ba] (早く結べよ) 16846 1 1 16782 htmvoc_16846.wav ムスン ム⸢スン [mu⸢suŋ] 他動 {PoS_1}{Mn_1}むしる(\ruby{毟}{ムシ}る)。引きちぎる。「刮、摘、揃、ムシル」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ム⸢チ⸣ ム⸢スンティ スンドゥ⸣ ム⸢サラヌ [mu⸢ʧi⸣ mu⸢sunti sundu⸣ mu⸢saranu] (餅を\ruby{毟}{ムシ}ろう<引き千切ろう>とするが、毟られない)。 ⸢ムチェー⸣ ム⸢シ⸣トゥリ ⸣ミサカー ム⸢ス⸣クトー ⸣ナルン [mu⸢ʧeː⸣ mu⸢ʃi⸣turi ⸣misakaː mu⸢su⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (餅は毟りとってよければ、毟ることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢シェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim mu⸢ʃeː⸣ misamunu] (もっと毟ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ム⸢シ⸣バ [⸢paː⸣ku mu⸢ʃi⸣ba] (早く毟れよ)。つねる(抓る)。 ウ⸢レー⸣ プ⸢ス⸣ ム⸢ス⸣ フ⸢シヌ⸣ アン [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢su⸣ mu⸢su⸣ ɸu̥⸢ʃinu⸣ ʔaŋ] (彼は人をつねる<抓る>癖がある)。 16846 2 0 16783 htmvoc_16846.wav ムスン ム⸢スン [mu⸢suŋ] 自動 {PoS_2}千切れる。 ピ⸢キスク⸣カー ム⸢スンダ⸣ ピ⸢キスクナ [pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː mu⸢suda⸣ pi̥⸢kisukuna] (引っ張る<引き付ける>と千切れるから、引っ張るな) 16847 0 1 16784 htmvoc_16847.wav ムタイサカイ ⸣ムタイサカイ [⸣mutaisakai] 名 {Mn_1}繁茂すること。繁り栄えること。 ス⸢クリ⸣ムノー ⸣ムタイサカイ ⸢スン⸣ケン サ⸢カリティ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [su̥⸢kuri⸣munoː ⸣mutaisakai ⸢suŋ⸣ken sḁ⸢kariti⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (作物は覆い被さるように繁茂して羨ましい)。 16847 0 2 16785 htmvoc_16847.wav ムタイサカイ ⸣ムタイサカイ [⸣mutaisakai] 名 {Mn_2}植物が生い茂るように子孫が繁盛すること。 ⸢ウン⸣ネーヤ ッ⸢ふァ⸣マーン ⸣ムタイサカイ ⸢シー⸣ サ⸢カリ ブー [⸢ʔun⸣neːja f⸢fa⸣maːm ⸣mutaisakai ⸢ʃiː⸣ sḁ⸢kari buː] (その家は子孫も植物が生い茂るように大繁盛している) 16849 0 0 16786 htmvoc_16849.wav ムタイスクイ ⸣ムタイスクイ [⸣utaisukui] 名 手の平<掌>にのせて大事に取り扱うこと。 ⸣ムタイスクイ ⸢シェー⸣ティ ス⸢ダティラ⸣レール ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ フンダイ シー⸣ナ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣mutaisu̥kui ⸢ʃeː⸣ti su⸢datira⸣reːru f⸢fa⸣ ja⸢runda ɸundai ʃiː⸣na na⸢ra⸣nu] (掌に載せて大事にされて育てられた子だから、我がまま放題で堪らない) 16848 0 0 16787 htmvoc_16848.wav ムタイルン ム⸢タイ⸣ルン [mu⸢tai⸣ruŋ] 他動 持ち上げる。「もたげ(擡げ)、下二段。かしらもたげて~。」『竹取物語』の転訛したもの。 ス⸢ブ⸣ル ム⸢タイ⸣ルンティ ⸢スンドゥ キュー⸣ヤ(ワ)ス⸢ブ⸣ル ⸢グッふァ⸣ヌ ム⸢タイララ⸣ヌ [su⸢bu⸣ru mu⸢tai⸣runti ⸢sundu kjuː⸣ja(wa) su⸢bu⸣ru ⸢guffa⸣nu mu⸢tairara⸣nu] (頭を持ち上げ<もたげ>ようとするが、今日は頭が重くて、持ち上げられない)。 ス⸢ブ⸣ル ⸣ムタイ ⸣ミサカー ム⸢タイ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ フ⸢ルマーリスバン [su⸢bu⸣ru ⸣mutai ⸣misakaː mu⸢tai⸣ru ⸣ku̥toː na⸢run⸣du ɸu⸢rumaːrisubaŋ] (頭を\ruby{擡}{モタ}げてよければ擡げることはできるが、ふらつくわい)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢タイ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim mu⸢tai⸣reː ⸣misamunu] (もっと\ruby{擡}{モタ}げればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ス⸢ブ⸣ル ム⸢タイ⸣リ [⸢paː⸣ku su⸢bu⸣ru mu⸢tai⸣ri] (早く頭を持ち上げ<擡げ>よ) 16850 0 0 16788 htmvoc_16850.wav ムタウン ⸣ムタウン [⸣mutauŋ] 他動 持ち上げる。もたげる(「\ruby{擡}{モタ}ぐ」{EOS}下二段)。「Motague,uru,eta.モタゲ、グル、ゲタ(擡げ、ぐる、げた)持ち上げる」『邦訳日葡辞書』の四段活用化したもの。 ス⸢ブ⸣ル ⸣ムタウン [su⸢bu⸣ru ⸣mutauŋ] (頭を持ち上げる)。 ⸢ター⸣ラ ⸣ムタウンティ ⸢スンドゥ タンガ⸣シェー ム⸢ターラン⸣バ ⸢マーズン⸣シ ⸣ムタイ ッ⸢ふィーリ [⸢taː⸣ra ⸣mutaunti ⸢sundu taŋga⸣ʃeː mu⸢taːram⸣ba ⸢maːʣuŋ⸣ʃi ⸣mutai f⸢fiːri] (俵を持ち上げようとするが、一人では持ち上げられないので一緒に持ち上げてくれよ)。 ウ⸢リ⸣ ムタウ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ri⸣ mutau pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (それを持ち上げる人はいない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ウンター⸣ ム⸢タイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢ʔuntaː⸣ mu⸢tai⸣jaː ⸣misamunu] (もっと上へ持ち上げればいいのに)。 ン⸢ベーマ⸣ ムタイバ [ʔm⸢beːma⸣ mutaiba] (少し持ち上げなさいよ) 16851 0 0 16789 htmvoc_16851.wav ムタスン ム⸢タ⸣スン [mu⸢ta⸣suŋ] 他動 持たせる。支えさせる。保たせる。 ⸣ヤー ム⸢タ⸣スン [⸣jaː mu⸢ta⸣suŋ] (所帯を持たせる<家を持たせる>)。 ⸣フニ ム⸢タ⸣スン [⸣ɸuni mu⸢ta⸣suŋ] (操船させる<船を持たせる>)。 ⸣ティーナ ム⸢タ⸣スン [⸣tiːna mu⸢ta⸣suŋ] (手に持た<所持さ{EOS}携帯さ>せる)。 ウ⸢リンマー⸣ ム⸢タサ⸣ヌ [ʔu⸢rimmaː⸣ mu⸢tasa⸣nu] (彼には持たせない)。 ク⸢リン⸣ ム⸢タシ⸣プサン [ku⸢rim⸣ mu⸢taʃi⸣pu̥saŋ] (これも持たせたい)。 ク⸢リンマー⸣ ジン ム⸢タ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢rimmaː⸣ ʤim mu⸢ta⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これ<この人>には、お金を持たせることは罷りならぬ)。 ン⸢ベーマー⸣ ム⸢タ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ mu⸢ta⸣ʃeː ⸣misamunu] (少しは持たせばよいのに)。 ⸣クベー ヤー⸢ディン⸣ ム⸢タ⸣シ [⸣kubeː ja⸢dim⸣ mu⸢ta⸣ʃi] (これだけは必ず持たせ<持参させ>よ) 16852 0 0 16790 htmvoc_16852.wav ムタブン ム⸢タ⸣ブン [mu⸢ta⸣buŋ] 他動 いじる(弄る)。もてあそぶ(弄ぶ)。「Moteasobi,モテアソビ、ブ、ゥダ(翫び、ぶ、うだ)楽しみ興ずる、あるいは、気慰みをする」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ム⸢タビ⸣ムヌ ム⸢タ⸣ブン [mu⸢tabi⸣munu mu⸢ta⸣buŋ] (玩具を\ruby{弄}{イジ}る<\ruby{玩}{モテアソ}ぶ>)。 ム⸢タビ⸣ムヌ ッ⸢ふィールバン⸣ ム⸢タバ⸣ヌ [mu⸢tabi⸣munu f⸢fiːrubam⸣ mu⸢taba⸣nu] (玩具を与えても\ruby{弄}{イジ}らない<玩ばない>)。 ム⸢タ⸣ビ ⸢ベー [mu⸢ta⸣bi ⸢beː] (弄っている)。 ム⸢タ⸣ブ ⸣ムヌン ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ta⸣bu ⸣munun ⸢naː⸣nu] (弄るものもない)。 ム⸢タ⸣ベー ⸣ミサムヌ [mu⸢ta⸣beː ⸣misamunu] (弄ればいいのに)。 ム⸢タ⸣ビバ [mu⸢ta⸣biba] (弄れよ) 16854 0 0 16791 htmvoc_16854.wav ムタリン ム⸢タ⸣リン [mu⸢ta⸣riŋ] 自動  持てる。持つことができる。⸣ムトゥン[⸣mutuŋ](持つ)の未然形に可能の助動⸣リン[⸣riŋ](れる)が下接して形成された可能動詞。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ⸢バン⸣ヌン ム⸢タ⸣リン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ⸢ban⸣nuŋ mu⸢ta⸣riŋ] (それぐらいは私にも持て<持たれ>る)。 アー⸢イ バン⸣マー ム⸢タラ⸣ヌ [ʔaː⸢i bam⸣maː mu⸢tara⸣nu] (いや、私には持てない)。 ⸣カイニ ⸢グッ⸣ふァ ⸣ムヌバ ム⸢タ⸣リ ⸣クトゥン ア⸢リ⸣ ブーバン [⸣kaini ⸢guf⸣fa ⸣munuba mu⸢ta⸣ri ⸣kutuŋ ʔa⸢ri⸣ buːbaŋ] (こんなに重い物を持てることもある<有りをる>よ) 16853 0 1 16792 htmvoc_16853.wav ムタルン ム⸢タ⸣ルン [mu⸢ta⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}もたれる。寄りかかる。「\ruby{凭}{モタレ}る、下二段」の四段活用化したもの。 ウ⸢レー ビー⸣ルカー ヤー⸢ディン⸣ プ⸢ス⸣ナー ム⸢タ⸣ルン [ʔu⸢reː biː⸣rukaː jaː⸢dim⸣ pu̥⸢su⸣naː mu⸢ta⸣ruŋ] (彼は酔うと必ず他人にもたれる)。 プ⸢ス⸣ナー ム⸢タラン⸣ドーシ ビ⸢リ [pu̥⸢su⸣naː mu⸢taran⸣doːʃi bi⸢ri] (他人にもたれないで座れ)。 ⸣パラーナ ム⸢タ⸣リティ ニ⸢ビ ベー [⸣paraːna mu⸢ta⸣riti ni⸢bi beː] (柱にもたれて寝ている)。 ビータ⸢ル⸣タンティン プ⸢ス⸣ナー ム⸢タ⸣ル ⸣クトー サ⸢ヌ [biːta⸢ru⸣tantim pu̥⸢su⸣naː mu⸢ta⸣ru ⸣ku̥toː sa⸢nu] (酔っ払っても他人にもたれることはしない)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢タ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim mu⸢ta⸣reː ⸣misamunu] (もっともたれればよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢タリ⸣バ [⸢maː⸣bim mu⸢tari⸣ba] (もっともたれよ)。 16853 0 2 16793 htmvoc_16853.wav ムタルン ム⸢タ⸣ルン [mu⸢ta⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}胃がもたれる。食物が消化されずに胃の中に残る。バ⸢タフク⸣ル ⸢スン[ba⸢taɸu̥ku⸣ru ⸢suŋ](胃がもたれ<\ruby{凭}{モタ}れ>る)の意味に用いられる。 ⸢イー⸣ ム⸢タ⸣リティ ⸢ドゥーグッふァ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ mu⸢ta⸣riti ⸢duːguffa⸣nu na⸢ra⸣nu] (胃が\ruby{凭}{モタ}れて、体が重くて堪らない) 16855 0 0 16794 htmvoc_16855.wav ムチ ム⸢チ [mu⸢ʧi] 名 餅。 ッ⸢ス⸣ムチ [s⸢su⸣muʧi] (白餅{EOS}主に法事の際に作る) ア⸢ガムチ [ʔa⸢gamuʧi] (赤餅{EOS}祝儀用の餅) ⸢キールムチ [⸢kiːrumuʧi] (黄色い餅{EOS}祝儀用の餅) ⸢アンム⸣チ [⸢ʔammu⸣ʧi] (\ruby{餡餅}{アン|モチ}) バ⸢タム⸣チ [ba⸢tamu⸣ʧi] (餡の入った餅<腹餅>) ⸢アーム⸣チ [⸢ʔaːmu⸣ʧi] (粟餅) ⸢ウンヌ⸣ムチ [⸢ʔunnu⸣muʧi] (\ruby{芋餅}{イモ|モチ}) ⸢プール⸣ムチ [⸢puːru⸣muʧi] (豊年祭に作る餅) バ⸢サン⸣パームチ [ba⸢sam⸣paːmuʧi] (芭蕉の葉で包んだ餅{EOS}豊年祭に作る餅) サ⸢ミンパームチ [sa⸢mimpaːmuʧi] (月桃の葉で包んだ餅{EOS}豊年祭に作る餅) カ⸢サン⸣パームチ [kḁ⸢sam⸣paːmuʧi] (木の葉餅<柏の葉餅{EOS}芋餅>))。フ⸢チャ⸣ギ[ɸu̥⸢ʧa⸣gi](十五夜の餅)、フ⸢カン⸣ガイ[ɸu̥⸢kaŋ⸣gai](十五夜に作るどろどろの餅{EOS}<吹き上がり>の転訛か)などがある。 ム⸢チェー⸣ ム⸢チマイバ⸣ フ⸢クラシティ⸣ イ⸢ソーシ⸣ナ ピ⸢キ クーフク⸣ルナ イ⸢リティ⸣ ミ⸢ジェー⸣ ピ⸢サ⸣シティ ⸢クー⸣バ バ⸢サン⸣パーナ ッ⸢ス⸣ミティ ⸢クシ⸣キナ ン⸢ブ⸣シティル ス⸢ク⸣ローッタ [mu⸢ʧeː⸣ mu⸢ʧimaiba⸣ ɸu̥⸢kuraʃi̥ti⸣ ʔi⸢soːʃi⸣na pi̥⸢ki kuːɸu̥ku⸣runa ʔi⸢riti⸣ mi⸢ʤeː⸣ pi̥⸢sa⸣ʃi̥ti ⸢kuː⸣ba ba⸢sam⸣paːna s⸢su⸣miti ⸢kuʃi̥⸣kina ʔm⸢bu⸣ʃi̥tiru su̥⸢ku⸣roːtta] (餅は\ruby{糯米}{モチ|ゴメ}を水に\ruby{浸}{ツ}け、ふやかして石臼で\ruby{挽}{ヒ}き、餅粉袋に入れて水を切り、澱粉を芭蕉の葉に包んで\ruby{甑}{コソキ}に蒸して作られた) 16856 0 1 16795 htmvoc_16856.wav ムチ ム⸢チ [mu⸢ʧi] 名 {Mn_1}もち(黐)。「黐、毛知(もち)」『和名抄』の転訛したもの。ム⸢チンキー[mu⸢ʧiŋkiː](モチノキ)の皮を搗き砕き水で洗って\ruby{屑}{クズ}や繊維を除去した粘りつよいもの。細い竿の先に塗りつけて小鳥を捕獲するのに用いた。 ム⸢チ シッ⸣キティ メ⸢ジ⸣ロ シ⸢ビシカ⸣デイー [mu⸢ʧi ʃik⸣kiti me⸢ʤi⸣ro ʃi⸢bisi̥ka⸣diː] (もち<黐>を搗いてメジロをくっつけよう<捕獲しよう>よ)。 16856 0 2 16796 htmvoc_16856.wav ムチ ム⸢チ [mu⸢ʧi] 名 {Mn_2}漆喰。「黐、毛知(もち)、」『和名抄』の転訛したものか。海中の枝珊瑚やテーブル珊瑚を採取して焼いて⸢ウールパイ[⸢ʔuːrupai](粉末{EOS}「珊瑚の灰」)にし、稲藁を切って加え、水をかけて\ruby{捏}{コ}ね合わせたもの。⸢ウールパイ[⸢ʔuːrupai](石灰)は\ruby{漆喰}{シッ|クイ}にする前の粉末をいう。鳩間島で最初のム⸢チヌーリプス[mu⸢ʧinuːripu̥su](左官屋{EOS}「黐塗り人」の義)は小浜真栄氏と鳩間昇氏で、石垣島で営業していた。昔は島人自身で漆喰を作って瓦葺の家に塗っていた。 ⸢カー⸣ラヤーヤヌ ⸢カー⸣ラー ム⸢チ⸣ ッ⸢ふァーサン⸣カー ⸢タイ⸣フーナ トゥ⸢バサリス [⸢kaː⸣rajaːnu ⸢kaː⸣raː mu⸢ʧi⸣ f⸢faːsaŋ⸣kaː ⸢tai⸣ɸuːna tu⸢basarisu] (瓦葺家の瓦は漆喰を塗らない<喰わさない>と台風で飛ばされてしまう) 16870 0 1 16797 htmvoc_16870.wav ムチームチーシ ム⸢チームチー⸣シ [mu⸢ʧiːmuʧiː⸣ʃi] 副 {Mn_1}粘っこく。 ⸢ホーライマイ⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ ム⸢チームチー⸣シティ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン ⸢ザイレーマイ⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ サ⸢バー⸣ンダ ⸢カイ⸣ タ⸢クバル⸣ ン⸢マー [⸢hoːraimai⸣nu ⸢ʔiː⸣ja mu⸢ʧiːmuʧiː⸣ʃi̥ti ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣n ⸢ʣaireːmai⸣nu ⸢ʔiː⸣ja sḁ⸢paː⸣nda ⸢kai⸣ tḁ⸢kubaru⸣ ʔm⸢maː] (蓬莱米のご飯は粘っこくて非常に美味しい{EOS}在来米のご飯は粘り気がなく、さくい<淡白である>からお粥に炊いたほうが美味しい)。 16870 0 2 16798 htmvoc_16870.wav ムチームチーシ ム⸢チームチー⸣シ [mu⸢ʧiːmuʧiː⸣ʃi] 副 {Mn_2}むつまじく(睦まじく)。 ⸢キョーダイ⸣サ ム⸢チームチー⸣シ パ⸢ナ⸣シ ⸢オー⸣ルン [⸢kjoːdai⸣sa mu⸢ʧiːmuʧiː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ruŋ] (兄弟で\ruby{睦}{ムツ}まじく話しておられる) 16857 0 0 16799 htmvoc_16857.wav ムチアー ム⸢チアー [mu⸢ʧiʔaː] 名 (植)もちあわ(糯粟)。粘り気のある粟。\ruby{粳米}{ウルチ|マイ}に混ぜて炊くと粘り気が出て美味しいご飯に炊き上がる。芋に\ruby{糯粟}{モチ|アワ}を混ぜてご飯に炊くと、芋の澱粉と粟の\ruby{糯}{モチ}みが溶け合い、適当に粘り気が出て美味しく炊き上がる。 サ⸢ク⸣マイナー ム⸢チアー⸣ マ⸢ザー⸣シティ バ⸢カス⸣カー ン⸢マー⸣ン⸢ダー [sḁ⸢ku⸣mainaː mu⸢ʧiʔaː⸣ ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ba⸢kasu⸣kaː ʔm⸢maː⸣n⸢daː] (粳米に糯粟を混ぜて炊くと美味しいよ) 16858 0 0 16800 htmvoc_16858.wav ムチアーシ ム⸢チアー⸣シ [mu⸢ʧiʔaː⸣ʃi] 名 石灰に藁屑を加えて搗き\ruby{捏}{コ}ねること。漆喰を搗くこと。 ⸢バン⸣ター ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン パ⸢トゥ⸣マナーティ ム⸢チアー⸣シ シ⸢ミラリ ミッ⸣タン [⸢ban⸣taː ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kem pḁ⸢tu⸣manaːti mu⸢ʧiʔaː⸣ʃi ʃi⸢mirari mit⸣taŋ] (私たちは子供の頃、鳩間島で漆喰搗き<漆喰の\ruby{捏}{コネ}ね合わせ>をさせられたことがある) 16859 0 0 16801 htmvoc_16859.wav ムチアーシプス ム⸢チアーシ⸣プス [mu⸢ʧiʔaːʃi⸣pu̥su] 名 左官。漆喰を作って屋根瓦に漆喰を塗る人。 ム⸢チアーシプス⸣ヌ ブ⸢ラーンダ カーラ⸣ヌ ム⸢チン ヌーララヌ<ッ⸢ふァーサラヌ> [mu⸢ʧiʔaːʃipu̥su⸣nu bu⸢raːnda kaːra⸣nu mu⸢ʧin nuːraranu] (左官<漆喰を塗る人>がいないので、瓦に漆喰も塗られない) 16860 0 0 16802 htmvoc_16860.wav ムチアースン ⸢ムチ アー⸣スン [mu⸢ʧi ʔaː⸣suŋ] 連 漆喰を\ruby{搗}{ツ}く。石灰に稲藁を刻んで混ぜ合わせ、水を加えて搗き、漆喰にした。その漆喰を塗る。 ⸢カー⸣ラヤー フ⸢コー⸣ル ⸣ピンマー ム⸢チ アー⸣スンティ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣モーッタン [⸢kaː⸣rajaː ɸu̥⸢koː⸣ru ⸣pimmaː mu⸢ʧi ʔaː⸣sunti pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣moːttaŋ] (瓦屋根を葺かれる時は、漆喰を搗く<漆喰を合わせる>とて、人手<人>を頼まれたものだ)。 ム⸢チ アー⸣シティ ⸢ヌーリ [mu⸢ʧi ʔaː⸣ʃi̥ti ⸢nuːri] (漆喰を搗いて塗りなさい) 16861 0 0 16803 htmvoc_16861.wav ムチアーラスン ム⸢チ アーラスン [mu⸢ʧi ʔaːrasuŋ] 連 餅を蒸し煮する。餅や蒸し菓子などを\ruby{甑}{コシキ}で蒸し上げる。 ⸢クシ⸣キナ ム⸢チカゴー⸣ イ⸢リティ アーラシ⸣バ [⸢kuʃi̥⸣kina mu⸢ʧikagoː⸣ ʔi⸢riti ʔaːraʃi⸣ba] (甑に餅籠を入れて蒸し煮し<蒸し上げ>なさいよ) 16862 0 1 16804 htmvoc_16862.wav ムチアギルン ム⸢チアギ⸣ルン [mu⸢ʧiʔagi⸣ruŋ] 他動 {Mn_1}持ち上げる。標準語から転訛したもの。普通は、ム⸢タイ⸣ルン[mu⸢tai⸣ruŋ](持ち上げる)という。 ⸢ティンマ⸣ ム⸢チアギ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ム⸢チアギララ⸣ヌ [⸢timma⸣ mu⸢ʧiʔagi⸣runti ⸢sundu⸣ mu⸢ʧiʔagirara⸣nu] (伝馬船を持ち上げようとするが、持ち上げられない)。 16862 0 2 16805 htmvoc_16862.wav ムチアギルン ム⸢チアギ⸣ルン [mu⸢ʧiʔagi⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}他人を誉めそやす。盛んに誉める。 プ⸢スバ⸣ フ⸢ミマラバ⸣シ ム⸢チ⸣アギ ⸢ベー⸣ヌ ⸣イカーラ ⸣シジカヤー [pu̥⸢suba⸣ ɸu⸢mimaraba⸣ʃi mu⸢ʧi⸣ʔagi ⸢beː⸣nu ⸣ʔikaːra ⸣ʃiʤikajaː] (人を誉めそやし持ち上げているが、如何なるわけだろうか) 16863 0 0 16806 htmvoc_16863.wav ムチイズ ム⸢チイズ [mu⸢ʧiʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、フエフキダイ科、のこぎりだい(体長20~25センチ)。「もち魚」の義。鳩間島の⸢マイ⸣ズニ[⸢mai⸣ʣuni](前曽根)や⸢クー⸣シビー[⸢kuː⸣ʃibiː](南西の干瀬)では、体長約20センチのムチイズがよく釣れた。ムチイズはテーブルサンゴの下などに集まっていて、潮の干満によって移動する。熟達した漁師は魚巣を探し当てて魚釣りをした。⸣アミツァ[⸣ʔamiʦa](やどかり)を餌にするとよく釣れた。⸣アミツァ[⸣ʔamiʦa]の爪や、パ⸢ロー⸣マ[pa⸢roː⸣ma](ツノメガニ{EOS}浜に棲息する蟹)を砂と混ぜて搗き\ruby{潰}{ツブ}し、\ruby{撒餌}{マキ|エ}にするとよく釣れた。 ム⸢チイゾー⸣ アミツァバ ⸢ムン⸣ダニ ⸢スー⸣カー イッ⸢ケナ ホーサリ⸣タン [mu⸢ʧiʔiʣoː⸣ ʔamiʦaba ⸢mun⸣dani ⸢suː⸣ka ʔik⸢kena hoːsari⸣taŋ] (のこぎりだいは、ヤドカリを\ruby{餌}{エサ}にるすと、よく釣れた)。煮魚にも\ruby{蒲鉾}{カマ|ボコ}の原料にも重宝された 16871 0 0 16807 htmvoc_16871.wav ムチカサン ム⸢チカ⸣サン [mu⸢ʧika⸣saŋ] 形 むずかしい(難しい)。困難である。若年層の言葉。老年層は、ム⸢チ⸣キサン[mu⸢ʧi⸣kisaŋ](難しい)という。 シ⸢グトー⸣ ム⸢チカ⸣サンドゥ ナ⸢リ⸣ルカー ム⸢チカサー ナー⸣ヌ [ʃi⸢gutoː⸣ mu⸢ʧika⸣sandu na⸢ri⸣rukaː mu⸢ʧikasaː naː⸣nu] (仕事は難しいが、慣れたら難しくない)。 ⸢シンダイ⸣ ム⸢チカ⸣サ ナ⸢リ⸣スンドゥ ム⸢チカ⸣サー(ル) ⸣クトー ッ⸢シブター [⸢ʃindai⸣ mu⸢ʧika⸣sa na⸢ri⸣sundu mu⸢ʧika⸣sa(ru)ː ku̥toː ʃ⸢ʃibuta] (次第に難しくなるけれど、難しいことは知っていた)。 ム⸢チ⸣カサカー ⸢バン⸣マー ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢ʧi⸣kasakaː ⸢bam⸣maː na⸢ra⸣nu] (難しかったら私には出来ない) 16872 0 0 16808 htmvoc_16872.wav ムチカシー ム⸢チカシー [mu⸢ʧikaʃiː] 連体 むずかしい(難しい)。ム⸢チカ⸣サンとも言う。 ム⸢チカシー⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ウ⸢ク⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ʧikaʃiː⸣ ku̥⸢tu⸣nu ʔu⸢ku⸣ri ⸢naː⸣nu] (難しい問題<難問>が起きてしまった) 16873 0 0 16809 htmvoc_16873.wav ムチキサン ム⸢チ⸣キサン [mu⸢ʧi⸣kisaŋ] 形 むつかしい(難しい)。困難である。扱いにくい。厄介である。老年層の言葉。 シ⸢ケン⸣マー イッ⸢ケン⸣ ム⸢チ⸣キサン [ʃi̥⸢kem⸣maː ʔik⸢kem⸣ mu⸢ʧi⸣ki̥saŋ] (試験は非常に難しい)。 ⸣ナラウカー ム⸢チキサナー⸣ヌ [⸣naraukaː mu⸢ʧikisanaː⸣nu] (馴れたら難しくない)。 ム⸢チ⸣キサ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ʧi⸣ki̥sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (難しいことはない)。 ム⸢チ⸣キサカー ヤ⸢ミリ⸣バ [mu⸢ʧi⸣ki̥sakaː ja⸢miri⸣ba] (難しかったら止めなさいよ) 16864 0 0 16810 htmvoc_16864.wav ムチスクルン ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣ルン [mu⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣ruŋ] 連 餅を作る。 ⸣アッパー ⸢ソーニヨイヌ⸣ ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣ルンティ シ⸢キ⸣ウシ フ⸢ターチ⸣ タティティ ム⸢チマイ⸣ ッサウンティ ⸢ベー⸠ダー [⸣ʔappaː⸢soːnijoinu⸣ mu⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣runti ʃi̥⸢ki⸣ʔuʃi ɸu̥⸢taːʧi⸣ tḁtiti mu⸢ʧimai⸣ ssaunti ⸢beː⸠daː] (お祖母さんの生年祝いの餅を作るといって、搗き臼を二台立てて、\ruby{糯米}{モチ|ゴメ}を\ruby{精}{シラ}げようといているんだよ) 16865 0 0 16811 htmvoc_16865.wav ムチゾーグ ム⸢チゾーグ [mu⸢ʧiʣoːgu] 名 \ruby{餅}{モチ}\ruby[g]{上戸}{ジョウゴ}。餅をたくさん食べる人。 ム⸢チゾーゴー⸣ バ⸢タ⸣ムチェーラン ッ⸢スムチ⸣ル ン⸢マ⸣ー ⸢スー⸠ダー [mu⸢ʧiʣoːgoː⸣ ba⸢ta⸣muʧeːran s⸢sumuʧi⸣ru ʔm⸢ma⸣ː ⸢suː⸠daː] (餅上戸は\ruby{餡餅}{アン|モチ}<腹餅{EOS}餅の腹に餡を入れたもの>よりも白餅を好む<美味しくするんだ>よ) 16866 0 0 16812 htmvoc_16866.wav ムチッふァーシプス ム⸢チッふァーシプス [mu⸢ʧiffaːʃipusu] 名 漆喰を塗る人。左官。「漆喰食わせる(塗る)人」の義。 イ⸢サナケーラ⸣ ム⸢チッふァーシプス⸣ タ⸢ナ⸣ミキー ⸢カー⸣ラ ム⸢チ⸣ ッ⸢ふァーシタ [ʔi⸢sanakeːra⸣ mu⸢ʧiffaːʃipu̥su⸣ ta⸢na⸣mikiː ⸢kaː⸣ra mu⸢ʧi⸣ f⸢faːʃi̥ta] (石垣島から左官<漆喰を塗る人>を頼んできて瓦に漆喰を塗っ<喰わせた>た) 16867 0 0 16813 htmvoc_16867.wav ムチッふァースン ム⸢チ⸣ ッ⸢ふァースン [mu⸢ʧi⸣ f⸢faːsuŋ] 連 漆喰を塗る<喰わせる>。 ⸢カー⸣ラヤーヌ ⸢カー⸣ラー ム⸢チ⸣ ッ⸢ふァーサン⸣カー ウ⸢ブカジ⸣ナー トゥ⸢バサリスンダ⸣ ム⸢チ⸣ ッ⸢ふァースンティ ベー⸣ダー [⸢kaː⸣rajaːnu ⸢kaː⸣raː mu⸢ʧi⸣ f⸢faːsaŋ⸣kaː ʔu⸢bukaʤi⸣naː tu⸢basarisunda⸣ mu⸢ʧi⸣ f⸢faːsunti beː⸣daː] (瓦葺屋根の瓦は漆喰をを塗らないと台風で飛ばされるから、漆喰を塗ろうとしているところだよ) 16882 0 0 16814 htmvoc_16882.wav ムチナウスン ム⸢チナウ⸣スン [mu⸢ʧinau⸣suŋ] 他動 持ち直す。病状や状況が以前の状態に好転する。 フ⸢チル⸣ヌ ヌ⸢マ⸣リカー ム⸢チナウ⸣スンティ ウ⸢モーリン⸣ドゥ ヌ⸢マラン⸣ダー ム⸢チナウサラ⸣ヌ [ɸu̥⸢ʧiru⸣nu nu⸢ma⸣rikaː mu⸢ʧinau⸣suntiŋ ʔu⸢moːrin⸣du nu⸢maran⸣daː mu⸢ʧinausara⸣nu] (薬が飲めたら持ち直すとも思われるが、飲めないから持ち直されない)。 マ⸢ナ⸣マー ム⸢チナウ⸣シ ⸢ベー⸠ダー [ma⸢na⸣maː mu⸢ʧinau⸣ʃi ⸢beː⸠daː] (今は持ち直しているよ)。 ム⸢チナウ⸣ス ⸣クトゥン ア⸢リ⸣ブーバン⸢ナー [mu⸢ʧinau⸣su ⸣ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣buːban⸢naː] (持ち直すこともあるのだねえ)。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌミティ ⸢パー⸣ク ム⸢チナウ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numiti ⸢paː⸣ku mu⸢ʧinau⸣ʃeː ⸣misamunu] (薬を飲んで早く持ち直せばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ム⸢チナウ⸣シ [jaː⸢dim⸣ mu⸢ʧinau⸣ʃi] (必ず持ち直せ) 16883 0 0 16815 htmvoc_16883.wav ムチナウルン ム⸢チナウ⸣ルン [mu⸢ʧinau⸣ruŋ] 自動 回復する。「持ち直る」の義。 フ⸢チ⸣ル ヌ⸢マ⸣シェーチバ ⸣ニチェー ⸣アツァー ム⸢チナウ⸣ルンティ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ ム⸢チナウラン⸣バン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru nu⸢ma⸣ʃeːʧiba ⸣niʧeː ⸣ʔaʦaː mu⸢ʧinau⸣runti ʔa⸢ʣoːtta⸣nu ma⸢da⸣ mu⸢ʧinauram⸣baŋ] (薬を飲ませたから、熱は明日回復するといわれたが、まだ回復しないよ)。 ⸢シンダイ⸣ ム⸢チナウ⸣リ ⸣ケーン [⸢ʃindai⸣ mu⸢ʧinau⸣ri ⸣keːŋ] (次第に回復してきた)。 ム⸢チナウ⸣ル ⸣クトー ム⸢チカ⸣サン⸢ダー [mu⸢ʧinau⸣ru ⸣ku̥toː mu⸢ʧika⸣san⸢daː] (回復することは難しいよ)。 ム⸢チナウ⸣レー ⸣ミサムヌ [mu⸢ʧinau⸣reː ⸣misamunu] (回復すればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ム⸢チナウ⸣リ [jaː⸢dim⸣ mu⸢ʧinau⸣ri] (必ず回復せよ) 16874 0 0 16816 htmvoc_16874.wav ムチナスン ム⸢チナ⸣スン [mu⸢ʧina⸣suŋ] 他動 移す。移転させる。場所を移す。移動する。 ⸢ドングペン⸣グ ム⸢チナ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢グッふァ⸣ヌ ム⸢チナサラ⸣ヌ [⸢doŋgupeŋ⸣gu mu⸢ʧina⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ⸢guffa⸣nu mu⸢ʧinasara⸣nu] (道具類を移動しようと思うが、重くて移動できない)。 ⸢ニーム⸣チ ム⸢チナ⸣シ ⸣ミサカー ⸢タンガ⸣シン ム⸢チナ⸣ス⸣クトー ⸣ナルン [⸢niːmu⸣ʧi mu⸢ʧina⸣ʃi ⸣misakaː ⸢taŋga⸣ʃim mu⸢ʧina⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (荷物を移動してよければ、一人ででも移動することは出来る)。 ⸢パー⸣ク ム⸢チナ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku mu⸢ʧina⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く移せばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢マー⸣ ム⸢チナ⸣シ [⸢maː⸣biŋ ka⸢maː⸣ mu⸢ʧina⸣ʃi] (もっと向こうへ移しなさい)。 ⸢タン⸣シ ム⸢チナ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢タンガ⸣シェー ム⸢チナサラヌ [⸢taŋ⸣ʃi mu⸢ʧina⸣sunti ⸢beː⸣ndu ⸢taŋga⸣ʃeː mu⸢ʧinasara⸣nu] (箪笥を移動しようとしているが、一人では移動させられない)。 ム⸢チナ⸣シ ⸣ミサカー ⸢タンガ⸣シン ム⸢チナ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [mu⸢ʧina⸣ʃi ⸣misakaː ⸢taŋga⸣ʃim mu⸢ʧina⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (移動して良ければ一人ででも移動する<移す>ことはできる)。 ⸢パー⸣ク ム⸢チナ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku mu⸢ʧina⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く移動すれば良いのに)。 ⸣ドゥーシ ム⸢チナ⸣シバ [⸣duːʃi mu⸢ʧina⸣ʃiba] (自分で移動させ<移せ>よ) 16875 0 0 16817 htmvoc_16875.wav ムチナルン ム⸢チ⸣ナルン [mu⸢ʧi⸣naruŋ] 自動 移る。場所を移る。移転する。移動する。 ス⸢バー⸣ ム⸢チ⸣ナルンティ ⸢スンドゥ⸣ シ⸢バー⸣ヌ ム⸢チナーララ⸣ヌ [su⸢baː⸣ mu⸢ʧi⸣narunti ⸢sundu⸣ ʃi⸢baː⸣nu u⸢ʧinaːrara⸣nu] (側へ移ろうとするが、狭くて移られない)。 ン⸢ベーマ⸣ ス⸢バー⸣ ム⸢チ⸣ナリティ ⸢ワンヌン⸣ ビ⸢ラスンティ スンドゥ⸣ ム⸢チ⸣ナル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣バン [ʔm⸢beːma⸣ su⸢baː⸣ mu⸢ʧi⸣nariti ⸢wannum⸣ bi⸢rasunti sundu⸣ mu⸢ʧi⸣naru ⸣ku̥toː na⸢ram⸣baŋ] (少し側に移動して君も座らせようとするが、側に寄る<移動する>ことはできないわい)。 ン⸢ベーマ⸣ ム⸢チ⸣ナレー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma⸣ mu⸢ʧi⸣nareː ⸣misamuu] (少し側に寄れ<移動すれ>ばいいのに)。 ⸣クマーラ ⸢パー⸣ク ム⸢チ⸣ナリ [⸣kumaːra ⸢paː⸣ku mu⸢ʧi⸣nari] (ここから早く移動せよ<側に移れ>) 16885 0 0 16818 htmvoc_16885.wav ムチヌーリ ム⸢チヌーリ [mu⸢ʧinuːri] 名 漆喰塗り。 ⸢カー⸣ラー ム⸢チヌーリ サン⸣カー カ⸢ジ⸣ナ トゥ⸢バサリス [⸢kaː⸣raː mu⸢ʧinuːri saŋ⸣kaː ka⸢ʤi⸣na tu⸢basarisu] (瓦は漆喰を塗らないと台風で飛ばされる) 16886 0 0 16819 htmvoc_16886.wav ムチヌーリピラ ム⸢チヌーリ⸣ピラ [mu⸢ʧinuːri⸣pira] 名 漆喰を塗るこて(\ruby{鏝}{コテ})。「漆喰塗り箆」の義。 ム⸢チヌーリピラ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ム⸢チェー ヌーララヌ [mu⸢ʧinuːripira⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː mu⸢ʧeː nuːraranu] (漆喰を塗る\ruby{鏝}{コテ}がないと漆喰は塗れない) 16876 0 0 16820 htmvoc_16876.wav ムチヌーリプス ム⸢チヌーリプス [mu⸢ʧinuːripu̥su] 名 左官。「漆喰を塗る人」の義。 マ⸢ナ⸣マー ⸢カー⸣ラヤーヌ ⸢ナーン⸣ ナ⸢ル⸣ター ム⸢チヌーリプスン⸣ ブ⸢ラーン⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ⸢kaː⸣rajaːnu ⸢naːn⸣ na⸢ru⸣taː mu⸢ʧinuːripu̥sum⸣ bu⸢raːn⸣nari ⸢naː⸣nu] (今は瓦葺の家が無くなったので左官もいなくなってしまった)。 パ⸢トゥ⸣マナーン ム⸢チヌーリプソー オーッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaːm mu⸢ʧinuːripu̥soː ʔoːt⸣taŋ] (鳩間島にも漆喰を塗る人はおられた) 16877 0 0 16821 htmvoc_16877.wav ムチヌールン ム⸢チ ヌールン [mu⸢ʧi nuːruŋ] 連 漆喰を塗る。ム⸢チ⸣ ッ⸢ふァースン[mu⸢ʧi⸣ f⸢faːsuŋ](漆喰を塗る<喰わす>)ともいう。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸢クーン⸣ケン ⸢カー⸣ラナ ム⸢チ ヌールンティ カン⸣ガイ ⸢ベー [⸢taiɸuː⸣nu ⸢kuːŋ⸣keŋ ⸢kaː⸣rana mu⸢ʧi nuːrunti kaŋ⸣gai ⸢beː] (台風の来ないうちに瓦に漆喰を塗ろう<喰わそう>と考えている) 16888 0 0 16822 htmvoc_16888.wav ムチヌバ ム⸢チヌ⸣バ [mu⸢ʧinu⸣ba] 名 (動)魚の名。和名、ニセカエルウオ(雌)(体長約10センチ)。 ム⸢チヌ⸣バーティ ⸢スー⸣ イ⸢ゾー⸣ バー ッ⸢サンシェン [mu⸢ʧinu⸣baːti ⸢suː⸣ ʔi⸢ʣoː⸣ baː s⸢saŋʃeŋ] (ムチヌバーという魚は、私は知らなかった) 16868 0 0 16823 htmvoc_16868.wav ムチヌミース ム⸢チヌミー⸣ス [mu⸢ʧinumiː⸣su] 名 餅で作った味噌。餅味噌。豊年祭に作ったバ⸢サン⸣パームチ(芭蕉の葉餅)の食べ残りを集めて⸢コージ[⸢koːʤi](麹)を作り、それで作った美味しい味噌。⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)と同様、菓子代用の副食物となった。甕に詰めておき、時々酒を振りかけておくので酒の味がしみこんでおり、大人たちのお八つとして食されていた。 ム⸢チヌミー⸣ス ⸢サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シバ [mu⸢ʧinumiː⸣su ⸢saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (餅で作った味噌<餅味噌>を茶請けに出しなさいよ) 16889 0 0 16824 htmvoc_16889.wav ムチノースン ム⸢チノー⸣スン [mu⸢ʧinoː⸣suŋ] 他動 持ち直す。病状などの状況が以前の状態に好転する。標準語からの借用語。老年層はム⸢ティナウ⸣スン[mu⸢tinau⸣suŋ](持ち直す)という。 フ⸢チ⸣ル ヌ⸢マ⸣スカー ム⸢チノー⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ク⸢ヌブン⸣シェー ム⸢チノーサン⸣パジ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru nu⸢ma⸣sukaː mu⸢ʧinoː⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ku⸢nubuŋ⸣ʃeː mu⸢ʧinoːsam⸣paʤi] (薬を飲ませたら持ち直すと思うが、このぶんでは持ち直さないだろう<はずだ>)。 ム⸢チノー⸣シ ⸣ケーン [mu⸢ʧinoː⸣ʃi ⸣keːŋ] (持ち直してきた)。 ム⸢チノー⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ʧinoː⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (持ち直すことはない)。 ム⸢チノー⸣シェー ⸣ミサムヌ [mu⸢ʧinoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (持ち直せばいいのに)。 フ⸢チ⸣ル ⸣ヌミティ ム⸢チノー⸣シ [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numiti mu⸢ʧinoː⸣ʃi] (薬を飲んで持ち直せ) 16869 0 0 16825 htmvoc_16869.wav ムチマイ ム⸢チマイ [mu⸢ʧimai] 名 (植)もちごめ(糯米)。もちいね(糯稲)からとれる粘り気の強い米。餅の素材となる米。サ⸢ク⸣マイ[sḁ⸢ku⸣mai](うるち<粳>米)の対義語。ム⸢チマイヌ⸣イー[mu⸢ʧimainu⸣ʔiː](糯米の御飯)は、⸢ソッ⸣コー[⸢sok⸣koː](法事・焼香)や⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆・精霊会)の時に炊飯され、お椀に二重盛りにして供えられた。 ム⸢チマイ⸣シル ム⸢チェー⸣ ス⸢ク⸣ル サ⸢ク⸣マイシェー ム⸢チェー⸣ ス⸢クララ⸣ヌ [mu⸢ʧimai⸣ʃiru mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢ku⸣ru sḁ⸢ku⸣maiʃeː mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢kurara⸣nu] (糯米で餅は作る{EOS}粳米では餅は作られない)。 ⸢ジー⸣マイナーン ム⸢チマイヤー⸣ アン⸢ダー [⸢ʤiː⸣mainaːm mu⸢ʧimaijaː⸣ ʔan⸢daː] (陸稲<おかぼ>にも、もちごめ<糯米>はあるよ)。 ム⸢チマイ⸣シル ム⸢チェー⸣ ス⸢ク⸣ルンダ ム⸢チマイユン⸣ イ⸢バン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢ʧimai⸣ʃiru mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢ku⸣runda mu⸢ʧimaijuŋ⸣ ʔi⸢baŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (糯米で餅を作るのだから糯米も植えないといけない) 16878 0 0 16826 htmvoc_16878.wav ムチマッサーン ム⸢チマッ⸣サーン [mu⸢ʧimas⸣saːŋ] 形 むつまじい(睦まじい)。仲が良い。 ⸢ウン⸣ネーヌ ⸢キョーダイ⸣サー ム⸢チマッ⸣サーンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ム⸢チマッサー ナーン⸣バン [⸢ʔun⸣neːnu ⸢kjoːdai⸣saː mu⸢ʧimas⸣saːnti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː mu⸢ʧimassaː naːm⸣baŋ] (その家の兄弟は仲睦まじいと聞いたが、あまり睦まじくないわい)。 チ⸢カ⸣グロー ム⸢チマッ⸣サー ⸣ナリケーン [ʧi̥⸢ka⸣guroː mu⸢ʧimas⸣saː ⸣narikeːŋ] (近頃は睦まじくなってきた)。 ⸣アイニ ム⸢チマッ⸣サー(ル)⸢キョー⸣ダイテー ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini mu⸢ʧimas⸣saː(ru)⸢kjoː⸣daiteː bu⸢raːnu] (あんなに睦まじい兄弟とて他にはいない)。 ⸣マー ン⸢ベーマ⸣ ム⸢チマッ⸣サーレー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ mu⸢ʧimas⸣saːreː ⸣misamunu] (もう少し仲睦まじければいいのに) 16879 0 0 16827 htmvoc_16879.wav ムチマッサスン ム⸢チマッ⸣サ ⸢スン [mu⸢ʧimas⸣sa ⸢suŋ] 連 睦まじくする。親しくする。 ユ⸢ミザーン⸣ イッ⸢ケナ⸣ ム⸢チマッ⸣サ ⸢シーブン [ju⸢miʣaːŋ⸣ ʔik⸢kena⸣ mu⸢ʧimas⸣sa ⸢ʃiːbuŋ] (嫁同士非常に仲睦まじくしている) 16891 0 0 16828 htmvoc_16891.wav ムチミー ム⸢チミー [mu⸢ʧimiː] 名 \ruby{粘}{ネバ}り気。「もちみ(糯味)」の義。 サ⸢ク⸣マイ ヤ⸢ルンドゥ ホーライマイ⸣ヤー ⸢ザイ⸣レーラン ム⸢チミーヌ⸣ アンダー<⸣アルンダ> ン⸢マー⸣ン [sḁ⸢ku⸣mai ja⸢rundu hoːraimai⸣jaː ⸢ʣai⸣reːram mu⸢ʧimiːnu⸣ andaː<⸣arunda> ʔm⸢maː⸣ŋ] (粳米ではあるが、蓬莱米は在来種の米よりも粘り気<糯味>があるので美味しい) 8483 0 0 16829 htmvoc_8483.wav ムチルン ム⸢チ⸣ルン [muʧiruŋ] 自動 移動する。移る 16892 0 0 16830 htmvoc_16892.wav ムチルン ム⸢チ⸣ルン [mu⸢ʧi⸣ruŋ] 自動 睦まじくする。\ruby{睦}{ムツ}ぶ。親しく振舞う。まつわりつき、\ruby{戯}{タワム}れる。「Mutçubi. ムツビ(睦び) 親しい結びつき」『邦訳日葡辞書』、「~むつるるを~(睦れ)」『源氏物語<若菜下>』の転訛したもの。 ドゥ⸢シムチリ スン [du⸢ʃimuʧiri suŋ] (友達と遊び\ruby{惚}{ホ}ける)。 バ⸢カー⸣ ピンマー ター⸢ン⸣ ドゥ⸢シトゥ⸣ ム⸢チ⸣ルンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢レー⸣ ドゥ⸢シトゥン⸣ ム⸢チラ⸣ヌ [ba⸢kaː⸣ pimmaː taː⸢n⸣ du⸢ʃitu⸣ mu⸢ʧi⸣runti ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢reː⸣ du⸢ʃitum⸣ mu⸢ʧira⸣nu] (若い時は誰でも友と遊び\ruby{惚}{ホ}けると思うが、彼は友人とも睦ばない)。 ⸣ユネン ⸣ナルカー ⸢メーラ⸣ビンケートゥ ム⸢チ⸣リティ ⸢ヤー⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [⸣junen ⸣narukaː ⸢meːra⸣biŋkeːtu mu⸢ʧi⸣riti ⸢jaː⸣ kḁ⸢kara⸣nu] (夜になると乙女達と遊び\ruby{惚}{ホ}けて家にいない<\ruby{懸}{カカ}らない>)。 ドゥ⸢シトゥ⸣ ム⸢チ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [du⸢ʃitu⸣ mu⸢ʧi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (友人と睦ぶことはない)。 バ⸢カー⸣ムヌトゥン ム⸢チ⸣レー ⸣ミサムヌ [ba⸢kaː⸣munutum mu⸢ʧi⸣reː ⸣misamunu] (若者とも親しく交われば<睦べば>よいのに)。 ドゥ⸢シンケー⸣トゥン ム⸢チ⸣リバ [du⸢ʃiŋkeː⸣tum mu⸢ʧi⸣riba] (友人達とも交わり<睦び>なさいよ) 16880 0 0 16831 htmvoc_16880.wav ムチンキー ム⸢チンキー [mu⸢ʧiŋkiː] 名 (植)モチノキ(\ruby{黐}{モチ}の木)。樹皮からとりもち(鳥黐)を製する。 ム⸢チンキーヌ⸣ カー ⸣パギ ⸢シッ⸣キ ア⸢ライティ⸣ ム⸢チ⸣ ス⸢ク⸣ラ⸢ディー [mu⸢ʧiŋkiːnu⸣ kaː ⸣pagi ⸢ʃik⸣ki ʔa⸢raiti⸣ mu⸢ʧi⸣ su̥⸢ku⸣ra⸢diː] (黐の木の樹皮を\ruby{剥}{ハ}いで\ruby{搗}{ツ}き、水で洗ってとりもち<\ruby{黐}{モチ}>をつくろうよ) 16893 0 0 16832 htmvoc_16893.wav ムチンダールン ム⸢チンダールン [mu⸢ʧindaːruŋ] 自動 ねばつく(粘着く)。粘っこくなる。ねばねばする。べたつく。 ム⸢チェー⸣ ドゥク ⸢ネース⸣カー ム⸢チンダールンダ⸣ ム⸢チンダーラサン⸣ヨーニ ム⸢チナベー⸣ラ ピー⸣ヤ ピ⸢キ [mu⸢ʧeː⸣ duku ⸢neːsu⸣kaː mu⸢ʧindaːrisunda⸣ mu⸢ʧindaːrasaɲ⸣joːni mu⸢ʧinabeː⸣ra ⸢piː⸣ja pi̥⸢ki] (餅はあまり煮ると粘つくから、粘つかないように餅鍋から火を引け)。 ム⸢チンダーリ ナー⸣ヌ [mu⸢ʧindaːri naː⸣nu] (粘ついてしまった)。 ム⸢チンダール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ʧindaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (粘つくことはない)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢チンダーレー⸣ラー ッ⸢ふァーラヌ [⸢maːbim⸣ mu⸢ʧindaːreː⸣raː f⸢faːranu] (もっと粘つくと食べられない) 16894 0 0 16833 htmvoc_16894.wav ムツァームツァーシ ムツァー⸢ムツァー⸣シ [muʦaː⸢muʦaː⸣ʃi] 副 ねばねば(粘々)して。粘っこいさま。粘り気があるさま。べた付くさま。 ム⸢チマイヌ イー⸣ヤ ムツァー⸢ムツァー⸣シティ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [mu⸢ʧimainu ʔiː⸣ja muʦaː⸢muʦaː⸣ʃi̥ti ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (\ruby{糯}{モチコ}米のご飯は粘々して非常に美味しい)。 ム⸢チアメー⸣ ムツァー⸢ムツァー⸣シ ⸣パーナ シビ⸢シゥカリティ⸣ ッ⸢ふァイングリ⸣サン [mu⸢ʧiʔameː⸣ muʦaː⸢muʦaː⸣ʃi ⸣paːna ʃi⸢bisi̥kariti⸣ f⸢faiŋguri⸣saŋ] (\ruby{飴}{アメ}<糯飴>は\ruby{粘}{ネバ}っこくて歯にくっ付いて食べにくい<\ruby{難}{ニク}い>) 16895 0 0 16834 htmvoc_16895.wav ムツァールン ム⸢ツァールン [mu⸢ʦaːruŋ] 自動 ねばる(\ruby{粘}{ネバ}る)。べたついてからまる。「もつれる(\ruby{縺}{モツ}れる)、Motçureru, uru, eta. モツレ、ルル、レタ(縺れ、るる、れた)物と物とが互いにからみつく、」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ム⸢チヌ⸣ ティーナ シ⸢ビシゥカル⸣カー ⸢ティー⸣ヤ ム⸢ツァールンドゥ⸣ クー ッ⸢ふァース⸣カー ム⸢ツァーラヌ [mu⸢ʧinu⸣ tiːna ʃi⸢bisi̥karu⸣kaː ⸢tiː⸣ja mu⸢ʦaːrundu⸣ kuː f⸢faːsu⸣kaː mu⸢ʦaːranu] (餅が手にくっつくと手が粘るが、米粉を付ける<喰わせる>と粘らない)。 ム⸢ツァーリ ナー⸣ヌ [mu⸢ʦaːri naː⸣nu] (粘ってしまった)。 ⸣クー ッ⸢ふァース⸣カー ム⸢ツァール⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kuː f⸢faːsu⸣kaː mu⸢ʦaːru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (米粉を付ける<喰わす>と粘ることはない)。 ⸢ティー⸣ヌ ム⸢ツァーレー⸣ラー ム⸢チェー⸣ ス⸢クララ⸣ヌ [⸢tiː⸣nu mu⸢ʦaːreː⸣raː mu⸢ʧeː⸣ su̥⸢kurara⸣nu] (手がべたついて粘ると餅は作られない) 16896 0 0 16835 htmvoc_16896.wav ムツァーン ム⸢ツァー⸣ン [mu⸢ʦaː⸣ŋ] 形 粘っこい。粘着力がある。 ム⸢チマイヤー ネース⸣カー ム⸢ツァー⸣ン [mu⸢ʧimaijaː neːsu⸣kaː mu⸢ʦaː⸣ŋ] (もち米は煮ると粘っこい)。 ム⸢ツァーナー⸣ヌ [mu⸢ʦaːnaː⸣nu] (粘っこくない)。 ム⸢ツァー⸣ ムヌ [mu⸢ʦaː⸣ munu] (粘っこいもの)。 ⸣ドゥク ム⸢ツァー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [⸣duku mu⸢ʦaː⸣nu si̥⸢kaːranu] (あまりにも粘っこくて使えない)。 ム⸢ツァー⸣ムヌ イ⸢ラ⸣ビバ [mu⸢ʦaː⸣munu ʔi⸢ra⸣biba] (粘っこいものを選びなさい) 16819 0 0 16836 htmvoc_16819.wav ムッカー ⸣ムッカー [⸣mukkaː] 名 手足が欠損したもの。 ⸣キカイナー ⸣ティー ⸢フッカーサ⸣リ カ⸢タ⸣ティー キ⸢サ⸣リティ ⸣ティームッカー ナリ⸢ナー⸣ヌ [⸣ki̥kainaː ⸣tiː ⸢ɸukkaːsa⸣ri kḁ⸢ta⸣tiː ki̥⸢sa⸣riti ⸣tiːmukkaː nari⸢naː⸣nu] (機会に手を挟まれ、片手を切られて手の欠損した者になってしまった) 16897 0 0 16837 htmvoc_16897.wav ムッカー ⸣ムッカー [⸣mukkaː] 接尾 ~切れた者。限られた名詞に付いて、それが失われ<切れ>た人(又は動物)を卑しめて言う意を表す。 ⸣ティームッカー [⸣tiːmukkaː] (手が切断された人)。 ⸢ズームッカー [⸢ʣuːmukkaː] (尻尾の切れた動物)。 ⸢シートーグルマ⸣ナーティ ⸣ティー ⸢フッカーサ⸣リ キ⸢サ⸣リティ ⸣ティームッカー ⸣ナリ ⸢ベー [⸢ʃiːtoːguruma⸣naːti ⸣tiː ⸢ɸukkaːsa⸣ri ki̥⸢sa⸣riti ⸣tiːmukkaː ⸣nari ⸢beː] (製糖車に手を巻き込まれ<挟まれ>、切断されて、手を切られた者になっている) 16820 0 0 16838 htmvoc_16820.wav ムッコー ⸣ムッコー [⸣mukkoː] 名 (動)\ruby{藪蚊}{ヤブ|カ}。⸣ムッコーガザン[⸣mukkoːgaʣaŋ](藪蚊)ともいう。 ナ⸢チ⸣ ナルカー ⸣ムッコーヌ シ⸢ディ⸣ルンダ カ⸢ツァ⸣ ピ⸢カン⸣カー ニ⸢バラン⸣ダー [na⸢ʧi⸣ narukaː ⸣mukkoːnu ʃi⸢di⸣runda kḁ⸢ʦa⸣ pi̥⸢kaŋ⸣kaː ni⸢baran⸣daː] (夏になると藪蚊が\ruby{孵化}{フ|カ}するから\ruby{蚊帳}{カ|チョウ}を\ruby{吊}{ツ}らないと眠れないよ)。 タ⸢ム⸣ヌ プ⸢サイン⸣ ヤ⸢マー ペーッ⸣タ ⸣クトー ⸣ムッコーン ッ⸢ふァーリティ⸣ パ⸢ダビューワ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ta⸢mu⸣nu pu̥⸢saiŋ⸣ ja⸢maː peːt⸣ta ⸣ku̥toː ⸣mukkoːŋ f⸢faːriti⸣ pa⸢dabjuːwa⸣nu na⸢ra⸣nu] (薪を拾いに山へ入ったところ、藪蚊に刺されて<咬まれて>、\ruby{肌痒}{ハダ|カユ}くて\ruby{堪}{タマラ}ない) 16899 0 0 16839 htmvoc_16899.wav ムッチン ⸢ムッチン [⸢mutʧiŋ] 名 六つ。六個。六粒。⸢ッチン[⸢tʧiŋ]は「小粒で丸いもの」を数える助数詞(粒)。 マ⸢ミ⸣シジェー シ⸢ントゥ ムッチンドゥ⸣<⸢ミーシジドゥ⸣> ヌ⸢カ⸣レーバン [ma⸢mi⸣ʃiʤeː ʃin⸢tu mutʧindu⸣<⸢miːʃiʤidu⸣> nu⸢ka⸣reːbaŋ] (豆粒は、たったの六粒しか残っていない<たった六粒ぞ残っている>わい) 16900 0 0 16840 htmvoc_16900.wav ムットゥ ムッ⸢トゥ [mut⸢tu] 副 陳述副詞。ちっとも。少しも。いささかも。全く。さっぱり。老年層は、ムシ⸢トゥ[muʃi̥⸢tu](ちっとも)ということが多い。下にくる打消しの助動詞と呼応して断定的意味「ちっとも<少しも>~ない」を表す。 ウ⸢レー⸣ バー ア⸢ズ⸣ ムニ ムッ⸢トゥ⸣ シゥ⸢カヌ [ʔu⸢reː⸣ baː ʔa⸢ʣu⸣ muni mut⸢tu⸣ si̥⸢kanu] (彼は、私の言うことをちっとも聞かない)。 ウ⸢ヌス⸣ク フ⸢チ⸣ル ⸣シジ ヌ⸢マスン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ ジー⸣ シゥ⸢カンバン [ʔu⸢nusu̥⸣ku ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣ʃiʤi nu⸢masun⸣du mut⸢tu ʤiː⸣ si̥⸢kambaŋ] (あんなに漢方薬を煎じて飲ませるんだが、ちっとも薬効<滋養>が効かないんだよ) 16901 0 0 16841 htmvoc_16901.wav ムティ ⸣ムティ [⸣muti] 副助 ⸢AすればAする~ムティ」の形で用いられ、⸢~ほどますます~。~につれて。~に応じて」の意味を表す。「もちて<以て>」の転訛したものか。動詞の連体形に接続し、上につく動詞の仮定形と呼応して、「~すればするほど、益々~」の意味を表す。 パ⸢タラク⸣カー パ⸢タラク⸣ムティ ユ⸢チ⸣ク ⸣ナルン [pḁ⸢taraku⸣kaː pḁ⸢taraku⸣muti ju⸢ʧi⸣ku ⸣naruŋ] (働けば働くほど益々裕福になる)。 ⸣ニガウカー ⸣ニガウムティ ユ⸢ガフヌ⸣ タ⸢ボーラ⸣リン [⸣nigaukaː ⸣nigaumuti ju⸢gaɸunu⸣ ta⸢boːra⸣riŋ] (祈れば<願えば>祈るほど世果報が頂ける<賜られる>)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ア⸢タラ⸣サ ⸢スー⸣カー ⸢スー⸣ムティ ⸢マイフナー⸣ マ⸢ルン [ja⸢ra⸣beː ʔa⸢tara⸣sa ⸢suː⸣kaː ⸢suː⸣muti ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢ruŋ] (子供は可愛がれば<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}しさすれば>可愛がるほど<可惜しさするほど>立派な人に成長する<生まれる>)。 イ⸢ズ⸣カー イ⸢ズ⸣ムティ ⸢ピン⸣ドゥ ⸢スー [ʔi⸢ʣu⸣kaː ʔi⸢ʣu⸣muti ⸢pin⸣du ⸢suː] (叱れば叱るほど、すね<拗ね>、むくれて反抗する<反抗ぞする>) 16881 0 0 16842 htmvoc_16881.wav ムティアシカイ ⸣ムティアシカイ [⸣mutiʔasi̥kai] 名 取り扱い。手荒に扱われること。「持て扱い」の義。⸣トゥリアシゥカイ[⸣turiʔasi̥kai](取り扱い)ともいう。 シ⸢マ⸣バ ⸣トゥリティ ⸢ナンギラー⸣リ グ⸢チ⸣ホーニ ⸣ムティアシゥカイ シ⸢ラリティル⸣ ドゥーヨーリ ⸢シー ベー [si⸢ma⸣ba ⸣turiti ⸢naŋgiraː⸣ri gu⸢ʧi⸣hoːni ⸣mutiʔasi̥kai ʃi⸢raritiru⸣ duːjoːri ⸢ʃiː beː] (相撲をとって投げられ、手荒に取り扱いされて<ぞ>体を痛めている) 16902 0 0 16843 htmvoc_16902.wav ムディアヤ ム⸢ディ⸣アヤ [mu⸢di⸣ʔaja] 名 \ruby{縒}{ヨ}り合わせた糸の模様。二色の糸を縒り合わせて織った布。 ⸢クントゥ⸣ ア⸢ガイルヌ⸣ ム⸢ディ⸣アヤシ ウ⸢ラリ ブー ヌーヌ⸣ ヤ⸢ルンダ カイ⸣ヤン [⸢kuntu⸣ ʔa⸢gairunu⸣ mu⸢di⸣ʔajaʃi ʔu⸢rari buː nuːnu⸣ ja⸢runda kai⸣jaŋ] (紺と赤色の\ruby{縒}{ヨ}り合せ糸で織った布だから美しい) 16903 0 0 16844 htmvoc_16903.wav ムティズク ム⸢ティ⸣ズク [mu⸢ti⸣ʣuku] 名 結婚適齢期。所帯を持つ時期。動詞⸣ムトゥン[⸣mutuŋ](持つ)の連用形⸣ムティ[⸣muti](持ち)に接尾語⸣ズク[⸣ʣuku](~時期{EOS}~に適した頃)が下接して形成された語。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ム⸢ティズク⸣ヌ ⸣クーカー ⸢ナンクク⸣ル ⸣タティパルンヨー [mi⸢doːŋ⸣ffaː mu⸢tiʣuku⸣nu ⸣kuːkaː ⸢naŋkuku⸣ru ⸣tḁtiparuɲjoː] (女の子は所帯を持つ時期になったら自然に嫁いで<自立して>いくよ) 16904 0 0 16845 htmvoc_16904.wav ムディッカールン ム⸢ディッカー⸣ルン [mu⸢dikkaː⸣ruŋ] 自動 ねじける(\ruby{拗}{ネジ}ける)。ねじる(\ruby{捻}{ネ}じる)。捻じ曲がる。曲がりくねる。\ruby{捩}{ヨジ}る。「捩り」の転訛したものか。 プ⸢ニ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ラーンダ ⸢ドゥー⸣ヤ ム⸢ディッカー⸣ルンティ ス⸢クタンドゥ ナン⸣ゾー ム⸢ディッカーララン⸣シェン [pu⸢ni⸣nu ⸢jaː⸣raːnda ⸢duː⸣ja mu⸢dikkaː⸣runti su̥⸢kutandu nan⸣ʣoː mu⸢dikkaːraŋ⸣ʃeŋ] (骨が柔らかいから体は捻じ曲がると聞いたが、あんまり捻じ曲がらなかった)。 ク⸢ヌ⸣ イツァー ム⸢ディッカー⸣リティ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢nu⸣ ʔiʦaː mu⸢dikkaː⸣riti si̥⸢kaːranu] (この板は\ruby{捻}{ネ}じ曲がって使えない)。 ム⸢ディッカー⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ [mu⸢dikkaː⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (捻じ曲がる物は捨てなさい)。 ⸢ムディッカー⸣レー ⸣ミサムヌ [mu⸢dikkaː⸣reː ⸣misamunu] (捻じ曲がればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢ディッカー⸣リ [⸢maː⸣bim mu⸢dikkaː⸣ri] (もっと捻じ曲がれ) 16905 0 0 16846 htmvoc_16905.wav ムティットールン ム⸢ティットー⸣ルン [mu⸢tittoː⸣ruŋ] 自動 重さに振り回され、ふらついて倒れる。重さに持ち堪えられなくて倒れる。能力以上のものごとをしようとして、責任の重さに\ruby{潰}{ツブ}される。 シゥ⸢カラー ナー⸣ムティ ⸢ター⸣ラ ⸣ムタウカー ム⸢ティットールン⸣ドゥ フ⸢タール⸣シ ⸣ムタウカー ム⸢ティットーラ⸣ヌ [si̥⸢karaː naː⸣muti ⸢taː⸣ra ⸣mutaukaː mu⸢tittoːrun⸣du ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸣mutaukaː mu⸢tittoːra⸣nu] (力も無いのに俵を持ち上げると、ふらついて倒れるが、二人で持ち上げるとふらついて倒れることはない)。 ム⸢ティットー⸣リ ⸢ナーヌ [mu⸢tittoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (重さにふらついて倒れてしまった)。 フ⸢タール⸣シ ⸣ムタウカー ム⸢ティットー⸣ル ⸣クトー ⸢ナーヌ [ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸣mutaukaː mu⸢tittoː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (二人で持ち上げるとふらつき倒れることはない)。 ム⸢ティットー⸣レー ⸣ミサムヌ [mu⸢tittoː⸣reː ⸣misamunu] (ふらついて倒れればいいのに)。 プ⸢スヌ⸣ ムニ シゥ⸢カムティ⸣ヒャー ム⸢ティットー⸣リバ [pu̥⸢sunu⸣muni si̥⸢kamuti⸣çaː mu⸢tittoː⸣riba] (人の言うことを聞き入れないで、この野郎{EOS}<重い物を持ち上げようとして>ふらついて倒れちまえ) 16906 0 0 16847 htmvoc_16906.wav ムティナウスン ム⸢ティナウ⸣スン [mu⸢tinau⸣suŋ] 他動 持ち替える。持ちなおす。持つ手を変える。 ⸢ニーリティーラ⸣ ピ⸢ダリ⸣テー ム⸢ティナウ⸣スンティ ⸢スンドゥ グッふァ⸣ヌ ム⸢ティナウサラ⸣ヌ [⸢niːritiːra⸣ pi⸢dari⸣teː mu⸢tinau⸣sunti ⸢sundu guffa⸣nu mu⸢tinausara⸣nu] (右手から左手に持ち替えようとするが、重くて持ち替えられない)。 ム⸢ティナウ⸣シ ⸣ミサカー ム⸢ティナウ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [mu⸢tinau⸣ʃi ⸣misakaː mu⸢tinau⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (持ち替えてよければ、持ち替えることはできる)。 ム⸢ティナウ⸣シェー ⸣ミサムヌ [mu⸢tinau⸣ʃeː ⸣misamunu] (持ち替えればいいのに)。 ム⸢ティナウ⸣シバ [mu⸢tinau⸣ʃiba] (持ち替えろよ) 16907 0 0 16848 htmvoc_16907.wav ムティナシ ム⸢ティナ⸣シ [mu⸢tina⸣ʃi] 名 接待。饗応。待遇。「もてなし(持て成し)」の転訛したもの。ム⸢ティナ⸣スン[mu⸢tina⸣suŋ](接待する)の連用形からの転成名詞。 ⸢ウン⸣ネーヤ プ⸢ス⸣ ム⸢ティナ⸣シェー ⸢ゾー⸣ジ [⸢ʔun⸣neːja pu̥⸢su⸣ mu⸢tina⸣ʃeː ⸢ʣoː⸣ʤi] (あの家は客<人>の接待が上手である) 16908 0 0 16849 htmvoc_16908.wav ムティナスン ム⸢ティナ⸣スン [mu⸢tina⸣suŋ] 他動 もてなす(持て成す)。接待する。歓待する。 イ⸢サンケー⸣ラヌ プ⸢スン⸣ケー ム⸢ティナ⸣スンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ⸢オーシキヌ⸣ ヤビティ ⸢ダーッ⸣サ<ダー⸢シーダーシー⸣> ム⸢ティナサラン⸣バン [ʔi⸢saŋkeː⸣ranu pu̥⸢suŋ⸣keː mu⸢tina⸣suŋti ⸢beːn⸣du ⸢ʔoːʃi̥kinu⸣ jabiti ⸢daːs⸣sa mu⸢tinasaram⸣baŋ] (石垣島からの客<人>たちを接待しようとするんだが、天気が崩れて上手に接待できないよ)。 ⸢タンガ⸣シ ム⸢ティナ⸣シ ⸢シェー⸣カー ム⸢ティナ⸣ス ⸣クトー ⸢スン⸣ツォー<⸣ナルンツォー> [⸢taŋga⸣ʃi mu⸢tina⸣ʃi ⸢ʃeː⸣kaː mu⸢tina⸣su ⸣ku̥toː ⸢sun⸣ʦoː<⸣narunʦoː>] (一人で接待できたら<接待し得たら>接待することはする<できる>そうだ)。 ⸣ドゥーシ ム⸢ティナ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi mu⸢tina⸣ʃeː ⸣misamunu] (自分で接待すればいいのに)。 ⸢ムール⸣シ ム⸢ティナ⸣シバ [⸢muːru⸣ʃi mu⸢tina⸣ʃiba] (皆で接待しなさいよ) 16909 0 0 16850 htmvoc_16909.wav ムティパンマイ ム⸢ティパン⸣マイ [mu⸢tipam⸣mai] 名 手弁当。自身で弁当を持参すること。若年層は、ム⸢ティビン⸣トー[mu⸢tibin⸣toː](持ち弁当)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ム⸢ティパン⸣マイ ⸢シェー⸣ティル ム⸢ラシグトー ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː mu⸢tipam⸣mai ⸢ʃeː⸣tiru mu⸢raʃigutoː soːt⸣ta] (昔は手弁当で村の共同作業をされた) 16910 0 0 16851 htmvoc_16910.wav ムディマースン ム⸢ディマー⸣スン [mu⸢dimaː⸣suŋ] 他動 ねじる(捻じネジる)。「捻じ回す」。ひねる(\ruby{捻}{ヒネ}る)。「捻り回す」の義。 ウ⸢ディ⸣バ ム⸢ディマー⸣スンティ ⸢スー⸣カー ピ⸢ジ⸣ シ⸢ガーシシバ⸣ ム⸢ディマーサン⸣ ブ⸢リ⸣バ [ʔu⸢di⸣ba mu⸢dimaː⸣sunti ⸢suː⸣kaː pi⸢ʤi⸣ ʃi⸢gaːʃiʃiba⸣ mu⸢dimaːsam⸣ bu⸢ri⸣ba] (腕を捻じ回すと肘が\ruby{脱臼}{ダッ|キュウ}するから、捻じ回すな<捻じ回さないでおれ>よ)。 ヤ⸢ナ⸣ムニ イ⸢ズ⸣カー フ⸢チェー⸣ ム⸢ディマー⸣シ シ⸢キ⸣リ [ja⸢na⸣muni ʔi⸢ʣu⸣kaː ɸu̥⸢ʧeː⸣ mu⸢dimaː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣ri] (悪口を言うなら、その口を\ruby{捻}{ヒネ}り回しておきなさい)。 ム⸢ディマー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢dimaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (捻る<捻り回す>ことはできない)。 ム⸢ディマー⸣シェー ⸣ミサムヌ [mu⸢dimaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (捻ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢ディマー⸣シ [⸢maː⸣bim mu⸢dimaː⸣ʃi] (もっと捻れ) 16911 0 0 16852 htmvoc_16911.wav ムディムチ ム⸢ディ⸣ムチ [mu⸢di⸣muʧi] 名 円筒形の餅の澱粉をひと\ruby{捻}{ヒネ}りして蒸しあげた餅。「\ruby{捻}{ネ}じり餅」の義。 ⸢ズング⸣ヤーナール ム⸢ディ⸣ムチェー ス⸢ク⸣ローッタ [⸢ʣuŋgu⸣jaːnaːru mu⸢di⸣muʧeː su̥⸢ku⸣roːtta] (十五夜に<ぞ>\ruby{捻}{ネ}じり餅<\ruby{捻}{ヒネ}り餅>は作られた) 16912 0 0 16853 htmvoc_16912.wav ムディルン ム⸢ディ⸣ルン [mu⸢di⸣ruŋ] 他動 ねぢる(捻じる)。ひねる。棒状のものの両端を掴んで逆方向にまわす。 ⸢シン⸣ダシ フ⸢バリティ⸣ ム⸢ディ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ム⸢ディララヌ [⸢ʃin⸣daʃi ɸu⸢bariti⸣ mu⸢di⸣runti ⸢sundu⸣ mu⸢dirara⸣nu] (針金で縛って\ruby{捻}{ヒネ}ろうとするが、捻られない)。 カ⸢ラティー⸣シェー ⸢シン⸣ダ ム⸢ディ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ka⸢ratiː⸣ʃeː ⸢ʃin⸣da mu⸢di⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (素手では針金を捻じることはできない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢スー⸣ワ ム⸢ディ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢suː⸣wa mu⸢di⸣reː ⸣misamunu] (もっと強く捻じればいいのに)。 ギーッ⸢ティ⸣ ム⸢ディ⸣リ [giːt⸢ti⸣ mu⸢di⸣ri] (ぎゅうっと\ruby{捻}{ネ}じれ) 16913 1 1 16854 htmvoc_16913.wav ムトゥ ⸣ムトゥ [⸣mutu] 名 {PoS_1}{Mn_1}元。本。根元。本家。 ム⸢トゥ⸣ヌ サ⸢カラバル⸣ ユ⸢ダン⸣ サ⸢カル [mu⸢tu⸣nu sa⸢karabaru⸣ ju⸢dan⸣ sḁ⸢karu] (元<本家>が栄えたらばこそ枝<分家>も栄えるものだ)。 ⸢バン⸣テーヤ ⸣ムトゥヤー ⸢ダー [⸢ban⸣teːja mutujaː⸢daː] (私の家は本家<元家>だよ)。⸢ヤーム⸣トゥ[⸢jaːmu⸣tu](本家)と言うのが普通。 ⸢ウイヌ⸣ ウ⸢ガン⸣マー ム⸢トゥ⸣ウガンツォー [⸢ʔuinu⸣ ʔu⸢gam⸣maː mu⸢tu⸣ʔuganʦoː] (上の御願<友利御嶽>は\ruby{本}{モト}御願だそうだ)。 16913 1 2 16855 htmvoc_16913.wav ムトゥ ⸣ムトゥ [⸣mutu] 名 {Mn_2}木の根や幹。根本。⸣スラ[⸣sura](梢)に対する根元の義。 ⸢キー⸣ヌ ⸢ニー⸣ムトーラ ⸢コーシ⸣バ [⸢kiː⸣nu ⸢niː⸣mutoːra ⸢koːʃi⸣ba] (木の根っこから引き抜きなさい)。 ⸢キー⸣ヌ ⸣ムトーラ ⸣キシバ [⸢kiː⸣nu ⸣mutoːra ⸣kiʃiba] (木の根幹部<根元>から切りなさい)。 16913 1 3 16856 htmvoc_16913.wav ムトゥ ⸣ムトゥ [⸣mutu] 名 {Mn_3}以前<元>。 ム⸢トゥ⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヤ ⸢クー⸣シティ ⸢カー⸣ラヤー ス⸢クル⸣タツォー [mu⸢tu⸣nu ⸢jaː⸣ja ⸢kuː⸣ʃi̥ti ⸢kaː⸣rajaː su̥⸢kuru⸣taʦo] (以前<元>の家を取り壊して瓦葺の家を造ったそうだ)。 ⸣アブジェー ⸣ムトー ⸢コー⸣チョーシンシー ヤ⸢ローッ⸣タ [⸣ʔabuʤeː ⸣mutoː ⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiː ja⸢roːt⸣ta] (お祖父さんは以前<元>は校長先生であられた)。 16913 2 0 16857 htmvoc_16913.wav ムトゥ ⸣ムトゥ [⸣mutu] 助数 {PoS_2}植物や柱、箸など、棒状の細長いものを数える単位。本。 プ⸢スム⸣トゥ [pu̥⸢sumu⸣tu] (一本)。 フ⸢タムトゥ [ɸu̥⸢tamutu] (二本)。 ⸢ゴーナ⸣キー ⸢ミームトゥ⸣ イ⸢ビ⸣ シケー [⸢goːna⸣kiː ⸢miːmutu⸣ ʔi⸢bi⸣ʃi̥keː] (桑の木三本植えてある) 16914 0 0 16858 htmvoc_16914.wav ムトゥウガン ム⸢トゥ⸣ウガン [mu⸢tu⸣ʔugaŋ] 名 友利御嶽。「本御願」の義。神職者のサ⸢カサ(司)やティジリビー(男性神職者)は⸣ムトゥ[⸣mutu](本御願)を多用されるが、一般の人は、⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](上の御願)というのが普通。『琉球国由来記』(1713年{EOS}王府編)に「友利御嶽」と記録されており、神歌などでは「トゥムル」(友利御嶽)と歌われている 16915 0 0 16859 htmvoc_16915.wav ムトゥガヤー ム⸢トゥ⸣ガヤー [mu⸢tu⸣gajaː] 名 茅葺屋根の下にある古い茅。「元茅」の義か。 ム⸢トゥガヤー⸣ヤ ウ⸢ラサン⸣ドーシ ウ⸢ヌ ウイラ ミーガヤーバ⸣ カ⸢バ⸣シティ フ⸢キ⸣バ [mu⸢tugajaː⸣ja ʔu⸢rasan⸣doːʃi ʔu⸢nu ʔuira miːgajaːba⸣ ka⸢ba⸣ʃi̥ti ɸu̥⸢ki⸣ba] (古い茅は屋根から下ろさないで、その上から新しい茅を被せて葺きなさいよ) 16916 0 1 16860 htmvoc_16916.wav ムトゥキン ム⸢トゥ⸣キン [mu⸢tu⸣kiŋ] 名 {Mn_1}元金。資本金。起業の元手。 ム⸢トゥキン⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ア⸢キナイ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢tukin⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ʔa⸢kinai⸣jaː na⸢ra⸣nu] (元金が無いと商売は出来ない)。 16916 0 2 16861 htmvoc_16916.wav ムトゥキン ム⸢トゥ⸣キン [mu⸢tu⸣kiŋ] 名 {Mn_2}金銭貸借時のがんきん(元金)。 カ⸢ルタ ジン⸣ヌ ム⸢トゥキン⸣トゥ リ⸢シトゥ アー⸣シティ ⸢ギュー⸣サ パ⸢ラウ⸣ワ [ka⸢ruta ʤin⸣nu mu⸢tukin⸣tu ri⸢ʃitu ʔaː⸣ʃi̥ti ⸢gjuː⸣sa pa⸢rau⸣wa] (借りた金の元金と利子と合わせて幾ら払うのか) 16917 0 0 16862 htmvoc_16917.wav ムトゥゴイ ム⸢トゥ⸣ゴイ [mu⸢tu⸣goi] 名 元肥。シ⸢ブル[ʃi⸢buru](冬瓜)やカ⸢ブッチ[ka⸢butʧi](かぼちゃ<南瓜>)を植える前に敷き詰める堆肥。シ⸢キゴイ[ʃi̥⸢kigoi](堆肥<敷き肥>)ともいう。 シ⸢ブルン⸣ カ⸢ブッチン⸣ ム⸢トゥ⸣ゴイ シ⸢キゴイ⸣ イ⸢リラン⸣カー ⸢ミーラヌ [ʃi⸢buruŋ⸣ ka⸢butʧiŋ⸣ mu⸢tu⸣goi ʃi̥⸢kigoi⸣ ʔi⸢riraŋ⸣kaː ⸢miːranu] (冬瓜も南瓜も元肥、敷き肥<堆肥>を入れないと実は大きく稔らない) 16918 0 0 16863 htmvoc_16918.wav ムトゥサカサ ム⸢トゥサカ⸣サ [mu⸢tusaka⸣sa] 名 友利御嶽の司(神女)。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](本お願{EOS}本御嶽)のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}神女)の義。代々仲底家の血を引く女性の中から、神前で祈願してウ⸢ク⸣ジ[ʔu⸢ku⸣ʤi](「\ruby{御籤}{オ|クジ}」の義{EOS}神前に供えた米粒を組み合わせて神意を\ruby{占}{ウラナ}う儀式)をバ⸢リティ[ba⸢riti](割って{EOS}\ruby{卜占}{ボク|セン}して)決められたホ。1992年現在、加治工千代氏がム⸢トゥサカ⸣サ(本司)を勤めている。古老の記憶に残る大正期の本司は⸢ダイ⸣ケヌアッパー[⸢dai⸣kenu ⸣ʔappaː](大工家のお祖母さん{EOS}大工ヨボシ氏{EOS}加治工家の血を引く{EOS}子宝に恵まれなかったので、後に加治工家の三女を養女に入れた{EOS}この人が大工定市氏の妻、大工良氏である)である。昭和初期には、花城家の血を引く、シ⸢マフ⸣ケヌ ⸣アッパー[ʃi⸢maɸu⸣kenu ⸣ʔappaː](島袋家のお祖母さん{EOS}加治工家から仲底家へ嫁した女性と同じ血を引く女性が花城家に嫁した人の血を引くといわれている)が司を勤められた。昭和十年代から戦後の昭和三十年代の終わりごろまでは、仲底家の血を引く、フ⸢ク⸣マレーヌ ⸣アンマー[ɸu̥⸢ku⸣mareːnu ⸣ʔammaː](友利家のお母さん<友利米氏>)がその神職にあり、昭和四十年頃から昭和六十年頃までは加治工家の血を引く、加治工千代氏がその神職にあった。 ム⸢トゥサカサ⸣ヌ ⸣ヤーナ サ⸢カサン⸣ケー ア⸢ツァ⸣マローリティ ⸢カンピュー⸣ル キ⸢ザルキザルヌ ピュール⸣ ク⸢ローッ⸣タ [mu⸢tusakasa⸣nu ⸣jaːna sḁ⸢kasaŋ⸣keː ʔa⸢ʦa⸣maroːriti ⸢kampjuː⸣ru ki⸢ʣarukiʣarunu pjuːru⸣ ku⸢roːt⸣ta] (本司の家に司の方々が集まられて、神行事の日程<日和>を定め<\ruby{繰}{ク}>られた)。「女司 初代 西加治工モヤ、大工ユブシ、島袋マカト、兼久トナマ、大工ユブシ、友利米、加治工千代、通事ハル、鳩間アキ。テジリビ 初代 友利津久利、兼久宜舎、兼久伊佐、兼久屋真、兼久宜佐、兼久三戸、米盛富太郎。テジリビは昔から友利家の血統から送り出され、神ツカサは加治工家から出ることになっている」『蒲葵の下で』(田代浩著) 16919 0 0 16864 htmvoc_16919.wav ムトゥザリ ム⸢トゥザリ [mu⸢tuʣari] 名 根元から枯れる事。樹木などが根元から枯れること。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ッ⸢サール⸣ヌ ⸢ペー⸣リティ ム⸢トゥザリ シーベー [ku⸢nu kiː⸣ja s⸢saːru⸣nu ⸢peː⸣riti mu⸢tuʣari ʃiːbeː] (この樹木は白蟻が入って根元から枯れている)。「元枯れ」の義。 チ⸢カ⸣グロー ム⸢トゥザリ スー⸣ マ⸢チ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナリ ⸣キー ⸢ブーバン⸠ナー [ʧi̥⸢ka⸣guroː mu⸢tuʣari suː⸣ ma⸢ʧi⸣nu ⸢goː⸣raː ⸣nari ⸣kiː ⸢buːban⸠naː] (近頃は立ち枯れする松が増えて<多くなって>きているんだねえ) 16920 1 0 16865 htmvoc_16920.wav ムドゥシ ム⸢ドゥ⸣シ [mu⸢du⸣ʃi] 名 {PoS_1}つりせん(釣銭)。 ヒャ⸢ク⸣エン ン⸢ザ⸣スカー ム⸢ドゥ⸣シェー ⸢ギュー⸣サ ナ⸢ル⸣ワ [ça⸢ku⸣eŋ ʔn⸢ʣa⸣sukaː mu⸢du⸣ʃeː ⸢gjuː⸣sa na⸢ru⸣wa] (百円出したらお釣りは幾らになるか)。 16920 2 0 16866 htmvoc_16920.wav ムドゥシ ム⸢ドゥ⸣シ [mu⸢du⸣ʃi] 助数 {PoS_2}回。度。ム⸢ドゥ⸣シ[mu⸢du⸣ʃi](戻し{EOS}動作を元へ戻す<往復する>イメージを伴う)の転訛したもの。同じ行為を繰り返すことを表す単位。 ⸢ケー⸣ラ [⸢keː⸣ra] (回{EOS}度{EOS}「返り」の類義語)。⸢ケー⸣ラ[⸢keː⸣ra]には、何度も試みる前向きの語感が伴う。 プ⸢スムドゥ⸣シ フ⸢タムドゥシェー⸣ ム⸢ドゥ⸣シティ ⸢ウンダ⸣ キ⸢ミルバン⸣ ミサン [pu̥⸢sumudu⸣ʃi ɸu̥⸢tamuduʃeː⸣ mu⸢du⸣ʃi̥ti ⸢ʔunda⸣ ki⸢mirubam⸣ misaŋ] (一回二回は差し戻して、それから決めてもよい) 16922 0 0 16867 htmvoc_16922.wav ムトゥシゥカイ ム⸢トゥ⸣シゥカイ [mu⸢tu⸣si̥kai] 名 本採用。本雇ホンヤトィ。 イ⸢チンバー⸣キン ⸣ギシ ⸣ナリ ブ⸢ラーンドー⸣シ ム⸢トゥ⸣シゥカイ ⸣ナシー ッ⸢ふォー⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラン⸣カヤー [ʔi⸢ʧimbaː⸣kiŋ ⸣giʃi ⸣nari bu⸢raːndoː⸣ʃi mu⸢tu⸣si̥kai ⸣naʃiː f⸢foː⸣ru ⸣ku̥toː na⸢raŋ⸣kajaː] (いつまでも下男<下司>になっていないで、本雇にして下さる事は出来ませんか<本雇<本採用>にしていただけませんか>ねえ) 16923 0 0 16868 htmvoc_16923.wav ムトゥシン ム⸢トゥ⸣シン [mu⸢tu⸣ʃiŋ] 名 もとで(元手)。資本金。 ム⸢トゥシン⸣ヌ ア⸢リバ⸣ル カ⸢ツシンヌ⸣ ワザン シ⸢ラリ⸣ツォー [mu⸢tuʃin⸣nu ʔa⸢riba⸣ru kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ waʣaŋ ʃi⸢rari⸣ʦoː] (元手があって始めて<あればぞ>カツオ漁業の事業もできるそうだ) 16921 0 1 16869 htmvoc_16921.wav ムドゥスン ム⸢ドゥ⸣スン [mu⸢du⸣suŋ] 他動 {Mn_1}戻す。返す。 ム⸢トゥ⸣ヌ ⸣トンナー ム⸢ドゥ⸣スンティ ⸢スンドゥ グッふァ⸣ヌ ム⸢ドゥサラ⸣ヌ [mu⸢tu⸣nu ⸣tonnaː mu⸢du⸣sunti ⸢sundu guffa⸣nu mu⸢dusara⸣nu] (元の所に戻そうとするが、重くて戻されない)。 ム⸢ドゥ⸣シ ⸣ミサカー ム⸢ドゥ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [mu⸢du⸣ʃi ⸣misakaː mu⸢du⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (戻してよければ戻すことはできる)。 ム⸢ドゥ⸣シェー ⸣ミサムヌ [mu⸢du⸣ʃeː ⸣misamunu] (戻せばよいのに)。 ⸢パー⸣ク ム⸢ドゥ⸣シバ [⸢paː⸣ku mu⸢du⸣ʃiba] (早く戻せよ)。 16921 0 2 16870 htmvoc_16921.wav ムドゥスン ム⸢ドゥ⸣スン [mu⸢du⸣suŋ] 他動 {Mn_2}へどを吐く。\ruby{嘔吐}{オウ|ト}する。 ッ⸢ふァイヤー⸣ ムノー ムー⸢ル⸣ ム⸢ドゥ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [f⸢faijaː⸣ munoː muː⸢ru⸣ mu⸢du⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (食べたものを全部戻して<嘔吐して>しまった) 16924 0 0 16871 htmvoc_16924.wav ムトゥダイ ム⸢トゥ⸣ダイ [mu⸢tu⸣dai] 名 原価。「\ruby{元値}{モト|ネ}」の義。 マ⸢チヤーヌ⸣ シ⸢ナムヌ⸣ ム⸢トゥ⸣ダイシ ⸢カース⸣カー ⸢モー⸣ケー ン⸢ジラ⸣ヌ [ma⸢ʧijaːnu⸣ ʃi⸢namunu⸣ mu⸢tu⸣daiʃi ⸢kaːsu⸣kaː ⸢moː⸣keː ʔn⸢ʤira⸣nu] (店の品物を原価で売ったら儲けは出ない) 16926 0 0 16872 htmvoc_16926.wav ムトゥドーリ ム⸢トゥドーリ [mu⸢tudoːri] 名 根絶すること。\ruby{根絶}{ネ|ダ}やしになること。「本倒れ」の義。 ⸢ニー⸣ヌ ⸣ッサルカー ⸢キー⸣ヤ ム⸢トゥドーリ シース [⸢niː⸣nu ⸣ssarukaː ⸢kiː⸣ja mu⸢tudoːri ʃiːsu] (根が腐れると木は根絶やしになる<本倒れする>) 16927 0 0 16873 htmvoc_16927.wav ムトゥドーリヤー ム⸢トゥドーリヤー [mu⸢tudoːrijaː] 名 絶家。後継者の絶えた家。「本倒れ家」の義。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸣アトゥシギヌ ブ⸢ラーン ベー⸣ティ ム⸢トゥドーリヤー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːja ⸣ʔatuʃiginu bu⸢raːm beː⸣ti mu⸢tudoːrijaː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (あの家は跡継ぎがいないので絶家<本倒れ家>になってしまった) 16925 0 0 16874 htmvoc_16925.wav ムトゥドゥール ⸣ムトゥドゥール [⸣mutuduːru] 名 元通り。以前と同じ状態。 ヤ⸢ブ⸣レーン ⸣トンマー ⸣ムトゥドゥール ⸢ノー⸣シ シ⸢キ⸣リバ [ja⸢bu⸣reːn ⸣tommaː ⸣mutuduːru ⸢noː⸣ʃi ʃi̥⸢ki⸣riba] (破れ<壊れ>た所は元通りに直しておきなさいよ) 16928 0 0 16875 htmvoc_16928.wav ムトゥナー ム⸢トゥ⸣ナー [mu⸢tu⸣naː] 名 本縄。鱶釣り用のカ⸢シ⸣ナー[kḁ⸢ʃi⸣naː]で、海底に沈める本縄。両端に50キロの石を結わえ、中心点が海面に届くように\ruby{撓}{タワ}め、更にウ⸢キナー(浮き縄)を結わえて約3メートルの孟宗竹の浮きに結び、ム⸢トゥ⸣ナーを海底に沈める。ムトゥナーの片側に2本の枝縄を結び、釣り針には亀の手足、イルカの肉、猫などを掛けておいた。 ム⸢トゥ⸣ナーナー ユ⸢ダナーン ユームトゥナー パー⸣シティ ⸣マヤンドーレーバ ⸢ムン⸣ダネー ⸢シール⸣ サ⸢バー ホーシ⸣タ [mu⸢tu⸣naːnaː ju⸢danaːŋ juːmutunaː paː⸣ʃi̥ti ⸣majandoːreːba ⸢mun⸣daneː ⸢ʃiːru⸣ sa⸢baː hoːʃi̥⸣ta] (本縄に枝縄も4本ずつ出し<\ruby{延}{ハ}え>て、猫などを餌にして鱶を釣られた) 16935 0 0 16876 htmvoc_16935.wav ムトゥナカンテー ム⸢トゥナカン⸣テー [mu⸢tunakan⸣teː] 名 屋号。空屋敷だが、仲本家の本屋敷といわれている。「本仲本家」の義。[mu⸢tu・nakan⸣tujaː] → [mu⸢tunakan⸣teː] と音韻変化したもの 16929 0 0 16877 htmvoc_16929.wav ムトゥナル ⸣ムトゥナル [⸣mutunaru] 名 もとなり(本生り)。植物の蔓や幹の、根に近いほうになる実。⸣スラナル[⸣suranaru](うらなり<\ruby{末生}{ウラ|ナ}り>)の対義語。 カ⸢ブッチン⸣ シ⸢ブルン⸣ ムトゥナルンドゥ ⸣ナロー ⸢マイ⸣ヤ⸢ダー [ka⸢butʧiŋ⸣ ʃi⸢burum⸣ mutunarundu ⸣naroː ⸢mai⸣ja⸢daː] (南瓜も冬瓜も本成りが実は大きいんだよ) 16930 0 0 16878 htmvoc_16930.wav ムトゥニー ム⸢トゥ⸣ニー [mu⸢tu⸣niː] 名 主根。地中へ真っ直ぐに伸びた植物の根。「元根」の義。⸢パイ⸣ニー[⸢pai⸣niː](支根<\ruby{延根}{ハイ|ネ}>)の対義語。 フ⸢クン⸣ ヤ⸢ラボー⸣ ム⸢トゥニー⸣ル ⸢スー⸣ワンドゥ ガ⸢ジ⸣マロー ⸢パイニー⸣ル ⸢スー⸣ワ [ɸu̥⸢kuŋ⸣ ja⸢raboː⸣ mu⸢tuniː⸣ru ⸢suː⸣wandu ga⸢ʤi⸣maroː ⸢painiː⸣ru ⸢suː⸣wa] (福木やテリハボク<ヤラブ>は主根が強いが、ガジマル<榕樹>は支根が強い) 16931 0 0 16879 htmvoc_16931.wav ムトゥバキ ム⸢トゥ⸣バキ [mu⸢tu⸣baki] 名 株分け。根株を分けること。「元分け」の義。 ⸣ビラン シ⸢ビラン⸣ ム⸢トゥ⸣バキ ⸢シー⸣ イ⸢ババル⸣<イ⸢ビバル⸣> サ⸢カル⸠ツォー [⸣biraŋ ʃi⸢biram⸣ mu⸢tu⸣baki ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢babaru⸣<ʔi⸢bibaru⸣> sḁ⸢karu⸠ʦoː] (にら<韮>も、ねぎ<葱>も株分けして植えたららばこそ繁茂<栄える>するんだよ) 16936 0 0 16880 htmvoc_16936.wav ムトゥバシー ム⸢トゥ⸣バ ⸣シー [mu⸢tu⸣ba ⸣ʃiː] 連 基にして。基本にして。 アー⸢パーレー キューヌ ピー⸣バ ム⸢トゥ⸣バ ⸢シー [ʔaː⸢paːreː kjuːnu piː⸣ba mu⸢tu⸣ba ⸢ʃiː] (ああ、嬉し{EOS}今日の佳き日を基にして)(アーパーレー歌) 16932 0 0 16881 htmvoc_16932.wav ムトゥビライ ム⸢トゥ⸣ビライ [mu⸢tu⸣birai] 名 古い付き合い。親しい交際。親密な交際。 ⸢ウッツァ⸣トー ム⸢トゥ⸣ビライ ⸢シー⸣ ケール ⸣ナカ ヤ⸢ルンダ⸣ ウナー ノー⸢ン⸣ カ⸢ク⸣シ ⸣ユクシェー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔutʦa⸣toː mu⸢tu⸣birai ⸢ʃiː⸣keːru ⸣naka ja⸢runda⸣ ʔunaː noː⸢ŋ⸣ kḁ⸢ku⸣ʃi ⸣jukuʃeː ⸢naː⸣nu] (彼らとは古い付き合い<親密な交際>をしてきた仲だから、そこには何にも隠し事や\ruby{嘘偽}{ウソ|イツワリ}ごとはない) 16933 0 0 16882 htmvoc_16933.wav ムトゥブ ム⸢トゥ⸣ブ [mu⸢tu⸣bu] 名 地名。沖縄本島北部の本部町字本部。 パ⸢トゥマ⸣ヌ カ⸢ツシンマー⸣ ム⸢トゥ⸣ボーラ ⸢プーシンバ⸣ ム⸢トーリ⸣ル パ⸢ジモーッ⸣タツォー [pḁ⸢tuma⸣nu kḁ⸢ʦuʃimmaː⸣ mu⸢tu⸣boːra ⸢puːʃimba⸣ mu⸢toːri⸣ru pa⸢ʤimoːt⸣taʦoː] (鳩間島のカツオ漁船は、本部から帆船を持ってこられて始められたそうだ) 16937 0 0 16883 htmvoc_16937.wav ムトゥミルン ム⸢トゥミ⸣ルン [mu⸢tumi⸣ruŋ] 他動 求める。手に入れようとして探す。欲しがる。「~さ山田の翁が其の日に母等米<モトメ>安波受家牟。万、4015」の転訛したものか。 ⸣ザイサン ム⸢トゥミ⸣ルンティ パ⸢タラキ ベーン⸣ドゥ ム⸢トゥミララン⸣サー [⸣ʣaisam mu⸢tumi⸣runti pḁ⸢raki beːn⸣du mu⸢tumiraran⸣saː] (財産を求めようとして働いているが、求められないよ)。 ム⸢トゥミ ヤッ⸣サー ⸣トンナーティル ム⸢トゥミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナル [mu⸢tumi jas⸣saː ⸣tonnaːtiru mu⸢tumi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naru] (求めやすい所でこそ求めることはできるものだ)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢トゥミ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim mu⸢tumi⸣reː ⸣misamunu] (もっと求めればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ザイサン ム⸢トゥミ⸣リ [⸢paː⸣ku ⸣ʣaisam mu⸢tumi⸣ri] (早く財産を求めなさい) 16938 1 0 16884 htmvoc_16938.wav ムトゥムトゥ ⸣ムトゥムトゥ [⸣mutumutu] 名 {PoS_1}もともと(元元)。本来。元来。 イ⸢リクヌティー⸣ヌ ⸣ムトゥムトゥヌ イ⸢メー⸣ イ⸢レコノ フエ⸣ティ ⸢スー⸣ イ⸢ミ⸣ダー [ʔi⸢rikunutiː⸣nu ⸣mutumutunu ʔi⸢meː⸣ ʔi⸢rekono ɸue⸣ti ⸢suː⸣ ʔi⸢mi⸣daː] (⸢イリクヌティー」の本来の意味は、「入子の笛」という意味だよ)。 16938 2 0 16885 htmvoc_16938.wav ムトゥムトゥ ⸣ムトゥムトゥ [⸣mutumutu] 副 {PoS_2}もとから。はじめから。 ⸣クマー ⸣ムトゥムトーラ ⸢バン⸣テヌ ⸢ヤシ⸣キ⸢ダー [⸣kumaː ⸣mutumutoːra ⸢ban⸣tenu ⸢jaʃi⸣ki⸢daː] (ここは始めから私の家の屋敷だよ) 16939 0 0 16886 htmvoc_16939.wav ムトゥムラ ム⸢トゥ⸣ムラ [mu⸢tu⸣mura] 名 本村。昔からの村。 ム⸢トゥ⸣ムラー ヤ⸢マ⸣ヌ ⸢ウイナー⸣ル ⸢アッ⸣タツォー [mu⸢tu⸣muraː ja⸢ma⸣nu ⸢ʔuinaː⸣ru ⸢ʔat⸣taʦoː] (本村は山の上にあったそうだ) 16940 0 0 16887 htmvoc_16940.wav ムトゥムン ム⸢トゥ⸣ムン [mu⸢tu⸣muŋ] 名 求める。手に入れようとして探す。欲しがる。「求め。下二段活用」の四段活用化したもの。 プ⸢ソー ジンカニ⸣ヌ ⸣アルカー ⸣ザイサン ム⸢トゥ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ バーヤ ⸣アイブー ⸣ムノー ム⸢トゥマ⸣ヌ [pu̥⸢soː ʤiŋkani⸣nu ⸣ʔarukaː ⸣ʣaisam mu⸢tu⸣munti ⸢sundu⸣ baːja ⸣ʔaibuː ⸣munoː mu⸢tuma⸣nu] (人は金があれば財産を求めるというが、私はあんなものは求めない)。 ム⸢トゥミ⸣ グ⸢リ⸣サラバン マ⸢ナ⸣マ ム⸢トゥ⸣ム プ⸢スル⸣ カチ⸢ダー [mu⸢tumi⸣ gu⸢ri⸣sarabam ma⸢na⸣ma mu⸢tu⸣mu pu̥⸢suru⸣ kḁʧi⸢daː] (求め辛くても今求める人が勝ちだ)。 ⸣プサカー ⸣ドゥーシ ム⸢トゥ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸣pu̥sakaː ⸣duːʃi mu⸢tu⸣meː ⸣misamunu] (欲しければ自分で求めればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢トゥ⸣ミ [⸢maː⸣bim mu⸢tu⸣mi] (もっと求めよ) 16941 0 0 16888 htmvoc_16941.wav ムトゥヤー ム⸢トゥ⸣ヤー [mu⸢tu⸣jaː] 名 本家。おおもとになる家。⸢ヤーバカ⸣リ[⸢jaːbaka⸣ri](分家)の対義語。 ⸢バン⸣テーヤ ム⸢トゥ⸣ヤー ヤ⸢ルンダ⸣ キ⸢ザロー スー⸣ワン⸢ダー [⸢ban⸣teːja mu⸢tu⸣jaː ja⸢runda⸣ ki⸢ʣaroː suː⸣wan⸢daː] (私の家は本家だから伝統行事が多く厳しいよ) 16942 0 0 16889 htmvoc_16942.wav ムドゥリティダ ム⸢ドゥリ⸣ティダ [mu⸢duri⸣tida] 名 真夏の午後2時頃の厳しい暑さ。真昼時を過ぎて暑さが一段と増した\ruby{炎熱}{エン|ネツ}。「戻り太陽」の義。ナ⸢チヌ⸣ ム⸢ドゥリティダ⸣ヌ ⸣アツァー ⸢プーマキティ⸣ ン⸢ブサリンギサ⸣ル。ア⸢ツァ⸣ヌ フ⸢シガラ⸣ヌ[na⸢ʧinu⸣ mu⸢duritida⸣nu。⸣ʔaʦaː ⸢puːmakiti⸣ ʔm⸢busariŋgisa⸣ru ʔa⸢ʦa⸣nu ɸu̥⸢ʃigara⸣nu](真夏の午後2時頃の暑さの厳しさは、熱気をおびて<ほめいて・熱いて>、蒸されそうだ{EOS}暑くて\ruby{堪}{タマ}らない) 16943 0 0 16890 htmvoc_16943.wav ムドゥリミチ ム⸢ドゥリ⸣ミチ [mu⸢duri⸣miʧi] 名 帰途。帰り道。「戻り道」の義。 パ⸢タ⸣ケーラヌ ム⸢ドゥリ⸣ミチ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸢バンスル⸣ヌ ⸢ウー⸣ミタリ ⸢ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ ⸣ブリ ⸢クータ⸣ル [pḁ⸢ta⸣keːranu mu⸢duri⸣miʧi pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢bansuru⸣nu ⸢ʔuː⸣mitari ⸢beː⸣ta ⸢beː⸣ti ⸣buri ⸢kuːta⸣ru] (畑からの帰り道に畑の畦にグヮバ<蕃石榴>が完熟していたので、もい<捥い>できたよ) 16944 0 0 16891 htmvoc_16944.wav ムドゥル ム⸢ドゥ⸣ル [mu⸢du⸣ru] 名 帰り。「戻り」の義。「Modori.モドリ(戻り)帰り」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ム⸢ドゥ⸣ルン[mu⸢du⸣ruŋ](戻る)の連用形、ム⸢ドゥ⸣リ[mu⸢du⸣ri](戻り)からの転成名詞。 ⸢パイ⸣ターヌ ⸢ギームドゥル [⸢pai⸣taːnu ⸢giːmuduru] (西表<南端>への往来<行き戻り>)。 ⸢パイ⸣ターラヌ ム⸢ドゥ⸣ロー ⸢チャー⸣ タ⸢ム⸣ヌ ⸣キシティ ⸣イダフネーラ ⸢ヌーシ オーッ⸣タン [⸢pai⸣taːranu mu⸢du⸣roː ⸢ʧaː⸣ ta⸢mu⸣nu ⸣ki̥ʃiti ⸣ʔidaɸuneːra ⸢nuːʃi ʔoːt⸣taŋ] (南端からの帰りは、いつも薪を伐って板舟<サバニ>から積んで来られた) 16945 0 0 16892 htmvoc_16945.wav ムドゥルン ム⸢ドゥ⸣ルン [mu⸢du⸣ruŋ] 自動 戻る。元のところへ帰る。回復する。 ⸣キューズーナ ム⸢ドゥ⸣ルンティ シ⸢タンドゥ⸣ シ⸢グトゥ⸣ トゥ⸢ズミララン⸣ベーティ ⸢キュー⸣ヤ ム⸢ドゥラ⸣ヌ [⸣kjuːʣuːna mu⸢du⸣runti ʃi̥⸢tandu⸣ ʃi⸢gutunu⸣ tu⸢ʣumiraram⸣beːti ⸢kjuː⸣ja mu⸢dura⸣nu] (今日中に戻るといったが、仕事が終えられないので、今日は戻らない)。 ム⸢ドゥ⸣リ ⸣ミサカー ユネン⸢バー⸣キナ ム⸢ドゥ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [mu⸢du⸣ri ⸣misakaː junem⸢baː⸣kina mu⸢du⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (戻ってよければ、夕方までには戻ることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸢パイ⸣サ ム⸢ドゥ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢pai⸣sa mu⸢du⸣reː ⸣misamunu] (もっと早くに戻ればいいのに)。 ⸢ワー⸣ ヤー⸢ディン⸣ キュー ム⸢ドゥ⸣リ [⸢waː⸣ jaː⸢diŋ⸣ kjuː mu⸢du⸣ri] (君は必ず今日戻れ) 16946 1 1 16893 htmvoc_16946.wav ムトゥン ⸣ムトゥン [⸣mutuŋ] 他動 {PoS_1}{Mn_1}持つ。所持する。「~み籠母乳<モチ>~万1。~手に巻き母知弖<モチテ>~万3993」の転訛したもの。 カ⸢ロー⸣ ムノーラ ⸣ティーナ ⸣ムトゥンティ ⸢スンドゥ グッふァ⸣ヌ ム⸢タラ⸣ヌ [ka⸢roː⸣ munoːra ⸣tiːna ⸣mutunti ⸢sundu guffa⸣nu mu⸢tara⸣nu] (軽い物から手に持とうとするが、重くて持て<持たれ>ない)。 ⸣バー ⸣ムティミサカー ⸣ムトゥ ⸣クトー ⸣ナルン [⸣baː ⸣mutimisakaː ⸣mutu ⸣kutoː naruŋ] (私が持ってよければ持つことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ムテー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸣muteː ⸣misamunu] (もっと持てばよいのに)。 ク⸢レー ワー⸣ ムティ [ku⸢reː waː⸣ muti] (これは君が持て)。 ブ⸢トゥ⸣ ムトゥン [bu⸢tu⸣ mutuŋ] (嫁ぐ<夫を持つ>)。 16946 1 2 16894 htmvoc_16946.wav ムトゥン ⸣ムトゥン [⸣mutuŋ] 他動 {Mn_2}治める。支配する。 シ⸢マム⸣チ ⸢ユームチ [ʃi⸢mamu⸣ʧi ⸢juːmuʧi] (島を治める人{EOS}部落会長<島持ち、世持ち>)。 ⸢スー⸣タイ ⸣ムトゥン [⸢suː⸣tai ⸣mutuŋ] (所帯を持つ)。 16946 1 3 16895 htmvoc_16946.wav ムトゥン ⸣ムトゥン [⸣mutuŋ] 他動 {Mn_3}負担する。 ク⸢リヌ ダイヤー⸣ バー ⸣ムトゥン [ku⸢rinu daijaː⸣ baː ⸣mutuŋ] (これの代金は私が負担する<持つ>)。 16946 1 4 16896 htmvoc_16946.wav ムトゥン ⸣ムトゥン [⸣mutuŋ] 他動 {Mn_4}妊娠する。 ブ⸢ネー⸣ ッ⸢ふァ⸣ ナシティ ⸢トゥーシキル⸣ ナ⸢ルン⸣ドゥ キサー⸢ティ⸣ ム⸢ティ⸣ブー ⸣アイ ヤ⸢レー⸣ティル ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ウシトゥマ⸣キ ⸢シーブー [bu⸢neː⸣ f⸢fa⸣ naʃiti ⸢tuːʃikiru⸣ na⸢run⸣du kisaː⸢ti⸣ mu⸢ti⸣buː ⸣ʔai ja⸢reː⸣tiru ku⸢nu⸣ f⸢faː ʔuʃituma⸣ki ʃiːbuː] (母親は出産して十月しかならない<十月がなる>が、既に妊娠している{EOS}それでこの子は弟負け<おとみづわり{EOS}弟見悪阻>して痩せているのだ)。 16946 2 0 16897 htmvoc_16946.wav ムトゥン ⸣ムトゥン [⸣mutuŋ] 自動 {PoS_2}保つ。持続する。 ⸢ジュー⸣ネン ⸣ムトゥン [⸢ʤuː⸣nem ⸣mutuŋ] (十年間持つ)。 ア⸢チ⸣ツァー イ⸢チニン⸣<プ⸢ス⸣トゥシ> ム⸢タ⸣ヌ [ʔa⸢ʧi⸣ʦaː ʔi⸢ʧinim⸣ mu⸢ta⸣nu] (下駄は一年持たない)。 ウ⸢ヌ キン⸣マー ⸢ナームティ⸣ サ⸢ヌ [ʔu⸢nu kim⸣maː ⸢naːmuti⸣ sa⸢nu] (この着物は長持ちしない)。 ウ⸢レー⸣ エン⸢バー⸣ケー ム⸢タ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ jem⸢baː⸣keː mu⸢ta⸣nu] (これは来年までは持たない) 16947 0 0 16898 htmvoc_16947.wav ムドゥン ⸣ムドゥン [⸣muduŋ] 他動 \ruby{捻}{ネジ}る。ひねる。 ⸢シン⸣ダシ フ⸢バリティ⸣ ムディティ シ⸢ミ⸣リバ [⸢sin⸣daʃi ɸu⸢bariti⸣ muditi ʃi⸢mi⸣riba] (針金で縛って\ruby{捻}{ヒネ}って引き締めなさい)。 ⸢ペン⸣チシ ア⸢ラン⸣カー ム⸢ダラ⸣ヌ [⸢pen⸣ʧiʃi ʔa⸢raŋ⸣kaː mu⸢dara⸣nu] (ペンチでないと捻じられない)。 ムディ⸢シェー⸣カー ムディバ [mudi⸢ʃeː⸣kaː ⸣mudiba] (捻じることができたら<捻じれるなら>捻じれよ)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ムデー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸣mudeː ⸣misamunu] (もっと捻じればいいのに) 16948 0 0 16899 htmvoc_16948.wav ムナイ ⸣ムナイ [⸣munai] 名 妊婦が何かに感応して胎児に影響を与えること。「物\ruby{肖}{ア}え」の転訛か。「肖、似也、アユ・アエタリ」『色葉字類抄』の転訛したもの。 パ⸢ルミ⸣プソー ウ⸢ティンガビ⸣ヌ カ⸢ビ⸣ ヤ⸢ク⸣ ピー、 パ⸢カヌ⸣ フ⸢タ⸣ ア⸢ク⸣ ムヌ ⸣ミルカー ⸣ムナイ ⸢スン⸣ティ ア⸢ザリブー⸣ダー [pa⸢rumi⸣pu̥soː ʔu⸢tiŋgabi⸣nu ka⸢bi⸣ ja⸢ku⸣ piː、pḁ⸢kanu⸣ ɸu̥⸢ta⸣ ʔa⸢ku⸣ munu ⸣mirukaː ⸣munai ⸢sun⸣ti ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (妊婦は紙銭<打ち紙>の紙を焼く火、墓の蓋を開けるものを見ると胎児に感応して\ruby{兎唇}{ト|シン}になったり、顔面に赤い\ruby{痣}{アザ}がでるといわれているよ) 16949 0 1 16900 htmvoc_16949.wav ムニ ⸣ムニ [⸣muni] 名 {Mn_1}ことば(言葉)。「賢しみと物言従者<モノイフ>よりは~。万、341」の連用形、⸢モノイヒ(物言ひ)」より転訛したもの。 ⸣ムニ イ⸢ズン [⸣muni ʔi⸢ʣuŋ] (ものを言う<話す>)。 ⸣ムニ ⸢ヤー⸣ラーン [⸣muni ⸢jaː⸣raːŋ] (言葉が優しい<言葉が柔らかい>)。 ⸣ムニ ⸢コー⸣ン [⸣muni ⸢koː⸣ŋ] (言葉が厳しい<言葉が硬い{EOS}~が強い>)。 ⸣ムネー チ⸢チシメー⸣ティ イ⸢ジ⸣ヨー [⸣muneː ʧi̥⸢ʧiʃimeː⸣ti ʔi⸢ʤi⸣joː] (言葉は慎み深くいいなさいよ)。 16949 0 2 16901 htmvoc_16949.wav ムニ ⸣ムニ [⸣muni] 名 {Mn_2}地名や国名に付いて、その国語、方言を表す。 パ⸢トゥ⸣マムニ [pḁ⸢tu⸣mamuni] (鳩間方言) イ⸢サナキムニ [ʔi⸢sanakimuni] (石垣方言) ⸢ヤイマムニ [⸢jaimamuni] (八重山方言) ウ⸢キナー⸣ムニ [ʔu⸢kinaː⸣muni] (沖縄方言) イ⸢ツマン⸣ムニ [ʔi⸢ʦumam⸣muni] (糸満方言))。 ヤ⸢マトゥ⸣ムニ [ja⸢matu⸣muni] (大和言葉{EOS}日本語)。 ⸣トームニ [⸣toːmuni] (中国語)。 ウ⸢ランタ⸣ムニ [ʔu⸢ranta⸣muni] (英語{EOS}「オランダ語」の義で、西洋の外国語一般を表す) 16950 0 0 16902 htmvoc_16950.wav ムニアギ ム⸢ニアギ [mu⸢niʔagi] 名 棟上。「棟上、ムネアゲ、家の祝」『文明本節用集』の転訛。家屋建築の過程で、ナ⸢カ⸣バラー[na⸢ka⸣baraː](大黒柱<中柱>)を立て、⸣ムヤーバラー[⸣mujaːbaraː](母屋柱)を立てて、⸣キタ[⸣ki̥ta](桁材)を架けて棟木を上げる。ン⸢ニギー[ʔn⸢nigiː](棟木)には「天官賜福紫微鑾駕」と墨書し、ピ⸢ル[pi⸢ru](大蒜)と塩を包んでそれに吊るす。棟上式は、潮の満ち時に合わせて行う。中柱の上と四隅のムヤーバラーの上には紅白の餅を供えて棟梁と家主が祈願する。祈願が終わると家主と棟梁が屋根から餅撒きをする。子供たちや村人たちが餅を拾いに集まってくる。福招きの行事だと言われている。 ⸢バン⸣テヌ ウ⸢ブ⸣ヤー ム⸢ニアギ ソーッ⸣タ ⸣バス ⸢イットゥ⸣ヌ ム⸢チ ポーローッ⸣タンツォー [⸢ban⸣tenu ʔu⸢bu⸣jaː mu⸢niʔagi soːt⸣ta ⸣basu ⸢ʔittu⸣nu mu⸢ʧi poːroːt⸣tanʦoː] (私の家の棟上式には、一斗の糯米で作った餅を撒かれたそうだ) 16951 0 0 16903 htmvoc_16951.wav ムニアザケーン ⸣ムニ ア⸢ザ⸣ケーン [⸣muni ʔa⸢ʣa⸣keːŋ] 連 言葉遣いが美しい。言葉遣いが上品である。「言葉が清潔である」の義。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー⸣ ムネー ア⸢ザケーアザケー⸣シ ア⸢ジバル⸣ プ⸢スン⸣ カ⸢ナ⸣サ シ⸢ラリ⸠ダー [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸣muneː ʔa⸢ʣakeːʔaʣakeː⸣ʃi ʔa⸢ʤibaru⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ʔa⸢tara⸣sa ʃi⸢rari⸠daː] (女の子は言葉遣いを丁寧に<上品に>言ったほうが世間の人から可愛がられるものだよ)。 ムネー ア⸢ザ⸣ケーンドゥ フ⸢ヨー⸣ヌ ムシ⸢トゥ⸣ シゥ⸢カーラヌ [⸣muneː ʔa⸢ʣa⸣keːndu ɸu⸢joː⸣nu muʃi̥⸢tu⸣ sï̥⸢kaːranu] (言葉遣いは上品だが怠け者だから、ちっとも使えない) 16952 0 0 16904 htmvoc_16952.wav ムニアラーン ⸣ムニ ア⸢ラー⸣ン [⸣muni ʔa⸢raː⸣ŋ] 連 言葉遣いが荒い。言葉が荒っぽい。 ウ⸢レー⸣ ムニ ア⸢ラー⸣ンダ ナ⸢クラーン⸣ダー [ʔu⸢reː⸣ muni ʔa⸢raː⸣nda na⸢kuraːn⸣daː] (彼は言葉が荒いから怖いよ)。 ⸢ワー⸣ ムネー ア⸢ラー⸣ティ イ⸢ザリ ベー⸣ン ⸣カタチニル シゥ⸢カリンダ⸣ ヤー⸢ラヤーラ⸣シ ⸣ムニ イ⸢ジ⸣バ [⸢waː⸣ muneː ʔa⸢raː⸣ti ʔi⸢ʣari beː⸣ŋ ⸣kḁtaʧiniru si̥⸢karinda⸣ jaː⸢rajaːra⸣ʃi ⸣muni ʔi⸢ʤi⸣ba] (君の言葉は荒っぽいので、叱られているように聞こえるから、柔らかく話せよ) 16953 0 0 16905 htmvoc_16953.wav ムニイジカンティ ⸣ムニ イ⸢ジカンティ [⸣muni ʔi⸢ʤikanti] 連 言いかねること。言いにくく感じること。言葉で表現しづらく感ずること。 ⸣シマムニ ⸢バシキティ⸣ パ⸢トゥ⸣マムニシ ⸣ムニ イ⸢ジカンティー シー ベー [⸣ʃimamuni ⸢baʃi̥kiti⸣ pḁ⸢tu⸣mamuniʃi ⸣muni ʔi⸢ʤikanti ʃiː beː] (方言を忘れて、鳩間方言で言いかねて<言うことができないで>いる) 16954 0 0 16906 htmvoc_16954.wav ムニイジホール ム⸢ニイジホー⸣ル [mu⸢niʔiʤihoː⸣ru] 名 話の要領。要領のいい表現。気配りのきいたものの言い方。 ウ⸢レー⸣ ム⸢ニイジホール⸣ヌ ⸢ナー⸣ンダ マー⸢ン⸣ナーティン ノー⸢ンティン⸣ ムニ イ⸢ジティル⸣ プ⸢スン ニッ⸣ふァー シ⸢ラリ ブー⸠ダー [ʔu⸢reː⸣ mu⸢niʔiʤihoːru⸣nu ⸢naː⸣nda maː⸢n⸣naːtin noː⸢ntim⸣ muni ʔi⸢ʤitiru⸣ pu̥⸢sun nif⸣faː ʃi⸢rari buː⸠daː] (彼は話の要領を心得ていないから、どこでも、何とでも物を言うから他人に憎まれているのだよ) 16955 0 0 16907 htmvoc_16955.wav ムニイジマーシ ム⸢ニイジマー⸣シ [mu⸢niʔiʤimaː⸣ʃi] 名 ことばの表現。ものの言いよう。ものの言い表し方。「もの言い回し」の義。 ム⸢ニイジマーシ⸣ヌ カチ⸢ブンダ⸣ ウ⸢リットー⸣ カ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢niʔiʤimaːʃi⸣nu kḁʧi⸢bunda⸣ ʔu⸢rittoː⸣ ka⸢naː⸣nu] (ものの言いようが優れて<勝って>いるから、彼にはかなわ<敵わ>ない) 16956 0 0 16908 htmvoc_16956.wav ムニイズン ⸣ムニ イ⸢ズン [⸣muni ʔi⸢ʣuŋ] 連 物を言う。話す。しゃべる。 ミ⸢ドゥ⸣モー ヤー⸢ラヤーラ⸣シル ⸣ムネー イ⸢ズ⸣ダー [mi⸢du⸣moː jaː⸢rajaːra⸣ʃiru ⸣muneː ʔi⸢ʣu⸣daː] (女は柔らかく物を言うんだよ)。/ムニ イザバ チチシミ フチヌ フカユ イダスナヨー イダシカラー マタトゥ フクミヤ ナラヌ デンサー/(もしも物を言うときは慎み深くして、簡単に口外するなよ{EOS}一旦口外した言葉は二度と口の中へ含み直すことはできないものだよ、真に)(上原のデンサー節) 16957 0 0 16909 htmvoc_16957.wav ムニウムッサン ⸣ムニ ウ⸢ムッ⸣サン [⸣muni ʔu⸢mus⸣saŋ] 連 話が面白い。「物言いが面白い」の義。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸣ムニ ウ⸢ムッ⸣サンダ シ⸢キプリル スー⸠ツォー [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸣muni ʔu⸢mus⸣sanda ʃi̥⸢kipuriru suː⸠ʦoː] (彼は話が面白いから、聞きほれするんですよ) 16958 0 0 16910 htmvoc_16958.wav ムニカイヤン ⸣ムニ ⸢カイ⸣ヤン [⸣muni ⸢kai⸣jaŋ] 連 話が上品である。言語表現が\ruby{熟}{コナ}れて美しい。言い回しが上品である。 ユ⸢ヌ⸣ クトゥ ヤ⸢ルンドゥ⸣ イ⸢サナキムニ⸣シ ア⸢ズ⸣カー ⸣ムニ ⸢カイ⸣ヤンダ⸢ナー [ju⸢nu⸣ ku̥tu ja⸢rundu⸣ ʔi⸢sanakimuni⸣ʃi ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸣muni ⸢kai⸣janda⸢naː] (同じことであるが、石垣言葉で言うと話<物言い>が上品だよねえ) 16959 0 0 16911 htmvoc_16959.wav ムニクトゥバ ⸣ムニクトゥバ [⸣muniku̥tuba] 名 言葉。発言。⸢言葉」の強調表現。⸣ムニ[⸣muni](言葉{EOS}⸢物言い」の義)とク⸢トゥ⸣バ[ku̥⸢tu⸣ba](言葉{EOS}沖縄方言からの借用語)を重ねた強調表現。 ⸢ワー ドゥー⸣ヌ⸣ ムニクトゥバナー ⸣ユー ⸢キー⸣ シ⸢キラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː duː⸣nu ⸣muniku̥tubanaː ⸣juː ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢kiraŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (君は自分の言葉遣い<発言>によく気をつけないといけない) 16960 0 0 16912 htmvoc_16960.wav ムニコーン ⸣ムニ ⸢コー⸣ン [⸣muni ⸢koː⸣ŋ] 連 言葉遣いがきつい。言葉が厳しい。⸢言葉が硬い」の義。⸢コー⸣ムニ[⸢koː⸣muni](厳しい言葉{EOS}喧嘩腰の物言い{EOS}「\ruby{強}{コワ}・物言い」の義)はその名詞形。 ウ⸢リヌ⸣ ムネー ⸢コー⸣ンダ ッ⸢サン⸣ プ⸢ソー⸣ イ⸢ザリ ブーティル⸣ ウムー⸢ツォー [ʔu⸢rinu⸣ muneː ⸢koː⸣nda s⸢sam⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔi⸢ʣari buːtiru⸣ ʔumuː⸢ʦoː] (彼の言葉は厳しい<喧嘩腰の物言いだ>から、知らない人は叱られているように思うんだよ) 16961 0 0 16913 htmvoc_16961.wav ムニダーラマラクン ム⸢ニダー⸣ラ マ⸢ラクン [mu⸢nidaː⸣ra ma⸢rakuŋ] 連 おしゃべりをする。しゃべりまくる。「おしゃべりの詰まった俵を丸く」の義。 ミ⸢ドゥ⸣モー ア⸢ツァ⸣マルカー ム⸢ニダー⸣ラ マ⸢ラキティ⸣ シ⸢グトゥン バシキ ウー⸣ク ⸣スコー ア⸢ラ⸣ヌ [mi⸢du⸣moː ʔa⸢ʦa⸣marukaː mu⸢nidaː⸣ra ma⸢rakiti⸣ ʃi⸢gutum baʃikiti ʔuː⸣ku ⸣su̥koː ʔa⸢ra⸣nu] (女性たちは集まるとおしゃべりに花を咲かせて仕事も忘れ、とても働くどころではない) 16962 0 0 16914 htmvoc_16962.wav ムニッカー ム⸢ニッ⸣カー [mu⸢nik⸣kaː] 名 口論。言い争い。くちげんか(口喧嘩)。 ⸣アガイヤー!ッ⸢ふァイムヌヌ ユン⸣シ ム⸢ニッ⸣カー ⸢サンドー⸣シ ⸢マータキナー⸣ バキティ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣ʔagaijaː! f⸢faimununu juŋ⸣ʃi mu⸢nik⸣kaː ⸢saŋdoː⸣ʃi ⸢maːtakinaː⸣ bakiti f⸢fai⸣ba] (ああ何と卑しいことよ{EOS!}食べ物の件で<食べ物故に>言い争い<口喧嘩>なんぞしないで、等分に分けて食べなさいよ) 16963 0 0 16915 htmvoc_16963.wav ムニナサキ ⸣ムニナサキ [⸣muninasaki] 名 愛情のこもったことば。思い遣りのある言葉。「言葉の情け」の義。 イ⸢コーラ ニッ⸣ふァータンティン イ⸢ジシティル⸣ ムニ ヤ⸢ルムヌ⸣ ムニナサキバ ⸣カキ ッ⸢ふィーラバル⸣ ウヤテー ア⸢ザリ⸣ダー [ʔi⸢koːra nif⸣faːtantiŋ ʔi⸢ʤiʃi̥tiru⸣ muni ja⸢rumunu⸣ muninasakiba ⸣kaki f⸢fiːrabaru⸣ ʔujateː ʔa⸢ʣari⸣daː] (いくら憎たらしくても、言って捨てる言葉だもの、思い遣りのある言葉を掛けてやってこそ<遣ればぞ>親とはいえるものだよ) 16964 0 0 16916 htmvoc_16964.wav ムニヌイジヨー ム⸢ニ⸣ヌ イ⸢ジヨー [mu⸢ni⸣nu ʔi⸢ʤijoː] 連 言葉の言い回し。言葉の綾。言葉の巧みな表現。「もの言いの言い様」の義。 ム⸢ニ⸣ヌ イ⸢ジヨー⸣ティ ⸢スームン⸣ ア⸢リ⸣ブンダ イ⸢ジマーシェー⸣ ユー ⸢カンガイ⸣ヤーティ パ⸢ナ⸣シバ [mu⸢ni⸣nu ʔi⸢ʤijoː⸣ti ⸢suːmuŋ⸣ ʔa⸢ri⸣bunda ʔi⸢ʤimaːʃeː⸣ juː ⸢kaŋgai⸣jaːti pa⸢na⸣ʃiba] (⸢言葉の言い様」というのがあるから、表現<言い回し>はよく考えて話しなさい) 16965 0 0 16917 htmvoc_16965.wav ムニヌゴーラーン ム⸢ニ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーン [mu⸢ni⸣nu ⸢goː⸣raːŋ] 連 多弁である。口数が多い。言葉が多い。 ⸢ワー⸣ ム⸢ニ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ア⸢ザン⸣タンティン ⸣ミサ ム⸢ヌ⸣ナー ⸣ムネー イ⸢ズナ ワー⸣ ムニ イ⸢ズ⸣カー ⸢カイ⸣テー シ⸢ルッ⸣コー ナ⸢リ⸣ス [⸢waː⸣ mu⸢ni⸣nu ⸢goː⸣raːnda ʔa⸢ʣan⸣tantim ⸣misa mu⸢nu⸣naː ⸣muneː ʔi⸢ʣuna waː⸣ muni ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸢kai⸣teː ʃi⸢ruk⸣koː na⸢ri⸣su] (君は口数が多いから、言わなくてもよいことには、物を言うな{EOS}君が言うと却って台無し<ぶち壊し>になる) 16966 0 0 16918 htmvoc_16966.wav ムニヌサール ム⸢ニ⸣ヌ ⸢サール [mu⸢ni⸣nu ⸢saːru] 連 くちぐせ(\ruby{口癖}{クチ|グセ})。話すときに、決まって言い添えることば(口癖)。「言葉の連れ」の義。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ドゥーフミ ⸢スームル⸣ ム⸢ニ⸣ヌ ⸢サール⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウヌムティ ⸢カンガイ⸣ヤーティ パ⸢ナ⸣シバ⸢ヨー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ duːɸumi ⸢suːmuru⸣ mu⸢ni⸣nu ⸢saːru⸣ ja⸢runda⸣ ʔunumuti ⸢kaŋgai⸣jaːti pa⸢na⸣ʃiba⸢joː] (その人は自慢<胴褒め>するのが口癖だから、その旨を心得てか<考えながら>ら話し合いなさいね) 16967 0 0 16919 htmvoc_16967.wav ムニバカヤン ⸣ムニ バ⸢カ⸣ヤン [⸣muni ba⸢ka⸣jaŋ] 連 言うことが可笑しい。しゃべり方が滑稽である。 ウ⸢レー サッ⸣コー ⸣ムニ バ⸢カ⸣ヤンダ ウ⸢リトゥ⸣ パ⸢ナ⸣スカー バ⸢カヤ⸣ヌ バ⸢ライル⸣ シ⸢ラリル [ʔu⸢reː sak⸣koː ⸣muni ba⸢ka⸣janda ʔu⸢ritu⸣ pa⸢na⸣su̥kaː ba⸢kaja⸣nu ba⸢rairu⸣ ʃi⸢rariru] (彼は言うことが非常に可笑しいから、彼と話すと可笑しくて笑わずにはおられない<笑いぞされる>) 16968 0 0 16920 htmvoc_16968.wav ムニパヤーン ム⸢ニパヤー⸣ン [mu⸢nipajaː⸣ŋ] 形 早口である。話すことが早い。「言葉<物言い>早い」の義。フ⸢チパヤー⸣ン[ɸu̥⸢ʧipajaː⸣ŋ](口が早い{EOS}早口である)ともいう。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ム⸢ニパヤーン⸣ドゥ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢キトゥララヌ [du⸢ku⸣nu mu⸢nipajaːn⸣du mut⸢tu⸣ ʃi̥⸢kituraranu] (あまりにも早口である<物言いが早いので>、ちっとも聞き取れない)。 シ⸢ダケー⸣ ム⸢ニパヤー⸣テイ シゥ⸢カランシェヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ム⸢ニパヤー ナー⸣ヌ [ʃi⸢dakeː⸣ mu⸢nipajaː⸣ti si̥⸢karaŋʃenu⸣ ma⸢na⸣maː mu⸢nipajaː naː⸣nu] (最初は早口で聞き取れなかったが、今は早口で<物言いが早く>ない)。 ⸣アイニ ム⸢ニパヤー⸣(フ⸢チパヤー⸣) プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini mu⸢nipajaː⸣(ɸu̥ʧipajaː⸣)pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに口の早い<早口の{EOS}物言いの早い>人はいない) 16969 0 0 16921 htmvoc_16969.wav ムニパヤーン ⸣ムニ パ⸢ヤー⸣ン [⸣muni pa⸢jaː⸣ŋ] 連 幼児が早く話せるようになる。幼児の言語獲得が早い。「物言いが早い」の義。⸣ムニ サ⸢ラー⸣ン[⸣muni sa⸢raː⸣ŋ](物言いが早い<言語獲得が早く、上手に話せる>)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ムニ パ⸢ヤー⸣ン ⸢トゥーシキル⸣ ナ⸢ルン⸣ドゥ キ⸢サーティ⸣ ムネー イ⸢ジル ブー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ʔik⸢kena⸣ muni pa⸢jaː⸣ŋ ⸢tuːʃi̥kiru⸣ na⸢run⸣du ki̥⸢saːti⸣ muneː ʔi⸢ʤiru buː] (この子は非常に言葉が早い{EOS}早く話せるようになった<言語獲得が早い>{EOS}誕生して十月しかならない<十月ぞなる>のに、既に物を言って<話して>いる) 16970 0 0 16922 htmvoc_16970.wav ムニフキルン ⸣ムニ フ⸢キルン [⸣muni ɸu̥⸢kiruŋ] 連 歯が抜けていて言語音がきちんと調音できない。「言葉<物言い>が抜ける」の義。 トゥ⸢シ⸣バ トゥリ ⸢パー⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ナ⸢ローッ⸣ター ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムニン フ⸢キ⸣パリティ ⸣ヌーティル ア⸢ジオー⸣ルユー ア⸢ティンガーラヌ [tu⸢ʃi⸣ba ⸣turi ⸢paː⸣nu ⸢naːn⸣ na⸢roːt⸣taː ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣muniŋ ɸu̥⸢ki⸣pariti ⸣nuːtiru ʔa⸢ʤiʔoː⸣rujuː ʔa⸢tiŋgaːranu] (年を取って歯が無くなったので、おっしゃる言葉<発音>も抜けていって、何と言っておられるのか見当がつかない) 16971 0 0 16923 htmvoc_16971.wav ムニヤーラーン ⸣ムニ ⸢ヤー⸣ラーン [⸣muni ⸢jaː⸣raːŋ] 連 言葉遣いが上品である。言葉が穏やか<しなやか>である。「物言いが柔らかい」の義。 ⸣アッパー ⸣ムネー ⸢ヤー⸣ラーンダ イ⸢ゾーッ⸣タンティン ナ⸢クラー ナー⸣ヌヌ ⸣アブジェー ⸣ムネー ⸢コー⸣ンダ イ⸢ゾー⸣ルカー ナ⸢クラー⸣ン [⸣ʔappaː ⸣muneː ⸢jaː⸣raːnda ʔi⸢ʣoːt⸣tantin na⸢kuraː naː⸣nunu ⸣ʔabuʤeː ⸣muneː ⸢koː⸣nda ʔi⸢ʣoː⸣rukaː na⸢kuraː⸣ŋ] (御祖母さんの言葉<物言い>は穏やかだからお\ruby{叱}{シカ}りになっても\ruby{怖}{コワ}くないが、お祖父さんの言葉は\ruby{厳}{キビシ}しい<強い{EOS}硬い>からお\ruby{叱}{シカ}りになる<叱られる>と\ruby{怖}{コワ}い) 16972 0 0 16924 htmvoc_16972.wav ムニヤニヤン ⸣ムニ ヤ⸢ニ⸣ヤン [⸣muni ja⸢ni⸣jaŋ] 連 言葉遣いが下品である。言葉遣いが\ruby{粗暴}{ソ|ボウ}である。⸢言葉が汚い」の義。若年層は、⸣ムニ ⸢ヤン⸣ヤン[⸣muni ja⸢ɲ⸣jaŋ](言葉が汚い)という。 ウ⸢リヌ⸣ ムネー ヤ⸢ニヤ⸣ヌ シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢rinu⸣ muneː ja⸢nija⸣nu si̥⸢karanu] (彼の言葉は汚くて聞くに\ruby{堪}{タ}えない<聞かれない>) 16973 0 0 16925 htmvoc_16973.wav ムニユマー ⸣ムニユマー [⸣munijumaː] 名 おしゃべり。口数の多い者。他人の噂話を言いふらしたり、陰口をたたく者。他人の悪口をいう者。 ⸢ウンザー⸣ ムニユマー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ミンナー シゥ⸢カレー⸣ラー ⸣シキンズー ピ⸢ルマリ⸣ス [⸢ʔunʣaː⸣ munijumaː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ minnaː si̥⸢kareː⸣raː ⸣ʃi̥kinʣuː pi⸢rumari⸣su] (あいつはおしゃべりだから、彼の耳に聞かれたら世間中に広まるよ) 16974 0 0 16926 htmvoc_16974.wav ムニユミックナー ム⸢ニユミッ⸣クナー [mu⸢nijumik⸣kunaː] 名 口論。\ruby{口喧嘩}{クチ|ゲン|カ}。言い争い。「物言いくら<競>」の義。 ⸢ヌー⸣ヌ ⸢ユン⸣シ ユ⸢ミザーン⸣ナリ ム⸢ニユミッ⸣クナー ⸢シー ベー⸣ワ [⸢nuː⸣nu ⸢juŋ⸣ʃi ju⸢miʣaːn⸣nari mu⸢nijumik⸣kunaː ⸢ʃiː beː⸣wa] (何故に嫁同士で言い争い<口論>しているのか) 16975 0 0 16927 htmvoc_16975.wav ムニユミムヌ ム⸢ニユミ⸣ムヌ [mu⸢nijumi⸣munu] 名 おしゃべり。口数の多い者。\ruby{駄弁}{ダ|ベン}を\ruby{弄}{ロウ}する者。悪い感情の語感をもつ語。⸣ムニユマー[⸣munijumaː](おしゃべりな奴)は\ruby{卑下}{ヒ|ゲ}した表現。 ム⸢ニユミムヌン⸣マー ⸢ミシゥカムネー⸣ シゥ⸢カスナ⸣ヨー [mu⸢nijumimunum⸣maː ⸢misi̥kamuneː⸣ si̥⸢kasuna⸣joː] (おしゃべりには秘密の話<ないしょ話{EOS}みそか話>はするなよ) 16976 0 1 16928 htmvoc_16976.wav ムニユムン ⸣ムニ ⸣ユムン [⸣muni ⸣jumuŋ] 連 {Mn_1}しゃべる。不平不満をいう。文句をいう。 ⸢ウン⸣ネヌ ユ⸢メー⸣ フ⸢チカンスル⸣ ナリティ ⸢サッ⸣コー ⸣ムニ ⸣ユムンティ ス⸢クタヌ⸣ ア⸢スン⸣ケン ⸣ムニ ユ⸢マン⸣ワー⸢ン⸣ノー [⸢ʔun⸣nenu ju⸢meː⸣ ɸu̥⸢ʧikansuru⸣ nariti ⸢sak⸣koː ⸣muni ⸣jumunti su̥⸢kutanu⸣ ʔa⸢suŋ⸣kem ⸣muni ju⸢maŋ⸣waː⸢n⸣noː] (あの家の嫁は厳しい口調で<口剃刀になって主張する>、ひどくしゃべる<ひどく不平不満をいう>と聞いたが、それほど文句を言わないではないか)。 16976 0 2 16929 htmvoc_16976.wav ムニユムン ⸣ムニ ⸣ユムン [⸣muni ⸣jumuŋ] 連 {Mn_2}喧嘩する。 ヨー⸢ヨー⸣ プ⸢スン⸣ヤートー ⸣ムニ ユ⸢ム⸣ナ⸢ヨー [joː⸢joː⸣ pu̥⸢suɲ⸣jaːtoː ⸣muni ju⸢mu⸣na⸢joː] (よくよく気をつけろよ、よそ<他所>の家とは喧嘩するなよ) 16977 0 0 16930 htmvoc_16977.wav ムニンイザラヌパナンプサラヌ ⸣ムニン イ⸢ザラヌ⸣ パ⸢ナン⸣ プ⸢サラ⸣ヌ [⸣muniŋ ʔi⸢ʣaranu⸣ pa⸢nam⸣ pu̥⸢sara⸣nu] 句 うっかりものが言えない。相手の機嫌をとりつつ周囲にも気配りしないとものが言えない。「ものも言えない、くしゃみもできない」の義。 イ⸢メーマ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ イ⸢ズ⸣カー シ⸢グ⸣ フ⸢クリテイ⸣ ア⸢ミカビ キー⸣スンダ ウ⸢リンナー⸣ネー ⸣ムニン イ⸢ザラヌ⸣ パ⸢ナン⸣ プ⸢サラ⸣ヌ [ʔi⸢meːma⸣ ja⸢rabaŋ⸣ ʔi⸢ʣu⸣kaː ʃi⸢gu⸣ ɸu̥⸢kuriti⸣ ʔa⸢mikabi kiː⸣sunda ʔu⸢rinnaː⸣neː ⸣muniŋ ʔi⸢ʣaranu⸣ pa⸢nam⸣ pu̥⸢suaru⸣nu] (少しでも叱ると、すぐ\ruby{脹}{フク}れっ面になって、のしかかるように反抗してくるから、彼にはうっかりものが言えない) 16978 0 0 16931 htmvoc_16978.wav ムニンビーンナーヌ ⸣ムニンビーン ⸢ナー⸣ヌ [⸣munimbiːn ⸢naː⸣nu] 連 うんともすんともない。何の反論も反抗もない。穏やかである。⸣ムニン[⸣muniŋ]は(物言い{EOS}意見{EOS}反論)の<物言い>の略語で、反論の「厭だ」の表現。⸢ビー[⸢biː]は、「厭だ」の意味をを含む強い反抗表現⸢ベー⸣ル[⸢beː⸣ru](嫌だ)の略語で、並列助詞ン[ŋ](も)によって重ねられて強調表現となる。下に打ち消しの語を伴って用いられる。 ウ⸢レー⸣ ギュー⸢サ⸣ イ⸢ザリタンティン⸣ ムニンビーン ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ gjuː⸢sa⸣ ʔi⸢ʣaritantim⸣ muniːm⸢biːn naː⸣nu] (彼はどんなに叱られても、反対もしないし、反抗もしない{EOS}うんともすんともない) 16979 0 1 16932 htmvoc_16979.wav ムヌ ⸣ムヌ [⸣munu] 名 {Mn_1}物。物体。 ⸣ウナー ⸣アル ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [⸣ʔunaː ⸣ʔaru ⸣munoː ⸣nuːja] (そこにある物は何か)。 16979 0 2 16933 htmvoc_16979.wav ムヌ ⸣ムヌ [⸣munu] 名 {Mn_2}者。人。卑下した表現。 ⸣アイブ ⸣ムノー ⸣クナー ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaibu ⸣munoː ⸣kunaː bu⸢raːnu] (あんな人はここにはいない)。 プ⸢リムヌ [pu⸢rimunu] (気違い{EOS}狂人)。 16979 0 3 16934 htmvoc_16979.wav ムヌ ⸣ムヌ [⸣munu] 名 {Mn_3}\ruby{妖怪}{ヨウ|カイ}。お化け。 ⸢ユー⸣ル ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジ⸣ルカー ⸣ムヌン マ⸢ヤーサ⸣リン [⸢juː⸣ru mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸣munum ma⸢jaːsa⸣riŋ] (夜道に出ると妖怪に惑わされる)。 16979 0 4 16935 htmvoc_16979.wav ムヌ ⸣ムヌ [⸣munu] 名 {Mn_4}ちゃんとしたもの。完成品。 ク⸢レー⸣ ムヌ ナ⸢リンギサ ナー⸣ヌ [ku⸢reː⸣ munu na⸢riŋgisaː naː⸣nu] (これはもの<完成品>になりそうにない)。 16979 0 5 16936 htmvoc_16979.wav ムヌ ⸣ムヌ [⸣munu] 名 {Mn_5}抽象的な事物や事柄。 ウ⸢レー⸣ ターン⸢ターン⸣ ナル ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ taː⸢ntaːn⸣ naru ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (それは誰にも出来るものではない)。 16979 0 6 16937 htmvoc_16979.wav ムヌ ⸣ムヌ [⸣munu] 名 {Mn_6}人の踏み行うべき道。道義。 ⸢ジーヤ⸣ ナライティ ⸣ムノー ッ⸢サヌ [⸢ʤiːja⸣ naraiti ⸣munoː s⸢sanu] (学問は修めたが、人の踏み行うべき道<もの>を知らない) 16980 0 0 16938 htmvoc_16980.wav ムヌ ⸣-ムヌ [⸣-munu] 接助 ~のに。~ものを。理由を表す。活用語の連体形に付く。予期されることとは反対の事柄が起こることを表す、逆接の機能を果たす。 ウ⸢レー⸣ バー ⸢スームヌ⸣ ヌンティ ⸢ワーバー⸣キ ⸢スーワ [ʔu⸢reː⸣ baː ⸢suːmunu⸣ nunti ⸢waːbaː⸣ki ⸢suːwa] (これは私がするのに、何故に君までするのか)。 ⸣バー ⸣パルムヌ ⸢ワー ⸣ パ⸢ラン⸣タンティン ⸣ミサンヨー [⸣baː ⸣parumunu ⸢waː⸣ pa⸢ran⸣tantim ⸣misaŋjoː] (私が行くのに<行くものを>、君は行かなくてもいいよ) 16981 0 0 16939 htmvoc_16981.wav ムヌ ⸣ムヌ [⸣munu] 名 魔物。\ruby{悪霊}{アク|リョウ}。成仏できずに迷っている霊。異常な死に方をしたり、⸢ソッ⸣コー[⸢sok⸣koː](法事{EOS}焼香)をしてくれる人のいない死霊。生きている人に憑依して害を加えたり、頼みごとをするといわれている。 ⸣ムヌン マ⸢ヤーサ⸣リン [⸣munum ma⸢jaːsa⸣riŋ] (もの<魔物>に迷わされる)。 ⸣ムヌン ム⸢タ⸣リン [⸣munum mu⸢ta⸣riŋ] (魔物に持たれる<\ruby{操}{アヤツ}られ、\ruby{魔境}{マ|キョウ}歩かされ\ruby{弄}{モテアソ}ばれる>) 16982 0 0 16940 htmvoc_16982.wav ムヌアティ ム⸢ヌ⸣アティ [mu⸢nu⸣ʔati] 名 \ruby{思慮}{シ|リョ}。\ruby{分別}{フン|ベツ}。判断力。しっかりした考え。十分な判断力。 ヤ⸢ラ⸣ベー ム⸢ヌ⸣アテー ⸢ナー⸣ンダ ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢ティー ナー⸣ルン ⸣トン ⸢ナー⸣トナー ⸢カン⸣スルン ⸣ドーレーバ ⸣シケー ナ⸢ラン⸠ダー [ja⸢ra⸣beː mu⸢nu⸣ʔateː ⸢naː⸣nda ja⸢rabi⸣nu ⸢tiː naː⸣run⸣ton ⸢naː⸣tona ⸢kan⸣surun ⸣doːreːba ⸣ʃi̥keː na⸢ran⸠daː] (子供は思慮分別がないから、子供の手の届く<手を伸ばす>所などには、\ruby{SqBr}g{/SqBr}{剃刀}{カミソリ}等を置いてはならないよ)。 ⸢ワー フン⸣トー ム⸢ヌ⸣アテー ⸢ナー⸣ン ⸣カイブー ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢タンガ⸣シ パ⸢ラシター [⸢waː ɸun⸣toː mu⸢nu⸣ʔateː ⸢naː⸣ŋ ⸣kaibuː ja⸢rabi⸣ba ⸢taŋga⸣ʃi pa⸢raʃi̥taː] (君は本当に無謀<無分別>だ{EOS}こんな子供を一人で行かせたのか) 16983 0 0 16941 htmvoc_16983.wav ムヌイリ ム⸢ヌ⸣イリ [mu⸢nu⸣ʔiri] 名 物入り。入費。出費。 ⸣ソンガチシキトゥ ⸢ソー⸣ランシケー ム⸢ヌイリ⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ ⸣チニヒグルヌ ⸢スータイ⸣ヤー ク⸢メーキリ⸣ヨー [⸣soŋgaʧiʃi̥kitu ⸢soː⸣raŋʃi̥keː mu⸢nuʔiri⸣nu ⸢suː⸣wanda ⸣ʧiniçigurunu ⸢suːtai⸣jaː ku⸢meːkiri⸣joː] (正月月とお盆月は出費が大きいから、常日頃の家計は節約し<\ruby{贅沢}{ゼイ|タク}せぬよう、こまごまときりつめ>なさいよ) 16984 0 0 16942 htmvoc_16984.wav ムヌイリムヌ ム⸢ヌイリ⸣ムヌ [mu⸢nuʔiri⸣munu] 名 物を入れる容器。入れ物。「物入れ物」の転訛したもの。 ⸢ナーブ⸣ク ム⸢ミパク カイン⸣ドーレール ム⸢ヌイリ⸣ムヌティ ア⸢ズ⸠ナー [⸢naːbu⸣ku mu⸢mipaku kain⸣doːreːru mu⸢nuʔiri⸣munuti ʔa⸢ʣu⸠naː] (縄箱や籾箱、衣装箱<笥>などを物入れというのだね) 16985 0 0 16943 htmvoc_16985.wav ムヌウトゥ ム⸢ヌウ⸣トゥ [mu⸢nu⸣ʔutu] 名 物音。何かの音。 ムー⸢ル⸣ ニ⸢ビキスター⸣ シーン⸢ティ⸣ シ⸢ズ⸣マリティ ム⸢ヌ⸣ウトゥ ⸢ピッ⸣チン サ⸢ヌ [muː⸢ru⸣ ni⸢bikisutaː⸣ ʃiːn⸢ti⸣ ʃi⸢ʣu⸣mariti mu⸢nu⸣ʔutu ⸢pit⸣ʧin sa⸢nu] (皆が総て眠りきったのでシーンと静まって、物音一つもしない)。 ミ⸢ナ⸣カナー ム⸢ヌウトゥ⸣ヌ ス⸢ヌ(⸢スーヌ)⸣ ヌーカヤー [mi⸢na⸣kanaː mu⸢nuʔutu⸣nu su⸢nu<⸢suːnu>⸣ nuːkajaː] (庭に物音がするが、何だろうか) 16986 0 0 16944 htmvoc_16986.wav ムヌウバイ ム⸢ヌ⸣ウバイ [mu⸢nu⸣ʔubai] 名 ものおじ(\ruby{物怖}{モノ|オ}じ)。\ruby{怖}{コワ}がり。おびえ(\ruby{怯}{オビ}え)ること。「もの怯え」の義。「~諸人の協流麻低尓<オビユルまでに>~。万199」、「Vobiye,uru,eta.ヲビエ、ユル、エタ(喝え、ゆる、えた)驚いて我を忘れたようになる」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ム⸢ヌ⸣ウバイ ⸢シー⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ mu⸢nu⸣ʔubai ⸢ʃiː⸣naː na⸢ra⸣nu] (この子は物怖じするので困る) 16993 0 0 16945 htmvoc_16993.wav ムヌウブイ ム⸢ヌ⸣ウブイ [mu⸢nu⸣ʔubui] 名 物覚え。記憶。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ム⸢ヌウブイ⸣ヌ ⸢ワッ⸣サ ⸣ナリティ ム⸢ヌバシ⸣キ ⸢シー⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣tuʃi tu⸢ru⸣taː mu⸢nuʔubui⸣nu ⸢was⸣sa ⸣nariti mu⸢nubaʃi⸣ki ⸢ʃiː⸣naː na⸢ra⸣nu] (年を取ったので物覚えが悪くなって、物忘れするのに困る<物忘れして堪らない>) 16990 0 1 16946 htmvoc_16990.wav ムヌウムーン ⸣ムヌ ⸣ウムーン [⸣munu ⸣ʔumuːŋ] 連 {Mn_1}心配する。「物を思う」の義。 ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥシ ⸣カイニ ⸣ムヌ ⸣ウムーンテー ウ⸢モーン⸣シェン [f⸢fanu⸣ ku̥tuʃi ⸣kaini ⸣munu ⸣ʔumuːnteː ʔu⸢moːŋ⸣ʃeŋ] (子供のことで、このように心配するとは思わなかった)。 16990 0 2 16947 htmvoc_16990.wav ムヌウムーン ⸣ムヌ ⸣ウムーン [⸣munu ⸣ʔumuːŋ] 連 {Mn_2}深く考える。熟考する。 イ⸢ザリティ⸣ ン⸢ベーマー⸣ ムヌ ⸣ウムーンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ピッ⸣チン ⸣ムヌ ウ⸢モー⸣ヌ [ʔi⸢ʣariti⸣ ʔm⸢beːmaː⸣ munu ⸣ʔumuːŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢pit⸣ʧim ⸣munu ʔu⸢moː⸣nu] (叱られて、少しは深く考えるかと思ったが、ちっとも\ruby{熟慮}{ジュク|リョ}しない)。 ⸣カイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー ワー フン⸣トー ⸣ムノー ⸣ウムイ ⸢ブン [⸣kaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː waː ɸun⸣toː munoː ⸣ʔumui ⸢buŋ] (こんなことをしでかして、君は本当に物事を深く考えているのか) 16987 0 0 16948 htmvoc_16987.wav ムヌウムイ ム⸢ヌ⸣ウムイ [mu⸢nu⸣ʔumui] 名 思いわずらう(煩う)こと。思い悩むこと。心配すること。憂いごと。⸢物思い」の義。「~我にまさりて物念哉<ものオモハメヤ>。万、1892」の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーン フ⸢ドゥビキス⸣ター ム⸢ヌウムイ⸣ヤー ⸢ナーン⸣ティル ウ⸢ムータン⸣ドゥ ッ⸢ふァヌ⸣ クトゥティ ⸣ナルカー ム⸢ヌウムイ⸣ヌ ⸣キシテー ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢ra⸣biŋkeːŋ ɸu⸢dubiki̥su⸣taː mu⸢nuʔumui⸣jaː ⸢naːn⸣tiru ʔu⸢muːtan⸣du f⸢fanu⸣ ku̥tuti ⸣narukaː mu⸢nuʔumui⸣nu ⸣ki̥ʃiteː ⸢naː⸣nu] (子供たちも成長しきったので、心配ごとはないと思ったが、子供のこととなると、憂いごとの切れることはない) 16988 0 0 16949 htmvoc_16988.wav ムヌウムイパダ ム⸢ヌウムイ⸣パダ [mu⸢nuʔumui⸣pada] 名 思春期。「物思い肌<年頃>」の義。 ム⸢ヌウムイ⸣パダー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢アッ⸣タニ ア⸢ティブチニ⸣ ム⸢ヌ⸣グトゥ ⸢スー⸣ クトゥン ア⸢リ⸣ブンダ ⸣ユー ウ⸢ティシゥカシミ⸣ル ク⸢トゥ⸣ル ⸢カンヌー⸣ダー [ʔu⸢mui⸣padaː ja⸢ra⸣beː ⸢ʔat⸣tani ʔa⸢tibuʧini⸣ mu⸢nu⸣gutu ⸢suː⸣ ku̥tuŋ ʔa⸢ri⸣bunda ⸣juː ʔu⸢tisi̥kaʃimi⸣ru ku̥⸢tu⸣ru ⸢kannuː⸣daː] (思春期は、子供は急に、無鉄砲に<後先考えずに>行動することもあるから、よく落ち着かせることが肝要だよ) 16989 0 0 16950 htmvoc_16989.wav ムヌウムイヤン ム⸢ヌウムイ⸣ヤン [mu⸢nuʔumui⸣jaŋ] 名 恋の病。\ruby{恋煩}{コイ|ワズライ}。物思いから生ずる病気。物思い病み。ノイローゼ。 ⸢アー⸣ネヌ ジ⸢ナンマー⸣ ム⸢ヌウムイヤン⸣バ ⸢シール⸣ アイニ ⸢ヨーガリ アー⸣クティバーヤ キ⸢ムイ⸣ツァー [⸢ʔaː⸣nenu ʤi⸢nammaː⸣ mu⸢nuʔumuijam⸣ba ⸢ʃiːru⸣ ʔaini ⸢joːgari ʔaː⸣kutibaːja ki⸢mui⸣ʦaː] (東隣の家の次男坊は恋わずらいをして、あのように痩せているんだそうだよ、可哀相に) 16992 0 0 16951 htmvoc_16992.wav ムヌウモーラヌ ⸣ムヌ ウ⸢モーラ⸣ヌ [⸣munu ʔu⸢moːra⸣nu] 連 心配でどうしてよいか分からない。恐怖で状況判断ができない。「物思われない」の義。 ヤ⸢マトゥ⸣ナー ウ⸢ブナイ⸣ヌ ウ⸢クル⸣タティ シ⸢キティ⸣ ヤ⸢ラ⸣ビンケヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸢ソーシティ⸣ ムヌ ウ⸢モーラン⸣シェン⸢ダー [ja⸢matu⸣naː ʔu⸢bunai⸣nu ʔu⸢kuru⸣tati ʃi̥⸢kiti⸣ ja⸢ra⸣biŋkeːnu ku̥⸢tu⸣ba ⸢soːʃi̥ti⸣ munu ʔu⸢moːraŋ⸣ʃen⸢daː] (本土<大和>で大地震が起ったと聞いて、子供たちのことを心配して、びっくり仰天してどうしてよいか分からなかったよ) 16991 0 0 16952 htmvoc_16991.wav ムヌウモーリン ⸣ムヌ ウ⸢モー⸣リン [⸣munu ʔu⸢moː⸣riŋ] 連 安堵する。一安心する。ほっとする。「物思われる」の義。⸣ムヌ ウ⸢モーリ⸣ルン[⸣munu ʔu⸢moːri⸣ruŋ](\ruby{安堵}{アン|ド}する{EOS}ほっとする)ともいう。 バ⸢タ⸣ヌ フ⸢チ⸣ル ⸣ヌミティ ⸢ヤン⸣ヌ ピ⸢クター⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸣ムヌ ウ⸢モー⸣リン⸢ダー ワー [ba⸢ta⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numiti ⸢jan⸣nu pi̥⸢kutaː⸣ ma⸢na⸣maː ⸣munu ʔu⸢moː⸣rin⸢daː waː] (腹痛の薬を飲んで痛みが引いたので、今は落ち着ける<一安心できる>よ、君) 16994 0 0 16953 htmvoc_16994.wav ムヌカンガイ ム⸢ヌカン⸣ガイ [mu⸢nukaŋ⸣gai] 名 いろいろと検討すること。考えること。熟慮すること。計画すること。「物考え」の義。 ⸣アトゥアトゥヌ ⸣クトゥン ⸣ユー ム⸢ヌカン⸣ガイ シ⸢ティ⸣ ア⸢ラン⸣カー ク⸢レー⸣ パ⸢ジミララヌ [⸣ʔatuʔatunu ⸣ku̥tuɲ ⸣juː mu⸢nukaŋ⸣gai ʃi̥⸢ti⸣ ʔa⸢raŋ⸣kaː ku⸢reː⸣ pa⸢ʤimiraranu] (後々のことも、よく検討<もの考え>してでないと、これは始められない)。 ⸢ワー⸣ アトゥアトゥヌ ⸣クトゥ ム⸢ヌカンガイ⸣ヤー ⸢シー ブン [⸢waː⸣ ʔatuʔatunu ⸣ku̥tu mu⸢nukaŋgai⸣jaː ⸢ʃiː buŋ] (君は将来<後々>のことを計画<物考え>しているのか)。 ⸢ソーシティ バン⸣マー ノー⸢ン⸣ ム⸢ヌカン⸣ガイ シ⸢ララヌ [⸢soːʃi̥ti bam⸣maː noː⸢m⸣ mu⸢nukaŋ⸣gai ʃi⸢raranu] (心配して私には何も考えることができない) 16996 0 0 16954 htmvoc_16996.wav ムヌクーヤー ム⸢ヌクー⸣ヤー [mu⸢nukuː⸣jaː] 名 物乞い。乞食。沖縄方言からの借用語。 ム⸢ヌクイムヌ⸣バ ウ⸢キナー⸣ムニシェー ム⸢ヌクー⸣ヤーティ ア⸢ズ⸣ナー [mu⸢nukuimunu⸣ba ʔukinaː⸣muniʃeː mu⸢nukuː⸣jaːti ʔa⸢ʣu⸣naː] (乞食を沖縄方言でム⸢ヌクー⸣ヤーと言うんだね) 16995 0 0 16955 htmvoc_16995.wav ムヌクイムヌ ム⸢ヌクイ⸣ムヌ [mu⸢nukui⸣munu] 名 物乞い。\ruby[g]{乞食}{コジキ}。「物乞い者」の義。 ⸢ソーバ⸣ イ⸢リ⸣ パ⸢タラカン⸣カー ム⸢ヌクイ⸣ムヌ ナルン⸢ダー [⸢soːba⸣ ʔi⸢ri⸣ pḁ⸢tarakaŋ⸣kaː mu⸢nukui⸣munu narun⸢daː] (\ruby{性根}{ショウ|コン}を入れて働かないと物乞いになるぞ) 16997 0 0 16956 htmvoc_16997.wav ムヌグトゥ ム⸢ヌ⸣グトゥ [mu⸢nu⸣gutu] 名 物事。あらゆる事柄。 ム⸢ヌグ⸣トー ノー⸢ン⸣ナーン キ⸢マリ⸣ティ ⸢スー⸣ ム⸢ヌ⸣ヌ ア⸢リ⸣ブンダ ウ⸢リバ⸣ ミレーティ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ダー [mu⸢nugu⸣toː noː⸢n⸣naːŋ ki⸢mari⸣ti ⸢suː⸣ mu⸢nu⸣ ʔa⸢ri⸣bunda ʔu⸢riba⸣ mireːti ⸢saŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː] (物事には何においても決まり<法則>と言うものがあるから、それを見ながらしないと成功しない<出来ない>よ) 16998 0 1 16957 htmvoc_16998.wav ムヌクマーン ム⸢ヌ⸣ ク⸢マー⸣ン [mu⸢nu⸣ ku⸢maː⸣ŋ] 連 {Mn_1}\ruby{綿密}{メン|ミツ}である。\ruby{緻密}{チ|ミツ}である。入念で手抜かりが無い。 ウ⸢レー⸣ ム⸢ヌ⸣ ク⸢マー⸣ンダ マ⸢チガイ⸣ヤー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ mu⸢nu⸣ ku⸢maː⸣nda ma⸢ʧigai⸣jaː ⸢naː⸣nu] (彼は緻密であるから間違いはない)。 16998 0 2 16958 htmvoc_16998.wav ムヌクマーン ム⸢ヌ⸣ ク⸢マー⸣ン [mu⸢nu⸣ ku⸢maː⸣ŋ] 連 {Mn_2}つましい(約しい)。倹約である。「物細かい」の義。 ユ⸢メー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ム⸢ヌ⸣ ク⸢マー⸣ンダ シ⸢トゥウヤン⸣ ア⸢タラ⸣サ シ⸢ラリ ブン [ju⸢meː⸣ ʔik⸢kena⸣ mu⸢nukumaː⸣nda ʃi̥⸢tuʔujaŋ⸣ ʔa⸢tara⸣sa ʃi⸢rari buŋ] (嫁は非常に\ruby{倹約}{ケン|ヤク}である<物細かい>から姑にかわい可愛<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}し>がられている)。 ム⸢ヌ⸣ ク⸢マー⸣ ユ⸢メー スータイゾー⸣ジ [mu⸢nu⸣ ku⸢maː⸣ ju⸢meː suːtaiʣoː⸣ʤi] (緻密で倹約な嫁は所帯持ち<家計のやりくり>が上手だ) 16999 0 0 16959 htmvoc_16999.wav ムヌサシ ム⸢ヌ⸣サシ [mu⸢nu⸣sasi] 名 物差し。長さの単位の目盛りを刻んだ竹製の道具(スケール)。標準語からの借用語。 マ⸢ナ⸣マー ム⸢ヌ⸣サシシ パ⸢カル⸣ヌ ム⸢カ⸣シェー ⸢バンゾン⸣ガニシル パ⸢カ⸣ローッタル [ma⸢na⸣maː mu⸢nu⸣saʃiʃi pḁ⸢karu⸣nu mu⸢ka⸣ʃeː ⸢banʣoŋ⸣ganiʃiru pḁ⸢ka⸣roːttaru] (今は物差しで計るが、昔はかねじゃく<曲尺{EOS}番匠曲尺>で計られたものだ) 17000 0 0 16960 htmvoc_17000.wav ムヌサバキ ム⸢ヌサバ⸣キ [mu⸢nusaba⸣ki] 名 先祖供養や神事についての過不足をユ⸢タ[ju⸢ta](巫女)に判定してもらうこと。「ものさばき(\ruby{物捌}{モノ|サバキ})」の義。 ⸢グヮンスグトゥ⸣ヌ タ⸢ラーン⸣ユー ム⸢ヌシリ⸣ヌ ⸣ヤー ⸢ギー⸣ ム⸢ヌサバ⸣キ シ⸢ミリバル⸣ ナル⸢サー [⸢gwansugutu⸣nu ta⸢raːɲ⸣juː mu⸢nuʃiri⸣nu ⸣jaː ⸢giː⸣ mu⸢nusaba⸣ki ʃi⸢miribaru⸣ naru⸢saː] (先祖供養の法事が不足しているのか、ユタ<物知り>の家に行って判断<判じ>させてみないといけないな) 17001 0 0 16961 htmvoc_17001.wav ムヌシナースン ⸣ムヌ シ⸢ナー⸣スン [⸣munu ʃi⸢naː⸣suŋ] 連 品物を取り揃える。取り合わせる。一対になるように組み合わせる。「品合わせる」の義か。 ⸢ニンガイ⸣ムヌ シ⸢ナー⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ イ⸢ズン⸣ タクン トゥ⸢ララン⸣ユンダ シ⸢ナーサラヌ [⸢niŋgai⸣munu ʃi⸢naː⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔi⸢ʣun⸣ tḁkun tu⸢raraŋ⸣junda ʃi⸢naːsara⸣nu] (祈願用の供物を取り揃えようとするが、魚も蛸も獲れないので、必要な供物を取り揃えることができない) 17002 0 0 16962 htmvoc_17002.wav ムヌシラシ ム⸢ヌシラ⸣シ [mu⸢nuʃira⸣ʃi] 名 神仏のお告げ。託宣。「物知らせ」の義。神仏が鶏や犬猫などに異常な鳴き声、または異常行動を起こさせることによって神仏の意思を人間に知らせること。音韻が融合変化して、ム⸢ヌッサ⸣シ[mu⸢nussa⸣ʃi](物知らせ)ともいう。 ⸢ミードゥル⸣ヌ ヤ⸢ナナキ シー イン⸣ヌ ヤ⸢ナナキ スー⸣カー ム⸢ヌシラ⸣シティ ア⸢ザリ ブー [⸢miːduru⸣nu ja⸢nanaki ʃiː ʔin⸣nu ja⸢nanaki suː⸣kaː mu⸢nuʃira⸣ʃiti ʔa⸢ʣari buː] (雌鳥が異常な鳴き方<悪鳴き>をし、犬が異常な鳴き方<悪鳴き>をすると、神仏のお告げだといわれている)。 ム⸢ヌシラ⸣シェー ⸢アッ⸣タン⸢ダー [mu⸢nuʃira⸣ʃeː ⸢ʔat⸣tan⸢daː] (神仏のお告げはあったよ) 17003 0 1 16963 htmvoc_17003.wav ムヌシリ ム⸢ヌ⸣シリ [mu⸢nu⸣ʃiri] 名 {Mn_1}博識。 ⸣アブジェー ム⸢ヌ⸣シリ ヤ⸢ロー⸣ルンダ ッ⸢ソーラン⸣ ムノー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː mu⸢nu⸣ʃiri ja⸢roː⸣runda s⸢soːram⸣ munoː ⸢naː⸣nu] (お祖父さんは博識でいらっしゃるから、お分かりにならないものはない)。 17003 0 2 16964 htmvoc_17003.wav ムヌシリ ム⸢ヌ⸣シリ [mu⸢nu⸣ʃiri] 名 {Mn_2}物知り。占い師。ふげき(巫覡)。{ユ⸢タ[ju⸢ta](巫女)や⸣サンギンソー[⸣saŋginsoː](三世相{EOS}易者)}。 ム⸢ヌシリ⸣ヌ ⸣ヤーナ ⸢ギー ウンキー⸣ ク⸢ラ⸣シ クー⸢ディー [mu⸢nuʃiri⸣nu ⸣jaːna ⸢giː ʔuŋkiː⸣ ku⸢ra⸣ʃi ⸣kuː⸢diː] (易者の家に行って運気を繰らし<運気を易の本で見立ててもらって>て来ようよ) 17005 0 0 16965 htmvoc_17005.wav ムヌスクリパンタ ム⸢ヌスクリパン⸣タ [mu⸢nusu̥kuripan⸣ta] 名 農繁期。農耕の繁多な時期。{⸢マイイビパンタ[⸢maiʔibipanta](田植えの農繁期)や⸢マイカリパンタ[⸢maikaripanta](稲刈りの農繁期)}。 ム⸢ヌスクリパン⸣タナー プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ムンティ ⸢スー⸣ プ⸢リムヌヌ⸣ マナー ブ⸢ラー(⸢ブーワ) [mu⸢nusu̥kuripan⸣tanaː pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣munti ⸢suː⸣ pu⸢rimununu⸣ manaː bu⸢raː(⸢buːwa)] (農繁期に人手を頼もうという馬鹿がどこにいるものか) 17004 0 0 16966 htmvoc_17004.wav ムヌスクル ム⸢ヌスク⸣ル [mu⸢nusu̥ku⸣ru] 名 耕作。農耕。稲、粟、麦、豆などの穀物や大根などの野菜類を作付けすること。「物作り」の義。⸢タースク⸣リ[⸢taːsu̥ku⸣ri](田作り)、パ⸢タ⸣キスクリ[pḁ⸢ta⸣kisu̥kuri](畑作り)、⸣ヤサイスクリ[⸣jasaisu̥kuri](野菜作り)等がある。 ⸢ユーニンガイ⸣ナー ⸣イニ ⸣アー ⸣ムン、⸣マミンドーレーヌ ム⸢ヌスクル⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タン [⸢juːniŋgai⸣naː ⸣ʔini ⸣ʔaː ⸣mum、⸣mamindoːreːnu mu⸢nusu̥kuru⸣nu ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣taŋ] (ユーニガイ<世願い>の祭りでは、稲、粟、麦、豆等の作物の豊年祈願をされた)。 ム⸢ヌスクル⸣トゥ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ナイ⸣バーラ サ⸢ダミラリ⸣ ブー [mu⸢nusu̥kuru⸣tu ja⸢ra⸣beː ⸢nai⸣baːra sa⸢damirari⸣ buː] (稲作<農耕>と子供は苗代から定まっている<栴檀は双葉より芳し>) 17006 0 0 16967 htmvoc_17006.wav ムヌスコール ム⸢ヌスコー⸣ル [mu⸢nusu̥koː⸣ru] 名 食べ物を作ること。調理。「もの造り」の義。 ミ⸢ドゥ⸣モー パ⸢タ⸣ケーラ ⸢カイ⸣リ ⸣キーティン ⸢ユーボン⸣ヌ ム⸢ヌスコー⸣ル ⸢スンティ⸣ イッ⸢ケナ パンタ⸣サタン [mi⸢du⸣moː pḁ⸢ta⸣keːra ⸢kai⸣ri ⸣kiːtiŋ ⸢juːboŋ⸣nu mu⸢nusu̥koː⸣ru ⸢sunti⸣ ʔik⸢kena panta⸣sataŋ] (女は畑から帰ってきても夕飯の食事造り<調理>に大変忙しかった) 17007 0 0 16968 htmvoc_17007.wav ムヌソーダン ム⸢ヌソー⸣ダン [mu⸢nusoː⸣daŋ] 名 相談。相談事。「もの相談」の義。⸣ウチソーダン[⸣ʔuʧisoːdaŋ](話し合い{EOS}うち相談)ともいう。 パ⸢ナシアー⸣シ ⸢スンティ スンドゥ⸣ シ⸢グ アイ⸣スンダ ウ⸢リトー⸣ ム⸢ヌソー⸣ダン ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢naʃiʔaː⸣ʃi ⸢sunti sundu⸣ ʃi⸢gu ʔai⸣sunda ʔu⸢ritoː⸣ mu⸢nusoː⸣dan na⸢ra⸣nu] (話し合いをしようとするが、すぐ喧嘩をするので彼とは相談ができない) 17008 0 0 16969 htmvoc_17008.wav ムヌタクミ ム⸢ヌタク⸣ミ [mu⸢nutaku⸣mi] 名 悪企み。陰謀。「物企み」の義。 ム⸢ヌタク⸣ミ ⸢スー⸣ プ⸢スバ⸣ ム⸢ヌタク⸣マーティ パ⸢トゥ⸣マプソー ア⸢ズ⸣ダー [mu⸢nutaku⸣mi ⸢suː⸣ pu̥⸢suba⸣ mu⸢nutaku⸣maːti pḁ⸢tu⸣mapusoː ʔa⸢ʣu⸣daː] (悪企みをする人をム⸢ヌタク⸣マー{SqBr}mu⸢nutaku⸣maː{/SqBr}<陰謀者>と鳩間の人は言うのだよ) 17009 0 0 16970 htmvoc_17009.wav ムヌダニ ム⸢ヌ⸣ダニ [mu⸢nu⸣dani] 名 作物の種子。稲、麦、豆、粟などの穀類や、野菜類の種子。「ものたね(物種)」の義。稲の場合は、タ⸢ニ⸣ムミ[ta⸢ni⸣mumi](種籾)、⸣サニマイ[⸣sanimai](種米)というのが普通。 ⸢エン⸣ヌ ム⸢ヌ⸣ダネー ⸣トゥリシキティ ヌ⸢カル⸣ル シゥ⸢カーリル [⸢jen⸣nu mu⸢nu⸣daneː ⸣turiʃi̥kiti nu⸢karu⸣ru si̥⸢kaːriru] (来年の種子の分は取っておいて、残りが使われる) 17010 0 0 16971 htmvoc_17010.wav ムヌタルガキ ム⸢ヌタルガ⸣キ [mu⸢nutaruga⸣ki] 名 人に頼ること。人をあてにすること。依頼心。 ウ⸢レー⸣ ドゥーシ ⸢スンテー⸣ サ⸢ムティ⸣ ム⸢ヌタルガ⸣キ ⸢シーナー⸣ル ナ⸢ラン⸠ツォー [ʔu⸢reː⸣ duːʃi ⸢sunteː⸣ sa⸢muti⸣ mu⸢nutaruga⸣ki ⸢ʃiːnaː⸣ru na⸢ran⸠ʦoː] (彼は、自分ではしようとしないで、人を当てにするので困る<たまらない>んだよ) 17011 0 0 16972 htmvoc_17011.wav ムヌッサシ ム⸢ヌッサ⸣シ [mu⸢nussa⸣ʃi] 名 神仏のお告げ。託宣。物知らせ。ム⸢ヌシラ⸣シ[mu⸢nuʃira⸣ʃi](神仏のお告げ)の音韻が進行同化して変化した形。ム⸢ヌシラ⸣シ[mu⸢nuʃira⸣ʃi]の項参照 17012 0 0 16973 htmvoc_17012.wav ムヌッふァイカダンサーン ム⸢ヌッふァイ⸣ カ⸢ダン⸣サーン [mu⸢nuffai⸣ ka⸢dan⸣saːŋ] 連 偏食が激しくて食べるのが少ない。ム⸢ヌッふァイ[mu⸢nuffai](ものを食うこと)に、カ⸢ダン⸣サーン[ka⸢dan⸣saːŋ](少ない{EOS}「かだむ<\ruby{姧}{カダ}む>{EOS}惜しむ{EOS}怠ける{EOS}控え目にする」、cada カダ(かだ)無精や怠慢のために、しなければならない事を果さないこと『邦訳日葡辞書』の義の転訛したもの)が付いて形成された語。老年層が使用する。若年層には死語。石垣方言からの借用語であろう。 ウ⸢レー サーラマキ⸣ シ⸢ティ⸣ ム⸢ヌッふァイ⸣ カ⸢ダン⸣サーンダル ⸣アイニ ⸢ヨーガリ ブー⸠ツォー [ʔu⸢reː saːramaki⸣ ʃi⸢ti⸣ mu⸢nuffai⸣ ka⸢dan⸣saːndaru ⸣ʔaini ⸢joːgari buː⸠ʦoː] (彼<それ>は、つわり<悪阻して>で偏食が激しく、食べるのが少ないので、あのように痩せ衰えているのだよ) 17013 0 0 16974 htmvoc_17013.wav ムヌッふァイザク ム⸢ヌッふァイ⸣ザク [mu⸢nuffai⸣ʣaku] 名 生活を維持するための仕事。職業。生業。「物食い仕事」の義。 パ⸢トゥ⸣マナテー ⸢ターシグ⸣トゥ パ⸢タキシグ⸣トゥ イ⸢ソーシグトゥ スー⸣ フカナー ム⸢ヌッふァイ⸣ザコー ⸢ナー⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣manateː ⸢taːʃigu⸣tu pḁ⸢takiʃigu⸣tu ʔi⸢soːʃigutu suː⸣ ɸu̥kanaː mu⸢nuffai⸣ʣakoː ⸢naː⸣nu] (鳩間島では田仕事、畑仕事、漁業<漁り仕事>をすること以外には生業はない) 17014 0 0 16975 htmvoc_17014.wav ムヌッふァイダーラ ム⸢ヌッふァイダー⸣ラ [mu⸢nuffaitaː⸣ra] 名 大食漢。大食い。青年期の、よく食べる子。⸢イーッふァイダー⸣ラ[⸢ʔiːffaidaː⸣ra](大食い{EOS}飯食い俵)、ム⸢ヌッふァイターラ⸣グ[mu⸢nuffaitaːra⸣gu](大食い{EOS}「物食い俵」の義)ともいう。 ビ⸢コーンッふァー⸣ フ⸢ドゥブター⸣ ム⸢ヌッふァイダー⸣ラ ⸣ナリティ プ⸢ス⸣キシ ⸢サンゴー⸣ヌ ⸣イーン ッ⸢ふァイス [bi⸢koːŋffaː⸣ ɸu⸢dubutaː⸣ mu⸢nuffaidaː⸣ra ⸣nariti pu̥⸢su⸣kiʃi ⸢suŋgoː⸣nu ⸣ʔiːŋ f⸢faisu] (男の子は成長したので大食いになって、一食で三合の飯をも食べてしまう) 17016 0 0 16976 htmvoc_17016.wav ムヌッふァイプス ム⸢ヌッふァイ⸣プス [mu⸢nuffai⸣pu̥su] 名 下宿人。客人。「物食い人」の義。ム⸢ヌンキ⸣プス[mu⸢nuŋki⸣pu̥su](客人{EOS}「物を召し上がるひと」の義)ともいう。宿屋や民宿の無かった頃、石垣島や沖縄本島からの客は、島の区長や郵便局長などの有力者の家に宿泊するのが常であった。 ウ⸢キ⸣ナーラ ム⸢ヌッふァイプス⸣ヌ ⸢オー⸣ルンティ ⸢スンドゥ ヌー⸣シ シゥ⸢カ⸣ナイ ⸢オース⸣ユー ⸣バー ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ki⸣naːra mu⸢nuffaipu̥su⸣nu ⸢ʔoː⸣runti ⸢sundu nuː⸣ʃi si̥⸢ka⸣nai ⸢ʔoːsu⸣juː ⸣baː ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu] (沖縄から客人がいらっしゃるというが、どのように接待して<養って>よいか、私は心配でならない) 17015 0 0 16977 htmvoc_17015.wav ムヌッふァイムシ ム⸢ヌッふァイ⸣ムシ [mu⸢nuffai⸣musi] 名 家畜。「物食い虫」の義。このム⸢シ[mu⸢si](虫)はイ⸢キム⸣シ[ʔi⸢kimu⸣ʃi](動物)の意。「虫、動物の総称。羽虫は鳥類、毛虫は獣類、甲虫は亀類、鱗虫は魚類、裸虫は人類のこと。」『学研 漢和大辞典』。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ンー⸣マティバ ウ⸢シ⸣ティバ ⸣オーティバ ウ⸢レー⸣ラ トゥ⸢ルバー⸣キ ム⸢ヌッふァイムシ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ シゥ⸢カナイ⸣ ブー [⸢ʔun⸣neːja ʔmː⸣matiba ʔu⸢ʃi⸣tiba ⸣ʔoːtiba ʔu⸢reː⸣ra tu⸢rubaː⸣ki mu⸢nuffaimuʃi⸣nu ⸢goː⸣kaʣi si̥⸢kanai⸣ buː] (あの家は、馬とか牛とか豚とか、それから鶏にいたるまで、家畜の数々を飼育している) 17017 0 0 16978 htmvoc_17017.wav ムヌッふァイムヌ ム⸢ヌッふァイ⸣ムヌ [mu⸢nuffai⸣munu] 名 人。人間。食事をする人。「物食い者」の義。卑称の語感を伴う。自分の子供に対して言う場合は、⸢謙遜」の意味合いが強い。 ⸢ヤー⸣ナー ム⸢ヌッふァイムヌ⸣ヌ マ⸢ティカン⸣ティ ⸢シー ベー⸣バ ⸢パー⸣ク ム⸢ヌスコー⸣ル ⸢シン⸣ パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢jaː⸣naː mu⸢nuffaimunu⸣nu ma⸢tikan⸣ti ⸢ʃiː beː⸣ba ⸢paː⸣ku mu⸢nusu̥koː⸣ru ⸢ʃim⸣ pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (家には食事をする人が待ちかねているから、早く食事支度をしに行かないといけない) 17018 0 0 16979 htmvoc_17018.wav ムヌナシキ ム⸢ヌナシ⸣キ [mu⸢nunaʃi̥⸣ki] 名 物事にかこつけること。言寄せること。口実にすること。~のふりをすること。 ム⸢ヌナシ⸣キ ⸢シンテーナ⸣ パルンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナシキルムヌン ナー⸣ヌ [mu⸢nunaʃi̥⸣ki ⸢ʃinteːna⸣ parunti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢naʃi̥kiru munun naː⸣nu] (物事に事寄せて<かこつけて>行こうと思ったが、口実にするものもない) 17019 0 0 16980 htmvoc_17019.wav ムヌナラーシ ム⸢ヌナラー⸣シ [mu⸢nunaraː⸣ʃi] 名 教育。ものを教えること。「物習わせ」の義。「教える」ことを鳩間方言では、ナ⸢ラー⸣スン[na⸢raː⸣suŋ](習わせる)という。相手を直接に教え導くのでなく、相手に働きかけて⸢習うようにさせる」の意である。 チ⸢カ⸣グロー ⸢ヤー⸣ナーティ ウ⸢ヤ⸣ヌ ム⸢ヌナラー⸣シ ⸢サン ユンダル⸣ ムヌ ッ⸢サン⸣ バ⸢カー⸣ムヌヌ ゴー⸣ラー⸢ツォー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢jaː⸣naːti ʔu⸢ja⸣nu mu⸢nunaraː⸣ʃi ⸢saɲjundaru⸣ munu s⸢sam⸣ ba⸢kaː⸣mununu ⸢goː⸣raː⸢ʦoː] (近頃は家庭で親が教えないから<ぞ>、常識のない<物事を知らない>若者が多いんだよ) 17020 0 1 16981 htmvoc_17020.wav ムヌナライ ム⸢ヌ⸣ナライ [mu⸢nu⸣narai] 名 {Mn_1}学習。学ぶこと。学問すること。⸢物習ひ」の義。「学、モノナラフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 プ⸢スバ⸣ ウ⸢ヤマイティ チャー⸣ プ⸢ソー⸣ラ ム⸢ヌ⸣ナライ ⸢スー カンガイ⸣バ ⸣ムテーティ ⸢アー⸣キ⸢ダー [pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢jamaiti ʧaː⸣ pu̥⸢soː⸣ra mu⸢nu⸣narai ⸢suː kaŋgai⸣ba ⸣muteːti ⸢ʔaː⸣ki⸢daː] (他人を敬って、常に他人から学ぶ<物習いする>心がけ<考え>を持っていなさいよ)。 17020 0 2 16982 htmvoc_17020.wav ムヌナライ ム⸢ヌ⸣ナライ [mu⸢nu⸣narai] 名 {Mn_2}宗教儀礼を学ぶこと。⸣サンギンソー[⸣saŋginsoː](易者)やユ⸢タ[ju⸢ta](かんなぎ<巫女>)から託宣を下ろしてもらい、先祖供養の不足や神事の執り行い方を習うこと。 ユ⸢タン⸣ヤーナ ⸢ギー⸣ ム⸢ヌ⸣ナライ ⸢シー⸣ クー [ju⸢taɲ⸣jaːna ⸢giː⸣ mu⸢nu⸣narai ⸢ʃiː⸣ kuː] (ユタの家に行って先祖供養のまつりごとを習ってきなさい) 17021 0 0 16983 htmvoc_17021.wav ムヌヌキムヌ ム⸢ヌヌキ⸣ムヌ [mu⸢nunuki⸣munu] 名 まよけ(魔除け)。護符。死霊や生霊などの災厄を祓うもの。⸣ムヌ[⸣munu](魔物{EOS}悪霊)に、ヌ⸢キ⸣ムヌ[nu⸢ki⸣munu](祓え{EOS}魔除け、猪害、鳥害などを防ぐ案山子など{EOS}「退け物」の義)が付いて形成された複合語。 ム⸢カ⸣シェー ⸣シラヤーナ シ⸢ビナージナバ⸣ パイティ ヤ⸢ラ⸣ビ ニ⸢バシ⸣ シケー ⸣トンナーン ⸢サン⸣バ ⸢ユイティ⸣ ム⸢ヌヌキ⸣ムヌ ⸢ソーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʃirajaːna ʃi⸢binaːʤinaba⸣ paiti ja⸢ra⸣bi ni⸢baʃi⸣ ʃi̥keː ⸣tonnaːŋ ⸢sam⸣ba ⸢juiti⸣ mu⸢nunuki⸣munu ⸢soːt⸣ta] (昔は産屋に注連縄を張って、赤子を寝かせてある所にもサン{SqBr}saŋ{/SqBr}を結っておいて魔除け<護符>にされた) 17032 0 0 16984 htmvoc_17032.wav ムヌヌンマーン ム⸢ヌ⸣ヌ ン⸢マー⸣ン [mu⸢nu⸣nu ʔm⸢maː⸣ŋ] 文 食事が美味しい。食が進む。 ム⸢ヌ⸣ヌ ン⸢マー⸣カー ⸣メー ⸢ヤンマイ⸣ヤ<⸢ヤン⸣マー> ⸢ノーリ⸣ブーヨー [mu⸢nu⸣nu ʔm⸢maː⸣kaː ⸣meː ⸢jammai⸣jaː<⸢jam⸣maː> ⸢noːri⸣buːjoː] (食事が美味しかったら、もう病気は治っているよ) 17023 0 0 16985 htmvoc_17023.wav ムヌバ -ム⸢ヌ⸣バ [-mu⸢nu⸣ba] 接助 接続助詞。~のに。~ものを。強い不満の意を表す条件文について逆接を表す。活用語の連体形に付く。 ノー⸢シンクイシン スー⸣ ム⸢ヌ⸣バ サ⸢ヌサヌ⸣ティ ア⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [noː⸢ʃiŋkuiʃin suː⸣ mu⸢nu⸣ba sa⸢nusanu⸣ti ʔa⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (どうせするのに<~するものを>しないしないと言っているよ)。 ⸣キューズーナ カ⸢カン⸣カー ナ⸢ラ⸣ン ム⸢ヌ⸣バ ナー⸢イ⸣ ノー⸢ン⸣ カ⸢カン⸣ドーシ ⸢ベー [⸣kjuːʣuːna kḁ⸢kaŋ⸣kaː na⸢ram⸣ mu⸢nu⸣ba naː⸢ji⸣ noː⸢ŋ⸣ kḁ⸢kan⸣doːʃi ⸢beː] (今日中に書かなければならないものを、ただ何も書かないでいる) 17022 0 0 16986 htmvoc_17022.wav ムヌパクン ム⸢ヌ⸣ パクン [mu⸢nu⸣ pḁkuŋ] 他動 口の中のものを吐く。吐き出す。嘔吐する。「物を吐く」の義。 ウ⸢イ⸣ビ フ⸢チンナカー⸣ イ⸢ル⸣カー ム⸢ヌ⸣ パクン [⸢ʔui⸣bi ɸu̥⸢ʧinnakaː⸣ ʔi⸢ru⸣kaː mu⸢nu⸣ pḁkuŋ] (指を口の中へ入れると物を吐く<嘔吐する>)。 ム⸢ヌ パキ⸣プサン [mu⸢nu paki⸣pu̥saŋ] (嘔吐しそうだ)。 ム⸢ヌ⸣パキ ⸢ベー [mu⸢nu⸣ pḁki ⸢beː] (嘔吐している) 17024 0 0 16987 htmvoc_17024.wav ムヌバシキ ム⸢ヌバシ⸣キ [mu⸢nubaʃi̥⸣ki] 名 物忘れ。失念すること。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ム⸢ヌバシ⸣キ ⸢シー⸣ナー ナ⸢ラン⸣サー [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː mu⸢nubaʃi̥⸣ki ⸢ʃiː⸣naː na⸢ran⸣saː] (年を取ったので、よく物忘れをして<物忘れするので>堪らない<ならない>よ) 17025 0 0 16988 htmvoc_17025.wav ムヌパナシ ム⸢ヌパナ⸣シ [mu⸢nupana⸣ʃi] 名 話すこと。話し合い。世間話。話。物語。「物話」の義。 ⸣アボー ム⸢ヌパナシ⸣ヌ ウ⸢ムッ⸣サンダ ナー⸢イ⸣ パ⸢ナ⸣シ シ⸢キプリス [⸣ʔaboː mu⸢nupanaʃi⸣nu ʔu⸢mus⸣sanda naː⸢ji⸣ pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kipurisu] (お母さんの話は面白いから、ただずっと話しに聞きほれてしまう)。 ⸢ウン⸣ネヌ プ⸢ソー⸣ ウ⸢ヤッ⸣ふァナリ イッ⸢ケナ⸣ ム⸢ヌパナ⸣シ ⸢ソー⸣ルン⸢ダー [⸢ʔun⸣nenu pu̥⸢soː⸣ ʔu⸢jaf⸣fanari ʔik⸢kena⸣ mu⸢nupana⸣ʃi ⸢soː⸣run⸢daː] (その家の人は親子同士で非常によく話し合いをなさる<される>よ) 17026 0 0 16989 htmvoc_17026.wav ムヌバライ ム⸢ヌ⸣バライ [mu⸢nu⸣barai] 名 物笑い。笑いもの。 ⸣アイブ ク⸢トゥ⸣バ ⸢シー⸣ シ⸢キン⸣ヌ ム⸢ヌ⸣バライ シ⸢ラリナ⸣ヨー [⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣ba ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢kin⸣nu mu⸢nu⸣barai ʃi⸢rarina⸣joː] (あんなことをして、世間の物笑いにされるなよ) 17028 0 0 16990 htmvoc_17028.wav ムヌピルマサン ム⸢ヌピルマ⸣サン [mu⸢nupiruma⸣sanŋ] 形 物珍しい。不思議である。怪しい。いぶかしい。 シケー⸢バー⸣キ プ⸢スヌ⸣ パル ⸣クトー ム⸢ヌピルマ⸣サン ⸢アッタン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ノー⸢ン⸣ ム⸢ヌピルマ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʃi̥keː⸢baː⸣ki pu̥⸢sunu⸣ paruku̥toː mu⸢nupiruma⸣saŋ ⸢ʔattan⸣du ma⸢na⸣maː noː⸢m⸣ mu⸢nupiruma⸣saː ⸢naː⸣nu] (月まで人が行くのは不思議であった<物珍しくもあった>が、今はちっとも不思議でない<物珍しくない>)。 ム⸢ヌピルマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [mu⸢nupirimasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (不思議で<物珍しくて>堪らない)。 ⸣アイブー ⸣ム⸢ヌ⸣ヌ ム⸢ヌピルマ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaibuː mu⸢nu⸣nu mu⸢nupiruma⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (あんな物が不思議な<物珍しい>ことはない) 17038 0 0 16991 htmvoc_17038.wav ムヌミーザン ム⸢ヌミー⸣ザン [mu⸢numiː⸣ʣaŋ] 形 食べ物が不味い。病後に食事が不味いと感じること。 ⸢ヤン⸣ヌ ⸣アトー ム⸢ヌミーザ⸣ヌ ⸣ムヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸢jan⸣nu ⸣ʔatoː mu⸢numiːʣa⸣nu ⸣munu f⸢faːranu] (病気の後は食べ物が不味くて、食事がとれない<食べられない>)。 ヤ⸢ム⸣ター フ⸢チェー⸣ ヤ⸢ブ⸣リティ ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふァーバン⸣ フ⸢チミーザ⸣ヌ ⸣ムノー ッ⸢ふァーラヌ [ja⸢mu⸣taː ɸu̥⸢ʧeː⸣ ja⸢bu⸣riti noː⸢ŋ⸣ f⸢faːbaŋ⸣ ɸu̥⸢ʧimiːʣa⸣nu ⸣munoː f⸢faːranu] (病気したので味覚障害<口が破れて>になって、何を食べても食事が不味くて食事<もの>が食べられない) 17027 0 0 16992 htmvoc_17027.wav ムヌミジラサン ム⸢ヌミジラ⸣サン [mu⸢numiʤira⸣saŋ] 形 物珍しい。 イ⸢クサ⸣ユーナ パ⸢トゥ⸣マナー ⸢スイジョー⸣ ヒ⸢コーキ⸣ヌ ウ⸢レータヌ ム⸢ヌミジラ⸣サーティ ⸢シー⸣ シマズーヌ プ⸢スヌ⸣ ウ⸢リ⸣ ミリン ⸢オー⸣レータン [ʔi⸢kusa⸣juːna pḁ⸢tu⸣manaː ⸢suiʤoː⸣ çi̥⸢koːki⸣nu ʔu⸢reːta⸣nu mu⸢numiʤira⸣saːti ⸢ʃiː⸣ ʃimaʣuːnu pu̥⸢sunu⸣ ʔu⸢ri⸣ miriŋ ⸢ʔoː⸣reːtaŋ] (戦争中に、鳩間島に水上飛行機が下りことがあったが、物珍しいといって島中の人が見にいらっしゃったことがある)。 ム⸢カ⸣シェー ム⸢ヌミジラ⸣サン ⸢アッタン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ム⸢ヌミジラサー ナー⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː mu⸢numiʤira⸣saŋ ⸢ʔattan⸣du ma⸢na⸣maː mu⸢numiʤirasaː naː⸣nu] (昔は物珍しかったが今は物珍しくない) 17031 0 0 16993 htmvoc_17031.wav ムヌミリプス ム⸢ヌミリ⸣プス [mu⸢numiri⸣pu̥su] 名 幽霊や化け物などの妖怪を見ることのできる人。\ruby{霊能者}{レイ|ノウ|シャ}。\ruby{霊媒}{レイ|バイ}。「物見る人」の義。 ウ⸢レー⸣ サーダカマリ シ⸢ティ⸣ ム⸢ヌミリ⸣プス ヤ⸢ルンダ⸣ ナ⸢クラー⸣ヌ ウ⸢リトー⸣ マー⸢ズン⸣ ア⸢ラカラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ saːdakamari ʃi̥⸢ti⸣ mu⸢numiri⸣pu̥su ja⸢runda⸣ na⸢kuraː⸣nu ʔu⸢ritoː⸣ maː⸢ʣuŋ⸣ ʔa⸢rakara⸣nu] (あれ<彼女{EOS}彼>は霊力が高く生まれついていて、幽霊や化け物、妖怪を見ることができる人だから、怖くてあれとは一緒に<道を>歩かれない) 17030 0 0 16994 htmvoc_17030.wav ムヌミルン ム⸢ヌ⸣ ミルン [mu⸢nu⸣ miruŋ] 連 妖怪を見ることができる。妖怪を見ることの出来る特殊な霊力がある。 ウ⸢レー⸣ ム⸢ヌ⸣ ミルンダ ⸢ユー⸣ロー ウ⸢リヌ⸣ トゥ⸢ムバ シェー⸣ティ ⸢アーカラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ mu⸢nu⸣ mirunda ⸢juː⸣roː ʔu⸢rinu⸣ tu⸢muba ʃeː⸣ti ⸢ʔaːkara⸣nu] (あの人<彼>は妖怪を見ることが出来るので、夜は彼のお供をしてはいられない) 17039 0 0 16995 htmvoc_17039.wav ムヌムチ ム⸢ヌ⸣ムチ [mu⸢nu⸣muʧi] 名 財産家。資産家。金持ち。⸢物持ち」の義。 ⸢ウン⸣ネーヤ カ⸢ツシンバ⸣ ウ⸢クシ⸣ル ム⸢ヌ⸣ムチ ナ⸢ロー⸣レー ⸢ギン⸣サ<⸣ギサ>⸢ダー [⸢ʔun⸣neːja kḁ⸢ʦuʃimba⸣ ʔu⸢kuʃi⸣ru mu⸢nu⸣muʧi na⸢roː⸣reː ⸢gin⸣sa<⸣gisa>⸢daː] (其の家は鰹漁業を\ruby{興}{オコ}して財産家<物持ち>になられたようだ<らしい>よ) 17040 0 0 16996 htmvoc_17040.wav ムヌヤブリ ム⸢ヌヤブ⸣リ [mu⸢nujabu⸣ri] 名 物事が失敗すること。ぶち壊し。破談。「物破れ」の義。ム⸢ヌ⸣ヤビ[mu⸢nu⸣jabi](失敗{EOS}物破れ)ともいう。 パ⸢ナ⸣シェー ⸣ナルンティ ⸢シー⸣ メッ⸢ティ⸣ マ⸢トゥミ⸣ シケー ⸣ムヌバ ⸢ウンザヌ⸣ キー ム⸢ヌヤブ⸣リ ⸢シーナー⸣ヌ [pa⸢na⸣ʃeː ⸣narunti ⸢ʃiː⸣ met⸢ti⸣ ma⸢tumi⸣ ʃi̥keː ⸣munuba ⸢ʔunʣanu⸣ kiː mu⸢nujabu⸣ri ⸢ʃiː naː⸣nu] (話は、可能だ<出来る>といって、きっちり\ruby{纏}{マト}めておいたものを、あの野郎が来て破談<ぶち壊し>にしてしまった) 17041 0 0 16997 htmvoc_17041.wav ムヌン ⸣ムヌン [⸣munuŋ] 名 物\ruby{忌}{イ}み。\ruby{斎戒}{サイ|カイ}。一定期間、飲食や行為を\ruby{慎}{ツツシ}んで身を\ruby{浄}{キヨ}め、\ruby{不浄}{フ|ジョウ}を避けて祈ること。 タ⸢ナドゥル⸣ヌ ⸣ピンマー ⸣ムヌンティ ⸢シー⸣ ビ⸢キドゥムンケー⸣ヤ ピ⸢ニン⸣ ス⸢ローラン⸣シェン [ta⸢naduru⸣nu ⸣pimmaː ⸣mununti ⸢ʃiː⸣ bi⸢kidumuŋkeː⸣ja pi⸢nin⸣ su⸢roːraŋ⸣ʃeŋ] (種取祭の時は物忌みといって、男の人たちは鬚も剃られなかった) 17042 0 0 16998 htmvoc_17042.wav ムヌングイウタ ム⸢ヌン⸣グイウタ [mu⸢nuŋ⸣guiʔuta] 名 物乞い歌。⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆{EOS}「精霊会」の義)の⸢アン⸣ガマ[⸢ʔaŋ⸣gama](念仏踊りの「入れ子舞」{EOS}頬かぶりや仮面をかぶってする「姉御踊り」の義か)が仏間の庭先で踊られる前段に、念仏踊り隊の\ruby{地方}{ジ|カタ}(\ruby{地謡}{ジ|ウタイ})が三線を弾きながら必要な品物を出すよう要求して歌う盆踊り歌の一組。/{Sg_1}ムシルヌ ンジラバ ヨーホーハリ ウマチ ンダショーリ ハリ ウマチ ンダショーリ(\ruby{筵}{ムシロ}が出たら、<囃子>火をお出しなさい<囃子>)、{Sg_2}ウマチヌ ンジラバ ヨーホーハリ キシル ンダショーリ ハリ キシル ンダシ(火が出たら<囃子>\ruby{SqBr}g{/SqBr}{煙管}{キセル}をお出しなさい<囃子>)、{Sg_3}キシルヌ ンジラバ ヨーホーハリ タバク ンダショーリ ハリ タバク ンダシ(煙管が出たら<囃子>煙草をお出しなさい<囃子>)、{Sg_4}タバクヌ ンジラバ ヨーホーハリ ウミキ ンダショーリ ハリ ウミキ ンダシ(煙草が出たら<囃子>お神酒をお出しなさい<囃子>)、{Sg_5}ウミキヌ ンジラバ ヨーホーハリ ウサイ ンダショーリ ハリ ウサイ ンダシ(お神酒が出たら<囃子>料理(お菜)をお出しなさい<囃子>)、{Sg_6}ウサイヌ ンジラバ ヨーホー ハリ スナイ ンダショーリ ハリ スナイ ンダシ(お料理が出たら<囃子>\ruby{蔬菜}{ソ|サイ}をお出しなさい<囃子>)、{Sg_7}スナイヌ ンジラバ ヨーホー ハリ ブドゥル ンダショーリ ハリ ブドゥル ンダシ(蔬菜が出たら<囃子>踊りを出しなさい<囃子>)。『鳩間島誌』 17043 0 0 16999 htmvoc_17043.wav ムヌンマーン ム⸢ヌンマー⸣ン [mu⸢nuʔmmaː⸣ŋ] 形 食事が美味しいと感じること。 ム⸢ヌンマー⸣ンダ ⸢ヤンマイ⸣ヤー ⸢ノーリ⸣ブーヨー [mu⸢nuʔmmaː⸣nda ⸢jammai⸣jaː ⸢noːri⸣buːjoː] (食事が美味しいから、病気は治っているよ)。 ⸢ピッ⸣チン ム⸢ヌンマー ナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧim mu⸢nummaː naː⸣nu] (ちっとも食事が美味しくない) 17044 0 0 17000 htmvoc_17044.wav ムノー ⸣ムノー [⸣munoː] 連 物は。ものは。⸣ムヌ[⸣munu](もの)に取りたての係助詞⸣ヤ[ja](は)が付いて、[-u] + [ja] → [-oː] の融合変化をおこしたもの。 ⸣トゥルムノー ノー⸢ン ナー⸣ヌ [⸣turu ⸣munoː noː⸢n naː⸣nu] (取るものは何もない) 17045 0 1 17001 htmvoc_17045.wav ムノーアラヌ ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] 連 {Mn_1}問題ではない。物ではない。取り立てていうほどのものでない。 ⸣タローサーギ ⸢ブー⸣カー ⸢ウッ⸣ツァー ⸢ナー⸣トー ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌンドゥ [⸣taroːsaːgi ⸢buː⸣kaː ⸢ʔut⸣ʦaː ⸢naː⸣toː ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nundu] (太郎さえおれば彼らなんぞ問題<物の数>ではないのだが)。 17045 0 2 17002 htmvoc_17045.wav ムノーアラヌ ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] 連 {Mn_2}何とも処置できない。とんでもないことになった。台無しになった。 ⸣ビータリティ ミ⸢チ⸣ナー ク⸢ルビ⸣ ッスゴーダー シ⸢ティ キン⸣マー ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣biːtariti mi⸢ʧi⸣naː ku⸢rubi⸣ s⸢sugoː⸣daː ʃi̥⸢ti kim⸣maː ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu] (酔いつぶれて道に転んで糞まみれになって、着物は台無しになった) 17033 0 0 17003 htmvoc_17033.wav ムノーッふァイヤーティルノーンナル ⸣ムノー ッ⸢ふァイヤー⸣ティル ノー⸢ン⸣ ナル [⸣munoː f⸢faijaː⸣tiru noː⸢n⸣naru] 連 生活が第一、生活できなければ何事も無意味だ。「物を食べてこそ何事もできるのだ」の義。<諺> 17046 0 0 17004 htmvoc_17046.wav ムバ ⸣ムバ [⸣muba] 接助 格助詞連語。~ものを。~のを。準体助詞⸣ム[⸣mu](もの、の)に格助詞⸣バ[⸣ba](~を)が付いた助詞連語。活用語の連体形に付く。 ノー⸢ン ヤラバン⸣ ミサバ ⸣カクムバ ⸣ムティ ⸣クー [noː⸢ɲ jarabam⸣ misaba ⸣kakumuba ⸣muti kuː] (何でもよいから、書くのを持って来い)。 ア⸢ジサーギ スー⸣カー ⸣バー ⸣カクムバ ノー⸢ンティン ナーン⸣ ユンダル カ⸢カン⸣ シジ⸢ダー [ʔa⸢ʤisaːgi suː⸣kaː ⸣baː ⸣kḁkumuba noː⸢ntin naːŋ⸣ jundaru kḁ⸢kaŋ⸣ʃiʤi⸢daː] (言いさえすれば私が書くものを、何ともない<何とも言わないから>から書かないわけだよ) 17047 0 0 17005 htmvoc_17047.wav ムフン ム⸢フン [mu⸢ɸuŋ] 名 謀反。石垣方言からの借用語か。主君に背くこと。 ア⸢カハチェー グイ⸣フゾーノーヌ ⸢スー⸣ワティル ウスンガ⸢ナ⸣シェーマイニ ム⸢フンバ⸣ ウ⸢クシタ⸣ティ⸢ダー [ʔa⸢kahaʧeː gui⸣ɸuʣoːnoːnu ⸢suː⸣watiru ʔusuŋga⸢na⸣ʃeːmaini mu⸢ɸumba⸣ ʔu⸢kuʃi̥⸣tati⸢daː] (オヤケアカハチは人頭税<御庸布・上納>が厳しいかった<強かった>ので、首里国王<御主加那志>様に謀反を起こしたそうだよ) 17177 0 0 17006 htmvoc_17177.wav ムミ ム⸢ミ [mu⸢mi] 名 籾。もみごめ(籾米)。穂から\ruby{扱}{コ}き落としたままの米。「糙、毛美与禰(もみよね)」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢マイ アーシティ⸣ ム⸢ミ⸣ ニ⸢ブ⸣クナー ⸣プシバ [⸢mai ʔaːʃi̥ti⸣ mu⸢mi⸣ ni⸢bu⸣kunaː ⸣pu̥ʃiba] (稲を脱穀して\ruby{籾}{モミ}をニ⸢ブ⸣ク{SqBr}ni⸢bu⸣ku{/SqBr}<\ruby{稲掃}{イナ|バ}き\ruby{筵}{ムシロ}>で干しなさい)。ム⸢ミガラ[mu⸢migara](籾殻)のついたままの米穀。ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](碾き臼)で挽いて玄米にするもの。⸢ザイレー⸣マイ[⸢ʣaireː⸣mai](在来種の米{EOS}⸣ウシノー{SqBr}ʔuʃinoː{/SqBr}やダ⸢ネー⸣マ{SqBr}da⸢neː⸣ma{/SqBr}など)は、のげ(\ruby{芒}{ノギ})が長いので、\ruby{搗}{ツキ}き臼で搗いて芒を除去した後に碾き臼で挽いて籾殻を除去し、玄米にした。昔は、その一連の作業を⸣カトゥン[⸣katuŋ](かつ<搗くこと>{EOS}「搗、ツク、カツ」『類聚名義抄』の転訛したもの)といった。従って芒の付いた籾を⸣カティマイ[⸣katimai](籾{EOS}搗く<カツ>ことを要する米)といった。 ム⸢ミ⸣ プス ⸣ピンマー ミ⸢ナカ⸣ナー ニ⸢ブ⸣ク シ⸢キティ ウン⸣ナー ⸢ノー⸣シ ピ⸢ルギティ⸣ プ⸢ソーッタ⸣ヌ トゥ⸢ル ウーンティ ⸢シッ⸣パイ ⸢シーヨーッ⸣タ [mu⸢mi⸣ pu̥su ⸣pimmaː mi⸢naka⸣naː ni⸢bu⸣ku ʃi̥⸢kiti ʔun⸣naː ⸢noː⸣ʃi pi⸢rugiti⸣ pu̥⸢soːtta⸣nu tu⸢ru ʔuːnti ʃip⸣pai ⸢ʃiːjoːt⸣ta] (籾を乾す時は庭にニブク<稲掃き\ruby{筵}{イナバキムシロ}>を敷いて、それに\ruby{零}{コボ}し広げて乾されたが、鶏を追うのに苦労<精一杯>しておられた) 17178 0 0 17007 htmvoc_17178.wav ムミガラ ム⸢ミガラ [mu⸢migara] 名 籾殻。\ruby{籾米}{モミ|ゴメ}の外皮。\ruby{籾殻}{モミ|ガラ}。籾糠。 ム⸢ミガラ⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢モーシ [mu⸢migara⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢moːʃi] (籾殻を集めて燃やせ)。籾殻は燃やしたり、畑に入れて肥料にしたりした。また十分に水洗いした後、乾燥して枕の中に詰めて利用することもあった。肩こりに効くという評判が立つほどだった。 ム⸢ミガラー パスコー⸣ンドゥ ⸢ゾー⸣ブンニ ア⸢ライ⸣ プシティ ⸢マッ⸣ふァナ イ⸢リティ⸣ シゥ⸢カウ⸣カー ヌ⸢ビシジ⸣ヌ ⸢コー⸣リナ ス⸢クンティ⸣ ア⸢ザリブタ [mu⸢migaraː pasu̥koː⸣ndu ⸢ʣoː⸣bunni ʔa⸢rai⸣ pu̥ʃiti ⸢maf⸣fana ʔi⸢riti⸣ sï̥⸢kau⸣kaː nu⸢biʃiʤi⸣nu ⸢koː⸣rina su̥⸢kunti⸣ ʔa⸢ʣaributa] (籾殻ははしかしい<芒し{EOS}「苛、ハシカシ」『類聚名義抄』{EOS}むずがゆい、痛がゆい、こそばゆい>が、十分に洗い、乾燥して枕に入れて使うと首筋の凝り<肩こり>に効くと言われていた) 17050 0 0 17008 htmvoc_17050.wav ムミガラマッふァ ム⸢ミガラマッふァ [mu⸢migaramaffa] 名 \ruby{籾殻}{モミ|ガラ}枕。籾殻を洗って乾燥し、布袋いいれて枕に仕上げたもの。涼しくて熟睡できるといわれ、女性に愛用されていた。 ム⸢カ⸣シェー ム⸢ミガラマッふァ⸣ティン ア⸢リ⸣ブタ [mu⸢ka⸣ʃeː mu⸢migaramaffa⸣tiŋ ʔa⸢ri⸣buta] (昔は、籾殻枕というのも<とても>あった<あり居った>) 17051 0 0 17009 htmvoc_17051.wav ムミパク ム⸢ミパク [mu⸢mipaku] 名 籾箱。\ruby{籾}{モミ}を入れて保管する箱。若年層は、モ⸢ミバク[mo⸢mibaku](籾箱)ともう。幅約3尺、長さ約6尺、高さ約5尺の木箱。取り外し式の板で作られ、籾の減少につれて上段の板を取り外すようになっていた。普通は裏座に設置された。この籾箱から必要に応じて籾を取り出し、\ruby{籾摺}{モミ|ス}りをして玄米にし、更に\ruby{搗}{ツ}き臼で精米して食した。 ム⸢メー⸣ ティダナ ⸣プシティ ム⸢ミパク⸣ナ イ⸢リリ⸣バ [mu⸢meː⸣ tidana ⸣pu̥ʃiti mu⸢mipaku⸣na ʔi⸢riri⸣ba] (籾は太陽に干して籾箱に入れなさいよ) 17034 0 0 17010 htmvoc_17034.wav ムミン ⸣ムミン [⸣mumiŋ] 名 木綿。ワタの種子に付いている白い綿毛。きわた(生綿)。木綿糸。標準語からの借用語。老年層は、⸣パナ[⸣pana](綿)という。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ムミンパナバ ス⸢ク⸣リ ウ⸢レー⸣ラ ⸣ムミン トゥ⸢ローッ⸣タティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣mumimpanaba su̥⸢ku⸣ri ʔu⸢reː⸣ra ⸣mumin tu⸢roːt⸣tati⸢daː] (昔は綿花を栽培して<作って>、それから木綿糸を取られたそうだよ) 17035 0 0 17011 htmvoc_17035.wav ムミンイトゥ ⸣ムミンイトゥ [⸣mumiŋʔitu] 名 木綿糸。 マ⸢ナ⸣マー ⸢キンヌイ⸣イトー ⸣ムミンイトゥ ヤ⸢ルヌ⸣ ム⸢カ⸣シェー ⸣ブーシル ヌイ⸢ヨーッタ⸣ル [ma⸢na⸣maː ⸢kinnui⸣ʔitoː ⸣mumiŋʔitu ja⸢runu⸣ mu⸢ka⸣ʃeː ⸣buːʃiru nui⸢joːtta⸣ru] (今は着物の縫い糸は木綿糸であるが、昔は麻糸⸢麻苧、乎<を>、一云阿佐<あさ>」『和名抄』で縫われた) 17036 0 0 17012 htmvoc_17036.wav ムミンカシ ⸣ムミン⸣カシ [⸣mumiŋkaʃi] 名 木綿糸。「木綿綛<かせ>」の義。 ⸣ムミンカシバ ⸢アイ⸣ズミ シ⸢ティ⸣ プシ ⸣シケー [⸣mumiŋkaʃiba ⸢ʔai⸣ʣumi ʃi̥⸢ti⸣ pu̥ʃi ⸣ʃi̥keː] (木綿の綛糸<かせいと>を藍染にして乾してある) 17037 0 0 17013 htmvoc_17037.wav ムミンパナ ⸣ムミンパナ [⸣mumimpana] 名 木綿の花。 ウ⸢キナー⸣ヌ ⸣ムミンパナー ⸢ウイニ⸣ ン⸢カイ⸣ サクンダ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ミ⸢ジヌ⸣ タ⸢マリティ⸣ ッサリスツォー [ʔu⸢kinaː⸣nu ⸣mumimpanaː ⸢ʔuini⸣ ŋ⸢kai⸣ sḁkunda ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː mi⸢ʤinu⸣ ta⸢mariti⸣ ssarisuʦoː] (沖縄の綿花は上に向かって咲くので雨が降ると水が溜まって腐れてしまうそうだ) 17052 0 0 17014 htmvoc_17052.wav ムム ム⸢ム [mu⸢mu] 名 桃。「桃、毛毛<もも>」『和名抄』、「桃、モモ・モモノキ」『類聚名義抄』の転訛したもの。鳩間島で植栽されていた桃の木は小粒の実をつけていた。 パ⸢トゥマ⸣ヌ ム⸢ムヌ⸣ ナロー グ⸢マーグマー⸣シル ナ⸢ル⸣タ [pḁ⸢tuma⸣nu mu⸢munu⸣ naroː gu⸢maːgumaː⸣ʃiru na⸢ru⸣ta] (鳩間の桃の実は小さく生ったものだ) 17053 0 0 17015 htmvoc_17053.wav ムム ム⸢ム [mu⸢mu] 名 (数)百。「百・佰、モモ・モモチ」『類聚名義抄』の転訛したもの。文語的な表現。普通は⸢ピャー⸣ク[⸢pjaː⸣ku](百)という。 ⸢ヤンマイ⸣ヤー イ⸢サ⸣ヌヤー ム⸢ムッケーラ⸣ カ⸢ユイル ノー⸣シェーツォー [⸢jammai⸣jaː ʔi⸢sa⸣nujaː mu⸢mukkeːra⸣ ka⸢juiru noː⸣ʃeːʦoː] (病気は医者の家に百回通って治したそうだ) 17054 0 0 17016 htmvoc_17054.wav ムム ⸣ムム [⸣mumu] 名 \ruby{腿}{モモ}。脚の\ruby{膝}{ヒザ}から上、股までの部分。「股、~毛毛」『和名抄』、「~毛毛那賀<股長>~」『古事記上謡・6』の転訛したもの。 ム⸢ムッ⸣タラ [mu⸢mut⸣tara] (\ruby{臀部}{デン|ブ}の筋肉)。 ⸣ムムナー ア⸢シブ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸢ウー⸣ミ ⸢ゴーリ ベー [⸣mumunaː ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸢ʔuː⸣miti ⸢goːri beː] (腿にお出来ができて、化膿して筋肉が削がれている) 17055 0 0 17017 htmvoc_17055.wav ムムッケーラ ム⸢ムッケーラ [mu⸢mukkeːra] 名 百回。百度。「百返り」の義。 ⸢ワー⸣ ム⸢ムッケーラ⸣ カ⸢ヨーバン⸣ ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ワンマー⸣ ッ⸢ふォーラン⸣パジ [⸢waː⸣ mu⸢mukkeːra⸣ ka⸢joːbaŋ⸣ ʔu⸢nu⸣ f⸢faː wammaː⸣ f⸢foːram⸣paʤi] (君が百度通っても、その子を君には下さらないはずだよ) 17056 0 0 17018 htmvoc_17056.wav ムムッタラ ム⸢ムッ⸣タラ [mu⸢mut⸣tara] 名 太股。臀部の筋肉。 ⸢アッ⸣タニ カ⸢キッツァー⸣シ ⸢パッ⸣タ ⸣クトー ム⸢ムッ⸣タラ ⸢コー⸣リティ ⸣ヤミ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢ʔat⸣tani kḁ⸢kitʦaː⸣ʃi ⸢pat⸣ta ⸣ku̥toː mu⸢mut⸣tara ⸢koː⸣riti ⸣jami ʔa⸢rakara⸣nu] (急に駆け足で走ったところ、太股が\ruby{凝}{コ}って痛くて歩かれない) 17057 0 0 17019 htmvoc_17057.wav ムムヌキ ム⸢ム⸣ヌキ [mu⸢mu⸣nuki] 名 足が\ruby{遠退}{トオ|ノ}くこと。\ruby{疎遠}{ソ|エン}になること。 ウ⸢ヌ⸣スク ⸢クー⸣タ プ⸢スヌ⸣ ク⸢ヌ⸣グロー ク⸢ヌ⸣ヤー ⸢パン⸣ヌ ⸢トゥーヌキ⸣ ム⸢ム⸣ヌキ ⸢シー ブーワ ヌー⸣ヌ ⸢アッ⸣タカヤー [ʔu⸢nu⸣su̥ku ⸢kuː⸣ta pu̥⸢sunu⸣ ku⸢nu⸣guroː ku⸢nu⸣jaː ⸢pan⸣nu ⸢tuːnuki⸣ mu⸢mu⸣nuki ⸢ʃiː buːwa nuː⸣nu ⸢ʔat⸣takajaː] (あれほど来た人が、この頃はこの家に足が遠のき腿が遠のいているのは、一体何事があったのかね) 17060 0 0 17020 htmvoc_17060.wav ムムヤライ ム⸢ム⸣ヤライ [mu⸢mu⸣jarai] 名 足や股を交差させること。「ももやらい(股矢来)」の義か。「Yarai.ヤライ(矢来)ある場所を通らせないために作る垣.または、それに類した物.」『邦訳日葡辞書』。⸣ムム[⸣mumu](股)に、ヤ⸢ラウン[ja⸢rauŋ](X型に竹や木を交差させる)、ヤ⸢ラザウン[ja⸢raʣauŋ](物をX型に交差させる)の連用形が付いて形成された合成語。古謡にも見られる。 ム⸢ム⸣ヤライ ⸢シー⸣ ニ⸢ブン [mu⸢mu⸣jarai ⸢ʃiː⸣ ni⸢buŋ] (足を交差させて寝る) 17058 0 0 17021 htmvoc_17058.wav ムヤー ⸣ムヤー [⸣mujaː] 名 母屋。もや。「身屋、モヤ、俗用母屋」『伊呂波字類抄』の転訛したもの。ハ⸢ギ[ha⸢gi](軒<接ぎ>)の対義語 17059 0 0 17022 htmvoc_17059.wav ムヤージゥカ ⸣ムヤージゥカ [⸣mujaːʣi̥ka] 名 \ruby{梁}{ハリ}の上に立てて\ruby{桁}{ケタ}を支える短い支柱(\ruby{束柱}{ツカ|バシラ})。普通は単にシゥ⸢カ⸣バラー[si̥⸢ka⸣baraː](束柱)という。 ⸣ムヤージゥカー ⸢ヤー⸣ヌ ⸢コーバイ⸣トゥ ⸢アーシ⸣ル ス⸢ク⸣ル [⸣mujaːʣi̥kaː ⸢jaː⸣nu ⸢koːbai⸣tu ⸢ʔaːʃi⸣ru su̥⸢ku⸣ru] (束柱は家の勾配に合わせて作るのだ) 16792 0 0 17023 htmvoc_16792.wav ムヤージカ ⸣ムヤージカ [⸣mujaːʤika] 名 \ruby{梁}{ハリ}の上に立てて\ruby{桁}{ケタ}を支える短い支柱。\ruby{束柱}{ツカ|バシラ}。「母屋束」の義。単に、シゥ⸢カ⸣バラー[si̥⸢ka⸣baraː](束柱)ともいう。「Tçukabasira. ツカバシラ(束柱)床板などの下に、それを支えるために立てる小さな柱、すなわち、支柱」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢コーバイ⸣ヌ ⸣アンダー ⸣ムヤージカー ⸢イッサ⸣クブカラナール ⸢ナイ⸣ヤー ⸣アル [⸢jaː⸣nu ⸢koːbai⸣nu ⸣ʔanda ⸣mujaːʤikaː ⸢ʔissa⸣kubukaranaːru ⸢nai⸣jaː ⸣ʔaru] (家<屋根>の勾配があるから、母屋束は一尺ぐらいずつの長さしかない<一尺ぐらいの長さがある>) 17061 0 0 17024 htmvoc_17061.wav ムヤーバラー ⸣ムヤーバラー [⸣mujaːbaraː] 名 母屋柱。家屋の主要部分の柱。ハ⸢ギバラー[ha⸢gibaraː](庇の柱{EOS}「脛柱」の義か)の内側にある主要な構造体の柱。この柱は、ヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き家)建築構造の家の柱に対して言う。ア⸢ナ⸣プリヤー[ʔa⸢na⸣purijaː](穴掘り建て{EOS}掘っ立て小屋)の柱には言わない。普通は、フ⸢クンキー[ɸu̥⸢kuŋkiː](福木)を四寸角、五寸角の柱にして用いた。 ヤ⸢マー ペー⸣ル アー⸢シ⸣ ムヤーバラー プ⸢スムトゥ⸣ナー ⸣キシ ン⸢ザ⸣シ ⸢クー⸣タツォー [ja⸢maː peː⸣ru ʔaː⸢ʃi⸣ mujaːbaraː pu̥⸢sumutu⸣naː ⸣ki̥ʃi ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸢kuː⸣taʦoː] (山に入るたびに母屋柱を一本ずつ伐り出してきたそうだ) 17062 0 1 17025 htmvoc_17062.wav ムヨー ム⸢ヨー [mu⸢joː] 名 {Mn_1}模様。 ク⸢ヌ キン⸣ヌ ム⸢ヨーヤ⸣ バ⸢サ⸣ヌパーヌ カ⸢タヌ⸠ナー [ku⸢nu kin⸣nu mu⸢joːja⸣ ba⸢sa⸣nupaːnu kḁ⸢tanu⸠naː] (この着物の模様は芭蕉の葉の型だねえ)。 17062 0 2 17026 htmvoc_17062.wav ムヨー ム⸢ヨー [mu⸢joː] 名 {Mn_2}様子。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ヌー⸣シル ⸢ブー⸣ユー ム⸢ヨー⸣ シ⸢キ⸣ キー⸢ミー [ma⸢na⸣maː ⸢nuːʃi⸣ru ⸢buː⸣juː mu⸢joː⸣ ʃi̥⸢ki⸣kiː⸢miː] (今はどうしているのか、様子を聞いてきてみなさいよ) 17063 0 0 17027 htmvoc_17063.wav ムヨースン ム⸢ヨースン [mu⸢joːsuŋ] 自動 もよおす(催す)。ある気持ちや生理的現象が起こる。兆候があらわれる。標準語からの借用語か。 シ⸢ラ⸣ヌ ア⸢ガミティ⸣ ニ⸢チ⸣ヌ ム⸢ヨーシー⸣ ブ⸢リン⸣ギサバン [ʃi⸢ra⸣nu ʔa⸢gamiti⸣ ni⸢ʧi⸣nu mu⸢joːʃiː⸣ bu⸢riŋ⸣gisabaŋ] (顔が赤らんで発熱の兆候がある<発熱を催している>ようだよ)。 ⸢キューブカ⸣ラー オ⸢サン⸣ヌ ム⸢ヨースンティ⸣ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ ム⸢ヨーサンバン [⸢kjuːbuka⸣raː ʔo⸢san⸣nu mu⸢joːsunti⸣ ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da⸣ mu⸢joːsambaŋ] (今日あたり産気づく<お産を催する>と思ったが、まだ産気づか<お産を催し>ないよ) 17064 0 0 17028 htmvoc_17064.wav ムラ ム⸢ラ [mu⸢ra] 名 村。集落。「村、和名無良(むら)、野外聚居也」『和名抄』の転訛。 ⸢インヌムラ [⸢ʔinnumura] (西村)。 ⸢アンヌムラ [⸢ʔannumura] (東村)。 ⸢ウイヌムラ [⸢ʔuinumura] (上の村{EOS}中道より上<北側>の方を指す)。 ス⸢ムヌムラ [su⸢munumura] (下の村{EOS}中道より下<南側>、海岸の方を指す)。 ⸣ドゥームラプス [⸣duːmurapusu] (自分の村の人)。 ム⸢カ⸣シェー ムー⸢ル⸣ ドゥームララール トゥ⸢ジェー⸣ クイ⸢ヨーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː muː⸢ru⸣ duːmuraraːru tu⸢ʤeː⸣ kui⸢joːt⸣ta] (昔は皆自分の村から妻を娶られた<妻を乞われた>)。 タ⸢ムラプス [ta⸢murapusu] (よその村人)。 タ⸢ムラプスバ⸣ トゥ⸢ジ サーロー⸣レー プ⸢ソー ナン⸣ゾー ⸢オーラ⸣ヌ [ta⸢murapusuba⸣ tu⸢ʤi saːroː⸣reː pu̥⸢soː nan⸣ʣoː ⸢ʔoːra⸣nu] (よその村人を妻に迎えられた人はあまりおられない) 17065 0 0 17029 htmvoc_17065.wav ムライルン ム⸢ライルン [mu⸢rairuŋ] 他動 大盛りにする。山盛りにする。 ⸣ズー ム⸢ライルンティ スンドゥ⸣ ウ⸢ビッチン⸣ヌ ⸣ウサイシェー ム⸢ライララヌ [⸣ʣuː mu⸢rairunti sundu⸣ ʔu⸢bitʧin⸣nu ⸣ʔusaiʃeː mu⸢rairaranu] (お重を大盛りにしようとするが、これぽっちのお料理では盛られない)。 タ⸢ク⸣トゥ カ⸢マブクヌ⸣ アルカー ム⸢ライヤッ⸣サンドゥ⸢ナー [tḁ⸢ku⸣tu ka⸢mabukunu⸣ ʔarukaː mu⸢raijas⸣sandu⸢naː] (蛸とかまぼこがあれば大盛りに盛り付けやすいのだがなあ)。 ⸣ウビシン ム⸢ライル⸣ クトー ⸣ナルン [⸣ʔubiʃim mu⸢rairu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (これだけでも大盛りに盛り付けることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢ライヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim mu⸢raijaː⸣ misamunu] (もっと盛り付ければいいのに)。 ム⸢ライリ [mu⸢rairi] (盛り付けよ) 17066 0 0 17030 htmvoc_17066.wav ムラウイ ム⸢ラウイ [mu⸢raʔui] 名 村払い。村八分。「村追い」の義。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー ム⸢ラウイ⸣ シ⸢ラリン⸣ダー [ja⸢nakutu suː⸣kaː mu⸢raʔui⸣ ʃi⸢rarin⸣daː] (悪事を働くと<悪いことをすると>村八分にされるぞ) 17067 0 0 17031 htmvoc_17067.wav ムラウチ ム⸢ラウチ [mu⸢raʔuʧi] 名 村内。集落の内。 ム⸢ラウチ⸣ナー ⸢カー⸣ラヤーヤ ムー⸢ル⸣シ ⸢ギューキブル⸣ ア⸢ル⸣ワ [mu⸢raʔuʧi⸣naː ⸢kaː⸣rajaːja muː⸢ru⸣ʃi ⸢gjuːkiburu⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (村内に瓦葺の家は全部で何軒あるか) 9262 0 0 17032 htmvoc_9262.wav ムラギンミ ム⸢ラギンミ [mu⸢ragimmi] 名 村吟味。部落会議。部落集会 17068 0 0 17033 htmvoc_17068.wav ムラグトゥ ム⸢ラグトゥ [mu⸢ragutu] 名 村行事。 ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンヌ ⸣フカナーン ム⸢ラグトー⸣ アン⸢ダー [⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu ⸣ɸu̥kanaːm mu⸢ragutoː⸣ ʔan⸢daː] (豊年祭、結願祭の他にも村行事はあるよ) 17069 0 0 17034 htmvoc_17069.wav ムラザライ ム⸢ラザライ [mu⸢raʣarai] 名 村の疫病神祓い。村の厄払い。「\ruby{村浚}{ムラ|サラ}え」の義。⸣シチ[⸣ʃi̥ʧi](節祭り)の際に、村中から疫病神や悪霊を追い払うこと。西村、東村のヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](村役人)たちが子供たちを集めて\ruby{甕}{カメ}の破片や瓦の破片を打ち鳴らし、⸣イソー パー⸢レ⸣パー⸢レと唱えながら家々を回って疫病神を追い払い、最後は村井戸を回って海岸に下り、芭蕉の\ruby{葉柄}{ヨウ|ヘイ}で作った小舟に鶏肉を載せ、これで疫病神を\ruby{賺}{スカ}し\ruby{宥}{ナダ}めて島から追い払うよう神に祈り、村の入り口の道路に\ruby[g]{大蒜}{ニンニク}と塩を\ruby{吊}{ツ}るした\ruby{注連縄}{シ|メ|ナワ}を張る儀式。各家の門にも注連縄を張り巡らした。夜は昼間と同じく、⸢ユートーパー⸣レー ⸢ミー⸣ソー ッ⸢ふァーと唱えながら疫病神祓えを行った。 ⸢ピーロー⸣ イソーパーレーバ ⸢シー ユー⸣ロー ⸢ユートーパー⸣レー ⸢シール⸣ ム⸢ラザライ ソーッ⸣タ [⸢piːroː⸣ ʔisoːpaːreːba ⸢ʃiː juː⸣roː ⸢juːtoːpaː⸣reː ⸢ʃiːru⸣ mu⸢raʣarai soːt⸣ta] (昼はイソーパーレーをし、夜はユートーパーレーをして\ruby{村浚}{ムラ|サラ}えをされた) 17070 0 0 17035 htmvoc_17070.wav ムラシ ム⸢ラシ [mu⸢raʃi] 名 \ruby{塊}{クレ}。\ruby{土塊}{ツチ|クレ}。ム⸢ルシ[mu⸢ruʃi](塊{EOS}土塊)ともいう。 カ⸢タムラ⸣シ [kḁ⸢tamura⸣ʃi] (肩の筋肉)。 ⸢シーシムラ⸣シ [⸢ʃiːʃimura⸣ʃi] (筋肉{EOS}\ruby{肉塊}{ニク|カイ}{EOS}\ruby{力瘤}{チカラ|コブ})。 ⸢ジームラ⸣シ [⸢ʤiːmura⸣ʃi] (土塊)。 カ⸢ニムラシ [ka⸢nimuraʃi] (鉄の塊)。 ア⸢ラシ⸣ ア⸢キティ ジームラ⸣シ カ⸢ナパイヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルシ ク⸢マークマ⸣シ バ⸢リ カイ⸣シ ⸣シケー [ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢kiti ʤiːmura⸣ʃi ka⸢napainu⸣ su⸢bu⸣ruʃi ku⸢maːkumaː⸣ʃi ba⸢ri kai⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (開墾して土塊を鍬の頭で細々と割って耕してある)。 シゥ⸢カラ⸣ ンズカー カ⸢タムラ⸣シェー フ⸢クリ キー⸣ス [si̥⸢kara⸣ ʔnʣukaː ka⸢tamura⸣ʃeː ɸu̥⸢kuri kiː⸣su] (力を出すと肩の筋肉が\ruby{膨}{フク}れて出てくる) 17072 0 0 17036 htmvoc_17072.wav ムラシェーマ ム⸢ラシェー⸣マ [mu⸢raʃeː⸣ma] 名 小さな塊。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フー⸣ター ⸢ジー⸣ヌ ム⸢ラシェー⸣マン ⸢ヤーラキティ カイシヤッ⸣サン [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuː⸣taː ⸢ʤiː⸣nu mu⸢raʃeː⸣maŋ ⸢jaːrakiti kaiʃijas⸣saŋ] (雨が降ったので土の小さな塊も軟らかくなって耕しやすい) 17071 0 0 17037 htmvoc_17071.wav ムラシスクルン ム⸢ラシ⸣ ス⸢ク⸣ルン [mu⸢raʃi⸣ su̥⸢ku⸣ruŋ] 連 \ruby{塊}{カタマリ}を作る。 ⸢クー⸣ヤ ⸢ゾッふァス⸣カー ム⸢ラシ⸣ ス⸢ク⸣ルン⸢ダー [⸢kuː⸣ja ⸢ʣoffasu⸣kaː mu⸢raʃi⸣ su̥⸢ku⸣run⸢daː] (粉は濡らすと塊を作るよ)。 ⸢ンーニヌ マーラー シーシ⸣ヌ ム⸢ラシ⸣ ス⸢ク⸣リティ イッ⸢ケナ スー⸣ワン [⸢ʔnːninu maːraː ʃiːʃi⸣nu⸣ mu⸢raʃi⸣ su̥⸢ku⸣riti ʔik⸢kena suː⸣waŋ] (胸の辺りに力瘤が出来て<筋肉が塊を作って>非常に力強い) 17073 0 0 17038 htmvoc_17073.wav ムラズー ム⸢ラズー [mura⸢ʣuː] 名 むらじゅう(村中)。 ム⸢ラズーヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ ンジティル ⸢プール⸣ヌ ⸢ゾーラキン パー⸣レーン シ⸢ナ⸣ピキン ⸢ソーッ⸣タ [mu⸢raʣuːnu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ʔnʤitiru ⸢puːru⸣nu ⸢ʣoːrakim paː⸣reːŋ ʃi⸢na⸣pi̥kin ⸢soːt⸣ta] (村中の人が出て豊年祭の\ruby{入子}{イレ|コ}芸能<\ruby{常楽}{ジョウ|ラク}芸能>も\ruby{爬龍船}{ハ|リュウ|セン}競漕も綱引きもなされた) 17077 0 0 17039 htmvoc_17077.wav ムラズリー ム⸢ラズリー [mu⸢raʣuriː] 名 村民集会。「村揃い」の義。⸢ジョーカイ[⸢ʤoːkai](常会{EOS}標準語からの借用語)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ソンガチヌ ⸣アトゥナー ム⸢ラズリーバ シール⸣ シマムラヌ ⸣クトー ムー⸢ル⸣ キ⸢モーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣soŋgaʧinu ⸣ʔatunaː mu⸢raʣuriːba ʃiːru⸣ ʃimamuranu ⸣ku̥toː muː⸢ru⸣ ki⸢moːt⸣taʦoː] (昔は正月の後に村民集会をして島村のことを総て決められたそうだ) 17074 0 0 17040 htmvoc_17074.wav ムラズルイ ム⸢ラズルイ [mu⸢raʣurui] 名 村人の集会。「村揃い」の義。ム⸢ラズリー[mu⸢raʣuriː](\ruby{村揃}{ムラ|ソロ}い)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ム⸢ラヌ⸣ クトー ム⸢ラズルイ シール⸣ ノー⸢ン⸣ キ⸢モーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː mu⸢ranu⸣ ku̥toː mu⸢raʣurui ʃiːru⸣ noː⸢ŋ⸣ ki⸢moːt⸣ta] (昔は、村のことは村人が集会をして何事をもお決めなされたものだ) 17075 0 0 17041 htmvoc_17075.wav ムラスン ム⸢ラ⸣スン [mu⸢ra⸣suŋ] 他動 \ruby{漏}{モ}らす。\ruby{洩}{モ}らす。液体や気体を隙間や穴から外や内側に出す。フ⸢カスン[ɸu̥⸢kasuŋ](我慢していた尿や便を洩らす{EOS}\ruby{失禁}{シッ|キン}する)とは区別して用いられる。 ⸣イダフニ サ⸢ラス⸣カー ⸣アカ ム⸢リ⸣ルンティ ⸢シーバ⸣ ム⸢ラサン⸣ヨーニ サ⸢バヌ⸣ アバ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸣ʔidaɸuni sa⸢rasu⸣kaː ⸣ʔaka mu⸢ri⸣runti ⸢ʃiːba⸣ mu⸢rasaŋ⸣joːni sa⸢banu⸣ ʔaba f⸢faːʃi⸣ba] (サバニ<板舟>を陽に\ruby{曝}{サラ}すと\ruby{淦}{アカ}を洩れるというから、洩らさないように\ruby{鱶}{フカ}の油を塗り<喰わせ>なさいよ)。 ム⸢ラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ra⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (洩らしてしまった)。 ム⸢ラ⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [mu⸢ra⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (洩らすことはない)。 ン⸢ベーマー⸣ ム⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ mu⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (少しは洩らせばいいのに)。 ン⸢ベーマー⸣ ム⸢ラ⸣シバ [ʔm⸢beːmaː⸣ mu⸢ra⸣ʃiba] (少しは洩らしなさいよ)。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー プ⸢スンナー⸣ネー イッ⸢カ⸣ ム⸢ラス⸣ナ [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː pu̥⸢sunnaː⸣neː ʔik⸢ka⸣ mu⸢rasu⸣na] (この話は他人には決して洩らすな) 17076 0 0 17042 htmvoc_17076.wav ムラスン ム⸢ラスン [mu⸢rasuŋ] 他動 盛らせる。盛り上げさせる。 シ⸢キゴイ⸣ イ⸢リティ⸣ ジー カ⸢バ⸣シ ム⸢ラスンティ スンドゥ⸣ イ⸢シグーヌ⸣ ンジクンダ ⸣ジー ム⸢ラサラヌ [ʃi̥⸢kigoi⸣ ʔi⸢riti⸣ ʤiː mu⸢rasunti sundu⸣ ʔi⸢ʃiguːnu⸣ ʔnʤikunda ⸣ʤiː mu⸢rasaranu] (堆肥を入れて土を被せて土を盛ろうとするが、岩盤が出てくるので土は盛れない)。 マ⸢カ⸣ルナ ⸣イー ム⸢ラシティ ッふァーシ⸣バ [ma⸢ka⸣runa ⸣ʔiː mu⸢raʃi̥ti⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (お椀に飯を盛って食べさせなさい)。 マ⸢カ⸣ルナー ム⸢ラス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢ka⸣runaː mu⸢rasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (お椀には盛ることができない)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim mu⸢raʃeː⸣ misamunu] (もっと盛ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢ラシ⸣バ [⸢maː⸣bim mu⸢raʃi⸣ba] (もっと盛れよ) 17078 0 0 17043 htmvoc_17078.wav ムラナカ ム⸢ラナカ [mu⸢ranaka] 名 村中。村の中。鳩間村は縦道に従って、東より1~7班に分かれており、1~4班が東村、5~7班が西村を構成していた。 シ⸢マッサル⸣ヌ ⸣ピン ⸣イソーパーレーバ ⸢シーティ⸣ ム⸢ラザライバ ソー⸣リ ム⸢ラヌ⸣ ウ⸢リダ⸣チナー シ⸢ビナージナバ⸣ パ⸢リティ⸣ パ⸢ナシキヌ カン⸣ヌ ム⸢ラナカー ペーラン⸣スコーニ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ソーッ⸣タ [ʃi⸢massaru⸣nu ⸣piŋ ⸣ʔisoːpaːreːba ⸢ʃiːti⸣ mu⸢raʣaraiba soː⸣ri mu⸢ranu⸣ ʔu⸢rida⸣ʧinaː ʃi⸢binaːʤinaba⸣ pa⸢riti⸣ pa⸢naʃi̥kinu kan⸣nu mu⸢ranakaː peːran⸣su̥koːni ⸢niŋ⸣gai ⸢soːt⸣ta] (シマッサル<シマクサラシ>祭祀の時、イソーパーレーをして村の祓えごと<\ruby{村浚}{ムラ|サラ}え>をし、村の縦道の入り口<下り立ち>に\ruby{注連縄}{シ|メ|ナワ}を張って、風邪<鼻付き>の神が村中に入らないように、祈願をされた) 17079 0 0 17044 htmvoc_17079.wav ムラヌペーラフチ ム⸢ラヌ ペーラ⸣フチ [mu⸢ranu peːri⸣ɸu̥ʧi] 連 ⸢村の入り口」の義。桟橋から\ruby{中岡}{ナカ|モリ}に通ずる縦道。村の奥から海岸に通ずる六本の縦道。東から四本目の縦道より東部を東村、西部を西村という。旧鳩間小学校校門に通じる沿岸道路と四本目の縦道の交差点を⸢アイ⸣ザムトゥ[⸢ʔai⸣ʣamutu](出会いの座元)という。 ム⸢ラヌ ペーラ⸣フチナー シ⸢ビナージナヌ⸣ パ⸢ラリ ベー⸣ヌ ⸣ヌンティカヤー [mu⸢ranu peːra⸣ɸu̥ʧinaː ʃi⸢binaːʤinanu⸣ pa⸢rari beː⸣nu ⸣nuntikajaː] (村の入り口に注連縄が張られているが、何故だろうか) 17080 0 0 17045 htmvoc_17080.wav ムラバカリ ム⸢ラバカリ [mu⸢rabakari] 名 分村。「村別れ」の義。鳩間村は黒島や古見からの村別れといわれている。 パ⸢トゥ⸣マー ク⸢ルシマ⸣トゥ ⸣クンラヌ ム⸢ラバカリ⸣ティ ア⸢ザリ ブー [pḁ⸢tu⸣maː ku⸢ruʃima⸣tu ⸣kunranu mu⸢rabakari⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (鳩間村は黒島と古見村からの村別れといわれている)。 サ⸢キ⸣ヤマムラン ⸣ッサブン パ⸢ティルマー⸣ラヌ ム⸢ラバカリ⸣ツォー [sḁ⸢ki⸣jaman ⸣ssabum pḁ⸢tirumaː⸣ranu mu⸢rabaka⸣riʦoː] (崎山村も白保村も波照間島からの村別れだそうだ) 17081 0 0 17046 htmvoc_17081.wav ムラバキ ム⸢ラバキ [mu⸢rabaki] 名 村分け。分村。 ム⸢カ⸣シェー ⸢グイ⸣フゾーノー ウ⸢サミ⸣ルンティル ム⸢ラバキ⸣ シ⸢ミラリタ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gui⸣ɸuʣoːnoː ʔu⸢sami⸣runtiru mu⸢rabaki⸣ ʃi⸢mirarita⸣ʦoː] (昔は貢納布と貢納米<御用布上納>を収めるために分村<村分け>させられたそうだ) 17082 0 0 17047 htmvoc_17082.wav ムラバンズ ム⸢ラバンズ [mu⸢rabanʣu] 名 村番所。村の役所(現在の公民館に相当する所)。⸢オー⸣シ[ʔoːʃi]ともいう。⸢ユンチュ[⸢junʧu](与人)一人、ミ⸢ザ⸣シ[mi⸢ʣa⸣ʃi](目差)一人、ヤ⸢マピ⸣シャ[ja⸢mapi⸣ʃa](杣山筆者)一人、⸢コーサクピ⸣シャ[⸢koːsakupi⸣ʃa](耕作筆者)一人が配置されていたという。 ム⸢ラバンズヌ⸣ アトゥナール パ⸢トゥマ⸣ヌ ⸢ガッコー⸣ヤ ス⸢ク⸣ローッタツォー [mu⸢rabanʣunu⸣ ʔatunaːru pḁ⸢tuma⸣nu ⸢gakkoː⸣ja su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (村番所の跡に鳩間の学校は建てら<作られ>たそうだ) 17083 0 0 17048 htmvoc_17083.wav ムラプール ム⸢ラプール [mu⸢rapuːru] 名 村豊年祭(豊年祭当日、村民総出で行われるゾーラキ<奉納入子踊り・常楽祈願踊り>や西村と東村の⸢パー⸣レー<爬竜舟競争>による豊年祈願<世乞い>の祭祀、及び翌日のシ⸢ナ⸣ピキ<綱引き>によって豊年を祈願し予祝する祭祀)。村中の人が出て祝う豊年感謝の祭り。⸣オンプール[⸣ʔompuːru](豊年祭当日の前夜、神職者と村役人が御嶽に籠もって夜を徹して本年の豊年感謝の祈願と、来年の豊年<世乞い>の祈願をする行事{EOS}⸢ユーングム⸣ル{SqBr}⸢juːŋgumu⸣ru{/SqBr}<夜籠もり祈願>ともいう)の対義語。 ⸣サンシキナーティ ⸢ソー⸣ル ⸢プール⸣ル ム⸢ラプールティ⸣ムカーヤ [⸣saŋʃi̥kinaːti ⸢soː⸣ru ⸢puːru⸣ru mu⸢rapuːruti⸣mukaːja] (桟敷でなさる豊年祭が村豊年祭<村民総出の豊年祭>というものだよ) 17084 0 0 17049 htmvoc_17084.wav ムラブザ ム⸢ラブザ [mu⸢rabuʣa] 名 村役人。「村夫作」と表記される。琉球国時代に貢納布を監督して織らせたり、寄贈品を集めて役場に納入する下級役人『石垣方言辞典』というが、鳩間島では田畑を監督督励して耕作させ、貢納品を役場に納入する下級役人にもいう。ム⸢ラブザ[mu⸢rabuʣa]は、転じて、自らは働かなず、人に命令や指示だけする人をいう。怠け者の代名詞。⸣ブザ[⸣buʣa]ともいう。 ⸢ウンザー⸣ ム⸢ラブザ⸣ ナリティ ⸢ピッ⸣チン パ⸢タラカヌ [⸢ʔunʣaː⸣ mu⸢rabuʣa⸣ nariti ⸢pit⸣ʧim pḁ⸢tarakanu] (あの野郎は指図ばかりして、ちっとも働かない<怠け者である>) 17085 0 0 17050 htmvoc_17085.wav ムラマール ム⸢ラマール [mu⸢ramaːru] 名 役人の\ruby{巡検}{ジュン|ケン}。役人が村を巡視すること。「村回り」の義。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢クニン⸣マー ム⸢ラマール シール⸣ ムー⸢ル⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢ウイパラ⸣ソーッタツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢kunim⸣maː mu⸢ramaːru ʃiːru⸣ muː⸢ru⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔuipara⸣soːttaʦoː] (昔は、役人は村を巡視して皆を畑に追い出されたそうだ) 17086 0 0 17051 htmvoc_17086.wav ムラヤクサ ム⸢ラヤクサ [mu⸢rajakusa] 名 村役人。村の祭祀を執り行うために選出された人たち。ム⸢ラヤクニン[mu⸢rajakuniŋ](村役人)ともいう。⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代)一人。部落会長に相当する最高責任者。 ヤ⸢ク⸣サ [ja⸢ku⸣sa] (総代を補佐する村役人{EOS}西村と東村より各一人、合計二人選出される)。⸢ジンバイ[⸢ʤimbai](配膳係り{EOS}ヤ⸢ク⸣サ{SqBr}ja⸢ku⸣sa{/SqBr}を補佐する最下級の村役人{EOS}十五・六歳の男子で、西村と東村より各二名、合計四人選出される{EOS}⸢膳配り」の義{EOS}神行事の際に必要な⸣グシパナ{SqBr}⸣guʃipana{/SqBr}<神酒や花米>を徴収したり、什器類を借り受け、返済する仕事や、ヤクサと一緒に神事に必要な魚や蛸を漁獲する仕事に従事する)等が村行事を取り仕切っていた。 ム⸢ラヤクサン⸣ケーヌ ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ ⸢ユードゥーシ⸣ヌ ス⸢コール シー ヨー⸣ル [mu⸢rajakusaŋ⸣keːnu ⸢ʔuinu⸣ʔugannaːti ⸢juːduːʃi⸣nu su̥⸢koːru ʃiːjoː⸣ru] (村役人の方々が友利御嶽で夜通し祈願の準備をしておられる) 17087 0 0 17052 htmvoc_17087.wav ムラングトゥ ム⸢ラングトゥ [mu⸢raŋgutu] 名 村の神行事。村の公務。村の行事。村の年中行事。ム⸢ラグトゥ[mu⸢ragutu]ともいう。 ⸢スー⸣ダイ ⸣パジミ シ⸢マム⸣チユームチヌ ヤ⸢ク⸣サンケーシル ム⸢ラングトー⸣ ノー⸢ン ソーッ⸣タ [⸢suː⸣dai ⸣paʤimi ʃi⸢mamu⸣ʧi juːmuʧinu ja⸢ku⸣saŋkeːʃiru mu⸢raŋgutoː⸣ noː⸢n soːt⸣ta] (総代はじめ、村役人<島持ち世持ち>のヤクサ達で村行事は何事も執行され<なされた>た) 17088 0 0 17053 htmvoc_17088.wav ムリイー ム⸢リイー [mu⸢riʔiː] 名 握り飯。⸢盛りご飯」の義。バ⸢コーシン⸣カ[ba⸢koːsiŋ⸣ka](共同作業の人員)などに対して食器を使わずに、米飯や⸢ウンヌ⸣イー[⸢ʔunnu⸣ʔiː](芋を炊いて捏ねて握った飯)を大きく握って配る飯。 ヤ⸢マ⸣バコー ⸢ソー⸣ル バ⸢コーシンカ⸣ヌ ム⸢リイー⸣ ス⸢コールンティ トゥンナキンラ⸣ ウキティ ⸢パン⸣タ ⸢シー ベー⸣ダー [ja⸢ma⸣bakoː ⸢soː⸣ru ba⸢koːʃiŋka⸣nu mu⸢riʔiː⸣ su̥⸢koːrunti tunnakinra⸣ ʔukiti ⸢pan⸣ta ⸢ʃiː beː⸣daː] (建築用材伐り出しの共同作業をされる共同作業人員の握り飯を作るために鶏鳴の時刻から起きて繁忙を極めているよ)。握り飯を「握る」ことを、ス⸢ブ⸣ルン[su⸢bu⸣ruŋ](絞る)という 17089 0 0 17054 htmvoc_17089.wav ムリカブシ ム⸢リカブシ [mu⸢rikabuʃi] 名 すばるぼし(昴星)。石垣方言からの借用語。ブ⸢リブシ[bu⸢ribusi](群星)ともいう。 ム⸢リカブシユンタ⸣ティ ⸢スー⸣ ウ⸢タ⸣ヌ ⸣アン [mu⸢rikabusijunta⸣ti ⸢suː⸣ ʔu⸢ta⸣nu ⸣ʔaŋ] (ムリカブシユンタという古謡<歌>がある) 17090 0 0 17055 htmvoc_17090.wav ムリクバナ ム⸢リクバナ [mu⸢rikubana] 名 (植)マツリカ(茉莉花)。石垣方言からの借用語。 イ⸢サナキプソー⸣ ム⸢リクバナバ⸣ サーナ イ⸢リティ⸣ ヌ⸢モー⸣ルンティ⸢ダー⸣ カ⸢バッ⸣サンツォー [ʔi⸢sanakipusoː⸣ mu⸢rikubanaba⸣ saːna ʔi⸢riti⸣ nu⸢moː⸣runti⸢daː⸣ ka⸢basa⸣nʦoː] (石垣の人はマツリカをお茶に入れて飲まれるそうだ、香ばしいそうだ) 17091 0 0 17056 htmvoc_17091.wav ムリコーシ ム⸢リコーシ [mu⸢rikoːsi] 名 盛り菓子。菓子皿に菓子や餅類を盛り合わせた供物。⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆{EOS}精霊会)やウ⸢ブソッ⸣コー[ʔu⸢busok⸣koː](大きな法事{EOS}「大焼香」の義)の供物。 ⸢ジュー⸣サンニンキンドーレーヌ ウ⸢ブソッ⸣コーナー ム⸢リコーシン⸣ シ⸢キソーッ⸣タ [⸢ʤuː⸣sanniŋkindoːreːnu ʔu⸢busok⸣koːnaː mu⸢rikoːʃiŋ⸣ ʃi̥⸢kisoːt⸣ta] (十三年忌などの大きな法事には盛り菓子も供えられた) 17092 0 0 17057 htmvoc_17092.wav ムリッふァ ム⸢リ⸣ッふァ [mu⸢ri⸣ffa] 名 お守りをして育てた子。「守り子」の義。かつては七、八歳の女の子が他家の乳児が歩けるようになるまでお守りをして手伝う習慣があり、その乳児との姉弟関係は生涯続いた。 ⸣バー ム⸢リッふァヌ⸣ル ⸢マイフナー⸣ マ⸢リ ウイヌ ガッ⸣コー ⸢ペー⸣レー⸢ダー [⸣baː mu⸢riffanu⸣ru ⸢maiɸunaː⸣ ma⸢ri ʔuinu ak⸣koː ⸢peː⸣reː⸢daː] (私の守り子が立派に成長して上級学校に合格した<入った>よ) 17093 0 0 17058 htmvoc_17093.wav ムリブシ ム⸢リブシ [mu⸢ribuʃi] 名 すばる(昴)。「群れ星」の義。多くの場合、歌謡の中で現れる語。話し言葉では、ブ⸢リブシ[bu⸢ribusi](すばる<昴>)というのが普通。その項参照 17094 0 0 17059 htmvoc_17094.wav ムリマース ム⸢リマース [mu⸢rimaːsu] 名 盛り塩。茶碗に盛って綺麗に成形した塩を大皿の中央に反転して移し、健康祈願の\ruby{縁起物}{エン|ギ|モノ}とした。正月や祝儀に盛り塩をして床の間に供え、家族や来客に与えた。普通は、シゥ⸢カラマース[sï̥karamaːsu](力塩)という。 ⸣ソンガチヌ ム⸢リマース ザー⸣トゥクナー シ⸢キリ⸣ヨー [⸣soŋgaʧinu mu⸢rimaːsu ʣaː⸣tu̥kunaː ʃi̥⸢kiri⸣joː] (正月の盛り塩を床の間に供えなさいよ) 17095 0 0 17060 htmvoc_17095.wav ムリルン ム⸢リ⸣ルン [mu⸢ri⸣ruŋ] 自動 洩れる。水や光などが自然に隙間から抜け出る。⸣ムルンとも言う。 ク⸢ヌ タン⸣ゴーラ ミ⸢ジヌ⸣ ム⸢リ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ ム⸢リラン⸣ワー⸢ン⸣ノー [ku⸢nu taŋgoː⸣ra mi⸢ʤinu⸣ mu⸢ri⸣runti su̥⸢kutanu⸣ mu⸢riraŋ⸣waː⸢n⸣noː] (この水桶<担桶>から水が漏れると聞いたが洩れないではないか)。 キサー⸢ティ⸣ ム⸢リパジ⸣ミ ⸢ベー [kisaː⸢ti⸣ mu⸢ripaʤi⸣mi ⸢beː] (すでに洩れ始めている)。 ⸢オーパ⸣ヤー ム⸢リ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː mu⸢ri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く洩れることはない)。 ウ⸢ビ⸣ナー ム⸢リ⸣レーラ ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [ʔu⸢bi⸣naː mu⸢ri⸣reːra ⸢deː⸣ʣi⸢ge⸣ra] (こんなに洩れたら大変さ)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢リ⸣リ [⸢maː⸣bim mu⸢ri⸣ri] (もっと漏れろ) 17096 0 0 17061 htmvoc_17096.wav ムル ム⸢ル [mu⸢ru] 名 岡。盛り上がった所。ナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡<森>)の下の、シ⸢マナカー[ʃi⸢manakaː](島中の畑地)に通じる道の斜面にある砂岩の盛り上がった所。/ムルムルヌ タウ ナルケ タウタウヌ イキ ナルケ ハーリ アミ タボリ リューガナシ/(岡岡が平坦地になるまで、平地平地が池になるまで、ハーリ<囃子>雨を賜れ、竜神さま<加那志>)(雨乞い歌、ハヤミク7連)『鳩間島古典民謡古謡集』 17097 0 0 17062 htmvoc_17097.wav ムルー ⸣ムルー [⸣muruː] 名 (動)魚名。和名、イトフエフキ(体長約20センチ{EOS}糸満方言のイノームルー)やホオアカクチビ(体長約30センチ{EOS}糸満方言のオームルー)のこと。⸣ムルーイズ[⸣muruːʔiʣu](フエフキダイの仲間)ともいう。 イ⸢ツォーン⸣プソー ⸣イノームルートゥ ⸢オームロー⸣ バ⸢カシ⸣ソールヌ パ⸢トゥ⸣マプソー バ⸢カサ⸣ヌ [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː ⸣ʔinoːmuruːtu ⸢ʔoːmuroː⸣ ba⸢kaʃi⸣soːrunu pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ba⸢kasa⸣nu] (糸満の人はイノームルーとオームルーは区別されるが、鳩間の人は区別しない) 17098 0 0 17063 htmvoc_17098.wav ムルウクジ ム⸢ルウクジ [mu⸢ruʔukuʤi] 名 占ったコメの籤が対の組をなすもの。神意基づく「吉」の意味。その反対は「凶」 17099 0 1 17064 htmvoc_17099.wav ムルク ム⸢ルク [mu⸢ruku] 名 {Mn_1}植物が小さく群生している所。 シ⸢トゥッ⸣チムルク [ʃi̥⸢tut⸣ʧimuruku] (蘇鉄が群生している)。 ⸢ユシ⸣キムルク [⸢juʃi̥⸣kimuruku] (ススキの群生している所)。 17099 0 2 17065 htmvoc_17099.wav ムルク ム⸢ルク [mu⸢ruku] 名 {Mn_2}小さな岡。石積みの所。ム⸢ルック[mu⸢rukku](小さな岡{EOS}石積みの所)ともいう。 パ⸢タキ⸣ヌ ア⸢ザ⸣ヌ イ⸢シムルク⸣ナ イ⸢シ⸣ シ⸢ミ⸣バ [pḁ⸢taki⸣nu ʔa⸢ʣa⸣nu ʔi⸢ʃimuruku⸣na ʔi⸢ʃi⸣ ʃi⸢mi⸣ba] (畑の畦の石積み石垣に石を積みなさいよ) 17102 0 0 17066 htmvoc_17102.wav ムルシン ム⸢ルシン [mu⸢ruʃiŋ] 名 小粒。小さな塊。ム⸢ラシン[mu⸢rasiŋ](小さな塊)ともいう。 ク⸢シナカ⸣ナー ア⸢シブ⸣ヌ ⸣クビブカラヌ ム⸢ルシン⸣ ス⸢ク⸣リティ ⸢ウー⸣ミ ⸢ベー [ku̥⸢ʃinaka⸣naː ʔa⸢ʃibu⸣nu ⸣kubibukaranu mu⸢ruʃiŋ⸣ su̥⸢ku⸣riti ⸢ʔuː⸣mi ⸢beː] (背中にお出来<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{汗疹}{アセモ}>がこれぐらいの小さな\ruby{塊}{カタマリ}を作って\ruby{化膿}{カ|ノウ}している) 17103 0 0 17067 htmvoc_17103.wav ムルスメー ム⸢ルスメー [mu⸢rusumeː] 名 屋号。「盛島屋」の義。ム⸢スメーヌ カー⸣メザーテー[mu⸢rusumeːnu kaː⸣meʣaːteː](盛島カメ氏宅)ともいう。「本年、八重山島鳩間村の盛島仁屋等の善行を褒嘉し烟草を賞賜す(大清道光拾五年乙未)」『球陽 読み下し編』とあり、昔は栄えた家であった。子孫は戦後石垣島へ移住した。 ⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸢マイ⸣ネール ム⸢ルスメー ヤッタ [⸢joː⸣kajaːnu ⸢mai⸣neːru mu⸢rusumeː jatta] (西原松氏宅の前隣が盛島家だった) 17104 0 0 17068 htmvoc_17104.wav ムルスン ム⸢ルスン [mu⸢rusuŋ] 名 丸損。利益が全くなく、全部損すること。マ⸢ルスン[ma⸢rusuŋ](丸損)ともいう。 ウ⸢ブモーキ スンティ アー⸣キ ム⸢ルスン シー ナー⸣ヌ [ʔu⸢bumoːki sunti ʔaː⸣ki mu⸢rusuŋ ʃiː naː⸣nu] (大儲けをしようとしていて、丸損してしまった) 17100 0 0 17069 htmvoc_17100.wav ムルック ム⸢ルック [mu⸢rukku] 名 小さな岡。盛り上がっている所。石積みの所。ム⸢ルッコー⸣マ[mu⸢rukkoː⸣ma](小さく盛り上がった所{EOS}小さな岡)ともいう。 タ⸢チバル⸣ヌ パ⸢タキ⸣ヌ ⸣スバナ ム⸢ルックヌ⸣ アン [tḁ⸢ʦibaru⸣nu pḁ⸢taki⸣nu ⸣subana mu⸢rukkunu⸣ ʔaŋ] (立原の畑の側に小さな岡がある) 17101 0 0 17070 htmvoc_17101.wav ムルッコーマ ム⸢ルッコー⸣マ [mu⸢rukkoː⸣ma] 名 石を小高く積み上げた所。非常に小さな岡。小さく盛り上がった岡。ム⸢ルク[mu⸢ruku](石積みの所{EOS}小岡)の強調表現。ム⸢ルック[mu⸢rukku]に指小辞-マ[-ma]の付いた形 17105 0 0 17071 htmvoc_17105.wav ムルプー ム⸢ルプー [mu⸢rupuː] 名 二つの帆。「もろほ(諸帆)」の義『石垣方言辞典』。マ⸢シ⸣ビカジ[ma⸢ʃi⸣bikaʤi](真艫吹く風)を受けて帆走する帆。カ⸢タ⸣プー[kḁ⸢ta⸣puː](片帆{EOS}横風を受けて帆走する帆)の対義語。 ⸢ティンマー⸣ ム⸢ルプー⸣ ピ⸢キ ジンプー⸣ マ⸢ラシ パッ⸣タヤー [⸢timmaː⸣ mu⸢rupuː⸣ pi̥⸢ki ʤimpuː⸣ ma⸢raʃi pat⸣tajaː] (伝馬船は二本マストの帆を揚げ<諸帆を引き>順風を帆にはらませ<生ませて>て帆走して行ったよ) 17106 0 0 17072 htmvoc_17106.wav ムルムル ム⸢ルムル [mu⸢rumuru] 名 供物の一種。お盆やウ⸢ブソッ⸣コー[ʔu⸢busok⸣koː](大きな法事)の際に供える。「盛り物」の転訛したもの。⸢シン⸣ザ[⸢ʃin⸣ʣa](砂糖きび)を6、7寸程の長さに切ったものを7~9本ずつ束ね、その上下にマ⸢キカビ[ma⸢kikabi](巻き紙{EOS}約一寸幅の白紙に8分程の赤紙を貼ったもの)を巻き、それにフ⸢ナ⸣ブ[Fu⸢na⸣bu](九年母{EOS}シークヮーサー)、キ⸢ダヌ⸣ナル[ki⸢danu⸣naru](黒檀<黒木>の実)、⸢バン⸣スル[⸢ban⸣suru](蕃石榴<クワバ>の実)などを枝付きのまま挿して飾り、それを⸣サンボー[⸣samboː](三方)に載せ、シ⸢トゥッチ⸣ヌナル[ʃi̥⸢tutʧi⸣nunaru](蘇鉄の実)や⸣カニン[⸣kaniŋ](野葡萄の実)、⸢イー⸣シ[⸢ʔiː⸣ʃi](角又{EOS}海草)、バ⸢サン⸣ナル[ba⸢san⸣naru](芭蕉の実{EOS}バナナ)、ユ⸢ブ⸣シ[ju⸢bu⸣ʃi](ユ⸢ブ⸣シの木の実)などを⸣サンボーに盛って飾ったもの。トゥ⸢クニ[tu̥⸢kuni](仏壇)の左右に一対供えておく。それに、⸣グサン[⸣gusaŋ](杖)と称する、長さ約3尺の砂糖きびを一対添えた。これは一本はグサン(杖)にし、他の一本は⸢アイ⸣ク[⸢ʔai⸣ku](天秤棒{EOS}担い棒{EOS}おうご<朸>の転訛)の代用になるもので、祖霊たちが供物を⸣シトゥ[⸣ʃi̥tu](お土産)としてこの世からあの世へ担いで持ち帰る際に利用すると伝えられている 17107 0 0 17073 htmvoc_17107.wav ムルムルムチ ム⸢ルムルムチ [mu⸢rumurumuʦi] 名 ム⸢ルムルと一緒に仏壇に供える円錐形の餅と円盤状の餅。仏壇に向かって左側に供えるのは、ピンポン玉ほどの餅を約20個盛って円錐形に成形したもの。右側に供えるものは、丸みをおびた円盤状に成形したものである。 ム⸢ルムルムチン⸣ ス⸢ク⸣リ ⸢カイ⸣キナ ビ⸢シティ⸣ カ⸢ザリ⸣バ [mu⸢rumurumuʧim⸣ su̥⸢ku⸣ri ⸢kai⸣kina bi⸢ʃiti⸣ ka⸢ʣari⸣ba] (ムルムル餅も作って皿に据えて供えなさい) 17108 0 0 17074 htmvoc_17108.wav ムルン ム⸢ルン [mu⸢ruŋ] 他動 盛る。「家にあれば笥に盛<モル>る飯を~。万、142」の転訛したもの。 ⸣ズー ム⸢ルン [⸣ʣuː mu⸢ruŋ] (お重を盛る{EOS}肴を重箱に盛り付ける)。 ⸢コーイー⸣バ マ⸢カ⸣ルナ ム⸢ルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ム⸢ララン⸣サー [⸢koːʔiː⸣ba ma⸢ka⸣runa mu⸢runti⸣ ʔu⸢muːn⸣du mu⸢raran⸣saː] (\ruby{強飯}{コワ|イイ}をお椀に盛ろうと思うが盛られないよ)。 マ⸢カ⸣ルナ ム⸢リ⸣ミサカー ⸣ドゥーシ ム⸢ル⸣クトー ⸣ナルン [ma⸢ka⸣runa mu⸢ri⸣misakaː ⸣duːʃi mu⸢ru⸣kutoː ⸣naruŋ] (お椀に盛ってよければ盛ることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ム⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim mu⸢reː⸣ misamunu] (もっと盛ればいいのに)。 タ⸢カータカー⸣シ ム⸢リ⸣バ [tḁ⸢kaːtakaː⸣ʃi mu⸢ri⸣ba] (高高と盛りなさい) 17109 0 0 17075 htmvoc_17109.wav ムルン ⸣ムルン [⸣muruŋ] 名 もろみ(諸味)。醸造して、まだ粕を\ruby{濾}{コ}さない酒や醤油。「\ruby{醪}{モロミ}、毛呂美<もろみ>」『和名抄』の転訛したもの。 サ⸢ケー⸣ ム⸢ルン⸣バ ⸣タリティル マ⸢ラソーッタ⸣ル [sḁ⸢keː⸣ mu⸢rum⸣ba ⸣taritiru ma⸢rasoːtta⸣ru] (酒は諸味を蒸留して醸造された<生まれさせられた>ものだ) 17110 0 0 17076 htmvoc_17110.wav ムルン ⸣ムルン [⸣muruŋ] 自動 \ruby{漏}{モ}れる。水や光などが隙間を通りぬけて出る。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢ヤー⸣ヤ ⸣ムルンティ ス⸢クタヌ⸣ ム⸢ラン⸣バン [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢jaː⸣ja ⸣murunti su̥⸢kutanu⸣ mu⸢ram⸣baŋ] (雨が降ったら屋根が漏ると聞いたが漏らないよ)。 ク⸢ヌ⸣ フネー ム⸢リズーワ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ ⸣アイニ ⸣ムル ⸣フネー ム⸢タラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ɸuneː mu⸢riʣuːwa⸣nu na⸢ra⸣nu ⸣ʔaini ⸣muru ⸣ɸuneː mu⸢tara⸣nu] (この舟は水漏れがひどくて堪らない{EOS}あんなに洩る舟は操船できない)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ムレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸣mureː ⸣misamunu] (もっと洩れればいいのに) 17111 0 0 17077 htmvoc_17111.wav ムルン ⸣ムルン [⸣muruŋ] 他動 もる(守る)。子守をする。古老の使用する語。「~母之守為裳<ははしモラスモ>。万、3000」の義。 ナー⸢イ⸣ ッ⸢ふァバ⸣ ムリ ア⸢サビ ベー [naː⸢ji⸣ f⸢faba⸣ muri ʔa⸢sabi beː] (ただ子供をお守りして遊んでいる)。 ⸣シザン ム⸢ラリ⸣ル フ⸢ドゥベー⸣ル [⸣ʃiʣam mu⸢rari⸣ru ɸu⸢dubeː⸣ru] (姉に守られて成長したのだ)。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ムル プ⸢ソー ター⸣ヤ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ muru pu̥⸢soː taː⸣ja] (この子を守る人は誰か) 17112 0 0 17078 htmvoc_17112.wav ムレー ⸣ムレー [⸣mureː] 名 子守。おもり(御守)。ッ⸢ふァ⸣ムレー[f⸢fa⸣mureː](子守)の略語。七、八歳の女の子が弟妹を負ぶって母親をたすけた。 ⸣ムレー ⸢スン [⸣mureː ⸢suŋ] (お守りをする)。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ナ⸢ナッチ ヤー⸣チェーラー ⸢ウシトゥ⸣ッふァ カ⸢サナイ⸣ヤーティル ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢テー⸣ナイ シ⸢タル [mi⸢doːn⸣ffaː na⸢natʧi jaː⸣ʧeːra ⸢ʔuʃi̥tu⸣ffa kḁ⸢sanai⸣jaːtiru ʔu⸢ja⸣nu ⸢teː⸣nai ʃi̥⸢taru] (女の子は七、八歳から弟妹を負ぶって親の手伝いをしたものだ) 17113 0 0 17079 htmvoc_17113.wav ムレージ ム⸢レー⸣ジ [mu⸢reː⸣ʤi] 名 (動)魚の名。和名、グルクマ(体長約30センチ)。沖縄県の県魚、グルクンをいう。「群れ魚」からの転訛。初夏の頃に近海に群れて寄ってきた。その稚魚は、サ⸢ネー⸣ラ[sa⸢neː⸣ra]といい、海底の魚巣にいるのをム⸢ジ⸣アン[mu⸢ʤi⸣aŋ](約3ミリ四方の細目の網)で掬って漁獲した。カツオ漁船では最高の撒き餌として重宝された。 ム⸢レー⸣ジェー ⸣アバナ ア⸢ギバル⸣ ン⸢マー [mu⸢reː⸣ʤeː ⸣ʔabana ʔa⸢gibaru⸣ ʔm⸢maː] (グルクンは油で揚げたほうが美味しい) 17114 0 0 17080 htmvoc_17114.wav ムレースン ⸣ムレー ⸢スン [⸣mureː ⸢suŋ] 連 子守をする。 ⸢バー⸣ル ウ⸢リヌ⸣ ムレー ⸢シー⸣ フ⸢ドゥバシタ [⸢baː⸣ru ʔu⸢rinu⸣ mureː ⸢ʃiː⸣ ɸu⸢dubaʃi̥ta] (私があの子<あれ>の子守をして大きくし<成長させ>た) 17115 0 0 17081 htmvoc_17115.wav ムレーマ ム⸢レーマ [mu⸢reːma] 名 屋号。通事家。通事栄氏宅。旧鳩間国民学校の裏にあった。初めて上級学校(沖縄工芸学校)に進学し、最初の鳩間島出身女性教師(田代豊氏<旧姓通事>)を出した家。ム⸢レーマ[mu⸢reːma]の語源は、⸢モリヤマ・ヤー」(盛山・家)が[murijamajaː] → [murjaːmaː] → [mureːma] のように音韻変化したものであろう。 ム⸢レーマ⸣ナー ウ⸢ブタンク⸣ヌ ⸢アッ⸣タ ⸢ベー⸣ティ ウ⸢ヌ⸣ ミ⸢ジ⸣シ フ⸢カ⸣ソール ⸢サー⸣ヤ イッ⸢ケン⸣ ン⸢マー⸣タンツォー [mu⸢reːma⸣naː ʔu⸢butaŋku⸣nu ⸢ʔat⸣ta ⸢beː⸣ti ʔu⸢nu⸣ mi⸢ʤi⸣ʃi ɸu̥⸢ka⸣soːru ⸢saː⸣ja ʔik⸢kem⸣ ʔm⸢maː⸣tanʦoː] (通事家には大きなコンクリート製の水タンクがあったので、その水で沸かされるお茶は非常に美味しかったそうだ) 17116 0 0 17082 htmvoc_17116.wav ムン ⸢ムン [⸢muŋ] 名 門。普通は、⸢ムングチ[⸢muŋguʧi](門口)、⸢ペーラ⸣フチ[⸢peːra⸣Fu̥ʦi](門{EOS}入り口)という。⸣ゾーンタヤー[⸣ʣoːntajaː](屋根葺き門構えとして設けられた木造の建造物{EOS}「門の屋根」の義)は士族の家の門に設けられた。 ⸢ムン⸣ナー ⸣ゾーンタヤーヌ ⸣アル ⸢ヤー⸣ヤ パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ナー⸣ヌ [⸢mun⸣naː ⸣ʣoːntaːjaːnu ⸣ʔaru ⸢jaː⸣ja pḁ⸢tu⸣manaː ⸢naː⸣nu] (門に木造屋根の付いた建造物がある家は鳩間島には無い) 17117 0 0 17083 htmvoc_17117.wav ムン ⸢ムン [⸢muŋ] 名 (植)山桃。 ナ⸢チ⸣ ナルカー ⸢パイタ⸣ナー ⸢ムンヌ⸣ ナ⸢ル⸣ヌ ⸢ウー⸣ムンダ ウ⸢リ カース⸣ プ⸢スン オーッ⸣タン [na⸢ʧi⸣ narukaː ⸢paita⸣naː ⸢munnu⸣ na⸢ru⸣nu ⸢ʔuː⸣munda ʔu⸢ri kaːsu⸣ pu̥⸢suŋ ʔoːt⸣taŋ] (夏になると西表島<南端>に山桃の実が熟れるので、それを売る人もおられた) 17118 0 0 17084 htmvoc_17118.wav ムン ⸣ムン [⸣muŋ] 名 (植)麦。「麦、牟岐(むぎ)、今案、大小麦之惣名也、五穀之長也」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢ムン⸣マー パ⸢トゥ⸣マナーン ス⸢ク⸣ローッタン [⸢mum⸣maː pḁ⸢tu⸣manaːn su̥⸢ku⸣roːttaŋ] (麦は鳩間島にも作られた)。 ⸣パトゥザヌ ⸢ゴー⸣ラーティ マ⸢ミ⸣ヌ ⸢アイナ⸣カナーン ⸣ムン マ⸢コーッ⸣タン [⸣pḁtuʣanu ⸢goː⸣raːti ma⸢mi⸣nu ⸢ʔaina⸣kanaːm ⸣mum ma⸢koːt⸣taŋ] (鳩が多いので、豆の間にも麦を撒かれた) 17119 0 0 17085 htmvoc_17119.wav ムン ⸣ムン [⸣muŋ] 名 もの(物)。⸣ムヌ[⸣munu](もの)の転化したもの。 ク⸢レー バー⸣ ムン [ku⸢reː baː⸣ muŋ] (これは私のものだ)。 ⸢ター⸣ ムンヤ [⸢taː⸣ muŋja] (誰のものか) 17120 0 1 17086 htmvoc_17120.wav ムングル ⸢ムン⸣グル [⸢muŋ⸣guru] 名 {Mn_1}麦わら。「むぎから(麦稈)」の義。「~(音涓牟枝加良)麦茎也」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢ムン⸣グルクバガサ [⸢muŋ⸣gurukubagasa] (麦わらで作った笠)。 ⸢ムン⸣グルシ ス⸢クラ⸣レール カ⸢サ⸣バ ⸢ムン⸣グルクバガサティ ア⸢ズ [⸢muŋ⸣guruʃi su̥⸢kura⸣reːru kḁ⸢sa⸣ba ⸢muŋ⸣gurukubagasati ʔa⸢ʣu] (麦わらで作られた笠を麦藁笠という)。 17120 0 2 17087 htmvoc_17120.wav ムングル ⸢ムン⸣グル [⸢muŋ⸣guru] 名 {Mn_2}麦を刈り取った後の畑。 ⸢ムン⸣グル ⸢カイ⸣シティ ⸣マミ マカ⸢ナー [⸢muŋ⸣guru ⸢kai⸣ʃi̥ti ⸣mami maka⸢naː] (麦を収穫した後の畑を耕して豆を播こうねえ)。⸢ムン⸣グルウン[⸢muŋ⸣guruʔuŋ](名)麦を収穫した後の畑に植えた芋。豆を収穫した後の畑に植える芋を、マ⸢ミ⸣グルウン[ma⸢mi⸣guruʔuŋ]といい、粟を収穫した後の畑に植えた芋を、⸢アー⸣グルウン[⸢ʔaː⸣guruʔuŋ]という。マ⸢ミ⸣グルウン[ma⸢mi⸣guruʔuŋ](豆を収穫した後の芋)が最もよく稔るといわれている。 ウ⸢ブマイ⸣ヌ ⸢ムン⸣グルウンマー イッ⸢ケナ ミーレー⸣ン [ʔu⸢bumai⸣nu ⸢muŋ⸣guruʔummaː ʔik⸢kena miːreː⸣ŋ] (大前の畑の麦を収穫した後に植えた芋は非常に良く稔った) 17121 0 0 17088 htmvoc_17121.wav ムングルクバガサ ⸢ムン⸣グルクバガサ [⸢muŋ⸣gurukubagasa] 名 麦藁を編んで作った笠。 ⸢ムン⸣グルクバガサー ブ⸢ドゥル スー⸣ ピンル カ⸢ブ⸣タ イ⸢チンマー⸣ カ⸢バン⸣シェン [⸢muŋ⸣gurukubagasaː bu⸢duru suː⸣ pinru ka⸢bu⸣ta ʔi⸢ʧimmaː⸣ ka⸢baŋ⸣ʃeŋ] (麦藁で編んだ笠は踊りをする時に被った{EOS}日頃<いつも>は被らなかった) 17122 0 0 17089 htmvoc_17122.wav ムンジュル ⸢ムン⸣ジュル [⸢mun⸣ʤuru] 名 古典舞踊の名。沖縄本島の⸢ムン⸣ジュルガサ[⸢mun⸣ʤurugasa](麦藁製の花笠)を被って演舞する伝統古典舞踊が伝えられたもの。 ク⸢トゥシェー タール ムン⸣ジュル ⸣ブドゥル ⸢スーワ [ku̥⸢tuʃeː taːru mun⸣ʤuru ⸣buduru ⸢suːwa] (今年は誰がムンジュル花笠踊りをするか) 17124 0 0 17090 htmvoc_17124.wav ムンダニ ⸢ムン⸣ダニ [⸢mun⸣dani] 名 餌。魚を釣る餌。 イ⸢ズムンダニ [ʔi⸢ʣumundani] (魚肉を魚つりの餌に使用するもの)。 ⸣タクムンダニ [⸣tḁkumundani] (蛸の手を魚つりの餌に使用するもの)。 ⸣ドゥームンダニ [⸣duːmundani] (魚つりの餌として魚肉を用いるもの{EOS}あまり釣れない)。 イ⸢ズホーシ ムン⸣ダネー ⸣アミツァル イッ⸢チン⸣ マ⸢シ [ʔi⸢ʣuhoːʃi mun⸣daneː ⸣ʔamiʦaru ʔit⸢ʧim⸣ ma⸢ʃi] (魚つり用の餌はヤドカリが一等良い) 17125 0 0 17091 htmvoc_17125.wav ムンタルン ⸢ムンタルン [⸢muntaruŋ] 他動 強く揉む。\ruby{揉}{モ}み\ruby{潰}{ツブ}して溶かす。「揉み垂る」の義か。 ⸢オー⸣ヌ ⸢イー⸣ヤ ⸢ムンタリティ⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢ʔoː⸣nu ⸢ʔiː⸣ja ⸢muntariti⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (豚の餌は揉み潰して溶かして与え<食わせ>なさい)。 ⸢ムンタルンティ スンドゥ⸣ ムッ⸢トゥ ムンタララヌ [⸢muntarunti sundu⸣ mut⸢tu muntararanu] (揉み潰そうとするが、ちっとも揉み潰されない)。 ⸢ムンタル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢muntaru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (揉み潰すことは出来ない)。 ⸢ムンタレー⸣ ミサムヌ [⸢muntareː⸣ misamunu] (揉み潰せばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムンタリ⸣バ [⸢maː⸣bim ⸢muntari⸣ba] (もっと揉み潰せよ) 17126 0 0 17092 htmvoc_17126.wav ムンツァークンツァー ⸢ムンツァークン⸣ツァー [⸢munʦaːkun⸣ʦaː] 名 もみくちゃ。両手でくしゃくしゃになるほどに揉み散らすこと。 カ⸢ベー ムンツァークン⸣ツァー ⸢スー⸣カー ⸢ジー⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [ka⸢beː munʦaːkun⸣ʦaː ⸢suː⸣kaː ⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kara⸣nu] (紙は揉みくちゃにすると文字が書けない) 17127 0 0 17093 htmvoc_17127.wav ムンツァースン ⸢ムンツァースン [⸢munʦaːsuŋ] 他動 丸めて揉みくちゃにする。「揉み散らす」の義。「揉み散らす」の音韻変化したもの。「Momitate,uru,eta.モミタテ、ツル、テタ(揉み立て、つる、てた)刺激する。~」『邦訳日葡辞書』系統からの転訛も考えられる。 ユ⸢グリブン⸣ トンマー ミ⸢ジ⸣ナー シ⸢キティ ムンツァーシ⸣ ア⸢ライ⸣バ [ju⸢guribun⸣ tommaː mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢kiti munʦaːʃi⸣ ʔa⸢rai⸣ba] (汚れている所は水に浸けて揉み散らして洗いなさいよ)。 ⸢ムンツァースンティ スンドゥ ムンツァーサラヌ [⸢munʦaːsunti sundu munʦaːsaranu] (揉み散らそうするが、揉み散らされない)。 ⸣アイニ ⸢ムンツァース⸣ ム⸢ノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢munʦaːsu⸣ mu⸢noː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (あんなに揉みくちゃにするものではない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムンツァーシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣bim ⸢munʦaːʃeː⸣ misamunu] (もっと揉みくちゃにすればいいのに)。 ⸢ムンツァーシ⸣バ [⸢munʦaːʃi⸣ba] (揉みくちゃにしなさい) 17123 0 0 17094 htmvoc_17123.wav ムンッシイシ ⸢ムンッシ⸣イシ [⸢muŋʃʃi⸣ʔiʃi] 名 麦擦り石。キクメイシ。半球形の珊瑚石で表面には多数の凹凸があり、それに麦を擦り合わせて脱穀するのに用いたのでいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ムンッシ⸣イシシル ⸢ムン⸣マー ⸢アーシタル [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢muŋʃʃi⸣ʔiʃiʃiru ⸢mum⸣maː ⸢ʔaːʃitaru] (昔は麦擦り石<キクメイシ>で<ぞ>麦は脱穀したものだよ) 17128 0 0 17095 htmvoc_17128.wav ムンドー ⸢ムン⸣ドー [⸢mun⸣doː] 名 口論。くちげんか(口喧嘩)。「Mondo'.モンダウ(問答) 議論をする」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ヤームン⸣ドー ウ⸢クス⸣ナ⸢ヨー [⸢jaːmun⸣doː ʔu⸢kusu⸣na⸢joː] (家族喧嘩を起こすなよ)。/アサニビショール ミドゥム アサピキショール ミドゥム ウリカラードゥ キワミティ ムンドーヤ クヌミョール デンサー/(朝寝坊をする女、朝になって朝食用の芋ほりをする女、それから<ぞ>家庭の喧嘩ははじまるものだ)、「デンサー節」 17129 0 0 17096 htmvoc_17129.wav ムンドーカンドー ⸢ムンドーカン⸣ドー [⸢mundoːkan⸣doː] 名 喧嘩口論。喧嘩の強調表現。ABCDEBCD型の重言。 ⸢ウン⸣ネーナー ⸢ムンドーカンドー⸣ヌ ⸣パティテー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenaː ⸢mundoːkandoː⸣nu ⸣pḁtiteː ⸢naː⸣nu] (あの家には喧嘩口論の果てることがない) 17130 0 0 17097 htmvoc_17130.wav ムントースン ⸢ムントースン [⸢muntoːsuŋ] 他動 強く揉む。もみほぐす(揉み\ruby{解}{ホグ}す)。「揉み倒す」の義。 ヌ⸢ビ⸣シジ ⸢ムントーシ⸣ ッ⸢ふィーラン⸣ノーレー [nu⸢bi⸣ʃiʤi ⸢muntoːʃi⸣ f⸢fiːran⸣noːreː] (首筋を揉み解してくれないか)。 ⸣カタ ⸢ムントースンティ スンドゥ ティー⸣ヌ ⸣ヤミ ⸢ムントーサラヌ [⸣kḁta ⸢muntoːsunti sundu tiː⸣nu ⸣jami ⸢muntoːsaranu] (肩を揉み解そうとするが、手が痛くて揉み解されない)。 ⸢ムントース⸣ ク⸢トゥ⸣ヌ ⸣ナルカー ⸢ムントーシェー⸣ ミサムヌ [⸢muntoːsu⸣ ku̥⸢tu⸣nu ⸣narukaː ⸢muntoːʃeː⸣ misamunu] (揉み解すことが出来たら揉み解せばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ムントーシ⸣バ [⸢maː⸣bim ⸢muntoːʃi⸣ba] (もっと揉み解せよ) 17131 0 0 17098 htmvoc_17131.wav ムンヌイー ⸢ムンヌ⸣イー [⸢munnu⸣ʔiː] 名 麦ご飯。「麦の飯」の義。⸣イー[⸣ʔiː]は、「家にあれば笥尓盛飯乎<ケニモルイヒヲ>~。万、142」の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー ピ⸢サムンバ ウン⸣トゥ マ⸢ザー⸣シティ ⸢ウンヌ⸣イー バ⸢カシ⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː pi̥⸢samumba ʔun⸣tu ma⸢ʣaː⸣ʃi̥ti ⸢ʔunnu⸣ʔiː ba⸢kaʃi⸣ f⸢faːsoːt⸣taŋ] (昔は平麦を芋と混ぜて炊いて食べさせてくださった) 17132 0 0 17099 htmvoc_17132.wav ムンヌクー ⸢ムンヌ⸣クー [⸢munnu⸣kuː] 名 麦焦がし。はったい粉。「麦の粉」の義。大麦を炒りこがし、\ruby{煎}{イ}った麦を石臼で\ruby{碾}{ヒ}いて粉にしたもの。黒糖を削って混ぜて、お八つとして食したり、水や湯で練って食したりした。 ⸢ムンヌ⸣クー ⸢サー⸣フキ ン⸢ザ⸣シバ [⸢munnu⸣kuː ⸢saː⸣ɸu̥ki ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (麦焦がしをお\ruby{茶請}{チャ|ウ}けに出しなさいよ)。 ク⸢ヌ⸣ ム⸢チェー ムンヌ⸣クーバタ ヤ⸢ルンダ⸣ ン⸢マーン⸣ダー [ku⸢nu⸣ mu⸢ʧeː munnu⸣kuːbata ja⸢runda⸣ ʔm⸢maːn⸣daː] (この餅は麦焦がしの\ruby{餡餅}{アン|モチ}<麦焦がしを餡にして中に入れた餅>だから美味しいよ) 17133 0 0 17100 htmvoc_17133.wav ムンヌクーバタ ⸢ムンヌ⸣クーバタ [⸢munnu⸣kuːbata] 名 麦焦がし\ruby{餡}{アン}。餡餅の餡として入れる麦焦がし。 ッ⸢ふサタ⸣ヌ ⸣アルカー ⸢ムンヌ⸣クーバタ ス⸢クラリ⸣ヌ⸢ナー [f⸢fusata⸣nu ⸣ʔarukaː ⸢munnu⸣kuːbata su̥⸢kurari⸣nu⸢naː] (黒糖があれば麦焦がし餡が作れるのだがなあ) 17134 0 0 17101 htmvoc_17134.wav ムンヌダーキ ⸢ムンヌダー⸣キ [⸢munnudaː⸣ki] 名 煮た芋に、大麦を挽いた粉を混ぜて柔らかい粥状に炊いたもの。麦粉と芋ご飯の粥。 ⸢ムンヌダー⸣キ バ⸢カシ⸣ シケーバ ⸢バン⸣テー ⸢オー⸣リ ン⸢コー⸣リバ [⸢munnudaː⸣ki ba⸢kaʃi⸣ ʃi̥keːba ⸢ban⸣teː ⸢ʔoː⸣ri ʔŋ⸢koː⸣riba] (麦粉と芋ご飯の粥を炊いてあるから、我が家へいらっしゃってお召し上がれませ) 17135 0 0 17102 htmvoc_17135.wav ムンバ ⸣-ムンバ [⸣-munba] 接助 ~のに。~ものを。⸣ムヌバ[munuba](ものを)の変化形。活用語の連体形に接続し、逆接に用いられる。相手に対する不平、不満や\ruby{反駁}{ハン|バク}の意味を表す前件を示し、それに反する後件に結びつける。 ⸢タンガ⸣シン ⸣ナルムンバ ⸣ヌンティ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸢アーク⸣ワ [⸢taŋga⸣ʃin ⸣narumumba ⸣nunti pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi ⸢ʔaːku⸣wa] (一人でも出来るものを、どうして他人を頼んでいるのか)。 ノー⸢シンクイシン⸣ ドゥーシ ⸢スームンバ⸣ サ⸢ヌサヌ⸣ティ ア⸢ジェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [noː⸢ʃiŋkuiʃin⸣ duːʃi ⸢suːmumba⸣ sa⸢nusanu⸣ti ʔa⸢ʤeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (どっちみち<いずれにしても>自分でするものを、しないしないと言っているよ) 17136 0 0 17103 htmvoc_17136.wav ムンミ ⸢ムン⸣ミ [⸢mum⸣mi] 名 (数)もんめ(匁)。重さを量る尺貫法の単位の一つ。一貫の千分の一。3、75グラム。 イ⸢チムン⸣ミ [ʔi⸢ʧimum⸣mi] (一匁)。 ニ⸢ムン⸣ミ [ni⸢mum⸣mi] (二匁)。 ⸢サンムン⸣ミ [⸢sammum⸣mi] (三匁)。 ⸢イッキンマー ピャー⸣ク ル⸢クジュームン⸣ミツォー [⸢ʔikkimmaː pjaː⸣ku ru⸢kuʤuːmum⸣miʦoː] (一斤は百六十匁だそうだ) 17137 0 0 17104 htmvoc_17137.wav メー ⸣メー [⸣meː] 間助 もう。ねえ。なあ。勧誘や催促などの感情を表し、文頭や文中、文末に付く。 ⸣メー パ⸢ライ [⸣meː pa⸢rai] (もう、行こうね{EOS}行くよ)。 ⸣バー パ⸢ライ⸣ メー [⸣baː pa⸢rai⸣ meː] (私は行こうねえ{EOS}行くよ)。 ⸢パー⸣ク ッ⸢ふァイ⸣バ ⸣メー [⸢paː⸣ku f⸢fai⸣ba ⸣meː] (早く食べなさいよ、もう)。 ク⸢レー⸣ メー ⸢ワー シー⸣バ [ku⸢reː⸣ meː ⸢waː ʃiː⸣ba] (これは、もう、君がやりなさいよ) 17138 0 0 17105 htmvoc_17138.wav メー ⸣メー [⸣meː] 名 広場。空間。座席。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣マンタヌ ⸣メーナーティル ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ア⸢サブタル [⸢jaː⸣nu ⸣mantanu ⸣meːnaːtiru ja⸢ra⸣biŋkeːja ʔa⸢sabutaru] (家の前の広場で子供たちは遊んだものだ)。 キ⸢チゴンヌ⸣ ピンマー ⸣メー ⸣トゥリ シゥ⸢カン⸣カー ⸢キョン⸣ギン ミ⸢ララン<ミ⸢ララ⸣ンシェン>⸠ダー [ki̥⸢ʧigonnu⸣ pimmaː ⸣meː ⸣turi sï̥⸢kaŋ⸣kaː ⸢kjoŋ⸣gim mi⸢raran⸠daː] (結願祭の時は奉納芸観覧の場所を取っておかないと狂言<芸能>は観覧でき<見られ>ないよ<見られなかったよ>)。 ⸣ウナー ⸣ヤー ス⸢クラ⸣リ ⸣ブカラヌ ⸢メー⸣ヌ ⸣アンカヤー [⸣ʔunaː ⸣jaː su̥⸢kura⸣ri ⸣bukaranu ⸢meː⸣nu ⸣ʔaŋkajaː] (そこには家が造られる程の空地があるのかね) 17139 0 0 17106 htmvoc_17139.wav メー ⸣-メー [⸣-meː] 接尾 ~ども<共>。~ら。人間の複数を表す卑称の接尾語。相手を罵っていう際に用いられる。 ⸣ワンザンメーヤ カ⸢マー⸣ パリ [⸣wanʣammeːja ka⸢maː⸣ pari] (貴様らはあちらへ行け)。 ⸢クンザンメー [⸢kunʣammeː] (こいつら{EOS}この野郎ども)。 ⸢ウンザンメー [⸢ʔunʣammeː] (そいつら{EOS}あいつら)。 ク⸢レー⸣ タンザンメーヌ ⸢シェー⸣ル ワザヤー [ku⸢reː⸣ tanʣammeːnu ⸢ʃeː⸣ru ⸣waʣajaː] (これはどいつらがした仕業か) 17180 0 1 17107 htmvoc_17180.wav メー ⸢メー [⸢meː] 接尾 {Mn_1}~たち<達>。目下の者の複数を表す接尾語。{Mn_1}名詞に格助詞⸣-ヌ[⸣-nu](の)を介して、⸣~ヌメー[⸣~meː](~たち<達>)のように用いられる。「~の前」が転訛したもの。 ⸣ウナー ⸢シートゥ⸣ヌメーヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ベー⸣タン [⸣ʔunaː ⸢ʃiːtu⸣numeːnu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢beː⸣taŋ] (そこには生徒達が集まっていた)。 17180 0 2 17108 htmvoc_17180.wav メー ⸢メー [⸢meː] 接尾 {Mn_2}卑称の人代名詞や卑称の指示代名詞に格助詞⸣ヌ[nu](の)を介して、⸣-ンメー[⸣-mmeː](~たち<達>)のように用いられる。 ⸣ワンザンメーヤ カ⸢マー⸣ パリ [⸣wanʣammeːja ka⸢maː⸣ pari] (貴様ら<達>はむこうへ行け)。 ⸢ウンザンメーヤ⸣ シ⸢トゥ⸣ナイバ [⸢ʔunʣammeːja⸣ ʃi̥⸢tu⸣naiba] (そいつらはぶちのめして<ぶん殴って>やれ)。 ク⸢レー⸣ タンザンメーヌ ⸢シーワザ⸣ヤー [ku⸢reː⸣ tanʣammeːnu ⸢ʃiːwaʣa⸣jaː] (これはどやつ<何奴ら>めの仕業か) 17181 0 1 17109 htmvoc_17181.wav メー ⸣メー [⸣meː] 感 {Mn_1}もう。すでに。事態が完了したことを表す。 ⸣メー ⸣フネー キサー⸢ティ⸣ パレーン<⸣ンジパレーン> [⸣meː ⸣ɸuneː ki̥saː⸢ti⸣ pareːŋ<⸣ʔnʤipareːŋ>] (もう、舟は既に出発し<行ってしまっ>たよ)。 17181 0 2 17110 htmvoc_17181.wav メー ⸣メー [⸣meː] 感 {Mn_2}もはや。一定の基準をこえたという気持ちを表す。 ⸣メー ⸣ウビシ ミサ⸢ル⸣ メー [⸣meː ⸣ʔubiʃi mi⸢sa⸣ru ⸣meː] (もう、それだけでいいよ、もう) 17140 0 0 17111 htmvoc_17140.wav メーカン ⸢メー⸣カン [⸢meː⸣kaŋ] 名 女性の用いる褌。形状は「もっこ褌、もっこべこ」に似た褌。 ム⸢カシ⸣ヌ ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ⸢メーカンバ⸣ル キ⸢シソーッ⸣タツォー [mu⸢kaʃi⸣nu mi⸢dumuŋkeː⸣ja ⸢meːkamba⸣ru ki̥⸢soːt⸣taʦoː] (昔の女性たちはメーカン<もっこ褌>を着用されたそうだ) 17141 0 0 17112 htmvoc_17141.wav メーガンター ⸢メーガン⸣ター [⸢meːgan⸣taː] 名 たてがみ(立髪)。成年男子の髪型。七三に分ける男子のハイカラな髪型。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸢マイ⸣ヤー ⸢ザン⸣ギリ ⸢ヤッタヌ⸣ ア⸢ミリカ⸣ユー ⸢ナッ⸣ター ムー⸢ル メーガン⸣ター ⸣ナリ ⸢ナーン⸣シェン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸢mai⸣jaː ⸢ʣaŋ⸣giri ⸢jattanu⸣ ʔa⸢mirika⸣juː ⸢nat⸣taː muː⸢ru meːgan⸣taː ⸣nari ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (戦前は散切り頭であったが、アメリカ統治下になったらば皆ハイカラなたてがみ<立髪>の髪型になってしまったのだった) 17142 0 0 17113 htmvoc_17142.wav メーク ⸢メーク [⸢meːku] 名 宮古島。 ⸢メークプス [⸢meːkupusu] (宮古島の人)。 ⸢メークムニ [⸢meːkumuni] (宮古方言{EOS}「宮古物言い」の義)。 ニ⸢シ⸣ドーウガンマー ⸢メークヌ タンカー⸣ ン⸢カイル⸣ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー⸣ツォー [ni⸢ʃi⸣doːʔugammaː ⸢meːkunu taŋkaː⸣ ʔŋ⸢kairu⸣ su̥⸢kura⸣ri ⸢buː⸣ʦoː] (西堂御嶽は宮古島の方向に向いて建造されているそうだ)。 ⸢メークムネー⸣ パ⸢トゥ⸣マムニトゥ ⸢ニーブー⸣ダー [⸢meːkumuneː⸣ pḁ⸢tu⸣mamunitu ⸢niːbuː⸣daː] (宮古方言は鳩間方言と似ているよ) 17143 0 0 17114 htmvoc_17143.wav メーク ⸢メー⸣ク [⸢meː⸣ku] 名 脈。 ⸣イサー ヤー⸢ディン メー⸣ク トゥ⸢リ⸣ソーッタ [⸣ʔisaː jaː⸢dim meː⸣ku tu⸢ri⸣soːtta] (医者は必ず脈を取られた)。⸢メー⸣ク カ⸢サムン[⸢meː⸣ku kḁ⸢samuŋ](脈を取る<つかむ>)ともいう 17144 0 0 17115 htmvoc_17144.wav メークプス ⸢メークプス [⸢meːkupu̥su] 名 宮古島の人(宮古人)。 ⸢メークプソー ジンモーキゾー⸣ジ [⸢meːkupu̥soː ʤimmoːkiʣoː⸣ʤi] (宮古人は金儲け上手である) 17145 0 0 17116 htmvoc_17145.wav メークムニ ⸢メークムニ [⸢meːkumuni] 名 宮古方言。宮古言葉。「宮古物言い」の義。 ⸣バー ⸢メークムニ⸣ シ⸢キシェーン⸣ダー [⸣baː ⸢meːkumini⸣ ʃi̥⸢kiʃeːn⸣daː] (私は宮古方言が理解できる<聞き得る{EOS}聞くことが出来る>よ) 17146 0 0 17117 htmvoc_17146.wav メークヤー ⸢メークヤー [⸢meːkujaː] 固 宮良家。宮良長康氏宅。「宮古屋」の義。宮良ヲナリ氏は大城サカイ氏と共に西村の産婆役を務められた。 ⸢メークヤーヌ⸣ アッパー ⸢ナーヤ⸣ ブ⸢ナ⸣レンマーティ ア⸢ゾーッタ⸣ヌ ⸢サンバカッティ⸣ヌ ア⸢ローッ⸣タン [⸢meːkujaːnu⸣ ʔappaː ⸢naːja⸣ bu⸢na⸣remmaːti ʔa⸢ʣoːtta⸣nu ⸢sambakatti⸣nu ʔa⸢roːt⸣taŋ] (宮古屋のおばあさんは、名前はブナレンマーとおっしゃったが、産婆<とりあげばば>の経験があられた) 17147 0 0 17118 htmvoc_17147.wav メーケー ⸢メー⸣ケー [⸢meː⸣keː] 固 大城弘一氏宅。ミ⸢ルクン⸣ヤー[mi⸢rukuŋ⸣jaː](ミルクの家)ともいわれ、「\ruby[g]{弥勒}{ミロク}神」の「面」を保管し、伝えている家。 ⸢メー⸣ケーヌ イ⸢チバンザー⸣ヌ ⸢アンタナー⸣ル ミ⸢ルコー⸣ マ⸢チ⸣ ス⸢コー⸣レータ [⸢meː⸣keːnu ʔi⸢ʧibanʣaː⸣nu ⸢ʔantanaː⸣ru mi⸢rukoː⸣ ma⸢ʧi⸣ su̥⸢koː⸣reːta] (メーケー<大城家>の一番座の東に弥勒神の面は\ruby{祀}{マツ}っておかれていた)。ミ⸢ルクン⸣ヤー[mi⸢rukuŋ⸣jaː](弥勒神の面を保管している家)ともいう。戦争中、大城貞夫氏の両親がマラリアに罹患して死去された。戦後大城貞夫氏が本家の大城サカイ氏に引き取られて育てられた後、一門の大城弘一氏が同家の跡を継がれて現在に至っている。 ⸢メー⸣ケーヌ イ⸢チバンザー⸣ヌ ⸢アンタナー⸣ル ミ⸢ルコー⸣ カ⸢キン⸣グ ⸢シー⸣ ス⸢コー⸣レータ [⸢meː⸣keːnu ʔi⸢ʧibanʣaː⸣nu ⸢ʔantanaː⸣ru mi⸢rukoː⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gu ⸢ʃiː⸣ su̥⸢koː⸣reːta] (メーケー<宮古家>の一番座の東側に弥勒神のお面は安置され、保管<格護>されていた) 17148 0 0 17119 htmvoc_17148.wav メーコンザ ⸢メーコン⸣ザ [⸢meːkon⸣ʣa] 固 人名。慶田城家の先祖の名。⸢ミヤク[⸢mijaku](人名)に⸢オン⸣ザ[⸢ʔon⸣ʣa](士族男子の尊称)が付いて形成された合成語。 ム⸢カ⸣シ ⸢カンザトゥ⸣ヤーナ ⸢メーコン⸣ザティ ア⸢ゾー⸣ル プ⸢スヌ オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃi ⸢kanʣatu⸣jaːna ⸢meːkon⸣ʣati ʔa⸢ʣoː⸣ru pu̥⸢sunu ʔoːt⸣tanʦoː] (昔、慶田城家にメーコンザとおっしゃる方が居られたそうだ) 17151 0 0 17120 htmvoc_17151.wav メーデー ⸢メーデー [⸢meːdeː] 名 公務。琉歌・組踊り語の「みおやだいり(御親内裏)」が「お主がなし みやだいり 夜昼もしやべむ 天の世の しのぐ ゆるちたばうれ」『琉歌全集、2616』の「みやだいり」へと転訛し、再転訛して⸢メーデー[⸢meːdeː](公務{EOS}奉公)となったもの。/ギニヤユタカヌ パトゥマムラ シマヌナガリユ ミワタシヂバ ルクヌイチジニ チカクアリ <囃子>イヤイーヤー ウシューミヘテイ ガラミチ オラリティ ウヤクチョーデー トゥジックヮ ヤシナティ ムラトゥン ワブクニ ワルビトゥシユリ カンカ クドゥクヌ ムチキナムヌマディ ンゾーサショーリバ ティンヌ ミグミヌ ウヤキ パンジョー アラシミシェユサ ナマヌハヤシニ クドゥキユミユミ/(げに<実に>豊かな鳩間村、島の流れ<屋根から軒までの傾斜>を見渡すと、禄<六>の一字の<に>字画<近く>あり{EOS}<囃子> \ruby{SqBr}g{/SqBr}{弥弥}{イヤイヤ} 国王の公務を勤めておられて、親子兄弟妻子を養って、村の衆とも和睦にし、子供から年寄り\ruby{鰥寡}{カン|カ}\ruby{男}{オドコ}<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{寡婦}{ヤモメ}・\ruby{SqBr}g{/SqBr}{鰥夫}{ヤモオ}>の無食な者まで無蔵さして<可愛がって>いるので、天の恵みの裕福で子孫繁盛をあらしめてくださるのだ{EOS}今の囃子で口説きを歌おうよ)(鳩間口説き) 17149 0 0 17121 htmvoc_17149.wav メーティ ⸣メーティ [⸣meːti] 連 十分と。結構と。それ以上は不要であるの意味。 ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ メーッティ ア⸢ザヌ [gjuː⸢sa⸣ f⸢faːsabam⸣ meːti ʔa⸢ʣanu] (いくら食わせても、十分<もう結構>とは言わない) 17152 0 0 17122 htmvoc_17152.wav メートゥルオン ⸢メー⸣トゥルオン [⸢meː⸣turuʔoŋ] 固 宮鳥御嶽。石垣島の字石垣にある、四箇字発祥の地といわれる御嶽。 ⸢メー⸣トゥルオンヌ ⸣スバナー ウ⸢トゥザン⸣ヤーヌ ⸢アッ⸣タン [⸢meː⸣turuʔonnu ⸣subanaː ʔu⸢tuʣaŋ⸣jaːnu ⸢ʔat⸣taŋ] (宮鳥御嶽の側に親戚の家があった) 17153 0 0 17123 htmvoc_17153.wav メートゥルン ⸢メー⸣ トゥルン [⸢meː⸣ turuŋ] 連 広い面積を占め<要す>る。⸢面積を取る」の義。 ⸢マイ⸣ プシ ⸢イー⸣シ ⸣プシェー ⸢メー⸣ トゥルンダ シ⸢バーン⸣ トンナー プ⸢サラ⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ʃi ⸣pu̥ʃi ⸢mai⸣ pu̥ʃeː ⸢meː⸣ turunda ʃi⸢baːn⸣ tonnaː pu̥⸢sara⸣nu] (籾干しや角又干しには広い面積を要するから、狭い所では干せない) 17154 0 0 17124 htmvoc_17154.wav メーヌイズ ⸢メー⸣ヌイズ [⸢meː⸣nuʔiʣu] 名 (動)魚の名。和名、ジャバアイゴ(体長約30センチ)。⸢オン⸣デー[⸢ʔon⸣deː]という人もいる 17155 0 0 17125 htmvoc_17155.wav メーヌウチ ⸢メー⸣ヌ ⸣ウチ [⸢meː⸣nu ⸣ʔuʧi] 連 敷地。屋敷の内。⸢メー[⸢meː]は、一定の広さの敷地、広場の意味をもつ。「シ⸢ルウチ」[ʃi⸢ruʔuʧi](屋敷内)の対語。古謡語。/シルウチヌ メーヌウチ ヤーバ スクリ アンティスー/(代内の屋敷内に家を造ってあるという)⸣アーパーレー(新室寿ぎ歌)」『鳩間島古典民謡古謡集』 17156 0 0 17126 htmvoc_17156.wav メーラ ⸢メーラ [⸢meːra] 名 (地)石垣市字宮良。 ⸢メーラムラー⸣ ム⸢カシ⸣ヌ ウ⸢ブナン⸣ヌ ⸣アトゥ ク⸢モーマー⸣ラ ム⸢ラバキ シール⸣ タ⸢トー⸣レーティ⸢ダー [⸢meːramuraː⸣ mu⸢kaʃi⸣nu ʔu⸢bunan⸣nu ⸣ʔatu ku⸢moːmaː⸣ra mu⸢rabaki ʃiːru⸣ tḁ⸢toː⸣reːti⸢daː] (宮良村は昔の大津波の後に小浜島から村分けをして村立てされたそうだよ) 17157 0 0 17127 htmvoc_17157.wav メーラアカマター ⸢メーラ⸣アカマター [⸢meːra⸣ʔakamataː] 名 宮良集落の秘密結社によるアカマター神事。豊年祭の時に出現する来訪神で、豊年を寿ぐ神と言われている。その神事組織は極秘に守られている。小浜島、古見村のアカマター祭りと共通する面が認められる。転じて、宮良集落のあだ名『石垣方言辞典』といわれている 17158 0 0 17128 htmvoc_17158.wav メーラガーラ ⸢メーラガーラ [⸢meːragaːra] 名 宮良川。宮良集落と大浜集落の間を流れる川。 ⸢メーラガーラール ヤイヤマ⸣ナー イッ⸢チン⸣ ナ⸢ガー⸣ティ ア⸢ザリブー [⸢meːragaːraru jaijama⸣naː ʔit⸢ʧin⸣ na⸢gaː⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (宮良川が八重山では一番長いといわれている) 17159 0 0 17129 htmvoc_17159.wav メーラドゥンチ ⸢メーラドゥンチ [⸢meːradunʧi] 固 宮良殿内。琉球国時代の宮良間切りの頭(かしら)職の家。最後の頭職の人の家は石垣市字大川にあり、文化財に指定されている。 ⸢メーラドゥンチヌ ぺーラ⸣フチナー ⸣ゾーンタヤーン アン⸢ダー [⸢meːradunʧinu peːra⸣ɸu̥ʧinaː ⸣ʣoːntajaːŋ ʔan⸢daː] (宮良殿内の門<入り口>には屋根付きの木造の門もあるよ) 17160 0 0 17130 htmvoc_17160.wav メーラビ ⸢メーラ⸣ビ [⸢meːra⸣bi] 名 十五、六歳から二十歳ごろの女性。ミ⸢ヤラ⸣ビ[mi⸢jara⸣bi](乙女)ともいう。鳩間島では、トゥ⸢バラー⸣マ[tu⸢baraː⸣ma](トゥバラーマ節)で、/シキヌカイシャー トゥカミッカー ミヤラビカイシャー トゥーナナチー/(月の美しさは十三夜の月、乙女の美しさは十七歳ごろだ)と歌われている 17161 0 0 17131 htmvoc_17161.wav メーラビンケー ⸢メーラ⸣ビンケー [⸢meːra⸣biŋkeː] 連 乙女達。 ⸢メーラ⸣ビンケーヌ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢プールゾーラキ⸣ヌ ブ⸢ドゥル⸣ ナラウンティ ⸢ベー [⸢meːra⸣biŋkeːnu ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢puːruʣoːraki⸣nu bu⸢duru⸣ naraunti ⸢beː] (乙女達が集まって豊年祭のゾーラキ{SqBr}ʣoːraki{/SqBr}上楽踊り<⸢入子踊り」の義か>を習おうとしている) 17150 0 0 17132 htmvoc_17150.wav メッティ メッ⸢ティ [met⸢ti] 副 すっかり。ことごとく。完全に。 ⸣ヌーンクイン ⸢ヨイ⸣ヌ ス⸢コーロー⸣ メッ⸢ティ⸣ ス⸢コーラリ ブー [⸣nuːŋkuiŋ ⸢joi⸣nu su̥⸢koːroː⸣ met⸢ti⸣ su̥⸢koːrari buː] (何もかもお祝いの準備はすっかり用意されている) 17162 0 0 17133 htmvoc_17162.wav モー ⸣モー [⸣moː] 連 ~のは。準体助詞⸣-ム[⸣-mu](~の{EOS}~もの)に取立ての係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](は)が付いて融合変化したもの。 ⸣バー ⸣カクモー ⸣ヌーヤ [⸣baː ⸣kḁkumoː ⸣nuːja] (私が書くのは何か)。 ウ⸢リヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ス⸢クモー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ pa⸢na⸣ʃeː su̥⸢kumoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (彼<あれ>の話は聞くものではない)。 ッ⸢ふーモー ナー⸣ヌ [f⸢fuːmoː naː⸣nu] (食べるのはない) 17163 0 0 17134 htmvoc_17163.wav モー ⸣モー [⸣moː] 名 (植)海草の一種。藻。 ⸢タイフー⸣ヌ ⸣アトー パ⸢マ⸣ナー ⸢モー⸣ヌ ⸢ユーリクー⸣タン [⸢taɸuː⸣nu ⸣ʔatoː pa⸢ma⸣naː ⸢moː⸣nu ⸢juːrikuː⸣taŋ] (台風の後に浜には藻草が流れ寄ってきた) 17164 0 0 17135 htmvoc_17164.wav モーキ ⸢モー⸣キ [⸢moː⸣ki] 名 儲け。利益。「Movqe マゥケ(儲け) 利得」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ク⸢トゥシヌ イーシ⸣ヌ ⸢モー⸣ケー ⸢ギュー⸣サブカラ ア⸢ル⸣ワ [ku̥⸢tuʃinu ʔiːʃi⸣nu ⸢moː⸣keː ⸢gjuː⸣sabukara ʔa⸢ru⸣wa] (今年の角又の儲けは幾らほどあるか)。 ⸢モーキ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ⸢カースナ⸠ヨー [⸢moːki⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ⸢kaːsuna⸠joː] (儲けが無ければ売るなよ) 17165 0 0 17136 htmvoc_17165.wav モーキザク ⸢モーキザ⸣ク [⸢moːkiʣa⸣ku] 名 金儲けの仕事。職業。「儲け仕事」の義。⸢モーキズ⸣ク[⸢moːkiʣu⸣ku](儲け仕事)ともいう。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ヌー⸣ヌ ⸢モーキザク⸣バ ⸢シー アーク⸣ワ [ma⸢na⸣maː ⸢nuː⸣nu ⸢moːkiʣaku⸣ba ⸢ʃiː ʔaːku⸣wa] (今はどんな<何の>仕事<儲け仕事>をしているのか)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢モーキザク⸣ヌ ⸢ナーン⸣ベーティ イ⸢ズバ⸣ トゥリ タ⸢ク⸣バ トゥ⸢リ⸣ル ⸢カーシ ブー [ma⸢na⸣maː ⸢moːkiʣaku⸣nu ⸢naːm⸣beːti ʔi⸢ʣuba⸣ turi tḁ⸢ku⸣ba tu⸢ri⸣ru ⸢kaːʃi buː] (今は仕事が無いので、魚を獲り、蛸を獲って売っている) 17166 0 0 17137 htmvoc_17166.wav モーキルン ⸢モーキ⸣ルン [⸢moːki⸣ruŋ] 他動 儲ける。⸢モー⸣クン[⸢moː⸣kuŋ](儲ける)ともいう。「Movqe,uru,eta.マゥケ、クル、ケタ(儲け、くる、けた)利益を得る、または、取得する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 カ⸢ツシンバ シー モーキ⸣ルンティ ⸢スンドゥ モーキララ⸣ヌ [kḁ⸢ʦuʃimba ʃiː moːki⸣runti ⸢sundu moːkirara⸣nu] (カツオ漁業をして儲けようとするが、儲けられない)。 カ⸢ツシンラ モー⸣キティル ⸢カー⸣ラヤーン ス⸢ク⸣ローッタ [kḁ⸢ʦuʃinra moː⸣kitiru ⸢kaː⸣rajaːn su̥⸢ku⸣roːtta] (カツオ漁業から儲けて瓦葺の家も造られた)。 ⸢モーキ⸣ル プ⸢ソー マー⸣ビン ⸢モーキ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢moːki⸣ru pu̥⸢soː maː⸣bim ⸢moːki⸣reː ⸣misamunu] (儲ける人はもっと儲ければいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢イッ⸣パイ ⸢モー⸣キリ [⸢maː⸣bim ⸢ʔip⸣pai ⸢moːki⸣ri] (もっとたくさん儲けろ) 17167 0 0 17138 htmvoc_17167.wav モークン ⸢モー⸣クン [⸢moː⸣kuŋ] 他動 儲ける。 ⸣ジン ⸢モー⸣クンテー ウ⸢モーン⸣ドゥ ⸢モーカン⸣カーター ッ⸢ふァイ⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʤim ⸢moː⸣kunteː ʔu⸢moːn⸣du ⸢moːkaŋ⸣kaːtaː f⸢fai⸣ pa⸢rara⸣nu] (金を儲けようとは思わないが、儲けないと、また、暮らして<食べて>いけない)。 ⸣ジン ⸢モー⸣キン ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッ⸣タ [⸣ʤim ⸢moː⸣kiŋ ʔu⸢ki⸣naː ⸢pat⸣ta] (金を儲けに沖縄へ行った)。 ⸢モー⸣ク プ⸢ソー モー⸣キティ ⸢ナーン⸣ プ⸢スン⸣ バキ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢moː⸣ku pu̥⸢soː moː⸣kiti ⸢naːm⸣ pu̥⸢sum⸣ baki f⸢faːʃi⸣ba] (儲ける人は儲けて、<金の>無い人に分けて食べさせなさいよ)。 ⸢モー⸣キ ⸣ミサカー ⸢マー⸣ビン ⸢モー⸣ケー ⸣ミサムヌ [⸢moːki⸣ misakaː ⸢maː⸣bim ⸢moː⸣keː ⸣misamunu] (儲けてよければもっと儲ければいいのに)。 ⸢ワンヌン パー⸣ク ⸢モー⸣キバ [⸢wannum paː⸣ku ⸢moː⸣kiba] (君も早く儲けろよ) 17168 0 0 17139 htmvoc_17168.wav モーサ ⸢モー⸣サ [⸢moː⸣sa] 名 (人)女性の名前。モウシ。モーシャー、ムヲシヤ、と表記されることが多い。「真ウシ」の転訛したもの。石垣の士族の血を受け継ぐ子供に多く命名された。 ⸢モー⸣サンマー [⸢moː⸣sammaː] (モーシ姉さん)。 ⸢モー⸣サティ ⸢ナー⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢オー⸣ル プ⸢ソー メイジヌ⸣ マ⸢リル ゴー⸣ラー⸢ナー [⸢moː⸣sati ⸢naː⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢ʔoː⸣ru pu̥⸢soː meiʤinu⸣ ma⸢riru goː⸣raː⸢naː] (モーサと名づけられておられる人は明治の生まれが多いねえ) 17169 0 0 17140 htmvoc_17169.wav モーサンマー ⸢モー⸣サンマー [⸢moː⸣sammaː] 名 人名。名称。呼称。モーサ姉さん。 ⸢カン⸣ネーヌ ⸢モー⸣サンマー ⸢ウシ⸣トー ⸢ター⸣ ヤ⸢ロール⸣ワ [⸢kan⸣neːnu ⸢moː⸣sammaː ⸢ʔuʃi̥⸣toː ⸢taː⸣ ja⸢roːru⸣wa] (あの家のモーサ姉さんの妹は誰ですか) 17173 0 0 17141 htmvoc_17173.wav モーシェー ⸢モーシェー [⸢moːʃeː] 名 (人)女性の名前。同輩、目下に対する呼び名。 ⸢モーシェー マー パッ⸣ター [⸢moːʃeː maː pat⸣taː] (モウシは何処へ行ったか) 17174 0 0 17142 htmvoc_17174.wav モーシェンマー ⸢モー⸣シェンマー [⸢moː⸣ʃemmaː] 名 (人)モウシ姉さん(尊敬)。名称、呼称にも用いる。 ⸢モー⸣シェンマー フ⸢タール オール⸣ヌ ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー タッ⸣テヌ ⸢モー⸣シェンマーヤ [⸢moː⸣ʃemmaː ɸu̥⸢taːru ʔoːru⸣nu ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː tat⸣tenu ⸢moː⸣ʃemmaːja] (モウシ姉さんは二人おられるが、この人は、どこの家のモウシ姉さんか) 17170 0 0 17143 htmvoc_17170.wav モーシムヌ ⸢モーシムヌ [⸢moːʃimunu] 名 薪。燃料。燃やすもの。タ⸢ム⸣ヌ[ta⸢mu⸣nu](薪{EOS}雑木の生木を切り、斧で割って乾燥したもの)、⸢ユシ⸣キキー[⸢juʃi̥⸣kikiː](枯れたススキ)、ウ⸢ジ⸣ル[ʔu⸢ʤi⸣ru](枯れた雑木の小枝)、フ⸢ク⸣ジ[ɸu̥⸢ku⸣ʤi](枯れ葉や塵類)など。 ⸢モーシムヌ⸣ ミルカー ウ⸢ヌ ヤー⸣ヌ キ⸢ナイヤー⸣ ワ⸢カ⸣ルンツォー [⸢moːʃimunu⸣ mirukaː ʔu⸢nu jaː⸣nu ki⸢naijaː⸣ wa⸢ka⸣runʦoː] (薪などの燃料を見ればその家の家庭状況がわかるそうだ) 17171 0 0 17144 htmvoc_17171.wav モースン ⸢モースン [⸢moːsuŋ] 他動 燃やす。もす。「~心は母要奴<モエヌ>~。万、3962」の他動詞化したもの。 タ⸢ム⸣ヌ ⸢モースン [ta⸢mu⸣nu ⸢moːsuŋ] (薪を燃やす)。 アー⸢イ モーサヌ [ʔaː⸢ji moːsanu] (否だ{EOS}燃やさない)。 ⸣クナー ⸢モーシ⸣ ミサカー ⸢モース⸣ クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢モーシェー⸣ ナ⸢ラン⸣ティ ⸢スンダ モースナ [⸣kunaː ⸢moːʃi⸣ misakaː ⸢moːsu⸣ ku̥toː na⸢run⸣du ⸢moːʃeː⸣ na⸢ran⸣ti ⸢sunda moːsuna] (ここで燃やしてよければ燃やすことは出来るが、燃やしてはいけないというので、燃やすな)。 ⸢パー⸣ク ⸢モーシ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢moːʃi⸣ba] (早く燃やせよ) 17172 0 0 17145 htmvoc_17172.wav モースン ⸢モー⸣スン [⸢moː⸣suŋ] 他動 生やす。 ピ⸢ニ モー⸣スン [pi⸢ni moː⸣suŋ] (鬚を生やす)。 ⸣バー ピ⸢ニ モーサ⸣ヌ [⸣baː pi⸢ni moːsa⸣nu] (私は鬚を生やさない)。 ピ⸢ニ モーシ⸣ プサン [pi⸢ni moːʃi⸣ pu̥saŋ] (鬚を生やしたい)。 ピ⸢ニ モー⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [pi⸢ni moː⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (鬚を生やす人はいない)。 ピ⸢ニ モー⸣シェー ⸣ミサムヌ [pi⸢ni moː⸣ʃeː ⸣misamunu] (鬚を生やせば良いのに)。 ピ⸢ニ モー⸣シバ [pi⸢ni moː⸣ʃiba] (鬚を生やせよ) 17175 0 0 17146 htmvoc_17175.wav モーヤー ⸢モー⸣ヤー⸢ [moː⸣jaː] 名 手踊り。舞踊の小道具を用いないで、歩きながら両手をこねり、上体をなよりして<くねらして>踊る早踊り。沖縄本島から伝わったもの。[maɸi・jaː] → [mawi・jaː] → [moːjaː] と音韻変化したもので、「この御酒(みき)を醸(かみ)けむ人は舞ひつつ~」(旋回しつつ~)「記紀歌謡四十」の転訛したものか。沖縄本島の「⸢モーヤー」[⸢moːjaː]舞踊は「旋回する」ことが中心で、鳩間島の舞踊は、ブドゥル[bu⸢duru](跳躍する動作)から発達したものか。「~立乎杼利<タチヲドリ>足すり叫び~。万、904」参照。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣アトー ムー⸢ル サンシン⸣ナー ⸢アー⸣シ ⸢モー⸣ヤー ⸢シール⸣ トゥ⸢ズモーッ⸣タ [⸢joi⸣nu ⸣ʔatoː muː⸢ru saŋʃin⸣naː ⸢ʔaː⸣ʃi ⸢moː⸣jaː ⸢ʃiːru⸣ tu⸢ʣu⸣moːtta] (お祝いの後は皆三味線に合わせて<モーヤー>をして終了された) 17176 0 0 17147 htmvoc_17176.wav モーヤンマー ⸢モー⸣ヤンマー [⸢moː⸣jammaː] 名 人名。モーヤ姉さん。 ⸢モー⸣ヤンマー ⸢タッ⸣テヌ プ⸢ス⸣ ヤ⸢ローッ⸣タカヤー [⸢moː⸣jammaː ⸢tat⸣tenu pu̥⸢su⸣ ja⸢roːt⸣takajaː] (モーヤ姉さんは何処の家の人であられたのかねえ) 17184 0 0 17148 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 ~は。取り立て強意を表す。名詞、代名詞、副詞、助詞、活用語の連用形につく。上接語の末尾の音節構造と母音によっていろいろな融合変化を起こし、次のような異形態をとる。 17184 0 0 17149 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 {Exp_1-1}音節構造が/CVCV/で、末尾母音が[a]の場合、CVCV+ja(は)→-a:(CVCa:)となる。 ⸣カサー ⸢カイ⸣ヤン [⸣kasaː ⸢kai⸣jaŋ] (傘はきれいだ<美しい>)。 ⸣パナー ⸣サクン [⸣panaː ⸣sḁkuŋ] (花は咲く)。 ⸣クナー シゥ⸢カラ⸣ヌ [⸣kunaː si̥⸢kara⸣nu] (ここには置けない)。 17184 0 0 17150 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 {Exp_1-2}音節構造が/CVCV/で、末尾母音が[i]の場合、CVCV + [ja](は)→ [-eː](CVCe:)となる。 ⸣フネー ⸣シケーン [⸣ɸuneː ⸣ʃi̥keːŋ] (船は着いた)。 ティ⸢ガ⸣メー マ⸢ダ クー⸣ヌ [ti⸢ga⸣meː ma⸢da kuː⸣nu] (手紙はまだ来ない)。 サ⸢ケー⸣ ヌ⸢マ⸣ヌ [sḁ⸢keː⸣ nu⸢ma⸣nu] (酒は飲まない)。 17184 0 0 17151 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 {Exp_1-3}音節構造が/CVCV/で、末尾母音が[u]の場合、CVCV + [ja] → [oː](CVCoː)となる。 パ⸢コー⸣ イツァシル ス⸢ク⸣ル [pḁ⸢koː⸣ ʔiʦaʃiru su̥⸢ku⸣ru] (箱は板で<ぞ>造る)。 ⸣アボー ア⸢ツァブカ⸣ラ ⸢オー⸣ルンカヤー [⸣ʔaboː ʔa⸢ʦabuka⸣ra ⸢ʔoː⸣ruŋkajaː] (お母さんは明日あたり来られるかなあ)。 シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ア⸢サビ ベー [ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔa⸢sabi beː] (仕事はしないで遊んでいる)。 ⸣クゾー ⸢マイヤー⸣ イッ⸢ケン ノー⸣レータン [⸣kuʣoː ⸢maijaː⸣ ʔik⸢ken noː⸣teːtaŋ] (去年は、稲<米>は非常によく稔った)。 17184 0 0 17152 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 {Exp_2-1}音節構造がCVCVVで、末尾母音が[ai]の場合、CVCai + [ja] → [aijaː](CVCaijaː)となる。 ⸢カイヤー⸣ ッ⸢ふァーシ⸣ ミサン [⸢kaijaː⸣ f⸢faːʃi⸣ misaŋ] (お粥は食べさせてもよい)。 ⸢マイヤー ナウ⸣レーン<⸢ノー⸣レーン> [⸢maijaː nau⸣reːŋ<⸢noː⸣reːŋ>] (稲<米>は稔った)。 ⸢ナイ⸣ヤー イッ⸢ケナ スー⸣レーン [⸢nai⸣jaː ʔik⸢kena suː⸣reːŋ] (苗は非常によく成長して<伸びて>いる)。 17184 0 0 17153 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 {Exp_2-2}末尾母音が[ui]の場合、CVCui + [ja] → [uijaː](CVCuijaː)となる。 ⸢クイ⸣ヤー タ⸢カー⸣ンドゥ ⸢クイブリヨーヌ⸣ドゥ ⸢ダーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kui⸣jaː tḁ⸢kaː⸣ndu ⸢kuiburijoːnu⸣du ⸢daːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (声は高いが、節回しが良くない)。 17184 0 0 17154 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 {Exp_3-1}音節構造がCVVで、末尾母音が[uː]の場合、Cuː + [ja] → [uwa](CVVSV)となる。 ム⸢チヌ クー⸣ワ ピ⸢ケーン⸣カヤー [mu⸢ʧinu kuː⸣wa pi̥⸢keːŋ⸣kajaː] (餅を造るための餅粉は挽いたかねえ)。 ⸢ワー グー⸣ワ ⸢ター⸣ヤ [⸢waː guː⸣wa ⸢taː⸣ja] (君の相棒は誰か)。 ⸢スー⸣ワ マ⸢ダ⸣ ピ⸢サ⸣ヌ [⸢suː⸣wa ma⸢da⸣ pi̥⸢sa⸣nu] (潮はまだ引かない)。 ⸢フー⸣ワ イッ⸢ケナ⸣ ア⸢リ⸣ブー [⸢ɸuː⸣wa ʔik⸢kena⸣ ʔa⸢ri⸣ buː] (運は非常に良かった<運は非常に有りおる>)。 17184 0 0 17155 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 {Exp_3-2}末尾母音が[au]の場合、Cau + [ja] → [kauwa](CVVSV)となる。 ⸢カウワー⸣ シキ タ⸢ティ⸣リバ [⸢kauwaː⸣ ʃi̥ki tḁ⸢ti⸣riba] (線香は点けて立てなさいよ)。 ク⸢ビン⸣ヌ ⸢ザウ⸣ワー カ⸢ビ⸣シル ス⸢ク⸣ル [ku⸢bin⸣nu ⸢ʣau⸣waː ka⸢bi⸣ʃiru su̥⸢ku⸣ru] (瓶の栓は紙で<ぞ>作る)。 キ⸢チゴン⸣ナー ⸢バウ⸣ワー ウ⸢タ⸣ヌ [ki̥⸢ʧigon⸣naː ⸢bau⸣waː ʔu⸢ta⸣nu] (結願祭には棒踊りはしない<棒は打たない>)。 17184 0 0 17156 htmvoc_17184.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 係助 {Exp_4}音節構造がCVNの場合、CVN + [ja] → CVNma(CVNCV)となる。 ⸢アン⸣マー ウ⸢ラシ⸣ティ ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスムヌ ⸣マティ ⸢ベー [⸢ʔam⸣maː ʔu⸢raʃi̥⸣ti ⸢suː⸣nu ⸣pi̥sumunu ⸣mati ⸢beː] (網は下ろして潮の引くのを待っている)。 ⸢カン⸣マー ⸢オー⸣ルン⸢ダー [⸢kam⸣maː ⸢ʔoː⸣run⸢daː] (神様はいらっしゃるよ)。 ⸢サン⸣マー ⸢ユイ⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢sam⸣maː ⸢jui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (魔除けのサンは結んでおきなさい)。 ⸢キン⸣マー キ⸢シ⸣バ [⸢kim⸣maː ki̥⸢ʃi⸣ba] (着物は着なさいよ) 17185 0 1 17157 htmvoc_17185.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 終助 ~か。疑問、尋問の意味を表す。{Mn_1}疑問詞「誰、何、何故、どうして、幾ら」などと呼応する形で用いられる。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー ター⸣ヤ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː taː⸣ja] (この人は誰か)。 ⸣カナー ⸣アル ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [⸣kanaː ⸣ʔaru ⸣munoː ⸣nuːja] (あそこにあるのは何か)。 ⸢ワー⸣ トゥシェー ⸢ギューチ⸣ヤー [⸢waː⸣ tu̥ʃeː ⸢gjuːʧi⸣jaː] (君の年はいくつか)。 ⸢ワー⸣ パ⸢ラン⸣モー ⸣ヌンティヤー [⸢waː⸣ pa⸢ram⸣moː ⸣nuntijaː] (君が行かないのは何故か)。 シ⸢ナムヌヌ ダイヤー ギュー⸣サヤー [ʃi⸢namununu daijaː gjuː⸣sajaː] (品物の値段は幾らか)。 ⸣キュー ⸣パルン ⸢トン⸣マー ⸣マーヤ [⸣kjuː ⸣parun ⸢tom⸣maː ⸣maːja] (今日行く所は何処か)。 17185 0 2 17158 htmvoc_17185.wav ヤ ⸣-ヤ [⸣-ja] 終助 {Mn_2}疑問詞に副助詞⸣-ブカラ[⸣-bukara](~ぐらい)の付いた形に下接して程度の尋問を表す。 ⸣アツァ シゥ⸢カウ ムノー ヌーン⸣ブカラヤ [⸣ʔaʦa si̥⸢kau munoː nuːm⸣bukaraja] (明日使うものはどれぐらい<いか程>か) 17186 0 0 17159 htmvoc_17186.wav ヤー ⸣ヤー [⸣jaː] 名 いえ(家)。家屋。住宅。建物。「~さすや河邊に構る屋之<ヤノ>~。万、3820」の転訛したもの。 ⸢カー⸣ラヤー [⸢kaː⸣rajaː] (瓦葺の家)。 ⸣ガヤヤー [⸣gajajaː] (茅葺の家)。 ヌ⸢キヤー [nu⸢kijaː] (貫き家{EOS}本建築の家)。 ア⸢ナ⸣プリヤー [ʔa⸢na⸣purijaː] (穴掘り家{EOS}掘っ立て小屋)。 ア⸢ラヤー [ʔa⸢rajaː] (新築家屋)。 ⸢ドゥーン⸣ヤー [⸢duːɲ⸣jaː] (自分の家)。 プ⸢スン⸣ヤー [pu̥⸢suɲ⸣jaː] (よその家)。 ッ⸢ふ⸣ヤー [f⸢fu⸣jaː] (古い家{EOS}古屋)。 ヒ⸢ラヤー [çi⸢rajaː] (平屋{EOS}一階建ての家)。 ⸣ニカイヤー [⸣nikaijaː] (二階建ての家)。 ウ⸢シン⸣ヤー [ʔu⸢ʃiɲ⸣jaː] (牛の家{EOS}牛舎)。 ⸢オー⸣ヌヤー [⸢ʔoː⸣nujaː] (豚舎)。⸢キー⸣ヤー[⸢kiː⸣jaː](木屋{EOS}建築用材を乾燥させる小屋)などがある。 ⸢ヤー⸣ヤ ⸣マナーティ イ⸢チ⸣ ス⸢クル⸣ワ [⸢jaː⸣ja ⸣manaːti ʔi⸢ʧi⸣ su̥⸢kuru⸣wa] (家は、いつ、どこで造るか) 17229 0 0 17160 htmvoc_17229.wav ヤーウチ ⸢ヤー⸣ウチ [⸢jaː⸣ʔuʧi] 名 家の内。家庭の内。 ⸢ヤー⸣ウチ キ⸢ナイウチ⸣ナー ⸢ノーンヌ⸣ ビーンサビーン ア⸢ラ⸣シミ タ⸢ボーン⸣ナ [⸢jaː⸣ʔuʧi ki⸢naiʔuʧi⸣naː ⸢noːnnu⸣ biːnsabiːŋ ʔa⸢ra⸣ʃimi ta⸢boːn⸣na] (家の内、家庭内に如何なる<何の\ruby{錆}{サビ}も、\ruby{茶渋}{チャ|シブ}も>災いも起こさせること<有らしめ>賜いますな) 17187 0 0 17161 htmvoc_17187.wav ヤーウチリ ⸢ヤーウチ⸣リ [⸢jaːʔuʧi⸣ri] 名 家移り。転居。引越し。「いへうつり(家移り)」『蜻蛉日記(中)』の転訛したもの。 ⸢ミーヤーン⸣ ス⸢ク⸣ローレーンティ シ⸢ティテー⸣ ワ⸢ター⸣ イ⸢チル ヤーウチ⸣リ ⸢ソール⸣ワ [⸢miːjaːn⸣ su̥⸢ku⸣roːreːnti ʃi̥⸢titeː⸣ wa⸢taː⸣ ʔi⸢ʧiru jaːʔuʧi⸣ri ⸢soːru⸣wa] (新しい家を造られたというのに、して貴方がたは、いつ転居<家移り>されるのですか) 17188 0 0 17162 htmvoc_17188.wav ヤーカージ ⸢ヤーカー⸣ジ [⸢jaːkaː⸣ʤi] 名 家ごと。各家。「家の数」の義。 ナ⸢チ⸣ ナルカー ⸢ヤーカー⸣ジ ⸢マイカリ シンン パイ⸣ター ⸢オーッ⸣タ [na⸢ʧi⸣ narukaː ⸢jaːkaː⸣ʤi ⸢maikari ʃim pai⸣taː ⸢ʔoːt⸣ta] (夏になると各家稲刈りをしに西表<南端>へ行かれた)。 ⸢ヤーカー⸣ジェーラ グ⸢サーク⸣マイ ン⸢ザ⸣ソーッタン [⸢jaːkaː⸣ʤeːra gu⸢saːku⸣mai ʔn⸢ʣa⸣soːttaŋ] (各家から五勺米を出された) 17190 0 0 17163 htmvoc_17190.wav ヤーカカラヌ ⸣ヤー カ⸢カラ⸣ヌ [⸣jaː kḁ⸢kara⸣nu] 連 落ち着いて家にいない。外出ばかりすること。遊蕩にふけること。「家に懸からない」の義。 ウ⸢レー ピッ⸣チン ⸢ヤー カ⸢カラ⸣ヌ ⸣フカナーティ ⸢ヌー⸣バ ⸢シーブン⸣サー ピ⸢ルマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː pit⸣ʧiɲ ⸢jaː kḁ⸢kara⸣nu ⸣ɸu̥kanaːti ⸢nuː⸣ba ⸢ʃiːbun⸣saː pi⸢rumasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (あれ<彼>はちっとも家に落ち着か<懸から>ない{EOS}外で何をしているのか、不思議で<珍しくて>堪らない) 17189 0 0 17164 htmvoc_17189.wav ヤーカジ ⸢ヤー⸣カジ [⸢jaː⸣kaʤi] 名 台風の吹き込み。台風時に家の中に吹き込む強い風。 ⸢クンドゥ⸣ヌ カ⸢ジフケー⸣ パ⸢マバ⸣タヤーヤ ⸢ヤーカジ⸣ヌ ⸢スー⸣ワティ イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢クラー⸣タン [⸢kundu⸣nu ka⸢ʤiɸu̥keː⸣ pa⸢maba⸣tajaːja ⸢jaːkaʤi⸣nu ⸢suː⸣wati ʔik⸢kena⸣ na⸢kuraː⸣taŋ] (今度の台風は、海岸端の家では台風の吹込みが強くて非常に怖かった)。 ⸢ヤーカジ⸣ヌ ⸢ペーラン⸣ヨーニ カ⸢ザンガマイ シー⸣ シ⸢キ⸣リ [⸢jaːkaʤi⸣nu ⸢peːraŋ⸣joːni ka⸢ʣaŋgamai ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (台風の吹き込みが入らないように暴風対策<風構え>をしておきなさい) 17192 0 0 17165 htmvoc_17192.wav ヤーカラー ⸣ヤーカラー [⸣jaːkaraː] 名 借家人。「家借り者」の義。多少見下した表現。⸢ヤーカリ⸣ムヌとも言う。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ヤー ス⸢ク⸣ルンテー サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ヤーカラー ⸣ナリ ⸢ベー [⸢duː⸣nu ⸣jaː su̥⸢ku⸣runteː sa⸢muti⸣ naː⸢ji⸣ jaːkaraː ⸣nari ⸢beː] (自分の家を造ろうとはしないで、ただずっと借家人になっている) 17191 0 0 17166 htmvoc_17191.wav ヤーカリムヌ ⸢ヤーカリ⸣ムヌ [⸢jaːkari⸣munu] 名 借家人。「家借り者」の義。多少見下した表現。⸣ヤーカラー[⸣jaːkaraː](家を借りる人)ともいう。 イ⸢チンバー⸣キン ⸢ヤーカリ⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢アーカン⸣ドーシ ⸢パー⸣ク ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ヤー ス⸢ク⸣リバ [ʔi⸢ʧimbaː⸣kiɲ ⸢jaːkari⸣munu ⸣nari ⸢ʔaːkan⸣doːʃi ⸢paː⸣ku ⸢duː⸣nu ⸣jaː su̥⸢ku⸣riba] (いつまでも借家人になっていないで、早く自分の家を造れよ) 17193 0 0 17167 htmvoc_17193.wav ヤーキシキン ⸢ヤー⸣キシキン [⸢jaː⸣ki̥ʃikiŋ] 名 普段着。家庭着。「家で着る衣」の義。フ⸢タ⸣キシキン[ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃikiŋ](着たっきりの着物)ともいう。 ⸢ヤー⸣キシキンマー ⸢ギューックビン⸣ ア⸢リ⸣スヌ フ⸢タ⸣キシキンマー プ⸢スックビ⸣ル ⸣アルンダ ⸢ピーズ⸣ ユ⸢ヌキンバ⸣ル キ⸢ス [⸢jaːki̥ʃikimmaː ⸢gjuːkkubiŋ⸣ ʔa⸢ri⸣sunu ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃikimmaː pu̥⸢sukkubi⸣ru ⸣ʔarunda ⸢piːʣu⸣ ju⸢nukimba⸣ru ki̥⸢su] (家庭着は何着もあるが、何時も着る<着たっきりの>普段着は一着<ぞある>しかないので、いつも同じ着物を着る) 17194 0 0 17168 htmvoc_17194.wav ヤーキナイ ⸢ヤー⸣キナイ [⸢jaː⸣kinai] 名 家庭。 ⸢ヤーキナイ⸣ヤー ユ⸢チ⸣クニ ナ⸢リバ⸣ル ッ⸢ふァ⸣マーン サ⸢カラサリ⸣ダー [⸢jaːkinai⸣jaː ju⸢ʧi⸣kuni na⸢riba⸣ru f⸢fa⸣maːn sḁ⸢karasari⸣daː] (家庭が豊かになってこそ子孫も繁栄させられるのだよ) 17195 0 0 17169 htmvoc_17195.wav ヤーキブル ⸢ヤーキブル [⸢jaːkiburu] 名 (数)八軒。 ⸣クナー ⸢ヤーキブルヌ ヤー⸣ヌ ⸢アッ⸣タンツォー [⸣kunaː ⸢jaːkiburunu jaː⸣nu ⸢ʔat⸣tanʦoː] (ここに八軒の家があったそうだ) 17196 0 0 17170 htmvoc_17196.wav ヤークシ ⸢ヤー⸣クシ [⸢jaː⸣kuʃi] 名 引越し。「家越し」の義。⸢ヤーウチ⸣リ[⸢jaːʔuʧi⸣ri](引越し{EOS}「家移り」の義)ともいう。 ⸢ヤー⸣クシェー イ⸢チ ソール⸣ワ [⸢jaː⸣kuʃeː ʔi⸢ʧi soːru⸣wa] (引越しは何時なさいます<されます>か) 17198 0 1 17171 htmvoc_17198.wav ヤークブ ⸢ヤー⸣クブ [⸢jaː⸣kubu] 名 {Mn_1}(動)クモ(蜘蛛)の一種。家に棲息する蜘蛛。ヤ⸢マ⸣クブ[ja⸢ma⸣kubu](ジョロウグモ<女郎蜘蛛>)の対義語。 ⸢ヤークブ⸣ヌ ⸣シー ⸣トゥリバ [⸢jaːkubu⸣nu ⸣ʃiː ⸣turiba] (蜘蛛の巣を取って捨てろ)。 17198 0 2 17172 htmvoc_17198.wav ヤークブ ⸢ヤー⸣クブ [⸢jaː⸣kubu] 名 {Mn_2}引き籠もりの人。家の中に閉じこもって世間と交流しない人。⸢クーズメー[⸢kuːʣumeː](引き籠もり{EOS}海岸の岩にくっ付いて離れない貝の一種)ともいう。 ウ⸢レー ヤー⸣クブ ⸣ナリティ プ⸢スピライ シーユーサヌ [ʔu⸢reː jaː⸣kubu ⸣nariti pu̥⸢supirai ʃiːjuːsanu] (それ<彼>は家に引きこもって<家蜘蛛になって>人付き合いできない) 17199 0 0 17173 htmvoc_17199.wav ヤーグマリ ⸢ヤーグマ⸣リ [⸢jaːguma⸣ri] 名 家の中に引き籠もること。 ヤ⸢ム⸣ター ⸢ヤーグマ⸣リ シ⸢ティ ピッ⸣チン ⸣フカー ン⸢ジラ⸣ヌ [ja⸢mu⸣taː ⸢jaːguma⸣ri ʃi̥⸢ti pit⸣ʧiŋ ⸣ɸu̥kaː ʔn⸢ʤira⸣nu] (病気したので、家の中に引き籠って、ちっとも外出しない) 17200 0 0 17174 htmvoc_17200.wav ヤーケーラ ⸢ヤーケーラ [⸢jaːkeːra] 名 八回。八度。八往復。 プ⸢スケーラ⸣ フ⸢タケーラー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ヤーケーラン⸣ カ⸢ユータンドゥ ソー⸣ダン ナ⸢ラン⸣シェン [pu̥⸢sukeːra⸣ ɸu̥⸢takeːraː⸣ ʔa⸢ra⸣nu ⸢jaːkeːraːŋ⸣ ka⸢juːtandu soː⸣dan na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (一度や二度ではない{EOS}八回も通ったが相談<交渉>が出来なかった) 17205 0 0 17175 htmvoc_17205.wav ヤーザイク ⸢ヤーザイ⸣ク [⸢jaːʣai⸣ku] 名 建築大工。大工の棟梁。「家細工」の義。家を造る大工のこと。 パ⸢トゥ⸣マプスヌ パ⸢ジミティヌ ⸢ヤーザイ⸣コー カ⸢ザケヌ⸣ ス⸢ク⸣レザー ヤ⸢ローッ⸣タツォー ⸣ウブシケー パ⸢ナシケー ユージェーヤ ウ⸢ヌプスヌ⸣ ス⸢ク⸣ローレーティ⸢ダー [pḁ⸢tu⸣mapu̥sunu pa⸢ʤimitinu jaːʣai⸣koː ka⸢ʣakenu⸣ su̥⸢ku⸣reʣaː ja⸢roːt⸣taʦoː ⸣ʔubuʃi̥keː pa⸢naʃi̥keː⸣ juːʤeːja ʔu⸢nupu̥sunu⸣ su̥⸢ku⸣roːreːti⸢daː] (鳩間人で初めての大工の棟梁は加治工家の津久利氏だったそうだ{EOS}大城家、花城家、松竹家は、その人が作られたそうだよ) 17207 0 0 17176 htmvoc_17207.wav ヤーサカーサ ⸢ヤー⸣サカーサ [⸢jaː⸣sakaːsa] 副 空腹なさま。ひもじいさま。ABCDBC型の重言。強意を表す。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ⸢ヤー⸣サカーサ シ⸢ムンドー⸣シ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシ⸣ヨー [ja⸢ra⸣biŋkeːja ⸢jaː⸣sakaːsa ʃi⸢mundoː⸣ʃi si̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃi⸣joː] (子供たちはひもじい思いをさせないで、育てなさい<養育して成長させなさい>よ) 17208 0 0 17177 htmvoc_17208.wav ヤーサカチリ ⸢ヤー⸣サカチリ [⸢jaː⸣sakaʧiri] 名 飢餓に苦しむこと。「やわさ(飢さ)・かつゑ(餓ゑ)」の転訛したもの。「ヤワシ(飢)」の語幹に「飢極、カツヱコウジタリ」『文明本節用集』の「カツヱ(饉)」が付いて形成された合成語。飢え苦しむこと。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトー ムー⸢ル ヤー⸣サカチリバ ⸢シェー⸣ティル イキケー⸢ダー [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː muː⸢ru jaː⸣sakaʧiriba ⸢ʃeː⸣tiru ʔikikeː⸢daː] (戦後は皆飢餓に苦しんで生きてきたのだよ) 17201 0 0 17178 htmvoc_17201.wav ヤーサクチサ ⸢ヤー⸣サクチサ [⸢jaː⸣saku̥ʧisa] 名 空腹の苦しさ。食糧難の苦しさ。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸢ヤー⸣サクチサー ⸢バシケー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸢jaː⸣saku̥ʧisaː ⸢baʃi̥keː⸣ na⸢ra⸣nu] (戦争中<戦世>の空腹の苦しさは忘れてはならない) 17209 0 0 17179 htmvoc_17209.wav ヤーサクンゾー ⸢ヤー⸣サクンゾー [⸢jaː⸣sakunʣoː] 名 空腹時には立腹しやすいこと。空腹時の腹立ち。 ⸢ヤー⸣サクンゾーティル ⸣アルンダ ⸢パー⸣ク ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢jaː⸣sakunʣoːtiru ⸣ʔarunda ⸢paː⸣ku ʔm⸢maː⸣munu f⸢faːʃi⸣ba] (⸢空腹時の腹立ち」と言われているから、早く美味しいものを食べさせてやりなさいよ) 17210 0 0 17180 htmvoc_17210.wav ヤーサスン ⸢ヤー⸣サ ⸢スン [⸢jaː⸣sa ⸢suŋ] 連 ひもじい思いをする。飢える。 ⸢ゾー⸣ブンニ ム⸢ヌスク⸣ル ⸢サン⸣カー フ⸢ユヌ⸣ シチナー ⸢ヤー⸣サ ⸢スン⸣ダー [⸢ʣoː⸣bunni mu⸢nusuku⸣ru ⸢saŋ⸣kaː ɸu⸢junu⸣ ʃi̥ʧinaː ⸢jaː⸣sa ⸢sun⸣daː] (しっかりと耕作しないと冬の季節になって飢える<ひもじい思いをする>ぞ) 17213 0 0 17181 htmvoc_17213.wav ヤーサッふァイ ⸢ヤーサ⸣ッふァイ [⸢jaːsa⸣ffai] 名 むさぼり食うさま。飢えた者のようにがつがつと食うこと。「飢え食い」の義。 ⸣アイニ ⸢ヤーサ⸣ッふァイ ⸢サン⸣タンティン ピ⸢ナラヌ⸣<⸢ナーンナラ⸣ヌ>{EOS}トゥ⸢クットゥ⸣シ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣ʔaini ⸢jaːsa⸣ffai ⸢san⸣tantim pi⸢naranu⸣<⸢naːnnara⸣nu>{EOS}tu̥⸢kuttu⸣ʃi f⸢fai⸣ba] (そんなにむさぼり食わなくても減らないよ<無くならないよ>{EOS}落ち着いて食べなさい) 17202 0 0 17182 htmvoc_17202.wav ヤーサニジ ⸢ヤーサ⸣ニジ [⸢jaːsa⸣niʤi] 名 空腹を我慢すること。ひだるさを我慢すること。ひもじいのを我慢すること。 ⸢ヤーサ⸣ニジ ⸢スンティ⸣ ミ⸢ジバ⸣ ヌミ⸢ベー [⸢jaːsa⸣niʤi ⸢sunti⸣ mi⸢ʤiba⸣ numi ⸢beː] (空腹を我慢しようと水を飲んでいるよ) 17211 0 0 17183 htmvoc_17211.wav ヤーサノーシ ⸢ヤーサノー⸣シ [⸢jaːsanoː⸣ʃi] 名 むしおさえ(虫押え)。空腹を一時凌ぐための軽食。 ⸢ユー⸣ボンスコールヌ ⸣ナルンケンマー ガ⸢シ⸣タクンツァン ⸣キシ ッ⸢ふァーシ ヤーサノー⸣シ シ⸢ミラン⸣ノーレー [⸢juː⸣bonsu̥koːrunu ⸣naruŋkemmaː ga⸢ʃi⸣takoːnʦaŋ ⸣ki̥ʃi f⸢faːʃi jaːsanoː⸣ʃi ʃi⸢miran⸣noːreː] (夕食の準備が出来るまで燻製蛸でも切って食べさせて空腹の一時\ruby{凌}{シノ}ぎにさせてくれないか) 17203 0 0 17184 htmvoc_17203.wav ヤーサバタ ⸢ヤー⸣サバタ [⸢jaː⸣sabata] 名 空腹。空きっ腹。 ⸢ヤー⸣サバタナー ノー⸢ン⸣ ン⸢マー⸣ン [⸢jaː⸣sabatanaː noː⸢m⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (空きっ腹には何でも美味しい) 17212 0 0 17185 htmvoc_17212.wav ヤーサバタ ⸢ヤーサ⸣バタ [⸢jaːsa⸣bata] 名 空きっ腹。空腹。 ⸢ヤーサ⸣バタナー サ⸢キヌマス⸣ナ⸢ヨー [⸢jaːsa⸣batanaː sḁ⸢ki⸣ nu⸢masu⸣na⸢joː] (空きっ腹に酒を飲ませるなよ)。 ⸢ヤーサ⸣バター ⸢クンゾー⸣バタ [⸢jaːsa⸣bataː ⸢kunʣoː⸣bata] (空きっ腹になると怒りやすい) 17204 0 0 17186 htmvoc_17204.wav ヤーサバタッふァ ⸢ヤー⸣サ ⸣バタッふァ [⸢jaː⸣sa ⸣bataffa] 連 空腹のときは怒りっぽい。 ⸢ヤー⸣サ ⸣バタッふァティル ⸣アルンダ ノー⸢ン ヤラバン パー⸣ク ス⸢コーリ⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢jaː⸣sa ⸣bataffatiru ⸣ʔarunda noː⸢ɲ jarabam paː⸣ku su̥⸢koːri⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (空腹の時は怒りっぽいと言われているから、何でもよいから早く作って食べさせなさいよ) 17214 0 0 17187 htmvoc_17214.wav ヤーサマーサ ⸢ヤー⸣サマーサ [⸢jaː⸣samaːsa] 名 空腹の時は何でも美味しく感ずること。 ⸢ヤー⸣サマーサティ ア⸢ズヌ⸣ ヌーンクイン ン⸢マーン⸣ティ ⸢シー⸣ ムー⸢ル ホイナ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [⸢jaː⸣samaːsati ʔa⸢ʣunu⸣ nuːŋkuim ʔm⸢maːn⸣ti ⸢ʃiː⸣ muː⸢ru hoina⸣ki ⸢naː⸣nu] (空腹時の美味さと言うが、何もかもが美味しいといって全部掻っ込んでしまったよ) 17215 0 0 17188 htmvoc_17215.wav ヤーザライ ⸢ヤー⸣ザライ [⸢jaː⸣ʣarai] 名 家の\ruby{厄払}{ヤク|バラ}い。家の祈祷。家のお\ruby{祓}{ハラ}い。「家\ruby{浚}{サラ}え」の義。塩や海の\ruby{渚}{ナギサ}からナ⸢ミヌ⸣パナ[na⸢minu⸣ pana](波の花{EOS}海水{EOS}潮水)を汲んできて家の中や屋敷の隅々スミズミに\ruby{撒}{マ}いて家の厄払い<お祓い>をした。また、人の足跡の付いていない渚の砂を運んできて屋敷内の隅々に撒いてお祓いをした。 シ⸢チ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸣イソーパーレーバ ⸢シー インヌムラ アンヌムラヌ⸣ ム⸢ラザライバ シー ヤー⸣ザライン⸢シーソーッ⸣タ [ʃi⸢ʧi⸣nu⸣pimmaː⸣ʔisoːpaːreːba ⸢ʃiː ʔinnumura ʔannumuranu⸣ mu⸢raʣaraiba ʃiː jaː⸣ʣaraiŋ ⸢ʃiːsoːt⸣ta] (節祭りの日にはイソーパーレーをして西村、東村のお祓い<村浚え>をし、各家のお祓い<家浚え>もなされた) 17206 0 0 17189 htmvoc_17206.wav ヤーサン ⸢ヤー⸣サン [⸢jaː⸣saŋ] 形 ひもじい。ひだるい。空腹である。「飢(ヤワシ)かし時に生(む)めし児を~」『日本書紀 神代上』、「やわし(飢し)」『東大寺諷誦文稿』の転訛したものか。 ⸣イー ッ⸢ふァーン⸣カー ⸢ヤー⸣サンダー ノー⸢ンヤラバン⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [⸣ʔiː f⸢faːŋ⸣kaː ⸢jaː⸣sanda noː⸢ɲjarabaŋ⸣ f⸢fai⸣ba] (ご飯を食べないとひもじいから、何かでも食べなさいよ)。 ⸢ワーヤ ヤー⸣サー ⸢ナーン⸣ パジ ⸢ダー⸣ヌ ⸣バー ⸢ヤーサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waːja jaː⸣sa ⸢naːm⸣ paʣi⸢daː⸣nu ⸣baː ⸢jaːsa⸣nu na⸢ra⸣nu] (君はひもじくないだろうが、私はひもじくて堪らない)。 ⸢シンダイ ヤー⸣サ ⸣ナリケーン [⸢ʃindai jaː⸣sa ⸣narikeːŋ] (次第にひもじくなってきた)。 ⸢ヤー⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢jaː⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (ひもじいことはない)。 ⸣アイニ ⸢ヤー⸣サレーラー ター⸢ン⸣ ナ⸢キス⸣ヨー [⸣ʔaini ⸢jaː⸣sareːraː taː⸢n⸣ na⸢kisu⸣joː] (あんなにひもじければ誰でも泣くよ) 17216 0 0 17190 htmvoc_17216.wav ヤーシー ⸢ヤー⸣シー [⸢jaː⸣ʃiː] 名 住まい。住宅。「家巣」の義。 ⸢ワー オーパ⸣ヤー ⸢ヤー⸣シーティン ア⸢ラ⸣シ ⸢マイフナー ユン [⸢waː ʔoːpa⸣jaː ⸢jaː⸣ʃiːtiŋ ʔa⸢raʃi ⸢maiɸunaː juŋ] (君は、そんなに早く住宅も建築し<有らし>て立派<利口者>だ) 17217 0 0 17191 htmvoc_17217.wav ヤーシキ ⸢ヤー⸣シキ [⸢jaː⸣ʃi̥ki] 名 家屋敷。家屋と屋敷。住むべき家や屋敷。⸢ヤーヤシ⸣キ[⸢jaːjaʃi̥⸣ki](家屋敷)ともいう。 ⸢ヤーシキ⸣ヌ ア⸢リバ⸣ル トゥ⸢ジッふァン⸣ シゥ⸢カナイラリ⸣ル [⸢jaːjaʃi̥ki⸣nu ʔa⸢riba⸣ru tu⸢ʣiffan⸣ si̥⸢kanairari⸣ru] (家屋敷があればこそ妻や子供を養うことが出来るというものだ) 17218 0 0 17192 htmvoc_17218.wav ヤーシキ ⸢ヤー⸣シキ [⸢jaː⸣ʃiki] 名 犬や猫などが飼い主の家に住み慣れること。住み着くこと。 ク⸢ヌ⸣ マヤー ムッ⸢トゥ ヤー⸣シキ ⸢サン⸣サー [ku⸢nu⸣ majaː mut⸢tu jaː⸣ʃi̥ki ⸢san⸣saː] (この猫は一向に家に住み慣れない<家に住み着かない>よ) 17230 0 0 17193 htmvoc_17230.wav ヤーシキパル ⸢ヤーシキ⸣パル [⸢jaːʃi̥ki⸣paru] 名 茅葺き家の屋根葺き用のしめ縄を屋上の屋根ふきとやり取りする矛。「家突き針」の義。⸢ヤーフキ⸣パル[⸢jaːɸu̥ki⸣paru]ともいう。パ⸢ルシキ⸣プス[pa⸢ruʃi̥ki⸣pu̥su](家突き針を使う人)が室内から声をかけて屋根へ矛を突き出すと屋根葺きが矛の穴に締め縄を通して合図をする。すると室内の矛の使い手がそれを内へ引き込み、垂木にかけて再度屋根上へ突き出して屋根葺きに届けると、屋根ふきが締め縄を引き締めて屋根を葺いていく 17219 0 0 17194 htmvoc_17219.wav ヤーシクチ ⸢ヤーシク⸣チ [⸢jaːʃi̥ku⸣ʧi] 名 家庭内作業。「家仕事」の義。⸢ヤーシグ⸣トゥ[⸢jaːʃigu⸣tu](家仕事)ともいう。畑作業の出来ない雨天の日や出漁できない時化の日などに、⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)で縄を\ruby{綯}{ナ}ったり、トウヅルモドキの皮で⸣ティル[⸣tiru](さる<笊>)を編んだり、ア⸢ダン⸣パームス[ʔa⸢dam⸣paːmusu](アダン葉筵)を編んだりする作業をいう。日頃からそのための材料の準備をしておく人が⸢ジン⸣ブンムチ[⸢ʤim⸣bummuʧi](知恵のある人{EOS}「存分持ち」)といわれた。 ⸣チニヒージェーラ ア⸢ミフイ⸣ヌ ⸣ピンヌ ⸢ヤーシクチ⸣ヌ ス⸢コール ⸢シー⸣ シゥ⸢カン⸣カー プ⸢ソー⸣ プ⸢リアサビル スー⸠ダー [⸣ʧiniçiːʤeːra ʔa⸢miɸui⸣nu ⸣pinnu ⸢jaːʃi̥kuʧi⸣nu su̥⸢koːru ʃiː⸣ sï̥⸢kaŋ⸣kaː pu̥⸢soː⸣ pu⸢riʔasabiru suː⸠daː] (常日頃から雨降りの日の家庭内作業の準備をしておかないと、人は馬鹿遊びをするだけだぞ) 17220 0 0 17195 htmvoc_17220.wav ヤーシグトゥ ⸢ヤーシグ⸣トゥ [⸢jaːʃigu⸣tu] 名 家にいてする仕事。炊事、洗濯、裁縫、掃除、養豚などの作業。パ⸢タキシグ⸣トゥ[pḁ⸢takiʃigu⸣tu](畑仕事)、⸢ターシグ⸣トゥ[⸢taːʃigu⸣tu](田仕事)、ヤ⸢マシグ⸣トゥ[ja⸢maʃigu⸣tu](山仕事)などの⸣フカシグトゥ[⸣ɸu̥kaʃigutu](外仕事)に対していう。 ⸢ヤーシグトゥ⸣ヌ ⸣アルユンダ マー⸢ン⸣ パ⸢ララ⸣ヌ [⸢jaːʃigutu⸣nu ⸣ʔarujunda maː⸢m⸣ pa⸢rara⸣nu] (家での仕事があるので、どこにも行けない) 17223 0 0 17196 htmvoc_17223.wav ヤージシ ⸢ヤージ⸣シ [⸢jaːʤi⸣ʃi] 名 他人の家で寝た時に眠れないこと。なれない家で寝る時になかなか寝付けないこと。 ⸣バー プ⸢スン⸣ヤーナ ニ⸢ブ⸣ピンマー ⸢ヤージ⸣シ ⸢シティ⸣ ムッ⸢トゥ⸣ ニ⸢バラヌ [⸣baː pu̥⸢suɲ⸣jaːna ni⸢bu⸣ pimmaː ⸢jaːʤi⸣ʃi ⸢ʃi̥⸢ti⸣ mut⸢tu⸣ ni⸢baranu] (私は余所の家に寝る時は、一向に落ち着かず眠れない) 17221 0 0 17197 htmvoc_17221.wav ヤースーラスン ⸣ヤー ⸢スーラ⸣スン [⸣jaː ⸢suːra⸣suŋ] 連 家の強化改装工事をする。「家を強くする」の義。 ⸣パラー トゥ⸢リ⸣カイ ヤ⸢ドゥパシ⸣ルン ス⸢クリ⸣カイティ ⸣ヤー ⸢スーラ⸣スンティ ⸢ベー [⸣paraː tu⸢ri⸣kai ja⸢dupaʃi⸣run su̥⸢kuri⸣kaiti ⸣jaː ⸢suːra⸣sunti ⸢beː] (柱を取替え、戸も作り変えて家を強化改装工事をしようとしている) 17224 0 0 17198 htmvoc_17224.wav ヤースクリ ⸢ヤースク⸣リ [⸢jaːsu̥ku⸣ri] 名 家屋建築。家を建てること。「家造り」の義。「Yazzucuri.ヤヅクリ(家造り)家の建物.Yazzukuriuo suru(家造りをする)家を建築する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ドゥーン⸣ ヤーヌ ⸢ヤースク⸣リ ⸢シーバル⸣ ビ⸢キドゥモー⸣ イ⸢チニン⸣マイティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリ ブー [⸢duːŋ⸣ jaːnu ⸢jaːsu̥ku⸣ri ⸢ʃiːbaru⸣ bi⸢kidumoː⸣ ʔi⸢ʧinim⸣maiti mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣari buː] (自宅<自分の家>の新築をしてはじめて<家造りをすればぞ>男は一人前だと昔からいわれている)。 ⸢ヤースクリ⸣プス [⸢jaːsu̥kuri⸣pu̥su] (新建築する人) 17225 0 0 17199 htmvoc_17225.wav ヤースクリヤー ⸢ヤースクリ⸣ヤー [⸢jaːsu̥kuri⸣jaː] 名 新築する家。家屋を建築中の家。 ⸣アチャー(⸢アー⸣ヤー) ⸢ヤースクリ⸣ヤー ⸢テー⸣ナイ ⸢シン オーッ⸣タ [⸣ʔaʧaː(⸢ʔaː⸣jaː)⸢jaːsu̥kuri⸣jaː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiŋ ʔoːt⸣ta] (お父さんは、新築する家の手伝いに行かれた) 17222 0 0 17200 htmvoc_17222.wav ヤースクン ⸢ヤー⸣スクン [⸢jaː⸣su̥kuŋ] 自動 動物が飼い主の家に住み慣れる。家に居つく。 ⸢イン⸣マー シゥ⸢カ⸣ナウカー シ⸢グ ヤーシゥクン⸣ドゥ ⸣マヤー ⸢ヤーシゥカ⸣ヌ [⸢ʔim⸣maː si̥⸢ka⸣naukaː ʃi⸢gu jaːsi̥kun⸣du ⸣majaː ⸢jaːsi̥ka⸣nu] (犬は飼うと家に居つくが、猫は居つかない)。 ⸢ヤーシキ⸣ パヤーン [⸢jaːʃi̥ki⸣ pajaːŋ] (家に居つき早い)。 マ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ヤー⸣スク ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ma⸢ja⸣nu ⸢jaː⸣si̥ku ⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (猫が家に居つくことはない) 17231 0 0 17201 htmvoc_17231.wav ヤータシ ⸢ヤータ⸣シ [⸢jaːta⸣ʃi] 副 やがて。間もなく。過去のある時点を基準にして、それから「間もなく、やがて、しばらくして」の短時間内に起きることを表現する。従って「ヤータシ」を受ける文末表現は過去形である。ヤ⸢ガティ[ja⸢gati](やがて)は現在の時点を基準にして未来の短い時間の「やがて」を表す。 ⸢ワー⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸣パリティ ⸢ヤータ⸣シ ッ⸢ふァー⸣ ウキティ ナ⸢キ ベー⸣タ [⸢waː⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸣pariti ⸢jaːta⸣ʃi f⸢faː⸣ ʔukiti na⸢ki beː⸣ta] (君が畑へ行って間もなく子供が起きて泣いていたよ) 17232 0 0 17202 htmvoc_17232.wav ヤータティ ⸢ヤー⸣タティ [⸢jaː⸣tati] 名 一家を構えさせること。所帯を持たせること。「家建て」の義。 トゥ⸢シ⸣グル ナ⸢ル⸣ター ⸢ウシトゥン⸣ケーン ⸢ヤー⸣タティ シ⸢ミ⸣ パ⸢ラシ⸣ター [tu̥⸢ʃi⸣guru na⸢ru⸣taː ⸢ʔuʃi̥tuŋ⸣keːŋ ⸢jaː⸣tati ʃi⸢mi⸣ pa⸢raʃi̥⸣taː] (年頃になったので弟達に所帯を持たせていかせた) 17226 0 0 17203 htmvoc_17226.wav ヤータンカー ⸢ヤータン⸣カー [⸢jaːtaŋ⸣kaː] 名 家の真向かい。 ⸢ウン⸣ネートー ⸢ヤータン⸣カー ⸣ナリ ⸢ブー [⸢ʔun⸣neːtoː ⸢jaːtaŋ⸣kaː ⸣nari ⸢buː] (あの家とは家が向き合って<真向かいになって>いる) 17228 0 0 17204 htmvoc_17228.wav ヤーチ ⸢ヤーチ [⸢jaːʦi] 名 八つ。八歳。 ⸢ヤーチナー⸣ トゥリバ [⸢jaːʧinaː⸣ turiba] (八つずつ取れよ)。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢ヤーチ⸣ ナルカー ⸢ガッ⸣コー ン⸢ズ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ra⸣beː ⸢jaːʧi⸣ narukaː ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʣu⸣taŋ] (昔は、子供は八歳になると学校に入学した<出た>) 17227 0 0 17205 htmvoc_17227.wav ヤーチン ⸢ヤー⸣チン [⸢jaː⸣ʧiŋ] 名 家賃。標準語からの転訛。 イ⸢サナキ⸣ナーヤ ⸣シキシキヌ ⸢ヤーチン⸣バ パ⸢ライ⸣ヤーティル ⸢ヤー⸣ヤ カ⸢リ ブー [ʔi⸢sanaki⸣naːja ⸣ʃi̥kiʃi̥kinu ⸢jaːʧim⸣ba pa⸢rai⸣jaːtiru ⸢jaː⸣ja ka⸢ri buː] (石垣島では月々の家賃を払いつつ家を借りている) 17233 0 0 17206 htmvoc_17233.wav ヤーッカラダキ ⸢ヤーッ⸣カラダキ [⸢jaːk⸣karadaki] 名 頑丈な竹。歌謡語。 ⸢ヤーッ⸣カラダキバ キ⸢チ⸣バシー~ [⸢jaːk⸣karadakiba ki̥⸢ʧi⸣baʃiː~] (頑丈な竹を垂木にして~)。⸢ヤーッ⸣カラ[⸢jaːk⸣kara](頑健な{EOS}頑丈な)にタ⸢キ[tḁ⸢ki](竹)が下接して合成語を造る際に [t] → [d] の音韻変化が起きた(連濁現象)もの。「アーパーレー歌」 17197 0 0 17207 htmvoc_17197.wav ヤーックビ ⸢ヤーックビ [⸢jaːkkubi] 名 (数)着物八着。 ユ⸢ヌ キン⸣ヌ ⸢ヤーックビ⸣ ア⸢リ⸣ブバ プ⸢スッ⸣クベー ⸢ワン⸣ ッ⸢ふィーラ⸣ナー [ju⸢nu kin⸣nu ⸢jaːkkubi⸣ ʔa⸢ri⸣buba pu̥⸢suk⸣kubeː ⸢waŋ⸣ f⸢fiːra⸣naː] (同じ着物が八着あるから、一着は君にくれようね) 17234 0 0 17208 htmvoc_17234.wav ヤーッサーク ⸢ヤーッサー⸣ク [⸢jaːssaː⸣ku] 名 家でする仕事。「家仕事」の義。 ⸢ヤーッサーク⸣ヌサーギ ⸣アルカー ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ホー⸣バン ア⸢サブ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢jaːssaːku⸣nusaːgi ⸣ʔarukaː ʔa⸢mi⸣nu ⸢hoː⸣baŋ ʔa⸢sabu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (家でする仕事<家仕事>がさえあれば雨が降っても遊ぶことはない) 17235 0 0 17209 htmvoc_17235.wav ヤーッシ ⸢ヤー⸣ッシ [⸢jaːʃ⸣ʃi] 名 草葺屋根の補修。古くなった屋根の茅や台風で\ruby{剥}{ハキ}ぎ取られた屋根の茅を臨時的に補修すること。一束ずつ茅の先端を折り曲げて根元を下にし、右手で屋根茅の下に差し込んで雨漏りを防ぐ。臨時的な補修であるので、茅の根元の重みを利用して風に吹き飛ばされない工夫をしたもの 17236 0 0 17210 htmvoc_17236.wav ヤーディン ヤー⸢ディン [jaː⸢diŋ] 副 必ず。きっと。間違いなく。「\ruby{否}{イヤ}でも」の転訛したものか。 ⸢ワンヌン⸣ ヤー⸢ディン⸣ クー⸢ダー [⸢wannuŋ⸣ jaː⸢diŋ⸣ kuː⸢daː] (君も必ず来いよ)。 ヤー⸢ディン⸣ ⸣ドゥーシ ⸢シー [jaː⸢din⸣ duːʃi ⸢ʃiː] (必ず自分でしなさい) 17239 0 0 17211 htmvoc_17239.wav ヤードーリ ⸢ヤードー⸣リ [⸢jaːdoː⸣ri] 名 絶家。「家倒れ」の義。相続人がいなくなること。 イ⸢クサ⸣ユーナ ⸣アトゥシギヌ ⸢マーラシティ ヤードー⸣リ ⸢シーナー⸣ヌ [ʔi⸢kusa⸣juːna ⸣ʔatuʃiginu ⸢maːraʃiti jaːdoː⸣ri ⸢ʃiːnaː⸣nu] (戦争で後継ぎが亡くなって、絶家になってしまった) 17237 0 0 17212 htmvoc_17237.wav ヤートゥナル ⸢ヤートゥナ⸣ル [⸢jaːtuna⸣ru] 名 隣の家。隣家。隣近所。「家隣」の転訛。 ⸢ヤートゥナ⸣ル ⸣ナリ ⸢ベー⸣ティ ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣クトゥン ッサン⸢コーラ⸣シェー ブ⸢ララヌ [⸢jaːtuna⸣ru ⸣nari ⸢beː⸣ti ⸢joi⸣nu ⸣kutun ssaŋ⸢koːra⸣ʃeː bu⸢raranu] (隣近所になっていて、お祝いのことも黙って<知らん振りで>はおられないよ) 17238 0 0 17213 htmvoc_17238.wav ヤードゥル ⸢ヤー⸣ドゥル [⸢jaː⸣duru] 名 鶏。「家鳥」の義。「~雉はおよむ家鳥<イヘツトリ>~。万、3310」の転訛したもの。転じて家の中に引き籠もっている子供。 ナー⸢イ ヤー⸣ドゥル ⸣ナリ ブ⸢ラーンドー⸣シ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣フカーン ⸣ンジ ドゥ⸢シンケー⸣トゥン ア⸢サビ⸣バ [naː⸢i jaː⸣duru ⸣nari bu⸢raːndoː⸣ʃi ⸢jaː⸣nu ⸣ɸu̥kaːn ⸣nʤi du⸢ʃiŋkeː⸣tuŋ ʔa⸢sabi⸣ba] (ただじっと家の中に引き籠もって<家鳥になって>いないで、家の外にも出て友達とも遊びなさいよ) 17240 0 0 17214 htmvoc_17240.wav ヤーナー ⸢ヤー⸣ナー [⸢jaː⸣naː] 名 童名。伝統的な命名法に基づいて付けられた名前。ヤ⸢ラビ⸣ナー[ja⸢rabi⸣naː](童名)シ⸢マ⸣ナー[ʃi⸢ma⸣naː](童名{EOS}島名)ともいう。⸢ガッコー⸣ナー[⸢gakkoː⸣naː](学校で呼ばれる戸籍上の名)に対立する名前。長男は祖父の名を付け、長女は祖母の名を付ける。次男は母方の祖父の名を、二女は母方の祖母の名を付けるのが習慣であった。 ⸢ワー ヤーナー⸣ヤ ⸣ヌーティ ア⸢ル⸣ワ [⸢waː jaːnaː⸣ja ⸣nuːti ʔa⸢ru⸣wa] (君の童名<家の名>は何という<ある>か) 17241 0 0 17215 htmvoc_17241.wav ヤーナライ ⸢ヤー⸣ナライ [⸢jaː⸣narai] 名 家庭内での習慣や躾。家庭教育。⸣フカナライ[⸣ɸu̥kanarai](外<世間>の習慣や躾)の対義語。 ⸢ヤーナライ⸣ル ⸣フカナライティ ⸣アル ヤ⸢ナナラーシ⸣ ス⸢ナ [⸢jaːnarai⸣ru ⸣ɸu̥kanaraiti ⸣ʔaru ja⸢nanaraːʃi⸣ su⸢na] (「家庭内での習慣が世間に出ても現れる<外での習慣となる>ものだ」といわれている{EOS}悪い習慣をつけさせるな<家庭教育を厳しくせよ>) 17242 0 0 17216 htmvoc_17242.wav ヤーニンズ ⸢ヤーニン⸣ズ [⸢jaːnin⸣ʣu] 名 家族。「家人数」の義。「Niɲu.ニンジュ(人数)Fitocazu.(人かず)人々の数、」『邦訳日葡辞書』の転訛したものが、上接語の⸢ヤー[⸢jaː](家)に付いて形成された合成語。 ⸢ヤーニンズ⸣ヌ ⸣ドゥパダニンガイ ⸢シー⸣ ッ⸢ふォー⸣リ [⸢jaːninʣu⸣nu ⸣duːpadaniŋgai ⸢ʃiː⸣ f⸢foː⸣ri] (家族の健康祈願をしてください) 17244 0 0 17217 htmvoc_17244.wav ヤーヌカキ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢キ [⸢jaː⸣nu kḁ⸢ki] 連 家の垣根。新しく家を構えた人などが屋敷の囲いとして竹垣や木の柵で囲いを作ったもの。板垣で囲う人もいたが、古い家は総て石垣で屋敷を囲ってある。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ケー⸣ イツァシ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸢jaː⸣nu kḁ⸢keː⸣ ʔiʦaʃi su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (家の垣根は板で造ってあるよ) 17243 0 0 17218 htmvoc_17243.wav ヤーヌカク ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ク [⸢jaː⸣nu kḁ⸢ku] 連 屋敷。「家の囲い」の義。 ⸢ンーナカク [⸢ʔnːnakaku] (空屋敷{EOS}人家のない屋敷{EOS}⸢ンーナヤシキ{SqBr}⸢ʔnːnajaʃiki{/SqBr}<空屋敷>ともいう)。 ⸣シンタヌ ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナー ⸣バサ イ⸢ビ⸣バ [⸣ʃintanu ⸢jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣naː ⸣basa ʔi⸢bi⸣ba] (家の後ろの屋敷に芭蕉を植えなさいよ)。 ⸢ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナ ヤ⸢ラブ⸣ イ⸢ブムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [⸢jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣na ja⸢rabu⸣ ʔi⸢bumunoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (屋敷内にヤラブ<てりはぼく>を植えるものではない) 17245 0 0 17219 htmvoc_17245.wav ヤーヌシ ⸢ヤー⸣ヌシ [⸢jaː⸣nuʃi] 名 家主。 ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ⸢ヤー⸣ヌシェー ⸢ター⸣ ヤ⸢ロール⸣ワ [ku⸢nu jaː⸣nu ⸢jaː⸣nuʃeː ⸢taː⸣ ja⸢roːru⸣wa] (この家の家主はどなたでいらっしゃいますか) 17247 0 0 17220 htmvoc_17247.wav ヤーヌゾー ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ゾー [⸢jaː⸣nu ⸣ʣoː] 連 家の前の道。 ⸢バン⸣テヌ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ゾーヤ ヤ⸢ラ⸣ビンケーヌ ア⸢サビントン ヤッタ⸠ダー [⸢ban⸣tenu ⸢jaː⸣nu ⸣ʣoːja ja⸢ra⸣biŋkeːnu ʔa⸢sabintoɲ jatta⸠daː] (我が家の前の道は子供たちの遊び場だったよ) 17246 0 0 17221 htmvoc_17246.wav ヤーヌッシスクライ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ッシスクライ [⸢jaː⸣nu ⸣ʃʃisu̥kurai] 連 草葺き屋根の補修。屋根の茅の減った所や、台風で剥ぎ取られた部分の茅を補充して雨漏りを防ぐ作業。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸣ッシスクライ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ベーティ ガ⸢ヤー⸣ スリン ⸢パッ⸣タヤー [⸢jaː⸣nu ⸣ʃʃiːsu̥kurai ⸢saŋ⸣kaː na⸢ram⸣beːti ga⸢jaː⸣ surim ⸢pat⸣tajaː] (草葺き屋根の臨時的補修をしなければならないので、茅を刈りにいったよ) 17248 0 1 17222 htmvoc_17248.wav ヤーヌナー ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ナー [⸢jaː⸣nu ⸢naː] 連 {Mn_1}家の名。屋号。 カ⸢ザケーヌ ヤー⸣ヌ ⸢ナーヤ⸣ ウ⸢ブバ⸣カヤーティル ⸢アッ⸣タツォー [ka⸢ʣakeːnu jaː⸣nu ⸢naːja⸣ ʔu⸢buba⸣kajaːtiru ⸢ʔat⸣taʦoː] (加治工家の屋号は「大若家」とあったそうだ)。 ナ⸢カン⸣テーヌ ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ナーヤ⸣ フ⸢シ⸣マヤーティル アル⸢ダー [na⸢kan⸣teːnu ⸢jaː⸣nu ⸢naːja⸣ ɸu̥⸢ʃi⸣majaːtiru ʔaru⸢daː] (仲本家の屋号は⸢黒島家」とあるよ)。 17248 0 2 17223 htmvoc_17248.wav ヤーヌナー ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ナー [⸢jaː⸣nu ⸢naː] 連 {Mn_2}童名。⸢ガッコー⸣ナー[⸢gakkoː⸣naː](学校の名前{EOS}戸籍上の名前)に対する、伝統的命名法に基づいて家庭で呼び習わされている名前。 ⸢ガッコー⸣ヌ ⸢ナーヤ シンイチ ヤー⸣ヌ ⸢ナーヤ⸣ ス⸢ク⸣レーティル アル⸢ダー [⸢gakkoː⸣nu ⸢naːja ʃinʔiʧi ⸢jaː⸣nu ⸢naːja⸣ su̥⸢ku⸣reːtiru ʔaru⸢daː] (学校の名前は真市、童名は津久利とがあるよ) 17249 0 0 17224 htmvoc_17249.wav ヤーヌバン ⸢ヤー⸣ヌ ⸣バン [⸢jaː⸣nu ⸣baŋ] 連 留守番。「家の番」の義。 ヤ⸢ラビ⸣ヌメー ⸢タンガ⸣シ ⸢ヤー⸣ヌ ⸣バン シ⸢ミティ⸣ ウヤ フ⸢ターロー ターシグ⸣トゥ ⸢シン パイ⸣ター ⸢オー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢rabi⸣numeː ⸢taŋga⸣ʃi ⸢jaː⸣nu ⸣baŋ ʃi⸢miti⸣ ʔuja ɸu̥⸢taːroː taːʃigu⸣tu ⸢ʃiŋ pai⸣taː ⸢ʔoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (子供たちだけで留守番<家の番>をさせて、親二人は田仕事をしに南端<西表島>へ行かれてしまった) 17250 0 0 17225 htmvoc_17250.wav ヤーヌピサ ⸢ヤー⸣ヌ ピ⸢サ [⸢jaː⸣nu pi̥⸢sa] 連 屋根。屋根の斜面。「家の平」の義。「平」は「泉津平坂、此れをば余母都比羅佐可(よもつひらさか)といふ」『日本書紀 神代上』の「比羅」から転訛したもの。[pira] → [pisa] → [ɸi̥sa] → [ssa] と音韻変化を起こす音韻法則の中間形態。 ⸢ユーピサヤー [⸢juːpisajaː] (四つ平家{EOS}寄棟の家)。フ⸢タピサヤー[ɸu̥⸢tapisajaː](二平家{EOS}切妻屋根)などという。 ⸣マンタヌ ピ⸢サ [⸣mantanu pi̥⸢sa] (前の屋根<平>) ⸣シンタヌ ピ⸢サ [⸣ʃintanu pi̥⸢sa] (後ろの屋根<平>) ⸢アンタヌ⸣ ピ⸢サ [⸢ʔantanu⸣ pi̥⸢sa] (東の屋根<平>) ⸢インタヌ⸣ ピ⸢サ [⸢ʔintanu⸣ pi̥⸢sa] (西の屋根<平>))。 ⸢タイフー⸣ヌ スー⸣ワンダ ⸢ヤー⸣ヌ ピ⸢サー⸣ ピ⸢コーピコー⸣シ ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [⸢taiɸuː⸣nu ⸢suː⸣wandaː ⸢jaː⸣nu pi̥⸢saː⸣ pi̥⸢koːpikoː⸣ʃi su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (台風が強いから屋根<家の平>は低く造られている) 17251 0 0 17226 htmvoc_17251.wav ヤーバカリ ⸢ヤーバカ⸣リ [⸢jaːbaka⸣ri] 名 分家。「家別れ」の義。本家から次男、三男などが分家して自立すること。 ジ⸢ナン サンナン⸣マー ⸣ニービキ ⸢スー⸣カー イ⸢チンバー⸣キン ⸢ヤー⸣ナ シ⸢キララン⸣ダ ⸢パー⸣ク ⸢ヤーバカ⸣リ シ⸢ミリ⸠ヨー [ʤi⸢nan sannam⸣maː ⸣niːbiki ⸢suː⸣kaː ʔi⸢ʧimbaː⸣kiɲ ⸢jaː⸣naː ʃi̥⸢kiraran⸣da ⸢paː⸣ku ⸢jaːbaka⸣ri ʃi⸢miri⸠joː] (次男三男は結婚したら、いつまでも家に置けないから、早く分家させなさいよ) 17252 0 0 17227 htmvoc_17252.wav ヤーバリ ⸢ヤー⸣バリ [⸢jaː⸣bari] 名 家の壁や\ruby{建具}{タテ|グ}類を壊して暴れること。「家割り」の義。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ サ⸢キ⸣ヌムカー ⸢ヤー⸣バリ ⸢スー⸣ フ⸢シヌドゥ⸣ アル⸢ツォー [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢jaː⸣bari ⸢suː⸣ ɸu̥⸢ʃinudu⸣ ʔaru⸢ʦoː] (この人は酒を飲むと家の壁や家具類を壊し割る癖があるんだよ) 17253 0 0 17228 htmvoc_17253.wav ヤーバン ⸢ヤー⸣バン [⸢jaː⸣baŋ] 名 留守番。家の番。「家番」の義。 マ⸢ナ⸣マー ⸢タール ヤー⸣バン ⸢シー ベー⸣ワ [ma⸢na⸣maː ⸢taːru jaː⸣baŋ ⸢ʃiː beː⸣wa] (今は誰が留守番<家番>をしているのか) 17254 0 0 17229 htmvoc_17254.wav ヤーパン ⸢ヤー⸣パン [⸢jaː⸣paŋ] 名 家のしるし。家の印。「家判」の義。家具類、農具類に付けた家の印。牛の耳を切って所属する家を示した印。 ウ⸢シェー ミン⸣バ ⸣キシティ ⸢ヤー⸣パン ⸣シキ ⸢ドングペン⸣ゴー ⸢ユイ⸣ナー カ⸢タ⸣ナシ キ⸢ジティ ヤー⸣パン ス⸢コーッ⸣タ [ʔu⸢ʃeː mim⸣ba ⸣ki̥ʃiti ⸢jaːpa⸣ŋ ⸣ʃi̥ki ⸢doŋgupeŋ⸣goː ⸢jui⸣naː kḁ⸢ta⸣naʃi ki⸢ʤiti jaː⸣paŋ su̥⸢koːt⸣ta] (牛は耳を切って家判を付け、道具類は柄に包丁<刀>で削って家判を付けられた) 17255 0 0 17230 htmvoc_17255.wav ヤーバンニンガイ ⸢ヤーバンニンガイ [⸢jaːbanniŋgai] 名 「八番願い」の義。豊年祭の当日の朝の10時頃、友利御嶽でプールムチを供えて執り行われる祈願。 ⸢プール⸣ヌ ⸣トーピンヌ シ⸢トゥム⸣ティ ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ ⸢プール⸣ムチ シ⸢キティ ヤーバンニンガイ ニン⸣ガイ ⸢ヨー⸣ルン [⸢puːru⸣nu ⸣toːpinnu ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢ʔuinu⸣ʔugannaːti ⸢puːru⸣muʧi ʃi̥⸢kiti jaːbanniŋgai niŋ⸣gai ⸢joː⸣ruŋ] (豊年祭の朝、友利御嶽で豊年祭の餅を供えてヤーバンニガイ<八番祈願>を祈願される) 17256 0 0 17231 htmvoc_17256.wav ヤーフキ ⸢ヤー⸣フキ [⸢jaː⸣ɸu̥ki] 名 家葺き。茅葺の屋根を葺くこと。瓦葺の家には、⸢カー⸣ラ ⸢ヌースン[⸢kaː⸣ra ⸢nuːsuŋ](瓦を載せる)という。 ⸢ヤーフキ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢ガースリ⸣プスン タ⸢ナマン⸣カー ナ⸢ラヌ⸣ヌ ⸢ヌー⸣スワ [⸢jaːɸu̥ki⸣nu ⸣pimmaː ⸢gaːsuri⸣pu̥sun ta⸢namaŋ⸣kaː na⸢ranu⸣nu ⸢nuː⸣suwa] (茅葺の屋根葺きの日には、茅を刈る人も頼まなければならないが、どうしようか) 17257 0 0 17232 htmvoc_17257.wav ヤーフキジナ ⸢ヤーフキ⸣ジナ [⸢jaːɸu̥ki⸣ʤina] 名 屋根葺き用の藁縄(綱)。直径約1,5センチの太い藁縄。屋根葺き用にに太めに強く綯った藁縄(綱)。 ⸣アチャー バ⸢ラフ⸣タシ ⸢ヤーフキ⸣ジナ ⸣ヌイ ス⸢コー⸣レーン [⸣ʔaʧaː ba⸢raɸu̥⸣taʃi ⸢jaːɸu̥ki⸣ʤina ⸣nui su̥⸢koː⸣reːŋ] (お父さんは、稲藁で家葺き綱を綯っておかれている) 17258 0 0 17233 htmvoc_17258.wav ヤーフキパル ⸢ヤーフキ⸣パル [⸢jaːɸu̥ki⸣paru] 名 茅葺の屋根葺き用の竹矛<竹槍>。⸢ヤーシキ⸣パル[⸢jaːʃi̥ki⸣paru](「家突き針」の義)、⸣パル[⸣paru](針)ともいう。直径約3センチ、長さ約4メートルの竹竿の先端を鋭角に切り、切り口に穴を開けて、シ⸢ミ⸣ナー[ʃi⸢mi⸣naː](屋根葺きの締め縄)が通せるようにした竹製の矛。 パ⸢ルシキ⸣プソー ナ⸢カー⸣ラ ⸢ヤーフキ⸣パル シ⸢キンザシ⸣バ フ⸢キプソー ウン⸣ナ シ⸢ミ⸣ナー ヌ⸢キティ アイ⸣ジ ⸢スー⸣カー ⸢クン⸣ドー ⸣パロー ウ⸢チンター⸣ ピ⸢キヌイティ⸣ タ⸢ル⸣キナ ダ⸢カシティ⸣ シ⸢キンザシタ⸣ル [pa⸢ruʃi̥ki⸣pu̥soː na⸢kaː⸣ra ⸢jaːɸu̥ki⸣paru ʃi̥⸢kiʔnʣaʃi⸣ba ɸu̥⸢kipu̥soː ʔun⸣na ʃi⸢mi⸣naː nu⸢kiti ʔai⸣ʤi ⸢suː⸣kaː ⸢kun⸣doː ⸣paroː ʔu⸢ʧintaː⸣ pi̥⸢kinuiti⸣ ta⸢ru⸣kina da⸢kaʃi̥ti⸣ ʃi̥⸢kiʔnʣaʃi̥ta⸣ru] (屋根葺きの竹矛<竹槍>使いが家の中から家葺き針を突き出せば、屋根葺きはそれに締め縄を貫きさして合図をすると、今度は針を内側へ引き抜き、垂木に縄を抱かせて上へ突き出したものだ) 17259 0 0 17234 htmvoc_17259.wav ヤーフキプス ⸢ヤーフキ⸣プス [⸢jaːɸu̥ki⸣pu̥su] 名 屋根葺き。屋根葺き担当の人。「家葺き人」の義。昭和30年頃まで、鳩間島の大人は誰でも茅葺屋根を葺くことはできた。新築の際は部落民総出で屋根葺きをした。いわゆる⸢ヤースクリ⸣バコー[⸢jaːsu̥uri⸣bakoː](家造り共同作業)であったから、力のある青年、壮年の男子が進んでその任に当たった。長老たちは地上から屋根葺きの模様を眺めて細かな助言を与えつつ、作業を進行させた。茅の束を屋根まで投げ上げる作業も腕力のある若い人が分担した。屋根の下には、⸣パル シ⸢キプス[⸣paru ʃi̥⸢kipusu](長い竹製の屋根葺き用の矛<針>を突く人)がいて、屋根の上の屋根葺き人と声を掛け合いながら竹矛を上へ突き出して屋根葺き綱を矛に通してもらい、それを内側へ引き込んで垂木を\ruby{跨}{マタ}げて再び屋根の上に突きだして屋根葺き人に引き締めてもらい、屋根葺き作業を進めたものである。 ⸢ヤーフキプス⸣トゥ ⸣パル シ⸢キプソー クイ⸣バ ⸣カケーティル ⸢ヤー⸣ヤ ⸢フコーッ⸣タ [⸢jaːɸu̥kipusu⸣tu ⸣paru ʃi̥⸢kipusoː kui⸣ba ⸣kḁkeːtiru ⸢jaː⸣ja ɸu̥⸢koːt⸣ta] (屋根葺きと矛を突き刺す人は声を掛けあいながら屋根を葺かれたものだ) 17260 0 0 17235 htmvoc_17260.wav ヤーフジ ⸢ヤー⸣フジ [⸢jaː⸣ɸuʤi] 名 閉門。家の戸を閉め立てること。謹慎のため、厳格に戸締りをすること。 ⸣クマー ⸢ヤー⸣フジ サ⸢リ ベー [⸣kumaː ⸢jaː⸣ɸuʤi sa⸢ri beː] (ここは厳格に家の戸が締めたてられ<閉門され>ている) 17262 0 0 17236 htmvoc_17262.wav ヤーフジル ⸢ヤーフジ⸣ル [⸢jaːɸuʤi⸣ru] 名 家捜し。家の中を探し回ること。「家・\ruby{抉}{クジ}り」の転訛したもの。 ⸢ジン⸣バ カ⸢ザミフカ⸣シティ ウ⸢リ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルンティ ⸢ヤーフジ⸣ル ⸢シー ベー [⸢ʤim⸣ba ka⸢ʣamiɸu̥ka⸣ʃi̥ti ʔu⸢ri⸣ tu⸢mi⸣runti ⸢jaːɸuʤi⸣ru ⸢ʃiː beː] (お金を隠しすぎて<放下して>、それを捜そうとして家捜し<家\ruby{抉}{クジリ}>している) 17263 0 0 17237 htmvoc_17263.wav ヤーポーキ ⸢ヤーポー⸣キ [⸢jaːpoː⸣ki] 名 座敷箒。室内箒。「家箒」の義。ウ⸢チポーキ[ʔu⸢ʧipoːki](内箒)ともいう。ミ⸢ナカポー⸣キ[mi⸢nakapoː⸣ki](庭箒)の対義語。わらしべ(藁稭)で作った箒。 バ⸢ラフタ⸣ヌ ⸣シン ⸣ヌイティ ⸢ヤーポー⸣キ ス⸢クル⸣タ [ba⸢raɸu̥ta⸣nu ⸣ʃiŋ ⸣nuiti ⸢jaːpoː⸣ki su̥⸢kuru⸣ta] (藁しべ<藁の芯>を抜いて座敷箒を作った) 17264 0 0 17238 htmvoc_17264.wav ヤーマ ⸢ヤー⸣マ [⸢jaː⸣ma] 名 小屋。小さな家。 トゥ⸢ルンヤー⸣マ [tu⸢ruɲ jaː⸣ma] (鶏小屋)。 ピ⸢ビザンヤー⸣マ [pi⸢biʣaɲ jaː⸣ma] (山羊小屋)。 ウ⸢シンヤー⸣マ [ʔu⸢ʃiɲ jaː⸣ma] (牛小屋)。 ⸣アブジェー パ⸢タキ⸣ヌ ⸣アザナー ⸢ヤー⸣マ ス⸢ク⸣リティ ⸣ウナール ⸢ユー⸣クイ ⸢ヨーッ⸣タ [⸣ʔabuʤeː pḁ⸢taki⸣nu ⸣ʔaʣanaː ⸢jaː⸣ma su̥⸢ku⸣riti ⸣ʔunaːru ⸢juː⸣kui ⸢joːt⸣ta] (お祖父さんは畑の畦に小屋を作って、そこで\ruby{憩}{イコ}われた{EOS}「息、休、憩、活、慰、イコフ」『類聚名義抄』の転訛か) 17265 0 0 17239 htmvoc_17265.wav ヤーマール ⸢ヤーマー⸣ル [⸢jaːmaː⸣ru] 名 他人の家を歩き回って遊ぶこと。「家回り」の義。各戸を訪問すること。 ナー⸢イ ヤーマー⸣ル ⸢タン⸣ガー ⸢サンドー⸣シ ⸢ダンダン⸣シ シ⸢グトゥ シー [naː⸢ji jaːmaː⸣ru ⸢taŋ⸣gaː ⸢sandoː⸣ʃi ⸢dandaŋ⸣ʃi ʃi⸢gutu ʃiː] (ただ他人の家回りだけして遊ばないで<~家回りだけしないで>、さっさと仕事をしなさい) 17266 0 0 17240 htmvoc_17266.wav ヤーマーレー ⸢ヤーマー⸣レー [⸢jaːmaː⸣reː] 名 他人の家を歩き回る人。自分の家に落ち着かず、いつも他人の家ばかり回り歩く者。 ウ⸢レー ヤーマー⸣レー ⸣ナリティ ⸢ピッ⸣チン ⸢ヤー⸣ナー カ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢reː jaːmaː⸣reː ⸣nariti ⸢pit⸣ʧiɲ ⸢jaː⸣naː kḁ⸢kara⸣nu] (彼<それ>はいつも他人の家を歩き回る人になってしまって、ちっとも家にいない<かからない>) 17267 0 0 17241 htmvoc_17267.wav ヤーマイフナー ⸢ヤーマイ⸣フナー [⸢jaːmai⸣ɸunaː] 名 家のことをよくやる律義者。正直でよく働く者。従順で親の教えを守り、よく働く者。⸣フカマイフナー[⸣ɸu̥kamaiɸunaː](世間で\ruby{律儀}{リチ|ギ}に働く者で、家庭内ではずぼらなひと{EOS}外での働き者で、家庭では不精な人)の対義語。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ヤーマイ⸣フナー ヤ⸢ルンドゥ ガッ⸣コーナーテー ⸢ナン⸣ゾー ア⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː jaːmai⸣ɸunaː ja⸢rundu gak⸣koːnaːteː ⸢nan⸣ʣoː ʔa⸢ra⸣nu] (この子は家庭では律義者で働き者だが、学校ではあまり<成績が>良くない) 17268 0 1 17242 htmvoc_17268.wav ヤーマカル ⸢ヤーマカル [⸢jaːmakakaru] 名 {Mn_1}大食漢。大食い。「八碗」の義。お碗の八杯食う人の義。ア⸢ブバタ[ʔa⸢bubata](大食い{EOS}「穴腹」の義)と同じ。 ウ⸢レー ヤーマカル⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ギュー⸢サ⸣ ッ⸢ふァーサバン⸣ イッ⸢カ トーティ⸣ ア⸢ザヌ [ʔu⸢reː jaːmakaru⸣ ja⸢runda⸣ gjuː⸢sa⸣ f⸢faːsabaŋ⸣ ʔik⸢ka toːti⸣ ʔa⸢ʣanu] (彼<それ>は大食漢だから、いくら食べさせても、いっこうに十分ですとはいわない)。 17268 0 2 17243 htmvoc_17268.wav ヤーマカル ⸢ヤーマカル [⸢jaːmakakaru] 名 {Mn_2}八杯。八碗。 ⸢ヤーマカル⸣ ッ⸢ふァイシェー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢jaːmakaru⸣ f⸢faiʃeː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (お碗の八杯も食べきれる<食べ得る>人はいない) 17269 0 0 17244 htmvoc_17269.wav ヤームシ ⸢ヤームシ [⸢jaːmuʃi] 名 (数)八回。八度。 ⸣プスイシ ⸢ヤームシナー⸣ プ⸢スヌ テー⸣ナイ ⸢シン ゲー⸣タン [⸣pu̥suiʃi ⸢jaːmuʃinaː⸣ pu̥⸢sunu teː⸣nai ⸢ʃiŋ geː⸣taŋ] (一日に八回も他人の手伝いに行った<ことがある>) 17274 0 0 17245 htmvoc_17274.wav ヤームチナリ ⸢ヤームチ⸣ナリ [⸢jaːmuʧi⸣nari] 名 引越し。転居。「家移り」の義。 ク⸢トゥシズー⸣ナー ⸢ヤームチ⸣ナリ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃiʣuː⸣naː ⸢jaːmuʧi⸣nari ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (今年中に引越し<転居>しないとならない) 17270 0 1 17246 htmvoc_17270.wav ヤームティ ⸢ヤー⸣ムティ [⸢jaː⸣muti] 名 {Mn_1}所帯をもつこと。結婚すること。 ッ⸢ふァンケー⸣ヤ ムー⸢ル ヤー⸣ムティ キ⸢ナイムティ シー⸣ パレーン [f⸢faŋkeː⸣ja muː⸢ru jaː⸣muti ki⸢naimuti ʃiː⸣ pareːŋ] (子供たちは皆所帯をもっていった)。 17270 0 2 17247 htmvoc_17270.wav ヤームティ ⸢ヤー⸣ムティ [⸢jaː⸣muti] 名 {Mn_2}生計を立てること。家計をやりくりすること。 ユ⸢メー ヤームティ⸣ヌ ⸢ゾー⸣ジ ヤ⸢ルンダ ソーヤ ナー⸣ヌ [ju⸢meː jaːmuti⸣nu ⸢ʣoː⸣ʤi ja⸢runda soːja naː⸣nu] (嫁は家計のやりくりが上手だから心配はない) 17271 0 0 17248 htmvoc_17271.wav ヤームティジブン ⸢ヤームティ⸣ジブン [⸢jaːmuti⸣ʤibuŋ] 名 女性の婚期。「家持ち時分」の義。⸢ヤームティ⸣ジブン ナ⸢リ⸣ブンドゥ ア⸢ティン⸣クティン ⸢ナーン⸠ツォー。⸢ヌー⸣スーカヤー メー ⸢ソー シー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ[⸢jaːmuti⸣ʤibun na⸢ri⸣bundu ʔa⸢tiŋ⸣kutin ⸢naːn⸠ʦoː。⸢nuː⸣ suːkajaː ⸣meː ⸢soː ʃiː⸣ na⸢ra⸣nu](婚期になっているが、何の音沙汰<心当て>も無いんだよ{EOS}どうしようかなあ、もう{EOS}心配で堪らないよ) 17272 0 0 17249 htmvoc_17272.wav ヤームティドング ⸢ヤームティドン⸣グ [⸢jaːmutidoŋ⸣gu] 名 所帯道具。一家を構えて生活するのに必要な道具類。 ⸣ナビカマーラ マ⸢カ⸣ルドング ⸢タン⸣シン ⸣ドーレール ⸢ヤームティドン⸣グ ⸢ダー [⸣nabikamaːra ma⸢ka⸣rudoŋgun ⸣doreːru ⸢jaːmutidoŋ⸣gu ⸢daː] (鍋釜かナベカマら、まがり<\ruby{鋺}{ワン}>道具、箪笥の類などが<ぞ>所帯道具だよ<であるよ>) 17273 0 0 17250 htmvoc_17273.wav ヤームティマイフナー ⸢ヤームティマイ⸣フナー [⸢jaːmutimai⸣ɸunaː] 名 家庭を治めることの上手な人。家計の遣り繰り上手な女。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢ヤームティマイフナー⸣ル ⸢カンユー⸠ダー [mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢jaːmutimaiɸunaː⸣ru ⸢kaɲjuː⸠daː] (女の子は家計の遣り繰り上手が肝要だよ) 17275 0 0 17251 htmvoc_17275.wav ヤームトゥ ⸢ヤー⸣ムトゥ [⸢jaː⸣mutu] 名 本家。宗家。元祖を祭る家。「家元」の義。 ⸢ヤームトゥ⸣ヌ サ⸢カラバル⸣ ユ⸢ダパーン⸣ サ⸢カル [⸢jaːmutu⸣nu sḁ⸢karabaru⸣ ju⸢dapaːn⸣ sḁ⸢karu] (本家が栄えたらばこそ枝葉<分家>も栄える) 17276 0 1 17252 htmvoc_17276.wav ヤームトゥ ⸢ヤームトゥ [⸢jaːmutu] 名 {Mn_1}八本。 ⸣マチキーヌ ⸢ヤームトゥ⸣ ムイ ⸢ベー⸣ン [⸣maʧikiːnu ⸢jaːmutu⸣ mui ⸢beː⸣ŋ] (松の木が八本生えている)。 17276 0 2 17253 htmvoc_17276.wav ヤームトゥ ⸢ヤームトゥ [⸢jaːmutu] 名 {Mn_2}箸などの八対。 タ⸢キパシ ヤームトゥ⸣ ス⸢ク⸣ルン [tḁ⸢kipaʃi jaːmutu⸣ su̥⸢ku⸣ruŋ] (竹箸を八対作る) 17277 0 0 17254 htmvoc_17277.wav ヤームトゥン ⸢ヤー⸣ ムトゥン [⸢jaː⸣ mutuŋ] 連 所帯を持つ。結婚して分家する。 ミ⸢ドーン⸣ッふァー トゥ⸢シ⸣グル ⸣ナルカー ⸢ヤー⸣ ムトゥンダー マ⸢ナ⸣マーラ ウ⸢ヌ⸣ ス⸢コール シー⸣ シキバ [mi⸢doːŋ⸣ ffaː tu̥⸢ʃi⸣guru ⸣narukaː ⸢jaː⸣ mutunda ma⸢na⸣maːra ʔu⸢nu⸣ su̥⸢koːru ʃiː⸣ ʃi̥kiba] (女の子は年頃<結婚適齢期>になったら結婚して所帯を持つから、今からその準備をしておきなさいよ) 17278 0 0 17255 htmvoc_17278.wav ヤームンドー ⸢ヤームン⸣ドー [⸢jaːmun⸣doː] 名 家庭内のいさかい(諍い)。親子喧嘩や兄弟げんか。内輪もめ。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸣ザイサンヌ ⸣クトゥシ ⸢ヤームン⸣ドー ウ⸢ク⸣シ ⸢ベー [⸢ʔun⸣neːja ⸣ʣaisannu ⸣ku̥tuʃi ⸢jaːmun⸣doː ʔu⸢ku⸣ʃi ⸢beː] (あの家は財産のことで家庭内の諍いを起こしている) 17279 0 0 17256 htmvoc_17279.wav ヤーヤシキ ⸢ヤーヤシ⸣キ [⸢jaːjaʃi̥⸣ki] 名 家屋敷。住むべき家と屋敷。 ⸢ヤーヤシ⸣キン ア⸢ラ⸣シェーチバ ノー⸢ン ソーヤ ナー⸣ヌ ⸢パー⸣ク ユ⸢ミ サーリ⸣ クーバ [⸢jaːjaʃi̥⸣kiŋ ʔa⸢ra⸣ʃeːʧiba noː⸢n soːja naː⸣nu ⸢paː⸣ku ju⸢mi saːri⸣kuːba] (家屋敷も持てた<有らした>から何の心配も無い{EOS}早く嫁を連れてこいよ) 17281 0 0 17257 htmvoc_17281.wav ヤーラーヨー ⸣ヤーラーヨー [⸣jaːraːjoː] 名 節歌の名。弥勒節の最終連に「ヤーラーヨー」が歌われる。この連は曲想が一転してテンポが早くなる。この曲が流れると歌舞の終了を意味し、参加者は退場の準備をした。 ミ⸢ルク⸣ウター ⸣ヤーラーヨー イ⸢ゾー⸣ルカー ⸣ウビシ シ⸢マイ⸠ダー ⸣メー [mi⸢ruku⸣ʔutaː ⸣jaːraːjoː ʔi⸢ʣoː⸣rukaː ⸣ʔubiʃi ʃi⸢mai⸠daː meː] (弥勒節は、ヤーラーヨーを歌われたら、それで宴は終わりだよ、もう) 17282 0 0 17258 htmvoc_17282.wav ヤーラーン ⸢ヤー⸣ラーン [⸢jaː⸣raːŋ] 形 柔らかい。「和、ヤハシヌ」『類聚名義抄』、「抜、ヤハス」『類聚名義抄』の語幹「ヤハ」に接辞「ラ」が付いて、「海原の根夜波良<ヤハラ>小菅~。万、3498」が形成され、更に「有り」が付いて転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ ム⸢チェー ヤー⸣ラーン [ku⸢nu⸣ mu⸢ʧeː jaː⸣raːŋ] (この餅は柔らかい)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ヤーラーナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢jaːraːnaː⸣nu] (あまり柔らかくない)。 ⸣ドゥク ⸢ヤーラー⸣ヌ ッ⸢ふァーラヌ [⸣duku ⸢jaːraː⸣nu f⸢faːranu] (あまりにも柔らかくて食べられない)。 ⸢シンダイ ヤー⸣ラー ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai jaː⸣raː ⸣nari ⸣keːŋ] (次第に柔らかくなってきた)。 ⸢ヤー⸣ラー ⸣ムノー シゥ⸢カイヤッ⸣サン [⸢jaː⸣raː ⸣munoː si̥⸢kaijas⸣saŋ] (柔らかいものは使いやすい)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヤー⸣ラーカー ミサムヌ⸢ナー [⸢maː⸣biɲ ⸢jaː⸣raːkaː misamunu⸢naː] (もっと柔らかければいいのになあ)。 ⸢ヤー⸣ラーリバル シゥ⸢カーリン スー⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [⸢jaː⸣raːribaru si̥⸢kaːrin suː⸣ nuːja ʔu⸢reː] (柔らかければこそ使われもすれ<使われもする>、何だよ、これは)。 17282 0 2 17259 htmvoc_17282.wav ヤーラーン ⸢ヤー⸣ラーン [⸢jaː⸣raːŋ] 形 {Mn_2}ひ弱である。病弱である。 ウ⸢レー⸣ マ⸢リットーラ⸣ イッ⸢ケナ ヤー⸣ラーン [ʔu⸢reː⸣ ma⸢rittoːra⸣ ʔik⸢kena jaː⸣raːŋ] (彼は生まれつき非常にひ弱である)。 ウ⸢レー ヤーラマリ [ʔu⸢reː jaːramari] (彼は虚弱体質の人だ) 17280 0 0 17260 htmvoc_17280.wav ヤーラアミ ⸢ヤーラアミ [⸢jaːraʔami] 名 しとしとと降る雨。小止みなく降るこさめ(小雨)。「柔ら雨」の義。 ウ⸢ルズン⸣ヌ ⸢ヤーラアミナー⸣ル ス⸢クリ⸣ムノー サ⸢カル⸣ツォー [ʔu⸢ruʣun⸣nu ⸢jaːraʔaminaː⸣ru su̥⸢kuri⸣munoː sḁ⸢karu⸣ʦoː] (晩春から初夏にかけてのしとしとと降る小雨に<ぞ>農作物は生い茂る<盛る>ものだそうだ) 17283 0 1 17261 htmvoc_17283.wav ヤーラカスン ⸢ヤーラカスン [⸢jaːrakasuŋ] 他動 {Mn_1}柔らかくする。 ウ⸢シヌ⸣ ニコー ⸢コー⸣ンダ ⸢マンズイ⸣ヌ ⸣ナル イ⸢リティ ネーシ ヤーラカスンティ ベー⸣ンドゥ ⸢ヤーラカサラヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ nikoː ⸢koː⸣nda ⸢manʣui⸣nu ⸣naru ʔi⸢riti neːʃi jaːrakasunti beːn⸣du ⸢jaːrakasaranu] (牛の肉は硬いのでパパイヤの実を入れて煮て柔らかくしようとするが、柔らかく出来ない)。 ウ⸢レー ヤーラカシ ヤッ⸣サン [ʔu⸢reː jaːrakaʃi jas⸣saŋ] (それは柔らかくしやすい)。 ⸢ヤーラカス ムノー パー⸣ク ⸢ヤーラカシェー⸣ ミサムヌ [⸢jaːrakasu munoː paː⸣ku ⸢jaːrakaʃeː⸣ misamunu] (柔らかくするものは、早く柔らかくすればいいのに)。 ⸢ヤーラカシ⸣バ [⸢jaːrakaʃi⸣ba] (柔らかくせよ)。 17283 0 2 17262 htmvoc_17283.wav ヤーラカスン ⸢ヤーラカスン [⸢jaːrakasuŋ] 他動 {Mn_2}耕させる。土塊を打ち砕かせる。開墾させる。 ⸣ター ⸢ヤーラカスン [⸣taː ⸢jaːrakasuŋ] (田圃を耕させる{EOS}開墾させる)。 ア⸢ラシムラシ ヤーラカシ [ʔa⸢raʃimuraʃi jaːrakaʃi] (開墾した所の土塊を打ち砕かせよ) 17284 0 0 17263 htmvoc_17284.wav ヤーラガンズー ⸢ヤーラガンズー [⸢jaːraganʣuː] 名 外見は弱々しいが、案外丈夫な人。「柔ら頑丈」の義。 ⸢ヤーラガンズー⸣ティ ⸢シー⸣ アボー ⸢チョーミガフー⸣ シ⸢キ⸣ル ⸢オーッ⸣タ [⸢jaːraganʣuː⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔaboː ⸢ʧoːmigaɸuː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ru ⸢ʔoːt⸣ta] (弱々しい者が却って丈夫だという訳で、お母さんは長寿の果報を受けておられた) 17285 0 0 17264 htmvoc_17285.wav ヤーラキルン ⸢ヤーラキルン [⸢jaːrakiruŋ] 他動 やわらげる。柔らかくする。叩いて柔らくする。耕して柔らかくする。「~鬼神の心をやわらげ~。『源氏物語 若菜 下』」の転訛したものか。⸢ヤーラクンとも言う。 カ⸢ナパイ⸣シ ア⸢ラシコーシ ヤーラキルンティ ベーン⸣ドゥ ⸢ヤーラキララヌ [ka⸢napai⸣ʃi ʔa⸢raʃikoːʃi jaːrakirunti beːn⸣du ⸢jaːrakiraranu] (鍬で、開墾した畑の土塊を砕いて柔らかく耕そうとするが、細かに耕されない)。 ⸣キューズーナ ⸢ヤーラキル⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kjuːʣuːna ⸢jaːrakiru⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今日中に細かく耕すことは出来ない) 17286 1 0 17265 htmvoc_17286.wav ヤーラクン ⸢ヤーラクン [⸢jaːrakuŋ] 自動 {PoS_1}柔らかくなる。 ミ⸢ジ⸣ナ シ⸢キ⸣ スクカー ⸢ヤーラクン⸣カヤー [mi⸢ʤi⸣naː ʃi̥⸢ki⸣ su̥kukaː ⸢jaːrakuŋ⸣kajaː] (水に浸けておくと柔らかくなるかなあ)。 アー⸢イ ヤーラカヌ [ʔaː⸢ji jaːrakanu] (いや、柔らかくならない)。 ミ⸢ジ⸣ナ ス⸢クター ヤーラキナー⸣ヌ [mi⸢ʤi⸣na su̥⸢sukutaː jaːrakinaː⸣nu] (水に浸けたら柔らかくなって<やわらいで>しまった)。 ⸣プスイシ ⸢ヤーラク⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣pu̥suiʃi ⸢jaːraku⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (一日で柔らかくなる<やわらぐ>ことはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヤーラケー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢jaːrakeː⸣ misamunu] (早く柔らかくなればいいのに)。 17286 2 1 17266 htmvoc_17286.wav ヤーラクン ⸢ヤーラクン [⸢jaːrakuŋ] 他動 {PoS_2}{Mn_1}叩いて柔らかくする。やわらげる。 17286 2 2 17267 htmvoc_17286.wav ヤーラクン ⸢ヤーラクン [⸢jaːrakuŋ] 他動 {Mn_2}水田を耕す。打って捏ねる。 ⸣ター ⸢ヤーラクンティ シッ⸣パイ ⸢シーベー [⸣taː ⸢jaːrakunti ʃip⸣pai ⸢ʃiːbeː] (水田を耕そうと一生懸命にやっている)。 ⸣ター ⸢ヤーラクンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フイ ⸢ヤーラカラヌ [⸣taː ⸢jaːrakunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸui ⸢jaːrakaranu] (水田を粗打ち<荒ごなし>して耕そうと思うが、雨が降って耕されない)。 17286 2 3 17268 htmvoc_17286.wav ヤーラクン ⸢ヤーラクン [⸢jaːrakuŋ] 他動 {Mn_3}殴る。打ち据える。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カンバ ヤーラキ⸣ トゥ⸢ラ⸣シ [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kamba jaːraki⸣ tu⸢ra⸣ʃi] (親の言うことを聞かないから打ち据えてくれ)。 ⸣アイニ ⸢ヤーラク⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaini ⸢jaːraku⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (あのように打ち据えることはいけない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヤーラケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ⸢jaːrakeː⸣ misamunu] (もっと打ち据えればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヤーラキ [⸢paː⸣ku ⸢jaːraki] (早く打ち据えなさい) 17287 0 0 17269 htmvoc_17287.wav ヤーラビーラ ⸢ヤーラビーラ [⸢jaːrabiːraː] 名 病弱者。 ⸣トゥシ トゥ⸢ル⸣ター ⸢ヤーラビーラー⸣ ナリティ ナー⸢イ⸣ ニ⸢ビトゥーシル ブー⸣ パ⸢タラキ ユーサヌ [⸣tu̥ʃi tu⸢ru⸣taː ⸢jaːrabiːraː⸣ nariti naː⸢ji⸣ ni⸢bituːʃiru buː⸣ pḁ⸢taraki juːsanu] (年を取ったので、ずっと病弱で寝てばかりいる{EOS}働くことが出来ない<働けない>) 17288 0 0 17270 htmvoc_17288.wav ヤーラマシ ヤー⸢ラマ⸣シ [jaː⸢rama⸣ʃi] 副 そっと。やわらかに。おだやかに。 ギッ⸢ティ⸣ カ⸢サマンドー⸣シ ヤー⸢ラマ⸣シ カ⸢サミ⸣バ [git⸢ti⸣ ka⸢samandoː⸣ʃi jaː⸢rama⸣ʃi ka⸢sami⸣ba] (ぎゅっと強く掴まないで、そっと、柔らかく掴みなさいよ) 17289 0 0 17271 htmvoc_17289.wav ヤーラムタイ ⸢ヤーラムタイ [⸢jaːramutai] 名 ゆっくりと持ち上がること。徐々に成長すること。アッ⸢タムタイ[ʔat⸢tamutai](急激に持ち上げること{EOS}急成長)の対義語。アッ⸢タスーリ[ʔat⸢tasuːri](急成長)の対義語。 ⸢ヤーラムタイドゥ マームタイ⸣ティ ア⸢ズンダ アッ⸣タニ ⸢スーラン⸣ドーシ ⸢ヨーンナー スー⸣リ ⸣クー ⸣ムヌル ⸢ソームヌ [⸢jaːramutaidu maːmutai⸣ti ʔa⸢ʣunda ʔat⸣tani ⸢suːran⸣doːʃi ⸢joːnnaː suːri⸣ kuː ⸣munuru ⸢soːmunu] (ゆっくり成長する<持ち上げる>のが本当の成長<諺>というから、急激に成長しないで、ゆっくり成長してくるものが本物だよ) 17290 0 1 17272 htmvoc_17290.wav ヤーラムヌ ⸢ヤーラムヌ [⸢jaːramunu] 名 {Mn_1}柔らかい物。柔らかい食べ物。 ⸢コー⸣ムノー ッ⸢ふァイユーサンバ ヤーラムヌ⸣ ス⸢コーリ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸢koː⸣munoː f⸢faijuːsamba jaːramunu⸣ su̥⸢koːri⸣ f⸢fiːri] (硬いものは食べることが出来ないから、柔らかい食べ物を作ってくれ)。 17290 0 2 17273 htmvoc_17290.wav ヤーラムヌ ⸢ヤーラムヌ [⸢jaːramunu] 名 {Mn_2}病弱者。 ウ⸢ブヤン⸣ カ⸢カ⸣リティ ⸢ウンヌ⸣ アトーラー ⸢ヤーラムヌ⸣ ナリ シ⸢グトー シーユーサンバン [ʔu⸢bujaŋ⸣ kḁ⸢ka⸣riti ⸢ʔunnu⸣ ʔatoːraː ⸢jaːramunu⸣ nari ʃi⸢gutoː ʃiːjuːsanu] (大病に罹って、その後からは病弱者になって、仕事は出来ない<し得ない>わい) 17291 0 0 17274 htmvoc_17291.wav ヤーラヤーラーシ ヤー⸢ラヤーラー⸣シ [jaː⸢rajaːraː⸣ʃi] 副 柔らかく。柔らかに。優しく。「やわやわ(柔柔)と」の義。「~若やかにおほどかにて、やはやは<柔柔>とぞたをやぎたまへりし」『源氏物語 玉鬘』の転訛したものか。 ⸢コー⸣ムネー イ⸢ザンドー⸣シ ヤー⸢ラヤーラ⸣シ ⸣ムネー イ⸢ジ⸣バ [⸢koː⸣muneː ʔi⸢ʣandoː⸣ʃi jaː⸢rajaːra⸣ʃi ⸣muneː ʔi⸢ʤi⸣ba] (荒々しい物言い<「磽、己波志 コハシ」『新選字鏡』・物言い>をしないで優しく話しなさいよ) 17292 0 0 17275 htmvoc_17292.wav ヤーラヤーラヌ ヤー⸢ラヤーラヌ [jaː⸢rajaːranu] 連体 柔らかな。軟らかい。 ヤー⸢ラヤーラヌ⸣ ムヌ イ⸢ラ⸣ビ ⸣トゥリバ [jaː⸢rajaːranu⸣ munu ʔi⸢ra⸣bi ⸣turiba] (軟らかい物を選んで取りなさい) 17293 0 0 17276 htmvoc_17293.wav ヤーラヤン ⸢ヤーラヤン [⸢jaːrajaŋ] 名 だらだらと寝たり起きたりする病気。「柔ら病み」の義。 ウ⸢ブヤンマー⸣ ア⸢ラヌ⸣ヌ ⸢ヤーラヤンバ シー⸣ル ナー⸢イ⸣ ニ⸢ビッタリ⸣<ニ⸢ビッタル⸣> ウ⸢キッ⸣タリ<ウ⸢キッ⸣タル> ⸢シー ヨー⸣ル [ʔu⸢bujammaː⸣ ʔa⸢ranu⸣nu ⸢jaːrajamba ʃiːru⸣ naː⸢ji⸣ ni⸢bittari⸣ ʔu⸢kit⸣tari<ʔu⸢kit⸣taru> ⸢ʃiːjoː⸣ru] (重病ではないが、だらだら病をして、ただ寝たり起きたりしておられる) 17294 0 0 17277 htmvoc_17294.wav ヤーングマリ ⸢ヤーングマ⸣リ [⸢jaːŋguma⸣ri] 名 家に閉じこもること。引きこもり。「やこもり(家籠)」の義。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸣アイニ ⸢ヤーングマ⸣ル ⸢サンドー⸣シ ドゥ⸢シピライユン シー⸣バ [ba⸢kaː⸣mununu ⸣ʔaini ⸢jaːŋguma⸣ru ⸢sandoː⸣ʃi du⸢ʃibiraijuŋ ʃiː⸣ba] (若者だのに、あんなに家に閉じこもら<引き籠もら>ないで友達付き合いもしなさいよ) 17295 0 0 17278 htmvoc_17295.wav ヤイックラサー ヤイッ⸢クラサー [jaik⸢kurasaː] 感 えいこらさ。やっこらさ。重いものを力んで持ち上げる際に発することば。 バ⸢カー⸣ムヌンケーヤ ル⸢クトゥダー⸣ラン ヤイッ⸢クラサー⸣ティ ヤ⸢グイバ⸣ イ⸢レー⸣ティ カ⸢タ⸣ミ パ⸢リ⸣シタル [ba⸢kaː⸣munuŋkeːja ru⸢kutudaː⸣raŋ jaik⸢kurasaː⸣ti ja⸢guiba⸣ ʔi⸢reː⸣ti kḁ⸢ta⸣mi pa⸢ri⸣ʃitaru] (若者たちは六斗俵も、えいこらさと掛け声をかけ<入れ>ながら担いで行ったものだよ) 17296 0 0 17279 htmvoc_17296.wav ヤイッティ ヤイッ⸢ティ [jait⸢ti] 副 えいっと。さっと。がばっと。 グ⸢タイ⸣ヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ ノー⸢ンシェー⸣ル ⸣ムヌン ヤイッ⸢ティ⸣ カ⸢タ⸣ミ パ⸢リ⸣ス [gu⸢tai⸣nu ⸣kanai ⸢bunda⸣ noː⸢ŋʃeː⸣ru ⸣munuŋ jait⸢ti⸣ kḁ⸢ta⸣mi pa⸢ri⸣su] (体力<五体>が強い<叶っている>から、どのような物でも、えいっと担いでいくよ) 17297 0 0 17280 htmvoc_17297.wav ヤイブー ⸢ヤイブー [⸢jaibuː] 名 \ruby{舳先}{ヘ|サキ}に張る小さな帆。やほ(弥帆)。ナ⸢カ⸣プー[na⸢ka⸣puː](中帆)ともいう。三本マストの帆船によってカツオ漁業が操業された頃の小型の帆。「やほ(弥帆)」の転訛したもの。 ⸢プーシンヌ⸣ パ⸢ナイ⸣ナー タ⸢ティ⸣ル ⸢プーバル ヤイブー⸣ティ ⸢スー⸠ダー<ア⸢ズ⸠ダー> [⸢puːʃinnu⸣ pa⸢nai⸣naː tḁ⸢ti⸣ru ⸢puːbaru jaibuː⸣ti ⸢suː⸠daː<ʔa⸢ʣu⸠daː>] (帆船の舳先に立てる帆をヤイブーというのだよ) 17298 0 0 17281 htmvoc_17298.wav ヤイマ ⸢ヤイマ [⸢jaima] 名 (地)八重山。八重山群島。 ⸢ヤイマプス [⸢jaimapu̥su] (八重山の人)。 ⸢ヤイマムニ [⸢jaimamuni] (八重山言葉)。 ⸢ヤイマ⸣ナー イ⸢サナキ⸣ タ⸢キ⸣ドゥン ク⸢ル⸣シマ ク⸢モーマ⸣ イ⸢ラムティ⸣ パ⸢トゥ⸣マ パ⸢ティルマ⸣ パ⸢ナ⸣リ ユ⸢ノン⸣ドーレーヌ シ⸢マ⸣ヌ ⸣アン [⸢jaima⸣naː ʔi⸢sanaki⸣ tḁ⸢ki⸣duŋ ku⸢ru⸣ʃima ku⸢moːma⸣ ʔi⸢ramuti⸣ pḁ⸢tu⸣ma pḁ⸢tiruma⸣ pa⸢na⸣ri ju⸢non⸣doːreːnu ʃi⸢ma⸣nu ⸣ʔaŋ] (八重山には石垣島、竹富島、黒島、小浜島、西表島、鳩間島、波照間島、新城島、与那国島などがある) 17299 0 0 17282 htmvoc_17299.wav ヤイマピジルー ⸢ヤイマピジルー [⸢jaimapiʤiruː] 名 八重山人の渾名。「八重山人は薄情(冷淡)だ」という意味で、沖縄本島の人々が八重山人を揶揄した表現。 ウ⸢キナー⸣プソー ⸢ヤイマピジルー⸣ティ バ⸢ライヨール⸣ヌ ⸢ヤイマプスル⸣ キ⸢ムアツァー⸠ダー [ʔu⸢kinaː⸣pu̥soː ⸢jaimapiʤiruː⸣ti ʔa⸢ʣoːru⸣nu ⸢jaimapu̥suru⸣ ki⸢muʔaʦaː⸠daː] (沖縄の人は、「八重山薄情」と笑われるが、八重山人の方が人情は篤い<肝が篤い>のだよ) 17301 0 0 17283 htmvoc_17301.wav ヤイマプス ⸢ヤイマプス [⸢jaimapusu] 名 八重山の人。 ⸢ヤイマプスヌ⸣ ムネー ⸢ナン⸣ゾー フ⸢シェー ナーン⸣ティ ア⸢ザリ ブー [⸢jaimapu̥sunu⸣ muneː ⸢nan⸣ʣoː ɸu̥⸢ʃeː naːn⸣ti ʔa⸢ʣari buː] (八重山の人の言葉<物言い>には、あまり訛り<癖>がないといわれている) 17300 0 0 17284 htmvoc_17300.wav ヤイマムニ ⸢ヤイマムニ [⸢jaimamuni] 名 八重山の言葉(物言い)。八重山方言。⸣ムニ[⸣muni](ことば{EOS}物言い)は、「賢しみと物言従者<モノイフヨリハ>~。万、341」の連用形「モノイヒ」が転訛したもの。 ⸢ヤイマムネー⸣ シマジマ ム⸢ラカージ カウリス⸣ イ⸢サナキムネー⸣ シマカージヌ プ⸢スン⸣ シ⸢キシェー⸣ン [⸢jaimamuneː⸣ ʃimaʤima mu⸢rakaːʤi kaurisunu⸣ ʔi⸢sanakimuneː⸣ ʃimakaːʤinu pu̥⸢suŋ⸣ ʃi̥⸢kiʃeː⸣ŋ] (八重山方言は島々、村ごとに変わるが、石垣方言は、島ごとの人が理解できる<聞き得る>) 17302 0 0 17285 htmvoc_17302.wav ヤイヤイシ ⸢ヤイヤイ⸣シ [⸢jaijai⸣ʃi] 副 せっせと。さっさと。掛け声を掛けながら一生懸命に働くさま。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸢ヤイヤイ⸣シ キ⸢モーッ⸣サ ⸢マイカリ シー ベー [ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸢jaijai⸣ʃi ki⸢moːs⸣sa ⸢maikari ʃiːbeː] (若者たちはエイヤエイヤと掛け声を掛けながら、気持ちよさそうに一生懸命に稲刈りをしている) 17303 0 0 17286 htmvoc_17303.wav ヤイルパン ⸢ヤイルパン [⸢jairupaŋ] 名 八尋半の帆。八尋半の帆を有する大型帆船(櫂船) 17304 0 0 17287 htmvoc_17304.wav ヤイルプー ⸢ヤイルプー [⸢jairupuː] 名 八尋帆。大型帆船(櫂船)の八尋帆。 ⸢ヤイルプーバ⸣ ピ⸢キル⸣ ウ⸢キナー⸣タビ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢jairupuːba⸣ pi̥⸢kiru⸣ ʔu⸢kinaː⸣tabi ⸢soːt⸣taʦoː] (八尋帆を掛けて沖縄航海の旅をされたそうだ) 17305 0 0 17288 htmvoc_17305.wav ヤカ ⸣ヤカ [⸣jaka] 格助 ~より。~よりか。歌謡語。⸣ヨーカ[⸣joːka](より{EOS}よりか)ともいう。沖縄本島方言の転訛した形。普通の話し言葉では、⸣ラー[⸣raː](より{EOS}から)という。/インダ フクハマ シタハナリ フノーラジーヤカ マシヌジー/(伊武田、福浜、下離、舟浦地やか<より>ましぬ地)。鳩間節八連。『宮良當壮全集 18』 17306 0 0 17289 htmvoc_17306.wav ヤカタ ヤ⸢カ⸣タ [ja⸢ka⸣ta] 名 傍ら。そば(側)。わき(脇)。 ウ⸢ブヤー⸣ヌ ヤ⸢カ⸣タナ ⸢トー⸣ラ ス⸢ク⸣リバ [ʔu⸢bujaː⸣nu ja⸢ka⸣tana ⸢toː⸣ra su̥⸢ku⸣riba] (母屋の側に炊事小屋を作りなさいよ)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ヤ⸢カタ⸣ヌ ヤム⸢サー [⸢duː⸣nu ja⸢kata⸣nu jamu⸢saː] (体<胴体>の脇が痛むよ)。 ⸢ワー⸣ ヤ⸢カ⸣タナ ⸢ベー⸣ プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸢waː⸣ ja⸢ka⸣tana ⸢beː⸣ pu̥⸢soː taː⸣ja] (君の傍らにいる人は誰か) 17307 0 0 17290 htmvoc_17307.wav ヤカタバタ ヤ⸢カタ⸣バタ [ja⸢kata⸣bata] 名 わきばら(脇腹)。横腹。ミ⸢ザーバタ[mi⸢ʣaːbata](脇腹)ともいう。 ウ⸢シン⸣ ヤ⸢カタ⸣バタ キ⸢ラ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃiŋ⸣ ja⸢kata⸣bata ki⸢ra⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (牛に脇腹を蹴られて痛くて堪らない) 17308 0 0 17291 htmvoc_17308.wav ヤカタブニ ヤ⸢カタ⸣ブニ [ja⸢kata⸣buni] 名 人間の肋骨。あばらぼね。牛や豚など、家畜の肋骨に対しては、特に⸢ソーキ⸣ブニ[⸢soːki⸣buni](家畜の肋骨)という。 ⸣キーラ ⸣ウティティ ヤ⸢カタ⸣ブニ ⸣ブリ シ⸢ティナー⸣ヌ [⸣kiːra ⸣ʔutiti ja⸢kata⸣buni ⸣buri ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (木から落ちて肋骨を骨折して<折って>しまった)。 ビ⸢キドゥモー⸣ ヤ⸢カタ⸣ブニ プ⸢スム⸣トゥ タ⸢ラーン⸣ティ ア⸢ザリブー [bi⸢kidumoː⸣ ja⸢kata⸣buni pu̥⸢sumu⸣tu ta⸢raːn⸣ti ʔa⸢ʣaribuː] (男は肋骨が一本足りない<男は女性にだらしない>といわれている) 17309 0 0 17292 htmvoc_17309.wav ヤガティ ヤ⸢ガティ [ja⸢gati] 副 やがて。すぐさま。間もなく。現在の発話時点から未来にかけて時間的に短いことを表す。過去のある時点から未来に向けて、時間的に短いことを表す場合は、⸢ヤーティ[⸢jaːti](やがて)という。 シ⸢ナムノー⸣ タ⸢ナ⸣ミ ⸣シケーバ ヤ⸢ガティ⸣ クーンパジ [ʃi⸢namunoː⸣ ta⸢na⸣mi ⸣ʃi̥keːba ja⸢gati⸣ kuːm ⸣paʣi] (品物は頼んで<注文して>あるから、やがてクルでしょう<来るはずだ>) 17310 0 1 17293 htmvoc_17310.wav ヤガマサン ヤ⸢ガマ⸣サン [ja⸢gama⸣saŋ] 形 {Mn_1}やかましい(喧しい)。うるさい。カ⸢サマ⸣サン[kḁ⸢sama⸣saŋ](かしましい{EOS}騒々しい)、ン⸢ガマ⸣サン[ʔŋ⸢gama⸣saŋ](やかましい)ともいう。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ウ⸢ヤー⸣リ ⸢アイッツァー⸣シティ ヤ⸢ガマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢rabi⸣nu ʔu⸢jaː⸣ri ⸢ʔaitʦaː⸣ʃi̥ti ja⸢gamasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (子供が大声で喧嘩して、\ruby{喧}{ヤカマ}しくて\ruby{堪}{タマ}らない)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー ヤ⸢ガマ⸣サン [ja⸢rabi⸣nu na⸢ku⸣kaː ja⸢gama⸣saŋ] (子供が泣くとうるさい)。 マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢ガマサ ナー⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ja⸢gamasa naː⸣nu] (今はうるさくない)。 ヤ⸢ガマ⸣サー ッ⸢ふァー⸣ ミ⸢ナ⸣カー ン⸢ザ⸣シ [ja⸢gama⸣saː f⸢faː⸣ mi⸢na⸣kaː ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (うるさい子供は庭に出しなさい)。 17310 0 2 17294 htmvoc_17310.wav ヤガマサン ヤ⸢ガマ⸣サン [ja⸢gama⸣saŋ] 形 {Mn_2}気むずかしい。\ruby{厳}{キビ}しい。 ⸣アイニ ヤ⸢ガマ⸣サカー ⸢マーズン⸣ ブ⸢ララヌ [⸣ʔaini ja⸢gama⸣sakaː ⸢maːʣum⸣ bu⸢raranu] (あんなに気むずかしかったら一緒に居れない) 17311 0 1 17295 htmvoc_17311.wav ヤカリン ヤ⸢カリン [ja⸢kariŋ] 自動 {Mn_1}受身(焼かれる)。 ⸣ドゥク ⸢フンダイ シーベー⸣ティ ヤ⸢ブン⸣ ヤツ ヤ⸢カリティ⸣ ナ⸢キベー [⸣duku ⸢ɸundai ʃiː beː⸣ti ja⸢buɲ⸣ jaʦu ja⸢kariti⸣ na⸢kibeː] (あまりにも我が儘<勝手放題>をしているので、藪医者にお灸を据えられ<焼かれ>て泣いている)。 17311 0 2 17296 htmvoc_17311.wav ヤカリン ヤ⸢カリン [ja⸢kariŋ] 自動 {Mn_2}可能(焼ける{EOS}焼くことができる)。 ヌ⸢ブシヌ⸣ ヤツォー ⸢バン⸣ヌン ヤ⸢カリン [nu⸢buʃinu⸣ jaʦoː ⸢ban⸣nuŋ ja⸢kariŋ] (のぼせ<逆上せ>症に効くお灸は私にも\ruby{据}{ス}えられる<焼かれる>) 17312 0 0 17297 htmvoc_17312.wav ヤガンマテー ⸣ヤガンマテー [⸣jagammateː] 名 屋号。西原信一氏宅。「ヤガ姉さん宅」の義。 ⸢インタパナシケーヌ シー⸣ネーナール ⸣ヤガンマテーヤ ⸢アッ⸣タ [⸢ʔintapanaʃi̥keːnu ʃiː⸣neːnaːru ⸣jagammateːja ⸢ʔat⸣ta] (西の花城家の後ろ隣に<ぞ>西原信一氏宅はあった) 17313 0 0 17298 htmvoc_17313.wav ヤキ ヤ⸢キ [ja⸢ki] 名 熱病。マラリア。高熱を発し、体が激しく震える病気。「焼け」の義。 イ⸢クサ⸣ユーナ ⸢パイ⸣タナー ヒ⸢ナンバ シーベー⸣ティ ヤ⸢キ⸣ カ⸢カ⸣リ ⸢マーラシェー⸣ プ⸢スン⸣ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸢オー⸣ルン [ʔi⸢kusa⸣juːna ⸢pai⸣tanaː çi⸢namba ʃiː beː⸣ti ja⸢ki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ⸢maːraʃeː⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ja⸢masi̥⸣ka ⸢ʔoːru⸣ŋ] (戦争中に西表島<南端>に避難をしていて熱病<マラリア>に罹って亡くなられた人も多数おられる) 17315 0 0 17299 htmvoc_17315.wav ヤキイシ ヤ⸢キイシ [ja⸢kiʔiʃi] 名 やきいし(焼石)。おんじゃく(温石)。焼いた石を芭蕉の葉で包み、さらに布で巻いて患部を温めたり、産後の女性の腹部や腰部を温めたりした。 ヤ⸢キイシバ⸣ ッ⸢ス⸣ミティ ッ⸢ふァナシプス⸣ヌ ⸣バタ タ⸢ディ ッふィーリ⸣バ [ja⸢kiʔiʃiba⸣ s⸢su⸣miti f⸢fanaʃipu̥su⸣nu ⸣bata ta⸢di ffiːri⸣ba] (焼き石を包んで、産婦のお腹を湿布して<温めて>やりなさいよ) 17316 0 0 17300 htmvoc_17316.wav ヤキイン ヤ⸢キイン [ja⸢kiʔiŋ] 名 焼印。鉄火箸を焼いて家具や農具類に印をつけたもの。ヤ⸢キバン[ja⸢kibaŋ](焼き判)ともいう。 ⸢ドングペン⸣グナー ムー⸢ル⸣ ヤ⸢キイン⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢ベー [⸢doŋgupeŋ⸣gunaː muː⸢ru⸣ ja⸢kiʔiŋ⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢beː] (道具類には総て焼き印がつけられている) 17317 0 0 17301 htmvoc_17317.wav ヤキクガスン ヤ⸢キクガスン [ja⸢kikugasuŋ] 他動 焼き焦がす。 ⸢ピー⸣ヌ ⸢スー⸣ワカー ヤ⸢キクガスンダ⸣ ヤ⸢キクガサン⸣ヨーニ ⸣ピー ピ⸢キ [⸢piː⸣nu ⸢suː⸣wakaː ja⸢kikugasunda⸣ ja⸢kikugasaŋ⸣joːni ⸣piː pi̥⸢ki] (火が強いと焼き焦がすから、焼き焦がさないように火を弱くせ<火を引け>よ)。 イ⸢チンマー⸣ ヤ⸢キクガス⸣ クトー ⸢ナーヌ⸣ヌ ⸢クン⸣ドー ヤ⸢キクガシ ナー⸣ヌ [ʔi⸢ʧimmaː⸣ ja⸢kikugasu⸣ ku̥toː ⸢naːnu⸣nu ⸢kun⸣doː ja⸢kikugaʃi naː⸣nu] (いつもは焼き焦がすことはないが、今度は焼き焦がしてしまった)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢キクガシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢kikugaʃeː⸣ misamunu] (もっと焼き焦がせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢キクガシ [⸢paː⸣ku ja⸢kikugaʃi] (早く焼き焦がせ) 17318 0 0 17302 htmvoc_17318.wav ヤキクガラスン ヤ⸢キクガラスン [ja⸢kikugarasuŋ] 他動 胸を焦がす。思い焦がす。思い悩ませる。 ⸢タンガ⸣ッふァ イ⸢ク⸣サナ トゥ⸢ラ⸣リティ ブ⸢ネーヤ⸣ キ⸢ム⸣バ ヤ⸢キクガラシル オー⸣ル [⸢taŋga⸣ffa ʔi⸢ku⸣sana tu⸢ra⸣riti bu⸢neːja⸣ ki⸢mu⸣ba ja⸢kikugaraʃiru ʔoː⸣ru] (一人息子を戦争で失って<取られて>、母親は胸<肝>を焦がしておられる)。ッ⸢ふァヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ ナルカー ター⸢ン⸣ キモー ヤ⸢キクガラスン。⸣キム ヤ⸢キクガラサン⸣ ウヤー ⸢オーラ⸣ヌ[f⸢fanu⸣ bu⸢raːn⸣ narukaː taː⸢ŋ⸣ kimoː ja⸢kikugarasuŋ⸣。kimu ja⸢kikugarasaŋ⸣ ʔujaː ⸢ʔoːra⸣nu](子供が死ぬ<いなくなる>と誰でも胸を焦がすものだ{EOS}肝を焦がさない親は居られない) 17314 0 0 17303 htmvoc_17314.wav ヤキジマ ヤ⸢キジマ [ja⸢kiʤima] 名 マラリアの風土病がある島。かつて西表島や石垣島の北部一帯にマラリアが蔓延していた。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢キジマー⸣ パルカー ヤ⸢キ⸣ カ⸢カリ⸣シタル [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢kiʤimaː⸣ parukaː ja⸢ki⸣ kḁ⸢kari⸣ʃi̥taru] (昔は西表島や裏石垣へ行くとマラリアに罹患したものだ) 17319 0 0 17304 htmvoc_17319.wav ヤキダマ ヤ⸢キダマ [ja⸢kidama] 名 焼玉機関。一気筒の焼玉エンジンと二気筒の焼玉エンジンがあった。軽油を燃料とする漁船のエンジン。 パ⸢トゥ⸣マプソー ⸢ショーワヌ⸣ パ⸢ジミグル⸣ラ ヤ⸢キダマバ スイシキティ⸣ カ⸢ツシン ソーッ⸣タツォー [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː ʃoːwanu⸣ pa⸢ʤimiguru⸣ra ja⸢kidamaba suiʃi̥kiti⸣ kḁ⸢ʦuʃin soːt⸣taʦoː] (鳩間島の人は昭和のはじめ頃から焼玉機関を据え付けてカツオ漁業を操業されたそうだ) 17320 0 0 17305 htmvoc_17320.wav ヤキバイ ヤ⸢キバイ [ja⸢kibai] 名 ススキの原野を焼き払って枯らしたススキ。これを刈り取って燃料に使用した。ススキの原野は焼き払っても、後から新芽が出てくる。焼畑開墾をする際、まずススキの原野を焼き払い、⸢ユシ⸣キムトゥ[⸢juʃi̥⸣kimutu](ススキの根株)を⸢コーシティ[⸢koːʃi̥ti](掘り起こして)からア⸢ラシ[ʔa⸢raʃi](新開地)を⸢アコーッ⸣タ[ʔa⸢koːt⸣ta](開墾された<開けられた>)。 ヤ⸢キバイ⸣ スリクーバ [ja⸢kibai⸣ surikuːba] (焼き払った原野のススキを刈り取ってきなさいよ) 17321 0 0 17306 htmvoc_17321.wav ヤキパシ ヤ⸢キパシ [ja⸢kipasi] 名 焼き箸。法事のウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi](紙銭)を燃やす際に用いる、生のススキで作った箸。 ヤ⸢キパシ⸣シ パ⸢サ⸣ミティ ウ⸢ティン⸣ガビ ヤ⸢キ⸣ ア⸢ギオーシ [ja⸢kipaʃi⸣ʃi pḁ⸢sa⸣miti ʔu⸢tiŋ⸣gabi ja⸢ki⸣ ʔa⸢giʔoːʃi] (焼き箸で挟んで紙銭を焼いて差し上げなさい) 17322 0 0 17307 htmvoc_17322.wav ヤキバル ヤ⸢キバル [ja⸢kibaru] 名 やきばり(焼鍼)。焼き針。焼針療法。ひばり(火針)。ヤ⸢キパル[ja⸢kiparu](焼き針)ともいう。腫れ物を\ruby{潰}{ツブ}す際に用いる\ruby{灼熱}{シャク|ネツ}した針。針の先を炎で焼いて消毒したもの。糸満からのヤ⸢ブカティ[ja⸢bukati](民間療法の経験)のある寄留漁民によってもたらされた民間療法。 フ⸢チヌ ナー⸣ン ア⸢シ⸣ボー ヤ⸢キバル⸣シ ⸢ピッ⸣キ ⸢アーシ⸣バ [ɸu̥⸢ʧinu naː⸣ŋ ʔa⸢ʃi⸣boː ja⸢kibaru⸣ʃi ⸢pik⸣ki ⸢ʔaːʃi⸣ba] (口のない腫れ物は、焼き針で突いて\ruby{潰}{ツブ}しなさいよ) 17323 0 0 17308 htmvoc_17323.wav ヤキバン ヤ⸢キバン [ja⸢kibaŋ] 名 焼き判。ヤ⸢キイン[ja⸢kiʔiŋ](焼き印)ともいう。 ク⸢レー バン⸣テヌ ヤ⸢キバン⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢ベー⸣ンダ ⸢バン⸣テヌ ⸢ドング⸣ユン [ku⸢reː ban⸣tenu ja⸢kibaŋ⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢beː⸣nda ⸢ban⸣tenu ⸢doŋgu⸣juŋ] (これは、私の家の焼き判が付けられているから、私の家の道具だよ) 17324 0 0 17309 htmvoc_17324.wav ヤキマース ヤ⸢キマース [ja⸢kimaːsu] 名 焼き塩。焼いた塩をピ⸢ル[pi⸢ru](大蒜)と混ぜて潰し、臍に被せて腹痛や下痢の薬としたり、それを傷口に添えて包み、破傷風の予防薬とした。民間療法の一つ。 ヤ⸢キマーストゥ⸣ ピ⸢ル シッ⸣キティ キ⸢ジフチ⸣ナー ア⸢ティティ⸣ ッ⸢ス⸣ミ ⸣スクカー キ⸢ジェー ノー⸣ルン [ja⸢kimaːsutu⸣ pi⸢ru ʃik⸣kiti ki⸢ʤiɸu̥ʧi⸣naː ʔa⸢titi⸣ s⸢su⸣mi ⸣su̥kukaː ki⸢ʤeː noː⸣ruŋ] (焼き塩と大蒜を搗き潰して傷口に当てて包んでおくと傷は治るよ) 17325 0 0 17310 htmvoc_17325.wav ヤキムチ ヤ⸢キムチ [ja⸢kimuʧi] 名 焼餅。焼いた餅。 ⸢プール⸣ムチ ヤ⸢キティ⸣ ヤ⸢キムチ スー⸣カー ン⸢マー⸣ン [⸢puːru⸣muʧi ja⸢kiti⸣ ja⸢kimuʧi suː⸣kaː ʔm⸢maː⸣ŋ] (豊年祭の餅を焼いて焼餅にすると美味しいよ) 17326 0 0 17311 htmvoc_17326.wav ヤキムヌ ヤ⸢キ⸣ムヌ [ja⸢ki⸣munu] 名 焼き物。陶器。 マ⸢カ⸣ル ⸣サバンドーレーヌ ヤ⸢キ⸣ムノー ウ⸢キ⸣ナーラル ⸢カイヨーッ⸣タ [ma⸢ka⸣ru ⸣sabandoːreːnu ja⸢ki⸣munoː ʔu⸢ki⸣naːraru ⸢kaijoːt⸣ta] (飯碗、茶碗などの焼き物<陶器>類は、沖縄から<ぞ>買われた) 17327 0 0 17312 htmvoc_17327.wav ヤキムヌヤー ヤ⸢キ⸣ムヌヤー [ja⸢ki⸣munujaː] 名 陶磁器店。陶器工房。 「焼き物屋」の義。 パ⸢トゥ⸣マナー ヤ⸢キ⸣ムヌヤーヤ ⸢ナー⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣manaː ja⸢ki⸣munujaːja ⸢naː⸣nu] (鳩間島には焼き物屋はない) 17328 0 1 17313 htmvoc_17328.wav ヤギラー ⸣ヤギラー [⸣jagiraː] 名 {Mn_1}痩せっぽち。ひどく痩せた人。多少卑下した表現。⸢ヨーガラー[⸢joːgaraː](痩せた人)よりも痩せた人。⸢ヨーガラー[⸢joːgaraː](痩せた人)、⸢ヨーガレー[⸢joːgareː](痩せた人)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ヤギラー ⸢ヤッタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸣カイニ ⸣パンタレー ⸣ナリティ ⸢ミーッサラ⸣ヌ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣jagiraː ⸢jattanu⸣ ma⸢na⸣maː ⸣kaini ⸣pantareː ⸣nariti ⸢miːssara⸣nu] (昔はひどく痩せたやせっぽちだったが、今はこんなに太っちょになって、誰だか見分けられない<見知られない{EOS}判別できない>)。 17328 0 2 17314 htmvoc_17328.wav ヤギラー ⸣ヤギラー [⸣jagiraː] 名 {Mn_2}固有名詞。 ⸢ウン⸣ネナー ⸣ヤギラザーティ ⸢スー⸣ プ⸢スヌ オーッ⸣タン [⸢ʔun⸣nenaː ⸣jagiraʣaːti ⸢suː⸣ pu̥⸢sunu ʔoːt⸣taŋ] (あの家にヤギラー兄さんという人がおられた) 17329 0 0 17315 htmvoc_17329.wav ヤギルン ヤ⸢ギルン [ja⸢giruŋ] 自動 痩せる。普通は、⸢ヨーガルン[⸢joːgaruŋ](痩せる)という。 ⸣イー ッ⸢ふァーン⸣カー ヤ⸢ギルンダ⸣ ヤ⸢ギラン⸣ヨーニ イ⸢ジン⸣ジ ⸢クンキシキ⸣ムヌ ッ⸢ふァイ⸠ツォー [⸣ʔiː f⸢faːŋ⸣kaː ja⸢girunda⸣ ʔi⸢ʤin⸣ʤi ⸢kuŋkiʃi̥ki⸣munu f⸢fai⸠ʦoː] (ご飯を食べないと痩せるから、痩せないように、頑張って<意地を出して>滋養物を食べなさいよ)。 ヤ⸢ギリティ ウーキユーサ⸣ヌ [ja⸢giriti ʔuːkijuːsa⸣nu] (痩せて動けない)。 ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァーバン⸣ ヤ⸢ギル⸣ クトー ア⸢リ⸣ブ [ʔm⸢maː⸣munu f⸢faːbaŋ⸣ ja⸢giru⸣ ku̥toː ʔa⸢ri⸣bu] (美味しいものを食っても痩せることはあるよ)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢ギレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢gireː⸣ misamunu] (もっと痩せればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢ギリ [⸢paː⸣ku ja⸢giri] (早く痩せろ) 17330 0 1 17316 htmvoc_17330.wav ヤク ⸣ヤク [⸣jaku] 名 {Mn_1}役に立つ。有効に働く。使って効果がある。 ⸢ウンザー⸣ スブットゥ ヤ⸢ルンダ⸣ ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ subuttu ja⸢runda⸣ jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (あいつは怠け者だから役に立たない)。 17330 0 2 17317 htmvoc_17330.wav ヤク ⸣ヤク [⸣jaku] 名 {Mn_2}役職。役目。 ⸢クン⸣ドー ⸢ヌー⸣ヌ ヤ⸢ク⸣バ タ⸢ボーラ⸣レーカヤー [⸢kun⸣doː ⸢nuː⸣nu ja⸢ku⸣ba ta⸢boːra⸣reːkajaː] (今度は何の役職を頂いたのかなあ) 17331 0 0 17318 htmvoc_17331.wav ヤク ⸣ヤク [⸣jaku] 名 かい(櫂)。船具の一つ。巾約10センチ。長さ約100センチの、舟を漕ぐ道具。上半分を丸くけずり、下半分を平たく削ったもの。トゥ⸢ム⸣ヤク[tu⸢mu⸣jaku](艫の櫂{EOS}舵取りの機能を持つ大きな櫂)、⸢マイ⸣ヤク[⸢mai⸣jaku](前乗りの使う櫂{EOS}トゥ⸢ム⸣ヤクより一回り小さな櫂)、ヤ⸢コー⸣マ[ja⸢koː⸣ma](小さな櫂{EOS}⸢ピーヌール{SqBr}⸢piːnuːru{/SqBr}<\ruby{舳乗}{ヘ|ノリ}>が使う櫂)、⸢パーレー⸣ヤク[⸢paːreː⸣jaku](爬竜船漕ぎの櫂)などがある。 ⸣バー ⸣ヤク クイ⸢シェー⸣ン [⸣baː ⸣jaku kui⸢ʃeː⸣ŋ] (私は櫂で舟が漕げる<櫂を漕ぐことができる>) 17332 0 0 17319 htmvoc_17332.wav ヤグイ ヤ⸢グイ [ja⸢gui] 名 掛け声。田を耕す時に掛ける掛け声。「や声」『太平記』の転訛したもの。棒術の演武の際に発する掛け声。老年層は⸢ヤングイ[⸢jaŋgui](掛け声)ともいう。 ⸣ユージェヌ ⸣イーヤー ⸣ター ⸢カイ⸣ソール ⸣ピンマー ⸢ヘイヤー ヘイヤアー⸣ティ ヤ⸢グイバ⸣ カケーティル ⸢カイ⸣ソーッタ⸢ダー [⸣juːʤeːnu ⸣ʔiːjaː ⸣taː ⸢kai⸣soːru ⸣pimmaː ⸢heijaː heijaː⸣ti ja⸢guiba⸣ kḁkeːtiru ⸢kai⸣soːtta⸢daː] (松竹のお父さんたちは、田圃を耕される時は、ヘイヤーヘイヤーと掛け声を掛けて<ぞ>耕されたものだ)。 ⸣バウ ウ⸢トー⸣ル ⸣ピンマー ⸢ヒ⸣ヤー ⸢ユイ⸣ティル ヤ⸢グイヤー⸣ カ⸢コーッ⸣タ [⸣bau ʔu⸢toː⸣ru ⸣pimmaː ⸢çi⸣jaː ⸢jui⸣tiru ja⸢guijaː⸣ kḁ⸢koːt⸣ta] (棒術を演武さ<棒を打た>れる時はヒヤーユイと掛け声を掛れたものだ) 17333 0 0 17320 htmvoc_17333.wav ヤクサ ヤ⸢ク⸣サ [ja⸢ku⸣sa] 名 村役人の役職名。⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](⸢総代」の義{EOS}部落会長に相当する)の下で村行事に従事する人。西村、東村からそれぞれ一人ずつ選出され、その年の村行事、神行事の一切を、その部下の⸢ザーアタ⸣ル[⸢ʣaːʔata⸣ru](座敷係)、⸢ジンバイ[⸢ʣimbai](お膳係)などと一緒に、彼らを指導しながら執り行った。神事に必要な供物の諸準備、後片付けなどは仕事の中でも重要なものであった。 ヤ⸢ク⸣サンケーヤ グ⸢サークマイ⸣ヤー ⸢ヌンガーリ⸣ソーッタ [ja⸢ku⸣saŋkeːja gu⸢saːkumai⸣jaː ⸢nuŋgaːri⸣soːtta] (ヤクサの方々は神事用の五勺米は\ruby{免除}{メン|ジョ}されておられた) 17334 0 0 17321 htmvoc_17334.wav ヤグサミ ヤ⸢グサミ [ja⸢gusami] 名 やもめ(寡{EOS}寡婦)。やもお(寡男)。男女の独身者。「~寡婦<和名夜毛女>」『和名抄』の転訛したものか。沖縄本島方言からの借用語。 ブ⸢トゥヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ ミ⸢ドゥ⸣ム トゥ⸢ジヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣ ビ⸢キドゥムバ⸣ル ヤ⸢グサミ⸣ティ ア⸢ズ⸠ダー [bu⸢tunu⸣ bu⸢raːm⸣ mi⸢du⸣mu tu⸢ʤinu⸣ bu⸢raːm⸣ bi⸢kidumubaru⸣ ja⸢gusami⸣ti ʔa⸢ʣu⸠daː] (夫を失った女、妻を失った男を<ぞ>ヤグサミ<やもめ>というのだよ) 17335 0 0 17322 htmvoc_17335.wav ヤクスク ヤ⸢クスク [ja⸢kusu̥ku] 名 約束。「Yacusocu.ヤクソク(約束) 約束、あるいは、協定.Yacusoku suru(約束する)」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ⸣クズ カ⸢ラシタ ジン⸣マー ア⸢ツァバー⸣キナ ⸢カイ⸣ス ヤ⸢クスク⸣ ヤ⸢リバ バスクナ⸣ダー [⸣kuʣu ka⸢raʃi̥ta ʤim⸣maː ʔa⸢ʦabaː⸣kina ⸢kai⸣su ja⸢kusu̥ku⸣ ja⸢riba basu̥kuna⸣daː] (去年貸したお金は明日までに返す約束だから、忘れるなよ) 17336 0 0 17323 htmvoc_17336.wav ヤクタトゥン ⸣ヤク ⸣タトゥン [⸣jaku ⸣tḁtuŋ] 連 役に立つ。 バ⸢カーン⸣ケンナ シゥ⸢カイトゥ ビンキョー シー⸣ スクカー ⸣アトゥアトー イッ⸢ケナ⸣ ヤク タトゥン⸢ダー [ba⸢kaːŋ⸣kennaː si̥kai⸢tu biŋkjoː ʃiː⸣ su̥kukaː ⸣ʔatuatoː ʔik⸢kena⸣ jaku tatun⸢daː] (若い時にしっかり勉強しておくと、あとあと非常に役に立つよ) 17337 0 0 17324 htmvoc_17337.wav ヤクドゥシ ヤ⸢ク⸣ドゥシ [ja⸢ku⸣duʃi] 名 厄年。「厄、ヤク、十三、二十五、三十七、四十九、六十一、七十三、八十五、九十七、之を厄年と謂ふ」『色葉字類抄』の転訛したもの。 ヤ⸢クドゥシ⸣ヌ プ⸢ソー⸣ ユー チ⸢チシメー⸣ティル ノー⸢ン スー⸣ダー [ja⸢kuduʃi⸣nu pu̥⸢soː⸣ juː ʧi̥⸢ʧiʃimeː⸣tiru noː⸢n suː⸣daː] (厄年の人は、慎み深くして何事をもするのだよ) 17338 0 0 17325 htmvoc_17338.wav ヤクニン ヤ⸢ク⸣ニン [ja⸢ku⸣niŋ] 名 役人。 ヤ⸢クニン⸣マー ⸢オーデー⸣ル ⸣プスティン ア⸢ゾー⸣リ イ⸢サナキプスンドゥ ゴー⸣ラー ナ⸢ローッ⸣タ [ja⸢kinim⸣maː ⸢ʔoːdeː⸣ru ⸣pu̥sutiŋ ʔa⸢ʣoː⸣ri ʔi⸢sanakipu̥sundu goː⸣raː na⸢roːt⸣ta] (役人は、内裏人<役所勤務人>ともいわれ、石垣の人が多く就任され<なられ>た) 17339 0 0 17326 htmvoc_17339.wav ヤクヌンガーリ ヤ⸢クヌンガー⸣リ [ja⸢kunuŋgaː⸣ri] 名 めんえき(免役)。免職。退職。「\ruby{役免}{ヤク|マヌガ}れ」の義。 ⸢ウイ⸣プス ナ⸢ローッ⸣ター ヤ⸢クヌンガー⸣リ ⸢シー オー⸣ルツォー [⸢ʔui⸣pu̥su na⸢rot⸣taː ja⸢kunuŋgaː⸣ri ⸢ʃiː ʔoː⸣ruʦoː] (年寄りになられたので退職しておられるそうだ) 17340 0 0 17327 htmvoc_17340.wav ヤクバ ヤ⸢ク⸣バ [ja⸢ku⸣ba] 名 役場。 パ⸢トゥ⸣マプスナー ヤ⸢クバ⸣ヌ ジョ⸢ヤクバー⸣キ シ⸢トゥ⸣モーレー プ⸢ソー⸣ マイクメーヌ ⸢セイショーザー タン⸣ガ⸢ダー [pḁ⸢tu⸣mapu̥sunaː ja⸢kuba⸣nu ʤo⸢jakubaː⸣ki ʃi̥⸢tu⸣moːreː pu̥⸢soː⸣ maikumeːnu ⸢ʃeiʃoːʣːa taŋ⸣ga⸢daː] (鳩間の人で役場の助役まで勤められた人は、前小浜家の正昌兄さんただ一人だよ) 17341 0 0 17328 htmvoc_17341.wav ヤクバライ ヤ⸢ク⸣バライ [ja⸢ku⸣barai] 名 厄払い。厄は、単独では⸣ヤフ[⸣jaɸu](厄)というが、複合語では、ヤ⸢ク⸣バライ[ja⸢ku⸣barai](厄払い)となって、原音の[ku]が現れる。ア⸢フ[ʔa⸢ɸu](灰汁{EOS}「灰汁、阿久<あく>」『和名抄』)がア⸢クヌキ[ʔa⸢kunuki](灰汁抜き)となるのも同じ。 サ⸢カサヌ⸣ アッパー タ⸢ナ⸣ミティ ヤ⸢クバライ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ シ⸢ミオーシ [sḁ⸢kasanu⸣ ʔappaː ta⸢na⸣miti ja⸢kubarai⸣nu ⸢niŋ⸣gai ʃi⸢miʔoːʃi] (司<神職者>のおばあさんを頼んで厄払いの祈願をして頂きなさい<させて差し上げなさい>) 17342 0 0 17329 htmvoc_17342.wav ヤクメー ヤ⸢ク⸣メー [ja⸢ku⸣meː] 名 兄貴。兄さん。老年層のことば。老年層の男性同士が飲酒の座で互いを呼び合う際に使用していた。「親雲上」の転訛した語であろう。 ヤ⸢クメー⸣ ヌ⸢モー⸣ラ⸢ツォー [ja⸢kumeː⸣ nu⸢moː⸣ra⸢ʦoː] (兄貴、飲みましょうよ) 17343 0 1 17330 htmvoc_17343.wav ヤクン ヤ⸢クン [ja⸢kuŋ] 他動 {Mn_1}焼く。「~野をばな夜吉曾<やきそ>~。万、3452」の義。「焚、保須、阿夫留、又、也久(やく)」『新選字鏡』の転訛したもの。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸣ッサ ヤ⸢キティ カイ⸣シバ [pḁ⸢taki⸣nu ⸣ssa ja⸢kiti kai⸣ʃiba] (畑の草を焼いて耕しなさいよ)。 ⸣ッサ ヤ⸢ク⸣ ピンマー ア⸢ザ⸣バライ ⸢シー⸣ヨー [⸣ssa ja⸢ku⸣ pimmaː ʔa⸢ʣa⸣barai ⸢ʃiː⸣joː] (草を焼く時は畦の草刈をしなさいよ)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢ケー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢keː⸣ misamunu] (もっと焼けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢キ⸣バ [⸢paː⸣ku ja⸢ki⸣ba] (早く焼けよ)。 17343 0 2 17331 htmvoc_17343.wav ヤクン ヤ⸢クン [ja⸢kuŋ] 他動 {Mn_2}お灸を据える<焼く>。 ⸣ヤツ ヤ⸢クンティ スンドゥ バン⸣マー ⸣ヤツォー ヤ⸢カラヌ [⸣jaʦu ja⸢kunti sundu bam⸣maː ⸣jaʦoː ja⸢karanu] (お灸を据えよう<焼こう>とするが、私にはお灸を据えられ<焼かれ>ない) 17344 0 0 17332 htmvoc_17344.wav ヤケーラ ヤ⸢ケーラ [ja⸢keːra] 名 マラリア患者の、腫れて硬くなった肝臓。 ヤ⸢ケーラ⸣ ウ⸢ク⸣リティ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ッシ ヤム⸢サー [ja⸢keːra⸣ ʔu⸢ku⸣riti ba⸢ta⸣nu ⸣ʃʃi jamu⸢saː] (マラリアの病気<焼き腹>が発症し<起こっ>てお腹が差し込むように痛むよ) 17345 0 0 17333 htmvoc_17345.wav ヤコータタヌ ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [⸣jakoː tḁ⸢ta⸣nu] 連 役に立たない。 ⸢ウンザー ンーナッふァイ⸣ カー⸢ニ⸣ シ⸢ティ⸣ ヤコー タ⸢タ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː ʔnːnaffai⸣ kaː⸢ni⸣ ʃi̥⸢ti⸣ jakoː tḁ⸢ta⸣nu] (あいつは無駄飯だけ食って約に立たない) 17346 0 0 17334 htmvoc_17346.wav ヤコーマ ヤ⸢コー⸣マ [ja⸢koː⸣ma] 名 小さな\ruby{櫂}{カイ}。⸢ピーヌール[⸢piːnuːru](\ruby{舳先}{ヘ|サキ}に乗る人{EOS}⸢舳乗」の転訛したものか)や、⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬龍船)の漕ぎ手たちが使う小型の櫂。 ⸢パーレー⸣ヤコー ヤ⸢コーマ⸣ル シゥ⸢カイヨー⸣ル [⸢paːreː⸣jakoː ja⸢koːma⸣ru si̥⸢kaijoː⸣ru] (爬龍船の櫂は小型の櫂を使われる) 17347 0 0 17335 htmvoc_17347.wav ヤゴーマー ⸣ヤゴーマー [⸣jagoːmaː] 名 歪んだもの。 ク⸢ヌ キー⸣ヤ ⸣ヤゴーマー ⸣ナリティ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢nu kiː⸣ja ⸣jagoːmaː ⸣nariti si̥⸢kaːranu] (この木は曲りものになって使えない) 17348 0 0 17336 htmvoc_17348.wav ヤゴーマスン ヤ⸢ゴーマスン [ja⸢goːmasuŋ] 他動 歪める。「歪ます」の義。 フ⸢チ⸣ ヤ⸢ゴーマスンティ スンド⸣ ヤ⸢ゴーマサラヌ [ɸu̥⸢ʧi⸣ ja⸢goːmasunti sundu⸣ ja⸢goːmasaranu] (口を歪めようとするが、歪められない)。 ヤ⸢ゴーマシ⸣ ミサカー ヤ⸢ゴーマス⸣ クトー ⸣ナルン [ja⸢goːmaʃi⸣ misakaː ja⸢goːmasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (歪めてもよければ歪めることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢ゴーマシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢goːmaʃeː⸣ misamunu] (もっと歪めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢ゴーマシ⸣バ [⸢paː⸣ku ja⸢goːmaʃi⸣ba] (早く歪めなさいよ) 17349 0 0 17337 htmvoc_17349.wav ヤゴーミカゴーミ ヤ⸢ゴーミ⸣カゴーミ [ja⸢goːmi⸣kagoːmi] 副 曲がりくねって。ぐにゃぐにゃに歪んで。ABCDEBCD型の重言。 ヤ⸢ゴーミ⸣カゴーミ ス⸢ク⸣リ ⸣シケール ⸣ムヌ ⸣ミルカー ⸢サッ⸣コー ⸢ティー⸣ フ⸢コー⸣バン ⸣ヌヤー [ja⸢goːmi⸣kagoːmi su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keːru ⸣munu ⸣mirukaː ⸢sak⸣koː ⸢tiːɸu̥koː⸣ban ⸣nujaː] (曲がりくねって造ってあるのを見ると、ひどい下手くそだよ{EOS}なんてこともない) 17350 0 0 17338 htmvoc_17350.wav ヤゴームン ヤ⸢ゴームン [ja⸢goːmuŋ] 自動 歪む。曲がる。「喎、ユガム」『類聚名義抄』のa、u音位転倒により、[juga・amu] → [jagu・amu] → [jagoːmuŋ] と転訛したものか。 フ⸢チェー⸣ ヤ⸢ゴーミティ⸣ ナ⸢キ ベー [ɸu̥⸢ʧeː⸣ ja⸢goːmiti⸣ na⸢ki beː] (口は歪んで泣いている)。 シ⸢ラ⸣ヌ ヤ⸢ゴームン⸣ケン ピ⸢キスクンドゥ⸣ ヤ⸢ゴーマヌ [ʃi⸢ra⸣nu ja⸢goːmuŋ⸣kem pi̥⸢kisu̥kundu⸣ ja⸢goːmanu] (顔<面>が歪むほど引っ張るが、歪まない)。 ヤ⸢ゴーム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢goːmu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (歪むことはない)。 ヤ⸢ゴーメー⸣ ミサムヌ [ja⸢goːmeː⸣ misamunu] (歪めばいいのに)。 ヤ⸢ゴーミ [ja⸢goːmi] (歪め) 17351 0 1 17339 htmvoc_17351.wav ヤコン ⸣ヤコン [⸣jakoŋ] 名 {Mn_1}やかん(薬缶)。湯沸し。⸣ヤッコン[⸣jakkoŋ](薬缶)ともいう。カ⸢ニヤコン[ka⸢nijakoŋ](鉄製の湯沸かし)、⸣ブラヤコン[⸣burajakoŋ](法螺貝で作った湯沸し)、⸢サー⸣ブラ[⸢saː⸣bura](法螺貝の湯沸し)などがある。 ⸣ヤコンナー ⸢ティンシー⸣ イ⸢リティ⸣ ユー フ⸢カ⸣シ [⸣jakonnaː ⸢tiŋʃiː⸣ ʔi⸢riti⸣ juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi] (薬缶に天水を入れて湯を沸かせ) 17351 0 2 17340 htmvoc_17351.wav ヤコン ⸣ヤコン [⸣jakoŋ] 名 {Mn_2}大きな睾丸。フィラリアに\ruby{罹}{カカ}って睾丸が肥大化したもの。 ⸣クサ カ⸢カ⸣リティ ⸣ヤコン ⸣ナリ ⸢ベー [⸣ku̥sa kḁ⸢ka⸣riti ⸣jakon ⸣nari ⸢beː] (フィラリアに\ruby{罹患}{リ|カン}して大きな睾丸になっている) 17352 0 0 17341 htmvoc_17352.wav ヤサイ ⸣ヤサイ [⸣jasai] 名 野菜。標準語からの借用語。普通は、⸢アウナー[⸢ʔaunaː](青菜)、⸢ナーン⸣パー[⸢naːm⸣paː](菜っ葉)のようにいう。⸢パーヤサイ[⸢paːjasai](葉野菜)のなかには、タ⸢マ⸣ナー[ta⸢ma⸣naː](キャベツ)、シ⸢マ⸣ナー[ʃi⸢ma⸣naː](たかな)、ハ⸢ク⸣サイ[hḁ⸢ku⸣sai](白菜)、⸢パン⸣ダマ[⸢pan⸣dama](すいぜんじな)、⸢シー⸣ソー[⸢ʃiː⸣soː](紫蘇)、⸢ニン⸣ジンキョー[⸢nin⸣ʤiŋkjoː](ウイキョウ<茴香>)、サ⸢クナ[sḁ⸢kuna](長命草)、ン⸢ガ⸣ナ[ŋ⸢ga⸣na](苦菜)、⸢ソーキナー[⸢soːkinaː](不断草)、⸣チサ[⸣ʧi̥sa](ちしゃ)、⸢シンギ⸣ク[⸢ʃiŋgi⸣ku](しゅんぎく)、⸣ウンツァイ[⸣ʔunʦai](えんさい)、シ⸢ビラ[ʃi⸢bira](わけぎ<分葱>)、⸣ビラ[⸣bira](にら)などがある。その他に、⸢クース[⸢kuːsu](唐辛子)、ピ⸢ル[pi⸢ru](にんにく)、⸢ラッ⸣キョー[⸢rak⸣kjoː](らっきょう)、シ⸢ブル[ʃi⸢buru](冬瓜)、カ⸢ブッチ[ka⸢butʧi](南瓜)、ナ⸢ベー⸣ラ[na⸢beː⸣ra](ヘチマ<糸瓜>)、⸢ウー⸣ル[⸢ʔuː⸣ru](きゅーり<瓜>)、ナ⸢サ⸣ビ[na⸢sa⸣bi](なす<茄子>)、⸢ゴー⸣ヤ[⸢goː⸣ja](苦瓜)、⸢ダイ⸣クニ[⸢dai⸣kuni](大根)、⸢キンダイクニ[⸢kindaikuni](にんじん<人参>)、などがある。 ⸣ヤサイパタキ [⸣jasaipataki] (野菜畑)。 ⸢パーヤサイ [⸢paːjasai] (葉野菜)。ナ⸢リ⸣ムヌヤサイ[na⸢ri⸣munujasai](生り物野菜)などがある。 ⸣シンタヌ カ⸢ク⸣ナー ⸣ヤサイ ス⸢ク⸣リ ⸣シケー [⸣ʃintanu kḁ⸢ku⸣naː ⸣jasai su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keː] (後ろの屋敷に野菜を作ってある) 17353 0 0 17342 htmvoc_17353.wav ヤシ ⸣ヤシ [⸣jaʃi] 名 椰子。 ナ⸢カン⸣ブレーナ ヤ⸢シ⸣ヌ シン⸢トゥ⸣ プ⸢スム⸣トゥ ⸣ムイ ⸢ベー⸣ン [na⸢kam⸣bureːna ja⸢ʃi⸣nu ʃin⸢tu⸣ pu̥⸢sumu⸣tu ⸣mui ⸢beː⸣ŋ] (中岡<中森>に椰子の木がたった一本生えている) 17354 0 0 17343 htmvoc_17354.wav ヤシーヤシー ヤ⸢シーヤシー [ja⸢ʃiːjaʃiː] 名 易々と。たやすく。 ウ⸢レー⸣ ム⸢チ⸣カサー ⸢ナー⸣ヌ ⸢バン⸣ヌン ヤ⸢シーヤシー⸣ ナルン [ʔu⸢reː⸣ mu⸢ʧi⸣kasaː ⸢naː⸣nu ⸢ban⸣nuŋ ja⸢ʃiːjaʃiː⸣ naruŋ] (それは難しくは無い、私にもたやすくできる) 17355 0 0 17344 htmvoc_17355.wav ヤシカーシ ヤ⸢シカー⸣シ [ja⸢ʃikaː⸣ʃi] 名 安売り。シ⸢ティカー⸣シ[ʃi̥⸢tikaː⸣ʃi](捨て売り)ともいう。 ⸢タイロー スー⸣ ピンマー ヤ⸢シカー⸣シ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ユンダ ⸢パー⸣ク ⸢レイトー⸣コー ス⸢クラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢tairoː suː⸣ pimmaː ja⸢ʃikaː⸣ʃi ⸢saŋ⸣kaː na⸢raŋ⸣junda ⸢paː⸣ku ⸢reitoː⸣koː su̥⸢kuraŋ⸣kaː na⸢ru⸣nu] (大漁をする時は安売りしなければならないから、早く冷凍庫を作らないといけない)。 ク⸢トゥシェー イーシ⸣ヌ ⸢ダイヤー⸣ ム⸢タ⸣ヌ ヤ⸢シカーシ⸣ル ⸣ナル [ku̥⸢tuʃeː ʔiːʃi⸣nu ⸢daijaː⸣ mu⸢ta⸣nu ja⸢ʃikaːʃi⸣ru ⸣naru] (今年は角又の値段は値上がりしない<持たない>、安売りしか出来ない<安売りぞできる>) 17356 0 0 17345 htmvoc_17356.wav ヤシカイ ヤ⸢シ⸣カイ [ja⸢ʃi⸣kai] 名 安買い。安値で買うこと。 イ⸢サナキフニヌ ダーブルバ⸣ ヤ⸢シ⸣カイ ⸢シー⸣ キー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣フニナー ⸢スイシキ⸣ シケー [ʔi⸢sanakiɸuninu daːburuba⸣ ja⸢ʃi⸣kai ⸢ʃiː⸣ kiː ⸢duː⸣nu ⸣ɸuninaː ⸢suiʃi̥ki⸣ ʃi̥keː] (石垣の船の二個シリンダーエンジン<ダブル>を安買いしてきて、自分の船に据えつけてある) 17357 0 0 17346 htmvoc_17357.wav ヤシキ ⸢ヤシ⸣キ [⸢jaʃi̥⸣ki] 名 屋敷。 ウ⸢ブヤシ⸣キ [ʔu⸢bujaʃi̥⸣ki] (大きな屋敷)。 ヤシ⸢ケー⸣マ [jaʃi̥⸢keː⸣ma] (小さな屋敷)。 ⸣サンカクヤシキ [⸣saŋkakujaʃi̥ki] (三角屋敷{EOS}この屋敷は風水が良くないといわれているので、三角の頂点部を切って台形にしていた)。 ⸢ヤーヤシ⸣キティン ア⸢ラ⸣シ ⸢マイフナー [⸢jaːjaʃi̥⸣kitiŋ ʔa⸢ra⸣ʃi ⸢maiɸunaː] (家屋敷という財産も作り<有らして>、立派<働き者>だ) 17359 0 0 17347 htmvoc_17359.wav ヤシキチン ⸢ヤシキ⸣チン [⸢jaʃi̥ki⸣ʧiŋ] 名 屋敷賃。屋敷を借りる際の賃料。鳩間島では屋敷賃を取る人はいなかったが、都会の石垣島へ行くと屋敷賃を支払う必要があった。 パ⸢トゥ⸣マナーテー ⸢ヤシキ⸣チン ⸣トゥル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [pḁ⸢tu⸣manaːteː ⸢jaʃi̥ki⸣ʧin ⸣turu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (鳩間島では屋敷賃を取る人はいなかった) 17358 0 0 17348 htmvoc_17358.wav ヤシキヌカン ⸢ヤシキ⸣ヌ ⸣カン [⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸣kaŋ] 連 屋敷の神様。屋敷を守護する神様。屋敷の⸢ユーカドゥ[⸢juːkadu](四隅)、⸢ペーラ⸣フチ[⸢peːra⸣ɸu̥ʧi](入り口{EOS}門)には、それぞれの神様がおられると信じられている。特に、フ⸢ル⸣ヌ ⸣カン[ɸu⸢ru⸣nu ⸣kaŋ](便所の神様{EOS}屋敷の北西に位置する)は、マ⸢サー⸣ン[ma⸢saː⸣ŋ](霊験あらたか{EOS}正し)といわれている。戸外でヤ⸢ナ⸣カジ[ja⸢na⸣kaʤi](「悪風」の義{EOS}悪霊)に当った時は、便所へ行って寝ている豚を起こすと、憑き物が落ちるといわれている 17360 0 0 17349 htmvoc_17360.wav ヤシキヌニンガイ ⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai] 連 屋敷の祈願。屋敷を守護しておられる神々に対する祈願。⸢ペーラ⸣フチ[⸢peːra⸣ɸu̥ʧi](門{EOS}入り口)の神、⸢ユーカドゥ[⸢juːkadu](四隅<四つ角>)の神、⸣フル[⸣ɸuru](便所)の神、ナ⸢カ⸣バラー[na⸢ka⸣baraː](大黒柱{EOS}中柱)の神に対して、⸣ヌーディマリ[⸣nuːdimari](何年生まれ)のビ⸢キジマリ[bi⸢kiʤimari](男生まれ)、あるいはブ⸢ナジマリ[bu⸢naʤimari](女生まれ)の~(実名を入れる)が⸢フンダメー⸣ル[⸢ɸundameː⸣ru](基礎固めをした<踏み固めた>)屋敷内、家内の中にヤ⸢ナ⸣カジ[ja⸢na⸣kaʤi](悪風、悪霊)、ア⸢マリ⸣カジ[ʔa⸢mari⸣kaʤi](余り風{EOS}悪霊)が入らぬようにと祈願する 17361 0 0 17350 htmvoc_17361.wav ヤシダイ ヤ⸢シ⸣ダイ [ja⸢ʃi⸣dai] 名 安値。「安い代金」の義。タ⸢カダイ[tḁ⸢kadai](高値{EOS}⸢高い代金(値段)」の義)の対義語。 イ⸢コーラ⸣ ヌー⸢ン ヤラバン⸣ カイブ ヤ⸢シ⸣ダイシェー ⸣ムノー ⸢カーサラヌ [ʔi⸢koːra⸣ nuː⸢ŋ jarabaŋ⸣ kaibu ja⸢ʃidai⸣ʃeː ⸣munoː ⸢kaːsaranu] (いくら何でも、こんな安値では品物は売れない) 17362 0 0 17351 htmvoc_17362.wav ヤシナイウヤ ヤ⸢シナイウヤ [ja⸢ʃinaiʔuja] 名 養い親。実際に養うのではなく、幼い子が病弱なときや母子の相性が悪いとき、日を定めて特定の道の辻に立っていて、最初に出会った人に子供を抱いてもらい、養い親になってもらう風習があった。また運搬船が入港する際に最初に下船した人に子供を抱かせて養い親になってもらったり、船のあか(淦)を\ruby{掬}{スク}い、子供の額につけてもらって、生涯に\ruby{亘}{ワタ}る親戚付き合いをすることもあった。 ⸢ビョー⸣ザール ッ⸢ふァー⸣ ヤ⸢シナイウヤン⸣ ダ⸢カシ⸣ティ ア⸢ザリ ブタ [⸢bjoː⸣ʣaːru f⸢faː⸣ ja⸢ʃinaiʔujan⸣ da⸢kaʃi⸣ti ʔa⸢ʣari buta] (病弱な子は養い親に抱かせなさいといわれていた) 17363 0 0 17352 htmvoc_17363.wav ヤシナイッふァ ヤ⸢シナイッふァ [ja⸢ʃinaiffa] 名 ⸢養い子」の義。仮親を持つことが必要な子。病弱で母子の相性が悪い子。⸢イーリ⸣ッふァ[⸢ʔiːri⸣ffa](貰い子)ともいう。 ⸢ビョー⸣ザー ヤ⸢タンドゥ⸣ バー ヤ⸢シナイッふァ⸣ ナ⸢ル⸣ター イッ⸢ケナ ガン⸣ゾー ⸣ナリ ⸢スー⸣リケーン [⸢bjoː⸣ʣaː ja⸢tandu⸣ baː ja⸢ʃinaiffa⸣ na⸢ru⸣taː ʔik⸢kena gan⸣ʣoː ⸣nari ⸢suː⸣rikeːŋ] (病弱であったが、私の養い子になって非常に健康になり成長してきた) 17365 0 0 17353 htmvoc_17365.wav ヤシマラヌ ヤ⸢シマラ⸣ヌ [ja⸢ʃimara⸣nu] 連 安心できない。我慢できない。看過できない。黙っておれない。「休まらぬ」の義。「おとづれも聞かぬ見つめらぬあれば思ひ安まらぬ旅の空や」『表音評釈 琉歌全集839』の転訛したもの。 ウ⸢ヌ ソー⸣ ス⸢クタンティン⸣ キモー ヤ⸢シマラ⸣ヌ [ʔu⸢nu soː⸣ su̥⸢kutantiŋ⸣ kimmoː ja⸢ʃimara⸣nu] (その便り<さう{EOS}「左右」の転訛したもの>を聞いても、心は安心できない)。 ウ⸢リ⸣ ス⸢クター⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ キモー ヤ⸢シマ⸣リン [ʔu⸢ri⸣ su̥⸢kutaː⸣ jat⸢tu⸣ʃi ⸣kimoː ja⸢ʃima⸣riŋ] (それを聞いて、やっとで心は安心できる)。 キ⸢ム⸣ヌ ヤ⸢シマリ⸣ル ⸣ピンティン ⸢ナー⸣ヌ [ki⸢mu⸣nu ja⸢ʃimari⸣ru ⸣pintin ⸢naː⸣nu] (心が安心できる<肝が休まれる>時とてもない) 17364 0 0 17354 htmvoc_17364.wav ヤジマル ヤ⸢ジマル [ja⸢ʤimaru] 名 うまずめ(石女)。子を産めない女。 ッ⸢ふァ⸣ ナシ⸢サン⸣ ミ⸢ドゥム⸣バ ヤ⸢ジマル⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ [f⸢fa⸣ naʃi⸢sam⸣ mi⸢dumu⸣ba ja⸢ʤimaru⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (子供を産むことが出来ない女をジャジマル<石女>といわれた) 17366 0 0 17355 htmvoc_17366.wav ヤシミ ヤ⸢シ⸣ミ [ja⸢ʃi⸣mi] 名 休み。休暇。 ⸢ガッコー⸣ヌ ヤ⸢シ⸣メー イ⸢チェー⸣ラ パ⸢ジマルワ [⸢gakkoː⸣nu ja⸢ʃi⸣meː ʔi⸢ʧeː⸣ra pa⸢ʤimaruwa] (学校の休暇は何時から始まるか) 17367 0 0 17356 htmvoc_17367.wav ヤシミーアン ヤ⸢シ⸣ミーアン [ja⸢ʃi⸣miːʔaŋ] 名 網目の大きな網。大きさ約2センチ角の網目の網で、大型の魚を漁獲する際に用いた。「八十目網」の義か。⸢クス⸣ク ガ⸢ラシ⸣アン[⸢kusu̥⸣ku ga⸢raʃi ⸣ʔaŋ](クスクの魚群を網で巻いて漁獲する網)、⸢ボー⸣ダ ガ⸢ラシ⸣アン[⸢boː⸣da ga⸢raʃi⸣ʔaŋ](キツネブダイの魚群を巻いて漁獲する網)、フ⸢チマチル⸣ ガ⸢ラシ⸣アン[ɸu̥⸢ʧimaʧiru⸣ ga⸢raʃi⸣ʔaŋ](フチマチルを巻いて漁獲する網)は網目の大きなヤ⸢シ⸣ミーアン[ja⸢ʃi⸣miːʔaŋ]を用いた。 ヤ⸢シ⸣ミーアンシ シ⸢ヌマー⸣ル ガ⸢ラ⸣シ クー⸢ディー [ja⸢ʃi⸣miːʔaŋʃi ʃi⸢numaː⸣ru ga⸢ra⸣ʃi kuː⸢diː] (網目の大きな網でテングハギ<シヌマール>を漁獲し<懸からせ>てこようよ) 17368 0 0 17357 htmvoc_17368.wav ヤシミルン ヤ⸢シミ⸣ルン [ja⸢ʃimi⸣ruŋ] 他動 値段を安くする。値引きする。「安める」の義。 タ⸢カーニ カウ⸣ プ⸢ス⸣ネー ⸢ダイヤー⸣ ヤ⸢シミルン⸣ドゥ ン⸢ベーマ カウ⸣ プ⸢スンマー⸣ ヤ⸢シミラ⸣ヌ [tḁ⸢kaːni kau⸣ pu̥⸢su⸣neː ⸢daijaː⸣ ja⸢ʃimirun⸣du ʔm⸢beːma kau⸣ pu̥⸢summaː⸣ ja⸢ʃimira⸣nu] (沢山買う人には値段は安くするが、少し買う人には値引きしない)。 ⸢ダイ⸣ ヤ⸢シ⸣ミ ⸣ミサカー ヤ⸢シミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸢モーキララ⸣ヌ [⸢dai⸣ ja⸢ʃi⸣mi ⸣misakaː ja⸢ʃimi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢run⸣du ⸢moːkirara⸣nu] (値段は、値引きして<安めて>よければ値引きすることは出来るが、儲からない)。 ヤ⸢シミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ja⸢ʃimi⸣reː ⸣misamunu] (値引きすればいいのに)。 ヤ⸢シミ⸣リ [ja⸢ʃimi⸣ri] (値引きせよ) 17369 0 1 17358 htmvoc_17369.wav ヤシムヌ ヤ⸢シ⸣ムヌ [ja⸢ʃi⸣munu] 名 {Mn_1}安物。安価なもの。 ヤ⸢シ⸣ムヌ ⸢カウ⸣カー ヤ⸢ブリパヤー⸣ンダー ⸢カイ⸣テー ⸢スン⸣ドウ ⸢スー [ja⸢ʃi⸣munu ⸢kau⸣kaː ja⸢buripajaː⸣ndaː ⸢kai⸣teː ⸢sun⸣du ⸢suː] (安物を買うと壊れやすいから、却って損をする)。 17369 0 2 17359 htmvoc_17369.wav ヤシムヌ ヤ⸢シ⸣ムヌ [ja⸢ʃi⸣munu] 名 {Mn_2}易しいこと。簡単なこと。 ウ⸢ヌ⸣ ア⸢タ⸣ロー ヤ⸢シムヌ⸣ル ヤ⸢ル バン⸣ヌン ⸣ナルン [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢ta⸣roː ja⸢ʃimunu⸣ru ja⸢ru ban⸣nuŋ ⸣naruŋ] (それぐらいは簡単だ<易しいものだ{EOS}簡単なこと{EOS}易物である>{EOS}私にも出来るよ) 17370 1 0 17360 htmvoc_17370.wav ヤシムン ヤ⸢シ⸣ムン [ja⸢ʃi⸣muŋ] 自動 {PoS_1}休む。休息する。標準語から転訛したもの。普通は、⸢ユー⸣クーン[⸢juː⸣kuːŋ](憩う{EOS}休む)という。 ン⸢ベーマ⸣ ヤ⸢シ⸣ムンティ ⸢スンドゥ⸣ ヤ⸢シマラ⸣ヌ [ʔm⸢beːma⸣ ja⸢ʃi⸣munti ⸢sundu⸣ ja⸢ʃimara⸣nu] (少し休もうとするが、休まれない)。 ヤ⸢シ⸣ミ ⸣ミサカー ヤ⸢シ⸣ム ⸣クトー ⸣ナルン [ja⸢ʃi⸣mi misakaː ja⸢ʃi⸣mu ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (休んでよければ休むことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢シ⸣メー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ʃi⸣meː ⸣misamunu] (もっと休めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢シ⸣ミ [⸢paː⸣ku ja⸢ʃi⸣mi] (早く休め)。 17370 2 0 17361 htmvoc_17370.wav ヤシムン ヤ⸢シ⸣ムン [ja⸢ʃi⸣muŋ] 他動 {PoS_2}欠勤する。 シ⸢トゥ⸣ミ ヤ⸢シ⸣ムン [ʃi̥⸢tu⸣mi ja⸢ʃi⸣muŋ] (欠勤する<勤めを休む>) 17371 0 0 17362 htmvoc_17371.wav ヤシル ヤ⸢シ⸣ル [ja⸢ʃi⸣ru] 名 やすり(鑢)。「鑢子、~漢語抄云鑢子 夜須利」『和名抄』の転訛したもの。 ヤ⸢シ⸣ルシ ヌ⸢キル⸣ヌ ⸣パー タ⸢ティ⸣ルンティ ⸢シー ベー [ja⸢ʃi⸣ruʃi nu⸢kiru⸣nu ⸣paː tḁ⸢ti⸣runti ⸢ʃiː beː] (\ruby{鑢}{ヤスリ}で\ruby{鋸}{ノコ}の歯を立てようとしている) 17372 0 0 17363 htmvoc_17372.wav ヤシンザ ヤ⸢シン⸣ザ [ja⸢ʃin⸣ʣa] 名 こいつめ。あいつめ。憎しみ、怒りを込めていう『石垣方言辞典』という。歌謡語。/\ruby{変}{カワ}ティイクスヤ ヤシンザヌ ククル/(変わりゆくものは野心家の心ばかりだ)トゥバラーマ節『八重山民謡誌』の説がある。ヤ⸢シン⸣ザは、「イヤシ・ンザ」の転訛したものと考えられ、「蔑、伊也志牟(いやしむ)」『新撰字鏡』に遡源される語であろう。「ンザ」の語源は、ン⸢ザッ⸣ふァ[n⸢ʣaf⸣fa](下人{EOS}糸満の漁師に身売りされた子供)の⸣ンザ[nʣa](下人)に求められるであろう 17373 0 0 17364 htmvoc_17373.wav ヤス ⸣ヤス [⸣jasu] 名 八十。歌謡語。普通は、パ⸢チ⸣ジュー[pḁ⸢ʧi⸣ʤuː](八十)という 17374 0 1 17365 htmvoc_17374.wav ヤスンジルン ヤ⸢スンジ⸣ルン [ja⸢sunʤi⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}安んじる。安心する。満足する。「安んじる(上一段)」の転訛したもの。 ⸢ヤン⸣マー ⸢ノー⸣ルンティ シ⸢キティ⸣ ヤ⸢スンジキシ⸣ル ⸢ブンドゥ⸣ ヤ⸢スンジララン⸣ クトゥン ⸣アン [⸢jam⸣maː ⸢noː⸣runti ʃi̥⸢kiti⸣ ja⸢sunʤiki̥ʃi⸣ru ⸢bundu⸣ ja⸢sunʤiraraŋ⸣ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (病気は治ると聞いて安心しきっているが、安心できない<安んじられない>こともある)。 パ⸢ナ⸣シ シ⸢キティ⸣ ヤ⸢スンジ⸣ プサンドゥ ヤ⸢スンジ⸣ル ク⸢トゥ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [pa⸢na⸣ʃi ʃi̥⸢kiti⸣ ja⸢sunʤi⸣ pu̥sandu ja⸢sunʤi⸣ru ku̥⸢tu⸣nu na⸢ra⸣nu] (話を聞いて安心したいが、安心することができない)。 ヤ⸢スンジ⸣レー ⸣ミサムヌ [ja⸢sunʤi⸣reː ⸣misamunu] (安心すればいいのに)。 ヤ⸢スンジ⸣リバ [ja⸢sunʤi⸣riba] (安心しろよ)。 17374 0 2 17366 htmvoc_17374.wav ヤスンジルン ヤ⸢スンジ⸣ルン [ja⸢sunʤi⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}諦める。 ウ⸢ビ⸣ヌ ⸢ミー⸣ティ ⸢シー⸣ ヤ⸢スンジ⸣ル ⸣フカー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bi⸣nu ⸢miː⸣ti ⸢ʃiː⸣ ja⸢sunʤi⸣ru ⸣ɸu̥kaː ⸢naː⸣nu] (それだけの\ruby{寿命}{ジュ|ミョウ}として\ruby{諦}{アキラ}めるほかはない) 17375 0 0 17367 htmvoc_17375.wav ヤスンズン ヤ⸢スン⸣ズン [ja⸢sun⸣ʣuŋ] 自動 安んじる。安心する。諦める。ヤ⸢スンジ⸣ルン[ja⸢sunʣi⸣ruŋ](安心する)に同じ。「やすんず」(サ変)の転訛したもの 17376 0 0 17368 htmvoc_17376.wav ヤタンティン ヤ⸢タンティン [ja⸢tantiŋ] 連 だったとしても。であったとしても。逆態接続の意味を表す。指定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の完了・過去の終止形ヤ⸢タン[ja⸢taŋ](だった{EOS}であった)に、逆態接続助詞⸣ティン[⸣tiŋ](ても)の付いた形。 ⸢ウシ⸣トゥ ヤ⸢タンティン⸣ ムヌ ッ⸢シェー⸣ル プ⸢ソー⸣ラー ナ⸢ラーン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔuʃi̥⸣tu ja⸢tantim⸣ munu ʃ⸢ʃeː⸣ru pu̥⸢soː⸣raː na⸢raːŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (年下の弟であったとしても、知恵のある<物事を知っている>人からは習わないといけない)。 ⸣ウビブカラ ヤ⸢タンティン⸣ ミサンダ ⸣バキ ッ⸢ふィーリ⸣バ [⸣ʔubibukara ja⸢tantim⸣ misanda ⸣baki f⸢fiːri⸣ba] (これぐらいであってもよいから、分けてやり<くれ>なさいよ) 17377 0 0 17369 htmvoc_17377.wav ヤダンブレ ヤ⸢ダン⸣ブレ [ja⸢dam⸣bure] 名 (動)貝の名。ヤドゥンバレ[ja⸢dum⸣bare](スイジガイ)ともいう。和名サソリガイやスイジガイの仲間の総称。長さ約15センチ、幅約9センチで、周りに長い牛角状の突起が数本曲がって延びている。鳩間島の後方の⸣ピー[⸣piː](干瀬)や⸣イノー[⸣ʔinoː](礁内湖)、珊瑚礁の砂地に多く棲息していて、いつでも、どこでも漁獲できた。身は煮ると美味である。殻口は美しい肉色、オレンジ色を呈している。これが女陰を連想させるといい、形状の特異さから魔除けの力を有する呪符として豚舎や家の壁などに吊るされた。また\ruby{竈}{カマド}の上に\ruby{吊}{ツ}るして、自在鉤の代用にも利用された。 ヤ⸢ダン⸣ブレー ⸣サイ シ⸢キ⸣ルカー ヤ⸢ナ⸣ムノー ⸢ペーラ⸣ヌティ ア⸢ザリ ブー [ja⸢dam⸣bureː ⸣sai ʃi̥⸢ki⸣rukaː ja⸢na⸣munoː ⸢peːra⸣nuti ʔa⸢ʣari buː] (スイジガイを吊るしておくと魔物は入らないといわれている) 17378 0 0 17370 htmvoc_17378.wav ヤチリルン ヤ⸢チリルン [ja⸢ʧiriruŋ] 自動 やつれる。\ruby{痩}{ヤ}せ衰える。\ruby{憔悴}{ショウ|スイ}する。 ナ⸢ガヤン スー⸣カー プ⸢ソー⸣ ヤ⸢チリルンダ ジーシキ⸣ムヌ ッ⸢ふァーシ⸣ヨー [na⸢gajan suː⸣kaː pu̥⸢soː⸣ ja⸢ʧirirunda ʤiːʃi̥ki⸣munu f⸢faːʃi⸣joː] (\ruby{長患}{ナガ|ワズラ}いをすると、人はやつれるから滋養分のあるのを食べさせなさいよ)。 ヤ⸢チリ ナー⸣ヌ [ja⸢ʧiri naː⸣nu] (やつれてしまった)。 ヤ⸢チリル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢ʧiriru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (やつれることはない) 17379 0 0 17371 htmvoc_17379.wav ヤツ ⸣ヤツ [⸣jaʦu] 名 やいと。お\ruby{灸}{キュウ}。ヨモギの葉を乾燥して灸のモグサ(艾)にする。「Yaitô.ヤイトウ(やいとう) ある乾かした草ですえる灸」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ウ⸢ブ⸣ヤツ[ʔu⸢bu⸣jaʦu](大きなやいと)、ヤ⸢ツォー⸣マ[ja⸢ʦoː⸣ma](腹痛の際にすえる小さなやいと)がある。 ス⸢ブシ⸣ナ ⸣ヤツ ヤ⸢クン [su⸢buʃi⸣na ⸣jaʦu ja⸢kuŋ] (三里にお灸をすえる<焼く>)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢フンダイ シー⸣ ナ⸢ク⸣カー シ⸢ビ⸣ナ ⸣ヤツ ヤ⸢コーッ⸣タン [ja⸢rabi⸣nu ⸢ɸundai ʃiː⸣ na⸢ku⸣kaː ʃi⸢bi⸣na ⸣jaʦu ja⸢koːt⸣taŋ] (子供が我がままのし放題で泣くと、お尻にお灸をすえられ<焼かれ>たものだ) 17394 0 0 17372 htmvoc_17394.wav ヤツォーマ ヤ⸢ツォー⸣マ [ja⸢ʦoː⸣ma] 名 小さなお灸。 ⸣ドゥク ナ⸢ク⸣ ッ⸢ふァー⸣ シ⸢ビ⸣ナ ヤ⸢ツォー⸣マ ヤ⸢キ⸣バ [⸣duku na⸢ku⸣ f⸢faː⸣ ʃi⸢bi⸣na ja⸢ʦoː⸣ma ja⸢ki⸣ba] (ひどく泣く子はお尻に小さなお灸をすえて懲らしめなさい<お灸を焼きなさい>) 17380 0 1 17373 htmvoc_17380.wav ヤッカイ ⸢ヤッ⸣カイ [⸢jak⸣kai] 名 {Mn_1}やっかい(厄介)。世話。 ⸣バー イ⸢サナキヌ⸣ ウ⸢トゥザ⸣ヌ ⸢ヤッ⸣カイ カ⸢カ⸣リティル ⸢コー⸣コー ン⸢ズ⸣タ [⸣baː ʔi⸢sanakinu⸣ ʔu⸢tuʣa⸣nu ⸢jak⸣kai kḁ⸢ka⸣ritiru ⸢koː⸣koː ʔn⸢ʣu⸣ta] (私は石垣の親戚の家の世話で高校をでた)。 17380 0 2 17374 htmvoc_17380.wav ヤッカイ ⸢ヤッ⸣カイ [⸢jak⸣kai] 名 {Mn_2}面倒なこと。迷惑なこと。 ⸢クン⸣ドー ⸢バン⸣テヌ ⸣クトゥシ ⸢ワーバー⸣キン ⸢ヤッ⸣カイ ⸣カキ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kun⸣doː ⸢ban⸣tenu ⸣ku̥tuʃi ⸢waːbaː⸣kiŋ ⸢jak⸣kai ⸣kḁki ⸢naː⸣nu] (この度は私の家のことで貴方にまでも迷惑<厄介>をかけてしまった) 17381 0 0 17375 htmvoc_17381.wav ヤッカラ ⸢ヤッカラ [⸢jakkara] 名 (数)八匹。 イ⸢ゾー ヤッカラ ホー⸣シェーン [ʔi⸢ʣoː jakkara hoː⸣ʃeːŋ] (魚は八匹釣った) 17382 0 0 17376 htmvoc_17382.wav ヤッカラムヌ ⸢ヤッカラムヌ [⸢jakkaramunu] 名 力の強い者。強力な男。手腕のある有能な者。 ⸢ウン⸣ネーナー ⸢ヤッカラムヌヌ⸣ バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸣スルイ ⸢ブンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ラーミ⸣サン [⸢ʔun⸣neːnaː ⸢jakkaramununu⸣ ba⸢kaː⸣mununu ⸣surui ⸢bunda⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (あの家には強力な男の若者が揃っているから非常に羨ましい) 17383 0 0 17377 htmvoc_17383.wav ヤック ⸢ヤック [⸢jakku] 名 (数)八個。 トゥ⸢ルヌ コー⸣マー ⸢ヤック⸣ ナシェーン [tu⸢runu koː⸣ma ⸢jakku⸣ naʃeːŋ] (鶏が卵を八個産んだ) 17384 0 0 17378 htmvoc_17384.wav ヤッサマール ⸢ヤッ⸣サマール [⸢jas⸣samaːru] 名 やすき(易き)に付く。安まわり。安易な方法。努力を怠って手軽な方法を選ぶこと。 ⸣スブットゥ ヤ⸢ルンダ ギーバルンテー⸣ サ⸢ムティ⸣ タ⸢ダーイ ヤッ⸣サマール ⸢カーニル スー [⸣subuttu ja⸢runda giːbarunteː⸣ sa⸢muti⸣ ta⸢daːi jas⸣samaːru ⸢kaːniru suː] (怠け者だから頑張ることはしないで、ただ、\ruby{容易}{タ|ヤス}い方法だけを選ぶ<する>) 17385 0 1 17379 htmvoc_17385.wav ヤッサン ⸢ヤッ⸣サン [⸢jas⸣saŋ] 形 {Mn_1}安い。安価である。 ク⸢レー ダイヤ ヤッ⸣サン [ku⸢reː daija jas⸣saŋ] (これは値段は安い)。 ⸢ナン⸣ゾー ⸢ヤッサー ナー⸣ヌ [⸢nan⸣ʣoː ⸢jassaː naː⸣nu] (あまり安く無い)。 ⸢ヤッ⸣サ ⸣ムノーラ イ⸢ラ⸣ビバ [⸢jas⸣sa ⸣munoːra ʔi⸢ra⸣biba] (安い物から選びなさいよ)。 ⸣アイニ ⸢ヤッ⸣サレーラー ⸢カーサラヌ [⸣ʔaini ⸢jas⸣saːreːraː ⸢kaːsaruanu] (あんなに安ければ売れない)。 17385 0 2 17380 htmvoc_17385.wav ヤッサン ⸢ヤッ⸣サン [⸢jas⸣saŋ] 形 {Mn_2}補助形容詞。易しい。し易い。動詞や受身、使役の助動詞の連用形に付いて、⸢~し易い」の意味を表す。 ク⸢レー⸣ カ⸢キヤッ⸣サン [ku⸢reː⸣ kḁ⸢kijas⸣saŋ] (これは書きやすい)。 トゥ⸢リヤッ⸣サン [tu⸢rijas⸣saŋ] (取りやすい)。 パ⸢タラカシヤッ⸣サン [pḁ⸢tarakaʃijas⸣saŋ] (働かせやすい)。 フ⸢ヨー⸣ンダル イ⸢ザリヤッ⸣サ⸢ダー [ɸu⸢joː⸣ndaru ʔi⸢ʣarijas⸣sa⸢daː] (怠惰だから<ぞ>叱られやすいのだよ) 17386 0 0 17381 htmvoc_17386.wav ヤッシェー ⸢ヤッシェー [⸢jaʃʃeː] 名 かけや(掛矢)。じつき(地搗き)用の丸太。建築に取り掛かる前にじがため(地固め)をするのに用いる、じぎょう(地形)用の道具。直径約20~30センチ、長さ約1メートルの丸太に数本の柄をつけ、それを数人で引き上げ、礎石を据えるために砂利を敷いた上に落として地固めをした。また、\ruby{櫓}{ヤグラ}に掛矢を吊るし、滑車に掛けた\ruby{吊}{ツル}し縄を数人で引いて掛矢を上げたり落としたりして地固めをした。 ⸣ヤッシェーシ ⸣ジー カ⸢タミティ⸣ ウ⸢ヌ ウイナー⸣ル イ⸢シジ⸣ ビ⸢ソーッ⸣タ [⸣jaʃʃeːʃi ⸣ʤiː kḁ⸢tamiti⸣ ʔu⸢nu ʔuinaː⸣ru ʔi⸢ʃiʤi⸣ bi⸢soːt⸣ta] (地搗き丸太のかけや<掛矢>で地固めをして、その上に<ぞ>礎石を据えられた) 17387 0 0 17382 htmvoc_17387.wav ヤッタ ⸢ヤッタ [⸢jatta] 連 であった。断定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](~である)の過去形。 パ⸢トゥ⸣マー ム⸢カ⸣シェー カ⸢ツシンマー シェイダイ ヤッタ [pḁ⸢tu⸣maː mu⸢ka⸣ʃeː kḁ⸢ʦuʃimmaː ʃeidai jatta] (鳩間島は、昔はカツオ漁業は盛んで<盛大で>あった) 17388 0 0 17383 htmvoc_17388.wav ヤットゥカットゥ ⸢ヤットゥカッ⸣トゥ [⸢jattukat⸣tu] 副 ようやく。やっと。辛うじて。⸢ヤットゥ」の強調表現。ABCDBC型の重言。 ⸢ヤットゥカッ⸣トゥシ ⸣ウカー パ⸢ライ⸣ヤン [⸢jattukat⸣tuʃi ⸣ʔukaː pa⸢rai⸣jaŋ] (ようやく<やっとのことで>借金は払った) 17389 0 0 17384 htmvoc_17389.wav ヤットゥシ ヤッ⸢トゥ⸣シ [jat⸢tu⸣ʃi] 副 やっとのことで。ようやく。かろうじて。 ク⸢マーバー⸣ケー ヤッ⸢トゥ⸣シ ア⸢ラ⸣キ キ⸢ラ⸣リン [ku⸢maːbaː⸣keː jat⸢tu⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ki⸢ra⸣riŋ] (ここまではかろうじて<やっとのことで>歩いて来られる) 17390 0 0 17385 htmvoc_17390.wav ヤツヌスブ ヤ⸢ツ⸣ヌ ス⸢ブ [ja⸢ʦu⸣nu su⸢bu] 連 灸点。お灸をすえる場所。お灸の壺。 バ⸢タ⸣ヤンヌ ヤ⸢ツ⸣ヌ ス⸢ブ⸣ ナライティ ⸣ヤツ ヤ⸢キ⸣バ [ba⸢ta⸣jannu ja⸢ʦu⸣nu su⸢bu⸣ naraiti ⸣jaʦu ja⸢ki⸣ba] (腹痛の灸点を習ってお灸をすえなさいよ) 17392 0 0 17386 htmvoc_17392.wav ヤッパルン ⸢ヤッパルン [⸢japparuŋ] 自動 頑張る。粘る。老年層のことば。あまり使用しない。普通は⸢ギーバルン[⸢giːbaruŋ](頑張る)ということが多い。 ⸢ヤッパルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ク⸢ヌ ウイ ヤッパル⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸢japparunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ku⸢nu ʔui japparu⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (頑張ろうと思うが、これ以上頑張る人はいない)。 ⸢ヤッパリ⸣ プサンドゥ ⸢ヤッパララヌ [⸢jappari⸣ pu̥sandu ⸢jappararanu] (頑張りたいが頑張れない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヤッパレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢jappareː⸣ misamunu] (もっと頑張ればいいのに)。 ⸢ヤッパリ⸣バ [⸢jappari⸣ba] (頑張れよ) 17391 0 0 17387 htmvoc_17391.wav ヤツフチ ⸣ヤツフチ [⸣jaʦuɸu̥ʧi] 名 もぐさ(艾)。ヨモギの葉を乾燥して綿のように精製したもの。⸣フチ[⸣ɸu̥ʧi]は「よもぎ(蓬)」のこと。「灸の蓬」の義。 ⸣ヤツフチ ⸢カイ⸣キー ク⸢シ⸣ナー ヤツ ヤ⸢キ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸣jaʦuɸu̥ʧi ⸢kai⸣kiː ku̥⸢ʃi⸣naː ⸣jaʦu ja⸢ki⸣ f⸢fiːri] (もぐさ<艾>を買ってきて腰に灸を据えて<焼いて>くれ) 17393 0 1 17388 htmvoc_17393.wav ヤツヤクン ⸣ヤツ ヤ⸢クン [⸣jaʦu ja⸢kuŋ] 連 {Mn_1}治療の灸を据える。 フ⸢タイ⸣ナー ⸣ヤツ ヤ⸢クン [ɸu̥⸢tai⸣naː ⸣jaʦu ja⸢kuŋ] (額に灸を据える)。 17393 0 2 17389 htmvoc_17393.wav ヤツヤクン ⸣ヤツ ヤ⸢クン [⸣jaʦu ja⸢kuŋ] 連 {Mn_2}懲らしめる。懲罰を与える。 ⸣ドゥク ナ⸢ク⸣カー シ⸢ビ⸣ナー ⸣ヤツ ヤ⸢キ⸣バ [⸣duku na⸢ku⸣kaː ʃi⸢bi⸣naː ⸣jaʦu ja⸢ki⸣ba] (あんまり我がまま放題で泣いたらお尻にお灸を据えて懲らしめてやりなさい) 17395 0 0 17390 htmvoc_17395.wav ヤトゥ ヤ⸢トゥ [ja⸢tu] 名 (海底地名)。外洋部から干瀬の方へ深く切り込むように形成された渓谷状の珊瑚礁の裂け目。大潮の夜の干潮時に村人たちはヤ⸢トゥ[ja⸢tu](珊瑚礁の裂け目)に来て、パ⸢シ⸣ナー[pḁ⸢ʃi⸣naː](イットウダイの仲間)やビ⸢キパシナー[bi⸢kipaʃinaː](スミツキエビス)、⸢ミーパシ⸣ナー[⸢miːpaʃi⸣naː](トガリエビス)などを釣り上げた。「鎌倉に、いりいりをやつとなづく。さて、谷の字をやつとよめる心如何」『名語記』五、「湿地の意のアイヌ語ヤチからか『東方言語史叢考』」『日本国語大辞典』と関係あるか 17396 0 0 17391 htmvoc_17396.wav ヤドゥ ⸣ヤドゥ [⸣jadu] 名 宿。宿屋。旅先で泊まる場所。「君が行く海辺の夜杼<ヤド>に~。万、3580」の転訛。 イ⸢ツォーン⸣プソー ム⸢カ⸣シェーラ ⸢ベー⸣ナー ヤ⸢ド⸣バ トゥ⸢リ⸣ル イ⸢ガメー⸣ ン⸢ゾーッ⸣タ⸢ダー [ʔi⸢ʦoːm⸣pu̥soː mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢beː⸣naː ja⸢du⸣ba tu⸢ri⸣ru ʔi⸢gameː⸣ ʔn⸢ʣoːt⸣ta⸢daː] (糸満漁師は昔から我が家に宿にとって<ぞ>イカ釣り漁に出られたものだよ) 17397 0 0 17392 htmvoc_17397.wav ヤドゥ ⸣ヤドゥ [⸣jadu] 名 戸。家の戸。雨戸。「夕さらば屋戸<ヤド>あけまけて~。万744」の転訛したもの。 イ⸢ツァ⸣ヤドゥ [ʔi⸢ʦa⸣jadu] (板戸)。 トゥ⸢ルッ⸣クビ [tu⸢ruk⸣kubi] (「取り壁」の義{EOS}草戸{EOS}取り外し式の茅で作った戸)。 ⸣ヤドゥ ア⸢クン [⸣jadu ʔa⸢kuŋ] (戸を開ける)。 ⸣ヤドゥ ⸢フーン [⸣jadu ⸢ɸuːŋ] (戸を閉める)。 ⸢ナー⸣ヤドゥ [⸢naː⸣jadu] (長い戸)。 ⸢パン⸣ヤドゥ [⸢paŋ⸣jadu] (半戸{EOS}高窓の戸) 17399 0 0 17393 htmvoc_17399.wav ヤトゥーン ⸣ヤトゥーン [⸣jatuːŋ] 他動 雇う。「Yatoi,tô,ôta.ヤトイ、ゥ、ゥタ(雇ひ、ふ、うた)賃銭を出して人などを雇う」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 バ⸢コーシン⸣カ ⸣ヤトゥーンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢パンタ⸣サンダ マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢トー⸣ヌ [ba⸢koːʃiŋ⸣ka ⸣jatuːnti ʔu⸢muːn⸣du ⸢panta⸣sanda ma⸢na⸣maː ja⸢toː⸣nu] (共同作業の人足を雇おうと思うが、忙しいから今は雇わない)。 ヤ⸢トゥイ⸣ プサカー ヤ⸢トゥイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ja⸢tui⸣ pu̥sakaː ja⸢tui⸣jaː ⸣misamunu] (雇いたければ雇えばいいのに)。 ⸣ヤトゥー ⸣ピンマー ヤー⸢ディン⸣ カ⸢リ⸣ ヤトゥイ⸢ヨー [⸣jatuː ⸣pimmaː jaː⸢diŋ⸣ ka⸢ri⸣ jatui⸢joː] (雇う時は必ずあれ<彼>を雇えよ) 17400 0 0 17394 htmvoc_17400.wav ヤトゥーン ⸣ヤトゥーン [⸣jatuːŋ] 他動 移植する。\ruby{圃場}{ホ|ジョウ}に\ruby{種蒔}{タネ|マキ}して苗に育てた後、本圃場に移植する。 カ⸢ブッチ⸣ヌ ⸣ナイ ⸣ヤトゥーンティ ⸢ベー⸣ンドゥ ク⸢マー⸣ヤ ヤ⸢トーラ⸣ヌ [ka⸢butʧinu⸣ nai ⸣jatuːnti ⸢beː⸣ndu ku⸢maː⸣ja ja⸢toːra⸣nu] (南瓜の苗を移植しようとしているが、ここには移植できない<されない>)。 マ⸢ナ⸣マ ⸣ヤトゥイ ⸣ミサカー ⸣ヤトゥー ⸣クトー ⸣ナルン [ma⸢na⸣ma ⸣jatui ⸣misakaː ⸣jatuː ⸣kutoː ⸣naruŋ] (今移植してよければ、移植することはできる)。 ⸣クナー ヤ⸢トゥイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [⸣kunaː ja⸢tui⸣jaː ⸣misamunu] (ここに移植すればいいのに)。 ⸢ナイ⸣ヤー ⸢パー⸣ク ⸣ヤトゥイバ [⸢nai⸣jaː ⸢paː⸣ku ⸣jatuiba] (苗は早く移植しなさいよ) 17401 0 0 17395 htmvoc_17401.wav ヤドゥスン ⸣ヤドゥ ⸢スン [⸣jadu ⸢suŋ] 連 宿を取る。宿泊する。 ⸢ワッ⸣テナー ⸣ヤドゥ シ⸢ミ⸣ ッ⸢ふォーラン⸣カヤー [⸢wat⸣tenaː ⸣jadu ʃi⸢mi⸣ f⸢foːraŋ⸣kajaː] (貴方の家に宿泊させ<宿にさせて{EOS}宿を取らせて>くださいませんか) 17402 0 0 17396 htmvoc_17402.wav ヤドゥチン ヤ⸢ドゥ⸣チン [ja⸢du⸣ʧiŋ] 名 宿賃。 イ⸢サナキヌ⸣ ヤ⸢ドゥ⸣ヤーナ トゥ⸢マル⸣カー ヤ⸢ドゥチン⸣マー ⸢ギューサ⸣ナー パ⸢ラウ⸣ワ [ʔi⸢sanakinu⸣ ja⸢du⸣jaːna tu⸢maru⸣kaː ja⸢duʧim⸣maː ⸢gjuːsa⸣naː pa⸢rau⸣wa] (石垣の宿屋に泊まると宿賃はいくらずつ支払うか) 17398 0 0 17397 htmvoc_17398.wav ヤドゥヌサン ヤ⸢ドゥ⸣ヌ ⸣サン [ja⸢du⸣nu ⸣saŋ] 連 雨戸の桟。雨戸の外枠。横三尺、縦六尺の企画で作った。 ヤ⸢ドゥ⸣ヌ ⸢サン⸣マー シ⸢ギキー⸣シル ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ja⸢du⸣nu ⸢sam⸣maː ʃi⸢gikiː⸣ʃiru su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (雨戸の桟は杉木で作られている) 17403 0 0 17398 htmvoc_17403.wav ヤドゥパシル ヤ⸢ドゥパシ⸣ル [ja⸢dupaʃi⸣ru] 名 戸。雨戸。引き戸。 ヤ⸢ドゥパシ⸣ル ⸢スーラ⸣スン [ja⸢dupaʃi⸣ru ⸢suːra⸣suŋ] (雨戸を強化する) 17405 0 0 17399 htmvoc_17405.wav ヤドゥフーン ⸣ヤドゥ ⸢フーン [⸣jadu ⸢ɸuːŋ] 連 戸をたて(\ruby{閉}{タテ})る。戸を閉める。戸を閉め切る。 ⸣ユネン ⸣ナルカー ⸣ヤドゥ ⸢フーン [⸣junen ⸣narukaː ⸣jadu ⸢ɸuːŋ] (夜になると戸を閉める) 17404 0 0 17400 htmvoc_17404.wav ヤドゥフイ ヤ⸢ドゥ⸣フイ [ja⸢du⸣ɸui] 名 戸締り。戸を閉めること。 ⸣ヌンティ ヤ⸢ドゥ⸣フイ ⸢シー⸣ シケーワ [⸣nunti ja⸢du⸣ɸui ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːwa] (どうして戸締りしてあるのか) 17261 0 0 17401 htmvoc_17261.wav ヤドゥフジ ヤ⸢ドゥ⸣フジ [ja⸢du⸣ɸuʤi] 名 戸締りをすること。⸣ヤドゥ[⸣jadu](戸)は、「屋戸」の義。「~屋戸<ヤド>開け負けて吾待たむ~。万、744」の転訛したもの。戸締りをする際に、二人で競争して戸を閉めるのを嫌った。葬式の際、出棺した後に二、三人で大急ぎで戸締りをし、死者の霊が家に戻らぬようにして\ruby{葬列}{ソウ|レツ}に従ったことから、それを忌む風習がある。 ⸣ヤドー ウ⸢トゥ⸣ タ⸢トゥン⸣ヨーニ<タ⸢タン⸣ヨーニ> ⸢ヤーラマ⸣シ ⸢フイ⸣ フ⸢タール⸣シ ⸢キッ⸣スー ⸢シー⸣ ヤ⸢ドゥ⸣フジ ⸢スーナ [⸣jadoː ʔu⸢tu⸣ tḁ⸢tuɲ⸣joːni ⸢jaːrama⸣ʃi ⸢ɸui⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸢kis⸣su ⸢ʃiː⸣ ja⸢du⸣ɸuʤi ⸢suːna] (戸は音を立てないようにゆっくり閉めなさい{EOS}二人で急いで<競争して>戸締りするな)。 ⸣ヌンティ ⸣アイニ ヤ⸢ドゥ⸣フジ ⸢シー⸣ シケーワ ⸣ヤドゥ ア⸢キリ [⸣nunti ⸣ʔaini ja⸢du⸣ɸuʤi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːwa ⸣jadu ʔa⸢kiri] (何故、あのように戸を閉め切ってあるのか{EOS}戸を開けろ) 17407 0 0 17402 htmvoc_17407.wav ヤドゥフチ ヤ⸢ドゥ⸣フチ [ja⸢du⸣ɸu̥ʧi] 名 戸口。「~君来まさむと知らませば 門にも屋戸<ヤド>にも珠敷かましを。万、1013」の義。 ヤ⸢ドゥ⸣フチナー ⸣タティティ ⸣フカンター ⸣ミリ ⸢ベー [ja⸢du⸣ɸu̥ʧinaː ⸣tḁtiti ⸣ɸu̥kantaː ⸣miri ⸢beː] (戸口に立って外の方を見ている)。 ヤ⸢ドゥ⸣フチ ッ⸢サウナ [ja⸢du⸣ɸu̥ʧi s⸢sauna] (戸口を\ruby{塞}{フサ}ぐな) 17408 0 0 17403 htmvoc_17408.wav ヤドゥヤー ヤ⸢ドゥ⸣ヤー [ja⸢du⸣jaː] 名 宿屋。 イ⸢サナキ⸣ナー ヤ⸢ドゥ⸣ヤー ⸣トゥミ シ⸢キ⸣リ [ʔi⸢sanaki⸣naː ja⸢du⸣jaː ⸣tumi ʃi̥⸢ki⸣ri] (石垣島で宿屋を探しておきなさい) 17409 0 0 17404 htmvoc_17409.wav ヤドゥリ ヤ⸢ドゥ⸣リ [ja⸢du⸣ri] 名 宿。旅の宿。宿泊するところ。「~荒津の濱に屋取<ヤドリ>するかも。万、3215」の転訛したもの。 ウ⸢キ⸣ナー ⸣パルカー ウ⸢トゥ⸣ザン ⸢オーラン⸣ムヌ ⸣マナール ヤ⸢ドゥ⸣リ ⸢スーワ [ʔu⸢ki⸣naː ⸣parukaː ʔu⸢tu⸣ʣaŋ ⸢ʔoːram⸣munu ⸣manaːru ja⸢du⸣ri ⸢suːwa] (沖縄へ行ったら親戚もいらっしゃらないのに、どこで宿泊<宿り>をするのか) 17410 0 0 17405 htmvoc_17410.wav ヤドゥルガン ヤ⸢ドゥル⸣ガン [ja⸢duru⸣gaŋ] 名 (地)西表島の北部、⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)の西にある⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離)岬の先端部の南側、ナ⸢ダラ[na⸢dara](ナダラ川の北岸一帯)に昔の⸣スラバ[⸣suraba](造船所)の跡があったという。そこから採掘された石炭を燃やして造船用の平釘を鍛冶屋で作ったという。六反帆の地舟を造ったが、⸣カシンキー[⸣kaʃiŋkiː](樫の木)一本から一枚の板を削り出したという。従って舟は、⸣アシン ビ⸢リシタ[⸣ʔaʃim bi⸢riʃi̥ta](\ruby{喫水}{キッ|スイ}も深かった)という。この舟で⸢ゾー⸣ノー[⸢ʣoː⸣noː](上納米や御用布)を石垣島へ運んだという。時化の時は干瀬の外海へ出られないから、ガ⸢バナレー[ga⸢banareː](赤離)の⸣ピザダーチ[⸣piʣadaːʧi](海岸沿い)をサ⸢ライティ[sa⸢raiti](\ruby{浚渫}{シュン|セツ}して)、そこから舟を通して⸣ユチン[⸣juʧiŋ]の⸣バター[⸣bataː](湾)を回ってユ⸢ノーラミズ[ju⸢noːramiʣu](ユノーラ澪・海峡)を渡したという 17411 0 0 17406 htmvoc_17411.wav ヤナ ヤ⸢ナ [ja⸢na] 接頭 悪い。「嫌」の義。 ヤ⸢ナ⸣イジ [ja⸢na⸣ʔiʤi] (どなりつけること{EOS}どやすこと{EOS}悪しざまに叱ること)。 ヤ⸢ナ⸣カジ [ja⸢na⸣kaʤi] (悪霊{EOS}<悪い風>)。 ヤ⸢ナキム [ja⸢nakimu] (悪心{EOS}悪意{EOS}悪い気持ち)。 ヤ⸢ナクイ [ja⸢nakui] (悪い声)。 ヤ⸢ナシー [ja⸢naʃiː] (粗雑な仕事)。 ヤ⸢ナッサーク [ja⸢nassaːku] (悪質な咳{EOS}性質の悪い咳)。 ヤ⸢ナソー [ja⸢nasoː] (悪い知らせ{EOS}<悪い左右>)。 ヤ⸢ナ⸣ムニ [ja⸢na⸣muni] (悪口)。 ヤ⸢ナ⸣ムヌ [ja⸢na⸣munu] (悪霊{EOS}悪もの)。 ヤ⸢ナプス [ja⸢napu̥su] (悪人) 17412 0 0 17407 htmvoc_17412.wav ヤナ ⸣ヤナ [⸣jana] 名 魚の巣。⸣アナ[⸣ʔana](穴)の転訛したもの。 ヤ⸢ナザ⸣コー [ja⸢naʣa⸣koː] (海底の巣<穴>に\ruby{棲息}{セイ|ソク}する\ruby{雑魚}{ザ|コ}{EOS}カツオの\ruby{餌}{エサ}となる小魚)。 サ⸢ネー⸣ラーヤ フ⸢カトゥー⸣ヌ ⸣ヤナナール ⸢ブンダ⸣ ウマーラ ⸢ウイ⸣ ン⸢ザ⸣シティル ム⸢ジ⸣アンシ ス⸢クータ [sa⸢neː⸣raːja ɸu̥⸢katuː⸣nu ⸣jananaːru ⸢bunda⸣ ʔumaːra ⸢ʔui⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥tiru mu⸢ʤi⸣ʔaŋʃi su̥⸢kuːta] (カツオの最高の餌であるサネーラは深い海の穴場にいるから、そこから追い出して、網目の細かいム⸢ジ⸣アン{SqBr}mu⸢ʤi⸣ʔaŋ{/SqBr}<ムジ網>で掬った) 17413 0 0 17408 htmvoc_17413.wav ヤナー ヤ⸢ナー [ja⸢naː] 名 悪いもの。\ruby{劣悪}{レツ|アク}な物。悪質なもの。 ⸣アイブー ヤ⸢ナーヤ⸣ シゥ⸢カーラヌ [⸣ʔaibuː ja⸢naːja⸣ si̥⸢kaːranu] (あんな劣悪な物は使えない) 17414 0 0 17409 htmvoc_17414.wav ヤナアサビ ヤ⸢ナアサビ [ja⸢naʔasabi] 名 悪い遊び。 ⸣タンザンドゥ ⸣バー ッ⸢ふァン⸣ ヤ⸢ナアサビバ⸣ ナ⸢ラーシ⸣ター [⸣tanʣandu ⸣baː f⸢faŋ⸣ ja⸢naʔasabiba⸣ na⸢raːʃi̥⸣taː] (どいつ<何奴>が私の子に悪い遊びを教えたのか) 17415 0 0 17410 htmvoc_17415.wav ヤナアシゥカイ ヤ⸢ナアシゥカイ [ja⸢naʔasi̥kai] 名 \ruby{酷使}{コク|シ}。ひどい(酷い)扱い方。「悪い扱い」の義。 ⸢ピー⸣タイナー ヤ⸢ナアシゥカイ⸣ サ⸢リティル⸣<シ⸢ラリティル⸣> ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [⸢piː⸣tainaː ja⸢naʔasi̥kai⸣ sa⸢ritiru⸣<ʃi⸢raritiru⸣> duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (兵役<兵隊>で酷く扱われて病気になっている<体を病ましてある>) 17416 0 0 17411 htmvoc_17416.wav ヤナイジ ヤ⸢ナイジ [ja⸢naʔiʤi] 名 \ruby{罵倒}{バ|トウ}すること。激しく叱ること。 ヤ⸢ラ⸣ベー ヤ⸢ナイジ シー⸣ ナ⸢ラー⸣スモー ア⸢ラ⸣ヌ ⸢カシカーシマー⸣シェーティル イ⸢ジ⸣ ナ⸢ラー⸣ス [ja⸢ra⸣beː ja⸢na⸣ʔiʤi ⸢ʃiː⸣ na⸢raː⸣sumoː ʔa⸢ra⸣nu ⸢kaʃi̥kaːʃimaː⸣ʃeːtiru ʔi⸢ʤi⸣ na⸢raː⸣su] (子供は罵倒して教えるものではない{EOS}なだめ<宥め>すかし<賺し>、機嫌をとりながら言い含めて教える<習わせる>ものだ) 17417 0 0 17412 htmvoc_17417.wav ヤナイビ ヤ⸢ナイビ [ja⸢naʔibi] 名 雑な植え方。\ruby{整然}{セイ|ゼン}としない植え方。 ⸢マイヤー⸣ ヤ⸢ナイビ サンドー⸣シ カ⸢シーカシー⸣ イ⸢ビ⸣バ [⸢maijaː⸣ ja⸢naʔibi sandoː⸣ʃi ka⸢ʃiːkaʃiː⸣ ʔi⸢bi⸣ba] (稲は乱雑な植え方をしないで、整然<しっかり>と植えなさいよ) 17418 0 0 17413 htmvoc_17418.wav ヤナイミ ヤ⸢ナイミ [ja⸢naʔimi] 名 悪夢。悪い夢。不吉な夢。⸢ソーイミ[⸢soːʔimi](良い夢)の対義語。サ⸢カイミ[sḁ⸢kaʔimi](\ruby{逆夢}{サカ|ユメ})、⸢マーイミ[⸢maːʔimi](正夢)などがある。 ク⸢ヌ⸣グロー ヤ⸢ナイミヌ⸣ ミ⸢ラリ⸣ヌ ⸣ヌンティカヤー ウ⸢ヤプスン⸣マイ ⸢ティー⸣ッサイ シ⸢キ⸣リバ⸢ヨー [ku⸢nu⸣guroː ja⸢naʔiminu⸣ mi⸢rari⸣nu ⸣nuntikajaː ʔu⸢japusu⸣numai ⸢tiː⸣ssai ʃi̥⸢ki⸣riba⸢joː] (この頃は悪い夢が見られるのだが、何故だろうか{EOS}ご先祖さまに手を合せて拝んで<\ruby{合掌}{ガッ|ショウ}して>おきなさいよ) 17419 0 0 17414 htmvoc_17419.wav ヤナウヤーリ ヤ⸢ナウヤーリ [ja⸢naʔujaːri] 名 \ruby{絶叫}{ゼッ|キョウ}。大声で叫ぶこと。「悪叫び」の義。ウ⸢ヤー⸣リ[ʔu⸢jaː⸣ri](大声で叫ぶ)は、「~天仰ぎ叫於良妣<オラビ>足ずりし~。万、1809」の「おらび」の転訛したものか。 ⸣ワンザーヒャー ⸢アッ⸣タニ ヤ⸢ナウヤーリ シー⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢ダラカ⸣シ ⸣ヌーヤ ウ⸢レー [⸣wanʣaːçaː ⸢ʔat⸣tani ja⸢naʔujaːri ʃiː⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢daraka⸣ʃi ⸣nuːja ʔu⸢reː] (お前って野郎は、急に絶叫して人を驚かせて、いったい何ごとだね、それは) 17420 0 0 17415 htmvoc_17420.wav ヤナオーシキ ヤ⸢ナオーシキ [ja⸢naʔoːʃi̥ki] 名 悪天候。悪い天気。⸢オーシキ[⸢ʔoːʃi̥ki](天気)は「おはつき」(天気)『ウムイ』の転訛したもの。 ヤ⸢ナオーシキヌ⸣ シ⸢ジキティ⸣ イ⸢ソー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [ja⸢naʔoːʃi̥kinu⸣ ʃi⸢ʤikiti⸣ ʔi⸢soː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (悪天候が続いて漁に出られない) 17421 0 0 17416 htmvoc_17421.wav ヤナカーギ ヤ⸢ナカーギ [ja⸢nakaːgi] 名 不美人。 シ⸢ラカタ⸣チェー ヤ⸢ナカーギ⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ キモー ⸢カイ⸣ヤン [ʃi⸢rakata⸣ʧeː ja⸢nakaːgi⸣ ja⸢rundu⸣ kimoː ⸢kai⸣jaŋ] (容姿<顔形>は不美人だが、心は美しい) 17422 0 0 17417 htmvoc_17422.wav ヤナカコー ヤ⸢ナカコー [ja⸢nakakoː] 副 変に。変な具合に。悪い\ruby{恰好}{カッ|コウ}。 ⸢ワー⸣ ス⸢ク⸣ルカー ⸢カイ⸣テー ヤ⸢ナカコー⸣ ナ⸢リ⸣ス [⸢waː⸣ su̥⸢ku⸣rukaː ⸢kai⸣teː ja⸢nakakoː⸣ na⸢ri⸣su] (君が作ったら\ruby{却}{カエ}って変な具合になってしまう) 17423 0 0 17418 htmvoc_17423.wav ヤナカザ ヤ⸢ナカザ [ja⸢nakaʣa] 名 \ruby{悪臭}{アク|シュウ}。悪いにおい(臭い)。 ⸣クマー ヤ⸢ナカザヌ スーヌ ヌー⸣ヌ ⸣ッサリ ⸢ベー⸣カヤー [⸣kumaː ja⸢nakaʣanu suːnu nuː⸣nu ⸣ssari ⸢beː⸣kajaː] (ここは悪臭がするのだが、何が腐っているのかなあ) 17424 0 0 17419 htmvoc_17424.wav ヤナカジ ヤ⸢ナ⸣カジ [ja⸢na⸣kaʤi] 名 悪い風。それに当たると寒気立って\ruby{妖怪}{ヨウ|カイ}にまよわされる\ruby{魔風}{マ|フウ}。普通はヤ⸢ナ⸣カジ ア⸢マリ⸣カジ[ja⸢na⸣kaʤi ʔa⸢mari⸣kaʤi](悪い風、余り風)のようにいう。 ⸢ユー⸣ル ⸢タンガ⸣シ ミ⸢チェー⸣ラ ア⸢ラ⸣キ ⸢アー⸣クンケン ヤ⸢ナ⸣カジナー ア⸢タリティ⸣ マ⸢ヤーサ⸣リ ⸢アーク⸣タツォー [⸢juː⸣ru ⸢taŋga⸣ʃi mi⸢ʧeː⸣ra ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔaː⸣kuŋkeŋ ja⸢na⸣kaʤina ʔa⸢tariti⸣ ma⸢jaːsa⸣ri ⸢ʔaːku⸣taʦoː] (夜一人で道を歩いていたら魔風に当たって、迷わされていたそうだ) 17425 0 0 17420 htmvoc_17425.wav ヤナカジ ヤ⸢ナカジ [ja⸢nakaʣi] 名 悪い風。台風。暴風。 ヤ⸢ナカジヌ⸣ フキティ ス⸢クリ⸣ムノー ムー⸢ル トーサ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢nakaʤi⸣nu ⸣ɸu̥kiti su̥⸢kuri⸣munoː muː⸢ru toːsa⸣ri ⸢naː⸣nu] (暴風が吹き荒れて作物は総て倒されてしまった) 17426 0 0 17421 htmvoc_17426.wav ヤナカンガイ ヤ⸢ナカンガイ [ja⸢nakaŋgai] 名 悪い考え。愚かな考え。 パ⸢タラケー⸣ サ⸢ムテイ⸣ プ⸢スバ⸣ ダ⸢マシティ⸣ ジン ⸢モー⸣クンティ ⸢スー⸣ ヤ⸢ナカンガイヤ⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [pḁ⸢atarakeː⸣ sa⸢muti⸣ pu̥⸢suba⸣ da⸢maʃi̥ti⸣ ʤim ⸢moː⸣kunti ⸢suː⸣ ja⸢nakaŋgaijaː⸣ su⸢na⸣joː] (働きはしないで、他人を騙して金を儲けようとする悪い考えは持つな<するな>よ) 17427 0 0 17422 htmvoc_17427.wav ヤナギ ヤ⸢ナ⸣ギ [ja⸢na⸣gi] 名 (植)柳。 パ⸢トゥ⸣マナー ヤ⸢ナギ⸣ヌ イ⸢バリ<イ⸢ビラリ> ブー ヤー⸣ヤ ⸢ナー⸣ヌ [pḁ⸢tu⸣manaː ja⸢nagi⸣nu ʔi⸢bari<ʔi⸢birari> buː jaː⸣ja ⸢naː⸣nu] (鳩間島に柳が植えられている家はない) 17429 0 0 17423 htmvoc_17429.wav ヤナギゴーリ ヤ⸢ナギゴー⸣リ [ja⸢nagigoː⸣ri] 名 柳行李。標準語からの借用語。戦前には、台湾や本土へ出稼ぎに行く人に、旅行用の衣類入れとして重用された。 ヤ⸢ナギゴー⸣リナール ⸣キンカーン タ⸢ベー⸣ラヌ ⸣シトゥン イ⸢リティ⸣ ム⸢トーッタ⸣ル [ja⸢nagigoː⸣rinaːru ⸣kiŋkaːn ta⸢beː⸣ranu ⸣ʃi̥tuŋ ʔi⸢riti⸣ mu⸢toːtta⸣ru] (柳行李に<ぞ>衣類も、旅からのお土産<つと{EOS}苞>も入れて持ってこられたものだ) 17430 0 0 17424 htmvoc_17430.wav ヤナキム ヤ⸢ナキム [ja⸢nakimu] 名 悪心。悪い心。悪事を働く心。 ⸣アイブー ヤ⸢ナキムバ⸣ ムティ ⸢ブー⸣ プ⸢ソー⸣ ミリ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibuː ja⸢nakimuba⸣ muti ⸢buː⸣ pu̥⸢soː⸣ miri mi⸢ra⸣nu] (あんなに悪心を持っている人は、見たことがない<見て見ない>) 17431 0 0 17425 htmvoc_17431.wav ヤナキン ヤ⸢ナキン [ja⸢nakiŋ] 名 粗末な着物。古着。着古して破れた着物。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ナキンバ<ッ⸢ふキン⸣バ> パンツァシティル⸣ シ⸢ビシケー⸣ヤ ス⸢コールタル [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢nakimba panʦaʃi̥tiru⸣ ʃi⸢biʃi̥keː⸣ja su̥⸢koːrutaru] (昔は、古着を解いてオムツを用意したものだ) 17432 0 0 17426 htmvoc_17432.wav ヤナクンゾー ヤ⸢ナクンゾー [ja⸢nakunʣoː] 名 ひどく立腹しやすい性格。\ruby{激昴}{ゲキ|コウ}(激高)する性格。 ⸢ウンザー⸣ ヤ⸢ナクンゾー⸣ ヤ⸢ルンダ クン⸣ゾー ⸣ンズカー ナ⸢クラーン⸣ダー [⸢ʔunʣaː⸣ ja⸢nakunʣoː⸣ ja⸢runda kun⸣ʣoː ⸣ʔnʣukaː na⸢kuraːn⸣daː] (あいつは激高する性格だから、怒る<根性が出ると>と怖いぞ) 17433 0 0 17427 htmvoc_17433.wav ヤナザコー ヤ⸢ナザ⸣コー [ja⸢naʣa⸣koː] 名 カツオの餌で、海底の魚巣<穴>に棲息する、サ⸢ネー⸣ラ[sa⸢neː⸣ra]などの小魚。 ヤ⸢ナザ⸣コー ⸣ムティパルカー ⸢タイロー スン [ja⸢naʣa⸣koː ⸣mutiparukaː ⸢tairoː suŋ] (ヤナザコーを餌として持っていくと大漁する) 17434 0 0 17428 htmvoc_17434.wav ヤナシー ヤ⸢ナシー [ja⸢naʃiː] 名 悪い仕方。悪い仕事。粗雑な仕方。 シ⸢グトゥバ⸣ ヤ⸢ナシー スー⸣カー ⸣ウヌ ⸣ブンマー ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣マイニル ⸢カイ⸣リ ⸣クー⸢ダー [ʃi⸢gutuba⸣ ja⸢naʃiː suː⸣kaː ⸣ʔunu ⸣bummaː ⸢duː⸣nu ⸣mainiru ⸢kai⸣ri ⸣kuː⸢daː] (仕事を粗雑にすると、その分は自分の方<前>に返ってくるものだよ) 17435 0 0 17429 htmvoc_17435.wav ヤナシー ヤ⸢ナシー [ja⸢naʃiː] 名 悪い血。 ヌ⸢ブシヌ スーワ⸣トゥ カ⸢タコーリ⸣ヌ ⸢スー⸣ワンダ ⸢ブー⸣ブーシ ヤ⸢ナシー⸣ トゥ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラン⸣ツォー [nu⸢buʃinu suːwa⸣tu kḁ⸢takoːri⸣nu ⸢suː⸣wanda ⸢buː⸣buːʃi ja⸢naʃiː⸣ tu⸢raŋ⸣kaː na⸢ran⸣ʦoː] (\ruby{SqBr}g{/SqBr}{逆上}{ノボセ}が強いのと、肩こりが強いので\ruby{瀉血}{シャ|ケツ}で悪い血を取らないといけないそうだ) 17437 0 0 17430 htmvoc_17437.wav ヤナシゥカイ ヤ⸢ナシゥカイ [ja⸢nasi̥kai] 名 金銭の悪用。無駄遣い。悪い方向に使うこと。 ⸢ナン⸣ギクロー ⸢シー⸣ タ⸢メー⸣ル ⸢ジン⸣マー ヤ⸢ナシゥカイ サンドー⸣シ ⸢ジー⸣マシ ⸢カイ⸣バ [⸢naŋ⸣gikuroː ⸢ʃiː⸣ ta⸢meː⸣ru ⸢ʤim⸣maː ja⸢nasi̥kai sandoː⸣ʃi ⸢ʤiː⸣maʃi ⸢kai⸣ba] (難儀苦労をして貯めた金は無駄遣いしないで、土地財産を買いなさいよ) 17438 0 0 17431 htmvoc_17438.wav ヤナシゥカラ ヤ⸢ナシゥカラ [ja⸢nasi̥kara] 名 ばかぢから(馬鹿力)。くそぢから(糞力)。 ウ⸢レー⸣ ミ⸢ドゥムンケー⸣ヌ ⸣マイナーテー ヤ⸢ナシカラ⸣ ン⸢ザ⸣シ ノー⸢シェー⸣ル ⸣ムヌン ピ⸢キムタイ⸣ カ⸢タ⸣ムン [ʔu⸢reː⸣ mi⸢dumuŋkeː⸣nu ⸣mainaːteː ja⸢nasi̥kara⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi noː⸢ŋʃeː⸣ru ⸣munum pi̥⸢kimutai⸣ kḁ⸢ta⸣muŋ] (彼<あれ>は、女性たちの前では馬鹿力を出して、如何なる物でも引き持ち上げて担ぐ) 17436 0 0 17432 htmvoc_17436.wav ヤナシムチ ヤ⸢ナシムチ [ja⸢naʃimuʧi] 名 悪意。悪い心がけ。悪い精神。不愉快な気持ち。「悪気持ち」の義。 ヤ⸢ナシムチヌ⸣ アルカー イ⸢カーラ⸣ ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァーシタンティン ピッ⸣チン ン⸢マー ナー⸣ヌ [ja⸢naʃimuʧinu⸣ ʔarukaː ʔi⸢kaːra⸣ ʔm⸢maː⸣munu f⸢faːʃitantim pit⸣ʧim ʔm⸢maː naː⸣nu] (悪意があると、いくら美味しいものを食べさせたとしても、ちっとも<ひとつも>美味しくない) 17439 0 0 17433 htmvoc_17439.wav ヤナスクリ ヤ⸢ナスクリ [ja⸢nasu̥kuri] 名 粗雑な作りかた。下手な作り。粗雑な製法。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ムノー ク⸢メーキ⸣ ス⸢ク⸣リティ プ⸢スヌ⸣ ムノー ヤ⸢ナスクリ シー⸣ シケー [⸢duː⸣nu ⸣munoː ku⸢meːki⸣ su̥⸢ku⸣riti pu̥⸢sunu⸣ munoː ja⸢nasu̥kuri ʃiː⸣ ʃi̥keː] (自分のものは細かく入念に作っておいて、他人の物は粗雑な作りにしてある) 17440 0 0 17434 htmvoc_17440.wav ヤナソー ヤ⸢ナソー [ja⸢nasoː] 名 旅からの悪い知らせ。旅からの悪い便り。旅からの訃報。旅からの凶報。⸢ソー[⸢soː]は、「其のさう<左右>を今や今やと待ちける所に~」『太平記』、「sǒ. サウ(左右)左の方と右の方と.また、知らせ、また、便り」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 タ⸢ビ⸣ナーテー ⸣ドゥーゾーシ パ⸢タラキティ⸣ ヤ⸢ナソー⸣ シゥ⸢カサンドー⸣シ ⸢チャー イーソー⸣ カー⸢ニ⸣ シゥ⸢カシ⸠ヨー [ta⸢bi⸣naːteː ⸣duːʣoːʃi pḁ⸢tarakiti⸣ ja⸢nasoː⸣ sï̥⸢kasandoː⸣ʃi ⸢ʧaː ʔiːsoː⸣ kaː⸢ni⸣ sï̥⸢kaʃi⸠joː] (旅では健康で<胴強く>働いて、悪い知らせを聞かせないで、常に良い知らせを送り<聞かせ>なさいよ) 17441 0 0 17435 htmvoc_17441.wav ヤナタクマ ヤ⸢ナタクマ [ja⸢natakuma] 名 \ruby{悪巧}{ワル|ダクミ}。奸知の働く人。悪知恵の人。 ウ⸢レー⸣ ヤ⸢ナタクマ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リトー マーズンマー⸣ シ⸢グトー⸣ シ⸢ララヌ [ʔu⸢reː⸣ ja⸢natakuma⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢ritoː maːʣummaː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (彼は奸知の働く人だから、彼とは一緒には仕事は出来ない) 17442 0 0 17436 htmvoc_17442.wav ヤナッふァ ヤ⸢ナッふァ [ja⸢naffa] 名 悪い子。悪童。「悪子等」の転訛したもの。ヤ⸢ビッ⸣ふァ[ja⸢bif⸣fa](性格の曲がった子)ともいう。 マ⸢リットーラヌ⸣ ヤ⸢ナッふァ⸣ ヤ⸢ビッ⸣ふァテー ブ⸢ラーヌ [ma⸢rittoːranu⸣ ja⸢naffa⸣ ja⸢bif⸣fateː bu⸢raːnu] (生まれつきの悪童、性格のひん曲がった子供は<とては>いない) 17443 0 0 17437 htmvoc_17443.wav ヤナナキ ヤ⸢ナナキ [ja⸢nanaki] 名 動物の不吉な鳴き声。犬や鶏などの異常な鳴き声。「悪鳴き」の義。 ⸢イン⸣ヌン トゥ⸢ルン⸣ ヤ⸢ナナキ スー⸣カー ウ⸢リヌ⸣ ン⸢カウ⸣ トンナー ヤ⸢ナクトゥヌ⸣ ウ⸢ク⸣ルンティ⸢ダー [⸢ʔin⸣nun tu⸢ruŋ⸣ ja⸢nanaki suː⸣kaː ʔu⸢rinu⸣ ŋ⸢kau⸣ tonnaː ja⸢nakutunu⸣ ʔu⸢ku⸣runti⸢daː] (犬も鶏も不吉な鳴き方をすると、それが向く所に凶事<悪いこと>が起きるそうだよ) 17444 0 0 17438 htmvoc_17444.wav ヤナナラーシ ヤ⸢ナナラーシ [ja⸢nanaraːʃi] 名 悪いしつけ。悪い習慣。 ヤ⸢ナナラーシ シー⸣ ス⸢ダティラ⸣レール ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ルンダ マーパカラーサ ナー⸣ヌ [ja⸢nanaraːʃi ʃiː⸣ su⸢datira⸣reːru f⸢fa⸣ ja⸢runda maːpakaraːsa naː⸣nu] (悪い躾をして育てられた子供だから、真っ当さ<信頼のおけるまともさ、思慮深さ>がない) 17445 0 0 17439 htmvoc_17445.wav ヤナナライ ヤ⸢ナナライ [ja⸢nanarai] 名 悪い習慣。悪癖。「悪習」の義。⸣ナライ[⸣narai](習慣)は「Narai.ナライ(習ひ)例、Naraino michi.(習いの道)何か物事を学び習う方法」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢タンガ⸣ッふァティ ⸢シー⸣ ヤ⸢ナナラーシ⸣ シ⸢ラリティ⸣ マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ア⸢サニビ⸣ヌ ヤ⸢ナナライヤー⸣ マ⸢ダ ナウラ⸣ヌ [⸢taŋga⸣ffati ⸢ʃiː⸣ ja⸢nanaraːʃi⸣ ʃi⸢rariti⸣ ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tiŋ ʔa⸢sanibi⸣nu ja⸢nanaraijaː⸣ ma⸢da naura⸣nu] (一人っ子とて悪い習慣<躾け>を付けさせられて、今日に至るまで朝寝坊の悪い習慣は、まだ直っていない) 17446 0 0 17440 htmvoc_17446.wav ヤナバタ ヤ⸢ナバタ [ja⸢nabata] 名 悪心。悪事をしようとする心。立腹しやすい人。\ruby{性悪}{ショウ|ワル}。 ウ⸢レー⸣ ヤ⸢ナバタ⸣ ヤ⸢ルンダ ヌー⸣ スーユー ワ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ja⸢nabata⸣ ja⸢runda nuː⸣ suːjuː wa⸢kara⸣nu] (あれ<彼>は性悪だから何をするか分らない) 17447 0 0 17441 htmvoc_17447.wav ヤナフシ ヤ⸢ナフシ [ja⸢naɸu̥ʃi] 名 悪い癖。悪癖。悪い習慣。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー プ⸢スンナー⸣ニ ヌ⸢リカブ⸣ ヤ⸢ナフシヌ⸣ アルンダ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː pu̥⸢sunnaː⸣ni nu⸢rikabu⸣ ja⸢naɸu̥ʃinu⸣ ʔarunda ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri] (彼は酒を飲むと他人に口論を吹っかける悪癖があるので、気を付けなさいよ) 17448 0 0 17442 htmvoc_17448.wav ヤナフチ ヤ⸢ナフチ [ja⸢naɸu̥ʧi] 名 悪口。悪口をいう性癖。口汚く罵ること。 ウ⸢リヌ⸣ ヤ⸢ナフチェー⸣ マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ⸢ノーラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ ja⸢naɸu̥ʧeː⸣ ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tin ⸢noːra⸣nu] (彼の悪口<悪口をいう性癖>は、未だに<今もって>直らない) 17449 0 1 17443 htmvoc_17449.wav ヤナマリ ヤ⸢ナマリ [ja⸢namari] 名 {Mn_1}悪い性格。憎まれっ子の性質。 ユ⸢ヌ キョー⸣ダイ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ウ⸢リ タン⸣ガー ⸣アイニ ヤ⸢ナマリバ シー ブー⸠ツォー [ju⸢nu kjoː⸣dai ja⸢rundu⸣ ʔu⸢ri taŋ⸣gaː ⸣ʔaini ja⸢namariba ʃiː buː⸠ʦoː] (同じ兄弟だが、彼<あれ>一人だけは憎まれっ子の生まれつきをしているんだよ)。 17449 0 2 17444 htmvoc_17449.wav ヤナマリ ヤ⸢ナマリ [ja⸢namari] 名 {Mn_2}悲運な生まれつき。 ⸢ヌー⸣ヌ バ⸢チ⸣バ カ⸢ビ⸣ル ⸣カイブー ヤ⸢ナマリ⸣ シ⸢タ⸣カヤー [⸢nuː⸣nu ba⸢ʧi⸣ba ka⸢bi⸣ru ⸣kaibuː ja⸢namari⸣ ʃi̥⸢ta⸣kajaː] (何の因果で<罰を被って>このような悲運な生まれつき<悪い生まれ>をしたのかなあ) 17450 0 0 17445 htmvoc_17450.wav ヤナミジ ヤ⸢ナミジ [ja⸢namiʤi] 名 洗濯汚水。台所の汚水。生活汚水。(下水など{EOS}「悪い水」の義)。 ヤ⸢ナミジ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ シ⸢ティランドー⸣シ ⸣ヤサイナー カ⸢キ⸣リ [ja⸢namiʤi⸣ ja⸢rabaŋ⸣ ʃi̥⸢tirandoː⸣ʃi ⸣jasainaː kḁ⸢ki⸣ri] (生活汚水<悪い水>でも捨てないで、野菜にかけなさい) 17451 0 0 17446 htmvoc_17451.wav ヤナミチ ヤ⸢ナミチ [ja⸢namiʧi] 名 悪い道(道路)。 ム⸢カ⸣シェー ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ミ⸢ジヌ⸣ タ⸢マル⸣ ヤ⸢ナミチ⸣ ヤ⸢タンドゥ⸠ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː mi⸢ʤinu⸣ ta⸢maru⸣ ja⸢namiʧi⸣ ja⸢tandu⸠naː] (昔は、雨が降ると水が溜まる悪い道だったがなあ)。 17451 0 2 17447 htmvoc_17451.wav ヤナミチ ヤ⸢ナミチ [ja⸢namiʧi] 名 {Mn_2}あくどう(悪道)。悪い行い。 ヤ⸢ナドゥシトゥ⸣ ム⸢チ⸣ルカー ヤ⸢ナミチェー サンガリン⸠ダー [ja⸢naduʃitu⸣ mu⸢ʧi⸣rukaː ja⸢namiʧeː saŋgarin⸠daː] (悪友と\ruby{睦}{ムツ}ぶと悪道に引っ張られるぞ) 17452 0 0 17448 htmvoc_17452.wav ヤナムシ ヤ⸢ナムシ [ja⸢namuʃi] 名 害虫。悪い虫。 ⸢ナーン⸣パーナ ヤ⸢ナムシヌ⸣ シディティ ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふァイキサリ ナー⸣ヌ [⸢naːm⸣paːna ja⸢namuʃinu⸣ ʃiditi muː⸢ru⸣ f⸢faikisari naː⸣nu] (菜っ葉に害虫が発生<孵化して>、全部食い尽くされてしまった) 17453 0 0 17449 htmvoc_17453.wav ヤナムニ ヤ⸢ナムニ [ja⸢namuni] 名 悪い言葉。下品な言葉。 ⸣ムネー イ⸢ジヨーヌ⸣ ア⸢リ⸣ブー ヤ⸢ナムネー⸣ シゥ⸢カーンドー⸣シ ⸢マー⸣ビン ⸢ソームニ⸣ シゥ⸢カイ⸣バ [⸣muneː ʔi⸢ʤijoːnu⸣ ʔa⸢ri⸣buː ja⸢namuneː⸣ si̥⸢kaːndoː⸣ʃi ⸢maː⸣bin ⸢soːmuni⸣ si̥kaiba] (言葉には言い様がある{EOS}悪い言葉<悪い表現>は使わないで、もっと上品な<立派な>言葉を使いなさいよ) 17454 0 0 17450 htmvoc_17454.wav ヤナムニ ヤ⸢ナ⸣ムニ [ja⸢na⸣muni] 名 わるくち(悪口)。他人を\ruby{罵}{ノノシ}ること。人を悪く言うこと。あっく(悪口)。 ヤ⸢ナ⸣ムニ イ⸢ズ⸣カー ⸣ムニン ッ⸢ふァーリン⸣ティ ア⸢ジバ⸣ ムネー ⸢カイカイ⸣シ イ⸢ジ⸠ヨー [ja⸢na⸣muni ʔi⸢ʣu⸣kaː ⸣muniŋ f⸢faːrin⸣ti ʔa⸢ʤiba⸣ muneː ⸢kaikai⸣ʃi ʔi⸢ʤi⸠joː] (悪口<他人を悪しざまに言うこと>をいうと、その言葉に喰われるというから、言葉<物言い>は美しく、丁寧に言いなさいよ) 17455 0 0 17451 htmvoc_17455.wav ヤナムヌ ヤ⸢ナムヌ [ja⸢namunu] 名 悪いもの。粗悪品。⸢ソームヌ[⸢soːmunu](本物{EOS}「正物」の義)の対義語。 ⸢ソームヌン デー⸣カー ⸢カーサバン⸣ ミサヌ ⸣カイブー ヤ⸢ナムノー カーシェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢soːmunun deː⸣kaː ⸢kaːsabam⸣ misanu ⸣kaibuː ja⸢namunoː kaːʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (本物なら売ってもよいが、こんなに悪い物は売ってはならない) 17456 0 1 17452 htmvoc_17456.wav ヤナムヌ ヤ⸢ナ⸣ムヌ [ja⸢na⸣munu] 名 {Mn_1}悪者。悪人。 ウ⸢リ タンガ⸣バ ヤ⸢ナ⸣ムヌ ⸣ナシティ ヌ⸢カ⸣ロー ⸢ピン⸣ギパリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ri taŋga⸣ba ja⸢na⸣munu ⸣naʃi̥ti nu⸢ka⸣roː ⸢piŋ⸣gipari ⸢naː⸣nu] (彼だけ<一人>を悪者になして、残りは逃げていってしまった)。 17456 0 2 17453 htmvoc_17456.wav ヤナムヌ ヤ⸢ナ⸣ムヌ [ja⸢na⸣munu] 名 {Mn_2}魔物。悪霊。お化け。 ⸢ペーラ⸣フチェーラ ヤ⸢ナムヌ⸣ヌ ⸢ペーラン⸣ヨーニ ⸢ヤーカー⸣ジ シ⸢ビナージナ⸣ パイ ス⸢コー⸣レーンティ [⸢peːra⸣ɸu̥ʧeːra ja⸢namunu⸣nu ⸢peːraŋ⸣joːni ⸢jaːkaː⸣ʤi ʃi⸢binaːʤina⸣ pai su̥⸢koː⸣reːnti] (門<入り口>から魔物が入らぬように、家ごとに注連縄を張ってあるさ) 17457 0 0 17454 htmvoc_17457.wav ヤナヤン ヤ⸢ナヤン [ja⸢najaŋ] 名 悪い病気。悪疫。 ク⸢トゥシヌ⸣ フ⸢ヨー⸣ ヤ⸢マトゥ⸣ナー ヤ⸢ナヤンヌ⸣ パ⸢ヤー⸣リ ⸢ブー⸣ティバン⸢ナー [ku̥⸢tuʃinu⸣ ɸu⸢joː⸣ ja⸢matu⸣naː ja⸢najannu⸣ pa⸢jaː⸣ri ⸢buː⸣tiban⸢naː] (今年の冬は、本土<大和>では悪疫が流行っているそうだねえ) 17458 0 0 17455 htmvoc_17458.wav ヤナリクッチ ヤ⸢ナリクッチ [ja⸢narikutʧi] 名 悪知恵。「悪理屈」の転訛したもの。 ⸢ウンザー⸣ パ⸢タラケー⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ヤ⸢ナリクッチェー⸣ ッ⸢ふァイティ⸣ プ⸢スバ⸣ ダ⸢マシ ベー [⸢ʔunʣaː⸣ pḁ⸢tarakeː⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢ji⸣ ja⸢narikutʧeː⸣ f⸢faiti⸣ pu̥⸢suba⸣ da⸢maʃi beː] (あいつは、働きはしないで、ただ悪知恵を働かせて人を騙している) 17459 0 1 17456 htmvoc_17459.wav ヤナワザ ヤ⸢ナワザ [ja⸢nawaʣa] 名 {Mn_1}悪い仕事。きつい仕事。苦労の多い仕事。シ⸢ティワザ[ʃi̥⸢tiwaʣa](肉体労働の厳しい仕事{EOS}きつい仕事)ともいう。 ア⸢ガティダン⸣ プ⸢サ⸣リティ ⸢スー⸣ ナ⸢チヌ ターシグ⸣トゥ パ⸢タキシグ⸣トー ⸢フン⸣トー ヤ⸢ナシグトゥティル⸣ ウ⸢モー⸣リ [ʔa⸢gatidam⸣ pu̥⸢sa⸣riti ⸢suː⸣ na⸢ʧinu taːʃigu⸣tu pḁ⸢takiʃigu⸣toː ⸢ɸun⸣toː ja⸢naʃigututiru⸣ ʔu⸢moː⸣ri] (夏の酷熱の太陽に干されてする夏の田仕事や畑仕事は、本当に悪い仕事<きつい仕事>だと思われるよ)。 17459 0 2 17457 htmvoc_17459.wav ヤナワザ ヤ⸢ナワザ [ja⸢nawaʣa] 名 {Mn_2}危お険な仕事。法に触れる悪事。 ヤ⸢ナワザバ シー⸣ ジン ⸢モー⸣クンティ ⸢アーク⸣ナ⸢ヨー [ja⸢nawaʣaba ʃiː⸣ ʤim ⸢moː⸣kuniti ⸢ʔaːku⸣na⸢joː] (危険な仕事や法に触れる悪事をして、金を儲けようとしている<あるく>なよ) 17460 0 0 17458 htmvoc_17460.wav ヤナングチ ヤ⸢ナング⸣チ [ja⸢naŋgu⸣ʧi] 名 悪口。 ヤ⸢ナングチ⸣ヌ ⸢ゴー⸣カジ イ⸢ザリ ベー [ja⸢naŋguʧi⸣nu ⸢goː⸣kaʤi ʔi⸢ʣari beː] (悪口のありったけ<ありったけの悪口をたたかれている>を言われている) 17461 0 0 17459 htmvoc_17461.wav ヤナンゴーリミジ ヤ⸢ナンゴーリ⸣ミジ [ja⸢naŋgoːri⸣miʤi] 名 濁った水。「濁り水」の義。 ヤ⸢ナンゴーリ⸣ミジ ⸣ヌムカー ⸣バタ ヤ⸢ブ⸣ルン [ja⸢naŋgoːri⸣miʤi ⸣numukaː ⸣bata ja⸢bu⸣ruŋ] (濁った水を飲むと腹痛を起こす<お腹を壊す{EOS}破る>) 17462 0 0 17460 htmvoc_17462.wav ヤナンゴールン ヤ⸢ナンゴー⸣ルン [ja⸢naŋgoː⸣ruŋ] 自動 にごる(濁る)。若年層は、ユ⸢ヌンゴー⸣ルン[ju⸢nuŋgoː⸣ruŋ](濁る)ともいう。 ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ カ⸢ニシル⸣シ フ⸢ム⸣カー ヤ⸢ナンゴー⸣ルンダ ヤ⸢ナンゴーラサン⸣ヨーニ ク⸢バンパーシル⸣シ フ⸢ミ⸣バ [⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤeː⸣ ka⸢niʃiru⸣ʃi ɸu⸢mu⸣kaː ja⸢naŋgoː⸣runda ja⸢naŋgoːrasaŋ⸣joːni ku⸢bampaːʃiru⸣ʃi ɸu⸢mi⸣ba] (井戸の水は鉄板製の釣瓶で汲むと濁るから、濁らさないようにクバの葉製の釣瓶で汲みなさい)。 ヤ⸢ナンゴー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢naŋgoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (濁ってしまった)。 ヤ⸢ナンゴー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢naŋgoː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (濁ることはない)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢ナンゴー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢naŋgoː⸣reː ⸣misamunu] (もっと濁ればいいのに)。 ヤ⸢ナンゴー⸣リ [ja⸢naŋgoː⸣ri] (濁れ) 17463 0 0 17461 htmvoc_17463.wav ヤナンザ ヤ⸢ナンザ [ja⸢nanʣa] 名 悪い奴。「悪・奴婢(ぬひ)」の転訛したもの。ンザ[nʣa]は、昔、糸満漁師に売られた子供のこと。 ム⸢カ⸣シェー ユ⸢メー⸣ ヤ⸢ナンザヌ⸣ カタチニ ⸢アシゥカーリ ブー⸣ プ⸢スン⸣ ブ⸢タン⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ju⸢meː⸣ ja⸢nanʣanu⸣ kḁtaʧini ⸢ʔasi̥kaːri buː⸣ pu̥⸢sum⸣ bu⸢tan⸣ʦoː] (昔は、嫁は奴婢のようにひどく扱われる人もいたそうだ) 17465 0 1 17462 htmvoc_17465.wav ヤニーヤニーシ ヤ⸢ニーヤニー⸣シ [ja⸢niːjaniː⸣ʃi] 副 {Mn_1}汚そうに。若年層は、ヤニ⸢ヤーヤニヤー⸣シ[jani⸢jaːjanijaː⸣ʃi](汚そうに)ともいう。 ヤ⸢ニーヤニー⸣シ ⸢ムシゥ⸣カイ ⸢ベー [ja⸢niːjaniː⸣ʃi ⸢musi̥⸣kai ⸢beː] (汚そうに取り扱っている<\ruby{弄}{イジ}っている>)。 17465 0 2 17463 htmvoc_17465.wav ヤニーヤニーシ ヤ⸢ニーヤニー⸣シ [ja⸢niːjaniː⸣ʃi] 副 {Mn_2}\ruby{憎憎}{ニク|ニク}しげに。憎たらしそうに。 ⸣アイニ ヤ⸢ニーヤニー⸣シ プ⸢ス ミン⸣ナ [⸣ʔaini ja⸢niːjaniː⸣ʃi pu̥⸢su min⸣na] (あのように憎憎しげに<汚そうに>人を見るな) 17464 0 0 17464 htmvoc_17464.wav ヤニヤン ヤ⸢ニ⸣ヤン [ja⸢ni⸣jaŋ] 形 汚い。不潔である。若年層は⸢ヤン⸣ヤン[⸢jaŋ⸣jaŋ](汚い)ともいう。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤンティ ス⸢クタヌ ナン⸣ゾー ヤ⸢ニヤー ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena⸣ ja⸢ni⸣janti su̥⸢kutanu nan⸣ʣoː ja⸢nijaː naː⸣nu] (それは非常に汚いと聞いたが、あまり汚くない)。 ⸢シンダイ⸣ ヤ⸢ニ⸣ヤ ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai⸣ ja⸢ni⸣ja ⸣nari ⸣keːŋ] (次第に汚くなってきた)。 ⸣ガバー ⸣フイ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ キ⸢サラヌ [⸣gabaː ⸣ɸui ja⸢nija⸣nu ki̥⸢saranu] (垢が付いていて、汚くて着られない)。 ヤ⸢ニ⸣ヤ ⸣ムノー シ⸢ティリ [ja⸢ni⸣ja ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (\ruby{汚}{キタナ}いものは捨てろ)。 ヤ⸢ニ⸣ヤカー ⸢イー⸣ル プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ja⸢ni⸣jakaː ⸢ʔiː⸣ru pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (汚かったら貰う人はいない) 17481 0 0 17465 htmvoc_17481.wav ヤバーヤバーシ ヤ⸢バーヤバー⸣シ [ja⸢baːjabaː⸣ʃi] 副 巧みに。器用に。見事に。 ウ⸢ビッチン⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ビ ヤ⸢ルヌ⸣ ヤ⸢バーヤバー⸣シ ⸢ジー⸣ カク⸢ツォー [ʔu⸢bitʧin⸣nu ja⸢ra⸣bi ja⸢runu⸣ ja⸢baːjabaː⸣ʃi ⸢ʤiː⸣ kḁku⸢ʦoː] (あんな小さな子供だのに、巧みに文字を書くんですよ) 17466 0 1 17466 htmvoc_17466.wav ヤバーン ヤ⸢バー⸣ン [ja⸢baː⸣ŋ] 形 {Mn_1}手仕事が上手である。手わざが巧みである。しっくりと成しとげる。「和、ヤハシヌ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 マ⸢ダ⸣ ヤ⸢ラビ⸣ル ヤ⸢ルンドゥ⸣ シ⸢グトー⸣ ヤ⸢バー⸣ン [ma⸢da⸣ ja⸢rabi⸣ru ja⸢rundu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ ja⸢baː⸣ŋ] (まだ子供だが、仕事は上手である)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ヤ⸢バーヤバー⸣シ ブ⸢ドゥル スン⸠ダー [ja⸢rabi⸣nu ja⸢baːjabaː⸣ʃi bu⸢duru sun⸠daː] (子供が実に巧みに踊るよ)。 17466 0 2 17467 htmvoc_17466.wav ヤバーン ヤ⸢バー⸣ン [ja⸢baː⸣ŋ] 形 {Mn_2}危なっかしい。戦後流行り出した若年層の言葉 17480 0 1 17468 htmvoc_17480.wav ヤバーン ヤ⸢バー⸣ン [ja⸢baː⸣ŋ] 形 {Mn_1}柔らかい。柔軟である。弱々しい。 タ⸢キブネー⸣ ヤ⸢バー⸣ンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ⸢ナン⸣ゾー ヤ⸢バー ナー⸣ヌ [tḁ⸢kibuneː⸣ ja⸢baː⸣nti ʔu⸢muːta⸣nu ⸢nan⸣ʣoː ja⸢baː naː⸣nu] (竹の芯<骨>は柔らかで弱いと思ったが、あまり柔らかくない)。 ⸢オーシケー シンダイ⸣ ヤ⸢バー⸣ ナリケーン [⸢ʔoːʃi̥keː ʃindai⸣ ja⸢baː⸣ narikeːŋ] (天気は次第に良く<柔らかに>なてきた)。 ク⸢レー⸣ ヤ⸢バー⸣ヌ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢reː⸣ ja⸢baː⸣nu si̥⸢kaːranu] (これは弱くて使えない)。 17480 0 2 17469 htmvoc_17480.wav ヤバーン ヤ⸢バー⸣ン [ja⸢baː⸣ŋ] 形 {Mn_2}器用である。巧みである。細やかである。 ウ⸢レー ティーシグ⸣トー イッ⸢ケナ⸣ ヤ⸢バー⸣ン [ʔu⸢reː tiːʃigu⸣toː ʔik⸢kena⸣ ja⸢baː⸣ŋ] (彼は、手仕事は非常に器用である<細やかである>) 17482 0 0 17470 htmvoc_17482.wav ヤバン ⸣ヤバン [⸣jabaŋ] 名 野蛮。教養がなく、粗暴な人。標準語からの借用語。 ⸢ウンザー⸣ チ⸢カ⸣グロー ⸣ヤバン ⸣ナリティ ムッ⸢トゥ⸣ ウチソーダンユン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔunʣaː⸣ ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸣jaban ⸣nariti mut⸢tu⸣ ʔuʧisoːdaɲjun na⸢ra⸣nu] (あいつは、近頃は野蛮になってしまって、ちっとも内輪<内内の>の相談ができない) 17467 0 0 17471 htmvoc_17467.wav ヤハンメー ⸣ヤハンメー [⸣jahammeː] 名 恋の成就を祈願して深夜にお参りをする女性。「夜半参り」の転訛したものという。沖縄の伝統芝居が石垣島で上演されたことから、石垣方言を経て伝播してきた沖縄方言。 ⸣ヤハンメーヤ ウ⸢キナー⸣ ムニ ⸢ダー⸣ パ⸢トゥ⸣マムネー ア⸢ラ⸣ヌ [⸣jahammeːja ʔu⸢kinaː⸣muni ⸢daː⸣ pḁ⸢tu⸣mamuneː ʔa⸢ra⸣nu] (ヤハンメーは沖縄方言<\ruby{物言}{モノ|イ}い{EOS}ことば>だよ{EOS}鳩間方言<物言い{EOS}ことば>ではない) 17483 0 0 17472 htmvoc_17483.wav ヤビカタチ ヤ⸢ビカタ⸣チ [ja⸢bikata⸣ʧi] 名 不恰好。醜い格好。非常識な姿格好。 ⸣アイブ ヤ⸢ビカタ⸣チ ⸢サンドー⸣シ プ⸢スナミヌ⸣ カ⸢タチバ シー アー⸣キ [⸣ʔaibu ja⸢bikata⸣ʧi ⸢sandoː⸣ʃi pu̥⸢sunaminu⸣ kḁ⸢taʧiba ʃiː ʔaː⸣ki] (あんな非常識な姿格好をしていないで、人並みの格好をしておりなさい<してあるきなさい>) 17484 0 0 17473 htmvoc_17484.wav ヤビスクリ ヤ⸢ビスク⸣リ [ja⸢bisu̥ku⸣ri] 名 作り損ない。作り損なったもの。出来損ないのもの。失敗作。「破れ作り」の義。 ク⸢ヌ⸣ カメー ⸢タール⸣ ス⸢クル⸣タユー ヤ⸢ビスク⸣リ シ⸢ラリ ベー [ku⸢nu⸣ kameː ⸢taːru⸣ su̥⸢kuru⸣tajuː ja⸢bisu̥ku⸣ri ʃi⸢rari beː] (この\ruby{甕}{カメ}は誰が作ったのか、作り損じの作品だ<出来損ないの作品>にされている) 17485 0 0 17474 htmvoc_17485.wav ヤビマイ ヤ⸢ビ⸣マイ [ja⸢bi⸣mai] 名 いもちびょう(稲熱病)に\ruby{罹}{カカ}った稲。\ruby{稔}{ミノ}らない稲。「破れ米」の義。 ク⸢ズ⸣ヌ ヤ⸢ビマイ⸣ヤー バ⸢ラフ⸣ターラ ムー⸢ル⸣ ヤ⸢キシティティル⸣ ク⸢トゥシェー マイ⸣ ス⸢クル⸣タ [ku⸢ʣu⸣nu ja⸢bimai⸣jaː ba⸢raɸu̥⸣taːra muː⸢ru⸣ ja⸢kiʃi̥titiru⸣ ku̥⸢tuʃeː mai⸣ su̥⸢kuru⸣ta] (去年の\ruby{SqBr}g{/SqBr}{稲熱}{イモチ}\ruby{病}{ビョウ}に罹った稲は、稲藁から全部焼着捨てて<ぞ>今年は稲を作付けした) 17486 0 0 17475 htmvoc_17486.wav ヤビマリ ヤ⸢ビ⸣マリ [ja⸢bi⸣mari] 名 奇形。身体障害の人。「破れ生まれ」の義。 パ⸢ルミプス⸣ヌ パ⸢ナシキヌ⸣ イ⸢フナ⸣ フ⸢チル⸣バ ⸣ヌムカー ヤ⸢ビマリ⸣ヌ マ⸢リルンティ⸣ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [pa⸢rumipusu⸣nu pa⸢naʃikinu⸣ ʔi⸢ɸuna⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣numukaː ja⸢bimari⸣nu ma⸢rirunti⸣ ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (妊婦が妙な風邪薬を飲むと障害児が生まれるといわれているよ) 17487 0 0 17476 htmvoc_17487.wav ヤビムヌ ヤ⸢ビ⸣ムヌ [ja⸢bi⸣munu] 名 悪者。ろくでなし。「破れ者」の義。 ヤ⸢ナドゥシトゥ⸣ ム⸢チ⸣リティ ヤ⸢ビ⸣ムヌ ⸣ナリ ムッ⸢トゥ ヤー⸣ カ⸢カラ⸣ヌ [ja⸢naduʃitu⸣ mu⸢ʧi⸣riti ja⸢bi⸣munu ⸣nariti mut⸢tu jaː⸣ kḁ⸢kara⸣nu] (悪友と睦んで、ろくでなし<不良>になって、ちっとも家に寄り付か<かから>ない) 17488 0 0 17477 htmvoc_17488.wav ヤビルン ヤ⸢ビ⸣ルン [ja⸢bi⸣ruŋ] 自動 悪くなる。悪化する。破れる。⸣ヤブン[⸣jabuŋ](悪くなる)ともいう。 カ⸢タ⸣ピキ ⸢スー⸣カー ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣キム ヤ⸢ビ⸣ルン [kḁ⸢ta⸣pi̥ki ⸢suː⸣kaː ja⸢ra⸣beː ⸣kimu ja⸢bi⸣ruŋ] (片方に\ruby{SqBr}g{/SqBr}{贔屓}{ヒイキ}すると子供は感情を害する<肝が悪くなる{EOS}心が破れる>)。 ア⸢ツァー⸣ラ ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ビ⸣ルンティ ス⸢クタヌ⸣ ク⸢ヌ ブン⸣シェー ⸢オーシケー⸣ ヤ⸢ビラン⸣ナー [ʔa⸢ʦaː⸣ra ⸢ʔoːʃi̥keː⸣ ja⸢bi⸣runti su̥⸢kutanu⸣ ku⸢nu buŋ⸣ʃeː ⸢ʔoːʃikeː⸣ ja⸢biran⸣naː] (明日から天気が崩れ<破れ>ると聞いたが、この分では崩れないねえ)。 ⸢オーシケー⸣ ヤビ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːʃi̥keː⸣ jabi ⸢naː⸣nu] (天気は崩れてしまった)。 ⸢オーシキヌ⸣ ヤ⸢ビ⸣ル ⸣ピンマー シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoːʃikinu⸣ ja⸢bi⸣ru ⸣pimmaː ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (天気が崩れる時は仕事が出来ない)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢ビ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢bi⸣reː ⸣misamunu] (もっと天気が崩れればいいのに)。 ヤ⸢ビ⸣ルカー ⸢パー⸣ク ヤ⸢ビ⸣リ [ja⸢bi⸣rukaː ⸢paː⸣ku ja⸢bi⸣ri] (<天気が>崩れるなら早く崩れろよ) 17489 0 0 17478 htmvoc_17489.wav ヤフ ⸣ヤフ [⸣jaɸu] 名 厄。災い。災難。「厄、ヤク、十三、二十五、三十七、四十九、六十一、七十三、八十五、九十七、之を厄年と謂ふ」『色葉字類抄』の転訛したもの。 ⸣ヤフ カ⸢カリ⸣プソー ⸢ウンキニン⸣ガイ ⸢シー⸣ ヤフ ウ⸢タ⸣シバ [⸣jaɸu kḁ⸢kari⸣pu̥soː ⸢ʔuŋkiniŋ⸣gai ⸢ʃiː⸣ jaɸu ʔu⸢ta⸣ʃiba] (厄にかかっている人は運気<五運六気>の祈願をして厄を落としなさいよ)。 マ⸢リドゥシェー⸣ ヤフティ ア⸢ザリブンダ⸣ ミス⸢コー ミスコー⸣シ ⸢シェー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ(⸢アー⸣キ) [mari⸢duʃeː⸣ jaɸuti ʔa⸢ʣaribunda⸣ misu̥⸢koː misu̥koː⸣ʃi ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki(⸢ʔaː⸣ki)] (生まれ年は厄年と云われているから、細心の注意を払って<\ruby{畏}{カシコ}まって>過ごしなさい<あるきなさい>) 17490 0 0 17479 htmvoc_17490.wav ヤブ ヤ⸢ブ [ja⸢bu] 名 やぶいしゃ(藪医者)。「野坐医、ヤブヰ」『書言字考』の転訛したものか。沖縄本島の糸満や奥武島からの寄留民漁師の中に民間療法の心得のある者が鳩間島の人々に\ruby{鍼灸}{シン|キュウ}医療を\ruby{施}{ホドコ}して尊敬されていたという。昭和二十年代まで、⸢ウー⸣マレーウスマイ[⸢ʔuː⸣mareːʔusumai](ウーマレー老人<御主前>)、シ⸢ラ⸣ガーウスマイ[ʃi⸢ra⸣gaːʔusumai](金城次郎<白髪御主前>)などと呼ばれて、終戦直後の島人の病気治療に当たり、島人から敬愛されていた。肩こり、腹痛、腰痛、頭痛、下痢止め等の鍼灸や解熱剤としてのヨモギの青汁、虫下し薬としての、ナ⸢ツァー⸣ラ[na⸢ʦaː⸣ra](海人草)の煎じ薬の服用など、ヤ⸢ブ[ja⸢bu](藪医者)から習得したものという 17491 0 0 17480 htmvoc_17491.wav ヤフカカリ ⸣ヤフ カ⸢カ⸣リ [⸣jaɸu kḁ⸢ka⸣ri] 連 厄にかかること。 ⸣ヤフ カ⸢カ⸣リティ ⸣ヤミ ニ⸢ビ ベー⸣バ ヤ⸢ク⸣バライ<ヤ⸢フ⸣バライ> シ⸢ミリ [⸣jaɸu kḁ⸢ka⸣riti ⸣jami ni⸢bibeː⸣ba ja⸢ku⸣barai ʃi⸢miri] (厄に罹って病気して寝ているから、厄払いをさせなさい) 17469 0 0 17481 htmvoc_17469.wav ヤフドゥシ ヤ⸢フ⸣ドゥシ [ja⸢ɸu⸣duʃi] 名 厄年。陰陽道で、災厄に会うから忌み慎むべきとされる年齢。男は、二十五、四十二、六十一歳、女は、十九、三十三、三十七歳をいう。特に四十二歳と三十三歳を大厄として恐れ慎む。 ヤ⸢フ⸣ドゥシナー ウ⸢ブシグトー サンドー⸣シ ⸣ユー チ⸢チシメー⸣ティ ⸢アー⸣キ⸢ヨー [ja⸢ɸu⸣duʃinaː ʔu⸢buʃigutoː sandoː⸣ʃi ⸣juː ʧi̥⸢ʧiʃimeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki⸢joː] (厄年には大きな仕事はしないで、よくよく注意して、慎み深くして過ごしなさい<あるきなさい>よ)。 ヤ⸢フ⸣ドゥシ ア⸢タル⸣ ピンマー ⸣ユー チ⸢チシメー⸣ティ ⸢アー⸣キ⸢ヨー [ja⸢ɸu⸣duʃi ʔa⸢taru⸣ pimmaː ⸣juː ʧi̥⸢ʧiʃimeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki⸢joː] (厄年に当たる時はよくよく行動を慎みながら生活しなさいよ) 17470 0 0 17482 htmvoc_17470.wav ヤフバライ ヤ⸢フ⸣バライ [ja⸢ɸu⸣barai] 名 厄払い。 ク⸢トゥシェー ワー⸣ ヤ⸢フ⸣ドゥシ ア⸢タリ ブーバ⸣ ヤ⸢フ⸣バライ シ⸢ミリ⸠ヨー [ku̥⸢tuʃeː waː⸣ ja⸢ɸu⸣duʃi ʔa⸢tari buːba⸣ ja⸢ɸu⸣barai ʃi⸢miri⸠joː] (今年は、君は厄年に当たっているから、厄払いをさせなさいよ) 17493 0 0 17483 htmvoc_17493.wav ヤブヨーゾー ヤ⸢ブヨーゾー [ja⸢bujoːʣoː] 名 藪医者による治療(養生)。「野坐医・養生」の転訛したものか。 イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーラ⸣ン ⸣シマ ヤ⸢ルンダ⸣ ヤ⸢ブヨーゾーバ シール⸣ ヌチェー ムイケー⸢ダー [ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːra⸣ŋ ⸣ʃima ja⸢runda⸣ ja⸢bujoːʣoːba ʃiːru⸣ nuʧeː muikeː⸢daː] (医者のおられない島だからヤブ養生をして命を\ruby{紡}{ツム}いで<萌えて{EOS}生きながらえて>きたものだよ) 17494 0 0 17484 htmvoc_17494.wav ヤブリッツァールン ヤ⸢ブリッツァー⸣ルン [ja⸢buritʦaː⸣ruŋ] 自動 散々に破れる。ばらばらに破損する。「破れ散らかる」の転訛したもの。ヤ⸢リッツァー⸣ルン[ja⸢ritʦaː⸣ruŋ](破れ散らかる)ともいう。 ⸢ソージヌ⸣ カ⸢ビン⸣ ヤ⸢ブリッツァー⸣リティ キ⸢ムイツァー⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢soːʤinu⸣ ka⸢biŋ⸣ ja⸢buritʦaː⸣riti ki⸢muiʦaː⸣nu mi⸢rara⸣nu] (障子の紙も破れ散らかって、見るに耐えない<見られない>)。 マ⸢ダ⸣ ヤ⸢ブリッツァーラ⸣ヌ [ma⸢da⸣ ja⸢buritʦaːra⸣nu] (まだ破れ散らからない)。 ヤ⸢ブリッツァー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢buritʦaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (破れ散らかることはない)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢ブリッツァー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢buritʦaː⸣reː ⸣misamunu] (もっと破れ散らかればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢ブリッツァー⸣リ [⸢paː⸣ku ja⸢buritʦaː⸣ri] (早く破れ散らかれ) 17495 0 1 17485 htmvoc_17495.wav ヤブリムヌ ヤ⸢ブリ⸣ムヌ [ja⸢buri⸣munu] 名 {Mn_1}壊れ物。破れている物。出来損ない。「破れ物」の義。 ク⸢ヌ ドン⸣ゴー ヤ⸢ブリ⸣ムヌ ⸣ナリティ シゥ⸢カーラヌ [ku⸢nu doŋ⸣goː ja⸢buri⸣munu ⸣nariti si̥⸢kaːranu] (この道具は壊れていて<壊れ物になって>使えない)。 17495 0 2 17486 htmvoc_17495.wav ヤブリムヌ ヤ⸢ブリ⸣ムヌ [ja⸢buri⸣munu] 名 {Mn_2}性格の歪んだ人。 ヤ⸢ブリ⸣ムヌ ⸣ナリティ ムッ⸢トゥ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カヌ [ja⸢buri⸣munu ⸣nariti mut⸢tu⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni si̥⸢kanu] (性格の歪んだ者<不良>になってしまって、ちっとも親のいうことを聞かない) 17496 0 1 17487 htmvoc_17496.wav ヤブリルン ヤ⸢ブリ⸣ルン [ja⸢buri⸣ruŋ] 自動 {Mn_1}破れる。壊れる。 ⸢ソージカベー ウイ⸣ビシ ⸢ピッ⸣クカー ヤ⸢ブリルン⸣ドゥ ビ⸢ニー⸣ルカベー ⸢ピック⸣バン ヤ⸢ブリラ⸣ヌ [⸢soːʤikabeː ⸢ʔuji⸣biʃi ⸢pik⸣kukaː ja⸢burirun⸣du bi⸢niː⸣rukabeː ⸢pikku⸣baŋ ja⸢burira⸣nu] (障子紙は指で突き刺すと破れるが、ビニール紙は突き刺しても破れない)。 ク⸢レー⸣ ヤ⸢ブリ パヤー⸣ン [ku⸢reː⸣ ja⸢buri pajaː⸣ŋ] (これは破れ易い<破れ早い>)。 ヤ⸢ブリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣パジ [ja⸢buri⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (破れることは無いはずだ)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢ブリ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢buri⸣reː ⸣misamunu] (もっと破れればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢ブリ⸣リ [⸢paː⸣ku ja⸢buri⸣ri] (早く破れろ)。 17496 0 2 17488 htmvoc_17496.wav ヤブリルン ヤ⸢ブリ⸣ルン [ja⸢buri⸣ruŋ] 自動 {Mn_2}性格がひん曲がる<破綻する>。 ヤ⸢ラ⸣ベー トゥ⸢シ⸣グルナー ム⸢ヌ⸣ウムイ シ⸢ミル⸣カー ヤ⸢ブリ⸣ルン⸢ダー [ja⸢ra⸣beː tu⸢ʃi⸣gurunaː mu⸢nu⸣ʔumui ʃi⸢miru⸣kaː ja⸢buri⸣run⸢daː] (子供は、年頃になってひどく心労させると<もの思いさせると>性格が曲がってしまうよ) 17497 1 1 17489 htmvoc_17497.wav ヤブルン ヤ⸢ブ⸣ルン [ja⸢bu⸣ruŋ] 他動 {PoS_1}{Mn_1}破る。壊す。裂く。「~石もち都追伎破夫利<ツツキヤブリ>~。万、3880」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ビ⸣ ヤ⸢ブ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ウ⸢ムイツァー⸣ヌ ヤ⸢ブララ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ka⸢bi⸣ ja⸢bu⸣runti ⸢sundu⸣ ʔu⸢muiʦaː⸣nu ja⸢burara⸣nu] (この紙を破ろうとするが、惜しくて破られない)。 ヤ⸢ブ⸣リ ミサン⸢ダー [ja⸢bu⸣ri misan⸢daː] (破っていいよ)。 ヤ⸢ブ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢bu⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (破ることは出来ない)。 ン⸢ベーマー⸣ ヤ⸢ブ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ja⸢bu⸣reː ⸣misamunu] (少しは破ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢ブ⸣リ [⸢paː⸣ku ja⸢bu⸣ri] (早く破れ)。 17497 1 2 17490 htmvoc_17497.wav ヤブルン ヤ⸢ブ⸣ルン [ja⸢bu⸣ruŋ] 他動 {Mn_2}他人の気持ちを害する。 ン⸢マー⸣ムヌ ミ⸢サ⸣シティ ッ⸢ふァーサン⸣カー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣キム ヤ⸢ブ⸣ルン⸢ダー [ʔm⸢maː⸣munu mi⸢sa⸣ʃi̥ti f⸢faːsaŋ⸣kaː ja⸢rabi⸣nu ⸣kimu ja⸢bu⸣run⸢daː] (美味しいのを見せて食べさせないと子供の気持ちを損ねるよ)。 17497 2 0 17491 htmvoc_17497.wav ヤブルン ヤ⸢ブ⸣ルン [ja⸢bu⸣ruŋ] 自動 {PoS_2}破れる。 カ⸢ベー⸣ アミナー ⸢ゾッふァス⸣カー ヤ⸢ブ⸣ルン⸢ダー [ka⸢beː⸣ ʔaminaː ⸢ʣoffasu⸣kaː ja⸢bu⸣run⸢daː] (紙は雨に濡らすと破れるよ) 17498 1 0 17492 htmvoc_17498.wav ヤブン ⸣ヤブン [⸣jabuŋ] 他動 {PoS_1}破る。壊れる。悪くする。駄目にする。 プ⸢スヌ ドン⸣グ カ⸢ル⸣カー ヤ⸢バン⸣ドーシル ⸢カイ⸣ス ⸢ドン⸣グ ⸣ヤビ シ⸢ティティ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [pu̥⸢sunu doŋ⸣gu ka⸢ru⸣kaː ja⸢ban⸣doːʃiru ⸢kai⸣su ⸢doŋ⸣gu ⸣jabi ʃi̥⸢titi⸣ nuːja ʔu⸢reː] (他人の道具を借りたら、壊さないで返すのであって、道具を壊してしまって何事だ、これは)。 ⸢ドン⸣グ ⸣ヤブ プ⸢スン<プ⸢スヌ> ブン [⸢doŋ⸣gu ⸣jabu pu̥⸢sum buŋ] (道具を壊す人もいる)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ヤベー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣jabeː ⸣misamunu] (もっと壊せばいいのに)。 ⸣ヤビバ [⸣jabiba] (壊しなさいよ)。 プ⸢スヌ⸣ シ⸢ムチ⸣ ヤ⸢ブン⸣ナ<ヤ⸢ブ⸣ナ> [pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢muʧi⸣ ja⸢bun⸣na] (他人の気持ちを害するな)。 ン⸢マー⸣ムヌ ミ⸢ラ⸣スカー ヤ⸢ラビ⸣ ヌ シ⸢ムチ⸣ ヤブン⸢ダー [ʔm⸢maː⸣munu mi⸢ra⸣sukaː ja⸢rabi⸣nu ʃi⸢muʧi⸣ jabun⸢daː] (美味しいのを見せると子供の感情をがいする<気持ちを破る>よ)。 17498 2 0 17493 htmvoc_17498.wav ヤブン ⸣ヤブン [⸣jabuŋ] 自動 {PoS_2}破れる。壊れる。 ウ⸢ヌ⸣ ムニシ シ⸢ムチヌ⸣ ヤブンテー ウ⸢モーン⸣シェン [ʔu⸢nu⸣ muniʃi ʃi⸢muʧi⸣nu ⸣jabunteː ʔu⸢moːŋ⸣ʃeŋ] (その言葉で感情を害する<気持ちが破れる>とは思わなかった) 17499 0 0 17494 htmvoc_17499.wav ヤフンガイ ⸣ヤフンガイ [⸣jaɸuŋgai] 名 (動)貝の名。ヤコウガイ(「夜久貝<やくがひ>」『枕草子』)の転訛したもの。夜光貝と表記される。原始腹足目・リュウテン科。形はサザエ貝に似る。殻の内側は真珠光沢に輝く。屋久島から献上されたので「屋久貝」という。食用のほかに\ruby{殻}{カラ}は\ruby{螺鈿細工}{ラ|デン|ザイ|ク}に利用される。正倉院の御物の中にもこの貝で作った工芸品がある『原色沖縄海中動物生態図鑑』という。 ⸣ヤフンガイヤー ⸣サザミナ ⸢ニー ブー [⸣jaɸuŋgaijaː ⸣saʣamina ⸢niː buː] (ヤコウガイはサザエ貝に似ている) 17500 0 1 17495 htmvoc_17500.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 {Mn_1}山。 ティ⸢ドゥ⸣クヤマーラ ユ⸢チルダキ⸣ キ⸢ソーッ⸣タ [ti⸢du⸣kujamaːra ju⸢ʧirudaki⸣ ki̥⸢soːt⸣ta] (西表島のティドゥク山からエツリ用の竹を伐られた)。 17500 0 2 17496 htmvoc_17500.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 {Mn_2}森。 ⸣ウガンヤマーラ ⸢マー⸣ニ ⸣キスカー ⸢カントゥン⸣ガー ア⸢ティラリン⸣ティ⸢ダー [⸣ʔugaɲjamaːra ⸢maː⸣ni ⸣ki̥sukaː ⸢kantuŋ⸣gaː ʔa⸢tirarin⸣ti⸢daː] (御嶽の森<杜>からマーニを切ると神罰<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{神罪科}{カミトガ}>を与えられるってよ)。 17500 0 3 17497 htmvoc_17500.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 {Mn_3}林。 ⸢ター⸣ヌ ⸢ウイヤー⸣ タ⸢キヤマ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウマーラル タ⸢ケー⸣ キ⸢ソーッタ⸣ル [⸢taː⸣nu ⸢ʔuijaː⸣ tḁ⸢kijama⸣ ja⸢runda⸣ ʔumaːraru tḁ⸢keː⸣ ki̥⸢soːtta⸣ru] (田圃の上は竹林だから、そこから<ぞ>竹は切られたものだよ)。 17500 0 4 17498 htmvoc_17500.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 {Mn_4}やぶ(藪)。雑草の生い茂ったところ。 パ⸢タキ⸣バ プ⸢ス⸣トゥシ シ⸢ティ⸣シケータ ⸣クトー ムー⸢ル⸣ ッ⸢サ⸣ヌ ⸢ムイカバ⸣シ ヤ⸢マ⸣ ナリ ⸢ベー [pḁ⸢taki⸣ba pu̥⸢su⸣tuʃi ʃi̥⸢ti⸣ ʃi̥keːta ⸣ku̥toː muː⸢ru⸣ s⸢sa⸣nu ⸢muikaba⸣ʃi ja⸢ma⸣ nari ⸢beː] (畑を一年捨てておいたところ、雑草が生い茂って藪になっているよ) 17501 0 0 17499 htmvoc_17501.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 (数)御嶽(御願所)などを数える単位。プ⸢ス⸣ヤマ[pu̥⸢su⸣jama](一御嶽)、フ⸢タヤマ[ɸu̥⸢tajama](二御嶽)、⸢ミーヤマ[⸢miːjama](三御嶽)、⸢ユーヤマ[⸢juːjama](四御嶽)、イ⸢チ⸣ヤマ[ʔi⸢ʧi⸣jama](五御嶽)と数える。 ⸢ウイヌ⸣ ウガンナーティ ウ⸢トゥー⸣シ ⸢シー ニン⸣ガイ ⸢ヨー⸣ル ⸣ピンマー イ⸢チヤマ⸣ヌ ク⸢ムチ⸣ クバン ス⸢コーリル ニン⸣ガイ ⸢ヨーッ⸣タ [⸢ʔuinu⸣ ʔugannaːti ʔu⸢tuː⸣ʃi ⸢ʃiː niŋ⸣gai ⸢joː⸣ru ⸣pimmaː ʔi⸢ʧijama⸣nu ku⸢muʧi⸣ kuban su̥⸢koːriru niŋ⸣gai ⸢joːt⸣ta] (友利御嶽<上の御願>でお通しの祈願をされる時は、五御嶽<五山>の供物、クバンを用意して祈願された) 17502 0 0 17500 htmvoc_17502.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 \ruby{鋤}{スキ}。からすき(\ruby{犂}{スキ})。牛耕用の農具。人工的に工夫された器具。 ウ⸢シヌ⸣ ヤマ [ʔu⸢ʃinu⸣ jama] (牛に曳かせて田や畑の土を鋤く農具)。床木の先端を削り、それに鉄製の犂を付け、床木の後部に軸木を立て、軸木から床木と平行に腕木を出し、床木との間に梁を渡して固定した鋤。腕木から綱を出して牛の⸣ッふァ[⸣ffa](鞍)に連結し、犂を曳かせて田や畑の土を鋤き起こす。 ウ⸢シヌ⸣ ヤマ ピ⸢カシティ⸣ パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣シ [ʔu⸢ʃinu⸣ jama pi̥⸢kaʃiti⸣ pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣ʃi] (犂を曳かせて畑を耕せ) 17503 0 1 17501 htmvoc_17503.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 {Mn_1}わな(\ruby{罠}{ワナ})。 ⸣カマイヤマ [⸣kamaijama] (\ruby{猪}{イノシシ}を\ruby{捕獲}{ホ|カク}するために作る装置で、餌に誘導されて装置の中に猪が入ると仕掛けが落ちて圧死させる装置)。 ⸣カマイヤマ ⸢アイ⸣ シケーバ ⸢ミーマー⸣ル ⸢シー⸣ クー⸢ディー [⸣kamaijama ⸢ʔai⸣ ʃi̥keːba ⸢miːmaː⸣ru ⸢ʃiː⸣ kuː⸢diː] (猪捕獲の装置を仕掛けてあるから、見回りをして来ようよ)。 17503 0 2 17502 htmvoc_17503.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 {Mn_2}針金で輪を作り、\ruby{獣道}{ケモノ|ミチ}に仕掛けておいて、猪の足を縛り上げて捕獲する\ruby{罠}{ワナ}。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸢トゥーリ⸣ミチナー ⸣ヤマ ⸢アイ⸣ シケー [ka⸢mai⸣nu ⸢tuːri⸣miʧinaː ⸣jama ⸢ʔai⸣ ʃi̥keː] (猪の通り道に罠を仕掛けてある) 17504 0 0 17503 htmvoc_17504.wav ヤマ ⸣ヤマ [⸣jama] 名 糸車。 ⸢ウー⸣モーレール ⸢ブー⸣ヤ ⸣ヤマナー ⸣カキティ フ⸢ドー⸣シナ マ⸢キ⸣ トゥ⸢ローッ⸣タ [⸢ʔuː⸣moːreːru ⸢buː⸣ja ⸣jamanaː ⸣kḁkiti ɸu⸢doː⸣ʃina ma⸢ki⸣ tu⸢roːt⸣ta] (\ruby{績}{ウ}ん<\ruby{紡}{ツム}い>だ麻糸を糸車にかけて竹管に巻き取った) 17505 0 0 17504 htmvoc_17505.wav ヤマアウ ヤ⸢マ⸣アウ [ja⸢ma⸣ʔau] 名 山仕事の仲間。深山には一人で入ることを慎んだ。必ず複数の仲間と共に入山した。⸣アウ[⸣ʔau](仲間{EOS}連れ{EOS}相手)は、「椓撃、アヒ」『和名抄』の転訛したものか。 ヤ⸢マアウ⸣ヌ ブ⸢ラバル⸣ ヤ⸢マー⸣ヤ ⸢ペーラリ⸣ル [ja⸢maʔau⸣nu bu⸢rabaru⸣ ja⸢maː⸣ja ⸢peːrari⸣ru] (山入りの仲間が居れば<ぞ>山へは入れるものだ{EOS}仲間がいないと山へは入れない) 17506 0 0 17505 htmvoc_17506.wav ヤマイシ ヤ⸢マ⸣イシ [ja⸢ma⸣ʔiʃi] 名 山石。山から出る岩石。石灰岩や珊瑚石など。 ⸣インダヌ ⸢シーヌウチヌ⸣ カ⸢ケー⸣ ヤ⸢マイシ⸣バ シ⸢ミティル⸣ ス⸢ク⸣ローッタツォー [⸣ʔindanu ⸢ʃiːnuʔuʧinu⸣ kḁ⸢keː⸣ ja⸢maiʃi⸣ba ʃi⸢mitiru⸣ su̥⸢ku⸣roːttaʦoː] (伊武田のシーヌウチの猪垣は山石を積んで<ぞ>作られたそうだ) 17507 0 0 17506 htmvoc_17507.wav ヤマイルン ヤ⸢マイルン [ja⸢mairuŋ] 自動 泣き止む。ヤ⸢ムン[ja⸢muŋ](止む)ともいう。 ウ⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ナ⸢キ⸣ ヤ⸢マイルン⸣カヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ マ⸢ダ⸣ ヤ⸢マイランバン [ʔu⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː na⸢ki⸣ ja⸢mairuŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ma⸢da⸣ ja⸢mairambaŋ] (あの子供は泣き止むかと思ったが、まだ泣き止まないよ)。 ウ⸢リヌ⸣ ナ⸢キヌ⸣ ヤ⸢マイル⸣ クトゥン ⸣アンカヤー [ʔu⸢rinu⸣ na⸢kinu⸣ ja⸢mairu⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋkajaː] (あの子<あれ>の泣き<泣くこと>の止むことがあるのかなあ) 17508 0 0 17507 htmvoc_17508.wav ヤマイン ヤ⸢マ⸣イン [ja⸢ma⸣ʔiŋ] 名 (動)猟犬。猪狩猟のために飼育している犬。 ム⸢カ⸣シェー パ⸢トゥ⸣マプスン ⸣フコー カ⸢タ⸣ミティ ヤ⸢マイン⸣バ ギュッ⸢カラン サーリティ⸣ カマイ ⸣トゥリン ⸢オーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː pḁ⸢tu⸣mapu̥suŋ ⸣ɸu̥koː kḁ⸢ta⸣miti ja⸢maim⸣ba gjuk⸢karan saːriti⸣ kamai ⸣turiŋ ⸢ʔoːt⸣ta] (昔は鳩間の人も矛を担いで猟犬<山犬>を何匹も連れて、猪狩猟に行かれた) 17509 0 0 17508 htmvoc_17509.wav ヤマウク ヤ⸢マ⸣ウク [ja⸢ma⸣ʔuku] 名 山の奥。深山。普通は、ヤ⸢マ⸣ヌ ス⸢ク[ja⸢ma⸣nu su̥⸢ku](山の底)、ス⸢クヤマ[su̥⸢kujama](奥山)という。 ⸢キャーンギン⸣ ク⸢ル⸣キーン ヤ⸢マ⸣ウコー ⸢ペーラン⸣カー ⸢ソーキーヤ⸣ トゥ⸢ミララン⸣ツォー [⸢kjaːŋgiːŋ⸣ ku⸢ru⸣kiːŋ ja⸢ma⸣ʔukoː ⸢peːraŋ⸣kaː ⸢soːkiːja⸣ tu⸢miraran⸣ʦoː] (イヌマキ<槙>も黒檀<黒木>も山奥に入らないと立派な木は探されないそうだ) 17510 0 0 17509 htmvoc_17510.wav ヤマウン ヤ⸢マ⸣ウン [ja⸢ma⸣ʔuŋ] 名 (植)芋の種類。\ruby{山芋}{ヤマ|イモ}。「暑預、\ruby{山伊母}{ヤマ|イ|モ}」『新撰字鏡』の転訛したもの。芋は大型で形は一定しない。西表島の田圃の周辺の畑に作付けされていた。祝儀、不祝儀に煮物、揚げ物にして供される。 ヤ⸢マウン⸣マー フ⸢ノー⸣ラ ⸢ウイバル⸣ナール ⸣ユー ス⸢ク⸣ローッタル [ja⸢maʔum⸣maː ɸu⸢noː⸣ra ⸢ʔuibaru⸣naːru ⸣juː su̥⸢ku⸣roːttaru] (山芋は船浦、上原で<ぞ>よく作られたものだよ) 17511 0 0 17510 htmvoc_17511.wav ヤマカシラ ヤ⸢マカシ⸣ラ [ja⸢makaʃi⸣ra] 名 急ごしらえ<急拵え>の旗頭。本物の旗頭の代わりに、木の枝などを竿の先に括りつけて作ったもの。 シ⸢ナピキ⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢メーメーヌ⸣ カ⸢ツシンヌ⸣ ヤ⸢マカシ⸣ラン ⸣タテーティル ⸣ヨイ ⸢ソーッタ⸣ル [ʃi⸢napiki⸣nu ⸣pimmaː ⸢meːmeːnu⸣ kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ja⸢makaʃi⸣ran ⸣tḁteːtiru ⸣joi ⸢soːtta⸣ru] (綱引きの時は銘銘の漁船のヤマカシラ<旗頭>を立てて祝いをされたものだ) 17512 0 1 17511 htmvoc_17512.wav ヤマカブン ヤ⸢マ⸣カブン [ja⸢ma⸣kabuŋ] 自動 {Mn_1}雑草が繁茂する。雑草が山のように生い茂る。田畑に雑草が繁茂して荒れ果てる。 パ⸢タ⸣キ ⸢ティー⸣リ ⸢サン⸣カー ッ⸢サ⸣ヌ ヤ⸢マ⸣カブンティ ⸢スンダ⸣ ヤ⸢マカバン⸣ケン ⸣ッサ ⸢ソーリ⸣バ [pḁ⸢ta⸣ki ⸢tiː⸣ri ⸢saŋ⸣kaː s⸢sa⸣nu ja⸢ma⸣kabunti ⸢sunda⸣ ja⸢makabaŋ⸣ken ⸣ssa ⸢soːri⸣ba] (畑を手入れしないと草が繁茂するというから、繁茂しないうちに除草しなさい<草を箆でさくれ{EOS}\ruby{決}{サク}れ>よ)。 ッ⸢サ⸣ヌ ヤ⸢マ⸣カビティ ⸢カイサラ⸣ヌ [s⸢sa⸣nu ja⸢ma⸣kabiti ⸢kaisara⸣nu] (草が繁茂して耕されない)。 ッ⸢サ⸣ヌ ヤ⸢マ⸣カブ ⸣トンマー シ⸢ティリ⸣バ [s⸢sa⸣nu ja⸢ma⸣kabu ⸣tommaː ʃi̥⸢tiri⸣ba] (草が繁茂する所は捨てなさい)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢マ⸣カベー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ma⸣kabeː ⸣misamunu] (もっと雑草が繁茂すればいいのに)。 17512 0 2 17512 htmvoc_17512.wav ヤマカブン ヤ⸢マ⸣カブン [ja⸢ma⸣kabuŋ] 自動 {Mn_2}毛髪がぼうぼうに生える。 ⸢ワー⸣ ス⸢ブ⸣ロー ガ⸢マジ⸣ヌ ヤ⸢マ⸣カビティ ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢waː⸣ su⸢bu⸣roː ga⸢maʤi⸣nu ja⸢ma⸣kabiti ⸢miːnussa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (君の頭は髪の毛がぼうぼうに生えて、見苦しくて見て居られない) 17513 0 1 17513 htmvoc_17513.wav ヤマカマイ ヤ⸢マ⸣カマイ [ja⸢ma⸣kamai] 名 {Mn_1}「山猪」の義。猪のこと。 ヤ⸢マ⸣カマイン ⸢マイヤー⸣ ッ⸢ふァーリ ナー⸣ヌ [ja⸢ma⸣kamaim ⸢maijaː⸣ f⸢faːri naː⸣nu] (山猪に稲は食われてしまった)。 17513 0 2 17514 htmvoc_17513.wav ヤマカマイ ヤ⸢マ⸣カマイ [ja⸢ma⸣kamai] 名 {Mn_2}向こう見ずな人。猪突猛進する人。乱暴な人に対して、多少の卑しめの感情を籠めていう場合に用いる。 ⸣ウリウリー ヤ⸢マカマイ⸣ヌ イ⸢キ⸣フキ クン⸢ドー [⸣ʔuriʔuriː ja⸢makamai⸣nu ʔi⸢ki⸣ɸu̥ki kun⸢doː] (ほらほら、猪のような人が息を切らして<息を吹き吹き{EOS}息せき切って>、やって来るぞ) 17428 0 0 17515 htmvoc_17428.wav ヤマカミ ヤ⸢マ⸣カミ [ja⸢ma⸣kami] 名 (動)セマルハコガメ。「山亀」の義。ヤ⸢マカメー⸣マ[ja⸢makameː⸣ma](山の小亀)、ヤ⸢メーマ[ja⸢meːma](セマルハコガメ{EOS}山小亀)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢マカミ⸣バ シゥ⸢カ⸣ミティ ⸣ユー ア⸢サブタン [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢makami⸣ba si̥⸢ka⸣miti ⸣juː ʔa⸢sabutaŋ] (昔は山亀を捕まえてよく遊んだ) 17514 0 0 17516 htmvoc_17514.wav ヤマカンスル ヤ⸢マカン⸣スル [ja⸢makan⸣suru] 名 山看守。西表の山林から木材を盗伐するのを厳しく監視した役人。 ヤ⸢マカンスル⸣ヌ ⸢マーリ オー⸣ル ⸣ピンマー ヤ⸢マー ペーララン⸣シェン [ja⸢makansuru⸣nu ⸢maːri ʔoː⸣ru ⸣pimmaː ja⸢maː peːraraŋ⸣ʃeŋ] (山看守が巡検に<回って>来られる時は、山には入れなかった) 17515 0 0 17517 htmvoc_17515.wav ヤマキルン ヤ⸢マ⸣キルン [ja⸢ma⸣kiruŋ] 自動 激しく怒る。やけ<\ruby{自棄}{ヤ|ケ}>になって暴れる。粗暴になる。「\ruby{山気}{ヤマ|キ}・る」の転訛、派生したものか。ヤ⸢マ⸣キスン[ja⸢ma⸣ki̥suŋ](激しく怒る{EOS}暴れる)ともいう。 ⸣ウムイドゥール ナ⸢ラン⸣カー ヤ⸢マ⸣キルン [⸣ʔumuiduːru na⸢raŋ⸣kaː ja⸢ma⸣kiruŋ] (思い通りにならないと自棄になって暴れる)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ウムイドゥール ナ⸢ラン⸣ティ ⸢シー⸣ ヤ⸢マ⸣キリ ⸢オールン⸣ドゥ ヤ⸢マ⸣キル プ⸢スンドゥ ワッ⸣サル [⸢duː⸣nu ⸣ʔumuiduːru na⸢ran⸣ti ⸢ʃiː⸣ ja⸢ma⸣kiri ⸢ʔoːrun⸣du ja⸢ma⸣kiru pu̥⸢sundu was⸣saru] (自分の思い通りに出来ないといって、やけになって暴れておられるが、暴れる人が悪いのだ)。 ⸣アイニ ヤ⸢マキラン⸣ドーシ ウ⸢ティ⸣シキ⸢ツォー [⸣ʔaini ja⸢makiran⸣doːʃi ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki⸢ʦoː] (そんなに自棄になって暴れないで落ち着けってば)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢マ⸣キレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ma⸣kireː ⸣misamunu] (もっと暴れたらいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢マ⸣キリ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ma⸣kiri] (もっと暴れろ) 17516 0 0 17518 htmvoc_17516.wav ヤマクブ ヤ⸢マ⸣クブ [ja⸢ma⸣kubu] 名 (動)くも(蜘蛛)の一種。ジョロウグモ(女郎蜘蛛)。木の枝や樹間に網を張って昆虫を捕食する。 ヤ⸢マクブ⸣ヌ ⸢シー⸣ヌ ⸢ワー⸣ ガ⸢マ⸣ジナ ⸢フシゥ⸣カリ ⸢ベー [ja⸢makubu⸣nu ⸢ʃiː⸣nu ⸢waː⸣ ga⸢ma⸣ʤina ⸢ɸusi̥⸣kari ⸢beː] (ジョロウグモの巣が君の髪の毛にくっ付いている) 17517 0 0 17519 htmvoc_17517.wav ヤマサー ヤ⸢マ⸣サー [ja⸢ma⸣saː] 名 山師。山奥から⸢キャーンギ[⸢kjaːŋgi](イヌマキ<槙>)やク⸢ル⸣キ[ku⸢ru⸣ki](黒檀)等の名木を伐り出して生活する人。 ⸢ターパタ⸣ケー ス⸢クラ⸣ムティ フ⸢ユ⸣バ ⸢シー⸣ ヤ⸢マ⸣サー ⸣ナリ ⸢アー⸣ク [⸢taːpata⸣keː su̥⸢kura⸣muti ɸu⸢ju⸣ba ⸢ʃiː⸣ ja⸢ma⸣saː ⸣nari ⸢ʔaː⸣ku] (田畑を耕作しないで、怠惰をして山師などをしている<してあるく>よ) 17471 0 0 17520 htmvoc_17471.wav ヤマザー ⸣ヤマザー [⸣jamaʣaː] 名 人名。名称、呼称。ヤマさん。⸣ヤマ・アーザー[⸣jama・ʔaːʣaː](ヤマ・兄さん)が縮約した形。 ⸢クシケー⸣ナーン ア⸢ザテー⸣ナーン ク⸢メー⸣ナーン ⸣ヤマザー ⸢オーッ⸣タン⸢ナー [⸢kuʃi̥keː⸣naːŋ ʔa⸢ʣateː⸣naːŋ ku⸢meː⸣naːŋ ⸣jamaʣaː ⸢ʔoːt⸣tan⸢naː] (小底家にも東里家にも小浜家にも、ヤマ兄さんはおられたよねえ) 17472 0 0 17521 htmvoc_17472.wav ヤマシゥカ ヤ⸢マ⸣シゥカ [ja⸢ma⸣si̥ka] 副 沢山。数量や回数の多いさま。 ク⸢ヌタベー ジン⸣マー ヤ⸢マ⸣シゥカ ⸢モー⸣ケーンツォー [ku⸢nutabeː ʤim⸣maː ja⸢ma⸣si̥ka ⸢moː⸣keːnʦoː] (今回は、お金を沢山儲けたそうだ) 17520 0 0 17522 htmvoc_17520.wav ヤマシゥカ ヤ⸢マシゥ⸣カ [ja⸢masi̥⸣ka] 副 沢山。どっさり。そうとうに。しこたま。⸣シゥカ[⸣si̥ka]は九州方言の接尾語<ほど。ばかり>の意か」とする説がある『石垣方言辞典』。 ウ⸢キ⸣ナーラ ⸢ジン⸣バ ヤ⸢マシゥ⸣カ ⸢モー⸣キ ⸣ケーンツォー [ʔu⸢ki⸣naːra ⸢ʤim⸣ba ja⸢masi̥⸣ka ⸢moː⸣ki ⸣keːnʦoː] (沖縄からお金を沢山儲けてきているそうだ) 17519 0 0 17523 htmvoc_17519.wav ヤマシグトゥ ヤ⸢マシグ⸣トゥ [ja⸢maʃigu⸣tu] 名 山仕事。山でする仕事。 グ⸢タイ⸣ヌ ⸢ナーン⸣カー ヤ⸢マシグ⸣トー ⸢シーユーサヌ [gu⸢tai⸣nu ⸢naːŋ⸣kaː ja⸢maʃigu⸣toː ⸢ʃiːjuːsanu] (体力がないと山仕事はできない<なし得ない>) 17521 0 0 17524 htmvoc_17521.wav ヤマシダミ ヤ⸢マシダ⸣ミ [ja⸢maʃida⸣mi] 名 (動)ヤマカタツムリ(山蝸牛)。 ヤ⸢マシダミ⸣ヌ ⸣シディティ ⸢パーヤサイヤー⸣ ムー⸢ル⸣ ッ⸢ふァーリ ナー⸣ヌ [ja⸢maʃidami⸣nu ⸣ʃiditi ⸢paːjasaijaː⸣ muː⸢ru⸣ f⸢faːri naː⸣nu] (ヤマカタツムリが異常発生<異常に孵化>して、青野菜は全部喰われてしまった) 17522 0 0 17525 htmvoc_17522.wav ヤマジマ ヤ⸢マ⸣ジマ [ja⸢ma⸣ʤima] 名 山の多い島。ヤ⸢マ⸣グニ[ja⸢ma⸣guni](山の多い島)ともいう。 イ⸢ラムテー⸣ ヤ⸢マ⸣ジマ ヤ⸢ルンダ⸣ イ⸢ラムティプソー タースクル⸣バ ム⸢トゥ⸣バ シー オー⸣ル [ʔi⸢ramuteː⸣ ja⸢ma⸣ʤima ja⸢runda ⸣ ʔi⸢ramutipu̥soː taːsu̥kuru⸣ba mu⸢tu⸣ba ⸢ʃiː ʔoː⸣ru] (西表島は山の多い島だから、西表村の人は水田耕作<田作り>を基幹産業<基本>にしておられる) 17523 0 0 17526 htmvoc_17523.wav ヤマジミ ヤ⸢マ⸣ジミ [ja⸢ma⸣ʤimi] 名 山積み。山のように積むこと。 ⸢マイカリジブン カーチーバイ⸣ヌ ⸣フキティ ⸢ウーアミヌ⸣ フーカー ⸢ニーバンザー⸣ヌ タ⸢タメー⸣ ウ⸢コー⸣シティ ⸣ウナール ⸢マイヤー⸣ ヤ⸢マ⸣ジミ ⸢シー カーラカソーッ⸣タ [⸢maikariʤibuŋ kaːʧiːbai⸣nu ⸣ɸu̥kiti ⸢ʔuːaminu⸣ ɸuːkaː ⸢niːbanʣaː⸣nu tḁ⸢tameː⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi̥ti ⸣ʔunaːru ⸢maijaː⸣ ja⸢ma⸣ʤimi ⸢ʃiː kaːrakasoːt⸣ta] (稲刈り時分に夏至の嵐が吹いて大雨が降ると、二番座敷の畳を起こして、そこに米を山積みして乾かされたものだ)。 タ⸢ム⸣ヌ バ⸢リティ⸣ ミ⸢ナ⸣カナー ヤ⸢マ⸣ジミ ⸢シー⸣ シケー [ta⸢mu⸣nu ba⸢riti⸣ mi⸢na⸣kanaː ja⸢ma⸣ʤimi ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keː] (薪を割って庭に山積みしてある) 17524 0 0 17527 htmvoc_17524.wav ヤマスク ヤ⸢マ⸣スク [ja⸢ma⸣su̥ku] 名 山奥。「山底」の義。ス⸢クヤマ[su̥⸢kujama](奥山)ともいう。 ⸢キャーンギキー⸣ ク⸢ルキー⸣ヌ ⸢ソームノー⸣ ヤ⸢マ⸣スコー ⸢ペーラン⸣カー トゥ⸢ミララ⸣ヌ [⸢kjaːŋgikiː⸣ ku⸢rukiː⸣nu ⸢soːmunoː⸣ ja⸢ma⸣su̥koː ⸢peːraŋ⸣kaː tu⸢mirara⸣nu] (犬槙や黒木<黒檀>の上質の木は山奥へ入らないと探されない) 17525 0 0 17528 htmvoc_17525.wav ヤマスン ヤ⸢マ⸣スン [ja⸢ma⸣suŋ] 他動 痛める。傷つける。「Yamaxe,suru,eta.ヤマセ,スル,セタ(やませ,する,せた)人に平手打ちをくわせる」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ⸢カイ⸣リティ ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケー [⸢kai⸣riti ⸣duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (転倒して体を傷つけて<病まして>ある)。 ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スンケン パ⸢タラクナ⸣ ドゥー ヤ⸢マサン⸣ドーシ ⸢ヨーンナー⸣ パ⸢タラキ⸣バ [⸣duː ja⸢ma⸣suŋkem pḁ⸢tarakuna⸣ duː ja⸢masan⸣doːʃi ⸢joːnnaː⸣ pḁ⸢taraki⸣ba] (体を損ねる<痛める>ほどに働くな{EOS}体を痛めないでゆっくり働けよ)。 ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣ス ⸣クトー ス⸢ナ⸣ヨー [⸣duː ja⸢ma⸣su ⸣ku̥toː su⸢na⸣joː] (体を痛めることはするなよ)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢マ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ma⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと傷つければいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢マ⸣シ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ma⸣ʃi] (もっと傷つけろ<病ませ>) 17526 0 0 17529 htmvoc_17526.wav ヤマダー ヤ⸢マ⸣ダー [ja⸢ma⸣daː] 名 山の谷間にある田圃。山の近くにある田圃。⸢ヌー⸣ター[⸢nuː⸣taː](原野の中にある田圃)の対義語。 カ⸢マイ⸣ヌ ⸢ブンダ⸣ ヤ⸢マ⸣ダーナー ⸢ザイレーマイ⸣バ ス⸢ク⸣ローッタ [ka⸢mai⸣nu ⸢bunda⸣ ja⸢ma⸣daːnaː ⸢ʣaireːmai⸣ba su̥⸢ku⸣roːtta] (猪がいるので、山の谷間の水田には芒の長い在来種の稲を作られた) 17473 0 0 17530 htmvoc_17473.wav ヤマタカビ ヤ⸢マタカ⸣ビ [ja⸢mataka⸣bi] 名 祭祀の名。「やまたかべ(山崇べ)」の義か。旧暦二月一日に祈願された。ヤ⸢マタカビ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[ja⸢matakabi⸣nu ⸢niŋ⸣gai](やまたかべの祈願)ともいう。村人が生活のために山入りする際に、刃物や毒蛇によって人畜に危害が及ばないよう祈願するものである。今日では祭祀簡略化のため、実施されていない。昭和30年代に廃止されたという。 ヤ⸢マタカ⸣ビティ ⸢スー ニンガイ⸣ヤー マ⸢ナ⸣マー ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢mataka⸣biti ⸢suː niŋgai⸣jaː ma⸢na⸣maː ⸢naː⸣nu] (山崇べという祈願祭りは、今はない) 17474 0 0 17531 htmvoc_17474.wav ヤマタカビヌニンガイ ヤ⸢マタカビ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ [ja⸢matakabi⸣nu ⸢niŋ⸣gai] 連 やまたかべ(山崇べ)の祈願。ヤ⸢マタカ⸣ビ[ja⸢mataka⸣bi]ともいう。旧暦二月一日に執り行われる祭祀。虫祓い(害虫祓い)の祈願や、山入りの際に毒蛇や刃物による危害が人畜に及ばないように祈願するもの。⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinuʔugaŋ](⸢上のお願」の義{EOS}友利御嶽のこと)で執り行われる。御嶽では蛇のことを、⸢ナー⸣ムヌ[⸢naː⸣munu](長物)といい、直接的にパ⸢ブ[pa⸢bu](蛇)ということを避ける。一種の隠語 17527 0 0 17532 htmvoc_17527.wav ヤマタジル ヤ⸢マ⸣タジル [ja⸢ma⸣taʤiru] 名 (海底地名)。タ⸢カ⸣ビ[tḁ⸢ka⸣bi]の津口から鳩間桟橋へ通じる澪の中間の陸地側に、ア⸢ガジル[ʔa⸢gaʤiru](海底に赤い藻草の生えた浅い砂地)があるが、その向かい(南側)にある浅瀬。⸢アー⸣ヤブイ[⸢ʔaː⸣jabui](寄合三戸氏が立てた航路標識のある曽根)の北側、ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](澪の上)の手前にある曽根。カツオ漁船の餌とり場であった。 ⸢ウンパンシン⸣マー ア⸢ガジルトゥ⸣ ヤ⸢マ⸣タジルヌ フ⸢タナカー⸣ラル ⸢ペーラ⸣シ ⸢クー⸣タ [⸢ʔumpaŋʃim⸣maː ʔa⸢gaʤirutu⸣ ja⸢ma⸣taʤirunu ɸu̥⸢tanakaː⸣raru ⸢peːra⸣ʃi ⸢kuː⸣ta] (運搬船はアガジルとヤマタジルの間から入港し<入れて>てきた) 17528 0 0 17533 htmvoc_17528.wav ヤマッサーク ヤ⸢マッサー⸣ク [ja⸢massaː⸣ku] 名 山仕事。山でする仕事。 グ⸢タイ⸣ヌ ⸢ヨー⸣ プ⸢ソー⸣ ヤ⸢マッサー⸣コー ⸢シーユーサヌ [gu⸢tai⸣nu ⸢joː⸣ pu̥⸢soː⸣ ja⸢massaː⸣koː ⸢ʃiːjuːsanu] (体力の弱い人は山仕事はできない) 17529 0 0 17534 htmvoc_17529.wav ヤマトゥ ヤ⸢マ⸣トゥ [ja⸢ma⸣tu] 名 (地)大和。日本本土。 サ⸢ク⸣シェー ヤ⸢マトゥ⸣ヌ ⸢ガッ⸣コー ン⸢ザシ⸣タ [sḁ⸢ku⸣ʃeː ja⸢matu⸣nu ⸢gak⸣koː ʔn⸢ʣaʃi̥⸣ta] (長男は本土の学校に入学させた<出させた>)。/ウフヤマトゥ ハズミョウリヨー カンヤマトゥ ハズミヨウリヨウ ハーリ アミタボリ リュウガナシ~/(大大和の国を始めなされ、神の大和の国を始めなされて<囃子> 雨を賜りませ竜神様)ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞い歌)『鳩間島古典民謡古謡集』 17530 0 0 17535 htmvoc_17530.wav ヤマトゥウール ヤ⸢マトゥウー⸣ル [ja⸢matuʔuː⸣ru] 名 (植)スイカ(西瓜)。「大和・瓜(宇利波米婆<ウリハメバ>~{EOS}万、801)」の義。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ウイ⸣プソー ⸢スイカ⸣バ ヤ⸢マトゥウー⸣ルティル ア⸢ゾーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔui⸣pu̥soː ⸢suika⸣ba ja⸢matuʔuː⸣rutiru ʔa⸢ʣoːt⸣taʦoː] (昔は、年寄りは西瓜をヤマトゥウール<大和瓜>といわれたそうだ) 17531 0 0 17536 htmvoc_17531.wav ヤマトゥウスッふァイ ヤ⸢マトゥウスッ⸣ふァイ [ja⸢matuʔusuf⸣fai] 名 風呂敷。大型の風呂敷。「大和風呂敷」の義。普通は、ウ⸢スッ⸣ふァイ[ʔu⸢suf⸣fai](風呂敷)、フ⸢ル⸣シキ[ɸu⸢ru⸣ʃi̥ki](風呂敷)という。 ⸣ウゾー タ⸢ク⸣ミティ ヤ⸢マトゥウスッ⸣ふァイシ ッ⸢ス⸣ミバ [⸣ʔuʣoː tḁ⸢ku⸣miti ja⸢matu⸣ ʔu⸢suf⸣faiʃi s⸢su⸣miba] (布団は畳んで大型の風呂敷で包みなさいよ) 17532 0 0 17537 htmvoc_17532.wav ヤマトゥカウ ヤ⸢マトゥ⸣カウ [ja⸢matu⸣kau] 名 大和線香。上品な香ばしい線香。 ウ⸢キナー⸣カウ [ʔu⸢kinaː⸣kau] (沖縄線香)。ピ⸢サカウ[pi⸢sakau]<平香>、タ⸢キカウ[tḁ⸢kikau]<竹の線香>の対義語。 チ⸢カ⸣グロー ヤ⸢マトゥカウ⸣ル シゥ⸢カウ⸣ ウ⸢キナーカウ⸣ヤー<ウ⸢キナーカウ⸣ワー> シゥ⸢カイ⸣ ミ⸢ラン⸣バン [ʧi̥⸢ka⸣guroː ja⸢matukau⸣ru si̥⸢kau⸣ ʔu⸢kinaːkau⸣jaː<ʔu⸢kinaːkau⸣waː> si̥⸢kai⸣ mi⸢ram⸣baŋ] (近頃は大和線香を<ぞ>使う、沖縄線香<平香、竹香>は使ったことない<使ってみない>よ) 17533 0 0 17538 htmvoc_17533.wav ヤマトゥサキ ヤ⸢マトゥ⸣サキ [ja⸢matu⸣sḁki] 名 日本酒。清酒。「大和酒」の義。 ⸣バー ヤ⸢マトゥ⸣サケー ン⸢マーナー⸣ヌ ⸢アームルン⸣ドゥ ン⸢マー [⸣baː ja⸢matu⸣sḁkeː ʔm⸢maːnaː⸣nu ⸢ʔaːmurun⸣du ʔm⸢maː] (私は日本酒は美味しくない{EOS}<沖縄の>泡盛がおいしい) 17534 0 0 17539 htmvoc_17534.wav ヤマトゥサジ ヤ⸢マトゥ⸣サジ [ja⸢matu⸣saʤi] 名 にほんてぬぐい(日本手拭)。普通は、単に⸣サジ[⸣saʤi](手拭)といった。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢マトゥサジ⸣ル シゥ⸢カウタル⸣ ビ⸢チ⸣ヌ ⸣サジェー ⸢ナーン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢matusaʤi⸣ru si̥⸢kautaru⸣ bi⸢ʧi⸣nu ⸣saʤeː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (昔は日本手拭を<ぞ>使ったものだ{EOS}他<別>の手拭はなかった) 17535 0 0 17540 htmvoc_17535.wav ヤマトゥシキムヌ ヤ⸢マトゥシキ⸣ムヌ [ja⸢matuʃi̥ki⸣munu] 名 沢庵漬け。「大和漬物」の義。 ヤ⸢マトゥシキ⸣ムノー ⸢ガッ⸣コーラ ⸣ナライティ ⸢ダイ⸣クニ ス⸢ク⸣リティ ス⸢クタル [ja⸢matuʃi̥ki⸣munoː ⸢gak⸣koːra ⸣naraiti ⸢dai⸣kuni su̥⸢ku⸣riti su̥⸢kuta2ru] (沢庵漬は学校で習って、大根を作って漬けたものだ) 17536 0 0 17541 htmvoc_17536.wav ヤマトゥシタフ ヤ⸢マトゥシタ⸣フ [ja⸢matuʃi̥ta⸣ɸu] 名 和装。本土式の服装。「大和支度」の義。 ウ⸢キナーシタ⸣フォー アッパター⸢バーキ⸣ル ⸢ソー⸣レール マ⸢ナ⸣マー ムー⸢ル⸣ ヤ⸢マトゥシタフ⸣ル ⸢ソー⸣ル [ʔu⸢kinaːʃi̥ta⸣ɸoː ʔappataː⸢baːki⸣ru ⸢soː⸣reːru ma⸢na⸣maː muː⸢ru⸣ ja⸢matuʃi̥taɸu⸣ru ⸢soː⸣ru] (琉装<沖縄式の服装>はお祖母さんたちまでが<ぞ>なされた{EOS}今はみんな和装<大和式の服装>を<ぞ>される) 17537 0 0 17542 htmvoc_17537.wav ヤマトゥスーベー ヤ⸢マトゥスー⸣ベー [ja⸢matusuː⸣beː] 名 (動)魚の名。和名、ニセクロホシフエダイ(体長約25センチ)。 ヤマ⸢トゥスー⸣ベーティ ⸢スー⸣ イ⸢ズン ブン⸠ダー [ja⸢matusuː⸣beːti ⸢suː⸣ ʔi⸢ʣum bun⸠daː] (ニセクロホシフエダイという魚もいるよ) 17538 0 0 17543 htmvoc_17538.wav ヤマトゥタビ ヤ⸢マトゥ⸣タビ [ja⸢matu⸣tabi] 名 大和旅。日本本土への旅。 ヤ⸢ラ⸣ベー ヤ⸢マトゥ⸣タビ シ⸢ミティ ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣シ ⸣シケー [ja⸢ra⸣beː ja⸢matu⸣tabi ʃi⸢miti gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣ʃi̥keː] (子供は本土へ旅させて、学校に出している) 17539 0 0 17544 htmvoc_17539.wav ヤマトゥナー ヤ⸢マトゥ⸣ナー [ja⸢matu⸣naː] 名 戸籍上の名前。⸢ガッコー⸣ナー[⸢gakkoː⸣naː](学校での名前)ともいう。明治29年6月16日、鳩間島に大川尋常小学校鳩間分校が設置され、児童生徒に大和式の名前が学籍簿に記載されるようになった。 ⸣バー ⸢ガッコーナー⸣ヤ ⸢カジク シンイチ⸣ ヤ⸢ルヌ ヤーナー⸣ヤ ス⸢ク⸣レーティル アル⸢ダー [⸣baː ⸢gakkoːnaː⸣ja ⸢kajiku ʃiŋiʧi⸣ ja⸢runu jaːnaː⸣ja su̥⸢ku⸣reːtiru ʔaru⸢daː] (私の大和式の学校名は加治工真市だが、家の名<童名>は津久利と<命名されて>あるんだよ) 17540 0 0 17545 htmvoc_17540.wav ヤマトゥナー ヤ⸢マトゥ⸣ナー [ja⸢matu⸣naː] 名 本土産の野菜。「大和菜」の義。 ハ⸢ク⸣サイ、タ⸢マ⸣ナー ⸣チサンドーレーヤ ヤ⸢マトゥ⸣ナーティ ア⸢ザリブー [hḁ⸢ku⸣sai ta⸢ma⸣naː ⸣ʧisandoːreːja ja⸢matu⸣naːti ʔa⸢ʣari buː] (白菜、キャベツ、チシャ<萵苣{EOS}レタス>等は本土産の野菜といわれている) 17541 0 0 17546 htmvoc_17541.wav ヤマトゥヌクカル ヤ⸢マトゥ⸣ヌ ク⸢カル [ja⸢matu⸣nu ku̥⸢karu] 連 未詳語。「大和の九家老(かろう)」の義か。屋敷の祈願で唱える祝詞のことば。⸢トー⸣ヌ ⸢ハッ⸣シン[⸢toː⸣nu ⸢haʃ⸣ʃiŋ](唐の八神)の対語として用いられる 17542 0 0 17547 htmvoc_17542.wav ヤマトゥパカ ヤ⸢マトゥ⸣パカ [ja⸢matu⸣pḁka] 名 大和墓。平家落人の墓といわれている。 ⸣インダヌ ⸢ナーパマヌ⸣ ガ⸢マ⸣ナー ヤ⸢マトゥパカ⸣ヌ アンティ⸢ダー [⸣ʔindanu ⸢naːpamanu⸣ ga⸢ma⸣naː ja⸢matupaka⸣nu ʔanti⸢daː] (伊武田の長浜のガマ<洞窟>には大和墓があるそうだ) 17543 0 0 17548 htmvoc_17543.wav ヤマトゥプス ヤ⸢マトゥ⸣プス [ja⸢matu⸣pu̥su] 名 日本本土の人。「大和人」の義。ヤ⸢マ⸣トゥ[ja⸢ma⸣tu]は、「日本、此をば耶麻騰(やまと)といふ」『日本書紀神代上』の転訛したもの。 ウ⸢ラウ⸣チヌ ウ⸢タ⸣ラタンコーナー ヤ⸢マトゥプス⸣トゥ ⸢チョーセンジンヌ イッ⸣パイ パ⸢タラカサリ オーッ⸣タンツォー [ʔu⸢raʔuʧi⸣nu ʔu⸢ta⸣rataŋkoːnaː ja⸢matupu̥su⸣tu ⸢ʧoːʃenʤinnu ʔip⸣pai pḁ⸢tarakasari ʔoːt⸣taŋʦoː] (浦内の宇多良炭鉱には日本人と朝鮮人が沢山働かされておられた) 17544 0 0 17549 htmvoc_17544.wav ヤマドゥミ ヤ⸢マ⸣ドゥミ [ja⸢ma⸣dumi] 名 山に入るのを禁ずること。山の樹木を伐ることを禁ずること。「山止め」の義。 ⸣クンヤマー ヤ⸢マ⸣ドゥミ シ⸢ラリ ブンダ⸣ ウマーラー ⸢キー⸣ヤ キ⸢サラン⸣ツォー [⸣kuɲjamaː ja⸢ma⸣dumi ʃi⸢rari bunda⸣ ʔumaːraː ⸢kiː⸣ja ki̥⸢saran⸣ʦoː] (古見岳は山止め<入山伐木を禁止>されているから、そこからは木は伐り出されないそうだ) 17545 0 0 17550 htmvoc_17545.wav ヤマトゥミズヌ ヤ⸢マトゥミズ⸣ヌ [ja⸢matumiʣu⸣nu] 名 (動)魚の名。イワシ(鰯)の仲間。和名、ヤマトミズン(体長約25センチ)。鳩間島に寄ってくるのは、体長15~20センチ程度のものがおおい。 ヤ⸢マトゥミズヌ⸣ヌ ⸢ユーリ⸣ ケーティ ⸣アンシ ス⸢クイ⸣ トゥ⸢ローッ⸣タツォー [ja⸢matumiʣunu⸣nu ⸢juːri⸣ keːti ⸣ʔaŋʃi su̥⸢kui⸣ tu⸢roːt⸣taʦoː] (イワシ<やまとみずん>が寄ってきたので、網で掬って捕獲されたそうだ) 17546 0 0 17551 htmvoc_17546.wav ヤマトゥムニ ヤ⸢マトゥ⸣ムニ [ja⸢matu⸣muni] 名 大和言葉。内地の言葉。日本語。国語。標準語。 ⸣バー ヤ⸢マトゥ⸣ムニ ⸢シー⸣ ッ⸢シェー⸣ン [⸣baː ja⸢matu⸣muni ⸢ʃiː⸣ ʃ⸢ʃeː⸣ŋ] (私は日本語<標準語>が使える<し得る>)。 ⸢ワー⸣ ヤ⸢マトゥ⸣ムネー ⸢ゾージ⸣ユン⸢ナー [⸢waː⸣ ja⸢matu⸣muneː ⸢ʣoːʤi⸣jun⸢naː] (君は日本語<標準語>が上手だねえ) 17547 0 0 17552 htmvoc_17547.wav ヤマトゥユー ヤ⸢マトゥ⸣ユー [ja⸢matu⸣juː] 名 日本国の統治時代。「大和世」。⸢トー⸣ヌ ⸢ユー[⸢toː⸣nu ⸢juː](中国<明朝、清朝>に朝貢していた時代)に対する明治以降の沖縄県の時代。 ウ⸢キ⸣ナーナー ⸢トー⸣ヌ ⸢ユー⸣ラ ヤ⸢マトゥ⸣ユーナリ イ⸢クサユーヌ⸣ アトー ア⸢ミリカ⸣ユー ⸣ナリ マ⸢タ⸣ ヤ⸢マトゥ⸣ユー ⸣ナレール レ⸢キシ⸣ヌ アン⸢ダー [ʔu⸢ki⸣naːnaː ⸢toː⸣nu ⸢juː⸣ra ja⸢matu⸣juː ⸣nari ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatoː ʔa⸢mirika⸣juː ⸣nari ma⸢ta⸣ ja⸢matu⸣juː ⸣nareːru re⸢kiʃi⸣nu ʔan⸢daː] (沖縄には、唐の世<時代>から大和の世<時代>になり、戦争時代の後にアメリカ統治時代になり、また日本の時代になった歴史があるよ) 17548 0 0 17553 htmvoc_17548.wav ヤマドゥル ヤ⸢マ⸣ドゥル [ja⸢ma⸣duru] 名 山鳥。山にいる鳥。 ⸢パイタ⸣ナーテー ⸢ユー⸣ル ⸣ナルカー ヤ⸢マドゥル⸣ヌ ⸣ユー ナ⸢クタン [⸢paita⸣naːteː ⸢juː⸣ru ⸣narukaː ja⸢maduru⸣nu ⸣juː na⸢kutaŋ] (西表島<南端>では夜になると、山鳥がよく鳴いた) 17476 0 1 17554 htmvoc_17476.wav ヤマナルン ヤ⸢マ⸣ ナルン [ja⸢ma⸣ naruŋ] 連 {Mn_1}\ruby{藪}{ヤブ}になる。雑草が繁茂する。密林になる。 パ⸢タ⸣ケー シ⸢ティ⸣シケーター ヤ⸢マ⸣ ナリティ ス⸢クララ⸣ヌ [pḁ⸢ta⸣keː ʃi̥⸢ti⸣ʃi̥keːtaː ja⸢ma⸣ nariti su̥⸢kurara⸣nu] (畑は、放置して置いたらば藪になって耕作できない)。 17476 0 2 17555 htmvoc_17476.wav ヤマナルン ヤ⸢マ⸣ ナルン [ja⸢ma⸣ naruŋ] 連 {Mn_2}転じて、手がつけられないほど乱雑になる。散らかる。散乱する。 ⸢ヤーン⸣ ナカー ヤ⸢マ⸣ナリティ パ⸢ダカウワ⸣ヌ ⸢ペーララ⸣ヌ [⸢jaːn⸣ nakaː ja⸢ma⸣nariti pa⸢dakauwa⸣nu ⸢peːrara⸣nu] (家の中は物が散乱していて、肌がむずがゆくなるほどで、中へは入れない) 17549 0 0 17556 htmvoc_17549.wav ヤマニンズ ヤ⸢マニン⸣ズ [ja⸢manin⸣ʣu] 名 一つの御嶽(お願)に所属して、そこの神を信仰する血統<血族>の数。「山人数」の義か。 ピ⸢ナイウガン⸣ヌ ヤ⸢マニン⸣ゾー カ⸢ザケー⸣ パ⸢ナシケー トゥー⸣ジェー ユ⸢レー⸣ ユージェーヌ プ⸢スンケー⸣ル ⸣ムトゥ ヤ⸢ローッ⸣タ⸢ナー [pi⸢naiʔugan⸣nu ⸣jamaninʣoː ka⸢ʣakeː⸣ pa⸢naʃi̥keː tuː⸣ʤeː ju⸢reː⸣ juːʤeːnu pu̥⸢suŋkeː⸣ru ⸣mutu ja⸢roːt⸣ta⸢naː] (鬚川御嶽を信仰する血統は、加治工家、花城家、通事家、寄合家、松竹家が中心でありましたねえ) 17550 0 0 17557 htmvoc_17550.wav ヤマヌアシ ヤ⸢マ⸣ヌ ⸣アシ [ja⸢ma⸣nu ⸣ʔaʃi] 連 山の裾。ヤ⸢マ⸣ヌ ティ⸢ジ[ja⸢ma⸣nu ti⸢ʤi](山の頂上)の対義語。 ティ⸢ドゥ⸣クヤマヌ ⸣アシナール ⸢ユシ⸣キダー ⸢ケー⸣ダー ⸢アーラバカ⸣ トゥ⸢マダーヌ ター⸣ヤ アル⸢ダー [ti⸢du⸣kujamanu ⸣ʔaʃinaːru ⸢juʃi̥⸣kidaː ⸢keː⸣daː ⸢ʔaːrabaka⸣ tu⸢madaːnu taː⸣ja ʔaru⸢daː] (ティドゥク山の山裾に、ユシキダー、 ケーダー、 アールバカ、 トゥマダー、の田圃はあるのだよ) 17475 0 0 17558 htmvoc_17475.wav ヤマヌカン ヤ⸢マ⸣ヌ ⸣カン [ja⸢ma⸣nu ⸣kaŋ] 連 山の神様。「山の神」の義。山仕事で、山へ出入りする際に、⸢ブー⸣ヌ[⸢buː⸣nu](斧)やヌ⸢キ⸣ル[nu⸢ki⸣ru](鋸)、ヤ⸢マンガラ⸣シ[ja⸢maŋgara⸣ʃi](山刀)などで怪我をせぬよう、また⸢ナー⸣ムヌ[⸢naː⸣munu](毒蛇{EOS}<長物>の義)の害が及ばぬよう、山の神に祈願して入山した。⸢マーパブ[⸢maːpabu](毒蛇{EOS}「真蛇」の義)やパ⸢ブ[pa⸢bu](蛇)という語は神願いの場では不吉な語としてタブーとされていた。 ヤ⸢マー ペー⸣ロール ⸣ピンマー ヤ⸢マヌ⸣ カンニ フ⸢チカザル シーティル ペー⸣ローッタ [ja⸢maː peː⸣roːru ⸣pimmaː ja⸢manu⸣ kanni ɸu̥⸢ʧikaʣaru ʃiːtiru peː⸣roːtta] (山に入られる時は、山の神様に呪文<口飾り{EOS}小声で唱える願文>を唱えてから<ぞ>入られた) 17551 0 0 17559 htmvoc_17551.wav ヤマヌキル ヤ⸢マヌキ⸣ル [ja⸢manuki⸣ru] 名 \ruby{山鋸}{ヤマ|ノコ}。山林伐採用の鋸。山に入って建築用材を伐ったり、薪用の雑木を伐ったりするのに用いる鋸。軽くてよく切れる。幅約10センチ、長さ約50センチで、鋸歯は一般に大きく、作業や運搬に安全で便利なように、⸣シー[⸣ʃiː](鞘{EOS}巣{EOS}収納ケース)に納めて腰に差し、ヤ⸢マンガラ⸣シ[ja⸢maŋgara⸣ʃi](山刀)と共に持ち歩いた。 ヤ⸢マヌキル⸣ヌ ⸣パー タ⸢ティ⸣ルンティ ⸢ベー [ja⸢manukiru⸣nu ⸣paː tḁ⸢ti⸣runti ⸢beː] (山鋸の刃を<\ruby{鑢}{ヤスリ}で>立てようとしている)。 ヤ⸢マヌキ⸣ロー ヤ⸢マー ペー⸣ル ⸣マイナー ヤ⸢シ⸣ルシ ⸣パー タ⸢ティ⸣シタ [ja⸢manuki⸣roː ja⸢maː peː⸣ru ⸣mainaː ja⸢ʃi⸣ruʃi ⸣paː tḁ⸢ti⸣ʃi̥ta] (山鋸は、山へ入る前に\ruby{鑢}{ヤスリ}で\ruby{削}{ケズ}って歯を立てた) 17552 0 0 17560 htmvoc_17552.wav ヤマヌシトゥル ヤ⸢マヌシ⸣トゥル [ja⸢manuʃi̥⸣turu] 名 山賊。山の樹木を盗む者。「山盗人」の義。 ヤ⸢マサー⸣ヌ ヤ⸢マヌシ⸣トゥル ⸢シーベー⸣ティ ヤ⸢マカン⸣スルン カ⸢サマリタ⸣ツォー [ja⸢masaː⸣nu ja⸢manuʃi̥⸣turu ⸢ʃiː beː⸣ti ja⸢makan⸣suruŋ kḁ⸢samarita⸣ʦoː] (山仕事をする人が山泥棒<無許可で樹木を伐採すること>をしているので、山看守に逮捕されたそうだ) 17553 0 0 17561 htmvoc_17553.wav ヤマヌティジ ヤ⸢マ⸣ヌ ティ⸢ジ [ja⸢ma⸣nu ti⸢ʤi] 連 山の頂上。山頂。 ヤ⸢マ⸣ヌ ティ⸢ジ ヌーリミッ⸣タン [ja⸢ma⸣nu ti⸢ʤi nuːrimit⸣taŋ] (山の頂上に登ってみた) 17554 0 0 17562 htmvoc_17554.wav ヤマヌナダカ ヤ⸢マ⸣ヌ ナ⸢ダ⸣カ [ja⸢ma⸣nu na⸢da⸣ka] 連 山の高さ。山のようにうずたかく。山ほどにたくさん。 ⸢マイヤー⸣ カ⸢リティ⸣ ヤ⸢マ⸣ヌ ナ⸢ダ⸣カ フ⸢ナ⸣ジン ⸢シー⸣ シ⸢ミ⸣ シケー [⸢maijaː⸣ ka⸢riti⸣ ja⸢ma⸣nu na⸢da⸣ka ɸu⸢na⸣ʤiŋ ⸢ʃiː⸣ ʃi⸢mi⸣ ʃi̥keː] (稲は刈って、山のように船積みして積んである) 17555 0 0 17563 htmvoc_17555.wav ヤマヌパタ ヤ⸢マ⸣ヌ パ⸢タ [ja⸢ma⸣nu pḁ⸢ta] 連 山の側。「山の端」の義。 ⸢マーレーヌ⸣ ヤ⸢マ⸣ヌ パ⸢タナー⸣ル ピ⸢ナイサーラー⸣ アルミー [⸢maːreːnu⸣ ja⸢ma⸣nu pḁ⸢tanaː⸣ru pi⸢naisaːraː⸣ ʔarumiː] (マーレーの山の側に<ぞ>ピナイ滝はあるんでしょう?) 17556 0 0 17564 htmvoc_17556.wav ヤマバコー ヤ⸢マ⸣バコー [ja⸢ma⸣bakoː] 名 山での共同作業。建築用材を伐り出すための共同作業。「\ruby{山博労}{ヤマ|バク|ロウ}」の転訛したものか。建築用材を伐採するために家主は予めヤ⸢マ⸣フミ[ja⸢ma⸣ɸumi](山踏み)をしておいて、良材の伐採できる所を調べておく。日時を決めて村人に結いによる共同作業を依頼する。⸣バコー[⸣bakoː](共同作業)の当日は、伐採する人はヌ⸢キ⸣ル[nu⸢ki⸣ru](鋸)とヤ⸢マンガラ⸣シ[ja⸢maŋgara⸣ʃi](山刀)を持って参加し、材木を粗削りする人はヤ⸢マブー⸣ヌ[ja⸢mabuː⸣nu](山斧)とヌ⸢キ⸣ル[nu⸢ki⸣ru](鋸)、ヤ⸢マンガラ⸣シ[ja⸢maŋgara⸣ʃi](山刀)を持参した。当家の人は、15~16人程の男の朝食と昼食、午後3時の⸢サー⸣フキ[⸢saː⸣ɸu̥ki](茶受けの餅)、⸣サー[⸣saː](お茶)を用意した。賄い方として2、3人の若い女性も依頼した。作業員たちは早朝に、3~4艘の⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ)に分乗して目的地へ渡り、共同作業を実施した。夕方には鳩間島に帰り、ブ⸢ガリノー⸣シ[bu⸢garinoː⸣ʃi](骨休め{EOS}<疲れ直し>)として、当家で夕食を取り、酒食の持て成しを受けた。 ヤ⸢マ⸣バコー ⸢スー⸣ ピンマー ⸣マイムティ ヤ⸢マ⸣フミ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢ma⸣bakoː ⸢suː⸣pimmaː ⸣maimuti ja⸢ma⸣ɸumi ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (ヤマバコー<山での共同作業>をする時は、前もって山踏み<山の事前調査>をしなければならない) 17557 0 0 17565 htmvoc_17557.wav ヤマバン ヤ⸢マ⸣バン [ja⸢ma⸣baŋ] 名 山番。\ruby{盗伐}{トウ|バツ}を監視する役職の人。山の番人。 ヤ⸢マカン⸣スロー ヤ⸢マ⸣バン ⸢スームル⸣ ス⸢クブン [ja⸢makan⸣suroː ja⸢ma⸣ban ⸢suːmuru⸣ su̥⸢kubuŋ] (山看守は山の番をするのが職分<役目>である) 17558 0 0 17566 htmvoc_17558.wav ヤマピニ ヤ⸢マ⸣ピニ [ja⸢ma⸣pini] 名 無精ひげ。\ruby{鬚}{ヒゲ}を剃らずに伸び放題にしてあるもの。種取祭の時は、苗代に播種して苗が順調に生育するまで鬚を剃ることはタブーとされていた。 タ⸢ナドゥル⸣ヌ ⸣マーラー ビ⸢キドゥムンケー⸣ヤ ⸢パイター⸣ラ ヤ⸢マ⸣ピニ ⸢モー⸣シティル パ⸢トゥ⸣マー ⸢オーッ⸣タ⸢ダー [ta⸢naduru⸣nu ⸣maːraː bi⸢kidumuŋkeː⸣ja ⸢paitaː⸣ra ja⸢ma⸣pini ⸢moː⸣ʃi̥tiru pḁ⸢tu⸣maː ⸢ʔoːt⸣ta⸢daː] (種取り祭の頃は、男の人たちは南端から無精ひげを生やして鳩間島に来られたのだよ) 17559 0 0 17567 htmvoc_17559.wav ヤマヒビキ ヤ⸢マヒビ⸣キ [ja⸢maçibi⸣ki] 名 やまびこ(山彦)。山や谷などで人の声や音が反響すること。⸢ニンブ⸣ツァー[⸢nimbu⸣ʦaː](念仏歌)などに歌われている歌謡語。日常は使わない 17561 0 0 17568 htmvoc_17561.wav ヤマピル ヤ⸢マ⸣ピル [ja⸢ma⸣piru] 名 (動)山に生息する蛭。山蛭。体長2~3センチ。前後に吸盤があり、人や獣類について吸血する。山中を歩くと、足に飛びついてくる。 ⸢パイタ⸣ナー タ⸢ム⸣ヌ ⸣キシン ⸢アチャン ⸢サーラリティ⸣ ヤ⸢マー ペー⸣ルカー ヤ⸢マピル⸣ヌ トゥ⸢ビ⸣ キーティ ⸢ティー⸣パンナー フ⸢シゥカル⸣タン [⸢paita⸣naː ta⸢mu⸣nu ⸣ki̥ʃiŋ ⸣ʔaʧan ⸢saːrariti⸣ ja⸢maː peː⸣rukaː ja⸢mapiru⸣nu tu⸢bi⸣ kiːti ⸢tiː⸣pannaː ⸢ɸusï̥karu⸣taŋ] (西表島<南端>で薪を伐りに、お父さんに連れられて山へ入ると、山蛭が飛んできて手足にくっ付いたものだ) 17560 0 0 17569 htmvoc_17560.wav ヤマピンギムヌ ヤ⸢マピンギ⸣ムヌ [ja⸢mapiŋgi⸣munu] 名 山の中へ逃げ込んだ者。特に西表島浦内の野田炭鉱から逃亡した労務者。戦時中炭鉱から逃亡した労務者がティドゥク山を越えて鳩間島の島民が避難している田圃小屋のところへ逃げてきた。鳩間の人は、握り飯と煮芋を与えて、官憲が来ぬうちに逃がしていた。翌日巡査が警察犬を連れて捜索に来ていたが、あまりにも気の毒に思われたので、知らないと答えていた。 ヤ⸢マピンギムヌ⸣ヌ ⸢クー⸣ター ⸢イー⸣バ ッ⸢ふァーシティ ピンガシ⸣タ [ja⸢mapiŋgimunu⸣nu ⸢kuː⸣taː ⸢ʔiː⸣ba f⸢faːʃi̥ti piŋgaʃi̥⸣ta] (炭鉱逃亡者が来たので、ご飯を食べさせて逃がした) 17562 0 0 17570 htmvoc_17562.wav ヤマブーヌ ヤ⸢マブー⸣ヌ [ja⸢mabuː⸣nu] 名 山斧。山で建築用材を切り出し、角材に粗削りするのに用いる斧。鋭利な斧で、薪割り斧と比べて軽い。平常は使用しない。ヤ⸢マ⸣サー[ja⸢ma⸣saː](山師{EOS}山から⸢キャーンギ{SqBr}⸢kjaːŋgi{/SqBr}<イヌマキ>などの名木を伐り出して売りさばく人)などは、斧の刃の部分を取り外して保管していた。 ヤ⸢マブー⸣ノー イッ⸢ケン⸣ キ⸢シ⸣ルン [ja⸢mabuː⸣noː ʔik⸢keŋ⸣ ki̥⸢ʃi⸣ruŋ] (山斧は非常によく切れる) 17563 0 0 17571 htmvoc_17563.wav ヤマフジル ヤ⸢マフジ⸣ル [ja⸢maɸuʤi⸣ru] 名 山や林の中を歩き回って名木を探したり、木の実や果物の実を探すこと。「\ruby{山漁}{ヤマ|アサ}り」の義。 パ⸢タキ⸣ヌ ⸢カイ⸣ルナ ヤ⸢マフジ⸣ル ⸢シー バン⸣スル ⸣ブリ ⸣キー ヤ⸢ラ⸣ビン ッ⸢ふァーシ⸣バ [pḁ⸢taki⸣nu ⸢kai⸣runa ja⸢maɸuʤi⸣ru ⸢ʃiː ban⸣suru ⸣buri ⸣kiː ja⸢ra⸣biŋ f⸢faːʃi⸣ba] (畑からの帰りに山漁り<野山の木の実を探しまわって>をして、グアバ<蕃石榴>を\ruby{捥}{モ}いできて、子供に食べさせなさいよ) 17564 0 0 17572 htmvoc_17564.wav ヤマフダ ヤ⸢マ⸣フダ [ja⸢ma⸣ɸuda] 名 入山の鑑札。国有林などに入って建築用材を伐る許可証。鳩間島の人々は西表島の北岸一帯の山に入って建築用材を伐り出していた。自宅の建築用材であれば、ヤ⸢マ⸣フダ[ja⸢ma⸣ɸuda](入山の鑑札)は昔から必要としなかった。入会権があったからであろう。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ヤー ス⸢ク⸣ルンティル ヤ⸢マ⸣ヌ ⸣キー ⸣キスンダ ム⸢カ⸣シェーラ ヤ⸢マ⸣フダー トゥ⸢ラン⸣シェン [⸢duː⸣nu ⸣jaː su̥⸢ku⸣runtiru ja⸢ma⸣nu ⸣kiː ⸣ki̥sunda mu⸢ka⸣ʃeːra ja⸢ma⸣ɸudaː tu⸢raŋ⸣ʃeŋ] (自分の家を造るとて<ぞ>山の木を伐るんだから、昔から入山鑑札は取らなかった) 17565 0 0 17573 htmvoc_17565.wav ヤマフナブ ヤ⸢マフナ⸣ブ [ja⸢maɸuna⸣bu] 名 (植)山の蜜柑<九年母>。山の中にあるヒラミレモン。普通は、フ⸢ナ⸣ブ[ɸu⸢na⸣bu](九年母)という。⸢シークヮー⸣サー[⸢ʃiːkwaː⸣saː](ヒラミレモン)は沖縄本島方言からの借用語。 ク⸢トゥシェー⸣ ヤ⸢マフナブ⸣ヌ イッ⸢ケナ⸣ ナレーンツォー [ku̥⸢tuʃeː⸣ ja⸢maɸunabu⸣nu ʔik⸢kena⸣ nareːnʦoː] (今年は山の九年母が非常によく稔った<\ruby{生}{ナ}った>そうだ) 17566 0 0 17574 htmvoc_17566.wav ヤマフミ ヤ⸢マ⸣フミ [ja⸢ma⸣ɸumi] 名 「山踏み」の義。家屋新築の際、建築用材を伐り出すために、戸主が西表島の山に入り、共同作業に適した場所、木材を多く切り出せる場所を予め探しておく必要がある。そのために山入りをすることをいう。ナ⸢ダラヤマ[na⸢darajama](ナダラ山)やティ⸢ドゥ⸣クヤマ[ti⸢du⸣kujama](ティドゥク山)、⸢マーレーヤマ[⸢maːreːjama](マーレー山)、⸣クンヤマ[⸣kuŋjama](古見山)などの山々にヤマフミをした。 ヤ⸢マ⸣バコー ⸢スー⸣ マイナー ヤ⸢マ⸣フミ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣シェン [ja⸢ma⸣bakoː ⸢suː⸣ mainaː ja⸢ma⸣ɸumi ⸢saŋ⸣kaː na⸢raŋ⸣ʃeŋ] (山の共同作業をする前に山踏みをしなければならなかった) 17478 0 1 17575 htmvoc_17478.wav ヤママール ヤ⸢ママー⸣ル [ja⸢mamaː⸣ru] 名 {Mn_1}山の見回り。 ⸢アー⸣ヤー ⸢ターシグトゥ⸣ヌ ピ⸢マピマー⸣ ヤ⸢ママー⸣ル ⸢ソーッ⸣タン [⸢ʔaː⸣jaː ⸢taːʃigutu⸣nu pi⸢mapimaː⸣ ja⸢mamaː⸣ru ⸢soːt⸣taŋ] (お父さんは田仕事の\ruby{暇暇}{ヒマ|ヒマ}に山の見回りをされた)。 17478 0 2 17576 htmvoc_17478.wav ヤママール ヤ⸢ママー⸣ル [ja⸢mamaː⸣ru] 名 {Mn_2}山林巡検の役人。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ママール⸣ヌ ⸢マーリ オーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢mamaːru⸣nu ⸢maːri ʔoːt⸣tanʦoː] (昔は山林巡検の役人が回って来られたそうだ) 17567 0 0 17577 htmvoc_17567.wav ヤママヤー ヤ⸢マ⸣マヤー [ja⸢ma⸣majaː] 名 (動)野良猫。「山猫」の義。 ヤ⸢ママヤー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラー ⸣ナリティ ガ⸢シ⸣イズン プ⸢シイ⸣ガン ⸢サンギ⸣パリ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢mamajaː⸣nu ⸢goː⸣raː ⸣nariti ga⸢ʃi⸣ʔiʣum pu̥⸢ʃi⸣ʔigan ⸢saŋgi⸣pari na⸢ra⸣nu] (野良猫が増えて、火に\ruby{炙}{アブ}って\ruby{燻製}{クン|セイ}にした魚も、\ruby{天日乾燥}{テン|ピ|カン|ソウ}した\ruby{烏賊}{イ|カ}も盗んで引きずっていくので\ruby{堪}{タマ}らない) 17568 0 0 17578 htmvoc_17568.wav ヤマミジ ヤ⸢マ⸣ミジ [ja⸢ma⸣miʤi] 名 山から流れ出る生水。 ⸢パイタ⸣ナーティ ヤ⸢マ⸣ミジ ⸣ヌムカー ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣ルンティ⸢ダー [⸢paita⸣naːti ja⸢ma⸣miʤi ⸣numukaː ⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣runti⸢daː] (西表島<南端>で山の生水を飲むと風土病<風気>に罹るそうだよ) 17569 0 0 17579 htmvoc_17569.wav ヤマミチ ヤ⸢マ⸣ミチ [ja⸢ma⸣miʧi] 名 山道。人や牛が通る小さな道。 ム⸢カ⸣シェー ⸢パイタ⸣ナー ヤ⸢マ⸣ミチ ⸢タンガ⸣ル ⸢アッタ⸣ル ア⸢スファルトドー⸣ロー ⸢ナーン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢paita⸣naː ja⸢ma⸣miʧi ⸢taŋga⸣ru ⸢ʔatta⸣ru ʔa⸢suɸarutodoː⸣roː ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (昔は、西表島<南端>には山道だけがあったのだ{EOS}アスファルト道路はなかった) 17570 0 0 17580 htmvoc_17570.wav ヤマヤーサ ヤ⸢マヤー⸣サ [ja⸢majaː⸣sa] 名 山仕事中の空腹感。 ヤ⸢マヤー⸣サー ⸢アウ⸣ユン ッ⸢ふンティル⸣ ム⸢カ⸣シムネー ⸣アル [ja⸢majaː⸣saː ⸢ʔau⸣juŋ f⸢funtiru⸣ mu⸢ka⸣ʃimuneː ⸣ʔaru] (山仕事中の空腹感は山仲間をも食うと、昔の言葉にいわれている<昔言葉にある>) 17571 0 1 17581 htmvoc_17571.wav ヤマンガラシ ヤ⸢マンガラ⸣シ [ja⸢maŋgara⸣ʃi] 名 {Mn_1}山刀。 タ⸢ム⸣ノー ヤ⸢マンガラ⸣シシル ⸢ケー⸣ル [ta⸢mu⸣noː ja⸢maŋgara⸣ʃiʃiru ⸢keː⸣ru] (薪は山刀で<ぞ>たたき切るものだ)。 17571 0 2 17582 htmvoc_17571.wav ヤマンガラシ ヤ⸢マンガラ⸣シ [ja⸢maŋgara⸣ʃi] 名 {Mn_2}\ruby{腕白者}{ワン|パク|モノ}。きかんぼう(\ruby{利}{キ}かん坊)。 ビ⸢コーンッふァー⸣ ヤ⸢マンガラ⸣シ ⸣ナリティ イッ⸢カ⸣ プ⸢スヌ⸣ ムニ ス⸢クンティ⸣ サ⸢ヌ [bi⸢koːŋffaː⸣ ja⸢maŋgara⸣ʃi ⸣nariti ʔik⸢ka⸣ pu̥⸢sunu⸣ muni si̥⸢kunti⸣ sa⸢nu] (男の子は腕白坊主になって、\ruby{一向}{イッ|コウ}に他人の言うことを聞こうとしない) 17572 0 0 17583 htmvoc_17572.wav ヤマンギ ヤ⸢マン⸣ギ [ja⸢maŋ⸣gi] 名 (動)毒毛虫の名。クヌギカレハチョウの幼虫『石垣方言辞典』。蚕より大きくて、毒の刺を持つグロテスクな毛虫。西表の山のア⸢ゴ⸣チキー[ʔa⸢go⸣ʧikiː]などの木の葉に這っていた。 ヨー⸢ヨー⸣ ヤ⸢マン⸣ギン ッ⸢サリ⸣ナ⸢ダー [joː⸢joː⸣ ja⸢maŋ⸣gin s⸢sari⸣na⸢daː] (よく気をつけろよ{EOS}ヤマンギ毒虫に刺されるなよ) 17573 0 0 17584 htmvoc_17573.wav ヤマング ヤ⸢マン⸣グ [ja⸢maŋ⸣gu] 名 わんぱくもの(腕白者)。いたずら者。若年層は、ヤ⸢マ⸣グ[ja⸢ma⸣gu]ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー ヤ⸢マン⸣グ ⸣ナリティ プ⸢ストゥ⸣ アイナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː ja⸢maŋ⸣gu ⸣nariti pu̥⸢sutu⸣ ʔainaː na⸢ra⸣nu] (この子は腕白者になって、他人としょっちゅう喧嘩するので困る<喧嘩するので、全く\ruby{堪}{タマ}らない>) 17574 0 0 17585 htmvoc_17574.wav ヤマングパダ ヤ⸢マング⸣パダ [ja⸢maŋgu⸣pada] 名 腕白盛り。腕白する年頃。 ヤ⸢マング⸣パダー ビ⸢コーンッふァー⸣ パ⸢ダキネー⸣ンダ ⸣ユー ⸣ドゥー ヤ⸢マ⸣スン [ja⸢maŋ⸣gupadaː bi⸢koːŋffaː⸣ pa⸢dakineː⸣nda ⸣juː ⸣duː ja⸢ma⸣suŋ] (腕白盛りは、男の子はよく暴れるから、よく体に傷つける<胴を病ます>) 17575 0 0 17586 htmvoc_17575.wav ヤマングマリ ヤ⸢マングマ⸣リ [ja⸢maŋguma⸣ri] 名 山籠り。西表島の田圃小屋に長期宿泊して稲作に従事すること。 タ⸢ナドゥル⸣ヌ ⸣ピンマー ⸢パイタ⸣ヌ ⸢ター⸣ヤーナ ⸢トゥッカ アマンナー⸣ トゥ⸢マリ⸣ ヤ⸢マングマ⸣リ ⸢シー⸣ ピ⸢ニン ボーボー⸣シ ⸢モー⸣シェーティル ⸢マイヤー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [ta⸢naduru⸣nu ⸣pimmaː ⸢paita⸣nu ⸢taː⸣jaːna ⸢tukka ʔamannaː⸣ tu⸢mari⸣ ja⸢maŋguma⸣ri ⸢ʃiː⸣ pi⸢nim boːboː⸣ʃi ⸢moː⸣ʃeːtiru ⸢maijaː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (種取り祭りの時は、西表島<南端>の田圃小屋に十日余りも泊まって、山籠もりをして、稲は作られた) 17577 0 0 17587 htmvoc_17577.wav ヤマンゴーマ ヤ⸢マンゴー⸣マ [ja⸢maŋgoː⸣ma] 名 腕白小僧。悪戯っ\ruby{児}{イタズラッコ}。小腕白。 ⸣パープジヌ ⸣ドゥク ア⸢タラ⸣サ ⸢ソー⸣ルンダ ヤ⸢マンゴー⸣マ ⸣ナリティ ⸢ヨー⸣ゾー シ⸢キララ⸣ヌ [⸣paːpuʤinu ⸣duku ʔa⸢tara⸣sa ⸢soː⸣runda ja⸢maŋgoː⸣ma ⸣nariti ⸢joː⸣ʣoː ʃi̥⸢kirara⸣nu] (祖父母があまりにも可愛がるので、腕白小僧になって手がつけられない<養生できない>) 17576 0 1 17588 htmvoc_17576.wav ヤマンゴーン ヤ⸢マン⸣ゴーン [ja⸢maŋ⸣goːŋ] 形 {Mn_1}腕白である。悪戯っ子である。暴れん坊である。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ヤ⸢マン⸣ゴーンダ ヤ⸢マンゴーナーン⸣ ッ⸢ふァトゥル⸣ ア⸢サバサリル [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ja⸢maŋ⸣goːnda ja⸢maŋgoːnaːŋ⸣ f⸢faturu⸣ ʔa⸢sabasariru] (あの子は腕白だから、腕白でない子とが<ぞ>遊ばされる)。 ア⸢マ⸣ヌ ヤ⸢マン⸣ゴーティ プ⸢スンマー アシキララ⸣ヌ [ʔa⸢ma⸣nu ʔa⸢maŋ⸣goːti pu̥⸢summaː ʔaʃi̥kirara⸣nu] (あまりにも腕白なので他人には預けられない)。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケン ヤ⸢マン⸣ゴー(ル) ッ⸢ふァー⸣ フ⸢ドゥブ⸣カー ⸢マイフナー⸣ マ⸢ルン⸣ツォー [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣keŋ ja⸢maŋ⸣goː(ru) f⸢faː⸣ ɸu⸢dubu⸣kaː ⸢maiɸunaː⸣ na⸢ruŋ⸣ʦoː] (子供の頃に腕白な子は成長すると立派な人になるそうだ)。 17576 0 2 17589 htmvoc_17576.wav ヤマンゴーン ヤ⸢マン⸣ゴーン [ja⸢maŋ⸣goːŋ] 形 {Mn_2}おんなたらし(\ruby{女誑}{オンナ|タラシ})である。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ヤ⸢マン⸣ゴーンティバ ⸢キー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ja⸢maŋ⸣goːntiba ⸢kiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (あの人<彼>は\ruby{女誑}{オンナ|タラ}しだというから、気をつけろよ) 17578 0 1 17590 htmvoc_17578.wav ヤマンミー ヤ⸢マン⸣ミー [ja⸢mam⸣miː] 名 {Mn_1}雑木林の中。森の中。山の中。 ヤ⸢マン⸣ミーナ ⸢ペーリ⸣ル ⸢キャーンギキーヤ⸣キ⸢ソーッ⸣タ [ja⸢mam⸣miːna ⸢peːri⸣ru ⸢kjaːŋgikiːja⸣ ki̥⸢soːt⸣ta] (森の中に入ってから<ぞ>いぬまき<犬槙>は伐られた)。 17578 0 2 17591 htmvoc_17578.wav ヤマンミー ヤ⸢マン⸣ミー [ja⸢mam⸣miː] 名 {Mn_2}\ruby{叢}{クサムラ}の中。\ruby{藪}{ヤブ}の中。 ヤ⸢マン⸣ミーナ カ⸢ク⸣シ ⸣シケー [ja⸢mam⸣miːna kḁ⸢ku⸣ʃi ʃi̥keː] (山の中に隠してある) 17582 0 0 17592 htmvoc_17582.wav ヤミ ヤ⸢ミ [ja⸢mi] 名 \ruby{闇}{ヤミ}商売。標準語からの借用語。 イ⸢クサユー⸣ヌ ⸣アトゥナー ⸢タイパン⸣トゥ ヤ⸢ミソーバイ ソーッ⸣タン [ʔi⸢kusajuː⸣nu ⸣ʔatunaː ⸢taipan⸣tu ja⸢misoːbai soːt⸣taŋ] (戦後<戦世の後>に台湾と闇商売をされたことがある) 17583 0 0 17593 htmvoc_17583.wav ヤミウチ ヤ⸢ミウチ [ja⸢miʔuʧi] 名 \ruby{闇討}{ヤミ|ウチ}。暗殺。石垣島で公演された沖縄芝居から\ruby{伝播}{デン|パ}した語。 ウ⸢レー⸣ ヤ⸢ナクトゥ⸣ カー⸢ニ シーベー⸣ティル ヤ⸢ミウチ⸣ シ⸢ラリタ⸣ツォー [ʔu⸢reː⸣ ja⸢naku̥tu⸣ kaː⸢ni ʃiːbeː⸣tiru ja⸢miʔuʧi⸣ ʃi⸢rarita⸣ʦoː] (彼は悪いことがかりしていたので闇討ちされたそうだ) 17584 0 0 17594 htmvoc_17584.wav ヤミプス ヤ⸢ミ⸣プス [ja⸢mi⸣pu̥su] 名 病人。「病み・人」の義。 キ⸢ナイ⸣ナー ヤ⸢ミプス⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ウ⸢ヌ トゥン⸣ザク ⸢スンティ デー⸣ジ⸢ダー [ki⸢nai⸣naː ja⸢mipu̥su⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ʔu⸢nu tunʣa⸣ku ⸢sunti deː⸣ʤi⸢daː] (一家<家内>に病人が出ると、その看病をするとて大変だよ) 17585 0 0 17595 htmvoc_17585.wav ヤミルン ヤ⸢ミルン [ja⸢miruŋ] 他動 やめる(止める)。 サ⸢キン⸣ タ⸢バ⸣クン ヤ⸢ミルンティ スンドゥ⸣ ヤ⸢ミララヌ [sḁ⸢kin⸣ ta⸢ba⸣kuŋ ja⸢mirunti sundu⸣ ja⸢miraranu] (酒も煙草も止めようとするが、止められない)。 ⸢フン⸣トー ヤ⸢ミ⸣ プサカー ヤ⸢ミル⸣ クトー ⸣ナルン [⸢ɸun⸣toː ja⸢mi⸣ pu̥sakaː ja⸢miru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (本当に止めたかったら、止めることはできる)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢ミレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ja⸢mireː⸣ misamunu] (早く止めればいいのに)。 ムー⸢ル⸣ ヤ⸢ミリ⸣バ [muː⸢ru⸣ ja⸢miri⸣ba] (全部<総て>止めろよ) 17586 0 1 17596 htmvoc_17586.wav ヤムン ⸣ヤムン [⸣jamuŋ] 自動 {Mn_1}いたむ(痛む)。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ⸣マーンクマーン ⸢ドゥー⸣ヌ ⸣ヤムン [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ⸣maːŋkumaːn ⸢duː⸣nu ⸣jamuŋ] (年を取るとあっちこっち<どこもそこも>体が痛む)。 ⸣バー マー⸢ン⸣ ヤ⸢マ⸣ヌ [⸣baː maː⸢ɲ⸣ ja⸢ma⸣nu] (私はどこも痛くない)。 ク⸢シヌ⸣ ヤミティ ⸢ウーカラ⸣ヌ [ku̥⸢ʃinu⸣ jamiti ⸢ʔuːkara⸣nu] (腰が痛んで動けない)。 ⸣ヤム ⸣クトー ヤ⸢ムン⸣ドゥ ニ⸢ジラ⸣リン [⸣jamu ⸣ku̥toː ja⸢mun⸣du ni⸢ʤira⸣riŋ] (痛むことは痛むが、我慢できる)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ヤメー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ⸣jameː ⸣misamunu] (もっと痛めばいいのに)。 17586 0 2 17597 htmvoc_17586.wav ヤムン ⸣ヤムン [⸣jamuŋ] 自動 {Mn_2}病む。病気になる。「~年長く夜美志<ヤミシ>渡れば~。万、897」の転訛したもの。 ⸣ヤミティ ニ⸢ビ ベー [⸣jamiti ni⸢bi beː] (病気して<病んで>寝ている)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ヤミバ [⸢maː⸣biŋ ⸣jamiba] (もっと病気になれ<病め>よ) 17587 1 0 17598 htmvoc_17587.wav ヤムン ヤ⸢ムン [ja⸢muŋ] 自動 {PoS_1}止む。止まる。「~浦吹く風の止時<ヤム時>なかれ。万、606」の転訛したもの。ヤ⸢ミルンとも言う。 カ⸢ジェー⸣ キューズーナ ヤ⸢ム⸣クトー ヤ⸢ムンドゥ ナン⸣マー ビ⸢ラヌ [ka⸢ʤeː⸣ kjuːʣuːna ja⸢mu⸣ ku̥toː ja⸢mundu nam⸣maː bi⸢ranu] (台風は、今日中には止むことは止むが、高波は引か<座ら>ない)。 カ⸢ジェー⸣ マ⸢ダ⸣ ヤ⸢マヌ [ka⸢ʤeː⸣ ma⸢da⸣ ja⸢manu] (風は、まだ止まない)。 カ⸢ジヌ イットゥ⸣キ ヤ⸢ム⸣ ピンマー ⸢カイシ⸣ヌ フクン⸢ダー [ka⸢ʤinu ʔittu⸣ki ja⸢mu⸣ pimmaː ⸢kaiʃi⸣nu ɸu̥kun⸢daː] (台風が一時止むときは、返しの風が吹くよ)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ja⸢meː⸣ misamunu] (早く止めばいいのに)。 17587 2 0 17599 htmvoc_17587.wav ヤムン ヤ⸢ムン [ja⸢muŋ] 他動 {PoS_2}止む。止める。 シ⸢グトゥ⸣ ヤ⸢ミ⸣ プサンドゥ マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢マラヌ [ʃi⸢gutu⸣ ja⸢mi⸣ pu̥sandu ma⸢na⸣maː ja⸢maranu] (仕事を止めたいが、今は止められない)。 ヤ⸢ム⸣ クトー ヤ⸢ムンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢マヌ [ja⸢mu⸣ ku̥toː ja⸢mundu⸣ ma⸢na⸣maː ja⸢manu] (止めることは止めるが、今はやめない)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢メー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ja⸢meː⸣ misamunu] (早くやめればいいのに)。 ⸢ワンヌン⸣ ヤ⸢ミ⸣バ [⸢wannuŋ⸣ ja⸢mi⸣ba] (君も止めろ) 17479 0 0 17600 htmvoc_17479.wav ヤメーマ ヤ⸢メーマ [ja⸢meːma] 名 (動)セマルハコガメ。「山小亀」の義。西表島の山中に棲息する小型の亀。 ム⸢カ⸣シェー ⸢パイター⸣ラ ヤ⸢メーマバ⸣ シゥ⸢カ⸣ミ ⸣キー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ム⸢タビ⸣ムヌ シ⸢ミブタ⸠ナー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢paitaː⸣ra ja⸢meːmaba⸣ sï̥⸢ka⸣mi ⸣kiː ja⸢rabi⸣nu mu⸢tabi⸣munu ʃi⸢mibuta⸠naː] (昔は西表<南端>からセマルハコガメを捕まえてきて、子供のおもちゃ<\ruby{弄}{モテアソ}び物>にしていたなあ) 17588 0 0 17601 htmvoc_17588.wav ヤメーマ ヤ⸢メーマ [ja⸢meːma] 名 スナホリガニ。カ⸢メーマ[ka⸢meːma](小さな亀)ともいう。体長約1、5センチ、幅約1センチの亀の形をした蟹。渚の砂の中に生息していて、足で砂を掻くと這いだしてくる。お汁にすると美味しい。子供が海水浴をしながらヤメーマを掘り出して遊んだ。 ダ⸢シ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ピンマー ヤ⸢メーマトゥ⸣ パ⸢モール⸣バ ⸣カキキー ⸣スー バ⸢カソーッ⸣タ [da⸢ʃi⸣nu ⸢naːm⸣ pimmaː ja⸢meːmatu⸣ pa⸢moːru⸣ba ⸣kḁkikiː ⸣suː ba⸢kasoːt⸣ta] (出し汁になるものがないときは、ヤメーマと蛤を掻き出してきてお汁を炊かれた) 17589 0 0 17602 htmvoc_17589.wav ヤラ ヤ⸢ラ [ja⸢ra] 名 (地)屋良。鳩間島の南西の海岸一帯及び畑地。細長い浜が形成されている。潮干狩りに出たり、魚つりをしたりするところ。 ⸢バン⸣テヌ ヤ⸢ラヌ⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢ウン⸣マー ⸢ミールタン [⸢ban⸣tenu ja⸢ranu⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢ʔum⸣maː ⸢miːrutaŋ] (私の家の屋良の畑は、芋はよく稔った) 17590 0 0 17603 htmvoc_17590.wav ヤライルン ヤ⸢ライ⸣ルン [ja⸢rai⸣ruŋ] 他動 交差させる。X字型に組む。竹やススキをX字型に交差させて組み、垣根や茅葺家の壁及びトゥ⸢ル⸣クビ[tu⸢ru⸣kubi](取り外し式の茅製の戸)を作った。普通は、ヤ⸢ラザイルン[ja⸢raʣairuŋ](交差させる)、ヤ⸢ラザウン[ja⸢raʣauŋ](交差させる)、ヤ⸢ラウン[ja⸢rauŋ](交差させる)ともいう。「Yarai.ヤライ(矢来)ある場所を通らせないために作る垣、または、それに類したもの」『邦訳日葡辞書』の動詞へ転訛したもの。 ウ⸢ディ⸣バ ヤ⸢ライ パン⸣バ ヤ⸢ライティ⸣ シ⸢マ⸣トゥルン [ʔu⸢di⸣ba ja⸢rai pam⸣ba ja⸢raiti⸣ ʃi⸢ma⸣ turuŋ] (腕を交差させて組み、足を交差させて組んで相撲を取る)。 タ⸢キバ⸣ ヤ⸢ライルンティ スンドゥ⸣ ヤ⸢ライララヌ [tḁ⸢kiba⸣ ja⸢rairunti sundu⸣ ja⸢rairaranu] (竹を交差させて組もうとするが、交差されない)。 ヤ⸢ライヤッ⸣サン [ja⸢raijas⸣saŋ] (交差させやすい) 17592 0 0 17604 htmvoc_17592.wav ヤラザイルン ヤ⸢ラザイルン [ja⸢raʣairuŋ] 他動 互いに交差させる。 タ⸢キヌ ニー⸣トゥ ⸣スラー ヤ⸢ラザイルン [tḁ⸢kinu niː⸣tu ⸣suraː ja⸢raʣairuŋ] (竹の根本と梢を交差させる)。 ヤ⸢ラザイラヌ [ja⸢raʣairanu] (交差させない)。 ヤ⸢ラザイル⸣ クトゥ [ja⸢raʣairu⸣ ku̥tu] (交差させること)。 ヤ⸢ラザイ⸣ ミサン [ja⸢raʣai⸣ misaŋ] (交差させてもよい)。 ヤ⸢ラザイレー⸣ ミサムヌ [ja⸢raʣaireː⸣ misamunu] (交差させればいいのに)。 ヤ⸢ラザイリ [ja⸢raʣairi] (交差させよ) 17591 0 0 17605 htmvoc_17591.wav ヤラザウン ヤ⸢ラザウン [ja⸢raʣauŋ] 他動 交差させる。根元と\ruby{梢}{コズエ}を交互に交差させる。竹やススキの根本と梢を交互に交差させてシ⸢ダ⸣ル[ʃi⸢da⸣ru](すだれ)やユ⸢チル[ju⸢ʦiru](えつり)等を編む。 ユ⸢チル⸣ フム ⸣ピンマー タ⸢キヌ ニー⸣トゥ ⸣スラー ヤ⸢ラザイティ⸣ フミバ [ju⸢ʧiru⸣ ɸumu ⸣pimmaː tḁ⸢kinu niː⸣tu ⸣suraː ja⸢raʣaiti⸣ ɸumiba] (えつりを編むときは竹の根本と梢を交互に交差させて編みなさいよ)。 ⸢ニー⸣トゥ ⸣スラー ヤ⸢ラザウンティ スンドゥ⸣ ヤ⸢ラザーラヌ [⸢niː⸣tu ⸣suraː ja⸢radaunti sundu⸣ ja⸢raʣaːranu] (根と梢を交互に交差させようとするが交差させられない)。 ク⸢レー⸣ ヤ⸢ラザウ ムノー⸣ ア⸢ラ⸣ヌ [ku⸢reː⸣ ja⸢raʣau munoː⸣ ʔa⸢ra⸣nu] (これは交差させる物ではない)。 ⸢ピーチンゴーシ⸣ナー ヤ⸢ラザイヤー⸣ ミサムヌ [⸢piːʧiŋgoːʃi⸣naː ja⸢raʣaijaː⸣ misamunu] (一つ置きに交差させればいいのに)。 ヤ⸢ラザイ⸣バ [ja⸢raʣai⸣ba] (交差させなさい) 17593 0 1 17606 htmvoc_17593.wav ヤラスン ヤ⸢ラスン [ja⸢rasuŋ] 他動 {Mn_1}よこす(寄越す)。こちらへ来させる。 ⸢ワー⸣ ムティ ⸢ベー⸣ ムノー ク⸢マー ヤ⸢ラシ [⸢waː⸣ muti ⸢beː⸣ munoː ku⸢maː⸣ ja⸢rasi] (君が持っているものをこちらへ寄越せ)。 パ⸢ジメー⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミ ヤ⸢ラスンティ⸣ シ⸢タヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢ラサン⸣ツォー [pa⸢ʤimeː⸣ pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mi ja⸢rasunti⸣ ʃi̥⸢tanu⸣ ma⸢na⸣maː ja⸢rasan⸣ʦoː] (初めは人を頼んで寄越すといったが、今は寄越さないそうだ)。 17593 0 2 17607 htmvoc_17593.wav ヤラスン ヤ⸢ラスン [ja⸢rasuŋ] 他動 {Mn_2}\ruby{遣}{ツカワ}す。使いを\ruby{遣}{ヤ}る。渡す。 ⸣アツァー ⸢ワーン⸣ トン シゥ⸢カイ⸣ ヤ⸢ラスン⸣ミー⸢ナー [⸣ʔaʦaː ⸢waːn⸣ ton si̥⸢kai⸣ ja⸢rasum⸣miː⸢naː] (明日君のところへ使を遣るさねえ)。 ⸣クマーラー シゥ⸢カイヤー⸣ ヤ⸢ラサン⸣タンティン ⸣ミサン ヤ⸢ラシ⸣ミサカー ヤ⸢ラス⸣ クト⸣ナルン [⸣kumaːraː si̥⸢kaijaː⸣ ja⸢rasan⸣tantim ⸣misaɲ ja⸢raʃi⸣ misakaː ja⸢rasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (ここから使いを遣らなくてもよい{EOS}使いを遣ってよければ遣ることはできる)。 ヤ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [ja⸢raʃeː⸣ misamunu] (遣ればよいのに)。 ⸢パー⸣ク ヤ⸢ラシ [⸢paː⸣ku ja⸢raʃi] (早く遣れ<よこせ>) 17594 0 0 17608 htmvoc_17594.wav ヤラヌパマ ヤ⸢ラヌ⸣パマ [ja⸢ranu⸣pama] 名 (地)屋良の浜。ヤ⸢ラン⸣パマ[ja⸢ram⸣pama](屋良の浜)ともいう。 ヤ⸢ラン⸣パマナーティ ⸣ユー イ⸢ズ ホーシ⸣タン [ja⸢ram⸣pamanaːti ⸣juː ʔi⸢ʣu hoːʃi̥⸣taŋ] (屋良の浜でよく魚を釣った) 17595 0 0 17609 htmvoc_17595.wav ヤラビ ヤ⸢ラ⸣ビ [ja⸢ra⸣bi] 名 子供。「童」の義。⸢Varabe.Varambe.ワラベ、または、ワラムベ(童)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ヤ⸢ラ⸣ベー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢ミー⸣タキ ⸣ナルカー ⸢ティー⸣カケー ナ⸢ラ⸣ヌ イ⸢ジル⸣ ナ⸢ラー⸣ス [ja⸢ra⸣beː ʔu⸢ja⸣nu ⸢miː⸣tḁki narukaː ⸢tiː⸣kḁkeː na⸢ra⸣nu ʔi⸢ʤiru⸣ na⸢raː⸣su] (子供は親の身の丈に成長したら、叩いて<手にかけて>教えてはならない{EOS}叱って教えるものだ) 17596 0 0 17610 htmvoc_17596.wav ヤラビアシゥカイ ヤ⸢ラビアシゥ⸣カイ [ja⸢rabiasi̥⸣kai] 名 子供扱い。 ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ アイニ ヤ⸢ラビアシゥ⸣カイ ⸢ソーン⸣ナ⸢ツォー⸣ イ⸢チンバー⸣キン ヤ⸢ラ⸣ベー ア⸢ラン⸣ダー [⸢duː⸣nu f⸢fa⸣ ja⸢rabaŋ⸣ ʔaini ja⸢rabiʔasi̥⸣kai ⸢soːn⸣na⸢ʦoː⸣ ʔi⸢ʧimbaː⸣kiɲ ja⸢ra⸣beː ʔa⸢ran⸣daː] (自分の子供ではあっても、あのように子供扱いなさいますなって{EOS}いつまでも子供ではありませんよ) 17599 0 0 17611 htmvoc_17599.wav ヤラビッふァーマ ヤ⸢ラビッふァー⸣マ [ja⸢rabiffaː⸣ma] 名 幼児。「\ruby[g]{童子供}{ワラベッコ}」の義。 ⸣アッパー マ⸢ナ⸣マ シ⸢キ⸣ティン ⸢バイ⸣ヨー ⸢シンチャン⸣ティル ヤ⸢ラボー⸣ル⸢ツォー⸣ イ⸢チンバー⸣キン ヤ⸢ラビッふァー⸣マティル ウムイ⸢ヨー⸣ル パジ⸢ダー [⸣ʔappaː ma⸢na⸣ma ʃi̥⸢ki⸣tim ⸢bai⸣joː ⸢ʃinʧan⸣tiru ja⸢raboː⸣ru⸢ʦoː⸣ ʔi⸢ʧimbaː⸣kiɲ ja⸢rabiffaː⸣matiru ʔumui⸢joː⸣ru paʤi⸢daː] (お祖母さんは、いまだに<今においても>私をシンチャンと<ぞ>呼ばれるんですよ{EOS}いつまでも幼児と思っておられるはずだよ) 17597 0 0 17612 htmvoc_17597.wav ヤラビナー ヤ⸢ラビ⸣ナー [ja⸢rabi⸣naː] 名 わらべな(童名)。先祖代々の命名法に基づいて命名された子供の頃の名前。長男は祖父の名前、長女は祖母の名前、次男は母方の祖父の名前、次女は母方の祖母の名前を受け継ぐものとされていた。 ⸣バー ヤ⸢ラビナー⸣ヤ ス⸢ク⸣レーティル ア⸢ルダー ガッコーナー⸣ヤ ⸢シンイチ ゲ⸣ラ [⸣baː ja⸢rabinaː⸣ja su̥⸢ku⸣reːtiru ʔaru⸢daː gakkoːnaː⸣ja ʃinʔiʧige⸣ra] (私の童名はスクレー<津久利>と<ぞ>あるよ{EOS}学校の名前は真市さ) 17598 0 0 17613 htmvoc_17598.wav ヤラビパダ ヤ⸢ラビ⸣パダ [ja⸢rabi⸣pada] 名 子供の頃。幼少の時期。 ヤ⸢ラ⸣ビパダー ⸢ターン⸣ヤーヌ ッ⸢ふァン⸣ ビ⸢コーンッふァー⸣ パ⸢ダキネー⸣ル ⸣アル ⸢ソー⸣ ス⸢ナ⸣ヨー [ja⸢ra⸣bipadaː ⸢taːɲ⸣jaːnu f⸢fam⸣ bi⸢koːŋffaː⸣ pa⸢dakineː⸣ru ⸣ʔaru ⸢soː⸣ su⸢na⸣joː] (幼少期は、どこの家の子も男の子は暴れん坊<腕白>だよ{EOS}心配するなよ) 17600 0 0 17614 htmvoc_17600.wav ヤラビンケー ヤ⸢ラ⸣ビンケー [ja⸢ra⸣biŋkeː] 名 子供たち。子供ら。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ムー⸢ル ガッ⸣コー ン⸢ザ⸣シェーン [ja⸢ra⸣biŋkeːja muː⸢ru gak⸣koː ʔn⸢ʣa⸣ʃeːŋ] (子供たちは皆学校卒業させた) 17579 0 0 17615 htmvoc_17579.wav ヤラブ ヤ⸢ラブ [ja⸢rabu] 名 てりはぼく(照葉木)。オトギリソウ科の常緑高木。高さ約25メートル。沖縄ではフクギと共に防風林とされる。木材は建築、器具用に利用される。ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽)には幹の周り約3メートルのヤラブの大木が数本生えている。 ヤ⸢ラボー⸣ ナ⸢マ⸣キーン ⸢ムイルンダ ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナー イ⸢バンセン [ja⸢raboː⸣ na⸢ma⸣kiːm ⸢muirunda jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣naː ʔi⸢baŋʃeŋ] (ヤラブは生木も燃えるので屋敷<家の郭>には植えなかった)。材質が良いので箪笥やお膳等の家具類、挽物に利用された。樹脂が多く、生木のまま燃えるので、屋敷内に植えることを禁じられていた。 ヤ⸢ラボー ヤー⸣ヌ カ⸢ク⸣ナー イ⸢ビルナ⸣ティル ナ⸢ラー⸣ソーッタ [ja⸢raboː jaː⸣nu kḁ⸢ku⸣naː ʔi⸢biruna⸣tiru na⸢raː⸣soːtta] (テリハボクは屋敷内に植えるなと<ぞ>教えられたものだ) 17603 0 0 17616 htmvoc_17603.wav ヤラブザキ ヤ⸢ラ⸣ブザキ [ja⸢ra⸣buʣaki] 固 (地)屋良部崎。石垣島の西南部にある半島の岬の名。航海の難所として知られている。石垣島の屋良部半島の崎。 ヤ⸢ラ⸣ブザケー ナ⸢ミヌ⸣ ア⸢ラー⸣ンティ⸢ダー [ja⸢ra⸣buʣakeː na⸢minu⸣ ʔa⸢raː⸣nti⸢daː] (屋良部崎は波が荒いそうだよ)。 ヤ⸢ラ⸣ブザケー ム⸢カ⸣シェーラ ⸣フニ ム⸢ティングリ⸣サン ⸣トンティ ア⸢ザリブー [ja⸢ra⸣buʣakeː mu⸢ka⸣ʃeːra ⸣ɸuni mu⸢tiŋguri⸣san ⸣tonti ʔa⸢ʣari buː] (屋良部崎は昔から操船しにくい所といわれている) 17604 0 0 17617 htmvoc_17604.wav ヤラブン ヤ⸢ラブン [ja⸢rabuŋ] 他動 呼ぶ。「~叫び於良妣<オラビ>~。万、1809」の転訛したものか。 ⸣ウヤ ヤ⸢ラビ⸣ ミサカー ヤ⸢ラブンドゥ⸣ マ⸢ナ⸣マー ヤ⸢ラバヌ [⸣ʔuja ja⸢rabi⸣ misakaː ja⸢rabundu⸣ ma⸢na⸣maː ja⸢rabanu] (親を呼んでよければ呼ぶが、今は呼ばない)。 ヤ⸢ラブ⸣ プ⸢ソー パー⸣ク ヤ⸢ラベー⸣ ミサムヌ [ja⸢rabu⸣ pu̥⸢soː paː⸣ku ja⸢rabeː⸣ misamunu] (呼ぶ人は早く呼べばよいのに)。 ムー⸢ル⸣ ヤ⸢ラビ⸣バ [muː⸢ru⸣ ja⸢rabi⸣ba] (皆呼びなさいよ) 17601 0 0 17618 htmvoc_17601.wav ヤラベーマ ヤ⸢ラベー⸣マ [ja⸢rabeː⸣ma] 名 小さな子供。可愛い子供。ヤ⸢ラ⸣ビ[ja⸢ra⸣bi](子供<童>)に愛称の接尾辞、-マ[-ma]が付いた形。 ⸢ウン⸣ネーナー フ⸢ターチ ミーチブカラヌ⸣ ヤ⸢ラベーマ⸣ヌ ⸢ブン⸣ダー [⸢ʔun⸣neːnaː ɸu̥⸢taːʧi miːʧibukaranu⸣ ja⸢rabeːma⸣nu ⸢bun⸣daː] (あの家には、二、三歳ぐらいの可愛い子供がいるよ) 17605 0 0 17619 htmvoc_17605.wav ヤリ ヤ⸢リ- [ja⸢ri-] 接頭 破れ。ヤ⸢リ⸣ルン[ja⸢ri⸣ruŋ](破れる)の連用形、⸣ヤリ[⸣jari](破れ)が名詞に上接して複合名詞をつくる。 ヤ⸢リ⸣キン [ja⸢ri⸣kiŋ] (破れた着物{EOS}\ruby{襤褸}{ボ|ロ})。 ヤ⸢リ⸣サナ [ja⸢ri⸣sana] (破れ傘)。 ヤ⸢リ⸣プー [ja⸢ri⸣puː] (破れた帆)。ヤ⸢リ⸣カコー[ja⸢ri⸣kakoː](ぼろ<襤褸>)など。 プ⸢スバカヤヌ⸣ ヤ⸢リキン⸣マー キ⸢スナ⸠ヨー [pu̥⸢subakajanu⸣ ja⸢rikim⸣maː ki̥⸢suna⸠joː] (外聞が悪い<人目が恥ずかしい>から、破れた着物は着るなよ) 17607 0 0 17620 htmvoc_17607.wav ヤリ ヤ⸢リ [ja⸢ri] 名 槍。標準語からの借用語。普通は、⸣フク[⸣ɸu̥ku](矛{EOS}「~白鷺の桙<ホコ>啄ひ持ちて~{EOS}万、3831」の転訛したもの)。「矛は鎌倉以前、槍は南北朝以後に実用された」『岩波古語辞典』という。 タ⸢キヤリ⸣シ ⸢ティップートゥ⸣ ン⸢カイバ⸣ カナウ ⸣ワケー ⸢ナー⸣ヌ [tḁ⸢kijari⸣ʃi ⸢tippuːtu⸣ ʔŋ⸢kaiba⸣ kanau ⸣wakeː ⸢naː⸣nu] (竹槍で鉄砲に立ち向ったら、\ruby{適}{カナ}う訳がない) 17606 0 0 17621 htmvoc_17606.wav ヤリカコー ヤ⸢リ⸣カコー [ja⸢ri⸣kakoː] 名 ぼろ(襤褸)。破れた着物。雑巾。「巾祭、残帛也、也不礼加々不<やぶれかかふ>」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢リ⸣カコーシル シ⸢ビ⸣シケー ス⸢ク⸣ローッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ri⸣kakoːʃiru ʃi⸢bi⸣ʃi̥keː su̥⸢ku⸣roːtta] (昔は破れた着物<襤褸>で子供のおむつ<お襁褓{EOS}尻敷き>を作られた) 17608 0 0 17622 htmvoc_17608.wav ヤリキー ヤ⸢リ⸣キー [ja⸢ri⸣kiː] 接続 だから。そういうわけで。それゆえ。老年層の使用語。若年層は、ヤ⸢リベー⸣ティ[ja⸢ribeː⸣ti](であるから)、ヤ⸢リバ[ja⸢riba](であるから{EOS}「であれば」の義)の類義表現を多用する。前件が後件の原因・理由となることを表す。⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の已然形ヤ⸢リ[ja⸢ri]に原因・理由を表す順態接続の助詞⸣キー[⸣kiː](ので)が付いて形成さてたもの。⸣キー[⸣kiː](ので)は、形容詞には直接に下接しない。 ク⸢レー⸣ タ⸢カー⸣ン{EOS}ヤ⸢リ⸣キー ⸢ワンマー カーラヌ [ku⸢reː⸣ tḁ⸢kaː⸣ŋ{EOS}ja⸢ri⸣kiː ⸢wammaː kaːranu] (これは値段が高い{EOS}だから君には買えない) 17609 0 0 17623 htmvoc_17609.wav ヤリキン ヤ⸢リ⸣キン [ja⸢ri⸣kiŋ] 名 破れた着物。\ruby{幣衣}{ヘイ|イ}。「破れ衣」の義。 ウ⸢レー⸣ シンピーズ ヤ⸢リ⸣キン カー⸢ニル⸣ キ⸢ス ソーキンマー⸣ キ⸢サヌ [ʔu⸢reː⸣ ʃimpiːʣu ja⸢ri⸣kiŋ kaː⸢niru⸣ ki̥⸢su soːkimmaː⸣ ki̥⸢sanu] (彼は年中、いつも破れた着物だけを<ぞ>着る{EOS}上質の<立派な>着物は着ない) 17610 0 0 17624 htmvoc_17610.wav ヤリシティルン ⸣ヤリ シ⸢ティルン [⸣jari ʃi̥⸢tiruŋ] 連 破って捨てる。「破り捨てる(下一段)」の義。 ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナーン⸣ ムノー ⸣ヤリ シ⸢ティルンティ⸣ ウムイ ⸢ベー [⸢juː⸣ʣoː ⸢naːm⸣ munoː ⸣jari ʃi̥⸢tirunti⸣ ʔumui ⸢beː] (利用価値のない物は破ってすてようと思っている) 17611 0 0 17625 htmvoc_17611.wav ヤリシトゥン ⸣ヤリ シ⸢トゥン [⸣jari ʃi̥⸢tuŋ] 連 破って捨てる。「破り捨つ(下二段)」の義。 ⸣ヤリ シ⸢トゥン⸣カヤーティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ウ⸢ムイツァー⸣ヌ ⸣ヤリ シ⸢ティララヌ [⸣jari ʃi̥⸢tuŋ⸣kajaːti ʔu⸢muːn⸣du ʔu⸢muiʦaː⸣nu ⸣jari ʃi̥⸢tiraranu] (破り捨てようかなあと思うが、惜しくて破り捨てられない) 17612 0 0 17626 htmvoc_17612.wav ヤリッツァースン ヤ⸢リッツァー⸣スン [ja⸢ritʦaː⸣suŋ] 他動 散々に破る。破り捨てる。「破り散らす」の義。 ウ⸢ヌ⸣ ティ⸢ガ⸣メー ヤ⸢リッツァー⸣スンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ウ⸢ムイ⸣ツァー ⸣ナリ ヤ⸢リッツァーサラ⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ti⸢ga⸣meː ja⸢ritʦaː⸣sunti ʔu⸢muːtan⸣du ʔu⸢mui⸣ʦaː ⸣nari ja⸢ritʦaːsara⸣nu] (その手紙は破り捨てようと思ったが、惜しくなって、破り捨てられない)。 ヤ⸢リッツァー⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢ritʦaː⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (破り散らしてしまった)。 ク⸢リ⸣ ヤ⸢リッツァー⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢ri⸣ ja⸢ritʦaː⸣su ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (これを破り散らすことはできない)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢リッツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ritʦaː⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと破り捨てればいいのに)。 ⸣クベー ムー⸢ル⸣ ヤ⸢リッツァー⸣シバ [⸣kubeː muː⸢ru⸣ ja⸢ritʦaː⸣ʃiba] (これだけは全部破り散らしなさいよ) 17613 0 0 17627 htmvoc_17613.wav ヤリッツァールン ヤ⸢リッツァー⸣ルン [ja⸢ritʦaː⸣ruŋ] 自動 散々に破れる。ばらばらに破損する。「破れ散らかる」の義。ヤ⸢ブリッツァー⸣ルン[ja⸢buritʦaː⸣ruŋ](破れ散らかる)ともいう。 ピ⸢キスク⸣カー ヤ⸢リッツァー⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ヤ⸢リッツァーラ⸣ヌ [pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː ja⸢ritʦaː⸣runti ⸢sundu⸣ ja⸢ritʦaːra⸣nu] (引っ張ったら散々に破れる<破れ散らかる>というが、散々に破れない)。 ヤ⸢リッツァー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢ritʦaː⸣ri ⸢naː⸣nu] (散々に破れてしまった)。 ヤ⸢リッツァー⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ [ja⸢ritʦaː⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (散々に破れるものは捨てろ)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢リッツァー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ritʦaː⸣reː ⸣misamunu] (もっと散々に破れればいいのに)。 ムー⸢ル⸣ ヤ⸢リッツァーリ⸣リ [muː⸢ru⸣ ja⸢ritʦaːri⸣ri] (全部散々に破れろ) 17614 0 0 17628 htmvoc_17614.wav ヤリパク ヤ⸢リ⸣パク [ja⸢ri⸣paku] 名 壊れた箱。「破れ箱」の義。 ⸣カイブー ヤ⸢リ⸣パコー ノー⸢ン⸣ シゥ⸢カイユーゾー ナー⸣ヌ [⸣kaibuː ja⸢ri⸣pakoː noː⸢n⸣ si̥⸢kaijuːʣoː naː⸣nu] (こんな壊れた箱<破れ箱>は何の使い道<使い養生>もない) 17615 0 0 17629 htmvoc_17615.wav ヤリフチ ヤ⸢リ⸣フチ [ja⸢ri⸣ɸu̥ʧi] 名 破れ目。「破れ口」の義。 ク⸢ビッチン⸣ヌ ヤ⸢リ⸣フチェーラル ウ⸢ブヤレー スンダ⸣ ヤ⸢リ⸣フチェー ギッ⸢ティ⸣ ヌイ シ⸢キ⸣リ [ku⸢bitʧin⸣nu ja⸢ri⸣ɸu̥ʧeːraru ʔu⸢bujareː sunda⸣ ja⸢ri⸣ɸu̥ʧeː git⸢ti⸣ nui ʃi̥⸢ki⸣ri] (これぽっちの小さな裂け目<破れ目>から<ぞ>大破するので、破れ目はしっかりと<ぎゅっと>縫っておきなさい) 17616 0 0 17630 htmvoc_17616.wav ヤリフン ヤ⸢リフン [ja⸢riɸuŋ] 名 がなり立てること。大声でがみがみ言うこと。声を張り上げて厳しく叱ること。「やりこむ(下二)」の転訛したものか。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ ヤ⸢リフン シェー⸣ティ プ⸢ス⸣ シゥ⸢カウンダ⸣ ウ⸢リトー⸣ シ⸢グトゥ シープサー ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ja⸢riɸuŋ ʃeː⸣ti pu̥⸢su⸣ si̥⸢kaunda⸣ ʔu⸢ritoː⸣ ʃi⸢gutu ʃiːpusaː naː⸣nu] (あの<その>人はがなり立てながら人を使うから、彼とは仕事をしたくない) 17617 0 0 17631 htmvoc_17617.wav ヤリルン ヤ⸢リ⸣ルン [ja⸢ri⸣ruŋ] 自動 破れる。「~衣こそは それ破者<ヤレヌレバ>~。万、3330」「~吾が裳は破<ヤレヌ>玉の緒の~。万、1280」の転訛したもの。 ピ⸢キスク⸣カー ⸢キン⸣マー ヤ⸢リ⸣ルンダ ヤ⸢リラン⸣ヨーニ ⸢ユージ⸣バ [pi̥⸢kisu̥ku⸣kaː ⸢kim⸣maː ja⸢ri⸣runda ja⸢riraŋ⸣joːni ⸢juːʤi⸣ba] (引っ張ったら着物は破れるから、破れないように、こちらへ寄りなさいよ)。 ⸣ヤリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣jari ⸢naː⸣nu] (破れてしまった)。 ヤ⸢リ⸣ル ⸣ムノー シ⸢ティリ [ja⸢ri⸣ru ⸣munoː ʃi̥⸢tiri] (破れるものは捨てなさい)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ヤレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣jareː ⸣misamunu] (もっと破れたらいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ヤ⸢リ⸣リ [⸢maː⸣biŋ ja⸢ri⸣ri] (もっと破れろ) 17581 0 0 17632 htmvoc_17581.wav ヤルヌ ヤ⸢ルヌ [ja⸢runu] 接 だが。であるが。しかし。けれども。指定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](だ{EOS}である)の連体形に接続助詞⸢ヌ[⸢nu](が)の付いた形。 ウ⸢レー ワー⸣ アズ ⸢トゥー⸣ル ヤ⸢ルヌ⸣ ビ⸢チ⸣ヌ ⸣クトゥン ⸢カンガイラ⸣リン [ʔu⸢reː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuː⸣ru ja⸢runu⸣ bi⸢ʧi⸣nu ⸣ku̥tuŋ ⸢kaŋgaira⸣riŋ] (それは君のいう通りだがしかし、別のことも考えられる) 17618 0 0 17633 htmvoc_17618.wav ヤルン ⸣ヤルン [⸣jaruŋ] 他動 破る。引きちぎって破る。「~疾<と>く破りてん」『土佐日記<二月十六日>』、「~斯くのみ破らせ給ふ、~」『源氏物語<浮舟>』の転訛したもの。 カ⸢ビ⸣ ヤルンティ シ⸢タヌ⸣ ウ⸢ムイ⸣ツァーティ ヤ⸢ラン⸣シェン [ka⸢bi⸣ jarunti ʃi̥⸢tanu⸣ ʔu⸢mui⸣ʦaːti ja⸢raŋ⸣ʃeŋ] (紙を破ろうとしたが、惜しいので破らなかった)。 ク⸢ヌ⸣ カ⸢ベー⸣ ヤリ ⸣ミサカー ⸣ヤル ⸣クトー ⸣ナルン [ku⸢nu⸣ ka⸢beː⸣ jari ⸣misakaː ⸣jaru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (この紙は、破ってよければ、破ることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ヤレー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸣jareː ⸣misamunu] (もっと破ればいいのに)。 ⸢ワンヌン パー⸣ク ⸣ヤリバ [⸢wannuŋ paː⸣ku ⸣jariba] (君も早く破れよ) 17619 0 0 17634 htmvoc_17619.wav ヤルンダ ヤ⸢ルンダ [ja⸢runda] 接続 であるから。だから。前に述べたことを理由として、その帰結を述べる。指定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の連体形に⸢ンダ[nda](の・だ{EOS}の・で)が付いて形成された品詞(接続詞)。原因・理由などの条件を示し、順態接続を表す。 ウ⸢レー⸣ ムー⸢ル ワー⸣ ムヌ ヤ⸢ルンダ ワール⸣ トゥ⸢リ ビ⸣キ [ʔu⸢reː⸣ muː⸢ru waː⸣ munu ja⸢runda waːru⸣ tu⸢ri bi⸣ki] (それは全部君のものだから、君が取るべきだ) 17620 0 0 17635 htmvoc_17620.wav ヤルンドゥ ヤ⸢ルンドゥ [ja⸢rundu] 接続 であるが。だが。指定の助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の連体形ヤ⸢ル[ja⸢ru](である)に⸢ンドゥ[ndu](のだが)が付いて形成されたもの。逆態接続を表す。若年層は、ヤ⸢ルヌ[ja⸢runu](だが)ともいう。 ⸢ワー⸣ ムニ ス⸢ク⸣カー ⸣アイ ヤ⸢ルンドゥ⸣ プ⸢スヌ⸣ パ⸢ナ⸣シン シゥ⸢カン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waː⸣ muni su̥⸢ku⸣kaː ⸣ʔai ja⸢rundu⸣ pu̥⸢sunu⸣ munin si̥⸢kaŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (君の話をきくと、<なるほど>そうであるが、他人の話も聞かなければならない) 17621 0 0 17636 htmvoc_17621.wav ヤロールン ヤ⸢ロー⸣ルン [ja⸢roː⸣ruŋ] 連 ~であられる。~でいらっしゃる。⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の尊敬語。 ⸣クマー ⸢コー⸣チョーシンシー ヤ⸢ロールン⸣ドゥ イッ⸢ケナ⸣ バ⸢カーロー⸣ルン [⸣kumaː ⸢koː⸣ʧoːʃiŋʃiː ja⸢roːrun⸣du ʔik⸢kena⸣ ba⸢kaːroː⸣ruŋ] (こちらは校長先生でいらっしゃるが、非常に若くあられる) 17622 0 0 17637 htmvoc_17622.wav ヤン ⸢ヤン [⸢jaŋ] 助動 である。「である」の転訛した形。[de・aru] → [djaːn] → [ʤaːn] → [jaŋ](である)と変化しともの。客観的に指定する表現。⸣ユン[⸣juŋ](である{EOS}なるほど~である<軽い詠嘆>)という特殊な終止形もある。 ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ⸢フン⸣トー ⸢ヤン⸣ユー ア⸢ラン⸣ユー<ヤ⸢ラン⸣ユー> シ⸢キ⸣ ミリ⸢ミー [ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ⸢ɸun⸣toː ⸢jaŋ⸣juː ʔa⸢raŋ⸣juː ʃi̥⸢ki⸣ miri⸢miː] (その話は本当であるのか、でないのか、聞いてみてごらん)。 ⸣アイ ヤ⸢リキー⸣ル シ⸢ラ⸣ビミリティ ア⸢ズ⸣ティ ⸣ムカーヤ [⸣ʔai ja⸢rikiː⸣ru ʃi⸢ra⸣bi ⸣miriti ʔa⸢ʣu⸣ti ⸣mukaːja] (そうだから、調べてみろというんだよ)。 ⸢フン⸣トー ヤ⸢ル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ɸun⸣toː ja⸢ru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (本当であることはない)。 ⸢フン⸣トー ヤ⸢ル⸣カー ⸢ヌー⸣スワ [⸢ɸun⸣toː ja⸢ru⸣kaː ⸢nuː⸣suwa] (本当だったらどうするか)。 ⸢フン⸣トー ヤ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸢ɸun⸣toː ja⸢reː⸣ misamunu] (本当であればいいのに)。 アイユン⸢ナー⸣ ウ⸢レー ワー⸣ アズ ⸢トゥール⸣ ユン [ʔaijun⸢naː⸣ ʔu⸢reː waː⸣ ʔaʣu ⸢tuːru⸣ juŋ] (そうだねえ{EOS}それは君が言うとおりだよ) 17623 0 0 17638 htmvoc_17623.wav ヤン ⸣ヤン [⸣jaŋ] 名 病気。「~年長く夜美志<ヤミシ>渡れば~。万、897」の「夜美」が転訛したもの。 バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤン [ba⸢ta⸣nu ⸣jaŋ] (腹の病気)。 ⸢ミー⸣ヌ ⸣ヤン [⸢miː⸣nu ⸣jaŋ] (目の病<眼病>)。 バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤンヌ ウ⸢ク⸣リティ カ⸢ミラ⸣リ ⸣ヤムサー [ba⸢ta⸣nu ⸣jannu ʔu⸢ku⸣riti ka⸢mi⸣rari jamu⸢saː] (腹の病が起こって、差し込むようにいたむんですよ) 17624 0 0 17639 htmvoc_17624.wav ヤンガマーラサン ⸢ヤンガマーラ⸣サン [⸢jaŋgamaːra⸣saŋ] 形 病気がちである。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢リットーラ ヤンガマーラ⸣サティ シ⸢グトー シー ユーサヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ma⸢rittoːra jaŋgamaːra⸣sati si⸢gutoː siːjuːsanu] (この子は生まれつき病気がちなので、仕事は出来<し得>ない)。 チ⸢カ⸣グロー ⸢ヤンガマラー⸣サンティ ス⸢クタヌ ヌー⸣シカヤー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢jaŋgamaraː⸣santi su̥⸢kutanu nuː⸣ʃikajaː] (最近は病気がちだと聞いたが、どうだろうか)。 ⸢ヤンガマラー⸣サ プ⸢ソー⸣ ニ⸢ビ⸣ ミサン [⸢jaŋgamaraː⸣sa pu̥⸢soː⸣ ni⸢bi⸣ misaŋ] (病気がちな人は寝てもよい) 17625 0 0 17640 htmvoc_17625.wav ヤングイ ⸢ヤングイ [⸢jaŋgui] 名 掛け声。やごえ。ヤ⸢グイ[ja⸢gui](掛け声{EOS}や声)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ヘイヤー ⸣ヘイヤーティ ⸢ヤングイバ⸣ カケーティル ⸢ター⸣ユン ⸢カイ⸣ソーッタ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣heijaː ⸣heijaːti ⸢jaŋguiba⸣ kakeːtiru ⸢taː⸣juŋ ⸢kai⸣soːtta] (昔はや声<掛け声>を掛けながら<かけてぞ>田圃も耕された) 17626 0 0 17641 htmvoc_17626.wav ヤングトゥ ⸢ヤング⸣トゥ [⸢jaŋgu⸣tu] 名 病気ごと。病気。「病ごと」の義。 ⸢ヤングトゥ⸣ヌ ウ⸢クラン⸣ヨー ⸣ドゥーパダニンガイ ⸢シー オースン [⸢jaŋgutu⸣nu ʔu⸢kuraŋ⸣joː ⸣duːpadaniŋgai ⸢ʃiː ʔoːsuŋ] (病気が起きないように、身体健康祈願をして差し上げる) 17627 0 0 17642 htmvoc_17627.wav ヤンゴー ⸣ヤンゴー [⸣jaŋgoː] 名 病弱。病弱な者。⸣ヤミ・コハシ「磽、己波志<こはし>」『新撰字鏡』の義。[jami・koɸaʃi] → [jaŋ・gowaʃi] → [jaŋgowaʃi] → [jaŋgoː] のように音韻変化したものか。 ⸣ヤンゴー⸣ナリティ ナー⸢イ⸣ ニ⸢ビタリ⸣ ウ⸢キ⸣ラリ カー⸢ニ シー ベー [⸣jaŋgoː ⸣nariti naː⸢i⸣ ni⸢bitari⸣ ʔu⸢ki⸣tari kaː⸢ni ʃiːbeː] (病弱になって、ただ寝たり起きたりだけしているよ) 17628 0 0 17643 htmvoc_17628.wav ヤンザスー ⸢ヤンザスー [⸢janʣasuː] 名 陰暦2、3月頃の夜間の干潮。大潮の夜間の干潮。島の女たちは夜間の干潮時に誘い合わせて、月明かりのもと、蛸捕りに出かけた。干潮時には虫がジージージーと鳴くので、それを合図に夜中にして、島の後ろの干瀬にでかけた。 ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ⸢ヤンザスーヌ⸣ ア⸢タル⸣カー タ⸢ク⸣ トゥリンドゥ ⸢オーッ⸣タ [mi⸢dumuŋkeː⸣ja ⸢janʣasuː⸣nu ʔa⸢taru⸣kaː ta⸢ku⸣ turindu ⸢ʔoːt⸣ta] (島の女性たちは、夜の大干潮に当たると、蛸捕りに行かれた) 17629 0 0 17644 htmvoc_17629.wav ヤンスクライ ⸢ヤンスク⸣ライ [⸢jansuku⸣rai] 名 仮病。「病み・繕ひ<格好をつける。よそおう>」の義。⸢~院に聞こし召さむこともいとほし。このころばかり繕はんと思せど~。『源氏物語 若菜上』」の転訛したものか。 ⸢ウンザー⸣ スブットゥ ⸣ナリティ ⸢ヤンスクライ⸣バ ⸢シー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ パ⸢タラカヌ [⸢ʔunʣaː⸣ subuttu ⸣nariti ⸢jansukurai⸣ba ⸢siː⸣ mut⸢tu⸣ pḁ⸢tarakanu] (あいつは怠け者になって、仮病を使って、ちっとも働かない) 17630 0 0 17645 htmvoc_17630.wav ヤンズメー ⸣ヤンズメー [⸣janʣumeː] 名 (植)和名、シマヤマヒハツ。鳩間島の⸢ナードーヤマ[⸢naːdoːjama](長堂、「長窪地」の義{EOS}西村とヤラ<屋良>の中間にある窪地の海岸側の林)の中の雑木に混じって自生している潅木。葉はガジマルの葉に似て柔らかい。米粒大の実が野葡萄の房のように生り、未熟の実は緑色で完熟すると赤紫、黒紫色になって美味である。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー フ⸢チヌ⸣ ア⸢ガムン⸣ケン ⸣ヤンズメ ⸣ブリ ッ⸢ふータン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʔa⸢gamuŋ⸣keɲ ⸣janʣume ⸣buri f⸢fuːtaŋ] (子供は口が赤く染まるほどヤンズメを\ruby{捥}{モ}いで食べた) 17631 0 0 17646 htmvoc_17631.wav ヤンツァン ⸢ヤンツァン [⸢janʦaŋ] 係助 ~でさえ。~でさえも。~ですら。~だにも。動詞の連用形語尾、名詞の語尾が連母音の場合は、⸢-ヤンツァン[⸢-janʦaŋ]、その他の場合は、⸢-ンツァン[-nʦaŋ]の形をとる。助動詞⸢ヤン[⸢jaŋ](である)に、係助詞⸢ツァン[⸢ʦaŋ](さえも{EOS}すらも{EOS}だにも)が付いて形成されたもの。下に来る打ち消し<否定>の表現と呼応したり、仮定条件と呼応したりして、当然予想されることや願望を打ち消す表現に用いることが多い。⸣ツァン[⸣ʦaŋ](さえも{EOS}すらも{EOS}だにも)は、「だに」*[ndani] → [nʣaŋ](さえも)<石垣方言> → [nʦaŋ](さえも{EOS}すらも{EOS}だにも)<鳩間方言>のように音韻変化したものと考えられる。 バ⸢ライヤンツァン⸣ サ⸢ヌ [ba⸢raijanʦan⸣ sa⸢nu] (笑いすらしない)。バ⸢ラインツァン サヌ[ba⸢rainʦan sanu](笑いさえもいない)ともいう。 ッ⸢ふァイヤンツァン⸣ サ⸢ヌ [f⸢faijanʦan⸣ sa⸢nu] (食べること<食らい>さえしない)。ッ⸢ふァインツァン サヌ[f⸢fainʦan sanu](食べすらしない)ともいう。 ⸣カキンツァン サ⸢ヌ [⸣kḁKinʦan sa⸢nu] (書くこと<書き>すらもしない)。 シ⸢ントゥ⸣ プ⸢ス⸣ルンツァン タ⸢ナマラ⸣ヌ [ʃin⸢tu⸣ pu̥⸢su⸣runʦan ta⸢namara⸣nu] (たった一人すらも頼まれない) 17632 0 0 17647 htmvoc_17632.wav ヤンパナシキ ⸣ヤンパナシキ [⸣jampanaʃi̥ki] 名 病気や風邪。「病み・鼻風邪」の義。 フ⸢ヨー⸣ ヤンパナシキヌ パ⸢ヤー⸣ルンダ ⸢キン⸣マー ア⸢チーアチー⸣シ キ⸢シ アー⸣キ⸢ヨー [ɸu⸢joː⸣ jampanaʃi̥kinu pa⸢jaː⸣runda ⸢kim⸣maː ʔa⸢ʧiːʔaʧiː⸣ʃi ki̥⸢ʃi ʔaː⸣ki⸢joː] (冬は病気や風邪が流行るから、着物は厚く着込んでいなさいよ) 17633 0 0 17648 htmvoc_17633.wav ヤンバラー ⸢ヤン⸣バラー [⸢jam⸣baraː] 名 山原の人。沖縄本島国頭地方の人。少し卑しめた言い方。 ⸢ヤン⸣バルプソー イ⸢ジヌ スー⸣ワンダ ⸣スイハナプソーラ ⸢ヤン⸣バラーティ ア⸢ザリ ブー [⸢jam⸣barupu̥soː ʔi⸢ʤinu suː⸣wanda ⸣suinahapusoːra ⸢jam⸣baraːti ʔa⸢ʣari buː] (山原の人は\ruby{意気地}{イ|ク|ジ}が強いから、首里那覇の人からヤンバラーといわれている) 17634 0 0 17649 htmvoc_17634.wav ヤンバライシ ⸢ヤンバラ⸣イシ [⸢jambara⸣ʔiʃi] 名 海中に発達した珊瑚石。⸣グー[⸣guː](海岸から海中にかけて発達した珊瑚礁)の一種。 ⸢ヤンバライシ⸣ヌ ⸣アルン ⸣トンマー ⸢キー⸣ シキ ⸣フネー ⸣ムティ [⸢jambaraʔiʃi⸣nu ⸣ʔarun ⸣tommaː ⸢kiː⸣ ʃi̥ki ⸣ɸuneː ⸣muti] (海中に発達した珊瑚石のある所は気をつけて操船し<舟を持ち>なさい) 17635 0 0 17650 htmvoc_17635.wav ヤンバル ⸢ヤン⸣バル [⸢jam⸣baru] 名 やんばる(山原)。沖縄本島の国頭地方。 ナ⸢ゴーラ ウイヤー⸣ ムー⸢ル ヤン⸣バルティ ア⸢ズ⸣ミー [na⸢goːra ʔuijaː⸣ muː⸢ru jam⸣baruti ʔa⸢ʣu⸣miː] (名護から上の方は総て山原というんでしょうねえ) 17636 0 0 17651 htmvoc_17636.wav ヤンバルゴーラー ⸢ヤンバルゴー⸣ラー [⸢jambarugoː⸣raː] 名 腿や膝から下にできる、治りにくい悪性のしゅよう(腫瘍)。悪性のできもの。膿が出ると患部が穴のように落ち込み、筋肉が再生するのに半年ほど要する。治癒後に大きなカンパチ(赤く光るはげ{EOS}傷跡)が残る。 ⸣パンナー ウ⸢ブアシブ⸣ヌ ⸣ンジティ ⸢ウー⸣ミ ⸢ゴーリティ ヤンバルゴー⸣ラー ⸣ナリ ⸢ベー [⸣pannaː ʔu⸢buʔaʃibu⸣nu ⸣ʔnʤiti ⸢ʔuː⸣mi ⸢goːriti jambarugoː⸣raː ⸣nari ⸢beː] (足に大きなできものが出て、化膿してヤンバルゴーラーになっている) 17637 0 0 17652 htmvoc_17637.wav ヤンバルシン ⸢ヤンバル⸣シン [⸢jambaru⸣ʃiŋ] 名 ヤンバル船(山原船)。山原地区と沖縄本島各地との往来や物資の運搬に用いられた帆船。ヤ⸢マトゥピーグル⸣マ[ja⸢matupiːguru⸣ma](大和蒸気船)が就航する以前は、沖縄本島と八重山の往来にも用いられた。⸣マーランブニ[⸣maːrambuni](馬艦船)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ウ⸢キナー⸣タベー ⸢ヤンバル⸣シンシル ⸢ギームドゥル ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔu⸢kinaː⸣tabeː ⸢jambaru⸣ʃiŋʃiru ⸢giːmuduru soːt⸣ta ⸣ʦoː] (昔は、沖縄旅はヤンバル船で往来<行き戻り>されたそうだ) 17638 0 0 17653 htmvoc_17638.wav ヤンピカリ ⸢ヤンピカ⸣リ [⸢jampika⸣ri] 名 病気で痩せ衰えること。病み衰え。「病み引かれ」の義『石垣方言事典』。 ⸢ヤンピカ⸣レー ⸢シー⸣ ア⸢ラキユーサン⸣バン [⸢jampi̥ka⸣reː ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢rakijuːsam⸣baŋ] (病み衰えて歩くことが出来ない<歩き得ない>わい) 17639 0 0 17654 htmvoc_17639.wav ヤンマ ⸢ヤン⸣マ [⸢jam⸣ma] 名 兄嫁。石垣方言からの借用語。石垣島の本家筋の兄嫁。 ⸣トゥヌスクヌ ⸢ヤン⸣マーン パ⸢ナ⸣シ ッ⸢サリ⸣バ [⸣tunusu̥kunu ja⸢m⸣maːm pa⸢na⸣ʃi s⸢sari⸣ba] (石垣島の登野城の兄嫁にお話申し上げなさいよ) 17640 0 0 17655 htmvoc_17640.wav ヤンマイ ⸢ヤン⸣マイ [⸢jam⸣mai] 名 やまい(病)。病気。「~身疾<ヤマヒ>あらせず すむやけくかへし給はね~。万、1021」の転訛したもの。 ⸢ヤンマイ⸣ヌ ⸢ナーン⸣クトゥル ニガウ⸢ダー [⸢jammai⸣nu ⸢naːŋ⸣ ku̥turu nigau⸢daː] (病気に罹らない<病気のない>ことを祈願するのだよ)。 フ⸢チェー ヤンマイ⸣ヌ ⸣ムトゥ [ɸu̥⸢ʧeː jammai⸣nu ⸣mutu] (口は病の本だ)。 ⸣ドゥク サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢ヤン⸣マイ シ⸢キ⸣ルン⸢ダー [⸣duku sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢jam⸣mai ʃi̥⸢ki⸣run⸢daː] (あんまり酒を飲むと病気になる<病が付く>よ) 17641 0 0 17656 htmvoc_17641.wav ヤンマイムチ ⸢ヤンマイ⸣ムチ [⸢jammai⸣muʧi] 名 病気持ちの人。持病のある人。 ウ⸢レー⸣ ス⸢ブル⸣ヤンヌ ⸢ヤンマイ⸣ムチ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢タキシグ⸣トー ⸢シーユーサヌ [ʔu⸢reː⸣ su⸢buru⸣jannu ⸢jammai⸣muʧi ja⸢runda⸣ pḁ⸢takiʃigu⸣toː ⸢ʃiːjuːsanu] (彼は頭痛の持病がある<頭痛の病気持ち>だから、畑仕事はできない) 17642 0 0 17657 htmvoc_17642.wav ユ ⸢-ユ [⸢-ju] 格助 ~を。歌謡語(文語)に多く用いられる。 カ⸢レー バン⸣ター ⸢ナー⸣トー⸣ プ⸢スユ⸣ プ⸢ス⸣ティン ウ⸢モーヌ [ka⸢reː ban⸣taː ⸢naː⸣toː pu̥⸢suju⸣ pu̥⸢su⸣tiŋ ʔu⸢moː⸣nu] (あれ<彼>は私などを、人間扱いしない<人を人とも思わない>) 17643 0 0 17658 htmvoc_17643.wav ユー ⸢ユー [⸢juː] 終助 〜ますよ。尊敬、丁寧の意味を表す。活用語の終止形、名詞及び準体助詞につく。 ⸣バーラ ⸢ワッ⸣テヌ ⸣ウヤンケーニ ア⸢ジ⸣ ッ⸢サルン⸠ユー [⸣baːra ⸢wat⸣tenu ⸣ʔujaŋkeːni ʔa⸢ʤi⸣ s⸢saruɲ⸠juː] (私からお宅の親御さんに申し上げますよ)。 ク⸢レー バー⸣ ムヌ⸢ユー [ku⸢reː baː⸣ munu⸢juː] (これは私のものです) 17655 0 0 17659 htmvoc_17655.wav ユー ⸣ユー [⸣juː] 名 湯。 ア⸢チ⸣ユー [ʔa⸢ʧi⸣juː] (熱湯)。「~さし鍋に湯和可世<ユワカセ>子等~。万、3824」の義。 ⸣ユー フ⸢カ⸣シティ ⸣サー ⸢サイ⸣ クーバ [⸣juː ɸu̥⸢ka⸣ʃi̥ti ⸣saː ⸢sai⸣ kuːba] (お湯を沸かして、お茶を注いできなさいよ) 17656 0 0 17660 htmvoc_17656.wav ユー ⸣ユー [⸣juː] 名 舟に溜まる水。⸣アカ[⸣ʔaka](淦)ともいう。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸣ユー フ⸢ミティ⸣ ヤ⸢ミプス⸣ヌ フ⸢タイ⸣ ナディ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ɸu⸢ni⸣nu ⸣juː ɸu⸢miti⸣ ja⸢mipusu⸣nu ɸu̥⸢tai⸣ nadi f⸢fiːri⸣ba] (舟の淦を汲んで病人の額を撫でてあげなさい)。 フ⸢ニ⸣ヌ ⸣ムリティ ⸢ユー⸣ヌ タ⸢マリ ベー [ɸu⸢ni⸣nu ⸣muriti ⸢juː⸣ nu ta⸢mari beː] (舟が漏れて湯が溜まっている)。 ⸣ユー フ⸢ミ⸣ シ⸢ティリ [⸣juː ɸu⸢mi⸣ ʃi̥⸢tiri] (舟に溜まった水を汲み取れ<捨てれ>) 17657 0 0 17661 htmvoc_17657.wav ユー ⸣ユー [⸣juː] 名 夜。「~さ寝し欲能<ヨの>いくだもあらねば~。万、804」の転訛したもの。⸢ユー⸣ル[⸢juː⸣ru](夜)ともいう。 ア⸢ツァ⸣ヌ ⸢ユー⸣ヤ ⸢ムール⸣シ ⸣ヨイ ⸢ソー⸣ラ [ʔa⸢ʦa⸣nu ⸢juː⸣ja ⸢muːru⸣ʃi ⸣joi ⸢soː⸣ra] (明日の夜は皆でお祝いをいましょう)。 ⸢ユー⸣ヤ ガ⸢レー⸣ン [⸢juː⸣ja ga⸢reː⸣ŋ] (夜は明けた) 17658 0 0 17662 htmvoc_17658.wav ユー ⸢ユー [⸢juː] 名 世。「~うつせみの 余乃許等和利止<ヨの理と>~。万、4106」の転訛したもの。 マ⸢ナマ⸣ヌ ⸢ユーヤ⸣ ター⸢ン ガッ⸣コー ン⸢ジラ⸣リン [ma⸢nama⸣nu ⸢juːja⸣ taː⸢ŋ gak⸣koː ʔn⸢ʤira⸣riŋ] (現代<今の世>は誰でも学校に出ることができる)。 ア⸢ミリカ⸣ユーラ ヤ⸢マトゥ⸣ユーティ ⸢ユーヌ⸣ ウ⸢ツリカー⸣リ ⸣ミリ ⸣ケーン [ʔa⸢mirika⸣juːra ja⸢matu⸣juːti ⸢juːnu⸣ ʔu⸢ʦurikaː⸣ri ⸣mirikeːŋ] (アメリカ世<統治時代>から日本の世<日本復帰>への世の変遷を見てきた) 17659 0 0 17663 htmvoc_17659.wav ユー ⸢ユー [⸢juː] 名 豊年。豊作。 ⸢パー⸣レー ⸣クイ ⸢ユー⸣ ア⸢ゴー⸣ルン [⸢paː⸣reː ⸣kui ⸢juː⸣ ʔa⸢goː⸣ruŋ] (爬龍船を漕いで豊年を迎えられ<上げられ>る)。 ⸢ユーニンガイソー⸣ルン [⸢juːniŋgai soː⸣ruŋ] (豊年祈願祭をされる)。 ⸢ノーリ⸣ユー ン⸢カイラレー⸣ン [⸢noːri⸣juː ŋ⸢kairareː⸣ŋ] (豊年<稔りの世>を迎えられた) 17660 0 0 17664 htmvoc_17660.wav ユー ⸢ユー [⸢juː] 名 四。四つ。 ⸢ユーシジ [⸢juːʃiʤi] (四粒)。 ⸢ユーチ [⸢juːʧi] (四つ)。 ⸢ユーティ [⸢juːti] (四年)。 ⸢ユームシ [⸢juːmuʃi] (四回)。⸢ティー[⸢tiː](一つ)、⸢ター[⸢taː](二つ)、⸢ミー[⸢miː](三つ)、⸢ユー[⸢juː](四つ)、⸢イ⸣チ[⸢ʔi⸣ʧi](五つ)、⸢ムー[⸢muː](六つ)、⸢ナ⸣ナ[⸢na⸣na](七つ)、⸢ヤー[⸢jaː](八つ)、ク⸢ク⸣ヌ[ku̥⸢ku⸣nu](九つ)、⸢トゥー[⸢tuː](十)と数える数詞 17661 0 0 17665 htmvoc_17661.wav ユー ⸣ユー [⸣juː] 副 よく(善く、良く、能く)。十分に。 ⸢コー⸣ ムノー ⸣ユー ⸢カン⸣ザリ ッ⸢ふァイ [⸢koː⸣ munoː ⸣juː ⸢kan⸣ʣari f⸢fai] (硬いものは良く噛み砕いて食べなさい)。 ッ⸢サンター⸣ ユー ⸣ミリ ア⸢ラ⸣キ [s⸢santaː⸣ juː ⸣miri ʔa⸢ra⸣ki] (下は、よく見て歩け)。 ウ⸢リトー⸣ ユー ア⸢サブタン [ʔu⸢ritoː⸣ juː ʔa⸢sabutaŋ] (彼<あれ>とは良く遊んだものだ)。 ⸣ユー ⸢カンガイ⸣リ [⸣juː ⸢kaŋgai⸣ri] (よく考えなさい) 17662 0 0 17666 htmvoc_17662.wav ユー ⸣ユー [⸣juː] 副助 ~か。疑問を表す語、⸣ヌー[⸣nuː](何)、ヌンティ[nunti](どうして{EOS}何故)と呼応して不確かな意味を表す。 ウ⸢レー⸣ ヌーユー ワ⸢カラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ nuːjuː wa⸢kara⸣nu] (それは何なのか、分からない)。 ⸣ヌンティ ⸢クーン⸣ユー ⸣バー ッ⸢サヌ [⸣nunti ⸢kuːŋ⸣juː ⸣baː s⸢sanu] (何故来ないのか、私は分から<知ら>ない) 17663 0 1 17667 htmvoc_17663.wav ユー ⸣ユー [⸣juː] 並立 ~か。~のか。~なのか。{Mn_1}名詞について、肯定・否定の関係にあるものを並べ、どれかを選ぶ意。AかBの形で選択を表す。いくつかの事物を列挙した中から一つを選択する意味を表す。 ウ⸢レー⸣ ム⸢チマイ⸣ユー サ⸢ク⸣マイユー シ⸢ラ⸣ビ ⸢ミー [ʔu⸢reː⸣ mu⸢ʧimai⸣juː sḁ⸢ku⸣maijuː ʃi⸢ra⸣bi ⸢miː] (これは\ruby{糯米}{モチ|ゴメ}か\ruby{粳米}{ウルチ|マイ}か調べてみなさい)。 17663 0 2 17668 htmvoc_17663.wav ユー ⸣ユー [⸣juː] 並立 {Mn_2}活用語の肯定形と打消し形を並べたものの中から一つを選ぶ意味を表す。 シ⸢グトー⸣ アンユー ⸢ナーン⸣ユー ⸢トゥイ⸣ シ⸢キ⸣ ミリバ [ʃi⸢gutoː⸣ ʔaɲjuː ⸢naːɲ⸣juː ⸢tui⸣ ʃi̥⸢ki⸣ miriba] (仕事はあるのか、無いのか、問いたずねてごらんよ)。 カ⸢レー⸣ カクンユー カ⸢カン⸣ユー ムッ⸢トゥ⸣ ア⸢ティンガーラヌ [ka⸢reː⸣kḁkuɲjuː kḁ⸢kaɲ⸣juː mut⸢tu⸣ ʔa⸢tiŋgaːranu] (彼は書くのか書かないのか、ちっとも検討がつかない) 17665 0 0 17669 htmvoc_17665.wav ユーアカスン ⸣ユー ア⸢カスン [⸣juː ʔa⸢kasuŋ] 連 夜を明かす。徹夜する。 ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ウサイ ス⸢コールンティ ベーン⸣ケン ⸣ユー ア⸢カシ ナーン⸣シェン [⸢joi⸣nu ⸣ʔusai su̥⸢koːrunti beːŋ⸣keŋ ⸣juː ʔa⸢kaʃi naːŋ⸣ʃeŋ] (お祝いのご馳走<お采>の準備をしているうちに、夜を明かし<徹夜し>てしまった) 17666 0 0 17670 htmvoc_17666.wav ユーアギジラマ ⸢ユーアギジラマ [⸢juːʔagiʤirama] 名 古謡の名。「世上げジラマ」(豊年迎えのジラマ)の義。豊年祭の⸢パー⸣レー[⸢paː⸣reː](爬竜船競争)の舟漕ぎ競争が済んで、爬竜舟を浜に陸揚げした後、漕ぎ手、神職者、応援した村人全員で舟を回りながら歌う古謡。竜宮から豊年を迎えるさまを、予祝儀礼として歌う祭祀歌謡である。/{Sg_1}インスクヌ ヨーホー マブルシュー マイバマヌ ヨーホー ウヤンガミ {Sg_2}バガパトゥマニ ヨーホー アガリョーリ クリトゥムルニ ヨーホー ウツリョーリ/({Sg_1}海の底<竜宮>のヨーホー<囃子>守護神様、前の浜のヨーホー親神<祖先神>様、{Sg_2}我が鳩間島にヨーホー上がってください{EOS}ここ友利<御嶽>に移りおはしませ) 17668 0 0 17671 htmvoc_17668.wav ユーアキドゥーシ ⸢ユーアキドゥー⸣シ [⸢juːʔakiduː⸣ʃi] 名 夜通し。一晩中。夜っぴて。夜もすがら。 ⸢ユーアキドゥー⸣シ ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢キ⸣ ヨイ ⸢ソーッ⸣タ [⸢juːʔakiduː⸣ʃi ⸢sanʃimba⸣ pi̥⸢ki⸣ joi ⸢soːt⸣ta] (夜通し三線を弾いてお祝いをされた) 17669 0 0 17672 htmvoc_17669.wav ユーアサビ ⸢ユーアサ⸣ビ [⸢juːʔasa⸣bi] 名 夜遊び。青年男女が夜集まって三味線を弾いて歌い遊ぶこと。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸢ユー⸣ル ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢ユーアサ⸣ビ ⸢スームル⸣ タ⸢ヌ⸣シミ ⸢ヤッタ⸣ツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸢juː⸣ru ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢juːʔasa⸣bi ⸢suːmuru⸣ ta⸢nu⸣ʃimi ⸢jatta⸣ʦoː] (昔は、若者たちは夜集まって夜遊びをするのが楽しみだったそうだ) 17664 0 0 17673 htmvoc_17664.wav ユーアミ ⸢ユー⸣アミ [⸢juː⸣ʔami] 名 夜降る雨。「よあめ」の義。「よさめ(夜雨)」のこと。夜雨は農民にとって慈雨と考えられていた。/ミリクユーヌ シルシ トゥカグシヌ ユアミ カキブサイ ミショリ シマヌアルジ シマヌアルジ/(弥勒世の兆候<印>は十日越しに降る夜雨です{EOS}お恵みください島の主様、島の守り神様)「弥勒節3連」『鳩間島古典民謡古謡集』 17670 0 0 17674 htmvoc_17670.wav ユーカ ⸢ユーカ [⸢juːka] 名 四日。若年層は、⸢ユッカ[⸢jukka](四日)ともいう。 ッ⸢ふァヌ⸣ マ⸢リティ ユーカ⸣ ナルカー ⸢ユーカジラ ソーッ⸣タン [f⸢fanu⸣ ma⸢riti juːka⸣ narukaː ⸢juːkaʤira soːt⸣taŋ] (子供が生まれて四日になると、産婦と新生児の健康祈願並びに産屋地炉の安全祈願をされた) 17671 0 0 17675 htmvoc_17671.wav ユーカジラ ⸢ユーカジラ [⸢juːkaʤira] 名 産後四日目の日に執り行われる行事。うぶや(産屋)の⸣ジル[⸣ʤiru](地炉)の祈願をした。産屋を清め祓い、⸢カウ[⸢kau](線香)をプ⸢ス⸣カー[pu̥⸢su⸣kaː](沖縄香一枚{EOS}線香六本)、シゥ⸢カン⸣パナ[si̥⸢kam⸣pana](白米<一掴みの花米>)、⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](燗壜{EOS}瓶)二本の⸣グシ[⸣guʃi](酒)を産屋に供えて母子の健康と嬰児の成長を祈願し、仏壇の祖先へ報告した 17672 0 0 17676 htmvoc_17672.wav ユーカソージ ⸢ユーカソージ [⸢juːkasoːʤi] 名 産後四日目に執り行う清め祓いの祈願。「四日精進」の義。⸢ユーカジラ[⸢juːkaʤira]とおなじ。 ⸢ユーカジラ⸣ナー ⸢ニン⸣ガイ ⸢オー⸣ル ⸣ムヌル ⸢ソー⸣ジ ⸣ナル ⸣シジ⸢ナー [⸢juːkaʤira⸣naː ⸢niŋ⸣gai ⸢ʔoː⸣ru ⸣munuru ⸢soː⸣ʤi naru ʃiʤi⸢naː] (産後四日目に祈願されるものが祈願<精進>になるわけですね) 17673 0 0 17677 htmvoc_17673.wav ユーカタ ⸢ユーカタ [⸢juːkata] 名 四方。東・西・南・北の四つの方角。周囲。 ⸢イーラ アーラ⸣ ニ⸢シェー⸣ パ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ユーカタ⸣ナー シ⸢ルシヌ キー⸣バ イ⸢ビ⸣ シケー [⸢ʔiːra ʔaːra⸣ ni⸢ʃeː⸣ pa⸢jaː⸣nu ⸢juːkata⸣naː ʃi⸢ruʃinu kiː⸣ba ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keː] (西、東、北、南の四方に印の木を植えてある) 17674 0 0 17678 htmvoc_17674.wav ユーカドゥ ⸢ユーカドゥ [⸢juːkadu] 名 四隅。四つ角。⸢ユーシヌ[⸢juːʃinu](四つ角)ともいう。 ⸢ヤー⸣ヌ ⸢ユーカドゥヌ⸣ パラー フ⸢クンキー⸣ シゥ⸢カイ⸣バ [⸢jaː⸣nu ⸢juːkadunu⸣ paraː ɸu̥⸢kuŋkiː⸣ si̥⸢kai⸣ba] (家の四隅の柱は福木を使いなさいよ) 17675 0 0 17679 htmvoc_17675.wav ユーカナティ ⸢ユーカナ⸣ティ [⸢juːkana⸣ti] 名 さきおととい(一昨昨日)。さきおとつい。 ⸣キノー ⸢ブシトゥイ⸣ヌ ⸣クトゥ ⸢ヤッタ⸣カヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ア⸢ラ⸣ヌ ⸢ユーカナティ⸣ヌ ク⸢トゥ⸣ル ヤ⸢レー⸣バン [⸣kinoː ⸢buʃi̥tui⸣nu ⸣ku̥tu ⸢jatta⸣kajaːti ʔu⸢muːta⸣nu ʔa⸢ra⸣nu ⸢juːkanati⸣nu ku̥⸢tu⸣ru ja⸢reː⸣baŋ] (昨日、一昨日のことだったかと思ったが、いや違う<そうでない>、一昨昨日のことだったんだよ) 17676 0 0 17680 htmvoc_17676.wav ユーガラサ ⸢ユーガラ⸣サ [⸢juːgara⸣sa] 名 夜烏。夜鳴く烏。「暁と夜烏雖鳴<ヨガラスなけど>~。万、1263」の転訛したもの。夜烏が鳴くと不吉なことが起きるといって、搗き臼を叩いて追い払った。 ⸢ユーガラサ⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー イ⸢ナシ⸣キシ シ⸢キウシ⸣バ ⸢シッ⸣ケーティ ⸣ナーマヤーヌ ッ⸢ふァー⸣マ⸢ドー⸣ティル ウ⸢ヤールタ⸣ル [⸢juːgarasa⸣nu na⸢ku⸣kaː ʔi⸢na⸣ʃi̥kiʃi ʃi̥⸢kiʔuʃi⸣ba ⸢ʃik⸣keːti ⸣naːmajaːnu f⸢faː⸣ma⸢doː⸣tiru ʔu⸢jaːruta⸣ru] (夜烏が鳴くと杵<稲搗き>で搗き臼を搗き鳴らしながら、ナーマヤーヌ ッふァーマドー<長間家の子孫だよ>と叫んだものだ) 17677 0 0 17681 htmvoc_17677.wav ユーキ ⸢ユー⸣キ [⸢juː⸣ki] 名 夜更かし。夜遅くまで起きること。「夜起き」の転訛したもの。 ⸣ドゥク ⸢ユー⸣キ ⸢スー⸣カー ア⸢サ⸣ニビ ⸢スンダー パー⸣ク ニ⸢ビ [⸣duku ⸢juː⸣ki ⸢suː⸣kaː ʔa⸢sa⸣nibi ⸢sundaː paː⸣ku ni⸢bi] (あまり夜更かしすると朝寝坊するから、早く寝なさい)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢スンティ ユー⸣キ ⸢シー ニフター⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ja⸢rabi⸣nu ⸢tunʣa⸣ku ⸢sunti juː⸣ki ⸢ʃiː niɸu̥taː⸣nu na⸢ra⸣nu] (子供の看病をするとて夜更かしをして、眠たくて堪らない) 17678 0 0 17682 htmvoc_17678.wav ユーキカーキ ⸢ユー⸣キカーキ [⸢juː⸣kikaːki] 名 夜更かし。「夜起き」のABCDBC型の重言。「夜更かし」の強調表現。嫌な夜更かし。不要な夜更かし。 サ⸢キヌミ⸣プスン ⸢ユー⸣キカーキ シ⸢ミラリ トーリンギサ⸣ル [sḁ⸢kinumi⸣pu̥suɲ ⸢juː⸣kikaːki ʃi⸢mirari toːriŋgisa⸣ru] (酒飲みに夜更かしをさせられて、倒れそうだ) 17680 0 0 17683 htmvoc_17680.wav ユークーン ⸢ユー⸣クーン [⸢juː⸣kuːŋ] 自動 休む。休息する。「憩う」の義。⸣ユクーン[⸣jukuːŋ](「休まれる」{EOS}丁寧語)ともいう。「息舌、伊己不(いこふ)」『新撰字鏡』、「息、休、イコフ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣バー ⸢ユー⸣クーンティ シ⸢タヌ⸣ ウ⸢レー ピッ⸣チン ⸢ユーコーン⸣シェン [⸣baː ⸢juː⸣kuːnti ʃi̥⸢tanu⸣ ʔu⸢reː pitʧi⸣ɲ ⸢juːkoːn⸣ʃeŋ] (私は休もうとしたが、彼はちっとも休まなかった)。 ⸢ユー⸣クイ ⸣ミサカー ⸢ユー⸣クー ⸣クトー ⸣ナルン [⸢juː⸣kui ⸣misakaː ⸢juː⸣kuː ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (休んでよければ、休むことはできる)。 ン⸢ベーマー ユークイ⸣ヤー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː juːkui⸣jaː ⸣misamunu] (少しは休めばいいのに)。 ⸢ワー ユー⸣クイバ [⸢waː juː⸣kuiba] (君は休めよ) 17679 0 0 17684 htmvoc_17679.wav ユークイ ⸢ユー⸣クイ [⸢juː⸣kui] 連 豊穣をこいねがう(希う)こと。豊年、豊作を祈願すること。⸢世を乞う」の義。豊年祭に歌われる古謡に、⸢ユークイジラ⸣マ[⸢juːkuiʤira⸣ma](豊年祈願のジラバ)がある。/1、パトゥマユーヌ(鳩間村が) 囃子<ヨーホ> トゥムルユーヌ ナウラバ(友利御嶽の神々が鎮座まします村が豊穣を迎えたら) 囃子<ヨーホ> スイナウレ(それ、稔れ)/2、タルトゥユドゥ(誰とぞ) 囃子<ヨーホ> ジリトゥユドゥ ティユマス(誰<何れ>と共に称えよう<響まそう>) 囃子<ヨーホ> スイナウレ(それ稔れ)/3、マブルシュドゥ(守り神を) 囃子<ヨーホ> ウヤガミドゥ ナトゥラス(おやがみ<祖神>を称えます<名を上げる>) 囃子<ヨーホ> スイナウレ(それ稔れ)/以下曲調変わる(早め句)。/パトゥマユーヌ ナウラバ(鳩間村が豊穣を迎えると) 囃子<ヨー サーユイユイ>/トゥムルユーヌ ミギラバ(友利御嶽の神々が守護されます村が稔ると) 囃子<ヨー ハイヨー シュラヨー(はれよ、真に麗しい)/『鳩間島古典民謡古謡集』 17667 0 0 17685 htmvoc_17667.wav ユークイジラマ ⸢ユークイジラ⸣マ [⸢juːkuiʤira⸣ma] 名 古謡の名。「世乞いジラマ」(豊年を祈願するジラマ)の義。⸢パーレー⸣フニ[⸢paːreː⸣ɸuni](爬竜船)がスタートラインに着くまでに歌う予祝儀礼の祭祀歌謡。/{Sg_1}パトゥマユーヌ ヨーホー トゥムルユーヌ ナウラバ ヨーホー スイナウレ {Sg_2}タルトゥユドゥ ヨーホー ジリトゥユドゥ ティユマス ヨーホー スイナウレ {Sg_3}マブルシュドゥ ヨーホー ウヤガミドゥ ナトゥラス ヨーホー スイナウレ {Sg_4}早め句。パトゥマユーヌ ナウラバ ヨー サーユイユイ/({Sg_1}鳩間世が ヨーホ<囃子>、友利御嶽の世が稔ると、ヨーホー スイナウレ<囃子> {Sg_2}誰と共に ヨーホー \ruby{SqBr}g{/SqBr}{何方}{ドナタ}と共に鳴響まそうか ヨーホースイナウレ<囃子> {Sg_3}守護神をぞ ヨーホー 祖先神ををぞ讃える<轟かせる>ヨーホースイナウレ {Sg_4}早め句{EOS}鳩間世が、稔ると、ヨー サーユイユイ<囃子>)。{Ref_Sg_4}の「早め句」を歌い終わるのがスタートの合図であったという。西村のユークイジラマは早め句の囃子「サーユイユイ」が欠落しているので、スタートが一瞬早くなり、祭祀として、西村が常勝する構造になっていたという。西村が勝利すると、ユ⸢ガフ[ju⸢gaɸu](豊年)になると信じられていたからである 17681 0 0 17686 htmvoc_17681.wav ユーケーラ ⸢ユーケーラ [⸢juːkeːra] 名 (数)四回。回数を表す。四往復。「ただひとかへり舞ひて入りぬるは~」『源氏物語 若菜下』の転訛したもの。⸢ユッケーラ[⸢jukkeːra](四回{EOS}四往復)ともいう。 プ⸢スケー⸣ラ [pu̥⸢sukeː⸣ra] (一回{EOS}一往復)。 フ⸢タケーラ [ɸu̥⸢takeːra] (二回{EOS}二往復)。 ⸢ミーケーラ [⸢miːkeːra] (三回{EOS}三往復)。 イ⸢チケー⸣ラ [ʔi⸢ʧikeː⸣ra] (五回{EOS}五往復)。 ⸢ムーケーラ [⸢muːkeːra] (六回{EOS}六往復)。 ナ⸢ナケー⸣ラ [na⸢nakeː⸣ra] (七回{EOS}往復)。 ⸢ヤーケーラ [⸢jaːkeːra] (八回{EOS}往復)。 ク⸢ヌケー⸣ラ [ku⸢nukeː⸣ra] (九回{EOS}往復)。 ⸢トゥーケーラ [⸢tuːkeːra] (十回{EOS}往復) 17682 0 0 17687 htmvoc_17682.wav ユーコースン ⸢ユーコー⸣スン [⸢juːkoː⸣suŋ] 他動 休ませる。 シ⸢グトゥ ユーコー⸣スンティ ⸢スンドゥ キュー⸣ヤ ⸢ユーコーサン⸣ツォー [ʃi⸢gutu juːkoː⸣sunti ⸢sundu kjuː⸣ja ⸢juːkoːsan⸣ʦoː] (仕事を休ませようとするが、今日は休ませないそうだ)。 ⸢ユーコー⸣シ ⸣ミサカー ⸢ユーコー⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢juːkoː⸣ʃi ⸣misakaː ⸢juːkoː⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (休ませてよければ休ませることはできる)。 ⸢ユーコー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢juːkoː⸣ʃeː ⸣misamunu] (休ませばいいのに)。 ⸢ユーコー⸣シ [⸢juːkoː⸣ʃi] (休ませろ) 17683 0 0 17688 htmvoc_17683.wav ユーザスン ⸢ユーザスン [⸢juːʣasuŋ] 他動 寄させる。寄せさせる。自動詞⸢ユーズン[⸢juːʣuŋ](寄る)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](せる{EOS}させる)が付いて形成された使役動詞。「~濱波はいやしくしくに高く与須礼騰<ヨスレド>。万、4411」の転訛したものか。 ⸢ニー⸣ヤ ク⸢マー ユーザスンティ スンドゥ ユーザサラヌ [⸢niː⸣ja ku⸢maː juːʣasunti sundu juːʣasaranu] (荷物はここへ寄せようとするが、寄せられない)。 ⸢ユーザシ⸣ミサカー ⸢ユーザス⸣ クトー ⸣ナルン [⸢juːʣaʃi⸣ misakaː ⸢juːʣasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (寄させてよければ、寄させることはできる)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ユーザシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ⸢juːʣaʃeː⸣ misamunu] (もっと寄させればいいのに)。 ン⸢ベーマ ユーザシ [ʔm⸢beːma juːʣaʃi] (少し寄させなさい) 17684 0 0 17689 htmvoc_17684.wav ユーサンカー ⸣ユー ⸢サン⸣カー [⸣juː ⸢saŋ⸣kaː] 連 ひょっとしたら。もしかしたら。「よく(善く)せずは」の転訛か。 ⸢タール⸣ シ⸢タ⸣ユー ッ⸢サヌヌ⸣ ユー ⸢サン⸣カー ウ⸢リル シェー⸣ユー ッ⸢サン⸣サー [⸢taːru⸣ ʃi̥⸢ta⸣juː s⸢sanunu⸣ juː ⸢saŋ⸣kaː ʔu⸢riru ʃeː⸣juː s⸢san⸣saː] (誰がしたのか知らないが、ひょっとしたら彼がした<してある>のかも知れないなあ) 17685 0 0 17690 htmvoc_17685.wav ユーサントー ⸣ユー ⸢サン⸣トー [⸣juː ⸢san⸣toː] 連 ひょっとしたら。下手すると。「良くしないと」の義。ユー⸢サン⸣カー[juː⸢saŋ⸣kaː](ひょっとしたら)ともいう。「~風まもり好爲而<ヨクシテ>いませ~。万、381」の転訛したものか。 ⸢ユーサン⸣トー マ⸢ニアー⸣ンダ イ⸢ソー⸣ ン⸢ジパザ⸣クンユー ッ⸢サン⸣サー [⸣juː ⸢san⸣toː ma⸢niʔaː⸣nda ʔi⸢soː⸣ ʔn⸢ʤipaʣa⸣kuɲjuː s⸢san⸣saː] (ひょうっとしたら、間に合わないから、漁に出損ねるかも知れないなあ) 17703 0 0 17691 htmvoc_17703.wav ユージェー ⸣ユージェー [⸣juːʣeː] 名 屋号。松竹三戸氏宅(現、松竹実氏宅)。 ⸣ユザヤー [⸣juʣajaː] (松竹家{EOS}「寄合家」の音韻変化により、転訛したものと考えられる)。普通は、⸣ユージェー[⸣juːʣeː](松竹家)という。松竹家は、ユ⸢レー[ju⸢reː](寄合家)からの分家といわれている。⸢ヨリアイ」のイ段音に中舌母音[i̥]が残っていた時代に、[juri̥ai](寄り合い)→ [juʤi̥jeː] → [juʤeː] → [⸣juːʤeː](「松竹家」)と転訛したもの。一方、中舌母音[i̥]が前舌狭母音[i]に変化した後に、連母音[ai]が融合して[eː]となり、[joriai] → [jureː](寄り合い)と規則的に音韻変化して現在の「寄合家」の新方言ユ⸢レー[ju⸢reː](寄合家)が生成されたものである。この音韻現象は、古い時代の鳩間方言に中舌母音[i̥]が存在したことを証明する。 ⸣ユージェーヤ ユ⸢レーヌ⸣ バ⸢カ⸣リ ヤ⸢ロー⸣リ ユ⸢レーヤ⸣ カ⸢ザケーラヌ⸣ バ⸢カ⸣リ ヤ⸢ロー⸣ルティ ス⸢クタン [⸣juːʤeːja ju⸢reːranu⸣ ba⸢ka⸣ri ja⸢roː⸣ri ju⸢reːja⸣ ka⸢ʣakeːranu⸣ ba⸢ka⸣ri ja⸢roː⸣ruti su̥⸢kutaŋ] (松竹家は寄合家からの分家であられ、寄合家は加治工家からの分家であられると聞いたことがある) 17688 0 0 17692 htmvoc_17688.wav ユーシェーン ⸣ユー ⸢シェー⸣ン [⸣juː ⸢ʃeː⸣ŋ] 連 よくやった。でかしたぞ。よく出来た。ク⸢トゥシェー⸣ イ⸢チ⸣バン ⸣ナリ ⸢マイフナー⸠ドー。⸣ユー ⸢シェー⸣ン[ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔi⸢ʧi⸣ban ⸣nari ⸢maiɸunaː⸠doː。⸣juː ⸢ʃeː⸣ŋ](今年は一番になって、お利口さん{EOS}でかしたぞ) 17689 0 0 17693 htmvoc_17689.wav ユーシギロールン ⸢ユーシギ⸣ロールン [⸢juːʃigi⸣roːruŋ] 自動 お亡くなりになる。「世・過ぎ・おわす<在す>」の義。「過ぎる」は原義から転じて、「死ぬ」の敬語として用いられる。高齢者や身分の高い人の\ruby{逝去}{セイ|キョ}に対していう。「~立つ霧の思ひ須疑米夜<スギメヤ>~。万、4000」の転訛したものか。 ⸣アブジェー ⸢ユーシギ⸣ローリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː ⸢juːʃigi⸣roːri ⸢naː⸣nu] (お祖父さんは亡くなられてしまった)。 ⸣アブジェー ⸢ユーシギ⸣ロールンケン パ⸢タラキ トゥーシル オーッ⸣タ ⸢ユーシギ⸣ローランケン ウ⸢キ⸣ナー シゥ⸢カシ キー⸣ プサタン [⸣ʔabuʤeː ⸢juːʃigi⸣roːruŋkem pḁ⸢tarakituːʃiru ʔoːt⸣ta ⸢juːʃigi⸣roːraŋkeŋ ʔu⸢ki⸣naː si̥⸢kaʃi kiː⸣ pu̥sataŋ] (お祖父さんは亡くなられるまで働き通しであった{EOS}亡くならないうちに沖縄にお連れしたかった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢ユーシギ⸣ローレー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢juːʃigi⸣roːreː na⸢ra⸣nu] (こんなに早く亡くなられてはなりません) 17690 0 0 17694 htmvoc_17690.wav ユーシグトゥ ⸢ユーシグ⸣トゥ [⸢juːʃigu⸣tu] 名 夜なべ。夜業。夜の仕事。 ⸢ブー⸣バ ⸢ウー⸣ミ ⸢ユーシグ⸣トゥ ⸢シール⸣ ウ⸢ビ⸣ヌ ッ⸢ふァン⸣ケー ス⸢ダ⸣トーッタ [⸢buː⸣ba ⸢ʔuː⸣mi ⸢juːʃigu⸣tu ⸢ʃiːru⸣ ʔu⸢bi⸣nu f⸢faŋ⸣keː su⸢da⸣toːtta] (お<苧・麻>を\ruby{績}{ウ}んで夜なべをして<ぞ>あれだけの子供たちを育てられたものだ) 17691 0 0 17695 htmvoc_17691.wav ユーシッタイ ⸢ユー⸣シッタイ [⸢juː⸣ʃittai] 感 ざま見ろ。いい気味だ。それみたことか。相手に対し、注意をしたのに聞き入れないで失敗したときに\ruby{咎}{トガ}めていう。⸢ユー⸣シタイ[⸢juː⸣ʃi̥tai](ざま見ろ)、⸣シッタイヒャー[⸣ʃittaiçaː](ざま見ろ)ともいう。 ⸣アイブ ヤ⸢ナクトゥ スンダル⸣ ウ⸢ドゥ⸣クティ ⸣ムカーヤ ⸣ユーシッタイ [⸣ʔaibu ja⸢nakutu sundaru⸣ ʔu⸢du⸣kuti ⸣mukaːja ⸣juːʃitai] (あんな悪事をするからこそ欠損するんだよ{EOS}ざま見ろ) 17692 0 0 17696 htmvoc_17692.wav ユーシヌ ⸢ユーシヌ [⸢juːʃinu] 名 四つ角。 ウ⸢ブヤー⸣ヌ ⸢ユーシヌヌ⸣ パラー ⸢キャーンギ⸣ シゥ⸢カイ⸣バ [ʔu⸢bujaː⸣nu ⸢juːʃinunu⸣ paraː ⸢kjaːŋgi⸣ si̥⸢kai⸣ba] (母屋の四つ角の柱は槙の木を使用しなさいよ)。よつじ。道が四つに分かれている辻。 ミ⸢チ⸣ヌ ⸢ユーシヌ⸣ナー プ⸢スヌ⸣ タティ ⸢ベー [mi⸢ʧi⸣nu ⸢juːʃinu⸣naː pu̥⸢sunu⸣ tḁti ⸢beː] (道の四つ角に人が立っている) 17693 0 0 17697 htmvoc_17693.wav ユーシバル ⸢ユーシバ⸣ル [⸢juːʃiba⸣ru] 名 寝小便。夜尿症。「⸢ユー[⸢juː](夜)」に「Ibari.イバリ(尿)、尿、あるいは、小便。例、Ibariuo suru(尿をする)」『邦訳日葡辞書』の付いた形の転訛したもの。シ⸢バ⸣ルカメー[ʃi⸢ba⸣rukameː](夜尿症の子供)ともいう。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー ユーシバ⸣ル ⸢シー⸣ナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ f⸢faː juːʃiba⸣ru ⸢ʃiː⸣naː na⸢ra⸣nu] (この子は寝小便をして困る<堪らない>) 17687 0 0 17698 htmvoc_17687.wav ユーシミ ⸢ユーシミ [⸢juːʃimi] 名 四隅。四つ角の内側。⸢ユーシヌ[⸢juːʃinu](四つ角{EOS}四隅の角の部分)ともいう。⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ユーシミ⸣ナー ⸢キャーンギキー⸣ イ⸢ビ⸣シケー[⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢juːʃimi⸣naː ⸢kjaːŋgikiː⸣ ʔi⸢bi⸣ʃi̥keː](屋敷の四隅に槙の木を植えてある)の 17694 0 0 17699 htmvoc_17694.wav ユーシュー ⸢ユー⸣シュー [⸢juː⸣ʃuː] 名 夜露。夜間におりる露。 バ⸢カー⸣ムヌヌ サ⸢キバ⸣ ヌミティ ⸢ユー⸣シューナ ウ⸢タ⸣リ ニ⸢ビアーキ⸣ル ⸢ヤン⸣マイ カ⸢カ⸣レーティ⸢ダー [ba⸢kaː⸣mununu sḁ⸢kiba⸣ numiti ⸢juː⸣ʃuːna ʔu⸢ta⸣ri ni⸢biʔaːki⸣ru ⸢jam⸣mai kḁ⸢ka⸣reːti⸢daː] (若者が酒を飲んで夜露に打たれて寝ていて<ぞ>病に罹ったそうだ) 17695 1 0 17700 htmvoc_17695.wav ユーシルン ⸢ユーシルン [⸢juːʃiruŋ] 自動 {PoS_1}打ち寄せる。近づく。 ⸢ナン⸣ヌ ⸢ユーシルン⸣ティ シ⸢タヌ ユーシラン⸣ツォー [⸢nan⸣nu ⸢juːʃirun⸣ti su̥⸢kutanu juːʃiran⸣ʦoː] (津波<大波>が寄せると聞いたが、寄せないそうだ)。 ム⸢カ⸣シ イ⸢サナキ⸣ナー ⸢ナン⸣ヌ ⸢ユーシ⸣ ケータンツォー [mu⸢ka⸣ʃi ʔi⸢sanaki⸣naː ⸢nan⸣nu ⸢juːʃi⸣ keːtanʦoː] (昔、石垣島に津波が寄せてきたそうだ)。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢カンダカー⸣ティ ⸢ナン⸣ヌ ⸢ユーシル⸣ ピンマー ⸢カン⸣ヌ ⸢ティーヌ⸣ピサナー ⸢ヌーシ⸣ ムタイ⸢ヨー⸣ルツォー [pḁ⸢tu⸣maː ⸢kandakaː⸣ti ⸢nan⸣nu ⸢juːʃiru⸣ pimmaː ⸢kan⸣nu ⸢tiːnu⸣pi̥sanaː ⸢nuːʃi⸣ mutai⸢joː⸣ruʦoː] (鳩間島は霊験あらたかな<神霊高い>島なので、津波が寄せる時は、神の\ruby{掌}{テノヒラ}に\ruby{載}{ノ}せて持ち上げられるそうだ)。 17695 2 0 17701 htmvoc_17695.wav ユーシルン ⸢ユーシルン [⸢juːʃiruŋ] 他動 {PoS_2}寄せる。 ニ⸢ム⸣チ ⸢ワーン⸣ トン ⸢ユーシルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢グッふァ⸣ヌ ムッ⸢トゥ ユーシララヌ [ni⸢mu⸣ʧi ⸢waːn⸣toŋ ⸢juːʃirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢guffa⸣nu mut⸢tu juːʃiraranu] (荷物を君の所に寄せようと思うが、重くて、一向に<少しも>寄せられない) 17696 0 1 17702 htmvoc_17696.wav ユーズ ⸢ユー⸣ズ [⸢juː⸣ʣu] 名 {Mn_1}用事。用件。用向き。所要。仕事。 ⸢ユーズ⸣ヌ ⸢ナーン⸣ プ⸢ソー ヤー⸣ パリ ⸣ミサン [⸢juːʣu⸣nu ⸢naːm⸣ pu̥⸢soː jaː⸣ pari ⸣misaŋ] (用事のない人は、家に帰ってよい)。 ⸢ワッ⸣テナー ⸢ユーズ⸣ヌ ア⸢リ⸣ル ケー⸢ダー [⸢wat⸣tenaː ⸢juːʣu⸣nu ʔa⸢ri⸣ru keː⸢daː] (お宅に用事があって来ましたよ)。 17696 0 2 17703 htmvoc_17696.wav ユーズ ⸢ユー⸣ズ [⸢juː⸣ʣu] 名 {Mn_2}祭祀。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸢ユー⸣ゾー イ⸢チ⸣ヤー [⸢wat⸣tenu ⸢juː⸣ʣoː ʔi⸢ʧi⸣jaː] (貴方の家の法事はいつですか) 17697 0 0 17704 htmvoc_17697.wav ユーズキザル ⸢ユー⸣ズキザル [⸢juː⸣ʣukiʣaru] 名 祭祀。行事。年中行事。 パ⸢トゥ⸣マー ム⸢カ⸣シェー ⸢ユー⸣ズキザルヌ ⸢ゴー⸣ラータ ⸢ベー⸣ティ ⸢ニンガイ⸣グトー マ⸢ナ⸣マー ⸢パンブン⸣マー キ⸢サ⸣リ ⸢ブー⸣ツォー [pḁ⸢tu⸣maː mu⸢ka⸣ʃeː ⸢juː⸣ʣukiʣaru⸣nu ⸢goː⸣raːta ⸢beː⸣ti ⸢niŋgai⸣gutoː ma⸢na⸣maː ⸢pambum⸣maː ki̥⸢sa⸣ri ⸢buː⸣ʦoː] (鳩間島は昔は年中行事が多かったので、今は、半分は廃止され<切られ>ているそうだ) 17698 0 0 17705 htmvoc_17698.wav ユーズピーズ ⸢ユーズピー⸣ズ [⸢juːʣupiː⸣ʣu] 名 重要な祭祀行事。神事や法事。大事な用事。大きな行事。ABCDBC型の重言。 ⸢ユーズピーズ⸣ヌ アルン⸢グトゥ⸣ プ⸢ス⸣ タ⸢ナ⸣ミン パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢juːʣupiːʣu⸣nu ʔaruŋ⸢gutu⸣ pu̥⸢su⸣ ta⸢na⸣mim pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (重要な祭祀行事や仕事がある度に人を頼みに行かなければならない) 17699 0 0 17706 htmvoc_17699.wav ユーズヤー ⸢ユー⸣ズヤー [⸢juː⸣ʣujaː] 名 祭祀や行事のある家。祝い事や法事が執り行われる家。特別な行事のある家。 トゥ⸢ナル⸣ナー ⸢ユーズヤー⸣ヌ ⸣アリ ⸢ベー⸣ティ ⸣アボー ⸢テー⸣ナイ ⸢シン オーッ⸣タ [tu⸢naru⸣naː ⸢juːʣujaː⸣nu ⸣ʔari ⸢beː⸣ti ⸣ʔaboː ⸢teː⸣nai ⸢ʃiŋ ʔoːt⸣ta] (隣にお祝いのある家があるので、お母さんは手伝いに行かれた) 17700 0 0 17707 htmvoc_17700.wav ユースン ⸢ユースン [⸢juːsuŋ] 他動 寄せる。近づける。「~与西<ヨセ>綱延へて与須礼<ヨスレ>ども~。万、3411」の転訛したもの。 ⸢マー⸣ビン ク⸢マー ユースンティ⸣ ウムーカー ⸢ユーサリスヌ ユーシ⸣ ミサンカヤー [⸢maː⸣biŋ ku⸢maː juːsunti⸣ ʔumuːkaː ⸢juːsarisunu juːʃi⸣ misaŋkajaː] (もっとこちらへ寄せようと思えば寄せられるが、寄せてよいでしょうかねえ)。 ⸢ユース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢juːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (寄せることは\ruby{罷}{マカ}りならぬ)。 ン⸢ベーマー ユーシェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː juːʃeː⸣ misamunu] (少しは寄せればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ク⸢マー ユーシ [⸢maː⸣biŋ ku⸢maː juːʃi] (もっとここへ寄せなさい) 17701 0 0 17708 htmvoc_17701.wav ユースン ⸢ユー⸣スン [⸢juː⸣suŋ] 助動 ~しえる<得る>。~出来る。しきれる。おおせ<\ruby{果}{オオ}せ>る。はたす。可能の助動詞として動詞の連用形に付き、⸢~し得る」の意を表す。「~数え衣受<エズ>盡しもかねつ~。万、4094」の転訛したもの。 ムー⸢ル⸣ カ⸢キユー⸣スンカヤーティ ウ⸢ムータ⸣ヌ カ⸢キユーサン⸣バン [muː⸢ru⸣ kḁ⸢kijuː⸣suŋkajaːti ʔu⸢muːta⸣nu kḁ⸢kijuːsam⸣baŋ] (全部書ける<書き得る>かと思ったが、書けない<書き得ない>わい)。 カ⸢キユー⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢kijuː⸣su ku̥toː ⸢naː⸣nu] (書きおおせ<果せ>ることはない) 17761 0 0 17709 htmvoc_17761.wav ユーズン ⸢ユーズン [⸢juːʣuŋ] 自動 寄る。近寄る。接近する。「沖つ藻は辺には誉戻<ヨレ>ども~。紀、神代下 歌謡」、「~天地の依相<ヨリアヒ>の極み~。万、167」の転訛したもの。鳩間方言に中舌母音が残っていた頃の言語で、*[jori̥aɸi] → *[juʣi̥awi] → [juːʤeː] のように音韻変化したものと考えられる。これは松竹家の屋号を⸣ユージェー[⸣juːʤeː](寄合家の分家)ということからも証明される。 ⸢ワーン⸣ トン ⸢ユーズンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ユーザラヌ [⸢waːn⸣toŋ ⸢juːʣunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢juːʣaranu] (君の所に寄ろうと思うが、寄られない)。 ク⸢マー ユージ⸣ クー⸢ツォー [ku⸢maː juːʤi⸣ kuː⸢ʦoː] (ここへ寄って来いってば)。 ン⸢メーマ ヤラバン ユーズ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔm⸢meːma jarabaŋ juːʣu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (少しでも寄ってはならない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ユージェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ⸢juːʤeː⸣ misamunu] (もっと寄ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ユージ⸣バ [⸢paː⸣ku ⸢juːʤi⸣ba] (早く寄れよ)。 ウ⸢マ⸣ー ⸢ユーズンティ スンドゥ ユーザラヌ [ʔu⸢ma⸣ː ⸢juːʣunti sundu juːʣaranu] (そこへ寄ろうとするが、寄られない)。 ⸢ユージ⸣ ミサカー ⸢ユーズ⸣ クトー ⸣ナルン [⸢juːʤi⸣ misakaː ⸢juːʣu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (近寄って良ければ、近寄ることはできる)。 ン⸢ベーマ ユージェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːma juːʤeː⸣ misamunu] (少し寄ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢マー ユージ⸣バ [⸢maː⸣biŋ ka⸢maː juːʤi⸣ba] (もっと向こうへ寄れよ) 17704 0 0 17710 htmvoc_17704.wav ユーゾーナーヌ ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] 連 何の役にも立たない。無駄である。利用価値がない。手当てがつけられない。「養生・ない」から転訛したものか。 ⸣アイブ ム⸢ヌ⸣バ トゥ⸢グ⸣タンティン ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔaibu mu⸢nu⸣ba tu⸢gu⸣tantiɲ ⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu] (あんなものを持ってきても何の役にも立たない)。 ⸢ユー⸣ゾー ⸢ナー⸣ヌ シ⸢ティリ [⸢juː⸣ʣoː ⸢naː⸣nu ʃi̥⸢tiri] (役に立たない{EOS}捨てなさい) 17705 0 1 17711 htmvoc_17705.wav ユーチ ⸢ユーチ [⸢juːʦi] 名 {Mn_1}四つ。「~四舶<ヨツノフネ>々能倍奈良倍<フネノヘナラベ>~。万、4264」の転訛したもの。 ⸢タンガ⸣シ ⸢ユーチナー⸣ トゥリ ⸣ミサン [⸢taŋga⸣ʃi ⸢juːʧinaː⸣ turi ⸣misaŋ] (一人で四つずつ取ってもよい)。 17705 0 2 17712 htmvoc_17705.wav ユーチ ⸢ユーチ [⸢juːʦi] 名 {Mn_2}四歳。 サ⸢ク⸣シェー ⸣トゥシェー ⸢ユーチ⸣ ナルン [sḁ⸢ku⸣ʃeː ⸣tu̥ʃeː ⸢juːʧi⸣ naruŋ] (長男<嫡子>は、年は四歳になる) 17706 0 0 17713 htmvoc_17706.wav ユーチヌピーチ ⸢ユーチヌ ピー⸣チ [⸢juːʧinu piː⸣ʧi] 連 四分の一。「四つの一つ」の義。 ⸢ジン⸣マー ユ⸢タール⸣シ ⸢ユーチヌ ピーチ⸣ナー ⸣バキ ⸢イー⸣リバ⸢ヨー [⸢ʤim⸣maː ju⸢taːru⸣ʃi ⸢juːʧinu piːʧi⸣naː ⸣baki ⸢ʔiː⸣riba⸢joː] (お金は四人で四分の一ずつに分けて貰いなさいね) 17707 0 0 17714 htmvoc_17707.wav ユーチバリ ⸢ユーチバリ [⸢juːʧibari] 名 四つ割り。四等分にすること。 ク⸢ヌ⸣ フ⸢クンキーヤ ユーチバリ⸣ サ⸢バン ゾー⸣ブンニ ⸢ヨンスンカクヌ⸣ パラー トゥ⸢ラ⸣リン [ku⸢nu⸣ ɸu̥⸢kuŋkiːja juːʧibari⸣ sa⸢ban ʣoː⸣bunni ⸢jonsuŋkakunu⸣ paraː tu⸢ra⸣riŋ] (この福木は四つ割りにしても十分に四寸角の柱が取れる) 17708 0 0 17715 htmvoc_17708.wav ユーチミー ⸢ユー⸣チミー [⸢juː⸣ʧimiː] 名 眼鏡を掛けた人。「四つ目」の義。 ⸢ユー⸣チミーヌ ⸢オー⸣ルン⸢ドー [⸢juː⸣ʧimiːnu ⸢ʔoː⸣run⸢doː] (眼鏡を掛けた人<四つ目>が来られるぞ) 17709 0 0 17716 htmvoc_17709.wav ユーチング ⸢ユーチング [⸢juːʧiŋgu] 名 最高の料理。ご馳走。ふるまい。「世つ組」の義。四品の料理を組み合わせたお膳。米飯、魚肉(或いは、豚肉、鶏肉)と野菜のお汁、魚の刺身、香の物が基本。⸢ウー⸣ザラ[⸢ʔuː⸣ʣara](大皿)や、重箱詰めのてんぷら(天麩羅)やカマブク[ka⸢mabuku](蒲鉾)、ン⸢ブシ⸣ムヌ[ʔm⸢buʃi⸣munu](煮物、蒸し物)等も出された。 ⸢ユーチングヌ⸣ ウ⸢サイ⸣ヤー ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣ピン マ⸢タ⸣ ソンガチ ⸢プー⸣ル キ⸢チゴン⸣ドーレーヌ キ⸢ザルトゥ ソー⸣ラン ⸢ソーッ⸣コーナール ッ⸢ふァイ ミッ⸣タル [⸢juːʧiŋgunu⸣ ʔu⸢sai⸣jaː ⸢joi⸣nu ⸣pim ma⸢ta⸣ soŋgaʧi ⸢puː⸣ru ki̥⸢ʧigon⸣doːreːnu ki⸢ʣarutu soː⸣ran ⸢sok⸣koːnaːru f⸢fai mitta⸣ru] (四品のご馳走はお祝いの時、また正月、豊年祭、結願祭などの祭祀行事とお盆や法事<焼香>の時にしか食べなかった<~時にぞ食べてみたのだ>) 17710 0 0 17717 htmvoc_17710.wav ユーッスン ⸢ユー⸣ ッスン [⸢juː⸣ ssuŋ] 連 お湯を注ぐ。 ⸣アチャー ⸣サバンナー ⸢ユー⸣ ッシ ⸢オーシ⸣バ [⸣ʔaʧaː ⸣sabannaː ⸢juː⸣ ʃʃi ⸢ʔoːʃi⸣ba] (お父さんの茶碗にお湯を注いで差し上げなさい) 17711 0 0 17718 htmvoc_17711.wav ユーティ ⸢ユーティ [⸢juːti] 名 四年。 ウ⸢キ⸣ナー ⸣パレーラー ⸢ユーティ⸣ ナ⸢ルン⸣ドゥ マ⸢ダ⸣ プ⸢スム⸣シンツァン ⸢カイ⸣リ ⸢クー⸣ヌ [ʔu⸢ki⸣naː ⸣pareːraː ⸢juːti⸣ na⸢run⸣du ma⸢da⸣ pu̥⸢sumu⸣ʃinʦaŋ ⸢kai⸣ri ⸢kuː⸣nu] (沖縄へ行って四年なるが、まだ一度も帰ってこない)。 17711 0 2 17719 htmvoc_17711.wav ユーティ ⸢ユーティ [⸢juːti] 名 {Mn_2}明明後年。再来年の次の年。 ⸢マー ユー⸣ティ サ⸢バル カイラ⸣リツォー [⸢maː juː⸣ti sa⸢baru kaira⸣riʦoː] (あと四年経ったら<したらばぞ>帰られるそうだ) 17712 0 0 17720 htmvoc_17712.wav ユーティナティ ⸢ユーティナ⸣ティ [⸢juːtina⸣ti] 名 一昨昨年。「四年なりて」の転訛したものか。 ⸢ワー ヨイ⸣ヤー ⸢ユーティナ⸣ティナール ⸢シェー⸣バン [⸢waː joi⸣jaː ⸢juːtina⸣tinaːru ⸢ʃeː⸣baŋ] (君のお祝いは一昨昨年にしたのだった) 17718 0 0 17721 htmvoc_17718.wav ユートーパーレー ⸢ユートーパー⸣レー [⸢juːtoːpaː⸣reː] 名 旧暦10月頃に執り行われる、シ⸢マッサ⸣ル[ʃi⸢massa⸣ru](島くさらし{EOS}流行病\ruby{祓}{ハラエ}の祈願)の夜に行われる行事。村役人が子供たちを引き連れて、\ruby{甕}{カメ}の破片や瓦の破片をカチカチ打ち鳴らし、\ruby{銅鑼}{ド|ラ}を\ruby{叩}{タタ}いて、⸢ユートーパー⸣レー ⸢ミー⸣ソー ッ⸢ふァー[⸢juːtoːpaː⸣reː ⸢miː⸣soː f⸢faː](夜の祓えだ、味噌を食おう)と唱えながら村中の家々を祓えまわった。各家からは子供たちに米味噌が与えられた 17719 0 0 17722 htmvoc_17719.wav ユードーフ ⸢ユードー⸣フ [⸢juːdoː⸣ɸu] 名 おぼろ豆腐。豆腐の固まりかけのもの。にがり(苦汁)を加えて\ruby{鍋}{ナベ}や\ruby{椀}{ワン}に\ruby{汲}{ク}み取ったもの。「湯豆腐」の義。首里方言の⸢ユシドーフ[⸢juʃidoːɸu](おぼろ豆腐)のこと。 パ⸢トゥ⸣マナーテー ⸢ユードー⸣フ ッ⸢ふァイ⸣ ミ⸢ラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manateː ⸢juːdoː⸣ɸu f⸢fai⸣ mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島ではおぼろ豆腐を食べたことはなかった<食べてみなかった>) 17713 0 0 17723 htmvoc_17713.wav ユードゥ ⸢ユー⸣ドゥ [⸢juː⸣du] 副 よくぞ。ようこそ。よくまあ。 ⸢ユー⸣ドゥ ⸢ワー⸣ パ⸢ラン⸣ ブ⸢レー⸣ル ⸢パッ⸣タカー シ⸢ニブレー⸣ル [⸢juː⸣du ⸢waː⸣ pa⸢ram⸣ bu⸢reː⸣ru ⸢pat⸣takaː ʃi⸢nibureː⸣ru] (よくぞ君は行かなかったよ{EOS}行っていたら死んでいたよ) 17714 0 1 17724 htmvoc_17714.wav ユードゥーシ ⸢ユードゥー⸣シ [⸢juːduː⸣si] 名 {Mn_1}夜通し。一晩中。 フ⸢チル⸣ヌ ⸢ナーン⸣ベーティ ッ⸢ふァヌ⸣ ニチ サ⸢マ⸣スンティ ⸢ユードゥー⸣シ ⸣ウキ ス⸢ブ⸣ル ヒ⸢ヤシタ⸣ル [ɸu̥⸢ʧiru⸣nu ⸢naːm⸣beːti f⸢fanu⸣ niʧi sa⸢ma⸣sunti ⸢juːduː⸣ʃi ⸣ʔuki su⸢bu⸣ru çi⸢jaʃi̥ta⸣ru] (薬がないので、子供の熱を冷まそうと、夜通し起きて頭を冷やしたものだ)。 17714 0 2 17725 htmvoc_17714.wav ユードゥーシ ⸢ユードゥー⸣シ [⸢juːduː⸣si] 名 {Mn_2}豊年祭や結願祭の初日の夜に神職者たちが友利御嶽に\ruby{籠}{コ}もって夜通し祈願すること。 ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンヌ ⸢ユードゥー⸣シ ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー ⸢ウイヌ⸣ウガンナーティ サ⸢カサン⸣ケー ティ⸢ジリ⸣ビーンケー ム⸢ラヤクサン⸣ケー ア⸢ツァ⸣マローリ ウ⸢タ⸣イジ ⸢サンシン⸣ ピ⸢ケー⸣ティ ⸢ニン⸣ガイ ⸢ヨーッ⸣タ [⸢puː⸣ru ⸣ki̥ʧigonnu ⸢juːduː⸣ʃi ⸢soː⸣ru ⸣pimmaː ⸢ʔuinu⸣ʔugannaːti sḁ⸢kasaŋ⸣keː ti⸢ʤiri⸣biːŋkeː mu⸢rajakusaŋ⸣keː ʔa⸢ʦa⸣maroːri ʔu⸢ta⸣ʔiʤi ⸢saŋʃim⸣ pi̥⸢keː⸣ti ⸢niŋ⸣gai ⸢joːt⸣ta] (豊年祭、結願祭の夜通しの祈願をなさる時は友利御嶽に司の方々、手擦り部の方々、村役人の方々が集まられ、歌を歌い、三線を弾いて祈願をされた) 17715 0 0 17726 htmvoc_17715.wav ユードゥマリ ⸢ユードゥマ⸣リ [⸢juːduma⸣ri] 名 外泊すること。「夜泊まり」の義。 ヤ⸢ラ⸣ベー プ⸢スン⸣ヤーナ ⸢ユードゥマ⸣リ シ⸢ミル⸣カー ヤ⸢ナナライ スン⸠ダー [ja⸢ra⸣beː pu̥⸢suɲ⸣jaːna ⸢juːduma⸣ri ʃi⸢miru⸣kaː ja⸢nanarai sun⸠daː] (子供は他所の家に外泊させると、悪い習慣<悪い習い>が付くぞ) 17716 0 0 17727 htmvoc_17716.wav ユードゥリ ⸢ユー⸣ドゥリ [⸢juː⸣duri] 名 \ruby{夕凪}{ユウ|ナギ}。夕方の無風状態。ア⸢サ⸣ドゥリ[ʔa⸢sa⸣duri](\ruby{朝凪}{アサ|ナギ})の対義語。 ⸢ユードゥリ⸣ヌ ⸢サン⸣ケン ⸢マイ⸣ トゥ⸢バシ [⸢juːduri⸣nu ⸢saŋ⸣kem ⸢mai⸣ tu⸢baʃi] (夕凪が起きないうちに脱穀した\ruby{籾}{モミ}を風で飛ばして籾と塵を分け<米を飛ばせ>よ) 17717 0 0 17728 htmvoc_17717.wav ユートゥル ⸢ユー⸣トゥル [⸢juː⸣turu] 名 船のあか(淦)を\ruby{汲}{ク}み取る道具。船底に溜まった水を汲み出す道具。松の幹を半月形に\ruby{刳}{ク}り、取っ手を\ruby{削}{ケズ}り出して\ruby{掴}{ツカ}み、船底を傷めないように軽くスライドさせて淦を汲み取る船具。「戽、由土利」『和名抄』、「戽、ユトリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。ア⸢カ⸣トゥル[ʔa⸢ka⸣turu](淦取り)ともいう。 カ⸢ザケーヌ⸣ ウスマイヌ ス⸢ク⸣ロール ⸢ユー⸣トゥロー カ⸢タチン カイ⸣ヤーリ イッ⸢ケナ⸣ シゥ⸢カイ ヤッ⸣サタンツォー [ka⸢ʣakenu⸣ ʔusumainu su̥⸢ku⸣roːru ⸢juː⸣turoː kḁ⸢taʧiŋ kai⸣jaːri ʔik⸢kena⸣si̥⸢kai jas⸣satanʦoː] (加治工家の伊佐ウスマイが造られるユートゥル<淦取り>は、形も綺麗で、使いやすくもあったそうだ) 17720 0 1 17729 htmvoc_17720.wav ユーナキ ⸢ユー⸣ナキ [⸢juː⸣naki] 名 {Mn_1}夜鳴き。子供が夜泣くこと。 ク⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ ユ⸢ナ⸣カ ⸣ウキティ ⸢ユー⸣ナキ ⸢スーヌ⸣ ヌンティカヤー [ku⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ju⸢na⸣ka ⸣ʔukiti ⸢juː⸣naki ⸢suːnu⸣ nuntikajaː] (この子は夜中に起きて夜泣きするが、どうしてかなあ)。 17720 0 2 17730 htmvoc_17720.wav ユーナキ ⸢ユー⸣ナキ [⸢juː⸣naki] 名 {Mn_2}夜鳴き。鳥獣が夜鳴くこと。 ⸢イン⸣ヌ イ⸢ファナ⸣ カコーニ ⸢ユー⸣ナキ ⸢スー⸣カー ウ⸢ソー⸣ヌ ミ⸢チェー⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [⸢ʔin⸣nu ʔi⸢ɸana⸣ kḁkoːni ⸢juː⸣naki ⸢suː⸣kaː ʔu⸢soː⸣nu mi⸢ʧeː⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (犬が異常な夜鳴きをすると、\ruby{薄気味悪}{ウス|キ|ミ|ワル}くて道に出られない) 17721 0 0 17731 htmvoc_17721.wav ユーナンカ ⸢ユーナンカ [⸢juːnaŋka] 名 よなのか(四七日)。四七日忌。死後四週間目の法事。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ソッコー⸣ヤ フ⸢タナンカ ユーナンカ ムーナンカー ヤーニン⸣ズ ⸢カーニ⸣シル シ⸢マ⸣ソーッタ [⸢ʔun⸣nenu ⸢sokkoː⸣ja ɸu̥⸢tanaŋka juːnaŋka muːnaŋkaː jaːnin⸣ʣu ⸢kaːni⸣ʃiru ʃi⸢ma⸣soːtta] (あの家の法事は、二七日忌、四七日忌、六七日忌は家族だけで済まされた) 17722 0 0 17732 htmvoc_17722.wav ユーニンガイ ⸢ユーニンガイ [⸢juːniŋgai] 名 「世願い」の義。若年層は⸢ユーニガイ[⸢juːnigai]ともいう。旧暦三月のミ⸢ジニー[mi⸢ʤiniː](壬)の日に執り行われる祭祀。友利御嶽で、サ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司{EOS}女性神職者)やティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](手擦り部{EOS}男性神職者)が村の豊年豊作と村人の健康祈願をし、友利御願、西堂御願、新川御願、鬚川御願、前泊御願、ミ⸢ルクン⸣ヤー[mi⸢rukuŋ⸣jaː](弥勒家)へと順次移動しながら祈願した。祈願の内容は、⸢ニンガチニン⸣ガイ[⸢niŋgaʧiniŋ⸣gai](二月祈願)で祈願された (i) ⸢ゾーシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢ʣoːʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai](村役人の祈願{EOS}祭祀がスムースに執り行われるよう祈願する<⸢\ruby{雑色}{ゾウ|シキ}」の転訛か>)、(ii) ⸣アカカラジヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸣ʔakakaraʤinu ⸢niŋ⸣gai](一般百姓たちのための健康祈願)、(iii) イ⸢ニアー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[ʔi⸢niʔaː⸣nu ⸢niŋ⸣gai](稲粟の豊作祈願)、(iv) ア⸢ミニン⸣ガイ[ʔa⸢miniŋ⸣gai](十日、十五日ごとに夜雨の降雨を祈願する)、(v) マ⸢ミ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[ma⸢mi⸣nu ⸢niŋ⸣gai](豆の豊年祈願)、(vi)⸢ミー⸣シキパナシキヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥kinu ⸢niŋ⸣gai](流行り病の祈願)、(vii) ⸢マイ ムン⸣ヌ ッ⸢サバー⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢mai mun⸣nu s⸢sabaː⸣nu ⸢niŋ⸣gai](稲、麦の草<下>葉の祈願)の総括的な祈願であった。この⸢ニンガチニン⸣ガイは、祭祀祈願の数が重複していて数が多いとの理由で、昭和35年頃に廃止され、⸢ユーニンガイ[⸢juːniŋgai]の祭祀に統合された。それ以後は、ユーニンガイ(世願い)においては (i)~(vii) の総括的祈願と、(vii) ム⸢シヌニンガイ[mu⸢ʃinu niŋ⸣gai](虫払いの祈願)が行われた。そして、同じく旧暦三月の庚の日に、(ix) パ⸢マウリソー⸣ジ[pa⸢maʔurisoː⸣ʤi](浜下り精進)と (x) ⸢プーヌソー⸣ジ[⸢puːnusoː⸣ʤi](稲の\ruby{出穂}{シュッ|スイ}祈願の精進)が執り行われたが、最後まで稲作を続けられた友利三益氏の石垣島移住と人口激減に伴い、(ix)、(x) の祈願も廃止されている 17723 0 0 17733 htmvoc_17723.wav ユーヌアールン ⸢ユー⸣ヌ ⸢アールン [⸢juː⸣nu ⸢ʔaːruŋ] 連 湯が沸いて吹き上がる。ム⸢チ[mu⸢ʧi](餅)やア⸢ラシコーシ[ʔa⸢raʃikoːʃi](蒸し菓子)等が蒸しあがることをいう。 ⸢ユー⸣ヌ ⸢アールン⸣ケン ム⸢チェー アーラシバル⸣ ナル [⸢juː⸣nu ⸢ʔaːruŋ⸣kem mu⸢ʧeː ʔaːraʃibaru⸣ naru] (湯が沸いて吹き上がるまで餅は蒸し煮しなければならない<蒸し煮すればぞできる>) 17725 0 0 17734 htmvoc_17725.wav ユーヌアキルンケン ⸢ユー⸣ヌ ア⸢キルン⸣ケン [⸢juː⸣nu ʔa⸢kiruŋ⸣keŋ] 連 夜が明けるまで。徹夜して。普通は、⸢ユー⸣ヌ ガ⸢ルン⸣ケン[⸢juː⸣nu ga⸢ruŋ⸣keŋ](夜が明けるまで)という。 ⸣ニービキヨイヤー ウ⸢トゥザマリ⸣ スルイティ ⸢ユー⸣ヌ ア⸢キルン⸣ケン ⸢ソーッ⸣タン [⸣niːbikijoijaː ʔu⸢tuʣamari⸣ suruiti ⸢juː⸣nu ʔa⸢kiruŋ⸣ken ⸢soːt⸣taŋ] (結婚祝いは親戚揃って夜通し<夜が明けるまで>なされた) 17726 0 0 17735 htmvoc_17726.wav ユーヌカージ ⸢ユー⸣ヌ カー⸢ジ [⸢juː⸣nu kaː⸢ʤi] 連 夜毎に。毎夜。⸢ユール⸣ヌ カー⸢ジ[⸢juːru⸣nu kaː⸢ʤi](夜毎に)ともいう。 ク⸢ヌ⸣グロー ⸢ユー⸣ヌ カー⸢ジ⸣ マ⸢ヤ⸣ヌ ⸣フヤー ⸢シー⸣ ナ⸢クン⸠ツォー [ku⸢nu⸣guroː ⸢juː⸣nu kaː⸢ʤi⸣ ma⸢ja⸣nu ⸣ɸujaː ⸢ʃiː⸣ na⸢kun⸠ʦo] (近頃<この頃>は夜毎に猫が発情して鳴くんだよ{EOS}うるさくて困る) 17724 0 0 17736 htmvoc_17724.wav ユーヌスビ ⸢ユーヌ⸣ ス⸢ビ [⸢juːnu⸣ su⸢bi] 連 旧暦12月に行われる、一年間のすべての祭祀祈願に対する感謝の祭祀祈願。普通は、ス⸢ビニンガイ[su⸢biniŋgai](神へ感謝する祈願{EOS}「首尾願い」の義)という。 カ⸢ツシンヌ⸣ ウ⸢ワール⸣カー ⸢カンナン⸣ドーナーティ ス⸢ビニンガイ ソーッ⸣タン [kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʔu⸢waːru⸣kaː ⸢kannan⸣doːnaːti su⸢biniŋgai soːt⸣taŋ] (カツオ漁船が操業を終えると石垣島の観音堂で感謝の祈願<首尾願い>をされた) 17727 0 0 17737 htmvoc_17727.wav ユーヌナマシキ ⸢ユー⸣ヌ ナ⸢マ⸣シキ [⸢juː⸣nu na⸢ma⸣ʃi̥ki] 連 ゆあか(湯垢)。風呂や薬缶などに付く湯の垢。ア⸢ガサビ[ʔa⸢gasabi](赤錆)ともいう。 ヤ⸢コン⸣ヌ ⸢ユー⸣ヌ ナ⸢マシ⸣キ(ア⸢ガサビ⸣)⸣ガジ ウ⸢タ⸣シ [ja⸢kon⸣nu ⸢juː⸣nu na⸢maʃi̥⸣ki<ʔa⸢gasabi⸣> ⸣gaʤi ʔu⸢ta⸣ʃi] (薬缶の湯垢を\ruby{擦}{コス}って落としなさい) 17728 0 0 17738 htmvoc_17728.wav ユーバイ ⸢ユー⸣バイ [⸢juː⸣bai] 名 めかけ(妾)。愛人。若年層は⸢ユー⸣ベー[⸢juː⸣beː](妾)という。 ウ⸢レー ユーベー⸣トゥヌ ⸣ナカナーン ッ⸢ふァー ブン⸠ダー [ʔu⸢reː juːbeːtu⸣nu ⸣nakanaːŋ f⸢faː bun⸠daː] (彼は妾との間にも子供がいるよ) 17729 0 0 17739 htmvoc_17729.wav ユーバイプシ ⸢ユーバイ⸣プシ [⸢juːbai⸣pu̥ʃi] 名 流れ星。老年層の言葉。「よばいぼし(夜這星)」『枕草子254』の転訛したもの。⸢ユー⸣バイ[⸢juː⸣bai]は、「~長谷小国に夜延為<ヨバヒセス>~。万、3312」の転訛したもの。流星は不吉なことの前兆として\ruby{忌}{イ}み\ruby{嫌}{キラ}われた。 ム⸢カ⸣シプソー ⸢ユー⸣バイプシヌ ン⸢ジ⸣ルカー トゥッ⸢ふェ⸣ トゥッ⸢ふェ⸣ティ ⸢チン⸣チ ⸣パキティ ア⸢ゾーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢juː⸣baipu̥ʃinu ʔn⸢ʤi⸣rukaː tuf⸢fe⸣ tuf⸢fe⸣ti ⸢ʧin⸣ʧi ⸣pḁkiti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (昔の人は流星が現れる<出る>と、ペッペッと\ruby{唾}{ツバ}を\ruby{吐}{ハ}けといわれた) 17730 0 0 17740 htmvoc_17730.wav ユーパナシ ⸢ユーパナ⸣シ [⸢juːpana⸣ʃi] 名 夜話。夜話しをすること。 ⸢ユーボン⸣ヌ ⸣アトー ⸣アッパター ア⸢ツァ⸣マリ ⸢ユーパナ⸣シ ⸢ソーッ⸣タン [⸢juːbon⸣nu ⸣ʔatoː ⸣ʔappataː ʔa⸢ʦa⸣mari ⸢juːpana⸣ʃi ⸢soːt⸣taŋ] (夕飯の後、お祖母さんたちは集まって夜話をされた) 17731 0 0 17741 htmvoc_17731.wav ユーピキ ⸢ユー⸣ピキ [⸢juː⸣pi̥ki] 名 \ruby{湯掻}{ユ|ガ}くこと。ゆびく(湯引く)こと。「Yubiqi,ユビキ、ク、イタ(湯引き、く、いた)野菜や魚などを、湯の中に通してすぐに取り出す」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。野菜のあくを抜くために熱湯にしばらく浸した後に取り上げて絞り、水分を切って刺身の妻にしたり、お汁のあしらいにした。 ⸢ナーンパー⸣ヤ ⸢ユー⸣ピキ シ⸢ティ⸣ ス⸢ブ⸣リティ ナ⸢マ⸣シナ ⸣シキバ [⸢naːmpaː⸣ja ⸢juː⸣pi̥ki ʃi̥⸢ti⸣ su⸢bu⸣riti na⸢ma⸣ʃina ⸣ʃi̥kiba] (菜っ葉は湯掻いてから搾って刺身につけなさいよ) 17732 0 0 17742 htmvoc_17732.wav ユーピサヤー ⸢ユーピサヤー [⸢juːpi̥sajaː] 名 寄棟造の屋根。屋根が四つの斜面(平)からなる家。「四平家<よ・ひらや>」の義。カ⸢タピサ⸣ヤー[kḁ⸢tapi̥sa⸣jaː](片流れの屋根)、フ⸢タピサヤー[ɸu̥⸢tapi̥sajaː](切妻屋根)構造の屋根がある。 ウ⸢ブヤー⸣ヤ ムー⸢ル ユーピサヤー トー⸣ラー フ⸢タピサヤー ヤッタル [ʔu⸢bu⸣jaːja muː⸢ru juːpi̥sajaː toː⸣raː ɸu̥⸢tapi̥sajaː jattaru] (母屋はみんな寄棟造り、炊事小屋は切妻屋根だったよ) 17733 0 0 17743 htmvoc_17733.wav ユーフル ⸢ユー⸣フル [⸢juː⸣ɸuru] 名 風呂。「湯風呂」の義。風呂のある家は二、三軒にすぎなかった。海水浴することが入浴であった。ス⸢ナ⸣カー ⸢クヮン⸣ヌ ⸢ユー⸣フル[su⸢na⸣kaː ⸢kwan⸣nu ⸢juː⸣ɸuru](海は官<公>の湯風呂だ<無料で入れる風呂だ>)<諺> 17734 0 0 17744 htmvoc_17734.wav ユーフルチン ⸢ユーフル⸣チン [⸢juːɸuru⸣ʧiŋ] 名 風呂賃。 ⸢ユーフル⸣チン ⸢イー⸣リ ⸣クー [⸢juːɸuru⸣ʧiŋ ⸢ʔiː⸣ri ⸣kuː] (風呂賃を貰ってきなさい) 17735 0 0 17745 htmvoc_17735.wav ユーフルヤー ⸢ユー⸣フルヤー [⸢juː⸣ɸurujaː] 名 風呂屋。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ユー⸣フルヤーヤ ⸢ナーン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢juː⸣ɸurujaːja ⸢naːŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島には、風呂屋はなかった) 17736 0 0 17746 htmvoc_17736.wav ユーベー ⸢ユー⸣ベー [⸢juː⸣beː] 名 めかけ(妾)。愛人。若年層の言葉。老年層は⸢ユー⸣バイ[⸢juː⸣bai](妾)という。 プ⸢スヌ ユー⸣ベー ナ⸢ル⸣ナ⸢ヨー [pu̥⸢sunu juː⸣beː na⸢ru⸣na⸢joː] (他人の妾になるなよ) 17737 0 0 17747 htmvoc_17737.wav ユーベーブシ ⸢ユーベー⸣ブシ [⸢juːbeː⸣buʃi] 名 流れ星。「Yobaiboxi.ヨバイボシ(婚星・流星)空中で燃える閃光で、星が花火のように見えるもの」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。若年層は、ナ⸢ガリ⸣ブシ[na⸢gari⸣buʃi](流星)ともいう。 ム⸢カ⸣シプスンケーヤ ナ⸢ガリブシ⸣ヨー ⸢ユーベー⸣ブシティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃipu̥suŋkeːja na⸢garibuʃi⸣joː ⸢juːbeː⸣buʃiti ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (昔の人々は流れ星をユーベーブシといわれたものだ) 17738 0 0 17748 htmvoc_17738.wav ユーボン ⸢ユー⸣ボン [⸢juː⸣boŋ] 名 夕食。「夕飯」の義。「夕」に、「飯、翁班尼」『琉球館訳語』、「飯 'om・par(n)i」『語音翻訳』、「みおばに おはに 美飯のことなり」『混効験集』の付いた形の転訛したもの。⸢ユー⸣キ[⸢juː⸣ki](夕飯{EOS}「\ruby{夕餉}{ユウ|ゲ}」の転訛したもの)ともいう。 ⸢ユーボン⸣マー ⸢マーズン⸣シ ッ⸢ふァイティ⸣ パリバ [⸢juːbom⸣maː ⸢maːʣuŋ⸣ʃi f⸢faiti⸣ pariba] (夕飯は一緒に食べてから行きなさい) 17739 0 0 17749 htmvoc_17739.wav ユーボンジブン ⸢ユー⸣ボンジブン [⸢juː⸣bonʤibuŋ] 名 夕食時。夕食時分。 ⸢ユー⸣ボンジブン ナ⸢リ⸣ブバ ⸢パー⸣ク ⸢ヤー⸣ パリ [⸢juː⸣bonʤibun na⸢ri⸣buba ⸢paː⸣ku ⸢jaː⸣ pari] (夕食時になっているから早くお家に帰りなさい<行け>) 17740 0 0 17750 htmvoc_17740.wav ユーボンプシ ⸢ユー⸣ボンプシ [⸢juː⸣bompu̥ʃi] 名 宵の明星。夕方西方の空に見える金星。ゆうずつ(夕星)。「夕飯星」の義。⸢ダイ⸣ケーヌ ⸢アー⸣ヤプシ[⸢dai⸣keːnu ⸢ʔaː⸣japu̥ʃi](大工家のお父さん星)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ユー⸣ボンプシヌ ン⸢ジ⸣ルンケン パ⸢タ⸣キナール ⸢オーッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢juː⸣bombuʃinu ʔn⸢ʤi⸣ruŋkem pḁ⸢ta⸣kinaːru ⸢ʔoːt⸣ta] (昔は宵の明星が出るまで畑に<ぞ>おられた) 17741 0 1 17751 htmvoc_17741.wav ユーマール ⸢ユーマー⸣ル [⸢juːmaː⸣ru] 名 {Mn_1}夜回り。夜警。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ヒョーシギ⸣バ ⸣ウテーティ ⸢ユーマー⸣ル ⸢ソーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢çoːʃigi⸣ba ⸣ʔuteːti ⸢juːmaː⸣ru ⸢soːt⸣taŋ] (昔は拍子木を打ちながら夜回りをされたものだ)。 17741 0 2 17752 htmvoc_17741.wav ユーマール ⸢ユーマー⸣ル [⸢juːmaː⸣ru] 名 {Mn_2}夜遊び。青年たちが夜外へ出て遊ぶこと。 ム⸢カ⸣シェー バ⸢カー⸣ムノー ター⸢ン ユーマー⸣ル ⸢シーシタ [mu⸢ka⸣ʃeː ba⸢kaː⸣munoː taː⸢ɲ juːmaː⸣ru ⸢ʃiːʃi̥ta] (昔は、若者は誰も夜遊びをしたよ) 17742 0 0 17753 htmvoc_17742.wav ユーマーレー ⸢ユーマー⸣レー [⸢juːmaː⸣reː] 名 夜遊びする者。「夜回り者」の義。 ⸢ウンザー ユーマー⸣レー ⸣ナリティ ムッ⸢トゥ⸣ シ⸢グトゥ サンバン [⸢ʔunʣaː juːmaː⸣reː ⸣nariti mut⸢tu⸣ ʃi⸢gutu sambaŋ] (あいつは夜遊びする者になって、ちっとも仕事をしないわい) 17743 0 0 17754 htmvoc_17743.wav ユーマキ ⸢ユーマキ [⸢juːmaki] 名 不作。特に稲、粟、麦等の穀類の不作に対していう。年によって収穫量が落ちること。年年の気象条件によって\ruby{作柄}{サク|ガラ}が悪くなること。「世負け」の義か。明治生まれの老年層の使用語彙。若年層では死語となっている。 ⸢ザイレーマイ⸣ヤー ⸢ユーマキ サンドゥ ホーライマイ⸣ヌ ⸣スコー トゥ⸢ララ⸣ヌ [⸢ʣaireːmai⸣jaː ⸢juːmaki sandu ⸢hoːraimai⸣nu ⸣su̥koː tu⸢rara⸣nu] (在来種の稲は不作にならない<\ruby{作柄}{サク|ガラ}は悪くならない>が、\ruby{蓬莱米}{ホウ|ライ|マイ}ほどには収穫量は取れない) 17744 0 0 17755 htmvoc_17744.wav ユーミジ ⸢ユー⸣ミジ [⸢juː⸣miʤi] 名 湯。湯水。⸢ピーリ⸣ミジ[⸢piːri⸣miʤi](冷水)の対義語。 ⸢ユー⸣ミジェー ⸣タライナー イ⸢リティ ピーリ⸣ミジシ ⸢バイティ⸣ ヤ⸢ラ⸣ビ ミ⸢ジ⸣ ア⸢マシ⸣バ [⸢juː⸣miʤeː ⸣tarainaː ʔi⸢riti piːri⸣miʤiʃi ⸢baiti⸣ ja⸢ra⸣bi mi⸢ʤi⸣ ʔa⸢maʃi⸣ba] (お湯を\ruby{盥}{タライ}に入れて、冷や水でうすめて<割って>子供を入浴させなさい<水を浴びせなさい>) 17745 0 0 17756 htmvoc_17745.wav ユーミチ ⸢ユー⸣ミチ [⸢juː⸣miʧi] 名 夜道。 ⸢ユー⸣ミチェー ッ⸢ふァガマリティ⸣ ガ⸢ル⸣ シゥ⸢カン⸣カー ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢juː⸣miʧeː f⸢fagamariti⸣ ga⸢ru⸣ si̥⸢kaŋ⸣kaː ʔa⸢rakara⸣nu] (夜道は真っ暗な状態に<暗がりに>なって、明かりを\ruby{灯}{トモ}さないと歩かれない) 17746 0 0 17757 htmvoc_17746.wav ユームシ ⸢ユームシ [⸢juːmuʃi] 名 (数)四回。四度。⸢ムシ[⸢muʃi](回数)は人間の行動を含めた固体資料の出現する頻度を表すのに対し、⸢ケー⸣ラ[⸢keː⸣ra](回数)は「人間が意図的に行う往復回数<試行>」のニュアンスが伴う。 ユ⸢ヌ⸣ ム⸢ニ⸣バ ⸢ユームシ⸣ ア⸢ジ⸣ シゥ⸢カスンドゥ⸣ ウ⸢ブイユーサン⸣バン [ju⸢nu⸣ mu⸢ni⸣ba ⸢juːmuʃi⸣ ʔa⸢ʤi⸣si̥⸢kasundu⸣ ʔu⸢buijuːsam⸣baŋ] (同じ言葉を四度話して聞かせるのだが覚えきれないワイ) 17747 0 0 17758 htmvoc_17747.wav ユームチ ⸢ユームチ [⸢juːmuʧi] 名 ⸢世持ち」の義。⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代{EOS}部落総代{EOS}部落会長{EOS}公民館長に相当)をシ⸢マム⸣チユームチ[ʃi⸢mamu⸣ʧijuːmuʧi](島持ち世持ち{EOS}島最高の村役人)という。⸢スー⸣ダイ[⸢suː⸣dai](総代)は一人。ヤ⸢ク⸣サ[ja⸢ku⸣sa](東村、西村より各一人(計二人)選出され、⸢スー⸣ダイの補佐役となる)、⸢ザーアタ⸣ル[⸢ʣaːʔata⸣ru](座当<座席係>は東村、西村より各一人(計二人)選出され、ヤクサの補佐役となる)、⸢ジンバイ[⸢ʤimbai](膳配り<配膳係り>も東村、西村より各一人(計二人)選出され、ヤクサの補佐役となる)らが村役人であった。豊年祭の「みちうた(道歌)」に/ヘイヤ ティジリキャーヌ ホー アトゥンヤ(ヘイヤー手擦り部たち<男性神職者>の後には)/ヘイヤー ユムチキャードゥ  ホー ティユマス(ヘイヤー総代以下の村役人たちを讃える<響ます>)/ヘイヤー シマムチャードゥ ホー ナトゥラス(ヘイヤー島持ち世持ちたちを讃える)/とある 17748 0 0 17759 htmvoc_17748.wav ユーヤキ ⸢ユー⸣ヤキ [⸢juː⸣jaki] 名 夕焼け。標準語の転訛したもの。ア⸢サヤ⸣キ[ʔa⸢saja⸣ki](朝焼け)の対義語。 ⸢ユーヤキ⸣ヌ ⸢スー⸣カー ⸢ナーツァー オシケー ノー⸣ルンツォー [⸢juːjaki⸣nu ⸢suː⸣kaː ⸢naːʦaː ʔoʃi̥keː noː⸣runʦoː] (夕焼けが起きると翌日は、天気はよくなるそうだ) 17749 0 0 17760 htmvoc_17749.wav ユーリー ⸢ユー⸣リー [⸢juː⸣riː] 名 幽霊。死者の魂。若年層は、⸢ユー⸣レー[⸢juː⸣reː](幽霊)ともいう。 ウ⸢ヌ ンーナカク⸣ナー ⸢ユー⸣ル ⸣ナルカー ⸢ユーリー⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンツォー [ʔu⸢nu ʔnːnakaku⸣naː ⸢juː⸣ru ⸣narukaː ⸢juːriː⸣nu ʔn⸢ʤi⸣runʦoː] (その空き屋敷には、夜になると幽霊が出るそうです) 17750 0 0 17761 htmvoc_17750.wav ユーリキー ⸢ユーリキー [⸢juːrikiː] 名 流木。「寄り木」の義。 ム⸢カ⸣シェー カ⸢ジフキヌ⸣ アトー ⸢ユーリキーヌ ユーリ クー⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ka⸢ʤiɸu̥kinu⸣ ʔatoː ⸢juːrikiːnu juːri kuː⸣taŋ] (昔は台風<風吹き>の後には流木が流れ寄ってきたものだ) 17751 0 0 17762 htmvoc_17751.wav ユーリシキ ⸢ユーリシキ [⸢juːriʃi̥ki] 名 うるうづき(\ruby{閏月}{ウルウ|ヅキ})。太陰暦で同じ月が二度続いてある月。「寄り月」の義。「Yorizzuqi.ヨリヅキ(寄月) Vruzzuqi(閏月)という方がまさる.日本人が三年ごとに年に増し加える月」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ク⸢トゥシェー ニンガチ⸣ヌ ⸢ユーリシキヌ⸣ アンティ⸢ダー [ku̥⸢tuʃeː niŋgaʧi⸣nu ⸢juːriʃi̥kinu⸣ ʔanti⸢daː] (今年はニ月の閏月があるそうだよ) 17752 0 0 17763 htmvoc_17752.wav ユーリッサ ⸢ユーリッサ [⸢juːrissa] 名 流れ草。「寄り草」の義。 パ⸢マ⸣ナー ⸢ユーリッサヌ ナー⸣リ ⸣ケーバ パ⸢タ⸣ケー カ⸢タ⸣ミ ⸣パリバ [pa⸢ma⸣naː ⸢juːrissanu naːri⸣keːba pḁ⸢ta⸣keː kḁ⸢ta⸣mi ⸣pariba] (浜には流れ草が流れてきているから、畑へ担いで行きなさいよ<畑に搬入しなさいよ>) 17753 0 0 17764 htmvoc_17753.wav ユーリトゥシ ⸢ユーリトゥシ [⸢juːrituʃi] 名 うるうどし(\ruby{閏年}{ウルウ|ドシ})。閏のある年。「寄り年」の義。 ク⸢トゥシェー ユーリトゥシ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ユ⸢ヌシキ⸣ヌ フ⸢タムシ⸣ クーン⸢ダー [ku̥⸢tuʃeː juːrituʃi⸣ ja⸢runda⸣ ju⸢nuʃi̥ki⸣nu ɸu̥⸢tamuʃi⸣ kuːn⸢daː] (今年は閏年だから、同じ月が二度やって来るよ) 17754 0 0 17765 htmvoc_17754.wav ユーリムヌ ⸢ユーリムヌ [⸢juːrimunu] 名 流れ物。漂流物。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢シ⸣ヌナルンドーレール ⸢ユーリムヌ ヤッタヌ⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢ペットボト⸣ル ビ⸢ニー⸣ルンドーレール ⸢ゴー⸣ラー [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ʃi⸣nunarundoːreːru ⸢juːrimunu jattanu⸣ ma⸢na⸣maː ⸢pettoboto⸣ru bi⸢niː⸣rundoːreːru ⸢goː⸣raː] (昔は椰子の実などが漂流物であったが、今はペットボトルやビニールなどが多い) 17755 0 0 17766 htmvoc_17755.wav ユール ⸢ユー⸣ル [⸢juː⸣ru] 名 こより(\ruby{紙縒}{コ|ヨリ})縄。アダナシの気根の繊維を細かく裂いて\ruby{綯}{ナ}い、細い縄にしたもの。凧の糸<縄>にしたり、⸢アン⸣スク[⸢ʔan⸣su̥ku](網袋{EOS}獲物入れ{EOS}弁当入れ)を編むのに用いた。「搓、与留<よる>」『新撰字鏡』、「~糸をぞ吾が搓<ヨル>~。万、1987」の転訛したものか。 ア⸢ダナ⸣シユールシ ア⸢ン⸣スク ⸣フミティ イ⸢ソーン⸣ パ⸢タ⸣ケーン ウ⸢リバ⸣ ム⸢ティ⸣ル ⸢オーッ⸣タ [ʔa⸢dana⸣ʃijuːruʃi ⸢ʔan⸣su̥ku ⸣ɸumiti ʔi⸢soːm⸣ pḁ⸢ta⸣keːŋ ʔu⸢riba⸣ mu⸢ti⸣ru ⸢ʔoːt⸣ta] (アダンの繊維で綯ったこより縄でアンスク網袋を編んで、潮干狩りにも畑にもそれを持って行かれた) 17756 0 0 17767 htmvoc_17756.wav ユール ⸢ユー⸣ル [⸢juː⸣ru] 名 夜。⸢ピール[⸢piːru](昼{EOS}<比流>万、3732)の対義語。「茜草さす比流波<ヒルは>もの思ひ~欲流波<ヨルは>~。万、3732」の「欲流」が転訛したもの。 ⸢ユール⸣ヌ ニ⸢ブ⸣ミーン ニ⸢バナー ブー⸣バ ⸢ウー⸣ミ ウ⸢リティル⸣ キンパダーン ⸣ヌイ キ⸢サシタ [⸢juːru⸣nu ni⸢bu⸣miːn ni⸢banaː buː⸣ba ⸢ʔuː⸣mi ʔu⸢ritiru⸣ kimpadaːn ⸣nui ki̥⸢saʃi̥ta] (夜の寝る暇も寝ずに、麻を績んで、それを織って<ぞ>着物も縫って着せたものだ) 17757 0 0 17768 htmvoc_17757.wav ユールピール ⸢ユールピー⸣ル [⸢juːrupiː⸣ru] 名 昼夜。日夜。夜も昼も絶え間なく。ABCDBC型の重言。「夜<用流>万、807・昼<比流>万、4089」の義。「吾が恋は夜畫不別<ヨルヒルわかず>~。万、2902」の転訛したもの。 ⸢ユールピー⸣ルティ ⸢ナー⸣ン パ⸢タラキトゥーシティ⸣ ヤッ⸢トゥ⸣シ ⸣ウカー パ⸢ライ⸣キシェーン [⸢juːrupiː⸣ruti ⸢naː⸣m pḁ⸢tarakituːʃiti⸣ jat⸢tu⸣ʃi ⸣ʔukaː pa⸢rai⸣ki̥ʃeːŋ] (夜昼となく働いて、借金はすべて返済した<払いきった>) 17758 0 0 17769 htmvoc_17758.wav ユールユナカ ⸢ユールユナ⸣カ [⸢juːrujuna⸣ka] 名 夜の夜中。真夜中。 ⸢ユールユナ⸣カーラ サ⸢キヌミ⸣プスン ウ⸢コーサ⸣リティ スズー⸢コ オス⸣ク シ⸢ラリ ミッ⸣タン [⸢juːrujuna⸣kaːra sḁ⸢kinumi⸣pu̥suŋ ʔu⸢koːsa⸣riti suʣuː⸢ko ʔosu̥⸣ku ʃi⸢rari mit⸣taŋ] (夜の夜中から酔っ払いに起こされて、非常に迷惑をこうむった<迷惑させられてみた>) 17759 0 1 17770 htmvoc_17759.wav ユールン ⸢ユールン [⸢juːruŋ] 自動 {Mn_1}寄る。近寄る。 ⸢ワーン⸣ トン ⸢ユールンティ スンドゥ ユーララヌ [⸢waːn⸣ toŋ ⸢juːrunti sundu juːraranu] (君の所へ寄ろうとするが、寄られない)。 ⸣クマンター ⸢ユーリ⸣ ミサカー ⸢ユール⸣ クトー ⸣ナルン [⸣kumantaː ⸢juːri⸣misakaː ⸢juːru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (こちら側へ寄ってよければ寄ることはできる)。 ⸣カマンター ⸢ユーレー⸣ ミサムヌ [⸣kamantaː ⸢juːreː⸣ misamunu] (あちら側へ寄ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ユーリ [⸢maː⸣biŋ ⸢juːri] (もっと寄れ)。 17759 0 2 17771 htmvoc_17759.wav ユールン ⸢ユールン [⸢juːruŋ] 自動 {Mn_2}流れ寄る。漂流する。 ⸢ユーリキーヌ ユーリ⸣ クーン [⸢juːrikiːnu juːri⸣ kuːŋ] (流木が流れてくる<流れ寄ってくる>) 17760 0 0 17772 htmvoc_17760.wav ユーレー ⸢ユー⸣レー [⸢juː⸣reː] 名 幽霊。死者の霊がある形をとって人間界に現れるもの。死者の魂。浮遊して歩くといわれている。⸢ユー⸣レーが出現するのは、それが成仏できずにさ迷っているためで、人に何かを頼むためだといわれている。 ⸢ユーレー⸣ヤ ⸢ヨー⸣ タ⸢ナミグトゥ⸣ヌ アレーティル ン⸢ジ⸣ルティ⸢ダー [⸢juːreː⸣ja ⸢joː⸣ ta⸢namigutu⸣nu ⸣ʔareːtiru ʔn⸢ʤi⸣ruti⸢daː] (幽霊はねえ、頼みごとがあるので出現するそうだよ) 17762 0 0 17773 htmvoc_17762.wav ユーローピールナスン ユー⸣ロー ⸢ピール⸣ ナスン [⸢juː⸣roː ⸢piːru⸣ nasuŋ] 成 夜を昼になす。よ(夜)を日に継ぐ。昼夜を分かたず働いて。 ⸢ユー⸣ロー ⸢ピール⸣ ナシ パ⸢タラキ モー⸣ケール ⸢ジン⸣カニ ⸢ンーナシゥカイ シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢juː⸣roː ⸢piːru⸣ naʃi ⸢moː⸣keːru ⸢ʤiŋ⸣kani ⸢ʔnːnasi̥kai ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (夜を日に継いで儲けたお金を無駄遣いしてはならない) 17763 0 0 17774 htmvoc_17763.wav ユーン ⸢ユーン [⸢juːŋ] 他動 結う。むすぶ。束ねる。縛る。くくる。「~額髪結在<ユヘル>染木綿の~。万、2496」、「~見しし野邊には之米由布倍之母<標ユフ・べしも>。万、4509」の転訛したもの。 ガ⸢マ⸣ジ ⸢ユーン [ga⸢ma⸣ʤi ⸢juːŋ] (髪を結う)。 ⸢ヨーヌ [⸢joːnu] (結わない)。 ⸢ユシキ⸣ヌ ⸣フキシ ⸣サン ⸢ユーンティ ベータン⸣ドゥ ウ⸢リ⸣シェー ⸢ヨームティ⸣ ガヤーシ ⸢ユイ ベー [⸢juʃi̥ki⸣nu ⸣ɸu̥kiʃi ⸣saŋ ⸢juːnti beːtan⸣du ʔu⸢ri⸣ʃeː ⸢joːmuti⸣ gajaːʃi ⸢jui beː] (ススキの茎でサンを結おうとしていたが、それでは結わないで、茅で結っている)。 ⸢マイタブル ユームノー⸣ バ⸢ラフタ⸣ル シゥ⸢カウ⸣ダー [⸢maitaburu juː munoː⸣ ba⸢raɸu̥ta⸣ru si̥⸢kau⸣daː] (稲束を結うのは稲藁を使うのだよ)。 タ⸢ブ⸣ル ⸢ユイヤー⸣ ミサムヌ [ta⸢bu⸣ru ⸢juijaː⸣ misamunu] (稲束を結えばいいのに)。 ⸢マイタブル ⸢ユイ⸣バ [⸢maitaburu jui⸣ba] (稲束を結えよ) 17764 0 0 17775 htmvoc_17764.wav ユーンガール ⸢ユーンガール [⸢juːŋgaːru] 名 世代わり。 ⸢ユーンガール シー⸣ ア⸢ミリカ⸣ユー ⸢ナッ⸣ター ミ⸢ジラ⸣サ ッ⸢ふァイムヌ⸣ カー⸢ニル⸣ アル [⸢juːŋgaːru ʃiː⸣ ʔa⸢mirika⸣juː ⸢nat⸣taː mi⸢ʤira⸣sa f⸢faimunu⸣ kaː⸢niru⸣ ʔaru] (世代わりして、アメリカ世になったので、珍しい食べ物ばかりが<ぞ>ある) 17981 0 0 17776 htmvoc_17981.wav ユーングマル ⸢ユーングマ⸣ル [⸢juːŋguma⸣ru] 名 よごもり(夜籠もり)。豊年祭や結願祭に、祭り当日の前夜から夜を徹して友利御嶽の神々に祈願すること。⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通し)ともいう。 ⸢プー⸣ル ⸣キチゴンナー ⸢カン⸣プスンケー ヤ⸢ク⸣サンケー ムー⸢ル ウイヌ⸣ウガンナー ⸢ユーングマ⸣ル ⸢シール ニン⸣ガイ ⸢オーッ⸣タ [⸢puː⸣ruki̥ʧigonnaː ⸢kam⸣pu̥suŋkeː ja⸢ku⸣saŋkeː muː⸢ru ʔuinu⸣ʔugannaː ⸢juːŋguma⸣ru ⸢ʃiːru niŋ⸣gai ⸢ʔoːt⸣ta] (豊年祭、結願祭には神職者<サカサ、ティジリビ>の方々、村役人<ヤクサ>の方々が皆友利御嶽に夜籠もりして<ぞ>祈願されたものだ) 17644 0 0 17777 htmvoc_17644.wav ユイ ⸢ユイ [⸢jui] 名 え(柄)。「柄、器物茎柯也。衣(え)、一云賀良(から)」『和名抄』の義。 ヤ⸢マンガラシ⸣ヌ ⸢ユイヤー⸣ ブリ ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢maŋgaraʃi⸣nu ⸢juijaː⸣ buri ⸢naː⸣nu] (山刀の柄は折れてしまった)。 ヌ⸢キル⸣ヌ ⸢ユイ [nu⸢kiru⸣nu ⸢jui] (鋸の柄)。 ⸢ガッケ⸣ヌ ⸢ユイヤー⸣ ブ⸢リ ヤッ⸣サン [⸢gakke⸣nu ⸢juijaː⸣ bu⸢rijas⸣saŋ] (鎌の柄は折れやすい)。 カ⸢ナパイヌ ユイヤー⸣ カシンキーシル ス⸢ク⸣ローッタ [ka⸢napainu juijaː⸣ kḁʃiŋkiːʃiru su̥⸢ku⸣roːtta] (鍬の柄は\ruby{樫}{カシ}の木で作られた) 17645 0 0 17778 htmvoc_17645.wav ユイ ⸢ユイ [jui] 名 ゆい(結い)。共同作業に互いの労力を提供し合って助け合うこと。田植えや稲刈り等の共同作業に「結い」をした。⸢結い」で一定の労力の提供を受けたら、それを返す義務があった。農繁期などには、よく結いが行われた。 ⸢トーサ⸣ トゥリン ⸢マイカリン ユイ スー⸣カー ⸢ナン⸣ゲー ⸢ナーン⸣シェン [⸢toːsa⸣ turim ⸢maikariɲ jui suː⸣kaː ⸢naŋ⸣geː ⸢naːŋʃeŋ] (田草取りも稲刈りも結いをすると難儀苦労はなかった)。 ⸢ユイ⸣ シゥ⸢カウ⸣カー ウ⸢ヌ カイ⸣シ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢jui⸣ si̥⸢kau⸣kaː ʔu⸢nu kai⸣ʃi ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (結いを使うと、その返しをしなければならない)。 カ⸢ジェー ユイ⸣ カ⸢バ⸣ヌ [ka⸢ʤeː jui⸣ ka⸢ba⸣nu] (台風は結いの恩を\ruby{被}{カブ}らない<必ず返しの風が吹く><諺>) 17646 0 0 17779 htmvoc_17646.wav ユイ ⸣ユイ [⸣jui] 名 理由。わけ(訳)。ゆえ(故)。「~淀めらば故霜<ユヱしも>あるごと~。万1379」の転訛したもの。 ⸣イカール ⸣ユイシル ⸢アウ⸣ター [⸣ʔikaːru ⸣juisiru ⸢ʔau⸣taː] (いかなる理由で喧嘩したのか)。 ⸢ワー⸣ ムニ ス⸢クタ ユイ⸣シル ⸣バー イ⸢ザレー⸣ダー [⸢waː⸣ muni su̥⸢kuta jui⸣ʃiru ⸣baː ʔi⸢ʣareː⸣ daː] (君の言うことを聞いたわけ<故に、理由>で私は叱られたのだ) 17647 0 0 17780 htmvoc_17647.wav ユイ ⸣ユイ [⸣jui] 名 (数)束。線香などの束を数える単位。老年層の言葉。「~然れども由比氐之<ユヒテシ>紐を~。万、3948」の「由比」が転訛したものか。若年層はタ⸢ブ⸣ル[ta⸢bu⸣ru](束)という。 ⸢カウ⸣ プ⸢ス⸣ユイ ⸣シキ ⸢オーシ [⸢kau⸣ pu̥⸢su⸣jui ⸣ʃi̥ki ⸢ʔoːʃi] (線香を人束<一結い>\ruby{焚}{タ}いて<点けて>差し上げなさい)。 フ⸢タユイ [ɸu̥⸢tajui] (二束)。 ⸢ミーユイ [⸢miːjui] (三束) 17650 0 0 17781 htmvoc_17650.wav ユイカウ ⸢ユイカウ [⸢juikau] 名 イ⸢ツァ⸣カウ [ʔi⸢ʦa⸣kau] (板香)。六本の線香を束ねたもの。板状に製造された線香。沖縄線香を一束<一結い>にしたもの。 ⸢ユイカウ⸣ シキ タ⸢ティ⸣リバ [⸢juikau⸣ ʃi̥ki tḁ⸢ti⸣riba] (結い香<板香>を焚いて<点けて>立てなさい) 17648 0 0 17782 htmvoc_17648.wav ユイカブン ⸢ユイ⸣ カブン [⸢jui⸣ kabuŋ] 連 結いの義務を負う。共同作業で他人から労力の提供を受けた場合、それを返す義務を負うこと。 ⸢タンガ⸣シン ⸣ナル シ⸢グトー ユイ⸣ カブンティ ⸢アー⸣コーラー ⸢ユイ⸣ カ⸢バン⸣モー マ⸢シ [⸢taŋga⸣ʃin ⸣naru ʃi⸢gutoː jui⸣ kabunti ⸢ʔaː⸣koːraː ⸢jui⸣ ka⸢bam⸣moː ma⸢ʃi] (一人ででも出来る仕事は、結いの義務を負うよりも、結の義務を負わないのがましだ) 17651 0 1 17783 htmvoc_17651.wav ユイサー ⸢ユイ⸣サー [⸢jui⸣saː] 感 {Mn_1}民謡の囃子。よいさ。間<合い>の手。 17651 0 2 17784 htmvoc_17651.wav ユイサー ⸢ユイ⸣サー [⸢jui⸣saː] 感 {Mn_2}掛け声。豊年祭の巻き踊りに、旗頭を持ち上げてながら、ヒーヤユイサ ヒーヤユイサと掛け声をかけて踊る。 シ⸢ナ⸣ピキ ⸢ソー⸣ル ⸣ピンマー ⸢ヨイ⸣サー ⸢ヨイ⸣サーティ ⸢シー⸣ ピ⸢キスコーッ⸣タ [ʃi⸢na⸣pi̥ki ⸢soː⸣ru ⸣pimmaː ⸢joi⸣saː ⸢joi⸣saːti ⸢ʃiː⸣ pi̥⸢kisu̥koːt⸣ta] (綱引きされる時はヨイサーヨイサーと掛け声をかけて引っ張られた) 17649 0 0 17785 htmvoc_17649.wav ユイシンカ ⸢ユイシンカ [⸢juiʃiŋka] 名 結いの仲間。共同作業の仲間。 ⸢ユイシンカヌ⸣ スルイティ シ⸢グトゥ スー⸣カー トゥ⸢キユドゥマ⸣ナー ウ⸢ワーリス [⸢juiʃiŋkanu⸣ suruiti ʃi⸢gutu suː⸣kaː tu̥⸢kijuduma⸣naː ʔu⸢waːrisu] (結い<共同作業>の仲間が揃って仕事を始めると、間もなく<時淀まずに{EOS}時を要せず>仕事は終わるよ) 17652 0 0 17786 htmvoc_17652.wav ユイプス ⸢ユイプス [⸢juipu̥su] 名 ⸢結い人」の義。新築儀礼の⸣アーパーレー[⸣ʔaːpaːreː](新室寿ぎ歌)の際に、家の守護神として造られる、茅を結って作った人形。⸢ユイプスンガナシ[⸢juipu̥suŋganaʃi]ともいう。屋根葺きが終了して新築が完了した夜、新築に参加した人々と共に新室でアーパーレーを歌って厄払いの儀式を行う。その際に施主が「結い人」の人形を抱いて、⸢ワンヌン ビー⸣ティ ⸢バンヌン ビー⸣ティ シッ⸢トゥイ シットゥイ[⸢wannumbiː⸣ti ⸢bannumbiː⸣ti ʃi̥t⸢tui ʃittui](貴方も酔い、私も酔って、あな尊や)と叫んで酒を棟木に投げかけ、以後この家の守り神として御座しませといい、⸢結い人」を中柱に結わえておく 17653 0 0 17787 htmvoc_17653.wav ユイマール ⸢ユイマール [⸢juimaːru] 名 ⸢ユイ [⸢jui] (⸢結い」の共同作業を回り順番<輪番>に行うこと)。「結い回り」の義。 バ⸢カー⸣ムンケーヤ ⸢ユイマールバ シェー⸣ティ ア⸢ラシ⸣ ア⸢クンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サ パ⸢タラクン [ba⸢kaː⸣muŋkeːja ⸢juimaːruba ʃeː⸣ti ʔa⸢raʃi⸣ ʔa⸢kunda⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣sa pḁ⸢tarakuŋ] (若者たちは結い回りをして開墾するから、非常に楽しそうに働くよ) 17654 0 0 17788 htmvoc_17654.wav ユイラ ⸢ユイラ [⸢juira] 名 四枚。⸢イラ」は、*[pira] → [ɸira] → [wira] → [jira] → [ira](枚{EOS}片)と転訛したもの。薄くて平らなものを数える単位。「屏風のひとひら畳まれるより~」『源氏物語 東屋』。 プ⸢スイ⸣ラ [pu̥⸢sui⸣ra] (一枚)。 フ⸢タイラ [ɸu̥⸢taira] (二枚)。 ⸢ミーラ [⸢miːra] (三枚)。 ⸢ユイラ [⸢juira] (四枚)。 イ⸢チー⸣ラ [ʔi⸢ʧiː⸣ra] (五枚)。 ⸢ムイラ [⸢muira] (六枚)。 ナ⸢ナイ⸣ラ [na⸢nai⸣ra] (七枚)。 ⸢ヤイラ [⸢jaira] (八枚)。 ク⸢ヌイ⸣ラ [ku⸢nui⸣ra] (九枚)。 ⸢トゥイラ [⸢tuira] (十枚)。 ⸢カイ⸣キ ⸢ユイラ⸣ ン⸢ザ⸣シバ [⸢kai⸣ki ⸢juira⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (皿を四枚出しなさい) 17765 0 0 17789 htmvoc_17765.wav ユガフ ユ⸢ガフ [ju⸢gaɸu] 名 豊年。「世果報」と表記される。歌謡では⸢ユンガフ[juŋgaɸu](世果報)と歌われる。「世(~聖の御世<ミヨ>ゆ~{EOS}万、29)・果報(<幸運>『風姿花伝』)」の合成語で、⸢豊年満作の年」を意味する。⸢ナウリ⸣ユー[⸢nauri⸣juː](\ruby{稔}{ミノリ}の世)の対語として用いられる。 ユ⸢ガフユー⸣ ン⸢カイヨー⸣ラ [ju⸢gaɸujuː⸣ ʔŋ⸢kaijoː⸣ra] (豊年満作の世をお迎えしましょう)。/ダイククヌ ミルク バガ パトゥマニ イモチ クトゥシカラ パトゥマ ユンガフデムヌ ユンガフデムヌ サーンサーン ユ(グ)ーヤー サーサーサー(大国の弥勒神様が我が鳩間島にいらっしゃって、今年から鳩間島は豊年満作であるよ、囃子)。弥勒歌<節>/『鳩間島古典民謡古謡集』 17766 0 0 17790 htmvoc_17766.wav ユガフアミ ユ⸢ガフアミ [ju⸢gaɸuʔami] 名 豊年満作をもたらす雨。⸢世果報雨」の義。十日おきに夜雨が降ると豊年の前兆と歌われている。/ミルクユーヌ シルシ トゥカグシヌ ユーアミ カキブサイミソリ シマヌアルジ シマヌアルジ(弥勒菩薩の御世の前兆は十日ごとに降る夜雨です{EOS}その夜雨を降らせかけてくださいませ、島の守護神様)弥勒歌/『鳩間島古典民謡古謡集』 17767 0 0 17791 htmvoc_17767.wav ユガフドゥシ ユ⸢ガフドゥシ [ju⸢gaɸuduʃi] 名 豊年。稔りの年。「世果報年」の義。 ウ⸢ル⸣ズンナー ア⸢ミ⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーレーンダ ク⸢トゥシェー⸣ ユ⸢ガフドゥシ⸣ マ⸢チ⸣ガイ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ru⸣ʣunnaː ʔa⸢mi⸣nu ⸢goː⸣raːreːnda ku̥⸢tuʃeː⸣ ju⸢gaɸuduʃi⸣ ma⸢ʧi⸣gai ⸢naː⸣nu] (初夏に降雨が多かったから、今年は豊年<世果報年>間違いないよ) 17768 0 0 17792 htmvoc_17768.wav ユガマスン ユ⸢ガマスン [ju⸢gamasuŋ] 他動 歪める。「歪ます」の義。普通は、ヤ⸢ゴーマスン[ja⸢goːmasuŋ](歪める)という。 ⸣ティーシ ⸣セン ピ⸢ク⸣カー ユ⸢ガマスンダ⸣ ユ⸢ガマサン⸣ ヨーニ シ⸢ミ⸣ナーシ ⸢パン⸣キティ ピ⸢キ⸣バ [⸣tiːʃi ⸣ʃem pi̥⸢ku⸣kaː ju⸢gamasunda⸣ ju⸢gamasaŋ⸣ joːni ʃi⸢mi⸣naːʃi ⸢paŋ⸣ki̥ti pi̥⸢ki⸣ba] (手で線を引くと歪めるから、墨縄で弾いて引きなさいよ)。 ユ⸢ガマシ ナー⸣ヌ [ju⸢gamaʃi naː⸣nu] (歪めてしまった)。 ユ⸢ガマス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ju⸢gamasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (歪めることは、してはならない)。 ユ⸢ガマシェー⸣ ミサムヌ [ju⸢gamaʃeː⸣ misamunu] (歪めればいいのに)。 ユ⸢ガマシ [ju⸢gamaʃi] (歪めろ) 17769 0 0 17793 htmvoc_17769.wav ユガミルン ユ⸢ガミルン [ju⸢gamiruŋ] 他動 歪める。ねじれまがらせる。悪くする。老年層は、ヤ⸢ゴーマスン[ja⸢goːmasuŋ]という。 アイニ イ⸢ズ⸣カー プ⸢スヌ⸣ シ⸢ムチ⸣ ユ⸢ガミルンダ⸣ ユ⸢ガミラン⸣ヨーニ パ⸢ナ⸣シバ [⸣ʔaini ʔi⸢ʣu⸣kaː pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢muʧi⸣ ju⸢gamirunda⸣ ju⸢gamiraɲ⸣joːni pa⸢na⸣ʃiba] (そんなに叱ったら人の気持ちを悪くする<歪める>から、気持ちを悪くしない<歪めない>ように話せよ)。 シ⸢ムチ⸣ ユ⸢ガマシ ナー⸣ヌ [ʃi⸢muʧi⸣ ju⸢gamaʃi naː⸣nu] (機嫌を損ねて<歪めて>しまった)。 プ⸢スヌ⸣ シ⸢ムチ⸣ ユ⸢ガミル⸣ クトー ス⸢ナ [pu̥⸢sunu⸣ ʃi⸢muʧi⸣ ju⸢gamiru⸣ ku̥toː su⸢na] (他人の気持ちを損なう<歪める>ことはするな)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢ガミリ⸣バ [⸢maː⸣biŋ ju⸢gamiri⸣ba] (もっとゆがめろよ) 17770 0 0 17794 htmvoc_17770.wav ユカムチ ユ⸢カム⸣チ [ju⸢kamu⸣ʧi] 名 ねだ(根太)。床の敷板を支える横木。「床持ち」の義。イ⸢ツァフン⸣ツァ[ʔi⸢ʦaɸun⸣ʦa](板床)は、このユ⸢カム⸣チ[ju⸢kamu⸣ʧi](根太)に⸣サン[⸣saŋ](桟)をわたして釘を打ち込む。タ⸢キフンツァ[tḁ⸢kiɸunʦa](竹床)の場合は、ユカムチ(根太)にわたした桟に⸢ヌシ⸣トゥル[⸢nuʃi̥⸣turu](竹竿{EOS}ユカムチの下に掛ける竹竿)に締め縄を掛けて引き締めながら床竹を編み上げる。 ユ⸢カム⸣チナー ヌ⸢シ⸣トゥロー ⸣カキティ カ⸢ジン⸣ ム⸢タイララン⸣ヨーニル タ⸢キフンツァー⸣ フム⸢ダー [ju⸢kamu⸣ʧinaː ⸢nuʃi̥⸣turoː ⸣kḁkiti ka⸢ʤim⸣ mu⸢tairaraŋ⸣joːniru tḁ⸢kiɸunʦaː⸣ ɸumu⸢daː] (根太にヌシトゥル<載せ取り{EOS}竹桟>竹を引っ掛けて、床が台風で持ち上げられないように竹床は編むものだよ) 17771 0 0 17795 htmvoc_17771.wav ユガムン ユ⸢ガムン [ju⸢gamuŋ] 自動 歪む。捻じれ曲がる。「喎、ユガム」『類聚名義抄』の転訛したもの。老年層は、ヤ⸢ゴームン[ja⸢goːmuŋ](歪む{EOS}捻じれ曲がる)という。 ン⸢ガフチ⸣ル ヌ⸢マシ⸣ター フ⸢チェー⸣ ユ⸢ガミティ⸣ ナ⸢キ ベー [ʔŋ⸢gaɸu̥ʧi⸣ru nu⸢maʃi̥⸣taː ɸu̥⸢ʧeː⸣ ju⸢gamiti⸣ na⸢ki beː] (苦い薬を飲ませたらば、口を歪めて泣いている)。 ン⸢ガー⸣カー フ⸢チ⸣ ユ⸢ガムン [ʔŋ⸢gaː⸣kaː ɸu̥⸢ʧi⸣ ju⸢gamuŋ] (苦かったら口は歪む)。 ⸢ウスクタンティン⸣ ユ⸢ガマヌ [⸢ʔusu̥kutantiɲ⸣ ju⸢gamanu] (押しても歪まない)。 ⸣クマーラ ユ⸢ガム⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kumaːra ju⸢gamu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (ここから歪むことはない)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢ガメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ju⸢gameː⸣ misamunu] (もっと歪めばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢ガミ⸣バ [⸢maː⸣biɲ ju⸢gami⸣ba] (もっと歪めよ) 17772 0 0 17796 htmvoc_17772.wav ユカラスク ユ⸢カラスク [ju⸢karasu̥ku] 副 十分に。たっぷりと。よほど。かなり。ずいぶん。相当。「よかる・しこ(四顧)<付近。あたり>」の転訛したものか。 ⸢クン⸣ドー ユ⸢カラスコー モー⸣ケーンテイバーヤ [⸢kun⸣doː ju⸢karasu̥koː moː⸣keːntibaːja] (今度はかなり儲けたそうだよ)。 ユ⸢カラスコー⸣ イ⸢ザレーン⸠ダー [ju⸢karasu̥koː⸣ ʔi⸢ʣareːn⸠daː] (相当に<かなり>叱られたよ) 17773 0 0 17797 htmvoc_17773.wav ユカラプス ユ⸢カラ⸣プス [ju⸢kara⸣pu̥su] 名 士族。「良かる人」の義。⸣ブザ[⸣buʣa](平民の指導者)、⸣アカカラジ[⸣ʔakakaraʣi](百姓)の対義語。 パ⸢トゥ⸣マナー ユ⸢カラ⸣プステー ⸢オーラヌ⸣ヌ ユ⸢カラプス⸣ヌ ⸢グンボー⸣ヤ ⸢オー⸣ルン [pḁ⸢tu⸣manaː ju⸢kara⸣pu̥suteː ⸢ʔoːranu⸣nu ju⸢karapu̥su⸣nu ⸢gumboː⸣ja ⸢ʔoː⸣ruŋ] (鳩間島には士族はおられないが、士族の落胤<グンボー{EOS}士族男子と平民女性の間の\ruby{庶子}{ショ|シ}>はおられる) 17774 0 0 17798 htmvoc_17774.wav ユカラプスグンボー ユ⸢カラ⸣プスグンボー [ju⸢kara⸣pu̥sugumboː] 名 石垣の士族の庶子。石垣の士族が鳩間島の役人として赴任し、その任期中の\ruby{賄}{マカナ}い女性との間に出来た庶子。 ⸢バン⸣テヌ ⸣アンマー イ⸢サナキヌ⸣ ア⸢ラカーヌ⸣ ユ⸢カラ⸣プスグンボー ⸢ヤッタ ベー⸣ティ ⸢ソー⸣ラン ⸣ソンガチヌ ⸢シーボー⸣ カ⸢カソーラン⸣シェン [⸢ban⸣tenu ⸣ʔammaː ʔi⸢sanakinu⸣ ʔa⸢rakaːnu⸣ ju⸢kara⸣pu̥sugumboː ⸢jatta beː⸣ti ⸢soː⸣ran ⸣soŋgaʧinu ⸢ʃiːboː⸣ kḁ⸢kasoːraŋ⸣ʃeŋ] (私の母親は石垣島字新川の士族の庶子<グンボー>であったので、お盆の中元や正月のお歳暮は欠かされなかった) 17775 0 0 17799 htmvoc_17775.wav ユカル ユ⸢カル [ju⸢karu] 形 良い。良かる。「良い」のカリ活用の連体形が慣用的用法として認められたもの。沖縄本島方言からの借用語が転訛したもの。 ⸢キュー⸣ヌ ユ⸢カル⸣ ヒー マ⸢サル⸣ ピーナ ニ⸢ガイ⸣シキ ⸢オーサバ⸣ シ⸢キウキ⸣ タ⸢ボー⸣リ [⸢kjuː⸣nu ju⸢karu⸣ çiː ma⸢saru⸣piːna ni⸢gai⸣ʃi̥ki ⸢ʔoːsaba⸣ ʃi̥⸢kiʔuki⸣ ta⸢boː⸣ri] (今日の良き日に、勝る日にお祈り申し上げますから、お聞き届け賜れ)。 ユ⸢カラ⸣ヌ ⸣クトゥ ⸢カンガイ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [ju⸢kara⸣nu ⸣ku̥tu ⸢kaŋgai⸣jaː na⸢ra⸣nu] (良からぬことを考えてはならぬ)。 ユ⸢カラスコー モー⸣ケーン [ju⸢karasu̥koː moː⸣keːŋ] (沢山<良かるほど{EOS}かなり>儲けた) 17776 0 0 17800 htmvoc_17776.wav ユキー ユ⸢キー [ju⸢kiː] 形動 余計。余計に。標準語からの借用語が転訛したもの。普通は、⸢ワーバ⸣グトゥ[⸢waːba⸣gutu](余計なこと)という。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣カー ユ⸢キー<⸢マー⸣ビン> ワッサ⸣ル ⸣ナル [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣kaː ju⸢kiː<⸢maː⸣biŋ> wassa⸣ru ⸣naru] (君が言うと余計悪くなる)。 ユ⸢キーナ⸣ クトー<⸢ワーバ⸣グトー> ⸢シー ッふィンナ [ju⸢kiːna⸣ ku̥toː<⸢waːba⸣gutoː> ⸢ʃiː ffinna] (余計なことはしてくれるな) 17777 0 1 17801 htmvoc_17777.wav ユキーユキーシ ユ⸢キーユキー⸣シ [ju⸢kiːjukiː⸣ʃi] 副 {Mn_1}ゆったりと。十分に余裕をもって。十分に。「余計・余計」の転訛したもの。 ⸢キン⸣マー ユ⸢キーユキー⸣シ キ⸢シアー⸣キバ [⸢kim⸣maː ju⸢kiːjukiː⸣ʃi ki̥⸢ʃi ʔaː⸣kiba] (着物はゆったりとしたものを着ていなさい<着てあるけ>よ)。 17777 0 2 17802 htmvoc_17777.wav ユキーユキーシ ユ⸢キーユキー⸣シ [ju⸢kiːjukiː⸣ʃi] 副 {Mn_2}裕福に。ゆとりのある。 ッ⸢ふァイムノー⸣ ユ⸢キーユキー⸣シ ッ⸢ふァイ アークン [f⸢faimunoː⸣ ju⸢kiːjukiː⸣ʃi f⸢faiʔaːkuŋ] (生活は裕福に暮らしている<食べ物は十分に食べている>か)。 ⸢ウン⸣ネーヤ ユ⸢キーユキーヌ⸣ キ⸢ナイ ヤッタ [⸢ʔun⸣neːja ju⸢kiːjukiːnu⸣ ki⸢nai jatta] (あの家は裕福な家庭であった) 17778 0 0 17803 htmvoc_17778.wav ユク ⸣ユク [⸣juku] 名 欲。欲望。 ⸣ユク ⸣スクン [⸣juku ⸣su̥kuŋ] (欲張る<欲付く>)。 ユ⸢ク⸣ヌ ⸢ナーン⸣ ユンダ ⸣ヌーンクイン プ⸢スン⸣ ッ⸢ふィー ナー⸣ヌ [ju⸢ku⸣nu ⸢naːɲ⸣junda ⸣nuːŋkuim pu̥⸢suŋ⸣ f⸢fi naː⸣nu] (欲がないから、何もかも他人にやって<与えて>しまった)。⸢ミー⸣ヌ ⸣ユコー シゥ⸢カ⸣バン ⸢ティー⸣ヌ ⸣ユコー ⸣シケー ナ⸢ラ⸣ヌ[⸢miː⸣nu ⸣jukoː si̥⸢ka⸣ban ⸢tiː⸣nu ⸣jukoː ⸣ʃi̥keː na⸢ra⸣nu](見るだけなら良いが、取る欲を出してはならない<目の欲はついても、手の欲はついてはならない>)<諺> 17779 0 0 17804 htmvoc_17779.wav ユク ユ⸢ク [ju⸢ku] 名 横。「~彼にも与己佐母<ヨコサモ>~。万、4132」の転訛したもの。普通は、⸣ナイ[⸣nai](縦)、シ⸢マー[ʃi⸢maː](横)という。 ⸣タティユク ⸢マータキナー⸣ キシバ [⸣tḁtijuku ⸢maːtakinaː⸣ ki̥ʃiba] (縦横同じ長さに切りなさい) 17780 0 0 17805 htmvoc_17780.wav ユク ユ⸢ク [ju⸢ku] 名 別。別のもの。 ユ⸢ク⸣ ムヌ ⸣クトゥ ムノー ア⸢ラ⸣ヌ ク⸢リル⸣ プサ [ju⸢ku⸣munu ⸣ku̥umunoː a⸢ra⸣nu ku⸢riru⸣ pu̥sa] (別のもの、他の物ではない{EOS}これが<ぞ>欲しいのだ) 17782 0 0 17806 htmvoc_17782.wav ユクーン ⸣ユクーン [⸣jukuːŋ] 自動 休まれる。⸢眠る」の敬語。「憩う」の義。「息舌、伊己不(いこふ)」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ユ⸢ナ⸣カ ナ⸢ル⸣ター ⸣ユクーンティ ⸢ソールン⸣ドゥ ン⸢ガマサ⸣ヌ ユ⸢コーララン⸣ツォー [ju⸢na⸣ka na⸢ru⸣taː ⸣jukuːnti ⸢soːrun⸣du ʔŋ⸢gamasa⸣nu ju⸢koːraran⸣ʦoː] (夜中になったので、寝ようとされるが、うるさくて眠られないそうだ)。 ⸣メー ⸣ユクイ ⸢ヨー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸣meː ⸣jukui ⸢joː⸣ri ⸢naː⸣nu] (もうお休みになってしまわれた)。 マ⸢ナ⸣マ ⸣ユクー<ユクイ⸢ヨー⸣ル> プ⸢ソー オーラ⸣ヌ [ma⸢na⸣ma ⸣jukuː pu̥⸢soː ʔoːra⸣nu] (今お休まれる<眠られる>人はおられない)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢クイ⸣ヤー<ユクイ⸢ヨー⸣レー> ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ju⸢kui⸣jaː ⸣misamunu] (早く休まれればいいのに)。 ⸣メー ⸣ユクイバ<ユクイ⸢ヨーリ⸣バ> [⸣meː ⸣jukuiba] (もうお休みなさいよ) 17781 0 0 17807 htmvoc_17781.wav ユクイオールン ⸣ユクイ ⸢オー⸣ルン [⸣jukui ⸢ʔoː⸣ruŋ] 連 お休みになる。「休む。寝る」の敬意表現。「息、休、憩、活、慰、イコフ」『類聚名義抄』の連用形に「おはし」が付いて転訛したもの。 ⸣アブジェー イ⸢チンマー⸣ クナール ⸣ユクイ ⸢オールン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ マ⸢ダ⸣ ユクイ ⸢オーラ⸣ヌ [⸣ʔabuʤeː ʔi⸢ʧimmaː⸣ kunaːru ⸣jukui ⸢ʔoːrun⸣du ⸢kjuː⸣ja ma⸢da⸣ jukui ⸢ʔoːra⸣nu] (お祖父さんは、いつもはここで<ぞ>お休みになるが、今日はまだお休みになっていない) 17783 0 0 17808 htmvoc_17783.wav ユクカタ ユ⸢クカタ [ju⸢kukata] 名 別のところ。他のところ。別所。ユ⸢クントン[ju⸢kuntoŋ](別所)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ユ⸢クカタ⸣ナ シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢reː⸣ ju⸢kukata⸣naː ʃi̥⸢ki⸣ri] (それは別のところに置きなさい) 17784 0 0 17809 htmvoc_17784.wav ユクキム ユ⸢クキム [ju⸢kukimu] 名 わきごころ(脇心)。あだしごころ。他の男、または女に惹かれている心。「横肝」の義。ク⸢トゥ⸣キム[ku̥⸢tu⸣kimu](別心{EOS}脇心)ともいう。 ユ⸢クキムバ⸣ ムトゥ ⸣バー ア⸢ラン⸣ダー [ju⸢kukimuba⸣ mutu ⸣baː ʔa⸢ran⸣daː] (脇心<あだしごころ>を持つ私ではありませんよ) 17785 0 0 17810 htmvoc_17785.wav ユクザキ ユ⸢クザ⸣キ [ju⸢kuʣa⸣ki] 名 かぎ裂き。着物の布地などが横に引き裂かれること。 ⸢キン⸣ヌ ユ⸢ク⸣ザキ ⸢シー⸣ シケーン ⸣トンマー ⸣クー ⸢シー⸣ シ⸢キ⸣リ⸢ヨー [⸢kin⸣nu ju⸢ku⸣ʣaki ⸢ʃiː⸣ ʃi̥keːn ⸣tommaː ⸣kuː ⸢ʃiː⸣ ʃi̥⸢ki⸣ri⸢joː] (着物のかぎ裂きにしてある所は、つぎを当てて置きなさいよ) 17786 0 0 17811 htmvoc_17786.wav ユクシ ユ⸢ク⸣シ [ju⸢ku⸣ʃi] 名 \ruby{嘘}{ウソ}。虚言。「\ruby{讒}{ヨコス}、与己須<よこす>」『新撰字鏡』、「人言の讒乎聞而<ヨコスヲキキテ>~。万、2871」の転訛したもの。 ⸢ワー⸣ ムネー ユ⸢ク⸣シ [⸢waː⸣ muneː ju⸢ku⸣ʃi] (君の話は嘘だ)。 ユ⸢ク⸣シ ス⸢ナ [ju⸢ku⸣ʃi su⸢na] (嘘をつくな<するな>)。 ユ⸢ク⸣シェー ア⸢ラ⸣ヌ ⸢フン⸣トー⸢ダー [ju⸢ku⸣ʃeː ʔa⸢ra⸣nu ⸢ɸun⸣toː⸢daː] (嘘ではない{EOS}本当だよ) 17787 0 0 17812 htmvoc_17787.wav ユクシキカーシキ ユ⸢クシキカー⸣シキ [ju⸢kuʃi̥kikaː⸣ʃi̥ki] 副 欲張って。欲張りついて。ABCDEFCD型の重言。 ユ⸢クシキカー⸣シキ ⸢シー⸣ マティ ⸢ベーン⸣ケン ⸢ダイヤー⸣ サ⸢ガ⸣リティ ウ⸢ドゥ⸣キ ⸢ナー⸣ヌ [ju⸢kuʃi̥kikaː⸣ʃi̥ki ⸢ʃiː⸣ mati ⸢beːŋ⸣ken ⸢daijaː⸣ sa⸢ga⸣riti ʔu⸢du⸣ki ⸢beː] (欲張って<値段の上がるのを>待っているうちに、値段は下がって大損しているよ) 17788 0 0 17813 htmvoc_17788.wav ユクジマー ユ⸢クジマー [ju⸢kuʣijmaː] 名 横の方向。横向き。違った方向。よこしまなこと。「\ruby{横様}{ヨコ|ザマ}」の義。「\ruby{僻}{ヘキ}、ヨコサマ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 イ⸢ザリティ⸣ ユ⸢クジマー⸣ ン⸢カウタター⸣ナ ⸣ムニン イ⸢ザヌ [ʔi⸢ʣariti⸣ ju⸢kuʤimaː⸣ ʔŋ⸢kauta taː⸣na ⸣muniŋ ʔi⸢ʣanu] (叱られて横向きになったまま、ものも言わない)。 ユ⸢クジマー⸣ニ ⸣ムネー イ⸢ズナ [ju⸢kuʤimaː⸣ni ⸣muneː ʔi⸢ʣuna] (道理に合わないことを言うな<横道に\ruby{逸}{ソラ}して物言いをするな>) 17789 0 0 17814 htmvoc_17789.wav ユクジマカージマ ユ⸢クジマカー⸣ジマ [ju⸢kuʤimakaː⸣ʤima] 副 違った方向に。横道に逸れて。曲解して。とんでもない方向。ABCDEFCD型の重言。 プ⸢スン⸣ヤヌ ク⸢トゥ⸣バ ユ⸢クジマカー⸣ジマ ⸣ナシ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [pu̥⸢suɲ⸣janu ku̥⸢tu⸣ba ju⸢kuʤimakaː⸣ʤima ⸣naʃi pa⸢na⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (他所の家のことを歪曲して<横道に逸らして>話してはならない) 17790 0 0 17815 htmvoc_17790.wav ユクシムニ ユ⸢クシ⸣ムニ [ju⸢kuʃi⸣muni] 名 \ruby{嘘}{ウソ}。\ruby{虚言}{キョ|ゲン}。「\ruby{讒}{ヨコシ}・与己須<よこす>」『新撰字鏡』の転訛したもの。「よこし・ものいひ」の転訛か。 ウ⸢リヌ⸣ ア⸢ズ⸣ムネー ムー⸢ル⸣ ユ⸢クシ⸣ムニ ヤ⸢ルンダ⸣ ス⸢クナ [ʔu⸢rinu⸣ ʔa⸢ʣu⸣ muneː muː⸢ru⸣ ju⸢kuʃi⸣muni ja⸢runda⸣ su̥⸢kuna] (あれ<彼>の言うことは、すべて嘘<虚言>だから、聞くなよ) 17791 0 0 17816 htmvoc_17791.wav ユクシムニシームヌ ユ⸢クシ⸣ムニ ⸢シームヌ [ju⸢kuʃi⸣muni ⸢ʃiːmunu] 連 \ruby{嘘吐}{ウソ|ツ}き。 ウ⸢レー⸣ ユ⸢クシ⸣ムニ ⸢シームヌ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ムネー ス⸢クナ⸣ヨー [ʔu⸢reː⸣ ju⸢kuʃi⸣muni ⸢ʃiːmunu⸣ ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ muneː su̥⸢kuna⸣joː] (彼は\ruby{嘘吐}{ウソ|ツキ}だから、彼のいうことは聞くなよ) 17792 0 0 17817 htmvoc_17792.wav ユクジン ユ⸢ク⸣ジン [ju⸢ku⸣ʤiŋ] 名 欲張り。強欲な人。 イ⸢カス⸣ク ⸢モーカ⸣バン ユ⸢ク⸣ジン ヤ⸢ルンダ⸣ ク⸢ビッチン⸣マーンツァン ⸣バキ ッ⸢ふィーラヌ [ʔi⸢kasu̥⸣ku ⸢moːka⸣baŋ ju⸢ku⸣ʤiŋ ja⸢runda⸣ ku⸢bitʧim⸣maːnʦam ⸣baki f⸢fiːranu] (どんなに儲けても欲張りだから、これぽっちすらも分けてくれない) 17793 0 0 17818 htmvoc_17793.wav ユクスクン ユ⸢ク⸣ スクン [ju⸢ku⸣ su̥kuŋ] 連 欲張る。欲を掻く。「欲付く」の義。 ユ⸢ク⸣ スクンティ ⸢アー⸣キ ⸢カイ⸣テー ⸢スンカブ⸣リ ⸢シー ナー⸣ヌ [ju⸢ku⸣ su̥kunti ⸢ʔaː⸣ki ⸢kai⸣teː ⸢suŋkabu⸣ri ⸢ʃiː naː⸣nu] (欲張ろう<欲付こう>として、却って欠損してしまった) 17794 0 0 17819 htmvoc_17794.wav ユグスン ユ⸢グスン [ju⸢gusuŋ] 他動 汚す。汚くする。けがす。 ドゥ⸢ル⸣ ム⸢タ⸣ブカー ⸣キン ユ⸢グスン⸠ダー [du⸢ru⸣ mu⸢ta⸣bukaː ⸣kiɲ ju⸢gusun⸠daː] (泥をいじると<\ruby{弄}{モテアソ}ぶ>と着物を汚すよ)。 ⸢キン⸣マー ユ⸢グサンドー⸣シ キ⸢シ [⸢kim⸣maː ju⸢gusandoː⸣ʃi ki̥⸢ʃi] (着物は汚さないで着なさい)。 ドゥ⸢ルゴー⸣ダー ⸢シー⸣ ユ⸢グシ ナー⸣ヌ [du⸢rugoː⸣daː ⸢ʃiː⸣ ju⸢guʃi naː⸣nu] (泥まみれになって、汚してしまった)。 ユ⸢グス⸣ プ⸢ソー⸣ ドゥーシ ア⸢ラシティ⸣ヨー [ju⸢gusu⸣ pu̥⸢soː⸣ duːʃi ʔa⸢raʃi̥ti⸣joː] (汚す人は自分で洗いなさいよ)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢グシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ju⸢guʃeː⸣ misamunu] (もっと汚せばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢グシ⸣バ [⸢paː⸣ku ju⸢guʃi⸣ba] (早く汚しなさいよ) 17795 0 0 17820 htmvoc_17795.wav ユクターラスン ユ⸢クターラスン [ju⸢kutaːrasuŋ] 他動 横たえる。「横、ヨコタフ<下二段>」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ⸣クナー ⸢マイダーラ⸣ ユ⸢クターラスン [⸣kunaː ⸢maidaːra⸣ ju⸢kutaːrasuŋ] (ここに米俵を横たえる)。 パ⸢ラー⸣ヤ ユ⸢クターラサンドー⸣シ タ⸢ティ⸣リ [pa⸢raː⸣ja ju⸢kutaːrasandoː⸣ʃi tḁ⸢ti⸣ri] (柱は横たえないで立てなさい)。 ナー⸢イ⸣ ユ⸢クターラシ⸣ シケーバン [naː⸢ji⸣ ju⸢kutaːraʃi⸣ ʃi̥keːbaŋ] (ただ横たえて放って置いてあるわい)。 シ⸢バーン⸣ トンナー ユ⸢クターラス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʃi⸢baːn⸣ tonnaː ju⸢kutaːrasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (狭い所に横たえることはできない<ならぬ>)。 ユ⸢クターラシェー⸣ ミサムヌ [ju⸢kutaːraʃeː⸣ misamunu] (横たえればいいのに)。 ⸢ビー⸣プソー ⸣クナー ユ⸢クターラシ [⸢biː⸣pu̥soː ⸣kunaː ju⸢kutaːraʃi] (酔っ払いはここに横たえ<て寝かせ>なさい) 17796 0 0 17821 htmvoc_17796.wav ユクタールン ユ⸢クタールン [ju⸢kutaːruŋ] 自動 横たわる。横になる。横に臥す。「いたう気色ばみよこたはれる松のこたかき~」『源氏物語 藤裏葉』の転訛したもの。 ブ⸢ガ⸣リティ ⸣クナー ユ⸢クタールンティ スンドゥ⸣ シ⸢バー⸣ヌ ユ⸢クターララヌ [bu⸢ga⸣riti ⸣kunaː ju⸢kutaːrunti sundu⸣ ʃi⸢baː⸣nu ju⸢kutaːraranu] (疲れて、ここに横たわろうとするが、狭くて横たわれない)。 ユ⸢クターリ⸣ ミサカー ⸣クナー ユ⸢クタール⸣ クトゥン ⸣ナルン [ju⸢kutaːri⸣ misakaː ⸣kunaː ju⸢kutaːru⸣ ku̥tun ⸣naruŋ] (横たわってよければ、ここに横たわることも出来る)。 ⸣カナー ユ⸢クターレー⸣ ミサムヌ [⸣kanaː ju⸢kutaːreː⸣ misamunu] (あそこで横たわればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢クターリ⸣バ [⸢paː⸣ku ju⸢kutaːri⸣ba] (早く横たわれよ) 17797 0 0 17822 htmvoc_17797.wav ユクタイルン ユ⸢クタイルン [ju⸢kutairuŋ] 他動 横たえる。横にする。横に伏せる。 ⸣バウ ユ⸢クタイルン [⸣bau ju⸢kutairuŋ] (棒を横たえる)。 ⸢バウ⸣ワー ユ⸢クタイランドー⸣シ タ⸢ティ⸣リ [⸢bau⸣waː ju⸢kutairandoː⸣ʃi tḁ⸢ti⸣ri] (棒は横たえないでたてろ)。 ユ⸢クタイ⸣ ミサカー ユ⸢クタイル⸣ クトー ⸣ナルン [ju⸢kutai⸣ misakaː ju⸢kutai⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (横たえてよければ、横たえることはできる)。 ユ⸢クタイヤー⸣ ミサムヌ [ju⸢kutaijaː⸣ misamunu] (横たえたらいいのに)。 ユ⸢クタイリ [ju⸢kutairi] (横たえろ) 17798 0 0 17823 htmvoc_17798.wav ユクタウン ユ⸢クタウン [ju⸢kutauŋ] 他動 横たえる。横にする。横に伏せる。 ⸣バウ ユ⸢クタウン [⸣bau ju⸢kutauŋ] (棒を横たえる)。 ⸣バウ ユ⸢クタイティ⸣<ユ⸢クタイトー⸣シティ> ミチ ッ⸢サイベー [⸣bau ju⸢kutaiti⸣ miʧi s⸢sai beː] (棒を横たえて道を\ruby{塞}{フサ}いでいる)。 ⸢バウ⸣ワー ユ⸢クターヌ [⸢bau⸣waː ju⸢kutaːnu] (棒は横たえない)。 ⸣バウ ユ⸢クタウ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣bau ju⸢kutau⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (棒を横たえることはいけない)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢クタイヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ju⸢kutaijaː⸣ misamunu] (もっと横たえればいいのに)。 ン⸢ベーマ⸣ ユ⸢クタイリ [ʔm⸢beːma⸣ ju⸢kutairi] (少し横たえなさい) 17799 0 0 17824 htmvoc_17799.wav ユクタニ ユ⸢クタニ [ju⸢kutani] 名 種違い。父違い<妻の連れ子>。「別<ユク>種」の義か。 ⸢ウン⸣ネヌ シ⸢ザッ⸣ふァー ユ⸢クタニ⸣ ヤ⸢ルンダ ウシトゥ⸣ル ⸣アトー シ⸢グ⸣ パジ [⸢ʔun⸣nenu ʃi⸢ʣaf⸣faː ju⸢kutani⸣ ja⸢runda ʔuʃi̥tu⸣ru ⸣ʔatoː ʃi⸢gu⸣ paʤi] (あの家の上の子は種違いだから、弟が跡を継ぐはずだ) 17819 0 0 17825 htmvoc_17819.wav ユクトン ユ⸢クトン [ju⸢kutoŋ] 名 別所。別の所。ユ⸢クントン[ju⸢kuntoŋ](別の所)ともいう。 ウ⸢レー⸣ ユ⸢ヌ⸣トンナー シ⸢キラン⸣ドーシ ユ⸢クトン⸣ナー シ⸢キ⸣リ [ʔu⸢reː⸣ ju⸢nu⸣tonnaː ʃi̥⸢kiran⸣doːʃi ju⸢kuton⸣naː ʃi̥⸢ki⸣ri] (それは、同じところに置かないで、別の所に置きなさい) 17800 0 0 17826 htmvoc_17800.wav ユクニ ユ⸢クニ [ju⸢kuni] 名 \ruby{腿}{モモ}の付け根。よこね(横根)。そけい(鼠径)リンパ節の炎症によって起る腫物。「Yocone.ヨコネ(横根)\ruby{鼠蹊部}{ソ|ケイ|ブ}にできるある\ruby{腫物}{ハレ|モノ}」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ピングル⸣ヌ ⸢ペー⸣リティ ユ⸢クニ⸣ナー タ⸢ニ⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣ヤミ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢piŋguru⸣nu ⸢peː⸣riti ju⸢kuni⸣naː ta⸢ni⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣jami ʔa⸢rakara⸣nu] (傷口から細菌が入って<冷気が入って>、横根にぐりぐり<種>を作って、痛くて歩かれない) 17801 0 0 17827 htmvoc_17801.wav ユクニヌタニ ユ⸢クニヌ⸣ タニ [ju⸢kuninu⸣ tani] 連 \ruby{腿}{モモ}の付け根のぐりぐり。リンパ\ruby{腺腫脹}{セン|シュ|チョウ}などで出来るぐりぐり。 ユ⸢クニヌ⸣ タ⸢ニ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルカー ⸢ダイ⸣パーナ ピ⸢ル シッ⸣キティ ⸢マー⸣ス マ⸢ザー⸣シティ ⸣ドゥー ピ⸢キットーシ⸣ ッ⸢ふォーッ⸣タン [ju⸢kuninu⸣ ta⸢ni⸣nu ʔn⸢ʤi⸣rukaː ⸢dai⸣paːna pi⸢ru ʃik⸣kiti ⸢maː⸣su ma⸢ʣaː⸣ʃiti ⸣duː pi̥⸢kittoːʃi⸣ f⸢foːt⸣taŋ] (腿の付け根<横根>のぐりぐりが出来ると、\ruby{擂鉢}{スリ|バチ}に\ruby{SqBr}g{/SqBr}{大蒜}{ニンニク}を搗いて塩を混ぜて、それを体に\ruby{擦}{ス}り付けて、上から下へと擦り下ろされたものだ) 17802 0 0 17828 htmvoc_17802.wav ユクニビ ユ⸢クニビ [ju⸢kunibi] 名 \ruby{横臥}{オウ|ガ}。横に寝ること。「Yokone.ヨコネ(横寝)横向きになって寝ること」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの 17803 0 0 17829 htmvoc_17803.wav ユクヌドゥ ユ⸢クヌドゥ [ju⸢kunudu] 名 気管。「横<別>喉」の義。⸢食道とは別の喉」のこと。 ア⸢バティティ⸣ ヌ⸢ム⸣タクトー ⸢サー⸣バ ユ⸢クヌドー⸣ ウ⸢タ⸣シティ ン⸢ツァイ ベー [ʔa⸢batiti⸣ nu⸢mu⸣ta ⸣ku̥toː ⸢saː⸣ba ju⸢kunudoː⸣ ʔu⸢ta⸣ʃi̥ti ʔn⸢ʦai beː] (急いで飲んだところ、お茶を気管に落として、むせって<\ruby{咽}{ムセ}って>咳き込んでいる) 17804 0 0 17830 htmvoc_17804.wav ユクヌマタサカ ユ⸢ク⸣ヌ ⸣マタサカ [ju⸢ku⸣nu ⸣matasaka] 成 欲を張りすぎて損をする。「欲の熊鷹<くまたか>股を裂く」の転訛したもの。 プ⸢ス⸣ケンナー フ⸢ターチ ミーチ モーキ⸣グトゥ ⸢スンティ アー⸣キ ユ⸢ク⸣ヌ ⸣マタサカ ⸣ナリ ⸢ベー [pu̥⸢su⸣kennaː ɸu̥⸢taːʧi miːʧi moːki⸣gutu ⸢sunti ʔaː⸣ki ju⸢ku⸣nu ⸣matasaka ⸣nari ⸢beː] (一度に二つ三つ儲けごとをしようとして、欲を張りすぎて欠損しているよ) 17805 0 0 17831 htmvoc_17805.wav ユクバタ ユ⸢クバタ [ju⸢kubata] 名 脇腹。よこばら。「横腹」の義。 ウ⸢シヌ⸣ ッサ ッ⸢ふァースンティ ベーン⸣ケン ⸣アトゥパンシ ユ⸢クバタ⸣ キ⸢ラ⸣リティ ⸣ヤミ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ʃinu⸣ ssa f⸢faːsunti beːŋ⸣keŋ ⸣ʔatupaŋʃi ju⸢kubata⸣ ki⸢ra⸣riti ⸣jami na⸢ra⸣nu] (牛のまぐさ<秣>を与えよう<喰わせよう>としている時に、<牛の>後ろ足で脇腹を蹴られて、痛くて堪らない) 17806 0 1 17832 htmvoc_17806.wav ユクミチ ユ⸢クミチ [ju⸢kumiʧi] 名  {Mn_1}別の道。違った道。脇道。 パ⸢リンテン⸣マー ク⸢ヌ⸣ ミチェーラ ⸢ギーティ カイ⸣レー ユ⸢クミチェー⸣ラ クーバ⸢ヨー [pa⸢rintem⸣maː ku⸢nu⸣ miʧeːra ⸢giːti kai⸣reː ju⸢kumiʧeː⸣ra kuːba⸢joː] (行く時はこの道から行って、帰りは別の道から来なさいねえ)。 17806 0 2 17833 htmvoc_17806.wav ユクミチ ユ⸢クミチ [ju⸢kumiʧi] 名 {Mn_2}横道。 タ⸢ティミチ⸣トゥ ユ⸢クミチヌ⸣ ア⸢ジ⸣マー ⸣ナリ ⸢ブン⸣トン [tḁ⸢timiʧi⸣tu ju⸢kumiʧinu⸣ ʔa⸢ʤi⸣maː ⸣nari ⸢bun⸣toŋ] (縦道と横道の交差している所) 17807 0 0 17834 htmvoc_17807.wav ユクムニ ユ⸢クムニ [ju⸢kumuni] 名 別の言葉。関係のない言葉。話題を逸らした言葉。 マ⸢タ⸣ ユ⸢ク⸣ムニ ク⸢トゥムニ⸣バ イ⸢ズバン⸣ マ⸢ナ⸣マー ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ア⸢ラ⸣ヌ [ma⸢ta⸣ ju⸢kumuni⸣ ku̥⸢tumuni⸣ba ʔi⸢ʣubam⸣ ma⸢na⸣maː ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʔa⸢ra⸣nu] (また関係のない話をする<言う>よ{EOS}今はその話ではない) 17808 0 0 17835 htmvoc_17808.wav ユクムニクティムニ ユ⸢クムニ⸣クティムニ [ju⸢kumuni⸣ku̥timuni] 名 別の言葉。関係のない言葉。 ユ⸢クムニ [ju⸢kumuni] (別語)の重言(畳語)。 ユ⸢クムニ⸣クティムネー ア⸢ズナ [ju⸢kumuni⸣ku̥timuneː ʔa⸢ʣuna] (別の言葉は言うな) 17809 0 0 17836 htmvoc_17809.wav ユクムヌ ユ⸢クムヌ [ju⸢kumunu] 名 別の物。他の物。 ユ⸢クムヌ⸣ ク⸢トゥ⸣ムヌン ⸢デー⸣カー カ⸢ラサリスヌ⸣ ク⸢レー⸣ カ⸢ラサラヌ [ju⸢kumunu⸣ ku̥⸢tu⸣munun ⸢deː⸣kaː ka⸢rasarisunu ku⸢reː⸣ ka⸢rasaranu] (別の物、他の物ならば貸せるが、これは貸せない) 17810 0 0 17837 htmvoc_17810.wav ユクヤン ユ⸢クヤン [ju⸢kujaŋ] 名 余病。別の病気。 ウ⸢リヌ ヤン⸣マー ⸢ピー⸣チェー ア⸢ラ⸣ヌ ユ⸢クヤン⸣ マ⸢ザーリ⸣ル ⸢ブー [ʔu⸢rinu jam⸣maː ⸢piː⸣ʧeː ʔa⸢ra⸣nu ju⸢kujam⸣ ma⸢ʣaːri⸣ru ⸢buː] (あれ<彼>の病気は一つではない{EOS}余病<他の病>も混じっている)。 アー⸢イ⸣ ウ⸢ヌ ヤン⸣マー ア⸢ラ⸣ヌ ユ⸢クヤンドゥ⸣ ヤ⸢リン⸣ギサバン [ʔaː⸢ji⸣ ʔu⸢nu jam⸣maː ʔa⸢ra⸣nu ju⸢kujandu⸣ ja⸢riŋ⸣gisabaŋ] (否、その病ではない{EOS}別の病であるらしい<でありそうだ>よ) 17811 0 1 17838 htmvoc_17811.wav ユグリ ユ⸢グリ [ju⸢guri] 名 {Mn_1}汚れ。汚れること。ユ⸢グルン[ju⸢guruŋ](汚れる)の転成名詞。 ユ⸢グリティー [ju⸢guritiː] (汚れた手)。 ユ⸢グリパン [ju⸢guripaŋ] (汚れた足)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ユ⸢グレー⸣ オンダー シ⸢ティ⸣ ウ⸢タ⸣シバ [⸢duː⸣nu ju⸢gureː⸣ ʔondaː ʃi̥⸢ti⸣ ʔu⸢ta⸣ʃiba] (体の汚れは海水浴をして落としなさいよ)。 17811 0 2 17839 htmvoc_17811.wav ユグリ ユ⸢グリ [ju⸢guri] 名 {Mn_2}\ruby{不浄}{フ|ジョウ}。\ruby{穢}{ケガ}れ。 ⸢ソーシキ⸣ヌ ⸣アトー パ⸢マ⸣ナー ⸣ウリ ⸢スー⸣ミジシ ⸢ティー⸣パン ア⸢ライティ⸣ ユ⸢グリ⸣ ウ⸢タ⸣シティル ⸢ヤー⸣ヤ ⸢オーッタ⸣ル [⸢soːʃi̥ki⸣nu ⸣ʔatoː pa⸢ma⸣naː ⸣ʔuri ⸢suː⸣miʤiʃi ⸢tiː⸣paŋ ʔa⸢raiti⸣ ju⸢guri⸣ ʔu⸢ta⸣ʃi̥tiru ⸢jaː⸣ja ⸢ʔoːtta⸣ru] (葬式の後は浜に下りて潮水で手足を洗って\ruby{穢}{ケガ}れを落として<ぞ>家へはいらっしゃった<行かれた>ものだ) 17813 0 0 17840 htmvoc_17813.wav ユグリティーパン ユ⸢グリティー⸣パン [ju⸢guritiː⸣paŋ] 名 汚れた手足。 ユ⸢グリティーパン⸣マー パ⸢マ⸣ナ ⸢ギー スー⸣ミジシ ア⸢ラシティティ⸣ クーバ [ju⸢guritiːpam⸣maː pa⸢ma⸣na ⸢giː suː⸣miʤiʃi ʔa⸢raʃi̥titi⸣kuːba] (汚れた手足は浜に行って潮水で洗ってきなさい) 17812 0 0 17841 htmvoc_17812.wav ユグリハイカラー ユ⸢グリハイカラー [ju⸢gurihaikaraː] 名 下品なおしゃれ。厚化粧や派手な服装をすること。「汚れ・highcollar」の義。過度な化粧や服飾をすることを皮肉ったことば。 ユ⸢グリハイカラーバ シー アーク⸣ヌ ⸢ミーヌッサ⸣ヌ ミ⸢ララ⸣ヌ [ju⸢gurihaikaraːba ʃiː ʔaːku⸣nu ⸢miːnussa⸣nu mi⸢rara⸣nu] (下品なおしゃれをしているが、見苦しくて見ていられない) 17814 0 0 17842 htmvoc_17814.wav ユグリムヌ ユ⸢グリムヌ [ju⸢gurimunu] 名 汚れ物。 ユ⸢グリムノー⸣ ア⸢ラシタン⸣カー シゥ⸢カーラヌ [ju⸢gurimunoː⸣ ʔa⸢raʃi̥taŋ⸣kaː si̥⸢kaːranu] (汚れ物は洗わないと使えない) 17815 0 0 17843 htmvoc_17815.wav ユグリルン ユ⸢グリルン [ju⸢guriruŋ] 自動 汚れる。「よごれる<下一段>」の転訛したもの。 ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトゥ スー⸣カー ユグ⸢リルンダ⸣ ユ⸢グリラン⸣ シ⸢グトゥル シー⸣プサ [ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutu suː⸣kaː ju⸢gurirunda⸣ ju⸢guriraŋ⸣ ʃi⸢guturu ʃiː⸣pu̥sa] (この仕事をすると汚れるから、汚れない仕事を<ぞ>したい)。 ユ⸢グリ ヤッ⸣サン [ju⸢guri jas⸣saŋ] (汚れやすい)。 ウ⸢リ⸣シ ユ⸢グリル⸣ パジェー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ri⸣ʃi ju⸢guriru⸣ paʤeː ⸢naː⸣nu] (それで汚れるはずはない)。 ユ⸢グリレー⸣ ミサムヌ [ju⸢gurireː⸣ misamunu] (汚れればいいのに)。 ユ⸢グリリ [ju⸢guriri] (汚れろ) 17816 0 0 17844 htmvoc_17816.wav ユグルン ユ⸢グルン [ju⸢guruŋ] 自動 汚れる。「よごる<下二段>」の転訛したもの。 ⸢ジー⸣ナー ビ⸢ル⸣カー シ⸢ベー⸣ ユ⸢グルンドゥ⸣ ス⸢デー⸣ カラウカー ユ⸢グラヌ [⸢ʤiː⸣naː bi⸢ru⸣kaː ʃi⸢beː⸣ ju⸢gurundu⸣ su⸢deː⸣ karaukaː ju⸢guranu] (地面に座ると尻は汚れるが、袖は\ruby{捲}{マク}り上げる<\ruby{絡}{カラケ}げる>と汚れない)。 ユ⸢グリ ナー⸣ヌ [ju⸢guri naː⸣nu] (汚れてしまった)。 ユ⸢グル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ju⸢guru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (汚れることはない)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢グレー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ju⸢gureː⸣ misamunu] (もっと汚れたらいいのに)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢グリ⸣バ [⸢paː⸣ku ju⸢guri⸣ba] (早く汚れろ) 17817 0 0 17845 htmvoc_17817.wav ユクン ユ⸢クン [ju⸢kuŋ] 副 余計に。さらに。いっそう。もっと。条件文をうけて、⸢<ある状態が>ますます、もっと、かえって、余計~になる」の意を表す。 ⸣アイニ イ⸢ズ⸣カー ユ⸢クン シンギン⸣ ナ⸢リ⸣スンダ イ⸢ズナ [⸣ʔaini ʔi⸢ʣu⸣kaː ju⸢kuŋ ʃiŋgin⸣ na⸢ri⸣sunda ʔi⸢ʣuna] (あのように叱ったら、余計に悪くなるから、叱るな) 17818 0 0 17846 htmvoc_17818.wav ユクン ⸣ユクン [⸣jukuŋ] 名 もり(銛)。やす(簎)。魚や蛸を刺して漁獲する漁具。⸣ガルユクン[⸣garujukuŋ](先端部に鉤のあるやす<簎>{EOS}蛸を漁獲するのに用いる漁具)と⸢シー⸣メーユクン[⸢ʃiː⸣meːjukuŋ](先端部が尖って、鉤のない銛{EOS}魚を突き刺すのに用いる銛)がある。女性が潮干狩りに持参するのは、⸣ガルユクン[⸣garujukuŋ](鉤のある簎)である。 ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ⸣ガルユクンバ ⸣ムティティル タ⸢ク⸣ トゥリン イ⸢ソー オーッ⸣タ [mi⸢dumuŋkeː⸣ja ⸣garujukumba ⸣mutitiru tḁ⸢ku⸣ ruriŋ ʔi⸢soː ʔoːt⸣ta] (女性たちは鉤のある簎を持って蛸を捕りに干瀬へ行かれた) 17820 0 0 17847 htmvoc_17820.wav ユクンツァミー ユ⸢クンツァ⸣ミー [ju⸢kunʦa⸣miː] 名 床下。床下の空間。「床下穴」の義。若年層は、ユ⸢クンツァ⸣メー[ju⸢kunʦa⸣meː](床下)ともいう。 ユ⸢クンツァ⸣ミーナ シ⸢ブル⸣ カ⸢ブッチバ⸣ イ⸢リティ⸣ タ⸢ブイヨーッ⸣タ [ju⸢kunʦa⸣miːna ʃi⸢buru⸣ ka⸢butʧiba⸣ ʔi⸢riti⸣ ta⸢buijoːt⸣ta] (床下に冬瓜や南瓜を入れて保管された) 17821 0 0 17848 htmvoc_17821.wav ユコー ユ⸢コー [ju⸢koː] 名 裏座。奥座敷の総称。イ⸢チバンウラ⸣ザ[ʔi⸢ʧibaŋʔura⸣ʣa](一番裏座)、⸢ニーバンウラ⸣ザ[⸢niːbaŋʔura⸣ʣa](二番裏座)の総称。 トゥ⸢シ⸣グル ⸣ナルカー ビ⸢コーンッふァー⸣ ユ⸢コー⸣ナール ニ⸢ビ⸣ウキ ⸢スータル [tu⸢ʃi⸣guru ⸣narukaː bi⸢koːŋffaː⸣ ju⸢koː⸣naːru ni⸢bi⸣ʔuki ⸢suːtaru] (年頃になると男の子は裏座<一番裏座>で寝起きしたものだ)。二番裏座は物置や、⸣シラ[⸣ʃira](産屋{EOS}産室)に利用された。 ク⸢レー⸣ ユ⸢コー⸣ナー カ⸢ザ⸣ミ シ⸢キ⸣リ [ku⸢reː⸣ ju⸢koː⸣naː ka⸢ʣa⸣mi ʃi̥⸢ki⸣ri] (これは裏座に隠しておきなさい) 17822 0 0 17849 htmvoc_17822.wav ユコーマ ユ⸢コー⸣マ [ju⸢koː⸣ma] 名 押入れ。小部屋。老年層の言葉。 ⸢ウイ⸣プスンケーヤ オ⸢シイレ⸣バ ユ⸢コー⸣マティ ア⸢ゾーッタ⸣ル [⸢ʔui⸣pu̥suŋkeːja ʔo⸢ʃiʔire⸣ba ju⸢koː⸣mati ʔa⸢ʣoːtta⸣ru] (年寄たちは押入れをユコーマと言われたものだ) 17823 0 0 17850 htmvoc_17823.wav ユコーン ユ⸢コー⸣ン [ju⸢koː⸣ŋ] 形 欲深い。強欲である。 ウ⸢ヤ⸣キプソー ユ⸢コー⸣ンティ ス⸢クタヌ⸣ ウ⸢レー⸣ ユ⸢コーナーン⸣シェン [ʔu⸢ja⸣kipu̥soː ju⸢koː⸣nti su̥⸢kutanu⸣ ʔu⸢reː⸣ ju⸢koːnaːŋ⸣ʃeŋ] (金持ちは欲深いと聞いたが、彼は欲深くなかった)。 ⸣ドゥク ユ⸢コー⸣ヌ ⸢ジン⸣マー カ⸢ララヌ [⸣duku ju⸢koː⸣nu ⸢ʤim⸣maː ka⸢raranu] (余りに欲深いので金は借りられない)。 ⸢シンダイ⸣ ユ⸢コー⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʃindai⸣ ju⸢koː⸣ nari ⸢naː⸣nu] (次第に欲深くなってしまった)。 ⸣アイニ ユ⸢コー⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ju⸢koː⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに欲深い人はいない)。 ⸣マー ン⸢ベーマー⸣ ユ⸢コー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸣maː ʔm⸢beːmaː⸣ ju⸢koː⸣reː ⸣misamunu] (もう少しは欲深ければいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢コー⸣カー ⸢デー⸣ジ⸢ゲ⸣ラ [⸢maː⸣biŋ ju⸢koː⸣kaː ⸢deː⸣ʤi⸢ge⸣ra] (もっと欲張りだったら大変<大事>だよ) 17824 0 0 17851 htmvoc_17824.wav ユサ ⸣ユサ [⸣jusa] 名 夜。普通は、⸣アサンユサン[⸣ʔasaŋjusaŋ](朝も夜も)と畳語的に用いられる。単独用法はない。 ッ⸢ふァバ⸣ シ⸢ナシティ⸣ ブ⸢ネーヤ⸣ アサンユサン ナ⸢キトゥーシル オー⸣ル [f⸢faba⸣ ʃi⸢naʃiti⸣ bu⸢neːja⸣ ʔasaŋjusan na⸢kituːʃiru ʔoː⸣ru] (子供を失って<死なして>母親は朝も夜も泣き通しておられる) 17825 0 0 17852 htmvoc_17825.wav ユシアシ ユ⸢シアシ [ju⸢ʃiʔaʃi] 名 善し悪し。良い悪い。善悪。 プ⸢スヌ⸣ ユ⸢シアシェー⸣ ピライ ミ⸢ラン⸣カー ワ⸢カラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ju⸢ʃiʔaʃeː⸣ pirai mi⸢raŋ⸣kaː wa⸢kara⸣nu] (人の良し悪しは交際してみないと分からないものだ) 17826 0 0 17853 htmvoc_17826.wav ユシキ ⸢ユシ⸣キ [⸢juʃi̥⸣ki] 名 (植)すすき(薄・芒)。「めひ<婦負>の野の須々吉<ススキ>押し靡べ~。万、4016」、「薄、ススキ」『類聚名義抄』の転訛したものか。⸢ユシ⸣キキー[⸢juʃi̥⸣kikiː](すすき)ともいう。 ⸢ユシ⸣キシ シ⸢ダ⸣ル ⸣フムン [⸢juʃi̥⸣kiʃi ʃi⸢da⸣ru ⸣ɸumuŋ] (ススキで簾を編む)。 ミ⸢ナ⸣カナー ⸢ユシ⸣キシダル ⸣パイティ ⸢ウン⸣ナー イ⸢ガ⸣ プシバ [mi⸢na⸣kanaː ⸢juʃi̥⸣kiʃidaru ⸣paiti ⸢ʔun⸣naː ʔi⸢ga⸣ pu̥ʃiba] (庭にススキの\ruby{簾}{スダレ}を\ruby{延}{ノ}べて、それに烏賊を日干し乾燥しなさいよ) 17827 0 0 17854 htmvoc_17827.wav ユシキシダル ⸢ユシ⸣キシダル [⸢juʃi̥⸣kiʃidaru] 名 ススキを\ruby{編}{ア}んで作った\ruby{簾}{スダレ}。長さ約2メートルのススキを、葉を除去して\ruby{藁縄}{ワラ|ナワ}で編み、庭先に広げて烏賊を干すのに用いる。イ⸢ガヤマで干した半乾燥の烏賊をこれで2、3日干して完成品に仕上げた。 ⸢ユシ⸣キシダルナ イ⸢ガ⸣ プシバ [⸢juʃi̥⸣kiʃidaruna ʔi⸢ga⸣ pu̥ʃiba] (ススキ簾に烏賊を干しなさいよ) 17828 0 0 17855 htmvoc_17828.wav ユシキシンザ ⸢ユシ⸣キシンザ [⸢juʃi̥⸣kiʃinʣa] 名 (植)砂糖きびの一種。⸢\ruby{薄甘蔗}{ススキ|カン|ショ}」の義。糖度が比較的に低く、幹の太さも比較的に小さい。⸢コー⸣シシンザ[⸢koː⸣ʃiʃinʣa](菓子砂糖きび{EOS}糖度が高く、大きな砂糖きび{EOS}「菓子甘蔗」の義)の対義語。 チ⸢カ⸣グロー ⸢ユシ⸣キシンザル ⸢ゴー⸣ラー ス⸢クラ⸣リ ⸢ブー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢juʃi̥⸣kiʃinʣaru ⸢goː⸣raː su̥⸢kura⸣ri ⸢buː] (近頃はユシキシンザ<薄甘蔗>が多く作付けされている) 17829 0 0 17856 htmvoc_17829.wav ユシキダー ⸢ユシ⸣キダー [⸢juʃi̥⸣kidaː] 名 (地)古文書では、ミナミヨシキダとある。昔から美田地帯といわれていたが、西表北部一周道路建設のために、突然何の予告もなしにブルトーザーで埋め立てられて問題化した。工事を一時中断して沖縄県土木課八重山支所と交渉した結果、沖縄県が補償金を支払って解決した。⸣ウブシケヌ ⸣ター[⸣ʔubuʃi̥kenu ⸣taː](大城家の田)、カ⸢ザケヌ⸣ ター[ka⸢ʣakenu⸣ taː](加治工家の田)、ニ⸢シムレーヌ⸣ ター[ni⸢ʃimureːnu⸣ taː](米盛家の田)、キ⸢ダシケーヌ⸣ ター[ki⸢daʃi̥keːnu⸣ taː](石嶺家の田)、⸢メークヤーヌ⸣ ター[⸢meːkujaːnu⸣ taː](宮良家の田)、⸢メー⸣ケーヌ ⸣ター[⸢meː⸣keːnu ⸣taː](大城家の田)、カ⸢ナ⸣ケーヌ ⸣ター[ka⸢na⸣kaːnu ⸣taː](兼久家の田)、ク⸢メーヌ⸣ ター[ku⸢meːnu⸣ taː](小浜家の田)、⸢クシケーヌ⸣ ター[⸢kuʃi̥keː⸣nu ⸣taː](小底家の田)等がある 17830 0 0 17857 htmvoc_17830.wav ユシキダミナトゥ ⸢ユシ⸣キダミナトゥ [⸢juʃi̥⸣kidaminatu] 名 地名。ユシキダ湊。⸢ユシ⸣キダタバル[⸢juʃi̥⸣kidatabaru](ミナミヨシキダ田袋)の小底家の水田とウ⸢ブ⸣ミジ[ʔu⸢bu⸣miʤi](大見謝川)の間を流れる川の川口。川口付近は浜砂が堆積して浅くなり、干潮時には歩いて渡れる。 ⸢ユシ⸣キダミナトー ⸢スー⸣ヌ ⸣ピスカー ⸣フネー ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢juʃi̥⸣kidaminatoː ⸢suː⸣nu ⸣pi̥sukaː ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasara⸣nu] (ユシキダ湊は潮が引くと船は出されない) 17831 0 0 17858 htmvoc_17831.wav ユシキパシ ⸢ユシ⸣キパシ [⸢juʃi̥⸣kipḁʃi] 名 ススキで作った箸。法事の際に紙銭を焼くのに用いる箸。生のススキで作るのが慣わしであった。 ウ⸢ティン⸣ガビ ア⸢ギオーシル⸣ ピンマー ⸢ユシ⸣キパシシル パ⸢サ⸣メーティ ヤ⸢クタル [ʔu⸢tiŋ⸣gabi ʔa⸢giʔoːʃiru⸣ pimmaː ⸢juʃi̥⸣kipḁʃiʃiru pḁ⸢sa⸣meːti ja⸢kutaru] (打ち紙<紙銭>を焼いて差し上げる際は、ススキ箸で挟みながら焼いたものだ) 17832 0 0 17859 htmvoc_17832.wav ユシグトゥ ユ⸢シグトゥ [ju⸢ʃigutu] 名 教訓。忠告。沖縄本島方言からの借用語。「諭し・言」の転訛か。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ユ⸢シグトー⸣ イッ⸢カ バシケー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣nu ju⸢ʃigutoː⸣ ʔik⸢ka baʃi̥keː⸣ na⸢ra⸣nu] (親の教訓は決して<一向に>忘れてはならない) 17833 0 0 17860 htmvoc_17833.wav ユシザン ユ⸢シ⸣ザン [ju⸢ʃi⸣ʣaŋ] 名 足し算。「寄せ算」の義。標準語からの借用語。明治29年6月16日に学校教育が開始された後に借用されたものであろう。 ⸢ムール⸣シ ⸢ギュー⸣サ ⸣ナルユー ユ⸢シ⸣ザン ⸢シー⸣ ミリ⸢ミー [⸢muːru⸣ʃi ⸢gjuː⸣sa ⸣narujuː ju⸢ʃi⸣ʣaŋ ⸢ʃiː⸣ miri⸢miː] (全部でいか程になるか、足し算してごらん) 17834 0 0 17861 htmvoc_17834.wav ユシドーフ ユ⸢シドーフ [ju⸢ʃidoːɸu] 名 おぼろ豆腐。汲み豆腐。豆腐製造の過程で、固まりかけのもの。沖縄本島方言からの借用語。 パ⸢トゥ⸣マナー ユ⸢シドーフ⸣ ス⸢ク⸣ル プ⸢ソー オーラン⸣シェン [pḁ⸢tu⸣manaː ju⸢ʃidoːɸu⸣ su̥⸢ku⸣ru pu̥⸢soː ʔoːraŋ⸣ʃeŋ] (鳩間島ではユシドフを造る人はおられなかった) 17835 0 0 17862 htmvoc_17835.wav ユジルン ユ⸢ジルン [ju⸢ʤiruŋ] 他動 \ruby{譲}{ユズ}る。自分のものを他に与える。 ⸣ザイサンマー サ⸢ク⸣シン ユ⸢ジルンティ カン⸣ガイ ⸢ベー⸣ンドゥ マ⸢ダ⸣ ユ⸢ジララヌ [⸣ʣaisammaː sḁ⸢ku⸣ʃiŋ ju⸢ʤirunti kaŋ⸣gai ⸢beːn⸣du ma⸢da⸣ ju⸢ʤiraranu] (財産は嫡子に譲ろうと考えているが、まだ譲られない)。 ユ⸢ジリ⸣ ミサカー イ⸢チン⸣ ユ⸢ジル⸣ クトー ⸣ナルン [ju⸢ʤiri⸣ misakaː ʔi⸢ʧiŋ⸣ ju⸢ʤiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (譲ってよければ、いつでも譲ることはできる)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢ジレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ju⸢ʤireː⸣ misamunu] (早く譲ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢ジリ [⸢maː⸣biŋ ju⸢ʤiri] (もっと譲れ) 17836 0 0 17863 htmvoc_17836.wav ユシン ⸣ユシン [⸣juʃiŋ] 名 (植)イスノキ。蚊母樹。高木。西表島の山中に自生する。重硬で建築用材、器具材、楽器材として重用される。薪炭材としても重宝される。⸣ユシンキー[⸣juʃiŋkiː]ともいう。芯材は紅褐色、\ruby{堅硬}{ケン|コウ}で\ruby{耐朽}{タイ|キュウ}保存性が高い『図鑑琉球列島有用樹木誌』。 フ⸢クントゥ⸣ ユシンシ ⸣ムヤーバラー ス⸢ク⸣ルンティ ウ⸢ムー⸣ヌ ⸢ヌー⸣シカヤー [ɸu̥⸢kuntu⸣ juʃiŋʃi ⸣mujaːbaraː su̥⸢ku⸣runti ʔu⸢muː⸣nu ⸢nuː⸣ʃikajaː] (福木の材木とユシン材で母屋柱を作ろうと思うがどうでしょうか) 17837 0 0 17864 htmvoc_17837.wav ユスグン ユ⸢スグン [ju⸢suguŋ] 他動 ゆすぐ(濯ぐ)。揉み洗いをした後、盥に水を入れ、衣類を動かしてざっと汚れを落とす。ざっと洗う。「濯・滌、ススグ」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ⸢キン⸣マー ユ⸢スグンティ スンドゥ⸣ ミ⸢ジヌ ナー⸣ンダ ユ⸢スガラヌ [⸢kim⸣maː ju⸢sugunti sundu⸣ mi⸢ʤinu naː⸣nda ju⸢sugaranu] (着物は\ruby{濯}{スス}ごうとするが、水が無いので濯がれない)。 ユ⸢スギ⸣ ミサカー ユ⸢スグ⸣ クトー ⸣ナルン [ju⸢sugi⸣ misakaː ju⸢sugu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (濯いで良ければ濯ぐことは出来る)。 ユ⸢スゲー⸣ ミサムヌ [ju⸢sugeː⸣ misamunu] (濯げば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢スギ [⸢paː⸣ku ju⸢sugi] (早く濯げ) 17838 0 0 17865 htmvoc_17838.wav ユタ ユ⸢タ [ju⸢ta] 名 口寄せをする巫女。かんなぎ(巫・覡)。生まれつきセジ<霊力>高く、神仏の霊意を感得できる能力を持つという巫女。稀に男のユタもいる。沖縄本島方言からの借用語。鳩間島では、巫女がフ⸢ダマルン[ɸu⸢damaruŋ](神がかりする)ことによって神意を託宣(神託)されていた。 ユ⸢ターラ グヮンスグトゥ⸣ヌ ⸣ンジェーティ ⸢シー⸣ ウ⸢リ⸣ サ⸢バカ⸣スンティ ⸢パッ⸣タツォー [ju⸢taːra gwansugutu⸣nu ⸣ʔnʤeːti ⸢ʃiː⸣ ʔu⸢ri⸣ sa⸢baka⸣sunti ⸢pat⸣taʦoː] (ユタから元祖の法事に関することが出たといって、それをさばかせ<捌かせ>に行ったそうだ) 17839 0 1 17866 htmvoc_17839.wav ユダ ユ⸢ダ [ju⸢da] 名 {Mn_1}枝。「肢、衣太<えだ>」『和名抄』の転訛したもの。 ⸢キー⸣ヌ ユ⸢ダ [⸢kiː⸣nu ju⸢da] (木の枝)。 17839 0 2 17867 htmvoc_17839.wav ユダ ユ⸢ダ [ju⸢da] 名 {Mn_2}分家。本から分かれたもの。 ム⸢トゥ⸣ヌ サ⸢カラバル⸣ ユ⸢ダパニン⸣ サ⸢カル [mu⸢tu⸣nu sḁ⸢karabaru⸣ ju⸢dapanin⸣ sḁ⸢karu] (本家<根本>が栄えてこそ<盛らばぞ>分家<枝羽根>も栄える<盛る>) 17840 0 0 17868 htmvoc_17840.wav ユダーリムヌ ユ⸢ダーリムヌ [ju⸢daːrimunu] 名 仕事が無く、ぶらぶらして遊び暮らす者。\ruby{無為徒食}{ム|イ|ト|ショク}の\ruby{輩}{ヤカラ}。いぐい。 ⸢ウンザー⸣ シ⸢グトゥン⸣ サ⸢ムティ⸣ ナー⸢イ⸣ ユ⸢ダーリムヌ⸣ ナリ ⸢ベー [⸢ʔunʣaː⸣ ʃi⸢gutun⸣ sa⸢muti⸣ naː⸢i⸣ ju⸢daːrimunu⸣ nari ⸢beː] (あいつは仕事もしないで、ただぶらぶらして無為徒食の輩になっている) 17845 0 0 17869 htmvoc_17845.wav ユダパー ユ⸢ダパー [ju⸢dapaː] 名 枝葉。枝と葉。 ⸢ニー⸣ヌ ⸢スーラバ⸣ル ユ⸢ダパーン⸣ サ⸢カル [⸢niː⸣nu ⸢suːraba⸣ru ju⸢dapaːn⸣ sḁ⸢karu] (根元が強くなってこそ枝葉も繁茂する) 17846 0 0 17870 htmvoc_17846.wav ユダムチ ユ⸢ダム⸣チ [ju⸢damu⸣ʧi] 名 枝振り。えださし。枝の出ぐあい。「枝持ち」の義。 サッ⸢ティー⸣ ウ⸢シヌウガン⸣ヌ マ⸢チ⸣ヌ ユ⸢ダムチ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤー⸢ヨー [sat⸢tiː⸣ ʔu⸢ʃinuʔugan⸣nu ma⸢ʧi⸣nu ju⸢damuʧi⸣nu ⸢kai⸣jaː⸢joː] (なんとまあ<さてもまあ>、牛の御嶽<伊武田の牛牧場の御願{EOS}拝所>の松の枝振りが美しいことよ) 17847 0 0 17871 htmvoc_17847.wav ユタムニ ユ⸢タムニ [ju⸢tamuni] 名 ユタ(口寄せする巫女)のことば。信用できないことば(物言い)。 ⸣アイブ ユ⸢タムネー⸣ ア⸢ズナ [⸣ʔaibu ju⸢tamuneː⸣ ʔa⸢ʣuna] (あんなユタ<口寄せする巫女>の話し<言葉>を言うな) 17848 0 0 17872 htmvoc_17848.wav ユダヤー ユ⸢ダヤー [ju⸢dajaː] 名 よく\ruby{涎}{ヨダレ}を\ruby{垂}{タ}らす人。よだれくり(\ruby{涎繰}{ヨダレ|ク}り)。涎垂らし。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ユ⸢ダヤー ヤッタヌ⸣ナー マ⸢ナ⸣マー ⸢ノーリ⸣ ブーバン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ju⸢dajaː jattanu⸣naː ma⸢na⸣maː ⸢noːri⸣buːbaŋ] (子供の頃<子供であった時>は涎垂らしであったがなあ、今は治っているよ) 17849 0 0 17873 htmvoc_17849.wav ユダヤーニーバル ユ⸢ダヤー⸣ニーバル [ju⸢dajaː⸣niːbaru] 名 (動)魚の名。和名、マダラハタ(体長約60センチ{EOS}濃い灰色を基調とし、\ruby{鰓}{エラ}から背部、背びれ尾びれにかけて白の斑点がまだら模様に付いている) 17850 0 1 17874 htmvoc_17850.wav ユダリン ユ⸢ダ⸣リン [ju⸢da⸣riŋ] 自動 {Mn_1}(可能動詞)\ruby{茹}{ユ}でられる。他動詞⸣ユドゥン[⸣juduŋ](茹でる)の未然形に、受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](~れる)が下接して形成されたもの。 ク⸢リンデー⸣カー ⸢バン⸣ヌン ユ⸢ダ⸣リン [ku⸢rindeː⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ ju⸢da⸣riŋ] (これなら私にも茹でられる)。 ⸢バン⸣マー ユ⸢ダラ⸣ヌ [⸢bam⸣maː ju⸢dara⸣nu] (私には茹でられない)。 17850 0 2 17875 htmvoc_17850.wav ユダリン ユ⸢ダ⸣リン [ju⸢da⸣riŋ] 自動 {Mn_2}(受身動詞)茹でられる。 ⸣クナー ⸢ベー⸣ルカー ア⸢チ⸣ユーシ ユ⸢ダ⸣リン⸢ダー [⸣kunaː ⸢beː⸣rukaː ʔa⸢ʧi⸣juːʃi ju⸢da⸣rin⸢daː] (ここにいると熱湯で茹でられるぞ)。 アー⸢イ⸣ ユ⸢ダラ⸣ヌ [ʔaː⸢ji⸣ ju⸢dara⸣nu] (否、茹でられ<茹だれ>ないよ)。 ユ⸢ダリ⸣プサカー ⸣クナー ⸢ベー⸣リ ミサン [ju⸢dari⸣ pu̥sakaː ⸣kunaː ⸢beː⸣ri misaŋ] (茹でられ<茹れ>たければ、ここに居てもよい)。 ク⸢トゥヤッ⸣サ<ヤ⸢シーヤシー⸣> ユ⸢ダリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [ku̥⸢tujas⸣sa ju⸢dari⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (\ruby{易々}{ヤス|ヤス}と\ruby{茹}{ユ}でられ<茹だれ>ることはないはずだ)。 ン⸢ベーマー⸣ ユ⸢ダ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ju⸢da⸣reː ⸣misamunu] (少しは茹れたらいいのに)。 ⸣ワンザー ⸣クナー ⸢ベー⸣ティ ユ⸢ダ⸣リバ [⸣wanʣaː ⸣kunaː ⸢beː⸣ti ju⸢da⸣riba] (お前は、ここに居て茹れろよ) 17851 0 0 17876 htmvoc_17851.wav ユダル ユ⸢ダル [ju⸢daru] 名 よだれ(涎)。「涎、ヨダリ」『類聚名義抄』、「Yodare.ヨダレ(涎)口から出る涎」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ユ⸢ダル⸣ ピ⸢キ ベー⸣バ ッ⸢スリ⸣ ッ⸢ふィーリ⸣バ [ja⸢rabi⸣nu ju⸢daru⸣ pi̥⸢ki beː⸣ba s⸢suri⸣ f⸢fiːri⸣ba] (子供が涎を垂らしているから、拭いてやりなさい) 17852 0 0 17877 htmvoc_17852.wav ユダルッス ユ⸢ダルッス [ju⸢darussu] 名 \ruby{粘液便}{ネン|エキ|ベン}。「\ruby{涎糞}{ヨダレ|クソ}」の義。 バ⸢タ⸣バ ヤ⸢ブ⸣リ ク⸢ダシティ⸣ ユ⸢ダルッス⸣ マリ⸣シケー [ba⸢ta⸣ba ja⸢bu⸣ri ku⸢daʃi̥ti⸣ ju⸢dasussu⸣ mari⸣ʃi̥keː] (お腹をこわして、下痢をして粘液便<涎糞>を\ruby{排便}{ハイ|ベン}し<マル{EOS}\ruby{放}{マ}っ>てある) 17853 0 0 17878 htmvoc_17853.wav ユダルパキ ユ⸢ダルパキ [ju⸢darupaki] 名 \ruby{涎掛}{ヨダレ|カケ}。幼児の\ruby{頤}{オトガイ}の下に掛けて涎を取る布。「Yodarecaqe.ヨダレカケ(涎掛)、\ruby{鎧}{ヨロイ}の\ruby{頸}{クビ}のところにつける\ruby{喉輪}{ノド|ワ}.また幼児につける\ruby{涎受}{ヨダレ|ウケ}」『邦訳日葡辞書』の転訛。 ヤ⸢ラ⸣ベー ユ⸢ダルパキ⸣ カクカー ⸢キン⸣マー ユ⸢グサヌ [ja⸢ra⸣beː ju⸢darupaki⸣ kḁkukaː ⸢kim⸣maː ju⸢gusanu] (子供は涎掛けを掛けると、着物は汚さない) 17854 0 0 17879 htmvoc_17854.wav ユダルムシ ユ⸢ダルムシ [ju⸢darumuʃi] 名 (動)ナメクジ。「蛞蝓」の義。 シ⸢ミッケー⸣リ ⸢ブン⸣ トンナール ユ⸢ダルムシェー⸣ ン⸢ジ⸣ル [ʃi⸢mikkeː⸣ri ⸢bun⸣ tonnaːru ju⸢darumuʃeː⸣ ʔn⸢ʤi⸣ru] (湿った所に<ぞ>ナメクジは出るものだ) 17855 0 0 17880 htmvoc_17855.wav ユダン ユ⸢ダン [ju⸢daŋ] 名 油断。不注意。「油断、ユダン、又作ニ油断-」『文明本節用集』の転訛したもの。 カ⸢ジェー スーラ⸣ヌティ ユ⸢ダン シー ベーン⸣ケンマー ⸢ウーカジヌ⸣ フキティ ス⸢クリ⸣ムノー ⸢ザー⸣パイ ⸢シー ナー⸣ヌ [ka⸢ʤeː suːra⸣nuti ju⸢daŋ ʃiː beːŋ⸣ kemmaː ⸢ʔuːkaʤinu⸣ ɸu̥kiti su̥⸢kuri⸣munoː ⸢ʣaː⸣pai ⸢ʃiː naː⸣nu] (風は強まらないと油断していると、台風が吹いて農作物は\ruby{酷}{ヒド}い損害をうけて<めちゃめちゃになって>しまった) 17856 0 0 17881 htmvoc_17856.wav ユダンカダン ユ⸢ダン⸣カダン [ju⸢daŋ⸣kadaŋ] 名 油断。油断を強めた言い方。ABCDBC型の重言。 イ⸢バリティ⸣ ユ⸢ダン⸣カダン ⸢シー ベーン⸣ケン プ⸢スン ウイヌカリン⸠ダー [ʔi⸢bariti⸣ ju⸢daŋ⸣kadaŋ ⸢ʃiː beːŋ⸣kem pu̥⸢suŋ ʔuinukarin⸠daː] (威張って油断していると、他人に追い抜かれるぞ)。 ユ⸢ダン⸣カダン ⸢サンドー⸣シ ⸢キッ⸣ス ⸢シー⸣ パ⸢タラキ [ju⸢daŋ⸣kadan ⸢sandoː⸣ʃi ⸢kis⸣suː ⸢ʃiː⸣ pḁ⸢taraki] (決して油断をしないで、一生懸命<競って>働きなさい) 17857 0 0 17882 htmvoc_17857.wav ユダンサーン ユ⸢ダン⸣サーン [ju⸢dan⸣saːŋ] 形 油断しがちである。よく油断する。 ウ⸢レー⸣ ユ⸢ダン⸣サーンダ シゥ⸢カーラヌ⸣ティ ス⸢クタヌ⸣ アイニ ユ⸢ダン⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ju⸢dan⸣saːnda si̥⸢kaːranu⸣ti su̥⸢kutanu⸣ ʔaini ju⸢dan⸣saː ⸢naː⸣nu] (彼はよく油断しがちだから使えないと聞いたが、そんなに油断しがちではないよ)。 ウ⸢レー⸣ ユ⸢ダンサー⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ju⸢dansaː⸣nu na⸢ra⸣nu] (彼はよく油断するので堪らない)。 ユ⸢ダン⸣サー(ル) プ⸢スンマー⸣ スーヨーヌ ⸣クトー<ウ⸢ブシグ⸣トー> タ⸢ナマラ⸣ヌ [ju⸢dan⸣saː(ru) pu̥⸢summaː⸣ suːjoːnu ⸣ku̥toː<ʔu⸢buʃigu⸣toː> ta⸢namara⸣nu] (油断しがちな人には重要な<枢要な>ことは頼まれない) 17858 0 0 17883 htmvoc_17858.wav ユチアシ ユ⸢チアシ [ju⸢ʧiʔaʃi] 名 四つ足。\ruby{獣類}{ジュウ|ルイ}。「Yotçuaxi.ヨツアシ(四足)四足の獣」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢カンニン⸣ガイナー ユ⸢チアシ⸣ヌ ク⸢ムチェー⸣ ス⸢コーラン⸣ティバン⸢ナー [⸢kanniŋ⸣gainaː ju⸢ʧiʔaʃi⸣nu ku⸢muʧeː⸣ su̥⸢koːran⸣tiban⸢naː] (神願い<神事>には四つ足の供物は供えられないそうですね) 17859 0 0 17884 htmvoc_17859.wav ユチク ユ⸢チ⸣ク [ju⸢ʧi⸣ku] 名 富んで生活が豊かなこと。裕福。富裕。 ク⸢ヌ⸣ ム⸢ラー⸣ ユ⸢チク⸣ヌ ム⸢ラ [ku⸢nu⸣ mu⸢raː⸣ ju⸢ʧiku⸣nu mu⸢ra] (この村は裕福な村だ{EOS}豊かな村だ) 17860 0 0 17885 htmvoc_17860.wav ユチクニ ユ⸢チ⸣クニ [ju⸢ʧi⸣kuni] 副 豊かに。裕福に。 マ⸢ナ⸣マー ⸣ムヌン ユ⸢チ⸣クニ ッ⸢ふァイ⸣ ク⸢ラサリ ブーヌ⸣ ム⸢カ⸣シェー イッ⸢ケナ⸣ キ⸢ビッ⸣サタンツォー [ma⸢na⸣maː ⸣munuŋ ju⸢ʧi⸣kuni f⸢fai⸣ ku⸢rasari buːnu⸣ mu⸢ka⸣ʃeː ʔik⸢kena⸣ ki⸢bis⸣satanʦoː] (今は食べ物も豊かに食べて暮らせて<暮らされて>いるが、昔は非常に厳しかった<酷かった>そうだ) 17861 0 0 17886 htmvoc_17861.wav ユチダキ ユ⸢チダキ [ju⸢ʧidaki] 名 \ruby{四竹}{ヨツ|ダケ}。舞踊の小道具の名。パ⸢トゥ⸣マナカムリ[pḁ⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡節)のような古典舞踊の際に用いられる小道具。直径約5センチの孟宗竹を割って、長さ約10センチに切り、赤く染め、二枚一組で両手に挟んで打ち鳴らすようにした小道具。 パ⸢トゥ⸣マナカムリン ⸢クンノー⸣ラン ユ⸢チダキバ ナーラセー⸣ティル ブ⸢ドゥル ソー⸣ルンダ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サタンダ⸢ナー [pḁ⸢tu⸣manakamuriŋ ⸢kunnoː⸣raŋ ju⸢ʧidakiba naːraʃeː⸣tiru bu⸢duru soː⸣runda ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣satanda⸢naː] (鳩間中岡節も古見の浦節も四竹を鳴らしながら踊りをされるので、非常に面白かったよねえ) 17862 0 0 17887 htmvoc_17862.wav ユチラーナーヌ ユ⸢チ⸣ラー ⸢ナー⸣ヌ [ju⸢ʧi⸣raː ⸢naː⸣nu] 連 役に立たない。無益である。頼り甲斐がない。 ウ⸢ヌス⸣ク ⸢ナンギ⸣バ ⸢シー モー⸣ケール ⸣ジン ヤ⸢ルヌ アッタ⸣ニ ⸢ジン⸣ヌ カ⸢チヌ⸣ サ⸢ガ⸣リ ユ⸢チ⸣ラー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣su̥ku ⸢naŋgi⸣ba ⸢ʃiː moːkeː⸣ru ⸣ʤiŋ ja⸢runu ʔat⸣tani ⸢ʤin⸣nu kḁ⸢ʧinu⸣ sa⸢ga⸣ri ju⸢ʧi⸣raː ⸢naː⸣nu] (あんなに難儀苦労をして儲けたお金だが、急激に金の価値が下がって<金は頼り甲斐がない>役に立たない)。 ウ⸢リバ⸣ ア⸢ティ シー ベー⸣タ ⸣ムヌ ユ⸢チ⸣ラー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢riba⸣ ʔa⸢ti ʃiː beː⸣ta ⸣munu ju⸢ʧi⸣raː ⸢naː⸣nu] (彼を当てにしていたのに、全く頼り甲斐がない) 17863 0 0 17888 htmvoc_17863.wav ユチル ユ⸢チル [ju⸢ʧiru] 名 えつり(桟)。\ruby{茅葺}{カヤ|ブ}き屋根や\ruby{瓦葺}{カワラ|ブ}き屋根の\ruby{垂木}{タル|キ}の上に竹を横に並べて編み、ふきしたじ(葺下地)とした建築用材。「枌、屋乃衣豆利」『新撰字鏡』の転訛したもの。ユ⸢チルダキを⸢ニー[⸢niː](根)と⸣スラ[⸣sura](\ruby{梢}{コズエ})を交互にヤ⸢ラザイティ[ja⸢raʣaiti](交差させて)⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](トウヅルモドキ)で編み上げる。瓦葺の場合は1ミリ間隔に密に編み、茅葺の場合は1センチ間隔に粗に編み上げる。 ユ⸢チルダキ⸣シ ユ⸢チル⸣ フミティル ⸣ガヤーヤーン ⸢カー⸣ラヤーン フ⸢コーッ⸣タ [ju⸢ʧirudaki⸣ʃi ju⸢ʧiru⸣ ɸumitiru ⸣gajaːjaːŋ ⸢kaː⸣rajaːŋ ɸu̥⸢koːt⸣ta] (えつり竹でえつりを編んで<ぞ>茅葺屋根も瓦葺屋根も葺かれたものだ)。/ヤー タマシダリ ユチルバ シー ヤーバ スクリ アンティスー/(ああ、玉簾をえつりにして家を造ってあるという)「あーぱーれー」(新室寿ぎ歌)『鳩間島古典民謡古謡集』 17864 0 0 17889 htmvoc_17864.wav ユチルダキ ユ⸢チルダキ [ju⸢ʧirudaki] 名 えつりだけ。「枌、屋乃衣豆利<やのえつり>」『新撰字鏡』、「蘆雚、哀都利<えつり>」『日本書紀 顕宗即位前』、の「えつり」に用いる竹の転訛したもの。 ⸢パイタ⸣ヌ ティ⸢ドゥ⸣クヤマーラル ⸢カー⸣ラヤーヌ ユ⸢チルダケー⸣ キ⸢ソーッ⸣タ [⸢paita⸣nu ti⸢du⸣kujamaːraru ⸢kaː⸣rajaːnu ju⸢ʧirudakeː⸣ ki̥⸢soːt⸣ta] (西表島のティドゥク山から<ぞ>瓦葺家のえつり竹は伐り出された) 17841 0 0 17890 htmvoc_17841.wav ユチン ⸣ユチン [⸣juʧiŋ] 名 地名。よちん(由珍)と表記される。西表島東北岸、高那の東にあった村。雍正10(1732)年に小浜島からの寄せ百姓によって村建てされたという。 ユ⸢チン⸣マー ク⸢モーマ⸣ラヌ バ⸢カ⸣リツォー [ju⸢ʧim⸣maː ku⸢moːma⸣ranu ba⸢ka⸣riʦoː] (ユチン村は小浜島からの分村だそうだ) 17843 0 0 17891 htmvoc_17843.wav ユチンガーラ ⸣ユチンガーラ [⸣juʧiŋgaːra] 名 ユチン湾に注ぐ川。 ⸣ユチンガーラ バ⸢タリティル⸣ クン ⸢オーッ⸣タツォー [⸣juʧiŋgaːra ba⸢taritiru⸣ kuŋ ⸢ʔoːt⸣taʦoː] (ユチン川を渡って古見村へ行かれたそうだ) 17842 0 0 17892 htmvoc_17842.wav ユチンワン ⸣ユチンワン [⸣juʧiŋwaŋ] 名 地名。よちん(由珍)湾。⸣ユチンワン[⸣juʧiŋwaŋ]は良港で、琉球国時代の大型帆船の系留地であったという 17865 0 0 17893 htmvoc_17865.wav ユッカ ⸢ユッカ [⸢jukka] 名 舟の床板。サバニの床板。⸢マイユッ⸣カ[⸢maijuk⸣ka](前床板)、ナ⸢カユッ⸣カ[na⸢kajuk⸣ka](中床板)、トゥ⸢ムユッ⸣カ[tu⸢mujuk⸣ka](艫床板)、トゥ⸢ムユッカー⸣マ[tu⸢mujukkaː⸣ma](小さい艫床板{EOS}船頭の座る艫床板)等がある。 ⸣イダフネー ⸢ユッカ⸣ナ ビ⸢リティル⸣ ヤコー ⸣クー [⸣ʔidaɸuneː ⸢jukka⸣na bi⸢ritiru⸣ jakoː ⸣kuː] (サバニ<板舟>は床板に座って\ruby{櫂}{カイ}をこぐのだ)。 ⸢シン⸣ドー トゥ⸢ムユッカー⸣マナール ビ⸢ル [⸢ʃin⸣doː tu⸢mujukkaː⸣manaːru bi⸢ru] (船頭は小さな\ruby{艫床板}{トモ|ユカ|イタ}に<ぞ>座る) 17866 0 0 17894 htmvoc_17866.wav ユッキ ⸢ユッキ [⸢jukki] 名 よき。小型の斧。「斧、与岐」『倭名類聚鈔』の転訛したもの。石工が石材を削ったりする際に用いる工具。 ⸢ユッキ⸣シ ク⸢マ⸣ヌ ⸣カドゥ キ⸢ジ⸠ミー [⸢jukki⸣ʃi ku⸢ma⸣nu ⸣kadu ki⸢ʤi⸠miː] (よき<小型斧>でこの角を削ってごらんよ) 17867 0 0 17895 htmvoc_17867.wav ユディコーマ ユ⸢ディコー⸣マ [ju⸢dikoː⸣ma] 名 \ruby{茹}{ユ}で卵。鶏卵を殻のまま茹でたもの。 ユ⸢ディコーマ⸣ヌ ガ⸢ラー⸣ パギティ ⸢マー⸣ス ⸢ポーリティ⸣ ッ⸢ふァイ⸣バ [ju⸢dikoːma⸣nu ga⸢raː⸣ pagiti ⸢maː⸣su ⸢poːriti⸣ f⸢fai⸣ba] (茹で卵の殻を剥ぎ取って、塩を振って食べなさいよ) 17868 0 1 17896 htmvoc_17868.wav ユディタク ユ⸢ディ⸣タク [ju⸢di⸣tḁku] 名 {Mn_1}\ruby{茹蛸}{ユデ|タコ}。 ユ⸢ディタク⸣ヌ ⸣ティー ⸣キシ ⸣キー ヤ⸢ラ⸣ビンケン ッ⸢ふァーシ⸣バ [ju⸢ditaku⸣nu ⸣tiː ⸣ki̥ʃi ⸣kiː ja⸢ra⸣biŋkeŋ f⸢faːʃi⸣ba] (茹で蛸の手を切ってきて子供たちに食べさせなさいよ)。 17868 0 2 17897 htmvoc_17868.wav ユディタク ユ⸢ディ⸣タク [ju⸢di⸣tḁku] 名 {Mn_2}酔って顔を真っ赤にし、だらりとした様子。 サ⸢キバ⸣ ヌミ ユ⸢ディ⸣タク ⸣ナリティ ⸢ウーキユーサ⸣ヌ [sḁ⸢kiba⸣ numi ju⸢di⸣tḁku ⸣nariti ⸢ʔuːkijuːsa⸣nu] (酒を飲んで、\ruby{茹蛸}{ユデ|タコ}のようになって<顔を真っ赤にし、だらりとなって>動けない) 17869 0 0 17898 htmvoc_17869.wav ユディルン ユ⸢ディ⸣ルン [ju⸢di⸣ruŋ] 他動 茹でる。⸣ユドゥン[⸣juduŋ](茹でる)ともいう。「煠、以菜入涌湯曰煠煮也 奈由豆」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ⸢ナーン⸣パー ユ⸢ディ⸣ルンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ユ⸢ディラン⸣タンティン ⸣ミサンツォー [⸢naːm⸣paː ju⸢di⸣runti ʔu⸢muːtan⸣du ju⸢diran⸣tantim ⸣misanʦoː] (菜っ葉を茹でようと思ったが、茹でなくてもよいそうだ)。 ⸣ユディ ⸢ナー⸣ヌ [⸣judi ⸢naː⸣nu] (茹でてしまった)。 ユ⸢ディ⸣ル ⸣ムノー ⸣ヌーヤ [ju⸢di⸣ru ⸣munoː ⸣nuːja] (茹でる物は何か)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ユデー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ⸣judeː ⸣misamunu] (もっと茹でればいいのに)。 ク⸢レー パー⸣ク ⸣ユディバ [ku⸢reː pa⸣ku ⸣judiba] (これは早く茹でなさい) 17870 0 0 17899 htmvoc_17870.wav ユドゥマナー ユ⸢ドゥマ⸣ナー [ju⸢duma⸣naː] 副 ほどなく。やがて。すぐに。間もなく。時を移さず。「淀まずに」から転訛したもの。「淀、ヨドム」『類聚名義抄』の未然形に打ち消しの助動詞⸣ヌ[⸣nu](~ない)の連用形⸣ナー[naː](~ずに)が付いた形。トゥ⸢キユドゥマ⸣ナー[tu̥⸢kijuduma⸣naː](時をうつさず{EOS}間もなく)ともいう。 ⸣クーティ ⸢アイ⸣ジ シ⸢ター⸣ ユ⸢ドゥマ⸣ナー ⸢カイ⸣リ ⸢キー⸣ ブー [⸣kuːti ⸢ʔai⸣ʤi ʃi̥⸢taː⸣ ju⸢duma⸣naː ⸢kai⸣ri ⸢kiː⸣buː] (来いと連絡<合図>をしたらば、間もなく帰ってきている) 17871 0 0 17900 htmvoc_17871.wav ユドゥムン ユ⸢ドゥ⸣ムン [ju⸢du⸣muŋ] 自動 淀む。流水が止まる。止まって動かない。とどこおる。「殿、ヨドム・ヨドミ・ヨド」『類聚名義抄』。「~磐に觸れ与杼賣類与杼尓<ヨドメルヨドニ>~。万、1714」の転訛したもの。 シ⸢キム⸣トゥ ッ⸢サウ⸣カー ミ⸢ジェー⸣ ユ⸢ドゥムン⸣ドゥ ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ユ⸢ドゥマ⸣ヌ ⸢ナーラサリ⸣ス [ʃi̥⸢kimu⸣tu s⸢sau⸣kaː mi⸢ʤeː⸣ ju⸢dumun⸣du ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ju⸢duma⸣nu ⸢naːrasari⸣su] (せきもと<堰元>を\ruby{塞}{フサク}ぐと流れは淀むが、雨が降ると淀まない{EOS}流される)。 ン⸢ベーマー⸣ アシ ユ⸢ドゥ⸣ミティ ⸢カンガイ⸣リ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʔaʃi ju⸢du⸣miti ⸢kaŋgai⸣ri] (少しは足を止めて考えよ<れ>)。 ⸢カーラヌ⸣ ミ⸢ジヌ⸣ ユ⸢ドゥ⸣ム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaːranu⸣ mi⸢ʤinu⸣ ju⸢du⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (川の水が淀むことはない)。 ⸢カーラヌ⸣ ミ⸢ジヌ ユ⸢ドゥ⸣メー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢kaːranu⸣ mi⸢ʤinu⸣ ju⸢du⸣meː na⸢ra⸣nu] (川の水が淀んではならない) 17872 0 0 17901 htmvoc_17872.wav ユドゥン ⸣ユドゥン [⸣juduŋ] 他動 \ruby{茹}{ユ}でる。「\ruby{茹}{ユ}で。<由豆>下二段」の四段活用化したもの。 ⸢ナーン⸣パー ⸣ユドゥンティ ⸣ウムーカー ク⸢ヌ⸣ ナビナー ユ⸢ダン⸣ドーシ ⸢スー⸣ナビナ イ⸢リティ⸣ ユディバ [⸢naːm⸣paː ⸣judunti ⸣ʔumuːkaː ku⸢nu⸣ nabinaː ju⸢dan⸣doːʃi ⸢suː⸣nabinaː ʔi⸢riti⸣ judiba] (菜っ葉を茹でようと思うならば、この鍋では茹でないで、汁鍋に入れて茹でなさいよ)。 ⸣ユドゥ ⸣ムノー ムー⸢ル⸣ ユデー ⸣ミサムヌ [⸣judu ⸣munoː muː⸢ru⸣ judeː ⸣misamunu] (茹でる物は全部茹でればいいのに)。 ⸣ユディ ⸣ミサン [⸣judi ⸣misaŋ] (茹でてもよい) 17873 0 0 17902 htmvoc_17873.wav ユドゥン ⸣ユドゥン [⸣juduŋ] 名 赤潮。初夏、⸢スー⸣マン ⸣ボースー[⸢suː⸣mam ⸣boːsuː](小満、\ruby{芒種}{ボウ|シュ})の頃、赤潮が発生して海岸の海水が真っ赤に染まる現象。生臭い臭いが海辺に漂う。 ユ⸢ドゥン⸣ヌ ⸢ユーリティ⸣ ス⸢ナ⸣カー ア⸢ガーアガー⸣シ ス⸢マリベー [ju⸢dun⸣nu ⸢juːriti⸣ su⸢na⸣kaː ʔa⸢gaːʔagaː⸣ʃi su⸢mari beː] (赤潮が発生して<寄って>、海は真っ赤に染まっている) 17874 0 0 17903 htmvoc_17874.wav ユナ ⸣ユナ [⸣juna] 名 (植)木の名。オオハマボウ。⸣ユナキー[⸣junakiː]ともいう。島の海岸に自生する小高木。防風林、防潮林として植樹された。黄色の\ruby{清楚}{セイ|ソ}な花を咲かせる。葉は円心形でお皿の代用に利用されたり、トイレットペーパー代用に利用された。樹皮の繊維質は縄の代用に利用され、乾燥した木質部は⸣ピナー[⸣pinaː](火縄)の\ruby{芯}{シン}に利用された。灰は\ruby{藍汁}{アイ|ジル}に使われ、日常生活に重宝された。 ム⸢カ⸣シェー ユ⸢ナ⸣ヌ ⸢パー⸣シル シ⸢ビ ヌシ⸣トーッタル [mu⸢ka⸣ʃeː ju⸢na⸣nu ⸢paː⸣ʃiru ʃi⸢bi nuʃi̥⸣toːttaru] (昔は、ユナの葉で尻を\ruby{拭}{ヌグ}われたものだ) 17875 0 0 17904 htmvoc_17875.wav ユナーミナ ユ⸢ナーミナ [ju⸢naːmina] 名 (動)貝の名。イモガイ科の仲間。\ruby{殻}{カラ}は厚く、殻の長さは約6センチ。表面は茶色がかった色を呈する。鳩間島の西海岸、屋良の海岸の海底砂地などに生息している。煮て中身を抜き取り汁に入れて食すると美味である。 ユ⸢ナーミナー⸣ プ⸢サイ⸣ クー⸢ディー [ju⸢naːminaː⸣ pu̥⸢sai⸣ kuː⸢diː] (ユナーミナーを拾って来ようよ) 17876 0 0 17905 htmvoc_17876.wav ユナカ ユ⸢ナ⸣カ [ju⸢na⸣ka] 名 夜中。夜半。 ユ⸢ナカー⸣ラ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤミティ サ⸢ギットゥバ⸣シ ⸢ベー [ju⸢nakaː⸣ra ba⸢ta⸣nu ⸣jamiti sa⸢gittuba⸣ʃi ⸢beː] (夜中からお腹が痛んで、\ruby{下痢}{ゲ|リ}して<下げ飛ばして>いる) 17877 0 0 17906 htmvoc_17877.wav ユナカイー ユ⸢ナカ⸣イー [ju⸢naka⸣ʔiː] 名 夜食。「夜中・飯」の義。夕食後に一仕事ある時は、午後11時頃に夜食を取った。カツオ漁船が大漁して夕方に帰港すると、鰹節製造工場では、ニ⸢コミ[ni⸢komi](煮込み)、バ⸢ラ⸣ヌギ[ba⸢ra⸣nugi](刺を抜く作業{EOS}「ばら<\ruby{荊棘}{バ|ラ}>・抜き」の義)、⸢バイ⸣カン[⸢bai⸣kaŋ](焙乾)の夜業が続いたので、夜食が必要であった。 ⸣ユベー カ⸢ツシンヌ タイロー⸣ シ⸢ター⸣ ユ⸢ナカ⸣イー ッ⸢ふァイティ⸣ ガ⸢ルン⸣ケン シ⸢グトゥ⸣ シ⸢タン⸣ダー [⸣jubeː kḁ⸢ʦuʃinnu tairoː⸣ ʃi̥⸢taː⸣ ju⸢naka⸣ʔiː f⸢faiti⸣ ga⸢ruŋ⸣keŋ ʃi⸢gutu⸣ ʃi̥⸢tan⸣daː] (昨夜は鰹漁船が大漁したので、夜食を食べて夜が明けるまで仕事をしたよ) 17878 0 0 17907 htmvoc_17878.wav ユナカサナカ ユ⸢ナカサナ⸣カ [ju⸢nakasana⸣ka] 名 真夜中。「夜中最中」の義。ABCDBC型の重言。 ユ⸢ナカサナ⸣カーラ ッ⸢ふァヌ⸣ ニ⸢チ⸣バ ン⸢ザ⸣シティ ウ⸢リ トゥンザ⸣ク ⸢スンティ⸣ プ⸢ス⸣ミーンツァン ニ⸢バランシェン [ju⸢nakasana⸣kaːra f⸢fanu⸣ ni⸢ʧi⸣ba ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ʔu⸢ri tunʣa⸣ku ⸢sunti⸣ pu̥⸢su⸣miːnʦan ni⸢baraŋʃeŋ] (真夜中から子供が熱を出して、それを看病するとて一睡<一目>さえも出来<眠れ>なかった) 17879 0 0 17908 htmvoc_17879.wav ユナカソッコー ユ⸢ナカソッ⸣コー [ju⸢nakasok⸣koː] 名 夜中焼香。迎えの焼香。大きな法事の前夜、午後十時ごろに供養すべき霊をお迎えして行われる焼香。ン⸢カイソッコー[ʔŋ⸢kaisokkoː](迎え焼香)ともいう。仏教語の「しゅくき(宿忌)」のこと。ウ⸢クリソッコー[ʔu⸢kurisokkoː](送り焼香)の対義語。 ユ⸢ナカソッコー⸣ヤ ウ⸢ブソッ⸣コーナール ⸢ソー⸣ルミー [ju⸢nakasokkoː⸣ja ʔu⸢busok⸣koːnaːru ⸢soː⸣rumiː] (夜中焼香は大きな法事<焼香>でなさるんでしょうね) 17880 0 0 17909 htmvoc_17880.wav ユナカッサーク ユ⸢ナカッサー⸣ク [ju⸢nakassaː⸣ku] 名 夜中に発作的に起きる咳。 ⸣アッパー ユ⸢ナカッサー⸣ク ⸢ソー⸣ルンダ ⸢ピッ⸣チン ニ⸢ボーララン⸣パジ⸢ダー [⸣ʔappaː ju⸢nakassaː⸣ku ⸢soː⸣runda ⸢pit⸣ʦin ni⸢boːraram⸣ paʤi⸢daː] (お祖母さんは夜中に発作的に咳をされるから、ちっともお眠りになれないはずだよ) 17881 0 0 17910 htmvoc_17881.wav ユナカヌパイ ユ⸢ナカ⸣ヌ ⸣パイ [ju⸢naka⸣nu ⸣pai] 連 夜中の祈願。「夜中の拝」の義。 ⸢ユードゥー⸣シ [⸢juːduː⸣ʃi] (夜通し祈願する神事)の際に、夜中に行われる祈願(拝)。友利御嶽のウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](本殿{EOS}母屋)で執り行われる。サ⸢カサ(司)は麻製の白衣裳を羽織るように着、ティジリビー(男性神職者)は麻製の⸢クンジキン[⸢kunʤikiŋ](紺地の着物)にカ⸢クフク⸣ビ[kḁ⸢kuɸu̥ku⸣bi](角帯)を締めて祈願する。 ユ⸢ナカ⸣ヌ ⸢パイ⸣ヌ ⸣アトー ⸢サンシンバ⸣ ピ⸢キ⸣ ウ⸢タ⸣バ イ⸢ジェー⸣ティル シ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸣パイ マ⸢トー⸣ル [ju⸢naka⸣nu ⸢pai⸣nu ⸣ʔatoː ⸢saŋʃimba⸣ pi̥⸢ki⸣ ʔu⸢ta⸣ba ʔi⸢ʤeː⸣tiru ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸣pai ma⸢toː⸣ru] (夜中の拝<祈願>の後は三線を弾き歌を歌いながら朝の祈願をお待ちになる) 17882 0 0 17911 htmvoc_17882.wav ユナク ユ⸢ナ⸣ク [ju⸢na⸣ku] 名 むぎこがし(麦焦がし)。はったいこ。大麦を炒りこがし、石臼で碾いて粉にしたもの。黒砂糖を削って混ぜ、⸢サー⸣フキ[⸢saː⸣ɸu̥ki](茶請け)にしたり、湯で練って食したりした。美味である。⸢カイ⸣キ[⸢kai⸣ki](皿)に盛ったものや、⸣サバン[⸣sabaŋ](茶碗)に盛ったものを、ガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](榕樹)の葉をスプーンの代わりに使用して食した。老人は水に溶かして食することもあった。若年層でユ⸢ヌ⸣ク[ju⸢nu⸣ku](麦焦がし)ともいう人もいる<一種の母音調和か>。 ユ⸢ナ⸣ク ⸣サジシ ス⸢クイティ⸣ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ju⸢na⸣ku ⸣saʤiʃi su̥⸢kuiti⸣ f⸢faːʃi⸣ba] (麦焦がしを匙で掬って食べさせなさいよ) 17883 0 0 17912 htmvoc_17883.wav ユナグ ユ⸢ナ⸣グ [ju⸢na⸣gu] 名 女。女性。「嬢、婦人美也、美女也、良女也、肥大也、乎美奈<をみな>」『新撰字鏡』、⸢~老人も女童兒毛<ヲミナワラハモ>~。万、4094」の転訛したもの。沖縄本島方言からの借用語。歌謡語。話し言葉では、ミ⸢ドゥ⸣ム[mi⸢du⸣mu](女)という。/アサニシヨル ユナグ アサピキ シヨル ミドゥン ウリカラドゥ キハミティ ブトゥヤユダン シミユル(朝寝坊の女性と朝食用の芋堀に行く婦人の家庭では夫は常に油断がちで家運は衰退する)/(デンサ節)『八重山民謡誌』 17884 0 0 17913 htmvoc_17884.wav ユナデー ユ⸢ナ⸣デー [ju⸢na⸣deː] 名 与那田家。鳩間島で始めて郵便局が設置された家という。当家の男子が早世したので与那田家は大正初期に絶家した。女子の一人(与那田マイツ{EOS}明治16年8月10生)が加治工津久利へ嫁し、一人は大工家へ、もう一人は吉川家へ嫁した。イ⸢ラ⸣カマイ[ʔi⸢ra⸣kamai](ウ⸢ブ⸣マイ{SqBr}ʔu⸢bu⸣mai{/SqBr}の農道の南側の林)の西側に、同家のフ⸢ジマレーパカ[ɸu⸢ʤimareːpaka](カ⸢ソーライシ{SqBr}kḁ⸢soːraʔiʃi{/SqBr}<テーブルサンゴ>で石槨を作り、周囲を石を円く積み上げて作った古い墓)が残っている 17885 0 0 17914 htmvoc_17885.wav ユナデヌイズヌヤー ユ⸢ナ⸣デヌ イ⸢ズヌ⸣ヤー [ju⸢na⸣denu ʔi⸢ʣunu⸣jaː] 連 (海底地名)。⸢与那田家の魚の家」の義。{フ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](舟原浜)とナ⸢ラ⸣リパマ[na⸢ra⸣ripama](ナラリ浜)の中間にある礁内湖(魚の巣<家>)}。与那田家の人が網を入れて漁獲したところという 17886 0 0 17915 htmvoc_17886.wav ユナバル ユ⸢ナバル [ju⸢nabaru] 固 与那原家。 イ⸢サナキヌ⸣ ユ⸢ナバル⸣ナー ブ⸢バーマ⸣ヌ ⸢オール⸣ン [ʔi⸢sanakinu⸣ ju⸢nabaru⸣naː bu⸢baːma⸣nu ⸢ʔoː⸣ruŋ] (石垣の与那原家には叔母がいらっしゃる)。(地名)与那原。 ユ⸢ナバルヌ アーラキナー⸣ル チ⸢ネンコーコー⸣ヤ ⸣アルンダ ⸣バー ⸣ウナーティン プ⸢ス⸣トゥシェー シ⸢トゥ⸣ミ ミッ⸣タン [ju⸢nabarunu ʔaːrakinaː⸣ru ʧi⸢neŋkoːkoː⸣ja ⸣ʔarunda ⸣baː ⸣ʔunaːtim pu̥⸢su⸣tuʃeː ʃi̥⸢tu⸣mi ⸢mit⸣taŋ] (与那原の東側に知念高校はあるから、私はそこにも一年は勤めてみたことがある) 17887 0 0 17916 htmvoc_17887.wav ユナラミズ ユ⸢ナラミズ [ju⸢naramiʣu] 名 (海底地名)西表島東部の野原崎、由布島と小浜島の間の海峡。「ユナラ澪」の義。ユ⸢ノーラミズ[ju⸢noːramiʣu]ともいう。干満の差による海流が早く、海の難所の一つであった。大型の⸣カマンタ[⸣kamanta](マンタ{EOS}オニイトマキエイ)や⸣ザン[⸣ʣaŋ](ジュゴン<儒艮>)が遊泳することで有名である。 ム⸢カ⸣シェー ⸣イダフネーラ ユ⸢ナラミズ<ユ⸢ノーラミズ> クイルンティ⸣ イッ⸢ケナ ナン⸣ギ ⸢ソーッ⸣タンツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ʔidaɸuneːra ju⸢naramiʣu kuirunti⸣ ʔik⸢kena naŋ⸣gi ⸢soːt⸣tanʦoː] (昔は板舟でユナラ海峡を越えるのに大変苦労されたそうだ) 17888 0 0 17917 htmvoc_17888.wav ユナルン ユ⸢ナ⸣ルン [ju⸢na⸣ruŋ] 自動 日が暮れる。夜になる。「ゆふ<由布佐礼婆~。万3666>」の「ゆふ」に「なり<~由布幣尓奈礼婆~。夕べにナレバ~。>万、904」の「なり」が付いた形。 ユ⸢ナ⸣ルンケン パ⸢タ⸣キ ⸢カイ⸣スンティ ⸢ベー [ju⸢na⸣ruŋkem pḁ⸢ta⸣ki ⸢kai⸣sunti ⸢beː] (日が暮れるまで畑を耕して<耕そうとして>いる)。 ユ⸢ナラン⸣ケン ⸢ヤー⸣ パリ [ju⸢naraŋ⸣keŋ ⸢jaː⸣ pari] (日が暮れないうちに家に帰れ)。 キサー⸢ティ⸣ ユ⸢ナ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ki̥saː⸢ti⸣ ju⸢na⸣ri ⸢naː⸣nu] (既に日が暮れてしまった)。 ユ⸢ナ⸣ル ⸣ピンマー ⸣プシェー ミ⸢ラリ⸣ス [ju⸢na⸣ru ⸣pimmaː ⸣pu̥ʃeː mi⸢rari⸣su] (日が暮れるときは、星が見える)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢ナ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ju⸢na⸣reː ⸣misamunu] (早く日が暮れればいいのに) 17889 0 0 17918 htmvoc_17889.wav ユナン ユ⸢ナン [ju⸢naŋ] 名 四男。四番目の男子。⸢サン⸣ナン カ⸢キマカラー⸣ ユ⸢ナン⸣ラー ⸣ザイサンマー ⸢ナー⸣ヌ[⸢san⸣naŋ kḁ⸢kimakaraː⸣ ju⸢nan⸣raː ⸣ʣaisammaː ⸢naː⸣nu](三男は欠けたお碗しか貰えず、四男からは財産はない)といわれている 17891 0 0 17919 htmvoc_17891.wav ユニ ユ⸢ニ [ju⸢ni] 名 す(洲)。海流や水流により土砂や砂利が堆積して水面に出来た砂洲、または砂利の島。最近は略地図に⸢バラス島」と記されているが、伝統的な正式名称は「ユニ」である。終戦後は、鳩間島に来た糸満漁師の方言の影響で、ユ⸢ニ⸣グヮー[ju⸢ni⸣gwaː](小洲)と言う人もいた。鳩間島と西表島上原の中間、鳩離島の西の海上に浮かぶ珊瑚の砂利で出来た島。この海域は潮の干満による潮の流れが大きい。 ム⸢カ⸣シェー ユ⸢ニヌ⸣ スバナーティ カ⸢ツシンヌ⸣ ザコー トゥ⸢ローッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː ju⸢ninu⸣ subanaːti kḁ⸢ʦuʃinnu⸣ ʣakoː tu⸢roːt⸣taŋ] (昔はユニの側でカツオ漁船の餌<ザコー>を採取された) 17890 0 1 17920 htmvoc_17890.wav ユニチ ユ⸢ニチ [ju⸢niʦi] 名 {Mn_1}(数詞)四日。四つの日数。日を表す単位。 ⸣キサー ⸢ヤイマー⸣ラ ⸢トーキョーバー⸣キ ⸣フネーラ ユ⸢ニチ⸣ カ⸢カリ⸣シタ [⸣ki̥saː ⸢jaimaː⸣ra ⸢toːkjoːbaː⸣ki ⸣ɸuneːra ju⸢niʧi⸣ kḁ⸢kari⸣ʃi̥ta] (以前は、八重山から東京まで船で<行くのに>四日かかった)。 17890 0 2 17921 htmvoc_17890.wav ユニチ ユ⸢ニチ [ju⸢niʦi] 名 {Mn_2}月の第四日。 ⸢グンガチ⸣ヌ ユ⸢ニチナー⸣ル ⸢ヨイ⸣ヤー ⸢スー⸣ツォー [⸢guŋgaʧi⸣nu ju⸢niʧinaː⸣ru ⸢joi⸣jaː ⸢suː⸣ʦoː] (五月の四日にお祝いはするそうだ) 17892 0 0 17922 htmvoc_17892.wav ユニドゥシ ユ⸢ニドゥシ [ju⸢niduʃi] 名 米寿。「よねどし(米年)」の義。八十八歳。「よね(米)歳」から類推派生したものであろう。普通は、⸢トー⸣カキ[⸢toː⸣kaki](米寿の祝い)という。 ⸢アー⸣ヤー<⸣アチャー> ユ⸢ニドゥシヌ ヨイ⸣ヤー イ⸢チル ソール⸣ワ [⸢ʔaː⸣jaː<⸣ʔaʧaː> ju⸢niduʃinu joi⸣jaː ʔi⸢ʧiru soːru⸣wa] (お祖父さんの米寿のお祝いは何時<ぞ>なさるのですか) 17893 0 0 17923 htmvoc_17893.wav ユヌ ユ⸢ヌ [ju⸢nu] 連体 同じ。同程度。 ウ⸢レー バン⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣トゥシ [ʔu⸢reː ban⸣tu ju⸢nu⸣tuʃi] (彼は私と同じ年<同年>だ)。 ユ⸢ヌ⸣ ムニ パ⸢ナス⸣ナ<ア⸢ズナ> [ju⸢nu⸣ muni pa⸢nasu⸣na<ʔa⸢ʣuna>] (同じ話<物言い>を話すな)。 ユ⸢ヌ⸣ピンナー ⸣ヨイ ⸢ソーッ⸣タ [ju⸢nu⸣ pinnaː ⸣joi ⸢soːt⸣ta] (同じ日にお祝いをされた) 17894 0 0 17924 htmvoc_17894.wav ユヌク ユ⸢ヌ⸣ク [ju⸢nu⸣ku] 名 麦焦がし。老年層は、ユ⸢ナ⸣ク[ju⸢na⸣ku](麦焦がし)という。「湯の子」(底鍋に焦げ付いた飯を用いて作る\ruby{湯漬}{ユ|ヅケ})の転訛したものか。 ユ⸢ヌ⸣ク ピ⸢キティ⸣ ヤ⸢ラ⸣ビンケーン マ⸢ドゥヌ⸣ムヌ ス⸢ク⸣リ ッ⸢ふァーシ⸣バ [ju⸢nu⸣ku pi̥⸢kiti⸣ ja⸢ra⸣biŋkeːm ma⸢dunu⸣munu su̥⸢ku⸣ri f⸢faːʃi⸣ba] (麦焦がしを\ruby{碾}{ヒ}いて子供たちにお八つを作って食べさせなさいよ) 17895 0 0 17925 htmvoc_17895.wav ユヌクバタ ユ⸢ヌ⸣クバタ [ju⸢nu⸣kubata] 名 餡として餅に入れる黒糖を混ぜた麦焦がし。麦焦がし餡。はったいこ餡。ユ⸢ナ⸣クバタ[ju⸢na⸣kubata](はったいこ餡)ともいう。 ユ⸢ヌ⸣クバタヌ ⸢アンム⸣チェー イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン [ju⸢nu⸣kubatanu ⸢ʔammu⸣ʧeː ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ] (麦焦がし餡の餡餅は非常に美味しいよ) 17896 0 0 17926 htmvoc_17896.wav ユヌザー ユ⸢ヌ⸣ザー [ju⸢nu⸣ʣaː] 名 同じ座敷。同室。同席。 ⸢バン⸣ヌン ⸢ワットゥ⸣ ユ⸢ヌ⸣ザーナ ⸢ベー⸣タ ⸢ベー⸣ティ ウ⸢ヌ⸣ パ⸢ナ⸣シェー シゥカイ⸢トゥ⸣ ス⸢クタン [⸢ban⸣nuŋ ⸢wattu⸣ ju⸢nu⸣ʣaːna ⸢beː⸣ta ⸢beː⸣ti ʔu⸢nu⸣ pa⸢na⸣ʃeː ʃi̥kai⸢tu⸣ su̥⸢kutaŋ] (私も貴方と同じ座敷にいたので、その話はしっかりと聞いたことがある) 8600 0 0 17927 htmvoc_8600.wav ユヌシリ ユ⸢ヌ⸣シリ [ju⸢nu⸣ʃiri] 名 同年輩。同輩。同年生。同じ年の子供。同じ年頃の友人。同級生。ユ⸢ヌ[ju⸢nu](同じ)に、⸣シリ[⸣ʃiri](連れ、同伴者)が付いて形成された語。 ⸢ウッ⸣ツァー ユ⸢ヌ⸣シリンケーヤ ⸢ゴー⸣ラーン⸢ダー [⸢ʔut⸣ʦaː ju⸢nu⸣ʃiriŋkeːja ⸢goː⸣raːn⸢daː] (彼らの同級生は多いよ) 17898 0 1 17928 htmvoc_17898.wav ユヌスク ユ⸢ヌ⸣スク [ju⸢nu⸣su̥ku] 名 {Mn_1}同じ程度。同程度。同レベル。 ヤ⸢ラビ⸣トゥ ユ⸢ヌスク⸣ル ⸣アルユンダ ヤ⸢ラビ⸣トゥン ⸢アイ⸣ス [ja⸢rabi⸣tu ju⸢nusu̥ku⸣ru ⸣ʔarujunda ja⸢rabi⸣tuŋ ⸢ʔai⸣su] (子供と同じ程度しかない<同じ程度ぞある>から、子供とも喧嘩をする)。 17898 0 2 17929 htmvoc_17898.wav ユヌスク ユ⸢ヌ⸣スク [ju⸢nu⸣su̥ku] 名 {Mn_2}同じ分量。 ウ⸢リトゥ⸣ ユ⸢ヌ⸣スクブカラー ア⸢リバ⸣ル ナル⸢ナー [ʔu⸢ritu⸣ ju⸢nu⸣su̥kubukara ʔa⸢riba⸣ru naru⸢naː] (それと同じ程度ないといけないねえ<同じ程度あればぞなるなあ>)。 ウ⸢リトゥ⸣ ユ⸢ヌ⸣スク ッ⸢ふァーソー⸣リ [ʔu⸢ritu⸣ ju⸢nu⸣su̥ku f⸢faːsoː⸣ri] (彼と同じくらい<分量>、食べさせて下さい) 17899 0 1 17930 htmvoc_17899.wav ユヌタキ ユ⸢ヌ⸣タキ [ju⸢nu⸣taki] 名 {Mn_1}同じ高さ。 ウ⸢ヤ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣タキ ア⸢リ⸣ ブー [ʔu⸢ja⸣tu ju⸢nu⸣tḁki ʔa⸢ri⸣ buː] (親と同じ高さになっている)。ユ⸢ヌ[ju⸢nu](同じ)に⸣タキ[⸣tḁki](身長{EOS}「丈、長」)が付いて形成だれたもの。 17899 0 2 17931 htmvoc_17899.wav ユヌタキ ユ⸢ヌ⸣タキ [ju⸢nu⸣taki] 名 {Mn_2}同じ程度。同等。 ヤ⸢ラビ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣タキ ⸣ナリティ ⸢アウ⸣ナ [ja⸢rabi⸣tu ju⸢nu⸣tḁki ⸣nariti ⸢ʔau⸣na] (子供と同じレベルになって\ruby{喧嘩}{ケン|カ}するな) 17900 0 0 17932 htmvoc_17900.wav ユヌトゥシ ユ⸢ヌ⸣トゥシ [ju⸢nu⸣tu̥ʃi] 名 同年。同じ年。 ユ⸢ヌトゥシ⸣ヌ ユ⸢ヌ⸣シキナ マ⸢レー⸣ プ⸢ス⸣ トゥミ ⸣クー [ju⸢nutuʃi⸣nu ju⸢nu⸣ʃi̥kina ma⸢reː⸣ pu̥⸢su⸣ tumi ⸣kuː] (同じ年の同じ月に生まれた人を捜してきなさい) 17901 0 0 17933 htmvoc_17901.wav ユヌナイ ユ⸢ヌ⸣ナイ [ju⸢nu⸣nai] 名 同じ長さ。 ユ⸢ヌナイ⸣ヌ サ⸢ギ⸣ヤーダキバ フ⸢タムトゥ⸣ イダフニナー ⸣サイティル ⸢マイダーラ⸣ シ⸢モーッタ [ju⸢nunai⸣nu sa⸢gi⸣jaːdakiba ɸu̥⸢tamutu⸣ ʔidaɸuninaː ⸣saitiru ⸢maidaːra⸣ ʃi⸢moːt⸣ta] (同じ長さのフロート<下げ吊るす竹竿>をサバニに下げ、イダフニを安定させて米俵を積まれた) 17902 0 0 17934 htmvoc_17902.wav ユヌナカ ユ⸢ヌナカ [ju⸢nunaka] 名 世の中。世間。 ユ⸢ヌナカヌ⸣ プ⸢スヌ⸣ タ⸢ミ スール ニンギン⸣ヌ ス⸢クブン [ju⸢nunakanu⸣ pu̥⸢sunu⸣ ta⸢mi suːru niŋgin⸣nu su̥⸢kubuŋ] (世の中の人のために尽くす<する>ことが人間の努め<職分>だ) 17903 0 0 17935 htmvoc_17903.wav ユヌナダカ ユ⸢ヌナダ⸣カ [ju⸢nunada⸣ka] 名 同じ高さ。同程度。同じ背丈。 ヤ⸢ラ⸣ベー キサー⸢ティ⸣ ウ⸢ヤ⸣トゥ ユ⸢ヌナダ⸣カ フ⸢ドゥビ ブー [ja⸢ra⸣beː ki̥saː⸢ti⸣ ʔu⸢ja⸣tu ju⸢nunada⸣ka ɸu⸢dubi buː] (子供はすでに親と同じ背丈に成長している)。 ⸢トゥーヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ベー ユ⸢ヌナダ⸣カー ⸢ナー⸣ヌ [⸢tuːnu⸣ ʔu⸢ja⸣beː ju⸢nunada⸣kaː ⸢naː⸣nu] (十本の指は同じ高さではない<諺>{EOS}ものには夫々にその特徴があるものだ) 17904 0 0 17936 htmvoc_17904.wav ユヌナッチン ユ⸢ヌ ナッ⸣チン [ju⸢nu nat⸣ʧiŋ] 連 同じ大きさの小粒のもの。 ⸢ター⸣ヌ ⸣スバナー ユ⸢ヌナッチン⸣ヌ ⸢ターヤー⸣ヌ ⸢ミーキブル アッ⸣タン [⸢taː⸣nu ⸣subanaː ju⸢nunatʧin⸣nu ⸢taːjaː⸣nu ⸢miːkiburu ʔat⸣taŋ] (田の側に同じ大きさの田圃小屋が三軒<三煙>あった) 17905 0 0 17937 htmvoc_17905.wav ユヌナドゥ ユ⸢ヌ⸣ ナドゥ [ju⸢nu⸣ nadu] 連 同じ長さ。 ⸢ガッ⸣コー ⸢バー⸣キ ユ⸢ヌ⸣ ナ⸢ドゥ⸣ヌ ⸣ミチ フ⸢タムシナー⸣ カ⸢ユイシタ [⸢gak⸣koː⸢baː⸣ki ju⸢nu⸣ na⸢du⸣nu ⸣miʧi ɸu̥⸢tamuʃinaː⸣ ka⸢juiʃi̥ta] (学校までの、同じ長さの道を二回ずつ通った) 17906 0 0 17938 htmvoc_17906.wav ユヌパンシ ユ⸢ヌ⸣ パンシ [ju⸢nu⸣ paŋʃi] 連 途中で休まないで。同じ歩調で。そのまま。「同じ足で」の義。 ミ⸢チナカ⸣ナー ⸢ユーコーン⸣ドーシ ユ⸢ヌ⸣パンシ タダー⸢イ⸣ ア⸢ラ⸣キパリ [mi⸢ʧinaka⸣naː ⸢juːkoːn⸣doːʃi ju⸢nu⸣paŋʃi tadaː⸢ji⸣ ʔa⸢ra⸣kipari] (道の途中で休まないで、ただずっと<同じ歩調で>歩いて行きなさい) 17907 0 0 17939 htmvoc_17907.wav ユヌプス ユ⸢ヌ⸣プス [ju⸢nu⸣pu̥su] 名 同じ人。同一人物。 ク⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ キノー ミ⸢ル⸣タ プ⸢ストゥ⸣ ユ⸢ヌ⸣プソー ア⸢ラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ kinoː mi⸢ru⸣ta pu̥⸢sutu⸣ ju⸢nu⸣pu̥soː ʔa⸢ra⸣nu] (この人は昨日会った<見た>人と同一人物ではない)。 ユ⸢ヌ⸣プスン カー⸢ニ⸣ シ⸢グトゥ⸣ シ⸢ミルナ [ju⸢nu⸣pu̥suŋ kaː⸢ni⸣ ʃi⸢gutu⸣ ʃi⸢miruna] (同じ人にだけに仕事をさせるな) 17908 0 0 17940 htmvoc_17908.wav ユヌムヌ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [ju⸢nu⸣munu] 名 同じもの。同一物。同様なもの。 ⸣シザ ⸢ウシ⸣トゥ ユ⸢ヌムヌ⸣バ キ⸢サシ⸣ シケー [⸣ʃiʣa ⸢ʔuʃi̥⸣tu ju⸢numunu⸣ba ki̥⸢saʃi⸣ ʃi̥keː] (兄と弟に同じ着物<もの>を着せている)。 ユ⸢ヌ⸣ムヌ カー⸢ニ カウナ [ju⸢nu⸣munu kaː⸢ni kauna] (同じものだけを買うなよ)。 ⸢クッ⸣ツァー ムー⸢ル⸣ ユ⸢ヌ⸣ムヌ [⸢kut⸣ʦaː muː⸢ru⸣ ju⸢nu⸣munu] (これらは全部同じものだ) 17909 0 0 17941 htmvoc_17909.wav ユヌレー ユ⸢ヌ⸣レー [ju⸢nu⸣reː] 名 一周忌。一年忌。⸢タンカーソッコー[⸢taŋkaːsokkoː](一周忌)ともいう。 ⸣アッパー ユ⸢ヌレー⸣ヌ ⸢ソッコー⸣ヤ イ⸢チ⸣ヤー [⸣ʔappaː ju⸢nureː⸣nu ⸢sokkoː⸣ja ʔi⸢ʧi⸣jaː] (お祖母さんの一周忌の法事はいつか) 6047 0 0 17942 htmvoc_6047.wav ユヌングトゥ ユ⸢ヌング⸣トゥ [ju⸢nuŋgu⸣tu] 名 同じこと。マ⸢ナ⸣マ ⸢サンタンティン⸣ ミサン。⸣アトーラン ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸣ユンダー ユヌングトゥ[ma⸢na⸣ma ⸢santantim⸣ misaŋ。⸣ʔatoːran ⸢saŋ⸣kaː na⸢raŋ⸣jundaː ju⸢nuŋgu⸣tu](今しなくても良い{EOS}後からもしなくてはならないのだから、同じことだ) 17910 0 0 17943 htmvoc_17910.wav ユヌングトゥ ユ⸢ヌング⸣トゥ [ju⸢nuŋgu⸣tu] 副 同じように。同様に。結局。 プ⸢スヌ⸣ ムニ ⸣ユー シゥ⸢カン⸣カー ユ⸢ヌング⸣トゥ マ⸢チガイ⸣ス [pu̥⸢sunu⸣ muni ⸣juː sï̥⸢kaŋ⸣kaː ju⸢nuŋgu⸣tu ma⸢ʧigai⸣su] (他人の忠告<話>をよく聞かないと、また同じように間違える) 17911 0 0 17944 htmvoc_17911.wav ユヌンゴーラスン ユ⸢ヌンゴーラ⸣スン [ju⸢nuŋgoːra⸣suŋ] 他動 濁らす。濁す。 ⸣ガンガンシルシ ミ⸢ジ⸣ フ⸢ム⸣カー ⸢カーヌ ミジ⸣ ユ⸢ヌンゴラ⸣スン⸢ダー [⸣gaŋgaŋʃiruʃi mi⸢ʤi⸣ ɸu⸢mu⸣kaː ⸢kaːnu miʤi⸣ ju⸢nuŋgoːra⸣sun⸢daː] (ブリキ板製の釣瓶で水を汲むと井戸の水を濁らせるぞ)。 ユ⸢ヌンゴーラサン⸣ヨーシ ク⸢バンパーシル⸣シ フ⸢ミ⸣バ [ju⸢nuŋgoːrasaɲ⸣joːʃi ku⸢bampaːʃiru⸣ʃi ɸu⸢mi⸣ba] (濁らさないように\ruby{蒲葵}{ク|バ}の葉製の\ruby{釣瓶}{ツル|ベ}で汲みなさい)。 ユ⸢ヌンゴーラ⸣ス ⸣クトー サ⸢ヌ [ju⸢nuŋgoːra⸣su ⸣ku̥toː sa⸢nu] (濁らすことはしない)。 ユ⸢ヌンゴーラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ju⸢nuŋgoːra⸣ʃeː ⸣misamunu] (濁らせば良いのに)。 ユ⸢ヌンゴーラ⸣シ [ju⸢nuŋgoːra⸣ʃi] (濁らせろ) 17912 0 0 17945 htmvoc_17912.wav ユヌンゴーリミジ ユ⸢ヌンゴーリ⸣ミジ [ju⸢nuŋgoːri⸣miʤi] 名 \ruby{濁}{ニゴ}り水。 ユ⸢ヌンゴーリ⸣ミジェー ヌ⸢マン⸣ドーシ シ⸢マ⸣シテーラ ヌミバ⸢ヨー [ju⸢nuŋgoːri⸣miʤeː nu⸢man⸣doːʃi ʃi⸢ma⸣ʃi̥teːra numiba⸢joː] (濁った水は飲まないで、澄ましてから飲みなさいね) 17913 0 0 17946 htmvoc_17913.wav ユヌンゴールン ユ⸢ヌンゴー⸣ルン [ju⸢nuŋgoː⸣ruŋ] 自動 濁る。ヤ⸢ナンゴー⸣ルン[ja⸢naŋgoː⸣ruŋ](濁る)ともいう。 ⸢カーヌ⸣ ミ⸢ジェー⸣ ユ⸢ヌンゴー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [⸢kaːnu⸣ mi⸢ʤeː⸣ ju⸢nuŋgoː⸣ri ⸢naː⸣nu] (井戸の水は濁ってしまった)。 シ⸢ル⸣シ フ⸢ム⸣カー ユ⸢ヌンゴールン⸣ドゥ ⸢ペー⸣ラシ フ⸢ムンダ⸣ ユ⸢ヌンゴーラ⸣ヌ [ʃi⸢ru⸣ʃi ɸu⸢mu⸣kaː ju⸢nuŋgoːrun⸣du ⸢peː⸣raʃi ɸu⸢munda⸣ ju⸢nuŋgoːra⸣nu] (釣瓶で汲むと濁るが、瓢<ヒョウタン{EOS}「杓、比左古」『和名抄』>の\ruby{柄杓}{ヒ|シャク}で汲むから濁らない)。 ユ⸢ヌンゴー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ju⸢nuŋgoː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (濁ることはない)。 ン⸢ベーマー⸣ ユ⸢ヌンゴー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ju⸢nuŋgoː⸣reː ⸣misamunu] (少しは濁ればいいのに) 17914 0 0 17947 htmvoc_17914.wav ユネン ⸣ユネン [⸣juneŋ] 名 夕方<暗くなって>から夜の8時頃まで。日暮れより8時ごろまで。「由布佐礼婆<ユフサレバ>秋風寒し~。万、3666」の転訛したもの。 ⸣ユネン ⸣ナルカー ⸢パー⸣ク ⸢ヤー⸣ パリ [⸣junen ⸣narukaː ⸢paː⸣ku ⸢jaː⸣ pari] (夕暮れ<日が暮れて暗くなった時刻>になったら早く家に帰りなさい) 17915 0 0 17948 htmvoc_17915.wav ユネンガタ ⸣ユネンガタ [⸣juneŋgata] 名 夕方。日没頃。 ⸢タイロー⸣ シ⸢ター⸣ ユネンガターラ ユ⸢ナカバー⸣キ ⸢シーゾー⸣ヤーナ イ⸢ズ ネースンティ ベー [⸢tairoː⸣ ʃi̥⸢taː⸣ juneŋgataːra ju⸢nakabaː⸣ki ⸢ʃiːʣoː⸣jaːna ʔi⸢ʣu neːsunti beː] (大漁したので夕方から夜中まで鰹節製造工場で魚を煮ている) 17916 0 0 17949 htmvoc_17916.wav ユネンシキティ ⸣ユネン シ⸢キ⸣ティ [⸣juneŋ ʃi̥⸢ki⸣ti] 連 夕暮れになって。夕方にかけて。宵の刻まで。 シ⸢トゥム⸣ティ ⸢パイ⸣サーラ イ⸢ブタ ター⸣ヤ ⸣ユネン シ⸢キ⸣ティン マ⸢ダ⸣ イ⸢ビキサランバン [ʃi̥⸢tumu⸣ti ⸢pai⸣saːra ʔi⸢buta taː⸣ja ⸣juneŋ ʃi̥⸢ki⸣tim ma⸢da⸣ ʔi⸢bikisarambaŋ] (朝早くから植えた田圃は、夕方になっても、まだ植えつくされないわい) 17917 0 0 17950 htmvoc_17917.wav ユネンティダ ⸣ユネンティダ [⸣junentida] 名 夕方の太陽。暑気の緩んだ西日。⸢イーリティダ[⸢ʔiːritida](西日)、ム⸢ドゥリ⸣ティダ[mu⸢duri⸣tida](戻り太陽)ともいう。 ⸣ユネンティダ ⸣ナルカー シ⸢グトー⸣ イッ⸢ケナ⸣ ナ⸢ツァグン⸠ツォー [⸣junentida ⸣narukaː ʃi⸢gutoː⸣ ʔik⸢kena⸣ na⸢ʦagun⸠ʦoː] (太陽が西日になったら仕事は非常に\ruby{捗}{ハカド}るんですよ) 17919 0 0 17951 htmvoc_17919.wav ユネンヌカージ ユ⸢ネン⸣ヌ カー⸢ジ [ju⸢nen⸣nu kaː⸢ʤi] 連 夕方のたんびに。夕方毎に。毎夕。 ユ⸢ネン⸣ヌ カー⸢ジ⸣ ピ⸢ビザヌ⸣ ッサ カ⸢リン パッ⸣タ [ju⸢nen⸣nu kaː⸢ʤi⸣ pi⸢biʣanu⸣ ssa ka⸢rim pat⸣ta] (夕方のたんびに山羊の草刈に行った) 17918 0 0 17952 htmvoc_17918.wav ユネンヌサー ユ⸢ネン⸣ヌ ⸣サー [ju⸢nen⸣nu ⸣saː] 連 夕方のお茶。夜のお茶。夜に飲む茶。 ユ⸢ネン⸣ヌ ⸢サー⸣ヤ カ⸢タサー⸣ ア⸢ランタ⸣ンティン ⸢ミーコーリ⸣ムヌ⸢ダー [ju⸢nen⸣nu ⸢saː⸣ja kḁ⸢tasaː⸣ ʔa⸢ran⸣tantim ⸢miːkoːri⸣munu⸢daː] (夕方に飲むお茶は、濃い茶でなくても目が冴えて不眠症の原因となる<目を\ruby{強張}{コワ|バ}らせる>ものだよ) 17920 0 0 17953 htmvoc_17920.wav ユネンヌパイ ユ⸢ネン⸣ヌパイ [ju⸢nen⸣nupai] 名 宵の頃(午後8時ごろ)の祈願(拝)。⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通しの祈願<拝>)が行われる豊年祭や結願祭には、ユ⸢ネン⸣ヌパイ[ju⸢nen⸣nupai](宵の祈願<拝>)、ユ⸢ナカ⸣ヌパイ[ju⸢naka⸣nupai](夜中の祈願<拝>)、シ⸢トゥムティ⸣ヌパイ[ʃi̥⸢tumuti⸣nupai](朝<つとめて>の祈願<拝>)が行われる。サ⸢カサ(司)、ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː](手摺り部{EOS}男性神職者)、バ⸢キサカ⸣サ(脇司{EOS}司の補佐役)、村役人、及び有志の方々が集まって、祈願の合間合間に三線を弾き、歌を歌って神殿<ウブヤー>を\ruby{賑}{ニギ}やかにし、夜を徹して祈願をする 17921 0 0 17954 htmvoc_17921.wav ユネンノーリ ユ⸢ネンノー⸣リ [ju⸢nennoː⸣ri] 名 夕晴れ。夕方に天候が回復すること。「夕・直り」の義。 シ⸢トゥム⸣テー ア⸢ミカジ⸣ヌ ⸢スー⸣ワタンドゥ ユ⸢ネンノー⸣リ ⸢シー ブンダ⸣ アツァー イ⸢ソー⸣ パ⸢ラ⸣リンパジ [ʃi̥⸢tumu⸣teː ʔa⸢mikaʤi⸣nu ⸢suː⸣watandu ju⸢nennoː⸣ri ⸢ʃiː bunda⸣ ʔaʦaː ʔi⸢soː⸣ pa⸢ra⸣rim ⸣paʤi] (朝は雨風が強かったが、夕晴れしているから、明日は漁に出られるだろう<はずだ>) 17922 0 0 17955 htmvoc_17922.wav ユネンヤキ ユ⸢ネン⸣ヤキ [ju⸢neŋ⸣jaki] 名 夕焼け。 ⸢インタヌ ティンヌ⸣ ユ⸢ネン⸣ヤキ ⸢スー⸣カー ⸢オーシケー ノー⸣ルンティ ム⸢カ⸣シェーラ ア⸢ザリ ブー [⸢ʔintanu tinnu⸣ ju⸢neŋ⸣jaki ⸢suː⸣kaː ⸢ʔoːʃikeː noː⸣runti mu⸢ka⸣ʃeːra ʔa⸢ʣari buː] (西の空<天>が夕焼けがすると天候は良くなると昔からいわれている) 17923 0 0 17956 htmvoc_17923.wav ユノーラミズ ユ⸢ノーラミズ [ju⸢noːramiʣu] 名 地名。海峡の名。小浜島と西表島東部の由布島の間に位置する海峡(水脈・澪)。干潮から満潮に、満潮から干潮に至る間の潮の流れが早く、操船する者に恐れられている海峡である。 ユ⸢ノーラミゾー スー⸣ヌ ⸢ナーリ⸣ヌ パ⸢ヤー⸣ンダ シ⸢トゥ⸣ケー ア⸢テー⸣ティ ⸣フネー ムティ⸢ヨー [ju⸢noːramiʣoː suː⸣nu ⸢naːri⸣nu pa⸢jaː⸣nda ʃi̥⸢tu⸣keː ʔa⸢teː⸣ti ⸣ɸuneː muti⸢joː] (ユノーラ海峡は潮流が速いから、潮時を見計らって<当てて>操船しなさい<船を持ちなさい>よ) 17924 0 0 17957 htmvoc_17924.wav ユノーレー ユ⸢ノー⸣レー [ju⸢noː⸣reː] 名 一年忌。一周忌。⸢タンカーソッコー[⸢taŋkaːsokkoː](一周忌)ともいう。 ⸣アッパー ユ⸢ノーレー⸣ヌ ⸢ソッコー⸣ヤ イ⸢チ⸣カヤー [⸣ʔappaː ju⸢noːreː⸣nu ⸢sokkoː⸣ja ʔi⸢ʧi⸣kajaː] (お祖母さんの一周忌の法事は何時かねえ) 17925 0 0 17958 htmvoc_17925.wav ユノン ユ⸢ノン [ju⸢noŋ] 名 (地)与那国島。 ユ⸢ノン⸣ラー ⸢タイ⸣パン ミ⸢ラ⸣リン⸢ダー [ju⸢non⸣ra ⸢tai⸣pam mi⸢ra⸣rin⸢daː] (与那国から台湾が見られるよ)。 ユ⸢ノンプソー キー⸣ パ⸢ツァー⸣ン [ju⸢nompu̥soː kiː⸣ pḁ⸢ʦaː⸣ŋ] (与那国の人は勝気である)。 ユ⸢ノンムネー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ シゥ⸢カラヌ [ju⸢nommuneː⸣ mut⸢tu⸣ si̥⸢karanu] (与那国方言<与那国ことば>はちっとも聞いて理解できない<聞かれない>{EOS}) 17926 0 0 17959 htmvoc_17926.wav ユノンアブター ユ⸢ノン⸣アブター [ju⸢noŋ⸣ʔabutaː] 名 与那国のおっかあ。与那国から嫁入りしてきた人。与那国方言では、母親のことをアブ⸢た[abu⸢t'a]というので、その難しい発音を\ruby{揶揄}{ヤ|ユ}して「与那国人のアブた」という。 パ⸢トゥ⸣マナーン ユ⸢ノン⸣ アブターヌ ⸢オーッ⸣タン [pḁ⸢tu⸣manaːŋ ju⸢noŋ⸣ ʔabutaːnu ⸢ʔoːt⸣taŋ] (鳩間島にも⸢与那国のおっかあ」がおられた) 17927 0 0 17960 htmvoc_17927.wav ユビ ⸣ユビ [⸣jubi] 名 ゆうべ。昨夜。 ユ⸢ビ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー ニッ⸢カバー⸣キ ⸣ウタサンシンヌ シゥ⸢カリ⸣ ブ⸢タヌ⸣ ナンドゥキンナール ウ⸢ワールタ⸣カヤー [ju⸢bi⸣nu ⸢joi⸣jaː nik⸢kabaː⸣ki ⸣ʔutasaŋʃinnu si̥⸢kari⸣ bu⸢tanu⸣ nandukinnaːru ʔu⸢waːruta⸣kajaː] (昨夜のお祝いは深夜まで歌三線が聞こえていたが、何時頃に終わったのかねえ) 17928 0 0 17961 htmvoc_17928.wav ユビザスン ユ⸢ビザスン [ju⸢biʣasuŋ] 他動 吸い出す。「呼び出す」の義。「詔、奈豆久<なづく>又 与不<よぶ>」『新撰字鏡』の「与不」の連用形に「出す」が付いて転訛したもの。 ア⸢ガッふァーマ⸣ヌ パ⸢ナドゥル⸣ フ⸢チ⸣シ ユ⸢ビザスンティ スンドゥ⸣ ユ⸢ビザサラヌ [ʔa⸢gaffaːma⸣nu pa⸢naduru⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ʃi ju⸢biʣasunti sundu⸣ ju⸢biʣasaranu] (赤子の洟を口で吸い出そうとするが、吸いだされない)。 フ⸢チ⸣シ ユ⸢ビザシ⸣ ミサカー ユ⸢ビザス⸣ クトー ⸣ナルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ʃi ju⸢biʣaʃi⸣ misakaː ju⸢biʣa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (口で吸い出してよければ、吸い出すことはできる)。 ユ⸢ビザシェー⸣ ミサムヌ [ju⸢biʣaʃeː⸣ misamunu] (吸い出せばいいのに)。 ユ⸢ビザシ⸣バ [ju⸢biʣaʃi⸣ba] (吸い出しなさいよ) 17929 0 0 17962 htmvoc_17929.wav ユビター ユ⸢ビター [ju⸢bitaː] 名 深い田圃。「吸い込む田」の義。膝から腿のところまで泥の中に沈む田。ガ⸢タダー[ga⸢tadaː](浅い田圃{EOS}「潟田」の義)の対義語。 ユ⸢ビター⸣ナーヤ ドゥ⸢ルヌ⸣ ナ⸢カ⸣ナー ⸢キー⸣バ シ⸢キ フンケー⸣ティル ⸢ター⸣ヤ ス⸢ク⸣ローッタ [ju⸢bitaː⸣naːja du⸢runu⸣ na⸢ka⸣naː ⸢kiː⸣ba ʃi̥⸢ki ɸuŋkeː⸣tiru ⸢taː⸣ja su̥⸢ku⸣roːtta] (深い田圃には、泥の中に木を敷き、それを踏みながら田圃は作られた) 17930 0 0 17963 htmvoc_17930.wav ユビダシコーヤク ユ⸢ビダシコーヤク [ju⸢bidaʃikoːjaku] 名 吸出し\ruby{膏薬}{コウ|ヤク}。腫れ物の膿を吸い出す膏薬。民間療法として、シ⸢ダフ⸣カ[ʃi⸢daɸu̥⸣ka](ハマユウ<浜木綿>)の生葉を火にあぶり、\ruby{腫}{ハレ}物に\ruby{貼}{ハ}って吸出し膏薬代用に利用していた。 ユ⸢ビダシコーヤク カイ⸣キー ア⸢シ⸣ブナー ⸣シキ パ⸢リ⸣バ [ju⸢bidaʃikoːjaku kai⸣kiː ʔa⸢ʃi⸣bunaː ⸣ʃi̥ki pa⸢ri⸣ba] (吸出し膏薬を買ってきて腫れ物<あせも>に\ruby{塗}{ヌリ}り付け<\ruby{貼}{ハ}り>なさいよ) 17935 0 0 17964 htmvoc_17935.wav ユブ ⸣ユブ [⸣jubu] 名 (地)由布島。西表東部にある小島の名。干潮時には美原海岸から歩いて渡れる。牛車で渡る観光スポットとして賑わっている。戦後の一時期は小学校も設置される人口を擁していたが、西表島のマラリア撲滅に伴い、住民は農耕に便利な対岸の美原に移住して集落を形成した。 ⸣ユブナー ⸢ガッ⸣コーン ⸢アッ⸣タン⸢ダー [⸣jubunaː ⸢gak⸣koːŋ ⸢ʔat⸣tan⸢daː] (由布島には学校もあったよ) 17936 0 0 17965 htmvoc_17936.wav ユフードゥ ユ⸢フードゥ [ju⸢ɸuːdu] 副 よほど(余程)。かなり。ずいぶん。相当。よっぽど。標準語からの借用語。 ユ⸢フードゥ<イッ⸢ケナ> ビンキョー サン⸣カー シ⸢キン⸣マー カ⸢カラ⸣ヌ [ju⸢ɸuːdu biŋkjoː saŋ⸣kaː ʃi̥⸢kim⸣maː kḁ⸢kara⸣nu] (よほど勉強しないと試験に合格しない<かからない>) 17931 0 0 17966 htmvoc_17931.wav ユファスン ユ⸢ファスン [ju⸢ɸasuŋ] 他動 余す。余らす。余裕をもたせる。ア⸢マ⸣スンとも言う。 ン⸢ベーマー⸣ ユ⸢ファスンティ⸣ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ユ⸢ファサランバン [ʔm⸢beːmaː⸣ ju⸢ɸasunti⸣ ʔu⸢muːtan⸣du ju⸢ɸasarambaŋ] (少し余そうと思ったが余されない)。 ユ⸢ファシ⸣ プサカー ユ⸢ファス⸣ クトー ナルン⸢ダー [ju⸢ɸaʃi⸣ pu̥sakaː ju⸢ɸasu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (余したければ余すことは出来るよ)。 ン⸢ベーマー⸣ ユ⸢ファ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ju⸢ɸaʃeː⸣ misamunu] (少しは余せばいいのに)。 ⸢ピー⸣チェー ユ⸢ファシ⸣バ [⸢piː⸣ʧeː ju⸢ɸaʃi⸣ba] (一つは余しなさいよ) 17933 0 0 17967 htmvoc_17933.wav ユファラスン ユ⸢ファラスン [ju⸢ɸarasuŋ] 他動 あます(余す)。余裕をもたせる。 パ⸢マイヤー⸣ ユ⸢ファラスンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ユ⸢ファラサランバン [pa⸢maijaː⸣ ju⸢ɸarasunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ju⸢ɸarasarambaŋ] (飯米は余そうと思うが、余せない)。 ユ⸢ファラシ⸣ プサカー ユ⸢ファラス⸣ クトー ⸣ナルン [ju⸢ɸaraʃi⸣ pu̥sakaː ju⸢ɸarasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (余したければ、余すことはできる)。 ン⸢メーマ⸣ ヤ⸢ラバン⸣ ユ⸢ファラシェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːma⸣ ja⸢rabaɲ⸣ ju⸢ɸaraʃeː⸣ misamunu] (少しでも余せばよいのに)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢ファラシ [⸢maː⸣biɲ ju⸢ɸaraʃi] (もっと余せ) 17932 0 0 17968 htmvoc_17932.wav ユファラムヌ ユ⸢ファラムヌ [ju⸢ɸaramunu] 名 余計なもの。余ったもの。不要のもの。 ユ⸢ファラムヌバル⸣ タ⸢ミ⸣ シケーバン [ju⸢ɸaramunubaru⸣ ta⸢mi⸣ ʃi̥keːbaŋ] (余計な<不要な>物を貯めてあるよ) 17934 0 0 17969 htmvoc_17934.wav ユファルン ユ⸢ファルン [ju⸢ɸaruŋ] 自動 余裕が出る。ゆとりが出来る。金銭や物質面で余りができる。 ⸢ジン⸣マー ⸣イミ ⸢シー⸣ シゥ⸢カウ⸣カー ユ⸢ファルンダー⸣ヌ ウ⸢ビッチン⸣ナーシェー ユ⸢ファラヌ [⸢ʤim⸣maː ⸣ʔimi ⸢ʃiː⸣ si̥⸢kau⸣kaː ju⸢ɸarundaː⸣nu ʔu⸢bitʧin⸣naːʃeː ju⸢ɸaranu] (お金は節約して使うと余裕がでるだろうが、これぽっちでは余裕が出ない)。 ン⸢メーマー⸣ ユ⸢ファリ⸣ ケーン [ʔm⸢meːmaː⸣ ju⸢ɸari⸣ keːŋ] (少しはゆとりが出来てきた)。 ウ⸢ビッ⸣チンシェー ユ⸢ファル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢bit⸣ʧiɲʃeː ju⸢ɸaru⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (これぽっちでは、余裕ができることはない)。 ン⸢メーマンツァン⸣ ユ⸢ファレー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢meːmanʦaɲ⸣ ju⸢ɸareː⸣ misamunu] (少しでもゆとりができればいいのに) 17937 0 0 17970 htmvoc_17937.wav ユブサ ユ⸢ブ⸣サ [ju⸢bu⸣sa] 名 (固)女子の名。「ヨボシ」と表記されている。 ⸢ダイ⸣ケヌ ⸣アッパー ⸢ナーヤ⸣ ユ⸢ブ⸣サーティ ア⸢ロー⸣リティ ⸢ウイヌ⸣ ウ⸢ガン⸣ヌ サ⸢カサバ シーオーッ⸣タツォー [⸢dai⸣kenu ⸣ʔappaː ⸢naːja⸣ ju⸢bu⸣saːti ʔa⸢roː⸣riti ⸢ʔuinu⸣ ʔu⸢gan⸣nu sḁ⸢kasaba ʃiːʔoːt⸣taʦoː] (大工家のお祖母さんの名前はユブサーとおっしゃって<であられて>、友利御嶽の司をしておられたそうだ) 17938 0 0 17971 htmvoc_17938.wav ユブサンマー ユ⸢ブ⸣サンマー [ju⸢bu⸣sammaː] 名 (固)女子の名。大工良氏の名前。⸢ユブサ姉さん」の義。加治工家に生まれた女児を、子供のなかった大工家のヨボシお祖母さんが養子として貰い、自分の名前を付けて養育したという。 ユ⸢ブ⸣サンマー ⸣アッパー ⸢イーリ⸣ッふァ ヤ⸢ローッ⸣タティバン⸢ナー [ju⸢bu⸣sammaː ⸣ʔappaː ⸢ʔiːri⸣ffa ja⸢roːt⸣tatiban⸢naː] (ユブサ姉さんは、お祖母さんの養子<貰い子>であられたそうだねえ) 17939 0 0 17972 htmvoc_17939.wav ユブシ ユ⸢ブ⸣シ [ju⸢bu⸣ʃi] 名 (植)蔓性植物の実。お盆のム⸢ルムル[mu⸢rumuru](約5寸の長さに切った\ruby{甘蔗}{カン|ショ}を束ねて木の実をさして飾り、果物を\ruby{三方}{サン|ボウ}に\ruby{載}{ノ}せ添えた供物)に添える植物の実。 ユ⸢ブシヌ⸣ ナロー フ⸢クンドー⸣ヌ ⸣シンタヌ ヤ⸢マン⸣ミーラ ⸣ブリ ⸢クー⸣タン [ju⸢buʃinu⸣ naroː ɸu̥⸢kundoː⸣nu ⸣ʃintanu ja⸢mam⸣miːra ⸣buri ⸢kuː⸣taŋ] (ユブシの実は、福堂の北東の雑木林の中からもい<\ruby{捥}{モ}い>できた) 17940 0 0 17973 htmvoc_17940.wav ユブン ユ⸢ブン [ju⸢buŋ] 他動 吸う。吸い込む。「~不召尓<ヨハナクニ>門に至りぬ~。万、1738」の「呼ぶ」の転訛したものか。 ⸣イキ ユ⸢ブン [⸣ʔiki ju⸢buŋ] (息を吸う)。 ⸣イキ ユ⸢バンドー⸣シ トゥ⸢ミリ [⸣ʔiki ju⸢bandoː⸣ʃi tu⸢miri] (息を吸わないで、<息を>止めなさい)。 ⸣イキ ユ⸢ビ⸣ ミサカー ユ⸢ブ⸣ クトー ⸣ナルン [⸣ʔiki ju⸢bi⸣ misakaː ju⸢bu⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (息を吸って良ければ吸うことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢ベー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ju⸢beː⸣ misamunu] (もっと吸えば良いのに)。 ⸣イキ ユ⸢ビ⸣バ [⸣ʔiki ju⸢bi⸣ba] (息を吸えよ)。 ム⸢カ⸣シプソー ア⸢ガッふァーマ⸣ヌ パ⸢ナダロー⸣ フ⸢チ⸣シル ユ⸢ビ⸣ トゥ⸢ローッタ⸣ル [mu⸢ka⸣ʃi ⸣pu̥soː ʔa⸢gaffaːma⸣nu pa⸢nadaroː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣ʃiru ju⸢bi⸣ tu⸢roːtta⸣ru] (昔の人は、赤子の\ruby{洟}{ハナ}は口で<ぞ>吸い取られたものだ) 17941 0 0 17974 htmvoc_17941.wav ユミ ⸣ユミ [⸣jumi] 名 (数)織物の縦糸の数を表す単位。縦糸八十本を、プ⸢ス⸣ユミ[pu̥⸢su⸣jumi](ひとよみ<一読み>)とする。ナ⸢ナ⸣ユミ[na⸢na⸣jumi](七読み{EOS}縦糸560本)、ハ⸢タユミ[hḁ⸢tajumi](二十読み{EOS}縦糸1600本)などと織物の\ruby{粗密}{ソ|ミツ}を表現する 17942 0 0 17975 htmvoc_17942.wav ユミ ユ⸢ミ [ju⸢mi] 名 嫁。「婦、子之妻為\kaeriten{㆑}婦、和名与女<よめ>」『和名抄』の転訛したもの。ユ⸢ミッふァ[ju⸢miffa](嫁子)ともいう。 ⸢バン⸣テナー ユ⸢ミ サールンティ⸣ ス⸢コーリ ベー⸣ダー [⸢ban⸣tenaː ju⸢mi saːrunti⸣ su̥⸢koːri beː⸣daː] (我が家では、嫁を迎えよう<連れよう>と準備しているよ) 17943 0 0 17976 htmvoc_17943.wav ユミザーン ユ⸢ミザーン [ju⸢miʣaːŋ] 名 嫁同士。 ⸢ウン⸣ネヌ ユ⸢ミザーン⸣ ブ⸢ドゥル スームヌ カイ⸣ヤー⸢ヨー [⸢ʔun⸣nunu ju⸢miʣaːm⸣ bu⸢duru suːmunu kai⸣jaː⸢joː] (あの家の嫁同士で踊りをするのが美しいことよ) 17944 0 0 17977 htmvoc_17944.wav ユミシトゥ ユ⸢ミシトゥ [ju⸢miʃi̥tu] 名 嫁姑。嫁と姑。 ⸢ウン⸣ネヌ ユ⸢ミシトゥヌ⸣ ナカー イッ⸢ケナ カイ⸣ヤンダ ウ⸢ラーミ⸣サン [⸢ʔun⸣nenu ju⸢miʃi̥tunu⸣ nakaː ʔik⸢kena kai⸣janda ʔu⸢raːmi⸣saŋ] (あの家の嫁姑の仲は非常に良い<美しい>から羨ましい) 17945 0 0 17978 htmvoc_17945.wav ユミッふァ ユ⸢ミッふァ [ju⸢miffa] 名 嫁。嫁子。嫁をいとおしんで言うことば。 ⸢バン⸣テヌ ユ⸢ミッふァ⸣ マ⸢ラシ⸣ タ⸢ボー⸣リ [⸢ban⸣tenu ju⸢miffa⸣ ma⸢raʃi⸣ ta⸢boː⸣ri] (我が家の嫁子を誕生させてください<賜れ>) 17946 0 0 17979 htmvoc_17946.wav ユミンザ ユ⸢ミンザ [ju⸢minʣa] 名 嫁の\ruby{奴}{ヤッコ}。嫁を卑しめていうことば。⸣ンザ[⸣nʣa]は、「\ruby{奴婢}{ヌ|ヒ}。\ruby{下僕}{ゲ|ボク}。召使」の意味であるから、嫁を奴婢と同じようにこき使う者と表現されている。昔は嫁の地位は極めて低く、\ruby{姑}{シュウトメ}や\ruby{舅}{シュウト}に\ruby{酷使}{コク|シ}されたという。 ム⸢カ⸣シェー ⸢スー⸣ワル ⸣ヤーナーテー ユ⸢メー⸣ ン⸢ザッふァ⸣ヌ ⸣カタチニ シゥ⸢カーリタ⸣ティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢suː⸣waru ⸣jaːnaːteː ju⸢meː⸣ ʔn⸢ʣaffa⸣nu ⸣kḁtaʧini si̥⸢kaːrita⸣ti⸢daː] (昔は、厳しい家では、嫁は\ruby{奴婢}{ヌ|ヒ}のように\ruby{扱}{コ}き使われたそうだよ) 17947 0 1 17980 htmvoc_17947.wav ユム ユ⸢ム [ju⸢mu] 接頭 \ruby{悪罵}{アク|バ}、嫌悪の意を表す。\ruby{口汚}{クチ|キタナ}く\ruby{罵}{ノノシ}ること。{Mn_1}形容詞を修飾して\ruby{悪罵}{アク|バ}、\ruby{嫌悪}{ケン|オ}の意を強調する。「\ruby{嫌}{イヤ}な~。憎い~。憎たらしい。」の意。 ⸣ワンザー ⸣ムネー ユ⸢ムカサマサ⸣ヌ カ⸢マー⸣ パリ [⸣wanʣaː ⸣muneː ju⸢mukasamasa⸣nu ka⸢maː⸣ pari] (お前の話は糞うるさい{EOS}あちらへ行きやがれ)。 ユ⸢ムニッター⸣ヌ ⸢ウンザヌ⸣ シラー ミ⸢リプサ ナー⸣ヌ [ju⸢munittaː⸣nu ⸢ʔunʣanu⸣ ʃiraː mi⸢ripusa naː⸣nu] (糞憎たらしくて、あ奴の顔は見たくもない)。 17947 0 2 17981 htmvoc_17947.wav ユム ユ⸢ム [ju⸢mu] 接頭 {Mn_2}名詞を修飾して、最悪のものを表す。 ユ⸢ム⸣ジラー [ju⸢mu⸣ʤiraː] (憎たらしい顔<面>)。 ⸢ウンザー⸣ ユ⸢ムミドゥム⸣ヌ ウ⸢ヤン⸣ナーニ フ⸢チガイ シー アー⸣ク [⸢ʔunʣaː⸣ ju⸢mumidumu⸣nu ʔu⸢jan⸣naːni ɸu̥⸢ʧigai ʃiː ʔaː⸣ku] (あ奴は女だてらに<憎たらしい女のくせに>親に反抗している) 17948 0 0 17982 htmvoc_17948.wav ユムカサマサーン ユ⸢ムカサマ⸣サーン [ju⸢mukasama⸣saːŋ] 形 糞うるさい。\ruby{酷}{ヒド}くやかまし<喧し>い。 ⸢ウンザヌ⸣ ケーラー ユ⸢ムカサマ⸣サンダ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [⸢ʔunʣanu⸣ keːraː ju⸢mukasama⸣sanda ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (あいつが来たら糞うるさいから、ここには居られない)。 ユ⸢ムカサマサ⸣ヌ ⸣ウナー ブ⸢ララヌ [ju⸢mukasamasa⸣nu ⸣ʔunaː bu⸢raranu] (\ruby{酷}{ヒド}く\ruby{喧}{ヤカマ}しくて、そこには居られない) 17949 0 0 17983 htmvoc_17949.wav ユムカタチ ユ⸢ムカタ⸣チ [ju⸢mukata⸣ʧi] 名 憎たらしい姿。嫌な姿格好。 バ⸢カー⸣ムヌヌ ⸣ビータレーティ ⸢アー⸣ク ユ⸢ムカタ⸣チ ⸣ミルカー ⸣メー ⸢クンゾー⸣ル ン⸢ジ⸣ル [ba⸢kaː⸣mununu ⸣biːtareːti ⸢ʔaː⸣ku ju⸢mukata⸣ʧi ⸣mirukaː ⸣meː ⸢kunʣoː⸣ru ʔn⸢ʤi⸣ru] (若者が酔いつぶれている嫌な姿格好を見ると、もう怒り<根性>が出てくる) 17950 0 0 17984 htmvoc_17950.wav ユムクンゾー ユ⸢ムクン⸣ゾー [ju⸢mukun⸣ʣoː] 名 腹立ち紛れに怒ること、またその人。見さかいなく立腹すること、またその人。ヤ⸢ナクンゾー[ja⸢nakunʣoː](怒り狂うこと{EOS}腹立ち紛れに怒ること)と同じ。 ⸣アイブ ユ⸢ムクンゾー⸣トー ム⸢ヌパナ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔaibu ju⸢mukunʣoː⸣toː pa⸢na⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (あんな怒りん坊<腹立ち紛れにする人>とは話し出来ない) 17951 0 0 17985 htmvoc_17951.wav ユムジラー ユ⸢ム⸣ジラー [ju⸢mu⸣ʤiraː] 名 憎たらしい\ruby{面}{ツラ}。見たくない嫌な顔。 ⸣アイブ ⸢ニンギン⸣マー ユ⸢ム⸣ジラー ⸢ポー⸣キ トゥ⸢ラ⸣シバ [⸣ʔaibu ⸢niŋgim⸣maː ju⸢mu⸣ʤiraː ⸢poː⸣ki tu⸢ra⸣ʃiba] (あんな人間は憎たらしい面など張り飛ばせよ) 17952 0 0 17986 htmvoc_17952.wav ユムニッターン ユ⸢ムニッ⸣ターン [ju⸢munit⸣taːŋ] 形 憎たらしい。\ruby{糞憎}{クソ|ニク}らしい。あまりにも憎らしい。 ⸢ウンザン⸣ イ⸢ザリティ⸣ ユ⸢ムニッター⸣ヌ ナ⸢キル⸣ シ⸢ラリタル [⸢ʔunʣaŋ⸣ ʔi⸢ʣariti⸣ ju⸢munittaː⸣nu na⸢kiru⸣ ʃi⸢raritaru] (あいつに叱られて、糞憎らしくて泣けてきた<泣きぞされた>)。 イ⸢ザリ⸣ ピンマー ユ⸢ムニッ⸣ターンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸣ター ⸣アトーケー ⸢ドゥー⸣ヌ タ⸢ミル⸣ ナル⸢ツォー [ʔi⸢ʣari⸣ pimmaː ju⸢munit⸣taːnti ʔu⸢muːn⸣du ⸣taː ⸣ʔatoːkeː ⸢duː⸣nu ta⸢miru⸣ naru⸢ʦoː] (叱られるときは糞憎たらしいと思うのだが、また、後になると<それが>自分のためになるんだってば) 17953 0 1 17987 htmvoc_17953.wav ユムユムトゥ ユ⸢ムユム⸣トゥ [ju⸢mujumu⸣tu] 副 {Mn_1}すごすごと。 ス⸢ビ⸣バ ⸢ホー⸣シェータンドゥ ス⸢ビ⸣ナー キ⸢サ⸣シティ ユ⸢ムユム⸣トゥ ⸢ンーナシン⸣シ ⸢カイ⸣リ ケー⸢ダー [su⸢bi⸣ba ⸢hoː⸣ʃeːtandu su⸢bi⸣naː ki̥⸢sa⸣ʃi̥ti ju⸢mujumu⸣tu ⸢ʔnːnaʃiŋ⸣ʃi kai⸣ri keː⸢daː] (マグロを釣ったが\ruby{鮪釣}{マグロ|ツ}り縄を切らしてしまって、どうにもならず、空船ですごすごと帰ってきたのだよ)。 17953 0 2 17988 htmvoc_17953.wav ユムユムトゥ ユ⸢ムユム⸣トゥ [ju⸢mujumu⸣tu] 副 {Mn_2}むざむざと。目前に確認していながら、どうにもならない、もどかしいさま。みすみす(見す見す)。 ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢モーキ⸣バ ⸢カシカー⸣シ トゥ⸢ラ⸣リティ ユ⸢ムユム⸣トゥ ⸢カイ⸣リ クー⸢ター [⸢duː⸣nu ⸢moːki⸣ba ⸢kaʃi̥kaː⸣ʃi tu⸢ra⸣riti ju⸢mujumu⸣tu ⸢kai⸣ri kuː⸢taː] (自分の儲けを騙されて取られて、むざむざと<見す見す>帰ってきたのか) 17957 0 1 17989 htmvoc_17957.wav ユムン ⸣ユムン [⸣jumuŋ] 他動 {Mn_1}読む。「~右近に言葉読ませて~」『源氏物語 東屋』。「Yomi,u,ôda.ヨミ、ム、ゥダ(読み、む、うだ)。また、数える」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ス⸢ム⸣チ ⸣ユムン [su⸢mu⸣ʧi ⸣jumuŋ] (本<書物>を読む)。 ⸣バー ス⸢ム⸣チ ユ⸢マ⸣ヌ [⸣baː su⸢mu⸣ʧi ju⸢ma⸣nu] (私は本を読まない)。 ⸢ワー⸣ ク⸢ヌ ジー⸣ ユミ⸢シェーン [⸢waː⸣ ku⸢nu ʤiː⸣ jumi⸢ʃeːŋ] (君はこの字を読めるか)。 ⸣ユム ⸣クトー ユ⸢ムン⸣ドゥ カキ⸢サヌ [⸣jumu ⸣ku̥toː ju⸢mun⸣du kḁki⸢sanu] (読むことは読むが書けない)。 ⸣ドゥーシ ⸣ユメー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸣jumeː ⸣misamunu] (自分で読めばいいのに)。 ク⸢リ⸣ ユミバ [ku⸢ri⸣ jumiba] (これを読めよ)。 17957 0 2 17990 htmvoc_17957.wav ユムン ⸣ユムン [⸣jumuŋ] 他動 {Mn_2}数える。「~幾夜經と余美都追<ヨミツツ>妹は~。万、4072」の転訛したもの。 ⸣クナー ⸣パシェー ⸢ギュームトゥ⸣ アルユー ユミ⸢ミー [⸣kunaː ⸣paʃeː ⸢gjuːmutu⸣ ʔarujuː jumi⸢miː] (ここに箸は何本あるか、数えてごらんよ)。 17957 0 3 17991 htmvoc_17957.wav ユムン ⸣ユムン [⸣jumuŋ] 他動 {Mn_3}しゃべる。口論する。 ⸢サッ⸣コー ム⸢ニ⸣ ユムン [⸢sak⸣koː mu⸢ni⸣ jumuŋ] (非常によくしゃべる)。 ウ⸢レー⸣ ム⸢ニ⸣ ユミナー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ mu⸢ni⸣ juminaː na⸢ra⸣nu] (彼はよく口論するので堪らない) 17954 0 0 17992 htmvoc_17954.wav ユライ ⸣ユライ [⸣jurai] 名 集まり。会合。集会。村の集会。「寄り合い」の転訛したもの。 ム⸢カ⸣シェー ⸣ソンガチ シ⸢マ⸣スカー ⸣ユライ ⸢シーティル⸣ ム⸢ラグトー⸣ キ⸢モーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣soŋgaʧi ʃi⸢ma⸣sukaː ⸣jurai ⸢ʃiːtiru⸣ mu⸢ragutoː⸣ ki⸢moːt⸣taʦoː] (昔は正月を済ませたら村の集会をして村行事は決められたそうだ) 17955 0 0 17993 htmvoc_17955.wav ユライオールン ⸣ユライ ⸢オー⸣ルン [⸣jurai ⸢ʔoː⸣ruŋ] 連 お集まりになる。 ⸢ユーニンガイヌ⸣ アトー ⸢カン⸣プスンケーヌ ⸣ユライ ⸢オー⸣リ ⸢カン⸣ツァーアサビ ⸢ソーッ⸣タツォー [⸢juːniŋgainu⸣ ʔatoː ⸢kam⸣pu̥suŋkeːnu ⸣jurai ⸢ʔoː⸣ri ⸢kan⸣ʦaːʔasabi ⸢soːt⸣taʦoː] (ユーニンガイの後に神職者たちがお集まりになって、神歌遊びをされたそうです) 9261 0 0 17994 htmvoc_9261.wav ユライズ ユ⸢ライズ [ju⸢raiʣu] 名 集会所。「寄合所」 17956 0 0 17995 htmvoc_17956.wav ユライズ ユ⸢ライ⸣ズ [ju⸢rai⸣ʣu] 名 集会所。 ム⸢カシ⸣ヌ ム⸢ラヌ⸣ ユ⸢ライ⸣ゾー ⸢オー⸣シェー ⸢ヤッタ⸣ツォー [mu⸢kaʃi⸣nu mu⸢ranu⸣ ju⸢rai⸣ʣoː ⸢ʔoː⸣ʃeː ⸢jatta⸣ʦoː] (昔の村の集会所は⸢オー⸣シェー{SqBr}⸢ʔoː⸣ʃeː{/SqBr}<村番所>だったそうだ) 17958 0 0 17996 htmvoc_17958.wav ユラシ ユ⸢ラシ [ju⸢raʃi] 名 ふるい(篩)。直径約40センチ、深さ約4センチの竹製の荒目の篩。ピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi](\ruby{碾}{ヒ}き臼{EOS}\ruby{籾摺}{モミ|ス}り臼)で籾摺りをして玄米にするが、\ruby{籾}{モミ}と玄米を\ruby{篩}{フル}い分けるのに用いる農具。小麦粉や米粉を篩うのに用いるのは、⸣シノー[⸣ʃinoː](篩)という。 ユ⸢ラシ⸣シ ⸢マイ⸣ ユ⸢ラシティ⸣ ア⸢ラム⸣トゥ プ⸢サイ⸣バ [ju⸢raʃi⸣ʃi ⸢mai⸣ ju⸢raʃi̥ti⸣ ʔa⸢ramu⸣tu pu̥⸢sai⸣ba] (\ruby{篩}{フルイ}で玄米を篩って、あらもと<\ruby{粡}{アラモト}{EOS}\ruby{屑米}{クズ|マイ}{EOS}\ruby{籾}{モミ}>を拾い出しなさいよ) 17959 0 0 17997 htmvoc_17959.wav ユラシヌミー ユ⸢ラシヌ⸣ ミー [ju⸢raʃinu⸣ miː] 連 篩いの目(穴)。篩いの格子状の目。 ア⸢ラム⸣トー ユ⸢ラシヌ⸣ ミーラ フ⸢キラヌ [ʔa⸢ramu⸣toː ju⸢raʃinu⸣ miːra ɸu̥⸢kiranu] (あらもと<粡・糏>は篩いの目からふけ落ちない<通過しない>) 17960 0 0 17998 htmvoc_17960.wav ユラスン ユ⸢ラ⸣スン [ju⸢ra⸣suŋ] 他動 許す。罪科を\ruby{赦免}{シャ|メン}する。許可する。若年層はユ⸢ル⸣スン[ju⸢ru⸣suŋ](許す)という。 ヤ⸢ナクトゥ スー⸣カー イッ⸢カ⸣ ユ⸢ラサ⸣ヌ [ja⸢nakutu suː⸣kaː ʔik⸢ka⸣ ju⸢rasa⸣nu] (悪事を働く<する>と、決して許さない)。 ヤ⸢ナクトー サンバ⸣ ユ⸢ラ⸣シ ッ⸢ふォー⸣リ [ja⸢nakutoː samba⸣ ju⸢ra⸣ʃi f⸢foː⸣ri] (悪事はしませんから許してください)。 ⸣バーヤ ユ⸢ラ⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ユ⸢ラ⸣ス ⸣クトー ナ⸢ラン⸣ツォー [⸣baːja ju⸢ra⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ju⸢ra⸣su ⸣ku̥toː na⸢tan⸣ʦoː] (私は許そうと思うが、今は許すことは出来ないそうだ)。 ユ⸢ラ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ju⸢ra⸣ʃeː ⸣misamunu] (許せば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢ラ⸣シ [⸢paː⸣ku ju⸢ra⸣ʃi] (早く許せ) 17961 0 1 17999 htmvoc_17961.wav ユラスン ユ⸢ラスン [ju⸢rasuŋ] 他動 {Mn_1}ふるう(篩う)。 ユ⸢ラシ⸣シ ユ⸢ラスンティ スンドゥ グッふァ⸣ヌ ユ⸢ラサラヌ [ju⸢raʃi⸣ʃi ju⸢rasunti sundu guffa⸣nu ju⸢rasaranu] (篩いで篩おうとするが、重くて篩われない)。 ユ⸢ラシ⸣ ミサカー ユ⸢ラス⸣ クトー ⸣ナルン [ju⸢raʃi⸣ misakaː ju⸢rasu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (篩ってよければ篩うことはできる)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢ラシェー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ju⸢raʃeː⸣ misamunu] (もっと篩えばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢ラシ [⸢paː⸣ku ju⸢raʃi] (早く篩え)。 17961 0 2 18000 htmvoc_17961.wav ユラスン ユ⸢ラスン [ju⸢rasuŋ] 他動 {Mn_2}ゆすぶる。揺さぶる。 ⸢ヨイ⸣サーナ ⸢ヌーシティ⸣ ユ⸢ラスン [⸢joi⸣saːna ⸢nuːʃi̥ti⸣ ju⸢rasuŋ] (ブランコに載せて揺する)。 ッ⸢ふァ⸣ カ⸢サ⸣ナイティ ⸣ドゥク ユ⸢ラサン ブリ⸣バ [f⸢fa⸣ kḁ⸢sa⸣naiti ⸣duku ju⸢rasamburi⸣ba] (子供を負ぶって、あまり揺さぶるなよ) 17844 0 1 18001 htmvoc_17844.wav ユリー ⸣ユリー [⸣juriː] 名 {Mn_1}許可。許し。 ヤ⸢ク⸣バーラ ユ⸢リー⸣ヌ ウ⸢リラバ⸣ル シ⸢グトー⸣ パ⸢ジミラリ⸣ツォー [ja⸢ku⸣baːra ju⸢riː⸣nu ʔu⸢riraba⸣ru ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢ʤimirari⸣ʦoː] (役場から許可が下りて初めて<下りたらばぞ>仕事は始められるそうだ)。 ヤ⸢ク⸣バーラ ユ⸢リー⸣ヌ ウ⸢リラン⸣カー ク⸢ヌ⸣ シ⸢グトー⸣ パ⸢ジミララヌ [ja⸢ku⸣baːra ju⸢riː⸣nu ʔu⸢riraŋ⸣kaː ku⸢nu⸣ ʃi⸢gutoː⸣ pa⸢ʤimiraranu] (役場から許可が下りないとこの仕事は始められない)。 17844 0 2 18002 htmvoc_17844.wav ユリー ⸣ユリー [⸣juriː] 名 {Mn_2}休暇をとること。 ユ⸢リー⸣バ ⸢イー⸣リティル ⸢プー⸣ル ⸢シン⸣ ケータ [ju⸢riː⸣ba ⸢ʔiː⸣ritiru ⸢puː⸣ru ⸢ʃiŋ⸣ keːta] (許可を貰って豊年祭をしにきていた) 17963 0 0 18003 htmvoc_17963.wav ユリーユリー ユリー⸢ユリー [juriː⸢juriː] 副 ゆっくり。急がずに。ゆるゆる。ゆるりと。くつろいで。ABCABC型の重言。「Yururito.ユルリト(ゆるりと)副詞 ゆったりと、または、気ままに.例、Yururito gozare.(ゆるりとござれ)気楽にして居なさい」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 キ⸢ザルン⸣ ウ⸢チナ⸣ソーレーチバ ⸣メー ユリー⸢ユリートゥ ソー⸣リバ [ki⸢ʣaruŋ⸣ ʔu⸢ʧina⸣soːreːʧiba ⸣meː juriː⸢juriːtu soː⸣riba] (祭祀行事も無事に済まされたから、もう、ゆったりとくつろいでくださいよ) 17964 0 0 18004 htmvoc_17964.wav ユリットゥ ユ⸢リットゥ [ju⸢rittu] 副 ゆるりと。ゆっくりと。ゆったりと。 ⸢キュー⸣ヤ マ⸢ルケーティナ オー⸣レーバ ⸣クナーティ ユ⸢リットゥ ソー⸣リ⸢ヨー [⸢kjuː⸣ja ma⸢rukeːtina ʔoː⸣reːba ⸣kunaːti ju⸢rittu soː⸣ri⸢joː] (今日は\ruby{偶}{タマ}さかにいらっしゃった<稀に来られた>から、ここでゆるりとなさいましね) 17965 0 0 18005 htmvoc_17965.wav ユルーユルーシ ユ⸢ルーユルー⸣シ [ju⸢ruːjuruː⸣ʃi] 副 ゆるく(緩く)。緩めて。緩くして。弱めて。締め方が足りず、ゆるゆるして。「釈、トク、ユルス、クツロク、ユルケタリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。 パ⸢ルミプス⸣ヌ フ⸢ク⸣ベー ギーッ⸢ティ⸣ シ⸢ミラン⸣ドーシ ユ⸢ルーユルー⸣シ ⸣シミバ [pa⸢rumipu̥su⸣nu ɸu̥⸢ku⸣beː giːt⸢ti⸣ ʃi⸢miran⸣doːʃi ju⸢ruːjuruː⸣ʃi ⸣ʃimiba] (妊婦の帯はきつく締めないで、緩く締めなさいよ) 17966 0 0 18006 htmvoc_17966.wav ユルクビ ユ⸢ル⸣クビ [ju⸢ru⸣kubi] 名 喜び。嬉しく思うこと。慶事。 ⸣マーッふァーン マ⸢リサカリ⸣ ク⸢ヌ ウイヌ⸣ ユ⸢ル⸣クビテー ⸢ナー⸣ヌ [⸣maːffaːm ma⸢risakari⸣ ku⸢nu ʔuinu⸣ ju⸢ru⸣kubiteː ⸢naː⸣nu] (子孫も繁盛し<生まれ栄え>て、これ以上の喜びはない) 17967 0 0 18007 htmvoc_17967.wav ユルクブン ユ⸢ル⸣クブン [ju⸢ru⸣kubuŋ] 自動 喜ぶ。「\ruby{蟋蟀}{シツ|シュツ}の待歓<マチヨロコブル>~。万、2264」『国語音韻史の研究』の転訛したもの。 ⸣イー ッ⸢ふァース⸣カー ユ⸢ル⸣クブンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ミー⸣ザティ ユ⸢ルクバン⸣シェン [⸣ʔiː f⸢faːsu⸣kaː ju⸢ru⸣kubuŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢miː⸣ʣati ju⸢rukubaŋ⸣ʃeŋ] (ご飯を食べさせたら喜ぶかなあと思ったが、不味いので喜ばなかった)。 ⸢ワー⸣ ユ⸢ル⸣クビ ⸣ミサン [⸢waː⸣ ju⸢ru⸣kubi ⸣misaŋ] (君は喜んでも良い)。 ⸣ウビシ ユ⸢ル⸣クブ ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣ʔubiʃi ju⸢ru⸣kubu ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (それだけで喜ぶことはできない)。 ⸢マー⸣ビン ユ⸢ル⸣クベー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ju⸢ru⸣kubeː ⸣misamunu] (もっと喜べばいいのに)。 ユ⸢ル⸣クビバ [ju⸢ru⸣kubiba] (喜べよ) 17968 0 0 18008 htmvoc_17968.wav ユルシ ユ⸢ル⸣シ [ju⸢ru⸣ʃi] 名 許可。許し。恕し。 ユ⸢ルシ⸣ヌ ン⸢ジ⸣ルンケンマー ⸣クナーティ マ⸢タン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ju⸢ruʃi⸣nu ʔn⸢ʤi⸣ruŋkemmaː ⸣kunaːti ma⸢taŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (許可<許し>が出るまでは、ここで待たなければならない) 17969 0 0 18009 htmvoc_17969.wav ユルスン ユ⸢ル⸣スン [ju⸢ru⸣suŋ] 他動 許す。罪科を赦免する。許可する。老年層は、ユ⸢ラ⸣スン[ju⸢ra⸣suŋ](許す)という。 ⸢トゥン⸣ガー ユ⸢ル⸣スンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ マ⸢ナ⸣マー ユ⸢ルサ⸣ヌ [⸢tuŋ⸣gaː ju⸢ru⸣sunti ʔu⸢muːn⸣du ma⸢na⸣maː ju⸢rusa⸣nu] (罪科を許そうと思うが、今は許さない)。 ユ⸢ル⸣シ ⸣ミサカー イ⸢チン⸣ ユ⸢ル⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [ju⸢ru⸣ʃi ⸣misakaː ʔi⸢ʧiɲ⸣ ju⸢ru⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (許して良ければ、いつでも許すことは出来る)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢ル⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ju⸢ru⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く許せばいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ユ⸢ル⸣シ [jaː⸢diɲ⸣ ju⸢ru⸣ʃi] (必ず<きっと>許せ) 17970 0 0 18010 htmvoc_17970.wav ユルミルン ユ⸢ルミ⸣ルン [ju⸢rumi⸣ruŋ] 他動 緩める。引き締めた力をゆるやかにする。 ⸣シナー ユ⸢ルミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ ピ⸢キシキティ⸣ ユ⸢ルミラ⸣ヌ [⸣ʃinaː ju⸢rumi⸣runti ⸢sundu⸣ pi̥⸢kiʃi̥kiti⸣ ju⸢rumira⸣nu] (綱を緩めようとするが、引っ張って緩めない)。 ク⸢レー⸣ ユ⸢ル⸣ミ ⸣ミサン [ku⸢reː⸣ ju⸢ru⸣mi ⸣misaŋ] (これは緩めてもよい)。 マ⸢ナ⸣マー ユ⸢ルミ⸣ル ⸣クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maː ju⸢rumi⸣ru ⸣ku̥toː na⸢ra⸣nu] (今は緩めることは出来ない)。 ン⸢ベーマ⸣ ユ⸢ルミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ju⸢rumi⸣reː ⸣misamunu] (少しは緩めればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ユ⸢ルミ⸣リ [⸢paː⸣ku ju⸢rumi⸣ri] (早く緩めろ<れ>) 17971 0 0 18011 htmvoc_17971.wav ユルムン ユ⸢ル⸣ムン [ju⸢ru⸣muŋ] 自動 緩む。しまる力が弱くなる。「慢、由流比弖<ゆるひて>」『類聚名義抄』、「~恋すれば吾が帯緩<ユルブ>~。万、3262」の転訛したもの。 ガ⸢タガタ⸣シ ⸢ウーカ⸣スカー ⸣ニジェー ユ⸢ル⸣ムンティ シ⸢タヌ⸣ ユ⸢ルマン⸣バン [ga⸢tagata⸣ʃi ⸢ʔuːka⸣sukaː ⸣niʤeː ju⸢ru⸣munti ʃi̥⸢tanu⸣ ju⸢rumam⸣baŋ] (がたがたと動かすとネジ<螺子>が緩むといったが、緩まないよ)。 ギッ⸢ティ⸣ フ⸢バリ⸣ シケータヌ ユ⸢ル⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [git⸢ti⸣ ɸu⸢bari⸣ ʃi̥keːtanu ju⸢ru⸣mi ⸢naː⸣nu] (ぎゅっと縛っておいたが、緩んでしまった)。 ユ⸢ル⸣ム ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ju⸢ru⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (緩むことはない) 17972 0 0 18012 htmvoc_17972.wav ユレー ユ⸢レー [ju⸢reː] 名 屋号。寄合三戸氏宅。 ユ⸢レーヌ⸣ ヌ⸢バ⸣ルブザマー カ⸢ザケーヌ グヮンス⸣ヌ ⸢ナーバ⸣ シ⸢キラ⸣リ ⸢オー⸣ルティ⸢ダー [ju⸢reːnu⸣ nu⸢ba⸣rubuʣamaː ka⸢ʣakeːnu gwansu⸣nu ⸢naːba⸣ ʃi̥⸢kira⸣ri ⸢ʔoː⸣ruti⸢daː] (寄合の野原叔父さん<寄合徹氏>は加治工家の先祖の名を付けられておられるそうだよ)。 ユ⸢レーヤ⸣ カ⸢ザケーラヌ⸣ バ⸢カ⸣リティ ア⸢ザリブー [ju⸢reːja⸣ ka⸢ʣakeːranu⸣ ba⸢ka⸣riti ʔa⸢ʣaribuː] (寄合家は加治工家の分れといわれている) 17974 0 0 18013 htmvoc_17974.wav ユレーヌスクレザーテー ユ⸢レーヌ⸣ ス⸢ク⸣レザーテー [ju⸢reːnu⸣ su̥⸢ku⸣reʣaːteː] 連 屋号。寄合博氏宅。 ⸢ウン⸣ネーヤ トゥ⸢ムレーヌ⸣ イサーザーテーヌ ⸢アー⸣ネー [⸢ʔun⸣neːja tu⸢mureːnu⸣ ʔisaːʣaːteːnu ⸢ʔaː⸣neː] (その家は友利正安氏宅の東隣の家だ) 17973 0 0 18014 htmvoc_17973.wav ユレーヌハツォーザーテー ユ⸢レーヌ⸣ ハ⸢ツォーザーテー [ju⸢reːnu⸣ hḁ⸢ʦoːʣaːteː] 連 屋号。寄合初男氏宅。 ユ⸢レーヌ⸣ ハ⸢ツォーザテーン ショーザンマル⸣ヌ ⸢シーゾーヤー⸣ヌ ⸣シンタナール ⸢アッ⸣タ [ju⸢reːnu⸣ hḁ⸢ʦoːʣateːŋ ʃoːʣammaru⸣nu ⸢ʃiːʣoːjaː⸣nu ⸣ʃintanaːru ⸢ʔat⸣ta] (寄合初男氏宅も正山丸のカツオ節製造工場の後ろに<ぞ>あった) 17975 0 0 18015 htmvoc_17975.wav ユレーヌマーサザーテー ユ⸢レーヌ マー⸣サザーテー [ju⸢reːnu maː⸣saʣaːteː] 連 屋号。寄合常夫氏宅。 ⸢ウン⸣ネーヤ ヌ⸢バ⸣ルブザマテーヌ ⸢シー⸣ネー [⸢ʔun⸣neːja nu⸢ba⸣rubuʣamateːnu ⸢ʃiː⸣neː] (その家は寄合徹氏宅の後ろ隣の家だ) 17976 0 0 18016 htmvoc_17976.wav ユン ⸣ユン [⸣juŋ] 名 弓。 ⸣ユン ピ⸢クン [⸣jum pi̥⸢kuŋ] (弓を引く{EOS}反抗する)。 ⸢ユン⸣ヌ イ⸢ヤ [⸢jun⸣nu ʔi⸢ja] (弓の矢)。 ビ⸢コーンッふァヌ⸣ マ⸢ル⸣カー ⸢ユン⸣トゥ イ⸢ヤバ⸣ ス⸢ク⸣リティ ピ⸢サシ⸣ナー ヌ⸢キ⸣ ス⸢コーッ⸣タ [bi⸢koːŋffanu⸣ ma⸢ru⸣kaː ⸢jun⸣tu ʔi⸢jaba⸣ su̥⸢ku⸣riti pi̥⸢saʃi⸣naː nu⸢ki⸣ su̥⸢koːt⸣ta] (男の子が生まれると弓と矢を作って、軒に差して置かれた) 17977 0 0 18017 htmvoc_17977.wav ユン ⸣ユン [⸣juŋ] 名 (植)ユリ(百合)。テッポーユリ。 ⸢ユン⸣ヌ パ⸢ナ⸣ヌ ⸣サケーン [⸢jun⸣nu pa⸢na⸣nu ⸣sḁkeːŋ] (百合の花が咲いた) 17978 0 0 18018 htmvoc_17978.wav ユン ⸢ユン [⸢juŋ] 助動 ~であります(丁寧表現<目上に>)。⸢ヤン[⸢jaŋ](~である<同輩、目下に>)と同じ意味の第二終止形。待遇表現に差異がある。⸢ヤン[⸢jaŋ](である)の連用形ヤリ[ja⸢ri]に⸢ウン[uŋ](をり)が下接して [jari] + [uŋ] → [jarjuŋ] → [jajuŋ] → [juŋ] と変化したものであろう。 ウ⸢レー トー⸣フマミ ⸢ユン⸠ユー ア⸢ガマメー⸣ ア⸢ラン⸠ユー [ʔu⸢reː toː⸣ɸumami ⸢juɲ⸠juː ʔa⸢gamameː⸣ ʔa⸢raɲ⸠juː] (それは大豆でありますよ{EOS}小豆ではありませんよ<目上に対して>)。 ⸢ヤン⸣ヨー ⸢ワー⸣ ア⸢ズ トゥー⸣ル [⸢jaɲ⸣joː ⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu tuː⸣ru] (そうだよ<であるよ>{EOS}君の言う通りだ<同輩に対して>)。 ⸣ドゥーン ⸢ピン⸣ソー ヤ⸢リティ ピン⸣ソー ア⸢ラ⸣ン⸢コーラ⸣シ ム⸢ニ⸣バ イ⸢ジ ベー [⸣duːm ⸢pin⸣soː ja⸢riti pin⸣so ʔa⸢ra⸣ŋ⸢koːra⸣ʃi mu⸢ni⸣ba ʔi⸢ʤi beː] (自分<己>も貧乏であって、貧乏でないふりをして話をしている)。 ウ⸢ヤ⸣キプス ヤ⸢ル⸣クトー ッ⸢シ ブー [ʔu⸢ja⸣kipu̥su ja⸢ru⸣ ku̥toː ʃ⸢ʃi buː] (金持ちであることは知っている)。 ⸣アイ ヤ⸢レー⸣ ミサムヌ [⸣ʔai ja⸢reː⸣ misamunu] (そうであれば良いのに) 17979 0 0 18019 htmvoc_17979.wav ユン ⸣ユン [⸣juŋ] 係助 ~をも。~も。本来格助詞である⸢ユ[⸢ju](を)が係助詞⸢ン[ŋ](も)に上接することによって強調表現となり、格助詞の意味機能が希薄になって失われ、係助詞化したもの。 ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ルカー ⸢ワーユン⸣ イ⸢ジス [⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣rukaː ⸢waːjuŋ⸣ ʔi⸢ʤisu] (怒ったら君<を>も叱る)。 ⸣アツァー ⸢バー⸣ユン ⸣クーティル ア⸢ゾー⸣ル⸢ツォー [⸣ʔaʦaː ⸢baː⸣juŋ ⸣kuːtiru ʔa⸢ʣoː⸣ru⸢ʦoː] (明日は私<を>も来いといわれるんですよ) 17980 0 0 18020 htmvoc_17980.wav ユングトゥ ⸢ユングトゥ [⸢juŋgutu] 名 古歌謡の形態の一つ。豊年予祝の物語歌謡である「伊武田ユングトゥ」、機織の苦しい作業過程を歌いこんだ労働歌謡である⸢シナンナギヌユングトゥ」などがある。⸢ユングトゥ[⸢juŋgutu]は、よごと(寿詞・吉言)、「巨勢大臣をして賀<ヨコト>奉らしめて曰く」『日本書紀 白雉元年二月』の転訛したもの。 ⸣インダユングトー ⸣イニアーバ ス⸢ク⸣リ ⸢ノーラ⸣シティ ア⸢ワ⸣ムリ ア⸢ワザキ⸣バ マ⸢ラシ オーシター ウイ⸣ラーン ス⸢ム⸣ラーン フ⸢ミラリ⸣タティヌ ム⸢カ⸣シウタ ダ⸢レー [⸣ʔindajuŋgutoː ⸣ʔiniʔaːba su̥⸢ku⸣ri ⸢noːra⸣ʃi̥ti ʔa⸢wa⸣muri ʔa⸢wa⸣ʣaki⸣ba ma⸢raʃi ʔoːʃi̥taː ʔui⸣raːn su⸢mu⸣raːŋ ɸu⸢mirari⸣tatinu mu⸢ka⸣ʃiʔuta da⸢reː] (伊武田ユングトゥは、稲粟を作り稔らせて、泡盛粟酒を醸造して、お上へ\ruby{献上}{ケン|ジョウ}したら、お上からも下からも\ruby{褒}{ホ}められたとの昔歌なんだよ) 17983 0 0 18021 htmvoc_17983.wav ユンタ ⸢ユン⸣タ [⸢jun⸣ta] 名 八重山民謡の形態の一つ。三線楽器による無伴奏の労働歌。農業生活を中心とした叙事的歌謡。「パトゥマブナピトゥユンタ」が伝わっている。 ム⸢カ⸣シウター ⸣アヨー ⸢ユン⸣タ ジ⸢ラ⸣バティ ⸢シー サンシンマー⸣ ピ⸢カンドー⸣シ ミ⸢ドゥ⸣ム ⸣ビキドゥム ⸢カールガール ティー⸣バ ⸣ウテーティル ⸣ウター イ⸢ゾーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃiʔutaː ⸣ʔajoː ⸢jun⸣ta ʤi⸢ra⸣bati ⸢ʃiː saŋʃimmaː⸣ pi̥⸢kandoː⸣ʃi mi⸢du⸣mubikidumu ⸢kaːrugaː⸣ru ⸢tiː⸣ba ⸣ʔuteːtiru ⸣ʔutaː ʔi⸢ʣoːt⸣taʦoː] (昔の歌は、アヨー、ユンタ、ジラバといって、三線は弾かずに、男女が交互に手を打ちながら歌を歌われたそうだ) 17982 0 0 18022 htmvoc_17982.wav ユンダ ⸣ユンダ [⸣junda] 接助 ~ので。~だから。~故に。丁寧表現。老年層の言葉。若年層は⸣ンダ[⸣nda](~ので{EOS}<ぞんざいな表現>)ともいう。活用語の連体形に下接して、原因、理由を表す。 ⸢タンガ⸣シ ⸣カクユンダル ⸣キューズーナ ナ⸢ラン⸣ シ⸢ジ⸣ル ヤ⸢ル⸣ フ⸢ター⸣ルシ ⸣カクカー ⸣ナルンヨー [⸢taŋga⸣ʃi ⸣kḁkujundaru ⸣kjuːʣuːna na⸢raŋ⸣ ʃi⸢ʤi⸣ru ja⸢ru⸣ ɸu̥⸢taːru⸣ʃi ⸣kḁkukaː ⸣naruɲjoː] (一人で書くから今日中に出来ないのであって、二人で書けば出来るよ)。 ⸢タンガ⸣シ ⸣カクンダル ⸢ナン⸣ギン ⸢スー⸣ティムカーヤ [⸢taŋ⸣gaʃi ⸣kḁkundaru ⸢naŋ⸣gin ⸢suː⸣timukaːja] (一人で書くからこそ難儀もするのというものだ)。 ⸣アイ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シ⸢キ⸠ツォー [⸣ʔai ja⸢runda⸣ ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni ʃi̥⸢ki⸠ʦoː] (そうだから親の言うこと<言葉>を聞きなさいってば)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣ムニ シゥ⸢カンユンダル⸣ スン ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク⸢ダー [ʔu⸢ja⸣nu ⸣muni sï̥⸢kaɲjundaru⸣ suŋ ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku⸢daː] (親のいうことを聞かないから<ぞ>損をしているのだよ) 17984 0 0 18023 htmvoc_17984.wav ユンタク ⸢ユン⸣タク [⸢jun⸣taku] 名 おしゃべり(お喋り)。喋りまくること。 ミ⸢ドゥム⸣ヌ ア⸢ツァ⸣マルカー ⸢ユン⸣タク ⸢シー⸣ フ⸢シガラ⸣ヌ [mi⸢dumu⸣nu ʔa⸢ʦa⸣marukaː ⸢jun⸣taku ⸢ʃiː⸣ ɸu̥⸢ʃigara⸣nu] (女が集まると、ひどくお喋りをして堪らない) 17985 0 0 18024 htmvoc_17985.wav ユンタクカンタク ⸢ユン⸣タクカンタク [⸢jun⸣takukantaku] 名 \ruby{酷}{ヒド}くしゃべること。喋り\ruby{捲}{マク}ること。ABCDEBCD型の重言。 ⸢ユン⸣タクカンタク ⸢サンドー⸣シ ⸢ダンダン⸣シ パ⸢タラキ [⸢jun⸣takukantaku ⸢sandoː⸣ʃi ⸢dandaŋ⸣ʃi pḁ⸢taraki] (喋り捲らないで、さっさと働け) 17987 0 0 18025 htmvoc_17987.wav ユンチュ ⸢ユンチュ [⸢junʧu] 名 ユンチュ(与人)。琉球国時代の宮古、八重山の政庁の役職名。カシラ(頭)織の下の役職。⸢シュリウフヤク[⸢ʃuriʔuɸujaku](首里大屋子)の次の位。各座(⸣ザー{SqBr}⸣ʣaː{/SqBr})の主任で、その担当事務の責任者。村番所の主任で行政事務の責任者。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ユンチュ ソー⸣レー プ⸢ソー オーラン⸠ナー [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢junʧu soː⸣reː pu̥⸢soː ʔoːran⸠naː] (鳩間島にはユンチュをされた人はおられないねえ) 17986 0 0 18026 htmvoc_17986.wav ユンツァースン ⸢ユンツァー⸣スン [⸢junʦaː⸣suŋ] 他動 喋り捲る。喋り散らかす。苦情を言いまくる。「読み散らす」の義。 ウ⸢ヌ⸣ クトゥ ウ⸢リン⸣ シゥ⸢カレーラ ユンツァー⸣スンダ ⸢ユンツァーサラン⸣ ヨーニ ⸢シー⸣バ [ʔu⸢nu⸣ ku̥tu ʔu⸢rin⸣ si̥⸢kareːra junʦaː⸣sunda ⸢junʦaːsaraɲ⸣ joːni ⸢ʃiː⸣ba] (そのことが彼に聞かれたら、苦言を言いまくる<喋り捲る>から、苦言を言いまくられないようにしなさいよ)。 ⸣キューン ⸢ユンツァー⸣シ ⸢ベー [⸣kjuːɲ ⸢junʦaː⸣ʃi ⸢beː] (今日も喋り捲っている)。 ⸣アイニ ⸢ユンツァー⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸢junʦaː⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (あのように喋り捲る人はいない)。 ⸢ユンツァー⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢junʦaː⸣ʃeː misamunu] (喋り捲ればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ユンツァー⸣シ [⸢maː⸣biɲ ⸢junʦaː⸣ʃi] (もっと喋り捲れ) 17988 0 0 18027 htmvoc_17988.wav ユンナーリ ⸢ユンナー⸣リ [⸢junnaː⸣ri] 名 弓なり(弓形)。弦を張った弓のような形。ゆみがた。⸢ユンナー⸣ル[⸢junnaː⸣ru](弓なり)ともいう。 ク⸢シェー⸣ シンターニ ⸢ユンナー⸣リ マ⸢ガリティ⸣ ピ⸢ナッカイ⸣ルン⸢ダー [ku̥⸢ʃeː⸣ ʃintaːni ⸢junnaː⸣ri ma⸢gariti⸣ pi⸢nakkai⸣run⸢daː] (腰は後方に弓なりに曲がって、ひっくり返る<後転する>よ) 17989 0 0 18028 htmvoc_17989.wav ユンマールン ⸢ユンマー⸣ルン [⸢jummaː⸣ruŋ] 他動 いろいろと理由をつけて断る。\ruby{婉曲}{エン|キョク}に断る。「読み<弁解し>回る」の義。\ruby{直截}{チョク|セツ}に断るのでなく、いろいろと理由付けをして遠回しに断る意。 ウ⸢レー ユンマー⸣ルンダ ⸢ユンマーラン⸣ プ⸢ソーラ⸣ カ⸢リ⸣バ [ʔu⸢reː jummaː⸣runda ⸢jummaːram⸣ pu̥⸢soːra⸣ ka⸢ri⸣ba] (彼は婉曲に断るから、婉曲に断らない人から借りなさい)。 ⸢ユンマー⸣リ ⸢ベー⸣カー ウ⸢レー⸣ラー カ⸢ララヌ [⸢jummaː⸣ri ⸢beː⸣kaː ʔu⸢reː⸣raː ka⸢raranu] (婉曲に断っているなら彼からは借りられない)。 ⸢ユンマー⸣リ ⸣ミサカー ⸢ユンマー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢jummaː⸣ri ⸣misakaː ⸢jummaː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (婉曲に断ってよければ断ることはできる)。 ⸢ユンマー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢jummaː⸣reː ⸣misamunu] (婉曲に断ればいいのに)。 ⸢ユンマー⸣リバ [⸢jummaː⸣riba] (婉曲に断れよ) 17990 0 0 18029 htmvoc_17990.wav ユンマールン ⸢ユンマー⸣ルン [⸢jummaː⸣ruŋ] 自動 弓なりに曲がる。弓なりに<弓形に>そる<反る>。 ウ⸢ヌ キー⸣ヤ ⸢ユンマー⸣リ ⸢ブンダ⸣ シゥ⸢カーラヌ [ʔu⸢nu kiː⸣ja ⸢jummaː⸣ri ⸢bunda⸣ si̥⸢kaːranu] (この木は弓なりに曲がっているから使えない)。 ⸢パン⸣マー ⸢ユンマー⸣リティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢pam⸣maː ⸢jummaː⸣riti ʔa⸢rakara⸣nu] (足は弓なりに曲がって歩かれない) 17991 0 0 18030 htmvoc_17991.wav ユンマカスン ⸢ユンマカ⸣スン [⸢jummaka⸣suŋ] 他動 言い負かす。説き伏せる。\ruby{折伏}{セツ|フク}する。「読み負かす」の融合変化したもの。 フ⸢チヌ⸣ カ⸢ナイ⸣ヤンダ ター⸢ン ユンマカ⸣スンティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ウ⸢レー ユンマカサラン⸣シェン [ɸu̥⸢ʧinu⸣ ka⸢nai⸣janda taː⸢ɲ jummaka⸣sunti ʔu⸢muːtan⸣du ʔu⸢reː jummakasaraŋ⸣ʃeŋ] (口が達者だから、誰でも説き伏せると思ったが、彼は説き伏せられなかった)。 ⸢ユンマカ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢jummaka⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (説き伏せてしまった)。 ウ⸢リ ユンマカ⸣ス プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [ʔu⸢ri jummaka⸣su pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (彼を説き伏せる人はいない)。 ⸢ワー⸣シ ⸢ユンマカ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢waː⸣ʃi ⸢jummaka⸣ʃeː ⸣misamunu] (君で説き伏せればいいのに)。 ⸢ユンマカ⸣シバ [⸢jummaka⸣ʃiba] (説き伏せよ) 18006 0 1 18031 htmvoc_18006.wav ヨー ⸣ヨー [⸣joː] 名 {Mn_1}動詞の連用形に付いて、仕方。仕様、方法の意を表す。イ⸢ビヨー[ʔi⸢bijoː](植え方)、カ⸢キ⸣ヨー[kḁ⸢ki⸣joː](書き方)、フ⸢キヨー[ɸu̥⸢kijoː](葺き方)、⸢ヌーリヨー[⸢nuːrijoː](塗り方)、ム⸢ティ⸣ヨー[mu⸢ti⸣joː](操船の仕方{EOS}持ち方)など。 ⸣ムネー イ⸢ジヨーヌ⸣ アルカー シ⸢キヨーヌ⸣ アン [⸣muneː ʔi⸢ʣijoːnu⸣ ʔarukaː ʃi̥⸢kijoːnu⸣ ʔaŋ] (言葉は言いようがあれば聞きようもある<同じことでも、言いようによっては受け取り方も異なる>{EOS}諺)。 18006 0 2 18032 htmvoc_18006.wav ヨー ⸣ヨー [⸣joː] 名 {Mn_2}名詞や代名詞について、ありさま、様子、形状、体裁、の意を表す。 ⸣ウヌヨーヌ ヤ⸢ラビ⸣バ ユ⸢ナカー⸣ラ シゥ⸢カイ⸣ ヤ⸢ラシ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [⸣ʔunujoːnu ja⸢rabi⸣ba ju⸢nakaː⸣ra si̥⸢kai⸣ ja⸢raʃi⸣ nuːja ʔu⸢reː] (あんな小さな<あの様な>子供を夜中に<から>使いに出す<遣る>とは何事だね、一体) 18007 0 0 18033 htmvoc_18007.wav ヨー ⸣ヨー [⸣joː] 名 ゆおう(硫黄)。 ⸢ヨー⸣ヌ カ⸢ザヌ スン⸣トンマー パ⸢ボー クーン⸣ツォー [⸢joː⸣nu ka⸢ʣanu sun⸣tommaː pa⸢boː kuːn⸣ʦoː] (硫黄の臭いのする所へは蛇は来ないそうだ) 18008 0 0 18034 htmvoc_18008.wav ヨー ⸢ヨー [⸢joː] 助 係助詞(をば)。格助詞ユ[ju](を)に係助詞ヤ[ja](は)が付いて、[ju] + [ja] → [joː](をば)のように融合変化して形成されたもの。 ⸢ワイヨー⸣<⸢ワーヨー⸣> イッ⸢カ⸣ シゥ⸢カイヨーラ⸣ヌ ⸣バー⸢タンガ⸣ル シゥ⸢カイヨー⸣ル [⸢waijoː⸣<⸢waːjoː⸣> ʔik⸢ka⸣ sï̥⸢kaijoːra⸣nu ⸣baː ⸢taŋga⸣ru sï̥⸢kaijoː⸣ru] (君をば決して使いなさらない{EOS}私だけ<私一人>をお使いなさるのだ)。 ⸢ワイヨー⸣<⸢ワーヨー⸣> フミティ ⸢バイ⸣ヨー<⸢バー⸣ヨー> イ⸢ジル ソー⸣ル [⸢waijoː⸣<⸢waːjoː⸣> ɸumiti ⸢bai⸣joː<⸢baː⸣joː> ʔi⸢ʤiru soː⸣ru] (君を\ruby{褒}{ホ}めて私を\ruby{叱}{シカリ}りなさる) 18009 0 1 18035 htmvoc_18009.wav ヨー ⸢ヨー [⸢joː] 終助 {Mn_1}よ。動詞の命令形や終助詞につく。 ヤー⸢ディン⸣ クー⸢ヨー [jaː⸢diŋ⸣ kuː⸢joː] (必ず<きっと>来いよ)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢クー⸣ナ⸢ヨー [ma⸢na⸣maː ⸢kuː⸣na⸢joː] (今は来るなよ<禁止>)。 18009 0 2 18036 htmvoc_18009.wav ヨー ⸢ヨー [⸢joː] 終助 {Mn_2}活用語の終止形について、よ。さ。ね(念押し)の意を表す。 ⸣アツァー ヤー⸢ディン⸣ ⸢クンヨー [⸣ʔaʦaː jaː⸢diŋ⸣ kuɲ⸢joː] (明日は必ず<きっと>来るよ)。 ⸢キュー⸣ヤ パ⸢ラン⸣タンティン ⸣ミサンヨー [⸢kjuː⸣ja pa⸢ran⸣tantim ⸣misaɲjoː] (今日は行かなくてもいいよ)。 18009 0 3 18037 htmvoc_18009.wav ヨー ⸢ヨー [⸢joː] 終助 {Mn_3}名詞、転成名詞について断定・強調を表す。 ⸣アイヨー ⸢ワー⸣ アズ ⸢トゥー⸣ルヨー [⸣ʔaijoː ⸢waː⸣ ʔaʣu ⸢tuː⸣rujoː] (そうだよ、君の言うとおりだよ) 18010 0 0 18038 htmvoc_18010.wav ヨー ヨ⸢ー [jo⸢ː] 感 ねえ。よいか。念押し、確認の意味を表す。 ヨ⸢ー⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ア⸢ゾー⸣ル ⸣ムネー シゥカイ⸢トゥ⸣ キ⸢ム⸣ナー イ⸢レー⸣ティ ⸢バスクナ⸣ダー [jo⸢ː⸣ ʔu⸢ja⸣nu ʔa⸢ʣoː⸣ru ⸣muneː sï̥kai⸢tu⸣ ki⸢mu⸣naː ʔi⸢reː⸣ti ⸢basu̥kuna⸠daː] (いいか、親の言われることはしっかりと肝に銘じ<入れ>て、忘れるなよ)。 ヨー⸢ヨー バスクナ⸠ダー [joː⸢joː basu̥kuna⸠daː] (ねえ、いいか{EOS}忘れるなよ) 18011 0 0 18039 htmvoc_18011.wav ヨーカ ⸢ヨー⸣カ [⸢joː⸣ka] 名 サバニの中に溜まった水。ふなゆ。「\ruby{湯}{ユ}・\ruby{淦}{アカ}」の転訛したものか。転じて、ふなゆを排出する孔の⸢ヨーカ⸣ミー[⸢joːka⸣miː](湯淦孔)の意味に用いる 18012 0 0 18040 htmvoc_18012.wav ヨーガー ⸢ヨー⸣ガー [⸢joː⸣gaː] 名 弱体。弱々しい体質。 バ⸢カーン⸣ケンマー ⸢スー⸣バー ⸢ヤッタヌ⸣ ヤ⸢ム⸣ター ⸢ヨー⸣ガー ⸣ナリティ マ⸢ガリ ベー [ba⸢kaːŋ⸣kemmaː ⸢suː⸣baː ⸢jattanu⸣ ja⸢mu⸣taː ⸢joː⸣gaː ⸣nariti ma⸢gari beː] (若い頃は\ruby{頑健}{ガン|ケン}だったが、病気したので弱体になって、ねじけて<曲がって>いる) 18013 0 0 18041 htmvoc_18013.wav ヨーカーピーカー ⸢ヨー⸣カーピーカー [⸢joː⸣kaːpiːkaː] 副 夜も昼も。 ム⸢カ⸣シェー ⸢カン⸣プスンケーヤ ⸢ヨー⸣カヤーナーティ ⸢ヨー⸣カーピーカー ⸢カン⸣ツァーアサビ ⸢ソーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kam⸣pu̥suŋkeːja ⸢joː⸣kajaːnaːti ⸢joːkaːpiː⸣kaː ⸢kan⸣ʦaːʔasabi ⸢soːt⸣taʦoː] (昔は神職者<司やティジリビー>たちはヨーカヤー<西原家本家>で夜昼かけて⸢カン⸣ツァーアサビ{SqBr}⸢kan⸣ʦaːʔasabi{/SqBr}(神歌を習う神遊び)をされたそうです)。これが西原家(ヨーカヤー)の語源といわれている 18014 0 0 18042 htmvoc_18014.wav ヨーガーペーガー ⸢ヨーガーペー⸣ガー [⸢joːgaːpeː⸣gaː] 副 弱々しいさま。ABCDEFCD型の重言。 ウ⸢レー ヨーガーペー⸣ガー ⸣ナリティ プ⸢スタルガキ⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢reː joːgaːpeː⸣gaː ⸣nariti pu̥⸢sutarugaki⸣ na⸢ra⸣nu] (彼は体がひ弱にナって、当てにならない<頼りにならない>) 18015 0 0 18043 htmvoc_18015.wav ヨーカミー ⸢ヨーカ⸣ミー [⸢joː⸣kamiː] 名  サバニの中に入った水(湯)を排出する穴。あか(淦)を流す穴。排水孔。「湯淦穴」の転訛したもの。 ⸢ヨーカ⸣ミーラ ⸣アカー パ⸢ラ⸣シバ [⸢joːka⸣miːra ⸣ʔakaː pa⸢ra⸣ʃiba] (排水孔から淦を流しなさい) 18016 0 0 18044 htmvoc_18016.wav ヨーカヤー ⸢ヨー⸣カヤー [⸢joː⸣kajaː] 名 屋号。西原松氏宅。⸢ヨー⸣カヤーの東の庭に霊威の高いビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](びんずる<賓頭蘆>)がある。友利御嶽に通ずる⸢カン⸣ヌ ⸣ミチ[⸢kan⸣nu ⸣miʧi](神の道)がそこに通じていると伝えられている。昭和の初期頃までは、友利御嶽で行われる神事祈願の後、司やティジリビー達は必ず⸢ヨー⸣カヤーのビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](賓頭蘆)に集まってア⸢マイヨーッ⸣タ[ʔa⸢maijoːt⸣ta](神遊びされた)という。 ⸣アイ ⸢ヤー⸣ティル ⸣ウマー ⸢カンダカー⸣ツォー [⸣ʔai ⸢jaː⸣tiru ⸣ʔumaː ⸢kandakaː⸣ʦoː] (それで、そこは神霊が高いそうだ)。 ⸣ウブシケーヌ ⸢マイ⸣ネール ⸢ヨー⸣カヤー [⸣ʔubuʃi̥keːnu ⸢mai⸣neːru ⸢joː⸣kajaː] (大城博氏宅の前隣が西原松氏宅だ) 18017 0 0 18045 htmvoc_18017.wav ヨーカヤーヌウキナザーテー ⸢ヨー⸣カヤーヌ ウ⸢キ⸣ナザーテー [⸢joː⸣kajaːnu ʔu⸢ki⸣naʣaːteː] 連 屋号。西原茂氏宅。 ⸢ヨー⸣カヤーヌ ウ⸢キ⸣ナザーテーヤ パ⸢ナシケーヌ⸣ マンタナール ⸣アル [⸢joː⸣kajaːnu ʔu⸢ki⸣naʣaːteːja pa⸢naʃi̥keːnu⸣ mantanaːru ⸣ʔaru] (西原茂氏宅は花城家の前に<ぞ>ある) 18018 0 0 18046 htmvoc_18018.wav ヨーカヤーヌマチャーヒーテー ⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸣マチャーヒーテー [⸢joː⸣kajaːnu ⸣maʧaːçiːteː] 連 屋号。西原松氏宅。⸣ウトンマーテー[⸣ʔutommaːteː](ウト氏<姉さん>の家)ともいう。西原ウト氏は金城次郎氏の娘で、長年自宅屋敷の隅に家を建てて金城二郎氏夫妻を住まわせていた。 ⸢イー⸣ネヌ ⸣アッパートゥ シ⸢ラ⸣ガーウスマイヌ ナ⸢カ⸣ヌ ッ⸢ふァル ヨー⸣カヤーヌ ウトンマー⸢ゲ⸣ラ [⸢ʔiː⸣nenu ⸣ʔappatu ʃi⸢ra⸣gaːʔusumainu na⸢ka⸣nu f⸢faru joː⸣kajaːnu ʔutommaː⸢ge⸣ra] (西隣の家のお祖母さんと金城次郎氏との仲の子供がウトンマー<ウト姉さん>さ)。 ⸢ヨー⸣カヤーヌ ⸣マチャーヒーテーヌ カ⸢コー⸣ シ⸢ラ⸣ガーウスマイル ⸢ティン⸣ガラシ イ⸢シバ⸣ バ⸢リ コーシェー⸣ティル ス⸢ク⸣ローレーティ⸢ダー [⸢joː⸣kajaːnu ⸣maʧaːçiːteːnu kḁ⸢koː⸣ ʃi⸢ra⸣gaːʔusumairu ⸢tiŋ⸣garaʃi ʔi⸢ʃiba⸣ ba⸢ri koːʃeː⸣tiru su̥⸢ku⸣roːreːti⸢daː] (西原松氏宅の屋敷は金城次郎氏がかなてこ<鉄梃>で石を割り掘り起こして<ぞ>作られたそうだよ) 18019 0 0 18047 htmvoc_18019.wav ヨーガラー ⸢ヨーガラー [⸢joːgaraː] 名 やせっぽち(痩せっぽち)。ひどく痩せている人(卑語)。⸣パンタレー[⸣pantareː](太っているひと{EOS}太っちょ)の対義語。 ウ⸢レー ヨーガラー⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ シゥ⸢カラー スー⸣ワン⸢ダー [ʔu⸢reː joːgaraː⸣ ja⸢rundu⸣ si̥⸢karaː suː⸣wan⸢daː] (彼は痩せっぽちであるが、力は強い) 18021 0 0 18048 htmvoc_18021.wav ヨーガリカーガリ ⸢ヨーガリカー⸣ガリ [⸢joːgarikaː⸣gari] 副 痩せ細って。ひどく痩せて。ABCDEFCD型の重言。 ⸣ヤミティル ⸢ヨーガリカー⸣ガリ ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク ダ⸢レー [⸣jamitiru ⸢joːgarikaː⸣gari ⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku da⸢reː] (病気して<ぞ>痩せ細っているんだよ、彼は) 18022 0 0 18049 htmvoc_18022.wav ヨーガリムヌ ⸢ヨーガリムヌ [⸢joːgarimunu] 名 痩せっぽち。痩せた人。 ⸢ヨーガリムヌ⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ シゥ⸢カラー スー⸣ワン [⸢joːgarimunu⸣ ja⸢rundu⸣ si̥⸢karaː suː⸣waŋ] (痩せっぽちだが力は強い) 18023 0 0 18050 htmvoc_18023.wav ヨーガルン ⸢ヨーガルン [⸢joːgaruŋ] 自動 痩せる。「飢<ヤワシ>かし時~『日本書紀神代上』」の語幹に⸢燥、加留<カル。かわく>」『新撰字鏡』が付いて形成された合成語か。 ⸣ムヌ ッ⸢ふァーン⸣カー ⸢ヨーガルンダ ヨーガラン⸣ヨーニ イ⸢ジン⸣ジ ッ⸢ふァイ⸣ヨー [⸣munu f⸢faːŋ⸣kaː ⸢joːgarunda joːgaraɲ⸣joːni ʔi⸢ʤi⸣ʔnʤi f⸢fai⸣joː] (食物を食べないと痩せるから、痩せないように、しっかり<意地をだして>食べなさいよ)。 ⸢ヨーガリ ナー⸣ヌ [⸢joːgari naː⸣nu] (痩せてしまった)。 ⸢ヨーガル⸣ ワケー ⸢ナー⸣ヌ [⸢joːgaru⸣ wakeː ⸢naː⸣nu] (痩せる訳がない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヨーガレー⸣ ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢joːgareː⸣ misamunu] (早く痩せればいいのに)。 ン⸢ベーマー ヨーガリ⸣バ [ʔm⸢beːmaː joːgari⸣ba] (少しは痩せろよ) 18020 0 0 18051 htmvoc_18020.wav ヨーガレー ⸢ヨーガレー [⸢joːgareː] 名 やせっぽち(痩せっぽち)。ひどく痩せている人(卑語)。⸢ヨーガラー[⸢joːgaraː](痩せっぽち)と同じ。痩せた人のニックネーム 18056 0 0 18052 htmvoc_18056.wav ヨーコイ ⸢ヨーコイ [⸢joːkoi] 名 午後3時頃から夕方まで。夏の太陽が傾いて暑気が衰えるころ。「夕影」の転訛。「~生ひたるやどの暮陰尓<ユフカゲに>~。万、2159」の転訛したもの。 ⸢プーマキティ⸣ ア⸢ツァ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ ⸢ヨーコイ⸣ ナ⸢ラバ⸣ル パ⸢タ⸣ケーヤ パ⸢ラ⸣リ [⸢puːmakiti⸣ ʔa⸢ʦa⸣nu na⸢ra⸣nu ⸢joːkoi⸣ na⸢raba⸣ru pḁ⸢ta⸣keːja pa⸢rari⸣ru] (ほてって<ほめいて>、熱くて堪らない{EOS}夕陰にならないと畑にはいけない<夕陰になればぞ畑には行ける>) 18025 0 0 18053 htmvoc_18025.wav ヨーシ ⸢ヨー⸣シ [⸢joː⸣ʃi] 名 養子。標準語からの借用語。竹富町の、明治15年の戸籍簿に⸢養子」の語彙が記録されている。鳩間方言では、⸢イーリ⸣ッふァ[⸢ʔiːri⸣ffa](貰い子)、シゥ⸢カナイ⸣ッふァ[si̥⸢kanai⸣ffa](養い子)というのが普通である。 ッ⸢ふァヌ⸣ ブ⸢ラーン ベー⸣ティ ⸢ヨーシ⸣バ ⸢サーリ⸣ ケーツォー [f⸢fanu⸣ bu⸢raːm beː⸣ti ⸢joːʃi⸣ba ⸢saːri⸣ keːʦoː] (子供がいないので養子を連れてきてあるそうだ) 18026 0 0 18054 htmvoc_18026.wav ヨーシ ⸢ヨー⸣シ [⸢joː⸣si] 名 様子。模様。有様。 ⸢ウン⸣ネーヤ プ⸢スヌ⸣ ア⸢ツァ⸣マリティ ⸢ヨイ⸣バ ⸢ソーリン⸣ギサル ⸢ヨー⸣シ [⸢ʔun⸣neːja pu̥⸢sunu⸣ ʔa⸢ʦa⸣mariti ⸢joi⸣ba ⸢soːriŋ⸣gisaru ⸢joː⸣ʃi] (あの家は、人が集まって、お祝いをされそうな様子だ) 18027 0 1 18055 htmvoc_18027.wav ヨージ ⸢ヨー⸣ジ [⸢joː⸣ʤi] 名 {Mn_1}ようじ(楊枝)。お菓子楊枝。 カ⸢ツヌ ズーブニバ⸣ パ⸢マ⸣ナー ウ⸢ズミティ⸣ シ⸢ダ⸣シティ ⸢ヨー⸣ジ ス⸢ク⸣リバ [kḁ⸢ʦunu ʣuːbuniba⸣ pa⸢ma⸣naː ʔu⸢ʣumiti⸣ ʃi⸢da⸣ʃi̥ti ⸢joː⸣ʤi su̥⸢ku⸣riba] (カツオの尾びれを浜に埋めて、\ruby{孵化}{フ|カ}させ<潮水に\ruby{曝}{サラ}して>て楊枝に作りなさいよ)。 18027 0 2 18056 htmvoc_18027.wav ヨージ ⸢ヨー⸣ジ [⸢joː⸣ʤi] 名 {Mn_2}歯の間に挟まった物を除去するのに用いる具。普通は、⸢パーヨー⸣ジ[⸢paːjoː⸣ʤi](歯楊枝{EOS}歯ブラシ)という。 ⸢ヨー⸣ジシ ⸢パー⸣ヌッス ⸣トゥリバ [⸢joː⸣ʤiʃi ⸢paː⸣nu ⸣ssu ⸣turiba] (楊枝で歯糞を取りなさい)。 ⸢パーヨー⸣ジシ フ⸢チ⸣ ア⸢ライ⸣バ [⸢paːjoː⸣ʤiʃi ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢rai⸣ba] (歯ブラシで口を洗い<歯磨きし>なさい) 18028 0 1 18057 htmvoc_18028.wav ヨーゾー ⸢ヨー⸣ゾー [⸢joː⸣ʣoː] 名 {Mn_1}養生。 イ⸢ジ⸣ンジ ン⸢マー⸣ムヌン ッ⸢ふァイヤー⸣ティ ⸢ヨー⸣ゾー ⸢シー⸣バ⸢ヨー [ʔi⸢ʤi⸣nʤi ʔm⸢maː⸣munuŋ f⸢faijaː⸣ti ⸢joː⸣ʣoː ⸢ʃiː⸣ba⸢joː] (一生懸命美味しいものも食べながら養生しなさいね)。 18028 0 2 18058 htmvoc_18028.wav ヨーゾー ⸢ヨー⸣ゾー [⸢joː⸣ʣoː] 名 {Mn_2}看護。病後の手当て。 ミ⸢ドーン⸣ッふァヌ ⸣カナイ ⸢ブンダ⸣ イッ⸢ケナ ヨー⸣ゾー ⸢シー⸣ ッ⸢ふィールン [mi⸢doːŋ⸣ffanu ⸣kanai ⸢bunda⸣ ʔik⸢kena joː⸣ʣoː ⸢ʃiː⸣ f⸢fiːruŋ] (女の子がしっかりしている<叶っている>から、非常によく看護してくれる) 18029 0 0 18059 htmvoc_18029.wav ヨーゾーウクリ ⸢ヨーゾーウク⸣リ [⸢joːʣoːʔuku⸣ri] 名 養生遅れ。病気治療の手遅れ。 イ⸢サ⸣ヌ ⸢オーラン⸣ シマ ヤ⸢ルンダ⸣ ヤ⸢ミプス⸣バ イ⸢サナケー⸣ シゥ⸢カシ⸣ パルンケンマー ⸢ヨーゾーウク⸣リ ⸣ナリ ⸢ナーン⸣シェンツォー [ʔi⸢sa⸣nu ⸢ʔoːraŋ⸣ ʃima ja⸢runda⸣ ja⸢mipusu⸣ba ʔi⸢sanakeː⸣ si̥⸢kaʃi⸣ paruŋkemmaː ⸢joːʣoːʔuku⸣ri ⸣nari ⸢naːŋ⸣ʃenʦoː] (医者のおられない島だから、病人を石垣島へお連れて行くうちに治療の手遅れになってしまっていたそうだ) 18030 0 0 18060 htmvoc_18030.wav ヨーソロー ⸢ヨー⸣ソロー [⸢joː⸣soroː] 感 よろしい。微速前進。操船で船頭がオ⸢モ⸣カジー[ʔo⸢mo⸣kaʣiː](面舵)、ト⸢リ⸣カジー[to⸢ri⸣kaʣiː](取舵)の必要がなく、船の進行方向へ真っ直ぐに、ゆっくり進め(slow)の号令。「ようそろ(宜候)」の義で帝国海軍の操船用語からの借用語という 18031 0 0 18061 htmvoc_18031.wav ヨーチ ⸢ヨー⸣チ [⸢joː⸣ʧi] 名 かんざし(簪)。女性用の\ruby{真鍮製}{シン|チュウ|セイ}、\ruby{鼈甲製}{ベッ|コウ|セイ}、木製の簪。先端部は尖り、根っこは小さな\ruby{匙状}{サジ|ジョウ}になっている。 サ⸢カサヌ⸣アッパター ⸢ヨー⸣チ ⸣ッシティル ⸣ウガンマー ⸢オーッ⸣タ [sḁ⸢kasanu⸣ ʔappataː ⸢joː⸣ʧi ⸣ʃʃitiru ⸣ʔugammaː ⸢ʔoːt⸣ta] (司のお婆さんたちは、\ruby{簪}{カンザシ}を\ruby{挿}{サ}して御嶽<お願>へいらっしゃった)。 キ⸢ガ⸣ズーヨーチ [ki⸢ga⸣ʣuːjoːʧi] (\ruby{真鍮}{シン|チュウ}製の\ruby{簪}{カンザシ}) カ⸢ミヌ⸣クーヨーチ [ka⸢minu⸣kuːjoːʧi] (鼈甲製の簪))。⸣キーヨーチ[⸣kiːjoːʧi](木製の簪)がある 18033 0 0 18062 htmvoc_18033.wav ヨーッタバスン ⸢ヨーッタバスン [⸢joːttabasuŋ] 他動 揺り動かす。たごおけ<担桶>の水を揺らす。 ウ⸢ブ⸣マタシ ア⸢ラ⸣クカー ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジェー ヨーッタバスンダ ヨーッタバサン⸣スコー ⸢ヨーンナー⸣ ア⸢ラ⸣キバ [ʔu⸢bu⸣mataʃi ʔa⸢ra⸣kukaː ⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤeː joːttabasunda joːttabasan⸣su̥koː ⸢joːnnaː⸣ ʔa⸢ra⸣kiba] (大股で歩くと担桶の水を揺らすから、揺らさないように、ゆっくりと歩きなさいよ)。 ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジェー ヨーッタバシ ナー⸣ヌ [⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤeː joːttabaʃi naː⸣nu] (\ruby{担桶}{タゴ|オケ}の水は揺らしてしまった)。 ミ⸢ジェー ヨーッタバス⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [mi⸢ʤeː⸢joːttabasu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (たごおけの水を揺らしてはならぬ)。 ン⸢ベーマ ヨーッタバシェー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːma joːttabaʃeː⸣ misamunu] (少しは揺らせばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヨーッタバシ [⸢maː⸣biɲ ⸢joːttabaʃi] (もっと担桶の水を揺らせなさい) 18032 0 0 18063 htmvoc_18032.wav ヨーッタビカーッタビ ⸢ヨーッタビカーッ⸣タビ [⸢joːttabikaːt⸣tabi] 副 よろよろと。よたよたと。足運びが不安定なさま。ABCDEFGCDE型の重言。強調表現。 ⸢ウイプス⸣ヌ ⸢ヨーッタビカーッ⸣タビ ⸢シェー⸣ティ ア⸢ラ⸣キ ⸢オー⸣ル ⸣ムヌ ⸣ミルカー キ⸢ムイ⸣ツァーン [⸢ʔuipusu⸣nu ⸢joːttabikaːt⸣tabi ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢ra⸣ki ⸢ʔoː⸣rumu ⸣mirukaː ki⸢mui⸣ʦaːŋ] (年寄りがよたよたと歩いておられるのを見ると、可哀想<肝痛し>である)。 ⸢ビー⸣プソー ⸢ヨーッタビカーッ⸣タビ ⸢シェー⸣ティン ⸢ヤーバー⸣キ ア⸢ラ⸣キ パ⸢リ⸣ス⸢ツォー⸣カー [⸢biː⸣pu̥soː ⸢joːttabikaːt⸣tabi ⸢ʃeː⸣tiɲ ⸢jaːbaː⸣ki ʔa⸢ra⸣ki pa⸢ri⸣su⸢ʦoː⸣kaː] (酔っ払いは、よたよたとよろめきながらも、家まで歩いて帰るってば) 18034 0 0 18064 htmvoc_18034.wav ヨーッタブン ⸢ヨーッタブン [⸢joːttabuŋ] 自動 よろめく(蹌踉めく)。ふらつく。よろける。よたよたする。千鳥足であるく。(強調表現)。⸢ヨータブン[⸢joːtabuŋ](よろめく)ともいう。 フ⸢ドゥヌ⸣ グ⸢マー⸣ンダ ミ⸢ジタング⸣ カ⸢タ⸣ムカー ⸢ヨーッタブンドゥ⸣ カ⸢ラタング⸣ ヤ⸢ルンダ ヨーッタバヌ [ɸu⸢dunu⸣ gu⸢maː⸣nda mi⸢ʤitaŋ⸣gu kḁ⸢ta⸣mukaː ⸢joːttabundu⸣ ka⸢rataŋgu⸣ ja⸢runda joːttabanu] (体格が小さいから、たごおけ<担桶>を担ぐとよろめくが、空の担桶だからよろめかない)。 ⸢ヨーッタビティ⸣ カ⸢タミユーサ⸣ヌ [⸢joːttabiti⸣ kḁ⸢tami juːsa⸣nu] (よろけて\ruby{担}{カツ}げない)。 ⸢ヨーッタブ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢joːttabu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (よろめくことはない)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヨーッタベー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biɲ ⸢joːttabeː⸣ misamunu] (もっとよろめけばいいのに)。 ⸢ヨーッタビ⸣バ [⸢joːttabi⸣ba] (よろめけよ) 18035 0 1 18065 htmvoc_18035.wav ヨーッタヨーッタ ⸢ヨーッタヨーッタ [⸢joːttajoːtta] 副 {Mn_1}よたよた。よろめく様子。 ⸣ビーティ ⸢ヨーッタヨーッタ⸣シ ア⸢ラ⸣キ ⸣クーンティ [⸣biːti ⸢joːttajoːtta⸣ʃi ʔa⸢ra⸣ki ⸣kuːnti] (酒に酔ってよたよたとよろめいて歩いてくるさ)。 18035 0 2 18066 htmvoc_18035.wav ヨーッタヨーッタ ⸢ヨーッタヨーッタ [⸢joːttajoːtta] 副 {Mn_2}ゆらゆら揺れる様。 ⸢キーアイ⸣クシ ミ⸢ジ⸣ カ⸢タ⸣ムカー ⸢タング⸣ヌ ミ⸢ジェー ヨーッタヨーッタ⸣シティ ウ⸢キ⸣ イ⸢ラン⸣カー ク⸢バリ⸣ス [⸢kiːʔai⸣kuʃi mi⸢ʤi⸣ kḁ⸢ta⸣mukaː ⸢joːttajoːtta⸣ʃi̥ti ʔu⸢ki⸣ ʔi⸢raŋ⸣kaː ⸢taŋgu⸣nu mi⸢ʤeː ku⸢bari⸣su] (木のおうこ<朸>でたご<\ruby{担桶}{タ|ゴ}>を担ぐとゆらゆらと揺れて、浮き草を入れないと水が担桶よりこぼれるよ) 18036 0 0 18067 htmvoc_18036.wav ヨーナ ⸣ヨーナ [⸣joːna] 助動 ~のような。⸣ヨーヌ[⸣joːnu](ような)ともいう。類似の事柄を例示して性質、状態を述べる意を表す<比況>。⸣ヨーニ[joːni](~のように~)<連用形>。 ⸢ワンヌン⸣ パルヨーニ ス⸢コール シー⸣ヨー [⸢wannum⸣ parujoːni su̥⸢koːru ʃiː⸣joː] (君も行くように準備しなさいよ)。 ⸣ヨーナ [⸣joːna] (~のような~)。 ⸢ワーヤ⸣ ウヌ ⸣ヨーナ ⸣クトー イッ⸢カ シェー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢waːja⸣ ʔunu ⸣joːna ⸣ku̥toː ʔik⸢ka ʃeː⸣ na⸢ra⸣nu] (君は、そのようなことは決してしてはならない)。 カ⸢リン⸣ パルヨーナ(ヌ) パ⸢ナ⸣シェー ⸢サンシェン [ka⸢rim⸣ parujoːna(nu) pa⸢na⸣ʃeː ⸢saŋʃeŋ] (彼も<あれ>行くような話しはしなかった) 18037 0 0 18068 htmvoc_18037.wav ヨーニ ヨー⸢ニ [joː⸢ni] 副 容易に。たやすく。なかなか。滅多に。「容易に」の転訛したもの。ク⸢トゥヤッ⸣サ[ku̥⸢tujas⸣sa](容易く)が肯定陳述を要求するのに対し、ヨー⸢ニ[joː⸢ni]は、常に文末にの打ち消しの陳述表現と呼応する。 ⸢ウン⸣ネーヤ ヨー⸢ニ⸣ サ⸢バカラ⸣ヌ [⸢ʔun⸣neːja joː⸢ni⸣ sa⸢bakara⸣nu] (あの家は、なかなか探し当てら<\ruby{捌}{サバ}か>れない)。 ウ⸢レー⸣ ヨー⸢ニ⸣ ムニン イ⸢ザヌ [ʔu⸢reː⸣ joː⸢ni⸣ muniŋ ʔi⸢ʣanu] (彼はなかなかものも言わない) 18038 0 0 18069 htmvoc_18038.wav ヨーバー ⸢ヨー⸣バー [⸢joː⸣baː] 名 弱い者。意気地なし。弱虫。 ウ⸢レー ヨー⸣バー ヤ⸢ルンダ⸣ シ⸢グ ピン⸣ギ パ⸢リ⸣ス [ʔu⸢reː joː⸣baː ja⸢runda⸣ ʃi⸢gu piŋ⸣gi pa⸢ri⸣su] (彼<それ>は弱虫だから、すぐ逃げていってしまうよ) 18039 0 0 18070 htmvoc_18039.wav ヨーパイル ⸢ヨーパイ⸣ル [⸢joːpai⸣ru] 名 弱い酢。ミ⸢ジパイ⸣ル[mi⸢ʤipai⸣ru](水になった酢)ともいう。 キ⸢シパイ⸣ローヌ⸢マラン⸣バ ミ⸢ジ⸣シ ⸢バイティ ヨーパイ⸣ル ス⸢ク⸣リバ [ki̥⸢ʃipai⸣roː nu⸢maram⸣ba mi⸢ʤi⸣ʃi ⸢baiti joːpai⸣ru su̥⸢ku⸣riba] (強い酢は飲めないから、水で割って弱い酢を作りなさいよ) 18040 0 0 18071 htmvoc_18040.wav ヨーピー ⸢ヨー⸣ピー [⸢joː⸣piː] 名 弱火。とろ火。 ⸢イー⸣ヤー フ⸢トゥッ⸣チ フ⸢キカバ⸣スカー タ⸢ム⸣ノー ピ⸢キティ ヨー⸣ピーシ ン⸢ブ⸣シバ [⸢ʔiː⸣ja ɸu̥⸢tut⸣ʧi ɸu̥⸢kikaba⸣su̥kaː ta⸢mu⸣noː pi̥⸢kiti joː⸣piːʃi ʔm⸢bu⸣ʃiba] (ご飯は\ruby{沸騰}{フッ|トウ}して吹き\ruby{零}{コボ}れたら、薪を引き出して、弱火で蒸しなさいよ) 18057 0 0 18072 htmvoc_18057.wav ヨーフキカーフキ ⸢ヨーフキカー⸣フキ [⸢joːɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki] 副 弱々しく顔色が青ざめているさま。 ⸢ワー⸣ ヌースンティ ⸢ヨーフキカー⸣フキ ⸢シー ベー⸣ワ [⸢waː⸣ nuːsunti ⸢joːɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki ⸢ʃiː beː⸣wa] (君はどうして顔色が青ざめているのか) 18041 0 0 18073 htmvoc_18041.wav ヨーベー ⸢ヨー⸣ベー [⸢joː⸣beː] 名 弱虫。弱いもの。粗悪品。少し卑下した表現に用いる。 ⸣アイブ ⸢ヨーベー⸣バ ⸢カイティ⸣ ウ⸢ル⸣キ ⸢ベーン⸣ティ [⸣ʔaibu ⸢joːbeː⸣ba ⸢kaiti⸣ ʔu⸢ru⸣ki ⸢beːn⸣ti] (あんな粗悪品を買って欠損しているさ、ほらごらんよ) 18042 0 1 18074 htmvoc_18042.wav ヨーマルン ⸢ヨー⸣マルン [⸢joː⸣maruŋ] 自動 {Mn_1}弱くなる。弱まる。 カ⸢ジェー ヨー⸣マルンティ シ⸢タヌ⸣ マ⸢ダ ヨーマラン⸣バン [ka⸢ʤeː joː⸣marunti ʃi̥⸢tanu⸣ ma⸢da joːmaram⸣baŋ] (風は弱まるといったが、まだ弱まらないわい)。 ⸢シンダイ ヨー⸣マリ ⸣パルン [⸢ʃindai joː⸣mari ⸣paruŋ] (次第に弱まっていく)。 カ⸢ジェー ヨー⸣マル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢ʤeː joː⸣maru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (風は弱まることはない)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヨー⸣マレー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸢joː⸣mareː ⸣misamunu] (早く弱まればいいのに)。 ⸢ヨー⸣マリ [⸢joː⸣mari] (弱まれ{EOS}弱くなれ)。 18042 0 2 18075 htmvoc_18042.wav ヨーマルン ⸢ヨー⸣マルン [⸢joː⸣maruŋ] 自動 {Mn_2}老衰する。 ⸣トゥシェー ⸣トゥリティ ⸢ヨーマリ⸣ル ⸢オー⸣ル [⸣tu̥ʃeː ⸣turiti ⸢joːmari⸣ru ⸢ʔoː⸣ru] (年を取って衰弱して<弱まって>おられる) 18043 0 0 18076 htmvoc_18043.wav ヨーミ ⸢ヨー⸣ミ [⸢joː⸣mi] 名 弱点。弱み。 ドゥ⸢シン ヨー⸣ミ カ⸢サマリティル⸣ ピ⸢キマーサレー⸣ティ ⸢アー⸣ク ダ⸢レー [du⸢ʃiɲ joː⸣mi kḁ⸢samaritiru⸣ pi̥⸢kimaːsareː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku da⸢reː] (友人に弱点を握られ<掴まれ>て引き回されているんだよ) 18044 0 0 18077 htmvoc_18044.wav ヨーミイルン ⸢ヨー⸣ミ イ⸢ルン [⸢joː⸣mi ʔi⸢ruŋ] 連 外傷を受ける。弱みが入る。病弱となる。体内に物理的、精神的に重い外傷が入る。 ウ⸢レー⸣ バ⸢カーン⸣ケンナー ヤ⸢マー⸣ラ ク⸢ルビ⸣ ウティティル ⸣ドゥーナ ⸢ヨー⸣ミ イ⸢レー⸣ダ⸢レー [ʔu⸢reː⸣ ba⸢kaːŋ⸣kennaː ja⸢maː⸣ra ku⸢rubi⸣ ʔutitiru ⸣duːna ⸢joː⸣mi ʔi⸢reː⸣da⸢reː] (彼は若い時に山から転げ落ちて<ぞ>、体内に外傷を受けた<弱みが入った>のだよ) 18045 0 0 18078 htmvoc_18045.wav ヨーミサン ⸢ヨーミ⸣サン [⸢joːmi⸣saŋ] 形 \ruby{畏}{オソレ}れ多い。主として神や高貴な人に対して用いられる。畏れ多くて、お側近くへ寄ることが\ruby{憚}{ハバカ}られる時に用いられる。ウ⸢ヤミ⸣サン[ʔu⸢jami⸣saŋ]がぞんざいにに発音されて、ウ⸢ヤミ⸣サン[ʔu⸢jami⸣saŋ](畏れ多い)→ [⸢joːmi⸣saŋ](畏れ多い)のように変化したもの。 ⸢ゴー⸣サナガラ ⸢ヨーミ⸣サナガラ ウ⸢ス⸣バユリ ウ⸢ガミトゥー⸣シ ア⸢ギル⸣ ニ⸢ガイ⸣ヤー~ [⸢goː⸣sanagara ⸢joːmi⸣sanagara ʔu⸢su⸣bajuri ʔu⸢gamituː⸣ʃi ʔa⸢giru⸣ ni⸢gai⸣jaː~] (\ruby{畏}{オソ}れ多いことながら、この身は\ruby{憚}{ハバカ}り多いことですが、お側に寄り、拝み通し上げます願いは~)。 ⸣ドゥク ⸢ヨーミサ⸣ヌ ウ⸢ス⸣バー ユ⸢ララヌ [⸣duku ⸢joːmisa⸣nu ʔu⸢su⸣baː ju⸢raranu] (あまりにも畏れ多くてお側に寄れない)。 ⸢ヨーミサ ナー⸣ヌ [⸢joːmisa naː⸣nu] (畏れ多くない)。 ⸢ヨーミ⸣サール ⸢カンヌ⸣マイナー [⸢joːmi⸣saːru ⸢kannu⸣mainaː] (畏れ多い神様の御前に) 18046 0 0 18079 htmvoc_18046.wav ヨーミルン ⸢ヨーミ⸣ルン [⸢joːmi⸣ruŋ] 他動 弱める。弱くする。弱らせる。 ⸣ドゥク シ⸢ミシゥカン⸣ドーシ ⸢ヨーミ⸣ルンティ ⸢スンドゥ ヨーミララ⸣ヌ [⸣duku ʃi⸢misi̥kan⸣doːʃi ⸢joːmi⸣runti ⸢sundu joːmirara⸣nu] (あまり締め付けないで弱めようとするが、弱められない)。 ⸢ヨー⸣ミ ⸣ミサカー ⸢ヨーミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢joːmi⸣ misakaː ⸢joːmi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (弱めてよければ、弱めることは出来る)。 ン⸢ベーマ ヨーミ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːma joːmi⸣reː ⸣misamunu] (少し弱めればいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ⸢ヨーミ⸣リ [⸢maː⸣biɲ ⸢joːmi⸣ri] (もっと弱めろ) 18047 0 0 18080 htmvoc_18047.wav ヨームン ⸢ヨー⸣ムン [⸢joː⸣muŋ] 自動 弱くなる。弱む。弱る。 ⸢ウーカジ⸣ナー ⸢ヤー⸣ヤ ⸢ヨー⸣ミ ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔuːkaʤi⸣naː ⸢jaː⸣ja ⸢joː⸣mi ⸢naː⸣nu] (台風で家は弱ってしまった)。 カ⸢ジ⸣ナー ⸢ヨー⸣ムンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ヨーマン⸣シェン [ka⸢ʤi⸣naː ⸢joː⸣muŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢joːnaŋ⸣ʃeŋ] (台風で家は傷む<弱む{EOS}弱る>だろうと思ったが、痛ま<弱ら>なかった)。 ウ⸢ヌアタル⸣ヌ カ⸢ジ⸣ナー ⸢ヨー⸣ム⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢nu⸣ ʔa⸢taru⸣nu ka⸢ʤi⸣naː ⸢joː⸣mu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (その程度の台風で弱ることはない)。 ン⸢ベーマ ヨー⸣メー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː joː⸣meː ⸣misamunu] (少しは弱くなればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸢ヨー⸣マリ [⸢paː⸣ku ⸢joː⸣mari] (早く弱まれ) 18048 0 0 18081 htmvoc_18048.wav ヨーヤク ⸢ヨーヤ⸣ク [⸢joːja⸣ku] 副 ようやく(漸く)。やっとで。かろうじて。「徐、ヤウヤク」『類聚名義抄』の転訛したもの。 ン⸢ザシ⸣マイ ア⸢ツァ⸣ミカツァミ ⸢ヨーヤ⸣ク タ⸢ラーシ⸣ ム⸢タ⸣シ パ⸢ラシ⸣タ [ʔn⸢ʣaʃi⸣mai ʔa⸢ʦa⸣mikaʦami ⸢joːja⸣ku ta⸢raːʃi⸣ mu⸢ta⸣ʃi pa⸢raʃi̥⸣ta] (出費<出し前>を、あちこちから集めて、ようやく金額を満たして<足らして>持たせてやった<行かせた>よ) 18049 0 0 18082 htmvoc_18049.wav ヨーヨー ヨー⸢ヨー [joː⸢joː] 感 きっと。必ず。注意を促す時に用いる念押しの言葉。「能く能く」の義。「能能、ヨクヨク」『文明本節用集』の転訛したもの。 ヨー⸢ヨー⸣ ウ⸢ティシキ⸣リ⸢ダー [joː⸢joː⸣ ʔu⸢tiʃi̥ki⸣ri⸢daː] (きっと<よくよく>落ち着けよ)。 ヨー⸢ヨー⸣ ウ⸢レー⸣ イッ⸢カ⸣ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラン⸣ダー [joː⸢joː⸣ ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢ka⸣ pa⸢na⸣ʃeː na⸢ran⸣daː] (きっと<よくよく>だぞ{EOS}それは決して話してはならないよ) 18050 0 0 18083 htmvoc_18050.wav ヨーラ ⸢ヨー⸣ラ [⸢joː⸣ra] 名 腰。わきばら。横っぱら。 ⸢ヨーラ⸣ヌ グ⸢マー⸣ ミ⸢ドゥ⸣モー ア⸢バ⸣レーン [⸢joːra⸣nu gu⸢maː⸣ mi⸢du⸣moː ʔa⸢ba⸣reːŋ] (腰の小さい女は美しい) 18051 0 0 18084 htmvoc_18051.wav ヨーラサー ⸢ヨーラ⸣サー [⸢joːra⸣saː] 名 (動)ホシゴイ。ゴイサギ(五位鷺)。夜烏。夜鳴く烏。不吉の鳥といわれている。⸢ユーガラ⸣サー[⸢juːgara⸣saː](夜烏)ともいう。「暁と夜烏<ヨカラス>鳴けど~。万、1263」の転訛したもの。*[juːkarasa] → *[juːharasa] → [joːrasa] のように音韻変化したものであろう。 ⸢ヨーラサー⸣ヌ ナ⸢ク⸣カー カ⸢ラウシ シッ⸣キティ ⸣ナーマヤーヌ ッ⸢ふァー⸣マ⸢ドー⸣ティ ウ⸢ヤール⸣タ [⸢joːrasaː⸣nu na⸢ku⸣kaː ka⸢raʔuʃi ʃik⸣kiti ⸣naːmajaːnu f⸢faː⸣ma⸢doː⸣ti ʔu⸢jaːru⸣ta] (夜烏が鳴くと\ruby{空臼}{カラ|ウス}を\ruby{杵}{キネ}で叩いて、⸢ナーマヤー(長間家)の子孫だよ」と大声で叫んだ) 18052 0 0 18085 htmvoc_18052.wav ヨーリカーリ ⸢ヨー⸣リカーリ [⸢joː⸣rikaːri] 副 動作が弱々しく老衰したさま。年老いてよぼよぼしているさま。ABCDBC型の重言。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アブジェー ⸢アッ⸣タニ ⸢ヨー⸣リカーリ ⸢ソー⸣リ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔun⸣nenu ⸣ʔabuʤeː ⸢ʔat⸣tani ⸢joː⸣rikaːri ⸢soː⸣ri⸢naː⸣nu] (あの家のお祖父さんは急に年老いてよぼよぼしてしまわれた) 18053 0 0 18086 htmvoc_18053.wav ヨールン ⸢ヨー⸣ルン [⸢joː⸣ruŋ] 自動 弱くなる。体力、気力が衰える。弱る。「~二三日になりぬるに、むげに弱るやうにし給ふ」『源氏物語 夕顔』の転訛したもの。 トゥ⸢シ⸣ トゥルカー ク⸢シン ヨー⸣ルンティ ⸢スンドゥ⸣ バー マ⸢ナ⸣マートー ⸢ヨーラ⸣ヌ [tu̥⸢ʃi⸣ turukaː ku̥⸢ʃiŋ joː⸣runti ⸢sundu⸣ baː ma⸢na⸣maːtoː ⸢joːra⸣nu] (年を取ると腰も弱るというが、私はまだまだ<今など>弱らないよ)。 トゥ⸢シ⸣トー カ⸢ナー⸣ヌ ⸢ティー⸣パン ⸢ヨー⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [tu̥⸢ʃi⸣toː ka⸢naː⸣nu ⸢tiː⸣paɲ ⸢joː⸣ri ⸢naː⸣nu] (年には勝てない{EOS}手足が弱ってしまった)。 ⸢オーパ⸣ヤー ⸢ヨー⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoːpa⸣jaː ⸢joː⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (そんなに早く弱ることはない)。 ン⸢ベーマー ヨー⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː joː⸣reː ⸣misamunu] (少しは弱ればいいのに)。 ⸢ワー⸣ メー ン⸢ベーマ ヨーリ⸣リ [⸢waː⸣ meː ʔm⸢beːma joːri⸣ri] (君はもう、少しは弱れ<れ>よ) 18054 0 0 18087 htmvoc_18054.wav ヨールン ⸢ヨー⸣ルン [⸢joː⸣ruŋ] 補動 (動詞の連用形に付いて)、~ていらっしゃる。 18054 0 0 18088 htmvoc_18054.wav ヨールン ⸢ヨー⸣ルン [⸢joː⸣ruŋ] 補動 {Exp_1}上接語の末尾がCVVの音節構造の場合、⸢ヨー⸣ルン[⸢joː⸣ruŋ](~ていらっしゃる)となる。 イッ⸢ケナ⸣ バ⸢ライヨー⸣ルン [ʔik⸢kena⸣ ba⸢raijoː⸣ruŋ] (よくお笑いになる)。 ア⸢ライヨー⸣ルン [ʔa⸢raijoː⸣ruŋ] (お洗いになる)。 18054 0 0 18089 htmvoc_18054.wav ヨールン ⸢ヨー⸣ルン [⸢joː⸣ruŋ] 補動 {Exp_2}上接語の末尾がCVCVの音節構造の場合、⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](~ていらっしゃる)となる傾向が強い。 ⸢アー⸣ヤン ⸣カキ⸢オー⸣ルン [⸢ʔaː⸣jaŋ kḁki⸢ʔoː⸣ruŋ] (お父さんも書いていらっしゃる)。 ユミ⸢オー⸣ルン [jumi⸢ʔoː⸣ruŋ] (読んでいらっしゃる) 18058 0 0 18090 htmvoc_18058.wav ヨーン ⸢ヨーン [⸢joːŋ] 名 暗闇。闇夜。「~夜は燭し居る吾を也未<ヤミ>にや~。万、3669」の転訛したもの。 ッ⸢ふァヨーン [f⸢fajoːŋ] (\ruby{暗闇}{クラ|ヤミ})。 ⸢ヨーンヌ⸣ ミーラ ⸢ワー ヌー⸣シル ア⸢ラ⸣キ キ⸢ラリ⸣ター [⸢joːnnu⸣ miːra ⸢waː nuː⸣ʃiru ʔa⸢ra⸣ki ki⸢rari⸣taː] (暗闇の中を君はどうやって歩いて来れたのか)。 ⸢ヨーンヌ⸣ユー ⸣ナリティ ア⸢ラカラ⸣ヌ [⸢joːnnu⸣juː ⸣nariti ʔa⸢rakara⸣nu] (闇夜になって歩かれない) 18059 0 0 18091 htmvoc_18059.wav ヨーン ⸢ヨー⸣ン [⸢joː⸣ŋ] 形 弱い。「~片緒に縒りて緒を弱弥<ヨワミ>~。万、3081」の転訛したものか。 バ⸢ラフ⸣タジナー ⸢ヨー⸣ン [ba⸢raɸu̥⸣taʤinaː ⸢joː⸣ŋ] (\ruby{藁}{ワラ}縄は弱い)。 ⸢フー⸣カラジナー ⸢ヨーナー⸣ヌ [⸢ɸuː⸣karaʤinaː ⸢joːnaː⸣nu] (\ruby{棕櫚}{シュ|ロ}縄は弱くない)。 カ⸢ラダ⸣ヌ ⸢ヨー⸣ヌ シゥ⸢カラシグトー シーユーサヌ [ka⸢rada⸣nu ⸢joː⸣nu si̥⸢karaʃigutoː ʃiːjuːsanu] (体が弱くて力仕事は出来ない)。 カ⸢ジェー シンダイ ヨー⸣ ナリケーン [ka⸢ʤeː ʃindai joː⸣ narikeːŋ] (風は次第に弱くなってきた)。 ⸣ドゥク ⸢ヨー⸣ ムノー シゥ⸢カウナ [⸣duku ⸢joː⸣ munoː si̥⸢kauna] (あまり弱いものは使うな)。 ⸣アイニ ⸢ヨー⸣カー シゥ⸢カーラヌ [⸣ʔaini ⸢joː⸣kaː si̥⸢kaːranu] (あんなに弱ければ使えない) 18060 0 0 18092 htmvoc_18060.wav ヨーンナー ⸢ヨーンナー [⸢joːnnaː] 副 ゆっくり(緩り)。急がずに。 ⸢ヨーンナー⸣ ア⸢ラ⸣キバ [⸢joːnnaː⸣ ʔa⸢ra⸣kiba] (ゆっくり歩きなさいよ)。 ア⸢バタンドー⸣シ ⸢ヨーンナー⸣ パ⸢ナシバ⸣ル ワ⸢カ⸣ル⸢ダー [ʔa⸢batandoː⸣ʃi ⸢joːnnaː⸣ pa⸢naʃiba⸣ru wa⸢ka⸣ru⸢daː] (あわて<慌て>ないで、ゆっくり話したらば<ぞ>分かるのだよ) 18061 0 0 18093 htmvoc_18061.wav ヨーンナスン ⸢ヨーン⸣ ナスン [⸢joːn⸣ nasuŋ] 連 暮れさせる。夜になす。真っ暗になす。「闇になす」の義。 ⸢ユーボン⸣ヌン ッ⸢ふァイ ヨーン⸣ ナシテーラ ⸢ヤー⸣ パ⸢ラ⸣バン ミ⸢サ⸣ルムヌ [⸢juːbon⸣nuŋ f⸢fai joːn⸣ naʃi̥teːra ⸢jaː⸣ pa⸢ra⸣bam mi⸢sa⸣rumunu] (夕飯も食べて、日も暮れさせてから家に帰って<行って>もよいのに) 18062 0 0 18094 htmvoc_18062.wav ヨーンナルン ⸢ヨーン⸣ ナルン [⸢joːn⸣ naruŋ] 連 日が暮れて暗くなる。真っ暗になる。「闇になる」の義。 ⸢ヨーン⸣ ナルンケン ⸢タンガ⸣シ パ⸢タ⸣キナー ⸢アーク⸣ナ [⸢joːn⸣ naruŋken ⸢taŋga⸣ʃi pḁ⸢ta⸣kinaː ⸢ʔaːku⸣na] (日が暮れて暗くなるまで一人で畑にいる<あるく>な) 18063 0 0 18095 htmvoc_18063.wav ヨーンヌミー ⸢ヨーンヌ⸣ ミー [⸢joːnnu⸣ miː] 連 暗闇の中。\ruby{闇夜}{ヤミ|ヨ}の中。 ⸢ヨーンヌ⸣ ミー ⸣ナリティ ッ⸢ふァー⸣ヌ ノー⸢ン⸣ ミ⸢ララ⸣ヌ [⸢joːnnu⸣ miː ⸣nariti f⸢faː⸣nu noː⸢m⸣ mi⸢rara⸣nu] (真っ暗闇になって、暗くて何も見え<見られ>ない)。 ⸢ヨーンヌ⸣ ミーラ ア⸢ラ⸣キ ⸢クーター [⸢joːnnu⸣ miːra ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuːtaː] (暗闇の中を歩いてきたのか) 18064 0 0 18096 htmvoc_18064.wav ヨーンヌユー ⸢ヨーンヌ⸣ ユー [⸢joːnnu⸣ juː] 連 闇の夜。闇夜。 ⸢ヨーンヌ⸣ ユーラ ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢タンガ⸣シ シゥ⸢カイ⸣ ヤ⸢ラサリ⸣ キ⸢ムイ⸣ツァー [⸢joːnnu⸣ juːra ja⸢rabi⸣ba ta⸢ŋga⸣ʃi si̥⸢kai⸣ ja⸢rasari⸣ ki⸢mui⸣ʦaː] (闇夜の中から子供一人で使いに遣られて気の毒なことよ) 18065 0 0 18097 htmvoc_18065.wav ヨーンバイ ⸢ヨーンバイ [⸢joːmbai] 名 遅き\ruby{夕餉}{ユウ|ゲ}。日暮れまで夕食の準備が遅れること。「ユー(夕方)・ンバイ(化膿する)」の義か。正常な日常生活時間の配分が仕事の都合により日没時までずれ込むことから意味派生したものと考えられる。 シ⸢グトゥブリバ シー ベーン⸣ケン ⸢ヨーンバイ シー⸣ ヤ⸢ラ⸣ビンケン ⸢ヤー⸣サ シ⸢ミナー⸣ヌ [ʃi⸢gutuburiba ʃiː beːŋ⸣keŋ ⸢joːmbai ʃiː⸣ ja⸢ra⸣biŋkeŋ ⸢jaː⸣sa ʃi⸢mi naː⸣nu] (仕事に夢中になって<仕事\ruby{惚}{ホ}れして>いるうちに、日没まで夕食の準備が遅れてしまい、子供たちにお腹を空かさせてしまった) 17992 0 0 18098 htmvoc_17992.wav ヨイ ⸣ヨイ [⸣joi] 名 祝い。 ⸢ウン⸣ネーナ ⸢ヌー⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣アルカヤー [⸢ʔun⸣neːnaː ⸢nuː⸣nu ⸢joi⸣nu ⸣ʔarukajaː] (あの家に何のお祝いがあるのかねえ)。 ⸣ニービキヨイ ⸢スンティ⸣ ス⸢コーリ オー⸣ルツォー [⸣niːbikijoi ⸢sunti⸣ su̥⸢koːri ʔoː⸣ruʦoː] (結婚祝いをするといって準備しておられるそうだ)。 ⸢ソーニヨイヤー⸣ イ⸢チ⸣カヤー [⸢soːnijoijaː⸣ ʔi⸢ʧi⸣kajaː] (生年祝いはいつかねえ)。 チ⸢カ⸣グロー ⸢トーカキ⸣ヌ ⸣ヨイラール ⸢ソー⸣ル⸢ナー [ʧi̥⸢ka⸣guroː ⸢toːkaki⸣nu ⸣joiraːru ⸢soː⸣ru⸢naː] (最近は米寿<斗掻の祝い>からなさるねえ) 17993 0 0 18099 htmvoc_17993.wav ヨイグトゥ ⸢ヨイグ⸣トゥ [⸢joigu⸣tu] 名 祝い事。慶事。 ⸣アイ サ⸢ニ⸣ヤワ⸢レー⸣ ク⸢トゥシェー バン⸣テナー ⸢ヨイグトゥ⸣ヌ シ⸢ジクン⸣ティ⸢ダー [⸣ʔai sa⸢ni⸣jawa⸢reː⸣ ku̥⸢tuʃeː ban⸣tenaː ⸢joigutu⸣nu ʃi⸢ʤikun⸣ti⸢daː] (何とまあ嬉しいことか{EOS}今年は、私の家には祝い事が続くそうだよ) 17994 0 0 18100 htmvoc_17994.wav ヨイサー ⸢ヨイ⸣サー [⸢joi⸣saː] 名 ぶらんこ(\ruby{鞦韆}{シュウ|セン})。ふらここ(古語)。「鞧 韆、ユサバリ」『類聚名義抄』の転訛したものか。 ム⸢カ⸣シェー ⸢キー⸣ヌ ッ⸢サーラ⸣ナーティ ⸣ユー ⸢ヨイ⸣サー ⸣クイ ア⸢サブタン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢kiː⸣nu s⸢saːra⸣naːti ⸣juː ⸢joi⸣saː ⸣kui ʔa⸢sabutaŋ] (昔は木の下でよくブランコを漕いで遊んだ)。 ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ ミ⸢ナ⸣カナー ⸢ヨイ⸣サー ⸣クイ ア⸢サビベー [ja⸢ra⸣biŋkeːja mi⸢na⸣kanaː ⸢joi⸣saː ⸣kui ʔa⸢sabi beː] (子供たちは庭でブランコをこいで遊んでいる) 17995 0 0 18101 htmvoc_17995.wav ヨイサー ⸢ヨイ⸣サー [⸢joi⸣saː] 感 掛け声。よいしょ。綱引きをする時や、重い物を引っ張る際に発する掛け声。 ⸢プール⸣ヌ シ⸢ナ⸣ピケー ⸢ヨイ⸣サー⸢ヨイ⸣サーティ ⸢シー⸣ ヤ⸢グイバ⸣ カケーティル ⸣シナー ピ⸢コーッタ⸣ル [⸢puːru⸣nu ʃi⸢na⸣pi̥keː ⸢joi⸣saː⸢joi⸣saːti ⸢ʃiː⸣ ja⸢guiba⸣ kḁkeːtiru ⸣ʃinaː pi̥⸢koːtta⸣ru] (豊年祭の綱引きは、ヨイサーヨイサーと掛け声をかけながら<ぞ>綱を引かれたものだ) 17996 0 0 18102 htmvoc_17996.wav ヨイザー ⸢ヨイ⸣ザー [⸢joi⸣ʣaː] 名 祝いの座。祝いの座敷。 ⸢ヨイ⸣ザーナー ⸢サンシンピキプスヌ⸣ ブ⸢ラーン⸣カー ナ⸢ラン⸣バ ⸣ジー ⸢シープス⸣ シゥ⸢カシ⸣ クー [⸢joi⸣ʣaːnaː ⸢saŋʃimpi̥kipu̥sunu⸣ bu⸢raːŋ⸣kaː na⸢ram⸣ba ⸣ʤiː ⸢ʃiːpu̥su⸣ si̥⸢kaʃi⸣ kuː] (祝いの座では三線引きがいないと困るから、\ruby{地謡}{ジ|ウタイ}をする人をご案内して<お連れして>きなさい) 17997 0 0 18103 htmvoc_17997.wav ヨイシキン ⸢ヨイシ⸣キン [⸢joiʃi⸣kiŋ] 名 祝い着。祝い用の着物。礼服。式服。「祝い・し・衣」の義。 ⸢ワー ヨイシキン⸣マー ⸣アボー イ⸢サナケー⸣ラ キサー⸢ティ カイヨー⸣レーン [⸢waː joiʃikim⸣maː ⸣ʔaboː ʔi⸢sanakeː⸣ra ki̥saː⸢ti kaijoː⸣reːŋ] (君の祝い着はお母さんが石垣から既に買ってこられた<買ってこられてある>) 17998 0 0 18104 htmvoc_17998.wav ヨイシプス ⸢ヨイシ⸣プス [⸢joiʃi⸣pu̥su] 名 祝い客。祝いをする人。「祝い・し・人」の義。 ⸢ヨイシ⸣プソー ギュ⸢タール オール⸣ワ [⸢joiʃi⸣pu̥soː gju⸢taːru ʔoːru⸣wa] (祝い客は何人<幾人>おられるか) 17999 0 0 18105 htmvoc_17999.wav ヨイシムヌ ⸢ヨイシ⸣ムヌ [⸢joiʃi⸣munu] 名 祝い物。祝いの品。祝い酒や祝いの料理に必要な糯米、野菜類、魚類を事前に贈る習慣があった。 ⸢シー⸣ネーヌ ⸣アッパー ⸢ソーニヨイヌ ヨイシ⸣ムノー ⸢ヌー⸣ル マ⸢シ⸣ユー ⸢トゥイ⸣ シ⸢キ⸣ミリ⸢ヨー [⸢ʃiː⸣nenu ⸣ʔappaː ⸢soːnijoinu joiʃi⸣munoː ⸢nuː⸣ru ma⸢ʃi⸣juː ⸢tui⸣ ʃi̥⸢ki⸣miri⸢joː] (後ろ隣のお祖母さんの生年祝いの祝い物は何が良いか、問い尋ねて<聞いて>みなさいね) 18000 0 0 18106 htmvoc_18000.wav ヨイシヤー ⸢ヨイシ⸣ヤー [⸢joiʃi⸣jaː] 名 祝いのある家。「祝い・し・家」の義。 ⸢ヨイシ⸣ヤーヌ ⸢ヨイヌ⸣ ムノー ス⸢コーレーン⸣カヤー [⸢joiʃi⸣jaːnu ⸢joinu⸣ munoː su̥⸢koːreːŋ⸣kajaː] (祝いのある家への御祝儀の品は準備できたかねえ) 18001 0 0 18107 htmvoc_18001.wav ヨイシンカ ⸢ヨイシン⸣カ [⸢joiʃiŋ⸣ka] 名 祝い客。祝い客のグループ。 ク⸢マ⸣ヌ ⸢ヨイシン⸣カー ⸢ニーバン⸣ザー ⸢トゥー⸣シ ⸢オーラ⸣シバ [ku⸢ma⸣nu ⸢joiʃiŋ⸣kaː ⸢niːban⸣ʣaː ⸢tuː⸣ʃi ⸢ʔoːra⸣ʃiba] (ここの祝い客は二番座にお通しいなさいよ) 18002 0 1 18108 htmvoc_18002.wav ヨイスン ⸣ヨイ ⸢スン [⸣joi ⸢suŋ] 連 {Mn_1}お祝いをする。 ⸣マーッふァヌ ⸢タンカーヨイ スンティ ベー⸠ダー [⸣maːffanu ⸢taŋkaːjoi sunti beː⸠daː] (孫の誕生祝いをしようとしているよ)。 18002 0 2 18109 htmvoc_18002.wav ヨイスン ⸣ヨイ ⸢スン [⸣joi ⸢suŋ] 連 {Mn_2}結婚する。 ⸢ワーテー⸣ イ⸢チル⸣ ヨイ ⸢スーワ [⸢waːteː⸣ ʔi⸢ʧiru⸣ joi ⸢suːwa] (君は、それで、いつ<ぞ>結婚式を挙げるのか) 18003 0 0 18110 htmvoc_18003.wav ヨイヌマク ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣マク [⸢joi⸣nu ⸣maku] 連 お祝いの幕。 ⸢トーカキ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヌ ⸣マクーン ⸢サーソー⸣レーン [⸢toːkaki⸣nu ⸢joi⸣nu ⸣makuːn ⸢saːsoː⸣reːŋ] (米寿<\ruby{斗掻}{ト|カキ}>の祝いの幕も新調された) 18004 0 1 18111 htmvoc_18004.wav ヨイヌムヌ ⸢ヨイヌ⸣ムヌ [⸢joinu⸣munu] 名 {Mn_1}祝いの物。お祝いに贈る品物。酒や花米。 ⸢ヨイヌ⸣ムヌ ス⸢コーレー⸣カー ⸢パー⸣ク ⸣ムティ ⸢ギー オーシ⸣ クー [⸢joinu⸣munu su̥⸢koːreː⸣kaː ⸢paː⸣ku ⸣muti ⸢giː ʔoːʃi⸣ kuː] (祝いの品が用意できたのなら、早く持って行って差し上げてきなさい)。 18004 0 2 18112 htmvoc_18004.wav ヨイヌムヌ ⸢ヨイヌ⸣ムヌ [⸢joinu⸣munu] 名 {Mn_2}お祝いの席で頂く料理。祝いのご\ruby{馳走}{チ|ソウ}。 ⸢ヨイヌ⸣ムヌ ヤ⸢リバ⸣ ムー⸢ル⸣シ ⸣バキ ッ⸢ふァイティ アイカー⸣リ [⸢joinu⸣munu ja⸢riba⸣ muː⸢ru⸣ʃi ⸣baki f⸢faiti ʔaikaː⸣ri] (お祝いの品<調理>だから、皆で分けて食べて肖りなさい) 18005 0 0 18113 htmvoc_18005.wav ヨイユーズ ⸣ヨイユーズ [⸣joijuːʣu] 名 祝い事。祝いの行事。「祝い用事」の義。 ク⸢トゥシェー ベー⸣ナー ⸣ヨイユーズヌ ⸢ゴー⸣ラーンダ ⸢ジンカニ⸣ヌ ス⸢コールン マイカニ⸣テーラ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ku̥⸢tuʃeː beː⸣naː ⸣joijuːʣunu ⸢goː⸣raːnda ⸢ʤiŋkani⸣nu su̥⸢koːrum maikani⸣teːra ⸢saŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (今年は、我が家では祝い事が多いから、お金<銭・金>の用意も事前に<予てから>しなければならない) 18066 0 0 18114 htmvoc_18066.wav ヨツワリ ヨ⸢ツワリ [jo⸢ʦuwari] 名 四つ割り。四等分にすること。カツオを三枚に下ろして、更にそれぞれを脊椎に沿って二分し、背肉の部分を⸢ウー⸣ブシ[⸢ʔuː⸣buʃi](雄節)、腹部の身を⸢ミー⸣ブシ[⸢miː⸣buʃi](雌節)にする。カツオ節製造工場の導入に伴い、鹿児島、宮崎、高知あたりの日本語からの借用語。 カ⸢ツォー⸣ ピ⸢サー⸣ ウ⸢コー⸣シティ ナ⸢カ⸣ブネー ⸣トゥリ ヨ⸢ツ⸣ワリ ⸢シーティル ネーシ⸣ カ⸢ツブシェー⸣ ス⸢ク⸣ローッタ [kḁ⸢ʦoː⸣ pi̥⸢saː⸣ ʔu⸢koː⸣ʃi̥ti na⸢ka⸣buneː ⸣turi jo⸢ʦu⸣wari ⸢ʃiːtiru⸣ kḁ⸢ʦubuʃeː⸣ su̥⸢ku⸣roːtta] (カツオを三枚に下ろし<平を起こし>て中骨を取り除き、四つ割りにしてから<ぞ>、煮てカツオ節を造られた) 18067 0 1 18115 htmvoc_18067.wav ラ ⸣ラ [⸣ra] 格助 ~から。{Mn_1}空間的な出どころ<起点>を表す。カラ[kara](から)→ ハラ[hara](から)→ [⸣ra](~から)のように音韻変化したもの。 ⸣カマーラ ⸣クー プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸣kamaːra ⸣kuː pu̥⸢soː taː⸣ja] (あそこから来る人は誰か)。係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](~は)が付いて、とりたて強調を表す。 ⸢クン⸣ネーラーヤ ター⸢ン クーン⸣シェン [⸢kun⸣neːraːja taː⸢ŋ kuːŋ⸣ʃeŋ] (この家からは誰も来なかった)。係助詞⸣ン[⸣-ŋ](~も)が付いて累加的強調表現を表す。 ⸣クマーラン ⸣カマーラン ア⸢ツァ⸣マリ ⸣クーン [⸣kumaːraŋ ⸣kamaːraŋ ʔa⸢ʦa⸣marikuːŋ] (ここからもあそこからも集まってくる)。 ⸢クン⸣ネーラー ⸢カーヌ [⸢kun⸣neːraː ⸢kaːnu] (この家からは買わない)。副助詞⸢バー⸣キ[⸢baː⸣ki](~まで)が付いて、極端なものを例示して、他を暗示する。 ⸢ピンソー⸣ムノーラ ⸢バー⸣キン ⸢ゾー⸣ノー トゥ⸢リ⸠スー [⸢pinsoː⸣munoːra ⸢baː⸣kin ⸢ʣoː⸣noː tu⸢ri⸠suː] (貧乏者からまでも税金を取るのか)。 18067 0 2 18116 htmvoc_18067.wav ラ ⸣ラ [⸣ra] 格助 {Mn_2}時間的な基点を表す(~から)。 ア⸢ツァー⸣ラー ⸣キー ⸣ミサン [ʔa⸢ʦaː⸣raː ⸣kiː ⸣misaŋ] (明日からは来てもいい)。 マ⸢ナ⸣マーラー ⸢クーン⸣タンティン ⸣ミサン [ma⸢na⸣maːraː ⸢kuːn⸣tantim ⸣misaŋ] (今からは来なくてもよい)。副助詞⸣ツァン[⸣-ʦaŋ](~すら{EOS}~だに{EOS}~でも)が付いて極端な事柄を提示して他の事柄を暗示する。 マ⸢ナ⸣マーランツァン パ⸢ラン⸣カー ナ⸢ラ⸣ヌ [ma⸢na⸣maːranʦam pa⸢raŋ⸣kaː na⸢ra⸣nu] (今からでも行かなくてはならない)。副助詞⸢-ナー⸣ト[⸢-naː⸣to](~など{EOS}~なんど)が付いて否定的な表現と呼応し、否定の意味を強める。 マ⸢ナ⸣マーラ ⸢ナー⸣ト ⸣ケー ナ⸢ラン⸣ダー [ma⸢na⸣maːra ⸢naː⸣to ⸣keː na⸢ran⸣daː] (今後一切<今からなどは>来てはならないよ)。 18067 0 3 18117 htmvoc_18067.wav ラ ⸣ラ [⸣ra] 格助 {Mn_3}比較の基準を表す(~から{EOS}~より)。 ク⸢レー⸣ラー カ⸢リル⸣ マ⸢シ [ku⸢reː⸣raː ka⸢riru⸣ ma⸢ʃi] (これよりもあれがよい<増しだ>)。 ウ⸢リヌ⸣ パダー カ⸢ベー⸣ラン ッ⸢ソー⸣ル ⸣アル [ʔu⸢rinu⸣ padaː ka⸢beː⸣ran s⸢soː⸣ru ⸣ʔaru] (あれの肌色は紙よりも白い<白くぞある>)。副助詞⸣-ツァン[⸣-ʦaŋ](~すら{EOS}~だに{EOS}~さえ)が付いて比較の最低基準を表す。 ビ⸢ケーヌ⸣ ウヤーランツァン タ⸢カー⸣カー ⸣ミサムヌ⸢ナー [bi⸢keːnu⸣ ʔujaːranʦan tḁ⸢kaː⸣kaː ⸣misamunu⸢naː] (<せめて>男の親よりさえ<も>高ければ良いのになあ)。 18067 0 4 18118 htmvoc_18067.wav ラ ⸣ラ [⸣ra] 格助 {Mn_4}手段を表す(~で{EOS}~から)。 ム⸢カ⸣シェー ⸣フネーラル ウ⸢キ⸣ナー ⸢パッ⸣タ [mu⸢ka⸣ʃeː ⸣ɸuneːraru ʔu⸢ki⸣naː ⸢pat⸣ta] (昔は船から<で>沖縄へ行った)。 マ⸢ナ⸣マー ヒ⸢コー⸣ケーラン ウ⸢キ⸣ナー パ⸢ラ⸣リン [ma⸢na⸣maː çi̥⸢koː⸣keːraŋ ʔu⸢ki⸣naː pa⸢ra⸣riŋ] (今は飛行機で<から>も沖縄へ行ける)。 ⸣フネーラン ⸢デー⸣カー ⸣バー パ⸢ラ⸣ヌ [⸣ɸuneːran ⸢deː⸣kaː ⸣baː pa⸢ra⸣nu] (船から<である>なら私は行かない) 18068 0 0 18119 htmvoc_18068.wav ラー ⸣ラー [⸣raː] 接助 ~と。~すると。*[kara] → *[hara] → [raː] のように音韻変化したもの。動詞の已然形について確定条件を表す。 ウ⸢リヌ⸣ サ⸢キ⸣ ヌメーラー ⸢ユーアキドゥー⸣シ ヌ⸢ミ⸣ス⸢ダー [ʔu⸢rinu⸣ sḁ⸢ki⸣ numeːraː ⸢juːʔakiduː⸣ʃi nu⸢mi⸣su⸢daː] (彼が酒を飲むと夜を徹して飲むぞ)。 ⸣アブジェー ⸢クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣ローレーラー ナ⸢クラーン⸠ダー [⸣ʔabuʤeː ⸢kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣roːreːraː na⸢kuraːn⸠daː] (お祖父さんが怒られたら怖いぞ) 18071 0 0 18120 htmvoc_18071.wav ラーシーラーシー ラー⸢シーラーシー [raː⸢ʃiːraːʃiː] 副 立派に。きちんと。それらしく上等に。若年層は、ダー⸢シーダーシー[daː⸢ʃiːdaːʃiː](立派に{EOS}きちんと{EOS}それらしく)ともいう。 ⸢キン⸣ユン ラー⸢シーラーシー⸣シ キ⸢シェー⸣ティ ⸢アー⸣キ⸢ツォー [⸢kiɲ⸣jun raː⸢ʃiːraːʃiː⸣ʃi ki̥⸢ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ki⸢ʦoː] (着物もそれらしくきちんと着ていなさいよ<着てあるきなさいってば>)。 シ⸢グトー スー⸣カー ラー⸢シーラーシール スー⸣ ヌーヤ ク⸢レー [ʃi⸢gutoː suː⸣kaː raː⸢ʃiːraːʃiːru suː⸣ nuːja ku⸢reː] (仕事をするならきちんと立派にするのであって{EOS}何だね、このざまは<此れは>) 18069 0 0 18121 htmvoc_18069.wav ラーッサン ⸢ラーッ⸣サン [⸢raːs⸣saŋ] 形 優れている。良い。立派である。「それらしい。~らしくある」の転訛か。上等である。老年層は、⸢ダーッ⸣サン[⸢daːs⸣saŋ](立派である)という。 ウ⸢レー⸣ イッ⸢ケナ ラーッ⸣サンティ ス⸢クタヌ⸣ ウ⸢ヌ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ ッ⸢ふァティン⸣ ウ⸢モーラ⸣ヌ ⸢ラーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔik⸢kena raːs⸣santi su̥⸢kutanu⸣ ʔu⸢nu⸣ ʔu⸢ja⸣nu f⸢fatim⸣ ʔu⸢moːra⸣nu ⸢raːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (彼は非常に優秀だと聞いたが、その親の子供とも思えない{EOS}良くない)。 シ⸢ナムヌヌ ラーッ⸣サカー ⸢カウバン⸣ ミサン [ʃi⸢namununu raːs⸣sakaː ⸢kaubam⸣ misaŋ] (品物が良ければ買ってもよい)。 ⸢シンダイ ラーッ⸣サー ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai raːs⸣saː ⸣nari ⸣keːŋ] (次第に良くなって来た)。 ⸢ラーッ⸣サー(ル) プ⸢ソー⸣ プ⸢ス⸣ローンツァン ブ⸢ラーヌ [⸢raːs⸣saː(ru) pu̥⸢soː⸣ pu̥⸢su⸣roːnʦam bu⸢raːnu] (立派な人は一人さえもいない)。 ⸢ラーッ⸣サーレー ⸣ミサムヌ [⸢raːs⸣saːreː misamunu] (まともで<立派で>あればよいのだが) 18070 0 0 18122 htmvoc_18070.wav ラーッサン ⸢ラーッ⸣サン [⸢raːs⸣saŋ] 接尾 ~らしい。~相応しい。「らしさあり」の義。 ウ⸢レー ピッ⸣チン ビ⸢キドゥムラーッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː pit⸣ʧim bi⸢kidumuraːs⸣saː ⸢naː⸣nu] (彼はちっとも男らしくない)。 ミ⸢ドゥ⸣モー ミ⸢ドゥ⸣ムラーッサー ア⸢リバ⸣ル ア⸢タラ⸣サン シ⸢ラリ⸣ダー [mi⸢du⸣moː mi⸢du⸣muraːssaː ʔa⸢riba⸣ru ʔa⸢tara⸣saŋ ʃi⸢rari⸣daː] (女は女らしくあればこそ、可愛がられもするぞ)。 ウ⸢ヤ⸣キプスラーッサン [ʔu⸢ja⸣kipu̥suraːssaŋ] (金持ちらしい)。 ウ⸢ブ⸣プスラーッサー ⸣ムニ イ⸢ズン [ʔu⸢bu⸣pu̥suraːssaː ⸣muni ʔi⸢ʣuŋ] (大人っぽく<大人びいて{EOS}大人らしく>ものを言う) 18072 0 1 18123 htmvoc_18072.wav ラク ⸣ラク [⸣raku] 名 {Mn_1}楽。心身が安らかで楽しいこと。 ⸢ワー⸣ ラ⸢ク⸣ヌ マ⸢リバシー⸣ ウ⸢ラーミ⸣サワレー [⸢waː⸣ ra⸢ku⸣nu ma⸢riba ʃiː⸣ ʔu⸢raːmi⸣sawareː] (君は楽な生まれつきをしていて、羨ましいことよ)。 18072 0 2 18124 htmvoc_18072.wav ラク ⸣ラク [⸣raku] 名 {Mn_2}たやすいこと。やさしいこと。 スブットー⸢マーシ⸣ノ ラ⸢ク⸣ヌ シ⸢グトゥバ⸣ カー⸢ニ⸣ イ⸢ラビ⸣ル ⸢スー [subuttoː⸢maːʃi⸣no ra⸢ku⸣nu ʃi⸢gutuba⸣ kaː⸢ni⸣ ʔi⸢rabi⸣ru ⸢suː] (怠け者野郎<怠け者の猿め>が、楽な仕事をだけ選んで<ぞ>するよ) 18073 0 0 18125 htmvoc_18073.wav ラクダイ ラ⸢クダイ [ra⸢kudai] 名 落第。鳩間島に学校教育が開始された明治29年以降に借用された語。⸢キュウダイ[⸢kjuːdai](及第)の対義語。 ⸢ガッコー⸣ヌ パ⸢ジマルタ⸣ ジ⸢ブンマー⸣ ラ⸢クダイ スー⸣ プ⸢スンド ゴー⸣ラータツォー ⸢キューダイ スー シー⸣トー ワ⸢ジカ⸣ル<ン⸢メーマル> ブ⸢タ⸣ティバーヤ [⸢gakkoː⸣nu pa⸢ʤimaruta⸣ ʤi⸢bummaː⸣ ra⸢kudai suː⸣ pu̥⸢sundu goː⸣raːtaʦoː ⸢kjuːdai suː ʃiː⸣toː wa⸢ʤika⸣ru<ʔm⸢meːmaru> bu⸢ta⸣tibaːja] (学校が始まった頃は落第する人が多かったそうだ{EOS}及第する生徒はわずかしかいなかった<僅かぞいた>ってよ) 18074 0 0 18126 htmvoc_18074.wav ラクラクートゥ ラ⸢クラクー⸣トゥ [ra⸢kurakuː⸣tu] 副 楽々と。ゆったりして。安らかに。「Racuracuto.ラクラクト(楽々と)心のままに、あるいは、安らかに.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ッ⸢ふァンケー⸣ヌ フ⸢ドゥビ クー⸣ター マ⸢ナ⸣マー ラ⸢クラクー⸣トゥ ク⸢ラシ オー⸣ルン⸢ダー [f⸢faŋkeː⸣nu ɸu⸢dubi kuː⸣ta ma⸢na⸣maː ra⸢kurakuː⸣tu ku⸢raʃi ʔoː⸣run⸢daː] (子供たちが成長してきたので、今は楽々と暮らしておられるよ) 18075 0 0 18127 htmvoc_18075.wav ラッキョー ⸢ラッ⸣キョー [⸢rak⸣kjoː] 名 らっきょう(薤)。ユリ科ネギ属の多年生作物。地下に白色の\ruby{鱗茎}{リン|ケイ}をつくる。独特の臭気を有するが、\ruby[g]{大蒜}{ニンニク}ほどの\ruby{臭気}{シュウ|キ}はない。鱗茎を\ruby{甕}{カメ}に入れ、塩漬けにして保存した。 ム⸢カ⸣シェー ピ⸢ルン ラッ⸣キョーン ス⸢ク⸣リ ブ⸢レー⸣ンダ イ⸢サ⸣ヌ フ⸢チ⸣ル カ⸢カラン⸣シェン [mu⸢ka⸣ʃeː pi⸢run rak⸣kjoːn su̥⸢ku⸣ri bu⸢reː⸣nda ʔi⸢sa⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru kḁ⸢karaŋ⸣ʃeŋ] (昔は大蒜もラッキョウも作っていたから、医者の薬の世話にならなかった<薬にかからなかった>)。 ⸢ラッキョー⸣ヌサーギ ⸣アルカー カ⸢ティ⸣ムノー ⸢ナーン⸣タンティン ⸣ミサン [⸢rakkjoː⸣nusaːgi ⸣ʔarukaː kḁ⸢ti⸣munoː ⸢naːn⸣tantim ⸣misaŋ] (ラッキョーがさえあれば、おかずは無くてもよい) 18077 0 0 18128 htmvoc_18077.wav ラリン ⸢ラ⸣リン [⸢ra⸣riŋ] 助動 ~られる。カ変、サ変動詞⸢スン[⸢suŋ](する)の連用形シ[ʃi](せ<為>)について、受身、可能、自発の意味を表す。 ⸣アツァー キ⸢ラ⸣リン [⸣ʔaʦaː ki⸢ra⸣riŋ] (明日は来られる)。 ク⸢レー バン⸣ヌン シ⸢ラリン [ku⸢reː ban⸣nuŋ ʃi⸢rariŋ] (これは私にも出来る<せられる>)。 ⸣アツァー キ⸢ララ⸣ヌ [⸣ʔaʦaː ki⸢rara⸣nu] (明日は来られない)。 ⸢バン⸣マー シ⸢ララヌ [⸢bam⸣maː ʃi⸢raranu] (私には出来ない<せられない>)。 キ⸢ノー⸣ヤ キ⸢ラリ⸣タン [ki⸢noː⸣ja ki⸢rari⸣taŋ] (昨日は来られた<来れた>)。 ク⸢レー バン⸣ヌン シ⸢ラリタン [ku⸢reː ban⸣nuŋ ʃi⸢raritaŋ] (これは私にもできた<せられた>)。 ⸣キー ⸣ミサンティ ア⸢ザバル⸣ キ⸢ラリ⸣ル [⸣kiː ⸣misanti ʔa⸢ʣabaru⸣ ki⸢rari⸣ru] (来てもいいと言ったらばこそ来られる)。 ⸣アツァー キ⸢ラ⸣リ プ⸢ソー ター⸣ヤ [⸣ʔʦaː ki⸢ra⸣ri pu̥⸢soː taː⸣ja] (明日来られる人は誰か)。 ⸢シー⸣ ミサンティ ア⸢ザバル⸣ シ⸢ラリル [⸢ʃiː⸣ misanti ʔa⸢ʣabaru⸣ ʃi⸢rariru] (してもよいと言ったらば<ぞ>することができる<為れる>)。 シ⸢ラリ⸣ プ⸢ソー シー⸣バ [ʃi⸢rari⸣ pu̥⸢soː ʃiː⸣ba] (できる<為れる>人はしなさいよ<為よ>) 18078 0 0 18129 htmvoc_18078.wav ランガサ ⸢ランガ⸣サ [⸢raŋga⸣sa] 名 こうもり\ruby{傘}{カサ}。洋式の傘。首里方言の⸢ランガサ[⸢raŋgasa](\ruby{蘭傘}{ラン|ガサ})からの借用語。⸢ダンガ⸣サ[⸢daŋga⸣sa](こうもり傘)ともいう。男子のハイカラの象徴とされていた。普通は、⸣サナ[⸣sana](傘{EOS}\ruby{蛇}{ジャ}の\ruby{目傘}{メ|ガサ})という。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸣フーカー ⸢ランガ⸣サ ⸣カビティ パリバ⸢ヨー [ʔa⸢mi⸣nu ⸣ɸuːkaː ⸢raŋga⸣sa ⸣kabiti pariba⸢joː] (雨が降ったらこうもり傘を差して<\ruby{被}{カブ}って>行きなさいね) 18079 0 0 18130 htmvoc_18079.wav ランプ ⸣ランプ [⸣rampu] 名 ランプ(lamp<洋灯>オランダ語からの借用語)。石油ランプ。⸣ダンプ[⸣dampu](洋灯)ともいう。老年層は⸢トゥー⸣ル[⸢tuː⸣ru](\ruby{灯籠}{トウ|ロウ})という。 ⸣ランプヌ ⸣カサ [⸣rampunu ⸣kasa] (ランプの笠) ⸣ランプヌ フ⸢ヤ [⸣rampunu ɸu⸢ja] (ランプの\ruby{火屋}{ホ|ヤ}{EOS}ランプの火をおおうガラス製の\ruby{筒}{ツツ}) ⸣ランプヌ ⸢トゥー⸣ジン [⸣rampunu ⸢tuː⸣ʤiŋ] (ランプの芯{EOS}\ruby{灯芯}{トウ|シン}))。ゴ⸢ブ⸣ランプ[go⸢bu⸣rampu](灯芯が五分のランプ)、ハ⸢チブ⸣ランプ[hḁ⸢ʧibu⸣rampu](灯芯が八分のランプ{EOS}光度が最も明るいランプ)があった。 ⸣ランプヌ フ⸢ヤ⸣ ッ⸢スリティ⸣ ア⸢バ⸣スブナー シ⸢キ⸣ユー イ⸢リル⸣ シ⸢グトゥル⸣ ランプヌ ⸢ソー⸣ジ ⸢ヤッタル [⸣rampunu ɸu⸢ja⸣ s⸢suriti⸣ ʔa⸢ba⸣subunaː ʃi̥⸢ki⸣juː ʔi⸢riru⸣ ʃi⸢guturu⸣ rampunu ⸢soː⸣ʤi ⸢jattaru] (ランプの火屋の\ruby{煤}{スス}を\ruby{拭}{フ}いて油壺に石油を入れる仕事がランプの掃除だったよ) 18080 0 0 18131 htmvoc_18080.wav ランボー ⸢ラン⸣ボー [⸢ram⸣boː] 名 \ruby{乱暴}{ラン|ボウ}。\ruby{粗暴}{ソ|ボウ}なこと。暴力を働くこと。荒々しい振る舞いをすること。標準語からの借用語。普通は⸢ダン⸣ボー[⸢dam⸣boː](乱暴)という。 ウ⸢レー⸣ サ⸢キ⸣ ヌムカー ⸢ラン⸣ボー ⸢スー⸣ ヤ⸢ナフシヌ⸣ アン⸢ダー [ʔu⸢reː⸣ sḁ⸢ki⸣ numukaː ⸢ram⸣boː ⸢suː⸣ ja⸢naɸu̥ʃinu⸣ ʔan⸢daː] (彼<あれ>は酒を飲むと乱暴をする悪い\ruby{癖}{クセ}があるよ) 18081 0 0 18132 htmvoc_18081.wav ランボームヌ ⸢ランボー⸣ムヌ [⸢ramboː⸣munu] 名 乱暴者。「乱暴する者」の義。⸢ダンボー⸣ムヌ[⸢damboː⸣munu](乱暴者)ともいう。⸣ボーキラー[⸣boːkiraː](乱暴者)の類義語。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー ⸢イットーッ⸣ふァ ⸢ヤッタンドゥ⸣ ナ⸢カ⸣ヤビ シ⸢ティ ランボー⸣ムヌ ⸣ナリ ⸢ナーン⸣バン [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː ⸢ʔittoːf⸣fa ⸢jattandu⸣ na⸢ka⸣jabi ʃi⸢ti ramboː⸣munu ⸣nari ⸢naːm⸣baŋ] (子供の頃は良い子だったのだが、青年期にぐれて<青少年期に非行化して{EOS}中破れ>、乱暴者になってしまったよ) 18082 0 0 18133 htmvoc_18082.wav リ ⸣リ [⸣ri] 名 里。距離を測る単位。3.9273キロメートル。 パ⸢トゥ⸣マーラ ⸢ウイバルバー⸣ケー イ⸢チ⸣リティ ア⸢ザリ ブー⸣ダー [pḁ⸢tu⸣maːra ⸢ʔuibarubaː⸣keː ʔi⸢ʧi⸣riti ʔa⸢ʣari buː⸣daː] (鳩間島から上原までは一里といわれているよ) 18083 0 1 18134 htmvoc_18083.wav リー ⸣リー [⸣riː] 名 {Mn_1}例。先例。 ⸢リーヌ ナーン⸣ クトー ⸢サンムル⸣ マ⸢シ [⸢riːnu naːŋ⸣ ku̥toː ⸢sammuru⸣ ma⸢ʃi] (先例のないことはしないほうがよい<増しだ>)。 18083 0 2 18135 htmvoc_18083.wav リー ⸣リー [⸣riː] 名 {Mn_2}慣習。習慣。 ⸣アル ⸢リー⸣ヤ ⸢トース⸣ナ ⸢ナー⸣ン ⸢リー⸣ヤ タ⸢ティル⸣ナ [⸣ʔaru ⸢riː⸣ja ⸢toːsu⸣na ⸢naː⸣n ⸢riː⸣ja tḁ⸢tiru⸣na] (ある例<慣習>は倒す<捨てる>な、ない例<先例のないこと>は立てる<新設する>な{EOS}<諺>) 18084 0 0 18136 htmvoc_18084.wav リー ⸢リー [⸢riː] 名 利率。利子。利息。 カ⸢ルター ジン⸣ヌ ⸢リー⸣ユン パ⸢ライユーサン⸣ベーティ ⸣ザイサンマー ウ⸢サーリ<ウ⸢ソーリ> ナーン⸣ツォー [ka⸢rutaː ʤin⸣nu ⸢riː⸣jum pa⸢raijuːsam⸣beːti ⸣ʣaisammaː ʔu⸢saːri<ʔu⸢soːri> naːn⸣ʦoː] (借りた金の利子をも払えないので、財産は差し押さえられてしまったそうだ) 18085 0 0 18137 htmvoc_18085.wav リーギ ⸢リーギ [⸢riːgi] 名 礼儀。作法。「礼儀」の転訛したもの。 プ⸢スヌ オーリ⸣バン ⸢アイシチン シーユーサン⸣カー ⸢リーギ⸣ ッ⸢サン ムヌ⸣ティ ⸢シー⸣ プ⸢スン⸣ バ⸢ラーリン⸠ダー [pu̥⸢sunu ʔoːri⸣baŋ ⸢ʔaiʃi̥ʧiŋ ʃiːjuːsaŋ⸣kaː ⸢riːgi⸣ s⸢sam munu⸣ti ⸢ʃiː⸣ pu̥⸢sum⸣ ba⸢raːrin⸠daː] (人がいらっしゃっても挨拶も出来なかったら、礼儀を知らない者といって、人様に笑われるぞ) 18086 0 1 18138 htmvoc_18086.wav リクッチ リ⸢クッ⸣チ [ri⸢kut⸣ʧi] 名 {Mn_1}理屈。若年層は、ディ⸢クッ⸣チ[di⸢kut⸣ʧi](理屈)ともいう。 ⸢ワー⸣ ア⸢ズ⸣ リ⸢クッ⸣チェー ユ⸢ヌナカ⸣ナー<⸣シキンナー> ⸢トゥーラ⸣ヌ [⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu⸣ ri⸢kut⸣ʧeː ju⸢nunaka⸣naː<⸣ʃikinnaː> ⸢tuːra⸣nu] (君のいう理屈は世の中には通用しない)。 18086 0 2 18139 htmvoc_18086.wav リクッチ リ⸢クッ⸣チ [ri⸢kut⸣ʧi] 名 {Mn_2}道理。理論。 ガ⸢ク⸣ムン ⸢シー⸣ リ⸢クッ⸣チ ッ⸢サン⸣カー キ⸢カイ⸣ヤー ⸢マーサラヌ [ga⸢ku⸣muŋ ⸢ʃiː⸣ ri⸢kut⸣ʧi s⸢saŋ⸣kaː ki̥⸢kai⸣jaː ⸢maːsaranu] (勉強<学問>して理論を知らないと機械は運転できない<回されない>)。 18086 0 3 18140 htmvoc_18086.wav リクッチ リ⸢クッ⸣チ [ri⸢kut⸣ʧi] 名 {Mn_3}\ruby{悪知恵}{ワル|ヂ|エ}。\ruby{悪賢}{ワル|ガシコ}くなる。 シ⸢ナムヌヌ⸣ キ⸢ス⸣ター ⸢ダイヤー⸣ ア⸢ガルンティ⸣ リ⸢クッ⸣チェー ッ⸢ふァイティ カーサンバン [ʃi⸢namununu⸣ ki̥⸢su⸣taː ⸢daijaː⸣ ʔa⸢garunti⸣ ri⸢kut⸣ʧeː f⸢faiti kaːsambaŋ] (品物が切れたので、値段が上がると悪賢くなって<理屈を食って{EOS}\ruby{企}{タクラ}んで>売らないよ) 18087 0 0 18141 htmvoc_18087.wav リクッチッふン リ⸢クッ⸣チ ッ⸢ふン [ri⸢kut⸣ʧi f⸢fuŋ] 連 悪賢くなる。悪知恵を働かす。「理屈を食う」の義。 ク⸢ヌ⸣ ヤ⸢ラ⸣ベー カ⸢サナーリ トゥー⸣シ ⸣ケーティ リ⸢クッ⸣チェー ッ⸢ふァイ⸣ ア⸢ラカサラ⸣ヌ [ku⸢nu⸣ ja⸢ra⸣beː kḁ⸢sanaːri tuː⸣ʃi ⸣keːti ri⸢kut⸣ʧeː f⸢fai⸣ ʔa⸢rakasara⸣nu] (この子は負んぶされ通してきたので、悪知恵がついて歩かされない) 18088 0 0 18142 htmvoc_18088.wav リクッチャー リ⸢クッ⸣チャー [ri⸢kut⸣ʧaː] 名 悪賢い人。「理屈屋」の義。若年層は、ディ⸢クッ⸣チャー[di⸢kut⸣ʧaː](悪賢い人)ともいう。 ウ⸢レー⸣ リ⸢クッ⸣チャー ヤ⸢ルンダ ドゥー⸣ヌ ⸣マイ カー⸢ニル⸣ ス⸢ルバンマー パン⸣ク ⸣スン ⸢スー⸣ クトー サ⸢ヌ [ʔu⸢reː⸣ ri⸢kut⸣ʧaː ja⸢runda duː⸣nu ⸣mai kaː⸢niru⸣ su⸢rubammaː paŋ⸣ku ⸣sun ⸢suː⸣ ku̥toː sa⸢nu] (彼は悪賢いから自分の利益だけを考える<自分の前にだけソロバンをはじく>、損をすることはしない) 18089 0 0 18143 htmvoc_18089.wav リシ リ⸢シ [ri⸢ʃi] 名 利子。金利。標準語からの借用語。 カ⸢ルタ ジン⸣ヌ リ⸢シ⸣ パ⸢ライユーサン⸣ ベーティ ⸣ザイサン ウ⸢ソーリ ナー⸣ヌ [ka⸢ruta ʤin⸣nu ri⸢ʃi⸣ pa⸢raijuːsam⸣ beːti ⸣ʣaisaŋ ʔu⸢soːri naː⸣nu] (借りた金の利子を払うことが出来ないので、財産を差し押さえられてしまった) 18090 0 0 18144 htmvoc_18090.wav リッシン ⸢リッ⸣シン [⸢riʃ⸣ʃiŋ] 名 立身。出世。 ッ⸢ふァ リッ⸣シン シ⸢ミルンティル⸣ ウヤー ⸢ナン⸣ギ ⸣アワリン ⸢スー⸣ダー [f⸢fa riʃ⸣ʃiŋ ʃi⸢miruntiru⸣ ʔujaː ⸢naŋ⸣gi ⸣ʔawarin ⸢suː⸣daː] (子供を立身出世させようとして<ぞ>親は難儀苦労もするのだよ) 18091 0 0 18145 htmvoc_18091.wav リッパ ⸢リッ⸣パ [⸢rip⸣pa] 形動 立派だ。標準語からの借用語。⸢ディッ⸣パ[⸢dip⸣pa]ともいう。普通は、⸢ジョー⸣トゥ[⸢ʤoː⸣tu](上等)という。 ⸣カキサーギ ⸢シーシェー⸣カー ⸣メー ⸢リッ⸣パヨー [⸣kḁkisaːgi ⸢ʃiːʃeː⸣kaː ⸣meː ⸢rip⸣pajoː] (書きさえ出来れば、もう立派だよ)。 ヤ⸢ラ⸣ベー ⸢リッ⸣パニ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシ⸣ヨー [ja⸢ra⸣beː ⸢rip⸣pani si̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃi⸣joː] (子供は立派に養育して成長させなさいよ)。 ⸣ウビ カキ⸢シェー⸣カー ⸢リッパ⸣ナ ⸣ムヌヨー ター⸢ン⸣ アイヤー カ⸢キユーサ⸣ヌ [⸣ʔubi kḁki⸢ʃeː⸣kaː ⸢rippa⸣na ⸣munujoː taː⸢ŋ⸣ ʔaijaː kḁ⸢kijuːsa⸣nu] (それだけ書けたら立派なものだよ{EOS}誰もそのようには書けないよ) 18092 0 0 18146 htmvoc_18092.wav リュー ⸢リュー [⸢rjuː] 名 (動)想像上の動物。竜。竜神。水の神様として信仰されている。/ウマンチュヌ ニガイヤヨー アカカラジヌ ニガイヤヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ(民衆の願いはヨー、百姓の願いはヨー ハーリ<囃子> 雨を賜れ竜神様)/(ア⸢マン⸣グイ{SqBr}ʔa⸢maŋ⸣gui{/SqBr}<雨乞い歌>)『鳩間島古典民謡古謡集』 18093 0 0 18147 htmvoc_18093.wav リュー ⸢リュー [⸢rjuː] 名 ろ(艪・櫓)。\ruby{艪床}{ロ|ドコ}にある⸣マラ[⸣mara](\ruby{艪杭}{ロ|グイ})に艪の⸢ピー[⸢piː](\ruby{艪臍}{ロ|ベソ})をはめ、\ruby{舷}{フナベリ}に結んだハ⸢ヨー[ha⸢joː](\ruby{早緒}{ハヤ|オ})を艪の腕に掛け、艪を漕いで舟を進める船具。 ⸢プーシンジダイヌ⸣ カ⸢ツシン⸣ナー ⸣ハッチョーリューティ ⸢シー リューヤ ヤーチナ⸣ ムティティ ⸢リューバ クイ⸣ル カ⸢ツォー ホー⸣ソーッタティ⸢ダー [⸢puːʃinʤidainu⸣ kḁ⸢ʦuʃin⸣naː ⸣hatʧoːrjuːti ⸢ʃiː rjuːja jaːʧinaː⸣ mutiti ⸢rjuːba kui⸣ru kḁ⸢ʦoː hoː⸣soːttati⸢daː] (帆船時代のカツオ漁船には\ruby{八挺艪}{ハッ|チョウ|ロ}といって、艪は八挺ずつ持って、艪を\ruby{漕}{コ}いで<ぞ>カツオは釣られたそうだよ) 18094 0 0 18148 htmvoc_18094.wav リューグーヌカン ⸢リューグー⸣ヌカン [⸢rjuːguː⸣nukaŋ] 名 水神。海神。⸢竜宮の神様」の義。 ス⸢ナカ⸣ナーティ ⸢ミー⸣ウティ ⸢シェー⸣ プ⸢ソー リューグー⸣ヌカン ⸢ナー⸣ニ ⸢ニン⸣ガイ ッ⸢サリティ ジーヌギ ソーッ⸣タ [su⸢naka⸣naːti ⸢miː⸣ʔuti ⸢ʃeː⸣ pu̥⸢soː rjuːguː⸣nukan ⸢naː⸣ni ⸢niŋ⸣gai s⸢sariti ʤiːnugi soːt⸣ta] (海で死んだ人は、竜宮の神様に祈願申し上げて、ジーヌギ<死人の霊を抜いて、霊を解放してもらう祈願>をされた)。 ⸢リューグー⸣ヌカン ⸢トゥー⸣シ ⸢ニン⸣ガイ ッ⸢サリバル⸣ ナル [⸢rjuːguː⸣nukan ⸢tuː⸣ʃi ⸢niŋ⸣gai s⸢saribaru⸣ naru] (竜宮の神様へ通して祈願申し上げないといけない<祈願申し上げればぞなる>) 18095 0 0 18149 htmvoc_18095.wav リューグーマチリ ⸢リューグーマチ⸣リ [⸢rjuːguːmaʧi⸣ri] 名 海神祭。⸢竜宮祭り」の義。カツオ漁業者が行う安全祈願と豊漁感謝の祈願を行うこと。石垣島の観音堂へ参詣して祈願した。大漁旗を立てて祈願し、祝った。イカ漁に従事する人も安全祈願と豊漁感謝の祈願を島の御嶽で執り行った。 カ⸢ツシンマー リューグーマチ⸣リ ⸢シーティル⸣ フネー パ⸢マ⸣ナー ⸢アイヨーッ⸣タ [kḁ⸢ʦuʃimmaː rjuːguːmaʧi⸣ri ⸢ʃiːtiru⸣ ɸuneː pa⸢ma⸣naː ⸢ʔaijoːt⸣ta] (カツオ漁船は竜宮祭りをしてから、船は浜に陸揚げされた) 18096 0 0 18150 htmvoc_18096.wav リョーバーヌキル ⸢リョーバーヌキル [⸢rjoːbaːnukiru] 名 \ruby{両刃鋸}{リョウ|バ|ノコギリ}。大工が使用する鋸で、\ruby{鋸歯}{キョ|シ}の片側はもくめ(木理)に沿って切る、タ⸢テ⸣ビキ[tḁ⸢te⸣biki](\ruby{縦挽}{タテ|ビキ}\ruby{鋸歯}{キョ|シ})、片側はもくめ(木理)と直角に切る、ヨ⸢コビキ[jo⸢kobiki](\ruby{横挽}{ヨコ|ビキ}鋸歯)になっている。 ⸢サイ⸣コー ⸢リョーバーヌキルバ⸣ シゥ⸢カイル⸣ イツァー バ⸢コー⸣ル [⸢sai⸣koː ⸢rjoːbaːnukiruba⸣ si̥⸢kairu⸣ ʔiʦaː ba⸢koː⸣ru] (大工は両刃鋸を使わって<ぞ>板を切り分けられる) 18097 0 0 18151 htmvoc_18097.wav リョーング ⸢リョーン⸣グ [⸢rjoːŋ⸣gu] 名 仏前に供える食膳。⸢ドーン⸣グ[⸢doːŋ⸣gu](仏前に供える食膳{EOS}\ruby{霊供}{リョウ|グ})と訛っていう人もいる。那覇方言の影響であろう。 ⸢ソーラン⸣ヌ ウ⸢クリヌ リョーン⸣ゴー ス⸢コーリ⸣ マ⸢チ⸣ヨー [⸢soːran⸣nu ʔu⸢kurinu rjoːŋ⸣goː su̥⸢koːri⸣ ma⸢ʧi⸣joː] (お盆の送りの日の仏前に供える食膳は準備して供え<祀り>なさいよ) 18098 0 0 18152 htmvoc_18098.wav リョーングブン ⸢リョーング⸣ブン [⸢rjoːŋgu⸣buŋ] 名 仏前に食事を供えるためのお膳一式。一汁七采の料理を盛るお膳。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸢ソッ⸣コーヤ ム⸢カシ⸣ヌ ⸣カタチニ ⸢リョーング⸣ブン ス⸢コーリ⸣ シ⸢キ ソー⸣ル [⸢ʔun⸣nenu ⸢sokkoː⸣ja mu⸢kaʃi⸣nu ⸣kḁtaʧini ⸢rjoːŋgu⸣bun su̥⸢koːri⸣ ʃi̥⸢kisoː⸣ru] (あの家の法事<焼香>は、昔のように仏前に食事を供えるお膳一式を準備なさってお供えなさる) 18076 0 0 18153 htmvoc_18076.wav リルン ⸢リ⸣ルン [⸢ri⸣ruŋ] 助動 ~られる。一、二段活用系の動詞、ウ⸢キ⸣ルン[ʔu⸢ki⸣ruŋ](起きる)、ナ⸢ラビルン[na⸢rabiruŋ](並べる)、サ⸢ギルン[sa⸢gi⸣ruŋ](下げる)、ユ⸢ディ⸣ルン[ju⸢di⸣ruŋ](茹でる)、⸢ヌーシルン[⸢nuːʃiruŋ](載せる)、ア⸢ツァミ⸣ルン[ʔa⸢ʦami⸣ruŋ](集める)、⸢カンガイ⸣ルン[⸢kaŋgai⸣ruŋ](考える)、⸢クイルン[⸢kuiruŋ](越える)などの未然形について、受身、可能の意味を表す。⸢リンとも言う。 シ⸢グトゥ サン⸣カー ⸣ティマー サ⸢ギラリ⸣ルンティ⸢ダー [ʃi⸢gutu saŋ⸣kaː ⸣timaː sa⸢girari⸣runti⸢daː] (仕事をしないと手間賃を下げられるそうだよ<受身>)。 ⸢ダイヤー⸣ ク⸢マーバー⸣ケー サ⸢ギラリルン⸣ドゥ ⸢マービン⸣マー サ⸢ギララ⸣ヌ [⸢daijaː⸣ ku⸢maːbaː⸣keː sa⸢girarirun⸣du ⸢maːbim⸣maː sa⸢girara⸣nu] (値段は、ここまでは下げられるが、これ以上は下げられない<可能>)。 サ⸢ギラリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [sa⸢girari⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (下げられることはないはずだ<受身>)。 サ⸢ギラリ⸣レー ⸣ミサムヌ [sa⸢girari⸣reː ⸣misamunu] (下げられたらいいのに<可能>)。 ⸣ウナー ⸢ベー⸣ルカー ア⸢チ⸣ユーシ ユ⸢ディラリ⸣ルン⸢ダー [⸣ʔunaː ⸢beː⸣rukaː ʔa⸢ʧi⸣juːʃi ju⸢durari⸣run⸢daː] (ここにいると熱湯で茹でられる<火傷する>ぞ<受身>)。 ⸢ソーミン⸣マー ⸢バン⸣ヌン ユ⸢ディラリ⸣ルン [⸢soːmim⸣maː ⸢ban⸣nuɲ ju⸢dirari⸣ruŋ] (\ruby{素麺}{ソウ|メン}は私にも\ruby{茹}{ユデ}られる<素麺チャンプルーは私にも調理できる><可能>) 18099 0 0 18154 htmvoc_18099.wav リン ⸢リン [⸢riŋ] 助動 ~れる。四段活用形動詞の未然形について、受身、可能、自発の意味を表す。 ク⸢レー バン⸣ヌン カ⸢カ⸣リン [ku⸢reː ban⸣nuŋ kḁ⸢ka⸣riŋ] (これは私にも書かれる<可能>)。 カ⸢リン⸣ シ⸢ダキ⸣ カ⸢カ⸣リ ⸢ナー⸣ヌ [ka⸢riŋ⸣ ʃi⸢daki⸣ kḁ⸢ka⸣ri ⸢naː⸣nu] (彼に先に書かれてしまった<受身>)。 ⸢ギュームシン⸣ カキ ⸣ナラウカー ⸢ナンクク⸣ル ⸢ゾー⸣ブンニ カ⸢カ⸣リンヨー [⸢gjuːmuʃiŋ⸣ kḁki ⸣naraukaː ⸢naŋkuku⸣ru ⸢ʣoː⸣bunni kḁ⸢ka⸣riɲjoː] (何度も練習する<書き習う>と自ずから上手に書かれる<自発>よ)。 パ⸢ガ⸣リン [pa⸢ga⸣riŋ] (剥がれる)。 トゥ⸢バリン [tu⸢bariŋ] (飛ばれる)。 マ⸢タ⸣リン [ma⸢ta⸣riŋ] (待たれる)。 サ⸢リン [sa⸢riŋ] (される<できる>)。 ア⸢ザリン [ʔa⸢ʣariŋ] (言われる<いえる>)。 ユ⸢マ⸣リン [ju⸢ma⸣riŋ] (読まれる<読める>)。 シ⸢ナリン [si⸢nariŋ] (死なれる<死ねる>)。 トゥ⸢ラ⸣リン [tu⸢ra⸣riŋ] (取られる<取れる>)。 カ⸢カラ⸣ヌ [kḁ⸢kara⸣nu] (書かれない)。 ⸢ワン⸣ カ⸢カリ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waŋ⸣ kḁ⸢kari⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (君に書かれる<書ける>ことはない)。 ⸢マー⸣ビン カ⸢カ⸣リカー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ kḁ⸢ka⸣rikaː ⸣misamunu] (もっと書かれたら<書けたら>よいのに) 18100 0 0 18155 htmvoc_18100.wav リンキ ⸢リン⸣キ [⸢riŋ⸣ki] 名 りんき(悋気)。情事に関する\ruby{嫉妬}{シッ|ト}。やきもち。 ウ⸢リヌ⸣ トゥ⸢ジェー サッ⸣コー ⸢リン⸣キ ⸢スンダ⸣ ミ⸢ドゥムンケー⸣ヤ ウ⸢リトー⸣ パ⸢ナ⸣シェー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔu⸢rinu⸣ tu⸢ʤeː sak⸣koː ⸢riŋ⸣ki ⸢sunda⸣ mi⸢dumuŋkeː⸣ja ʔuritoː⸣ pa⸢na⸣ʃeː na⸢ra⸣nu] (彼の妻が非常に悋気をするので、女性たちは、彼とは話が出来ない) 18101 0 0 18156 htmvoc_18101.wav リンビョー ⸢リン⸣ビョー [⸢rim⸣bjoː] 名 \ruby{淋病}{リン|ビョウ}。標準語からの借用語。戦時中に兵役に就いた人が経験したという。 ⸢ピー⸣タイナ ⸢ギーティル リン⸣ビョー カ⸢カル⸣タティ⸢ダー [⸢piː⸣tainaː ⸢giːtiru rim⸣bjoː kḁ⸢karu⸣tati⸢daː] (兵隊に行って淋病に\ruby{罹患}{リ|カン}したそうだよ) 18102 0 0 18157 htmvoc_18102.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 接尾 接尾語。たり(人)の転訛したもの。一人から四人までの人を数える接尾語。五人以上は、⸢ニン[⸢niŋ](人)を用いる。 プ⸢ス⸣ル [pu̥⸢su⸣ru] (一人) フ⸢タール [ɸu̥⸢taːru] (二人) ミ⸢ツァール [mi⸢ʦaːru] (三人) ユ⸢タール [ju⸢taːru] (四人))。 ギュ⸢タール [gju⸢taːru] (何人{EOS}「幾たり」の転訛したもの)。 ッ⸢ふァー⸣ ギュ⸢タール⸣ ナシェーワ [f⸢faː⸣ gju⸢taːru⸣ naʃeːwa] (子供は何人生んだか) 18103 0 0 18158 htmvoc_18103.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 係助 係助詞(ぞ)。取立て強調する。上接語の末尾が子音Nで終わる場合、⸣-ル[⸣-ru](ぞ)は、⸣-ドゥ[⸣-du](ぞ)となる。 18103 0 0 18159 htmvoc_18103.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 係助 {Exp_1}名詞について、下に続く動詞と係り結びの関係をつくる。⸣-ドゥ[⸣-du](ぞ)は、その異形態。 ア⸢ツァ⸣ル ⸣クー ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ⸢クー⸣ヌ [ʔa⸢ʦa⸣ru ⸣kuː ⸢kjuː⸣ja(wa)⸢kuː⸣nu] (明日<ぞ>来る、今日は来ない)。 ⸢ワール ワッ⸣サ ター⸢ン ワッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸢waːru was⸣sa taː⸢ŋ was⸣saː ⸢naː⸣nu] (君が悪い、誰も悪くは無い)。 ク⸢レー バー⸣ル ⸣カク [ku⸢reː baː⸣ru ⸣kḁku] (これは私が<ぞ>書く)。 18103 0 0 18160 htmvoc_18103.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 係助 {Exp_2}活用語の連用形につき、下に係って連体形で結ぶ。 ⸢バン⸣ヌン カ⸢キ⸣ル ⸢スー⸣ ア⸢サベー⸣ サ⸢ヌ [⸢ban⸣nuŋ kḁ⸢ki⸣ru ⸢suː⸣ ʔa⸢sabeː⸣ sa⸢nu] (私も書く<書きぞする>、遊びはしない)。 18103 0 0 18161 htmvoc_18103.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 係助 {Exp_3}活用語の連体形につく。 ⸢パー⸣ク カ⸢ク⸣ル マ⸢シ [⸢paː⸣ku kḁ⸢ku⸣ru ma⸢ʃi] (早く書くのが<書くぞ>増しだ)。 ⸢パー⸣ク ⸢スール⸣ マ⸢シ⸠ダー [⸢paː⸣ku ⸢suːru⸣ ma⸢ʃi⸠daː] (早くするのがいい<増しだ>)。 18103 0 0 18162 htmvoc_18103.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 係助 {Exp_4}形容詞の語幹につく。 ⸢ワー⸣ バーラン タ⸢カー⸣ル ⸣アル ピ⸢コー ナー⸣ヌ [⸢waː⸣ baːran tḁ⸢kaː⸣ru ⸣ʔaru pi̥⸢koː naː⸣nu] (君は僕よりも高い<高くぞある>{EOS}低くはない)。 18103 0 0 18163 htmvoc_18103.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 係助 {Exp_5}格助詞につく。 ⸢ヌーヌ⸣ル ⸢ワッ⸣サユー ムシ⸢トゥ⸣ ア⸢ティンガーラヌ [⸢nuːnu⸣ru ⸢was⸣sajuː muʃi̥⸢tu⸣ ʔa⸢tiŋgaːranu] (何が<ぞ>悪いのか、全く分から<見当がつか>ない)。 ⸣マナール ア⸢ル⸣ワ [⸣manaːru ʔa⸢ru⸣wa] (何処に<ぞ>あるか)。 ⸢ワー ヌーバ⸣ル ⸢カウワ [⸢waː nuːba⸣ru ⸢kauwa] (君は何を<ぞ>買うか)。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ)⸢タットゥル パッ⸣タ [⸢kjuː⸣ja(wa)⸢tatturu pat⸣ta] (今日は誰と<ぞ>行ったのか)。 ⸢ワーニ⸣ル ア⸢ズ⸣ プ⸢ス⸣ネー ア⸢ザヌ [⸢waːni⸣ru ʔa⸢ʣu⸣ pu̥⸢su⸣neː ʔa⸢ʣanu] (君にが<ぞ>言う、他人には言わない)。 ⸣マーラル ⸢クー⸣タ [⸣maːranu ⸢kuː⸣ta] (何処から<ぞ>来たのか)。 ⸢マー⸣ティル ⸢パッ⸣タ [⸢maː⸣tiru ⸢pat⸣ta] (何処へと<ぞ>行ったのか)。 ⸣アンシル イ⸢ゾー⸣ ガ⸢ラ⸣ス [⸣ʔaŋʃiru ʔi⸢ʣoː⸣ ga⸢ra⸣su] (網で<ぞ>魚は漁獲する)。 ⸢ドゥーバ⸣ル ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーティバン [⸢duːba⸣ru ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːtibaŋ] (体<胴>を<ぞ>痛めて<病まして>おいてあるそうだとよ)。格助詞⸢-ン[⸢-ŋ](に{EOS}目的格)や語末にNがたつ語につくときは、-ル[-ru](ぞ)は-ドゥ[-du](ぞ)に替変する。 シ⸢グトゥ シンドゥ パッ⸣タ [ʃi⸢gutu ʃindu pat⸣ta] (仕事をしに<ぞ>行った)。 18103 0 0 18164 htmvoc_18103.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 係助 {Exp_6}接続助詞⸣-バ[⸣-ba](~ば)が付いて強調表現を作る。 ⸣ウヤ ヤ⸢リバル ソーユン スー⸣ ウ⸢リンツァン⸣ ッ⸢サヌ [⸣ʔuja ja⸢ribaru soːjun suː⸣ ʔu⸢rinʦan⸣ s⸢sanu] (親なればこそ<ぞ>心配もする{EOS}それも知らないのか)。 18103 0 0 18165 htmvoc_18103.wav ル ⸣-ル [⸣-ru] 係助 {Exp_7}副助詞に付いて限定強調し、次に続く事柄を推量させる。 ヤ⸢ラビ⸣ヌサーギル ッ⸢ス⸣メーティ ⸣タクーン ⸣トゥル ウ⸢ブビキドゥム⸣ヌ ナ⸢ラン⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ja⸢rabi⸣nusaːgiru s⸢su⸣meːti ⸣tḁkuːn ⸣turu ʔu⸢bubikidumu⸣nu na⸢raŋ⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (子供がさえ<ぞ>潜りながら蛸をも漁獲する{EOS}大の男が出来ないことはない)。 シン⸢トゥ⸣ クビカー⸢ニル⸣ ヌ⸢カ⸣レール [ʃin⸢tu⸣ kubikaː⸢niru⸣ nu⸢ka⸣reːru] (たったこれだけが<ぞ>残っている{EOS}<たったこれだけしか残っていない>) 18104 0 0 18166 htmvoc_18104.wav ルガイ ⸣ルガイ [⸣rugai] 名 (植)アロエ。⸣ドゥガイ[⸣dugai]ともいう。観賞用、薬用に栽培する。火傷や打ち傷、\ruby{腫}{ハレ}物に効く。多肉の葉を割いて葉肉部を患部に当てて包み治療した。ろかい(蘆薈)。 ⸢パン⸣ヌ ⸣シミナ イ⸢シバ⸣ ウ⸢タ⸣シティ ッ⸢ふォーッふォー⸣シ ウ⸢チ⸣シ イ⸢リティ⸣ ヤミ ナ⸢ラン⸣シェンドゥ ⸣ルガイ ア⸢ティティ⸣ ッ⸢ス⸣ミ ⸣シケータ ⸣プスイシ ⸢ノー⸣レータン [⸢pan⸣nu ⸣ʃiminaː ʔi⸢ʃiba⸣ ʔu⸢taʃi̥⸣ti f⸢foːffoː⸣ʃi ʔu⸢ʧi⸣ʃi ʔi⸢riti⸣ jami na⸢raŋ⸣ʃendu ⸣rugai ʔa⸢titi⸣ s⸢su⸣mi ⸣ʃi̥keːtaː ⸣pu̥suiʃi ⸢noː⸣reːtaŋ] (足の爪に石を落として、真っ黒に打ち身をいれて<内出血させて>しまって、痛くて堪らなかったが、アロエの葉を割いて幹部に当てて包んでおいたら一日で治った<経験がある>よ) 18105 0 0 18167 htmvoc_18105.wav ルク ⸣ルク [⸣ruku] 名 数の名。六。 ル⸢クンガ⸣チ [ru⸢kuŋ⸣gaʧi] (六月)。 ⸣トシェー ル⸢ク⸣ジュー ナ⸢ルン⸣ドゥ ⸣ムヌ ッ⸢サヌ [⸣tu̥ʃeː ru⸢ku⸣ʤuː na⸢run⸣du ⸣munu s⸢sanu] (年は六十歳になるが、ものごとの道理が分からない<ものを知らない>)。 ル⸢クサク⸣ボー [ru⸢kusaku⸣boː] (六尺棒{EOS}東村の\ruby{勇壮}{ユウ|ソウ}な棒踊りの一種)。 ビ⸢コーンッふァー⸣ カー⸢ニ⸣ ル⸢ク⸣ニン ⸣ナシェーン [bi⸢koːŋffaː⸣ kaː⸢ni⸣ ru⸢ku⸣nin ⸣naʃeːŋ] (男の子だけ六人産んだ<産んである>) 18106 0 0 18168 htmvoc_18106.wav ルクサクボー ル⸢クサク⸣ボー [ru⸢kusaku⸣boː] 名 六尺棒。豊年祭の奉納芸能の一つ。西村の演目の一つで、六尺もある護身用の棒を振り回して勇壮に踊る棒踊り。 ⸢インヌムラヌ⸣ ル⸢クサクボー⸣ヤ ガ⸢マ⸣ク イ⸢リティ⸣ ウトゥンダ イッ⸢ケナ⸣ ウ⸢ムッ⸣サン [⸢ʔannumuranu⸣ ru⸢kusakuboː⸣ja ga⸢ma⸣ku ʔi⸢riti⸣ ʔutunda ʔik⸢kena⸣ ʔu⸢mus⸣saŋ] (西村の六尺棒踊りはガマクを入れて打つから非常に面白い) 18107 0 0 18169 htmvoc_18107.wav ルクジューイチヌヨイ ルクジューイ⸢チ⸣ヌ ⸣ヨイ [rukuʣuːʔi⸢ʧi⸣nu ⸣joi] 連 還暦の祝い。「六十一歳の祝い」の義。かつては盛大に祝ったが、今日では床の間で健康祈願をするだけである。 ム⸢カ⸣シェー ルクジューイ⸢チ⸣ヌ ⸢ヨイ⸣ヤー マ⸢ギーマギー⸣シ ⸢ソーッ⸣タン [mu⸢ka⸣ʃeː rukuʤuːʔi⸢ʧi⸣nu ⸢joi⸣jaː ma⸢giːmagiː⸣ʃi ⸢soːt⸣taŋ] (昔は還暦の祝いは盛大に<大きく>なさったものだ) 18108 0 0 18170 htmvoc_18108.wav ルクンガチ ル⸢クンガ⸣チ [ru⸢kuŋga⸣ʧi] 名 六月。 ル⸢クンガチ⸣ヌ シ⸢キ⸣ヌ ⸣タトゥカー ⸢プールン⸣ドゥ ⸢オー⸣ル⸢ナー [ru⸢kuŋgaʧi⸣nu ʃi̥⸢ki⸣nu ⸣tḁtukaː ⸢puːrun⸣du ⸢ʔoː⸣ru⸢naː] (六月の月が立つと豊年祭がいらっしゃるよねえ) 18109 0 0 18171 htmvoc_18109.wav ルクンガチシティグジ ル⸢クンガ⸣チ シ⸢ティグジ [ru⸢kuŋga⸣ʧi ʃi̥⸢tiguʤi] 連 六月の捨てデイゴ(諺)。旧暦の六月は梅雨の時期で、⸣グジ[⸣guʣi](デイゴ)は切り捨てておくだけでも自然に根付き、\ruby{発芽}{ハツ|ガ}することから、\ruby{挿}{サ}し木に最適の時期とされている。⸣グジ[⸣guʤi](デイゴ)は石垣方言の⸣ズグ[⸣ʣugu]の音位転倒したもの 18110 0 0 18172 htmvoc_18110.wav ルッカク ⸢ルッカ⸣ク [⸢rukka⸣ku] 名 六角形。 ⸢ルッカク⸣バウ [⸢rukkaku⸣bau] (六角棒)。⸢ルッカクピキ⸣ダマ[⸢rukkakupiki⸣dama](六角の\ruby{凧}{タコ})などがある。 シ⸢バヤー⸣ナ ⸢ルッカク⸣バウ ム⸢ティプス⸣ヌ ⸣ンジキーティ ナ⸢クラー⸣タン [ʃi⸢bajaː⸣na ⸢rukkaku⸣bau mu⸢tipusu⸣nu ⸣ʔnʤikiːti na⸢kuraː⸣taŋ] (芝居で六角棒を持った人が出てきて、怖かったよ) 18111 0 0 18173 htmvoc_18111.wav ルップ ⸢ルッ⸣プ [⸢rup⸣pu] 名 ロープ。カツオ漁船の綱。\ruby{錨}{イカリ}に\ruby{繋}{ツナグ}ぐ太い綱。英語のrope(綱)の借用語が転訛したもの。⸢ルッ⸣プジナ[⸢rup⸣puʤina](ロープ)ともいう。 ⸢ルッ⸣プシ ⸣フネー ⸢サンバ⸣シナ シ⸢ナ⸣イ ⸣シキバ [⸢rup⸣puʃi ⸣ɸuneː ⸢samba⸣ʃina ʃi⸢nai⸣ ʃi̥kiba] (ロープで船を\ruby{桟橋}{サン|バシ}に\ruby{繋}{ツナ}いでおきなさいよ) 18112 0 1 18174 htmvoc_18112.wav レー ⸢-レー [⸢-reː] 終助 {Mn_1}~ものか。~か。(疑問、反語)。名詞や動詞の終止形に付く。 ウ⸢レー⸣ プ⸢スレー [ʔu⸢reː⸣ pu̥⸢sureː] (あれは人間なものか)。 ⸣アイブー ムヌ⸢ナー⸣トー カ⸢クンレー [⸣ʔaibuː munu⸢naː⸣toː kḁ⸢kunreː] (あんな物などを書くものか、書かないよ)。 18112 0 2 18175 htmvoc_18112.wav レー ⸢-レー [⸢-reː] 終助 {Mn_2}疑問の終助詞⸢ナー[⸢naː](~ね)について、⸢ナーレ⸣ー[⸢naːre⸣ː](~かねえ{EOS}~だろうねえ{EOS}<疑問、確認>)のように用いられる。⸢ナー・ウレ⸣ー[⸢naː-ʔure⸣ː](なあ・それは)が縮まって形成されたものと考えられる。 ⸣アツァー クン⸢ナーレ⸣ー [⸣ʔaʦaː kun⸢naːre⸣ː] (明日は来るだろうねえ<確認>) 18113 0 0 18176 htmvoc_18113.wav ロー ⸣ロー [⸣roː] 名 ろうそく(蝋燭)。⸢ロー⸣スク[⸢roː⸣suku](蝋燭)ともいう。標準語からの借用語。 ⸢ロー⸣ヌ ⸣ッス ⸣トゥリ シ⸢ティリ⸣バ [⸢roː⸣nu ⸣ssu ⸣turi ʃi̥⸢tiri⸣ba] (蝋の燃え屑を取って捨てなさい)。 シ⸢キー⸣ナ ⸢ロー⸣バ ⸣ッシ ⸢ヌーリ⸣ スクカー ⸣ヤドー ア⸢キフイ シーヤッ⸣サン [ʃi̥⸢kiː⸣na ⸢roː⸣ba ⸣ʃʃi ⸢nuːri⸣ su̥kukaː ⸣jadoː ʔa⸢kiɸui siːjas⸣saŋ] (敷居に蝋を擦り付けておくと、戸<屋戸>は開け締めし易い) 18114 0 0 18177 htmvoc_18114.wav ロースク ⸢ロー⸣スク [⸢roː⸣su̥ku] 名 蝋燭。 ⸢ロー⸣スコー ⸢チョー⸣チンナー イ⸢リティ⸣ トゥ⸢クニ⸣ナー ⸣サイバ [⸢roː⸣su̥koː ⸢ʧoː⸣ʧinnaː ʔi⸢riti⸣ tu̥⸢kuni⸣naː ⸣saiba] (蝋燭は提灯に入れて、仏壇に吊るし<下げ>なさいよ) 18115 0 1 18178 htmvoc_18115.wav ワ ⸣-ワ [⸣-wa] 終助 {Mn_1}~か。動詞の連体形に下接し、文頭の疑問詞と呼応して疑問、質問の意を表す。 ⸢ワー⸣ ヌンティ カ⸢ク⸣ワ [⸢waː⸣ nunti kḁ⸢ku⸣wa] (君はどうして<何故>書くか)。 ⸣ヌンティ カ⸢カン⸣ワ [⸣nunti kḁ⸢kaŋ⸣wa] (どうして書かないか)。 ⸣ヌンティ カ⸢カン⸣シェワ [⸣nunti kḁ⸢kaŋ⸣ʃewa] (どうして書かなかったか)。 ⸢ワー⸣ クナーティ ⸢ヌー⸣ヌ シ⸢グトゥ シー ブーワ [⸢waː⸣ kunaːti ⸢nuː⸣nu ʃi⸢gutu ʃiː buːwa] (君はここで何の仕事をしているか)。 18115 0 2 18179 htmvoc_18115.wav ワ ⸣-ワ [⸣-wa] 終助 {Mn_2}~なあ。なんと~ことよ。形容詞の連体形について、詠嘆、感動の意を表す。 パ⸢ナ⸣ヌ ⸢カイ⸣ヤ⸢ワー [pa⸢na⸣nu ⸢kai⸣ja⸢waː] (花が美しいなあ{EOS}花の何と美しいことよ)。 グイ⸢ユー⸣ アイ ア⸢バ⸣レーワレー [gui⸢juː⸣ ʔai ʔa⸢ba⸣reːwareː] (何とまあ、あんなに美しいことよ<女性が美しい{EOS}男性には言わない>)。 シ⸢バヤー⸣ ミリン イ⸢サナケー⸣ パ⸢リ⸣プサワ⸢ナー [ʃi⸢bajaː⸣ miriŋ ʔi⸢sanakeː⸣ pa⸢ri⸣pusawa⸢naː] (芝居を見に石垣島へ行きたいものだなあ) 18116 0 0 18180 htmvoc_18116.wav ワー ⸢ワー [⸢waː] 代 君。あなた。二人称単数形。男、女の区別なく用いられ、同輩、目上の人に対して用いられる。老年層は、ワ⸢ヌ[wa⸢nu](君{EOS}あなた)ともいう。⸢ワー[⸢waː](君{EOS}あなた)は、「\ruby{爾}{ナンジ}、此をば飫例<おれ>と云ふ<神武即位前>」『日本書紀』の「おれ」が ore → ora → ura(ura「語音翻訳」『海東諸国紀』、「你、烏喇哇」<ウラワ>『琉球館訳語』)と転訛したもの。更に、[ʔura](西表租納方言)は → [vva](宮古方言)→ [uva](黒島方言)→ [uwa](川平方言)→ [waː](鳩間方言)のように音韻変化する。 ⸢ワー ター⸣ヤ [⸢waː taː⸣ja] (君は誰か)。 ⸢ワー ナーヤ⸣ ヌーティ ア⸢ズワ [⸢waː naːja⸣ nuːti ʔa⸢ʣuwa] (君の名は何というか)。複数形は、ワ⸢ター(⸢ワーター)[wa⸢taː(⸢waːtaː)](君たち{EOS}貴方方)。 ワ⸢ター⸣ マープスヤ [wa⸢taː⸣ maːpu̥suja] (君たちは何処の島の人か)。卑称は、⸣ワンザ[⸣wanʣa](お前奴{EOS}貴様) 18117 0 0 18181 htmvoc_18117.wav ワーシブテー ⸢ワーシブテー [⸢waːʃibuteː] 名 屋号。泉川二郎氏宅。泉川氏は沖縄本島からの寄留漁民であった。沖縄本島の民間療法を伝えた。終戦後のマラリア患者、その他の患者に民間療法を施して治療した。 ⸢ワーシブン⸣ ヤツ ヤ⸢カシティ クー⸣タ [⸢waːʃibuɲ⸣ jaʦu ja⸢kaʃi̥ti kuː⸣ta] (泉川二郎氏に灸を据え<灸を焼い>てもらってきた) 18118 0 0 18182 htmvoc_18118.wav ワーター ⸢ワーター [⸢waːtaː] 代 君たち。対称(二人称)の代名詞。複数形。ワ⸢ター[wa⸢taː](君たち)ともいう。 ⸢バン⸣ター イ⸢ソー⸣ パ⸢ル⸣ヌ ⸢ワーター ヌー⸣スワ [⸢ban⸣taː ʔi⸢soː⸣pa⸢ru⸣nu ⸢waːtaː nuː⸣suwa] (私たち<聞き手を含まない>は漁に行くが、君たちはどうするのか) 18119 0 0 18183 htmvoc_18119.wav ワーッティ ワーッ⸢ティ [waːt⸢ti] 副 わっと。大声で泣き崩れるさま。 ウ⸢ダラ⸣キティ ワーッ⸢ティ⸣ ナ⸢キ ナーン⸣シェン [ʔu⸢dara⸣kiti waːt⸢ti⸣ na⸢ki naːŋ⸣ʃeŋ] (驚いてわっと泣いてしまった) 18120 0 0 18184 htmvoc_18120.wav ワーバ ⸢ワーバ [⸢waːba] 名 余分。余計なもの。「おわば 何事も本より外之事を申也」『混効験集』とある 18123 0 0 18185 htmvoc_18123.wav ワーバグトゥ ⸢ワーバグトゥ [⸢waːbagutu] 名 余計な事。しなくてもよい事。余計なお世話。[ʔuwaba] → [ʔwaːba] → [waːba] と転訛したもの。 ⸢ワーバ グトゥバ シー⸣ プ⸢スン⸣ イ⸢ザレー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸢waːbagutuba ʃiː⸣ pu̥⸢suŋ⸣ ʔi⸢ʣareː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (余計なことをして、他人に叱られているよ) 18121 0 0 18186 htmvoc_18121.wav ワーバシグトゥ ⸢ワーバシグトゥ [⸢waːbaʃigutu] 名 余計な仕事。無駄な仕事。賃金の貰えない仕事。 ⸣ティマー ⸢イーララ⸣ムティ ⸢ワーバシグトゥバ⸣ シ⸢ミラリタ⸣ツォー [⸣timaː ⸢ʔiːrara⸣muti ⸢waːbaʃigutuba⸣ ʃi⸢mirarita⸣ʦoː] (手間賃は貰えないで、余計な仕事をさせられたそうだ) 18122 0 0 18187 htmvoc_18122.wav ワーバジン ⸢ワーバジン [⸢waːbaʤiŋ] 名 無駄なお金。余計なお金。不必要な金。 ⸢ワーバジン⸣ ム⸢タ⸣スカー ッ⸢ふァ⸣ プ⸢ラスン⸣ダー [⸢waːbaʤim⸣ mu⸢ta⸣su̥kaː f⸢fa⸣ pu⸢rasun⸣daː] (不必要な、余計なお金を持たせると子供を馬鹿<ふれもの{EOS}狂れ者>にするぞ) 18124 0 0 18188 htmvoc_18124.wav ワーバムニ ⸢ワーバムニ [⸢waːbamuni] 名 余計な言葉。おせっかい(御節介)をやくこと。頼まれもしないのに、他人のことに口を挟むこと。 ⸢ワーバムニバ⸣ イ⸢ズンティ アー⸣キ ⸢カイ⸣テー パ⸢ナ⸣シ ア⸢ザーラ⸣シ ⸢ナー⸣ヌ [⸢waːbamuniba⸣ ʔi⸢ʣunti ʔaː⸣ki ⸢kai⸣teː pa⸢na⸣ʃi ʔa⸢ʣaːra⸣ʃi ⸢naː⸣nu] (余計な口を挟もうとして<余計なものを言おうとして>\ruby{却}{カエ}って話をこじらせ<\ruby{拗}{コジ}らせ{EOS}混乱させ>てしまった) 18125 0 0 18189 htmvoc_18125.wav ワウワウシ ⸢ワウワウ⸣シ [⸢wauwau⸣si] 副 犬の泣き声(擬声語)のさま。わんわんと。 プ⸢スヌ⸣ クーカー ⸢ウン⸣ネヌ ⸢イン⸣マー ⸢ワウワウ⸣シ ⸣カマイティ ナ⸢クラーン⸣ダー [pu̥⸢sunu⸣ kuːkaː ⸢ʔun⸣nenu ⸢ʔim⸣maː ⸢wauwau⸣ʃi ⸣kamaiti na⸢kuraːn⸣daː] (他人が来ると、あの家の犬はワンワンと吠えて、怖いよ) 18126 0 1 18190 htmvoc_18126.wav ワキ ⸣ワキ [⸣waki] 名 {Mn_1}訳。理由。 ⸢ヌー⸣シル ワ⸢キ⸣ヌ ⸣アルユー パ⸢ナ⸣シ ⸣ミリ [⸢nuː⸣ʃiru wa⸢ki⸣nu ⸣ʔarujuː pa⸢na⸣ʃimiri] (如何なる訳があるのか、話してごらん<話してみれ>)。 18126 0 2 18191 htmvoc_18126.wav ワキ ⸣ワキ [⸣waki] 名 {Mn_2}侘び。 ⸢ワール ワッ⸣サバ ⸢ワー⸣ラ ⸣ワキ サ⸢バル⸣ ナル [⸢waːru was⸣saba ⸢waː⸣ra ⸣waki sa⸢baru⸣ naru] (君が悪いから、君から侘びをしなければならない<侘びをすればぞなる>) 18127 0 0 18192 htmvoc_18127.wav ワキスン ⸣ワキ ⸢スン [⸣waki ⸢suŋ] 連 あやまる(謝る)。詫びる。⸢言い訳をする」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビザーン ⸣アイティ ⸢ウン⸣ネヌ ッ⸢ふァヌ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣シ ⸣シケーティ ⸣ワキ ⸢シン ギーティ クー⸣タ [ja⸢ra⸣biʣaːŋ ⸣ʔaiti ⸢ʔun⸣nenu f⸢fanu⸣ duː ja⸢ma⸣ʃi ⸣ʃi̥keːti ⸣waki ⸢ʃiŋ giːti kuː⸣ta] (子供同士で喧嘩して、あの家の子供に怪我させて<胴を病まして>あるので、謝りに行ってきた) 18128 0 1 18193 htmvoc_18128.wav ワザ ⸣ワザ [⸣waʣa] 名 {Mn_1}しわざ(仕業)。行為。所業。 ク⸢レー⸣ タンザヌ ⸢シェー⸣ル ⸣ワザヤー [ku⸢reː⸣ tanʣanu ⸢ʃeː⸣ru ⸣waʣajaː] (これはどいつのなせる仕業か)。 18128 0 2 18194 htmvoc_18128.wav ワザ ⸣ワザ [⸣waʣa] 名 {Mn_2}仕事。職業。 パ⸢トゥ⸣マプソー ム⸢カ⸣シェーラ ⸢ターパタ⸣キン ス⸢ク⸣リ カ⸢ツシンラ⸣ イ⸢ガメーヌ⸣ ウ⸢ミ⸣ワザン ⸢シール オー⸣レー⸢ダー [pḁ⸢tu⸣mapu̥soː mu⸢ka⸣ʃeːra ⸢taːpata⸣kin su̥⸢ku⸣ri kḁ⸢ʦuʃinra⸣ ʔi⸢gameːnu⸣ ʔu⸢mi⸣waʣaŋ ⸢ʃiːru ʔoː⸣reː⸢daː] (鳩間人は昔から田畑も作り、カツオ漁業からイカ漁の海の仕事<漁業>もしてこられたのだよ) 18129 0 0 18195 htmvoc_18129.wav ワザク ワ⸢ザ⸣ク [wa⸢ʣa⸣ku] 名 からかい。いたずら(悪戯)。 ヤ⸢ナヤラビン⸣ パ⸢タ⸣ケー ⸢フンツァーサリ⸣ ワ⸢ザ⸣ク シ⸢ラリティル クン⸣ゾー ⸣ンジ イ⸢ジ⸣ シケー⸢ダー [ja⸢najarabim⸣ pḁ⸢ta⸣keː ⸢ɸunʦaːsaritiru kun⸣ʣoː ⸣ʔnʤi ʔi⸢ʤi⸣ ʃi̥keː⸢daː] (悪童に畑を踏み荒らされて酷いことをされて、怒って叱っておいてあるんだよ)。悪ふざけ。\ruby{邪魔}{ジャ|マ}。他人に迷惑をかけること。「\ruby{横着}{オウ|チャク}」の転訛したもの。石垣方言からの借用語。普通は、⸢オス⸣ク[⸢ʔosu̥⸣ku](\ruby{SqBr}g{/SqBr}{悪戯}{イタズラ}{EOS}悪ふざけ)という。 プ⸢ス⸣ ワ⸢ザ⸣ク ス⸢ナ⸠ツォー [pu̥⸢su⸣ wa⸢ʣa⸣ku su⸢na⸠ʦoː] (他人に悪戯するなってば) 18130 0 0 18196 htmvoc_18130.wav ワザトゥ ワ⸢ザトゥ [wa⸢ʣatu] 副 わざと。故意に。わざわざ。強調して、ワ⸢ザットゥ[wa⸢ʣattu](わざと)ということもある。 ⸢クンドゥ⸣ヌ ⸢スー⸣ボー ワ⸢ザットゥ⸣ マ⸢キリ⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ⸢ベー⸣ティ ドゥ⸢シン⸣ カ⸢ツァシ⸣タ [⸢kundu⸣nu ⸢suː⸣boː wa⸢ʣatu⸣ ma⸢kiri⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta⸢beː⸣ti du⸢ʃiŋ⸣ ka⸢ʦaʃi⸣ta] (今度の勝負はわざと負けろといわれたので、友人に勝たせた) 18131 0 1 18197 htmvoc_18131.wav ワザムチ ⸣ワザムチ [⸣waʣamuʧi] 名 {Mn_1}特殊技能を持っている人。 ウ⸢レー サイク⸣ヌ ⸣ワザムチ ヤ⸢ルンダ⸣ ッ⸢ふァイパザキ スー⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː saiku⸣nu ⸣waʣamuʧi ja⸢runda⸣ f⸢faipaʣaki suː⸣kutoː ⸢naː⸣nu] (あれ<彼>は大工の技術を持っているから食い\ruby{逸}{ハグ}れすることはない)。 18131 0 2 18198 htmvoc_18131.wav ワザムチ ⸣ワザムチ [⸣waʣamuʧi] 名 {Mn_2}芸能に優れた人。 ⸣スブットゥ ヤ⸢ルンドゥター⸣ デー⸢ジ⸣ヌ ワザムチ⸢ダー サンシンヌ シース⸣ティバーヤ [⸣subuttu ja⸢rundutaː⸣ deː⸢ʤi⸣nu wazamuʧi⸢daː saŋʃinnu ʃiːsuː⸣tibaːja] (怠け者だが、大変な芸能保持者だよ{EOS}三線の師匠だってさ)。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー デージ⸣ヌ ワザムチ⸢ダー [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː deːʤi⸣nu waʣamuʧi⸢daː] (この人は大変に技芸に優れた人だよ) 18132 0 0 18199 htmvoc_18132.wav ワザワイ ワ⸢ザワイ [wa⸢ʣawai] 名 災い。災難。不幸なできごと。サ⸢ワリグトゥ[sa⸢warigutu](障り{EOS}支障)ともいう。 ⸢カンヌ⸣マイ ウ⸢ヤプス⸣ヌマイニ ノー⸢ンヌ⸣ サ⸢ワリグトゥ⸣ ワ⸢ザワイグトゥン⸣ ア⸢ラ⸣シ タ⸢ボーン⸣ナティル ⸣ニガイ ッ⸢サルタ [⸢kannu⸣mai ʔu⸢japusu⸣numaini noː⸢nnu⸣ sa⸢warigutu⸣ wa⸢ʣawaigutuŋ⸣ ʔa⸢ra⸣ʃi ta⸢boːn⸣natiru ⸣nigai s⸢saruta] (神様、ご先祖様に、何の障りごとも災いもありませんように<有らせ賜るな>とお祈り申し上げた) 18133 0 0 18200 htmvoc_18133.wav ワザワザ ワ⸢ザワザ [wa⸢ʣawaʣa] 副 わざわざ。特にそのために。標準語からの借用語。老年層は、⸣シンニン[⸣ʃinniŋ](わざわざ{EOS}もっぱら{EOS}「Xennen.センネン(専念)Mopparani vomô(専らに念ふ)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの)ともいう。 ⸢キュー⸣ヤ ⸣アドーラ ワ⸢ザワザ⸣  バー ⸣クトゥ ⸢スンティ⸣ キー ッ⸢ふィーッター [⸢kjuː⸣ja ⸣ʔadoːra wa⸢ʣawaʣa⸣ baː ⸣ku̥tu ⸢sunti⸣ kiː f⸢fiːttaː] (今日は、あんなに遠い所から、わざわざ私のことをするために、来てくれたのか) 18134 0 0 18201 htmvoc_18134.wav ワジカ ワ⸢ジ⸣カ [wa⸢ʤi⸣ka] 副 わずか(僅か)。少々。ほんの少し(量が少ないさま)。「僅、小也、和豆可尓<わづかに>」『華厳経音義私記』の転訛したもの。老年層は、ン⸢メーマ⸣ナー[ʔm⸢meːma⸣naː](少しずつ)という。 ワ⸢ジカ⸣ナー<ン⸢メーマ⸣ナー> ⸢ジン⸣バ タ⸢メー⸣ティル ⸢カー⸣ラヤーン ス⸢クルタ⸣ル [wa⸢ʤika⸣naː<ʔm⸢meːma⸣naː> ⸢ʤim⸣ba ta⸢meː⸣tiru ⸢kaː⸣rajaːn su̥⸢kuruta⸣ru] (僅かずつお金を貯めながら\ruby{瓦葺}{カワラ|ブキ}の家を造ったのだ)。 ワ⸢ジ⸣カ<シン⸢トゥ> ⸢イットゥ⸣キ ウ⸢クリティル⸣ フニ ⸢ヌーリ パンツァシェー⸣ダー [wa⸢ʤi⸣ka<ʃin⸢tu> ⸢ʔittu⸣ki ʔu⸢kuritiru⸣ ɸuni ⸢nuːri panʦaʃeː⸣daː] (わずか一時<ほんの一時>遅れて、船に乗り損ねたのだよ)。 ワ⸢ジカ⸣ヌ<ン⸢メーマ⸣ヌ> ⸢ジン⸣ヌ ⸣クトゥシ ⸢キョーダイ⸣サザーン ⸢アウ⸣ナ [wa⸢ʤika⸣nu<ʔm⸢meːma⸣nu> ⸢ʤin⸣nu ⸣ku̥tuʃi ⸢kjoːdai⸣saʣaːŋ ⸢ʔau⸣na] (僅かのお金のことで兄弟同士喧嘩するな) 18135 0 1 18202 htmvoc_18135.wav ワター ワ⸢ター [wa⸢taː] 代 {Mn_1}君ら。君たち。二人称代名詞の複数。⸢バン⸣ター[⸢ban⸣taː](聞き手を含まない、私たち{EOS}僕ら)の対義語。⸢ワーター[⸢waːtaː](君たち{EOS}貴方方)ともいう。 ワ⸢ター⸣ マーラ ⸢クー⸣タ [wa⸢taː⸣ maːra ⸢kuː⸣ta] (君たちは何処から来たのか)。 ワ⸢ター⸣ ムノー ⸣ヌーヤ [wa⸢taː⸣ munoː ⸣nuːja] (君たちのものはどれ<何>か)。 ワ⸢ター⸣ラ パ⸢ジミリ [wa⸢taː⸣ra pa⸢ʤimiri] (君たちから始めなさい)。 18135 0 2 18203 htmvoc_18135.wav ワター ワ⸢ター [wa⸢taː] 代 {Mn_2}貴方がた(尊敬の複数形)。 ワ⸢ター⸣ マーラ ⸢オーッ⸣タ [wa⸢taː⸣ maːra ⸢ʔoːt⸣ta] (貴方方は何処から来られましたか) 18136 0 0 18204 htmvoc_18136.wav ワタクサー ワ⸢タ⸣クサー [wa⸢ta⸣ku̥saː] 名 へそくり。沖縄本島方言からの借用語。「手の中の荒るるを厭はず、わたくしを拵へ」『西鶴・諸艶大鑑三』の「わたくし(親方に内緒でする仕事{EOS}内職)」の転訛したものか。 ミ⸢ドゥ⸣モー ン⸢メーマ⸣ナーン ワ⸢タ⸣クサー タ⸢ミ⸣ シゥ⸢カバ⸣ル ナル⸢ダー [mi⸢du⸣moː ʔm⸢meːma⸣naːŋ wa⸢ta⸣ku̥saː ta⸢mi⸣ si̥⸢kaba⸣ru naru⸢daː] (女は少しずつでも、へそくりを貯めておかないといけないよ) 18139 0 0 18205 htmvoc_18139.wav ワタンジャー ワ⸢タン⸣ジャー [wa⸢tan⸣ʤa] 名 渡し場。首里方言からの借用語が転訛したものか。浦内川の渡し場。 ウ⸢ラッ⸣チナー ワ⸢タンジャー⸣ヌ ⸢アッ⸣タン⸢ダー [ʔu⸢rat⸣ʧinaː wa⸢tanʤaː⸣nu ⸢ʔat⸣tan⸢daː] (浦内には渡し場があったよ) 18140 0 0 18206 htmvoc_18140.wav ワチラースン ワ⸢チラースン [wa⸢ʧiraːsuŋ] 他動 わずらわせる。面倒をかける。ほねをおらせる。 ウ⸢ヌ⸣ クトゥシ ワ⸢ター⸣ ティ― ワ⸢チラーシ⸣ シ⸢マ⸣ヌ クトゥ⸢ユー [ʔu⸢nu⸣ ku̥tuʃi wa⸢taː⸣ tiː wa⸢ʧiraːʃi⸣ ʃi⸢ma⸣nu ku̥tu⸢juː] (そのことであなた方の手を煩わせて申し訳ありません<相済まないことです>) 18141 0 0 18207 htmvoc_18141.wav ワチラウン ワ⸢チラウン [wa⸢ʧirauŋ] 自動 てこずる(梃子摺る)。処置に困る。難儀する。病む。「~かにかくに思ひ和豆良比<ワヅラヒ>ねのみし泣かゆ。万、897」の転訛したもの。 ⸢ヤン⸣マイ ワ⸢チラウン [⸢jam⸣mai wa⸢ʧirauŋ] (病を\ruby{患}{ワズラ}う)。 ⸢ヤン⸣マイ ワ⸢チライ ベー [⸢jam⸣mai wa⸢ʧirai beː] (病を患っている)。 サ⸢キヌミ⸣プスン ワ⸢チラーサリティ キーユーサン⸣シェン [sḁ⸢kinumi⸣pu̥suŋ wa⸢ʧiraːsariti kiːjuːsaŋ⸣ʃeŋ] (酒飲みにてこずらられて、これなかった)。 ⸣アイニ ⸣ウヤ ワ⸢チラース⸣ ッ⸢ふァー⸣ ブ⸢ラーヌ [⸣ʔaini ⸣ʔuja wa⸢ʧiraːsu⸣ f⸢faː⸣ bu⸢raːnu] (あんなに親をてこずらせる<患わせる>子供はいないよ)。 ⸢マー⸣ビン ワ⸢チライヤー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ wa⸢ʧiraijaː⸣ misamunu] (もっと患えばいいのに)。 サ⸢キカーニ⸣ ウ⸢チッ⸣クライティ ⸢ヤン⸣マイ ワ⸢チライ⸣バヒャー [sḁ⸢kikaːni⸣ ʔu⸢ʧik⸣kuraiti ⸢jam⸣mai wa⸢ʧirai⸣baçaː] (酒だけ打ち食らっていて、病を患いっちまえヒャー) 18142 0 0 18208 htmvoc_18142.wav ワッサン ⸢ワッ⸣サン [⸢was⸣saŋ] 形 悪い。よくない。老年層はバ⸢ラ⸣サン[ba⸢ra⸣saŋ](悪い)ともいう。「劣、ワルシ、ワロシ」『色葉字類抄』の転訛したもの。 ⸣バーヤ ⸢ワッ⸣サンティ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢ワーヤ ワッ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [⸣baːja ⸢was⸣santi ʔu⸢muːn⸣du ⸢waːja was⸣saː ⸢naː⸣nu] (私は悪いと思うが、君は悪くない)。 ク⸢レー⸣ カ⸢タチヌ ワッサ⸣ヌ ⸢カーサラヌ [ku⸢reː⸣ kḁ⸢taʧinu wassa⸣nu ⸢kaːsaranu] (これは形が悪くて売れない)。 ⸢オシケー ワッ⸣サ ⸣ナリキー ⸢ナー⸣ヌ [⸢ʔoʃi̥keː was⸣sa ⸣narikiː ⸢naː⸣nu] (天気は悪くなってきてしまった)。 ⸢ワッ⸣サ(ル) ⸣クトー ⸢シー⸣ ミ⸢ラ⸣ヌ [⸢was⸣sa(ru) ⸣ku̥toː ⸢ʃiː⸣ mi⸢ra⸣nu] (悪いことはしたことがない<してみない>)。 カ⸢タチヌ ワッ⸣サカー ⸢カーサラヌ [kḁ⸢taʧinu was⸣sakaː ⸢kaːsaranu] (形が悪ければ売れない) 18143 0 0 18209 htmvoc_18143.wav ワッテー ⸢ワッ⸣テー [⸢wat⸣teː] 名 君の家。貴方の家。\ruby{御宅}{オ|タク}。 ⸢ワッ⸣テヌ ⸣アボー ⸢マー オーッ⸣ター [⸢wat⸣tenu ⸣ʔaboː ⸢maː ʔoːt⸣taː] (お宅<君の家>のお母さんは何処へ行かれたのか)。 ⸢ワッ⸣テーヤ ⸣マナー ア⸢ル⸣ワ [⸢wat⸣teːja ⸣manaː ʔa⸢ru⸣wa] (君の家は何処にあるか)。 ⸢ワッ⸣テーラン ⸢バン⸣テール ⸢ヤーニン⸣ゾー ⸢ゴー⸣ラー(ル) [⸢wat⸣teːram ⸢ban⸣teːru ⸢jaːnin⸣ʣoː ⸢goː⸣raː(ru)] (君の家よりも私の家の方が家族<家人数>は多い) 18144 0 0 18210 htmvoc_18144.wav ワビ ワ⸢ビ [wa⸢bi] 名 \ruby{謝罪}{シャ|ザイ}。\ruby{謝}{アヤマ}ること。 ワ⸢ビ スン [wa⸢bi suŋ] (謝罪する{EOS}詫びをする<謝る>) 18145 0 0 18211 htmvoc_18145.wav ワビルン ワ⸢ビルン [wa⸢biruŋ] 自動 詫びる。謝る。謝罪する。若年層のことば。老年層は⸢アイ⸣マルン[⸢ʔai⸣maruŋ](謝る)という。 ワ⸢ビルンティ⸣ ウ⸢ムーンドゥ⸣ ワ⸢ビララヌ [wa⸢birunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du wa⸢biraranu] (謝ろうと思うが謝れない)。 ⸣バーラ ワ⸢ビ⸣ ミサカー ワ⸢ビル⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸣baːra wa⸢bi⸣ misakaː wa⸢biru⸣ ku̥toː narun⸢daː] (私から謝って良ければ謝ることはできるよ)。 ワ⸢ビレー⸣ ミサムヌ [wa⸢bireː⸣ misamunu] (謝れば良いのに)。 ワ⸢ビリ [wa⸢biri] (謝れ) 18146 0 0 18212 htmvoc_18146.wav ワラワラーッティ ワラワ⸢ラーッティ [warawa⸢raːtti] 副 めらめらと。怒りの感情や衝動が燃え上がるさま。 ウ⸢リバ⸣ シ⸢キティ⸣ シラー ア⸢ガミ⸣ ワラワ⸢ラーッティ クン⸣ゾー ウ⸢ク⸣リティ イ⸢ゾーッ⸣タ [ʔu⸢riba⸣ ʃi̥⸢kiti⸣ ʃiraː ʔa⸢gami⸣ warawa⸢raːtti kun⸣ʣoː ʔu⸢ku⸣riti ʔi⸢ʣoːt⸣ta] (それを聞いて、顔を赤らめ、めらめらと怒りくるって叱られた) 18147 0 0 18213 htmvoc_18147.wav ワリヤイ ワ⸢リ⸣ヤイ [wa⸢ri⸣jai] 名 割合。標準語からの借用語。 ミ⸢ジトゥ⸣ サ⸢タ⸣トゥ ミ⸢リキン⸣ゴー ⸢ギューサ⸣ヌ ワ⸢リ⸣ヤイシ マ⸢ザー⸣シ カ⸢ケース⸣ワ [mi⸢ʤitu⸣ sḁ⸢ta⸣tu mi⸢rikiŋ⸣goː ⸢gjuːsa⸣nu wa⸢ri⸣jaiʃi ma⸢ʣaː⸣ʃi kḁ⸢keːsu⸣wa] (水と砂糖とメリケン粉は幾らの割合で混ぜてかき混ぜるのか) 18148 0 0 18214 htmvoc_18148.wav ワンザ ⸣ワンザ [⸣wanʣa] 代 お前め。貴様。お前野郎。二人称単数の卑称。 ⸣ワンザー ⸣ヌンティ シ⸢グトー⸣ サ⸢ムティ⸣ ア⸢サビ ベー⸣ワ [⸣wanʣaː ⸣nunti ʃi⸢gutoː⸣ sa⸢muti⸣ ʔa⸢sabi beː⸣wa] (貴様<お前め>は何故仕事をしないで遊んでいるのか) 18149 0 0 18215 htmvoc_18149.wav ワンザンメー ⸣ワンザンメー [⸣wanʣammeː] 代 貴様ら。お前めら。お前野郎ども。二人称複数の卑称。 ⸣ワンザンメーヤ カ⸢マー⸣ パリ [⸣wanʣammeːja ka⸢maː⸣ pari] (貴様ら<お前めら>はあっちへ行け) 18150 0 0 18216 htmvoc_18150.wav ワンダーッサン ⸢ワンダーッ⸣サン [⸢wandaːs⸣saŋ] 形 優しい。性格がおとなしい。\ruby{柔和}{ニュウ|ワ}である。 ウ⸢ヌ⸣ プ⸢ソー⸣ イッ⸢ケナ ワンダーッ⸣サン [ʔu⸢nu⸣ pu̥⸢soː⸣ ʔik⸢kena wandaːs⸣saŋ] (この人は非常に大人しい)。 ⸢ワンダーッ⸣サル プ⸢ス⸣ ヤ⸢ルンダ クン⸣ゾー ウ⸢クラ⸣ヌ [⸢wandaːs⸣saru pu̥⸢su⸣ ja⸢runda kun⸣ʣoː ʔu⸢kura⸣nu] (大人しい人だから、怒らない)。 マ⸢ナ⸣マー ⸢ワンダーッ⸣サ ナ⸢リ⸣ブ [ma⸢na⸣maː ⸢wandaːs⸣sa na⸢ri⸣bu] (今は大人しくなっている) 18151 0 1 18217 htmvoc_18151.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 格助 に。{Mn_1}動作の目的を表す。 ⸢ホン⸣(ス⸢ム⸣チ) カ⸢イン⸣ パラ⸢ディー [⸢hoŋ⸣(su⸢mu⸣ʧi) kai⸢m⸣ para⸢diː] (本(書物)を買いに行こうよ)。 シ⸢グトゥ シン クー⸣タ [ʃi⸢gutu ʃiŋ kuː⸣ta] (仕事をしに来た)。 ⸢ウシ⸣トゥン ⸢パン⸣ブン ⸣バキ ッ⸢ふィーリ [⸢ʔuʃi̥tum ⸢pam⸣bum ⸣baki f⸢fiːri] (弟に半分分けてやれ)。 18151 0 2 18218 htmvoc_18151.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 格助 {Mn_2}動作の相手を表す。⸢ナー⸣ニ[⸢naː⸣ni](~に{EOS}~に対して)ということが多い。 ⸣ウヤン ティ⸢ガ⸣ミ ⸣カキバ [⸣ʔujan ti⸢ga⸣mi ⸣kḁkiba] (親に手紙を書けよ)。 ウ⸢ヤン⸣ナーニ ティ⸢ガ⸣ミ ⸣カキバ [ʔu⸢jan⸣naːni ti⸢ga⸣mi ⸣kḁkiba] (親に<当てて{EOS}対して>手紙を書きなさい)。 18151 0 3 18219 htmvoc_18151.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 格助 {Mn_3}受身、使役の相手(動作主)を表す。 ⸣ウヤン イ⸢ザリティ⸣ ナ⸢キ ベー [⸣ʔujaŋ ʔi⸢ʣariti⸣ na⸢ki beː] (親に叱られて泣いている)。 ナ⸢ク⸣カー プ⸢スン⸣ バ⸢ラーリン⸣ダー [na⸢ku⸣kaː pu̥⸢sum⸣ ba⸢raːrin⸣daː] (泣いたら他人に笑われるよ)。 ア⸢ミ⸣カジン フ⸢カ⸣リティ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔa⸢mi⸣kaʤiŋ ɸu̥⸢ka⸣riti ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu] (雨風<台風と大雨>に吹かれて仕事ができない)。 ⸢ウシ⸣トゥン シ⸢ダキ⸣ シ⸢ミリ⸣バ [⸢ʔuʃi̥⸣tuŋ ʃi⸢daki⸣ ʃi⸢miri⸣ba] (弟に先にさせなさいよ) 18152 0 0 18220 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 も。類似したものの中から取り上げて付け加え、並べ立てる意味を表す。「も」を受ける活用語は終止形でむすぶ。 18152 0 0 18221 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_1}名詞に付く。 ウ⸢ブ⸣プスン ヤ⸢ラ⸣ビン ア⸢ツァ⸣マルン [ʔu⸢bu⸣pu̥suɲ ja⸢ra⸣biŋ ʔa⸢ʦa⸣maruŋ] (大人も子供も集まる)。 18152 0 0 18222 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_2}動詞の連用形、形容詞の語幹につく。 ⸢ジーヤ⸣ ユミン サ⸢ヌ [⸢ʤiːja⸣ jumin sa⸢nu] (字は読みもしない)。 ⸢ピッ⸣チン<ノー⸢ン> ⸢カイ⸣ヤン ⸢ナー⸣ヌ [⸢pit⸣ʧiŋ ⸢kai⸣jan ⸢naː⸣nu] (ちっとも美しくもない)。 18152 0 0 18223 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_3}格助詞-ラ[-ra](から)につく。 ⸣ウマーラン ⸣カマーラン プ⸢スヌ⸣ クーン [⸣ʔumaːraŋ ⸣kamaːram pu̥⸢sunu⸣ kuːŋ] (そこからも、あそこからも人が来る)。 18152 0 0 18224 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_4}格助詞-ヌ[-nu](が)に付く。 ク⸢レー バン⸣ヌン ⸣ナルン [ku⸢reː ban⸣nun ⸣naruŋ] (これは私<が>も出来る)。 18152 0 0 18225 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_5}格助詞-ユ[-ju](を)に付く。 ウ⸢リユン⸣ カ⸢リユン ターティナー⸣ン イ⸢ジッツァーシ ベー [ʔu⸢rijuŋ⸣ ka⸢rijun taːtinaː⸣ŋ ʔi⸢ʣitʦaːʃi beː] (この人をも、彼をも、誰彼となく叱り飛ばして<叱り散らして>いる)。 18152 0 0 18226 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_6}格助詞⸣-ナー[⸣-naː](に)に付く。 パ⸢トゥ⸣マナーン イ⸢サナキ⸣ナーン ⸢サンバ⸣シェー ⸣アン [pḁ⸢tu⸣manaːŋ ʔi⸢sanaki⸣naːn ⸢samba⸣ʃeː ⸣ʔaŋ] (鳩間島にも石垣島にも桟橋はある)。 18152 0 0 18227 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_7}格助詞⸣-シ[⸣-ʃi](で)に付く。 ⸣キーシン タ⸢キ⸣シン ス⸢クラ⸣リン [⸣kiːʃin tḁ⸢ki⸣ʃin su̥⸢kura⸣riŋ] (木でも竹でも作れる)。 18152 0 0 18228 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_8}格助詞⸣-トゥ[⸣-tu](と)に付く。 ⸢バン⸣トゥン ⸢ワットゥン⸣ パ⸢ナサ⸣リン [⸢ban⸣tuŋ ⸢wattum⸣ pa⸢nasa⸣riŋ] (私とも君とも話せる<話される>)。 18152 0 0 18229 htmvoc_18152.wav ン ⸢ン [⸢ŋm、n、ŋ、ŋ] 係助 {Exp_9}副助詞⸢-バー⸣キ[⸢-baː⸣ki](まで)につく。 ⸢スー⸣ヤ ク⸢マバー⸣キン ⸢ヌールン [⸢suː⸣ja ku⸢mabaː⸣kin ⸢nuːruŋ] (津波<潮>はここまでも上昇する<上る>) 18153 0 0 18230 htmvoc_18153.wav ンー ⸣ンー [ʔŋː] 感 ええっと。思案する時に発することば。 ⸣ンー ウ⸢レー⸣ ヌーティ ア⸢ズタ⸣メー ⸢バシキ ナーン⸣サー [⸣ʔŋː ʔu⸢reː⸣ nuːti ʔa⸢ʣuta⸣meː ⸢baʃi̥ki naːn⸣saː] (ええっと、それは何と言ったっけ、忘れてしまったよ) 18154 0 0 18231 htmvoc_18154.wav ンー ⸢ン⸣ー [⸢ʔŋ⸣ː] 感 うん。そうだ。同等及び目下の者に対する応諾の返事。 ⸣クビシ ミ⸢サン [⸣kubiʃi mi⸢saŋ] (これだけでいいのか?)。 ⸢ン⸣ー ⸣クビシ<⸣ウビシ> ミサン⸢ダー [⸢ʔŋ⸣ː kubiʃi<⸣ʔubiʃi> misan⸢daː] (うん、これだけで<それだけで>いいよ)。 ⸢ワンヌン⸣ パ⸢ルン [⸢wannum⸣ pa⸢ruŋ] (君も行くか?)。 ⸢ン⸣ー ⸢バン⸣ヌン ⸢マーズン⸣ パルン [⸢ʔm⸣ː ⸢ban⸣num ⸢maːʣum⸣ paruŋ] (うん、僕も一緒にいくよ) 18250 0 0 18232 htmvoc_18250.wav ンーナ ⸢ンーナ [⸢ʔnːna] 接頭 から(空)。何も無いこと。「~丈夫や无奈之久<ムナシク>あるべき~。万4164」の形容詞「むなしく」の語幹が転訛したもの。 ⸢ンーナムヌ [⸢ʔnːnamunu] (空っぽのもの)。 ⸢ンーナティー [⸢ʔnːnatiː] (何も持たない手{EOS}素手{EOS}お土産を持たないこと)。 ⸢ンーナドゥー [⸢ʔnːnaduː] (身一つ{EOS}土産を持参しないこと)。 ⸢ンーナヤー [⸢ʔnːnajaː] (空き家{EOS}人の住まない家)。 ⸢ンーナヤシキ [⸢ʔnːnajaʃi̥ki] (空き屋敷)。 ⸢ンーナムニ [⸢ʔnːnamuni] (むなごと<空言>{EOS}空約束{EOS}実行を伴わない言葉{EOS}「~小野に標結う空言毛<ムナゴトモ>~{EOS}万、3063」の転訛したものか)。 ⸢ンーナティル [⸢ʔnːnatiru] (空っぽの\ruby{笊}{ザル})。 イ⸢ソー⸣ラ ⸢ンーナフニ カイ⸣リ ⸣ケーン [ʔi⸢soː⸣ra ⸢ʔnːnaɸuni kai⸣ri ⸣keːŋ] (漁から空舟<一匹も漁獲しない>で帰ってきた) 18251 0 0 18233 htmvoc_18251.wav ンーナ ⸢ンー⸣ナ [⸢ʔnː⸣na] 名 うんち。乳幼児の糞便。乳幼児の両腿を前向きに抱いて便器に向かい、排便を促す時にいう語。⸢ンー⸣ナ ⸢ンー⸣ナ[⸢ʔnː⸣na ⸢ʔnː⸣na]と力んで言いながら排便を促す 18252 0 0 18234 htmvoc_18252.wav ンーナー ⸢ンー⸣ナー [⸢ʔnː⸣naː] 名 (幼児語)ねんね。寝ること。⸢ンー⸣ナー⸢ヨー ンー⸣ナー⸢ヨー[⸢ʔnː⸣naː⸢joː ʔnː⸣naː⸢joː](寝んねしな、寝んねしな)といいながら、母親は子供の肩を軽くたたいたり、さすったりして寝せつけた 18253 0 0 18235 htmvoc_18253.wav ンーナアーリ ⸢ンーナアーリ [⸢ʔnːnaʔaːri] 名 空騒ぎ。騒ぎ立てるだけで何の効果もないこと。「\ruby{空}{カラ}・\ruby{慌}{アワ}て」の義。 ⸢ンーナアーリ サンドー⸣シ ⸣ユー ウ⸢ティ⸣シキティ ⸢トゥンザ⸣ク ⸢シー⸣バ [⸢ʔnːnaʔaːri sandoː⸣ʃi ⸣juː ʔu⸢ti⸣ʃi̥kiti ⸢tunʣa⸣ku ⸢ʃiː⸣ba] (空騒ぎしないで、よく落ち着いて看病しなさいよ) 18254 0 0 18236 htmvoc_18254.wav ンーナアウリ ⸢ンーナアウリ [⸢ʔnːnaʔauri] 名 徒労。無駄な苦労。むだぼねおり(無駄骨)。 ⸣アドーラ ⸣シンニン フ⸢チ⸣ル ⸢カインティ⸣ ケーンドゥ シ⸢ナギリ⸣ シ⸢ティ カーラヌ ンーナアウリ シー ナー⸣ヌ [⸣ʔadoːra ⸣ʃinniŋ ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢kainti⸣ keːndu ʃi⸢nagiri⸣ ʃi̥⸢ti kaːranu ʔnːnaʔauri ʃiː naː⸣nu] (あんなに遠くから、わざわざ薬を買いに来たけど、品切れして買えない{EOS}無駄骨折になってしまった) 18255 0 0 18237 htmvoc_18255.wav ンーナイキ ⸢ンーナイキ [⸢ʔnːnaʔiki] 名 こん睡状態。意識がなく、ただ呼吸だけしている状態。「空しい息<\ruby{空息}{カラ|イキ}>」の義。カ⸢ライキ[ka⸢raʔiki](空息{EOS}こん睡状態)ともいう。 ナー⸢イ ンーナイキバル シー オー⸣ル ナ⸢ガムテー ソーラン⸣ パジ [naː⸢ji ʔnːnaʔikibaru ʃiː ʔoː⸣ru na⸢gamuteː soːram⸣paʤi] (意識がなく、ただ呼吸だけを<ぞ>しておられる{EOS}最期が近い<長持ちはされない>はずだ) 18283 0 0 18238 htmvoc_18283.wav ンーナイバリ ⸢ンーナイバリ [⸢ʔnːnaʔibari] 名 からいばり(空威張り)。実力がないのに、強がること。虚勢を張ること。カ⸢ライバリ[ka⸢raʔibari](空威張り)ともいう。 ⸢ジーヤ⸣ ユミ⸢サムティ⸣ シザ ヤ⸢ルバ⸣ティ ⸢シー ンーナイバリ⸣カー⸢ニ シー ベー [⸢ʤiːja⸣ jumi⸢samuti⸣ ʃiʣa ja⸢ruba⸣ti ⸢ʃiː ʔnːnaʔibari⸣kaː⸢ni ʃiː beː] (文字は読めないのに、年上だからといって、空威張りだけしているよ)。 ⸣ヤコー タ⸢タ⸣ムティ フ⸢チブシ⸣ ナリ ⸢ンーナイバリ シェー⸣ティ ⸢アー⸣ク [⸣jakoː tḁ⸢ta⸣muti ɸu̥⸢ʧibuʃi⸣ nari ⸢ʔnːnaʔibari ʃeː⸣ti ⸢ʔaː⸣ku] (何の役にも立たないくせに、くちだっしゃ<口達者{EOS}「口武士」の義>になって、\ruby{虚勢}{キョ|セイ}を張って<空威張りして>いる) 18257 0 0 18239 htmvoc_18257.wav ンーナウムイ ⸢ンーナウムイ [⸢ʔnːnaʔumui] 名 報いられない愛情。報いられない思い。空しい愛情。 プ⸢スヌ⸣ ッ⸢ふァ⸣ ウ⸢ムイ⸣ヤー ⸢ンーナウムイ⸣ティル ム⸢カ⸣シパナシェー アル⸢ダー [pu̥⸢sunu⸣ f⸢fa⸣ ʔu⸢mui⸣jaː ⸢ʔnːnaumui⸣tiru mu⸢ka⸣ʃipanaʃeː ʔaru⸢daː] (他人の子供を慈しみ可愛がるのは報いられない愛情だと昔の言葉にはあるよ) 18258 0 0 18240 htmvoc_18258.wav ンーナカク ⸢ンーナカク [⸢ʔnːnakaku] 名 空き屋敷。「空郭」の義。 ⸣シンタヌ ⸢ンーナカク⸣ナー ⸣バサ イ⸢ビ⸣ シケー [⸣ʃintanu ⸢ʔnːnakaku⸣naː ⸣basa ʔi⸢bi⸣ ʃi̥keː] (後ろの空き屋敷に芭蕉を植えてある)。 ⸣キサー ⸢ンーナカコー ⸢ナン⸣ゾー ⸢ナーン⸣シェンドゥ プ⸢スヌ⸣ ピ⸢ナルター⸣ マ⸢ナ⸣マー ⸢ンーナカクンドゥ ゴー⸣ラー [⸣ki̥saː ⸢ʔnːnakakoː nan⸣ʣoː ⸢naːŋ⸣ʃendu pu̥⸢sunu⸣ pi⸢narutaː⸣ ma⸢na⸣maː ⸢ʔnːnakakundu goː⸣raː] (以前は空き屋敷は、あまりなかったが、人が減ったので、今は空き屋敷が多い)。 プ⸢スヌ⸣ ブ⸢ラーン ヤシキ⸣バ ム⸢カ⸣シプソー ⸢ンーナカク⸣ティ ア⸢ゾーッ⸣タ [pu̥⸢sunu⸣ bu⸢raːɲ jaʃi̥ki⸣ba mu⸢ka⸣ʃipu̥soː ⸢ʔnːnakaku⸣ti ʔa⸢ʣoːt⸣ta] (人のいない屋敷を昔の人はンーナカクといわれた) 18259 0 0 18241 htmvoc_18259.wav ンーナガラ ⸢ンーナガラ [⸢ʔnːnagara] 名 ぬけがら(抜け殻)。中身のない、空っぽの殻。 ⸣サザミナー ⸢ネーシ ミーヤ⸣ ン⸢ザ⸣シ ⸣トゥリ ッ⸢ふァイティ ンーナガラン⸣<⸢ンーナグルン⸣> ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢カーシタン [⸣saʣaminaː ⸢neːʃi miːja⸣ ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣turi f⸢faːti ʔnːnagaraŋ⸣<⸢ʔnːnaguruŋ⸣> ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢kaːʃi̥taŋ] (さざえ<栄螺>貝は煮て中身を取り出して食べて、空っぽの貝殻も集めて売ったものだ) 18260 0 0 18242 htmvoc_18260.wav ンーナキム ⸢ンーナキム [⸢ʔnːnakimu] 名 愛情のない心。誠意のない心や気持ち。「空<ムナ>肝」の義。 ⸢ンーナキム⸣シ フ⸢チヌ⸣ パ⸢タ⸣シ パ⸢ナ⸣スンダ ウ⸢リヌ⸣ ムネー ⸢シンヨー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔnːnakimu⸣ʃi ɸu̥⸢ʧinu⸣ pḁ⸢ta⸣ʃi pa⸢na⸣sunda ʔu⸢rinu⸣ muneː ⸢ʃiŋjoː⸣ na⸢ra⸣nu] (誠意のない心で、口先だけで話すから、彼の話は信用できない) 18261 0 0 18243 htmvoc_18261.wav ンーナグル ⸢ンーナグル [⸢ʔnːnaguru] 名 身の抜けた貝殻。空っぽの\ruby{甲羅}{コウ|ラ}。マキガイの\ruby{殻}{カラ}。中身の入っていない殻。⸢ンーナガラ[⸢ʔnːnagara](\ruby{抜}{ヌ}け\ruby{殻}{ガラ})ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ヤ⸢ラ⸣ビンケーヤ シ⸢ダミ⸣ヌ ⸢ンーナグルバ⸣ ア⸢ツァ⸣ミティ シ⸢ビバ アー⸣シティ ⸢ピッツァ⸣シ ア⸢サブタン [mu⸢ka⸣ʃeː ja⸢ra⸣biŋkeːja ʃi⸢dami⸣nu ⸢ʔnːnaguruba⸣ ʔa⸢ʦa⸣miti ʃi⸢biba ʔaː⸣ʃi̥ti ⸢pitʦa⸣ʃi ʔa⸢sabutaŋ] (昔は、子供たちはカタツムリ<蝸牛>の抜け殻を集めて、蝸牛の尻を突っつき合わせて、潰しあって遊んだものだ)。 ⸣アミツァヌ ⸢ンーナグル [⸣ʔamiʦanu ⸢ʔnːnaguru] (ヤドカリの抜け殻) 18262 0 0 18244 htmvoc_18262.wav ンーナサー ⸢ンーナサー [⸢ʔnːnasaː] 名 からちゃ(空茶)。茶だけだすこと。⸢サー⸣フキ[⸢saː⸣ɸu̥ki](茶請け)、茶の子の出ないお茶。 ノー⸢ン ナーヌ⸣ヌ ⸢ンーナサーンツァン⸣ ヌミティ ⸢オー⸣リバ [noː⸢n naːnu⸣nu ⸢ʔnːnasaːnʦan⸣ numiti ⸢ʔoː⸣riba] (何もありませんが、からちゃ<空茶>だけでも飲んでお帰りなさいませ<おわしませ>) 18263 0 0 18245 htmvoc_18263.wav ンーナサニヤ ⸢ンーナサニヤ [⸢ʔnːnasanija] 名 ぬかよろこび(\ruby{糠喜}{ヌカ|ヨロコ}び)。あてがはずれて、喜びが無駄になること。 ⸣シケン カ⸢カ⸣レーンティ シ⸢キティ⸣ サ⸢ニヤ シー ベータン⸣ドゥ カ⸢カラン⸣シェンティバーヤ プ⸢スバ ンーナサニヤ⸣ シ⸢ミティ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [⸣ʃi̥keŋ kḁ⸢ka⸣reːnti ʃi̥⸢kiti⸣ sa⸢nija ʃiː beːtan⸣du kḁ⸢karaŋ⸣ʃeːntibaːja pu̥⸢suba ʔnːnasanija⸣ ʃi⸢miti⸣ nuːja ʔu⸢reː] (試験に合格した<かかった>と聞いて喜んでいたが、合格し<かから>なかったそうな{EOS}人を糠喜びさせて何事か) 18264 0 0 18246 htmvoc_18264.wav ンーナジー ⸢ンーナジー [⸢ʔnːnaʤiː] 名 空き地。耕作してない土地。さらち(更地)。 ⸢アッ⸣タル パ⸢タキ⸣バ ⸢ンーナジー⸣ ナ⸢サン⸣ドーシ ⸣ウン ヤ⸢ラバン⸣ イ⸢ビ⸣バ [⸢ʔat⸣taru pḁ⸢taki⸣ba ⸢ʔnːnaʤiː⸣ na⸢san⸣doːʃi ⸣ʔuŋ ja⸢rabaŋ⸣ ʔi⸢bi⸣ba] (もったいない<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{可惜}{アタラ}{EOS}あたら>畑を空き地にしておかないで、芋でも植えなさいよ) 18272 0 1 18247 htmvoc_18272.wav ンーナシゥカイ ⸢ンーナシゥカイ [⸢ʔnːnasi̥kai] 名 {Mn_1}無駄遣い。 ウ⸢リン⸣ ジン ム⸢タ⸣スカー ⸢ンーナシゥカイル スンダ⸣ ム⸢タス⸣ナ⸢ヨー [ʔu⸢rin⸣ ʣim mu⸢ta⸣sukaː ⸢ʔnːnasi̥kairu sunda⸣ mu⸢tasu⸣na⸢joː] (彼にお金を持たせると無駄遣いをするので、持たせるなよ)。 18272 0 2 18248 htmvoc_18272.wav ンーナシゥカイ ⸢ンーナシゥカイ [⸢ʔnːnasi̥kai] 名 {Mn_2}ただ使い(徒使い)。無報酬で使用すること。 ウ⸢ヌ⸣ ッ⸢ふァー⸣ マ⸢チヤー⸣ナ ⸢ンーナシゥカイ⸣ シ⸢ラリ ベー [ʔu⸢nu⸣ f⸢faː⸣ ma⸢ʧijaː⸣na ⸢ʔnːnasi̥kai⸣ ʃi⸢rari beː] (その子はお店でただづかい<徒使い{EOS}無報酬で使用>させられている) 18273 0 0 18249 htmvoc_18273.wav ンーナシゥカナイ ⸢ンーナシゥカナイ [⸢ʔnːnasi̥kanai] 名 無益な養育。養い甲斐のない養育。役に立たない飼育。「空・養い」の義。 ⸢コー⸣マ ナ⸢サ⸣ン トゥ⸢ルバ ンーナシゥカナイ シーベー [⸢koː⸣ma na⸢sa⸣n tu⸢ruba ʔnːnasi̥kanai ʃiːbeː] (卵を産まない鶏を無駄に飼育している)。 ウ⸢ヤ⸣ヌ ブ⸢ラーン⸣ ッ⸢ふァバ⸣ ア⸢タラ⸣サ ⸢シー⸣ シゥ⸢カ⸣ナイ フ⸢ドゥバシェーン⸣ドゥ ムー⸢ル⸣ ンジパリティ ⸢ンーナシゥカナイ⸣ ナリ ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢ja⸣nu bu⸢raːn⸣ f⸢faba⸣ ʔa⸢tara⸣sa ⸢ʃiː⸣ si̥⸢ka⸣nai ɸu⸢dubaʃeːn⸣du muː⸢ru⸣ ʔnʤipariti ⸢ʔnːnasi̥kanai⸣ nari ⸢naː⸣nu] (親のいない子供を可愛がって養い育てたが、みんな出て行ってしまって、無益な養育になってしまった) 18268 0 0 18250 htmvoc_18268.wav ンーナシニ ⸢ンーナシニ [⸢ʔnːnaʃini] 名 むだじに(無駄死に)。いぬじに。\ruby{徒死}{ト|シ}。「むなしに(空死に)」の義。 ⸢アウ⸣リ ⸢シー モー⸣ケール ⸢ジン⸣マー シゥ⸢カームティ⸣ マ⸢ナ⸣マ シ⸢ヌ⸣カー ⸢ンーナシニゲ⸣ラ [⸢ʔau⸣ri ⸢ʃiː moː⸣keːru ⸢ʤim⸣maː si̥⸢kaːmuti⸣ ma⸢na⸣ma ʃi⸢nu⸣kaː ⸢ʔnːnaʃinige⸣ra] (難儀苦労をして儲けたお金を使わずに、今死んだら無駄死にさ) 18265 0 0 18251 htmvoc_18265.wav ンーナシマ ⸢ンーナシマ [⸢ʔnːnasima] 名 無人島。「むな<空>島」の義。 イ⸢クサ⸣ユーナー パ⸢トゥ⸣マプソー ムー⸢ル パイ⸣ター ヒ⸢ナン⸣ シ⸢ミラリティ⸣ シマー ⸢ンーナシマ⸣ ナ⸢リ⸣ ブタル [ʔi⸢kusa⸣juːnaː pḁ⸢tu⸣mapu̥soː muː⸢ru pai⸣taː çi⸢naŋ⸣ ʃi⸢mirariti⸣ ʃimaː ⸢ʔnːnaʃima⸣ na⸢ri⸣ butaru] (戦争中に鳩間島の人はみんな西表島北岸に避難させられて、島は無人島<空島>になっていたよ) 18266 0 0 18252 htmvoc_18266.wav ンーナシル ⸢ンーナシル [⸢ʔnːnaʃiru] 名 からじる(空汁)。実のないお汁。具のないお汁。澄まし汁。おすまし。重湯。 ⸢スー⸣ヌ ⸢ミーヤ⸣ ッ⸢ふァイキサリティ ンーナシル タン⸣ガ ヌ⸢カ⸣リ ⸢ベー [⸢suː⸣nu ⸢miːja⸣ f⸢faikisariti ʔnːnaʃiru taŋ⸣ga nu⸢ka⸣ri ⸢beː] (お汁の実は食べつくされて、澄まし汁<空汁>だけが残っている) 18267 0 0 18253 htmvoc_18267.wav ンーナシン ⸢ンーナシン [⸢ʔnːnaʃiŋ] 名 手ぶら。素手。手に何も持たずに他人の家に行くこと。土産を持参しないこと。 ア⸢バティティ ンーナシンル⸣ ケー⸢ダー⸣ アトーラル ⸢ヨイヌ⸣ ムノー ⸣ムティ キ⸢ラリ⸣ル [ʔa⸢batiti ʔnːnaʃinru⸣ keː⸢daː⸣ ʔatoːraru ⸢joinu⸣ munoː ⸣muti ki⸢rari⸣ru] (急いだので<慌てて>手ぶらで来ましたよ{EOS}後から<ぞ>お祝いのものは持ってきます<持って来られる>) 18269 0 0 18254 htmvoc_18269.wav ンーナソー ⸢ンーナソー [⸢ʔnːnasoː] 名 取り越し苦労。無駄な心配。\ruby{杞憂}{キ|ユウ}。 プ⸢スヌ ンーナソー サンドー⸣シ ⸢ドゥー⸣ヌ ⸢ミー⸣ヌ ⸣マイヌ ク⸢トゥ⸣バ ⸢カンガイ⸣リ [pu̥⸢sunu ʔnːnasoː sandoː⸣ʃi ⸢duː⸣nu ⸢miː⸣nu ⸣mainu ku̥⸢tu⸣ba ⸢kaŋgai⸣ri] (他人の取り越し苦労をしないで、自分の目の前のことを考えなさい<考えれ>) 18270 0 0 18255 htmvoc_18270.wav ンーナタルガキ ⸢ンーナタルガキ [⸢ʔnːnatarugaki] 名 むなだのみ(空頼み)。そらだのみ。「Soradanomi.ソラダノミ(空頼み) 空しい期待」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢リヌ⸣ ム⸢ニ⸣バ シ⸢キティ⸣ タ⸢ルガキ ベーン⸣ドゥ ⸢ンーナタルガキ⸣ ナ⸢ラン⸣カヤー ⸢ナーレー [ʔu⸢rinu⸣ mu⸢ni⸣ba ʃi̥⸢kiti⸣ ta⸢rugaki beːn⸣du ⸢ʔnːnatarugaki⸣ na⸢raŋ⸣kajaː ⸢naːreː] (彼の言葉を真に受けて<聞いて>、当てにしているが、当て外れ<むなだのみ{EOS}空頼み>になるのではないのかな、それは) 18284 0 0 18256 htmvoc_18284.wav ンーナッふァイ ⸢ンーナッふァイ [⸢ʔnːnaffai] 名 無駄飯を食うこと。徒食。 ム⸢カ⸣シェー トゥ⸢シ⸣ トゥリティ ⸢ウーキユーサン⸣ ナルカー ⸢ンーナッふァイ シームヌ⸣ティ シー イ⸢ザリ⸣ バスン ⸢アッ⸣タンティ⸢ダー [mu⸢ka⸣ʃeː tu̥⸢ʃi⸣ turiti ⸢ʔuːkijuːsan⸣ narukaː ⸢ʔnːnaffai ʃiːmunu⸣ti ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢ʣari⸣ basuŋ ⸢ʔat⸣tanti⸢daː] (昔は年を取って働けなくなると、無駄飯食いをする者と叱られる時もあったそうだよ) 18271 0 0 18257 htmvoc_18271.wav ンーナテイー ⸢ンーナテイー [⸢ʔnːnatiː] 名 むなで(空手)。何も持たない手。手ぶら。すで。「\ruby{倶}{トモ}に利を得ず。空手<むなて>にして帰る」『日本書紀 神代下』の転訛したもの。 ⸢ンーナティー⸣シェー ⸣ヨイ ⸢シンマー⸣ パ⸢ララ⸣ヌ ノー⸢ン ヨイヌ⸣ムヌ ス⸢コーリル⸣ パ⸢ラ⸣リ [⸢ʔnːnatiː⸣ʃeː ⸣joi ⸢ʃimmaː⸣ pa⸢rara⸣nu noː⸢ɲ joinu⸣munu su̥⸢koːriru⸣ pa⸢ra⸣ri] (手ぶらではお祝いをしには行かれない{EOS}何か祝儀<祝いのもの>を準備して<ぞ>行かれる) 18365 0 0 18258 htmvoc_18365.wav ンーナティー ⸢ンーナティー [⸢ʔnːnatiː] 名 手ぶら。すで(素手)。むなで(空手)。からて。手に何も持たないで余所の家を訪ねる際にいう。「~岩間の真菰<まこも>刈りかねてむなで<空手>に過ぐる~。」『山家集上』の転訛したものか。 ドゥ⸢ク⸣ヌ サ⸢ニ⸣ヤティ ア⸢バティティ ンーナティール⸣ ケー⸢ダー [du⸢ku⸣nu sa⸢ni⸣jati ʔa⸢batiti ʔnːnatiːru⸣ keː⸢daː] (余りの嬉しさに、急いで手ぶらで来てしまったのですよ) 18274 0 0 18259 htmvoc_18274.wav ンーナドゥー ⸢ンーナドゥー [⸢ʔnːnaduː] 名 手ぶら。何も持たない体。何も持参しない体(胴)。「むな(空)・胴」の義。 ア⸢マ⸣ヌ サ⸢ニ⸣ヤティ ア⸢バティティ ンーナドゥール⸣ ケー⸢ダー⸣ アトーラル ⸢ヨイヌ⸣ ムノー ⸢オーサリル [ʔa⸢ma⸣nu sa⸢ni⸣jati ʔa⸢batiti ʔnːnaduːru⸣ keː⸢daː⸣ ʔatoːraru ⸢joinu⸣ munoː ⸢ʔoːsariru] (あまりの嬉しさで、慌てて取り敢えず、手ぶらで来たんですよ{EOS}後から<ぞ>お祝いのものは差し上げます) 18275 0 0 18260 htmvoc_18275.wav ンーナトン ⸢ンーナトン [⸢ʔnːnatoŋ] 名 空き地。何もない所。 プ⸢スヌ ヤー⸣ヌ ノー⸢ン ナーン⸣ トンーナール ⸢ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣シケーバン⸢ナー [pu̥⸢sunu jaː⸣nu noː⸢n naːn⸣ tonnaːru ⸢jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʃi̥keːban⸢naː] (人の家が何もない所に家を造ってあるのだ<わい>ねえ) 18276 0 0 18261 htmvoc_18276.wav ンーナナキ ⸢ンーナナキ [⸢ʔnːnanaki] 名 そらなき(空泣き)。うそ泣き。泣くまね。 ヤ⸢ラ⸣ビザーン パ⸢ナン⸣ギ ⸢シーティル ンーナナキ シー ベー⸣カヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ソーナキル シー ベー⸣バン ⸣ヌヤー [ja⸢ra⸣biʣaːm pa⸢naŋ⸣gi ⸢ʃiːtiru ʔnːnanaki ʃiː beː⸣kajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢soːnakiru ʃiː beː⸣ban ⸣nujaː] (子供同士で悪戯して<ぞ>空泣きしているかと思ったのに、本当に泣いているんだわい{EOS}なあんだよ) 18277 0 0 18262 htmvoc_18277.wav ンーナナダ ⸢ンーナナダ [⸢ʔnːnanada] 名 そらなみだ(空涙)。見せ掛けだけの涙。 ⸢ソーナキ シー ベー⸣ン ⸢コーラ⸣シ ⸢ンーナナダ⸣ ウ⸢タ⸣シ ⸢ベーン⸣ティ ミリ⸢ミー [⸢soːnaki ʃiː beː⸣ŋ ⸢koːra⸣ʃi ⸢ʔnːnanada⸣ ʔu⸢ta⸣ʃi ⸢beːn⸣ti] (本当に泣いているふりして、空涙を流し<落とし>ているさ、見てごらんよ) 18278 0 0 18263 htmvoc_18278.wav ンーナナンギ ⸢ンーナナンギ [⸢ʔnːnanaŋgi] 名 \ruby{徒労}{ト|ロウ}。\ruby{無駄骨}{ム|ダ|ボネ}。「むな(空)・難儀」の義。 ⸢ナン⸣ギ ⸢シー⸣ ガ⸢ラ⸣シ ⸣ケー イ⸢ズン カーサラムティ⸣ ッサラシ ⸢ンーナナンギ シーナー⸣ヌ [⸢naŋ⸣gi ⸢ʃiː⸣ ga⸢ra⸣ʃi ⸣keː ʔi⸢ʣuŋ kaːsaramuti⸣ ssaraʃi ⸢ʔnːnanaŋgi ʃiːnaː⸣nu] (難儀して網で漁獲してきた魚も腐らせてしまって、無駄骨を折ってしまった) 18290 0 0 18264 htmvoc_18290.wav ンーナニガイ ⸢ンーナニガイ [⸢ʔnːnanigai] 名 無駄な願いごと。役に立たない頼みごと。 ウ⸢リンナー⸣ニ タ⸢ナム⸣タンティン ⸢ンーナニガイル⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ タ⸢ナマン⸣モー マ⸢シ [ʔu⸢rinnaː⸣ni ta⸢namu⸣tantin ⸢ʔnːnanigairu⸣ ja⸢runda⸣ ta⸢namam⸣moː ma⸢ʃi] (彼に頼んでも無駄な願いごとだから、頼まないのが増しだ) 18280 0 0 18265 htmvoc_18280.wav ンーナバタ ⸢ンーナバタ [⸢ʔnːnabata] 名 空腹。空きっ腹。「むな(空)・腹」の義。⸢ンーナバタ⸣ナー サ⸢キ⸣ ヌ⸢マ⸣ス ⸣ムノー ア⸢ラ⸣ヌ ヤー⸢ディン⸣ カ⸢ティ⸣ムノー ッ⸢ふァーシェー⸣ティル ヌ⸢マ⸣ス⸢ダー[⸢ʔnːnabata⸣naː sḁ⸢ki⸣ nu⸢ma⸣su ⸣munoː ʔa⸢ra⸣nu jaː⸢diŋ⸣ kḁ⸢ti⸣munoː f⸢faːʃeː⸣tiru nu⸢ma⸣su⸢daː](\ruby{空}{ス}きっ腹に酒を飲ませるものではない{EOS}必ずおかず<かてもの(\ruby{糅}{カ}て物)の義。「雑、マジフ・カサヌ・カツ」『類聚名義抄』の転訛したものか>を食べさせながら<ぞ>飲ませるのだよ) 18281 0 0 18266 htmvoc_18281.wav ンーナパタラキ ⸢ンーナパタラキ [⸢ʔnːnapataraki] 名 \ruby{徒労}{ト|ロウ}。ただ働き。無駄骨。「むな(空)・働き」の義。 ヤ⸢ラ⸣ビ ⸢シェーン⸣ケンマー グ⸢ニンヌ⸣アイ ウ⸢ヤカタ⸣ヌ ⸣ヤーナ ⸢ンーナパタラキバ シー ベー⸣タ [ja⸢ra⸣bi ⸢ʃeːŋ⸣kemmaː gu⸢ninnu⸣ ʔai ʔu⸢jakata⸣nu ⸣jaːna ⸢ʔnːnapatarakiba ʃiː beː⸣ta] (子供の頃は、五年間親方の家でただ働きをしていた) 18282 0 0 18267 htmvoc_18282.wav ンーナパナシ ⸢ンーナパナシ [⸢ʔnːnapanaʃi] 名 無駄話。何の役にも立たない話。「むな(空)・話」の義。 ウ⸢レー ミーヌ⸣ アル パ⸢ナ⸣シェー サ⸢ムティ ンーナパナシ⸣ カー⸢ニル スー⸠ツォー [ʔu⸢reː miːnu⸣ ʔaru pa⸢na⸣ʃeː sa⸢muti ʔnːnapanaʃi⸣ kaː⸢niru suː⸠ʦoː] (彼は中身のある<内容のある>話はしないで、無駄話だけするんですよ) 18279 0 0 18268 htmvoc_18279.wav ンーナバライ ⸢ンーナバライ [⸢ʔnːnabarai] 名 意味のない笑い。\ruby{薄笑}{ウス|ワラ}い。「むな(空)・笑い」の義。 ⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ナー ⸢ンーナバライバ シー ベー⸣ヌ ⸢ソープス⸣カヤー [⸣nuːteː ⸢naː⸣naː ⸢ʔnːnabaraiba ʃiː beː⸣nu ⸢soːpu̥su⸣kajaː] (訳も分からず<何とはなしに>薄笑いをしているが、まとも<\ruby{SqBr}g{/SqBr}{真面}{マトモ}>な人だろうか) 18285 0 0 18269 htmvoc_18285.wav ンーナフチ ⸢ンーナフチ [⸢ʔnːnaɸu̥ʧi] 名 よそ(余所)から来た人に何も食べさせないで帰すこと。「むな(空)・口」の義。 アガ⸢ヤー⸣ アドーラ ⸣ケー ⸣ムヌバ ノー⸢ン⸣ ッ⸢ふァーサナ ンーナフチル⸣ パ⸢ラシター [ʔaga⸢jaː⸣ ʔadoːra ⸣keː ⸣munuba noː⸢ŋ⸣ f⸢faːsanaː ʔnːnaɸu̥ʧiru⸣ pa⸢raʃi̥taː] (ああ、可哀相に、あんなに遠い所から来たのに、何も食べさせないで<空口>で帰したのか) 18286 0 0 18270 htmvoc_18286.wav ンーナブンギ ⸢ンーナブンギ [⸢ʔnːnabuŋgi] 名 無益な恩義。「むな(空)・恩義」の義。 ⸣アイニ フ⸢コーラサ ソーラン⸣ ブ⸢リ⸣バ ⸢カイ⸣テー ⸢ンーナブンギバ⸣ カ⸢バ⸣シ ⸢オーラ⸣シ ⸢ナーン⸣ムヌ ⸢ソール⸣ シ⸢ラリバン⸣メー [⸣ʔaini ɸu̥⸢koːrasa soːram⸣ bu⸢ri⸣baː ⸢kai⸣teː ⸢ʔnːnabuŋgiba⸣ ka⸢ba⸣ʃi ⸢ʔoːra⸣ʃi ⸢naːm⸣munu ⸢soːru⸣ ʃi⸢raribam⸣meː] (そんなにお礼をなさらないで下さい{EOS}却って無益な恩義をお掛けして<被らせて>しまったようで<ものを>、心配で<心配がされま>すよ、もう)。 タ⸢ナマン⸣シェータカー ⸣ミサタムヌ ⸢ンーナブンギ⸣ カビ ⸢ザーパイ⸣ユン [ta⸢namaŋ⸣ʃeːtakaː ⸣misatamunu ⸢ʔnːnabuŋgi⸣ kabi ⸢ʣaːpai⸣juŋ] (頼まなかったらよかったのに、無益な恩義を被ってしまって困ったものだ) 18287 0 0 18271 htmvoc_18287.wav ンーナマーリ ⸢ンーナマーリ [⸢ʔnːnamaːri] 名 空回り。「むな(空)・回り」の義。 ク⸢マ⸣ヌ ⸣ニジェー シ⸢マ⸣リ ブ⸢ラーンバン ンーナマリル<カ⸢ラマーリル> シー ベー⸣バン [ku⸢ma⸣nu ⸣niʤeː ʃi⸢ma⸣ri bu⸢raːmban ʔnːnamaːriru ʃiː beː⸣baŋ] (ここのネジ<螺子>は締まっていないよ{EOS}空回り<ぞ>しているわい) 18288 0 0 18272 htmvoc_18288.wav ンーナマギー ⸢ンーナマギー [⸢ʔnːnamagiː] 名 うどのたいぼく(\ruby{独活}{ウ|ド}の大木)。身体だけ大きくて役に立たない人や物。 ウ⸢レー⸣ フ⸢ドー マイ⸣ヤンドゥ ⸢ンーナマギール⸣ ヤ⸢ル⸣ ノー⸢ン シーサヌ [ʔu⸢reː⸣ ɸu⸢doː mai⸣jandu ⸢ʔnːnamagiːru⸣ ja⸢ru⸣ noː⸢ŋ ʃiːsanu] (彼は体は大きいが、図体だけが大きいのであって、何の役にも立たない<何も出来ない>) 18289 0 0 18273 htmvoc_18289.wav ンーナマティ ⸢ンーナマティ [⸢ʔnːnamati] 名 まちぼうけ(\ruby{待}{マ}ち\ruby{惚}{ボウ}け)。待っていた人が遂に来ないこと。「むな(空)・待ち」の義。 ⸢イー ピントーバ⸣ ウ⸢ヤーンチ⸣ジ ⸣マティ ⸢ベータン⸣ドゥ ⸢パン⸣クリ ⸢ナーン⸣ティバン ⸢ンーナマティバル シー⸣ ブ⸢レー⸣バン [⸢ʔiː pintoːba⸣ ʔu⸢jaːnʧi⸣ʤi ⸣mati ⸢beːtan⸣du ⸢paŋ⸣kuri ⸢naːn⸣tiban ⸢ʔnːnamatibaru ʃiː⸣ bu⸢reː⸣baŋ] (良い返事を念願して待っていたが、断られ<跳ね返っ>てしまったそうだ{EOS}待ち\ruby{惚}{ボウ}けを食らって<無駄な期待で待って>いたようだ) 18366 0 0 18274 htmvoc_18366.wav ンーナムドゥル ⸢ンーナムドゥル [⸢ʔnːnamuduru] 名 手ぶらで戻ること。何も釣れないで漁から戻ること。出漁して空船で戻ること。「\ruby{空戻}{カラ|モド}り」。 イ⸢ソー パッタ⸣ヌ ⸢ンーナムドル シー⸣ ケーバン [ʔi⸢soː patta⸣nu ⸢ʔnːnamuduru ʃiː⸣ keːbaŋ] (漁に行ったが手ぶらで戻ってきているわい) 18291 0 0 18275 htmvoc_18291.wav ンーナムニ ⸢ンーナムニ [⸢ʔnːnamuni] 名 無駄口。お喋り。中身のない話。そらごと(空言)。 ⸢ンーナムニ⸣ カー⸢ニ⸣ ア⸢ザンドー⸣シ ⸢パー⸣ク パ⸢タラキ [⸢ʔnːnamuni⸣ kaː⸢ni⸣ ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi ⸢paː⸣ku pḁ⸢taraki] (無駄口ばかりたたかないで、早く働け)。 ウ⸢レー ンーナムニ⸣ カー⸢ニル⸣ ア⸢ズ ピッ⸣チン ⸣キモー ⸢ナー⸣ヌ [ʔu⸢reː ʔnːnamuni⸣ kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣu pit⸣ʧiŋ ⸣kimoː ⸢naː⸣nu] (彼は内容の伴わない言葉だけをいう{EOS}ちっとも心がこもってい<肝が>ない) 18292 0 0 18276 htmvoc_18292.wav ンーナムヌ ⸢ンーナムヌ [⸢ʔnːnamunu] 名 空っぽの物。中身が何もないもの。「むな(空)・物」の義。 ⸣バー ⸢ジンフク⸣ロー ⸢ンーナムヌ⸣<カ⸢ラフクル⸣> ナリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣baː ⸢ʤiŋɸu̥ku⸣roː ⸢ʔnːnamunu⸣ nari ⸢naː⸣nu] (私の財布<銭袋>は空っぽになってしまった)。 ク⸢レー ンーナムヌ [ku⸢reː ʔnːnamunu] (これは中身が無い<空っぽだ>)。 ⸢ンーナムヌバ⸣ プ⸢スン⸣ ッ⸢ふィー⸣ シケー [⸢ʔnːnamunuba⸣ pu̥⸢suŋ⸣ f⸢fiː⸣ ʃi̥keː] (空っぽのものを人にあげ<呉れて>てある) 18369 0 0 18277 htmvoc_18369.wav ンーナムン ⸢ンーナムン [⸢ʔnːnamuŋ] 名 からむぎ(殻麦)。殻のついたままの大麦。⸢ボージャー⸣ムン[⸢boːʤaː⸣muŋ]ともいう。「殻麦」を「空麦」と誤解して受容した語彙であろう。多収量品種で、味噌の材料として利用され、粉を挽いてテンプラを揚げるのに重宝されたという。 ⸢ンーナムンヌ⸣ クーシル ⸢ティン⸣プラー ヤ⸢コーッ⸣タツォー [⸢ʔnːnamunnu⸣ kuːʃiru ⸢tim⸣puraː ja⸢koːt⸣taʦoː] (\ruby{殻麦}{カラ|ムギ}<大麦>の粉でテンプラは揚げた<焼かれた>そうだ) 18293 0 0 18278 htmvoc_18293.wav ンーナヤー ⸢ンーナヤー [⸢ʔnːnajaː] 名 空き家。人の住んでない家。 プ⸢スヌ⸣ パ⸢トゥ⸣マーラ イ⸢サナケー⸣ ク⸢シパッ⸣ター ⸢ンーナヤーヌ ゴー⸣ラー ⸣ナリ ⸢ナー⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ pḁ⸢tu⸣maːra ʔi⸢sanakeː⸣ ku̥⸢ʃipat⸣taː ⸢ʔnːnajaːnu goː⸣raː ⸣nari ⸢naː⸣nu] (人が石垣島へ越していったので、空き家が多くなってしまった)。 イ⸢サンケー⸣ ク⸢シパッ⸣ター シ⸢マ⸣ナー ⸢ンーナヤー<ア⸢キヤー>ル⸣ ヌ⸢カ⸣レー [ʔi⸢sanakeː⸣ ku̥⸢ʃipat⸣taː ʃi⸢ma⸣naː ⸢ʔnːnajaː<ʔa⸢kijaː>ru⸣ nu⸢ka⸣reː] (石垣島へ引っ越していったので、島には空き家が残っている)。 ⸢ンーナヤー⸣ ナ⸢サン⸣ドーシ プ⸢スン⸣ カ⸢ラシ⸣バ [⸢ʔnːnajaː⸣ na⸢san⸣doːʃi pu̥⸢suŋ⸣ ka⸢raʃi⸣ba] (空屋にしないで他人に貸しなさい) 18294 0 0 18279 htmvoc_18294.wav ンーナヤシキ ⸢ンーナヤシキ [⸢ʔnːnajaʃi̥ki] 名 空き屋敷。⸢ンーナカク[⸢ʔnːnakaku](空き屋敷)ともいう。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ンーナヤシキ⸣テー ⸢ナーン⸣シェンドゥ マ⸢ナ⸣マー ⸢ンーナヤシキンドゥ ゴー⸣ラー [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢ʔnːnajaʃi̥ki⸣teː ⸢naːŋ⸣ʃendu ma⸢na⸣maː ⸢ʔnːnajaʃi̥kindu goː⸣raː] (昔は空き屋敷とてなかったが、今は空き屋敷が多い)。老年層は、⸢ンーナカク[⸢ʔnːnakaku](空き屋敷)という。 ⸢ンーナヤシキ⸣ナ カ⸢ブッチ⸣ イ⸢ビ⸣シケーター イッ⸢ケン⸣ ナレーン⸢ダー [⸢ʔnːnajaʃiki⸣na ka⸢butʧi⸣ ʔi⸢bi⸣ʃi̥keːtaː ʔik⸢ken⸣ nareːn⸢daː] (空屋敷に南瓜を植えて置いたらば非常に良く稔ったよ) 18157 0 1 18280 htmvoc_18157.wav ンーニ ⸢ンーニ [⸢ʔnːni] 名 {Mn_1}胸。胸部。⸢ンニ[⸢nni](胸)ともいう。「胸・臆、訓並、牟禰(むね)」『華厳音義私記』の転訛したもの。 ⸢ンーニヌ マイ⸣ヤン [⸢ʔnːninu mai⸣jaŋ] (胸が大きい)。 ⸣パトゥンニ [⸣pḁtunni] (鳩胸)。 ⸢ンーニヌ⸣ ヤムン [⸢ʔnːninu⸣ jamuŋ] (胸が痛む)。 プ⸢スヌ ンーニウチェー⸣ ワ⸢カラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu ʔnːniʔuʧeː⸣ wa⸢kara⸣nu] (他人の胸中<心の内>は分らない)。 ク⸢ルビティ ンーニバ⸣ ウティティ ヤ⸢カタ⸣ブニ ⸣ブリ ⸣シケー [ku⸢rubiti ʔnːniba⸣ ʔutiti ja⸢kata⸣buni ⸣buri ⸣ʃi̥keː] (転んで胸を打って、肋骨を骨折して<折って>ある)。 18157 0 2 18281 htmvoc_18157.wav ンーニ ⸢ンーニ [⸢ʔnːni] 名 {Mn_2}胸元。襟元。襟首。 ⸢ンーニ⸣ ウ⸢サースン [⸢ʔnːni⸣ ʔu⸢saːsuŋ] (襟元を合わせる)。 18157 0 3 18282 htmvoc_18157.wav ンーニ ⸢ンーニ [⸢ʔnːni] 名 {Mn_3}心。精神。「~朝夕に魂ふれど吾が牟祢伊多之<ムネイタシ>~。万、3767」の転訛したもの。 ⸢ンーニヌ⸣ サ⸢キ⸣ルンケン ッ⸢ふァヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイ ナ⸢キ ベー [⸢ʔnːninu⸣ sḁ⸢ki⸣ruŋkem f⸢fanu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸣ʔumui na⸢ki beː] (心<胸>が張り\ruby{裂}{サケ}けるほど子供のことを思って泣いている)。 ビ⸢キドゥムヌ⸣ ク⸢トゥ⸣バ ⸣ウムイ ⸢ンーニ⸣ ク⸢ガラシ ベー [bi⸢kidumunu⸣ ku̥⸢tu⸣ba ⸣ʔumui ⸢ʔnːni⸣ ku⸢garaʃi beː] (男のことを思って胸を\ruby{焦}{コ}がしている) 18296 0 0 18283 htmvoc_18296.wav ンーニウトゥン ⸢ンーニ⸣ ウトゥン [⸢ʔnːni⸣ ʔutuŋ] 連 \ruby{動悸}{ドウ|キ}がする。胸がどきどきする。「胸打つ」の義。 ウ⸢キ⸣ナーラヌ ⸢サウバ⸣ シ⸢キティ ソー シー ンーニ⸣ ウティ ナ⸢ラン⸠ツォー [ʔu⸢ki⸣naːranu ⸢sauba⸣ ʃi̥⸢kiti soː ʃiː ʔnːni⸣ ʔuti na⸢ran⸠ʦoː] (沖縄からの便りを聞いて、心配して、動悸がしてならないそうだ) 18297 0 0 18284 htmvoc_18297.wav ンーニスクン ⸢ンーニ⸣ スクン [⸢ʔnːni⸣ su̥kuŋ] 連 胸につかえる。しゃく(癪)などで胸が締めつけられて苦しむ。胸がふさがる。⸣スクン[⸣su̥kuŋ]は、「Xocuga tçucayuru(食が痞ゆる)もう腹一杯で、それ以上胃がもちこたえ得ないほどである」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。 ⸢ンーニ⸣ スクンケン ⸣イー ッ⸢ふァイティ ビーバキン⸣ ギ⸢サ⸣ル [⸢ʔnːni⸣ su̥kuŋkeŋ ⸣ʔiː f⸢faiti biːbakiŋ⸣ gi⸢sa⸣ru] (胸に\ruby{痞}{ツカ}えるほどご飯を食べて、\ruby{嘔吐}{オウ|ト}しそうだ) 18298 0 0 18285 htmvoc_18298.wav ンーニヌバルンケンバリルンケン ⸢ンーニヌ⸣ バ⸢ルン⸣ケンバ⸢リルン⸣ケン [⸢ʔnːninu⸣ ba⸢ruŋ⸣keŋba⸢riruŋkeŋ] 連 胸が張り裂けんばかり。胸が張り裂けるほど。「胸が割れるほど」の義。 ⸢ンーニヌ⸣ バ⸢ルン⸣ケン ウ⸢ヤー⸣リ ナ⸢キ ベー [⸢ʔnːninu⸣ ba⸢ruŋ⸣keŋ ʔu⸢jaː⸣ri na⸢kibeː] (胸が張り裂けるほど大声を出して泣いている)。 ⸢ンーニヌ⸣ バ⸢リルン⸣ケン ウ⸢ヤー⸣リ ウ⸢タ⸣バ イ⸢ジ ベーン⸣ドゥ シ⸢キグトゥユン [⸢ʔnːninu⸣ ba⸢riruŋ⸣keŋ ʔu⸢jaː⸣ri ʔu⸢ta⸣ba ʔi⸢ʤi beːn⸣du ʃi̥⸢kigutu juŋ] (胸が張り裂けるほど大声を出して歌っているが、見事<聞きごと>だ) 18299 0 0 18286 htmvoc_18299.wav ンーニビスン ⸢ンーニ⸣ ビ⸢スン [⸢ʔnːni⸣ bi⸢suŋ] 連 落ち着く。「胸を\ruby{据}{ス}える<置く。\ruby{座}{スワ}らせる>」の義。普通は、⸣キム ビ⸢スン[⸣kimu bi⸢suŋ](落ち着く{EOS}肝を\ruby{据}{ス}える)という。 ⸢イッ⸣タン ⸣カイティ キ⸢メーラー⸣ キモー ビ⸢シティ⸣ プ⸢スヌ⸣ ノー⸢ンティン⸣ ア⸢ゾーラ⸣バン シゥ⸢カヌ [⸢ʔit⸣taŋ ⸣kaiti ki⸢meːra⸣ kimoː bi⸢ʃiti⸣ pu̥⸢sunu⸣ noː⸢ntiŋ⸣ ʔa⸢ʣoːra⸣ban si̥⸢kanu] (一旦、そうと決めたら、おちついて<肝を据えて>他人が何と言われようとも聞かない) 18300 0 0 18287 htmvoc_18300.wav ンーニヤクン ⸢ンーニ⸣ ヤ⸢クン [⸢ʔnːni⸣ ja⸢kuŋ] 連 心配事で親の胸を痛める。親に心配をかける。苦悩する。 ッ⸢ふァヌ⸣ ナ⸢カ⸣ヤビ シ⸢タール⸣ ウヤー ⸣アイニ ⸢ンーニ⸣ ヤ⸢キ オー⸣ル⸢ダー [f⸢fanu⸣ na⸢ka⸣jabi ʃi̥⸢taːru⸣ ʔujaː ⸣ʔaini ⸢ʔnːni⸣ ja⸢ki ʔoː⸣ru⸢daː] (子供が青年期の中途でぐれてしまったので、親はあのように胸を痛めておられるのですよ) 18372 0 0 18288 htmvoc_18372.wav ンーネ ⸣ンーネ [⸣ʔnːne] 名 姉。若年層の言葉。老年層は、⸣アンマ[⸣ʔamma](姉)という。⸣ンーネ[⸣ʔnːne](姉)は黒島方言のッンーナ[ʔnːna](姉)の転訛したもの。 ンー⸢ネー イー⸣ ッ⸢ふァー⸣ソーリ [ʔnː⸢neː ʔiː⸣ f⸢faː⸣soːri] (姉さん、御飯頂戴<下さい>) 18158 0 0 18289 htmvoc_18158.wav ンーバ ⸢ンー⸣バ [⸢ʔmː⸣ba] 感 否だ。否定の気持ちを表すこと。いやだ。承諾しないこと。アー⸢イとも言う。 ⸢ンー⸣バ⸢ユー [⸢ʔmː⸣ba⸢juː] (いやです{EOS}<目上に対して>)。 ウ⸢リン ンー⸣バ ク⸢リン ンー⸣バティ ア⸢ズ⸣カー ⸢ヌー⸣スワメー [ʔu⸢rim ʔmː⸣ba ku⸢rim ʔmː⸣bati ʔa⸢ʣu⸣kaː ⸢nuː⸣suwameː] (あれ<それ>も否、これも否だとすれば、一体どうするのか、もう)。 ⸢ンー⸣バティ ア⸢ザンドー⸣シ パ⸢ナ⸣シェー ウ⸢キ⸣リ [⸢ʔmː⸣bati ʔa⸢ʣandoː⸣ʃi pa⸢na⸣ʃeː ʔu⸢ki⸣ri] (否だと言わないで、話を受けなさい)。⸢ン⸣バ[⸢ʔm⸣ba](嫌)、⸢ン⸣パ[⸢ʔm⸣pa](嫌)、⸢ンー⸣パ[ʔmː⸣pa](いや)ともいう。 ⸢ンー⸣バ⸢ユー⸣ ウ⸢リトー⸣ マー⸢ズンマー⸣ シ⸢グトー⸣ ナ⸢ラ⸣ヌ⸢ユー [⸢ʔmː⸣ba⸢juː⸣ ʔu⸢ritoː⸣ maː⸢ʣummaː⸣ ʃi⸢gutoː⸣ na⸢ra⸣nu⸢juː] (嫌です{EOS}彼と一緒には仕事は出来ません) 18323 0 0 18290 htmvoc_18323.wav ンーパンーパスン ⸢ンー⸣パ⸢ンー⸣パ ⸢スン [⸢ʔmː⸣pa⸢ʔmː⸣pa ⸢suŋ] 連 幼児語。いやいやする。 プ⸢ス ミーッ⸣シティ ⸢ンー⸣パ⸢ンー⸣パ ⸢シー⸣ ダ⸢カラヌ [pu̥⸢su miːʃ⸣ʃiti ⸢ʔmː⸣pa⸢ʔmː⸣pa ⸢ʃiː⸣ da⸢karanu] (人見知りをして、嫌々をして、他人に抱かれない) 18159 0 0 18291 htmvoc_18159.wav ンーマ ⸢ンー⸣マ [⸢ʔmː⸣ma] 名 (動)馬。 ⸢ミーンー⸣マ [⸢miːʔmː⸣ma] (\ruby{雌}{メ}馬)。 ビ⸢キンーマ [bi⸢kiʔmːma] (\ruby{牡}{オ}馬)。鳩間島には馬は育たないという伝説がある。昔から鳩間島には一頭の馬もいなかったという。鳩間島は⸢カンダカー⸣ル[⸢kandakaː⸣ru](神高い<神霊の高い>)島といわれており、神様は常に乗馬して⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽<お願>)からウガンへと通っておられるので、人間が馬に乗って行くと⸢カンアタ⸣ル[⸢kaŋʔata⸣ru](神当たり<神罰を受けること>)すると信じられている。 パ⸢トゥ⸣マー ⸢カンダカー⸣ティ ⸢ンー⸣マー シゥ⸢カナーラン⸣ツォー [pḁ⸢tu⸣maː ⸢kandakaː⸣ti ⸢ʔmː⸣maː si̥⸢kanaːran⸣ʦoː] (鳩間島は神霊の高い島だから馬は飼育できないそうだ) 18301 0 1 18292 htmvoc_18301.wav ンーマ ⸢ンーマ [⸢ʔmː⸣ma] 名 {Mn_1}(動)馬。 パ⸢トゥ⸣マナー ⸢ンー⸣マー ブ⸢ラーヌ [pḁ⸢tu⸣manaː ⸢ʔmː⸣maː bu⸢raːnu] (鳩間島には、馬はいない)。鳩間島では馬は育たないという伝承がある。 18301 0 2 18293 htmvoc_18301.wav ンーマ ⸢ンーマ [⸢ʔmː⸣ma] 名 {Mn_2}\ruby{駒}{コマ}。 ⸢サンシンヌ ンー⸣マー タ⸢キ⸣シ ス⸢ク⸣リバ [⸢saŋʃinnu ʔmː⸣maː tḁ⸢ki⸣ʃi su̥⸢ku⸣riba] (三線の駒は竹で作りなさいよ) 18375 0 0 18294 htmvoc_18375.wav ンーマーマ ンー⸢マー⸣マ [ʔmː⸢maː⸣maː] 名 子馬。 ⸢パイタ⸣ナー ンー⸢マーマ⸣ヌ マ⸢レーン⸣ツォー [⸢paita⸣naː ʔmː⸢maːma⸣nu ma⸢reːn⸣ʦoː] (南端<西表島北岸一帯>に子馬が生まれたそうだ) 18302 0 0 18295 htmvoc_18302.wav ンーマガータ ⸢ンーマガー⸣タ [⸢ʔmːmagaː⸣ta] 名 \ruby{肩車}{カタ|グルマ}。子供を両肩に\ruby{跨}{マタガ}らせて\ruby{担}{カツ}ぐこと(遊び)。 ヤ⸢ラビ⸣バ ⸢ンーマガー⸣タ ⸢シェー⸣ティ ア⸢サバシ ベー [ja⸢rabi⸣ba ⸢ʔmːmagaː⸣ta ⸢ʃeː⸣ti ʔa⸢sabaʃi beː] (子供を肩車をして遊ばしている)。 ム⸢カシ⸣ヌ ヤ⸢ラ⸣ベー ⸣ユー ⸢ンーマガー⸣タ ⸢シー⸣ ア⸢サブタン⸠ダー [mu⸢kaʃi⸣nu ja⸢ra⸣beː ⸣juː ⸢ʔmːmagaː⸣ta ⸢ʃiː⸣ ʔa⸢sabutan⸠daː] (昔の子供たちは、よく肩車をして遊んだよ) 18377 0 0 18296 htmvoc_18377.wav ンーマヌカタ ⸢ンーマ⸣ヌ カ⸢タ [⸢ʔmːma⸣nu kḁ⸢ta] 連 馬の絵。歌謡語。 ⸢ヤー⸣ ク⸢ヌ ヤー⸣ヌ ウ⸢チ⸣ナカー ⸢ンーマ⸣ヌ ⸣カタ ⸣アンティ ⸣スー [⸢jaː⸣ ku⸢nu jaː⸣nu ʔu⸢ʧi⸣nakaː ⸢ʔmːma⸣nu ⸣kḁta ⸣ʔanti ⸣suː] (ああ、この家の中に馬の絵があるという)(アーパーレー歌) 18378 0 0 18297 htmvoc_18378.wav ンーマヌクラ ⸢ンーマ⸣ヌ ⸣クラ [⸢ʔmːma⸣nu ⸣kura] 連 馬の鞍。若年層の使用語彙。老年層は⸢ンーマ⸣ヌ ⸣ッふァ[⸢ʔmːma⸣nu ⸣ffa](馬の鞍)という 18303 0 0 18298 htmvoc_18303.wav ンーマヌシヌ ⸢ンーマ⸣ヌ ⸣シヌ [⸢ʔmːma⸣nu ⸣ʃinu] 連 馬の角。あり得ないこと。 ⸢ンーマ⸣ヌ シ⸢ヌ⸣トゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌ ⸣マナール ⸣アイブー ク⸢トゥ⸣ヌ ア⸢ル⸣ワ [⸢ʔmːma⸣nu ʃi⸢nu⸣tu ju⸢nu⸣munu ⸣manaːru ⸣ʔaibu ku̥⸢tu⸣nu ʔa⸢ru⸣wa] (馬の角と同じで、\ruby{何処}{ド|コ}にそんなことがあるものか<有り得ない>) 18304 0 0 18299 htmvoc_18304.wav ンーマヌシラ ⸢ンーマ⸣ヌ ⸣シラ [⸢ʔmːma⸣nu ⸣ʃira] 連 \ruby{馬面}{ウマ|ヅラ}。馬のように長い顔。⸢馬の顔」の義。 ウ⸢リヌ⸣ シラー ⸢ンーマ⸣ヌ ⸣シラ [ʔu⸢rinu⸣ ʃiraː ⸢ʔmːma⸣nu ⸣ʃira] (彼の顔は馬面だ) 18305 0 0 18300 htmvoc_18305.wav ンーマヌッふァ ⸢ンーマ⸣ヌ ⸣ッふァ [⸢ʔmːma⸣nu ⸣ffa] 連 馬の鞍。⸣ッふァ[⸣ffa](鞍)は、[kura] → [fura] → [ffa] のように音韻変化したもの。 ⸢ンーマ⸣ヌ ⸣ッふァ カ⸢キラン⸣カー ⸢ヌーリグリ⸣サン [⸢ʔmːma⸣nu ⸣ffa kḁ⸢kiraŋ⸣kaː ⸢nuːriguri⸣saŋ] (馬の鞍をかけないと乗りにくい) 18306 0 1 18301 htmvoc_18306.wav ンーマヌッふァ ⸢ンーマ⸣ヌ ッ⸢ふァ [⸢ʔmːma⸣nu f⸢fa] 連 {Mn_1}馬の子。子馬。 ⸢ンーマ⸣ヌ ッ⸢ふァー⸣ ア⸢タラ⸣サン [⸢ʔmːma⸣nu f⸢faː⸣ ʔa⸢tara⸣saŋ] (子馬は可愛い)。 18306 0 2 18302 htmvoc_18306.wav ンーマヌッふァ ⸢ンーマ⸣ヌ ッ⸢ふァ [⸢ʔmːma⸣nu f⸢fa] 連 {Mn_2}親離れ<乳離れ>しない子。いつも母親の側を離れない子。 ⸢ンーマ⸣ヌ ッ⸢ふァヌ⸣ カタチニ ナー⸢イ⸣ ウ⸢ヤ⸣ヌ シ⸢ビバ ウイ アー⸣ク [⸢ʔmːma⸣nu f⸢fanu⸣ kḁtaʧini naː⸢i⸣ ʔu⸢ja⸣nu ʃi⸢biba ʔui ʔaː⸣ku] (馬の子のように、ずっと親の後<尻>を追ってあるく) 18324 0 0 18303 htmvoc_18324.wav ンーミ ⸢ンー⸣ミ [⸢ʔmː⸣mi] 名 士族のお祖母さん。祖母。石垣島の親類筋の人に対して言った。⸣トゥヌスクヌ ⸢ンー⸣ミ[⸣tunusu̥kunu ⸢ʔmː⸣mi](石垣市字登野城のお祖母さん<佐村家のお祖母さん>)、ア⸢ラカーヌ ンー⸣ミ[ʔa⸢rakaːnu ʔmː⸣mi](石垣市字新川のお祖母さん<宮良家のお祖母さん>)のようにいう。鳩間島では、⸣アッパー[⸣ʔappaː]という 18160 0 0 18304 htmvoc_18160.wav ンーンー ンー⸢ンー [ʔŋː⸢ŋː] 感 いや。否。軽い否定の意味を表す。強く否定する場合は、ンー⸢ンー⸣ンー[ʔŋː⸢ŋː⸣ŋː](いや{EOS}否{EOS}いや違う)という。 ⸢ワー⸣ ッ⸢シェーン [⸢waː⸣ ʃ⸢ʃeːŋ] (君は知っているか)。 ンー⸢ンー⸣ ⸣バー ノー⸢ン⸣ ッ⸢サヌ [ʔŋː⸢ŋː⸣ baː noː⸢n⸣ s⸢sanu] (いや、私は何も知らない) 18161 0 0 18305 htmvoc_18161.wav ンーンー ⸢ンーンー [ʔŋːʔŋː] 感 豚を呼ぶ声。 ⸢ンーンー⸣シ ⸢オー⸣バ ヤ⸢ラビ ベー [ʔŋːʔŋː⸣ʃi ⸢ʔoː⸣ba ja⸢rabi beː] (うんうんと豚を呼んでいる) 18162 0 0 18306 htmvoc_18162.wav ンーンーシ ⸢ンーンー⸣シ [⸢ʔŋːʔŋː⸣ʃi] 副 うんうんと。力を入れたり、苦しがったりしていきむ声。 ⸢プーキ⸣ カ⸢カ⸣リティ ⸣ニチェー ス⸢ブ⸣ロー ア⸢ガリティ ンーンー⸣シ タ⸢キ⸣リ ⸢ベー⸣タ [⸢puːki⸣ kḁ⸢ka⸣riti ⸣niʧeː su⸢bu⸣roː ʔa⸢gariti ʔŋːʔŋː⸣ʃi tḁ⸢ki⸣ri ⸢beː⸣ta] (マラリア<風気{EOS}風土病>に罹って、熱は頭に上がって、うんうんと唸って<\ruby{嗷哮}{ゴウ|コウ}、タケル、サケフ、ホユ{EOS}『類聚名義抄』>いる) 18163 0 0 18307 htmvoc_18163.wav ンガ ン⸢ガ [ʔŋ⸢ga-] 接頭 厳しい。\ruby{酷}{ヒド}い。形容詞ン⸢ガー⸣ン[ʔŋ⸢gaː⸣ŋ](にがい<苦>)の語幹。 ン⸢ガ⸣ティダ [ʔŋ⸢ga⸣tida] (\ruby{酷熱}{コク|ネツ}の太陽)。 ン⸢ガ⸣ナキ [ʔŋ⸢ga⸣naki] (号泣{EOS}死なんばかりに大声で泣くこと)。 ン⸢ガ⸣ナチ [ʔŋ⸢ga⸣naʃi] (\ruby{酷暑}{コク|ショ}の夏{EOS}猛暑の夏)。 ン⸢ガピラ⸣ク [ʔŋ⸢gapira⸣ku] (\ruby{極寒}{ゴク|カン}{EOS}厳寒) 18164 0 0 18308 htmvoc_18164.wav ンガー ン⸢ガー [ʔŋ⸢gaː] 名 (動)魚の名。和名、ナガタチカマス(体長約1、2メートル)。 ン⸢ガー⸣ティ ⸢スー⸣ イ⸢ゾー ナン⸣ゾー ⸣ミリ ⸢ミラン⸣シェン [ʔŋ⸢gaː⸣ti ⸢suː⸣ ʔi⸢ʣoː nan⸣ʣoː ⸣miri mi⸢raŋ⸣ʃeŋ] (ンガーという魚はあまり見たことはなかった) 18166 0 0 18309 htmvoc_18166.wav ンカースン ン⸢カースン [ʔŋ⸢kaːsuŋ] 他動 向ける。向かわせる。会わせる。 フ⸢ターロー⸣ ン⸢カーシ⸣ ビ⸢ラスナ [ɸu̥⸢taːroː⸣ ʔŋ⸢kaːʃi⸣ bi⸢rasuna] (二人は対座させ<向き合わせて座らせ>るな)。 ⸣パンター ン⸢カースンティ スンドゥ⸣ ン⸢カーサラヌ [⸣pantaː ʔŋ⸢kaːsunti sundu⸣ ʔŋ⸢kaːsaranu] (南の方へ向けようとするが、向けられない)(南の方に向ける)。 ン⸢カース⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔŋ⸢kaːsu⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (向けることは出来ない)。 ン⸢カーシェー⸣ ミサムヌ [ʔŋ⸢kaːʃeː⸣ misamunu] (向かわせればよいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ン⸢カーシ [jaː⸢diŋ⸣ ʔŋ⸢kaːʃi] (必ず向かわせよ) 18167 0 0 18310 htmvoc_18167.wav ンガーン ン⸢ガー⸣ン [ʔŋ⸢gaː⸣ŋ] 形 苦い。苦味がある。「~甘美の果を、これによりて皆減損して苦く<ニガク>渋くして~」『金光明最勝王経音義』、「nigai.ニガイ(苦い)苦い(もの)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ゴーヤー⸣ヌ ⸣シロー ン⸢ガー⸣ンドゥ ン⸢ガーナー⸣ヌティ ア⸢ジ アー⸣ク [⸢goːjaː⸣nu ⸣ʃiroː ʔŋ⸢gaːn⸣du ʔŋ⸢gaːnaː⸣nuti ʔa⸢ʤi ʔaː⸣ku] (苦瓜の汁は苦いのに、苦くないといっている)。 ン⸢ガー⸣ヌ ヌ⸢マラ⸣ヌ [ʔŋ⸢gaː⸣nu nu⸢mara⸣nu] (苦くて飲めない)。 ⸢シンダイ⸣ ン⸢ガー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔŋ⸢gaː⸣ naruŋ] (次第に苦くなる)。 ン⸢ガー⸣ ムヌル フ⸢チ⸣ロー ⸣スク [ʔŋ⸢gaː⸣ munuru ɸu̥⸢ʧi⸣roː ⸣su̥ku] (苦いものが薬効がある<薬として効く>)。 ⸢マー⸣ビン ン⸢ガー⸣カー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔŋ⸢gaː⸣kaː ⸣misamunu] (もっと苦ければいいのに) 18165 0 0 18311 htmvoc_18165.wav ンガアキリ ン⸢ガアキ⸣リ [ʔŋ⸢gaʔaki⸣ri] 名 嫌になるほど飽きること。飽きはてること。食傷気味になること。 ⸢ピントゥルピン ウンヌ⸣イー カー⸢ニ⸣ ッ⸢ふァーサリティ⸣ ン⸢ガアキ⸣リ ⸢シー ナー⸣ヌ [⸢pinturupiŋ ʔunnu⸣ʔiː kaː⸢ni⸣ f⸢faːsariti⸣ ʔŋ⸢gaʔaki⸣ri ⸢ʃiː naː⸣nu] (毎日芋のご飯だけ食べさせられて食傷気味になってしまった)。 ⸣シンピーズ ユ⸢ヌ⸣ムニ ⸢タン⸣ガ シゥ⸢カサリティ⸣ ン⸢ガアキ⸣リ ⸢シース [⸣ʃimpiːʣu ju⸢nu⸣muni ⸢taŋ⸣ga si̥⸢kasariti⸣ ʔŋ⸢gaʔaki⸣ri ⸢ʃiːsu] (毎日毎日、同じ言葉だけ聞かされてうんざりする<食傷気味になる>) 18168 0 0 18312 htmvoc_18168.wav ンカイカジ ン⸢カイカジ [ʔŋ⸢kaikaʤi] 名 逆風。「向かい風」の義。 ン⸢カイカジヌ⸣ フクンダ ⸣フネー マ⸢ギ⸣ブニ ⸢シェー⸣ティル パ⸢ラサリ⸣ル [ʔŋ⸢kaiʤinu⸣ ɸu̥kunda ⸣ɸuneː ma⸢gi⸣buni ⸢ʃeː⸣tiru pa⸢rasari⸣ru] (向かい風が吹くから、船は曲げ船<ジグザグ走行>させながらしか走行させられない<曲げ舟してぞ走らされる>) 18170 0 0 18313 htmvoc_18170.wav ンカイコーシ ン⸢カイコーシ [ʔŋ⸢kaikoːʃi] 名 「迎え菓子」の儀。お盆の精霊迎えの日に供える菓子。 ン⸢カイコーシ⸣ マ⸢チティ⸣ ウ⸢ヤ⸣プスンケー ン⸢カイ オーシ [ʔŋ⸢kaikoːʃi⸣ ma⸢ʧiti⸣ ʔu⸢ja⸣pusuŋkeː ʔŋ⸢kai ʔoːʃi] (迎え菓子を供えて<祀って>祖霊たちをお迎えして差し上げなさい) 18169 0 0 18314 htmvoc_18169.wav ンガイシ ン⸢ガ⸣イシ [ʔŋ⸢ga⸣ʔiʃi] 名 踏みつけると傷を負わせる石。毒石。「苦石」の義。 ン⸢ガイシ⸣バ ⸢フンクタ⸣ユー ⸢パン⸣ヌ バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤムサー [ʔŋ⸢gaʔiʃi⸣ba ⸢ɸuŋku⸣tajuː ⸢pan⸣nu ba⸢ta⸣nu ⸣jamusaː] (毒石を踏んだのだろうか、足裏<足の腹>が痛むよ) 18171 0 0 18315 htmvoc_18171.wav ンカイジラ ン⸢カイジラ [ʔŋ⸢kaiʤira] 名 対面早々。出会いがしら。顔を合わせるなり。初っ\ruby{端}{ショッパナ}から。「迎え面」の義。 ン⸢カイジラーラ⸣ ヌーテー ⸢ナー⸣ン プ⸢スバ⸣ イ⸢ジ⸣ ヌーヤ ウ⸢レー [ʔŋ⸢kaiʤiraːra⸣ nuːteː ⸢naː⸣m pu̥⸢suba⸣ ʔi⸢ʤi⸣ nuːja ʔu⸢reː] (対面早々、初っ端から訳もなく<何とてもなく>人を叱って、何だねそれは) 18172 0 0 18316 htmvoc_18172.wav ンカイズーシ ン⸢カイズーシ [ʔŋ⸢kaiʣuːʃi] 名 「迎え雑炊」の義。お盆の初日の夕方、祖霊を迎えて供えるために作る雑炊(五目御飯)。豚肉、魚肉、かまぼこ等を\ruby{賽}{サイ}の目状に切り、醤油で味付けして炊き込んだ雑炊。 ウ⸢ヤプス⸣ン ⸣マイ ン⸢カイズーシ⸣ シ⸢キ⸣ マ⸢チ⸣バ [ʔu⸢japusu⸣m ⸣mai ʔŋ⸢kaiʣuːʃi⸣ ʃi̥⸢ki⸣ ma⸢ʧi⸣ba] (先祖様の前に祖霊迎えの五目御飯<迎え雑炊>を供え祀りなさいよ) 18173 0 0 18317 htmvoc_18173.wav ンカイバナ ン⸢カイバナ [ʔŋ⸢kaibana] 名 出会いがしら。「迎え端」の義。 ン⸢カイバナーラ⸣ プ⸢ス⸣ イ⸢ズナ⸠ツォー [ʔŋ⸢kaibanaːra⸣ pu̥⸢su⸣ ʔi⸢ʣuna⸠ʦoː] (出会いがしら<対面早々>に人を叱るなってば) 18174 0 0 18318 htmvoc_18174.wav ンカイビー ン⸢カイビー [ʔŋkaibiː] 名 お盆の精霊迎えの日。⸢迎え日」の義。旧暦7月13日の夕方に門で\ruby{稲藁}{イナ|ワラ}におき(\ruby{熾火}{オキ|ビ})を入れて\ruby{燻}{クスブ}らせて\ruby{祖霊}{ソ|レイ}を迎える風習があった。現在は線香を焚いて祖霊を迎えるようになっている。祖霊迎えの日には、仏壇を拭いたり、位牌を洗ったりして準備をする。ムルムルを供えて仏壇を飾り終えると、先祖の霊を迎えるために門の西側で藁束に熾火を入れて燻らせた。祖霊たちは、この煙を伝って各家に下りてくるといわれている。 ⸢ソーラン⸣ヌ ン⸢カイビーヤ⸣ ユネンガタ ⸣ナルカー ⸢モン⸣ナー ⸢カウバ⸣ シキティル ウ⸢ヤ⸣プソー ン⸢カイル [⸢soːran⸣nu ʔŋ⸢kaibiːja⸣ juneŋgata ⸣narukaː ⸢mon⸣naː ⸢kauba⸣ ʃi̥kitiru ʔu⸢ja⸣pu̥soː ʔŋ⸢kairu] (お盆の迎え日には、夕方になると門に線香を立てて先祖の霊を迎える) 18175 0 0 18319 htmvoc_18175.wav ンカイルン ン⸢カイルン [ʔŋ⸢kairuŋ] 他動 迎える。「~櫻の花は迎<むかへ>けらしも。万、1430」の転訛したもの。ン⸢カウンとも言う。 イ⸢サナキプス⸣ ン⸢カイルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ン⸢カイララヌ [ʔi⸢sanakipu̥su⸣ ʔŋ⸢kairunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ⸢kjuː⸣ja(wa) ʔŋ⸢kairaranu] (石垣からの人を迎えようと思うが、今日は迎えられない)。 ⸣バー ン⸢カイ⸣ ミサカー ン⸢カイル⸣ クトー ナルン⸢ダー [⸣baː ʔŋ⸢kai⸣ misakaː ʔŋ⸢kairu⸣ ku̥toː narun⸢daː] (私が迎えてよければ、迎えることは出来るよ)。 ⸣ドゥーシ ン⸢カイヤー⸣ ミサムヌ [⸣duːʃi ʔŋ⸢kaijaː⸣ misamunu] (自分で迎えればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ ン⸢カイリ [jaː⸢diŋ⸣ ʔŋ⸢kairi] (必ず迎えなさい) 18176 0 1 18320 htmvoc_18176.wav ンカウン ン⸢カウン [ʔŋ⸢kauŋ] 他動 {Mn_1}むかう(向かう)。向き合う。「~東男は出で牟可比<ムカヒ>~。万、4331」の転訛したもの。 ⸢タンカー⸣ ン⸢カイ⸣ ビ⸢ルンティ スンドゥ⸣ ン⸢カーラヌ [⸢taŋkaː⸣ ʔŋ⸢kai⸣ bi⸢runti sundu⸣ ʔŋ⸢kaːranu] (正面に向き合って座ろうとするが、向かわれない)。 ⸢タンカー⸣ ン⸢カウン [⸢taŋkaː⸣ ʔŋ⸢kauŋ] (正面に向きあう)。 ⸢イーラー⸣ ン⸢カウ⸣ クトー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢ʔiːraː⸣ ʔŋ⸢kau⸣ ku̥toː na⸢ra⸣nu] (西方へ向かうことは出来ない)。 パ⸢ヤー⸣ ン⸢カイヤー⸣ ミサムヌ [pa⸢jaː⸣ ʔŋ⸢kaijaː⸣ misamunu] (南方へ向かえばいいのに)。 ク⸢マー⸣ ン⸢カイ⸣バ [ku⸢maː⸣ ʔŋ⸢kai⸣ba] (ここへ向きなさいよ)。 18176 0 2 18321 htmvoc_18176.wav ンカウン ン⸢カウン [ʔŋ⸢kauŋ] 他動 {Mn_2}迎える。 ⸣フネーラ パ⸢リ⸣バ ⸣アツァ シ⸢トゥム⸣ティ ン⸢カイ⸣ ッ⸢ふィーリ [⸣ɸuneːra pa⸢ri⸣ba ⸣ʔaʦa ʃi̥⸢tumu⸣ti ʔŋ⸢kai⸣ f⸢fiːri] (船で<から>行くから明朝迎えてくれ)。 ⸢バー⸣ル ⸢ワー⸣ ン⸢カイン⸣ パル⸢ダー [⸢baː⸣ru ⸢waː⸣ ʔŋ⸢kaim⸣ paru⸢daː] (私が君を迎えに行くよ) 18177 0 0 18322 htmvoc_18177.wav ンガカザ ン⸢ガ⸣カザ [ʔŋ⸢ga⸣kaʣa] 名 \ruby{臭}{クサ}い体臭。 ウ⸢リヌ⸣ ン⸢ガ⸣カザ カ⸢ブ⸣カー ⸢ビーバキン⸣ギサ ナ⸢リ⸣ス [ʔu⸢rinu⸣ ʔŋ⸢ga⸣kaʣa ka⸢bu⸣kaː ⸢biːbakiŋ⸣gisa na⸢ri⸣su] (彼の臭い体臭を嗅ぐと嘔吐<酔ひ・吐き>しそうだ) 18179 0 0 18323 htmvoc_18179.wav ンカザ ン⸢カ⸣ザ [ʔŋ⸢ka⸣ʣa] 名 (動)むかで(百足)。「蜈蚣、・・名百足、無加天(むかで)」『和名抄』の転訛したもの。 ン⸢カ⸣ザン ッ⸢サ⸣リティ ヤ⸢ミ⸣ス [ʔŋ⸢ka⸣ʣan s⸢sa⸣riti ja⸢mi⸣su] (百足に刺されて痛む) 18178 0 0 18324 htmvoc_18178.wav ンガサ ⸢ンガサ [⸢ŋgasa] 係助 何か~ないか。疑問代名詞について、文末の打ち消し疑問の陳述と呼応し、詰問の意味を込めて「何か~ないか」のように用いられる。「~山ほととぎす奈尓加伎奈可奴<ナニカ キナカヌ>。万、4050」に類似した表現法。 ノー⸢ンガサ⸣ ッ⸢ふァーリ ムノー⸣ ナー⸢ヌー [noː⸢ŋgasa⸣ f⸢faːri munoː⸣ naː⸢nuː] (何か食べられる物はないか)。 ター⸢ンガサ タシ⸣キ ッ⸢ふィール⸣ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌー [taː⸢ŋgasa taʃi̥⸣ki f⸢fiːru⸣ pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːnuː] (誰か助けてくれる人はいないか) 18180 0 0 18325 htmvoc_18180.wav ンガジル ン⸢ガ⸣ジル [ʔŋga⸣ʤiru] 名 胃液。胃から口の中へ逆流してくる黄色い液体。「にがじる(苦汁)」の義。 フ⸢ナイ⸣バ ⸢シー⸣ ムー⸢ル⸣ パキ ン⸢ザ⸣シティ ⸣アトー ン⸢ガ⸣ジル ⸢バー⸣キ ⸣パキ ⸣シケー [ɸu⸢nai⸣ba ⸢ʃiː⸣ muː⸢ru⸣ pḁki ʔn⸢ʣa⸣ʃi̥ti ⸣ʔatoː ʔŋ⸢ga⸣ʤiru ⸢baː⸣ki ⸣pḁki ⸣ʃi̥keː] (船酔いをして、全部吐き出して、後は胃液まで吐いてある) 18181 0 0 18326 htmvoc_18181.wav ンガスク ン⸢ガ⸣スク [ʔŋ⸢ga⸣su̥ku] 名 一番深い底。どん底。一番奥。 ⸢ジー⸣ヌ ン⸢ガ⸣スクナー ウ⸢ナイ⸣ヌ ⸢ウー⸣クンダル ⸢ナイ⸣ヤー ウ⸢ク⸣ルツォー [⸢ʤiː⸣nu ʔŋ⸢ga⸣su̥kunaː ʔu⸢nai⸣nu ⸢ʔuː⸣kundaru ⸢nai⸣jaː ʔu⸢ku⸣ruʦoː] (大地の深い底で鰻が動くので地震が起こるそうだ)。 ヤ⸢マ⸣ヌ ン⸢ガ⸣スコーラール ⸢キャーンギキー⸣ キシ ン⸢ザ⸣シ ⸢クー⸣タ [ja⸢ma⸣nu ʔŋ⸢ga⸣su̥koːraːru ⸢kjaːŋgikiː⸣ ki̥ʃi ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸢kuː⸣ta] (山奥<山の奥底>から<ぞ>槙の木を伐り出してきた) 18182 0 1 18327 htmvoc_18182.wav ンガスン ン⸢ガ⸣スン [ʔŋ⸢ga⸣suŋ] 他動 {Mn_1}逃がす。 ⸢タール⸣ ウ⸢シ⸣ ン⸢ガシ⸣タ [⸢taːru⸣ ʔu⸢ʃi⸣ ʔŋ⸢gaʃi̥⸣ta] (誰が牛を逃がしたか)。 バ⸢ツァマン⸣カー ウ⸢シ⸣ ン⸢ガ⸣スン⸢ダー [ba⸢ʦamaŋ⸣kaː ʔu⸢ʃi⸣ ʔŋ⸢ga⸣sun⸢daː] (鼻綱を結わえておかないと、牛を逃がすよ)。 ⸣クマーラ ン⸢ガ⸣ス ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kumaːra ʔŋ⸢ga⸣su ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (ここから逃がすことはない)。 ン⸢ガ⸣シェー ⸣ミサムヌ [ʔŋ⸢ga⸣ʃeː ⸣misamunu] (逃がせばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ン⸢ガ⸣シ [⸢paː⸣ku ʔŋ⸢ga⸣ʃi] (早く逃がせ)。 18182 0 2 18328 htmvoc_18182.wav ンガスン ン⸢ガ⸣スン [ʔŋ⸢ga⸣suŋ] 他動 {Mn_2}逃げられる。 ウ⸢シバ ピンガ⸣シティル ウ⸢リ⸣ トゥ⸢ミ⸣ルンティ ⸢アー⸣ク⸢ダー [ʔu⸢ʃiba piŋga⸣ʃi̥tiru ʔu⸢ri⸣ tu⸢mi⸣runti ⸢ʔaː⸣ku⸢daː] (牛を逃がして<逃げられて>、それを探そうとしているのだよ) 18183 0 0 18329 htmvoc_18183.wav ンガダキ ン⸢ガ⸣ダキ [ʔŋ⸢ga⸣daki] 名 (植)竹の一種。マダケ。メダケ。「ニガタケ」の義。竹の子に苦味があることからいう。「Nigataqe.ニガタケ(苦竹) 竹の一種で、菅の細長いもの」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ン⸢ガ⸣ダケー ⸢ヤー⸣ラーンダ ウ⸢リ⸣シル ⸢バー⸣ケー フ⸢モーッ⸣タ [ʔŋ⸢ga⸣dakeː ⸢jaː⸣raːnda ʔu⸢riʃi⸣ru ⸢baː⸣keː ɸu⸢moːt⸣ta] (マダケ<苦竹>は柔らかいから、それで\ruby{竹笊}{タケ|ザル}を編まれた) 18184 0 1 18330 htmvoc_18184.wav ンガティー ン⸢ガ⸣ティー [ʔŋ⸢ga⸣tiː] 名 {Mn_1}料理を作るのが下手な手。⸢苦手」の義。ア⸢バ⸣ティー[ʔa⸢ba⸣tiː](油手{EOS}料理上手の手)の対義語。 ン⸢ガ⸣ティー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ バ⸢カス ムノー⸣ ン⸢マー ナー⸣ヌ [ʔŋ⸢ga⸣tiː ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ ba⸢kasu munoː⸣ ʔm⸢maː naː⸣nu] (料理下手の手<苦手>だから、あれ<彼女>が炊く<作る>料理<もの>は\ruby{美味}{オ|イ}しくない)。 18184 0 2 18331 htmvoc_18184.wav ンガティー ン⸢ガ⸣ティー [ʔŋ⸢ga⸣tiː] 名 {Mn_2}その手で\ruby{叩}{タタ}かれると大きな傷を負わせるような手。「毒手」の義。 ⸢ワー ティー⸣ヤ ン⸢ガ⸣ティー ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リ⸣シ ッ⸢ふァ⸣ ク⸢ラスナ [⸢waː tiː⸣ja ʔŋ⸢ga⸣tiː ja⸢runda⸣ ʔu⸢ri⸣ʃi f⸢fa⸣ ku⸢rasuna] (君の手は毒手だから、それで子供を叩く<打つ>な) 18185 0 0 18332 htmvoc_18185.wav ンガティダ ン⸢ガ⸣ティダ [ʔŋ⸢ga⸣tida] 名 \ruby{酷熱}{コク|ネツ}の太陽。\ruby{烈日}{レツ|ジツ}。 ナ⸢チヌ⸣ ン⸢ガ⸣ティダナ プ⸢サ⸣レーティ ⸢イー⸣シ ⸣プスンティ ⸢アー⸣キ ブ⸢チ⸣クン ⸢スンティ アーク⸣タ⸢ダー [na⸢ʧinu⸣ ʔŋ⸢ga⸣tidana pu̥⸢sa⸣reːti ⸢ʔiː⸣ʃi ⸣pu̥sunti ⸢ʔaː⸣ki bu⸢ʧi⸣kun ⸢sunti ʔaːku⸣ta⸢daː] (夏の\ruby{炎天下}{エン|テン|カ}で酷熱の太陽に干されて角又を干そうとして、気絶するところだった<気絶しようとしていた>よ) 18186 0 0 18333 htmvoc_18186.wav ンガトゥシ ン⸢ガ⸣トゥシ [ʔŋga⸣tu̥ʃi] 名 \ruby{凶年}{キョウ|ネン}。\ruby{凶作}{キョウ|サク}の年。「苦年」の義。ガ⸢シトゥシ[ga⸢ʃitu̥ʃi](\ruby{飢饉}{キ|キン}の年)ともいう。 ⸢タイフー⸣トゥ ⸢ペーレーヌ⸣ シ⸢ジキティル⸣ ン⸢ガ⸣トゥシ ⸣ナリ ⸢ブー [⸢taiɸuː⸣tu ⸢peːreːnu⸣ ʃi⸢ʤikitiru⸣ ʔŋ⸢ga⸣tuʃi ⸣nari ⸢buː] (台風と\ruby{旱魃}{カン|バツ}が続いたので凶作の年になっているのだ) 18187 0 0 18334 htmvoc_18187.wav ンガナー ン⸢ガ⸣ナー [ʔŋ⸢ga⸣naː] 名 (植)ホソバワダン。「苦菜」の義。路傍や畑に自生していた。医者のいない鳩間島では、胃の薬として苦菜の生の汁を絞って飲んだり、魚と煮て食したりした。子供には黒糖を混ぜて飲ませた。 バ⸢タ⸣ヌ ⸣ヤムカー ン⸢ガナー⸣バ ⸢ダイ⸣パーナ ⸢シッ⸣キティ ⸣シル ス⸢ブ⸣リティ ヌ⸢マ⸣ソーッタ [ba⸢ta⸣nu ⸣jamukaː ʔŋ⸢ganaː⸣ba ⸢dai⸣paːna ⸢ʃik⸣kiti ⸣ʃiru su⸢bu⸣riti nu⸢ma⸣soːtta] (お腹が痛むと苦菜を\ruby{擂鉢}{スリ|バチ}で\ruby{搗}{ツ}いて汁を\ruby{絞}{シボ}って飲まされた) 18188 0 0 18335 htmvoc_18188.wav ンガナー ン⸢ガナー [ʔŋ⸢ganaː] 名 どもり(\ruby{吃音}{キツ|オン}者)の卑称。\ruby{喧嘩}{ケン|カ}等のときに相手を\ruby{罵}{ノノシ}っていう語。 ン⸢ガナー⸣ティ ⸢シー⸣ マ⸢タ⸣ プ⸢スバ⸣ ウ⸢サイ ベー⸣バン [ʔŋ⸢ganaː⸣ti ⸢ʃiː⸣ ma⸢ta⸣ pu̥⸢suba⸣ ʔu⸢sai beː⸣baŋ] (どもりめ、といって、また人を馬鹿にしているよ) 18189 0 0 18336 htmvoc_18189.wav ンガナキ ン⸢ガ⸣ナキ [ʔŋ⸢ga⸣naki] 名 \ruby{号泣}{ゴウ|キュウ}。死なんばかりに大声で泣くこと。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ン⸢ガ⸣ナキ ⸢スー⸣カー ⸢ヤンマイ⸣ヌ ⸣アルンダ ⸣イサン ミ⸢シ⸣リ⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu ʔŋ⸢ga⸣naki ⸢suː⸣kaː ⸢jammai⸣nu ⸣ʔarunda ⸣ʔisam mi⸢ʃi⸣ri⸢daː] (子供が号泣すると病気があるのだから、医者に診せなさいよ) 18190 0 0 18337 htmvoc_18190.wav ンガナチ ン⸢ガ⸣ナチ [ʔŋ⸢ga⸣naʧi] 名 \ruby{酷暑}{コク|ショ}の夏。\ruby{炎熱}{エン|ネツ}の夏。\ruby{猛暑}{モウ|ショ}の夏。最も暑い時期の夏。 ⸣カイブー ン⸢ガ⸣ナチナー ⸢ヨイ⸣ヤー ナ⸢ラ⸣ヌ [⸣kaibuː ʔŋ⸢ga⸣naʧinaː ⸢joi⸣jaː na⸢ra⸣nu] (こんな酷暑の夏には、祝い事はできないよ) 18191 0 0 18338 htmvoc_18191.wav ンガニ ン⸢ガニ [ʔŋ⸢gani] 名 どもること(\ruby{吃音}{キツ|オン})。どもり(吃音者)。 ウ⸢レー⸣ ン⸢ガニ⸣ ヤ⸢ルンドゥ⸣ ウタ イ⸢ズ⸣ ピンマー ン⸢ガネー⸣ サ⸢ヌ⸣ ウター ⸢ピッ⸣チン カ⸢カラン⸣ダー [ʔu⸢reː⸣ ʔŋ⸢gani⸣ ja⸢rundu⸣ ʔuta ʔi⸢ʣu⸣ pimmaː ʔŋ⸢ganeː⸣ sa⸢nu⸣ ʔutaː ⸢pit⸣ʧiŋ kḁ⸢karan⸣daː] (彼はどもり<吃音者>だが、歌を歌うときは吃らない{EOS}歌はちっとも引っかからないよ) 18192 0 0 18339 htmvoc_18192.wav ンガニスン ン⸢ガニ スン [ʔŋ⸢gani suŋ] 連 どもる。「どもり(吃音)・する」の義。 ン⸢ガニヌ マービ スー⸣カー ン⸢ガニ スン⸣ティ⸢ダー [ʔŋ⸢ganinu maːbi suː⸣kaː ʔŋ⸢gani sun⸣ti⸢daː] (どもり<吃音>の真似をすると、どもるそうだよ) 18193 0 0 18340 htmvoc_18193.wav ンガバライ ン⸢ガ⸣バライ [ʔŋ⸢ga⸣barai] 名 苦笑い。苦笑。「Nigauarai.ニガワライ(苦笑ひ)心からではなくて、ひややかに笑うこと.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 カ⸢タフチピケー⸣シ [kḁ⸢taɸuʧipi̥keː⸣ʃi] (片口笑い)。カ⸢タフチ⸣バライ[kḁ⸢taɸuʧi⸣barai](片口笑い)よりも当惑したような微笑。 ⸣ヌーティ ア⸢ザバル⸣ マ⸢シ⸣ユー ⸢ピントー シーマーキ⸣ ナー⸢イ⸣ ン⸢ガ⸣バライ ⸢シー ベー⸣タ [⸣nuːti ʔa⸢ʣabaru⸣ ma⸢ʃi⸣juː ⸢pintoː ʃiːmaːki⸣ naː⸢ji⸣ ʔŋ⸢ga⸣barai ⸢ʃiː beː⸣ta] (何と言えば良いの<増し>か、返答をしかねて、ただ苦笑いしていた) 18194 0 0 18341 htmvoc_18194.wav ンガピラク ン⸢ガピラ⸣ク [ʔŋ⸢gapira⸣ku] 名 極寒。最も厳しい寒さ。大寒。 ク⸢トゥシヌ⸣ ン⸢ガピラ⸣クナー ス⸢ナカ⸣ヌ イ⸢ズン⸣ シ⸢ニティ⸣ ウ⸢ケーリ キー⸣シタ [ku̥⸢tuʃinu⸣ ʔŋ⸢gapira⸣kunaː su⸢naka⸣nu ʔi⸢ʣuŋ⸣ ʃi⸢niti⸣ ʔu⸢keːri kiː⸣ʃi̥ta] (今年の極寒には海の魚も死んで浮いてきたものだ) 18195 0 0 18342 htmvoc_18195.wav ンガプス ン⸢ガ⸣プス [ʔŋ⸢ga⸣pu̥su] 名 厳格な人。厳しい人。怒りっぽい人。 ⸢ウン⸣ネヌ ⸣アブジェー ク⸢ビッチン⸣ヌ ユ⸢グリーンツァン ヌンガーラ⸣ソーラヌ ン⸢ガ⸣プス ヤ⸢ローッ⸣タ [⸢kun⸣nenu ⸣ʔabuʤeː ku⸢bitʧin⸣nu ju⸢guriːnʦan nuŋgaːra⸣soːranu ʔŋ⸢ga⸣pu̥su ja⸢roːt⸣ta] (あの家のお祖父さんは、ちょっとの汚れも許されない厳格な人でいらっしゃった) 18196 0 0 18343 htmvoc_18196.wav ンガプスマ ン⸢ガプス⸣マ [ʔŋ⸢gapusu⸣ma] 名 酷熱の真昼間。炎熱の真昼間。 ナ⸢チヌ⸣ ン⸢ガプス⸣マナー パ⸢タ⸣ケー ⸣パル プ⸢リムヌヌ ブン⸠ツォー [na⸢ʧinu⸣ ʔŋ⸢gapusu⸣manaː pḁ⸢ta⸣keː ⸣paru pu̥⸢sunu bun⸠ʦoː] (夏の、炎熱の真昼間に畑へ行く馬鹿がいるものですか) 18197 0 0 18344 htmvoc_18197.wav ンガフチ ン⸢ガ⸣フチ [ʔŋ⸢ga⸣ɸu̥ʧi] 名 毒舌。毒舌家。極めて厳しい批評をする人。ア⸢マフチ[ʔa⸢maɸu̥ʧi](甘口{EOS}おべっか)の対義語。 ウ⸢レー サッ⸣コー ン⸢ガ⸣フチ ヤ⸢ルンダ⸣ ウ⸢リヌ⸣ ムネー シゥ⸢カラヌ [ʔu⸢reː sak⸣koː ʔŋ⸢ga⸣ɸu̥ʧi ja⸢runda⸣ ʔu⸢rinu⸣ muneː si̥⸢karanu] (彼は大変な毒舌家だから、彼の言葉は聞いておれない<聞かれない{EOS}聞くに耐えられない>) 18198 0 0 18345 htmvoc_18198.wav ンガフチル ン⸢ガフチ⸣ル [ʔŋ⸢gaɸu̥ʧi⸣ru] 名 苦い薬。「苦薬」の義。ン⸢ガ⸣ナー[ʔŋ⸢ga⸣naː](苦菜)は、ン⸢ガフチ⸣ル[ʔŋ⸢gaɸu̥ʧi⸣ru](苦薬{EOS}\ruby{胃腸薬}{イ|チョウ|ヤク}の\ruby{効能}{コウ|ノウ}がある薬草)といって、家庭菜園で栽培していた。フ⸢チン⸣パー[ɸu̥⸢ʧim⸣paː](よもぎば{EOS}\ruby{蓬}{ヨモギ}の葉)も苦薬だが、蓬の葉を⸢ダイ⸣パー[⸢dai⸣paː](\ruby{擂鉢}{スリ|バチ})で\ruby{擂}{ス}って汁液を\ruby{解熱剤}{ゲ|ネツ|ザイ}として飲ませた。ナ⸢ツァー⸣ラ[na⸢ʦaː⸣ra](\ruby{海人草}{カイ|ニン|ソウ})も苦薬で、これは、ム⸢シクダシ[mu⸢ʃikudaʃi](\ruby{回虫駆除剤}{カイ|チュウ|ク|ジョ|ザイ})として\ruby{煎}{セン}じて服用させた。 ン⸢ガフチ⸣ロー イッ⸢ケナ⸣ ス⸢クン⸠ダ [ʔŋ⸢gaɸu̥ʧi⸣roː ʔik⸢kena⸣ su̥⸢kun⸠daː] (苦薬は非常によく\ruby{効}{キ}くよ) 18199 0 0 18346 htmvoc_18199.wav ンガマサン ン⸢ガマ⸣サン [ʔŋ⸢gama⸣saŋ] 形 やかましい(喧しい)。騒がしい。うるさい(煩い)。ヤ⸢ガマ⸣サン[ja⸢gama⸣saŋ](喧しい{EOS}気難しい{EOS}厳しい)ともいう。 ウ⸢ヤー⸣ルカ ン⸢ガマ⸣サンダ ン⸢ガマサ ナーン⸣ヨーニ グ⸢マ⸣クイシ パ⸢ナ⸣シ [ʔu⸢jaː⸣rukaː ʔŋ⸢gama⸣sanda ʔŋ⸢gamasa naːɲ⸣joːni gu⸢ma⸣kuiʃi pa⸢na⸣ʃi] (大声で叫ぶと\ruby{喧}{ヤカマ}しいから、喧しくないように小声で話せ)。 ン⸢ガマサ⸣ヌ ナ⸢ラ⸣ヌ [ʔŋ⸢gamasa⸣nu na⸢ra⸣nu] (喧しくて堪らない)。 ⸢シンダイ⸣ ン⸢ガマ⸣サ ⸣ナリ ⸣ケーン [⸢ʃindai⸣ ʔŋ⸢gama⸣sa ⸣nari ⸣keːŋ] (次第に喧しくなってきた)。 ン⸢ガマ⸣サ ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔŋ⸢gama⸣sa ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (喧しいことはない)。 ン⸢ガマ⸣サカー カ⸢マー⸣ パリバ [ʔŋ⸢gama⸣sakaː ka⸢maː⸣ pariba] (喧しかったら、あそこへ行きなさいよ) 18200 0 0 18347 htmvoc_18200.wav ンガミン ン⸢ガ⸣ミン [ʔŋ⸢ga⸣miŋ] 名 耳の中が常にじくじくして湿っている人。「苦耳」の義。 ウ⸢リヌ ミン⸣マー ン⸢ガ⸣ミン ヤ⸢ルンダ⸣ トゥ⸢キドゥ⸣ケー ⸢ミン⸣ザイ ン⸢ジ⸣ル ⸣ピンヌン ⸣アン [ʔu⸢rinu mim⸣maː ʔŋ⸢ga⸣miɲ ja⸢runda⸣ tu̥⸢kidu⸣keː ⸢min⸣ʣai ʔn⸢ʤi⸣ru ⸣pinnuŋ ⸣ʔaŋ] (彼の耳はじくじく湿った耳だから、時々は耳垂れが出ることもある) 18201 0 0 18348 htmvoc_18201.wav ンガムニ ン⸢ガ⸣ムニ [ʔŋ⸢ga⸣muni] 名 苦言。毒舌。 ウ⸢レー⸣ ン⸢ガ⸣ムニ カー⸢ニル⸣ ア⸢ズ⸣ イッ⸢カ⸣ ア⸢バ⸣ムネー ア⸢ザヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔŋ⸢ga⸣muni kaː⸢niru⸣ ʔa⸢ʣu⸣ ʔik⸢ka⸣ ʔa⸢ba⸣muneː ʔa⸢ʣanu] (彼は苦言だけをいう{EOS}決してお世辞はいわない) 18202 0 0 18349 htmvoc_18202.wav ンガユー ン⸢ガ⸣ユー [ʔŋ⸢ga⸣juː] 名 不作の年。凶作の年。「にがよ(苦世)」の義。ア⸢マユー[ʔa⸢majuː](豊年{EOS}甘世)の対義語。 ム⸢カ⸣シェー ン⸢ガユー⸣ヌ シ⸢ジキティ⸣ ム⸢ヌッふァイマー⸣キ ⸢シー オーッ⸣タツォー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔŋ⸢gajuː⸣nu ʃi⸢ʤikiti⸣ mu⸢nuffaimaː⸣ki ⸢ʃiː ʔoːt⸣taʦoː] (昔は凶作の年が続いて、食べることさえ出来なくて<食べかねて>おられたそうだ) 18203 0 0 18350 htmvoc_18203.wav ンガヨーン ン⸢ガヨーン [ʔŋ⸢gajoːŋ] 名 真っ暗闇。 ン⸢ガヨーンヌ⸣ ミーラ ⸢ティーサドゥ⸣リー ⸢シェー⸣ティ ヤッ⸢トゥ⸣シ ク⸢マーバー⸣キ ア⸢ラ⸣キ ⸢クー⸣タ [ʔŋ⸢gajoːnnu⸣ miːra ⸢tiːsadu⸣riː ⸢ʃeː⸣ti jat⸢tu⸣ʃi ku⸢maːbaː⸣ki ʔa⸢ra⸣ki ⸢kuː⸣ta] (真っ暗闇の中を<中から>手探りしながら、やっとのことで此処まで歩いてきたよ) 18204 0 0 18351 htmvoc_18204.wav ンガリ ン⸢ガ⸣リ [ʔŋ⸢ga⸣ri] 名 にがり(苦汁)。豆腐を製造する際に\ruby{凝固剤}{ギョウ|コ|ザイ}として用いる。普通は海水を汲んできて用いた。 ⸢トー⸣フ マ⸢ラス⸣ピンマー ン⸢ガ⸣リ イ⸢リバル⸣ ナル⸢ダー [⸢toː⸣ɸu ma⸢rasu⸣ pimmaː ʔŋ⸢ga⸣ri ʔi⸢riba⸣ru naru⸢daː] (豆腐を造る<自然に生まらせる>時は、\ruby{SqBr}g{/SqBr}{苦汁}{ニガリ}を入れないといけない<入れたらばぞなる>よ) 18205 0 1 18352 htmvoc_18205.wav ンギ ン⸢ギ [ʔŋ⸢gi] 名 {Mn_1}のぎ(芒)。のげ。稲の外殻にある針のような堅い毛。「芒、乃木<のぎ>、禾穂の芒なり」『和名抄』。イ⸢ナ⸣ピニ[ʔi⸢na⸣pini](\ruby{芒}{ノギ})ともいう。 ⸢ザイレーマイ⸣ヌ ⸢プー⸣ヤー ン⸢ギヌ⸣ ナ⸢ガー⸣ンダ ⸣ウシナー ⸣カティティル ム⸢メー⸣ ピ⸢キウシ⸣シ ピ⸢コーッタ⸣ル [⸢ʣaireːmai⸣nu ⸢puː⸣jaː ʔŋ⸢ginu⸣ na⸢gaː⸣nda ⸣ʔuʃinaː ⸣katitiru mu⸢meː⸣ pi̥⸢kiʔuʃi⸣ʃi pi̥⸢koːtta⸣ru] (在来米の穂はノギ<芒>が長いので、臼で搗いてから<ぞ>碾き臼で籾を\ruby{挽}{ヒ}いて籾殻を除去されたものだ)。 18205 0 2 18353 htmvoc_18205.wav ンギ ン⸢ギ [ʔŋ⸢gi] 名 {Mn_2}\ruby{刺}{トゲ}。喉に\ruby{刺}{サ}さった魚の骨(のぎ<鯁>)。「喉(のみど)に鯁ありて、物え食はず」『古事記 神代』の転訛したもの。 ン⸢ギ⸣ナ ッ⸢サ⸣リティ ヤ⸢ミ⸣ス [ʔŋgi⸣na s⸢sa⸣riti ja⸢mi⸣su] (\ruby{刺}{トゲ}に刺されて痛む)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ⸣ヌドゥナー ン⸢ギヌ⸣ カ⸢カル⸣カー ⸣サバンナー ⸣パシシ ア⸢ジ⸣マー ⸣カキティ ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢マ⸣ソーッタ [ja⸢rabi⸣nu ⸣nudunaː ʔŋ⸢ginu⸣ kḁ⸢ka⸣rukaː ⸣sabannaː ⸣pḁʃiʃi ʔa⸢ʤi⸣maː ⸣kḁkiti mi⸢ʤi⸣ nu⸢ma⸣soːtta] (子供の喉に魚の刺がささると、茶碗に箸で十字を掛け、その間水を飲まされた) 18206 0 0 18354 htmvoc_18206.wav ンギウシ ン⸢ギ⸣ウシ [ʔŋ⸢gi⸣ʔuʃi] 名 牧場や牛舎から逃げた牛。牛の鼻綱を切って逃げた牛。「逃げ牛」の義。⸢ピンギ⸣ウシ[⸢piŋgi⸣ʔuʃi](逃亡牛)ともいう。 ン⸢ギ⸣ウシ ⸣トゥミン ⸢パッ⸣タ [ʔŋ⸢gi⸣ʔuʃi ⸣tumim ⸢pat⸣ta] (逃げた牛を捜しに行った) 18207 0 0 18355 htmvoc_18207.wav ンキコーマ ン⸢キコー⸣マ [ʔŋ⸢kikoː⸣ma] 名 むき卵。 ⸢コー⸣マ ⸣ユディティ ン⸢キコー⸣マ ス⸢ク⸣リティ ッ⸢ふァーシ⸣バ [⸢koː⸣ma ⸣juditi ʔŋ⸢kikoː⸣ma su̥⸢ku⸣riti f⸢faːʃi⸣ba] (卵を\ruby{茹}{ユ}でて、むき卵にして<むき卵を作って>食べさせなさいよ) 18208 0 0 18356 htmvoc_18208.wav ンギサン ⸢ン⸣ギサン [⸢ŋ⸣gisaŋ] 助動 ~そうだ。~らしい。~ようだ。動詞、助動詞の連用形、形容詞の語幹に付いて、様子、気配などの様態を表す。形容詞型活用をしめす。語源的には、「~げ[nge]・さ・あり(~気・さ・あり)」が融合変化して形成されたものと考えられる。ギ[gi]は、「家の人出で入り、にくげ<ゲ>ならず」『土佐日記 二月十五日』、「~聞えまほしげ<ゲ>なることは、ありげ<ゲ>なるを~」『源氏物語 桐壺』の⸢~ゲ」の転訛したもの。 ⸢ジー⸣ カ⸢キン⸣ギサン [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gisaŋ] (字を書きそうだ)。 アー⸢イ⸣ カ⸢キン⸣ギサー ⸢ナー⸣ヌ [ʔaː⸢ji⸣ kḁ⸢kiŋ⸣gisaː ⸢naː⸣nu] (いや、書きそうにない)。 カ⸢キン⸣ギサタン [kḁ⸢kiŋ⸣gisataŋ] (書きそうだった)。 カ⸢キン⸣ギサ プ⸢ソー ター⸣ヤ [kḁ⸢kiŋ⸣gisa pu̥⸢soː taː⸣ja] (書きそうな人は誰か) 18209 0 0 18357 htmvoc_18209.wav ンギプス ン⸢ギ⸣プス [ʔŋ⸢gi⸣pu̥su] 名 離縁された女性。出戻り女。家出女。「逃げ人」の義。 フ⸢ルシ⸣ケーッスン ⸢ピー⸣チ ⸣ムティティ ン⸢ギ⸣プス ⸣ナリキー ⸢ベー [ɸu⸢ru⸣ʃi̥keːssum ⸢piː⸣ʧi ⸣mutiti ʔŋ⸢gi⸣pu̥su ⸣narikiː ⸢beː] (風呂敷包み一個持って出戻り女<家出女>になってきている) 18210 0 0 18358 htmvoc_18210.wav ンキルン ン⸢キ⸣ルン [ʔŋ⸢ki⸣ruŋ] 自動 むける(剥ける)。皮が自然に剥ける。 フ⸢ユ⸣ ナリティ ⸢カン⸣ソー ⸢スー⸣カー ⸢ティー⸣ヌ ⸢カー⸣ヌ ン⸢キ⸣ルン [ɸu⸢ju⸣ nariti ⸢kan⸣soː ⸢suː⸣kaː ⸢tiː⸣nu ⸢kaː⸣nu ʔŋ⸢ki⸣ruŋ] (冬になって乾燥すると手の皮が剥ける)。 ク⸢トゥシェー⸣ ン⸢キラン⸣シェン [ku̥⸢tuʃeː⸣ ʔŋ⸢kiraŋ⸣ʃeŋ] (今年は剥けなかった)。 ン⸢キヤッ⸣サン [ʔŋ⸢kijas⸣saŋ] (剥けやすい)。 ⸢ティー⸣ヌ ⸢カー⸣ヌ ン⸢キ⸣ル ⸣ピンマー フ⸢チ⸣ル ⸢ヌーリ⸣バ [⸢tiː⸣nu ⸢kaː⸣nu ʔŋ⸢ki⸣ru ⸣pimmaː ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢nuːri⸣ba] (手の皮が剥ける時は薬を塗りなさい) 18211 0 0 18359 htmvoc_18211.wav ンギルン ン⸢ギ⸣ルン [ʔŋ⸢gi⸣ruŋ] 自動 (牛馬が)逃げる。逃走する。 ウ⸢シェー⸣ バ⸢ツァマン⸣カー ン⸢ギ⸣ルンダ ン⸢ギラン⸣ヨーニ バ⸢ツァ⸣ミ ⸣シキ [ʔu⸢ʃeː⸣ ba⸢ʦamaŋ⸣kaː ʔŋ⸢gi⸣runda ʔŋ⸢giraɲ⸣joːni ba⸢ʦa⸣mi ⸣ʃi̥ki] (牛は鼻綱を木に結わえておかないと逃げるから、逃げないように鼻綱を木に結わえておけ)。 ⸣ンギパリ ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔŋgipari ⸢naː⸣nu] (逃げていってしまった)。 ⸣クマーラ ン⸢ギ⸣ル ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣kumaːra ʔŋ⸢gi⸣ru ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (ここから逃げることはない)。 ン⸢ギ⸣レー ⸣ミサムヌ [ʔŋ⸢gi⸣reː ⸣misamunu] (逃げればいいのに)。 ン⸢ギ⸣リ [ʔŋ⸢gi⸣ri] (逃げろ) 18212 0 0 18360 htmvoc_18212.wav ンクビ ン⸢クビ [ʔŋ⸢kubi] 名 にきび。「痤、邇岐美(にきみ)、\ruby{小癤}{ショウ|セツ}也」『和名抄』の転訛したもの。 ン⸢クビヌ⸣ ン⸢ジ⸣ルン [ʔŋ⸢kubinu⸣ ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] (にきびが出る)。 ⸢アッ⸣パリ ⸣ンクビ ⸢ウッ⸣カイ ⸣ッサバヤーティル ム⸢カ⸣シムネー アル⸢ダー [⸢ʔap⸣pari ⸣ʔŋkubi ⸢ʔuk⸣kai ⸣ssabajaːtiru mu⸢ka⸣ʃimuneː ʔaru⸢daː] (⸢美しいニキビ<ニキビは若者の象徴で美しいが>、醜いはたけ<皮膚病のハタケは醜い>」と諺<昔の言葉>にいわれているよ) 18213 0 0 18361 htmvoc_18213.wav ングムン ン⸢グムン [ʔŋ⸢gumuŋ] 自動 いきむ(息む)。息を込めて腹に力を入れる。力む。 ッ⸢ス⸣ マルンティ ン⸢グムンティ スンドゥ⸣ ン⸢グマラヌ [s⸢su⸣ marunti ʔŋ⸢gumunti sundu⸣ ʔŋ⸢gumaranu] (排便しようと<糞をまるとて>力もうとするが、力まれない)。 ン⸢グミ⸣ ミサカー ン⸢グム⸣ クトー ⸣ナルン [ʔŋ⸢gumi⸣ misakaː ʔŋ⸢gumu⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (\ruby{息}{イキ}んでよければ、\ruby{息}{イキ}むことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ン⸢グメー⸣ ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔŋ⸢gumeː⸣ misamunu] (もっと息めばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ン⸢グミ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔŋ⸢gumi⸣ba] (早く息めよ) 6313 0 1 18362 htmvoc_6313.wav ングリサン ング⸢リ⸣サン [⸢ŋguri⸣saŋ] 助動 ~づらい。~(し)づらい。~(し)にくい。形容詞型活用。⸢グリ⸣サン[⸢guri⸣saŋ](~にくい{EOS}~づらい)ともいう。{Mn_1}動詞の連用形(音節構造がCVCVの場合)を受ける時は、⸢ングリ⸣サン[⸢ŋguri⸣saŋ](~づらい{EOS}~にくい)となることが多い(老年層)。例、カ⸢キングリ⸣サン[kḁ⸢kiŋguri⸣saŋ](書きにくい)。 6313 0 2 18363 htmvoc_6313.wav ングリサン ング⸢リ⸣サン [⸢ŋguri⸣saŋ] 助動 {Mn_2}動詞の連用形(語幹の音節構造がCVVの場合)を受ける時は、バ⸢ライグリ⸣サン[ba⸢raiguri⸣saŋ](笑いにくい)のように鼻音Nが脱落することが多い(若年層)。 ク⸢リ⸣シェー カ⸢キングリ⸣サンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ⸢ナン⸣ゾー カ⸢キングリサナーン⸣バン [ku⸢ri⸣ʃeː kḁ⸢kiŋguri⸣saŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ⸢nan⸣ʣoː kḁ⸢kiŋgurisa naːm⸣baŋ] (これでは書きづらいかと思ったが、あまり書きづらくないわい)。 カ⸢キングリ⸣サ ⸣ムノー ⸢ナー⸣ヌ [kḁ⸢kiŋguri⸣sa ⸣munoː ⸢naː⸣nu] (書きづらいものはない)。 カ⸢キングリ⸣サカー カ⸢ク⸣ナ [kḁ⸢kiŋguri⸣sakaː kḁ⸢ku⸣na] (書きづらかったら書くな) 18214 0 0 18364 htmvoc_18214.wav ングリサン ⸢ングリ⸣サン [⸢ŋguri⸣saŋ] 助動 ~しづらい(し辛い)。~しにくい。~することが困難である。動詞の連用形について形容詞型の活用を示す助動詞。 カ⸢キングリ⸣サン [kḁ⸢kiŋguri⸣saŋ] (書きにくい)。 ユ⸢ミングリ⸣サン [ju⸢miŋguri⸣saŋ] (読みづらい)。 ク⸢レー⸣ カ⸢キングリ⸣サンドゥ ユ⸢ミングリ⸣サー ⸢ナー⸣ヌ [ku⸢reː⸣ kḁ⸢kiŋguri⸣sandu ju⸢miŋguri⸣saː ⸢naː⸣nu] (これは書きづらいが、読みづらくはない)。 カ⸢キングリサ⸣ヌ ⸣カク プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーヌ [kḁ⸢kiŋgurisa⸣nu ⸣kḁku pu⸢soː⸣ bu⸢raːnu] (書き辛いので、書く人はいない)。 カ⸢キングリ⸣サー ⸣クトー ⸢ナーン⸣ パジ [kḁ⸢kiŋguri⸣saː ⸣ku̥toː ⸢naːm⸣ paʤi] (書きづらいことはないはずだ) 18215 0 0 18365 htmvoc_18215.wav ンクン ⸣ンクン [⸣ʔŋkuŋ] 他動 むく(剥く)。表面を\ruby{覆}{オオ}っているものを除去し中身を表す。 フ⸢ナ⸣ブ ⸣ンキティ ッ⸢ふァイ⸣バ [ɸu⸢na⸣bu ⸣ʔŋkiti f⸢fai⸣ba] (みかん<九年母の実>を\ruby{剥}{ム}いて食べなさい)。 ⸢シンザ⸣ヌ ⸣カー ⸣ンクンティ ⸢スンドゥ コー⸣ヌ ン⸢カラ⸣ヌ [⸢ʃinʣa⸣nu ⸣kaː ⸣ʔŋkunti ⸢sundu koː⸣nu ʔŋ⸢kara⸣nu] (サトウキビ<\ruby{甘蔗}{カン|シャ}>の皮を剥こうとするが、堅くて剥かれない)。 ⸢パー⸣ヌ ⸢ヨー⸣ティ ⸢シンザ⸣ヌ ⸣カー ⸣ンク ⸣クトゥン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢paː⸣nu ⸢joː⸣ti ⸢ʃinʣa⸣nu ⸣kaː ⸣ʔŋku ⸣kutun na⸢ra⸣nu] (歯が弱いので甘蔗の皮を剥くこともできない)。 ⸣ドゥーシ ⸣ンケー ⸣ミサムヌ [⸣duːʃi ⸣ʔŋkeː ⸣misamunu] (自分で剥けばいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ンキバ [⸢paː⸣ku ⸣ʔŋkiba] (早く剥けよ) 18216 0 0 18366 htmvoc_18216.wav ングン ⸣ングン [⸣ʔŋguŋ] 自動 (牛馬が)逃げる。 ク⸢ヌ⸣ ウ⸢シェー⸣ ングンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ン⸢ガン⸣バン [ku⸢nu⸣ ʔu⸢ʃeː⸣ ʔŋguŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʔŋ⸢gam⸣baŋ] (この牛は逃げるかなあと思ったが、逃げないよ)。 ⸣ンギ ⸣パレーン [⸣ʔŋgi ⸣pareːŋ] (逃げていってしまった)。 ⸣ング ⸣クトー ⸢ナー⸣ヌ [⸣ʔŋgu ⸣ku̥toː ⸢naː⸣nu] (逃げることはない)。 ⸣ンゲー ⸣ミサムヌ [⸣ʔŋgeː ⸣misamunu] (逃げればいいのに)。 ⸣ンギバ [⸣ʔŋgiba] (逃げろよ) 18217 0 0 18367 htmvoc_18217.wav ンケーリ ⸢ンケー⸣リ [⸢ʔŋkeː⸣ri] 接尾 ~に熱中する。~に夢中になる。粘っこく入念に~する。~熟睡する。擬態語や擬声語、状態を表す語等の限られた語につく。 ⸢ネーランケー⸣リ ⸢ブー⸣バ ⸢ウー⸣ミ ⸢オー⸣ル [⸢neːraŋkeː⸣ri ⸢buː⸣ba ⸢ʔuː⸣mi ⸢ʔoː⸣ru] (粘っこく入念に麻糸を\ruby{紡}{ツム}いでいらっしゃる)。 ⸢ゴーンケー⸣リ ニ⸢ビ ベー [⸢goːŋkeː⸣ri ni⸢bi beː] (すやすやとぐっすりと寝ている)。 サ⸢ニンケーリ⸣ パ⸢ナ⸣シ ⸢ベー [sa⸢niŋkeːri⸣ pa⸢na⸣ʃi ⸢beː] (さも嬉しそうに話している)。 ⸢ナーンパー⸣ヤ グ⸢ダランケー⸣リ サ⸢カリ ベー [⸢naːmpaː⸣ja gu⸢daraŋkeː⸣ri sḁ⸢kari beː] (菜っ葉は青々と生い茂っている) 477 0 0 18368 htmvoc_477.wav ンコールン ン⸢コー⸣ルン [ʔŋ⸢koː⸣ruŋ] 他動 召し上がる。ッ⸢ふン[f⸢fuŋ~fuŋ](食う)の尊敬語。 ⸣アブジェー ⸢イー⸣ヤ ン⸢コー⸣ルンツォー [⸣ʔabudʒeː ⸢ʔiː⸣ja ʔŋ⸢koː⸣runʦoː] (おじいさんは、ご飯<\ruby{飯}{イヒ}>は召し上がられるそうだ)。 ン⸢コーラ⸣ヌ [ʔŋ⸢koːra⸣nu] (召し上がらない)。 ン⸢コー⸣リ ⸣ミサカー ン⸢コー⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン パジ⸢ダー [ʔŋ⸢koː⸣ri ⸣misakaː ʔŋ⸢koː⸣ru ⸣ku̥toː ⸣narum paʤi⸢daː] (召し上がってよければ、召し上がることは出来るはずだよ)。 ⸢マー⸣ビン ン⸢コー⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣biŋ ʔŋ⸢koː⸣reː ⸣misamunu] (もっと召し上がればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ン⸢コー⸣リ [⸢paː⸣ku ʔŋ⸢koː⸣ri] (早く召し上がれ)。ッ⸢ふン[f⸢fuŋ](食う)の敬語。「にきやかうれ」『混効験集(坤・言語)』の転訛したもの。 ⸣イー ン⸢コー⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ン⸢コーラン⸣バン [⸣ʔiː ʔŋ⸢koː⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʔŋ⸢koːram⸣baŋ] (ご飯を召し上がるかと思ったが、召し上がらないよ)。 ン⸢コー⸣リ⸣ミサン [ʔŋ⸢koː⸣ri ⸣misaŋ] (召し上がってよい)。 ン⸢コー⸣ル プ⸢ソー オーラ⸣ヌ [ʔŋ⸢koː⸣ru pu̥⸢soː ʔoːra⸣nu] (召し上がる人はおられない) 18219 0 0 18369 htmvoc_18219.wav ンゴーンゴー ン⸢ゴーンゴー [ʔŋ⸢goːŋgoː] 感 赤子をあやす時にいう言葉。なんご(喃語)。ン⸢クーンクー[ʔŋ⸢kuːŋkuː](喃語)ともいう。 ア⸢ガッふァー⸣マ ダ⸢キティ⸣ ン⸢ゴーンゴー⸣シ ア⸢マイラシ ベー [ʔa⸢gaffaː⸣ma da⸢kiti⸣ ʔŋ⸢goːŋgoː⸣ʃi ʔa⸢mairaʃi beː] (赤子を抱いて、ンゴーンゴーといって笑わせ<喜ばせ>ている) 18220 0 1 18370 htmvoc_18220.wav ンザ ⸣ンザ [⸣ʔnʣa] 名 {Mn_1}奴。ぬひ(奴婢)。「奴婢、ヌビ、下人」『黒本本節用集』、「NVbi.ヌビ(奴婢)奉公人の男、または女」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ウン⸣ネナーティ ン⸢ザ⸣シゥカイ シ⸢ラリ ベー⸣タ [⸢ʔun⸣nenaːti ʔn⸢ʣa⸣si̥kai ʃi⸢rari beː⸣ta] (あの家で下男扱いに使用されていた)。 18220 0 2 18371 htmvoc_18220.wav ンザ ⸣ンザ [⸣ʔnʣa] 名 {Mn_2}下男、下女の\ruby{蔑称}{ベッ|ショウ}。 ⸢ウン⸣ネーヤ ⸢ピン⸣ソー ヤ⸢レー⸣ティ イ⸢ツォンプス⸣ヌ ン⸢ザッ⸣ふァン ⸢カーサリタ⸣ツォー [⸢ʔun⸣neːja ⸢pin⸣soː ja⸢reː⸣ti ʔi⸢ʦoːmpu̥su⸣nu ʔn⸢ʣaf⸣faŋ ⸢kaːsarita⸣ʦoː] (あの家は貧乏だったので、糸満漁師の下男に売られたそうだ) 18222 0 0 18372 htmvoc_18222.wav ンザシペーラシ ン⸢ザ⸣シペーラシ [ʔn⸢ʣa⸣ʃipeːraʃi] 名 出し入れ。 ⸢ドーング⸣ヌ ン⸢ザ⸣シペーラシ ⸢シー グリ⸣サン [⸢doːŋgu⸣nu ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣peːraʃi ⸢ʃiː guri⸣saŋ] (道具の出し入れがしにくい) 18223 0 0 18373 htmvoc_18223.wav ンザシマイ ン⸢ザシ⸣マイ [ʔn⸢ʣaʃi⸣mai] 名 出し前。割り当てられた金額、または米や酒類の物品。 ⸢ニンズーヌ⸣ キ⸢ザルキザルヌ⸣ ン⸢ザシマイ⸣ヤー カ⸢カサンドー⸣シ ン⸢ザシ⸣ ブタ [⸢ninʣuːnu⸣ ki⸢ʣarukiʣarunu⸣ ʔn⸢ʣaʃimai⸣jaː kḁ⸢kasandoː⸣ʃi ʔn⸢ʣaʃi⸣ buta] (年中の祭祀ごとの出し前は欠かさずに出していた) 18224 0 0 18374 htmvoc_18224.wav ンザシミー ン⸢ザシ⸣ミー [ʔn⸢ʣaʃi⸣miː] 名 出し分。分担すべき花米など。村の祭祀用の費用。「出し前」の義。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ グ⸢サークマイ⸣ヌ ン⸢ザシ⸣マイ ン⸢ザ⸣シバ [⸢jaːninʣuː⸣nu gu⸢saːkumai⸣nu ʔn⸢ʣaʃi⸣mai ʔn⸢ʣa⸣ʃiba] (家族の、五勺米の出し分を出しなさいよ) 18221 0 0 18375 htmvoc_18221.wav ンザスン ン⸢ザ⸣スン [ʔn⸢ʣa⸣suŋ] 他動 出す。いだす。「Idaxi,su,aita.イダシ、ス、イタ(出だし、す、いた)取り出す、あるいは外へほうり出す」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ⸢ヤー⸣ラ ン⸢ザ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ ン⸢ザサラ⸣ヌ [⸢jaː⸣ra ʔn⸢ʣa⸣sunti ⸢sundu⸣ ʔn⸢ʣasara⸣nu] (家から出そうとするが、出されない)。 ⸣フカンター ン⸢ザ⸣シ ⸣ミサカー ン⸢ザ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸣ɸu̥kantaː ʔn⸢ʣa⸣ʃi ⸣misakaː ʔn⸢ʣa⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (外へ出してよければ、出すことは出来る)。 ⸢パー⸣ク ン⸢ザ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔn⸢ʣa⸣ʃeː ⸣misamunu] (早く出せばいいのに)。 ⸢マー⸣ビン ン⸢ザ⸣シ [⸢maː⸣bin ʔn⸢ʣa⸣ʃi] (もっと出せ) 18232 0 0 18376 htmvoc_18232.wav ンジェーペーリペーリ ンジェー⸢ペーリペー⸣リ [ʔnʤeː⸢peːripeː⸣ri] 副 出たり入ったり。せわしなく<\ruby{忙}{セワ}しなく>出入りするさま。「出ては入り入り」の義。 ⸢ウン⸣ネーヤ プ⸢スヌ⸣ ンジェー⸢ペーリペー⸣リ ⸢シー ヨイヌ⸣ル ア⸢リン⸣ギサ⸢サー [⸢ʔun⸣neːja pu̥⸢sunu⸣ ʔnʤeː⸢peːripeː⸣ri ⸢ʃiː joinu⸣ru ʔa⸢riŋ⸣gisa⸢saː] (あの家は\ruby{忙}{セワ}しなく人が出入りして、祝い事がありそうだよ) 18225 0 0 18377 htmvoc_18225.wav ンジパー ン⸢ジ⸣パー [ʔn⸢ʤi⸣paː] 名 出羽。古典舞踊の出だしの舞踊。ピ⸢キバー[pi̥⸢kibaː](入り端<引き端>{EOS}古典舞踊における退場の場面の舞踊)の対義語。 ウ⸢ブブドゥ⸣ロー ン⸢ジ⸣パー ナ⸢カブドゥ⸣ル ピ⸢キパー⸣ティ ⸢シー⸣ ブ⸢ドゥルヌ ティー⸣バ ⸢カイヤー⸣ティ ブ⸢ドゥル ソーッ⸣タ [ʔu⸢bubudu⸣roː ʔn⸢ʤi⸣paː na⸢kabudu⸣ru pi̥⸢kibaː⸣ti ⸢ʃiː⸣ bu⸢durunu tiː⸣ba ⸢kaijaː⸣ti bu⸢duru soːt⸣ta] (古典舞踊<大踊り>は出羽、中踊り、入り端<引き端>といって、踊りの手を変えて踊りをされた)。/~(囃子)イヤイーヤー ムカシミルクヌ シルシサミエー ウテーモーテー スディワ スラニティ ウムシルムヌサミ ナマヌ ピキバヤ ウタユカワシバ/(真に目出度い、昔の弥勒菩薩の御世が到来する前兆だ{EOS}歌って舞って、袖を連ねて楽しいものだ{EOS}今の入り端<引き場>は歌を交わせよ)(鳩間口説 第九連)『鳩間島古典民謡古謡集』 18226 0 0 18378 htmvoc_18226.wav ンジバナ ン⸢ジ⸣バナ [ʔn⸢ʤi⸣bana] 名 でばな(出花)。煎茶などが最も香味のよいとき。煎茶の最盛期。 ク⸢ヌ サー⸣ヤ マ⸢ナマ⸣ル ン⸢ジ⸣バナ ヤ⸢ルンダ⸣ イッ⸢ケナ⸣ ン⸢マー⸣ン ⸢オーソー⸣リバ [ku⸢nu saː⸣ja ma⸢nama⸣ru ʔn⸢ʤi⸣bana ja⸢runda⸣ ʔik⸢kena⸣ ʔm⸢maː⸣ŋ ⸢ʔoːsoː⸣riba] (このお茶は今が\ruby{出花}{デ|バナ}だから、非常に美味しい<旨い>{EOS}お召し上がりなさいませな) 18227 0 0 18379 htmvoc_18227.wav ンジフチ ン⸢ジ⸣フチ [ʔn⸢ʤi⸣ɸu̥ʧi] 名 出口。 ン⸢ジ⸣フチ ッ⸢サーリティ⸣ ン⸢ジララ⸣ヌ [ʔn⸢ʤi⸣ɸu̥ʧi s⸢saːriti⸣ ʔn⸢ʤirara⸣nu] (出口を塞がれて出られない) 18228 0 0 18380 htmvoc_18228.wav ンジフニ ン⸢ジ⸣フニ [ʔn⸢ʤi⸣ɸuni] 名 出船。「Defune.デフネ(出船)まさに出帆、あるいは、出港しようとしている船」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。 ウ⸢キ⸣ナーヌ ン⸢ジ⸣フネー イ⸢チル⸣ ア⸢ル⸣ワ [ʔu⸢ki⸣naːnu ʔn⸢ʤi⸣ɸuneː ʔi⸢ʧiru⸣ ʔa⸢ru⸣wa] (沖縄への出船はいつ出る<いつぞある{EOS}何日にある>か) 18229 0 0 18381 htmvoc_18229.wav ンジペーリ ⸣ンジペーリ [⸣ʔnʤipeːri] 名 出入り。来客。 ⸢ウン⸣ネーヤ プ⸢スヌ⸣ ンジペーリヌ ⸢スー⸣ワン [⸢ʔun⸣neːja pu̥⸢sunu⸣ ʔnʤipeːrinu ⸢suː⸣waŋ] (あの家は人の出入りが多い<強い>) 18230 0 0 18382 htmvoc_18230.wav ンジマイ ン⸢ジ⸣マイ [ʔn⸢ʤi⸣mai] 名 出費。支出すべき分担金。村の祭祀に納める花米や酒類。ン⸢ジ⸣ミー[ʔn⸢ʤi⸣miː](出費)ともいう。 ⸢ヤーニンズー⸣ヌ ⸢ゴー⸣ラーユンダ ン⸢ジ⸣マイン ⸢マーン⸣ラン ⸢スー⸣ワン [⸢jaːninʣuː⸣nu ⸢goː⸣raːjunda ʔn⸢ʤi⸣maim ⸢maːn⸣ran ⸢suː⸣waŋ] (家族が多いから、出費も何処よりも多い<強い>) 18231 0 0 18383 htmvoc_18231.wav ンジムヌ ン⸢ジ⸣ムヌ [ʔn⸢ʤi⸣munu] 名 おでき(御出来)。できもの。はれもの。ふきでもの。 ム⸢カ⸣シェー ン⸢ジ⸣ムノー ガ⸢ジマル⸣ヌ シ⸢ル⸣バ ア⸢シブ⸣ヌ パ⸢ター⸣ラ ⸢ヌーリティ⸣ シミティ シ⸢ラソーッ⸣タダー [mu⸢ka⸣ʃeː ʔn⸢ʤi⸣munoː ga⸢ʤimaru⸣nunu ʃi⸢ru⸣ba ʔa⸢ʃibu⸣nu pa⸢taː⸣ra ⸢nuːriti⸣ ʃimiti ʃi⸢rasoːt⸣ta⸢daː] (昔は、御出来はガジマルの樹液を御出来の周囲から塗りつけて、御出来が化膿するのを締め付けて散らされたものだ) 18233 0 0 18384 htmvoc_18233.wav ンジルン ン⸢ジ⸣ルン [ʔn⸢ʤi⸣ruŋ] 自動 出る。「あしひきの山より出流<イヅル>月待つと~。万、3002」の転訛したもの。 ⸣フネー ⸢キュー⸣ヤ ン⸢ジ⸣ルンカヤーティ ウ⸢ムータン⸣ドゥ ン⸢ジラン⸣ティバーヤ [⸣ɸuneː ⸢kjuː⸣ja ʔn⸢ʤi⸣ruŋkajaːti ʔu⸢muːtan⸣du ʔn⸢ʤiran⸣tibaːja] (船は、今日は出港する<出る>だろうと思ったが、出ないそうだ<出ないって>よ)。 ⸢ヤー⸣ラ ⸣ンジ ⸣ミサカー ン⸢ジ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [⸢jaː⸣ra ⸣ʔnʤi ⸣misakaː ʔn⸢ʤi⸣ru ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (家から出てよければ、出ることはできる)。 ⸢パー⸣ク ⸣ンジェー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ⸣ʔnʤeː ⸣misamunu] (早く出ればいいのに)。 ヤー⸢ディン⸣ クマーラ ン⸢ジ⸣リ [jaː⸢diŋ⸣ kumaːra ʔn⸢ʤi⸣ri] (必ずここから出なさい) 18234 0 0 18385 htmvoc_18234.wav ンズン ⸣ンズン [⸣ʔnʣuŋ] 自動 出る。 シ⸢キ⸣ヌ ⸣ンズン [ʃi̥⸢ki⸣nu ⸣ʔnʣuŋ] (月が出る)。 ⸣シケー マ⸢ダ⸣ ン⸢ザ⸣ヌ [⸣ʃi̥keː ma⸢da⸣ ʔn⸢ʣa⸣nu] (月はまだ出ない)。 ⸢ヤー⸣ヌ ナ⸢カー⸣ラ プ⸢ス⸣ヌ ⸣ンジ ⸣クーン [⸢jaː⸣nu na⸢kaː⸣ra pu̥⸢sunu⸣ ʔnʤi ⸣kuːŋ] (家の中から人が出てくる)。 ム⸢カ⸣シェー ⸢ガッ⸣コー ⸣ンズ プ⸢ソー⸣ ブ⸢ラーンシェン [mu⸢ka⸣ʃeː ⸢gak⸣koː ⸣ʔnʣu pu̥⸢soː⸣ bu⸢raːŋʃeŋ] (昔は学校に出る<入学する>人はいなかった)。 ⸢マー⸣ビン ⸣ンジェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bin ⸣ʔnʤeː ⸣misamunu] (もっと出ればいいのに)。 ⸢パー⸣ク ⸣ンジバ [⸢paː⸣ku ⸣ʔnʤiba] (早く出なさい<出で>よ) 18235 0 0 18386 htmvoc_18235.wav ンゾサカナサ ン⸢ゾ⸣サカナサ [ʔn⸢ʣo⸣sakanasa] 連 非常に可愛がること。老年層の言葉。「むぞさ(無慚さ)・かなさ(愛しさ)(哭、ナク、カナシブ)『類聚名義抄』」の転訛したもの。 ⸣アッパー ユ⸢ミバ ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァン⸣ カタチニ ン⸢ゾ⸣サカナサ ⸢シー⸣ ッ⸢ふォーッ⸣タン [⸣ʔappaː ju⸢miba duː⸣nu f⸢faŋ⸣ kḁtaʧini ʔn⸢ʣo⸣sakanasa ⸢ʃiː⸣ f⸢foːt⸣taŋ] (お祖母さんは嫁を自分の子のように非常に可愛がってくださった) 18237 0 0 18387 htmvoc_18237.wav ンター ⸣ンター [⸣ʔntaː] 名 糞。大便。うんち。うんこ。幼児語。乳幼児に排便を促す際は、乳幼児の両腿を\ruby{掴}{ツカ}んで後ろから抱き上げ、⸣ンター ⸢スン⸣ドー ⸢ンーンー[⸣ʔntaː ⸢sun⸣doː ʔnːʔnː](うんちをするよ、うん うん<力んで排便を促す擬態語>)といった 18238 0 0 18388 htmvoc_18238.wav ンダー ⸣ンダー [⸣ʔndaː] 感 どれどれ。さあさあ。相手に物事をこちらへ寄越すよう、要求することば。 ⸣ンダー ク⸢レー⸣ バン トゥ⸢ラ⸣シ [⸣ʔndaː ku⸢reː⸣ ban tu⸢ra⸣ʃi] (どれどれ、これは私に渡しなさい<取らせよ>)。 ⸣ンダー ⸢バー⸣ ムノー ⸣ヌーヤ [⸣ʔndaː ⸢baː⸣ munoː ⸣nuːja] (どれ、寄越しなさい{EOS}私のものはどれか)。 ⸣ンダ ク⸢レー⸣ バーン ッ⸢ふィーリ [⸣ʔnda ku⸢reː⸣ baːn f⸢fiːri] (どれ、これは私にあげなさい<呉れよ>) 18239 0 0 18389 htmvoc_18239.wav ンダマルン ン⸢ダマルン [ʔn⸢damaruŋ] 自動 相手を睨んでじっと押し黙る。息んでおし黙る。 ⸣ムネー イ⸢ザムティ⸣ ン⸢ダマリ ベー [⸣muneː ʔi⸢ʣamuti⸣ ʔn⸢damari beː] (物は言わずに息んで押し黙っている)。 ン⸢ダマランドー⸣シ ⸢ピントー シー⸣バ [ʔn⸢damarandoː⸣ʃi ⸢pintoː ʃiː⸣ba] (息んで押し黙らないで返事をしなさいよ)。 ウ⸢リヌ⸣ ン⸢ダマル⸣ ピンマー ナ⸢クラーン⸠ダー [ʔu⸢rinu⸣ ʔn⸢damaru⸣ pimmaː na⸢kuraːn⸠daː] (彼が息んでおし黙る時は怖いよ)。 ン⸢ダマレー⸣ ミサムヌ [ʔn⸢damareː⸣ misamunu] (息んでおし黙ればいいのに)。 ン⸢ダマリ⸣バ [ʔn⸢damari⸣ba] (息んで押し黙れよ) 18240 0 0 18390 htmvoc_18240.wav ンダミルン ン⸢ダミルン [ʔn⸢damiruŋ] 他動 構える。支柱を構えて固定する。固定して支える。 カ⸢ジバナ⸣ ヤ⸢ルンダ⸣ パ⸢ラー⸣ヤ シゥ⸢カイ⸣ イ⸢リティ⸣ ン⸢ダミルンティ⸣ ウ⸢ムーン⸣ドゥ ン⸢ダミララヌ [ka⸢ʤibana⸣ ja⸢runda⸣ pa⸢raː⸣ja si̥⸢kai⸣ ʔi⸢riti⸣ ʔn⸢damirunti⸣ ʔu⸢muːn⸣du ʔn⸢damiraranu] (風の通り道だから柱は支柱を入れて構えようとするが、構えられない)。 ン⸢ダミ⸣ ミサカー フ⸢タントン⸣ラ ン⸢ダミ⸣ル ⸣クトー ⸣ナルン [ʔn⸢dami⸣ misakaː ɸu̥⸢tanton⸣ra ʔn⸢damiru⸣ ku̥toː ⸣naruŋ] (支柱で固定して構えてよければ、二箇所から固定し構えることはできる)。 ン⸢ダミレー⸣ ミサムヌ [ʔn⸢damireː⸣ misamunu] (支柱で固定すればよいのに)。 ⸣クマーラ ン⸢ダミリ [⸣kumaːra ʔn⸢damiri] (ここから支柱で構えて固定せよ) 18241 0 0 18391 htmvoc_18241.wav ンダムン ン⸢ダムン [ʔn⸢damuŋ] 他動 構える。固定して支える。 ン⸢ダムン [ʔn⸢damuŋ] (構える{EOS}固定して支える)。 ン⸢ダマヌ [ʔn⸢damanu] (構えない{EOS}固定して支えない)。 ン⸢ダミ⸣ シケー [ʔn⸢dami⸣ ʃi̥keː] (構えてある{EOS}固定して支えてある)。 ン⸢ダム⸣ クトゥ [ʔn⸢damu⸣ ku̥tu] (構えること{EOS}固定して支えること)。 ン⸢ダメー⸣ ミサムヌ [ʔn⸢dameː⸣ misamunu] (構えればいいのに{EOS}固定して支えればいいのに)。 ン⸢ダミ⸣バ [ʔn⸢dami⸣ba] (固定して支えなさいよ<構えよ>) 18242 0 0 18392 htmvoc_18242.wav ンチャ ⸣ンチャ [⸣ʔnʧa] 感 まことに。なるほど(成程)。いかにも。合点がいった時、相手の言うことを肯定して相づちを打ち、まさにその通りだ、の意を表す。沖縄本島方言からの借用語。老年層は、⸣ンチャ ⸢アイ⸣ユンシェー ⸢ワー⸣ ア⸢ズ トゥール⸣ユン[⸣ʔnʧa ⸢ʔai⸣juŋʃeː ⸢waː⸣ ʔa⸢ʣu tuːru⸣juŋ](成程、そうだなんだ{EOS}君がいう通りなんだよ) 18243 0 0 18393 htmvoc_18243.wav ンツァイルン ン⸢ツァイルン [ʔn⸢ʦairuŋ] 自動 むせる(\ruby{噎}{ム}せる{EOS}\ruby{咽}{ム}せる)。飲食物や煙で喉を詰まらせて咳き込む。むせる。「~涙をのごひ牟世比都々<ムセビツツ>~。万、4398」の転訛したもの。 ミ⸢ジ⸣ ユ⸢クヌドゥ⸣<ユ⸢クヌドー⸣> ウ⸢タ⸣スカー ン⸢ツァイルン⸠ダー [mi⸢ʤi⸣ ju⸢kunudu⸣ ʔu⸢ta⸣sukaː ʔn⸢ʦairun⸠daː] (水を気管<別喉>に落とすと\ruby{噎}{ムセ}ぶよ)。 ン⸢ツァイランドー⸣シ ⸢ヨーンナー⸣ ヌミバ [ʔn⸢ʦairandoː⸣ʃi ⸢joːnnaː⸣ numiba] (噎ばない<喉を詰まらさない>ように、ゆっくり飲めよ)。 ン⸢ツァイ ナー⸣ヌ [ʔn⸢ʦai naː⸣nu] (噎んで<喉を詰まらせて>しまった)。 ン⸢ツァイル⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔn⸢ʦairu⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (\ruby{噎}{ムセ}ぶことはない)。 ワ⸢ザットゥ⸣ ン⸢ツァイヤー⸣ ミサムヌ [wa⸢ʣattu⸣ ʔn⸢ʦaijaː⸣ misamunu] (わざと噎べば<むせば>いいのに)。 ン⸢ツァイ⸣バ [ʔn⸢ʦai⸣ba] (噎べよ) 18244 0 0 18394 htmvoc_18244.wav ンツァウン ン⸢ツァウン [ʔn⸢ʦauŋ] 自動 むせる(噎せる{EOS}咽る)。飲食物や煙で喉を詰まらせてせき込む 18236 0 1 18395 htmvoc_18236.wav ンツァン ⸢ンツァン [⸢nʦaŋ] 係助 ⸢だにも、すらも、さえも」の意味に対応する。「も・だに」が、*[mo-dani] → [muʣaŋ] → [nʣaŋ] → [nʦaŋ] のように音韻変化したものか。名詞や動詞の連用形、形容詞の終止形などに付く。{Mn_1}なし得る最小限のもの、可能性の最小限のものを例示して、それ以上のものを類推させる語。文末の打ち消し疑問の陳述と呼応して用いられる。 ク⸢リンツァン⸣ カキ⸢サヌ [ku⸢rinʦaŋ⸣ kḁki⸢sanu] (これすらも書けないのか)。 ヤ⸢ラ⸣ビンツァン カ⸢キ⸣スムヌ ウ⸢ブプス⸣ヌ カキ⸢サヌ [ja⸢ra⸣binʦaŋ kḁ⸢ki⸣sumunu ʔu⸢bupu̥su⸣nu kḁki⸢sanu] (子供ですら書くのに、大人が書けないのか)。 ⸣カキンツァン ⸢シーサ⸢ヌー [⸣kḁkinʦaŋ ⸢ʃiːsa⸢nuː] (書きすらも出来ないのか)。 18236 0 2 18396 htmvoc_18236.wav ンツァン ⸢ンツァン [⸢nʦaŋ] 係助 {Mn_2}仮定条件と呼応し、条件が満たされる意味を表す。 ⸢カイ⸣ヤンツァン ⸣アルカー ⸣ミサムヌ [⸢kai⸣janʦaŋ ⸣ʔarukaː ⸣misamunu] (<せめて>綺麗<美しい>でさえあれよいのだが<願望>) 18245 0 0 18397 htmvoc_18245.wav ンツン ン⸢ツン [ʔn⸢ʦuŋ] 自動 むせる(噎せる)。飲食物や煙で喉が詰まらされて咳き込む。ン⸢ツァイルン[ʔn⸢ʦairuŋ](咳き込む)ともいう。「~心のみ咽乍有尓<ムセツツアルニ>~。万、546」の転訛したものか。 ア⸢バテー⸣ティ ミ⸢ジ⸣ ヌムカー ン⸢ツンダ⸣ ン⸢ツァーン⸣ヨーニ ⸢ヨーンナ⸣ ヌミバ [ʔa⸢bateː⸣ti mi⸢ʤi⸣ numukaː ʔn⸢ʦunda⸣ ʔn⸢ʦaːɲ⸣joːni ⸢joːnna⸣ numiba] (慌てて水を飲むと\ruby{噎}{ム}せるから、噎せないようにゆっくり飲めよ)。 タ⸢ム⸣ノー フ⸢チ⸣マリティ キ⸢ボーシ⸣ナ ン⸢チティ⸣ イキ ⸢シーマーキ ベー [ta⸢mu⸣noː ɸu̥⸢ʧi⸣mariti ki⸢boːʃi⸣na ʔn⸢ʧiti⸣ ʔiki ⸢ʃiːmaːki beː] (薪が\ruby{燻}{クスブ}って、煙に噎せんで<むせて>息をし兼ねている)。 キ⸢ボーシ⸣シ ン⸢ツ⸣ クトゥン ⸣アン [ki⸢boːʃi⸣ʃi ʔn⸢ʦu⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (煙で噎すこともある)。 ン⸢チェー⸣ ミサムヌ [ʔn⸢ʧeː⸣ misamunu] (\ruby{噎}{ムセ}べばいいのに)。 ン⸢チ⸣バ [ʔn⸢ʧi⸣ba] (噎よ) 18309 0 0 18398 htmvoc_18309.wav ンテーナ ⸢ンテー⸣ナ [⸢nteː⸣na] 接助 ~ながら。~のついでに。~がてら。動詞の連用形に付いて、動作の同時進行の意味を表す。 ⸢カイムヌ シンテーナ⸣ イ⸢サンケー パッ⸣タ [⸢kaimunu ʃinteːna⸣ ʔi⸢saŋkeː pat⸣ta] (買い物をしがてら石垣島へ行った)。 ⸢イー ッふァインテー⸣ナー ⸢シン⸣ブン ユ⸢ム⸣ナ [⸢ʔiː ffainteː⸣naː ⸢ʃim⸣buɲ ju⸢mu⸣na] (飯を食いながら新聞を読むな)。 ⸢ジー⸣ カ⸢キンテー⸣ナ ム⸢ニ⸣ユムカー マ⸢チガイ⸣ス [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢kinteː⸣na mu⸢ni⸣jumukaː ma⸢ʧigai⸣su] (字を書きながら話すと間違える) 18248 0 0 18399 htmvoc_18248.wav ンドーシ ン⸣ドーシ [n⸣doːʃi] 連 ~ずに。~ないで。動詞の未然形を受けて、打消しの意を伴って文を中止したり、連用修飾する。 ナ⸢カンドー⸣シ ッ⸢ふァイ⸣バ [na⸢kandoː⸣ʃi f⸢fai⸣ba] (泣かずに食べなさいよ)。 ⸢ワー⸣ パ⸢ラン⸣ドーシ ⸣クナー ヌ⸢カ⸣リ [⸢waː⸣ pa⸢ran⸣doːʃi ⸣kunaː nu⸢ka⸣ri] (君は行かないで、ここに残れ) 18249 0 1 18400 htmvoc_18249.wav ンドーレー ⸣-ンドーレー [⸣-ndoːreː] 副助 ~など。~なんか。~なんど。{Mn_1}いろいろな語句に付いて、それに類する事物を示す。 ア⸢ミ⸣ヌ ⸢フイン⸣ギサバ ⸣カサンドーレー ⸢バシキルナ⸣ヨー [ʔa⸢mi⸣nu ⸢ɸuiŋ⸣gisaba ⸣kasandoːreː ⸢baʃi̥kiruna⸣joː] (雨が降りそうだから、傘などを忘れるなよ)。 18249 0 2 18401 htmvoc_18249.wav ンドーレー ⸣-ンドーレー [⸣-ndoːreː] 副助 {Mn_2}さらに副助詞⸢-ナー⸣ト[⸢-naː⸣to](~など{EOS}~なんど)が付く。 ⸣カサンドーレー ⸢ナー⸣トー ⸢バシケーラー ザー⸣パイ ⸢スン⸣ダー [⸣kḁsandoːreː ⸢naː⸣toː ⸢baʃi̥keːraː ʣaː⸣pai ⸢sun⸣daː] (傘などを忘れたら面倒なこと<大変な事、始末に終えない面倒なこと>になるぞ)。 18249 0 3 18402 htmvoc_18249.wav ンドーレー ⸣-ンドーレー [⸣-ndoːreː] 副助 {Mn_3}さらに格助詞⸣-ヌ[⸣-nu](~が<主格>)、格助詞⸣-バ[⸣-ba](~を)、格助詞⸣-ニ[⸣-ni](~に)、格助詞⸣-ラー[⸣-raː](~から)が付く。 ヤ⸢ラ⸣ビンドーレーヌ ア⸢ツァ⸣マリ ⸣クーカー ⸢デー⸣ジ ⸢ダー [ja⸢ra⸣bindoːreːnu ʔa⸢ʦa⸣mari ⸣kuːkaː ⸢deː⸣ʤi ⸢daː] (子供たちなどが集まってきたら大変だぞ)。 ⸢ウッ⸣ツァンドーレーン シゥ⸢カレーラ デー⸣ジ ⸢ダー [⸢ʔut⸣ʦandoːreːn si̥⸢kareːraː deː⸣ʤi ⸢daː] (彼らなんぞに聞かれたら大変<大事>だぞ)。 ⸣アイブー ⸣ムヌンドーレーバ ア⸢ツァ⸣ミティ ⸢ヌー⸣ スワ [⸣ʔaibuː ⸣munundoːreːba ʔa⸢ʦa⸣miti ⸢nuː⸣ suwa] (あんな物なんぞを集めてどうするのか)。 ⸣カイブー ⸣ムヌンドーレーラル シ⸢ダキ⸣ シ⸢ティル⸣ティムカーヤ [⸣kaibuː ⸣munundoːreːraru ʃi⸢daki⸣ ʃi̥⸢tiru⸣timukaːja] (こんな物などからが<ぞ>先に捨てるというものだよ) 18246 0 0 18403 htmvoc_18246.wav ンドゥ ⸢-ン⸣ドゥ [⸢-n⸣du] 接助 ~ので。~の故に。~のために。動詞、形容詞の連用形について、条件節の原因・理由を表し、主節へ順態接続する。接続助詞⸣-ヌ[⸣-nu](~が)に強意の係助詞⸣-ドゥ[⸣-du](ぞ)が付いて形成されたもの。[nudu] → [ndu](~ので<がぞ>)のように音韻変化したもの。 ア⸢マ⸣ヌ パ⸢タラキンドゥ⸣ ドゥー ヤ⸢マ⸣シェール [ʔa⸢ma⸣nu pḁ⸢tarakindu⸣ duː ja⸢ma⸣ʃeːru] (働きすぎて<あまりにも働くので>体を壊し<病まし>たのだ)。 ヤ⸢ラビ⸣ヌ ア⸢マ⸣ヌ ナ⸢キンドゥ ソー⸣ シ⸢ティ⸣ イ⸢サン⸣ヤー ⸢サーリパッ⸣タ⸢ダー [ja⸢rabi⸣nu ʔa⸢ma⸣nu na⸢kindu soː⸣ ʃi̥⸢ti⸣ ʔi⸢saɲ⸣jaː ⸢saːri pat⸣ta⸢daː] (子供があまりにも泣くので、心配して病院<医者の家>へ連れていったのだよ)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ カ⸢ジヌ スーヤン<スーワン>⸣ドゥ ⸣フネー ン⸢ザサラン⸣ ブ⸢レー⸣ル [du⸢ku⸣nu ka⸢ʤinu suːjan⸣du ⸣ɸuneː ʔn⸢ʣasaram⸣ bu⸢reː⸣ru] (あまりにも風が強いので、船は出されなかったのであろうよ) 18247 0 0 18404 htmvoc_18247.wav ンドゥン ⸣ンドゥン [⸣nduŋ] 副助 ~でも。~にでも。名詞、代名詞、助詞、に付く。 ⸣アツァンドゥン パ⸢ラ⸣リカー ⸢ヨイ⸣ヤー マ⸢ニヤウン⸣ドゥ⸢ナー [⸣ʔaʦandum pa⸢ra⸣rikaː ⸢joi⸣jaː ma⸢nijaun⸣du⸢naː] (明日にでも行けたらお祝いには間に合うんだがなあ)。 ⸣バーンドゥン シ⸢ミ⸣ ッ⸢ふォー⸣ルカー イッ⸢カ スン⸣マー シ⸢ミ オーラサ⸣ヌ [⸣baːnduŋ ʃi⸢mi⸣ f⸢foː⸣rukaː ʔik⸢ka sum⸣maː ʃi⸢mi ʔoːrasa⸣nu] (私にでもさせて下さるなら、決して損はお掛けいたし<損をさせまいらせ>ません)。 カ⸢ナパイ⸣シンドゥン ⸢カイサ⸣リカー ⸢カイスン⸣ドゥ⸢ナー [ka⸢napai⸣ʃinduŋ ⸢kaisa⸣rikaː ⸢kaisun⸣du⸢naː] (鍬ででも耕されたら、耕すんだがなあ) 18310 0 0 18405 htmvoc_18310.wav ンナーニ ⸢-ンナー⸣ニ [⸢-nnaː⸣ni] 格助 ~に。~に対して。-ン[-n](~に)の項参照 18311 0 0 18406 htmvoc_18311.wav ンニ ン⸢ニ [ʔn⸢ni] 名 棟。屋根の頂上の水平部分。「棟宇 上都弄反、(略)倭言 牟年」『新訳華厳経音義私記』の転訛したもの。ム⸢ニ[mu⸢ni](棟)ともいう。 ⸢ヤー⸣ヌ ン⸢ニ⸣ フ⸢クン [⸢jaː⸣nu ʔn⸢ni⸣ ɸu̥⸢kuŋ] (家の棟を葺く) 18312 0 0 18407 htmvoc_18312.wav ンニ ン⸢ニ [ʔn⸢ni] 名 嶺。山の高く尖った所。「~見れどもあやし弥祢太可美(ミネダカミ)~。万、4003」の転訛か。/カイサ ムイタル ムニンヌ クバ タカサ ムイタル ティジヌクバ(美しく生えた\ruby{棟}{ムネ}の\ruby{蒲葵}{キ|バ}、高く生えた頂上の蒲葵)/『鳩間島古典民謡古謡集』ともいう 18313 0 0 18408 htmvoc_18313.wav ンニアギ ン⸢ニアギ [ʔn⸢niʔagi] 名 棟上。棟上式。ム⸢ニアギ[mu⸢niʔagi](棟上式)の項目参照 18315 0 0 18409 htmvoc_18315.wav ンニウチ ン⸢ニウチ [ʔn⸢niʔuʧi] 名 胸中。胸のうち。「胸内」の義。バ⸢タ⸣ウチ[ba⸢ta⸣ʔuʧi](腹の内)ともいう。 プ⸢スヌ⸣ ン⸢ニウチェー⸣ バ⸢タン⸣ ナカー ⸢ペーラン⸣カー ワ⸢カラ⸣ヌ [pu̥⸢sunu⸣ ʔn⸢niʔuʧeː⸣ ba⸢tan⸣nakaː ⸢peːraŋ⸣kaː wa⸢kara⸣nu] (他人の胸中の思いは、腹の中に入ってみないと分からないものだ) 18314 0 0 18410 htmvoc_18314.wav ンニギー ン⸢ニギー [ʔn⸢nigiː] 名 むなぎ(棟木)。家を建てる際、柱・\ruby{梁}{ハリ}などを組み立てて、その上に\ruby{棟木}{ムナ|ギ}を上げる、その材木。ン⸢ニギタ[ʔn⸢nigita](棟桁)ともいう。棟木には、「天官賜福紫微鸞駕」と\ruby{墨書}{ボク|ショ}し、ピ⸢ル[pi⸢ru](大蒜)と塩を包んで、棟木に\ruby{吊}{ツル}るす。\ruby{上棟式}{ジョウ|トウ|シキ}は満ち潮に合せて行う。四隅の⸣ムヤーバラー[⸣mujaːbaraː](母屋柱)の上には、紅白の餅を供え、ナ⸢カ⸣バラー[na⸢ka⸣baraː](中柱、大黒柱)の上にも紅白の餅を供えて、安全・健康・繁盛の祈願をし、建築の施主と棟梁が屋根から餅撒きをする。子供たちや村人たちが餅を拾うためにたくさん集まってくる。 ⸢バン⸣テヌ ウ⸢ブヤー⸣ヌ ム⸢ニアギ ソーッ⸣タ ⸣バス トゥ⸢ムレーヌ⸣ ウブザール ン⸢ニギー⸣ナ ⸢テンカン⸣ シフク シビランガー⸣ティ カ⸢コーッ⸣タ⸢ダー [⸢ban⸣tenu ʔu⸢bujaː⸣nu mu⸢niʔagi soːt⸣ta ⸣basu tu⸢mureːnu⸣ ʔubuʣaːru ʔn⸢nigiː⸣na ⸢teŋkaŋ⸣ ʃiɸuku ʃi⸢biraŋgaː⸣ti kḁ⸢koːt⸣ta⸢daː] (私の家の母屋の棟上式をされたとき、友利家の⸣ウボーザー{SqBr}⸣ʔuboːʣaː{/SqBr}(大兄<田代浩氏>)が棟木に「天官賜福紫微鸞駕」と書かれたよ) 18316 0 0 18411 htmvoc_18316.wav ンニギタ ン⸢ニギタ [ʔn⸢nigita] 名 棟桁。ン⸢ニギー[ʔn⸢nigiː](棟木)ともいう。棟の柱と柱の上に掛け渡した桁材。「~板田の橋の壊れなば従桁<ケタヨリ>行かむ~。万、2644」の転訛したもの。ン⸢ニギー[ʔn⸢nigiː](棟木)の項参照 18317 0 0 18412 htmvoc_18317.wav ンニタラーシ ン⸢ニタラーシ [ʔn⸢nitaraːʃi] 名 \ruby{寛恕}{カン|ジョ}。相手の欠点をひろい心で許すこと。\ruby{赦免}{シャ|メン}する。「胸足らし」の義。キ⸢ムタラー⸣シ[ki⸢mutaraː⸣ʃi](許すこと{EOS}赦免する{EOS}「肝足らし」の義)と同義語で対句的に用いられる。 ⸢クン⸣ゾーン ン⸢ゾーリ⸣ス パジ⸢ダー⸣ヌ ン⸢ニタラーシ⸣ キ⸢ムタラー⸣シ ⸢シー⸣ タ⸢ボー⸣レーティ ナ⸢ラー⸣シ タ⸢ボー⸣ラナー⸢ラ<タ⸢ボー⸣リ> [⸢kun⸣ʣoːn ʔn⸢ʣoːri⸣su paʤi⸢daː⸣nu ʔn⸢niaraːʃi⸣ ki⸢mutaraː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ ta⸢boː⸣reːti na⸢raː⸣ʃi ta⸢boː⸣ranaː⸢ra] (お腹立ちもなさるはずでしょうが、ご寛恕たまわって、広い心でお許し賜って、教え導き下さいませ) 18318 0 0 18413 htmvoc_18318.wav ンニブニ ン⸢ニブニ [ʔn⸢nibuni] 名 \ruby{鎖骨}{サ|コツ}。「むなぼね(胸骨)」の義。⸢ンーニブニ[⸢ʔnːnibuni](鎖骨{EOS}むなぼね<胸骨>)ともいう。 シ⸢マ⸣バ ⸣トゥリティ ⸢ナンギラーリ⸣タ ⸢ピョー⸣シナー ⸢ンーニブニ⸣ ブリ シ⸢ティナー⸣ヌ [ʃi⸢ma⸣ba ⸣turiti ⸢naŋgiraːri⸣ta ⸢pjoː⸣ʃinaː ⸢ʔnːnibuni⸣ buri ʃi̥⸢tinaː⸣nu] (相撲をとって、投げられた拍子に\ruby{鎖骨}{サ|コツ}を折ってしまった<折って捨ててない>) 18319 0 0 18414 htmvoc_18319.wav ンノーン ⸢ン⸣ノーン [⸢n⸣noːŋ] 副助 ~でも。~だけでも。一部を挙げて他を暗示する、「せめて~でも」の意味を表す。名詞、代名詞、動詞の連用形などに付く。 ⸣ジンノーン ⸣アルカー ン⸢マー⸣ムヌン ⸢カーリスンドゥ [⸣ʤinnoːŋ ⸣ʔarukaː ʔm⸢maː⸣munuŋ ⸢kaːrisundu] (お金でも有れば美味しいのが買えるのだが)。 ウ⸢リン⸣ノーン ⸢カイル⸣ シトゥ シ⸢ラリル [ʔu⸢rin⸣noːŋ ⸢kairu⸣ ʃi̥tu ʃi⸢rariru] (これでも買ってお土産にしよう<お土産にしなければなるまい>)。 パ⸢タラキン⸣ノーン ⸢シーシェー⸣カー ⸢ドゥー⸣ヌ ッ⸢ふァイ⸣フチェー ⸢モーキラリ⸣ スンドゥ⸢ナー [pḁ⸢tarakin⸣noːŋ ⸢ʃiːʃeː⸣kaː ⸢duː⸣nu f⸢fai⸣ɸu̥ʧeː ⸢moːkirari⸣ sundu⸢naː] (働きでもすることができたら<せめて働ければ>自分のくいぶち<食扶持>は儲けられる<する>んだがなあ) 18321 0 0 18415 htmvoc_18321.wav ンパースン ⸢ン⸣パー ⸢スン [⸢m⸣paː ⸢suŋ] 連 ~たがらない。~なくする。~嫌がる。動詞の未然形に付く。 ⸢ジー⸣ カ⸢カ⸣スンティ ⸢スンドゥ⸣ カ⸢カン⸣パー ⸢シー⸣ ムッ⸢トゥ⸣ カ⸢カサラ⸣ヌ [⸢ʤiː⸣ kḁ⸢ka⸣sunti ⸢sundu⸣ kḁ⸢kam⸣paː ⸢ʃiː⸣ mut⸢tu⸣ kḁ⸢kasara⸣nu] (文字を書かせようとするが、書きたがらなくて、一向に書かされない) 18325 0 0 18416 htmvoc_18325.wav ンバイムヌ ン⸢バイムヌ [ʔm⸢baimunu] 名 食べると傷や腫れ物が化膿したり、悪化するもの。 ⸣シラプソー ⸢マンズイ⸣ヌ ⸣ナル ナ⸢マ⸣イズンドーレーヤ ン⸢バイムヌ⸣ティ ⸢シー⸣ ッ⸢ふァーソーラン⸣シェン [⸣ʃirapu̥soː ⸢manʣui⸣nu ⸣naru na⸢ma⸣ʔiʣundoːreːja ʔm⸢baimunu⸣ti ⸢ʃiː⸣ f⸢faːsoːraŋ⸣ʃeŋ] (産婦には、パパイヤの実や生の魚などは傷を\ruby{化膿}{カ|ノウ}させるものとして、食べさせられなかった) 18326 0 0 18417 htmvoc_18326.wav ンバイルン ン⸢バイルン [ʔm⸢bairuŋ] 自動 化膿する。傷やおでき(御出来)等が特定の食物によって化膿が促進される。 ビ⸢トゥラー⸣ ムヌ ッ⸢ふー⸣カー ン⸢バイルン⸣ティ ス⸢クタヌ⸣ ン⸢バイランバン⸠ナー [bi⸢turaː⸣ munu f⸢fuː⸣kaː ʔm⸢bairun⸣ti su̥⸢kutanu⸣ ʔm⸢bairamban⸠naː] (脂っこいものを食べると傷が化膿すると聞いたが、化膿しないんだねえ)。 ン⸢バイ ヤッ⸣サン [ʔm⸢bai jas⸣saŋ] (化膿しやすい)。 ッ⸢ふァイムヌ⸣シ ン⸢バイル⸣ クトゥン ⸣アン [f⸢faimunu⸣ʃi ʔm⸢bairu⸣ ku̥tuŋ ⸣ʔaŋ] (食べ物で傷が化膿することもある)。 ン⸢ベーマー⸣ ン⸢バイレー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢beːmaː⸣ ʔm⸢baireː⸣ misamunu] (少しは化膿すればいいのに) 18327 0 0 18418 htmvoc_18327.wav ンバウン ン⸢バウン [ʔm⸢bauŋ] 自動 化膿する。傷やおでき<御出来>等が脂肪分の多い特定の食物によって化膿が促進される。 ビ⸢トゥ⸣ラー ⸣ムヌ ッ⸢ふー⸣カー キ⸢ジェー⸣ ン⸢バウン⸠ダー [bi⸢tu⸣raː ⸣munu f⸢fuː⸣kaː ki⸢ʤeː⸣ ʔm⸢baun⸠daː] (脂っこいものを食べると傷は化膿するぞ)。 アー⸢イ⸣ ン⸢バーヌ [ʔaː⸢i⸣ ʔm⸢baːnu] (いや、化膿しない)。 ン⸢バイ ナー⸣ヌ [ʔm⸢bai naː⸣nu] (化膿してしまった)。 ン⸢バウ⸣ クトー ⸢ナー⸣ヌ [ʔm⸢bau⸣ ku̥toː ⸢naː⸣nu] (化膿することはない)。 ン⸢バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢baijaː⸣ misamunu] (化膿すれば良いのに) 18328 0 0 18419 htmvoc_18328.wav ンバウン ン⸢バウン [ʔm⸢bauŋ] 他動 \ruby{奪}{ウバ}う。\ruby{強奪}{ゴウ|ダツ}する。ウ⸢バウン[ʔu⸢bauŋ](奪う)ともいう。 プ⸢スヌ⸣ ム⸢ヌ⸣バ ン⸢バイ⸣ トゥ⸢ル⸣ナ [pu̥⸢sunu⸣ mu⸢nu⸣ba ʔm⸢bai⸣ tu⸢ru⸣na] (他人のものを奪い取るな)。 ⸣バー ン⸢バーヌ [⸣baː ʔm⸢baːnu] (私は奪わない)。 ン⸢バウンティ スンドゥ⸣ ン⸢バウ⸣ クトー ナ⸢ラン⸣バン [ʔm⸢baunti sundu⸣ ʔm⸢bau⸣ ku̥toː na⸢ram⸣baŋ] (奪おうとするが、奪うことが出来ないよ)。 ン⸢バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢baijaː⸣ misamunu] (奪えば良いのに)。 ⸢パー⸣ク ン⸢バイ⸣バ [⸢paː⸣ku ʔm⸢bai⸣ba] (早く奪えよ) 18330 0 0 18420 htmvoc_18330.wav ンバウン ン⸢バウン [ʔm⸢bauŋ] 自動 傷やおでき(御出来)が化膿し悪化する。 ッ⸢ふァイムヌ⸣シン キ⸢ジェー⸣ ン⸢バウンドゥ⸣ ギラー ン⸢バーンシェン [f⸢faimunu⸣ʃiŋ ki⸢ʤeː⸣ ʔm⸢baundu⸣ giraː ʔm⸢baːŋʃeŋ] (食べ物でも傷は化膿するが、シャコ貝は化膿しなかった)。 ン⸢バイ ヤッ⸣サン [ʔm⸢bai jas⸣saŋ] (化膿しやすい)。 ン⸢バウ⸣ ムノー ッ⸢ふーナ [ʔm⸢bau⸣ munoː f⸢fuːna] (化膿するものは食べるな)。 ン⸢バイヤー⸣ ミサムヌ [ʔm⸢baijaː⸣ misamunu] (化膿すれば良いのに) 18322 0 0 18421 htmvoc_18322.wav ンパルン ン⸢パルン [ʔm⸢paruŋ] 自動 おくび(噯気)。げっぷをする。ン⸢パイルン[ʔm⸢pairuŋ]ともいう。カ⸢クラー⸣キ[kḁ⸢kuraː⸣ki](胸焼け)をする時に喉が詰まるようになって、げっぷをする。古老が用いる。ほとんど死語化している。 カ⸢クラー⸣キ ⸢スー⸣カー ン⸢パ(イ)ルン⸠ダー [kḁ⸢kuraː⸣ki ⸢suː⸣kaː ʔm⸢pa(i)run⸠daː] (胸焼けするとげっぷするよ) 18331 0 0 18422 htmvoc_18331.wav ンブー ⸣ンブー [⸣ʔmbuː] 名 幼児語。牛。 ⸣ウリウリ ⸣カマーラ ⸣ンブーヌ クン⸢ドー [⸣ʔuriʔuri ⸣kamaːra⸣ʔmbuːnu kun⸢doː] (ほらほら、向こうから牛が来るよ) 18332 0 0 18423 htmvoc_18332.wav ンブサー ン⸢ブ⸣サー [ʔm⸢bu⸣saː] 名 蒸し物。蒸して作る料理。煮しめもの。 タ⸢ク⸣トゥ カ⸢マブクトゥ⸣ ク⸢ブ⸣トゥ ⸢ダイクン⸣ヌ ン⸢ブサー⸣ヌ ア⸢ジェー バシキララヌ [tḁ⸢ku⸣tu ka⸢mabukutu⸣ ku⸢bu⸣tu ⸢daikun⸣nu ʔm⸢busaː⸣nu ʔa⸢ʤeː baʃi̥kiraranu] (\ruby{蛸}{タコ}と\ruby{蒲鉾}{カマ|ボコ}と昆布と大根の煮しめものの味は忘れられない) 18333 0 0 18424 htmvoc_18333.wav ンブサリン ン⸢ブサ⸣リン [ʔm⸢busa⸣riŋ] 連 \ruby{蒸}{ム}される。ン⸢ブ⸣スン[ʔm⸢bu⸣suŋ](蒸す)の未然形ン⸢ブサ[ʔm⸢busa]に、受身、可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](~れる)が付いて形成された派生動詞。 ⸢クシ⸣キナ イ⸢リティ⸣ ン⸢ブ⸣スカー ン⸢ブサ⸣リンティ ウ⸢ムータ⸣ヌ ン⸢ブサラン⸣バン [⸢kuʃi̥⸣kina ʔi⸢riti⸣ ʔm⸢bu⸣su̥kaː ʔm⸢busa⸣rinti ʔu⸢muːta⸣nu ʔm⸢busaram⸣baŋ] (\ruby{甑}{コシキ}に入れて蒸すと蒸されると思ったが、蒸されないよ)。 ⸢クシ⸣キシル ン⸢ブサリ⸣ル [⸢kuʃi̥⸣kiʃiru ʔm⸢busari⸣ru] (甑でしか<ぞ>蒸されない<蒸される>) 18334 0 0 18425 htmvoc_18334.wav ンブシ ン⸢ブシ [ʔm⸢buʃi] 名 おもし(重石)。漬物のおもし。⸢錘、オモシ・ハカリノヲモシ」『類聚名義抄』の転訛したもの。ウ⸢ムシ[ʔu⸢muʃi](重石)ともいう。 ム⸢チヌ⸣ クー ピ⸢サ⸣スンティ ⸢シー⸣ イ⸢ソーシバ⸣ ウ⸢ムシ シー ウシキ⸣ シケー [mu⸢ʧinu⸣ kuː pi̥⸢sa⸣sunti ⸢ʃiː⸣ ʔi⸢soːʃiba⸣ ʔu⸢muʃi ʃiː ʔuʃi̥ki⸣ ʃi̥keː] (一晩水につけた糯米を水を加えつつ石臼で挽き、メリケン袋に入れた糯粉の水分を水切りするために、餅粉を入れたメリケン袋に石臼を重石にして押してあるもの) 18335 0 0 18426 htmvoc_18335.wav ンブシナビ ン⸢ブシ⸣ナビ [ʔm⸢buʃi⸣nabi] 名 蒸し鍋。 ン⸢ブシ⸣ナビナ ⸢クシ⸣キ ビ⸢シティ⸣ ム⸢チ ネーシ [ʔm⸢buʃi⸣nabina ⸢kuʃi⸣ki bi⸢ʃiti⸣ mu⸢ʧi neːʃi] (蒸し鍋に甑を据えて餅を蒸かせ<蒸し煮しなさい>) 18336 0 0 18427 htmvoc_18336.wav ンブシムチ ン⸢ブシ⸣ムチ [ʔm⸢buʃi⸣muʧi] 名 蒸し餅。甑や蒸篭で蒸しあげて作る餅。 パ⸢トゥ⸣マナテー シ⸢キム⸣チェー ス⸢ク⸣ローランシェン ン⸢ブシムチ⸣ル ス⸢ク⸣ローッタ [pḁ⸢tu⸣manateː ʃi̥⸢kimu⸣ʧeː su̥⸢ku⸣roːranʃeŋ ʔm⸢buʃimuʧi⸣ru su̥⸢ku⸣roːtta] (鳩間島では搗き餅は作られなかった{EOS}蒸し餅を<ぞ>作られた) 18337 0 0 18428 htmvoc_18337.wav ンブシムヌ ン⸢ブシ⸣ムヌ [ʔm⸢buʃi⸣munu] 名 蒸し物。行事食の一つ。一度煮た魚や大根類、パパイヤ(蕃瓜樹)、\ruby{芋}{イモ}、\ruby{蛸}{タコ}、\ruby{蒲鉾}{カマ|ボコ}などを\ruby[g]{蒸篭}{セイロ}に入れて蒸し煮したもの。祭祀行事の際に作られた料理。 ン⸢ブ⸣サー [ʔm⸢bu⸣saː] (蒸し煮した料理{EOS}大味なるをもって良しとする)。 ン⸢ブシ⸣ムノー ス⸢コーレーン⸣カヤー [ʔm⸢buʃi⸣munoː su̥⸢koːreːŋ⸣kajaː] (蒸し物は作ったかねえ) 18338 0 0 18429 htmvoc_18338.wav ンブスン ン⸢ブ⸣スン [ʔm⸢bu⸣suŋ] 他動 蒸す。湯気をとおして熱する。ふかす。\ruby{甘藷}{カン|ショ}を煮る際に甘藷の上に芭蕉の葉でナ⸢カ⸣フタ[na⸢ka⸣ɸu̥ta](\ruby{中蓋}{ナカ|ブタ}{EOS}内蓋)をしてその上に餅や蒲鉾等をおいて蒸した。 ム⸢チ⸣ ン⸢ブ⸣スンティ ⸣シケー [mu⸢ʧi⸣ ʔm⸢bu⸣sunti ⸣ʃi̥keː] (<硬くなった>餅を蒸そうとおいてある)。 イ⸢ゾー⸣ ン⸢ブサン⸣ドーシ ミ⸢ジネー⸣シ ⸢シー⸣バ [ʔi⸢ʣoː⸣ ʔm⸢busan⸣doːʃi mi⸢ʤineː⸣ʃi ⸢ʃiː⸣ba] (魚は蒸さないで、水煮にしなさいよ)。 ⸢クシ⸣キシ ン⸢ブ⸣シミサカー ン⸢ブ⸣ス ⸣クトー ⸣ナルン [⸢kuʃi̥⸣kiʃi ʔm⸢bu⸣ʃi ⸣misakaː ʔm⸢bu⸣su ⸣ku̥toː ⸣naruŋ] (甑で蒸してよければ蒸すことは出来る)。 ⸢マー⸣ビン ン⸢ブ⸣シェー ⸣ミサムヌ [⸢maː⸣bim ʔm⸢bu⸣ʃeː ⸣misamunu] (もっと蒸せばいいのに)。 ク⸢レー パー⸣ク ン⸢ブ⸣シ [ku⸢reː paː⸣ku ʔm⸢bu⸣ʃi] (これは、早く蒸しなさい) 18339 0 0 18430 htmvoc_18339.wav ンブニー ン⸢ブニー [ʔm⸢buniː] 名 重荷。重い荷物。 カ⸢タマラ⸣ン ン⸢ブニー⸣バ カ⸢タ⸣ムンティ ⸢シー⸣ ッ⸢スフカサ⸣リ ⸣スコー ⸢アウ⸣リ ⸢シー ミッ⸣タン [kḁ⸢tamara⸣m ʔm⸢buniː⸣ba kḁ⸢ta⸣munti ⸢ʃiː⸣ s⸢suɸu̥kasa⸣ri ⸣su̥koː ⸢ʔau⸣ri ⸢ʃiː mit⸣taŋ] (担がれない重荷を担ごうとして、非常に苦労した<脱糞させられるほどの難儀をした>ことがある) 18340 0 0 18431 htmvoc_18340.wav ンブリルン ン⸢ブリ⸣ルン [ʔm⸢buri⸣ruŋ] 自動 \ruby{蒸}{ムサ}れる。蒸される。蒸し暑くなる。「o、可志久 又宇牟須」『新撰字鏡』の転訛したもの。 ⸢マー⸣ ン⸢ベーマ⸣ スカー ム⸢チェー⸣ ン⸢ブリ⸣ルン パジ⸢ダー [⸣maː ʔm⸢beːma⸣ su̥kaː mu⸢ʧeː⸣ ʔm⸢buri⸣rum paʤi⸢daː] (もう少ししたら餅は蒸されるはずだよ)。 マ⸢ダ⸣ ン⸢ブリラ⸣ヌ [ma⸢da⸣ ʔm⸢burira⸣nu] (まだ蒸されない)。 ⸢オーパ⸣ヤー ン⸢ブリ⸣ル ⸣パジェー ⸢ナーヌ⸣ヌ ン⸢ブ⸣リ ⸣タリ ⸢ベー [⸢ʔoːpa⸣jaː ʔm⸢buri⸣ru ⸣paʤeː ⸢naːnu⸣nu ʔm⸢bu⸣ri ⸣tari ⸢beː] (こんなに早く蒸されるはずはないが、すでに蒸されて溶けて<垂れて>いる)。 ⸢パー⸣ク ン⸢ブ⸣レー ⸣ミサムヌ [⸢paː⸣ku ʔm⸢bu⸣reː ⸣misamunu] (早く蒸されたらいいのに)。 ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ン⸢ブリ⸣ルンティ ⸢アーク⸣タ⸢ドー⸣スカーヤ [du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ʔm⸢buri⸣runti ⸢ʔaːku⸣ta⸢doː⸣ su̥kaːja] (あまりの暑さに蒸される<蒸されようとしている>ところだったよ) 18341 0 0 18432 htmvoc_18341.wav ンブルン ン⸢ブ⸣ルン [ʔm⸢bu⸣ruŋ] 自動 \ruby{蒸}{ム}れる。蒸される。蒸し暑くなる。他動詞、ン⸢ブ⸣スン[ʔm⸢bu⸣suŋ](蒸す{EOS}「宇牟須」『新撰字鏡』)の自動詞化したもの。 ク⸢ヌ クシ⸣ケー ⸣イチジカンシ ン⸢ブ⸣ルンティ ス⸢クタンドゥ⸣ マ⸢ダ⸣ ン⸢ブラン⸣バン [ku⸢nu kuʃi̥⸣keː ⸣ʔiʧiʤikaŋʃi ʔm⸢bu⸣runti su̥⸢kutandu⸣ ma⸢da⸣ ʔm⸢buram⸣baŋ] (この\ruby{甑}{コシキ}は一時間で蒸しあがると聞いたんだが、まだ蒸しあがらないよ)。 ⸣ティダナカナー シ⸢グトゥ シー ベー⸣ティ ン⸢ブ⸣リティ ⸣シラー ア⸢ガミ ベー [⸣tidanakanaː ʃi⸢gutu ʃiː beː⸣ti ʔm⸢bu⸣riti ⸣ʃiraː ʔa⸢gami beː] (炎天下で仕事をしていて、\ruby{蒸}{ム}れて顔は赤くなっている)。 ⸣ティダナカナーティ ン⸢ブ⸣ル ⸣プソー ⸣カイナカー ⸢サーリ ギー⸣ ミ⸢ジ⸣ ヌ⸢マシ⸣タ [⸣tidanakanaːti ʔm⸢bu⸣ru ⸣pu̥soː ⸣kainakaː ⸢saːri giː⸣ mi⸢ʤi⸣ nu⸢maʃi̥⸣ta] (炎天下で蒸れるときは、日陰に連れていって水を飲ませた) 18342 0 1 18433 htmvoc_18342.wav ンベー ⸣ンベー [⸣ʔmbeː] 名 {Mn_1}幼児語。山羊。 ⸣ンベー ⸣ミリン パラ⸢ナー [⸣ʔmbeː ⸣mirim para⸢naː] (山羊を見に行こうねえ)。 18342 0 2 18434 htmvoc_18342.wav ンベー ⸣ンベー [⸣ʔmbeː] 名 {Mn_2}擬声語。山羊の鳴き声。 ピ⸢ビザー ヤー⸣サーティ ン⸢ベー⸣ ン⸢ベー⸣ティ ナ⸢キ ベー [pi⸢biʣaː jaː⸣saːti ʔm⸢beː⸣ ʔm⸢beː⸣ti na⸢ki beː] (山羊はひもじいのでンベーンベーと鳴いている) 18343 0 0 18435 htmvoc_18343.wav ンベーマ ン⸢ベーマ [ʔm⸢beːma] 副 少し。わずか。ちょっと。ン⸢メーマ[ʔm⸢meːma](少し)、イ⸢ベーマ[ʔi⸢beːma](少し)ともいう。 ⸢イー⸣ヤー ン⸢ベーマ⸣ナー ッ⸢ふァーリン⸠ダー メー [⸢ʔiː⸣jaː ʔm⸢beːma⸣naː f⸢faːrin⸠daː ⸣meː] (ご飯は少しずつは食べられるよ、もう) 18329 0 0 18436 htmvoc_18329.wav ンベールン ン⸢ベールン [ʔm⸢beːruŋ] 自動 食べ物が古くなって悪くなる。腐れかかる。石垣方言からの借用語。 イ⸢ゾー⸣ ン⸢ベーリティ⸣ ッ⸢ふァーラヌ [ʔi⸢ʣoː⸣ ʔm⸢beːriti⸣ f⸢faːranu] (魚は腐れかかって食べられない) 18344 0 0 18437 htmvoc_18344.wav ンベーンベー ン⸢ベー⸣ ン⸢ベー [ʔm⸢beː⸣ ʔm⸢beː] 感 めえめえ。山羊の鳴き声(擬声語)。 ン⸢ベー⸣ ン⸢ベー⸣ティ ピ⸢ビザ⸣ ナ⸢カス⸣カー ム⸢ラズーヌ⸣ プ⸢ス⸣ニ ⸣バー ⸣スブットゥ フ⸢ユ⸣ニン⸢ドー⸣ティ ウ⸢ヤー⸣リ ⸢ベー⸣ムヌトゥ ユ⸢ヌ⸣ムヌティ ⸣アチャー イ⸢ジ⸣ ナ⸢ラー⸣ソーッタ⸢ダー [ʔm⸢beː⸣ ʔm⸢beː⸣ti pi⸢biʣa⸣ na⸢kasu̥⸣kaː mu⸢raʣuːnu⸣ pu̥⸢su⸣ni ⸣baː ⸣subuttu ɸu⸢ju⸣nin⸢doː⸣ti ʔu⸢jaː⸣ri ⸢beː⸣ munutu ju⸢nu⸣munuti ⸣ʔaʧaː ʔi⸢ʤi⸣ na⸢raː⸣soːtta⸢daː] (めえめえと山羊を鳴かすと、村中の人に対して⸢私は怠け者、役に立たない者<不用人>ですと、大声で怒鳴っているのと同じことだ」とお父さんは<私を>叱って教えられたよ) 18345 0 1 18438 htmvoc_18345.wav ンボーマ ン⸢ボー⸣マ [ʔm⸢boː⸣ma] 名 {Mn_1}幼児語。子牛。 ⸣カナー ン⸢ボーマ⸣ヌ ⸢ベー⸣ン [⸣kanaː ʔm⸢boːma⸣nu ⸢beː⸣ŋ] (あそこに子牛がいるよ)。 18345 0 2 18439 htmvoc_18345.wav ンボーマ ン⸢ボー⸣マ [ʔm⸢boː⸣ma] 名 {Mn_2}貝の名。和名、ハナマルユキ。タカラガイ(宝貝)やコヤスガイのこと(幼児語)。長楕円形で鶏卵大の大きさの貝。茶褐色に黒の斑点があり、腹部は白色を呈する。網の重しに用いられたが、食べなかった。\ruby{格好}{カッ|コウ}が子牛に似ることからいう。子供は、それを玩具にして遊んだ。 ン⸢ボー⸣マー ヤ⸢ラビ⸣ヌ ム⸢タビ⸣ムヌ ⸢ヤッタ [ʔm⸢boː⸣maː ja⸢rabi⸣nu mu⸢tabi⸣munu ⸢jatta] (ンボーマ<宝貝>は子供の\ruby{玩具}{ガン|グ}であった) 18346 0 0 18440 htmvoc_18346.wav ンボーン ン⸢ボー⸣ン [ʔm⸢boː⸣ŋ] 形 重い。老年層の言葉。⸢グッ⸣ふァン[⸢guf⸣faŋ](重い)ともいう。シ⸢トゥ⸣ケーン[ʃi̥⸢tu⸣keːŋ](乳児などが発育して重い)は乳児に対してのみ用いる。 ⸣ミルカー ン⸢ボーン⸣ギサタンドゥ ⸣ムタイ ⸢ミッ⸣ター ⸢ナン⸣ゾー ン⸢ボー ナーン⸣シェン [⸣mirukaː ʔm⸢boːŋ⸣gisatandu ⸣mutai ⸢mit⸣taː ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢boː naːŋ⸣ʃeŋ] (見ると重そうだったが、持ち上げてみたらあまり重くなかった)。 ⸢シンダイ⸣ ン⸢ボー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔm⸢boː⸣ naruŋ] (次第に重くなる)。 ⸣ドゥク ン⸢ボー⸣ ムノー ム⸢タラ⸣ヌ [⸣duku ʔm⸢boː⸣ munoː mu⸢tara⸣nu] (あまり重いものは持たれ<持ち上げられ>ない) 18347 0 0 18441 htmvoc_18347.wav ンマ ⸣ンマ [⸣ʔmma] 名 うま(午)。十二支の第七番目。 ン⸢マヌ⸣パーカジヌ ⸣フクン [ʔm⸢manu⸣paːkaʤinu ⸣ɸu̥kuŋ] (午の方の風<南の風>が吹く)。 ウ⸢レー⸣ ン⸢マ⸣ディプス ヤ⸢レー⸣ティル ⸣アイニ ⸢ピャーンカ ピャーンカ⸣シ パ⸢ニッケー⸣レーティ ⸢アー⸣ク [ʔu⸢reː⸣ ʔm⸢ma⸣dipu̥su ja⸢reː⸣tiru ⸣ʔaini ⸢pjaːŋka pjaːŋka⸣ʃi pa⸢nikkeː⸣reːti ⸢ʔaː⸣ku] (彼は午年生まれだから、あのようにピョンコピョンコと\ruby{跳}{ハ}ね回っている<あるく>のだ) 18349 0 0 18442 htmvoc_18349.wav ンマームヌ ン⸢マー⸣ムヌ [ʔm⸢maː⸣munu] 名 ご馳走。「おいしい物」の義。 ウ⸢レー⸣ ン⸢マー⸣ムヌ ッ⸢ふァイナライティ バン⸣ター バ⸢カス イー⸣ヤ プ⸢ス⸣フチンツァン ッ⸢ふァーヌ [ʔu⸢reː⸣ ʔm⸢maː⸣munu f⸢fainaraiti ban⸣taː ba⸢kasu ʔiː⸣ja pu̥⸢su⸣ɸu̥ʧinʦaŋ f⸢faːnu] (彼はご馳走を食べなれて、私らの炊くご飯は一口さえも食べない) 18350 0 0 18443 htmvoc_18350.wav ンマーン ン⸢マー⸣ン [ʔm⸢maː⸣ŋ] 形 美味しい。美味である。「飯喫めど味母不在<ウマクモアラズ>~。万、3875」、「~此れをば于麻時<うまし>といふ」『日本書紀 神代上』の転訛したもの。 カ⸢ツナマシェー⸣ ン⸢マー⸣ンドゥ イ⸢ラブ⸣チナマシェー ⸢ナン⸣ゾー ン⸢マー ナー⸣ヌ [kḁ⸢ʦunamaʃeː⸣ ʔm⸢maː⸣ndu ʔi⸢rabu⸣ʧinamaʃeː ⸢nan⸣ʣoː ʔm⸢maː naː⸣nu] (カツオの刺身は美味しいが、ブダイの刺身は、あまり美味しくない)。 ⸣ドゥク<ア⸢マ⸣ヌ> ン⸢マー⸣ティ ヤ⸢ミララヌ [⸣duku<ʔa⸢ma⸣nu> ʔm⸢maː⸣ti ja⸢miraranu] (あまりにも美味しいので止められない)。 ⸢シンダイ⸣ ン⸢マー⸣ ナルン [⸢ʃindai⸣ ʔm⸢maː⸣ naruŋ] (次第に美味しくなる)。 ガ⸢シ⸣タコー ⸣カムカー カム⸢アーシル⸣ ン⸢マー⸣ ナル [ga⸢ʃi⸣takoː ⸣kamukaː kamu⸢ʔaːʃiru⸣ ʔm⸢maː⸣ naru] (\ruby{焙乾}{バイ|カン}した\ruby{蛸}{タコ}は噛めば噛むほど美味しくなる)。 ノー⸢ン⸣ ン⸢マー⸣ ムノー ⸢ナーヌー [noː⸢m⸣ ʔm⸢maː⸣ munoː ⸢naːnuː] (何か美味しいものはないか)。 ン⸢マー⸣カー ッ⸢ふンティン⸣ ウ⸢モー⸣リン [ʔm⸢maː⸣kaː f⸢funtiŋ⸣ ʔu⸢moː⸣riŋ] (美味しかったら食べようとも思える)。味がよい。「飯喫めど味母不在<ウマクモアラズ>~。万、3857」の転訛したもの。 ⸢イー⸣ヤ ン⸢マー⸣ンドゥ ⸢スー⸣ヤ ン⸢マーナー⸣ヌ [⸢ʔiː⸣ja ʔm⸢maː⸣ndu ⸢suː⸣ja ʔm⸢maːnaː⸣nu] (ご飯は美味しいが、お汁は美味しくない)。 ク⸢レー⸣ ン⸢マー⸣ヌ プ⸢スンマー⸣ ッ⸢ふァーサラヌ [ku⸢reː⸣ ʔm⸢maː⸣nu pu̥⸢summaː⸣ f⸢faːsaranu] (これは美味しくて他人には食べさせられない)。 ン⸢マー⸣ ムノーラ イ⸢ラ⸣ビ ッ⸢ふァイ⸣バ [ʔm⸢maː⸣ munoːra ʔi⸢ra⸣bi f⸢fai⸣ba] (美味しいものから選んで食べなさいよ)。 ン⸢マー⸣カー ⸢バン⸣ヌン ッ⸢ふァーシ [ʔm⸢maː⸣kaː ⸢ban⸣nuŋ f⸢faːʃi] (美味しかったら私にも食わせろ) 18351 0 0 18444 htmvoc_18351.wav ンマーンギサン ン⸢マー⸣ンギサン [ʔm⸢maː⸣ŋgisaŋ] 連 美味しそうだ。形容詞の語幹に様態の助動詞⸢ン⸣ギサン[⸢ŋ⸣gisaŋ](~しそうだ)が付いた形。 ⸣ミルカー ン⸢マーン⸣ギサンドゥ ⸢ピッ⸣チン ア⸢ジェー ナー⸣ヌ [⸣mirukaː ʔm⸢maːŋ⸣gisandu ⸢pit⸣ʧiŋ ʔa⸢ʤeː naː⸣nu] (見ると美味しそうだが、ちっとも味がない)。 カ⸢キン⸣ギサン [kḁ⸢kiŋ⸣gisaŋ] (書きそうだ)。 ク⸢レー バン⸣ヌン トゥ⸢ラリン⸣ギサン [ku⸢reː ban⸣nun tu⸢rariŋ⸣gisaŋ] (此れは私にも取られそうだ) 18352 0 0 18445 htmvoc_18352.wav ンマーンマーシニブン ン⸢マーンマー⸣シ ニ⸢ブン [ʔm⸢maːʔmmaː⸣ʃi ni⸢buŋ] 連 \ruby{熟睡}{ジュク|スイ}する。\ruby{美味}{オ|イ}しそうに眠る。 ン⸢マーンマー⸣シ ニ⸢ビ ベー⸣バ ウ⸢コース⸣ナ⸢ヨー [ʔm⸢maːʔmmaː⸣ʃi ni⸢bi beː⸣ba ʔu⸢koːsu⸣na⸢joː] (熟睡している<美味しそうに寝ている>から、起こすなよ) 18348 0 0 18446 htmvoc_18348.wav ンマカザ ン⸢マ⸣カザ [ʔm⸢ma⸣kaʣa] 名 おいしい匂い。おいしそうな匂い。 ⸢ティンプラ⸣ヌ ン⸢マカザ⸣ヌ<カ⸢バッ⸣サ カ⸢バヌ> ⸢スン [⸢timpura⸣nu ʔm⸢makaʣa⸣nu ⸢suŋ] (テンプラのおいしい匂いがする) 18353 0 0 18447 htmvoc_18353.wav ンマサカバサ ン⸢マ⸣サカバサ [ʔm⸢ma⸣sakabasa] 名 衣食住の生活が豊かなこと。特に食生活が豊かであること。 ウ⸢ヤプス⸣ヌマイ ⸢カンヌマイ⸣ヌ カ⸢ルイ⸣シキ タ⸢ボーッ⸣タ ウ⸢カ⸣ギシ ⸣カイニ ン⸢マ⸣サカバサ タ⸢ボーラ⸣リ フ⸢コーラサ⸠ユー [ʔu⸢japusu⸣numai ⸢kannumai⸣nu ka⸢rui⸣ʃi̥ki ta⸢boːt⸣ta ʔu⸢ka⸣giʃi ⸣kaini ʔm⸢ma⸣sakabasa ta⸢boːra⸣ri ɸu̥⸢koːrasa⸠juː] (ご先祖様、神様がご加護<嘉例付け>くださったお陰で、このように美味しく豊かに食べて暮らすことのできる生活を賜り、有難うございます) 9374 0 0 18448 htmvoc_9374.wav ンマザキ ン⸢マザ⸣キ [ʔm⸢maʣa⸣ki] 名 馬酒。暴れ酒。飲酒すると暴れる癖のある酒の飲み方 18354 0 0 18449 htmvoc_18354.wav ンマディマリ ン⸢マ⸣ディマリ [ʔm⸢ma⸣dimari] 名 午年生まれ。 ン⸢マ⸣ディマリヌ ミ⸢ドーン⸣ッふァー ⸢ヤームティグリ⸣サンティ ア⸢ザリブー [ʔm⸢ma⸣dimarinu mi⸢doːŋ⸣ffaː ⸢jaːmutiguri⸣santi ʔa⸢ʣari buː] (丙午年うまれの女の子は結婚し<家庭を持ち>にくいといわれている) 18356 0 0 18450 htmvoc_18356.wav ンマニー ン⸢マ⸣ニー [ʔm⸢ma⸣niː] 名 うま(午)の日。 ⸢キュー⸣ヤ(ワ) ン⸢マ⸣ニー ヤ⸢ルンダ ワー⸣ マ⸢リビー⸣ ア⸢タリ ブー [⸢kjuː⸣ja(wa) ʔm⸢ma⸣niː ja⸢runda waː⸣ ma⸢ribiː⸣ ʔa⸢tari buː] (今日は午の日だから、君の誕生日<生まれ日>に当たっている) 18357 0 0 18451 htmvoc_18357.wav ンマヌール ン⸢マヌー⸣ル [ʔm⸢manuː⸣ru] 名 馬乗り。 ⸢ピンソー⸣ヌ ⸣カン ン⸢マヌー⸣ル シ⸢ラリティ⸣ ヌビーン ⸣ピキーン ナ⸢ラ⸣ヌ [⸢pinsoː⸣nu ⸣kam ʔm⸢manuː⸣ru ʃi⸢rariti⸣ nubiːm ⸣pikiːn na⸢ra⸣nu] (貧乏の神に取り付かれて<馬乗りされて>、身動きが取れない<伸びをすることも、引くこともできない><諺>) 18355 0 0 18452 htmvoc_18355.wav ンマヌパー ン⸢マヌ⸣パー [ʔm⸢manu⸣paː] 名 午の方角。南の方角。 カ⸢ジェー⸣ ウリティ ン⸢マヌ⸣パーラル ⸣フキ ⸢クー⸣バン [ka⸢ʤeː⸣ ʔuriti ʔm⸢manu⸣paːraru ⸣ɸu̥ki ⸢kuː⸣baŋ] (風は下りて南の方角から\ruby{涼風}{リョウ|フウ}が吹いてくるよ) 18358 0 0 18453 htmvoc_18358.wav ンマムヌ ン⸢マ⸣ムヌ [ʔm⸢ma⸣munu] 名 うまいもの。美味なもの。特別に美味しいものの意味を表す。「飯喫めど味母不在<ウマクモアラズ>~。万、3857」の転訛したもの。 イ⸢ラ⸣ボー ⸢クンキ⸣ シ⸢キ⸣ムヌン ヤ⸢リ⸣ ン⸢マ⸣ムヌン ⸢ヤン⸣ダー [ʔi⸢ra⸣boː ⸢kuŋki⸣ ʃi̥⸢ki⸣munuɲ ja⸢ri⸣ ʔm⸢ma⸣munuɲ ⸢jan⸣daː] (エラブウナギは滋養食品<根気付け{EOS}精力増進食品>でもあり、味も美味いものだよ) 18359 0 0 18454 htmvoc_18359.wav ンミ ⸣ンミ [⸣ʔmmi] 名 (植)梅。鳩間島には、梅は栽培されていない。歌謡語として用いられる。「烏梅能波奈<ウメノハナ>~。万、825」の転訛したもの。 ン⸢ミ⸣ヌ ⸣パナ [ʔm⸢mi⸣nu ⸣pana] (梅の花)/サクラバナ ブナレーマ ンミカバシャ ミヤラビ イチン ハナサカリ(桜花のような豊艶なブナレマよ{EOS}梅の匂いのする可愛い乙女よ{EOS}何時も色香は春花のようだ)。「古見の浦節」/『八重山民謡誌』 18360 0 0 18455 htmvoc_18360.wav ンミブシ ン⸢ミブシ [ʔm⸢mibuʃi] 名 梅干。石垣方言からの借用語。梅は、鳩間島には産しない。梅干は石垣島から買ってきた。 バ⸢タ⸣ヤビ ⸢スー⸣ ピンマー ン⸢ミブシ⸣ ッ⸢ふァーソーッ⸣タ [ba⸢ta⸣jabi ⸢suː⸣ pimmaː ʔm⸢mibuʃi⸣ f⸢faːsoːt⸣ta] (腹痛の\ruby{腹壊}{ハラ|コワシ}し<下痢する>時は梅干を食べさせられた) 18361 0 0 18456 htmvoc_18361.wav ンメーマ ン⸢メーマ [ʔm⸢meːma] 副 少し。ちょっと。物量や時間量の少ないことを表す。ン⸢ベーマ[ʔm⸢beːma](少し)ともいう。古老のなかには、イ⸢メーマ[ʔi⸢meːma](少し)という人もいる。この場合の[m]と[b]は、自由変異。 ク⸢レー⸣ ン⸢メーマー⸣ トゥリ ⸣ミサン [ku⸢reː⸣ ʔm⸢meːmaː⸣ turi ⸣misaŋ] (此れは、少しは取っていい)。 ン⸢メーマンツァン⸣ バ⸢キラ⸣ヌ [ʔm⸢meːmanʦam⸣ ba⸢kira⸣nu] (ほんの少しさえも分けない)。 ン⸢メーマ⸣ カー⸢ニル⸣ ッ⸢ふー [ʔm⸢meːma⸣ kaː⸢niru⸣ f⸢fuː] (少ししか食べない<少しだけが食う>) 18362 0 1 18457 htmvoc_18362.wav ンメーマスカー ン⸢メーマ⸣スカー [ʔm⸢meːma⸣su̥kaː] 連 副。{Mn_1}少ししたら。しばらくしたら。 ⸣マー ン⸢メーマ⸣スカー ⸢イー⸣ヤ ⸢ニーシバ⸣ マティバ [⸣maː ʔm⸢meːma⸣sukaː ⸢ʔiː⸣ja ⸢niːʃiba⸣ matiba] (もうしばらくしたらご飯は炊け<煮え>るから、待ちなさいよ)。 18362 0 2 18458 htmvoc_18362.wav ンメーマスカー ン⸢メーマ⸣スカー [ʔm⸢meːma⸣su̥kaː] 連 {Mn_2}もうちょっとで。すんでのところで。 ⸣マー ン⸢メーマ⸣スカー ⸢デー⸣ジ ⸢スンティ アーク⸣タ [⸣maː ʔm⸢meːma⸣su̥kaː ⸢deː⸣ʤi ⸢sunti ʔaːku⸣ta] (すんでの所で<もう少しのところで>大変なことになるところだった) 18363 0 0 18459 htmvoc_18363.wav ンメーマナー ン⸢メーマ⸣ナー [ʔm⸢meːma⸣naː] 連 少しずつ。ン⸢メーマ[ʔm⸢meːma](少し)に、副助詞⸣ナー[⸣naː](ずつ{EOS}一定量のものを均等に割り当てること)の付いた形。 プ⸢ス⸣フチシ プ⸢ス⸣ケンナー ッ⸢ふァーンドー⸣シ ン⸢メーマ⸣ナー ク⸢バ⸣メーティ ッ⸢ふァイ⸣バ [pu̥⸢su⸣ɸuʧiʃi pu̥⸢su⸣kennaː f⸢faːndoː⸣ʃi ʔm⸢meːma⸣naː ku⸢ba⸣meːti f⸢fai⸣ba] (一口で、一度に食べないで、少しずつ小分けして食べなさい)